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2021/03/30 第204回国会 参議院 第204回国会 参議院 総務委員会 第9号 令和3年3月30日
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2021/03/30 第204回国会 参議院

第204回国会 参議院 総務委員会 第9号 令和3年3月30日

#1
令和三年三月三十日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月二十九日
    辞任         補欠選任
     石井 正弘君     青山 繁晴君
 三月三十日
    辞任         補欠選任
     青山 繁晴君     石井 正弘君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         浜田 昌良君
    理 事
                進藤金日子君
                堀井  巌君
                那谷屋正義君
                若松 謙維君
                片山虎之助君
    委 員
                青山 繁晴君
                石井 正弘君
                今井絵理子君
                片山さつき君
                滝波 宏文君
                柘植 芳文君
                二之湯 智君
                長谷川 岳君
                松下 新平君
                三浦  靖君
                山本 順三君
                小沢 雅仁君
                岸 真紀子君
                吉川 沙織君
                吉田 忠智君
                下野 六太君
                柳ヶ瀬裕文君
                小林 正夫君
                芳賀 道也君
                伊藤  岳君
   国務大臣
       総務大臣     武田 良太君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐藤 研資君
   政府参考人
       総務省情報流通
       行政局長     吉田 博史君
   参考人
       日本放送協会経
       営委員会委員長  森下 俊三君
       日本放送協会会
       長        前田 晃伸君
       日本放送協会副
       会長       正籬  聡君
       日本放送協会専
       務理事      松坂 千尋君
       日本放送協会専
       務理事      板野 裕爾君
       日本放送協会理
       事        松崎 和義君
       日本放送協会理
       事        田中 宏曉君
       日本放送協会理
       事        林  理恵君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を
 求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────

#2
○委員長(浜田昌良君) ただいまから総務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、石井正弘君が委員を辞任され、その補欠として青山繁晴君が選任されました。
    ─────────────

#3
○委員長(浜田昌良君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、総務省情報流通行政局長吉田博史君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#4
○委員長(浜田昌良君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────

#5
○委員長(浜田昌良君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件の審査のため、本日の委員会に、日本放送協会経営委員会委員長森下俊三君外七名を参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#6
○委員長(浜田昌良君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────

#7
○委員長(浜田昌良君) 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。武田総務大臣。

#8
○国務大臣(武田良太君) 日本放送協会の令和三年度の収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この収支予算、事業計画及び資金計画は、放送法第七十条第二項の規定に基づき、総務大臣の意見を付すとともに、中期経営計画を添えて国会に提出するものであります。
 まず、収支予算について、その概要を御説明申し上げます。
 一般勘定事業収支につきましては、事業収入が六千九百億円、事業支出が七千百三十億円となっており、事業収支における不足二百三十億円につきましては、財政安定のための繰越金の一部をもって充てることとしております。
 一般勘定資本収支につきましては、資本収入が一千百十八億円、資本支出が八百八十八億円となっております。
 次に、事業計画につきましては、東京オリンピック・パラリンピック競技大会に関する放送サービスの実施、訪問によらない効率的な営業活動の推進、グループ全体での業務の見直し及び組織の効率化等に取り組むこととなっております。
 総務大臣といたしましては、この収支予算等につきまして、引き続き経営のスリム化に徹底的に取り組むとともに、受信料の適正かつ公平な負担の徹底に向けた取組を進めることにより、収支均衡を早期に確保することを求めております。
 また、日本放送協会の次期中期経営計画で示された、事業規模の一割に当たる七百億円程度を還元の原資として衛星波の削減を行う二〇二三年度に受信料の引下げを行う方針については、衛星付加受信料を含め、受信料引下げの内容を早期に具体化することが望まれる旨の意見を付しております。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

#9
○委員長(浜田昌良君) 次に、日本放送協会から説明を聴取いたします。前田日本放送協会会長。

#10
○参考人(前田晃伸君) ただいま議題となっております日本放送協会の令和三年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして御説明を申し上げます。
 NHK経営計画、二〇二一年度から二〇二三年度の初年度となります令和三年度は、経営計画に基づき、新しいNHKらしさの追求を進めるとともに、構造改革を着実に実行し、スリムで強靱な新しいNHKへと変わることを目指してまいります。
 事業運営に当たりましては、受信料で成り立つ公共メディアとして信頼される情報の社会的基盤の役割を果たしていくため、自主自律を堅持し、事実に基づく正確な情報を公平公正に伝え、命と暮らしを守る報道に全力を挙げます。あわせて、より強靱なネットワークを構築するとともに、多様で質の高いコンテンツを合理的なコストで、最適な媒体でお届けします。また、日本を積極的に世界へ発信し、様々な分野で国際社会との相互理解を促進するとともに、地域の課題や情報を広く発信して地域の発展に貢献します。東京オリンピック・パラリンピックは、4K、8K、インターネットを含めた新技術で魅力を伝えます。また、ユニバーサル放送サービスの提供の充実に取り組みます。
 インターネット活用業務は、実施基準に示した費用の範囲内で、国内及び国際向けコンテンツを効果的に提供するとともに、地方向け放送番組の提供も段階的に実施してまいります。
 受信料につきましては、訪問によらない効率的な営業活動を推進し、営業経費を削減するとともに、公平負担の徹底と受信料制度の理解促進に取り組みます。
 NHKグループ全体で業務の見直しやガバナンスの強化を図り、組織の効率化を進めるとともに、働く一人一人の創造性を最大限、最大化する人事制度改革に取り組みます。
 次に、建設計画におきましては、緊急報道設備や番組制作設備の整備を進めるとともに、いかなる災害時等におきましても安定的に放送サービスを継続するための設備整備等を実施いたします。また、老朽化した東京渋谷の放送センターや地域の放送会館の建て替え事業を着実に推進してまいります。
 以上の事業計画に対応する収支予算は、一般勘定の事業収支におきまして、受信料など収入六千九百億円、国内放送費などの支出七千百三十億円を計上いたしております。事業収支におけます不足二百三十億円につきましては、財政安定のための繰越金の一部をもって充てることといたしております。
 また、資本収支は、収入として、減価償却資金など総額千百十八億円を計上し、支出には建設費など八百八十八億円を計上しております。
 最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に基づき、資金の需要及び調達を見込んだものであります。
 以上、令和三年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、その概要を申し述べました。事業計画の一つ一つの施策を着実に実行し、公共メディアとして視聴者の皆様の期待に応えてまいりたいと存じます。
 委員各位の御理解と御支援をお願い申し上げます。あわせて、何とぞよろしく御審議の上、御承認賜りますようお願いを申し上げます。

#11
○委員長(浜田昌良君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#12
○二之湯智君 おはようございます。自由民主党の二之湯智でございます。
 まず、新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方々に心より御冥福をお祈り申し上げます。また、現在、病床や宿泊施設あるいは自宅で療養されておられる皆様の一日も早い御回復を祈っております。さらにまた、医療機関や保健所などの公衆衛生の現場で働いておられる皆さん、感染拡大を招かぬように緊張感を持って介護や保育の仕事に当たっておられる方々、そして、活動自粛の要請に御協力いただいております国民の皆様方に感謝を申し上げたいと思います。
 それでは、NHKの収支予算、事業計画及び資金計画に関して質問をいたします。
 まず冒頭でございますけれども、上田前会長の改革路線を一層推進できる会長として、経営委員会の満場一致で前田会長が選出されました。前田会長は、その就任の記者会見で、業務、受信料、ガバナンスを一体とした改革、いわゆる三位一体改革は常に取り組まなければならない課題だと強い決意を示されたわけでございます。
 そこで、就任から一年、どの程度三位一体の改革に取り組んでこられたと認識されているのか、その点についてお伺いをいたします。

#13
○参考人(前田晃伸君) お答え申し上げます。
 昨年一月に会長に就任して一年余りがたちましたが、その間、次期中期経営計画の取りまとめを行い、新しいNHKらしさを追求し、スリムで強靱なNHKへと生まれ変わるという改革の方向性を示すことができたと思っております。
 次期経営計画には、業務、受信料、ガバナンスのいわゆる三位一体改革の総仕上げとして、NHKが今直ちに取り組まなければならないことを全て盛り込んだつもりでございます。NHKを本気で変えるという強い覚悟で、スピード感を持って改革を進めてまいりたいと思います。

#14
○二之湯智君 しっかりと頑張っていただきますようお願いいたします。
 続きまして、受信料について御質問をしたいと思います。
 放送法第六十四条には、協会の放送を受信できることのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信について契約をしなければならない、その放送の受信契約者は受信料を支払わなければならない、こういうような法律の立て付けになっているわけでございます。
 しかしながら、一方、放送法十五条には、公共の福祉のために非常に良質な番組を提供しなければならないという、一つNHKに課せられた大きな責任があるわけでございます。そういう中で、そういうふさわしい放送がなされていなければNHKの存在理由そのものがなくなってくるわけでございますし、また、受信料制度もその根幹を失うということにもなろうと考えます。
 そこで、NHK会長に、受信料とはそもそも何か、なぜ放送法によりNHKは受信料を徴収できるのか、その点についてお伺いをいたしたいと、このように思うわけでございます。さらにまた、あまねく、あまねく、恐らくこれはユニバーサルサービスというような意味に置き換えられると思いますけれども、あまねく受信できる環境に現在あるのかどうか、これらの点についてもお伺いをいたしたいと思います。

#15
○参考人(前田晃伸君) 委員御指摘のとおり、NHK、民間放送とも国民共通の財産である電波を用いる存在でありまして、共に公共性がある仕事をしております。受信料を基本財源といたします公共放送NHKと広告料を主な財源とする民間放送とが様々なジャンルの番組で切磋琢磨することで現在は二元体制が根付いてきたものと認識しております。
 このうちNHKは、広く視聴者に負担していただく受信料を財源とする公共放送として、特定の利益や視聴率に左右されず、社会生活の基本となる確かな情報や豊かな文化を育む多様な番組をいつでもどこでも誰にでも分け隔てなく提供する役割を担っていると考えております。
 NHKは、次期三か年計画で新しいNHKらしさの追求を掲げました。時代の変化に向き合い、視聴者・国民の皆様の信頼に応え続けられるように不断の努力を続けてまいりたいと思います。
 また、あまねくという点でございますが、受信料は、公共の福祉や健全な民主主義の発展に資するため、NHKが全国各地に多様で質の高い番組をお届けする上で必要な経費を受信機の設置者に公平に負担いただくという考えに基づいているものと理解しております。これは、税金でも広告収入でもない受信料を財源基盤とすることによりまして、NHKの事業運営の自主自律が保障され、特定の利益に左右されず、良質な番組の取材、制作ができるようにしたものだと考えております。合理的なコストで質の高いコンテンツをお届けすることをNHKの責務と捉え、視聴者の皆様に信頼いただける放送を続けていくことで、将来にわたり受信料のお支払につながっていくものと考えております。
 NHKは、あまねく全国で受信できる環境を整えるために、AM放送とFM放送を合わせ九百五十か所、テレビ放送では総合テレビとEテレを合わせておよそ四千四百か所の送信所を全国に設置、運用しております。さらに、山間地など電波が届きにくい地域には共同受信設備を全国に五千三百余り設置しております。さらに、必要に応じて現地に赴き電波状況の調査を実施しており、受信環境の改善を図るなど、ほぼあまねく日本全国において受信できる環境になっておりますが、一方、それには膨大なコストが掛かっていることも事実でございます。

#16
○二之湯智君 NHKのホームページには、電波は国民の共有財産であると、そういう意味ではこの国民の共有の財産である電波を使っている民間放送も公共放送であると、このようなことがNHKのホームページには掲載されているわけでございます。
 そもそも、公共放送とはどのようなものであるのか、どういうことを公共放送というのか、会長の見解をお伺いしたいと思います。

#17
○参考人(前田晃伸君) ちょっと繰り返しになりますが、公共放送に関しての御質問でございます。
 御指摘のとおり、NHKと民間放送とも国民共通の財産である電波を使っている存在でありまして、公共性がございます。受信料を基本財源とする公共放送NHKと広告料を主な財源とする民間放送とが様々なジャンルの番組で切磋琢磨することで二元体制が根付いてきております。
 このうちNHKは、広く視聴者に負担していただく受信料を財源とする公共放送として、特定の利益や視聴率に左右されずに、社会生活の基本となる確かな情報や豊かな文化を育む多様な番組をいつでもどこでも誰にでも分け隔てなく提供できる役割が必要だと考えております。

#18
○二之湯智君 NHKが政府から独立して、そして受信料を皆さんからいただいて、そして、今会長がおっしゃったように、いつでもどこでも誰にでも確かな情報や豊かな文化を分け隔てなく伝えることを基本的な役割として担って放送をしておるということで、国民に理解を求めているところでございます。
 そういうことですけれども、しかし、民間放送事業者ではできない番組を提供し、公共の福祉と文化の向上に寄与しているのか、確かな情報と豊かな文化を分け隔てなく伝えられているのかという点はしっかりとNHK自身が認識しているのかどうか、この点について会長の見解をお伺いしたいと思います。

#19
○参考人(前田晃伸君) 私の認識でございますが、現状は放送する波の数が多くなり過ぎております。地上二波、衛星四波、非常にたくさんの波を使って放送しておりまして、制作する番組の数が増えたために、質の高いコンテンツを十分に作り切れていないのではないかと若干の心配をしております。
 このため、放送波を整理、削減して番組の数を絞る一方で、一本一本のコンテンツの質を高め、民放のまねをしない、NHKならではの番組の制作に注力してまいりたいと考えております。また、これまでは波ごとの管理、いわゆる地上二波、衛星四波、それぞれ波の管理をベースにした報道をやっておりましたが、この報道の在り方、放送の在り方を、報道やドラマといったジャンル別に管理することによりまして重複する内容を整理、削減するなど、経営資源を集中させ、適正な生産量を維持しながら、合理的なコストでよりNHKらしい質の高いコンテンツやサービスを提供する取組を進めております。
 次期経営計画では、新しいNHKらしさの追求というコンセプトを掲げました。公共放送とは何かを職員一人一人が自分に問いかけながら、NHKしかできないコンテンツを視聴者の皆様にお届けすることが大事だと考えております。
 また、視聴率だけでなく、量的な指標に加えて、質と合理的なコストを含めた番組を総合的に評価する指標を設定いたしました。客観的なデータに基づいて、視聴者の皆様から見ても、さすがにNHKと言っていただけるような番組を一層たくさん作ってまいりたいと考えております。

#20
○二之湯智君 かつてNHKは非常に受信料収入が低迷しておって、六〇%台であったわけですね。しかし、歴代の会長を始め職員の努力によりまして、今日では八〇%を超えるような段階になりました。
 そうなりますと、今度は、NHKはもうけ過ぎじゃないかと、もっともっと、そのまた関連会社が非常に大きな剰余金もあると、そういうことによって非常にNHKが民間を圧迫するような、そういう利益を得ているんではないかと。したがって、受信料で番組を制作し、その受信料によって子会社が更にまた大きな利潤を上げておる、したがってもっともっと受信料を国民に還元すべきではないかと、こういう意見も各方面から起こってきているわけでございまして、NHKの会長として、この受信料、これは三位一体改革の一つでございますけれども、その点について会長の見解を伺いたいと思います。

#21
○参考人(前田晃伸君) お答え申し上げます。
 現在、子会社十一社の利益剰余金の合計額は、二〇二〇年度の配当実施後で九百三十四億円ございます。しかし、この中には、中継車など放送機材や入居ビルなどの固定資産やシステムなど将来的に必要な資金、それに日常の資金繰りのための必要な運転資金等が含まれておりまして、これは一般の株式会社と同じでございます。こうした子会社の維持などに必要な内部留保を除いた剰余金は二〇一九年度の決算後でおよそ九十億円となっておりまして、今後も事業環境などを精査した上で、可能なものは配当に充てていきたいと思っております。
 また、こうした配当のほか、NHK番組やDVD化、テキストの販売による副次収入が二〇一九年度は五十億円に上っておりまして、NHKの事業収入に組み入れることで視聴者の負担を抑制することにつながると考えております。

#22
○二之湯智君 しっかりと国民に還元するという視点を忘れずに頑張っていただきたいと思います。
 次は、オリンピック、パラリンピックに関して御質問をいたします。
 聖火リレーが今月二十五日、福島県からスタートいたしまして、百二十一日間掛けて開会式に届くと、こういうことでございます。昨年は、急遽オリンピック、パラリンピックが中止になりまして、NHKもその番組の穴埋めで大変御苦労が多かったんではないかと、このように思うわけでございますけれども、まだコロナが収束していないこの段階の中でのこれからのオリンピック中継というのは、聖火リレーも含めてでございますけれども、なかなか大変苦労が多いんではないかと、このように思うわけでございます。
 現時点での準備体制、そしてどのような点で苦労されているのか、この点についてお伺いしたいと思います。

#23
○参考人(正籬聡君) お答えいたします。
 NHKでは、大会延期の決定前から継続して内部に二〇二〇東京オリンピック・パラリンピック実施本部というのを設けていまして、これが中心となって競技中継ですとか関連する番組などの準備を進めてきました。大会組織委員会からは競技日程ですとか種目数は延期前と大きな変更はないということが発表されていまして、NHKとしてもおおむね延期前と同様の放送サービスを放送、それからインターネットを通じて展開していく準備を行っております。新型コロナウイルスによる延期を経て開かれる大会の意義をしっかりと人々に伝えられるような放送サービスをお届けしたいと考えております。
 それで、お尋ねのどんな点に苦労しているかということですけれども、一番は競技中継などに関わるスタッフの新型コロナウイルス感染対策の徹底です。うつさない、うつらないという対策を徹底していくことが重要と認識しております。そのために、現場に行く取材の人数を絞ったりですとか、中継や制作においてグループを分けてグループごとに一切接触しないような勤務体系を作ったりということをして、現場での密を避ける取組を進めております。
 引き続き、組織委員会ですとかIOCによる対策の検討状況を踏まえて、NHKとしても万全の対策を取ってまいりたいと考えております。

#24
○二之湯智君 昨年のオリンピックが順調に行われておれば、例えば、各地方の放送会館で4K、8Kの鮮明な画面で、大型スクリーンで、いわゆるパブリックビューイングですね、これが実施されると、こんなことを伺っておったんですが、今回もそういう面で、オリンピックの気分を盛り上げるという意味においてはそういうことを是非やってもらいたいなと、こう思いますけれども、放送会館に何百人という人間がまた入りますと、これは密になってしまいまして拡大を、感染の拡大を促すというようなことになってしまうわけでございます。
 しかし、それでも、やはりこの臨場感あふれるオリンピックに会場に行かなくても国民が接しられるという、そういうことでNHKがどのような工夫をされているのか、ひとつその点をお伺いしたいと思います。

#25
○参考人(正籬聡君) お答えいたします。
 東京オリンピック・パラリンピックにおきましても、NHKの各地域の放送会館でのパブリックビューイングの実施を計画しております。
 ただ、今委員がおっしゃられたとおり、地域における新型コロナウイルスの感染状況を見極める必要がありまして、どんな密対策を取れるのかということも含めて、臨機応変に対応できるように慎重に検討を進めているところでございます。
 感染状況によって仮にパブリックビューイングが実施できない場合でも、テレビですとかインターネットで通じて御覧いただけるような体制を取っていきたいと考えております。

#26
○二之湯智君 できるだけそういうパブリックビューイングに接することができるように御努力をいただきたい、このように思います。
 あと僅かしかございませんので、たくさん質問の予定あったんですが、ちょっとはしょって伺います。
 コロナ感染症の中で、人々の働き方の考え方が随分変わりまして、いわゆるリモート、つまり一々東京へ行かなくてもいい、一々会社へ行かなくてもいいと、こういうことにだんだんだんだんなりつつあるわけでございます。そこで、私かねてからよく言っておったんでございますけれども、NHKが、いろんな番組の登場人物が東京の人になりがちだと、こういうことでございます。
 しかし、今日、リモートを使えば地方のいろんな方の意見がこのNHKを通じて全国に発信されるわけでございますから、今後、こういう機会を捉えて、やはり多くの地方の人材をNHKの番組に登場させてほしいと、こういうことを思うわけでございますけれども、会長、いかがでございましょうか。

#27
○参考人(前田晃伸君) 新型コロナウイルスの感染拡大に伴いまして、ニュースや番組の取材、制作は、NHKの行動指針に基づき、感染対策を行いながら進めております。
 御指摘のリモートでの対応につきましては、取材、ロケ、収録の場で積極的に活用しながら取り組んでおります。例えば、「ニュース7」や「ニュースウオッチ9」、「おはよう日本」などのニュースや、「クローズアップ現代+」、「NHKスペシャル」など報道番組では、専門家や企業、NPOなど様々な地域の方々のインタビューのほか、出演の際もリモートを活用しながらお届けをいたしております。
 今後も、ニュースや報道番組では様々なテーマにつきまして、本部、地方放送局とも、御指摘のような地域の方々ならではの知見や専門性も生かし、視聴者の皆様に必要な情報を発信してまいりたいと思います。

#28
○二之湯智君 是非とも、東京一極集中を是正するというのは政府の大きな方針でありますし、また地方の活性化という面において、地方にもこんな人がいるんだということを全国国民に知らしめていくような番組作りに努力していただきたいと、このように要望しておきます。
 さらにまた、地方再生でございます。大河ドラマは随分と地方の再生に私は貢献しているんじゃないかと、このように思うんですね。それは、戦国武将を取っても、徳川家康、織田信長、豊臣秀吉と、その本名が、本人の名前が出てくるんですね。
 私、最近、「エール」、そして「おちょやん」というのは随分と凝っていまして、デマンドでも再放送を何遍も見ておるわけでございますけれども、しかし、「エール」でも、あの大作曲家、古関裕而さんの伝記に近い物語だとか、あるいは今、「おちょやん」、浪花千栄子さんの。ところが、古関裕而とか浪花千栄子さんというのが番組の冒頭にでもちょっと説明をしていただければ、私、より国民に親しむ。
 というのは、私この間、議員団で話しておりましたら、六十ぐらいの人が、議員で、浪花千栄子さん知っているかと言ったら知らぬと言うんですね。それは関西の人なんですよ。もう関西の人でも浪花千栄子さん知らないということなんですから。だから、国民は見ておっても、「おちょやん」って何やと、おちょやんという言葉すら分からないし、何をやっているのということになるわけでございますから、そういう人の生き方というものは国民に感動を与えるわけでございますから、もう少し番組の冒頭に、今は、「青天を衝け」では徳川家康、北大路欣也さんが少し出てまいりましてお話しされておりますけれども、あれぐらいの親切心があっていいんじゃないかと、このように思うんですが、いかがでございますか。

#29
○参考人(前田晃伸君) お答え申し上げます。
 連続テレビ小説等、実在のモデルがいる場合におきましても、あくまでこれはドラマとして制作をいたしております。ドラマを純粋に楽しんでいただくために、モデルとなった人物の実際の人生とこれを混同されることがないような配慮も制作上必要になっております。
 一方で、ドラマを入口として、モデルとなった人物や時代背景、地域文化への興味、理解を深めることに貢献することも重要だと考えておりまして、関連番組を制作してお伝えする、こういうことでやっていきたいと思います。

#30
○二之湯智君 できるだけ国民に分かりやすく、ひとつ放送していただきますようお願いいたします。
 私に与えられた時間はもうあと一問ぐらいになってまいりました。
 現在、日本の政治は、いかにしてコロナ感染を拡大を防止し、一日も早くコロナを収束させるかと、そして東京オリンピックの成功と、こういうことになっておるわけでございます。
 政府はこの間、いろんな経済施策、対策を打ってまいりましたけれども、これが果たして国民に正しく伝えられているかということになりますと、いささか首をかしげざるを得ない。NHKは、そういう国の施策の情報を的確に素早く分かりやすく国民に伝えられたかどうかということも私はやっぱりよく検討していただかなければならないと思うわけでございます。
 いよいよ四月中旬からコロナ接種が各地方で始まるわけでございます。これは大変私心配をしておるわけでございます。特に高齢者から始まりますと、なかなか現場は混乱するんじゃないかと。
 したがって、各地方の放送局では、ワクチン接種の日時、場所、そして当日持参するもの、ちゃんと忘れずに会場にお越しくださいというようなことを繰り返し放送していただきたい、こういうことを強く要望するわけでございますけれども、この点についてNHKの見解を求めます。

#31
○参考人(前田晃伸君) お答え申し上げます。
 新型コロナウイルスをめぐりましては、公共メディアとして命と暮らしを守る報道の使命を果たすために、テレビ、インターネット、ラジオ、それぞれの特性を生かしながら、全国放送、地域放送とも情報発信を強化いたしております。
 御質問の経済対策につきましては、全国放送では、経済対策が盛り込まれた予算の内容を始め、政府の中小企業への支援策や観光需要の喚起策、相談窓口などをテレビやラジオのニュースで連日お伝えするとともに、テレビ画面に文字情報を流すL字放送やデータ放送でも紹介をいたしております。
 特に、「NHK NEWS WEB」では支援策を取りまとめたパートをつくり、個人向け、事業者、企業向けの支援を一覧にして紹介するなど丁寧にお伝えして、多くのアクセスもございました。こうした取組は地域放送局でも強化し、自治体などの支援策や相談窓口のほか、小売店や外食チェーンの営業時間など、生活情報も含めて詳しくお伝えをいたしております。引き続き、視聴者の方々の役に立つ情報の発信を強化してまいりたいと思います。
 また、御質問のワクチンの接種につきましては、視聴者の方々からも様々な情報を詳しく伝えてほしいといった声が寄せられております。こうした声を踏まえ、地域放送局では、自治体ごとの接種のスケジュールや準備状況を始め、接種方法や会場、自治体が設置したワクチンの相談窓口などの情報を、放送とともに地域放送局独自のインターネット特設サイトも活用しながら、住民の方々にきめ細かくお伝えをいたしております。
 新型コロナウイルスのワクチン接種に関する情報は、地域の方々の関心が高いと認識をいたしております。視聴者の皆様からの御意見や委員からの御指摘も踏まえ、引き続き、地域放送局での丁寧な情報発信に向けて、工夫しながら取り組んでまいりたいと思います。

#32
○二之湯智君 終わります。

#33
○青山繁晴君 改めまして、皆様おはようございます。自由民主党の青山繁晴です。
 感染され、犠牲になられた方にお悔やみを申し上げ、医療関係者の方々に深い感謝を申し上げます。
 今日も、一党派のためではなくて、日本の尊厳と国益のためにこそ、謹んで質問いたします。
 なお、今日の事柄の性格上、御答弁はNHKの前田会長と武田総務大臣限定でお願いいたします。
 さて、長崎市の沖合に、端島、端っこの島と書く小さな島の炭坑がありました。軍艦島とも呼ばれています。ここは世界最先端の炭坑でありました。坑道の中の安全を確保し、従業員のために日本初の鉄筋コンクリートの高層アパート群も建て、小中学校や映画館、散髪屋さん、そして病院もある良い環境を確保していました。軍艦島と呼ばれたのも、細長い島の高層アパート群を横から見て、しかも高い煙突から煙を吐いていたからです。炭坑と軍艦から暗いイメージを持つなら、それは大きな間違いです。逆です。この島を含めて、西暦二〇一五年に世界文化遺産に登録されました。
 ところが、登録される前後から、島で朝鮮半島出身の労働者の方々が虐待されていたという宣伝が大々的に行われるようになりました。島で働いていた炭坑労働者の証言によると、実際には出身地で労働条件に区別はなく、日本人も朝鮮人も一つのチームをつくり、仲よく働き暮らしていましたから、この元島民の方々は驚き、そのいわれなき中傷の根拠にされているものを探していかれました。
 そして、その一つとして、NHKが昭和三十年に放送した「緑なき島」というドキュメンタリーにたどり着いたのです。これは、六十六年前の過去の話をしているんではなくて、世界遺産となったのを機に六年前にDVDに取り込まれて、NHKエンタープライズから発売されています。そこには、ふんどしだけで裸に近い男性がやっと腹ばいで入れる非常に狭い空間でつるはしを振るう姿が映されておりまして、この映像が朝鮮半島出身の労働者に過酷な労働を強いていた証拠として現在、韓国などに利用され、元島民の方々、最高齢では、不肖私がお会いした範囲でも九十四歳や九十三歳の方を含めて、自らの誇りを深く傷つけられ、日本から尊厳を奪うものとして抗議を続けていらっしゃいます。この方々に右も左もありません。日本の真面目な労働者であり、日本を支えてくださった方々です。
 では、NHKの前田会長にお尋ねします。
 まず、御一緒に資料の一を見ていただきたいと思います。皆さんのお手元にもあると思います。(資料提示)
 これは、端島の保安規程です。昭和二十四年に鉱山保安法が制定され、それに基づいて、端島炭坑でも翌年の昭和二十五年六月十六日に保安規程が制定されたものです。
 次に、資料二を見ていただきますと、資料二は、その保安規程に従って坑内の構造が厳格に定められています。高さは一・九メートルが基本で、最低でも一・五メートルが確保されていました。NHKの映像にある腹ばいになるような狭い場所はありません。
 さらに、余裕を持った坑内であることは、お手元の資料を一枚飛ばしまして、資料四の写真からもよく分かると思います。この資料を見ていただいた上で、そして、もう一回資料を戻しまして、資料三を皆様も見てください。これが端島の労働者です。
 保安規程で裸のような姿で働くことは厳禁されていますから、当然しっかり所定の作業服を着ていらっしゃいます。NHKの映像は、著作権に配慮してNHKの映像の方はなるべく出しませんが、NHKの映像を確認していきますと、皆、裸に近いふんどし一丁です。そして、これ見ていただくと、頭にはちゃんとヘルメットをかぶって、しかも明かりがついています。これは、スターライト工業の国産第一フェノール樹脂製ヘルメットKSであります。ところが、NHKの映像に出てくるヘルメットは、これだけ少し映像をお借りしていますけれども、タニサワ式、つまりメーカーがまるで違う、タニサワ式のジュラルミン前ひさし型であると思われます。そして、決定的なことに、キャップライト、明かりがついていません。これでは作業できないです。
 まず、ここまでを前田会長にお聞きします。映像と現実の食い違いはなぜ起きているのでしょうか。

#34
○参考人(前田晃伸君) お答え申し上げます。
 「緑なき島」は、今から六十六年前の昭和三十年十一月に放送されましたNHK短編映画でございます。「緑なき島」は、当時端島で生き生きと暮らす人たちの様子を取り上げて、高層の鉄筋コンクリート住宅の様子や炭坑での作業、子供たちの学校生活、娯楽施設で楽しむ様子などを二十分にわたってまとめた風土記的な内容となっております。
 御指摘がございました坑道内の作業の映像は二分ほどございまして、この場面では、黒く輝くすばらしい石炭を掘る坑夫の顔はさすがに喜びに満ちていますと紹介しております。作業している方々の出身地や労働環境について言及したり、歴史問題を取り扱ったりしたものではございません。
 島民の方々の御指摘を真摯に受け止め、私どもでは、できる限りの確認作業を行いました。具体的には、関係する資料の確認や取材、制作に関わった部署の関係者などからの聞き取り、昭和三十年以前に撮影された、保管されていた炭鉱の映像の精査などを行いました。例えば、昭和三十年以前に撮影され、保管されていた炭鉱の映像はおよそ百四十ございまして、それを一つ一つ確認をいたしました。しかしながら、こうした作業で、別の炭鉱で撮影された映像が使用されたというような事実は確認されませんでした。
 さらに、NHKで保管しております過去の映像の精査を進めたところ、「緑なき島」以外にも、端島炭坑の内部の映像を使用した番組やニュースが複数確認されました。これらの映像の中に、上半身裸で作業していたり、つるはしと見られる道具を持っていたりする様子が記録されておりました。こうしたことからも、当時の端島の炭坑の坑内では服を着ないで作業していたことなどもあったのではないかと考えております。
 今後も、島民の方々などからの問合せがあれば、誠意を持って対応したいと考えております。

#35
○青山繁晴君 今の前田会長の答弁は、これまでよりは少し踏み込んで実は答弁されています。
 まず、この「緑なき島」の全体なんですけれども、全体に対して私たちやあるいは島民の方々がクレームを付けているんではなくて、会長がおっしゃったとおり、その短い坑道内の部分なんですね。しかし、その坑道内の部分の映像が韓国に利用されていることが問題でありまして、例えば釜山の国立日帝強制動員歴史館で無断利用などがされていると見られます。
 さらに、このNHKの映像が韓国の報道機関でNHKの承諾得ることなく流れていたりするわけですから、公共放送の性質からいって、当然それに対して対処しなきゃいけませんが、今まで対処した節が全くありません。
 それから、会長のおっしゃったそのNHK側の反論というか、その反論の前に調査なんですけれども、実はこれは、さっき言いましたとおり、古い話じゃなくて、去年の十二月八日を期限として元島民の方々は回答を求めておられました。これに対して、NHK法務部の弁護士からは、去年の十二月二十五日に回答があったんですけれども、この回答は今の前田会長の答弁とも共通していて、別の炭鉱で撮影された映像だという事実は確認されなかった、したがって端島における取材に基づき制作、放送されたという、論理の飛躍どころじゃないです。日本国民である島民の方々にとっては愚弄されたような回答になっていることが問題でありまして、したがって、先ほど申しましたとおり、前田会長の答弁は少し踏み込んでいらっしゃいますから、島民の方々との直接の話合いを必ず開始していただきたいと思います。
 この島民の方々との話合いの開始について、前田会長、御答弁いただけますか。

#36
○参考人(前田晃伸君) いろんなアドバイスがございまして、直接の交渉等はしないようにと言われておりますので、大変恐縮ですが、そういうことで対応させていただきたいと思います。

#37
○青山繁晴君 誠に不誠実な答弁にまた戻ってしまいましたが。
 最も根本的なことを、じゃ、お尋ねします。
 NHKが坑道に入って撮影するためには、鉱山保安法にも基づき三菱鉱業の許可が必要です。しかし、NHKの、前田会長がおっしゃった、短い部分の映像にあるような保安規程に違反している作業実態が仮にあったならば、許可が出るはずはありません。一体どうやって撮影されたんですか。どうやって許可を取られたんでしょうか。

#38
○参考人(前田晃伸君) 御指摘のような事実についてはお答えが、事実が確認できませんので、ちょっと申し訳ないんですが、お答えができません。
 端島の炭坑内部の撮影につきましては、NHKで保管しております過去の映像を精査した結果、「緑なき島」以外にも、昭和二十年代から四十年代にかけて撮影された端島炭坑の内部の映像が複数確認されておりました。そういう意味では、端島炭坑内部の撮影は可能であったと考えております。

#39
○青山繁晴君 それは時代の違う話をされていると思いますが、NHKは、実は昭和二十二年には端島炭坑で坑内に入るエレベーターの乗降口付近までは取材された実績があります。本当はその先を断られたから別な場所で別の人々を使って撮影したんじゃないかと、元島民の方々は一致してごく冷静に話しておられるわけです。また、あれは筑豊の小ヤマ、長崎の島じゃなくて、筑豊地方の、小ヤマというのは小さな炭鉱という意味ですね、そこじゃないかという経験に基づいて話しておられて、私は十九年記者を務めましたけれども、その経験を踏まえても合理性があると考えています。
 それじゃ、矛盾点はほかにもたくさんありまして、例えば皆さんお手元の資料五を見ていただきますと、これは作業の後の皆さんのお顔なんですけれども、お顔が真っ黒です。これはもちろん虐待の証拠などではなくて、粉炭、粉の炭と書きます、粉炭がどうしても付きますから黒くなるんです。ところが、NHKの映像の労働者、皆顔が白いままです。
 さらに、資料六を更に見ていただきますと、坑内には安全装置を施した特殊な電灯が付いています。これ、防爆型というんですけれども、なぜこうかというと、端島は甲種炭坑と申しまして、ガスが出る炭鉱なので裸電球は保安過程で固く禁じられています。ところが、NHKではただの裸電球です。そして、NHKでは、発破のために穴を開けるシーンがありますが、ガスが出る炭鉱ですからもちろん厳禁です。
 こういう幾多の矛盾点が出ておりますが、前田会長、これらの深刻な矛盾についてはいかがですか。

#40
○参考人(前田晃伸君) お答え申し上げます。
 御指摘を受けまして、できる限りの確認作業を行った結果、ほかの炭鉱で撮影された映像が使用されたという事実は確認されませんでした。
 NHKで保管している過去の映像を精査した結果、「緑なき島」以外にも端島炭坑の内部の映像が複数残されていることも分かっております。こうしたことから、端島の炭坑内部の撮影は可能であったと考えております。
 また、番組を見ますと、当時の端島の島民の方々の御協力を得ながら取材、制作されていることがうかがえまして、ほかの炭鉱で撮影された映像を使う必然性も考えにくいと認識をいたしております。

#41
○青山繁晴君 前田会長が、もう一度言いますが、今までよりは詳細にNHKの立場を説明されておられます。それはなるべく評価したいと思うんですけれども、しかし、例えば、NHKはこの調査の中で、昭和三十年以前に撮影された炭鉱の映像およそ百四十を検証したということなんです。じゃ、その百四十というのは百四十本ですか、それとも百四十カットですか。カットの方じゃありませんか。
 では、合計で何分何秒の映像を検証されたんでしょうか。前田会長、お答えをお願いします。

#42
○参考人(前田晃伸君) お答え申し上げます。
 御指摘を受けまして、NHKでは昭和三十年以前に撮影され保管されておりましたおよそ百四十の炭鉱の映像について確認をいたしました。それらの映像の長さをそれぞれ確認し、足し合わせたところで総尺数は三十時間に上ります。
 「緑なき島」の制作を担当していたのは、当時、短編映画を制作していた部署でございます。六十六年前に制作された番組ということもございまして、お亡くなりになっている方も多かったと聞いております。この番組の取材、制作に直接関わった人からは話を聞けておりませんが、当時、短編映画を制作しておりました部署の上司や同僚などおよそ百人から聞き取りを行い、別の炭鉱で撮影したという証言はございませんでした。また、違う炭鉱の映像を使ったという記録も残されておりませんでした。

#43
○青山繁晴君 関係者百人にお聞きになったというのは実は前からあるお話なんですけれども、映像が、百四十の映像が三十時間に及ぶというのは全く新しいお話だと思います。
 そうすると、先ほどちょっと答弁が後退なさったかに見えて今残念に思っているんですが、もう一度できれば戻っていただいて、島民の方々も、さっき言いましたとおり、僕がお会いした限りでいえば九十四歳、九十三歳の方、一番若い方で七十代ですから、したがって、今話し合っておかれるのが当然の配慮だと思います。
 それから、ここまで言う必要はないかと思ったんですけど、NHKは、報道人としての誇り、矜持をちゃんと示してほしいんです。そうであれば、公共放送の性格から考えても、検証番組を当然お作りになって、その検証番組の中で島民の方々と、じゃ、その三十時間に及ぶ映像も含めて堂々と議論をなさって、そしてその検証番組の中では、例えば韓国釜山に行かれて国立の歴史館の中にNHKの映像が使われているかどうかも調べているところもちゃんと当然国民に流し、公共放送としての責務を果たすのが当たり前じゃないでしょうか。今までは、少なくとも去年の十二月二十五日のNHK法務部の弁護士によるまさしく木で鼻をくくった対応しかありませんから、議論にもなっていないわけですよね。
 したがって、もう一度その島民の方々、つまり直接の当事者、一人二人三人じゃなくて、多数の方がまだ御健在でいらっしゃいますから、実際に軍艦島で働き、住まいをなさっていた方が御健在ですから、どうぞ前田会長を含めてお会いいただき、その検証番組を作っていただけませんか。前田会長、お願いします。

#44
○参考人(正籬聡君) 今の、島民とのお話合いのことだけ一点補足させていただきます。
 抗議書等を送って、NHKに送ってきていただいた団体の方の代理人からは、代理人を通して話をしてくれという御依頼をいただいて、それを尊重しております。

#45
○青山繁晴君 私は事前にNHK側とも話し合って、今日は全部前田会長の答弁というお答えをいただいているんですよ。質問者に対してもちょっとその態度はおかしいんじゃないでしょうか。当然、前田会長が語られることを国民も期待していると思いますよ。
 だから、もう一度前田会長にお聞きしますが、弁護士同士で話し合って、何も解決できずに、去年の年末から今、四月を迎えようとしているわけです。島民の方々も真面目に受信料を払っていらっしゃるんです。それを一体どうお考えですか。
 NHKを責めて申しているんじゃないです。先ほど二之湯先生からドラマの話もありましたが、私は配偶者とともにチコちゃんに画面越しに叱られるのを楽しみにしております。それだけじゃなくて、まあ僕も記者出身ですから、考え方に違いがあっても、NHKのドキュメンタリー、「NHKスペシャル」を含め、ずっと楽しみに見ております。そこで貫いているはずの姿勢と今回だけ違うというのは一体どういうことでしょうか。そこをまさしく事実に基づかない宣伝工作に使われているんですから、報道のNHKとしてそれはとても看過できないことではないでしょうか。
 皆さん、どう思われますか。この場で誤り認めろとか、この場でここは違っていたと言えと、そんなことは僕は申していないわけです。実際の当事者の島民の方々と直に話し合って、それもオープンの場で検証番組として話し合って、どうぞ受信料を真面目に払ってきた国民に見せてくださいということを申し上げているんです。いかがでしょう、前田会長。

#46
○参考人(前田晃伸君) お答え申し上げます。
 御指摘を受けまして、違う炭鉱の映像を使用したのではないかという疑問に答えるべく、できる限りの確認作業を行っておりますが、その中でそうした事実は確認ができておりません。
 今後も島民の方々からお問合せがあった場合には真摯に対応してまいりたいと思います。

#47
○青山繁晴君 今、最後に、今後も問合せがあれば真摯に対応なさるということを手掛かりにするしかありません。ここで不毛なやり取りをするための審議ではありませんから。
 ただ、もう一点確認しなきゃいけないのは、さっき申しました二〇一五年から販売されたDVDが今事実上入手できない状態になっています。これはどうしてでしょうか。前田会長にお願いします。

#48
○参考人(前田晃伸君) お答え申し上げます。
 二〇一五年七月、世界文化遺産に登録され話題となっております中で、「緑なき島」は関連団体のNHKエンタープライズがDVDとして発売したものでございます。在庫がなくなったことから、NHKエンタープライズにおきまして年間の販売実績などを検討した結果、今月をもって販売を終了したと聞いております。

#49
○青山繁晴君 念のために申しますが、例えば韓国の宣伝工作について全てがNHKの責任などとも全く申しておりません。ただし、皆さん御存じの方いらっしゃると思いますが、二〇一七年に、「軍艦島」という、そのものずばりの名前を付けた映画が韓国で公開されました。その中には日本兵が虐殺をするという場面も出てくるわけですけど、軍艦島には日本兵が一人もいたことはありません。そういうときに必ず、あのNHKの映像に出てくるような、腹ばいになって、つるはしを振るって、裸でどうのこうのという場面が出てくるわけです。だから、そのことを、普通の組織じゃなくて報道機関ですから、そこまで考えを伸ばして対応していただきたいと思います。
 最後に、武田総務大臣にお聞きしたいと思います。
 先ほど申し上げましたけれども、この傷つけられた、実際お会いすると本当に深く傷ついておられます。朝鮮半島出身の方々とも本当に一つのチームで坑道に入って良質な石炭を取ってきたと、その誇りがどうしてこの年になって傷つけられなきゃいけないのかと。お会いしていて胸に迫るものがあるわけです。さっきも申しましたとおり、この方々も真面目に受信料を払われているわけですから、現在も。それで成り立っているNHK予算に、果たしてこのままですと正当性はあるんでしょうか。総務大臣、お願いします。

#50
○国務大臣(武田良太君) 御承知のように、放送法は、放送事業者が自らの責任において放送番組を編集する自主自律を基本とする枠組みとなっており、個別の番組についてコメントすることは差し控えたいところでありますが、その上で、一般論として申し上げれば、NHKにおいては、国民・視聴者の受信料で支えられる公共放送であることを踏まえ、国民・視聴者から十分な理解を得られるよう努めていただきたい、このように考えております。

#51
○青山繁晴君 自分の質疑を何か妙に自画自賛するようなことになってはいけないと戒めつつ、今日、実は本当に僅かな手掛かりがあったと思います。それは、何か私が責め立てたからではなくて、NHK内部の良心の声もきっとあるんではないかと良き意味で拝察をしております。とても苦しい問題であろうと、私も考えは及びます。
 その上で、あと二分間ありますので、前田会長は違う世界から、メガバンクから入られた方であります。余計なことを言うようですけれども、東京大学法学部を卒業なさって、僕も東京大学で少し教えておりましたから雰囲気分かりますけど、あえて官僚にならずに民間のバンカーになられたわけですね。その立場からNHKの改革も、さっき二之湯先生が御指摘なさったように、なさろうとしているわけです。
 そのときに、この軍艦島の問題が海外の工作に使われている、宣伝工作に使われているということを、喉に刺さっている大きな骨だという理解はやっぱり必要であって、それを乗り越えてその前田会長がおっしゃる改革もできるんではないかと思いますので、最後に、チコちゃんに叱られないように、改革の思いのたけをどうぞ聞かせていただけませんか。お願いします。

#52
○参考人(前田晃伸君) お答え申し上げます。
 私も会長になって一年になります。全く違う世界に入りまして、いろいろ本当に理解できないようなこともたくさんございました。
 ただ、私、その中で、やっぱりNHKがなぜ必要かということをずっと考えてまいりました。NHKの存立基盤は何なのかと。ここは、私は、やっぱり戦前のいろんな問題が放送を含めてあったのを反省して、戦後に放送法が新たに作られ、NHKも新たに生まれ変わって、やっぱり日本の民主主義の発展を支えるための報道機関になれという、多分そういう趣旨ででき上がったんだと思います。
 私は、その原点を、もう一回冷静に足下を見て、しっかりと不偏不党で報道すると。委員御指摘のようないろんな国際問題を含めて、不偏不党の部分はしっかりと守っていきたいと思いますし、それが重要だと思っております。

#53
○委員長(浜田昌良君) おまとめください。

#54
○青山繁晴君 前田会長、ありがとうございました。
 武田大臣もぎりぎりの範囲で、エンドース、勇気付けることをおっしゃっていただいて感謝しております。
 終わります。ありがとうございます。

#55
○小沢雅仁君 おはようございます。立憲民主・社民の小沢雅仁でございます。
 今日はNHK予算の質疑に立たせていただきました。前田会長始め、よろしくお願いしたいと思います。
 私は、まず初めに放送センターの建て替え基本計画についてお伺いをしたいと思います。
 二〇一六年、平成二十八年の八月三十日に公表された放送センターの建て替え基本計画の概要についてまず御説明をいただきたいと思います。

#56
○参考人(板野裕爾君) お答えいたします。
 二〇一六年に公表した放送センター建て替え基本計画では、現在の放送センターの敷地で、既存の建物を解体して、情報棟、制作事務棟それから公開棟から成る、各棟を段階的に建設することとしております。なお、NHKホールにつきましては継続的に使用する予定でございます。
 この情報棟と申しますのは、報道や情報発信の拠点となり、放送の送出、送信の機能も担うものでございます。また、制作事務棟は、スタジオや事務機能を担うものでございます。さらに、公開棟でございますが、こちらはNHKと視聴者の結び付きを深める様々なサービスを担う計画でございます。
 建設の順序でございますけれども、第一期として情報棟を建設いたします。その後、第二期以降として制作事務棟と公開棟を建設する予定でございます。
 第一期工事につきましては、去年九月に着工をしております。工事の完了は二〇二六年末の予定でございます。その後、第二期以降の工事に進んでまいりますが、新しい放送センターの施設全体としては二〇三六年頃の竣工を目指す計画となっております。

#57
○小沢雅仁君 今概要を説明していただきましたが、なぜ時間も掛かり建設費も膨らむ現在地の建て替えを御判断されたのでしょうか。

#58
○参考人(板野裕爾君) この、今渋谷の放送センターがございます現在地は、東京れき層と呼ばれる固い地層に覆われて地盤が強固で、防災・減災報道の拠点としてふさわしゅうございます。
 また、都内主要各所へのアクセスが便利であること、さらに新たな用地取得費が発生しないということ、また放送法でも主たる事務所を東京都に置くと定められていることなどから、現在地での建て替えを決めたものでございます。

#59
○小沢雅仁君 新たに土地を購入するとなれば、当然土地の購入費が掛かりますから、かなり費用も掛かるというのは当然理解できるんですけれど、東京都に置くということは理解できるんですが、東京都と、言うなればどこかの土地を等価交換ですね、等価交換をして新たなその等価交換した土地に建てるということになれば、当然建設費だけで済むと思います。
 そういった協議を東京都とは行わなかったんでしょうか。

#60
○参考人(板野裕爾君) 建設用地につきましては、二〇一一年から四年間検討を進めてまいりました。その過程では、都内で現在地以外の場所も含めて検討が行われましたが、最終的に今の場所での建て替えというものを決定したものでございます。
 この二〇一一年に新しい放送センターの建設を検討する事務局をつくりまして、四年にわたって建設用地の選定作業を行ってまいりましたけれども、先ほど委員御指摘のような等価交換の問題も当然検討はいたしました。ただ、御承知かと思いますが、今の渋谷のセンターの場所というのが比較的駅からも遠くて、また幹線道路にも面していないという意味で評価額が余り高くない土地だということもありまして、なかなかそこのところがうまく進まなかったというふうに私は聞いております。

#61
○小沢雅仁君 なかなか等価交換が実現しなかったということだろうというふうに思いますけれど、そこで、今概要説明していただきましたが、第一期の工事が去年の九月から始まったということで、第一期については二〇二六年末に完了する予定ということでございます。そして、第二期以降の工事が完了して竣工するのは二〇三六年を予定していると。十六年も掛けて新しいセンターを建設をするというのは、普通の会社であればちょっと考えられない長い期間であると言わざるを得ないというふうに思いますけれど、実際、この第一期、第二期以降の建設費用はどのように見込んでいらっしゃるのでしょうか。

#62
○参考人(板野裕爾君) 二〇一六年八月に放送センター建て替えの基本計画を公表しました際に、想定の建設費は、情報棟を建設する第一期が六百億円、第二期以降が一千百億円で、合計一千七百億円と試算しております。
 建設積立資産等を活用いたしまして、財政への影響を抑えるように進めてまいりたいというふうに考えております。
 また、この額は二〇一六年八月の基本計画時点での想定の金額でございまして、今後更に見直しを行って、コストの抑制に努めてまいりたいというふうに思っております。

#63
○小沢雅仁君 コストの抑制に努められるというのは、これは当然のことだというふうに思いますけれど、十六年という年月と多額の費用を掛けてこれ建設していくわけでありますが、NHKとしてのメリット、十六年掛けていって建設していくこのメリット、それと受信料を納めている視聴者のメリットについて、考え方を教えていただきたいと思います。

#64
○参考人(前田晃伸君) お答え申し上げます。
 ただいまの計画では、現在の場所で十五年掛けて一棟ずつ造っては隣に移るという非常にお金と時間が掛かる方式での建て替え方式となっております。現状、建て替え工事に着手しておりますのは情報棟だけでございまして、それ以降の工事につきましては、私は抜本的に見直したいと考えております。
 NHKといたしましては、全ての機能を渋谷に集中させることが必要だとの考え方からこのような方式となっておりますが、BCPの観点等を考えますと、いろいろなところに施設を造る方がリスク分散になるというメリットもございます。規模やコスト、見直しまして、視聴者の方のメリットにつなげる方向で見直しをしたいと考えております。

#65
○小沢雅仁君 次の質問にも答えていただいたような気がいたしますけれど。
 二〇二一年―二〇二三年度の経営計画では、新放送センターの建設計画の抜本的な見直しというふうにあります。また、収支予算等に対する総務大臣の意見においても、新放送センターの建設計画の抜本的な見直しの具体的な内容を早期に明らかにするとともに、国民・視聴者の理解が得られるように説明を尽くすという意見がございますが、改めてこの抜本的な見直しの考え方を前田会長にお伺いしたいのと、その後に、武田大臣のお受け止めをお聞かせいただきたいと思います。

#66
○参考人(前田晃伸君) お答えを申し上げます。
 次期経営計画では、放送波の整理、削減を行うとともに既存業務を抜本的に見直し、多様で質の高いコンテンツの制作に経営資源を集中させ、スリムで強靱なNHKになることを目指しております。これに併せまして、新放送センターの計画も抜本的に見直す必要があると私は考えております。
 報道機能を中心とした情報棟は既に着工しておりますが、その後につきましては、今後の放送サービスの在り方や技術の進展、また新型コロナを踏まえたオフィスの在り方の検討を踏まえて、建物の規模や経費などを見直していきたいと思います。
 また、計画の見直しの作業を急ぎまして、具体的な内容がまとまり次第公表し、視聴者・国民の皆様の理解が得られるような形にしてまいりたいと考えております。

#67
○国務大臣(武田良太君) 新放送センターは、防災・減災報道の拠点などの役割を担うものと承知をいたしております。他方、新放送センター建設計画の見直しは、NHK自身が表明している二〇二三年度の受信料の引下げに向けた重要な取組であると認識をしております。
 NHK予算に付した総務大臣意見でも述べておりますように、本建設計画の見直しについて、その具体的な内容を早期に明らかにし、国民・視聴者の理解が得られるよう説明を尽くしていただくとともに、新放送センターなどの建設費の圧縮に取り組み、その成果を受信料の引下げの原資に充てるべく検討を進めていただきたいと考えております。

#68
○小沢雅仁君 ありがとうございます。
 いずれにしても、今大臣からもお話がありましたとおり、建設積立資産、これは間違いなく視聴者の皆さんからの受信料が原資になっているわけでありますので、是非とも抜本的な見直しを強く求めていただいて、受信料を納めている視聴者の皆さんや、またNHKで働く社員の皆さんからも十分理解が得られるような見直しを強くお願いをさせていただきたいと思います。
 次に、命と暮らしを守る報道についてお伺いしたいと思いますが。
 ちょうど今から七年前の二〇一四年二月十四日金曜日に、甲信越、関東地方に大雪が降りました。私の自宅がある甲府市でも一晩で百十四センチ積もりまして、甲府で百十四センチですから、山沿いはもっとはるかに積もりました。幹線道路も鉄道も麻痺をして、本当に一週間近く陸の孤島になりました。農業ビニールハウスの八割が倒壊をして、このときは果樹産業にも大変大きな被害が発生をしましたし、駐車場の屋根がそれだけの雪の重みに耐えられないので、屋根が全部倒壊して車にも大きな被害が出ました。私も、ふだん、そのときは東京で仕事しておりましたので、自分の車のワイパーを立てておいたんですが、凍った雪の重みでワイパーが前にぐにゃりと曲がってしまったぐらい大きな雪が降ったところでございます。
 当時、山梨県には除雪車が配備されておりませんでした、こんな大雪降ったことなかったものですから。そのときは、災害協定を結ぶ甲府市からの要請で新潟県上越市から冬季作業車両と運転手を派遣していただきまして、甲府市内の幹線道路を除雪をしていただきました。改めて、新潟県上越市の皆さんに心から感謝と御礼を申し上げたいと思います。
 申し上げたいのは、当時の甲府放送局は、県内の被害状況を踏まえて山梨県内に特化した番組を放送することができなかったと記憶をしております。現在では、東日本大震災などの災害を踏まえまして、災害情報や生活支援情報がL字の形をした文字放送で流れるようになりました。
 災害時の地方放送局の報道体制についてお伺いしたいと思います。

#69
○参考人(正籬聡君) お答えいたします。
 台風や地震などの最近の災害、広域化、激甚化していまして、命と暮らしを守る報道の使命を果たすために、テレビ、インターネット、ラジオ、それぞれの特性を生かしながら、避難の呼びかけや被害の状況、ライフライン情報などを全国放送、地域放送共により早く伝えるよう全力を挙げております。大雪の際の情報発信も強化しております。
 御指摘の二〇一四年の山梨県での大雪の対応が不十分だったのではないかという反省、教訓も踏まえまして、例えば去年十二月に新潟県の関越自動車道で多数の車が立ち往生したときには、新潟県内向けの放送で特設ニュースですとか、テレビ画面に文字情報を出す今御指摘にありましたL字放送、データ放送のほか、ラジオやインターネットで連日情報を発信いたしました。また、今年一月の福井県の大雪では、立ち往生した車のドライバーの不安を少しでも和らげようと、地元の福井放送局がラジオで励ましの声を届けることにも取り組みまして、ドライバーの方からも感謝の声が寄せられております。
 災害に備えて地域放送局では定期的に訓練を実施しているほか、大きな災害が発生した際には、全国から応援者を速やかにかつ継続的に派遣するとともに、本部が、東京の本部でL字放送ですとかデータ放送、インターネット発信を遠隔で支援するということも行っております。さらに、大阪の拠点放送局では二〇一八年四月から全国遠隔編集支援センターというものを稼働させまして、地域放送局の代わりに映像の編集等を行うなど、地域放送局が東京ですとか大阪とも連携しながら、被害の状況やライフラインの情報、生活の支援や再建に必要な情報をきめ細かく発信するようにいたしております。
 地域の方々の安全と安心を守るために災害時の地域放送局の情報発信、御指摘のように非常に重要だと思っておりまして、これを強化するとともに、首都直下地震や南海トラフ巨大地震の発生確率等もいろいろ報じられております、それに備えてより強靱な体制の構築を図ってまいりたいと考えております。

#70
○小沢雅仁君 丁寧な考え方、ありがとうございました。やっぱり災害のときはそういった情報が、いろんな情報がやっぱり必要ですので、きめ細やかな情報発信をしていただけるように重ねてお願いしたいと思います。
 次に、新しいNHKらしさの追求についてお伺いしたいと思います。
 前田会長は衆議院の総務委員会の答弁で、新しいNHKらしさの追求について、予算ではなく番組のでき上がった実績で評価して番組を見直そう、予算ベースでなく決算で、実績で評価するという軸に変えたいと話されておりました。その方向性は十分理解できます。
 私は、その上で、開かれたNHKという視点で質問したいと思います。
 先日、質問作りのために、NHKプラスクロスSHIBUYAというNHKの施設を見学をしてまいりました。8Kの極めて高い解像度と臨場感を駆使された映像で、本当に今まで体験することができなかった映像は大変興味深いものでございました。中でも、赤色立体地図の8KCGから富士山の防災を考える、赤色というのは赤い色ですね、その映像は非常に興味深かったです。富士山を中心に、頂上から山麓のどこに火口があるのか忠実に再現されていて、山梨県民としてはとても関心がある映像でございました。
 しかし、私の地元のNHK甲府放送局は、JR甲府駅の北口、駅のホームの目の前にあるという非常に好立地に新設がされたわけでありますけど、残念ながら訪問する機会がございません。
 公共メディア、受信料制度への理解促進においても、もっと視聴者との結び付きを強化するために、各地方の放送局に気軽に訪問できるPRコーナーの設置や展示、イベントを行い、視聴者から、開かれたNHKという視点で新しいNHKらしさを是非追求する必要があるのではないかと思いますが、前田会長のお考えをお聞きしたいと思います。

#71
○参考人(前田晃伸君) お答え申し上げます。
 全ての地域放送局には、規模は様々でございますが、気楽に立ち寄っていただける公開スペース、また御質問や御意見を直接お受けするハートプラザを設置いたしております。NHKの公共メディアとしての役割をお伝えし、視聴者と直接触れ合う大切な接点となる場だと考えております。公開スペースには、過去の番組を視聴できる番組ライブラリーや、4K、8K番組を御覧いただけるコーナーなどがございます。
 二〇一九年度には全国でおよそ百七十件、二〇二〇年度も現時点でおよそ六十件のイベントを実施いたしました。
 一部の地域放送局では、若い視聴者の声などを参考に、放送体験コーナーや最新のVR映像を体験できるコーナー、親子で親しめるスペースの設置なども行っております。
 今後も引き続き、コロナ感染対策を徹底しながら、新しいNHKらしさに触れていただける場として活用していきたいと考えております。

#72
○小沢雅仁君 ありがとうございます。
 今、コロナ禍ということでなかなかイベントなどの開催が難しいというふうには思いますけれど、視聴者の皆さんがNHKに何を求め、NHKがその要求にどう応えていくかが重要であるというふうに思っております。
 是非、新しいNHKらしさの追求が放送の質を維持し、NHKと視聴者の関係性をつくり直すことがNHKの信頼を高め、放送の公共性を通じて社会の公共性を高めていくことだと思っております。是非とも、働いている社員の理解と協力なくして実現できるものではありませんので、社員の皆さんとも議論を重ねて、引き続き取り組んでいただけることをお願いをしたいというふうに思います。
 次に、時間の関係で、NHKと日本郵政、日本郵便による防災・減災に関する連携協定を先日結ばれたとお聞きしましたが、その概要をお聞かせください。

#73
○参考人(正籬聡君) お答えいたします。
 台風や豪雨など、最近の災害、激甚化、広域化していまして、首都直下地震や南海トラフ巨大地震など、大規模な地震や津波の発生が懸念されております。公共メディアとして命と暮らしを守る報道を強化するためには、より強靱なネットワークを構築することが必要だと考えております。
 日本郵政と日本郵便にはおよそ二万四千局の郵便局がありまして、地域の安全、安心を支えるという理念を掲げております。今回の連携協定によって、災害時によりきめ細かい情報を集めて、地域の方々に役立つ情報をお伝えすることにつながるのではないかと考えております。
 詳細はこれから実務者の間で詰めていきますけれども、例えば、災害時に地元の郵便局などから被害状況が分かる動画ですとか静止画を可能な範囲で提供していただいたり、平常時からNHKの防災情報についてのポスターですとかチラシを郵便局に設置して周知したりすることなどに取り組んでまいりたいと考えております。

#74
○小沢雅仁君 ありがとうございます。
 二万四千の郵便局ネットワークによって様々な災害状況が活用されるというのは、日本郵政グループの出身の私にとっても非常に有り難いことだというふうに思っています。
 とりわけ、大災害が起きますと一番最初に動き出すのがいわゆる赤いバイクでございまして、東日本大震災のときも、まだ瓦れきの中を避難所を一軒一軒訪問して、どこにどなたが避難をしているのかというのを確認しながら郵便配達を行ってきたところでございます。
 そして、今も、日本全国、山の道を始めいろんなところを私の仲間が配達をして、そして危険な箇所があったら自治体にお知らせをするというような取組もさせていただいておりますので、是非そういった情報をいち早くキャッチをして発信していただけたら有り難いというふうに思います。
 最後に、人事制度改革についてお伺いしたいと思いますが、五つの重点項目の一つに人事制度改革が掲げられておりますけれど、どのような視点で人事制度改革を行うのか、具体的な考え方をお聞かせをいただきたいと思います。

#75
○参考人(林理恵君) お答えいたします。
 これまでのNHKの人事制度は、年功序列や不十分な人材育成など積年の課題がありました。こうした課題を解消するため、包括的、抜本的な制度運用の見直しに取り組んでいくことにいたしました。
 その目的は、職員一人一人が持つ能力を最大化すること、それによって視聴者の皆様にお届けするNHKの価値、サービスを向上させることと考えております。多様な人々がそれぞれの働き方で力を発揮できるようダイバーシティーを推進することや、NHKの強みである全国ネットワークを支えるため、地域に根差す人材が一層活躍できる環境を整えることなども進めてまいります。
 この改革を通じて、視聴者の皆様に新しいNHKらしさを感じていただける放送サービスをお届けできるよう、しっかりと取り組んでまいります。

#76
○小沢雅仁君 私も日本郵政グループにおるときに人事制度改革の交渉を担当しておりまして大変苦労した思いがございますが、非常に難しいんですね、やっぱり人事制度改革というのは。
 社員の皆さんにきちんと理解されて落とし込みがされないと間違った人事制度改革にやっぱりなってしまいますので、とりわけこの収支予算と事業計画の説明資料の三十五ページにありますNHKグループの働き方改革宣言の中にもあるように、新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえた新たなワークスタイルの取組、これなどもしっかりと融合していただいて、社員と皆さんとしっかりと話をして、社員が求める人事制度改革という視点で是非お取組をしていただくことを重ねてお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。

#77
○岸真紀子君 立憲民主・社民の岸真紀子です。
 今日も質問の機会をいただいて、ありがとうございます。
 最初に、武田大臣に、総務省が考える公共放送というのは何なのかというのをお伺いいたします。

#78
○国務大臣(武田良太君) 公共放送をあまねく全国において受信できるように、広告主の意向や視聴率にとらわれず、質の高い放送番組を放送する等の重要な社会的使命を担っているものと認識しており、放送法においてもNHKの目的規定などにこうした趣旨が盛り込まれております。
 こうした社会的使命を果たすため、NHKは、国費で運営される国営放送や、主として広告収入を財源とする民間放送と異なり、国や広告主等の影響をできるだけ避けるため、国民・視聴者に広く負担いただく受信料を主たる財源としているものと認識をいたしております。

#79
○岸真紀子君 次に、前田会長にもお尋ねをいたします。
 先ほども二之湯委員の質問で公共放送とはというのをお話しになっていただいているんですが、NHKはこの公共放送としてどんな役割を持っているとお考えなのか、また、前田会長が考えるNHKとして大事なものとしているものはどういったものなのか、お聞かせいただけますか。

#80
○参考人(前田晃伸君) お答え申し上げます。
 公共放送としてのNHKの役割は、公共の福祉のため、あまねく日本全国で受信できるよう、豊かで良質な番組を提供し、健全な民主主義の発展や文化水準の向上に寄与することだと考えております。
 報道スタンスにつきましては、自主自律を貫き、公平公正、不偏不党を堅持し、豊かでより良い放送を行い、視聴者・国民の皆様の知る権利に応え、信頼される情報の社会的基盤の役割を果たしていくことが特に大事だと考えております。

#81
○岸真紀子君 今、武田大臣と前田会長、お二人にお答えいただきました。ありがとうございます。
 私も、今回、NHKの予算の質疑に、行うに当たって、NHKというのは改めて何なのかというのを考えました。国民の皆さんがNHKに対してどんなときに視聴するのか、災害が起こったときとか、多くの人が正確で迅速で、そして信頼性のあるNHKを御覧になるのではないかなというふうに考えます。また、ここにいる委員の皆さんであれば選挙の開票時ですね。開票速報というのが行われていまして、NHKの当落の結果が出るまでは事務所でじっと待っていて、その瞬間に喜んだり悲しんだりということに使っているのではないかなと思います。そんなふうに、NHKというのは国民にとって、視聴者にとって、正確で信頼、そして中立性を持った情報を求めているのではないかと考えています。
 さらに、NHKについて考えたときに私がたどり着いたものが、NHKの役割として記録ではないかと考えました。記録です。
 NHKは様々な記録を撮り続けています。三・一一、福島の原発事故の記録であったり、「映像の世紀」という番組も皆さんも御覧になったことがあるかと思われますが、良いことも悪いことも全て取材しています。第二次世界大戦時の映像記録は、当時は恐らく放送することは困難であったと思われますが、こういったものも記録として残しています。それは、時代の検証の材料として、NHKが中立性を保ちながら回想録や証言等を撮りためてきたものであり、それを見た視聴者は、映像から見るそういった証言によってそれぞれが考える機会として捉えているのではないでしょうか。記憶というのは曖昧なものなので、どうしても時の政権によってすり替えられる可能性も否定できません。だからこそ、記録を残すこと、これはとても大事なことではないかなと考えます。
 前田会長、この記録という役割について何か御認識ございましたらお答えいただけますか。

#82
○参考人(前田晃伸君) 委員御指摘のとおり、やはり不偏不党で中立的な立場の公共放送でございますので、記録を残すというのは大変重要でございます。既にいろんなデータたくさん保有していますが、それをまた活用できるような状態にしておりまして、これもNHKの役割だと考えております。

#83
○岸真紀子君 ありがとうございます。
 是非とも引き続き、この記録を国民のために、将来の方のためにも残していただきたいことを、重きを置いていただければと思います。
 今回、総務省は受信料の値下げについてちょっと踏み込みました。NHK受信料に介入しているんではないかと思われるようなこともありますが、それは、私自身は放送の独立性を考えたときに懸念があります。
 イギリスのBBCは政府と受信料をめぐってこれまで権力闘争となっている構図もうかがえます。他国を見ると、政府が受信料の決定権を持っているがゆえに、収入面での不安から、政府の介入を、番組に対してですね、政府の介入を防ぐことが難しい、言わば独立性の危機とも言えるところもうかがえます。
 公共放送の独立性は、収入面も大きな位置付けにあると考えるのですが、当然、視聴者がそれは理解ができるように経費節減は必要ではありますが、政府がやっぱり私は介入すべきものではないと考えます。このことについて武田大臣の見解をお伺いします。

#84
○国務大臣(武田良太君) 受信料額につきましては、放送法に基づき、毎年度のNHK予算の一部として、まさに国会において御審議いただき、国会の承認をいただくことによって定められると承知をしております。
 その際、放送法では、NHK予算は総務大臣の意見を付して国会で御審議いただくこととされていることから、受信料水準について私が意見を述べることは差し支えない、差し支えないものと認識をしております。
 また、NHKは繰越剰余金が積み上がっており、多くの国民・視聴者から今の受信料は高いという御意見が寄せられている状況を踏まえれば、受信料の引下げについて意見を申し述べることは妥当であると、このように考えております。

#85
○岸真紀子君 ただ、やっぱり海外の例からいっても、余りにも政府が介入すると、やっぱり費用の面も独立性というのを担保するのが必要なのではないかなと私は考えます。
 この受信料の値下げによって、全国ネットワークへの影響が大丈夫なのかということをお聞きします。私が言う全国ネットワークというのは、あまねく視聴できる体制ということではなくて、地方局の現場で働く方々がこれまで培ってきた地域ネットワークのことです。
 私、北海道の出身なんですが、北海道は相当広大な面積があります。昔に比べると、残念ながら、このNHKの支局というんですか、が減らされているんですね。私の地元の岩見沢市も支局が撤退しています、何年か前に。
 そういったことを考えると、なかなかこの広い広大な面積で記者の方が情報を集めるのは苦労されています。地方記者の地道な努力、取材力が要なのではないかと考えるんですが、取材に答えてもらうには、やっぱり日頃からの地域住民とのコミュニケーションが大切であり、何度も何度も通うことによって生まれる人間関係が必要とされています。
 福島原発から十年、その後を追ったドキュメントでは、まさに長い年月にわたって地道な取材をNHKの記者の方が続けているからこそ、協力してくれる人がいるのではないかと思います。
 受信料値下げで全体の収入が減るということで、こういった地方局への影響がないのかどうか、大丈夫なのかどうかというのを会長にお伺いします。

#86
○参考人(前田晃伸君) お答え申し上げます。
 今委員御指摘の部分ですが、私は、今のNHKの情報発信の仕方はやや東京に偏り過ぎていると率直に思っております。
 前も申し上げましたけれども、やはり東京はある意味では三次産業が中心でございまして、地方、一次産業、二次産業というそういう産業構造で考えますと、東京だけからの情報がたくさん出ますと偏ってしまうと。これ、全国ネットワークを持っているNHKの良さを生かし切れていないんではないかという、私は率直にそう思っておりまして、最近は、東京、要するに都市部発の情報と地方発の情報を五〇、五〇ぐらいにしたらどうかと。
 私は、一昨年ちょっと実態調査をさせたところでは、七、三で東京発の情報がございました。ちょっとどう見てもバランス悪いということで、五〇、五〇にしたらどうかと。それくらいのことをしないと、要するに全国ネットワークのこのあまねく放送を公平に伝えるというのはどうも公平感に欠けるんじゃないかと思っております。そういう意味で、今御指摘のその全国ネットワークを生かした地方情報の発信強化と、そのための構造改革が必要だと考えております。
 次期の経営計画におきましては、重点投資する取組の一つであります社会への貢献といたしまして、地域情報の全国、海外への発信を大幅に増やすとともに、地域の課題を取り上げ、全国ネットワークを最大限に活用して情報を共有することで解決につなげるなど、各地域の発展に様々な形で貢献したいということを明記いたしております。

#87
○岸真紀子君 会長、ありがとうございます。
 地方、全国への発信を増やすということで、心強いお言葉でした。
 時間も限られているので、質問に入れていたんですが、意見だけを言わせてもらうと、もっともっと地方局の強みを生かした発信というものを引き続き行っていただきたいというのと、昔は方言を使った放送もあったようですが、そういった地方の文化を残すという観点からも、地方局の発信を増やすための予算を確保していただければと存じます。
 次に、経営改革によって営業経費の削減ということが挙げられています。訪問によらない効率的な営業活動への移行は、経営面や効率面からいって必要なのかもしれませんが、一方で、法人がこれまで契約してきた地域のスタッフの方というのは、お聞きすると、二〇二〇年十月で三千四百五十人全国にいらっしゃるとお聞きしました。派遣契約だけではなくて個人事業主も含まれていると聞いていますが、こういった地方の雇用の場と考えたときに影響が大きいのではないかと考えるんですが、その辺りの配慮はされるのでしょうか、お伺いします。

#88
○参考人(前田晃伸君) お答え申し上げます。
 法人事業主との業務委託につきましては、原則、委託期間満了をもって終了ということにしておりまして、二〇二三年度までには段階的に縮小していくことを計画しております。
 それぞれの事業者の中には、受信料の契約収納業務のほかに様々な事業を営んでいるところもございまして、現行の巡回訪問営業の順次縮小をするに当たりましては、各事業者の方々に誠心誠意丁寧に御説明するとともに、御理解をいただくように努めてまいりたいと思います。

#89
○岸真紀子君 是非そこは丁寧にお願いいたします。
 次に、視聴者保護の観点で幾つかお伺いをしたいんですが、まず最初に、衛星放送への理解促進を広めるにはどうすべきかということをお伺いします。
 現在、NHKは、地上契約と衛星契約、これは別々なものとなっていますが、アパートなどで衛星を受信できる住居、受信機があるところは衛星契約を結ぶことになります。ただ、今までNHKではニュースとかテレビしか見てこなかったりとか、これまで衛星放送の受信機がなかったので見てこなかったという人は、何で必要ないのに衛星放送の受信料まで結ばなくてはいけないのかといった疑問の声もお聞きするんです。
 放送法で決まっているというだけではなくて、やっぱりこの理解を進めていくというのが重要だと考えますが、NHKでいうとBSも大変いいものを私は放送していると思いますが、こういった利点も含めて、視聴者の観点で理解を深めるためにはどうすべきだと考えているか、お伺いします。

#90
○参考人(前田晃伸君) お答え申し上げます。
 NHKといたしましては、放送法に基づく放送受信契約によりまして、衛星放送を受信できる受信設備があれば衛星契約をお願いをいたしております。
 集合住宅などで衛星放送を受信する意図がないのに衛星契約を求められるのは納得がいかないという御意見があることは承知いたしております。次期経営計画では、構造改革を進めることで経営資源を放送サービスに集中させることといたしております。NHKならではの見応えのある番組を衛星放送でもしっかりお届けし、コンテンツの質を評価していただくことで、衛星契約に御理解をいただけるよう努めてまいりたいと思います。
 また、これまでも衛星付加受信料の割高感が指摘されてきた経緯もございまして、衛星波の削減を行います二〇二三年度に衛星料金の値下げを検討いたしております。
 地上契約と衛星契約の一本化を含めた総合的な受信料の在り方についても導入に向けて検討を進めていく考えでございます。

#91
○岸真紀子君 また、今、この経営計画では、AMラジオというのが、第一と第二を将来的には一本化するという具体案が出されておりますが、リスナーのことを置き去りにしていないのかという疑問があります。
 AM放送の第二を削減して、現在放送している語学講座などをネットに移すということを考えていらっしゃるようですが、利便性が上がる一方で、ネットを見られない方、また、ネットというのはどうしても環境に左右されるものなので、そういった問題もあります。あとは不得意な方もいますし、広くあまねくという公共放送の意義からいえば、どこでも誰でも簡単に聞くことができるラジオというのはすごく意義があると思うんです。
 このリスナー保護の観点として、これ二つを一つにするということについてはいかがお考えでしょうか。

#92
○参考人(前田晃伸君) お答え申し上げます。
 私もラジオの愛用者でございまして、そういう意味では、R1、R2を整理することはちょっと気にもなるんですが、私、基本的にラジオは電池による電源供給が可能でございまして、停電に伴う災害時における情報伝達メディアとしては非常に有用であると考えております。また、こうした音声波の整理、削減に当たりましては、長年ラジオ放送に親しんでいただいている皆様の意見にも耳を傾ける必要があると考えております。
 ラジオの利用実態を把握して、整理、削減に当たって配慮すべき点などを確認することを目的に、昨年十二月から今年の三月にかけまして幅広く調査を行いました。広く視聴者・国民の皆様を対象にした世論調査と、ふだんからラジオを聞いている方に絞ったインターネット調査を行いまして、合計約六千五百人の方から回答をいただきました。現在、内容の分析を進めております。
 こうした調査の結果を踏まえまして、整理、削減に当たりましては、ニーズの高いコンテンツのほか、音声波で放送したりインターネットも使って提供するなど、皆様の利便性を少なくとも損なわないような配慮を十分にしてまいりたいと考えております。

#93
○岸真紀子君 やはり丁寧な、丁寧なリスナーの視点での改革というのが必要だと思いますので、引き続きお願いいたします。
 次に、様々な今事情を抱えて学校に行けなかったとか、外国人労働者がたくさん日本にいらっしゃいますが、なかなか日本語習得が難しかったりとか、またその外国人労働者に一緒に来られた家族の方とか、今、識字教育を求める方というのが増えています。夜間中学が全ての地域にあればよいのですが、残念ながら夜間中学の設置数は、文科省によると十都府県に三十四校しかない実態です。こここそNHKかなと私は考えていまして、教育番組の充実と利便性の向上を図っていただきたいのですが、前田会長の御見解をお願いします。

#94
○参考人(前田晃伸君) お答え申し上げます。
 教育テレビでは、基礎的な日本語を学ぶために、小学校一、二年生向けとして制作をいたしております「ことばドリル」を放送いたしております。学習指導要領にのっとりまして、片仮名の使い方や反対の言葉、形容詞、接続詞などを学ぶことができ、自学自習に役立つ教育コンテンツのウエブサイト、NHKフォースクールも無料で御覧いただけるようにしております。
 外国人向けの識字教育としては、日本の文化や社会について学べる「やさしい日本語」をNHKワールドJAPANで放送やインターネットを通じて十八の言語で提供をいたしております。
 様々な事情のある方々がひとしく学ぶ機会を得られるよう、今後も教育コンテンツの充実を図るとともに、インターネットによるサービスの提供など利便性の向上に努めてまいりたいと思います。

#95
○岸真紀子君 その利便性の観点でいうと、武田大臣にお伺いしますが、イギリスのBBCは二〇〇七年から、BBCアイプレーヤーとしてインターネットを使った教育の充実を図っています。日本も見習ってはどうかなと考えるんですが、一方で、そうなると放送法の問題となってきます。
 総務省として、ネット専用のコンテンツについて放送法の議論をしてはどうかと考えるんですが、大臣、いかがでしょうか。

#96
○国務大臣(武田良太君) NHKにおきましては、放送法に基づき、放送番組及びその編集上必要な資料等をインターネットで配信しており、例えば教育コンテンツに関して、NHKフォースクールとして九千本以上の動画を提供しており、これは受信料で賄われております。
 他方、NHKの受信料は、公共放送を支える財源として広く国民・視聴者に御負担いただいているものであり、インターネットのみで配信される動画の制作に無限定に受信料を充てられる仕組みとはなっておりません。まずは、現行の枠組みの中でNHKにおいて取組を進めていただくことが重要と認識をいたしております。

#97
○岸真紀子君 当然その視聴者というのを大事にしなきゃいけないんですが、だんだんこの日本においてもテレビを見る方が減ってきているという実態もありますので、是非もう検討に入ってはいかがかなと考えます。
 今日、NHKの経営委員会の森下経営委員長にも御出席いただきました。三月に再任されたということで、昨年のこのNHK予算でも様々、森下委員長にはお尋ねがあったかと思うんですが、公共放送としての中立性を保ちながらも社会の問題に取材と向き合うこのNHKに、視聴者へ広めていくというのが原則になっていて、それは何人からも介入されることのないものでなくてはならないというのが原則です。しかし、二〇一八年に、個別の放送番組の編集に、具体的に言うとかんぽ生命保険の不適切販売を指摘した「クローズアップ現代+」の話ですが、経営委員会の介入が疑われる行為がありました。この間、何度も何度も総務委員会で質問をしてきている問題です。
 この疑念について森下委員長にお尋ねをしますが、いまだに経営委員会での議論経過が分かる議事録の全面開示というのはされていないんですが、改めてお聞きしますが、議事録のこの全面開示というのはなぜしないのかというのと、今後どうお考えなのか、お聞きします。

#98
○参考人(森下俊三君) お答えいたします。
 NHK情報公開・個人情報保護審議委員会からの一度目の答申、これは昨年の夏頃でしたが、視聴者に対する十分な説明責任を果たすことが求められている状況を勘案すると議事録を速やかに開示することが必要と、そういう趣旨でございました。当時の議論は非公表を前提に行っておりましたので、対象文書それ自体は公表できませんが、経営委員会としてNHK情報公開規程に従い、答申の趣旨を尊重いたしまして、説明責任を果たすために改めて整理、精査した上で公表をいたしました。整理、精査したものであることは請求者にその旨を付して回答いたしております。
 しかしながら、今年の二月四日に出されました二度目の審議委員会の答申では、前回の対応では不十分だということがございました。対象文書そのものを開示せよという指摘がございましたので、これを受けまして、まず二月九日の経営委員会で情報共有をいたしました。その後、経営委員会で議論を続けております。
 経営委員会は十二名の合議制でありまして、三月一日付けでお二人の新しい委員も入られましたので、現在、引き続きしっかりと議論をして、今後対応を決めていく所存でございます。

#99
○岸真紀子君 新たな体制で改めて公示を是非全てすべきだということを申し上げて、質問を終わります。
 ありがとうございました。
    ─────────────

#100
○委員長(浜田昌良君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、青山繁晴君が委員を辞任され、その補欠として石井正弘君が選任されました。
    ─────────────

#101
○那谷屋正義君 立憲民主・社民の那谷屋正義でございます。
 今日はNHK新年度予算等の審議ということでありますけれども、総務委員会でありますので、どうしても冒頭触れておかなければならないのは、やはりこの間の総務省の様々な問題、そして国民との信頼関係が大きく揺らいでしまっているその状況、これはやっぱりゆゆしき問題だというふうに思います。
 今、コロナ禍において国民の協力あるいは要請、お願い、こういったものがある中で、政府と国民の信頼関係なしにはそのことは成立しない。したがって、コロナのこの感染症もなかなか収拾を見ないと、こういうふうな形になるわけでありますから、そういう意味では、政府と国民の信頼を取り戻す意味においても、総務大臣にはこの検証委員会における様々な協議、これについて詳細にこの国会に報告をいただき、議論をしていただくことを望みたいと思います。
 今日はそのあれではありませんのであえて質問はしませんが、もし何かありましたら。

#102
○国務大臣(武田良太君) 国民の信頼回復を、一日も早くこの信頼を取り戻すために我々は全力を挙げて誠心誠意対応していきたいと、このように考えております。

#103
○那谷屋正義君 是非お願いをしたいと思いますし、引き続きこの委員会においても議論をさせていただきたいと思います。
 また、受信料の引下げについて今お話がございました。
 今回、中期経営計画が出されておりますけれども、ちょうど昨年の八月にこの中間発表がされております、中間報告がされています。そこでは、受信料の引下げについては具体的に触れていない、むしろ受信料についてはそのまま維持するというふうになっていたわけでありますけれども、この一月、最終版ではその受信料についての話が触れているということで、これは大きく食い違うわけでありますけれども、その中間報告から最終報告に至るまでの経緯を経営委員長に御説明いただきたいと思います。

#104
○参考人(森下俊三君) お答えいたします。
 経営委員会の中では、三か年で七百億円削減すれば受信料の値下げが可能になるのではないかという意見はございました。しかしながら、中期経営計画の策定段階では不確定要素が多かったことから、値下げの時期を明示する意見はございませんでした。
 中期経営計画案について八月に一般の方に意見募集を行ったところ、千八百件に及ぶ意見をいただいたんですが、その中で、視聴者・国民の皆様から多くの値下げの要望をいただきました。この意見募集でいただいた御意見を経営委員会、執行部と共に確認をいたしまして、検討を重ねた結果、二〇二三年度に値下げする方針まで執行部に踏み込んでもらうことができたと考えております。
 以上、お答えいたしました。

#105
○那谷屋正義君 受信料の引下げについて私は今ここで議論をするつもりはありませんけれども、しかし、あの八月の頃は、現行の料額を維持することとします、そして、その受信料については国民の理解を十分得ていくものに努力すると、こういうふうになっていたわけですけれども、全くそうなっていない、全く逆の、そうなっていないじゃなくて、その逆の話になってしまっていますので。
 実は、これはうがった見方で申し訳ありませんが、武田総務大臣が就任されたのが九月十七日、それ以降、様々な会合において、受信料を何とか引き下げるんだということが大事だということ、それを言うことは、今も岸委員の質問の中でも、できるんだと、こういう話をされましたけれども、しかし放送法を見ると、この予算を受け取ったとき、受理したときに大臣の意見を付すことができるのであって、その間の経営計画を作る際に当たって影響するような発言はされるものではないというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

#106
○国務大臣(武田良太君) 先ほども答弁ありましたように、受信料額については、放送法に基づいて、毎年度のNHK予算の一部としてまさに国会において御審議いただき、国会の承認をいただくことによって定められるものと承知をいたしております。
 その際、放送法では、NHK予算については総務大臣の意見を付して国会で御審議いただくこととされていることから、受信料水準について私が意見を述べることは差し支えないものと認識をしており、折に触れて国民の皆様に私の考え方を説明することは有益であると、このように考えております。
 また、NHKは繰越剰余金が積み上がっており、多くの国民・視聴者から今の受信料は高いという御意見が寄せられている状況を踏まえれば、受信料の引下げについて意見を申し述べることは妥当であると、このように考えております。

#107
○那谷屋正義君 私が申し上げているのは受信料の多寡ではなくて、額の多寡ではなくて、総務大臣がいわゆる意見を付すことができるのはこの予算を受け取ったときというふうに書いてあるんですよ。
 法律を、法令をしっかり遵守すると日頃から言われている大臣が、そうではなくて、そうでないときも受信料の引下げについて云々というふうなことを言うのは、まさにある意味、NHKを所管する総務省のトップがそういう話をするということは、NHKの独立性を逆にゆがめたものというふうに疑われてもおかしくない話でありますから、是非そういった言動については慎重にやっていただくべきだというふうに思いますし、先ほどの最初の話に戻りますけれども、あのビール二杯しか飲んでいないと言われるNTTとの会合も、今どういう状況にあるのかということ、そしてNHKと、あっ、NHKじゃない、NTTと総務省の関係、こういったものを考えたときに、本当にビール二杯だけ飲むのはそれでいいのかということについて、やはり李下に冠を正さずという言葉があるわけでありますけれども、大臣はもう既にその中で、冠を正すかどうか分かりませんけれども、頭に手をやっているわけですよ。
 そうすると、多くの人が、あっ、何やっているんだ、盗むんじゃないのかというふうな誤解を、誤解というかな、誤解じゃありません、分かりません、疑義を持つことは当たり前だというふうに思うんで、それに対して、やはり反省と、そして今後そういうことがないように是非していただくことを強く申し上げたいというふうに思います。
 次に、少し順番を変えますけれども、先ほども岸委員からありましたが、NHKの教育、教養番組は他の民放にないNHKの特徴の一つと言えます。NHKは、新たに導入したジャンル別管理という方法によって、重複する内容の番組の見直しや番組コストの査定を徹底するとしているわけでありますけれども、これによって得られた経営資源を教育、教養番組に投入し、NHKらしさを充実させてほしいというふうに私も考えるところであります。
 また、これについては新聞協会等は、NHKは報道や教養などを重視した公共放送としてふさわしい番組比率を自ら規定することも検討すべきと、こういうふうに意見を公表していますけれども、会長の見解をお伺いしたいと思います。

#108
○参考人(前田晃伸君) お答え申し上げます。
 私どもNHKでは、新しいNHKらしさを追求するために、昨年の八月からジャンル別の管理を導入しております。番組をニュース、ドラマなどジャンルに分類し、どれだけ多くの方に見られたかなどを測る量的な評価、それから視聴者による番組の質的な評価、それにコストを加えまして、新たにNHK独自の管理指標を作りました。そういう管理指標を基に、今、地上二波、衛星四波あります番組を、重複する番組の内容を整理、削減することで、教育、教養番組を含めた一本一本の番組の質を高めることに注力をしたいと考えております。
 合理的なコストで視聴者の皆様にお届けする放送サービスの価値を最大化することが目的でございまして、民放のまねはしないで、NHKらしい番組を一生懸命作るということが今回の目的でございます。

#109
○那谷屋正義君 是非とも、番組比率を自ら規定するということについてはっきりとお答えいただけませんでしたけれども、そういったことを視野に入れてしっかりと検討していただきたいというふうに思います。
 次に、これも衆議院の方で議論があったわけですけれども、NHK予算というのは、放送法上、先ほどから言われているように国会の承認が必要とされており、毎年度国会において審議が行われているわけであります。一方で、決算については国会の承認は必要とされていないことから、決算審議を行うことが求められているわけではありませんけれども、国会の運用上、審議を経た上でこれを是認するか否かの議決がなされる例というふうになっているわけであります。
 そのため、参議院では、国会日程など様々な事情を背景に、平成三十年六月に平成二十五年度から平成二十八年度までの四年度分の決算審議をまとめて行ったのを最後にNHK決算を審議しておらず、平成二十九年度から令和元年度までの三年度分が審議されていない状況にあります。決算重視と言われている参議院においては、これもやはり放っておけない問題であります。
 まず、総務省に、放送法において決算の国会承認を求めていない理由について伺いたいと思います。

#110
○政府参考人(吉田博史君) NHK決算につきましては、明文上、国会による承認事項とはされておりませんけれども、これは、NHK決算は、過年度の事業内容の結果を示すものでございまして、その審議を行うことによりNHK決算の妥当性を明らかにするというものにならざるを得ないというような点が事情としてあるのではないかと考えております。

#111
○那谷屋正義君 ちょっと意味がよく分からないんですけれども、ちょっとそのことについては後ほど触れたいと思いますが。
 前田会長、以前は銀行、様々な銀行でお仕事をされていたということでありますけれども、これも衆議院で質問をされたと同じなんですけれども、決算重視というのは民間人として当然であるというふうに答弁されておりました。
 NHKは決算重視の体制となっているかについて、まず会長の御認識を伺うとともに、NHKの効率的かつ適正な運営に当たってどのように決算を重視していくのか、会長にお伺いしたいと思います。

#112
○参考人(前田晃伸君) お答え申し上げます。
 ただいま委員おっしゃったとおり、私、やっぱり決算は非常に重要だと思っております。国会の審議については私は申し上げることはできませんが、NHKそのものも、今まで予算をベースにずっとやってきたんですが、予算に加えて決算の実績をしっかりと反映した経営していきたいと思っておりますし、そのようにみんなに伝えております。

#113
○那谷屋正義君 決算の審議については、一義的には国会の方にも責任があるわけでありますけれども、国会でも審議しなければならないような仕組みというのが私は必要なのではないかなというふうに思いますし、先ほど、三年度どうのこうのというお話で、ちょっとよく分からない答弁がありましたけれども、実はNHK予算と決算には乖離が生じております。
 例えば、資料を見ていただけたらお分かりかと思いますが、令和元年度予算では、事業収支差金が三十億円の赤字となるとされていたわけですけれども、同年度の決算では二百二十億円の黒字となっているわけです。予算と決算には二百五十億円の乖離が生じているわけでありまして、こうした傾向は今回限りでなくて、以前から続いております。結果として、令和二年度末見込みで一千四百五十億円の剰余金が生じることとなっています。
 公共放送であるNHKの予算編成は、収支相償の大原則にのっとって行わなければならないわけでありますけれども、結果としてこのような予算と決算の乖離が生じ続けている現状について、大臣と会長に見解を伺いたいと思います。

#114
○政府参考人(吉田博史君) NHK予算につきましては、当然きちんとした見込みに基づいて国会に提出するということは求められていると思います。その中で、NHKとしても中間決算の結果を次年度の予算に反映するなど、そういう努力をしていると思います。
 ただ、現実として予算と決算の乖離が大きくなっているということは私どもも認識しており、より実態を反映した予算というものを組む努力を更にNHKとしてやっていただきたいと考えております。

#115
○参考人(前田晃伸君) それぞれの年度の収支の見込みの実績が狂ったことにつきましては、基本的に予算制度を取っておりますと予算を超過して要するに支払をすることはできないんですけれども、受信料につきましては、受信料の徴収を強化することによりまして経営努力で増えることはあります。そういう意味では、必ずプラスになりますので、どうしてもギャップは出ます。もう御指摘のとおりでございまして、ここは私は、結果として繰越剰余金が増えてきたことについては必ずしも私は好ましいことではないと思っております。
 繰越金の適正な水準が必要だと思いますけれども、それを超えた水準にあるものにつきましては、今後、放送法の改正案に盛り込まれていると聞いておりますが、受信料の還元目的の積立金の科目が設定されれば、水準を超えたものについては受信料の値下げの原資としてそこに積立てをしていきたいと、そういう形で、収支のバランスが壊れて積み上がったものについては視聴者の方々にお返しするような仕組みを導入した方がいいと私どもはお願いをしております。

#116
○那谷屋正義君 NHK会長の御答弁はそのとおりだなというふうにも思うわけですけれども、総務省の答弁には全然納得できませんね。
 当然、NHKとしてはその数値についてはしっかりとしたものを出してくるだろうというふうに思うんですけれども、例えば、ここで出てきているのが地域計画、三年計画なんですよ。その三年計画のさなかに、やはりこの収支がずれてくることが多々ある、そうすると計画全体がもしかしたら変わらなきゃいけないかもしれないという事態が起こるわけですよ。だとすると、やはり決算というのもしっかりやっていくということが大事ではないかと思いますが、大臣、是非お願いします。

#117
○国務大臣(武田良太君) 放送法に基づく枠組みや国会での審議などを通じて、NHK予算のみならず決算についても十分にチェックされることが重要であると考えております。

#118
○那谷屋正義君 ありがとうございます。
 決算も十分審議されることが大事だというお言葉をいただきましたので、是非この総務委員会においてもしっかりとNHKの予算のみならず決算も議論をするよう、理事もしっかりと頑張ってまいります。
 最後になります。経営委員長にも最後までお残りいただいておりますけれども、これも岸委員の方からありましたが、かんぽ生命の不適切販売を取り上げた平成三十年四月のNHK番組に係る日本郵政グループの抗議等を受けて、同年十月に経営委員会が当時の上田NHK会長を厳重注意していた問題について、NHK情報公開・個人情報保護審議委員会は当時の議事録を開示すべきとの答申を、今先ほど答弁ありましたように、令和二年五月とそして今年の二月に出しているわけであります。我々も再三指摘をしてきたことでありますけれども、議事録を早急に全面開示すべきであるというふうに私は考えます。
 森下経営委員長は衆議院総務委員会において、そして今もですけれども、しっかりと議論をしている最中というふうな旨の答弁がありましたけれども、いつまでもいつまでも最中最中最中では、これ永遠に終わらないんですよ。
 現在の議論の状況といつまでに結論を出すのかについて伺いたい。森下委員長にお伺いします。

#119
○参考人(森下俊三君) お答えいたします。
 前回の答申のときには、経営委員会、十二名の合議制でございますので、しっかり議論をして、四回、委員会四回の中で議論をいたしまして、全員の合意を得て対応したわけであります。
 今回につきましては、二月九日から議論を始めておりますが、三月一日にメンバーが、委員が変わりましたので、しっかりと今議論をしている最中でございます。そういった意味で、もう少し時間をいただければと思います。
 いずれにいたしましても、答申に書かれていますように、しっかりと議論をして、十二名で対応を整理をした上で方針を決めたいということでございますので、その点、御了解いただきたいと思います。

#120
○那谷屋正義君 時間が参りましたのでもうこれで質問を終わりますけれども、NHK情報公開規程においては、NHKは審議委員会の意見を尊重する旨が規定されているわけでありますけれども、経営委員会では当然議事録を全面開示するという方向で議論を進めていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

#121
○委員長(浜田昌良君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時十三分休憩
     ─────・─────
   午後一時三分開会

#122
○委員長(浜田昌良君) ただいまから総務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#123
○若松謙維君 公明党の若松謙維です。
 今日は、NHKの予算、決算と絡めていろいろと質問させていただきます。特に経営、財務情報の開示の改善という観点から、まず私から思いを伝えさせていただいて、会長、経営委員長、大臣の順で御答弁を願います。
 まず、このNHK予算と事業の計画の説明資料という、皆様も恐らく事前にいただいておりますけど、こういう資料がございます。これはもうホームページでも入手できます。そして、総務省の予算ということで、これが一般会計歳出予算各目明細書と、こういうものも出ております。これを比較すると、いわゆるNHKとしても法律に従って情報公開をしているんでしょうけれども、いわゆる桁違いのやっぱり情報量、まあ少ないということをやっぱり共有したいと思います。
 特にNHKの例えば給与は、ちょうど、先ほど説明資料では八ページに一千百三十四億円、それだけでほかの説明ありません。しかし、総務省ですと、例えば、あと、さらに、経営委員の、会長とか、そういう金額の説明もこの説明資料には三十二ページにあるんですけれども、じゃ、総務省はというと、先ほどの職員の基本報酬、基本給が百二十八億で、かつ超過手当が二十一億とかなり細かく出ておりまして、特にやはり経営委員会、NHKの特徴としては、経営委員会としてのいわゆるNHKをガバナンスするためのガバナンスコストは幾らかと、そういういわゆるコスト情報はありません。
 総務省におきましては、ちょうどこの明細の七ページなんですけど、各委員会、もういろんな委員会があるわけですけど、当然総務省、様々な業務を協力してくれる委員会、外部評価委員会ありますが、そこが、例えば超過勤務手当幾らとか、あとは出張手当幾らとか、かなり細かく出ております。
 もう一つ、例えば学校なんですけど、NHKは学校ありませんけど、NHK学園という高校の通信教育があるんですね。それに対する、じゃ、コストはどのくらい掛かるかということですけど、出ておりませんけど、総務省は自治大学校校費五億円ということで、様々なこの明細が細かく出ております。
 もう推して知るべしでして、例えばやはり、それぞれのメーンの事務所ですか、特にNHKですと放送センターとかそれぞれの大阪支局とか、どのくらい掛かるかというのが出ていないで、オール日本で出ております。
 これが従来のやり方なんでしょうけど、やはり私自身、受信料というのは、税金とは言わないまでも税金に準じる財源で運営されておりますので、私は、情報開示は、会長は銀行ということで、有価証券報告書、御存じと思いますが、あれは民間ですから、行政の情報量はもうそれよりもかなり多いわけです。ですから、私は、この情報開示は省庁並みにNHKもすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

#124
○参考人(前田晃伸君) お答え申し上げます。
 NHKの経営に関する情報につきましては、関連団体に関する情報を含め、以前から公開に努めております。
 二〇〇〇年に策定いたしましたNHK情報公開基準に基づく自主的な取組として、事業活動全般に関する幅広い情報を視聴者に提供してまいりました。二〇一九年の放送法改正によりましてNHKの業務や財務に関する情報提供が義務付けられ、提供すべき情報が省令で具体的に列挙されました。これらの大半は既にNHKが自主的に公開していたものでございまして、視聴者の皆様が情報によりアクセスしやすくなるよう、ホームページの充実など様々な取組を進めております。
 今後も、受信料によって運営される公共放送として、視聴者に対する説明責任を果たす観点から情報提供の充実に努めてまいりたいと思います。

#125
○参考人(森下俊三君) お答えいたします。
 NHKでは、二〇一九年度の改正放送法に基づき、経営委員会に関する情報も含めまして、組織、業務や財務に関する情報提供を行うとともに、自主的に事業活動全般に関する幅広い情報提供も行っていると承知しております。
 経営委員会といたしましては、視聴者・国民の皆様に対する説明責任を果たすため、引き続き情報提供の充実に努めてまいります。

#126
○国務大臣(武田良太君) 総務省としては、NHKにおいて業務及び財務に関する基礎的な情報の公開を一層推進することにより、運営の透明性の向上を図ることが重要と考えており、今般の大臣意見においてもその旨申し述べたところであります。なお、こうした観点から、令和元年の放送法改正においても、NHKの情報公開に関する制度を拡充しております。
 NHKにおいては、今後とも、国民・視聴者から十分理解いただけるよう、情報開示を進めていただきたい、このように考えております。

#127
○若松謙維君 それに関連してなんですが、受信料、又は未収額、契約収納額等、これ、先ほどの説明資料の二十八ページにも出ているんですけれども、特に、御存じのように、ちょうど私の作りました、皆様の、営業経費というのが、まず資料一として説明をさせていただきました。いわゆる、この中には、請求等管理経費と、あと契約・収納活動経費という二種類がございます。約七千億円の受信料収入に対して七百五十九億円ということで、営業経費率が一〇・七%と。これを、片山先生いらっしゃれば、恐らくいつも高い高いと、私もそう思うんですが、中身いろいろとあろうかと思います。
 その上で、その高いか悪いかも含めて、やはり情報がないと判断のしようがないということで、あと資料二ですか、私なりに作らせていただいて、それで、まずこの受信料の収入、ずっと経緯が出ていまして、令和元年度末は七千百十五億円ということでありまして、特に先ほどの請求管理経費ですか、営業経費ですけど、この経費率というのは前後してほとんど変わっておりませんが、ちょっとやっぱり知りたいのはこの未収額なんですね。特に元年度末は七十二万件ということでありますけど、これは金額が出ていないんです。金額は幾らですか。あわせて、その金額のいわゆる年齢表、どんなくらいの期間未払、していないのかという、それも併せてお願いします。

#128
○参考人(松崎和義君) お答え申し上げます。
 これまでも国会での御質問や情報公開等におきまして、未収債権の総額につきましてはお答えを申し上げておりました。二〇一九年度末の受信契約を締結した上で一年以上の支払が滞った未収債権の総額は一千七十三億円となっております。一方、平成二十九年の参議院総務委員会において二〇一五年度末の未収額をお示ししておりますけれども、その時点での未収額は一千四百五十三億円でございました。未収削減の取組を進めたことにより、この四年間で三百八十億円の未収額を圧縮したことになります。
 支払率の維持向上のためには、受信契約数の増加とともに未収数の削減が重要であると認識しております。来年以降につきましても、未収者の対応について、訪問によらない営業への転換を着実に進めながら、支払率八〇%の維持に努めていきたいと考えております。

#129
○若松謙維君 今、片山先生来られましたけど、是非、私がこの質問しているのは、実は片山先生が問題視しております、やはり受信料は義務化すべきじゃないかとか、いわゆる長期未納ですか、特に岩盤層どんなくらいいるのかと。例えば、三年超の未払者というのは、先ほど一千七十三億ですか、のうち何割ぐらい占めますか。三年超、未払の方。

#130
○参考人(松崎和義君) サイネン……(発言する者あり)

#131
○委員長(浜田昌良君) 若松謙維君。

#132
○若松謙維君 三年以上未納の方、これNHKが答えていただいても結構なんですけど。

#133
○参考人(松崎和義君) 済みません、手元に資料がございませんので、後ほどお答えさせていただければと思います。

#134
○若松謙維君 それで、かつ、先ほどのこの未収額を、先ほど、四年間で三百八十億減らした、これは大変立派だと思います。しかし、私の知る限りでは、先ほど一千超、強の、三年超ですか、の未納の方が約三分の二占めているんですね。こういった方々は恐らく支払を拒否されていると、支払能力があるにもかかわらずですね。これを恐らく岩盤層と言っているんじゃないかと。そこに対してどれだけエネルギーを使うのか。それよりも、例えば義務化するなり、そういった方々に対してしっかりと通知ですか、通知、これをしているのかどうか、それについてはいかがですか。

#135
○参考人(松崎和義君) 具体的には、取組でございますけれども、インターネットを活用した視聴者への理解促進活動や受信契約に関する手続のサイトの受信料の窓口の利便性の向上などでデジタル営業を推進することで公平負担の徹底に努めてまいりたいと考えております。
 こうした取組を推進した上で、受信契約がありながらお支払に応じていただけない場合には、公共放送の役割や受信料制度の意義について直接御説明する訪問活動も一定程度必要だと思います。その上で、誠心誠意説明に努めてもなお受信料のお支払にいただけない場合は、最終的な手段として、民事手続、支払督促を活用いたしまして、公平負担の徹底に努めているということでございます。

#136
○若松謙維君 例えば、そうすると、支払督促というんですか、これ簡易裁判所経由。年間で大体何件ぐらい最近手続取られました。

#137
○参考人(松崎和義君) 平成十八年度以降支払督促を実施しておりますけれども、これまでで一万一千件程度の支払督促を行っております。

#138
○若松謙維君 そうすると、昨年、直近ですと何件ですか。分からない。

#139
○参考人(松崎和義君) 済みません、手元に一年間の数字はないんですけれども、およそ七百件程度の支払督促を行っております。
 ただ、昨年、コロナの影響もございまして、少し抑制的にしているという実態もございます。

#140
○若松謙維君 七百件ということで、七十二万件の七百件ということなんですけど、私は無理をして催促しろと言っておりません。大事なのは、営業経費を減らして、それで、いわゆる集金率といいますか、高めれば、値下げの財源にもなるし、生活的に厳しい方の受信料の軽減にもなると、これを言いたいわけですよ。
 現実に、これもインターネットに出ておりますけど、種類別免除契約件数というのがありまして、現在、全額免除又は一部免除と半額免除という方が三百五十八万人おります。これは全契約者四千百六十九万一千人に対して八・六%ということで、様々な御配慮もいただいて、感謝申し上げます。
 ちょうど、山本博司、前の理事ですね、彼は今、厚生労働副大臣をやっておりますが、強く要望しておりました、いわゆる市町村民税非課税の障害者に対しての免除も実は七十八万六千契約ございます。こういった、私は今、コロナ禍でもう大変だということで、ちょうど私の資料二にも令和二年度、三年度の未収見込みということで増えるであろうと。これ妥当な私は推定だと思います。
 いずれにしても、先ほどのこの回収ですね、入金の回収率をいろいろな形で検討をしていただいて、収益率が上がったら、私は今、コロナ禍で、ちょうど三月十六日ですか、総理が、これ公明党が実は要望したんですけれども、困窮世帯に対しての緊急支援策として、一人親だけではなくて、低所得者、まさに住民税非課税世帯に対しても、複数のお子さんがいらっしゃる方に対して一人五万円と、こういうことが決定されましたが、是非そういった形で、このお子さんがいらっしゃる住民税非課税世帯に対して免除なり軽減なり、これ会長、済みません、ちょっと質問はそういう趣旨でさせていただいたんですけど、是非そういった免除拡大ですか、の財源にもつなげるためにも、さっきの入金率を高めて、そして、そういった財源を先ほど言いましたような生活困窮者、学生等への免除ですか、に広げていただきたいと思うんですけど、いかがでしょうか。

#141
○参考人(前田晃伸君) お答え申し上げます。
 できる限り努力したいと思います。

#142
○若松謙維君 次回の総務委員会で結果を期待しておりますので、御検討のほど、早急によろしくお願いいたします。
 それでは次の、受信料の値下げの還元原資七百億円ということで、資料の四ですか、ちょっと順番変わりますけれども、これを見ていただきたいと思います。
 これも、経営陣の決意も含めた御努力によりまして、まず七百億円規模を確保しようと。その一つが①にあります二〇二三年度の黒字分ということで、これは資料の三ですね、ちょっと戻っていただいて、ここに、二〇二三年でいわゆる収支とんとんですね。こういうことでの数字だからこそ、受信料を国民の皆様に一部還元ですか、できる道筋ができると、そういう趣旨だと思います。
 そういう意味ですけれども、是非、私が先ほど言いましたように、義務化は決断していませんけど、何らかの形でその収受率アップして資金繰り改善すれば、この還元原資七百億以上増加することは可能ではないかと、そう思うんですけど、会長、いかがでしょうか。

#143
○参考人(前田晃伸君) お答え申し上げます。
 次期の経営計画では、財政安定のための繰越金、新放送センター建設計画の抜本的な見直し、計画最終年度の黒字を財源といたしまして、二〇二三年度には七百億円程度の還元原資を確保できると、そういうことで作っております。これは努力要素を織り込んでおりますので、何もしなければ、自動的にできるということはございません。努力要素込みでここまでできるということでございます。
 還元の具体的な方法などは今後検討していきますが、還元というからには、一回限りではなくて、やっぱり恒常的に値下げができるような体質にする必要があります。そこは、現在コロナの状況が続いておりますのでちょっと何とも言えないんですけれども、努力をした上で、いろんな努力した上で経費の削減を織り込んでここまで七百億という数字が積み上がっておりますので、そういう意味では更に努力をして、それが積み上がるようにしたいと考えております。

#144
○若松謙維君 それで、資料の五が、これがいわゆる二〇二二年四月ですか、予定の繰越金を四百億減らして受信料を減らす財源にすると、こういう資料でございまして、資料六が放送センターの建て替えの基本計画ということで、これ約二千億近い計画がありますが、実はこれも金額が一本だけで、中身、例えば建物なのか設備なのか、ありません。これは是非情報公開を更に求めていただきたいんですけど。
 いずれにしても、ちょっと会長と、できたら時間あれば経営委員にもお願いしたいんですが、こういった見直しをして、やっぱり大事なのは、先ほど二〇二三年から値下げをすると。じゃ、金額って具体的に幾らぐらいなのか。一割なのか二割なのか。それもどういうふうに継続するかという、そういうプロセスが大事ですので、説明責任もしっかりしながら、やるための具体的な、できたら、先ほどはタイミングの話が出ていましたので、一割以上なのか二割以上なのか、そこら辺はどういうふうにお考えでしょうか、会長。

#145
○参考人(前田晃伸君) お答えします。
 三か年計画の中でここまで何とか積み上げたいと思っておりますが、これは年度年度で決算をして締めてやります。実際にこれやってみないと分からない部分がありますので、これは申し訳ないんですけれども、努力目標としてやらせていただきたいということでございます。

#146
○参考人(森下俊三君) 放送センターの建て替えの見直しの話、点でよろしいでしょうか。
 放送センターの建て替えをめぐりましては、経営委員会では、豊かで良い番組を効率よく制作、放送することのできる施設、これを最小限の受信料負担で建設することなどを求めてきております。
 建設計画の抜本的な見直しに当たりましては、御指摘の透明性の確保は重要だと考えておりまして、経営委員会としては、執行部の検討、取組を適宜適切に監督してまいります。

#147
○若松謙維君 終わります。ありがとうございました。

#148
○下野六太君 公明党の下野六太でございます。
 まず初めに、私、NHKの皆さんと深い様々な関係があったことをまず初めに申し上げたいと思います。
 大学時代に、大学の四年生、三年の後半からNHKの方でバイトをさせていただきまして、当時、松江放送局で報道カメラマンの方にアシスタントとしてニュースの現場にいつも同行させていただいておりまして、運が良かったのは、一九八七年、昭和の六十二年十一月の六日、この日は竹下登さんが総理大臣になった日で、このときに竹下登さんの実家にNHKのカメラクルーと一緒に行かせていただいたことは今でも思い出に残っております。
 その当時、古き良き時代で、NHKのそのカメラマン、プロのカメラマンからパーンの仕方やティルトやつなぎ編集の仕方などを教えてもらったことが後に中学校の教員になった際に大変生かされて、大体、中学校の教育現場の先生方はそういった教育を受けてきていないもんですから、こういうふうにカメラ回して、またこういうふうに戻したりとか、そういうことはしちゃいけないんだというようなことをカメラマンから習ったことが大変生かされていたという。
 縁はそれで終わりかなというふうに思ったんですけれども、実は平成の二十二年の十二月にNHKの「ニュースウオッチ9」で九分間の特集番組を組んでいただきまして、そのときにNHKが、その編集の中で驚異の体育授業というふうにテロップに書いていただいたことが大きな反響を呼んで、あのNHKがというような形で、そういうふうなことはありました。その後、民放の番組にも複数回出させていただいたんですけれども、民放の番組とそのNHKの「ニュースウオッチ9」とで、一般の私の周りの方々は、もう民放の番組よりもやっぱりNHKの「ニュースウオッチ9」だと。そして、そこでそういうふうに取り上げていただいたということに対して、大きなお喜びの声をたくさんいただきました。
 やはり、国民の信頼、そして大きな期待、これは国民全体がやっぱりNHKに対して持っているものだろうなということは強く感じた次第であります。そのことを申し上げて、これからNHKの皆さん方に更に国民の信頼と期待に応えていっていただけるような放送事業の活動に取り組んでいただければと思います。
 それでは、質問に入りたいと思います。
 最初に、コロナ関連の取組に関して伺います。
 現在も新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって国民生活及び国民経済に甚大な影響が及んでおり、受信料の支払が困難な状況となる契約者も多数発生しております。こうした中、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響によって受信料の支払が困難となっている契約者に対して、NHKはどのような取組を行い、実績はどの程度あるのかということをお伺いします。

#149
○参考人(松崎和義君) お答え申し上げます。
 NHKでは、持続化給付金の給付決定を受けた事業者の方が事業所内に設置した受信機の受信契約について免除申請をされた場合、受信料を二か月間全額免除にしております。この免除の適用件数は今年の一月末までで約五十八万件、免除額は約十・五億円となっております。また、新型コロナウイルスにより影響を受けた皆様から受信料のお支払に関する御相談をお受け付けする窓口を開設をいたしまして、支払期限の延伸を受けているところでございます。こちらの方は九・七万件ほどお受け付けしております。
 今月、日本放送協会放送受信契約の延滞利息に関する措置を見直しまして、期限を今年の九月まで延長し、支払を猶予された方が不利益にならないよう、引き続き丁寧に対応していきたいと考えております。

#150
○下野六太君 引き続き、苦しんでいる国民の皆様に寄り添った形での対応をお願いしたいと思います。
 次に、NHKは持続化給付金の受給者を対象に受信料の免除を行っていると思いますが、持続化給付金の受給者はこの三月八日現在で四百二十三万件となっておりますが、当該取組に係る受信料免除の実績は昨年十一月末時点で五十万件にとどまり、十分に活用されていないのではないかというふうに思っておりますが、受信料免除の申請期間を現在の三月三十一日から延長した上で周知徹底を図るべきと考えておりますが、見解をお伺いします。

#151
○参考人(松崎和義君) お答え申し上げます。
 NHKとしましては、免除の受付を開始した当初より、ホームページへの掲載を始め、テレビを通じておよそ三百七十回免除の御案内を放送し、周知に努めてまいりました。また、官公庁、地方自治体やホテル、旅館の旅行業界団体に御協力をお願いするとともに、対象となる事業者の方に約六十六万通のダイレクトメールを送付して免除の手続を御案内したところでございます。
 国に対する持続化給付金の申請の提出期限二月十五日から一か月以上経過し、NHKとしても繰り返し周知に努めてまいりましたことから、現時点で免除の申請の延長は考えていることはございません。
 今後、新型ウイルスの感染症の社会経済に与える影響を注視しながら、適切な対応に努めてまいりたいと考えております。

#152
○下野六太君 ありがとうございます。
 様々な形でのプッシュ型の取組をしていただいているということは非常に有り難いとは思いますが、実際にはまだまだやはりその申請が足りていないと、不足しているということを踏まえて、更に対応の方をよろしくお願いしたいと思います。
 続いて、令和三年度NHK予算に付された総務大臣意見においては、受信料の支払いが困難になった者への対応について引き続き適切に検討することとされておりますが、今後どのような対応を実施、検討していくのかをお伺いします。

#153
○参考人(松崎和義君) お答え申し上げます。
 引き続き専用の窓口で受信料お支払に関する御相談をお受付して、支払期限を延伸するなど、丁寧な対応に努めてまいりたいと考えております。
 新型コロナウイルス感染症の社会経済への影響を見極め、会長の諮問機関であるNHK受信料制度等検討委員会など外部の有識者の知見もお借りしながら、必要に応じて免除基準や放送受信契約の変更を行うなど、適切な対応に努めてまいりたいと考えております。

#154
○下野六太君 続いて、音声波の削減について伺います。
 NHKは、令和三年一月に公表をしましたNHK経営計画二〇二一年から二〇二三年度において、音声波、ラジオについて、二〇二五年度に現在の三波、R1、R2、FMから二波へ整理、削減する方向で検討を進めるとしておりますが、AM放送の一本化を掲げているかと思います。
 音声波、ラジオの整理、削減によってどの程度の経費を削減をすることができるのかということをお伺いします。

#155
○参考人(松坂千尋君) お答えいたします。
 音声波に関する経費ですけれども、番組費、それから制作や送出に関わる人件費のほか、各地にあります送信所の設備の維持費、補修費、回線費、電気代などの技術関係経費がございます。
 このうち、送信設備の関係ですけれども、現在、AMを取ると、ラジオ第一と第二合わせて全国に四百二十一局所あります。例えば、全国放送だけの対応となっておりますラジオ第二の送信所を停波した場合、減価償却費と技術関係経費合わせて毎年十数億円程度の削減を見込んでいます。
 それから、音声波の番組費は来年度およそ三十五億円ですけれども、今後、整理、削減後の編成ですとかインターネットの活用方法などを踏まえた上で、番組制作に関わる制作費ですとか人件費がどの程度削減できるのか、検討していきたいと思っております。
 加えまして、音声波の削減に伴って新しい放送センターのラジオスタジオの数なども見直すことにしています。
 こうしたことを含めて、ラジオの削減によってどれぐらいコストが削減されるのか、今後精査してまいりたいと考えております。

#156
○下野六太君 ありがとうございます。
 削減の方向でいくときに、やはりそのラジオを非常に楽しみにしているリスナーが多いということを意識していただいて、質の充実をこれからまたしっかりと担保していただきたいなというふうに思います。
 現在のラジオ第二放送は、生涯学習波として語学番組や学校放送番組等の教育番組、教養番組が充実をしており、波の整理、削減後においても、こうした番組を聞きたい国民、聴取者のニーズに十分応えられるようにしていただきたいと考えておりますが、御見解をお聞かせください。

#157
○参考人(松坂千尋君) 委員御指摘のとおり、音声波の整理、削減に当たっては、リスナーの方々の意見に耳を傾ける必要があります。
 そこで、ラジオがどのようにして聞かれているのか、それから、整理、削減に当たって注意しないといけない点などを確認することを目的に、去年十二月にインターネットでの調査を、今年二月から三月にかけて世論調査を実施し、現在、結果を取りまとめています。このほか、去年八月に実施しました経営計画案への意見募集などで、リスナーの方からは、ラジオの教育番組や語学番組は歴史もあり、貴重なコンテンツであり、工夫して残してほしいというような声も多数寄せられております。
 こうしたリスナーの方の意向なども踏まえ、ラジオ第二の語学や教育などのコンテンツをほかの音声波で放送したり、インターネットも使って提供したりするなど、視聴者の方々の利便性を損なわないことにも十分留意しながら進めたいと考えております。

#158
○下野六太君 ありがとうございます。
 視聴者の方を第一に考えた取組を是非引き続きよろしくお願い申し上げます。
 最後に、女性の活躍についてお伺いします。
 NHKは、女性の積極登用を進め、多様な働き方ができる組織に改革をするため、平成二十八年三月に行動計画を策定し、二〇二〇年の女性管理職の割合を一〇%以上にすることを目標に掲げておられるかと思います。
 NHKのこれまでの取組と目標の達成状況をお伺いします。

#159
○参考人(前田晃伸君) お答え申し上げます。
 二〇一六年度に行動計画と具体的目標を公表して以来、女性の積極的な採用、登用に一層努めております。その結果、令和二年度の管理職全体に占める女性管理職の割合は一〇・六%となりました。これは、二〇一五年度の割合が六・一でございますので、約五%伸びました。
 また、現在、九つの放送局で女性の局長を登用しておりますが、今後更にプロジェクトのリーダーなど女性が現場の中心的役割を担う機会を増やし、各種研修を充実させた上で、また、ワーク・ライフ・バランスを踏まえた働き方ができるよう、育児、介護のサポート施策や在宅勤務を拡充していきたいと思います。
 引き続き女性管理職の割合を高める取組を進めてまいりたいと思います。

#160
○下野六太君 現在、十二名のNHKの役員の中で女性は一名のみとなっているかと思いますので、役員についても積極的な女性登用を進めていただきたいということをお願いをして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

#161
○柳ヶ瀬裕文君 日本維新の会の柳ヶ瀬裕文でございます。
 まず、前田会長にお伺いしたいんですけれども、今日もNHKの公共放送としての役割という話は何点か出てきましたけれども、今、テレビ見ないですよね。特に若い方は見ないということで、ちょっと私もびっくりしているんですけれども、十代から三十代の方の、二十代では三割以上の人がもうテレビをリアルタイムで見ないという時代に突入しているということであります。ですから、テレビ、どんどん保有率も下がってくるわけですよね。これはもう確かな未来としてこれがあるんではないかということは想定されるわけです。
 そういう中で、もうテレビを見ない社会になっていって、じゃ、テレビ保有がもう一〇%、二〇%しかないと、そういう時代に突入していったときに、NHKは公共放送としての役割をどうやって果たしていくのかということ、これについてのビジョン、お伺いしたいと思います。

#162
○参考人(前田晃伸君) お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、若者を中心にテレビの保有率が低下し、幅広い世代でインターネットの利用時間が増え、テレビの視聴時間との逆転が予想されるなど、メディア環境や視聴者の行動が大きく変化をいたしております。
 一方で、新型コロナや大規模災害、経済格差の拡大など、日本と世界の社会経済の先行きについての不透明感が増す中で、インターネットの中には不確かで曖昧な情報もあふれております。
 NHKは、こうした時代の変化に向き合い、命と暮らしを守る公共メディアとして、正確、公正、公正で豊かな放送サービスをテレビ、ラジオ、インターネットと、いわゆるあらゆる伝送路を使って届けることが重要だと考えております。それで、皆様からの信頼に応え、情報の社会的基盤の役割を果たしていきたいと思います。

#163
○柳ヶ瀬裕文君 ありがとうございます。
 それで、テレビを見なくなる時代になって、あまねく伝えるという、まあ電波は全国に飛んでいるわけですよね、だから情報インフラはできているということだけれども、でも、それを実質的に見る人がいなければ公共放送としての役割は果たせないということだと思います。
 ですから、そういった意味では、今おっしゃったんですけど、この放送と通信の融合ということはもう二十年間、いや、三十年間ですね、ずっと言われてきたわけです。であるにもかかわらず、この放送と通信の融合に対するビジョンをやっぱりしっかりと打ち出してこなかったということ、これは大きな問題だと思いますよ。インターネットにどうやって参画していくのかと、民放を圧迫してはいけないとかいろんなことを言われていますけれども、私は正直それは関係ないと思います。NHKが公共放送としての役割を、確固たるものを持ち続けるためには、しっかりと、しっかりと見てもらうための手段、これを考えなければいけないというふうに考えます。
 ですから、この放送と通信の融合といったことを見据えたビジョンをしっかりと出していただきたいと。私たちは、こういったものがないからこのNHK予算には衆議院では反対ということをさせていただいているわけですけれども、是非これをお考えいただきたいということをまず冒頭申し上げたいと思います。
 接待問題についてお伺いをしたいと思いますけれども、今、総務省とNTT、東北新社の問題がありました。NHKはどうでしょうか。NHKは会食はあるよという話は聞いていますけれども、私は未来志向ですので、過去どうだったかということではなくて、これからどうするのかということをしっかりと考えていただきたいと思います。
 正直申し上げて、こういう接待でこの国会がつまずくとか、大きな通信行政、放送行政がこういうことでつまずくということがあってはならないというふうに思います。ですから、今回の話も本当大きな痛手だと思いますよ。武田大臣はよく痛感されているというふうに思いますけれども、しっかりとこの行政を前に進めていくためには、こういう接待が、接待問題が二度と起こらないような仕組みにしなければいけないと思います。
 そこで、NTTさんは今回の件を受けて、政務三役若しくは大臣、政務三役や国家公務員との会食などは、利害関係のある方との会食は行わない方向で社内ルールを定めるということ、これが報道されているわけですけれども、NHKとしてはこの話を受けて今後どうしていこうとされているのか、この点についてお伺いしたいと思います。

#164
○参考人(前田晃伸君) お答え申し上げます。
 NHKは、取引行為を行う外部業者等の接触につきましては、NHK倫理・行動憲章や服務準則などの規定を踏まえて、公共放送への信頼を損なうことがないように対応いたしております。
 また、NHKの職員につきましては、社会的常識から不適切ではない場合を除き、もてなしを受けることを認めないなど、具体的禁止事項を示したガイドラインを設け、徹底しております。
 また、NHKの役員の交際費につきましては、放送法の規定によりまして経営委員会の議決事項となっており、毎年度、経営委員会におきまして支払限度額を議決していただき、その範囲内で有効に活用いたしております。
 また、役員交際費は、毎年、監査委員による経費監査を受けており、経理処理の手続が適正であることを確認いたしております。

#165
○柳ヶ瀬裕文君 これ、役員交際費って毎年一千二百万円程度あるんですね。その額の多寡はもう正直分かりません、これがですね。
 ただ、これは多分、二万四千円ぐらいの一世帯当たり払っていらっしゃる受信料からすると五百世帯ぐらいと。これをどういうふうにお感じになるか分からないですけれども、この一千二百万円は、必要であるならば必要だって言えばいいと思うんです。ただ、それはしっかりと公開していただきたいと思うんですね。これはやっぱり受信料で払われているものですから、それによって役員の皆さんがいろんな方と飲み食いに使っているというようなことになれば、それはしっかりと説明責任があると思いますよ。
 ですから、その一千二百万円の役員交際費、これは監査を受けているということではありますけれども、それは事務処理が適切に行われているかどうかということの監査であって、内容の精査ではないと思います。ですから、これは広く、受信料をお支払いになっている国民の皆さんに広く公開すべきと考えますけれども、いかがでしょうか。

#166
○参考人(前田晃伸君) 個々のどなたと会食してという明細を公開するのは私はなじまないと考えております。
 それから、金額が全体が、予算額はもうちょっとでたしか二千五百万ぐらいだったんですが、実際に使っていますのが二〇一九年度決算では千二百万ちょっとなんです。
 私、NHKが何かをやるときに接待して何かやるということはありませんし、そのようなことはするなと言ってありますので、そのような御懸念はないと思います。私は、これはしっかりと厳重にチェックしますし、また経営委員会もしっかり中身のチェックを含めてやっていただけるものと思っております。

#167
○柳ヶ瀬裕文君 前田会長は多分そういうことはされないというふうに思うんですよ。ただ、そうであるならば、これは透明化しても問題ないんじゃないでしょうか。しっかりと国民の目に、受信料をお支払の皆さんの目に堪えられるものだという確信があるようですから、であれば公開されたらよろしいのではないかなというふうに思います。是非お考えいただきたいというふうに思います。
 それから、繰越金の問題について行きたいと思いますけれども、これ、千四百五十億円ということで巨額の繰越金となっています。武田大臣もこの繰越金はもう大問題だということでずっとおっしゃってきました。今回これにメスが入るということになったわけですけれども、もうこれ、二〇一五年度で約八百億円ですから、もう本当に物すごい勢いで毎年増えているものとなっています。
 これ、令和二年度末の繰越金の見込みが八百三十一億円ということになっているんだけれども、実際は千四百五十億円となって、これも六百億円超も乖離しているという問題もありますね。
 先ほど、予算と決算の乖離があるんだという、那谷屋先生から非常に重要な指摘がありました。私も、あれ大問題だというふうに思います。私はもっとうがった見方をするので、わざと低い予算にして、最終的には決算を国会では審議しませんから、ですから、決算では高く、実質上の数字が出てきて高くなっているのではないかというふうに思って、私はうがって見ています。
 私は厳しくチェックをしなければいけないというふうに思っていますけれども、この一千四百五十万円の繰越金である、一千四百五十億円の繰越金ですけれども、会長は一割くらいの剰余金があった方がいいということをおっしゃっていて、今の水準は一千四百億だからこれは多過ぎるという発言をされているわけです。
 前田会長は、今七千億円の売上げがあるとして、約一割といったら七百億円です、これぐらいが適切だというお考えなのかどうか、これ確認したいと思います。

#168
○参考人(前田晃伸君) お答え申し上げます。
 二〇二一年度の予算の策定に当たりましては、事業支出の一割、一〇%以上の財政安定のための繰越金が必要であるという考えに基づきまして、放送法改正案に盛り込まれる予定であります還元目的積立金の科目は、設定されれば繰越金からその科目に四百億円を繰り入れることと考えております。
 この一割というのが適切かどうかというのは、これ日本の場合、ちょっと外国と違いまして、いろんな意味で災害が物すごく頻発していまして、ここは私も率直に言って、一割で絶対大丈夫かと言われると、それはちょっと何とも言えませんが、といって、物すごくたくさん持っておく必要はないと。そういう意味で一割程度は必要ではないかというのを従来から申し上げておりますし、今後もその程度はやっぱり要るんではないかと思っております。

#169
○柳ヶ瀬裕文君 これは前田会長が繰り返しこの一割ということをおっしゃっているわけですから、これをどういう水準にするのかというのはこれから決められることだというふうに思います。放送法の改正もありまして、一定水準を超えたら自動的に還元される仕組みを導入していくということも存知していますから、であれば、このどれくらいの水準にするのかというのは極めて重要だと思います。
 前田会長は七百億円程度がこれは適切ではないかということを繰り返しおっしゃっているわけですから、もうこれより上回ることはないというふうに信じておりますし、総務省にお伺いしたいと思いますけれども、じゃ、これは一定の水準をどのように決めていくのかということをお伺いしたいと思います。

#170
○政府参考人(吉田博史君) 委員御指摘のとおり、今国会に提出した放送法の改正法案では、NHKの剰余金の、剰余金を受信料の値下げの原資に充てるための還元目的積立金という制度を盛り込んでおります。具体的なその繰越剰余金の水準については、法案が成立した場合に、その後にNHKが財政の安定の観点から留保できる、留保することができる額として総務省令で定めることになります。それに当たりましては、当然、法案に関する国会の御審議とか、あるいはパブリックコメントなどを行って定めていくという手続になります。
 ただ、本件につきまして、本法案につきまして議論いただきました総務省の有識者会議がございます。そこで御指摘されている事項は、その水準の検討に当たっての要素が幾つか指摘をされております。これも有識者の提言ということでございますが、例えば繰越剰余金は、一九九〇年代から二〇〇〇年代半ばまで二百から六百億円程度で推移していましたが、財政上の問題は発生していなかった、あるいは東日本大震災の際も取崩しは行われていない点、あるいはNHKは放送法に基づく放送債券の発行が認められている点、こういう点が考慮要素としてあるんじゃないかということが有識者会議として指摘されていることでございます。
 いずれにいたしましても、法案を御審議いただき、それが認められました後に、その法案の審議、御議論の内容やパブリックコメントなどを通じて定めていくことになります。

#171
○柳ヶ瀬裕文君 ありがとうございます。
 これ、妥当な水準をどこに設定するのかということは極めて重要だと思います。それを、設定が高ければ、当然その値下げの原資にはならないわけです。私は、今の一〇%の値下げなんてとてもおかしいなというふうに思っているんです。もっともっとお金は出るだろうというふうに思います。ですから、まずその第一歩として、この繰越金の水準をどこに決めるのかということは極めて重要なことですので、是非、武田大臣はしっかりとやってくださるというふうに思っておりますので、よろしくお願い申し上げたいというふうに思います。
 NHKは、職員の給与が一千百十四億円、職員数は一万人です。一人当たりの給与額は約一千九十四万円ということになっています。また、NHKの番組の制作費というのは極めて高い金額となっていまして、ほかの局と比べてですね。テレビ東京が三百七十億円なのに対してNHKは三千六百億円、これはTBSが九百九十億円なのに対して約四倍の推移ということであります。非常にお金を使って番組を制作しておるし、また多額の人件費を払っておるということです。
 ただ、それだけの支払をしてもまだまだお金はだぶついていて、結局、毎年、まあ昨年も指摘させていただきましたけれども、一千億円を超えるキャッシュフローが出ているということですね。前田会長はよく御存じのとおり、一千億円のキャッシュフローというのはどれだけのものなのかということは前田会長自身がよく御存じだというふうに思います。これ大変な数字ですよ。大変優良な企業、優良な企業どころか、もうかってしようがない企業ということが言えるでしょう。
 じゃ、その一千億円のキャッシュフローから投資活動のキャッシュフローを見てみると、毎年積み上がった有価証券の帳簿価格は六千億円ということになっています。毎年、じゃ、この一千億円のお金が生み出されて、それをいろんな設備投資等々に出しているわけですけれども、その半額の五百億円は、余っちゃっているから、だから有価証券の購入に充てているということなんです。NHKの資産は約一兆二千億円、そのうちの約半額の六千億円は有価証券で保有しているということですよね。これ、有価証券というのは大体長期的な債券等々で運用されているということですから、ほぼ現金を持っているのと同じということであります。
 この六千億円の現金を持つ必要が本当にあるのかということ、これ、繰越剰余金の一千四百五十億円ということはよく話を武田大臣もされるんですけれども、その裏で六千億円もの長期債券を保有していると。これ、本当に必要なんでしょうか。このことについて前田会長はどのような見解を持っているのか、お伺いしたいと思います。

#172
○参考人(前田晃伸君) キャッシュフローの面で、剰余金、運用をしている部分と、基礎的な収支でプラスマイナスがどうなっているかというのはちょっと違う話でございますので。
 確かに、委員御指摘のとおり、受信料を前払でいただいていますので、基本的にNHKが普通にまともに経営をすれば借金する必要は多分ないはずですね。ですから、そこはそのとおりで、それで将来の支払のために、持っているキャッシュを何らかの形で安定的な運用をするというのは、それもごく普通だと思うんです。
 それと、受信料を下げるとか、構造的に下げるのはこれはまた別の話でございまして、これは構造的に下げられる体質にしない限りは下げられないわけです。ですから、ちょっとそこは分けて御覧いただきたいと思うんです。
 そういう意味では、確かに無借金状態でございますが、もちろん債券発行することもできるんですけれども、普通の経営をしていれば借金しなくてもできるような事業形態になっているのは事実でございます。
 それはそれでございますが、さっきのお話の、やっぱり基本的に受信料水準を適正にするにはどうしたらいいかというのが経営として一番悩むところでございまして、そのためには、制作費についても僕は原価意識を更に強めたいと思います。コスト意識は僕は弱いと思っております。もうちょっと強くした方がいいと思います。

#173
○柳ヶ瀬裕文君 今、会長、僕の質問に答えていませんで、六千億円の有価証券を保有していますねと、一兆二千億円の純資産のうちのほぼ現金に近い六千億円を保有していますけれども、これを妥当だと思っていらっしゃるのかどうかということをお聞きしているわけです。

#174
○参考人(前田晃伸君) もう結果としてそういう形になっておりますので、それ自体が問題があるとは思っておりません。

#175
○柳ヶ瀬裕文君 いやいや、でもそれは、今の会長の発言を聞いていると、とてもスリム化なんておぼつかないですよね。
 様々なお金がだぶついてしまった結果が六千億円になっているということです。毎年いろんなお金を使っているけれども、そのお金を、多額のお金を使っているんです、高コスト体質です。お金を使っている、けれども、まだまだお金が余っていて、そのお金が、余ったお金が積み重なって六千億円になっているという現状に対してやっぱりこれ危機意識を持っていただかないと、とてもスリム化なんてできないだろうというふうに思いますよ。恒常的なスリム化をしていくという結果において、この六千億円というものはどんどん減っていくということになるんじゃないでしょうか。
 六千億円の純資産、これだけの債券を保有しているということに対して何ら危機感を持っていないということに関しては強い違和感を覚えますけれども、何か発言があれば。

#176
○参考人(前田晃伸君) 委員の御指摘がよく分かりません。要するに、何でそれが駄目なんでしょうか。理解ができません。

#177
○柳ヶ瀬裕文君 理解ができないのであれば、それはどこが理解できないのかということをおっしゃっていただかなければ、私は今説明をしていますので、それ、しっかりと反論していただけますか。
 六千億円を保持しているということが私は強い違和感を覚えるわけです、六千億円の債券を抱えているということが。これに対して何ら危機的な意識というものはないんでしょうか。

#178
○参考人(前田晃伸君) ちょっと話が食い違って申し訳ないんですけど、有価証券の保有につきましては、翌年度以降の放送サービスに使用する受信料の前受金、センター建て替えのための積立金、財政安定のための繰越金などにつきまして、実際の支払に充てるまでの期間について安全性の高い債券などを保有しているというのが現実であります。センターの建て替えのための積立金や財政安定のための繰越金の規模を見直すと私は申し上げました。
 そういう意味で、見直して、かつ還元目的積立金に組み入れますと、恐らく有価証券の規模も少しは減りますが、それはその結果でありまして、委員御指摘のように、運用がいっぱいあるからおかしいとか危機感がないとか、それは全然別だと思います。私は事業規模を適正にする方が先だと思います。それをやらないで波をどんどん増やしてやって、そっちの方が私はよほど危機的だと思います。

#179
○柳ヶ瀬裕文君 いやいや、私は波を増やせなんということは一言も言っていませんよ、それは勘違いですね。波を増やせなんて言いました、私。言っていないですよ、それは。
 ただ、この六千億円というのはどんどん増え続けてきたわけですね。これは、二〇〇三年度末にはこれ二千二百億円でした。それが今となっては六千億円になっています。というのは、まさにお金がだぶついている証拠の一つじゃないですか、一つですよね。だから、これだけのお金があるんだったら、その分だけしっかりと国民に還元してくださいということです。還元の原資が幾らでもあるじゃないですかということです。
 恒常的にお金を、もちろん、恒常的にお金を生み出すようなスリムな体制にするということは重要ですよ。でも、今持っている資産をしっかりと使っていくということも必要なんではないでしょうか。ただ、それだけのお金が余っているんだったら、それはしっかりと国民に還元していただきたいということです。それは受信料の値下げの原資にしてもいいでしょう。それは新たな波をつくって、そこに投資をしてくれということを言っているわけではないということです。いかがでしょうか。

#180
○参考人(前田晃伸君) いや、委員の御指摘の部分は、そこはよく分かります、そのとおりであります。別にそこに反論しているわけではございません。ただ、いや、それから波を、別に私ども、委員と意見が違うわけでもありません。
 ただ、やっぱり結果として運用が、キャッシュフローがあるからそれはおかしいというのは、ちょっとそれは私には理解できないと言っただけでございます。

#181
○柳ヶ瀬裕文君 いや、キャッシュフローを生み出すということは重要なことなんですよ、それは。ただ、まあちょっと時間がなくなってまいりましたけれども、そのほとんどが随契じゃないですか、随契の問題。
 これも、ちょっと時間が使ってしまったので余り指摘ができませんけれども、子会社との随契、これについて危機感は持っていらっしゃるんでしょうか、どうでしょうか。

#182
○参考人(前田晃伸君) NHKの子会社につきましては、NHKの業務の効率化推進やNHKのソフト資産、ノウハウを社会に還元していくことを目的に設立をいたしております。子会社等が請け負う業務につきましては、番組制作関連や放送設備の保守など、公共放送の役割を果たすために子会社等のノウハウや技術を活用することが不可欠な業務がたくさんございます。そうした性格の中で随意契約がかなりあるということでございます。
 一方で、一般の業者に請け負ってもらうことが可能な業務につきましては、私は個別に競争契約に移行を拡大をすべきだということで、一生懸命取り組んでおります。例えば、委託業務のうちで競争が可能な業務を委託契約から切り離し、競争に付する方式を導入するなどの施策も取り組んでおります。
 また、品質管理の観点から、関連団体への随意契約が多い番組制作の分野でも、外部のプロダクションなどを対象とした番組の企画競争を実施しておりまして、これは更に拡大していきたいと思います。

#183
○柳ヶ瀬裕文君 ありがとうございます。
 ですから、この子会社との随意契約というのは、もう金額ベースでこれ九三%前後ということで、もうこれずっとそれぐらいの率で推移しているわけですよね。
 随意契約が九三%ということに対しては、もちろん経営者でいらっしゃいますから、これはおかしいというふうに思うのは当然ですよ。こういう状況を、私も自治体議員を、区議会議員と都議会議員をやってまいりましたけれども、かつて昔こういうことありました、随契でですね。子会社と随契して、子会社にはNHKの退職者が天下りをしていて、まあ天下りとわざと言いますけれども、天下りをしていて、そこに随契をして、高い給料を払ってというこのトライアングルの関係は、かつてはよく見られたものですけれども、それが依然として残っているのがこのNHKだということです。
 毎回、これはもう会計検査院もずっと言っていますし、高市大臣もこれは問題だということでずっと言ってきたんです。でも、これ変わらなかったんですよ。私は是非、前田会長と武田大臣でこれ変えていただきたいというふうに思っているんですね。そのためには、これをどれくらいまで下げるのかという数値目標をしっかりと決めなければ、これはもう変わらないだろうというふうに思います。高市大臣も相当頑張っていらっしゃいましたよ、でも全く変わってこなかった。前田会長もこれは何とかやろうというふうに思われるんでしょう。でも、これはしっかりと数値目標を決めなければ、そこに向かっていく意欲というモチベーションも湧かないし、意欲も働かないということになるんではないでしょうか。
 ですから、この随意契約に関してはしっかりと数値目標を定めていただきたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

#184
○参考人(前田晃伸君) 数値目標を設ければうまくいくんであればいつでも設けますけれども、まあ必ずしもそうではないと思います。
 私も実態の調査をしました。私、重要なことは、やはり会長が、要するに、実態、中身に手をどれくらい突っ込めるかということが一番の問題でありまして、従来は、決裁権限、十億円以上で、十億円以上だけ会長が中、手突っ込んでいたんです。私、就任しましてから五億に下げました。要するに、そっちの方がはるかに重要だと思います。十億以上ってほとんど引っかからないんですね。ということは、全部現場に任せていたわけです。五億に下げましたら物すごい数の決裁が私のところに回ってくるようになりました。その中で、個別にこの契約は何で随意じゃなきゃ駄目なのと、そういう質問をするようにしました。
 私、中身でこれは改善すべきだと思います。数値目標を入れて直るんだったら、多分とっくに直っていますね。そういうことではないと。やっぱり中身だと思います。

#185
○柳ヶ瀬裕文君 いや、中身でやってきたから、これまでこういったことが続いてきたんではないでしょうか。それは、多くの方がやっぱり様々なこの契約の問題はあるということは言ってきましたし、各歴代会長もこれに手を着けようということで頑張ってこられたと思うんですよ。でも、その思いはなかなか届かなかったということです。
 せっかく持ってきたんで、これ出しますけどね、五億円はしませんけど、これNHKのカレンダーですよ。これ随契ですよ、子会社と。こういったものを何で随契で作る必要があるんですかと。五億円はしませんけれども。是非こういったものにも目を向けていただきたいというふうに思います。これ、多分、金額的には僅かなものかもしれませんけれども、でも、こういったもの、積み重ねじゃないですか。これ、どこの印刷会社でも作れますよ。それ、なぜ子会社で、これ随契でしなければいけないのかということ。
 ですから、今五億円にしたんだというお話は聞きました。それはすばらしいことだというふうに思います。ただ、それをもっと一歩を進めてやっていただきたいと。でも、そのためには、私は、しっかりとした数値目標がなければ、組織全体としてそういった会長の意思が伝わっていかないんではないかと、会長が全部見るわけじゃないですから。会長の目で見たら、それはばさっと切れるかもしれません。でも、組織が恒常的にしっかりと絶え間ない改善をしていくということが必要だと思います。
 そのためには、数値目標がなければそういった恒常的な仕組みになっていかないんではないかというふうに思いますけれども、武田大臣、何か、ここまで聞いていて何かありましたらコメントをいただきたいと思いますけれども。

#186
○委員長(浜田昌良君) 時間来ていますので、まとめて簡潔に願います。

#187
○国務大臣(武田良太君) 今回、予算に付した大臣意見におきましても、高止まりしている随意契約比率の引下げに向けて徹底的に取り組むことと言及しておりまして、NHKにおかれては、本意見も踏まえて適切に対応いただきたいと考えております。

#188
○柳ヶ瀬裕文君 ありがとうございました。

#189
○芳賀道也君 国民民主党・新緑風会の芳賀道也です。
 NHKの予算案並びにその関連について質問をさせていただきます。
 まず、計画の中で受信料の値下げの方向が示されたことは歓迎したいと思います。しかし、単なる受信料の値下げだけではなく、コロナ禍であることも考えて、親元から離れて暮らす収入のない学生あるいは若い方、収入が低い世帯では免除を拡大すべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

#190
○参考人(松崎和義君) お答え申し上げます。
 NHKは、日本放送協会受信料免除基準に基づき、親元から離れて暮らす学生のうち奨学金受給対象の学生や、公的扶助受給者、市町村民非課税の障害者などについて受信料の全額免除を実施しておるところでございます。
 また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、NHKは緊急的な措置として、持続化給付金の給付決定を受けた事業者が事業所内に設置した受信機の受信契約について免除申請をされた場合、受信料を二か月全額免除をしているところでございます。
 免除の措置は一般視聴者の負担により成り立つものであることから、限定的に運用するという基本的な考え方は維持しつつ、適切な受信料体系の在り方について引き続き検討してまいりたいと考えております。

#191
○芳賀道也君 コロナで特例として、あらかじめ総務大臣の承認を受けたものは放送受信料の免除の対象とするとありますが、これについては具体的にどういったものが認められているか、ちょっと例をお示しいただけますか。

#192
○参考人(松崎和義君) 先ほど申し上げましたように、公的扶助受給者、市町村民税非課税の障害者などについてでございます。そのほか、学生の方の、親元から離れて暮らす学生のうち奨学金の受給をしている学生さんにつきましても全額免除というふうになっております。

#193
○芳賀道也君 いや、コロナの特例についてお伺いしたんですけど。

#194
○参考人(松崎和義君) コロナにつきましては、持続化給付金の給付決定を受けた事業者の方が事業所内に設置をした受信契約について二か月間免除するということでございます。

#195
○芳賀道也君 やはりちょっと免除の幅が非常に狭いというふうに感じるんですね。
 学生も奨学金受けてなければ免除対象でない。このコロナ禍、学費も、それから生活費も稼ぐためのバイトもできない。そういった中で、奨学金受けている人しか学生は対象にならない。あるいは、生活保護を受けていれば免除なんですけれども、車を手放したくない、子供もいるということで、本当にぎりぎりで、生活保護の対象になるんだけれども生活保護を受けていないような所得の低い人、こういった人も対象になっていない。やっぱりもうちょっとこれは拡充すべきだなというふうに要望をし、提案をいたします。
 また、先ほど柳ヶ瀬委員からも、若い人を中心にテレビ離れということがありました。まさに収入のない若い人、今ニュースなんかはネットでニュースの検索をして見れば十分だと。テレビを持たないという選択をしている若い人が増えていることも、これはそれを、NHKの受信料の高さが後押しをしている。逆に言えば、地上波の価値を下げるということになってしまっているという、民放連から。
 地上波と、それからいわゆる通信というものの境目がなくなっていますので、地上波の価値を損なわないためにも、こういった若い人、収入のない人にはやはり減免、あるいはこれは、この分受信料が増えてはいけませんから、国もこの分については例えば補填をするんだと、学生については、そんなことも計画してほしいと思います。
 同じように、今触れた、ほぼ生活保護を受けられるぐらいの収入しかなくて頑張っているシングルマザーの方から、山形の方から実際に要望が届いた例です。先ほど立憲の岸委員も触れられていましたけど、この方が入居したアパート、既に各部屋に衛星放送もう入っているということで、衛星放送まで契約してくれと言われて契約せざるを得なかった、ですけれども、収入も低いですから、一人親で子育て、養育費、食費が掛かって、とうとう受信料の滞納に陥ってしまったというんですね。
 アパートに入居すると、本来は地上波だけだったら何とか頑張ろうという方も、同時に衛星放送もだと強制されてしまう。これはちょっと問題もあるのではないか、こういう契約に。
 こういう契約に対して、例えば免除するような方向、そういった意思のない人は認めるとか、例外規定等も必要なのではないかと思うんですが、この辺はいかがでしょうか。

#196
○参考人(松崎和義君) お答え申し上げます。
 NHKとしましては、放送法に基づく放送受信規約により、衛星放送を受信できる受信設備があれば衛星契約をお願いをしているところでございます。集合住宅などで衛星放送を受信する意図がないのに衛星契約を求められる、納得がいかないという御意見があるのは承知しておるところでございます。
 次期経営計画では、構造改革を進めることで経営資源を放送サービスに集中させることとしております。NHKならではの見応えのある番組を衛星放送でもしっかりとお届けし、コンテンツの質を評価していただくことで衛星契約に御理解をいただけるように努めてまいりたいと考えております。
 また、これまで衛星付加受信料の割高感が指摘されてきた経緯もございまして、衛星波の削減を行う二〇二三年度に衛星料金の値下げを検討しているところでございます。
 地上契約と衛星契約の一本化も含めた総合的な受信料の在り方についても、導入に向けた検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。

#197
○芳賀道也君 是非こうした、入居したアパートでもう全てが決まってしまう、しかも、収入の低い人にも例外もないということは問題だと思いますので、是非こういったことにも配慮した体系にお願いをしたいと思います。
 こうした内容も踏まえてなんですけれども、計画では衛星放送は値下げになっています。しかし、今、この衛星の値下げももっと早めるべきではないか、あるいは地上波こそ値下げの努力をすべきではないかと思います。また、今触れてきた収入の低い世帯への配慮が余りにもなさ過ぎるのではないかと思いますが、会長、いかがでしょうか。

#198
○参考人(前田晃伸君) お答え申し上げます。
 地上波につきましては、大規模な災害に備えた命と暮らしを守る報道の強化、全国ネットワークを生かした情報発信による地域社会への貢献、社会、教養コンテンツの充実、ユニバーサルサービスの拡充など、NHKならではの放送サービスにしっかりと取り組んで、価値を更に高めていきたいと考えております。
 また、地上波は、あまねく全国に放送を届けるため、離島や山間部にも送信所を設置するなど、インフラの維持コストが多額に掛かっております。衛星波につきましては、二〇二三年度中に整理、削減を実施することや、地上契約の受信料に比べ割高感があると従来より指摘されたことがございまして、二〇二三年度の値下げでは衛星付加受信料について引下げを実施したいと考えております。
 また、収入の低い世帯への受信料の免除や割引措置につきましては、一般視聴者の負担により成り立つものでございますので、検討する場合には、やっぱりそう安易にするというわけにはいきませんが、御意見として承ります。

#199
○芳賀道也君 難視聴区域解消、本当に地上波というのはお金掛かります。これから4Kだ8Kだ、様々放送設備にも掛かります。通信の方は意外にコストが掛からないんですね。競争相手が今度、放送も通信も同じ土俵に乗っているということもありますので、こうしたあまねく人口の少ないところまで地上波を届けるため、そういったことは民放もNHKも含めて、是非、総務大臣、こういったところへの配慮については、受信料負担に跳ね返ってこないような対策もお願いしたいと思います。
 それからもう一つ、これは民放連なども取り上げているんですけれども、ネットのメディアでは今、一契約ファイブアクセス、五つのアクセスまで同じ料金、こういった仕組みで携帯でもパソコンでも見られるようになっている。動画配信などそうですね。さらに、こうなると、離れた場所にいる家族でも同じ契約で見ることができる。
 こうした契約方法、NHKでも一契約で複数のアクセスを認めるとか、ライバルは通信ですから、こういったことも認めていかなきゃいけないんじゃないでしょうか。いかがでしょう。

#200
○参考人(前田晃伸君) お答え申し上げます。
 昨年からスタートいたしました地上テレビでの常時同時配信、見逃し配信サービスでございますNHKプラスでは、一つのIDにつきまして同時視聴を五台まで認めるようにしております。

#201
○芳賀道也君 こうした本当に地上波、通信との境目がなくて、ライバルがこういった方法で来ていますので、地上波が消えてしまわないように、是非こういう契約方法も単純な値下げだけではなくて考えていただくと、学生などは親元から離れていてもこれで救われるわけですし、そういったことも、単純な値下げだけではないことも非常に検討をしていただきたいと思いますし、武田総務大臣も、こういったものも受信者負担にならないようなそういうサポートもお願いしたいと思います。
 次に、私、地方の民放局にいて、地方の民放局も当時、我が社は違っていましたけれども、たまたまそのほかの局は、女性アナウンサーは正社員、あっ、失礼、男性アナウンサーは正社員、女性は正社員でない、非正規という会社が随分多かった。
 そんな中で、三十数年前、もう四十年近く前ですけど、NHKのある職員の方が、現役のアナウンサーでいらっしゃいましたけど、勇気ある方だなと。当時、地方局に、特に東京には男女ほぼ同数の正職員のアナウンサーがいるけれど、その方が雑誌で、全職員の中での女性正職員アナウンサーは三%にすぎないという、内部にいながら発言をされていて、しっかりと、組織にいながらこういったことを発言できる人材がいらっしゃるのは、NHKすごいなと思っていたんですが、その後、随分、二割、三割ということで改善が続いていってというのを二十年ぐらい前に伺いました。
 現在の状況をお聞きしたいと思うんですけれども、現在、NHKの番組制作現場での正職員の男女比率、正職員のアナウンサーの男女比率、それから記者での男女比率など、それぞれどのぐらいになっているんでしょうか。

#202
○参考人(林理恵君) お答えいたします。
 この四月にNHKに入局する定期採用者のうち、番組制作業務やアナウンス業務、取材業務などに主に従事する放送総合の中で女性の占める割合は五二・三%となっております。

#203
○芳賀道也君 今年採用の中で半分というのは、すばらしくいいことだなと思います。
 現在の職員の中ではどうなんでしょうか。

#204
○参考人(林理恵君) お答えいたします。
 現在の職員のうち、女性の割合は二四・二%でございます。

#205
○芳賀道也君 アナウンサーや制作の比率というのは分かりませんか。

#206
○参考人(林理恵君) 失礼いたしました。
 先ほどちょっと申し上げました二四・二%は放送関係の女性の割合でございまして、女性職員としては一九・九、約二〇%でございます。

#207
○芳賀道也君 アナウンサー職、正職員の比率は分かりませんでしょうか。

#208
○参考人(林理恵君) 失礼いたしました。
 個別に、職種別には分けてございません。放送総合ということでカウントしてございます。

#209
○芳賀道也君 今年入社の、入社とは言いませんね、職場に入った方はほぼ五割ということで、是非、こういった比率が随分と改善はされてきているようですので、更に高まるように改善をお願いをいたします。
 次に、これも私の地域での経験なんですが、これも随分前です、二十年ぐらい前なんですが、地域の町づくりイベント、町のイメージソングなどをNHKの子会社が仕事として受けたと、そのイベントも、町おこしのイベントも含めてなんですけど。そうすると、民間放送局に勤めている私から見ると、あれ、NHKの子会社が関わっていると随分NHKの放送でも取り上げられるな、これは民放と変わらないんじゃないかなと、疑念です、あくまで。疑念を感じることがあったんですが、たまたまニュースバリューがあるからニュースで取り上げるということはあるんでしょうけれども、こうした子会社が絡んだイベントを、子会社が一部イベントを請け負って、そのイベントを放送している、こういったことは受け入れられるのか。
 総務省は、NHK子会社による町づくりイベントの関与と、そのイベントを公共放送であるNHKが放送することについてどう考えていらっしゃるんでしょうか。

#210
○政府参考人(吉田博史君) 御指摘の事案については承知しておりませんが、一般論として申し上げますと、総務省では、日本放送協会の子会社等の事業運営の在り方に関するガイドラインというものを作っております。そちらのガイドラインにおきましては、NHK子会社が実施可能な業務の一つとして、放送に関するイベントを主催、後援、企画、運営するということが掲げられております。
 二点目の、それをその放送番組の中で取り上げることにつきましては、まさに放送番組の編集についてNHKにおいて自主的に判断なさることだと思っております。
 いずれにいたしましても、NHKにおきましては、次期中期経営計画におきまして、子会社を始めとした全体の規模を縮小する等の方針が示されていることも踏まえ、その子会社等の業務範囲の在り方については検討していかれるものと考えております。

#211
○芳賀道也君 ニュースについては、当然、ニュースバリュー、ニュース価値があるから取り上げているということだと思いますが、ただ、ああ、じゃ、子会社が絡んでいるからじゃないかしらという疑念を抱かれないように、何かNHK自身でニュースで取り扱うときのガイドラインなどは定めていらっしゃるんでしょうか。

#212
○参考人(正籬聡君) NHKでは、取材、制作を行う際の指針となります放送ガイドラインというものがございます。これに基づいてニュース番組の制作ですとか放送に当たっております。
 放送法では広告放送を禁止していることから、ニュースでイベントなどを扱う際は、特定の団体などの利害に左右されずに、公平公正な放送を行うようにしております。子会社が関与するイベントについても同様な考えで取り組んでいるところでございます。

#213
○芳賀道也君 引き続きこの子会社についてもお伺いしたいんですが、数は大分減ったようなんですけれども、そもそもイベントや出版会社もございます。これは、民間放送で、失礼、民間会社であっても何ら差し支えないのではないかというような子会社が幾つか、幾つもあります。
 なぜ民間の会社でできることをNHKの子会社があるのか、NHKの子会社ではなくほかの民間会社でもできること、NHKに子会社がどうしても必要な理由について教えてください。

#214
○参考人(松坂千尋君) お答えいたします。
 NHKの子会社ですけれども、特に番組については、番組の質の確保をする必要があるなどの理由から、この番組制作についてはかなりの部分を子会社に委託しているということはあります。ただし、その場合も、効率的な番組制作に努めるということで子会社に業務を委託しております。
 そのほか、イベントや出版などですけれども、このNHKの番組の資産やノウハウをイベントや出版物などで活用して、放送以外に広く届けていくことも大きな役割だと認識しております。
 関連団体は、こうした目的を踏まえて子会社としてふさわしい業務を行っていまして、業務範囲についても法令に定められた範囲で限定しております。
 ただ、子会社に委託している業務の中でも、民間会社でも可能な業務、すなわち競争が可能な業務については、委託から切り離して競争に付する方式を導入したり、例えば出版などでも、番組に関連した出版物を出す場合にコンペなどを行って、民間の出版会社にそういうものは発行してもらうというようなことも取り組んでいるところであります。

#215
○芳賀道也君 コンペや入札なども行うというのであれば、なぜNHKが子会社を持っていなければならないのか、その何か説得力が、必然性がちょっと見えてこないということを指摘させていただきます。
 さらに、先ほど柳ヶ瀬委員も御指摘されていましたけど、子会社の問題。皆さんから言わば強制的にお金をいただく、そのお金はできるだけ少なくするべきだという努力をするというのは必要だと思うので、このNHK子会社の内部留保は合わせてどれぐらいあるのか。
 それから、子会社の価値、株式売却も含めてですけれども、その子会社売却による値下げができないかというようなシミュレーション、検討はなされたことはあるのでしょうか。

#216
○参考人(松坂千尋君) 子会社の内部留保ですけれども、財務諸表で利益剰余金として計上されていまして、二〇一九年度の配当実施後で九百三十四億円となっています。ただ、この大部分は、中継車やカメラなどの固定資産、システム改修など将来的に必要となる資金、それから日常業務のための運転資金など事業維持のための資金や資産であり、こうしたものを除いた利益処分が可能なものはおよそ九十億円となっています。これについては今後計画的に配当を行っていくことにしております。
 時代とともに子会社の役割も変わっておりまして、その在り方や規模や数については検討していくことにしておりますが、子会社の売却による値下げのシミュレーションについては検討しておりません。
 子会社がNHKの委託業務を効率的に推進するとともに、副次収入ですとか配当などによるNHKへの財政的寄与をすることによって、視聴者負担の抑制にもつながると考えているところであります。

#217
○芳賀道也君 視聴者からお金をいただいているわけですから、聖域なく、こういったシミュレーションは少なくとも行うべきだと思います。
 次に、様々な接待の疑惑とかも言われていますので、これもお聞きしなければいけません。
 NHKの役員による総務省幹部への接待があったと報じられましたが、三月二日の総務委員会で、NHK会長は問題がなかったと述べております。NHK本体と子会社の役員や職員による政治家や官僚の接待、会食はそのほかにはなかったのでしょうか、いかがでしょう。

#218
○参考人(前田晃伸君) お答え申し上げます。
 報道機関でありますNHKは、取材を含めて職員が様々な方とお会いし意見交換を行っておりますが、職員の交際費は認めておりません。そういう意味では、いわゆる接待は行わないということにしてあります。
 また、役員につきましては、役員交際費を設けておりますが、毎年、監査委員による経費監査を受けており、経費処理の手続が適正であることを確認しております。令和元年度ベースで申し上げますと、慶弔費を含め、役員十二名で総額が千二百三十七万円でございました。

#219
○芳賀道也君 まだちょっとブラックボックスで、若干の疑念を抱かなきゃいけないところもあるという感じがいたします。
 更にお聞きします。NHK本体や子会社は政治家や政治団体に献金できるのか、あるいは、子会社なら献金できるからということで、実際に政治献金などを行っている例はあるのでしょうか、いかがでしょうか。

#220
○参考人(前田晃伸君) NHKは放送法でそうした支出を行うことを禁じられており、政治献金を行うことはできません。また、関連団体につきましても献金を行ったという例は承知しておりません。

#221
○芳賀道也君 子会社についても、パーティー券を買ったとか、そういうことも含めて献金に対する例は全てないということでよろしいんでしょうか、確認させてください。

#222
○参考人(前田晃伸君) そのような例はないと思います。

#223
○芳賀道也君 次に、小渕内閣で官房長官を務めた野中広務氏は、かつてテレビなどで意見を述べるジャーナリストなどに官房機密費から資金提供を行っていたと自ら明らかにしています。
 そこで、前田会長に伺いますが、NHKでは今でも記者や論説委員など、官邸の官房機密費から資金提供を受けているのか、受けているかいないかというのは調査も行っているのか、いかがでしょう。

#224
○参考人(前田晃伸君) お答え申し上げます。
 官房機密費からの資金提供といった事例は、NHKとしては一切承知をいたしておりません。

#225
○芳賀道也君 もし実際に受け取っていたなんということが明らかになったらどうなるかをお聞きしたいんですけれども、アメリカなどではメディア関係者が取材先と癒着することは考えられず、コーヒー、三ドルのコーヒーの提供を受けることすら禁じられておりますが、NHKの記者や論説委員、役員などが政府や取引先に、ほかに説明ができない資金を受け取ることは報道をゆがめることになります。収賄罪に当たるのではないでしょうか。
 また、NHKはガイドラインでこうした役員や職員の金品の授受を明確に禁止しているのでしょうか。

#226
○参考人(前田晃伸君) NHKでは、全ての役職員の規範となりますNHK倫理・行動憲章、行動指針やNHK放送ガイドラインで、不正な金品などの授受は行わないと定めております。

#227
○芳賀道也君 分かりました。そうした事実があれば、当然、厳正な処分をされるということですね。
 次に、特に災害時には、テレビ、ラジオもNHKにその災害放送をしてもらわなければいけない。実際に、それぞれの災害でNHKのテレビ、ラジオ、エリアでの放送も非常に役に立っています。地元の皆さんにとっても有り難い。
 先ほどもありましたが、AMラジオも含めて局が減ってしまう。例えば災害報道などでは、そのニュース的な報道と、ちょっと時間がたてば生活情報を、じゃラジオでと。だから、分担もできてテレビもラジオもあると、ラジオも何波もあるというのは強みになると思うんですが、そういったラジオも減るというような流れもある。
 合理化も必要ですけれども、災害報道に関わる様々な経費のカット、人員削減、こういったことが逆に進み過ぎてしまう、しっかりとした災害報道ができなくなっては困ると思うんですが、この点はいかがでしょう。

#228
○参考人(正籬聡君) NHKとしては、命と暮らしを守る災害報道がもう一番大事な価値だというふうに考えております。
 新しい経営計画では、命と暮らしを守る報道を強化して、より強靱なネットワークを構築することを重点目標の一つに掲げていまして、投資の規模ですけれども、二十億円程度を見込んでおります。
 また、報道分野については、相次ぐ大規模災害や新型コロナウイルスの世界的な流行など、様々な脅威や社会的な課題がある中、安全、安心を支える情報を事実に基づいて正確に伝えるため、二〇二一年度予算では今年度よりも八・五億、三・七%増額しております。
 さらに、災害報道に関わる人員を削減することはなく、命と暮らしを守るために、本部と地域放送局が連携して防災・減災に役立つコンテンツを放送ですとかラジオですとかインターネットを連動させて、これまで以上にきめ細かく届けるための取組を強化したいと考えております。

#229
○芳賀道也君 やはり非常時、災害時に放送ができないということは困るので、そういった面ではしっかり予算も確保し、武田総務大臣も是非こういった面では、受信料収入だけではなくて国もサポートするんだということも併せてお願いしたいと思います。
 次に質問、時間もありませんので大きく飛ばして、北海道内の放送局の再編について伺います。
 先ほど立憲の岸委員からも御指摘がありましたけれども、北海道の放送局のことですが、現在、北海道の放送局は七つありますが、室蘭、釧路、北見の三局がこの値下げなどに伴って停波となって、ほかの局に統合されるということが一部報じられています。これは事実なのでしょうか。

#230
○参考人(松坂千尋君) お答えいたします。
 値下げによって北海道内の放送局がなくなるというふうなことはございません。
 次の経営計画では、地域の情報発信強化を掲げています。北海道でも、この四月以降、より地域に密着した放送サービスを強化するためのトライアルに取り組んでいきます。北海道全域の放送というより、より地域に密着した放送をやるということで、四月から五月にかけて、夕方のニュース番組で、道東向けですとか、道北、オホーツク向けの情報発信の時間を現在よりも試験的に増やすほか、秋には道南向けや道央向けの情報発信を増やす予定であります。
 こうしたトライアルに対する皆様の受け止めなどを踏まえながら、今後どのように北海道で地域サービスを拡充していくかや、その体制について検討していきたいと思っております。

#231
○芳賀道也君 当然、合理化は必要ですけれども、こういった過度な合理化といいましょうか、地方の声が届かなくなるような、地方の小さな放送局が次々に統合されてしまうようなことがないようにお願いをします。
 最後に、通告はありませんが、武田大臣、やはり生活保護とほぼ同等の収入しかないような方とか、それから学生、こういった面での減免の措置がまだまだちょっと足りないのではないかなということもありますし、受信料から災害に対する備え、これも負担していくというのはなかなか大変な部分もあると思うので、災害に対する部分についてはしっかりともう国もサポートするのだというようなことをお願いしたいんですが、いかがでしょうか。

#232
○国務大臣(武田良太君) コロナ対策は政府一丸となって取り組むべきことでありまして、総務省としてもその責任は全うしていきたいと、このように考えております。

#233
○委員長(浜田昌良君) おまとめください。

#234
○芳賀道也君 はい。
 是非、本当に収入のない、少ない方への減免、免除の拡充、それから本当に必要な災害対策、そういった面にはしっかりと予算が付くようにお願いをし、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

#235
○伊藤岳君 日本共産党の伊藤岳です。
 放送法は第三条で、放送番組は何人からも干渉されないと定めています。この放送の自主自律をめぐり、NHKに対する国民の信頼が大きく揺らいでいることは重大です。
 NHKが、高齢者を始め多く国民の被害を及ぼしたかんぽ不正販売問題を、「クローズアップ現代+」、二〇一八年四月二十四日放送で放送したことは、公共放送の役割として当然のことでした。しかし、番組に対する日本郵政グループからの抗議に対して、予定していた第二弾の放送番組を取りやめ、しかも経営委員会は放送法第三条に違反してNHK会長を厳重注意し、さらにはその際の経営委員会議事録を隠蔽し続けています。
 私たち日本共産党は、こうした一連の事実を重大であると捉え、こうした下で同執行部が策定し、経営委員会が了承した昨年度、二〇二〇年度のNHK予算の承認には反対をさせていただきました。
 残念ながら、この一年で事態は深刻さを増していると思います。NHKの第三者機関であるNHK情報公開・個人情報保護審議委員会は、二〇二〇年五月二十二日、議事録の全面開示を答申をしましたが、経営委員会は、議事録の要約を切り張りしたものをホームページ上に掲載し、実質不開示としました。これに対して、審議委員会は再度、二〇二一年二月四日に議事録を速やかに開示と答申しましたが、経営委員会は今もなお議事録の開示を拒み続けています。
 資料をお配りしました。資料一を御覧をいただきたいと思います。
 これ、昨年の当委員会でも配付をさせていただいた報道記事、朝日、二〇年三月二十六日付けの記事です。この上から五段目の冒頭に、NHKとしては本当に存亡の危機に立たされることになりかねないという上田前会長の発言。これについて、森下経営委員長は、昨年のこの当委員会でこの発言があったことはお認めになったと思います。
 資料二、一枚めくっていただきたいと思いますが、資料二の上から二段目の最後から四行目から読みますが、複数の関係者への取材で判明した一八年十月二十三日の経営委員会会合の全容。厳重注意後、約二十五分間、上田氏と石原、森下両氏との間で話合いが続いた。見出しで「NHK前会長と攻防二十五分」と書いてあります。
 更に一枚めくっていただきますと、この二十五分の攻防が更に詳細に書かれています。この一番下の段落の真ん中からちょっと左ぐらいですか、森下氏というのが出てきますが、こう書いています。森下氏、視聴者目線に立った対応というのは、ちゃんとやっていると相手に伝えることが大事だ、納得していないから経営委員会に来た。まあ、これは郵政がですね、郵政側が納得していないから経営委員会に来た。ちょっと飛ばしますが、その次、上田氏、相手の社会的立場によって対応を取るのかと聞いたのに対して、三人飛ばしますが、ある委員、Fという委員が、返答を会長名で出す、経営委員会が出すとなれば、今後も何かあれば応対、対応しなければならないというきっかけになると。それに対して、石原氏、森下氏は、きっかけになってもいいと。こういうやり取りをしていることが報じられております。
 森下氏にお伺いをいたします。このこうした発言、報道記事はお認めになりますか。

#236
○参考人(森下俊三君) お答えいたします。
 新聞報道の一つ一つについてコメントすることは控えさせていただきたいと思っておりますが、そういった趣旨の発言があったことは記憶しております。

#237
○伊藤岳君 資料の最後をめくっていただきたいんですが、一番上の段落の真ん中からちょっと左ぐらいですか、森下氏というのが出てきます。本当は、郵政側が納得していないのは取材内容だ、納得していないから、経営委に言ってくる、本質的なところはそこで、向こうは今も納得していない。それに対して上田氏は、森下氏が話したところに入っていくと、これは私の問題というより、経営委も含めてNHK全体の非常に大きな問題になる。
 森下経営委員長、これはお認めいただけますか。

#238
○参考人(森下俊三君) 先ほどお話しいたしましたが、新聞報道の一つ一つにコメントすることは差し控えさせていただきたいと思っておりますが、そういった趣旨の発言はあったと記憶しております。

#239
○伊藤岳君 こういうやり取りがあったということはお認めになったということで確認をしたいと思います。
 この記事の中の会話の最後に、去年、私が当委員会で紹介した記事にある、上田会長、前会長の、NHKとして存亡の危機に立たされることになりかねないという言葉が書かれて、出てくるんですね。
 森下氏はこれまで、番組に関する発言もありましたけれど放送番組に介入したことはありませんと答弁をされてきましたけれども、今紹介した記事、お認めになったこの記事の流れを見ますと、取材内容、番組作りを問題にしています。
 こうした発言は、放送法第三十二条第二項が規定する委員、この経営委員ですね、個別の放送番組の編集について、第三条の規定に抵触する行為をしてはならないに違反する行為ではないですか。報道記事の中においても、ほかの経営委員が個別の放送番組への解消、干渉、介入になる旨の発言をしている、しております。
 今確認してきたような報道の内容は議事要旨には全く出てきませんし、NHKのホームページ上にも全く出てきません。つまり、全く別物の会議の要旨になってしまっています。
 森下委員長、これでは議事要旨にならない、これでは放送法違反の事実を隠すために議事録を公表しないのではないかと言われても仕方ないんではないですか。どうですか。

#240
○参考人(森下俊三君) お答えいたします。
 経営委員会としては、あくまでもガバナンスの観点から注意を行ったものでありまして、郵政三社から言われたことの事実関係を確認するためにいろいろ質問はしております。
 しかしながら、あくまでもガバナンスの観点から注意を行ったものでありまして、放送法第三条あるいは三十二条の規定のとおり、経営委員会が番組の編集に関与できないことは十分認識して議論しております。そういった意味で、番組の編集の自由を損なうような事実はありませんし、執行部もそうした事実はなかったとしております。
 さらに、これは時系列で見ましても、放送そのものが、その年の七月に全部終わっております。経営委員会に来たのが十月でございますので、全く時系列的に見ましても、そういう、その介入したという事実はございません。

#241
○伊藤岳君 先ほどあなたがお認めになったこの報道記事の流れから見ると、ガバナンスの問題じゃないじゃないですか。報道そのもの、番組そのものに入り込む話ですよ。
 もう一度聞きますけれども、今言われたこの新聞による二十五分間のバトルは議事要旨には書かれていませんよね。これでは議事要旨にはならないと思いますが、どうですか。

#242
○参考人(森下俊三君) お答えいたします。
 議事要旨には、前会長からあった発言のうちポイントとなる大事な発言は一連の対応の経緯に記載しているという認識でございます。あくまでもガバナンスに関する議論でありまして、御指摘のあった発言、これについては本人の受け止め方の問題でありまして、経営委員会として特に大事だとは認識しておらず、当時、経営委員会からも特段の意見は出なかったと認識しております。

#243
○伊藤岳君 今紹介したような報道の内容がまさにど真ん中の話だと思いますよ。ちょっと認識がおかしいと私は思います。
 審議委員会の第一回目の答申でも、当時の経営委員会の議事録について、会長を厳重注意という重大な決定を行った意思決定過程は、より強く透明性が求められる、検証されるべきものであるとして開示を求めています。
 審議委員会の二回目の答申では、要約された文書は開示の求めの対象文書との同一性を失ったもの、公開制度の対象となる機関自らが対象文書に手を加えることは対象文書の改ざんというそしりを受けかねないと厳しく批判し、開示を求めています。私、まさにそのとおりだと思うんです。
 森下経営委員長、この審議委員会の二回目の答申を受けて、衆議院の審議の中で森下氏は、NHK情報公開規程第二十一条に基づきまして、NHKは審議委員会の意見を尊重し、再検討の求めに対する開示、不開示等の判断を行う、二度目の答申というものを尊重しまして現在検討している最中であると答弁されましたし、先ほど別の委員の質問にもそうお答えになりました。
 先ほど、岸議員や那谷屋議員の質問に対して、検討を進めているのかということに対して、日付などの話がありましたが、検討の中身については言及ありませんでした。検討している中身は何なのか。そして、経営委員会で検討しているのであれば議事録ありますよね、議事録を公表してほしいと思いますが、どうですか。

#244
○参考人(森下俊三君) まず、先ほどお話ありましたが、一回目の審議委員会から答申出ましたときには、私どもははっきりと、当時の議論は非公表を前提としておりますので対象文書そのものは公表できませんが、NHK情報公開規程に従いまして、答申の趣旨、これは先ほど御説明いたしましたが、視聴者に対する十分な説明責任を果たすというためにということがございましたので、その趣旨を尊重し、説明責任を果たすために改めて整理、精査した上で公表したものでございます。そういった意味で整理、精査したものであることは請求者にその旨を付して回答しておりまして、改ざんという認識はございません。それについては審議委員会にもお話をしているところでございます。
 それから、今回の、現在、二回目の答申でございましたので、私どもは今慎重に議論をしているところでございます。経営委員会は十二名の合議制でありまして、そういった意味では、二月九日から検討を始めておりますが、しっかりと十分な議論を行うことが必要であります。そのほか、途中の段階で公表すると視聴者・国民の皆様に無用な混乱を来すおそれが考えられるということもございますので、現時点で議論の内容を明らかにすることは差し控えさせていただきます。
 経営委員会の透明性の確保という観点から、方針決定後に議論の内容は公表したいと考えております。
 以上です。

#245
○伊藤岳君 森下さん、あなたの発言は放送法に抵触しますよ、これ。議事の経過は公表するということになっているじゃないですか。経営委員会で検討したんですよね。経営委員会で検討した結果を何で議事録公表しないんですか。そうなっているじゃありませんか。

#246
○参考人(森下俊三君) 先ほどお話ししましたように、現在検討中でございまして、経営委員会、十二名の合議制でございますので、十分な議論をしてしっかり議論することが必要でございます。そのために、途中の段階で公表すると視聴者・国民の皆様に無用な混乱を来すおそれがあるということで、最終的に検討が済んで、方向、方針が決定した段階でそれまでの議事の内容も公表するという考えでございます。

#247
○伊藤岳君 大変重大な発言をしていると思いますよ。経営委員会議事運営規則には、遅延なく議事録を公表するとなっているじゃありませんか。これ、あなた自身が規定される経営委員会議事運営規則違反だと私は思います。
 大体、経営委員会の委員は国会の同意人事ですよ。NHKの最高意思決定機関である経営委員会の透明性を確保するために、放送法第四十一条は議事録の作成と公表を義務付けているんです。その委員の議論が国会や委員会に隠されることは絶対あってはならないと思います。
 前田会長にお聞きします。
 審議委員会の二回目の答申を受けて、NHK情報公開規程第二十一条に基づいて一八年十月二十三日のこの経営委員会の議事録を公表を行うべきではないですか。会長としての認識をお聞かせください。

#248
○参考人(前田晃伸君) お答え申し上げます。
 NHK情報公開・個人情報保護審議委員会がかんぽ問題に関する情報公開請求の再検討の求めに対し、再度開示が妥当と答申したことは重く受け止めております。
 NHK情報公開規程第二十一条では、NHKは、審議委員会の意見を尊重して、再検討の求めに対する開示、不開示等の判断を行うと定められております。まずは、経営委員会が開示するかどうかの最終判断の検討を行い、その結果を請求者に通知するものと承知しておりますが、経営委員長は審議委員会の答申を尊重すると言っておりまして、その判断を注視したいと思います。

#249
○伊藤岳君 大臣にも伺います。
 放送法第四十一条に基づいて、NHKは国民・視聴者への説明責任を果たしていくことが求められているのではないでしょうか。議事録の公表が求められているのではないでしょうか。大臣の見解を伺います。

#250
○国務大臣(武田良太君) NHK経営委員会の議事録に関しては、情報開示請求に関する本年二月の答申について、まずはNHK経営委員会において、NHK情報公開・個人情報保護審議委員会の答申を尊重した上で検討がなされるものと承知しており、私の方からのコメントすることは差し控えたいと、このように思います。

#251
○伊藤岳君 先ほどもちょっと紹介しましたが、放送法第四十一条の改正を受けて、NHK経営委員会議事運営規則というのが策定をされています。ところが、この議事運営規則は最近まで全く公表されてこなかったんです。策定から五次にわたって改正が行われていますが、全く公表されてきませんでした。
 この運営規則の策定時から五次にわたる改正全てを当委員会に公表していただきたいと思います。
 委員長、お取り計りをいただきたいと思います。

#252
○委員長(浜田昌良君) 後刻理事会で協議します。

#253
○伊藤岳君 次期経営計画に関わってお聞きします。
 前田会長、次期経営計画に受信料値下げが盛り込まれました。菅総理は一月十八日の所信表明演説で受信料一割値下げに言及しましたが、NHKが受信料一割値下げを公表したのはいつですか。

#254
○参考人(前田晃伸君) お答え申し上げます。
 一月十三日に次期経営計画を公表した際に、二〇二三年度に事業規模の一割に当たる七百億円程度を確保して値下げを実施したいということを表明いたしました。また、衛星波を削減する年なので衛星付加受信料の値下げをしたいと考えておりましたため、一月二十日の会見で、放送総局長が記者の質問に答え、衛星付加受信料の一割値下げを目指したいという一つの目標を申し上げました。
 以上です。

#255
○伊藤岳君 一月十三日に経営委員会が開催されていると思います。この経営委員会では一割値下げと決めたんですか、森下委員長。

#256
○参考人(森下俊三君) 八月のパブリックコメント以降、多くの方から値下げの意見いただいておりましたので、経営委員会と執行部で値下げの検討等議論をいたしておりましたが、最終的に値下げのめどが付いたということで、その時期に整理を、委員会としての整理をしたということでございます。

#257
○委員長(浜田昌良君) おまとめください。

#258
○伊藤岳君 明確にお答えされませんでしたが、一月十三日の経営委員会で決定されていないと思います。それが、突然、総理の所信表明演説を受けて一割値下げということが公表される。これ、菅政権の看板政策付けのために政権が介入した、政権の意向に沿った政策判断が働いたのであれば、問題ではないかと思います。
 検証が必要だということを申し添えて、質問を終わります。

#259
○委員長(浜田昌良君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

#260
○伊藤岳君 私は、日本共産党を代表して、放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件、いわゆるNHK二〇二一年度予算の承認に対して反対の討論を行います。
 放送の自主自律の遵守が求められるNHKに対する国民の信頼が大きく揺らいでいることは重大です。NHKがかんぽ不正販売問題を報じた番組に対する日本郵政グループからの抗議に屈し、しかも、経営委員会が放送番組は何人からも干渉されないとする放送法三条及び三十二条に違反してNHK会長を厳重注意をし、さらには、その際の経営委員会議事録を隠蔽するという一連の事実は重大です。
 NHK情報公開・個人情報保護審議委員会が議事録の全面開示を求める答申を二度にわたり出したことは異例です。これはNHKの自主自律に対する強い危機感を示すものです。経営委員会とNHKは、同審議委員会が対象となる機関自らが手を加えることは対象文書の改ざんというそしりを受けかねないと指摘し、さらに、経営委員会、執行部が挙げた公開できない理由を全て否定している事実を重く受け止めるべきです。
 協会全体のガバナンスに関わる会長厳重注意という重大な決定を行った議事録の開示を拒み続け、視聴者・国民への説明責任を放棄する経営委員会、執行部の姿勢は断じて許されません。こうした下でNHK執行部が編成し、経営委員会が議決した二一年度予算に対して承認することはできません。
 最後に、国民の代表としての自覚を持ち、放送法を遵守する経営委員会に改革することを強く求め、反対の討論とします。

#261
○委員長(浜田昌良君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

#262
○委員長(浜田昌良君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
 この際、那谷屋君から発言を求められておりますので、これを許します。那谷屋正義君。

#263
○那谷屋正義君 私は、ただいま承認されました放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対し、自由民主党・国民の声、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会及び国民民主党・新緑風会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)
  政府及び日本放送協会は、公共放送の使命を全うし、国民・視聴者の信頼に応えることができるよう、次の事項についてその実現に努めるべきである。
 一、経営委員会は、本委員会の審議を踏まえ、経営委員会の放送番組の編集への介入の疑念について、十分な総括と反省を行い、改めて、放送番組は何人からも干渉され、又は規律されることがないことを規定した、放送法第三条の放送番組編集の自由を十分理解し、その自由を侵害する行為はもとより、侵害を疑われる行為を絶対に行わないこと。
 二、経営委員会は、放送法が定める協会の自律性を保障するために、協会の経営に関する最高意思決定機関として重い職責を担っていることを深く認識し、協会が放送法に定められた役割を確実に果たすよう、権限を行使すること。
   また、協会は、国民・視聴者からの受信料でその運営が行われていることを深く認識し、その運営について、情報の十分な開示・説明を行うため、議事録の適切な作成・管理・公表を行うこと。特に、経営委員会は、放送法を遵守し、その意思決定に至る過程等について、適切な議事録等の作成・公表を徹底すること。
 三、監査委員会は、放送法に基づく調査権限を適切に行使し、役員に不適切な行為がある場合、又は、公共放送の倫理観にもとる行為がある場合には、経営委員会と十分に連携しながら、時宜を失することなく厳格に対処すること。
 四、協会は、関連団体を含めた不祥事に対し、国民・視聴者から厳しい批判が寄せられていることを踏まえ、公共放送を担う者としての役職員の倫理観を高め、綱紀の粛正、コンプライアンスの徹底、再発防止策の確実な実施等を組織一体となって行うことにより、信頼回復に全力を尽くすこと。
 五、協会は、公共放送としての社会的使命を認識し、公正を保持し、事実を客観的かつ正確、公平に伝え、真実に迫るための最善の努力を不断に行うとともに、意見が分かれている問題については、できる限り多くの角度から論点を明らかにするなど、放送法の原則を遵守すること。また、国民・視聴者から寄せられる様々な意見に対し、必要に応じ自律的に調査し、その結果を速やかに公表すること。
 六、政府は、日本国憲法で保障された表現の自由、放送法に定める放送の自律性を尊重し、協会を含めた放送事業者の番組編集における自主・自律性が保障されるように放送法を運用すること。
   また、経営委員の任命に当たっては、その職務の公共性を認識し、公正な判断をすることができる経験と見識を有する者を、教育、文化等の各分野及び全国各地方から公平に代表されることを考慮するとともに、女性委員の比率を引き上げることなどにより多様な意見が反映されるよう、幅広く選任するべく努めること。
 七、協会は、業務の目的の明確化や中期経営計画で示した構造改革等の不断の努力を通じ、三年連続の事業収支差金の赤字を見込んだ予算編成から、早期の収支均衡を実現し、より安定した業務体制を確保するよう努めること。
   また、構造改革の実施に当たっては、国民・視聴者のニーズを踏まえ、その利便性を損なうことのないよう十分に留意するとともに、関係者に与える影響について配慮すること。
 八、政府及び協会は、放送と通信の融合の更なる進展の中で、公共放送の在り方及び受信料の在り方について、引き続き真摯に検討を行うこと。
   また、その結果を踏まえ、政府は、所要の措置を講ずるとともに、協会は、新しい社会と技術に対応した公共メディアとしての経営ビジョンを構築すること。
 九、協会は、繰越金や今後の事業収支の見通しと新型コロナウイルス感染症の拡大の影響等を踏まえ、国民・視聴者の負担軽減に資するよう、中期経営計画で示した受信料の引下げの内容を早期に具体化するとともに、受信料の支払いが困難となった者について、支払いの猶予等の対応を適切に行うほか、受信料減免の拡大について引き続き検討すること。
   また、受信料制度に対する国民・視聴者の理解を促進し、受信契約の締結は視聴者の理解を得た適正なものでなければならないことを認識した上で、公平負担の観点から、受信料支払率の向上に努めること。
 十、協会は、放送センターの建替えに際し、受信料を財源としていることを踏まえ、中期経営計画で示された「新放送センターの建設計画の抜本的な見直し」の具体的な内容を早期に明らかにし、国民・視聴者の理解が得られるよう説明を尽くすとともに、建替えに係る費用の圧縮に徹底的に取り組み、その成果を国民・視聴者に適切に還元すること。
 十一、協会は、常時同時配信等のインターネット活用業務を行うに際しては、その影響力の大きさを十分認識し、国民・視聴者のニーズや動向を的確に把握するとともに、民間放送事業者等の見解を幅広く聞きながら、関係者間での情報共有及び連携を図り、適正な規模・水準の下、節度をもって適切に実施すること。
 十二、協会は、各地域の関係者と様々な分野で連携を強化しながら、それぞれの地域ならではの魅力を紹介し、地域の活性化及び発展に寄与するコンテンツを充実するとともに、国内外に向けた積極的な発信に努めること。
 十三、協会は、我が国の経済・社会・文化等の動向を正しく伝えることの重要性を踏まえ、我が国に対する理解が促進されるよう、国際放送の一層の充実を図ること。特に、外国人向けテレビ国際放送については、番組内容の充実、国内外における認知度の向上等に努めること。
 十四、協会は、グループとしてのガバナンスを不断に強化し、子会社等からの適切な還元を図るとともに、重複業務の整理等を推進し、透明性の高い効率的なグループ経営の構築に向けて、迅速かつ確実に取り組むこと。
 十五、協会は、障がい者、高齢者に対し、十分な情報アクセス機会を確保し、デジタル・ディバイドを解消するため、新たな技術の開発・活用などにも取り組み、字幕放送、解説放送、手話放送など「人にやさしい放送」の一層の充実等を図ること。
 十六、協会は、自然災害が相次ぐとともに、新たな感染症が発生している現状に鑑み、いかなる事態においても放送・サービスが継続されるよう、地方局と連携し、放送設備と体制の強化を図るとともに、正しい情報を国民・視聴者に伝達し、その予防・拡大防止に寄与するよう万全を期すこと。
 十七、協会は、サイバーセキュリティ基本法に定める重要社会基盤事業者であること及び東京オリンピック・パラリンピックに向けてサイバー攻撃の脅威が高まっていることに鑑み、関係機関と緊密な連携を図り、サイバーセキュリティの確保に取り組むこと。
 十八、協会は、ハラスメント防止の取組を一層促進するとともに、過去に記者が過労で亡くなった事実等を踏まえ、過労死の再発防止のため、協会の業務に携わる者の命と健康を最優先に確保し、適正な業務運営と労働環境改善に全力で取り組むこと。
 十九、協会は、障がい者の法定雇用率を達成し、雇用率を一層高めるとともに、職場での差別禁止や合理的配慮を徹底し、障がい者の働く環境の改善を進めること。
   また、女性の採用・登用について、より高い数値目標を設定し、性別に関係なく仕事と家庭が両立できる職場の環境改善を進めること。
 二十、政府は、新型インフルエンザ等対策特別措置法の指定公共機関である協会に対する同法に基づく指示については、報道の独立性及び国民の知る権利を最大限に尊重すること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

#264
○委員長(浜田昌良君) ただいま那谷屋君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

#265
○委員長(浜田昌良君) 全会一致と認めます。よって、那谷屋君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、武田総務大臣及び前田日本放送協会会長から発言を求められておりますので、この際、これを許します。武田総務大臣。

#266
○国務大臣(武田良太君) ただいま御決議のありました事柄につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

#267
○委員長(浜田昌良君) 前田日本放送協会会長。

#268
○参考人(前田晃伸君) 日本放送協会の令和三年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして御承認を賜り、厚く御礼を申し上げます。
 NHK経営計画の初年度となります本予算を執行するに当たりまして、御審議の過程でいただきました御意見並びに総務大臣意見の御趣旨を十分に生かしてまいります。
 また、ただいまの附帯決議を十分に踏まえて協会の運営に当たり、業務執行に万全を期したいと考えております。
 本日はありがとうございました。

#269
○委員長(浜田昌良君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#270
○委員長(浜田昌良君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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