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2021/03/24 第204回国会 衆議院 第204回国会 衆議院 法務委員会 第7号 令和3年3月24日
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2021/03/24 第204回国会 衆議院

第204回国会 衆議院 法務委員会 第7号 令和3年3月24日

#1
令和三年三月二十四日(水曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 義家 弘介君
   理事 伊藤 忠彦君 理事 稲田 朋美君
   理事 奥野 信亮君 理事 宮崎 政久君
   理事 山田 賢司君 理事 稲富 修二君
   理事 階   猛君 理事 大口 善徳君
      井出 庸生君    井野 俊郎君
      大塚  拓君    金子 俊平君
      神田  裕君    黄川田仁志君
      国光あやの君    小林 鷹之君
      武井 俊輔君    出畑  実君
      中曽根康隆君    野中  厚君
      深澤 陽一君    藤原  崇君
      盛山 正仁君    山下 貴司君
      吉野 正芳君    池田 真紀君
      寺田  学君    中谷 一馬君
      日吉 雄太君    松平 浩一君
      屋良 朝博君    山花 郁夫君
      吉田 宣弘君    藤野 保史君
      串田 誠一君    高井 崇志君
    …………………………………
   法務大臣         上川 陽子君
   法務副大臣        田所 嘉徳君
   法務大臣政務官      小野田紀美君
   外務大臣政務官      鈴木 隼人君
   政府特別補佐人
   (内閣法制局長官)    近藤 正春君
   最高裁判所事務総局家庭局長            手嶋あさみ君
   政府参考人
   (金融庁総合政策局審議官)            伊藤  豊君
   政府参考人
   (総務省大臣官房審議官) 阿部 知明君
   政府参考人
   (総務省大臣官房審議官) 川窪 俊広君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    小出 邦夫君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    川原 隆司君
   政府参考人
   (出入国在留管理庁次長) 松本  裕君
   政府参考人
   (外務省大臣官房参事官) 有馬  裕君
   政府参考人
   (財務省理財局次長)   井口 裕之君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       日原 知己君
   政府参考人
   (林野庁森林整備部長)  小坂善太郎君
   政府参考人
   (国土交通省不動産・建設経済局次長)       吉田  誠君
   法務委員会専門員     藤井 宏治君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十四日
 辞任         補欠選任
  武井 俊輔君     金子 俊平君
  屋良 朝博君     日吉 雄太君
同日
 辞任         補欠選任
  金子 俊平君     武井 俊輔君
  日吉 雄太君     屋良 朝博君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 民法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五五号)
 相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律案(内閣提出第五六号)
     ――――◇―――――

#2
○義家委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、民法等の一部を改正する法律案及び相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律案の両案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として金融庁総合政策局審議官伊藤豊君、総務省大臣官房審議官阿部知明君、総務省大臣官房審議官川窪俊広君、法務省民事局長小出邦夫君、法務省刑事局長川原隆司君、出入国在留管理庁次長松本裕君、外務省大臣官房参事官有馬裕君、財務省理財局次長井口裕之君、厚生労働省大臣官房年金管理審議官日原知己君、林野庁森林整備部長小坂善太郎君及び国土交通省不動産・建設経済局次長吉田誠君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#3
○義家委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――

#4
○義家委員長 次に、お諮りいたします。
 本日、最高裁判所事務総局家庭局長手嶋あさみ君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#5
○義家委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――

#6
○義家委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。高井崇志君。

#7
○高井委員 国民民主党・無所属クラブの高井でございます。
 まずは、今日、質問の順番を変えていただき、本当にありがとうございます。少数会派なものですから、この後、厚労委員と内閣委員で質問に立たなきゃいけなくて、大変御配慮いただき、ありがとうございます。
 また、少数会派なのに四十五分もお時間をいただきまして、本当にありがとうございます。なかなか、こんなに時間をいただくことは珍しいので、今日は法案に入る前に、これまでの質疑でちょっと積み残しになっていることを二、三、確認させていただいた後に、法案の質疑をしたいと思います。
 まず最初に、選択的夫婦別姓について、何度かこれまで聞いてまいりました。実は、私の地元の岡山県で、岡山県議会が、つい先日、選択的夫婦別姓に反対の意見書というのを採択されまして、大変私は残念でありまして、県民の多くの方からも、結構、失望の声が上がっているところでございます。
 自民党の会派で賛成多数ということなんですけれども、国会の中では、自民党の皆さんも、先日の法務委員会では、お二人立って、お二人とも賛成の立場で質疑していただきましたし、また、自民党のPTも立ち上がったということで、大変期待をしておるところでございます。
 この岡山県議会の意見書の中で、反対の理由が、家族のきずなや一体感を危うくするおそれがある、あるいは、子供の福祉への悪影響を懸念ということなんですが、ちょっと私はこの、よく反対する方がおっしゃることがなかなか理解できなくて、そのことをちょっとツイッターでつぶやいたら、大変炎上いたしまして、非常にいろいろな意見が出て、私は賛成の立場からいろいろ意見を言うんですけれども、それはおまえだけの意見じゃないかとか、誰が言っているんだとか、大変手厳しい批判を受けているものですから、ちょっと改めて法務省に、今、この選択的夫婦別姓についてどういう賛成意見、反対意見が出ているのかということを、法務省の立場から、整理して、一度ちょっと御紹介いただきたいと思います。

#8
○小出政府参考人 お答えいたします。
 選択的夫婦別氏制度に対しましては、様々な意見があるものと承知しております。
 主な意見の概要を紹介させていただきますと、まず、この制度に対する賛成意見といたしましては、婚姻により氏を改める者の社会生活上の不利益を回避する必要がある、氏を含む氏名が個人のアイデンティティーに関わるものである、夫婦同氏を強制することが婚姻の障害となっている可能性があるといった意見があるものと承知しております。
 他方、同制度に反対し、夫婦同氏制度を維持すべきという意見といたしましては、夫婦同氏制度は日本社会に定着した制度である、夫婦同氏制度は家族の一員であることを対外的に公示し、識別する機能を有している、家族が同氏となることで夫婦、家族の一体感が生まれ、子の利益にも資するといった意見があるものと承知しております。

#9
○高井委員 ということで、私だけが言っているわけじゃなくて、広く言われ、また、法務省としてもそういうふうに認識しているという御答弁なんです。
 今、反対意見の中で、やはり家族の一体感という話、今、子供の成長の話は出ませんでしたね。よく私が聞くのは、子供への悪影響ということも言われるわけですが、ただ、皆さん御承知のとおり、世界中で夫婦同姓を義務づけているのは日本だけ、これはもう法務省もはっきり認めているわけでございまして、そういう問題が起こるのであれば、私は、世界中でそういうことが起こるんじゃないか。夫婦別姓にしていることによってそういう子供への悪影響とか家族のきずなが壊れたなんという事例は、私が知る限り聞いたことがないですし。
 あと、ほかにも、伝統を守るというようなこともありました。日本に定着していると。でも、この伝統というのも、これも御承知のとおり、明治三十一年の民法でこの制度ができたもので、それ以前は、同姓だった部分もあるし別姓だった部分もある。あるいは、庶民は江戸時代は姓も名のれなかったとか、そういう状況ですから、きちんと制度化されたのは明治三十一年から、百二十年ちょっとですよね。これを長いと見るか短いと見るかというのはありますけれども。
 私は、いろいろな、先ほど申し上げた賛成意見の、本当に困っている、夫婦別姓じゃないと婚姻もできない、実際できない方は私も何人も知っていますし、事実婚でやむなく我慢しているという方も知っていますから、それを上回るほどの反対意見なのかというふうに私は思うんですが、これはちょっと大臣、この反対意見、私はちょっと、この家族のきずなとか子供の成長というのは、済みません、通告していないので申し訳ないんですけれども、私は理解できないんですけれども、大臣は理解できますか。

#10
○上川国務大臣 この氏に関わる様々な皆さんの意見がございまして、今、賛成、反対の主な御意見の紹介がありましたけれども、それ以外に、お一人お一人に、家族に対しての考え方、また、そうした中でつながりをどうするかということも含めて、長い間努力してつくり上げていくプロセスですので、それに対していろいろな考え方、また状況があろうかと思います。
 賛成、反対ということでアンケート調査を取りますと、一つの設問で、賛成ですか反対ですかというふうに聞かれるわけでありますが、そこのところに込めている様々な家族に対する考え方というのは違いがあるということでありますので、そういった違いの部分をどのように制度の中で織り込んでいくのかということについて大変大きな課題を提示されているというふうに受け止めております。
 今、様々な意見があるということでありますので、大いに議論をしていただくということが極めて大事ではないかというふうに思います。私自身がそれに対してというふうにコメントをすると、その立場で法務省全体が動くというふうに思われても困りますし、私自身も自分の考え方がありますけれども、ここは、国民の皆さんがひとしくこの問題について向き合っていただいて、そして議論をしていただく、その環境ということについては、ホームページ等で説明をしたり御紹介をしたりということを今積極的にしているところでありますが、そうした動きをしっかりと注視してまいりたいというふうに思っております。

#11
○高井委員 大臣が賛成か反対かをお聞きしたいんじゃなくて、反対の意見というのがさっき紹介がありましたけれども、それに対して、私は、家族のきずなは、世界中でほかの国はそういったことで崩壊していないんだし、あるいは、日本の伝統といっても明治三十一年からだということを申し上げたんですけれども、それでもやはり反対だと、さっき言ったような、家族のきずなとか子供の成長に影響があるんだという、そういう意見を、大臣、もしあれでしたら、ほかの方でも、どなたか、その意見は分かる、そういう意味だと、私の言った意見に対して、いや、そうじゃなくて、こういうことだというのを分かる方、どなたかいらっしゃいますか。
 だから、自信を持って答えられる方はいないんじゃないですかね。本当なら、自民党席の皆さんに私も発言を求めてもいいんですけれども、そういう委員会の仕組みになっていませんから。後ろから、俺が答えると言う方もいらっしゃいましたから、私は、だから、この後、話しますけれども、そういうのを議論する場をやはりこの法務委員会でつくったらいいんじゃないかと思うんですが、是非。
 あと、もう一つ、反対意見の方で、私のツイッターに結構多いのは、戸籍の廃止につながるんだという意見。あと、結構、ツイッターでやり取りして私が感じたのは、アリの一穴だ、つまり、選択的夫婦別姓にしちゃうと、別姓が当たり前になって、あるいは別姓を義務化するようなことを、あんたたち、たくらんでいるんだろうと。
 少なくとも、私は全くたくらんでいません。選択できればいい。私も同姓がいいと思っています。自分は同姓にしています。ですけれども、別姓がいいという方、少数かもしれないけれども、その方の権利を認めてあげるという制度にしましょう。
 だから、別姓か同姓かじゃなくて、選択できるか強制されるかということだと思うんですよね。そこの議論をしっかりやはり認識した上でこの議論を進めていかないといけないんですが、さっきの戸籍の話、選択的夫婦別姓にしたら戸籍は廃止される、あるいは抜本的大改正が必要だという意見が結構あるんですけれども、これに対して法務省の見解はいかがですか。

#12
○小出政府参考人 お答えいたします。
 戸籍は、日本国民の親族的身分関係を登録、公証する唯一の公簿でございまして、仮に選択的夫婦別氏制度が導入された場合であっても、その意義が失われるものではございません。
 法務大臣の諮問機関である民事行政審議会の平成八年一月三十日の答申によりますと、選択的夫婦別氏制度の導入に伴う別氏夫婦に関する戸籍の取扱いについて、戸籍は、市区町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及びその双方又は一方と子を同じくする子ごとに、これを編製するものとするとされ、別氏夫婦は同一の戸籍に在籍するものとされており、平成八年の法制審議会の答申である民法改正案による選択的夫婦別氏制度を導入する場合には、この答申に沿って戸籍法の改正を検討することになるものと理解しています。

#13
○高井委員 つまり、微修正ですよね。そんな、抜本的改正とか、あるいは、なくせなんという話には全然ならないわけで、そこをやはり勘違いされたまま議論すると議論がかみ合いませんから、是非そこは、法務省としてもしっかり、ミスリードのないようにしていただきたいと思います。
 ちょっと今日は時間が限られていますから、是非こういう議論をやはり国会で、これだけ国民的関心も高まっているんですから、私、前から言っているように、賛成派、反対派、同数でいいですよ、同じ数が出てきて、この場でしゃべる、あるいは参考人質疑という方法があるわけですから、参考人の方に来ていただいて、そういう集中審議をやるというのを、是非、これはやるべきだと思うんです。
 これは委員長、是非、御提案なんですけれども、検討していただけませんか。

#14
○義家委員長 後刻、理事会で協議いたします。

#15
○高井委員 これは、両筆頭にも是非お願いしたい。自民党席、後ろからも、やるべきだという声、出ていますから、是非これは……(発言する者あり)いや、反対している方も、さっき、反対していると思われる方から、俺が話したいとおっしゃっていましたから、いいじゃないですか、本当に堂々と意見を闘わすという。
 そうしないと、やはり私も、ツイッターでやり取りしていても、何か間違った考えの下にどんどん議論が、かみ合っていないんですね。だから、ちゃんとかみ合って、ツイッターでやり取りしているとどうしてもかみ合わないんですよ。やはり、直接、生で、こうやってお互い、対面というか、同時にやり取りしないとできないので、これは是非やっていただきたい。
 これは法務大臣にも通告しているので聞きたいんですけれども、やはり法務省としても、国会での議論をもうちょっと喚起する。前回、民法を出せばと言いましたけれども、確かに、民法を出すのは、やはり与党の了解が要るから難しいかもしれません。だとすれば、やはり別な形で議論を喚起する、国会にそういったことを要請するとか、あるいは国民的議論ですね、シンポジウムをやるとか、そういったことをもっともっと法務省としてやっていくべきだと思いますけれども、大臣のお考えをお聞かせください。

#16
○上川国務大臣 委員から様々な御提案をいただいたところでございますが、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方に関しましては、現在、各党におきまして様々な議論が行われているところでございます。法務省といたしましては、各党の御検討も含めまして、国民の中で、議論の動向等を注視しながら検討を進めていきたいというふうに考えております。
 国民的な議論をしっかりと踏まえた上で意見の集約が図られるということが望ましい、そうしたテーマだというふうに思っておりますので、私どもの議論と意見の集約が図られるような方向の中で、引き続き、広報、周知を徹底するなどの環境整備ということについては、今、一つの、委員からの問題提起に対しまして、こちらから戸籍についてはという答弁をさせていただきましたけれども、そういう理解を深めていく、そういったことを真摯にやってまいりたいと思っております。

#17
○高井委員 今、各党での議論と言いましたけれども、各党はもうほとんど、自民党さん以外はもうみんな賛成の表明をしていますし、我々野党ももちろんですけれども、公明党さんだって法案まで出していますよね。そう考えれば、あとは自民党さんなんですが。
 ただ、自民党の中の議論をただぼおっと待っていても仕方ないので、やはり、この国会の場でそういう議論を是非闘わせたいというふうに思っておりますので、是非法務省にも御協力をお願いしたいと思います。
 それでは、ちょっと次の話題に行きます。
 憲法五十三条の関係で、法制局長官に伺いたいんですが、これは私、訴訟の原告になっていて、今日かな、東京地裁の判決が出るし、私のやっている岡山地裁では四月十三日に判決が出るんですけれども、既に那覇地裁で判決が出ていますが、その那覇地裁の判決に対してということで、内閣法制局長官の大先輩である阪田元長官が、三月二十一日の時事通信の記事で、やはり、安倍内閣による三か月を超えて開催しなかったというのは、これは合理的な期間とは言えず、違憲は明らかだと。
 ここまではっきり元法制局長官がおっしゃっていますけれども、現法制局長官の見解はいかがですか。

#18
○近藤政府特別補佐人 お尋ねの、御指摘の報道、ネットでございましたでしょうか、承知しておりますけれども、個別の報道の内容については逐一コメントすることは差し控えたいというふうに存じます。

#19
○高井委員 元法制局長官の大先輩のコメント、逆にコメントしづらいということかもしれませんけれども、前回の質疑で、憲法上の義務だけれども法律上の義務じゃないという、何か本当にちょっとよく分からない答弁になっているんですけれども、是非ここは、あと、それから、今日、実は、通告の段階では、法務省の訟務局がそういう主張をしているんですね、政治的責任であって法律的な義務はないと。ただ、それも法制局として相談しているのかと聞こうと思ったんですけれども、これも個別の事案には答えられないということなので。
 本当に、こういう答弁が続くと、やはり国会の審議が深まりませんから、是非、個別の一つ一つの記事にって、そんなことを言ったら、何というんですか、記事に出たことを質問しても全く答えられないということになりますけれども。
 もうちょっとこれは、個別の記事というか、一般論で結構です。だから、憲法違反だという声がたくさん私の周りにもあるわけですけれども、それに対する法制局の見解はいかがですか。

#20
○近藤政府特別補佐人 お尋ねにお答えをいたします。
 同趣旨の答弁になりますけれども、記事というわけで、いろいろな意見が、憲法に絡む、政府の行政に絡む問題について、やはりこれまでもされてきておりますけれども、当局として、それについて逐一コメントするということはしてきておりませんので、それについてはそういう考え方で対処しております。

#21
○高井委員 もうこれは、さらっと終わろうと思ったんですけれども、そういう答弁だと。
 別に、じゃ、記事は関係ないです、私の意見です、私の意見。憲法違反だと思いますけれども、法制局の見解を教えてください。

#22
○近藤政府特別補佐人 私どもも先生の御意見は拝聴いたしましたけれども、それを一々、個別の内閣の、今回の五十三条に基づく判断というのは内閣によってされておりますけれども、私ども、憲法解釈としてのどういう条文であるかということはお示ししておりますけれども、個別具体的な、それを適用して実施した措置についての問題というのについてはコメントするということはしておりませんで、それは内閣において適切に判断されるべきものというふうに従来からもお答えをしておりまして、その評価というのも、具体的な当てはめについての評価ということは差し控えるということでございます。

#23
○高井委員 個別の当てはめ、いやいや、私は憲法五十三条の解釈を聞いているんですね。
 憲法五十三条で、四分の一の国会議員からの要求があれば開かなければならないと書いていますが、三か月を超えて開かなかったのは憲法違反なんじゃないですかという法制局の意見を聞いているんです。なぜ答えられないんですか。

#24
○近藤政府特別補佐人 従前から、憲法五十三条の解釈については当局としてお答えしておりますけれども、ただいまの点については、召集のために必要な合理的期間を超えない範囲内に臨時会の召集を行うことを決定しなければいけないというふうに解釈されると考えておりますけれども、合理的期間とは、召集に当たって整理すべき諸課題によって変わるものであるために、一概に申し上げることはできず、その時々の内閣が適切に判断をされるというふうに承知しております。

#25
○高井委員 そう答えていただけばいいんじゃないですかね。それを何か、一々個別の議員の意見には答えられないと言ったら、もう国会の質問は全く成り立たないですよね。だから、そういう姿勢が何かもう、全般的に今の政権がありありなんですよね。何でこうなっちゃったのかなと思いますけれども。
 関連して、検察の定年延長問題も聞きたいと思います。
 これも前回びっくりしたんですけれども、法制局長官は、法令解釈というのは基本的には、基本的にはというか、各省がもう決めるんだと、相談があったら相談には乗るけれどもみたいな答弁だったんです。
 これは、でも、よく考えてみると、法案の審査のときは必ず法制局を通しますよね、閣法の場合は。それでもう、各省の皆さん、徹夜して、百時間も超えて、審査を受けて、そこで法律の解釈とかをいっぱいやるわけですよ。それが通ったらようやく閣議決定できるというプロセスなのに、じゃ、その法案の解釈を、そこで百時間かけて積み上げたものと、その後、勝手に違う解釈を各省がやってもいいということになりますけれども、そういうことでいいんですか。法制局、それでいいんですか。

#26
○近藤政府特別補佐人 今御質問がございましたけれども、法案の提出につきましては、内閣として閣議決定をして国会に御提出申し上げるわけですので、その内閣として意思決定をするに当たり、その支援をする法制局において審査をするということになっております。
 個々の法令の解釈、運用につきましては、その後、各省庁で実体の行政客体との関係を、いろいろな関係を踏まえながら解釈、運用していくものでございますので、その後の解釈について一々閣議決定をするというようなことではございませんので、各省庁の責任の下で運用されていくということでございますので、それは、必ず当局に相談しなければいけないという類いのものではなく、もちろん、御相談にあずかれば私どもとして対応いたしますけれども、それぞれ、各省庁の御判断と責任の下で適切に処理されていくべきものと考えております。

#27
○高井委員 いや、私も繰り返し聞きますけれども、だからそれは、じゃ、法制局で百時間、その中には法律の解釈も当然含まれているわけですよ、こういう解釈でいきましょうとか。それを、逐一全部、法制局に相談しなさいと何か義務づけるまではしていない、する必要もないというお考えは分かりますけれども、しかし、そのときに法制局で詰めた解釈と明らかに違う、しかも、国民生活に大きな影響のある解釈変更を各省がやっていたとしても、それも各省が判断すればよくて、法制局は一切、各省から相談があるまでは口を出せないんだ、そういうことでいいんですか。
    〔委員長退席、伊藤(忠)委員長代理着席〕

#28
○近藤政府特別補佐人 お答えいたします。
 ただいまのお話でございますけれども、前回も御答弁申し上げましたけれども、解釈の変更というのはそうそうあるものではございませんし、どうしても各省において、現実の対応でよりそれが適切であるという御判断、至当であるという御判断をされたときに許されないわけではないということでの解釈の変更でございます。
 それについては、今お話ありましたように、それほど起こるわけではないので、一般的なルールというのは決まっておりませんし、また、それについて常に法制局が関与するというルールが決まっているわけでもございませんので、まさしくそこは各省の御判断で、御相談に来ていただければそこは相談に応じますし、各省限りで十分判断ができる問題であるということであればそれぞれで対応されるということで、私ども、各省庁の責任と判断の下で基本的には行われるものだというふうに考えております。

#29
○高井委員 お答えいただいていないんですけれども。
 めったに起こらないからこそ、その解釈変更があったときは、やはりちゃんと法制局の、めったに起こらないなら義務づけてもいいんじゃないですか。今の答弁だとそう思いましたよ。それを、めったに起こらない変更を各省が、いや、すごいしょっちゅう変更しているんだったら、一々見ていられないというのは分かりますけれども、めったにないのであれば、それはちゃんと法制局に相談、まあ実際しているわけですよね、各省、法務省だって今回したわけです。
 だけれども、それを要らないんだとおっしゃったら、それは性善説でいけば各省がしっかりやるということかもしれませんけれども、やはり各省の都合で変えたくなることだってあるわけですよ。変えたくなるから法制局に相談に行くんじゃないですか、それでもいいかと。やはりそれは、政府としての統一した基準というか歯止め、それも明文化した基準は難しいと思いますけれども、それを法制局が担ってくれているからこそ、みんな相談に行くわけで、法制局のお墨つきを得れば安心するわけですけれども、それを、各省の全部判断に委ねるんだ、聞いたときだけ答えるんだというのでは、私は、やはり法制局としての役割を果たしていない。
 これはやはり法制局の設置法を改正する必要があるんじゃないですかね、今みたいな御答弁をされるのであれば。やはり重大な法令解釈、国民生活に影響が及ぶ法令解釈がある場合は法制局に相談しなければならないと書かないと、不安でしようがないですよ。あと、役所の皆さんだって、何のために百時間もかけて法制局に審査して、徹夜して法律を出すのかという気持ちになりますから、是非これはちょっと考えを改めていただきたいなと。
 これは、今、法令解釈の話だけしましたけれども、周知の問題もそうですよね。
 ちょっとこの後、法務省に周知の話を聞きますけれども、今回の検察庁の定年年齢の延長の話も、これは周知も各省任せだと法制局はおっしゃるわけですけれども、じゃ、任された法務省が何と言っているかというと、前回、大臣、あと刑事局長もこう答弁していますね。国民生活等への直接の影響の有無、またその程度などを総合的に勘案した結果、周知の必要はないと判断したと。
 検察庁の定年延長が国民生活等への直接の影響がないという理由で公表しなくていいんだというんですけれども、国民生活に影響がないといえばないかもしれませんけれども、検事総長が誰になるかとか、これは大きな関心事というか、やはり生活にも影響するんじゃないですか。あと、国民生活等への影響と、等を入れているんですけれども、等というのは何ですか。これは大臣に通告しているので、大臣。

#30
○上川国務大臣 法令の解釈あるいはその変更につきまして、いかなる場合に周知が行われるかにつきましては、国民の生活や権利義務などに対する影響の有無やその程度などを総合的に勘案して判断されるものというふうに承知をしております。
 それでは、その国民生活等への影響の等とは何かということでの問いでございますが、どのような場合に周知が必要となるかにつきましては、個別の解釈変更ごとにそれぞれの事情を総合的に勘案して判断されるべきものでございまして、一概にお答えすることはなかなか難しいというふうに考えております。
 その上で、あえてということで申し上げるところでございますが、国民生活等への影響とは、例えば、国民の日常生活に影響があるものや、また国民の権利義務に影響があるものなどがこれに当たるというふうに考えております。

#31
○高井委員 国民の日常生活には、確かに、検事総長というか検察の定年延長は関係ないかもしれません。権利義務は関係あるんじゃないですかね。
 あと、総合的に勘案したとよくおっしゃいますけれども、これは刑事局長で結構ですけれども、何で検察の定年延長が国民の権利義務にも関係しない、あるいは総合的勘案という言葉、もうちょっと詳しくというか親切にお答えいただけませんか。何で検察定年延長は国民に周知しなくていいんですか。

#32
○川原政府参考人 お答え申し上げます。
 検察官の勤務延長に関する解釈変更は、特定の職員に定年後も引き続きその職務を担当することが公務遂行上必要な場合に、定年制度の趣旨を損なわない範囲で定年を超えて勤務の延長を認めるとの趣旨に基づいて行われたものでございます。
 このように、お尋ねの解釈変更は、あくまで検察官の人事制度に関わる事柄でございまして、国民の日常生活や国民の権利義務に直接影響を与えるものではないと考えたことから、当時、周知をしないという判断に至ったものでございます。

#33
○高井委員 そういう判断をしたということを余り今まで取り上げられてこなかったし、国民の皆さんも知らないと思うので余り怒らないですけれども、今の答弁を国民が知ったら本当に怒るんじゃないですかね、国民生活、日常生活に関係ない解釈変更は周知もしなくていいんだと。
 去年の五月十五日に、元検事総長、松尾検事総長を始め十四名の検察OBの方が意見書を出されていますよね。そのとき、その意見書の中でもこの法解釈はもう成り立たないとはっきりおっしゃっている、あるいは、近代国家の基本理念である三権分立の否定にもつながりかねないと。三権分立、民主主義の否定、これはもう、国民生活、国民の権利義務にめちゃくちゃ直結じゃないですか。
 あと、記者会見でこう述べています、松尾さんは。検察官に一番大事なのは自主独立、ある検察官に定年延長を認め、ほかは認めないとなると、政権が検察に影響を与える余地が生じると。つまり、検察が政権を配慮する、忖度するというようなことが起こったら、それは国民の皆さんも怒りますよ。自分の生活に直結していないかもしれませんけれども。やはり、こんな大事なことを周知しなくていいんだと言い切ることは、どう考えても私はおかしいと思いますけれども。
 刑事局長、これは通告していますので、検事総長からの、これはまた、何か個別の意見書には答えないとか言うかもしれないので、じゃ、もう時間ももったいないので、個別のじゃなくて今私が言った意見ですよ、こんな大事な民主主義の、私も同感ですよ、民主主義の根幹に関わる三権分立を否定するような、そういう重大なことを周知もせずに法解釈を変更するということで、本当にそれで刑事局長はいいんですか。

#34
○川原政府参考人 お答え申し上げます。
 委員のお尋ねは解釈変更の周知の観点だということでお答え申し上げますと、解釈変更の周知につきましては、前回あるいは先ほどもちょっと申し上げたところでございます。当時は、先ほども御答弁したような理由から、周知の必要はないと判断をしたところでございます。
    〔伊藤(忠)委員長代理退席、委員長着席〕

#35
○高井委員 いや、もう全くゼロ回答ですよね。
 私もあえて、この質問は法務大臣ではなくて刑事局長にしてくださいとお願いしたんですよ。刑事局長だって、この後、検事総長になるかもしれない、というか検事総長候補の有力な一人ですよね。そういう方がやはりそんな答弁で本当にいいのかと。
 これは、本当にやはり、当時、検察官の現役の方からも、たしか検事正の方が勇気を持って発言されたりとかしていましたし、これはやはりちょっとよく考えていただきたい。法務省の、今、政権の中の立場、苦しい立場は分かりますけれども、もうちょっと考えていただきたい。
 もう時間が足りませんので、今日のところはこれで終わりたいと思います。
 済みません、それでは最後に、残った時間で法案の質問をさせていただきたいと思います。
 私は、この法案、これもちょっとダイレクトに法案の中身ではないかもしれませんけれども、前回の参考人質疑でも、吉原参考人に聞いたんですけれども、外国資本による土地の買収、とりわけ森林がかなり海外の方に買われているという実態がある、そういった中で、吉原参考人がこうおっしゃったのが非常に私は象徴的だと。お客さんを家に招くときには、なくなって困るものはちゃんと片づけるよねというふうにおっしゃっていました。
 つまり、経済活動は自由なんですよ。自由だけれども、だから、家にいろいろな人を入れてもいい、だけれども、そのとき、自分の家で取られたくないもの、守りたいものは自分でちゃんと守っておくのが当たり前じゃないか、そういう規制が今の日本にはないじゃないかということを示したいい発言だなと思ったんですけれども、この陳述、法務大臣も、その場にはいなかったけれども、聞いていていただいたと思いますけれども、これをどのように受け止めましたか。

#36
○上川国務大臣 先日、この委員会におきまして、参考人質疑に委員の先生方がそれぞれのお立場で極めて貴重な御意見を賜ったというふうに受け止めておりまして、特に、今御指摘いただいた吉原参考人ということで、特に今先生が触れられたわけでございますけれども、この陳述につきましては、大変含蓄のある貴重な御意見だというふうに思っております。
 様々な観点からの、土地の利用また管理の在り方について多角的な観点から議論していくということについても、大変示唆に富んだものではなかったかというふうに思っております。

#37
○高井委員 法務省とすればそのくらいなんですかね。それでは、ちょっと個別に聞いていきたいと思います。
 私はやはり、森林が海外の資本に買収されているという状況が、なかなか、これは看過してはいけないんじゃないかと思うんですが、今日、林野庁に来ていただいていますけれども、外国資本が森林をなぜ取得するのかという、その理由も林野庁に調べていただいていると思うんですけれども、その主な理由を教えてください。

#38
○小坂政府参考人 お答えいたします。
 外国資本による森林買収の状況につきましては、平成二十二年以降、毎年、都道府県を通じて調査を行っております。これまでの累計では、二百六十四件、二千三百五ヘクタールの外国資本による森林買収を把握しております。
 この調査におきましては、取得の目的についても把握することとしておりまして、全二百六十四件のうち最も多いものは資産保有、八十九件でございます。以降、不明が八十件、別荘用地としてというのが二十三件、住宅十六件というふうな中身になっているところでございます。

#39
○高井委員 これは今回の質問のために初めて集計していただいたということで、今、初めて明らかになりましたけれども。
 そもそも、二百六十四件、二千三百五ヘクタールとおっしゃいましたけれども、これは、実は外国資本という定義を狭く取っているんですね。つまり、日本に住んでいる外国人は対象になっていないんですよね、たしか。大体、専門家はこれの数倍あるんじゃないかというふうに言っています。
 狭く取ったとしても、今お答えがあったように、一番大きいのが資産保有、それから不明だと。この二つで百六十件だから、もう三分の二ぐらい占めているわけですよね。これがやはり問題だ。単に持っておきたいんじゃないかみたいなふうに推測している方も多いんですね。特に中国の、あるいは香港が今非常に土地を持つことに厳しくなっているので、もう持っておきたいというだけの理由という方もいると聞いていますし、諸説ありますけれども、いろいろ、それは安全保障上の問題とか、あるいは水源地を、ここを押さえたいんだとか。いろいろそれは諸説あるんですけれども、しかし、やはり我々とすれば一番最悪の事態も想定しておかなきゃいけないわけで、そう考えると、この問題は私は放置してはいけないと思うんです。
 それでは、同じく林野庁に聞きますけれども、この外国資本が取得した森林のうち、放置をされてしまっている、つまり、さっきも言ったように、住宅とか別荘にするのはいいんですよ、資産をただ保有しておきたいみたいなケースは、あるいは不明のケースは、そのままほったらかして放置されている。そうすると、森林というのはちゃんと定期的に管理しないと災害の原因にもなりますから、放置されたら困るんですけれども、放置されている割合というのはどのくらいなんですか。
 あと、通告していますけれども、どの国の方、国籍の方がそういう行動を取っているかも併せて教えてください。

#40
○小坂政府参考人 お答えいたします。
 取得後に放置しているかどうか、そういった観点からの調査は行っておりませんが、議員御指摘のとおり、取得後直ちに手が加えられていないというふうに考えられます、取得目的が資産保有であるとか、不明であるとか、未定である、そういったものが全二百六十四件中百七十八件と、七割近くを占めております。
 また、この資産保有等とされた百七十八件を国、地域別に見ると、最も多いのは香港の六十八件、以降多い順に、英領バージン諸島二十二件、シンガポール二十件、オーストラリア十五件というふうな状況になっているところでございます。

#41
○高井委員 ありがとうございます。
 この国がどうなのか、これもやはりもうちょっと分析が必要だと思うんですが、ちょっと時間がなくなってきましたので、もう一つ林野庁に聞きたいんです。
 これは、私は、解決策の一つの案としては、今の森林取得の届出は事後届出なんですね。でも、事後届出だと、やはりどうしても、そもそも届けているかどうかも分からないようなケースもあるでしょうから、やはり事前届出にして、同じ届出でも、やはり事前に出していただくことでいろいろな要件の審査なんかもできますし、これはやはり事前届出にすべきじゃないかと思いますが、いかがですか。

#42
○小坂政府参考人 お答えいたします。
 この届出制度は、平成二十三年森林法改正によって、新たに森林の土地の所有者になった者に対して、市町村長への事後届出の義務を課させていただいているところでございます。
 この届出制度をどういった観点で設けましたかといいますと、市町村が、例えば間伐が遅れている森林、その所有者に実施を促すなど、いろいろな行政指導を森林法に基づいて行う必要があります。そういった意味では、所有者の土地情報を、事前では確定していないわけですから、やはりその土地の所有者が誰かという結果を、異動の確定している情報を取る必要があるということから、事後届ということにしているところでございます。

#43
○高井委員 事後届出にする理由は分かるんですけれども、併せて、事前事後、両方やるのか、ちょっと、やはり規制が弱いと思うんですね。
 それで、最後に法務大臣に聞きたいと思いますが、私、今、森林の話ばかりしましたけれども、森林に限らず、やはり、外国資本による土地買収がどんどん増えているということは、これは一方で、所有者不明土地が増えることにもつながると思うんですね。今言ったように、ただ資産を持っておきたいみたいな方は、何というか、あと、外国の方が買うと、相続とかの関係で、もうどこに行っちゃったか分からないというケースがやはり多いそうなんですね。そう考えると、やはり、今回の法案のテーマでもある所有者不明土地が増えるということも想定されます。
 海外をいろいろ調べてみると、やはり多くの国が、欧米諸国が、外国資本による土地の買収を規制する法律というのを作っているんですね。ようやく日本も、この後、内閣官房が今準備している法案が出てくるようですが、あれは非常にやはり範囲が狭いですよね、国防上重要なという観点で。私は、やはり安全保障という観点から見ても、森林も大事だし、あるいは水源地なんというのは非常に大事だと思うんですよね。
 こういうことで、やはり広く外国資本による土地買収を規制する法制度を、せめて諸外国並みに、諸外国をしっかり参考にしていただいてつくるべきだと考えますが、法務大臣の見解をお聞かせください。

#44
○上川国務大臣 あくまでも一般論として申し述べるところでございますが、特定の行政目的に基づく、その達成に必要な範囲で、外国人の土地取得について規制を設けることはあり得るものと考えております。
 もっとも、その場合には、規制の対象とされた外国人の財産権を制限することとなるため、権利の制限目的が正当であるか、制限手段が必要かつ合理的と言えるか否かの観点からその可否を検討する必要があると考えられます。
 土地を所有する外国人は、土地を所有する日本国民と同様に国内外に広く所在しているところ、御指摘のように、所有者不明土地の発生予防の観点から外国人のみを対象として土地の取得を規制することに関しては、制限目的の正当性や、また、制限手段の必要性、合理性の観点から、より慎重な検討が必要になるものと考えられます。
 なお、外国人のみに対象を限定せず、防衛関係施設や、また、国境離島等の機能を阻害する土地等の利用を防止することにより安全保障の確保等に寄与することを目的とする法案の検討、これが今内閣官房においてされていると承知をしておりますが、法務省といたしましても、民事基本法制を所管するという立場から、引き続きその検討に協力してまいりたいと考えております。

#45
○高井委員 私権制限で難しいという話ですけれども、それは諸外国も一緒ですから、でも、諸外国はやっていますから。
 是非これは、我々国民民主党は法律を今準備、作ろうと思っています。是非それも御検討いただきたいと思います。
 終わります。ありがとうございました。

#46
○義家委員長 次に、階猛君。

#47
○階委員 立憲民主党の階猛です。
 法務大臣にまず最初にお尋ねしなくてはいけないことがあります。通告しておりませんけれども、昨日の河井元法務大臣の公判で、御自身の公職選挙法違反の罪を大筋で認めたということがありました。法の支配を守るべき法務大臣にあった者が法を犯したことを自ら認めたわけです。同じ法務大臣としてどのようにお考えになりますか。お答えください。

#48
○上川国務大臣 現在、公判係属中の個別事件でございます。法務大臣として所感を述べることにつきましては差し控えさせていただきます。

#49
○階委員 これは本当に大きな問題だと思いますよ。法務大臣としてあってはならないことが起きたと思っております。またしかるべき時期にこの点についてはお尋ねしたいと思います。
 以下、通告に沿ってお聞きしていきますが、三月十七日、私の質疑の中で、検察審査会法の条文解釈についていろいろ質問をしました。大臣からは、一般論として前置きしたとしても誤解や疑念を招きかねないという理由で法解釈について答弁がなされなかったり、あるいは刑事局長からは、裁判所の判断が示されていないなどという理由でなかなか答弁がなされなかったわけです。
 検察審査会法を所管する法務省が条文解釈を示さなければ、法の運用が透明性や客観性を欠くことになると思います。
 昨日も我が会派の松平委員から、内閣及びその下にある国の行政機関は、憲法七十三条一号により法律を誠実に執行しなくてはならないから、所管法令の執行に当たってその解釈を行うことはむしろ当然の職責だという文献の紹介もありました。
 法の支配を守るべき法務大臣として、今後は所管法令の解釈については簡潔明瞭にこの委員会で答弁していただくことを約束していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

#50
○上川国務大臣 法務省が扱う法令につきましての解釈につきましては、必要な範囲で対応してまいりたいというふうに思います。

#51
○階委員 必要な範囲でというのは、あくまで私たちが判断することで、これは、検察審査会法三十五条の必要な資料というのが前回問題になりましたけれども、我々が、所管する法令の解釈についてどうなっているんだと伺ったらば、それに対しては政府としてきちんと答える義務があると思っています。
 この点について、昨日、理事会の中でも、官房長にも確認したところなんですけれども、大臣からも、その解釈については、所管するものについてはきちんとお答えするということをおっしゃっていただけませんでしょうか。

#52
○上川国務大臣 今委員から非常にシンプルに御質問いただきましたが、多くはそれぞれ個別の案件に関わることに関連してということが多いという状況もございまして、なかなか一般論ということについては言いにくいというか、その影響が及ぶということの判断の中で厳しい状況があるということについて十分御理解をいただいていると思いますが、法務省が関わる様々な法律のそれぞれの解釈については必要な範囲内で基本的にお答えをするということについては、そのような姿勢で臨みたいと思っております。

#53
○階委員 私も一般論としてお尋ねしますので、きちんとお答えいただければと思います。
 前回、法の解釈のやり取りで時間を取られてしまったので、中途半端な終わり方になってしまったので、最後のところを改めて法務大臣にお尋ねします。
 大臣から、最後の答弁ですけれども、委員の方から個別案件ということで指揮権に関わる文言がありました、それ自体が検察の活動に重大な影響を与えかねないという答弁がありました。これは、検察庁法十四条一項ただし書の法務大臣に関することなんですけれども、「個々の事件の取調又は処分については、検事総長のみを指揮することができる。」とする、いわゆる個別指揮権に関する条文を念頭に置いた答弁だというふうに理解していいのかどうか、まずはこの点について簡潔明瞭にお答えください。

#54
○上川国務大臣 今の委員の御質問に対しましては、一般的な指揮権に関しての答えということでございます。

#55
○階委員 一般的な指揮権について、そうすると、ただし書の問題ではないということでいいわけですか、この答弁については。それでいいんですね。

#56
○上川国務大臣 私のそのときの答弁ということで御質問ということでございますが、一般的な指揮権の範囲ということで、ただし書ではございません。

#57
○階委員 では、条文上、一般的な指揮権はどのような場合に行使できると定められていますか。

#58
○義家委員長 速記を止めてください。
    〔速記中止〕

#59
○義家委員長 速記を起こしてください。
 上川法務大臣。

#60
○上川国務大臣 検察庁法の十四条に係る事項ということでございますが、これは、法務大臣の指揮監督に関する規定ということでございます。
 第四条、第六条に規定する検察官の事務に関し、検察官を一般に指揮監督することができるという規定でございます。

#61
○階委員 そうすると、別に、それ自体が検察の活動に重大な影響を与えかねないということは、どこにも要件として書かれていないわけですね。
 なぜ、検察の活動に重大な影響を与えかねないということで指揮権の発動を控えるといった趣旨の答弁がなされたのか。私は、この点について、法の解釈を、どうなっているのかということをお伺いしたいと思うんですけれども、お答えいただけますか。

#62
○上川国務大臣 ちょっと、先ほど私、答弁する前に、少しそのときのことについて説明をさせていただいたつもりでございましたけれども、あのときの御質問の中で、個別的な案件という形で全体の構成がございまして、それに係ることについて、あえて一般的に申し上げますとということで御答弁させていただいたつもりでございますが、全体のテキストというかストラクチャーというか、構成がそういう構成でございましたので、ここだけ、ここだけということでなく、全体の中で捉えられるということも考えまして、今のような、この間のような答弁をした次第でございます。想起させるようなことになってはこれは困るということもございました。

#63
○階委員 もう一回お尋ねしますよ。
 先ほど大臣が読み上げられた一般的指揮権の条文の文言には、どこにも、検察の活動に重大な影響を与えかねない場合は指揮権を行使してはならないということは書いていないわけですよね。ならば、なぜ、あのとき、重大な影響を与えかねないという文言が出てきたのかということが分からないわけですよ。どこからそれは導かれたものなんでしょうか、お答えください。
 これは大臣が御自身で言った答弁ですから、やはりこれは責任を持って発言されるべきですよ。だから、私、大臣に聞いているんです。お答えください。

#64
○上川国務大臣 今、条文の文言を読み上げさせていただきまして、その中には重大なという文言はございませんので、それが要件であるということではございません。
 しかし、この間の質問の中、全体的な質問の中が、個別的な案件を一つベースにしながら構成をしていたということもございまして、私自身の答弁そのものがそうしたことに影響が及ぶ可能性については全く否定ができないということもございましたので、そのようなことで、答弁については配慮して申し上げた次第でございます。

#65
○階委員 私はあえて一般論で聞きますけれども、一般論として、一般的指揮権を行使する場合に当たるかどうかということでいうと、特に条文上は制限がないわけですね。そういう中で、主権者である国民の代表から成る国会から信任を受けて、法務大臣として仕事をされているんだと思います。まさに国民のために仕事をするのが大臣の職責です。
 国民は主権者ですから、その主権を脅かすような事案については、法務大臣は当然に、検察に適切な対応を求めるのが職責だと思いますけれども、そこは御同意いただけますか。

#66
○上川国務大臣 いずれにしても、指揮権の発動というのは極めて慎重にすべきことであると私は心得ております。検察権の行使そのものが国民の権利に深く関わる事柄でございますので、その意味で、極めて慎重かつ抑制的に考えていかなければいけないというふうに考えております。
 条文の内容につきましては、要件には入っておりませんが、総合的にいろいろなこうした状況を考えながら、先ほどのような姿勢で臨ませていただいておりますので、これからもそうした姿勢で臨んでまいりたいというふうに考えております。

#67
○階委員 抑制的に行使するのは私も異存ありません。
 ただし、検察が職権を果たさないでいて、それによって民主主義の根幹、とりわけ選挙の公正が疑われるようなことがあってはならないと思っております。これはもう、前回も、その前にも指摘したとおりでございます。
 今回、河井克行被告も自分で罪を認められたという中で、被買収の方はいまだ処分がはっきりしていないわけですね。もし、こちらも、普通は必要的共犯なので有罪となる可能性が高いと思いますが、そうなった場合は公民権停止となって選挙運動は当然できないわけです。また、地方議員であれば地位も失うわけです。そうした人が今回の再選挙に出馬する自民党の候補予定者の選対会議に出席しているということで、このまま選挙に突入すれば、そうした方が選挙に関わって、何のために再選挙を行うのか、買収事件で損なわれた選挙の公正を再び損なうことになるのではないかというふうに私は危惧しております。
 まさにこの民主主義の基盤が脅かされているような事案なので、そのことも踏まえた上で、先ほど慎重に行使するとおっしゃいましたけれども、検察庁法十四条一項に定める大臣の指揮権というものを考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

#68
○上川国務大臣 今委員の方から、個別具体的な事案に関し、委員の御意見という形で受け止めたところでございます。
 個別案件の具体的な指揮権の行使に関わる事柄でございまして、それ自体が検察の活動に重大な影響を与えかねないということでございますので、お答えにつきましては差し控えさせていただきたいと存じます。
 先ほど来の条文に照らして、しかも抑制的に、しかししっかりと考えながら行動してまいりたいというふうに思います。

#69
○階委員 最後に、大臣、重要なことをおっしゃったと私は思います。
 やはり、大臣は私たちの信任を受けて国民のために働いている存在ですから、法務省の役人の人たちがいろいろ言ってくるかとは思うんですが、御自身の判断で、御自身の考えで、やはり、国民のために必要だと思うときには、この条文には何ら反していないわけですから、文言には反していないわけですから、しっかり指揮権を行使していただきたいということを申し上げます。
 さて、その上でなんですけれども、この法案について話を進めていきたいと思います。
 私、被災地の復興にずっと携わってまいりまして、今年で震災から満十年になります。所有者不明の土地問題がクローズアップされたのもこの震災復興が契機だったわけですね。高台移転や防潮堤の用地を確保する際に、相続登記が長年行われてこなかったために、法定相続人の数が膨大となって、所在を突き止めて用地買収の同意を得るのに大変な労力がかかったわけです。
 これを解決するために、所有者不明土地の収用については、公告をして異議申出がなければ速やかに事業に着手できるようにしたり、法定相続人の多数が不明な場合であっても、財産管理人を一人選べば、現存する相続人との間で遺産分割協議を行えるようにしたりといったことを仲間の議員と一緒に提案し、七年前から国会に提出してきたという経緯もあります。
 ところが、政府は、財産権の保障に関する憲法の規定であるとか、双方代理、利益相反を禁止する民法の条文を根拠に、立法化に消極的だったわけですね。
 今回の法案の中で、特に、所有者不明土地の利用の円滑化を図るという部分の多くは被災地が長く待ち望んでいたものではありますけれども、余りにも立法までの時間がかかり過ぎたのではないかと考えております。なぜこれだけの時間がかかったのか、大臣からお答えをいただきます。

#70
○上川国務大臣 所有者不明土地問題につきましては、全国的な規模で起こってきております。と同時に、十年前の東日本大震災におきまして、土地が流失し、また、地籍関係も含めて情報が流失してしまった。様々な要因がございました上に、復旧復興を地元の皆さんの御努力、また様々な関係者の御努力によりまして、ステージを、少しずつ段階をしながら取り組んできたところでございます。
 当時も、所有者不明土地等の存在によりまして円滑に用地取得が進まず、それに対する対応が大きな課題となった。このことを契機といたしまして、この問題が更に広く認識をされ、そして、政府におきましても、また、それぞれの議員の中でも、大きな問題意識と、そして課題解決に向けての御努力がなされてきたものと承知をしております。
 私も、東日本大震災の復旧復興の現場に行かせていただいた折に、本当に、高台移転のところを一つ取ってみても、様々な困難や課題があって、なかなか一人一人の努力では難しい場面もございました。その辺のことについても十分に私も認識しながら、私自身も取り組んできたところでございます。
 時間がかかったというふうにおっしゃられればそのとおりかもしれません。この間、運用の過程で、また、様々な、短期で取り組んで成果を上げていくことについては、随時にわたりまして御審議をいただいて、そして形を作ってきたところでございます。いよいよ、中長期的なところの部分も含めて、総合的な政策という形で、パッケージで今回お出しをさせていただいたところでございます。
 この民事基本法制の見直しにつきましても、平成三十一年二月に法制審議会に諮問を行いまして、二年かかったわけでございますが、委員の方々からも精力的な御議論をいただくことができまして、本年の二月の答申となったところでございます。その内容の部分につきましては、多くの重要な課題が含まれておりまして、その中には、委員が長年御指摘いただいたこともこれにしっかりと盛り込ませていただいてきたところでございます。
 長い間議論を積み上げて法案提出までに至ったということについては、これについては、もっと短くできなかったかという思いもありますが、皆様の御努力の末ということでございますので、何とか、今回、重要な課題として、成立に向けまして全力で努力をしてまいりたいというふうに思っております。

#71
○階委員 またいつどこで大きな災害があるかも分かりませんので、今これをやることの意義は否定するものではありません。ただ、被災地からは、もっと早くやってほしかったという声があるのも事実です。この点も是非受け止めていただきたいと思っております。
 また、私たちが提案したものについて、次回、機会があれば御紹介していきたいと思っています。
 そこで、今回の法案について、大きく分けると、今申し上げました利用の円滑化を図る部分と、そもそも所有者不明土地が発生しないよう予防する方策と二つあるわけですね。
 予防する方策の中で、私の資料の一ページ目ですけれども、上の方、2の「登記名義人の死亡等の事実の公示」というものが入っていますね。これ、「登記官が他の公的機関から死亡等の情報を取得し、職権で登記に表示する。」というふうに書かれています。
 二ページ目を御覧になっていただくと、これは法務省に、じゃ、これをどのように進めていくのかということを聞いたらば、こうした、住民基本台帳の情報を取得するとか、固定資産課税台帳の情報提供を受けるとか、以下いろいろ書いておりますけれども、このやり方で本当に、所有者が既に過去亡くなっているものも含めて、全国で二億筆以上あると聞いていますけれども、そうした膨大な不動産について作業を完了できるのかどうか、私はちょっと不安に思っていますけれども、作業完了はいつ頃になるのかということを教えていただけますか。

#72
○上川国務大臣 今般の不動産登記法の見直しにおきましては、登記官が他の公的機関から所有権の登記名義人の死亡情報を取得をして、これに基づいて不動産登記にその旨を符号によって表示する制度、これを新設したところでございます。
 この死亡情報につきましての符号の表示制度でございますが、住民基本台帳、また固定資産課税台帳のほか、長期相続登記等未了土地や表題部所有者不明土地の解消事業、また登記所備付け地図作成事業など、様々な情報源、これを基に実施することを想定しているところでございます。
 こうした多くの情報源からの情報に基づきまして、死亡の事実が登記記録に反映されるように努めていくところでございますが、現時点で、いつまでに全ての不動産登記に死亡の事実を反映させることができるのかということにつきましては、なかなか見通しをすることができないところでございます。この符号の表示を広く行うことができるように、費用対効果もございますので、複数の情報源から情報を取得すべく、積極的な検討を重ねてまいりたいと思っております。
 第一段階を実施することによりまして、データの状況が、少しデータも出てきますので、PDCAのサイクルを少し回しながら、それについて予測を少し立てながら、体制の整備も含めて、対応してまいりたいと思っております。

#73
○階委員 私は、所有者不明土地問題の解消に当たって、これは入口の問題ですけれども、肝腎なことはその後だと思うんですね。ちゃんと遺産分割がされて、相続登記がされる、そこまでいかないと所有者不明の土地問題の解消にならないわけで、この入口のところに膨大な労力とか費用、こういったものをかける必要があるのかどうかというのももう一度考えたいと思うんですね。
 私は、もしこれをやる意味があるとすれば、今、市町村は、固定資産税を徴求するときに、固定資産課税台帳というのがあるわけですけれども、この情報が、不在地主であったりすると、死んだということが地元のその不動産がある市町村には伝わっていなかったりして、死んだまま課税者になっているわけですね。死亡者課税という問題があるわけです。この死亡者課税をなくしていくために、まず登記の方で死亡の事実がきっちり反映される、そしてその反映された情報が不動産のある市町村に伝わって、そして死亡者課税の問題が解消されるということであれば、これは、所有者不明の土地問題とはまた別な意味で、やる意義があるのではないかと思っています。
 この点について、この制度改正によって死亡者課税が解消されるのかどうか、川窪参考人、お願いします。

#74
○川窪政府参考人 お答え申し上げます。
 市町村は、様々、相続等の事実の把握に取り組んでいるところでございますけれども、固定資産税の納税義務者につきましては、御指摘のとおり、必ずしも課税団体内に住所を有するとは限らず、結果として、死亡の事実を把握する手段が限られるという場合がございます。こうした場合に、死亡者を名宛て人とした納税通知書が送付をされまして、それが戻ってくるといったことを通じて初めて死亡の事実を知ることとなるといったケースも生じてございます。
 固定資産税の適正な課税のためには、市町村において死亡の情報を適時に把握するということはとても重要なことでございます。こうした観点から、今般の法改正によりまして登記名義人の死亡等の事実が表示をされることとなりますと、それを契機として、市町村において、真の納税義務者を把握する調査を行うなど、死亡の事実と相続人の把握がより行いやすくなるものと考えておりまして、そういう期待をしているところでございます。

#75
○階委員 この死亡者課税で固定資産税の徴求に困難を来している自治体が増えている、そういう案件も増えているということを聞いていまして、これは市町村の財政にとっても大きな問題だと思っています。
 ですから、この問題を解消するためにも、先ほど、いつまでに完了するのかなかなか見通せないというお話でしたけれども、これは早くやっていただいて、そこで蓄えた情報を市町村に還元してもらう、そういう体制にはなっているということでいいんですよね。さっきのペーパーによりますと、登記所に固定資産税の情報は行くけれども、逆方向の情報はちょっと書かれていなかったので、念のために確認しますけれども、この登記によって、死亡があったという事実はちゃんと市町村には行くということでいいんですよね。

#76
○上川国務大臣 このシステム全体は相互に情報が交換できるということでございまして、法律にのっとって既にそうしたことの情報がやり取りされていると承知をしております。
 これによりまして、更に加速することができるようにしてまいりたいと思います。

#77
○階委員 川窪参考人、それで間違いないですか、お答えください。

#78
○川窪政府参考人 お答え申し上げます。
 具体的なやり取りの仕組み、実務上の進め方については協議中でございますけれども、できる限り情報を適時に共有しながら課税事務を進めていけるように進めてまいりたいと考えております。

#79
○階委員 ちょっとこれは、私はてっきり、この登記の情報、死亡しましたという事実が登記されると、これはちゃんとその情報は市町村に行くかと思っていましたが、協議中なんですね。どっちなんですか。

#80
○上川国務大臣 システム上の取扱いについての協議はされておりますが、もう既に紙ベースではそういうことのやり取りをしていると承知をしております。ちょっと担当に確認させますが。

#81
○階委員 これはちょっと、私、総務省と法務省でちょっと見解に食い違いがあるような気がしたので、後で、文書でも結構ですので、どういう体制になっているのか、教えてください。(上川国務大臣「もう一回、民事局長から」と呼ぶ)民事局長、じゃ。

#82
○小出政府参考人 補充してお答え申し上げます。
 現行でも、登記の所有者情報と税の関係で情報のやり取りを行う、そういうシステムはもう構築しておりまして、実際に行っております。
 ただ、議員御指摘の、登記名義人が亡くなった場合のその情報のやり取りについて、具体的にどのようにして情報のやり取りを行うかということについては協議をしているということでございます。

#83
○階委員 そこは早急に詰めていただいて、せっかくこれをやるのであれば、死亡者課税もなくなるような、そういう仕組みを整えていただきたいと思います。
 さて次に、今回、相続登記の義務化というのが盛り込まれていますけれども、亡き登記名義人の法定相続人の範囲を誰もが容易に知り得る仕組み、これが必要だと思うんですね。
 私も、相続登記のときに司法書士さんに頼りまして、ようやく相続人の範囲を知り得たと。弁護士の私でも、結構、二代ぐらい相続登記していなかったものですから、調べるのが大変だったので司法書士に頼らざるを得なかったんですね。
 こういうところで、やはり、相続登記がなかなか義務化されても進まない、また所有者不明土地もなくならないということになると思うので、法定相続人の範囲を誰もが容易に知り得る仕組みというのが必要ではないかと思っていますけれども、その具体的な方策について考えていらっしゃるのかどうか、これは参考人からで結構ですので、お答えください。

#84
○小出政府参考人 お答えいたします。
 委員の問題意識、受け止めさせていただきますが、相続登記におきましては、相続があったことを証する書面として、戸籍謄本により法定相続人を確認する必要がございます。婚姻等により被相続人の戸籍から除籍されて新戸籍が編製されている場合もございまして、その場合には、そのつながりを複数の戸籍から確認する必要がございます。
 そして、その戸籍について、現在、それぞれのデータの関係性がひもづけられているわけではないということでございまして、そのため、現状におきましては、誰もが法定相続人の範囲を容易に知り得る仕組みを構築するといったことは困難なのではないかと考えております。

#85
○階委員 実は、この点については、山下法務大臣のときに戸籍法の改正が行われたときに、戸籍証明書の広域請求というのが設けられたんですね、つまり、わざわざ戸籍地まで行かなくても戸籍謄本を取り寄せられるというような仕組みが導入されたわけですけれども、この広域請求を、自分に関わる部分だけではなく、法定相続人を知るのに必要な範囲で認めてあげればいいんじゃないかという提案をしたんですが、ちょっとそのときに明確な答弁は、山下法務大臣にしては珍しくなされなかったというふうに受け止めました。
 私、昨日もこの議論を党内の部会でやっておったんですけれども、やはり、この問題については、司法書士の皆さんでもなかなか悩ましい問題だというふうに自覚されているようでした。
 私としては、この戸籍証明書の広域請求を、自分に関わる部分だけじゃなくて、戸籍が離れてしまった人たちでも、法定相続人、いらっしゃるわけですから、そういったものについても認めてあげるということをやるべきではないかと考えています。
 これは、大臣、ちょっと、もし見解があれば伺いたいと思いますが、参考人でも結構ですよ、その戸籍法のときの議論がもしお分かりであれば。もし分からないようであれば提案にとどめますけれども。

#86
○小出政府参考人 戸籍の内容を証明書等の形で請求できる者というのは、要件が限定されて制限されております。これは、戸籍に記載されている内容がプライバシーに関わることだということでございますので。
 もちろん、平成二十九年から、法定相続情報証明制度という形で、自らの取得し得る戸籍謄抄本を取りやすくして、今後の手続、いろいろ使いやすくするというような、使い勝手のよさというのは検討しておりますけれども、それを超えまして、誰もが戸籍の内容を容易に見ることができるんだというような制度の構築につきましては、先ほども申し上げました、戸籍の謄抄本を見られる者の範囲の問題、それからプライバシーとも関わりますけれども、そういった検討すべき課題があるのかなというふうに考えております。

#87
○階委員 誰もがというよりは、要するに、自分が関係する相続について、その法定相続人が誰なのかを全て知り得るというような体制を整えた方が、この所有者不明の土地問題の解消にはつながるだろうということで、山下法務大臣のときにそういう提案をしています。いま一度考えていただきたい。
 今、法定相続証明制度でしたっけ、この御紹介もありましたけれども、その普及促進を図る上でも、相続人の範囲が分かっていないと、これは使えないんです。全員の謄本をそろえないと使えないんですよ。だから、これを普及させていく上でも、今申し上げたような制度というのは重要ではないかと思っていますので、是非、大臣、考えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

#88
○上川国務大臣 広域請求の活用の仕方ということで御提言があったというふうに承りましたけれども、少し考えてみたいと思います。

#89
○階委員 ありがとうございます。
 それでは、だんだん時間がなくなってきたので、ちょっと途中をはしょりまして、通告の番号でいくと十番以下に進みたいと思います。
 私の資料の四ページ目、最後のページですね、御覧になっていただきたいんですが、今度は利用の円滑化を図る方策の中で、上の方にアンダーラインを引いている部分があります。「所有者不明土地管理人は、裁判所の許可を得れば、所有者に代わって所有者不明土地を売却することができる」、その下、「所有者不明建物についても、土地と同様、」というふうに書いていますが、所有者不明土地とか建物のこの管理人による対象不動産の売却について、裁判所の許可が与えられる要件はどうなっているのかということをお尋ねします。

#90
○小出政府参考人 お答えいたします。
 今、委員から御指摘がございましたとおり、所有者不明土地等の管理人がその土地等を売却するためには、裁判所の許可を得なければならないとされております。
 裁判所の許可の要件につきましては、個別の事案に応じて判断する必要がございまして、これは改正案に具体的に規定はしておりませんが、所有者不明の不動産の適切な管理を実現するとともに、その円滑、適正な利用を図るという所有者不明土地・建物管理制度の趣旨に照らし、その売却が適正な土地又は建物の管理の観点から相当であるかどうか、不明とされた所有者の帰来の可能性があるかどうかということも踏まえまして……(階委員「何の可能性」と呼ぶ)所有者が帰ってくる可能性があるのかどうかということも踏まえまして、その売却によって所有者の利益を害することにならないか、また、売却代金は相当かなどの観点から、売却の許否が総合的に判断されることになると考えております。

#91
○階委員 そういった土地とか建物の中には、借地人とか借家人が存在するような場合もあると思うんですね。
 私の地元で、こんなふうな事例があったんですね。相続人のいない地主さんが亡くなったケースです。そこで、相続財産管理人が選任されまして、家裁の許可、現行法の下での許可ですけれども、家裁の許可を得て、相続財産である一団の土地をある不動産業者に売却しました。
 そこには、借地人もたくさんいらっしゃいます。借地人の方に対して、その購入した不動産業者が、借地の境界線上に有刺鉄線を張り巡らせたり、一家団らんの時間に突然訪問して地代の引上げを求めるようなことを言ったり、あるいは、鉄パイプなどの資材を近隣に置いたり、露骨な嫌がらせをしているといったようなケースがあって、非常に借地人の方々は心身共に疲弊している。私が推測するに、そうやって圧力をかけることによって、自発的に退去するように仕向けているのではないかと思っております。
 こうしたケースが、今回こうした新たな制度が導入される中で、今後も各地で起きてこないとも限りません。なので、仮にですけれども、悪質業者に売却されたという場合には、一旦行われた裁判所の許可について異議申立ての機会を、例えば借地人とか借家人の人たちには、利害関係人だとして異議申立ての機会を与えるべきではないかと思いますけれども、こういった仕組みは今回設けられているんでしょうか。

#92
○小出政府参考人 お答えいたします。
 所有者不明土地、所有者不明建物管理人は、裁判所の許可を得て土地、建物を売却等をすることができますが、この裁判所の許可には、不服を申し立てることができないとされております。そのため、御指摘の事案で、借地借家人等の利害関係者、これは当該裁判所の許可に不服を申し立てることができないことになります。
 もっとも、適法に賃借権を有し、借地借家法等による対抗要件を具備する借地借家人は、その賃借権をその土地又は建物の譲渡を受けた第三者に対して行使することができますので、有刺鉄線を張ったりバリケードを張ったりということに関しましては、対抗要件をもって、そういった行動を取らないよう請求することができるということでございます。
 また、いずれにいたしましても、裁判所が売却を許可する際には、その土地、建物の利用状況を踏まえ、土地、建物の管理を適切に行う観点から、また、管理人に現実にその土地がどのように使われているかといった状況も聴取した上で適正な判断をすることになりますので、その売却許可の処分をすることが妥当でないという判断をすれば、裁判所はその許可をしないということになるかと思います。

#93
○階委員 もちろん、事前にちゃんと調べた上で許可をするというのは、私も当然やるべきことだと思います。ただ、そうはいっても、人間がやることですから、後から、問題ないケースだと思っていたけれども実は問題だったということもあるわけで、後戻りの道というのもつくっておかないと危険ではないかと思うんですね。
 こうした後戻りの道というのはなぜ設けられないのか。逆に、普通は、異議申立ての機会というのは、裁判所の判断についてあってもいいんじゃないかと思うんだけれども、なぜ今回設けられていないんでしょうか。

#94
○小出政府参考人 この問題は、裁判所が許可して土地、建物を売却したというケースにとどまらず、任意に譲渡、売却した場合も同じでございまして、その場合に、事後に、売却した相手が悪徳業者というか、売却した相手方に事後的にそういう行動が判明したからといって、その後、その成立した売買等の法律行為を覆すことができないという意味で、今回のこの改正案の内容も、その売却の許可には不服を申し立てることができないとされたところでございます。

#95
○階委員 対抗要件を具備した賃借人は保護されるというのは、私も法律家ですから重々知っていますけれども、その法律の抜け穴を突くような形で悪質な業者が嫌がらせをしてくるわけですよ。そこは、事後的に分かった場合でもちゃんと是正できるようなことをやるべきだと思いますよ。
 かつ、この所有者不明不動産の国庫帰属の制度というのが今回設けられますね。そして、その国庫帰属のためには、厳しい要件、すなわち、通常の管理又は処分するに当たり過分の費用又は労力を要するようなケースは駄目だということで、厳しい要件が課せられているわけです。それぐらい国庫に帰属することを避けようという姿勢がうかがえるわけですけれども、所有者不明不動産が国庫になるべく帰属しないようにするために、所有者不明土地あるいは建物の管理人に売却をなるべくさせよう、売却を強いるような運用となってしまうと、私は今言ったようなトラブルがどんどん増えてくると思います。
 なので、こうした運用を避けるように、法務大臣からも、この制度を導入するに当たってお考えをしっかり示すべきだと思いますが、最後、いかがでしょうか。

#96
○上川国務大臣 所有者不明土地・建物管理人は、原則として対象不動産の売却権限を有さず、管理人が対象不動産を売却しようとする場合には裁判所の許可を得なければならないのでありまして、裁判所は、売却の必要性や売却条件の相当性等について審査した上でその許否の判断をすることになります。そのため、その売却が妥当ではない場合に、所有者不明土地管理人がその土地の売却等を強いられるといった事態は生じないものというふうに考えます。
 現実の社会は全ての規律の中で完璧に動くということでございませんので、いろいろな事態も想定しながらということについては、委員から御指摘にありました、具体的なケースということでお示しいただきましたけれども、ひとつ参考にさせていただきたいと思います。

#97
○階委員 是非、裁判所の許可が元になって、今まで平穏に暮らしていた方々が不幸のどん底にたたき落とされることがないように、しっかりここは把握し、必要な対応を取っていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
    〔委員長退席、宮崎委員長代理着席〕

#98
○宮崎委員長代理 次に、寺田学君。

#99
○寺田(学)委員 立憲の寺田です。
 先週に引き続き質疑の機会をいただきまして、ありがとうございました。
 大臣、質問はしませんけれども、先週質疑させていただいた性同意年齢以下の子供に対する性犯罪の件なんですけれども、ここで質疑をしたこと、そしてまた警察の方にもしっかりと具体的なことを相談したこともあって、性同意年齢以下の子供が、寝ている間に自分の意識なくわいせつ行為をされた件ですけれども、当初、警察の方は、本人に聞かない限り被害届を受け取らないということだったんですが、一転、方向を転換をして、聴取なしでしっかりと手続を進めるということと、検察とも事前に協議をした上で子供の気持ちを大事にしてやっていくという話でした。
 質問したこともあってネット上でもいろいろ言われまして、同様のケースがやはり全国にもあるなということが思ったことの一つと、あと、今回の具体的な取調べを行った警察の方は別として、警察、検察、加害者の弁護人、被害者の弁護人、裁判、それぞれの持ち場で職業的な使命を果たそうと頑張られているのは理解するんですけれども、やはりどこかで被害者であったり子供の傷というものが劣位に置かれて、皆さんの職業的使命が優先されて、二次的な被害が起こるということでした。
 ですので、そういうこと、もちろん専門の方々は専門の立場でやられるのは十分承知し、尊重したいんですけれども、今一番欠けている、そういう被害者の気持ちであったり子供の傷ということに対して第一に立って、本件というか、こういう問題に対しては取り組んでいきたいと思っておりますし、今回、それをきっかけに、党の方でも、階さんの了解を得ましてワーキングチームができて、そこの責任者にもなることができましたので、宮崎さん含めて他党の方々からも御指導いただきながら、しっかりこの問題に取り組みたいと思います。
 本件に移ります。
 私は秋田ですので、所有者不明の土地というものが結構目にはつくというか、かなり目につくところなんですが、今回、そういう意味で、そういうところをしっかりと、大きく今まで抱えていた問題を解決すべく、法律を作り、解決の道を進もうというその姿勢と方向性は十分に評価しますけれども、質疑ですのであえて様々な観点から指摘をしたいと思いますけれども、本当にこれが実効的であるのかということを、法案の内容を教えていただきながら感じるところです。
 先ほどのこともそうですけれども、言葉がいろいろ難しくて、まさしくここの場にいられる法曹関係者だったり、法務省としても、法律には非常にたけている方々で組み立てられているので、そういう言葉遣いであったり組立てはあるとは思うんですが、なかなか、当該当事者たちに、果たして、この制度自体が生まれたときに、実効的に動いて働きかけになるのかどうかということは非常に疑問に今思っています。
 所有者不明土地という話ですが、広く言うと、ほったらかしですよね。土地をほったらかしている。それが問題になっているので、どうしましょうかということなんですけれども、参考人でも結構ですけれども、何でみんな土地をほったらかすんですかね。どういうふうに考えていますか。

#100
○小出政府参考人 お答えいたします。
 ほったらかしてある土地ということで、所有者不明土地は、我々は、不動産登記簿によって所有者が直ちに判明しない土地、あるいは所有者が判明しても、その所在が不明で連絡がつかない土地のことを所有者不明土地というふうに定義しておりますが、これがどうしてこういう事態になっているかと申しますと、平成二十九年に地方公共団体が実施した、地籍調査事業における土地の所有者等の状況に関する調査結果によりますと、所有者不明土地の発生原因としては、所有権の登記名義人が死亡して相続が発生しているが登記記録上は登記名義人がそのままになっていることが全体の約三分の二、所有権の登記名義人の住所が変更されているが登記記録に反映されていないことが全体の約三分の一をそれぞれ占めており、この二つが発生原因のほぼ全てを占めている状況にございます。
 そして、相続登記の未了が起こる理由としては、次のような指摘がございます。
 相続登記の申請が義務とされておらず、かつ、その申請をしなくても相続人が不利益を被ることが少ないこと、また、相続をした土地の価値が乏しく、売却も困難である場合には、費用や手間をかけてまで登記の申請をするインセンティブが働きにくいこととされております。
 また、住所変更登記の未了の理由といたしましては、次のような指摘がございます。
 現行法では、住所等の変更登記の申請が任意とされており、かつ、変更しなくても大きな不利益がないこと、また、転居等のたびに所有する不動産についてそれぞれ変更登記をするのが負担であることというような指摘がございます。

#101
○寺田(学)委員 なぜ所有者不明土地が発生するのかということと、なぜみんながほったらかすのかというところなんですが、まず第一に、自分が所有者になったことを知らないということだし、知っていたとしても面倒くさいということだと思うんです。
 自分にとって大事な土地でなかったり、自分にとって利益を感じない土地であれば、一概には言えないですけれども、恐らく、親が亡くなって相続をするという年頃というのは、私ぐらいであったり、私よりもうちょっと上ぐらいが大体、中心的な年齢層になると思うんですが、みんな社会で働いていて、及び、様々な家庭のことをやっている中で、身近にある土地であればいいですけれども、親が元々持っていた遠隔地であったり、そこら辺に対しては、そもそも法定相続人が、さっき階さんがやられていましたけれども、自分が相続人であることを知らないということと、知っていたとしても、そこをわざわざ訪れて、管理をするためにいろいろな手はずをして、私も分かりませんけれども、様々なところに行くんでしょう、これ。登記がどうなっているとかなんとか、そんなことをやっている暇なんてないわけですよ。だからこそ、みんな土地をほったらかしにする。それが社会的な大きな問題になっているということなんです。
 その上で、様々、そういう問題を解消しようと手だてをやられていると思うんですけれども、やはり、何というんですかね、言い方は難しいですけれども、物すごく、ルールが決まれば立派に物事をみんな守ってくれるという大前提に立つと、こういう仕組みでできるんですけれども、さっき申し上げたとおり、一般的に、みんな忙しくて、その土地に対して知りもしないし、知ったとしても関心もないし、みんな面倒くさいと思っているものが、この法律ができたところで、急にみんなしゃきっとして、自分たちの時間を使いながら、及び自分たちのお金を使いながら、その関心のない土地をしっかりと制度として落とし込んでいけるのかというのが物すごく疑問点なんです。
 言い方は難しいですが、行動経済学的な発想が本当にこの中に入っているのというのが、私の問題意識の根底です。
 所有者不明土地の上で、登記をしないと叱られて過料が科されるという仕組みに今回なるんですけれども、これは誰が、君、けしからぬよ、過料だというふうなことを裁判に申し立ててやっていくことになるのか、そしてまた、それが実際、当該本人に対して過料を科されるぐらいまでは、どれぐらいの期間がかかるのか。そういう実際運用されたときのイメージを知りたいんですけれども、局長、いいですか。
    〔宮崎委員長代理退席、委員長着席〕

#102
○小出政府参考人 お答えいたします。
 まず、登記官において、今回義務化された登記申請義務違反の前提となる、相続人が相続の開始あるいは相続によって不動産の所有権を取得したと知った時期を具体的に把握する場面といたしましては、例えば、相続人が遺言書を添付して特定の不動産について登記の申請をした際に、当該遺言書が他の不動産の所有権についても当該申請人に移転する旨を内容とするものであった場合などが考えられるところではございます。
 他方で、今回の不動産登記法の見直しでは、相続登記の申請を履行期間内に行わなかった場合でも、正当な理由があるときには過料を科さないという規律を設けておりまして、相続登記の申請義務の発生要件、あるいは、過料の要件である正当な理由がない場合の具体的な類型について、通達等において明確化するほか、登記官から裁判所に対する、過料に処せられるべきものについての事件の通知、これを行いますけれども、これについての手続も、省令において明確に規律することを想定しております。
 これらの方策により、登記官による過料通知に当たっての要件判断が安定的なものとなるよう、十分な配慮を行う予定でございます。
 また、今回、相続登記等の申請の義務化と併せまして、登記をされる方の費用負担等を軽減するための各種施策をパッケージで設けておりますので、義務化はいたしますけれども、できれば任意に相続登記の申請がされるような方向に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

#103
○寺田(学)委員 それを言われたら、法律を議論する理由がなくなりますけれども。
 任意に任せていたらこうなっちゃったから、過料を科しながら、威嚇的なのか何なのか、そのペナルティーがあるからちゃんとやってねということを言うわけでしょう。
 幸いにしてまだ僕は相続ということをやったことがないのであれですけれども、やっている方々に聞いたら、もうしち面倒くさいという話はよく聞きます。お金もとてもかかると。
 今回、任意に任せたらこうなっちゃったことを、十万円の過料があるぞとすごいにらみを利かせて、その任意を促すわけですけれども、さっき言ったとおり、知らないし、関心ないし、面倒くさいなと思っていて忙しいという人たちに対して、本当にこれ自体がインセンティブになるのと思うんです。
 一般的なことを言うには様々な要素があるのであれですけれども、これ、自分の相続登記するために、一般的に幾らぐらいかかるんですか。十万円という今回、過料をやっていますけれども、いや、自分がこの法律にのっとって相続登記しなきゃいけないなということを考えたときに、普通、幾らぐらいかかるの。大体、平均的にどれぐらいかかるというのは想像した上でいろいろ考えていると思うんですけれども、どれぐらいかかるんですか。

#104
○小出政府参考人 お答え申し上げます。
 相続登記をする際には、まず登録免許税がかかりますが、これは不動産の価格の千分の四の割合でかかります。それに加えまして、司法書士に手続を委任する場合には、その費用として数万円がかかるということでございます。

#105
○寺田(学)委員 なら、ほっておくでしょう。いや、ごめんね、法律の制度を否定しているとかじゃなくて、趣旨として、任意に任せたらこうなっちゃっているものを、過料を科すことによって行動を促しましょうということなのかもしれないけれども、これって、コロナのときに、飲食店にどれぐらいの過料を科すかどうかの議論もあって、いや、そんな、過料を受けてもいいから営業した方が、従業員と、家賃を払うにはいいから、もうやるんだという、それこそまさしく行動経済学的なインセンティブになったわけですよね。
 実際黙っていて、この法律、法律違反、倫理観というのはありますよ、それはありますけれども、ただ、みんな忙しくて困っているときに、やらなきゃいけないけれども、ほっておいたら、もしかしたらすごい長い年月がかかって、十万円払えという裁判を起こされて、ややこしいことになるかもしれないけれども、まず取りあえず、だって、やろうとしたって、十万円以上かかるかもしれないんだったら、ほっておこうかなと思っちゃいますよ。
 だから十万円を増やせとかどうかというんじゃなくて、僕は問題があると思っているんです、そのほったらかしに関して。それに対して、任意だけでは成り立たないという現状が来ているというのも分かっているんです。それをどう誘導していくかというときに、この在り方自体が、果たしてどれぐらい効果があるのかというのは考えなきゃいけないなというふうに思うんです。
 局長、どう思う。

#106
○小出政府参考人 所有者不明土地の問題の重大性をやはり周知、広報するということ、それから、昨年、土地基本法の改正法が成立いたしまして、土地所有者の責務として、権利関係を明確化する、あるいは、管理、使用する責務というのが明文で規定されましたので、そういうことも含めまして、この問題を国全体で解決していかないといけないというような周知、広報、これはまず徹底していきたいと思います。
 それで、今回、先ほども申し上げましたとおり、過料の制裁という形で義務化するということと、それと併せて負担軽減策をパッケージで導入するというように申し上げましたけれども、例えば、負担軽減策といたしましては、通常の相続登記ではなく、登記名義人である被相続人の相続人の一人であるということを申告していただければ足りる相続人申告登記という新たな登記を創設しておりまして、これはかなり負担が軽い手続でございまして、この手続をやっていただくことによっても義務が履行されたことになります。
 また、相続登記の漏れを防止する観点から、被相続人が所有権の登記名義人となっている不動産を相続人が一覧的に確認することも可能にする所有不動産記録証明制度というものを創設するなどの環境整備をパッケージで講じております。
 また、これまでもお話ございましたけれども、登記名義人の住所等の変更登記につきましても、これも申請義務を課しますが、その負担を軽減する観点から、登記官が住民基本台帳あるいは商業・法人登記簿から取得した情報に基づいて職権的に変更登記をして、登記情報の更新を図っていくという新たな方策を導入することにしております。
 こういった様々なパッケージの施策をもって相続登記あるいは住所変更登記が促進されることを目指しているものでございます。

#107
○寺田(学)委員 みんなが国に対する何か責任感を強く持って、自分がほったらかしている土地自体がどれぐらい問題が一般的にされているのかというのを認知してくれればいいですけれども、なかなかむずいですよ。いや、別に、僕は国民がみんな怠けているとかと言っているんじゃないんです。やはり、みんな忙しいし、分からないし、知ったとしても、そこに手間をかけるよりも、子供を学校に送っていくことだったり、日々働いて自分の家計を支えることで精いっぱいでこうなっているんだと思います。
 特に、秋田に住んでいると、結局、実家の土地で独り暮らしの親が亡くなって、建物つきでそのまま残っているけれども、自分たちは仙台だったり東京にいて、自分たちの生活で精いっぱいで、親が亡くなった後、わざわざそこに行ってそこの土地を更地にすることもお金的にも余裕がないしと。それで、どんどんどんどん、自分たちの生活、当然ですけれども、精いっぱいになっているんです。
 それで、局長、ちょっと下を向いているけれども、一回でも、何かそういう当事者と会って話してみたことはありますか。本当に登記を怠っている人でもいいですし、自分で認知をしていない人、いや、あなたは法定相続人になっていますよ、あなたは、今回の法律は今立案状態において、できたらそういうことを義務化されますよという方と、局長は会って話してみましたか。

#108
○小出政府参考人 個人的な知り合いでそういう相続登記等で苦労したという話は何回も聞いておりますし、こういった相続登記の手続に関係する士業者である司法書士の意見等につきましては、法制審議会の場でヒアリング等も行って、意見を聴取しているところでございます。

#109
○寺田(学)委員 今、こうやって立法して進めていくわけで、大きな方向性としては、私としては別に反対するものじゃないし、解決しなきゃいけないと思うんですけれども、やはり、どうやったら行動を促せるのかということに関しては、本当にリアルに生活をしてそういう問題を、明示的に分かっている人も、実はそういう立場になっている人の気持ちも含めて考えないと、やはり、実効的なものにならないと思うんです。
 それで、今度、もう一つの方で相続土地の国庫に対する帰属とありますけれども、これも、自分がもしその立場になったときに、基本的には自分の土地だということは分かった人ですよね。
 ただ、もうこれ以上管理するのが大変だという人がこの制度の中の対象者、想定している人になるんですが、これは別に国民が国家的な問題に対する関心が乏しいとかということを責めるつもりではないんですけれども、これは同じ話で、構っている暇がないんですよ。恐らく、今秋田に置かれている実家の土地が、実家のおやじが亡くなって、誰も住まなくなって、土地と建物がそのまま残っている人が、わざわざ更地にして、はいどうぞ、これから管理できませんので国の方で召し上げてくださいと、しかも、そこにお金を渡して、管理料です、はいといって渡すほど経済的な余力もないし、それを手続をする余力もないわけですよ、時間的な、手間的な。
 今回、まずは土地だけ、上物がついているものは除外ですけれども、まず、何で土地だけにしたんですか。

#110
○小出政府参考人 お答えいたします。
 御指摘の相続土地国庫帰属制度は、所有者不明土地の発生を抑制する目的で、本来所有者が管理すべき土地を国に引き受けさせて、国民の負担、全国民の負担で土地を管理することとするものでございます。
 これに対しまして建物は、一般に管理コストが土地以上に高額である上、いずれ老朽化することになりますが、そうすると、管理に要する手間やコストが更に増えるだけでなく、最終的には建て替えや取壊しが必要となることから、財政的にも相当の負担が生ずることになります。
 このため、建物はこの制度の対象外にすることといたしまして、土地についても、その上に建物が存する場合にはこの制度の対象外とすることとしたものでございます。

#111
○寺田(学)委員 多分、その今の、国が建物を引き取らない理由そのものが、一般の国民がそれに対してケアをしない、ほったらかしにする理由そのものですよ。国よりももっと財政的なんて余力がない中で、実家の建物を壊すような余力もないわけですよ。
 これね、別に、国の制度を批判しているとか、この方向性は間違っていると言っているわけじゃないです。本当に実効的にこれが動くのかと。
 皆さんが対象にしている人って、この法文だけを読んでいると、物すごく社会的意識も強くて、国に対する責任もあって、自分の土地を、多分、土地だけというよりも、相続するときに、私のイメージですよ、イメージはやはり、親が亡くなって、親の実家自体を相続することになって、ただ、とはいえ、東京に住んでいるから秋田に何回も行けませんねと。だとすれば、取り壊して、取り壊しって幾らぐらいかかるの。(発言する者あり)二百万ぐらい、分からない、ざっくりそれぐらいだと思いますよ。いやいや、だって、みんな分かるの。
 二百万払って更地にして、その上で、どうぞ、お国で召し上げてくださいと、お金を添えてよ。それが幾らか、まあ、これから決まるかもしれません。やらないって。やるぐらいの人って、多分、もっと違うことをしていると思う。
 自発的に何もやらないからこそ、国として、今、今回乗り出すんだけれども、その乗り出した上でターゲットにしている人が、そもそも、そんな制度がなくたってちゃんと処理している人であって、かつ、問題の所在は何かというと、結局、財政的な理由も含めて、手間的な理由も含めて、任意では動かない人、動けない人なわけです。
 となると、果たしてこの制度で、昨日の質疑を聞いていると、アンケートを取ったら何%、五%の人が何とかで、これはインターネット調査だと僕はレクで聞きましたけれども、それをもって何か国としての一つの答弁にするのもすごいなとは思いますけれども、これは本当に実効的にするには、いや、もちろん、国として、じゃ、取壊しの費用まで全部出しなさいよと今からすぐ言えることでもないと思うんですけれども、実効的に動かすには、かなりもう少し制度設計を、実際にそういう立場にある人の経済インセンティブを考えた上でやらないと動かないですよ、局長。何か反論ある。

#112
○小出政府参考人 土地の所有権を国庫に帰属させることによりまして、土地の所有者は本来自らが管理すべき管理費用から解放されるという面がございます。その反面、売却しようにも売却できない、利用権を設定しようにも利用する方がいらっしゃらないという土地、これを国が管理するわけでございますので、いわば管理コストが国に広く転嫁されるということになります。
 要件を非常に緩やかに、所有者が土地の所有権を国庫に帰属させることができるということになりますと、これは将来、もう国に引き受けさせればいいということで、更に一層、土地を適切に管理しなくなるというモラルハザードが発生するおそれがあるということでございまして、そこら辺のバランスを取りながら今回の要件設定をさせていただいておりますし、国庫帰属をさせるに当たっての管理費相当額でございますが、これはもう国が今後永続的に何十年も管理し続ける費用のうちの十年分、粗放的な管理で足りる原野であれば十年分で二十万円、二百平米程度の市街地にある宅地であれば八十万円程度の費用を納入していただいた上で、以後は国が管理をしましょう、国庫に帰属させて管理をしましょうということでございます。
 ただ、これは委員も御案内のとおり、特定の行政目的なく、こういった要件を満たす土地であれば国は必ず国庫帰属を認めなければいけない、国が引き受けなければならないという意味では、これまでに類例のない制度でございます。
 今回の要件設定もそうですし、管理費の問題もそうですし、どれぐらい利用されるのかということもはっきりとは、先ほどのアンケート調査もございましたけれども、はっきりとは見通せないところもございますので、この制度につきましては、施行後五年経過した時点での見直し条項がついておりますので、その時点での運用状況等を踏まえまして、また利用者の声も十分聞いた上で、また柔軟な見直しというのも検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

#113
○寺田(学)委員 財務省も今日来てもらっていますけれども、基本的には、ちゃんと言っているとおり、民間の取引には乗っからない、利用価値が著しく低いものを国として引き取るわけですよ。それはどういうふうにして引き取るか、どういう要件で引き取るかって、ここからいろいろあるんだと思いますけれども。
 地域に住んでいる人にしてみると、国で持ってもらってちゃんと管理してもらうのは、すごいありがたい話なので、そういう意味ではポジティブかもしれないですけれども、ただ、国としても、ひたすら有用性のない土地を引き取って、国でやる以上ちゃんと管理しなきゃいけないという、結構重たい話なんですよね。
 今までは、それは、地域にとってはよくないですよ、地域にとってはよくないけれども、ほったらかしにされているので、責任としても国は持たないし、自治体としても、広範な意味での責任は持っていましたけれども、今度、国がそういう土地をどんどん、責任を持った国有地を増やし続けるわけです。五年後に見直しをすると言うんですけれども、これは本当に大丈夫なのという気がするんです。
 もちろん、だからって何の解決策があるんだよというのを、もちろん議論するんですけれども、この仕組み自体で、国がそういう有用性のない土地をどんどんどんどんやって、これから利用することを考えますと言いますけれども、言い方は悪いですけれども、民間より、役人が考える利用の仕方なんて、本当にもっとひどいですよ。そういうベースに乗らないで、役人の人たちがどうしようかなとかと考えてやるやり方は大赤をこきまくるというのを今までの歴史上繰り返していますから、ただ単純なストックを持ち、増やし続けていくということになりかねないなと。
 なので、最初に要件設定も含めて、どれぐらいの限度額かも含めて、かなり、漫然とせずに、ピンポイントに絞らないと厳しいと思うので、財務省、そこら辺の認識はどう考えていますか。

#114
○井口政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘ございますように、本制度により国庫に帰属する土地につきましては、その経緯からも、売払いや貸付けに至らず、国が長期にわたって保有、管理するものが多くなると見込まれております。
 ただ、一方、現在財務局で管理しております国有地、既存の国有地の中には、宅地以外にも、やはり同様に、土地の性質上、直ちに利用、処分ができないものというものがございまして、このため、実際の管理に当たりましては、周囲の環境など個々の財産状況を踏まえ、適切な管理に努めているところでございます。
 本制度において、どのような土地がどの程度の規模で国庫に帰属するかを現時点で見通すことは困難と考えておりますが、ただ、本制度により国庫に帰属する土地についても、既存の国有地とともに、財務局の限られる人員での対応とはなりますが、個々の財産の状況に応じ、適切な管理、処分に努めてまいりたいと思っております。

#115
○寺田(学)委員 時間になりましたので。
 繰り返し申し上げてきた大きな問題意識は一緒ですし、それを解決しなきゃいけないというのも分かっていて、今ある制度を否定したところで、じゃ、妙案が直ちに出てくるわけでもない苦しいところも分かっています。
 ただ、いずれにしろ、ここから詳細な制度設計を詰めていく期間に入ると思うので、できる限りその当事者たちの行動原理を加味した上での設計にしていただくことをお願いしたいと思います。
 以上です。

#116
○義家委員長 次に、屋良朝博君。

#117
○屋良委員 立憲民主党、屋良朝博でございます。よろしくお願いいたします。
 本件、法案の審議に入る前に、少し、前回のちょっとこう、聞き漏れたというか、答えをいただいていなかった部分、養育費の問題なんですけれども、それを少しお時間をいただきたいと思います。
 前回の質疑、三月十日でしたけれども、アメリカへ帰ってしまったアメリカ兵の父親から養育費を取る仕組みが必要ではないですかという私の質問に対して、外務省側は地位協定の説明に終始してしまいました。
 地位協定というのは、御案内のとおり、日本国内に適用される行政協定ですね。だから、ちょっととんちんかんなやり取りになってしまっていたんじゃないかというふうな記憶があります。何か、小学校の隣にある駄菓子屋に行ってお煎餅ちょうだいと言ったらチューインガムを出されて、それでこう、お店のおばちゃんはしらっとしているような、そんな状態があったんじゃないかと。私、ちょっとその後、少し悔しくて、何でちゃんと説明をいただかなかったのかな、そこをちょっと突っ込めばよかったなと思って、そんなことをずっと考えていたんですけれども、もう一度。
 ここは、鈴木政務官、わざわざお越しいただいてありがとうございます、是非ともすっきりと答弁をいただきたいんですけれども、今、日米間では、刑事事件の被害者に対して、損害賠償を日本側が一時立て替えるという制度があるわけですね。それが運用されている。それを、養育費についても同様の制度を検討する必要はありませんかという私の質問でございました。どうぞ御見解をお伺いさせてください。よろしくお願いします。

#118
○鈴木大臣政務官 改めての御質問、ありがとうございます。
 前回のやり取りも、私、出番はなかったんですけれども、聞かせていただきました。屋良委員とのこうしたやり取りは、前回を含めれば四回目になりますので、日頃から、困った方に寄り添う御姿勢、大変共感をいたしております。
 今回の御質問の件でありますけれども、正確には見舞金の支給制度のことをおっしゃっているのではないかなと想像いたします。
 この見舞金の支給制度は、損害賠償に関するものでありまして、この損害賠償に関することは地位協定本文におきまして規定をされております。ですので、ちょっと養育費とは性質が異なるものでありまして、なかなか、委員の問題意識自体は共有させていただいてはいるんですけれども、本件を地位協定の運用で解決をしようと思うと、これはなかなか難しいのではないかなというふうに考えております。

#119
○屋良委員 なので、別の制度をつくった方がいいんじゃないのかということなんですね。
 前回も議論させていただいたんですけれども、確かに、養育費のような、長期にわたって給料を差し押さえるような制度というのは、今の地位協定上、ないわけですね。ないからつくった方がいいんじゃないですかという議論をさせていただいて、それは、ほかの国、例えばドイツでは、給料を差し押さえるというふうな条文、地位協定にはなくて、ボン補足協定で、特別協定でやったりしていますよというふうなこともあるので、それを参考にしたらどうですかというふうなことなんです。
 そういう意味で、もう一度質問させていただきたいんですけれども、やはりそういう人がいるんですね。いて、養育費を回収できないという、今、法制審で議論が始まっておりますけれども、そういったことがありますので、これは、どうも、外国の制度を使えば日本人も回収できるのに、それを日本側で受け止める制度がないというのがやはりおかしい、アンバランスだと私は思ったりするんですよ。
 そういった意味で、今、確かに制度はございません。鈴木政務官がおっしゃったとおり、現在制度がないので、そういった制度も検討すべきじゃないですかというふうな質問なんですね。よろしくお願いします。

#120
○鈴木大臣政務官 先ほども申し上げたとおり、課題認識、共有しております。
 委員も前回も御発言なされたとおり、そもそも、養育費を請求する相手方について詳細な情報がなければ訴訟もできないじゃないかといったことですとか、あとは、訴訟で仮に勝てたとしても、きちんと養育費を払ってもらえるのかといったような課題があるといった、この課題感をまず認識した上で、じゃ、どうすればいいのかということを考えていかなければならないという御指摘でございます。
 じゃ、その方法論として、これはどうか、これはどうかということで御指摘をいただいていると思うんですが、ボン補足協定同様のことができないかということなんですけれども、つまり給与の差押えですよね。
 委員が前回の審議のときに、外国の金融機関の預金については差し押さえられないじゃないかというような御指摘をされていたんですけれども、これは、我が国で判決が確定をすれば、他国の裁判所に依頼をして代執行していただくということは他国の金融機関であっても可能であるというのは、これは委員も恐らく御案内のとおりかと思います。
 そういう意味で、全然回収できないというわけではないわけなんですけれども、その上で、直接、給与を払われる前に差押えできないのかということについては、これは、ボン補足協定ではできるからという根拠でおっしゃっていただいているんですけれども、ここから先、ちょっと申し訳ないんですけれども、各国の地位協定、それぞれの安全保障環境など、それぞれの異なった背景の下で独自に締結をされているものでありますので、したがって、一部分を取り出して議論するということは、これはなかなか難しいことであるということを御理解いただきたいと思います。

#121
○屋良委員 犯罪を犯した人の財産、給料などを差し押さえるというのは、それは国際間の取決めでやられるはずなので、地位協定とはまた別個のシステムでやっているはずですよ。
 今、安全保障環境等の違いをおっしゃいましたけれども、これは子供の養育費の話ですよ。子供の養育費を回収しようという議論で、何で安全保障が関係するんですか。どう直結するのかというのが全く分からないんですね。地位協定の話になると、日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増しておりという枕言葉があって、もう議論がその先に進まない。私たちは今、養育費の話をしている。安全保障と何がどう直結するのというところを、今後ちょっと別の機会で詰めていきたいなというような気がします。
 この議論は一旦おいておいて、ハーグ国際扶養条約というのがありますね。茂木外務大臣は、昨年の参議院予算委員会で、この条約について、慎重にとは言わない、総合的に検討していきたいと、かなり前向きな答弁をなさっているんですね。
 あれから一年たちました。外務省、法務省、様々、その一年の間に何か具体的な協議をなさったという経過なり、あるんでしょうか。あれば教えてください。

#122
○小出政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘のいわゆるハーグ国際扶養条約は、国境を越えた親族間の扶養料、特に親から子に対して支払われるべき扶養料の回収を容易にし、その実効性を確保することを目的とした条約と承知しておりますが、条約上、無償の法律扶助の提供や未確定の外国裁判の承認、執行を認めることが要請されるなど、我が国の国内法制とは異なる面があるものでございます。
 お尋ねの点につきましては、主として国内法制との整合性の観点から、外務省と現在、情報交換を行っておりまして、引き続き、外務省を始めとする関係省庁とも連携しながら、検討してまいりたいと考えております。

#123
○屋良委員 外務省と法務省の、それぞれの担当部署あるいは担当課があれば教えてください。

#124
○義家委員長 速記を止めてください。
    〔速記中止〕

#125
○義家委員長 速記を起こしてください。
 小出民事局長。

#126
○小出政府参考人 法務省の担当部局は、法務省民事局参事官室でございます。

#127
○義家委員長 外務省はいかがですか。
 速記を止めてください。
    〔速記中止〕

#128
○義家委員長 速記を起こしてください。
 鈴木外務大臣政務官。

#129
○鈴木大臣政務官 外務省においては、領事局でございます。

#130
○屋良委員 このタイムラグが何だったのか、ちょっとよく分からない。
 領事局ですね。分かりました。しっかり協議していただきたいと思います。
 これはもう既に四十二か国ですか、先進国ではほとんどやっておるんですね。だから、僕は、これは、先進国の間、あるいは国際的にはもう標準スペックだというふうに考えていたんですよ。というか、そういうふうな受け止めがあったものですから、去年、大臣の前向きな答弁があった、それで、当然ちゃんと議論が進んでいるんだろうなと思って伺ったところ、担当課はどこですかと聞いたら、少し時間が、何か間が空いたので、ちょっとあれっと思ったというのが正直なところであります。
 それで、上川大臣、この条約について、それを念頭に置きつつ、法制審議会でも議論していただきたいと切に思うんですけれども、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。それから、この問題にずっと熱心に取り組んでおられます小野田大臣政務官も御見解をいただければ。よろしくお願いします。

#131
○上川国務大臣 公的支援の在り方ということでの御質問をこの間、委員からいただいてきたところでございます。
 今日も、アメリカにおきましての事例を含めて、公的な養育費の回収の仕組みについて、アメリカにおきましても、行政当局におきまして、支払い義務者の居場所の探索でありますとか、あと、給与からの天引き制度などの仕組みを有している州があるということ、海外のそうした事例につきましては導入すべきであるという御意見も承っているところでございます。
 昨年六月以降に、法務省の有識者会議であります養育費不払い解消に向けました検討会におきましても、検討をしていただいてきたところでございます。
 また、厚生労働省とともに進めてきました不払い養育費の確保のための支援に関するタスクフォースにおきましても、アメリカを含みます諸外国の制度等も参考にしながら、理論上考え得る制度のイメージ、これを描きながら、その制度面、また体制面、また理論面、いろいろな観点からの論点整理を行って、昨年十二月に取りまとめたところでもございます。
 この論点整理におきまして、例えば養育費の具体的な請求権を有し、また、かつ家庭裁判所の審判等の債務名義を有する者のみを対象とすることが相当かなどの様々な課題について検討を要するものとされたところでございます。
 今、法制審議会におきまして、民事法制の観点から、こうした点につきましても幅広い議論を行っていただこうということで考えているところでございますので、海外の事例等も含めまして、また、様々な観点からしっかりと対応することを期待しているところでございます。

#132
○小野田大臣政務官 御質問そして御指摘、ありがとうございます。
 大臣の答弁と同様になってしまうので繰り返すことはいたしませんけれども、ただ、法務省の養育費不払い解消に向けた検討会議で引き続き検討していくとともに、また外務省とも連携していかなくてはいけない問題でございますので、しっかりと連携してまいりたいと思います。

#133
○屋良委員 どうも御答弁ありがとうございました。
 この問題は子供のことなので、子供を中心に置いて考えるという、やはりそれが道理だと思うし、ほかのいろいろな国際情勢とかということとはやはり切り離した目線が必要じゃないかなと私は考えているんですね。是非とも、省庁横断的に前向きに取り組んでいただきたいと思います。
 ありがとうございました。
 これで養育費の問題は終わりますので、外務省はどうぞ御退席いただいて結構ですので、ありがとうございました。

#134
○義家委員長 では、外務省は御退席いただいて結構でございます。

#135
○屋良委員 それでは、法案の審議に入らせていただきたいと思います。
 私が生まれ育った沖縄県では、さきの大戦によって、不動産登記とか公図とか戸籍とか、全て焼失してしまったという過去があります。その焼失等によって生じた沖縄の所有者不明土地について、沖縄の復帰に伴う特別措置法に基づき沖縄県又は市町村が管理するという便宜的な対応をしております。終戦時に誕生した人も、もう今年七十六歳。土地の所有関係を確認することがもうほぼほぼ難しい、不可能と言ってもいいぐらいの状態になっています。戦争もそうです。恐らく大震災でも、同じようなことが起こり得ると思うんですね。
 そこで、所有者不明土地の発生予防に関する改正についてお伺いしますけれども、戦争などによって一家全滅したケースが沖縄では少なくありません。アメリカ軍の猛攻撃があった地域では、今も石垣だけが残っていて、その石垣に弾痕がまだ見えるんですよ。そんなところもあったりする。
 この不動産について、相続人があることが明らかでないときは相続財産法人となるわけですけれども、その近隣に居住する者は戸籍謄本を確認することができないので、それが相続財産法人となっているかどうかすら確認ができませんね。その不動産管理の取扱いは、相続財産管理の制度又は所有者不明土地管理の制度のいずれによるものか、法務当局の見解をお伺いします。

#136
○小出政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘のように、沖縄におきましては、さきの戦火によって戸籍などが焼失して、不動産の相続人を特定することができない場合があるものと承知しております。これも所有者不明土地問題として解決していかなければならない局面の一つでありまして、重要な問題であると受け止めております。
 現行法におきましては、御指摘のような相続人のあることが明らかでない不動産を管理、清算するために、相続財産管理制度が利用されることがございます。もっとも、この制度につきましては、問題となっている不動産だけではなく相続財産全般を管理することとされているために、手続を利用するために必要な予納金の額がその分高くなるなど、費用対効果の観点から使いづらいなどといった指摘がございます。
 今回の改正法案におきましては、特定の所有者不明土地・建物の管理を可能とする所有者不明土地・建物管理制度を創設することとしておりますが、御指摘のケースについてもこの制度を利用することが可能だと考えております。新たな制度が創設された後は、御指摘のケースにつきましては、相続財産管理制度だけではなく新たな制度も利用することが可能となり、これまで以上に適切な管理が図られるものと考えております。

#137
○屋良委員 これは、今、先ほども申し上げたとおり、何も書類がない、もう焼失してしまっていて、その所有者あるいはその相続人、全く分からない、トレースすることが不可能である、そのようなケースでも、これは何か対応措置は取られるでしょうか。

#138
○小出政府参考人 まさに当該問題となっている、不動産の所有者が不明、それをトレースすることができないということであれば、所有者不明土地管理人あるいは所有者不明建物管理制度の適用がございます。

#139
○屋良委員 新しい制度で対応ができるというふうなことを確認させていただいた。
 その上で、次の質問に移らせていただきたいんですけれども、内閣府と沖縄県は、平成二十四年から三十年にかけて、所有者不明土地実態調査を実施して、これまでに確認できたのは千五百五筆、八十九万六千二百二十五平方メートルに及びます。そのぐらいの規模で、一家全滅とか、もう全くトレースできない土地とかがありますということなんですけれども、これらの土地について、沖縄県は、もう戦後七十六年が経過し、真の所有者が判明する可能性が極めて低い、全筆の探索実施は見通しが立たない、そして、利害関係人が存在しない土地などは、処分されず、解消される見込みがないと、もう天を仰ぐような状態であったということなんですね。
 沖縄県にある不動産登記簿には、表題部の所有者欄に所有者名の記載がない空欄、又は不明地と記載されていて、便宜的に県とか市町村の名前が記載されている、これらの土地は、先ほど述べたとおり、戦火による土地関係記録の焼失などによって生じたものであります。
 本来の所有者は不明であるが、その管理を地方自治体が行えることが沖縄の特別措置法によって担保されているわけなんですが、制度的な対応がなされているわけなんですけれども、土地利用の円滑化を図るという今回の所有者不明土地管理命令においては、このような土地も対象になるんでしょうか。そして、管理をしている地方自治体が利害関係人に含まれる、で、申立てをすることができるのかということを確認をさせていただきたいと思います。法務当局、お願いします。

#140
○小出政府参考人 お答えいたします。
 沖縄県におきましては、さきの大戦におけるいわゆる沖縄戦によって、公図、公簿等が焼失したために、戦後、所有権の認定作業や地籍調査が実施されたが、これらの作業等の際に所有者を確認できなかった土地は、沖縄県又はその市町村が管理することとされているものと承知しております。
 今般の所有者不明土地管理制度は、所有者が不特定又は所在不明の場合において、必要があるときにその利用が認められるものでございます。
 御指摘のような土地につきましては、法律に基づきまして、沖縄県又はその市町村が管理しているところでございますが、所有者が不特定又は所在不明なものであることから、最終的には、個別の事案における裁判所の判断に委ねられるものの、それとは別に、裁判所が選任する管理人による管理の必要性が認められる場合には、所有者不明土地管理命令が発令されるケースもあり得るものと考えられます。
 また、先ほどお話ございました、沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律第六十二条に基づいて現に土地の管理を行っている地方公共団体が、利害関係人として所有者不明土地管理命令を請求することができるかにつきましては、これも個別の事案ごとの判断によることになりますが、事案によっては利害関係が認められるケースもあり得るものと考えております。

#141
○屋良委員 利害関係人になれる道が開かれるということは、大変大きな前進になるという期待を持たせていただける答弁だったと思います。
 この法案、震災があって、わっと必要性が認識されていったということなんですけれども、これは、七十六年の間ずっと止まってしまった時間が、今回もしかしたら動き出すことができるかもしれない。
 激戦地だった沖縄本島の南部の住宅地にぽつんと空き地があったりするのが、今でも分かるんですね、その町並みを歩いていたら。ああ、ここは一家全滅した人たちがいたんだろうなというようなのが想像できるような状態がまだあって、沖縄戦の後遺症というのはまだまだ続いているんですね。
 そういった状況の中で、自治体が利害関係人となれる可能性が出てくるというのは、問題解決を進めていく上で大変大きな一歩になるというふうに思うんですけれども、そういった状況を踏まえて、是非、大臣、その受け止めをお伺いしたいんですけれども、よろしくお願いします。

#142
○上川国務大臣 委員、沖縄の御出身ということで、沖縄におきましての七十六年にわたるこの所有者不明土地問題と向き合ってきたということで、今、この法律の体系によりまして新たな風穴が空くんじゃないか、こういう御指摘がございましたけれども、戸籍などが焼失して不動産の相続人が特定できないという状況については、これは、あるべき解決をしていく必要がある、極めて重要であるというふうに思います。
 今、この制度そのものもケースによってはということでございますので、大いに御利用いただくことができるように、また、環境整備につきましても十分に配慮してまいりたいというふうに思っております。

#143
○屋良委員 どうもありがとうございます。
 是非、このずっと解決されていない問題に何らかのてこ入れができて、解決への道が開けていくことを切にお願いします。残された問題はこれだけじゃなくて、もういろいろあって、不発弾の問題とか、まだまだたくさん出てくるんですよ、開発しようとしたときに。そんなこともありますので、取りあえず、戦争で亡くなられた方の土地が放置されて使えない状態というのが解消されるかもしれないというのは、地元にとっては大変大きなインパクトを与えることになるというふうに思います。
 時間も限られているんですけれども、同じように歴史の問題ですけれども、沖縄は移民県と言われております。沖縄だけじゃなくて広島とか熊本もそうなんですけれども、海外に移住した方が多い県なんですけれども、それによって、その建物とか土地が管理できていないような状況がある。それを、その地域の自治会の会長さんとか公民館の館長さんとか、大変、それをどうしていいのか分からないというお困りの相談をよく受けたりするんです。
 その自治会長、公民館長、これは先ほどの質問と似ているんですけれども、利害関係者として所有者不明建物管理命令の請求ができるのかという質問でございます。法務当局、見解をお願いします。

#144
○小出政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の自治会につきましては、自治会の活動とは何ら関係がない建物について利害関係を認めることは困難でございますが、例えば所有者不明建物によって自治会の活動が具体的に阻害されているケース、あるいは自治会の活動のために所有者不明建物の利用等を計画しているケースなどでは、自治会長がいわゆる権利能力なき社団である自治会を代表して申立てをすることがあり得ると思われます。
 また、公民館につきましても、例えば隣接する所有者不明建物によって公民館での活動等に影響が生ずるケースでありますれば、公民館の円滑な運営の観点からこの制度を利用することは考えられるところでございます。
 もっとも、公民館の円滑な運営の観点からこの制度を利用するといたしましても、申立ては設置主体が行うことになりますので、公民館の館長が設置主体を代表する権限を有するかどうか、申立てをすることができるかどうかというのは個別の事案によってまた異なるというふうに考えております。

#145
○屋良委員 何か、いろいろ使えそうな感じがしますね、これ。
 すると、申立てをして、管理人が選定されると。だけれども、いつまで管理しているのという話に、当然、将来的になると思うんですよね。これは何らかの形で地域の自治体のために使うとか、地域の開発、市街地にしていくときの都市計画の中に組み込んでいくとか、そういうふうなことって将来的には考える必要があると思うんですけれども、それを想定した場合、将来的にそれを売却するとか、それを市町村の帰属にするとかといったことは可能なのかということを最後に伺いたいと思います。お願いします。

#146
○小出政府参考人 所有者不明土地あるいは所有者不明建物管理人は、管理の対象とされている不動産につきまして、適切な管理のために保存行為あるいは利用、改良行為を行うことができます。
 また、所有者不明土地・建物管理人は、不動産の売却など、利用、改良行為の範囲を超える行為についても、裁判所の許可を得れば、これをすることができます。
 例えば、個別の事案にはなりますが、所有者不明土地につき、公共事業のための一時的な使用が求められるケースでは、所有者不明土地管理人は、利用行為として、その使用を許すことが可能でございます。また、所有者不明土地が公共事業の用地取得の対象となっている場合には、所有者不明土地管理人は、裁判所の許可を得て、土地を公共事業の実施主体に売却するといったことも可能であると考えております。

#147
○屋良委員 もう時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。

#148
○義家委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時三十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議

#149
○義家委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。山花郁夫君。

#150
○山花委員 立憲民主党の山花郁夫でございます。
 前回質疑に立たせていただいたときには、午前中に札幌地裁の判決がございまして、同性婚について少しコメントさせていただきました。
 通告していないので、ちょっと後で御判断いただければと思うんですけれども、実は、同性婚という制度だけの問題ではなくて、ここのところ、LGBTという言葉が一般的にも通用するようになってきたと思いますし、これは人権を所掌する法務省としての一つの課題なのかなと思います。
 今日、申し上げるにしても、こちらもちょっと難しい言い方になるかもしれないんですけれども、実は、三年前に総務委員会で野田聖子総務大臣とも少しやり取りをした話なんですが、当時、東京都世田谷区で、こういった方々に配慮してということなんでしょう、職員試験の申込みの欄で男、女というのをなくしたということがあったものですから、なるほどなと思ったわけです。
 もしかすると、書類の中で無意識のうちにそういうことを求めていて、必ずしも必要でないケースもあるのではないかと考えまして、国としてはどうなんですかということで、何か取り組むべき課題はないんでしょうかということで質問しようと思いまして、そうすると、大変なことが起こりまして、採用試験のことですかと始まって、それは国家公務員試験ですか、地方公務員試験ですかということになりました。
 あと、例えば住宅なんかで、入居するときに、ちょっと家主さんとか、いろいろトラブルが起こるみたいな話ですと、民間の住宅なのか公営の住宅なのか、公営といっても、URのこともあれば市営住宅みたいなのもあればみたいな。
 要するに、それぞれやられているのはやられているんだと思うんです。人権擁護局は何かあったら対処していただいていると思いますし、あと、厚労省なんかは職場での何か啓発活動を一生懸命やっていますというプレゼンもされましたし、文科省の方では学校のことをという話なんですが。
 当時、野田総務大臣と話をしたのは、例えば、男女の話であれば、男性、女性というのは差別に関わる古典的な人権問題だと思うんです。なので、法律があることもあるんですけれども、共同参画基本法というのが。それもあるんですが、政府として、男女共同参画大臣というのが置かれていますよね、何かあったらともかくそこのところで一元的にいろいろ施策なり対応なりというのができますよねと。当時、野田さんは総務大臣であり、男女共同参画大臣でもあったものですから。
 この手の問題、この手のというのはLGBTとかの問題についても、政府として、ばらばらにいろいろやるんじゃなくて、何か司令塔が必要なんじゃないですかということを申し上げたんですけれども、総務大臣としてはなかなかみたいなやり取りもあったんですが、一閣僚として、何ができるかは即答はできないけれども、ちょっと考えてみたいと思いますぐらいの発言はしていただいたと記憶をいたしております。
 今日は法務大臣としていらっしゃるんでしょうけれども、国務大臣という、憲法上の内閣を構成するメンバーの一員でもございますし、このことは独り大臣の問題だけではなくて、前に座っている政務の方々もちょっとそれは頭に入れておいていただきたいと思います。
 つまり、役所ベースで任せておいて、何か上げてといっても、多分、自分のところは一生懸命やっています、このことはうちじゃありませんというようなことが起こってしまいますので、ごめんなさい、通告していないので、なかなか難しい課題だと思いますけれども、ちょっと考えていただきたいなということなんですが、何か発言いただけますでしょうか。

#151
○上川国務大臣 今、法務省におきましては、人権の擁護という観点から、特に偏見、差別の対象になる重点項目の中の対象として、LGBTの皆様の問題につきましても真っ正面から取り組んでいるところでございます。
 委員の御指摘のとおり、日常生活の中で様々な場面、あるいは職業生活の中で様々な場面で、そうしたおかしいというようなこと、あるいはそれを除いていくというようなことについては起きている状況でございますので、住まいだったら住まいというふうに、縦割りの今組織になっているという意味からすると、寄せられているその人権相談につきましても、本当にいろいろな相談が、広がりがありますので、できるだけ他省庁とも連携をしながらしていくということについては、法務省であるからとかということではなく、人権擁護ということで預かっている、所掌事項として預かっている法務省としても、そうした姿勢をしっかりと持って臨んでいきたいと思いますし、また、今までもそういう姿勢で問題に向き合ってきたという状況でございます。

#152
○山花委員 こちらも明確な解答というか模範解答を持ち合わせていない中で聞いていますので、余り詰めるようなことはいたしませんけれども、是非、こうした、ちょっと問題があるよねということは、副大臣、政務官も御認識いただきたいと思います。
 それでは、今回の民法等の一部を改正する法律案、そして相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律案について質疑をいたしたいんですけれども、私の今回の問題意識というのは、この法律そのものというよりも、こういう法律を作るに当たって、もうちょっと環境整備が必要だったのではないのかなという視点から質疑をさせていただきたいと思います。特に、今回、登記について、午前中も議論がございましたけれども、一定の場合に過料を科すということをやるんですかということです。
 今回の法案の趣旨の一つとして、高台のケースもありましたけれども、例えば、市街地などで再開発をしようとしたときに、所有者が不明で登記がなかなか困難でというケースで、こういうのをできるだけなくしていきましょうみたいなことも、全てではないけれども、趣旨の一つだというふうに私どもは伺っています。
 これは、所有者不明土地という形でこれまで検討されてきたので、関係の役所の会議の中でもそういったところにターゲットを絞っちゃっているんですけれども、今言ったような、市街地の中で登記がしづらいお宅がぽこんと残っているというのは、所有者が不明なケースだけではなくて、類型的に言えるんだけれども、所有者は分かっているんです、相続人も分かっているんです、だけれども登記することが今非常に困難だという事情があるケースが存在しますということと、後々ちょっと質疑で、立証するという言葉が適切かどうかですが、御説明いたしますけれども、今何とか辛うじてやっていますが、あと十年、二十年たったら本当にこれは大丈夫なんですかというようなことが起こっているので、是非対処していただきたいということを質問させていただきたいと思います。
 具体的なカテゴリーでいうと、在留外国人の問題です。二〇一七年の七月を境として、明確な起点があるんですよ、二〇一七年七月。そこからいろいろ困ったことが起こっているということでございます。
 これは、外国人登録法が廃止をされて、外国人住民票に変わったということなんですけれども、外国人登録法については、かつては指紋押捺であるとか常時携行義務、持っていないといけないということで、人権問題ではないかということで、大変当事者の方々も運動されて、廃止をという運動がありました。実際、廃止をされましたけれども。
 そのときに気がついていればよかったんだと思うんです。そういう意味では、我々にも、野党側にも責任があるんだと思いますので、一方的にけしからぬというスタンスではないんですけれども。
 どういうことかというと、ちょっと一個一個詰めていきたいと思うんですが、まず前提として、日本に住まわれている外国人同士の方々、カップルがいらっしゃったとします。カップルというか御家族がいて、相続が起こったとします。法の適用に関する通則法というのがありまして、三十六条で、相続は、本国法によるとされていますから、例えば韓国人同士の御夫婦でどちらかが亡くなられた場合は韓国法に従って処理されるわけですけれども、例えば遺言なんかで、日本法でやるよねということになっていれば、これは日本の民法がそのまま適用というか、ややこしいんですよね。ちょっと説明はしょりますけれども、反致というのがあって、日本の民法が適用されるケースがあるんですが、それだけに限らず、韓国法に仮によったとしても、結局、相続分とか計算した結果、日本に不動産を持っていたケースですと、やはり日本で相続ということが起こり得ます。
 そこでなんですが、実は、このときにどうやって自分が相続人であるかということを立証することが、実は非常に難しいんですよ。
 例えば、外国の方が日本で出生とか死亡した場合、つまり身分法上の報告的な届出ですね、事実関係が起こってこれについて報告しますという届出、あるいは、外国人同士で、例えば婚姻だとか離婚、養子縁組、認知などのような、新たに家族関係を形成するような届出、創設的な届出と講学上言われるものです。これについて、一定の場合には届けなさいということを、届け出ることができますよということになっていまして、これは当該の市町村に出します。市役所、区役所、村役場等々に出すわけですけれども。このような届出が出されれば、当該市町村においてこの事項証明の交付を受ければ、さっき韓国の例を出しましたけれども、本国の方の身分登録簿に記載が存在していなかったとしても、親子関係とか夫婦関係を証する証明書として利用することができることとされています。戸籍法とか施行規則なんですが。
 ちょっと一つ一つ詰めていきたいんですが、こうした外国人の報告的な届出、創設的な届出の受理した書類というのは、受理した市町村において一定期間保存されるとされておりますけれども、一定期間というのは何年を具体的には指しているんでしょうか。

#153
○小出政府参考人 お答えいたします。
 外国人についても、日本国内で出生し、あるいは死亡したときには、住所地の市区町村に出生届や死亡届を届け出なければならず、また、婚姻届などを届け出ることができるとされておりまして、その届出書は市区町村に保管されることになります。
 外国人に関する届出書の保存期間につきましては、外国人同士が日本の方式により婚姻する場合など、届出によって効力を生ずべき行為、いわゆる創設的届出に関するものは、届出を受理した年度の翌年から五十年とされ、出生、死亡など、その他のもの、報告的届出は十年とされております。

#154
○山花委員 果たしてこれで十分だろうかということなんです。報告的届出は十年ということで、つまり出生時から十年というか、逆に言うと、十年以上たつとこれは破棄されてしまうということなんですよね。十年ということだけ、是非、法務委員会の委員の方もちょっと覚えておいてください。後につながっていきます。
 さて、これ、日本人同士が結婚したケースですと、というか、今住民票の話なんですけれども、もし日本人の場合ですと、皆さん、今日ここにいる皆さんは分かると思いますが、住民票であったとしても、例えば、同居していれば、私が世帯主だったとすると、一緒に住んでいる、何年生まれの女性が住んでいたとして、関係が妻であると、続柄が。二人いるけれども、長男、長女とか書いてあって、身分関係の記載がございます。仮に、私が例えば単身赴任でどこかよその自治体に行ったとすると、世帯主が替わるんでしょう、妻になるんでしょう。私は、ここでまた住民票を出します。住民票では夫婦関係というのは分からないんですけれども、日本というのは戸籍制度がありますから、追っかけていけばというか、戸籍を見れば身分関係は分かります。
 ところが、在留外国人同士のカップルの場合、これは戸籍に反映されません。ですので、例えば東京都千代田区で婚姻届を出したとします。ただ、仕事の関係で別々の住所に住んでいるとすると、これは住民票が別々ですから、住民票を見ても夫婦かどうかというようなことは分かりません。このケースですと、一方が死亡した場合に、相続人であることを証明しようと思っても、住民票では確認できないということになります。
 ちょっとややこしい話ですが、例えば、千代田区で婚姻届を出したカップルが、すぐに子供をもうけて、千代田区に出生届を出しました。その方が、仕事の関係で家族ごと奈良県奈良市に住んでいたとします。生まれた子供は、幼稚園、小学校、中学校、高校と奈良で、ちょっと県立でどこまであるか、まあ、普通、高校までは奈良市ならあるでしょう、生まれ育ったとして、この方が、例えば今仕事で、御両親の住所とはまた別のところで、京都でお仕事をされていて、そのときに御両親が両方亡くなったとします。自分がどこで生まれたんだろうというのは、戸籍がないですから、出生届、ずっと幼いころから奈良に住んでいたし、幼稚園も、お友達もいるからと、奈良市の市役所に問い合わせると、奈良市の市役所には届け出ていませんから、分かりませんということが起こります。よっぽどのことがないと、恐らく千代田区に届出があることは分からないでしょう。ましてや十年たったら、それすら消えてしまっている。こういうことが起こるんです。
 こういうときに、じゃあどうしているのかということなんですが、保存経過を、例えば今、経過しちゃった場合ですとか、あるいは、今言ったように当事者がどこに届け出ていたんだか分からないというのは、ふわっと聞くと、そんなことあるんだろうかと思われるかもしれないけれども、今言ったように、大いにあり得る話なんです。
 このような場合には、二〇一二年の七月以前であれば、外国人登録法、反対運動があって廃止になったんですが、この時代については、法務省の民事局にお尋ねいたしますが、身分関係について、ちょっと立証という言葉が適切でないとすると、例えば疎明資料として使われていたという事実があると思うんですけれども、そういう認識でよろしいでしょうか。

#155
○小出政府参考人 お答えいたします。
 不動産登記を例にして申し上げますと、委員御指摘の外国人登録法が廃止される以前は、外国人が相続登記の申請をする際に外国人登録済証明書等を添付していれば、法務局においてはその者の身分関係を示す資料としてこれを受領する取扱いがされておりました。
 もっとも、外国人登録法が廃止されて、外国人登録済証明書等の交付を受けることができなくなったとしても、これと同等の内容を記載した公証人等の証明に係る宣誓供述書などを添付して登記の申請をすることを認めるといった、運用上の工夫がなされているものと承知しております。

#156
○山花委員 今、後段のところはそういうこともやっていますということなんですが、当分の間なんですが、本当にこれを続けられるのかどうかということがこれから始まる話なんです。
 総務省に伺います。
 二〇一二年の七月九日に外国人住民票が創設されましたが、かつて外国人登録原票に記載することができたことのうち、外国人住民票で記載されなくなった事項についてどのようなものがありますでしょうか。

#157
○阿部政府参考人 お答えいたします。
 平成二十四年七月九日に住民基本台帳法の一部を改正する法律が施行されたことによりまして、外国人住民につきましても、日本人と同様に、住民基本台帳法の適用対象に加えられ、住民票が作成されることとなりました。
 外国人住民に係る住民票についての記載事項でございます。旧外国人登録法に基づく外国人登録原票に登録されていた事項のうち、次に申し上げる事項が記載されていない事項ということでございますけれども、国籍の属する国における住所又は居所、出生地、申請に係る外国人が世帯主である場合には、世帯を構成する者の氏名、出生の年月日、国籍及び世帯主との続き柄、本邦にある父母及び配偶者の氏名、出生の年月日及び国籍などの事項が記載されていないところでございます。

#158
○山花委員 このように、国籍の属する国における住所又は居所、これが今、昔はあったけれども、なくなっています。出生地、これも、もし日本で生まれた場合には、さっきの、千代田区で出生届を出したんだけれども分からないということは、前であればそんなことは分かったんですよ。
 申請に係る外国人が世帯主である場合には、世帯を構成する者の氏名、出生の年月日、国籍及び世帯主との続き柄等々ありました、また、父母のこともありましたので、仮に仕事の関係で別居して住民票を別々の所に置いていたとしても、これを見れば家族関係については分かったんです。
 ところが、先ほど申し上げましたように、今はこれがなくなっています。当事者の団体の方々も、あのときはもうけしからぬ制度がなくなって大喜びしていたんだけれども、今になって、ちょっと困ったことが、みたいなことなんですよ、上川大臣。
 これはじゃあ今どうしているのということを聞いたところ、外国人登録原票はもう閉鎖していますけれども、全部法務省の方に引き揚げていますので、法務省が持っているということで、これはわざわざ、法務省に対して相続人が登録原票開示請求というのを行って、それをもって今度また、登記所だとか裁判所だとか、相続の関係の証明をやっているのだというようなことのようなんです。
 ということは、外国人登録法が廃止される前と後で登録原票の開示請求というのは増えているんじゃないかと思うのと、あるいは、こんなもう廃止されちゃった登録原票ですから、本来であればそんなに開示請求なんてされる必要性というのはちょっと想像し難いんですけれども、実際には、これは継続してずっとされているんじゃないでしょうか。その傾向について教えてください。

#159
○松本政府参考人 お答えいたします。
 外国人登録原票制度の廃止後も、委員御指摘のように、法務省、平成三十一年四月からは出入国在留管理庁に対しまして、原票の開示請求は継続してなされております。
 この点、外国人登録原票の開示請求件数の個別の数値そのものは把握しておりませんが、出入国在留管理庁に対する令和元年度の保有個人情報の開示請求件数は約二万七千件となっております。このうち、実務的な感覚といたしましては、外国人登録原票の開示請求がその大部分を占めているものと認識しており、現在でも相当の請求がなされているものと承知しております。

#160
○山花委員 詳細に把握はしていないようですが、実務的な感覚としては大部分ではないかというお話でした。
 何か、実務家の方に聞くと、やり方は二つあるのだということを言っています。今申し上げたように、法務省が保有する行政文書として、行政機関個人情報保護法に基づく登録原票に係る開示請求をするというのが一つの方法です。
 もう一つが、これは相続に関してですけれども、法務省がやっている、これは入管の方でやっている、資料を取り寄せるというようなんですけれども、実際に、これは家裁とかで相続関係があるときに、こうした登録原票を求めているようなケースもあると言われています。
 実は、大変これは私自身も反省をしています。こういったことが実際に起こり得るよということについて、結構早い時期から指摘がありまして、平成二十五年、外国人集住都市会議というのがございまして、在留管理制度及び外国人住民に係る住民基本台帳制度の改正に関する提言書というものが出されています。
 今日は委員の机上に抜粋で配付をしておりますが、それの提言の一のところにもこのことが記載されております。業務上の問題点について、これは、自治体の問題、自治体が言っていることなので、必ずしも今日問題になっている相続とかそういうことではないんですけれども、既にこの時点で、提言一のところです。
 読み上げますと、「今回の制度改正に伴う「外国人登録法」の廃止により、外国人登録原票が法務省の保有となったことから、親族関係や住所履歴の確認など、外国人住民が生活上必要とする情報を自治体の窓口で対応できないケースが生じている。また、開示手続きに時間を要し、行政サービスの低下となっている。」というような指摘がもう既に平成二十五年の段階でされていたということでございます。
 総務省は、自治体の外国人集住都市会議のこの提言書について認識はございましたでしょうか。

#161
○阿部政府参考人 承知しております。

#162
○山花委員 ごめんなさい、そこから先、更問いが、通告していたんですけれども、これは何らかの対応というのはされたのかしら、これを受けて。

#163
○阿部政府参考人 特段の具体的な対応ということではしてございません。

#164
○山花委員 ということだそうです。
 今度、裁判所に伺いたいんですけれども、裁判所において、相続などに際して、この外国人登録原票の提供というのを疎明資料などで求めるということはありますでしょうか。

#165
○手嶋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
 身分関係も含めました事実関係を証明ないし疎明する資料として何を求めるかは、個別の事案に応じた個々の裁判体の判断ということでございますが、実務上、外国籍の方の身分関係に関する資料として、当事者に、外国人登録原票の写しを提出していただくケースもあると承知しております。

#166
○山花委員 金融庁に伺います。
 今日は、登記、相続、不動産のことがテーマになっていますけれども、これも、相続を経験された方は委員の中にもいらっしゃると思います、私も経験いたしましたが、預金、貯金があるとちょっと面倒くさいんですよね、止められまして、これでまた、相続人はこれこれこれで間違いございませんと、何かこう、手続が要るんです。
 ちょっと金融庁に聞くのが適切かどうかなんですが、これは聞き取りをしてくださいとお願いをしていたんですが、被相続人名義の預金を預かる金融機関で当事者に外国人登録原票の提供を求めるケースというのが、私、相続を扱っている司法書士さんからはあると聞いていますけれども、頻繁かどうかというのは分かりませんけれども、一応あるという認識でよろしいでしょうか。

#167
○伊藤政府参考人 お答えいたします。
 お亡くなりになった方の預金を払い出す際に、その申請の方との相続関係を確認する必要がございますけれども、通常は国籍のある本国の公的証明書などの提出を求めておりますが、様々なケースがございまして、その公的証明書の記載事項では相続関係が確認できない場合又はその公的証明書の取り寄せができないような場合につきまして、委員御指摘のとおり、外国人登録原票の写しの提出をお願いをすることがあるというふうに聞いております。

#168
○山花委員 今本国のという話があって、ちょっと、そういうケースもあるんだけれども、実際はというところのお話をしたいんですが、例えば、在日の、戦前、要するに、日本は戦争の時代に中国とか朝鮮半島の関係でいろいろ歴史がありますので、今、そういった方が、二世どころか三世、四世までになっています。そうなると、それこそ幼いころから日本で生活して、普通に日本人と同様の生活をしていたりとかしますので、本国に対して、例えば、結婚しましたとか、そういう届出をするという習慣がない方々がたくさんいらっしゃいます。
 それは、例えば、今大韓民国の大使館のホームページを見ると、韓国というのは日本の戸籍制度に似たものがあるものですから、日本で婚姻したときは届け出てくださいねということを広報しています。裏を返すと、届けていない人の方が圧倒的に多いから。だって、みんなが届け出ていたらそんな広報をする必要はないですから、やっています。
 ですので、一般論として言うと、とかく政府側の関係の方は、いや、本国に聞いていただければと言うようなんですけれども、実際はその資料がそもそもないケースがあるというのが、先ほど、ないケースではというお話だと思います。
 今日、厚労省にも来ていただいています。遺族年金とか加給年金、寡婦年金の請求などで、受給要件の証明などのために、出生届、婚姻届の受理証明などの書類を添付して、親子関係や婚姻関係を窓口で求められるケースがあるという指摘もあるんですが、ちょっとそれはおいておいて、外国人登録原票の話にそろえたいと思います。
 裁判所とか金融庁と同じ形の質問になりますけれども、こういったケースで、当事者に外国人登録原票の提供というのを求めているケースがあるという認識でよろしいでしょうか。

#169
○日原政府参考人 お答え申し上げます。
 遺族年金等の請求におきまして、請求者との婚姻や親子関係などを明らかにすることができる書類として、戸籍謄本又は抄本の提出をしていただいておりますけれども、外国籍の方の場合は、この戸籍に代えて、請求者等の属する国の公的機関の発行した出生証明書や婚姻証明書などを提出していただいております。
 請求者等の属する国の公的機関が発行した証明書ではいつから婚姻されていたかなどの必要な確認ができない場合におきましては、外国人登録原票を提出していただいているケースもあると承知をいたしております。

#170
○山花委員 ごめんなさい、裁判所、金融庁、厚労省、確認できましたので、退席していただいて結構です。

#171
○義家委員長 御退席いただいて結構でございます。

#172
○山花委員 今分かったように、相続の登記に限らず、いろいろなところで、いまだに廃止された外登法で、多分、現場の銀行の方とか厚労省の方も、持ってきてねと言って、あ、持ってきてくれたのねということなんですけれども、やっている側は、当事者は大変なんですよ。それこそ情報公開請求までしないと出てこないものですから。
 実は、これだけではありません。例えば、先ほど申し上げたように、婚姻届を出したとしても、出した自治体しか分かりませんから。これは本当にこの間あった話だということなんですけれども、隣の区役所に行って夫婦なんですと言っても、本当かということで、証明できないで窓口で大げんかになった、最後は頑張って認めてもらった、こういう話なんです。そういうケースだとか、実はそういうことがあるものだから、自治体で、本当にこの人、独身なんですね、独身というか、ちゃんと正式に結婚できるんですねということで、第三者の申述書を求めるような自治体も出てきています。
 あと、公営住宅で親子や祖父母が孫と同居する際に、その関係を示す書類を出せと言われたけれども、これもなかなか困ったというようなケース。高齢の親を健康保険の扶養に入れるための親子関係を証明しようと思ったら、これがなかなかできなかったという話。児童扶養手当について、離婚した後、婚姻していないことの証明をすることに困った。
 つまり、結婚していないということを証明せよと言われても、要するに手だてがないということで、在留外国人の身分関係にまつわる不都合というのは枚挙にいとまがありません。
 今日これも机上にお配りしておりますが、日本司法書士連合会が、二〇一九年の四月の十二日に出入国在留管理基本計画に関する意見書というのを出しています。残念ながら、これは、民事局にではなくて入管に出しているものですから、ちょっと問題意識が共有されていなかったのではないかと思うんですけれども、その中の一つに、提案として、短期的には、外国人住民票の備考欄というのがあるんですね、外国人住民票には備考欄がありますから、備考欄のところに、例えば、いついつに出生届を出しましたとか、婚姻、この人と結婚しましたというようなことを記載することができれば、現状でも住民票を取れば身分関係を証明することができるので、旧外国人登録法みたいなものの、身分証明の役に立つんじゃないですかというアイデアを出されていますが、このアイデアについて総務省として検討する用意はないでしょうか。

#173
○阿部政府参考人 お答えいたします。
 住民基本台帳制度は、市町村が住民の居住関係の公証などを正確かつ統一的に行う住民基本台帳を作成する制度でございます。住民票の備考欄の記載事項は、行政執務上の資料とするためのものであり、市町村の公証事項として位置づけられるものではございません。したがって、外国人の身分登録を目的として住民票の備考欄に身分事項を記載することは適当でないと考えてございます。

#174
○山花委員 つまり、やらない、こういう話なんです。
 実は、このことについては、法務省の民事局とか入管局も含めて、また総務省とも、実は二年ぐらい前からずっとこのことについて総務省にもお話をしているんですけれども、かなり固い意思で、やらないということのようでございます。最後には、今よりももっと詳細に、そもそも住民票の法的根拠のところからお話をされて、違うのだということを一生懸命言われておりまして、身分関係だから法務省でしょうというのが総務省のスタンスだ、こういうことでございます。
 冒頭のところに話は戻っていくんですけれども、今回の例えば、ちょっとここまで聞いていただいた上でなんですけれども、冒頭言ったことが分かっていただけたと思います。つまり、所有者が不明で登記ができないというんじゃなくて、所有者も分かっていた、相続人も分かっているんだけれども、非常に登記がしづらいケースがあるということ。
 そして、何より懸念されるのは、まだ今はだましだましやっています。ところが、外国人登録法、なくなってしばらくたちますよね。情報開示請求しても、時の経過とともに、ある意味信用力がだんだん薄くなってきます。その当時は夫婦だった方が、何年かして別れている可能性もあるけれども今はそれを見てということをやっています。余りこういう例を出すのは当事者の方には申し訳ないですけれども、例えば今日にだって、それ以降に入った方が亡くなって、その開示請求どころか、そもそもそういうものが存在しない人たちがいるわけです。
 また、これから、先ほど冒頭の話、私の指摘です、十年、二十年たって果たしてこんなやり方が通じるのか。結局今の、だって、これがなくなっちゃうわけですから。先ほどもいろいろな役所の方から、事実上使っていますというお話がありました。なので、本当は、今回の法案の、作るに当たっての作成のたてつけについては、これは所有者不明土地対策の推進に関する基本方針ということで関係の閣僚会議等が開かれたんだから、こういうたてつけになっちゃっているのは、それはしようがないんだけれども、本来であれば、所有者不明土地というよりも、登記困難な土地があるという課題のたてつけにしてくれていれば、今のことも併せて検討できたのかなという思いがあるんです。
 これは、ちょっとまず事務方の方に聞きたいと思うんですけれども、日本書士連合会、今、意見書の方で短期的な話と申し上げましたけれども、長期的には、在留外国人の身分登録台帳制度の創設を検討すべきという意見がございますが、これについてはどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。

#175
○小出政府参考人 お答えいたします。
 この日本司法書士会連合会からの意見書の位置づけでございますが、民事局といたしましては、こういう事情があることに照らして、委員が冒頭言われましたとおり、相続登記の義務化というのを図るのが適当なのかというような観点から問題設定をしたところでございます。
 不動産登記法の今回の見直しに関して言えば、所有者不明土地の発生の予防の観点から、相続登記、住所変更登記の申請を義務化しつつ、それらの手続の簡素化、合理化策を講じることを内容としております。
 この日本司法書士会連合会の指摘の意見書は、在留外国人の身分登録の在り方を提案しているものであって、今般の不動産登記法の見直しとはその目的や視点を異にするものでございます。そのため、この意見書自体を、外国人について相続登記の義務化を図るか否かといった点での参考にはしていないところでございます。
 もっとも、外国人である場合を含めまして相続登記の申請義務は課されることになるため、その負担については配慮が必要であることは認識しております。この点、冒頭申し上げましたけれども、一般論を申し上げれば、公的な相続関係の証明書の取得が困難な事案においても、登記実務におきましては宣誓供述書などを添付して登記の申請をすることを認めるといった運用上の工夫がされておりまして、日本に在留する外国人についても例外ではございません。
 今般の相続登記の申請の義務化におきましては、このような相続登記の添付書類に係る取扱いについて特に変更することは予定しておりませんので、今般の改正により、外国人が相続登記等を申請することが不可能になったり特に困難になるというものではないと認識しているところでございます。

#176
○山花委員 私は、今回のこの法案そのものに瑕疵があるということを申し上げているのではありません。今後、こういう法案、というか、これが法律になったときに、もっと周辺的な、ちょっと環境整備というか、そういったことが必要なのではないかということなんです。
 ちょっとこれは、大臣も、ちょっと最後にお答えいただきたいんですけれども、どうしても、最終的に、そちらで仕事をしていると、答弁書も事務方から上がってきたのを決裁してとなっちゃうから、どうしてもそういう枠での話になりがちだと思うんです。
 実は、これは、日本司法書士連合会だけではなくて、日本大学の危機管理学部の教授である高宅茂さんという方が「外国人の受入れと日本社会」という本を出しておりまして、同じように、これは今後大変なこと、大変というか、面倒くさいことになりますよという指摘がその本の三百九ページぐらいからつらつらと書かれておりまして、アイデアとして、そういったことについて一元的に扱う在留外国人総合情報センターなんというものをつくって、身分台帳を作って管理するのが適切ではないかというような指摘をしています。
 この方は、日大に行く前は法務省の入国管理局長をされていた方です。つまり、役所の枠を一歩出れば、やはりそういうものは必要だという認識は持たれるはずなんですよ。
 今回、先日の参考人質疑でも、総務省とここまで協議してもらえるとは正直思わなかったというような参考人の御発言もございましたけれども、先ほどの外国人住民票に書くという話は、なかなか、役所ベースでいうと多分ああいう話になると思いますので、是非、それこそ、今回も改めてですが、政治家たる大臣として御判断いただきまして、検討するということを考えていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

#177
○上川国務大臣 今委員から、日本に在留する外国人の方々が身分関係を示す疎明資料として、いろいろな面で最後のとりでのような形で外国人登録原票が活用されているということ、また、制度が終わったとしても、その後もそれが利用され続けているということについて、各省からそうした答弁をいただきました。
 これから外国人の方々と共生をする社会をしっかりと構築していくということについては、これは、この分野の環境整備のみならず、全体的に極めて重要なことだというふうに思っておりますので、この外国人の身分関係の公証の在り方という観点から、今るる御指摘いただいたことも踏まえまして、諸外国の状況なども十分に調査をした上で、関心を持ってしっかりと検討してまいりたいと思っております。

#178
○山花委員 ありがとうございました。

#179
○義家委員長 次に、藤野保史君。

#180
○藤野委員 日本共産党の藤野保史です。
 本法案、確かに全国で所有者不明土地が多数存在していると。私は比例ブロックで、新潟、長野、石川、富山、福井とあるわけですが、やはり地元でもいろいろな声をお聞きします。
 ただ、この法案、なぜ所有者不明土地が生まれるのかという点に対応しているのかという点で、幾つかお聞きしたいと思います。
 前提として、法務省にお聞きしますが、なぜ所有者不明土地が発生していると考えているのか、ちょっと改めて御答弁ください。

#181
○小出政府参考人 お答えいたします。
 平成二十九年度に地方公共団体が実施した地籍調査事業における土地の所有者等の状況に関する調査結果によりますと、所有者不明土地の発生原因としては、所有権の登記名義人が死亡して相続が発生しているが登記記録上は登記名義人がそのままになっている、いわゆる相続登記の未了、これが全体の約三分の二でございます。また、所有権の登記名義人の住所が変更されているが登記記録には反映されていない、いわゆる住所変更の未登記が全体の三分の一をそれぞれ占めており、この二つが発生原因のほぼ全てを占めている、そういった状況にございます。
 相続登記の未了の理由としては、次のような指摘がございます。
 相続登記の申請が義務とされておらず、かつ、その申請をしなくても相続人が不利益を被ることが少ないこと。また、相続をした土地の価値が乏しく、売却も困難である場合には、費用や手間をかけてまで登記の申請をするインセンティブが働きにくいこと。
 また、住所変更の登記の未了の理由としては、現行法では住所等の変更登記の申請が任意とされており、かつ、変更しなくても大きな不利益がないこと、また、転居のたびにその所有する不動産についてそれぞれ変更登記をするのが負担であるということが挙げられているところでございます。

#182
○藤野委員 国交省にお聞きしますが、平成二十九年度の地籍調査における土地所有者等の調査では、登記がなくても別途地籍調査をすれば所有者が判明した場合も多かったんじゃなかったでしょうか。

#183
○吉田政府参考人 お答え申し上げます。
 平成二十九年度の地籍調査におきまして、不動産登記簿から直ちに所有者の所在が判明しなかった土地の割合は、筆数ベースで二二%ということでございます。
 この中には、市町村による更なる探索活動、例えば、除かれた住民票を追ったり戸籍の付票等で追っていくわけなんですが、そういった探索活動によりまして所有者が判明したものも含まれておりまして、同年度の地籍調査におきまして、このような市町村の取組の結果、最終的に所有者の存在が判明しなかった土地の割合は、筆数ベースで約〇・四%でございます。
 この二二%から〇・四%まで絞り込むまでの探索活動に当たりまして、膨大な時間と費用と労力がかかってしまっていることが非常に深刻な問題であると認識しておるところでございまして、何よりも、適正な土地の利用及び管理を確保し、所有者不明土地の発生の予防や解消を図ることが大変重要であると考えているところでございます。

#184
○藤野委員 確かに、お聞きすると、長野県上田市で、先行事例ということで、所有者不明土地をどうやって解決していくのかという事例も、私も勉強させていただいたんですが、確かに大変な労力、地元の方の協力もないとできないというお話でもありました。
 ただ、一方で、登記簿だけの問題ではないということも事実だと思うんですね。
 全国青年司法書士協議会の会長声明、先日の参考人質疑でも紹介させていただきましたが、今年の二月二十五日に、こういう会長声明を出しているんですね。いわゆる所有者不明土地の問題は、多数当事者の共有状態を解消するための合意形成の困難性にこそ、その原因があると指摘しております。
 法務省にお聞きしますが、法務省もこの認識はお持ちですか。

#185
○小出政府参考人 所有者不明土地が発生いたしますと、所有者の探索に時間と労力を要することになり、それが公共事業や民間の事業等の実施に障害となるといった弊害を生じます。このような問題につきましては、相続登記がされることで、問題の解決に向けて大きく進展することになります。
 他方で、このように所有者が判明したとしても、相続による共有が進むことになれば、将来における財産処分について意思形成も困難になるが、これを避けるためには、できるだけ遺産分割を促進し、財産が集約されることが望ましいということになります。
 所有者不明土地の引き起こす問題は多面的でございまして、特定の観点のみを強調することは適切ではないのかなというふうに考えているところでございます。

#186
○藤野委員 多面的というお言葉がありました。
 十九日の参考人質疑で、石田参考人は、たがが相続、されど相続と。相続は一つ一つ全部ドラマが違いますというふうにおっしゃっておりまして、だから、遺産分割をいつまでにしてくれという制度を取っている国は、世界で、私が調べたところでは一つもないとおっしゃっておりました。
 今川参考人、これは日本司法書士会連合会の会長でいらっしゃいますが、そのときに、何年以内で登記をせよということになりますと、何年以内に遺産分割協議をしなさいということになりまして、意思表示を強制するのは余りよろしくないというふうにもおっしゃっていました。
 私もやはりその側面というのが大事なのではないかなというふうに思っております。
 他方、法務省にお聞きしますが、本法案で相続登記が義務化をされます。義務化されますと、その義務の履行のために、法定相続分の所有権移転登記をやろうというケースが増えると思うんですが、そういう認識でよろしいですか。

#187
○小出政府参考人 お答えいたします。
 現行の不動産登記法上、所有権の登記名義人について相続の開始があった場合に申請することが可能な登記の一つとして、委員御指摘の法定相続分での相続登記がございます。この登記は、保存行為として、相続人の一人が単独で相続人全員のために申請することができるもので、全ての法定相続人がそれぞれの法定相続分の割合で共有持分を取得したことが所有権の移転の登記として公示されることになるわけでございます。
 この法定相続分での相続登記の申請に当たりましては、法定相続人の範囲及び法定相続人の割合を確定する必要がございまして、被相続人の出生から死亡までの戸除籍の謄本及び相続人であることが分かる戸籍謄抄本等の書類を収集しなければならないという負担がございまして、所有権の移転の登記としての登録免許税も要することとなります。
 他方で、今般、不動産登記法の見直しでは、申請人の手続的な負担を軽減する観点から、申請義務の簡易な履行手段として、相続人申告登記という新たな登記を創設しておりまして、法定相続分での相続登記に代えて、これにより相続登記の申請義務を履行することが期待されております。
 そのため、本法律案の下では、相続登記の申請義務の履行方法として、法定相続分による相続登記の利用が増えるといった事態はそれほど想定されないのではないかと考えているところでございます。

#188
○藤野委員 ちょっと、二つお聞きするんですけれども。
 申請を義務化しますね、この法定相続分についての。これは今、余り増えないとおっしゃったんですが、それは、確かに、申告の方があります、それはまた後で聞こうと思うんですけれども、まず前段の、私が聞いたのは、義務化されるわけですから、その義務の履行とみなされる方はちょっとおいておいて、義務化される方について、ああ、義務化されるなと思って、真面目な人もいますから、その義務化されたことによって増えるのではないか。というか、増えることを求めて法案化されるわけですよね。違うんですか。

#189
○小出政府参考人 相続登記の義務化によりまして、それを履行する登記の形態というのは、法定相続分の登記もございますし、遺産分割の結果の移転登記もございますし、手続が軽減された相続人申告登記というものもございます。
 義務化されたということで、法定相続分による相続登記が増えるのではないかという御意見に関しては、増える可能性はもちろんあると思いますが、それより簡易なものを用意しておりますので、そちらの方の利用が期待されているということで申し上げました。

#190
○藤野委員 先ほどから小出民事局長は、できれば任意とか、何というか、そういう法案を目指していらっしゃるんだなというのは伝わるんですけれども、しかし、義務化をされますと、過料もついておりますから、これはやはり、義務を果たそうというインセンティブの非常に強い法案だというふうに認識をしております。
 十九日の参考人質疑で、石田参考人からは、そういう法定相続分が取りあえず登記がされるわけですね、義務化ですから。それは実は協議もされていないし、実はその後、ひっくり返るかもしれない可能性がある。しかし、法定相続分だからということで、義務化の下で登記がされるケースが増える。石田参考人の言葉によると、意思のない、所有者になる意思のない結果の登記というのは危険だという指摘がされておりまして、やはり一つ一つ、相続というのはドラマがあって、背景が非常に複雑でありますから、そういうものを反映しない登記ができることについての警鐘を鳴らされたと思うんですね。
 同じ参考人質疑で、山野目参考人からも、その指摘については、先ほど言った全国青年司法書士協議会の問題意識ですけれども、誠にごもっともという指摘もありましたし、今川参考人からも、最終的には遺産分割協議を経て、その結果を踏まえた登記をするというのが本来の在り方という御指摘がありました。
 大臣にお聞きしますけれども、法定相続分、要するに、法律的にはそうですよねという登記が、義務化される下で増える可能性があるわけです。しかし、それが実体を伴っているのか。遺産分割されていない可能性もあるわけですから。
 そうなると、例えば、遺産分割とかいうのに関わっていない、けれども相続人であるという当事者からすると、合意形成というのに、逆に、登記を先にされてしまったということが阻害要因になるんじゃないか。
 全国青年司法書士協議会が、合意形成の困難性こそが問題なんだと言っている、その合意形成について、この法案がむしろマイナスになるのじゃないかという指摘だと思うんですが、これをどのようにお考えになりますか。

#191
○上川国務大臣 共同相続人の一人の申請によって法定相続分での相続登記がされた場合に、登記上は共同相続人全員が法定相続分に応じて不動産を共有している状態が公示されることになるわけでございます。
 この状態が公示されたとしても遺産分割協議は可能でございまして、かつ、これが調えば、その内容に応じた登記をするということもできるわけでございますので、御指摘は、合意形成ということについて阻害要因になるのではないかという御懸念でございますけれども、直ちにはそういうことには当たらないものと考えております。

#192
○藤野委員 そうありたいとは思うんですが、しかし、やはり、自分の知らないところで登記されているという事態を心配されている参考人の声だったと思います。
 もう一点、ちょっと法務省に簡単に確認しますが、今、困難にならないとおっしゃいましたけれども、例えば、法定相続分の法定の分だけが形式的に登記されました、その後、そのうちお一人が亡くなられたとなりますと、そこでまた相続が発生するわけですね。新たな当事者が増えてしまうということになるんですが、法務省、そういうことが考えられますよね。

#193
○小出政府参考人 お答えいたします。
 法定相続分での登記がされて所有権の登記名義人となった者のうち、更に一人に相続が開始した場合の事案を想定したものと理解いたします。
 御指摘のとおり、まずは、死亡した法定相続人の持分が遺産分割の対象になるものと考えます。

#194
○藤野委員 もちろん、持分について、なるんですが、要するに、元々からしますと、更に当事者は増えるわけですね。新しい第二次相続の相続人にしてみますと、全く関与していないところで既にもう登記がされちゃっているということになって、これは先ほど、単に一旦法定相続されたとしてもその後の合意形成には直ちには影響はないというふうに大臣は答弁されましたけれども、仮に、亡くなるといったような、新たな二次相続ということが起きますと、これはやはり、その後の協議に何らかの影響を及ぼす可能性というのは、一次相続の場合よりも増えてくる可能性は否定できないというふうに思います。
 法務省にお聞きしますが、その場合、二次相続が起きた場合に仮に協議が調わなかったという場合は、元々の、一番初めの法定相続分の登記が固定化してしまう、こういう可能性が出てくるということは、それはそういう理解でいいですか。

#195
○小出政府参考人 お答えいたします。
 二次相続の相続人同士での遺産分割の協議が調わずに協議がされない場合、その場合は、従前の、その一つ前の法定相続分での相続状態が続くことになります。
 ただ、これは、法定相続分での相続登記がされたこと自体の効果ではなくて、法定相続分での相続登記をしていない場合であっても同様の帰結となるというふうに考えております。

#196
○藤野委員 私が懸念するのは、登記というのは、やはり権利関係の公示機能というのがあると思うんですね。
 当事者間で実体的な権利関係を話し合っていない下で法定相続分だけが公示される。あるいは、それが、更に相続がもう一個発生してしまって、更に当事者が増えてしまうと、その新しい当事者も権利者なんですね。しかし、その権利関係が反映されない可能性がある、固定化してしまう。それでますます何かもう複雑化、こじれてしまって、この公示義務化によって遺産分割協議そのものが進まないのではないかという懸念があると思うんですが、大臣、この懸念についてはどのようにお考えですか。

#197
○上川国務大臣 今委員御指摘いただきましたけれども、法定相続分での相続登記がなされれば、一応、相続登記はされたことになるということになります。それで満足してしまいまして、更に遺産分割協議をするという意欲を失うこともあり得ないわけではございません。
 このような認識を前提といたしますと、その後、法定相続人が死亡して更に相続が発生するなどして、不動産についての権利関係が複雑化していくという懸念もあり得るものと考えられるところでございます。
 もっとも、法定相続分での相続登記につきましては、その申請のための資料収集の負担が大きい上に、権利関係を公示する手法として問題もあるとの指摘もされております。
 そこで、今般の不動産登記法の見直しにおきましては、相続登記の申請を義務づけるとともに、その申請義務の実効性を確保するべく、相続人が申請義務を簡易に履行することができるようにする観点から、新たに相続人申告登記を創設することとしたところでございます。
 このような本法案の内容に照らして考えますと、相続登記の申請を義務化したとしても、直ちに権利関係の複雑化を助長するものではないと考えられるところでございます。

#198
○藤野委員 そういう御答弁なんですが、じゃ、実際、この法案の、実効性と先ほどもありましたけれども、私からしますと、過料まで科して、相続登記という、登記の中でも最も手続的負担の重い登記の義務化をするわけですね。これは非常に重い。片や、名前とかそういうのだけで登録すれば、その義務を履行したこととみなす。これは確かに簡便かもしれない。だが、この二つのバランスは、私はかなり、ちょっとバランスが取れていないんじゃないかなと。
 義務化をするというその義務化の狙いというか、一方で、過料、要するにこれが最もアナウンスされると思うんですね、今後。他方、それを非常に軽い手続で履行したものとみなすという、このたてつけそのものがどういうことなのかなというのは、ちょっといまだに理解できないところであります。
 やはり、登記ありきではなくて、遺産分割協議をどういうふうに進めるのか、合意に基づく権利の確定をどういうふうに促進していくのかという、ここにこそ様々な施策を設けるべきじゃないかな。登記ありきでそれを履行したこととみなす、何か軽いあれをつくったことによって進む問題ではなくて、やはり様々な、多面的というふうに先ほど民事局長もありましたけれども、その多面性にやはり正面から応えていく、法務省はやるべきことをやるというのが本来の在り方ではないかというふうに思います。
 続いて、ちょっと別の論点なんですが、法務省は、今回の問題もそうですけれども、土地制度、土地所有権の在り方に関する研究会というのを設けられて、昨年の二月に報告書を発表されております。
 この中で、十三ページで、法務省にお聞きしますが、こう書いているんですね。「現在の不動産登記制度において、権利に関する登記の申請は、契約の相手方等に対する私法上の義務とされることはあるものの、国に対する公法上の義務とはされていない。」、こういうふうに指摘しているんですね。
 法務省にお聞きしますが、その理由について報告書は何と説明していますか。

#199
○小出政府参考人 お答えいたします。
 この研究会の報告書、三十一年二月に取りまとめられたものでございますが、権利に関する登記の申請が国に対する公法上の義務とはされていない理由につきまして、「権利に関する登記は、不動産に関する権利変動について第三者に対する対抗要件を備えるためにされるものであるため、私的自治の原則に従ってその利益を享受しようとする者が必要に応じてその登記を申請すればよいからであるなどと説明されている。」と記載されております。

#200
○藤野委員 そのとおりなんですね。
 つまり、民法第百七十七条が、要するに、権利に対する登記というのは第三者に対する対抗要件を備えるためであるから、私的自治の原則に従ってその利益を享受しようとする者が必要に応じてその登記をすればいいからだ、こういう理由で公法上の義務とされていないということなんです。
 法務省にお聞きしますが、もし何か例外をつくるとすれば、これを義務とするという、この民法百七十七条とか八百九十九条の二とかが問題なんですから、例えばですけれども、民法第百七十七条の二とか、民法で例外を規定する、そういうことをしなかったのはなぜなんでしょうか。

#201
○小出政府参考人 お答え申し上げます。
 一般に、不動産登記法は、登記手続を定める法律でございまして、手続法と言われておりますが、現行法においても、表示登記の申請義務に係る規定が設けられております。
 また、不動産登記は、権利を取得した者がその権利を保全する対抗要件としての機能を有するものでございますが、対抗要件制度のためのみに存在するものでもございません。特に、近時におきましては、国土の管理や有効活用という側面から、土地の所有者情報を始めとして、土地の基本的な情報を公示する台帳としての役割を有する点が指摘されております。
 したがいまして、今回、相続登記の申請義務の規定を不動産登記法に設けることが、民法との関係で原則が違うじゃないか、原則に違反があるのではないかというふうには考えていないところでございます。

#202
○藤野委員 それはちょっと、後でまたいろいろ聞いた上で、もう一回大臣にもお聞きしたいと思うんですが、今申し上げた研究会では、要するに、この相続による物権変動について登記の位置づけを改めることを検討しております。登記を、相続による物権変動の効力要件にする、つまり、もう、相続の権利移転は登記をしないと発生しませんよ、発生要件、効力要件にしますかという検討とか、あるいは相続による物権変動の第三者対抗要件にすることも検討されております。
 法務省にお聞きしますが、この研究会の報告書では、それぞれどのような結果になったと記述しているか、端的にお願いいたします。

#203
○小出政府参考人 御指摘の報告書によれば、まず、相続登記を相続による物権変動の効力発生要件とすることにつきましては、こういった考え方に従いますと、被相続人が死亡してから所有権の移転の登記がされるまでの間は不動産の所有権の帰属が定まらず、管理不全の土地を増加させるおそれがある上、登記をしない限り所有権が移転しないこととなるため、価値が低いなどのために相続することが望まれない不動産については、かえって登記申請しない方向に相続人を誘導するおそれがあるということから、積極的に導入すべきとする意見はなかったとされております。
 また、相続による物権変動と対抗要件との関係の見直しにつきましては、現行法では登記をしなくても第三者に対抗可能とされている場面につきましても、登記をしなければ相続による物権変動を第三者に対抗することができないとするといった見直しを行うことも検討されましたが、共同相続人に、他の共同相続人の法定相続分に相当する権利を当然に処分することができる権限を与えることになることなどから、採用しないといったことについて、おおむね異論はなかったこととされております。
 この報告書では、真の権利者を登記に反映させることが重要であるということについては異論はなく、これを実現するために、相続人に相続登記の申請について公法上の義務を課すなどの方策を引き続き検討すべきであるとされたものと承知しております。

#204
○藤野委員 結局、検討はされているんですね、民法との関係で。例えば、百七十七じゃないけれども、相続に限って効力発生要件にするとか、あるいは相続に限って対抗要件にするとか検討をしているんですが、それはやはり無理だねということになって、私もその部分、そのとおりだなと思うんです。
 大臣にお聞きしますけれども、これはやはり手続法なんですね、今度、不動産登記法で公法上の義務にするというのは。この手続法である不動産登記法において、相続に限って申請義務を課すというのは、民法の原則との関係で、これはやはり民法の原則には反するんじゃないですか。そういう結論が出ているんじゃないですか。

#205
○上川国務大臣 先ほども民事局長が答弁をしたところでございますけれども、今委員御指摘の不動産登記法につきましては、登記手続を定める法律でございまして、手続法と言われるところでございます。
 現行法におきましても、表示登記の申請義務に係る規定が設けられているということでございまして、この不動産登記につきましても、権利を取得した者がその権利を保全する対抗要件としての機能を有するものであるが、対抗要件制度のためのみに存在するものではないということでございまして、近時におきましては、国土管理とか有効活用という側面から、土地の所有者情報を始めとして、土地の基本的な情報を公示する台帳としての役割を有する点がつとに指摘されているところでございます。
 したがいまして、今般の相続登記の申請義務の規定を不動産登記法に設けることにつきましては、民法との関係で、原則、違反があるとは考えておりません。

#206
○藤野委員 では、ちょっとお聞きしていきますけれども、法務省にお聞きしますが、この報告書では、新たな申請義務を課す場合の根拠について、この申請義務の根拠についてどのように指摘していますか。

#207
○小出政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の報告書によりますと、登記申請義務の根拠については、複数の考え方があり得るとの意見があったとされております。
 具体的には、土地所有者の責務に淵源を求める考え方、相続登記の特質に求める考え方、また、相続登記等がされないことにより公共事業の円滑な実施等に現に支障が生じていることに鑑み、登記申請の義務づけはこれへの政策的な対策としてするものであるという考え方が紹介されているものと承知しております。

#208
○藤野委員 つまり、登記申請義務を今度新たに設けるんだけれども、その根拠というのが民法との関係では整理できませんから。先ほど言ったように、対抗要件でもない、権利発生要件でもないと。
 この報告書では、一つは土地所有者の責務、つまり、これはもうちょっと正確に言いますと、「土地が基本的に有限で新たに生み出すことができないものであり、また、他の所有者の土地と境界を接しているため他人の権利に影響を及ぼし得るものであることから、土地所有者は所有者の地位にあることを公示する社会的責務を負う」、こういう理由ですね。もう一つは相続登記の特殊性、もう一つは公共事業などの政策的な要請という三つなんですね。
 法務省にお聞きしますが、法務省はこの三つのうち、どれかに立たれているんでしょうか。

#209
○小出政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど来話が出ておりますが、所有者不明土地の発生原因として相続登記の未了が挙げられておりまして、どうして相続登記が未了になってしまうのかということにつきましては、義務とされておらず、申請をしなくても相続人が不利益を被ることが少ない、あるいは、相続をした土地の価値が乏しく売却も困難である場合には、手間暇をかけて登記の申請をするインセンティブが働きにくいといったことが指摘されていることを踏まえまして、所有者不明土地の発生を予防する観点から、相続登記の申請を義務づけることとしたものでございます。
 お尋ねの報告書の三つの考え方、どの立場であるかという点につきましては、様々な見方があり得るものと思われますが、土地基本法に基づいて所有者が登記手続等の措置を適切に講ずる責務を負っていることを踏まえつつ、相続登記の特質や所有者不明土地対策という政策的な観点等を総合的に考慮したものということができると考えております。

#210
○義家委員長 済みません、一度速記を止めてください。
    〔速記中止〕

#211
○義家委員長 速記を起こしてください。
 藤野保史君。

#212
○藤野委員 今三つの考え方をお聞きしたのは、やはりそれぞれの考え方によっていろいろ変化が出てくるからだと思うんですね。
 というのは、社会的責務とおっしゃいました。確かに、土地基本法が成立されていますので、やはり土地を所有していることの責務というのは土地基本法にはなじみます。仮にこれを突き詰めていくと、土地を持っているんだから、相続に限らず、売買を経過しようが取得時効を経過しようが、土地を持っている人の責務として登記しなければならない、相続に限らないというふうに、親和性があるんですね。
 ですから、これは今後どうなっていくのか。要するに、今回は相続をめぐる所有権だけに限られているんですけれども、土地基本法ができていることを考えたり、いろいろしますと、法務省にお聞きしますけれども、今後、相続以外の原因で土地の所有権移転が生じたりした場合に、今回のような義務が拡大されていくという可能性はあるんでしょうか。

#213
○小出政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘がございました相続以外、例えば、売買を始めとする複数当事者間で契約に基づく所有権の移転が生じた場合でございますが、これは、自らが締結した契約に基づき所有権の移転登記をする私法上の義務が発生しておりまして、対抗要件主義の下で、特段、登記申請を義務づけなくても、当事者において必要な登記申請をするのが通常でございます。インセンティブがあるということでございます。
 これに加えまして、相続登記の未了及び住所変更登記の未了の二つが所有者不明土地の発生原因のほぼ全てを占めている状況にあることを踏まえ、相続以外の原因による所有権の移転の登記につきましては、その申請を義務化し、その懈怠に過料の制裁を科すこととはしていないわけでございます。
 こういった検討の経緯に基づくものでございますので、法務省といたしましては、現段階では、相続以外の原因による所有権の移転登記の申請を義務化すること、これについては想定していないところでございます。

#214
○藤野委員 重ねて法務省に聞きますが、不動産登記法第三条は、登記することができる権利というのを何種類定めていて、それぞれどういう権利でしょうか。

#215
○小出政府参考人 お答えいたします。
 御指摘の不動産登記法第三条におきましては、所有権、地上権、永小作権等を始めとして、合計十の権利について登記することができることを規定しております。

#216
○藤野委員 不動産の権利関係を登記に的確に反映させるという要請は、所有権に限らないと思うんですね。不動産登記法三条には様々な権利が、登記することができますよといって挙げられているわけです。
 法務省にお聞きしますけれども、今回出されている法案のうち、相続土地国庫帰属法案の第二条三項第二号では、担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地は国庫帰属の承認申請ができないとされております。これはちょっと通告が届いていないかもしれないですけれども、この国庫土地帰属法の第二条三項第二号、ここで、担保権及び使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地は申請できませんよとなっているわけですね。この理由は何でしょうか。

#217
○義家委員長 速記を止めてください。
    〔速記中止〕

#218
○義家委員長 速記を起こしてください。
 小出民事局長。

#219
○小出政府参考人 お答えいたします。
 御指摘の、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律第二条第三項第二号は、担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地、これは国庫帰属のための承認対象にはならないものとしております。
 これは、国庫に帰属した土地について、通常の管理に過分の費用を要さないものを国庫帰属の対象とするという法律の趣旨からして、担保権あるいは他人の利用権あるいは他人の収益権を目的とする権利が設定されている土地については、それぞれの権利者との間で調整が必要になったり、紛争が生じたりということがございますので、国庫帰属の対象としなかったものでございます。

#220
○藤野委員 ここで終わりますけれども、いいですか。

#221
○義家委員長 速記を止めてください。
    〔速記中止〕

#222
○義家委員長 速記を起こしてください。
 参議院から大臣への通告がありますので、大臣は退席いただいて結構でございます。
 藤野保史君。

#223
○藤野委員 じゃ、一言だけ言って終わります。
 要するに、不動産登記法の改正案では、所有権のみが対象なんですね。ほかの権利は省かれている。相続土地国庫帰属法案では、担保権などの権利がかなり重要な位置づけをされているということで、こうした問題を含めて、ちょっと後半、またお聞きしたいと思います。
 一旦、終わります。

#224
○義家委員長 藤野議員の質疑については一旦ここまでとし、残余は、維新の串田委員の質問の後に、大臣が戻ってから再開という形にいたします。
 それでは、次に、串田誠一君。

#225
○串田委員 日本維新の会の串田誠一です。
 ほかの日にないほどの拍手をいただきまして、ありがとうございます。
 何日か、昨日からずっと質疑を聞いて、大変示唆に富む質問も多かったと思います。大変勉強になりました。
 特に、昨日、松平委員の、所有権というのは放棄できないのかという質問というのは、考えたこともなかった質問でありまして、大変、改めて考えなければいけないなというふうに思ったわけでございますが、日本国憲法は、考えてみると、所有権を放棄してはいけないという記載はないわけでありまして、むしろ、日本国憲法二十二条ですと、居住、移転の自由というのがあるわけですから、所有権をそのまま確保していなければならないというのとはちょっと違うのかな、むしろ、公共の福祉に反しない限りは所有権というのを放棄してもいいのかなというようなことも考えたわけでございます。
 今日は、いろいろ、各条文を議事録に残すという意味で、疑義を生じないような形での質疑をしたいと思うんですが、特に、民法では、八百八十二条で、相続は死亡によって開始するとなっているわけですね。そして、八百九十六条には、「一切の権利義務を承継する。」というふうになっています。ですから、亡くなった瞬間、その相続人が受け取るとか受け取らないとかという関係なくして、財産は取得することに観念的にはなるわけですよね。
 ところが、九百三十八条で、相続の放棄をすると、初めから相続人ではなかったことになると。観念的には所有権を取得しているんだけれども、後になって相続放棄をすると、初めから相続人ではなかったことになるという意味では、相続財産を放棄したのと同じ、まあ、相続放棄ですけれども、相続財産を放棄したと同じような観念的な流れにはなるわけですよ、所有権としてね。
 そうなったときに、相続放棄は、この申述というのは、費用を見ると、印紙代が八百円で、郵便切手代が四百七十円でできちゃうんですね。それに対して、今回、相続で財産を取得した後に国庫に帰属させようとすると、建物をどかせとか、境界線はちゃんと明確にしろとか、担保権はどうのとか、あとは、負担金は用意しろとか、こういうふうになっているわけです。
 相続を放棄するのは八百円と四百七十円で、そんなこと、境界線なんか関係ない、建物が上物にあっても関係ない、相続放棄はできる、何の要件もない。にもかかわらず、相続をして財産を一旦取得した後に国庫に帰属させようとすると、大変な費用と手間と。
 先ほど、建物を取壊ししようとしたら撤去費用は二百万円かかるとか、あるいは境界線はちゃんと明確にしておかなきゃならないとか、どこにこの差をつけたんだろうと。相続放棄にしても、観念的には財産を取得しているわけですからね。それを始めに遡るって、遡及効はあるにしても観念的には所有権は相続の開始のときに相続人に移ったわけですから、この差をどうしてつくるんだろうというのは疑問に感じているわけです。
 そんなようなことも含めまして、今日はちょっとそこも触れたいと思うんですが、条文の疑義というものを明確にする上で条文の若い数字からお聞きをしたいと思うんですが、所有権不明土地というのが第一条にあります。
 これは、昨日、山下委員からも非常に現場サイド的な質問があったんですが、今までの中で、所有者が不明なときというのは、民事訴訟法百十条で公示送達のときに、裁判所の方から、住民票に郵便物が届いても届かなかっただけではこれは駄目で、現場に行って表札を見てきてくれとか、移転先は調査したのかとか、これを裁判所から指摘されるわけですけれども、今回のこの所有者不明土地の規定の「相当な努力を払って」というのは、この公示送達と同じような要件という理解でよろしいですか。

#226
○小出政府参考人 お答えいたします。
 御指摘の相続土地国庫帰属法第一条、同法の目的を定めるものでございますが、同条において所有者不明土地とは、相当な努力を払ってもなおその所有者の全部又は一部を確知することができない土地をいうこととしています。
 一方、御指摘の民事訴訟法所定の公示送達は当事者の住所等が知れない場合に認められるものでございますが、ここで言う「知れない」とは、一般的に単に公示送達の申立人がこれを知らないだけではなく、通常の調査方法を講じても判明しないという客観的なものであることを要すると解されております。
 これらのことを踏まえますれば、両者は調査の対象となる事項が異なるものの、単に当該事項を知らないというだけでは足りず、一定の調査を尽くしてもなお当該事項が判明しないことを要するという点において、両者は共通性を有しているものと考えているところでございます。

#227
○串田委員 今のですと、実務的な法律家であれば大体イメージが湧きましたので、何をしたらいいのかというのはこれで大体分かるのかなというふうに思うんですけれども。
 次に、先ほど在留外国人というのがありましたが、今は海外にいる人が所有者であるというような場合があると思うんですけれども、海外にいる人の所在地を不明であると言う場合に、住民票がある国なのかどうかも分かりませんし、現場に行かなければならないのかどうか。海外の所在不明という者に対する相当な努力というのは、どんなようなことを考えていらっしゃるでしょうか。

#228
○小出政府参考人 お答え申し上げます。
 一般論として申し上げれば、例えば日本から出国して外国に居住している者と連絡を取りたいと考える者は、その所在等を知るために、まず近親者など、その出国先を知り得る者などから聞き取りをしたり、所在情報を有すると思われる公的機関等に問合せをするなどの努力をするものと考えられまして、このような努力をした場合には、なお相当な努力を払ったと言えるものと考えられると思います。

#229
○串田委員 今、一例として手がかりがある場合と思うんですけれども、なかなか手がかりがないときに、これは所有権を奪う場合もあるわけですよね。そういう場合に、帰責性がない場合もあるんじゃないかなと。そういう場合の救済方法というのを設けないでよろしいんでしょうか。

#230
○義家委員長 速記を止めてください。
    〔速記中止〕

#231
○義家委員長 速記を起こしてください。
 小出民事局長。(発言する者あり)

#232
○小出政府参考人 失礼しました。
 所有者や共有者の所在が不明であると認定された上で、管理人による処分や所在等不明共有者の持分の取得の裁判によって不明者の所有権や共有持分が有効に移転した場合には、その後にその効力を覆すことはできないわけでございます。例えば、所在が不明であった所有者が、実際には海外に居住していたような場合に、国内に居住している場合と区別して、海外居住であることを理由として権利の移転の効力が事後に覆ることとすると、取引の安全を害するということになり、制度自体の利用も阻害されることになります。
 そのため、これらの手続においては、所有者や共有者の所在等が不明であるかどうかを適切に認定することが重要と考えられます。また、持分を喪失する者の権利を保護する観点からは、その対価を確保することが重要でございます。
 そのため、裁判所が所有者不明土地管理人の処分等を許可する際には、その対価の適正性についても考慮する必要があるとともに、所在等不明共有者の持分の取得の裁判の手続において、供託命令を発する際にも、供託金額、これを適切に判断する必要があると考えております。

#233
○串田委員 今、取引の安全というお話がありましたが、海外にいる場合には、所在をどこまで調査しているのか分からない場合がかなり多いのではないかなと思うんですね。
 民法の勉強をしたりすると、動的安全と静的安全とを調和して考えるというふうによく言われるわけで、今、取引の安全とおっしゃられましたが、十三条には承認の取消しという規定がありまして、この十三条第三項には、権利の設定を受けた者があるときなどは、これらの者の同意を得なければ取消しができないと書いてあるわけですよね。これは完全に、そういう意味で、取引の安全というのをここで調和していると思うんです。
 そういう点からすると、十分な調査がなされていないにもかかわらず、所有権を奪われたようなときに、まだ国庫にあって、そして第三者がまだ発生していない場合には、この法律にも十三条で取消しを認めるという規定があるわけだから、こういうような規定で救済方法というのを設けること自体、取引の安全を害するということにならないんじゃないですか。

#234
○小出政府参考人 お答えいたします。
 御指摘の十三条の第三項は、承認申請者が偽りその他不正の手段によって承認を受けたことが判明したときに、承認取消しをすることが可能であるケースでございまして、かなり限定的なケースでございます。
 海外に居住している方の所在確認につきましては、所有者の所在の把握が難しい土地に関する探索・利活用のためのガイドラインというものが出ておりまして、まずは親族、知人に関する聞き取りを行い、次に当該国に日本人会、県人会等の組織があれば都道府県の国際課等を通じて照会を行います、また、外務省の所在調査を一定の場合に活用することも考えられますというような記載がございまして、まずはこういった形で、しっかり所在調査をすることが重要だというふうに考えております。

#235
○串田委員 そこで、調査はした、申請者としては調査はしたんだけれども、外国にいる、いろいろな外国があるわけですから、調査に協力的な外国もあるだろうし、そうでない外国もあるでしょうし、そういう意味で、ここには、「偽りその他不正の手段により」という、この不正という言葉がちょっと厳しいのかなと。その他適正ではない手段によりとか、何かそういうふうにすれば、後で、本来ちゃんと調べてくれれば所在が分かったでしょうといった場合に、救済方法もないんですよね、偽りだとか不正の手段以外は。自分はちゃんと調査したよと言って、調査しているけれども、後で翻ってみると、調査は十分ではなかったということが判明した場合にも、これは救済方法がないんですよね。
 ですから、ここの文言をもう少し、そういうものまでも包括できるような文言に変えれば、救済をする手段として適用することも可能ではないか。そして、この第三項には、取引の安全もちゃんと含まれているわけですから。
 こういうような形で解決をすることも可能ではないかと思うんですが、検討していただけないですか。

#236
○小出政府参考人 国庫帰属の承認に際して法務大臣に与えられている調査権限、これは、しっかり行使して、承認要件があるかどうかというのを調べますので、それでもなおかつ、その承認を取り消さなければならないような事例は、まさに承認申請者が、故意で、偽りその他不正の手段によって承認を受けたという、かなり悪性の高い行為を前提にしているものでございます。

#237
○串田委員 ちょっと今うろ覚えなので申し訳ないんですけれども、公示送達の場合にも、一定の期間で救済方法があったような気がするんですが、なかったでしたか。

#238
○義家委員長 速記を止めてください。
    〔速記中止〕

#239
○義家委員長 速記を起こしてください。
 小出民事局長。

#240
○小出政府参考人 条文の資料が手元にございませんが、公示送達の場合は、送達すべき書類、裁判書類を裁判所等の掲示場に掲示して、何週間か申出を待つわけでございますけれども、その間に、もちろん、申出があった場合には手続が元に戻って進みますけれども、その期間を経過した後であれば、もう送達の効力が生じたものとして扱われるものと承知しております。

#241
○串田委員 公示送達の場合には、何らかの請求を受け入れざるを得ない、債務者的な帰責性が感じられるんですけれども、この相続して財産を取得した場合で、ただ単に海外にいたりとか所在が分からない人というのは帰責性が余りないわけですから、より一層救済方法があってもいいんじゃないかなというふうに私は感じているところでございます。ちょっと検討していただければありがたいなと思うんです。
 次に、境界が明らかでない土地という、第二条第三項第五号、これは「境界が明らかでない土地その他」となっているんですけれども、最後の「争いがある土地」という「争い」に、ここが係るんですか。それとも、境界が明らかでないだけでもうこれに該当するというふうに条文は読むんでしょうか。

#242
○小出政府参考人 お答えいたします。
 法二条第三項第五号の「境界が明らかでない土地」でございますが、これは、所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地の例示として規定しているものでございます。
 所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地を国庫帰属制度の承認申請の対象から除外するのは、そのような土地をこの制度の対象に含めることにすると、国が管理すべき土地の範囲が不明確となり、その管理に支障を来すことになるためでございます。

#243
○串田委員 田舎に行けば行くほど、境界線が非常に分かりづらいというのがあると思うんですね。
 というのは、相手の方も相続して登記がなされていないですから、境界線を確認するのに全員に立ち会わせるというと、今度、自分の方も分からないのに相手を調べなきゃいけない、そういう田舎の土地は大変あるので、ちょっとお聞きをしているんですが。
 そうすると、今の整理をいたしますと、境界が明らかでない土地というだけでは、これに申請することができないというわけではないけれども、争いがある程度顕在化しているということなのでしょうか。それとも、境界が明らかでないというのは、争いがある土地というふうにみなしているんでしょうか。そこはちょっとはっきりしていただきたいんです。

#244
○小出政府参考人 お答えいたします。
 これも事案ごとで判断されますので一概には申し上げられませんが、一般論として申し上げますと、隣接地の所有者間で土地の境界につき明確な対立がない土地でありましても、境界が明らかでなければ実態としては境界に争いがあると言え、所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地に該当するものと考えられます。

#245
○串田委員 そこで、相続放棄をして、所有者がいない場合には国庫に帰属することになるわけですから、相続放棄をすると、境界線が明らかでない被相続人の土地も、放棄をすることによって国庫に帰属するわけですよね。その場合、国庫に帰属された境界線が明らかでない場合というのは、国としてはどういうふうに対応しているんですか。

#246
○小出政府参考人 お答え申し上げます。
 法定相続人全員が相続の放棄をした場合には、相続人のあることが明らかでないものとして相続財産は相続財産法人となりますが、所要の清算手続を経てもなお相続財産に残余の土地があるときは、その土地は国庫に帰属することとなります。このような土地には、境界が明らかでない土地も含まれ得るものと考えております。

#247
○串田委員 いや、だから、そういう場合にどうするんですかと聞いたんですよ。
 国庫に帰属するわけでしょう、境界線が明らかでない土地が。その場合、国としては、境界線が明らかでない土地として国として所有するわけでしょう。その後どうするんですかと聞いているんです。

#248
○小出政府参考人 相続放棄により、清算手続を経てもなお残余財産がある場合、その土地は国庫に帰属することになりまして、境界が明らかでない土地も含まれ得るものでございます。
 そのような境界が明らかでない土地がどうなるかということでございますが、それは、そのような土地として、管理部局である財務省の方で適切に管理されるものと考えております。

#249
○串田委員 相続放棄をした場合って、相続放棄って自由にできるんですよね、今言ったように印紙八百円貼って四百七十円の郵便切手を貼って家庭裁判所に申述すれば。そうすると財務省が適切に管理するというんであれば、先ほどもそんなに大きな違いがないわけじゃないですか。相続放棄をするときにも、相続を開始して一旦は財産を取得するわけですよ。だけれども、放棄をすることによって遡及的に最初から相続人でなかったことになるわけだから、一旦取得した財産は放棄したようなもんじゃないですか。
 今回の場合に、この田舎のような場合には境界が明らかでないところって本当に多いわけで、自分のところが相続人を決めるのも大変なのに、周りの土地の相続人を決めるのは大変ですよね。そうすると私は、相続放棄だったら適切に管理するんだったら、この場合でもこんなにハードルを上げる必要はないんじゃないかなと思うんですが、どうですか。

#250
○小出政府参考人 お答えいたします。
 相続放棄の場合は、相続人全員による放棄でございますし、積極財産、消極財産、全て含めての放棄で、その積極財産による、債権者等による清算手続が終わって残余財産があれば、土地があれば国庫に帰属するという形が取れますが、今回、法改正で実現しようとしております相続土地国庫帰属制度は、相続したほかに価値ある財産は相続した上で、不要な土地のみを手放してこれを国庫に帰属させるということでございますので、そこはやはり制度趣旨が違うんだろうというふうに考えてございます。

#251
○串田委員 相続を放棄しない場合というのは、財産も承継するけれども債務も承継しますからね、必ずしもいいとこ取りではないわけでございますので、そこに大きな差をつける必要があるのか。
 要するに、所在者不明土地を抑制するという趣旨であるならば、これだけハードルを大きく変える必要はあるんだろうかという問題意識でございます。
 次に、具体的な手続論をお聞きしたいと思うんですけれども、第三条で、「法務大臣に提出しなければならない。」ということなんですが、具体的な窓口などはどうなるんでしょうか。

#252
○小出政府参考人 お答えいたします。
 相続土地国庫帰属法案に規定されている法務大臣の権限につきましては、全国に所在する法務局及び地方法務局の長にその一部を委任することとしております。したがいまして、承認の申請は法務局の窓口においてすることを想定しております。

#253
○串田委員 せっかくこういう時期でございますので、電子申請などはお考えになっていないでしょうか。

#254
○小出政府参考人 お答えいたします。
 電子申請や電子納付、こういったことを可能にするためには相応のシステム対応が必要でございまして、費用対効果を見定める必要がございます。
 相続土地国庫帰属制度はこれまでにない新しい制度でございまして、現時点では具体的な申請件数の見立てが困難であることから、制度の開始当初はオンライン方式による申請を認めることとはしておりませんが、御指摘の点については引き続き検討を続けてまいりたいと考えております。

#255
○串田委員 次に、第五条第一項第二号、「樹木」というのがあるんですけれども、農地等による場合の樹木というのが、森林だとかそういう山だとかで木だとかがあると思うんですけれども、この樹木というのは、木があればこれには当たってしまって申請できないということなんでしょうか。何かここに条件的なものがついているんでしょうか。

#256
○小出政府参考人 お答えいたします。
 土地上に建物以外の工作物、車両、樹木等が存在している場合には、土地の管理に当たり、見回りや草刈り等の通常の管理費用に加えまして、それらの撤去や維持のために特別な費用がかかる場合があるなど、これらの工作物等が土地の通常の管理又は処分を阻害することがあり得ます。そこで、土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両、樹木その他の有体物が地上に存在する土地については、国庫帰属の承認の対象外としております。
 もっとも、例えば森林における樹木のように、それが存在していたとしても、その土地の性質や位置関係などから、土地の管理に当たって支障がない場合も想定されます。そこで、個別の事情にはよるものの、一般論としては、森林における樹木については、土地の通常の管理又は処分を阻害する有体物には該当しないと考えられます。

#257
○串田委員 ちょっとそういう意味で、「樹木」と書いてありますので、そこら辺の部分は、場合によっては森林というのも該当しないと認められる、申請ができる場合があるということですよね。はい、分かりました。
 次に、第六条の「その職員」というのは誰を指しているんでしょう。

#258
○小出政府参考人 お答えいたします。
 六条一項の「その職員」とは、法務局職員を含む法務省の職員を指すものでございます。

#259
○串田委員 なぜそれを質問したかといいますと、職員の調査に関して、これを拒んだ場合は罰則規定が第十七条にあるんですけれども、読み替えて準用する農地法第四十九条第一項で、これは農地法に該当する職員でないと罰金に処せられない。第六条の一項の職員もここに記載されるべきではないかと思うんですが、なぜか入っていないというのはどういう趣旨なんでしょうか。

#260
○小出政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、十七条の罰則の主体に法務省の職員は入れておりません。
 これは、農地法との関係で、農地法は、農林水産大臣等は、同法に基づき売却等の処分をするため必要があるときは、農林水産省の職員等に他人の土地に立ち入って測量等をさせることができる旨を定めております。この立入調査の際に職員の測量等を拒んだり妨げたりした場合には、罰則が適用されます。
 本制度において、国庫に帰属した農地についても、その処分に当たっては農地法の規定に準ずることとしていることから、農地法の立入調査の規定を準用することに伴い、農林水産省の職員の測量等を拒んだ者や法人、その従業者等に対する罰則について、農地法に準じた罰則を定めるものでございます。

#261
○串田委員 今、ちょっと質問の答えとしてはよく分からないんですけれども、農地法によってそういう職員の調査を妨げると罰金になるというのは分かるんですが、この第六条で、調査するのは法務省の職員も入っているわけでしょう。
 そうすると、法務省の職員の調査を妨げた場合には、第十七条の罰金に処するという対象にならないのかという質問なんです。

#262
○小出政府参考人 お答えいたします。
 第十七条の罰則が科せられますのは、これは国庫に帰属した後の行為について処分をかけるものでございます。
 他方、六条一項の職員、法務局の職員の調査、これは国庫帰属前、その承認要件を調査する段階での行為でございますので、その点で違いがございます。

#263
○串田委員 そうすると、ちょっとよく分からないのは、国庫に帰属した後、農地法による職員の調査を妨げると罰金になるけれども、国庫に帰属する前の調査に関しては妨げても罰金にはならない、そういう理解なんですか。それはなぜそういう違いがあるんですか。
 調査することができると書いてあるんだから、調査をすることができるのに拒んでも処罰されなくて、国庫に帰属した後、農地法による職員には、拒むと罰金になるという差がよく分からないんです。

#264
○小出政府参考人 国庫帰属後の農林水産省の職員に対する妨害行為というのは、国有財産に対する妨害という評価ができるようなものでございますが、六条の法務省の職員に対する調査妨害、これはまだ国庫帰属するかどうかも分からないような段階での行為でございますので、罰則の制裁をもってそれを抑止する必要の差であろうというふうに考えております。

#265
○串田委員 そうしますと、次の質問と絡むんですが、第六条第四項に占有者に通知しなければならないというふうになっているんですけれども、こういったような法律ができたときには、もちろん知っている人もいるし、余り知らない人もいる。いきなりその通知があったとしても、ちゃんと読んでいるかどうかという、どういう通知か分かりませんけれども。やってきて、調査を始めたときに、おいおい、やめてくれよ、何入ってきたんだと。今物騒な時代でもありますので。
 そういったときに、その職員に対して何か有形力の行使を行った場合には、公務執行妨害罪は成立しませんか。

#266
○小出政府参考人 まず、制度趣旨でございますが、法務省職員の土地の立入調査に当たりまして、土地の占有者のプライバシーの制約を最小限にする観点から、法務大臣は、その職員を他人の土地に立ち入らせるときは、あらかじめ、その旨並びにその日時及び場所を当該土地の占有者に通知しなければならないこととしております。
 このようにすることによって、土地の占有者が通知に係る日時や場所に不都合がある場合には、法務省職員と立入りの日時や場所について調整することが可能になるため、基本的には円滑な調査に資するものと考えられます。
 いずれにいたしましても、立入調査の現場でトラブルが発生することがないよう、しっかりマニュアルを作るなど、運用はしっかりしていきたいと思いますが、具体的な、そこでトラブルがあった場合に、その行為形態いかんによっては、先ほど委員が御指摘になった公務執行妨害罪が成立する可能性もあるのではないかというふうに考えております。

#267
○串田委員 そういうようなこともあるので、占有者に通知というのではなくて、占有者の承諾というのも必要なんじゃないかなと。要するに、調査を妨げても罰則規定がないぐらいのものであるなら、承諾を取っておいた方が無難じゃないかなという、そういう趣旨でもあるんですよ。そうでないと現場でもめるんじゃないかなと思うんですが、通知だけじゃなくて、承諾というふうにしませんか。

#268
○小出政府参考人 通知する趣旨は先ほど申し上げたとおりでございます。
 法務局としては、立入調査の現場でトラブルが発生することがないよう、しっかり運用していきたいと思いますが、しっかり日時、場所について通知をすることによって、承諾も得られるような運用になるのではないかというふうに考えております。

#269
○串田委員 調査が隣地にも入れるような調査なので、なるべくこの法案を周知徹底して、こういうことで行ったんだということでないと、突然、スーツを着ているのかどうか分かりませんけれども、調査にやってくるというのは驚く人もいるんじゃないかなというふうに思いましたので、念のため申し上げたいと思います。
 次に、第八条の「第五条第一項の承認をするときは、」ということで、第五条一項との関係なんですけれども、「承認をするときは、」の前に、承認をするかどうかを確認する段階で農林水産大臣に意見を聞く方が、承認をするときの前に、これは承認した方がいいのかどうか、管理運営が十分であるのかどうかということが分かるんだと思うんですけれども、書きっぷりとしてどうでしょうか。

#270
○小出政府参考人 お答えいたします。
 法務大臣による国庫帰属の承認がされた土地は、主に農用地又は森林として利用されている土地は農林水産大臣が、それ以外の土地であるときは財務大臣が管理し又は処分することになります。
 他方、例えば、承認申請対象となっている一筆の土地が、農用地として利用されている部分と宅地として利用されている部分を含んでいるようなケースにおいては、法務大臣は、いずれの大臣が管理し処分するべきかを直ちに決定できるわけではございません。
 そこで、国庫帰属の承認権限を有する法務大臣が承認予定地の種目について判断するものの、その判断の適正を確保するため、国庫帰属の承認に当たり、承認に係る土地の種目についての意見を財務大臣及び農林水産大臣の双方から聞くこととしております。
 これに対しまして、御指摘のような場面では農林水産大臣の意見を聞くことを必要的なものとはしておりませんが、法務大臣は、承認申請対象地に係る事実の調査を行う上で必要がある場合には、関係行政機関の長に対して必要な協力を求めることができることとしておりまして、農林水産大臣に対しても、事実の調査の援助の一環として意見を求めることができることとなっております。

#271
○串田委員 「承認をするときは、」という言葉ではあるんだけれども、承認をするかどうかを判断する段階からそういうことが行われるという、そういう理解ですね。分かりました。
 次に、第十条の負担金なんですが、これは共有割合に応じて負担することになるのか、相続人としての頭割りになるのかということの御説明をいただけますか。

#272
○小出政府参考人 お答えいたします。
 相続土地国庫帰属制度では、共有地についても相続人等の共有者の全員が共同して承認を申請することができることとしておりますが、共有地を国庫へ帰属させる場合における負担金を共有者間で、内部でどのような割合で負担するかに関する規律は設けておりません。
 したがいまして、共有者間の内部における負担金の負担割合につきましては、共有者間で特別の合意がない限りは、民法の一般原則によって定められることになりまして、各共有者がその共有持分割合に応じて負担することになると考えられます。

#273
○串田委員 そうしますと、相続人が複数いる場合に、相続をした者と相続を放棄した者との場合には、相続をした者に負担金が集中してしまうんではないかというふうにも思うんですが、これはやむを得ないという理解でしょうか。

#274
○小出政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のとおりでございまして、共同相続人が共同して土地を国庫に帰属させるケースにおきましては、それぞれの持分の割合で負担金を負担することも考えられ、共同相続人の中に相続の放棄をする者がいるときは、事案によっては一人当たりの負担額がより大きくなることがあるものと思われます。
 もっとも、相続の放棄をする者がいるときは、一般論としては、一人当たりの相続人の承継する遺産の価値も大きくなることになるわけでございまして、相続の放棄によって負担金が増加するとしても、それが承認申請をするか否かの判断にどの程度影響を与えるかにつきましては、一概に申し上げることはできないと考えられます。

#275
○串田委員 そこで、その負担金なんですが、十条で、「十年分の標準的な費用の額を考慮して政令で定める」となっているんですけれども、この負担金というのはどのぐらいの金額になるのかというのを事前に知るということを何らかの形で、法務省なりなんなりが、例えばインターネットで、そこに記載をすると立ち所に負担金が幾らになるとか、あるいはどこかの窓口に聞くと教えてくれるとか、そういうサービスというものを用意してくれないと、これ、十年分ですから、負担できるかどうか分からない場合、相続放棄をするのか、相続をしてから国庫にこれだけは帰属させた方がいいのかという判断を迷うと思うんですけれども、その点、何か、明らかにする方法というのはお考えでしょうか。

#276
○小出政府参考人 お答え申し上げます。
 相続土地国庫帰属制度によって国庫に帰属する土地は、宅地や原野、農用地、森林など、様々なものがあり得ますが、その管理に要する費用は、土地の地目、面積、周辺状況などによって、また、見回り、草刈り、看板、柵の設置の要否や頻度に応じて異なってくるものと考えられます。
 負担金の額につきましては、国有地の種目ごとにその管理に要する十年分の標準的な費用の額を考慮して、今後、政令で具体的な算定方法を定めていくことになりますが、政令におきましては、土地の地目、面積、周辺状況等を考慮しつつ、標準的な管理費用の概算を算定するための計算式等を規定するなどして、明確な算定方法を定める方向で、委員の御指摘のとおり、事前に広報、周知を図るという方針で関係省庁と連携して検討してまいりたいと考えております。

#277
○串田委員 ここは、先ほどからもこの法律が運用されるんだろうかという質問がありましたけれども、幾ら納めればいいのかというようなことが分からないと、やはりこれはなかなか判断に迷うところでもありますし、相続放棄をするとそういう心配も要らないわけだけれども、これは三か月という要件が加わっているわけですから、そういう意味では、非常に分かりやすいような形での表示というものをお願いしておきたいと思います。
 次に、民法の方の規定をお聞きしますが、二百九条には、かつては「隣人」というのが旧法にあったんですけれども、今回の改正においては、「居住者」に変更されたわけですよね。これは、隣人から居住者に変えたというのはやはり意味があると思うんですけれども、どういう趣旨でこの文言が変わったんでしょうか。

#278
○小出政府参考人 お答えいたします。
 現行民法二百九条一項ただし書では、住家に立ち入るには隣人の承諾を要することとされております。ここで言う隣人とは、一般に、その住家の所有者又は借家人を言うと解されておりますが、この隣人という用語は、その範囲が曖昧で多義的であるという指摘がございました。
 改正案では、現行法の解釈を踏まえつつ、隣人という用語を居住者に改めて規律を明確化したものでございまして、居住者が住家を不在にしている場合に居住者の承諾を不要とするといったような趣旨ではございません。

#279
○串田委員 今、最後の言葉が、僕の聞き取りの中では、居住者が不在のときには承諾は要らないという趣旨ではございませんということなんですけれども、客観的に、住んでいない土地って、今、すごく家、多いんですよ、日本中。その場合には、所有者はいるだろう、だけれども居住者はいないだろうというのがもう明らかに分かるような場合は、それは、逆に言えば、承諾は要らないで立ち入ることができる、そういう理解なんですか。

#280
○小出政府参考人 お答え申し上げます。
 改正法の下では、居住者が住家を一時的に不在にしている場合であっても、その住家に立ち入るためには、当該居住者の承諾が必要になると考えられます。
 ただ、建物に長期間誰も居住していないなど、およそ居住の実態がないような場合にはそもそも住家に当たらないものと考えられます。

#281
○串田委員 今の答弁だと、明らかに、二百九条の今までの規定と改正されたという理解になりますよね。今までの二百九条が分かりづらいからこういう言葉に変えたというのではなくて、従来の二百九条は隣人となっているわけだから、住んでいようが住んでいまいが、隣の家の所有者がいる場合には隣人の中に入ると思うんですけれども、今の答弁だと、明らかに住んでいない場合には承諾がなくても立ち入ることができるということになるので、現在の法律の解釈論では、変わったという理解でいいんですね。

#282
○小出政府参考人 お答えします。
 現行法でも、隣人という言葉、これは住家の所有者又は借家人をいうというふうに解釈されておりまして、今回の法改正において、その部分を改正した、意味を変えたというわけではございません。

#283
○串田委員 変えていないということなんですか。
 だけれども、先ほどは、客観的には、住んでいなければ承諾は要らないという返答だったんですけれども、現行も、隣人となっているけれども、居住していなければこの隣人には入らないという解釈をしているという理解でいいですか。

#284
○小出政府参考人 お答えいたします。
 改正法の下では、建物に長期間誰も居住していないなど、居住の実態がないような場合は住家に当たらないというふうに申し上げましたけれども、現行法の解釈の下でも、この隣人という用語の範囲、用語を定めるに当たって、同じような状況がございますれば、住家がないということで、したがいまして、承諾を要するべき隣人もないということでございます。

#285
○串田委員 何か、これは非常に使用することが、行われるということで、かなり現場でトラブルが起きる可能性が、何でということもあるので、ちょっと明確にしたかったんですけれども、解釈論としては変わっていないと。現実に住んでいる場合には承諾は必要だけれども、明らかに住んでいない場合には承諾は要らないということで、それは現行民法と変わらないという理解ですね。
 そうすると、そこの部分で、分かりやすいように文言を変更したということになるんでしょうか、隣人というのは。今、先ほど、所有者又は貸家とおっしゃられたので、住んでいない場合でも所有者がいれば隣人に入るのかなというふうに思ったんですけれども。ちょっとその説明が、ちょっと違う、所有者又はと言われませんでしたか。(発言する者あり)言いましたよね。

#286
○小出政府参考人 現行法の隣人は、一般に、住家の所有者又はその住家を借りている人、借家人をいうと解されているということでございます。

#287
○串田委員 そうなると、所有者がいれば隣人に入っちゃうんじゃないのかなという趣旨なんですよ、貸家がなくても。所有者であれば隣人に入るんでしょう。住んでいなくても、所有者が隣人なんじゃないかなと。ただ、新しい法律だと居住者と書いてあるから、これは所有だけではなくて居住していなきゃいけないということになるので、現行民法と違うんじゃないですかという質問をずっとさせていただいているんですけれども。
 後で検討していただくとして、次に、二百九条の第三項に、「あらかじめ通知することが困難なとき」というのが書かれているんですけれども、これはどういうような場合を想定されているでしょうか。

#288
○小出政府参考人 お答えいたします。
 改正法案では、隣地使用権の内容をより明確にすることとしておりますが、これと併せまして、隣地の所有者等に隣地使用の内容が民法の要件を充足するか否かを判断する機会を与えるとともに、その受入れの準備を可能とするため、土地所有者は、隣地の所有者等に対し、あらかじめ、使用の目的、日時、場所及び方法を通知しなければならないものとしております。
 もっとも、隣地使用権は、基本的に、一定の目的のために一時的に隣地を使用するにすぎないことから、隣地の所有者等の所在が不明であるなど事前通知が困難である場合には、使用の開始後に遅滞なく通知することで足りることとしております。
 「あらかじめ通知することが困難なとき」については、建物を早急に修繕しなければその建物に居住することが困難になるなどの急迫の事情がある場合や、隣地の所有者等が特定できず、又はその所在が不明である場合等がこれに当たるものと考えられるところでございます。

#289
○串田委員 この法案で所在不明土地が抑制されるということを願って、終わりにしたいと思います。
 ありがとうございました。

#290
○義家委員長 参議院の質疑が長引き、大臣の戻りが遅れております。
 この際、暫時休憩いたします。
    午後三時十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時二十五分開議

#291
○義家委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
 この際、藤野保史君の残余の質疑を許します。藤野保史君。

#292
○藤野委員 大臣、大変お疲れさまです。
 私の質問、引き続いてやらせていただきますけれども、思い出していただくためというわけじゃないんですが、法務省に一問お聞きしたいと思います。
 冒頭、私は、全国青年司法書士協議会の会長声明で、要するに、今回の法案で当事者の合意形成がますます困難になるのではないかという指摘を紹介いたしました。その場合、可能性として行き着く先としては、訴訟もあり得ると思うんですね。
 民事局長、今回の相続登記の義務化の根拠について、先ほど何か総合的判断みたいなことをおっしゃいましたが、それで済むのかというふうに思うんですね。
 ですから、今後、理論的に、それはまあ実践的にワークしないという可能性ももちろんあると思いますけれども、今後どう整理されていくのか。法務省は、今回の相続登記の義務化の根拠を改めてどう考えているのか。そして、その結果としての登記の法的性質をどういうものとして、どういう要件として位置づけているんでしょうか。

#293
○小出政府参考人 お答えいたします。
 先ほどお答えしたことの繰り返しになるかもしれませんが、今回の相続登記の申請義務、これは、不動産を相続によって承継した相続人に対して、登記の申請をするように、公法上の申請義務を負わせるものでございます。
 これは、現行法の下でも、不動産の表示に関する登記について、所有者に、不動産の物理的現況を明らかにすべく、公法上の登記の申請義務を負わせているものと同様のものと整理しております。
 したがいまして、これはあくまで公法上の法律関係として理解されるものであり、直ちに私人間の法律関係に影響を及ぼすものではないと考えております。
 不動産登記制度の法的な理解についてでございますが、一般に不動産登記につきましては、これまで権利を取得した者がその権利を保全する対抗要件としての機能を有するといった点が強調されてきておりましたが、近時は、国土の管理や有効活用という側面から、土地の所有者情報を始めとして、土地の基本的な情報を公示する台帳としての役割を有する点がつとに指摘されております。
 不動産登記制度につきましては、今後、これまで以上に土地の基本的な台帳としての機能を果たすことが期待されていくものと認識しているところでございます。

#294
○藤野委員 先ほどと同じ説明であります。
 この論点は終わりますけれども、私、感じるのは、民法の原則がやはりあるわけですね、例えば、八百九十六条で、相続はもう発生する、それに伴って所有権も移転する、ここは触らないと。松平委員からも指摘がありましたけれども、所有権の放棄は認めないと。ですから、ある意味、入口と出口は触らないわけですね。それに伴う権利変動の対抗要件という位置づけも触らない、民法の原則は触らない。その民法の原則の例外としても位置づけないということになるわけです。
 公法上の義務とおっしゃるんだけれども、私の聞いたところにはお答えにならないんですね、じゃ、相続登記の義務化の根拠は何なんだと。公法上の義務と言うけれども、その公法上の義務の根拠をどういうものとして整理されているのか。
 これはちょっと今後も問題になるというふうに思います。台帳だからいいなんという話にはならないわけで、そこは指摘をしたいと思います。
 次に、法案そのものというより、ちょっとそれに派生して生じる課題、先日の参考人質疑でも幾つか指摘があった問題についてお聞きしたいと思います。
 山野目参考人から、こういう指摘がありました。二〇一八年五月十二日の衆議院国土交通委員会における審議の際に、生活保護の受給の局面において、土地を持っているから生活保護の受給の要件を満たさないのではないか、そういうふうな事例に直面して困っている方が選挙区にいます、これはどうなっているのだという政府に対する質疑があったところでございまして、厚労省の方からは、不適切な結果にならないように努めるという答弁がされているということを御紹介いただきました。
 法務省にお聞きしますが、今回の法案で、様々な情報が他機関と共有されるわけですね。例えば生活保護の申請で、申請窓口の担当者が、いや、あなたは土地を持っているから受給要件を満たさないよという形で、そういう形で利用される可能性というのは、これは否定できないと思うんですが、いかがですか。

#295
○小出政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘の、例えば生活保護の申請等の場面におきまして、申請者に土地があることが受給要件との関係でどのように評価されるかにつきましては、これはもう生活保護の在り方そのものの問題でございまして、法務省としてお答えする立場にないということでございます。

#296
○藤野委員 いや、先ほどおっしゃったように、自治体と連携するということなんですよね。検討するというならまだ分かるんだけれども、お答えする立場にないって、こんな法案を出しておいて、それはないと思いますよ。
 大臣に、ちょっとお聞きします。
 山野目参考人は、土地政策と社会福祉との接点という問題については今後の宿題という側面がございます、こう述べられているんですね。私もそう思います。でも、本法案を出されているわけですから、他機関との連携を可能にする、社会福祉との接点が増えるわけです。
 大臣、こうした宿題について、どのように解決していくつもりでしょうか。

#297
○上川国務大臣 今の生活保護の申請につきましては、土地があることが受給要件との関係でどのように評価をされるかにつきましては生活保護の在り方そのものの問題であるということで、なかなか法務省としてお答えする立場にはないということでございますが、生活保護の申請に係る事務を担当している者などがこの相続土地の国庫帰属制度の内容を誤解したり、また、それによって不適切な対応が生ずるといった事態が生ずることはあってはならないというふうに考えております。
 法務省といたしましては、関係各省にも、この相続土地国庫帰属制度の内容につきましてはしっかりと周知をいたしまして、こうした誤解や、また取扱いの不備が生じないようにしてまいりたいというふうに思っております。

#298
○藤野委員 そのことをしっかりと見ていきたいというふうに思っております。
 もう一つ、山野目参考人がこういう指摘もされております。暮らし向きに困っておられるような方が土地の放棄をやむを得ず望むような場合に、本法案のたてつけのみで十分に対応できるかはよく分からない側面がございます、こうおっしゃっているんですね。
 実際、いわゆる管理費、管理相当額というのがこの土地国庫帰属法案の文言にあるんですが、これは今後法務省令で決めるということなんですけれども、一律に、経済的に困窮する方にも管理相当額というのが適用されるということになりますと、これは確かに、そういうたてつけ、この本案のたてつけでは例外規定はないですから、これは対応できない。
 この法案を作った座長がよく分からない、たてつけでは十分対応できるかよく分からないとおっしゃっているんですが、大臣、この御懸念にはどうお答えになりますか。

#299
○上川国務大臣 この制度によりまして国庫に帰属することが想定される土地でありますが、これは基本的には利用と需要がないものでございまして、国庫帰属後は長期間にわたりまして国が所有者として管理をし、その費用につきましては国民の負担で賄うことになる可能性が高いというものであります。他方で、承認を受けた者につきましては、国庫帰属がなければ負担すべきであった土地の管理費用等の負担を免れるということになるということでございます。
 このような制度であることに鑑みまして、実質的公平の観点から、承認を受けた者に対し、一定の負担金を納付させることとしているところでございます。
 もっとも、所有者不明土地の発生抑制の観点からは、この相続土地国庫帰属制度が実効的に運用をされるということが重要でありまして、その意味で、承認申請者の負担にも十分に配慮をする必要があろうと考えております。
 いずれにいたしましても、負担金の額の算定方法、政令で定めるということでございますし、また、承認申請者の負担能力にも十分に配慮しながら、適切な算定方法になるよう、関係省庁としっかりと連携して検討してまいりたいと思っております。

#300
○藤野委員 とりわけ、この土地国庫帰属法案の方は、大臣がという主語が多くて、そして、具体的には全部、法務省令とか政令で定めるとなっている、こういうたてつけでありまして、大臣が主語で、かつ、具体的には全部政省令だという、これは非常に、今後いつまでにこの細目が決まっていくのかということも含めて、まだまだ全体像が見えないと言わざるを得ないというふうに思っております。
 ある司法書士さんにお聞きしましたら、要するに、今、大臣まさにおっしゃった、土地国庫帰属等が考えられるのは、利用とか経済価値の低い、なかなか利用されない、あるいは所有関係が物すごく複雑な土地ということなので、これを義務化と罰則だけで促進するというのは無理じゃないかという指摘があるんですが、これはもう、先ほど来、いろいろやるんだということでありました。
 ただ、参考人質疑で石田参考人が指摘された、やはり受皿が必要だという指摘を、私はやはり大事だというふうに思うんですね。石田参考人は、どんなに相続人が要らないと言った土地でも、実は国家としては要るんです、市町村としては要らない土地なんてありません、受皿があることによって、いろいろな財産管理人も含めて、相続人も安心して遺産分割ができる、意思ある遺産分割が促進できるという指摘をされております。
 そして、その受皿の具体例として、石田参考人そして吉原参考人も、配付資料の中でアメリカのランドバンクを紹介されております。吉原参考人も、先駆的な事例として近年注目されているのがアメリカのランドバンクであるというふうに指摘をしておりました。
 法務省にお聞きしますが、ランドバンクというのは研究されたんでしょうか。

#301
○小出政府参考人 お答えいたします。
 御指摘のアメリカのランドバンクにつきましては、相続土地国庫帰属法案の立案過程におきまして、発達した背景事情や主な対象物件、求められる機能、組織形態等について、関係省庁及び民間団体等と連携して、必要な研究を行ったところでございます。

#302
○藤野委員 もう一点お聞きしますが、日本のランドバンク、今あるものと、アメリカのランドバンクの違いというのは何だということでしょうか。

#303
○小出政府参考人 お答えいたします。
 日本のランドバンクは、少子高齢化による全国的な人口減少による管理不全土地や所有者不明土地問題の顕在化などを背景にしまして、市町村が指定するNPO法人等を通して設立され、主に市場性に乏しい物件を対象として、土地のマッチングやコーディネートを主な機能としていると承知しております。
 これに対しまして、アメリカのランドバンクは、自動車産業の斜陽化等による地域的な著しい人口減少による税滞納物件の急激な増加や管理の必要性などを背景にして、州法で規定された公的な組織等として設立され、主に税滞納により差し押さえられた物件を対象とし、税滞納物件の市場への再流通を主な機能としていると承知しております。
 このように、日本のランドバンクとアメリカのランドバンクは、設立の背景や形態、対象物件の性質、主な機能の各点で相違があるものと承知しております。

#304
○藤野委員 そこはそのとおりだと思います。
 その上で、石田参考人が紹介していたのは、要するに、アメリカも、初めは日本のような空き家バンクに登録させて、市場でどんどん、何とかなるんじゃないかということで、市場経済に送り込んだ。しかし、その結果、どうしても投機的な動きで、買われるところは買われるし、買われないところは買われない、かえって町のスラム化が拡大したという時代がアメリカにありましたというふうにおっしゃっております。そして、日本でも同じですというんですね。そういうふうに空き家バンクで一生懸命空き家を掘り起こしたところで、結局は京都なんかでは外国人による外国人のための民泊が増えたというようなことも指摘をされております。アメリカはどうしたかというと、逆に市場に出さない、いわゆる町の振興プランをつくって、そのプランに沿って活用しようという動きになったというんですね。
 アメリカのランドバンクを研究されたということなんですが、本法案では、財務省、つまり国庫帰属にされているんですね。アメリカの場合は、連邦じゃなくて、やはり市町村というか自治体なわけです。何で今回、この法案は国庫帰属にしているんでしょうか。

#305
○小出政府参考人 お答えいたします。
 この相続土地国庫帰属制度の検討過程におきましては、例えば、受皿として自治体は考えられないかというようなことも含めて、いろいろな議論をしたわけでございます。
 やはり国庫に帰属するような土地の受皿となるためには、十分な財政的基盤がないと運用は難しいであろうということと、森林あるいは農地について、既に、所有者不明の場合であっても利用権等を設定する新しい制度がございまして、制度としては国庫帰属制度ということになっておりますが、承認申請があった場合、あるいは自治体に、相談窓口に国庫帰属の相談があった場合には、そういった既存の制度の活用等も含めて相談に乗るということで制度を動かしていければというふうに思っています。
 いずれにいたしましても、ただいま紹介いたしましたランドバンク制度、これは十分な財政的基盤がないとワークしないということでございますので、現時点では現実的ではないものと認識しているところでございます。

#306
○藤野委員 午前中の質疑でも、市町村が公共事業等を行う場合はそこに行くことができるというようなお話もありましたので、今後、ちょっとそうしたアメリカの制度も参考にして考えていただきたいと思います。
 最後に、大臣にお聞きしますが、現在、不動産登記というのは、法務省の出先機関といいますか、法務局で、地方法務局とか支局とか出張所等でやっているわけですね。山野目参考人からも、やはり法務局行政に対していろいろな負荷がかかっているというお言葉もありましたし、吉原参考人も、相続土地国庫帰属制度については、窓口となる法務局の人員、予算を確保するということが指摘をされました。
 大臣、こういう法案を出される場合は、やはり法務局の人員や体制、これを拡充していく必要があると思うんですが、最後にこの点、お願いします。

#307
○上川国務大臣 法務局におきましては、これまでも、所有者不明土地問題への対応に必要な体制の強化、また予算の拡充等を図ってきたところでございます。
 この法案によりまして、不動産登記制度の見直し、また相続土地国庫帰属制度が実現した場合には、法務局が担う業務がこれまで以上に増加をするものというふうに想定されておりますので、法務省といたしましては、この所有者不明土地問題の解決ということについては喫緊の課題であるというふうに認識しておりますので、社会の期待にしっかりと応えるためにも、法務局におきまして必要となる人的体制の整備及び予算の確保につきましては、しっかりと努めてまいりたいというふうに考えております。

#308
○藤野委員 終わります。

#309
○義家委員長 参議院の大臣質問の都合で変則的な運営になりましたが、両筆頭並びに委員各位の御協力に心から感謝を申し上げます。また、とりわけ藤野委員、串田委員におかれては、格段の配慮をありがとうございました。
 次回は、来る三十日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時四十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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