くにさくロゴ
2021/04/20 第204回国会 参議院 第204回国会 参議院 総務委員会 第11号 令和3年4月20日
姉妹サイト
 
2021/04/20 第204回国会 参議院

第204回国会 参議院 総務委員会 第11号 令和3年4月20日

#1
令和三年四月二十日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十五日
    辞任         補欠選任
     舟山 康江君     芳賀 道也君
 四月十六日
    辞任         補欠選任
     高橋はるみ君     今井絵理子君
 四月十九日
    辞任         補欠選任
     芳賀 道也君     浜野 喜史君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         浜田 昌良君
    理 事
                進藤金日子君
                堀井  巌君
                那谷屋正義君
                若松 謙維君
                片山虎之助君
    委 員
                石井 正弘君
                今井絵理子君
                片山さつき君
                滝波 宏文君
                柘植 芳文君
                二之湯 智君
                長谷川 岳君
                松下 新平君
                三浦  靖君
                山本 順三君
                小沢 雅仁君
                岸 真紀子君
                吉川 沙織君
                吉田 忠智君
                下野 六太君
                柳ヶ瀬裕文君
                小林 正夫君
                浜野 喜史君
                伊藤  岳君
   国務大臣
       総務大臣     武田 良太君
   副大臣
       内閣府副大臣   山本 博司君
       総務副大臣    新谷 正義君
   大臣政務官
       総務大臣政務官  古川  康君
       厚生労働大臣政
       務官       こやり隆史君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐藤 研資君
   法制局側
       法制局長     川崎 政司君
   政府参考人
       総務省行政評価
       局長       白岩  俊君
       総務省自治行政
       局選挙部長    森  源二君
       総務省総合通信
       基盤局長     竹内 芳明君
       総務省サイバー
       セキュリティ統
       括官       田原 康生君
       法務省大臣官房
       審議官      堂薗幹一郎君
       法務省大臣官房
       司法法制部長   金子  修君
       法務省人権擁護
       局長       菊池  浩君
       厚生労働省大臣
       官房審議官    大坪 寛子君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限
 及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○連合審査会に関する件
    ─────────────

#2
○委員長(浜田昌良君) ただいまから総務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、舟山康江君及び高橋はるみ君が委員を辞任され、その補欠として浜野喜史君及び今井絵理子君が選任されました。
    ─────────────

#3
○委員長(浜田昌良君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、総務省行政評価局長白岩俊君外七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#4
○委員長(浜田昌良君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────

#5
○委員長(浜田昌良君) 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#6
○吉川沙織君 立憲民主党の吉川沙織でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 今通常国会においては、内閣提出議案の条文や関連資料に多くの誤りが判明し、議院運営委員会理事会や委員会で議論、質疑を行うとともに、本院においては、各会派合意の下、議院運営委員長から政府に対する要請についても行ったところでございます。
 そんな中、先週土曜日、特定会派の参院議員提出で成立した公職選挙法の罰則に関する条文の誤りについて報道がありました。選挙については当委員会の所管事項であり、民主主義の根幹である選挙に関わる法律の、しかも罰則の条文の誤りという重要な内容であることから、冒頭に事実確認だけさせていただければと思います。
 総務省に伺います。
 今回の条文誤りを総務省としてはいつ認識し、いつ参議院法制局にお伝えになりましたでしょうか。

#7
○政府参考人(森源二君) お答え申し上げます。
 総務省におきましては、平成三十年十二月に御指摘の条文改正の漏れに疑義を持ちまして、参議院法制局にこのことについて確認の連絡をいたしたところでございます。

#8
○吉川沙織君 法が、まあひどい形ではありましたけど、平成三十年の七月に可決、成立をして、法を誠実に執行する責務を負う行政府たる総務省としては条文のチェックをされていたところ、疑義が生じたので、それを参議院法制局に伝えたということだと思います。それが平成三十年十二月ということでした。
 では、参議院法制局は、総務省のこの伝達を受けて、これを当該議案の提出会派や参議院事務局に報告しましたか。

#9
○法制局長(川崎政司君) まず、この度は、私どもの不手際によりまして先生方に御心配をお掛けすることになりましたこと、心よりおわび申し上げます。
 その上で、お尋ねについてお答えをさせていただきます。
 平成三十年十二月、総務省から連絡を受けて、提出会派への報告、事務局に伝えるといったことはしておりません。

#10
○吉川沙織君 平成三十年十二月、今は令和三年四月ももう下旬です。約二年半放置をしていたことに結果としてなりますが、なぜ提出会派にも参議院事務局にも報告しなかった、その理由について教えてください。

#11
○法制局長(川崎政司君) まず、総務省から指摘を受けました平成三十年十二月の段階では、整理漏れの情報が担当の第三部長にとどまることになり、組織として共有することができなかったため、対応することができませんでした。
 その後、組織として把握するに、その後一年以上たってからでございますが、組織として把握するに至ったところ、これまで、そういうその条文の整理漏れのようなミスにつきましては、実質的な法律改正をする際に訂正をするといったようなことがございますので、その実質的な改正でどうにか改正できないかということでいろいろ模索をしている間に時間がたってしまったということでございます。申し訳ございません。

#12
○吉川沙織君 法制局長、先ほどから条文の整理漏れという言葉をお使いになりますが、総務省、これ条文誤りということでいいですよね、選挙部長。

#13
○政府参考人(森源二君) 条文として正しくない、誤っているというふうに認識をしているものでございます。

#14
○吉川沙織君 そもそも参議院法制局の認識として、昨日説明に来ていただきましたけど、そのときも条文の不整合という言葉で終わらせようとしている。今の説明も整理漏れとおっしゃいました。
 これはあくまで罰則に関わる条文の誤りそのものであって、今ほかの例をお引きになりましたけど、ほかの例は、改正のときにもう要らなくなった項目がその次の改正で整理をしたというだけであって、罰則に関わるとか条文の誤りそのものではありません。二年半放置してしまったということの責任は、特定会派の参議院議員提出の公職選挙法の改正ではありましたけれども、その主体として厳しく責任が問われてしまうのではないかと思いますが、ここで総務省選挙部にまた伺います。
 今回の条文誤りに係る罰則の適用についての見解を伺います。

#15
○政府参考人(森源二君) 公職選挙法の文言上、電子メールを利用する方法による選挙運動用文書図画の頒布に係る表示義務違反についての罰則の規定が正しく規定をされていない状況が生じているところでございまして、本来の立法意図に照らしまして、同規定が正しく適用されるか否かにつきましては、これ、最終的に個別の事案につきまして司法により判断されることになるものと考えているところでございます。

#16
○吉川沙織君 法律の執行段階にあれば、今選挙部長が答弁なさったとおり、一義的には検察が判断して、最終的には裁判所、つまり司法の判断になるというのは、確かにそのとおりだと思います。しかし、行政は法律を誠実に執行し、司法は争訟に対して法律を適用して裁定するのですから、いずれも法律がいかに規定しているかが重要であって、条ずれの単純ミスで生じた誤りであったとしても影響は甚大です。
 ここで改めて参議院法制局長に伺います。
 二年半近くも放置して、仮に、この間、令和元年の第二十五回参議院通常選挙ありました。今も現に三つの補欠選挙、再選挙が行われています。半年以内に総選挙も必ず執行される状況にある中で、この間、仮に何か事案があったらどうするおつもりだったんですか。

#17
○法制局長(川崎政司君) 私どもは、執行機関あるいはそういう罰則を適用するような機関ではございませんので、私どもとして何かできるということはございませんが、私どもとしましては、やはり、先ほど総務省がお答えになったように、規定の適用の可否については、個別の事案あるいは具体的な事実を踏まえて司法当局で判断し、対応していくことになるものというふうに考えていたところでございます。

#18
○吉川沙織君 法の執行に至ればそうかも分かりません。ただ、この条文の誤り、あくまで法制局は条文の整理漏れとか不整合とおっしゃいますけど、総務省は誠実に条文を読み下したら、これは条文の誤りだということです。しかも、罰則に関わる条文の誤りです。
 法的安定性を著しく欠く現状であるということ、法制局はミスを生じた主体として責任感に欠ける、せめて報告は即座にするべきだったと思います。我々の認識と大きな開きが残念ながらあるのではないかと思いますし、私、これ四月一日の議院運営委員会で官房長官に対しても申し上げました。条文の誤りは国民の権利義務に重大な影響を及ぼし、また、国民生活、経済活動に混乱を招きかねない、こういうことであるということを立法府の法制局としても改めて認識いただきたいと思います。
 ここでまた総務省選挙部に伺います。
 公職選挙法を所管し、誠実に執行する責務を有する総務省として、このような法の誤りが放置されている、この現状をどうお考えになりますか。

#19
○政府参考人(森源二君) 本件の条文改正の漏れによりまして、条文のある、誤りのある状況、これは本当に望ましくないもので、是正される必要があるものというふうに考えているところでございます。
 総務省としても、今後見込まれる直近の公職選挙法の改正に併せて本件についても是正されるようにするなど、引き続き参議院法制局などと連携してしっかりと対応させていただきたいと存じます。

#20
○吉川沙織君 今回の案件につきましては、総務省は、特定会派の参議院議員が提出した公職選挙法の改正で、まあ通っちゃったので、条文チェックして、それを出した主体である法制局に迅速にお伝えになった。それを判断する、報告をするのはあくまで参議院の法制局にあったはずです。
 ただ、このような誤りが生じてしまったのは、参議院改革協議会でも全く議論していなかった内容の法案、おととしの参議院選挙で初当選された議員の皆さんは御存じないかと思いますが、全く、参議院改革協議会で一年十七回掛けて選挙制度改革どうしようかと議論していた以外のものが突如出てきて、たった二週間とかそんなもので条文作成に携わった法制局は過大な負担が掛かったことは容易に想定されます。ですので、参議院改革協議会、前の参議院改革協議会でも全く議論していない内容の法案を急遽、各会派の合意が大事であるにもかかわらず、それをなさらなかった自民党会派にも私は責任があるのではないかと思います。
 今、選挙部長からお話ございましたとおり、罰則に係る条文の誤りそのものですので一刻も早く是正されるべき内容だと思いますので、ここは、今日午後一時から議院運営委員会理事会もございますので、やり取りをしていきたいと思います。
 参議院法制局長と選挙部長に対しては以上でございますので、委員長、お取り計らいよろしくお願いします。

#21
○委員長(浜田昌良君) 参議院法制局川崎法制局長及び総務省自治行政局森選挙部長はここで退席いただいて結構でございます。

#22
○吉川沙織君 本改正案について質問いたします。
 社会問題となっているインターネット上の誹謗中傷に対処するためのものでありますが、これ新たな裁判手続の新設等を行うものです。昨年五月には痛ましい事件もあったところでございますが、インターネット上の誹謗中傷の発生状況について総務大臣にお伺いいたします。

#23
○国務大臣(武田良太君) 総務省が委託運営を行っています違法・有害情報相談センターにおける相談対応件数は、平成二十七年度以降、約五千件で高止まりしており、センターにおける相談が開始された平成二十二年度と比較すると約四倍となっております。

#24
○吉川沙織君 センターが創設されてから約四倍、残念ながらインターネット上の誹謗中傷の事案は一方的に右肩上がりに増えてしまっているという状況が大臣の答弁から改めて分かりました。
 では、インターネット上の誹謗中傷とかあると思うんですけど、権利侵害事案としてはどのような類型が多いのか、総合通信基盤局長に伺います。

#25
○政府参考人(竹内芳明君) お答えいたします。
 総務省として国内のプロバイダーに対して行いました平成元年度の調査結果によりますと、最も多い類型は名誉毀損、プライバシー侵害事案であり、次いで知的財産権侵害事案が多いとの結果が出ております。この名誉毀損、プライバシー侵害事案には人権侵害事案が含まれているものでございます。令和元年度のアンケート結果でございます。

#26
○吉川沙織君 今の局長答弁によれば、名誉毀損、プライバシー、それから知的財産侵害事案も多い、その中で人権侵害も含まれるということであり、大変深刻な問題だと思います。
 権利侵害事案の多いプラットフォーマーはどこなのかということに関しては、四月八日の衆議院総務委員会での局長答弁によれば、最も多いのがツイッター、次いでグーグル、フェイスブックということでありましたが、近年、これらがもう当たり前のように使われるようになるとともに、権利侵害事案が増えているということも言えるかと思います。
 では、この法律、制定されたときは片山虎之助総務大臣のときでございましたけれども、それ以降どれぐらい改正されたか、局長、教えてください。

#27
○政府参考人(竹内芳明君) 平成十三年に現行法が成立して以降、法改正を実施したのは一回でございます。平成二十五年、インターネット選挙運動の解禁を内容とする公職選挙法の一部を改正する法律の公布、施行に伴いまして、選挙運動期間中における名誉侵害情報の流通に関する公職の候補等に係る損害賠償責任について特例を新設したものでございます。

#28
○吉川沙織君 それっていわゆる、まあ改正は改正なんでしょうけど、総務委員会でやっていました。

#29
○政府参考人(竹内芳明君) どの委員会で御審議いただくかは国会でお決めいただくことでございますが、たしか倫選特で御審議いただいたと記憶しております。

#30
○吉川沙織君 今局長が答弁なさった平成二十五年の公選法の改正は、いわゆるインターネット選挙運動ができるようにするための改正であって、そのためにこの法案も改正しなきゃいけないという理由であって、総務省が自発的に改正しましょうといった改正ではありません。
 法改正がその平成二十五年のインターネット選挙運動解禁に伴う改正であったということは確認できました。では、総務省令の改正の回数についてお伺いします。

#31
○政府参考人(竹内芳明君) 平成十四年にプロ責法の施行の際に開示請求の発信者情報を定める省令が制定されて以降、省令改正は四回実施してございます。
 これは、SIMカードの識別番号やポート番号、あるいは発信者の電話番号といった開示対象については省令で規定しておりますので、そうした改正を四回実施してございます。

#32
○吉川沙織君 つまり、平成十三年、片山虎之助総務大臣の下で本法が制定されて以降、改正は倫選特委員会では行われましたけど、総務委員会で自発的に行われたものはなく、省令改正は発信者番号開示の省令に伴う改正が四回。直近の例は去年の八月であると承知しておりますけれども、本当にこれでよかったのかというところで一つお伺いしたいと思います。
 先ほど総務大臣から、権利侵害事案の件数は増えているという答弁ありました。事実、先ほどもありましたけれども、違法・有害情報相談センターの相談件数は、インターネット上の人権侵害に関する人権侵犯事件数のいずれも、この十年の増加が非常に顕著です。よって、この対策の緊急性は高いと言えます。
 ただ、平成十二年に公表された当時の郵政省インターネット上の情報流通の適正確保に関する研究会報告書において、発信者情報開示については非訟手続の考え方が提言されていました。にもかかわらず、平成十三年のプロバイダー責任制限法制定時には、非訟手続ではなく開示請求に関する手続の制度整備が行われるにとどまって、以降、開示請求そのものに関する見直しは行われてきませんでした。
 現在に至るまで、今日現在に至るまで、プロバイダー責任制限法に、平成十二年の報告書、貴重な提言いっぱい書かれています、なぜこれを踏まえた非訟手続を整備することとならなかったんでしょうか。

#33
○政府参考人(竹内芳明君) 憲法第三十二条におきまして「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。」とされておりまして、憲法上実体的な権利義務関係の存否を終局的に確定する場合には訴訟手続によることが要請されております。
 このため、当時、郵政省におきましては、平成十二年の報告書を踏まえまして、平成十三年成立のプロバイダー責任制限法第四条におきまして発信者情報開示請求権を創設し、かかる権利義務の存否及びその内容を終局的に確定させるためには当事者が訴訟手続において争う機会を保障する必要があることから、訴訟手続で行う機会を保障したものでございます。
 なお、近年に至りまして迅速な被害者救済が求められてきていることから、今般、非訟手続を導入する形で見直しを行うものでございます。

#34
○吉川沙織君 今回は非訟、訴訟ではなくて非訟の手続を取ることも認めるわけですけれども、何でもっと早くやれなかったんでしょう。

#35
○政府参考人(竹内芳明君) 先ほど申し上げましたように、憲法上の要請によりまして、まず実体法上の発信者情報の開示請求権、これをまずは平成十三年の法律におきまして法律の第四条として規定をし、訴訟で争えるための根拠規定を置いたということでございます。
 その後、スマホの普及でございますとかSNSの利用の増大、こういったことに伴いまして、これは表現の自由と被害者の救済のバランスをどのように取っていくかということの上において、近年においては被害者の迅速な救済ということについての要請が高まってまいったという認識の下で、今回改正をお願いするものでございます。

#36
○吉川沙織君 発信者情報の開示、つまり被害者の救済、権利救済と表現の自由とのバランスというのは非常に大事だということは理解しますけれども、これだけ一気に法改正に、今まで至らなかったものが、憲法上の要請として、至らなかったものが今回至ったということは、やはり昨年五月のあの痛ましい事件も大きなきっかけになったんだと思われますが、もっと早く検討してもよかったのではないかと思います。
 では、この法案、改正案の施行期日は、公布の日から起算して一年六か月以内において政令で定める日となっていますが、公布日に施行しない理由と施行期日はいつ頃を見込んでおられるか、お伺いします。

#37
○政府参考人(竹内芳明君) 委員御指摘の本法の施行期日は、公布の日から起算して一年六月以内で政令で定める日としているところでございます。
 これは、この法律の施行に向けましては、最高裁判所規則や総務省令、さらに新設する開示命令事件に関する裁判手続において用いられる各種文書の様式などの検討や制定作業等が相当量発生すること、また、影響を受ける者の範囲が事業者等多岐にわたるために相当の準備期間、周知期間を必要とすることを勘案して定めたものでございます。

#38
○吉川沙織君 今回、総務省の法案で裁判手続を新たに創設するわけですし、本改正案の提案理由のところを読みますとこう書いてあります。「発信者情報の開示請求に係る新たな裁判手続を創設する」、こうあります。
 では、裁判所による決定手続を新設した最近の立法例について教えてください。

#39
○政府参考人(竹内芳明君) 裁判所による決定手続を新設いたしました最近の法律におきまして、例えば例といたしましては、令和元年に制定されました表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律及び平成十九年に改正されました犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律が挙げられます。これらの法、両法律につきましては、いずれも施行期日を一年六月以内で政令で定める日と定めているものでございます。

#40
○吉川沙織君 今局長の答弁で、新たな裁判手続を法律の中に定めた例として令和元年の例と平成十九年の法案を挙げていただいて、それはいずれも施行が一年六か月以内とされていると伺いました。
 では、この裁判手続を新たに新設した二つの法案が実際公布の日から施行までどの程度掛かったのか、教えてください。

#41
○政府参考人(竹内芳明君) 御説明いたしました二つの改正法につきましては、いずれも公布の日から約一年五か月後に施行されております。

#42
○吉川沙織君 では、今回のも、先ほど、なぜ公布と同時に施行できないのか、一年六か月以内にしているのかという理由のところで、局長の答弁によれば、最高裁の規則とか、あと裁判手続において定められるいろんなもの、それから総務省令の改正が多岐にわたるということが挙げられました。であると、やはり今回も緊急性がすごい高い法案であり、施行は早い方が、整えばいいと思うんですけれども、それなりの時間を要するということだと思います。
 ここで一つ確認させてください。今回の改正法が施行されるのが公布の日から一年以上掛かってしまう可能性が、蓋然性が高い中、その改正法施行より前に起きてしまった権利侵害事案について、本改正に基づく発信者情報開示請求を行うことは可能でしょうか。

#43
○政府参考人(竹内芳明君) 改正法施行より前に起きた権利侵害事案であっても、当該権利侵害事案について改正法に基づく開示命令の申立てを行うことは可能でございます。

#44
○吉川沙織君 今の答弁では、改正法がしばらく先の施行になるでしょうけれども、施行より前に起きてしまった権利侵害事案についても改正法に基づく請求を行えるということでした。
 ただ、これ開示請求を行っても、ログがプロバイダーとかに残っていなければ全くもって意味を成さないおそれもあります。ログは、やっぱり事務的なものに必要なものは事業者が保存しますけど、やはりいろんな通信の秘密の観点から一定程度の期間がたてば消去するのが筋だと、それも思います、分かります。
 でも、やっぱりこういうことも考えられますので、そことの関係をどう考えるかは現行手続と同様に大事だと思います。裁判手続の新設を伴う法改正であるために準備に時間を要することは理解しますが、やはりこの改正は権利侵害事案に対応するものですから、早期施行に向けて立法府の立場からも注視をしていきたいと思います。
 今回の法改正のよりどころとなったのは、発信者情報開示の在り方に関する研究会最終とりまとめ、これが本改正案の基となっていると承知しております。今回、実際に新たな裁判手続が新設されれば、これ運用は総務省ではなくて裁判所となります。本改正の、今申し上げた研究会には、オブザーバーとして第一回からは法務省と文化庁が入っていました。でも、最高裁は第七回目からしか参加していません。
 最高裁のみ途中参加となった理由を総務省に伺います。

#45
○政府参考人(竹内芳明君) 御指摘の研究会におきましては、昨年八月に中間とりまとめを公表して以降、今回の改正法における改正事項でございます新たな裁判手続の在り方について集中的に検討をいただきました。
 こうした検討を行う際には、実際に裁判実務を担当する裁判所の知見が必要不可欠であったことから、昨年九月に開催されました第七回会合から最高裁判所にオブザーバーとして参加いただいたものでございます。

#46
○吉川沙織君 必要になったからということは分かるんですが、この発信者情報開示の在り方に関する研究会の第一回目は令和二年四月三十日となっています。このときは、特に新たな裁判手続を創設するとか、そういったことが想定されていなかったからだと思いますが、それで認識合いますでしょうか。

#47
○政府参考人(竹内芳明君) 第一回を開催した時点におきましては、広範に、本法が施行されて二十年、約二十年経過ということで、その間のサービスや技術の変化というものを踏まえて、どういう見直しを行っていくべきかということについて幅広く議論をスタートいたしました。
 その後、痛ましい事案などもあり、そういった状況も踏まえ、先ほど申し上げましたように、八月の中間とりまとめ以降におきましては、迅速な被害者救済のための新たな裁判手続といったテーマについて重点的に御検討いただいたものでございます。

#48
○吉川沙織君 今、四月の第一回目の時点では広範な論点について議論をする。七月十日と八月二十八日に中間とりまとめについて議論されていますが、ここでは様々慎重な意見をおっしゃった委員の方がいらっしゃると承知していますが、その辺、その後どう対応されたんですか。

#49
○政府参考人(竹内芳明君) 七月に公表いたしました中間とりまとめ案におきまして、新たな裁判手続についてどのような考え方、制度的な立て付けで考えていくべきかということについて少し論点整理的なものをお示しをいたしました。
 その時点では、新たな裁判手続として、やはりその権利保障をどういうふうにやっていくのかとか細かな点まで十分議論が及んでおりませんでしたので、多くの関係者の方々から、こういった点は心配だとか、こういった点はもう少し丁寧に議論した方がいいんじゃないか、様々な御議論をいただきましたので、先ほど申し上げましたように、九月以降の会合におきまして最高裁にもオブザーバーとして参加いただき、また、関係の弁護士の方々などからも様々な知見をいただいて、本当に丁寧に議論を重ねて、合計十一回にわたる会合でお取りまとめをいただき、最終的には、その中間とりまとめのパブコメの際に様々問題点の指摘をされていた委員の方々もこれが恐らく現時点で考え得る最大、ベストの案であるということで、最終回においては皆様同意をいただく、合意をいただく形で取りまとめをいただいた、こういう経緯でございます。

#50
○吉川沙織君 中間とりまとめの段階では構成員の方が慎重な意見をおっしゃって、この中間とりまとめが提示されたのが七月十日で、痛ましい事案があったのが五月ですので、議論を若干急いだ分、ちょっと、今答弁あったように細かな点について議論が及んでいなかったということもありましたので、その後は丁寧に最高裁にも参加をいただいて議論をされて、このとりまとめに至っているものかと思います。
 この最終とりまとめにおいては、訴訟ではなく、非訟手続創設のメリットとして、訴訟手続よりも裁判所の職権性が強い非訟事件手続と書いてあります。
 ここで、法務省に伺います。
 裁判所が運用上、一定程度後見的な役割を担い得ることが挙げられていますが、裁判手続の新設に伴う裁判所の負担について認識をお伺いいたします。

#51
○政府参考人(金子修君) 本法案で想定されております新たな裁判手続の導入によりまして裁判所の負担が実際に増加するか否かにつきましては今後の運用を見守っていくことになりますが、いずれにせよ、負担が増加することになったとしても、裁判所においては、新たな裁判手続が創設された趣旨に従って適切に制度を運用するとともに、そのために必要な体制整備を行っていくものと承知しております。

#52
○吉川沙織君 今までは訴訟、まあ裁判外で任意開示という事例もあったと思いますけれども、非訟手続を創設することによって件数が増加する、それからまた、職権探知主義というんですか、そういったことで裁判所が一定程度後見的な役割を担っていくことも想定されますので、是非、運用上見つつだとは思うんですけど、適切に対応いただければと思います。
 今回、発信者情報開示の申立てに当たっての費用の負担について伺います。現行手続で掛かる費用と新設される非訟手続において必要となる主な費用について、局長に伺います。

#53
○政府参考人(竹内芳明君) 現行の裁判手続において必要となる主な費用につきましては、仮処分手続については、手数料二千円のほか、担保を立てることが発令の条件となっております。この担保の額につきましては、例えば東京地方裁判所保全部においては通常十万円から三十万円というふうに聞いております。また、訴訟手続については、手数料として一万三千円でございます。
 他方で、本改正案による新たな裁判手続において必要な費用、裁判所に納付する手数料につきましては一申立て当たり千円が想定され、担保を立てることは発令の条件とはなっておりません。
 なお、いずれの場合におきましても、このほか、郵便切手代や弁護士費用等が必要となると考えております。

#54
○吉川沙織君 済みません、今ちょっと聞き取れない部分があったんですが、官報っておっしゃいました。

#55
○政府参考人(竹内芳明君) 済みません。日本郵政のかんぽではなく、担保でございます。(発言する者あり)担保、担保、担保金、担保。

#56
○吉川沙織君 いずれにしても、現行の手続に要する費用と新設される非訟手続に要する費用というのはかなり、非訟手続だと千円ということですので、非常に心理的、金銭的なハードルは下がることになります。となると、被害者の権利回復の観点からは、制度の使いやすさというのはとても重要です。
 ただ一方で、従来よりも簡易な手続、割安な費用となることにより、手続の悪用とか濫訴のおそれがあるのではないかと思いますが、御見解を伺います。

#57
○政府参考人(竹内芳明君) 本改正案では、権利侵害の明白性といった開示の判断に当たっての実体要件は変更しておりませんので、本改正により濫訴が生じるとは考えておりません。また、手続上も、異議の訴訟が提起されない場合などには終局決定に確定判決と同一の効力として既判力が付与されるとともに、申立ての取下げについても一定の場合には相手方の同意を要するものとするなど対策が講じられており、本改正により濫訴が生じるとは考えておりません。

#58
○吉川沙織君 最終とりまとめの報告書の二十二ページと二十五ページに、例えば、今回の非訟手続の創設に当たって件数の増加等による負担が増しとか、あと、新たな裁判手続においては現在よりも簡易迅速な形でというのを書いてあるので、やはり、いい人がいればそうでない人もいるかも分かりません。あると思うんですけど、大丈夫ですか。

#59
○政府参考人(竹内芳明君) 先ほど申しましたように、制度上の一定の歯止めは私どもしっかりと設けているというふうに考えております。
 ただ一方で、今後、本法案をお認めいただけましたら、その運用段階において、どのような状況になっているのかというところについてはよく私どもとしても実態を把握をし、見直すべき点があればしっかり検討していきたいと、このように考えております。

#60
○吉川沙織君 今回は、発信者情報開示の在り方に関する研究会で、中間とりまとめでは慎重な意見が出たけれども、その後、丁寧な議論をして、結果として、非訟と訴訟のハイブリッドとして、異議なく開示可否が確定した場合には、今答弁でも言葉をお使いになりましたけど、既判力が生じて濫用的な蒸し返しは防止できるとされている一方で、手続の悪用や濫用というのは、実はこの発信者情報開示制度固有じゃなくて、民事上、紛争一般に存在する問題とされています。
 総務省、この点どうお考えでしょうか。

#61
○政府参考人(竹内芳明君) 御指摘のとおり、手続の濫用は、本制度固有の問題ではなく、民事上、紛争一般に存在する問題でございます。このため、一部の者による濫用を防止する仕組みを設けた場合には、被害救済を求める他の利用者の利便を阻害するおそれもあるという点にも十分配慮することが必要でございます。
 総務省としては、裁判所による公正かつ厳正な審査の下、審理の下、発信者情報開示制度の適正な運営が図られるものと考えておりますが、法施行後、看過し得ない濫用事例が頻発した場合には、関係省庁と相談をし、必要な対応を検討してまいりたいと考えております。

#62
○吉川沙織君 本改正案の施行はしばらく、先ほどの答弁に鑑みれば先になるんでしょうけど、もしそういう事態が起こったならばしっかり対応していただきたいと思います。
 今回、新たな裁判手続、つまり非訟を取り入れるということですが、これによってどの程度審理の時間が短縮されるのか、お伺いします。

#63
○政府参考人(竹内芳明君) 新たな裁判手続におきまして、開示まで要する期間につきましては、今回全く新たな裁判手続を創設するものであり、また、個別の事案によっても事情が異なると想定されますので、一概にお答えすることは難しい面があるのは御理解いただきたいと思います。
 その上で、現状二段階の開示手続が一本化されるということに伴いまして、手続の迅速化ということは期待をされるわけでございます。現状、二段階合わせて一年程度掛かっているものにつきまして、一本化によりまして数か月から六か月程度で開示が可能となることを私どもとしては期待をしたいと考えております。

#64
○吉川沙織君 ここで法務省に伺います。
 今回採用された非訟・訴訟手続のハイブリッド形式では、争訟性が低く、非訟手続限りであれば、今局長から答弁あったように、今までよりかは早期解決が可能となると思います。ただ、これ裏返せば、争訟性が高く、非訟手続の後、異議申立てが行われ、訴訟に移行する場合には時間が掛かることが考えられます。
 本改正案で、今は二段階の手続、手続って何回もおっしゃいましたけど、コンテンツプロバイダーとアクセスプロバイダー相手とする二段階の手続が一本化となるため一定程度の時間短縮は図られると考えますが、実際運用してみればそこまで変わるのか、甚だちょっと疑問です。で、今も局長答弁で期待したい、衆議院の答弁でも期待したいと、この答弁ぶりも実は引っかかります。
 様々な事案があり得る中で、非訟、訴訟いずれにしても、裁判所の判断の迅速化を図っていく方策を裁判所としても考えていただく必要があるんじゃないかと思いますが、法務省の見解を伺います。

#65
○政府参考人(金子修君) 裁判所の運用に係る問題ではありますが、委員御指摘のとおり、権利侵害を受けた者の速やかな救済を図るということは重要であると考えられますところ、裁判所においては、新たな裁判手続が創設されたこの趣旨を踏まえ、適切に制度を運用していくものと認識しております。

#66
○吉川沙織君 適切に運用されるかどうかは、ちょっとちゃんと見ていかなきゃいけないと思います。
 一方で、これ最初の方のやり取りでもありましたけど、権利者、被害者の権利回復と、一方で表現の自由とのバランスというのは非常に難しい問題だと思います。
 であるならば、先ほど何でこの間改正しなかったんですかといったときの答弁で、憲法上の訴訟手続であることが望ましいということを二回ぐらい繰り返されましたけれども、やはりこの開示判断についても、この研究会で現行の訴訟手続が望ましいという指摘も実際なされていました。
 現行法の第四条第二項においてはプロバイダーの発信者に対する意見照会義務が規定されていますが、今後改正法が施行されれば、相当の事件で、現在よりも簡易迅速な形で発信者情報の開示が命じられることもあり得ます。プロバイダーが特段の理由なく意見照会を懈怠する場合も考えられるとも報告書に書かれて、とりまとめに書かれています。
 発信者の意見照会が確実に行われるよう、総務省はどう担保されますか。

#67
○政府参考人(竹内芳明君) 御指摘の意見照会義務につきましては、開示の請求を受けたプロバイダーが契約上あるいは条理上当然に負うべき義務を明文化したものでございます。
 この義務を適切に行わない場合には、発信者がプロバイダーに対しまして不法行為に基づく損害賠償請求等を行うことが可能であり、こういった対応によって、こうした対応が可能になるものと考えております。

#68
○吉川沙織君 開示判断基準について大臣にお伺いいたします。
 今回、新たな裁判手続として非訟手続を新設します。プロバイダーへの開示命令の要件として、これも何回もこの間やり取りしましたけど、現行法と同様の権利侵害の明白性の要件を維持するものとされていますが、非訟手続は訴訟と違って非公開で行われるため、開示可否に関する事例の蓄積や判断の透明性の確保から懸念が示されているところです。
 事例の蓄積はもちろん、表現の自由や通信の秘密にも関わることから、開示判断の透明性を確保することが重要との指摘もありますが、大臣の見解を伺います。

#69
○国務大臣(武田良太君) 新たな裁判手続において、裁判所が開示可否の判断を行う際には、非訟事件手続法上、裁判書に理由の要旨を記載することとされているところであります。これを基に、事業者団体等において開示可否の判断に関する事例の蓄積を図り、ガイドライン化し、これを広く公表することが期待されます。総務省においても、このような事業者団体等における取組を促進してまいりたいと考えております。

#70
○吉川沙織君 今総務大臣の答弁で、事業者団体とかから事例の蓄積を図るということでしたけれども、これ、訴訟、非訟、任意の提出も含めて、開示判断の円滑化というのは裁判外の任意の円滑化のためにも必要だと思いますが、裁判所における運用状況については、総務省、どうやって把握するつもりでしょうか。局長で結構です。

#71
○政府参考人(竹内芳明君) 先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、非訟手続におきましては、その理由の要旨を裁判書において記載されますので、こういったものを私どもも支援する形でセーファーインターネット協会などにおいて事例集として蓄積をし、民間事業者における自主的な判断、機動的な対応というものにつながるように、私どもとしてもしっかり支援をしてまいりたいというふうに考えております。

#72
○吉川沙織君 今答弁にあったただし書だと、理由の要旨はあるけど詳細な理由が示されないとかいう指摘もありますので、そこはしっかり見ていきたいと思います。
 今まで四回省令改正がなされたと伺いましたが、直近の省令改正は、去年五月の痛ましい事件を受けて去年の八月に行われています。これ、電話番号の、開示対象に電話番号を追加したということですが、去年の八月に電話番号が開示対象に追加されて半年以上経過していますが、この省令改正によって被害者救済につながった件数を伺います。

#73
○政府参考人(竹内芳明君) 三月末の時点で、国内大手プロバイダーからの聞き取りによりますと、引き続き精査が必要な部分もございますが、電話番号を含む開示請求、五百件以上あります。このうち現段階で集計ができております二百八十件について見てみますと、実際に開示が行われた件数が少なくとも三十件あるというふうに承知しております。このうち、訴訟での開示が十九件、訴訟外での任意開示が十一件となっております。

#74
○吉川沙織君 私、時々、総務省行政評価局の規制の事前評価書を引いて質問させていただくんですけど、今回、省令改正によって開示対象に電話番号を追加することにより、発信者を特定できない事例が減少し、被害者救済が図られるということを効果の把握のところに書かれておいでで、実際、三十件、まあ五百件以上請求があって三十件、これをどう考えるかはありますけれども、是非、引き続き、どういう効果と被害者救済が図られたのかという点についてはこれからも把握をしてほしいと思います。個人的な感想としては、三十件のうち十九件が訴訟で、それ以外が任意だということも、なかなかこれ、任意開示多いのであれば、やはり事例の蓄積は大事だと思います。
 この規制の事前評価書に、発信者情報開示における電話番号の開示対象の追加の際、これについて施行後五年以内に事後評価をすると書いていますが、何で五年見るんですか。

#75
○政府参考人(竹内芳明君) 一般に、電話番号の開示には訴訟により請求を行う必要がありますので、その利用実績が十分に蓄積されるまでには五年程度を要すると見込まれるためでございます。
 なお、事後評価の実施時期が到来する前でありましても、制度の見直し検討の必要が生じた場合には、もちろん適切に対応を図ってまいる所存でございます。

#76
○吉川沙織君 まあこれ、事案として恐らく法改正施行以降は増えるでしょうし、五年以内であっても、適切なタイミングで是非見直しをしてほしいと思います。
 一方で、この改正法全体について、施行状況について検討を加える検討規定が入っています。その検討の時期を施行後五年を経過した時点と明記されていますが、この理由について局長にお伺いいたします。

#77
○政府参考人(竹内芳明君) 本改正法では、この法律が適切に運用され、発信者情報の開示請求について、事案の事情に即した迅速かつ適正な解決に資するものとなっているのか、一定期間経過後に見直す旨を規定してございます。
 この期間を五年とした理由は、新たな裁判手続が広く普及し、その利用実績が十分に蓄積されるまでに五年程度を要すると予想されるためでございます。もとより、期限の到来前におきましても、見直しの検討が必要な状況が生じましたら臨機に対応してまいりたいと考えております。

#78
○吉川沙織君 去年、省令改正して、電話番号を開示対象に追加した省令改正も五年で、今回の法律全体も五年。
 何か、三年とかは考えなかったんですか。

#79
○政府参考人(竹内芳明君) 先ほど来、本法公布の日から施行がいつかという点もございますけれども、やはり一定のこうした新たな手続の利用の蓄積があり、その実施状況、実態について一定の把握をし、分析をし、見直し検討ができる時期ということで五年という期間を置いてございます。
 ただ、先ほども申しましたが、状況によっては、その以前であっても必要な検討は当然に行っていきたいと考えております。

#80
○吉川沙織君 この改正案は、今日、委員会で採決されれば、恐らくあしたの参議院本会議で可決、成立をすると思われます。そうなって、まあ公布がいつか分かりませんけど、公布から一年以上掛かって施行になって、そこから五年だと、何年先、結構先になります。どんどん権利侵害事案が増えている中で、やはり五年と言わず、見直すべきタイミングが来れば直ちに見直しをしていただきたいと思います。
 そこで、大臣にお伺いいたします。
 改正法施行後においては、非訟手続による発信者情報開示の手続に関して、裁判所の後見的な役割や業務負担など、先ほども答弁ありました、運用状況とともに、手続の活用だけではなく、悪用、濫訴が懸念される事案などを的確に総務省として把握して、制度の改善につなげていく必要があります。開示対象の電話番号についても、被害者救済にこれからもどの程度効果的だったのかを調査していく必要があると思います。
 見直しに向けて、効果の検証及び制度見直しの際にどのようなデータが必要となると考えているのか、伺います。

#81
○国務大臣(武田良太君) 五年後見直しにおける新制度の効果検証の際には、例えば、従来の裁判手続及び新たな裁判手続における請求件数や開示件数、従来の裁判手続及び新たな裁判手続における申立てから開示決定までの所要日数、誹謗中傷等に関する相談件数などのデータを把握した上で検討していくことになろうかと考えております。
 また、総務省としては、これらのデータなどを基にして、改正法が適切に運用され、発信者情報の開示請求について、その事案の実情に即した迅速かつ適正な解決に資するものとなっているか検証を行い、本制度の見直しについて検討を実施してまいりたいと考えております。

#82
○吉川沙織君 平成二十九年から、政府は証拠に基づく政策立案、EBPMというのを掲げています。EBPMというのは、あらかじめどういうデータが必要かというのをそろえた上で効果検証したり次の施策につなげていくのが筋ですので、あらかじめ法が施行される前に、今大臣が答弁いただいたようなデータ、それ以外にも有益だと思われるものをピックアップして、多分こういう権利侵害事案なかなか減る方向には行かないと思いますので、どのようなデータが必要なのかというのをこれから、今から、今の段階から精査をして、大臣が替わろうとも、局長が替わろうとも、ちゃんとした運用と見直しがなされるようにやっていただきたいと思います。
 今回の改正案は、新たな裁判手続の新設を通じて迅速な被害者救済につなげるものであると認識していますが、先ほどから何回も申し上げておりますとおり、被害者救済と、表現の自由と通信の秘密とも関連する難しい課題です。施行までの間も、法が施行されてからの間も、見直し規定入っておりますので、行政監視の観点からこれからも注視していきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。

#83
○片山虎之助君 維新の片山です。
 法案の質問の前に、コロナワクチンについて何点か質問させていただきたいと思います。時間はそう長くないんですが、一生懸命やります。
 まず、コロナワクチンなんですが、私は、ワクチンができると一遍にコロナウイルスは制圧できると、収束が近いと、こういうふうに思っておりましたけれども、しかし、ワクチンを打ち出してからの方が広がっているんですね、感染は。どんどん広がっている。大変心配なんですが、最初に打ち出したのは医療従事者ですね、医療従事者。二月の半ばぐらいから、二月の初めかな。どのくらい進んでいますか。そのことを言いましたら、今日発表したんですか、昨日発表したんですか、政府は。簡潔に答えてください。

#84
○副大臣(山本博司君) 医療従事者につきましては、二月の十七日から接種を開始しておりまして、四月十六日時点での接種実績は約百九十二万回の接種を行っておりまして、このうち七十二万回は二回目の接種となっている次第でございます。

#85
○片山虎之助君 私の見たものでは、大体、一回が四分の一なんですよ。対象者四百八十万人の四分の一というと百二十万人。それで、二回が七十万ぐらいですよ。これは一四、五%なんですよ。終わってないんですよ。終わってない、始まったばっかりなんですよ、医療従事者は。これ、今もう高齢者を打ち始めているんですよ。これは並走してやるんですね。医療従事者が全部終わらないのに高齢者を打って、まあ危ないという言葉もおかしいけど、危なくないんですか。

#86
○副大臣(山本博司君) 医療従事者に関しましては、五月十日の週に一千箱ということで、四百八十万人分の配送が完了する見込みでございますけれども、もし、高齢者は今始まりましたけれども、例えば、医療従事者まだ接種を終えていない場合に関しましては、接種会場に届いた高齢者用のワクチンを活用して医療従事者自ら接種いただいた上で高齢者の接種を始めていただくことも含めて、その自治体におきまして柔軟に対応していただく形になっておる次第でございます。

#87
○片山虎之助君 それは工夫しないともうしようがないわね、両方打たないと。
 そうして、一番まだ、もう本当に地方の人に会うたびに言われているのは情報の不足なんですよ。いつ幾ら送る、きちっと送る、後がどうなるということを常に教えていないと。市町村が中心でやるんだけれども、大変不安なんですが、その体制は整っていますか。こういうことを、私みたいなことを言う人が大勢いるから大分状況は変わってきているとは私は思うけれども、どうなっていますか。

#88
○副大臣(山本博司君) 今委員御指摘ございましたけれども、この供給を含めて、EUの透明化メカニズムという不安定要素はございますけれども、具体的なワクチンの配送に関しましては、実際に接種の実務を担当する自治体に対しましても、四月十二日に自治体向けの説明会等で具体的な形で対応している状況でございます。
 具体的にはV―SYSで把握していただくことになりますけれども、手続の前倒しであるとか、配送者リストの早めの業者の共有であるとか、また、業者における配送期間の、作成期間の短縮などの結果、配送日時を早めて自治体にお伝えすることができるようになりました。
 具体的には、四月二十六日から五月九日までの配送分につきましては四月の二十三日に配送日時確定する見込みでございます。五月十日からの二週間分の配送につきましては五月三日に配送日時が確定する見込みとなっておりまして、このほか、各自治体の説明会の実施や、また、今厚労省には自治体サポートチームがございますので、自治体と連携をし、細やかな支援体制を整えていきたいと思います。

#89
○片山虎之助君 本当に、今度、菅総理がアメリカに行ってバイデンさんと会ったのはいいんだけれども、ファイザーのCEO、一番偉い人ですよね、それ電話で話して追加の注文取ったとかいう。何の追加で、数だけは今足りているんですよ。アストラゼネカというのが血栓ができるから排除するとか出てきているので、それは外すんですか。今で二億二千万人分あるんでしょう。分かりませんよ。それ、菅さんは何の追加注文取ったんですか。

#90
○大臣政務官(こやり隆史君) 先生御承知のとおり、今国内で承認が下りているのがファイザー一社のみのワクチンでございます。
 先日、菅総理からファイザーのCEOとお話をさせていただきまして、九月までに我が国の対象者に対して確実に、ファイザー社に対してですけれども、確実にワクチンを供給できるよう追加供給を要請をしたところでございます。それに対しまして、CEOからは協議を迅速に進めたいという話がございました。したがいまして、総理からは、ファイザー社一社だけでも供給のめどが立ったという旨、お話をさせていただいたところでございます。

#91
○片山虎之助君 ファイザーから今で一億四千四百万分というのかな、何か知りませんが、話ができているんですよね。それを幾ら追加するんですか。あと、アストラゼネカから一億二千万、モデルナから五千万でしょう。これ、全部足すと、二回にしても一億一千万、まあ二千万というけど、子供や何か仮に外すとすれば一億一千万の計算でしょう。二億二千万回でいいんですよね。もう超えているんだけれども、どういう計算で、何を追加かよく分からない。

#92
○大臣政務官(こやり隆史君) ちょっと繰り返しになりますけれども、今承認が国内で下りているのがファイザー社だけでございます。したがいまして、先生御指摘のとおり、今ファイザー社との契約では一億四千四百万回分が契約が行われておりますけれども、ファイザー社に対して、更に国内の接種対象分をファイザー社から供給できるように、先日総理から申し入れたということでございます。

#93
○片山虎之助君 その現物がいつ入るか、みんな不安なんですよ、国民は。現物を持っていないから。やっぱり自前の国産のワクチンがなきゃ駄目ですよ、それはどんなことがあっても。安全保障上も公衆衛生上も、お金の上だってですよ。
 ところが、国産というのは、昔は国産があったのに、ずうっと撤退してワクチン敗戦だって言われているじゃないですか。国産ワクチンを、国是というのはおかしいけれども、国策として大きい、そうやるあれありませんか。ちょろちょろお金を出すぐらいでできませんよ。いかがですか。

#94
○大臣政務官(こやり隆史君) 片山委員には先日も御指摘をいただきました。厚労省としてもしっかりと取り組まなければならないというふうに考えておりまして、国内のワクチン開発の進捗につきましては、先月三月にも新たに二社が臨床試験を実施開始をしております。
 こうしたことに対しまして、厚労省といたしましては、開発段階への支援、これは六百億円、そして、臨床試験等を含めたものに対して今基金として二千六百億円強の基金を積んで予算上支援をしているところでございまして、さらに、これは国立感染症研究所あるいは国立医療研究センター等に臨床情報あるいは検体等を集約、提供することによりまして、その今申し上げました支援に加えて様々な研究基盤を提供し、迅速に国内のワクチンが開発されるように取り組んでいるところでございます。

#95
○片山虎之助君 なかなか、今のあれでファイザーだけでしょう。アストラゼネカやモデルナはまだ承認されていないようですね。それは治験者がいないからだと。日本は人口減って、特に若い人いないんだから、それはどうやってあれするんですか。その状況が続くと同じじゃないですか。そこはいかがですか、これから国産ワクチンを作る上でも。

#96
○大臣政務官(こやり隆史君) 済みません、一点、先ほど二千六百億円強と申し上げましたが、弱でございますので、訂正をさせていただきたいというふうに思います。
 先生御指摘のとおり、ワクチン、国内の、まあ海外のメーカーも含めまして、日本国内における感染者数が極めて欧米に比べて少なかったこと等によりまして、なかなか国内で臨床試験が進まなかったという事実がございます。
 そうしたことも踏まえまして、先ほど御答弁を申し上げましたように、臨床段階におきましても政府が積極的に支援をしたいということで今取り組んでいるところでございます。

#97
○片山虎之助君 ワクチンの一相、二相、三相の試験に、それから安全性や有効性やいろいろあって、この治験者を何人か確保しろと、これは国際的な取組か何かあるんですか。どこが決めているんですか。

#98
○大臣政務官(こやり隆史君) この新型コロナワクチンについての規制当局間の情報交換あるいはその評価に当たっての考え方につきましては、昨年の九月、九月に主な規制当局間でその考え方を整理をさせていただきました。そうした整理の下に審査をしているというところでございます。

#99
○片山虎之助君 このコロナ問題ではいつも政府は後手後手、うろうろと言われているんですよ、右往左往と言って。そういうことが言われているのは総括をしないからなんですよ、その都度。総括というか、チェックを私はやるべきだと思う。ただ、言えることと、公表できることとできないことありますよ、やり方もいろいろ難しい。しかし、総務省には行政評価局というのがあるんです。昔の行政監察ですよ。そこがそういうことをまさにやったらいいんですよ。言えることは言えばいいし、言えないことは言わなきゃいいんですよ。しかし、常にチェックをしていないと、いつまでたっても後手後手ですよ。私はそう思いますよ。
 今度のまん防でも、まん防と言っちゃいかぬのかもしれぬけれども、まん防でも緊急事態でもきちっと客観的な基準を持って、こうなったらなるんだ、こうなったらならないんだということを国民に分からせないと、その都度関係者が集まって、苦労されていると思いますよ。やるとかやらぬとか、不安でしようがない。ぶわっと、まん防は使わないんだというのは、今使いまくっているじゃないですか、逆に。緊急事態は少なくすると。余り変わらないんでしょう。しかし、メッセージ性が違うから、メッセージ性が。それはうまく使えばいいんだけれども。
 そういうことで、行政評価局の行政評価というのをこの際やったらどうですか。一番国民が関心があることをやらないというのはおかしいんじゃないですか。

#100
○政府参考人(白岩俊君) 御指摘のような視点は重要な視点だと思います。
 しかしながら、ワクチンの現在の接種の取組の現状につきましては、短期間の準備で国と地方公共団体が連携を取り合って全国民を対象にワクチン接種を行うという過去に経験のないものであり、関係者がそれぞれに最善を尽くして進めているという現状であります。一方、現場、国民に病気に対する緊張感があり、また早い接種への期待が強い中でのことでもあり、慎重な対応が必要であると考えます。
 したがいまして、今年度、直ちにワクチンの確保状況や国と地方公共団体の連携の実情などを行政評価・監視のテーマに掲げて調査することは、現場の負担や国民に誤ったメッセージを伝えるおそれという点から考えて適切ではなく、今は現下の取組を見極めつつ、その上で適時に必要に応じてテーマに掲げていくべきかと考えます。

#101
○片山虎之助君 それじゃ、こっそりやっているのかな、事を公にしてもいいときになったらこうだということを言うために。何にもしていなきゃ駄目よ、一番ホットなことをやるのが行政評価なんだから。趣味じゃないんですよ、国民のためなんだから。いかがですか、もう一度。

#102
○政府参考人(白岩俊君) 現時点においても各取組についての情報を収集しつつありますし、この後、実際に現場の情報を調査するというような必要が出てまいりました場合、大臣の御指示の下でテーマに掲げて調査を行うことは十分考えていかなければならないと思います。

#103
○片山虎之助君 大臣、今の問答聞いて、いかがですか。いや、行政評価だけでなくて、ワクチンについて何か御感想、御意見があればどうぞ。

#104
○国務大臣(武田良太君) 先生御指摘のように、各地方公共団体、的確な情報が欲しいという声、私のところにも多数届いております。
 ただ、今局長から答弁あったように、みんなが初体験で、そして、何とか早く進めなきゃいけないというか、気が前のめりになっている部分も現場では確かにある部分もあります。
 何が一番ベストなのかということを冷静に見極めながら、しっかりとした責任を果たしていきたいと考えております。

#105
○片山虎之助君 どうぞ、委員長、ワクチン関係者、引き揚げていただいて結構です。

#106
○委員長(浜田昌良君) ワクチン関係の方ですか。こやり政務官、山本副大臣、大坪審議官はここで御退席いただいて結構でございます。

#107
○片山虎之助君 それでは、本来の法案のプロバイダー責任制限法に移りますけれども、吉川先生から言っていただいたように、平成十三年にこれを作ったんですね。二十年前なんですよ。それを何にもいじらずに法案をよく今日まで来たなと、こう思っておるんですが、何でいじろうということに今度はなったの。いじらなければ困る問題ができて、しかし、中を見ると手続の簡素化ですよね、統合で。それ物すごく必要性があるとも、そういうことを私が言っちゃおかしいけれども、思うんですが、いかがですか。分かりやすく言ってくださいよ。

#108
○政府参考人(竹内芳明君) まず、現在の法手続では対策が打てない事案が出てきているというのが大きな問題意識でございます。
 例えば、ツイッターのように海外のSNSが運用するSNSにおきましては、権利侵害を行った、いわゆる投稿を行ったときの通信記録、ログの保存がされておりませんので、現在の法律では、この権利侵害を行ったときの投稿のログからたどっていって発信者を特定をする、発信者情報開示ができるというふうに法律で規定をしておりますけれども、こういった投稿したときのログを保存していないタイプの事業者が特に外資系を中心に出てきてしまったということでありますので、そういう場合につきましては、投稿時のログがないのであれば、その直前のログイン、アカウントへのログイン情報あるいはアカウントからのログアウト情報、こういったものからたどっていって発信者を特定できるようにしなければ被害者救済ができないということで、この点については、このSNSの最近の急激な普及というものを念頭に置いてできるだけ速やかに対応する必要があるということで、今回、その点についてはもうできるだけこのタイミングでやる必要があるというふうに考えておりますし、また、迅速な被害者救済につなげるための裁判手続についても今回創設をしたいということで、今回、改正案の提案に至ったわけでございます。

#109
○片山虎之助君 分かるようで分からないんですね。やっぱり木村花さんの事件が関係があるんじゃないの。悪質になったとか、こういうことでなかなか被害者救済やるのが難しくなったというような実質的な中身が要るんだわね。技術論じゃないんですよ。
 実態が変わってきているんじゃないかと私は思っているので、今総務省に何とかセンターがあるでしょう、有害何とかという、そういうセンターに来る事案が変わってきていますか、二十年前と。だから、今回、手続を簡素化して統合して被害者救済をしやすくしようと、こういう発想になったのかと思ったんですが、間違いですか。

#110
○政府参考人(竹内芳明君) 総務省が委託運営を行っております違法・有害情報相談センターにおきまして受け付けております相談の内容を分析してみますと、多いものは、名誉毀損、プライバシー侵害、あるいは知的財産権侵害といったものが多うございます。こういった傾向は二十年前と多くは、大きくは変わっていないところでございます。
 ただ、実際の相談件数は、先ほども御答弁申し上げましたように、かなり増加をしておりまして、ここ数年高止まりして、年間ベースでいいますと五千件を超える件数で横ばいになっている、こういう被害の件数が増えているということを直視をいたしまして、被害者救済につながる手続を提案させていただいているということでございます。

#111
○片山虎之助君 この関係は海外の事業者の方がどんどん勢いがあるし、サービスもいいということもあって増えていますよね。そうなると、やりにくくはないんですか。それで影響を受けて、こういう誹謗中傷が悪質になるというか程度が悪くなるというのか、そういうあれはないんですか。海外のいろんな業者ですね、巨大業者との関係での変化というのはあなた方認識されているのかどうか。それはないんですか。あるんじゃないかと私は思っておったんです。

#112
○政府参考人(竹内芳明君) はい、ございます。
 最初に御答弁申し上げましたように、ツイッターなどの海外SNS事業者が普及してきた。当時の片山大臣に御指導いただいて本法成立させていただいた際には、むしろ電子掲示板、2ちゃんねるといった電子掲示板が中心でございました。近年になってSNSなどの海外のプラットフォーマーが提供するSNSが急速に普及してきた。そのことによって、先ほど申しましたように、現在の法規制では発信者情報を開示にたどっていけない状況が発生してきているという状況がございます。

#113
○片山虎之助君 だから、そういう技術論というのか、あれよりももっとでしょう。例えば、総務省なら総務省がガイドラインみたいなものを作って、プロバイダー業者を指導するとか何かして、積極的に排除するようなことをガイドラインでやって、場合によって、やらない者には、制裁はできませんよ、制裁はすぐはできないけれども、勧告というのか要請というのか、最近はやりでもないけれども、そういうことをやって、場合によっては不服申立てというのか、未然防止、事後救済じゃなくて事前の防止の何らかの対策というのは考えられないんですか。そこまでやるのはやり過ぎになるの。

#114
○政府参考人(竹内芳明君) 大変重要な点、御指摘いただいたかと思います。
 被害を受けてしまって、それから被害者救済ということも重要でありますけれども、御指摘いただきましたように、まずは未然防止ということが非常に重要かと考えております。そういう意味で、私ども、民間のプラットフォーマー、いわゆるSNSのプロバイダーに対しまして、例えば有害な情報の書き込みがあった場合には自主的に削除をしっかりやっていただくと。どういうものを削除するかというそのポリシーについてあらかじめ公表をしていただいて、それをしっかりやっているのかどうかという検証を行うということを今、回してございます。
 本年二月からこのヒアリングを行っておりまして、実際に効果が上がっているのかどうかという効果検証を現在行っております。
 そこでの現時点での状況としては、日本のプロバイダーはしっかり日本国内でどれぐらい削除を行っているかということはきちんと公表をし説明もできておりますけれども、海外の事業者の場合には、グローバルに対応している数というのは説明されるんですけれども、じゃ、国内でどの程度対応したのかということについては必ずしもきちんとした数字が出てこないし、現時点では説明が尽くされていないという状況がございますので、こういった問題については、やはり事業者に対して透明性あるいはアカウンタビリティーというところについて一層の責任を果たしていただく必要があるのではないかという問題意識の下で、有識者会合において今成果検証を行っていただいているところであります。

#115
○片山虎之助君 海外の巨大事業者は、まあ日本に全部事務所は持っているわね。それは日本の会社も恐らく持っているに違いないので、そういうところを押さえていくということですか。

#116
○政府参考人(竹内芳明君) 例えば、ツイッターやフェイスブックなどについては、今申し上げましたようなヒアリングに参加をしていただいております。また、こういった事業者につきましては、日本国内の利用者に対して継続的にサービスを提供しておりますので、昨年改正をお認めいただきました電気通信事業法改正によりまして電気通信事業法の規律が及ぶということで、例えば、個人情報の漏えいでありますとか事故の発生、通信サービスの途絶などがあった場合には総務省に報告をしていただいて、私ども必要な指導なり改善命令が出せるという状況になってございます。

#117
○片山虎之助君 問題は、放送と通信なんですよ。いずれも、皆さんというか総務省が所管しているんだけれども。放送は不特定多数だから、これは厳しく規制すると。通信は一対一で秘密だから、これは厳重に守ると。しかし、どんどんどんどん技術の進歩で間がなくなってきているんですよ。放送は通信化し、通信は放送化しているのよ。それが放送と通信の融合なんですよ。その最たるものがインターネットだし、皆さんのツイッターやフェイスブックや何かなんですよ。これを昔の法制で断ち切るというのは、私は多分難しくなると思うの。そこをどういう研究をして、ずっと融合してくるものを法的には切り分けて、ちゃんと国民の利益、個人の利益を守るかということなんですよ。プライバシーを守り、ちゃんと秘密を守りながら、しかし規制をすると。
 今やそれはインターネットの方が場合によっては影響力あるかもしれない。ミャンマーを見てくださいよ。何でも遮断されてもあれだけやっているんだから。だから、そこについての研究というのが是非要ると思うんですけど、これは大臣と局長、両方御答弁ください。

#118
○国務大臣(武田良太君) 先生御指摘のように、通信、放送の融合というのは本当に進展しまして、環境がかなり変わってきたというのは、これは我々も真剣に受け止めなければならないと思っています。
 今後、この通信、放送というものが国民生活の向上に引き続き資するためにはどうしたものになるかということはやっぱり我々としても真剣に議論してまいりたいと、このように考えております。

#119
○委員長(浜田昌良君) 簡潔に答弁願います。

#120
○政府参考人(竹内芳明君) はい。
 元々一対一で行われてきた通信につきましても、最近、SNSのように公然性を有する通信というものが広く普及をいたしました。そこで出てきた影の問題については、このプロ責法などにおいて対応してまいりましたし、今後も状況を見ながらしっかり改善はしていきたいと思います。
 一方で、報道の自由というものを尊重いたします放送法の世界と融合してくる部分につきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、今後の状況をしっかりと先見性を持って検討してまいりたいと考えております。

#121
○片山虎之助君 終わります。

#122
○小林正夫君 国民民主党・新緑風会の小林正夫です。
 法案の質問の前に、無料通信アプリのLINEに関わる質問をいたします。
 先月、無料通信アプリ大手LINEが、十分な説明がないまま利用者の個人情報などを中国からアクセスできる状態にしていた問題が明らかになりました。
 金融庁は金融機関の情報管理体制の一斉点検を始めた、このように私は承知しております。
 また、高齢者向けの新型コロナウイルスワクチン接種について、予約受付をめぐって、電話やホームページの受付のほかにLINEでの受付も行われていて、LINEによると、全国のおよそ二百の自治体が当初利用する予定で準備を進めていたが、サービスの運用を見合わせる動きもあると報道されています。
 そこでお聞きしますけれども、LINEを利用している人は八千六百万人とも言われておって、また、組織としても利用されていると承知をしています。利用の個人情報などを中国からアクセスできる状態にしていたことに社会に不安が広がって混乱を招いていると、私、このように受け止めています。
 今回の問題に対して、四月十九日、昨日です、昨日にLINE株式会社より総務省は問題の経緯やセキュリティー対策について報告を受けると、このように私聞いておりますけれども、その内容はどのようなものだったのか、また、報告を受けて総務省はどのような対応を講じるんでしょうか、確認いたします。

#123
○国務大臣(武田良太君) お尋ねの件でありますけれども、中国を拠点とする関連会社から日本国内のサーバーにある利用者の個人情報等へのアクセスが可能となっていた事案に関して、先月十九日に総務省よりLINE社に対して電気通信事業法に基づく報告を求めていたものであります。
 昨日、同社より、通信の秘密の保護等に係る支障の発生の有無、通信の秘密の保護等のために必要な体制の確保状況、また、利用者への説明及び周知の予定などについて担当部局が報告を受けたところであり、現在、同部局において内容を精査しているところであります。
 この結果を踏まえて、法令に基づき必要な対応を速やかに取ってまいりたいと考えております。

#124
○小林正夫君 分かりました。その結果についてはまた報告いただけるものと、このように承知をしておきます。
 総務省でLINEを使用している業務はあるんでしょうか。あるとすれば、その業務に対してどういうふうに対応していこうと考えているんでしょうか。

#125
○政府参考人(田原康生君) お答え申し上げます。
 総務省では、採用活動、意見募集、問合せ対応、応募受付の業務においてLINEを利用していたところでございますけれども、先般の一連の報道等を受けまして現在は利用を停止しているところでございます。

#126
○小林正夫君 今後の総務省の動きも注視をしていきたいと思います。
 今日は、サイバーセキュリティ統括官の田原さんにお越しいただきました。
 この案件とは別なんですが、今日の朝のニュースを少し取り上げます。
 今日の朝のニュースを見ていると、大規模なサイバー攻撃を中国人民解放軍からの指示、JAXAなどこういうところが受けていたというような報道がありました。
 この報道の事実関係はどうなっているか、分かれば教えてください。

#127
○政府参考人(田原康生君) お答え申し上げます。
 今朝ほど、NHKのニュースかと思いますけれども、そのような報道があったということは承知しております。
 しかしながら、私ども総務省といたしまして、この事案の詳細については把握していない、承知していないところでございます。

#128
○小林正夫君 分かりました。
 来週にデジタル関連法案の連合審査があると、このように聞いておりますので、その場面で改めて事実関係を確認して、政府としてサイバー攻撃に対してどういう対応をしていくのか、確認をしたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、法案について質問をいたします。
 まず、大臣にお聞きをいたしますけれども、通信事業の発展は目覚ましいものがあると、このように私思います。それで、プロバイダー責任制限法が二〇〇一年に制定されてから二十年です。当時の通信システムと今日の通信システムの違いを大臣はどのように捉えているのか、あわせて、今回の改正が必要になった要因は何なのか、改めてお聞きします。

#129
○国務大臣(武田良太君) プロバイダー責任制限法が施行された二十年前のネット利用についてはパソコンを通じた電子掲示板の利用が中心でありましたが、最近はスマートフォンを通じたSNSの利用が中心となっており、まさに誰もが気楽に、気軽にSNS上で情報をやり取りする時代となっております。こうした環境の中、近年、SNS上での権利侵害が顕在化しており、裁判上で争われる発信者情報開示の件数も増加しております。
 こうした状況を受け、今般、簡易迅速に発信者情報を開示する裁判手続を創設するとともに、SNSに対応した開示請求制度を追加する等の改正を行うこととしたものであります。

#130
○小林正夫君 参考人にお聞きします。
 この二十年間に誹謗中傷等による損害賠償請求が発生した件数は何件あるのか、法務省にお聞きいたします。

#131
○政府参考人(堂薗幹一郎君) お答えいたします。
 最高裁判所におきましては、毎年、司法統計として、特定の事件類型ごとに事件数を集計するなどして、その結果を公表しているところでございますが、その中には損害賠償請求訴訟の事件数の統計もあるものと承知しております。
 もっとも、実務上、損害賠償請求訴訟には多種多様なものがございますが、これらの損害賠償請求訴訟の内訳まで逐一統計を取ることは困難な面があり、実際上も誹謗中傷等による損害賠償請求訴訟の事件数の統計は取られていないと聞いているところでございます。そのため、法務省といたしましては、その事件数は把握していないところでございます。

#132
○小林正夫君 次に、総務省にお聞きします。
 損害賠償請求には至っていないものの、SNS事業者や通信事業者に対して開示請求がなされた件数は何件あるんでしょうか。

#133
○政府参考人(竹内芳明君) 発信者情報開示請求の件数について網羅的には把握しておりませんが、総務省が行いました国内のプロバイダーに対するアンケート調査では、令和元年度におきまして約二千五百件の開示請求がなされております。

#134
○小林正夫君 法務省は件数については把握していないということがありましたけれども、私、相当な件数がこれあるんじゃないかというふうに思います。
 そこで、大臣にお尋ねしますけれども、二十年間も今回の趣旨を目的とした法改正をしなかった、これはなぜなんでしょうか。

#135
○国務大臣(武田良太君) 平成十四年の本法の施行以降、総務省としては、これまでも情報通信技術の進展等を踏まえて累次にわたりこの法律に基づく省令を改正しており、例えば平成二十三年にはSIMカード識別番号を、令和二年には発信者の電話番号を発信者情報に追加し、開示範囲を拡大するなど適切な対応を図ってきたところであります。
 他方、今回の法改正については、スマートフォンを通じたSNS等の利用の拡大や裁判上で争われる発信者情報開示の件数の増加といった状況の変化が生じたため、現行の訴訟よりも簡易迅速に発信者情報を開示する裁判手続を創設する等の改正を行うこととしたものであります。

#136
○小林正夫君 次にお聞きします。参考人にお聞きします。
 改正後の手続と現行手続との比較をすると、どの程度解決までに要する時間が短縮できると考えているんでしょうか。

#137
○政府参考人(竹内芳明君) 今般創設いたします新たな裁判手続につきましては、全く新たな手続であるということと、それから個別の事案によって状況も異なるということから一概にお答えするのは難しいということでございます。
 ただ、従来、二段階の手続が必要であったものが一本化されるということに伴いまして、一定程度の期間短縮が図られるものと想定されます。現在、二段階の手続、合計いたしますと一年程度、一年以上掛かるものもございますけれども、これが施行後は、手続の一本化によりまして、例えば数か月から六か月程度で開示が可能になることを期待したいと考えております。

#138
○小林正夫君 被害者救済にはSNS事業者や通信事業者の協力が不可欠であると、このように思います。しかしながら、事業者によっては協力に消極的な事業者もいるかもしれないと私思います。
 そこで、三点質問をいたします。
 総務省は、SNS事業者や通信事業者に対してどのような働きかけや本法案改正の趣旨説明を実施していこうとしているのか。二つ目、また、協力しない事業者が生じた場合にはどのように対処をしていくのか。三つ目、改正案第八条に発信者情報開示命令が定められておりますけれども、開示関係役務提供者が命令に従わなかった場合に罰則はあるんでしょうか。この三点についてお聞きいたします。

#139
○政府参考人(竹内芳明君) お答えいたします。
 まず一点目につきましては、本法の検討に当たりまして、まず研究会を昨年開催をいたしました。その研究会の検討過程におきましては関係事業者団体などと意見交換の機会を適宜設け、昨年十二月の最終とりまとめ後には、各地方総合通信局等を通じまして、本改正案の内容及び関連する取組につきまして事業者等への情報提供を実施するなどしてきてございます。
 もとより、本法案の成立をお認めいただきました暁には、関係省令の策定などに向けまして、機会を捉えて事業者などに対し本制度の更なる周知に努めていくなど、円滑な施行に向けて準備を進めてまいりたいと考えております。
 それから二点目の、協力しない事業者がいた場合にどうするかということでございますけれども、現在の制度の下におきまして、大手の事業者から中小事業者まで裁判所を通じた開示のプロセスに従っているものと認識をしております。
 改正法の下におきましてもこうした点に変わりはないと考えておりますが、海外系プロバイダーも含めまして主要なコンテンツプロバイダーとアクセスプロバイダーの協力を得た上で、両者の連携体制を構築したりノウハウの共有の推進、こういった取組が有用と考えておりまして、総務省としては、こういったことを具体的に進めることで被害者救済につなげてまいりたいと考えております。
 それから三点目の、命令に従わなかった場合の罰則でございますけれども、改正法案におきましては、開示命令に従わないプロバイダーに対する罰則は設けられておりません。
 もっとも、プロバイダーが確定した開示命令に従わないときには、開示命令の内容を実現するために被害者は民事執行法に基づく強制執行を裁判所に申し立てることができます。

#140
○小林正夫君 現行手続では時間が掛かることから泣き寝入りをしていた被害者も多くいるんじゃないかと思います。本改正案により権利侵害の回復がより速やかに行われるようになることから、手続の件数が増加すると私想定いたします。
 そこで、手続件数が増加することで裁判所の業務も増加すると考えられますが、裁判所との連携、調整はどのようになっているのか、また、被害者が発信者情報開示命令の申立てをする裁判所は簡易裁判所なのか地方裁判所なのか、お聞きいたします。

#141
○政府参考人(竹内芳明君) お答えいたします。
 本改正によりまして、現行よりも簡易迅速な裁判手続が導入されるという面と、手続の件数が増加する可能性があるという面の両面が考えられますので、全体として裁判に係る業務量がどうなるか、期間がどうなるか、現時点で正確に見通すことは困難ということは御理解いただきたいと思います。
 いずれにしましても、こういった本法案の策定に向けた作業、それから今後実施に向けた様々な作業につきましては、法務省、最高裁判所からも御協力、御支援をいただき進めてまいりましたし、今後もしっかり連携して対応してまいりたいと考えております。
 それから、申立てをする裁判所につきましては地方裁判所でございます。これは改正法の第十条で規定してございます。本改正案では、これは簡易裁判所に申立てできる制度とはしておりませんが、これは取り扱う事案が表現の自由に関わるものであり、専門性を必要とするということから、地方裁判所で扱うこととしたものでございます。

#142
○小林正夫君 法案の条文について何点か確認をいたします。
 本改正案第五条第一項に、「当該開示の請求に係る侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき。」と、このように規定されておりますけれども、権利侵害が明らかとはどのような場合を言うのか、具体的に示していただきたい。

#143
○政府参考人(竹内芳明君) お答えいたします。
 権利侵害が明白であるとされた裁判例としては、例えば、電子掲示板に無断で氏名及び自宅住所が書き込まれたものや、権利者に無断で楽曲を複製して誰でもダウンロードできる状態にしたものがございます。

#144
○小林正夫君 第五条第一項では、「特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者」と規定されておりますけれども、誹謗中傷などは個々人により捉え方が異なると、このように思います。
 本人にとっては権利侵害されたと思っても、他者から見たら権利侵害ではないと思われた場合には、本人の意思を尊重する仕組みとなっているのか、それとも裁判所による判断になるのか、お聞きいたします。

#145
○政府参考人(竹内芳明君) 被害者から裁判外での開示請求がなされた場合には、請求を受けたプロバイダーにおきまして権利侵害があったかどうかの判断が行われます。
 プロバイダーにおいて開示の判断を行うのが困難な場合、一般に被害者は裁判上の開示の請求を行うこととなりますが、この場合、権利の侵害があったかどうかは、法律専門家である裁判官による厳正かつ公正な審理を経て、裁判所において判断されることとなります。
 このように、被害者の意思のみに基づいて開示の判断がなされる仕組みとはなっておりません。

#146
○小林正夫君 次の質問です。
 SNS等で誹謗中傷されている方自身はSNSを利用しておらず権利侵害に気付いていないときに、例えば親族だとか友人等が誹謗中傷に気付いた場合において、親族、友人等が開示請求することは可能なんでしょうか。本人からの同意や委任がなければできないんでしょうか。確認いたします。

#147
○政府参考人(竹内芳明君) プロバイダー責任制限法では、権利侵害が明白であるなど一定の要件の下で、プロバイダー等に対して発信者の特定に資する情報の開示を請求できる権利を被害者に付与したものでございます。したがいまして、友人等の被害者でない者が開示の請求をすることはできません。
 もっとも、被害者でない者が親権者であるなど法令により裁判上の行為をすることができる場合や弁護士資格を有する場合であれば、被害者本人の意向に基づいて、被害者の代理人として開示の請求を行うことは可能でございます。

#148
○小林正夫君 次の質問です。
 インターネットやSNSは全世界で普及しています。各国でも同様に誹謗中傷の問題が発生していると、このように私受け止めておりますけれども、各国の法整備の状況はどのようになっているのか。また、憲法における表現の自由などの関係で違いはあると理解をしておりますけれども、本改正案は他国と比較して厳しいものなんでしょうか。いかがでしょうか。

#149
○政府参考人(竹内芳明君) 例えば、米国におきましては、被告の氏名を明らかにしないまま訴訟を提起し、その審議の前に行われる証拠収集手続において、被害者が裁判官の許可を得た上で文書提出命令を発行し、プロバイダー等の第三者に情報開示を求めることができるとされます。
 また、英国では、匿名の発信者を特定する必要がある場合に、判例法上、裁判所から第三者に対する情報開示命令を取得することができるとされております。
 ドイツでは、一定の違法情報により侵害を受けた場合、裁判所の命令に基づき第三者に情報の開示を求めることができるとされております。
 このように、我が国と他国では法制度の違いもあり、一概に比較することは困難でありますけれども、各国とも裁判所の関与の下、匿名の発信者に関する情報を開示させる仕組みがあるものと承知しております。

#150
○小林正夫君 最近、本当に誹謗中傷など書き込まれることが多いものですから、是非世界の状況も見極めながら、しっかりしたそういうような対応、対応策が必要だと、このように思います。
 そして、本改正案の施行の時期について、先ほど吉川委員あるいは片山委員からも質問がありました。公布の日から起算して一年六月を超えない範囲において改正すると、あっ、政令で定めると、こうしておりますけれども、総務省としてはいつ頃を目途にするんでしょうか。
 先ほどは、いろんな関係箇所と調整をするので一年六月ぐらいの期間を取ったと、このように答弁をされましたけれども、総務省としてはいつ頃施行するというふうにしたいと考えているのか、是非教えてください。

#151
○政府参考人(竹内芳明君) 先ほど御答弁申し上げましたように、様々な作業あるいは周知期間を取る必要があるということから、公布の日から起算して一年六月以内で政令で定める日に施行するとしてございます。
 私どもとしては、迅速な被害救済につなげるという観点からは、より早期の施行が望ましいとも考えております。いずれにしても、必要な作業ございますので、関係機関とも調整をし、具体的な施行期日を検討してまいりたいと考えております。
 法務省、最高裁判所ともよく調整をして、作業を速やかに進めてまいりたいと考えております。

#152
○小林正夫君 大臣にお聞きいたします。
 二〇一九年五月に発表された総務省の通信利用動向調査、これによると、十三歳から十九歳のスマートフォン、携帯電話所有者が、所有数が二〇一八年度で八七・四%、こういうことが報告をされました。三年前でこの数字であることから、現在ではもっと所有数が増加していると、このように思います。
 そして、中学、高校生など若い人に対してSNS利用法や誹謗中傷に関する研修会や勉強会などの啓発活動が不可欠、このように思いますけれども、大臣の御所見をお聞きします。

#153
○国務大臣(武田良太君) 委員御指摘のとおり、今や中学生、高校生など若い世代の約九割がスマートフォンや携帯電話を所有している状況であります。青少年の情報モラルやICTリテラシーの向上というものが重要となってまいります。
 特に近年、インターネット上の誹謗中傷が社会問題化していることから、総務省では昨年九月に政策パッケージを取りまとめ、これに基づき学校における出前講座などを通じた啓発活動を強化をしております。
 こうした青少年に対する啓発活動の取組を今後ともしっかりと進めてまいります。

#154
○小林正夫君 参考人にお聞きします。
 今大臣の方から、おおむねこういうことをやっていきたいと、こういう答弁がありましたけれども、もう少し具体的にどのような啓発活動に取り組んでいくのか、お聞きをいたします。

#155
○政府参考人(竹内芳明君) まず、e―ネットキャラバン、全国の小中学校などに実際に関係者が出向いてインターネットを利用する際の注意事項などについても必要な情報提供を行っておりますが、そういう中で、トラブル事例集として教本も作って周知を行っております。
 その中に、この誹謗中傷問題の対策についても、現在テキストを追加して実施をしておりますし、様々なそのような私どものホームページを使ったり、あるいは法務省の人権擁護局と共同で特設サイトを立ち上げまして、一般の方々が不用意に書き込んで加害者にならない、仮に不幸にして被害者になってしまった場合にはどこに相談すればいいのか、削除要請はどこにどのようにお願いすればいいのか、こういったことを分かりやすい形で情報提供もしっかり進めてまいりたいと考えております。

#156
○小林正夫君 これからの時代は高速通信時代にも入るし、若い人もこういうスマートフォンなどを利用した、こういう社会になっていくと思います。
 私の周りでも、特に中学生ぐらいになったお子さんがいる親から、スマートフォンを持たせたらいいのかどうか、親としては相当悩むと。その悩みは、先ほどおっしゃったように、いろんな心配があるからだ、こういうことが言われて、中学生になったらスマートフォンを買い与えるかどうか悩んでいるという、こういうことをよく聞きます。
 是非、啓発活動をしっかりして、間違えて使われるようなことがないように、また安心して使われるようにすることがやはり政府としても大事な役割じゃないかと思います。是非その方向で進めていただくことをお願いをして、私の質問は終わります。
 ありがとうございました。

#157
○伊藤岳君 日本共産党の伊藤岳です。
 インターネット上の名誉毀損、著作権やプライバシー侵害などに当たる悪質、不当な情報流布から国民の権利をいかに守るか、その一方で、市民が情報の発信者になるインターネットの大きな特性を守り、自由な言論をいかに保障し拡大をするのかということは、IT社会の最重要課題の一つだと思います。
 本改正案が名誉毀損やプライバシー侵害などから国民の権利をどのように守るのか、自由な言論と、市民の情報発信の権利と機会をいかに守るのかという観点から質問をしたいと思います。
 資料をお配りしました。御覧をいただきたいと思います。
 木村花さんの事件で、情報開示でメアド特定という報道記事、読売の四月六日付けの記事です。この二段目後ろから八行目ですね。証拠収集のため米国の裁判所に証拠開示を申し立てたところ、米ツイッター社が三月下旬、福井県の男の情報を開示したという。警視庁は遺族側からの情報提供を受け、男から任意で事情を聞いたところ、男は容疑を認めたと。こういう報道であります。そして、四月五日に書類送検をされたと伝えています。亡くなった木村花さんのお母さん、響子さんは、一番下の段の後ろから六行目になりますが、無責任な書き込みで追い詰められてしまうことがないよう、SNS事業者の協力が必要と痛感していますとコメントを出されております。
 そこで大臣に伺います。
 インターネット上での誹謗中傷について、木村花さんの母親のSNS事業者の協力が必要とのコメント、これをどう受け止め、認識をされるでしょうか。

#158
○国務大臣(武田良太君) 御指摘のとおり、発信者情報開示制度の円滑な運用を実現するためには、プロバイダー側の理解と協力の促進が必要不可欠であると認識をしております。
 こうした観点から、総務省としては、アクセスプロバイダーとコンテンツプロバイダー間の連携体制の構築や事業者間でのノウハウ共有といった取組を進めております。また、裁判外における任意の開示に資するよう、プロバイダーに助言を行う民間相談機関の充実や開示事例のガイドラインへの集積などの取組を総務省として支援していくこととしております。
 こうした取組により発信者情報開示制度に対するプロバイダーの理解と協力が促進されるものと考えており、引き続き関係機関や団体と連携して取り組んでまいります。

#159
○伊藤岳君 総務省には、プロバイダー自身による契約約款や利用規約等に基づく迅速な開示、被害者救済へ誠実に向き合う姿勢を強く求めたいと思います。
 新谷副大臣にお聞きします。
 二〇二〇年九月に公表したインターネット上の誹謗中傷への対応に関する政策パッケージでは事業者に対してどのような対策を促していますか、お示しください。

#160
○副大臣(新谷正義君) 総務省におきましては、インターネット上の誹謗中傷への対応に関しまして、昨年九月に策定した政策パッケージ、これにおきまして、プラットフォーム事業者による削除等の対応及び透明性、アカウンタビリティー確保を促進することとしてございます。
 具体的には、プラットフォーム事業者に対して個別の働きかけを行うとともに、本年二月に開催された有識者会議におきまして、プラットフォーム事業者からは、まずは誹謗中傷などに関する削除件数、透明性レポートの公開状況、日本における削除要請に対応する体制などについてヒアリングを実施するなどの対応を行っているところでございます。
 今後は、有識者会議におきまして、プラットフォーム事業者による取組が適切に行われているか、あるいは効果が十分に上がっているか、透明性の確保が十分に図られているか、こういった点を御議論をいただきまして、夏頃までに事業者による取組の効果検証を行っていただく予定となってございます。
 総務省としましては、この効果検証の結果を踏まえて、しっかり適切に対応してまいりたいと考えてございます。

#161
○伊藤岳君 これまで任意開示がされない理由として、権利の侵害が明白であると判断できなかったというものでした。実際上は、発信者からの責任追及リスクをプロバイダーが回避する理由にされていると有識者会議でも委員から指摘をされております。
 総務省にお聞きします。
 インターネット関連事業者が加盟するセーファーインターネット協会が四月五日に権利侵害明白性ガイドラインを公表し、プロバイダーの相談窓口を設置しました。この権利侵害明白性についての議論の経緯や権利侵害明白性ガイドラインの議論の、ガイドラインの概要についてお示しをいただきたいと思います。

#162
○政府参考人(竹内芳明君) 総務省の有識者会議におきまして昨年八月に取りまとめられました中間とりまとめで、プロバイダーに助言を行う民間相談機関の充実、裁判手続において開示要件に該当すると判断された判例等をガイドラインに集積することなどの民間事業者における取組を総務省として支援していくこととしていたところでございます。
 これを踏まえまして、通信事業者の団体である一般社団法人セーファーインターネット協会において設置された有識者会議において、任意開示の促進に向けた施策の検討が行われた結果、今月五日に権利侵害明白性ガイドラインが策定、公表されました。また、同ガイドラインに関する理解を深めるため、プロバイダーからの同ガイドラインに関する相談を受け付ける窓口が設置されたと承知しております。
 同ガイドラインは、プロバイダーにおける任意開示の判断に際して参照することで、適切な任意開示の促進につながるよう、プロバイダーが容易に名誉毀損が明白であると判断可能な類型を示すとともに、参考となる判例を集積したものでございます。
 総務省としては、引き続きこうした民間事業者における取組を支援してまいりたいと考えております。

#163
○伊藤岳君 本改正案は、インターネット上での名誉毀損やプライバシー侵害の被害、侵害を受けた被害者の円滑な救済を図るために、発信者情報開示について非訟手続を創設することになります。
 竹内局長、インターネット上の違法・有害情報の流通状況について、先ほども若干お示しがありましたが、総務省の資料では、二〇一〇年からの十年間で約四倍に相談件数が増加、相談件数は高止まり傾向とされています。現行法下で、発信者情報開示の仮処分申立ての統計を教えてください。

#164
○政府参考人(竹内芳明君) お尋ねの現行法制下での発信者情報開示の仮処分申立ての件数につきまして、全国的には把握できておりませんが、東京地方裁判所における件数について、年々増加傾向にございます。令和元年度は六百三十件でありまして、ここ五年間で約二・五倍となっております。

#165
○伊藤岳君 非訟手続を導入すると、当然、非訟手続による対応件数、また、開示までの所要日数などを把握し統計を取ることになると思います。そして、このデータを適切な被害者救済になっているのかの検証に生かしていただきたいと要求しておきたいと思います。
 ツイッター社やグーグルなど海外事業者を相手方とした事件は、現在、民事訴訟法第四条四項、民訴規則六条の二で東京地裁の管轄になっています。本改正案では、今まで条文に明記されていなかったこの管轄が民訴法に則して第十条に記載をされました。先ほどもお話がありました。
 一般的に、誹謗中傷を受けた被害者が仮処分を申し立てると、印紙代、弁護士費用も掛かるし、金銭的負担は大きいものがあります。パブコメでも、誹謗中傷を受けた地方在住者が発信者情報開示仮処分のために東京地方裁判所に二回通うとなると更に旅費が十万円以上掛かることが分かって、開示請求を断った、断念したという事例もありました。
 竹内局長、日弁連も、発信者情報開示の管轄を被害者の住所地とするよう管轄の規定を設けるべきだと要望書を出しています。検討していますでしょうか。

#166
○政府参考人(竹内芳明君) まず、改正法におけますこの裁判管轄の考え方でありますけれども、これは民事訴訟法における規律を参考として定めたものでございます。
 これはもう委員も御存じかと思いますが、相当な準備をして訴える原告と不意に訴えられる被告の立場の調整の観点から、原告は被告の法廷に従うとするのが原則でございます。このため、プロバイダーの主たる営業所等の所在地を管轄する地方裁判所として規定をしているわけでございます。このほか、本件につきましては、専門性が高いということから、東日本の場合には東京地裁、西日本の場合には大阪地裁にも裁判管轄が認められる旨の規定を置いてございます。
 この点、委員の御指摘のあった点については承知しておりますけれども、新たな裁判手続におきましては、地方在住の被害者の方にとって負担とならない方法により開示命令の審理を進めることが可能と考えております。
 具体的には、開示命令事件における審理方法は陳述の聴取でありますところ、裁判所は手続の期日を開かずに書面による審理結果に基づいて判断を行うことも可能であります。また、当事者が遠隔の地に居住している場合などには、当事者の意見を聞いた上で、電話会議システム及びテレビ会議システムを利用することで手続期日を開くことも可能であります。
 こういった規定を適切に活用することで、地方所在の被害者の負担とならない方法により開示命令の審理を進めることができるものと考えております。

#167
○伊藤岳君 非訟手続導入後、様々な事例を検討して、改善が必要ならば改善をするという方向で対応をしてもらいたいと思います。
 特定電気通信役務提供者に対する訴状等の送達について聞きます。
 外国送達だと手間や時間が掛かり、法人によっては審尋期日呼出し状を送達している間にIPアドレスの保管期限が切れてしまって、開示したいデータが消えてしまうという課題がありました。
 竹内局長、本法案ではこれにどう対応していますか。

#168
○政府参考人(竹内芳明君) 本改正案の開示命令制度におきましては、簡易な方法により相手方に申立書を送付することができるとしておりますので、異議の訴えに移行しない限り、手続全体に掛かる時間が一定程度短縮されることが想定されます。例えば、送付方法として、国際スピード郵便、EMSなどで開示命令申立書を送れば足りるというものでございます。

#169
○伊藤岳君 非訟という簡便、迅速な手続となっていきます。同時に、申立てから開示命令まで短縮するためには、私、裁判所の職員の増員も必要だと思います。このことは一つの課題として提起をしておきたいと思います。
 続いて、発信者情報開示の扱いについて聞いていきたいと思います。
 まず、武田大臣にお聞きします。
 インターネットの持つ大きな特性の一つは、市民が情報の発信者になることではないでしょうか。この特性を守り、自由な言論をいかに保障し拡大するかは重要な課題だと私思います。この点、大臣の認識を伺いたいと思います。

#170
○国務大臣(武田良太君) 御指摘のとおり、インターネットは誰もが手軽に情報を発信し、受けることができる双方向のメディアとして発展してきており、ネットにおける発信者の表現の自由を確保することは重要と認識をしております。
 一方で、インターネット上の誹謗中傷により被害者が発生していることも事実であり、総務省では、これまで、被害者救済と表現の自由という重要な権利利益とのバランスに配慮しつつ、プロバイダーにおける円滑な対応が促進されるような環境整備を行ってきたところであります。今後とも、こうしたバランスに配慮しつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。
 なお、発信者の利益保護のための仕組みは本改正法案においても確保されており、例えば、新たに創設される裁判手続において、現行法における発信者情報開示請求の要件を維持するとともに、開示請求を受けたプロバイダー等に発信者に意見を聞くことなどを課すなど、発信者に十分な配慮がなされていると考えております。

#171
○伊藤岳君 発信者情報の開示は適正に行われるべきなのは言うまでもありません。
 発信者情報開示の在り方に関する研究会の委員からは、開示された電話番号が例えばウエブページなどに掲載されたり、嫌がらせや脅迫等の行為に用いられたりするおそれ、また名誉毀損、プライバシー侵害などの被害者側が報復として加害者の電話番号を電子掲示板やSNSに拡散するということも考えられる、開示された発信者の側には有効な自衛手段が余りないとの指摘もありました。
 そこで、本改正案の第七条について聞きます。
 第七条では、「発信者情報の開示を受けた者は、当該発信者情報をみだりに用いて、不当に当該発信者情報に係る発信者の名誉又は生活の平穏を害する行為をしてはならない。」と定めています。
 竹内局長、開示決定により開示された発信者情報がインターネット上に流出した場合、本法案ではどう対応しますか。また、開示された特定情報を、開示請求した当事者の友人、知人、親族等がインターネット上に流出させた場合にはどの法律が対応することになりますか。

#172
○政府参考人(竹内芳明君) 本改正法の第七条は、「発信者情報の開示を受けた者は、当該発信者情報をみだりに用いて、不当に当該発信者情報に係る発信者の名誉又は生活の平穏を害する行為をしてはならない。」旨を定めております。これは民事上の義務を定めた趣旨であり、この規定に従わない情報の用い方をして発信者に損害が発生した場合には、民法上、プライバシー侵害等の不法行為を構成することとなり、発信者から責任を追及されることとなります。
 したがって、開示決定により開示された発信者情報がインターネット上に流出したことにより発信者に損害が発生した場合には、その流出をさせた者に民法上の不法行為が成立することとなります。流出させた者が開示請求者でなく、その友人等であっても同様でございます。

#173
○伊藤岳君 安心して誰もがアクセスができ、発信できる社会にするために更に検討が深められることを期待をしたいと思います。
 批判的言論威圧の道具たるスラップ訴訟を防ぐ手だても課題となっております。匿名で投稿される心ない言葉に苦しむケースだけではなくて、匿名表現の中には、消費者による企業の商品、サービスに対する口コミなど正当な批判、また、従業員による企業内不正の告発などもあると思います。お金のある企業や、またお金のある団体が自身に対するこうした批判的活動を封じ込めるために、発信者情報開示請求を悪用、濫用するなどがあってはならないと思います。
 古川政務官にお聞きします。
 スラップ訴訟、このスラップ訴訟について、本改正案により創設される非訟手続において発信者情報開示請求を行いやすくする仕組みが悪用される、この危険についてどのように認識しているか、どのように対応していますか。

#174
○大臣政務官(古川康君) 確かに、委員御指摘のように、発信者情報開示請求を行いやすくする仕組みが今回つくられようとしているわけでございます。
 一方で、現行法では、開示請求における開示の判断の要件として、開示請求者の権利が侵害されたことが明らかであることを求めておりますが、このことは、この今回の本改正で導入される非訟手続におきましても、この開示の要件に変更はございません。これは、発信者情報の開示が発信者のプライバシーや表現の自由、通信の秘密という重大な権利利益に関する問題である上、その性質上、一旦開示されてしまうとその原状回復は困難であることから、安易に開示が行われることがないようにするためでございます。
 したがいまして、本改正によって、濫用的な開示請求により不当な開示が行われるようになるものではないと考えているところでございます。
 また、手続上も、異議の訴訟が提起されない場合などにおきましては、この終局決定に確定判決と同一の効力が付与されることになっております。言わば、既判力が認められるということになります。これにより紛争の蒸し返しが防止できますので、この改正によりまして開示請求の濫用が生じるとは考えていないところでございます。

#175
○伊藤岳君 本法案の第十四条では、裁判所の決定に不服がある当事者は、当該決定の告知を受けた日から一か月の期間内に異議の訴えを提起することができると定めております。憲法で定められた裁判を受ける権利を保障するものとされています。SNSにおける正当な批判や告発を萎縮させてはならないということを改めて強調しておきたいと思います。
 法務省人権擁護局長にもおいでいただきました。法務省にお聞きします。
 インターネット上での誹謗中傷対策は、ネットモラルの理解促進、相談窓口などの周知も重要だと思います。人権擁護局では啓発や周知に取り組んでおられますが、二〇二〇年九月の政策パッケージにおける法務省としてのネット中傷防止の対応方針を示してください。

#176
○政府参考人(菊池浩君) お答えいたします。
 インターネット上の誹謗中傷の問題について、法務省の人権擁護機関では、個別の事案に対する人権相談や人権侵犯事件としての調査、救済に加え、社会一般に対する啓発活動を行っております。委員御指摘の総務省の政策パッケージの中においても、法務省に関わるものとして、ユーザーにとって分かりやすい相談窓口の案内、プラットフォーム事業者等との連携推進、事業者団体と共同した啓発の取組が挙げられているところであります。
 そこで、法務省におきましては、総務省等と連携して、被害者がどのような相談窓口を活用すればよいのかを分かりやすく整理した上で周知するとともに、法務省の人権擁護機関が行う削除要請の実効性を高めるため、総務省とともにプロバイダー事業者等との意見交換の場となる実務者検討会を継続的に開催し、さらに、人権啓発活動の一環として、総務省及びSNS事業者団体と連携して、SNS利用に関する人権啓発サイトを開設するなどしております。また、このほかにも、本年三月四日にインターネット上の人権侵害に関する人権シンポジウムを開催するなどしております。
 今後は、これらの取組に加えまして、個々のSNS事業者と連携した啓発活動であるとか、あるいはプロスポーツの団体と連携した啓発活動を行うことを検討しております。
 法務省といたしましては、今後とも、これらの取組を通じて、インターネット上の誹謗中傷の問題に対してしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

#177
○伊藤岳君 武田大臣に伺います。
 他の省庁と連携をし、二〇二〇年九月の政策パッケージの実行とともに、被害者救済の状況調査を更に進めてほしいと思います。今後の見直し方針ですとか認識を伺いたいと思います。いかがでしょうか。

#178
○国務大臣(武田良太君) インターネット上の誹謗中傷対策について、総務省では、昨年九月策定した政策パッケージに基づく取組を実施をしております。
 御指摘のインターネット上の誹謗中傷に関わる被害者の救済状況については、違法・有害情報相談センターにおける相談件数や、法務省の人権擁護機関による削除要請件数や削除対応率について調査を行い、本年二月に有識者会議に報告を行ったところであります。有識者会議においては、これらの報告も踏まえ、プラットフォーム事業者の取組についてヒアリングを行っていただいたところであり、今後、夏頃までにこうした事業者の取組の効果検証を行っていただく予定であります。
 総務省としては、効果検証の結果などを踏まえ、被害者の救済が進むよう適切な対応を検討してまいりたいと考えております。

#179
○伊藤岳君 インターネットの技術の革新に伴い、インターネット上の誹謗中傷、人権侵害情報の対応の変化が想定されます。今後も調査検討を続け、必要があれば改善し、迅速に被害者救済を図るよう努力を求めて、質問を終わります。

#180
○委員長(浜田昌良君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

#181
○委員長(浜田昌良君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、那谷屋君から発言を求められておりますので、これを許します。那谷屋正義君。

#182
○那谷屋正義君 私は、ただいま可決されました特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会、国民民主党・新緑風会及び日本共産党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法施行に当たり、次の事項についてその実現に努めるべきである。
 一、迅速・的確な被害者救済とともに、民主主義の根幹である表現の自由、通信の秘密が確保されるよう特に留意の上、関係機関・団体に協力を求めてインターネット上の誹謗中傷・人権侵害対策に当たること。
 二、インターネット上の誹謗中傷・人権侵害に関する情報発信について、過去の権利侵害に関する判例に基づくガイドラインを作成すること等により、運営事業者自身による契約約款や利用規約等に基づく主体的な削除等の取組を支援するとともに、迅速・的確な削除等の対応ができる環境整備を行うこと。
 三、インターネット上の誹謗中傷・人権侵害情報等に関する相談件数が高止まりしており、今後、デジタル化の進展により多種多様な誹謗中傷・人権侵害情報等の発信が想定されることから、インターネット上で誹謗中傷等を受けた被害者の相談体制を関係機関・団体と連携の上、充実・強化し、実効性のある被害者支援体制を構築すること。
 四、インターネット上の誹謗中傷・人権侵害を防止するためには、社会全体の情報モラルやICTリテラシーの向上が重要であることから、関係機関・団体が連携協力して啓発活動及び加害者や被害者にならない対策を行うとともに、特に児童・生徒に対する情報モラルやICTリテラシー教育を充実させること。
 五、インターネット上の誹謗中傷・人権侵害が海外のウェブサイトやサーバーを経由して行われ得ることに鑑み、発信者情報開示手続や削除に関し、諸外国との間で国際協力体制を構築するよう努めること。
 六、インターネット上の誹謗中傷・人権侵害対策に当たっては、誹謗中傷等に関する相談や削除対応等の件数等について実態把握を行うとともに、本法施行後において、本法に基づく非訟手続による対応件数、開示までの所要日数等を把握し、適切な被害者救済方策となっているかの検証及び運営事業者に寄せられた削除請求等の件数と対応結果について調査研究を行い、その結果を踏まえ必要な見直しを行うこと。
 七、インターネットにおける今後の急速な技術革新に伴い予想される誹謗中傷・人権侵害情報の多種多様な態様の変化に適切に対応できるよう、発信者情報開示及び削除の制度について不断の見直しを行うこと。
 八、インターネット上で権利侵害を受けた被害者が、迅速かつ円滑に権利回復を図ることができるよう、本法に基づく非訟手続について、関係機関・団体と連携の上、適切な周知を図ること。
 九、インターネット上で広がっている性暴力被害についても、被害者救済のための運営事業者の役割などを明らかにし、対策を強化すること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

#183
○委員長(浜田昌良君) ただいま那谷屋君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

#184
○委員長(浜田昌良君) 全会一致と認めます。よって、那谷屋君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、武田総務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。武田総務大臣。

#185
○国務大臣(武田良太君) ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

#186
○委員長(浜田昌良君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#187
○委員長(浜田昌良君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────

#188
○委員長(浜田昌良君) 連合審査会に関する件についてお諮りいたします。
 デジタル社会形成基本法案、デジタル庁設置法案、デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案、公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律案及び預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律案について、内閣委員会に対し連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#189
○委員長(浜田昌良君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#190
○委員長(浜田昌良君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十四分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト