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2021/04/20 第204回国会 参議院 第204回国会 参議院 法務委員会 第9号 令和3年4月20日
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2021/04/20 第204回国会 参議院

第204回国会 参議院 法務委員会 第9号 令和3年4月20日

#1
令和三年四月二十日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十九日
    辞任         補欠選任
     渡辺 猛之君     高橋はるみ君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         山本 香苗君
    理 事
                磯崎 仁彦君
                豊田 俊郎君
                真山 勇一君
                伊藤 孝江君
                清水 貴之君
    委 員
                小野田紀美君
                高橋はるみ君
                中川 雅治君
                福岡 資麿君
                森 まさこ君
                山崎 正昭君
                山下 雄平君
                難波 奨二君
                谷合 正明君
                川合 孝典君
                山添  拓君
                高良 鉄美君
                嘉田由紀子君
   国務大臣
       法務大臣     上川 陽子君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局人事局長   徳岡  治君
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   手嶋あさみ君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        青木勢津子君
   政府参考人
       内閣法制局第一
       部長       木村 陽一君
       総務省自治行政
       局長       高原  剛君
       法務省大臣官房
       政策立案総括審
       議官       竹内  努君
       法務省民事局長  小出 邦夫君
       出入国在留管理
       庁次長      松本  裕君
       財務省理財局次
       長        井口 裕之君
       農林水産省大臣
       官房参事官    大島 英彦君
       国土交通省不動
       産・建設経済局
       次長       吉田  誠君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○民法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
○相続等により取得した土地所有権の国庫への帰
 属に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────

#2
○委員長(山本香苗君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、渡辺猛之君が委員を辞任され、その補欠として高橋はるみさんが選任されました。
    ─────────────

#3
○委員長(山本香苗君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 民法等の一部を改正する法律案外一案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省民事局長小出邦夫君外七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#4
○委員長(山本香苗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────

#5
○委員長(山本香苗君) 民法等の一部を改正する法律案及び相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#6
○豊田俊郎君 どうもおはようございます。自民党の豊田でございます。
 前回の質疑に引き続き、民法の一部改正する法律案及び相続土地国庫帰属法案について質問をしたいというふうに思います。
 私たちの生活で本当に身近ないわゆる課題の改正だというふうに思っておりまして、その中でも、いわゆる相隣関係、越境した枝の切除、これ本当に、御近所付き合いが良くなるのも悪くなるのも、このことが原因でよくそういう問題が起きておりますけれども、でき得るならば今回の改正でこういうものがスムーズに解決されればという思いで質問をさせていただきます。
 今回の改正で、隣地の竹木の枝が境界線を越える場合に、越境された土地の所有者が竹木の所有者に対して催告をしたにもかかわらず相当の期間内に切除されないときは、越境した土地の所有者が自ら枝を切り取ることができるとされています。
 この催告ですけれども、この方法はどのような方法で行うことになるのか、また、相当の期間とは具体的にどの程度の期間になるのかについて、これは法務省の見解を伺いたいというふうに思います。
 その上でですけれども、枝の切取りに関する改正の内容についてしっかりと理解をしていただくために、ガイドラインを作成するなど国民への周知広報活動を工夫する必要があるのではないかというふうに思います。このことも併せてお聞きをしたいというふうに思います。

#7
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、改正法案では、土地の所有者が竹木の所有者に越境した枝を切除するよう催告したにもかかわらず竹木の所有者が相当の期間内に切除しないときに、越境した枝を自ら切り取ることができるとしております。
 ここの改正法に言う催告でございますけれども、境界線を越える竹木の枝を特定した上で、竹木の所有者にその枝を切除するよう求めることが必要になると考えられます。催告の方法に特段の制限はございませんが、一般的には催告の事実を証拠化するために書面等で行われることが考えられるところでございます。
 また、改正法に言う相当の期間でございますが、これは個別の事情を踏まえて判断されるものでありますが、竹木の所有者に枝を切除するために必要な時間的な余裕、時間的な猶予を与えるという趣旨からすれば、基本的には二週間程度は要することになるのではないかと考えております。
 委員御指摘のとおり、越境した枝の切取りに関する新たな規律の適切な運用のためには、その趣旨、内容を広報、周知することが重要でございます。越境した枝の切取りに関するただいま申し上げましたような考え方につきましても、委員の御指摘踏まえまして、今後具体的な周知方法等を検討してまいりたいと考えております。

#8
○豊田俊郎君 書面ということですけれども、やはりお隣の家に、てんきりこの書面で切除というようなわけには実際はまいらないというふうに思います。口頭による申出、そして最終的には書面等によってそれを裏付けるということだろうというふうに思いますけれども、二週間ということでございます。このことは、今日長い間、なかなかその切除についてお願いをするのみでしたので、この辺の広報、特に念入りにお願いをしたいというふうに思います。いわゆる漫画チックであってもいいと思いますし、何らかの方法を考えてもらえればと。
 また、この同じ越境でも、道路管理者、各自治体には国道、県道もありますけれども、市町村道等もございますし、また水路の敷地等もあるわけでございます。これも、いわゆる管理者からすればその隣にある土地は相隣関係ということになるというふうに思いますけど、繁茂した枝が道路に越境し、交通の邪魔になっている場合があるというふうに思いますけれども、道路管理者である自治体は今回の民法改正によってこの課題に対応できるのか、この辺の見解を伺いたいというふうに思います。

#9
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 竹木の枝の切取りに関する規律は、隣接地における土地所有者と竹木所有者との権利関係を調整するものでございまして、国や地方公共団体が所有している道路に竹木の枝が越境している場合にも適用がございます。
 したがいまして、道路を所有する国や地方公共団体も、改正後の民法の条項で言うところの土地の所有者として、同条項に基づき道路に越境した枝を切り取ることができるようになると考えられます。

#10
○豊田俊郎君 これも、自治体の議会等では、よく通学路なんかに繁茂した枝が出ていて、よく議員の方から、管理責任者として伐採しろというような要望がよく届けられるわけでございますけれども、このことにおいても今回の法改正で対応が可能になったということでございますので、大変心強く思っております。
 続きまして、所有者不明土地の管理制度についてもお伺いをしたいというふうに思います。
 東日本大震災の際にも、不在者財産管理制度、これを利用されていたというふうに記憶をしております。管理人候補者のリストの作成などの関係者の努力によって、選任までのスピードもあり、その利用が進んだというふうに承知しているところでございます。
 しかし、不在者財産管理制度は、問題となっている土地以外の財産についても管理をしなければならない仕組みになっており、他の財産の範囲等を調査するために、申立人や管理人に時間や費用の負担を生じさせておりました。
 また、問題となっている土地が処分されても他の財産の管理を継続しなければならず、実際にも何年にもわたって管理が継続しているケースは少なくないと承知をいたしているところですが、そうしますと、管理人の報酬など管理に要する費用もかさみ、予納金の高額化という形で申立人の負担に跳ね返ってくるというふうに思います。
 さらに、例を挙げれば、この土地のその共有のケースですけど、共有者のうち二人が行方不明になっているケースがあったとします。それぞれについてこれ個別の管理人が選任されてきたわけでございますけれども、単純に計算すると、これ二人選任するわけですから、負担も二倍になってしまうという、こういう状況なんですけど、更にコストがかさむという問題がございます。
 これらの問題は運用の改善等では限界があるという指摘があったところであるが、今回の改正ではこのような時間や費用の負担は軽減されるのか、その辺、まあ今のケースで結構ですので、どのぐらいその費用や負担が軽減されるか、見解があればお聞きしたいというふうに思います。

#11
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、所有者不明土地問題を解決するため、これまでも既存の不在者財産管理制度などが活用されてきたものと承知しております。もっとも、その利用に当たりましては、特定の土地のみを管理すれば足りるケースなどにおいては効率的ではなく、使いづらいなどといった様々な指摘がされてきたところでありまして、改正法では、そのような指摘を踏まえ、所有者不明土地管理制度を新たに創設することとしております。
 所有者不明土地管理制度は、特定の土地のみに特化してその管理を行うものとしているため、この制度を利用するに当たっては申立人や管理人において他の財産としてどのようなものがあるのかといったことを調査する必要はございません。また、当該土地の管理が終了すれば管理人の職務は終了することとし、ほかの財産のために不必要にその管理を継続するといった事態も生じないことになります。これによって、時間及び費用の両面において利用者の負担が軽減されるものと認識しております。
 また、所有者不明土地管理制度では、一個の土地に所在等が不明な共有者が複数いる場合でも、その複数の持分につき一人の管理人を選任することができることを前提としております。そのため、現行法の下で二人以上の不在者財産管理人が選任されていたケースでも、改正法施行後は、一人の所有者不明土地管理人が選任され、その管理人によって事案が適切に処理されることが可能となります。これによりまして、これまでは二人以上の管理人を選任することによって生じたコストが軽減されることになるものと認識しております。

#12
○豊田俊郎君 大変効率が良くなるというふうに思います。全体を今まではどうしてもその管理人として選任をしなきゃならなかったのが、その土地に特化した選任ということでございますので、これも国民にとって大きな利益になるというふうに思います。
 続いて、新法関係なんですけれども、相続土地国庫帰属法関係について何問か質問したいというふうに思います。
 相続土地国庫帰属制度と、実は今までの話の中にも出てまいりましたけれども、いわゆる相続の際に物納をするという物納の制度があるわけでございますけれども、いずれも、相続により取得した土地を対象としている点では共通しているというふうに思います。相続した土地を手放したいと考えている土地所有者とすれば、相続、そのときにもう手放したいと思っている所有者とすれば、相続土地国庫帰属制度、今回の制度を利用しなくても私は土地を物納すればよいというふうに思えます。
 そこで、相続土地国庫帰属制度と物納の違いを具体的に御説明をいただければというふうに思います。

#13
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 相続土地国庫帰属制度においても、あと御指摘の相続税の物納制度におきましても、相続によって取得された土地の所有権が行政処分を経て国に移転し、国においてその土地を普通財産として管理、処分する点で共通しております。
 相続税の物納制度でございますが、これは金銭での納税義務を負う相続人が、一定の場合に税務署長の許可を得て、金銭に代えて土地等の物を給付することで納税義務を果たすことを認める仕組みでございます。これに対しまして相続土地国庫帰属制度は、相続により土地を取得した者が、一定の要件の下で、法務大臣の承認を得て土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする仕組みでございます。
 相続税の物納は、金銭による納付が困難な場合に納税者に代わって国が財産を売却することによってそれを国家の収入とするものでございますので、基本的にその財産を換価することが予定されているものと承知しております。これに対しまして相続土地国庫帰属制度におきましては、この制度の趣旨からして、土地の換価の可能性をその要件において考慮していない点で物納とは異なるものと考えているところでございます。

#14
○豊田俊郎君 よく分かりました。
 同じような制度の中で、相続放棄という仕組みもございます。これもやはり、相続によって土地を取得した所有者としては、相続放棄をすれば負担金などをいわゆる納めなくても土地を手放すことができる制度があることは皆さん御案内のとおりだというふうに思います。
 そこで、今法案と相続放棄の違い、これも具体的にどのような点に差異があるのか、御説明を願いたいというふうに思います。

#15
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 相続土地国庫帰属制度は、相続人が相続の承認をして被相続人の財産を包括的に承継したことを前提とした上で、相続財産の中にその取得を望まない土地が含まれており、かつ、法律で定められた一定の要件を満たす場合に個別に法務大臣の承認を受けることによって国庫に帰属させることができるという制度でございます。この場合、相続人はほかに有利な資産も相続していることも多いため、不要な土地のみを手放すことを認めるに当たりましては管理コストの転嫁やモラルハザードのおそれに特に配慮する必要があり、これらの点に配慮して一定の要件を課すこととしております。
 これに対しまして、相続の放棄は、法定相続人が法定の期間内に家庭裁判所に相続の放棄の申述をすることにより被相続人の権利義務を承継しないこととするものでございます。したがいまして、相続放棄をした法定相続人は相続財産を一切取得することができず、法定相続人全員が相続の放棄をした場合において、所要の清算手続を経てもなお相続財産に残余の土地があるときは、その土地は国庫に帰属することとされているものでございます。このようにして、国庫に帰属する土地につきましては特に土地の性状等を考慮した要件は設けられておらず、この点で相続土地国庫帰属制度とは違いがあるものでございます。

#16
○豊田俊郎君 よく分かりましたけれどもね、実際これ、現場ではモラルハザードを起こす可能性が私はあるというふうに思っております。要は、必要な土地であれば相続発生前に売却をするなり処分をするなり分割をするなり贈与するなりという、こういう手法でいわゆる相続分を減らし、それで、要するに価値のない土地、まあ問題になるのはこの帰属法の中で述べられている、要するに瑕疵のある土地については帰属法では受けないということですけれども、この放棄ということになりますと、これは受けないというわけにはまいりませんので、この辺はよほど詰めた私は対応が実際は必要になってくるというふうに思っております。これ盲点になりますから。要らない土地だけ最後まで残しておいて、それで相続発生した際にそれを放棄をすればいいということになりますから、この辺については今後実例等も、いろんな実例が発生するというふうに思いますけれども、その辺も見極めながら法の充実を図っていければというふうに思います。
 そのほか、実はこの土地の帰属の際に境界を明示する、しないというような議論もされておりました。いわゆる境界には所有権境界と公法上の筆界があることは審議の中でも皆さんお分かりいただいたというふうに思いますけれども、物納の際には公法上の筆界が一つの基準になっているというふうに思います。今回は所有権界で表示したのみで足りるということでございますけれども、このことにおいても将来にわたっていろんな検証が必要だというふうに思います。そのことは意見だけ述べさせておいていただきたいというふうに思います。
 三日間にわたり質疑をさせていただきましたけれども、この法律が、是非、国のいわゆる新たな制度の中で国民にとって利益が及ぼされることを願って、質問を終わります。
 ありがとうございました。

#17
○真山勇一君 立憲民主・社民会派の真山勇一です。どうぞよろしくお願いします。
 この所有者不明土地問題、九州の面積よりも広い四百十万ヘクタールというふうに言われている土地が、所有者今現在不明ということで、しかも、これ二十年後ですか、二〇四〇年、二十年もしこのままの状態が続けば北海道と同じ大きさになると。本当にそれ、持ち主のない土地が日本国土のそんな大きな面積があるのかというのはこれやはりちょっと驚きだと思うんですね。やはりそのまま見過ごせない問題ということで、今回の改正、これまさにやらなければならないところに迫ってきているんではないかというふうに思います。
 生み出す原因というのは、一つはその相続が発生したときに名義変更が行われないということと、それからもう一つ、こちらが難しいんじゃないかなと思うんですが、長期間放置状態が続いてしまって、登記名義人のその相続人、もう代々いってしまって分かんなくなってしまうというようなことも今あるんではないか、そんな気がします。
 そうした土地は、かなりこれ今後難しいかなという気もいたしますけれども、まずお伺いしたいのは、不明土地の解消ということで、今回相続登記の申請義務ということが新しく設けられました。相続人が取得を知った日から、相続を取得した日から三年以内に登記をするということなんですけれども、まず、取得を知った日ということですね、これ、いつになるのかなというふうに思うんですけれども、この知った日の定義というのは何かございますか。

#18
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 今般の不動産登記法の見直しにおきましては、相続により不動産の所有権を取得した相続人に対しまして、その取得等を知った日から三年以内に相続登記の申請をすることを義務付けるとともに、正当な理由がないのにその申請を怠ったときは十万円以下の過料に処することとしております。
 この登記の申請義務を履行すべき期間の始期につきましては、登記の申請義務が発生することを登記義務者において明らかに認識できるようにするため、自己のために相続があったことを知り、かつ当該所有権を取得したことを知った日としておりまして、単に自らが相続人となる相続があったことを知ったことだけではなく、具体的に不動産を取得したことを知ることまで必要としているものでございます。
 例えば所有権の登記名義人に相続の開始があった場合に、相続人において、そもそも当該所有権の登記名義人に相続が開始した事実を知らないケース、あるいは相続又は遺贈の対象となった不動産の存在自体を知らないケース、また具体的な土地の地番等までは把握していないなどといったケースにつきましては、この要件を満たすことはない、要するに知ったとは言えないということで、相続登記の申請義務は生じないことになるものと考えられます。こういった事実を具体的に知ったときが知った日ということで解釈されるものと思います。

#19
○真山勇一君 今の御説明ですと、その相続人が条件として具体的にかなり知り得ないとその知った日ということにならないというふうに解釈をするんですけれども、あと、それは一人だったらそういうことで、その人がどのぐらい具体的に知ったかどうかということである程度日は特定できると思うんですけれども、例えばこの相続が起きた土地が複数相続人がいる場合、そういう場合は知った日というのはどこを基準ということになるんでしょうか。

#20
○政府参考人(小出邦夫君) 相続登記の申請義務は個々の相続人ごとにその発生を判断いたしますので、相続が発生した不動産に相続人が複数いた場合には、その相続人ごとに相続が起こり、かつその土地を取得したことを知ったかどうかということを判断することになります。

#21
○真山勇一君 私がちょっと気になったのは、やっぱり複数いると、知った日というのはばらばらになるわけですね。タイムラグと言うと分かりやすいと思いますけど、タイムラグができると。ですから、最初の人が知った、まあ何人か複数いた場合、最初の人が知った日と一番最後の人が知った日というのは必ずずれが出るんじゃないか、みんなが一斉に同じようなときに知ることができるかどうか、それは、そういうこともあるでしょうけれども、どちらかというとばらばらになってしまう。つまり、連絡をしたりなんかしてタイムラグができるんじゃないかということで、それは結局、それぞれ個人個人ということになるわけですね。

#22
○政府参考人(小出邦夫君) 委員御指摘のとおりでございます。

#23
○真山勇一君 そうすると、三年以内というのも、多分、私の解釈では、そうすると一番最後の人が知った日になるのかなという気がするんですが、その辺はいかがでしょうか。それから、罰金、その場合の、もし三年以上たってしまうときに過料というのもあるんですけれども、過料というのはどういうふうに掛かることになるんでしょうか。

#24
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 先ほど、知った日の定義につきまして、個々の相続人ごとに判断するというふうに申し上げましたので、その相続登記の申請義務が履行されたかどうか、あるいは、正当な理由がなくて履行されなくて過料を科す必要があるかどうかということにつきましても、それは個々人ごとに判断されるということでございます。
 ですから、早い時期に相続によって不動産を取得したということを知っている相続人につきましては過料を科されても、相続登記を、相続したことを知らなかった相続人についてはまだその期に至っていないということも十分あり得るわけでございますが、これもこの委員会で何回もお答えさせていただいておるところでございますが、過料の制裁を科すに当たりましてはやっぱり不公平になってはいけないというふうに考えておりまして、単に申請義務の履行期間を経てからの登記がされたということではなく、登記官において個々の相続人の事情を酌みまして、催告してそれに応じないで、応じないのにも正当な理由があるとは言えないというような場合に過料を科すという、そういう運用を想定しておりまして、それは通達等においても明らかにする予定にしているところでございます。

#25
○真山勇一君 やはり、過料が科せられるということもありますし、いろんな諸条件があるということで、弾力的な運用って非常に大事じゃないかという気がしておりますので、是非その辺の御配慮は留めておいていただきたいというふうに思います。
 この相続を知る理由の中に、やはり現在の登記名義人が亡くなった、死亡したということだと思うんですが、その死亡した事実を知るというのがとても今の現状の中ではなかなか難しい。死亡届が出されるのは、これ多分、地方自治体の窓口ということになるんじゃないかと思うんですが、これが、本人が相続人になったことをやっぱり知るためには、その死亡届、登記名義人の死亡届、死亡を知らなくてはいけないと思うんですが、この死亡届というか死亡を知る手段というのはどんなふうに考えておられるんでしょうか。

#26
○政府参考人(小出邦夫君) それこそ、その相続人に関わる親族の生活状況とか居住状況等によって変わり得るものだと思います。もちろん、死んだことを、直接死んだ現場にいなくても、相続人、ほかの親族から伝え聞くこともあるでしょうし、今回の改正法の中身でいえば、登記所が死亡情報を取得したときにはその旨を符号で付する制度も用意しておりますので、それによって死亡の事実を知るということもありますし、昨年七月十日から開始されております法務局の自筆証書遺言の保管の制度におきましても、遺言を残して死亡された方が、自分が死んだときには、この範囲の親族に自分が死んだことを、遺言書が保管してあることを通知してほしいというようなことを希望された場合には、登記所の、法務局の方から通知が行くことになっておりますので、そういった形でも知ることがあろうかと。
 いろんな形態によって知ることがあり得るんだろうなと思いますが、ちょっと網羅的にこういう場合が多いんだろうということは、ちょっと申し上げるのは難しいところでございます。

#27
○真山勇一君 やっぱり告知するということと知ることが、そこが抜けてしまうとなかなかうまく相続もいかないんじゃないかなという気がしますので、そういう体制は是非必要じゃないかなというふうに思います。
 それから、もう一つ、転居したときも氏名とか住所を変更を義務付けていますね。これはどういうことになるんですか。

#28
○政府参考人(小出邦夫君) 所有者不明土地の発生原因の一つといたしまして、相続登記が未了なことに加えまして、住所変更登記が未了なことということが原因の一つとされております。
 特に住所変更登記の未了は、都市部の方で所有者不明土地が発生する原因としては相続登記の未了より多いというような調査結果もございますので、その意味で、今回、住所変更登記につきましても義務化した上で、またこれも正当な理由がない場合に二年以内に変更の登記がしていただけない場合には過料の制裁を付することとしております。
 それと同時に、変更登記申請のその義務化の負担軽減のために、登記所の方におきましても住基ネット等と連携いたしまして、住所変更の情報をつかんだ場合には、自然人の場合、個人、自然人の場合には申出をしていただくことを促すことによって、また職権で変更登記をするというようなことも併せて実施いたしまして、変更登記の義務化と、それに伴う負担軽減策を講ずることとしたものでございます。

#29
○真山勇一君 二年以内ということで、結構、自分が住んでいない土地だとうっかりってなると思うんですよね。自分が住んで引っ越したならば住所変更や何かやると思うんですが、やはり住んでいない土地を所有している場合、そこの住所変更ってうっかり忘れちゃうということがあると思うんですね。
 その場合、二年経過しちゃうと罰金が、過料が五万円というふうに伺っていますが、やはりそういう過料がある以上、別に意識して放置しておいたわけじゃないんだというようなこともありますけれども、この住んでいない土地を忘れちゃった場合でも、やはり引っ越した日から、あなた、もう二年たちましたよということで適用されるのかどうか、その辺りはどうですか。

#30
○政府参考人(小出邦夫君) 条文上は、住所を移転して、住所を移転したときに二年以内に変更登記をしていただかない場合には過料の制裁が掛かってくるということでございますけれども、これも先ほど申し上げましたとおり、住所変更ができないような事情があるかどうかということは、もう法務局の方で確かめさせていただきます。
 例えばDVがあって住所の変更登記ができないとか、病気で入院していて住所の変更登記ができないということもありますし、また、先ほど申し上げましたとおり、法務局の方でも住基ネット等から住所変更の事実、異動をシステム連携によって取りにいきますので、それによって住所変更をされた方にまた申出を催告するというような形で、その過料の制裁を科すかどうかについてもまた弾力的に運用してまいりたいというふうに考えております。

#31
○真山勇一君 やっぱり死亡届と同様に、その住所変更というのもなかなか相続人が、本人の方に届かないときも多いんじゃないかなという気がしますので、是非この辺り、今答弁にあったように、どうやって相続人になった人に伝えるかということ、これはやはりやっていかなければいけないことじゃないかなというふうに思います。
 例えば長期間相続登記しないで放置された土地というのは、やはり相続人が、場合によっては数十人とかそれから数百人、三桁になる場合もあるというようなことを伺ったんです。共同のその相続人が増えてしまう。そうなればなっただけ、その探す、探索するということが大変じゃないかと思うんですが、その探索とか、それから利害関係の調整、手間、費用、これが膨大なものになるというふうに予想されているんですけれども、今回のこの相続登記の申請義務化とその過料という新しい制度ですね、これ現実的な登記の促進要因になるというふうに期待していらっしゃるのかどうか、教えてください。

#32
○政府参考人(小出邦夫君) 委員御指摘のとおり、数次相続が行われて相続人の範囲が非常に広いというようなケースもあり得るんだろうと思います。ただ、事案に応じて、それでも、相続人申告登記等を含む簡易な方法、手段による相続登記が期待できる場合もあるとは思いますけれども、委員御指摘のように、数十人、数百人単位で共同相続人が出てきてしまって、その探索や利害調整の手間や費用が膨大になるような場合に、今回の過料の制裁の規定の存在をもってその登記の促進の要因になるのかと言われると、そこはなかなか現実には難しいところが、場合があるのではないかというふうに考えています。
 今般の不動産登記法の見直しにおきましては、所有者不明土地の発生予防の観点から、既に数代にわたって相続が発生しているような相続未登記の事案も含めまして、改正法の施行前において相続が開始しているケースについても相続登記の申請を義務付けることとしております。これは、やはり既に相当数の相続未登記の土地が全国に存在するために、やっぱり施行後に相続が生じたもののみを適用対象とすることでは対応が不十分という指摘が強いことを踏まえたものでございます。
 他方で、数代にわたって相続登記が、相続関係が登記されておらず、冒頭申し上げましたように、相続人の調査、把握や、財産処分がされていないことの把握に著しい手間を要するような事案につきましては、所定の要件に照らして、新法の要件に照らしまして、相続登記の申請義務が生じないことや、申請をしないことに正当な理由があるというふうに認められることも想定されるところでございます。
 法務省といたしましては、相続登記の申請の義務の重要性、これは前提としますが、正当な理由があると判断することがあり得るケースにつきましては、丁寧にその事情を酌むように運用を行うべく、制度の実施に当たりましては、この正当な理由の具体的な類型についても通達等において明確化するほか、裁判所に対する過料通知の手続も省令等に明確に規定する予定にしております。

#33
○真山勇一君 今お話にあったように、その相続人が関与していない、本当に数代前の相続登記まで遡る場合というのは、たくさんそういうケースあると思いますね。最近になって、除籍された戸籍の付票とか、あるいは住民票の除票の保存期間延長されましたけれども、かつてはこうした付票とか住民票、除票というのは五年で廃棄されていたというふうに伺います。このために、その相続人探索が困難なことが多いと思うんですね。
 やはり、こうしたものの保存というのは大事だと思うんですけれども、これは、今後のこの期間が延長されたことによって、その部分はいいかもしれませんが、除籍されちゃった部分というのはこれどうしても困難じゃないかと思うんですが、この辺りの対応はどんなふうに考えておられますか。

#34
○政府参考人(小出邦夫君) 公共事業の場面をちょっと念頭にして御説明させていただきますけれども、公共事業に当たって所有者探索を行う場合ですが、まず、所有権の登記名義人の登記上の住所地に所有者が所在しているかどうかを調査いたします。そして、所有者が所在していない場合には、登記名義人の住民票の写しや住民票の除票等を請求して、その現住所等を調査して所有者を探索することになります。また、探索の結果、登記名義人について相続が発生していることが判明した場合には、戸籍や戸籍の付票等を確認して相続人の住所を探索することになります。
 しかし、所有権の登記名義人やその相続人の住民票の除票や戸籍の付票の除票などが保存期間の経過によって廃棄されていたような場合には、これらの公的書類から所有権の登記名義人やその相続人を特定することは困難となります。
 それで、公共事業のうち、収用適格事業や都市計画事業を実施する場合に当たりましては、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法に基づきまして、固定資産課税台帳等に記録されている納税者の情報等も調査して、これらの情報に基づいて所有権の登記名義人やその相続人の特定を試みることになります。
 以上のような調査を経ても最終的に所有者の把握が困難である場合というのもあり得ますが、このような場合であっても、所有者不明土地を対象とする土地収用は可能でありまして、かつ、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法によって、所有者不明土地の収用に関してはより簡易な手続によることも可能とされていると承知しております。

#35
○真山勇一君 公共事業の場合はやっぱりかなりそういうところで改善はあると思うんですが、民間の個人の所有ですと、やはり実際のその記録がなくなってしまっているというのは、なかなかちょっと障害となって残るのかなという、そんな懸念も感じております。
 ちょっと時間がなくなったので質問を少し先へ行かせていただきたいと思うんですが、山林とか原野、特に境界の特定の問題ですけれども、これも大きな問題だと思うんです。
 実際に、なかなか現在のその登記の、登記している人間を特定するのが難しかったり、それから、特に境界線が分からないというときは大変その測量などをしなくてはいけないということで難しいと思うんですが、現実的に山林とか原野というのはなかなか経済的に価値があるかどうか難しい、そうした土地のために、相続人としては、例えば境界の確定のためにかなりの負担とか時間を掛けることになるということなんですね。
 そうではなくて、国の責務、国の責任として、国土調査、こうした事業、それから地図の整備などは国がやるべき役割ではないかというような意見も強いんですけれども、この土地の境界を特定していくということについて、国の役割も私は重要じゃないかと考えるんですけれども、これは大臣に伺いたいと思うんですけど、これはどういうふうに考えていらっしゃるでしょうか。

#36
○国務大臣(上川陽子君) 委員御質問の土地の境界のことでございますが、不動産登記法の第十四条第一項に定められております登記所備付け地図ということでございますが、これは登記された各土地の区画を明確にし、現地における各土地の境界の、あっ、筆界の位置、そして形状を明らかにするものでございます。
 この登記所備付け地図を整備していくことにつきましては、土地取引の円滑化、また災害後の復興整備事業等の迅速な実施等に資するものでございまして、重要な役割を果たすものと認識をしております。
 平成十五年の六月に内閣に設置されました都市再生本部におきまして、民活と各省連携による地籍整備の推進と題する方針、これは平成地籍整備の方針ということでございますが、これが示されまして、これに基づいて、平成十六年度から法務省と国土交通省とが連携をして地籍整備事業を推進することとされたところでございます。その中では、人口集中地域、DIDであって公図と現地のずれが著しく大きな地域につきましては、法務局が自らこの地図を作成することとされているところでございます。
 他方で、それ以外の地域につきましては、国土交通省が所管し、市町村等が実施する地籍調査によりましてこの地図を作成することとされております。特に、山林につきましては、第七次国土調査事業十箇年計画に基づきまして、リモートセンシングデータの活用などの効率的な調査方法の導入を促進しながら地籍調査を推進しているものと認識をしております。
 法務省といたしましては、今後とも関係機関と連携をしながら、法務局が主体的に行う登記所備付け地図の整備作業、これを着実に進めていくとともに、市町村等が実施する地籍調査に対しましても積極的に協力をし、登記所備付け地図の整備を着実に進めてまいりたいというふうに考えております。

#37
○真山勇一君 ありがとうございました。
 是非積極的によろしくお願いします。
 それから、時間がなくなりましたので、最後に一つお伺いしたい。
 先ほど豊田委員も取り上げましたけれども、隣地関係の見直し、これで越境したその枝の切取りが今回できるようになったという話があります。今回のこの改正、これは所有者不明土地の改正なんですけれども、この隣から伸びた木の枝というこの規定を設けた意図、意味というのはちょっとどういうものなのかなと知りたいと思いますので、教えてください。

#38
○政府参考人(小出邦夫君) これは、今回の所有者不明土地の利用の円滑化を図る方策といたしまして、民法で共有関係の規定、あるいは管理人の規定等の改正法案を提出させていただいておりますが、民法の相隣関係の規定の規律の内容が不明確であって、利用しにくいというような声もございましたので、今回、併せてこれについても改正したわけでございます。
 具体的に、竹木の枝の切取りですけれども、現行法上、土地所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときには、竹木の所有者に対して枝を切除させることができるとされております。しかし、この規定はあくまでも竹木の所有者に対して切除を求めることができるとするものでございまして、竹木の所有者がこれに応じない場合に土地の所有者が自ら枝を切り取ることは認められていないわけでございます。
 そのため、竹木の所有者が枝を切除しない場合には、訴えを提起して、その所有者に枝の切除を命ずる判決を得て、強制執行の手続を取るほかないわけですが、枝の切除を実現するために常に強制執行の手続によらなければならないとすると、救済を受けるための手続が過重で利用しづらいという指摘もございましたし、竹木の枝というのはいずれまた伸びていきますので、土地の所有者は竹木の所有者が枝を切除しない場合には、竹木の枝が越境する都度訴えを提起する必要が生じて煩雑であるという指摘もございました。
 そこで、改正法案では、越境した枝の切除に関する権利の内容を見直すことといたしまして、これから申し上げる三つの要件のいずれかを満たすときに自ら越境した枝を切り取ることができることとしております。
 まず、竹木の所有者に越境した枝を切除するよう催告したにもかかわらず竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき、それから、竹木の所有者を知ることができず、また所在を知ることができないとき、最後に、急迫の事情があるときという要件、この三つの要件が満たされるときには土地の所有者は自ら越境した竹木を切り取ることができることとしたものでございます。

#39
○真山勇一君 まず催告するということ、それが、そのことで実行されない場合は自ら切ることができるということだというふうに思いますけれども、これ、私やっぱりこれまでの近隣トラブルの解決に一石投じるものじゃないかというふうに思っているんです。
 私が前やっていた仕事、テレビなんかでもこういうお隣の近隣トラブルで典型的ですね、空き家とか、お隣から出た木を切れないんだけどどうにかならないかみたいな話があります。これ、割合と身近な問題だというふうに思うんです。
 先ほどの話の中でちょっと抜けた、ちょっと知りたいなというところがあります。隣、お隣さんがいるときは結構なんですが、もしこのお隣、この土地持っている人誰だか分からない、全くその催告したいにも相手が分からないという場合はどうなりますか。

#40
○政府参考人(小出邦夫君) 自ら竹木の枝を切り取ることができる要件といたしまして、一つ、竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときというものが設定されておりますので、この場合には自ら切り取ることができるということになります。

#41
○真山勇一君 それからもう一つ、今回のこの決まりですと、お隣同士と何かいわゆる直接交渉、交渉というか、直接その事に当たるという、当事者に任せるようなことなのかなというふうに思うんですね。
 一つは、当事者に任せると、やっぱりトラブルってなかなかこの辺難しいと思うんですが、そういう場合、何か調整とか仲介とか、そういう役割のものというのはあるんでしょうか。

#42
○政府参考人(小出邦夫君) 委員御指摘のとおり、一定の要件を満たした場合には、越境した竹木を自ら土地の所有者が切り取れるわけでございますので、竹木の所有者としては、切り取った土地の所有者との間でトラブルになる可能性はあると思います。
 ただ、これ急迫の事情があるときとか所在が知れないとき以外は必ず催告することにしておりますので、その催告を受けた時点で竹木の所有者は自ら適切に枝を切除するようになることが期待されているところでございます。必要な部分を超えて枝を切ったりしてしまったら今度は費用負担の問題とかでもトラブルになりますので、自ら竹木の枝を切り取る権利も留保しつつ催告をして、その催告に応じて枝の切取りを自らしない場合には切り取られてしまうという、そういう立て付けにすることによって、当事者同士で基本的には話し合って適切な解決が図られることが期待されているんだろうというふうに考えております。

#43
○真山勇一君 ありがとうございました。
 大変これ、多分日常生活の中で興味持つ部分だと思うんですけれども、やっぱりそのトラブル、解決をしようと思ったトラブルが余計トラブルになるかなと、そんな心配もちょっとありましたのでお伺いしました。
 時間になりましたので終わります。ありがとうございました。

#44
○谷合正明君 公明党の谷合です。
 この通常国会では、行政のデジタル化を進めていくことは政権の柱ともなっております。そこで、不動産登記制度の見直しと行政のデジタル化につきまして質問をいたします。
 不動産登記につきまして、オンラインによる申請件数は、令和二年の速報値で五百九十五万件とされております。相続登記の申請が義務化されることに伴いまして、登記の手続的な負担を軽減する方策が重要であります。
 そこで、まずは法務大臣に伺いますが、不動産登記のオンライン申請に関する運用上の問題点と、不動産登記法の改正を踏まえた今後の法務省における行政のデジタル化への取組や意気込みについて伺いたいと思います。

#45
○国務大臣(上川陽子君) 不動産登記につきましてのこのオンラインの申請、先ほど数字お述べいただきましたけれども、全体の六割を超えているところでございますが、その大部分を司法書士等の資格代理人によるものが占めている状況でございます。本人がオンラインでの登記申請をする割合は低水準にとどまっていると承知をしております。その原因は、オンライン申請に対応するために生ずる手間やコストによりましてオンライン申請が敬遠されているという点にあると考えられているところでございます。
 今般の不動産登記法の改正におきましては、例えば、住所等の変更登記につきまして、負担軽減という観点から、登記官が他の公的機関から住所等の異動情報、これを取得し、これを職権的に登記記録に反映させることとしておりますが、この際の登記名義人の意向の確認については、オンラインによることも検討しております。かつ登記申請と比べましてより迅速、簡易な仕組みとすることを検討しているところでございます。
 法務省といたしましては、この所有者不明土地対策におきまして、このような取組にとどまらず、法務行政のデジタル化一般に関しましても、利用者の利便性の向上、業務の効率化や、また質の向上を図る観点から、AI等の新しい技術も取り入れつつ、取組を加速してまいりたいと考えております。

#46
○谷合正明君 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 相続登記におきましては、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本が必要であるなど、手続的な負担が大きいと承知しております。今後行政機関の情報連携により登記申請時に戸籍謄本の添付を省略することはできないのかといった議論もあったと思います。
 今回の改正では、相続人の手続的な負担を軽減するため、相続人申告登記の制度を設けることとしています。相続人申告登記について、オンラインでの申請ができれば、より手続的な負担を軽減することにつながります。
 また、相続人申告登記は、司法書士等の専門家に依頼しないでも個人でできる手続を想定しているとのことであります。したがいまして、オンラインでの申請も、先ほど大臣の答弁もありましたけれども、一般の方が利用しやすい、利便性のあるシステムを構築する必要があります。
 この戸籍謄本の件も含めまして、以上、法務省の見解を伺いたいと思います。

#47
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 今回の不動産登記法の見直しにおきましては、委員御指摘の、その戸籍とのシステム的な連携を図って登記申請時に戸籍事項証明書等の添付を省略するといった施策を行うこととはしておりません。
 今回戸籍とのシステム的な情報連携を実施しなかったのは、戸籍につきましては、個人ごとに戸籍情報が備えられているわけではなく、相続関係を示す情報も備えていないことに加えまして、コンピューター化される前の戸籍が紙又は画像データで保管されていることなどから、現在それぞれの戸籍の情報がひも付けされているとは言えないために、現時点におきましては情報連携のためのシステム構築が困難であると考えたところによるものでございます。
 次に、委員御指摘の相続人申告登記につきましては、これ相続登記の申請を義務化、義務付けることに伴いまして、その申請手続の負担軽減を図る観点から新設することとしたものでございます。所有権の登記名義人の相続人からの申出を受けた登記官が職権により登記をすることを想定しておりますところ、通常の相続登記の申請と比べて添付すべき戸籍事項証明書等は簡略なものとすることを想定しております。
 また、オンライン化につきましてですが、この相続人申告登記制度は、通常の相続登記と異なりまして、登記の申請によるのではなく申出による手続としているため、一般の登記申請と比べて手続はより簡素なものとすることを想定しております。例えば、申出の手続につきましては、郵送等の手段による申出に加えまして、御指摘のオンラインを通じて簡易に行うことができるようにすることなどが検討課題となるものと考えております。
 法務省といたしましては、相続人申告登記の申出について、相続人の負担軽減を図ることができるよう工夫を重ねてまいりたいと考えております。

#48
○谷合正明君 そうしたことの周知も大事だと思いますので、しっかりお願いしたいと思います。
 税負担の軽減についてはちょっと飛ばさせて、一旦飛ばさせていただきまして、国庫帰属の要件について何点か確認したいと思います。
 法制審議会の部会における議論の過程では、国庫帰属の要件が厳格であるとして、全国市長会及び全国町村会から意見書が提出されました。
 意見書によりますと、法制審議会の部会では、農用地や林地については国庫帰属の承認申請に先立って市町村の窓口へ申し出ることを義務付けることが検討されていたようでありますが、まず、これはどのような理由によるものでしょうか。結論として市町村の窓口への申出につきましては要件としないことになったわけでありますが、法制審議会の部会では意見書の提出を踏まえてどのような検討がなされたのでしょうか、確認いたします。

#49
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 農用地あるいは森林につきましては、これらの土地を適切に集約して維持して利用するという政策的な観点から、農業経営基盤強化促進法あるいは森林経営管理法等の既存の法律において、利用権を設定したり売却をあっせんしたりするなどの仕組みが既に整備されております。法制審議会民法・不動産登記法部会においては、農用地及び森林については、地域における効率的な土地の利用を促すため、承認申請に先立ってこうした既存の制度の利用を申し出なければならないものとする規律を設けることについても検討が行われたわけでございます。
 もっとも、この案につきましては、委員も御指摘のとおり、全国市長会及び全国町村会から意見書が提出されております。その内容ですけれども、市町村への事前の申出を義務付けることは農用地及び森林の所有者に過重な手続的負担を強いることになること、それから市町村等の事務負担が増大することなどを内容とするものでありまして、慎重な検討を求めるという意見書が提出されたものでございます。
 こういった意見書も踏まえました法制審議会の民法・不動産登記法部会において調査審議をした結果、この農用地及び森林の相続人や市町村のその手続負担あるいは事務負担の増大といったことは、これは無視することはできず、地域における効率的な土地利用については、関係機関が連携して既存制度の一層の周知、広報をすることによって促進することが可能であることなどを考慮して、最終的には先ほど申し上げたような規律は設けないという結論に至ったものでございます。

#50
○谷合正明君 いずれにしても、丁寧に進めていくことが大事だと思っております。
 農地、林地に関連しますけれども、農業用ため池について確認したいと思っています。
 農業用ため池につきましては、今、農業人口の減少でありますとか、特に中山間地域では高齢化の進展によりまして維持管理が困難になっております。ほとんどが江戸時代以前に造られておりまして、所有者がはっきりしないものも多くて、平成三十年七月豪雨では、この豪雨災害によりため池の決壊等も発生しましたので、このため池の管理の重要性が高まっております。
 そこで、農水省としてはため池管理のための法律を既に成立し、施行になっているところでありますが、そこで、農業用ため池は正確には農地、林地でもないというふうに承知はしているんですが、今回のその所有者不明土地にこの農業用ため池というのはどのように位置付けられているんでしょうか。ため池を相続により取得した場合に、維持管理が困難であるから国庫帰属をしたいというニーズはあり得るのかということで、ため池がこの国庫帰属の対象となることは考えられないのか、法務省の見解を伺いたいと思います。

#51
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 相続土地国庫帰属制度におきましては、国庫に帰属した土地が主に農用地又は森林として利用されているものは農林水産大臣が管理し、それ以外のものは財務大臣が管理するとされております。ため池がある土地につきましては、主に農用地として利用されているかどうかでその管理者が決まるということになります。
 農業用ため池につきましては、一般に付近の農業用水を供給するものでございまして、所有者以外の者による使用が予定されていますことから、国庫帰属後に国が管理するに当たりましては、土地の使用者等との調整が必要になりまして、その管理に過分な費用や労力を要することになります。そのため、所有者以外の者による使用が予定される農業用ため池は、相続土地国家帰属法案二条三項三号に該当する土地として、政令で国庫帰属の対象外とすることを予定しております。
 また、所有者以外の者による使用が予定されない農業用ため池でありましても、先ほど委員からも御紹介ございましたけれども、決壊により周辺土地に損害を発生させないように必要な措置を講ずる必要がありますため、管理又は処分に過分の費用又は労力を要する土地として、相続土地国庫帰属法五条一項一号に基づきまして、政令で国庫帰属の対象外とすることを想定しておりますが、具体的な要件の詳細につきましては、今後関係省庁と連携して検討してまいりたいと考えております。

#52
○谷合正明君 分かりました。
 ただ、いずれにしても、農水省の方の農業用ため池の方の管理法でしっかりと対応していくということが大事だというふうに思いました。
 それで、国庫帰属の要件につきましては、崖がある土地や樹木がある土地は国庫帰属の対象外とされておりまして、衆議院の議論でも森林における樹木について質疑がされておりました。
 そこで、果樹園である農地や林地のような土地については国庫帰属の対象外となってしまうのか、国庫帰属の要件を設けた理由も含めて、法務省に再度確認をさせていただきたいと思います。

#53
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 済みません、最初に、先ほど私、答弁で相続土地国庫帰属法第五条一項一号と申し上げたようですけれども、五条一項第五号の間違いでございましたので、訂正させていただきたいと思います。
 委員御指摘の果樹園でございますが、土地所有権の国庫帰属を広く認めるものとすると、土地の所有に伴う管理コストが国に広く転嫁されるおそれがあるとともに、所有者が将来的に土地の所有権を放棄する意図の下で土地を適切に管理しなくなるモラルハザードが発生するおそれがありますため、この制度、相続土地国庫帰属制度におきましては、通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地として法令で定められたものに該当する土地については国庫帰属の対象から除外することとしております。
 こういった趣旨から、法案の五条一項第二号におきましては、土地の通常の管理又は処分を阻害する樹木が存する土地については国庫帰属の対象外とすることとしております。
 果樹園の樹木ですが、これは個別の事案にもよりますが、一般に、放置しておくと鳥や獣や病害虫の被害の発生要因となりますので、草刈り等の通常の管理に加えまして、定期的に果実を含めた枝の剪定や農薬の散布などの作業が必要になるものと承知しております。そのため、果樹園は基本的に通常の管理又は処分を阻害する樹木が存する土地に該当し、国庫帰属の対象外になることが想定されます。
 今後、通常の管理又は処分を阻害する樹木が存在する土地であるか否かの認定に関する具体的な運用の在り方を定めていくことになりますが、これにつきましても、関係省庁と連携して適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

#54
○谷合正明君 国庫帰属の要件につきまして、特に運用面については今後また詰めていくと、関係省庁としっかりと詰めていくという話でありましたが、バランスを取って、また、この法律の施行上、まずスタートはどうしていくのかと、いろいろ様々な観点の中でこの要件が決められたというふうに承知しております。
 一方で、厳し過ぎるのではないかという指摘もありまして、法律の施行後、運用状況を見ながら承認の要件についてしっかり見直しも検討していくことが大事だと思っておりますが、再度答弁を求めたいと思います。

#55
○政府参考人(小出邦夫君) 今回の法律案におきましては、通常の管理、処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地については国庫帰属の対象外としております。
 相続土地国庫帰属制度はこれまでにない新しい制度でございまして、現時点では、どのような土地がどの程度国庫に帰属し、国民の負担がどの程度になるかを厳密に見通すことは困難でございます。
 委員御指摘のとおり、この制度につきましては五年後見直しの規定が設けられておりますので、この要件の在り方等を含めまして、制度の運用状況も踏まえ、関係省庁と連携して必要な見直しを検討していく予定でございます。

#56
○谷合正明君 この国庫帰属については、今後どの程度出てくるかという見通しを示すのは困難であるという話でありましたが、仮にその農地、林地が国庫帰属認められた場合なんですけれども、農林水産大臣が管理、処分をこの農地、林地についてはすることになっていると。
 それでは、農林水産省にお伺いしますけれども、国庫帰属した農地や林地についてはどのような利用を想定しているのか、答弁を求めたいと思います。

#57
○政府参考人(大島英彦君) お答えいたします。
 本法案では、相続した農地や林地につきまして、賃借権等の権利が設定されていない等の要件を満たした場合、土地所有者が国庫帰属の申請を行い、法務大臣の承認が得られれば国庫帰属させるということとされておるところでございます。国庫帰属した土地のうち、主に農用地又は森林として利用されている土地の管理及び処分は、委員御指摘のとおり、農林水産大臣が行うこととされているところでございます。
 国庫帰属された場合の管理等の在り方につきましては、農地の場合は、定期的な草刈りや巡回などの管理を行いつつ、農業者への売払いの働きかけ等を行うことを考えております。また、林地の場合につきましては、定期的な境界の刈り払いや巡回などの管理を行いつつ、地域関係者の要望を踏まえて売払い等を行うことを考えているところでございます。
 いずれにせよ、関係省庁とも連携をしながら、それぞれの土地の状況に応じた適切な利用を図ってまいりたいと考えております。

#58
○谷合正明君 分かりました。
 それでは、次の質問に移ります。地図混乱地域について質問いたします。
 法務局では、全国の都市部の人口集中地区の地図混乱地域を対象として、登記所、済みません、登記所備付け地図作成業務を、作成作業を計画的に実施していると聞いております。
 まず、地図混乱地域とはどのような土地をいうのか、また、地図混乱地域の実態、発生原因について法務省に伺います。

#59
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 お尋ねの地図混乱地域ですが、これ、公図と現況のずれが大きい地域をいいます。公図とは、登記所備付け地図と同様に、土地の位置、形状及び地番を表示するものですが、その精度は必ずしも高くなく、登記所備付け地図が登記所に備え付けられるまでの間、これに代えて備え付けられるものでございます。法務省では、この公図と現況とのずれが六メートルを超える地域が地図混乱地域であると整理しておりまして、その面積は全国で約六百六十平方キロメートルであると推計しております。
 この地図混乱地域の主な発生原因といたしましては、過去に作成された公図、これは旧土地台帳附属地図等が最初から正確性を欠いていたということと、宅地造成等で土地の区画の変更が行われたにもかかわらず登記手続や地図訂正が適正に行われなかったといったことがあると考えられているところでございます。

#60
○谷合正明君 それで、六本木ヒルズを開発するときに、この地図混乱地域の問題があって開発に相当時間や手間が掛かったということであります。また、今でも、例えば工事の方がこの土地の売買をしようとしたときに地図混乱地域であるとなると、そこで例えば銀行からの融資の話が止まってしまうということで、様々やっぱり実体経済の中で問題が生じております。
 まず、地図混乱地域が存在することにより、どのような問題があると承知しているのか、その問題を解決するためにどのような取組をしているんでしょうか。先ほど、現在六百六十平方キロメートルと言われましたけれども、それはこれまでのトレンドの中でどうなっている、減ってきているのか、もう現状維持でずっと来ているのか、この辺りちょっと含めて答弁いただきたいというふうに思っております。

#61
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 地図混乱地域では、土地の境界、筆界の現地における位置が明らかではないことから、土地の売買や担保権の設定等の経済活動が阻害されるほか、固定資産税の適正な課税等の行政事務に支障を来す、あるいは道路や下水道整備などの社会基盤の整備に支障が生ずるといった問題が発生するため、その解消は極めて重要であると考えております。
 このため、法務省では、全国の人口集中地区、DIDと呼んでおりますが、その地区における地図混乱地域を対象といたしまして、法務局が実施主体となり登記所備付け地図の整備作業を実施しており、現在は平成二十七年度を初年度とする十か年の作業計画に基づいて計画的に作業を進めています。
 この計画におきましては、従前より実施していた全国の都市部における作業面積を拡大して実施するとともに、新たに、整備の遅れの見られる大都市の枢要部や地方の拠点都市における地図の整備や、東日本大震災及び平成二十八年熊本地震からの復興の加速化のための地図の整備の促進を図るため、これらの地域を対象とした地図整備作業にも併せて取り組んでいるところでございます。
 先ほど地図混乱地域が六百六十平方キロメートルあるというふうに申し上げましたけれども、この作業によりまして着実に地図混乱地域の面積を減少させているところでございます。
 法務省といたしましては、今後とも必要となる予算の確保に努め、登記所備付け地図の整備作業、これを着実に推進してまいりたいと考えております。

#62
○谷合正明君 しっかりやっていただきたいというふうに思います。
 着実に減少していると言うんですけれども、ちょっとその着実がしっかりと数字で示されるようにお願いしたいというふうに思います。
 それでは、次の質問ですが、所有者不明土地管理制度におけます人材育成について伺います。
 今回の改正によりまして、所有者不明土地の管理に特化した新たな財産管理制度として所有者土地管理制度が設けられることになります。この所有者不明土地管理制度においてどのような者が管理者になることを想定しているのか。そして、管理人となる方に対する研修等をしっかりとしていくことが必要になると思います。先日の参考人質疑でも同様な意見が参考人の皆様から示されたところでございます。法務省の見解を伺います。

#63
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 所有者不明土地管理人は他人の土地を適切に管理することを職務とする者であり、その管理人については、裁判所が個別の事案において管理人が行う具体的な職務内容を勘案して、管理人としてふさわしい者を選任することとしております。例えば、土地の処分等を行うケースについては弁護士や司法書士等が選任されることが想定されるほか、土地の境界の確認等を行うケースでは土地家屋調査士が選任されることがあり得るものと考えられます。
 所有者不明土地管理人は所有者に代わって土地を適切に管理する職責を担う者でありますから、専門職者の団体において行われる研修等の取組は、管理人としての職務の質を高め、制度の適正かつ円滑な運用を図るために有意義なものと考えております。
 委員から御指摘ございましたけれども、先日の参考人質疑では、日本司法書士会連合会及び日本土地家屋調査士会連合会において、管理人の候補者を養成するための研修を実施するなどの取組を行う予定であるとお聞きしたところであります。
 法務省といたしましても、こうした取組を踏まえまして、所有者不明土地管理制度の適正かつ円滑な運用が実現されるよう、関係機関と連携して必要な対応を行ってまいりたいと考えております。

#64
○谷合正明君 しっかりお願いします。
 それでは、最後の質問にいたします。
 税負担の軽減について、一旦飛ばした質問でございますけれども、まず、この税負担の軽減ということも今回大事だというふうに考えております。登記手続の費用負担を軽減する観点から、まず、この登録免許税の負担の軽減策についてどのように考えているのか。また、登記の手続的な負担を軽減する方策として、冒頭取り上げました相続人申告登記の制度を設けることとしていますが、この相続人申告登記をするには登録免許税が必要になるのか。必要になる場合、登録免許税の負担軽減策は考えているのか。負担軽減の程度は相続登記の場合と違いを設けるつもりなのか。以上、法務省に伺います。

#65
○政府参考人(小出邦夫君) 今般の不動産登記法の見直しでは、相続登記の申請を義務化するとともに、その申請義務の実効性を確保するべく、相続人が申請義務を簡易に履行することができるようにする観点から、新たに相続人申告登記を創設するなどの環境整備策をパッケージで導入することを予定しております。加えて、申請人の手続的な負担だけでなく、申請人の費用面での負担軽減を図るための方策を講じることが必要であると認識しております。
 この点、令和三年度与党税制改正大綱におきましては、登録免許税の在り方については、所有者不明土地問題の解決に向けて、相続発生時における登記申請の義務化、新たな職権的登記の創設等を含めた不動産登記法等の見直しの成案を踏まえて、令和四年度税制改正において必要な措置を検討することとされております。
 これを踏まえまして、法務省では、引き続き令和四年度税制改正に向けて取組を進めていくこととしておりますが、その中では、委員御指摘の、相続登記に加えまして、新たな職権的登記であります相続人申告登記についても必要な検討がされるべきものと認識しております。
 法務省といたしましては、相続登記の促進を図るため、環境整備策や費用軽減策に関する施策を引き続き推進していきたいと考えております。

#66
○谷合正明君 もちろん、与党税制大綱で決めていって、それをまた政府として受け止めていくというのが流れになりますけれども、是非法務省としても主体的にしっかり検討していただきたいというふうに思っております。
 以上、私の質問を終わります。

#67
○清水貴之君 日本維新の会の清水です。よろしくお願いいたします。
 今回の法改正によりまして、相続により取得した土地を国庫に帰属させることができるという制度がつくられます。ただ、これはもう帰属ありきの話ではなくて、その前に登記の義務化があって、登記をしやすくするような、そういう制度の変更があって、その先に帰属というのがあるというふうには理解をしているんですが、ただ、こういった制度ができますので、一定程度の土地というのが国庫に帰属されるのではないかというふうに想像します。
 ただ、その先の話ですね、これまでの議論でも、やっぱりその帰属された土地、国庫が所有する、管理することになった土地の活用方法、有効活用についての議論がまだまだ不十分ではないかなというふうに思っておりますので、まずはその点、その土地の活用を今後どうしていくのか、どう考えているのか、これからお伺いしたいというふうに思います。

#68
○政府参考人(井口裕之君) お答えいたします。
 本法案で創設されます制度によって国庫帰属する土地については、その土地の経緯から、売払いや貸付けに至らず、国が長期にわたって永続的に保有、管理するものが多くなると見込まれております。
 ただ、こうした経緯から、国庫に帰属した後も早期に売払い、貸付けに至るものはごく一部にとどまると考えておりますが、仮に後発的な事情等により処分可能になった場合には、一般的な国有地処分の手続に基づき、地方公共団体等からの利用要望を優先的に受け付けた上で管理、処分していくことになると考えております。

#69
○清水貴之君 これまでも答弁聞いていますと、確かに、国庫に返そう、帰属させようという土地なんですから、なかなか持っていても負担になっているような土地ですから、その後の使い道というのがなかなか難しいのかもしれませんが、ただ、それだけでは、持っていたらそれだけいろいろ、都心部の土地でしたら見回りをしたりとか雑草を刈ったりとかいろいろされているということですから負担が増えます。国民の負担にもつながってくるわけですね。
 先日の参考人の話でも、都市部においては、よく見かけるのはポケットパークであるとか、各自治体が災害対策で使う、そういった土地の活用方法も見られるという話もありました。ですから、なかなか難しい話だと、現実的には難しいと思うんですが、僕はやっぱり積極的にここは有効活用を考えていくべきではないかと思うんですが、改めて答弁いただけますでしょうか。

#70
○政府参考人(井口裕之君) お答え申し上げます。
 今委員御指摘のとおり、そういう経緯のある土地でございますが、我々といたしましても、そういうわけで、地方公共団体等を始め、活用の場がないかにつきましては様々な形で対応してまいりたいと考えております。

#71
○清水貴之君 その土地の有効活用の一例として、アメリカなどで先行しているランドバンクという仕組みがあります。これに関しては、今国交省の方でも予算を付けて調査事業を行っているというふうに聞いておりますが、今はどういった活動を支援しているんでしょうか。

#72
○政府参考人(吉田誠君) お答え申し上げます。
 所有者不明土地の発生抑制のためには、空き地などの低未利用地の適正な利用や管理が不可欠でありまして、そのためには、地方公共団体、また民間事業者等とも連携した対策が重要と認識しております。
 このような観点から、国土交通省では、地方公共団体や宅建業者など地域の民間事業者が連携して、低未利用土地のマッチングでありますとか、あるいはその活用に向けたコーディネートを行う、いわゆるランドバンクと言われる取組を促進しておりまして、令和二年度にはモデル事業、モデル調査事業という形で、例えば、空き地や空き家についての相談会を開催して、土地所有者とその目的に応じた専門家とのマッチングを行う取組でありますとか、あるいは中心市街地におきまして地方公共団体から無償で空き地を借り受けて、広場として整備してその管理運営を行う取組など、全国で六件の先進的な取組について支援を実施したところでございます。
 本年度におきましても引き続き本事業を実施することといたしまして、現在その募集を行っているところであります。引き続き、このような地域の先進的な取組を支援してまいりたいと考えております。

#73
○清水貴之君 これについて更にお聞きをしたいんですが、今お話しいただいたとおり、ランドバンク、土地の所有者がいて、利用希望者がいて、その間に様々な自治体があったりとか、宅建業者の方、行政書士の方、司法書士の方、士業と呼ばれるような専門家の方々がいらっしゃって、もちろん地域の住民の方もいらっしゃっていて、様々な方々が関わって機能する仕組みだというふうに理解をしております。そういう形だからこそ、逆に誰が、じゃ、どうコーディネートしていくのか、これも難しい話ではないかなというふうに思います。
 これも、先日の参考人の方からも、パターンとしては二つあると。権利自体を移してしまうものと、コーディネーター機能を担うという、ランドバンクがですね、という話もありました。ですから、こういったいろんな方々の組合せというのをどうやってつくっていくのかというところと、今されているこのランドバンクの調査ですね、これをどうこれから生かしていくのかという、この辺りも聞かせていただけますでしょうか。

#74
○政府参考人(吉田誠君) お答え申し上げます。
 令和二年度に実施しましたランドバンクについてのモデル調査におきましては、地方公共団体や専門家との連携というのが非常に重要であるということが明らかになってきております。
 具体的には、民間事業者などが地域内で円滑に事業を実施していく上では、やっぱり行政が何らかの形で関わることでそのランドバンクの信用力を高めていく、そういった公的信用力が重要であるといったこととか、あるいは、非常にやっぱり土地にまつわる複雑な権利関係に対応するためには、司法書士、行政書士あるいは宅地建物取引士などの専門家との連携がやはり必要不可欠であるといった課題が明らかになってきていると考えております。
 このようなことに対処するためには、やはり民間事業者でありますとかあるいは地方公共団体のどちらかで対応するということではなくて、空き地などの低未利用土地の適正な利用や確保、管理するためには、地方公共団体の空き地対策部署でありますとかあるいは民間事業者等が連携して対策を進めることが重要であると認識しているところでございます。
 国土交通省といたしましては、このような課題も踏まえまして、令和四年に、ちょうど所有者不明土地法ができまして三年の制度見直しの時期に当たりますことから、令和四年に必要な制度見直しを行うことを目指して今検討を進めているところでございます。
 地方公共団体や地域内の民間事業者等との積極的な連携による低未利用土地の円滑な利活用、管理につきまして、地域の御意見、ニーズもよく踏まえながら検討して、そういった活動を促進してまいりたいと考えているところでございます。

#75
○清水貴之君 今、自治体との連携のお話をいただきました。
 こういった取組に詳しい方にお話を聞きますと、空き家対策って先行していまして、推進法、推進に関する特措法、これが平成二十七年にできたものだというふうに、施行されたものだというふうに思いますけれども、これができてから各自治体には空き家対策の部署というのができて、一気にこの空き家対策が進んだというふうに聞いています。
 ただ、現状では、空き地対策、いろんな部署が関わってやっているとは思うんですが、空き地対策に特化した部署というのがやはりなかなか各自治体には存在をしていないと。空き家対策は部署ができたから進んだというのがありますので、空き地対策もそういった部署をつくることによって進むんじゃないかという意見も聞きました。各地方自治体のことですので、国が直接どうこうという話ではないのかもしれませんが、連携という意味ではそういったことも大事だというふうに思いますので、是非今後も進めていただけたらというふうに思います。
 続きましては、先日の参考人の方々から聞いた話を受けまして質問をさせていただきたいというふうに思います。
 まずは、境界立会いなどの隣地所有者の責務についての質問です。
 土地家屋調査士会からの話でしたけれども、近年は、隣地所有者と連絡が取れない、又は、取れたとしても境界に対するその所有者の意識が薄くて、なかなか立会いに応じていただけないと、これ現場としての非常に苦慮している部分だというお話がありました。そういったこともありますので、土地について行うべき管理の一内容として、土地所有者の義務として、この境界の立会い、こういったものを入れていただけないかという、こういった訴えをしてきたという話なんですね。
 確かに、これは相隣関係に新たな紛争を生じさせないためには必要なことだというふうに思います。ガイドラインなども作成していってはどうかと思いますが、これについてはいかがでしょうか。

#76
○政府参考人(小出邦夫君) お答え申し上げます。
 今回の民法の改正案では、土地所有者が境界標の調査や境界に関する測量のために隣地を使用することができる権利を有することを明記しております。
 その上で、隣地の所有者等に隣地使用の内容が民法の要件を充足するか否かを判断する機会を与えるとともに、その受入れの準備を可能とするため、土地所有者は、隣地の所有者等に対してあらかじめ使用の目的、日時、場所及び方法を通知しなければならないものとしております。もっとも、隣地使用権に基づく土地の使用は、基本的に一定の目的のために一時的に隣地を使用するものにすぎないことから、隣地の所有者等の所在が不明である場合など事前通知が困難である場合には、使用の開始後に遅滞なく通知することで足りることとしております。
 こういった隣地使用権に関する新たな規律の適切な運用のためには、その趣旨、内容を広報、周知することが重要であると思っておりますので、今後具体的な周知方法等も検討してまいりたいと考えております。

#77
○清水貴之君 続いて用意していたのが所有者不明土地管理人の話だったんですが、これは先ほど谷合先生から同内容の質問がありましたので、これは割愛させていただきまして。
 続いて、表題部所有者の相続登記並びに住所変更登記の必要性、この話も出ました。今回の改正では、この表題部所有者についての規律が対象外となっています。ただ、参考人の方から話もありましたとおり、表題部所有者のままになっている土地、建物は現に多くあるわけですね。将来的な課題として、やはりここの部分が改善されないといつまでたってもそういった土地が残ってしまうことの繰り返しだという意見がありましたので、これについてどのように検討していくおつもりでしょうか。

#78
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 今回の不動産登記法の見直しにおきましては、所有権の登記名義人の相続人に対して相続登記の申請を義務付けるとともに、所有権の登記名義人に対して住所等の変更登記の申請を義務付けることとしております。
 他方で、不動産登記の表題部において所有者として記録されている表題部所有者については、同様の規律は設けておりません。これは、四つほどの理由を申し上げますけれども、まず、表題部所有者は土地の所有権を有する者を公示するものではなく、あくまでも土地を特定するための要素として表題登記がされた時点における所有者を記録しているにすぎないため、これと所有権の登記名義人とを同様に論ずることはできないと。
 それから、表題部所有者につきまして、相続人申告登記のような負担軽減策を講ずることが困難であること。
 また、表題部所有者について他の公的機関の情報連携を行うためには相応の規模のシステム改修が必要となること。
 また、表題部所有者不明土地の解消作業を今法務局でやっておりますが、この対象となる表題部所有者を除きますと、所有権の保存の登記がされずに自然人が表題部所有者として登記されたままの土地の割合は少ないことなどを考慮したものでございます。
 法務省といたしましては、まずは、所有権の登記名義人を対象とした相続登記や住所等の変更登記の申請義務について適切かつ安定的に運用されるよう準備を進めるとともに、表題部所有者について相続登記等の申請義務を課すかどうかについては、その運用状況等も注視しつつ、また費用対効果も考慮した上で慎重に検討してまいりたいと考えております。

#79
○清水貴之君 続きまして、上がった話としましては、なかなか、今回の法改正で相続登記に関して非常に簡素化が図られたりする部分も出ているとはいえ、やはり手続を取るに当たって多数当事者による合意を取るのがなかなか難しいのが現実だという話がありました。
 合意形成の前段階の合意形成なんという言い方も司法書士の方がされていましたけれども、当事者間の話なので、なかなかどのように、どうサポートしていくのか難しい話なのかもしれませんが、ただ、様々な機関とか専門家の協力とかアドバイスなどもありましたら、こういった合意形成もスムーズになっていくのではないかと思います。制度をつくったけれども、やはりその前段階のところといいますか、根本のところでストップしていてはなかなか制度が進みませんので、この合意形成に向けたサポートも必要ではないかというふうに意見が出ておりました。
 大臣、いかがでしょう。これ、大臣ですかね。

#80
○国務大臣(上川陽子君) 今委員御指摘の、多数の相続人によりまして共有関係の発生防止をするためには、相続人間でできる限り早期に遺産分割がなされ、その上で、その内容を踏まえた登記がされる必要があると認識しております。今般の改正におきましても、遺産分割促進のために、遺産分割に関しまして期間制限を設けるとともに、遺産分割がされた場合の相続登記の申請義務を定めているところでもございます。
 法務省といたしましては、この遺産分割が行われ、その結果が登記に適切に反映されるようになること、これが今般の改正の趣旨に沿うものであることなどにつきまして、相続登記や遺産分割を取り扱う司法書士等の専門職者と認識を共有しつつ、十分に連携をすることが重要であると認識しております。積極的な周知、広報にも取り組んでまいりたいというふうに考えております。

#81
○清水貴之君 その登記をスムーズにしていくために、これも司法書士会からのお話で出てきましたが、やはり生前からの財産継承ということで、具体的には遺言とか信託ですね、こういった生前にしっかりとその権利関係を整理しておけばもちろん後々いろんなことがスムーズに進むわけですから、こういったことに対する支援体制も拡充していく必要があるのではないかという話がありましたが、法務省としてはどのように取り組んでいくのでしょうか。

#82
○政府参考人(小出邦夫君) 生前に死亡後の財産承継の在り方を定めるための方法として、遺言書を作成することがございます。
 遺言書のうち自筆証書遺言に係る遺言書につきましては、公正証書遺言と異なりまして手軽に作成できるものである一方、自宅で保管されることが多く、遺言者の死亡後、遺言書の紛失、亡失や、相続人により遺言書の廃棄、隠匿、改ざんが行われるリスクがあり、これらの問題により相続をめぐる紛争が生ずるおそれがあるということが指摘されておりました。
 これらのリスクを軽減し、相続をめぐる紛争を防止するという観点から、法務局においてこの自筆証書遺言に係る遺言書を保管する自筆証書遺言書保管制度を新たに設けて、令和二年、昨年七月十日から運用を開始しております。本年三月末現在、全国三百十二か所の遺言書保管所において、合計約一万六千件の保管の申請を受けております。この本制度の活用によりまして、相続登記を含めた不動産登記を行う法務局が遺言書の保管業務を担うことになりますので、これにより、相続登記の促進にもつながり得ると考えております。
 今後も、この遺言書の保管制度につきまして広報活動を行うなどにより、遺言書の作成、利用の促進に努めてまいりたいと考えております。

#83
○清水貴之君 続いて、外国人の、外国人住民票の情報の届出の保存期間の話なんですが、外国人が、外国の籍の方が所有している土地というのも多数ありますが、今の外国人住民票制度はなかなか、以前の外国人登録原票よりも親族関係の情報が少ないということで、なかなかそこから情報をたどっていくのが難しいという話がありました。また、保存期間ですね、保存期間も延長してほしいという話がありました。
 いろいろとプライバシー、個人情報ですのでプライバシーとの関係などもありますが、この外国人住民票の情報を少し増やしてもらえないか、豊かにしてもらえないかと、親族関係、身分関係の情報を追記することなどからこの相続登記の幅も広がっていくのではないかという話もありましたが、これについての見解をお聞かせください。

#84
○政府参考人(高原剛君) 御答弁申し上げます。
 住民基本台帳制度は、市町村長が住民の居住関係の公証などに関する事務の処理の基礎として、住民に関する記録を正確かつ統一的に行う住民基本台帳を作成する制度でございます。外国人住民票の方も、基本的には日本人の方と同じ項目を記載するということで整理をさせていただいております。住民の居住関係の公証制度ということでございますので、相続に係る手続の便宜を図る目的として親族関係の情報等を追加することはなかなか難しいのではないかなというふうに考えているところでございます。
 以上でございます。

#85
○清水貴之君 以上で終わります。ありがとうございました。

#86
○川合孝典君 国民民主党・新緑風会の川合孝典です。
 前回は国庫帰属の法案を中心に質問をさせていただきましたので、本日は、相続登記の義務化に係る様々な諸課題について確認をさせていただきたいと思います。
 まず、過料十万円の判断基準について確認をさせていただきたいと思いますが、既に何度も皆様の、委員の皆さんの質問に出ておりますとおり、不動産登記法七十六条等の規定によって、正当な理由なく相続登記申請を行わなかった場合、十万円以下の過料に処されるということになっておりますが、改めて、この正当な理由とは何なのかということを御説明をいただきたいと思います。

#87
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 相続登記の申請義務に違反した場合についても、正当な理由があれば過料の制裁を科さないこととしておりますが、この正当な理由がある場合としては、例えば、数次相続が発生して相続人が数十人を超えるなど極めて多数に上り、戸籍謄本等の必要な資料の収集や他の相続人の把握に時間を要するケースや、遺言の有効性や遺産の範囲が争われているケース、また、申請義務を負う相続人自身に重病であるなどの事情があるケースなどが考えられます。また、これまでの国会質疑でも議論がされたところでありますが、例えば、DV被害者等で、その生命、身体に危険が及ぶような状態にあり、避難を余儀なくされる場合などにおいても、最終的には個別の事案における具体的な事情によるものの、登記の申請をしないことに正当な理由があることは当然あり得るものと考えられます。また、経済的に困窮しているために登記費用を負担する能力がないケースにつきましても、その財産状況や具体的な生活環境などによっては正当な理由があるとされる場合もあると考えております。
 過料の制裁を科すには、その公平性を確保することが重要でありますので、制度の実施に当たりましては、この正当な理由の具体的な類型について通達等において明確化することを予定しております。また、登記官から裁判所に対する、処せられるべき者についての事件の通知、過料通知についての手続も省令等において明確に規定することを想定しております。
 これらの方策により、登記官による過料通知に当たっての要件判断が適切かつ安定的なものとなるよう、十分な配慮を行っていきたいと考えております。

#88
○川合孝典君 ありがとうございます。
 今、登記官のお話がございましたけれども、この判断の基準が明確に示されていないと登記官の恣意的な判断が可能になるということにもなりますし、同時に、司法書士会連合会の皆様からも、正当な理由、どういう理由が正当な理由なのかということをいわゆる相続に係る関係者の方々に説明するに当たって、今おっしゃったようないわゆるガイドラインのようなものが明示的に示されていないと説明に困るということが指摘としてされているわけでありまして、そのことを指摘させていただきたくてこの質問をさせていただきました。
 では、ガイドライン等、明示的に何か作成していただけるという理解でよろしいんですね。確認です。

#89
○政府参考人(小出邦夫君) 通達において具体的な類型を示させていただきたいというふうに考えております。

#90
○川合孝典君 ありがとうございます。
 それでは、切り口変えて過料の問題について確認させていただきたいんですけど、正当な理由なく登記申請を行わなかった場合に十万円以下の過料ということになっておりますが、この過料は一回ですか。一回だけですか。

#91
○政府参考人(小出邦夫君) 申請義務違反一回当たりの金額ということでございます。

#92
○川合孝典君 一回当たりということは、これは場合によっては、そういう事象が発生した場合には複数回過料が発生する可能性があるという理解でよろしいですか。

#93
○政府参考人(小出邦夫君) 複数回、どういう場合かということですけれども、相続された土地が複数あり、また相続の機会が複数あるということであれば、別の事象として複数回過料が処せられる事案はあり得るものと考えております。

#94
○川合孝典君 いろんなケースが想定されると思うんですが、例えば、その相続した土地の境界特定がきちっとできていない状況の中での相続を受けたと。そこを、境界をきちっと確定させるために膨大な金額の例えば測量費が要するということになった場合に、その測量費に数百万、数千万のお金を払うことを考えたときに、過料十万円の方が安いという判断が成立するのではないかということが考えられたので質問させていただいたんですが、いかがですか。

#95
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 過料の金額自体につきましては、参考となる既存の用例を参照しつつバランスを取ったものでございまして、適切な金額であると考えております。
 委員御指摘のとおり、金額を比較して登記の申請を行わないといった行動を呼ばないように、相続登記の申請の義務化の意義も含めて、関係機関、関係団体とも連携しつつ、しっかり周知徹底を図ってまいりたいと考えております。

#96
○川合孝典君 法務省としてそういう説明せざるを得ないのも分かるんですけれども、でも、現実問題として、登記しないという状態が起こったと、正当な理由が認められないという話になったと、十万円過料が科されたということになったと、それでもいいと対象者の方がおっしゃった場合に、その後、その方はどうなるのかということをお聞かせください。

#97
○政府参考人(小出邦夫君) 法務局としてできることは、正当な理由がないという事例に当たった場合には、裁判所に対して過料通知を行い、裁判所の方が要件を判断して過料の制裁を科すということでございます。
 それでも自分は登記をしないというお考えの方がいらっしゃる、それはいらっしゃるかもしれませんけれども、昨年も土地基本法が改正されて、そういった権利関係の明確化、境界の明確化というのは土地所有者の責務として規定されておりますので、そうした登記の重要性、登記の必要性について、やはり国民の意識を啓蒙していけるよう、しっかり周知活動を徹底していくほかないのかなというふうに考えております。

#98
○川合孝典君 大臣、申し訳ありません、通告しておりませんけれども、御認識お伺いしたいと思うんですけれども、今申し上げたとおり、いわゆるその責務を果たさないということを選択されるというケースも当然可能性としては否定できないわけでありまして、そういう状況が生じた場合に対する何らかの対応というものを検討する必要が私はあると思っておるんですが、上川法務大臣の御認識は、今のやり取りを聞いていていかがお感じになられたか、お聞かせいただきたいと思います。

#99
○国務大臣(上川陽子君) 今局長の方も、啓蒙啓発が非常に大事だというところで、国民の理解を得るということでございます。
 モラルハザードは、想定が全くないということを前提に動かすわけにはいきませんけれども、オペレーションという形の中で、これから新しい制度ができますので、その運用状況をしっかりと、今の委員御指摘の視点というものも十分に見定めて運用していく、そして、その後の評価の上で五年後の検討に付していくと、こういうことの問題意識しっかり持ってまいりたいというふうに思います。

#100
○川合孝典君 ありがとうございます。
 その相続する土地に対する経済的価値が要はどの程度のものなのかということ、そのことと同時に、いわゆる相続をすることによって生じる負担というものを考えたときに、やはり立法者の意図とは別に、その対象者となられる方々がどういう行動をなされるのかということは、完全に理屈や善意に基づくだけでは当然成立しないと思っておりますので、今大臣おっしゃっていただきましたとおり、そうした状況が生じることも考慮に入れて、場合によっては毎年十万円払ってでも、要は相続登記しない方がいいという選択をされる方がいらっしゃるかもしれないということも視野に入れての、今後のどう対応するのかということが問われているということだけ指摘をさせていただきたいと思います。
 私、ここまでの間いろいろやり取りをさせていただいてきて、今回、相続登記の義務化を行うということで、所有者不明土地が一定部分抑制されるという効果あればいいなと思っているんですが、他方、やり取りを、答弁を聞かせていただいておりまして、いわゆる都市部の経済価値の高い土地についての相続登記の義務化というものは一定部分、相当数確保されていくんだろうと思うんですが、他方、中山間地やへき地の所有者不明土地に関しては、正直言ってほとんど効果ないのではないのかと。登記義務化、国庫帰属ということをおっしゃっていても、国庫帰属させたい人は帰属させてあげてもいいよというような趣旨の法律の立て付けになっているように感じてならないわけであります。
 今回、登記の義務化と過料制裁が規定されても、登記に及ぶまでの間のいわゆる資料収集や遺産分割等の相続人間の利害調整等、膨大な手間暇、経済的負担ということを考えたときに、やはりこれ、都市部と中山間地で登記促進の効果というものに大きな差異が生じると思うんです。何度もこの登記義務化と過料制裁規定による登記促進効果についての質問がこれまでも出ているんですけど、はっきりとした答えは、当然、やってみないと分からないという話なんだろうと思うんですが、都市部と中山間地、へき地とでどの程度この登記義務化の促進効果というものが出ると法務省としては見込んでいらっしゃるんでしょうか。局長で結構です。

#101
○政府参考人(小出邦夫君) これももう繰り返し答弁させていただいている内容になりますけれども、こういった登記の義務化とそれに伴う負担軽減策というのをパッケージとして提示されておりますので、これが国民にどう受け入れられてどの程度利用されていくかということを、状況を注視していくしかないのかなとは思っております。もちろん、その前提として、今回の法改正の趣旨につきましては、関係団体とも連携した強力な広報周知活動を行っていきたいと思います。
 ただ、中間山地と都市部ということで比較いたしますと、そもそも都市部の土地等につきましては、価値が高いということであれば相続登記をするインセンティブも働いておりますので、こういった今回の新しい施策と伴いまして相続登記が実行されていく割合は中山間部に比べれば高いのではないかというような感触はございますけれども、これも実際やってみないと分からないということでございます。

#102
○川合孝典君 今まさにおっしゃいましたとおり、都市部の方が当然経済的価値が高いから相続登記を行うことのインセンティブが働きやすいということなんですけど、であるがゆえに、相続登記を行うことのインセンティブが働きにくい中山間地に対してどうインセンティブを働かせるのかということが問われているということだと思うんですよ。そのことをずっと表現を変えて皆さんも御指摘これまでされてきているわけでありまして、そのことを踏まえて今後どう対応していくのかということ。
 聞き方をちょっと変えましょう。相続登記がどの程度その登記促進効果があるのかということではなく、今後、この法律改正が行われることによって所有者不明土地をどの程度の減らす目標を立てて動かれるのかということを、もしお考えになられているのであれば教えていただきたいと思います。目標設定ということで結構です。

#103
○政府参考人(小出邦夫君) 明確な目標設定の数値はちょっと出し難いものがございます。相続登記の現在の件数を何年後に何十%増加させるとか、いろんな事情あると思いますし、ちょっとそういった意味で、目標数値というのは現時点ではちょっと示すことは困難でございます。

#104
○川合孝典君 でも、今回法改正されることで現状の状況に対してどう数字が推移したのかは今後チェックできるということだけは、これは厳然たる事実ということでありますので、多くの委員の皆さんが時間を費やしてこの問題について御指摘いただいたということも踏まえて、今後、この法改正の効果についてはきちっと御報告をいただけるように、推移も含めて御報告いただけるようにお願いをしたいと思います。
 次の質問に移りたいと思いますが、今回、登記の義務化されるに当たって、当然、権利義務の問題が生じるということで、周知広報活動を積極的に行うことの重要性を多くの議員の皆さんが御指摘をされてまいりましたが、この周知、広報を行っていく上で必要な予算というものについて、予算措置は法務省として行っていただけるのかどうかということの確認をさせていただきたいと思います。

#105
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 相続登記の申請の義務化につきましては、国民に新たな負担を課すものであるとともに過料を伴う具体的な義務を設けるものでございますので、国民一般に対して十分な周知を図ることが重要であると考えております。
 具体的な周知方法につきましては、例えば、説明会の開催やパンフレット等の配布、法務省、法務局のホームページを活用した広報など国民に直接周知する取組を進めていくことを想定しておりますが、引き続き検討してまいりたいと考えております。
 また、市区町村においては、死亡届が提出された際に、相続発生時に必要な手続のチェックリストを交付するなどの取組がされております。法務省としては、これに相続登記の申請を盛り込んでいただくべく、地方公共団体や関係省庁と連携するといった取組のほか、遺産分割や相続登記を専門に扱う法律実務家と連携して、国民への周知を図る取組をしていくことなども想定しているところでございます。
 周知、広報に必要な予算措置についてでございますが、既に令和三年度予算において必要な予算措置を講じております。今後とも着実に取組を実行してまいりたいと考えております。

#106
○川合孝典君 法務省からのその通達に従って協力をしていただいているいわゆる法律の専門家、実務の専門家の方々が無用の、不要の負担が生じないようにしていただきたいということだけ申し上げておきたいと思います。
 時間がなくなってまいりましたので、次の質問に参りたいと思いますが、土地管理人の選任に当たっての予納金負担のことについて確認させていただきます。
 土地管理人選任制度が設けられることになったんですけど、例えばこれ現場の事例として、固定資産税評価額が二万円に満たないような安い土地の時効取得のための不在者財産管理人の申立てを行ったところ、予納金、これは家裁に納付する管理人の報酬等に使われるお金と聞いておりますが、これが四十万円とされた例があると。これが標準的な額なんだとすれば、土地管理人選任の予納金負担が、要はその対象となる土地に対して極めて大きいものと言わざるを得ないと感じました。
 共同相続人の一人が、不明の共同相続人のために、経済価値を全く有しないような土地のために予納金負担を果たしてするのかという、このことが素朴な疑問として感じられたんですが、したがって、現状のこの予納金の設定について裁判所が計算をしているということは説明を受けておりますけれど、その対象となる土地の価額に合わせる形で予納金の金額についてはきちっとバランスを取っていくべきではないのかと、現実的に、この土地管理人選任等を進めるということなのであれば、この金額設定考える必要があるのではないのかと考えたわけですが、この点についての認識をお伺いします。

#107
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 所有者不明土地管理制度を利用する場合には、対象となる土地の管理に要する費用や管理人の報酬に見合う金銭をあらかじめ確保をしておくことが必要となるため、実際上は、現行法上の他の財産管理制度と同様に、申立てをする利害関係人はあらかじめ費用や報酬に見込まれる予納金を納める必要がございます。この予納金の額については、予定されている管理の内容等を踏まえて個別事案ごとに裁判所において判断されるものでございまして、どの程度の額になるかを一概にお答えすることは困難でございます。
 もっとも、所有者不明土地管理制度は、土地以外の財産も含めて管理を行う既存の不在者財産管理制度等とは異なりまして、特定の土地に特化してその管理を行うものでございます。そのため、管理人の管理の負担は軽減され、それに要する費用の予納につきましても、既存の制度に比べると利用者の負担が軽減されるものと認識しております。
 また、今回の改正法案では、所有者不明土地の利用の円滑化に関する特別措置法第三十八条も併せて改正しておりまして、これにおきましては、地方公共団体の長は、所有者不明土地につき、所有者不明土地管理命令の申立てをすることが可能であることを明記しております。これを利用して地方公共団体の長等による申立てがされれば、私人が予納金を納めなくても所有者不明土地管理制度の利用が可能となるものでございまして、この申立て権が適切に行使されることが期待されるところでございます。
 法務省といたしましては、所有者不明土地管理制度が適切に運用されることが重要であると考えておりまして、制度の趣旨、内容についての周知を図るなど、制度の円滑な執行に向けてしっかりと取り組むとともに、委員の御指摘がありました予納金に関する部分も踏まえつつ、その運用状況、注視してまいりたいと考えております。

#108
○川合孝典君 時間が参りましたのでこれで終わりにしたいと思いますが、そうした問題があるということを認識した上で今後の対応を図っていただきたい、それだけお願いして質問を終わります。
 ありがとうございました。

#109
○委員長(山本香苗君) 午後一時二十分に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十九分休憩
     ─────・─────
   午後一時二十分開会

#110
○委員長(山本香苗君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、民法等の一部を改正する法律案及び相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#111
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
 まず、不動産登記法改正案について伺います。
 新設される簡易な相続申告登記について、司法書士会会長の今川参考人は、申告登記だけをしてそのまま放置しておくことが増えるのが懸念だと述べていました。本来の目的は、遺産分割協議を経た確定的な権利者の登記であり、未分割の段階での相続登記は暫定的なものだと、それもままならないときは救済措置としての申告登記と考えるべきだと、こういうお話でありました。
 法務大臣に伺いますが、法務省はこの間、相続申告登記の活用を期待すると答弁しておりますが、既に現場の実務家との間で認識の相違が生じているように見受けられます。このことをどうお考えでしょうか。

#112
○国務大臣(上川陽子君) 遺産分割がなされないまま相続が繰り返されて、多数の相続人による共有関係が生ずるという事態につきましては、相続人申告登記によって防止することができず、その後の財産の処分が困難になるという問題も引き続き生じ得るものでございます。
 このような多数の相続人による共有関係を生じさせないようにするためには、むしろ、相続人間でできる限り遺産分割がされ、その上で、その内容を踏まえた登記がなされる必要がございます。
 今般の改正におきましても、このような認識の下で、遺産分割やその後の相続登記を促進するために、遺産分割に関して期間制限を設け、遺産分割がされた場合の相続登記の申請義務を定めているところでございます。
 法務省といたしましては、遺産分割が行われ、その結果が登記に適切に反映されるようになること、これが今般の改正の趣旨に沿うものであることなどにつきまして、相続登記や遺産分割を取り扱う司法書士等の専門職者と十分に連携をし、そして、積極的に周知、広報に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

#113
○山添拓君 既に若干その位置付けについての認識の相違はあるようですので、この運用に当たってはやはり注意が必要なのではないかと思います。
 全国青年司法書士協議会の阿部参考人からは、申告登記の後の氏名や住所の変更についての懸念も指摘されておりました。
 申告登記については、氏名や住所の変更は義務付けられていないということでしょうか。

#114
○政府参考人(小出邦夫君) 申告登記につきましては、氏名、住所の変更の登記は義務付けられていないということでございます。

#115
○山添拓君 しかし、これは二次相続も含めて実務では頻繁に起きることだと思うんですね。これを無理なく運用していくことが必要だと思いますけど、何か追加でありますか。

#116
○政府参考人(小出邦夫君) 相続人申告登記につきましては、先ほど、氏名、住所の変更が生じた場合の変更登記を義務付けてはいないというふうに申し上げましたけれども、この相続人申告登記の情報につきましては、職権で登記官が住基ネット等から情報を取得してそれをその申出人等に促すような形で、職権によってその内容を更新していくということは今検討しているところでございますので、情報の更新はされる、もしそういう方向になりますれば、情報の更新は可能ということになります。

#117
○山添拓君 申告登記についても職権で住所変更などを反映させることを検討しているという答弁でありました。
 その氏名、住所の変更登記なんですけど、こちらも今度の法案で二年以内に義務化をします。しかし、そもそも所有権の取得や譲渡などのその権利変動があった場合ですら登記は義務ではありません。権利変動もないのに氏名や住所の変更を罰則付きで義務化する、この趣旨は何でしょうか。

#118
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 平成二十九年度に地方公共団体が実施した地籍調査事業における土地の所有者等の状況に関する調査結果によりますと、所有者不明土地の発生原因としては、所有権の登記名義人が死亡し相続が発生しているが登記記録上は登記名義人がそのままになっていることが全体の三分の二を、所有権の登記名義人の住所が変更されているが登記記録に反映されていないことが全体の三分の一をそれぞれ占めており、この二つが所有者不明土地の発生原因のほぼ全てを占めている状況にございます。また、都市部では所有者不明土地の発生原因として相続未登記よりも住所等変更登記の方が多いとの調査結果もありまして、住所等変更登記、これが未登記のものが所有者不明土地の主な原因となっていると考えられます。
 そのため、住所等の変更が委員御指摘のとおり権利変動を伴わないものであったとしても、所有者不明土地問題を解消するためには住所等の変更登記の未了についても解消する必要があり、住所等の変更登記の申請義務化につきましても過料を伴う具体的な義務を設ける必要があると考えたところでございます。
 参考までに、権利変動を伴わない事実関係を公示するものとして、不動産の所在、地番、地積などの不動産の物理的な状況を明らかにする表示に関する登記がございますが、これらについても登記の申請義務が課され、過料を科す旨の規定が設けられているところでございます。

#119
○山添拓君 その変更登記について職権で行うことも定めておりますが、自然人についてはその申出があるときに限るとされています。これ、申出があれば職権で変更登記が行われて、この場合は登録免許税は恐らく一筆当たり千円かと思いますが、これを免除するということも予定しているのでしょうか。

#120
○政府参考人(小出邦夫君) 今回、職権による住所変更の登記ということで、これはあくまでも登記官が必要な情報を取得することができることが前提でございまして、登記官が住基ネットや商業・法人登記のシステムから情報を取得して職権的に不動産登記に反映させるという新たな仕組みを設けているものでございまして、その前提として、このような職権的な情報更新の正当性の根拠として、登記名義人自らが住所等の変更登記を申請して情報の更新を図る具体的な義務を負っている必要があると考えております。また、外国に居住する者など、登記官において住基ネットから住所情報を得ることができない場合には本人の申請が必要となるということでございます。
 それで、これについての登録免許税の件でございますが、これは、令和三年度与党税制大綱の記載におきましても、新たな職権的登記の創設等を含めた不動産登記法の見直しについて成案を踏まえて令和四年度税制改正において必要な措置を検討するという記載がございますので、これにつきましても税制改正に向けた検討を行っていくということになろうかと思います。

#121
○山添拓君 次に、民法改正案について伺います。
 改正案の九百四条の三は、相続開始から十年を経過したときは特別受益や寄与分、相続人が受けた贈与や被相続人に生前療養や看護をしたなどの貢献について遺産分割で主張できないこととしています。
 この趣旨についての確認なのですが、これは十年を経過すると遺産分割ができないということではないかと思います。しかし、一般的な共有物分割も主張できるようになる、請求できるようになるのだと。これ、遺産分割と共有物分割との関係について説明をいただきたいと思います。

#122
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 遺産共有状態にある土地の分割は、共有物分割の方法ではなく、相続人が被相続人から受けた生前贈与等の額や被相続人に対して行った介護等の貢献を考慮して認められる相続人の寄与分を加味して、法定相続分又は指定相続分の割合を修正して算出される具体的相続分の割合により分割する遺産分割の方法によって実施することとされております。この点は今回の改正法でも原則として保持しているところでございます。
 遺産共有状態にある土地の円滑な利用等をするには、できる限り早期かつ円滑に分割を実施し、遺産共有関係を解消することが重要となるため、改正法案ではそのための各種見直しをしているところでございます。
 まず、改正法案では、相続開始から十年を経過するまでに家庭裁判所に遺産分割の請求をしなかった場合には、原則として具体的相続分による遺産分割を求めることができないものとし、遺産分割は法定相続分又は指定相続分により行うこととしております。これにより遺産の分割を促すとともに、相続の開始から長期間が経過している場合には、法定相続分等の割合により簡明にその分割を行うことを可能としております。
 また、改正法案では、相続開始のときから十年間を経過したことなどを要件とした上で、裁判所の関与の下で、所在等が不明な相続人の不動産の持分を適正な代価を支払った上で他の相続人が取得したり第三者に譲渡したりすることができることとしております。これにより、所在等が不明な者がおり、相続人全員の関与が必要となる遺産分割を実施することが容易ではないケースについて解消を円滑に行うことを可能としております。
 そのほか、改正法案では、具体的相続分による分割を確保するため、地方裁判所と家庭裁判所のそれぞれで手続を取らなければいけない遺産共有の状態にある共有持分とそれ以外の一般の共有持分とが併存しているケースに関しまして、相続開始のときから十年間を経過したことなどを要件とした上で、地方裁判所の共有物分割の手続において一元的に共有関係を解消することができる仕組みを創設しているところでございます。

#123
○山添拓君 極めて難解で、ちょっと聞いただけではすぐに分かりませんが、遺産分割を求める相続人がいる場合にはそちらが優先をされると、共有物分割という仕組みも使えるようになっていく、十年経過後はそういう扱いになっていくかと思うんです。
 ただ、共有物分割の場合には、民法二百五十条で各共有者の持分が相等しいものと推定されております。法定相続分ではないことから、不公平が生じ得ます。元々、遺産分割の規定というのは相続人の生活保障や被相続人の意思を尊重したものでもありますので、これは特別の考慮が必要だと指摘をしておきたいと思います。
 そもそも、この十年過ぎると特別受益や寄与分について主張を制限するのはなぜなのかと。これは、早期の遺産分割を促して、広い意味で所有者不明土地の解消につながると考えられるからだと思います。しかし、所有者不明土地の解消というのは、これは相続人のためというよりは公益的な目的です。相続登記の義務化も、取引の安全、円滑化が目的です。登記簿を見る人の利便性のためだと言えます。公益目的のために相続人の権利を制約することになります。しかも、その制約は、土地だけではなく、建物や預貯金など、遺産全体に及ぶことになります。
 これは、目的に対して権利の制約の範囲というのが大き過ぎるのではないかと考えられますが、いかがでしょうか。

#124
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 遺産の分割がされないままであると、遺産に属する財産については暫定的な遺産共有状態が継続することになりますが、相続人としてはその財産を適切に利用したり処分したりすることが容易ではないため、客観的に見て、このような状態が継続することは相続人にとっても好ましくないことだろうと考えております。
 また、遺産分割がされないままの状態が継続して、その間に相続人が死亡して数次相続が発生すると、例えば孫が父母に代わって祖父母の遺産分割をしなければならないといった事態が生じますが、そのような遺産の分割をすることはその孫にとっても負担が重いと思われ、遺産の分割を促し、数次相続の発生を防止することは、相続人にとっても重要であります。
 また、遺産の分割がされないまま長期間経過した後に具体的相続分による遺産分割を求められると、例えば、自己に対する贈与が特別受益であると主張された相続人が、それに対する反証となる証拠を紛失し、適切に反証することができないといった事態などが生ずることとなります。
 したがいまして、具体的相続分による遺産分割に時期的な制限を設けることは、分割の主体である相続人の利益にも資するものでございまして、合理性を有するものと考えているところでございます。

#125
○山添拓君 長期間たてば資料や証拠が散逸するという傾向は確かにあると思うんです。しかし、証拠がなければ審判で認定できないというのは今でも同じです。遺産分割調停で主張自体できなくなるとまでする必要はないのではないかと私は思うんです。
 吉原祥子参考人は、十年が経過した後でも、相続人間で合意できれば具体的相続分に基づく分割は可能だと述べていました。調停も広い意味では相続人間の合意です。ですから、審判で認定することはできないとしても、資料や証拠がある場合に調停であえて排除することもないのではないかと思いますが、この点いかがですか。

#126
○政府参考人(小出邦夫君) 相続人関係者全員が合意すれば、具体的相続分を前提とした遺産分割を行うことができることは可能だという整理になっております。

#127
○山添拓君 調停でも可能だという趣旨でありました。
 遺産分割は基本的に私的自治の問題ですので、相続人の意思を尊重すべき問題です。相続人に争いがある場合はもちろんですが、争いが少なくても手続が進まないケースがあることが参考人質疑でも指摘されました。合意形成を容易にする支援の充実こそ求められております。
 相続財産の国庫帰属法案では、承認申請を受けた調査や承認の審査は法務大臣の権限とされており、これは地方法務局の長に委任できるとされています。実務上は登記官が行うことになると思うんですね。
 資料を御覧ください。
 この間の法務局の定員の推移を全法務省労働組合がまとめたものです。二〇一七年、法定相続情報証明制度の導入、一八年、長期相続登記未了土地の解消作業、一九年、表題部所有者不明土地の解消作業、二〇二〇年、自筆証書遺言の保管制度など、新たな取組が導入されるたびに一定の増員査定が行われています。しかし、同時に定員合理化によってこの増員分を超える大幅な減員が進んで、現場では仕事が増えるのに人が減っているという状況です。
 業務が更に増える以上は現場で実感できるような体制拡充を行うべきだと考えますが、大臣、いかがですか。

#128
○国務大臣(上川陽子君) この法案につきましては、委員御指摘のとおり、法務局が実施する新たな施策が数多く含まれております。法案が成立した場合におきましては、法務局の担う業務が増加することが見込まれるところでございます。法が成立した場合には、これらの業務を適正に遂行することができるよう、法務局におきまして必要となる人的体制の整備及び予算の確保に努めてまいりたいと思っております。

#129
○山添拓君 今年純増になっているんですけれども、八人ですよ。全国に地方法務局五十か所ありますから、一局当たり〇・一六人ですね。業務量の増加にとても見合わないです。これは必ず拡充をしていただきたいとお伝えしたいと思います。
 それでは、残った時間で名古屋入管で三十三歳のスリランカ人女性ウィシュマさんが亡くなった事件について伺います。
 資料の二枚目、三枚目、法務省の中間報告が公表されました。
 二〇一七年六月に来日され、日本語学校で学んでいましたが、学費が払えずに退学し、留学生の資格を失いました。交際していたスリランカ人男性からの暴力などもあり、千葉から静岡に移って過ごしていたと言われます。昨年八月、警察に出頭したところ、オーバーステイで逮捕されたといいます。
 法務省に伺いますけれども、なぜウィシュマさんは出頭したんですか。

#130
○政府参考人(松本裕君) お答えいたします。
 出頭後の入国警備官による違反調査におきまして、二〇二〇年八月十九日、恋人に家を追い出されてほかに帰るところも仕事もなかったのでスリランカに帰国したいと警察に出頭したところ、不法残留しているので逮捕されました旨供述されたというふうに認識しております。

#131
○山添拓君 DV被害から逃れようと警察に助けを求めたと、この事実は把握していますか。

#132
○政府参考人(松本裕君) 先ほど違反調査の関係で申し上げましたように、恋人に家を追い出されたという点、あるいは仮放免の申請、御本人は本年一月四日、仮放免の許可申請を行っておるんですけれども、その際、収容前に同居していたスリランカ人の彼氏から暴力を受けた旨等々、そういう理由が記載されていたものと承知しております。

#133
○山添拓君 把握していたということだと思うんですけれども、これ、DV被害者ですね。ですから、まず何よりも保護されるべき存在だったと思うんです。しかも、昨年春以降はコロナ対策で収容というのは大幅に減らしていたはずです。なぜ収容したんですか。

#134
○政府参考人(松本裕君) 収容そのものの経緯といいますのは、警察に出頭された御本人について入管が身柄の引渡しを受けたということでございますが、収容の継続の当否、適否等につきましては、現在、中間報告を踏まえた上での更なる調査において検討し、その内容については最終報告で明らかにしたいと思っているところでございます。

#135
○山添拓君 時間ですので終わりにしますが、これ、わざわざ警察に助けを求めに来ていたんですね。かつては音信不通になっていた時期があったんですが、そのときとは状況が違ったわけです。当時、スリランカ行きの定期便はありませんでした。帰国できる見通しもないのに在留資格がないから収容だと、そういう在り方自体がまず大問題だということを指摘させていただいて、今日は質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございます。

#136
○高良鉄美君 沖縄の風の高良鉄美でございます。
 本日は、十三日の法務委員会でできなかった質問や、参考人からの答弁を確認させるような形で行いたいと思います。
 まず、所有者不明土地管理制度についてお伺いします。
 沖縄にはさきの大戦で土地関係の記録が焼失するなどして多くの所有者不明土地がありますが、そのような土地も所有者不明土地管理制度の対象になるのか、そういうことを伺いたいんですけれども。これ、やはり沖縄の場合に、単に相続の問題とかそういったことではなくて、それ以上に記録がなくなっているという状態がかなり違うと思うんですが、一応そういったことはおいておいても、こういう土地、沖縄の所有者不明土地に関してこの管理制度の対象になるかどうか、お伺いしたいと思います。

#137
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 沖縄県におきましては、さきの大戦におけるいわゆる沖縄戦によって公図、公簿等が焼失したため、戦後、所有権の認定作業や地籍調査が実施されましたが、これらの作業等の際に所有者を確認できなかった土地は沖縄県又はその市町村が管理することとされているものと承知しております。
 今般の所有者不明土地管理制度は、所有者が不特定又は所在不明の場合において、必要があるときにその利用が認められるものでございます。御指摘のような土地につきましては、法律の規定に基づき沖縄県又はその市町村が管理しているところでございますが、所有者が不特定又は所在不明なものでありますので、最終的には個別の事案における裁判所の判断に委ねられるものの、それとは別に、裁判所が選任する管理人による管理の必要性が認められる場合には所有者不明土地管理命令が発令されるケースがあり得るものと考えております。

#138
○高良鉄美君 この新しい制度を、この管理制度を利用するにはその利害関係人が裁判所に請求をする必要があるということで、今そういったことも触れましたけれども、裁判所に請求するには、現行の場合には五十万から百万ぐらいの予納金が必要であるとのことでした。では、この新しい土地管理制度になればどれぐらい必要になるのかと。
 先ほど、個別に応じてとか内容をチェックしてということで、かなり個別事情で違ってくるというお話がありました。ただ、幅として、新しい制度とこれまでの制度とかなり金額が違うのか、その辺必要になるのか、お伺いしたいと思います。

#139
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 所有者不明土地管理制度を利用して適切に土地の管理を行うためには、管理人による管理に要する費用や管理人の報酬に見合う金銭をあらかじめ確保しておくことが必要となりますが、管理人による管理の対象となる財産は基本的には土地のみであり、管理の対象となる財産からこれらの費用等を支出することは困難でございます。そのため、実際上、現行法上の他の財産管理制度と同様に、所有者不明土地管理命令の申立てをする利害関係人からあらかじめ費用や報酬に見込まれる予納金を納めてもらう必要があることになります。
 この予納金の金額でございますが、個別の事案ごとに、予定されている職務の内容がどのようなものであるか、例えば、現状を維持するために単にその土地の管理をするだけであるのか、あるいは、それとも売却等の処分をすることまで予定しているのかといったその職務の困難性、あるいは確実な売却先が確保されていて、既にですね、その売却代金をそのまま管理費用に充てることが見込まれるのかといった諸般の事情を考慮して判断せざるを得ないと考えられるところでございます。
 もとより、今回の改正は、特定の土地のみを管理の対象とすることにより、効率的な管理を可能として不必要な負担が生じないようにするためのものではありますが、先ほど述べた理由から、その予納金の金額の見込みなどをお答えすることは困難でございます。
 いずれにいたしましても、法務省としては、新たな制度の趣旨等についての周知を図るなど制度の円滑な施行に努めるとともに、施行後の運用状況について注視してまいりたいと考えております。

#140
○高良鉄美君 午前中の質疑でもありましたけれども、やはりこの金額、それなりにある程度の金額が必要だということになると、なかなか制度の利用というのがしにくい場面もあるんじゃないかなというふうに思っているんですが。この戦災を原因とする沖縄における所有者不明土地の管理というのは、先ほども答弁の中にありましたけれども、沖縄復帰特別措置法で沖縄県又は市町村が管理することになっています。
 三月二十四日の衆議院の法務委員会で、沖縄県選出の屋良朝博議員の質問に対して法務省は、所有者不明土地を管理する沖縄県又は市町村が利害関係人として請求をすることができるというふうに答弁されていますが、それでよいか、確認したいと思います。

#141
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 所有者不明土地管理命令の申立て権者につきましては、改正案では利害関係人と規定しておりますが、所有者不明土地管理制度は所有者又はその所在が判明しないために適切な管理が困難になっている土地を対象とするものでありまして、そのような土地の管理について利害関係を有する者が申立て権を有するものと考えられます。
 どのようなものがこれに当たるかについては個別の事案に応じて裁判所により判断されるものと考えられますが、沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律第六十二条に基づいて現に土地の管理を行っている地方公共団体が利害関係人として所有者不明土地管理命令を請求することができるかにつきましては、個別の事案ごとの判断によることとなりますが、衆議院の方でも答弁したとおり、事案によっては利害関係が認められるケースがあり得るというふうに考えています。

#142
○高良鉄美君 この法案の趣旨に沿って所有者不明土地をなくしていくと、解消していくことを、まあ促進すると言ったら変ですけれども、そういった解消していく方向性をやっぱり見極めると、この辺、もっと活用しやすいというんですかね、あるいはその趣旨に沿ったような形に対応していくということがこれからも進められるんじゃないかなと思います。
 次に、相続登記の義務化における相続登記の費用についてお伺いします。
 沖縄には母子家庭、父子家庭も多く、経済的に困窮している家庭もあります。相続登記が義務化されると、このような家庭環境にある方は更に苦しい立場に追われるのではないかと思います。
 そこで、相続登記に係る費用の負担を軽減する方策は考えておられるか、法務省に伺います。家庭環境、生活環境、そういうのはあったと思いますけれども、その辺を確認も含めてお伺いします。

#143
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 一般に、相続登記の申請における費用的な負担といたしましては、所有権の移転の登記としての登録免許税を要するほか、司法書士に手続を依頼した場合にはその報酬負担も生ずるものでございます。
 今般の手続におきましては、相続登記の申請義務の実効性を確保するため、手続面での負担軽減策のほか、費用面での負担軽減を図る観点から、登録免許税につきましては、引き続き令和四年度税制改正に向けた取組を進めてまいる予定でございます。
 また、司法書士に手続を依頼した場合にはその報酬負担が発生いたしますが、今般の不動産登記法の見直しにおきましては、相続登記の申請義務の実効性を確保すべく、相続人が申請義務を簡易に履行することができるようにする観点から、新たに相続人申告登記を創設することとしております。
 具体的には、相続人申告登記の申出は特定の相続人が単独で行うことが可能でありますし、申出に当たっての添付書面につきましても簡略化が図られております。これを活用することによって、相続人の手続的な負担は大幅に軽減されることとなると考えております。
 以上を含めまして、相続人の手続負担の軽減につきましては実務上も引き続き取組を続けてまいりたいと考えております。

#144
○高良鉄美君 是非、家庭環境も含めて、やはり負担というんでしょうかね、そういったものが多くなるとこの制度の趣旨としてどうなるのかなというのも気になるところですけれども。
 今、相続人申告登記のお話がありました。司法書士によらなくても相続人申告登記はできるということですけれども、これ、沖縄に関わらず高齢者の方々、それから病気や足腰の不自由な面があったりして自分で登記所に出向いて手続をすることが困難な方も少なくないと思います、現在、日本の中でですね。
 このような方でも相続人申告登記をすることが可能かということですが、午前中もデジタルの話もありました。そういうことで、やはり高齢者の方が、自分では出向かなくてもいろんな形でできるといっても、そのデジタル化には対応できるかどうかというのもありますので、その辺の辺り、相続人申告登記の負担の問題ですね、法務省にお伺いしたいと思います。

#145
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 相続人申告登記は、所有権の登記名義人の相続人からの申出を受けた登記官が職権により登記をすることを想定した制度でございまして、申出の具体的な在り方や添付書面の詳細などについては、今後省令で定めることとなります。
 相続人申告登記制度は、通常の相続登記と異なりまして、登記申請によるのではなく申出による手続としているため、一般の登記の申請手続と比べればその手続はより簡素化したものとすることが想定されます。また、登記所に出向かなくとも、郵送等の手段による申出もできますし、オンラインでの申出を可能とすることなども検討課題となるものと考えております。
 議員御指摘の、高齢者や病気等によって自ら登記所に出向いて手続をすることが困難な方につきましては、所定の期間内に相続登記の申請をしなかった場合でも正当な理由があるとの評価がされることも十分にあり得るものと考えております。
 この点をおくといたしましても、登記所に出向くことなく相続人申告登記の申出をすることがより容易なものとなるよう工夫を重ねてまいりたいと考えております。

#146
○高良鉄美君 この辺の配慮、あるいは今、判こなしまで考えているような事情も政界の方であるようですけれども、この辺りも含めて重要な問題だと思いますので、対応の方よろしくお願いしたいと思います。
 次に、参考人、先日十五日に参考人からの御発言があったことについて確認をします。
 山添議員が今回の法改正で十分なのかと、残された課題はあるかという質問をしました。吉原参考人は、残された課題として相続放棄の問題を挙げられました。相続人全員が相続放棄をしてしまった場合、誰もそこの土地に対して管理人の申立てをしなかった場合は、そこは宙に浮いたままになってしまうというふうに述べられています。また、今回の法改正の議論で、一つ途中で落ちたのが時効取得であるとして、実質的に共有者の一人がずっとその家に住んでいたり、あるいは土地を管理している場合に時効取得を認められるかという論点も途中で落ちましたということですね。それは今後の課題として残っているのかというふうに思うというふうに述べられました。
 参考人がこう述べられている点について、法務省の見解を伺いたいと思います。

#147
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 まず、相続放棄の点についてでございますが、法定相続人全員が相続放棄をした場合には、相続財産に属する土地を管理する者がいないことになります。現行法では、このような土地については、相続財産管理人を選任して相続財産の清算をした上で、最終的に残余財産としての土地が残った場合には国庫に帰属することとされておりますが、その選任を申立てをする者がいないケースもあり得るわけでございます。
 そこで、平成三十年に制定された所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法におきましては、地方公共団体の長等に相続財産管理人の選任申立て権が付与されたところでありまして、事案に応じてこのような地方公共団体の長等による申立てが活用されることが期待されるところでございます。これに加えまして、改正法案では相続財産の清算手続に関する期間を実質的に短縮することとしており、制度の利便性の向上も図っているところでございます。
 また、相続財産管理人の選任は清算手続を伴うものでございまして、相続人全員が相続放棄をしたケースでは、相続財産に属する特定の土地の管理のみを行いたいケースには負担が重くて利用がしづらいという指摘がございました。
 そこで、改正法案では、特定の土地に特化した所有者不明土地管理制度を創設し、そのようなニーズにも対応することとしております。
 法務省といたしましては、相続人全員が相続放棄をした場合の土地の管理の在り方が残された検討課題であるという参考人の御指摘も踏まえまして、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法や、今回の改正法案の今後の運用状況について注視してまいりたいと考えております。
 また二点目、時効取得の点でございます。土地等が共有関係にあると、各共有者の持分権が互いに制約し合う関係に立ち、共有物の利用に支障を来す事態が生ずるため、共有物の利用を促進する観点からは共有関係の円滑な解消が極めて重要でございます。
 そこで、その共有者の一人が共有物である土地を長期間占有しているケースにつきましては、現行法の下でも一定の要件を満たせば、その共有者の一人がその土地の単独所有権を時効によって取得し、もって共有関係を解消することが可能でございます。そのため、法制審議会民法・不動産登記法部会における審議の過程では、この共有関係の解消を促進する観点から、この時効取得を幅広く活用すべく、共有者の一人が共有物を占有しているケースについて、現行法よりも広く取得時効を認める規律を設けることなどが検討されたところでございます。
 しかし、検討の過程で、共有関係の解消に当たっては、基本的に共有物の分割制度や新設する所在等不明共有者の持分取得制度など、持分を喪失することとなる共有者にその対価の支払を受ける機会を保障する仕組みを利用することが適当であり、取得時効により対価なしに単独所有権を取得することを広く認めることは相当でないという指摘がされました。このため、共有者の一人が共有物を占有しているケースにおける取得時効の成否については、引き続き解釈に委ねることとされ、改正が見送られたところでございます。
 もとより、共有関係の円滑な解消を実現することは重要でございまして、法務省としては、所在等不明共有者の持分取得制度など、改正法案により導入される新制度の適切な運用に向けて効果的な周知、広報に努めてまいりたいと考えております。

#148
○高良鉄美君 是非こういうケースも、時効取得のケースもフォローして、円滑な実施ということ、適用ということもまた対応していただければと思います。
 次に、吉原参考人は、今回の法改正が沖縄の問題に対して貢献する部分と、沖縄の経験が日本全体に役立つ部分と両方あるというふうに述べられました。これ、私の質問は、結局、沖縄でスタートしたこの所有者不明土地問題は、戦後すぐから五〇年代の初めまでありました。今回の場合には、かなり日本全体のこの所有者不明土地制度の問題とは少し違うかもしれないですけれども、そこどうなのかということをちょっと疑問を感じたものですから、これ質問したわけですけれども、この役立つ部分と貢献する、まあ要するに沖縄の問題に対して貢献する部分と、今度は沖縄での経験が役立つ部分と両方あるというふうに述べられました。
 今回の法改正が沖縄に役立つ部分として、例えば、所有者不明土地管理制度が新しくできたので、沖縄の不明地でも解消が困難な部分については、新しいこの管理人制度を使って、利用に向けて促進できる道が開かれたということでした。
 また、沖縄の経験を生かせる部分として、沖縄では不明地について県や市町村を管理者と立てて、登記簿にもその旨記載していたのではないかと思いますと、管理者として。その過程で県や市町村がどのように管理者としてどういう業務を担っていて、どのくらい負担になっているかということが今後管理制度をつくっていく上で大きな参考になるのではないかと述べられました。
 この参考人の発言について、法務大臣の見解を伺いたいと思います。

#149
○国務大臣(上川陽子君) この改正法案におきましては、特定の土地に特化した所有者不明土地管理制度を創設をしているところでございますが、これは沖縄における所有者不明土地にも適用され得るものでございます。参考人の御発言もこのことを踏まえてのものというふうに理解をしております。
 沖縄におきましてのこの所有者不明土地の解決は極めて重要な問題でありまして、沖縄戦によって公簿等が焼失して不動産の所有者を確認することができない土地につきましても、この新制度を活用してその解消を図ることができるよう、また環境整備も含めまして十分に配慮してまいりたいというふうに考えております。
 また、改正法案の成立後は所有者不明土地の適正な管理を実現するため、所有者不明土地管理制度の円滑な運用を図ることが必要でございます。参考人の御発言の中にも、新たな制度を運用する上で沖縄の取扱いが参考になるとしたものであると受け止めております。
 法務省といたしましては、改正法案の成立後は、こうした参考人の御発言も踏まえつつ、所有者不明土地管理制度の施行に向けまして、関係機関と連携をして必要な対応を図ってまいりたいというふうに考えております。

#150
○高良鉄美君 ありがとうございます。これで質問を終わりたいと思います。

#151
○嘉田由紀子君 碧水会の嘉田由紀子でございます。少数会派にも二十分という時間をお与えいただき、ありがとうございます。
 今回のこの所有者不明土地問題、また土地所有権の国庫への帰属、私は、自治体の経営者としても随分苦労してきたテーマでございますので、よくぞ法案をここまで詰めていただいたと感謝を申し上げます。
 具体的に、先ほど公明党の谷合議員、また維新の清水議員、本当に重要なポイントを指摘いただきました。例えば、ため池や果樹園は、国の方は、農水省にしろ、なかなか扱い得ないというような問題。ただし、それらはこれからの日本の生物多様性やあるいはグリーンインフラなどを考えるときには大変重要な場所であると。その一つの利用として、ランドバンクという新しい仕組み、清水議員が質問してくださいました。この辺のところは是非前向きに、国土管理、そして新しい時代の土地利用というところで御期待を申し上げます。法案の提出には賛成でございます。
 せっかくいただいたお時間の中で、私、一貫して、本当に日本の子供たちが不安定な状態に置かれているというところ、心を痛めておりまして、その一つは、どうも司法の仕組みそのものが子供たちを守る仕組みになっていないんじゃないのかということで、いろいろ勉強させていただきました。
 まず最初に、判検交流と三権分立についてお伺いをしたいんですが、判検交流、例えば身の回りの知っている人に、これ聞いたことあると言うと、ほとんど知らないと。裁判官の身分の人が検事の身分に転官して国の行政機関など勤務している、そういう制度と伺っております。
 今日は、資料一に、小学校六年生で最も多く採用されている東京書籍の社会科の教科書を一ページお出しさせていただきました。裁判所の三権分立の中の役割として、国会で決められた法律に問題となる部分があったり法律に反して政治が行われたりしたら大変なことになるので、裁判所は、このようなときに法律に基づいて問題を解決し、国の権利を守る仕事をしていますとあります。
 そんな中で、内閣法制局さんにお伺いしたいんですが、三権分立の間で権力の抑制と均衡を図る意義について御説明いただけるでしょうか。

#152
○政府参考人(木村陽一君) 三権分立でございますけれども、通常、国家作用を立法、司法、行政の三権に分けまして、各々を担当するものを相互に分離、独立させ、相互に牽制をさせる統治組織原理のことを指すものとして使われております。
 釈迦に説法になってしまいますけれども、日本国憲法におきましては、立法権は国会、行政権は内閣、司法権は裁判所にそれぞれ属することとされております。また、それらの間には、特に内閣と裁判所ということかと思いますけれども、内閣の裁判官の任命権、それから最高裁判所には法律、命令、規則、処分に対します違憲審査権という、相互に他を抑制し、均衡を保つ仕組みが定められているところでございます。

#153
○嘉田由紀子君 御丁寧にありがとうございます。
 内閣と司法権の間で均衡を保つというところで、この判検交流は、戦後、昭和二十年代に、法務省の言わば人的資源が不足しているということで裁判官が検事にという人事交流なされたということでございますけれども、この判検交流の内容と法的な根拠、法務省さん、御説明いただけますか。

#154
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
 いわゆる判検交流でございますが、委員御指摘のとおり、裁判官の職にあった者からの検察官への任命及び検察官の職にあった者からの裁判官への任命を始めといたします法曹間の人材の相互交流を指すものと承知をしております。
 このような判検交流でございますが、法務省が所掌いたします司法制度、民事、刑事の基本法令の立案、あるいは訟務事件の遂行等の事務におきましては、裁判実務の経験を有する法律専門家である裁判官を任用する必要があることや、裁判官が裁判官以外の法律専門職としての経験、その他の多様な経験を積むことは、多様で豊かな知識、経験を備えた視野の広い裁判官を確保するという目的のためにも意義があることから行われてきたものと承知をしております。
 法的な根拠でございますが、判検交流それ自体について定める法律の規定というのは特にないのでございますけれども、裁判官の職にあった者の検察官への任命につきましては検察庁法に、検察官の職にあった者の裁判官への任命につきましては憲法及び裁判所法にそれぞれ定められているものと承知をしております。

#155
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
 裁判官から検事の身分に転官して国の行政機関で勤務している者の数と法務省本省における役職、これ法務省さんから資料、提案をいただきまして、資料二と資料三、嘉田事務所で整理をさせていただいたものがございます。
 資料二と資料三見ていただきますと、こちらで、裁判官の身分から検事の身分に転官した、そして法務省で勤務されている方の人数、あるいはその課長級ポストに占める割合、また、特定の役職にそうした方々が任命され続けている傾向がございます。これ個別の問題ではないので、役職として、例えば民事局長さんあるいは参事官さんなど、ずっと、網掛けしてあるそのポストは判検交流の方が就いておられるという傾向だろうと思います。
 その辺りのところで、法務大臣、法務大臣の御認識、いかがでしょうか。

#156
○国務大臣(上川陽子君) 法務省が所掌いたしております司法制度、また民事、刑事の基本法令の立案、また訟務事件の遂行等の実務、事務におきましては、裁判実務の経験を有する法律専門家であります裁判官を任用する必要がございます。また、これらの実務、事務に関する高度な判断を的確に行いつつ、法曹資格者を始めとする部下を指揮監督して適正に職務を遂行しなければならない法務省幹部に、法曹としての豊かな専門的知識と経験とを備えた裁判官の職にあった者を任用することにつきましては合理性があるというふうに考えております。
 委員御指摘の法務省幹部の任用状況については、その都度、適材適所の観点から適正な配置に努めた結果として、裁判官の職にあった者を充てることが続いているものと認識をしております。

#157
○嘉田由紀子君 これはコメントですけれども、資料三を見ていただきますと、法務本省には裁判官出身者の方が三〇・五%、十八名、他の管理庁、委員会には裁判官出身の方はおられないという、それはもう事実としてだけ示させていただきます。
 そこで、衆議院の法務委員会で、ちょうど二〇一七年ですけど、金田法務大臣が、法務省で勤務した者が裁判官に復帰したときの裁判の公正中立性について、法曹は法という客観的な規律に従って活動するものであるので、その場に応じて職責を全うするところに特色があるということを答弁しておられますけれども、客観的な規律に従って活動することと、法務省職員として、職員というのは法務大臣の指揮監督の下で職務を遂行する言わば行政職員です、これは両者が抵触するような場合はないんでしょうか。あるいは、そういう場合、法という客観的な規律に従って活動することが認められるのでしょうか。法務大臣と内閣法制局さん、両方からお願いいたします。

#158
○国務大臣(上川陽子君) 法曹は法という客観的な規律に従って活動するものでありまして、裁判官、検察官、弁護士のいずれの立場に置かれても、その立場に応じて職責を全うするところに特色があるものと考えております。
 もとより、我が国は法治国家でございます。法律による行政の原理が行政運営の基本とされるところでございまして、このことは法務行政においても異ならないものでございます。法務大臣の法務省職員に対する指揮監督はこれを前提に行われるものであります。裁判官の職にあった者が法務大臣の指揮監督下で職務を遂行することと法曹として法という客観的な規律に従って活動することは何ら矛盾抵触するものではないというふうに考えます。
 先ほど委員御指摘の金田法務大臣の御答弁ということでございましたけれども、こうした理解を前提になされたものというふうに考えております。

#159
○政府参考人(木村陽一君) 三権分立と判検交流という人事の運用との関係というような御質問かというふうに思うんですけれども、やはり当該運用に係りますその当事者の間におきまして一義的にはやっぱり御検討いただくべき事柄であろうというふうに思っております。
 お尋ねにつきましては、申し訳ございませんけれども、内閣法制局としてちょっとお答えすることは難しゅうございます。

#160
○嘉田由紀子君 理念的に説明することと、それと具体の、それこそ三権分立のこの理念が具体の裁判とかに言わば適用されるところには、ずれはあるかとは思うんですが、後半の方、私、常々申し上げております、子供たちが今、特に離婚の後どういう状態に置かれているかというところで、この三権分立と判検交流と関わっている事例があるのではないのかということで質問させていただきます。
 法務大臣、平成二十八年、二〇一六年に千葉の家庭裁判所松戸支部でフレンドリーペアレントルールというのが出されたんですけど、法務大臣は御存じでおられるでしょうか。

#161
○国務大臣(上川陽子君) 御指摘の判決につきましては、報道等によりましてその概要を承知しているところでございます。

#162
○嘉田由紀子君 上記の松戸事件の当事者である渡辺泰之参考人が、二〇一三年、平成二十五年四月十九日、衆議院の法務委員会の参考人質疑で発言をしておられます。それをちょっと今日、長いんですが、資料四としてコピーを皆様にお出しをしております。
 この資料、ちょっとかいつまんで御紹介いたしますと、特に、裁判官の役割というところで、裁判官が法をどう運用するかというので、この渡辺参考人が、裁判官は、当時ちょうど、時代背景としては二〇一三年、二〇一一年に民法七百六十六条が改正をされて、そこに子供本位の離婚後の言わば監護権あるいは親権の確定というところが議論された後です。民法七百六十六条も改正をされました。その民法七百六十六条に従った運用をしていただきたいと、渡辺参考人が当事者として、子供を連れ去られた当事者ということですけれども、審判のときに発言をしたところ、その裁判官は、法務大臣が何を言おうが関係ない、国会の議事録など参考にしたことはないとおっしゃられたということでございます。
 個別の審判の例ですから、そう大きく取り上げることはないのかもしれませんが、実は、審判に当たった担当の若林裁判官のこの発言、そしてフレンドリーペアレントルールを全く取り上げなかったということが、その後のこの子供の親権問題に大きな影響を与えているということがございますので、あえてここで取り上げさせていただきました。
 そして、二〇一四年、その一年後ですけれども、親子ネットが、やはり民法七百六十六条改正で家裁は変わったのかということを調べております。家裁通信簿という資料がございますけれども、ここでは裁判官の行動評価が大変低いと。子供の福祉にかなうように適切に行動していないと思う人が九〇%もいる。立法府が制定した民法七百六十六条の法律の趣旨が実際の裁判において裁判官が軽視しているのではないかという疑念を持つ人が多いということでございます。
 ここについては、法務大臣、最高裁判所の御認識はいかがでしょうか。

#163
○国務大臣(上川陽子君) 平成二十三年の民法等の一部改正におきまして、民法第七百六十六条第一項が改正をされました。父母が協議上の離婚をする際に定める子の監護につきまして、必要な事項の具体例として面会交流及び子の監護の分担が明示されるとともに、これらを定めるに当たっては子の利益を最も優先して考慮しなければならないことが明示されたところでございます。この改正の趣旨でございますが、協議離婚をする当事者に面会交流や養育費の取決めを促すとともに、これらを定めるに当たっては子の利益を最優先して考慮しなければならないという改正前の民法におきましても同様の前提とされていた理念を規定上も明確にした点にございます。
 その上で、あくまで一般論として申し上げるところでございますが、面会交流の調停や審判の手続におきまして、裁判官はこのような民法の趣旨を踏まえ、子の意思や心情、生活状況、親子の関係に関する事情、ドメスティックバイオレンスや虐待の有無等の様々な考慮要素を総合的に考慮して、子の利益を最も優先した面会交流の在り方を検討しているものと承知をしております。

#164
○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のような参考人の御発言ですとかアンケートにおける御意見があったということは承知をしているところでございますが、個別の事件、それから特定の団体が実施された個別のアンケートについて、最高裁事務総局として意見を申し上げることは控えさせていただきたいと存じます。
 一般論として申し上げますと、個々の裁判官におきましては、ただいま上川大臣からも民法七百六十六条の改正趣旨について御説明あったところでございますが、委員御指摘の民法七百六十六条を含みます関係法令の立法趣旨も踏まえつつ、個別の事案に応じて適切な判断を行っているものと承知しておりますが、最高裁としましても、引き続き必要な支援をしてまいりたいと考えております。

#165
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
 個別の事案についてはコメントできない、ただし、一般論としては七百六十六条の趣旨というのは大切なものであるということを御答弁いただきました。
 実は、この七百六十六条が改正された後であっても、具体、現場の裁判実務を見ますと、片親親権の中でどちらに監護権やあるいは親権が裁判所で決められるかというと、圧倒的に多くが、先に子供を連れ去った、あるいは継続的に同居している者、九〇%以上、これが裁判実務でございます。そういう中で、単独親権でありながら、親権を付与する基準が、理念ではあっても具体的に裁判実務でできていないと。
 江田当時の法務大臣も、継続性の原則は使ってはいけないと、フレンドリーペアレントルール含めて多様な、まさに子供の利益を総合的に考えるということを言っていただいております。そういう中で、今現実に、先日も、元将棋棋士の橋本八段、子供を連れ去られてしまった。過去十年、統計はございませんけれども、大変多くの方がこの連れ去りに遭っている。これは、継続性の原則を実務として言わば判断基準にしているのではないのかと。
 あわせて、ほかの本来の総合的な子供の利益が配慮されていないのじゃないかということが社会問題化していると私は理解をしております。裁判所の紛争解決機能に対する満足度、納得度というのが残念ながら日本では余り高くないんですけど、その辺、資料五でお示しをしております。
 もう時間もないので、最後に一言だけお願いをしたいんですが、家事事件における紛争当事者の満足度、納得度を評価、検証した資料が今のところありません。最高裁からも提案をしていただくようお願いしたんですが、民事事件についてはあるんですけど、家事事件についてはありません。この辺り、最高裁判所さんの方で今後そういうデータを取られるかどうかコメントいただき、また法務省さんの方からも、短くて結構です、コメントいただけたら幸いです。

#166
○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、家庭裁判所としまして、家事手続の運営の在り方について、利用者の御意見やニーズを把握して更なる調停運営の改善や利用促進に生かしていくということは大変重要であるというふうに認識をしております。また、民事調停事件について、御指摘のようなアンケートを実施した例があるということは承知をしております。
 この点、家事調停事件につきましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりまして、調停運営の在り方についても工夫が求められる中で、これを一つのきっかけといたしまして、まさに現在、各家庭裁判所におきまして、利用者の方々から求められているニーズや調停の本質的な良さを改めて見詰め直し、調停運営を一層充実改善させようと様々な取組を行っているところと承知しております。
 その過程で、まずは、例えば利用者のニーズをよく知る立場の弁護士会との間で意見交換を行うなどの形で利用者のニーズの把握に努めているというふうにも承知しているところでございます。また、各庁におきまして、家事調停あるいは家事事件の手続案内を利用された方々に対してアンケートを実施した家庭裁判所もあるものというふうに承知をしているところでございます。
 事務総局としましても、各庁において現在行われております取組の進捗状況なども踏まえつつ、家事調停を中心とした家事手続の運営の在り方に関する利用者の御意見やニーズを的確に把握するためにどのような手段が適切であるかにつきまして引き続き検討してまいりたいと考えております。

#167
○委員長(山本香苗君) 時間が過ぎておりますので、簡潔に。

#168
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 法務省といたしましては、委員御指摘のようなアンケートあるいはニーズ調査につきまして、最高裁判所との間で協議等をしたことはございませんが、今後、父母の離婚等に伴う子の養育に関する法制度の見直しにつきまして法制審議会において充実した調査審議が行われるよう、事務局を務める法務省といたしましても、関係省庁等とも連携を図りながら、必要な実態把握や情報収集の在り方について引き続き検討してまいりたいと考えております。

#169
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
 時間過ぎてしまって、申し訳ありませんでした。
 以上で終わります。

#170
○委員長(山本香苗君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより両案について討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 まず、民法等の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

#171
○委員長(山本香苗君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

#172
○委員長(山本香苗君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、真山君から発言を求められておりますので、これを許します。真山勇一君。

#173
○真山勇一君 私は、ただいま可決されました民法等の一部を改正する法律案及び相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会、国民民主党・新緑風会及び碧水会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    「民法等の一部を改正する法律案」及び「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律案」に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
 一 経済価値の乏しい相続土地の国庫帰属については、申請人の負担軽減の必要性も踏まえ、承認要件や申請人の費用負担の在り方を検討するとともに、施行後五年間の運用状況を踏まえ、検討を行うに当たっては、土地所有権の放棄の在り方、承認申請者の要件、国庫帰属後の土地の利活用の方策その他の事項についても検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。また、承認申請があった際には、関係機関や地方公共団体との連絡・連携を密にし、土地の有効活用の機会を確保するよう、地域の実情に沿った運用に努めること。
 二 相続登記等の申請の義務違反の場合において、法務局における「正当な理由」の判断や裁判所に対する過料事件の通知の手続等過料の制裁の運用に当たっては、透明性及び公平性の確保に努めるとともに、DV被害者の状況や経済的な困窮の状況等実質的に相続登記等の申請が困難な者の事情等を踏まえた柔軟な対応を行うこと。
 三 相続人申告登記、住所等の変更登記をはじめとする新たに創設する職権的登記について、登記申請義務が課される者の負担軽減を図るため、添付書面の簡略化に努めるほか、登録免許税を非課税とする措置等について検討を行うとともに、併せて、所有者不明土地等問題の解決に向けて相続登記の登録免許税の減免や添付書面の簡略化について必要な措置を検討すること。
 四 在留外国人が各種相続手続に必要な書類を収集することに困難を伴う例があることなどを考慮し、在留外国人の身分関係を証明しやすくするための取組について、必要な検討を行うこと。
 五 遺産分割協議が行われ、その結果を登記に反映させることは確定的な権利帰属を促進し、不動産所有権の分散化の防止につながるもので、本改正の趣旨にも沿うものであることから、関係機関及び専門職者は連携体制を強化し、その促進に向けて、積極的に周知広報を行うこと。
 六 登記官が他の公的機関から死亡等の情報を取得し、職権で登記に符号を表示するに当たっては、死亡等の情報が迅速にかつ遺漏なく登記に反映されるよう、情報収集の仕組みについて更に検討し、必要な措置を講ずるとともに、死亡者課税を極力避けるべく死亡者の情報についての各種台帳相互の連携を図ること。
 七 両法案に基づく新たな所有者不明土地対策としての各種施策を着実に実施し、所有者不明土地問題の解決を図るため、法務局の十分な人的体制及び予算の確保を図ること。
 八 所有者不明土地等問題の地域性や土地等の種類に応じ、それぞれの実情を踏まえた解決に向けて、効率的な管理と申立人の負担の軽減を趣旨とする所有者不明土地等の新たな財産管理制度の諸施策を実施するに当たっては、司法書士や土地家屋調査士等の専門職者の積極的な活用を図るとともに、制度の趣旨及び請求が可能な利害関係人や利用ができる事例等について周知を図ること。また、財産管理制度において、管理人による土地等の処分に対する裁判所の許可が適切になされるよう、借地関係等の利用状況や売買の相手方を慎重に調査すべきことを関係者に周知徹底するとともに、本法施行後の実務の運用状況を踏まえ、必要に応じて裁判所の許可に対する利害関係人の不服申立て制度の導入等を検討すること。
 九 今回の所有者不明土地対策のための見直しは国民生活に重大な影響を及ぼすものであることから、国民全般に十分に浸透するよう、積極的かつ細やかな広報活動を行い、周知徹底に努めるとともに、本法施行前に発生した相続について相続登記等の申請義務化に関する規定や遺産分割に関する規定が適用されることについては、国民の混乱を防止する観点から、特に周知徹底を図ること。この際、法律専門職者との連携に努めるとともに、広報に必要な予算の確保に努めること。
 十 隣地使用権や導管設置権を始めとする新たな相隣関係の諸規定については、広く国民に周知をするほか、導管の設置等に関わる地方公共団体や事業者等にも周知広報を行うこと。
 十一 所有者不明土地対策の観点から進められている、長期相続登記等未了土地解消作業、表題部所有者不明土地解消作業、法務局における遺言書の保管制度等の諸施策については、司法書士、土地家屋調査士等の専門職者の活用を図りつつ、より一層推進していくこと。
 十二 法定相続人の範囲の特定に係る国民の負担に鑑み、令和五年度から実施される戸籍証明書等の広域交付の実施状況等を踏まえ、更なる負担の軽減策について検討するほか、所有者探索に関して、国や地方公共団体から委託を受けた専門家の調査における戸籍証明書等の取得の手続の円滑化についても、オンライン化等を含め、検討すること。
 十三 国土の有効利用を図る観点から、国土調査事業及び地図作成事業を迅速に実施して不動産登記法第十四条地図を整備し、土地の筆界の明確化を図るよう努めるとともに、ランドバンクの果たすべき役割について検討するとともに活用の強化を図るほか、新たに創設される管理不全土地管理命令についての地方公共団体の長による申立てを認めることを検討すること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

#174
○委員長(山本香苗君) ただいま真山君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

#175
○委員長(山本香苗君) 全会一致と認めます。よって、真山君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、上川法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。上川法務大臣。

#176
○国務大臣(上川陽子君) ただいま可決されました民法等の一部を改正する法律案及び相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

#177
○委員長(山本香苗君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#178
○委員長(山本香苗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時三十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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