くにさくロゴ
2021/04/02 第204回国会 衆議院 第204回国会 衆議院 法務委員会 第9号 令和3年4月2日
姉妹サイト
 
2021/04/02 第204回国会 衆議院

第204回国会 衆議院 法務委員会 第9号 令和3年4月2日

#1
令和三年四月二日(金曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 義家 弘介君
   理事 伊藤 忠彦君 理事 稲田 朋美君
   理事 奥野 信亮君 理事 宮崎 政久君
   理事 山田 賢司君 理事 稲富 修二君
   理事 階   猛君 理事 大口 善徳君
      井出 庸生君    井野 俊郎君
      大塚  拓君    神田  裕君
      黄川田仁志君    国光あやの君
      小林 鷹之君    武井 俊輔君
      出畑  実君    中曽根康隆君
      野中  厚君    深澤 陽一君
      藤原  崇君    細田 健一君
      盛山 正仁君    山下 貴司君
      吉野 正芳君    池田 真紀君
      寺田  学君    中谷 一馬君
      松平 浩一君    屋良 朝博君
      山花 郁夫君    吉田 宣弘君
      藤野 保史君    串田 誠一君
      高井 崇志君
    …………………………………
   法務大臣         上川 陽子君
   内閣府副大臣       三ッ林裕巳君
   法務副大臣        田所 嘉徳君
   法務大臣政務官      小野田紀美君
   国立国会図書館調査及び立法考査局行政法務調査室専門調査員         千原 正敬君
   最高裁判所事務総局総務局長            村田 斉志君
   最高裁判所事務総局家庭局長            手嶋あさみ君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  時澤  忠君
   政府参考人
   (内閣府男女共同参画局長)            林  伴子君
   政府参考人
   (法務省大臣官房司法法制部長)          金子  修君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    小出 邦夫君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    川原 隆司君
   政府参考人
   (法務省矯正局長)    大橋  哲君
   政府参考人
   (法務省保護局長)    今福 章二君
   政府参考人
   (法務省人権擁護局長)  菊池  浩君
   政府参考人
   (法務省訟務局長)    武笠 圭志君
   政府参考人
   (出入国在留管理庁次長) 松本  裕君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議官)           高口  努君
   政府参考人
   (経済産業省通商政策局通商機構部長)       黒田淳一郎君
   法務委員会専門員     藤井 宏治君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二日
 辞任         補欠選任
  野中  厚君     細田 健一君
同日
 辞任         補欠選任
  細田 健一君     野中  厚君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 少年法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三五号)
 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件
     ――――◇―――――

#2
○義家委員長 これより会議を開きます。
 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官時澤忠君、内閣府男女共同参画局長林伴子君、法務省大臣官房司法法制部長金子修君、法務省民事局長小出邦夫君、法務省刑事局長川原隆司君、法務省矯正局長大橋哲君、法務省保護局長今福章二君、法務省人権擁護局長菊池浩君、法務省訟務局長武笠圭志君、出入国在留管理庁次長松本裕君、文部科学省大臣官房審議官高口努君及び経済産業省通商政策局通商機構部長黒田淳一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#3
○義家委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――

#4
○義家委員長 次に、お諮りいたします。
 本日、最高裁判所事務総局総務局長村田斉志君及び家庭局長手嶋あさみ君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#5
○義家委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――

#6
○義家委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。武井俊輔君。

#7
○武井委員 ありがとうございます。自民党の武井俊輔です。
 早速ですけれども、時間も限られておりますので質問いたします。
 選択的夫婦別氏について御質問させていただきます。
 今、党内で様々議論があります。実は今朝も、今もまさにやっているんですが、党のプロジェクトチーム、稲田筆頭も御質問されまして、私も言うことを言って今ここに来たんですけれども。先日、この問題、井出先生また宮崎先生も質問をされましたけれども、私も呼びかけ人の一人なんですが、推進をする議連を開催をしまして、先日、六十七人出席をして、約百人の入会ということでいただきました。率直に言って、半年ぐらい前までは、勉強会するといっても、非常に、何か水面下で隠れキリシタンのようにやっておったわけですけれども、野党には、我が党の中も急速に状況が変わっているということは是非御理解をいただきたいなと思います。
 先日、三月二十九日の日経のアンケートでも、賛成が六六%、反対が二六%。特に三十九歳以下は八四%が賛成と、圧倒的な流れがあるなというふうに感じているわけであります。
 そういった中で、懸念される方が最も強く主張されるのは、やはり日本の歴史や伝統が壊れるという声なんですが、しかし、私は実は大学で史学科で中世史をやっておりました。フロイスの日本史なんというのがあるんですけれども、あのときの男女の関係なんというのはもうかなり自由で、本当に、時代によって、切り方によって様々に変遷してきたんだなというふうに思うんです。
 今日は国立国会図書館に来ていただいておりますが、この夫婦同氏、同姓というものが日本の歴史の中でいつから始まったものなのか、御教授いただきたいと思います。

#8
○千原国立国会図書館専門調査員 お答えいたします。
 我が国では、明治三年に出された太政官布告により、国民一般に名字の使用が許されるようになり、その後、明治八年に出された太政官布告により、名字の使用が義務化されております。
 夫婦の氏につきましては、明治九年に出された太政官指令では、妻の氏は、「所生ノ氏」、すなわち実家の氏を用いることとされましたが、その後、明治三十一年に施行された民法において、「戸主及ヒ家族ハ其家ノ氏ヲ称ス」ると規定されたことにより、夫婦同氏制度が始まっております。
 以上でございます。

#9
○武井委員 つまり、そもそも江戸時代は大部分の庶民には名字がなくて、明治維新政府は最初は別氏を規定をしようとしたというのは、その後、同氏に規定をしたということですから、事ほどさように変遷をしてきて、歴史的にもまさにそういった時代もあったということを我々はよく理解をしておかないと、まさに切り口をどう切るかの話だとこれは思っております。
 そういった中で、加えまして、慎重派の方で、よく戸籍が破壊をされると。実は、今日、朝、党のPTでも、これはないということは主張してきたんですが、戸籍制度を廃止しようというようなことは、少なくとも党内では全く議論はないわけでありまして、ここで、まず技術的にお伺いをしておきますが、選択的夫婦別氏と戸籍制度の両立ということは可能であるということを改めて確認をしたいと思います。

#10
○小出政府参考人 お答えいたします。
 戸籍は、日本国民の親族的身分関係を登録、公証する唯一の公簿でございまして、仮に選択的夫婦別氏制度が導入された場合であっても、その意義が失われるものではございません。
 法務大臣の諮問機関であった民事行政審議会の平成八年一月三十日の答申によりますと、選択的夫婦別氏制度を導入する民法改正案の下における別氏夫婦に関する戸籍の取扱いにつきまして、一の夫婦及びその双方又は一方と氏を同じくする子ごとに編製するものとされまして、別氏夫婦及びその子は同一の戸籍に在籍するものとされております。
 したがいまして、このような民法改正案による選択的夫婦別氏制度を導入する場合には、平成八年及び平成二十二年に法案の提出を検討したときと同様に、この民事行政審議会の答申に沿った戸籍法の改正を検討することになるものと理解しております。

#11
○武井委員 すなわち、可能か不可能かといえば、十分可能だということが今まさに、そういう検討を現にしてきたということですから、ここはよく共通認識の上で進めていかなければいけないことだというふうに思っております。
 なぜ私がこの問題に取り組んでいるのか、思いを持っているのかということは、家族のきずなが壊れるという主張に私は非常に強い違和感を持っています。人は誰でも一人一人、自分や家族の幸せを願って、みんな一生懸命生きているわけであります。人や家族の形、幸せの形というのは多様であって、それを政治が何たるかみたいなことを言うのは、私は非常に、不遜の極みだというふうに思っています。
 大臣にお伺いをします。
 人それぞれがみんな幸せを目指して歩んでいくわけです。もちろん、DVとかそういうものは認められませんよ、もちろん認められませんから、憲法で言うところの公共の福祉に反しない範囲で、やはりそういったようなことは、それぞれの幸せを家族が願っていくということを最大限認め、阻害をしないというのは、私は政治や行政のあるべき形だと信じておりますが、この昨今の議論、また国民意識の変化も含めまして、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

#12
○上川国務大臣 御質問でございますが、家族の在り方に関しましては、国民一人一人にとりまして、その生き方と深く関わる事柄であるということでございます。
 今、委員が委員のお考えということでおっしゃったところでございますが、それぞれ、家族観というか、生き方そのものに関わる選択をしながら生きていくということであるというふうに思っております。家族に対しての思いもまた人によって違うということでございます。
 その意味で、どのような家族観を有しているかということにもかかわらず、家族というものに対して思っていることにつきまして、かけがえのない存在であるというその家族の在り方というものは一人一人によっているというふうに思っておりますので、それを尊重することができるような社会というのが極めて大事ではないかというふうに思っております。
 しかし、夫婦の氏の問題は法律上も規定をされているところでございまして、今まさにそれぞれが有する家族観とか国民感情、こういったことにも影響を及ぼし得るものであるというふうに考えておりまして、その意味で、家族の在り方に関わる問題ということで申し上げてきたところであります。
 国民的な議論を踏まえまして意見の集約を図っていくということが望ましいというふうに考えておりまして、国会におきましてもこうした議論が充実したものになるように、また法制審議会での検討の経過、また、今委員から御質問があった歴史的な経緯、こういったことも広く深く議論をしながら進めていくことが大事だと思いまして、法務省といたしましても、そうした質問に対しましてしっかりと情報提供ができるようにしてまいりたい、そしてできる限りの協力をしてまいりたいというふうに思っております。
 また、これに関しましては、環境整備という形で広報啓発活動をしておりまして、こういったことにつきましても分かりやすく御理解をいただくことができるようにしてまいりたいというふうに改めて申し上げたいと思います。

#13
○武井委員 ありがとうございます。大臣の御見識、十分存じておりますので、積極的なまた取組を是非お願いを心からしたいというふうに思っております。
 続きまして、多様性というところで、引き続きなんですが、先日の日曜日のNHKの「サンデースポーツ」で、日本人と黒人のハーフであるサッカー代表の鈴木武蔵さんとタレントの副島淳さんの対談というのがありまして、御覧になった方もいらっしゃるんじゃないかというふうに思いますが、非常に衝撃を受けました。その中で鈴木さんが、学校で黒くて黒板だと思ったとか、日本代表になって以降も、あんな見た目で日本代表なんてと、様々な話を受けたということがお話をされました。
 そういったようなもの、まあ、私自身も省みても、ハーフの方がいらっしゃいましたけれども、決して偉そうなことを言えたわけではないんですけれども、やはりこの国はまだまだこういった多様性への対応力というものが脆弱なんだなということを改めて感じるわけであります。
 そこで、先日、ニューヨーク在住のジャーナリスト、シェリー・めぐみさんという友人がいるんですが、私、お話をしたんですが、アメリカでもこういった人種の問題というのは非常に政治課題ですけれども、その中で、ちょっと資料にお配りをしておりますが、大坂なおみさんのCMがホワイトウォッシュではないかということが非常に問題になりました。これは日本を代表する食品メーカーがアニメで大坂さんを起用したわけですが、いわゆる美白に描かれていて非常に問題になって、CMが打ち切られたということであります。
 これは問題は二つあると思っておりまして、一つは、これ、突発的な発言ではなくてCM、しかも大企業の、全国版ですから、コンプライアンスやネガティブチェックしたはずにもかかわらずこれが放送に至ったこと、そしてまた、日本でいろいろ聞きますと、これがなぜ問題なのかということを意外と理解できない方が結構いらっしゃるということです。
 国際化というのは、英語ができることも重要ですけれども、こういったような問題に国際感覚を持つということが極めて大事だというふうに考えますが、今日は文科省に来ていただいておりますが、この問題をどういうふうに捉えて、教育現場でどのように伝えていこうとしているのか、見解をお伺いします。

#14
○高口政府参考人 お答えいたします。
 社会や経済のグローバル化が進展する中で、国際的な視野を涵養し、異文化理解を促進するため、議員御指摘のように、学校教育におきまして、異文化や異なる文化を持つ人々を許容し、共生することのできる態度、能力を育むことは非常に重要であると認識いたしてございます。
 このため、小中高等学校の学習指導要領では、教育基本法に規定する教育の目標であります、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うことを達成するため、各教科等におきましてもこれを踏まえた内容が取り扱われているところでございます。
 例えば小学校の社会科におきましては、第六学年で、学習の問題を追求、解決する活動を通して、外国の人々の生活の様子などに着目して、日本の文化や習慣との違いを捉え、国際交流の果たす役割を考え、表現することについて指導することとされてございます。
 このように、各学校におきましては、現在、学習指導要領に基づきまして、社会科、外国語科、道徳科、総合的な学習の時間等におきまして、国際理解や異文化理解に関する内容の教育に取り組まれておりまして、文部科学省におきましても、今後とも学校教育における国際的視野の涵養と異文化理解の促進に努めてまいりたいと考えてございます。

#15
○武井委員 何が問題なのかということが、やはり本質が分かるということが大事ですから、そういった形でお願いをしたいと思います。
 続きまして、過日、予算委員会の分科会でもこれは質問しましたが、ヘイトスピーチの関係ですけれども、実は美容関係の大手企業がそのホームページにおいて、他社が韓国にゆかりのあるタレントを使っており、その企業はネットではチョントリーと呼ばれている、我が社は起用タレントを含め、全て純粋な日本企業ですなどというふうに述べておるわけですけれども、それは去年から掲載されていまして、今もトップページからリンクされるところにずっといまだ、今日も朝も見ましたけれども、あるわけです。
 この件について、さきの分科会で菊池人権擁護局長から、ビジネスと人権に関する行動計画を関係府省連絡会議において策定され、企業活動においても人権尊重が促されている、そういったようなことについて法務省も努力をしているというふうにおっしゃるわけなんですけれども、現実、このような課題があって、いまだもって、何か月たってもこういったものが解消されていないということを考えますと、やはりこれは法務省だけではなかなか限界があるんだろうなというふうに思うんです。
 そこで、経産省、中小企業庁など、実際に企業とより接点のあるところで取組をしていく必要があるというふうに思いますが、見解を求めたいと思います。

#16
○黒田政府参考人 お答えを申し上げます。
 政府内におきましては、今委員御指摘のとおり、ヘイトスピーチの解消に向けた人権啓発活動は人権擁護当局である法務省が対処する一方で、ビジネスと人権に関する行動計画については外務省が取りまとめているところでございます。
 経済産業省といたしましては、国内外を含めた日本企業の事業活動に関連する問題につきまして、関係省庁と連携をしながら対応しているところでございます。
 日本企業は、OECDの多国籍企業行動指針、あるいは、これに基づく、責任ある企業行動のためのデュー・デリジェンス・ガイダンス、日本政府が策定をしたビジネスと人権に関する行動計画などを踏まえて、人権を含めたコンプライアンスへの配慮に取り組まれているというふうに認識をしております。
 経済産業省といたしましては、こうした指針やガイダンスなどの普及啓発にこれまでも取り組んできておりますけれども、引き続き、関係省庁と連携をして、こうした取組を進めていきたいというふうに考えてございます。

#17
○武井委員 より一層の連携をお願いしたいと思います。
 最後にいたしますが、美しいとか、美しい日本という言葉はやはり非常に人を酔わせるところがありまして、確かに日本は、山紫水明、とても美しい国であります、私のふるさと宮崎も、古来、日向の国と、非常に日のさんさんと降り注ぐすばらしいところであるわけですが、しかし、国を美しく思うことと、他の民族や人の出自をけなしたりして、そういうものは相対的に生み出すものでは私は決してないというふうに思っております。
 今日は鈴木選手や大坂選手のことも含めて質問してまいりましたが、もう一度、こうしたヘイト企業の在り方も非常に残念ですが、改めて、多様性、包摂性豊かな社会づくりに向けての大臣の決意を最後にお伺いして、終わりにしたいと思います。

#18
○上川国務大臣 ヘイトスピーチにつきましては、人としての尊厳を傷つけたり差別意識を生じさせることになりかねず、多様性と包摂性のある、誰一人取り残さない社会の実現を目指す上で、決してあってはならないことというふうに思っております。
 ヘイトスピーチをなくすために、社会全体の人権意識、これを高めていくこと、そして、そうした行動が絶対許されるものではないという意識、これが広く深く社会に浸透していくということが極めて重要であるというふうに考えておりますが、その中でも、企業の存在はまさに多様性と包摂性のある社会を実現するための重要なステークホルダーの一つでございます。
 企業にはむしろ率先して、ヘイトスピーチを含めまして、あらゆる差別また偏見をなくして人権に配慮した行動を取るということについて、ガイドラインをしっかりと決めていただきながらということでありますが、まず考えてしっかりと行動していただくというのをそれぞれの企業一つずつが、また私たち一人一人が考えて深く行動していくということが大事ではないかというふうに思っております。
 法務省といたしましても、企業を含めまして、ヘイトスピーチの解消のために全力で、啓蒙啓発活動も含めまして取り組んでまいりたいと思っております。

#19
○武井委員 ありがとうございました。
 終わります。

#20
○義家委員長 一言申し上げます。
 各会派で自治の下で出席調整しておりますけれども、離席が目立ちますので、特に自民党会派、声がけをして、代理出席等も含めて、しっかりと定足数を満たすように努力をお願いいたします。
 次に、串田誠一君。

#21
○串田委員 日本維新の会の串田誠一でございます。
 先ほど、武井委員から、多様性のすばらしい質問を聞いておりました。私も、後半、多様性について質問させていただく予定でございます。
 まず最初に、こども庁、これは質問ではございませんが、自民党が、こども庁を設立をして子供のことを第一に考えていくということ、これもまたすばらしい取組ではないかなと思います。
 大臣がチルドレンファーストというのをよく言われておりますけれども、子供を本当に第一に考えていただきたいと思うんですが、その第一歩として、やはり子どもの権利条約をしっかりと遵守していくということで、大臣は遵守しているというお話ではありましたけれども、まだまだ改善すべきところはあるんだろうなというふうに思いますので、そういったようなところを非常に重視して進めていただきたいというふうに思っています。
 子供というのは、声が出せないというようなことで、大人が保護していかなければならないということであるんですけれども、今日、第一問目、動物に関して質問させていただくということを前回の質疑のときにも通告をさせていただいているんですが、日本は、動物に関しては、民法上は物として扱われております。民法八十五条で、「この法律において「物」とは、有体物をいう。」と。このまま終わっているわけでございますが。
 前回の質疑でも、政府の方からドイツの例を挙げていただきました。ドイツの場合も、動物は物ではない、ただ、他の法律に反しない限りは本法を流用するというか準用する、そんなような内容だったと思うんですが、私も、今度、フランスをちょっと調べてまいりました。フランスも、一九九九年、民法が改正されまして、これによって、動物は物ではない、そういう規定になったわけでございます。
 前回、大臣は、このアプローチには二つあると。民法は動物を物としておきながら、他の法律で動物に関する保護を図っていくということもできるのではないかという考え方、これも一つあると思いますし、現在そういうような扱い方になっているわけですが、もう一方で、動物は物ではないんだと言って、ただ、他の法令に反しない限り本法を準用するというようにして、基本法である民法で動物は物ではないんだということを宣言するという方法もあるのではないか。
 前回、大臣は、全般的な見直しをしなければならないから他の法律でという話ではありましたけれども、結果は同じなんですよね。民法で動物を物としておきながら、他の法律で修正する。しかし、他の法律で修正をするということは、そもそも動物は物でないということを認めることになるわけですから、基本法で動物は物ではないということをやはり宣言をして、他の法律に反しない限りは本法を準用するということであれば、全般的な改正というのは必要ないのではないか。ドイツもフランスもそういうように言っているわけでございます。フランスにおきましても、字句の修正ではあるけれども、民法典上、動物をはっきりと物と区別する、これが非常に重要なんだということがフランスのところでもあるわけでございます。
 学習指導要領におきましても、「動物を飼ったり植物を育てたりする活動を通して、それらの育つ場所、変化や成長の様子に関心をもって働きかけることができ、それらは生命をもっていることや成長していることに気付くとともに、生き物への親しみをもち、大切にしようとする。」こういうのが学習指導要領に書かれていて、生命を持っているんですよね。ところが、民法では、「有体物をいう。」ということで、生命を持たないものと一緒になってしまっている。
 その結果、どうなっているかというと、今、日本は、世界動物保護協会、WAPですけれども、二〇二〇年、日本の総合評価はEですが、畜産動物の方に限っては最下位のGという状況でありまして、世界的にも、日本は動物に関して優しくない国だという評価がされているわけでございます。
 ここを、これは現政権がという問題ではなくて、もうそれこそ民法は明治時代、先ほども御紹介ありましたが、明治時代の、百二十年以上、動物を物として扱ってきたというような点からすると、ここは、まず民法から動物は物ではないんだという宣言をした上で、他の法律にその処遇を任せていく、それがなされていない部分は民法の物の規定を準用する、しかし、動物は物ではないんだ、生命を持っているんだということを考えていく、検討していく。今すぐ通常国会でということにはならないのかもしれませんが、そういう国の姿勢というものを是非、大臣、示していただきたいと思います。よろしくお願いします。

#22
○上川国務大臣 今、委員から、動物に関しての民法の規定に関する御質問をいただきました。
 この間も何度か御質問をいただき、この問題の外国における取組につきましても、今日はフランスということで御指摘をいただいたところであります。その意味で、今、大きく社会全体も、また国際的な動きも変わっているという状況が見ることができるわけでございますので、そういう意味では、委員の問題意識につきましては、私も深く考えながら進めていきたいなというふうに思っております。
 ただ、御指摘のように、法改正も考え方としてはあり得るということでございますが、このような準用規定を設ける場合につきましては、具体的な法律案の立案の際に、物に関する各規定につきまして、個別に、動物に準用することがその性質に反するか否かの検討を要することになりまして、これらの点を全て解釈に委ねる趣旨で御指摘のような準用規定を設けるということにつきましては、なかなか困難ではないかというふうに思っているところでございます。
 二つのアプローチということでありますが、それぞれの検討ということにつきましての幅ということにつきましても、また私自身、考えてまいりたいというふうに思っております。

#23
○串田委員 ちょっと途中聞き漏らしてしまったんですが、なかなか困難とおっしゃられたんでしょうか。
 他の法律に反しない限り準用するということであれば、現在も物としておきながら、他の法律で、例えば動物虐待罪が動愛法に規定されているように、なっているわけですから、他の法律に反しない限り準用するということで何が困難になるのか、具体的にその困難な点を教えていただきたいんですが。(発言する者あり)

#24
○義家委員長 速記を止めてください。
    〔速記中止〕

#25
○義家委員長 速記を起こしてください。
 小出民事局長。

#26
○小出政府参考人 お答えいたします。
 まず、民法を改正して動物が物ではないということといたしますと、現行法の下で物について適用されている全ての規定が動物に適用されないということになりますために、これらの規定において動物をどのように扱うべきか、網羅的な検討が必要になります。
 また、これによって、具体的にどのようなメリットが得られて、それが他の物との比較で適切なものなのかどうか、さらに、そもそも動物の生命の尊重という目的の達成に私人間の法律関係を規律する民法の改正という手段を用いることが相当なのかについても検討を要するものというふうに考えております。
 民法上、動物が物に含まれるといたしましても、委員からも御指摘ございましたように、民法上の所有権の内容というのは法令の制限に服するわけでございまして、政策的な必要性に基づいて、局面局面において、特別法によって動物に対する所有権の内容を制限するなど、動物を物と異なる扱いとする旨の特別な規定を設けることは妨げられないのでございまして、そういった意味でも委員の問題意識には応えられるのではないかと思っております。
 性質に反しない限り物に関する規定を動物について準用するというその法改正、考え方としては、先ほど大臣から答弁ございましたように、あり得るものでございますが、こういった準用規定を設ける場合には、具体的な法律案の立案をする際には、物に関する各規定につきまして、個別に、動物に準用することがその性質に反するか否かという検討を一つずつ要することになりまして、こういった点を全て取りあえず解釈に委ねるというような趣旨での御指摘のような準用規定を設けるということを含んだ法改正をするのは難しいのではないかというふうに考えているところでございます。

#27
○串田委員 全く納得できない答弁だと思うんですが、そもそも、この規定を、物として全部考えなきゃいけないって、だからこそ、他の法律に反しない限りは準用すると言っているわけですから、別に、他の規定に反しない限り準用すればいいだけでありますし、準用することによって生命を持っているものとの間ではおかしいということなのであれば、まさにそれが気づきになるんじゃないですか。
 今、日本は、動物愛護で、畜産動物に関してはG、総合評価でもEというふうに、要するに、動物を物として扱っているから、世界的に、動物に対する優しさのない国だと評価されているわけで、まさに準用したときに問題だということであれば、そこの部分について、動物らしい解釈をしていく、あるいは法律を変えていくということになるわけで、動物を物にしたままにしているから、動物に優しい状況になっていないんじゃないかと思いますし、先ほど私人間とおっしゃられましたが、これは、厚労省だとか農水省などの法律による屠殺の在り方というようなものに関しても全くアニマルウェルフェアを遵守していないことになるわけで、これは私人間じゃなくて公的な、要するに、法機関が動物に対して優しくない扱い方をしているわけですよ。
 ですから、大臣、これ、何にも困難なところはないですよ。大臣として困難であるということの何か御指摘いただけるのであれば、お願いしたいと思います。

#28
○上川国務大臣 この規定につきましても、様々な歴史的というか経過、経緯の中で今ある法律の構成になっているというふうに思います。
 今、動物が命を宿しているということ、また、それをいただくことによって私たちも生きているということ、こうしたことに思いを巡らすと、命ということについては大切にしていくという、その部分については、昔と今とどのぐらい違うかということについて比較することができるだけの知見はございませんけれども、時代が変わっているということについては認識をしているところでございます。
 法律の構成につきましては、様々なアプローチの仕方があるというのは、これは選択肢の中で様々な方法があるというふうに思いますので、メリット、デメリットも含めまして総合的に勘案していくということは最終的には必要なプロセスになるのではないかと思います。
 委員が御指摘いただいたこと、また国際的な動向につきましても、私自身、知見がございませんので、しっかりと勉強してまいりたいというふうに、今そのことを申し上げることでとどめさせていただきますが、そういった問題意識については真摯に受け止めてまいりたいというふうに思います。

#29
○串田委員 前向きな回答はいただいたわけですが、先ほどフランスの民法典の改正を紹介させていただきましたが、これは一九九九年。その前にもう、先ほど、政府が前回の質疑のときに御紹介いただいたドイツや、オーストリアはもう既に変えてあるわけです。もう二十年以上も動物は物ではないんだとしているし、そもそも小学校の学習要領で、それらは生命を持っているんだ、大切にしなきゃいけないんだというふうに指導要領でしておきながら、民法で動物は物のままでいいんだというのはおかしいじゃないですか、大臣、これ。整合性、ないんじゃないですか。
 そういう意味で、大臣として、これはやはり、動物は物ではないという方向に持っていくべきではないか、そういう前向きな答弁ということで理解してよろしいですか。そうでなければ、その困難であるということを次回また細かく聞かせていただきたいと思うんですけれども、どうでしょう。

#30
○上川国務大臣 法律に係る事柄でございますので、いろいろな角度から検討していかなければいけないというふうに思います。私が直ちにここで、これはこうだということを申し上げるだけの、今、毎回御質問をいただく中で、新しいフランスの動向とかドイツということで、私も網羅的に調べている状況ではございませんので、そういう意味で、私自身がここで思いを伝えるということがどれほどの意味があるかということを考えますと、やはりしっかりとした考え方を持って進めなければいけない、こういう中で先ほど来の御答弁をしたところでございます。問題意識を強く持って取り組んでまいりたいというふうに思っております。

#31
○串田委員 困難とかという一言だけで、それで解決するということではなくて、日々苦しんでいる動物たちというのが現実にいるものですから、畜産動物はそれでGという評価をされているということをやはり真摯に受け止めなければいけないし、学校では、指導要領で、生命を持っている、物と違うんだという扱い方をしているわけですから、是非、民法の基本法から宣言していただきたいというふうに思っております。
 またこの件に関しては別の機会に質問させていただくといたしまして、二番目。今日は、後半の同性婚に関して、これも前回の質疑の中で質問通告をさせていただいているんですけれども、これが、三月十七日に札幌で判決が出されました。
 その中で、国側の主張、これについて、長くやっていたわけですけれども、最後の第四準備書面が令和二年十月二十一日に出されております。上川法務大臣が就任されたのは令和二年九月十六日でございますので、この準備書面、第四準備書面は上川法務大臣が国として、法務大臣として出されているということに関し、こういう主張を国がしているということを大臣として了解して、この国の主張がなされているのかを確認をしていきたいと思うんです。
 この準備書面、第1(2)、国の反論の中で、こういうふうに言っているんです。異性愛者であるか同性愛者であるかを問わず、国民は婚姻制度を利用することができるのであるから、この点に法令上の区別は存在しないと。
 それはそうですよね。異性愛者も異性婚ができるし、同性愛者も異性婚ができるということですから、婚姻制度を利用することができると。したがって、法令上の区別は存在しないんだ、こういう主張を国はしているんですが、大臣は、この主張に関しては、了解をしてこの主張をさせているんでしょうか。

#32
○上川国務大臣 基本的な主張内容については承知をしております。これは現段階でということでございますけれども、承知をしております。

#33
○串田委員 そのページの中に、つまりと、こういうふうに書いてあって、国の主張ですが、同性愛者であっても異性との婚姻はできるのであって、同性愛者であるがゆえに婚姻ができないわけではない、同時に、異性愛者であっても同性同士の婚姻はできない、こういうふうに言っているわけですね。
 これも、大臣としては、このような主張は理論的であって、この主張を大臣としては了解しているということでよろしいでしょうか。

#34
○上川国務大臣 現段階では認識をしております。

#35
○串田委員 これがいかに同性愛者にとって非常につらい主張であるかというのはお分かりだと思うんですけれども。
 結局、憲法十四条に反するかどうかという議論の中で、国側が主張しているのは、存在していない同性婚というものに対しては、異性愛者も同性婚はできないんですよ、同性愛者も同性婚はできないんですよ、だから異性愛者と同性愛者に区別はないんですよ、だけれども婚姻はできるんですよ、こういう主張をしているんです。
 これは当たり前のことを言っているんですね。今、同性婚ができないから、同性愛者に対して、これは憲法上人権侵害ではないか、婚姻を自由に認めるべきではないかと主張しているのに対して、存在していないんですよ、同性婚は。同性婚が存在していないものに対して、異性愛者も同性婚できないですよ、同性愛者も同性婚できないですよと当たり前のことを言っているんです。だけれども結婚はできるんですよ、こう言っているわけで、だから憲法十四条に反しない、こんなことを言っているわけですね。
 もし、異性愛者が同性婚しか認めない国にいたとした場合、異性愛者も異性婚はできないですよ、同性愛者も異性婚はできないですよ、だけれども同性婚ができるんだからいいでしょうと言っているわけですよね。要するに、異性愛者にも同性婚を国は用意しているんだから婚姻はできますよと言っているわけですよ。これと同じことを、今度、同性愛者に強制していることになるわけですよね。
 性的指向を尊重すると言っておきながら、同性愛者に、異性婚はできるんだから憲法十四条に反しないですよ、婚姻はできるじゃないですかと言うのは、これはちょっとひど過ぎるんじゃないかなと私は思うんですが、法務大臣としては、これは主張として論理的である、そういう理解で同意されているんですか。

#36
○上川国務大臣 ただいま委員が御指摘いただいた記述のところでございますが、これは国の提出いたしました準備書面に引用された文献の一つとして記載されているということでございまして、先ほど来、その点につきましては承知をしていると申し上げたところでございます。
 また、今委員から様々な御指摘がございましたけれども、引用された諸文献の見解をどのように評価するかにつきましては、係属中の訴訟に関する事柄ということでございます、答弁につきましては差し控えさせていただきたいと思います。

#37
○串田委員 つまり以下はそういう読み方ができるんですけれども、先ほど言ったような、区別は存在しないというのは、これは国側の準備書面としては主張だと思いますのでね。つまりというのは、こういうことから区別は存在しないと言っているんですから、そこは国の主張としての準備書面に書かれているわけですよ。
 これを読んだ側がどういうふうに考えるかということも、やはり、多様性を尊重するということを御指摘されているし、性的指向というのは、これは変えられるものではないわけですから、それを変えて婚姻はできるでしょうと言うのは、それこそ憲法二十四条の、合意に基づいてのみ婚姻ができるというのと私は反しているのではないかなと思うんですけれども。
 よく大臣は国民の議論が重要であるという答弁をされるんですが、どういう状況で具体的に行われると議論が成熟したという段階になるんですか。毎回、議論が重要であると言うんですけれども、例えば、選択的夫婦別氏制度に関しても、アンケートもいろいろ取っているわけでありますし、一体いつになったら国民の議論が成熟しているのかというようなことを思っている国民も多いと思うんですが、具体的にはどういうことになると成熟したと言えるのか、お聞かせください。

#38
○上川国務大臣 今、同性婚制度を導入すべきか否かをめぐりまして、また選択的夫婦別氏に関しての御指摘も含めまして、議論が成熟した状態とはどういう状態なのかという判断のことについての御質問でございます。
 これは、我が国の家族の在り方の根幹に係る、また生き方にも係る重要な問題であるということでございます。多様性と包摂性を認める社会の中でこれをどのように考えていくのかという、こうした非常に本質的な問題提起だというふうに思っております。
 いろいろな多様な意見があるということを前提にしながらも、その中で法律を決めていくわけでございますので、様々な意見がやはり十分に熟していく状況というのを、これはプロセスということでございますが、それに様々な御意見を闘わせていくというか、意見を出していく、またメリット、デメリット、いろいろな観点から出していくということが重要であるというふうに思っております。
 国会におきましても、そうした議論が深く、また広くなされることを私としては注視しておりまして、私も国会議員の一人でありますので、私自身も考え方がございますが、それをまとめていく、また、そうした中で社会を、安定して、また平和な状態に、また幸福感の高い状態に保っていくということが極めて大事だと思いますので、拙速にすることなく、十分に熟していくプロセス、こういったことを大切にしていきたい、こういう思いで、国民の議論が熟すというか、というふうに申し上げてきたつもりでございます。
 それぞれ、いや、もうこれで決まったんだというように思う方もいらっしゃれば、いや、まだまだ議論が足りないというふうに思う方がいらっしゃるのと同じように、この問題につきましても、広く社会全体として議論していくということ、このこと自身も極めて大事だというふうに思っておりますので、法務省といたしましては、この関係する様々な御指摘に対しましては、情報も含めまして、データも含めまして、あるいはこれまでの議論の経緯も含めまして、丁寧に対応していくという形で環境整備についても図ってまいりたいというふうに思っております。

#39
○串田委員 人権は、よくアンケートといいますけれども、多数決で奪ってはいけないんだというふうに思いますので、憲法十三条で幸福を追求する権利は個々の国民が持っているわけですから、それを制限するなら制限する側に証明責任があるんだということを主張させていただきたいと思います。
 本日は、順番を変えていただきまして、感謝させていただきまして、終わりにいたします。
 ありがとうございました。

#40
○義家委員長 次に、階猛君。

#41
○階委員 立憲民主党の階猛です。
 早速、質問に入らせていただきます。
 資料の一ページ目ですけれども、三月十八日に略式起訴された黒川元検事長に対して、東京簡易裁判所が、二十五日付で罰金二十万円の略式命令を出したということだそうです。
 黒川氏には、昨年六月に約六千万円の退職金が支払われているはずです。現在までの間に、黒川氏は退職金の自主返納を行ったのか、行ったとすれば幾ら返納したのか、お答えください。

#42
○上川国務大臣 御質問の自主返納の有無ということでございますが、黒川氏に支払われた退職手当につきましては、自主返納されていないものと承知をしております。

#43
○階委員 こういうところが身内に甘いと思うんですね。
 中央省庁の幹部が辞任する場合は、後で退職金の一部を自主返納させるのが通例です。最近話題になった公文書改ざん問題の佐川国税庁長官や、セクハラ問題で辞職した福田元財務次官も返納しています。ただし、彼らは刑事罰は受けていません。
 刑事罰を受けた黒川氏については、当然、退職金を自主返納させるべきだと思いますよ。大臣、自主返納させるつもりはないんですか。

#44
○上川国務大臣 黒川氏につきましては、既に辞職をしていることでございまして、懲戒処分などの人事上の処分を改めて行うことができないということでございます。
 退職金の返納につきましても、御本人の判断ということであると考えます。

#45
○階委員 確かに法律上返納する義務はないので、自主返納というたてつけにしなくちゃいけないんです。ただ、それだとやはり社会常識として許されないだろうということで、これまでの通例は、自主返納、これは役所との間で協議しながら決めていたんだと思いますよ。
 今回は、なおのこと、刑罰を科せられているわけだから、自主返納させるべきでしょう。常識に照らして、それをやらないとおかしいですよ。
 大臣、これから黒川氏と連絡を取り合って、自主返納させるように手続を進めてもらえませんか。お願いします。

#46
○上川国務大臣 繰り返しで大変恐縮ではございますが、黒川氏は既に辞職をしているということでございます。懲戒処分などの人事上の処分を改めて行うことはできないものと承知をしておりまして、御理解願いたいというふうに思います。
 あくまで自主的な返納ということについては変わらないと思います。

#47
○階委員 だから、法律上は義務はないことは前提にした上で話しているわけですよ。
 これはどう考えたって、刑罰が科せられている人が自主返納しないというのはあり得ないと思いますよ。今までは、刑罰を科せられていなくても、世の中に多大な影響を与えたということで、当然、自主返納してきたわけですよ。おかしいでしょう、どう考えたって。
 そもそも、佐川氏は減給二〇%三か月、福田氏は減給二〇%六か月という懲戒処分も受けていたわけです。ところが、黒川氏は昨年、懲戒処分ではなくて、訓告という監督上の措置にとどまっています。
 その前提となった事実関係は、二ページ目に書かれておりますけれども、これを見てください、対象事実の要旨、もう本当に今思い出しても腹立たしいんですけれども、緊急事態宣言の自粛要請期間中ですよ、そのときに二回にわたり、本当は四回だったんですけれども、ここで認定されたのは二回にわたり、マンションの一室、つまり、こっそり隠れて、密になってやっていたわけですよ。しかも、報道関係者ら三人とともに。癒着しているかもしれない、リークされているかもしれない、そんなことをやっていたわけですよ。
 単なる賭けマージャンしたということだけではなくて、本当に悪質な事案ですよ。これは国家公務員法八十二条、三ページにつけていますけれども、八十二条一項三号に掲げる「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」に当然当たると思いますけれども、大臣、そう考えませんか。お答えください。

#48
○上川国務大臣 重ねて申し上げるところでございますが、黒川氏の人事上の処分につきましては、必要な調査を行った上で、事案の内容等の諸般の事情を総合的に考慮し、決定されたものと承知をしているところでございます。
 既に退職をしている方でございまして、今、様々な過去のケースについて御指摘いただきましたけれども、これはあくまで自主的な判断ということになりますので、その点につきましては御理解をいただきたいというふうに思います。

#49
○階委員 退職金とは別の話ですよ。処分が妥当だったかどうかということを聞いているんです。大臣のコンプライアンス感覚を問いたいんですよ。こんな処分でよかったと思いますか。
 ちなみに、法務・検察行政刷新会議というのが先日まで行われていましたよね。その中で、森前法務大臣がこういう発言をしています。自分は最も重い処分をすべきだという意見を言ったけれども、法務官僚や検事の意見で結局こういう処分になったということを言われているんですよ。
 そのときの大臣も、やはり常識に照らすともっと重い処分をすべきだと考えていたんですけれども、上川大臣はそのように思われませんか。

#50
○上川国務大臣 人事上の処分に関しまして、そのときの法務大臣では、私、ございませんでしたので、全ての中におきましてのことについて差配をされていた当時の大臣がどのようにお答えになったかということも含めまして、そのことについての、何というんですか、評価というか、ということをなかなか加えることが難しいなというふうに、今御質問を伺っていて感じたところであります。
 私が今大臣として仕事をさせていただいている、その立場で考えてみますと、やはりこうしたことについてはよくよく処分の内容についてしっかりと考えた上で御判断なさったというふうに私自身は思っておりまして、そのことについて今の段階で私自身が、限られた、またその当事者としていない立場の中で評価をするということについてはなかなか難しいというふうに率直に感じたところでございます。

#51
○階委員 そもそも、賭博で懲戒処分を行う場合の標準的な処分というのは、私の資料の七ページ、これは懲戒処分の指針という人事院の資料から引用したものですけれども、賭博をした職員は減給又は戒告とするというふうになっているんですね。しかも、四ページ目に、懲戒処分の指針の冒頭のところに、標準例に掲げる処分の種類より重いものとすることが考えられる場合として、非違行為の動機若しくは態様が極めて悪質とか、非違行為を行った職員の職責が特に高いとか、公務内外に及ぼす影響が特に大きいとか、こういった場合にはさっき言った標準的な処分よりもかなり重くできるということになっているわけですよ。
 にもかかわらず、懲戒処分はおろか、監督上の措置しかしていない。明らかにおかしいでしょう。大臣のコンプライアンス感覚を問うているわけですよ。こんな事例で懲戒処分を行わない、そして減給も行わない、退職の自主返納も行わない、この身内に甘過ぎる感覚、これで一般の人に法を守れと言って、守りますかね。一般の人を厳しく処罰できますかね。法務大臣として、これで法の支配を守れると思っているんですか。あなたは法務大臣の資質が問われますよ、これをよしとするのであれば。ちゃんと答えてください。これで本当によかったのか、今振り返って。刑事罰を科せられた、この現状を見た上で、過去の処分がこれでよかったのかどうか。お答えください。

#52
○上川国務大臣 ただいま、黒川氏に関する処分につきましてどのように思うのかということでの、見識を問うという、大変重たい質問をいただきました。
 先ほど来答弁しているところではございますけれども、私自身、その立場にいたところではございませんので、諸事情につきまして、改めてというふうなところにもつながるということでございますので、答弁につきましては先ほど申し上げたとおりでございます。
 黒川氏につきましては、既に辞職をしているということでございます。懲戒処分などの人事上の処分を改めて行うということはできないものと承知をしておりまして、その点につきましては御理解を願いたいというふうに思います。

#53
○階委員 自主返納してほしいという交渉をするつもりもないということでいいですか。

#54
○上川国務大臣 ただいま申し上げたとおり、黒川氏は既に退職、辞職をしている状況でございます。今、自主的なそれぞれの判断ということになろうかと思いますので、それ以上のことにつきまして私の方から改めてということにつきましては、これは御理解いただきたいというふうに思います。

#55
○階委員 いや、本当に、ここまでのやり取りで、法務省や検察の組織が、法の支配を掲げて国民の違法行為の責任追及は厳しく行う反面、組織内の違法行為については極めて甘い対応しかしていない、そして、こうした組織の風土を上川大臣自ら改善するつもりがないということが明らかになっているわけですよ。こうした組織の自浄能力に期待できない以上、国会が法務・検察行政を監視して改善していくしかないと私は思っています。
 その一環として、今般、稲富委員がこの委員会で指摘した、黒川氏の略式起訴に関する情報がマスコミに漏れていた件について、経緯等の調査を求めたわけです。しかし、今日お配りしている八ページのとおり、組織内部の調査すらしない、こういう姿勢なんです。
 この文書は大臣が決裁したと伺いました。重要な捜査情報が法務・検察組織内からマスコミに流出した疑いがある事案に関して、国会が調査を求めるのは当然です。特に、黒川氏とマスコミの癒着の疑惑が生じた事件でまた癒着の疑惑が生じているわけだから、なお一層、国会が調査を求めるのは当然です。一切調査に応じないという法務省の姿勢は国会軽視ではないですか。大臣、お答えください。

#56
○上川国務大臣 ただいま、委員から累次にわたりまして御質問をいただきました。まさに国会におきましての御質問ということでございますので、それにつきましては最大限の尊重を要するものというふうに心得ているところでございます。
 その上でということでございますが、報道機関の各社がどのような形で取材をなさったのかということについては、これは、独自の取材活動に基づいて得た様々な情報というものを各社それぞれが御判断をなさって記事にしているものというふうに思われるところでございまして、報道機関におきましていかなる取材、情報に基づいて報道を行っているかについては私自身承知をしていないところでございます。
 その上で、御指摘のように特定の報道の報道経緯また根拠につきまして調査を行うということにつきましては、報道機関の取材の自由等に対する影響があり得るのみならず、検察当局の活動を不当に制約することとなりかねないこと、また、報道関係者等の行動の自由、防御の活動に不当な影響を及ぼしかねないなどの問題がございまして、一般的には相当ではないというふうに考えているところでございます。
 先ほど、決裁をしたかということでございますが、そうした基本的な考え方につきましてはしっかりと整理をした上で、これからもそうした、国民の皆様に対して、また国会での質疑に対して真摯に答弁してまいりたいというふうに考えております。

#57
○階委員 検察幹部、黒川氏の犯罪行為を甘く処分したり、秘密情報の漏えいが疑われるような事案で内部調査をしなかったり、法務省の規範意識の低下を強く私は感じます。
 先日も、私の事務所の会議室に無断で侵入してきた法務省の職員がいました。一般社会なら建造物侵入罪で刑事告訴されてもおかしくない事案です。自分たちは何をやっても許されるというおごりや甘えから、法務省全体の規範意識が低下しています。
 このような組織風土を許している大臣は、自らの責任をどう考えているんですか。お答えください。

#58
○上川国務大臣 ただいま、階議員から、当方の職員が、事前のアポなくして、別件の説明、レクにつながる形で御説明をさせていただきたい旨のお願いをし、また、それが調整できないということで、お待ちをした上で今のような行動をしたということについては、事務方から報告を受けたところでございます。
 あくまで、先ほどおっしゃったように、ちょっと言葉で申し上げると恐縮でございますが、説明をしたいという一心の中で取った行動とはいえ、これは許されることではないというふうに考えておりまして、担当者に対しましては、この経緯につきまして報告を受け、そして厳しく指導をしたところでございます。
 コンプライアンスも含めまして、この間、検察に対しましての一連の様々な動きがございますので、私としては、ガバナンスをどのように高めていくのかということについては、今起こっている様々な問題も含めまして、丁寧に、問題意識をしっかり持ちながらこれに取り組んでまいりたい、そして、国民の皆様から法務行政に対しても信頼を獲得するためのことについては、様々な角度から、本当に不断に見直しをしながら取り組んでまいりたい、こういう姿勢で臨んできたところでございますが、そのことが足らざるというふうにおっしゃるとするならば、更にそれについては真摯に向き合ってまいりたいということを改めて思っております。

#59
○階委員 時間が来たので終わりますが、上川大臣の答弁を聞いていますと、検察出身の法務官僚の言いなりで、彼らと立ち向かっていこうという気概が感じられないんですよ。
 このことは、十一ページ、上川法務大臣の下で立ち上げたガバナンスPTですね、ここまで問題になっている検察官の倫理関係のところ、何ですか、これ。令和三年度から、幹部検察官と若手検察官の双方について、幅広い価値観に触れて社会の目を意識し、常識から乖離しないようにするための研修ですよ。研修どころじゃないでしょう、こんな状況で。
 まずは、今までやったことをきちんと原因を究明して、責任を取るべきは取って、自主返納させるべきはさせて、そして再発防止に努める、これをまずやるべきなのに、のんきなことしか言っていません。そんな状況の中で、少年法を改正して、原則逆送事件を広げて、検察官の権限を拡大する、こんなこと、やるべきではないですよ。
 引き続き、大臣の資質について質疑を行っていきたいと思います。今日は終わります。
 ありがとうございました。

#60
○義家委員長 次に、山花郁夫君。

#61
○山花委員 立憲民主党・無所属の山花郁夫でございます。
 階委員の質疑を引き継ぐところではございますけれども、その前に、先ほど武井委員から、選択的夫婦別姓、別氏の問題についての質疑の中で、戸籍制度についてのお話がございました。武井委員の御奮闘にはエールを送りたいと思います。
 その上で、前回、これは別氏の問題とは違うことなんですけれども、戸籍制度についてはいろいろな評価をする方がいらっしゃるかもしれないけれども、外国人の登記の関係をめぐりまして、戸籍制度というのが非常に有効に機能しているということについて、日本人の戸籍に関して、その対比で申し上げました。
 改めてなんですけれども、この問題で、先日質問に立つ前に、事務方とはここ何年かにわたってお話をさせていただいたということは申し上げました。非常に感じたのは、役所は困っていないんですよ。法務局は書類を持ってきてねと言っているだけで、当事者と司法書士さんが右往左往しているということだから、これは、我々国会の側、行政、政務に携わられている方もそうなんですけれども、ちょっとやはり、役所側から話を聞いていると、そういうことというのは視点が落ちちゃうことがあるのかなということが気になったということが一つでございます。
 それと、司法書士会から要請書が出ていました。入管宛てだったということもあって、恐らく民事局とかそういうところと共有されていなかったのではないかと、ちょっと事情はそこまで分かりませんけれども。本来であれば、官房もちょっと違うのかなという気がしますが、秘書課とか会計課なり、共有していただけていれば、問題意識なんかも共有して、より早く対応できた可能性もあるのではないのかなという気がしております。反省点はいろいろあるんじゃないかと思うんですが、ただ、この問題については、相続というのは毎日起こり得ることでございますので、できるだけ早く解決が望まれるところだと思います。
 どうしても役所の中で、よく言えば専門的なセクションを持ってということなんですけれども、恐らく今回の問題って、民事局も外国人のことは知見がありませんになりそうだし、入管の方も、いや、そもそもそういうことは担当していませんになりそうなので、こういう消極的な権限の紛争になるとなかなか、これは政務の方の力業と言うとちょっと言葉が適切じゃないかもしれませんけれども、必要なケースも出てくると思います。
 前回、関心を持ってしっかりと検討してまいりたいと思っておりますと御答弁いただきました。改めてですけれども、大臣とかの方から指示などをしっかりしていただきたいと思います。この点について、改めて御答弁をお願いいたします。

#62
○上川国務大臣 本年の三月二十四日のこの委員会におきまして、外国人登録法が廃止をされ、また、今後、在留外国人が各種相続手続に必要な書類を収集することに困難を伴うことになるのではないか、外国人の身分関係の公証の在り方について検討が必要ではないかと、長年の委員のお取組について改めて御質問をいただいたところであります。
 私からは、外国人の身分関係の公証の在り方という観点から、関心を持ってしっかりと検討してまいりたいと申し上げたところでございます。
 この点に関しましては、本年三月三十日に本委員会で可決されました民法等の一部を改正する法律案及び相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律案に対しましての附帯決議をいただきました。在留外国人の身分関係を証明しやすくするための取組につきまして、必要な検討を行うこととされたものと認識をしております。
 外国人の方々と共生をする社会づくりということは、これから日本にとりましても極めて重要なことであるというふうに思っております。法務省といたしましても、この附帯決議の趣旨をしっかりと踏まえまして、何よりも局間でのしっかりとした連携ということが極めて重要であるというふうに思っておりますので、私自身、そうした問題意識で、横串型の施策という位置づけをしっかり持って、検討してまいりたいというふうに考えております。

#63
○山花委員 ありがとうございます。しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 ちょっとごめんなさい、通告の順番を変えまして、協力雇用主の話に移りたいと思います。
 先日、NHKの、たしか「逆転人生」という番組ではなかったかと思われますが、その番組は、協力雇用主ではなくて、ああ、ちょっといささか唐突ですね。
 私自身、刑務所から出た後の方々のことについては従前から関心があったものですので、かつて政務側で仕事をしていたときに、多分、大臣はもう何度か目ですのであれですけれども、恐らく副大臣、政務官は矯正施設とか視察で全国回られるケースがあると思います。
 当時、私、問題意識があって、行ったときに、出所した後、それでもいいよということで受け入れてくださる雇用主さんというのは大変、それは貴重なことだと思って、行ったらできるだけ懇談して役所としてお礼をということを始めまして、後を引き継いでほしいということを言ったところ、まだやっていただいているやに聞いて大変うれしく思っております。
 最近取り上げられたのが、非常に、女性の方で、出た後のマッチングをやろうということで雑誌を作ったりとか御奮闘されて、でも、なかなかうまくいくケースばかりじゃないんですよ。雇用主さんとお話を聞くと、ハッピーなケースばかりじゃないんですよね。やはり、一生懸命頑張っていたのに突然逃げちゃったりとか、残念ながら再犯のケースもあったりとかということで。それでもやってくださっているという方々がいらっしゃるんですが。
 こうした取組などについて、最近の事例も含めて、まずは紹介をしていただきたいと思います。お願いいたします。

#64
○今福政府参考人 お答え申し上げます。
 前歴等を承知で雇用してくださる、ただいま御紹介のありました協力雇用主の方々でございますが、その活動につきましては、各種メディア等でも取り上げられ、御紹介されているとおりでございまして、ただいま委員御指摘のとおり、刑務所出所者等の就労を確保するために極めて重要な存在であると認識しております。
 その現状でございますけれども、令和二年十月一日現在では、その登録数は二万四千二百十三社ということで、近年順調に増加をしております。そのうち、実際に雇用している協力雇用主さんの数は千三百九十一社、そこで雇用されている刑務所出所者等の数は千九百五十九人となってございます。
 法務省といたしましても、今後とも、協力雇用主の方々の御協力が一層得られるよう、その環境の整備を進めてまいりたいと思います。

#65
○山花委員 当時より随分増えているなと、今、私、数字を聞いて少し驚きましたけれども。こうした、受刑者の方々が社会復帰することにとっては、今お話があったとおり、本当に大変ありがたい存在だと思いますが、奇特な方々であることもまた、要するに、決して一般的な話ではないというのもまた事実です。犯罪歴があるということは、採用する側からすると、むしろ否定的な要素になるケースの方が圧倒的に多いと思われます。
 そういう中で、今、私、総務委員でもあるんですけれども、もう間もなくプロ責法の議論が始まります。プロレスラーの木村花さんが自死されたケースをきっかけとしてということで、誹謗中傷の類型の一つの案件だと思うんですけれども、つまり、一度逮捕されたとかそういうことがあると、またネットでこれがずっと残っていたりというケースがありますが、一般論として伺います。一度は逮捕歴を報道されて社会に知られてしまった、そうした人といえども、人格権として私生活を尊重されるべき権利を有し、更生を妨げられない利益を有するという考え方について、どのように考えますでしょうか。

#66
○大橋政府参考人 矯正局の方からお答え申し上げます。
 一般的に申し上げますれば、矯正施設の在所歴が広く一般社会に知れ渡るということで出所後の就労が困難になるなどの状況が生じるということはあり得ると考えております。
 その上で、矯正施設では、そのような事情を踏まえながら、本人の改善に向けて一層の努力が必要であるということについて、個別面接などの機会を通じて本人の自覚を促すとともに、先ほど保護局長からもございましたとおり、本人の前歴を知った上で就労の場を与えていただける雇用主の確保のために関係機関との協力をするなどの努力をしておるところでございます。

#67
○山花委員 最近、忘れられる権利というのが議論になっております。ただ、中身としても必ずしもかちっとしたものでもありませんし、最高裁でもこれは、こういう言葉はまだ使われておりません、地裁レベルで、今私が紹介したような考え方について、さいたまの地裁ですけれども、述べられたケースがあるということなんですが。
 ただ、一般的に忘れられる権利というと、概念がなかなか、外延がよく分からないみたいな話になってしまうかもしれませんけれども、その中の一つの類型として、かつて犯罪歴があるということについてというのは、プライバシーと呼ぶかどうかは別としても、個人情報の一つであると思います。
 ごめんなさい、通告のとき民事局の方に来ていただいて、いろいろ話をしていたんですけれども、ちょっとあの後いろいろ考えたんですけれども、結局、いろいろなケースがあるんですよ、当たり前ですけれども、ただ、いろいろなケースがあるというのは、全然事案は別ですけれども、例えば、逆に入るときの話です。
 日本の場合、刑法の法定刑が広いものですから、犯罪の軽重だとか、その行為者がどういう背景でやったのかとか、いろいろなことを考えて量刑相場というものが、それでも決まってくるのと同じように、この忘れられる権利というか、逮捕歴があるということについて、その事案の軽重だとか、どういう背景があったのかとか、執行猶予がついたのかつかないのかとか、そういうのってある程度積み重ねていくと類型化されて、大体相場的に、これぐらいだともうさすがに権利として、訂正請求なり抹消請求ができるよねというのができてくるのではないかと思います。
 現時点ではなかなか難しいと思うんですけれども、それこそ、先ほどの話ではありませんが、私、民事局に行ってお話ししたけれども、よく考えてみると、例えば訂正請求も、現在、例えば法務省人権擁護局とかそういうところに申立てをしたりとか、いろいろなケースがあると思うんです。あとは、法務省の中だけじゃないですけれども、それこそ、プロバイダー責任法の議論があって、総務省にもある程度知見が重なっていくと思いますので、これは政府として事例収集などが必要なのではないかと思いますけれども、この点について、民事局長なのか、お答えいただきたいと思います。

#68
○小出政府参考人 お答えいたします。
 現行法上、御指摘の逮捕歴や犯罪歴などの個人情報が公表されるなどして名誉毀損やプライバシー侵害が認められる場合には、人格権に基づいて情報の削除を求めることができる場合があるということは認識しております。
 このような情報につきまして、委員御指摘のとおり、海外の制度等を参考にして、一定期間が経過すれば、いわゆる忘れられる権利として、情報の削除あるいは利用の停止を求める権利を認めるべきであるという議論があることも承知しております。
 もっとも、これも委員御指摘のとおり、具体的な要件や効果について、必ずしも見解が一致しているわけではございませんし、また、そもそも、人格権とは別の独立した権利として認める意義やその必要性についても議論があるものと承知しております。
 こういった忘れられる権利を、例えば法制化するかどうかということにつきましては、多角的な観点から慎重な検討が必要になると考えられますけれども、法務省としても、特に民事局としては、民事基本法制を所管する立場から、国際的な議論の動向あるいは裁判実務の動向を注視して、委員御指摘のとおり、いろいろな事案における、事案の軽重でありますとか、保護すべき利益は何なのか、あるいはその対立する利益は何なのかということについて関心を持って注視してまいりたいというふうに考えております。

#69
○山花委員 大臣、答弁は要りませんので。やはりこういうことって、どうしても民事局になると、法的に何か概念を整理して何とかしようというマインドになるんだと思うんです。文句を言っているんじゃなくて、そういうものだと思います、セクションとして。ただ、例えば人権擁護局で、そういうので何とかしてくれと来たら、それは判断しなきゃいけないわけですから、そこで多分、現時点だとそれなりに情報交換はしているのかもしれませんけれども、そういうところでやはりちゃんと共有して知見を重ねていくということが大事なのではないかということだけ申し上げておきたいと思います。
 それでは、先ほどの階委員の質問の関連で参りたいと思いますが、まず、前回、国家公務員法の、違反するのではないかという指摘をいたしましたが、もう一回、一つ一つちょっと詰めていきたいんですが、国家公務員法百条に定める「職務上知ることのできた秘密」ということに捜査情報は含まれるという理解でよろしいでしょうか。

#70
○川原政府参考人 お答えを申し上げます。
 国家公務員法百条のことでございます。国家公務員法百条一項に定める「秘密」とは何かということでございまして、まず、これについては、最高裁判所の判例がございます。国家公務員法百条一項の文言及び趣旨を考慮すると、同条項に言う秘密であるためには、国家機関が単にある事項につき形式的に秘扱いの指定をしただけでは足りず、右秘密とは、非公知の事実であって、実質的にもそれを秘密として保護するに値するものと認められるものをいうと解すべきということでございます。
 今お尋ねは、捜査情報が当たるかということでございまして、委員のおっしゃっておられる、捜査情報がということの意味が必ずしも明らかでないところでございますが、もし、そういったものが、今申し上げました、最高裁判所が示したような解釈に当たるということになれば、それは「秘密」に当たり得るということになるのでございます。
 ただ、その上で申し上げるところでございますが、具体的な犯罪の成否というのは、捜査機関により収集された証拠に基づき個別に判断される事柄でございますので、これ以上のお答えは差し控えさせていただきたいと存じます。

#71
○山花委員 最高裁の判例の紹介がありました。いわゆる形式秘ではなくて実質秘のことを指すのだということでございます。
 配付している資料があると思うんですが、検察刷新会議の議論になった一つのテーマが日本の司法に関するものでございましたが、それは人質司法と言われることについてということではあるんですけれども、この案件についても、私、大変不思議なんですが、この朝日新聞の記事ですが、ちょっと白黒で分かりづらいんですが、写真があって、その左側に、「カルロス・ゴーン会長が乗っていたとみられる飛行機」ということが紹介されています。見出しと五行ぐらいのがあって、その次、本文で、「十九日夕、」から始まるんですが、三段落目です。
 「特捜部は着陸をひそかに、だが、万全の態勢で待ち構えていた。事前にゴーン会長が十九日午後四~五時にビジネスジェット機で羽田空港に到着することを把握。空港で接触し、そのまま任意同行を求められるよう捜査態勢を組んだ。周到に準備された流れだった。 十九日当日も、フライト情報に変更がないことや、飛行機の着陸のための手続きが済んだことを最後まで慎重に確認。着陸直後に、ゴーン会長への接触に踏み切った。」とあります。
 その次の、三段目ですけれども、右側のところで、「ゴーン会長の関係先では、飛行機着陸直後に、次々と捜索が始まった。 午後五時前、スーツ姿の係官とみられる男性ら十人超が横浜市西区の日産自動車グローバル本社の総合受付に現れた。多くの係官がガラス張りの壁際に並び、一人の係官が受付の女性とやりとりをする。女性らは」、まあまあ、ちょっとこの後続いていますが。
 これって明らかに情報漏えいがされているのではないでしょうか。これは実質秘ですよね、今お答えいただいたことからいたしますと。だって、被疑者が逮捕される瞬間を、ネットの方では朝日が動画で配信しています。そんなことって分かるわけないじゃないですか、検察から教えてもらわなければ、報道機関が。これは何なんでしょうね。
 つまり、こういったことはまさに実質秘に当たるのではないかと思われますが、いかがでしょうか。

#72
○川原政府参考人 お答え申し上げます。
 お尋ねは、今御指摘の資料の記事の内容のようなものが、先ほどの国家公務員法百条に言う「秘密」であるところの実質秘に当たるかというお尋ねでございますが、このお尋ねは犯罪の構成要件への当てはめに関するものでありまして、繰り返しになって恐縮でございますが、犯罪の成否は捜査機関の収集した証拠に基づいて判断される事柄でございますので、お答えを差し控えさせていただきたいと存じます。

#73
○山花委員 この手の話は、前回も指摘いたしましたが、枚挙にいとまがなくて、その中で黒川氏の案件があったということなんですが、本当にこの法務・検察行政刷新会議の一つのきっかけになった事件についてもこんなことが起こっているということでございます。
 先ほどの階委員のやり取りでも、私、ちょっと解せないところがあるんですけれども、また人の使った資料で恐縮ですが、階委員の資料の八ページ目のところにございます、理事会で出された資料ということですが。つまり、個別の案件については答えないという答弁がこの間もずっと続いているという文脈で、ちょっとこの間のこういう質問になっているんですけれども。
 今の御答弁については、確かに個別の案件についてということになるんでしょう。百歩譲って、それがそうだとすればということでこの間議論をしているんですけれども。これは特に、先ほど法務大臣からも答弁されていたところなんですが、よく分からないのが、個別案件だから答えられないという答えが返ってくるだろうなと思って、一方的に仮定で話をします。
 先ほどのようなケースというのは、これはどう考えても、先ほどのゴーンさんが逮捕される日時、場所、この飛行機だなんという特定なんというのを、メディアが独自取材でやったとしても、これは報道の自由だなんだの話じゃなくて、つまり、それが誰から聞いたのかというのをメディアにただせという話ではありません、検察の内部で誰が漏らしたんだと聞けばいいだけの話です。
 ただ、そう思うんだけれども、それすら、検察当局に対する調査を行うとした場合には、真相を解明し、法と証拠に基づき適正な科刑の実現等を図るという検察当局の活動を不当に制約することになりかねないと書かれておりますが、もうちょっと何か、物の言いようはないんですかね。
 つまり、黒川さんの件に、この件に戻しますけれども、検察からリークされている話があるんじゃないか、それは何なんですかという国会の尋ねに対してなんですが、リークされているんだとすれば、国家公務員法違反に当たります。かつ、これは刑事訴訟法の二百三十九条の二項で、皆さんは告発義務があるはずです、検察官には。これをやらずに、要するに、違法行為があったとしても、今の捜査の方が大事なので、だって、不当に制約すると書いてありますよ。
 つまり、法令、国家公務員法を守ると、国家公務員法を守ることが不当に検察当局の活動を制約するということになるという説明なんでしょうか、これは。

#74
○川原政府参考人 お答えを申し上げます。
 今委員の御指摘は、黒川元検事長の略式命令請求がという記事に関するものとしてということでお答え申し上げますが、委員が御指摘の、階委員のお出しになった資料に記載してございますように、まず、この報道につきましてでございます。報道機関各社というのは、独自の取材活動に基づいて得た様々な情報を、報道機関各社の判断において記事にしているものと思われまして、報道機関においていかなる取材、情報に基づいて当該報道を行っているかについては承知しているところではございません。
 まずそれを前提として申し上げまして、その上でということでございます。
 特定の報道の報道経緯や根拠について調査を行うことということで、委員御指摘のように、検察当局に対する調査を行うこととした場合には、真相を解明し、法と証拠に基づき適正な科刑の実現等を図るという検察当局の活動をということでございまして、検察当局というのは、まさに、繰り返しでございますが、法と証拠に基づいて、真相を解明し、適正な科刑の実現を図るという任務を負っている機関でございます。
 それに対しまして、個々の報道が出た場合に、情報漏えいがあったという前提で調査を行うことが、不当な制約をすることになりかねないということで、一般的には相当ではない、そう考えたものでございます。

#75
○山花委員 先ほど質問の中で触れたつもりですが、別に、メディアに対して調査せよなんということは一言も言っていません。そんなことをしたら、メディアに対する、それこそ言論の自由等々の問題になるのではないかということで。
 検察内部でこれは誰が漏らしたんですかということをやるのは、むしろ、刑事訴訟法上、あなた方の義務なのではないですか、にもかかわらず、それをやると検察当局の活動を不当に制約すると言うのは、これは説明としてどうなんだ、こういうことを申し上げているわけです。
 ちょっと、時間も来ているので余り不毛なやり取りを続けたくないんですけれども。
 つまり、私、これは理事会で協議していただきたいんですけれども、国会としてこのまま受け取っちゃっていいのかという問題だと思います。
 つまり、メディアには流しているような話を国会には答えられないと言うわけですよね。国会に答えるということは、不当に制約するということになりかねないという日本語に読めるわけですよ。そんな話はあり得ないと思うんだけれども。
 それと、今の答弁の中でも私はおかしいと思うんだけれども、つまり、この記事をどうやってお調べになったんですかというのは論点じゃなくて、これ、だって、まさに捜査の端緒じゃないですか。国家公務員法違反があったかもしれないということの動かない証拠があるわけじゃないですか。
 なので、それをもって内部で、別にメディアに聞く必要はないと思います、内部でこの担当者は誰なんだということから始めればいいことではないかと思われますし、また、飛行機の写真だからというわけではありませんが、ちょっと勘違いしないでいただきたいのが、別に国会での質疑というのは捜査をやっているわけではありません、告発目的でやっているわけではないようなケースであるとすると、それはちゃんとお答えいただきたいと思います。
 飛行機の写真だからというわけではないというのは、例えば、飛行機事故が起こったときに、航空事故調査委員会とかができます。それは、別に刑事訴追の目的とか過失があったかどうかということじゃなくて、何でその事故が起こったのか。それは別の目的でやるものですし、鉄道についても同じです。
 別に、国会での質疑をするに当たって、私が感じているのは、昔はもうちょっと答えていましたよ。例えば、ちょっと私自身の経験でいうと、かつて名古屋刑務所で刑務官がちょっといろいろあったというケースでも、それは、刑事事件としては特別公務員暴行陵虐事件なのかもしれないけれども、どういう状況で、つまり、矯正施設でどういうことがあって、今後何を見直さなきゃいけないという議論をして、結果としてそれが監獄法の改正とかにつながっていったわけですよ。
 なので、国会での役割というのは、別に、時としては、何か個人に対して糾弾しているように見えるケースもあるかもしれないけれども、そういうことじゃなくて、そのことが例えば制度改正につながっていったりとかそういうことになるわけですから。
 この間も、個別案件なのでというのがもう決まったせりふのようなことで答えています。仕組み的なことでもう少し言うと、我々は検察官に対して質問をしているわけじゃないわけですよ。刑事局という法務省の行政機関に対して、これは一体何だったんだと質問しているわけですから、それについてはしっかり答えていただきたいということ。
 そして、今の、この理事会の回答については私自身もちょっと承服しかねるところがありますので、理事会で協議していただきたいということを申し上げまして、時間が来ましたので、終わります。

#76
○義家委員長 次に、松平浩一君。

#77
○松平委員 立憲民主党の松平浩一です。どうぞよろしくお願いします。
 最近、最近というか今、何か物を調べたいと思ったら、まず、ほとんどの方はネットで調べられるんじゃないかと思います。恐らく、大臣も何か調べたいと思ったらネットでまず検索されるんじゃないかなと。検索することをググると言ったりしていますし。
 判決もそうです。やはり、何か判決を知りたいなということで判決を調べようと思ったら、まずはネットで検索しようと思うのが普通じゃないかなと思います。
 先日も、同性同士の婚姻を認めないのは違憲という判決が札幌地裁で出ましたし、その判決とかを見ると、裁判例を見ると、本当に判決の影響ってでかいんだなと思います。判決はもう本当に国民の財産ということが言えると思います。だからこそ、憲法の八十二条で裁判の公開というものが定められています。
 じゃ、そのぐらい重要な判決がどの程度国民に行き渡っているか。ネットでどのくらい調べられるのかということで裁判所のウェブサイトを見ますと、最高裁の判例、それから下級審の裁判例、検索してネットで見れるようになっています。
 そこで、お聞きしたいです。
 去年一年間でオンライン公開された地裁の裁判例の数、教えていただいていいでしょうか。

#78
○村田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
 昨年一月から十二月までにされた地方裁判所の裁判例で、先月、三月三十一日現在で裁判所ウェブサイト上に掲載されておりますものは三百六十六件でございますが、この中に行政事件の裁判例が四十一件入っておりますので、民事、刑事ということで申し上げますと、三百二十五件でございます。

#79
○松平委員 それでは、それに対応する判決の数というのはどのくらいでしょうか。

#80
○村田最高裁判所長官代理者 この期間に対応する民事事件及び刑事事件の地方裁判所の判決数は九万八千八百四十五件でございます。

#81
○松平委員 九万八千八百四十五件。約九万八千、まあ約十万件。
 それで、先ほど三百六十六件で、三百二十五件か、ということで、私、三百六十六で計算したら、〇・三七%。〇・三七%ぐらいにしかならないんです。
 これはどのくらいの数字なのかということで、海外の例を調べてみました。
 まず、アメリカです。連邦裁判所の判決は、無料で、基本、全部掲載されます。百七十六万件全て手に入れることができます。州裁判所のウェブサイトで九割公開されていて、六百万件を超えていると言われています。
 シンガポールでは、一九九一年以降の最高裁の判決、それから二〇〇一年以降の下級審の判決文、原則として全件公開、オンラインで公開されています。
 ドイツでは、司法省と連邦の各裁判所と民間の共同のデータベースがあるんですが、これは有料にはなっているんですが、百万件以上の判決が掲載されています。
 フランスでは、政府事務総局運営の無料のウェブサイトで、百四万件です。
 ちょっと切りがないんですけれども、極めつけの例として中国があります。最高人民法院が管理するウェブサイトなんですけれども、何と判決文一億件。にわかに信じ難いんですけれども、一応、一億件ということで、七割から八割が公開されているということで言われています。
 他の主要国で七割から全件がネット公開されている中、〇・三七%というのはもう相当少ないんじゃないかなと言っていいと思います。
 日本は、本当に国が積極的じゃないので、民間がこれに商機を見出してビジネスにしています。これは、判例を独自に集めて、大体どの民間業者も三十万件ぐらいをデータベースにしてユーザーに提供しています。その各業者さんを見ると、一か月の利用料が五千円から大体一万五千円ぐらい。五千円と一万五千円ぐらいを月に払うことというのは、なかなか、これを仕事とされている方、例えば弁護士さんとかしかできないと思うんですね、これ。なかなか使えない。我が国はそれだけのお金を払わなければ、判決文、国民の財産とも言える判決文をなかなか入手できないという状況になっています。
 このウェブサイトの公開について、どのような基準でやっているのかと思って、三年前の法務委員会でお聞きしました。そのとき、三年前、最高裁判所長官代理者が今から言うように答弁しています。具体的にどのような範囲の裁判例を掲載しているかという点でございますが、これは、先例としての価値、重要性や、社会的な関心が高い事件であるかどうかというところを考慮して決めているところでございますということです。
 三年前のこの基準、今も同じでございましょうか。

#82
○村田最高裁判所長官代理者 御指摘の基準は、今でも同じでございます。

#83
○松平委員 この基準に比べて、最高裁が下級裁判所宛てに出した内部文書というのを資料一でちょっと紹介しますと、ここで、原則として、掲載基準として、日刊紙四紙のうち二紙以上に掲載されている事件とあるんです。この内部文書に従って、〇・三七%という数字なんですね。だから、この内部文書の基になった先ほどの基準というものは、これはもう変えなきゃいけないんじゃないかと思っています。基準として、先例としての価値、それから社会的関心の高い事件、こんな限定的な基準にしているからこれは〇・三七%にしかなっていないということで、私は変えなきゃいけないと思います。
 これは、裁判の公開原則、憲法上の要請です、これも絡んでくる大きな問題じゃないかと思っています。
 この部分をちょっと議論させていただきたいんですが、民事訴訟法の九十一条一項で、「何人も、裁判所書記官に対し、訴訟記録の閲覧を請求することができる。」ということで規定されています。この規定は、民事訴訟手続について、原則として誰でも閲覧できるということになっているんです。もちろん、裁判例もそうです。
 ただ、この規定は、裁判所に閲覧請求して実際に裁判所に見に行かなければいけない、それを想定しています。だから、過去にどんな裁判例があったのかなと思って、見たいと思ったら、実際に裁判所に行って、しかも、事件番号、これを特定しなきゃいけないんです。事件番号なんて、普通、分からないです。分からないのでどうするかというと、運用として、原告と被告の正確な名前だったら職員さんが調べてくれるんですけれども、ただ、それでもやはりなかなか大変だと思うんですよね。やはり裁判所に実際見に行かなきゃならないので、閲覧可能時間とかいうのもありますし、それから所定の用紙に名前と住所を書かなきゃいけないですし、それで、それは次の人が見れるようになっているので、誰が閲覧したか分かっちゃったりもするんですよ。
 この民訴法の規定というのは、実際に行って見ることしかできなかった時代の規定なんですよ。この規定、昭和二十四年の改正のときに作られて、今もほぼそのままです。もちろん、その規定ぶり、口語化されたり、ビデオテープを除くとか、そういったところはありますけれども、ほぼそのまま今も残っている、そういう形になっています。昭和二十四年なので、もう七十年以上たっているんですね。今のこのネット時代に合わせた形で、憲法上の裁判の公開の要請に応える必要があるのではないかなと思っています。
 このオンライン公開は、国民にとってもいいだけじゃなくて、裁判所にとってもいいこともあります。オンライン公開されるということは、裁判官にとっても、しっかりこれは判断しなければならないというプレッシャーにもなりますし、しっかりと判断したということで世の中の人から評価されて、裁判への理解も深められるというメリットもあると思います。
 日弁連の意見書を資料二として配付しましたけれども、こちらに四角で囲った箇所があるんですが、ここに、やはり日弁連も、「判決文のごく一部だけが判例集に登載されるほかは裁判所などのウェブサイトに公開されているにとどまっており、判決の公開が不十分である。」と言っています。これは去年の六月十八日に出た意見書なんですけれども。
 こういった裁判の公開の観点から、これはオンライン公開、今、〇・三七%なので、他の国のように七割と、そこまでは言いませんけれども、せめて四割ぐらいにしましょうということで、四割となると今の百倍ぐらいのスピードです、そのぐらいのスピードで進めてほしいと思いますけれども、いかがでしょうか。

#84
○村田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
 基準につきましては委員の今御指摘にあったとおりでございますが、そういったところから、例えば、経済界からのニーズが高いと思われる知的財産権事件につきましてはその多くの判決を掲載しているところでございますし、委員の御指摘にもあったとおり、複数の日刊紙に掲載されている事件についてはできる限りウェブサイトに掲載をしているというところでございますが、一方で、事件関係者のプライバシー等にも配慮する必要がございまして、一概に掲載を増やせるかというところについては難しい面があるかなというふうにも考えているところでございます。
 裁判所といたしましては、今の御指摘もそうでございますが、今後も様々な御意見を踏まえつつ、先例としての価値、重要性のある事件、あるいは社会的関心の高い事件についてはできる限り掲載がされるように検討してまいりたいと考えております。

#85
○松平委員 プライバシーの観点、今おっしゃっていただきましたプライバシーの観点もあるからちょっと慎重にならざるを得ないみたいなニュアンスだったんですけれども、やはりここを強調し過ぎると、じゃ、今民間でやっているサービスが既に約三十万件ぐらいネットで公開されちゃっていますけれども、これはもうそのままでいいのかという疑問も出てくるんです。
 裁判の公開とプライバシーの関係、これは重要なのでここで整理させていただきたいんですけれども、まず、ちょっと私が御紹介させていただきたいのは、法務省の民事局参事官室が発行した「一問一答 新民事訴訟法」という本です。こちらを見ると、例えば秘密保護に関してなんですけれども、秘密保護のための訴訟記録の閲覧等の制限は、憲法八十二条が規定する裁判の公開の精神をより徹底する趣旨から認められている訴訟記録の公開制度の重大な例外である、したがって、必要最小限の秘密に限って制限するものとしていると説明しています。
 また、東京高裁もこう言っています。訴訟記録の閲覧等の制限が、裁判の公開の趣旨を及ぼすために認められている訴訟記録の公開の例外であることから、保護するべき私生活上の秘密は重大なものに限られると解されるというふうにも言っています。
 そういう意味でいうと、訴訟記録の公開と秘密保護やプライバシーの関係というのはかなり限定的に解釈されると言っていいと思います。だから、私としては、もっとやはり積極的に公開すべきというのが、この憲法上の要請に沿った立場なのかと思っています。そこで、裁判の公開というものを、その保障を実効的にしましょうというのが、先ほどから言っている判決のウェブサイトでの公開なんです。
 とはいえ、今のは本当に法的な話で、事実上の問題もあると思います。自分の名前が出てしまうのが嫌だということで裁判を受けたくないと思われたらこれは元も子もないので、だから配慮しなきゃいけないというのも非常によく分かります。
 そういう意味で、今既に、先ほど数字をおっしゃっていただきましたけれども、裁判所からネット公開している判決がありますけれども、こちら、プライバシーにどう配慮してされているんでしょうか。お聞きしていいでしょうか。

#86
○村田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
 二点申し上げますが、一つ目は、性犯罪ですとかDV事件といったものにつきましては、裁判例の内容を公にすること自体で事件関係者に回復困難な著しい精神的被害を与えるおそれがあるというものがございまして、これらにつきましては、ウェブサイト上にそもそも掲載しないということを基準として定めて運用しているところでございます。
 二点目は、そのような事件でない場合に掲載をもちろんすることがあるわけですが、ウェブサイト上に掲載するに当たっては、氏名、生年月日などの個人の特定につながるような部分については仮名処理を施した上で掲載するということにしております。

#87
○松平委員 ありがとうございます。
 現代社会における裁判の公開の要請、それからは、今おっしゃった、もちろん、公開の例外、これがあった上で、仮名化処理をして、私はもうできる限りの全件公開をすべきだと思っております。
 そういう意味でも進めるべきなんですが、もう一つの現実問題として、仮名化するとしても、地裁の判決、約十万件もあるというので、かなり大変だと思います。簡裁と高裁と最高裁を合わせたら年間二十万件以上ということです。
 これ、ほかの国はどうしているのかなと思って、不思議なので調べたら、ほかの国は結構そのまま名前を出しちゃっています。かといって、だから名前を出していいよというわけじゃなくて、やはりここは日本なので、仮名化、僕は進めた方がいいと思います。
 じゃ、どう仮名化を進めていくのか。今、AIで判断させて自動的に仮名化させる実証実験が行われているというふうに聞きました。こういった技術革新に期待したいと思っています。
 この点、どのような状況なのか、教えていただいてもいいでしょうか。

#88
○村田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
 委員の御指摘のとおり、仮名処理には一定の事務負担を伴うところでございます。そこで、AI等の技術革新を用いることができないかという視点は当然にあり得るところかなというふうに思っております。
 ただ、裁判所の立場で申し上げますと、裁判所の一番の使命は、実際に起こされた個別の事件について紛争解決をというところが一番大事なところでございます。そうした中で、裁判所がした判決がその後どのように利用、活用されるのかというところのニーズを踏まえた上で、どういった処理がそれにふさわしいのかという辺りになりますと、なかなか裁判所だけで判断するのは難しいという面があることも御理解をいただければと思います。
 ですので、最高裁といたしましては、事件関係者のプライバシー等にも十分配慮した適切な枠組みが構築されるのであれば、そこに判決データを提供するといった形で協力をさせていただくということは考えられるというふうに思っているところでございます。
 この点に関しては、令和二年三月から、日弁連法務研究財団におきまして、民事判決のオープンデータ化検討PTが開催されております。民間企業等における利活用のために民事判決情報をデータベース化するということに向けた論点整理及び自動仮名処理に係る実証実験が行われるなどしたところでございまして、最高裁もこのPTにオブザーバーとして参加をさせていただいておりますので、引き続き必要な協力をしてまいりたいというふうに考えております。

#89
○松平委員 裁判の公開の要請を果たす主体というのは、僕は裁判所だと思います。なので、今の回答で協力をするというのは、ちょっと責任を放棄されているという印象を私は受けました。やはり自ら予算計上して、お金を出して仮名化処理を進めるよう頑張ってもらいたいと思います。是非よろしくお願いします。
 次、先ほど、今の民訴法九十一条の訴訟記録の開示の規定、これが時代遅れだという話をしましたが、ネット社会に対応した改正をしなきゃいけないということで、本当に時間がなくなってきたのでまた詳しく紹介できないんですが、アメリカでもドイツでも中国でもお隣韓国でも、訴訟記録の閲覧について、きちんとデジタル化に対応した規定があります。
 こういったデジタル化、今こそ民訴法九十一条を改正して、判決開示のオンライン化、これを進めるべきでないかと思うんですが、法務省、いかがでしょうか。

#90
○小出政府参考人 お答えいたします。
 民事裁判手続のIT化につきましては、現在、法制審議会民事訴訟法(IT化関係)部会において調査審議がされておりまして、委員御指摘の訴訟記録のオンラインによる閲覧についても検討が進められているところでございます。
 部会におきましては、当事者はいつでもオンラインで訴訟記録を閲覧することができるとする規律の導入に加えまして、利害関係のない第三者もオンラインで訴訟記録を閲覧することができるという規律を導入することについても論点として議論されているところでございます。
 この点につきましては、第三者の利便性の向上の観点から賛成する意見、あるいは当事者のプライバシーへの配慮が必要であるとして反対する意見など、様々な意見が出されているものと承知しております。
 法務省といたしましても、訴訟記録のオンラインによる閲覧は、多角的な観点から検討がされるべき重要な課題と認識しておりますので、引き続き部会において充実した審議が行われるよう努めてまいりたいと考えております。

#91
○松平委員 プライバシーの観点、本当に、会員登録制にするとか仮名化処理するとか、いろいろな方策があると思いますので、積極的に僕は進めてもらいたいな、進めることが裁判の公開の要請にかなうんじゃないかと思っております。
 こういう案件こそ、私、デジタル庁なのかなと思うんです。デジタル庁はまだできていないので、内閣官房IT総合戦略室、この点、意気込みを聞きたいと思います。いかがでしょうか。

#92
○時澤政府参考人 お答えいたします。
 一般的に、行政の保有するデータは、IT総合戦略本部が決定をいたしましたオープンデータの基本指針というのがございます。これに基づきまして、公開することが適当でないデータを除きまして、各行政機関が原則公開するものとしております。
 訴訟記録、判決文の取扱いにつきましては、司法府や法務省において検討されるものではございますが、内閣官房IT総合戦略室といたしましても、オープンデータの基本指針を踏まえまして、法務省等の取組を支援してまいりたいと考えております。

#93
○松平委員 是非、しっかりと支援の方をよろしくお願いします。
 次、判決のネット公開に戻るんですが、それの方法について言いたいことがあります。
 現在、その方法として、裁判所のホームページでPDF公開をしている、PDFで提供する形で公開しています。これは、文書をテキスト化して提供した方が便利だし、検索もできるということで、ちょっとその点ですね。あと、API提供、これもされていないので、やはりAPI提供をすることでいろいろな方が使いやすくなると思うんです。引用しやすくなると思うんです。
 そういうユーザー目線での利便性を考えて、この点、改善すべきだと思っています。いかがでしょうか。

#94
○村田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
 現在、裁判所のウェブサイトに裁判例を掲載するに当たっては、閲覧のしやすさといった委員の御指摘の観点に加えまして、正確性を担保するといった要素なども考慮いたしまして、一般的に使われておりますフォーマットであるPDFファイルの形式を用いまして掲載をしているところでございます。
 今後、いかなる形式で裁判例を掲載ないし提供していくかというところにつきまして、裁判所といたしましても、委員御指摘のような観点も踏まえて、裁判例の更なる利用、活用に関する国民の意見、ニーズ等を見ながら、引き続き、適切な提供の在り方を検討してまいりたいというふうに考えております。

#95
○松平委員 今の回答で、正確性を担保というふうに言われましたけれども、私、実際に裁判所のPDFを見てみたんです。そうしたら、簡単にコピペできる仕様になっているんです。普通、OCR処理が必要なんですけれども、仮にそれが必要だったとしても、今はソフトウェアで簡単にOCR処理できて、もう簡単にコピペできちゃうんですよね。だから、PDFだから正確性を担保できるというのはもう本当に昔の話で、そもそも、民間のサービスが提供している裁判例、これはテキストで提供されているので、余り意味がないと思うんです。
 今の裁判所がやっている提供方法はもう何のメリットもなく、利便性を失わせているだけだと思います。なので、やはりこの辺も是非いろいろ検討していただきたいなと思っております。
 私も弁護士時代、裁判所の判決を結構読んでまいりました。判決を読んでいると、現実的妥当性、それとしゃくし定規な法律のはざまで悩んでいる、この悩みがかいま見れる判決、もう本当にいっぱいありました。
 裁判の公開がもっとされるようになることで、こういった悩み、現実に合っていない法律や規制というものが今までよりもより可視化されるわけです。そうなることで、法律や政令を改正すべきポイントというものが見えてくると思います。そう考えると、裁判の公開、判決文の公開、これは、行政であるとか立法を前に進めるための裁判所からの情報提供という位置づけもあると言えると思います。
 ですので、法務大臣としても、行政を前に進めるために、そのような認識で、今日話した裁判例、判決文のオープンデータ化を進めていただきたいと思っています。是非、所感をお聞かせいただければと思います。

#96
○上川国務大臣 民事判決の情報につきまして、これは、先ほどユーザー目線というお話がございました、国民の行動規範や、また紛争解決の指針ともなり得るものであると認識をしております。その意味で、社会全体で共有、活用すべき重要な財産であるというふうに考えます。
 また、今、ユーザー目線のもう一つ、行政の中におきましての政策につきまして、その課題、現行の法令の課題、こういったことの検討にもつながるのではないかという御指摘でございまして、その意味でも極めて重要なデータベースになり得るというふうに思っております。
 今後、より広く国民の皆様に提供されるようにすることにつきましては、行政府としても、またデジタルを推進する社会を推進していく上でも重要と考えているところでございまして、法務省といたしましても、そうした動きに対しましてしっかりと協力をしてまいりたいというふうに思っております。

#97
○松平委員 どうもありがとうございます。
 一番冒頭、かなり日本の裁判判決のオープンデータ化が進んでいないということを数字をもって申し上げましたけれども、これは、せめて、本当に裁判の公開の要請というものも絡んでくる問題ですので、是非、今大臣おっしゃられたこと、本当に私もそのとおりだと思いますので、前向きに進めていただければと思っております。
 それでは、時間が参りましたので、ここで終わりたいと思います。
 どうもありがとうございました。

#98
○義家委員長 次に、池田真紀君。

#99
○池田(真)委員 立憲民主党の池田真紀です。よろしくお願いいたします。
 まず、おとといなんですが、三月三十一日、世界経済フォーラムの方で、ジェンダーギャップ指数二〇二一が発表されました。日本の順位は、昨年は百五十三か国中百二十一位だったのが、今年は一位上がりまして、といっても百五十六か国中なので、その評価はちょっと別かなとは思うんですが、特に政治分野では百四十七位ということで、極めて厳しい状況にあるというふうに引き続き思っています。
 衆議院は、特にこの国会でも九・九%ということでありますので、非常に、OECDの加盟国平均の二九%から比べますと、三分の一ということで、この委員会も、ちょっと数を数えただけで、三十五人中のうち、委員長を含めての人数で恐縮なんですけれども、女性が三名ということで、やはりこういう割合かと。
 閣僚は、極めて厳しい状況の中で、この委員会は、上川大臣、女性でございますから、特に今日は女性を取り巻く課題といいますか、ここで声を上げておかなければ放置されてしまうかもという思いで、今日は質問させていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 まず一点目なんですが、平成三十年七月三十日から令和元年の十月の十一日に中間まとめを報告をされています、厚生労働省の管轄で行われておりましたけれども、困難な問題を抱える女性への支援の在り方についての検討会、これが開催をされております。
 この検討会の中では、法務省が持ち帰りますということで出されておりました課題、これが、売春防止法の問題意識、この検討会で述べられていたかと思っております。その中で、法務省が持ち帰ると言っていた課題について、大臣は、その報告といいますか、受けて、認識を持っておられるのかどうか、共有されているのかどうかということをまず確認させていただきたいと思います。

#100
○上川国務大臣 私自身、法務大臣就任前から、この問題につきましては、関係する方々の御意見を聴取したり、ヒアリングさせていただきながら取り組んでまいったところでございます。
 厚労省におきましての困難な女性が抱える問題につきましてのレポートにつきましても、大変重要なレポートであると認識をしているところでございます。
 この中に、法務省の関わる部分につきましても、売春防止法の規定そのものが、これに様々な制約を課しているというようなことの御指摘がございまして、この問題については、特にこの問題の解決に当たって積極的に関わるということについては指示をしているところでございます。

#101
○池田(真)委員 その検討会でやはり述べられていたのが、厚生労働省が、検討会自体は、第四章に代わる支援ということ、婦人保護事業等、代わる支援ということで、新たな支援法をテーマに検討が進められていたんですが、何回も何回も、繰り返し、参加の方々からは、大本の問題点といたしまして、売春防止法のそもそもの一条ですとか目的、そして二章、三章に関しても、これら、提言、問題意識を述べられています。この売春防止法が問題なんだと言っていることを大臣はどう捉えていらっしゃるのか。
 あと、検討が必要なんだ、改正といいますか、廃止を求めるような発言も結構あります。そういったものについて、これらをどう受け止めていらっしゃるのか、現状認識をお伺いしたいと思います。

#102
○川原政府参考人 お答え申し上げます。
 委員の御質問は、現行の売春防止法が、その存在意義であるとか実効性という形でどうあるべきかということを御質問になっているんだろうと思いますので、その観点でお答え申し上げます。
 売春防止法は、御案内のとおり、第一条におきまして、売春が人としての尊厳を害し、性道徳に反し、社会の善良な風俗を乱すものであることに鑑み、売春を助長する行為等を処罰すること等を目的とするというふうに規定をしております。
 その上で、第二章で、刑事処分にということで罰則を作ってございます。この第二章におきまして、公衆の目に触れるような方法での売春の勧誘等、公衆に迷惑を及ぼすような売春勧誘行為を処罰するとともに、売春当事者以外の者が売春を助長し、あるいは売春を契機に利益を得ようとする各種行為を処罰することとしております。
 こうした罰則は、女性を性的搾取の対象とするような売春の助長行為等を検挙、処罰するものでございまして、現行の売春防止法、私どもの立場からは、意義のあるものであると考えているところでございます。

