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2021/03/30 第204回国会 衆議院 第204回国会 衆議院 法務委員会 第8号 令和3年3月30日
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2021/03/30 第204回国会 衆議院

第204回国会 衆議院 法務委員会 第8号 令和3年3月30日

#1
令和三年三月三十日(火曜日)
    午後一時一分開議
 出席委員
   委員長 義家 弘介君
   理事 伊藤 忠彦君 理事 稲田 朋美君
   理事 奥野 信亮君 理事 宮崎 政久君
   理事 山田 賢司君 理事 稲富 修二君
   理事 階   猛君 理事 大口 善徳君
      安藤 高夫君    井出 庸生君
      井野 俊郎君    神田  裕君
      黄川田仁志君    小林 鷹之君
      高木  啓君    武井 俊輔君
      出畑  実君    中曽根康隆君
      野中  厚君    百武 公親君
      深澤 陽一君    藤原  崇君
      盛山 正仁君    山下 貴司君
      吉野 正芳君    池田 真紀君
      寺田  学君    中谷 一馬君
      松平 浩一君    屋良 朝博君
      山花 郁夫君    吉田 宣弘君
      藤野 保史君    串田 誠一君
      高井 崇志君
    …………………………………
   法務大臣         上川 陽子君
   法務副大臣        田所 嘉徳君
   法務大臣政務官      小野田紀美君
   外務大臣政務官      國場幸之助君
   政府参考人
   (内閣官房領土・主権対策企画調整室土地調査検討室次長)          木村  聡君
   政府参考人
   (警察庁長官官房審議官) 宮沢 忠孝君
   政府参考人
   (法務省大臣官房政策立案総括審議官)       竹内  努君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    小出 邦夫君
   政府参考人
   (出入国在留管理庁次長) 松本  裕君
   政府参考人
   (林野庁森林整備部長)  小坂善太郎君
   政府参考人
   (国土交通省不動産・建設経済局次長)       吉田  誠君
   法務委員会専門員     藤井 宏治君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月三十日
 辞任         補欠選任
  大塚  拓君     安藤 高夫君
  国光あやの君     高木  啓君
同日
 辞任         補欠選任
  安藤 高夫君     大塚  拓君
  高木  啓君     百武 公親君
同日
 辞任         補欠選任
  百武 公親君     国光あやの君
    ―――――――――――――
三月二十五日
 少年法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三五号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 民法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五五号)
 相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律案(内閣提出第五六号)
     ――――◇―――――

#2
○義家委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、民法等の一部を改正する法律案及び相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律案の両案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房領土・主権対策企画調整室土地調査検討室次長木村聡君、警察庁長官官房審議官宮沢忠孝君、法務省大臣官房政策立案総括審議官竹内努君、法務省民事局長小出邦夫君、出入国在留管理庁次長松本裕君、林野庁森林整備部長小坂善太郎君及び国土交通省不動産・建設経済局次長吉田誠君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#3
○義家委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――

#4
○義家委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中谷一馬君。

#5
○中谷(一)委員 立憲民主党の中谷一馬でございます。
 本日もどうぞよろしくお願い申し上げます。
 私からは、本日の議題であります所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直しについて、るる伺ってまいりますので、よろしくお願い申し上げます。
 まず冒頭は、相続土地国庫帰属制度が、土地の所有権を放棄することはできないという解釈に親和性を有するという法務省の見解について伺ってまいりたいということを思っております。
 今回の相続土地国庫帰属制度、土地所有権を国庫に帰属させるための要件を設け、法務大臣の要件審査を経て、土地が国庫に帰属することを認めるものです。
 そうした中で、民法二百三十九条に、「所有者のない不動産は、国庫に帰属する。」という規定がありますので、それらに関連して伺ってまいりたいということを思っておりますが、土地の所有権を放棄して所有者のないものとすることの可否につきましては、現行民法上、明文の規定、これが解釈に委ねられておりまして、確立した最高裁の判例もないということが言われております。
 しかしながら、学説的には、土地の所有権についても放棄することができると解釈をする説がありまして、この学説の見解によれば、権利を処分することは権利者の自由であるという権利の一般的な性質の下、所有権の一方的な放棄の意思表示のみにより、民法二百三十九条第二項を解して、土地が国庫に帰属することを認められていると考えられております。
 その一方で、先日、相続土地国庫帰属制度に関して、我が会派の松平浩一議員が質問をさせていただいた中で、その答弁において、土地所有者には適切な土地の管理をする責務があることを前提とするものですので、このようなたてつけを有する制度が今般法律として成立をしたときには、権利者の一方的な意思表示によって土地の所有権を放棄することはできないという解釈に親和性を有するものと考えられますという答弁をされておりますが、これは、法務省として、放棄に関する解釈は行わないけれども、制度を施行する中で、結果的に、放棄できない方向性に議論をリードされていくことを容認されているという理解でよろしいでしょうか。教えてください。

#6
○小出政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、現行法の下では、土地の所有権の放棄の可否につきまして、明文の規定はなく、解釈に委ねられております。確立した最高裁の判例もございません。今般の法律案におきましても、この点を立法的に解決することとはしておらず、その意味では、今後も解釈に委ねられるものと考えております。
 もっとも、相続土地国庫帰属制度につきましては、土地所有権を国庫に帰属させるための要件を設けて、法務大臣の要件審査を経て、土地の国庫帰属を認めるものでございまして、委員御指摘のとおり、土地所有者には適切な管理をする責務があることを前提とするものでございます。そのため、このようなたてつけを有する制度が法律として成立した場合には、権利者の一方的な意思表示により土地所有権を放棄し、土地を管理する責務から免れることはできないという解釈が有力になるものと考えられまして、基本的には、法務省としても、そのような前提で法律案の立案をしたものでございます。
 ただ、土地所有権の放棄の可否につきましては、今回、立法的に解決することとはしておりませんので、最終的には、個別の事案に応じて裁判所において判断されるべきものと考えられるところでございます。

#7
○中谷(一)委員 御答弁いただきました。
 これはちょっと大臣に見解を伺いたいんですけれども、私的には、まさに今の答弁のとおり、この制度を施行することによって、土地の所有権を放棄することはできないという解釈に親和性を有する、要するに、有力になってくるような、議論をリードしていくようなことになってしまうんじゃないかなと思っていて、これはちょっと言い過ぎなんじゃないかなと思う側面もあるんですけれども、大臣としてはどのようにお考えになられていますか。

#8
○上川国務大臣 今回、立法的に解決するということよりも、今後解釈に委ねるという結論を得たところでございますけれども、相続土地の国庫帰属制度につきましては、土地所有権を国庫に帰属させるための要件を設けて、そして法務大臣の要件審査を経た上で、土地の国庫帰属を認めるものであるということでございまして、その前提には、土地所有者には適切な管理をする責務があるということを前提としているものでございます。
 そのため、このようなたてつけを有する制度が法律として成立する場合につきましては、権利者の一方的な意思表示により土地所有権を放棄し、土地を管理する責務から免れることはできない、そうした解釈が有力になるものと考えられまして、基本的には、法務省としても、そのような前提でこの改正法案の立案をしたものでございます。
 もっとも、土地所有権の放棄の可否につきましては、最終的には、個別の事案に応じて裁判所において判断されるべきものであるというふうに考えております。

#9
○中谷(一)委員 御答弁いただきましたが、やはり、それらの議論をリードされていくことを法務省としてある意味容認をするような形というのは、少し前に出過ぎかなと思いましたので、指摘をさせていただきました。
 その上でなんですけれども、平成三十年の三月二十日に法務委員会において、上川大臣が、法務省としても、現在、登記制度・土地所有権の在り方等に関する検討会におきまして、土地所有権の放棄の可否等を鋭意検討しているところでございますと発言をされておられましたが、先日、二十三日の質疑において、法制審議会民法・不動産登記部会での検討の結果などを踏まえて、土地所有権の放棄に関する規律については設けることはしないという、この段階での結論に至ったというふうに考えておりますと答弁されており、今回の法律に所有権の放棄に関する規律が設けられないということでありますが、本法案において所有権の放棄の規律がそもそも設けられないこととなった理由について、参考人から教えていただければと思います。詳細を聞かせてください。

#10
○小出政府参考人 お答え申し上げます。
 法制審議会民法・不動産登記法部会におきましては、当初、一定の場合に土地所有権を放棄して、無主のものとした上で国庫に帰属させることを可能とする土地所有権の放棄の制度の創設が検討されておりました。しかし、検討の過程で、この制度は所有者不明土地の発生を抑制することを目的とするものであり、その目的達成のために、放棄によって一旦無主の土地とするという法的構成は迂遠ではないかというような指摘がございまして、そのような理由から、民法に土地所有権の放棄に関する規律を設けることはしないということで、法制審議会の意見がまとまったというところでございます。

#11
○中谷(一)委員 今、審議の内容を教えていただいたんですけれども、私がちょっと懸念をしているのは、本法律が成立した場合において、これまでの所有権放棄に関する議論がストップしてしまうことはないかということを懸念をしているんですけれども、法務省は、今後、この所有権の放棄に関する見解だったり、制度の見直しというのはどのようなスケジュール感で行うことを予定をしているのか、詳細について教えてください。

#12
○小出政府参考人 お答えいたします。
 先ほども申し上げましたけれども、今般の法律案におきましては、土地所有権の放棄の可否を立法的に解決することとはしておらず、その意味では、今後も解釈に委ねられ、最終的には裁判所が判断すべきことになるものでございます。したがいまして、引き続き解釈に委ねられるということでございます。

#13
○中谷(一)委員 それは、法務省としては、やはり、もう議論はストップして検討しないという答えでよろしいですか。

#14
○小出政府参考人 今回の相続土地国庫帰属制度を設けたことによりまして、先ほど申し上げましたように、土地所有権の放棄は認められないのではないかというような方向での解釈が有力になるのではないかと考えられるところですが、いずれにいたしましても、立法的に解決を今回したわけではございませんので、今後の解釈を見てみたい、解釈に委ねてみたいと思います。
 もう一つ申し上げますと、この相続土地国庫帰属法案、施行後五年を経過した際の検討条項が盛り込んでございますので、その運用状況を踏まえまして、土地所有権の放棄の可否あるいは要件につきましても、解釈の推移を注視し、必要な検討をしてまいりたいと考えております。

#15
○中谷(一)委員 必要な検討を是非行っていただきたいということを思っています。
 所有権の絶対性に関する法務省の見解が、先日の二十三日の松平議員のこれも質疑の中で、ジョン・ロックによる、財物について、放棄も含めてどのような処分をするかは本来は所有者の自由である権利との、所有権の絶対性の考え方を引用して質問をされていました。
 私も、この所有権の絶対性と所有権の放棄は密接に関連する根本的な問題ではないかなと思っておりますので、所有権の放棄とこの絶対性の関連性について、ある程度の見解というものも示していただきたいなと思っているんですが、これは法務省としてはどのように捉えられているのか、教えてください。

#16
○小出政府参考人 お答えいたします。
 まず、前提といたしまして、権利につきましては、これをどのように行使するかは権利者の自由でございますので、権利者においてこれを放棄することはできると考えられております。これに対しまして、義務につきましては、義務者の意思によりこれを一方的に免れることはできない、それも当然でございます。
 その上で、土地所有権の放棄につきましては、委員から御指摘ございましたように、学説上、他の一般的な権利と同様に土地所有権の放棄を認める見解はございます。それに対しまして、土地の所有者は、単に権利を有するだけではなく、一定の責務を負っているなどとして、土地所有権の放棄をすることはできないとする見解があるところでございます。
 今回、相続土地国庫帰属制度の創設により、土地所有権の放棄が認められないとする見解が有力になると考えられますのは、この制度が土地の所有者には一定の責務があるということを前提としているためでございます。このような解釈が仮に有力になったといたしましても、責務を伴わない他の権利一般についての解釈に影響を及ぼすことはないのであろうと考えておりまして、そのような権利一般の放棄の可否に関する議論には影響を及ぼすことはないというふうには考えております。

#17
○中谷(一)委員 ありがとうございます。御答弁をいただきました。
 その中で、今回の相続登記の申請、これが責務の中で義務づけられるということが今回の制度の中で変わっていく部分だと思うんですけれども、この制度ができることによって、土地を手放したいと思う人というのは増えてくると思います。少子化の時代の中で、余り関わりのない次世代の相続人が、住んでいるコミュニティーとは縁もゆかりもない相続人に渡すよりも、地域の活性化に使ってもらいたいという人も出てくるんじゃないかなということを思っています。
 そのような人たちの思いを受け取れるように、もう少し安価で土地を手放せるようにすることができたら、財務省が言っていたような、利用価値が著しく低く、民間でも取引できないような土地ばかりが国庫に帰属するようなことにはならないんじゃないかなと私自身は考えますので、負担金の詳細について政令で定める際には、こうしたケースについても是非御一考いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。御所見を伺います。

#18
○小出政府参考人 お答えいたします。
 この制度により国庫に帰属することが想定される土地は、基本的には利用の需要がないものでございまして、国庫帰属後は長期間にわたって国が所有者として管理し、その費用を国民の負担で賄うことになる可能性が高いものでございます。他方で、承認を受けた者は、国庫帰属がなければ負担すべきであった土地の管理費用等の負担を免れることになります。このような制度であることに鑑みまして、実質的公平の観点から、承認を受けた者に一定の負担金を納付させることとしております。
 もっとも、所有者不明土地の発生を抑制する観点から、この相続土地国庫帰属制度が実効的に運用されることが重要であり、承認申請者の負担にも配慮する必要がございます。
 いずれにいたしましても、負担金の額の算定方法、これは政令で定めることとされており、承認申請者の負担にも配慮しながら、適切な算定方法になるよう関係省庁と連携して検討してまいりたいと考えております。

#19
○中谷(一)委員 是非、算定方法はいろいろな方のケースをしんしゃくをしていただいた上で、やはり、いい土地がちゃんと手放してもらえることというのも当然想定ができるわけですから、それらを踏まえた制度にしていっていただきたいと思っておりますのと、先日、二十四日の質疑で、これは寺田学議員も指摘をされておられましたが、この制度を実効的に動かすには、ターゲットにしている人たちの経済的なインセンティブを少しでも考えていただいて制度設計をしないと、動かないんじゃないかなということをおっしゃっておりました。
 施行後、やはり、必要があれば見直しも検討するということを答弁されていたんですけれども、私も、この経済的インセンティブの議論というのは必要なんじゃないかなという認識を持っておりますので、政府としては、現時点において考えられている必要性並びに具体的な構想等があれば、是非ちょっとお示しいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

#20
○小出政府参考人 お答えいたします。
 経済的インセンティブという御質問に端的に答えているかどうか自信がございませんけれども、現実には、現状のままでも国庫帰属の要件を満たしている土地もあれば、現状では要件を満たさず、建物の解体などの一定の措置を取らなければ制度を利用することができない土地もあると考えられます。
 そのため、この制度の利用者としては、土地を所有していることによって将来発生する費用、見回りのためにかかる費用とか労力、固定資産税の負担、あるいは災害に巻き込まれることによって生ずる費用の、土地を所有していることによって将来発生する費用の見込みと、この制度の利用によって生ずる費用、負担金の納付でありますとか要件を満たすための措置の費用等の見込み等を比較検討した上、主として経済的な面を考慮して制度を利用するかどうかを決定するものと考えられますので、そこである程度の経済的インセンティブというのが働くのではないかというふうに思いますが、いずれにしても、委員御指摘ございましたように、この制度はこれまでにない新しい制度でございまして、要件の在り方を含めまして、施行後五年を経過した際の制度の運用状況を踏まえて、関係省庁と連携して必要な見直しの検討をする予定でございます。運用状況をまずは注視してまいりたいと考えております。

#21
○中谷(一)委員 局長、それは、制度を動かしてみてからじゃないと分からないから、現時点では特に構想等は想定をされていないという答弁だと理解して大丈夫ですか。違えば教えてください。

#22
○小出政府参考人 制度の開始に当たりましては、今の内容でやらせていただきたいというふうに考えております。

#23
○中谷(一)委員 だとしたら、やはりちゃんと考えられた方がいいと思います。
 どういうふうにこの制度が運用されて、その実績を見て、どういう形で改善を図っていくのかということを考えることももちろん重要なんですけれども、現時点においてもここがやはりボトルネックになるなと思うような部分があるのであれば、そこをどういうふうに動かしていくことを想定しているのか、まさに法律を提出するに当たってそこまで制度設計をして考えていくというのが本来だと思いますので、今後、善処をしていただければと思います。
 負担金自体も、十年分の土地管理費相当額が算出されて徴収がされるわけです。しかしながら、十年経過後は国が管理費用を負担するという状況になりますから、国庫に帰属された土地がやはり有効活用される方法というのが本来検討されるべきだと思っているんですね。
 その中で、法務省の説明資料では、承認申請があったら、地方公共団体等に情報を提供し、土地の寄附受けや地域での有効活用の機会を確保するとされておりますが、国交省が行おうとしている日本のランドバンクとのマッチングというのも考えられていると思うんですけれども、その辺りの政府における具体的な構想についても、現時点のもので結構なので、どういうイメージ感を持っているのかというのがあれば教えていただきたいんですが。

#24
○小出政府参考人 お答えいたします。
 この相続土地国庫帰属制度の運用におきましては、承認申請者からの申請を受け付けた法務局が、その旨を国の関係機関及び地方公共団体に情報提供して、国や地方公共団体において、承認申請者と交渉するなどして、国庫帰属の承認がされる前に土地の寄附を受けることを可能とする予定でございます。このような形で国や地方公共団体が土地を寄附受けした場合には、承認申請は取り下げられて、負担金の支払いも不要となることが想定されます。国あるいは地方公共団体において、何らかの行政目的あるいは活用方法があると判断したような土地については、このような手続が取られる予定でございます。
 御指摘ございましたランドバンクでございますが、これは、土地の所有者とその土地の利用を希望する方とのマッチング、コーディネートを行うものでございまして、土地の所有者にとりましては、ランドバンクの活用を通じて、その土地について売買や賃貸借が成立することとなれば、そもそもこの相続土地国庫帰属制度を利用する必要がなくなるものと考えられますので、このような結果は、地域における土地の利用、管理という観点からも有益だと考えております。
 法務省といたしましては、まずはこの相続土地国庫帰属制度を適切に運用しつつ、引き続き、関係省庁とも連携し、ランドバンクの活用を含む土地の有効活用の在り方について検討してまいりたいと考えております。

#25
○中谷(一)委員 ありがとうございます。是非、土地の有効活用を省庁横断的に御検討いただければと思います。
 続けて、管理不全土地・建物管理命令に関する見解について伺っていきたいと思います。
 私から伺いたいのは、いわゆるごみ屋敷の問題でございますが、質疑の中ではこの問題の解決にも資するということをおっしゃられておりまして、所有者が遠隔地にいて、居住者がいる建物が、いわゆるごみ屋敷状態になった場合にも利用できるのかなど、気になる方もいらっしゃると思います。
 そこで、管理不全土地、建物の財産管理制度はどういう場合に使えてどういう場合に使えないのか、これを分かりやすく御説明いただけますか。

#26
○小出政府参考人 お答えいたします。
 管理不全土地・建物管理命令は、所有者による建物等の管理が不適当であることによって他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合に当たることを発令要件とするものでございます。
 御指摘のような、建物等がいわゆるごみ屋敷の状態になったケースについても、この要件を満たす場合はあるものと考えられます。
 もっとも、居住者がいる建物がごみ屋敷となった場合において、現に居住する居住者が、発令後に管理不全建物管理人の管理を妨げる行為をすることが見込まれるときは、管理人を選任したとしても、結局、訴訟を起こさざるを得ず、実効的な管理をすることが困難となる可能性が高いことから、権利利益を侵害されている者としては、この管理不全建物管理命令を求めるよりも、むしろ訴訟を提起して物権的請求権等を行使することが適当である場合もあるとは考えられます。
 以上を踏まえますと、この管理不全建物管理命令は、建物がいわゆるごみ屋敷状態となった場合において、その居住者が管理人による管理を妨げる行為をすることが見込まれているケースでは、利用することが難しいのかなと思われます。
 他方で、当該建物所有者が建物をごみ屋敷状態としたまま遠方に移住しており、建物を放置し居住者もいない、あるいは居住者がいても管理人の求めに応じて任意に退出することが見込まれるようなケースでは、この制度が利用されるということが想定されます。
 いずれにいたしましても、この管理不全建物管理命令の発令要件を満たすか否かについては、最終的には個々の事案ごとに裁判所が判断することになることでございます。

#27
○中谷(一)委員 使える場合がケース・バイ・ケースだということだと思うんですけれども、管理不全の管理人がその管理に必要な費用及び報酬について、その土地等の所有者が負担することとなっている状態なんですけれども、元々その管理をおろそかにしている人に、これだけ管理にかかったので費用を払ってくださいと言っても、なかなか払ってもらえないんじゃないかなという懸念をいたします。
 そうした場合には、管理人が所有者に請求するのか、それとも、管理不全土地管理命令を請求した利害関係人が所有者に対し、費用を支払ってくださいと請求することになるのか、政府としてはこのケースはどのように考えられているか、教えてください。

#28
○小出政府参考人 お答えいたします。
 管理不全土地管理人による管理に要する費用や報酬に見合う金銭があらかじめ確保されていなければ、管理の原資がないために、現実には管理不全土地管理人による管理を開始することは困難でございます。
 他方で、改正案では、管理不全土地管理人による管理に必要な費用及び報酬は土地の所有者の負担としておりますが、御指摘のとおり、土地の管理を適切に行っていない土地の所有者がその費用等を任意に払うということは想定し難いところでございます。
 そのため、実際上は、他の財産管理制度と同様に、管理不全土地管理命令の請求をする利害関係人があらかじめ費用や報酬に見込まれる予納金を支払い、管理人はその予納金から費用や報酬を受け取ることになります。その場合には、金銭を支払った利害関係人は、別途、最終的な費用の負担者である土地の所有者に対して求償することになると考えられます。

#29
○中谷(一)委員 ありがとうございます。御答弁いただきました。
 時間がもう限られてきましたので、次の質問に移らせていただきます。
 次は、不動産登記法の一部改正の部分に入っていきますけれども、相続登記の申請が義務化されたことによって、これは、負担を軽減するために相続人申告登記制度を設けられて、簡易に、添付書類なども簡略化して相続登記をするという話なんですけれども、義務化されたら皆が登記をしなければならなくなる状態になってしまいますから、その行わなければならない登記の内容は、遺産共有状態としての法定相続分での登記なのか、それとも遺産分割協議をした後の登記なのか、これらについても詳細の御説明をもっといただいた方がいいんじゃないかなと思います。
 あと、仮に法定相続分で登記をした場合は、その後、遺産分割協議をしたら、その結果も登記に反映させなければならないこととされているんですけれども、同じ土地の登記を、一段階目として法定相続分での観念的登記、二段階目として遺産分割協議後の真の登記というように、二回も登記をした上で、それぞれの登録免許税がかかり、関係費用もかかるという認識であるのか、そうではないのか、詳細について教えてください。

#30
○小出政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、前提といたしまして、一般に不動産の所有権の登記名義人に相続の開始があった場合における実体的な権利関係につきましては、まず、法定相続分の割合に応じた相続人らによる共有状態が生じ、その後、例えば、その不動産を相続人のうちの一人が単独で相続する旨の遺産分割協議が成立した場合には、相続開始時に遡ってその相続人のみが不動産の所有権を有することになります。
 これを前提に、今般の不動産登記法の見直しによってどのような形で相続登記の申請義務が課されることになるかという点でございますが、まずは、所有権の登記名義人について相続が開始した場合、各相続人は、相続により所有権を取得することとなるため、相続登記の申請義務を負うことになります。この方法としては、現行法の下でも可能でございます法定相続分での相続登記を申請することで義務を履行することが可能でございますが、今般の改正において新たに設けた相続人申告登記の申出をすることによっても義務を履行することが可能でございます。
 また、今般の改正においては、法定相続分での相続登記によるか、相続人申告登記によるかについては、どちらによるのかが適切かということについては法律では定めておりませんが、法務省としては、法定相続分での相続登記ではなく、負担も少なく、より簡易な手続である相続人申告登記が利用されて相続登記の申請義務が履行されるようになることを想定しております。
 また、遺産分割がされたケースにつきましては、遺産分割が相続開始に伴う登記申請義務の履行期間内である三年以内に現にされた場合には、遺産分割の内容を踏まえた所有権の移転の登記の申請をしていただくことになります。他方で、遺産分割が三年以内にされないケースについては、先ほどの相続人申告登記をすることで義務の履行をしていただくことになり、その後、遺産分割が現に調ったケースについては、遺産分割の日から三年以内に遺産分割の内容を踏まえた所有権の移転の登記を申請することとなります。
 したがいまして、委員御指摘のとおり、一段階目としての登記、それから二段階目としての登記ということで、観念的には二つの登記をする義務がかかるということは事実でございます。

#31
○中谷(一)委員 時間が来てしまいましたのでここで終わりますが、費用負担がかからないように、私的には登録免許税を非課税にしたりとか様々な簡略化、簡素化の措置について御検討いただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げて、質問を終了させていただきます。
 ありがとうございました。

#32
○義家委員長 次に、階猛君。

#33
○階委員 立憲民主党の階猛です。
 我が会派としましてはこの法案について最後の質疑者となりますので、全体的な質問を行っていきたいと思っておりますが、前回、私の質疑でも少し申し上げたんですが、私は被災地の議員ということで、震災復興にずっと取り組んできました。その過程で、被災地の課題に対応するべく、所有者不明の土地問題について、議員立法を仲間と一緒に立案して国会に提出していますので、ちょっとそれも参考にしながら、今回の法案、何か足らざる部分がないかなというところをチェックさせていただきたいと思っております。
 まず、一枚目の資料を御覧になってください。これは、平成三十年の六月に成立した国交省所管の所有者不明土地円滑化法に盛り込まれた土地収用法の特例の説明資料です。
 どの部分が特例かといいますと、この黒枠で囲っている部分のところが特例でして、上の方が通常の土地収用の手続なんですが、この黒囲みの特例を使いますと、関係者からの異議申出等がない限り、所有者不明の土地について、収用委員会による、上の通常の手続にありますような権利取得裁決とか明渡し裁決といったものを省略した上で、事業を速やかに実施できることになるわけです。
 そこで、政府参考人に伺いますけれども、土地収用法のこの特例の利用実績と、事業実施までの期間短縮の具体的な効果について、お答えいただけますか。
    〔委員長退席、伊藤(忠)委員長代理着席〕

#34
○吉田政府参考人 お答え申し上げます。
 いわゆる所有者不明土地特措法におきます土地収用法の特例の利用実績につきましてでございます。
 こちらの制度、令和元年の六月に施行されまして、まだ二年たっていないところでございますが、既に裁定された事例、それから裁定の申請中の事例、それぞれ複数件ございまして、活用が各地域で進んできているものと承知しております。
 効果でございます。
 既に裁定された事例を見ますと、本法に基づく裁定手続を利用したことによりまして、土地収用法に基づく裁決手続に要する期間と比べ、約三分の一程度、期間が短縮されたといった事例が確認されているところでございます。
 国交省としましては、引き続き、各地域で、地方整備局、また法務局、また地方公共団体、関係団体等々と設置しております所有者不明土地対策に係る協議会でありますとか、あるいは地方整備局の職員を自治体に派遣して支援すること等により、更なる本制度の活用を推進してまいります。

#35
○階委員 一定の活用実績があり、かつ三分の一ほど期間が短縮という効果もあるということですが、先日聞いたところだと五件ぐらいというお話だったので、もっと活用事例も増やし、かつ期間短縮効果も高めたいと私は思います。
 そこで、過去に私たちが出した法案についてもちょっと説明させていただきたいんですけれども、資料の二ページ目、御覧になってください。これは、震災のときに、やはり土地収用法の特例を私たちも考えたんですね。これは七年前、二〇一四年四月二日に国会に提出した復興特区法改正案の説明資料です。
 一番上に、被災地における課題ということで書いていますけれども、東日本大震災の被災地では、相続登記未了、所有者不明等の事業用地が多数存在していて、復旧復興事業の円滑かつ迅速な実施の妨げになっている、そこで、適正に私有財産との調整を図りながら、所有者不明のままでも早期の権利取得、土地利用開始を可能とする制度を創設する必要があるということで、下の方に挙げられているような特例の手続を定めたわけですね。
 何が先ほどの国交省のものと違いがあるかといいますと、第一に、事業者の申請から二週間の縦覧期間に異議申出がなければ、手続中使用裁決というのが真ん中辺りに書いていますけれども、その時点で補償金の概算額を事業者が予納して、手続中使用裁決というのを収用委員会から出してもらえれば事業着手ができるというところで、一枚目と比べていただきたいんですが、一枚目の特例の場合は、縦覧期間が終わって、異議がなかったとしても、収用委員会の意見を聴取したり裁定というのを経た上でじゃないと補償金の供託はできず、事業実施にも行かないということなわけでして、私たちは、概算金をまず予納すれば、その時点で事業に着手できるというふうにしています。
 これに関して国交省に伺いたいのですが、現行の土地収用法の特例については、対象が復興だけではなくて全国の公共的な事業だということになるのは承知していますけれども、復興のときの教訓を踏まえるということで、事業実施までの期間の更なる短縮のために、先ほどの特例、政府案の方の特例の裁定手続の縦覧期間内で異議申出がなければ、補償金の概算額を予納させた上で、事業着手を認めていいのではないかというふうに考えますけれども、この点についての御所見を伺います。

#36
○吉田政府参考人 お答え申し上げます。
 所有者不明土地特措法の裁定手続の公告縦覧期間内で異議申出がなかった場合ということでございますが、都道府県知事は、次に補償金の額を決めることになるわけでございますが、補償金額につきましては慎重な判断が求められること、また、事業者が都道府県である場合がございまして、補償金額を低く裁定するなど公平性が損なわれることを避けることが必要であることから、都道府県から独立して高度な専門性を有する組織である収用委員会の意見を聞くこととしているところでございます。
 こうして、収用特例制度が、公共事業のために個人の土地を取得し、使用することができる制度であることから、あらかじめ収用委員会の意見を聞くことによりまして、所有者の財産権保護を適正に図るということでございます。このため、補償金に係るこうした手続を行わずに公告縦覧後に直ちに事業に着手をすることは、所有権の権利保護の観点からは慎重にならざるを得ないという点は御理解をいただきたいと存じます。
 一方、公告縦覧等も含めた手続の迅速化につきましては、実際の制度の活用事例等も参考にしつつ、職員の自治体への派遣とか、あるいは地域の協議会が行う講習会等々を通じまして、ノウハウを共有して迅速化を図ってまいりたいと考えているところでございます。

#37
○階委員 確かに、最終的な補償金の支払い金額は適正な額にしなくちゃいけない。そのとおりなんですね。ただ、手続の迅速化という意味でいうと、その最終的な支払いに支障がないように多めに予納金を払わせておいて、最後のところで適正な額と調整できるようにしておく。最初から少ない金額を予納させていれば、最後、正しい金額を支払うといってもお金がなくてできないということになりますから、多めに予納させておく分にはいいんじゃないかというふうに思います。
 先ほどおっしゃられたような目的を達成するのに、決して阻害するものではないと思っていますので、ちょっとここは、もう一つ検討していただきたいなと思っております。
 もう一つ、私から、違いということで申し上げたいことが、事業者が補償金を、政府案でいうと供託するわけですね。それで、私どもの案ですと、用地委員会というところに補償金を納付するわけです。
 我々の案ですと、この納付したお金がどのように払われるかというところにも関心を持っていまして、二ページ目の下の方に補償裁決というところがありますね。
 これは何のためにやるかというと、一旦、その土地ごとに補償金額が幾らかというのを決めた上で、所有者不明の土地が共有になっている場合は、所在が分かっている人もいらっしゃるわけですね。所在が分かっている人の分と所在不明な人の分があるわけです。所在が分かっている人にしてみると、補償金を早く支払ってくれよという話になるんだけれども、その場合に、補償裁決ということで、分かっている人の分を早めに決めて支払えるようにするということで、所有者不明がいたからといって、所在が分かっている人の支払いが遅れないようにということも配慮しているわけです。
 この点、政府案は、一ページ目の図を見ますと、供託された後の今言ったような共有者間での分配、特に所有者不明の方がいる場合の分配についてどうなっているのかなということで、ちょっと疑問に思ったんですけれども。
 国交省に伺いますけれども、裁定後に補償金の供託がなされて事業実施となるわけですが、共有者の一部が不明の土地の場合に、所在が明らかな共有者は直ちに供託金を受け取れるのかどうか、仮に受け取れるとした場合、その金額はどのように決めるのか、お答えいただけますか。

#38
○吉田政府参考人 お答え申し上げます。
 供託される補償金の額につきましては、先ほど御答弁いたしましたように、収用委員会の意見を聞いた上で裁定された金額となるわけでございます。
 その上で、持分が明らかである確知所有者、要は居場所が分かっている方については、その確知所有者からの還付請求によりまして、供託された補償金から持分相当額が速やかに支払われることとなります。
 一方で、持分が不明な所有者さんにつきましては、遺産分割協議の成立等により持分が不明な確知所有者の持分が確定した場合に、還付請求により、供託された補償金から持分相当額が支払われることになるということでございます。

#39
○階委員 今の話を聞いていると、やはり我々の案の方が行き届いているなと思うわけですね。
 今の話だと、もう遺産分割とかが済んでいて持分が確定していれば供託金を受け取れるけれども、遺産分割が済んでいない人はどうしたらいいんですか。お答えください。

#40
○吉田政府参考人 お答えを申し上げます。
 特に、この法律に、その場合に特別な手続等が定められているわけではございませんので、例えば、一般の訴訟手続等によりまして確定していただくということになろうかと思います。

#41
○階委員 訴訟を起こすと、お金もかかりますし、時間もかかるわけですよ。所有者も大変なんですね。この被災地で大変な思いをされて、これは特に高台移転のときとかを想定していますから、津波で流されたような土地なんですよ。だから、経済的にも大変な人たちが一刻も早く補償金を受け取れるようにということで、遺産分割がされていないようなときでも、第三者委員会みたいなところで、ちゃんと、先ほどの補償裁決というのを経た上で、速やかに補償金を支払えるようなことを我々は考えていたんです。
 是非、これも被災地に限らず全国の話になりますけれども、今後、この供託の取扱いをめぐってどうするかということは問題になり得ると思いますので、ちょっと我々の案も参考にして、所有者不明の方がいる場合、かつ、遺産分割がされていない場合に、速やかに補償金が受け取れるようなことについても御検討いただきたいと思います。
 ちょっとここは御答弁いただけますか、今の点について。

#42
○吉田政府参考人 今の御提案に対しまして、何というんですか、具体的なコメントは差し控えたいと思いますけれども、ただ、今の所有者不明土地特措法につきましても、そういった東日本大震災の経験なんかも踏まえて制定していただいたと認識しておりますので、まず、この法律の、何というんでしょうか、措置の活用等を図りますとともに、また、先生今御指摘いただいた点についても、今後の課題としてちょっと勉強してみたいと思います。

#43
○階委員 今のは政務二役の方にお聞きすべきところだったと思うので、これ以上は答弁を求めませんけれども、是非問題意識を共有していただいて、今後取り組んでいただければと思っています。
 国交省さんはここまでですので、御退室願えればと思います。

#44
○伊藤(忠)委員長代理 それでは、結構でございますので、御苦労さまでした。

#45
○階委員 それでは、今の土地収用法の特例と、もう一つ、我々が既に提出した法案について、今回の法案と対比しながらちょっと御説明したいのですが、三ページ目を御覧になっていただければと思います。
 こちらは、今から五年前の二〇一六年五月十三日に国会に提出した、いわゆる移転促進区域内の土地等の処分円滑化法案の説明資料です。
 当時の被災地の課題として、上の方に書いていますけれども、共同相続人等が東日本大震災に係る移転促進区域内の土地等を相続した場合に、他の共同相続人等、又はその所在が明らかでない、所有者不明だというときに、円滑に遺産の分割を行って処分することができず、移転促進区域内から住居を移転したり生活を再建したり、あるいは移転促進区域内の土地の有効活用をしたりといったところに支障が出てくるということで、対策を考えましたと。
 対策の一点目は、第一というところに書いていますけれども、遺産の分割を円滑に行うための情報提供等ということで、第一の1は、情報提供、公の機関や法テラスなどで行うということなんですが、2の方を御覧になっていただきたいんですが、集団移転促進事業を実施する市町村又は都道県、震災復興なので府は入っていませんが、都道県は、共同相続人等から求めがあったときは、他の共同相続人等を特定するために必要な調査を行い、その結果を提供というふうに書いています。
 必要な調査、どういう調査をするかということなんですが、私たちが念頭に置いているのは、ちょうど先ほどの所有者不明の利用促進法案、国交省の法案で盛り込まれていた長期相続登記等未了土地解消作業で行われる調査と同じような調査を想定しておりました。
 ですので、私たちがこのときに作った内容を踏まえるとすれば、是非、移転促進区域内で共同相続人等から求めがあった場合のように、緊急性、公共性が高いような場合については、この長期相続登記等未了土地解消作業で行われる調査の対象に含めるといいのではないかと思っております。
 他方で、現状、既にこの作業を行っているかと思うんですが、民事局長に伺いますけれども、今現在、長期相続登記等未了土地解消作業の対象となる土地はどのようにして決まっているのかということを教えてください。

#46
○小出政府参考人 お答えいたします。
 長期相続登記等未了土地解消作業におきましては、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法第四十条第一項の規定に基づきまして、起業者その他の公共の利益となる事業を実施しようとする者である地方公共団体及び国からの求めに応じて、所有権の登記名義人となり得る者の探索を行っており、全国五十の法務局で行っております。
 各法務局における対象土地の選定におきましては、地方公共団体等に対して本解消作業の内容の説明会を行うなどした上で、要望の有無を確認し、復興復旧事業、防災・減災事業、道路整備事業、土地区画整理事業等の多様な公共の利益となる事業に係る要望を受けたもののうちから、事業の実施時期などその緊急性等を考慮しつつ、順次探索を実施しているものでございます。

#47
○階委員 今お話があったとおり、事業者側からの申出があった場合に、この長ったらしい名前の事業ですけれども、要は法定相続人の調査をしていただけるということなんですが、私たちが法案を作ったときの問題意識としては、事業者側ではなくて、むしろ事業の対象となる地域の共同相続人であって、長年登記がされていなかったりして法定相続人がなかなか分かりづらいというような方たちのニーズに応えて調査をすればいいんじゃないかということを、私たちはこのとき問題意識を持って、こういう規定を盛り込んだんですね。
 今やっている長期相続登記等未了土地解消作業ですか、これもだんだん成果は上がってきていると思うんですけれども、足りないと思うのは、実際、公共的な事業をやる場合に、対象となっている所有者不明の土地の相続人側、要するに共同相続人で所在が分かっている方、そういった方からのニーズに応えてこの作業を行っていないというのは、私はちょっと足らざる部分じゃないかと思うんですね。
 ここの部分、見直ししていただけないでしょうか。御検討いただけませんか。

#48
○小出政府参考人 長期相続登記未了土地解消作業、この作業につきましては、公共の利益となる事業として、公益の増進に資する事業を対象として、本来実施主体が行うべき所有者探索を法務局が行うものでございます。
 これを拡大することについては慎重に検討すべき課題があるものと認識しておりますが、引き続き、この作業の申出につきましては、地方自治体等に丁寧に説明し、公共の利益となるという要件に該当する事業については幅広く作業を実施することができるよう取り組んでまいりたいと思いますし、自治体といたしましても、市民の声を聞くなど、その相続人の声を聞くなどして、いろいろなニーズを取り込んで、要望をしていただくような働きかけをしたいというふうに考えております。

#49
○階委員 市民のニーズがあれば、それに極力応えるようなことはやっていきますよというふうに今理解しましたけれども、それでよろしいですか。
 私は、今言ったような制度は、法律を変えなくても運用でできると思っているので、是非やっていただきたいんですが、もう一回、今後の取組方針についてお答えください。

#50
○小出政府参考人 公共の利益となるという要件に該当する事業につきましては、広く市民の声も地方自治体を通じて聴取した上で事業を行っていきたいというふうに考えます。

#51
○階委員 では、これからもちょっと、その運用の在り方について定期的に報告を求めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 もう一つ、三ページ目の、我々の法案の第二というところに、不在者財産管理人に関する民法等の特例等というのを盛り込んでおりまして、これは、相続により共同相続人等が取得した移転促進区域内の土地等について、遺産の分割がされておらず、かつ、複数の共同相続人等が不在者であるときということで、まず1として、弁護士等である不在者財産管理人は、民法の双方代理禁止の規定にかかわらず、複数の共同相続人等を代理することができる、2として、不在者財産管理人は、適当と認めるときは、所在が明らかな共同相続人等が当該土地等を取得することについて配慮するという二つのことを盛り込んでおります。
 私らは、やはり、さっきの土地収用の特例もそうなんですけれども、共同相続人のうち一部は所在が明らかなんだけれども、それ以外の大勢が不明だという場合の遺産分割とかが大変やりにくい。さっきの国交省の説明もそうでしたけれども、なかなかその部分については行政の方も関心が薄いわけですね。そこで、私たちとしては、共同相続人の間で所有者不明の方がいても遺産分割協議ができるような手だてが必要だろうということで、この第二に書かれてあるようなことを盛り込んだわけです。
 ところで、今回の民法改正案中の所有者不明土地・建物管理命令、ここに挙げられているような規定は、私どもが考えていたことと類似しているわけです。そこで、四ページ目に、今回の法案と我々の法案との対比表を掲げさせていただきました。
 この対比表を見ますと、遺産分割協議、行方不明者がいる場合にどのようにして行うかとか、あるいは、所在が明らかな人に持分を集中させて一人で相続するということが可能なのかどうかというのがちょっとはっきりしませんので、伺いたいと思うんですね。
 局長に伺いますけれども、共同相続人の一部が所在不明となっている相続不動産について、所有者不明の土地や建物の管理人が選任される場合、当該管理人と所在が明らかな共同相続人との間で対象不動産の分割協議ができるのかどうか、また、仮にできるとした場合、所在が明らかな共同相続人は所在不明の共同相続人の持分の全部を取得できるのかどうか。二点についてお答えください。

#52
○小出政府参考人 お答え申し上げます。
 所有者不明土地、所有者不明建物管理人は、裁判所の許可を得て当該土地、建物の共有持分を処分することができます。そのため、当該管理人は、裁判所の許可を得て、所在が明らかな共同相続人との間で当該土地、建物について共有物の分割協議をすることも可能でございます。
 また、この協議において、所在が明らかな共同相続人が所在不明の共同相続人の土地、建物の持分の全部を取得することも可能でございます。

#53
○階委員 たしか法案の中で、今の所有者不明土地・建物管理制度とは別に、共有物の利用、共有関係の解消促進に関する規定があったと思うんですね。その中で、十年たたないと遺産分割はできないというか、さっき私が申し上げたような、一人に集中させるようなことはできないというようなことがあったような気がするんですけれども、今の局長の答弁はできるということだったと思うんですが、その辺のそごはないのかどうか、ちょっと確認させてもらえますか。

#54
○小出政府参考人 先ほどお答えいたしましたのは、十年経過しないと使えない、いわゆる共同相続人間での相続持分の取得ではなく、共有持分の譲渡、あくまで共有物分割、共有持分の譲渡のスキームを使った場合には十年の縛りがなく利用することが可能だということを申し上げてございます。

#55
○階委員 そうすると、私たちが考えていたような、所在が明らかな人が、所在が明らかでない人の分も含めて持分を取得して、そして自分のものにできるということは、今回の法案で可能だということでいいわけですよね。
 では、それを踏まえた上で更にお伺いしますけれども、ただ、その場合、特に、管理人が一人の人だけについて選任される場合じゃなくて、所在不明の人が複数いらっしゃったという場合は、複数の方を代理することになるわけですね。複数の方を代理する場合は、誠実かつ公平にその権限を行使するというふうな縛りがかかっていると思うんですけれども、この誠実かつ公平にその権限を行使するというのは、行使しているかどうかは、誰がどのように判断するんでしょうか。

#56
○小出政府参考人 お答えいたします。
 管理人が複数名の不明者の共有持分について選任された場合には、管理人は、その不明者全員のために誠実かつ公平にその権限を行使しなければならないこととしており、まずは管理人において、この義務に違反することがないように適切に判断すべきものでございます。
 そして、管理人の義務違反が争いになった場合には、最終的には、個別具体的な事案に応じ、裁判所が義務違反の有無を判断することになります。また、管理人がその管理に係る共有持分を処分するなど、保存、利用、改良行為の範囲を超える行為をする場合には、裁判所の許可を得なければなりませんが、裁判所はこの許可の判断の際にも、当該行為がこの義務に違反するものでないかどうかについて判断をすることになると考えております。

#57
○階委員 複数を代理して管理人が選任されている場合は、その複数の人たちの公平が保たれるようにしなくちゃいけないということと、持分を所在が分かっている人に譲渡などをする場合に、それも公平にやらなくちゃいけないということで、後者の方は裁判所が許可するという話だと思うんですけれども、前者のこの複数の不明者の中での公平性を担保するところは、なかなか難しい話なのかなと思っています。
 その点、私たちはどう考えたかというと、四ページ目の左側の欄が我々の円滑化法案の規定でありまして、まず、複数の行方不明の人を代理する場合の不在者財産管理人、我々の場合は現行の民法上の不在者財産管理人の特例を定めるというたてつけなので、不在者財産管理人の話なんですけれども、そういう行方不明者が複数いる場合の不在者財産管理人は弁護士や司法書士じゃないといけないということにしていまして、高度な職業倫理を持ち、専門性の高い人にしかそういう仕事はさせませんということで公平性を保とうとしているのが一点です。
 ただ、さはさりながら、実際問題、処分しようとした場合にやはり配慮しなくちゃいけないのは、そこに現に所在していて、土地を使いたいと思っている人、この利益もちゃんと考えなくちゃいけないということで、その下に、所在が明らかな者への財産の帰属への配慮ということで、そういう方への配慮義務も設けているということで、公平性にも配慮しつつ、現実的な妥当性も考えているというようなことで条文を作っております。
 こういったことも、今回、新しい制度をつくるに当たって配慮するべきだと思っていますけれども、この点について、局長、いかがでしょうか。

#58
○小出政府参考人 お答えいたします。
 まず、管理人にどのような者を選任するかということでありますれば、やはり、弁護士、司法書士等、職業倫理の高い、意識の高い者を選任、活用することがまず考えられるかと思います。
 それから、やはり管理人が行うべき行為についての裁判所の許可の判断のときに、誠実かつ公平に権限を行使しているかどうか、問題となる事例についてはしっかり判断していくべきだというふうに考えているところでございます。

#59
○階委員 ちょっと今、前半の方でおっしゃったことについて確認したいんですけれども、先ほど来問題にしています複数人の不明の方を代理して今回新しくできる所有者不明土地・建物管理人を選任する場合、選任されるのは、弁護士あるいはそれ以外にどういう人が考えられるのでしょうか。あるいは、専門職じゃなくてもいいのかどうか。
 その辺、複数人選ぶ場合は、公平誠実義務は非常に、履行するのは難しいと思うので、私は弁護士とか司法書士に限るべきだと考えて法案を作っていますけれども、そのお考えで法務省としてもいいのかどうか、今回の制度運用に当たって。お答えいただけますか。

#60
○小出政府参考人 今回の制度は、選任される管理人について、専門職という縛りはかけておりません。それはやはり具体的な事案に応じて、裁判所が誰が適任かということを判断するのが前提でございます。
 したがいまして、その個々の事案ごとの難易度、あるいはこういった利益相反があるかどうかというような事情を総合的に判断しまして、裁判所として弁護士等の選任が必要だというふうに判断した場合には弁護士が選任されるだろうというふうに考えております。

#61
○階委員 そこは是非、公平性とか誠実性が保たれるような運用にしていただきたいと思いますので、もう少し、フリーハンドで決めるということよりも、ある程度類型化して、こういう場合には専門職というようなガイドラインみたいなのを定められた方がいいのではないかと思っておりますので、よろしく御検討ください。
 さて、所有者不明の土地管理命令についてもう一つお聞きしたいんですが、国の行政機関と地方自治体の長については、適切な管理のため特に必要があると認めるときには申立てができるというのが、所有者不明土地利用円滑化法、冒頭、国交省との間で議論した法律の三十八条の二項に定められているわけですね。
 ここで言っている、適切な管理のため特に必要があると認めるときというのはいかなる場合なのか、お答えいただけますか。

#62
○小出政府参考人 お答えいたします。
 所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法におきましては、地方公共団体の長等は、所有者不明土地につき、その適切な管理のため特に必要があると認めるときは、財産管理人の選任請求をすることが認められております。
 どのような場合に適切な管理のため特に必要があると言えるかは、個別具体的な事例に応じ家庭裁判所により判断されるものでございますが、例えば、所有者不明土地に雑草が生い茂り、害虫が発生して近隣の宅地にも害虫による被害が生じ得る状況にあり、その雑草を伐採する必要がある場合でありますとか、所有者不明土地に廃棄物が大量に投棄され、悪臭が生ずるなどしており、廃棄物を処理する必要がある場合などが想定されているものと承知しております。

#63
○階委員 所有者不明の場合は今おっしゃられたような状況があれば首長さんが命令を申し立てることができて、この委員会で議論されているとおり、所有者不明ではない管理不全の土地とか建物については、首長の申立て権が明文上定められていないんですね。
 私は、これは所有者不明かどうかで区別するのがおかしいと思っていまして、私としては、この管理不全の土地とか建物の管理命令の申立て権を首長さんたちに認めてもいいのではないかと思っているんですが、認めていないのはなぜなんでしょうか。お答えいただけますか。

#64
○小出政府参考人 お答えいたします。
 所有者不明土地特措法は所有者不明土地の利用の円滑化のための特別の措置を講ずるものでございまして、新設する所有者不明土地管理制度の申立て権者についての民法の特例規定、これを設けることはこの法律の趣旨に合致するものと考えております。
 これに対しまして、御指摘の管理不全土地管理制度は、不適切な土地の管理により権利利益が侵害されている者などの利害関係人の申立てにより、管理が不適当である土地の管理を可能とするものでございまして、所有者不明土地をその対象とするものではございません。
 このような管理不全土地管理制度につきまして、権利利益を侵害されているなどの利害関係の有無に関係なく地方公共団体に申立て権を付与することは、現行の所有者不明土地特措法で定められた目的の範囲を超えているものと考えられ、その是非につきましては、同法の趣旨、目的や同法における管理不全土地対策の位置づけも踏まえまして、国土管理の観点から別途検討すべき課題と整理されたところでございます。
 そこで、今回の改正法附則では、所有者不明土地特措法において地方公共団体の長に管理不全土地管理命令の申立て権を付与する旨の特例規定は設けておりませんが、この問題につきましては、今後、国土交通省において引き続き検討されるものと理解しております。

#65
○階委員 是非、これはこの委員会でも大きな論点になっていましたので、しっかり取り組んで早急に結論を出していただきたいと思っております。
 あと、所有者不明建物管理人の権限についても一点確認したいんですが、私の地元でも、旅館など大きな建物が廃業して放置されたまま、だんだん幽霊屋敷みたいになっているようなところがあるんですね。会社も廃業して経営者とかもいなくなっちゃっているというような中で、所有者不明建物管理人、それこそ首長さんとかが申し立てて、選んだといった場合に、その所有者不明建物管理人は、建物を壊すということは可能なんでしょうか。お答えください。

#66
○小出政府参考人 お答えいたします。
 所有者不明建物管理人は所有者不明建物を適切に管理することを職務とするものでありますので、所有者不明建物管理人が自ら建物を取り壊すことは基本的には許されないものと考えられます。
 もっとも、建物の存立を前提としてその適切な管理を続けるのが困難なケースにおいて、所有者の出現可能性や建物を取り壊した場合に建物の所有者に生ずる不利益の程度などを考慮した上で、建物を取り壊すことが必要かつ相当と認められる場合には、管理人が、建物の取壊しについて裁判所の許可を得た上で、建物を取り壊すことも可能であると考えられます。

#67
○階委員 多分、さっき私が言ったようなケースでは、放置しておくと、観光地、温泉街とかの風紀とか景観を乱すこともあるでしょうし、防犯上もよくないでしょうから、裁判所は許可するんじゃないかなと思っておりますけれども、それでいいんですよね、ちょっと個別具体的なんだけれども。
 是非ここは、結構こういう問題って各地で起こっていると思うんですよ。だから、せっかくこの所有者不明建物管理人という制度をつくるのであれば、その権限として取壊しもできるよということを明確におっしゃった方がいいと思うので、もう一回ちょっと、私の具体的な例に即してお答えをいただけますか。

#68
○小出政府参考人 個別の事例について、裁判所の判断を先取りするようなコメントはなかなか難しいと思いますが、委員が御指摘したような事情は、建物を取り壊すことが必要かつ相当だと認められる事情の一つになろうかと思います。

#69
○階委員 是非これも、管理命令ですから、何となく、言葉からすると、一見取壊しができなさそうに感じるんだけれども、今日のやり取りの中で、一定の場合は取壊しができるということを確認しましたから、これも周知徹底をしっかりしていただきたいと思っています。
 この管理命令は、繰り返しになりますが、申立てを首長さんができるわけだから、これはやってほしいところはいっぱいあると思いますから、よろしくお願いしますね。
 さて、話が変わりますけれども、私の資料の五ページ目を御覧になってください。これは調査室さんが本当に丹精込めて作った「所有者不明土地等問題をめぐる最近の動き」ということで、これを見れば、これまで政府とか国会がどういう取組をしてきたのかというのが一覧できるものです。
 最初に御紹介した所有者不明土地利用円滑化法というのは平成三十年六月に公布され、その後、真ん中あたりですけれども、平成三十年七月に、この委員会で審議、採決した遺言書保管法というのが公布されているわけですね。
 この遺言書保管法の運用状況についてお聞きしたいんですが、特に私が関心を持っているのが、審議のときにも申し上げたとおり、せっかく保管したものがお蔵入りになってしまって誰も見ないまま放置されてしまう、こういうことがないように、遺言書を保管した方が亡くなったら、その亡くなった人が遺言書を保管していますよということを法定相続人などに通知するシステムをつくるべきだと、その当時申し上げていました。こうした運用がなされているかについても併せてお答えいただければと思います。

#70
○小出政府参考人 お答えいたします。
 遺言書保管制度は、法務局における遺言書の保管等に関する法律に基づきまして、遺言者の申請により法務局が遺言書の原本とその画像情報等を保管、管理し、遺言者の死亡後、遺言書の画像情報等を用いて相続人等に証明書の交付等を行うものでございます。
 令和二年七月十日から制度の運用を開始いたしまして、令和二年十二月末現在、全国三百十二か所の遺言書保管所において、合計一万三千件の保管の申請を受けております。
 御指摘の、附帯決議にもございました遺言者の死亡後の通知でございますけれども、遺言者の死後、相続人等が遺言書の閲覧等をしたことを契機に行う通知に加えまして、死亡時通知という新たな通知の運用を今年の四月から、間もなく開始する予定でございます。
 これは、遺言書の保管の申請時に、死亡時通知を希望する遺言者にその旨の申出と通知対象者の指定をしていただき、法務局でその遺言者の死亡の事実を確認した場合、あらかじめ通知対象者として指定された方に遺言書が保管されている旨の通知を行うというものでございます。
 この通知を利用することにより、仮に遺言者が遺言書の存在を誰にも伝えていない場合でも、遺言者の死後速やかに、関係者に遺言書の存在が伝わることとなります。
    〔伊藤(忠)委員長代理退席、委員長着席〕

#71
○階委員 この四月からそういう通知が始まるということで、私も質問したかいがありました。ありがとうございました。
 もう一つ、資料の五ページ目で、この委員会で審議、採決した法案として、表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律というのがありました。この運用状況についてもお聞きしたかったんですが、前に山下元法務大臣が運用状況を聞いていたので、私からは、どういう基準でこの表題部不明の土地の調査を行うかどうか決めているのかということだけ、簡潔にお答えいただけますか。

#72
○小出政府参考人 お答えいたします。
 所有者の探索は、登記官が職権で行うものとされておりまして、対象地域の選定も、法務局が職権的に行うこととされておりますが、全国の表題部所有者不明土地を直ちに解消することは困難ですので、国会審議における議論及び附帯決議において、選定過程の透明性及び公平性を確保することとされ、その解消の必要性、緊急性が高い地域から順次解消していくこととされました。
 そこで、法務省におきましては、選定基準を通達で定めておりまして、地方公共団体等の要望を踏まえて選定をすることとした上で、寄せられた要望の優先順位に関しましては、まず、早急に復旧復興作業等を行う必要がある地域、次に、今後早急に防災・減災対策等を講じる必要がある地域、次に、地方公共団体において土地利用や土地の調査に関する計画を策定している地域、次に、地域コミュニティーの衰退等により早期に所有者等の探索を行う必要がある地域という順序を設け、これに従って対象土地を選定しております。

#73
○階委員 これを進めることによって所有者不明の土地問題の解消にもつながるということで、今回の法案を契機として、さらに、こちらの方も進めていただきたいと思っております。
 稲富議員がこの委員会で質問したことに関連するんですけれども、資料の六ページ目を御覧になってください。
 これは、法務調査室が作った資料です。土地所有権放棄制度の利用見込等に関する調査というのを一年ぐらい前に行っていたらしいんですね。これは法制審議会の方で行っていたのかな。
 その中で、稲富さんの質疑で答弁があったとおり、当時は土地所有権放棄制度ということで利用希望などを聞いていたらしいんですけれども、その制度の利用希望率は二〇・三六%で、その当時の制度の要件を満たすのが、二〇・三六%のうちの四・五一%ということで、掛け合わせると、この制度を利用する人は全体の一%弱、〇・九五%だという数字が出ております。
 当時は土地所有権放棄制度の利用見込みということで聞いていたんですが、その後、今回のような相続土地の国庫帰属制度に変わったということで、要件も多少変わっているのかなと思うんですね。その結果、制度の利用率は、先ほど言った約一%から改善すると見込んでいるのかどうか、その点について民事局長の見解をお願いします。

#74
○小出政府参考人 お答えいたします。
 法制審の民法・不動産登記法部会では、中間試案の公表後、土地の所有権の放棄制度ではなく、相続土地国庫帰属制度へと法的構成を変更しております。
 アンケートが取られたときには、御指摘のとおり、所有権の放棄制度ということでございましたけれども、国庫帰属を認める場合の要件や手続等の基本的な構造に変わりはなく、技術的に、土地所有者から国に土地の所有権が移転する場合の法的構成を変更したにすぎないものですから、基本的に、これによって利用率が変わるということはないというふうに考えているところでございます。

#75
○階委員 では、この六ページ目の数字を前提にお尋ねしますと、この新しい制度がつくられたとしても二割ぐらいの方しか希望しないし、その中でも要件を満たす人は二割の中の五%ぐらいで、トータルで全体の一%ぐらいしかこの制度は使われないということになりますと、残りの九九%はどうなるのかということなんですね。
 元々土地を持っていて、それで相続して、使いたいと思って、実際に使えそうだという人が一%なので、残りの九九%の人の中には、やはり土地は持ちたくないということで、そもそも遺産を承継しない、つまり相続放棄をしようということを選択する方が増えるのではないかと思っております。
 つまり、一%しか使えないという使い勝手の悪い制度になってしまうと、相続放棄がどんどん増えて、そうすると、民法二百三十九条二項でしたか、「所有者のない不動産は、国庫に帰属する。」という条文がありますけれども、相続人がいなければ所有者がいないということになって、国庫に帰属する不動産がどんどん増えてしまって、今度の国庫帰属制度、多分、要件を絞って余り国庫に帰属しないようにしているんだと思うんですけれども、結果的には別ルートで国庫に帰属するものが増えてしまって、かつ、それについては国が管理する責任も負わないということですから、むしろ悪い国庫帰属が増えてしまうことになるんじゃないかと思っております。
 この点について、どうお考えになっていますか。

#76
○小出政府参考人 お答えいたします。
 相続の放棄は、相続人が相続によって生ずる負担を免れることを可能とする制度でありまして、相続の放棄をすると、相続人は積極財産も一切取得することができなくなるわけでございます。これに対しまして、相続土地国庫帰属制度は、一定の要件の下で特定の土地を国庫に帰属させることとし、土地の相続人に個別の土地を手放すための選択肢を増やすものでございます。
 その意味で、相続放棄をするかどうかは、土地のみならず相続財産の全体を見て決定されるものと考えられますので、相続土地国庫帰属制度の内容いかんによって直ちに相続の放棄が増加するというような関係にはなく、それによって、相続人があることが明らかでない場合の清算手続の利用が増加し、この手続による国庫帰属件数が増加するという関係にも必ずしもないとは考えているところでございます。
 もっとも、この相続土地国庫帰属制度は、所有者不明土地の発生抑制を目的とするものでございまして、利用者にとって使いやすい制度とする必要があるのは、委員御指摘のとおりでございます。今後、政令等により、承認のための具体的な要件の詳細や負担金の額の算定基準を定めるとともに、制度の具体的な運用の在り方を定めていくことになりますが、申請者の負担にも配慮しつつ、関係省庁と連携して検討してまいりたいと考えております。

#77
○階委員 本当に、悪い国庫帰属が増えれば増えるほど地域は衰退していくと思いますので、この点は是非考えておいてください。
 あと、相続登記の義務関係についてもお尋ねしていきたいと思いますが、相続登記の申請義務違反の事実というのは、なかなか、いつ、その人が相続を知ったのかとかというのは、外部からは知り得ない情報だと思うんですけれども、相続登記等の申請義務違反の事実は誰がどのようにして捕捉するのか、それから、過料の制裁というのは公平に行えるのか、この点について、局長、お答えください。

#78
○小出政府参考人 お答えいたします。
 まず、登記申請義務違反の事実の把握の仕方についてでございますが、これは、第一次的には登記官において捕捉することになりますが、相続登記について言えば、登記申請義務違反の前提となる、相続人が相続によって不動産の所有権を取得したことを具体的に把握した場合に、義務違反の端緒をつかんだということになります。その場面としては、例えば、相続人が遺言書を添付して特定の不動産についての登記の申請をした際に、当該遺言書が他の不動産の所有権についても当該申請人に移転する旨を内容とするものであった場合などが考えられます。
 また、登記官において所有権の登記名義人の住所変更の事実を具体的に把握する場面としては、住民基本台帳ネットワークシステムを通じて情報の提供を受けた場合などが考えられるところでございます。
 他方で、今般の不動産登記法の見直しでは、相続登記等の申請の履行期間の始期につきましては、当事者の主観、知ったこと、これに係らしめる要件を設けております。また、これを履行期間内に行わない場合であることに加えて、申請をしないことに正当な理由がないときに限り、過料を科すとの規定を設けております。
 そこで、正当な理由の具体的な類型について通達等において明確化するほか、登記官から裁判所に対する、過料に処せられるべきものについての事件の通知、いわゆる過料通知においても、手続を省令等において明確に規定することを想定しておりまして、これらの方策により、登記官による過料通知に当たっての要件判断が安定的なものとなるよう、十分に配慮を行って運用する予定でございます。

#79
○階委員 最後に一言だけ、大臣にお願いします。
 今回の法案は、所有者不明土地問題の解消につながる反面、所有権の分散化や、登記の複雑化という副作用もあるのではないかという懸念があります。
 その対策を考えていらっしゃるかどうかということだけ、お答えいただければと思います。

#80
○上川国務大臣 法務省といたしましては、遺言や遺産分割がしっかりと行われ、その結果が登記に適切に反映されるようになることが今般の改正の趣旨に沿うものであるということなどにつきまして、相続登記や遺産分割を取り扱う司法書士等の専門職者と十分に連携するよう配慮をいたします。そして、積極的な周知、広報に取り組んでまいりたいと考えております。

#81
○階委員 ありがとうございました。終わります。

#82
○義家委員長 次に、藤野保史君。

#83
○藤野委員 日本共産党の藤野保史です。
 通告した質問の前提として、ちょっと民事局長に確認したいのと、それに伴って、大臣にもちょっと確認させていただきたいと思います。
 三月二十四日の質疑で、私、局長には、相続登記が義務化されると、それに伴ってケースが増えますよねという質問をさせていただいたんです。
 その際、局長はこういうふうに答弁されております。今般、不動産登記法の見直しでは、申請人の手続的な負担を軽減する観点から、申請義務の簡易な履行手段として、相続人登記という新たな登記を創設しておりまして、法定相続分での相続登記に代えて、これにより相続登記の申請義務を履行することが期待されておりますという答弁なんですね。
 大臣は、私が、二次相続が起きたら複雑化するんじゃないかと言ったことに対して、今般、義務づけするんだけれども、その申請義務の実効性を確保するべく、相続人が申請義務を簡易に履行することができるようにする観点から、新たに相続人申告登記を創設することとした、こういう答弁なんです。
 まず、局長にお聞きしますけれども、この際、局長は面白い表現をされておりまして、こうおっしゃっているんですね。新たな登記を創設しておりまして、法定相続分での相続登記に代えて、これにより相続登記の申請義務を履行することが期待されておりますと。その後にも、もう一回、義務化されたということで、増える可能性はあると思いますがと言って、それより簡易なものを用意しておりますので、そちらの方の利用が期待されているということを答弁されているんです。二回、期待ということをおっしゃっているんですね。
 この期待するというのはどういう意味かというのを、ちょっともう少し詳しく教えていただきたいんですが。

#84
○小出政府参考人 お答えいたします。
 今回の相続登記の義務化に際しまして、法定相続分での登記、これは、手続費用もかかりますし、収集しなければいけない資料も多いですし、具体的な相続分とは異なる法定相続分という持分を登記するというようなこともございまして、相続登記の義務化の履行として法定相続分による登記を位置づけるのはどうであろうかというような問題点の指摘も従来からございまして、そういった声にもお応えして、かつ、義務化と併せて、負担軽減策として、登記名義人に相続が発生したこと、自分が相続人であることを簡易な手続で、収集する、添付する資料も少なくて済むという新たな類型の手続を設けたわけでございまして、これは、法定相続分による登記の義務履行に代わるものとして相続人申告登記を利用していただければ、当事者の負担を軽減することにもなりますし、また、その後の遺産分割による相続登記にもつなげていくことができるのではないかなというふうに考えて、発言したわけでございます。

#85
○藤野委員 お聞きしたのは、条文を読みますと、七十六条の二が義務化なんですね。七十六条の三が申告登記なんですけれども、条文上は、局長がこちらの方に期待するんだと、要するに、七十六条の三の方、こちらが使われることを期待するというのは、条文上は読めないんです。しかし、そうおっしゃっているわけです。
 条文上は読めないけれども、法務省としては、七十六条の三、これの活用、私に対しては、そちらの方の利用が期待されているという答弁なんですけれども、そういう理解でよろしいですか。

#86
○小出政府参考人 今回の改正におきましては、法定相続分での相続登記によるのか、あるいは、相続人申告登記によるのかについては、どちらによるのが適切かなどについて、法律では御指摘のとおり定めていないわけでございますが、法務省といたしましては、法定相続分での相続登記ではなく、負担も少なく、より簡易な手続である相続人申告登記が利用されて、相続登記の申請義務が履行されるようになることを想定しているということでございます。

#87
○藤野委員 想定しているということなんですね。
 大臣にお聞きしたいんですが、大臣は、先ほど言ったように、申請の、まあ登記でしょうと思うんですが、登記の実効性を確保するべく申告制度を創設したというふうに読めるんですが、同じような理解ということなんですか。そちらを想定しているということなんですか。

#88
○上川国務大臣 ただいま民事局長が答弁した、想定をしているというその内容で、私も同じでございます。

#89
○藤野委員 私どもも、相続登記というのは大変重い、なかなか負担も大変だという下でそれを義務化するということについては、中間取りまとめの段階でも日弁連もかなり批判をしていたし、参考人質疑でも、全日本司法書士協議会の会長の今川参考人も、単なる義務化では私たちも消極的だったとおっしゃったんですね。しかしこれができたからという文脈で、私にも答弁されていました。ですから、そういうたてつけなんだというふうに理解をしているわけですね。
 それで、通告した質問になるんですが、いわゆるそういう義務を果たさなかった場合に過料という制裁があるんですが、この場合、正当な理由がないのにその申請を怠ったということになっているんですね。
 これは、具体的な基準とか手続は省令や通達で定めるというんですが、今言ったようなニュアンスといいますか、条文上は七十六条の二とか三は並列なんです。けれども、期待という言葉に表れるようなニュアンスを法務省が持っていらっしゃるとすれば、正当な理由というのをどう定めていくのか。そこはどうお考えなんでしょうか。

#90
○小出政府参考人 お答えいたします。
 相続登記の申請義務に違反した場合についても、正当な理由があれば過料の制裁を科さないということにしておりますが、この正当な理由がある場合としては、例えば、今想定しておりますのは、数次相続が発生して相続人が数十人を超えるなど極めて多数に上って、戸籍謄本等の必要な資料の収集や他の相続人の把握に極めて多くの時間を要するケースや、遺言の有効性や遺産の範囲等が訴訟等で争われているケース、また、申請義務を負う相続人自身に重病等の事情があるケースなどが考えられます。
 また、これまでこの委員会で、質疑で御議論いただいたところでございますが、例えば、DV被害者等で、その生命身体に危険が及ぶような状態にあって避難を余儀なくされる場合などにおいても、最終的には個別の事案における具体的な事情によるわけですが、登記の申請をしないことに正当な理由があることはあり得るのではないかと考えております。
 また、経済的に困窮しているために登記費用を負担する能力がないケース等につきましても、その財産状況や具体的な生活環境などによっては、正当な理由があるとされる場合もあるのではないかと考えているところでございます。
 法務省といたしましては、過料の制裁を科すに当たっての公平性の確保も重要であると認識しておりまして、正当な理由があると判断することがあり得るケースについては、丁寧にその事情を酌むように運用を行うべく、制度の実施に当たりましては、正当な理由の具体的な類型につきまして通達等において明確化するほか、裁判所に対する過料通知の手続も省令等に明確に規定する予定にしております。

#91
○藤野委員 今後の政令や法務省令の具体的な中身というのをしっかりと見ていきたいと思っております。
 その上で、これは要望ですけれども、やはり遺産分割協議がしっかり行われて、その結果が登記に反映される、それがやはり登記の公示機能というものの本来の役割だと思いますので、そういう意味では、先ほど階委員からもありましたけれども、この法案がかえって所有者の複雑化とかに行くのではなくて、しっかり関係機関とか専門家と連携して、そうした遺産分割協議を促進していくという方向で、法務省も役割を発揮していただきたいというふうに思っております。
 次に、今日も、名古屋入管で起きましたスリランカ人女性の死亡事件について伺いたいと思います。
 入管にお聞きします。司法解剖をしたと伺いました。死因は何なんでしょうか。

#92
○松本政府参考人 お答えいたします。
 まず、救急搬送先の病院の死亡確認を行った医師が作成した死体検案書には、直接死因の欄に急性肝不全と記載されておりますが、死因の種類の欄におきましては不詳の死という文字が丸印で囲まれており……(藤野委員「何の死」と呼ぶ)不詳の死という文字が丸印で囲まれており、さらに、解剖の欄に、委員御指摘の司法解剖の結果が未判明である旨の記載がございます。
 現在、この事案につきましては、御指摘のとおり、刑事手続として、亡くなられた方の死因を解明する手続が行われているものと承知しております。
 一般論といたしましては、その手続におきまして、病理的な検査内容等も踏まえる必要があると認識しておりますが、出入国在留管理庁として、刑事手続としての死因解明の結果が判明する時期については、捜査機関の活動内容に関する事柄であるため把握しておりません。かつ、まだ結果の連絡は受けていないところでございます。

#93
○藤野委員 結局、まだ、一番肝腎なところがよく分かっていないということであります。
 三月二十五日のNHKの「ニュースウオッチ9」でこの事件が取り上げられました。その中で、スリランカ人女性が亡くなる直前まで面会を重ねていた真野明美さんという方のインタビューがあるんですね。
 この女性が真野さんに宛てて書いた手紙も紹介されておりました。助けてください、回復するためには食べなきゃいけない、でも、それができないの、こういうふうに書いてあったそうです。最後に面会できたのは、亡くなる三日前のことだった。真野さんは、もう手が硬直してしびれている、どう見てもすごく深刻な脱水症状じゃないかと思ったんです、私にここから連れていってと言ったのが最後の私との会話です、こういう映像が流れました。
 真野さんは、このスリランカ人女性が仮放免されれば、自宅でこの女性と一緒に住むことにしていたそうなんです。番組の中で真野さんは、彼女に一番似合うと思って準備していた着物を見せてくれました。この女性がずっと願ってきたことは、大好きな日本の着物を着て外に出かけることだったというんですね。それが入管で亡くなってしまった。なぜこんなことが起きたのか。
 入管庁にお聞きしますが、支援団体によりますと、この女性は、支援団体との面会でも嘔吐を繰り返して、三月に入ってからは、バケツも自分で持てなくて、面会する場合には面会室にバケツを置くための椅子が置かれていたというんですが、これは事実でしょうか。

#94
○松本政府参考人 お答えいたします。
 これまでの調査により把握した限りにおきましては、本年二月上旬に、嘔吐した際に備えて本人が面会室にバケツを持ち込んだことや、二月下旬頃から、職員が用意した嘔吐用の袋を面会の際に本人に持たせたということがあったものと認識しております。
 具体的には、二月三日、二月八日、支援者の方と面会の際に、面会室に嘔吐用のバケツを持ち込んだという状況を認識しております。
 さらに、二月下旬以降、面会室に職員が防水シートで作製した嘔吐用の袋を持たせていたという状況でございますが、三月に入ってからの面会の具体的な状況については、現時点においては確認できていないため、改めて確認を行う予定でございます。

#95
○藤野委員 もう一つお聞きしますが、スリランカ人女性から点滴してほしいという訴えはあったんですか。確認できましたか。

#96
○松本政府参考人 お答えいたします。
 これまでの調査により把握した限りにおきましては、診療記録の記載あるいは聴取等に基づいてでございますが、亡くなった方が、庁内診療や外部病院での診療の中で、医師に対して点滴をしてほしいと求めたという事実は確認されておりません。また、同様に、庁内診療や外部病院での診療の中で、医師から点滴を打とうかという打診がされたという事実も確認されておりません。
 職員に対してでございますが、現時点ではそのような訴えがあったとの事実は確認されていないものの、現在多くの職員に対する聞き取り調査を継続しているところでございまして、その結果も踏まえる必要があるものと認識しているところでございます。

#97
○藤野委員 支援団体から、点滴を打つべきだという申出があった、入管庁、これは事実ですね。

#98
○松本政府参考人 お答えいたします。
 これまでの調査により把握した限りでは、亡くなられた女性と度々面会をしておられた支援者の方から名古屋出入国在留管理局の職員に対し、亡くなった方に対する点滴を実施してほしいとの申入れがされていたものと承知しております。
 もっとも、点滴の実施は医療行為でありまして、医師の指示により行われるものと承知しております。これも調査により把握した限りでは、亡くなられた方の診察状況や当時の飲食物の摂取状況等を踏まえ、医師による点滴の実施及び必要性の判断は行われなかったものと認識しております。

#99
○藤野委員 支援団体は繰り返し、点滴すべきと申し出ているわけです。
 そして、先ほどNHKのこれは画像でも、本人が書いた日本語の手書きの手紙が真野さんに寄せられたと言いましたけれども、ここに、回復するためには食べなきゃいけないの、でもそれができないのとあるわけです。
 ですから、そういう場合の手段というのは点滴なんですね。それをなぜ確認できないのか。極めて不自然なんですね。
 入管庁にお聞きしますが、この女性は、最後は二十四時間監視体制が取られる部屋に移されていたと聞いております。それを映していたビデオがあると思うんですが、ありますか。

#100
○松本政府参考人 お答えいたします。
 亡くなられた方は、本年一月三十一日に容体の観察のため単独の居室に移室され、以降、亡くなる日まで、居室に設置された監視カメラにより、その動静が確認されておりました。
 亡くなられた方の居室に設置された監視カメラの映像は、本年二月二十二日午前八時頃から、亡くなられた当日、三月六日の午後三時頃までのものが保存されているものと承知しております。

#101
○藤野委員 二〇一四年の三月三十日に茨城県牛久の東日本入国管理センターで死亡したカメルーン人男性死亡事件があります。この事件でもビデオが重要な今役割を果たしているんですね。
 そのビデオの場合、その亡くなった男性が、アイム・ダイイングと何度も絶叫している様子や、最後は大声を出す力もなくなって、弱々しい声で水、水と、水を求める様子も映っております。
 これは委員長にもお諮りしたいんですが、やはりビデオというのは、最後の状況を知る大切な証拠なんですね。これ、一般の公開というのはなかなかいろいろな問題があると思うんですけれども、やはり国会に対してこの提出を求めたいと思います。

#102
○義家委員長 後刻、理事会で協議いたします。

#103
○藤野委員 今日は警察にも来ていただいております。
 この女性は、静岡で、DV被害から逃れる目的で警察に駆け込んだと伺っているんですが、これは事実なのか。

#104
○宮沢政府参考人 お答えします。
 御指摘の女性に関してでございますけれども、静岡県警察におきまして、令和二年八月十九日、自ら出頭したところを出入国管理及び難民認定法違反で現行犯逮捕し、翌二十日、名古屋出入国在留管理局に引き渡したとの報告を受けております。

#105
○藤野委員 いや、私が聞いたのはそういうことじゃなくて、この方はDV被害の相談で自ら出頭したのか、出頭というか相談に来たのか、もうそれだけ端的にお答えください。その場合、なぜその女性をDVシェルターなどにつながなかったのかということなんです。
 その二つ。

#106
○宮沢政府参考人 委員の御指摘は、警察が逮捕し入管に引き渡したということだと思いますが、いずれにしても、不法残留の状況でございましたので、静岡県警察においては、法と証拠に基づいて違法行為に対処したというものだというふうに認識をしております。

#107
○藤野委員 これ、全くひどいと思いますよ。
 支援者の方にも聞いたら、本人は、入管施設というのをシェルターのようなものと誤解していた可能性もあるというんですよ。そういう場合、警察は何をすべきかというと、その被害を聞いて、これはやはりシェルターに連絡しなきゃいけないということであればそういうことをすべきであって、そういうことを例えば法務省と相談して、では入管はどうするかという判断をする。
 それを、まさに全件収容主義で、資格がないという一点だけで収容するというこの運用が、まさに今の警察の答弁でも明らかになったと思うんです。これはもう絶対に許されない。まさに全件収容主義の犠牲者ですよ。
 今日は外務省にも来ていただいております。政務官、ありがとうございます。
 配付資料を見ていただきますと、これは、三月二十四日の参院予算委員会で茂木外務大臣がこのスリランカ女性に対するお悔やみを述べた上で、スリランカの外務大臣が在スリランカ大使と会って、この事件が話題に上ったということを答弁されているんですね。配付資料は、これは写真をちょっと紹介したいと思って、奧の方がスリランカの外務大臣、手前の右側の方が大使ということなんです。
 政務官にお聞きしますが、この際、スリランカの外務大臣からどのようなお話があったんでしょうか。

#108
○國場大臣政務官 まず、亡くなられた方には心からお悔やみを申し上げます。
 本件については、グナワルダナ・スリランカ外務大臣が杉山在スリランカ大使と別件で面会した機会に、本件の調査につき言及がありました。その際のグナワルダナ・スリランカ外務大臣の発言については、相手国との関係もあり、差し控えたいと思います。

#109
○藤野委員 重ねて國場政務官にお聞きしますが、これまで、入管施設では、多くの外国人被収容者の命が失われているんですね。外務大臣クラスからこうした事件への言及があった事例というのは今まであるんでしょうか。

#110
○國場大臣政務官 出入国在留管理庁によれば、網羅的な資料が存在する平成十九年度以降、入管収容施設で発生した外国人の死亡事案は十七件あります。
 外務省の関係各課において把握している限りでは、該当する十七件の死亡事案のうち各国の大臣クラスから言及があった事案は三月の六日にスリランカ人が亡くなった一件のみでありまして、今年三月二十二日にグナワルダナ外務大臣から杉山在スリランカ大使に対して本件についての言及があったとの報告を受けております。

#111
○藤野委員 ですから、これはやはり極めて異例なことでありますし、相手国の外務大臣がわざわざ持ち出されているという、それはやはり、日本の子供たちに英語を教えたいということで夢を抱いて日本に来た、日本が大好きで、日本の着物を着て外に出かけることをずっと願っていた女性が、何で入管施設で亡くならなきゃならなかったのかと。これは、現地の人も一番知りたいことですし、私たちも一番知りたいことです。ところが、その死因は何か、先ほど聞きましたけれども、あるいは点滴を求められたのか、様々な一番ポイントになるところが全く不明なままなんです。
 大臣、今の調査のやり方じゃ不十分なんじゃないですか。これだけちょっとお答えください。

#112
○上川国務大臣 入管収容施設に収容中の被収容者が亡くなったことに対しまして、重く受け止めております。亡くなられた方には心からお悔やみを申し上げる次第でございます。
 入管収容施設は、大切な命を預かる施設でございます。被収容者の健康を保持するため、社会一般の医療水準に照らし適切な医療上の措置を講ずること、また、そのために必要な医療体制を整えることは、出入国在留管理行政の責務であると認識をしているところでございます。
 こうした観点から、今回の事案につきましては、私自身、この詳細につきまして調べることが大変必要ではないかというふうに判断をいたしまして、出入国在留管理庁に対しまして、この死亡に至る診療経過、また対応状況などにつきまして正確な事実関係を速やかに調査すること、また、調査の客観性や公平性の担保のために第三者の方々に調査に加わっていただくということにつきまして指示をいたしました。
 現在、そうしたところに沿いまして、調査チームが鋭意、様々な第三者の方々の御意見やまた御指導もいただきながら調査を進めているところでございまして、四月上旬頃の時期を目標に、診療経過や健康状態の推移等の客観的な事実関係をある程度まとまった形でお示しをする方針でございます。
 そうした方向性の中で、今、鋭意調査を進めているという状況でございますので、その結果につきましては十分に検証してまいりたいというふうに考えております。

#113
○藤野委員 今、四月上旬をめどというお話がありました。こういう事件を起こし続けている入管庁に、入管法改正案で新たな裁量権限を与えていいのかという問題とも関わってくる問題です。また四月の調査結果も踏まえながら、引き続きこの問題は追及したいと思います。
 終わります。

#114
○義家委員長 次に、串田誠一君。

#115
○串田委員 日本維新の会の串田誠一です。
 これまで各委員がいろいろ質疑をしてまいりましたが、恐らくこの法案で、所有者不明土地という問題が非常に喫緊の課題であるということで、なるべく利用がしやすいような法案にすべきではないかということの前提に立っての質疑が続いてきたのではないかなと思います。
 今日、採決ということでございますので、この法案自体、条文を変えるというようなことは困難ではあると思うんですが、附則の第二、検討というところに、施行後五年を経過した場合において、必要があるときには、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとするということになっておりますので、その観点から今日は質疑をさせていただきたいと思うんですが、私が一番懸念しているのは、境界の問題でございます。
 国庫に帰属させたいという気持ちが皆さん合意できて、そして承認申請しようとしたときに、第二条第三項第五号は、境界が明らかでない場合には申請ができないということになっているわけでございます。
 例えば、Aという土地を国庫に帰属したいときに、お隣のBとかCの土地の境界が分からない場合に、BとCの相続人を全部、Aの人が確認をし、そして境界の立会いをさせるとか、Cもまた同じようなことをするとかというようなことが、これは、非常に困難であった場合にこれが適用されないということになるわけですけれども、一方で、相続放棄は、全然、境界が関係なくても放棄して、先ほど階委員が指摘されましたように、国庫に帰属するわけですね。ですから、境界が分からない土地というのが国庫に帰属されているのはたくさんあるわけですよね、既に。
 この手続を取るときには境界が明らかでないとできないということで、Aはしたいと思いながらも、BとCの境界が確定できなかった。BとCが、いよいよ今度、逆に、国庫に帰属しようと思っていたところ、今度、Aの方が相続が進んでしまって、そしてかなりの数の相続人で、境界を確定することが今度はできなくなってしまうというようなことが起きてしまうわけです。
 計画道路の場合にセットバックというのがあって、長い間に道路が広くなるというのと同じように、境界が分からなくても国庫に帰属させ、そしてそれは、負担金は負担させるわけですよね、十年間というのは。ですから、今までも所有者不明の土地であったとしても、今までずっと行われてきたものが、今度十年間、国がその負担金を取得することができる中で、AもBもCも、そういうような形で境界は決まらないけれども大きな固まりになって、AとBとCの外側の外周は境界が確定しているのであれば、これは大きな固まりを国として帰属できるのではないかな。
 そして、先ほど言ったように、相続放棄で境界が分からないところともくっついて、大きな固まりとなって国の帰属になり、国がその土地を活用できるようになるんじゃないかという意味では、境界の不明確なということでこれを承認申請できないというような扱いというのは、少々残念だなというふうに私は思っているわけでございます。
 そういう意味で、五年後、この規定によって承認申請をためらうというようなことが何らかの形で明らかになったような場合は、境界が明らかでなくてもこれは国庫に帰属できる、この申請、この法律を適用できるような法改正というものも考えていただきたいというふうに思っております。これは質問というよりも要望ですけれども、五年後、このようなことを検討するということでございますので、境界が明らかでない場合でもこれを帰属できるような手続を、改正というのも検討していただきたいと思うんです。
 まず最初の質問としては、前回、民法二百九条の文言の改正があって、最後ちょっと中途半端になってしまったものですから、今日はそこを明確にさせていただこうと思いまして質問させていただきたいんですけれども、その前提として、旧法は「隣人」という言葉がある。前回の局長の答弁では、この隣人というのが曖昧であるということで、「居住者」という言葉に改めたというようにお聞きをしているんですけれども、隣人というものの定義、まずは現在の定義を御説明いただけないでしょうか。

#116
○小出政府参考人 お答え申し上げます。
 現行民法二百九条一項ただし書、「ただし、隣人の承諾がなければ、その住家に立ち入ることはできない。」、そういう部分がございますが、前回の審議のときに、私、隣人は、その住家の所有者又は借家人と解されているというようなことを答弁したと思いますけれども、要するに、その住家に現に居住する者を隣人と言っているというふうに御理解いただければというふうに思います。
 このように考えるのは、現行民法二百九条第一項ただし書の趣旨が、住家に現に居住する者がいることを前提に、その居住者のプライバシー等を保護するため、その立入りにはその居住者の承諾を要求するものと考えられるためでございます。
 現行法も改正案も、いずれも単に建物ではなく「住家」という文言を用いておりますので、これは建物に実際に住んでいる者がいることを表す趣旨でございますので、現に居住者がいなければ、建物があったとしてもそれは住家には該当しないということで、隣人というのは、住家に実際に住んでいる人で、所有者であれ居住者であれ、その住家に住んでいる人というような意味合いで使っているものと理解しております。

#117
○串田委員 ちょっと今の説明は不満というか、なぜかといいますと、一つの定義を住家と混ぜ合わせて説明されていらっしゃるでしょう。ちょっと、隣人は何か、住家は何かというのを明確にしていただかないと、現行法と改正のところがはっきりしないんですが。
 なぜかといいますと、これはちょっと私も文言をいろいろ調べてきましたが、居住者というのは、所得税法第二条三号に「国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて一年以上居所を有する個人をいう。」という定義があるんですね。この居所は、民法二十三条で「住所が知れない場合」、住所というのは、民法二十二条で「各人の生活の本拠」ということで、居住者というのはこうやって法律を追っていくとある程度定義が明確になるんですけれども、隣人というのはちょっと見当たらない感じがしたので、そこら辺が不明確だということなんです。
 公益社団法人不動産流通促進センターでは、住家に当たるか否かで立入りできるかどうかが争われたときに、隣家の居所や事務所、店舗等の使用部分は、住家であることは明らかであるというような、異論はないということが書いてあったので、住家というのは、事務所や店舗等の使用部分も、このような、公益社団法人はそういうふうに書いてあるんですけれども、この表現は間違っているんですか。住家に関して、要するに、店舗だとか事務所も入りますか。

#118
○小出政府参考人 お答えいたします。
 必ずしも手元に資料があるわけではございませんが、住家の定義の中に、事務所あるいは店舗が入っても、それはそれでいいのではないかと思います。
 すなわち、住家という概念は、現に居住する人がいるという、そういう意味合いで解すれば、それが住居であろうが、事務所であろうが、店舗であろうが、それは構わないということになるんじゃないかと思います。

#119
○串田委員 そうしますと、ここの表現は、居室と書いてあるんだけれども、事務所や店舗等でも、隣接した建物内に人が住んでいるということが必要要件という理解でいいですか。

#120
○小出政府参考人 居住者のプライバシーを保護するのが本件改正後の規定の趣旨でございますので、委員のおっしゃるとおりだと思います。

#121
○串田委員 東京地裁、平成十一年一月二十八日の判決でも、プライバシーというのが非常に重要なことで書いてあるということなので、そうすると、まとめれば、この場合の承諾を得る必要があるのは、住んでいることが承諾を得る必要があるんであって、今たくさん人が住んでいない家ってありますよね。人が住んでいない場合には承諾がなくてもその家の中に入れるという、そういう解釈を従前も取っていたし、この改正でもそういうふうになったという、そういう理解でよろしいですか。

#122
○小出政府参考人 委員御指摘のとおりです。

#123
○串田委員 これで前回ちょっと分かりづらかったのが分かるようになったんですが、その二百九条の中で、前回は、二百九条は「隣地の使用を請求することができる。」というふうになっていたのを、今回は、「隣地を使用することができる。」というふうに言葉が変わっているんですよね。
 請求することができるということと、使用することができるって、私としてはちょっと違うんじゃないかなと思うんですが、ここについての言葉の解釈の説明をしていただけますか。

#124
○義家委員長 速記を止めてください。
    〔速記中止〕

#125
○義家委員長 速記を起こしてください。
 小出民事局長。

#126
○小出政府参考人 お答えいたします。
 隣地の使用を請求することができるという言葉でございますと、具体的な意味が判然とせずに、隣地所有者等の承諾がない場合の権利関係が不明確であり、土地の利用が阻害されている等の指摘がございました。土地の所有者は、所定の目的のために必要な範囲内で隣地を使用することができる権利があることを明らかにするとともに、今回、隣地所有者等の利益を保護するため、通知等の規律を整備したものでございます。

#127
○串田委員 ここもちょっと整理しておきたいんですが、なぜここにこだわっているかというと、トラブルが一番起きやすいかなと思うんですよ。人間がぶつかり合う部分がちょっとあるものですからね。
 一般的には、請求することができるというと、請求されたときに承諾するかしないかというのが出てくるんだけれども、請求という言葉がなくなって、使用することができるということになれば、請求する必要もなく使用することができるというふうになっているのかなと。
 ただ、同じ二百九条の第三項ですか、通知をしなければならないとはなっているので、こことの関係がちょっとはっきりとしないんですが、通知自身が請求と同じような意味合いとして考えたのか、それとも、元々、この請求することができるという現行法は、請求することができるというのは、イコール使用することができるというふうに理解していたんだというふうに考えたらいいのか、これはどっちが正しいというか、解釈できるんでしょうか。

#128
○小出政府参考人 先ほども申し上げましたけれども、やはり、請求することができるの具体的意味内容が判然とせず、どのような権利を持っているのかというのが明らかでない場合がございます。
 隣地所有者が請求することができる、その請求に対して承諾しない場合の権利関係が不明確であった、これを今回、使用することができるといって、実体的には、権利を発生させて、使用する権利を明確にした。ただ、その場合でも、いつ、どういう場合でも使用することができるわけじゃなくて、事前の通知義務を課すことによって、具体的に、いつ、どういう態様で、どのようにして使用されるかという点について事前に準備させる、隣地の所有者についても、事前に準備をしたり、場合によっては日程の変更、日時の変更とかを交渉するために、そういった余地を与えるために通知をするという、そういう保護規定を設けたものでございます。

#129
○串田委員 承諾ではなくて、通知なものですから、届かない場合はどうなるかとか、出した以上はもうそれで要件的には済むというふうに考えているのか、そこがちょっと、はっきりしないところは実はあるんですけれども、そこは何らかの形で明らかにするような努力をしていただいて、トラブルが起きないようにしていただければなと思うんですけれども。
 次に、前回も質問しました十七条の罰則規定。調査だとかを妨げた場合、これもちょっとトラブルが起きるんじゃないかと思って、明確にしたいんです。
 前回質問したときには、第六条の国庫に帰属する前は、法務省の職員なので、法務省の職員に対しては十七条は適用がない。十七条は、国庫に帰属した後、農地に関しては農水省の職員に対する規定だという話だったんですけれども、ただ、法務省の職員に関しても、暴行、脅迫があった場合には公務執行妨害罪が成立するということでありますので、この十七条の要件、これは、農地法の四十九条は元々あった規定なんですけれども、言葉自体が、この法案ができたときにどういう審議をされたのかというのがちょっと疑問なところがありまして。
 というのは、調査に関して拒み、妨げ、忌避したときは、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金という刑事罰が科せられるという意味では、罪刑法定主義的な意味からすると、拒みとか妨げとか忌避、忌避というのは恐らく調査から逃げるという意味なのかなとも思うんですけれども、調査をしに来たときに逃げた場合、刑事罰になるのかというちょっと疑問もあるわけで、ちょっと、罪刑法定主義的な意味から、この言葉というのはどういうふうに定義されているんですか。
    〔委員長退席、伊藤(忠)委員長代理着席〕

#130
○小出政府参考人 お答えいたします。
 資料等を調べますと、まず、拒みですけれども、これは一般に、言語又は動作で調査を承諾しないことをいうとされておりまして、例えば、農林水産省の職員に対して立入調査を拒絶する旨を明確に述べるようなことが例示されております。
 また、妨げとは、一般に、調査に障害を与える行為をいうとされておりまして、例えば、柵を設置するなど物理的な障壁を設けて農林水産省の職員が土地に立ち入ることができないようにすることが例示されております。
 そして、御指摘の忌避ですけれども、これは一般に、積極的行動によらないで調査の対象から免れることをいうとされておりまして、例えば、柵で囲まれた農地の出入口が施錠されている場合に、農林水産省の職員から開錠の要請があっても、これを無視することなどといった例示がされております。

#131
○串田委員 今はっきりしたのは、暴行、脅迫にはならない場合ということですよね。ただ、拒みというのが、言葉だけ、調査させろと言うとき、いや、調査させないと言った時点で刑事罰が発生するというのは、ちょっとどうなのかなというのは疑問には思うんですけれども。
 暴行、脅迫、例えば有形力の行使によって調査を妨げた場合には公務執行妨害罪が成立するよと。そして、この両罪の関係というのはどういうふうになっているんでしょうか。重畳的なのか、一つだけ成立するのか。

#132
○小出政府参考人 お答えいたします。
 先ほど申し上げました拒むこと、妨げることにつきましては、これらの行為は、公務員の身体に対する不法な攻撃を伴う場合には公務執行妨害罪の暴行又は脅迫にも該当する場合があり得るものと考えられます。
 この立入調査に対する抵抗行為が相続土地国庫帰属法十七条の拒むこと、妨げることと同時に、公務執行妨害罪の暴行又は脅迫のいずれにも該当するような場合には、より重い公務執行妨害罪のみが成立するものと解されます。

#133
○串田委員 時間ですので質問はしないんですけれども、五年後のことに関して、法務大臣、先ほど、境界が不明確のときに国に帰属をさせるということになると、隣がその土地を活用するときの境界の画定って国だけで済むんですよね。そういう意味でも活用がしやすいということと、あと、負担金に関しても質問しようとは思ったんですが、国にとって非常に有利な土地を善意で帰属したいというような場合には、負担ばかりではなくて国にとってもすごく利益になるので、負担金を納付しなければならないという紋切り型じゃなくて、相当な場合には負担金を免除することができるという規定を入れるとか、そういうようなことも検討していただきたいと思います。
 質問を終わります。ありがとうございました。

#134
○伊藤(忠)委員長代理 次に、高井崇志君。

#135
○高井委員 国民民主党・無所属クラブの高井でございます。
 所有者不明土地の問題、最後になりますけれども、この間、この委員会でもるる議論してきて、やはり、諸外国に比べるとこの日本の土地所有に対する規制というのがやはり緩いんじゃないか、そのことが所有者不明にもつながったり、いろいろな弊害が起きている。
 私は、外国人による土地買収、特に森林ですね、水源地などが今相当な勢いで買われているということを指摘してまいりましたけれども、これの原因として考えられるのが、やはり憲法二十九条、財産権の自由、あるいは民法二百六条、土地所有の自由等々、そういう根本的な日本の法制のところにあるのではないかというふうな指摘があります。これについてはちょっと、時間があれば後で法務大臣に聞きたいと思うんですが。
 そういった中で、やはり私が取り上げてきたこの外国人の土地取得について、先般三月二十四日の法務委員会で、大臣はこうお答えになっています。特定の行政目的に基づく、その達成に必要な範囲で、外国人の土地取得について規制を設けることはあり得るというふうに答弁されていますが、それでは、私が心配している安全保障上の問題、森林を買うことによって水源地の問題とか、そういった目的も、この特定の行政目的に入り得ると考えてよろしいですか。

#136
○上川国務大臣 特定の行政目的には安全保障上の目的も入り得るというふうに考えられます。

#137
○高井委員 それであれば、私は、安全保障上の観点から外国法人の土地の所有を規制するという、諸外国では当たり前のようにやっていることを我が国もやれるということを法務大臣は御答弁いただいたわけですので、やはり直ちにそういう、民法改正なのかあるいは新法なのか、いずれにしても民事基本法制という大きな枠組みの中で、これは是非法務省に検討いただきたいと思いますが、いかがですか。

#138
○上川国務大臣 委員御指摘の、安全保障上の目的という特定の行政目的の達成に必要な範囲で外国人の土地取得を規制する立法措置を行うことはあり得るところでございますが、しかし、これは規制の目的と態様に応じまして、それぞれの所管行政事務を担っている各省庁において検討されるべき問題であると認識をしております。
 もちろん、その検討に際しましては、法務省といたしましても、民事基本法制を所管するという立場でございますので、各省庁、所管省庁の検討に適切に協力してまいりたいというふうに思っております。
 もっとも、外国人のみを対象として土地の取得につき制限を加えることに関しましては、我が国が締結しております諸条約におきまして、他の締約国の国民については自国民と同様の待遇をすべきことが規定されていることとの関係で、条約違反となる可能性もあることから、極めて慎重な検討が必要ではないかと考えております。
 他方で、外国人のみに対象を限定せず、防衛関係施設やまた国境離島等の機能を阻害する土地等の利用を防止することにより安全保障の確保等に寄与することを目的とする法案、これが今、内閣官房におきまして作成され、先日、閣議決定されているところでございます。
 こうした様々な検討の中で、法務省としても、それに向けて協力してまいりたいと考えております。

#139
○高井委員 しかし、安全保障といえばやはり外国からですよね。日本人が安全保障を脅かす何かをするって、ないことはないんですけれども、やはり基本的には外国との関係で議論されるべきであって、また、条約の話を持ち出されますけれども、条約は、ほかの諸外国だって多分同じように結んでいるところはいっぱいありますけれども、やはりそれでも自国の安全保障のためにやっているわけですから、私はそれは余り理由にならないと思います。
 今回、今大臣から言われた法案が、土地規制法案とか重要土地等調査法案、内閣官房で、これはどこがやるかというのもなかなか難しいんだろうと思うんですね。森林の話を私はしていますから、じゃ、農水省が安全保障の観点からそれをやるのかというのもまた悩ましいんですけれども、しかし、今、閣法で出そうとしています。
 しかし、内閣官房でやっているのは、今おっしゃったように、外国人を別にターゲットというか対象にしているわけじゃなくて、日本人も一緒だし、あとは、重要施設というのは防衛施設とか国境離島なので、例えば農地、森林、港湾とか、そういった、やはり安全保障上非常に必要だと思われるものは対象に入っていないんですけれども、これは是非、もう閣議決定しちゃいましたけれども、こういったものを加えるべきではないですか。

#140
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘ございました農地でありますとか森林につきましては、現行の農地法でありますとかあるいは森林法におきまして、取得の際の許可でありますとかあるいは届出などといった措置が講じられているところでございます。
 昨年取りまとめられました、私どもの担当大臣、小此木大臣の下に設置いたしました有識者会議の提言におきましても、今申し上げましたような措置が取られているということを踏まえまして、それらを法案の対象とすることにつきましては慎重に検討していくべきとされたところでございます。
 こうしたことから、私どもの法案では、御指摘のございました農地でありますとか森林、これは調査等の対象となる区域には含めておらないということでございます。
 また、法律案におきまして、対象となります重要インフラ施設につきましては、その機能を阻害する行為が行われました場合に国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生ずるおそれがある施設を政令で定めるということとさせていただいているところでございます。
 いかなる重要インフラ施設を政令で定めるかにつきましては、政府といたしまして今後検討を行いまして、新設いたします土地等利用状況審議会の意見を伺った上で決定をさせていただく、このようにしているところでございます。
 以上でございます。
    〔伊藤(忠)委員長代理退席、委員長着席〕

#141
○高井委員 済みません、ちょっともう一問お聞きしたいんですけれども、何で慎重な検討が必要なんですか。

#142
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
 重ねての答弁になって恐縮でございますけれども、農地でありますとか森林につきましては、現行の農地法でありますとか森林法におきまして、取得の際の許可でありますとか届出といった措置が既に講じられているということを踏まえまして、先ほど御答弁させていただきました有識者会議の提言におきましても、それらを調査等の対象に含めることにつきましては慎重に検討していくべきという提言を取りまとめていただいたということでございます。
 以上でございます。

#143
○高井委員 安全保障上の観点じゃなくて、既に届出とかがあるからということですか。
 しかし、それは、この後質問しますけれども、やはり林野庁、農水省がやっている届出というのはまた全然別な目的ですし、しかも、それが十分じゃないという実態があるんですね。
 これは、農水省の元中部森林管理局長の平野さんという、東京財団の上席研究員ですけれども、先般の私の質問でも、今、森林のうち七千五百六十ヘクタールが海外の方に買収されている、ちょうど私の地元の岡山市ぐらいの面積なんですけれども、それが外国に買収されている、しかし、これは、平野氏によれば、二桁違うんじゃないか、丸二つ違うんじゃないか、そのくらい、届出、実態はされていないんじゃないかと。
 それから、あと、この間、聞いたときに、どの国が多いかという順番を聞きましたけれども、香港が一位ではあったんですけれども、中国が出てこないんですね。中国、聞いたら、かなり下位の方で、十件しかないと。そんなばかなことがあるかと。私の周りでも、中国の方が森林を買ったというのをたくさん聞くんですけれども、これはおかしくないですか。この届出の取り方はどうなっているんですか。

#144
○小坂政府参考人 お答えいたします。
 林野庁が実施している外国資本による森林買収に関する調査は、森林法に基づく市町村への届出情報等を基に、都道府県を通じて実施しており、居住地が海外にある外国法人又は外国人と思われる者のほか、国内に居住地がある場合であっても、外資による出資比率又は国外居住者の役員の比率が過半数を占める外国系企業と思われる者を対象として調査しているところでございます。
 一方、議員御指摘の平野氏のJBプレスの記事を見させていただきました。それによりますと、日本人や日本法人をダミー的に登記名義人にしたケースや未届けのケース、リゾート地や雑種地とか原野、いわゆる森林以外の買収、そういったことがあるから、外資の買収面積は公表されている数値より一桁から二桁多いと考えるのが妥当とされているところでございますが、このことが事実かどうかは当方では判断できかねることと考えているところでございます。
 一方、中国のお話は、先般答弁させていただきました。いわゆる二百六十四件中、資産保有等百七十八件のうち、中国は十件と、六番目になっています。一方、全体の二百六十四件を見ますと、一番が香港でありますけれども、中国は四番目の十八件となっております。
 こういった状況ということで、これ以上の分析は我々はやっていないところでございます。

#145
○高井委員 今答弁にもあったように、ダミーの法人とかがやっている分というのは、それは把握できないということですけれども、しかし、そういうのも含めて、やはり、安全保障の観点からいけば、把握しなきゃいけない。ですから、やはり、農水省、林野庁がやっている届出制度と、今、内閣官房が検討している話は、目的が違うというか、根本が違うので、だから、その届出を取っているからいいんだというのは、私はちょっと納得できる答弁ではないです。
 農水省にも是非重ねてお願いしたいのは、今、十八道府県が、水源地を守るため、そういう理由で、森林所有の事前届出制を条例でやっているんですね。国がやってくれないから条例でわざわざやって、頑張っているわけですよ。これはもう国が一律で、やはり事後届出じゃなくて事前届出制を導入して、それで、何を目的にこの森林を取得したのかというその利用目的まで把握すれば、大分この問題の解決につながると思いますが、それはやる考えはありますか。

#146
○小坂政府参考人 お答えいたします。
 現在、議員御指摘のとおり、十八道府県において、水源地域における森林等の土地取得に関して、水源地域の保全の重要性の周知等、そういったことを目的として、事前届出の義務を課す条例を定めております。これは、地域の特性に応じた、水源となる森林等の保全に向けた取組であるというふうに承知しております。
 一方、森林法におきましては、新たに森林の土地の所有者になった者の市町村への事後届を措置されております。これによって所有者の異動をしっかり把握し、市町村が行う所有者に対する間伐等の行政指導に活用するということに加え、これ以外にも、森林の有する水源涵養機能等の保全を目的として、これは当然、日本人であっても外国人であっても、保安林制度、林地開発許可制度、そういったものが措置されております。そういったことで、現時点で特段大きな問題が生じているところはないというふうに考えているところでございます。
 こういった状況の中、これらの措置に加えて事前届出を措置するということになれば、当然、国民に新たな義務を課すことになりますし、さらに、国民の皆様、さらには市町村、二重の負担をかける、事前と事後の二重の負担をかけるということになるというふうに考えています。
 そういった中、先ほど内閣官房からお話がありましたように、土地利用の実態把握等に関する有識者会議の中でも、森林の新たな法制度を対象とすることについて、安全保障の観点から、現行制度の運用状況、効果等を見極めた上で、慎重に検討していくべきとされております。
 さらに、閣議決定された重要土地等調査法案においても、森林は、事前届出を必要とする特別注視区域そのものの対象にならない、そういった整理のなされているところと考えているところでございます。

#147
○高井委員 やはり、森林管理と、安全保障の、内閣官房のやっていることが、別々にそれぞれやっていて、うまくリンクしていないなというのをすごく私は感じます。
 そこもやはり根本的には、私、最初に法務大臣に聞きましたけれども、財産権の自由とか土地所有の自由という辺りに絡んでくるのかな、その辺りがやはり、私はこの問題をもう一度改めて法務省としてしっかり受け止めていただきたいと思うんですけれども、最後、問いの一番で飛ばしたところにも関連しますけれども、法務大臣からもう一度お答えいただけたらと思います。

#148
○上川国務大臣 ただいま委員から、安全保障上の目的に照らしてという形で、土地の取得に対しまして外国人の規制をすることについての御質問がございました。
 様々な土地に係る事柄につきましては、今、法務省が持っている民法の規定ということでございますので、その意味で、法務省といたしましても、こうした様々な御要請、また地方自治体の動き、そういったことも勘案しながら、しっかりと検討していくべく、対応してまいりたいというふうに思っております。

#149
○高井委員 大変大事な問題だと思いますので、これからも政府を挙げて連携して検討いただきたいと思います。
 終わります。ありがとうございました。

#150
○義家委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――

#151
○義家委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 まず、内閣提出、民法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕

#152
○義家委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、内閣提出、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕

#153
○義家委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――

#154
○義家委員長 この際、ただいま議決いたしました両案に対し、奥野信亮君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、公明党、日本維新の会・無所属の会及び国民民主党・無所属クラブの共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。大口善徳君。

#155
○大口委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。
    「民法等の一部を改正する法律案」及び「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律案」に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
 一 経済価値の乏しい相続土地の国庫帰属については、申請人の負担軽減の必要性も踏まえ、承認要件や申請人の費用負担の在り方を検討するとともに、施行後五年間の運用状況を踏まえ、検討を行うに当たっては、土地所有権の放棄の在り方、承認申請者の要件、国庫帰属後の土地の利活用の方策その他の事項についても検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。また、承認申請があった際には、関係機関や地方公共団体との連絡・連携を密にし、土地の有効活用の機会を確保するよう、地域の実情に沿った運用に努めること。
 二 相続登記等の申請の義務違反の場合において、法務局における「正当な理由」の判断や裁判所に対する過料事件の通知の手続等過料の制裁の運用に当たっては、透明性及び公平性の確保に努めるとともに、DV被害者の状況や経済的な困窮の状況等実質的に相続登記等の申請が困難な者の事情等を踏まえた柔軟な対応を行うこと。
 三 相続人申告登記、住所等の変更登記をはじめとする新たに創設する職権的登記について、登記申請義務が課される者の負担軽減を図るため、添付書面の簡略化に努めるほか、登録免許税を非課税とする措置等について検討を行うとともに、併せて、所有者不明土地等問題の解決に向けて相続登記の登録免許税の減免や添付書面の簡略化について必要な措置を検討すること。
 四 在留外国人が各種相続手続に必要な書類を収集することに困難を伴う例があることなどを考慮し、在留外国人の身分関係を証明しやすくするための取組について、必要な検討を行うこと。
 五 遺産分割協議が行われ、その結果を登記に反映させることは確定的な権利帰属を促進し、不動産所有権の分散化の防止につながるもので、本改正の趣旨にも沿うものであることから、関係機関及び専門職者は連携体制を強化し、その促進に向けて、積極的に周知広報を行うこと。
 六 登記官が他の公的機関から死亡等の情報を取得し、職権で登記に符号を表示するに当たっては、死亡等の情報が迅速にかつ遺漏なく登記に反映されるよう、情報収集の仕組みについて更に検討し、必要な措置を講ずるとともに、死亡者課税を極力避けるべく死亡者の情報についての各種台帳相互の連携を図ること。
 七 両法案に基づく新たな所有者不明土地対策としての各種施策を着実に実施し、所有者不明土地問題の解決を図るため、法務局の十分な人的体制及び予算の確保を図ること。
 八 所有者不明土地等問題の地域性や土地等の種類に応じ、それぞれの実情を踏まえた解決に向けて、効率的な管理と申立人の負担の軽減を趣旨とする所有者不明土地等の新たな財産管理制度の諸施策を実施するに当たっては、司法書士や土地家屋調査士等の専門職者の積極的な活用を図るとともに、制度の趣旨及び請求が可能な利害関係人や利用ができる事例等について周知を図ること。また、財産管理制度において、管理人による土地等の処分に対する裁判所の許可が適切になされるよう、借地関係等の利用状況や売買の相手方を慎重に調査すべきことを関係者に周知徹底するとともに、本法施行後の実務の運用状況を踏まえ、必要に応じて裁判所の許可に対する利害関係人の不服申立て制度の導入等を検討すること。
 九 今回の所有者不明土地対策のための見直しは国民生活に重大な影響を及ぼすものであることから、国民全般に十分に浸透するよう、積極的かつ細やかな広報活動を行い、周知徹底に努めるとともに、本法施行前に発生した相続について相続登記等の申請義務化に関する規定や遺産分割に関する規定が適用されることについては、国民の混乱を防止する観点から、特に周知徹底を図ること。
 十 法定相続人の範囲の特定に係る国民の負担に鑑み、令和五年度から実施される戸籍証明書等の広域交付の実施状況等を踏まえ、更なる負担の軽減策について検討するほか、所有者探索に関して、国や地方公共団体から委託を受けた専門家の調査における戸籍証明書等の取得の手続の円滑化についても、オンライン化等を含め、検討すること。
 十一 国土の有効利用を図る観点から、国土調査事業及び地図作成事業を迅速に実施して不動産登記法第十四条地図を整備し、土地の筆界の明確化を図るよう努めるとともに、ランドバンクの果たすべき役割について検討するとともに活用の強化を図るほか、新たに創設される管理不全土地管理命令についての地方公共団体の長による申立てを認めることを検討すること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

#156
○義家委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕

#157
○義家委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
 この際、ただいまの附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。上川法務大臣。

#158
○上川国務大臣 ただいま可決されました民法等の一部を改正する法律案及び相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
    ―――――――――――――

#159
○義家委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#160
○義家委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――

#161
○義家委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時四十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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