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2021/04/20 第204回国会 衆議院 第204回国会 衆議院 本会議 第23号 令和3年4月20日
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2021/04/20 第204回国会 衆議院

第204回国会 衆議院 本会議 第23号 令和3年4月20日

#1
令和三年四月二十日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十五号
  令和三年四月二十日
    午後一時開議
 第一 少年法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第二 海事産業の基盤強化のための海上運送法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第三 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第四 令和元年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第二百一回国会、内閣提出)
 第五 令和元年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)(第二百一回国会、内閣提出)
 第六 令和元年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)(第二百一回国会、内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 少年法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 海事産業の基盤強化のための海上運送法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第三 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第四 令和元年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第二百一回国会、内閣提出)
 日程第五 令和元年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)(第二百一回国会、内閣提出)
 日程第六 令和元年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)(第二百一回国会、内閣提出)
 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)
 菅内閣総理大臣の米国訪問に関する報告及び質疑
    午後一時二分開議

#2
○議長(大島理森君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 少年法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

#3
○議長(大島理森君) 日程第一、少年法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。法務委員長義家弘介君。
    ―――――――――――――
 少年法等の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔義家弘介君登壇〕

#4
○義家弘介君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、成年年齢の引下げ等の社会情勢の変化を踏まえ、十八歳及び十九歳の者について、少年法上の少年として家庭裁判所に全件送致する現行の規定を適用する一方、原則として検察官に送致しなければならない事件の対象範囲を拡大する等の措置を講じようとするものであります。
 本案は、去る三月二十五日、本会議にて趣旨説明及び質疑が行われた後、本委員会に付託されました。
 四月二日上川法務大臣から趣旨の説明を聴取し、六日に質疑に入り、同日参考人から意見を聴取し、十二日東京家庭裁判所の視察を行いました。
 十四日には、本案に対し、立憲民主党・無所属から、特定少年の保護事件に関する特例規定の削除等を内容とする修正案が提出され、趣旨の説明を聴取した後、原案及び修正案を一括して質疑を行い、同日質疑を終局いたしました。
 十六日、討論、採決の結果、修正案は賛成少数をもって否決され、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――

#5
○議長(大島理森君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕

#6
○議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 海事産業の基盤強化のための海上運送法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

#7
○議長(大島理森君) 日程第二、海事産業の基盤強化のための海上運送法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。国土交通委員長あかま二郎君。
    ―――――――――――――
 海事産業の基盤強化のための海上運送法等の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔あかま二郎君登壇〕

#8
○あかま二郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、海事産業の基盤強化を図るため、造船、海運分野の競争力強化、船員の働き方改革及び内航海運の生産性向上等の措置を講じようとするもので、その主な内容は、
 第一に、造船事業者等が作成する事業基盤強化計画と海運事業者等が作成する高品質な船舶の導入に係る計画に対する認定及び金融支援等の支援制度を創設すること、
 第二に、船舶所有者に対し、新たに労務管理責任者の選任や船員の労働時間の短縮等の適切な措置を講じることを義務づけること、
 第三に、船舶管理業に係る登録制度を創設するとともに、荷主や内航海運業者に対し他の内航海運業者の行う船員の労務管理への配慮を義務づけること、
 第四に、我が国に発着、寄港する外国のクルーズ事業者等に対する報告徴収制度を創設すること
などであります。
 本案は、去る四月十三日本委員会に付託され、翌十四日赤羽国土交通大臣から趣旨の説明を聴取し、十六日、質疑を行い、質疑終了後、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――

#9
○議長(大島理森君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#10
○議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第三 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

#11
○議長(大島理森君) 日程第三、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。内閣委員長木原誠二君。
    ―――――――――――――
 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔木原誠二君登壇〕

#12
○木原誠二君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、障害を理由とする差別の解消の一層の推進を図るため、事業者による社会的障壁の除去の実施に係る必要かつ合理的な配慮について、現行の配慮努力義務を配慮義務へと改めるとともに、国及び地方公共団体が障害を理由とする差別に関する相談に対応する人材を育成し又はこれを確保する責務を明確化する等の措置を講ずるものであります。
 本案は、去る十三日本委員会に付託され、翌十四日坂本国務大臣から趣旨の説明を聴取いたしました。次いで、十六日に質疑を行い、質疑終局後、採決いたしましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対し附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――

#13
○議長(大島理森君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#14
○議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第四 令和元年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第二百一回国会、内閣提出)
 日程第五 令和元年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)(第二百一回国会、内閣提出)
 日程第六 令和元年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)(第二百一回国会、内閣提出)

#15
○議長(大島理森君) 日程第四、令和元年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)、日程第五、令和元年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)、日程第六、令和元年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)、右三件を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。決算行政監視委員長馬淵澄夫君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔馬淵澄夫君登壇〕

#16
○馬淵澄夫君 ただいま議題となりました三件につきまして、決算行政監視委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 三件は、財政法の規定に基づき、国会の事後承諾を求めるため提出されたものであります。
 まず、令和元年度一般会計予備費(その1)について、その使用事項は、賠償償還及払戻金の不足を補うために必要な経費、中小企業者等の経営支援に必要な経費、ハンセン病元患者家族に対する補償金の支給等に必要な経費等計三十一件で、その使用総額は二千百三十四億円余であります。
 次に、令和元年度一般会計予備費(その2)について、その使用事項は、新型コロナウイルス感染症対策に係る助成金等の支給等に必要な経費、新型コロナウイルス感染症対策に係る中小企業者等に対する強力な資金繰り支援に必要な経費、新型コロナウイルス感染症対策に係る個人向け緊急小口資金等の特例措置に必要な経費等計三十八件で、その使用総額は二千五百三十四億円余であります。
 次に、令和元年度特別会計予備費について、その使用事項は、労働保険特別会計における新型コロナウイルス感染症対策に係る助成金の支給等に必要な経費の一件で、その使用額は四百二十億円であります。
 委員会におきましては、三件につき去る四月十二日麻生財務大臣から説明を聴取した後、昨十九日、質疑を行い、質疑終局後、討論、採決の結果、令和元年度一般会計予備費(その1)及び令和元年度一般会計予備費(その2)は賛成多数をもって、令和元年度特別会計予備費は全会一致をもって、承諾を与えるべきものと議決いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――

#17
○議長(大島理森君) これより採決に入ります。
 まず、日程第四及び第五の両件を一括して採決いたします。
 両件は委員長報告のとおり承諾を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕

#18
○議長(大島理森君) 起立多数。よって、両件とも委員長報告のとおり承諾を与えることに決まりました。
 次に、日程第六につき採決いたします。
 本件は委員長報告のとおり承諾を与えるに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#19
○議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告のとおり承諾を与えることに決まりました。
     ――――◇―――――

#20
○武部新君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 議院運営委員長提出、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案は、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。

#21
○議長(大島理森君) 武部新君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#22
○議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。
    ―――――――――――――
 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)

#23
○議長(大島理森君) 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の趣旨弁明を許します。議院運営委員長高木毅君。
    ―――――――――――――
 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔高木毅君登壇〕

#24
○高木毅君 ただいま議題となりました国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨を御説明申し上げます。
 本法律案は、現在実施いたしております歳費の月額の削減措置を、本年十月三十一日まで継続しようとするものであります。
 本法律案は、本日、議院運営委員会において起草し、提出したものであります。
 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――

#25
○議長(大島理森君) 採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#26
○議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
 内閣総理大臣の発言(米国訪問に関する報告)

#27
○議長(大島理森君) 内閣総理大臣から、米国訪問に関する報告について発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣菅義偉君。
    〔内閣総理大臣菅義偉君登壇〕

#28
○内閣総理大臣(菅義偉君) 私は、四月十五日から十八日まで米国ワシントンを訪問し、バイデン大統領と日米首脳会談を行いました。その概要を御報告いたします。
 日米は、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を共有する同盟国です。日米同盟は、インド太平洋地域及び世界の平和、安定と繁栄の礎として、その役割を果たしてきましたが、今日の地域情勢や厳しい安全保障環境を背景に、同盟の重要性はかつてなく高まっています。こうした共通認識の下、首脳会談では、互いの政治信条、日米が共有するビジョンから、地域情勢、経済などグローバルな課題まで、幅広く、率直な意見交換を行いました。
 バイデン大統領とは、先月の日米2プラス2で一致した認識を改めて確認し、その上に立って、更に地域の平和と安定のために取り組むことで一致をいたしました。その上で、地域の平和と繁栄を確保していくために、日米で、自由で開かれたインド太平洋の具体化を主導し、ASEAN、豪州、インドを始めとする他の国々、地域とも協力を進めていくことで一致をいたしました。
 中国、北朝鮮等の地域情勢についても意見交換を行いました。
 中国については、インド太平洋地域と世界全体の平和と繁栄に対して中国が及ぼす影響について意見交換を行い、東シナ海や南シナ海における力による現状変更の試みに反対することなどで一致をいたしました。その上で、こうした問題に対処する観点から、中国との率直な対話の必要性を確認するとともに、普遍的価値を擁護しつつ、国際関係における安定を追求していくことで一致しました。
 北朝鮮については、北朝鮮の完全な非核化へのコミットメントを再確認し、北朝鮮に対して国連安保理決議の下での義務に従うことを求めることで一致しました。私から、拉致問題の即時の解決に向けて引き続きの理解と協力を求め、バイデン大統領から力強い支持を得ました。さらに、日米韓の三か国協力が地域の平和と繁栄にとって不可欠であるとの認識で一致をしました。
 こうした厳しさを増す地域の安全保障環境を踏まえ、バイデン大統領とは、日米同盟の抑止力、対処力を強化していく必要性でも一致しました。私から、日本の防衛力強化への決意を述べ、バイデン大統領からは、日米安保条約第五条の尖閣諸島への適用を含む、米国による日本の防衛へのコミットメントが改めて示されました。同時に、沖縄を始め地元の負担軽減を図る観点から、普天間飛行場の辺野古への移設を含め、在日米軍再編を着実に推進することで一致いたしました。
 さらに、気候変動問題や新型コロナウイルス感染症対策といった現下の国際社会が直面する課題に対処していく上でも、日米両国は、互いに不可欠なパートナーであり、多国間の取組を主導する大きな責任を負っていることを確認いたしました。
 そのような観点から、日米首脳共同声明、新たな時代における日米グローバルパートナーシップを発出しました。また、日米競争力・強靱性パートナーシップにも合意をし、日米共通の優先分野でもあるデジタルや科学技術における競争力とイノベーションの推進、コロナ対策、グリーン成長、気候変動などの分野で協力を推進することで一致いたしました。さらに、パリ協定の実施、クリーンエネルギー技術、途上国の脱炭素移行の各分野での協力を一層強化していくために、野心、脱炭素化及びクリーンエネルギーに関する日米気候パートナーシップを立ち上げることでも一致しました。
 これらのイニシアティブの下、具体的で包括的な日米協力に弾みをつけていきます。
 東京オリンピック・パラリンピック競技大会については、私から、本年夏、世界の団結の象徴として開催を実現する決意を述べたのに対し、バイデン大統領から、改めて支持が表明をされました。
 今回、各国の首脳に先駆けて、私がバイデン大統領、ハリス副大統領にとって初となる対面での会談を行うことで、インド太平洋地域への米国のコミットメント、そして日米同盟の結束を国際社会に力強く示すことができたと考えます。
 今回の日米首脳会談の成果を踏まえ、我が国としては、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値をしっかりと擁護し、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、米国と更に連携協力を深めていく考えであります。(拍手)
     ――――◇―――――
 内閣総理大臣の発言(米国訪問に関する報告)に対する質疑

#29
○議長(大島理森君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。鬼木誠君。
    〔鬼木誠君登壇〕

#30
○鬼木誠君 自由民主党の鬼木誠です。
 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、菅総理の米国帰朝報告について、総理に質問をいたします。(拍手)
 まず、今般、総理が諸外国の首脳に先駆けてバイデン大統領と対面での首脳会談を実現したことは、大変意義深かったと考えております。今次訪問により、日米同盟の結束を対外的に示すとともに、インド太平洋への米国のコミットメントを明確に示すことができたと考えます。
 今回の訪米の意義と成果をお聞かせください。
 日米首脳会談の最大のテーマの一つが、台頭する中国への対応であったと思います。
 バイデン大統領は、中国を最も深刻な競争相手とみなし、これまで、安全保障のみならず、人権や経済安全保障の観点からも、中国に対して厳しい姿勢を表明しています。二月の米中首脳電話会談や三月のアラスカでの米中会談でも、厳しいやり取りが行われました。
 総理との会談において、中国についてはどのようなやり取りが行われたのでしょうか。
 日米が共有する重要な価値観は基本的人権の尊重であります。
 今回の日米共同声明では、香港や新疆ウイグル自治区における人権状況への深刻な懸念が明記されました。海を隔てた隣国で悲惨な人権侵害が行われていることは、日本にとって人ごととして見過ごすことのできない事態であります。
 伝統的に多様性や人権を重んじる民主党のバイデン大統領とは、アジアの人権状況についてどのような意見交換があったのでしょうか。
 北朝鮮は、先月、弾道ミサイルを発射するなど、引き続き、我が国と地域の平和、安全を脅かしています。
 一方、バイデン政権は、対北朝鮮政策はレビュー中であるとして、中国に対するものと比べると厳しい姿勢は示しておりません。
 総理は、訪米前、北朝鮮が会談のメインテーマになると述べておられましたが、北朝鮮についてはどのようなやり取りがなされたのでしょうか。また、拉致問題の即時解決に向け、バイデン大統領からの協力を得られたのか、お聞かせください。
 日米共同宣言には、米国はまた、日米安全保障条約第五条が尖閣諸島に適用されることを再確認した、日米両国は共に、尖閣諸島に対する日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対すると明記されました。
 この記述は、アメリカも、尖閣諸島の主権は日本にあると考えていることの表れであり、そこへの侵害行為は認めないという意思を示したものと言えるでしょう。緊張の高まる尖閣諸島に対して、日米がこうした認識を共有し、意思を表明したことは、何よりの抑止力になるものと思われます。
 日本を取り巻く安全保障環境が一層深刻化する中、今ほど日米同盟の強化が求められることはありません。バイデン政権は、政権発足当初から、ハイレベルで同盟強化への力強いコミットメントを示しております。
 会談において、日米安保・防衛協力の強化についてどのようなやり取りがあったのでしょうか。
 インド太平洋地域の重視を掲げるバイデン政権は、日米同盟に加え、日米豪印の協力も積極的に進めています。先月には、バイデン大統領の呼びかけにより、史上初となる日米豪印首脳テレビ会議が行われました。
 四か国の首脳間では、年末までに対面での首脳会合を行うことでも一致していますが、今回の会談で、バイデン大統領から何か具体的な提案はあったのでしょうか。
 菅総理もバイデン大統領も、気候変動の問題を温室効果ガスの削減という環境問題として捉えるとともに、それを新規投資や雇用の拡大、イノベーション、それを通じた経済成長の達成と関連づけ、政権の重要政策と位置づけています。また、あさってには、バイデン大統領が主催する気候サミットも開催されます。
 気候変動分野は、今後、日米間の協力の進展が特に期待される分野の一つですが、今回の会談でどのような成果が得られたと考えられますか。
 二〇二〇東京オリンピック・パラリンピック競技大会まで、あと三か月となりました。東京大会の成功のためには、米国を始めとする各国の協力が不可欠です。
 東京大会について、バイデン大統領との間でどのようなやり取りがなされたのでしょうか。
 最後に、今回の訪米で深まった菅総理とバイデン大統領との個人的な信頼関係の下、今後、日米両国が、インド太平洋地域のみならず、世界の平和と繁栄のためにより一層連携を深めていくことへの期待を申し上げ、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣菅義偉君登壇〕

#31
○内閣総理大臣(菅義偉君) 鬼木誠議員にお答えをいたします。
 今回の訪米の意義と成果についてお尋ねがありました。
 バイデン大統領との対面での初会談を行い、個人的な信頼関係を構築するとともに、インド太平洋地域への米国のコミットメント、そして日米同盟の結束を国際社会に力強く示すことができたと考えます。
 首脳会談の成果として、日米首脳共同声明を発出しました。日米両国は互いに不可欠なパートナーであることを確認し、グローバルな課題への対応における多国間の取組を主導していく決意を打ち出しました。
 こうした首脳会談の結果を踏まえ、バイデン大統領とともに、自由で開かれたインド太平洋の具体化を戦略的に推進するとともに、日米同盟を更に強化していきたいと思います。
 今回の首脳会談での中国に関するやり取りについてお尋ねがありました。
 会談では、インド太平洋地域と世界全体の平和と繁栄に対して中国が及ぼす影響について意見交換を行い、東シナ海や南シナ海における力による現状変更の試みに反対することなどで一致しました。
 その上で、こうした問題に対処する観点から、中国との率直な対話の必要性を確認するとともに、普遍的価値を擁護しつつ、国際関係における安定を追求していくことで一致をいたしました。
 今回の首脳会談でのアジアの人権状況に関するやり取りについてお尋ねがありました。
 会談では、香港情勢や新疆ウイグル自治区などにおける人権状況についても議論が及び、深刻な懸念を共有しました。
 状況改善のために重要なことは、日米を含む国際社会が緊密に連携をして中国側に強く働きかけをしていくことであり、今後とも、米国とよく意思疎通をしつつ、しっかりと対応してまいります。
 今回の首脳会談における北朝鮮に関するやり取りについてお尋ねがありました。
 会談では、バイデン大統領との間で、北朝鮮の完全な非核化へのコミットメントを再確認し、北朝鮮に対して国連安保理決議の下での義務に従うことを求めることで一致しました。
 また、私から、拉致問題の即時解決に向けて引き続きの理解と協力を求めたのに対し、バイデン大統領から、拉致問題の即時解決を求める米国のコミットメントが改めて示されました。
 今回の首脳会談における日米安全保障・防衛協力の強化についてお尋ねがありました。
 会談では、厳しさを増す地域の安全保障環境を踏まえ、バイデン大統領とは、日米同盟の抑止力、対処力を強化していく必要性でも一致しました。
 私から、日本の防衛力強化への決意を述べ、バイデン大統領からは、日米安保条約第五条の尖閣諸島への適用を含む、米国による日本の防衛へのコミットメントが改めて示されました。
 今回の首脳会談における日米豪印に関するやり取りについてお尋ねがありました。
 会談では、日米豪印首脳テレビ会議が成功裏に開催されたことを歓迎し、引き続き日米が主導して、豪州、インドやASEANなどと連携しつつ、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた協力を強化していくことを確認しました。
 次回の日米豪印首脳会合については、四か国間で、本年末までに対面で開催することで一致していますが、具体的な日程については決まっておりません。
 今回の首脳会談での気候変動分野の成果についてお尋ねがありました。
 会談では、日米気候パートナーシップを立ち上げ、気候変動分野における日米協力をより一層強化することを確認しました。
 本年の一連の国際会議、また、その先に向けて、日米両国が国際社会の議論を積極的にリードしてまいります。
 今回の首脳会談で、東京オリンピック・パラリンピック競技大会についてのやり取りについてお尋ねがありました。
 会談で、私がバイデン大統領に対し、今年の夏、世界の団結の象徴として東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を実現する決意を述べました。バイデン大統領から、この決意に対する支持を改めて表明いただきました。(拍手)
    ―――――――――――――

#32
○議長(大島理森君) 緑川貴士君。
    〔緑川貴士君登壇〕

#33
○緑川貴士君 秋田県に住んでいる立憲民主党の緑川貴士です。
 立憲民主党・無所属を代表して、質問させていただきます。(拍手)
 菅総理の訪米中も深刻さを増している国内の感染状況について、まずは触れなければなりません。
 従来株に加え、より感染力の強い変異株が猛威を振るい、蔓延防止等重点措置の適用エリアが広がっていたさなかの十四日、菅総理は、現時点で全国的に大きなうねりとまではなっていないと答えられました。外遊を前に、心ここにあらずであったのか、他人事のようでした。
 今の感染状況は大きなうねりになっているのでしょうか。今なお、そうではないのでしょうか。御認識を伺います。
 日米首脳会談は、アメリカの都合で先送りされて今回の日程となりました。そうであれば、日本としても、コロナの影響が国内で悪化している中、陣頭指揮を執るために、日を改めたいとバイデン大統領に申し入れるのが適切ではなかったでしょうか。リモートで行うことなどは検討されなかったのでしょうか。お答えください。
 第三波を上回るペースで感染が広がる大阪、そして東京は、更に強い措置を取るために、緊急事態宣言の発出を国に要請するとしています。そもそも、先月の緊急事態宣言の解除時はリバウンドの兆候が既に見られ、解除するべきではないと強い世論の声があったにもかかわらず、解除されました。また宣言が再び出されるということになるのであれば、前回の宣言は延長するべきだったのではないでしょうか。御見解を伺います。
 自ら先頭に立ち、国民の命と暮らしを守り抜く覚悟で取り組むと総理は繰り返しますが、緊急事態宣言は、出るたびにその効力が失われ、国民にその危機意識が届きにくくなっています。先の見えない戦いを強いられる国民のコロナ疲れもあり、宣言解除後はその反動による緩みも目立ちます。
 飲食店以外も含めた休業要請など、より強い措置を検討することも必要ですが、懸念される緊急事態慣れに対して、政府は対策の効果をどう維持し、そのために総理としてどうメッセージを発信していかれるのか、伺います。
 切り札であるコロナワクチンの供給は遅れ、国内の接種率は〇・九%と先進国では最低レベルで、大幅に遅れています。
 菅総理は、訪米中、ファイザーに追加の供給を要請しましたが、違和感があるのは、ファイザーが交渉には首相を出してほしいと逆指名された経緯もある中で、総理がわざわざ訪米したのに、結局、電話での会談でした。単に電話で話すのであれば、訪米前でもよかったはずなんですが、なぜ電話会談だったんでしょうか。
 また、ファイザーのブーラCEOとの会談では、ワクチンの追加供給に向けた協議を進めることを合意したのであって、供給すること自体を確約したとは思えません。具体的にどこまで合意できたのか、お答えください。
 ワクチンの効果的な使用頻度について、ブーラCEOは、二回目の接種が終わっても、その後、半年から一年の間に三回目の接種を受け、それ以降は毎年接種を受けることを想定しているようですが、総理にはどんな説明があったんでしょうか。
 主要国は、既にこの冬以降のワクチンの確保にも乗り出していますが、国内では、来年使うワクチンの確保の時期は更に不透明です。来年用のワクチンの確保、そのためのワクチンの国内でのライセンス生産を進めることも重要であると考えていますが、今の進捗状況はどうなっているんでしょうか。お答えください。
 東京オリンピック・パラリンピックの開催について伺います。
 人類がコロナに打ちかったあかしと総理が位置づけている大会の開催ですが、会談後の記者会見では、総理は、この表現を使わず、世界の団結の象徴と表現しました。団結と打ちかつとでは意味が異なります。打ちかったあかしにはできないと判断して、位置づけを変えたんでしょうか。御認識を伺います。
 また、会見では、総理に対して、公衆衛生の専門家から開催の準備ができていないという指摘がある、無責任ではないかとアメリカメディアから質問がありましたが、総理、なぜ答えなかったんでしょうか。
 また、大会の開催について、総理はバイデン大統領から支持を受けたと答えていましたが、日米共同声明には、大会を開催するための菅総理の努力を支持すると盛り込まれたのであって、正確な表現ではないと思います。バイデン大統領から、大会を開催すること自体の明確な支持の有無、また、選手団の派遣や大統領の開会式の出席予定なども含めて、具体的にどのような発言があったのか、正確な御答弁を求めます。
 欧米メディアからは、選手一万一千人以上の安全を確保しながらイベントを成功させることは至難の業だと開催の懸念が伝えられ、各国の世論も不安視しています。変異株の感染も世界で拡大している中で、どのような条件が整えば大会の開催が可能であると考えているのか、具体的にお答えください。
 共同声明で示されたように、我が国の領土、領海における中国による一方的な現状変更の試みや、南シナ海における中国の不法な海洋権益に関する主張や活動は、断じて容認できません。同盟国、関係国と連携して、毅然と対応していかなければならない問題であります。
 他方、日本にとって、中国は隣国であり、経済的な結びつきも深く、日中関係を平和的に発展させていくことが日本の国益にかないます。
 対中関係において、日米は、基本認識は共有しながらも、それぞれが中国に対して持つ関係性を生かしながら、日米が連携して外交を展開していくことが重要です。
 バイデン大統領とは、そういった日米の対中関係の違いを踏まえ、連携を深めていくことについて議論はされたのか、また、会談の結果について、中国は激しく反発していますが、中国に対し、総理としてどのようなメッセージを発信していかれるのか、伺います。
 会談で、総理は、日米のそれぞれが中国と率直な対話を行う必要もあると発言されました。対話によって、双方に横たわる課題を解決する外交姿勢、その枠組みづくりを日本として主導し、例えば日米中の三か国による会談を持ちかけることなども必要ではないでしょうか。御見解を伺います。
 今後、日中関係が悪化した場合の経済、また、中国に軸足を置く日本企業への影響を不安視する声もあります。
 ウイグルにおける人権侵害を厳しく非難しているアメリカは、中国当局へ制裁を科していますが、制裁に参加しない日本に対しては、例えばウイグルでの人権侵害に関連した製品や電気自動車の生産に不可欠なレアアースなどについて中国からの輸入を止めるようアメリカから要請される可能性、あるいは、行政命令が中国当局から出され、中国国内で日本企業が自由に活動できなくなるリスクも想定されますが、総理のお考え、今後の対応について伺います。
 バイデン政権は、トランプ政権時代の対中強硬姿勢をむしろ更に強めることでアメリカ議会の協力を得やすくし、それによって国内対策も円滑に進められるなど、議会対策としても今回の会談を重視しています。初の対面での会談の相手に菅総理を選び、中国牽制の最前線に日本を位置づけ、その役割へのアメリカからの重い期待というものは、共同声明で実務事項が詳細に盛り込まれた二千五百字の長文にも見て取ることができます。
 共同声明は、五十二年ぶりに台湾に言及し、日米両国は、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促すとまで明記されましたが、これが日本にとってどのような意味を持ち、これまでと何が違ってくるのか、国民に向けて分かりやすく御説明ください。
 中国の軍事行動が活発化する中、不測の事態が起こらないとも限りません。
 例えば、台湾が侵攻され、武力攻撃を受けることで台湾の安全が脅かされる事態というのは、日本の平和や安全に重要な影響を与える事態、いわゆる重要影響事態と認定され得るのか、お答えください。
 また、台湾が武力攻撃を受けている場合、米軍が台湾防衛のため武力を行使している一方、日本に対しては武力攻撃が行われていないという事態は、存立危機事態に該当し得るんでしょうか。
 加えて、バイデン政権は、台湾有事に際して、自衛隊による米軍の後方支援などについて具体的な期待を抱いているのか、また、そのような事態を想定した日米共同での訓練を行っていく考えはあるのか、お答えください。
 今回の会談では、尖閣諸島への日米安保条約第五条の適用も確認しています。これまでも何度か確認され、その都度確認をするというのは、いわゆる同盟のジレンマ、本当にアメリカは日本の防衛のために動いてくれるのかという心配があるからではないでしょうか。
 日本が自国防衛を行うのは当然ですが、事態によっては米軍による来援が必要です。日米間で、どういった場合に米軍が出動するのかなど、そうしたシミュレーションを基にした共同作戦は想定されているのか。また、日本が要請すれば必ず米軍が出動するという確信を今回の会談を通じて持つことができたんでしょうか。お答え願います。
 北朝鮮の核、ミサイル、拉致問題は、いずれも一歩も進展していないどころか、核、ミサイルについては、北朝鮮は更に能力を向上させる意思を明らかにしています。
 バイデン政権は、現在、北朝鮮政策の見直しを行っているとされていますが、北朝鮮の非核化よりも、段階的な脅威を減少する合意を模索するとも報道されていました。核放棄が前提でなければ北朝鮮に対する合意はすべきではないと考えますが、そうした考えはアメリカには伝えているんでしょうか。お答えください。
 北朝鮮がこれまで短距離弾道ミサイルを飛ばしても、トランプ政権では、ICBMをレッドラインと設定していたため、我関せずというアメリカの姿勢でしたが、日本にとっては、短距離弾道ミサイルも深刻な脅威であり、在日米軍がその標的にもなり得ます。
 バイデン大統領が前大統領より厳格な対応を取るという考えは見えるのか、そして、短距離弾道ミサイルの発射も国連決議違反の深刻な脅威であると認識をしているのか、総理のお考えを伺います。
 拉致問題については、重大な人権侵害であるとして、日米が連携して北朝鮮に即時解決を求めていくことを再確認したとしていますが、拉致被害者の家族は、即時解決のために日本が何をやるのか、具体的なことははっきりしていない、アメリカがどういう支援や協力をしてくれるのかが見えないとお話しされています。いつまでに何をやるのか決めてもらいたいという声に、総理、どう応えていかれるんでしょうか。
 平和と安定は防衛力のみによって達成されるものではなく、日米両国によるサプライチェーンの確保や、それに向けた技術開発力の強化など、経済安全保障の確立の重要性も確認されました。
 一方、コロナ禍では、日本の様々な分野での技術の遅れや、サプライチェーン、医療提供体制などの脆弱さも浮き彫りになりました。
 経済安全保障を確固たるものとするために、変化の時代に対応した人材育成や研究開発などへの投資をどのように進め、日本の技術力、産業競争力を高めていかれるお考えなのか、伺います。
 最後に、気候変動対策は、必ずや成し遂げなければならない課題です。
 日米気候パートナーシップでは、官民の資本の流れを、気候変動に整合的な投資に向け、高炭素な投資から離れるよう促進することに取り組むとされています。
 ただ、現状では、日本の金融機関が石炭産業への融資の総額で世界第一位になっています。一方、世界の流れに目を向ければ、海外の金融機関や機関投資家などによるダイベストメント、つまり投資撤退のターゲットは石炭関連企業から化石燃料関連企業にも広がっています。
 総理は、こうした状況をどう捉えているのか、また、日本の現状を踏まえ、高炭素な投資から離れていくことをどのように促されていくのか、御答弁を求めます。
 今回の会談は日米同盟の深化に資するものでありますが、日米の立ち位置の違い、そのずれを抱えていることを互いにこれまで以上に意識をしながら、共に日米が協力を進めていくことが何よりも重要であると思います。
 日本の持続的な発展のために、今、日本が注力するべきことは何か、立憲民主党としても積極的に提案をし、政府・与党と議論を深めていくことをお誓い申し上げて、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣菅義偉君登壇〕

#34
○内閣総理大臣(菅義偉君) 緑川貴士議員にお答えをいたします。
 新型コロナの感染状況の認識についてお尋ねがありました。
 大阪、兵庫で急速に感染が拡大したほか、東京、神奈川、埼玉においても感染者数の増加が続くなど、強い危機感を持って対応すべき状況にあると認識をしております。
 首脳会談延期などの検討の有無についてお尋ねがありました。
 日米の首脳が対面で会談を行うことは、インド太平洋地域への米国のコミットメント、そして日米同盟の結束を世界に示すのみならず、コロナ対策を含めた国際社会の課題へ対処する上でも有意義と考え、日米間で調整を行った結果として、今回の日程となり、訪米となりました。
 実際に、バイデン大統領と一対一の会談を含めて対面で会い、様々な課題について率直に話し合うことで、個人的な信頼関係が構築できたと思っています。
 先般の緊急事態宣言の解除についてお尋ねがありました。
 前回の緊急事態宣言においては、飲食を中心とした対策により、感染者数が大きく減少するとともに、病床の状況も改善し、当初定めた解除の基準を十分に満たしました。
 そうした中で、知事からの解除の要請もあり、専門家の御意見も伺った上で、宣言を解除したものであります。
 新型コロナ対策について、メッセージなどについてお尋ねがありました。
 感染防止のために、国民の皆さんに引き続き緊張感を持って対応していただくことが極めて重要であります。
 政府としては、自治体とも連携しながら、ガイドラインの遵守徹底のため、飲食店の見回りを実施するとともに、大型連休を前にして、テレビCMのほか、SNSやネット動画なども倍増して、集中的な情報発信を行っているところであります。
 蔓延防止の重点措置の徹底など、自治体とも連携しながら、必要な対策を講じてまいります。
 ファイザー社CEOとの電話会談についてお尋ねがありました。
 新型コロナの状況、ワクチン供給に係るファイザー社との調整の状況、先方の意向などを踏まえた上、今回の訪米の機会に電話会談を実施することとなりました。
 会談では、本年九月までに我が国の対象者に対して確実にワクチンを供給できるよう追加供給を要請し、先方から、協議を迅速に進めたいとの話がありました。
 これ以上の会談の詳細は、相手方の関係もあり、差し控えますが、いずれにしろ、九月までにワクチンの供給がなされるめどが立ったと考えております。
 当該電話会談でワクチンの毎年接種の可能性に言及があったのかについてお尋ねがありました。
 会談では、御指摘のやり取りはありませんでした。
 来年のワクチンの確保等についてお尋ねがありました。
 来年以降必要となるワクチンの交渉状況については、相手方との関係もあり、個々の交渉状況についてお答えすることはできませんが、その確保に支障が生じないよう、しっかりと取り組んでおります。
 また、日本国内でのライセンシング生産につきましては、危機管理上の観点からも極めて重要な課題であると認識しております。このため、生産設備の整備に対する補助など、様々な支援を実施してきたところであり、引き続き、必要な支援を講じてまいります。
 日米首脳共同記者会見における、世界の団結の象徴という表現、また米国メディアからの質問に対する回答についてお尋ねがありました。
 今回の会談では、私からバイデン大統領に対し、今年の夏、世界の団結の象徴として東京大会の開催を実現する決意を述べ、バイデン大統領からは、この決意に対する支持を改めて表明いただきました。
 共同記者会見では会談でのやり取りを紹介しましたが、人類が新型コロナウイルスに打ちかったあかしとして東京大会を実現するとの決意に何ら変わりはありません。
 また、御指摘の米国メディアからの質問については、バイデン大統領への質問のみと認識してしまい、結果として回答漏れがあったことは事実です。
 いずれにしろ、安全、安心に大会を実現するためには、感染症対策が極めて重要であり、引き続き、東京都、大会組織委員会、IOCと緊密に連携をして、準備をしっかり進めていく方針であります。
 今回の訪米時の東京オリパラ大会に関する言及についてお尋ねがありました。
 会談においては、私から、東京大会の開催を実現する決意を述べ、バイデン大統領からは、この決意に対する支持を改めて表明いただきました。
 首脳会談でのやり取りであり、これ以上の詳細については差し控えますが、いずれにせよ、共同記者会見での私の発言、首脳共同声明における関連部分のいずれも、会談でのやり取りを踏まえたものであり、実質的な違いはありません。
 東京大会の開催についてお尋ねがありました。
 安全、安心な大会を実現するため、感染対策が極めて重要であり、内外の感染状況を踏まえ、選手や大会関係者の出入国、滞在中の検査、行動管理などの具体的な内容を検討しています。
 IOCバッハ会長とも、昨年から、東京五輪を必ず実現することで一致しており、先月の協議においても、引き続き東京大会の成功に向けて緊密に連携していくことで確認をしております。
 今回の首脳会談での中国に対するやり取り及び中国との関係についてお尋ねがありました。
 中国との安定した関係は、日中両国のみならず、地域や国際社会の平和と繁栄のためにも重要です。
 今回の会談では、インド太平洋地域と世界全体の平和と繁栄に対して中国が及ぼす影響について意見交換を行い、東シナ海や南シナ海における力による現状変更の試みに反対することなどで一致しました。
 その上で、こうした問題に対処する観点から、中国との率直な対話の必要性を確認するとともに、普遍的価値を擁護しつつ、国際関係における安定を追求していくことでも一致しています。
 中国に対しては、引き続き、ハイレベルの機会を活用し、主張すべき点はしっかりと主張をし、中国側の具体的行動を強く求めていく考えであります。
 日米中の三か国による会談等についてお尋ねがありました。
 米中の間の通商問題や先端技術をめぐる競争、国際社会の様々な懸念事項における意見の対立は、両国のみならず、地域、ひいては国際社会にも影響を及ぼします。
 このような観点から、我が国としては、両国間の建設的な対話を期待しており、同盟国たる米国と強固な信頼関係の下で様々な協力を進めつつ、中国に対しても、引き続き、大国としての責任を果たしていくよう、様々な方策やアプローチを駆使して働きかけを行ってまいります。
 中国で活動する日本企業のリスクについてお尋ねがありました。
 経済環境を含め、日中関係は日本にとって最も重要な二国間関係の一つです。中国との安定した関係は、両国のみならず、地域及び国際社会のために重要です。
 同時に、民主主義や人権などの基本的価値に対して譲ることがあってはならないと考えています。我が国としては、米国ともよく連携しながら、中国との率直な対話を行い、主張すべきはしっかりと主張し、また、中国の具体的な行動を求めてまいります。
 その上で、政府としては、引き続き、中国で活動する日本企業の事業環境の維持向上にしっかりと努めてまいります。
 今回の首脳声明における台湾海峡への言及についてお尋ねがありました。
 今回の会談において、御指摘の点を日米首脳間で確認したことは、台湾をめぐる問題が当事者間の直接の対話によって平和的に解決されることを期待するとの我が国の従来からの立場を日米共通の立場としてより明確にするものであり、台湾海峡の平和と安定にとって意義があるものと考えます。
 台湾有事についてお尋ねがありました。
 我が国の対応に関して、いかなる事態が重要影響事態等に該当するかについては、実際に発生した事態の個別的、具体的な状況に即して、政府が全ての情報を総合して客観的、合理的に判断することとなるために、一概に述べることは困難であります。
 いずれにせよ、政府としては、いかなる事態にも適切に対応することができるよう、引き続き、各種訓練等を実施し、日米同盟の抑止力、対処力を不断に強化してまいります。
 尖閣諸島への米軍の対応についてお尋ねがありました。
 これまで米国は、日米安保条約第五条は尖閣諸島にも適用されることや、日米安保条約の下での米国の条約上の義務へのコミットメントを確認してきており、今回の会談においても、バイデン大統領から同様のコミットメントが表明されています。
 これは、日米同盟の抑止力をバイデン政権でも引き続き強化するとの意思が明確に示されたものであり、非常に意義があると考えます。
 個別具体的な状況における米軍の対応について、その詳細を明らかにすることは差し控えますが、いずれにせよ、日本政府として、米国が条約上の義務を果たすことに信頼を置いております。
 北朝鮮の核・ミサイル開発への対応についてお尋ねがありました。
 今回の会談では、バイデン大統領との間で、北朝鮮の完全な非核化へのコミットメントを再確認し、北朝鮮に対して国連安保理決議の下での義務に従うことを求めることで一致をしました。
 米国による対北朝鮮政策の見直しの結果について予断することは差し控えますが、今後とも、日米、日米韓の三か国で緊密に連携し、国際社会とも協力しながら、関連する安保理決議の完全な履行を進め、北朝鮮の非核化を目指していくとの方針は変わりはありません。
 北朝鮮の弾道ミサイル発射についてお尋ねがありました。
 国連安保理決議にはCVIDが明記されており、今回の首脳共同声明は、北朝鮮に対し、そうした国連安保理決議の下での義務に従うことを求めています。
 また、バイデン大統領は、先月の北朝鮮による弾道ミサイル発射が安保理決議に違反すると明確に述べています。
 今後とも、日米、日米韓の三か国で緊密に連携をし、国際社会とも協調しながら、関連する安保理決議の完全な履行を進め、北朝鮮の非核化を目指してまいります。
 拉致問題についてお尋ねがありました。
 拉致被害者の御家族も御高齢となる中で、私自身、今月七日に拉致被害者御家族など、皆さんと面会をし、もはや一刻の猶予もないとの切実な思いを直接伺い、改めてこれを胸に刻んでいるところです。
 日米首脳会談では、私から、拉致問題の即時解決に向けて引き続きの理解と協力を求めたのに対し、バイデン大統領から、拉致問題の即時解決を求める米国のコミットメントが改めて示されました。
 拉致問題は、菅内閣にとっても最重要課題です。私自身、金正恩委員長と条件をつけずに直接向き合う覚悟です。御家族の思いもしっかり受け止め、引き続き、米国などとも緊密に連携しながら、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、全力で尽くしてまいります。
 日本の技術力、競争力強化についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、我が国の競争力強化のために、大胆に構造改革を進めていく必要があります。
 具体的には、若手研究者の育成、十兆円規模の大学ファンドの創設などに取り組むとともに、今後五年間で官民の研究開発総額の目標を百二十兆円とし、積極的に科学技術、イノベーションの創出を促してまいります。
 また、グリーンやデジタルといった次の成長の原動力となる産業を育成し、我が国の技術力、競争力の強化に取り組んでまいります。
 気候変動への投資についてお尋ねがありました。
 国際的な資金の流れは、御指摘のとおり、石炭関連への投資を避けるだけでなく、広く化石燃料への投資にまで広がりつつあることは承知しております。
 今般の訪米において、官民の資本の流れを、気候変動に整合的な投資に向け、高炭素な投資から離れるよう促進することについて一致をいたしています。
 脱炭素に向けた投資を促すためには、まずは投資家を含む資本市場と産業界が密接に対話していくことが重要であり、政府としても企業の開示を促すことで、資金供給を円滑化していくことが重要だと考えております。(拍手)
    〔議長退席、副議長着席〕
    ―――――――――――――

#35
○副議長(赤松広隆君) 佐藤茂樹君。
    〔佐藤茂樹君登壇〕

#36
○佐藤茂樹君 公明党の佐藤茂樹です。
 私は、公明党を代表いたしまして、菅総理の米国訪問の報告について質問いたします。(拍手)
 菅総理は、各国の首脳に先駆けて、バイデン大統領と首脳会談を行われました。バイデン氏が就任後、初めて対面で会う外国首脳となり、バイデン政権が同盟国である日本との関係を極めて重要視しているあかしであったと受け止めており、大変意義のあった会談であったと評価しています。
 世界が今、新型コロナ感染症や気候変動等、様々な困難な課題に直面している中、それらの課題解決のために、普遍的価値を共有する同盟国の米国とともに連携を密にし、国際社会の中で指導力を発揮していくことが重要かつ必要不可欠と考えます。
 まずは、両国の首脳が胸襟を開き、忌憚のない意見交換ができる個人的な人間関係を築くことが第一であると思います。
 今回、一対一での会談も行われており、その際、お互いの御家族や人生経験などの話をされたと会談終了後の会見で総理からお話がありました。率直に、バイデン大統領はどのような人物であったのでしょうか。今回の訪米、首脳会談の意義、また、首脳同士の信頼関係を構築できたのか、お伺いいたします。
 今回の訪米の成果について伺います。
 両国の共同声明では、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた協力として、安全保障、新型コロナ感染症対策、気候変動対策、サプライチェーンや新技術などの経済分野などについて、日米が一層強固な協力をしていくことを確認したとされています。更なる日米関係の深化、発展に向けた新たな出発点になったと高く評価をしております。
 安全保障分野に関しては、両首脳は、アジア太平洋地域の安全保障環境が厳しさを増す中で、同地域における平和、繁栄及び自由の礎である日米同盟の取組を一層強化する強い決意を確認しました。特に、米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約第五条の尖閣諸島への適用などを文書で再確認したことは、揺るぎない日米同盟、日米の強固なきずなを内外に示すものとなりました。
 その上で、一層厳しさを増す地域の安全保障環境を踏まえて、共同声明で、日米両国は、抑止力、対処力を強化していくこと、また、サイバー、宇宙を含む全ての領域を横断する防衛協力を深化させることなどの方針が示されましたが、これらについて、今後、日米間で具体的にどのように検討していくのか、総理の見解を伺います。
 また、日本として、自らの防衛力を強化することについて決意が示されました。
 私が与党PTの座長代理として関わらせていただいた現行の防衛大綱の多次元統合防衛力構想の下、現在、中期防に基づいて防衛力は着々と整備されています。
 今回の共同声明、また、先日の日米2プラス2閣僚会合で米国側に決意表明された、自らの防衛力を強化するというのは、どのような考えの下で進めていくのか、防衛大臣の答弁を求めます。
 次に、具体的な地域情勢について伺います。
 中国の行動について、我が国は、主張すべきことはしっかりと主張し、懸案を一つ一つ解決し、中国側の具体的な行動を強く求めていくことが大切であります。
 共同声明には、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促すと、今回、五十二年ぶりに、そして日中国交正常化以後初めて明記されました。
 台湾海峡周辺の安全保障環境の認識と、明記するに至った判断について、総理に見解を伺います。
 共同声明で、両国は、中国との率直な対話の重要性を認識するとともに、直接懸念を伝達していく意図を改めて表明し、共通の利益を有する分野に関し、中国と協働する必要性を認識したとされています。まさに、日米両国が、同盟国として協調して、役割分担をしながら中長期的な広い視野、大局観に立って、結束して当たることが重要だと考えます。
 来年、日中国交正常化五十周年を迎えます。歴史的、地理的、経済的に見ても、日中関係の安定は、両国のみならず国際社会の平和と繁栄のために重要であります。
 一九七二年の日中共同声明、一九七八年の日中平和友好条約の方針と、今回の共同声明の内容との整合性を確認するとともに、今後、中国との関係についてどのように取り組んでいくのか、総理の見解を伺います。
 北朝鮮は、三月二十五日に弾道ミサイル二発を約一年ぶりに発射し、再び挑発の行動に出ています。北朝鮮の核、ミサイルについて、総理は、首脳会談後の記者会見で、全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルのCVIDへのコミットメントについて一致したと語られましたが、今回の共同声明の中では、完全な非核化へのコミットメントを再確認するとの表現にとどまり、CVIDの文言はありません。
 北朝鮮の核、ミサイルについて、両首脳でどのような協議がなされ、どういった合意をされたのでしょうか。
 また、共同声明で、我が国の最重要課題である拉致問題の即時解決を求めていくことを再確認されました。菅政権となってからも、解決の糸口は見えない状況が続いています。共同声明を踏まえて、日米両国は、即時解決に向けてどう行動するのか、具体的な取組について、総理の考えをお聞かせください。
 気候変動対策については、今週二十二日に予定されている主要排出国を集めて開催する気候変動サミット、その後のCOP26及びその先に向けて協力を強化していくとし、両国は、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする目標と整合する形で、二〇三〇年までに確固たる行動を取るとしています。
 二〇三〇年の温室効果ガス排出量削減目標は、日本は二〇一三年度比二六%から引き上げ、最大四五%減を軸に検討しているとの報道があります。
 一方、首脳会談の事前交渉の中では、米国が日本側に対して五〇%減を打ち出すことを求めているとの報道もありましたが、今回の首脳会談の中で、二〇三〇年までの削減目標を含め、どういう協議をされたのでしょうか。
 今回、日米気候パートナーシップを立ち上げることにもなったということですが、両国は、今後、具体的にどういう役割をし、国際社会でどのようにリード役を務めるのか、併せて総理の御所見を伺います。
 新型コロナ感染症対策に向けて、総理は、訪米中に米国の製薬大手ファイザー社のブーラCEOと電話会談を行われ、我が国の全ての対象者に対するワクチンの今年九月までの確実な供給に向け、更なる追加供給を直談判で要請されました。これにより、九月までにワクチンの追加供給のめどが立ったことを高く評価いたします。
 また、コロナ克服のためには、日本が、米国とも協力して開発途上国も含めて各国へ安全かつ有効で適正な価格のワクチンの供給、接種を強化、支援すべきと考えます。
 共同声明では、先月行われた日米豪印首脳会談でも確認された、四か国の枠組みを通じて、途上国へのワクチンの供給に向けて緊密に連携することなどが明記されました。
 ワクチンの供給などを含めた健康安全保障について、両首脳間でどのような意見交換が行われ、具体的にどのように取り組んでいくのか、総理の見解を求めます。
 経済協力については、日米両国が、半導体などのサプライチェーンの構築や重要技術の育成、保護に向けて協力を行うほか、脅威が高まっているサイバーセキュリティーの分野でも日米が連携して対応していくこととしています。
 今回、日米競争力・強靱性パートナーシップというものを立ち上げたということですが、今後、具体的にどのような経済協力が行われていくのか、総理の見解を求めます。
 最後に、この数年、中国の台頭が著しく、米国と中国が主に安全保障分野、経済分野、人権問題等で激しく牽制し、競争し、対立する時代となりました。同盟国米国と隣国中国との間で日本はどうするのかという、日本のスタンスや向き合い方がますます問われてまいります。
 日本は、どのような方針、考え方で米中競争の時代に対処していくのか、日本政府の覚悟と基本的な方針を総理にお伺いして、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣菅義偉君登壇〕

#37
○内閣総理大臣(菅義偉君) 佐藤茂樹議員にお答えをいたします。
 今回の首脳会談の意義や個人の信頼関係についてお尋ねがありました。
 バイデン大統領との対面での初会談を行い、インド太平洋地域への米国のコミットメント、そして日米同盟の結束を国際社会に力強く示すことができたと考えております。
 首脳会談の成果として、日米首脳共同声明を発出しました。日米両国が互いに不可欠なパートナーであることを確認し、グローバルな課題への対応における多国間の取組を主導していく決意を打ち出しました。
 バイデン大統領とは一対一の会談も行い、家族や人生経験などの話をする中で、大統領が温かく懐の深い人物との印象を持ちました。これからも一緒に仕事をしていけるとの思いを強くいたしました。
 今回の訪米を通じて、バイデン大統領と個人的な信頼関係を構築でき、今後の日米同盟強化の基礎が築けたと考えております。
 今後の日米防衛協力に係る検討についてお尋ねがありました。
 共同声明において示した、御指摘の抑止力及び対処力の強化、防衛協力の深化などについては、今後、日米の外務、防衛当局間で精力的に協議を行い、年内に再度実施する予定の2プラス2において成果を確認していきたいと考えます。
 今回の首脳声明における台湾及び中国に関する記述についてお尋ねがありました。
 台湾に関する御指摘の言及は、両岸関係の軍事バランスの変化などを踏まえて、明記するに至ったものであります。
 また、御指摘の日中共同声明及び日中平和条約を含め、日中関係に関する我が国の立場は変わっておらず、今回の首脳声明はこれらの立場と整合したものです。
 中国との間には様々な懸案が存在しておりますが、我が国としては、引き続き、ハイレベルでの機会を活用し、中国との率直な対話を行い、懸案を一つ一つ解決し、また、中国側の具体的行動を強く求めていくという基本方針に何ら変わりはありません。
 今回の首脳会談での北朝鮮に関するやり取りについてお尋ねがありました。
 国連安保理決議にはCVIDが明記されており、今回の首脳共同声明は、北朝鮮に対し、そうした国連安保理決議の下での義務に従うことを求めています。
 今後とも、日米、日米韓の三か国で緊密に連携をし、国際社会とも協力しながら、関連する安保理決議の完全な履行を進め、北朝鮮の非核化を目指してまいります。
 拉致問題は、菅政権の最重要課題です。私自身、条件をつけずに金正恩委員長と直接向き合う決意です。引き続き、今回バイデン大統領とも一致したこの問題の即時解決に向け、日米で緊密に連携しつつ、国際社会の理解と協力を得ながら、全力を尽くしてまいります。
 今回の首脳会談での気候変動分野におけるやり取り及び今後の日米の役割についてお尋ねがありました。
 会談では、日米気候パートナーシップを立ち上げ、気候変動分野において、日米協力をより一層強化し、日米両国が国際社会の議論を積極的にリードしていくことを確認しました。
 会談での具体的なやり取りについては差し控えますが、いずれにせよ、二〇三〇年削減目標については、今週二十二日に予定される気候サミットを一つの節目として判断したいと考えており、その方向で検討しております。
 ワクチンの供給を含めた健康安全保障についてお尋ねがありました。
 バイデン大統領とは、国内外の感染状況も踏まえた新型コロナへの対応について意見交換をし、特に、ワクチンへの公平なアクセスのために日米間で引き続き協力していくことを確認しました。
 また、日米がCOVAXの支援を強化することでも一致しました。将来の健康危機に備え、迅速かつ効果的に対応するために、米国を含む各国とも協力してまいります。
 米国との今後の経済協力についてお尋ねがありました。
 今回の首脳会談で立ち上げに一致した日米競争力・強靱性パートナーシップの下、今後、日米両国は、競争力・イノベーション、コロナ対策・グローバルヘルス、グリーン成長・気候変動の三本柱で、包括的な協力を推進していくことになります。
 具体的には、デジタル分野での協力やWHOなどの保健分野での連携、日米の技術を活用したグリーン成長などの協力を進め、日米のみならず、インド太平洋及び世界に貢献していくため、両国で緊密に連携して取り組んでまいります。
 米中関係についてお尋ねがありました。
 米中の間の通商問題や先端技術をめぐる競争、国際社会の様々な懸念事項における意見の対立は、両国のみならず、地域、ひいては国際社会にも影響を及ぼしています。
 このような観点から、我が国としては、両国間の建設的な対話を期待しており、同盟国たる米国と強固な信頼関係の下で様々な協力を進めつつ、中国に対しても、引き続き、大国としての責任を果たしていくよう働きかけてまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣岸信夫君登壇〕

#38
○国務大臣(岸信夫君) 佐藤茂樹議員にお答えをいたします。
 日米首脳共同声明における、自らの防衛力を強化するとの決意についてお尋ねがありました。
 御指摘の、日本は同盟及び地域の安全保障を一層強化するため自らの防衛力を強化することを決意したとの記述について、防衛省・自衛隊としては、現防衛大綱に基づき、宇宙、サイバー、電磁波を含む全ての領域における能力を有機的に融合した多次元統合防衛力の構築を引き続き推進するとのことで、自らを守る体制を抜本的に強化し、日米同盟の抑止力、対処力を一層強化していく考えであります。(拍手)
    ―――――――――――――

#39
○副議長(赤松広隆君) 赤嶺政賢君。
    〔赤嶺政賢君登壇〕

#40
○赤嶺政賢君 私は、日本共産党を代表し、総理の訪米報告について質問をします。(拍手)
 初めに、新型コロナ対策の問題です。
 総理は、日米首脳会談後の共同記者会見で、東京五輪・パラリンピックの開催を実現する決意を伝え、バイデン大統領から決意に対する支持の表明があったことを明らかにしました。
 しかし、この問題は、他国の大統領の意向ではなく、世界的な感染拡大の状況と国内の医療提供体制から判断すべきものであります。
 感染力の強い変異株の流行と一部の国に偏るワクチン接種、逼迫する医療の現状を、総理始め、どう認識しているのですか。
 会見では、公衆衛生の観点から五輪の準備ができていない段階で進めるのは無責任ではないかとの質問が出されましたが、総理は答えませんでした。答えられる回答を持ち合わせていないということではありませんか。
 大規模検査による感染の封じ込め、医療機関への減収補填と病床確保、事業を続けられるだけの十分な補償に直ちに踏み出し、今夏の東京五輪・パラリンピックは中止を決断すべきではありませんか。
 四月十二日、日米両政府が普天間基地の全面返還に合意した一九九六年の橋本・モンデール会談から二十五年が経過しました。五年ないし七年以内に返還するという当初の約束は果たされず、政府は、今になって、軟弱地盤の改良工事のために、工期は更に十二年、経費も九千三百億円に拡大するとしています。
 総理は、首脳会談で、普天間の固定化を避けるための唯一の解決策である辺野古移設の着実な推進で一致したと述べていますが、この計画こそが、四半世紀もの間、普天間の固定化をもたらしてきたのではありませんか。
 今回の共同声明は、自由と民主主義、人権、国際法などの普遍的な価値が日米両国を結びつけていると強調しています。
 そうであるならば、度重なる選挙と県民投票で沖縄県民が示し続けてきた新基地建設反対の意思をなぜ受け止めないのですか。国際法に違反して住民の土地を奪って構築した普天間基地は、無条件で撤去すべきではありませんか。県民の人権をじゅうりんし、米軍の特権を保障する日米地位協定の抜本的改正を、なぜ提起すらしないのですか。
 これらに踏み切ってこそ、共同声明は中身を伴うものになるのではありませんか。
 今、沖縄では、辺野古の埋立てに沖縄戦最後の激戦地である本島南部の土砂を使用する政府の計画に県民の怒りが広がっています。
 三月には、沖縄戦遺骨収集ボランティア、ガマフヤーの具志堅隆松代表が、計画の断念を求めてハンガーストライキを行いました。多くの県民が激励に駆けつけ、血や肉や骨が土に戻った場所を辺野古の埋立てに使わないでほしい、南部は遺族、県民にとって祈りの地、静かに眠らせてほしいと訴えました。
 政府は、遺骨への配慮を求めると言いますが、あの地域の土砂を軍事基地の建設に使用すること自体が、戦没者を冒涜し、遺族の気持ちをかき乱すことになるのではありませんか。
 南部からの土砂採取計画は撤回することを強く求めます。
 共同声明は、日米同盟の一層の強化と、日本が自らの防衛力を強化する決意を明記しました。
 総理は、同盟強化の具体的方法について、両国で検討を加速すると述べていますが、何を検討するのですか。
 米軍の中距離ミサイル配備や日本政府による敵基地攻撃能力の保有が取り沙汰されていますが、このような軍事体制の強化は、地域の緊張を更に高め、軍事対軍事の悪循環に陥るだけではありませんか。
 沖縄の基地負担と軍事費、思いやり予算の更なる拡大をもたらす日米軍事同盟の強化は、断じて容認できません。
 さらに、共同声明は、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、両岸問題の平和的解決を促すことを明記しました。日米両首脳が共同文書で台湾問題に言及するのは、日本が一九七二年に中国との国交を正常化して以来、初めてのことです。
 これは、日本が、アメリカの対中軍事戦略に沿って、台湾海峡をめぐる問題に軍事的に関与していくということですか。
 この問題は、台湾住民の自由に表明された民意を尊重し、平和的な話合いによって解決されるべきものです。そのために、米中双方に対し、緊張を高めるいかなる行動も厳に慎むよう働きかけをすることこそ、政府がやるべきことではありませんか。
 憲法の九条を生かし、東アジアに平和的環境をつくるための外交努力を政府に求め、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣菅義偉君登壇〕

#41
○内閣総理大臣(菅義偉君) 赤嶺政賢議員にお答えをいたします。
 医療の現場や東京オリンピック・パラリンピックの開催についてお尋ねがありました。
 政府としては、各国の感染状況などを注視しており、また、国内の感染拡大を食い止めるために全力を挙げているところであります。
 このため、飲食を通じた感染防止、変異株の監視体制の強化、検査の拡大、安全、迅速なワクチン接種、そして医療提供体制の強化の五本の柱から成る総合的な対策を進めています。
 東京大会については、安全、安心な大会を実現するために、感染対策が極めて重要であり、内外の感染状況を踏まえ、具体的な内容を検討しています。
 IOCバッハ会長とも、昨年から、東京五輪は必ず実現することで一致しており、先月の協議においても、引き続き東京大会の成功に向けて緊密に連携していくことを確認しております。
 御指摘の記者からの質問については、バイデン大統領の質問と認識してしまい、結果として回答漏れになったことは事実です。
 いずれにしろ、引き続き、東京都、大会組織委員会、IOCと緊密に連携し、準備をしっかり進めてまいります。
 普天間飛行場の辺野古移設及び日米地位協定についてお尋ねがありました。
 普天間飛行場は、一九七二年の沖縄の本土復帰以後、米国が我が国から適法に提供を受け、使用しているものです。
 抑止力の維持と危険性の除去を考え合わせたとき、辺野古移設が唯一の解決策であることを今回も再確認いたしております。
 着実に工事を進めることこそが、普天間飛行場の一日も早い全面返還と危険性の除去につながるものです。これからも、地元の皆さんの御理解を得る努力を続けてまいります。
 また、日米地位協定に関しては、事案に応じた最も適切な取組を通じ、一つ一つの具体的な問題に対応してきており、これらの取組により、日米地位協定のあるべき姿を不断に追求してまいります。
 辺野古移設に係る埋立土砂についてお尋ねがありました。
 変更承認後の埋立土砂については、県内と県外のどちらかから調達するかも含め、現時点で確定していないと承知しています。
 さきの大戦において凄惨な地上戦を経験した沖縄では、今もなお、厚生労働省と沖縄県で役割を分担して、戦没者の御遺骨の収集が進められております。
 御遺骨の問題は大変重要であり、こうしたことを踏まえて、埋立土砂の調達については、防衛省が適切に判断するものと考えます。
 日米同盟強化の具体的方法についてお尋ねがありました。
 共同声明では、日米の抑止力及び対処力の強化や、領域横断的な防衛協力の深化などについて示しておりますが、その具体的な内容については、今後、外務、防衛当局間で協議を進めてまいります。
 いずれにせよ、我が国としては、沖縄の負担軽減や我が国の厳しい財政事情等を踏まえつつ、主体的、自主的な努力により、我が国と地域の平和と安定のために、必要な責任を果たしていく考えです。
 今回の首脳声明における台湾海峡への言及についてお尋ねがありました。
 我が国としては、従来から、台湾をめぐる問題が当事者間の直接の対話によって平和的に解決されることを期待するとの方針は一貫をしております。
 御指摘の言及が我が国の台湾海峡への軍事的関与などを予断するものでは全くありません。(拍手)
    ―――――――――――――

#42
○副議長(赤松広隆君) 井上英孝君。
    〔井上英孝君登壇〕

#43
○井上英孝君 日本維新の会の井上英孝です。
 私は、党を代表して、ただいま議題となりました菅総理の訪米報告について質問いたします。(拍手)
 日米首脳会談後に発表された共同声明「新たな時代における日米グローバル・パートナーシップ」の題名にあるように、日米同盟は新時代に突入いたしました。
 世界の重心は自由と強権がせめぎ合うインド太平洋に移っていますが、この地域に自由で開かれた未来は保証されていません。
 最大の要因は、東シナ海、南シナ海などで一方的な現状変更に動く中国の存在にほかなりません。米中の新冷戦は、相入れない価値観で世界を分断する、民主主義と専制主義の戦いと化しています。
 だからこそ、日米首脳が膝を突き合わせて危機意識を共有し、世界に結束の強化をアピールした意義は非常に大きいと考えますが、新時代の同盟の試金石となるのはこれからです。
 首脳会談では、同盟を強化するための具体的な方途の検討を加速することで一致しました。日本には従来と次元の違う貢献と役割が求められ、自ら主体的に対処力を高めていくことも不可欠です。
 総理が現時点で思い描く、同盟強化に向けた具体的な方途の青写真はいかなるものか、また、日米同盟をより堅固にし、我が国の経済面での対中依存度を漸次低下させていく、新たな外交・安保戦略というのも求められると考えますが、総理の見解を求めます。
 トランプ前政権下では、対中批判の先頭に立っていた米国に追従していれば中国との正面衝突は避けられましたが、局面は変わったように思います。
 対中戦略でバイデン政権が日本に望むのは、米国と並走し、日米同盟を原動力に、その輪をオーストラリア、インドを加えたクアッド、ひいては欧州、ASEAN諸国に着実に広げていく、重責の一端を担うことだと考えますが、総理の認識をお伺いいたします。
 共同声明では、台湾海峡の平和と安定の重要性が強調されました。日米首脳が共同文書で台湾に言及するのは、日中国交正常化前の一九六九年以来、五十二年ぶりのことで、対中関係の再考をも迫る重みを感じます。
 中国は、昨年来、空軍機を台湾の防空識別圏に繰り返し侵入させています。価値観を共有する台湾を守らなければ、日米が牽引する国際秩序は崩れます。日米にとって、力で台湾統一を図ろうとする中国の暴挙阻止は焦眉の急です。
 また、台湾有事が直ちに日本有事に波及するおそれは否定できません。台湾を含むアジア防衛の米軍の拠点は嘉手納などの沖縄県内の基地であり、中国が真っ先に標的に据えてくることは十分想定されます。
 したがって、台湾有事に直面すれば、平成二十八年施行の安全保障関連法の下、日本が米軍などへの後方支援を行う重要影響事態にとどまらず、日本の存立が脅かされる存立危機事態に該当し、限定的な集団的自衛権の行使が求められることが考えられますが、このことに、仮定の話と言わず、率直な答弁を総理に求めます。
 中国が狙う沖縄県の尖閣諸島は、台湾と一蓮託生の関係にあります。中国にとって、尖閣と台湾は太平洋に出るために必ず確保すべき戦略的要域です。
 中国が国際法違反の海警法を制定し、海警局が第二海軍のよろいをあらわにした今、日本の尖閣防衛策に綻びが生じています。
 海上保安庁であれ、自衛隊であれ、領域警備活動や海上警備行動は、共に法執行上での警察行動に限定され、軍事作戦の遂行をも担う中国の海警船を相手にするのは極めて危険かつ不条理であります。
 共同声明では、日米安保条約第五条に基づく米国の防衛義務の尖閣適用が改めて確認されました。これを成果だと言うならば、日本が中国に対し何ら効果的な手だてを持ち合わせていないと言うのも同然と考えますが、総理の見解を求めます。
 傍観していては、米軍も動きません。尖閣防衛戦の主体は日本です。我が国の領土、主権は独自に守り抜くという強い覚悟が求められると考えますが、総理の認識をお伺いいたします。
 現行法の運用で事足りると悠長に構えず、中国海警に最前線で対峙する海上保安庁に対して国の守りを託せない状態にしてしまっているのが海上保安庁法であり、その見直しが喫緊かつ現実的な課題と考えます。現行法では、海上自衛隊との連携も円滑に進みません。
 海保法改正に対する総理のお考えをお伺いいたします。
 共同声明では、中国による新疆ウイグル自治区や香港での過酷な人権弾圧に深刻な懸念を共有しましたが、日本政府には対中制裁の具体的な選択肢はなく、米欧との対応に温度差があります。ウイグル人弾圧をめぐり、G7で中国共産党に制裁措置を取っていないのは日本だけであります。
 政府は、制裁を実施する法規定がないと説明しています。ならば、なぜ法整備を進めないのですか。国会では、党派を超えた議員立法で、いわゆるマグニツキー法を制定する動きがありますが、総理はどのように評価されますか。併せてお答えください。
 首脳会談では、北朝鮮のあらゆる弾道ミサイルの完全廃棄を求め、膠着状態の日本人拉致問題についても、日米が連携して北朝鮮に即時解決を求めていくことが確認されました。それは歓迎いたします。
 ただ、我が国が、北朝鮮による日本人拉致は許されざる人権侵害であると国際社会に訴え、協力を仰いできたことを忘れてはならず、中国の人権弾圧に対して、米欧と歩調を合わせ、毅然と対応していくと明言していただけませんか。
 中国との戦いで米国が最良の伴侶に据えたものは、固いきずなで結ばれ、地政学的にも最前線にある日本です。

#44
○副議長(赤松広隆君) 井上君に申し上げます。
 申合せの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。

#45
○井上英孝君(続) 無論、日米の国益が完全に一致するわけではありません。まずは我が国の国益を突き詰め、したたかに振る舞うことも不可欠です。最後に、その言葉と決意を総理にお伺いし、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣菅義偉君登壇〕

#46
○内閣総理大臣(菅義偉君) 井上英孝議員にお答えをいたします。
 日米同盟の強化と対中関係についてお尋ねがありました。
 今日の地域情勢や厳しい安全保障環境を背景に、日米同盟の重要性はかつてなく高まっています。
 我が国としては、日米の防衛協力を更に深めながら、自らを守る体制を抜本的に強化し、その果たし得る役割の拡大を図ることを通じ、日米同盟の抑止力、対処力を一層強化していく考えです。
 同時に、サプライチェーンの強靱化や重要技術の育成、保護といった経済安全保障上の課題についても、米国を始め、関係国との連携を強化してまいります。
 米国の対中戦略と我が国に期待する役割についてお尋ねがありました。
 今回の首脳会談では、地域情勢につきやり取りをする中で、中国についての意見交換を行うとともに、ルールに基づく国際秩序に合致しない中国の行動について懸念を共有しました。そして、こうした問題を背景に、中国と率直な対話を行うことが必要であること、また、普遍的価値を擁護しつつ、国際関係における安定を追求していくことで一致をいたしました。
 今後とも、米国との様々な協力を進めつつ、中国が大国としての責任を果たしていくよう働きかけを行っていきます。
 同時に、我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、日米同盟を基軸としつつ、基本的な価値観を共有できる諸国、地域との協力を更に強化していく考えであります。
 台湾有事についてお尋ねがありました。
 御指摘の、台湾有事における我が国の対応に関し、いかなる事態が重要影響事態等に該当するかについては、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即し、政府が全ての情報を総合して客観的、合理的に判断することになるため、一概に述べることは困難であります。
 尖閣諸島への日米安保条約第五条の適用、尖閣防衛、海上保安庁法の改正についてお尋ねがありました。
 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、首脳声明において、日米安全保障条約第五条の尖閣諸島への適用が確認されたことは、同盟の抑止力を引き継ぎ、維持強化するとのバイデン大統領の意思を改めて明確にするものであり、非常に意義があると考えています。
 その上で、同盟の抑止力と対処力を一層強化するためには、自らの努力により、自らを守る体制を抜本的に強化し、果たし得る役割の拡大を図っていくのは当然のことです。会談でも、日本自らの防衛力強化の決意を表明したところであります。
 政府として、我が国の領土、領海、領空は断固として守り抜くとの決意の下に、冷静かつ毅然と対応してきており、中国側の尖閣諸島周辺の活動に対しても、海上保安庁を中心に、必要に応じて、警察機関、自衛隊と連携しつつ、現行の法制の下で適切に対応してまいります。
 人権問題を理由に制裁を科するような法整備及び中国の人権状況についてお尋ねがありました。
 我が国としては、国際社会における普遍的価値である自由、基本的人権の尊重、法の支配が中国でも保障されることが重要だと考えます。
 新疆ウイグル自治区や香港の人権状況については深刻に懸念しています。これらの問題に関連する国連人権理事会及び総会での宣言にも、日本はアジアで唯一参加しています。
 我が国としては、引き続き、機会を捉え、こうした考えを中国側に伝達するとともに、関係国とともに中国側の具体的な行動を強く求めていきます。
 人権問題で制裁を実施できるような法整備を行うかどうかについては、これまでの日本の人権外交を踏まえ、全体を見ながら引き続き検討していきます。
 我が国の対中政策についてお尋ねがありました。
 今回の首脳会談では、インド太平洋地域と世界全体の平和と繁栄に対して中国が及ぼす影響について、意見交換を行い、東シナ海や南シナ海における力による現状変更の試みに反対することなどで一致しました。
 同時に、こうした問題に対処する観点から、中国との率直な対話の必要性を確認するとともに、普遍的価値を擁護しつつ、国際社会における安定を追求していくことでも一致をいたしました。
 中国との間には様々な懸案が存在していますが、我が国としては、引き続き、ハイレベルの機会を活用して、中国との率直な対話を行い、懸案を一つ一つ解決し、また、中国側の具体的行動を強く求めていくという基本的な方針に変わりはありません。(拍手)
    ―――――――――――――

#47
○副議長(赤松広隆君) 玉木雄一郎君。
    〔玉木雄一郎君登壇〕

#48
○玉木雄一郎君 国民民主党代表の玉木雄一郎です。(拍手)
 まず、コロナ対策について伺います。
 現在、十都府県に適用されている蔓延防止等重点措置は、緊急事態宣言との差が分かりにくく、中途半端で、その創設に我が党は反対をしました。少なくとも、感染の波が立ち上がり始めた段階での効果が薄いことがはっきりしてきた以上、大阪などに加え、東京などにも早急に、場合によっては同時に、緊急事態宣言を発令すべきと考えますが、総理の見解を伺います。
 医療崩壊を避けるためにも、病床確保が喫緊の課題です。総理がリーダーシップを発揮し、現在五月中とされている病床・宿泊療養施設確保計画の見直しを前倒しすべきです。できないのなら、なぜできないのか、その理由をお答えください。
 経済社会活動に対する規制が長引いており、飲食業に限らず、事業者の経営に深刻な影響が出ています。今後、緊急事態宣言が出れば更に悪化するでしょう。国民民主党は四月二日に法案を提出していますが、地域や業種を問わず、事業規模に応じて家賃や光熱費などの固定費を支援すべきです。総理の考えを伺います。
 予備費で支出を決めた低所得世帯への給付金について伺います。
 一人親家庭ですら給付は早くて五月と伺いました。総理が方針を表明した三月十六日から一か月以上たちましたが、低所得の二人親世帯には一体いつ支払われるんでしょうか。一刻も早く届けるべきです。
 そして、先が見えないのはワクチン供給です。
 この本会議の前にファイザーのアルバート・ブーラCEOのSNSを見ましたが、四月十七日の、総理が会った日のSNSでは、ワクチンの追加供給について日本の総理大臣と議論したとだけ書いてあって、数や期限については全く言及はありません。それに対して、二日後の四月十九日のSNSでは、EUとは一億本の追加供給を本年中に行い、トータル六億本を供給すると、期限も本数も明記しております。本当に九月までに追加供給を受けるめどが立っているのか、甚だ疑問であることを指摘しておきたいと思います。
 日米首脳会談について伺います。
 共同声明に半世紀ぶりに台湾が明記されたことは歴史的なことで評価をしますけれども、安全保障で米国と緊密に連携しつつ、一方で中国との経済的結びつきを維持することは、今後も可能と考えているのでしょうか。対中外交に関する菅政権の基本方針を伺います。
 共同声明に台湾が明記された以上、台湾有事の際、日本はより重い責任を負う覚悟が求められると考えます。台湾有事は、自衛隊が後方支援を行う重要影響事態となり得るのでしょうか。また、アメリカのインド太平洋軍司令官は、六年以内に中国が台湾を侵攻する可能性があると議会証言をしておりますが、自衛隊の最高指揮官である菅総理は、同様の想定をしているのか、認識を伺います。
 尖閣諸島についても伺います。
 中国海警局による武器使用を認めた海警法の施行から間もなく三か月、尖閣諸島周辺での海警局の公船による挑発行動が急増しています。尖閣防衛に万全を期すためにも、海上保安庁への物資の供給、輸送などの支援や、情報収集などの警戒監視活動を自衛隊の本来任務とする自衛隊法の改正が必要だと考えます。国民民主党は、海上保安庁法の改正も検討した上で、関連法案を国会に提出する予定ですが、総理の見解を伺います。
 一方、偶発的な武力衝突を避けるために、日中防衛当局間のいわゆる海空連絡メカニズムを的確に機能させることも必要です。特に、防衛当局の幹部間で直接通話できるホットラインの開設を、ずっと急ぐべきと提案をしてまいりました。三月二十九日に開催した年次会合で協議をしたと承知しておりますが、このホットラインの開設の見通しを伺います。
 オリンピック・パラリンピックに関して、総理は、科学的、客観的な観点から安全、安心な大会を実現すべく、しっかりと準備を進めてまいりますと述べました。仮に、東京で緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置が発令されていても、この安全、安心なオリンピックは可能だと総理は考えておられるんでしょうか。答えを求めます。
 また、コロナ対応を理由に、五輪への医師や看護師の派遣要請を断ったり人数を減らす病院も現に出てきています。延期前には約一万人必要とされていた医療スタッフの数は、一体何名を想定しているんでしょうか。そして、コロナ患者対応やワクチン接種に多くの医療関係者が駆り出されている中で、十分な医療スタッフの確保は可能なのか、総理の見解を伺います。
 人権外交について伺います。
 中国・新疆ウイグル自治区やミャンマーなどで起きている民族迫害行為は断じて許されず、自由や平等という普遍的価値を守らなければなりません。外国での虐殺や強制労働など、重大な人権侵害に対し、出入国制限や資産凍結などの制裁措置を可能とする人権侵害制裁法、いわゆる日本版マグニツキー法を制定すべきです。あわせて、上場企業の行動規範を定める東京証券取引所のコーポレートガバナンス・コードに、環境とともに人権を盛り込むよう、政府としても促すべきです。総理の見解を伺います。
 総理は、アメリカのシンクタンクの講演で、主権に関する事項や民主主義、人権、法の支配など、普遍的価値で譲歩する考えはないと述べ、中国側の具体的な行動を強く求めていくと強調されたそうですが、であれば、中国側に行動を求めるのではなく、我が国としても行動を起こすべきときです。
 自由で開かれた国際秩序を守るには、対話と協調だけでなく、具体的な行動こそ必要です。国民民主党は、人権外交を推し進め、経済安全保障に万全を期すため、これからも主体的で現実的な提案を続けてまいります。総理に改めて行動を求めて、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣菅義偉君登壇〕

#49
○内閣総理大臣(菅義偉君) 玉木雄一郎議員にお答えをいたします。
 新型コロナ対策及び生活支援等についてお尋ねがありました。
 政府としては、地域における感染状況を踏まえ、強い危機感を持って対応しており、蔓延防止等重点措置の効果を見極め、自治体とも緊密に情報交換しながら、必要な対策を講じてまいります。
 また、医療提供体制の確保については、感染が急拡大している都道府県では、計画の策定を待つまでもなく、少しでも早く体制を構築していただくことといたしております。
 事業者支援については、事業実態に応じて資金繰り支援を行い、従業員数に応じて雇用調整助成金による人件費への支援を行っています。これに加えて、飲食店への協力金について、御要望の強かった事業規模に応じた仕組みに移行することとしました。
 また、低所得の二人親世帯に対する給付金については、世帯の所得状況を確定させた上で、速やかに支給できるよう、しっかりと検討してまいります。
 対中外交に関する基本方針及び台湾をめぐる情勢などについてお尋ねがありました。
 中国との安定した関係は、日中両国のみならず、地域及び国際社会の平和と繁栄のために重要です。
 中国との間には様々な懸案が存在しておりますが、我が国としては、引き続き、ハイレベルの機会を活用して、中国との率直な対話を行い、懸案を一つ一つ解決し、また、中国側の具体的行動を強く求めていきます。
 御指摘の、台湾有事における我が国の対応に関し、いかなる事態が重要影響事態に該当するかについては、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、政府が全ての情報を総合して客観的、合理的に判断することになるため、一概に述べることは困難であります。
 また、台湾をめぐる情勢について、外国政府関係者の発言の一つ一つについてお答えすることは差し控えますが、いずれにしろ、我が国として、従来から台湾をめぐる問題が当事者間の直接の対話により平和的に解決されることを期待しており、引き続き、両岸関係の推移を注視してまいります。
 自衛隊法等の改正と日中防衛当局間のホットラインについてお尋ねがありました。
 御党御指摘の自衛隊法等の改正案については、現時点で国会に提出されていないと承知しておりますが、自衛隊による海上保安庁の支援及び情報収集、警戒監視は、現行法でも十分に実施可能であり、政府としては、引き続き対応に万全を期してまいります。
 また、日中防衛当局間のホットラインについては、これまでの日中間での調整の結果も踏まえ、早期開設に向けた調整を更に加速化していく考えであります。
 東京オリンピック・パラリンピック開催についてお尋ねがありました。
 まずは、新型コロナウイルスの克服に全力を尽くしてまいります。
 IOCバッハ会長とも、昨年から、東京五輪を必ず実現することで一致しており、先月の協議においても、引き続き東京大会の成功に向けて緊密に連携していくことを確認しております。
 安全、安心の大会を実現するために、感染対策が極めて重要であり、内外の感染状況を踏まえ、具体的内容を検討しています。
 医療体制については、大会組織委員会において、一日当たり、最大、医師三百人程度、看護師四百人程度を想定しておりますが、更に精査を行っていると承知をしています。また、大会組織委員会は、東京都などと協力しながら、地域医療に支障が生じないよう、医療体制の確保を行っているところであり、国としても必要に応じて助言などをしっかり行ってまいります。
 人権問題を理由に制裁を科せられるような法整備及びコーポレートガバナンス・コードについてお尋ねがありました。
 我が国としては、いかなる国においても、国際社会における普遍的価値である自由、基本的人権の尊重、法の支配の保障をされることが重要だと考えています。
 その上で、人権問題で制裁を実施できるような法整備を行うべきかについては、これまでの日本の人権外交を踏まえつつ、全体を見ながら引き続き検討してまいります。
 また、コーポレートガバナンス・コードの改定案には、地球環境問題への配慮のみならず、人権の尊重も明記されているというふうに承知をしております。(拍手)

#50
○副議長(赤松広隆君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――

#51
○副議長(赤松広隆君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時四分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
       内閣総理大臣  菅  義偉君
       財務大臣    麻生 太郎君
       法務大臣    上川 陽子君
       国土交通大臣  赤羽 一嘉君
       防衛大臣    岸  信夫君
       国務大臣    坂本 哲志君
 出席内閣官房副長官
       内閣官房副長官 坂井  学君
ソース: 国立国会図書館
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