#103
○池田(真)委員 意義のあるものというお答えでよろしいですか。
 これはすごく現場とか現状からは乖離をしているなというふうに思っているところはあるんですが、あるというか、そもそも、昭和三十一年から、この国会の中で随分議論をされて、当時の、戦後の状況から制定をされていった経緯から踏まえますと、現状、今の社会情勢は本当に大きく変わっている状況だと思います。
 その検討会の中での、事業に関する、第四章に関わってくる事業も、売春防止法の支援という位置づけでいいますと、極めて限界といいますか、利用率として、売春防止法上の事業の利用率といったものが二二%だったりとか、極めて非現実的であるということが一つ。
 そして、加えて言いますと、そもそも、犯罪者としての面と要保護という被害者としての面と一緒に扱うことの矛盾さということだとか、あと、五条違反であるということ自体が、執行猶予を取ったのに、補導処分として補導院に収容されるということが許されたり、若い女の子に関しては、補導されると鑑別所に行く。行き着く先が婦人保護施設ということなんですが。
 とにかく、犯罪とは一切関わりないという状況ではないから、今、刑事局長は、ある意味別の視点で意義があるというふうにおっしゃったのかもしれませんが、極めて、当事者たちあるいは該当されている方たちに関して言えば、要保護女子というふうに言われている、昭和三十一年に成立したこの売春防止法で初めての用語として扱われてきている用語でございますけれども、売春を行うおそれのある女子を保護するという意味で、それ以降、今、支援の多様化、ニーズの多様化に伴って、家庭環境の破綻とか生活困窮とかの状況から、平成十三年からDV被害者、そして平成十六年からは人身取引被害者、平成二十五年からストーカー被害者が事業対象に明確化しているのに、やはり言葉が、婦人、収容、保護更生という極めて人権侵害的な言葉であり、その後、女性が被害を受けているのに加害者側に立っている、さらに言えば、その風土といったものの言葉も、転落の防止とか社会環境の浄化とか極めて差別的な言葉もあります。こういった言葉もそうですし、その法的な根拠自体を見直さなければいけないのではないかという議論がこの間かなりされていたと思います。
 それで法務省は持ち帰ってくださいということで、厚労省ベースはいいんです、この後の支援の話は今日はしません。なので、そもそものその根幹となっている売春防止法自体、ああ、時代と合わないよねと、あるいは、女性の蔑視とか人権侵害、まさにそういうところだよねというような受け止めとか課題をもう少し検討してみようか、整理しようかということは行われていないんですか。

#104
○川原政府参考人 お答えを申し上げます。
 私、済みません、先ほど第二章の罰則を中心にお答えしましたが、委員御指摘のとおり、売春防止法制定から大分時間がたってございまして、その当時の時代、社会の状況と現代の状況がまた違っているというのは御指摘のとおりだと思います。
 そのこともありまして、売春防止法の中でも、婦人保護事業の見直しにつきましては、売春防止法四章を所管する厚生労働省が主催する、先ほど来御指摘の、困難な問題を抱える女性への支援の在り方に関する検討会において議論が重ねられて、先ほど御指摘のような中間取りまとめがまとめられたと承知しているところでございます。
 この中間取りまとめでは、婦人保護事業の運用面の見直しを進めていくとともに、困難な問題を抱える女性を支援するため、新たな枠組みの構築に向けて検討を加速すべきであるなど意見が示されていることを承知しておりまして、現在、厚生労働省において検討が進められているところでありますが、私ども法務省といたしましても、必要な協力をしてまいりたいと考えているところでございます。
 その上で、法務省は、第一章から第三章は所管しているところでございますが、このような新たな法的枠組みについての検討の方向性も踏まえながら、必要な検討は行ってまいりたいと考えているところでございます。

#105
○池田(真)委員 必要な支援とかそういうことではなくて、第四章の根拠になってくるんですよね。代わる支援というんですけれども、そもそも第四章では足りないんだという議論をずっとしているわけですよね。だから、新しい、リニューアルという支援も必要だし、その支援の根拠が必要なんだということを言っているわけですよ。
 元々、この法律自体が、措置とか、そういう措置じゃないでしょうと、回復支援ですよというような実態だったりとか、学校や職場を辞めなくてもいい支援だとか、逃げない、辞めない、殺されない、これがもう鉄則だという状況なのにもかかわらず、この売春防止法の位置づけというのはそれ自体が問題であると。
 実際に今必要な女性支援というものを新たな枠組みで作るといったとき、その根拠が求められていて、厚労省は厚労省で支援策をやると思います、他の省庁も含めて検討する、いろいろな実際に支援されている方々始め自治体、そして我々も検討を進めたいと思っています、立憲民主党でもワーキングチームをつくらせていただいてやっていますけれども、やはりそこの根幹的な位置づけですよね、そこにひっかかってくるから、やはりこれは、売春防止法制定にもすごい時間をかけて国会の中で審議をして議論されていました、議事録も全部読んでいますけれども、それに代わるぐらいの時間とかをかけてでもやはりすべきではないかと私は今思っているんですね。抜本的な法改正が今求められているのではないかというふうに思っています。本当に女性人権法みたいな形からやっていく必要もあるのではないかということで、そもそもの売春防止法自体の問題点というのを改めて重く受け止めていただいて。
 それで、やはり新たな支援策といったら、それの根拠からまた始まると思うんです。両併記で、厚労省の新しい支援策ができても、一方で女性が処罰されてしまう、そういう危険性のある法律が両輪としてあるということは、不安だし、危険だしということなんですよね。なので、買う男はよしとして、売る女と業者に刑罰を与える、そうではなくて、中間まとめにも書いてあります、女性の人権を確立する新たな制度設計に向けて、それは厚労省の方の支援策は支援策かもしれません、でも、大本の位置づけの売春防止法自体の見直しとか問題点、時間をかけてでもいいので、すごく国際基準に近づけながらも、法律的にも位置づけながらも、当事者が更に選びながら、選択をしながら、守られていく、そういった制度が必要だと思っています。
 大臣、運用の矛盾もありますし、抜本的な法改正に向けて、このタイミングででないと一歩を踏み出せないんじゃないかと私は思っているんです。一方で第四章の話が出ていますし。そして、こういうタイミングででないと、この売春防止法自体、第一章、第二章、第三章、そこからの検討が必要なのではないかというふうに思うんですが、大臣、受け止めをお願いしたいと思います。

#106
○上川国務大臣 売春防止法の構成の中で規定をしております四章のところの規定でありますが、この規定につきましては厚生労働省の所管事項ということでございます。
 その意味で、売春防止法が、この先の新たな法制度について議論をする中でどのように関わってくるのかということについては検討をしている状況でございます。
 委員から御指摘でございますとおり、女性をめぐる様々な課題は非常に複雑化しておりますし、お一人の方がいろいろな要素を持って課題を抱えていらっしゃるということ、また、若い方々につきましても、なかなか相談するところがなくて、民間の方がアウトリーチしながら、その状況についてレスキューするというようなことでございまして、委員から、被害者ではないかという御指摘もあったところについては、いろいろな面、顔を持っている状況であるというふうに認識しております。
 その意味で、困難な問題を抱える女性という、そういう枠組みの中でしっかり捉えて、その方たちの自立支援というものはどうあるべきなのか、そして、それを推進していくために必要な枠組み、法的な根拠はどうあるべきかということについて御議論をいただいてきたと認識をしているところであります。
 もちろん、支援の部分については、運用ということもございますので、その改善をするわけでありますが、同時に、少し時間をかけてということで、この枠組みについての見直しということについての議論がやはり本質的なところということで必要であるというふうに認識しておりますので、法務省としても、そういう意味で、これは、担当はここだけというようなことでない、この問題を総合的に解決するために法務省としてやるべきことについてはしっかりと取り組んでまいりたいと思いますし、これまでもそうしてきたつもりでありますが、これからもしっかりとやってまいりたいと思います。

#107
○池田(真)委員 ありがとうございます。
 支援策の方はまた別途だと思いますけれども、根幹の問題ということで、是非、時間をかけてでも、売春防止法自体の抜本的な見直しに向けて、議論を少なくとも進めていただきたいというふうに思っております。
 そして、別の議題に行きますけれども、質問になりますけれども、質問といいますか、これは、みんなでちょっと見てみましょうという感じで今日は資料を配らせていただきました。
 まず、この一ページ目の表ですね、下の表になりますが、これをざっと見て、女性の刑法犯の検挙人員の年齢層が書かれています。そして、二ページ目ですね。二ページ目に関しては、これは、男女の刑法犯の検挙人員の、どういったことだったのか、男女別が今示されているわけですね、上と下ということで。下は、高齢者ですね、うち高齢者ということなんですけれども。これだけ見ても、ここだけをちょろっと見ただけでも、例えば一ページ目でいいますと、ああ、高齢の女性がこんなに増えているんだということがグラフで読み取れるかなと思います。
 そして、二ページ目でいいますと、万引き、あと窃盗、これが女性がすごく多いんですね。男性と比較にならないほどです。二一・六%の万引きに対して、女性は五五・七%です。窃盗を含めると更に率は広がるんですが。
 一番下のこの二ページ目は、高齢者の内訳なんですね。男女比を御覧いただきますと、女性の高齢者は、検挙された中身、七割超え、七五・六%が万引きなんですね。それ以外の窃盗一四・六%。物すごく、窃盗というだけでも、根拠とか、どういう事案なのかという詳細を突き詰めればケース・バイ・ケースということはよくよく承知をしておりますけれども、ただ、背景に共通する課題として、困窮とか、年金とか、そういったものも読み取れるのではないかななんというふうに思うんですね。
 大臣は、これを御覧になられて、どうお感じになられますか。

#108
○上川国務大臣 法務総合研究所が実施いたしました窃盗の罪で有罪判決が確定した者を対象とした調査によりますと、犯行動機を見ますと、高齢女性の万引き事犯等につきましては、高齢男性の万引き事犯者と比較いたしまして、節約を動機とする者の割合が高く、生活困窮を動機とする者の割合が低い。また、背景事情を見ますと、高齢女性の万引き事犯等については、高齢男性の万引き事犯と比較して、心身の問題でありますとか、近親者の病気、死去を背景とする者の割合が高いということで、同じ状況につきましても特徴がちょっと違うということについては、女性特有の背景を持っているのではないかというふうに思うところでございます。
 最近の刑法犯の検挙人員につきましても、高齢者の占める割合というものが上昇傾向にあるということについてはそのとおりでございまして、また、繰り返しの万引き等につきましては、繰り返して重犯をするという形の中で、大変長期にわたって収容されるというケースもあるということでございます。
 非常に、女性特有の問題に絡む問題につきましては、しっかりとその特性の背景、そういったものを踏まえた形でしっかりと対応していく必要があるということについては、そのとおりであると思っております。

#109
○池田(真)委員 この傾向、グラフでいうと変化が、男女比だけではなく、時代によって変化が出ているものもあります。この実態のグラフから、あとは、中での処遇を是非生かしていただきたいというふうに思っています。
 その背景、加害者になられたという中でいいますと、例えば千葉の銚子でありましたね、シングルマザーのお母さんが中学二年生のお子さんを鉢巻きで絞めてしまったといったところにもいろいろな課題が実はあったりとか。あとは、産婦人科医会なんかでも発表されていますけれども、若年者が赤ちゃんを出産して、そのうちの、ゼロか月というんですかね、ゼロ歳児がおおむねといいますか半数を占めるわけですけれども、うちゼロか月児、要は出産直後なのか、一か月に満たない子供さんが、四五・九%も亡くなっているということがあります。心中以外の死亡例の実数ですから。そのうち特に、加害者と言われる、要するにお母さん側が、十九歳以下が二六・六%も占めていたということで。
 こういったものからどういった、防犯といいますか、防いでいくこと、その後のケアはもちろんなんですが、そういったところも防ぐ、犯罪を防ぐということで何が必要なのかということを、是非そういった視点も、処遇を生かしていっていただきたいというふうに思います。女性特有な、陰に隠れてしまっている課題だというふうに私も思っていますので、これはお願いしたいと思っています。
 ちょっとここはもう、大臣からの前向きな、共有できる御見解を先ほどいただきましたので、先に進めていきたいと思います。ありがとうございます。よろしくお願いします。
 済みません、その後、ちょっと順番を変えます。三番、四番に通告していたものを四番、三番にさせてもらいます。時間があったら三番、一分でもちょっと確認したいと思いますが。
 次は、名古屋の入管で亡くなられましたスリランカ人の女性の方についての確認です。
 二十六日に、立憲民主党でも法務省の方に、松本次長に、申入れといいますか、お願いに上がらせていただきました。ありがとうございます。
 その後どうなったかというところ、現在の状況、もう四月に入りましたので、教えていただきたいと思います。

#110
○松本政府参考人 お答えいたします。
 先週、申入れ書をいただきまして、ありがとうございます。その内容は、直接大臣に御説明を申し上げたところでございます。
 その上で、現在の状況を申し上げますと、当庁におきましては、調査に外部の方五名に入っていただきました。具体的に申し上げますと、入国者収容所等視察委員会の現役委員又は元委員であります学識経験者、法曹関係者、医療関係者、NGO関係者、地域住民の中から各一名、合計五名の方々に調査に加わっていただき、まずは、事案の概要資料や関係記録の写しなどを送付し、検討していただいているところでございます。
 当庁の調査チームにおきましては、この五名の方々も加えました上で、この五名の第三者の方々の御意見や御指導もいただきながら、まずは、四月十日前後を目標に、亡くなられた方の診療経過や健康状況の推移等の客観的な事実関係をある程度まとまった形で明らかにすることを考えているところでございます。
 以上でございます。

#111
○池田(真)委員 四月の上旬の報告というのは、今おっしゃった四月十日ということなのかもしれないんですが、調査の結果なんですけれども、そういう方向になったよということは、ちょっと早い方がいいんじゃないでしょうかね。
 この間もいろいろやり取りをさせていただいているので、少なくとも、申入れを受けて五名のそういう外部を入れたんだということであれば、第三者の方を入れたんだということであれば、その段階でお答えいただいた方が建設的ではないかなというふうに思っています。不信の塊に今なっているわけですから、そこを是非、小出しに、ちゃんとレスポンスをいただきたいと思います。

#112
○松本政府参考人 お答えいたします。
 この第三者の方々につきましては、大臣から三月十六日に、第三者の方々を入れるようにという御指示を受けて、調整等を行っていたところでございます。
 その上で、私の先ほどの説明がちょっと不十分だったかと思いますが、もう既にこれらの方々には調査に参加していただいて、関係記録等々をお送りして、内容を確認等をしていただいているところでございます。
 その上で、さらに、これらの方々からの御意見、あるいは、こういう調査が必要ではないのかという御指摘を踏まえて、更なる追加の調査を行った上で、先ほど申し上げましたように、四月十日前後を目標として、少なくとも診療経過や健康状態の推移等の客観的な事実関係について、中間報告的な形で取りまとめをしようという形で準備を進めているところでございます。

#113
○池田(真)委員 時間がなくなりますので、今の話はちょっと、引き続き確認も行っていきたいと思うんですが。
 DVの関係なんですけれども、通知がもう既にDV改正法で二〇〇四年に出されているんですが、二十三条に、被害者の国籍問わず人権を尊重して、在留資格の有無を問わないということなんですが、そこの認識は今持たれているんでしょうか。

#114
○松本政府参考人 お答え申し上げます。
 当庁の所管を超えるところはあるとは思うんですが、外国人の方々、これは正規、非正規かかわらず、DVの相談等がなされた場合には、関係各所等に必要な調整を行うというような取組は平素からやっているところでございます。

#115
○池田(真)委員 個別事案ということなので、また別途、プロジェクトチーム等でもお伺いしてまいりますけれども、DVの関係で、もしその措置がされていない、そしてあとビデオの関係もこの後公開とかを求めていきたいというふうには思っておりますけれども、私も実際に入管局とやり取りをさせていただいて、もちろん別件ですよ、保護を優先して様々な措置をさせていただいたという経緯がございますから、今回の件が極めて非人道的で、本当に、今ある材料だけでも、国際的にも誰も納得のできない、理解のできないことであるので、これはまた引き続き確認をさせていただかなければ、この後用意をされております法案、とてもじゃないけれども審議ができないと思います。しっかりとお答えいただきたいと思います。
 そのことをお願い申し上げまして、今日は質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
    〔委員長退席、山田(賢)委員長代理着席〕

#116
○山田(賢)委員長代理 次に、藤野保史君。

#117
○藤野委員 日本共産党の藤野保史です。
 今日は、少年法の審議に先立って、少年法のそもそもの成り立ちや、あるいは戦前戦後の動きについて質問したいと思います。
 少年犯罪者を成人と区別して処遇する制度としては、近代法としては、まず旧刑法があります。これは、満二十歳までは、裁判所の判断で、懲治場に留置できると言われておりました。ただ、実際は、その処遇は成人が入る刑務所以上に刑罰的で、監獄の幼稚園と言われていたそうであります。
 その後、一九〇〇年に感化院法ができ、いろいろ対応は変わるんですけれども、結局、基本的には、この時代というのは、少年は懲らしめる、あるいは感化する、そういう客体としての位置づけでした。その後、一九二二年に、大正十一年に旧少年法が制定されます。今から九十九年前になるわけです。
 法務省にお聞きしますが、旧少年法の提案理由説明で、これは一九二〇年七月十二日の国会議事録があるんですが、鈴木喜三郎司法次官が「不良少年ヲ感化教養シテ、」とあるところの一文をちょっと御紹介ください。

#118
○川原政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘の部分、読ませていただきます。
 「不良少年ヲ感化教養シテ、優良ノ国民タラシムル為メニハ、此少年法案ヲ制定スル必要ノアルコトハ、言フヲ俟タヌノデアリマス、」
 以上であります。

#119
○藤野委員 今のが旧少年法の提案理由説明で、つまり、感化教養によって優良な、戦前は絶対主義的天皇制ですから、いわば皇国臣民、優良な国民の育成を目指すという法案でありました。その後、日本が戦争に突入していく中で、この旧少年法というのが、いわゆる保護少年、犯罪少年らを戦争遂行に動員するものになっていきます。
 配付資料の一を見ていただきたいんですけれども、これは、当時、少年保護記念日というのがあったんですね、制定されておりまして、一九三八年のその日、四月ですけれども、司法大臣が談話を出しているんですね。
 そこに黄色く線を引っ張っているところを紹介しますと、「昨年七月支那事変勃発し、挙国一致国難に当るの時に際会し、少年保護事業もここに新なる重大な責務を担当することになった」と。ちょっと飛びますが、「少年保護事業の革新的飛躍と発展とを図る」とあるわけであります。
 どのような革新的飛躍と発展を図るのかということで、同じ資料の一番左の方ですけれども、各少年審判所における活動目標というものを改めて定めます。
 一つは、皇道精神の昂揚、これはまさに、そこの下にちょっと書いていますが、少年の教化に際して教育勅語とか軍人勅諭を徹底するんだというような中身ですね。あるいは、少年の体位の向上、そして兵役志願の勧奨、そして保護少年の大陸進出、満蒙義勇軍のことですね。
 法務省にお聞きしますが、戦前の保護少年らが少年審判所から兵役に従事した、この資料が、例えば司法保護研究所が編さんされた司法保護事業年鑑というのがありまして、ここに、例えば昭和十三年、十四年の二年について、保護少年の兵役願状況という箇所があるんですが、その表の数を御紹介ください。

#120
○川原政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の司法保護事業年鑑、昭和十三年、昭和十四年の四百六ページにございます「保護少年の現役志願状況」と題する表のうち、昭和十三年の合計の受験数は二百七十一、合格数は百五十九、昭和十四年の合計の受験数は四百七、合格者数は二百二十三と記載されているものと承知をしております。
 また、御指摘の少年保護年報、昭和十三年度の三ページの第四節「兵役志願の勧奨」にある表のうち、受験者総数欄には七十九、合格数欄中の計の欄には、陸軍が六十、海軍が四と記載されているものと承知しております。

#121
○藤野委員 やはり、かなりの数が少年審判所から実際の戦場に行った。一九三八年、昭和十三年には百五十九人、一九三九年には二百二十三人です。
 満蒙義勇軍については大変限られた資料しかないんですが、今、後半御紹介いただいた少年保護年報の昭和十三年度を見ますと、応募者六十二名に対して合格者十五名という数字が残っております。これは大阪少年所だけなんですね。
 大臣にお聞きしたいんですけれども、限られた資料なんです、でも、本来、ある意味、教養の対象、今の言葉で言えば保護と更生の対象となるはずだった多くの少年が戦場とか満州とかに送られていった。それで多くが犠牲になっております。
 戦前の少年法がこういった戦争遂行のために機能したということをどう考えるか。大臣、この歴史をどのように考えますか。

#122
○上川国務大臣 お尋ねになりました旧少年法に係る運用の実情、こういったものに関わるものでございまして、当時の事実関係をつぶさに把握していませんので、法務大臣として所見を申し上げるということはなかなか難しいことではございますが、当時の時代の背景が様々あったとはいえ、子供にとりましてはなかなか厳しい現実があった、その実態を見る思いでございます。

#123
○藤野委員 立場というより、私は少年法のことを聞いたんですね。
 旧少年法も、そういう意味では、旧刑法とか感化院法とは違って、いわゆる育成という側面、保護主義という側面もかなり萌芽としては出てきていた。しかし、戦争に入っていく中でそこが大きく変わっていって、まさにそこから少年たちが実際の戦場に行くとかいう歴史に、実際に起きたわけですね、旧少年法のもとで実際に起きたわけです。ですから、やはりこれは重いと思うんです。
 そうではなくて、その反省に立って、戦後、日本国憲法が作られ、そして、少年法というのも理念が根本的に更に転換されていくわけであります。何が違うかというと、やはり教養とか感化、そういう客体ではなくて、基本的人権の主体である。まさにそういう人権、権利の主体として位置づけられて、そこに可塑性があるんだ、とりわけ。ということで、まさに少年法の一条で、少年の健全な育成ということがはっきりとうたわれたということになります。そういう点で、そこもちょっと跡づけで、跡づけというか、しっかり見ていきたいと思うんです。
 法務省にお聞きします。
 一九四八年六月十九日に、現行の少年法の提案理由が説明されております。配付資料でもお配りしているので、それを見ながらお聞きしていただければと思うんですが。一九四八年六月十九日、この衆議院の司法委員会会議録六ページなんですが、一番上の段、まず家庭裁判所の設置について提案理由が説明されているんですが、例えば十行から二十行目、どのように説明しているでしょうか。

#124
○川原政府参考人 済みません、ちょっと今、部分を御指摘されて、「第一は」のところから何行目までとおっしゃいましたでしょうか。(藤野委員「二十行でいいです。「なお」のところは結構です。そっちは私がやりますから」と呼ぶ)分かりました。その「なお」の手前まででございますか。(藤野委員「はい」と呼ぶ)恐れ入ります。申し訳ございません。
 お答え申し上げます。
 「第一は家庭裁判所の設置であります。新憲法のもとにおいては、その人権尊重の精神と、裁判所の特殊なる地位に鑑み、自由を拘束するような強制的処分は、原則として裁判所でなくてはこれを行うことができないものと解すべきでありまして、行政官庁たる少年審判所が、矯正院送致その他の強制的処分を行うことは、憲法の精神に違反するものと言わなければなりません。従つて少年審判所を裁判所に改め、これを最高裁判所を頂点とする裁判所組織の中に組み入れるのは当然のことでありまして、このことは法務庁設置法制定の際、政府の方針としてすでに確定しておるところであります。」

#125
○藤野委員 まさに新憲法の下において、人権尊重の精神と、裁判所の特殊なる地位、つまり司法権の独立、やはりこの観点から家裁がつくられた。
 「なお」以下と申し上げているのは、実は、初めは少年裁判所というのをつくろうと、家裁じゃなくて。という構想だったんですが、そのところにありますように、「少年の犯罪、不良化が、家庭的原因に由来すること多く、少年事件と家事事件との間に密接な関連が存することを考慮したため」に、少年裁判所じゃなくて家庭裁判所ができた。そのことがここで提案されております。
 第二が、旧少年法というのは十八歳が年齢だったんですが、現行法は二十歳に引き上げたんです。これがその二段目に書いておりまして、法務省、この二段目の十二行目から二十二行目まで、この部分。

#126
○川原政府参考人 お答え申し上げます。
 二段目の十二行目から二十二行目まででありますね。
 「このことは彼等の犯罪が深い悪性に根ざしたものではなく、従つてこれに対して刑罰を科するよりは、むしろ保護処分によつてその教化をはかる方が適切である場合の、きわめて多いことを意味しているわけであります。政府はかかる点を考慮して、この際思い切つて少年の年齢を二十歳に引上げたのでありますが、この改正はきわめて重要にして、かつ適切な措置であると存じます。」
 以上でございます。
    〔山田(賢)委員長代理退席、委員長着席〕

#127
○藤野委員 そういうことなんですね。「この改正はきわめて重要にして、かつ適切な措置」ということでありました。
 そして、第三が、その横にありますけれども、保護処分と刑事処分との関係です。これは、戦前の旧少年法が、刑事処分先議主義というか検察官先議なんですね。これを家裁全件送致、保護処分優先主義に変えたということであります。
 ここはちょっと時間の関係で私が紹介しますが、三段目の真ん中辺りにありますけれども、「この点は今回の改正中最も重要なものの一つでありまして、少年に対する刑事政策上、まさに画期的な立法と申すべきであります。」というふうに言われております。
 大臣、お聞きしますが、やはりこうした旧少年法の下での、戦争に少年たちを動員していったという、この旧少年法が果たした歴史への反省から、戦後、少年法の大改正が、今言ったような、今三つ紹介しましたけれども、ほかにもいろいろあるんですが、大改正が行われて、それによって少年の健全な育成を図ろうということになった、そういう経過だということでよろしいですか。

#128
○上川国務大臣 昭和二十三年に制定されました現行少年法は、保護処分の決定主体、また適用年齢、いわゆる全件送致主義の採用などの点で、旧少年法とは大きく異なるものと承知をしております。
 その現行少年法の制定に至った経緯、要因等につきまして、当時の我が国の状況、その背景を踏まえて、様々な分析、評価があり得るところでございます。こうした点については、専門家によりまして学術的、歴史的な検討に委ねるべき事柄ではないかというふうに考えておりますが、現行の少年法を所管する法務大臣といたしましては、この少年法に基づく制度につきましては、少年の再非行の防止と立ち直りに一定の機能を果たしているというふうに認識をしているところでございます。
 第一条の理念に照らして、基本的人権をしっかりと守りつつ、矯正保護につきましては十分にこの少年法の趣旨、理念が生かされるよう運用していくべき事柄というふうに考えております。

#129
○藤野委員 ちょっと、聞いていることにはお答えになっていないんですね。やはり重い歴史的事実があるんだ、その下にこういう柱で改正がされているわけであります。
 ところが、現行少年法というのは、成立直後から改正の圧力がずっとかけられ続けてきました。一九六六年には法務省から少年法改正構想というのが提出されまして、この改正構想を説明するために、こういう、少年法改正に関する構想説明書というのも出されました。
 法務省にお聞きしますが、この構想説明書というのは旧少年法をどのように評価していたか。この説明書の三ページの四行目、「旧少年法は、」から始まる一文、御紹介ください。

#130
○川原政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の部分を朗読させていただきますと、「旧少年法は、長年月の慎重な検討を経たものだけに、すぐれた制度であった。」と記載されております。

#131
○藤野委員 配付資料の三に紹介しておりますが、ちょっと私は驚いたんですね。要するに、当時、一九六〇年の法務省というのは、戦前、旧少年法が保護少年たちを戦場とか満蒙、満州に送り出していった、多くの犠牲を生んだ、そういう法体系の中心にある少年法を優れた制度と評価しているわけです。そして、その下で、この改正構想、法務省の改正案の中では、適用年齢を旧法と同じく十八歳に引き下げるとか、あるいは旧法と同じく検察官に先議権を与えるとか、あるいは虞犯を否定するとか、そういう、旧法に戻していこうという形になっております。
 当時の日弁連も、この構想説明書についてこう言っております。構想は、歴史的に克服された少年に対する厳罰の威嚇を復活させ、旧少年法への復帰を目指すものであり、その結果、少年の人権と健全な育成とが犠牲にされるものであるという趣旨の、趣旨というかそういう意見を、日弁連も意見書を出しているんですね。それで出しております。
 問題は、なぜ当時の政府は旧少年法への復帰にこだわったのか、ここだと思います。配付資料の四を御覧いただければと思いますが、これは同じ説明書の二百十二ページなんです。こちらで紹介しますけれども、「わが現行少年法は、戦後米国型の法制が移入されて制定されたものであり、必ずしもわが国の風俗・習慣・歴史・風土・国民感情・司法制度に適合したものであるということはできない。」はっきり書いているんですね。つまり、米国型の法制を変えたいということで、この提案がされている。
 配付資料の五を御覧いただきますと、当時の、ちっちゃい字で恐縮なんですが、五も、その裏も同じなんですが、例えば、ちっちゃい字の方は毎日新聞の一九六六年五月二十四日付、黄色く塗っている左下のところでは、「法務省のいい分では、現在の少年法は終戦後GHQに押しつけられたものだから、」「改正すべき点が多かった、」と指摘しておりますし、その裏は読売の社説なんですけれども、「法務省としては、このいわば占領立法を、わが国の実情に適合するよう改める」というふうに紹介しております。結局、アメリカから押しつけられたから改正したいというのが動機だったわけですね。
 一九六六年当時も、既にもう少年法は二十年近く施行されて、有効に機能している、改正の必要はないという指摘が、後で出しますけれども、最高裁からも日弁連からも立法事実はないという指摘がされていたんですね。立法事実がないのに何が何でも変えるというこの点で、大変今とよく似ていると思うんですが、やはり少年法というのが、日本国憲法に基づいて、教育基本法などと並んで、これはもう押しつけ立法なんだ、もう改正しなきゃいけないんだということで、そういう執念を燃やしてきたということがこの構想書からひしひしと、いろいろな箇所で出てきます。
 問題は、幾ら執念を燃やしても、肝腎の立法事実がないわけであります。
 最高裁にお聞きしますけれども、ちょっと簡潔に御紹介いただければと思うんですが、幾つか紹介したかったんですが一つだけに限りますけれども、当時、十八歳、十九歳を、適用年齢、外すという案に対して、最高裁はどのように意見を述べられているでしょうか。

#132
○手嶋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
 委員の資料で御提出をいただいている資料の該当部分を読み上げさせていただくということでよろしゅうございましょうか。(藤野委員「はい、結構です」と呼ぶ)読み上げさせていただきます。
 「一七歳と一八歳は人間の精神的・社会的発達段階からみて決して年齢の切れ目ではない。しかも人格の成熟度は個人により、男女により、また地域により差のあることは多く論ずるまでもないところである。したがって一七歳と一八歳との間で一線を画し、一八、九歳と一六、七歳の少年を、その処理・処遇の手続・原理において画一的に区別することは、処遇の個別化に資するところがないばかりでなく、かえって個人の成熟度の変化に応じた個別的処遇の実現を妨げるものといわなければならない。」

#133
○藤野委員 今お読みいただいたのがこの意見なんですね。
 確かに、今と状況も違いますし、今回の法案と当時の改正構想には違いもあります。他方、しっかり分析されているので、今と重なる論点も結構あるんですね。
 そういう意味で、私は、今回最高裁が、あるいは家裁がこうした意見書を出されなかったことというのは、正直言って大変残念だなというふうに思っております。というのも、現場を一番知っているわけですね、少年犯罪の実情とか少年処遇の実情とか。運営されているわけですから。実際、過去、こういう意見も出されている。しかし、今回はそれが出されていないわけです。
 私、なぜそれが必要かなと思うかといいますと、率直に言って、今、国民世論と少年犯罪の現実に対する認識というか、大きなギャップがあると言わざるを得ないと思うんです。少年犯罪は、凶悪犯罪も含めて大幅に減少している。ところが、世論調査をやりますと、少年法改正には賛成だというものが結構あるわけです。現実と国民の認識とが大きく乖離している。乖離を埋めるためには、少年犯罪の実態とか処遇の実態とかをやはり広く国民に知っていただく必要があると思うんです。それには、その現場で頑張っていらっしゃる最高裁や家裁の皆さんが声を上げることが最も効果的だと思うんです。
 実際、かつてどうだったか。配付資料の七を御覧いただきたいと思うんですね。
 これは、一九六六年、先ほど言った法務省の改正案を出すに当たって、当時の法務大臣である石井大臣が談話を出しております。「広く意見聞きたい」と。「ガラス張りの中で話し合いを進め最良のものをつくりたい。」とおっしゃっております。これに応えて、最高裁は少年問題協議会というのをつくります。事務総長を委員長にして、東京家裁裁判官ら第一線の裁判官も加えて十六人で四回会合を重ねて、先ほど言ったこれを作っていくわけですね。
 そして、さらに最高裁は、それを踏まえて、全国の高裁長官・家裁所長会同というのを開いております。それが、次の配付資料八になります。
 ここで、当時の最高裁長官、横田最高裁長官のところを黄色く塗って紹介しております。こうおっしゃっています。「非行少年の問題は、少年の環境、教育などの問題も含め、広い視野と高い見識のもとに検討すべき大きな問題である。法務省が、この問題の取扱いに慎重であり、立法当局者だけで立案を進めないで、広く世に意見を問う態度を表明していることは、まことに意義のあることである。」とおっしゃっております、最高裁。
 長い歴史もあるわけで、いろいろな立場の違いはあったんでしょうけれども、少なくとも、当時の法務大臣がこうやって呼びかけて、実はこれは複数の案を提示しているんですね、少年法についても。それに対して、最高裁もそれに応えて、今日、家庭局に来ていただいていますけれども、それまでは、実は家庭局の意見表明だったんですね。最高裁全体とかではなくて、家庭局と法務省のカウンターパートがやっていた。というのを乗り越えて、大臣が広く意見を呼びかける、それに対して最高裁も、特別な委員会をつくって、そして意見書をまとめていったわけです。
 こうしたプロセスが、少年犯罪とかあるいは処遇の実態に基づく国民世論、これをつくっていく上で大変重要な役割を果たしました。当時の新聞、いろいろ読みましたけれども、本当に大事だなと。一面トップで、ばんばんばんばんやるわけですね。
 最高裁にお聞きしますが、現場を一番よく知る者として、やはり今回の法案についてもこうした意見、表明、なされた方がいいんじゃないでしょうか。

#134
○手嶋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
 かつて、委員御指摘のような意見を最高裁判所事務総局ということで公表した経緯はそのとおりでございます。
 もっとも、今回の法案につきましては、公職選挙法の定める選挙権年齢が満二十年以上から満十八年以上に改められ、民法の定める成年年齢も二十歳から十八歳に引き下げられることとなり、十八歳及び十九歳の者が成長途上にあり可塑性を有する存在である一方で、社会におきまして責任ある主体として積極的な役割を果たすことが期待される立場となったことなどを踏まえ、これらの者について、少年法の適用において、その立場に応じた取扱いをすることが適当であるとの考えから、十八歳及び十九歳の者の保護事件及び刑事事件の特例に関して定めるものでありますところ、これは基本的には立法政策の問題であると承知しておりまして、裁判所としては、その当否について意見を述べる立場にはないというふうに考えております。

#135
○藤野委員 いや、立法政策の問題だからって、かつては物すごく意見を言われているんですよ。すごく内部でも検討されて、最高裁長官が意義あることであると言って、やられているわけですね。
 大臣にもお聞きしますけれども、今回の審議に当たっても、やはり大臣が呼びかけられれば、それは大臣が呼びかけたのならということで動くかもしれません。大臣、呼びかけられたらいかがですか。

#136
○上川国務大臣 今国会に提出いたしました少年法の改正案でございますが、法制審議会の答申に基づくものでございます。
 法制審議会の部会におきましては、関連する法分野の研究者等のほか、少年事件の実務に精通した元裁判官や弁護士、また、家庭裁判所を所管する最高裁判所事務総局の担当官も構成員として参加をされておりました。
 また、法務省におきましては、この法制審議会への諮問に先立ちまして、若年者に対する刑事法制の在り方に関する勉強会を開催いたしまして、法律、教育、医療等の関係分野の実務経験者や研究者、保護司、元家庭裁判所調査官等、合計四十名、延べ四十一名の方々からのヒアリングを行い、その結果を取りまとめて、また法制審議会に提出をしたところでございます。
 さらに、法制審議会の部会におきましても、家庭裁判所、少年院、保護観察所等の視察や、また、その職員等、合計十六名の方々からヒアリングを実施し、それらの結果も踏まえて調査審議が行われたものとの理解をしております。
 以上のように、少年法改正案につきましては、御指摘いただきました裁判所も含めまして、多様な立場からの御意見を踏まえた幅広い観点からの検討を経て、全会一致で取りまとめられた法制審議会の答申に基づきまして立案をしたものでございます。

#137
○藤野委員 いや、法制審とおっしゃるんですけれども、今回、どれだけ異常なプロセスだったか。法制審では三年にわたって議論しましたけれども、やはり立法事実に欠けるという根本矛盾を乗り越えられずに、膠着状態に陥るわけです。これを乗り切るために与党PTがつくられて、強引にと言ってはあれですけれども、ある意味、道筋をそこでつけた、そういうプロセスであります。
 かつて、法制審というのは、ちょっと調べてみましたら、法務大臣が会長をされていて、諮問する方と出す方がトップが同じというおかしな時代もあって、しかし、それはおかしいということや、何より合議体としての自立性を重視する、そしてより客観性のある議論を促進する立場から、二〇〇〇年に、大臣が会長をするというのは廃止されているんです。だから、法制審というのは、一定の政府からの自立性を持って、専門的立場から客観的な議論が行われるべきところなんです。
 ところが、今回の少年法は、完全にもう与党PT主導で議論が進んで、それに沿う形で取りまとめが行われた。こういう形でも異常なプロセスであります。
 そういう意味で、もう時間が来ましたので終わりますけれども、やはり少年をめぐって、私は、実態とそして国民世論の間にギャップがある今こそ、まさに広く世に意見を問うことが求められていると思います。
 今、最高裁はちょっと沈黙しているんですけれども、裁判官OBあるいは各地の弁護士会、そして刑事法学者、そして日本女性法律家協会や日本児童青年精神医学会などからも反対の声が多く寄せられております。まさに少年犯罪の現場やそれに深く関わる人々の意見であります。こういうものをしっかり受け止めていくことが重要ですし、私どもは、この法案は本当に多くの問題があるというふうに思っております。
 このことを指摘して、質問を終わります。

#138
○義家委員長 次に、高井崇志君。

#139
○高井委員 国民民主党・無所属クラブの高井でございます。
 今日は、まず最初に、先ほどから階委員や山花委員から大変いい質疑があったと思うんですけれども、そして、昨日の理事懇談会でも私申し上げましたけれども、検察のリークというか、情報が出てしまう、マスコミに。そしてそれが、国会議員には言えないことがマスコミにはしゃべれる。このこと自体、大変な国会軽視、立法府軽視だと思いますが、それと同時に、検察が、私は意図的なリークじゃないかとやはり疑ってしまいますね。
 私も、役所出身、総務省出身で、リークというのはやはりあります。政策を進めるために特定の記者に話をして、そうすれば一面トップに載ったりして、そのことで世論を誘導していく。私はこれは一概に否定するべきものではないと思いますが、検察がこれをやる、しかも検察がより普通の役所以上にやっている、これはやはり私は本当に問題じゃないかと思って、昨日も理事懇で川原局長には申し上げましたけれども、理事懇の場では時間もなかったのでその回答を、川原局長の回答をいただけなかったのでいただきたいんですが。
 これ、リークと言うと、多分、リークはしていませんという答弁なので、リークとは言いません。取材を受けるなとは言いません、それは取材の自由、報道の自由がありますから。しかし、そこでしゃべること、しゃべれることのしっかり節度を持っていくということが、これはやはり検察として大事だと思いますけれども、刑事局長の見解を伺います。

#140
○川原政府参考人 お答え申し上げます。
 委員の御質問は、リークの有無というよりは、報道機関の取材に対する検察当局の対応についてだと思います。
 その関係でまず申し上げることは、捜査方針や捜査の過程で収集した情報、資料等、捜査の内容に関わる事柄が仮にも外部に明らかになりますと、委員、先ほど総務省ということで行政機関の例を御紹介いただきましたが、検察当局の場合、具体的な事件のことでいいますと、関係者の名誉、プライバシーを損ない、今後の捜査、公判への協力を得ることが困難になる、また、被疑者やその関係者による罪証隠滅工作を誘発するなど、捜査、公判の遂行に重大な支障を生ずることになりかねない、こういう弊害があるところでございます。
 したがいまして、検察当局におきましては、従来から捜査上の秘密の保持について格別の配慮を払っているものと承知しているところでございまして、報道機関との対応においても、こういった観点で適切に対応しているものと承知しております。

#141
○高井委員 それならなぜ、先ほど山花委員でしたかね、ゴーンさんの逮捕の瞬間とか、どう考えてもあり得ないじゃないですか。
 ですから、そういう通り一遍な回答ではなくて、私、川原局長ってどういう方かなと思ってさっき検索したら、そうそうたる経歴で、各地検を回り、そして東京地検の刑事部長もされ、東京高検の刑事部長もされ、そして最高検の検事もされ、そして法務省の官房長、刑事局長。もう典型的な検事総長コースですよ。検事総長になる方ですよ。
 だから、私は、本当にこのことは是非、やはりどう考えても、リークを絶対するなとは言いませんけれども、やり過ぎです、明らかに。世論を誘導するために検察がやるということは、それはやはり抑制的じゃないと。
 そこは是非、刑事局長、今後の検察の在り方を含めて、そういう通り一遍な答弁じゃなくて、その決意というか、抑制的にやるということを言ってください。もう一度。

#142
○川原政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御質問の前提が、リークがあったんだろうということで御質問されていることでございますが、先ほど来御指摘の報道を含めまして、まず、一般論として申し上げれば、報道機関各社独自の取材活動に基づいて得た様々な情報を、報道機関各社の判断において記事にしているものでございまして、報道機関において、いかなる取材、情報に基づいて当該報道を行っているかということは承知していないところでございます。
 したがいまして、私として、リークがあったんだという前提でこれをお答えするのはなかなか難しいところではございます。
 ただし、繰り返し申し上げますように、先ほど申し上げたことでございますが、捜査に関わる内容が、捜査の内容に関わる事柄が外に漏れた場合の弊害というのは極めて大きいものでございます。これは、事案によっては、被疑者本人あるいはその関係者の自殺等といった最も不幸な事態すら招きかねないことでございまして、現にそういったことが起きた例が、残念、不幸でございますが、ございます。
 先ほどちょっと私の経歴を御紹介いただきましたが、私も検察当局にいるときは事件をやっておりますし、現在の検察の当局にいる者も、自らの行っている仕事が極めてそういう深刻な仕事だということは十分に承知しているところでございますので、そういったことを踏まえた上で、報道機関との対応は適切にしているものと承知しております。

#143
○高井委員 その後段の問題だということを全国の、検察の、これから検察に戻ったときには是非そこを徹底していただきたいと思いますし、官僚の中にも、リークして世論を誘導することがいいことというか、そういうのができるのが優秀な官僚なんだと思っている人がいます。私は、経済官庁とかはそういうことはあるかもしれないと思っているんですけれども、やはり検察はそうではないということを再度、検察官全ての方に徹底をしていただくように、是非刑事局長にはお願いしたいと思います。
 それでは、選択的夫婦別姓の問題について私からも質問したいと思います。
 まず、法務大臣に伺いますが、通告の四番目に、法務省もよく私の質問レクで、どういう順番で質問しますかってすごく気にされるんですけれども、順番は当然その時々の状況で変えますし、あと、ちゃんと通告しているんですから、せめてそれくらいは頭に入れて、順番が変わってもちゃんと答えられるようにしていただきたいと思いますが、とんちんかんなことを答えられても嫌なので、四番目に質問していることを今から聞きます。
 旧姓使用を推奨するということを法務省も言っておりますけれども、しかし、ここで、既に事前にお渡ししていますけれども、ある女性研究者の裁判でも報告された言葉で、こういう言葉があります。夫の氏に変更するとこれまでの全ての業績を失うことになり、実質、私の研究者生命は死を迎えることになります。改姓の悩みは国際社会ではほとんど理解されません。日本から国外への知識の流出は今後ますます進むでしょうと。こういうやはり問題があって、旧姓使用では、特に海外との関係でいろいろな不都合があるわけです。
 あるいは、そもそも旧姓使用では、元々、いろいろな事情で、自分の家の事情とかで、両親の関係とかで、姓を変えられないというカップルが、このカップルはお互い愛し合っているのに結婚できない、事実婚せざるを得ないということを、選択的夫婦別姓にしないと今後も続けるということになるんですけれども、法務大臣はそれで本当にいいというふうにお考えなのか。
 法務大臣は、かつて二〇一四年の十月二十八日の法務委員会で、行田邦子議員の質問に、行田さんが、夫婦同姓を強制する制度が人権問題だ、人権を制約し、その解決が問題になっているという質問に対して、そういったことも総合的に勘案しながら考えていくべきだという、私は前向きな答弁だと捉えているんですけれども、そういう問題も、私は本当に旧姓使用は、先ほどの結婚できないという問題も含めて人権に関わる問題だと思いますが、この点について、法務大臣のお考えをお聞かせください。

#144
○上川国務大臣 社会における活動、また個人の生き方、多様化をしている状況でございます。女性が社会の中で不便さを感じない、そして伸び伸びと御活躍をいただくということ、こうした視点に立って制度そのものを整備をしていくということについては大変重要であるというふうに認識をしているところでございます。
 そういう認識の下で、政府においてはこれまで旧姓使用の拡大に取り組んできたという状況でございます。これらの取組によりまして、夫婦同氏制度の下で指摘されている不都合とか不利益につきましては一定程度緩和されているものというふうに認識をしているところでございますが、先ほど御指摘のとおり、研究者の方の切実な声というものについても、私自身、海外におきましては本当にそのとおりでございまして、強く認識してきたところでございます。そうした指摘も踏まえた上で、今、様々な御議論がなされているというふうに思っております。
 旧姓の通称使用につきましては、戸籍上の氏との使い分けが必要になるということになりますので、通称使用の拡大によって社会生活上の不利益そのものも全て解消されているというふうに言い切れないというのも認識しているところでございます。
 法務省といたしましては、男女共同参画基本計画、これは昨年の十二月に採決されたところでございますけれども、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方に関しましては、国民各層の意見、また国会におきましての議論の動向、また司法の判断、しっかりと注視しながら検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

#145
○高井委員 旧姓使用、通称使用では課題があるということを法務大臣もはっきり認めているわけですから、やはり、旧姓使用でいいじゃないかという議論にはならないと思うんですね。
 今、男女共同参画基本計画の話が出ましたけれども、しかし、あれを読むと、一次から四次までに比べればやはり明らかに後退した、そして旧姓使用をどんどん進めるんだというふうに読めますよね。
 そういう意味で、今日は男女共同参画担当副大臣の三ッ林副大臣に来ていただきましたけれども、実は通告した後に、内閣委員会で私、質問に立てということになったので、丸川大臣にもこの後聞くんですけれども、でも、それとはかぶらないように聞きたいと思いますが。
 三ッ林副大臣に是非聞きたいのは、ジェンダーギャップ指数がまた下がったというか、百二十位、百五十六か国中、G7最下位ということですが、やはり私はその要因の一つにこの問題もあると思うんです。もちろん、ジェンダー指数の指標の中に入っていないというのはもう分かっていますけれども、そういうことじゃなくて、男女共同参画がやはり日本は進んでいないというのが世界の見方です。
 そこは、ちょっと申し訳ないですけれども、三ッ林副大臣それから丸川大臣両名が署名をして、五十人ですかね、自民党議員が埼玉県議会に対して意見書を出さないようにという要請をされた。これは、埼玉県議会の田村議長が、議会への圧力だと感じたというふうにインタビューでも答えていますから、やはり、そういうことがあると、私は、男女共同参画は進まない、そうなると、ジェンダーギャップ指数も下位にとどまるという原因になると思いますけれども、やはり選択的夫婦別姓ということが、男女共同参画を進めていない、ジェンダーギャップを広げている、そういう認識は副大臣にはおありでしょうか。

#146
○三ッ林副大臣 高井委員にお答えします。
 我が国の男女共同参画については道半ばであります。現在の我が国の状況を考えますと、国際社会に日本がきちんとした形で、女性の政治参画も含めて、男女共同参画に取り組んでいるという姿を見せなければならないという非常に重要な局面にあると考えております。今後、いかに国際社会の理解が得られるかということについて力を尽くしてまいりたいと思っております。
 また、選択的夫婦別氏制度を含めた夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方につきましては、昨年末に閣議決定された第五次男女共同参画基本計画に基づき、「国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら、司法の判断も踏まえ、更なる検討を進める。」とされているところであり、民法を所管する法務省において、国会における動向を注視しながら、検討が進められていくものと承知しております。
 そしてまた、私が署名をしたということにつきましてでありますけれども、これは、自由民主党議員の有志による団体に所属しておりまして、その所属議員として名前を連ねたものでありまして、一国会議員として名を連ねたということであり、担当副大臣としての意見を表明したものではございません。
 様々な政策について、議員連盟や勉強会等に所属する議員として意見の表明を、名を連ねることはよくあることだと考えておりますが、現在、男女共同参画を担当する副大臣として重大な職責を担っているということを踏まえ、政府の一員という立場にあっては、今回、その署名に名を連ねたということは不適切であったのではないかとの御指摘、そういったことについては真摯に受け止めたいと思っております。
 ただ、やはり、第五次男女共同参画基本計画において、先ほどもお話ししましたとおり、選択的夫婦別氏制度を含め、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方に関しては、「国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら、司法の判断も踏まえ、更なる検討を進める。」とされているところであり、男女共同参画担当の副大臣として、本計画に基づき、更なる男女共同参画や女性活躍の推進の観点から、国民の皆様方の活発な議論が進むよう努めてまいりたい、そのように考えているところであります。

#147
○高井委員 法務省の答弁ならそうかもしれませんけれども、法務省はある意味中立な立場というか、両方の意見を聞いて。男女共同参画が推進しなかったら、前に進まないんですよ。
 ですから、やはり男女共同参画副大臣ですから、今、不適切であったという指摘を認める、真摯に受け止めると。結構私は重い発言だと思いますよ。ですから、そう思われているのであれば、やはり、これから男女共同参画推進副大臣としてしっかり、通称使用なんということでごまかさずに、選択的夫婦別姓まで求めないと、ジェンダーギャップ指数はいつまでたっても百二十位のままですから、是非そこは、午後、丸川大臣にも言いますけれども、是非一緒に進めていただきたいと思います。
 それでは、もう一度、法務大臣に聞きますが、二番目の質問です、問い二です、国連から再三にわたり、女性差別撤廃委員会から、夫婦同姓の義務づけの民法規定というのはもう改善すべきという提言を出されていますが、これについて法務大臣としてどう受け止めているか。あと、加えて、外務省がこの勧告文書を二年間も放置していたという事実が発覚しましたけれども、外務大臣は陳謝しましたけれども、やはり民法を所管する法務大臣として、このことについてどう受け止めているか、お聞かせください。

#148
○上川国務大臣 女子差別撤廃委員会から複数回にわたりまして勧告を受けたことについては承知をしているところでございます。
 これらの勧告でございますが、我が国が選択的夫婦別氏制度の導入等の民法改正を行わないことが条約に違反しているとの解釈を前提にしているようにも読めるところではございますが、我が国としては、民法改正を行わないことが直ちに条約に違反するものではないというふうに認識をしております。
 今後とも、勧告に対しましては、我が国の状況について適切に説明してまいりたいというふうに思っております。
 今御指摘いただきました、勧告書について二年間放置というこのことについては、これは女子差別撤廃委員会が平成三十年の十二月発出のものでありまして、日本政府によりましてフォローアップ報告に対する評価文書について関係省庁間で情報のやり取りに不備があったものというふうに承知をしているところでございます。
 当該文書につきましては、御指摘を受けまして、本年三月に外務省から内閣府の男女共同参画局に対して情報共有がなされて、内閣府のホームページに公表されたものというふうに承知をしているところでございますが、政府の一員としての立場ということで申し上げますと、国会の質疑におきまして茂木外務大臣が答弁したとおり、これらの情報は関係省庁間で迅速に共有されるべきものというふうに認識をしております。そして、それが政府のホームページで公開されなかったということにつきましても、国民の知る権利という観点からも問題があったというふうに感じております。

#149
○高井委員 それでは、最後に一問、せっかく三ッ林副大臣に来ていただいたので質問します。
 旧姓使用に関して、法的根拠のない氏名を今後あらゆる法的行為、海外渡航、海外送金、登記、投資、保険、納税、各種資格、特許などで使えるようにしていくべきだと考えますけれども、いかがですか。

#150
○三ッ林副大臣 お答えいたします。
 政府としては、昨年末に閣議決定された第五次男女共同参画基本計画に基づきまして、婚姻により改姓した人が不便さや不利益を感じることがないよう、引き続き旧姓の通称使用の拡大やその周知に取り組むこととしております。
 他方で、旧姓の通称使用については、戸籍上の氏との使い分けが必要となるなど、通称使用の拡大による対応で社会生活上の不利益が全て解消できるわけではないとの指摘があるものと認識しております。
 いずれにしても、女性が社会で活躍していく中で不便さを感じないよう、制度等を整備していくことは重要であると認識しております。

#151
○高井委員 私は、いくべきと考えているのかという否定的な質問、ちょっと言い間違えましたけれども、限界があるという答弁だと思いますので、その立場で是非進めていただきたいと思います。
 終わります。
     ――――◇―――――

#152
○義家委員長 次に、内閣提出、少年法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 趣旨の説明を聴取いたします。上川法務大臣。
    ―――――――――――――
 少年法等の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――

#153
○上川国務大臣 少年法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 近年の法律改正により、公職選挙法の定める選挙権年齢は満二十年以上から満十八年以上に改められ、また、民法の定める成年年齢も二十歳から十八歳に引き下げられることとなり、十八歳及び十九歳の者は、社会において、責任ある主体として積極的な役割を果たすことが期待される立場となりました。
 刑事司法における取扱いにおいては、十八歳及び十九歳の者は、成長途上にあり、可塑性を有する存在である一方で、このような社会情勢の変化を踏まえますと、これらの者については、少年法の適用において、その立場に応じた取扱いをすることが適当であると考えられます。
 そこで、この法律案は、少年法を改正して、十八歳以上の少年の特例等を定めるとともに、関係法律を改正することにより、所要の措置を講ずるものであります。
 この法律案の要点を申し上げます。
 第一は、十八歳以上の少年の保護事件について、家庭裁判所が原則として検察官に送致しなければならない事件に、死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件であって、犯行時十八歳以上の少年に係るものを加えることとするものであります。
 第二は、十八歳以上の少年の保護事件について、虞犯をその対象から除外するとともに、家庭裁判所による保護処分は、犯情の軽重を考慮して相当な限度を超えない範囲においてしなければならないこととするものであります。
 第三は、十八歳以上の少年について、検察官送致の決定がなされた後の刑事事件の特例に関する少年法の規定は、原則として適用しないこととするものであります。
 第四は、十八歳以上の少年のとき犯した罪により公訴を提起された場合には、略式手続による場合を除き、記事等の掲載の禁止に関する少年法の規定を適用しないこととするものであります。
 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上が、この法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに可決くださいますようお願いいたします。

#154
○義家委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――

#155
○義家委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本案審査のため、来る六日火曜日午前九時三十分、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#156
○義家委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次回は、来る六日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時二十七分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト