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1947/05/20 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 農林委員会 第6号
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1947/05/20 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 農林委員会 第6号

#1
第002回国会 農林委員会 第6号
昭和二十三年五月二十日(木曜日)
    午後三時四十二分開議
 出席委員
   委員長 井上 良次君
   理事 岩本 信行君 理事 佐竹 新市君
   理川 寺島隆太郎君 理事 萩原 壽雄君
     小野瀬忠兵衞君    佐瀬 昌三君
      重富  卓君    田口助太郎君
      綱島 正興君    野原 正勝君
      八木 一郎君    山村新治郎君
      伊瀬幸太郎君    勝間田清一君
      河合 義一君    成瀬喜五郎君
      野上 健次君    溝溝松太郎君
      守田 道輔君    神山 榮一君
      小林 運美君    関根 久藏君
      圖司 安正君    中垣 國男君
     的場金右衞門君    平工 喜市君
      山口 武秀君    森山 武彦君
 出席國務大臣
        農 林 大 臣 永江 一夫君
 出席政府委員
        総理廳事務官  長谷川 清君
        農林政務次官  大島 義晴君
        農林政務次官  平野善治郎君
        農林事務官   伊藤  佐君
 委員外の出席者
        専門調査員   岩隈  博君
    ―――――――――――――
 五月十九日
 農地開発営團の行う農地開発事業を政府におい
 て引き継いた場合の措置に関する法律の一部を
 改正する法律案(内閣提出)(第六二号)
の審査を本委員会に付託された。
五月十九日
 耕地改良に関する陳情書(山形縣議会議長加藤
 富之助)(第三〇二号)
 農民の生活保障に関する陳情書(廣島縣豊田郡
 下北方村外二村農民大会)(第三一一号)
 蔬菜の公定價格の改正に関する陳情書(九州各
 縣議会正副議長会幹事福岡縣議会議長稻員稔)
 (第三一四号)
 農業技術指導農場の國庫補助金増額に関する陳
 情書(九州各縣議会正副議長会幹事福岡縣議会
 議長稻員稔)(第三一五号)
 食糧生産臨時措置法に関する陳情書(九州各縣
 議会正副議長会幹事福岡縣議会議長稻員稔)(
 第三一六号)
 主要食糧供出に対する報奬物資の配給に関する
 陳情書(九州各縣議会正副議長会幹事福岡縣議
 会議長稻員稔)(第三一七号)
 國有林の開放に関する陳情書(九州各縣議会正
 副議長会幹事福岡縣議会議長稻員稔)(第三一
 八号)
 飼料作物の確保に関する陳情書(九州各縣議会
 正副議長会幹事福岡縣議会議長稻員稔)(第三
 二一号)
 農村金融措置の合理化に関する陳情書(九州各
 縣議会正副議長会幹事福岡縣議会議長稻員稔)
 (第三二二号)
 食糧供出隘路打開に関する陳情書(九州各縣議
 会正副議長会幹事福岡縣議会議長稻員稔)(第
 三二六号)
 還元配給に関する陳情書(九州各縣議会正副議
 長会幹事福岡縣議会議長稻員稔)(第三三〇号
 )
 治山事業の拡充強化に関する陳情書(東京都千
 代田区丸の内東京都議会議長石原永明外九名)
 (第三四六号)
 地方競馬法の改正に関する陳情書(東京都千代
 田区丸の内東京都議会議長石原永明外九名)(
 第三四九号)
 林務関係行政刷新に関する陳情書(滋賀縣知川
 服部岩吉)(第三六四号)
 林地開墾に関する陳情書(三重縣森林組合連合
 会長井上秀作)(第三六七号)
 土地改良事業費國庫補助増額の陳情書外六十八
 件(滋賀縣滋賀郡和邇村長西村五郎右衞門外四
 百八十七名)(第三六八号)
 土地改良事業の促進に関する陳情書外一件(三
 重縣議会議長小切間重三郎外一名)(第三七七
 号)
 造林事業の拡充強化に関する陳情書(長野縣林
 業会長井出一太郎外十名)(第四〇五号)
 土地改良事業に対し国庫補助の陳情書外一件(
 群馬縣議会議長増田連也外一名)(第四〇六号
 )
 治山事業に対し國庫補助増額の陳情書(山口縣
 議会議長清水為吉)(第四〇八号)
 米價改訂等に関する陳情書(全國農村青年連盟
 委員長國井淳一)(第四一二号)
 農産物價格決定機関設置の陳情書(全國農村青
 年連盟委員長國井淳一)(第四一三号)
 農地委員会交付金の増額に関する陳情書(農地
 委員会長崎縣協議会南高來支部長林田榮)(第
 四一九号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
 本日の会議に付した事件
 農林一般行政に関する件
    ―――――――――――――
#2
○井上委員長 ただいまから正式に委員会を開きます。
 この際委員長から皆さんの御承認を得たき問題があります。それは去る十九日、委員会におきまして御協議を願いました通り、農産物の價格改訂並びに農業課税について、政府当局に対し、左の申入れをすることに決定いたしました。そこで委員長は委員会を代表いたしまして、大藏大臣、農林大臣、安定本部長官、地方財政委員長に申入書を提出いたしましたから、御了承をいただきたいと思います。その申入書は
    申 入 書
 一、政府は新物價改訂に伴う農産物價格の改訂に当り他物價との均衡を保つようその措置を講ぜられたし。
 二、政府は二十三年度予算編成に当り農業事業税の如き新税は之を中止し且し其他の農業課税についても農業生産に障碍を與えざるよう措置せられたし。
 昭和二十三年五月十九日
       衆議院農林委員会
  農 林 大 臣
  地方財政委員長
  安 本 長 官
  大 藏 大 臣 殿
こういう申入書を出しましたから、この際報告を申し上げておきます。
 それでは、これから昨日に引続いて農林行政に関する質疑を継続いたします。発言順によりまして、勝間田君に発言を許します。
#3
○勝間田委員 いろいろ個々の問題についての御質問を申し上げるよりも、私は農業政策に関する基本的な問題について御質問を申し上げたいと存じますので、農林大臣より御答弁をいいだきたいと考えておる次第であります。
 日本の農業というものを、どういう形で復興さしていくかということは、私は非常に関心の高い問題だと実は思うのであります。特に今までの日本の農業というものは、敗戰國日本を混乱に陷れることなく、また非常な不安のうちに國民を陷れることなく、非常に重要な役割をしてきたものだと思うのであります。それは戰に戰後の問題だけでなしに、戰時中から引継いでの大きな役割だつたと思います。そういう日本の農業が、現在戰前の八割の生産を維持しておるということは、私は非常に驚異に値いすることだと実は考えておるわけであります。こういう農業者に対しまして、私どもは、やはり國民全体がこの農業の大きな貢献に対して認識を深めてもらうということが、非常に大切な時期に到達しておるように考えるのであります。
 最近とかくいたしますると、農業政策があるいは軽視されたり、あるいは農村の一部の者のもつておる態度が全体の態度であるかのごとくに考えられて、そうして農村に対する正しい評價というものがなされていない感じを私は間々受けるのであります。この意味において私は、ほんとうに農林大臣が、日本の農業政策の過程で、農業者に対するところの深い敬意と尊敬というものを國民に知らしてやつていただきたいと思うのであります。それは同時に都市の方々に対しても、この農業に対する認識を一層深める処置というものをどうかお考えを願いたいと思うのでございます。そうして同時に私どもは、この農業というものを一体どういう形で再建をしいてくのか、そうして到達をする目標というものはどこにわれわれは目をつけなければならないのか。このことは非常に大切だと思うのであります。これは今度経済安定本部から発表せられました経済復興の第一次試験というものを見てみましても、私はその感に打たれるものであります。あの中にはもちろん農業政策というものがはいりこんで、そうして國民経済の一環としての日本の農業が立つていく姿というものが示されているように考えるのでありますが、それは、あくまで一試案であつて、今後おそらくいろいろの修正がなされ、またいろいろの復興計画がもたれるでありましようけれども、私はただそういいものの中に、やはり今までと同じような農業者に対する態度が、あるいは看取できるのではないかという感じがするのであります。それはたとえば、現在のいわゆる長期計画の中における農業が、工事生産というものがほんとうに立ち直らなければ日本の農業の眞の立直りはないのだ、こういうことを主張しておりますが、このことはたしかにわれわれは認めることであります。われわれはやはり工業がほんとうに立ち直ることなしには、肥料も、農機具も、またいろいろな生産資材の生産も立ち直ることができないだろうと思いのであります。その意味で、当分の間、少くとも長期計画が立案されておるその間においては、農業に対する資材の割当もできないだろうし、農業の再生産のほんとうの物的な、あるいは予算的な措置もできないだろう。だけども、まあ大体二箇年の後においては、農業政策についてもある程度の考慮がなされるのではないだろうかという立場が採用されておるのであります。そうして、それならばまだよろしいのでありまするけども、われわれが、もしあの第一次試案なるものがそのまま決定されるということを考えてみた場合の、最後の人口收容力というものが農村にどの程度課されていくものであるか、それからもう一つは、そのときにおける日本農業の農業所得というものが、どの程度のものであるであろうかということを考えてみますると、これも私は非常な心配をもつものであります。たとえば農業生産の方におきましては、実質生産、國民所得というものは、昭和五━━九年に対しまして一〇五%が二十七年度の目標であります。鉱工業の方におきましては、一〇〇%に対して一二三%、鉱工業の実際の発展を見なければ、たしかに日本の將來の人口收容力というものは増大しないし、國民のいろいろの國富も増大しないことはよくわかるのであります。よくわかりますけれども、それを收容しておる人間というものをたとえてみまするならば、農業の方の人口は千四百十九万もあつたものが、今度は千六万八十六万人に殖えるであろうという予測になつておるのであります。鉱業の方におきましては、三十四万四千人が五十一万九千人に、これから製造工業においては四百六十四万一千人が六百三十八万千人に殖える。私が計算してみますると、昭和二十七年度の日本の経済が安定する域に達したときの日本の農業所得は、一人当り大体百四十円程度、そうして鉱工業の方の國民所得の大体の水準というものは、七百五十円程度だという感じがもてるのであります。農業は今までいろいろの努力を続けて來た。そうして工業の建設なしでは今後の日本の農業の建設があり得ないということは明らかであるけれども、到達する日本の農業の所得の水準というものや、その水準の中に住む日本の農民の生活状態というものを考えてみると、私どもはもつともつとここで考え直す必要があると思うのであります。もちろん私どもは日本の経済復興の、國民経済の一環としての農業というものを見てまいりまするけれども、それはあくまでも農業者の復興と経済一般の復興とが、同じように利益にあずかるという形においてなさるべきであつて、農業の負担と農業の低い生活水準の上に工業の復興がなされるということであるならば、これは非常に大きな誤りだと思うのであります。その意味で私はどうしても農業の復興計画というものを、國民経済の到達する復興経済との関連からもう一遍再認識をいたしまして、農業者の到達する水準というものを明確にしていただきたいと思うのであります。それが結局今まで続けて來た農民に対して、將來への希望を與えることになると私は思うのであります。なお今後の農業政策のうちにも、たとえば、水利施設をどうして改善するとか、山をもう少し美しく復活させるとか、いろいろの再生産條件というものの復興過程がたしかにあると私は思うのであります。そういう過程は、あるいは現在の畜産でも、山林でも、あるいは土木でも、それぞれなされておるに違いありません。ありませんけれでも、それらのものが総合されて、先ほど申しました最後の到達する人口や所得の問題とを併せ考えて、ここで統一ある日本農業の再建と、希望あり、しかも工業とバランスがとれた農業の再建を秩序立つて行つていただきたいと思うのであります。その意味で、私はどうしても農林省でこういつた問題を取上げていただきたいと思うのでありまするが、農業大臣はこれに対してどういうようにお考えになつておられるか、私はその根本的な態度をお伺いいたしたいと思うのであります。
 次に、私どもが農村に參りまして貰間を受ける多くのうちで、將來の日本の土地制度は、結局どこに落つくのかということが一番心配になるようでありまして、現在あるいは第三次農地改革が唱えられ、あるいは山林の開放だとか、あるいは薪炭採草地のいろいろの開放の問題が論議されておるのであります。私は山の制度というものと、薪炭採草地の制度といものと、農耕地の制度といものとは、おのおの違つた性格のものであるべきだと思うのであります。それと同時に、私どもはこの土地制度の最後の形態というものをどこに考えておるかということは、非常に大切なことであつて、しかも農業生産や農民の離知に與える影響というものは非常に大きいと思うのであります。たとえば、もしここで農耕地の場合、これを全部自作農化するといつたような案が実現されたとしたならば、これはわれわれが大化の改新において経驗したように、必ず労働力と土地面績との間に競合が起つてくるのでありまして、おそらく農業政策一般というものは、生産力が落ちてくるに違いありません。それと同時に、また土地を國有にし、そるあはまたその労働をも共同にして、コルホーズの形態で進んでいくというなら、これも一つの形態であるに違いない。しかしわれわれは自作農主義を徹底した場合はどうなるのか、あるいはどうしてコルホーズを採出できないのであるか、それならば日本のいくべき道はどこに求めなけけばならぬのであるか、われわれは労働と土地との関係から見て、もつとも生産力の高い日本的の土地制度というものを考える必要があると私は思うのであります。現在いろいろの説が述べられ、いろいろの議論がなされておりますけれども、ほんとうに科学的に日本農業の特殊性を眞に吟味した上で、これがわれわれの到達する道である、この道が最後の土地制度である。これによつて産業日本、農業生産の安定をはかつていこうではないかという結論的なものが下される時機ではないかという感じがいたすのであります。この点についても農林大臣のお考えをぜひ承わらしていただきたいと存じます。
 なお私どもは、第三の問題として、土地制度が改革され、民主主義の基礎が培養され、そこに農業の再生産の基礎條件がつくり出され、この上に眞に民主的協同組合が設立され、そうして種々なる復興計画がこの上になされていくということであろうけれども、私どもは、やはり今後の日本の農業政策の問題といたしましては、農業の経営というものなり、農業の技術というものを、ほんとうに今度は考えていくべき時期に到達しておると思うのであります。従來農林省におかれましては、いろいろの御苦心をなさつておることは承つておるのであります。ありますけれども、これらについては、やはりさらに農林省の御努力を願わないと、私はほんとうの意味の農業経営の近代化なり、機械化なり、あるいはいろいろの農業経営組織の革命的の組織の発見なりというものは、むずかしいのではないかという感じがするのであります。たれも申します通りに、デンマークの農業が、主穀作の農業からこれが有畜農業なりあるいはいろいろの高度の農業に発達するためには、経営の技術というものについてのいろいろの研究がなされ、しかもそれが末端まで滲透するような教育、あるいは試驗研究の期間なりというものがこれに加つていつて、そうして主穀單作の農業が、高度のいわゆる輪作式または有畜農業式に変えられて、しかもあのアメリカ、欧洲あたりのいろいろの穀倉地帶の農業と競爭し得る程度にまで轉換を見たわけであります。從つて私どもは簡單に考えて、この農業経営組織が改善されるものとは考えられません。自由競爭のもとに、個人的の資本の蓄積の上にそれがなされていくというふうに考えたのでは、私は不十分であると考えるのであります。今までいろいろ指導農場等々もお考えになり、またそれが廃止される状態であつたと思うのでありますが、私はこの農業経営の組織の基本的の改革なり、あるいは抜術の振興という問題について、農林大臣はどういう具体的の方策をとろうと考えておられるか、これについては私は深甚の注意を拂つておるものであります。どうかこの点についての御見解を承わらせていただきたいと存じます。以上三点についての農林大臣の御答弁をお伺いいたしたいと存じます。
#4
○永江國務大臣 今勝間田委員からお尋ねになりましたことは、非常に基本的の大きな問題でありまして、いろいろ御意見のありました点については、私はその御意見に対しては同感の意を表する点が多いのであります。これに対して私の意見を述べろということでありますから、一應申し上げたいと思います。
 第一の農業の復興計画に対しまして私の基本的の方針はどうかという御質問、やはりこれは私の私的見解を述べることははなはだ如何と思いますが、今お尋ねの点につきましては、一應形式的の答弁に終るかもしれませんが、御承知のように、この点についてはさきに、設置されました経済復興計画委員会がございます。これを中心としてこの点は審議されておりますが、この委員会の計画に私どもは全面的の支援を與えまして、そうしてその決定をいたしましたものを、やはり國の農業復興計画の基本としていきたい。こう考えておる次第であります。中にいろいろ御意見がありましたが、それらの御意見については、私は前に申しましたように、大いに同感する点が多いのであります。だだこの最終段階におきまして農業の地位をどうするかといふ点は、私も現在日本の國際的な地位から考えましても、國内的な事情から申しましても、農業の復興計画というものが最終段階に達して実施されまする場合には、工業に隷属する形の農業というものは私は考えておりません。やはり日本の農業の実態から申しましても、あくまでも工業と農業とが脣歯輔車の形において、日本の経済の一翼をなしていくという形におくべきだと考えております。この点はいろいろ御心配がありましたように、資本主義経済機構の宿命的な欠陷でありまするように、都市中心の経済というものでは、今後は日本はいかないということは、いろいろ述べられました御意見の中に時々現われておるわけであります。私もそういう角度から、やはり工業に隷属する農業という考えはもつておらぬということだけを、附け加えて申し上げておきたいと思います。
 第二の点は、農地の改革の最終的なところはどこに意図をおいておるかということでありますが、一應これまた日本の農業のいろいろな地質及び地形上から申しましても、やはり自作農というものを中心といたしまして、これの運営はあくまで自作が非常に零細化することを防止いたしますとともに、その実質の経営というものは、協同組合の経営を強化いたしまして、それの運営によつて補つていく、こういうようにして、やはり自作農を中心としていくということが、日本では適切ではないかと考えております。コルホーズその他の方法は、日本ではまだ採用の域ではないと考えております。しかし最終段階はどうかということになりますと、これは非常にむずかしい議論になりますので、私は今現実の問題としては、やはりコルホーズのような方針は、日本では当分実際には採用しがたいと思つております。
 それからその他のいわゆる耕作地以外の薪炭林あるいは採草地、放牧地等につきましても、やはり薪炭、肥料、飼料の確保というようなことを基礎といたしまして、これの計画を立てていかねばならぬと考えておりますので、先ほど申しました自作農というものを中心にして、農業の実際の運営が行われるということでありますれば、それに附随しておる山林、牧野もまたこの角度から、そういう実際の制度を考えていきたいと思つております。
 それから第三の点については、農業の実際からいつて漸次單作を輪作にして、土地から上る高度の收穫を考えていくという点に関しまして、技術をどうするか、技術の指導をどうするかという御意見でございます。この点は実際各地において、実際のことをよく御研究になつておる皆さんでありますから御承知だと思いますが、現在日本の農業技術の指導ということについては、いろいろな欠陷があります。それは直接指導に当る者が実際のことを知らずして指導しておる、よく言われるような官僚的指導というような弊害は、極力これを避けつつあるのでありますが、最近これを具体化するために、指導農場等の廃止に伴いまして、國全体を一貫した農業技術の改良、指導を行いまするために、近く農林省におきましても機構の改革を行いまして、名前は農業改良総局というような名前にいたしまして、これで技術指導を全面的にやる。そしてその運営については、今お話のように、各農業改良に対する研究機関、これはもちろん学校も加えたものでありますが、それを総合いたしまして、末端はやはり府縣にありまするこれらの機関を、農業改良総局と有機的に詰合せしめていく、こういうような構想で、今せつかく立案をいたしておりまして、これがまた成案となりました場合には、この委員会にも十分御審議を願いたいと思つております。
#5
○勝間田委員 ちよつと土地制度の問題について一言申し上げたいと思いますが、もつと端的に、具体的に申しますれば、自作地の保有地をなくすのか、なくさないのか、あるいはこれを縮小するのか。そうでなかつたならば、あるいは現状のままに土地管理制度とかいうものを設けて、これを補つていくというのか、そういう具体的な一つの方針。それから山林を分割するとか分割しないとかいう議論もありますが、民有地と國有地をどういう形にするのか。國有地をどの程度残すのか残さないのか、それについていろいろ不安があると思います。山林所有の形態はどうするのが、それから現在の薪炭、採作地でも、農地法を利用して、いろいろ土地を分割したりする所があります。また未墾地の開放というものが、薪炭、採草地の関係でいろいろ問題になつておりますが、これも個人の形にするとか、入会地のような形にするとか、あるいは共同の形にしておくのか。とにかくこれも私は政府の方針が明らかにならないと、やはり地方ではよほど心配になると思うのであります。その意味でこの三つについての――ここで政府は土地制度の一應の改革を終りたいと思うのだという、その方針を承りたいわけであります。
#6
○永江國務大臣 その点は私が先ほど附け加えておくとはつきりしたと思いますが、勝間田君の御質疑は、一應理論的なものであるとして私はお答えしたのであります。現実にどうするかということについて、ごく近く行わるべき具体的のものでどうするかというお答えをいたしますについては、私はやはり合お尋ねの点は、いわゆる第三次農地改革に非常な関連性をもつておるものでありますから、これは從來農林省がこう考えておるという案を、政府案として皆さんに御審議を願うことが、一應の行き方であります。しかし今後はやはり政党政治がいい意味で復活いたしたのでありますから、これが民主的であると思つておりますので、やはり三党政策協定の線に沿いまして、三党間の特別委員会などで十分御審議願つたものを、私農林大臣としては、それを政府案として皆さんに御審議を願う。こういう行き方が民主的であると実は考えておりますので、私の考えを今ここでどうするということは、一應申し上げることを御遠慮いたしたいと思つております。
#7
○井上委員長 次は圖司さん。
#8
○圖司委員 きわめて簡單に農林大臣に御所見をお伺いいたしたいのであります。実は山形縣の供米に関する事柄でありますけれども、山形縣は御承知のように、全國第二位で昨年度供米を完了いたしたのであります。ところで山形縣最上郡の西小國村という所でございますが、この村の強権発動をめぐりまして、多少いざこざがございまして、その間農林大臣と縣並びに地方事務所、村当局との間に、多少誤解があるのではないかと思われますので、その間の事情を農林大臣によつてこの際明らかにせられていただくということは、供出制度を円満に遂行せしめる上において、きわめて重要な事柄だと存じますので、そのことについてまず事情を明らかにして、大臣の御所信を承りたいと存じます。
 この山形縣の最上郡西小國村というのは村長がきわめて進歩的な人でありまして、まず個人別に割当をするにつきましても、反收及び反別等につきましては、きわめて愼重なる態度をとつたのであります。あまりに愼重な態度をとりすぎたがために、あるいは事実に反するような結果が現われたかもしれませんけれども、科学的な基礎資料によりまして、まず作付面積につきましては、一筆ごとの実測をいたしたのと、反当收量につきましては、粒数計算の方法を新らたにとつたのであります。そうしてその結果を食糧委員会にかけたのでありますが、経過を日時によつて申し上げますと、昨年の九月八日に村の食糧調整委員会に諮りまして、以上のような標準に從つて割当を決定いたしたのであります。九月十六日に食糧檢査員と農業会の技術者と一緒になりまして、全地区の檢見を実施せしめたのであります。十月二十四日には地方事務所から正式の割当の決定をみたのであります。十月三十日には、さらにその地方事務所からまいりました割当決定書につきまして、村の食糧調整委員会を開いて審議し、十月三十一日に全部個人別の決定をいたした。その際に申立期間を十一月の十日と決定いたしたのであります。そして十一月十五日には村の割当量二千三十石の全部の供出完了をみたのでありますが、その際未完納者は十二名であつたのであります。しかしその後村当局との折衝によりまして、だんだん未完納者は供出するに至りまして、一月十日になつて七名を残すに至つたのであります。そこで食糧調整委員会で、最後に残りました七名に対して、どのような措置を講ずべきかということについて協議をいたしたのであります。その七名の中の斎藤與助、菅寅之助という最も惡質と思われる者を除きまして、他の五名については、もう一回供出を勧告して、完納せしめたらよかろうということになつたのであります。一月三十一日には結局この五名のものも全部完納いたしまして、最後に惡質者斎藤及び菅の二人だけが残りまして、その者に対して強権発動の申請書を地方事務所に提出して、地方事務所がこれを受理したということになつたのであります。二月二十六日に至りますと、この二人のものは、強権発動は不当であるという理由で、地方事務所長に対して陳情いたしましたので、地方事務所長はさらに愼重な態度をとつて、村の食糧調整委員会に対して再審査方を村長に通知いたしたのであります。三月六日に村ではまたまた食糧調整委員会を開きまして、未完納者はもちろんのこと、地方事務所からも、村当局もともに列席いたしまして、いろいろと折衝いたしたのでありますが、依然として二人のものは供出をがえんじませんので、三月九日までの日限を切つて、もしその日に至るもなお完納しない場合においては、強権発動するということを委員会において決定いたしたのであります。ところで三月十日でありますが、その九日までの約束の期限内に、依然として前記二名のものは完納いたしませんので、遂に強権発動申請書を再び地方事務所に提出して、地方事務所がこれを受理いたしたのでありますが、三月十一日になりますと、地方事務所長はこの二名のものに令書を通達したわけであります。ところが三月十七日になりますと、どうしたものか、全然関係のない全國農民組合の派遣員であると称する大須賀某と板垣某というものとが、未完納者を帶同いたしまして、地方事務所に強権発動は不当であるというような強硬なる陳情を行つたのであります。三月十九日に、前々日の十七日の陳情に基きまして、さらに地方事務所では愼重な態度をとつて、村農業会に出向きましていろいろ懇談をいたしたのでありましたが、どうしても全國農民組合の大須賀某というものがあくまでも強権発動には反対であり、同時にそうした令書に対しては應ずる必要がないということで拒否いたしましたので、やむなく地方事務所は強権をもつて斎藤と菅の両名の現に保管してあつた籾を差押えたというような事情でございます。ところで問題はその後に起つたのでございますが、どうしたことかその間の事情は判明いたしませんけれども、とにかく三月二十二日に突如農林大臣名をもつて強権発動しばらく待てという電報がまいつたのであります。その電報はその後の調査によつて明らかになつたのでありますが、山形縣の方にはまいりませんで、單に最上地方事務所長及び山形縣最上郡西小國村長の両名あてにまいつたのであります。從つて地方事務所長と村長とは、とりあえず強権発動によるもみの運搬は中止いたしまして、その間の事情を明らかにすべく、縣当局に対していろいろ折衝いたしたのでございましたが、縣当局においては全然その間の事情が不明であつたのであります。しかもその電文ははなはだ簡單なものでありまして、單に強権発動しばらく待てという電文でありまして、まつたく十分の意を盡しておらなかつたのであります。それがために農林大臣と第一線行政にある地方事務所及び村当局の間には、少からざる誤解を招いたのでございまして、それが本年度の供出に対して惡影響を來した店は少くないと認められるのであります。といいますのは、その後に至りまして次のような決議を最上郡全体の食糧委員会が満場一致で決議しております。読み上げますと、「山形縣最上郡西小國村の昭和二十二年産米未完納者に対する西小國村食糧調整委員会の申請に基く山形縣知事の強権発動に関して、三月二十二日突加最上地方事務所長及び西小國村長に対し農林大臣が電報をもつて停止を命じたことは、食糧管理法にもとるもので供出制度を破壊するものと断ぜざるを得ないとともに、かかる指示を発せられるにおいてはわれわれ食糧調整委員は主要食糧の供出に関しその責を果し得ない事態に逢着したに鑑み、農林大臣の責臣ある回答を求める、右山形縣最上地方食糧調整委員会満場一致をもつて決議する、昭和二十二年四月一日山形縣最上地方食糧調整委員会。」こんなような決議をいたしまして、携えて総理大臣、農林大臣、參議院議長及び衆議院議長にその間の事情の説明に參つたようなわけでございます。しかし先ほど來申し上げます通り、こうした悶着が起きましたのは、農林大臣と最上地方事務所及び西小國村との間に、どうも多少の誤解があつたのではないかと思われますのと、四月三日に片柳長官から縣の方に対して電報があつたのでありまするが、強権発動をしたるものならば執行差支えなし、善後措置しかるべく頼むという電報がまいつたということによつても、その間決して農林大臣の眞の意向というものが、末端に行き届かなかつたであろうということが、私どもには想像せられるのであります。
 そこでお伺い申し上げたいことは、右のような事情は農林大臣としてはたして眞に強権発動という事態を止める意思でお出しになつたものであるかどうか、それともその間の事情を地方事務所なり村当局なりにもつとはつきりさせることによつて、円満に個人々々の農民が納得して、強権発動という事態に訴えないでも供出制度というものを円満に遂行せしめる、こういう意味において、將來のことも案ぜられたる上でこうした措置を講ぜられたのであるかどうか、もしそうであるとするならば、現在のところでは、片柳長官から縣に対して善後措置はしかるべく頼むというような電報を発せられておりますが、農林大臣と島てはただ強権発動しばらく待てという電報を打たれたばかりで、その後の措置について何らのこともなされておらぬというようなことで、地方事務所なり村当局としては多少わだかまりをもつておるようでございますので、その間の円満なる解決策を大臣から講ぜられていただきたいと思うのですが、そうしたお考えがおありになるかどうかということが第一点でございます。第二点は全國農民組合の派遣員と称する者が、かりそめにも村の供出の問題にまでさしでがましい口をきいて、そうして村当局なりあるいは地方事務所なり、また食糧委員会というような、正式機関が責任をもつてなしておる措置に対して、いろいろ干渉がましいことをやるということははたしてどうであるか。もしそのようなことがよしんば全農ばかりでなく、その他の個人あるいはまた團体、そうした方面からもなされるというようなことになりましたならば、供出制度というものは根底から破壞されるのではないか。私はその点を最も重要視せねばならぬと思うのでありますが、こうしたことに対しての農林大臣の御所見と、この二点についてお伺い申し上げたいと存じます。
#9
○永江國務大臣 ただいまお尋ねの点につきましては若干食違いがあつたように思つておりますが、しかしお尋ねの趣旨に副いますように、私から二点についてお答えします。第一の点は、今お尋ねの中にありましたように、私は強権発動について常にあくまで強権発動は目的でなしに手段である、こういう考えで臨んでまいりました。私は就任以來強権発動をしなければどうしても出さないという案件が相当私の手もとまでまいりました。しかしこれはできるだけ強権発動しなくとも、供出者が自発的に供出するものならば、強権は発動しなくてもいいじやないかという見解で、そういう処置をとつた所がございます。その辺つとしてただいまお尋ねの件があつたのでございます。これは私は、それぞれ法規によつて強権発動が決定いたしましたものを、農林大臣が止めるという権能はないものと思つております。ただその際私に相談のありました農民の代表者の諸君の意見では、今お尋ねの中にありましたようないろいろな事情も承りましたし、同時にまたその地方におけるいわゆる從來のいろいろの対立関係等があつて、感情上おもしろくいつてない。しかし自分らは自発的に強権を発動しなくても出す意思である。しかし強権発動になつて出すということになれば、どうしても自分らの立場が困る。強権発動を出されるのはやむを得ないしかし強権発動をする前に自分らが自発的に出したいから一應強権発動は止めてくれぬかというお話でありました。しかし山形縣からわざわざ東京まで來て、これから諸君は帰つて地元で円満に話がつくかどうか、こういうことを私は念を押して聽いたところが、すぐこれから引返して、山形縣に行つて話をつけてくる、しばらく強権発動は止めてもらいたい、こういうことでありました。私は事務解局にもその所に対して強権発動が出ておるかどうかということを実は問い合わしたのでありますが、まだ事務当局までは地方事務所長からきておりませんでした。そこで強権発動しなくても出すというならば、一應強権発動は待つたらよかろう、こういう意味で先ほどお話のように電報を打たしたのであります。確かに私が打たしたのでありますが、私の氣持は、やはり円満に供出ができるものならば、強権発動に誤当するもので━━これは相当調整委員諸君、縣及び地方事務所、村長の各位がいろいろ御苦心になつた点であります。それはよくわかつております。しかし出す方が強権発動を受けずに出したいというその氣持の中には、過去のいろいろな関係があつたということを了承しまして、話は盾の両面を聽かないと撲の断案はできませんが、一應強権発動を出すことは理由があつて出すだろうけれども、出す前に供出を自発的にということで、明日必ず話をつけるということでありますから、私は早く地元の事務所長及び村長に向つてそういう電報を打つたのでありまして、強権発動を停止せよという電報ではなく、待てという電報を打つたのであります。ところがその後いろいろ事情を聽いてみると、すでに私が電報を打つ前に強権は発動されて執行されておるということでしたから、片柳長官の名前で、今申し上げたように、強権発動をしておつたならばやむを得ぬ、今後は円満にやりたいという電報を私の命令で打つたのであります。ただ私の処置として、あるいは匆々の間でありまして、いろいろ農林省内部関係において手続上愼重を欠いておつた点があるかもしれませんが、今申したように、この案件ばかりではなくて、他の強権発動に対しても、私は当初に申し上げたように、これは手段であつて目的ではない。それが発動されたあとは必ずうまくいかないのであるから、発動しなくても供出されるものならば発動しないようにということで、そういう処置を数件とつてまいりました。その一つとして今お尋ねのようなことが出てきたのであります。今お話のことは事実で、私が電報を打つ一週間以前にすでに執行されておりました。それがわかつたので今お話のように電報を打つたわけでありまして、從つて私の眞意は今申したような趣意で、当然法的な処置として強権発動をし得るものを私は止める意思は何もありません、ただその直前において、何とかそこに一つの余地をつくつて、当事者に円満に話をさせたいというつもりでやつたわけであります。あとからだんだんいろんなことがわかつてまいりまして、そこで片柳長官の名前でそういう処置を島たわけであります。しかしその後地方におきましては、この問題が円満に解決するように私はできるだけ係官をして督励している次第であります。いろいろ地方における供出について御苦労なさつておりまする食糧調整員の諸君、または縣町村の責任者の皆さんに、この問題でいろいろな誤解を與えたことについては、私ははなはだ遺憾に思つておりますが、眞意は右樣の次第であります。
 第二のお尋ねでありますが、農民組合の者がその間に介在して越権的なことをするということは私は妥当でないと思つております。これは農民組合の場合でありまして、私がここでその事実がどうなつたかということも調べておりませんので、お答えはいたしかねると思います。しかし政府の機構としていろいろの処置を行いまする中に、農民組合という團体がそれを阻止するようなことについては、私は別個の角度からいろいろ意見をもつておるので、ここでは今申し上げましたように、私にお尋ねになりましても、組合のことでありますからいかんともお答えいたしかねます、さよう御承知願います。
#10
○圖司委員 第二点でありますが、農民組合が政府の施策の上に惡例を來たすということになれば、結局政府の問題になるのじやないかと思います。たとえば供出の問題ばかりでなく、あるいは土地買收の問題、山林の問題、その他においていろいろあるのであります。その点に対して御答辯願いたいと思います。
#11
○永江國務大臣 いろいろ農地、山林その他のことについての法的根拠に基いて、政府の係官がいろいろ処置します処置に対して反対をするのに、口の上で反対するとか、いろいろなことはあり得るのであります。それが暴力的反対とかいうことであれば、おのずから別の法規で取締られるものと思つております。
#12
○井上委員長 では本日はこの程度で質疑を終りたいと思います。なお明日午後一時から委員会を開きますが、政府の方から要請がございまして、農地開発営團の行う農地開発事業を政府において引き継いだ場合の措置に関する法律の一部を改正する法律案を至急審議をしてくれという申出がありましたので、これを先に審議いたすことにしますから、その法律案に関する質疑のある方は準備を願いたいと思います。
#13
○野上委員 政府から要請される法案も急を要するかもしれませんが、米價の問題等は二十三年度の予算と非常に重大な関係がありますから、この質問もまた先に延ばすわけにいかぬ。午後一時からということでなく、なるべく時間を多くとつて、至急この質問だけは済ますようにはかられたいと思います。
#14
○井上委員長 米價の問題につきましては、最前の秘密懇談会におきまして、政府と委員との間において十分意見を交換いたしました。なお本委員会公開の席で審議するまでに案件が至つておりませんので、いずれ正式にきまりましたならば、正式に取上げたいつもりでおりますからさよう御承知を願います。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後四時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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