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2021/04/13 第204回国会 参議院 第204回国会 参議院 法務委員会 第7号 令和3年4月13日
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2021/04/13 第204回国会 参議院

第204回国会 参議院 法務委員会 第7号 令和3年4月13日

#1
令和三年四月十三日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月八日
    辞任         補欠選任
     高橋はるみ君     渡辺 猛之君
 四月十二日
    辞任         補欠選任
     山崎 正昭君     清水 真人君
     渡辺 猛之君     高橋はるみ君
 四月十三日
    辞任         補欠選任
     清水 真人君     山崎 正昭君
     高橋はるみ君     宮崎 雅夫君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         山本 香苗君
    理 事
                磯崎 仁彦君
                豊田 俊郎君
                真山 勇一君
                伊藤 孝江君
                清水 貴之君
    委 員
                小野田紀美君
                清水 真人君
                高橋はるみ君
                中川 雅治君
                福岡 資麿君
                宮崎 雅夫君
                森 まさこ君
                山崎 正昭君
                山下 雄平君
                難波 奨二君
                谷合 正明君
                川合 孝典君
                山添  拓君
                高良 鉄美君
                嘉田由紀子君
   国務大臣
       法務大臣     上川 陽子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        青木勢津子君
   政府参考人
       内閣府沖縄振興
       局長       原  宏彰君
       総務省大臣官房
       審議官      川窪 俊広君
       法務省民事局長  小出 邦夫君
       法務省刑事局長  川原 隆司君
       財務省理財局次
       長        井口 裕之君
       林野庁森林整備
       部長       小坂善太郎君
       国土交通省不動
       産・建設経済局
       次長       吉田  誠君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○民法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
○相続等により取得した土地所有権の国庫への帰
 属に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
    ─────────────

#2
○委員長(山本香苗君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、山崎正昭君が委員を辞任され、その補欠として清水真人君が選任されました。
    ─────────────

#3
○委員長(山本香苗君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 民法等の一部を改正する法律案外一案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省民事局長小出邦夫君外六名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#4
○委員長(山本香苗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────

#5
○委員長(山本香苗君) 民法等の一部を改正する法律案及び相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 両案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#6
○豊田俊郎君 どうも皆さん、おはようございます。自由民主党の豊田俊郎でございます。
 今回の両法案の内容は、所有者不明土地の発生予防と利用の円滑化という両面から総合的な対策を講じようとするもので、民事基本法制を多角的に見直すものであり、これまで政府によって順次進められてきた所有者不明土地対策のための各法案の中で一つの到達点でもあるというふうに考えております。極めて画期的な内容となっているというふうに思います。
 ところで、私も国会議員になって八年を経過しようとしておりますけれども、当選して三年目でございましたけれども、この所有者不明土地問題がにわかに脚光を浴びてきたというか、問題視されてきた時期でございました。五年前でございます。平成の二十八年なんですけど。
 実はこのとき、前法務大臣でございました森英介衆議院議員に、是非この問題を国会で審議していく上で議員懇談会を立ち上げたらどうかという話になりました。そこで、森英介先生から、実は、今は亡き保岡興治、鹿児島一区から選出をされておりまして、法務大臣も第六十九代、第八十代と二期務めた保岡先生に御相談を申し上げたら、まさにこの件に関する権威であられるということでございまして、相談を申し上げ、自由民主党内にいわゆるこの所有者不明土地問題に関する議員懇談会を立ち上げました。
 実は、今は野田毅先生がこの会長に就いておられるわけでございますけれども、この初代の会長保岡興治さんがこの議員連盟の役員を決めるということになりまして、実は不肖私が事務局長を命ぜられたわけでございますけれども、このときに、副会長、そして兼任で、現法務大臣でございます上川陽子衆議院議員がこの会の幹事長に選任をされました。実は、このときの役員の数は全部で約二十名ほどおりましたけれども、女性は一人でございました。五年前でございますけれども、肝煎りで上川衆議院議員がこの要職に就いたということ、まさに保岡先生、今回のこの状況を予見していたんではないかというような思いで今日は質問者の席に立たせていただいておるわけでございます。
 御案内のとおり、保岡先生は前回の衆議院選挙で勇退をなされまして、その後、他界をされました。この所有者不明土地問題に関する造詣は大変深く、思い入れがあったというふうに思いますけれども、もうたっての女性ただ一人の役員でございました当時の上川陽子現法務大臣、三期目の就任ということでございますけれども、何か所感があればお聞かせをいただければと。これ通告しておりませんので、どうぞ御自由に御発言いただければというふうに思います。

#7
○国務大臣(上川陽子君) 今、豊田委員から、この所有者不明問題に関します全くフラットな状態から物事を組み立てていく、その初期のプロセスの、一番初めの所有者不明土地問題に関する議員懇談会のことに触れていただき、また、保岡興治、当時会長として、そしてこの問題についていろんな角度での課題を一つずつ議論しながら、提言をしていくためには、中で議論していくと同時に、政府に対しての要請ということも含めて、骨太の方針に入れるべく全力で事務局長、豊田先生とともに汗をかいた時期のことを思い出しますと、まさにこの三期の、三回目の法務大臣にということについては、これはもう予期せぬことでございましたので、ちょっと運命的なものを今御指摘いただいて感じたところでございます。
 保岡先生の、この全国におきましての所有者不明土地の問題は、もう本当にいろんな角度で問題が発生していたということについて、これを何とかこの難しい問題を法律の枠組みを新しくしながら解決していかなければ日本全体の発展はないと強い思いで取り組んでいらっしゃったことを、そしてその思いを、いろんな先生方の思いをしっかりとこの法律に託して、そしてこれをこの法務委員会の中で参議院の先生に議論をいただいてしっかりと通していくということが何よりも大事であるということを改めて強く決意をしているところでございます。
 よろしく今日の御審議につきましてもお願い申し上げたいというふうに思います。

#8
○豊田俊郎君 大臣、どうもありがとうございます。突然の質問で大変失礼をいたしました。
 それでは、大事なことは、まずはこの所有者不明の土地を発生させないという発生予防策についてお聞きをしていきたいというふうに思います。
 当然、何らかの発生原因があるわけでございますけれども、発生原因を分析して的確な対策を講ずることが必要であるが、地籍調査における所有者の所在調査の実績を見ますと、相続登記がされていないために所有者不明土地になった割合、私も実は驚いたんですけど、全体の三分の二を占めるということでございます。この相続未登記問題への対応がまずは何よりも重要だというふうに考えます。
 今般の不動産登記法の改正では、最も重要かつ直接的な対策として相続登記の申請を義務化することが提案されておりますが、まず、相続登記の申請義務のこの内容について法務省から御説明を願いたいというふうに思います。

#9
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 今回の不動産登記法の見直しによりましてどのような形で相続登記の申請義務が課されることになるかという点について申し上げますと、まず、所有権の登記名義人について相続が開始した場合、各相続人は相続によって法定相続分の割合によって所有権を取得し、共有状態になることになりますため、相続登記の申請義務を負うことになります。この方法といたしましては、現行法の下でも可能であります法定相続分での相続登記を申請することで義務を履行することが可能でございますが、今般の改正において新たに設けた相続人申告登記の申出をすることによっても義務を履行することが可能でございます。
 次に、遺産分割がされたケースについては、遺産分割が相続開始に伴う登記申請義務の履行期間であります三年以内に現にされた場合には、遺産分割の内容を踏まえた所有権の移転の登記の申請をすることになります。
 他方で、遺産分割が三年以内にされないケースにつきましては、先ほどの相続人申告登記をすることで義務の履行をしていただくことになり、その後、遺産分割が現に調ったケースにつきましては、遺産分割の日から三年以内に遺産分割の内容を踏まえた所有権の移転の登記の申請をすることとなります。
 また、遺言が作成されていた場合には、遺言により不動産を取得すると定められた者は、所有権を取得したことを知った日から三年以内にその旨の所有権の移転の登記の申請をする義務を負うことになります。
 そして、これらの登記申請義務については、相続人申告登記の申出をすることによっても履行することが可能でございます。

#10
○豊田俊郎君 この相続登記のもう義務化においてはなかなかこれ国民の理解を得るのも大変だなと。いわゆる申告登記という新しい登記制度ができるわけでございますし、また、その分割協議、調う、調わないことによって、いわゆる相続する期間が区切られるということもございますので、このことにおいては周知期間を十分置いた中で国民の理解を得る必要があるというふうに思います。
 また、この相続登記の申請を義務付けることは私ももう理解をしているところでございますけれども、この義務を履行するために法定相続分での相続登記の申請をしようとした場合ですけれども、その申請のためには、被相続人の出生から死亡までのいわゆる戸籍とかそれから除籍謄本、又は相続人であることが分かる戸籍の謄抄本が必要となるなどの手続的な負担も大変大きいと言われております。
 相続登記の申請を義務化するに当たって、どのような形で登記手続のこれは負担軽減が図られているかという、この点について御説明を願いたいというふうに思います。

#11
○政府参考人(小出邦夫君) 今般の不動産登記法の見直しでは、これまで任意とされておりました相続登記の申請を義務付けることとしておりますが、その申請義務の実効性を確保すべく、相続人が申請義務を簡易に履行することができるようにする観点から、新たに相続人申告登記を創設することとしております。
 具体的には、この相続人申告登記の申出につきましては、特定の相続人が単独で行うことが可能である上、委員御指摘がございましたが、申出に当たっての添付書面につきましても、相続登記の申請の場合とは異なり、被相続人の出生から死亡に至るまでの戸除籍謄本の提出が不要となるなど簡略化が図られることを想定しており、申請義務の履行に際しての相続人の手続的な負担が大幅に軽減されることとなります。
 このほか、相続登記の漏れを防止する観点から、特定の者が所有権の登記名義人となっている不動産を一覧的に確認する制度として、所有不動産記録証明制度を創設することとしております。
 さらに、申請人の費用面での負担軽減を図るための方策を講ずることが必要であるということも認識しておりまして、登録免許税につきましては、引き続き令和四年度税制改正に向けて取組を進めていくこととしております。
 これらによって相続登記の申請義務を負う相続人の登記手続に関する各種の負担は大きく軽減されるものと認識しているところでございます。

#12
○豊田俊郎君 ああ、そうですか。登録免許税の軽減措置も検討するという理解でいいですかね。よろしゅうございますか。

#13
○政府参考人(小出邦夫君) 令和四年度税制改正に向けて、登録免許税の減免に向けて取組を進めてまいります。

#14
○豊田俊郎君 不動産登記にはいろんな種類があるというふうに思います。特に、この義務化ということなんですけれども、実は登記法の中には義務化された登記が幾つかあることは承知をしております。これのいわゆる義務の履行ということになりますと、なかなか不動産登記法の趣旨に即して全てが実行されているわけではないというようなお話も伺っているところでございます。
 義務化に当たっての国民への周知、これも大変な作業になるというふうに思いますので、法務省を挙げての取組が切望されるというふうに思いますので、よろしくお願いをしたいというふうに思います。
 この相続登記の申請義務化と実は相反して、所有権の分散化という状況が生まれてくるんではないかというふうに思って危惧しているところでございますけれども、相続登記の申請の義務化に伴って新しく設けられる相続人申告登記によって申請について負担軽減が図られることは今の説明で一部分かりましたけれども、この相続人申告登記は、相続人の氏名、住所を明らかにするものであり、所有者不明土地の発生を予防することになるのは間違いがありませんが、他方で、所有者不明土地にまつわる問題として、多数の相続人が生じて、土地所有権のミクロ化と言うべき状態を招き、土地の売却等を図ることが事実上困難になるという私は課題が出てくる問題もあるというふうに認識をしております。
 このような所有権のミクロ化問題を解決するためには、やはり遺産分割協議を行ってもらい、かつ財産をできるだけ共有しない形での分割を進めてもらうことが必要になってくると考えます。法務省としてはどのようにお考えか、御意見を伺いたいというふうに思います。

#15
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 委員御指摘のような所有権のミクロ化、すなわち遺産分割がされないまま相続が繰り返され、多数の相続人による遺産共有関係が生ずると、将来における登記手続が複雑なものとなりかねず、財産処分を行うにも困難を伴うことになるものと認識しております。
 このような所有権のミクロ化を防止するためには、委員御指摘のとおり、相続人間でできる限り遺産分割がされ、その上で、その内容を踏まえた登記がされる必要があるものと認識しております。

#16
○豊田俊郎君 これは、いわゆる法定相続分によって数次相続が開始しますと、まさに無限大と言ってもいいくらいの数になるというようなケースも多々見受けられるわけでございますけれども、このことをどう防いでいくかも課題だというふうに思います。
 法務省としても遺産分割を進めるといった対応が必要になってくるとの認識であるということだと思いますが、遺産分割をすることを法律で強制することはもう困難であります。こういった問題について、地道に国民に対してその必要性を周知していく必要があると考えます。
 今回の改正の趣旨に加えて、遺産分割等を行うことが所有権のミクロ化の予防にもつながっていくことについて、これ、関係機関や関係団体、特に司法書士などの専門職者と十分連携を図ることが必要だというふうに思います。やはり、相続、もちろん本人申請という形で本人でも処理できるわけでございますけれども、往々にして相続が発生しますと、司法書士の方や税理士の方に依頼をする、ここでどういうふうな情報、指導なり相談に応じるかによって、私は随分この状況は変わってくるというふうに思います。
 そういう意味で、法務大臣にここはお尋ねしたいんですけれども、このことにおいて御見解があれば伺いたいというふうに思います。

#17
○国務大臣(上川陽子君) ただいま委員の方から、遺産分割がされないまま相続が繰り返されることによりまして多数の相続人による共有関係が生ずると、先生のお言葉で所有権のミクロ化という問題でございますが、これは、相続人申告登記のみではなかなか防止することができないものというふうに認識をしているところでございます。民事局長からも答弁したとおりでございまして、その遺産分割ができるだけされるようなことが必要であるということでございます。
 今般の改正におきましては、この遺産分割を促進するために、遺産分割に関し期間制限を設けたり、また遺産分割がされた場合の相続登記の申請義務を定めているところでございます。
 法務省といたしましては、この遺産分割が行われ、その結果が登記に適切に反映されるようになること、これが今般の改正の趣旨に沿うものであることなどにつきまして、相続登記や遺産分割を取り扱う司法書士等の専門職者と十分に連携をするということが重要であると認識しております。このような認識も踏まえつつ、積極的な周知、広報については努めてまいりたいというふうに考えております。

#18
○豊田俊郎君 この土地の分散化、ミクロ化は、私は、国においても、国家においても、大きな財産の利用という面から後退する原因になるというふうに思いますので、これをどう食い止めていくか、今後も課題として捉えて、この対応策には新たなまた規制というものも構築していく必要があるというふうに考えておりますので、引き続き議論をしていきたいというふうに思います。
 法案が多いもので、民法の改正についてお尋ねをいたします。
 隣地使用権についてお尋ねします。
 境界を明らかにするためには、土地の所有者が隣地に立ち入る必要がある場合がございます。民法に明文の規定がないために対応に苦慮しているとの声が、境界の専門家である土地家屋調査士から多く聞かれます。このような観点から、隣地使用権の規律についてどのような改正をすることとしているのか、その概要について御説明をいただきたいというふうに思います。

#19
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 まず、現行法でございますが、土地の所有者は、境界又はその付近において障壁又は建物を築造し又は修繕するために必要な範囲内で、他人の所有する隣地の使用を請求することができるとされております。
 この点、御指摘のとおり、境界標の調査又は境界を確定するための測量の目的で隣地を使用する場合など、障壁、建物の築造、修繕以外の目的で隣地を使用することができるかどうかは規定上不明確でありまして、このために土地の適切な利用等が阻害されているという指摘がございます。
 そこで、改正案におきましては、境界標の調査又は境界に関する測量を含め、類型的に隣地を使用する必要性が高いと考えられる目的を列挙し、隣地使用が認められる目的を拡充し、また隣地を使用する権利の明確化を図ることとしているところでございます。

#20
○豊田俊郎君 この明確化することは大きな前進だというふうに思います。隣地を使用しようとしても、隣地所有者が所在不明である場合、この対応には大変苦慮するところとなります。
 隣地所有者が所在不明である場合について、今回のこの改正はどのように対応しているのか、この件についても御説明をしていただきたいというふうに思います。

#21
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 先ほども申し上げましたが、現行民法の条文によりますと隣地の使用を請求することができるという条文になっておりまして、そのことの意味につきましては解釈上争いがございます。例えば、隣地の所有者の所在が不明でその承諾が得られない場合に隣地を使用することができるか否かが必ずしも明らかでないという指摘がございます。
 改正法案におきましては、一定の場合には、土地の所有者は隣地を使用することができる旨を明記し、隣地の所有者等の承諾がなくとも隣地の使用権を有することを明らかにした上で、隣地の所有者等の利益保護のため、使用の目的等についての事前の通知義務を課しております。その上で、隣地使用権は基本的に一定の目的のために一時的に隣地を使用するにすぎないことから、隣地の所有者等の所在が不明であるなど事前通知をすることが困難である場合には、使用の開始後に遅滞なく通知することで足りることとしております。
 したがいまして、改正法案が成立した場合には、土地の所有者は、隣地所有者の所在が判明しない場合には、事前の通知をしなくても必要な範囲内で隣地を使用することができることになります。なお、土地の所有者は、隣地の使用開始後、隣地所有者の所在が判明したときには遅滞なく事後の通知をする必要がございます。

#22
○豊田俊郎君 ちょっと再質問なんですけれども、隣地の所有者が判明していない場合にはいわゆる立入りした後に通知をすると、すれば足りるというんですけど、分からないわけですから、これはどのような形で通知をすればいいのか、その辺、お聞きしたいというふうに思います。

#23
○政府参考人(小出邦夫君) これ立ち入る際に隣地の所有者等の所在が不明である場合には事前の通知はする必要はございません。仮に立ち入って隣地を使用した後に所有者の所在が明らかになった場合には、あっ、明らかになった所在、所在が明らかになった所有者に対して事後的に通知する必要があるということでございます。

#24
○豊田俊郎君 土地の所有者は、どのような調査をすれば隣地の所有者が所在不明であり、あらかじめ通知をすることは必要ないと、判断するわけですよね。これ、どういうケースを想定しているのか、お聞きしたいというふうに思います。どのような状況で判断ができるのかと、そのことについて。

#25
○政府参考人(小出邦夫君) どのような場合に事前通知が困難であると言えるかにつきましては個別の事案に応じて判断されることになりますが、基本的には、現地の調査に加えまして、土地所有者が隣地の不動産登記簿や住民票といった公的な記録を確認するなど合理的な方法によって調査をしても隣地の所有者の所在が不明である場合にはこの要件を満たすことになると考えられます。

#26
○豊田俊郎君 分かりました。
 これ項目が多いもので、ライフラインについて質問をしたいというふうに思います。
 民法には各種ライフラインの設備設置に関する明文の規定がないために、土地所有者が他の土地に導管等の設備を設置することを希望する場合に、他の土地の所有者や使用者が承諾料として法外な要求、いわゆる判こ代を要求するようなケースが多々ございます。土地の利用が阻害されていると指摘されます。
 今回の改正案ではこの問題についてはどのような対応をするのか、御見解を伺いたいというふうに思います。

#27
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 現行法の下では、解釈上、他の土地に導管や導線等の設備を設置したり、他人が所有する設備を使用したりしなければ各種ライフラインを引き込むことができない土地の所有者には、他の土地にその引込みのための設備を設置する等する権利があると解釈上考えられてはおります。もっとも、この点については明文の規定がないため、他の土地等の所有者が導管の設置等に応じないときや、他の土地等の所有者が所在等不明であり承諾を得ることができないときには、実際上、導管等の設置をすることが困難であると指摘がございます。また、権利を行使する際の事前の通知の要否や他の土地の使用に伴う償金の支払義務の有無といったルールが明確ではないために、円滑に導管等の設置等を行うことが困難になっているとの指摘もございます。
 そこで、改正法案では、これまでの解釈を踏まえつつ、各種ライフラインを引き込むことができない土地の所有者につきましては、他の土地等にその引込みのための設備の設置等をする権利があることを明記することとし、あわせて、他の土地等の所有者等の権利保護のため、事前の通知や償金などの規律を整備しているところでございます。
 これによりまして、他の土地等の所有者が不当に高額な承諾料を求めるような事態が抑止されることになるものと期待しているところでございまして、法務省といたしましても、このような改正法の趣旨について適切に周知に努めてまいりたいと考えております。

#28
○豊田俊郎君 分かりました。
 このライフラインの設備の問題でございますけれども、これ、実は私の地元なんですけれども、私は千葉県の八千代市というところで市長を務めておりまして、市営水道で水道の運営をいたしておりました。
 市の水道事業給水条例という条例を作りましてこの水道の事業を行っておりますけど、この導管の設置の際に、この条例では、これ、私どもの市の条例なんですけれども、給水装置工事の施行ということで、第七条の三項で、給水装置工事を施行する場合においては当該工事に関する利害関係人の同意書等の提出を求めることができるという、こういう条例を制定しておりまして、この条例を補完するために八千代市水道事業給水条例施行規則という規則を作りまして、この六条の中で、同意書等の提出、先ほどの七条三項の同意書の提出を求めることができるという本文のその同意等の提出はどういう扱いかということになりますと、他人の家屋又は土地内に給水装置を設置しようとする場合は当該家屋又は土地の所有者の同意を証する書面、他人の給水装置から分岐しようとする場合、当該給水装置の所有者の同意を証する書面と、前二号ですね、今の二つに規定する書面を提出することができない場合は給水装置工事の申込者の誓約書を付けろと、こんな規定で実は運用をしておりました。
 今回のこの所有者不明土地に関するいわゆる相隣関係の見直しなんですけれども、これは、実は私の町の自治体だけではなく、調べたところ、全国でも同じような条例を作って運用しているということでございます。この条例に今回の改正がどのような影響を及ぼすのか、見解をお聞きしたいというふうに思います。

#29
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 委員から今御紹介いただきましたように、地方公共団体の中には、他の土地を使用しなければ給水管を埋設することができない土地の所有者からの給水申請を受けた場合に、手続的な要件として、申請者に他の土地の所有者の承諾書の写しの提出を求める取扱いを行っている地方公共団体もあるものと承知しております。
 地方公共団体の運用や条例をどのように定めるかにつきましては各地方公共団体の判断に委ねられるものでございますが、今回の改正法案が成立し、土地の所有者にライフラインの設備を設置する権利が明記されることとなった場合には、地方公共団体において、従前と同様に、他の土地の所有者が所在不明である場合も含めて一律にその所有者の承諾書の写しの提出を求める取扱いをするということは、民法上、所有者の承諾を要しない場合にまでその資料の提供を求めるものとして、これを正当化することが難しくなるものと考えられます。
 いずれにいたしましても、改正案は国民にとって身近な事項についてのルールを定めるものであり、その趣旨及び内容については、ライフラインの整備を行う事業者や地方公共団体も含めて幅広く周知することが重要であると認識しております。法務省といたしましては、改正法案が成立した場合には、効果的な周知活動を行うなど適切な施行がされるように努めてまいりたいと考えております。

#30
○豊田俊郎君 時間が参りましたので質問はこれで終わりにいたしますけれども、今回、提出法案では、相続土地国庫帰属法、これも新たな法律でございますし、また時間を見て御質問をしたいというふうに思います。
 民法については以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

#31
○真山勇一君 立憲民主・社民会派の真山勇一です。どうぞよろしくお願いします。
 土地とか不動産といいますと、私たち個人の財産として身近なもので、大変大事な問題というふうに言えると思うんですけれども、考えてみると、不動産、相続をするときとか、あるいは結婚などをして土地を買って家を建てるとか、それからその次はどうなんでしょうね、死ぬ間際にその相続をどうするかということを前もって考えるか、あるいはもう自分たちの子供や孫に任せるのかという、そういうふうな問題で、考えてみると、一生に本当に何回かしかそういうものに立ち会わないし、そういうことの手続ってしないと思うので、大変、その一方で複雑な法律の規則があるし、土地の取引とか売買には細かいことがあって本当に大変分かりにくいということが言えると思うんですね。
 その一方で、国の立場ということから考えますと、土地政策というのは、やはり私は国の国土管理という大変重要な基本的な問題というふうに思うんです。土地は所有者の個人が責任を持って管理すべきなのか、土地の公益性ということを考えると、国が管理に関与することもこれも必要なことではないかというふうに思います。憲法二十九条には私有財産権というものが保障されておりますし、これとも関連する大変重要で大事な問題も含まれているんじゃないかというふうに思います。
 こんな中で、現実というのを見てみると、人口減少と高齢化、地方から都市部への人口移動などを背景にして所有者不明土地というのは増加していると言われています。深刻にもなっているようです。このため、これまでの土地政策を抜本的に見直すことが迫られている、これが現状ではないかというふうに考えます。
 今回の改正は、多岐に、そして詳細にわたるものになっていると思います。必要であると思うんですけれども、その多くの部分がまだまだ問題点抱えていることも明確になってきています。特に土地取引や管理など現場の仕事を専門にやっていらっしゃる皆さんからも、改正を評価する一方で、多くの課題を指摘する声というのも上がっております。ということで、まず土地に関する本当に基本的な問題から是非伺っていきたいというふうに思います。
 まず、今回の改正の大きなテーマであります所有者不明土地というのはどういう土地を指すのか、具体的に定義を教えてください。

#32
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 いわゆる所有者不明土地と呼んでおりますものは、不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない、又は判明しても所有者に連絡が付かない土地をいっております。その主要な原因は、相続登記の未了や住所変更登記の未了にあるとされております。このような土地は、所有者の探索に時間と費用が掛かるために、民間の土地取引や公共事業の実施が阻害されるなどの問題を生じさせているものでございます。
 なお、平成二十九年度に地籍調査を実施した地区における土地の所有者等調査の結果によりますと、約二二・二%の土地が今言った意味での所有者不明土地に該当したというところでございます。

#33
○真山勇一君 所有者不明土地という定義は今伺ったんですけれども、ちょっと、本当に基本的なことで申し訳ないんですが、私の頭の中の整理として伺いたいんですが、日本の国土、三十七万平方キロ余りあります。日本の土地の、今おっしゃった登記簿に載っている、これはきちっと登記がされているのかあるいは前のままになって不備があるのかという、その登記簿に載っているものの土地がある。それから、普通の認識として国有地というのはありますよね。つまり、日本の国土というのはこの二つに分けられるんですか、それともこれ以外に何か、国土の分類というか仕分けは何かあるんでしょうか。

#34
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 今の委員からの御指摘にお答えするとしますと、土地を所有主体によって分類いたしますと、国が持っている国有地、それから民間が持っている民有地、それと自治体が持っている公有地の三つに分類ができるというふうに考えております。

#35
○真山勇一君 そうすると、確認なんですが、今おっしゃったように三つですね、国有地と公共団体が持っている土地と民間の土地ということで。それ以外に、本当に、何というのか、誰が持っているか分からないという土地はないわけですね、必ず土地はこの三つに分類されるわけですね。

#36
○政府参考人(小出邦夫君) 国が持っているもの、自治体が持っているもの、民間が持っているもの、その三つ以外に所有者がないものが観念できるかということですけれども、所有者のない土地は国庫に帰属するという民法上のルールがございますので、それに従って国有地になるものというふうに考えております。

#37
○真山勇一君 ありがとうございました。ちょっと知りたかった点がその辺です。全く誰が持っているのか分からない土地というのは国庫に帰属するということが分かりました。
 その所有者不明の土地なんですけれども、現時点で把握されている総面積、それから、土地というのはそれぞれ使い方というのが何か決まっていると思うんですね。地目というふうに呼ばれていますけど、その主なで結構です、主要な地目別の内訳というのはつかんでおられるでしょうか。

#38
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 所有者不明土地のこの把握をこれ正確に行うためには、それぞれの土地につきまして登記簿上の所有権の登記名義人が現に存在するか否かを個々に調査、把握することが必要になりますため、全国に所在する所有者不明土地について、悉皆的といいますか、全体的な調査を行って数値を把握することは困難でございます。
 そのため、一定の地区内の土地について所有者の把握を行う地図作成事業あるいは地籍調査事業における結果から、日本全国における所有者不明土地の規模を把握しておりまして、総面積については正確に把握することができない、できていないところでございます。
 もっとも、平成二十九年十二月に公表された民間の所有者不明土地問題研究会の最終報告では、全国の所有者不明の土地面積についての推計が行われております。これによりますと、所有者不明土地の面積は、九州の土地面積、これが三百六十八万ヘクタールございますが、これを超える約四百十万ヘクタールに相当し、所有者不明土地の増加防止のための取組が進まない場合には、二〇四〇年には約七百二十万ヘクタールに至ると、そういった推計がされております。
 また、御質問のございました地目別の所有者不明土地の内訳でございますが、宅地については一四%、農地については一八・五%、林地については二五・七%がそれぞれ所有者不明土地であるとされているところでございます。

#39
○真山勇一君 やっぱり、そうすると、現在、推定、推計ということですけれども、九州と同じぐらいの広さで、二〇四〇年になるとかなりそれが、その所有者不明土地が広がるというような予測というか予想が立てられているということが分かりました。やっぱり余りほっておけないのかなという気はするんですけれども。
 今の地目別の伺った中で、宅地が一四%、農地は一八・五%、それから林地が二五・七%ということですけれども、このお話伺っているときに原野というのも出たんですけど、原野というのはこの分類の中にあるんでしょうか。

#40
○政府参考人(小出邦夫君) 引用させていただいた報告書の中では、原野についての内訳、分類はございません。

#41
○真山勇一君 そうすると、済みません、もう少し詳しく伺いたいんですけど、これ、三つの地目で分けると五〇、四〇、五〇、六〇、六〇%ちょっとぐらいなんですが、あと残りというのはどういうふうな分類になるんでしょう。

#42
○政府参考人(小出邦夫君) 宅地について一四%、農地について一八・五%と申し上げましたのは、宅地を一〇〇とした場合の所有者不明のものの割合が一四%あると、農地を一〇〇とした場合の所有者不明のものが一八・五%ある、林地については同様に二五・七%あるという数字でございます。

#43
○真山勇一君 済みません、ちょっと、じゃ、私の聞き方がまずかったかもしれないです。
 そうじゃなくて、所有者不明土地の中での、まあ九州とほぼ同じぐらいある広さの所有者不明土地のその内訳、地目の内訳がどうなっているのかというのが私の方の知りたかったことです。

#44
○政府参考人(小出邦夫君) この報告書によりますと、全国の所有者不明率二〇・三%、そういう数字がございまして、これは、恐らく地目を問わず土地全体の中での所有者不明の率が二〇・三%ということでございまして、その所有者不明土地の中で、さらに宅地、農地、林地といったその内訳についてはちょっと、手元にちょっと資料がございません。

#45
○真山勇一君 資料ございませんということは、分からないんですか。一応、私、質問の要旨では、所有者不明土地の総面積及び主要な地目別の内訳をお願いしますということで質問を出しているんですけれども。それじゃ、この所有者不明土地の、全国のうち二二・二%ほどに当たる所有者不明土地のその地目別の内訳、つまり原野なのか、山林なのかとか、農地なのか、あるいは宅地ということは、今の時点では手元に数字お持ちでないということですね。

#46
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 今委員がお尋ねしている趣旨での所有者不明の内訳、地目ごとの内訳については数字がございません。この報告書の中でもその数字は出ていないということでございます。

#47
○真山勇一君 そうすると、やっぱりこの所有者不明土地ってどういうものなのかなというのは割と素朴な疑問だし、今回その所有者不明土地を確定するという意味でいっても、どういう土地なんですよということは説明でも大事なことじゃないかと私は感じるんですけれども、説明の中でよく出てきまして、やっぱり登記がちゃんとされない土地は、例えば利用価値がないとか、売ろうとしても経済的にその価値がないとかという土地なので、そのまま放置されていることが多いんですよという説明を私は受けたような気がするんです。
 そうすると、私の疑問としては、やっぱりそれは、例えば宅地というよりはそうじゃないところ、山とかそういうところが多いんじゃないかなというふうに思ったわけです。そういうところというのは、逆に言うと土地としてどのぐらい価値があるのかなと非常に考えさせられるところだと思うんですよね。そういうところの登記を、じゃ、これから進めようということなのか。私は、宅地ならば、経済的なその価値があるのならば、割合とそれこそ不動産の取引で活発に動くと思うんですよね。それで、動けば、動くときに必ず登記というのをやらなくちゃいけないんだと思います。
 動かないでそのままほったらかし、放置されているから登記もされずにそのまんまになっちゃうというので、やっぱりこれの内訳、どういうものかと調べなくちゃいけないと思うんですけど、大臣は、この問題、非常に前々から関わり合っていたということなので、この辺、どう思われます。

#48
○国務大臣(上川陽子君) 今、真山委員から、所有者不明土地のマクロの数字ということで、大体九州の規模ぐらいが今現状であり、二〇四〇年までに行くと七百十でしたでしょうか、そのぐらいの規模になるというシミュレーションを増田研究会の方がしたわけでございます。初めての調査結果でございました。その分だけ極めてセンセーショナルな、私ども受け取らせていただきました。
 ちょっとそのシミュレーションをするに当たってどういう形でその方程式を作ったのかということについて私ちょっと定かではないんですが、今二つの数字を申し上げたその後半の地目別のということについては、それぞれの所掌の中で持っているデータ、つまり今ある農地はどのぐらいなのかというところに占めるいわゆる所有者不明の土地という、こういう分類の中で考えると、農地の場合には一八・五%という状況でありますので、それぞれの地目に分けた形でそれぞれの所有者不明土地のシェアということで考えますと、原野地ですか、それはもう二五・七、四分の一が所有者不明であり、そして農地については約二割が不明であり、宅地については一四%ということでありますので、その意味では、地目別に課題となっている問題とここの全体のシェアについては、その意味では対応しなければいけない極めて重要な土地であるというふうに考えております。
 そのそれぞれの地目において法律も違いますので、しかし、これは所有者不明土地として一回一つの枠組みの中で解決すべきことではないかと、こういう中で統一したルールを決めていこうという形で、今お出しをしていることも含めまして、この間様々な法制度の改正をしてきたものというふうに理解をしております。

#49
○政府参考人(小出邦夫君) 一点、関連する情報を補充させていただきますと、所有者不明土地がどれぐらいあるのかということで、平成二十九年に地籍調査における土地所有者等に対する調査が行われたものと、令和元年に法務局がやっております登記所備付け地図作成作業における調査がございます。
 調査の対象が、法務局のやっております登記所備付け地図作成作業のエリアというのは、どちらかというと都市部、人口が集中している都市部でございまして、そこでの傾向を見ますと、所有者不明、すなわち登記記録のみで所有者の所在を確認することができず、又は連絡先が分からなかったということの原因を見ますと、相続未登記が原因であるものが三二%、それから氏名や住所の変更登記が原因であるものが六二%程度ございます。
 これを、先ほど申し上げました地籍調査における調査結果と比べますと、相続未登記が原因であるものが六五%、氏名、住所の変更未登記が原因であるものが三三%ということでございまして、一般的な傾向といたしまして、都市部においては相続登記がされていて、所有者不明土地になる原因はむしろ氏名、住所の変更登記がされていないというふうに分析できるのではないかというふうに考えているところでございます。

#50
○真山勇一君 大臣は、質問でそちらに要求していないところ等お伺いして、大変丁寧に答えていただいてありがとうございます。
 今御説明いただいたことも分かるんですけれども、都市部というのは私は余り、この所有者不明もちろんあるけれども、これはやる気になれば結構分かるかもしれないけど、やっぱり難しいのは、何というんですかね、例えば山林ですとか、それから農地も最近はそうかもしれません。そういう土地が大変なのかなというふうに思っているので、これ、済みません、ここでいつまでも伺ってもしようがないので、例えばその平成二十九年に民間がやられた調査の中でやっぱりこういう数字、ここまで調べていないのかどうか。つまり、ある程度の面積分かっているんだから、その内訳というのは分かるんじゃないかと思います。もし調べられたら、これ調べていただきたいと思うんですが、いかがですか。

#51
○政府参考人(小出邦夫君) 確認させていただきます。

#52
○真山勇一君 やっぱりこの所有者不明土地を解決していくための難しいところは、経済的価値があったりその利用価値があるところは比較的、きっとやっていくとスムーズに解決していくんじゃないかなという、そんな気がしています。それはきっと同じような認識だというふうに思うんですが、そうじゃないところが例えば問題、例えば具体的に挙げると、北海道の例えば原野の部分とか、よくバブルのときに原野商法みたいのありましたね。あれ買った人、そのときはもうかるからと買ったかもしれないけど、あと、価値が一文もないということにはならないのかもしれませんが、不動産なんだから何がしかの価値はあるのかもしれませんけど、でも、多分、その以降、放置状態になっているんじゃないかと思うんですよね。
 そうすると、例えば誰が買ったのかとか、もうその辺は全然訳が分からなくなっている。その辺りを、私は、今回解決していくためには大変重要な問題で提起をされているのかなという、そういう認識なので、是非、その所有者不明土地の中のどんな土地がそのまま不明のままで放置されているんだろうということを知りたいと思いますので、是非お願いしたいと思います。
 今ある程度お伺いした中で、その所有者不明土地解消を目指さなくてはいけないということなんですけれども、この放置状態の不明土地を解消していくということで、国として、あるいは私たち国民個人としてどういうようなメリットがあるというふうに考えておられるんでしょうか。これはできたら、大臣、いかがでしょうか。

#53
○国務大臣(上川陽子君) この所有者不明土地につきましては、これは先ほど来説明をしております不動産登記簿、これを見ても所有者やその所在が直ちに判明しないため所有者を探索することに対しまして、戸籍等の収集に行ったり、また現地への訪問等を要するなど、多大な時間とそして費用が必要となるという、こうした状況でございます。
 この結果、所有者不明土地がある場合にはその土地の利活用そのものが困難となりまして、民間の土地取引が阻害され、また防災等の公共事業の用地取得や、また森林の管理など様々な場面で支障を生じさせております。土地が管理されずに放置され、土地の管理不全化、また周辺環境の悪化にもつながっているところでございます。
 このように、所有者不明土地は国民経済に対しまして著しい損失を生じさせているものというふうに認識をしております。この所有者不明土地が解消されれば、このような問題の発生そのものが抑制されるということでありまして、国土の管理、また有効利用、こうしたことが図られていくことにつながるというふうに理解をしております。
 その意味で、所有者不明土地の発生予防ということにつきましては、これは所有者不明土地を抱える地域社会のみならず、広く国民生活の安定向上、また国民経済の健全な発展に資するものというふうに考えております。

#54
○真山勇一君 私もそう思います。今回のこのやっぱり法案改正のきっかけになったのは、東日本大震災での復興に当たって、土地の持ち主が分からなくなってしまって、やっぱりこれ確定できないとその復興が一向に進まないということがあったということは伺っています。本当にそうだと思うんです。
 ですから、その土地の利活用という面、それから大臣がおっしゃった、私がやっぱり大事だと思うのは、周辺の環境悪化、そしてやっぱり何よりも、所有者が分からなくて放置されてきた土地が、万が一災害が起きたときに、その災害が起きる可能性、例えば崖地だとか川、急流な川が流れているところとか、いろんなところあると思うんですね、その危険な地域が。そういうところがそのまま管理が行き届かないで放置されちゃって、万が一大きな災害になった、まあなったわけですね、過去の例を見ると。そういうことをやっぱり防ぐ意味からも大変大事なことだというふうに思います。これやはり必要なことということは、私も認識を改めてさせていただいたんです。
 ちょっとまた具体的な数字伺いたいというふうに思っているんですけど、所有者不明であることによって、普通は登記がちゃんとしてあれば、その土地に対して、所有者に対して固定資産税、これ固定資産税というのは国税じゃなくて地方税というふうに理解しておりますけれども、その固定資産税が、この所有者不明土地の場合はこの固定資産税の徴収というのはできていないのか、掛けられないのか、所有者がいないから掛けられないという状態になっているのか。これが万一所有者がしっかりと分かれば、固定資産税というのは徴収することができるのか。その場合、どのくらいその固定資産税の収入があるというふうに見込んでいるんでしょうか。例えば、先ほどの、その土地の地目で多分違うと思いますが、これも総額で推定する数字を持っていらっしゃるのかどうか、伺いたいと思います。

#55
○政府参考人(川窪俊広君) お答え申し上げます。
 市町村におきましては、登記簿上の所有者が不明あるいは死亡などの場合におきまして、所有者の住民票や戸籍をたどって相続人を調査いたしますなど、日頃から所有者の特定に向けて地道な取組を行っております。多くのケースにおきまして、そうした情報に基づいて課税をすることは実施されているというふうに認識しております。
 そうした課税された土地における固定資産税が滞納となったケースにつきましては、市町村は通常、滞納の要因別の把握までは行っておりませんので、所有者不明が原因である滞納の金額を特定することは困難という状況にございます。
 また一方で、一部には課税すべき相続人が全く把握ができないという事情で課税ができていない事例もあると考えられますけれども、こちらにつきましては市町村により取扱いは様々だという状況になっております。
 こうしたことから、所有者が不明な土地に係る固定資産税の減収額について把握はできておりませんけれども、今回審議されております法案によりまして相続登記の申請の義務化等が実現されれば、固定資産税のより適正な課税やそうした調査に係る事務負担の軽減につながるということを期待しているところでございます。

#56
○真山勇一君 地方自治体が直接やっぱり土地の固定資産税ということで関わりを持ってくると思いますけれども、例えば、やはり登記が完全でないということで、固定資産税を掛けられないとか徴収できないということになると、何というんですか、やっぱり税金というのは公平の原則だと思うんですね。やっぱり、一方で、だって土地を持っている人は固定資産税取られているわけですけれども、所有者不明とはいっても不明なだけで、不明なだけで、現実的には登記を正式に登録すれば所有者がいることが判明するわけですから、そういう方にもやっぱり税金は負担していただかなくちゃいけないんですけど。
 これ、分かった場合、固定資産税というのは遡って徴収するんですか、それとも、決まった時点からしかできないんでしょうか。

#57
○政府参考人(川窪俊広君) お答え申し上げます。
 課税できないままになっていた固定資産があった場合に、事後的に、年をまたがった事後的に把握が可能になった場合には、当然ながら過去の複数年分を課税をしてお支払いいただくということになります。

#58
○真山勇一君 分かりました。
 それから、もう一つ数字のことでお伺いしたいんです。所有者不明土地、例えば、これまで伺った説明では、経済的価値が余りない土地が多いなというふうな大きな傾向があるんじゃないかと思うんですが、これを解消するため、一体、九州の広さのある土地、これを解消していくためにはどのぐらい費用が掛かるのかな。その費用というのは総費用があるわけで、その中で国が負担する費用もあるでしょうし、それから土地の所有者が負担しなければならないものというのはあると思うんです。先ほどの大臣の答弁の中でも、時間が掛かるし、それから費用もかなり掛かるということをおっしゃっていました。
 本当にこれ、費用掛かるのではないかなという感じがするんですが、この費用についてはどんなふうな推定、予想、持っておられるでしょうか。

#59
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 所有者不明土地、これは相続登記等の申請につなげた場合にどういった種類の費用が掛かるかということで御説明申し上げますと、まず、相続登記の申請における登録免許税が必要になります。この登録免許税は、不動産の評価額の一千分の四の税率で掛かるものでございます。そのほか、相続登記等を司法書士に手続を依頼した場合には、その報酬の負担も発生するところでございます。
 こういったその相続登記、今回申請を義務化することに伴いまして、今回の改正法の中では各種の費用の負担の軽減策等も検討しておりまして、手続面での負担軽減策のほか、費用面での負担軽減を図る観点から、引き続き令和四年度税制改正に向けた登録免許税の減免措置についての取組を進めてまいる予定でございます。
 また、司法書士報酬の負担の件でございますけれども、今回、相続登記の申請義務の実効性を確保するべく、相続人が申請義務を簡易に履行することができるようにする観点から、新たに相続人申告登記を創設することとしております。
 具体的には、相続人申告登記の申出は特定の相続人が単独で行うことが可能でありますし、また、申出に当たっての添付書面につきましても、相続登記の申請の場合とは異なりまして、被相続人の出生から死亡に至るまでの戸除籍の謄本の提出が不要となるなど簡略化が図られておりまして、これを活用することによって、通常、アンケート等によりますと、相続登記の申請を司法書士に依頼した場合、数万円の費用が掛かるということでございますけれども、この相続人申告登記は相続人個人でやっていただくことが可能でございまして、費用が軽減されるということでございます。
 また、国側の費用負担に関しましては、今申し上げました相続人申告登記を創設するためのシステム開発経費などの負担が生ずるものでございますし、また、事業といたしまして、法務省におきましては、平成三十年の通常国会で成立いたしました所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法におきまして、長期間にわたって相続登記がされていない土地の解消を図るため、登記官が職権で法定相続人を探索する制度を創設して、これを運用しております。
 平成三十年十一月から開始いたしまして、これまで二十二万二千九十四筆の土地に係る相続人の探索を行い、五万三千二百八十七人の法定相続人に関する法定相続人情報の登記への備付けを完了したところでございます。こういった作業に関しまして、令和三年度予算の予算額としては十四億四千三百三十七万円が計上されているところでございます。
 所有者の側に掛かる費用負担については、軽減のための取組を引き続き続けてまいりたいと思いますし、国側が行うべきこういった相続登記未了状態の解消等に資する費用につきましては、しっかり予算を確保して、引き続き継続して行っていきたいというふうに考えております。

#60
○真山勇一君 数字は本当に難しいと思います。それをお伺いして、お答えをいただいた。ありがとうございます。
 それで、これで結局相続人が余り歓迎しない土地を相続しなくちゃいけないということもケースとして増えてくるんじゃないかなというふうに思うんですね。その場合、相続したくないということで、これ国にいわゆる寄附したいんですけどというような形、つまり国庫に帰属するということが今回の改正でも盛り込まれていますけれども、これは、やはり今回のこの改正で土地の登記を明確化させていくということによって、国庫に帰属する土地というのも増えていくんではないかと予測、予測というか、そういう気もするんですが、この辺り、増加していくというような見込みみたいなものは持っておられますか。

#61
○国務大臣(上川陽子君) 相続放棄の申述件数でございますが、長期にわたりまして増加傾向にあります。法定相続人全員が相続放棄した場合も含めまして、相続人がいることが明らかでない場合に利用されるこの相続財産管理制度に基づきまして、最終的に国庫に帰属する土地も最近は増加してきているものと承知をしております。このような傾向からいたしますと、今委員御指摘でございますが、今後も相続放棄等が増加することもあり得るものというふうに考えられるところでございます。
 もっとも、この相続放棄でございますが、望まない土地の取得を避けるために行われることもあり得ると思われるわけでございまして、例えば、他方で相続債務が多額であり、その債務を逃れるために行われるケースも相当数あるものと承知をしております。
 このように相続の放棄は、個別の事案に応じまして様々な理由によって行われるものでございます。今後の社会経済情勢によりましてもその数につきましては左右されるものというふうに考えております。
 他方で、今回の見直しにおきましては、相続等により取得した土地の国庫への帰属を可能とする制度、これを創設することとしておりまして、この制度の利用が可能な土地につきましては、その所有者の相続人がその土地の取得を望まない場合にも相続放棄までする必要はなくなるものと考えられるところでございます。
 ただし、この相続土地国庫帰属制度は、これまでにない新しい制度ということでございますので、これがどの程度利用されるのかにつきましては、現時点で具体的に申し上げることがなかなか難しいという状況でございます。

#62
○真山勇一君 やっぱり、社会情勢の変化の中で人口減少とかいうことがあって、それから、人口の都市集中していることによって地方ではなかなか土地が経済的な価値がなくなっちゃうということで、持っていてもしようがないなという人が今後増えてくるような流れもあるわけで、今大臣がおっしゃったように、今後やっぱり多分国へ国庫帰属という形が、これ新しい形ができれば、あっ、これはいいやというふうに考える人も多いんじゃないかというふうに思うんですが。
 ちなみに、ちょっと確認させていただきたいんですが、今の時点で国土の国有地というのはどのぐらいの割合なんでしょうか。

#63
○委員長(山本香苗君) すぐお答えできますか。

#64
○政府参考人(小出邦夫君) 済みません、手元に資料がございませんので、また確認して後ほど御説明させていただきたいと思います。

#65
○真山勇一君 それで結構です。
 つまり、私が伺いたいのは、今ある国有地が今回のこの制度によってやっぱり将来かなり増えていくのかなということが、統計的に見える化したいなという、この改正が効果があったのかどうかというその一つの検証になるんじゃないかと思いますので、是非その現状、国有地の中の、ああ、ごめんなさい、日本の国土の中の国有地が占める割合、あるいは国庫へ帰属、これまでに国の所属になっているというものですね、それを是非ちょっと数字でお示ししていただければというふうに思います。
 まず、割と土地のことについて、私も幾つか疑問が解決できたんですけれども、これから本当に細かな点で具体的にいろいろあるので、そういうのを伺っていきたいと思うんですが、恐らくこれで登記、まあ土地、不動産というと登記という、もうすぐそういう登記という方に直結すると思うんですけれども、その考え方が今回のこの改正で変わってくるんじゃないかなというふうに考えるんです。相続の仕方、在り方も変わってくるんじゃないかというふうに思います。それから、IT化なんかも進んでいるわけですから、登記なんて今までほとんど書類を一生懸命作るということがIT化でどういうふうに変わるのか。
 この辺り、大臣、この土地の問題についての今回の改正でどんなふうに捉えていらっしゃるか、聞かせてください。

#66
○国務大臣(上川陽子君) 先ほど委員から御質問がありまして、これから動向をしっかりとフォローしていくべきではないかという御指摘がございまして、私どももそのように思っているところでございます。しっかりと、国庫への帰属の件数とか、あるいはそのエリアの面積とか、あるいは地目につきまして、先ほど来の御指摘がございましたので、丁寧にそのフォローをしてまいりたいというふうに思っております。
 この今回提出している法律案、二つあるわけでございますが、これは所有者不明土地の発生予防とこの利用の円滑化という両側面から問題を掘り下げて、そして制度化していくということでございまして、総合的かつ本格的な対策を行うものというふうに考えております。これは、これまでの所有者不明土地問題に関しましては一連の制度改正もしてまいりましたけれども、ある意味でこの大きな節目になるものというふうに考えております。この法律案につきましては、いろんな新しい制度もございますので、着実にその運用を図っていくことによりまして、更に先ほど申し上げたようにフォローをしていく必要があるというふうに思っております。
 そして、何よりもこの制度、新しくなった制度も含めまして、相続の登記をしていただくということが極めて重要なことでございますし、また、新しい制度を活用していただいて、その促しをしていくということになりますと、何といっても制度そのものを周知していかなければならないというふうに思います。
 国民の皆様が理解してこそ初めて制度が生きるということでありますので、その点につきましては、これまで取り組んできた制度も含めまして総合的にこの制度全体を理解していただきまして、しっかりと協力していただくべく、広報のところについては専門職種の皆様のお力もいただきながら、また地方自治体との関係性の中での連携も、さらには各省庁との、地目によりまして全然対応が違いますので、そういったことも含めまして連携し、更に対応してまいりたいというふうに思っております。

#67
○真山勇一君 ありがとうございました。
 詳しいことはまた後日質問させていただきたいと思います。ありがとうございました。

#68
○伊藤孝江君 公明党の伊藤孝江です。よろしくお願いいたします。
 今日の法案は、目的の一つが所有者不明土地を発生をさせないという、その予防だというふうに承知をしております。その中の一つとして、相続登記の義務化という、これまでの政策からするとかなりインパクトのある方向性なのかなというふうに考えております。
 まず、この相続登記の義務化に関連する点について幾つかお伺いをさせていただきたいというふうに思っています。
 この相続登記の義務化を図っていくという中で、簡便な手続をまず一つつくろうということで新しくできるのが相続人申告登記だというふうに承知をしているところです。今現在では、まず登記名義人が登記を申請する、相続人が登記を申請するとした場合に、以前だったら登記済証ということだったかと思うんですが、現在では登記識別番号が通知されることになっております。この登記識別番号を知っている人が当該不動産、土地の権利者ということで判断をされるということになります。
 今回新しくつくられますこの相続人申告登記、この相続人申告登記を行った場合に、申告人に登記識別番号が通知をされるのかどうかということについて、この登記識別情報の扱いがどのようにされるのかという点について、お伺いをいたします。

#69
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 御指摘の登記識別情報でございますが、これは、登記の申請がされた場合において、その登記によって登記名義人となった申請人に対し登記所から通知されるものでございまして、登記名義人が登記の申請をする場合においてその登記名義人自らがその登記を申請していることを確認するために用いられるものでございます。
 相続人申告登記につきましては、相続登記とは異なり、所有権の登記名義人に相続が発生したこと及び当該登記名義人の法定相続人と見られる者を報告的に公示するにとどまるものでございまして、相続人申告登記によっては相続人が所有権の登記名義人となることはございません。そのため、登記識別情報は通知されないということになります。
 このように、相続人申告登記は、その公示する内容面において従来の相続登記とは異なるところがございますため、相続人申告登記の有する意味内容等につきましては国民に分かりやすいものとなるようにする必要があると認識しておりまして、例えば登記事項証明書の表記に工夫を凝らすことなど、実務上検討してまいりたいと考えているところでございます。

#70
○伊藤孝江君 一点ちょっと確認をさせていただければと思うんですが、今回、この相続人申告登記は登記申請義務の履行手段の一つというふうにされています。この申告登記を、相続人申告登記をすれば、相続登記を三年以内にしなくても義務違反にはならないと、相続人申告登記を一旦すれば、いつまでもそのままでも義務違反にはならないという形に法的にはなるということで考えてよろしいでしょうか。

#71
○政府参考人(小出邦夫君) 登記名義人に相続が発生いたしまして、それによりまして法定相続分で遺産共有状態になるわけでございますが、そういった状態になったときから三年以内に相続登記に申請の義務が掛かりますけれども、相続人申告登記をしていただければ、それによって相続登記の義務を履行したこととなります。ただ、その後、遺産分割が調いまして、それによってその遺産分割の内容を踏まえた新たな相続登記、所有権の移転の登記の申請というのは別途掛かるものでございます。

#72
○伊藤孝江君 遺産分割をして新たに所有者がはっきりと明確になるまでは申告登記のままで期間は問わず大丈夫ということでよろしいですね。

#73
○政府参考人(小出邦夫君) 委員御指摘のとおりでございます。

#74
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
 この相続人申告登記ですけれども、簡便な手続をということもありまして、単独で、一人でも行うことができるというふうにされています。相続人のうち誰か一人が行えば、不動産の登記名義人が死亡して相続が発生したということが登記簿上明らかになるということで、目的を達することができるという趣旨なのかなというふうに考えております。
 この相続人申告登記なんですけれども、一人で行うことは可能ということになっているんですが、誰か一人でも行えばそれで足りますよという趣旨なのか、あるいは、できれば相続人全員でやってくださいね、あるいは一人でも多くやってくださいねという趣旨なのか、まず、そこに何か違いがあるのかどうかということを一点、お伺いをしたいと思います。
 また、相続人が複数いる場合、一人がこの相続人申告登記を行った場合に、その方だけが登記簿上一応名前が載ることになります。例えば、役所との対応などで、結局この相続人申告登記をされた方が窓口というふうに扱われたり、固定資産税の支払いの関係などで例えば代表相続人というような扱いをされるのかどうかという点についてもお伺いをできればと思います。

#75
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 繰り返しになりますけれども、相続人申告登記は、所有権の登記名義人について相続が開始した旨と自らがその相続人である旨を登記機関に申し出ることで相続登記の申請義務を履行したものとみなすものでございまして、複数の相続人が存在するケースにおいても、そのうちの一人が単独で自己が相続人である旨を申し出ることが可能でございます。
 このように単独で自己が相続人であることについて申し出るという枠組みを採用した趣旨でございますが、これは、全ての相続人を明らかにする制度とした場合には、そのことを証するために添付書面が複雑化したり、また、他の相続人の了解等を取る必要が生じ得ることを考慮したものでございます。もっとも、相続人申告登記につきましては、その申出を代理することは許容されているため、他の相続人の委任を受けた上で相続人の一人が申出をすることは、これは可能でございます。
 所有者不明土地の発生予防の観点からは、相続登記の申請義務を課せられた各相続人、各相続人がこの相続人申告登記をすることで、全ての相続人が不動産登記記録上明確になることが期待されているというものでございます。したがいまして、こういった観点からすれば、所有権の登記名義人の相続人のうち一人でも多くの方から相続人申告登記の申出がされることが望ましいと考えています。
 相続人申告登記の申出は特定の相続人が単独で行うことが可能でありますため、所有権の登記名義人の相続人のうち一人だけが相続人申告登記によって公示されるという事態も生じ得ますが、この相続人申告登記は、この当該登記名義人の法定相続人と見られる者を報告的に公示しているにとどまり、他の相続人について何らかの法的効果を発生させるものではございません。
 したがいまして、相続人申告登記に記録されたからといって、他の相続人らを代表すべき者などと扱われるようなことにはならないという位置付けでございます。

#76
○伊藤孝江君 現在の登記制度の中で、法定相続人が複数いる場合に、法定相続分どおりの共有名義であれば単独で申請をすることも可能というふうになっております。
 遺産分割がなされて持分が確定するまでの間、かなり時間的に経過をするだろうというような場合に、法定相続分どおりの共有名義の登記を単独で行うことと、あるいは今回の相続人申告登記を単独で行うことの違いがどこにあるのかと、相続人としてどういうふうに使い分ければいいのかというポイントというか、メリット、デメリットについて御説明いただければと思います。

#77
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 相続人が複数いるケースにおきまして、相続人の一人が申請することができる相続を原因とする所有権の移転の登記としては、委員御指摘の法定相続分での相続登記がございますが、これ、相続人の範囲及びその持分を確定する必要がございます。そのために、その申請に当たりましては、被相続人の出生から死亡までの戸除籍謄本及び相続人であることが分かる戸籍謄抄本の提出が必要となります。また、この法定相続分での相続登記につきましては、これは具体的相続分とは異なる登記を強いる結果となる場合もあり得ますため、これをもって相続登記の申請義務の主な履行手段とすることは適切ではないといった指摘もされているところでございます。
 これに比べまして、相続人申告登記は、所有権の登記名義人について相続が開始した旨と自らがその相続人である旨を登記官に申し出ることで相続登記の申請義務を履行したものとみなすものでございまして、登記官は、所要の審査の上、職権で申出をした相続人の氏名及び住所等を登記に付記するものでございます。それで、相続人申告登記は、所有権の登記名義人に相続が発生したこと及び当該登記名義人の法定相続人と見られる者を報告的に公示するにとどまるため、必要となる添付書面等も簡略化することを想定しております。
 このように、この二つの登記は、申請によるものかどうかといった登記の性質自体が異なるほか、これに伴って必要な添付書類の範囲など様々な点で違いが生ずると考えられます。
 今般の改正におきましては、法定相続分での相続登記によるのか、あるいは相続人申告登記によるのかについて、どちらが適切かといったことは法律で定めてはいないところではございますが、法務省といたしましては、法定相続分での相続登記ではなく、負担も少なく、より簡易な手続である相続人申告登記が利用されて、相続登記の申請義務が履行されるようになることを想定しているものでございます。

#78
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
 一旦、この相続人申告登記をした後に、遺産分割がなされて成立をした後にきちんと登記手続をするという場合ですけれども、この相続人申告登記をした人、あるいは、相続人申告登記をしなかったけれども遺産分割で取得することになって相続登記をすることになった人と、それぞれ、これまでの現状の手続と何か違いというのが今後生じるということでしょうか。

#79
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 今般の不動産登記法の見直しにおきましては、遺産分割が成立して、これによって所有権を取得した者が存在する場合には、相続人申告登記がされた後に遺産分割があったケースについてもそうでないケースにつきましても、遺産分割の日から三年以内に遺産分割の内容を踏まえた登記申請をする義務を負うこととなります。
 この相続人申告登記を経由した場合とそうでない場合の違いでございますが、これも繰り返し申し上げておりますとおり、相続人申告登記は、相続による権利移転を公示するものではなく、所有権の登記名義人に相続が発生したことと、当該登記名義人の法定相続人と見られる者を報告的に公示するにとどまるものでございますので、遺産分割が成立した場合における登記手続においては、相続人申告登記の申出をしているか否かにかかわらず、添付書面も含めてこれまでの手続と特段の違いはないものと考えております。

#80
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
 相続人申告登記、今回、単独で申告できるということですけれども、これ自体は相続人のうち一人が分かれば何とかそこを手掛かりにやっていくことができるということかと思いますが、その後、遺産分割なり売却なり何かしらのことをきっちりとやっていこうということになると、結局は、まず具体的には相続人全員を探索すると、もちろん分かっているような状況であれば探索まではしなくていいでしょうけれども、通常は探索をするというところから必要になります。申告登記をした相続人が決してその後簡便な手続でいろんな物事を進めれるわけではないということについても、すごく、何というかな、きちんと理解をしていただく必要があるかと思います。
 先ほどの御説明でも、申告登記の後、遺産分割をしてきちんと登記するときにはこれまでと変わらずちゃんとやっていくべき、これまでと変わらず手続をしなければならないということもありますし、むしろ一つ間に手続が増えてしまったなという形で考えられることもあるかと思います。そういう点では、しっかりと何をしなければならないのかということについて周知をしていくべきかと考えますけれども、この点いかがでしょうか。

#81
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 まさに委員御指摘のとおりだというふうに考えておりまして、相続人申告登記が、これはあくまで法定相続人と見られる者を報告的に公示して、相続が発生したことと法定相続人と見られる者を報告的に公示するにとどまるものでございますので、相続人申告登記がされたからといって、その後に遺産分割を行う場面において手続が簡略化されるといったことにはならないものでございますし、将来における財産処分を容易にするという観点からは、できるだけ遺産分割を促進し、財産の細分化を防ぐことが重要だと考えております。
 相続人申告登記は、その公示する内容面において、繰り返しになりますけれども、従来の相続登記とは異なるところがありますため、相続人申告登記の有する意味内容等につきましては国民に分かりやすいものとなるようにする必要があるものと認識しております。その際には、事後の遺産分割において登記手続が簡略化されるのではないといったことや、遺産分割ができるだけ行われることが今回の法改正の趣旨にも沿うものであるということについても十分に周知を行っていく必要があるものと認識しております。

#82
○伊藤孝江君 そういう意味では、今の御説明いただいたような、遺産分割をいかに皆さんにしっかりとしていただくかというところに尽きるというところなのかと思います。
 ただ、これまでの所有者不明土地になっている土地も見たときに、やはり相続登記がなされない原因というのが、先ほど来指摘もありましたけれども、土地に交換価値がないんだと、経済的なメリットがないということが大きいというふうに思います。土地の処理をするために費用や時間、労力を掛けるだけのメリットが感じられないということなのかと思います。
 今回、相続登記を義務化することによって相続登記をやっていこうというふうになっていただいたらいいんだと思うんですけれども、そのような経済的な価値がなかなかないとか、あるいは少しあるけれどもいろんな労力を考えて比較をしたときにちょっとなとためらう場合に、結局、じゃ、相続放棄をしようというふうに、相続登記が増えるということにつながるのではないかというふうに思っています。これまでも様々相続の相談を受けてきた中でも、やはり価値がある土地であっても、いろんな人間関係とかその後の手続とか様々考えたときに、もう要らないというような判断をする方というのはたくさんいらっしゃるのかなというふうにも感じているところでもあります。
 この相続放棄が増えてしまうんじゃないかという点についてどのように捉えられているのか、御説明いただけますでしょうか。

