くにさくロゴ
2021/04/15 第204回国会 参議院 第204回国会 参議院 文教科学委員会 第9号 令和3年4月15日
姉妹サイト
 
2021/04/15 第204回国会 参議院

第204回国会 参議院 文教科学委員会 第9号 令和3年4月15日

#1
令和三年四月十五日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十四日
    辞任         補欠選任
     世耕 弘成君     藤木 眞也君
     滝波 宏文君     水落 敏栄君
     蓮   舫君     石垣のりこ君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         太田 房江君
    理 事
                赤池 誠章君
                上野 通子君
                吉川ゆうみ君
                斎藤 嘉隆君
    委 員
                有村 治子君
                石井 浩郎君
                高階恵美子君
                藤木 眞也君
                水落 敏栄君
                石垣のりこ君
                石川 大我君
                横沢 高徳君
               佐々木さやか君
                安江 伸夫君
                梅村みずほ君
                松沢 成文君
                伊藤 孝恵君
                吉良よし子君
                舩後 靖彦君
   国務大臣
       文部科学大臣   萩生田光一君
   副大臣
       文部科学副大臣  高橋ひなこ君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        戸田 浩史君
   政府参考人
       文部科学省初等
       中等教育局長   瀧本  寛君
       文化庁次長    矢野 和彦君
       中小企業庁事業
       環境部長     飯田 健太君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○文化財保護法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
    ─────────────

#2
○委員長(太田房江君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、蓮舫さん、世耕弘成さん及び滝波宏文さんが委員を辞任され、その補欠として石垣のりこさん、藤木眞也さん、水落敏栄さんが選任されました。
    ─────────────

#3
○委員長(太田房江君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 文化財保護法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、文部科学省初等中等教育局長瀧本寛さん外二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#4
○委員長(太田房江君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────

#5
○委員長(太田房江君) 文化財保護法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#6
○吉川ゆうみ君 おはようございます。自由民主党、吉川ゆうみでございます。
 本日は、文化財保護法の一部を改正する法律案について質問をいたします。
 本改正案では、音楽や演劇などの芸能や工芸技術といった無形文化遺産と、また地域のお祭りや行事など、風俗慣習あるいは民俗芸能、民俗技術など無形の民俗文化財について登録制度を創設するとされております。
 文化財を確実に次世代に継承していくこと、そして、それと同時に、しっかりとこの文化財を活用し、地方や日本経済の活性化に生かしていく、これが大変重要であるというふうに思っております。
 私の地元三重県でも、伊賀市に勝手神社の神事踊というものがございまして、この民俗芸能があるわけでございますけれども、平成三十年に重要無形民俗文化財に指定され、現在ユネスコの無形文化遺産として登録を提案中の風流踊の一つともなっております。
 この勝手神社の神事踊は、江戸時代の中期頃から盛んに行われまして、厄よけでありますとか雨乞いを目的として、毎年十月、勝手神社の秋祭りに約二十人の踊り子たちが大変優美な舞を奉納する、これが特徴でございます。オチズイという色とりどりの花が付いたものをしょいまして、そして前に太鼓をたたきながら踊るという大変見た目も美しいものでございますけれども、こういった勝手神社の神事踊と、こういうものがございます。
 しかし、これらの無形文化財や無形の民俗文化財、これは生きている人が担っていくというものであり、一度絶えてしまうと、その復活、これは容易なものではありません。特に、過疎地域、過疎化が進んでいる地方においては、地域のお祭りあるいは行事など、無形の民俗文化財を次世代に引き継いでいく、担い手の確保に大変皆さん、どの地域でも御苦労されているというのが現状でございます。
 しかも、今般の新型コロナウイルスの影響によりまして、様々なお祭りでありますとか神事が催行されることが、催行することができないと、数年間これが止まってしまうというようなことがございまして、ただでさえ担い手が確保に大変苦労している、伝承に苦労しているところに、更なる文化の伝承という意味では深刻な問題になっている、これが現状であろうというふうに思っております。
 そこで、質問でございます。
 本改正案がどのようにこれらの担い手の、無形の文化財あるいは無形の民俗文化財の担い手の確保につながっていくのか、そして、しっかりと地域活性化につなげていくことができるのか。あわせて、このユネスコの無形文化遺産の登録により期待される効果などにつきまして、具体的な活用方法あるいは方策というものをお聞かせ願いたいと、できるだけ具体的な形でお聞かせいただければというふうに思います。

#7
○政府参考人(矢野和彦君) お答え申し上げます。
 本改正法案の提出に先立つ、文化審議会という審議会がございますが、その企画調査会の報告書で指摘されているとおり、登録制度の活用により、国が無形の文化財として価値付けをし、積極的に公表、公開することで地域の方々が地元の文化資源に対する認識を新たにするきっかけになる、地域に誇りを持ってもらうということだと思いますが、こういう地域における継承意識を醸成するという効果が期待され、しております。
 さらに、登録された文化財について、伝承活動や普及、広報等のための費用を補助することとしており、こうした取組を通して、登録された文化財の担い手の確保を後押ししてまいりたいと考えております。
 また、登録された文化財が適切かつ効果的に保存、活用することに、されることにより、他の地域や海外からの関心も高まることで観光需要も喚起することが期待され、結果として地域活性化にも資するというふうに考えているところでございます。
 ユネスコの無形文化遺産登録は、より広く国内外へ発信していく、担い手間の交流を促進する、そういったような効果が見込まれておりまして、その活用のため、文化庁として、普及啓発や情報発信のための人材育成の取組、これ令和三年度約一千二百万円ございますが、その取組を支援して、そういった取組を通じて発信していきたいというふうに考えております。
 以上でございます。

#8
○吉川ゆうみ君 ありがとうございます。
 この改正案を、法律を是非とも今本当に苦労している、伝承に苦労している地域の担い手確保、そしてしっかりと活性化につなげていきたい、いただきたいと。財政措置も含めてですね、そういったことを具体的に検討していただきたいと思いますし、このコロナウイルスによって大切なこういった文化が伝承されることが途絶えることがないように、その辺りのしっかりとした措置ということもお願いできればというふうに思います。
 観光と文化、これをつなげていこうというのはさきの国会でもやったところでございますし、是非とも具体的な施策をよろしくお願いいたします。
 さて、次です。
 本改正案に先立ちまして取りまとめられました文化審議会の企画調査会の報告書では、これまで必ずしも文化財保護法上の文化財として明確に位置付けられてこなかった生活文化につきまして、文化財保護法上の適切な保存、そして活用を実施するということが提言されました。
 生活文化につきましては、数年前に改正されました文化芸術基本法、こちらにおきましても、華道、茶道、そして書道、また食文化につきまして、その他の生活に関わる文化、係る文化を、いずれも日本におきましては、お稽古事など、あるいは趣味として生活の営みに根付き、我が国の魅力として位置付けられてきたこれらのことをしっかりと文化として位置付けることをしていただきまして、我が国の魅力をより高めていこうというような施策が取られているところだと承知をいたしております。
 大臣におかれましても、本法案の趣旨説明において、文化芸術基本法において食文化を含む生活文化について明記されると、無形文化財や無形の民俗文化財の保存、そして活用に対する認識が高まっていると生活文化に言及をしていただいております。
 この生活文化についてお伺いをさせていただきます。
 今回、無形文化財の登録制度が創設され、この生活文化をこの中の保護の対象としていくこととした理由について、さきのその文化芸術基本法との関わり、あるいはこれからの日本の魅力を更に発信していくというところもあるんだと思いますけれども、その理由について具体的にお聞かせをいただければと思います。

#9
○政府参考人(矢野和彦君) お答えいたします。
 書道や茶道、華道、食文化を始めとした生活文化は我が国の伝統的な文化でございまして、今委員が御指摘のあったとおり、文化芸術基本法においてもその振興が期待されているものでございますが、これまで生活文化の体系的、包括的な調査の蓄積が乏しかったという実態がございました。ゆえに、これらの文化財として位置付けることが困難な状態にございました。
 一方で、近年、生活文化に関する調査研究が次第に進んできております。この結果、文化財として位置付ける可能性が出てきました。
 また、書道や茶道、華道をたしなむ者の数が近年大変残念ながら大きく減少してきておりまして、その保存と活用の措置を講じる必要性が高くなってきた、こういうことから、幅広い文化財を保護する登録無形文化財制度の創設を契機といたしまして、こうした生活文化も文化財として位置付けることが可能となるようにしたものでございます。

#10
○吉川ゆうみ君 ありがとうございます。
 この生活文化は、我が国の魅力をしっかりと出していく部分であるというふうに思っておりますし、文化芸術基本法でも明記された重要な部分であると思っております。しっかりとこちらも推進をしていただければというふうに思います。
 次に、先ほどの文化審議会の企画調査会の報告書の中では、生活文化と並んで現代の美術作品についても議論が行われ、報告書にも文化財として保存、活用する必要性と具体的方策について記載がされています。
 特に、国際的な高い、国際的な評価が高い現代の美術作品につきましては、将来の国民的な財産となり、まさに文化財となっていくべきところ、残念ながら評価の高い作品ほど我が国から海外に流出してしまい、良質な作品が国内に残りにくいというような現状がございます。
 この良質な作品が国内に残りにくい根本的な背景といたしましては、様々な背景があるんですけれども、その中の根本的なものとしては、国内アート市場が未成熟であるということが挙げられるというふうに思います。このことに対しまして、改善策につきましては、先日、党として提言を取りまとめ、萩生田大臣にも申入れをさせていただきました。
 このアート市場の活性化も含め、日本におけるアート、文化芸術の振興を進めていくためには、我が国において国際的なネットワークのハブとなる拠点整備、これが重要であるというふうに思っております。
 アート市場の活性化のために、今年度中には独立行政法人国立美術館にアート・コミュニケーション推進センター、これ仮称でございますけれども、これが設置されるというふうに伺っております。このセンターを起点として持続的なエコシステムをつくっていく、これが私は、我が国の価値あるアートあるいは美術品、そういったものをしっかりと価値として守り、活用していくためには急務であるというふうに考えております。
 このアート・コミュニケーション推進センターが果たすべき役割、あるいは設置の狙いや目的、またアート市場の活性化、そしてアートの更なる振興に向けた意気込みを、こちら是非、萩生田大臣からお聞かせを願えればというふうに思います。

#11
○国務大臣(萩生田光一君) 仮称アート・コミュニケーション推進センターは、我が国がアート分野の重要な国際拠点となることを目指し、国際情報発信や国内美術館への支援、海外有力美術館とのネットワーク形成などを図る目的で設置をするものです。
 我が国のアート振興のためには、アートの学術的な評価を高める人材の育成及び国内美術館の強化、また、アートに関心を持つ国民の裾野の拡大、国際的なアートフェア誘致などによる市場の活性化といった課題に同時に取り組む必要があると認識しております。
 今後は、アート・コミュニケーション推進センターの設置や各種振興施策を通じて、アーティストの国際的な評価を高め、活動基盤の充実を図ることにより、創作活動の更なる活性化につなげるなど、持続的に我が国のアート振興が進む仕組みをつくり上げていく必要があると思っております。
 これはなかなか委員会などで答弁しづらいんですけれど、日本の文化価値って割と過去から固定的に決まってしまっているものがあって、残念ながら新しい分野のものが正しく評価されていないという実態があります。例えば、昨日から、ニューヨークの公園を借り上げて草間彌生さんの近代アート全てを展示するという、こういったイベントが行われているんですね。もうアメリカの人は大興奮ですよ。だけど、日本人にとってはなじみがない作品でありまして、逆に日本人は海外でこの草間さんの作品を非常に高い値段で買い戻さなきゃならないという、こういう実態があります。それはなぜかというと、日本文化の中には近代アートを評価する適切な座標というものがないんだと思うんですね。
 ここで、文化庁の長官も新しく替わりました。いろんな意味でフェーズを変えて、もちろん伝統文化の良さ、あるいは、例えば同じアートでも、伝統的なアートの良さと近代アートの価値というものはやっぱり国内にもう少し正しく広めていく必要があると思っておりまして、こんな点をこのアート・コミュニケーション推進センターの設置とともにしっかり前向きに進めていきたい、こう思っております。

#12
○吉川ゆうみ君 大変心強い御答弁、誠にありがとうございます。
 まさに我が国として、しっかりとしたアートを評価する軸というもの、評価基準というものも作っていかなければ海外にしっかりと伍すことができないというふうに思っておりますし、バブルの時代、世界のアート市場三兆円のうち、我が国は一兆円以上、三分の一以上を占めておりました。大変残念なことに、現在七兆円と言われている世界のアート市場の中で我が国のシェアは〇・二五兆円。大変低い状況になっているのは、やはり先ほど大臣がお話を、御答弁いただいたようなところの整備がなかなか進んでこなかった、あるいは我々国民の中でそういった感覚を育てることができなかった、これは教育というところも含めてでございますけれども、というところにも大きく起因するのではないかというふうに思っております。
 我が国の独自のしっかりとしたこの文化芸術、総称してアートの価値ということをしっかりと世界に出していくことができれば、これまでの古美術の世界のようなところにも世界からの注目が集まり、更にしっかりとした世界に出していくことができる市場ということをつくり上げていくことができるのだというふうに思っております。
 また、先ほど草間彌生さんのお話もございましたけれども、まさに日本でも直島のベネッセミュージアムのようなところは、世界中からそのベネッセミュージアムに、直島に来たいので、作品を見たいので、様々な観光客はやってくるというようなところもございます。
 我が国のこのアート市場の確立というのは我が国のしっかりとした観光にもつながると、産業にもつながるというところもございますので、まさに今回の法改正の目的でもありますしっかりとした地域が誇る価値を活用し守っていく、保存もしていく、そういったところと相入れるものだというふうに思っておりますので、是非とも推進をお願いできればと思います。
 最後に、本改正案では、これまで登録制度がなかった無形の文化財について制度を創設することとし、また、先ほどお答えをいただきました生活文化についても文化財保護法上の文化財として位置付けるということになれば、支援対象となる文化財が増えていくということとなります。
 文化財保護法を使って保護をしていくことは望ましい方向性ではありますけれども、文化財の裾野が広がっていくことは、既に指定、登録されているほかの文化財への支援が手薄になりはしないかというところを危惧するところでもございます。
 今後、無形の文化財における登録だけではなく、ほかの文化財類型でも指定、登録等が進んでいけば、おのずと文化財保護法に要する費用全体が膨らんでいくことになります。
 文化庁全体の予算を見ますと、本年度は前年度より八億円増の千七十五億円を計上しておりまして、このうち、文化財の保護には約四割の四百六十億が充てられております。また、文化芸術基本法の改正時の目的として、文化を守るだけではなく活用するということがある中におきましては、この過去の歴史、有形・無形文化財をしっかりと次世代に継承していくというところにしっかりと予算を付けていくということ、そして、先ほど申し上げた現代のアートというところにもしっかりと守って、そして拡大していくところにも予算を付けていくということが必要であろうと思います。そういったことができて初めて、世界に誇る我が国の価値、これは伝統的な価値、無形、有形かかわらず、そしてこれからどんどん広がっていく価値ということを生み、そして、新しい産業としても社会経済の発展する軸として広げていくことができるというふうに思っております。
 今後、この分野には一層の予算確保、これが必要だと思っております。まさに守る、そして育てるということは、我が国の観光を始めとする大きな別の社会経済的な価値につながっていくわけでございますので、ただ守っていくだけの予算と考えることなく、更に我が国の価値を生んでいくための予算だという捉え方が私は必要だというふうに思っております。
 この点につきまして、一層の文化芸術への予算確保について、大臣のお考え、そして意気込み、お聞かせをいただけたらというふうに思います。

#13
○国務大臣(萩生田光一君) 今般の法案は、文化財保護の裾野を拡大する観点から、これまで指定の対象とはならなかった多種多様な無形の文化財について登録制度により積極的に保護を図ることを目的としたものであり、これまでの制度と相まって、我が国が有する貴重な文化財を適切に保護し、次世代へ確実に継承するとともに、その活用を図ることが肝要であります。
 また、我が国のアート作品は重要な国民資産であり、その学術的、経済的価値を高めるとともに観光資源として活用するなど、新たな市場や産業の創出という観点から、アート市場の活性化を進めることは重要な政策課題であると認識しております。
 令和三年度文化庁予算については、文化財を確実に次世代に継承するとともに、文化資源の活用や地方博物館等文化発信を支える基盤の整備充実を図るとともに、我が国現代アートの国際的な評価を高める活動と国内アート市場の活性化に向けた環境整備に取り組み、我が国におけるアートエコシステムの形成を図るための事業として総額一千七十五億円を確保しているところでございます。今先生おっしゃったように、対前年度比でいいますと七億弱で小さな数字かもしれません。
 お話がありましたように、私も就任以来、文化庁というのは文化財保存庁じゃないんだから、もう稼ごうと、これはしっかり稼いでいこうということを呼びかけておりまして、次長も同じ思いで、今様々な取組を始めたところでございます。基本的ないい素材というのは持っているわけですから、もうちょっとしっかりコーディネートをすればその価値を更に高めていくこともできると思います。
 他方、今回の法案は、その地域地域にもしかすると埋もれてしまうかもしれない文化を改めて地元の皆さんに再認識いただいて、その中には、さっきのお話がありましたように、全国区になるものもあると思うんですね。それを見に行きたいということで人が集まったりすることも出てくると思いますし、また、次世代に正しく、その祭りの意義ですとか、そういった伝統が生まれた背景ですとか、こういったものもしっかり学んでもらわなきゃいけないんだというふうに思っていまして、両面大切だと思っていますので、しっかり前に進めていきたいと思います。
 予算のことだけを言わせてもらえば、もちろんしっかり確保して様々な取組をしたいという思いがございます。ただ、今、文化はコロナで非常に冷え込んでおりますので、ここをぐっと我慢して、膝を曲げて、そしてアフターコロナのときが来ましたら、もう本当に国民挙げて皆さんが文化に親しんでいただけるような環境づくりをしっかりやっていきたい、こんな決意でございます。
 今後とも、この度の法改正を踏まえた文化財の保護、活用、アート市場の活性化などを始め、文化芸術立国の実現に向けた取組を推進すべく、予算の確保に努めてまいりたいと思います。

#14
○吉川ゆうみ君 ありがとうございます。

#15
○横沢高徳君 皆様、おはようございます。立憲民主・社民の横沢高徳でございます。よろしくお願いいたします。
 本日は、文化財保護法の一部を改正する法律案について質問をいたします。
 まず、質問に先立ちまして、先日、四月十二日に公表されましたヤングケアラーの調査について大臣にお伺いしたいと思います。
 この問題は伊藤孝恵議員がずっと取り組んできた問題でありますが、ヤングケアラーとは、文科省のホームページには、一般に、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子供とされています。厚労省のホームページには、ケアが必要な人は、主に障害や病気のある親や高齢の祖父母ですが、兄弟やほかの親族の場合もありますと記載されております。
 この度の実態調査では、中学生の十七人に一人、高校生の二十四人に一人がヤングケアラーであり、国内では約十万人いるともされております。これについて、まず萩生田文科大臣の受け止めと、今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いしたいと思います。

#16
○国務大臣(萩生田光一君) ヤングケアラーについては、現在、関係機関の連携をより一層推進して支援へとつなげていく方策について検討するため、厚生労働省と連携してプロジェクトチームを設置しており、今月の十二日に第二回目が開催され、調査結果が公表されたところです。
 ヤングケアラーについては、本人にその自覚がない場合も多く、支援が必要であっても表面化しにくい構造となっているため、その実態を把握することが重要だと考えております。
 他方で、今回の調査において、世話をしている家族がいるとされた中学二年生の五・七%、全日制高校二年生の四・一%という数字には、週に一、二回幼い兄弟の世話をしていると回答されたものや、回答者自身からやりたいことへの影響は特にないと回答されたもので、様々なケースが含まれており、今回報道されている数字が全てヤングケアラーであると必ずしも言えないと考えております。
 しかしながら、支援を必要としている子供が一定数存在する事実には変わりがないため、文科省としては、そうした子供を早期に発見し、スクールソーシャルワーカーを含む学校の教職員が連携しつつ適切な支援につなぐことが重要であると認識しております。
 今後とも、ヤングケアラーの早期発見や福祉的な支援につなぐための方策について、厚労省との共同プロジェクトチームにおいてしっかり検討してまいりたいと思っております。

#17
○横沢高徳君 私も障害があり、息子たちもこのヤングケアラーに当たるかなと、こう考えるところもあったわけでございますが、決して家庭で支え合いながら生きていてネガティブなことだけではないというところもある反面、本当に支援が必要な子供たちもたくさんまだまだいるんではないかということで、以前と違い、医療制度の改革などで病気やけがで入院してもある程度の期間が来たらすぐ自宅へ退院しなければならないような今の状況で、この状況を社会全体が支え切れていないというところもあると思いますので、是非これは政府を挙げてしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 それでは、法案、法律案に入りたいと思います。
 まず、本法律案では、無形文化財と無形の民俗文化財に新たに登録制度が設けられるとのことですが、この我が国の無形文化財と無形の民俗文化財について、私は、これらは地域で暮らす人たちの生活の中から生まれてきた歴史や伝統に裏付けられて、そして将来に継承していくものだと考えています。
 大臣、無形文化財などについてどう捉えていらっしゃるのか、御見解をお伺いしたいと思います。

#18
○国務大臣(萩生田光一君) 無形文化財は、芸能や工芸技術を始めとする歴史上又は芸術上の価値の高い技であり、無形の民俗文化財は、各地の祭りや年中行事など国民の生活の推移の理解に欠くことのできないものだと思っております。こうした無形の文化財は、我が国の歴史の中で形成され現代に引き継がれているものであり、それらのうち重要なものを指定する制度を設けてその保存と活用に努めてきました。
 一方、少子高齢化や過疎化などの進展により、無形の文化財の継承に関する危機意識が高まってまいりまして、さらに、今般の新型コロナウイルス感染症の影響を受けて公開の機会が減少したことなども踏まえ、文化財の担い手の状況は一層厳しいものになっております。
 こうした中で、本年一月の文化審議会企画調査会の報告書を踏まえて、無形の文化財について、従来の指定制度に加え、登録制度を新たに導入し、積極的に運用していくことで、我が国の多種多様な無形の文化財を次代に継承していくことが必要だということで法律を提案させていただいた次第です。

#19
○横沢高徳君 ありがとうございます。
 大臣、是非、無形文化財の魅力ですね、大臣としてこのような魅力があるというのがあればお聞かせいただきたいのですが、よろしいですか。

#20
○国務大臣(萩生田光一君) 例えば民俗文化の場合は、その地域地域に根差した様々な歴史的背景があるんだと思いますね。それは、その地域の風習などにも結果として相通じるものがあって、あるいはその地域の食文化などともつながっているものがあって、この東京にいてはなかなか理解できないけれども、その地域に行けばなるほどと思えるものというのはきっと潜在的にたくさんあるんだと思います。しかし、それがどんどん朽ちていくのはもったいないということで今回登録をしていただくことにしました。
 登録をしたからといってすぐに価値が上がるというものではなくて、それを継承していくことや磨き上げていくということが必要だというふうに思っておりますので、私は、何といいますかね、今まで見落としていた日本の魅力が日本中にまだ散らばっているものがたくさんありますから、それを再発見して、お互いにプライドを持って磨いていただいて、その中から、先ほども申し上げたように全国区にデビューするものというのもきっと出てくるんじゃないかと思っていまして、地域の良さを皆さんが再確認するいいきっかけにしていただければ有り難いな、そんなふうに思っています。

#21
○横沢高徳君 まさしく今の大臣の言葉で、地域の魅力ある無形文化財を改めて見直すといういいきっかけになればと思います。
 次に、この無形文化財、無形の民俗文化財とは具体的にどのようなものがあるのか、お伺いしたいと思います。

#22
○政府参考人(矢野和彦君) お答え申し上げます。
 現在、無形文化財におきましては芸能及び工業技術の二つの分野、無形の民俗文化財においては風俗慣習、民俗芸能、民俗技術の三つの分野を設けて、これ、それぞれ指定の保護対象として取り組んでおります。
 具体例で申し上げますと、例えば、芸能分野では歌舞伎や京舞といった古典芸能、工芸技術分野では蒟醤と呼ばれる漆芸の技術、また風俗慣習分野では、会津の御田植祭や男鹿、秋田県のなまはげ、民俗芸能分野では早池峰神楽や和合の念仏踊、民俗技術分野では能登の揚浜式製塩の技術、こういったものがそれぞれ今、重要無形文化財、指定文化財として指定されているところでございます。

#23
○横沢高徳君 多岐にわたってくると考えます。
 実は私も子供の頃から郷土芸能に携わっておりまして、獅子踊りや、今日は高橋副大臣が見えていますが、盛岡さんさ踊りなどで太鼓や笛、ここでいう無形民俗文化財に関わってきました。地域文化に根付き、神社への奉納やお祭りへの参加など、日本の和の心を大切にこれまで活動をしてまいりました。
 少子高齢化や過疎化が進む中、地域における伝統的な行事やお祭りの担い手などが減少していることに対応して、文化財の保護手段を拡充することは非常に重要なことだと考えます。私も郷土芸能に関わってきた身として、最初に法律案の説明を受けたときは、なぜこれまで無形文化財や無形の民俗文化財には登録制度がなかったのか、ふと疑問に思ったのを覚えております。
 平成二十九年十二月の文化審議会の答申でも、我が国の社会状況は急激に変化し、過疎化、少子高齢化の進行により地域の衰退が懸念されている、豊かな伝統や文化の消滅の危機でもあり、文化財は、未指定のものも含め、開発、災害等による消滅の危機のみならず、文化財継承の担い手の不在による散逸、消滅の危機にも瀕していると言及されております。
 翌年には文化財保護法が改正され、国が認定する文化財保存活用地域計画が文化財保護法上に位置付けられました。今回の改正が少し遅かったのではないかと感じているところではありますが、登録文化財制度のこれまでの経緯と併せて、今のタイミングとなった理由をお伺いいたします。

#24
○政府参考人(矢野和彦君) お答え申し上げます。
 文化財の登録制度は、これまで、これ平成八年に、阪神・淡路大震災の直後でございましたが、建造物を対象に創設したのを端緒といたしまして、平成十六年には美術工芸品や有形の民俗文化財、記念物にも対象を拡大してきております。
 今回新設する無形の文化財の登録制度の対象となる地域の祭りや民俗芸能などにつきましては、この間、都道府県ごとに総合的な調査を実施してきておりまして、保護の対象となり得る事例が徐々に蓄積されてきたという、こういう背景がございます。また、書道を始めとした生活分野についても、文化についても、その歴史や担い手等の詳細な調査が進んできた分野もあるなど、一言で言うと調査研究が進んできたということでございます。
 このように、無形の文化財については登録制度により保護を図っていく準備が整ってきたことから、今般のコロナ禍における継承活動への深刻な影響も踏まえ、無形の文化財の登録制度を創設することが適当と判断したものでございます。

#25
○横沢高徳君 それでは次に、地方の文化財保護制度についてお伺いをいたします。
 現行の文化財保護法は、国については文化財の指定制度、登録制度を定めている一方で、地方については指定制度のみ定めており、地方による文化財の登録制度は規定がありません。一方で、文化財保護法に規定がなくとも、実態としては、地方自治体独自に条例などで文化財の登録制度を設けているところがあると承知しております。
 地方自治体においては、その実情に合わせて既に独自に登録制度が設けられている中で、今回あえて文化財保護法上に地方登録制度を位置付けることによってどのような影響、効果があるとお考えか、お聞かせ願います。

#26
○政府参考人(矢野和彦君) お答え申し上げます。
 文化財の地方登録制度については、地方自治法に基づく独自の条例により三府県と八十三の市区町村において実施されてきておりまして、登録件数は年々増加傾向にあると承知しております。委員御指摘のとおりでございます。
 一方、平成三十一年四月に導入した文化財保存活用地域計画の認定制度の活用により、今後、各地域における未指定文化財の把握が進むということが見込まれておりまして、地域の文化財は地域で守り育てるという観点から、その適切な保護を図るため、地域の実態に合わせた多様な保存、活用の仕組みの整備が必要と考えております。
 この地方登録制度の法制化により、国、地方の文化財保護制度の体系的整備を図り、これ先行的自治体も更に積極的な取組をしていただくと、そういった後押しをするということとともに、まだ登録制度を実施していない地域において積極的に導入の検討が行われると、こういうことを期待したものでございます。

#27
○横沢高徳君 ありがとうございます。
 無形文化財、無形の民俗文化財の現在の保存状況についてお伺いしたいと思います。
 無形文化財は、演劇、音楽、工芸技術などの人の技そのものでございます。無形の民俗文化財は、衣食住や年中行事等に関する風俗習慣、民俗芸能等ですから、やはり継承する人がいなければ消滅してしまうおそれがあります。少子化で人口減少が続く我が国にとって、人が受け継いでいく無形の文化財は継承が大きな課題と考えます。
 無形文化財と無形の民俗文化財について、文化庁は文化財継承の担い手の不在による散逸、消滅の危機にも瀕しているという認識にあると思いますが、近年、どの程度の文化財が消滅をしてしまっているのか、又は消滅の危機にあるのか、具体的な数値等は把握しているのか、お伺いをしたいと思います。

#28
○政府参考人(矢野和彦君) お答えいたします。
 無形文化財及び無形の民俗文化財のうち、これ指定されている重要な無形文化財及び重要民俗、無形民俗文化財におきましては、保持者等の高齢化や後継者養成が困難であるということはその多くの課題として指摘されておりますけれども、実際に後継者不足により、後継者不在により指定を解除となった事例は現在のところございません。
 指定以外の未指定のものについては、これはなかなか把握が困難なわけですが、例えば、生活文化では茶道、華道、書道を娯楽、趣味とする人の数が減少傾向にございまして、これ出典は総務省の社会生活基本調査でございますが、例えば茶道につきまして見ますと、平成八年の二百六十三万人から平成二十八年の百七十六万人、百万人弱減少している。華道につきましては、四百五十七万人から二百四万人、これ半分ぐらい、半分以下ですね。書道については、五百十二万人から、これ平成十八年の数字でございますが、四百六十三万人、平成二十八年の数字でございます、というような減少にございます。
 また、担い手団体の抱える課題といたしまして、会員の高齢化や減少が多く挙げられているところでございます。
 また、日本料理の技の伝承の場である、これ料亭の数でございますが、出典が経済センサスでございます。昭和六十三年の九千三百四店から平成二十八年の六百七十五店ということで、過去三十年間で九三%の減というデータがございます。
 また、地域の民俗文化財の中には、国による価値付け、保護を待つまでもなく、消滅の危機にあるか又は既に後継者不在の状況になっているというものもあるというふうに認識しております。

#29
○横沢高徳君 料亭の数がそれだけ激減しているのはちょっと驚きましたし、私はまだ料亭に行ったことがないなという、ちょっと今思ったところでもございます。
 じゃ、次の質問に行きたいと思います。
 次に、新型コロナウイルス、今料亭の話もありましたので、新型コロナウイルス感染症の影響についてお伺いをいたします。
 一年以上前からコロナウイルス感染症の流行があり、影響がある、そしてまた、演劇、音楽などの無形文化財の公演活動や、地域の芸能やお祭りなどの無形民俗文化財の実演の場がなかなか取れない状況に追い込まれております。
 無形文化財、無形の民俗文化財が新型コロナウイルス感染症の影響によりどのような影響を受けたか、公演回数や参加者数、市場規模などについてどのように把握されているのか、お伺いをしたいと思います。

#30
○政府参考人(矢野和彦君) お答え申し上げます。
 これは独立行政法人東京文化財研究所が調べたものでございますが、令和三年四月、失礼しました、令和四年四月、あっ、失礼しました、大変失礼しました、令和三年四月五日時点で、歌舞伎や落語、能といった伝統芸能における新型コロナウイルス感染症拡大の影響といたしまして、関連事業の中止、延期情報を表明した件数が四千八百件を超え、ジャンル別に実演の中止、延期件数を見ると、最も多い歌舞伎で二千百六十三件、次の落語では二千七件、三番目に多い能楽では千百三十六件の実演に影響が出ているところでございます。
 また、生活文化につきましては、伝統芸能のような調査はございませんが、各分野の関係団体から、コロナ禍の影響で、例えば全国の生け花展や書道展の展覧会が中止となったり、日常的な教授活動にも深刻な影響が出ているといった声を聞いております。早急な対応が必要というふうに考えているところでございます。

#31
○横沢高徳君 ありがとうございます。非常にコロナ禍の中で、民俗芸能も含め、皆さん御苦労されていると思います。
 次に、継承の危機にある文化財への支援についてお伺いをいたします。
 文化財は、我が国の長い歴史と過去の人々の生活の中から生まれ、現在まで守り伝えられてきたかけがえのないものでございます。できる限り次の世代に継承していきたいところですが、今回の法案に即効性があるかというと、やや疑問を感じるところでもあります。
 今回の法案は予算関連法案ということですが、令和三年度に登録される見込みの無形文化財、無形の民俗文化財については、衆議院での議論によれば、件数は五件程度、一件当たりの支援額は百五十万から二百万円を想定しているとのことで、件数はかなり限られております。過疎化や新型コロナウイルス感染症拡大の影響で今まさに失われようとしている文化財に対して、即効性のある対応を予算措置でまず行う必要があると考えます。
 コロナに限らず、過疎化等で様々な影響で現在指定されていない、あるいはすぐにも登録される見込みのない無形の文化財が継承の危機にある場合、どのような支援を受けることができるのか、お伺いをしたいと思います。

#32
○政府参考人(矢野和彦君) 先ほどの答弁、独立行政法人東京文化財研究所と申し上げましたけれども、独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所の誤りでございますので、訂正させていただきたいと思います。
 お答え申し上げます。
 文化庁では、地域の文化資源の適切な継承等を行う観点から地域文化財総合活用推進事業という事業を行っておりますが、これは未指定の文化財も対象としておりまして、地域文化遺産への支援を行っており、今年度の予算では十一億五千三百万円を計上しております。
 具体的には、各地域の実情に応じまして、伝統行事などで用いる用具等の整備、例えば獅子頭であるとか衣装であるとか、あるいは山車のようなもの、そういったものについても整備に対する補助、あるいはその後継者の養成、記録作成などの保存会等に対する支援、人材育成や普及啓発の取組に対する支援を行ってございまして、これ非常に需要のある事業でございます。
 今後とも、地域の伝統行事や民俗芸能などの地域文化遺産の維持、継承が図られるよう取り組んでまいりたいと考えております。

#33
○横沢高徳君 ありがとうございます。
 そうですね、まずは本年度は予算が付けられておりますが、来年度以降ですね、これちょっと大臣にお伺いしたいんですが、どのような予算措置をお考えになっているのか、御見解をお伺いしたいと思います。

#34
○国務大臣(萩生田光一君) これは地域地域で、先ほども先生と議論したように、今まで余りフォーカスを当ててこなかった、しかし地元の町にとっては大切な民俗文化だ、こういったものをしっかり登録していただくということから始まりますので、乱暴な言い方をすると、国が予算を全国へばらまいてそれを育てろというのではなくて、まずは地域の皆さんが、これはやっぱり守っていこう、大事だよねということをまず登録していただくというところから始まりますので、そこに対して具体的に予算の額が多ければそれが政策的にいいものになっていくという、直ちにそういう性格のものじゃないと思うんです。
 他方、だんだんブラッシュアップをしていく中で、なるほど、こういったものは国として責任を持って保護していかなきゃならないというような例えば技術なども出てきますので、こういったものにフォーカスを当てて国として応援をしていくメニューというのをこれから深化させていきたいなと思っていますので、まずはもうキックオフだというふうに思っております。

#35
○横沢高徳君 ありがとうございます。まずはキックオフということで。
 今の大臣の答弁に関連すると思うんですが、まず無形文化財を守り育てていく上で忘れてならないのが、郷土芸能など民俗文化財に関わる太鼓や笛、和楽器の修理や、用具の製作技術を持った職人の方の人材だと考えます。
 無形文化財を保存、継承させるためにはこのような人材確保と伝統技術の継承が必要と考えますが、これ大臣、このような人材確保について今後どのようにお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。

#36
○国務大臣(萩生田光一君) 先生御指摘のように、無形文化財の保護を図っていくためには、例えば伝統芸能の公演などで使用する用具を製作する技術も併せて保護を図っていく必要があると思います。このため、このような文化財の保存に欠くことのできない伝統的な技術等を文化財保護法に基づく選定保存技術に選定をして、その保存に係る経費を支援し保護してまいりたいと思っております。
 例えば、伝統芸能で使用する邦楽器の製作技術については、人々の生活様式の変化と嗜好の多様化に伴い後継者の確保などが課題となっていたところ、新型コロナウイルス感染症の影響もあり一層厳しい状況になっていることから、速やかにその技術を選定保存技術に選定し支援するべく、関係者と調査検討を進めてまいります。
 今後も、文化財の継承が確実に図られていくよう、文化財の用具などを作る職人の支援にもしっかり取り組んでいく必要があると思っています。おっしゃるように、道具がなくなっちゃったり、あっても直す人が誰もいないということになったらこれは止まってしまいますので、そこはしっかり俯瞰していきたいと思っております。

#37
○横沢高徳君 是非よろしくお願いを申し上げます。
 では、次に、記録選択制度と関連性についてお伺いをいたします。
 昭和二十九年から、無形の文化財には有形の文化財にはない記録選択の制度が設けられてきました。記録選択は無形文化財において変遷の過程を知る上で貴重なものであり、そして無形の民俗文化財においては、風俗習慣、民俗芸能、民俗技術のうち重要なものを国が自ら記録作成を行ったり、地方公共団体が行う記録作成や公開事業に対して助成をしたりする仕組みでございます。
 今回の改正案によって無形文化財と無形の民俗文化財に登録制度が創設されますが、登録文化財となる文化財は当然学術的な調査がなされ、詳細な記録も残されるでしょうから、記録選択の制度と今回新設される登録制度が並行して運用していくとの理解でよろしいのか、お伺いをいたします。

#38
○政府参考人(矢野和彦君) お答え申し上げます。
 今委員の御指摘のあったとおりの理解でございますが、理解していただいて結構でございますが、文化財の指定制度や登録制度が規制や補助といった様々なツールを持ちながら継続的に文化財の保存、活用を図っていくという趣旨のものであるのに対しまして、記録選択制度は、無形の文化財について言えば、文化財保護法第九十一条に規定されているものでございまして、貴重な無形の民俗文化財について一時点での記録を作成し、後世において参照できるようにする趣旨のものでございます。継続的なのか、スポットなのかということでございます。
 このように、新設する登録制度と従前からある記録選択制度とはその趣旨、目的が異なるものでございまして、両者が相まって、より適切に無形の文化財の保護を図ることが可能となるというふうに考えております。

#39
○横沢高徳君 ありがとうございます。
 次に、制度の複雑化と保護の方向性についてお伺いをします。
 文化財の保護の手法として様々な選択肢が増えるのは、それぞれの文化財に最も適切な手法を選べるということで大変良いことである一方で、文化財の方の現場にいる職員にとっては、制度が複雑化し、保護の方向性をどうするべきか、迷いや難しさが生じるおそれがあると考えます。
 今回は、無形の文化財について、新たに国の制度として登録制度が設けられるだけでなく、地方の登録文化制度も文化財保護法上に位置付けられ、地方においては一気に無形の文化財の保護の手法が広がることが想定されます。
 無形文化財、無形の民俗文化財について、保護手法が国の指定文化財、国の登録文化財、地方の指定文化財、地方の登録文化財、国による記録選択と広がることになりますが、それぞれの類型にどういった特徴を持って文化財に当てはまるのか、分かりやすい説明が必要ではないでしょうか。お伺いをいたします。

#40
○政府参考人(矢野和彦君) 少し丁寧にお答えさせていただきたいと思います。
 これらの制度は、それぞれの役割が異なり、また保護の対象とする文化財も異なるというふうに考えておりますが、まず、国指定制度は、有形文化財や無形文化財などのそれぞれの類型の中でも重要なものを指定することとしており、言わばピラミッドの頂点だというふうにお考えいただければと思いますが、まさに我が国を代表する文化財が指定されることになります。
 地方の指定制度につきましては、国指定以外の文化財の中から各地域、これは市町村も都道府県もございますが、各地域にとって重要なものを指定するものであり、一言で言うと地域の宝という位置付けだというふうに考えております。
 次に、国登録制度は、国指定及び地方指定以外の文化財の中でも特に保存、活用の措置が必要とされているものが対象でございまして、近代以降に成立、発展したものなど、直ちに指定文化財にはならないけれども、裾野を予備的に守っていくと、裾野を広げるという意味で幅広く保護する必要のあるもの、こういうふうに考えております。
 地方登録につきましても、国登録と同様に、指定制度を補完する趣旨のものでございまして、各地域において、指定制度では対応し切れない多様な文化財を地方登録により保護していくことが期待されておりまして、これはやはり地方色を出していただくということが重要になろうかと思います。
 先ほど申しましたように、記録選択制度は、継続的に保護を図っていくことを主たる目的とする指定登録制度とは異なり、無形の文化財について一時点の記録を作成し、後世において参照できるようにする趣旨のものでございまして、例えば、継承がなかなか難しい、極めて困難な状況にあるような文化財については、記録選択制度によりまずは記録を作成、保存していくと、こういう位置付けだというふうに考えております。
 以上でございます。

#41
○横沢高徳君 ありがとうございます。
 次に、文化財保護業務を担う職員の配置の充実についてお伺いをいたします。
 平成三十年の文化財保護法改正では、都道府県は文化財保存活用大綱を作成することができる、市町村は、都道府県の大綱を勘案し、文化財保存活用地域計画を作成し、国の認定を申請できるとされました。特に、市町村の文化財行政担当者の業務の質、量共に負担が大きくなっていると考えます。
 平成二十九年の調査では、文化財保護主管課と美術館、博物館など附属機関の職員は、平均で一般の、つまり政令市、中核市以外の市は七・三人、町は二・四人、村は一・七人しかいないということです。その中で、無形文化財、専門的知識の経験持つ人は、一般の市が〇・四人、町と村が〇・〇三人、民俗文化財については、それぞれ〇・五人、〇・一人にすぎないということでございます。
 地域に眠る文化資源を掘り起こし、適切な保護に結び付けていくには、専門人材の配置が必要であると考えます。一方で、あらゆる文化財類型の専門職員を各市町村に配置するのは難しいこととも思います。
 文化庁や都道府県レベルで人材を発掘し、市町村からの相談にすぐ対応できるような体制整備も必要と思いますが、そしてまた、今回の法律改正で文化庁の担当職員の充実も必要と考えますが、この点についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。

#42
○政府参考人(矢野和彦君) お答え申し上げます。
 今委員から御指摘のあった点につきましては、文化審議会の企画調査会からも同様の御指摘を頂戴したところでございまして、例えば、地方公共団体の文化財担当職員を対象とした専門知識に関する研修の実施、専門知識を有する大学等との連携、広域的な連携などの先進事例の横展開などを図るとともに、文化庁の調査官等から地方公共団体が指導、助言を受けられる仕組みの構築を検討してまいりたいと考えております。
 また、文化庁の職員でございますが、よろしいですか。

#43
○横沢高徳君 ちょっと言いにくいと思いますが、文化庁の職員に関しては大臣にお伺いしたいと思います。

#44
○国務大臣(萩生田光一君) 今回、オールジャパンでこういう取組をお認めいただければ始めるに当たって、私、日本遺産のときにも指定された自治体に申し上げてきたんですけれど、やっぱりこの機会にその自治体の中に専門的知識持った人をしっかり雇用してくださいねというお願いをしています。
 かつてのように、学芸員という専門職でずっと生涯仕事ができるという環境には地方自治はないと思います、まあなりづらいと思うんですね。他方、やっぱりそういう資格を持った人が役所の中にいるということが極めて大事なので、これからの地方自治体というのはそのハイブリッドな職員を育てていくことが必要なんじゃないかということを知事や市長会の皆さんとも話合いをしてきました。
 すなわち、ふだんの配属は違う部署であっても、やっぱり常にこういう意見具申ができるとか、あるいは、もう一つは、今次長からもお話がありましたように、地方の国立大学や私立大学って、所在する自治体との関わりが余りにも希薄だったので、今、地方創生の概念から、プラットフォームをつくっていろんな取組を地域ごとにやってもらおうということをやっています。すなわち、各大学にはまたそういう専門的な知識を持った人がいっぱいいるわけです。そういう人たちが常に自治体のこういった無形の文化財の様々なサポートができるような体制というのもこの機会につくってもらいたい。
 要するに、縦横網を張ってもらって、一番いいのは人を増やしていくことが一番いいんですけれど、これは財政的な課題もありますから、直ちに国が旗を振って、そう簡単にはいかないと思うので、まずは、たとえふだんは選挙管理委員会にいようとも、ふだんはどこの、財務局にいようとも、そういった専門的知識を持った区役所の職員、市役所の職員がこういう話題については横出しで仕事ができるというのもこれからの地方自治の在り方として提案をさせていただいているところでございまして、そういう人の確保はしっかりしていただきたい。
 要するに、通訳ができないとこれなかなか話が進みませんので、他方、じゃ、その通訳する側の文化庁はどうなんだと言われれば、それはもう有り難い御質問でありまして、人員を増やしてもらえるんだったらこんな有り難いことございません。しかし、霞が関全体のバランスもありますし、行革の視点は常に持っておかなきゃならないので、より専門性の高い職員をしっかり磨いて、地方の皆さんのサポートができる体制をしっかり組んでいきたいなと、こう思っております。
 一つだけ言わせていただくと、今の人員を直ちに増やしてくれということをこの場で申し上げるつもりないんですけれど、京都への移転が近づいておりまして、要するに、分散化をされてしまうことで、いい面もあるんですけれど、やっぱりこれ、なかなか国会対応や地方との連携って大変だなというのが今の正直な私の感想でございまして、こんな点、また先生方によく見ていただければ有り難いなと、こんなふうに思っています。

#45
○横沢高徳君 時間も迫ってまいりましたので、最後に、文化財の持つ力について、これ最後、大臣にお伺いしたいと思います。
 有形、無形の文化財は、地域における人々の日々の営みの中で生まれてきたものであります。無形文化財は、有形文化財と違い、形には残りません。だからこそ、人の心に残り、時には逆境からはい上がる、生きる力となってきたものだと思います。私の地元岩手県でも、東日本大震災の津波被害に遭った後でも、真っ先に民俗芸能やお祭りのおはやしとともに復興に向かい、逆境から立ち上がってきた経緯があります。
 文化財を保護するということは、単にそれだけの意味ではなく、我々の生きる喜び、そして五十年後、百年後も人々の心の中に生き続ける非常に大きな意味を持つものであり、私たちは後世に伝えていく大きな役割があると考えます。この点について大臣の御見解をお伺いし、質問を終わりたいと思います。

#46
○国務大臣(萩生田光一君) 現代を生きる人々は、長い歴史の中で形成され、今日まで守り伝えられてきた貴重な文化財に触れることで、往時の出来事に思いをはせたり、昔からの優れた技術に感銘を覚えたりすることができると思います。それは、国民や地域住民の誇りとなり、貴重な文化財を後世に引き継いでいく意欲を喚起するものにつながると思っています。
 こうした文化財の持つ力は、日常生活や特別な鑑賞の機会だけでなく、災害からの復旧、今先生もお話がありました復旧復興に際しても重要な核となると思います。
 私の地元は震災の経験はないんですけど、七十数年前の戦後、やっぱり一番最初に町で立ち上がったのは祭りばやしの皆さんだったと。お祭りからやり直そうといって町おこしをしてきたと。これはうちに限らず、全国的にやっぱり祭りばやしが心のふるさとだと皆さんがおっしゃるのはそこでありまして、あの八月の暑い終戦の直後に、なくなってしまった、何年も我慢してきたお祭りをとにかくやろうといっておはやしから始まったという話をあちらこちらで聞いて、なるほど、そういう力を持っているんだということを改めて認識したところでございます。
 文化財を保護していくためには、その所有者や担い手による努力に依存するだけでなくて、地域の保存会や自治体、修理技術者の方々を始め、多くの方々の理解と協力が不可欠だと思っております。
 今回の法案は、こうしたオールジャパンで我が国の文化を大事にしようという、こういった機運の醸成のまさにキックオフだと思っております。この法改正を契機にして文化財保護の取組を更に深化させ、最終的には人や予算にもしっかりつなげて充実をさせていきたい、こう思っているところでございます。

#47
○横沢高徳君 ありがとうございます。終わります。

#48
○安江伸夫君 公明党の安江伸夫です。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 まず第一に、大臣に質問させていただきます。
 本改正は、コロナ禍の影響による無形の文化財の承継が危機的状況にあること等を踏まえて、無形の文化財の登録制度を創設し、幅広く多様な無形の文化財に保護の網を掛けるものであるというふうに承知をしております。登録の対象として、祭りや郷土料理のほか、茶道や書道なども想定しているとのことですが、今回の改正を機に更に文化財を保護すると同時に、日本のすばらしい文化を世界へと宣揚することが肝要かと考えます。
 菅総理もさきの施政方針演説におきまして、日本酒や焼酎造りのユネスコの無形文化遺産登録を目指すとも言及をされておりまして、本改正はそのこととも軌を一にするものであるというふうに思います。
 コロナ禍を突き抜けて、国としてこうした日本文化の世界への宣揚を強く要望するものです。萩生田文部科学大臣の日本文化の世界への宣揚に向けた御決意をお伺いいたします。

#49
○国務大臣(萩生田光一君) 今回の改正は、無形の文化財について登録制度を創設することで、これまで指定の対象とはならなかった多種多様な無形の文化財について積極的に保護を図ることを目的としたものです。国が無形の文化財として価値付けて積極的に公表、公開することで、地元の人々が地域の文化資源への認識を新たにしていただけるとともに、他の地域やあるいは海外からの関心も高まることが期待をしております。
 世界の人々に日本文化の魅力を発信することは、日本文化や日本への親近感や興味を高め、国際親善に大いに資するものであり、ひいては、コロナ禍が収まった後、日本に行って本物を見てみたいという海外からの観光需要にも貢献すると思っております。
 文化庁においては、今回新設する無形の文化財の登録制度のほか、これまでも、我が国の文化、伝統を語るストーリーを認定し、文化財を束ねて国内外に発信する日本遺産の取組や、現在我が国から二十三件が登録されている世界遺産、また同じく二十二件が登録されているユネスコ無形文化遺産などに関する取組を通じて、日本文化の世界へのしっかり宣揚を図ってまいりたいと思っております。
 なお、御指摘のとおり、菅総理は、施政方針演説において、日本酒、焼酎などの文化資源について、ユネスコ無形文化遺産への登録を目指すという発言をしました。総理は、実は日本酒も焼酎も飲めませんから、その価値は正しく判断できないと思いますので、私、文化担当大臣としてしっかりそのサポートをさせていただき、今回の改正を契機として、地域のお祭りですとか、書道や食文化を始めとした生活文化に関しても、無形文化遺産として登録される可能性があるものが一層可視化されることが期待できると思っております。

#50
○安江伸夫君 ありがとうございました。
 今、本当にコロナ禍の世情の中で暗いニュースばかりのところ、私は、今回の改正は、本当に日本文化の一つのエポックであると同時に、やはりコロナ禍を突き抜けたこの光源となっていく、このように強く期待をしていることでございますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 続きまして、登録の制度の新設の許容性についての確認をさせていただきたいというふうに思います。
 現行法におきましては、無形文化財及び無形民俗文化財の登録制度はございませんが、その理由として、無形の文化財、無形の文化財であるがゆえに、文字どおり登録対象の明確性や事例の蓄積において不十分であった等の理由が先ほども確認されたところであります。
 もちろん、今回の制度新設、文化財保護のために不可欠であることは十分に認識をしておりますが、改めてこの登録、登録制度がこれまで設けてこられなかった立法事実の変遷について、主にその許容性に関しまして御説明をお願いいたします。

#51
○政府参考人(矢野和彦君) お答え申し上げます。
 登録制度は、これまで平成八年に建造物を対象に創設いたしておりますけれども、このときには、実は建造物について関係学会の調査も含め約二万五千件の登録候補がリストアップされて、調査がかなり進んでおりました。それで、阪神・淡路大震災を契機に、建造物がいち早く登録文化財としての制度ができたということでございます。それを端緒といたしまして、平成十六年には美術工芸品や有形民俗文化財、記念物にも対象を拡大してきております。この背景には、滅失、散逸の可能性が高いとの指摘があったことのほか、文化財の類型ごとの調査を通じまして、保護手法の検討や登録候補の把握、蓄積が徐々に進んできたということがございます。
 今回新設する無形の文化財の登録制度の対象となる地域の祭りや民俗芸能などについては、この間、都道府県ごとに総合的な調査を実施してきておりまして、保護の対象となり得る事例が蓄積されてきております。また、書道を始めとした生活文化につきましても、その歴史や担い手等の詳細な調査が進んできた分野もございまして、調査研究がかなり進んできているということでございます。
 このように、無形文化財についても登録制度により保護を図っていくという準備が整いつつあることから、今般のコロナ禍による継承活動への深刻な影響、そういったものを、事情も踏まえまして、無形文化財の登録制度を創設することが適当と判断したものでございます。

#52
○安江伸夫君 続いて、登録に当たっての基準について確認をさせていただきます。
 登録されるためには、その文化財としての価値に鑑み保存及び活用のための措置が特に必要とされるものと規定されており、あらかじめ文化審議会の諮問にかけることとされております。
 やはり無形の文化財であるがゆえに、ともすれば曖昧な判断となるリスクも内在するかと思います。その基準はできる限り客観的で明確であることが望ましいということは言うまでもありません。登録の基準は本法案成立後に定められるものというふうに承知をしておりますけれども、誰の目から見ても納得ができる、また事後的にも検証可能である、そういう基準を示していただきたいと存じます。基準の策定についての御所見をお伺いします。

#53
○政府参考人(矢野和彦君) お答えいたします。
 登録基準は、この法案をお認めいただいた場合、文化財分科会におきまして専門的見地からの審議を行い、その意見を踏まえた上で策定するという手順になります。
 指定制度の補完という登録制度の趣旨を踏まえますと、その基準は指定の場合と比べると緩やかなものになるとは考えておりますけれども、運用に当たっては登録制度が曖昧なものとならないように努めてまいりたいと考えております。
 なお、登録基準に基づき、どういった文化財が登録されたか、どういった人又は団体が保持者又は保持団体として認定されたか、これは当然全て公開されるものでございまして、客観的に運用されているかどうかという検証を可能にしていきたいというふうに考えております。

#54
○安江伸夫君 あわせて、登録の抹消の基準についても確認をしておきたいというふうに思います。
 登録無形文化財等について、その抹消の事由として、保存、活用のための措置を講じる必要がなくなったときと規定されております。これは具体的にはどういった場合を想定しているのでしょうか。
 また、国の保護を受ける以上、保持者等の皆様におかれましても不断の努力も不可欠かと存じますが、こうした点も加味されるのでしょうか。また、加味されないとすれば、制度上、保持者等の保護に対する熱意や努力はどういった形で担保されるのでしょうか。御所見を伺います。

#55
○政府参考人(矢野和彦君) お答えいたします。
 既に登録制度のある有形の文化財の場合と同様に、例えば、国や地方が指定する無形文化財となり、より手厚い保護が受けられるようなときにこの国の登録を抹消することが考えられる、これが一つ目でございます。もう一つ、登録する無形文化財の保持者の死亡や保持団体の解散、実施形態が大きく変わり、登録無形文化財としての価値がなくなってしまったような場合、その登録を抹消する、これが二つ目でございます。そういった場合に抹消することとなると考えられます。
 文化庁としては、日頃から必要な指導、助言を行い、保持者等の保護に対する熱意等をしっかりと尊重しながらその継承に努めてまいりたいというふうに考えております。熱意があれば守られていくんじゃないかというふうに考えております。

#56
○安江伸夫君 ありがとうございました。
 続きまして、登録の効果としての補助についてお伺いをしていきたいというふうに思います。
 登録の効果として、保持者等及び保存地方公共団体等に対しまして保存に要する経費の一部を補助することが可能となります。まずは、現時点におけるその概要、補助の概要について御説明をいただきたいというふうに思います。
 また、あわせまして、本改正案が成立して施行された後、先ほどもございましたが、補助の適正で公平な実施がなされているか、またその補助の効果が十全に発揮されているか、しっかりと検証していくことが不可欠かと考えます。この点についても併せて確認をさせていただきます。
 またさらに、令和四年度以降もしっかりと十分な財政的支援を不断に行っていくことも不可欠かと思いますので、以上の三点につきまして御所見を伺います。

#57
○政府参考人(矢野和彦君) お答え申し上げます。
 この法案をお認めいただいた場合、令和三年度の無形文化財と無形の民俗文化財の新規登録は合わせて、初年度でございますので、五件程度と見込んでございます。また、それらへの支援としては、記録の作成、伝承活動、普及、広報等のための費用を補助することとしており、一件当たり百五十万から二百万円程度、合計約九百万円を想定しているところでございます。
 実際に補助を行った場合には、登録された無形文化財と無形の民俗文化財について、その記録の作成や伝承者養成等がしっかりと行われるよう、私どもも技術的な助言も行いつつ支援してまいりたいと考えておりまして、補助により作成された報告書や記録映像等は一般の方にも御覧いただけるように公開して、財政だけじゃなくて、モラルサポートもしっかり行っていきたいというふうに考えております。
 また、令和四年度以降についての登録件数など、あと予算措置についても、この制度の実施状況を見ながら拡充に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

#58
○安江伸夫君 ありがとうございました。
 続きまして、保存活用計画の策定の促進についてお伺いをいたします。
 無形文化財等の保持者等は、登録無形文化財等の保存及び活用に関する計画を作成し、文化庁長官に対して認定を申請することができることとされております。
 本来、文化財等の適切な保存及び活用を保持者等に促し、十分な保護を行うためには、また十分な活用を行っていただくためには、この保存活用計画が積極的に申請及び認定されることが望ましいのではないかというふうに思いますし、私は、むしろこれはほとんどの、多くのある意味義務付けに近い形でやっていただくのが望ましいのではないかなというふうに思っているんですけれども、一方で、現行法の下では、重要無形文化財、重要無形民俗文化財、いずれもこの計画件数はゼロ件であるというふうに承知をしております。
 こうした現状について、文化庁としてどのように捉えておられるのでしょうか。また、本改正案が成った暁のこの新制度における登録無形文化財等も含めて、この保存活用計画の策定、これを積極的に保持者等に促すべきと考えます。文化庁の御所見伺います。

#59
○政府参考人(矢野和彦君) お答え申し上げます。
 文化財の保存活用計画、これは平成三十一年の四月に法定されたものでございますが、委員の御指摘のとおり、文化財保護の核心部分と言ってもいい制度でございます。
 ただ、ちょっと言い訳がましくなって恐縮でございますが、何分まだ新しい制度でございますので、今後確実に継承していくためには、適切な保存活用計画を策定し、保存、保護措置を図っていただくことが大切でございますので、私どもとしても、こういった計画は策定されるように積極的に促してまいりたいと考えております。

#60
○安江伸夫君 是非お願いしたいというふうに思います。
 先ほども大臣からも、文化庁は文化財を保護するだけじゃなくて、しっかり稼ぐ力だという御発言もあったかというふうに思います。まさにその活用をしてしっかり生かしていく、またその利益を広く国民や世界の人々に享受していただくための大事な計画案になってくるかと思いますので、この計画の策定を積極的に推進していただきたいことを強く求めておきたいというふうに思います。
 続きまして、地方公共団体による文化財の登録制度についてお伺いをいたします。
 既に複数の自治体におきまして、独自の文化財の登録制度を規定しております。本改正案におきましてこれをあえて法制化することの狙いについて、改めて確認をしておきたいというふうに思います。
 また、自治体が国に対し、条例に規定する登録をした文化財について、当該文化財を文化財登録原簿に登録することを提案することができることも本改正案に含まれておりますので、その趣旨についても御答弁願います。
 さらに、国の登録無形文化財等が地方公共団体の指定文化財とされたとき、原則としてこの登録が抹消されることとされておりますが、その例外として、保存、活用のために措置を講じる必要がある場合等においてはこの限りではないという規定がございます。細かい話で恐縮ですけど、国と自治体の役割分担という観点から、その趣旨についても確認をさせていただきたいというふうに思います。

#61
○政府参考人(矢野和彦君) 三点お尋ねがございました。
 まず、地方登録制度の法制化でございますが、文化財の地方登録制度は、現時点では文化財保護法上に規定はございませんが、地方自治法による独自の条例により三府県八十三市区町村で実施されてきており、登録件数は年々増加傾向にございます。
 一方、平成三十一年四月に導入した文化財保存活用地域計画の認定制度の活用により、今後、各地域における未指定の文化財の把握も進むということが見込まれてございまして、地域の文化財は地域で守り育てるという観点から、地域の実態に合わせた多様な保存、活用の仕組みが必要と考えているところでございます。このため、地方登録制度を法制化し、国、地方の文化財保護制度の体系的整備を図るとともに、まだ登録制度を導入していない地域における取組を促進して、促してまいりたいと考えております。
 また、提案制度の趣旨でございますが、地方登録される文化財には、国の基準に照らし、その文化財としての価値に鑑み保存及び活用の措置が特に必要と認められるものもあるというふうに考えております。こうした文化財については国登録制度で保護を図ることが適切であるため、地域において国登録による保護が適切と考える場合には国登録への提案を行うことができると考えております。文化財保護制度、やはりトップダウンも重要ですけれども、ボトムアップが何より重要でございますので、そういう制度の趣旨を御理解いただければというふうに考えております。
 また、登録制度により、地方も自らが主体的に地域の文化財の調査をするようになり、今後、各地域にある新たな文化資源の掘り起こしにつながることを期待しております。
 最後、国登録と地方指定の重複についてのお尋ねがございました。
 文化財の保護は所有者等への規制を伴うものでございまして、二重規制防止の観点から、国、地方双方から登録や指定とされることは望ましくなく、原則として国の登録文化財が地方指定された場合には当該登録は抹消するということとしております。この原則には、保存及び活用のための措置を講ずる必要があり、かつ、その所有者等の同意がある場合にはこの限りではないとの例外規定がございますが、これは、地方指定される地域の宝の中には、今後、調査研究の蓄積等により将来的に国指定につながるものもある、こういった観点から、あくまで所有者の同意を前提としておりますけれども、国としての調査研究を継続するという必要がある場合において例外的に登録を抹消しないということができることとしたものでございます。
 以上でございます。

#62
○安江伸夫君 丁寧に御答弁いただきまして、ありがとうございます。
 いずれにしましても、この改正を機に日本の無形民俗、無形文化財等がしっかりと保全されるとともに、冒頭申し上げましたとおり、その価値が世界に宣揚される、全ての人がその利益を享受されることを期待いたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

#63
○梅村みずほ君 日本維新の会の梅村みずほです。本日もよろしくお願いいたします。
 まず、冒頭ですけれども、英国株を中心としました感染拡大が続いております。先日この委員会でもお願いしましたように、大臣からは文科省のホームページにて、この春卒業した皆さんに対しての温かいメッセージを発出していただき、ありがとうございました。大臣のメッセージがお一人でも多くの方に届くように、私もちょっと、大分遅ればせながらなんですけれども、SNS等でシェアしたいと思います。また、今後、急拡大に伴いまして、修学旅行の問題であったりとか、あとは健康への影響がやはり叫ばれておりますマスクであるとか、大臣のお考えというものを、やはりその都度都度で発信していただくことが重要かと思いますので、そちらも併せてお願いをいたします。
 それでは、法案についての質問をさせていただきます。
 今回の法案は、有形文化財と同様に無形文化財や無形の民俗文化財においても登録制度を設けようというもので、大変私もうれしく思っております。今回からは、文化財として食文化が加えられた点も歓迎すべき点です。登録対象となる食文化、具体的にどんなものを想定していらっしゃるか、文科省にお伺いいたします。あっ、文化庁にお伺いいたします。

#64
○政府参考人(矢野和彦君) お答えいたします。
 地域の特色ある食文化は各地域の、各地の自然環境の下で生きてきた先人の知恵が込められているものでございまして、文化財保護法に基づき保護するべき伝統文化の一つと考えております。
 具体的な登録の対象につきましては、無形の民俗文化財といたしまして、地域に根付いた伝統的な食習俗や技術、例えば郷土食や地域特有の発酵食品の加工技術等を当面の登録候補として考えております。
 また、料理人や日本酒の杜氏などにより継承されてきた食に関わる伝統的な技の中には、無形文化財としての登録にふさわしいものもあると考えております。これらのうち、一定の調査研究の蓄積等の整ったものから、その登録について文化審議会文化財分科会で御議論いただきたいと考えております。
 以上です。

#65
○梅村みずほ君 お答えありがとうございます。
 食であるとか技、これまでのデータなどの積み重ねがあるものに関しては、そうですね、この文化財として、そして郷土のお料理に関しては民俗文化財の方でというふうに御答弁をいただきました。
 私の地元は大阪なんですけれども、大阪もお雑煮が変わっていまして、商いの町ということで、一日目、元旦は白みそのお雑煮を食べて、二日目はお澄ましにして、飽きないようにするなんていうものもございまして、一部でございますけれども、あとは、あんこのお餅を使ったお雑煮であるとかイクラやアワビを使ったお雑煮など、市民に親しまれているものもあろうかと思います。
 一方で、私が母親としてもじくじたる点があるのがお節料理でございます。
 私が小さいときというのは、祖母や母に教わって、年末になると忙しくお節料理の支度をしたものです。フライパンにこう紙を敷いて、田作りに使うごまめを煎るのは子供の仕事だったんですね。錦卵であったりとか紅白なますであったりとか、栗きんとん、黒豆、いろんなものを家族と一緒に用意をするというのがとても年末の楽しみとして私には定着していたんですけれども、じゃ、翻って私はどうかと言われたら、それが子供に対して継承できていないというところがあります。
 それはなぜかと問われましたら、私が専業主婦ではないということもあります。やはり、日々仕事に追われる中で、やってあげたいけれどもできない、けれど、家庭で受け継ぐにはせめて一品だけでもというふうに工夫をしながら、家庭でも社会でも、そしてこういった制度でもというふうに継承に向けて頑張っていくというのが必要であろうというふうに思っております。
 今回の法案だけでない分野にも関わるかもしれませんけれども、次は担い手についてお伺いしたいなと思っております。
 先ほどお話ししたように、家庭の食文化という点に関しては、私の家でも後継者不足といいますか、後継者がいるのにちゃんと引き継がれていないという現状があるんですけれども、各種文化において同じことが言えるかと思います。
 文化の中では、例えば優遇されているように見えるかもしれないのが古典芸能、伝統芸能と呼ばれる分野なのではないかなというふうに思いますが、私、先日、狂言師の方、この方は重文の保持者でもあるんですけれども、狂言師の方とお話をしましたところ、いや、大分危機感はありますというふうにおっしゃっていました。
 二十代の子たちが、この時代に狂言をやりたいと入ってきてくれても、食べられないからといってやっぱり辞めていくんですと。私たちとしても、将来、やはり自分に比べて若い世代がそれで生涯を終えるまで働いていけるかといったら、やはり保証もできないというところから、大変心苦しいというふうにもおっしゃっていました。その方がおっしゃっているには、やはりベテランの方というのはそれなりに支えてくださる方もいらっしゃるけれども、若手が大変だから若手を支えてあげてほしいということでした。
 ですので、お伺いしたいのですが、こういった若手、どのように支援をされていますでしょうか。

#66
○政府参考人(矢野和彦君) お答え申し上げます。
 登録された無形文化財について、伝承者養成や普及、広報、記録作成などについての定額での支援を行ってまいりたいというふうに考えております。このような支援が担い手不足に対する一助になればというふうに考えておりますが、例えば、若い人々により伝統芸能に参加してもらえるような、伝統芸能の魅力を知ってもらえるような取組の実施を関係者に対しても促してまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。

#67
○梅村みずほ君 ありがとうございます。
 今回の法案では、後継者を養成する支援として百五十万円から二百万円という数字も出ているんですけれども、なかなか、思いはあってもちょっと額としては少ないんではないかなというふうに思わざるを得ないなと感じております。
 一方で、当事者の方からすると、文化でありながら自分のなりわいである、労働としての文化というものもあります。
 これからは、習い事、大人も習い事として伝統文化に親しむ方いらっしゃるんですけれども、そういった習い事としての文化と労働としての文化のシームレス化というものも考えてみてはどうかなと思うところです。というのも、やはり文化というのは私たちにとってハードルが高いと思う一面があるんですけれども、将来的に、やはり雇用に関しても、私たち日々いろんな選択肢を考えながら生きている時代でもあります。自分の業種がいつまでも続くわけでもなかったりするんですけれども、そういったときに、自分が習い事でやっているところから継いでみないかと言われたときに、職業としての選択肢というのも出てくるのではないかなというふうに思っております。
 ということで、是非厚生労働省さんともタッグを組んでもらいたいなと思うところですし、厚生労働省さんの中小企業等担い手育成支援事業というものがありますが、こういったものにこの伝統芸能であったり文化の分野も広げてみてはというふうにも思っております。
 こちら、人手不足感が強まっている業界の中小企業において、業界が主体となって正社員経験が少ない労働者に対して技能習得のための訓練の実施を支援することによって、実務経験や公的資格を身に付けた人材の育成、確保を促進するという事業でして、こういった訓練を受けた方がプログラムを修了して要件に当てはまる場合には賃金助成を行うというものなんですね。そういったものを対象を文化にも広げてみてはどうかなというふうに思っているところです。
 この省庁横断での対応、できませんでしょうか、いかがでしょうか。こちらは是非大臣にお伺いしたいです。

#68
○国務大臣(萩生田光一君) 極めてユニークな提案だと思います。
 確かに、難しいのは、文化って、地域文化で、全く利益を求めずに本当に継承しているものもあれば、おっしゃるように、なりわいを含めて、指導者への指導などを、またその指導をしてほしいということを求める地域の人たちもいて、結果としてそのなりわいにつながっているものもあるんだと思います。
 だからといって、それは駄目なんだというわけじゃなくて、大事な文化だったら守っていかなきゃいけない。そうなると、それもまた、じゃ、世襲で継いでいけばいいのかといったらそうじゃなくて、しっかり学んだ人たちが次の指導者になってもらうということを考えると、今先生の御提案というのは極めて現実に合ったお話だと思いますので、受け止めて、せっかくこの法律をお認めいただくんだとすれば、次のステップとして検討してみたいと思っております。

#69
○梅村みずほ君 大変前向きな御答弁ありがとうございます。
 やはり、どのように引き継いでいくかということを考えたときに、省庁横断であらゆる手を取って、官民問わず、家庭でも地域でも社会でも省庁横断でもやっていきたいなと思うところでございます。
 続きまして、一問飛んでしまいますが、済みません、子供たちへの文化の継承という点についてお伺いしたく思います。
 やはり、子供たちに日本の文化について理解をしていただくということが大変重要だと思っております。前述の狂言師の方がおっしゃっていました。壮大な夢があんねんと、今カスタネットやリコーダーってやっているやろ、でもそれを和太鼓とか小笛にしてほしいねんというふうにおっしゃっていました。私は、そのお話を聞いていて、壮大な夢ではなく、実現可能な政策に落としていきたいなというふうに思った次第です。
 宮城県石巻市の中学校、雄勝中学校というところなんですけれども、震災後、和太鼓に親しんでいた中学生たちが廃タイヤにこん包材を巻き付けて太鼓を作って復興に向けての活力にしていった、文字どおり、自分たちや周りの人たちを鼓舞していったという経緯があります。
 やはり日本人にとっては、どどんという音さえ聞けばふっと沸き上がってくるものがあります。そういった力というものが太鼓にはあると思いますし、やはりカスタネットでリズムを取るのであれば、まあちょっと予算的なものもあるんですけれども、ちょっと調べますと、二千円台などで本革の太鼓練習用のアイテムなんかもあるんですね。そういったものを取り入れるというのも手だと思いますし、やはりリコーダーもそうなんですね。私たちって、テストがあったので一生懸命リコーダーを吹いた記憶があるんですけれども、なぜ日本の小笛ではないのか、しの笛ではないのか。やはり吹き方が難しいというところもあるんですけれども、こちらも調べると、千円台でプラスチックのしの笛のような音が出るものがあるというふうに見ております。
 ですので、海外に行ったときに、本当のグローバルを考えると、例えばウィーンに行きました、ウィーンの方の前でリコーダー吹いても、へえっという感じだと思うんですけれども、やはりしの笛のようなものを一本取り出して、ララシと、さくらの一節を吹けば、やはり日本の文化というのを感じていただくことができます。私もちょっとした留学経験があるんですけれども、やはり、みずほ、歌舞伎に興味があるんだ、教えてくれと言われたときに、全く何も知識がなかったんです。そういう経験をしている若者は多分たくさんいるんですね。
 グローバルという点では、やはり英語の点数を上げようとする傾向にあると思いますが、例えば文化のテストの点数を上げるという、私は点数主義というのはちょっと懐疑的ではあるんですけれども、例えば文化も受験に入れるとかなると物すごく力は付くのではないかと、海外に行って披露できる知識、そして海外の人と交流できる知識になるのではないかというふうに思ったりもするところでございます。
 時間が大分ないんですけれども、あとは文化予算に関してなんですが、文化予算、各国と比べて日本は低いと言われるんですね。ストレートなオーダーとしては、文化予算をもっと付けてほしいなというところなんですけれども、日本維新の会としては、地方政党もありまして、そんなことを言ったら、維新は文化予算を削る政党じゃないかなんて言われることもあるんですけれども、地方政府と中央政府の予算の配分というのを見たときに、日本は地方の方がやはりちょっと比重は大きいわけなんですね。なので、その予算についてちょっとお話をさせていただきたく思います。
 こちらは、文化庁さんが昨年三月に発表されております諸外国における文化政策等の比較調査研究事業報告書というものなんですけれども、こちらを見ますと、比較対象となっているのが、日本、イギリス、アメリカ、ドイツ、フランス、韓国と六か国になっています。単純に比較することって難しいんですね。各国、文化予算にスポーツを入れているところもありますし、これがない、これがあるというのを全て均一にすることは難しい中で、単純な額として、日本の文化の支出額、中央政府としては最下位となっています。千百六十七億円ということなんですね。これは、国民一人当たりに直すとアメリカの方がうんと低いということはあるんですけれども。
 次に注目したいのは、中央政府と地方政府の文化の支出額の比率です。こちらは、中央政府を一〇〇としますと、日本は地方政府の文化支出額が三七三となっておりまして、これはドイツに次いで地方の比率が高いわけなんですね。でも、ドイツは国としての文化支出額も日本の倍近くありますし、全く違うわけなんです。
 こういった比較を見ましても、日本の文化予算というのは、額としても少なくて、比重で見ると地方に比重が置かれているということが言えるのではないかなと思うんですね。
 私ども維新という政党も、大阪ではいろいろと御意見もいただきましたけれども、やはり今は文化というのは守ってもらう大前提ではなくて、産業も経済も教育も医療もどこも苦しい中で、必死に頑張っていかないと継承はなかなか難しいんだよというところで苦しい選択をした時代というのもあったかと思います。
 なので、国としての文化予算、地方としての文化予算というのを考えたときには、国の文化支出というのはもう少し多くてもいいのではないかなと思うのですが、そういった文化予算についてどのように考えていらっしゃるか、お尋ねいたします。

#70
○副大臣(高橋ひなこ君) 御質問ありがとうございます。
 文化芸術は、御指摘いろいろいただきまして本当にそのとおりだなと思っておるんですが、国民の心を豊かにするものとして、それ自体に価値があることに加えて、創造的産業や観光振興等の経済活動においても、新たな需要や高い付加価値を生み出す源泉と認識しております。これは、地方においても、もちろん私たちの心の面でも全てにおいてと思っております。
 このため、経済への文化の活用を促すため、平成二十九年十二月に文化経済戦略を策定して、文化と経済の好循環実現に向け、文化経済戦略推進事業など、各種の取組を進めているところです。
 また、令和三年度予算では、経済活動における文化の活用を進めるため、我が国現代アートの国際的な評価を高める活動と国内アート市場の活性化に向けた環境整備に取り組み、我が国におけるアートエコシステムの形成を図るための事業なども展開しておりますが、地方も含めて様々なことが必要だということは認識をしております。
 今後とも、関係府省庁との文化関連施策との連携を一層に深めまして、文化芸術立国の実現に向けた取組を推進するため、文化関係関連予算の確保にしっかりと努めてまいりたいと思います。
 どうぞ今後とも応援よろしくお願い申し上げます。

#71
○梅村みずほ君 しっかりとした御答弁いただきました。ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。
 やはり、ビルド・アンド・ビルドというのは良くないと思っていまして、教育現場でも、何であってもスクラップ・アンド・ビルドが必要だと思っているんです。
 私は子供たちに、先ほども申しましたように、和太鼓や笛どうかなと思っているんですけれども、例えば、欲を言えば、お花やお茶、着物とか、畳文化も知ってほしいなとか、いろいろ出てくるわけなんですね。けれども、やはり何かに置き換えることができるのであれば積極的にやっていった方がいいのではないかと思っているんです。例えば、カスタネットを太鼓にしてみる、リコーダーを小笛にしてみるというのは、置き換えが可能なのかもしれないと思っているんです。
 中学校では、今、和楽器、学習指導要領に入れていただいていますが、回数が少ないんです。ですので、お伺いしたいのは、小学校での和楽器の必修化、そしてその和楽器、太鼓であるとか小笛を必修にしてみませんかという御提案をしてみたいのですが、大臣、いかがでしょうか。

#72
○国務大臣(萩生田光一君) 和楽器の指導については、平成十年に改訂した学習指導要領から、先生御指摘の中学校で太鼓やしの笛などの和楽器を用いた表現活動を必修にしました。また、小学校でも、表現活動や鑑賞活動において和楽器を選択して扱うことができることとしております。
 文化庁では、これまでも文化芸術による子供育成総合事業を実施しており、小学校、中学校等の児童生徒に対して、一流の文化芸術団体や芸術家が学校を訪問し、質の高い文化芸術を鑑賞、体験する機会を提供しておりますが、その中で太鼓やしの笛を含む和楽器を子供たちに体験させる文化芸術団体もございます。
 さらに、文化庁では、本年度より邦楽界の将来を担う高校、大学の部活動を支援するとともに、一流の演奏家による邦楽の紹介、教材映像を制作することとしております。
 これらの取組を通じて、子供たちが和楽器に触れることにより、我が国の伝統音楽の良さを味わい、愛着を持つことができるような機会の充実に努めてまいりたいと考えております。
 置き換えという御提案ございまして、それは自治体や学校単位でそれは結構でございます。置き換えてもらっても結構なので、そこは柔軟に対応していただきたいし、今回のこういうことで少し地域文化を見直していこうという機運が高まってくると、じゃ、うちの町ではこれを音楽の時間に小学生やらせようじゃないかという、そういう発想があってよろしいんじゃないかと思いますので、後押しをしていきたいなと思います。

#73
○梅村みずほ君 是非、表面積と回数という点を持っていただきたいなと思います。よろしくお願いします。
 ありがとうございました。

#74
○伊藤孝恵君 国民民主党・新緑風会の伊藤孝恵です。
 今回の無形の文化財保護を進める法案には賛成です。この我が国が守るべき無形の、また無形だからこそ、またそのフォルムがおぼろげで測る尺度が確立していない、そういうものをどうやって守っていくのか、本法案の傘の下だけでなく国全体で考えていかなければならない問題だというふうに思います。
 大臣、今、私の地元愛知県では、GI、地理的表示保護制度における八丁みそ問題というのがございます。元々、徳川家康が生まれました岡崎城から八丁、八百七十メートルぐらい離れたところの八丁村、今の八帖町というところで、江戸時代からみそを作り続けてきた老舗の二社が、農水省によるGI保護制度により八丁みその定義を変えられてしまったので、その老舗が八丁みそというのを使えなくなってしまうというような、そういった事態に直面しているという問題です。
 四百年の歴史を持つ老舗が、その伝統を本当に今なお忠実に守って作っている方たちが八丁みそを名のれなくて、製法とか品質とか、それとは懸け離れた大量生産品が堂々とその名を冠して流通、輸出されるという事態は誰がどう考えてもおかしいだろうということで、今七万筆以上の署名が集まりました。
 この老舗二社は、もちろん企業ですから、今、いつ輸出を禁じられてもおかしくない状況に置かれている上で、国内においても八丁みそと表示できる期限が二〇二六年までと、これ決められてしまいました。今いろいろな八丁みそ出回っていますけれども、値段が三分の一くらいの、そういうような簡易に作られた八丁みそが出回っております。もちろん、消費者は安い方がいいですからそちらに飛び付くものです。
 本来、その八丁みそって、みそ愛を語ると長いんですけれども、本物の豆みそ一〇〇%という八丁みそ、そこにちょっと食べやすく米みそを配合した赤だしというのがありますけれども、そういうものをやっぱり知らない消費者がその三分の一の値段のものを食べてこれが八丁みそというふうに認識していけば、おのずと市場ではこの本物の八丁みそというのは淘汰されてまいります。
 地域に根差した文化を壊すのは国家的損失なのでこの法案というのを作っていくわけですけれども、それを壊すことになってしまうかもしれない、それを促進しているのも、また今これ国の施策であったりもします。
 この矛盾について、大臣、どう思われますか。

#75
○国務大臣(萩生田光一君) たまたま、私、就任以来、副大臣や政務官が愛知県出身の人が続いておりまして、彼らの話を聞いていますと、そっちは本当の愛知じゃないとか、こっちが愛知だとか、愛知県って変わったところだなという感想を持っておりまして、八丁みその話も報道を通じて承知はしております。
 多分、正しく伝統的な技法で作っている方が本物なんだけれども、ある日突然、合理的な手法で参入した方がシェアを広げてしまうことというのは、これは食品に限らずきっとあるんだと思いますよね。
 今回、我々が守ろうというその文化の中には、もちろん食文化もあるんですけれど、製造技法などで他に類を見ないようなものがあれば、それは例えば地元で指定していただくことも可能だというふうに思いますが、いずれにしても、今回のこの法律をもって文化を壊そうという意思はないんで、どちらかにお墨付きを与えるとかそういう競争ではなくて、仮にですよ、仮にその後発のものに対しても一定の認知度があったりファンがいたり認めるものがあるとすれば、それはそれでその地域を分けて指定をされたらどうかなと、あらゆるものが並び立ってもらいたいなと思っています。
 これ、似たような話で、例えばその無形の民俗文化などでは、どんどんどんどん古くから発展していく上で必ず仲間割れが起きて流派が分かれるというのはあるんですよ。これ結構面倒な話でありまして、我々外から見てどっちが本流だ、本物だというのはなかなか分からないんですけれど、これ、この法律は、要するに地元にとってこれは守ろうと、継承していこうということが始点でありますので、遡ってどっちが本流か、本家かみたいなことを我々が判断するという性格のものじゃないということだけは御理解いただきたいなと思います。

#76
○伊藤孝恵君 御説明よく分かりました。
 大臣おっしゃるように、この絶対譲れない、さっきの八丁みその話なんですけど、風味とか味わいとか、木のおけで作るやつとか、微生物とか、本当にあらゆる環境が整ってのあのみその味なので、地元としては本当に守っていくべきものなので、今回のこの制度を利用させていただいて地方が指定するというものに働きかけていくということなんですけれども。
 フランスみたいにカテゴリーを分けるというか、うちが本流だ、うちが元祖だ、本家だなんていうことをやるんではなくて、やっぱりある意味カテゴリー分けをして、いい意味でも、金、銀、銅というようなこのグラデーションを分けて、そしてあらゆるもので八丁みそを盛り上げていく、守っていく。だって、海外に打って出るんだったらその生産量というのも必要になりますから、そういう部分では、ちょうど和食が無形文化遺産に登録されて日本の食が大変注目されているいい機会なのであれば、こういった、でも本当に日本の食というのを守り、そして海外の方に発信していくためには、今の単一な制度、GIの制度だけではなくて、もっとカテゴリーを分けた、もっとグラデーションのある、そういったものにしていったらいいんじゃないかなというふうに思います。
 この八丁みそ問題というのを長く取材されているノンフィクション作家の方のコメントが非常にこの問題をよく表していらっしゃって、できるだけ安く原料を調達し、できるだけ早く加工するというやり方が世界的に食生産の主流になっている。その流れと対極にあるのが、その土地土地の環境や風土と結び付いて育まれてきた伝統食や地場の産業。それらがグローバリゼーションによって駆逐されつつあるという構造的な問題に八丁みその老舗も巻き込まれたということでしょうかというふうにおっしゃっていました。
 この法案、文科省並びに文化庁の熱意とか知恵とか、これは守るんだ、これは必要なんだというようなそういう熱意、知恵というのが一縷の希望ですので、御奮闘をお願いしたいというふうに思いますし、このGI制度というのも私は悪いと言っているわけじゃなくて、これも元々地域由来の食やその作り手を保護する目的で作られています。本法案と目的を一にしています。
 そういう部分で、なぜこのようなことに、これ行政訴訟にまで発展すると今言われています。何でこんなことになっちゃったのか。これは農水省のことだ、これは総務省のことだ、これは文化庁のことだというふうにおっしゃらずに、本当に守るもの、その守るものについて、今カテゴリー分けやグラデーションがないからこういう行政訴訟にまで発展するのであれば、少しやっぱり整理が必要だというふうに思うんですが、次長でも構いません、いかがでしょうか。

#77
○政府参考人(矢野和彦君) 文化財保護法における無形の民俗文化財につきましては、我が国民の生活の推移の理解のために欠くことのできない生活文化の基盤となっているような風俗慣習、民俗芸能、民俗技術、これらは日本風土の中で生まれ、世代や世代と繰り返し伝えられてきた現在の私たちの暮らしに生きる無形の伝承を指すものと考えておりまして、国の今後登録に当たっては、やはりそういった日本の風土、世代、歴史、そういったようなものをキーワードに専門的な調査を行った上で、文化審議会に諮問し、専門的見地から御議論いただき、文化財登録制度の趣旨に鑑みて判断していきたいというふうに考えております。

#78
○伊藤孝恵君 先ほど次長の御答弁聞いていましたら、今回、このみそ、発酵技術だったり、地域に根差したもの、本当にど真ん中というか、候補の筆頭なんではないかというふうに思います。そういうものについて、今非常に国のあらゆる政策に翻弄されている地元の方々の声、是非聞いていただいて、整理をしていただければ幸いに存じます。
 それで、将来の文化財候補についてもちょっとお伺いしたいんですが、先ほど答弁の中になかったんですが、例えば、言い伝えとかですね、方言とか、はたまたラーメンもギョーザもですね、そのルーツは違っていても、もうこの国で根付いて、この国で独自の発展を遂げて、これが日本食だ、日本の文化だというふうに言われたときに、まあそうだよねというようなものもたくさんあると思います。
 そういったもの、今後何が調査研究対象になって何がならないか、これは文化庁長官の判断というような属人的なものになるのか、その場合は公平性はどのように保つのか、教えてください。

#79
○政府参考人(矢野和彦君) お答えいたします。
 文化財の登録に当たっては、文化財保護法第二条に定める文化財の類型ごとに文部科学大臣告示である登録基準というものがございますが、文化審議会における専門的、学術的な審議を経て決定されている、されることになります。
 今回創設する無形の文化財の登録基準は、法案成立後、文化審議会の審議を経て定めることとなりますが、現時点のイメージとしては、無形文化財であれば技としての歴史上又は芸術上の価値、無形文化財については歴史上、芸術上の価値があるかどうかということ、無形の民俗文化財であれば国民の生活の推移を知る上でどのような位置付けになるかという観点から定めるものと考えておりまして、今委員御指摘の言い伝え、方言、ラーメン、ギョーザ、みそ煮込み、こういったものが今の観点からどう判断するか。これらについて一番重要なのは学術的な調査を行うことがございます、必要でございますので、その学術的な調査において基準を満たすこととなれば、文化財としての位置付けがなされていくものと考えております。

#80
○伊藤孝恵君 みそ煮込みまで言及していただいて、ありがとうございました。
 さっき大臣もおっしゃっていたんですけれども、書道とか華道、茶道、香道もそうですね、流派が多数に分かれているものがあります。そして、その登録に当たり、今いろいろ判断軸があるというふうにおっしゃったんですが、やっぱりこの予算が九百万円しかない中で、せいぜい五、六件の方々しか登録がなされないという中で、特定の流派に偏ったり、流派同士で言い争いになるというか、コンフリクトが起こるような、そういったようなものを回避するというような、又はそういった事態における対処というのはどういうふうにされていくんでしょうか。

#81
○政府参考人(矢野和彦君) 書道、華道、茶道の生活文化等は、その歴史的変遷の中で分派を繰り返した結果、流派が数多く存在するものもございますけれども、生活分野の各分野はそれらの流派の個別の活動もさることながら、総体、総体としての活動が書道、華道、茶道の分野等の形成に大きく結び付いているものでございます。
 このため、保持者や保持団体の認定に当たっては、このような書道、華道、茶道等の特徴を適切に捉えるように担い手を認定していく必要があるというふうに考えてございまして、各分野における流派を超えた統括的な団体の設置状況等を踏まえつつ対応してまいりたいというふうに考えてございます。

#82
○伊藤孝恵君 いや、恐れながら、次長、その統括するような団体で仲よくできないからこそ、いろいろな問題が起こっているわけで、そこに対して、将来的にはユネスコの無形文化遺産登録も目指していくんです。これ、物すごい利権の入口なんです。だから、みんなそこを奪い合う。そこについて、ちゃんと公平な物差しで誰が判断をして、ちゃんと並んでくださいねとちゃんと整理をするというのはどうされるんですか、本当に心配していますという問いなんです。もう一回お願いします。

#83
○政府参考人(矢野和彦君) 書道、華道、茶道を始めとした生活文化は我が国の伝統的な文化でございまして、文化芸術基本法においてもその振興が期待されているものですが、これまで生活文化の体系的、包括的な調査の蓄積が乏しかったということがございますが、これを文化財として位置付けることが困難な状況にございました。
 近年、先ほどから御答弁申し上げておりますとおり、生活文化に関する調査研究が次第に進んでまいりまして、文化財として位置付ける可能性が出てきたと、こういった調査をやはり更に進めて、今委員から統括団体難しいのじゃないかという御指摘がございましたが、一部もう既に統括団体できているものもございます、華道のようにですね。そういった団体を起点といたしまして、今後、そのほかの団体についても、分野についても、そういう動きをしっかりと我々見守っていきたいというふうに考えております。

#84
○伊藤孝恵君 しっかりと基準を作って、しっかりと見守っていただきたいと思います。
 ありがとうございました。

#85
○吉良よし子君 日本共産党の吉良よし子です。
 まず、法案に先立ちまして、同じ文化財ということで、高輪築堤について質問をいたします。
 先日、上野議員からも御紹介ありましたけど、高輪築堤は、一八七二年、日本初の鉄道が開業した際、海上に線路を敷くために築かれたもので、二〇一九年に品川駅改良工事の現場から石積みの一部が見付かり、二〇二〇年、昨年の七月に、高輪ゲートウェイ駅周辺の再開発現場から大規模な遺構が発見され、これまで確認された遺構は計約一・三キロに及ぶとのことです。
 最近になって、JR東日本社長が、当時の沿岸から船で漁に出るための水路に架けられていた第七橋梁と呼ばれる部分は保存するということを表明しましたが、ほかの部分は、図面や写真などの記録を残した後、埋め戻すか取り壊す方針とのことなんです。
 その表明した後、先週ですね、国内で最初に設置された鉄道信号機の土台跡が新たに公開をされております。これは、JR社長が保存すると表明した場所ではないほかの部分に当たる場所の遺跡になるわけですけれども、区教育委員会によると、海側の石がのり面の一部を盛り上げた形で信号柱を支えたと見られる木製の基礎も確認されたということで、日本考古学協会の会長は、明治五年の鉄道開業時の我が国最初の信号機の遺構と考えられ、極めて重要性は高く、築堤発見の歴史的意義を更に高めるとコメントされていると。
 こうした専門家などから、その再開発計画見直して、やはり全面保存が必要だと、すべきだと声が上がっているわけですが、大臣、ここはやはり一部だけにとどまらず全面的に保存すべきじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。

#86
○国務大臣(萩生田光一君) 高輪築堤跡は、明治五年の新橋―横浜間の鉄道敷設の際に構築されたものであり、私も二月十六日に現地を視察をして、明治日本の近代化を体感できるかけがえのないすばらしい遺産であるというふうに感じました。
 その後も、今お話がありましたように、日本考古学協会などから様々な声明が出ておりまして、三月には、明治百五十年の関連施策アドバイザー、これ明治百五十年のイベントやったんですけれど、仮に三年前のあのイベントのときにこれが発見されていればもうその最大の象徴的な多分遺構になったんだろうという専門家からの御意見もいただきました。分科会、文化審議会の文化財分科会からは、第七橋梁とその両側の築堤が現在現地保存されれば史跡指定に値する旨の建議が既に出ております。
 遺構の保存方策についてはJR東日本の有識者会議において検討が行われており、私からは、有識者の意見も踏まえながら丁寧に議論をいただき、開発と保存を両立させながら貴重な文化遺産を現地で保存、公開できるよう御検討いただきたいと視察の際に伝えたところでございます。
 JR東日本の有識者会議において、関係者でよく知恵を出し合っていただいて、文化庁からも専門的な助言を行うことで、関係者による議論が建設的に行われるように支援をしていきたいと思っております。

#87
○吉良よし子君 関係者で議論ということですが、この高輪築堤自体、大臣もおっしゃったとおり、日本で鉄道開業当時の遺構で、アジアの近代化の過程を示す大変貴重なものですから、是非全面保存ということで頑張っていただきたいということを申し上げまして、法案の方に移りたいと思います。
 今回の法改正では、広い文化に保護の網を掛けるということで、無形文化財など、食文化もその対象となるわけです。
 今回は、この食文化を支える伝統野菜について私取り上げたいと思うんですけれども、この伝統野菜、各地域で古くから栽培されているもので、地域の郷土料理の重要な構成要素であるわけです。東京でいえば江戸東京野菜というのがありまして、江戸の料理を再現するにはこの江戸の野菜でないとその味が再現できないと言われているわけです。
 例えば日本食で有名なたくあんあるわけですけど、これ大根で作るんですが、私たちがよく食べる交配種の大根は青首大根がもう主流なんですが、伝統的な江戸東京野菜である練馬大根というのは、首が白い、全部白いものなんですね。味も、青首大根は万人受けする甘い味というふうになっているんですが、練馬大根はそこまで甘くないと。江戸時代のたくあんを色や味まで再現するとなると、やはり交配種の青首じゃなくて、伝統野菜である白首の練馬大根を使わないと当時の料理の再現とは言えないというわけで、どの野菜使うかが食文化の価値を左右するとも言えると。
 そういう意味では、この伝統野菜も法案で保護の対象となる食文化に含まれるべきだと思うんですが、含まれるということでよろしいでしょうか、次長。

#88
○政府参考人(矢野和彦君) 食文化ということでございますが、食文化につきましては、文化審議会の食文化ワーキンググループが三月に取りまとめた報告書において、食に関する風俗慣習及び技術と定義しております。
 このことを受けて、今回の法案により食文化を無形の民俗文化財の登録の対象とする場合は、例えば郷土食に係る風俗慣習や地域特有の発酵食品の加工技術などを想定しております。今のところ、伝統野菜を栽培する担い手は、その生産技術についての文化財保護法の直接の対象とは考えていないところでございます。

#89
○吉良よし子君 直接の対象とは考えていないということですが、そのワーキンググループ報告書を見ると、この伝統的な技術等には伝統食材も含むとかありますし、食材の生産者も含んで連携が重要だということですけれども、やっぱりその範囲に含むということでよろしいですか。もう一度お願いします、次長。

#90
○政府参考人(矢野和彦君) 繰り返しになりますが、食文化につきましては、食に関する風俗慣習及び技術というふうな定義でございますので、食材そのものではなくて、まあその周辺と申しますか、ものでございますので、直接にその野菜そのものが含むかどうかと問われますれば、直接の対象にはなっていないというふうにお答えしたわけでございます。

#91
○吉良よし子君 直接じゃないとはいえ、欠かせない構成要素だというところは是非認識一致したいと思うんですけれども、伝統野菜、これやっぱり保護していかなきゃいけないものなんです。
 というのも、保護するのは本当に困難で、種を保存する、そして引継ぎをするということが大事で、この間三十年ほど掛けて江戸東京野菜の復活に取り組まれている方からお話直接聞いてきました。この江戸東京野菜、昭和四十年代にどんどん淘汰されていくんですけど、東京が一千万都市になって農業の大量生産化が進められる下で、流通、野菜を流通する際に段ボールに入る規格に収まる交配種というのが中心となって、規格外になりやすい伝統野菜は淘汰されていったと。とりわけ東京の場合、宅地開発して農地が縮小していて、そういう都市農業独自の困難性がそれに拍車を掛けて、一九八〇年代、昭和五十年、六十年代には、もう伝統野菜は売れないと、なくなったと言われるような状態だったと。
 ただ、その中でも、売れないけどどうしてもこの味が好きだとか、もうこの野菜を食べないと夏が来ないというような中で、細々と栽培しているお宅があって、そこを回りながら種集めて栽培方法を受け継いで、何とかこの間、五十品目まで江戸東京野菜復活させたという話も伺ったと。それでもまだ全てじゃないなと。
 とりわけ、栽培している人が生きているうちに種を確保して、その新たに作る人に栽培方法も伝承しなきゃいけない、時間の闘いだという話も聞いたわけで、やっぱり私、この貴重な江戸東京野菜の種を守り伝えていくこと自体も大事な伝統文化の伝承の仕事だと思うわけですけれども、大臣、改めて農水省とも連携しつつ、文化として伝統野菜の種も守っていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

#92
○国務大臣(萩生田光一君) 先生のお話を聞いていて、その重要性を今感じました。この法案は、こういうことに皆さんが目を向けていただくいい点があるんじゃないかと。かつては貴族院、そして良識の府と言われている参議院で八丁みそやたくあんの話がもう本当に皆さんが真剣にされるというのは、今まで置き去られてきた食文化についてもう一回見直そうねという機運を皆さんが持っていただいているまさにあかしじゃないかなと思いますので。
 多分、お話聞いている限りでは、次長がつれなく言ったのは、青首大根が文化財になるかと言われればこれは無理なんだけれども、今おっしゃったようなトータルで、大事ですよね、守りたいですよねという提案があった場合には十分検討に値するんじゃないかと思いますので、これからまたしっかり勉強してみたいと思います。

#93
○吉良よし子君 トータルで是非守っていただきたいと思うんです。
 やはり、この伝統野菜、作るだけじゃなくて食べてもらう、販路拡大ということでも皆さん努力されてきて、新たな販路の拡大も頑張っていて、この間、こちら、東京都が作ったパンフレット、とうきょう特産食材使用店ガイドですけれども、(資料提示)こういうお店で、その伝統と、江戸東京野菜使われていると、そうやって販路も拡大をしてきたわけです。
 ただ、このコロナで多くの飲食店が危機に瀕していて、その影響によって、江戸東京野菜、少ない販路拡大している、そこの納入も落ちてしまっている状況があると。納入できなければ、江戸東京野菜の生産続けること困難になるわけですけれども。
 確認をします、経産省来ていただいているので。この緊急事態宣言の時短営業により飲食店への納入量が減ってしまった江戸東京野菜の生産農家がいたとして、それは経産省の一時支援金の対象になるということでよろしいでしょうか。イエスかノーかでお願いします、端的に。

#94
○政府参考人(飯田健太君) お答えいたします。
 今、一時支援金のことについてでございます。
 御指摘の伝統野菜の生産農家も、緊急事態宣言の再発令に伴う時短営業、それから人流減少によって影響を受けた飲食店などに野菜などを納入していてその売上げが減少して、大幅に減少するなど要件に該当する方々であれば対象になります。

#95
○吉良よし子君 対象になるということでした。
 とはいえ、この一時支援金そのものの仕組みが難しくて、事前確認が必要とか、農家にとって使い勝手がいいかというと悪いんじゃないかとか、給付される金額も上限三十万から六十万円と安いというような問題もあるわけで、せっかくの支援が届かないなどということで、頑張っている伝統野菜農家が生産続けられないことになってはならないと思うわけで、大臣、是非、文化庁としても、食文化の担い手である伝統野菜の生産者、コロナで潰さないという立場で目配りしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

#96
○国務大臣(萩生田光一君) 大事な視点だと思います。

#97
○吉良よし子君 是非、文化の一環として守っていただきたいと思います。
 そして、この種や食文化の継承というのは、単純に農水省とか経産省とかだけじゃなくて、学校現場でもできることだということも指摘したいと思うんです。
 今回の江戸東京野菜についても、例えば学校給食で地元の伝統野菜活用している例もあるわけです。さらには、食育の一環ということで、子供たちに伝統野菜の良さを、守る意義を伝えている取組もありまして、例えば江東区の小学校では、総合的な学習の時間で砂村一本ネギの復活栽培に取り組んでいるわけです。四年生の夏から五年生の五月頃までネギを育てて、収穫されたネギを給食に出されて全校児童と教職員が味わうのみならず、毎年八月下旬に種の贈呈式というのをやると。五年生から四年生へ種を渡していく、そういう贈呈式をやるわけですけど、スーパーなどで簡単に買えない種をちゃんと育てて次の学年に伝えていくと、そういう伝統を伝えていくことの重要性を体感する貴重な機会になっているのではないかと思うわけですけれども、こうした伝統野菜を含めた食文化を次世代へ継承していく、その取組を学校等でも進めていくことは本当に大事なことだと思うわけですが、是非こういう取組、また更に進めていただきたいと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。

#98
○政府参考人(矢野和彦君) お答え申し上げます。
 子供たちが我が国の食文化について学び、その理解を深めることは、食育の観点のみならず、文化振興の観点からも大変意義の深いものだと考えております。
 このため、我が国の伝統的な食文化についての理解を深めるよう、文部科学省におきまして小中学校で活用するための食育教材等を作成し、各学校における取組を促しているところでございます。また、子供たちが身近に実感を持って地域の伝統野菜や食文化の理解促進につなげるため、今年度から学校給食地場産物使用促進事業を実施しているところでございます。
 今後とも、学校現場を含め、地域による様々な食文化継承の取組を通じ、多様な食文化を次世代に継承してまいりたいと考えております。

#99
○吉良よし子君 是非広げていただきたいと思うんです。食文化を含め、先ほど来あるとおり、無形の文化を守り伝えるということは重要ですし、伝統野菜のような裾野まで含めて、先ほど大臣がトータルで、パッケージでということでしたけど、裾野まで目を配って守り抜くよう強く求めて、質問を終わります。

#100
○舩後靖彦君 れいわ新選組、舩後靖彦でございます。本日もよろしくお願いいたします。
 本日は文化財保護法改正案についての審議ですが、初めに一言申し上げたく存じます。
 私は、昨年十一月の本委員会で、聴覚障害のある学生が教育実習中に受けた差別的な指導について質問をいたしました。その後、文科省は、一、二月、障害のある学生の教育実習の実施状況についての実態調査を実施されました。この調査を踏まえて、四月、大学と都道府県、指定都市教育委員会に対して、障害のある学生が教育実習に参加する際の支援についてとする通知を出されました。
 障害のある学生が差別されずに教育実習を受けられるようにするための改善の一歩だと感じております。この場をお借りしまして、迅速に御対応いただいた関係者の皆様に心から感謝申し上げます。あわせて、この問題について引き続き取り組んでいただき、障害のある学生が安心して教育実習に取り組める環境整備を進めていただくようお願い申し上げます。
 それでは、文化財保護法の一部改正法案についての質問に移ります。
 代読いたします。
 今回の法案では、国の無形文化財、無形民俗文化財、地方の文化財に新しく登録制度を設けることを主眼としております。文部科学省は、新しい制度創設の背景として、新型コロナウイルスの影響によって保存、継承活動に深刻な影響が生じていることなどを挙げておられます。
 そこで、まず土台となる文化財予算についてお尋ねいたします。
 国内にある多様な文化財のためには、担い手を守るためにも国による大胆な支出が必要です。しかし、各国の文化財関係予算について、国会図書館のまとめによると、国によってまとめた年度が異なるため、一概には言えませんが、フランスの千百六十七億円、ドイツの六百六億円、イタリアの八百十七億円、隣国の韓国の一千億円に比べ、日本は二〇二一年度予算で四百六十億円にとどまっています。二〇一二年度の四百三十二億円に比べて増加はしているものの、二〇年度と比較すると減少しております。
 日本の文化財を守るためには大胆な予算拡充が必要ではないかと考えます。この点について御見解をお聞かせください。

#101
○副大臣(高橋ひなこ君) 御質問ありがとうございます。
 文化財の保護政策については、御指摘のように、各国それぞれの特色があり、一概に比べることは困難ですが、文化財の確実な継承に向けた保存、活用を推進するため、必要となる予算の確保は大変重要であると認識しています。
 令和三年度の文化財予算としては、文化財の修理や防災対策、修理技術者等の育成、地域の文化資源の継承、磨き上げの支援による地域活性化などを図るため、およそ四百六十億円を計上しています。
 今後も、文化財の確実な継承に必要な予算を確保するようしっかり取り組んでまいりたいと思います。

#102
○舩後靖彦君 代読いたします。
 ありがとうございます。専門的人材の育成、配置につながるよう、予算拡充を是非お願いいたします。
 続いて、今回の法改正に関連して実施される文化庁長官調査についてお尋ねいたします。
 この調査は、現在の文化財保護法の体系では十分保護措置がとられていない分野、文化、例えば生活文化や現代アートやファッションなども調査の対象とし、将来的には登録文化財の対象になる可能性もあるとされています。しかし、学問的な研究の蓄積があるものとは異なり、どのようなものを対象にするのかについては検討が難しいのではないでしょうか。
 こうした新しい文化財となり得るものをどういう基準で対象と判断するのか、この点についてお答えください。

#103
○政府参考人(矢野和彦君) お尋ねの文化財、文化庁長官調査は、地域に眠る現時点では価値付けが定まっていない分野や学術的な蓄積が十分でない文化的所産について、文化財としての価値を調査する予算事業でございます。
 令和二年度は、生活文化調査研究事業といたしまして、書道、茶道、華道の詳細調査を実施し、各分野の成立や変遷等の歴史、無形の文化遺産として次世代に継承すべき要素等について調査結果を取りまとめたところでございまして、令和三年度は、無形の文化的所産調査、食に関する習俗や技術の実態調査、生活文化の調査を行うことを予定しております。
 令和四年度も、引き続き、時宜に応じて必要な分野の調査を進めていきたいと考えておりますが、その対象の選定に当たっては、文化審議会の専門的な意見も聞きながら検討を行ってまいりたいというふうに考えております。
 御指摘のございました現代アート等につきましても調査の対象となると認識しておりますけれども、文化財として登録するためには、一番重要なところは学術的な調査の蓄積でございます。その蓄積に基づいて、さらに、登録基準に従って文化審議会における専門的、学術的な審議を経る必要があると、そこでしっかりと議論していきたいというふうに考えております。

#104
○舩後靖彦君 代読いたします。
 ありがとうございます。
 関連して質問いたします。
 先ほど申し上げた調査に当たっては、特定の団体や個人が利益を生まないような仕組みになることが必要だと考えます。人々の生活文化から生まれた慣習などを国が価値付けることにより、政治利用などにつながることも懸念しています。どのようなものを対象とするのか、事実と根拠が必要だと考えております。
 国が取り組む以上、偏りのない多様な観点からの準備が必要です。この点についてどのようにお考えでしょうか。御見解をお聞かせください。

#105
○政府参考人(矢野和彦君) 文化財保護を行うに当たって、特定の団体や個人が利益を得ることを目的とした運用がなされてはならないというふうに考えております。
 登録に当たっては、先ほども申し上げましたとおり、文化審議会に諮問し、我が国の文化資源の保存、活用という観点から専門的見地に立って御審議いただき、調査研究の結果を踏まえて審議会答申を経て登録を決めていただくということとしたいと考えております。

#106
○舩後靖彦君 代読いたします。
 ありがとうございます。重ねて、特定の団体や個人が利益を得るような仕組みにならないよう検証をしていただきたく、お願い申し上げます。
 続いて、新設する無形文化財、無形民俗文化財の登録制度についてお尋ねいたします。
 初年度は五件、予算規模は九百万円想定とお聞きしております。新しい制度をつくるのであれば、それに応じた人的資源の確保は欠かせません。現在、国の指定、登録について調査する専門的な調査官は、民俗文化部門で三人、芸能部門で三人、工芸技術部門で三人、食文化部門で二人とお聞きしています。今回、登録制度を創設するに当たって、現時点では人手は増えないとお聞きしております。人は増やさないのに仕事量が増えるということはいささか問題があるように思います。
 質の高い調査を行うためにも、専門人材の拡充は欠かせないのではないでしょうか。専門的知見のある職員を増やすべきだと考えます。この点について、大臣の御見解をお聞かせください。

#107
○政府参考人(矢野和彦君) 国の登録制度を円滑に推進していくためには、御指摘のとおり、専門的な知識を有する職員等を充実させる必要があると認識しており、昨年度、食文化の調査官を二名新しく配置したところでございます。また、これまで、常勤職員のほか、専門的な知識を有する者の力を借りるという観点から非常勤調査員の委嘱を行っておりまして、例えば芸能七人、工芸技術六人など、令和二年度で総計七十七人の非常勤の委嘱を行っております。
 こういった制度の活用も含めて、必要な体制の確保に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

#108
○舩後靖彦君 代読いたします。
 ありがとうございます。
 引き続き、登録制度についてお尋ねします。
 登録制度によって、保持者には届出義務や計画の策定、認定など保存、継承に関する義務が課されることになります。この際、保存、活用について負担が増えないようにしなくてはならないと考えます。
 本法案によれば、登録した文化財について、国は公開、保存に関する経費を補助できるとしています。この制度によって、地域や担い手の負担が増えてしまってはならないと感じます。負担を増やさないため、国の責任で支援をしていかなくてはならないと考えますが、制度設計はどのように考えているのでしょうか。御見解をお聞かせください。

#109
○政府参考人(矢野和彦君) 御指摘のとおり、事務作業を必要以上に増やさないということは非常に重要だというふうに考えておりまして、届出義務が課されるなど一定の事務作業はあるものの、無形文化財については、有形文化財の場合と比べ、届出を行う義務は少なく、必要最小限のものとしているところでございます。
 最近では、国への申請書類に対する押印を政府全体の方針として廃止してきたところでございまして、今後も申請者の負担にならない取組を推進していきたいと考えております。
 また、予算についてのお尋ねでございますが、公開、保存に関する経費の補助といたしまして、記録の作成、伝承活動、普及、広報等のための費用を補助するということとしておりまして、一件当たり百五十万円から二百万円程度を想定しておりますけれども、今後、登録の数が増すにつれて、是非拡充してまいりたいというふうに考えているところでございます。

#110
○舩後靖彦君 代読いたします。
 ありがとうございます。
 続いて、今回の法案提出の契機となっている新型コロナの影響について質問いたします。
 文化審議会文化財分科会企画調査会の報告書参考資料によれば、昨年十二月時点で伝統芸能関連行事が約四千件中止になったそうです。しかし、お祭りなど無形民俗文化財に当てはまるものについては、現時点で文化庁として調査を行っていないとお聞きしています。新聞報道などでは、地方の貴重な行事が縮小、中止に追い込まれているとの話も聞いております。
 地方のお祭りなどについては、高齢化や人口移動などにより、コロナ以前から維持、継承への懸念があったとも考えられます。そうすると、コロナによって問題が顕在化しただけとも言えます。もっと早く手を打つべきだったのではないでしょうか。
 そこで、大臣にお尋ねします。
 伝統芸能や生活文化だけでなく、無形民俗文化財に関してもコロナによる影響の実態調査を行い、登録制度の活用、継承、保存活動の基盤とするべきではないでしょうか。

#111
○国務大臣(萩生田光一君) 無形の民俗文化財について、文化財保護法に基づき指定等を行っているものについては、都道府県等を通じて新型コロナウイルス感染拡大の影響による行事の実施状況や伝承状況を確認をしています。
 また、令和三年度予算に計上している調査事業では、現時点では価値付けが定まっていない無形の文化的所産について調査をしていく予定であり、その中で新型コロナウイルスの影響を受けた現在の伝承状況などを確認していきたいと考えております。
 今後、この法案成立した後に、今先生の問題提起については、これは、さすがに日本中の祭礼を全部調査するというと、かなりの時間と費用と、また手間も掛かるので、果たしてそこまでできるかどうか分かりませんけれど、コロナの影響でそういったお祭りが中止になっているのは事実だと思いますので、その辺については少し落ち着いて調査をしてみたいなと思っております。

#112
○委員長(太田房江君) おまとめください。

#113
○舩後靖彦君 代読いたします。
 ありがとうございます。
 最後になりますが、文化を守るためには、何よりも人を守り育てなければなりません。人材のための支出を惜しまずしていただくことをお願い申し上げ、質問を終わります。

#114
○委員長(太田房江君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 文化財保護法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

#115
○委員長(太田房江君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#116
○委員長(太田房江君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十七分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト