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2021/03/23 第204回国会 衆議院 第204回国会 衆議院 本会議 第14号 令和3年3月23日
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2021/03/23 第204回国会 衆議院

第204回国会 衆議院 本会議 第14号 令和3年3月23日

#1
令和三年三月二十三日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第八号
  令和三年三月二十三日
    午後一時開議
 第一 地震防災対策特別措置法の一部を改正する法律案(災害対策特別委員長提出)
 第二 踏切道改良促進法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第三 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件
 第四 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 地震防災対策特別措置法の一部を改正する法律案(災害対策特別委員長提出)
 日程第二 踏切道改良促進法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第三 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件
 日程第四 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件
 特定都市河川浸水被害対策法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後一時二分開議

#2
○議長(大島理森君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――

#3
○議長(大島理森君) 日程第一は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#4
○議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 日程第一 地震防災対策特別措置法の一部を改正する法律案(災害対策特別委員長提出)

#5
○議長(大島理森君) 日程第一、地震防災対策特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の趣旨弁明を許します。災害対策特別委員長金子恭之君。
    ―――――――――――――
 地震防災対策特別措置法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔金子恭之君登壇〕

#6
○金子恭之君 ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨を御説明申し上げます。
 地震防災対策特別措置法は、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ制定されたもので、本法に基づき、各都道府県においては、地震防災緊急事業五か年計画を定め、施設等の整備等を鋭意進めてきたところであります。
 しかしながら、日本各地で地震が多発し、また、首都直下地震等の発生が懸念されている現状に鑑みれば、地震防災対策のなお一層の充実強化を図る必要があります。
 本案は、地震防災対策特別措置法の実施の状況に鑑み、地震防災緊急事業に係る国の負担又は補助の特例等に関する規定の有効期限を令和八年三月三十一日まで五年延長する改正を行おうとするものであります。
 本案は、去る十八日の災害対策特別委員会において、内閣の意見を聴取した後、全会一致をもって成案と決定し、これを委員会提出法律案とすることに決したものであります。
 何とぞ議員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――

#7
○議長(大島理森君) 採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#8
○議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 踏切道改良促進法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

#9
○議長(大島理森君) 日程第二、踏切道改良促進法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。国土交通委員長あかま二郎君。
    ―――――――――――――
 踏切道改良促進法等の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔あかま二郎君登壇〕

#10
○あかま二郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、踏切道の改良等を通じた道路及び鉄道の安全かつ円滑な交通の確保を図るため、五か年の指定期限の撤廃等改良すべき踏切道の指定方法の見直し、災害時の管理の方法を定めるべき踏切道の指定制度の創設、広域災害応急対策の拠点となる防災拠点自動車駐車場の指定制度の創設、鉄道事業者による災害時の他人の土地の使用等に係る措置の拡充等の措置を講じようとするものであります。
 本案は、去る三月十六日本委員会に付託され、翌十七日赤羽国土交通大臣から趣旨の説明を聴取し、十九日、質疑を行い、質疑終了後、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――

#11
○議長(大島理森君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#12
○議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第三 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件

#13
○議長(大島理森君) 日程第三、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。外務委員長あべ俊子君。
    ―――――――――――――
 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔あべ俊子君登壇〕

#14
○あべ俊子君 ただいま議題となりました在日米軍駐留経費負担に係る特別協定改正議定書につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本議定書は、本年二月二十四日に東京において署名されたもので、現行の在日米軍駐留経費負担に係る特別協定の有効期間を二〇二二年三月三十一日まで一年間延長するための改正を行うものであります。
 本件は、去る三月十二日、本会議において趣旨の説明及び質疑が行われた後、外務委員会に付託されました。
 本委員会におきましては、十七日茂木外務大臣から趣旨の説明を聴取いたしました。十九日に質疑を行い、討論の後、採決を行った結果、本件は賛成多数をもって承認すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――

#15
○議長(大島理森君) 採決いたします。
 本件を委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕

#16
○議長(大島理森君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承認することに決まりました。
     ――――◇―――――
 日程第四 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件

#17
○議長(大島理森君) 日程第四、放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。総務委員長石田祝稔君。
    ―――――――――――――
 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔石田祝稔君登壇〕

#18
○石田祝稔君 ただいま議題となりました承認案件につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本件は、日本放送協会の令和三年度収支予算、事業計画及び資金計画について、国会の承認を求めるものであります。
 まず、収支予算は、一般勘定において、事業収入六千九百億円、事業支出七千百三十億円となっており、事業収支における不足二百三十億円については、財政安定のための繰越金の一部をもって補填することとしております。
 次に、事業計画は、東京オリンピック・パラリンピック競技大会に関する放送・サービスの実施、訪問によらない効率的な営業活動の推進、グループ全体での業務の見直し及び組織の効率化等に取り組むこととしております。
 なお、この収支予算等について、総務大臣から、引き続き経営のスリム化に徹底的に取り組むとともに、受信料の適正かつ公平な負担の徹底に向けた取組を進めることにより、収支均衡を早期に確保すること等を求める旨の意見が付されております。
 本件は、去る三月十七日本委員会に付託され、翌十八日、武田総務大臣から趣旨の説明を、日本放送協会会長から補足説明をそれぞれ聴取した後、質疑に入り、昨二十二日質疑を終局いたしました。次いで、討論を行い、採決いたしましたところ、本件は賛成多数をもって承認すべきものと決しました。
 なお、本件に対し附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――

#19
○議長(大島理森君) 採決いたします。
 本件を委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕

#20
○議長(大島理森君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承認することに決まりました。
     ――――◇―――――
 特定都市河川浸水被害対策法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

#21
○議長(大島理森君) この際、内閣提出、特定都市河川浸水被害対策法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国土交通大臣赤羽一嘉君。
    〔国務大臣赤羽一嘉君登壇〕

#22
○国務大臣(赤羽一嘉君) 特定都市河川浸水被害対策法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 近年、気候変動の影響により全国各地で豪雨災害が激甚化、頻発化しており、今後、さらに、雨量の増大が見込まれる中、国民の命と暮らしを守るためには、治水対策の抜本的な強化が急務となっております。
 具体的には、上流から下流や本川、支川等、流域全体を俯瞰し、遊水地の整備や河道掘削、堤防整備といった、これまで計画的に進めてきた河川等の整備を一層加速するとともに、国、自治体、企業、住民等、あらゆる関係者が協働してハード、ソフトの治水対策に取り組む流域治水が重要であり、その実効性を高め、強力に推進するための制度が必要であります。
 このような趣旨から、この度、この法律案を提案することとした次第です。
 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
 第一に、流域治水を全国で展開するための計画や体制として、国、都道府県、市町村等の関係者が一堂に会する協議会において、河川の整備に加え、自治体や民間等による雨水貯留浸透対策、土地利用の方針等の計画を協議し、実施する仕組みを創設するとともに、この仕組みを全国の河川で活用することとしております。
 第二に、河川の氾濫をできるだけ防ぐには、堤防等の河川整備がまず重要でありますが、これに加え、利水ダムの事前放流を拡大できるよう、河川管理者や利水者等により構成される協議会制度を創設することとしております。併せて、保水、遊水機能を有する土地等について届出、勧告制度の導入により保全を強化するとともに、雨水貯留浸透施設の認定や支援の制度を創設し、自治体や民間による整備を推進することとしております。
 第三に、浸水に強いまちづくりを進めるため、浸水リスクが高いエリアで住宅等の安全性を建築等の前に確認する浸水被害防止区域の制度を創設するとともに、安全なエリアへの移転のための防災集団移転促進事業の対象等を拡充することとしております。併せて、災害時の避難先となる拠点の整備等を計画的に進める仕組みを導入することとしております。
 第四に、実効ある避難を促すため、ハザードマップの作成対象を拡大し、浸水リスク情報の空白域を解消するとともに、要配慮者施設に係る避難計画等について市町村が助言、勧告できる制度を創設することとしております。併せて、自治体が管理する河川での国による権限代行制度を拡充することとしております。
 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上が、この法律案の要旨でございます。
 よろしくお願いいたします。(拍手)
     ――――◇―――――
 特定都市河川浸水被害対策法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

#23
○議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。小宮山泰子君。
    〔小宮山泰子君登壇〕

#24
○小宮山泰子君 立憲民主党の小宮山泰子です。
 立憲民主党・無所属を代表して、ただいま議題となりました特定都市河川浸水被害対策法等改正案、いわゆる流域治水関連法案について質問いたします。(拍手)
 本法案が作られた背景には、度重なる水害被害があり、事業の遂行には、政府への信頼が大前提となります。そこで、まず、武田総務大臣にお伺いします。
 昨日の総務委員会でも議論になりましたが、昨年十一月十一日に武田大臣がNTT及びNTTドコモとともに会食をした葛西敬之氏が名誉会長を務めるJR東海は、列車内や駅構内でも光ネットワークや列車無線を利用する、電気通信事業法上の電気通信事業者です。すなわち、総務省にとって、法律上、NTTやNTTドコモと全く同じ、利害関係者であります。
 しかも、昨年十一月といえば、総務省所管の情報通信研究機構に、JR東海が近い将来利用するであろう高速移動体の技術開発費約三百億円を令和二年度第三次補正に盛り込むことを決定する、大詰めの時期です。
 武田大臣は、この状況及びJR東海が利害関係者であることを認識しながら、大臣規範に照らし合わせて、何のちゅうちょもなく会食の誘いを受けたということでしょうか。
 この会食の事務連絡において、総務省は関与していたのでしょうか。また、利害関係者との会食について事前に会費はどのように取り決めていたのでしょうか。
 武田大臣は、葛西名誉会長以外の参加者を知らなかった旨答弁していますが、その場に、株式公開買い付け当事者であり、総務省にとって最も深い利害関係者の一つであるNTTとNTTドコモのトップが同席したことを知って、なぜ即座に退席しなかったのでしょうか。
 結局、一時間にも及び飲酒を伴いながら懇談するとは、大臣としての倫理意識はあきれるほど低いものと言えるのではないでしょうか。
 それぞれ御答弁ください。
 さて、我が国は、災害大国と言われます。全ての人々が安全に暮らせる、災害に強い国、社会をつくることは、我々政治家に託された使命です。
 災害大国であっても安全であることは資産であり、世界から信用を得ることにつながり、日本の基幹産業となるべき観光関連産業にも裨益します。
 そのためにも、国の河川整備は着実に推進しつつも、地域の決断を尊重し、財政面を始め、思い切った措置、支援を講じる必要があります。
 今回の改正は、気候変動による災害の激甚化、頻発化を踏まえ、これまで取り組まれてきた水防災意識社会の再構築の取組を一歩進めるため、都市化の進展による安全度の低下に対応するため、従来の総合治水の取組を全国の河川に拡大するとともに施策を拡充し、併せて事前防災対策を加速させることで、あらゆる関係者が協働して流域全体で行う流域治水を推進し、総合的かつ多層的な対策を行えるようにするものです。
 これまでの水防意識社会の再構築の取組が進められても、毎年のように大規模な水災害が起き、人的、物的被害が絶えませんでした。このような状況を考えると、これまでの治水は抜本的な対策とは言えなかったのではないでしょうか。
 国交大臣に、これまでの治水の総括をお伺いいたします。
 流域治水関連法案は、特定都市河川浸水被害対策法や、水防法、河川法等、主要な法案だけでも九本にわたる、いわゆる束ね法案です。
 一方で、あくまで国土交通省の法案であり、水害対策との関係の深い森林の整備や保全、農業との関連など、他省庁との連携が弱いことを指摘せざるを得ません。
 また、近年の洪水等の状況も念頭に置いて制定された水循環基本法では、河川等と並んで森林、農地の整備が挙げられ、水循環に関する総合的、一体的な施策として進めていくことを求めています。
 しかし、流域治水関連法案では、森林、農地等の整備、保全に関し、法律上明確な位置づけが見当たりません。
 政府全体で総合的に施策を進める水循環基本法の趣旨を踏まえ、国土交通省を超える枠組みでの流域治水を検討し、農林施策と治水との関連性を持たせる制度上の整備が必要と考えますが、なぜ法律上の位置づけがないのでしょうか。お答えください。
 また、流域のあらゆる関係者が協働で行う流域治水による水害対策においては、集水域における森林、治山施設の整備や、農地の保全も重要な役割を担うと考えます。
 農林施策においては、治水に資する新たな制度の創設等は検討されているのでしょうか。農林水産大臣より御答弁ください。
 さて、本法案では、特定都市河川浸水被害対策法に基づき、流域における協議会を設置することとされています。本法案による協議会が治水に特化したものであるとはいえ、水被害を含む総合的な施策が協議される水循環基本計画との乖離があってはなりません。
 同じ水を対象とする両協議会の関連性が示されていないのはなぜでしょうか。また、それぞれの果たすべき役割をどのように考えているのか。両協議会が策定する計画の内容に整合性が確保されるべきと考えますが、これらへの対応について、国土交通大臣の見解をお伺いいたします。
 今回、協議会の設置や流域治水の計画に基づく雨水貯留浸透施設に係る官民連携、土地利用規制等の抜本的な対策が可能となるのは、特定都市河川浸水被害対策法の特定都市河川の流域ということになります。そのため、指定が行われない限り、改正案により創設、拡充される様々な制度の多くは使われないこととなってしまいます。
 本法案で創設される多くの施策を特定都市河川の流域における限定的な制度とした理由は何でしょうか。お答えください。
 現状を見ると、特定都市河川は八水系しかありません。国はその指定対象を全国に広げるとしているとはいえ、国や都道府県である指定権者の判断が必要な制度となり、特定都市河川の指定により、計画策定や協議会の運営に加え、計画を実施するために貯留浸透施設等を設ける地方公共団体は、財政的負担、人的負担が生じます。一定規模以上の宅地化等に対し、雨水貯留浸透施設の設置が義務づけられることになりますから、流域治水に取り組む必要があっても、指定が進まないことも懸念されます。
 まず、実際に指定が行われるよう、国は法律による指定対象の拡大のほかに、どのような対策を講じるのですか。大臣にお尋ねいたします。
 災害は全国どこでも起こるものであります。特定都市河川の指定に時間を要する場合や未指定の地域における対策も重要です。
 特定都市河川の指定のない河川の流域における雨水貯留浸透施設の整備の推進や、浸水により人命への危険が想定される土地の利用規制等の対策について、国土交通大臣の御見解をお聞かせください。
 昨年七月の社会資本整備審議会の答申において、「流域治水を進める上で、生態系ネットワークに配慮した自然環境の保全や創出、かわまちづくりと連携した地域経済の活性化やにぎわいの創出など、防災機能以外の多面的な要素も考慮し、治水対策を適切に組み合わせることにより、持続可能な地域づくりに貢献していくべきである。」と提言されています。
 水害を軽減するグリーンインフラの活用は、生物多様性が高いほど、自然が持つ防災・減災機能や水質浄化などへの効果も期待されます。
 今回の流域治水において、各地それぞれの生物多様性、自然環境を保全、再生し、自然を生かすとの観点が重要と考えているのか、また、生態系ネットワークなど、地域の生態系や生物多様性を治水とともに構築していく考えがあるのか、環境大臣にお伺いいたします。
 創設される貯留機能保全区域は、当該区域の指定は地権者の同意を得て行い、保水、遊水機能を阻害する行為を事前に届けることが義務づけされています。
 遊水によって農作物に被害が生じた際の補償や地権者が遊水地とすることを許容する場合の買収などをセットにして、区域の指定を促進していくことが重要と考えますが、どのような措置を行うことを想定しているのでしょうか。また、少なくとも固定資産税の減免など、指定を促進するためには何らかの経済的なインセンティブを設ける必要があるのではないでしょうか。国土交通大臣にお伺いします。
 次に、利水ダム等の事前放流についてお尋ねいたします。
 ダムのような、いわゆるグレーインフラの整備も、グリーンインフラの活用と両立するものです。特に、既存のダムを最大限活用していくダムの事前放流は、その取組を進めていく必要があると考えています。
 本法案により、ダムの事前放流の取組を強化していくため、利水者を含む協議会が法定化されますが、利水者は発電や農業等の国土交通省以外の所管官庁の関係者であり、従来の縦割り行政の壁を越えた流域治水実現のための連携が鍵となります。
 治水協定の締結による総論的な枠組みだけでなく、今後、事前放流を効果的に実施するためには設備の増強や情報の共有が必要となりますが、どのように連携し、取り組んでいくつもりなのか、お聞かせください。
 樋門操作についてもお伺いします。
 水被害による被害の約三割は内水被害によるものであり、特に都市部であるほどその割合は大きくなります。
 改正案では、下水道の樋門の操作規則の策定を義務づけることとしていますが、その効果をどのように見込んでいるのか、お答えください。
 一方で、規則を定めても、設備が老朽化、陳腐化し、操作を安全に行うに当たっての根本的な課題が多いのが現状です。管理者である地方公共団体は厳しい財政状況にありますが、政府はどのような支援を考えているのでしょうか。お聞かせください。
 さて、本法案は、度重なる水害被害に遭った当該自治体の要望もあり、作成されました。成立後には大規模な事業予算が必要となります。
 本日、図らずも裁判では罪を認めましたが、さきの参議院選挙広島選挙区における河井元法務大臣夫妻による買収事件では、裁判において、お金を受け取った側の地方議員から、現金の受取を拒むと、国の助けを受けて進める地方の事業を邪魔されることを恐れたとの発言が報道されていました。
 政策の実行、予算の箇所づけは、与党や特定の議員によって左右されるべきものではなく、必要性を公正公平に検討した上で決定されるべきものです。与党議員がいるから予算がつく、事業が進む、そういったことが実態なのでしょうか。政策実行、事業への予算づけの公平性、公正性の確保に関して、国土交通大臣よりお答えください。
 最後になりますが、改めて、被災された皆様に衷心よりお悔やみを申し上げ、お見舞いを申し上げますとともに、復旧復興の支援については、党派を超えて全力で対応し続けることを立憲民主党としてお誓い申し上げ、質問を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔国務大臣赤羽一嘉君登壇〕

#25
○国務大臣(赤羽一嘉君) 小宮山泰子議員から、まず、これまでの治水対策の総括についてお尋ねがございました。
 近年の水災害対応としては、平成二十七年関東・東北豪雨を受け、避難体制を強化するなど、水防災意識社会の再構築を図るためのソフト対策の充実、平成二十八年北海道・東北豪雨や平成二十九年九州北部豪雨を受け、中小河川におけるハード、ソフト対策の強化などの取組を進め、浸水被害が最小化されたものと評価しています。
 しかし、平成三十年七月豪雨や令和元年東日本台風など、近年、気候変動の影響が指摘されている大規模な水災害が発生しており、今後も更なる頻発化、激甚化が予想されていることを踏まえ、これまで進めてきた治水対策を抜本的に強化する必要があると考えております。
 このため、治水計画を気候変動による降雨量の増加などを考慮した計画に見直すとともに、流域治水プロジェクトの推進等、あらゆる関係者が協働で取り組む流域治水を推進してまいります。
 次に、農林施策と流域治水との制度上の関係についてお尋ねがございました。
 流域治水の取組は、水循環基本法に基づく水循環基本計画の趣旨も踏まえ、政府一体となって進めていくことが重要です。
 本法案で新たに創設する流域水害対策協議会においても、農林分野等の関係機関が参画できる法制度となっており、これにより関係機関が連携して流域治水を推進してまいります。
 流域水害対策協議会と水循環基本計画に基づく水循環の協議会との関係についてお尋ねがございました。
 流域水害対策協議会は河川における流域治水のための計画を、また、水循環基本計画に基づく協議会は健全な水循環の維持、回復のための計画をそれぞれ協議する役割を担っております。
 本法案におきまして両協議会の関係性は明示しておりませんが、流域治水は、水循環政策の一部を構成するものであり、閣議決定された水循環基本計画にも位置づけられていることから、健全な水循環の維持、回復のための計画と流域水害対策計画は、当然に整合が図られるべきものと考えております。
 本法案で創設する多くの施策を特定都市河川の流域で行うこととした理由についてお尋ねがございました。
 令和元年東日本台風などでは、バックウォーター現象によって氾濫が発生しやすい本川と支川の合流点付近や、川幅が狭くなる狭窄部の上流側などの、現行の特定都市河川法で指定されていない多くの河川において、甚大な浸水被害が発生いたしました。
 全国には、このような自然条件によって、河道等の整備だけでは浸水被害を防止することが困難な河川が数多く存在しています。
 今回の改正案では、こうした自然条件にある河川を新たに本法の対象に追加することとし、現状の八水系六十四河川から、関係自治体との調整を経て、数百程度の河川を指定することを想定しております。
 特定都市河川の指定を進めるための対策についてお尋ねがございました。
 現在、全国百九全ての一級河川において流域治水プロジェクトの検討が進められておりますが、これを推進する中で、新たな特定都市河川の指定についても、河川管理者である関係自治体において積極的に検討が進められるものと認識をしております。
 さらに、自治体等が整備する雨水貯留浸透施設に対する財政支援を行うとともに、計画作成に係る技術的助言により人的負担軽減にも努めてまいります。
 特定都市河川の指定がない河川の流域における対策についてお尋ねがございました。
 特定都市河川の指定のない河川におきましても、浸水被害を防止する観点は重要であるため、特定都市河川と支援や規制内容に差はあるものの、流域における雨水貯留対策や土地利用規制等を組み合わせ、必要な対策を推進してまいります。
 貯留機能保全区域での支援策についてお尋ねがございました。
 貯留機能保全区域は、現状の土地が持つ雨水等を貯留する機能を保全するため、土地所有者の同意を得た上で盛土等を行う場合に届出していただくものであります。
 このため、指定促進に当たっては、そもそも買収を前提としておりませんが、土地所有者の御理解が不可欠であり、制度の意義等を丁寧に説明するとともに、御指摘のとおり、土地所有者への支援策についても、今後、関係省庁とも連携しながら検討してまいりたいと思います。
 事前放流の効果的な実施についてお尋ねがございました。
 利水ダムを活用しての事前放流につきましては、今後、更に効率的、効果的な実施に向け、一、気象予測の精度向上、二、放流管の増設などの施設改良、三、河川管理者と利水ダム管理者等が放流量について機動的に調整できるシステムの整備などに取り組む必要があると考えられます。
 このため、本法案によって創設する法定協議会等を通じ、関係利水者等と連携し、これらの具体的な取組について検討、調整を図ってまいります。
 下水道の樋門等の操作規則の策定義務化の効果と、自動化、遠隔化への支援についてお尋ねがございました。
 下水道の樋門等の操作規則につきましては、約六割の施設での策定にとどまっているため、その策定を義務化することにより、全ての樋門等の操作が的確かつ確実に実施され、河川等からの逆流による浸水被害を防止できる効果があるものと考えております。
 また、樋門等の自動化、遠隔化につきましては、令和三年度より、新たに防災・安全交付金の交付対象に追加し、地方公共団体を財政的に支援していくこととしております。
 最後に、政策の実行、事業への予算づけに関するお尋ねがございました。
 国土交通省におきましては、当然のことながら、これまでの政策の実行、事業への予算づけにつきましては、地域からの要望も踏まえた上で、その必要性や緊急性に応じて行ってまいりました。
 また、それらの事業の実施に当たりましては、関係する自治体や学識経験者等の第三者の意見を聞きながら、事業の各段階で事業評価を実施することにより、透明性を確保し、公平性、公正性に努めているところであります。
 私自身も、これまで、与野党分け隔てなく真摯に耳を傾け、国政に当たってまいりましたが、今後とも、この姿勢は堅持し、公平公正な政策実行に心がけてまいります。どうかよろしくお願いいたします。(拍手)
    〔国務大臣野上浩太郎君登壇〕

#26
○国務大臣(野上浩太郎君) 小宮山議員の御質問にお答えいたします。
 農林施策における、治水に資する新たな制度創設等の検討についてのお尋ねがありました。
 流域全体での治水対策を進めていく上で、森林の有する水源涵養等の機能や、農地、農業水利施設が持つ洪水調節機能を適切に発揮していくことが重要と考えております。
 このため、農林水産省では、健全な森林の育成を図るための間伐等の森林整備や、土砂の流出を抑制する治山対策を進め、森林の有する国土保全や水源涵養機能の維持向上を進めています。また、水害が予測される際に、事前に農業用ダムの水位を下げて雨水を貯留する事前放流や、水田に雨水を一時的に貯留させる田んぼダムによる湛水被害リスクの低減等に取り組んでいます。
 これらの取組に当たっては、水系ごとに設置されている流域治水協議会に農林水産省も参画し、具体的な連携を進めています。
 また、近年の山地災害や洪水被害の激化を踏まえ、気候変動に対応した治山対策を進めていくため、昨年九月に学識経験者から成る検討会を設置し、技術的な検討を進めているところであります。
 また、本日閣議決定した新たな土地改良長期計画において、田んぼダムに取り組む水田面積の拡大、農業用ダムの洪水調節機能の強化等について位置づけ、流域治水を推進していくこととしております。
 今後とも、国土交通省や地元自治体とも連携しながら、流域全体の治水対策が進むよう努めてまいります。(拍手)
    〔国務大臣小泉進次郎君登壇〕

#27
○国務大臣(小泉進次郎君) 生物多様性や自然環境と治水についてお尋ねがありました。
 今後、気候変動により災害の激甚化が予測されていることを念頭に、湿地などの自然生態系が有する保水機能を防災対策にも活用し、自然と調和した地域づくりをすることが重要と考えています。一例としては、環境省が所管する釧路湿原国立公園内の釧路湿原がそれに当たります。
 このような取組は、自然を生かした解決策、ネイチャー・ベースド・ソリューションズと呼ばれ、国際自然保護連合、IUCNにより、昨年、国際的なスタンダードが作成されました。また、二〇一〇年に愛知で採択された生物多様性の世界目標、愛知目標の次の十年間の目標が、今年、生物多様性条約COP15で採択される見込みですが、その中でも議論されるなど、世界的にも関心が高まっています。
 環境省では、令和二年度より、国土交通省の協力も得て、地域の生態系を保全し、防災、減災に活用するための手引書を取りまとめるための事業を進めています。
 今後、COP15の結果も踏まえた次期生物多様性国家戦略の下で、このような取組を更に推進していく所存です。(拍手)
    〔国務大臣武田良太君登壇〕

#28
○国務大臣(武田良太君) 小宮山議員からの御質問にお答えをいたします。
 私が出席したJR東海の葛西名誉会長主催の会合について御質問がありました。
 まず、JR東海、NTT、NTTドコモは、総務省から許認可等を受けていることから、大臣規範における関係業者に該当することと思いますが、出席者から特定の許認可等に関する要望、依頼を受けたことはなく、食事はしておらず、自己負担もしていることなど、当時の状況を総合的に勘案すると、大臣等規範に抵触する会合ではなかったと考えております。
 また、今回の会合に関する連絡には、総務省は関与しておりません。会費については、当日、遅参の上、中座することになったため、応分の負担を行っております。
 なお、御指摘の高速移動体の新たな通信技術に関しては、ミリ波帯による高速移動用バックホール技術をテーマとした研究開発が平成二十六年度から平成三十年度まで総務省からの委託研究として実施をされましたが、現在は行われておらず、また、御指摘の情報通信研究機構に造成された研究開発基金において、本テーマについて委託研究を行う予定はございません。
 さらに、NTTドコモの完全子会社化については、法令上、総務省の許認可が必要となるものではなく、NTT側の経営判断において実施することが可能なものであります。(拍手)
    ―――――――――――――

#29
○議長(大島理森君) 岡本三成君。
    〔岡本三成君登壇〕

#30
○岡本三成君 公明党の岡本三成です。
 私は、自由民主党・無所属の会並びに公明党を代表いたしまして、特定都市河川浸水被害対策法等の一部を改正する法律案につきまして、国土交通大臣に質問をいたします。(拍手)
 本年三月で、東日本大震災から十年を迎えました。
 改めまして、犠牲になられた方々に心から御冥福をお祈り申し上げます。
 二〇一一年以来、地震対策に重きを置いた防災が進んでまいりましたけれども、地震と並んで毎年のように起こる水害が激甚化しております。その結果、水害による被害者は、多い年で数百人にも上り、私は政治家として自責の念を禁じ得ません。
 洪水、土砂災害、浸水は、地震と違い、あらかじめ豪雨の日時や降雨量がある程度予測できるため、事前避難や治水対策といった備えによって被害を最小限に食い止めることができる災害です。
 自然災害は、大勢の命に加えて、生活やなりわいを奪ってしまいます。災害の多い国であるからこそ、日本は、何をおいてもまず防災、減災に取り組み、国民の命を守る施策に全力を注ぐ必要があります。その意味において、今回議題になっている法案の意義は非常に大きいと考えます。
 防災の根本目的は、命を守ることです。国を挙げて最優先で取り組むべき課題であると考えますが、防災に対する基本認識をまず国交大臣にお伺いいたします。
 そもそも、現行の法律は、平成十一年と十五年の福岡水害や平成十二年の東海水害など浸水の被害の多発を受け、都市部の河川流域における浸水被害を防止する新たなスキームとして、特定都市河川等の指定、流域災害対策計画の策定、計画に基づく雨水貯留浸透施設の整備などの具体的な措置並びに規制措置を定めたものであります。
 近年、気候変動の影響により、全国各地で水害が激甚化、頻発化しており、河川の浸水被害の総合対策を一層強化する必要性から、今回の法案提出になったものと理解をしています。
 平成十五年の法制定以降、様々な施策が推進されてまいりました。国交省はこれまでの浸水対策の効果をどう評価しているのか、確認させてください。
 都市水害を防ぐためにこれまで様々な対策が取られてきましたが、中でも流域における雨水貯留施設の整備には大きな氾濫防止効果があります。
 現行法において、新規開発事業などの浸透阻害行為に対しては、貯留浸透施設の設置が義務づけられています。今後は、既存の公園、学校などの公共施設や大規模施設の地下貯留浸透施設の建設を一層推進していく必要がありますけれども、そのためにどのような財政支援をしていくのか、また、予算措置以外にどのような支援を考えているのか、お伺いいたします。
 今回の法改正は、流域水害対策計画の対象となる河川を、河川整備で被害防止が困難な都市河川に加えて、自然条件により被害防止が困難な河川も対象として追加指定するとしています。
 自然条件から被害防止が困難とは具体的にはどんな河川なのか、また、国交省として対象河川の拡大は幾つぐらいの河川で実施する予定なのか、お伺いいたします。
 本法案では、浸水被害の危険が著しく高いエリアを都道府県知事が浸水被害防止区域として指定することになっています。
 しかし、こうした指定は、一方で住民不安を高め、地価の下落なども懸念されます。したがって、実際の対象追加に当たっては慎重な配慮が必要となります。地域住民や関係事業者の方々の利害も絡むことから、関係者の皆さんとの事前調整が不可欠と考えます。
 具体的にはどのような手続で追加指定を行うのか、さらに、区域内にある要配慮者施設の安全性の事前確認を行うことになっていますが、どのような基準で実施するのかをお伺いいたします。
 東京都では、荒川等の下流域である東部に広大なゼロメートル地帯を抱え、そこに約二百五十万人の方々が生活をされています。一たび荒川などの堤防が決壊すると、こうした地域が広範囲にわたり浸水し、場所によっては二週間もの間、浸水が継続することが懸念されています。今後も更なる降雨量の増加が見込まれる中、こうしたリスクに対して万全の体制で臨まなければなりません。
 昨年十二月に国交省と東京都で策定をした災害に強い首都「東京」形成ビジョンでも、こうした観点から、命の安全と最低限の避難水準を確保し、さらに、浸水区域外への避難を可能とする高台まちづくりを推進する旨がうたわれています。また、大規模地震への備えとしても、町中でいち早く逃げることができる拠点の整備は急務であります。
 この点について、今回の法案ではどのような措置を講ずることとしているのか、大臣の所見をお伺いいたします。
 本法案に関しまして、Xバンドレーダーについてお伺いいたします。
 国交省は、現在、全国のXバンドレーダーからの情報を、Cバンドレーダーと同様に、雨量に加工をして民間に販売しています。Xバンドレーダーは、局地的な雨量の観測が可能になるため、豪雨に伴う水害からの避難を呼びかけるなどのサービス提供に大変有効です。そのため、その生データをリアルタイムで公開してほしいと民間事業者から強い要望があります。是非、実現すべきだと思いますが、国交大臣の見解をお伺いいたします。
 次に、法案に規定されている利水ダムの事前放流の拡大を図る協議会に関して、荒川の第一調節池の中にある貯水湖である彩湖の利用についてお伺いいたします。
 荒川の氾濫防止の要である荒川第一調節池は、一昨年の台風十九号の際にも大きな役割を果たしました。しかし、調節池中央に位置する彩湖の利水容量七百六十万立方メートルに関しては、事前放流を一切行っておりませんでした。
 昨年十一月の予算委員会で、私がこの点を指摘いたしまして、今後は事前放流を実現するように要望いたしました。そして、翌十二月、関係自治体との協議が調い、ついに現行設備で対応可能な最大量である二百五十九万立方メートルの事前放流が可能となり、防災対策が大きく前進をいたしました。
 しかしながら、まだ不十分です。ポンプの排水量の限界から、残り五百万立方メートルもの水量が事前放流できないままとなっています。排水ポンプの増設には数十億円、建設期間も数年かかると推定されていますが、その効果を考えると十分に価値があると考えます。
 一方で、非常時に即応するには、移動式のポンプ車を配置しての排水を検討することも重要です。どのようにしたら、より多くの事前放流が可能となり、河川の氾濫を防ぐことができるかを、国交省一体となって早急に検討していただきたいと考えますが、事前放流の一層の拡大につきまして、大臣の所見をお伺いいたします。
 国交省は、水害を防止するために、河川や下水道における対策の強化や流域における雨水貯留対策の強化を掲げていますが、実施に当たっては予算の拡大が必要と考えます。令和三年度の国交省全体の治水事業関連費は九千二百四億円ですが、余りにも少な過ぎます。今後一層の予算の増額を要望いたします。
 防災に係る費用と自然災害による経済損失を比較すると、いかに費用対効果が高いか、一目瞭然です。例えば、二〇一九年の台風十九号による経済損失は約一兆六千五百億円と試算されていますが、八ツ場ダムの建設費は五千三百二十億円。これで何兆円もの経済損失を防ぐことができました。
 水害対策は、まさに国民の命に直結するものです。国交省は、今後、治水対策予算の確保にどのように取り組むのか、大臣の決意をお伺いいたします。
 政治家の最大の使命は、国民の命と生活を守ることです。公明党は、防災・減災が主流となる社会の実現のためにこれからも全力で取り組むことをお約束いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔国務大臣赤羽一嘉君登壇〕

#31
○国務大臣(赤羽一嘉君) 岡本三成議員から、まず、防災に対する基本認識についてお尋ねがございました。
 議員御指摘のように、国土交通省の使命と責任は、国民の皆様の命と暮らしを守ることであります。我が国は、近年、気候変動の影響により激甚災害が頻発化し、被害も甚大化しております。いつ、どこで激甚災害が発生しても不思議でない状況下において、国民の皆様の命と暮らしを守るためには、新たな抜本的かつ総合的な防災・減災対策が必要です。
 具体的には、まず、災害が起きてからの復旧復興ではなく、事前防災のための計画的なインフラ整備などの流域治水とともに、適切な維持修繕や老朽化対策を進めてまいります。
 また、災害リスクの高い場所での開発規制や安全な地域への住宅の移動などを伴うまちづくりを進めるとともに、災害時における的確で安全な避難を可能とするため、ハザードマップを活用したマイ・タイムラインの作成や地域単位の防災訓練などによって、個人や地域の防災意識を高めてまいります。
 さらに、発災直後の道路啓開や排水活動、早期の復旧のために、平素からTEC―FORCEの体制強化なども進めてまいります。
 防災対策の要諦は、社会全体が手段を尽くして災害に備える力を高めることにあり、このため、防災・減災が主流となる社会づくりを全力で推進してまいります。
 特定都市河川におけるこれまでの浸水対策の評価についてお尋ねがございました。
 これまで、市街地の進展により土地の雨水浸透機能が低下している都市部の八水系六十四河川において、特定都市河川浸水被害対策法に基づき、河道等の整備と流域における雨水貯留対策等を組み合わせた浸水対策を進めてまいりました。
 これにより、河道の流下能力が向上するとともに、雨水の河川への流出が抑制された結果、対象河川では浸水被害が大きく軽減されたものと評価しています。
 近年の水害の教訓に基づき、今般の法改正により拡充される取組を全国に広げ、更に推進してまいります。
 雨水貯留浸透施設の整備促進策についてお尋ねがございました。
 本法案の施行により、民間等による雨水貯留浸透施設の整備が促進されるよう、整備費用に対する財政支援の割合を引き上げるとともに、固定資産税の軽減措置を行い、費用負担を軽減いたします。
 また、雨水貯留浸透施設を併設した建築物を整備する際は容積率制限の緩和が可能な仕組みとなっており、その活用を推進してまいります。
 流域水害対策計画の策定対象となる河川の拡大についてお尋ねがございました。
 令和元年東日本台風などで、バックウォーター現象によって氾濫が発生しやすい本川と支川の合流点付近や、川幅が狭くなる狭窄部の上流側などの、現行の特定都市河川法で指定されていない多くの河川において、甚大な浸水被害が発生いたしました。
 全国には、このような自然条件によって、河道等の整備だけでは浸水被害を防止することが困難な河川が数多く存在しております。
 今回の改正案では、こうした自然条件にある河川を新たに本法の対象に追加することとし、現状の八水系六十四河川から、関係自治体との調整を経、数百程度の河川を指定することを想定しています。
 次に、浸水被害防止区域についてお尋ねがございました。
 議員御指摘のとおり、浸水被害防止区域の指定について、住民の不安や地価の下落の懸念等の声があることを承知しております。このため、この法案におきましては、当該区域の指定に当たり、住民等の皆様や市町村長からの意見聴取により、地域の意向を十分に把握することとしております。
 また、要配慮者施設等の安全性の確認につきましては、想定される洪水等によっても居室が浸水しないかなどの基準によって行うこととしております。
 災害時の避難拠点の整備に関する本法案の措置についてお尋ねがございました。
 昨年十二月、東京都とともに取りまとめた災害に強い首都「東京」形成ビジョンでは、命の安全や最低限の避難生活水準を確保できる避難場所として、高台まちづくりを推進していくこととしております。
 本法案では、災害時の避難路や避難場所、避難者の診療の場となる医療施設、生活物資を供給する店舗などが一体となった避難拠点を都市計画に位置づけ、その計画的な整備を図るとともに、財政的支援を行うこととしております。
 雨量観測データの民間企業等への提供についてお尋ねがございました。
 国土交通省では、防災情報を発信する民間企業等に対し、配信に要する実費相当分の御負担をいただいた上で、水位等のデータを提供しております。
 御指摘のXバンドレーダー雨量計の生データにつきましても、民間企業等への提供に向けてしっかりと取り組んでまいります。
 彩湖における事前放流の拡大についてお尋ねがございました。
 首都東京都を貫く荒川の氾濫リスクを低減することは、最重要の課題であります。
 その対策として、荒川第一調整池内の彩湖を洪水調節に活用することについて、昨年十一月の予算委員会における岡本議員からの提案を受け、翌十二月、利水権者である東京都並びに埼玉県と治水協定を締結し、新たに、事前放流を行うことといたしました。
 現在、事前放流可能な水量は二百五十九万立米でありますが、議員より、新たな放流設備を追加することにより洪水調節機能を強化するべきとの御指摘をいただいておるところでございます。
 技術的な問題など、クリアしなければならない課題はありますが、関係する東京都や埼玉県とも協議をしながら、排水機場の増設やポンプ車の活用など、あらゆる手法について早急に検討してまいります。
 洪水対策予算の確保についてお尋ねがございました。
 治水対策予算につきましては、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策に基づき、その初年度として、令和二年度第三次補正予算において四千六十億円を確保するとともに、現在審議中の令和三年度当初予算九千二百四億円と合わせ、約一兆三千億円を確保しておるところでございます。
 河川は、一たび氾濫すると、多くの貴い命が失われるとともに、経済被害も甚大となり、被災者や被災地には長期にわたり様々な負担を強いることになるため、中長期的な視点に立って計画的に事前防災対策を進めておくことが重要であります。
 今年度中には、全国百九の全ての一級水系において流域治水プロジェクトを策定いたしますが、これらのプロジェクトなどに基づき、引き続き、必要かつ十分な予算の確保に努めてまいります。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――

#32
○議長(大島理森君) 高橋千鶴子君。
    〔高橋千鶴子君登壇〕

#33
○高橋千鶴子君 私は、日本共産党を代表して、流域治水法案について質問します。(拍手)
 近年、毎年のように甚大な豪雨災害が発生しています。
 昨年七月の社会資本整備審議会答申、気候変動を踏まえた水災害対策のあり方についてでは、二度C上昇までに抑えても、降雨量は約一・一倍、洪水発生頻度は約二倍と試算し、従来の管理者主体の事前防災対策だけではなく、集水域と河川、氾濫域を含む流域全体、流域の関係者全員参加で被害を軽減させる、流域治水への転換を提言しました。
 その具体策について、順次質問していきます。
 まず、治水計画等に将来の気候変動による降雨量の増大を見込むとしています。その見込み量をどのように試算するのか、工程と併せてお答えください。
 次に、ダム依存の治水政策からの転換について。
 国交省は、昨年七月の九州豪雨を受けた球磨川豪雨検証委員会の初会合で、川辺川ダムがあれば被害は軽減されたと発言しました。その後、蒲島熊本県知事が川辺川ダム建設を容認しました。
 川辺川ダムをめぐっては、数十年にわたる住民、有識者らの検討を経て、二〇〇八年、ダムによらない治水対策を決断しています。しかし、ダム建設に固執する国交省によって事実上棚上げされ、河川整備計画も作られていません。
 現在進められている球磨川流域治水対策プロジェクト案には、ダムによらない治水を検討する場で議論された意見や、国交省ができないと言い続けた河道掘削等も盛り込まれています。つまり、十二年前からこうした対策を進めていれば、昨年の被害は低減されていたのではないか。河川管理者である国の責任をどう考えるか、伺います。
 二〇一八年の西日本豪雨では、洪水調節を行った二百十三ダムのうち八ダムが、翌年、東日本台風では六ダムが、いわゆる緊急放流を行いました。昨年六月のダムの洪水調節に関する検討会取りまとめを受け、本案では、河川管理者、電力会社などの利水者による法定協議会を設置し、事前放流が可能なダムを増やすとしています。現在、事前放流が可能なダムはどのくらいで、どう増やしていくのか、伺います。
 また、ダムの洪水調節容量を広げるため、堆砂除去は有効です。緊急浚渫事業費を補助制度にする考えはないか、伺います。
 東日本台風では全国百四十二の堤防が決壊し、うち八十四か所が実は完成堤防でした。越流が主な要因とされ、決壊しにくく、決壊するまでの時間を少しでも長くする粘り強い堤防を整備すべきと答申でも明記されました。どのように進めていくのか、伺います。
 次に、流域治水の進め方についてです。先行している緊急治水対策プロジェクトでは、どのように住民参加を図っているのでしょうか。また、上流と下流の住民間の調整をどのように進めていくのか、伺います。
 法案では、流域水害対策計画を策定すべき特定都市河川を増やすといいますが、その趣旨を伺います。
 浸水被害防止区域を創設し、開発や建築行為について規制します。これまで、十分な情報提供がされないままの造成宅地の被害が多くありました。防災集団移転を行う際の自己負担分、移転元と移転先の地価の逆転による不利益も考慮した支援策を検討すべきではないでしょうか。
 法案では、民間の施設などによる雨水貯留浸透施設の整備を進めるため、補助や固定資産税減免を行います。一方、保水、遊水機能を有する土地を貯留機能保全区域として知事が指定しますが、ここにも固定資産税などの減免措置を考えるべきではないでしょうか。また、内水被害防止にとって重要な下水道の耐水化、老朽化対策の現状と今後の見通しを伺います。
 最後に、流域治水について、ある国交省幹部は、ある意味で治水政策の敗北とも受け取られかねない、河川部門の担当者には抵抗感を持つ人もいたと発言したとの報道があります。本音ですか。国交省こそが、従来の発想を転換し、流域全体で取り組む治水対策へちゅうちょなく取り組むべきです。
 以上述べて、質問とします。(拍手)
    〔国務大臣赤羽一嘉君登壇〕

#34
○国務大臣(赤羽一嘉君) 高橋千鶴子議員から、まず、気候変動を踏まえた治水計画の見直しについてお尋ねがございました。
 気候変動について、河川工学や気象学等の専門家から成る検討会で御検討いただいたところ、今後は、気候変動を踏まえ、各水系の治水計画で目標とする降雨量は、過去の実績降雨より求めた降雨量の約一・一倍とすべきことが示されたところでございます。
 国土交通省としては、この検討会の結果を踏まえ、近年、大規模な洪水が発生した河川より、順次、治水計画の見直しに着手し、治水対策の加速化を図ってまいります。
 球磨川の治水対策についてお尋ねがございました。
 球磨川では、平成二十年度末から、ダムによらない治水の検討を開始し、平成二十一年度から、河道掘削、築堤、宅地かさ上げ等を着実に実施してきたところであり、昨年七月の洪水に対しても一定の効果はありました。
 しかしながら、昨年七月の豪雨では、戦後最大を大きく上回る洪水が発生し、未曽有の被害となったことを受け、再度災害を防止するため、本年一月に球磨川の緊急治水対策プロジェクトを取りまとめたところでございます。
 本プロジェクトでは、段階的に進めてきた治水対策に、更なる宅地かさ上げや流域対策等を追加するとともに、熊本県知事が三十回にわたり地元の御意見を直接お聞きした上で、地元の意向として御要望された流水型ダムの調査検討を盛り込んでいるところでございます。
 国土交通省といたしましては、被災地の住まいやなりわいの再建が一日でも早く実現するよう、緊急治水対策プロジェクトを全力で推進してまいります。
 事前放流の対象ダムと堆砂除去についてお尋ねがございました。
 事前放流の対象となるダムは、本年三月一日時点で、一級水系では、ダムのある九十九水系の九百五十五ダム全てについて事前放流の運用を開始しております。また、二級水系では、二百五十二水系の三百九十三ダムについて事前放流の運用を開始しておりますが、令和三年出水期までに、必要な全てのダムにおいて運用の開始を目指します。
 緊急浚渫推進事業の期間終了後の在り方につきましては、地方公共団体の取組状況などを踏まえ、検討する必要があると考えております。
 粘り強い河川堤防の整備に関する進め方についてお尋ねがございました。
 粘り強い河川堤防は、氾濫の危険性を解消することが当面困難で、決壊した場合に甚大な被害が発生するおそれがある区間において、越水した場合でも決壊しにくい構造に強化していくものであります。
 引き続き、強化に使用する材料や工法の信頼性、経済性等の評価を行うとともに、民間や大学の技術も取り入れながら、粘り強い河川堤防の整備を進めてまいります。
 緊急治水対策プロジェクトにおける住民参加についてお尋ねがございました。
 緊急治水対策プロジェクトは、甚大な被害が発生した河川において、再度災害の防止対策を取りまとめるものであり、河川の整備につきましては、河川法に基づき、上流、下流を含む住民の意見を反映させることとしております。
 さらに、プロジェクトに含まれるそれぞれの事業の実施段階においても、地域住民の皆様に丁寧に内容を説明し、御理解を得ながら推進してまいります。
 流域水害対策計画の策定対象となる河川の拡大の趣旨と、防災集団移転の際の支援策についてお尋ねがございました。
 特定都市河川の対象の拡大により、今後は、浸水被害防止区域において建築物の安全性を事前に確認できるようになるとともに、防災集団移転促進事業により、被災前に安全な土地への移転も可能となります。
 また、防災集団移転促進事業の実施に当たりましては、自治体において、移転元の土地、建物の買取りを行うほか、引っ越しの費用や移転先の住宅取得に係る住宅ローンの利子に対する支援を行っており、国がその費用のうち約九四%を負担する、手厚い支援制度となっております。
 貯留機能保全区域での支援策と下水道の耐水化等についてお尋ねがございました。
 貯留機能保全区域の指定に当たりましては、土地所有者への支援策も重要であることから、今後、関係省庁とも連携しながら検討してまいります。
 下水道については、耐水化が必要なポンプ場が現在約五割となっております。また、標準耐用年数である五十年を経過した下水道管路は、現在は約二万キロメートルでございますが、今後、加速度的に老朽化が進むと見込んでおります。
 このため、国土交通省といたしましては、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策を活用するなど、引き続き、必要な支援を行い、下水道施設の耐水化や老朽化対策を推進してまいります。
 流域治水に関する報道についてお尋ねがございました。
 御指摘の報道における発言につきましては私自身は承知をしておりませんが、いずれにいたしましても、気候変動の影響により激甚災害が頻発化する我が国において、国民の皆様の命と暮らしを守るため、国土交通省を挙げて流域治水を始めとする防災・減災、国土強靱化対策に全力で取り組んでまいりますことをお約束いたします。
 以上でございます。(拍手)

#35
○議長(大島理森君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――

#36
○議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時十五分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
       総務大臣    武田 良太君
       外務大臣    茂木 敏充君
       農林水産大臣  野上浩太郎君
       国土交通大臣  赤羽 一嘉君
       環境大臣    小泉進次郎君
       国務大臣    小此木八郎君
 出席副大臣
       国土交通副大臣 岩井 茂樹君
ソース: 国立国会図書館
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