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2021/04/14 第204回国会 参議院 第204回国会 参議院 本会議 第15号 令和3年4月14日
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2021/04/14 第204回国会 参議院

第204回国会 参議院 本会議 第15号 令和3年4月14日

#1
令和三年四月十四日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第十五号
    ─────────────
  令和三年四月十四日
   午前十時 本会議
    ─────────────
 第一 デジタル社会形成基本法案、デジタル庁
  設置法案、デジタル社会の形成を図るための
  関係法律の整備に関する法律案、公的給付の
  支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金
  口座の登録等に関する法律案及び預貯金者の
  意思に基づく個人番号の利用による預貯金口
  座の管理等に関する法律案(趣旨説明)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────

#2
○議長(山東昭子君) これより会議を開きます。
 日程第一 デジタル社会形成基本法案、デジタル庁設置法案、デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案、公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律案及び預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律案(趣旨説明)
 以上五案について提出者の趣旨説明を求めます。平井卓也国務大臣。
   〔国務大臣平井卓也君登壇、拍手〕

#3
○国務大臣(平井卓也君) この度、政府から提出をしたデジタル社会形成基本法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 情報通信技術が急速に進展し、国民の生活が大きく変化する中、データの利活用が、あらゆる分野における創造的かつ活力ある発展の実現のために不可欠となっています。また、新型コロナウイルスへの対応において、国や地方公共団体のデジタル化の遅れや不十分なシステム連携を背景に煩雑な手続や給付の遅れが生じるなど、社会全体のデジタル化の推進が喫緊の課題となっています。
 さらに、少子高齢化等の社会構造の変化により、社会の多様性が増していく中、情報通信技術の活用により、一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会を実現することが重要です。
 この法律案は、こうした状況を踏まえ、デジタル社会の形成に関する施策を迅速かつ重点的に推進し、もって我が国経済の持続的かつ健全な発展と国民の幸福な生活の実現に寄与することを目的とするものであります。
 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、デジタル社会を、インターネットその他高度情報通信ネットワークを通じて自由かつ安全に多様な情報又は知識を世界的規模で入手し、共有し、又は発信するとともに、先端的な技術を始めとする情報通信技術を用いて電磁的記録として記録された多様かつ大量の情報を適正にかつ効果的に活用することにより、あらゆる分野における創造的かつ活力ある発展が可能となる社会と定義することとしております。
 第二に、デジタル社会の形成に関し、ゆとりと豊かさを実感できる国民生活の実現、国民が安全で安心して暮らせる社会の実現、利用の機会等の格差の是正、個人及び法人の権利利益の保護等の基本理念について定めることとしております。
 第三に、デジタル社会の形成に関し、国、地方公共団体及び事業者の責務等について定めることとしております。
 第四に、デジタル社会の形成に関する施策の策定に当たっては、多様な主体による情報の円滑な流通の確保、高度情報通信ネットワークの利用及び情報通信技術を用いた情報の活用の機会の確保、人材の育成、生産性や国民生活の利便性の向上、国民による国及び地方公共団体が保有する情報の活用、公的基礎情報データベースの整備、サイバーセキュリティーの確保、個人情報の保護等のために必要な措置が講じられるべき旨について定めることとしております。
 第五に、別に法律で定めるところにより内閣にデジタル庁を設置し、政府がデジタル社会の形成に関する重点計画を作成するとともに、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法を廃止することとしております。
 政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出いたしましたが、衆議院において、デジタル社会の形成に当たって是正が図られなければならない利用の機会等の格差の要因について「身体的な条件」を「障害の有無等の心身の状態」に改めるとともに、デジタル社会の形成に当たって国及び地方公共団体が行う施策に「公正な給付と負担の確保」のための環境整備を追加する等の修正が行われたところであります。
 以上が、この法律案の趣旨であります。
 次に、デジタル庁設置法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 この法律案は、デジタル社会形成基本法に基づき、デジタル社会の形成に関する司令塔として、強力な総合調整機能を有するデジタル庁を設置し、デジタル社会の形成に関する施策を迅速かつ重点的に推進することを目的とするものであります。
 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、デジタル庁の設置、任務、所掌事務について定めております。
 デジタル庁は、内閣に置き、デジタル社会の形成についての基本理念にのっとり、デジタル社会の形成に関する内閣の事務を内閣官房とともに助けること、デジタル社会の形成に関する行政事務の迅速かつ重点的な遂行を図ることを任務としております。
 また、その任務を達成するため、デジタル社会の形成のための施策に関する基本的な方針に関する企画立案及び総合調整をつかさどるほか、デジタル社会の形成に関する重点計画の作成及び推進、行政手続における特定の個人又は法人その他の団体を識別するための番号等の利用、情報通信技術を用いた本人確認に関する総合的かつ基本的な政策の企画立案及び推進、データの標準化、外部連携機能及び公的基礎情報データベースに関する総合的かつ基本的な政策の企画立案及び推進、国の行政機関、地方公共団体その他の公共機関及び公共分野の民間事業者の情報システムの整備及び管理の基本的な方針の作成及び推進、国の行政機関が行う情報システムの整備、管理に関する行政各部の事業の統括及び監理等をつかさどることとしております。
 第二に、デジタル庁の組織について定めます。
 デジタル庁は、内閣総理大臣を長とし、事務統括権、関係行政機関の長に対する勧告権等を有するデジタル大臣を置くとともに、副大臣一人、大臣政務官一人に加え、デジタル大臣に進言等を行い、かつ、庁務を整理し、各部局及び機関の事務を監督する内閣任免の特別職であるデジタル監等を置くこととしております。
 また、デジタル庁にて、全ての国務大臣等をもって組織するデジタル社会推進会議を置くこととしております。
 なお、この法律は、一部を除き、令和三年九月一日から施行することとしております。
 以上が、この法律案の趣旨であります。
 次に、デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 情報通信技術が急速に進展し、国民の生活が大きく変化する中、データ利活用の重要性が高まっており、データの適正な利用のためのルール整備と併せ、マイナンバーの情報連携の促進やマイナンバーカードの利便性の向上及び普及の促進等を図る必要があります。また、新型コロナウイルス感染症への対応において、押印、書面を前提とした制度、慣行がテレワークの支障となるなど、社会全体のデジタル化の推進が喫緊の課題となっています。
 この法律案は、こうした状況を踏まえ、デジタル社会形成基本法に基づきデジタル社会の形成に関する施策を実施するため、個人情報の保護に関する法律、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の関係法律について所要の整備を行うものであります。
 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、個人情報の保護に関する法律、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律の三法を個人情報の保護に関する法律に統合するとともに、地方公共団体の個人情報保護制度についても改正後の個人情報の保護に関する法律において全国的な共通ルールを規定し、全体の所管を個人情報保護委員会に一元化する等の措置を講ずることとしております。
 第二に、国家資格に関する事務等における個人番号の利用や情報連携を拡大するとともに、従業員本人の同意があった場合における転職時等の使用者間での特定個人情報の提供を可能とすることとしております。
 第三に、地方公共団体が指定した郵便局におけるマイナンバーカードの電子証明書の発行、更新等、公的個人認証サービスにおける本人同意に基づく基本四情報の提供及び電子証明書の移動端末設備への搭載を可能とする等の措置を講ずることとしております。
 第四に、地方公共団体情報システム機構の代表者会議に主務大臣又はその指名する者を加えるとともに、同機構の個人番号カード関係事務について、国が目標設定、計画認可、財源措置を行うこととするなど、国によるガバナンスを強化することとしております。
 第五に、押印を求める手続についてその押印を不要とするとともに、書面の交付等を求める手続について電磁的方法により行うことを可能とすることとしております。
 以上が、この法律案の趣旨であります。
 次に、公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 この法律案は、デジタル社会形成基本法案に定めるデジタル社会の形成についての基本理念にのっとり、デジタル化等による公的給付等の受取手続の簡素化、迅速化を進めるため、各行政機関等が行う公的給付の支給等に利用することができる預貯金口座を内閣総理大臣にあらかじめ登録し、行政機関等が当該預貯金口座に関する情報の提供を求めることを可能とするものです。あわせて、緊急時等の公的給付の支給を実施するための情報について個人番号を利用して管理できることとする等により、公的給付の支給の迅速かつ確実な実施を図ることを目的とするものであります。
 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、預貯金者は、公的給付の支給等に係る金銭の授受に利用することができる一の預貯金口座について、オンラインにより、又は金融機関の窓口等を通じ、内閣総理大臣に申請をして、その登録を受けることを可能とすることとしております。
 第二に、行政機関等は、公的給付の支給等に係る金銭の授受をするために必要があるときは、登録された預貯金口座に関する情報について、内閣総理大臣に対し提供を求めることを可能とすることとしております。
 第三に、行政機関等は、個別の法律の規定によらない公的給付のうち、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある災害若しくは感染症が発生した場合に支給されるもの、経済事情の急激な変動による影響を緩和するために支給されるものとして内閣総理大臣が指定するものの支給を実施しようとするときは、当該支給を実施するための基礎とする情報を個人番号を利用して管理することを可能とすることとしております。
 以上が、この法律案の趣旨であります。
 次に、預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 この法律案は、デジタル社会形成基本法案に定めるデジタル社会の形成についての基本理念にのっとり、預貯金者の意思に基づく預貯金口座への個人番号の付番を推進する仕組みや、災害時又は相続時に預貯金者又はその相続人の求めに応じ、預貯金口座に関する情報を提供する制度を創設すること等により、行政運営の効率化及び行政分野における公正な給付と負担の確保に資するとともに、預貯金者の利益の保護を図ることを目的とするものであります。
 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、預貯金者は、預貯金口座への個人番号の付番を希望する旨を申し出ることができるとともに、金融機関は、預貯金契約その他重要な取引を行う場合に、預貯金者に対し、付番の意思について確認しなければならないこととしております。
 第二に、預貯金者本人の意思に基づき、預金保険機構を介して、一度の申出により、複数の金融機関の預貯金口座への個人番号の付番を可能とすることとしております。
 第三に、災害又は相続のときに、預貯金者又はその相続人が、既に付番された預貯金口座の所在情報を金融機関窓口で確認するサービスを可能とすることとしております。
 第四に、国は、預金保険機構及び金融機関と協力して、預貯金口座への個人番号の付番について必要な広報等を行うものとするほか、預金保険機構の業務の特例として、この法律に基づき預金保険機構が行う業務について預金保険法を適用することとする等、所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上が、この法律案の趣旨であります。(拍手)
    ─────────────

#4
○議長(山東昭子君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。山田太郎さん。
   〔山田太郎君登壇、拍手〕

#5
○山田太郎君 自由民主党の山田太郎です。
 自由民主党・国民の声を代表し、ただいま議題となりましたデジタル改革関連法案について質問いたします。
 菅総理の力強いデジタル庁設置の号令の下、政府、自治体のデジタル化が大きく前進し、民間のDXも加速しました。
 生産性の向上、国際競争力の強化、デジタル化の目的については様々な意見があります。
 しかし、私は、最も大切なのは国民目線で、誰もがデジタル化の恩恵を受けること、国民全員が利便性の向上を実感できることを第一の目的とし、誰にとっても幸せな社会をデジタル化で実現しなければならないと考えています。
 デジタル社会は、ユーザーであった大勢のアマチュアが自らコンテンツを制作し、ネット上に投稿する、UGCの時代であるとも言えます。さらに、ネット上のプラットフォーム等を介し、自分で仕事の内容を選び、それを好きな時間に行うといった働き方が広まっており、フリーランスの時代であるとも言えます。
 ただし、このような変化によって、一部のプロや権利者のための法律であった著作権法、雇用契約を中心とした労働法制、競争法としての下請法などにゆがみが生じ、時代に合わせたそれらの見直しが喫緊の課題です。
 また、デジタル社会は、国民の声が政治に直接届くデジタル民主主義の時代でもあります。
 実際、このデジタル化の恩恵により、私自身、さきの参議院選挙で、組織もなく、支援団体もなく、資金援助もなく、ネットのみで五十四万票を預かりました。
 選挙以外でも、ネット署名やSNSによって届けられた声が政治を動かし始めています。
 参議院自民党が立ち上げた不安に寄り添う政治のあり方勉強会では、昨年十二月、SNSを活用したコロナ禍での生活不安アンケートを行いました。八日間で五千人を超える方々からいただいた一万四千件もの意見を提言に反映させ、菅総理に申し入れました。それが孤独・孤立担当大臣の設置につながったことは大きな成果です。
 さらに、現在、自民党の有志で進めているチルドレンファーストの子どもの行政のあり方勉強会、こども庁創設に向けてでも、本年二月にSNSを活用したアンケートを実施し、二週間で一万七千人を超える方々から五万件近くもの意見をいただきました。意見の八割が女性、また半数以上が二十代、三十代という結果となり、画期的な政策アンケートになったと思っております。この結果を踏まえて、子供に関する問題の一元的な窓口と問題解決の司令塔が必要だという観点から、こども庁創設に向けた緊急提言をまとめ、四月一日、菅総理に提出いたしました。これらは、国民の声が政治に直接届けられた結果です。
 このようなデジタル化による新しい社会、新しい時代について、菅総理はどのようにお考えでしょうか。総理の御見解をいただきたいと思います。
 国民全員がデジタル化による利便性を実感できるためには、平時の便利、有事の安心を旨として、国民目線での行政効率化と新しい価値の創造が必要です。そのためには、デジタルガバメント、電子政府のみの議論ではなく、医療や介護、教育や防災といった国民への恩恵が大きい準公共分野等へのデジタル化も重要です。
 医療や介護では、カルテや処方箋データを活用するPHR、パーソナル・ヘルス・レコード共通プラットフォームが実現できれば、個人個人に合わせた健康増進プログラムや介護プログラムなどを進めることもできます。さらに、新しい治療法の確立や新薬の開発につながれば、人の命をより救うことにもなります。また、既往歴やウエアラブルなどのデータを活用し、診療、事務処理なども可能となり、医者が患者と向き合う余裕が生まれ、三時間待ちの三分診療といった課題も解決できるものと考えます。
 教育では、GIGAスクール構想で一人一台端末が配られていますが、それだけでは教育のデジタル化とは言えません。デジタル化は、黒板に知識を書いて全員に同じことを教える従来の教育から、生徒の希望や能力に応じた新しい教育に変えるチャンスでもあります。教育のデジタル化で、学びたい子供の好奇心を強め、一方、学びが苦手な子供は、分かりやすく、繰り返し何度でも学ぶことができるようにする。そのためには、教師の役割も変えていく必要があります。生徒に寄り添って、優れたコンテンツを選び、学習計画を立て、進度を確認し、グループ活動を活性化させるファシリテーターのような役割が求められます。
 防災では、迫りくる首都直下型や南海トラフ等の大型地震、毎年のように起こる水害等への対応が不可欠です。しかし、日本では、防災のために共有されるべき基本情報が定められておらず、災害が発生すると電話やファクスを用いてマンパワーで情報を収集しているというのが現状です。ルールを定め、デジタル化によって災害時における情報の即時共有を可能とすることにより、一人一人の状況に応じた避難指示の発令、避難所の状況に応じた医薬品、物資の供給といった命を最も大切にした防災が実現できます。そのための防災情報のプラットフォームの構築と、それをつかさどるデジタル防災情報の専任部署の設置は待ったなしだと考えます。
 以上のような医療、介護、教育、そして防災のデジタル化について、総理はどのような見解をお持ちでしょうか、お聞かせください。
 今、政府、自治体のクラウド利用の議論が行われています。一方、国民の情報や基盤データを海外企業に預けてしまってよいのかという懸念の声があります。コストパフォーマンスや実績から海外企業のクラウドを採用すべきだという声もありますが、政府専用のデータセンターを国内に整備し、そこに情報を置くべきとの意見もあります。海外では、国主導で内製化している事例もあります。
 そこで、平井大臣に、国の情報システムにおける国産クラウドの採用と政府データセンターの国内整備の可能性について御見解をいただきたいと思います。
 さらに、デジタル分野の人材育成も必要です。新たなSTEM教育も重要ですが、これまで理系、技術系の優秀な人材を輩出してきた日本固有の制度、高専、高等専門学校にも注目すべきです。高専卒業生には、準学士ではなくバチェラーという海外で通じる学位を与えるなどして、国内外での地位を向上させ、AIやディープラーニングなどで最先端を走る海外の大学、研究機関でも活躍できる環境を整えることも大切だと思っております。
 そこで、萩生田文科大臣に、高専生の地位向上についてどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
 医療・介護DXによるQOLの飛躍的向上、教育のDXによる個別最適な学びの実現、防災DXによる人命救助等、デジタル化は多くの光をもたらしますが、しかし、進め方を誤れば影を広げることにもなります。
 デジタル格差への憂慮、個人情報の漏えいや目的外利用への危惧、監視社会に対する不安、デジタルプラットフォーマーの情報の独占、寡占への懸念。強いものだけがデジタル化の恩恵を得る社会にしてはなりません。
 そして、誰一人取り残さないという考え方の下、デジタル対応が困難な人へのアウトリーチやユニバーサルデザインということを進めることが不可欠です。また、デジタル政策を進める政府への信頼を高めるためには、エストニアのように、自分のデータを管理することができ、他人にどう使われたかを自ら確認することができる仕組みも検討すべきです。
 まず、このような危惧や不安の払拭の方法についての見解を菅総理にお伺いします。
 さらに、その上で、セキュリティーやデータルールの整備の問題について伺います。
 総合的なトラストサービスによるセキュリティー対策をどのような基準で行うのか。eIDASといった欧州規格、米国のNIST基準いずれに乗るのか、それとも日本独自の基準でいくのか判断するべきときです。ここを誤れば、日本のデジタル化は世界から周回遅れとなるおそれがあります。逆に、しっかりと対応できれば、日本主導でグローバルスタンダードをつくることもできます。
 一方で、個人情報や著作権等のデータに関する法律がデジタル技術の社会実装を阻害してきたことへの対処も必要です。
 例えば、ファイル共有ソフトの開発者が著作権侵害幇助で逮捕、起訴されたウィニー事件、画像をリツイートした人が著作者人格権違反と判断されたスズラン写真事件、いずれも我が国のデジタル技術の社会実装に逆行するものであります。また、個人情報や著作権のルールへの抵触を懸念し、日本はAI開発が遅れたといった指摘もあります。
 そこで、これらの問題を踏まえ、デジタル化推進に当たって日本がイニシアチブを取り、グローバルスタンダードをつくっていく上での懸念や不安の払拭、特に、著作権や個人情報をめぐるルール整備について、平井大臣、萩生田大臣に見解をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございます。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕

#6
○内閣総理大臣(菅義偉君) 山田太郎議員にお答えをいたします。
 新しいデジタル社会の出現についてお尋ねがありました。
 御指摘のように、デジタル化によるネットワークやデータの利活用を進めることで、暮らしや働き方を始め文化、経済、そして政治に至るまで、あらゆる分野において創造的で活力ある発展が可能となる、このように考えます。
 政府としては、そういった社会変革などを踏まえながら、誰もがデジタル化の恩恵を最大限受けることができる世界に遜色のないデジタル社会を実現してまいります。
 準公共分野のデジタル化についてお尋ねがありました。
 御指摘のような医療、介護、教育、防災などは生活に密接に関連した重要分野であり、デジタル化によるサービスの多様化及び質の向上が進むように政府としても積極的に取り組む必要があると考えております。
 このため、デジタル庁がこうした分野においても情報システム整備を統括することを通じて、個人の生涯にわたる健康情報などの管理や学習データの活用、災害時の医療に係る情報の提供など、国民の皆さんにデジタル化のメリットを実感いただけるよう、取組を進めてまいります。
 デジタル化がもたらす危惧や不安の払拭についてお尋ねがありました。
 今回の法案では、誰一人取り残さない、この考えの下に、情報の格差を着実に是正する措置を講じることといたしております。また、法案では、政府の基本方針に個人情報の保護を盛り込むことを規定しております。
 具体的には、身近な場所で身近な人から機械やサービスの利用方法を学べる環境づくりや、行政機関等が保有する個人情報を本人が訂正や利用停止を請求できる仕組みを通じて危惧や不安が払拭されるよう、政府として取り組んでまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣平井卓也君登壇、拍手〕

#7
○国務大臣(平井卓也君) 山田太郎議員の質問にお答え申し上げます。
 国の情報システムにおける国産クラウドの採用と政府のデータセンターの国内整備の可能性についてのお尋ねがありました。
 現在、政府情報システムの共通的な基盤、機能を提供するガバメントクラウドの検討を進めているところです。
 このガバメントクラウドについては、複数のクラウドサービス事業者が提供する複数のサービスモデルを組み合わせて、相互に接続して構築する予定であります。クラウドサービスの選定基準としては、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度であるISMAPに登録されたサービスから調達することを原則とし、不正アクセス防止やデータ暗号化などにおいて、最新かつ最高レベルの情報セキュリティーが確保できること、データセンターを国内に置くことを含め、契約から開発、運用、廃棄に至るまで、国によってしっかりと統制できることなどを検討しております。これらの要件を満たす事業者から、国内企業か外国企業であるかによらず選定されることとなると考えます。
 また、政府のデータセンターについて、各府省がそれぞれ独自のシステムを整備、運用している現状から脱し、グリーン社会の実現、事業継続計画、セキュリティーの確保の観点から、段階的に全体最適化を図ることを現在検討しておるところでございます。(拍手)
   〔国務大臣萩生田光一君登壇、拍手〕

#8
○国務大臣(萩生田光一君) 山田議員にお答えいたします。
 まず、高専生の地位の向上についてお尋ねがありました。
 高等専門学校は我が国独自の教育制度として五年一貫の実践的技術者育成を行っており、その卒業生は産業界から高く評価をされています。近年ではその技術力や創造力を生かし、自ら起業する学生も出てきております。
 さらに、高専教育は海外でも高い評価を得ており、国立高等専門学校機構ではこの高専教育の海外展開を進めています。既にモンゴル、タイ、ベトナムで導入が始まっており、今後、これらの取組が海外での高専生の更なる地位の向上につながるものと考えています。
 なお、高専卒業生への学位の授与については、学位の国際通用性等を踏まえた慎重な検討が必要と考えていますが、現状でも本科卒業後に専攻科を修了した者は大学改革支援・学位授与機構から学士の学位を取得することが可能です。また、本科卒業後に大学に編入学し、学士の学位を取得することも可能です。
 文科省としては、今後とも高等専門学校の高度化、国際化に向けた取組を支援することとともに、高専生が世界に通じる人材であることを積極的に発信するなど、地位の向上に努めてまいりたいと思います。
 次に、デジタル化の推進に当たっての著作権をめぐるルールの整備についてお尋ねがありました。
 デジタル時代に対応して、著作権制度や政策の在り方を見直すことは重要であり、これまでもデジタル化、ネットワーク化の進展等の社会状況の変化に的確に対応するため、著作権法の改正を行ってまいりました。
 具体的には、イノベーションの創出等を促進するための柔軟な権利制限規定の創設やリーチサイトの対策、侵害コンテンツのダウンロード違法化など、デジタル時代に対応したコンテンツの利活用の促進と著作物の保護のバランスの取れたルール整備を行っています。
 また、今国会には、図書館関係の権利制限規定の見直しや、放送番組のインターネット同時配信等の権利処理の円滑化を内容とする著作権法改正案を提出をしたところです。
 今後、技術の進展に伴う著作権をめぐる国際的な動向を踏まえ、デジタル化、ネットワーク化による環境の変化に対応できる制度を構築することが重要であると認識しております。
 引き続き、デジタル時代に対応した著作権の在り方について積極的に検討してまいります。(拍手)

#9
○議長(山東昭子君) ただいま場内協議をしておりますので、少々お待ちください。(発言する者あり)ただいま協議中でございますので、お静かにお待ちください。──大事な法案なので、慎重にいろいろ協議をしております。もう少しお待ちください。──時間を大切にしてください。
    ─────────────

#10
○議長(山東昭子君) 杉尾秀哉さん。
   〔杉尾秀哉君登壇、拍手〕

#11
○杉尾秀哉君 立憲民主・社民の杉尾秀哉です。
 ただいま議題となりましたデジタル改革関連五法案について、会派を代表して質問します。
 まず、菅政権が発足して半年余りがたちました。今年度予算が成立し、後半国会の政権最大の目玉がこのデジタル改革関連法案です。
 総理、あなたは、この通常国会冒頭の施政方針演説で、国民の命と健康を守り抜くと宣言し、しっかりと国民に説明して理解を得ると大見えを切りました。しかし、残念ながら、あなたや閣僚がこの宣言を守ったとは到底思えません。
 新型コロナに感染し、PCR検査さえも受けられず天国に逝ってしまわれた羽田雄一郎さん、同様に、必要な医療を受けられず亡くなった人たちが一体どれだけいることか。何が命を守り抜くですか。
 そして、総理の長男も関係した総務省の接待問題や、相次ぐ政治と金の問題と与党議員の不祥事の数々、さらには、国会で延々と続くごまかしや、虚偽としか思えない答弁と記憶にない発言、まさに目を覆う政治の劣化の元凶は、菅総理、あなたにあります。
 政府のこの一年間のコロナ対策は迷走に次ぐ迷走を続けました。そして、緊急事態宣言から僅か三週間ともたずしてのまん延防止等重点措置の適用、もはや国民は誰も総理の説明を信用しておりません。
 今年二月、緊急事態宣言を延長した際、総理は、責任は全て私が負うと豪語しました。にもかかわらず、翌三月に解除を決めたときには、感染再拡大の場合を責任を問われても何も答えず、さらに、予算委員会で蓮舫議員に解除しても大丈夫かと聞かれて、大丈夫だと明言しています。ところが現状は御覧のとおり。また、ここに来て変異株が首都圏でも急増し、今の大阪は明日の東京という声さえ聞こえてきます。
 菅総理、こうした危機的状況でも、感染は第四波ではないと言い張るのですか。解除しても大丈夫と国民を安心させながら、窮地に陥るとまん延防止等重点措置でごまかす。感染再拡大は政府の無策が原因か、それとも国民の自覚の欠如によるものか、お答えください。
 そもそも、あなたには責任を取る覚悟も感染拡大に対処する能力も欠如しています。内閣総辞職するのが国民の命と健康を守る最善の方策と思いますが、反論できますでしょうか。
 ところで、菅総理は、既得権益の打破を掲げる改革派をアピールしてきました。
 あなたは、いまだ任命拒否の理由を全く説明しない学術会議問題でも、学術会議は閉鎖的で既得権益のようになっている、このように説明しています。ところが、菅総理、あなたこそ既得権益にどっぷりつかっている張本人じゃないですか。
 その象徴が、菅総理の直轄領とも言われる総務省の一連の不祥事です。総理の長男も関係した総務省接待問題では第三者委員会による検証が進められていると承知していますが、いつ頃までに調査結果が出されるのでしょうか。
 また、NTTによる高額接待で事実上更迭された谷脇元総務審議官は、まさにトカゲの尻尾切り、谷脇氏が菅総理肝煎り政策の携帯料金引下げの先兵だったことは、もはや公知の事実です。
 そのNTTが、去年秋、突如ドコモの完全子会社化と携帯料金の大幅値下げを発表しました。NTTが大株主である政府の了承なしにドコモの完全子会社化を決められるはずがなく、一連の動きは完全な出来レースとの見方が有力です。
 そもそも、ドコモの完全子会社化は、NTT民営化とその後の分割、再編成が目指した規制緩和や既得権益の打破と完全に矛盾するものではありませんか。また、菅総理が言う既得権益の打破は口先だけではないですか。
 総理、あなたは、官房長官時代、鉄壁のガースーと呼ばれ、本人もこの言葉をお気に入りのようです。しかし、今述べましたコロナ対策しかり、総務省問題しかり。結局は、記者会見で何を聞かれても、メディアの質問を切って捨てていただけです。
 さて、前置きが長くなりましたが、菅総理の政治スローガンである既得権益の打破という言葉のいかがわしさや、説明責任に対する著しい欠如の姿勢は、目玉政策であるデジタル改革についても全く変わりありません。デジタル敗戦という言葉で国民の危機感をあおり、誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化などという曖昧模糊とした言葉でバラ色の夢を振りまきながら、その一方で、多くの国民が抱く懸念や疑問にはまともに答えない。
 以下、具体的に問題点を列挙しますので、できる限り丁寧に御答弁ください。
 まず、新法や束ね法案など計六十三法案を一括審議した衆議院内閣委員会での審議時間は二十七時間余りにとどまりました。国民生活に密着し、これだけ論点が広範囲にわたる法案審議としては異例の短さです。
 また、本法案をめぐっては、国会提出後に要綱などに四十五か所もの誤りが発覚し、さらに、誤りを示した正誤表にも二か所の誤りが見付かるという前代未聞の事態が起きました。
 そもそも、九月のデジタル庁発足ありきで成果を急ぎ過ぎた政権の姿勢がこれらの問題の背景にあるのではないでしょうか。また、こうした拙速な審議で果たして国民の理解を得られるのでしょうか。霞が関の常識を超えるスピードで取り組むと、担当職員に常識外の時間外労働や過重な負担を強いた平井大臣と菅総理にそれぞれの認識を伺います。
 また、平井大臣がよく口にするデジタル敗戦という言葉も、まるで人ごとのように聞こえます。
 確かに、行政など社会のデジタル化の推進は歴代政権の大きなテーマでした。ちょうど二十年前の二〇〇一年に策定されたe―Japan戦略では、五年以内に世界最先端のIT国家になるという大胆な目標が掲げられています。
 ところが、現実は全く逆で、ランキングは低下する一方。菅総理が官房長官として内閣の中枢に君臨し続けた安倍政権時代でも、世界最先端デジタル国家創造宣言なる大仰なスローガンをぶち上げてはみたものの、これもはかばかしい成果は上げられませんでした。
 そこで、菅総理に伺います。
 デジタル敗戦とは、具体的にどういう意味なのか。仮にこの表現が正しいとして、二十年間で主に政権を担当してきた自公政権のデジタル化の取組がなぜことごとく失敗してきたのか、原因と責任を明らかにしてください。
 また、国連の電子政府ランキングで、二〇二〇年、お隣の韓国は二位だったのに、日本は十四位に沈みました。これだけ韓国に水を空けられてしまった理由を御説明ください。
 さらに、このところ官民で相次ぐシステムトラブル。例えば、接触確認アプリCOCOAの不具合が長期間放置されていた問題や、この春から運用が開始されるはずだったマイナンバーカードと保険証の一体化の延期など、今や日本はデジタル劣等国と言われるほど惨たんたる状況です。こうした現状をどう分析し、改善するのか。
 とりわけ、マイナンバーカード普及促進のための保険証としての利用が、開始直前に延期になったのは深刻です。十月の本格運用開始は本当に可能なのかも含めてお答えください。
 こうした真摯な議論なしに、菅政権のデジタル改革が成功するとは到底思えない。巨費を投じながら、結局は無駄金だったということになりかねません。
 ちなみに、マイナンバー制度の関連国費が、過去九年間で八千八百億円に上ることが衆議院の審議で明らかになりました。にもかかわらず、いまだマイナンバーカードの所有率は三割未満。その一方で、少し前の調査ですが、過半数を超える人が取得の予定なしと答えています。
 その大きな原因の一つに、セキュリティーの問題があります。今述べましたように、マイナンバーカードの保険証利用や、近い将来の運転免許証との一体化が計画される中で、カード普及に前のめりな政府の姿勢ばかりが目立ち、ありとあらゆる情報がひも付けされ、芋づる式に個人情報が抜き取られるのではないかとの不安は全く消えておりません。
 そこで、デジタル庁の発足と今回の一連の法整備でセキュリティー対策が抜本的にどう変わるのか。また、情報の一元化が進む中で予想されるシステムの脆弱性をついた不正アクセスをどう防ぐのか。さらには、内閣総理大臣を長とするデジタル庁が集約した個人情報が内閣情報調査室を通じて官邸に吸い取られるのではないかとの懸念に総理はどう答えるのでしょうか。
 この個人情報の問題については、衆議院で我が党が個人の権利利益を十分に保護することを内容とする修正案を提案しましたが、受け入れられませんでした。
 そもそも、政府案は国や企業によるデータの利活用推進に偏っていて、個人情報保護を始めとする個人の権利利益の保護の観点が欠如しているとの指摘が根強くあります。その証拠に、今回の基本法の基本理念には、個人情報保護の文言が書かれていません。これは大問題です。データの利活用に偏った法律となっていることについて、総理の見解を伺います。
 憲法十三条に基づくプライバシー権には、個人が自分の情報を主体的にコントロールする権利、いわゆる自己情報コントロール権が含まれると、このように解されます。ところが、衆議院での質疑では法律上明記するのは不適切だという答弁もあり、この権利を明記した我が党の修正案は、やはり否決されてしまいました。
 そこで、平井大臣に伺います。
 EUの一般データ保護規則、いわゆるGDPRでは、忘れられる権利を含めた自己情報コントロール権が規定されています。また、衆議院の附帯決議においても、今後必要な措置を講ずる旨の内容が盛り込まれました。こうした状況を踏まえて、今後、この問題に政府としてどう対処する方針でしょうか。
 また、個人情報をめぐっては、これまで民間や行政機関などで三つに分かれていた個人情報保護法が今回の一連の法改正により統一され、個人情報保護委員会が行政機関などに対しても監視、監督を担うこととなります。
 そこで、データの利活用に関して、個人情報の目的外利用や第三者への提供について、その要件とされる相当な理由や特別な理由を厳格化することと、行政機関などが行った判断が適切か否か個人情報保護委員会が監視できるようにすべきこと、また、個人情報保護委員会に行政機関に対する命令権や立入検査の権限を付与し、独立性や実効性を持たせるとともに、大幅な所掌範囲の拡大に伴い、必要な定員、予算、それに組織など、体制強化の具体策を早急に示すべきであるとのこれらの見解について、平井大臣の御所見をお聞かせください。
 さらに、今回、個人情報保護法が統一されることにより、これまで地方公共団体が行ってきた独自の保護措置に対して制約が課されることや、個人情報の保護水準が低下を招く可能性に加え、地方自治権が侵害されるのではないかとの指摘があります。そこで、これらの懸念に対する平井大臣の明確な答弁を求めます。
 今回の一連の法改正をめぐりましては、さらに、新たに設置されるデジタル庁の所掌事務に関して、菅総理が総裁選の過程で発言していたような政府のデジタル関係部署の一元化にふさわしいものとなっているかや、デジタル庁で採用される民間のIT人材に関する秘密保持義務の徹底の方法、さらには、誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化という耳当たりのいい宣伝文句の裏で、高齢者、障害がある人、外国人、それに離島や地方の居住者など、様々なハンディキャップを抱えた人たちに対するいわゆるデジタルデバイド対策が全く見えません。それぞれ、菅総理と平井大臣に答弁を求めます。
 私がこれまで質問してきました問題点は、膨大な法案の中のほんの一部です。だから、参議院でも審議時間の十分な確保が必要なんです。
 そして、菅政権が進めるデジタル化が成功するか否かは、突き詰めると、政府の透明性、信頼性など、民主主義の根幹に関わります。ちなみに、アメリカ・ギャラップ社の調査によれば、国民の政府への信頼度で、日本はOECD加盟国の平均以下でした。
 そこで、最後に菅総理に伺いますが、このように政府への信頼度が低いままでデジタル化は成功するのか。また、信頼度が低い理由と、この信頼度を上げるためには今の政治に何が必要とお考えでしょうか。
 まさに、信なくば立たず。私たち立憲民主党は、個人情報保護とセキュリティーが十分に確保され、行政による国民の監視や統制の手段ではなく、国民の利便性向上に真に資するデジタル化を目指していくことを強調しまして、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕

#12
○内閣総理大臣(菅義偉君) 杉尾秀哉議員にお答えをいたします。
 新型コロナの感染再拡大についてお尋ねがありました。
 新規感染者数は三月上旬以降増加が継続し、下旬からは増加率も高まっております。現時点で全国的な大きなうねりとまではなっていないものと考えていますが、特に関西圏など特定の地域を中心に急速に感染拡大が進んでいる状況にあり、政府としては、強い警戒感を持って対応すべき状況にあると考えております。
 この原因については、専門家によれば、緊急事態宣言の解除後に人出が増えたことや、変異株による感染者数が増加していることなどが指摘をされます。
 感染対策に奇策はありません。政府としては、飲食店対策、検査の拡大、医療体制の確保を粘り強く進めつつ、地域を絞った措置を機動的、集中的に講じることで、各地で発生する波を全国規模の大きな波につなげないように対策を徹底いたします。
 こうした対策を指揮し、一日も早く感染を収束させるために全力を尽くすことが私に求められている責任であると考えております。引き続き、国民の命と暮らしを守るため、政府を挙げて対策を進めてまいります。
 総務省の検証についてお尋ねがありました。
 総務省において、第三者から成る検証委員会が検証を行っているところであり、そのスケジュール等についても検証委員会が判断されるものと承知しております。いずれにせよ、徹底した検証等により、国民の信頼回復に努めてまいります。
 NTTについてお尋ねがありました。
 NTTドコモの完全子会社化については、NTTの経営判断において実施されたものであり、法令上、政府の許認可や株主総会での決議が必要になるものではなく、取締会の決議により意思が決定されたと承知をしております。
 また、近年、携帯電話事業をめぐる国際的な競争が進む中で、例えば、米国でも固定通信事業者であるAT&Tやベライゾンが携帯電話会社を完全子会社化するなどの動きがあることは事実です。
 携帯電話事業は、国民の財産である電波の提供を受けてサービスを提供しており、競争を通じて低廉な料金を実現することが必要です。事業者間で競争がしっかり働く仕組みを整備することが政府の役割であり、徹底して改革を進めてまいります。
 法案の審議時間、参考資料の誤りについてお尋ねがありました。
 衆議院における法案の審議日程は衆議院でお決めいただいたと承知をしておりますが、いずれにしても、政府としては、法案の意義や内容について丁寧に説明を努めてまいります。法案の参考資料の誤りについては、担当部局による確認が不十分であったものと承知しており、政府としておわびを申し上げます。
 なお、九月のデジタル庁発足ありきで諸般の準備を過ぎたことはないと承知をしております。
 我が国のデジタル化の遅れ等についてお尋ねがありました。
 平井大臣は、これまでの政府の情報戦略の成果が十分でなかったことを踏まえ、デジタル敗戦と発言されていると承知しております。また、諸外国に比べて我が国の電子政府の取組は遅れているという指摘のあることを承知しております。特に、今回の感染症を通じて、行政機関同士の不十分なシステム連携に伴う行政の非効率や度重なるシステムトラブルの発生など、官民のデジタル化の遅れの課題が明らかとなりました。こういった課題に対応するため、重要なシステムについてはデジタル庁が自ら整備するとともに、構築したシステムに支障を来した際にも適切に対応できる体制を整備をします。
 なお、マイナンバーカードの健康保険証との一体化については、マイナンバーカードの利便性を広く国民に感じていただくために極めて重要な取組であり、遅くとも本年十月までに本格運用を開始をいたします。
 デジタル庁のセキュリティー対策についてお尋ねがありました。
 デジタル庁は、内閣サイバーセキュリティセンターとも連携をするとともに、デジタル庁にセキュリティーの専門チームを置き、システムの検証、監査を充実することによってセキュリティー対策を強化していきます。
 また、マイナンバー制度に個人情報の保護の観点から、従来より個人情報を特定の機関において一元管理するものではありません。政府としては、今後とも、個人情報の保護に万全を期した上で、マイナンバー制度の利活用と普及を促進してまいります。
 なお、今回の法案は、内閣情報調査室に情報収集に関する新たな権限を付与するものではなく、個人情報が内閣情報調査室を通じて官邸に吸い取られるのではないかとの御懸念は当たらないと考えます。
 個人の権利利益の保護などについてお尋ねがありました。
 今回の法案については、個人情報の保護の重要性を踏まえ、基本方針として個人情報の保護を規定をしております。また、基本理念として、個人及び法人の権利利益等が害されないようにしなければならない旨を規定をしております。このように、今回の法案は、データ利活用の重要性は踏まえつつも、個人の権利利益や情報の保護にも十分な配慮をしております。
 デジタル庁の所掌事務についてお尋ねがありました。
 デジタル庁は、政府情報システムを統括するほか、自治体のシステムの統一・標準化、マイナンバーカードの普及などを担うことにしております。具体的には、マイナンバー制度や公的機関が保有する社会の基本的データの整備に関して企画立案を行うとともに、国や地方自治体、準公共部門等の情報システムを統括、監理をし、重要なシステムについて自ら整備を行うことなどを所掌することといたしております。
 また、デジタル大臣が関係行政機関の長に対して勧告権を持つことで、迅速、強力な政策調整を担うこととしております。
 これによって、政府のデジタルに関する事務を一元的、総合的にデジタル庁が推進することとしております。
 国民の政府に対する信頼についてお尋ねがありました。
 公務員の倫理法違反や、政府が国会に提出した法律案などに相次いで誤りが判明したことなど、行政の信頼を損なう事案が生じたことは大変遺憾であり、今後、こうしたことがないように、再発防止に取り組んでまいります。
 行政のデジタル化に当たっても、国民の信頼は大変重要であり、今回の法案では、行政運営の透明性を向上することや、デジタル化に対する国民の理解を深めていくことなどを規定しております。
 政府としては、デジタル社会の実現に向けて、この法案の成立に万全を尽くすとともに、国民に対して丁寧に説明を尽くしてまいりたいと考えております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣平井卓也君登壇、拍手〕

#13
○国務大臣(平井卓也君) デジタル改革関連法案の参考資料の誤りの原因についてお尋ねがありました。
 まず、法案の参考資料に誤りがあったことについて、改めておわび申し上げます。
 デジタル改革関連法案については、政府として喫緊の課題であるデジタル化についてスピード感を持って対応するため、法案を今国会に提出する準備を進めたものです。長時間労働や過重な負担が参考資料の誤りの原因になったとは考えておらず、内閣官房IT総合戦略室において文書チェックの体制が不十分だったこと等が課題であったと考えております。先般取りまとめた当面の再発防止策を踏まえ、改善に取り組んでまいります。
 なお、衆議院における法案の審議日程は、衆議院でお決めいただいたと承知しております。
 法案の担当大臣として、引き続き、国民の理解を得るため、法案の意義や内容について丁寧な説明に努めてまいります。
 いわゆる自己情報コントロール権についてのお尋ねがありました。
 いわゆる自己情報コントロール権については、その内容、範囲及び法的性格に関し様々な見解があり、明確な概念として確立していないことや、表現の自由等との調整原理も明らかでないことから、一般的な権利として明記することは適切でないと考えております。
 一方、改正案においては、事業者や行政機関等が保有する個人情報の取扱いに対する本人の関与を重要な仕組みと位置付け、本人による開示、訂正、利用停止請求等を可能とする規定を個別に設けています。今後は、衆議院での附帯決議の趣旨を踏まえ、これらの規定を適切に運用するとともに、個人情報保護をめぐる社会情勢の変化等に合わせて規定の内容についても必要な検討を行ってまいりたいと考えております。
 なお、GDPR、EU一般データ保護規則も、自己情報コントロール権を具体的な権利として規定しているものではなく、個人が自己のデータの取扱いに主体的に関与するための規定を個別に設けているものと承知しております。
 個人情報保護法の改正案についてのお尋ねがありました。
 まず、改正案は、現行の行政機関個人情報保護法の規定を引き継いでおり、行政機関等における個人情報の目的外での利用や提供は、本人の同意がある場合のほか、相当の理由や特別の理由がある場合に限り行い得るものとしております。
 ここで、相当の理由や特別の理由は、個人の権利利益の保護の必要性と個人情報の有用性を比較考量し、個人情報の有用性が上回ると考える場合に限り認められるものであり、決して個人情報の無限定な利用や提供を認めるものではありません。
 相当の理由や特別の理由の有無は、第一義的には当該個人情報を保有する行政機関等が判断しますが、その判断が適正であったかどうかを個人情報保護委員会が監視することとしており、決して行政機関等による恣意的な判断を許すものではありません。
 次に、改正案では、個人情報保護委員会の行政機関等に対する監督権限として、新たに報告要求、実地調査、勧告等の権限を付与するとともに、行政機関等において個人情報の漏えい等が生じた場合の個人情報保護委員会に対する報告義務を創設することとしております。
 個人情報保護委員会がこのような権限を適切に行使し、行政機関等における個人情報の適切な取扱いを確保していくことが重要と考えます。
 なお、改正案では、我が国の行政組織の基本的な体系との整合性を考慮し、行政機関等に対する立入検査や命令権限については規定しておりませんが、実地調査は、違反に対して罰則が科されない点を除けば立入検査と全く同じものであること、個人情報保護委員会の勧告は、独立規制機関の意見として当然に尊重され、行政機関等が勧告に従わない事態は想定されないことから、行政機関等に対する監督の実効性に欠けることはないと考えております。
 最後に、今回の改正により、個人情報保護委員会の所掌事務や権限が大幅に拡大、強化されることになるため、令和四年度からの施行に向けて、個人情報保護委員会の人員や組織を十分に強化してまいりたいと考えております。
 個人情報保護法の改正による地方公共団体への影響についてのお尋ねがありました。
 今後の社会全体のデジタル化に対応した個人情報保護とデータ利活用の両立には、全国的に統一した個人情報保護の共通ルールの設定が不可欠であります。このような共通ルールの設定は、地方自治法上の国と地方の役割分担の観点からも、国が担うべき役割であると考えております。
 現在、地方公共団体の中には、個人情報保護条例を定めていない団体や、条例を定めていても必ずしも十分な規律とはなっていない団体も見られます。今回、これらの団体も含め、法律で共通ルールを設定することで個人情報保護の全国的な最低水準が保障されるものと考えております。
 また、改正後は、地方公共団体における個人情報の取扱いを独立規制機関である個人情報保護委員会が中立的、客観的な立場から監督することになるため、地方公共団体における個人情報保護の水準は全体として向上するものと考えております。
 その一方、今回の改正後も、地方公共団体は、地域の特性に照らし必要がある場合には法律の範囲内で条例により独自の保護措置を講じることが可能であり、今回の改正によって個人情報保護委員会に与えられる地方公共団体に対する勧告等の権限は、国の関与に関する地方自治法上の一般原則の枠内にとどまるものであります。このため、今回の改正案は地方公共団体の自治権を侵害するものではありません。
 なお、今回の改正案の取りまとめに当たっては、地方公共団体の意見を丁寧に聴取してきたところですが、今後も、改正法の円滑な施行に向けて地方公共団体との十分なコミュニケーションに努めてまいりたいと考えております。
 デジタル庁で採用される民間のIT人材に関する秘密保持義務の徹底の方法についてのお尋ねがありました。
 デジタル庁においては、能力と志を併せ持つ優秀な人材を世間から広く集めるべく、順次民間人材の採用を進めていくこととしており、先般の募集においては、兼業も可能な非常勤職員の採用を実施したところであります。
 こうした人材については、常勤、非常勤の別を問わず、国家公務員法の秘密保持義務が課されることは当然として、これに加えて、デジタル庁として、職員が情報管理に当たって遵守すべき規程を設け、適切に整備、運用することとし、機密性の高い情報についてアクセスできる職員を必要最低限に限定すること等の取組を通じ、情報管理の徹底に努めてまいります。
 デジタルデバイド対策についてのお尋ねがありました。
 デジタル社会形成基本法案が目指すデジタル社会では、全ての国民が情報通信ネットワークの利用や自由かつ安全な情報の活用を通じてデジタル社会の様々な活動に積極的に参加し、能力を最大限に発揮できることが重要と考えています。
 このため、デジタル社会形成基本法案では、地理的な制約、年齢、障害の有無等の心身の状態、経済的な状況その他による情報の活用等の機会の格差是正が必要とされており、情報の活用等の機会の格差が生じないよう必要な措置が講じられるべき旨定めることとしており、デジタルデバイドの対策にしっかりと取り組んでまいります。
 具体的には、関係省庁と連携して、高齢者や障害者等に対して、身近な場所でデジタル機器やサービスの利用法等に関する助言や相談を行うデジタル活用支援員といったリテラシー向上に関する取組を充実すること、言葉の壁を克服するため多言語音声翻訳システムの一層の利用拡大に向けた取組を推進すること、地方にいても都会と同じような仕事や生活ができるよう情報通信ネットワークの全国的な整備を推進することなど、デジタル社会の実現に向けた対応をきめ細かく行ってまいります。(拍手)
    ─────────────

#14
○議長(山東昭子君) 平木大作さん。
   〔平木大作君登壇、拍手〕

#15
○平木大作君 公明党の平木大作です。
 私は、会派を代表して、ただいま議題となりましたデジタル改革関連法案について質問いたします。
 今なお終息の兆しが見えない新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、日本の行政がデジタル化できていない現実を私たちに突き付けました。特別定額給付金のオンライン申請は、多くの自治体で職員が紙に印刷の上、システム上の住民基本台帳と一件一件照合せざるを得ませんでした。感染者情報の集まる保健所には手書きのファクスが山積みとなり、雇用調整助成金のオンライン申請システムは稼働初日に個人情報の漏えいが発生、受付停止に追い込まれました。
 大規模災害や感染症といった脅威に迅速かつ適切に対処し、国民が安全で安心して暮らせる社会を実現するためにも、行政のデジタル化は待ったなしです。そして、問題はこればかりではありません。環境破壊や地球温暖化、激化する国際競争と高齢化、格差拡大など、取り組むべき課題は山積しています。
 政府は、従来より、IoT、ロボット、AI等の先端技術を活用して、経済の発展と社会的課題の解決を両立し得るサイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステム、ソサエティー五・〇を提唱してきました。ソサエティー五・〇を実現する上で、本法案はどのような役割を果たすのか、菅総理にお伺いします。
 変化は私たちの想像以上のスピードでやってきます。実業家の孫泰蔵氏がよく紹介されるニューヨーク五番街の景色を収めた二枚の写真があります。一枚は、二十世紀を目前に控えた一九〇〇年のもので、目抜き通りがたくさんの馬車で埋め尽くされた朝の風景。もう一枚は、十三年後の一九一三年に同じ地点を撮影したものですが、そこに馬車の姿はなく、全てT型フォードに置き換わっています。実は、この変化は十三年の間に起きたものではありません。T型フォードが発売されたのは一九〇八年。つまり、僅か五年で日常の景色が一変したのです。
 イノベーションの持つ破壊力をストレートに映し出した二枚の写真を前に、私たち政治家が忘れてはならないのは、一九〇〇年に馬車の手綱を握っていた人たちは一体どこへ行ったのかという問題です。時代の転換点にあって、まず最初に大きな影響を受けるのは雇用です。自動車のハンドルを握っているというのが教科書的な解答かもしれませんが、馬車を操る技術と自動車を運転する技術は全くの別物です。
 菅総理は、施政方針演説の中でも、師と仰ぐ梶山静六氏の教えを引きながら、国民の食いぶちをつくるのが自身の仕事であるとの信条を語られました。今後十年で七十九万人不足すると見込まれるデジタル人材の輩出に必要なのは、集中的な教育投資にほかなりません。新しい時代の雇用創出とデジタル人材育成に向けた方針について、菅総理の答弁を求めます。
 政府は、デジタル社会のビジョンとして、デジタルの活用により、一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会を掲げました。国民にゆとりと豊かさの実感を届けるためにも、アクセシビリティーの確保が重要です。
 高齢者にスマートフォンやマイナンバーカードの使い方を実地で教えるデジタル活用支援員や、IT活用に悩む小規模事業者を専門家がハンズオンで支援するデジタル化応援隊のような取組を今後も拡充していく必要があります。また、タブレットを配布してほしい、無料で接続できるWiFi環境を整備してほしいというのが現場の率直な声です。誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化に向けた決意を菅総理にお伺いします。
 また、行政サービスへのアクセシビリティーについては、徹底した国民目線でユーザーの体験価値を創出するとして、特にユーザーインターフェース、ユーザーエクスペリエンスを重視することがうたわれています。UI、UXを磨き込む意味、どのようにして実現するのかについて、平井大臣に伺います。
 システムは、管理者が変われば利用法も変わります。
 例えば、集中治療室に運び込まれた人が到着と同時に個人認証され、電子カルテ上の既往症や投薬履歴から適切な治療が選択されれば、命を救うことができる確率は大きく上昇します。一方で、政府が国民を監視し、管理しようとするときに使うことができるのも同じデジタル技術です。国民への利便性の供与も体制による監視も、テクノロジーから見れば近似のシステムであることが、デジタル社会が必ずしもバラ色に見えないゆえんと言えます。
 スマートフォンやスマートウオッチに搭載された技術を使えば、ユーザーの所在地や住所、購買履歴、交友関係から生活パターンまで把握することはもとより、状況に応じて心拍が上下するさままで、リアルタイムに割り出すことが可能です。管理するのが政府であれプラットフォーマーのような企業であれ、人々は利便性と監視の間で選択を迫られているのがデジタル社会の本質とも言えます。
 今後、国民の同意の下にデジタル社会の基盤整備を進めていく上で必要なのが、政府に対する信頼と、透明で厳格なデータガバナンスの在り方です。自分のデータが、どこでどのように管理されているのか。行政はそのデータにアクセスできるのか。アクセスしたのであれば、いつどのような理由で行ったのか。
 国民に安心感と納得感を与える上で重要なデータガバナンスの在り方について、菅総理、平井大臣、それぞれお答えください。
 また、政府が全ての社会活動の土台であり新たな産業創出の基盤と位置付けるのがベースレジストリーです。
 ビジネスや研究に必要なデータの収集にコストと時間を浪費し、利用できるデータ品質が低いことから実証できても持続できないなど、社会課題の解決を妨げる障害を乗り越えるためにも、是非とも実現しなくてはなりません。しかしながら、議論の抽象度が高いこともあり、世間の認知と理解は全くと言っていいほど進んでいません。
 ベースレジストリー構築の意義と、現時点で想定する対象や活用の姿について、平井大臣より分かりやすく御説明ください。
 今国会において、総務省からは自治体システムの標準化に向けた法律が提出されています。主要十七業務について国が示した基準を満たすことを求めるものですが、標準化とはいえ、地域性や自治体ごとの規模、人的リソースの充実など千差万別の状況があり、仕様を示して義務化するだけでは、円滑な導入はおぼつきません。また、各地方の実情に応じて、住民サービス向上に向けたカスタマイズや独自システムに対する根強い要望があることも理解する必要があります。
 自治体システムの標準化について、丁寧な説明と、財政、技術両面からのきめ細やかな支援が必要と考えますが、平井大臣にお伺いいたします。
 現在、国際課税の新しいルール作りがOECDを中心に行われています。経済のグローバル化、デジタル化に伴い、税制の優遇措置があるタックスヘイブンを利用した多国籍企業の租税回避に対して、国際社会で連携して対処しようとするものです。
 無形資産やデジタルサービスが国境を越えて活発に取引されるようになった今、物の取引を前提にした移転価格の算出や、工場などの恒久的施設の有無を根拠としてきたこれまでの課税ルールは完全に時代遅れのものとなっています。国際社会における合意形成は簡単ではありませんが、このまま納税しない海外大手デジタル企業と納税する国内実店舗企業との競争上の不平等を放置するわけにはいきません。
 今夏を目途に行われる多国籍企業の課税ベース共有化とグローバル最低税率の議論では、是非とも日本の外交力を発揮して結論を得ていただきたい。デジタル時代における新しい国際課税ルールをリードしていく決意を菅総理にお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕

#16
○内閣総理大臣(菅義偉君) 平木大作議員にお答えをいたします。
 今回の法案とソサエティー五・〇についてお尋ねがありました。
 政府としては、先端技術が社会に実装され、新たな価値を生み出すというソサエティー五・〇の実現を目指しており、具体的には、役所に行かずともあらゆる手続ができる、地方にいても都会と同じような仕事や生活ができる、こうした社会を目指して、誰もがデジタル化の恩恵を最大限受けることができる世界に遜色のないデジタル社会を実現したいと考えております。
 そのため、今回の法案を成立させるとともに、マイナンバーカードを健康保険証と一体化させ、利便性向上による普及促進を図るなど、デジタル社会の実現に全力を尽くしてまいります。
 雇用創出とデジタル人材育成についてお尋ねがありました。
 施政方針演説において、次の成長の原動力として、グリーン、そしてデジタルを位置付けており、そうした分野の改革を進めることで産業構造を転換をして、投資を促し、雇用を増やしてまいります。
 また、デジタル社会を実現するためには、御指摘いただきましたとおりに人材の育成が要となります。
 御指摘のように、デジタル人材が不足する中、今回の法案では、教育、学習の振興や専門的な知識、技術を有する創造的な人材の育成を基本方針の一つとして位置付けており、官民を通じたデジタル人材の育成を積極的に進めてまいります。
 デジタル化に向けた決意についてお尋ねがありました。
 デジタル改革には、誰一人取り残さないという視点の下で、デジタルに誰でもアクセスできる環境の整備が不可欠です。
 このため、誰にとっても使い勝手が良い行政サービスへの刷新や光ファイバー網など情報インフラの整備、また御指摘の支援員など、新たな技術や機器に不慣れな方であっても、身近な場所で身近な人から機器やサービスの利用方法を学べる環境づくりを推進してまいります。
 データガバナンスの在り方についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、個人情報を含むデータについては、しっかりと保護を図ることを前提として、政府が透明性を持って情報を厳格に管理するいわゆるデータガバナンスを確立しつつ、活用していくことが重要と認識をしております。
 その際、本人の同意を取るなど、個人が自らの意思でデータの扱いを決められることが重要であります。その上で、個人情報の保護に関する適切な情報提供と、データ利用のメリットがその本人にもたらされることが必要と考えております。
 政府においては、国際的に遜色のないルール整備を行うことにより、安心、安全にデータの利活用ができる環境を整備してまいります。
 国際課税についてお尋ねがありました。
 国際的に活動する多国籍企業について、支店や工場を持たずにインターネットを通じて行われる活動に対する課税の見直しや、税率が低い国を利用した租税回避の防止は、公平な競争条件を確保するために重要であります。
 このため、OECDやG20を中心に議論を行い、本年半ばまでに国際的な合意の取りまとめを目指しております。我が国も議論に積極的に貢献をしていきたいと思います。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣平井卓也君登壇、拍手〕

#17
○国務大臣(平井卓也君) 平木議員の質問にお答え申し上げます。
 行政サービスへのアクセシビリティーについてのお尋ねがありました。
 デジタル社会形成基本法案が目指すデジタル社会では、全ての国民が、情報通信ネットワークの利用や自由かつ安全な情報の活用を通じて、デジタル社会の様々な活動に積極的に参加し、能力を最大限発揮できることが重要と考えています。このため、行政サービスについては、UI、UXの改善により、国民が行政機関から情報を入手する際や、行政機関に申請する際の使い勝手を向上させることで、アクセシビリティーの確保にしっかりと取り組んでまいります。
 具体的には、UI、UXの経験豊富な民間人材を採用して体制を強化しつつ、関係府省と連携して、政府ウエブサイトの統一化、標準化を図るほか、マイナポータルなどの情報システムのUI、UXの抜本的な改善を推進するなど、徹底した国民目線でデジタル社会の実現に向けた対応を行ってまいります。
 データガバナンスの在り方についてのお尋ねがありました。
 データは新たな価値を生むものであり、御指摘のとおり、個人情報を含むデータについても、データガバナンスの確立を図りつつ活用していくことが重要です。具体的には、自分のデータが、どこでどのように管理されているのか、行政を含め、誰が、いつどのようにアクセスしたのかの透明性を確保することが重要だと考えます。
 この点、例えば政府のマイナポータルでは、番号法に基づく情報提供ネットワークシステムを使用した行政機関等の間のやり取り記録である情報提供等記録について、やり取りを行った行政機関や日時、やり取りされた情報の名称を確認することが可能となっております。また、民間の取組である情報銀行は、個人の同意の下、パーソナルデータを預かりデータを活用する我が国発の仕組みであり、データの提供履歴を本人が確認することが可能となっています。
 今後とも、データアクセスの透明化を図るなど、国民の安心感と納得感に資するデータガバナンスを整えていくことが重要だと考えております。
 ベースレジストリーの整備についてのお尋ねがありました。
 ベースレジストリーは、様々な場面で参照されるデジタル時代の社会の土台であり、例えば一度提出した補助金の申請に必要な添付書類を異なる行政機関の間で再利用するなど、行政手続のワンスオンリーの実現を可能とするものであります。
 昨年末に取りまとめたデータ戦略においては、ベースレジストリーを、公的機関等で登録、公開され、様々な場面で参照される人、法人、土地、建物、資格等の社会の基本データであり、正確性や最新性が確保された社会の基盤となるデータベースと定義したところであります。また、重点整備対象候補として、法人、不動産、住所、制度などを挙げたところであり、現在、具体的にどのデータをベースレジストリーとするかの検討を行っているところであります。
 自治体システムの標準化についてのお尋ねがありました。
 地方自治体の情報システムについては、統一・標準化を進めることで、地方自治体が情報システムを個別に開発することによる人的、財政的負担を軽減し、地域の実情に即した住民サービスの向上に注力できるようにするとともに、新たなサービスの迅速な展開を図ってまいります。
 そのためには、現場の実務等をよく知る自治体職員の方々と対話をしながら取組を進めていくことが重要であると考えており、現在、全国の自治体職員との議論の場として、デジタル改革共創プラットフォームにおいて自治体職員と丁寧に対話を重ねているところであります。
 また、地方自治体の情報システム統一・標準化に当たっては、国が財源面を含め主導的な支援を行うこととしています。人材面についても、総務省や都道府県と連携して、市町村において民間のデジタル人材の任用等が推進されるように支援する仕組みを構築することを考えております。
 このように、自治体と一緒にデジタル改革を進めてまいります。(拍手)
    ─────────────

#18
○議長(山東昭子君) 柴田巧さん。
   〔柴田巧君登壇、拍手〕

#19
○柴田巧君 日本維新の会の柴田巧です。
 私は、会派を代表して、ただいま議題となりましたデジタル改革関連法案について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 二〇〇〇年のIT基本法以降、我が国では、デジタルガバメントを目指して幾つもの法律が制定され、計画が策定されてきました。また、この二十年の間、予算も毎年約一兆円程度デジタル政策に投じられてきましたが、オンラインで完結できる行政手続は僅かに七・五%とデジタル化は進まず、オンライン利用率はOECD加盟国の中で最下位という不名誉な地位にあります。加えて、今回の新型コロナ禍で給付金の支給が大幅に遅れるなど、我が国はいわゆるデジタル敗戦を喫しています。
 ようやく政府は行政のデジタル化に本腰を入れ出しましたが、まず、なぜこのような事態に陥ってしまったのかよく検証し、反省をしなければ、同じ過ちを繰り返すだけです。
 そこで、再び過ちを起こさないため、これまでの我が国のデジタル政策の失敗をいかに検証したのか、また、デジタル敗戦の最大の要因は何であったと認識をしているのか、総理にお伺いをいたします。
 デジタル庁についてお尋ねします。
 今般提出されたデジタル庁設置法案において、デジタル庁は、デジタル社会の形成に関する司令塔として他の省庁への勧告権を持ち、強力な総合調整機能を有する組織とされています。そして、基本方針を策定するなどの企画立案や、国、地方公共団体、準公共部門等の情報システムの統括、監理を行うとともに、重要なシステムについては自ら整備するものとされています。
 そこで、デジタル庁は、どのようにして社会全体のデジタル化に向けて行政の縦割り打破、大胆な規制の改革を行い、新型コロナへの対応において明らかになった様々な課題を根本的に解決していくことになるのか、総理にお尋ねをいたします。
 行政のデジタル化の効果を最大限に発揮し、行政サービスの利用者の利便性向上、行政運営の簡素化、効率化を実現するためには、単に既存の業務をデジタル化するだけではなく、抜本的な業務改革、BPRに取り組む必要があります。このため、デジタル庁は、情報システムの統括、監理に加えて、各府省によるBPRの取組を支援することとされています。
 そこで、デジタル庁は、具体的にどのようにして各省庁のBPRを支援し、行政サービスの利用者の利便性の向上、行政運営の簡素化、効率化を実現するのか、デジタル改革担当大臣にお聞きをいたします。
 次に、行政のデジタル化とコスト削減についてお尋ねします。
 二〇一九年十二月に公表された経済産業研究所のレポートによれば、国の行政手続だけでも、民間は年間に作業時間三億三千三百三十七万時間を要し、金銭に換算すると八千二百八億円も掛かっているとのことです。したがって、行政手続コストを削減し、それらを本来投資すべきところに投資できれば、民間は新たな価値を生み出していくことが可能です。
 しかし、行政のデジタル化を看板政策とする菅内閣が発足し、参議院でもデジタル改革関連法案の審議が始まりましたが、いつまでに、どれだけ、そしてどのように行政の手続コストを削減するのか今のところよく分かりません。
 そこで、デジタル化により行政の手続コストをどの程度削減できると考えているのか、また、政府挙げてコスト削減に取り組むには、明確な数値目標を設定するとともに、実現に向けた具体的な工程表を策定すべきと考えますが、併せて総理の所見をお伺いをいたします。
 OECD諸国では、規制の事前評価、事後評価において定量化が進められており、それによって規制コストの総量削減を実現しています。例えば、イギリスでは、複数年度の規制コストの総量削減目標を導入をしていますし、アメリカでは、トランプ政権において、いわゆる二対一ルール、一つ規制を新設する場合、二つの規制をコストベースで廃止するものなどが導入され、それぞれ大幅な削減が図られました。このように、海外では、一旦削減した既存の行政手続コストをこれ以上増やさないというフローの総量規制が新たな潮流となっており、透明性がある形で改革の議論を前に進めやすくしています。
 そこで、行政のデジタル化と相まって、我が国でも規制の定量化を進め、コストベースの総量規制導入を検討する考えはありませんか。総理の見解を求めます。
 日本維新の会は、結党以来、マイナンバーのフル活用を通じた透明で公正公平な経済社会の構築を目指してきました。それゆえ、今般のデジタル改革関連法案は、遅きに失したとはいえ、我が国経済をアップデートしていくには不可欠の法案と考えます。
 ただ、政府案には、不十分な点も幾つかありました。例えば、デジタル社会形成基本法案については、国及び地方公共団体の役割に関する規定が、国民の利便性の向上並びに行政運営の簡素化、効率化及び透明性の向上を挙げるにとどまっていました。これでは、合理化のみが国や地方公共団体のデジタル施策の中心であるかの印象を与えることから、我が党としては、国民の所得と資産を捕捉した上で、取るべきところから取り、手を差し伸べる方々にはしっかりと手を差し伸べることのできる公正な給付と負担を確保すべきと提案をしました。そうしたところ、自民、公明の皆さんには御賛同いただき、三会派で修正案を提出、衆議院で可決されました。関係の方々には感謝を申し上げます。この修正により、透明で公平公正な経済社会の構築に、より近づけることが可能になったと考えますが、総理の御所見をお伺いをします。
 一方、我が党と国民民主党が共同で提出をした全ての預貯金口座へのマイナンバーのひも付けを義務化する法案は、与党も含めた多数に否決されました。このことは、マイナンバーフル活用に向けて政府・与党の覚悟が欠如しているあかしだと言っても過言ではありません。行政の情報管理を効率化し、給付と負担の適切な関係に資するマイナンバー制度の趣旨からすれば、本来任意ではなく、全ての預貯金口座にマイナンバーを付番すべきものです。中途半端な取り組み方で、日本のデジタル社会の未来を本当に明るいものにできますか。デジタル改革担当大臣の見解を求めます。
 デジタル教科書についてお聞きをします。
 過日、文科省の有識者会議が、小中学校において二〇二四年度にデジタル教科書の本格導入を目指す中間取りまとめ案を策定をしました。教科書のデジタル化は時代の要請であり、適切に利活用すれば、教育の質を飛躍的に上げていくツールになります。しかしながら、教職員や保護者らの間では、従来の紙の教科書からの転換に対し、子供の視力低下や通信環境の確保といった不安もくすぶります。対応を誤れば、宝の持ち腐れになりかねません。
 そこで、文部科学大臣に伺います。
 文科省は、今年度からデジタル教科書を無制限に利活用できるようにし、あわせて、全国の小中学校で教育上の効果や健康面への影響を含めた実証研究を行うとされていますが、その過程で教職員や保護者らの不安を払拭するためにどのような措置を講じ、デジタル教科書に対する理解を得るお考えですか。
 また、実証研究の検証次第では、デジタル教科書への完全移行の方向性を見直すという選択肢もあるのですか。紙の教科書が無償提供であるのに対し、デジタル教科書は移行期ゆえに有償提供とされていますが、デジタル教科書を有償とする具体的な理由は何ですか。将来的にデジタル教科書も紙の教科書同様に無償とする考えはありますか。明快な答弁を求めます。
 最後に、ワクチンパスポートについてお尋ねします。
 新型コロナのワクチン接種が世界的に進む中、ワクチンパスポートの導入が広がりつつあります。
 実際、EUでは、仕事や観光で域内の移動制限を緩和するため、接種した人に接種歴や感染結果を示すデジタル証明書を発行する方針で、EU域外でも機能するよう国際機関と協力するとのことです。また、中国やシンガポール等も国際的な移動再開に向けて複数の国と協議を始めようとしています。この流れは、間違いなく広がっていきます。
 ところが、我が国ではワクチンパスポートの普及を想定した本格的な準備が進んでいません。
 そこで、ワクチンパスポートが世界で広がりつつあることを踏まえ、我が国としても具体的な対応策を加速すべきではありませんか。また、ワクチンパスポートのルール化、偽造対策等について、日本の意向を反映すべく国際協議を本格的に始めるべきではありませんか。併せて総理の御所見をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕

#20
○内閣総理大臣(菅義偉君) 柴田巧議員にお答えをいたします。
 デジタル化の遅れの要因等についてお尋ねがありました。
 政府の情報システムは、これまで各府省ばらばらで整備してきたため非効率が生じているといった問題がかねてより指摘されており、今般のデジタル改革の検討において、従来の体制はそういった課題に対しての調整機能が必ずしも十分でなかったとの認識に至っております。
 このため、政府情報システムの統括、監理や各府省への勧告権を持つ強力な権限を有するデジタル庁を創設をし、組織の縦割りを排し、デジタル化を強力に進めてまいります。
 デジタル庁による課題解釈、課題解決の方策についてお尋ねがありました。
 デジタル庁は、組織の縦割りを排し、強力な権能と初年度は三千億円の予算を持つ組織として、国全体のデジタル化を主導をします。
 具体的には、政府情報システムを統括するほか、自治体のシステムの統一・標準化、マイナンバーカードの普及などを担うこと、関係行政機関の長に対して勧告権を持つことで、迅速、強力な政策調整を担うこととしております。その際に、既存の規制がデジタル化の障害となることがあれば、ちゅうちょなく大胆に改革をし、国民の利便性の向上を第一に取り組んでまいります。
 これにより、国、地方、民間を通じたデジタル化を強力に進めてまいります。
 デジタル化による行政の手続コストの削減についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、デジタル化によって行政機関の事務コストを削減をし、その削減分を新たな価値を生み出すデジタル投資に振り向けることは極めて重要と承知をしております。
 我が国では、昨年まで行政手続コスト二〇%削減との目標を掲げ、書類の削減などにより、三年間で目標を達しています。
 今後、デジタル庁において全ての政府情報システムについて統括、監理を行う中で、具体的なコスト削減効果も含め、明確な数値目標や具体的な工程表を作成をしてまいります。
 コスト削減への総量規制導入の検討についてお尋ねがありました。
 規制は、その時々の必要性があって設けられるものであり、随時見直しを行うことは当然であります。
 議員御指摘の手法については、見直しを進める一つの手法だと考えられますが、我が国では、昨年まで行政手続コスト二〇%削減との目標を掲げ、書類の削減などにより、三年間で目標を達成をしております。
 さらに、行政手続の書面、押印、対面の見直しなどの規制改革を進めており、デジタル化の障害となるあらゆる規制を見直し、行政のデジタル化を実現をしてまいります。
 公正な給付と負担の確保についてお尋ねがありました。
 今回の法案では、デジタル社会のインフラであるマイナンバーの利用を促進しており、これは、国民の利便性の向上と行政の効率化、さらには公正な給付と負担の確保につながるものと考えます。
 政府としては、今回の法案が衆議院において修正されたことを踏まえ、必要な施策を講じながら透明で公平公正な経済社会の実現を目指してまいります。
 新型コロナのワクチンパスポートについてお尋ねがありました。
 政府としては、まずは国民の皆さんが自らの判断でワクチンを接種いただけるよう、ワクチンの副反応や効果を含め、情報発信をしっかりと行っているところであります。
 その上で、御指摘のワクチンパスポートについては、WHOにおけるワーキンググループに参加することなどを通じ、引き続き、知見の収集に努めつつ、国内外の議論や各国の対応状況を注視をしてまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣平井卓也君登壇、拍手〕

#21
○国務大臣(平井卓也君) 柴田議員の質問にお答え申し上げます。
 行政サービスの利便性向上、行政運営の簡素化、効率化についてのお尋ねがありました。
 行政におけるデジタル化においては、それ自体を目的とするのではなく、対面原則や書面原則などの制度そのものを見直し、利用者と行政機関間のフロント部分だけでなくバックオフィスも含めたエンド・ツー・エンドで、デジタルを前提として業務プロセスを再構築する業務改革を実施することで行政サービスの刷新を徹底することが重要と考えています。
 このような取組を各省と連携しつつ進めることで、利用者の利便性向上と行政運営の簡素化、効率化を図ってまいります。
 預貯金口座個人番号利用申出法案についてのお尋ねがありました。
 本法案は、国民の皆さんの負担軽減のための制度として、希望者による付番の申出としており、国民に義務付けることはしていません。一方で、金融機関への義務として、新規口座開設時等の際に、国民に対して、本人同意を前提としてマイナンバーをお尋ねするという義務を規定しています。
 これまで、特定口座などの証券口座は口座名義人本人に告知義務を付しましたが、付番が進まなかったこともあり、罰則がない義務化の効力には疑問もあります。結果的にどうすれば一番付番がスムーズに進むかということが重要であり、付番の申出のしやすさ、その結果受け取られる具体的な国民の皆様のメリットを充実させることにより、付番の実効性を高めることとしています。
 相続時や災害時に口座の所在を的確に確認できるなど、預貯金口座へ付番することのメリットを国民に対し十分に説明し、付番を促進することによって、デジタル化の利便性を実感できる社会を実現してまいります。(拍手)
   〔国務大臣萩生田光一君登壇、拍手〕

#22
○国務大臣(萩生田光一君) 柴田議員にお答えいたします。
 まず、デジタル教科書への理解と今後の方針についてお尋ねがありました。
 デジタル教科書については、普及率が約八%と低いことから、まずは実際に使用していただくことが最初の一歩であると考えております。
 そのため、令和三年度予算において小中学校等にデジタル教科書を広く提供するとともに、教員の授業実践に資する事例集や研修動画を作成を行うこと等を通して、関係者の不安を払拭してまいります。
 また、デジタル教科書の今後の在り方については、これまでに完全移行の方向性を示したことはなく、有識者会議の中間まとめにおいても、紙の教科書との関係等を含め、令和三年度に実施する実証研究の成果等を踏まえて更に検討を行う必要があるとされています。
 このため、文部科学省としては、丁寧にスモールステップで検討を重ねることが重要であると考えております。
 次に、デジタル教科書の無償給与についてお尋ねがありました。
 学校教育法第三十四条第一項に規定する教科書用図書は、紙の教科書のみを意味しており、学習者用デジタル教科書は、教科用図書に代えて使用することができる教材ではあるものの、教科用図書の定義には該当しないため、無償給与の対象とはされておりません。
 今後、デジタル教科書を無償給与制度の対象とするかどうかについては、紙の教科書とデジタル教科書との関係に関する検討と併せて、有識者会議において引き続き議論していただきたいと考えております。(拍手)
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#23
○議長(山東昭子君) 矢田わか子さん。
   〔矢田わか子君登壇、拍手〕

#24
○矢田わか子君 国民民主党・新緑風会の矢田わか子です。
 会派を代表し、デジタル改革関連法案について質問をいたします。
 まず、幾ら法案相互の関連性があるとはいえ、五つの法案、関連する六十三本もの法律改正を伴う法案を一つに束ね、一括審議するやり方では、慎重かつ十分な審議が保証されず、このような国会運営に大いに問題があることを冒頭に指摘いたします。
 さて、デジタル社会の実現は、経済産業の発展とともに、市民の行政アクセスの利便性を向上させ、様々な社会的課題の解決を可能とするものです。
 しかし、残念ながら、我が国のデジタル化は、欧米の先進国や隣国の韓国、台湾からも大きく後れを取っており、特に、今回のコロナ禍で行政のデジタル化の遅れによる問題が浮き彫りになりました。今こそあらゆる分野にデジタル活動を推進し、行政の効率化と経済活動や生活上の利便性を高めていく必要があります。
 一方、経済社会におけるデジタル化や電子政府の構築においては、膨大な個人情報が蓄積され、システムの不具合や意図的な情報流出などにより、人権侵害や不正行為が起こるリスクも高まっています。個人情報取得ルールやデータ利活用ルールの整備、あるいは社会全体でセキュリティー強化など、徹底した対応も必要です。
 これらの視点から、以下、十項目について質問いたします。
 まず一つ目に、新型コロナ対策関連の問題について伺います。
 今般、コロナ感染対策の中で、日本の行政におけるデジタル化の遅れが深刻であること、露呈されました。特に、マイナンバーカードの普及の低迷と、行政サービス向上につながるシステムの構築が進んでいないことから、オンラインによる給付金申請手続にさえも不具合が生じました。
 また、感染者等情報把握・管理支援システム、HER―SYSも、自治体の個人情報保護規定により参加が遅れた自治体があったり、また、COCOAもいまだ有効に機能していないなど、コロナ対策だけでも多くの課題が残っています。
 感染拡大が収まらない中、国民の命と生活を守るために、デジタル技術の導入拡大とシステムの信頼性、どのように高めていかれるのか、総理の御見解をお願いします。
 二つ目に、デジタルデバイドの対応についてです。
 デジタル化社会は、全ての人がその恩恵を享受できるものでなければなりません。例えば、新しい技術や操作に不慣れな高齢者や障害者などへの配慮、あるいはコロナ禍でリモート学習から取り残される児童への支援なども取り組んでいく必要があります。
 幅広い世代の方のニーズに合わせた最適化、一人一人、誰一人取り残さないという、デジタルデバイドを解消する対策について総理の御所見を伺います。
 三つ目に、デジタル庁設置と中央省庁の業務改善についてです。
 行政のデジタル化は、中央官庁間における情報の共有化とシステムの共通化によるコスト削減という目的のみならず、業務改善が行われ、公務員の皆さんの働き方改革に資するものでなければなりません。
 中央省庁では、昨年末からの調査で、過労死ラインである月平均八十時間を超える超過勤務をした職員が何と六千七百人を超え、百時間超えも三千人近くいます。残業手当不払事例も多々あり、多くの若手公務員が退職の道を選択する実情の中、デジタル化における働き方改革は必須であります。
 この課題について、デジタル庁、どのように主導されていくのか、平井大臣、御見解をお願いします。
 四つ目、地方自治体のデジタル化とクラウド活用についてです。
 行政のデジタル化では、中央と地方が連携した電子政府の構築が大きな目標です。全国的な標準化が費用対効果の面で妥当性があるのか、また住民サービスの向上に大きな効果をもたらすのか、詳細な検討が必要です。
 地方公共団体では、国が基本方針を策定しても、団体ごとに個別解釈とカスタマイズが発生し、システムの不統一性が継承される可能性があります。地方自治体の独自性を尊重しつつも、国全体の共通仕様に落とし込むところまで国として細かく指導されるのか、平井大臣、今後の方針を伺います。
 あわせて、クラウド活用は、コスト面や標準化の推進で大きなメリットがある一方、リスク管理上、他国のクラウド活用で本当にいいのか、また、通信障害などが起こると全国一斉でシステムダウンすることとなり、システムの安定性や安全性の確保をどのように考えておられるのか、平井大臣、お伺いします。
 五つ目には、個人情報保護法との関係、センシティブ情報の扱いです。
 個人情報保護法の改正をめぐって、衆議院の審議では、個人情報保護政策を後退させ監視社会がつくられるとする意見と、保護水準がより上がるという二つの意見が出ています。
 特に、思想信条、病歴、犯罪歴などのセンシティブ情報については、収集禁止など厳しい規定を設けている地方公共団体がある中で、今回の改正における問題点、指摘されていますが、総理の見解を求めます。
 六つ目に、マイナンバーカードの普及、活用についてですが、カードの普及率いまだ二八%、低い要因は、発行手続の面倒さとカード所有の必要性が感じられないというものです。
 カード使用による行政サービスの利便性向上はもとより、民間企業の様々なサービスの取り込みを推進するとともに、運転免許証や健康保険証など公的証明とマイナンバーカードの一元化、より推進することが必要です。さらに、スマートフォンと連動した各種手続や、将来的な電子投票への活用も推進すべきであると考えますが、今後の対応について平井大臣の御見解を伺います。
 七つ目に、マイナンバーの預貯金口座の登録に関して伺います。
 災害時や今回のコロナ感染拡大など、緊急時において給付金を迅速に支給できる、いわゆる命の口座を設定することは重要であると考えます。
 今回、貯金通帳を失った場合などの対応も含め、預貯金口座とマイナンバーを国に登録する法案が提出されていますが、あわせて、金融機関全ての口座にマイナンバーを付与、付番することを義務付けるべきと考えています。
 これは、社会保障制度を運営していく上で、負担と給付の公正性を確保するために必要な措置であり、特に我が国においては、個人や世帯に対する様々な給付金、支援制度においてその多くに所得制限が課せられており、所得と資産の的確な把握が今こそ不可欠です。格差が拡大する社会の中でマイナンバーを活用することが重要と考えます。総理の御見解をお願いします。
 次に、システムエンジニア、いわゆるSEの業務負荷の軽減について質問します。
 先日、厚生労働省のシステム開発を担っていた若いSE労働者が過労死の労災認定を受けました。
 国は、地方自治体に対し、住民基本台帳、国民健康保険、国民年金など十七の業務において、二〇二三年度から二五年度の間で、ガバメントクラウドを活用した標準準拠システムへ切り替えることを指示しています。しかし、この移行作業が短期間に集中することでSEが高負荷労働を強いられ、結果として品質の低下や計画未達を招くことが懸念されます。これを避けるために計画的な推進が必要です。
 SEの世界では、過度な業務による疾患、休職、退職が続いており、社会全体でSEの業務改善について配慮していく必要があると考えます。平井大臣の御見解をお願いします。
 続いて、政府のIT調達の在り方について伺います。
 これまで、政府のシステム構築においては、コンサルタント会社が作成した仕様が曖昧であったり不正確であったことにより、請け負った事業者が技術的な困難に直面したり、幾度もの仕様変更で費用の予算を超過することなどの問題が生じているケース、多々報告されています。かかる問題は、デジタル庁が主導するシステム調達の一元化や標準化によりある程度は改善されるものと期待しますが、今後の的確な調達の在り方について、平井大臣の見解を伺います。
 最後に、IT人材の育成と魅力あるIT産業の実現について伺います。
 デジタルトランスフォーメーション、DXの成否は各企業のIT人材が鍵を握ると言われていますが、我が国では、IT人材がIT企業に偏在しており、このことが一般企業でDXが進まない一因とされています。DXを担えるIT人材の育成、国としても積極的に推進していただきたいと考えます。
 特に、IT産業では、請負的なシステムインテグレーションビジネスが主流で、レガシーシステムの保守業務が多く、魅力、やりがいを感じられない業務になっていることが指摘されています。
 処遇改善につながる資格制度などを新設し、専門性のある事業領域を設定するなど、IT業務の価値とIT産業の魅力を高める取組が必要であると考えますが、梶山大臣の御見解を伺います。
 政府への信頼なくして真のデジタル社会の実現はありません。このことを再度改めて指摘し、私の代表質問といたします。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕

#25
○内閣総理大臣(菅義偉君) 矢田わか子議員にお答えをいたします。
 システムの信頼性向上についてお尋ねがありました。
 これまで、政府内や自治体において情報システムがばらばらに構築され、デジタル化の遅れが指摘されてきました。デジタル庁が政府情報システムの統括を担い、関係予算の一括計上を行うことで、システムの効率的、効果的な調達、運営が可能となります。その中で、新型コロナへの対応など緊急かつ重要なシステムについては、デジタル庁が自ら開発してまいります。
 これらの仕組みを通じて、デジタル技術の導入拡大とシステムの信頼向上を強力に進めてまいります。
 デジタルデバイドを解消する対策についてお尋ねがありました。
 今回の法案では、誰一人取り残さないとの考えの下に、情報の格差を着実に是正する措置を講じることといたしております。具体的には、誰にとっても使い勝手が良い行政サービスへの刷新、身近な場所で身近な人から機器やサービスの利用方法などを学べる環境づくり、子供たちの希望や発達段階に応じたオンライン教育などを推進をしてまいります。
 個人情報保護法の改正についてお尋ねがありました。
 今般の改正案では、思想信条、病歴、犯罪歴などのいわゆるセンシティブ情報について、行政機関は、他の個人情報と同様に、法令の定める所掌事務を遂行するために必要な場合に限り保有できることとして、それ以外の場合の保有を禁止いたしております。このため、既に厳しい規定を設けている地方自治体も含め、センシティブな個人情報の保護水準が後退することはないと考えます。
 マイナンバーと預貯金口座のひも付けについてお尋ねがありました。
 預貯金口座にマイナンバーを付番することによって、公正な給付の実現や、所在の分からない口座情報の把握に資するようになります。そのため、今回の法案では、新規口座開設時に金融機関がマイナンバーの告知を求めることを義務付けることとしており、早期の成立をお願いをいたします。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣平井卓也君登壇、拍手〕

#26
○国務大臣(平井卓也君) 矢田わか子議員にお答え申し上げます。
 デジタル化による中央省庁の業務改善と働き方改革についてのお尋ねがありました。
 行政におけるデジタル化においては、それ自体を目的とするのではなく、対面原則や書面原則などの制度そのものを見直し、利用者と行政機関間のフロント部門でなくバックオフィスも含めたエンド・ツー・エンドで、デジタルを前提として業務プロセスを再構築する業務改革を実施することで行政サービスの刷新を徹底することが重要と考えています。
 また、政府全体の働き方改革は急務であり、組織を挙げて業務の見直しやデジタル化による効率化を進めるとともに、人事評価などによるマネジメントの改善を行うなど、職場環境の改善に取り組むことが重要です。
 デジタル庁においては、現場の実態を踏まえながら、最新のデジタル技術を活用して、このような課題解決に積極的に取り組んでまいります。
 地方自治体のデジタル化とクラウド活用の課題についてのお尋ねがありました。
 地方自治体の主要な基幹業務のシステムについては、原則全ての地方自治体が令和七年度末までに標準仕様に準拠したアプリケーションに移行する方針です。
 このことに関しては、別途国会に提出中の地方公共団体情報システムの標準化に関する法律案において規定しており、現在、衆議院において御審議をいただいているところであります。
 また、基幹業務システムの標準仕様については、現在、制度所管省庁が地方自治体や事業者の意見を丁寧に聞きながら作成しているところであり、それに基づき、国が整備するガバメントクラウド上に構築するアプリケーションを地方自治体は利用することとなります。
 ガバメントクラウドについては、その安全性については、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度であるISMAPに登録されたサービスから調達することを原則とし、不正アクセス防止やデータ暗号化などにおいて最新かつ最高レベルの情報セキュリティーが確保できることや、データセンターの物理的所在地が日本国内であることなどを選定基準とすることを考えています。また、その可用性については、同一構成によるセンターを東西に構築すること等を考えています。
 このような取組を通じて、地方自治体がガバメントクラウドを安心して効果的に活用できる仕組みを構築してまいります。
 マイナンバーカードの普及、活用についてのお尋ねがありました。
 マイナンバーカードは、市町村における厳格な本人確認を経て発行され、対面に加えて非対面でもオンラインで確実な本人確認を行うことができる最高位の身分証であり、各種の手続をオンラインで完結できる、安全、安心で利便性の高いデジタル社会のパスポートとして重要であると考えております。
 本法案では、マイナンバーカードの利便性向上のため、電子証明書のスマートフォンへの搭載、本人同意に基づく民間事業者等の署名検証者への最新の住所情報等の提供、転出転入手続のワンストップ化などを行うこととしております。
 今後も、健康保険証としての利用や運転免許証との一体化など、カードの利便性の向上が進むよう、関係府省庁と連携して対応してまいります。
 また、民間サービスにおいても、これまで、オンライン証券やオンラインバンクの口座開設、住宅ローンのオンライン契約などにおいて本人確認のためのマイナンバーカードの利用が進んでおります。
 これらの取組を通じ、令和四年度末にはほぼ全国民に行き渡ることを目指し、カード普及を推進してまいります。
 システムエンジニアの業務負荷に配慮した地方自治体システム統一・標準化の計画的な推進についてのお尋ねがありました。
 地方自治体の基幹業務等のシステムについて、ガバメントクラウドに構築される標準準拠システムへの移行を進めるに当たっては、計画的に進めることが重要と考えており、総務省や都道府県とも連携し、地方自治体の着実な取組への支援を行ってまいります。
 移行の方法については、地方自治体のシステムの状況に応じて多様であると考えており、今後、ガバメントクラウドへの移行に係る課題の検証を行う先行事業において検討し、幾つかの移行パターンを提示してまいります。それらの移行パターンの中から、市町村が実情に応じて最も安全かつ円滑に移行できる方法を選択することによって、移行に係る作業が効率化され、標準準拠システムへの移行を支えるシステムエンジニアの業務負荷の軽減にも資するものと考えております。
 政府のIT調達の改善についてのお尋ねがありました。
 情報システムの調達においては、専門家を養成しつつ、発注者側の能力を向上させることが重要だと考えています。デジタル庁においては、民間人材を幅広く登用することを含め、体制を大幅に拡充すること、政府が共通して利用する基盤的なシステムについては、デジタル庁自らが整備をすることとしております。
 あわせて、デジタル庁に専門的な知見が蓄積されるようにしながら、全ての政府情報システムを対象として、プロジェクトの方向性、経費の妥当性、仕様どおりの調達、運用が行われているかなどを検証する一元的なプロジェクト管理を強化し、政府全体としてIT調達が適切に行えるように取り組んでまいります。(拍手)
   〔国務大臣梶山弘志君登壇、拍手〕

#27
○国務大臣(梶山弘志君) 矢田わか子議員からの御質問にお答えいたします。
 IT人材の育成と魅力あるIT産業の実現についてお尋ねがありました。
 我が国において、IT人材がIT企業に約七割と偏在をしておりまして、ユーザー企業におけるIT人材の不足感は年々高まっています。企業のDXを進めていく上で、人材の確保は重要な課題となっております。
 経済産業省では、IT人材の育成に向けて、能力を可視化する情報処理技術者試験の実施や、AI、データ等の先端分野の高度な能力を習得できる講座を第四次産業革命スキル習得講座として認定するなどの取組を進めております。
 また、IT業務の価値を高めるため、レガシーシステムからの脱却をし、経営改革につながるような企業のDXを促してまいります。特に、IT産業において、請負的なシステムインテグレーションにとどまらない高付加価値なビジネスへの変革を促すための要点集を取りまとめる等の取組を進めております。
 今後とも、IT人材の育成と魅力あるIT産業の実現に向けて取組を進めてまいります。(拍手)
    ─────────────

#28
○議長(山東昭子君) 田村智子さん。
   〔田村智子君登壇、拍手〕

#29
○田村智子君 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりましたデジタル改革関連五法案について、菅総理に質問いたします。
 昨年九月、総裁選挙に勝利した菅新総裁は、デジタル庁創設を目玉政策として掲げました。ここから異例のスピードで新法二法案、現行法二百十七本に影響を与える改正法案として本法案が国会に提出されたのです。国会提出後に、法案関係資料に四十五か所もの誤りがあったことは、この立案がいかに拙速であったかを示しています。
 まず、確認いたします。
 国民の個人情報の取扱いの根幹に関わる法案作成に当たって、国民からの意見集約、審議会等での検討はどのように行われたのでしょうか。
 しかも、今は変異株の急激な感染拡大という新型コロナ感染第四波のさなかです。この非常時に、デジタル改革だといって、マイナンバーカードの普及、自治体業務のデジタル化などを上からの号令で進めることは、自治体の新型コロナ対策の足を引っ張るものではありませんか。総理の答弁を求めます。
 政府の目指すデジタル社会とは、端的に言えば、国と自治体のデジタル化を進め、国や自治体が集積した個人情報を民間が利活用できるように積極的にデータを提供することで実現すると考えますが、いかがでしょうか。
 また、総理が議長を務める経済財政諮問会議では、健康保険証を廃止してマイナンバーカードと一体化するという議論までありますが、これは窓口での本人確認をむしろ煩雑にするとの指摘もあります。医療現場に混乱を押し付けてまでマイナンバーカードの普及を進めるのはなぜでしょう。利便性や安全性、費用対効果への疑問が多数あるのに、なぜ普及ありきで推し進めるのですか。
 デジタル技術が国民生活に利便性をもたらすことを私も期待します。しかし、そのためには、自分の個人情報がどのように管理され、どのように利活用されているのかを知ることができ、意思に反する利活用を拒否できる権利、個人情報の自己コントロール権の保障など、プライバシー権の保障が必要ではありませんか。本法案に、このような個人情報の取扱いの理念、基本方針が欠如しているのはなぜか、総理の答弁を求めます。
 これまでも政府は、個人情報のビッグデータ化と利活用を促進してきました。個人情報の匿名加工を民間事業者が行うことを認め、匿名加工すれば個人情報ではないとの扱いで、本人同意なき民間への提供も促進されています。
 衆議院の審議では、独立行政法人住宅金融支援機構が、非識別加工した約百十八万人分の個人情報ファイルを住信SBIネット銀行に提供したとの答弁がありました。住宅取得以外の借入残高、自己資金、融資申込金額、返済期間、職業、前年年収、申込時の年齢、家族構成、現住所、郵便番号、購入物件の郵便番号や床面積、土地や建物の購入費など、膨大な個人情報がデータ化され提供されたのです。住信SBI銀行は、これらを住宅ローンのAI審査モデルの構築に活用したとのことです。
 これは、行政機関がわざわざ民間から提案募集して行った情報提供です。今後、このような個人情報の利活用を一層進めるということでしょうか。年収、借入金、家族構成などは住宅資金借入の目的で提供された個人情報であって、第三者への提供を望まないのは当然ではありませんか。このように、本人同意なき利活用を更に大規模に促進することは、個人情報保護、プライバシー権の保護を大きく後退させるものではありませんか。
 今、政府は、自ら保有する個人情報ファイルを非識別加工して、民間に利活用を売り込んでいます。昨年十二月、防衛省が利活用の提案を募集した個人情報ファイルの中には、横田基地夜間差止等請求事件ファイル(訴訟原告名簿)など、この裁判に関わる十五本の個人情報ファイルがあります。当事者である原告団、弁護団は、今年三月、直ちに提案の対象ファイルから削除すること、原告らの情報を訴訟外において一切利用しないことを強く求めるとする申入れを防衛大臣に行っています。
 これらのファイルには、氏名、住所、年齢、生年月日、控訴の有無、陳述書の提出の有無、損害賠償金額やその内訳も記されており、極めて機密性の高い文書であることは明らかです。非識別加工がされていても、個人が識別されることも危惧されます。提案の募集を取り下げるべきではありませんか。このような国による情報提供は、国に対する訴訟をためらわせる圧力ともなるのではありませんか。国の情報集約が国民への監視、市民活動の萎縮につながる重大な事案であり、総理の明確な答弁を求めるものです。
 デジタル技術の発展と大量の個人情報の利活用が進む下で、政府に求められるのは、むしろ新しい事態に対応した個人情報保護制度の見直し、発展ではないでしょうか。
 今年二月のニューヨーク・タイムズの記事が大きな反響を呼びました。米国のターゲット社が女性の買物行動をプロファイリングし、妊娠予測をして妊婦に必要な商品のクーポン付き広告を送付していたとの記事です。送付された一人は高校生で、驚いた父親がターゲット社に抗議した後に娘の妊娠を知ったというのです。日常の購買情報のビッグデータを使ったプロファイリングによって、妊娠あるいは病気などのセンシティブな情報を特定することができるのです。こういうプロファイリングは禁止されるべきだと考えませんか。
 米国大統領選挙をめぐるフェイスブック・ケンブリッジ・アナリティカ事件は、フェイスブックに登録されたプロフィールやいいねの情報から、個人の性格特性を予測し、効果的なターゲット広告を行い、トランプ氏支持へと誘導したとされる事件です。個人情報の利活用が投票動向にまで影響を与える現状を総理はどう思われますか。
 日本でも、就職活動中の学生がどの企業のサイトにアクセスしたかをプロファイリングして、内定辞退率を計算するというリクナビ事件が起きています。個人情報保護委員会は、本人同意の不十分さを指摘したにとどまりましたが、厚労省職安局は、学生に企業情報の取得をためらわせ、就職活動の自由を制限する事件として、リクナビ社を厳しく是正指導しています。
 昨年の個人情報保護法改正の際、私はリクナビ事件を詳細に取り上げ、個人情報のプロファイリングが個人に不利益をもたらす、個人の行動の自由を阻害する事案として指摘し、プロファイリング規制の検討を求めました。本法案の策定に当たり、政府はどのように検討されたのでしょうか。総理の答弁を求めます。
 最後に、地方自治との関係についてです。
 本法案は、国の行政機関、独立行政法人、民間事業者それぞれに定められている個人情報保護制度を一元化するとともに、各自治体の個人情報保護条例も国の基準に合わせるよう求めています。自治体の条例は、歴史的な住民の運動の中で制定されたものです。その独自性や国の基準よりも厳しい規定は法律によって認めないということでしょうか。
 また、税、社会保障、就学に関わる各自治体の情報システムをデジタル庁が策定するシステムに統一して管理することを求めていますが、統一されたシステムによって地方自治体が管理する個人情報のビッグデータ化と利活用の環境整備を進めるものではありませんか。国民健康保険料あるいは国保税、子供の医療費の負担軽減、独自の保育料算定基準など、自治体独自の制度を続けるにはシステムの上乗せや横出しなど費用負担を自治体に強いることになるのではありませんか。
 以上、総理の答弁を求め、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕

#30
○内閣総理大臣(菅義偉君) 田村智子議員にお答えをいたします。
 法案の検討経緯などについてお尋ねがありました。
 昨年の秋以降、学識経験者、地方団体関係者、消費者団体の代表者、産業界の代表者など、幅広い分野の有識者により構成をされた有識者会合において議論を行い、その結果を踏まえて取りまとめた基本方針に基づき、今回の法案を立案したものであります。
 今回の感染症では、行政サービスや民間におけるデジタル化の遅れなど、様々な課題が浮き彫りになりました。そのため、自治体のシステムの標準化、マイナンバーカードの普及や利便性向上などは自治体と協力をして速やかに進めるべき必要な改革と考えております。
 デジタル社会やマイナンバーカードについてお尋ねがありました。
 今回の法案では、個人情報の一元管理を図るものではなく、国や地方自治体において引き続きそれぞれ個人情報を保有することを前提に、システムやルールを標準化、共通化し、データも利活用しようとするものです。
 また、マイナンバーカードを保険証として利用できる仕組みについては、患者の利便性の向上と医療保険事務の効率化を図るものであり、遅くとも本年十月までに本格運用を開始します。当該システムは、公的個人認証などの既存インフラを最大限活用するなど、安全かつ効率的な仕組みとなっております。
 個人情報保護法の改正と、いわゆる自己情報コントロール権等についてお尋ねがありました。
 今回の法案においては、いわゆる自己情報コントロール権等を権利として規定はしておりませんが、本人による個人情報の開示、訂正、利用停止などを可能とする規定を設けております。今回の法案は、これらの規定により、個人の権利利益を実効的に保護するものとなっていると認識をしております。
 住宅資金に関する個人情報の利活用についてお尋ねがありました。
 御指摘の住宅資金の個人情報の利用については、特定の個人を識別できる情報を削除することなどにより、特定の個人を識別できないようにしたものと承知をしています。
 デジタル化による民間投資を促し、新たなサービスを生み出すことで国民の利便性を高めるためにも、法律の規定に基づきデータを匿名化することで、個人情報やプライバシー権の保護にも配慮しつつ、デジタルデータを利活用していくことは必要であると考えます。
 防衛省での個人情報の取扱いについてお尋ねがありました。
 個人情報ファイルの利活用の提案募集に際しては、基となる個人情報の開示、不開示の検討を厳格に行い、個人の権利利益の保護を図ることが大前提となります。
 防衛省では、令和三年度において、御指摘の個人情報ファイルについて、開示できる箇所が非常に限られていること等を総合的に勘案をし、提案募集を行わないこととしたものであります。
 プロファイリングの禁止についてお尋ねがありました。
 個人に関する行動、関心等の情報を分析する、いわゆるプロファイリングについては、例えばケンブリッジ・アナリティカ事件におけるフェイクニュースの情報発信のように、個人の権利利益を侵害する場合には問題となり得ると考えます。
 こうした新たな事態に対応し、個人情報保護制度を見直していくことは重要であると考えます。昨年の個人情報保護法改正においても、民間事業者に不適正利用の禁止の規律を導入するなど、プロファイリングの懸念に対応する改正を行ったところであります。
 政府としては、こうした個人情報保護法の規定に従い、引き続き個人情報の適正な取扱いの確保に努めてまいります。
 プロファイリング規制の検討についてお尋ねがありました。
 昨年の個人情報保護法改正においても、プロファイリングの懸念に対応する改正を行ったところです。今回の法案においても、昨年の法改正を踏まえ、不適正な利用の禁止等の規律を公的機関にも導入することとしております。
 政府としては、こうした個人情報保護法の規定に従い、引き続き個人情報の適正な取扱いの確保に努めてまいります。
 自治体独自の個人情報の保護についてお尋ねがありました。
 今回の改正は、全ての地方自治体に適用される全国的な共通ルールを法律で規定するものですが、今回の改正後も、法律の範囲内で、条例により必要最小限の独自の保護措置を講じることは可能としております。
 自治体のシステムの統一についてお尋ねがありました。
 地方自治体のシステムの標準化は、これまでばらばらに行われてきたシステムの整備と関連業務の効率化を目的とするものであり、一方、自治体が管理する個人情報について、法令の範囲を超えて利活用を推進するものではありません。
 また、自治体の独自施策も含めた各種施策については、行政運営上支障が生じないように適切に財政措置を講じてまいります。
 これからも、これらも含め、自治体の意見を丁寧に聞きながら、システム統一に向けた取組を適切に進めてまいります。(拍手)

#31
○議長(山東昭子君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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