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2021/04/21 第204回国会 参議院 第204回国会 参議院 本会議 第17号 令和3年4月21日
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2021/04/21 第204回国会 参議院

第204回国会 参議院 本会議 第17号 令和3年4月21日

#1
令和三年四月二十一日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第十七号
  令和三年四月二十一日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の報告に関する件(米国訪問に
  関する報告について)
 第二 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任
  の制限及び発信者情報の開示に関する法律の
  一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
  付)
 第三 農業法人に対する投資の円滑化に関する
  特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提
  出、衆議院送付)
 第四 防衛省設置法等の一部を改正する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
 第五 民法等の一部を改正する法律案(内閣提
  出、衆議院送付)
 第六 相続等により取得した土地所有権の国庫
  への帰属に関する法律案(内閣提出、衆議院
  送付)
 第七 令和二年度子育て世帯生活支援特別給付
  金に係る差押禁止等に関する法律案(衆議院
  提出)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一
 一、地域的な包括的経済連携協定の締結につい
  て承認を求めるの件(趣旨説明)
 一、日程第二より第七まで
     ─────・─────

#2
○議長(山東昭子君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の報告に関する件(米国訪問に関する報告について)
 内閣総理大臣から発言を求められております。発言を許します。菅義偉内閣総理大臣。
   〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕

#3
○内閣総理大臣(菅義偉君) 私は、四月十五日から十八日まで米国ワシントンを訪問をし、バイデン大統領と日米首脳会談を行いました。その概要を御報告いたします。
 日米は、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を共有する同盟国です。日米同盟は、インド太平洋地域及び世界の平和、安定と繁栄の礎としてその役割を果たしてきましたが、今日の地域情勢や厳しい安全保障環境を背景に、同盟の重要性はかつてなく高まっています。こうした共通認識の下、首脳会談では、互いの政治信条、日米が共有するビジョンから、地域情勢、経済などグローバルな課題まで、幅広く、率直な意見交換を行いました。
 バイデン大統領とは、先月の日米2プラス2で一致した認識を改めて確認をし、その上に立って、更に地域の平和と安定のために取り組むことで一致しました。その上で、地域と、地域の平和と繁栄を確保していくために、日米で自由で開かれたインド太平洋の具体化を主導し、ASEAN、豪州、インドを始めとする他の国々・地域とも協力を進めていくことで一致しました。
 中国、北朝鮮の地域情勢についても意見交換を行いました。
 中国については、インド太平洋地域と世界全体の平和と繁栄に対して中国が及ぼす影響について意見交換を行い、東シナ海や南シナ海における力による現状変更の試みに反対することなどで一致しました。その上で、こうした問題に対処する観点から、中国との率直な対話の必要性を確認するとともに、普遍的価値を擁護しつつ、国際関係における安定を追求していくことで一致しました。
 北朝鮮については、北朝鮮の完全な非核化へのコミットメントを再確認し、北朝鮮に対して国連安保理決議の下での義務に従うことを求めることで一致しました。私から、拉致問題の即日の、即時の解決に向けて引き続きの理解と協力を求め、バイデン大統領から力強い支持を得ました。さらに、日米韓の三か国協力が地域の平和と繁栄にとって不可欠であるとの認識で一致しました。
 こうした厳しさを増す地域の安全保障環境を踏まえ、バイデン大統領とは、日米同盟の抑止力、対処力を強化していく必要性でも一致しました。私から、日本の防衛力強化への決意を述べ、バイデン大統領からは、日米安全保障条約第五条の尖閣諸島への適用を含む、米国による日本の防衛へのコミットメントが改めて示されました。同時に、沖縄を始め地元の負担軽減を図る観点から、普天間飛行場の辺野古への移設を含め、在日米軍再編を着実に推進することで一致しました。
 さらに、気候変動問題や新型コロナウイルス感染症対策という現下の国際社会が直面する課題に対処していく上でも、日米両国は互いに不可欠なパートナーであり、多国間の取組を主導する大きな責任を負っていることを確認しました。
 そのような観点から、日米首脳共同声明、新たな時代における日米グローバルパートナーシップを発出しました。また、日米競争力・強靱性パートナーシップにも合意し、日米共通の優先分野でもあるデジタルや科学技術における競争力とイノベーションの推進、コロナ対策、グリーン成長・気候変動などの分野で協力を推進することで一致しました。さらに、パリ協定の実施、クリーンエネルギー技術、途上国の脱炭素移行の各分野での協力を一層強化していくために、野心、脱炭素化及びクリーンエネルギーに関する日米気候パートナーシップを立ち上げることでも一致しました。これらのイニシアティブの下で、具体的で包括的な日米協力に弾みを付けていきます。
 東京オリンピック・パラリンピック競技大会については、私から、本年夏、世界の団結の象徴として開催を実現する決意を述べたのに対し、バイデン大統領から、改めて支持が表明をされました。
 今回、各国の首脳に先駆けて、私がバイデン大統領及びハリス副大統領にとって初となる対面での会談を行うことで、インド太平洋地域への米国のコミットメント、そして日米同盟の結束を国際社会に力強く示すことができたと考えます。
 今回の日米首脳会談の成果を踏まえ、我が国としては、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値をしっかりと擁護し、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、米国と更に連携協力を深めていく考えであります。(拍手)
    ─────────────

#4
○議長(山東昭子君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。中西祐介さん。
   〔中西祐介君登壇、拍手〕

#5
○中西祐介君 自由民主党の中西祐介です。
 自由民主党・国民の声を代表して、日米首脳会談における菅総理の帰朝報告に対して、総理に質問をいたします。
 菅義偉総理とバイデン大統領の首脳会談、時間的制約がある中でも、非常に大きな成果と価値を残したと評価いたしたいと存じます。
 米国新大統領が最初に日本の総理と会談するのは、ソ連邦崩壊前夜の一九八九年、竹下登総理、ジョージ・H・W・ブッシュ大統領以来二人目であります。
 そして今、目まぐるしい変化を遂げる世界秩序、自由民主主義と権威・専制主義の緊迫したせめぎ合いのさなか、共同声明として、新たな時代における日米グローバルパートナーシップを発出したことは、日米同盟こそが世界の普遍性ある価値を主導するきずなの深い同盟であることを改めて内外に示せたのではないでしょうか。
 法の支配に基づく自由、民主主義、人権など普遍的価値を共有する自由で開かれたインド太平洋は、第一次安倍内閣や麻生内閣当時より我が国が着想したビジョンを始点とし、菅内閣においても明確に継承されています。日本外交の一貫性、その中心に価値観外交を置くことは、世界に広く信頼と支持が広がる結果に結び付いています。
 地方政界からキャリアを重ね、実務に精通されるなど、共通項の多い日米両国首脳の直接対話により、まず互いの信頼が醸成され、多岐にわたる重要課題とそのビジョンを共有できたことが最大の成果であると考えます。
 戦後の日米関係と現下の世界情勢を踏まえ、今会談の歴史的意義と両首脳間の信頼関係の構築について、その成果を伺います。
 日本の国益に関わる地域情勢について伺います。
 先月二十五日、北朝鮮が弾道ミサイル二発を発射したことは明確な国連安保理決議違反であり、この暴挙に国際社会の連携の下で抗議をせねばなりません。北朝鮮に対し、今回、国連安保理決議の履行及び大量破壊兵器や弾道ミサイルの完全かつ検証可能で不可逆的な廃棄へのコミットメント、さらに拉致問題の即時解決を求めることで一致をいたしました。
 米朝首脳対話など、米国の前政権からの対北政策の変化と、国民が切望する拉致問題を含む諸課題の解決に向けた両国の具体的なアクションについて伺います。
 今、多くの国民の皆様が、中国による既存の国際秩序と合致しない行動に強い危機感を感じています。我が国固有の領土である沖縄県石垣市の尖閣諸島領海に武器使用をちらつかせる中国公船が実効支配せんとする事態が頻発し、また、南シナ海でも軍事基地を次々と建設するなど、極めて憂慮すべき状況であります。
 今回、こうした懸念を正面から共有し、一歩も譲歩する考えがないことを内外に明確化したことは、歴史的に大きな意義を持つと評価をいたします。米国と並んだ輸出先で、経済、生産活動でも欠かせない隣国、来年、日中国交正常化から五十年の節目を迎える歴史ある両国だからこそ、決して迎合せず、正すべき姿勢は率直に物申す。互いの国益はもちろん、地域の安定と繁栄に寄与する責務を負うことを共に自覚し、共有せねばなりません。
 しかし、今、世界の地政学を俯瞰するとき、まさに我が国が権威・専制主義国家に相対する自由民主主義陣営のフロントラインにあることは紛れもない事実であります。三月の日米2プラス2共同発表を今回首脳間で再確認し、ビジョンの具体化をASEAN、豪州、インドなど多国間で進める方針といたしました。また、尖閣諸島への日米安保条約第五条の適用の再確認も極めて重要な成果であります。
 これらに関連しまして、日米共同対処の強化策が協議されたのか、また、日中首脳間でも胸襟を開いた対話の準備はあるか、毅然とした我が国の外交戦略と今後の具体策を伺います。
 台湾は、我が国にとって、普遍的価値を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーであり、大切な友人です。
 先月、米インド太平洋軍の司令官が連邦議会で、今後六年以内に中国が台湾に軍事攻撃を仕掛けるおそれがある旨、証言をいたしました。共同声明では、台湾海峡の平和と安定の重要性が明記をされました。佐藤栄作首相当時より五十二年ぶりの言及であります。有事の抑止と万が一の際の我が国の対応などを共有したと伺っております。
 本件につき、あくまで平和的な解決を目指す上で、日米の対応や役割分担について具体的な戦略を伺います。
 次に、バイデン大統領も重視する人権問題について伺います。
 米国務省が昨年公表した報告書で、中国政府がウイグル族ら百万人以上を新疆ウイグル自治区の施設に収容し、政治的な洗脳、拷問に加え、精神的かつ肉体的な虐待を強いていると指摘しています。米国政権は、これら弾圧を国際法上の犯罪となるジェノサイドと認定しました。米国、EU、英国、カナダが制裁措置を相次いで発表する中、我が国はG7のうち制裁を実施していない唯一の国となりました。国会では、与野党を超えて超党派でも問題認識の共有と具体的な施策の協議もされています。
 この深刻な人権侵害に対して、米国とどう臨んでいく方針でしょうか。あわせて、市民を容赦なく標的にするミャンマー国軍の動きについても、日本の立場や強みを生かし、どのような対応をする用意があるのか、伺います。
 我が国は、独立国家として、その優位性と脆弱性を冷静に見詰め、国益を最大化させる努力を怠ってはなりません。まさに、世界の変化に対応できるしなやかさと世界の変化をつくり出すしたたかな戦略こそが必要であります。
 以下、重要課題について伺います。
 まず、今回、日米競争力・強靱化コアパートナーシップが立ち上げられました。民主主義の規範に基づいた管理の下、安全で信頼できる5Gネットワークの推進、半導体や人工知能など様々な分野のサプライチェーンの強化や共同研究を協力していくことも合意をされたところであります。
 近年、レアアースの輸出制限問題などに加え、新型コロナウイルス感染症の拡大以降、経済安全保障の観点から、一国への過度の依存を見直すべきと考えます。
 また、我が国は米国とデジタル分野のデータ・フリー・フロー・ウイズ・トラスト、つまり、プライバシーやセキュリティー、知的財産権に関する信頼を確保しながら、ビジネスや社会課題の解決に有益なデータが国境を意識することなく自由に行き来する国際的なデータ流通の促進を進めなければなりません。
 これらを踏まえ、米国とデジタル分野を含むサプライチェーンの強化や重要分野の共同研究をどのように進捗させ、経済安全保障環境を高めるのか、御所見を伺います。
 パリ協定に復帰した米国は温暖化問題を最優先課題の一つに掲げ、明日、気候サミットを開催します。
 日米両国で脱炭素をリードするだけではなく、クリーンエネルギー技術の普及や途上国の脱炭素社会移行への多国間の協力を得る必要があります。今回合意した日米気候パートナーシップがその具体的かつ包括的な交渉ベースとなることを大いに期待をいたします。
 この文脈でも、CO2排出大国である中国こそ、脱炭素社会への移行に協力が不可欠であります。気候変動問題への対中戦略と日米間の役割分担について伺います。
 新型コロナウイルスの世界的感染に対し、今、ワクチン供給が喫緊の課題であります。途上国も含めた枠組みであるCOVAXファシリティーなど国際連携のイニシアティブを、日米の協力関係を基に促進すべきであります。
 感染症の脅威に対処する日米協力の在り方と米ファイザー社CEOとの会談で得られた成果について伺います。
 仮に思想信条は異なれども、礼儀礼節を尽くし、認めるべきは認め、互いに手を取り合うことは、我々日本人の美徳であり、また外交上の要諦でもあると考えます。
 男子ゴルフ松山英樹選手の米国マスターズトーナメントの勝利に対する祝意がバイデン大統領から述べられました。アジア人初の優勝という歴史的快挙とともに、早藤将太キャディーの礼儀あふれる振る舞いも世界から大きな称賛を浴びています。
 今、世界が試練に直面する中、東日本大震災を乗り越え、スポーツを通じた希望と感動を世界の皆様にひとしくもたらすであろう日本開催の東京オリンピック・パラリンピックが、まさに人類の英知と平和の象徴とならんことを心からお祈りを申し上げ、私の質疑といたします。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕

#6
○内閣総理大臣(菅義偉君) 中西祐介議員にお答えをいたします。
 今回の首脳会談の意義や個人の信頼関係についてお尋ねがありました。
 バイデン大統領との対面での初会談を行い、インド太平洋地域への米国のコミットメント、そして日米同盟の結束を国際社会に力強く示すことができたと考えます。
 首脳会談の成果として、日米首脳共同声明を発出しました。日米両国は互いに不可欠なパートナーであることを確認をし、グローバルな課題への対応における多国間の取組を主導していく決意を打ち出しました。
 バイデン大統領とは一対一の会談も行い、家族や人生経験などの話をする中で、大統領が温かく懐の深い人物との印象を持ちました。これからも一緒に仕事をしていけるとの思いを強くしました。今回の訪米を通じて、バイデン大統領と個人的な信頼関係を構築でき、今後の日米同盟強化の基礎が築けたと考えております。
 対北朝鮮についてお尋ねがありました。
 米国による対北朝鮮政策の見直しの結果について予断することは差し控えますが、今回の首脳会談では、バイデン大統領との間で、北朝鮮の完全な非核化へのコミットメントを再確認をしたところであります。
 また、拉致問題は菅政権の最重要課題です。今回、バイデン大統領から拉致問題の即時解決を求める米国のコミットメントが改めて示されましたが、私自身、金正恩委員長と条件を付けずに直接向き合う決意です。
 今後とも、日米、日米韓の三か国で緊密に連携しつつ、国際社会とも協力しながら、関連する国連安保理決議の完全な履行を進め、北朝鮮の非核化を目指すとともに、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現するべく、全力を尽くしてまいります。
 日米共同対処の強化及び日中首脳の対話についてお尋ねがありました。
 今日の地域情勢や厳しい安全保障環境を背景に、日米同盟の重要性はかつてなく高まっています。今回の首脳会談では、こうした観点を踏まえ、日米両国で抑止力、対処力を強化していくことや領域横断的な防衛協力を深化させていくことでバイデン大統領と一致しました。その上で、その具体的内容については、今後、外務・防衛当局間で協議を進めてまいります。
 同時に、中国との安定した関係は、日中両国のみならず、地域及び国際社会の平和と繁栄のために重要です。中国との間には様々な懸案が存在しており、我が国としては、引き続きハイレベルの機会を活用し、中国との率直な対話を行い、懸念、懸案を一つ一つ解決し、また中国側の具体的行動を強く求めてまいります。
 台湾海峡に関する対応などについてお尋ねがありました。
 我が国としては、従来から、台湾をめぐる問題が当事者間の直接の対話によって平和的に解決されることを期待するとの方針は一貫をしております。
 今回の会談において、台湾海峡の平和と安定の重要性と両岸問題の平和的解決を日米首脳間で確認したことにより、我が国の従来からの立場を日米共通の立場として、より明確にすることができました。
 御指摘の言及が我が国の台湾海峡への軍事的関与などを予断するものでは全くありませんが、いずれにせよ、我が国として、引き続き、両岸関係の推移を注視してまいります。
 新疆ウイグル自治区の状況、ミャンマー情勢についてお尋ねがありました。
 新疆ウイグル自治区に関しては、重大な人権侵害が行われているとの報告が数多く出されており、我が国としても同自治区の人権状況については深刻に懸念をいたしております。
 また、ミャンマー情勢については、ミャンマー国軍、警察による実力行使により、多数の死傷者が発生し続けている状況を強く非難します。引き続き、国軍を含めミャンマー側に様々な意思疎通のルートを持っている国として、日本独自の役割をしっかりと果たしていきます。
 現在拘束中の邦人ジャーナリストの早期解放を含め、今後とも邦人保護に万全を期してまいります。
 我が国としては、これらの人権状況や情勢の改善に向け、しっかりと声を上げつつ、米国を含む国際社会と連携して具体的な行動を求めてきていきます。
 経済安全保障の取組についてお尋ねがありました。
 経済安全保障を確保しつつ、世界経済を主導していくためには、日米は、サプライチェーンの強靱化や重要技術の育成、保護を通じた競争力の強化に取り組んでいく必要があります。
 かかる観点から、今回の首脳会談において合意した日米競争力・強靱性パートナーシップに基づき、日米共通の優先分野でもあるデジタルや科学技術における競争力とイノベーションの推進などを通じて両国間で連携協力を深めていく考えです。
 気候変動問題への対中戦略と日米の役割分担についてお尋ねがありました。
 気候変動問題への対応について、世界最大の温室効果ガス排出国である中国による取組は不可欠です。我が国としては、脱炭素社会の実現に向けた更なる取組を含め、中国が大国としての責任を果たしていくよう働きかけていきます。
 今回の日米首脳会談では、パリ協定の実施、クリーンエネルギー技術、途上国の脱炭素移行の各分野での協力を一層強化していくために、日米気候パートナーシップを立ち上げることで一致しました。
 このパートナーシップの下に、具体的な日米協力を進めるとともに、本年の一連の国際会議、またその先に向けて、日米両国が国際社会の議論を積極的にリードしてまいります。
 感染症に関する日米協力、ファイザー社CEOとの会談についてお尋ねがありました。
 バイデン大統領とは、ワクチンへの公平なアクセスのために、日米がCOVAXの支援を強化することで一致をしました。将来の健康危機に備え、迅速かつ効果的な対応をするために米国を含む各国とも協力をしていきます。
 また、ファイザー社CEOとの会談では、本年九月までに我が国の対象者に対して確実にワクチンを供給できるよう追加供給を要請し、先方からは、協議を迅速に進めたいとの話がありました。
 これ以上の会談の詳細は、相手方の関係もあり差し控えますが、いずれにせよ、九月までにワクチンの供給がなされるめどが立ったと考えております。(拍手)
    ─────────────

#7
○議長(山東昭子君) 白眞勲さん。
   〔白眞勲君登壇、拍手〕

#8
○白眞勲君 立憲民主・社民の白眞勲です。
 会派を代表し、ただいま議題となりました総理の訪米報告について質問いたします。
 菅総理、ワシントンへのとんぼ返りの出張、お疲れさまでございました。
 ただ、総理が日本を留守にしている間、新型コロナウイルス感染症の爆発的拡大や、自民党幹事長のオリンピック中止の可能性発言の波紋、さらには福島第一原発の処理水の問題等々、国内は重要な問題が山積した状況でした。
 もちろん、コロナ禍によって世界情勢が激変の中、日米両国首脳が直接会談を行う意義は大きく、特に我が国の外交、経済、安全保障政策にも大きな影響を及ぼす中国、北朝鮮への対応についても協議できたことは極めて重要です。
 それでも、幾つか押さえておきたいポイントがありますので、そこを中心にお聞きしたいと思います。
 まず、新型コロナウイルス感染症の拡大についてです。
 三月の緊急事態宣言の解除後も感染者が急増しており、極めて深刻な状況となっているのは御存じのとおりです。政府の分科会の尾身会長は、いわゆる第四波と言って差し支えないと思うとも発言していますが、現在の状況は既に第四波に入ったと言えるのではないでしょうか。
 また、総理は、緊急事態宣言の発出について、ワシントンでの記者の質問に、まん延防止等重点措置を始めてからまだ二週間たっていない、状況を見ての判断になるとお答えになっていますが、まだなんてそんな悠長なことは言っていられない切迫した状況です。ここはすぐにでも緊急事態宣言を発出すべきだと思いますが、いかがでしょうか。総理、御答弁願います。
 総理は、ワシントンでファイザー社のブーラCEOと電話で会談し、ワクチンの追加供給を受けることで実質的に合意したとのことですが、一つ疑問なのが、なぜワシントンでの電話なんでしょうか。会うんだったら分かりますよ、アメリカで。電話ならば東京ですりゃいいじゃないですか。何もわざわざアメリカまで行って、限られた大切な時間を使うよりは、官邸で電話すれば、ワクチン大臣や厚労大臣もそばに一緒にいて、よっぽど充実した会議になるのではないでしょうか。それでなくても、人口百人当たりのワクチン接種回数ではOECD三十七か国中で三十七番目、最下位ですよ。情けない状況であるわけで、なぜアメリカまで行って会わないで電話なのか、納得できる答弁、お願いいたします。
 また、その際、ワクチン代金をもっと上積みするとかおっしゃったのでしょうか。追加のお願いをするのであれば、何らかの追加料金を支払うのが当たり前ですが、具体的な金額はここでは話せないかもしれませんが、せめて、金額の話が少しでも出たのか、追加の供給数量はどれぐらいになるのでしょうか、御答弁願います。
 総理は、九月までに供給されるめどが立ったと考えていると述べましたが、外務省のホームページでは、先方が確実かつ迅速な供給及び追加供給に向けた協議を迅速に進めることを含め、日本政府と緊密に連携したいとの発言があったとされているわけで、要するに、相手は連携しますとは言っているようですが、九月なんて一言も書かれていません。これ、実際に先方が九月の供給を確約したんでしょうか。国民が一番関心を持っている件について、なぜ外務省のホームページには書かれていないのか、総理がそう受け止めたのか、それともファイザー社が明言し合意したのか。ちなみに、ファイザー社のブーラCEOは、四月十九日の自身のツイッターで、ヨーロッパに対し一億回分追加供給すると明言しておりますが、事実関係を明確に御答弁願いたいと思います。
 さらには、自民党の下村政調会長は、十九日の党の会合で、ワクチン接種について、残念ながら自治体によっては医療関係者の協力が足らず、六十五歳以上に限定しても今年いっぱいか、場合によっては来年まで掛かるのではないかと発言したとされています。高齢者の方々ですら九月どころか来年なんて話まで出てきています。河野大臣もしかりですが、いろいろな責任ある方々がばらばらな発言をすると、国民は一体何を信じていいのか混乱するだけです。
 総理、ワクチンの供給量とスケジュール、そして接種の完了が医療従事者、高齢者、一般国民の皆さん、それぞれいつになるのかに関して、政府としての正式な見解を、この際、明らかにしていただきたいと思います。
 今回の日米共同声明で、大統領は、安全、安心なオリパラ大会を開催するための菅総理の努力を支持するとなっておりますが、ここで疑問なのは、安全、安心なオリパラ大会の開催を支持するではなくて、わざわざ回りくどく、開催するための菅総理の努力を支持するとなっています。この言い回しですと、開催自体は支持しているかどうか言及しないが、菅総理は頑張っているから、その努力は認めようということに取れなくはないですし、私がテレビで見た範囲内では、ゴルフの松山選手についてお祝いの言葉がありましたが、肝腎のバイデン大統領の口からオリンピックに関し直接の言及はなかったようです。この辺り、どうなっているんでしょうか。開催の可否とか選手団を送るかどうかについて直接の言及があったのか、総理、御答弁願います。
 総理は、三月二十六日の参議院予算委員会で、私が、バイデン大統領に会ったらオリンピックに招待するかとの質問に、総理は、当然そういうことになると答弁されています。招待した結果はどうだったんでしょうか。総理、お答えください。
 総理が、今年の施政方針演説で、夏の東京オリンピック・パラリンピックは、人類が新型コロナウイルスに打ちかったあかしとして、また東日本大震災からの復興を世界に発信する機会としたいと強調されましたが、国民にワクチン接種はこの時期までに到底間に合わない。
 また、東京電力福島第一原発の放射性物質を含む処理水を海洋放出する方針を固めた段階で、総理も、福島の復興に避けて通れない、先送りできない課題だと、まだ復興途上であることを御自身がお認めになっているわけで、今年の施政方針演説どおりにはいかないことをどう思われているのか、総理にお伺いします。
 自民党の二階幹事長は、総理が訪米するまさにその日に、東京オリンピックについて、感染状況次第で中止もあり得ると発言しました。このタイミングで発言するのかと驚きましたが、ここでオリンピック大臣にお聞きしますが、最悪の事態として、もしオリンピックが中止となった場合、それに伴って国内あるいは世界各国に大変な影響が出ることとなります。チケットの払戻しだけではなく、様々なキャンセルなど法的な問題も出てくると思います。また、中止はしないが無観客とか、ほかにも様々なシナリオはあると思います。シナリオを用意したくないという気持ちは分かりますが、用意しておくのが開催国としての責務だと思いますが、様々なシナリオは用意されているのでしょうか。オリンピック大臣にお伺いします。
 北朝鮮の体育省は、東京オリンピックについて、新型コロナウイルスによる世界的な保健の危機的状況から選手たちを守るためだとして参加しない方針を明らかにしました。北朝鮮のオリンピック不参加について、IOCに正式に連絡はあったのでしょうか。あるいは、日本の組織委員会に来ないということを明示的に連絡は来ているのでしょうか。オリンピック担当大臣から御説明ください。
 北朝鮮の東京オリンピック不参加の理由が新型コロナウイルスから選手たちを守るためであるとするのであれば、北朝鮮のみならず、発展途上国の選手団が安全に日本に渡航し、安心して競技に参加して帰国できるようなウイルス対策、例えばワクチン提供などについてどのようにお考えか、オリンピック大臣、お聞かせください。
 菅総理は、昨年十一月五日の予算委員会における私の質問への答弁で、東京オリンピックの際に金正恩委員長と会談することをいい機会だと思うとお答えになりました。当然これは拉致問題を念頭にして答弁されたものと思いますが、北朝鮮が東京オリンピックへの不参加を表明したことについてはどのように感じられたんでしょうか、お伺いいたします。
 今回の共同声明では、日本が中国と一九七二年、国交正常化し、首脳間の文章としては初めて台湾海峡の平和と安全の重要性を日米が確認すると明記し、台湾に触れました。さらに、日本は同盟及び地域の安全保障を一層強化するために自らの防衛力を強化することを決意したという文言も入っています。この文言にはいささか驚きました。つまり、今回の声明によって、台湾有事に備えた日米共同作戦を策定することが前提になるのではないかとの見方があります。
 そこで、防衛大臣にお聞きしますが、本年三月、例の強行採決された安保法制の施行から五年を迎えた中で、この五年間で、安保法制により新設された自衛隊法第九十五条の二に基づき、米軍部隊の武器等防護をこの四年間、それぞれ何件実施し、合計何件になったのか、お聞きします。
 総理にお聞きしますが、台湾有事に備えた日米共同作戦計画みたいな内容を策定するおつもりがあるのかどうか、併せてお聞きいたします。
 中国の海警船は、尖閣諸島で領海侵入を繰り返しており、今回の共同声明でもこの件を含めて中国に関して相当詳しくコミットをしておりますが、日米両国は、中国との率直な対話の重要性を認識するとともに、直接懸念を伝達していく意図を改めて表明とも指摘しています。
 日本は、中国と有史以来の深い歴史的関係を持ち距離的にも近い、まさにそういった観点から、粘り強く交渉を進める必要もあるわけで、中国の習近平国家主席とは、この文章をそのまま素直に読むと、面会することを意味すると思いますが、いつ頃首脳会談をするおつもりでしょうか。
 韓国との関係については、日米韓三か国の協力の重要性について不可欠とコミットをしておりますが、現在ぎくしゃくしている日韓関係について、総理としては現在の対韓国へのアプローチの仕方を変えるつもりがあるのか、お聞きしたいと思います。
 核兵器の先制不使用について、米国のオバマ政権が二〇一六年にこれを宣言することを検討した際に、対中抑止力の低下を懸念した日本政府が反対したことが宣言を断念した最大の要因だったと、当時の国務省の政策担当者が証言したとする報道があります。実際、今回の共同声明にも、米国は、核を含むあらゆる種類の米国の能力を用いた日米安全保障条約の下での日本の防衛に対する揺るぎない支持を改めて表明したとなっており、わざわざ核を入れています。
 核兵器の先制不使用宣言は、現実的に核軍縮を前進させる一歩として十分考慮に値する政策なのではないでしょうか。核廃絶を目指す、その取組をリードするというだけで、核兵器禁止条約には真っ向から反対している菅政権として、米国が核兵器の先制不使用を宣言することについて、菅総理はどのような認識なのか、お答えください。
 米国政府による防衛装備品等の有償援助、FMSについてお伺いします。
 これは、価格は米国側の見積りで、納期はあくまで予定、さらに支払も前払が原則であるといった問題点が度々指摘されています。にもかかわらず、FMSによる調達金額は安倍内閣においてどんどん増加し、当初は約一千九百億円であったものが、五年後の二〇一九年度は約七千億円にまで膨れ上がっています。
 同じ年の十月に提出された会計検査院の報告書においては、FMSにおける問題事例が数多く紹介されています。例えば、F2戦闘機のコンピューターについて、二〇一七年度末の段階で四〇%が納入されてもおらず、中には九年経過しても納入されていないものも見受けられたとされています。
 コンピューターが九年も納入されないとは一体どういうことなんでしょうか。当時は最先端のコンピューターでも、九年たったら最先端なんか到底言えません。例えば、菅総理が九年前に最新鋭だとして買ったガラケーがまだ届いていないようなもんです。
 装備品買ったが、九年たっても納品されなくて困っていると菅総理はバイデン大統領に話しましたでしょうか。また、防衛大臣も、先日の2プラス2で同じ問題を提起されましたか。日本の内閣総理大臣として言うべきことは言える関係こそ、健全な日米同盟のあるべき姿であると考えますが、菅総理の答弁を求めます。
 また、FMSに関連して、F15についても同様です。岸防衛大臣は、四月十二日の決算委員会において、昨年末の時点で、F15改修に係る初度費が当初見積りの八百七億円から何と三倍近くまで増加したことを明らかにしました。
 このように、当初見積りの三倍近くの二千四百億円に高騰する一方、防衛省は三菱電機との間では二十二円や七十七円でそれぞれ契約したことが明らかになっています。このような防衛調達の現状は、普通の国民から見れば不自然極まりないものです。FMSを含めた我が国の防衛調達の在り方を根本的に見直すべきと考えますが、菅総理の見解を求めます。
 今回、米国におけるアジア系住民に対するヘイトクライムを許さない姿勢など、日米両国が自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を共有したことは評価したいと思います。しかしながら、同じような現象がこの日本でも起き続けています。総理はこの件に関してどのような対策を取るつもりか、お聞きします。
 本年四月十二日、普天間飛行場の全面返還が発表されてから二十五年がたちました。現在、防衛省は、辺野古の埋立てに沖縄戦で激戦地となったこの本島南部からの土砂調達を検討しています。沖縄県南部地区は、沖縄戦で、軍人はもちろん、女学校の生徒たちが戦場に駆り出され、さらには老人から子供、赤ちゃんまでアメリカ軍の砲弾で数多くの命が失われた場所です。そこには数多くの遺骨が残され、収集は今も続けられています。よりによってこの場所の土をアメリカ軍の新基地建設の土台にすることは、絶対にあってはならないのです。
 四月十五日に沖縄県議会は、悲惨な沖縄戦の戦没者の遺骨等が混入した土砂を埋立てに使用しないことを求める衆参両院議長や総理宛ての地方自治法第九十九条の規定による意見書を、自民党、公明党を含め全会派一致で可決いたしました。
 総理はこの意見書についてどのようにお感じになりましたか。総理の認識をお伺いいたします。
 その土地は、御遺骨だけではなく、祖国のために心ならずも命を落とされた多くの方々の血が染み込んでいるのです。現在我々が享受している平和と繁栄が戦没者の方々の尊い犠牲の上に築かれていることに思いを致し、さらに、菅総理は、沖縄の皆さんの心に寄り添いと常々おっしゃっています。そうであるならば、沖縄県民、御遺族に対し、総理御自身の言葉で、政治家として、少なくとも南部地区からの土砂の調達をしないと今日ここで明確に御決断、御答弁ください。本当にお願いします。
 最後に、私どもは、日米同盟を外交の基軸に、これを深化させつつ、日本がSDGs、感染症対策、核軍縮など国際的な重要課題においても主導的な役割を果たせるよう引き続き取り組んでまいりますことをお約束して、質問を終わります。
 白眞勲でございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕

#9
○内閣総理大臣(菅義偉君) 白眞勲議員にお答えをいたします。
 新型コロナの感染状況の認識等についてお尋ねがありました。
 現在の感染状況は、大阪、兵庫で急速に感染が拡大したほか、東京、神奈川、埼玉においても感染者数の増加が続くなど、強い危機感を持って対応すべき状況にあると認識をいたしております。
 また、大阪府から緊急事態宣言の要請がなされており、状況を精査し、対策の中身も早急に検討して判断をしてまいります。
 ファイザー社CEOとの電話会談及びその内容についてお尋ねがありました。
 新型コロナの状況、ワクチン供給に係るファイザー社との調整の状況、先方の意向などを踏まえ、今回の訪米の機会に電話会談を実施することになりました。
 会談では、本年九月までに我が国の対象者に対して確実にワクチンを供給できるよう追加供給を要請し、先方からは、協議を迅速に進めたいとの話がありました。相手方の関係もあり、詳細は差し控えます。
 当該電話会談の、事後対外公表についてお尋ねがありました。
 会談後の外務省からの発表では、先方から、日本へのワクチンの確実かつ迅速な供給及び追加供給に向けた協議を迅速に進めることを含め、新型コロナ感染症の克服に向けて日本政府と緊密に連携していきたいとの発言があったとしています。
 相手方の関係もあり、詳細は差し控えますが、会談でのやり取りを踏まえ、九月までにワクチンの供給がなされるめどが立ったと考えております。
 ワクチンの供給量、スケジュール等についてお尋ねがありました。
 医療従事者等については、五月十日の週の配送をもって四百八十万人を超える数量の配送が完了する見込みであり、速やかに接種していただきたいと考えています。また、高齢者については、四月十二日から優先接種が始まっており、六月末までには、高齢者全員のワクチンについて、自治体の需要に応じてお届けすることになっています。
 その中で、希望する全ての方への接種がいつ完了するかについては、実務を担う自治体の規模は様々であり、それぞれが作成した計画によるものと考えています。
 ただし、高齢者への接種について、自治体とのやり取りにおいては、年内いっぱいまで掛かるといった情報は現時点では聞いておりません。
 今回の訪米時の東京オリパラ大会に関する言及ぶりについてお尋ねがありました。
 首脳共同声明における関連部分は会談でのやり取りを踏まえたものですが、会談においては、私からバイデン大統領に対し、今年の夏、世界の団結の象徴として東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を実現する決意を述べ、バイデン大統領からこの決意に対する支持を改めて表明いただいています。
 首脳会談でのやり取りであり、これ以上の詳細については差し控えますが、いずれにしろ、東京大会の成功に向け、米国を始めとする参加国・地域と緊密に協力をしていきます。
 東京大会とワクチン及び東日本大震災からの復興についてお尋ねがありました。
 ワクチンについては、一日も早く全ての国民の皆さんにお届けできるよう、全力で取り組んでおります。東京大会は、ワクチンを前提としなくても安全、安心な大会を実現できるよう、選手や大会関係者の出入国や滞在中の検査、行動管理などの感染対策をしっかり行ってまいります。
 また、ALPS処理水の処分については、安全性を確実に確保した上で実施し、風評払拭に向けてあらゆる対策を行うこととしております。
 インフラや住宅の再建を始め復興は着実に進展しており、東京大会を通じて、復興しつつある被災地の姿を世界に発信をしてまいります。
 北朝鮮による東京大会への不参加表明についてお尋ねがありました。
 東京大会への北朝鮮の参加については、まずはIOCなどとの間で調整を注視してまいりたいと思います。いずれにしろ、政府としては、東京大会に多くの国・地域に参加いただけるよう、感染対策含め、環境整備に努めていく考えであります。
 台湾有事に備えた日米共同作戦計画についてお尋ねがありました。
 日米両国は、二〇一五年に策定された日米ガイドラインの下で、共同計画の策定、更新を行うこととしていますが、その策定状況や内容などの詳細については、事柄の性質上、お答えすることは差し控えます。
 習主席との会談についてお尋ねがありました。
 中国との間には様々な懸案が存在しており、我が国としては、引き続きハイレベルの機会を活用して、中国との率直な対話を行い、懸案を一つ一つ解決、また中国側の具体的な行動を強く求めていく方針です。ただし、現時点で習主席との会談について決まっていることはありません。
 日韓関係の進め方についてお尋ねがありました。
 北朝鮮への対応を始め、日韓、日米韓の三か国の連携は不可欠です。
 他方、日韓関係は、現在、旧朝鮮半島出身労働者問題や慰安婦問題など非常に厳しい状況が続いております。
 両国間の懸案解決のためには韓国が責任を持って対応する必要があり、韓国側からの具体的な提案を求めています。
 今後とも、日韓関係を健全な関係に戻すべく、我が国の一貫した立場に基づき、韓国側に適切な対応を強く求めてまいります。
 米国の核兵器の先行不使用についてお尋ねがありました。
 核の先行不使用宣言は、あくまで一般論として言えば、全ての核兵器国が検証可能な形で同時に行わなければ有意義ではないと考えます。
 現時点で、当事国の意図に関して何ら検証する手段がない核の先行不使用の考え方に依存することは、我が国の安全保障を万全にする上で不適切と考えます。
 米国からの装備品の調達についてお尋ねがありました。
 FMSについては、未納入等の問題が指摘されていますが、強い問題意識を持って防衛大臣を含め様々なレベルから米国に働きかけを行ってきたところであり、大幅に改善されてきていると承知しています。
 今般の日米会談における外交上のやり取りについてはお答えを差し控えたいと思います。しかし、このようなFMSの課題解決に向けた取組を引き続き精力的に行ってまいります。
 防衛調達の在り方の見直しについてお尋ねがありました。
 御指摘のF15の改修経費については、現在、日米間で協議中であり、また、三菱電機との調査研究に係る契約については、法令にのっとり行われているものと承知していますが、引き続き、防衛調達の改善、適正化に努めてまいります。
 ヘイトクライムについてお尋ねがありました。
 人種などによって差別が行われることは、いかなる社会にあっても許容されません。そのため、政府としては、外国人等の人権に関する動画の作成、配信、シンポジウムの開催といった啓発活動を行っております。また、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、捜査当局において、法と証拠に基づき適切に対処するものと承知しています。
 引き続き、外国人等に対する偏見や差別の解消に向けてしっかりと取り組んでまいります。
 普天間飛行場の辺野古移設に係る埋立土砂についてお尋ねがありました。
 変更承認後の埋立土砂については、県内と県外のどちらから調達するかも含め、現時点で確定していないと承知しています。
 さきの大戦において凄惨な地上戦を経験した沖縄では、今もなお、厚生労働省と沖縄県で役割を分担して、戦没者の御遺骨の収集が進められております。御指摘の意見書にも述べられている御遺骨の問題は大変重要と考えており、こうしたことを踏まえて、埋立土砂の調達については防衛省が適切に判断するものと考えます。
 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣丸川珠代君登壇、拍手〕

#10
○国務大臣(丸川珠代君) 東京オリンピック・パラリンピックに関してお尋ねがございました。
 今年の夏に安全、安心な大会を実現するためには、新型コロナウイルス感染症対策が極めて重要であります。
 先月の五者協議においては、東京大会における海外からの観客受入れを断念することで合意したところであり、また、東京大会における観客数の上限については、内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室が示している国内イベントの上限規制に準じることを基本として、四月中に基本的な方向性を示すこととなっております。
 大会開催の最終的な決定は、主催者であるIOC、IPC、東京都、組織委員会が行うものでありますが、政府としては、内外の感染状況等を注視しつつ、様々なスポーツ大会における感染対策の取組や感染症専門家の知見も踏まえ、安全、安心な環境を確保することを最優先に準備を進めてまいります。
 北朝鮮のオリンピック不参加に関してお尋ねがございました。
 北朝鮮体育省のウエブサイトにおいて、北朝鮮のオリンピック委員会が東京大会へ参加しないことを決定したことを表明したということについては承知をしております。組織委員会に確認しましたところ、国際オリンピック委員会としては、北朝鮮側から正式な連絡は受け取っていないとの認識であるとの回答でした。いずれにせよ、東京大会の北朝鮮の参加につきましては、まずはIOC、大会組織委員会等との間の調整を注視してまいります。
 海外から来日する選手団に対する感染症対策に関してお尋ねがございました。
 昨年九月より、国、東京都、組織委員会によるコロナ対策調整会議において、アスリート、大会関係者、観客について、それぞれ出入国や輸送、会場等の行程ごとに感染対策の議論を進め、中間整理を取りまとめましたが、その後の世界的な変異株の問題など、大会を取り巻く環境の変化などにも対応した対策を現在検討しております。
 昨今の世界の国際競技大会では、入国から出国まで一貫して選手団を外部から隔離するバブルという考え方で、出国前検査や入国時検査、滞在先や移動手段を限定するなどの厳格な行動管理、定期的な検査など、必要な防疫上の措置を講じて一般の人とは交わらない形で開催をされております。こうした中で得られる知見も踏まえつつ、全ての国のアスリートにとって安全、安心な環境を確保するために、実効的な対策を確実に実施をしてまいります。
 政府としては、ワクチンの接種を前提としなくても安全、安心な大会を開催できるよう準備を進めてまいります。(拍手)
   〔国務大臣岸信夫君登壇、拍手〕

#11
○国務大臣(岸信夫君) 白眞勲議員にお答えいたします。
 自衛隊法第九十五条の二に基づく合衆国軍隊等の部隊の武器の、武器等の防護に係る警護の実績についてお尋ねがありました。
 合衆国軍隊等の部隊の武器等の防護に係る警護は平成二十九年から実施をしてきており、令和二年末までの実績としては、平成二十九年に二件、平成三十年に十六件、平成三十一年及び令和元年に十四件、令和二年に二十五件、これまで合計五十七件を実施してきております。
 最後に、防衛装備品等の有償援助についてお尋ねがありました。
 FMS調達については、未納入を始め様々な課題がありますが、改善に向け取り組んできた結果、全体としては、令和元年度末の未納入額は前年度から半減し、御指摘のあったF2の通信電子機器の構成品についても契約を改め、現在は更新された機器の納入が順調に進んでいます。
 2プラス2でのやり取りの有無については、相手方との関係もあり、お答えを差し控えますが、防衛省としては、FMSの合理化に関し、今後も緊密に日米間で連携を図ってまいります。(拍手)
    ─────────────

#12
○議長(山東昭子君) 石川博崇さん。
   〔石川博崇君登壇、拍手〕

#13
○石川博崇君 公明党の石川博崇です。
 私は、ただいま議題となりました総理の訪米報告に関し、会派を代表して、菅総理に質問させていただきます。
 バイデン大統領就任後、初の対面形式による首脳外交となったこたびの日米首脳会談は、インド太平洋地域全体及び国際社会の平和と安全の礎である日米同盟を新たなステージへと押し上げました。自由で開かれたルールに基づく国際秩序の構築に向けた確固たる決意を表明するとともに、新型コロナ感染症や気候変動など、人類全体への脅威に対し、日米が国際社会をリードして取り組むことも明確に宣言し、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を共有する両国が、国際の平和と安定に今まで以上に貢献する意思を明確に示したことは大きな成果であり、高く評価したいと思います。また、菅総理とバイデン大統領との直接対話によって個人的な信頼関係を構築できた意義も極めて大きいものがあります。
 今回の首脳会談を踏まえ、国際社会の平和と繁栄を築くため、今後の日米関係及び日米協力をどのように深化させていくのか、総理の基本的な考えを伺います。
 インド太平洋地域及び我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中において、これまで日米ガイドラインの見直し、我が国の平和安全法制の制定、この三月にはバイデン米新政権との日米2プラス2など、日米の安全保障協力は累次にわたって強化されてきました。
 今回の会談では、この日米同盟が揺るぎないものであり、自由で開かれたインド太平洋、そして包摂的な経済的繁栄を推進する同盟を一層強化することに両首脳が完全に一致しました。我が国は自らの防衛力の強化を決意し、米国は日米安保条約の下での日本の防衛への揺るぎない支持を改めて表明、さらに、困難を増す安全保障環境に即した抑止力と対処力の強化、サイバー、宇宙を含む全ての領域を横断する防衛協力の深化、拡大抑止の強化にもコミットをいたしました。
 こうした日米同盟強化の大きな進展は、我が国及び地域を取り巻く厳しい安全保障環境を具体的にどのように改善させることにつながるのか、総理の認識を伺います。
 今回示された強固な日米同盟へのコミットメントは、専守防衛、非核三原則といった我が国が戦後一貫して歩んできた平和国家としての基本方針にも完全に合致した内容であると考えます。今後、日米同盟を重視するバイデン政権との間で安全保障協力を強化していく際、我が国の平和憲法の趣旨や五年前に成立した平和安全法制等の詳細について正確で率直な説明を継続し、計画の策定や現場での運用において日米の認識にそごが生じないように努めることは極めて重要と考えますが、併せて総理の認識を伺います。
 今般の共同声明では、台湾海峡に関する記述が五十二年ぶりに明記されました。また、東シナ海や南シナ海における中国の力による現状変更の試みや他者に対する威圧への反対、香港及び新疆ウイグル自治区における人権状況への深刻な懸念が示されたことは評価いたします。
 一方で、台湾海峡については両岸問題の平和的解決が強調され、また、中国との率直な対話の重要性や、共通の利益を有する分野での中国と協働する必要性について、日米で認識を一致させたことには重大な意義があると考えます。
 今般の共同声明でこのような表現を盛り込んだ意図について、総理の御所見を伺います。
 また、我が国にとり最大の貿易相手国であり、最も重要な二国間関係の一つである日中関係は、地域のみならず、国際社会全体の平和と安定にとって極めて重要です。
 今回の日米首脳会談を踏まえ、今後、政府として中国との関係をどう進めていくのか、総理の御所見を伺います。
 今回の首脳会談では、二十一世紀にふさわしい新たな協力分野として、生物学的大惨事への備えを挙げ、健康安全保障、ヘルスセキュリティーの推進、将来の公衆衛生危機への対応及びグローバルヘルスの構築を推進することとし、とりわけ新型コロナ感染症への対処に両国が協力を強化することとなりました。
 その中にはCOVAXファシリティーへの支援も含まれますが、これまで途上国向け枠組みに対して、米国はバイデン政権発足後、既に二十五億ドルを拠出しているのに対し、我が国はいまだ二億ドルと見劣りしています。六月には我が国がGaviと共催するCOVAXワクチンサミットが予定されておりますが、不足している十七億ドルの資金ギャップを埋めるためにも、我が国の主導的な役割が求められます。総理の御所見を伺います。
 バイデン政権が最重要課題と位置付ける気候変動についても踏み込んだ議論が行われました。共同声明では、日米気候パートナーシップの立ち上げで合意し、二〇五〇年カーボンニュートラル目標と整合的な形での二〇三〇年までの行動にコミットしました。今後、我が国は米国とともに、明日予定される気候変動サミットや本年十一月のCOP26等において積極的に議論を主導していくべきでございます。
 明日の気候変動サミットでは、訪米前に公明党として総理に直接申し入れたとおり、我が国の二〇三〇年温室効果ガス削減目標の大幅な引上げを明言するなど、野心的な気候変動対策を主張すべきと考えますが、総理の御決意を伺います。
 米国のジョン・ケリー気候問題特使が先日訪中し、気候変動問題については米中が協力して取り組むことで合意いたしました。中国は世界のCO2排出量の約三割を占め、最大の排出国であることから、中国のこの問題での貢献は不可欠です。
 中国は二〇六〇年に排出ゼロとする目標等を掲げていますが、その前倒し実施などについて、我が国としても積極的に働きかけを強化すべきと考えますが、総理の見解を伺います。
 今般の日米首脳共同声明には、両国が半導体を含む機微なサプライチェーンについても連携することが盛り込まれました。産業の米とも呼ばれる半導体は、現在、新型コロナ感染症の拡大によるデジタル化の国際的な進展、DXの必要性の高まりなどを背景に深刻な供給不足の状況にあり、我が国の自動車メーカーが一部工場の稼働停止を決定するなど、甚大な影響が出ております。
 かつて世界のトップシェアを誇った我が国の半導体産業は一九九〇年代以降、地位を低下させ、また、近年は米中技術覇権の対立など経済安全保障の環境の変化を始め劇的な構造変化に直面しています。今後、デジタル化の進展で市場拡大が見込まれるロジック半導体やメモリー半導体は米国、韓国、台湾勢が席巻しており、我が国企業は残念ながら存在感を示せておりません。
 今こそ半導体産業の国家的な戦略の構築が不可欠であると考えますが、今回の日米首脳会談を受けて我が国としてどのように取り組むのか、総理の御所見を伺います。
 最後に、我が国は、激動の世界情勢の中で、これまで一貫して強固な日米関係を構築し、日米同盟を基軸としつつ世界の平和と繁栄に寄与してきました。今回の首脳会談は、バイデン政権が発足直後の新たな一歩を日米で共に歩むことを確認した歴史的な一幕であったと考えます。国際協調主義とルールに基づく国際秩序を重視するバイデン政権の誕生を受け、これまで対立と分断が進む傾向にあった国際社会に対話と協調の流れが生まれ、加速することを期待してやみません。
 国際社会の平和と安定の構築に向けた外交を推進する総理の御決意を伺い、私の質問とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕

#14
○内閣総理大臣(菅義偉君) 石川博崇議員にお答えをいたします。
 今後の日米関係などについてお尋ねがありました。
 今回の会談を通じて、インド太平洋地域への米国のコミットメント、そして日米同盟の結束を国際社会に力強く示すことができたと考えています。また、日米両国は互いに不可欠なパートナーであることを確認し、グローバルな課題への対応における多国間の取組を主張していく決意を打ち出しました。
 こうした首脳会談の結果を踏まえ、バイデン大統領とともに、自由で開かれたインド太平洋の具体化を主導するとともに、日米同盟を更に強化していきたいと考えます。
 日米同盟の強化が安全保障環境に与える影響についてお尋ねがありました。
 首脳会談においては、日米同盟はインド太平洋地域のみならず、世界の平和と安全の礎であり、その重要性がかつてなく高まっていることを確認しています。そのような中、日米両国が日米同盟を強化し、共通の安全保障上の課題に共に取り組むことが自由で開かれたインド太平洋の推進や地域の平和と安全、ひいては国際秩序の維持に寄与するものと考えております。
 日米同盟と日本の憲法や法制、平和国家としての基本方針との関係についてお尋ねがありました。
 我が国は、非核三原則を国是として堅持しつつ、専守防衛に徹する考えであり、平和国家としての歩みを変えることなく、日米同盟の強化のための我が国の取組もこうした考えに基づいていることは当然のことであります。また、同盟国である米国との間では、安全保障に関する問題について様々なレベルで常に緊密な意思疎通を図っており、御指摘の我が国の憲法の趣旨やその下で制定をされた平和安全法制についても日米間の認識は一致をいたしております。
 厳しい安全保障環境の中で、日米同盟の抑止力、対処力は一層重要となっており、政府としては、引き続き米国と緊密に連携し、これを一層強化をしてまいります。
 中国との関係などについてお尋ねがありました。
 中国との安定した関係は、日中両国のみならず、地域及び国際社会の平和と繁栄のためにも重要です。
 今回の会談では、インド太平洋地域と世界全体の平和と繁栄に対して中国が及ぼす影響について意見交換を行い、東シナ海や南シナ海における力による現状変更の試みに反対することなどで一致しました。その上で、こうした問題に対処する観点から、中国との率直な対話の必要性を確認するとともに、普遍的価値を擁護しつつ、国際関係における安定を追求していくことで一致したものであります。
 中国に対しては、引き続きハイレベルでの機会を活用して、主張すべきはしっかりと主張し、中国側の具体的な行動を強く求めていく考えであります。
 COVAXワクチンサミットについてお尋ねがありました。
 私が共催するこのサミットでは、国際社会の連帯の確認とともに、COVAXファシリティーが必要とする資金目標を達成し、途上国に安全性、有効性、品質が保証されたワクチンを公平に、より多く届けることを重視しております。我が国としては、できる限りの貢献をしていくとともに、各国に資金ギャップを埋めるための貢献を呼びかけ、国際社会と連携してサミットの成功に向けてしっかりと準備をしていきます。
 気候変動対策についてお尋ねがありました。
 御指摘の二〇三〇年削減目標については、明日二十二日に予定をされる気候サミットを一つの節目として判断したいと考えており、その方向で現在検討を行っています。二〇五〇年カーボンニュートラルと整合的で、世界の物づくりを支える国として次なる成長戦略にふさわしい野心的な目標とすることで、我が国が世界の脱炭素化のリーダーシップを取っていきます。
 気候変動問題への対中政策についてお尋ねがありました。
 気候変動問題への対応については、世界最大の温室効果ガス排出国である中国による取組は不可欠です。我が国としては、脱炭素社会の実現に向けた更なる取組を進め、含め、中国が大国としての責任を果たしていくよう働きかけてまいります。
 半導体産業に関する戦略構築についてお尋ねがありました。
 デジタル化が進む中で、サプライチェーン強靱化の観点から、半導体の安定供給というのは日米両国にとって共通の課題となっています。先日の首脳会談では、日米競争力・強靱性パートナーシップの立ち上げを合意しました。
 これを受けて、信頼性の高い半導体のサプライチェーン構築のために、日米で重要技術の育成、保護に関し協力を進めてまいります。また、国内外の力を結集した半導体戦略を策定し、実行に移してまいります。
 日米で国際社会の対話と協調の流れを進める決意についてお尋ねがありました。
 日米は、地域を超えるグローバルな課題についても重要な責任を有しており、ポストコロナのルール作りを共に主導していく立場にあります。首脳会談の成果として発出した日米首脳声明、共同声明においても、日米両国は互いに不可欠なパートナーであることを確認をし、グローバルな課題への対応における多国間の取組を主導する決意を打ち出しました。
 今後とも、新型コロナ、気候変動問題を始めとするグローバルな課題での日米の連携協力を進めてまいります。(拍手)
    ─────────────

#15
○議長(山東昭子君) 浅田均さん。
   〔浅田均君登壇、拍手〕

#16
○浅田均君 日本維新の会、浅田均でございます。
 私は、会派を代表して、ただいま議題となりました米国訪問に関する報告について、菅総理に質問します。
 我が党は、外交・安全保障で日米同盟を基軸としつつ、我が国の防衛力と政策を強化し、主権と領土を自力で守る国家の自立という理念を掲げております。
 総理の米国訪問に関する報告についてお尋ねする前に、総理が国家の独立、主権、自由に関しどのような考えをお持ちなのか、お尋ねします。
 独立と平和を守ることが国の目的です。国家は独立したものであり、だからこそ主権を有し、その自国の主権を維持し、他国に依存せず、他国と対等であり、世界に対しては自由な立場です。自衛隊法には、自衛隊は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、我が国を防衛することを主任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとすると明確に書かれてあります。
 ところが、現行憲法には独立という言葉がありません。主権という言葉は前文に二回使用されておりますが、いずれも国の独立とは関係のない文脈で使われています。自由という言葉も第十二条以下に多数見られますが、全て個人の自由であり、国家の独立を意味する国家の自由ではありません。
 第九条に問題があることは事実ですが、その前提となる国家の独立、主権、自由が書かれていないことが現行憲法の問題点であると考えますが、総理はどうお考えですか。
 日本の独立と平和を目指すためには、一極秩序、二極秩序、多極秩序、あるいは無極混沌のいずれが望ましいと考えるのか。
 一般的に言うと、一極を中心にまとまった秩序が平和のためには望ましい。しかし、一極はその極の独占を許し、それが各極の独立を脅かすことになりかねません。無極となれば、各国は完全に独立することになりますが、世界秩序は混沌となり、各国は戦い続けざるを得ず、世界の平和も各国の平和もなくなります。
 日本が米国一極を望んでも、米中二極となる可能性は否定できません。そうなるとき、我が国は日米同盟を維持しつつ、中国とどのような関係を構築すべきと考えるのか、総理のお考えをお聞かせください。
 日米で自由で開かれたインド太平洋の具体化を主導するとあります。日本が主導した理念が日米で共有されることは高く評価したいと思いますが、その自由で開かれたインド太平洋の具体化とは何を意味するのか、ASEAN、豪州、インドを始めとする他の国々・地域とも具体的に何をどうするのか、御説明ください。
 習近平主席は、二〇一二年に中国共産党中央委員会総書記に選出されたときから、中華民族の偉大な復興の実現が中華民族の夢であると繰り返し述べております。二〇一九年の演説では、一国二制度は国家統一にとって最良の方法であると述べる一方、武力行使の放棄を承諾しない、全ての措置を選択肢として保留するとも述べています。
 日米首脳共同声明でも、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促すと書かれましたが、香港で起きていることを知る台湾がこれに同意するわけがありません。そうすると、中国は台湾を武力併合するしかありません。この点に関する総理の見解を伺います。
 中国が狙う沖縄県の尖閣諸島は、台湾と一蓮託生の関係にあります。中国にとって台湾と尖閣は太平洋に進出するために必ず確保すべき戦略的要衝であり、尖閣侵略と台湾侵攻は一連のものと見られております。中国が海警局に武器使用を認める国際法違反の海警法を制定したのはその布石であることは間違いありません。
 しかし、それと同時に、尖閣は一九六〇年日米安保条約の下で射爆場として使われていたという事実も忘れてはなりません。尖閣はアメリカにとっても間違いなく日本の領土なのです。
 バイデン大統領から日米安保条約第五条の尖閣諸島への適用を含む米国による日本の防衛へのコミットメントが改めて示されたということは、尖閣が日本の領土であるとアメリカが認めているという理解で間違いないのか、総理の認識をお示しください。
 中国が台湾を取りに行ったらどうなるのか。アメリカは台湾防衛に動くでしょう。それは、台湾海峡で中国軍を阻止することを意味します。つまり、台湾がまだ中国に取られていないときにアメリカが助けに行くということです。
 ところが、アメリカが行く前に中国が台湾を取っていたら、アメリカは数万人の兵隊の流血を覚悟してまで取り返しに行くでしょうか。多分行かないでしょう。
 中国もアメリカとは戦争をしたくない。核戦争になるでしょうから。したがって、中国の狙いは、短時間で台湾を降伏させて、自分たちの支配下に置いてしまうことだと思われます。ミサイルの飽和攻撃で台湾の戦意をなくし、降伏させる。中国にとって、そのときの台湾政府が中国寄りであることは重要なことなのです。
 その場合、日本と中国の軍事衝突の可能性があります。だから、日本の外交目標は何かというと、中国をその気にさせないことです。そのためには対話が必要です。ただし、それだけでは十分ではない。軍事的な対応も必要です。それが抑止力です。そこで、日中対話と抑止力に関し、以下七点質問いたします。
 一、日米首脳共同声明で、中国との率直な対話の必要性を確認したとありますが、日米両国はそれぞれ中国との率直な対話をどのように始めるのですか。
 二、抑止力を高めるため、海上保安庁法の二条に海上における主権侵害行為の鎮圧を加える考えはありませんか。
 三、有害通航に対する危害射撃の可能性を法律、海上保安庁法、領海法に明記すべきではありませんか。
 四、今述べた二、三等により、海上保安庁を更に強化すべきではありませんか。
 五、日中漁業協定の暫定措置水域等の設定が有効なら、尖閣諸島の周辺十二海里も日中漁業協定の適用対象とすべきではありませんか。
 六、中国は、自国の領海法が国連海洋法条約に拘束されない旨を付記しています。我が国も同様の領海法の改正が必要ではありませんか。
 七、日米首脳共同声明で、日本の防衛力の強化への決意を述べとありますが、同盟及び地域の安全保障を強化するための防衛力とは何を指しますか。
 次に、日米競争力・強靱性パートナーシップについて質問します。
 競争力・イノベーション分野だけを見ても、安全でオープンな5Gネットワークから始まって先端的なICT研究、実証、普及に対する投資、日米両国のパートナーのサイバーセキュリティー能力の構築、半導体を含むサプライチェーン、デジタル経済の推進、国際標準策定、ゲノム解析、量子科学技術等まで多岐にわたります。これらの分野のパートナーシップをどのような段取り、枠組みで推進していくのか、お答えください。
 次に、日米気候パートナーシップについてお尋ねします。
 パリ協定の国際的な実施に向けて、日米気候パートナーシップはどのように協働していくのか。また、二〇五〇年のカーボンニュートラル実現に向け、二〇三〇年までに確固たる行動を取ることにコミットするならば、二〇三〇年目標NDC、国が決める目標達成のために直ちにコミットする必要がありますが、二〇三〇年目標NDCをどうするのか、お答えください。
 最後に、東京オリンピック・パラリンピックについて、世界の団結の象徴として開催を実現する決意を述べられたのに対し、バイデン大統領が支持表明したということは、アメリカの参加は確実という理解でよいのか総理にお尋ねして、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕

#17
○内閣総理大臣(菅義偉君) 浅田均議員にお答えをいたします。
 国家の独立、主権、自由に関する考え方についてお尋ねがありました。
 我が国の主権、独立を維持し、領域を保全し、国民の生命、身体、財産の安全を確保すること、そして、豊かな文化と伝統を継承しつつ、自由と民主主義を基調とする我が国の平和と安全を維持し、その存立を全うすること、それが我が国の国益と考えます。
 日本国憲法についてお尋ねがありました。
 憲法は国の礎であり、そのあるべき姿を最終的に決めるのは主権者である国民の皆さんです。まずは憲法審査会において、与野党の枠を超えて様々な論点について建設的な議論を重ねていただきたいと考えます。
 我が国にとって望ましい国際秩序と日本外交についてお尋ねがありました。
 我が国にとって重要なことは、安定し、見通しが付きやすい国際環境を創出することです。引き続き国際社会の平和と安定の実現に一層積極的な役割を果たし、我が国にとって望ましい国際秩序や安全保障環境を実現していく必要があります。
 とりわけ、日米同盟は日本の外交・安全保障の基軸です。今回の首脳会談でも一致したとおり、日米同盟はインド太平洋地域の平和と繁栄の礎です。
 同時に、中国は世界第二位の経済大国であり、日本にとっても重要な隣国です。日米同盟を基軸としつつ、中国と安定的な関係を築いていく考えです。日中両国には様々な懸案が存在しますが、ハイレベルの機会も活用しつつ、主張すべきは主張し、具体的な行動を強く求めていきます。その上で、共通の諸課題の解決に向けて連携してまいります。
 自由で開かれたインド太平洋の具体化についてお尋ねがありました。
 我が国としては、インド太平洋地域において、法の支配に基づく自由で開かれた秩序の実現により、地域、世界の平和と繁栄を確保することが重要と考えています。このような自由で開かれたインド太平洋の実現のために、連結性、質の高いインフラ、ガバナンス強化、海洋安全保障といった様々な分野で具体的協力を進めてきています。
 さらに、先月の日米豪印首脳テレビ会議では、これらの分野に加え、新たに、ワクチン、重要・新興技術、気候変動に関する作業部会の立ち上げで一致しました。ASEANとの間でも、インド太平洋に関するASEANアウトルックに沿って、海洋協力、連結性といった重点分野に沿って協力を具体化することで一致しています。
 引き続き、米国、豪州、インド、ASEAN、欧州といった基本的価値を共有する国々と連携し、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取組を戦略的に推進をしていきます。
 台湾をめぐる問題などについてお尋ねがありました。
 我が国としては、従来から、台湾をめぐる問題が当事者間の直接の対話によって平和的に解決されることを期待するとの方針は一貫しています。今回の会談においても、台湾海峡の平和と安定の重要性と両岸問題の平和的解決を日米首脳間で確認したことにより、我が国の従来からの立場を日米共通の立場として、より明確にすることができました。我が国として、引き続き両岸関係の推移を注視してまいります。
 尖閣諸島をめぐる状況についてお尋ねがありました。
 会談において、私とバイデン大統領は、日米安保条約第五条が尖閣諸島に適用されること、また、同諸島に対する日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対することを確認をいたしました。これは、同盟の抑止力を引き続き維持強化するとのバイデン大統領の意思を改めて明確にするものであり、非常に意義があると考えます。
 尖閣諸島に関するこれ以上のやり取りの詳細は、先方との関係もあり差し控えますが、いずれにせよ同諸島をめぐり解決すべき領有権の問題は存在せず、また、米国政府はこの我が国の立場を十分理解し、尖閣諸島をめぐる情勢について、我が国の側に立って緊密に連携していくことの立場であると理解をしております。
 今回の共同声明に関する中国との関係及び海上保安庁の強化についてお尋ねがありました。
 今回の首脳会談では、ルールに基づく国際秩序に合致しない中国の行動について懸念を共有した上で、中国と率直な対話を行うことが必要であること、また、普遍的価値を擁護しつつ、国際関係における安定を追求していくことで一致をいたしました。今後とも、米国と強固な信頼関係の下で様々な協力を進め、適切な機会を捉えて中国が大国としての責任を果たしていくよう働きかけていきます。
 同時に、政府として、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの決意の下、冷静に毅然と対応していきます。海上保安庁の体制強化を図るとともに必要に、同庁と警察機関、自衛隊とも連携しつつ、現行の法制の下で適切に対応してまいります。
 日中漁業協定及び領海法についてお尋ねがありました。
 日中漁業協定は、それぞれの排他的経済水域における漁業秩序を確立するために締結されたものであり、領海は適用対象外となっています。
 そもそも、尖閣諸島は歴史的にも国際法上も疑いのない我が国固有の領土であり、現に我が国はこれを有効に支配しています。尖閣諸島の周辺の十二海里は当然に我が国の領海であり、日中漁業協定の対象とすべき水域とは考えておりません。
 また、我が国が批准した国際条約と整合しない国内法を整備することは適当ではなく、御指摘のような領海法改正が必要であるとは考えておりません。
 日本の防衛力の強化についてお尋ねがありました。
 共同声明に言う同盟及び地域の安全保障を強化するための防衛力とは、現防衛大綱に基づいて、宇宙、サイバー、電磁波を含む全ての領域における能力を有機的に融合した多次元統合防衛力を指しております。
 政府としては、この多次元統合防衛力の構築を引き続き推進をすることで自らを守る体制を抜本的に強化をし、日米同盟の抑止力、対処力を一層強化していく考えであります。
 米国との競争力・イノベーション分野における協力についてお尋ねがありました。
 今回の首脳会談で打ち上げに、立ち上げに一致した日米競争力・強靱性パートナーシップの下で、今後、日米両政府は、競争力・イノベーション、コロナ対策・グローバルヘルス、グリーン成長・気候変動の三本の柱の下で、包括的な協力を推進していくことになります。
 今後、このパートナーシップに基づき、日米共通の優先分野でもあるデジタルや科学技術における競争力とイノベーションの推進などを通じて、両国間で連携協力を深めていく考えであります。
 日米気候パートナーシップ及び二〇三〇年目標についてお尋ねがありました。
 先週の日米首脳会談では、気候変動に関する日米間の協力枠組みとして日米気候パートナーシップの立ち上げを発表しました。このパートナーシップの下、パリ協定の実施、クリーンエネルギー技術、途上国の脱炭素移行といった分野での協力を通じ、日米両国が国際社会の取組を積極的にリードしてまいります。
 御指摘の二〇三〇年削減目標については、明日二十二日に予定される気候サミットを一つの節目として判断したいと考えており、その方向で検討いたしています。
 二〇五〇年カーボンニュートラルと整合的で、世界の物づくりを支える国として次なる成長戦略にふさわしい野心的な目標とすることで、我が国が世界の脱炭素化のリーダーシップを取っていきます。
 米国の東京大会への参加についてお尋ねがありました。
 会談では、私からバイデン大統領に対し、今年の夏、世界の団結の象徴として東京オリパラ競技大会の開催を実現する決意を述べ、大統領からはこの決意に対する支持を改めて表明いただきました。
 米国選手団の派遣については、米国のオリパラ委員会によって判断されるものと承知をしております。
 いずれにしろ、政府としては、米国含む多くの国・地域に東京大会に参加いただけるよう、感染対策を含め、環境整備に引き続き努めてまいります。(拍手)
    ─────────────

#18
○議長(山東昭子君) 榛葉賀津也さん。
   〔榛葉賀津也君登壇、拍手〕

#19
○榛葉賀津也君 私は、国民民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました帰朝報告に対し、菅総理大臣に質問します。
 今回のバイデン大統領との日米首脳会談は、日本を取り巻く安全保障環境において歴史的な会談となりました。
 しかしながら、菅総理がバイデン外交の一番乗りとなったことは評価に値しますが、これを対日重視の表れと手放しで喜ぶのは誤りです。バイデン大統領が日米会談を最優先したのは、ひとえに米中対立の構図の中で地政学的要因も含め鍵となるのが日本であり、日本が覚悟を持って同盟の羅針盤を共有できるかを迫るためです。中でも、安全保障上のリスクは深刻で、台湾海峡や尖閣諸島を含む我が国周辺の軍事的緊張はかつてないほど高まっています。共同声明に台湾を五十二年ぶりに明記したのも、我が国を曖昧戦略から決別させるためにほかなりません。
 首脳会談と時を同じくして、岸防衛大臣は、陸上自衛隊の与那国駐屯地を視察しました。日本最西端の与那国島は台湾から百十キロ、尖閣から百五十キロに位置し、沿岸監視隊百六十名が任務に当たっています。防衛大臣は、国際社会の安定には台湾の安定が重要であると訓示をし、南西地域の防衛強化を約束しました。中国に言うべきことははっきり言っていくと総理が明言した日米首脳会談に合わせた防衛大臣のこの行動こそが、菅内閣の覚悟の表れだと認識します。
 しかし、同時に、それはかつての西欧の同盟国が米ソ冷戦の最前線に立たされたように、今度は日本が米中対立の第一線に立たされることを意味すると思いますが、総理の御認識をお伺いします。
 米国のデービッドソン・インド太平洋軍司令官は、今年三月九日の議会証言で、インド太平洋の軍事バランスは極めて厳しい状況にあり、中国が一方的に現状変更を試みるリスクが高まっている、台湾への脅威は今後六年以内に明白になると危機感を示しました。米国防省の調べでは、四年後の二〇二五年には中国軍の戦闘機は米軍の八倍、空母は三倍、潜水艦は六倍、戦闘艦艇は九倍に増えるとされているのです。
 さらに、近年、我が国固有の領土である尖閣諸島において、中国海警船などが独自の立場を主張し、領海に頻繁に侵入、日本漁船を追尾するなど、主権の侵害を繰り返しています。本年二月一日には中国海警法を施行させ、海警局は準軍隊組織へと変容し、中央軍事委員会の指揮の下、武器の使用を含む防衛作戦を遂行することが可能となりました。専門家からは、中国が尖閣諸島を簒奪する計画の実行段階に入ったと警鐘が鳴らされています。総理の御認識をお伺いします。
 中国は、日本の事情や法解釈に沿った行動は取りません。日本にとっては主権の侵害であっても、中国にとっては、たとえそれが国際法に反する暴挙であっても、主権の回復なのです。目的実現のためには全ての手段を取る相手にどう対処するのか、現実的な具体策を検討すべきです。
 厳しい現状下でも、海上保安庁は高い士気を保ち、日々最善を尽くしてくださっていることに心から敬意を表します。しかし、中国の可能行動に対し、現在の海保に与えられた権限で日本の主権を本当に守り切れるでしょうか。例えば、現行法による海保の中国船への対応は、警察権に基づくものに限られています。中国の海警船は七十六ミリ機関砲を搭載し、一万トン級の船舶も確認されています。もはや軍艦です。また、現行では、相手の水中侵攻上陸や空からの降下着陸には対応できません。日本の手のうちを研究している中国が、集団漁船や海上民兵などを使ってグレーゾーンをついてくる可能性が大です。海上保安庁に求められている任務と実態の乖離を認識し、海保、国境離島警備隊、そして自衛隊との連携のシームレス化が極めて重要です。総理、海保の任務実態への認識と、シームレス化への具体的な対応策をお示しください。
 今年の夏までに、米国は、世界的な米軍の配備態勢を見直すグローバル・ポスチャー・レビューを発表します。二〇〇六年にライス国務長官、ラムズフェルド国防長官、麻生外務大臣、額賀防衛庁長官の2プラス2で承認された在日米軍のための日米ロードマップから十五年、また、在日米軍再編のうち、沖縄県内における土地の返還の行程を示す統合計画から八年が経過しました。
 当時は、世界の関心が中東やアフガニスタンに集中していましたが、今や国際状況は一変しています。沖縄の基地負担軽減のためには統合計画の実施は必須です。他方、激変するパワーバランスや中国の拡張主義を見れば、必然的にロードマップの中身や行程が変わってくるはずです。
 GPRの作成と並行して、日米がより連携を密に、新たな日米ロードマップを検討する段階に入っていると思いますが、総理の御認識をお伺いします。
 米中の新冷戦と叫ばれていますが、かつての米ソと決定的に異なるのが経済です。米ソの冷戦時代と異なり、米中、日中共に経済的な相互依存は広範囲で深層的です。そのことをまざまざと認識させられたのが今回の新型コロナのパンデミックでした。
 マスクやガーゼ、医療品や医療用防護服ばかりか、日用雑貨から自動車部品に至るまで、日本のサプライチェーンの過度な中国依存が露呈しました。以来、多くの業界で、生産拠点の国内回帰などでサプライチェーンを短くしたり、拠点をASEAN諸国に分散するなど多元化を進めてきましたが、中国の産業集積は非常に深く厚く、中国に代替する国を見付けるのは容易ではありませんし、市場としての中国の重要性は全く変わらないなど、厳しい現実に直面しています。
 また、深刻なのは、レアアースなどのレアメタルの分野です。レアアースは脱炭素に関連する素材としても需要が急激に高まっています。日本は、かつて九割あったレアアースの対中国依存率をこの十年間で何とか六割まで下げましたが、米国に至ってはいまだ八割の依存です。レアアースの脱中国依存に日米豪印のいわゆるQUADで協力を強化することが各国の首脳会談で確認されていますが、今後の具体的な見通しについて総理にお伺いします。
 あわせて、半導体やAI、量子コンピューターや5G、6Gなどの技術開発や基準の管理もQUADなどの民主主義国家が戦略的に主導していくとの声明がありましたが、その具体策をお示ししてください。
 今回の声明には、中国との信頼醸成のためのメッセージも数多く含まれています。例えば、台湾の平和と安定に言及する一方で、両岸問題の平和的解決を促すとされています。総理、両岸問題の平和的解決とは何を意味し、具体的に何をされるのですか。また、共通の利益を有する分野で中国と協働することが必要とありますが、どの分野で、どのような協働をされるのか、具体的にお答えください。
 人類は、これまでに幾度も戦争を繰り返してきました。尊いあまたの命を犠牲にしながらも、その教訓を生かせずに戦争を繰り返してきたのです。今は亡き私の両親も戦争遺児でした。二度と戦争はしない国にしてほしい。戦争未亡人であった祖母の遺言です。この今を戦前と呼ばせないためにも、非現実的な理想論に拘泥せず、また勇ましいだけの過度な武装論にも流されず、我が国の領土、領海、領空と国民の生命と財産を守るために、政治が冷静に現実を分析し、リアリズムを追求することが大事です。台湾、尖閣、コロナ、人権、地球温暖化、そして科学技術などの様々な分野で日米同盟のきずなをより強固にし、さらに、日本こそが国際法を遵守していることを世界に広く知らしめ、日本国民からの信頼と納得を得ることが平和の礎となるのです。
 我々野党にもその責任があることを強く申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕

#20
○内閣総理大臣(菅義偉君) 榛葉賀津也議員にお答えをいたします。
 我が国の対中姿勢についてお尋ねがありました。
 防衛大臣の与那国駐屯地視察は、かねてより行っていた日程調整が整ったため、実施したものと承知しております。
 また、我が国としては、従来から、台湾をめぐる問題が当事者間の直接の対話によって平和的に解決されることを期待するとの方針は一貫しています。
 その上で、米中の間の通商問題や先端技術をめぐる競争、国際社会の様々な懸念事項における意見の対立は、両国のみならず、地域ひいては国際社会全体にも影響を及ぼしています。このような観点から、我が国としては、両国間の建設的な対話を期待しており、同盟国たる米国と強固な信頼関係の下で様々な協力を進めつつ、中国に対しても引き続き大国としての責任を果たしていくよう働きかけてまいります。
 尖閣諸島をめぐる状況についてお尋ねがありました。
 尖閣諸島は、歴史的にも国際法上も疑いのない我が国固有の領土であり、現に我が国がこれを有効に支配しています。尖閣諸島をめぐる解決すべき領有権の問題はそもそも存在をしておりません。そうした中で、力による一方的な現状変更の試みは断じて認められません。政府としては、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くという決意の下、今後とも冷静に毅然と対処してまいります。
 海上保安庁の任務実態への認識とシームレスな連携についてお尋ねがありました。
 中国側の尖閣諸島周辺の活動に対しては、海上保安庁を中心に、現行の法制の下、毅然と対応しているところです。武力攻撃に至らない侵害に切れ目なく適切に対応するためには、警察機関と自衛隊との連携が極めて重要であり、海上警備行動等の発令手続の迅速化を図ったほか、関係機関の対応能力の向上、情報共有、連携の強化、各種訓練の充実など、必要な取組を推進しているところです。
 今後とも、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの方針の下、冷静かつ毅然と対応してまいります。
 日米ロードマップについてお尋ねがありました。
 現在、米国で検討中の戦力態勢の見直しについては、先般の2プラス2において日米が緊密に連携していることの重要性を確認しております。その上で、二〇〇六年の日米ロードマップ以降に行われてきている在日米軍の再編については、2プラス2において現行の取組を実施していくこととしており、引き続き地元の負担軽減を図りつつ、着実に実施してまいります。
 重要技術などに対する国際連携についてお尋ねがありました。
 先月の日米豪印首脳テレビ会議では、重要技術のサプライチェーンに関する対話などを行う作業部会の立ち上げで一致をしております。さらに、今回の日米首脳会談で立ち上げた日米競争力・強靱性パートナーシップを通じて、同志国の間で対話や具体的な協力を積み重ねることにより、経済安全保障の観点も踏まえたサプライチェーンの強靱化や、重要技術の育成、保護を通じた競争力の強化に向けた取組を進めていきます。
 今回の首脳声明の台湾海峡や中国に関する言及についてお尋ねがありました。
 我が国が期待するのは台湾をめぐる問題が当事者間の直接の対話により平和的に解決をされることです。このような立場を踏まえつつ、引き続き両岸関係の推移を注視してまいります。
 中国との協働については、例えば、気候変動問題への対応について、中国による取組は不可欠であると考えています。我が国としては、米国とも緊密に協力しつつ、世界の脱炭素社会実現に向けた更なる取組について、中国が大国としての責任を果たしていくよう働きかけを行ってまいります。(拍手)
    ─────────────

#21
○議長(山東昭子君) 井上哲士さん。
   〔井上哲士君登壇、拍手〕

#22
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 会派を代表して、訪米報告について総理に質問します。
 まず、新型コロナ対策の問題です。
 感染力が強く重症化率も高い変異ウイルスの感染が急速に広がり、専門家からも感染は第四波に入ったのは間違いないとの認識が示されています。ところが、総理は、日米首脳会談に出発する直前のこの本会議で、全国的な大きなうねりになっているとは言えないと答弁したことに驚きました。感染拡大の深刻な現実を直視しない姿勢では、まともな対策が出てくるはずがありません。第四波に入っていることを認めるべきではありませんか。
 その上で、私たちが繰り返し求めてきたコロナ封じ込めのための大規模検査、中小企業が事業を続けられる十分な補償、医療機関への減収補填とあらゆる手段を尽くしての病床確保、今夏の東京オリンピック・パラリンピックの中止、この四つを決断すべきです。お答えください。
 新規感染者が連日千人を超え、医療現場からは災害レベルの状況との声が上がっている大阪府の状況はとりわけ深刻です。大阪府は緊急事態宣言の要請を決めましたが、同じ事態を繰り返さないためにも、国や大阪府の対策のどこに問題があったのか、分析や検討が必要です。さらに、他府県に重症者受入れや医師、看護師、保健師などの支援を要請するなどの広域連携の措置を急いで進めるべきです。答弁を求めます。
 総理は、米国でファイザー社CEOと電話協議し、ワクチンの追加供給を要請して、九月までに全国民分調達できるめどが立ったと語りました。しかし、外務省のホームページでは、ファイザー社からは緊密に連携という発言しかありません。追加供給の確約はあったのですか。それは何万人分ですか。ファイザー社だけで十六歳以上の全国民一億一千万人分を供給できるということですか。合意内容を明らかにすべきです。答弁を求めます。
 一方、自民党政調会長は、全国民へのワクチン接種について、来年春ぐらいまで掛かるかもしれないと語りました。総理も同じ認識ですか。接種を担う自治体や医療関係者は、何よりも正確な情報、見通しを欲しています。政府はそれに応えるべきです。
 日米首脳会談の共同声明では、日米同盟を一層強化すると、日米軍事同盟を全面的に強化する方向が打ち出され、日本政府は自らの防衛力を強化することを誓約しました。
 日米両国の抑止力及び対処力や、拡大抑止、核の傘の強化、サイバー及び宇宙を含む全ての領域を横断する防衛協力の深化、沖縄の民意に背く辺野古新基地や馬毛島の軍事拠点化推進などが明記されました。
 これらの合意は、地球的規模での日米の軍事的共同を全面的に推進し、核兵器禁止条約など平和を求める世界の流れに逆行するとともに、日本国民に耐え難い犠牲と負担をもたらす危険極まりないものです。
 米国は、在日米軍駐留費負担の大幅増額を求めています。日本の軍事費は、この間、毎年、過去最高を更新してきましたが、元米国防総省幹部は、中国の抑止のためには、日本は軍事費をGDPの一%程度にとどめず、二%に増やすことが最低限必要だと発言しています。
 総理は会談後の共同会見で、今回の共同声明を日米同盟の羅針盤と語りましたが、際限のない軍事費拡大の道を突き進むことになるのではありませんか。
 共同声明に盛り込まれた抑止力の強化に関して聞きます。
 本年度予算には、米国が進める新型ミサイルの探知、追尾を目指して多数の小型人工衛星を打ち上げる衛星コンステレーション計画への参加のための概念検討予算が計上されました。これ自体が軍事費拡大につながる上、米国は、ミサイルの探知、追尾にとどまらず、移動する地上・海上目標に照準を合わすことも追求しています。これに参加すれば、言わば攻撃のための目を得ることになります。
 政府は、この間、護衛艦の空母への改修や、北朝鮮や中国にも届く射程の長いミサイルの取得を進めてきました。衛星コンステレーションにより攻撃の目を持てば、これらの装備と一体で敵基地攻撃能力の保有につながるのではありませんか。お答えください。
 日米共同声明は、東シナ海における中国の一方的な現状変更の試みに反対するとともに、南シナ海における中国の不法な海洋権益に関する主張及び活動への反対を表明しました。また、香港及び新疆ウイグル自治区における人権状況への深刻な懸念を表明しています。
 中国による東シナ海や南シナ海における覇権主義、香港やウイグルでの人権侵害は、もとより厳しく批判されなければなりません。その際に何より重要なことは、中国による国際法に違反する主張と行動を具体的に指摘し、国際法の遵守を冷静に求めていくことにあります。総理の認識を伺います。
 この点で、日米共同声明は中国の覇権主義を象徴している中国海警法に言及はなく、中国の不法性の指摘は南シナ海における不法な海洋権益の主張にとどまっています。日米間で海警法の国際法違反についてどのような議論が行われたのですか。
 中国が行っている重大な人権侵害は、世界人権宣言、国際人権規約、ウィーン宣言などの国際的な人権保障の取決めに反する国際問題です。ところが、声明は深刻な懸念を述べるだけにとどまっています。なぜ、国際問題だという批判が欠落をしているのですか。
 日米共同声明はさらに、日本が中国と国交回復後初めて日米首脳間の共同文書で台湾問題に言及しました。台湾問題の解決のためには、台湾住民の自由に表明された民意を尊重すべきです。
 中国が軍事的圧力、威嚇を強化していることにも、日米両国が台湾問題に軍事的関与する方向に進むことにも断固として反対です。米中双方に緊張を高める行動を慎むよう働きかけ、話合いによる平和的解決を促すことこそ日本がやるべきことではありませんか。
 共同声明には、ミャンマー国軍や警察による暴力の即時停止、被拘束者の解放及び民主主義への早期回復を強く求めるための行動を継続することにコミットすることが盛り込まれました。
 ミャンマーではジャーナリストの拘束が相次ぎ、日本人ジャーナリストが逮捕されました。政府は、その解放のためにどのように対応しているのですか。
 政府は、クーデター以降、事態の鎮静化や民主的体制の回復へどのような対応が効果的か検討していきたいと答弁を繰り返してきました。しかし、弾圧と虐殺が深刻化し、国軍がそれを正当化し、更に強めようとしているとき、もはや検討にとどまらず、国軍の利益につながることは一切行わないこと、ミャンマーの市民の立場に立つことをより明確に示すべきではありませんか。
 ミャンマーへのODAに国軍系企業が参入して大きな利益を上げてきました。クーデター後、新規のODAは行われていませんが、継続中の円借款は七千三百九十六億円となります。人道目的のものを除く事業を一旦停止した上で、国軍系企業の関与など調査し、事業の実施が国軍に利益をもたらさないように支払の凍結などの措置をとる必要があります。答弁を求めます。
 憲法九条を生かし、東アジアに平和的環境をもたらす自主自立の平和外交への転換こそ求められていることを強調して、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕

#23
○内閣総理大臣(菅義偉君) 井上哲士議員にお答えをいたします。
 新型コロナの感染状況の認識等についてお尋ねがありました。
 現在の感染状況は、大阪、兵庫で急速に感染拡大したほか、東京、神奈川、埼玉においても感染者数の増加が続くなど、強い危機感を持って対応すべき状況にあると認識しています。
 このため、飲食を通じた感染防止と事業規模に応じた飲食店への協力金の支給、検査の拡大、医療提供体制の強化など、総合的な対策を進めております。
 また、東京大会については、IOCバッハ会長とも昨年から東京五輪を必ず実現させることで一致しており、先月の協議においても引き続き東京大会の成功に向けて緊密に連携していくことを確認しております。引き続き、東京都、大会組織委員会、IOCと緊密に連携して準備をしっかりと進めてまいります。
 対策の分析、検討などについてお尋ねがありました。
 政府としては、対策の効果や問題点について常に検証していきながら今後の対策に生かしていくことが重要だと考えており、引き続き専門家の方で、方々に必要な検討を行っていただきたいと思っております。
 また、大阪府による医療提供体制については何よりも優先すべき課題と認識しており、国も大阪府と一体となって広域的な医療従事者の派遣調整や病床確保を進めるなど、医療提供体制の確保に努めております。
 ファイザー社CEOとの電話会談及びワクチンについて、供給についてお尋ねがありました。
 ファイザー社CEOとの会談では、本年九月までに我が国の対象者に対して確実にワクチンを供給できるよう追加供給を要請し、先方からは、協議を迅速に進めたいとの話がありました。これ以上の会談の詳細は相手方の関係もあり差し控えますが、九月までにワクチンの供給がなされるめどが立ったと考えております。
 また、高齢者への接種について、自治体とのやり取りにおいては、年内いっぱいまで掛かるといった情報は現時点において聞いておりません。
 供給スケジュールの見通しについては、様々な機会を通じて丁寧に情報提供していきます。引き続き、各自治体と緊密に連携をし、円滑な接種が進むよう、全力で取り組んでまいります。
 防衛関係費の増額についてお尋ねがありました。
 元外国政府関係者の発言についてコメントすることは差し控えますが、我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、主体的、自主的な努力によって我が国自身の防衛力を強化していくことが重要です。そのために必要な予算を着実に確保してまいります。
 衛星コンステレーションについてお尋ねがありました。
 本年度予算に計上した御指摘の調査研究は、あくまでも我が国の防衛に必要な新型ミサイル等の探知、追尾のための検討を目的としたものであり、また、現時点で米国の計画への協力を決定しているわけではないと承知をしております。
 今回の首脳声明での中国の人権状況、海警法の扱いについてお尋ねがありました。
 今回の会談では、インド太平洋地域と世界全体の平和と繁栄に対して中国が及ぼす影響について意見交換を行うとともに、ルールに基づく国際秩序に合致しない中国の行動について懸念を共有しました。
 また、御指摘の海警法も念頭に、東シナ海や南シナ海における力による一方的な現状変更の試みに反対することで一致するとともに、香港情勢や新疆ウイグル自治区などにおける人権状況についても深刻な懸念を共有しました。その上で、こうした問題に対処する観点から、中国との率直な対話の必要性を確認するとともに、普遍的価値を擁護しつつ、国際関係における安定を追求することで一致をしております。
 中国に対しては、引き続きハイレベルの機会を活用して、主張すべきはしっかりと主張し、中国側の具体的な行動を強く求めていく考えに変わりありません。
 台湾海峡をめぐる問題についてお尋ねがありました。
 我が国としては、従来から、台湾をめぐる問題が当事者間の直接の対話によって平和的に解決されることを期待するとの方針は一貫しています。
 今回の会談において、台湾海峡の平和と安定の重要性と両岸問題の平和的解決を日米首脳間で確認したことにより、我が国の従来からの立場を日米共通の立場として、より明確にすることができました。我が国としては、引き続き両岸関係の推移を注視してまいります。
 ミャンマー情勢に対する政府の対応についてお尋ねがありました。
 現在拘束中の邦人ジャーナリストについては、ミャンマー側に対し一刻も早い解放を強く求めており、引き続き邦人保護に万全を期してまいります。
 国際社会の度重なる呼びかけにもかかわらず、ミャンマー国軍、警察による実力行使により多数の死傷者が発生し続けている状況を強く非難します。我が国の立場は一貫しています。
 その上で申し上げれば、日本の経済協力はミャンマー国民の生活向上や経済発展への貢献、人道的なニーズへの対応を目的としており、ミャンマー国軍の利益を目的とするものではありません。
 対ミャンマー経済協力の今後の在り方については、事態の推移や関係国の対応を注視しつつ、何が効果的かという観点から、引き続き検討してまいります。(拍手)

#24
○議長(山東昭子君) これにて質疑は終了いたしました。
 これより午後一時まで休憩いたします。
   午後零時八分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開議

#25
○副議長(小川敏夫君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 地域的な包括的経済連携協定の締結について承認を求めるの件について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#26
○副議長(小川敏夫君) 御異議ないと認めます。茂木敏充外務大臣。
   〔国務大臣茂木敏充君登壇、拍手〕

#27
○国務大臣(茂木敏充君) ただいま議題となりました地域的な包括的経済連携協定の締結について承認を求めるの件につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 政府は、平成二十四年十一月、東南アジア諸国連合の構成国十か国、オーストラリア、中国、インド、韓国及びニュージーランドとの間で、この協定の交渉を開始することについて一致し、平成二十五年五月から交渉を行いました。その結果、令和二年十一月十五日に、インドを除く十五か国代表により、各国において、この協定の署名が行われました。
 この協定は、物品及びサービスの貿易の自由化及び円滑化を進め、投資の機会を拡大させるとともに、知的財産、電子商取引等の幅広い分野での新たなルールを構築すること等を内容とする経済上の連携のための法的枠組みを設けるものであります。
 この協定の締結により、世界の成長センターであるこの地域と我が国とのつながりがこれまで以上に強固になり、我が国及び地域の経済成長に寄与することが期待されます。また、世界で保護主義や内向き志向が強まる中、自由貿易体制の維持強化を更に推進していくとのメッセージを世界に向けて発信することにもなると考えます。
 以上が、この協定の締結について承認を求めるの件の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────

#28
○副議長(小川敏夫君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。小西洋之君。
   〔小西洋之君登壇、拍手〕

#29
○小西洋之君 立憲民主・社民の小西洋之です。
 私は、会派を代表して、ただいま議題となりました地域的な包括経済連携協定、RCEP協定の締結承認を求めるの件について、茂木大臣を始め関係大臣に質問をいたします。
 財務省が十九日に公表した二〇二〇年貿易統計によれば、世界規模のコロナ禍の中で、我が国は輸出が八・四%減、輸入が一一・六%減と、輸出入額共にリーマン・ショック後の最大下げ幅となったとされています。
 この間、各国がコロナ対策に全力を挙げる中で、我が国は、昨春には、三月二十四日まで掛かった東京五輪延期決定などのため、欧米からの入国の全面禁止が三月二十七日と遅れ、その結果、武漢系統のウイルスは撲滅したにもかかわらず、欧米系統のウイルス蔓延による緊急事態宣言を引き起こしました。
 また、昨年からは、絶対に阻止しなければならないはずの変異株を入国、蔓延させ、それを中心とする第四波、緊急事態宣言の発令の危機に直面しています。この間の政府の水際対策は、本協定加盟国に見られる実績に比しても明らかな失政、失敗であり、それによる累次の緊急事態宣言は人災というべき惨禍ではないでしょうか。
 我が国の新型コロナ感染症の累計患者数がRCEP加盟十五か国で何番目の数であるかを示しつつ、これら水際対策の責任について外務大臣の見解を求めます。
 本協定と先般の日米首脳会談の結果について質問します。
 日米首脳会談では、通商、先端技術などの分野での日米協力が議論され、首脳共同声明の文言からは、ルールに基づく国際秩序に反する中国の行動への対処が基底となっていることが認められます。共同声明には、日米両国は志を同じくするパートナーと連携しつつ、インド太平洋地域における繁栄を達成し、経済秩序を維持することに対するコミットメントを再確認することなどが明記されています。
 一方、RCEPは日本と中国の初めてのEPAであり、それにASEAN構成国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドの計十五か国、これらのGDP総計二十五・八兆ドル、全世界の二九%の規模を擁します。そして、この中で、中国は日本にとって輸出、輸入が共に全体の二割前後を占める最大の貿易相手国です。
 日米首脳会談で確認された対中国を念頭に置いた日米の経済連携などの方針、方策と、RCEPによる中国との経済連携との関係について、茂木外務大臣に説明を求めます。
 また、あわせて、日米で確認する自由で開かれたインド太平洋とこのRCEPとの関係、さらには、RCEPによる地域における対中国の自由貿易などの進展がアメリカの対中政策に与え得る影響について、外務大臣の見解を求めます。
 また、中国との関係は、協定の個別の内容においても重要な問題を有しています。米中対立が激化し、また、コロナ禍でサプライチェーンが分断される中、バイデン政権は脱中国を目指し、半導体、大容量電池、医薬品、レアアースなどの重要鉱物についてサプライチェーンの問題と対応を検討することと表明しています。
 日米首脳声明においても、日米両国は、両国の安全及び繁栄に不可欠な重要技術を育成、保護しつつ、半導体を含む機微なサプライチェーンについても連携することが述べられています。
 しかし、日本の製造業、特に自動車部品などは中国を経由したサプライチェーンが組まれているものが多く、政府もサプライチェーンの効率化をRCEPの意義として強調しています。米中対立の中で、日本はサプライチェーンの継続等のためにどのような取組を行うのか、梶山経済大臣の答弁を求めます。
 また、本協定は、電子商取引や知的財産分野について中国と初めて合意するに至ったものであり、これらの分野につき、中国との間で国際ルールにのっとった枠組みを構築した意義は大きいと考えます。
 他方、中国は、二〇一八年に電子商取引法を、二〇一九年に改正商標法などの国内法の整備を進めている一方で、中国へのデータ流出、中国による知的財産の侵害についてはいまだに懸念が残ります。これらの分野の運用に当たっては、中国が本協定の規定を独自に解釈することのないようにすべきと考えますが、具体的にどのように実効性を高めていくのか、経済産業大臣に伺います。
 次に、本協定の成立経緯について伺います。
 そもそも、本協定の締結交渉は二〇一二年十一月に当時の民主党・野田政権下の党内議論を起点に進められてきたものであります。同年同月に交渉立ち上げ宣言が発出されて以降、幾つもの閣僚会合や首脳会合を経て、二〇二〇年十一月の署名に至りました。
 立ち上げ宣言から合意までに実に八年掛かっていますが、交渉が長期間に及んだ理由及び合意に至るまで時間を要した分野について、外務大臣に伺います。
 次に、本協定からのインドの離脱について伺います。
 インドは、交渉開始時から交渉に参加していながら、二〇一九年のRCEP首脳会議における離脱表明以降交渉に参加せず、本協定の署名国とはなりませんでした。本協定にはインドについて協定発効日からの加入が可能な旨規定されていますが、インドが実際に本協定に加入するかは未知数です。インドは、中国との貿易赤字の拡大等に不満を有していたようであり、本協定が署名された後、太陽光発電、携帯電話関連部品の関税を引き上げるなど、本協定の目指す方向とは真逆の方針を貫いています。
 政府は、インドのRCEP復帰に向けて主導的役割を果たしていく考えであるとのことですが、インドが交渉においてどのような主張をし、それに対して日本政府はどのように認識をしているのか、また、今後、インドをどのように本協定に取り込んでいくのか、外務大臣に伺います。
 次に、ミャンマー問題について伺います。
 ミャンマーにおいては、国軍によるクーデターが発生し、アウン・サン・スー・チー国家最高顧問を始めとする方々が拘束をされ、多数の市民が死亡するなど、とても本協定を批准できるような状況ではないと思われます。このミャンマー情勢について、改めて政府としてどのような取組を講じていくつもりなのでしょうか。日米首脳共同声明では、民間人に対する暴力の即時停止、民主的な政治体制の回復をミャンマー国軍に対し日米で連携しながら強く求めていくなどとされていますが、拘束されている邦人のジャーナリストの解放も含め、その具体策について外務大臣の答弁を求めます。
 本協定の経済効果について伺います。
 政府は、協定がない場合と比較した場合、実質GDPが約二・七%、約十五兆円、労働供給が約〇・八%、約五十七万人増加するとしています。これは、TPPや日EU・EPAと比較するとかなりの規模で経済効果が現れるとの結果になっています。
 しかし、これはあくまで最終的な試算であり、例えば、中国、韓国との関税撤廃のスケジュールは十一年、十六年、二十一年など、長期にわたるものも多くあります。国民が本協定の効果を実感できるのはいつのことなのでしょうか。
 また、政府は、本協定について、農産品の重要五品目の関税削減、撤廃からの除外等を引き合いに、攻めるべきものは攻めて、守るべきものは守る、こうした交渉結果を達成できたと述べていますが、工業製品などと農産品全体を通して見たとき、日本の一次産業が厳しい競争に直面する事実、事態は想定されないのでしょうか。
 政府は、TPPのときから経済効果分析を実施しており、その効果の宣伝に努めていますが、外務大臣の見解を求めます。
 本協定の拡充について伺います。
 本協定は、物品貿易だけでなく、様々なルール分野における合意がなされていますが、国有企業、環境、労働についてのルールは規定されていません。本協定は発効五年後に一般的な見直しを行うこととしており、茂木外務大臣は、後発途上国の状況を見ながら、今後、見直す場合にはどういう規定にしていくか、更にレベルを上げていくことも視野に入ってくると述べています。中国などこれらの分野への取組が不透明な国々が参加する際、国有企業、環境、労働についてのルール形成を行う方針なのか、外務大臣に伺います。
 次に、他の経済連携協定について質問をします。
 本協定の署名国のうち、中国、韓国がTPPへの参加を検討すると表明し、フィリピンも加入に向けた調査を開始し、さらにはタイ、インドネシアが加入への関心を示したと報道されています。この点、茂木外務大臣は、様々な国・地域による関心表明がなされていることは、TPP11が評価されていることで歓迎したい、その上で、関心表明を行っている国・地域がこの協定の掲げる高いレベルを満たす用意ができているかどうかについてはしっかり見極めていきたいと答弁しています。日本も多大な譲歩をして合意が成立した市場アクセス・ルール面でのTPPのレベルを下げることはあってはならないと考えますが、我が国としてこの点をきちんと確認をしていくのか、外務大臣に伺います。
 日米貿易協定についても伺います。
 この三月十八日から四月十六日まで米国産牛肉に対するセーフガードが発動され、関税が二五・八%から三八・五%まで引き上げられました。四月十七日からは、協定に基づき発動前より低い二五%の関税とすることが協定上定められています。
 しかし、日米貿易協定の交換公文には、セーフガード措置がとられた場合、発動水準を一層高いものにするために協議を開始し、九十日以内に協議を終了させる観点から、セーフガード措置がとられた後十日以内に協議を開始するとあります。これは、トランプ前大統領への過度なそんたくであり、日本の農林水産業に大きな被害をもたらすリスクがあるものと私たち野党は繰り返し主張をしてきました。
 三月二十五日には日米間で協議が行われましたが、この協議の具体的な内容については全く公表されていないと言っても過言ではありません。今後も協議を重ねると考えますが、米国がセーフガードの発動水準を一層高くする要求をしてきた場合、どのように対応するのか、野上農林水産大臣の答弁を求めます。
 さらに、日米貿易協定における自動車、自動車部品に対する追加関税及び数量規制の発動回避に係る日米首脳、日米閣僚間の約束について伺います。
 茂木外務大臣は、本院外交防衛委員会において、日米共同声明の協定が誠実に履行されている間、両協定及び本共同声明の精神に反する行動を取らないとの抽象的な文言と、その解釈に関する、トランプ大統領がそれで結構だと述べたということ、まるで居酒屋談義レベルの口約束のみをもって追加関税を課されることはないと強弁しました。加えて、自動車、同部品に対する数量規制などの回避も、閣僚会談で確認したとの口約束だけを根拠としました。それらを証明する唯一の資料、すなわち首脳会談、閣僚会談の議事録の再三の公表の求めにも一切応じず、国会への説明責任を放棄し、現在までこの状態は続いています。
 日本経済に大打撃を与える措置の将来的な発動回避を文書で明確に約束できなかったことは、日本外交の大きな失敗であります。
 バイデン政権は、現在のところ、自動車、同部品に対する追加関税について明言はしていませんが、国内経済の立て直しを図るバイデン政権が今後、追加関税を課す可能性は否定できないと思われます。今後、政府として、バイデン政権に追加関税を課さないことを明確に確認する必要があると考えますが、なぜ、先般の首脳会談で、日米首脳会談でそうした確認を行わなかったのかを含め、外務大臣の答弁を求めます。
 最後に、我が国のメガFTA政策について伺います。
 二〇一〇年のAPEC首脳会議から取組が本格化したアジア太平洋自由貿易圏、FTAAPは、RCEPもTPPをも含む巨大経済圏構想であり、政府は今後、FTAAPを含めた質の高い、包括的かつより広い地域をカバーする自由貿易圏の実現に向けて必要な取組を行う方針を示していますが、具体的にどのような取組を講じていくのでしょうか。既存のメガFTA、EPAの活用、拡充方針と今後のメガFTA政策の方向性、及びそれが米中の新時代にどのような関係の、またあるいはその緊張関係の改善の影響を及ぼし得るとの認識にあるのか、外務大臣にお伺いし、私の代表質問といたします。(拍手)
   〔国務大臣茂木敏充君登壇、拍手〕

#30
○国務大臣(茂木敏充君) 小西議員から、まず、政府の水際対策についてお尋ねがありました。
 政府としては、これまで国民の健康と命を守り抜くことを最優先に、新型コロナの国内での蔓延を防ぐため、機動的な水際対策措置を講じてきました。
 こうした水際対策に係る措置は、その実施のタイミングを含め新型コロナの拡大の状況が時々刻々と変化し、確定的な予見が困難な中、諸外国における感染率や移動制限の状況など様々な情報や知見に基づき検討の上、政府として総合的に判断してきたものです。
 RCEP加盟十五か国の中で、累計感染者数は四月二十日時点で我が国は三番目ですが、我が国の人口当たりの感染者数や死亡者数や、G7、主要先進国の中でも圧倒的に低くなっています。これは国内での様々な対策と合わせ、これまで講じてきた水際対策にも一定の効果があったものと考えています。
 引き続き、政府として、国内での感染拡大を防止すべく、必要な措置を着実に実施をしてまいります。
 次に、日米両国の対中政策とRCEP協定の関係についてでありますが、RCEP協定は、我が国とともにASEANが推進力となって交渉が進められ、参加国の経済発展状況等が大きく異なる中でも、物品、サービスにとどまらず、新たなルールを盛り込んだものであり、地域の望ましい経済秩序の構築に向け重要な一歩になり、自由で開かれたインド太平洋を実現していく上でも重要であると考えています。今後、我が国として、RCEP協定を通じてルールの遵守にも主導的役割を果たしてまいります。
 米国の対中政策との関係については、さきの日米首脳会談においても、インド太平洋地域の経済秩序の構築に向けて両国で緊密に連携していくことを確認したところでありまして、米国とは引き続きしっかり意思疎通を図ってまいります。
 交渉の経緯と期間についてお尋ねがありました。
 RCEP協定の交渉に当たっては、後発開発途上国を含め、制度や経済発展状況の異なる様々な国々との間で、複雑かつ困難な市場アクセス交渉を行いました。ルール分野でも、一部の参加国にとってはなじみの薄い知的財産や電子商取引なども含め幅広い分野で議論を行う必要があったこともあり、通常の経済連携協定よりも時間を要する交渉となりました。
 RCEPへのインドの復帰についてでありますが、交渉の経過で、インドは、貿易赤字拡大の懸念や国内事情もあり、交渉からの離脱に至ったものと理解をいたしております。
 一方、十三億人の人口を擁するインドは、近年着実に経済成長を実現しており、インド太平洋地域における経済大国への歩みを進めています。地域の貿易、投資の促進を目指すRCEP協定にとってインドが参加することの意義は大きく、我が国としては、インドのRCEP復帰に向けて、RCEPの内側から引き続き主導的役割を果たしてまいります。
 ミャンマー情勢についてお尋ねがありました。
 日本は、欧米諸国と比してもミャンマーに様々なチャネルを持っており、日本政府として、クーデター発生以降、特に三点、暴力の即時停止、拘束された関係者の解放、民主的な政治体制の早期回復を求めてきています。
 しかし、国際社会の度重なる呼びかけにもかかわらず、ミャンマー国軍、警察の市民に対する実力行使により、多数の死傷者が発生し、事態が悪化していることを深刻に懸念しています。
 ミャンマーへの最大の援助国として、ミャンマーの国民生活の向上や民生支援に誰よりも中心的な役割を担ってきた日本として、今後もASEANや欧米と連携し、事態の鎮静化、民主化への復帰のため、粘り強く取り組んでいきます。
 また、現在拘束されている邦人ジャーナリストについては、本人の現在の状況の確認も含め、ミャンマー側に対して早期回復を強く求めており、引き続き邦人保護に万全を期してまいります。
 RCEP協定の効果及び国有企業、環境、労働に関するルールについてでありますが、RCEP協定では、多くの品目について、発効の日から関税削減、撤廃が行われ、ルールの分野の規定による非関税障壁の緩和も期待されるため、発効後直ちに効果が現れる分野もあると期待されます。そのためにも、まずはRCEP協定の早期発効を実現し、その上で協定の履行確保にしっかり取り組んでいく考えです。
 一方、農林水産品については、全ての参加国との関係で、いわゆる重要五品目について関税削減、撤廃から全て除外し、関税撤廃率は近年締結された二国間FTA並みの水準としました。したがって、国内農林水産業への特段の影響はないと考えています。
 また、RCEP協定は、後発開発途上国を含め、国内制度や経済発展状況が大きく異なる十五か国による経済連携協定であり、交渉の結果、TPPに規定された国有企業、労働、環境等に関する規律は盛り込まれませんでした。
 他方、我が国として、これらはいずれも重要であると考えており、協定発効後もRCEP協定のルールの更なる改善、向上に向け、引き続き各国と議論を深めてまいりたいと考えております。
 TPP11の拡大についてお尋ねがありました。
 TPP11は、市場アクセス及びルールの面でも高いレベルの内容となっています。参加国の拡大に際して、かかる高いレベルを引き下げることは考えておらず、新規加入に関心を示すエコノミーがTPPのこうした高いレベルを満たす用意ができているかについて見極める必要があると考えています。我が国は本年のTPP委員会の議長国として、戦略的観点も踏まえながら、しっかりと対応してまいります。
 日米貿易協定における自動車、自動車部品の追加関税についてでありますが、二〇一九年九月の日米共同声明には、協定が誠実に履行されている間、両協定及び本共同声明の精神に反する行動を取らないとの記載があり、この趣旨は、日本の自動車、自動車部品に対して二三二条に基づく追加関税は課されないことであることを日米首脳会談で直接確認しております。
 また、二〇一九年九月二十三日の閣僚協議の場で、日本からの自動車、自動車部品の輸出について数量制限、輸出自主規制等の措置を課すことはない旨を明確に確認しています。これは私がやりました。これらは、同盟関係にある日米の首脳間、閣僚間の合意でありまして、極めて重い了解であると考えております。
 その上で、バイデン大統領とは、先般の日米共同声明において、日米両国の強固な二国間通商関係を維持し、更に強化することへのコミットメントを確認しており、引き続き経済、通商政策を含む幅広い分野で緊密に連携していきます。
 最後に、FTAAPに向けた取組、今後のFTA政策及び米中関係への影響についてお尋ねがありました。
 FTAAPについては、我が国としては、FTAAPを含め質の高い包括的かつ、より広い地域をカバーする自由貿易圏の実現に向けて必要な取組を行っていきます。今後のEPAについては、まずはRCEP協定の早期発効を実現させた上で、RCEP協定を通じて地域における経済秩序の形成に主導的な役割を果たしてまいります。
 また、我が国は今年のTPP委員会の議長国として、TPP11の着実な実施及び拡大に取り組んでいきます。こうした前向きな取組自体が米中関係にマイナスの影響を与えるとは考えていませんが、さきの日米首脳会談においても、インド太平洋地域の経済秩序の構築に向けて両国で緊密に連携していくことで一致したところでありまして、米国とは引き続き通商政策も含めしっかり意思疎通を図ってまいります。(拍手)
   〔国務大臣梶山弘志君登壇、拍手〕

#31
○国務大臣(梶山弘志君) 小西議員からの御質問にお答えをいたします。
 日米首脳共同声明及びRCEP協定を踏まえた米中対立の中での日本のサプライチェーン強靱化の取組についてお尋ねがありました。
 日米首脳共同声明では、半導体を含む機微なサプライチェーンについて連携して取り組むことが確認されました。経済安全保障を確保しつつ、日米両国が引き続き世界経済を主導すべく、協力の具体的な内容については、今後、経済産業省を含む担当省庁間で議論をしていく予定であります。
 また、RCEP協定は、参加各国による関税撤廃、削減により、日本国内で製造して相手国に輸出する選択肢を取りやすくなる、知的財産や投資、電子商取引等に係る共通のルールが構築されることで面的な事業環境の整備が実現されるといったことにより、サプライチェーンの強靱化、効率化に資するものと考えております。
 今後、日米間の協力、RCEP協定の早期発効と全ての締約国による着実な履行に加え、サプライチェーン補助金も活用し、サプライチェーンの多元化、強靱化にしっかりと取り組んでまいります。
 RCEP協定における電子商取引や知的財産といった分野の規定遵守の確保に向けた取組についてのお尋ねがありました。
 RCEP協定は、発展段階や制度が異なる多様な国々の間で電子商取引や知的財産等の規定を導入した点で意義があります。協定発効後に全ての締約国によるこうした規定の遵守を実現することが極めて重要と考えております。
 本協定により設置されるRCEP合同委員会では、協定の実施や運用に関する問題を検討し、その解釈や適用について意見の相違がある場合に協議を行うメカニズムが導入されることとなっております。また、閣僚間で議論を行う場も設けられます。
 本協定の規定を独自に解釈し、ルールを守らない国が出てきた場合には、他の締約国とも連携し、こうした場を通じてルールの遵守を求め、地域における望ましい経済秩序の構築にしっかりと取り組んでまいります。(拍手)
   〔国務大臣野上浩太郎君登壇、拍手〕

#32
○国務大臣(野上浩太郎君) 小西議員の御質問にお答えいたします。
 日米貿易協定に基づく牛肉セーフガードについてのお尋ねがありました。
 米国産牛肉セーフガードについては、日米貿易協定に関する日米間の交換公文で規定されたルールに基づいて米国と引き続き協議を行っていくことになります。まずは、今回、セーフガードの発動に至った要因等を分析しながら協議を行っていくことになると考えておりますが、協議の詳細についてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
 いずれにしても、農林水産省としては、協議の結果を予断せず、関係省庁と連携し、国内関係者の理解が得られるようにしっかりと協議に臨んでいく考えであります。(拍手)
    ─────────────

#33
○副議長(小川敏夫君) 東徹君。
   〔東徹君登壇、拍手〕

#34
○東徹君 日本維新の会の東徹です。
 私は、会派を代表して、議題となりました地域的包括的経済連携協定、RCEP協定の締結について承認を求めるの件について関係大臣に質問いたします。
 日本維新の会は、結党以来、自由貿易体制の拡大を支持し、TPP11や日本EU・EPA、日英EPAに一貫して賛成してまいりました。少子高齢化と人口減少に直面する我が国に経済成長をもたらす原動力になるものとともに、域内の平和と安定を大いに資するものと確信しているからであります。
 八年の交渉を経て、日中韓やASEANなど十五か国が参加を決めたRCEP協定により、成長著しいアジア地域に人口、GDP共に世界の三割を占める巨大な自由貿易圏が築かれ、日本がその基盤を強化できた意義は大きいと考えます。日本の貿易総額のうち約五割を域内で占めています。
 我が国にとっては最大の貿易国である中国、三位の韓国と結ぶ初の自由貿易協定であり、コロナ禍で落ち込む日本経済を再び成長軌道に乗せるための起爆剤になるものと期待されます。
 世界はコロナ禍の余波で内向きになり、保護主義に傾きつつあります。今こそ自由貿易の旗を振る我が国が本協定を遅滞なく発効させるとともに、日本が本年議長国を務めるTPPの拡大など、世界経済の成長に向けて責任ある姿勢を内外に示すべきであります。
 茂木外務大臣に質問します。
 APEC参加国・地域の間では、TPPやRCEPを道筋として、アジア太平洋自由貿易圏、FTAAPの実現が目指されてきました。本協定が発効すれば二つの経済連携の枠組みがそろうことになりますが、我が国はこれからどのようにFTAAPの実現をつなげていくのか、お考えをお聞きいたします。
 本協定が発効すれば、我が国のFTA等カバー率は八〇・四%となります。今後、日本政府は更なる自由貿易圏の拡大に向けてどのような戦略を描いているのですか。
 日本政府は、東アジア地域の広域経済連携について、RCEP交渉開始以来からインドを加えたASEANプラス6の枠組みを推進してきました。対中貿易赤字の増大などを理由にインドが本協定への参加を見送ったことは、日本にとってどのような影響があると考えますか。
 インドの不参加により、域内での中国の影響力が突出する懸念も拭えません。米中摩擦やコロナ禍で、サプライチェーンを含む貿易投資先として中国に頼る危険性がはっきりしました。中国に主導権を握らせないためにも、アジア第三位の経済規模を誇るインドの参加は不可欠と考えます。インドは、菅政権が掲げる自由で開かれたインド太平洋構想における重要なパートナーでもあります。
 茂木大臣にお尋ねします。
 域内各国が政治リスクの高い中国経済に過度に依存すれば、中国が軍事、経済一体での覇権追求の動きを加速させかねないと危惧いたしますが、どう認識されていますか。日本政府として、具体的にどのようにインドに参加を促していく考えですか。安全保障など広範な領域で日印関係を強固にしていくことが近道であると考えますが、御見解をお示しください。
 本協定には、二月に軍がクーデターを起こしたミャンマーも名を連ねています。国際社会の非難もよそに、同国では軍が武力で国民への苛烈な弾圧を続け、国内は極めて不安定な状況にあります。本協定自体は、昨年十月、アウン・サン・スー・チー氏が率いる正規の政府が署名したとのことですが、批准への国内手続はクーデター発生前に終えたと把握されていますか。軍部の支配下で国内手続が行われた場合、日本政府はそれを有効とし、ミャンマーの加盟を認めるのですか。お答えください。
 本協定では、TPP11において重要な課題となっていた国有企業、労働、環境に関する規定が設けられていません。経済発展の度合いや、何よりも国家体制が異なる国々が参加する本協定こそそうした分野の規律を盛り込むことが不可欠だと考えますが、茂木大臣の見解を伺います。
 中国にとっては、TPP11並みの厳格なルールが含まれていないことは好都合ですが、日本が主導して中国による協定の履行状況を厳しく監視するなど、ルールの遵守を迫っていくべきですし、RCEPの枠にとどまらず、公正で透明性ある経済の確立を促すために、米欧等とともに中国に改革を迫っていくことも必要だと考えます。政府の対応をお示しください。
 本協定の関税撤廃率は、ほぼ一〇〇%のTPP11と比べて低水準の上、我が国は農林水産品について、いわゆる重要五項目を関税削減、撤廃の対象から除外し、中国と韓国に対しては野菜等の多くの品目を除外しており、関税撤廃率が低くなっています。対日関税に関しても、中韓両国は乗用車のほとんどを関税削減、撤廃の対象から外し、農林水産品の関税撤廃率も低いのが実情です。
 梶山経済産業大臣に質問します。
 本協定では、関税に特化した見直し規定が置かれていませんが、更なる関税撤廃、削減に向けた見直しをどのように行っていく考えですか。加えて、TPP11より縛りが甘いデジタル分野などのルールの厳格化についてはいかに進めていく方針ですか。
 TPPから離脱した米国では、国際協調路線を掲げるバイデン政権が発足しましたが、TPP復帰は依然厳しいと見られています。米国の揺るぎない同盟国であり、本年のTPP議長国である日本の外交手腕が問われているところです。
 茂木大臣に伺います。
 今後、我が国は、米国に対してTPP復帰をどのように働きかけていく方針ですか。菅総理は、バイデン大統領と初めて向き合ったさきの日米首脳会談では、米国のTPP復帰に向け、具体的にどのようなやり取りがあったのか、お示しください。
 TPPをめぐっては、EUから完全離脱した英国が二月、正式に参加を申請しました。英国政府は、ポストブレグジット戦略として、日本とのEPAを皮切りに、カナダ、メキシコ、ベトナムなどTPP参加国とFTAを締結し、TPP加盟への環境を駆け足で整えてきました。TPP加盟には全ての批准国の同意が必要ですが、議長国の日本は自由貿易重視の理念を共有しており、英国の早期参加を全力で協力できると考えます。
 英国の加入は、TPPの欧州等への拡大の呼び水となり、さらに、TPP参加の検討を打ち出した中国への包囲網を民主主義国家陣営でしく戦略上、米国にTPP復帰を促す要因にもなると考えますが、見解をお示しください。
 もっとも、不公正な貿易慣行を改善しようとしない中国が、共産党独裁の政治経済体制をも揺るがしかねない厳格なTPPの規律を真剣に受け入れようとしているのか、疑念、疑義は拭えません。現実的に中国のTPP加盟へのハードルは極めて高いと考えますが、日本政府として、中国側の狙いはどこにあると捉え、また、どのようなスタンスで対応していく方針ですか。
 一方で、台湾もTPP加盟への意欲を示し、日本の協力に期待しています。台湾は独立した関税地域として二〇〇二年にWTOに正式加盟済みで、TPPへの参加資格があると受け止めますが、日本政府のスタンスはいかがなものですか。
 コロナ禍以降、世界的に半導体の供給不足が深刻化しています。日本は半導体の六割超えを台湾、中国等から輸入していますが、さきの日米首脳会談では、エネルギー安全保障の観点から、中国製半導体を排除し、サプライチェーンの再構築をめぐって連携を進めることが確認されました。
 我が国としては、半導体の調達先に見据える台湾をTPPに迎え、中国に対抗していく必要性があると考えますが、どのように認識されていますか。台湾のTPP加盟が進まないのならば、何が壁になっているとお考えですか。
 いずれも茂木大臣に答弁を求め、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣茂木敏充君登壇、拍手〕

#35
○国務大臣(茂木敏充君) 東議員から、まず、FTAAP及び今後の自由貿易圏の拡大に向けた戦略についてお尋ねがありました。
 FTAAPへの道のりであり、維新の、日本維新の会からも一貫して御支持をいただきましたTPPに続いてRCEPが合意に至ったことは、地域の経済秩序の形成における大きな一歩だと考えています。まずは、RCEP協定の早期発効を実現した上で、同協定を通じて地域における経済秩序の形成に主導的役割を日本として果たしてまいりたいと考えております。
 また、我が国は今年のTPP委員会の議長国として、新規加入に関心を示すエコノミーの動向を注視しつつ、戦略的観点も踏まえながら、TPP11の着実な実施及び拡大に取り組んでいきます。
 我が国としては、FTAAPを含め、質の高い包括的かつ、より広い地域をカバーする自由貿易圏の実現や、ルールに基づく多角的貿易体制の維持強化に積極的に取り組んでいく考えです。
 次に、RCEPへのインドの参加、またRCEP協定と中国の動向についてでありますが、RCEP協定は、インドを除いた署名国だけでも、世界の人口、GDP及び貿易総額の三割をカバーする大きな経済連携協定です。RCEP協定を通じ、世界の成長センターであるこの地域との経済連携を強化することは、我が国の経済成長にとって極めて重要であると考えています。
 一方、十三億人の人口を有するインドは、近年着実に経済成長を実現しており、この地域の経済大国への歩みを進めています。我が国としては、安全保障を含めた様々な分野で日印関係を強化していくことを基礎としつつ、RCEPの内側からインドの復帰に向けて、引き続き主導的役割を果たしていく考えであります。
 また、RCEP協定は、参加国の経済発展状況等が大きく異なる中でも、物品、サービスにとどまらず、新たなルールも盛り込んだものであり、この地域の望ましい経済秩序の構築に向けた重要な一歩になると考えています。協定を通じて中国を含め特定の国への依存が一方的に高まることはないと考えています。
 ミャンマーのRCEP協定締結についてでありますが、ミャンマーについて、我が国は、事案発生以来、ミャンマー国軍に対して暴力の即時停止、拘束された関係者の解放、民主的な政治体制の早期回復を強く求めています。我が国として、ミャンマーにおけるクーデターの正当性を認めることはありません。
 我が国としては、ミャンマーにおいて民主的な政治体制が早期に回復されることが重要であるというのが基本的な立場であり、その上で、今後の対応については、オーストラリア、ニュージーランド、ASEANを始め、他のRCEP参加国とも緊密に意思疎通しながら検討してまいります。
 国有企業、労働、環境等についてお尋ねがありました。
 RCEP協定は、国内制度や経済発展状況が大きく異なる十五か国による経済連携協定であり、交渉の結果、TPPに規定された国有企業、労働、環境等に関する規律は盛り込まれませんでした。
 他方、我が国として、これらはいずれも重要であると考えており、協定発効後もRCEP協定のルールの更なる改善、向上に向け、引き続き各国と議論を深めてまいりたいと考えております。
 中国による協定の遵守及び中国への改革の働きかけについてでありますが、我が国として、まずはRCEP協定の早期発効を実現させた上で、知的財産や電子商取引等も含め協定の履行確保にしっかりと取り組み、中国も含め、協定が適切に運用されるよう取り組んでまいります。
 また、中国をめぐる経済面での諸課題に関しては、様々な機会に中国側に働きかけを行ってきております。加えて、米国及び欧州でもこのような問題について議論を進めており、中国に対して大国としての責任を果たすよう働きかけて、働きかけを続けていきたいと考えております。
 米国のTPP復帰についてお尋ねがありました。
 私が担当した日米貿易交渉においても、米国がTPPに参加することは、米国経済にとっても戦略的観点からも望ましいと説明をしてきました。このような説明を続けてまいりたいと考えております。
 さきの日米首脳会談においても、我が国のかかる基本的立場を踏まえて、インド太平洋地域の経済秩序の構築に向けて両国で緊密に連携していくことを確認したところでありまして、米国とは引き続き通商政策も含め、しっかり意思疎通を図ってまいります。
 英国のTPP新規加入についてでありますが、TPP11は、ハイスタンダードでバランスの取れた二十一世紀型の通商ルールを確立した協定として世界各国から注目される多国間協定であります。英国は、我が国にとってグローバルな戦略的パートナーであるとともに、年初に日英EPAが発効するなど、重要な貿易投資相手国でもあり、英国が加入申請を提出したことを歓迎しております。
 こうした動きが米国を始め他国に及ぼす影響については予断することは困難でありますが、我が国は、今年のTPP委員会の議長国として、関心国・地域がTPP11のハイスタンダードのルールをどこまで満たす用意ができているかを見極めつつ、戦略的観点も踏まえ、TPP11の着実な実施及び拡大に取り組んでいく考えであります。
 次に、中国のTPP参加についてでありますが、中国によるTPPへの関心の表明については、中国の意図をお答えする立場にありませんが、TPP11は、市場アクセスでもルールの面でも高いレベルの内容となっており、中国を含め新規加入に関心を示すエコノミーがTPP11のこうした高いレベルを満たす用意ができているかについて見極める必要があると考えております。我が国は本年のTPP委員会の議長国として、議員御指摘の戦略的観点も踏まえながら、しっかりと対応していく考えであります。
 最後に、台湾のTPP参加についてお尋ねがありました。
 TPP11協定は、新規加入の対象を国又は独立の関税地域と規定しており、台湾によるTPP11への加入は、協定上排除されないと認識をいたしております。
 台湾は、現時点で加入申請を行っておりませんが、TPPに対して台湾を含め様々な国・地域による関心表明がなされていることは、TPP11の価値の高さが評価されていることでもあり、歓迎をしております。我が国は今年のTPP委員会の議長国として、台湾を含め新規加入に関心を示すエコノミーの動向を注視しつつ、戦略的観点も踏まえながら、TPP11の着実な実施及び拡大に取り組んでいく考えです。(拍手)
   〔国務大臣梶山弘志君登壇、拍手〕

#36
○国務大臣(梶山弘志君) 東議員からの質問にお答えをいたします。
 RCEP協定における更なる関税撤廃、削減に向けた見直しと、デジタル分野などのルールの厳格化についてお尋ねがありました。
 RCEP協定は、工業製品について対象十四か国全体で九二%の品目の関税撤廃を実現し、発展段階や制度が異なる多様な国々の間で知的財産や電子商取引に係るルールを導入する等、地域における自由で公正な経済秩序の構築に向けた重要な一歩となる協定であります。
 その上で申し上げれば、RCEP協定では、RCEP合同委員会において物品貿易や電子商取引を含む協定の実施、運用に関する問題や協定の改正について検討をすること、RCEP協定の発効五年後に一般的な見直しを行うこと等が規定をされております。
 現段階で結果を予断するものではありませんけれども、こうしたプロセスを通じて、協定の質をより高いものとするべく各国としっかりと協議をしてまいります。(拍手)
    ─────────────

#37
○副議長(小川敏夫君) 大塚耕平君。
   〔大塚耕平君登壇、拍手〕

#38
○大塚耕平君 国民民主党・新緑風会の大塚耕平です。
 会派を代表して、ただいま議題となりましたRCEPに関して質問します。
 通商交渉に独り勝ちはなく、各国とも自国に有利と考えるからこそ合意に至ります。RCEPの内容も冷静に評価すべきであり、以下、そうした問題意識に立って質問します。
 初めに、農林水産業です。
 TPP、日欧EPA、日米貿易協定に加え、RCEPにも合意し、日本は世界に市場を開き続けています。
 同一相手国に対して協定が重複する場合、その中で最も低い関税率や規制が適用されるということでよいか、外務大臣に確認します。
 仮にそうであれば、オーストラリアやニュージーランドとはRCEPを超える水準のTPPを、ASEAN諸国とはRCEPと同等水準のEPAを締結済みであるため、RCEPで初めてEPAを結ぶ中韓両国との合意内容が農林水産業分野の評価のポイントです。そういう認識でよいか、農水大臣の所見を伺います。
 日本の農林水産物の関税撤廃率は、TPPや日欧EPAの八二%に対し、RCEPでは対ASEAN、オーストラリア、ニュージーランドは六一%、対中国五六%、対韓国四九%です。
 では、中国、韓国の対ASEAN、オーストラリア、ニュージーランドの撤廃率は何%でしょうか。仮に六一%より低ければ、RCEP内の開放度合いで中韓に競り負けていることになります。農水大臣に伺います。
 豚肉、鶏卵、イチゴ等、中国向けで関税撤廃を獲得した大半の品目は、検疫等の理由から実際には輸出できない状態です。要するに、事実上何も獲得できなかったとの農業関係者の声も聞きますが、農水大臣の認識を伺います。
 中国国務院は、合意前に、輸出用農産物の生産基地建設や加工食品の付加価値向上を地方政府に指示しました。
 日本も、食料安全保障等の観点から、国内農業の競争力強化が急務です。既往の施策の実施状況、効果、RCEP合意を機に新たに取り組むこと等について、農水大臣に説明を求めます。
 なお、悪意の商標規制のため、対象のリスト化が行われています。現状、何件ぐらいの悪意の商標が判明し、今後どのように対応するのか、外務大臣に伺います。
 次に、鉱工業です。
 対中輸出上位を占める自動車部品の八七%、熱延鋼板等の関税撤廃に合意したことは評価できます。しかし、ガソリン車エンジン部品、EV車載用電池の素材等、需要増が見込める製品の関税撤廃は十年以上先です。二十年以上要する製品もあり、長過ぎます。完成車の関税撤廃も合意できていません。
 リチウムイオン電池の絶縁体は上海エナジーが世界首位となったほか、負極材では中国大手三社が世界シェア五割を占めるなど、中国勢が躍進しています。つまり、中国は、自国企業が市場占有率を高める猶予を確保するため、関税撤廃に時間を掛ける戦略です。日本はどういう戦略で臨み、何を獲得したのか、経産大臣に伺います。
 関税撤廃率は品目ベースで算出されています。リチウムイオン電池はEV車体価額の半分以上を占めますが、撤廃率を品目数でカウントするか、価額割合でカウントするかで評価は変わります。価額ベースの関税撤廃率を自動車、鉄鋼、その他について、経産大臣に伺います。
 次に、電子商取引です。
 TPPに含まれるソースコード開示要求禁止に合意できなかった経緯を外務大臣に伺います。
 第十二章「電子商取引」の規定は、政府調達には適用しないと明記されています。適用除外となった経緯を外務大臣に伺います。
 同章第三条三項では、締約国による若しくは締約国のために保有され、若しくは処理される情報又は当該情報に関連する措置については適用しないと記されています。これは何を述べているのか、外務大臣に伺います。
 同じく四項、五項では、第八章「サービスの貿易」、第十章「投資」に関して広範な適用除外規定を置いています。その理由を外務大臣に伺います。
 第十四条「コンピュータ関連設備の設置」、第十五条「情報の電子的手段による国境を越える移転」等に関して、締約国の公共政策の目的及び安全保障の利益のためには適用しないとされています。これでは第十二章全体が無意味になると思いますが、外務大臣の所見を伺います。
 以上の諸点を踏まえると、結局、電子商取引を対象としたものの、実際には何も決まらなかったに等しいのではないでしょうか。外務大臣の所見を伺います。
 RCEPでは、TPPに規定された国有企業、環境、労働、規制の整合性の章はありません。これらの章が設けられなかった経緯を外務大臣に伺います。
 国有企業に関連する第十三章「競争」においては、公共政策又は公共の利益を根拠とする競争に対する例外規定を置いています。外務大臣にその意味を伺います。
 政府調達はRCEPでも第十六章として独立していますが、TPPとは内容が異なります。地方政府が対象外であることを含め、対象政府機関、透明性義務、調達自由化等、TPPとRCEPの違いについて、外務大臣に伺います。
 競争ルールを定める第十三章の九条、政府調達ルールを定める第十六章の八条とも、紛争解決ルールを定める第十九章等の規定を適用しないと明記しています。
 これでは競争や政府調達の章を設ける意味はなく、また紛争解決ルールの実効性も担保されません。紛争解決ルールの適用除外規定の意味及び紛争解決ルールの実効性について、外務大臣に伺います。
 RCEP合意に際し、経団連会長は、貿易、投資の拡大及び効率的かつ強靱なサプライチェーン形成に資するもので、更なる繁栄と安定をもたらすとのコメントを発表しました。一方、中国、習近平国家主席は、昨年四月十日、経済政策を担う共産党組織、中央財経委員会の会議で、国際的なサプライチェーンを我が国に依存させ、供給の断絶によって相手に報復や威嚇できる能力を身に付けなければならないと述べたことが報じられています。日中間の認識ギャップに対する所見を外務大臣に伺います。
 TPPへの米国の早期参加が期待できない中、半導体産業の最重要国である台湾がTPPに参加することには大きな意味があります。
 RCEP合意時に、中国がTPP参加に言及しました。中国が簡単にTPP水準の合意に至るとは思えませんが、米国抜きのTPPに中国が参加する事態は回避すべきと考えますが、外務大臣の所見を伺います。
 以上の諸情勢を勘案すると、台湾のTPP参加を推奨することは日本にとって重要な戦略的意義があります。先ほどの東議員に対する答弁において、台湾に関しては協定上排除されないと聞かせていただきました。
 RCEP及びTPPについて、インド参加の見通しとともに、台湾の参加に関する所見を改めて外務大臣に伺います。
 日本の貿易相手の一位、二位は中国とASEANであり、シェアは二二・二%と一五・四%です。一方、日本は中国にとって四番目、ASEANにとって五番目の貿易相手にすぎず、それぞれシェアは七・三%、八・〇%まで低下しています。
 中国とASEANは相互に最大貿易相手であり、RCEP運営は両者の調整が重きを成すと予想されます。日本のRCEPに臨む戦略とともに、第十八章三条に設置を定める事務局の東京誘致に関する外務大臣の所見を伺います。既に、中国は北京誘致のロビーイングをASEANに行っていると聞きます。
 各種自由貿易協定締結に際し、農業への影響、経済効果試算などの国会での議論が不十分です。主要国との協定が出そろったことから、今後、各協定の運営状況や国内対策の進捗状況を定期的に国会に報告することを外務大臣に求めますが、いかがでしょうか。
 国内産業を強くし、日本の製品、産物、サービスを世界が欲する状況をつくることが肝要です。そのために人材育成と技術開発支援に腐心すべきことを申し述べ、この点に関する現状と政府の対応を経産大臣に伺い、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣茂木敏充君登壇、拍手〕

#39
○国務大臣(茂木敏充君) 大塚議員から、まず、協定が重複する場合に適用される関税率や規制についてお尋ねがありました。
 RCEP協定の我が国以外の署名国のうち、中国及び韓国を除いた十二か国については、我が国とRCEP協定以外の二国間ないし多国間のEPAを締結済みであります。RCEP協定が発効した場合、これらの国との間では複数の協定が適用可能となり、例えば、関税率についてどちらの協定を利用するかは利用者が判断することとなります。
 次に、悪意の商標についてお尋ねがありました。
 海外で日本の商標と類似した商標や日本の地名を含む商標が外国企業によって登録される問題については、その性格の違いもあり、これらを網羅的にお示しすることは困難でありますが、政府としても問題視し、これまでも個別事案ごとに必要な働きかけを行ってきたところであります。仮に、締約国が協定の規定と相入れない措置をとる場合には、RCEP協定上に規定をされました協議メカニズムや紛争解決手続等を活用して適切に対応してまいります。
 RCEP協定の電子商取引章、その例外規定及び同章の意義についてでありますが、まず、ソースコードに関する規律については、RCEP協定が発展段階や制度が異なる多様な国による合意であることもあり、盛り込まれず、協定発効後に締約国と協議することになっております。また、電子商取引の適用範囲を定めるに当たって、サービスの貿易章及び投資章における義務との関係を調整するため、所要の規定が置かれております。これに加え、政府自身の活動は民間による電子商取引とは性質が異なることから、政府調達に係る措置や政府が保有する情報等については適用除外としております。
 また、大塚議員もよく御案内だと思いますが、御指摘の例外規定を恣意的に適用することは許されず、これは交渉参加国の一致した立場であり、協定が適切に運用されるよう、しっかりと取り組んでまいります。
 電子商取引章では、Eコマースを促進するための規定に加え、Eコマースを利用する消費者の保護や個人情報の保護といった電子商取引の信頼性を確保するための規定等が盛り込まれるなど、RCEPの中の多くの国との間では初めての電子商取引についてのルールを定めるものであり、この地域の望ましい経済秩序の構築に向けた重要な一歩になると、そのように考えております。
 国有企業、環境、労働についてお尋ねがありました。
 RCEP協定は、国内制度や経済発展状況が大きく異なる十五か国による経済連携協定であり、交渉の結果、TPPに規定された国有企業や労働、環境等に関する規定は盛り込まれませんでした。
 他方、我が国として、これらはいずれも重要であると考えており、協定発効後もRCEP協定のルールの更なる改善、向上に向け、引き続き関係国と議論を行っていきたいと考えております。
 競争章の例外規定、RCEPとTPPの政府調達章の違い、競争章及び政府調達章への紛争解決章の適用についてお尋ねがありました。
 御指摘の競争章の例外規定は、透明性があり、かつ公共政策又は公共の利益に基づくものに限定をし、競争法令の適用の除外や免除が無用に拡大することを防止するために設けられているものであります。
 RCEP協定の政府調達章では、締約国の中央政府の政府調達の透明性を促進する規定が定められておりますが、TPP11協定とは異なり、地方政府は適用対象外となっているほか、政府調達市場アクセスに係る各種規定は設けられておりません。競争章及び政府調達章には紛争解決章の規定は適用されませんが、必要に応じて協定に規定をされた協議メカニズムやRCEP合同委員会を活用して、各規定の実効性の確保に努めてまいりたいと考えております。
 RCEPに対する日中両国の認識についてでありますが、RCEP協定について他国の認識等についてお答えする立場にはありませんが、同協定は、世界人口、世界のGDP及び貿易総額の約三割をカバーする大きな経済連携協定であり、世界の成長センターであるこの地域の経済成長に寄与することが期待されております。
 我が国としては、協定の締結が一方的に中国を利することになるとは考えておらず、むしろ我が国としてASEAN、豪州、ニュージーランドと緊密に連携しながら、RCEP協定を通じて地域におけるルールに基づく経済秩序の形成や参加国のルールの遵守にも主導的に役割を果たしてまいりたいと考えております。
 米国抜きのTPPへの中国の参加についてお尋ねがありました。
 TPP11は、市場アクセスでもルール面でも高いレベルの内容となっており、中国を含め、新規加入に関心を示すエコノミーがTPPのこうした高いレベルを満たす用意ができているかについて見極める必要があると考えております。本年のTPP委員会の議長国として、戦略的観点を踏まえながら、しっかりと対応してまいります。
 インドのRCEPとTPPへの参加及び台湾のTPPへの参加についてお尋ねがありました。
 TPP11に対して、協定上排除されない台湾を含め様々な国・地域による関心表明がなされていることは、TPP11の価値の高さが評価されていることでもあり、歓迎しています。他方、関心表明を行っているエコノミーがTPP11が定める高いレベルを満たす用意ができているかについてはしっかりと見極める必要があると考えています。
 また、人口十三億人を有するインドはTPP11への関心は表明しておらず、我が国としては、まずはインドのRCEP復帰に向けて、RCEPの内側から引き続き主導的役割を果たしていく考えであります。
 RCEP運営の戦略、事務局の東京誘致についてでありますが、我が国として、RCEP協定の基本的な考え方として、同協定を通じて地域におけるルールに基づく経済秩序の形成にも主導的な役割を果たしていきたい、これが基本的な考えであります。
 RCEPの事務局の具体的な在り方については、発効後開催される合同委員会において決定されることになっておりますが、我が国としても、今申し上げた考え方も踏まえ、望ましい事務局の在り方の議論についてもしっかり関与していく考えであります。
 最後に、主要国との自由貿易協定に関する国会への報告についてお尋ねがありました。
 我が国が締結した経済連携協定の運用状況や関連する国内施策の実施状況等については、これまでも国会の場を含め説明をしてきており、引き続き丁寧な説明に努めてまいります。(拍手)
   〔国務大臣野上浩太郎君登壇、拍手〕

#40
○国務大臣(野上浩太郎君) 大塚議員の御質問にお答えいたします。
 農林水産業分野に関するRCEP協定の評価についてのお尋ねがありました。
 RCEP協定については、物品市場アクセス分野だけではなく、ルール分野なども含めて総合的に評価する必要があると考えております。
 まず、日本側の農林水産品の関税に関しては、重要五品目について、関税削減、撤廃からの除外を確保するとともに、初めてのEPAとなります中国、韓国に対する農林水産品の関税撤廃率は、近年締結された二国間EPAよりも低い水準で合意しました。
 また、相手国の関税についても、初めてのEPAとなる中国及び韓国について、中国のホタテガイや韓国の菓子など、輸出関心品目で関税撤廃を確保したほか、インドネシアの牛肉など、過去のEPAを超える成果も確保しました。
 さらに、ルール分野においては、参加十五か国の間で迅速な通関手続、衛生植物検疫措置、いわゆるSPS措置に関する新たな内容の通報や協議の義務等、WTO協定やASEANとのEPA等を上回る統一ルールが定められました。
 このように、本協定により、中国、韓国はもとより全世界の人口の約三割に相当する大きな市場への農林水産物の輸出促進に資する環境が整備されたものと考えております。
 次に、中国、韓国の対ASEAN等への関税撤廃率についてのお尋ねがありました。
 関税撤廃率の計算方法については、必ずしも統一的なルールは存在せず、各国がそれぞれ適切と考える方法で計算を行っており、また、農林水産品の範囲も異なることから、単純に比較することは困難な面があります。
 なお、その上で入手可能なデータに基づき、我が方で計算した結果を申し上げれば、中国の対ASEAN、豪州、ニュージーランドへの農林水産品の関税撤廃率はそれぞれ約九〇%、韓国の対ASEAN、豪州、ニュージーランドへの農林水産への関税撤廃率はそれぞれ約七〇%になっております。
 次に、農林水産業分野で中国から獲得した成果についてのお尋ねがありました。
 RCEP協定において中国側の関税撤廃を獲得した品目には、対中国向け農林水産物・食品輸出で最大のホタテガイを始めブリ、しょうゆ、ソース混合調味料、さらには近年輸出が増加しているパック御飯など、我が国輸出重点品目が含まれており、輸出の拡大に寄与するものと考えております。
 また、本協定では、衛生植物検疫措置、いわゆるSPS措置が自国と他の締約国との間の貿易に影響を及ぼしていると認める場合には技術的協議を要請することができ、同要請が行われた場合には原則として三十日以内に協議を行う義務を定めております。本協定が発効すれば、SPS措置に関する協議について、本協定に基づく協議の場も活用することができるようになります。
 今後、RCEP協定で獲得した関税撤廃の成果を最大限に生かすとともに、こうした協議の場も活用しつつ、あらゆる機会を捉えてSPS措置に関する協議を進めることにより、更なる農林水産物・食品の輸出促進を図ってまいります。
 これまでの農業の競争力強化の取組及びRCEP合意後の新たな取組についてのお尋ねがありました。
 TPP等各協定の成果の最大限の活用に向け、これまで農林水産省では、我が国農林水産業の生産基盤を強化するとともに、新市場開拓の推進等により確実に再生産が可能となるよう平成二十七年に策定し、その後改訂を行ってきました総合的なTPP等関連政策大綱に基づく体質強化策を講じてまいりました。
 その結果、例えば、収益性向上の取組を支援するために措置をしました畜産クラスター事業においては、一頭当たりの生乳生産量の増加や一戸当たりの飼養頭数の増加が見られるとともに、産地の競争力を強化するために措置をした産地生産基盤パワーアップ事業においては、農産物生産コストの低減や販売額の増加等の効果が見られたところであります。また、今般のRCEP協定については、それにより全世界の人口の約三割に相当する大きな市場への農林水産物の輸出促進に資する環境が整備されたものと考えております。
 本協定を含む各協定を最大限に活用し、農林水産物・食品の輸出五兆円目標の達成に向け、輸出産地の育成、展開など輸出力を強化するため、昨年十二月に改訂した新たな大綱に基づき、引き続き政府一体となって必要な施策をしっかりと講じてまいります。(拍手)
   〔国務大臣梶山弘志君登壇、拍手〕

#41
○国務大臣(梶山弘志君) 大塚議員からの御質問にお答えをいたします。
 中国との鉱工業品市場アクセス交渉の戦略と成果及び自動車、鉄鋼、その他についての貿易額ベースの関税撤廃率についてのお尋ねがありました。
 RCEPにおける対中国の市場アクセスについては、日本企業のニーズや今後の生産戦略、攻めと守りのバランス等を総合的に勘案して交渉を進めてまいりました。
 具体的には、完成車の関税撤廃は獲得できませんでしたが、自動車部品では、エンジン部品などガソリン車の基幹部品に加えて今後市場の拡大が見込まれるモーターなど電気自動車の重要部品について関税撤廃を獲得し、鉄鋼製品ではラインパイプ用の鋼管などについて関税撤廃を確保するなど、我が国が競争力を有する部素材について国内の生産基盤の維持強化につながる内容が盛り込まれたと評価をしております。
 その結果、自動車部品については品目数で八七%、貿易額で八六%、鉄鋼製品は品目数、貿易額とも八四%、その他機械類等では品目数で八五%、貿易額で八九%の関税撤廃を獲得するといった成果を得られました。こうした成果は我が国の経済界から高く評価をされているところであります。
 今後、RCEP協定の利活用等を通じて、我が国企業の競争力強化にしっかりと取り組んでまいります。
 人材育成と技術開発支援についてお尋ねがありました。
 新型コロナの影響等を踏まえてデジタル化への対応が一層求められる中、我が国では、二〇三〇年にIT人材が約四十五万人不足すると試算されており、産業競争力強化の観点から、特にIT人材の確保が喫緊の課題と認識をしております。
 このため、あらゆる人材がITスキルを身に付けられるよう、ITに関する基礎的な知識を習得するためのITパスポート試験や、年間約四十万人が受験する情報処理技術者試験などを実施しています。また、AI、データ等の先端分野の高度な能力を習得できる講座を認定する第四次産業革命スキル習得講座認定制度を通じて、先端分野に対応したIT人材の育成にも取り組んでいるところであります。
 また、国際的に脱炭素をめぐる大競争時代に突入する中、産業競争力強化のためにはイノベーションの創出が重要であり、技術開発はその源泉であります。日本も二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向け、過去に例のない二兆円の基金を造成し、企業の野心的な挑戦を後押ししてまいります。
 このような取組を通じて、デジタル化への対応やグリーン社会への転換等に対する集中投資を促すことで日本企業の国際競争力の強化を図り、我が国経済が再び力強く成長できるよう全力を尽くしてまいります。(拍手)
    ─────────────

#42
○副議長(小川敏夫君) 紙智子君。
   〔紙智子君登壇、拍手〕

#43
○紙智子君 日本共産党の紙智子です。
 会派を代表し、地域的な包括的経済連携協定、いわゆるRCEPについて、茂木外務大臣並びに野上農林水産大臣に質問します。
 RCEP協定は、ASEAN、東南アジア諸国連合十か国と日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドの十五か国から成るFTAであり、日本にとって中国と韓国との間での初めての経済連携協定になります。それなのに、二〇一三年五月の交渉開始以来、国民生活に一体どんな影響があるのか、国会にも国民にも知らせないまま署名しました。
 既にTPP交渉を始めとする通商交渉は、秘密裏であることから不透明だとする強い批判がありました。
 私は、日本で行われたRCEPの各国交渉関係者と市民団体の意見交換会に何度か参加しました。そこでは、日本などが企業の利益を優先する条文を入れようとしている、一部の国がルールを押し付ける交渉になっているとの批判がありました。
 なぜ、海外の交渉関係者から情報を得ないといけないのでしょうか。交渉過程を明らかにするように求めるものです。外務大臣の見解を求めます。
 RCEP協定は、世界のGDP、貿易総額及び人口の約三割を占めるなど、世界で最も大きいメガFTAであり、我が国の貿易総額のうち約五割を占めています。
 既に日本は、二〇一八年末にはアメリカが抜けたTPP11が発効し、その後、後を追うように日欧EPA、日米貿易協定、日英EPAなどが相次いで発効しました。
 これらのメガFTAが発効している中で、RCEPが日本にどのような影響を与えるのでしょうか。衆議院において、我が党の穀田恵二衆議院議員がTPPなどと比較検証できる資料を求めたところ、茂木外務大臣は、二次元で作らざるを得ず困難だと答えました。場当たり的な外交交渉を行っているのですか。
 メガFTAは、単独ではなく、相互に関連し合い、経済や政治に影響を与えるものです。改めて、過去に政府が締結したFTAと比較検証できる資料を国会に提出すべきです。外務大臣の答弁を求めます。
 農林水産品への影響について聞きます。
 政府は、重要五品目を関税削減、撤廃の対象から除外したから国内農業に格段の影響はないとして、影響試算を出していません。本当に影響がないと胸を張って言えるのですか。
 衆議院で参考人として意見陳述された鈴木宣弘東京大学教授は、政府と同じGTAPモデルで計算したところ、RCEPによる農業生産の減少額は五千六百億円に上り、損失額はTPP11の一・二六兆円の半分近くになりました。野菜、果樹の損失額は八百六十億円と農業部門内で最も大きく、TPP11の二百五十億円の損失の三・五倍になると見込まれると言われます。こうした指摘があるのに、なぜ影響試算をしないのですか。農林水産大臣の答弁を求めます。
 米の転作作物として政府が重視している高収益作物への影響は深刻です。
 生鮮野菜の輸入の八割はRCEP諸国から入っています。中国からは六五%、ニュージーランドなど中国以外のRCEP諸国から一五%、合計八〇%にもなります。それなのに、ASEAN十か国、オーストラリア、ニュージーランドに対しては、タマネギ、ネギ、ニンジンなどは、関税が撤廃か削減されます。
 また、韓国以外のRCEP諸国に対しては、ショウガ、ゴボウ、エンドウ、生鮮ブロッコリー、インスタント食品に使われる乾燥野菜などが関税削減、撤廃されます。北海道、高知、そして千葉など産地への影響は明らかです。
 果実への影響も深刻です。オレンジ果汁、ミカンとキウイの関税率は韓国を除いてゼロ、リンゴ、ブドウは中国、韓国を除いてゼロ、柿、桃、梨もゼロになります。青森や長野、山梨など、多くの県への影響が懸念されます。
   〔副議長退席、議長着席〕
 政府は、国産品だけで国内需要を賄うのは難しいものや、国産品とすみ分けができているので影響はないなどと言いますが、そこまで言い切るならば、産地に与える影響額を提出すべきです。農林水産大臣、お答えください。
 この間、輸入自由化が進み、農林水産物の輸入額は二〇一三年の八兆九千五百億円から九兆五千億円へと増加し、食料自給率は三八%と低迷しています。このことが日本の生産基盤の弱体化につながっているのではありませんか。
 食料・農業・農村基本法は、国民に対する食料の安定供給は、国内の農業生産の増大を基本とすると定めています。農林水産大臣、TPPなどメガFTAが発効している下で更なる自由化は、国の責任を、責務を放棄するものになるのではありませんか。
 RCEP協定では、日本から中国及び韓国への無税品目が一気に拡大します。中国に対しては八%から八六%に、韓国では一九%から九二%に拡大されるので、輸出企業にとっては大きな利益につながります。企業の利益を優先するために農林水産物を差し出したのではありませんか。外務、農林水産両大臣の答弁を求めます。
 しかも、協定には、発効後五年目の一般的な見直しとともに、関税率については二年以内に見直すとしています。外務大臣、これでは輸入農産物の関税率の削減を更に求められるのではありませんか。
 投資の章に、企業や投資家が損害を受けたら相手国を訴えることのできるISDS条項は入りませんでした。しかし、二年以内に討議を開始すること、討議は討議の開始の日から三年以内に完了するとの規定があります。マレーシア、インドネシアなどはISDSに反対しました。国際的にも批判が高まる中、ISDSを無理やり押し込んではなりません。外務大臣の見解を求めます。
 協定には、TPPなどに入っている労働や環境の分野が入っていません。オーストラリア労働組合評議会は、RCEPには労働に関する章がなく、児童労働や奴隷に対するものも含め、労働者の保護が盛り込まれていないとし、批准しないことを求めています。また、国際的には気候変動問題やSDGsなどが重視されています。それなのに、労働や環境の章を設置しなかった理由を、外務大臣、明らかにしてください。
 コロナパンデミックを経験して、自由化一辺倒の貿易ルールでいいのかが問われています。
 昨年、日本のマスクの自給率が事実上ゼロでした。しかし、生命の維持に不可欠な医療用品、医療サービス、食料の権利は特別に重要な課題です。
 二〇二〇年七月、国連の食料の権利に関する特別報告でマイケル・ファクリ氏は、これまでの貿易政策が食料安全保障などに有効な結果を残せなかった。WTO農業協定の段階的な廃止と食料への権利に基づく新しい国際的な食料協定への移行を提案しました。
 経済主権と食料主権を軽視する貿易ルールとは決別すべきではありませんか。外務、農林水産両大臣の答弁を求めます。
 今こそ持続可能な経済社会への転換を求めて、質問といたします。(拍手)
   〔国務大臣茂木敏充君登壇、拍手〕

#44
○国務大臣(茂木敏充君) 紙議員から、まず、交渉経過の説明についてお尋ねがありました。
 一般的に、外交交渉の経過に関する情報については、他国との信頼関係、他の外交交渉に与える影響等を考慮し、少なくとも一定の期間はこれを公表しないことが外交上の恒例となっております。
 その上で、合意された協定の内容等については、これまでも国会の場を含め説明をしてきておりまして、引き続き丁寧な説明に努めてまいります。
 次に、他の協定との比較に関する資料についてでありますが、RCEPやTPP11などの経済連携協定は、いずれの協定も極めて膨大な分量であり、かつ内容が多岐にわたり、それぞれの協定によって参加国、協定の構成や規定の仕方が異なっているため、それを一目で一覧できるような対照表を作成することは困難だと考えております。
 その上で、各交渉に当たっては、決して場当たり的ではなく、国益を懸けた戦略的交渉を行っており、その結果、個別具体的な内容については丁寧な説明に努めてまいりたいと考えております。
 RCEP協定の物品の市場アクセス交渉、また協定の見直しについてお尋ねがありました。
 交渉の結果、特に農林水産品について、全ての参加国との関係で、いわゆる重要五品目について、関税削減、撤廃から全て除外し、関税撤廃率は近年締結された二国間EPA並みの水準としました。これに対して、我が国の関心品目である自動車部品や鉄鋼品を含む工業製品については、対象国全体で九二%の品目の関税撤廃を実現しました。また、農林水産物・食品についても、我が国の輸出関心品目について関税撤廃を獲得しております。
 このように、企業の利益を優先するために農林水産物を差し出したとの御指摘は全く当たりません。
 また、協定の見直しに関しては、その具体的な内容は予断できませんが、いずれにせよ、我が国として国益に反するような合意を行うつもりはありません。
 ISDSについてでありますが、ISDS条項は、公正中立的な投資仲裁に付託できる選択肢を与えることによって国外に投資を行う我が国の投資家を保護する上で重要な規定と考えており、我が国としてはこれを支持してきましたが、交渉の結果、ISDS条項については、協定発効後に改めて締約国による討議を行うことになりました。この討議は、RCEP協定の発効後二年以内に開始をされ、討議開始から三年以内に完了する旨が規定されており、我が国としても、RCEP協定の発効後、ISDSに関する討議にしかるべく臨んでいく考えであります。
 次に、労働や環境に関する規定についてですが、RCEP協定は、国内制度や経済発展状況が大きく異なる十五か国による経済連携協定であり、交渉の結果、TPPに規定された労働や環境に関する規定は盛り込まれませんでした。
 他方、我が国として、これらはいずれも重要であると考えており、協定発効後もRCEP協定のルールの更なる改善、向上に向け、引き続き各国と議論を行ってまいりたいと考えております。
 最後に、経済主権や食料主権と貿易ルールの関係についてお尋ねがありました。
 世界で保護主義や内向き志向が強まる中、日本は、TPP11以来、日EU・EPA、日米貿易協定、日英EPA、RCEPなど、自由貿易の旗振り役としてリーダーシップを発揮してきました。こうした自由貿易の取組は、持続可能なサプライチェーンの構築にも資するものと考えております。
 政府としては、今回の新型コロナの感染拡大の教訓も踏まえつつ、医療品や食料等、我が国の国民生活に不可欠な物資の安定的な供給の確保に努めながら、自由で公正な経済圏の拡大やルールに基づく多角的貿易体制の維持強化に引き続きしっかりと取り組んでいく考えであります。(拍手)
   〔国務大臣野上浩太郎君登壇、拍手〕

#45
○国務大臣(野上浩太郎君) 紙議員の御質問にお答えいたします。
 RCEPにおける農林水産物の影響試算の必要性についてのお尋ねがありました。
 RCEPにおける我が国農林水産品の関税については、重要五品目、すなわち米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物について関税削減、撤廃から全て除外し、また、関税撤廃率は近年締結された二国間EPA並みの水準としました。したがって、国内農林水産業への特段の影響はないと考えており、影響試算を行う予定はありません。
 なお、委員御指摘の試算については、前提条件が不明なため、結果を評価することは困難であると考えております。
 RCEPにおける野菜や果実等の高収益作物への影響額についてのお尋ねがありました。
 野菜や果実等については、中国のリンゴやリンゴ果汁など国産と競合関係にある品目や、中国のタマネギなど生産者団体が国産の巻き返しを図りたいとする品目は関税撤廃の対象外とするとともに、用途や価格面で明確にすみ分けられている中国のショウガ、ゴボウや、輸入のほとんどないASEAN十か国やオーストラリア、ニュージーランドからのネギ、ニンジンについては関税撤廃するものの、長期の撤廃期間を確保しております。
 また、野菜や果実の関税率は比較的低いことから、柿、桃、梨など現在輸入のほとんどない品目については、品質等の面から輸入品に対する国内の需要がない、又は低いものと考えられること、関税が撤廃されても国産の価格等の競争条件が大きく変わるわけではないことから、輸入が増えることは想定しにくいと考えます。したがって、野菜、果実等についても国内産地への特段の影響はないと考えており、影響試算を行う予定はありません。
 次に、メガFTAと国の責務についてのお尋ねがありました。
 RCEP協定の交渉については、我が国の農林水産業が将来にわたって国民への食料の安定供給等の極めて重要な役割を果たしていけるよう、攻めるべきものは攻め、守るものは守るとの考え方に立ってしっかりと交渉に臨んできました。その結果、日本側の農林水産品の関税につきましては、重要五品目について、関税削減、撤廃からの除外を確保しました。
 日本側の農林水産品の関税撤廃率については、ASEAN各国、豪州及びニュージーランドに対しては六一%と、近年締結された二国間EPA並みの水準となっています。また、初めてのEPAとなる中国及び韓国に対しては、それぞれ五六%、四九%と、更に低い水準に抑制しました。したがって、本協定による国内農林水産業への特段の影響はないと考えております。
 農林水産省としましては、TPP等の各協定の成果を最大限に活用していくことが重要と考えており、総合的なTPP等関連政策大綱に基づき、生産基盤の強化や新市場開拓の推進等により確実に再生産が可能となるよう必要な施策を実施しているところであり、これにより食料の安定供給を図ってまいります。
 次に、農林水産物を差し出したのではないかとのお尋ねがありました。
 RCEP協定の交渉に当たっては、我が国の農林水産業が将来にわたって国民への食料の安定供給等の極めて重要な役割を果たしていけるよう、攻めるべきものは攻め、守るべきものは守るとの考え方に立ってしっかりと交渉に臨んでまいりました。したがって、企業の利益を優先するために農林水産物を差し出したとの御指摘は当たりません。
 次に、貿易ルールの在り方についてのお尋ねがありました。
 貿易ルールに関しては、我が国としては国際交渉において、食料輸入国としての立場から、一部の国が導入している輸出規制の問題点を明らかにするなど、公平な貿易ルールの確立を目指し交渉に臨んでおります。今後とも、我が国の主張が最大限反映され、食料安全保障の強化が図られるよう、しっかりと取り組んでまいります。(拍手)

#46
○議長(山東昭子君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────

#47
○議長(山東昭子君) 日程第二 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。総務委員長浜田昌良さん。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔浜田昌良君登壇、拍手〕

#48
○浜田昌良君 ただいま議題となりました法律案につきまして、総務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、不特定の者によって受信されることを目的として行われる特定電気通信による情報の流通によって、自己の権利を侵害されたとする者が増加する中で、発信者情報の開示請求についてその事案の実情に即した迅速かつ適正な解決を図るため、発信者情報の開示請求に係る新たな裁判手続を創設するとともに、開示関係役務提供者の範囲を見直す等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、法改正の背景と改正により期待される効果、法施行後、データを収集して適切に見直しを行う必要性、事業者の取組を支援するための方策、SNSの利用等に関する啓発活動の必要性等について質疑が行われました。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────

#49
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#50
○議長(山東昭子君) 総員起立と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
     ─────・─────

#51
○議長(山東昭子君) 日程第三 農業法人に対する投資の円滑化に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長上月良祐さん。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔上月良祐君登壇、拍手〕

#52
○上月良祐君 ただいま議題となりました法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、農林漁業及び食品産業の持続的な発展を図るため、投資育成事業の対象となる法人として、林業又は漁業を営む法人、食品産業の事業者等を追加する等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、農林漁業における資金調達の在り方、投資対象を拡大する意義、既存の農林漁業成長産業化支援機構との相違等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して紙理事より反対する旨の意見が述べられました。
 討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対して附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────

#53
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#54
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。(拍手)
     ─────・─────

#55
○議長(山東昭子君) 日程第四 防衛省設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。外交防衛委員長長峯誠さん。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔長峯誠君登壇、拍手〕

#56
○長峯誠君 ただいま議題となりました法律案につきまして、外交防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、自衛隊の任務の円滑な遂行を図るため、自衛官定数の変更、インドとの物品役務相互提供協定の実施に係る規定の整備等の措置を講ずるものであります。
 委員会におきましては、インド軍との共同訓練実施の目的、サイバー攻撃への対処に必要な能力や法制、アメリカの衛星コンステレーション構想に対する自衛隊の関与等について質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、立憲民主・社民の小西理事より反対、日本共産党の井上理事より反対、沖縄の風の伊波委員より反対する旨の意見がそれぞれ述べられました。
 次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────

#57
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#58
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。(拍手)
     ─────・─────

#59
○議長(山東昭子君) 日程第五 民法等の一部を改正する法律案
 日程第六 相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律案
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上両案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。法務委員長山本香苗さん。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔山本香苗君登壇、拍手〕

#60
○山本香苗君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、民法等の一部を改正する法律案は、所有者不明土地の増加等の社会経済情勢の変化に鑑み、所有者不明土地の発生を防止するとともに、土地の適正な利用及び相続による権利の承継の一層の円滑化を図るため、相隣関係並びに共有物の利用及び管理に関する規定の整備、所有者不明土地管理命令等の制度の創設並びに具体的相続分による遺産分割を求めることができる期間の制限等に関する規定の整備を行うとともに、相続等による所有権の移転の登記の申請を相続人に義務付ける規定の創設等を行おうとするものであります。
 次に、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律案は、相続等による所有者不明土地の発生の抑制を図るため、相続等により土地の所有権を取得した者が、法務大臣の承認を受けてその土地の所有権を国庫に帰属させることができる制度を創設しようとするものであります。
 委員会におきましては、両法律案を一括して議題とし、参考人から意見を聴取するとともに、相続登記の申請の義務化に伴う負担軽減策及び義務違反に対する過料の在り方、相続人申告登記制度の創設と遺産分割の促進、国庫に帰属した土地の活用方法、相隣関係や新たな財産管理制度等について周知広報を行う必要性、所有者不明土地問題について残された課題等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、順次採決の結果、両法律案はいずれも全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────

#61
○議長(山東昭子君) これより両案を一括して採決いたします。
 両案に賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#62
○議長(山東昭子君) 総員起立と認めます。
 よって、両案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
     ─────・─────

#63
○議長(山東昭子君) 日程第七 令和二年度子育て世帯生活支援特別給付金に係る差押禁止等に関する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。厚生労働委員長小川克巳さん。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔小川克巳君登壇、拍手〕

#64
○小川克巳君 ただいま議題となりました法律案につきまして、厚生労働委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、令和二年度子育て世帯生活支援特別給付金について、差押えの禁止等を行おうとするものであります。
 委員会におきましては、提出者である衆議院厚生労働委員長とかしきなおみ君より趣旨説明を聴取した後、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────

#65
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#66
○議長(山東昭子君) 総員起立と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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