#83
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 改正法では、相続登記の義務化をしておりますが、他方で、その義務化に当たりまして、簡易な義務履行手段として相続人申告登記を創設するなど、相続登記をしていただくための環境整備策をパッケージで導入することとしております。
 また、法定相続人が相続放棄をすると、問題となっている土地だけでなく、被相続人が有していた一切の相続財産を取得することができなくなるわけでございます。そのため、相続登記の申請手続の負担のみを理由に直ちに相続の放棄がされる件数が増加するといった事態が生ずるものではないのではないかとも考えております。
 ただ、委員御指摘のとおり、土地の価格が下落するなどして、その土地を相続することのメリットを感じない相続人が相続放棄をすればよいと考えて、土地の管理が放置され、土地が管理不全化することは避ける必要があるというふうに考えております。
 先般の土地基本法の改正におきましては、土地の所有者は土地の管理を行う責務を有するとされているところでございますが、今回の見直しでは、相続等により取得した土地を手放して国庫に帰属させることを可能とし、土地が放置される事態を防止する措置を講じるなどしております。
 法務省といたしましては、こうした新たな制度の下で、国民の皆様の理解を得るべく効果的な周知活動を行うなどして、土地が適正に管理され、また遺産分割の重要性が理解され、また促進されるよう努めてまいりたいというふうに考えております。

#84
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
 先ほど来御説明いただいているような、今回の相続人申告登記ですね、所有権を表すものでもなければ権利者であることを示すものでもないという点であったり、いろんな形でこれまでとの違いがあること、最終的には遺産分割を結局はやってくださいねというところにつなげなければならないという点では、かなり、本当に取組をしっかりと進めていかなければならないことであるというふうに考えております。
 この相続人申告登記を始めとする義務化に関連する様々なことをしっかりと周知、広報していくためにも、法務省として取り組んでいただかないといけないと考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。

#85
○国務大臣(上川陽子君) ただいま委員から一連の御質問をいただきまして、その内容につきましても、なかなか御理解をいただかないとその制度そのものが生きてこないと、こういう御趣旨で答弁もさせていただいてきたところでございますが、相続申告登記は、相続による権利移転を公示するものではなく、所有権の登記名義人に相続が発生したこと及び当該登記名義人の法定相続人と見られる者を報告的に公示をするにとどまるものであって、その公示する内容におきまして、従来の相続登記とは異なるところがございます。そのため、相続人申告登記の有する意味内容等につきましては、国民の皆さんに分かりやすいものとする必要があると認識をしているところでございます。
 また、相続が重なるにつれまして、相続人の数が増大をしていくと、こうした事態を防止するという観点からは、相続人間でできる限り遺産分割がされ、その上で、その内容を踏まえた登記がされることが重要でございます。この点につきましても、国民の皆さんにしっかりと周知をしていく必要があるものと認識しております。
 法務省といたしましては、相続人申告登記の有する意味内容に加えて、できる限り早期に遺産分割が行われて、その結果が登記に適切に反映されるようになることが今般の改正の趣旨に沿うものであることなどを多くの国民に御理解をいただくべく、相続登記や遺産分割を取り扱う司法書士等の専門職者と十分に連携をしながら、積極的な周知、広報を努めてまいりたいというふうに思っております。

#86
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
 次のテーマの方に移らせていただきます。
 所有者不明土地の利用の円滑化という観点で、今回、所有者不明土地・建物管理制度が新たに創設をされました。これまで、相続財産管理人制度、また不在者財産管理人制度がありましたけれども、これまで財産を、その方の財産を全部管理するというところから、管理、処理ですね、するというところから、土地だけを対象にすることができるとか、不明者が複数いる場合にも管理人を一人にすることができるとか、様々使いやすい制度としてというふうに変えていただいていると思います。
 この、今回対象となるというか、今回使うことができる所有者不明土地・建物管理制度に関連してですけれども、今回、土地の管理で新たな制度を使うことができる場合というのは、従前の相続財産管理人制度、不在者財産管理人制度も使うことができる場面がほとんどなのかなというふうに思います。
 両方の制度を使うことができる場合に、まずこちらを優先というような、そういう優劣関係というか先後関係というのか、そのようなものがあるのかどうかということについて御説明いただけますでしょうか。

#87
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 現行法には、相続人がいることが明らかでない場合に利用される相続財産管理制度や、従来の住所等を不在にしている者の財産についてその管理をすべき者がいない場合に利用される不在者財産管理制度があり、所有者不明土地に関してもこの両制度が活用されているものと承知しております。
 もっとも、これ、委員からも御指摘ございましたが、これらの制度におきましては、管理人は相続財産や不在者の財産全般を管理しなければならないとされており、特定の土地のみを管理すべきケースにおいては効率的ではなく、使いづらいなどの指摘もございます。そこで、改正法では、所有者不明土地の管理に特化した所有者不明土地管理制度を創設し、当該土地のみを管理すべきケースに対応することができることとしております。
 既存の制度と改正法における新たな所有者不明土地管理制度との関係につきましては、その制度趣旨や管理の対象となっている財産の範囲などが異なっているため、本改正法の施行後は、個別具体的なケースに応じてより使いやすい制度を適宜選択していただくことになるものと考えており、一方の制度を利用することができる場合には他の制度を利用することができないといった制限は設けておりません。
 例えば、被相続人に土地以外の財産もあり、被相続人の債権者がその財産から弁済等を受けるべきケースでは、土地の管理に特化した所有者不明土地管理制度を利用することができたとしても、清算等を目的とする相続財産管理制度を活用することになると思われるところでございます。

#88
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
 今の御説明の中でも少しあったんですけれども、相続財産管理人制度、不在者財産管理人制度が決して使えない制度ではないと私も思ってはおり、それで、そこは注意していただければなというふうに思っています。
 私も、相続財産管理人、不在者財産管理人、両方とも結構やらせていただきましたけれども、すごく誤解を例えばされているところもあって、相続財産管理人を申し立てると数百万単位掛かるよと、不動産があればみたいな、安くて百万というふうなことも言われたりすることもあるんですけれども、先ほどの御説明の中でもあったように、その不動産をどうしていくのか、それこそ売却する可能性があるというふうなところであれば、それを見込んで予納金というのはかなり低く抑えるということも当然しているところでもありますし、その事情によって結構きちんと対応の方もしているところもあると思いますので、こちらは使い勝手が悪いので新しい制度がいいですよというような形で捉えられないように、そこはしっかりとしていただければなというふうに思っているところです。
 次に、相続土地国庫帰属法案の関係でお伺いをさせていただきたいと思います。
 まず、所有者不明土地に関連して、実態調査を法務省、国交省で行っているかと思います。その中で、まず所有者がいない土地、あるいは所有者はいるけれども、本当に所在不明というか、全く連絡が取れないというような土地は、全国にどの程度あるのでしょうか。

#89
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 令和元年に全国各地で実施された登記所備付け地図作成作業における土地所有者の所在の確認状況を調査いたしましたところ、不動産登記簿により所有者又はその所在が判明しなかった土地は約一九・七%ございました。
 また、平成二十九年度に地方公共団体が実施した地籍調査事業における土地の所有者等の状況に関する調査結果によれば、不動産登記簿により所有者又はその所在が判明しなかった土地は約二二・二%でございましたが、最終的に所有者又はその所在が判明しなかった土地は約〇・四四%という数字が出ております。

#90
○伊藤孝江君 所有者がいるけれども所在が分からないという場合と、本当に所有者がいない場合ですね、何もされていないという場合で、国庫に帰属しているわけでもないというような場合に、それらの土地の管理者、それらの土地の管理状況というのはどのような形で今現状されていまして、実際にその状況を誰がどのように把握をしているのかという点について御説明いただけますでしょうか。

#91
○政府参考人(小出邦夫君) 委員御指摘の所有者が判明しない土地、また、所有者は存在するが、探索等を実施しても所在が不明である土地につきまして、その実際の管理状況を網羅的に把握することができているわけではございませんが、実際には適切に管理されていないケースもあるのではないかと認識しております。
 そういった土地につきましては、行政上の措置等がとられることがあるほか、民法上の不在者財産管理制度、あるいは相続財産管理制度を利用して対処されているものもあると承知しております。
 改正法では、既存の制度に加えまして所有者不明土地管理制度を創設するなどの措置を講じております。今後は、既存の措置に、既存の制度に加えまして、この新たな管理制度などが適切に利用されることを期待しているところでございまして、法務省としてもその運用状況をしっかり注視してまいりたいと考えております。

#92
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
 次に、国庫に帰属している土地の方について財務省にお伺いをします。
 相続放棄をした場合、全員が相続放棄をした場合、国庫に帰属することになります。また、相続財産管理人などが付きまして処理をしようと思ったけれどもできなかった場合も、結局は放棄をして国庫に帰属することになると。
 このような形で最終的に国庫に帰属することになった土地というのがどの程度あるのか、またそれがどのような扱いをされているのかということについて、財務省の方にお伺いをいたします。

#93
○政府参考人(井口裕之君) お答え申し上げます。
 今お尋ねございました民法の規定に基づく相続人不存在によって国庫に帰属しました土地の件数は、件数が把握できます直近三か年におきましては、平成二十九年度が七十六件、二〇一七年度が七十六件、平成三十年度が百七件、令和元年度が百七十二件となっております。
 財務局において管理しております国有地については、こうした相続人不存在によって国庫に帰属したものか否かにかかわらず、周囲の環境など個々の財産の状況を踏まえ、適切な管理、処分を行っているところでございます。

#94
○伊藤孝江君 その適切な管理、処分ということですけれども、相続放棄がされたり、相続財産管理人とかも要らないという形で国庫に帰属したものを、その後、売ることができるというのはかなりまれなのかなと、ないことはないんでしょうけど、少ないのかなと思います。
 結局は財務省さんの方でずっと管理をしていくという形になるということでよろしいですか。

#95
○政府参考人(井口裕之君) お答え申し上げます。
 本法案によりまして創設される制度で国庫に帰属することになる土地につきましては、今委員御指摘ありましたように、その土地の経緯から、売払い、貸付けに至らず、国が長期にわたって永続的に保有、管理するものが多くなるというふうに見込んでおります。
 ただ、現在財務局におきまして管理している国有地の中にも、土地の性質上、直ちに利用、処分ができないものもございまして、実際に管理に当たりましては、周囲の環境など個々の財産の状況を踏まえて適切に管理、処分を行っているところでございます。
 本制度におきましてどのような土地がどの程度の規模で国庫に帰属するかを現時点で見通すことは難しいと考えておりますが、それらの土地につきましても、既存の国有地とともに、個々の財産の状況を踏まえ、適切に管理、処分を行ってまいりたいと考えております。

#96
○伊藤孝江君 今、最後、答弁の方は、今回の法案で国庫に帰属することになった土地も同じようにやるということを答弁いただいたということでいいですか。

#97
○政府参考人(井口裕之君) そのとおりでございます。

#98
○伊藤孝江君 はい、分かりました。ありがとうございます。
 では、次に、長期間経過後の遺産分割における相続分の見直し関連という形で今回規定をされます。これについてお伺いをいたします。
 今回、相続発生後十年以上を経過した場合、遺産分割において具体的相続分による分割の利益を消滅させる仕組みが創設をされます。長期間遺産分割がなされなかった場合、当然、次々に相続がすごく発生をして、もう何十人相続人がいてよく分からないというか、全く私が相続人だと気付かなかったという場合もあるかと思いますけれども、そういう場合ばかりではなく、家族間で相続後の利用状況が特に争いもなく合意ですぐ決まるよねという場合になされない場合も多いかと思います。
 例えば、四人家族で、御夫婦がいて子供さん二人がいて、御主人が亡くなられた場合に、そのまま奥さんがずっと家に住み続けて、子供たちはそれに反論もなければそのままでいいよと。お母さんが亡くなったときに登記の処理をまとめてしようねというようなことも含めておいておく場合、あるかと思います。
 このような場合、結構多いかと思うんですけれども、こういう数次相続が発生するような場合、次、お母さんが亡くなられた後、次の相続が発生して併せて協議をするような場合であっても具体的相続分の主張ができないのかと、相続発生から十年経過した後、具体的相続分が法的にどのような性質のものとなるのかということについて御説明いただけますでしょうか。

#99
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 改正法では、遺産共有関係を適切に解消するため、遺産の分割を促すとともに、相続から長期間が経過している場合には法定相続分等の割合により簡明にその分割を行うことを可能とすべく、相続開始時から十年を経過するまでに家庭裁判所に遺産分割の請求をしなかった場合には、原則として具体的相続分による遺産分割を求めることができないものとし、遺産分割は法定相続分又は指定相続分によりすることとしているところでございます。
 委員御指摘の数次相続のケースにつきましては、個々の相続ごとにこの十年の期間の経過が問題となり、その開始時から十年を経過した遺産の分割については、原則として具体的相続分による遺産分割を求めることはできなくなるわけでございます。
 この具体的相続分による遺産分割を求めることができないという意味につきましては、遺産の分割の基準となる割合が具体的相続分から法定相続分又は指定相続分に変更されるということでございまして、家庭裁判所は、相続開始時から十年を経過した後に遺産分割の申立てがされた場合には、特別受益や寄与分については考慮せずに法定相続分又は指定相続分によって遺産の分割をすることになるということを意味するものでございます。
 もっとも、法定相続分又は指定相続分によって分割をした方が有利である方が、その利益を放棄して具体的相続分に応じて遺産の分割をすることに合意することを否定する理由はございません。改正案におきましても、相続開始のときから十年を経過した後でありましても、例えば委員御指摘の相続人間で争いがないケースなどで相続人間の合意があれば、具体的相続分に応じて遺産の分割をすることは可能でございます。
 いずれにいたしましても、このような遺産分割に関する見直しは、できる限り早期の遺産分割を促しつつ、相続開始から長期間が経過した場合には法定相続分等の割合により簡明かつ円滑に遺産分割を行うことを可能とするものでございますが、この見直しは相続人の利益に重大な影響を与えるものであり、新たな制度の趣旨、内容について国民の皆様の理解を得ることが極めて重要であると認識しております。
 法務省としては、改正法が成立した場合には効果的な周知活動を行うなど、改正法が適切に施行されるよう努めてまいりたいと考えております。

#100
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
 土地政策に関連して一点お伺いをさせていただきたいと思います。
 今回問題になっています所有者不明土地の関係ですけれども、やはりこれまでの土地政策の結果であったり、また、東京一極集中とかいろんな国の施策の結果がここにつながっているというふうにも考えています。空き地、空き家の増加、耕作放棄地の増加、相続登記を、それがしていかないということにつながるということですね。この所有者不明土地をなくしていく、相続放棄を減らしていくという観点からすると、土地の有効利用を容易に、更に効果的にできるように抜本的にしていかなければならないというのは共通の認識であるかというふうに思っています。
 例えば、市街地調整区域内の土地の関係では都市計画法、農地許可の関係では農地法など、土地の利活用に関連する法律の方でも様々、所有者不明土地をなくしていくための取組、そこにつながる取組もしていただいているというふうに承知をしておりますけれども、そういう関連の法律も検証、検討するなどして、所有者不明土地を減らす取組を全体的に見ながらしっかりと進めていく必要があるのではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。

#101
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 所有者不明土地が発生する背景事情として、都市部への人口移動や人口減少、高齢化の進展等により、地方を中心に土地の所有意識が希薄化し、土地を利用したいというニーズも低下していることが挙げられております。そのため、所有者不明土地の発生を予防する観点からは、土地の有効利用がされていくようにすることも重要であると認識しているところでございます。
 議員御指摘の都市計画法や農地法などの土地の利活用に関連する法律の検証や検討につきましては、それぞれの法律を所管する省庁において必要な取組がされているものと承知しております。
 法務省といたしましても、民事基本法制や不動産登記行政を所管する立場から、関係省庁における取組に対して必要な協力をしてまいりたいと考えております。

#102
○伊藤孝江君 これまでの所有者不明土地関連の施策に多く協力をいただき、また、今回の登記の義務化等を含め、様々な施策を進めていくために御協力をいただくことになるのが司法書士の先生方だというふうに思っております。今現在、全国五十か所で相続登記相談センターで相談対応をいただき、また長期相続登記未了の土地の解消作業を実施し、また財産管理人の関係など、今回の法改正にもかなり関連する業務をこれまでも担ってきていただいております。その中でも、長期相続登記未了土地の解消に関しては各地で司法書士の先生方が御対応いただいていますが、かなり低い価格で対応いただいているというのが現状だというふうに聞いております。
 国の政策に積極的に専門職として関与いただいているということも踏まえたときに、作業に要する労力をしっかりと踏まえながら、実態を見ていただいて、適正な価格となるようこれから検証して、尽力をしていただきたいと考えるんですが、いかがでしょうか。

#103
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 法務省におきましては、平成三十年十一月に施行された所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法第四十条第一項の規定に基づきまして、所有権の登記名義人の死亡後三十年以上が経過しているにもかかわらず相続登記がされていない土地について、法定相続人を探索するなどの作業を行う長期相続登記等未了土地解消作業を全国の法務局において実施しております。このうち、相続人の探索に関する作業の一部は一般競争入札手続により外部委託して実施しておりまして、受託者の多くが公共嘱託登記司法書士協会など、司法書士の団体であるものと承知しております。
 一般競争入札の実施に当たりましては、作業内容や物価の状況などから適正と考えられる予定価格を設定し、適正価格での契約となるよう取り組んでいるところでございます。
 法務省といたしましては、引き続き、委託作業の具体的な内容などの実態面にも注意を払いつつ、適正な入札手続を行うとともに、必要な予算の確保に努め、長期相続登記等未了土地の解消に尽力してまいりたいと考えております。

#104
○伊藤孝江君 以上で終わります。

#105
○委員長(山本香苗君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十八分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会

#106
○委員長(山本香苗君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、高橋はるみさんが委員を辞任され、その補欠として宮崎雅夫君が選任されました。
    ─────────────

#107
○委員長(山本香苗君) 休憩前に引き続き、民法等の一部を改正する法律案及び相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#108
○清水貴之君 日本維新の会の清水です。よろしくお願いをいたします。
 午前中の質疑と重複する部分もあるかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 まずは、登記の手続について、その負担についてお伺いをします。
 やはり、なかなか登記が進んでこなかったその原因の一つとしては、やはりいろいろ手間暇が掛かる、負担があるというところもあると思います。この辺り、新法では、午前にも話ありましたとおり、相続人申告登記という制度を新たに創設するであるとか、登録免許税の負担軽減を導入予定ということになっておりますが、こういったことによってどれぐらいのその登記の義務化が進んでいくものと考えますでしょうか。また、どれぐらいその登記をする側にとっての負担軽減につながるというふうにお考えでしょうか。

#109
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 まず、相続登記の申請における負担でございますけれども、午前中にもいろいろお話ございましたけれども、一般に、相続登記を申請するに当たりましては、法定相続人の範囲を確定する必要がございまして、被相続人の出生から死亡までの戸除籍謄本及び相続人であることが分かる戸籍謄抄本等の書類を収集しなければいけないといった手続的な負担がございます。あわせて、費用的な負担といたしまして、所有権の移転の登記としての登録免許税を要するほか、司法書士に手続を依頼した場合にはその報酬負担も生ずるということでございます。
 今回の改正におきましては、相続登記の申請義務の実効性を確保するため、負担軽減策として環境整備策の導入を幾つか予定しております。
 まず、申請人の手続的な負担を軽減する観点から、申請義務の簡易な履行手段として相続人申告登記という新たな登記を創設いたしまして、これは必ずしも司法書士等に手続を依頼する必要まではないのではないかという簡易な手続でございます。また、相続登記の漏れを防止する観点から、特定の者が所有権の登記名義人となっている不動産を一覧的に確認する制度として、所有不動産記録証明制度を創設しております。また、今後、費用面での負担軽減を図る観点から、引き続き令和四年度税制改正に向けた取組を進めてまいる予定でございます。そのほか、相続登記手続についての実務上の負担軽減策の検討についても引き続き取り組む予定でございます。
 こういった負担軽減策を講じることによってどの程度相続登記が進むのかといったことを今現時点で数字として申し上げるのは非常に難しいわけでございますけれども、こういった負担軽減を十分に図っていくことは非常に重要だと思っておりますので、引き続きしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。

#110
○清水貴之君 登録免許税のこの一千分の四ですが、これ、どれぐらい下げていくかというのもこれからの議論ということになっていくんでしょうか。

#111
○政府参考人(小出邦夫君) 登録免許税につきましては、令和三年度の与党税制改正大綱におきまして、相続等に係る不動産登記の登録免許税の在り方については、所有者不明土地等問題の解決に向けて、相続発生時における登記申請の義務化、新たな職権的登記の創設等を含めた不動産登記法等の見直しについて次期通常国会に関連法案を提出する方向で検討が進められていることから、その成案を踏まえ、令和四年度税制改正において必要な措置を検討するという記載がございまして、この記載に基づきまして、令和四年度の税制改正において実現すべく取り組んでまいりたいと考えております。

#112
○清水貴之君 また、十年を、相続開始からですね、十年を過ぎた場合に法定相続分で分割できるようになったというこの制度ですが、この十年という期間ですね、これが果たして妥当なのかどうかと。十年といったら結構な長さになりますので、その間にまたもう様々なことが起きて、この相続というのがまた混迷を来すようなこともあり得るわけですね。
 法制審の協議では、期間は三年、五年という案も出ていたというふうに聞いておりますが、この十年という期間に定めた理由を教えてください。

#113
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 今般の改正法では、共有関係を適切に解消するため、遺産の分割を促すとともに、相続の開始から長期間が経過している場合には法定相続分等の割合により簡明にその分割を行うことを可能とすべく、相続開始時から十年を経過するまでに家庭裁判所に遺産の分割を請求しなかった場合には、原則として具体的相続分による遺産分割を求めることができないものとし、遺産分割は法定相続分又は指定相続分により行うこととしております。
 具体的相続分による遺産分割を求めることができる期間を原則として相続開始時から十年間とすることにつきましては、これ、より短い期間にすべきだという考え方もあり得ます。しかし、個別具体的な事案によりましては、例えば自らの法定相続分が僅かな相続人であっても、他の相続人とは異なって生前贈与等を被相続人から受けておらず、また被相続人の介護を積極的に行ったなどの事情があって、具体的相続分を基準にすれば遺産の全部を取得することができるケースなどもあり得ることなどに照らしますと、相続人にとって具体的相続分による遺産分割によって得られる利益は重要であると考えられます。
 そのため、その期間を余り短くするのは妥当ではなく、今回の改正法は、債権の消滅時効期間が権利を行使することができるときから十年間とされていることなどを踏まえまして、その期間を相続開始時から十年間としたものでございます。

#114
○清水貴之君 続いて、登記の義務化は非常に大きな進展だというふうに思いますけれども、登記をする方からしたらかなりの負担といいますか義務が生じてくるわけなんですが、ただ、正当な理由なく登記申請をしなかった場合には今回は十万円以下の過料ということで、処罰規定もあるということになっています。
 この十万円の過料というのも、これも賛否いろいろ意見があったというふうに聞いております。果たしてこの過料を科すのが適切なのかという思い、意見もあれば、一方で、十万円という過料ではそれほど効果があるとは思えないのではないかというような、こういった意見もあるかと思いますけれども、ここに定めた理由も教えていただけますでしょうか。

#115
○政府参考人(小出邦夫君) 今般の見直しでは、相続によって不動産の所有権を取得した相続人に対して、その取得等を知った日から三年以内に相続登記の申請をすることを義務付けるとともに、正当な理由がないのにその申請を怠ったときには十万円以下の過料に処することとしております。
 過料の金額を定めるに当たりましては、当該規律の内容に加えて、既に存在する法律の過料規定とのバランスについても配意が必要であると認識しております。この点、現行の不動産登記法におきましては、不動産の表示に関する登記の申請義務違反につきまして十万円以下の過料に処する旨の規定が設けられておりまして、そこで、このような規定も参考にしまして、相続等による所有権の移転の登記の申請義務違反に対する制裁の額を十万円以下としたものでございます。

#116
○清水貴之君 そのように過料、罰則規定を科すということは、これも公平にこれが適用されないとやっぱり不満が生じるわけです。
 ただ、この世の中には住所が分からない方、どこに行っているかも分からない方であるとか、外国に居住している方の相続人、こういった方々というのも存在します。こういった方々にしっかり公平にフェアに適用する必要があると思いますけれども、一方で難しさもあると考えますが、この辺りはどのように担保していくんでしょうか。

#117
○政府参考人(小出邦夫君) 先ほどの相続により不動産の所有権を取得した相続人に対する過料の制裁でございますけれども、これは、外国に居住する者であっても、相続等によって我が国に所在する不動産の所有権を取得して、そのことを知った場合には相続登記を申請する義務を負うということになりまして、正当な理由がないのにその申請を怠った場合には十万円以下の過料に処することになります。
 他方で、委員御指摘のとおり、登記申請義務に違反した者に対して過料の制裁を科すに当たりましては、その公平性を確保することが重要であると考えております。そのような観点から、法務省におきましては、この正当な理由があると判断することがあり得るケースについては、丁寧にその事情を酌むように運用を行うべく、正当な理由の具体的な類型につきまして、これを整理して通達等において明確化するほか、登記官から裁判所に対する過料通知の手続につきましても、省令等に明確に規定するなどの対応を行う予定でございます。
 委員御指摘ございました外国居住者である相続人につきましても、例えば国情等によって、その住んでいる国の事情等によっては公的機関による住所証明情報等を取得することが困難であると認められるような場合などもございます。こういった場合には、相続登記の義務を履行しないことについて正当な理由があるものと認められると考えているところでございます。
 これらの方策によりまして、登記官による過料通知に当たっての要件判断を安定的なものとなるよう十分な配慮を行う予定でございます。

#118
○清水貴之君 非常に大きな変更だというふうに思います。これがまた有効に活用していって所有者不明土地が少しでも解消されていくには、やはり世の中にこういったことが新たに制度として始まるんだよということが周知され、皆さんがしっかりと制度にのっとって使っていただくということが必要だというふうに思います。
 大臣、この周知というのがやはり非常に難しいところだというふうに思います。罰則規定もあるわけですから、知らなかったって処罰されるということもこれもよくありませんし、みんながちゃんと知った上で適切に使っていただくと。一方で費用の負担などの軽減策というのもあるわけですから、使った方がより、使ってよかったねと思ってもらえるような制度にしていくということも大事だと思いますが、やっぱりこの辺りの周知方法について、大臣、どのように考えますでしょうか。

#119
○国務大臣(上川陽子君) 今般の法改正におきまして、相続登記の申請の義務化をするわけでございます。国民に新たな負担を課すものでありますし、また、過料を伴う具体的な義務を設けるものでもございます。国民に、一般に対しまして十分な周知を図るということが極めて制度の運用の面でも大事であると、また、効果を最大限、その目的を達成するためにも重要であるというふうに認識をしております。
 具体的な周知方法につきましては、今後の検討課題ではございますが、例えば、説明会の開催、また、パンフレット等の配布、そして、法務省や法務局のホームページを活用した広報という形で国民に直接周知をするという取組を進めてまいりたいというふうに思っております。
 また、市区町村におきましては、死亡届が提出された際に相続発生時に必要な手続のチェックリストを交付するなどの取組がされておりますので、法務省としては、これに相続登記の申請を盛り込んでいただくべく、地方公共団体や関係府省、関係省庁と連携をした取組のほか、遺産分割や相続登記を専門に扱う法律実務家と連携をして国民への周知を図る取組をしていくことなどにつきましても想定をしております。
 法務省といたしましては、関係機関、関係団体とも十分に連携をしつつ、この相続登記の申請の義務が実効的なものとなるよう、申請人の負担軽減策も含めまして、相続登記の義務化に関する周知啓発については努めてまいりたいと考えております。

#120
○清水貴之君 もう一点大臣にお伺いをしたいんですけれども、相続土地を国庫に帰属させることができるようになるということで、これは今の現実、現状に合致している部分というのが大きいというふうには思う一方で、でも、これが余りに多用される、濫用されるようになりますと、やっぱり土地というのは代々守ってきたものであるとか日本人がずっと大事にしてきたものというところが、もう要らなくなったから国に渡してしまえみたいになってしまうと、モラルハザードが起きてしまうんではないかと、こういったことも考えてしまいます。この辺りも非常に難しい問題かなと思いますが、大臣、どのようにお考えでしょうか。

#121
○国務大臣(上川陽子君) 委員今御指摘をいただきましたモラルハザードの可能性についての危惧ということでございますが、土地の所有権の国庫帰属を広く認めることとすると、本来土地を適切に管理すべき責務を負う土地の所有者が将来的にこれを国庫帰属させる意図の下で土地の管理をおろそかにするといった形のモラルハザードも発生するおそれがございます。
 そこで、相続土地国庫帰属法におきましては、通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地として法令で定められたものに該当する土地につきましては国庫帰属の対象としないということとしているところでございます。
 今後、政令等によりまして承認の要件の詳細な内容等を詰めていくこととなりますが、まさに、モラルハザードの発生防止の観点、これは考慮しつつ関係省庁と連携をして取り組んでまいりたいと、検討してまいりたいというふうに考えております。

#122
○清水貴之君 ということで、いろいろ条件を付されているということですけれども、一方で、帰属させるためのハードルが今度高過ぎますと、これはこれで非常に使い勝手が悪い制度になるので、また難しい問題だなと思います。
 その土地の利用についてお伺いをします。
 本法案では、どのような活用方法を考えているのでしょうか。国庫に返ってくる土地なわけですから、これはこれで国としてしっかり管理して適切に活用していくべきだというふうに思うわけですが、これも午前で出たと思うんですけど、やっぱりなかなか、返したいというふうに思う土地なわけですから、もう手放したいと思う土地なわけですから、なかなかそういった活用方法を見付けていくのも難しいというふうには思いますが、どのように今お考えでしょうか。

#123
○政府参考人(井口裕之君) お答えいたします。
 本法案によりまして創設される制度によって国庫に帰属されることとなる土地につきましては、今御指摘あったように、この土地の経緯から、売払い、貸付けに至らず国が長期にわたって保有、管理し続けるものが多くなると見込んでおります。
 現在、財務局において管理している土地にもこのような土地の性質上直ちに利用、処分できないものがございまして、これらについては、周囲の環境など個々の財産の状況を踏まえた管理、処分を行っているところでございます。具体的に申し上げますと、例えば市街地周辺などでは定期的に草刈り、巡回等を実施している例もあります一方で、中には、災害等の対応などで必要が生じた場合において随時対応するのみとなっているもの等もございます。
 いずれにしましても、その土地の状況に応じて適切に管理を行ってまいりたいと思っております。

#124
○清水貴之君 所有は国だとしても、実際にあるのはどこかの各自治体にあるわけですね。そうしますと、この辺りの連携も非常に重要になっていくのではないかというふうに思います。自治体からしたら使いたい土地かもしれませんし、若しくはその管理が不十分で自治体の方に様々苦情が来ることもあるというふうに思うんですよね。この辺りの連携についてはどう今後考えていくんでしょうか。

#125
○政府参考人(井口裕之君) お答えいたします。
 本制度の運用に当たりましては、審査機関、これは法務局ということになると思いますが、この国庫帰属の承認をする前に、その土地の所在する地方公共団体に対して当該土地の情報を通知し、当該団体が土地の取得を希望する場合には土地所有者と直接交渉して贈与契約を締結、いわゆる寄附ということになると思いますが、そうしたことを可能とする方向で検討を進めていると承知しております。
 また、これを終わりまして国庫に帰属した後につきましても、後発的な事情等により処分可能性が生じた場合、具体的には自治体から例えば働きかけがあったような場合等も含めまして、こうした場合には一般的な手続の下で処分を行いますが、その場合には、貸付けにしろ売却にしろ、地方公共団体等からの利用要望を優先的に受け付けることとしております。こういうことで対応してまいりたいと思っております。

#126
○清水貴之君 もう一度確認ですが、ただ、管理はあれですよね、国の方でしていくということですね。地方自治体が管理をする必要というのは生じないということですよね。
 そうなると、今度はその維持管理の費用とかマンパワーとか、こういったものも国の方でどんどん持たなければいけなくなるというふうに思いますが、これも、午前のこれもお話でしたら、どれぐらいこれ、今回の法案の改正によってどれぐらい返ってくる可能性があるのかというのは、ちょっと今のところはまだ何とも言えないというお話でしたけれども、ただ、そういったものに対応するための費用、人というのも必要になってきますので、そういうのを見越した上で動いていかなければいけないと思うんですけれども、どのようにお考えでしょうか。

#127
○政府参考人(井口裕之君) 今御指摘いただきましたように、本制度におきましてどのような土地がどの程度の規模で国庫に帰属するかを現時点で見通すことは難しいと考えておりますが、こうしたそれらの土地につきましても、個々の財産の状況を踏まえた管理、処分を行ってまいりたいと考えております。
 このため、実際の管理、処分を担います財務局において必要となる定員の確保などの体制整備にも努めてまいりたいと考えております。

#128
○清水貴之君 続いて、ちょっと三番を一旦飛ばさせていただいて、四の外国資本による土地の取得について、農水省さんですね、お伺いをしたいというふうに思います。
 今国会では国の重要施設の周辺の土地の管理に関する法案というのも、今もう出されているんですかね、審議がされるというふうに思います。重要施設ですから、原発であるとか自衛隊の基地とか米軍基地とか、こういったところの周辺の土地の所有がどうなっているかと、こういったものをしっかり管理していこうという法案だというふうに理解をしておりますけれども、そういった重要施設と定義されるもの以外にも、日本国内には様々大変大切な土地というのがあります。
 その中でよく話が出てくるのが、水源地などの話がよく出てきます。水源というのは、もうどこで誰が持っているか分からない、森林で何かが、開発など行われてしまったら、それこそ周辺に住む方々にとっては生活に密接に関連するものですので、非常に重要なところだなというふうに思います。
 これも北海道の森とかがよく話、例として出てきますけれども、外国資本による購入というのもやはり一定程度進んでいるというふうに理解をしておりますが、こういったものはどのように今状況把握をしているんでしょうか。

#129
○政府参考人(小坂善太郎君) お答えいたします。
 林野庁におきましては、外国資本による森林の買収の状況につきまして、平成二十二年以降、毎年、都道府県を通じて調査を行っております。この調査では、森林法に基づき市町村へ提出される新たな森林の土地の所有者となった旨の届出、そういったものを基にしまして、都道府県を通じ把握しているところでございます。
 直近の調査である令和元年につきましては、全国で三十一件、百六十三ヘクタールの外国資本による森林買収が確認されております。また、初回調査の対象とした平成十八年から令和元年までの累計を見てみますと、二百六十四件、二千三百五ヘクタールの外国資本による森林の買収を把握しているところでございます。議員御指摘のとおり、この二百六十四件のうち北海道が二百十二件と多い割合になっているところでございます。

#130
○清水貴之君 その調査結果を見せていただきますと、利用目的などは資産保有とか別荘用地とかもある一方で、不明という回答ももう多々あるわけですね。取得者の住所地を見てもアジアなどが、中国始めアジアが大変多いですけれども、これも実際は、取引しているのは日本の不動産会社だけれども、資本を出している本当の所有者は外国資本であって、なかなかこの辺も実態も分かりにくいとか、こういった話もあります。
 なかなか今の、海外ではもう外国人が土地を購入するのを規制しているような国もある中で、やっぱり日本の法規制では、今の、なかなかこれ以上ルールを厳しくしていくというのは難しいのかもしれませんが、ただ、やっぱりしっかりと見ていく必要性というのはあると思うんですよね。
 この辺り、今のこのやり方で十分なのかどうなのか、もっと厳しくしていく必要があるのではないか、この辺りについてはいかがでしょう。

#131
○政府参考人(小坂善太郎君) お答えいたします。
 先ほど答弁させていただきましたように、森林法に基づく届出制度等を使って外国資本による森林の買収の状況をずっとウオッチ、把握してきているところでございます。
 一方、森林法におきましては、これは当然外国人、日本人問わずでございます、森林の公益的機能を確保するため、例えば保安林制度であるとか林地開発許可制度、そういうものが措置されておりまして、現時点で外国資本の森林買収によって何らかの問題があるのかというと、そういったことはまだ把握されているような状況じゃないというふうに思っています。
 いずれにしても、林野庁としては、今後とも、この森林法に基づく届出等を活用しまして外国資本による森林買収の実態について把握、公表するとともに、保安林制度とか林地開発許可制度、そういうものをきっちり適切に運用して森林の機能の確保を図っていきたいというふうに考えているところでございます。

#132
○清水貴之君 以上で質問を終わります。
 ありがとうございました。

#133
○川合孝典君 国民民主党・新緑風会の川合でございます。今日もよろしくお願いします。
 まず、私は土地所有権の国庫への帰属に関する法律案の内容に関してから質問させていただきたいと思いますが、まず、大臣の基本的な御認識をお伺いしたいと思うんですけれども、この国庫帰属の法律案は、経済的に困窮されている方が制度を利用できる費用負担のそもそも在り方になっているのかどうかということについて、大臣の基本的な御認識をお伺いします。

#134
○国務大臣(上川陽子君) この相続土地国庫帰属制度によりまして国庫への帰属が想定される土地につきましては、基本的には利用の需要がないものでございまして、国庫帰属後は長期間にわたりまして国が所有者として管理をし、その費用につきましては国民の負担で賄われる可能性が高いものと想定をしております。したがいまして、それで承認を受けた者につきましては、国庫帰属がなければ負担すべきであった土地の管理費用等の負担を免れることになるということでもございます。
 そのような制度であることに鑑みまして、実質的に公平の観点から、承認を受けた者に一定の負担金を納付させるということにしている、そうした枠組みでございます。
 もっとも、所有者不明土地の発生を抑制する観点からは、相続土地国庫帰属制度が実効的に運用されることが極めて重要であると考えまして、承認申請者の負担にも配慮する必要があると承知をしております。負担金の額の算定方法につきましては政令で定めるとされておりまして、承認申請者の負担能力、これに配慮しながら、適切な算定方法になるよう関係省庁と連携して検討してまいりたいというふうに思っております。

#135
○川合孝典君 ありがとうございます。
 実務的な問題も含めて少し政府参考人にお伺いしたいことがあるんですが、いろいろ調べましたところ、この国庫帰属に、いや、失礼、所有者不明土地の国庫帰属について、法務大臣のいわゆる承認の要件、これが、承認要件が相続税の物納の要件と同様の形で規定されているんですけれども、その理由が何なのか、教えていただきたいと思います、通告しておりませんが。

#136
○委員長(山本香苗君) 小出民事局長。よろしいですか、御答弁。(発言する者あり)
 じゃ、川合孝典先生。

#137
○川合孝典君 急な質問だったので、済みませんでした。
 私がこれ質問させていただいた背景にあるのは、そもそも物納制度というのは現金納付に代わるものということでありまして、したがって、この場合、当該の土地の換価性、価値というものが担保されていないといけないわけなんですけど、この所有者不明土地、中山間部の所有者不明土地は、そもそも土地の価値がないような土地があるということが一般的なものであるということを考えたときに、この経済価値に乏しい、かつ粗放的管理がなされている土地ということですから、そういう土地にその境界の特定をどうしていくのかということも含めて、物すごい高額な負担を、測量費を掛けて実際に境界特定を行うといったようなことも含めて、事実上こういう立て付けだといわゆる確定させるということが困難なんじゃないのかなというのが素朴な疑問として実は生じたわけなんですけど、その点についていかがですか。

#138
○政府参考人(小出邦夫君) お答え申し上げます。
 先ほどのその相続税の物納制度と相続土地国庫帰属制度の比較でございますけれども、相続により取得された土地の所有権が行政処分を経て国に移転して、国においてその土地を普通財産として管理、処分する点では共通しております。
 ただ、相続税の物納制度は、金銭での納税義務を負う相続人が、一定の場合に、税務署長の許可を得て、金銭に代えて土地等の物を納付することで納税義務を果たすことを認める仕組みでございます。これに対して、相続土地国庫帰属制度では、相続により土地を取得した者が、一定の要件の下で、法務大臣の承認を得て土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする仕組みでございます。
 相続税の物納は、金銭による納付が困難な場合に納税者に代わって国が財産を売却することによって国家の収入とするものであるから、基本的にその財産を換価することが予定されているものと承知しておりますが、これに対しまして、相続土地国庫帰属制度におきましては、その制度の趣旨から、土地の換価の可能性をその要件において考慮しない点で物納と異なるものと考えております。

#139
○川合孝典君 つまり、何が言いたいのか、済みません、よく分からなかったんですけれども。
 いや、私が疑問に感じているのは、そもそも価値のない土地ということであって、この価値のない土地をあえて膨大な測量費を掛けて測量を行った上で土地を確定させた上で国庫に帰属をさせるという手続を取ることのメリットが、そのいわゆる所有者不明土地の所有者を確定させた上でその所有者がそれを行うということのメリットが一体どこにあるのかということが分からなかったので質問をさせていただいたということです。

#140
○政府参考人(小出邦夫君) お答え申し上げます。
 今回、境界が明らかでない土地、これにつきまして国庫帰属の対象から外しておりますけれども、これは、国庫帰属後に国が管理をすべき土地の範囲を特定する必要があるためでございますので、現地において認識可能な程度の境界の特定は必要であると考えられます。
 ただ、この境界が明らかでない土地に該当しないために、どの程度の資料、どの程度の事実が必要なのかということについては今後検討する必要があるというふうに思っておりまして、委員御指摘のとおり、申請者に対して所有権の境界が特定されていることについて詳細な資料の提出を求めた場合には、申請者の負担が重過ぎるということにもなりかねません。どの程度の資料の提出を求めるかは国庫帰属後に国が行う管理の態様等によっても異なるものと考えられますので、その境界が明らかでない土地等の認定の在り方については、その粗放的な管理で足りる土地の取扱いも含めまして、今後、申請者の負担あるいは国有財産管理の実務の観点等も考慮して具体的な運用について検討していく所存でございます。

#141
○川合孝典君 ちょっと後日、議事録をもう一度読み直させていただきたいと思います。
 今、境界の話が出たのでこれも確認をさせていただきたいんですが、現在使われているいわゆる地図なんですけど、これ、明治時代の地租改正のときに作られた土地台帳附属地図、いわゆる公図ですよね、これが今でも使われているという話を聞いたんですけど、これは事実ですか。

#142
○政府参考人(小出邦夫君) それは事実でございます。
 そういった精度の劣る地図を、今、地籍調査あるいは法務局が行っております登記所備付け地図作成作業によって最新のもの、筆界点が分かる精度の高い地図に置き換える作業を鋭意行っているところでございます。

#143
○川合孝典君 別に歴史はこの際関係ないんですけれど、地租改正が行われたときに、当然ながら明治政府のいわゆる徴税に対する地主さんの反発等もありまして、当時のいわゆる公図はかなり境界線というものが曖昧に規定されているという、設定されているということもよく指摘されているわけでありまして、そういう地図を使っているということは、いわゆる原始境界の復元が極めて困難だと言わざるを得ない状況ということなんですけれども。
 ここからちょっと大臣の御認識をお伺いしたいと思うんですけど、今後この所有者不明土地を将来的に減らしていく、なくしていくということの取組を行っていく上で、これ正確な地図がないとできないんじゃないのかと思うんですけれども、これは国の責務としてきちっと予算付けを行った上で、いわゆる不動産登記法第十四条地図ですよね、これを国の責務で早急に策定するべきではないのかと思うんですけど、大臣の御認識をお伺いします。

#144
○国務大臣(上川陽子君) 日本全土のこの地図を正確に把握をしていくということについては、これは権利義務の対象になるわけでありますので、極めて大事であると思います。
 私もいろいろ地域を回らせていただいて、それぞれ公民館などにも古い地図がございますと、その区画の在り方については、今、測量して確定をするという作業をしておりますが、そのときでも形の形状は分かるものの、その境界を隣地とどう設定しているのかというふうに考えると、ちょっといささか、その当時はもう最新の多分技術を使ってというか、知識を使って作られたとは思うものの、実態は必ずしも一つになっていないというふうなことが見通されるようなものもございますので、それを長い年月を掛けながら少しずつ測量を重ねて、そして整備をしてきたという、それが現状であるというふうに思います。さらに、そうしたことの努力、境界確定の努力も含めまして、測量をしながら整備をしていくということは、これはもう国としての責務として果たすべき重要な役割ではないかというふうに思います。
 今般のこの制度につきましても、先ほど来のお話のとおり、隣地との境界をどういうふうに確定していくのかということがセットにならないとなかなか申請という手続まで至らないと、こういうようなこと、また負担も掛かるということでありますので、その辺も運用の中で、しかし、今現実には難しいところもたくさんありますので、それとどのように折り合いを付けていくのかも含めまして、現場の方でしっかりと検討してまいりたいと思っております。

#145
○川合孝典君 ありがとうございます。
 今回の法改正によって、今後、将来的に所有者不明土地が増えるのをどう防いでいくのかということについての一定の効果というものは私自身も感じているんですけれども、既に所有者不明土地になってしまっている土地をどうするのかという点でいくと、やはり地図を始めとしてきちっとインフラの整備を行うということから始めないと、ずっとこの問題が将来にわたって温存され続けるのではないのかと感じたものですから、御指摘をさせていただきました。
 それと、先ほどの大臣からの冒頭の御答弁いただいた内容で、今回の法改正に当たって、政府としては、将来的に管理不全状態になるような所有者不明土地の発生を抑制するということと社会的コストを抑制するということに主眼を置いた法律改正だということは御説明で感じたんですけれども、私自身、そのことと同時に、余計な国費を、出費を国がしなくていいようにということに重点を置いた法改正になっていることの結果として、むしろその所有者不明土地の持ち主となった人が国庫に将来的に返還をするということを促すような、むしろそういう手続、インセンティブが働くような法制度を整備することの方が、むしろ将来的な所有者不明土地の増加を抑制することにつながって結果的に社会的コストが低減されるのではないのかという、そういう考え方もあると思うんですけど、大臣としてはこの辺りいかがお考えになられますでしょうか。済みません、通告しておりません。

#146
○国務大臣(上川陽子君) この相続土地の国庫帰属制度につきましては、所有者不明土地の発生抑制ということを目的としておりまして、広く相続された土地を対象としているものでございます。現実には、現状のままでも国庫帰属の要件を満たしている土地もありますし、またそうでない土地もあるということでございます。
 利用者の方は、土地を所有しているということによりまして、将来発生することが見込まれる費用の額と、そしてこの制度の利用によって生ずる費用の額、これをバランスきっと考えながら、比較考量しながら、その上で経済的な面から制度を利用するかどうかというものも含めて検討をされるのではないかというふうに考えられるところでございますが、インセンティブにつきましても、そういった面について、よりそれが促進されることができるような制度になっていくということは望ましいことであるというふうに思っております。
 これまでにない全く新しい制度でございますので、この要件や負担金の在り方も含めまして、施行後五年経過の際の制度の運用状況、これを踏まえまして関係省庁と連携して必要な見直しを検討するということで、この点についても組み込んでいるところでございますので、まずはその運用状況をしっかりと見定めたいというふうに考えております。

#147
○川合孝典君 丁寧な御答弁いただきましてありがとうございます。
 次の質問に移りたいと思いますが、幾つかかぶっている質問もありますので、飛ばして、四番目の質問として出させていただいた質問をします。
 土地所有権の国庫への帰属に関する法律のこの二条三項に定める国庫帰属の要件、幾つかある要件の中で、建物の存在する土地というものが帰属させられない土地の要件に一つ掲げられていますが、これは廃屋なんかも含まれるわけでしょうか。これは政府参考人ですね。

#148
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 相続土地国庫帰属制度は、所有者不明土地の発生を抑制する目的で、本来所有者が管理すべき土地を国に引き受けさせ、国民の負担で土地を管理することとするものでございます。
 これに対しまして、建物は、一般に管理コストが土地以上に高額である上、いずれ老朽化することになることから、仮にこれを土地と同様に国が引き受けることを認めることとすると、管理に要する手間やコストが更に増えるだけでなく、最終的には建て替えや取壊しが必要となることから、財政的にも相当の負担が生ずることになります。このため、建物はこの制度の対象外にすることとし、土地についても、その上に建物が存する場合にはこの制度の対象外にすることとしております。
 また、建物以外の工作物が地上にある土地についても、その工作物が土地の通常の管理又は処分を阻害する場合には、管理コストが国に転嫁されるおそれがあるとともに、モラルハザードが生ずるおそれがあるため、この制度の対象外にすることとしております。
 委員御指摘のいわゆる廃屋につきましては、それがいまだ建物としての状態を保っている場合には二条三項一号の建物の存ずる土地に該当することになり、屋根が崩落するなどしてもはや建物とは言えなくなっている場合には、通常は第五条第一項第二号の土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物が地上に存する土地に該当することになるものと考えられまして、いずれにしても、国庫帰属の要件を満たさないことになるものと考えられるところでございます。

#149
○川合孝典君 ありがとうございます。
 町中でそういう放置された廃屋ということでイメージすれば、今の御質問でしっくりと説明、理解できるんですけど、例えば所有者不明土地というのは、いわゆる中山間地、へき地の山の中であったりするものですから、その場合に、例えば昔のきこりの道具小屋みたいなものが使われなくなって存在しているということも当然想定されるわけでありますけど、その工作物というか建物の存在自体は一切誰にも迷惑を与えるものでもないという状態であったとしても、これは取り壊さないと、取壊しさせて撤去しないと国庫帰属の対象にはならないという現状は理解だとしてよろしいですか。

#150
○政府参考人(小出邦夫君) 先ほど申し上げましたとおり、建物は一般に管理コストが土地以上に高額でありますし、いずれ老朽化し、また、建て替えや取壊しが必要になるということでございますので、建物が存する土地は国庫に帰属させないこととしております。

#151
○川合孝典君 もう一点、同様に、国庫帰属の要件に関して確認なんですが、土壌汚染対策法に定める特定有害物質により汚染されている土地、これはいわゆる国庫帰属の対象とならないと定められているわけでありますけど、仮にこの土壌汚染をされている土地というのが土地所有者本人に起因するものでなかった場合の取扱いはどうなるのか、これを教えてください。

#152
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 相続土地国庫帰属制度は、本来所有者が管理すべき土地を国に引き受けさせ、国民の負担で土地を管理することとするものでございます。
 土壌汚染対策法におきましては、一定の基準を超える特定有害物質が検出された土地における土壌汚染対策等について規定されておりまして、その規律は国有地にも及ぶことになります。そのため、国庫帰属地が基準を超えて有害物質により汚染されていれば、国は国民の負担において、土壌汚染対策法に基づいて汚染の除去等の措置を行うことになるおそれがあるとともに、この有害物質が近隣の土地に拡散した場合の損害賠償責任を負うおそれがございます。そこで、一定の基準を超える特定有害物質により汚染されている土地につきましては、財政負担の観点から、その汚染が土地所有者の行為に起因するものであるか否かを問わず、国庫帰属の対象外としているものでございます。

#153
○川合孝典君 条文読むとそういう理解になるんだと思うんですけれども、私自身がイメージしましたのが、産業廃棄物の不法投棄の問題等がよくありますので、いわゆる粗放的管理がされている、ふだん持ち主が知らない状態、目の届かない状態にある土地に産廃が不法投棄されたことによって土壌汚染が生じているといったような場合には、これ土地所有者も被害者ということに当然なるわけでありますけど、そのような場合にも扱いは一緒になるという理解でよろしいですか。

#154
○政府参考人(小出邦夫君) 御指摘の事例は、土地所有者が判明している場合、土地所有者が判明している場合の事例でございましょうか。(発言する者あり)土地所有者が判明していない場合にはそもそもこの国庫帰属の対象にはならないわけでございまして、後に判明した場合には、その国庫帰属の対象として申請されたとしても、それが産業廃棄物等によって汚染されている場合には、その判明した所有者の行為に起因するかどうかを問わず、今回の対象の外にある、対象にはならないということかと思います。

#155
○川合孝典君 ちょっと混乱してきているのでもう一度確認しますが、じゃ、土地所有者が知らない間に汚染されていた状態というものが生じていた場合にはどうなるのか。

#156
○政府参考人(小出邦夫君) その場合には、要件的には対象にはならないということになりますが、ただ、汚染されている事実をどこまで調査するか、どちらの、国の責任で調査するのか申請者の責任で調査するのかといったその調査の程度の問題はそこで生ずるわけでございます。

#157
○川合孝典君 私が懸念しておりますのは、今そういう考え方で制度設計をされているものですから、そうなりますと、産廃が積み上がって土壌汚染になっている土地、扱い、どうにも扱えない状態になってそのまま放置される、現状、現実にそういう土地がいっぱいあるわけでありますので、そうした土地を今後どう改良していくのかとか、どう利活用していくのかという観点から、言い方悪いんですけど、投げやりな制度設計で果たして本当にいいのかなということを私自身ちょっと感じたものですから指摘をさせていただいたんです。

#158
○政府参考人(小出邦夫君) お答え申し上げます。
 相続土地国庫帰属制度は、本来所有者が管理すべき土地を国に引き受けさせて国民の負担で土地を管理することとするものでございまして、土壌汚染がある土地については財政負担の観点から国庫帰属の対象外としているところでございます。
 この土壌汚染がある土地につきましては所有者不明土地のこの発生抑制とは別途の考慮を要する問題だと考えられまして、例えば健康被害が生ずるおそれがある区域にある土地などにつきましては、汚染を除去するための行政的な措置をとるなどして国民の健康の保護が図られるべきものと承知しております。

#159
○川合孝典君 今御答弁があったような対応を取るということが本来求められているんだろうと私は思いますし、そうした土地の取扱いの問題については、環境省を始めとする関係省庁、国交省もそうなのかもしれませんが、そうしたところと連携をしながら問題解決に向けてお取組を進めていただきたいなというふうに思っております。
 時間が参りましたのでこれで終わらせていただきたいと思いますけれども、いわゆるモラルハザードの問題も含めて法制審議会等で様々な議論がなされたということは私も議事録拝見させていただきましたけれども、結局、国が、国庫に帰属させるということは国が費用を負担することになり、それは結果的に国民の負担になるというお話がありましたが、他方、今、いわゆる放棄されてしまっている所有者不明土地というものについても、そもそもは日本のエネルギーが炭やまきから石炭になり、そこからいわゆる石油エネルギーになりという、そのエネルギーが替わっていく中で木材というもののニーズが減った、さらには外材輸入をするということで、森林をいわゆる育成することの必要性が低下したという、国の政策によっていわゆる所有者不明土地が増えたということも事実としてあるわけでありますので、そうしたことも踏まえた今後の所有者不明土地をなくしていくための対策というものを是非求めたいということを申し上げまして、私の質問終わります。
 ありがとうございました。

#160
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
 法案審議に入る前に、今日閣議決定が予定されております検察庁法改正案について伺います。
 昨年、黒川元検事長を定年後も続投させるために、従来の解釈を百八十度変えて、国家公務員法の勤務延長の規定を検察官にも適用できることとされました。この解釈変更に合わせるために既にできていた法案の内容を変更し、検察官の定年後の勤務延長や役職定年に達した後も続投させる特例が盛り込まれました。検察幹部の人事に官邸が介入できる仕組みだとして批判が広がり、とうとう法案を撤回せざるを得なくなったものであります。
 資料をお配りしておりますが、衆議院の議院運営委員会には既に改正案について文書が配られております。
 大臣に伺います。
 昨年提出した法案と異なり、検察官の定年後の勤務延長や役降りの特例は盛り込まないこととする旨が記されております。こういう内容で法案提出するということで間違いないのでしょうか。

#161
○国務大臣(上川陽子君) 国家公務員等の一部を改正する法律案につきましては、現在、成案が得られるよう努めている最終段階にあるということで御理解をいただきたいというふうに思います。
 その上でお答えを申し上げるところでございますが、同法律案中の検察庁法改正部分につきましては、昨年の通常国会に提出をいたしました改正案が国民の皆様の理解を十分に得ることができなかったことを重く受け止めて、今回、定年年齢の引上げ等のみを行い、御批判をいただきました検察官の定年後の勤務延長などはできないこととする方向で検討をしているところでございます。

#162
○山添拓君 そうしますと、勤務延長を可能だとした解釈変更は、これは事実上撤回することになると、そういう理解でよろしいでしょうか。

#163
○政府参考人(川原隆司君) お答えを申し上げます。
 昨年のその勤務延長につきましては適正なプロセスを経たものであり、これにつきましては適法で有効なものであるというふうに考えております。

#164
○山添拓君 いや、そうではなく、そのなされた解釈変更について、法案の中では勤務延長できなくなるというものを今作られているようですから、これを改めていくということですね。

#165
○政府参考人(川原隆司君) お答え申し上げます。
 まだ閣議決定前でございますので、法案の中身に立ち入った形での御説明は控えさせていただきたいと存じますが、さきに行いました解釈変更、勤務延長に関する解釈変更、これ自体は、繰り返し申し上げますが、適正なプロセスを経て行ったものでありまして、有効なものと考えております。

#166
○山添拓君 いや、それを聞いているんじゃないですよ。その解釈変更をしたと説明されているものを改めるんですねということを伺っています。

#167
○政府参考人(川原隆司君) お答えを申し上げます。
 委員から提出されています資料でちょっと御説明を申し上げたいと思いますが、委員提出の資料の中に国家公務員法等の一部を改正する法律案というタイトルの資料がございます。繰り返し申し上げますが、法案まだ提出しておりませんので検討中の段階ということでこれはやりますが、この三のところにございますように、勤務延長の適用の除外とございます。これは、改正案で適用の除外規定を設けることとしておりますので、論理の必然の問題として、さきになされた解釈変更が生きているという前提で、改正法において適用除外規定を法律で明確に設けるという内容で検討しておりますという趣旨がこの資料の内容でございます。

#168
○山添拓君 なかなか正直にお認めになろうとしないんですけれども。
 要するに、解釈変更で適用できるとしたものを今度はできないように法律上明文化していくと、それは間違いないですよね。

#169
○政府参考人(川原隆司君) お答え申し上げます。
 そういった内容で今最終の詰めを行っているところでございます。

#170
○山添拓君 大臣、なぜそのように変えることにされたんでしょうか。

#171
○政府参考人(川原隆司君) お答えを申し上げます。
 先ほど大臣から答弁ございましたように、昨年提出いたしました改正案の内容が国民の皆様の理解を十分に得ることができなかったということを重く受け止めて、今回このような内容で提出させていただくべく今手続中でございます。

#172
○山添拓君 黒川氏が退職をされ、解釈変更を維持する必要性もなくなったということであろうと思います。
 「#検察庁法改正案に抗議します」というツイッターデモがありました。検察、検事総長OBなどの反対の意見表明もありました。そうした中で法案を撤回し、今回、解釈変更も事実上撤回することになり、法文に勤務延長は適用できないと、こう明記することになったわけです。
 これは大臣にお答えいただきたいのですが、政治による検察の私物化を許すなと、そういう国民の声を、これを大臣も受け止められたと、そういう理解をしてよろしいですね。

#173
○国務大臣(上川陽子君) 先ほど答弁をさせていただきましたけれども、昨年の通常国会に提出した改正案につきましては、国民の皆様の理解を十分に得ることができなかったということについては極めて重く受け止めているところでございます。国民の皆さんの信頼なくして検察の、検察官の勤務そのものもあり得ないということでございますので、国民の皆様から様々なお声をいただいたということについて重く受け止めた、その上で、今回のような提案をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。

#174
○山添拓君 新たな法案の策定に至った検討経過については改めて御説明をいただきたいと思います。司法の独立を脅かすような政治を断じて行うことのないよう、重ねて求めておきたいと思います。
 それでは、法案について伺います。
 所有者不明土地の解消、発生予防が趣旨とされます。資料をお配りしております。三ページです。
 市町村の地籍調査では、登記簿のみでは所有者等の所在が不明な土地の割合が二二・二%、探索の結果、最終的に所在不明な土地の割合は〇・四四%とされます。これは午前中から出ている数字でもあります。探索すればかなり判明するという点は確認しておきたいと思いますが、それには時間と労力が要りますので、公共目的の使用や災害復旧などを進める上で所有者不明土地の対策が必要であることは事実だと考えます。
 ただ、この表からも分かるように、所有者不明の土地というのは満遍なく広がっているわけではないかと思います。一般的に見て、林地では割合が高く、都市部、人口集中地区では相対的に少ないようだと、こういうことは少なくとも言えるのではないかと思いますが、国交省はいかがですか。

#175
○政府参考人(吉田誠君) お答え申し上げます。
 平成二十九年度の地籍調査におきまして、不動産登記簿から直ちに所有者の所在が判明しなかった土地の割合は、筆数ベースで、これ全体平均では約二二%となっております。地帯別に見ますと、委員提出資料にございますとおり、都市部が一六%、宅地が一九%、農地が一九%であるのに対しまして、林地が約二八%と最も多く所有者不明土地が確認されているところでございます。

#176
○山添拓君 利用価値が低いと思われる土地で多く見られるということも言えます。相続しても積極的に取得したり登記をしたりするインセンティブが働きにくい、そういう土地であります。こうした土地を含めて相続登記を義務化しようというのが今回の不動産登記法の改正案です。
 民法八百九十六条により、相続人は、相続開始のときから、すなわち被相続人が亡くなったときから一切の権利義務を承継します。相続人が複数いる場合には法定相続分による共有状態となり、遺産分割協議を経て、誰がどの遺産をどのぐらいの持分で相続するか決めていくことになります。従来は協議がまとまった段階で相続登記を行ってきましたが、本法案では、協議がまとまる前の言わば中間段階であっても、法定相続分に基づく登記を義務付けています。
 協議できちんと決めてから登記をしたいと、こう考える相続人にとっては、意思に反する登記を強制されることにはならないでしょうか。

#177
○政府参考人(小出邦夫君) お答え申し上げます。
 相続登記の義務化の内容として、法定相続分による相続登記を求めるということ、今委員から御指摘がございましたように、具体的相続分に基づく結果と異なる結果を相続登記の内容を強制するというような意見もございまして、相続登記の義務化の内容としてはどうかというような意見もあったところではございます。

#178
○山添拓君 いや、なら、なぜそのまま法律にするのかということが問われるわけですが。
 相続後、遺産分割前の中間的な登記ですね、こういう登記をしたくない相続人にとっては、では、どうしたらよいということですか。

#179
○政府参考人(小出邦夫君) 今回新たに設けました相続人申告登記という負担の軽い手続で登記をしていただく、義務履行をしていただくということを期待して、想定しているところでございます。

#180
○山添拓君 つまり、相続と遺産分割と権利関係は二度変わるわけですが、二度の変化を二度とも正確に登記に反映させることまでは求めていないと、こういう理解でよろしいですか。

#181
○政府参考人(小出邦夫君) 相続登記を行う義務ですけれども、三年以内に行うことを義務付けておりますけれども、いずれにしても、相続関係、登記名義人である被相続人が死亡した後の相続関係につきましては、まず、相続が開始した場合、各相続人は相続によって所有権を取得する、これは法定相続分による共有持分を取得するということになる、その時点でまず相続登記の申請義務を負うことになりますが、これは、現行法の下でも可能であります法定相続分での相続登記の申請で義務を履行することが可能ですけれども、今般の改正によって新たに設けた相続人の申告の登記の申出をすることによっても義務を履行することが可能でございます。
 また、遺産分割がされたケースにつきましては、履行期間である三年以内に現に遺産分割がされた場合には、遺産分割の内容を踏まえた所有権の移転の登記を申請していただくことになります。相続人申告登記をした後に遺産分割が調いまして、その後遺産分割が行われた場合には、遺産分割から三年以内に遺産分割の結果に基づく所有権の移転の登記の申請を義務付けるということになっております。

#182
○山添拓君 お答えいただいていないんですけれども、相続登記の、申告登記ですね、新たに設ける申告登記、これを活用しようと。それを使ってもらえば取りあえず最初の義務はクリアできますよと、こういう説明をされてきているわけですが、それを強調されればされるほど、民事局長は衆議院では申告登記の活用が期待されるとまでおっしゃっているんですけれども、それを強調されればされるほど、相続登記の義務化、遺産分割前の状態での登記の義務化というのは、これはあえてする必要はないんじゃないかということを指摘せざるを得ないと思うんですね。申告登記をやればいいわけですから、と思います。
 ちなみに、この相続登記の義務化ですけれども、この義務は、相続人が登記をする前に亡くなってしまった場合、二次相続の場合にも義務が課されることになるんでしょうか。

#183
○政府参考人(小出邦夫君) 委員御指摘のとおりでございます。

#184
○山添拓君 それは条文上どのように読めるんですか。

#185
○委員長(山本香苗君) 小出民事局長。すぐお答えできませんか。
 速記を止めてください。
   〔速記中止〕

#186
○委員長(山本香苗君) 速記を起こしてください。

#187
○政府参考人(小出邦夫君) 今回の改正法の七十六条の二におきまして、「所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から三年以内に、」ということで登記の申請義務を課しておりますが、今申し上げました「当該相続により所有権を取得した者」の中には、相続が数回ある、数次相続して所有権が順次移転してくる場合も含む概念として整理しております。

#188
○山添拓君 「所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、」というのがその前提ですので、最初の被相続人、そして相続人、その次の二次相続人と、最初の相続が開始されたときに次の相続人の登記義務が発生するという条文かと思うんですね。
 二次相続人については義務になるのでしょうか。

#189
○政府参考人(小出邦夫君) 趣旨からして、二次相続、三次相続の場合もこの「当該相続により所有権を取得した者」に含めて読むようにしております。

#190
○山添拓君 罰則付きで義務にしようとするものですので、ちょっと趣旨からしてというだけでは弱いのではないかと思うんです。
 そもそも、これ義務違反というのは誰がどうやって判断するのかと。不動産登記には表示に関する登記と権利に関する登記とがあります。表示に関する登記は、不動産登記法二十九条など、登記官に調査権限があります。しかし、所有権者が誰かなどを示す権利に関する登記については、登記官は形式的審査権しか持たないと理解されています。例えば、土地が二重に売買されるようなケースであっても、先に登記を申請してきた者を権利者として認めて、本当は別の者が既に買っているんじゃないかとか、詐欺的な売買じゃないかとか、そういうことは審査しないわけですね。
 ところが、本法案では、登記官に実質的な審査を求めています。自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から三年以内、あるいは正当な理由がないのにその申請を怠ったといった具合です。これは提出書類だけでは判断できないと思うんですね。登記官はどう判断していくことになるんでしょうか。

#191
○政府参考人(小出邦夫君) まず、過料の裁判を行うのは裁判所でございますので、最終的な義務違反の有無の判断、これは過料の裁判の手続を行う過程で裁判所によって行われることになります。もっとも、裁判所が義務違反の事実を知ることは困難でありますため、法務局の登記官が過料を科すべき事案を把握した場合には、これを裁判所に対して通知することを予定しております。
 そこで、登記官における相続登記の義務違反の端緒の把握方法でございますが、第一次的に登記官において捕捉することになりますが、その場面といたしましては、例えば、相続人が遺言書を添付して特定の不動産について登記の申請をした際に、当該遺言書が他の不動産の所有権についても当該申請人に移転するといった内容とするものであったような場合には、そのような端緒をつかんだということになります。
 他方で、今般の不動産登記法の見直しでは、相続登記等の申請の履行期間の始期につきまして、権利取得についての当事者の主観、要するに権利を取得したことを知ったことに係らしめる要件を設けております。また、これを履行期間内に行わない場合であることに加えて、申請をしないことに正当な理由がないときに限り過料を科すといった規定を設けているわけでございます。そこで、この正当な理由の具体的な類型につきましては通達等において明確化するほか、登記官から裁判所に対する過料に処せられるべき者についての事件の通知、過料通知についての手続も省令等において明確に規定することを想定しております。
 こういった方策によりまして、登記官による過料通知に当たっての要件判断、これは正当な理由があるかないかといったことを適切かつ安定的なものになるよう十分な配慮を行う予定にしております。

#192
○山添拓君 現行法にも過料を科す規定がありますが、ほとんどその実績はありません。事実上、義務違反を見極めるのは極めて難しいと思うんですね。
 加えて、違反が判明するということは、今民事局長もお話あったように、登記を申請してくるわけですよね、何らかの申請をされてくるわけです。逆に言えば、そのときには相続人が判明して、所有者が分かるということじゃないですか。所有者が分かるということであれば、所有者不明状態というのは解消されるわけですよね。ですから、法律の目的は所有者不明の解消ですから、実際にその所有者が出てきたときに、既に所有者不明状態が解消に向かおうとしているときに罰則を科すということはやはり慎重でなければならないと思うんですが、いかがでしょうか。

#193
○政府参考人(小出邦夫君) そこは委員御指摘の点のとおりと思っておりまして、正当な理由がないという認定をする場合には、個々の事案に応じて登記官の方から登記を申請しないことについて個別具体的に事情を聞き、催告をし、それでも登記を申請しないということについて正当な理由があるとは認められない場合について過料を科すといった運用を想定しております。
 例えば、どういった場合に正当な理由があるかということですけれども、数次相続が発生して相続人が数十人を超えるなど極めて多数に上って、戸籍謄本の必要な資料の収集あるいは他の相続人の把握に時間を要するケース、あるいは遺言の有効性や遺産の範囲などが争われて訴訟が係属しているケース、あるいは登記を申請する義務を負う者について重病などの事情があったケースなどが考えられます。
 したがいまして、こういった事情を個々に見ながら、催告した上でも登記をしない場合、こういった事情があって登記を申請しないということであれば正当な理由があるというような認定をする、そういった運用を予定しているところでございます。

#194
○山添拓君 相続登記は相続人全員で行う必要がありますが、より簡易な相続人登記、申告登記を導入して、これによって相続登記の義務は履行されたものとみなされると、そういう条文になっています。この登記は申出によるとなっていますが、職権登記だということも条文上書かれています。
 先ほどからの議論の中で、出生から死亡までの戸除籍は不要だと、そこまでたくさんの資料を出す必要はないというお話もありました。これは相続人が配偶者だとか子である場合には割と容易なことだと思いますが、兄弟や姉妹という場合には先順位の相続人がいないということを明らかにする必要があります。相続人であることを示すために、自分より優先する相続人がいないということを示す必要がある。職権登記ということでありますから、職権によって相続人であることを調査する、そういうこともあり得るんでしょうか。

#195
○政府参考人(小出邦夫君) 相続人申告登記の添付書面の在り方につきましては、これ、そもそも相続人申告登記、相続の発生や法定相続人と見られる者を公示するものでありまして、法定相続人による権利移転を公示するものではございませんので、その申出に当たっての添付書面としては、被相続人の出生から死亡に至るまでの戸除籍謄本を提出するまでの必要はなく、相続人であるという関係が分かる限度での資料を添付していただくことを想定しておりますけれども、具体的に、相続人申告登記の申出の手続あるいは登記に関して必要な事項、これ省令で定めることにしておりますので、申出に際して提供すべき添付資料の範囲、これ負担軽減をどのように図っていけるかという観点から、またどのような工夫が可能か、引き続き検討していくこととしております。

#196
○山添拓君 申告登記、活用を期待するということですから、申告が負担とならない運用を検討すべきだと思います。
 ところで、この申告登記をした相続人が亡くなった場合、この場合には二次相続人は申告登記できるんですか。

#197
○政府参考人(小出邦夫君) それはできるということを想定しております。

#198
○山添拓君 この相続申告登記は、法定相続人の一人であることを登記に記して公示する制度です。相続人が全部で何人いるのか、また登記された人の持分はどのぐらいか、それはこの申告登記だけでは分からないことになろうかと思います。
 したがって、申告登記のみによっては所有者不明の状態が解消するわけではないと考えますけれども、これは大臣、いかがでしょうか。

#199
○国務大臣(上川陽子君) この相続人登記、申告登記でございますが、これは所有権の登記名義人に相続が発生したこと、そして当該登記名義人の法定相続人と見られる者を報告的に公示するものであるということでございますので、相続人の探索にコストや時間を要するといった問題の解消には有効であると考えております。
 しかし、遺産分割がされないまま相続が繰り返される、また多数の相続人による共有関係が生じる事態というのは、この相続人申告登記のみでは防止はできないというものでございます。したがいまして、多数の相続人が生ずることで権利の集約のための登記手続が複雑なものとなるとの問題につきましては引き続き発生するものでございます。その意味で、所有者不明土地に関するこのような問題が解決するわけではないということは認識をしているところでございます。
 多数の相続人による共有関係を解消するためには、相続人間でできる限り遺産分割がされ、その上で、その内容を踏まえた登記がされる必要があると認識をしております。今般の改正におきましても、遺産分割を促進するために、遺産分割に関しまして期間制限を設けたり、また遺産分割がされた場合の相続登記の申請義務を定めているところでございます。
 法務省といたしましては、遺産分割が行われ、その結果が登記に適切に反映されることになるようになることが今般の改正の趣旨に沿うものであることなどにつきまして、相続登記や遺産分割を取り扱う司法書士等の専門職者と十分に連携をしながら、積極的に周知、広報に取り組んでまいりたいと考えております。

#200
○山添拓君 遺産分割の問題など、引き続き議論すべき点がありますので、次の機会に質疑をさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
    ─────────────

#201
○委員長(山本香苗君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、清水真人君が委員を辞任され、その補欠として山崎正昭君が選任されました。
    ─────────────

#202
○高良鉄美君 沖縄の風の高良鉄美でございます。
 一九九六年四月十二日。昨日で二十五年目になりましたけれども、日米の共同声明があって、普天間を五年から七年以内に返還をするということで、当時の橋本首相とモンデール駐日大使がそういう発表しました。
 四月のこの時期ですね、ちょうどおとといの日曜日は、宜野湾地域の、普天間地域の、清明といって、お墓に行ってお参りをするんですけれども、この宜野湾地域の住民が普天間基地の中に入れる唯一の日に近いんですけれども、お墓の前に行ってお祈りをしてということで、御飯、まあ沖縄の特有の文化ですけれども、それを行ったんですが。そのお墓はかなり大きいんですけど、もう古いんですね。五年から七年以内に返ると思ったので、もうあれから二十年近くなるわけですけれども、古いのをもう修理しようということで、修理して保全したんですね、もうその間に。もう七年後には返ると思っていたら、まだ返らないわけですね。
 だから、そういった問題もあって、基地の中に入る、あるいは土地が、自分たちの先祖の土地があるというのが、沖縄の中の特徴というのが非常に表れている一つの例だと思うんですけれども。今日はもう既に多くの委員の先生方がいろんなお話をお聞きしておりますけれども、少し沖縄の土地問題に絡んでこの所有者不明土地問題についてお話をしたいと思います。
 まず、その所有者不明土地問題の経緯ということで、そもそもなぜこの所有者不明土地問題が出てきたのかということで、できたらその、いつ頃とかですね、戦前、戦後なのか、発生理由とかですね、そういったようなことでちょっとお伺いしたいんですけれども、法務大臣、よろしくお願いします。

#203
○国務大臣(上川陽子君) この所有者不明土地問題でございますが、平成二十三年の三月十一日に発生をいたしました東日本大震災からの復旧復興事業におきまして、所有者不明土地等の存在によりまして円滑に用地取得が進まず、それに対する対応が大きな課題となったことを契機として広く認識されるようになったものと承知をしております。
 所有者不明土地がもたらす問題につきましては、具体的に挙げますと、不動産登記簿を見ても所有者やその存在、所在が直ちに判明しないために、所有者を探索するために戸籍等の収集や現地への訪問等を要するなど、多大な時間と費用が必要となるところでございます。この結果、所有者不明土地がある場合にはその土地の利活用が困難となりまして、民間の土地取引が阻害をされる、また、防災等の公共事業の用地取得やまた森林の管理など、様々な場面で支障を生じさせているほか、土地の管理不全化や、また周辺環境の悪化にもつながっていると、このように、所有者不明土地は土地の利活用を阻害し、国民経済に著しい損失を生じさせているものであり、このことから所有者不明土地が大きな問題となっているものと認識をしております。

#204
○高良鉄美君 今、経緯ですね、特に東日本大震災の問題が大きなきっかけだったということで、いろんな支障の問題も、今お話があったとおり、やっぱり利活用上大きな支障があるということで、この十年間、いろいろ、震災から十年たちますけれども。
 この所有者が不明の土地ということですけれども、ちょっと沖縄の問題を少し投影してみますと、沖縄では、沖縄戦ですね、さきの大戦によって多くの市民の方々が戦争に巻き込まれて命を落とした、あるいは貴重な財産も失われたということがあります。しかし、この土地を見ますと、戦前の登記の在り方とか土地の境界線などが、これ砲撃を受けてその土地が全く違う形になってしまって、あそこにあった山がなくなっていると、そうすると分からなくなってくるわけですね。そういったものもあったということで、さらに、土地関係の記録がもう焼失してしまったということがあって、この所有者不明土地というのがたくさん存在しているわけですけれども。これ、資料の一に、沖縄本島だけじゃなくて離島も、それから都市圏も、大小ばらばらの土地がいろいろ所有者不明で存在しています。
 そして、この沖縄における所有者不明土地問題、これまで、特に先ほどは大震災が大きなきっかけということでしたけれども、政府が行ってきた沖縄の土地問題に対しての取組について、法務大臣の認識を伺いたいと思います。

#205
○国務大臣(上川陽子君) 沖縄県の土地につきましては、今委員から御紹介をされたとおりでございますが、沖縄戦によりまして公図、公簿等の記録が焼失したため、戦後、所有者、所有権の認定作業や地籍調査が実施されたところでございますが、これらの作業等によりましても所有者を確認できない土地が存在をしているところでございます。
 こうした所有者不明土地は、戦後、琉球政府が管理することとされ、沖縄の本土復帰後におきましても、沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律に基づきまして、当分の間、従前の例に準じ、沖縄県又は市町村が管理することとされているものと承知をしているところでございます。また、内閣府におきましては、沖縄県における所有者不明土地に起因する問題の解決に向けまして実態調査等の取組が行われているものと承知をしているところでございます。
 沖縄における所有者不明土地の解決は極めて重要な課題であるというふうに認識をしております。

#206
○高良鉄美君 今、復帰特別措置法の話が出てきましたけれども、復帰特別措置法は昭和四十六年ですから、来年で五十年ということになります。そして、沖縄の土地問題の場合には、大震災から十年、特に大きなきっかけは、日本全土では、所有者不明土地というのは震災のような災害の中で土地があるということでしたけれども、沖縄の場合の特殊性は先ほどお話をいたしました。
 その沖縄県に国の方から委託を受けて実態調査をしているということは、平成二十四年、二〇一二年ですから、やはりきっかけとしては二〇一一年の震災の直後から、沖縄県の方にもこの実態調査の依頼が来てそれをやったということになるんですけれども、今その解決、沖縄の土地所有の関係ですね、所有者不明の土地問題を解決するために、実態調査の中で、結果に基づいた必要な措置を講ずるということが附則の方に書かれています、復帰特別措置法ですね。その結果、あるいは政府が講じてきた措置というものがどのようなものなのか、内閣府にお伺いしたいと思います。

#207
○政府参考人(原宏彰君) お答えいたします。
 平成二十四年に改正されました沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律の附則におきまして、政府は、沖縄県又は沖縄の市町村が管理する所有者不明土地に起因する問題を解決するため、速やかにその実態について調査を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとするとされたところでございます。
 内閣府では、これを受けまして、平成二十四年度以降、沖縄県に対する事業委託によりまして、測量調査等の実態調査を行ってきたところでございます。また、沖縄県における所有者不明土地に起因する問題の解決に向けた調査検討を平成三十年度から実施をし、所有者不明土地管理者が留意すべき事項を整理した管理者ガイドラインを作成する等の取組を実施しているところでございます。

#208
○高良鉄美君 今、実態調査の話がありましたけれども、今回は所有者不明土地の関連した法案がこれだけ出されておりますけれども、今回の法案が成立した場合のその後という場合に、ビフォー、アフターみたいに、内閣府として、この沖縄における所有者不明土地問題について、以前とこの法案の以後と、お取組はどのような形でしょうか、違うんでしょうか。

#209
○政府参考人(原宏彰君) お答えいたします。
 今般の所有者不明土地管理制度におきましては、所有者が不特定又は所在不明の場合において、必要があるときに、裁判所に選任をされた管理人は、その保存、利用、改良のほか、裁判所の許可を得た上で処分も行うことが可能というふうにされているものと承知をしております。
 この制度は、沖縄の所有者不明土地にも適用し得る制度であるものと承知をしておりまして、今般の法令が成立した場合には、同制度の内容も踏まえて、法務省を始めとした関係機関と連携しつつ、引き続き検討を行ってまいりたいと思っております。
 済みません、先ほどガイドラインとお答えしてしまいましたけど、ガイドの間違いでございました。訂正をお願いいたします。申し訳ございません。

#210
○高良鉄美君 今回のこの所有者不明土地の問題ということですけれども、これはもちろん沖縄だけの問題にしてはならないわけですけれども、沖縄の場合には戦争ということでしたけれども、災害ですね、基本的にこの法案の、法案といいますか、これまでの所有者不明土地問題に関わる災害の問題がきっかけだったと思うんですけれども、今後大震災が起こることも想定されていますけれども、そのような場合の備えとして今回の法案では十分なものになっているか、いわゆる現状対策だけではなくて、将来予測的に対応できるようなものが入っているでしょうかということです。

#211
○国務大臣(上川陽子君) この所有者不明土地問題でございますが、震災、東日本大震災からの復旧復興事業ということで、この契機を、非常に大きな社会的な認識が更に広まったということで、今般の取組、一連の取組に至っているところでございます。
 災害時における復旧復興等の過程で公共事業の用地取得が必要となる場面を始めまして、様々な場面におきまして問題となっているというところでございますので、政府におきましても、関係省庁役割分担、しっかりと連携協力しながら各種法整備を行ってきたところでございます。
 この間の法務省におきましての取組としてちょっと主なところでございますが、三十年、通常国会で成立いたしました所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法に基づく、長期間にわたりまして相続登記がされていない土地の解消を図るための制度を創設したところでございます。また、三十一年の通常国会で成立いたしました表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律に基づきまして、登記官による所有者の探索作業、また新たな財産管理制度の創設などを実施してきたところでございます。このほかにも、相続登記の登録免許税の免除措置の実施でありますとか、あるいは法務局におきまして自筆証書遺言書の保管制度の創設など、相続登記の促進に向けた方策も行ってまいりました。
 そして、今回提出している二つの法律案でございますが、これまでの関係各省庁におきましての取組に加えまして、今般は、所有者不明土地の発生予防と利用の円滑化という両面から総合的に民事基本法制の見直しを行うものでございます。これらを適切に実施、運用することによって、政府におけるこれまでの取組と総合する形で、災害対策の場面を含めまして、課題の解決に向けまして大きく進展するものと認識をしているところでございます。

#212
○高良鉄美君 将来に向けてもというようなお話がありました。
 次に、所有者不明土地の管理制度についてお聞きしたいと思いますけれども。
 今回、新たにこの所有者不明土地の管理制度を設けるということですけれども、この制度を設ける理由について、メリットもできたらお話しいただけたらと思います。

#213
○国務大臣(上川陽子君) 所有者を特定することができない土地や、また所有者の所在が不明となっている土地につきましては、その所有者に必要な関与を求めることができず、その管理や利用に困難を来し、社会経済上の不利益を生じさせるものでございます。
 現行法におきましては、このような不動産を管理するために不在者財産管理制度やまた相続財産管理制度が利用されることがございます。もっとも、これらの制度につきましては、問題となっている不動産だけではなく、不在者等の財産全般を管理することとされているため、手続を利用するために必要な予納金の金額がその分高くなるなど、費用対効果の観点から使いづらいという指摘もございました。また、所有者を特定することができないときはそもそも利用することができないといった指摘もございました。
 そこで、改正案におきましては、所有者不明土地の適切な管理を実現するとともに、その円滑、適正な利用を図るため、所有者を知ることができず、またその所在を知ることができない土地につきまして、裁判所が利害関係人の請求によりまして管理人による管理を命ずる処分をすることを可能とする所有者不明土地管理制度を創設することとしたものでございます。

#214
○高良鉄美君 今、管理人のお話が出ましたので、ちょっと質問を飛ばしまして、この管理人に関して、所有者不明土地制度を利用すると、裁判所がこの所有者不明土地管理人を選任するということでありますけれども、どのような者が、どのような方がこの管理人になるかということを想定しているのか伺いたいと思います。

#215
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 所有者不明土地管理人は、他人の土地を適切に管理することを職務とする者でありますので、裁判所が個別の事案において管理人が行う具体的な職務内容を勘案して、管理人としてふさわしい者を選任することが想定されます。例えば土地の処分等を行うケースについては、弁護士や司法書士等が選任されることが想定されるものでございます。

#216
○高良鉄美君 そうすると、今の管理人が選任されると、これがスピーディーになるということがメリットというようなことになるんでしょうかね。どのようなことが結局可能になるかということで、少しお話を伺いたいと思います。

#217
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 所有者不明土地管理人は、管理の対象とされている土地について、その適切な管理のために保存行為や利用・改良行為を行うことができます。また、所有者不明土地管理人は、不動産の売却など、利用・改良行為の範囲を超える行為についても、裁判所の許可を得ればこれをすることができます。
 そのため、例えば、個別の事案にもよりますが、所有者不明土地につき公共事業のための一時的な使用が求められるケースでは、所有者不明土地管理人は利用行為としてその使用を許すことが可能であります。また、所有者不明土地が公共事業の用地取得の対象となっている場合には、所有者不明土地管理人は裁判所の許可を得て土地を公共事業の実施主体に売却することも可能となります。

#218
○高良鉄美君 時間があと五分なので、まず、一番最後の方に関連した、国庫に帰属させるという、相続等により取得した土地所有権を国庫に帰属させるという制度、これはもちろん負担が大きかったりということで放棄を含むような感じだと思うんですけれども、沖縄には、先祖からもらい受けた土地は後世に受け継いでいくと。これは、仮に所有者じゃなくても、小さな島ですと、その地域の人々が、将来的に地域の、あるいは島の子供たちがきっと受け継いでくれるんだろうということで、そういう風土があります。
 今回、相続した土地を手放して国庫に帰属させるという制度、これを設けることにした理由は、先ほども少し触れましたけれども、この辺りを少しお伺いしたいと思います。

#219
○国務大臣(上川陽子君) 都市部への人口移動、また人口減少や高齢化の進展等によりまして、地方を中心に土地の所有意識が希薄化するとともに、土地を利用したいというニーズも低下する傾向があると指摘がございます。その結果、土地を相続したものの土地を手放したいと考える者が増加しているとの指摘や、相続を契機として望まない土地を取得した所有者の負担感、これが増しておりまして、このことが所有者不明土地を発生させる原因となり、又はその土地の管理不全化を招いていると、こうした指摘もなされておりました。
 このような状況を踏まえまして、相続土地国庫帰属制度におきましては、相続等により取得した土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする、こうした仕組みを創設すること、これによりまして、将来における所有者不明土地の発生や土地の管理不全化の予防、これを図るものでございます。

#220
○高良鉄美君 ありがとうございました。
 所有者不明土地が増えないようにと、これは非常によく分かりました。
 こういうふうに、この制度によって国庫に帰属した土地というものを国はどのような形で使用するのかと、先ほども何名かの委員の先生方が、余り利用価値があるのかどうかというのもお話がありましたけれども、国はどのように使用するんでしょうか。参考人。

#221
○政府参考人(小出邦夫君) 相続土地国庫帰属制度におきましては、土地の所有権は、承認申請をした者が法務大臣の承認を受けた後、負担金を納付した時点で国庫に帰属することとされ、それ以降、国有財産法上の普通財産として国によって管理されることになります。
 具体的には、主に農用地又は森林として利用されている土地は農林水産大臣が、それ以外の土地は財務大臣が管理することとなります。国庫帰属した土地は、一般には売払いや貸付けに至らず、国が長期にわたって管理し続けるものが多くなると見込まれていますが、個々の土地の状況に応じて適切な形で管理、処分が行われるものと承知しており、可能な限り有効活用を図ることが重要であると考えております。
 国庫帰属した土地の有効活用を図る方策につきましては、法務省としても関係省庁の検討に必要な協力をしてまいりたいと考えております。

#222
○高良鉄美君 国庫に帰属する土地について、仮に、この復帰特別措置法の六十二条では、当分の間、沖縄県が、あるいはこの所有者不明土地の所在する市町村が管理するということで、現在もそういう形になっていますけれども、この国庫帰属する土地について、仮に沖縄県内の自治体、県や市町村が取得したいと希望した場合には、これは可能でしょうか。

#223
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 相続土地国庫帰属制度の運用におきましては、承認申請者からの申請を受け付けた法務局は、その旨を地方公共団体等の関係機関に情報提供する方向で検討しております。このような運用により、情報提供を受けた地方公共団体等が希望する場合には、承認申請者と交渉して土地の寄附を受けることにより、国庫に帰属させることなくその地域で有効活用を図ることが可能となるものと考えられます。
 したがって、個別の事案によるところではありますが、法務局から情報提供を受けた沖縄県内の自治体が承認申請に係る土地の取得を希望する場合には、承認申請者と交渉して、寄附によってその土地を取得することも可能であると考えられます。

#224
○高良鉄美君 ありがとうございました。
 国庫にということで、先ほど清水委員からも、国有地の取得の問題で、海外のとかいろいろありました。そういった点でいうと、この米軍基地の周りの土地規制も今出て、そういった問題の時期にまたこの国庫帰属の土地の問題が出たものですから、その辺のちょっと懸念もあって、沖縄の土地というのがそういう基地問題に吸収されてしまわないかという心配もあったんですけれども、全く無関係だというふうにも捉えておきたいと思います。
 この問題というのは今後も、やっぱり土地ということに関しては、沖縄の島々と、その〇・六%分の面積しかない沖縄とではかなり土地の様子が違うということと、それから土地利用に関しても、大きさ的なものだけじゃなくて、その利用価値あるいは利用の方向性とか随分違うことがあると思いますので、また比較しながら参考にこの委員会でいろいろと議論していきたいと思います。
 時間になりましたので、終わりたいと思います。ありがとうございました。

#225
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。碧水会の嘉田由紀子でございます。少数会派にもお時間をいただき、ありがとうございます。
 まず、この所有者不明土地についてお伺いいたしますが、ようやく国が動き出してくれたなというのが自治体の実務を担ってきた者の本心でございます。
 例えば、私も、滋賀県知事、二〇〇六年就任をいたしましたけれども、様々な事業、例えば西日本高速道路が名神高速道路を造るというときに、地図の上に線は引きますけれども、その用地買収は西日本高速ではできないと、県や市でお願いしたいというようなことで、私どもはチームをつくり、そして、実は、自治体の中で用地買収をする職員というのは法律が分かって忍耐力があってということで、かなり重要な経験が必要なんですね。そういう人たちをチームを寄せて、今、新名神高速道路の協力を地元としてさせていただいておりますけれども。二〇一一年の東日本大震災以降、国としても動き出していただいたんですけれども、自治体ではもう本当にここ三、四十年、大変、特に森林とか水辺とか自然度の高いところの利用と所有というのは苦しんでいたので、ここで一つ突破口をつくっていただけたらと思います。
 それから、これは余談になるかもしれませんが、私自身、環境社会学者として、自然は誰のものかと、森林や水辺や。となると、実は日本の場合には、先ほど来、高良議員も言っていらっしゃいますけれども、共有地で、それこそ森の利用だったら四点、立ち木は建物に使う、そして燃料はそれこそ日々の暮らしに使う、それから下草は肥料に使う、そして山菜は食料にというようなことで、本当に自然の利用をしながら、ですから、それは村落共同体として共有地として利用してきたんですけど、それが、木材は輸入し、そして燃料も輸入をし、場合によっては肥料も化学肥料ができて、そして食料ももう外から入ってくるということで、自給度が低くなった中で自然の利用度が低くなっております。そういうところが大きな時代背景の中にあり、こうして自然度の高いところが所有者不明土地になってしまっているということで、この制度そのものは大変タイムリーな求められていることだろうと思います。
 ただ、そういう中で、三点お伺いしたいんですけれども、特に相続土地国庫帰属法案についてですが、これが、相続などで取得した土地所有権を国庫に帰属させることのできる制度によって、土地が所有者不明化し管理不全化することを予防する効果、既に今までも何度か答弁していただいていますけれども、それをどのように高めようと考えておられるか、政府参考人の方にお願いをいたします。

#226
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 相続土地国庫帰属制度は、相続等により土地の所有権を取得した方が、その土地の利用や売却等の見込みがないなどの理由で、実際にはその土地の取得を望まず、また負担に感じているような場合に、法務大臣の承認を受けてその土地の所有権を国庫に帰属させ、国において適切に土地を管理することによって所有者不明土地の発生を抑制し、あわせて土地の管理不全化を防止しようとするものでございます。
 この所有者不明土地の発生あるいは土地の管理不全化、これらを防止する観点からは、この相続土地国庫帰属制度が広く利用されることが重要でございまして、制度の趣旨、内容について国民の皆様の幅広い理解を得る必要があると考えております。
 法務省といたしましては、この法律案が成立した場合には、関係機関と連携しつつ、しっかり広報周知活動に努めてまいりたいと考えております。

#227
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
 この制度を国民に向けて周知するためには、政府広報の活用、報道機関あるいは自治体に対する説明が、丁寧な説明が必要だと思いますけれども、今までも御答弁いただいておりますが、具体的にはどういうプロセスを経て国民の皆さんに周知をしていかれるでしょうか。

#228
○政府参考人(小出邦夫君) この相続土地国庫帰属制度につきましては、国民に向けて幅広く周知することが重要であると考えております。
 具体的な周知方法につきましては、委員から御指摘いただきました政府広報の活用等も含めまして今後検討していくことになりますが、説明会の開催やパンフレットの配布、また、法務省、法務局のホームページを活用した広報など国民に法務省が直接周知する取組のほか、法律実務家や各種関係機関と連携して国民への周知を様々な方法によって図る取組などを想定しております。
 法務省としては、新たな制度が適切に施行されるよう、効果的な周知活動を検討し、行っていく所存でございます。

#229
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
 実は、その際に、かつて村落共同体としてまさに共有資源を利用しながら暮らしを成り立たせてきた、それが、海外から木材も入り、肥料も化学肥料が入り、食料も外からということで大きく時代状況は変わっているんですが、逆に今の時代に新しいニーズができてきております。御存じのように、環境利用、SDGsの中でも、いかに身近な資源をうまく利用して、そして海外からの輸入物を減らすことによって環境の循環をつくるという、これ、環境省の方では地域循環型、地域循環共生圏などと言っております。
 それから、実は私のかなり専門に近い防災対策でも、川の中に水を閉じ込めるのではなく、森の水源保全機能、あるいは川そのものを広げて川べりの土地を元々の川に戻すというような形で、新しい時代の共有地の利用、これは環境保全と共有できるというようなことで出ております。
 先ほど、これも高良議員が聞いておられましたけれども、その相続土地国庫帰属法案の対象となる土地が、それぞれの地域で、今までの団体や個人ではない、新しく若い人たちが環境保全のために活用しようというような形で地域で有効活用される機会、どのようにつくっていかれるでしょうか。お願いいたします。

#230
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、相続土地国庫帰属制度の対象となる土地についても、その地域において有効活用される機会を確保することが重要であると考えております。
 相続土地国庫帰属制度の運用におきましては、承認申請者からの申請を受け付けた法務局はその旨を地方公共団体等の関係機関に情報提供する方向で検討しております。このような運用により、情報提供を受けた地方公共団体等が希望する場合には、承認申請者と交渉して土地の寄附を受けることにより、国庫に帰属させることなく、その地域で有効活用を図ることが可能となるものと考えられます。
 また、この相続土地国庫帰属制度によって国庫に帰属した土地につきましても、その土地の処分に当たりましては優先的に地方公共団体等からの利用要望を受け付けることとされているほか、個々の土地の特性に応じた手法を選択することにより、地域や社会のニーズに対応した有効活用の推進が図られることになるものと承知しております。
 法務省としては、相続土地国庫帰属制度の対象となる土地がその地域において有効に活用される機会が確保されるよう、関係省庁と連携して適切な運用を図ってまいりたいと考えております。

#231
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
 例えば農用地でしたら農水省がと。例えば農水省でしたら、今新しいニーズとしては農福連携、福祉団体の人たちが農業をやる場所欲しい、でも土地がないというようなときに、新しい時代のニーズ、農福連携であるとか、あるいは、川をもっとゆったりと生物多様性を保全したいというような団体もあります。そういう団体が自治体と組んで、人口減少時代、生物多様性なり自然をより豊かにできるような利用、そんなこともここから新しく展開していただけると大変有り難いと思います。事例をどんどん積み上げていただけたらと思います。
 少し時間が迫っているんですけど、実は先回通告させていただきながらできなかった問題、振り返らせていただきたいと思います。
 いつもお伺いしております離婚後の子供の幸せづくりということで、子の連れ去りの問題でございますけれども、前回通告させていただいております法務大臣の御見解をお伺いしたいんですが、子の連れ去りを犯罪とするような刑法の改正、これはまず法務大臣、どうお考えでしょうか。

#232
○国務大臣(上川陽子君) 現行法上の対処ということについて申し上げたいと存じますが、我が国の刑法におきましては、未成年者を略取し、又は誘拐をした者は三月以上七年以下の懲役に処すると、これは刑法二百二十四条でございます。また、所在外国に移送するという目的で人を略取し、又は誘拐した者は二年以上の有期懲役に処する、刑法二百二十六条ということで規定をされております。
 最高裁判例におきましては、親権者による行為であっても、他の親権者が監護養育している子をその生活環境から引き離して自己の現実的支配下に置く行為は今申し上げた略取誘拐罪の構成要件に該当し得るとされておりまして、行為者が親権者であることは行為の違法性が阻却されるか否かの判断におきまして考慮されるべき事情とされているところでございます。
 このように、一方の親による子の連れ去りということにつきましては現行法の下でも処罰の対象となり得るところでございますが、経緯や、またこの態様等を一切問わず一律に違法性が阻却されないようにすることにつきましては、その場合の保護法益をどのように考えるのか、また民事法上の親権、監護権との関係をどのように考えるか、また現行の未成年者略取誘拐罪等による処罰範囲を超えて処罰することとすることの相当性につきましてどのように考えるかなどの点も含めまして慎重な検討を要するものというふうに考えられるところでございます。

#233
○嘉田由紀子君 御丁寧にありがとうございます。
 現行法の刑法二百二十四条、未成年者略取誘拐罪でも、今の連れ去りについては刑法の対象とすることができると理解をさせていただきました。
 その中で、少し入り込ませていただきますが、この刑法二百二十四条の未成年者略取誘拐罪の保護法益はどう考えられるでしょうか、政府参考人さん、お願いいたします。

#234
○政府参考人(川原隆司君) お答えいたします。
 未成年者略取誘拐罪の保護法益につきましては、被拐取者、これはその誘拐されたり略取されたりする者ですが、被拐取者の自由とする見解、被拐取者に対する保護者の監護権とする見解、基本的には被拐取者の自由であるが監護権も保護法益であるとする見解など様々な考え方がございまして、一般に判例は最後の見解、すなわち基本的には被拐取者の自由であるが監護権も保護法益であるとする関係、見解を取っているとされているところでございます。

#235
○嘉田由紀子君 繰り返させていただきますけれども、学説、通説幾つかあるけれども、基本的には被誘拐者の自由、安全、それから監護権も保護法益、つまり連れ去られた子供の自由や安全、そして、そのときに引き離された親の監護権というものも保護法益の対象になるという御理解、理解をさせていただきたいと思います。
 そういう中で、子の連れ去りに対する未成年者略取誘拐罪の適用範囲、それを先ほどいろいろな事例があるとおっしゃっておられたんですが、例えば離婚係争中とか別居中の夫婦、あるいは離婚、別居の話もない、もう日常的な、普通の日常の中で子供が平穏な中に連れ去られたり、あるいは連れ戻されたりした場合、こういうときでも未成年者略取誘拐罪に問われる可能性があると考えてよろしいでしょうか。

#236
○政府参考人(川原隆司君) お答え申し上げます。
 犯罪の成否は捜査機関により収集された証拠に基づき個別に判断される事柄でございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。
 あくまで一般論として申し上げれば、刑法二百二十四条は、未成年者を略取し又は誘拐した場合に成立するものとされております。そして、ここに言う誘拐とは、一般に欺罔又は誘惑を手段として人を保護されている状態から引き離して自己又は第三者の事実的支配の下に置くことをいうものと理解されているところでございます。
 なお、最高裁の判例におきましては、親権者による行為であっても刑法二百二十四条の構成要件に該当し得るとされており、行為者が親権者であることなどは行為の違法性が阻却されるか否かの判断において考慮されるべき事情とされているものと承知しております。

#237
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
 ちょっとここはしつこく聞かせていただきますけれども、一方で、この子供を平穏に連れ去ったケースなどで、一方の親の監護権など法的利益が侵害されている場合でも、原則として刑事罰の対象にするとか、あるいは家庭内の紛争に対する国家の介入はできるだけ抑制するという、そういう意見も様々法曹界にもございます。
 家庭裁判所の紛争解決機能を充実させることのバランス、家庭内に、先ほど保護法益、子供の自由や安全あるいは監護者の監護権というものが侵されているような場合、どうやってこの刑法の家庭内への介入とそれから家庭の自立というところ、どうバランスを取られるでしょうか。お考えを聞かせていただけたら有り難いです。

#238
○政府参考人(川原隆司君) お答えいたします。
 子をめぐる家庭内の紛争の解決という観点からは、一般に家庭裁判所の紛争解決機能が重要であると認識しているところでございますが、御指摘のその刑事罰の対象とすることと、家庭裁判所の紛争を解決する機能を充実させることのバランスという趣旨が必ずしも明確ではないように受け取れるところでございまして、一概にお答えすることは困難でございます。
 ただ、いずれにしましても、先ほど大臣から答弁がございましたように、一方の親による子の連れ去りにつきましては、現行法の下でも処罰の対象となり得るところであり、経緯や態様等を一切問わず一律に違法性が阻却されないようにするということについては慎重な検討を要するものと考えております。

#239
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
 今日、刑事局長と民事局長さんがお二人おられて、まさにバランスを取っていただけるんだろうと思いますが。
 ただ、実際に、平穏な家族生活の中で突然子供が連れ去られ、そのとき置いてきぼりになるのは七、八割、八、九割がお父さん。最近は女性、お母さんも置いてきぼり食うことが多いんですけれども、いわゆる連れ去りと連れ去られというようなことの中で、多くの方が家庭裁判所のバランスある判断を当てにしているんですけど、ここが実態はなかなか期待どおりにならない。
 もちろん、今の単独親権の下ですとどっちかに決めなきゃいけないから、もう単独親権制度そのものが親子の分断、父母の分断を構造的に決めている、私はこのことが大変問題だと最初から申し上げているんですけれども。
 ただ、そういうところにあって、最後に法務大臣にお伺いしたいんですが、子の連れ去りによって子供や子を連れ去られた親の法的利益が侵害されることを防ぐために、家庭内の紛争解決に刑事司法、どこまで委ねることが、あるいは国家が介入することが適切とお考えでしょうか。法務大臣の御見解をお願いいたします。

#240
○国務大臣(上川陽子君) 先ほど申し上げたとおりでございますが、一方の親による子の連れ去りにつきまして、経緯やまた態様等を一切問わず一律に違法性が阻却されないようにすることにつきましては、慎重な検討を要するものと考えております。
 刑法は法益保護のために用いられるところでございますが、一般に刑法の補充性や謙抑性といたしまして、法益保護の手段は刑罰だけではなく、刑罰という保護手段は法的制裁の中でも最も峻厳なものであり、避けることができるのであれば避けるべきものとの考え方があるものと承知をしているところでございます。
 もっとも、御質問いただきました家庭内の紛争解決に関しまして具体的に刑事司法がどの程度介入すべきかにつきましては、一概にお答えすることはなかなか困難であるというふうに考えております。

#241
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
 またこの後、家庭裁判所の役割、あるいは様々な現場の皆さんの声を聞きながら、次回に続けさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 これで終わらせていただきます。

#242
○委員長(山本香苗君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ─────────────

#243
○委員長(山本香苗君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 民法等の一部を改正する法律案外一案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#244
○委員長(山本香苗君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#245
○委員長(山本香苗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二分散会
ソース: 国立国会図書館
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