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2021/03/16 第204回国会 参議院 第204回国会 参議院 法務委員会 第2号 令和3年3月16日
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2021/03/16 第204回国会 参議院

第204回国会 参議院 法務委員会 第2号 令和3年3月16日

#1
令和三年三月十六日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         山本 香苗君
    理 事
                磯崎 仁彦君
                豊田 俊郎君
                真山 勇一君
                伊藤 孝江君
                清水 貴之君
    委 員
                小野田紀美君
                中川 雅治君
                福岡 資麿君
                森 まさこ君
                山崎 正昭君
                山下 雄平君
                渡辺 猛之君
                難波 奨二君
                谷合 正明君
                川合 孝典君
                山添  拓君
                高良 鉄美君
                嘉田由紀子君
   国務大臣
       法務大臣     上川 陽子君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   村田 斉志君
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   吉崎 佳弥君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        青木勢津子君
   政府参考人
       内閣府男女共同
       参画局長     林  伴子君
       警察庁刑事局組
       織犯罪対策部長  大賀 眞一君
       警察庁交通局長  高木 勇人君
       法務省大臣官房
       審議官      山内 由光君
       法務省民事局長  小出 邦夫君
       法務省刑事局長  川原 隆司君
       法務省保護局長  今福 章二君
       出入国在留管理
       庁次長      松本  裕君
       公安調査庁次長  横尾 洋一君
       外務省大臣官房
       審議官      田島 浩志君
       厚生労働省大臣
       官房生活衛生・
       食品安全審議官  浅沼 一成君
       厚生労働省大臣
       官房審議官    大坪 寛子君
       厚生労働省大臣
       官房審議官    岩井 勝弘君
       国土交通省大臣
       官房審議官    平嶋 隆司君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○法務及び司法行政等に関する調査
 (法務行政の基本方針に関する件)
    ─────────────

#2
○委員長(山本香苗君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣府男女共同参画局長林伴子さん外十三名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#3
○委員長(山本香苗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────

#4
○委員長(山本香苗君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、法務行政の基本方針に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#5
○磯崎仁彦君 皆さん、おはようございます。自由民主党の磯崎仁彦でございます。
 三月九日の大臣所信に対して質問をさせていただきたいと思います。
 所信表明の冒頭で上川大臣は、法の支配の貫徹された社会、そして、多様性と包摂性のある誰一人取り残さない社会の実現を目指すというふうに言及をされました。まさに法の支配は国家の基本原理の一つであり、これなくして国家の信頼感は生まれないというふうに思っております。また、誰一人取り残さない社会の実現、これはSDGsの目指すところであり、上川大臣には是非このような社会の実現に向けて御尽力をいただきたいというふうに思っております。
 三月七日から十二日までの六日間、京都コングレスが開催をされました。我が国での開催は一九七〇年の第四回コングレスから約五十年ぶりということでございます。大臣所信におかれましても、京都コングレスは、法の支配を国際的により一層浸透させ、SDGs達成のための大きな貢献を果たす機会となりますというふうに述べられております。また、京都コングレス後のレガシーの構築にも言及をされております。
 改めて、京都コングレスの成果及び今後どのようにその成果を展開していくかについて、上川大臣にお伺いをしたいというふうに思います。

#6
○国務大臣(上川陽子君) 第十四回国連犯罪防止刑事司法会議、京都コングレスでございますが、三月七日から十二日までの六日間、国立京都国際会館におきまして開催をされました。国連の発表によりますと、過去最多となる百五十二の加盟国から、オンライン参加も含めまして約五千六百人の参加登録がなされたところでございます。
 成果の一つ目として、こうした新たな大規模な国際会議の在り方の一例を示すことができたが挙げられます。
 京都コングレスは、来場参加とこのオンライン参加を組み合わせたハイブリッド方式で開催をいたしました。その結果、前回を大幅に上回る九十か国の閣僚級がステートメントを実施したほか、来場した閣僚同士が二国間会談等を通じて意見交換やまた関係構築を行うなど、ハイブリッド方式ならではの成果を上げることもできました。京都コングレスの事務総長を務められる国連薬物犯罪事務所のワーリー事務局長からも、本コングレスは今後の国際会議のモデルケースとなる旨の高い評価をいただいたところでございます。
 二つ目の成果でありますが、京都宣言の採択が挙げられます。
 本コングレスの成果文書として採択されました京都宣言でありますが、法の支配が持続可能な開発や、また誰一人取り残さない社会の実現の礎となるということが確認をされまして、今後、国連及び加盟国が、このSDGsの達成に向けまして、刑事司法分野における国際協力の一層の推進や、またマルチステークホルダーパートナーシップによりましての犯罪防止に取り組むことなど、ポストコロナ時代、とりわけ二〇三〇年に向けた指針が示されたところであります。
 今後は、国連及び加盟国が京都宣言に盛り込まれた内容を着実に実施していくということが重要でありまして、法務省は、国際社会における法の支配の確立を目指す司法外交の取組として、外務省と連携をし、京都宣言の実施にリーダーシップを発揮してまいりたいと考えております。

#7
○磯崎仁彦君 ありがとうございました。
 今回のこの会議は新型コロナということで延期をされた上で実施をされたということで、まさにこの新型コロナの中でならではのハイブリッドの開催ということで、それが今後のモデルになるということとともに、京都宣言も採択された、非常に大きな成果を残したということでございます。是非、今後につなげていっていただきたいなというふうに思っております。
 次に、私は、今国会議員になっておりますけれども、二十七年間、民間の企業におりました。その約半分、十三年余りでございますけれども、法務部門におりました。そして、コンプライアンスというものも担当をさせていただいておりました。
 会社の研修の中で、例えば新入研修であるとか管理職研修であるとか、あるいは航空会社におりましたので、副操縦士から機長になる、その機長研修等々においてコンプライアンス、どういうものなのか、それをやはり徹底していかなければいけないという、そういう研修をしたことを懐かしく思い出しております。そのときに、コンプライアンスについて教えを請いましたのが元検事の郷原信郎氏でございました。今回、政治の面でちらっと名前が出たということで非常に懐かしく拝見したところでございますけれども、その郷原先生からは、例えばコンプライアンスというものはよく法令遵守というふうに訳されるけれども、決して法律あるいは規則、これを守ればいいということではないんだという、そういう話を聞きました。
 どういうことかと申しますと、やはり法令の遵守ということではなくて、社会の要請であるとか国民の皆さんがどういうことを考えているのか、やはりそういうことを酌み取ってそれに応えていくというのがまさにコンプライアンスなんだという、そういう話でございました。例えばJR西日本の福知山線の事故等々を例に挙げて、やはり法令遵守だけでは駄目なんだという、そういうことを研修の中でも話をした、そういうことが非常に懐かしく思われるところでございます。
 そのときから私の中で一貫して持ち続けている課題というものが、やはり社会と法との間のギャップ、これがある。そして、それをどう埋めていくのかということがずっと課題認識でございました。
 実は、私は参議院議員になりまして三年目、初めて法務委員会で質問をさせていただきました。そのときの法務大臣が谷垣禎一元自民党の総裁でございますけれども、それから十年近くたったわけでございますけれども、やはり私のこの課題意識というのはずっと持ち続けているわけでございますので、全くその同じ質問になるわけでございますけれども、上川大臣にもそのときの質問を改めてさせていただければというふうに思っております。
 社会はどんどんどんどん先に進んでいくわけでございます。もうあれから十年近くたったわけでございますけれども、社会がやはり進んでいくスピードというのは、十年前に比べればまさにそのスピード感というのも速まっている、それが今の時代だというふうに思っております。そういう中で、法というものは、どうしてもやはり社会がどんどん先に進んでいく、前に進んでいく、その後追いとして法律が整備されていく、こういう恐らく側面がある、宿命になっているのではないかなというふうに思っております。
 そういった意味で、上川大臣には、この現実社会、そして法とのギャップ、このことについてどのようにお考えなのかということをまずお伺いをさせていただきたいというふうに思っております。

#8
○国務大臣(上川陽子君) ただいま委員から民間の御経験も踏まえて基本的な問題意識に係る御質問を、谷垣元大臣の、同じ全く質問ということで、十年たったということでありますが、大変光栄に存じます。
 御指摘いただいたとおり、社会情勢は日々刻々と変化をしているところでございます。特に、近時は情報通信技術の急速な発展や、またAI等の新たな技術、こうしたことを活用しての社会システムが大きく変化をしてきました。また、国際化も更なる進展があるわけでございますし、また昨年来の新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりまして生活様式が大きく変わる、こうした社会経済生活に対しまして大変大きな影響を与える変化が絶えず起こってきているということでございます。そして、こうした社会の変化によりまして、既存の法律が制定された際には想定されていなかったような新たな課題が生じること、すなわち社会と法のギャップが生じるということにつきましては委員御指摘のとおりであると思っております。
 行政府といたしましては、この社会の変化を鋭敏かつ的確に捉えた上で、法の柔軟な解釈また弾力的な運用や、法改正や新規立法などの対応を速やかに検討してこれを実行に移すということで社会の動きに法を適合させていく、そして社会と法のギャップを埋める努力を絶えずしていくということが重要であるというふうに考えております。
 さらに、課題に応じましては、将来生じ得る事象をも見据えて、それを包摂できるような法律とすること、あるいはPDCAサイクルを回す観点から見直し規定を設置するなど、法律の内容を柔軟に改正していく、こういった視点も重要であるというふうに考えております。

#9
○磯崎仁彦君 ありがとうございました。
 次にそれに対してどういうふうに対応すべきなのかという、その点についても併せてお答えをいただいたというふうに思っております。
 やはり、社会と法のギャップということはあると。それに対しては、法の弾力、柔軟な解釈で運用していく、あるいは、やはり時にはそれを先取りをして立法していく、あるいは将来を見越して見直しの規定を設けておる、いろんなその対策も現在も取られていると思いますし、今後ますますその必要性が高まってくるのではないかなというふうに思っております。
 この問題は、私、行政のみではなくて、私どもまさに立法府に身を置いている者でございますので、やはり行政府にも法案提出権があり、この通常国会においても内閣提出の法案が何本かあるわけでございますし、私ども国会議員もやはり議員立法ということで立法する、その権限を持っているわけでございますので、やはり立法に身を置く私どもも社会の動きに鋭敏になって、まさに郷原先生は、鋭敏性というものを一人一人が磨いていかなければいけないんだという、そういう話もされておりましたけれども、まさにその鋭敏性をもって社会と法のギャップを埋めていく、そういう努力をしていかなければいけないなというふうに思っております。
 社会がどんどん進んでいく、まずその例として、自動車の自動運転、これを是非取り上げてみたいなというふうに思っております。
 十年前には自動運転がこれほどのスピードで進んでいくということは全く予想だにしていなかったところでございます。最近、ホンダが自動運転のレベル3の型式指定を国交省から取得をして、トラフィック・ジャム・パイロットという自動運行装置をレジェンドという車種に搭載をして世界で初めて販売をするという、こういう発表がありました。まさに非常に大きな動き、スピード感を持って世の中は進んでいるということかと思います。
 お配りをしております資料一を御覧いただきたいと思いますが、これは国交省で出された資料で、自動運転の定義、これはレベル1からレベル5、まあゼロというのは現状ということだと思いますが、レベル1からレベル5まであると。そして、政府目標で、どれぐらいの年代にどこまで持っていくかという、こういう目標を持って今国も進んでいるということでございますけれども、この官民ITS構想・ロードマップ二〇二〇、これにおきましては、自動運転のレベルには1から5まであって、レベル1とレベル2、これはそこに書いておりますようにドライバーによる監視ということでございます。ただ、やはりレベル2とレベル3にはこれは大きなギャップがあって、レベル3以上はシステムによる監視ということになっているということでございます。
 やはりここで、私どもあるいは国民の皆様もそうかと思いますけれども、一番の関心事は、自動運転中にもし事故が起こった場合にその責任がどうなるかということではないかなというふうに思っております。これは、国民の皆様とともに、この自動運転の車を開発するメーカー、あるいは地方自治体は道路等を整備する、こういう責任もあるわけでございますので、どういった場合に誰が責任を取るかということは、国民の皆様、メーカー、自治体、こういった全ての関係者に非常に大きく影響してくることではないかなというふうに思っております。
 既に先ほど大臣も、先取りしたような法律をという、そういう話もございましたけれども、やはりこの自動運転というのは、いきなり出てきたということではなくて、当然のことながら想定されておった話でございますので、既にこの自動運転の実用化を前提として法改正が動き出しているというふうに思っておりまして、これは想定される社会と法とのギャップというものを事前に埋める動きということで評価できることではないかなというふうに思っております。道路交通法あるいは道路運送車両法、道路法、こういった法律において改正が行われるというふうに承知をいたしております。
 まず、自動運転に関連する道路交通法の改正について説明をお願いできればというふうに思っております。

#10
○政府参考人(高木勇人君) お答え申し上げます。
 令和元年の道路交通法の改正は、同年の道路運送車両法の改正により規定された自動運行装置を道路交通法にも位置付けて、自動運転技術の実用化に対応した運転者等の義務に関する規定を整備したものでございます。
 具体的には、自動運行装置を使用して自動車を用いる行為も道路交通法上の運転に含まれることを明示した上で、自動運行装置を使用する運転者は、自動運行装置の使用条件を満たさなくなるなどの場合には自動運行装置から運転操作を確実に引き継ぐことができる状態を維持しなければならないこととするなどしたものでございます。

#11
○磯崎仁彦君 ありがとうございました。
 まさに、従来の概念の運転ということになると、まさに人間がハンドルを握って操作をして進めていく、これが運転という概念だったと思いますけれども、今御説明いただきましたように、道路運送車両法ですか、これを踏まえて、自動運行装置、こういったものの定義をして、運転の定義の中に自動運行装置を使用する場合も含むという、こういうことを加えて、まさに今この自動運転が始まってきた、そういうものに対応していこうという、こういう改正だろうというふうに思っております。
 それでは、この改正は、先ほどレベル1からレベル5まで示させていただきましたけれども、これはレベル3を意識したものというふうに考えてよろしいんでしょうか。

#12
○政府参考人(高木勇人君) 御認識のとおりでございまして、令和元年における改正は、自動運行装置が使用条件外となる場合や故障した場合に、運転者に対して運転操作の引継ぎを要請するSAEレベル3の自動運転に関する法制度の整備を行ったものでございます。

#13
○磯崎仁彦君 ありがとうございました。
 まさに、先ほど申し上げましたように、一般の市場にこのレベル3の自動車が投入されていくというこれからの段階でございますので、やはりそのときに法律の整備ができていないということになれば非常に問題かと思いますので、適切なタイミングでの法改正だったんだろうなというふうに思っております。
 そして、最大の課題は、更に言えば事故時、刑事あるいは民事の責任を誰が負うかということではないかなというふうに思っております。
 刑事責任につきましては、法も改正をされて、刑法の中から外出しになって自動車運転過失致死傷の問題ということになっているかと思いますけれども、現段階において法務省においてはどのようなこの刑事上の責任についてお考えをお持ちなのか、お伺いをしたいというふうに思います。

#14
○政府参考人(川原隆司君) お答え申し上げます。
 刑事責任についてのお尋ねでございますが、犯罪の成否は捜査機関により収集された証拠に基づき個別に判断されるべき事柄であり、一概にお答えすることは困難であるということをまず御理解賜りたいと存じます。
 その上で、一般論として申し上げれば、自動運行装置を使用して自動車を運転中に死傷事故が発生した場合、例えば運転者につきましては、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の過失運転致死傷罪の成否が、自動運行装置の製造に関与した者については、刑法の業務上過失致死傷罪の成否が問題となり得るところでございます。
 これらはいずれも過失犯でございまして、過失、すなわち注意義務違反が認められる場合に成立するものでありますが、その判断に当たりましては、個別の事案ごとに、事故発生の具体的状況のほか、当該自動運転装置の性能、状態等の事情が考慮されるものと考えております。

#15
○磯崎仁彦君 ありがとうございました。
 当然のことながら具体的な事案に応じて責任というのは決定されていくんだろうというふうに思いますけれども、恐らくやはりレベル1、2の段階、あるいは3、あるいは4以上で、その基本的な考え方というのは恐らく変わってくるんだろうなというふうに思っております。
 それでは、自動運転がこれからどんどん進んでいく、まず3、そして4、5という、将来的になっていくわけでございますけれども、この自動運転がどんどん進んでいくという現実社会の中で、法務省としてこの問題に対して、例えば、先ほど、人については自動車運転過失致死傷の問題、メーカーについては刑法上の業務上過失致死傷、こういう法律の適用が想定されるという話がありましたけれども、じゃ、そうなると、自動運転がこれから進んでいく中で、そもそもその法自体の改正ということは必要ないのかどうなのか。その法改正を含めて、法務省として現段階で何か検討されていることがあれば教えていただきたいというふうに思います。

#16
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 自動車運転技術の発展に伴って生じ得る民事責任に関する法的な論点につきまして、民法の研究者や法律実務家等の有識者及び関連する民事特別法を所管する関係省庁が参加する検討会において検討が進められております。法務省も民事基本法制を所管する立場でこれに参加しているところでございます。
 引き続き、自動運転技術の発展及びその活用状況等を注視しながら、関係省庁とも連携いたしまして、民事責任ルールの在り方について必要な検討に協力していきたいというふうに考えているところでございます。

#17
○磯崎仁彦君 ありがとうございました。
 まさに、民事あるいは刑事の基本的なところというのはまさに法務省の管轄かというふうに思っております。本件につきましては、例えば自賠責、これをどうしていくのかという問題であるとか、任意保険、これがどういう適用になるのかということも含めて非常に幅広い問題かと思いますので、まさに法務省中心になって幅広く、しかもスピーディーに検討を行っていく必要があると思いますので、しっかりと対応をお願いできればというふうに思っております。
 続きまして、国際情勢も非常に大きく変化をしております。最近、経済安全保障という、こういう言葉をいろんなところで耳にするようになってまいりました。現在では、まさに経済と安全保障とが密接に結び付いて、機微情報を共有できる国のみで経済安全保障のコミュニティー、これが形成をされ、そしてそのコミュニティーに入らなければサプライチェーンから排除をされてしまう、こういうことも今後出てくることが懸念をされるということでございます。
 上川大臣、所信表明の中で、先端技術の流出等、いわゆる経済安全保障に関連する情報も把握に努めということで、まさにこの経済安全保障という言葉、大臣の所信表明の中でも出てまいったところでございます。
 また、令和三年度の法務省の所管等の予算説明におきましても、経済安全保障体制の充実強化に対応する予算の計上、そして人員の増、こういったことが図られているわけでございますけれども、この経済安全保障、非常に現代的な問題かと思いますが、これに対して法務省としてどう取り組んでいくのか、お考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。

#18
○政府参考人(横尾洋一君) お答えいたします。
 公安調査庁におきましては、従前から、カウンターインテリジェンス及び大量破壊兵器等の拡散につながり得る技術の流出といった観点と並び、いわゆる経済安全保障につきましても関心を有し、関連する情報の収集、分析等を行うとともに、政府中枢を始めとする関係機関等への情報提供を実施しておるところでございます。
 公安調査庁では、近年の政府の関心の高まりや自民党の新国際秩序創造戦略本部の提言も踏まえ、いわゆる経済安全保障に係る広域かつ広範な課題に横断的に対応していくため、情報網の拡充、先端技術等に知見を有する専門職員の育成も含め、情報収集・分析能力を一層強化させてまいる所存でございます。

#19
○磯崎仁彦君 非常に重要な課題でございますので、しっかり取り組んでいただきたいというふうに思っております。
 続きまして、ちょっとこの問題につきましては賛否両論あって、いろんな御意見をいただくことを覚悟の上で、質問というか意見というか、させていただければというふうに思っております。
 東日本大震災、東京電力福島第一原発の事故から去る三月十一日で丸十年が経過をいたしました。この原発事故によりまして、原発に対する国民の皆様の考え方、これは少なからず変化が出てきた、少なからずというか大きく変化が出てきたのではないかなというふうに思っております。まさに、原発の再稼働につきましては国論を二分する、そういう状況になっているというふうに思っております。
 そして、東京電力の福島第一原発、この事故後、原発の稼働をめぐる訴訟、これは著しく増加をしているというふうに思っております。ある意味、国民の皆様の命あるいはその健康に関わる問題ですので、当然といえば当然というふうに言えるかもしれません。
 これからの質問は、原発の再稼働の賛否を問うというものではありません。また、原発訴訟の判決内容に私自身が異議を唱える、こういったことでもないということをまず申し上げておきたいなというふうに思っております。
 ただ、私も冒頭申し上げましたように、企業で法務部門を担当していた、そういう経験もございますので、どちらかというと企業防衛の観点が非常に強くなっている、そういうところもあろうかと思いますので、是非御理解をしていただきたいなというふうに思っております。
 私は香川県の出身でございます。四国には、愛媛県に四国電力の伊方原発がございます。東京電力第一原子力発電所の事故以来、伊方原発三号機、二度にわたり運転が停止をいたしました。一回目は平成二十九年十二月の十三日、差止めを認める仮処分が出されて、それから平成三十年九月二十五日の仮処分の命令を取り消す決定が出されるまで停止をしたということでございます。二回目は、令和二年、昨年でございますが、一月の十七日に差止め仮処分決定が出されてから現在に至るまで停止したままでございます。
 原発訴訟におきましては、運転禁止の仮処分、これを求めることが少なくないわけでございます。まずは、この仮処分の制度について御説明をいただきたいというふうに思います。

#20
○政府参考人(小出邦夫君) 一般的な仮処分制度について御説明させていただきます。
 訴訟は、訴えの提起から判決の確定までの間に相応の時間を要することになりますが、その間に権利者の権利が害されるおそれがある場合がございます。そこで、このような場合に、権利者の権利を保護するために、権利を主張する者に暫定的な権能や地位を認めるのが仮処分の制度を含みます民事保全、いわゆる民事保全の制度でございます。
 委員御指摘の原子力発電所に関する訴訟におきましては、民事保全の制度のうち、原子力発電所の運転を仮に差し止めるとの裁判を求める仮の地位を定める仮処分命令の制度が用いられることがあるものと承知しております。
 この仮の地位を定める仮処分命令は、権利者に生ずる著しい損害又は急迫の危険を避けるために必要があると認められるときに暫定的な法的地位を認めるものであると理解しております。

#21
○磯崎仁彦君 ありがとうございました。
 仮処分はまさに仮の救済であって、後日訴訟で被保全権利が存在しないということが明らかになることもあり得ますので、通常は、債権者は債務者の損害を補填をするために一定の担保を立てることが求められるということかと思います。
 この原発訴訟においては、仮処分を認める際、担保の提供が求められているかどうか、もしお分かりであればお答えをいただきたいというふうに思います。

#22
○政府参考人(小出邦夫君) 個別の事案についてのコメントというのは必ずしも事案を承知しているわけではございませんので控えさせていただきますけれども、裁判所が仮処分命令を発令する際に担保を立てさせるか否かにつきましては裁判所の裁量に委ねられておりまして、裁判所は、仮処分命令を発令する際に担保を立てさせることも、担保を立てさせないで仮処分命令を出すこともできるというふうに制度上はされております。

#23
○磯崎仁彦君 ありがとうございます。
 まさに裁判所の裁量で担保を立てる立てない、これが決められるということでございます。
 私は、その是非そのものについてどうのこうのということではありません。ただ、事案により、先ほど、個別の事案ですので、この原発の事案についてどうかということについては言及はされなかったわけでございますが、いろいろ聞く中においては、事案によって異なるとは思われますが、原発訴訟においては主張の内容及び事案の性格に鑑み担保を付さないこととするというふうにされることが多いというふうに聞いております。
 仮処分が認められて原発の稼働が停止となった場合、電力会社は、代替の発電の燃料、このコストが大きくのしかかるわけでございます。先ほどの伊方原発、まさに今止まっているわけでございますが、これが令和二年一月十七日の差止めから今日までということになると、一か月約二十五億円、十二か月で三百億円の追加のコストが掛かるということでございます。
 そうなると、このコストというのは誰が負担するものなのかということが問題になるわけでございます。後日、最終的に本案の中で停止となってしまうということもある、あるいはそこまで行かなくて仮処分が取り消される、あるいはその本案で逆転になってくる、こういういろんなケースがあるわけでございますけれども、更に言えば、電力会社はいろんな訴訟が提起をされるわけでございますけれども、全てに勝訴をしなければ止まってしまうという、こういう状況になるわけでございます。
 現実、伊方原発の場合、仮処分の申立ては広島地裁で二度、松山地裁、大分地裁で各一度、四度仮処分の申立てがなされているということでございます。また、現在進行中の裁判としては、松山地裁に本案が、広島地裁に本案と仮処分が、大分地裁に本案が、山口地裁に本案と仮処分、これが係争しているという状況でございます。まさに訴訟が乱立をしているといった状況ではないかなというふうに思っております。
 私は、民事の固有の機能として、情報あるいはその経済力で優越する大企業である原子力発電所に対して弱い立場にある個人を守る、こういう役割が民事のそもそもの機能としてあるということについては決して否定をするものではありません。ただ、先ほど申し上げましたように、一度止まった場合には、例えば一か月で何十億円、一年間で何百億円という、こういうコストが発生をするわけでございます。こういうことを考えた場合に、余りにもバランスを失しているのではないか、これはまさに司法の判断でございますのでそこの内容については申し上げませんけれども、そういう感覚を私としては持つということでございます。
 原発をめぐる民事訴訟や仮処分申立て、これについては、より専門科学的な次元で審理、判断される行政訴訟に一本化すべきと言う専門家もいらっしゃるわけでございます。ここでは、非常に難しい問題でございますので、問題提起ということにとどめさせていただきたいと思いますけれども、何らかの検討が必要なのではないかという感覚を持っているということをお話をさせていただきたいと思います。
 最後に、時間が限られておりますので、法務・検察行政刷新会議の報告書について質問をさせていただきたいと思います。
 昨年十二月、法務・検察行政刷新会議の報告書が取りまとめられ、鎌田座長から上川大臣に提出をされました。本会議は、数々の事案により損なわれた法務・検察に対する国内外の信頼を回復するとともに、被告人の海外逃亡を契機として我が国の刑事司法行政の問題点と課題、これを洗い出した上で、幅広い観点から新たな法務行政の在り方を検討されたいという、こちらにいらっしゃいますが、前法務大臣の森まさこ先生の委嘱を受けたものというふうに認識しております。検察官の倫理、未来志向での法務行政の透明化、そして我が国の刑事行政について国際的な理解が得られるようにするための方策、この三つの柱が掲げられたわけでございます。
 そして、資料に御用意させていただいておりますとおり、最後の部分で、結び、法務・検察に望むこととして三点が挙げられているわけでございます。上川大臣は、この報告書を受けられて、この三点について今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いをしたいというふうに思います。

#24
○国務大臣(上川陽子君) 昨年の末に取りまとめられました法務・検察行政刷新会議の報告書におきまして、先ほど委員から御指摘いただいたように、法務・検察に望むこととして三つの柱の御意見をいただきました。
 私は、職員自らが風通しよく主体的に議論をしていくことが組織運営の改革、そして改善、これを進める上で近道ではないかというふうに考え、本年一月に法務省ガバナンスPTを設置をいたしました。この刷新会議の報告書で示された内容につきましても、基本的にはこのPTで具体的な改善方策等を検討し、速やかに実行可能なものから順次実行に移しているところでございます。これまでに、PTでの検討結果を踏まえまして、法務省における行政文書の作成やまた決裁に関するルールの見直しなど行ったところでございます。
 引き続き、このガバナンスPTにおきましての検討を進め、法務行政、そして検察行政が一層国民から信頼される組織となるよう、しっかりと法務省の組織運営の改革、改善を努めてまいりたいと思います。

#25
○磯崎仁彦君 ありがとうございました。しっかりPTを動かしていただいて、国民の皆様の信頼を得るために、法務・検察行政、しっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。
 個別の課題について質問しようと思っておりましたが、時間が来てしまいましたので、これで質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。

#26
○真山勇一君 立憲民主・社民会派の真山勇一です。上川大臣、どうぞよろしくお願いをします。
 まず、先日、今月の六日のことなんですが、起きた出来事からちょっとお尋ねしたいというふうに思います。
 お配りしている新聞記事を見ていただきたいと思います。
 名古屋出入国在留管理局で収容されていたスリランカ人の女性の方、三十代の方ですけれども、亡くなられたということなんですね。収容施設で収容されている方が亡くなられる、亡くなるということはこれまでもまあ大分、相次いで起きているということで、まさに今回予定されている入管法の改正なんかもいわゆる長期収容の問題点を改善しようということだというふうに思うんですけれども、比較的相次いで起きているということなのでちょっと取り上げました。
 この女性は、不法滞在なんですけれども、去年の八月の二十日から管理局の施設に収容されていて、支援団体などからはその仮放免の申請などもやっていたというふうにこの記事では書かれています。入ったときは多分そんなに調子は悪くなかったというふうに思うんですけれども、今年に入ってから体の不調なんかを訴えて、大分健康状態が悪化して、入院や点滴などの処置をしてほしいというようなことを管理局の方に申し入れていたが聞き入れられなかったということがここに書かれております。
 まず、この事件で、大臣も調査なさるということをおっしゃっていますけど、調査、適正に行われているのかどうかということと、報告、いつまでに報告をしていただけるのかということについてお答えください。

#27
○政府参考人(松本裕君) お答えいたします。
 亡くなられた女性につきましての死因は、現時点では未定でございます。それを前提に申し上げますと、死因や死亡に至る経緯の詳細等について現在調査中でありますところ、亡くなられた方は以前から体調不良を訴えており、本年一月末以降、複数回にわたり庁内診療室における嘱託医師による診察及び外部の病院における診療が実施されていたところでございます。
 このように医療的対応を行っていた状況におきまして死亡に至ったことや現時点におきまして死因が明らかでないことなどから、本年三月九日、法務大臣から、死亡に至る経緯や対応状況などの正確な事実関係を速やかに調査するよう指示を受けたところでございます。
 これを受けまして、出入国在留管理庁本庁におきまして、出入国管理部長を責任者といたしました本庁職員による調査チーム、これは検察官の職員も含んでおりますが、この調査チームを立ち上げたところでございます。現在、本庁におきましては本件事案発生後直ちに資料収集、事実確認等を実施していたところでございますが、現在は、この調査チームにおきまして医療記録を含む関係記録等の収集及び精査、分析を行うとともに、その調査チームのメンバーを現地に派遣して関係職員等からの聞き取りを行うなどしているところでございます。
 大臣からは速やかに調査をするようにとの指示を受けているところでございまして、そういうところで調査をしているところでございますが、現時点におきましてはまだ調査をしているところでございますので、取りまとめの時期等については現時点ではお答えをするところは困難という状況でございます。
 以上でございます。

#28
○真山勇一君 状況は分かりましたけど、大臣、大臣が速やかに報告してほしいとおっしゃっているので、やっぱりその速やかにというのはいつのことを速やかにということで言ったのかと。
 それから、もう一つは、今調査チームのお話ありましたけれども、入管の方たちでその調査チームつくっている、言わば身内ですよね。こういうものって、やっぱりどこに問題あったかって、もういろんなことでこういうものの調査というのはありますけど、身内がやったんじゃ、お互いに身内が身内を調査したって本当のこと出てくるのかどうか。いつもこういう事案が出たときに、結局調査結果は問題なかったみたいなことになりますけれども。
 これ是非大臣にお伺いしたいんですけれども、ですから、問題なかったで済まされないと思うので、その身内だけの調査って、これを何か改善することは考えていらっしゃらないかということと、それから、やっぱり速やかにですから、やはりスピード感、もうこの話よく出ますけれども、スピード感持つことが大事なので、その辺、大臣御自身でちょっとお答えください。

#29
○国務大臣(上川陽子君) 今般亡くなられた方に対しましては、心からお悔やみを申し上げます。
 この入管施設、入管収容施設におきましての死亡事案の内容とか経緯につきましては様々なものであるというふうに承知をしておりますが、今回のケースにつきましては、私から、死亡に至る経緯や対応状況などの正確な事実関係、これを速やかに調査するということで指示をしたところでございます。
 今回の調査につきましては、この十分な公平性また客観性を確保する必要がある一方で、関係者のプライバシー等にも十分に配慮するということが必要であるということを認識しておりまして、処遇状況、実務の実情とか、あるいは一般に公表されていない内容が多く含まれる収容施設の関係記録をしっかりと踏まえながら調査を進めていくという特殊な事情もございます。
 このような事情をも踏まえた上で、出入国在留管理庁の本庁から専門チーム、調査チームを立ち上げて、そして現場に送って、そして客観的なレベルで情報収集するという形を取らせていただいてきました。
 今後の調査の進展を踏まえまして、必要に応じまして外部の医師等に調査結果をお示しして御意見をいただくなど、第三者の方の関与をいただくよう検討してまいりたいというふうに考えております。
 時期については、速やかにということでございまして、中間的なちょっと報告を受けながら、いつの時点までにということも、できるだけ早くやってしっかりと対応していかなければいけない案件でありますので、その意味でも、スピード感と、そして内容がしっかり公正性なものとして、皆様からも分かりやすい公表の仕方も含めまして、対応してまいりたいというふうに考えております。

#30
○真山勇一君 なかなかいつまでにというのは出てこないんですけど、過去の例で見ると、やはりかなり調査に長期間掛かっているということが言われています。
 やはり、大臣、こういうことはまず客観的に、私はやっぱり外部の人間を、やはり入管庁の施設という限られた中で、非常に限られた範囲で行われている問題なので、そこで亡くなったということなので、やっぱり外部の人がそれをしっかりと調査するということが必要じゃないかというふうに思います。
 それから、やはりこれまでの調査結果、ちょっと入管庁からいただいた死亡事案について見ますと、二〇〇七年から二〇一九年までの十二年間に十五件、こういう収容施設の中で死亡事案が起きているわけですけれども、病死、大体、ほとんどは病死と、それから、気になるのは、自殺というのは五件あって多いんですよね。
 これ、こんなに相次いで起きているというこのことについて、何か、大臣、やはり入管の一つのやり方に何か問題があるのかどうか、その辺りではどんなふうに考えておられますか。

#31
○政府参考人(松本裕君) まず私からお答え申し上げます。
 先生御指摘の入管の収容施設におきます死亡事案につきましては、収容施設におきますこういう事態が起こりました場合には本庁に報告がなされることになっております。
 その上で、例えば、御指摘の自殺のような事案につきましても、その自殺に至った要因あるいは自殺の方法、手段について、本庁で把握するところは把握し、必要な改善を行っているところでございます。中には拒食等によって死亡に至った事案もございます。そのようなものにつきましては、別途御指摘のような形での調査報告書を策定して、再発防止に努めているところでございます。
 以上でございます。

#32
○真山勇一君 なかなか調査結果がその再発防止に結び付いていないんじゃないかな。こうやって毎年毎年こうした施設内での死亡事案が出るということは、やはりちょっとその調査のやり方、一回、大臣、変えることも是非考えていただきたいというふうに思います。
 今回、長期収容の問題で、入管法の改正案、それから私どもの立憲民主党の方では入管難民法案というのを出しております。是非、速やかにっておっしゃっているんですから、この法案に、こういう法案に生かしていかなくちゃいけないんですから、やっぱり今回のことも是非調査結果を急いでいただいて、こうした法案の審議に間に合うように是非調査の報告をしていただきたいと思うんですが、しつこいようですけど、どうです。

#33
○国務大臣(上川陽子君) 今、本庁からの調査チーム行っておりまして、第一次中間報告を受ける予定でありますので、スピード感を持ってやっていくことについては格段の指示をしてまいりたいと思います。
 ちょっと時期を言いますと、それで雑駁な形になってしまってもよろしくないと思いますので、本当にスピーディーに速やかにしてまいりたいということをこの場で改めて明確に申し上げたいというふうに思います。

#34
○真山勇一君 よろしくお願いします。
 大臣は所信表明の冒頭のところで、法の支配の貫徹された社会、それから、多様性と包摂性のある誰一人取り残さない社会の実現を目指すということを表明されています。そして、続いて現在の多くの取り組むべき課題をたくさん取り上げて、法務行政への大変強い意欲を示されたと私は受け止めております。法を守る責任者として本当に心強い決意というふうに思っています。
 そこで、お伺いしたいんですが、今回の京都コングレスですね、国際会議、これのことにちょっと触れたいと思います。
 先ほど磯崎委員の方で成果とかそれをどう生かすかということを伺いましたので、それ以外で、ちょっと質問、ここの質問に入っていないんですが、後の保護司のところで伺おうかなというふうに思っていたことなんですけれども、今回の会議、やっぱりコロナの影響で一年延期されたということで、でも、一年後にでも、これオンラインと、それから実際に現地でということで、ハイブリッド方式で開催できたということは本当によかったというふうに思うんですね。
 保護司の方々も、この保護司の仕組み、制度というのを世界に紹介するすごくいい機会だと、大変いい機会だということで張り切って参加されたんじゃないかと思うんですが、この日本独特の保護司制度、つまり、再犯を防ぐため、そして更生を手助けするためということで、民間のこの保護司制度というのは日本独特の制度ですけれども、海外でもアジア中心に少し広まっているというふうに伺っていますが、今回の会議で、この保護司、これについて、世界の認識というか、国民性とか文化、社会の違いもありますけれども、これの受け止め方、評価、どんなふうに大臣はお感じになりましたでしょうか。

#35
○国務大臣(上川陽子君) 真山先生、委員におかれましても、保護司を担っていただいて本当に日頃からありがとうございます。
 これまで、実は二回にわたりましてアジア保護司会議を開催をしてまいりました。アジアでありましたけれども、この度は世界全体ということに拡大をすることができましたので、初めての世界保護司会議というふうになったところでございます。
 この我が国の、誇れるということで、保護司の制度をより多くの方々に知っていただくということにつきましては、オンライン参加五千六百名ということで申し上げたところでございますが、非常に幅広く聞いていただきましたり、当日はリアルで参加していただいた皆様からも活発に議論をしていただくことができました。
 そして、地域ボランティアという方々が、再犯防止にしっかりと参画をされて、そして地域の中でもサポートしながら、再犯防止を含めて社会の一員としてしっかりと自立するようにという息の長い取組をサポートすると、こうしたことに大変大きな力を発揮している制度でありますが、この有用性につきましても多くの国々に理解をしていただく大変重要な機会になったのではないかというふうに思っております。
 本会議におきましては、保護司制度や類似の地域ボランティア制度を持つ国々の御賛同をいただきまして、保護司を始めとする地域ボランティアの国際的な認知の向上や、また各国にこれら制度を普及をさせていくこと、また国連の国際デーとしての世界保護司デーを創設することなどを盛り込みました京都保護司宣言という宣言を採択をされたところでございます。
 一世紀以上の歴史を持つ我が国の保護司制度でございます。SDGsに掲げられましたマルチステークホルダーパートナーシップを体現するものでありまして、本会議の成果も含めまして、誰一人取り残さない社会を実現するために、京都コングレスの後においても、このHOGOSHIという、ローマ字で書くこの輪を世界に広げていくために積極的に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

#36
○真山勇一君 ありがとうございました。
 保護司についてはまた後ほど質問させていただきたいというふうに思うんですが、大臣は所信の中でも、司法外交とか、あるいは国際条約を遵守した国際協力ということを大変重視されております。私が次に取り上げたいのは、家族をめぐる在り方をちょっと取り上げたいというふうに思うんですね。
 今、社会が非常に多様化しております。私たちの暮らし、それから家族をめぐる環境とか、夫婦、あるいは親子関係、多様化しております。こうしたことがいろいろ、国際的にもいろいろな影響を与えているという点を大臣に伺いたいというふうに思います。
 まず、選択的夫婦別姓についてなんですけれども、日本の場合は結婚すると、九割強ぐらいと言われていますけれども、夫の姓を選ぶということになります、民法上。婚姻中に同姓しか選択できないというこの我が国の制度、大変少数派に、国際的に少数派になりつつあるんではないかというふうに見られます。国連からも、女性差別撤廃条約、これに反するということで何度も、実際には三度、少なくとも三度は勧告を、何とかしろという勧告を受けております。
 男女の完全な平等、女性に対するあらゆる差別を撤廃するというこの基本理念の女性差別撤廃条約、これ勧告受けているんですけれども、この選択的夫婦別姓についてのこの国連の勧告、上川大臣はどう受け止めていらっしゃいますか。

#37
○国務大臣(上川陽子君) 委員御指摘のとおり、この女子差別撤廃委員会から複数回にわたりまして勧告を受けているということについてはもちろん承知をしているところでございます。
 これらの勧告の位置というか意味でございますが、日本におきましては、現在、婚姻後に夫婦のいずれかの氏を選択しなければならないという意味で夫婦同氏制度を採用しているということでございまして、このことにつきましては、文化的背景の相違等を踏まえますと、ある意味その氏の問題については国によって違いがございますので、こうした御指摘については、いろんな角度からこれを参考にしていくべき事柄というふうに考えております。ただ、これが、民法改正しなければこの条約に違反をするというようなものでは必ずしもないということにつきましても、そのように思っているところでございます。
 選択的夫婦別氏制度の導入を含む夫婦の氏に関する問題でございまして、我が国の家族の在り方に関わる事柄でございます。検討に当たりましても国民の意識の動向等を踏まえる必要があるわけでございますが、いまだ国民の意見も様々でございますので、そうした状況を踏まえて検討をしていくべきことというふうに考えております。
 法務省といたしましても、昨年の末に第五次男女共同参画基本計画がございますので、それに基づきまして、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方に関しましては、国民各層の意見、国会における議論の動向、司法の判断、こうしたことを注視しながら検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

#38
○真山勇一君 大臣おっしゃるように、別に国際条約なので守らなくても法律違反にならない、日本は日本の法に基づいていればいいとは私も思いますけれども、やっぱり男女の問題、これは人の、人の問題、個人の問題ですよね。それで、その人間の権利の問題ということが、その大きな流れの中でやっぱりちょっと違ってきているということは是非大臣に認めていただきたいというように思うんですね。
 お配りした二枚目の表を見ていただきたいんですけれども、これ、法務省が、ですから、あっ、ごめんなさい、これじゃなかったな、あっ、ごめんなさい、まだこれは使いません。
 世界でも、今、世論調査でも、特に、何というんですかね、この夫婦別姓を希望しているという二十代、三十代の若い女性は、非常にその選択的夫婦別姓、是非実現してほしいという声が強いんですけれども、先日、予算委員会で、私の質問に菅総理が、世論は拮抗していると答えたんですよね。私、もう拮抗している状態じゃないと思うんですよ。大臣は、その辺、拮抗しているとお思いですか。私は思わない。やっぱり全体を見たって、過半数以上がやっぱり選択的夫婦別姓を取るべきだという意見だし、特に若い、その自分が関わり合うところの年代の女性は、八〇%以上が是非そうなってほしいという意見があるんですが、やっぱり拮抗しているというふうなもし捉え方をすると、ちょっと私違うんじゃないかと思うんですが、その辺は大臣はどんなふうにお感じになっておられますか。

#39
○国務大臣(上川陽子君) この世論調査でございますが、今委員がお示しされた平成二十九年が直近の最新の調査結果でございます。その前から五年ごとに、約五年ごとに一回の割合で大きなトレンド、動向を把握をしてきたところであります。
 平成八年の、ちょっと比較をしてみましても、選択的夫婦別氏の、改めても構わないという方が三割強だったところ、そして反対という方が四割ぐらいだったところが、今、選択的夫婦別氏の賛成が四割、そして三割が反対と、こういうような形で、同じ設問をセットしたところで、少しずつその氏を認めるようにという形での選択的夫婦別氏への賛成が増えているということは確かでございます。比率からいうと、今申し上げたように、四二・五が賛成、そして約三割が反対と、こういう状況でございます。
 また、年齢階層別に見てみますと、やはり若い世代の皆さんにおかれましては、この賛成の比率はそうでない世代と比べますと高いということについても、このとおりであるというふうに認識をしております。
 総理が拮抗しているというところについての表現をお使いになったことについては、こういう数字の部分を含めて、まだどちらが圧倒的にマジョリティーであるというような認識でないという意味でお使いになったのではないかなというふうに思っておりますが、意見はまだ分かれているという状況については事実であるというふうに存じます。
 意識は長い時間を掛けて変化をしていくものでありますので、この定点観測というか、トレンドを見ていくということについては、ここは非常に大事な一つの指標になろうかというふうに思っておりますので、こういった点についても、いろんな民間の調査結果もございますので、設問は違うしスペックも違うんですが、こういったこともよく把握させていただきながら検討を深めてまいりたいというふうに考えております。

#40
○真山勇一君 先ほどの磯崎委員の指摘もありましたけれども、やっぱりトレンドというか流れを見ていくことというのは是非やっていただきたい。そして、法律が、どんどん時代が先行っちゃって、やっぱり法律が取り残されているということがあるんじゃないかと思うんです。今まさにそういう、時代、とにかく速いです、流れが。ですから、やはりどんどんどんどん法律、まあ古い法律、特に民法なんというのは明治時代作ったものがまだまだ残っている部分がある、そうしたところはもう恐らく今の時代から見たら大変古いものである、何とか今の時代に合わせるものにしていかなければならないということはあると思いますので、是非大臣の、今のそのトレンド、流れを見詰めながら、見守りながら、それを是非やって、改革を急ぐということも一つ是非努力していただきたいというふうに思っております。
 それから、もう一つ、その家族の関係でいうと、今比較的論議になっておりますのが親子の関係ということですね。やっぱり家族の複雑化、多様化の中で家族の形というのもどんどんどんどん本当に変わってきています。夫婦の形も変わってくるし親子関係も変わってくる。
 今、離婚も、三組に一組が離婚をするという時代になっていて、もちろん子供がいる夫婦もいるわけです。その親の離婚後に、別居した親、片方の親との交流が今大きく制限されているのが我が国の現状だというふうに言われております。面会交流がなかなか思うようにできないという声がありますけれども、子どもの権利条約、これもまた国際条約になりますが、子どもの権利条約でも、これに著しく反しているのではないか、やっぱり国連からの勧告を受けています。これについては、上川大臣はどう受け止めていらっしゃいますか。

#41
○国務大臣(上川陽子君) この児童の権利条約でありますが、父母の離婚後の子の養育の在り方につきまして具体的な基準を必ずしも示しているわけではございませんので、どの程度の頻度で面会交流を行うとか、そういったことが子供の利益にかなうのかということについては個別具体的な事案ごとに異なるものと考えられるわけでございますが、我が国の現状が児童の権利条約に違反しているというような御指摘があるということについては承知をしているところでございます。
 国連の児童の権利委員会からは、平成の三十一年の二月に、父母による児童の共同養育を実現するため、離婚後の親子関係について定めた法令を改正すること、また、子供と離れて暮らしている親と子の、子供との定期的な人的関係及び直接の接触を維持することを確保すべきであるとの勧告がなされたところでございます。
 我が国の親子法制につきましては、制度面及び運用面のいずれにつきましても、子供の利益の観点から必ずしも十分なものとなっていないとの指摘もされているところでございまして、この勧告もこのような指摘を踏まえて行われたものというふうに理解をしております。私自身、真摯に受け止めさせていただいております。

#42
○真山勇一君 そこで、先ほど失礼しました、見ていただきたいと言った二枚目の表を見ていただきたいんですが、離婚後の親権制度の比較という表です。これは、法務省がこういうことに関して調査を行ったその調査結果をいただいて、私の方で少し加工、加工というか見やすいようにしたものがこの表でございます。
 見ていただけるとお分かりのように、左側の赤い方、単独親権しか選択肢がないという国は日本、インド、トルコ、そして青色の方、共同親権も認められているという国はほとんどこちらの、これ、調査した二十四か国を分類したというものなんですけれども、これだけ違いがあるわけですね。これだけやっぱり、単独親権しか選択肢がないということなんですけれども、ハーグ条約で大臣のところにEUから手紙が来た、抗議の手紙というか、それとも改善してくれという手紙なのか、そういう手紙が来ました。それで、それに対して大臣も返信をされています。
 やはりEUからこうした手紙を受けたということ、直接やっぱりこういうことを言われたということについて、大臣はやはりどんなふうにそれを思われたか、聞かせてください。

#43
○国務大臣(上川陽子君) 昨年の七月に、欧州議会におきまして、日本における子の連れ去りに関する決議という形で、父母の離婚後の親権制度、また子供の連れ去りの事案、また面会交流に関する決議が採択されたことにつきましては承知をしております。また、そのことについて、私自身、注意深くその御意見の内容についても受け止めさせていただいているところでございます。
 我が国における父母の離婚に伴う法制度につきましては、こうした欧州議会決議で示されているものも含めまして、国内のみならず、また海外にも様々な御意見があるということでございます。
 例えば、その中で、我が国におきまして父母の一方が無断で子を連れて別居をした場合に子を取り返すための法的手続がないなどといったこうした御指摘もございますが、一部には制度そのものの御理解というものについて十分でないなと思う点もございまして、今回のこうしたことを受けて、大臣所信におきましても、我が国の制度について、保護司もそうでありますが、できるだけ正確な情報を積極的に海外、内外に向けまして広報していく必要があるのではないかということを改めて強く認識したところでございます。
 御指摘の問題に関する意見に対しましても、この我が国の法制度について正確な理解を得られるように引き続き丁寧に説明を行うということで、誤解などがあってはいけないというふうに思っておりますので、こういったことにつきましては、外務省としっかりと協力しながら積極的な周知等も努めてまいりたいというふうに思っております。
 また、法制度面での検討についてでありますが、今後法制審議会での議論に委ねられるということでございまして、国内外にある様々なお声も参考にしていただきながら、充実した調査審議が進められるように期待をしております。

#44
○真山勇一君 大臣は、子供の目線に立ってということで、チルドレンファーストということをおっしゃっております。
 単独親権というのは子供から一方の親を引き離してしまうという現状を生んでいる、それが結果、大変残念ながら夫婦の分断ということも起きてしまってきているわけですね。やはり子供にとって、子供から見れば最善の福祉とか幸せというのはどういうものかということをやっぱり考えるべきだと思うんですね。このやっぱり親権の問題というのは、何か子供の視点がなくて、夫婦の問題というふうにしか捉えられていない。
 私は、やっぱりチルドレンファーストというのは大事なことだというふうに思うんです。特に私は、離婚をしたってうまくやっている夫婦もある、あるいは不幸にしてもう絶対にそのよりは戻らない夫婦もいるかもしれない、まあいろいろですけれども、やっぱり子供にとってどうなのかということを考えることが大事だと思うんですが、大臣が考えておられるチルドレンファーストというのはどういうものなんでしょうか。

#45
○国務大臣(上川陽子君) 子供の利益、子供の利益を確保するという観点、子供の利益を最優先にしていくという観点で、チルドレンファースト、そして、その健やかな成長をしっかりと離婚後であったとしても親がサポートしていくというかしっかりと関わっていくということが大事ではないかというふうに思っております。
 あくまで子供が当事者ということでございまして、そして、その子供の目線、子供の意見、心の叫び、こういったことについての目線を大事にしながらその子の健やかな育ちをしっかりと支えていくということが極めて大事であるというふうな認識をしております。
 離婚及びこれに関連する制度の見直しにつきましては、本年二月の十日に、先ほど申し上げたとおりでありますが、法制審議会に対しまして諮問をさせていただきました。
 法制審議会におきましては、父母の離婚に伴いまして子供がどのように生活して、また成長をしていくことが子にとっての最善の利益になるのかという観点から様々な議論がなされていくものというふうに承知をしておりまして、繰り返しでございますが、この子供の視点というものに立った幅広い充実した調査審議が行われることを期待をいたしております。

#46
○真山勇一君 子供がいる夫婦が海外、まあアメリカ、例えばアメリカで離婚をしますね。向こうで離婚の手続、裁判所でやってくるわけですね。で、帰国します。そうすると、それぞれの戸籍が、子供の親権という欄があるんですけれども、普通日本だったら父か母か、単独親権ですから、そういうふうにしか書いていないわけですね。
 ですけれども、この海外で離婚して帰国した方の戸籍、私見せていただいて、以前もここで御紹介したんですけれども、それを見ると、親権父母、父母と書いてあるんですね。これ、父母ということはつまり共同親権だよと言っていることだと思うんですね。
 だから、日本の戸籍に共同親権がある、日本は法律で単独親権しか認められていないけれども、戸籍に父母という共同親権と記された人がいるということ、これ、大臣、御存じだと思うんですけれども、これ、単独親権しか認められていないのに共同親権がこうやって存在しているということ、これについてどう思われますか。

#47
○政府参考人(小出邦夫君) 委員御指摘のとおり、外国の裁判所の確定した裁判によりまして父母の離婚後の親権が共同親権とされている場合で、かつその裁判が民事訴訟法第百十八条各号に掲げる要件の全てを具備するときには、その外国の裁判の効力、これは我が国においても承認されるということでございまして、離婚後単独親権を定めている我が国においても、このような場合には共同親権の状態が存在することについて、これは委員御指摘のとおりだというふうに考えております。

#48
○真山勇一君 存在しているということは、多分そのように対応していくのかなというふうに思っているんですけれども。
 単独親権ということで、先ほどの表で見ていただければお分かりのように、日本は単独親権しか選択肢ないんですが、海外では共同親権も認められているということなんですよね。つまり、共同親権か単独親権かということがあって、場合によっては親が、どちらかの一方の親が問題があったり、例えばDVがあったり、犯罪に子供を巻き込む危険性があるとか、いろんなことがあれば、親として不適格だということで親権剥奪されることもあるわけです。共同親権ではないわけですね。で、単独親権もあり得るという。
 日本も、家族の多様性、選択的夫婦別姓と同じように、やはり親権選択できる、つまり、単独親権か共同親権かという二者択一じゃなくて、選択的親権制度、場合によっては単独、場合によっては共同ということもあり得るという、こういう考え方あると思うんですが、大臣はどういうふうに思われますか。大臣にお願いします。

#49
○国務大臣(上川陽子君) 父母の離婚後の親権制度につきましては、諸外国におきまして共同親権と単独親権の選択を認める制度が採用されている例もあると承知をしております。
 そして、現行民法が採用している離婚後の単独親権制度の見直しの是非につきましては、この離婚に伴う子の養育の在り方に関わる課題の一つと考えております。
 もっとも、この問題につきましては、離婚後も父母の双方が子供の養育の責任を負うべきであるとして、いわゆる共同親権制度を導入すべきという意見がある一方で、これを導入すれば離婚後に子供の養育に関する事項に必要な判断が適時に得ることができなくなるなどの慎重な意見もございます。
 今回、子供の利益を確保するという観点から、父母の離婚に伴いまして子がどのように生活をし、そして成長をしていくことが望ましいかという、子の養育の在り方について幅広く検討を行う必要があるというふうに考えております。
 検討の具体的な内容ということで今御提言をいただきました内容であります選択的という内容でございますが、法制審議会での議論の展開に委ねられるということでございまして、私は重ねて、子供の目線に立って、実態に即した具体的な検討が行われることを期待をしているところでございます。

#50
○真山勇一君 そういう意味で、大臣が先日諮問された今度の法制審議会というのは注目をされるというふうに思います。
 子供の問題というのは、その養育費のこともありますし、それから、いわゆる面会交流、私たちは面会じゃなくて親子交流という方が心が通っていていいんじゃないかというふうに思っているんですけれども、親権だけじゃないと思うんですね。
 そうした様々な子供、親子をめぐる問題、これ是非法制審議会でしっかり検討していただきたいのと、それから、この選べる、単独親権か共同親権かという、そういうことで迫るんじゃなくて、やっぱりいろいろ状況に合わせて、共同親権も選べる、単独親権も選べる、にすることもできるという、こういう制度もやはり一つ大事なことだと思いますので、大臣がおっしゃったように、法制審議会、是非こういうことも含めてしっかりと議論していただきたいということをお願いして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

#51
○伊藤孝江君 おはようございます。公明党の伊藤孝江です。よろしくお願いいたします。
 まず、私からは、京都コングレスについてお伺いをさせていただきます。
 私も現地の方で開会式へ参加させていただきまして、本当にありがとうございました。この京都コングレスは、新型コロナウイルスの感染拡大以降、国内では初の大規模な国際会議ということになっております。参加者、関係者の皆様にコロナの感染も結局なかったということも含めて、大臣、また法務省の皆様、そして関係者の皆様に改めて敬意を表したいというふうに思っております。
 今回は、コロナ対策のために、現地で参加される方、またオンラインの方が大半ということで、ハイブリッド方式による国際会議の開催ということにもなりました。今後の日本における国際会議の開催に当たり、大いに参考にすべき点がたくさんあるのではないかというふうに考えております。
 ハイブリッド方式による国際会議のメリット、デメリット、また、今後、同様の形式で行う場合の留意点などについて大臣の御見解をお聞かせいただけますでしょうか。

#52
○国務大臣(上川陽子君) 今回の京都コングレスにおきましては、委員自ら現地で開会式に御参加いただきまして、本当にありがとうございました。
 今回の京都コングレスは、昨年、本来ならば四月に開催すべきところを延期になるということの中で、最終的にはハイブリッド型で行うことになりましたが、そこに至る過程につきましても、当日も、また終わった閉会式まで、さらにその後も含めてしっかりとウオッチしていかなければならない要素がたくさんございまして、また、その意味では、今回皆様のお力で成功したことに対しては非常にいろんな意味でメリットが大きかったというふうに思っております。
 また、委員御指摘のように、国内でのコロナ禍におきましての初の大規模な会議でございましたが、同時に、国連主催の会議でも初めてのこうした大規模な会議ということでございまして、その意味では、共同してつくり上げてきた国際的な一つのモデルになる要素がたくさんございますので、それをしっかりと踏まえた上で、私どもも、ホスト国としてのその後の対応につきましてもモデルとなるようにしてまいりたいというふうに思っております。
 メリットということでございますが、国連発表でございますけれども、過去最多の百五十二か国ということでございます。また、五千六百人の方々が参加登録を行いまして、前回のカタールでのコングレスを大きく上回る、閣僚級のステートメントが九十か国ということで実施をされたところでございます。
 オンラインを活用することによって、恐らく、世界各地から、時差もございましたけれども、より多くの参加を得ることができたのではないかと、これは極めて大きなメリットというふうに思っております。また、ハイブリッドでしたので、会場参加という形で、今回は閣僚級は十三名にとどまりましたけれども、最終の閉会式まで滞在していただき、隔離施設ということになってしまうんですが、いていただくことができまして、大変リアル参加も大きな意味がございました。やはり直接目と目を合わせて、顔を合わせながら意見交換をすること、そしてお互いに意見交換をするということの意味は、やはりオンラインを片ややっている中でリアルでもバイ会談ができるということ、このことは非常に重要だなということを改めて感じたところであります。やっぱり新しいタイプの一体感を醸し出すことができたのではないかというふうに思っております。
 デメリットということでございますが、ハイブリッド型でありますと、時差が非常に強く考慮しなければならない要因でございまして、一部の参加者の方々につきましては、このステートメントを事前に録画するという形で、当日それが流れるということでありました。中継のライブという形ということ以外の手法ということで録画方式というところがございまして、そうなりますとインタラクティブなやり取りができないことになりますので、そこのところについては十分な議論が行えないという意味でもデメリットの一つではないかというふうに思っております。
 新型コロナの感染症の感染拡大防止ということで大部分がオンライン参加になったわけでありますが、時差に配慮した柔軟なプログラムということにつきましての工夫も考えられるところでございます。
 ハイブリッド方式のこれからの可能性ということにつきまして、積極的に、国連薬物犯罪事務所の、UNODCのワーリー事務局長からも、UNにおきましての国際会議のモデルにしていきたいということで、ドキュメンテーションをきっちりと保管をするように指示しましたよとおっしゃったぐらい高い評価をいただいておりますので、当方につきましても、同じようにしっかりとドキュメントを残して、これからの会議、いろんな活動の参考になるように提供してまいりたいというふうに思っております。

#53
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
 そういう意味では、本当に、内容もさることながら、その形式だったり方法というところも含めて本当に有意義な会議を開催されたということも改めて感じさせていただきました。本当にありがとうございます。
 もう一点、このコングレスに関係をしまして、司法外交という点についてお伺いをさせていただきたいと思っております。
 大臣の所信にも司法外交という点が挙げられておりますけれども、国際的にまず我が国の司法制度への信頼があるということが大前提になるかと思います。この点で一つ浮かぶのが、昨年の日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告人の逮捕、勾留に関しての国際的な報道でもあります。これまでは、同被告人が国外に逃亡をして我が国の刑事司法制度を批判する種々の発信をしたと、それに対して法務省の発信が国際的な理解を得ていたのかというと、なかなかちょっと疑わしい面もあるかというふうに思っております。
 その中で、今回、コングレスにおきまして、法務省は、この被告人の逮捕、勾留に関連をして人質司法などとの批判が国際的に起きたことを受けて、正確な情報発信を狙った日米法学者による対談動画を公開をされました。起訴前保釈制度がないこと、また取調べへの弁護人立会いが認められていないなど、我が国の刑事司法制度に対する国際機関からの指摘や、またそれへの対応に関して国際的に理解を得られたというふうに大臣はお考えでしょうか。
 また、大臣は、所信の中でも、今後、我が国の制度を理解していただくためにも国際発信力を一層強化してまいりますと述べておられますけれども、国際的に理解を得るための今後の取組についてお話しいただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。

#54
○国務大臣(上川陽子君) 京都コングレスにおきましては、この我が国の刑事司法制度、これについての正しい理解を醸成するべく、正確な情報の発信に取り組んでまいりました。具体的には、国連への提出文書、また二国間会議の資料等におきまして我が国の制度の的確な説明に努めさせていただきました。
 委員御指摘のとおり、サイドイベントとしては、日米の法学者によりまして日本の刑事司法制度について比較法的な観点から議論をするパネルディスカッション、これを実施をいたしました。そして、それが繰り返し視聴できるように、法務省のコングレスサイトにおきましてオンデマンド配信を行ったところでございます。
 このうち、特にこのサイドイベントにつきましては、日米の法学者が客観的、中立的な立場から日本の刑事司法制度を米国等の制度と比較しながら議論するという、そうした内容でございまして、制度の考察におきまして多角的な視点、これを提供することができたものというふうに考えております。それによりまして、我が国の制度に対しましての国際的な、国際社会の理解を醸成する上で一定の効果があったものと手応えを感じているところでございます。
 引き続きまして、諸外国に向けましてどのような手段で、そしてどういう内容の部分をすれば効果的な発信につながるのかということについても、今回の京都コングレスを通して情報収集も含めてさせていただき、また評価をした上で、今後、情報の受け手の目線に立った発信、そしてコンテンツの充実、こういったことに十分に考慮しながら、国際的な理解を得るような積極広報ということに努めてまいりたいというふうに考えております。

#55
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
 では、次のテーマに移らせていただきます。別居、離婚に伴う諸問題についてお伺いをいたします。
 臨時国会の際には、養育費の件について大臣にもお伺いをさせていただきました。養育費の検討につきましては、法務省も種々いろんな検討、取組を進めていただいております。
 先週ですかね、三月十二日には、法務省で初めての動画チャンネルで養育費のバーチャルガイダンスということで公開をされたというふうにも伺っております。ちょっと、今日までに見てこようと思っていて、まだ見てはいないところなんですけど、すぐ見せていただきたいと思っております。
 この中で、養育費の簡単な情報提供というのか、理解をいただくことであったり、また、最後、小野田政務官からも応援メッセージをという形で、本当に養育費という大切なことを親しみやすくというのか、しっかりと理解をしていただくための工夫を重ねていただいているということも含めて感謝をさせていただきまして、しっかりとまた私も後押しをさせていただきたいと思っております。
 その中で、法務省としまして実態調査を行われております。これも先週調査結果が発表されていますけれども、未成年時に親の別居、離婚を経験した子供に対する調査の結果が公表されました。
 この実態調査も、私たち公明党としても求めさせていただいたところですので高く評価をさせていただきたいと思いますけれども、まず、この実態調査におきまして目的としたこと、また調査の観点として重視した点について御説明いただけますでしょうか。

#56
○政府参考人(小出邦夫君) 法務省では、今回、父母の離婚が子供に与える影響を把握するための実態調査といたしまして、未成年の間に父母の別居や離婚を経験した男女合計千名を対象にアンケートを行いました。
 父母の離婚後の子の養育の在り方につきましては、養育費の不払解消や安全、安心な面会交流の実施等、子の利益の観点から様々な課題が指摘されているところでございます。離婚制度は、直接の当事者である父母だけでなく、その間にもうけられた子供の生活や成長にも重大な影響を及ぼすものであることなどを考慮いたしますと、父母の離婚後の子の養育に関する法制度の在り方を検討するに当たっては、子供の置かれている状況やその実態を前提にする必要があると考えられるところでございます。こういった問題意識の下、今回、法務省として初めて、父母の離婚時に子供の立場にあった方々の声を聞く調査を実施することとしたものでございます。
 今回の実態調査では、子供の目線を重視して実態をより的確に把握するという観点から、別居、離婚後の家庭の状況、その状況下での子供の思いや行動、成人になった段階での未成年期の振り返りなど、幅広い事項について質問を実施したものでございます。

#57
○伊藤孝江君 この実態調査の受け止めについて、大臣、いかがでしょうか。

#58
○国務大臣(上川陽子君) この問題の一つの大きなコンセプトというか、子供の視点、子供にとって最善の利益になるかどうかということでございまして、父母の離婚に伴いまして子がどのように生活して成長していくのかということ、こうした観点から検討を進めるということが極めて重要であるということでございます。それゆえに、離婚の際に子供がどのような状況に置かれているかということについて、経験をした大人の方に自分の経験として語っていただく、実態把握させていただくということ、これでこの意味があるというふうに思います。
 私も、今回の調査結果を見まして、お子さんがその当時どういう思いでいらっしゃったのかということに、設問は限られているわけでありますが、それに触れるという貴重なお声を聞かせていただいた思いでございました。改めて、親の離婚あるいは別居、こうしたことが子の生活や成長に大きな影響を及ぼしているんだということについて初めて目の前で拝見したという、そういう思いでございます。
 この取組につきましての問題意識も、こうした調査から浮かび上がってくることも大切にしながら、法制審議会におきましても、お出しする重要な調査結果でありますので、しっかりと御検討をしていただきたいと強く思うところでございます。

#59
○伊藤孝江君 今大臣からも少しお話もありましたけれども、今回の実態調査の中で、最後の設問、自身の経験を踏まえて今後、父母の離婚又は別居を経験する子供たちについて、どのような支援や配慮をしていくことが望ましいと思いますかという設問があります。この回答が一番多い要望としては、離婚又は別居の前後に子供の精神面、健康面に問題が生じていないかをチェックする制度、また、次が、子供のための身近な相談窓口の設置ということで、本当に子供たちが心身共に大きな影響を受けているということも見ることができます。また、そこに続く要望としましては、子供の権利を尊重する法律の整備、父母の離婚又は別居時には子供の権利を尊重しなければならないことについての広報啓発活動というのが求められています。
 まずは、本当にこの親の別居や離婚による影響を一番身近で大きく受けることになる子供たちが自分の権利が尊重されていないと、こう感じているということをやっぱり真摯に受け止めなければならないというふうに思います。
 今後も議論の過程で子供たちの意見をしっかり聞いた上で新たな家族法制度の検討を進めるべきであるというふうに考えますが、いかがでしょうか。

#60
○政府参考人(小出邦夫君) 今回の調査結果によりますと、今委員から御紹介していただいた回答のほかにも、例えば、子供の立場から、父母が不仲になっているときに、相談したかったが適切な人がいなかったとの回答が一九・〇%、父母に自分の考え、気持ちとして、伝えたいことはあったが伝えられなかったとの回答が二一・五%に及んでおります。また、子供にとって望ましい支援や配慮として、委員御指摘のとおり、子供のために身近な相談窓口の設置との回答が四二・九%となっている点も含めまして、父母の離婚等に際しまして子供の意思を適切に反映し、その利益を確保するための方策が必要とされている状況がうかがわれるところでございまして、そのような当事者の声をしっかり受け止める必要があるものと考えております。
 父母の離婚に伴う子の養育の在り方に関しましては、そこで子の意見、意思をどのように反映させるかについて、法務省の担当者も参加した家族法研究会においても取り上げられております。研究会における本年二月の報告書では、例えば子の年齢や成熟度に応じて子の意思や意見を尊重しなければならない旨の原則を明示する訓示的、理念的な規律を実体法上設けるという方向で検討することが提案されていると承知しております。
 この点も含めまして、離婚及びこれに関連する制度に関する法制審議会における今後の検討の具体的内容は法制審議会における議論の展開に委ねられるわけでございますが、子供の置かれている実態を踏まえましてファクトベースで充実した調査審議が進められるよう、事務当局としても努めてまいりたいと考えております。

#61
○伊藤孝江君 あと二つお聞きしたいと思っております。
 一つは、まず、今回の実態調査を今後どのように生かすことができると考えているのかという点と、そしてまた、今回初めての大規模なこういう調査になりますけれども、今回の調査ではやはりまだ不足している点もあると思います。今後、個別のインタビュー形式なども含めて、より詳しい把握に努める調査も必要ではないかと考えます。
 新たな観点や異なる視点から更なる実態調査を行うべきというふうに考えますが、大臣、いかがでしょうか。

#62
○国務大臣(上川陽子君) 今回実施をさせていただきました、実施をいたしましたこの調査でございますが、法制審議会におきましても子供の目線に立った制度の見直しを検討する上で貴重な資料の一つになるものというふうに考えております。
 また、今回の調査結果につきましては、専門家の方々はもちろんでありますが、子の養育をめぐる課題につきまして関心をお持ちの方々などにも広く御覧をいただくと、幅広い世代に御覧をいただくということでございまして、現場の中でもまた活用をしていただく一つになればなというふうに思っております。法制審議会におきましての専門的な御検討にしっかりと供してまいりたいと思います。
 そして、今御指摘いただきました更なる深いレベルの調査ということでございまして、私も、それは全く委員と同じ思いをしております。
 どうしても全体の設問の取り方も既存のものに寄ってしまうということもありますので、全体の把握とともに、もう少し個別のケースを更に深めていくという、そうしたインタビュー調査のような手法も併せて取り入れていく必要があるのではないかということをこの調査をした上で強く認識をしたところでございますので、またそうした方向につきましては十分に検討をしてまいりたいというふうに思います。

#63
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
 スピードアップと併せて、深いまた検討という形でしっかり進めていただきますようよろしくお願いいたします。
 では、続きまして、更生保護についてお伺いをさせていただきます。
 更生保護、再犯防止の対策の中で、この更生保護でも更生保護施設というのが重要な役割を担っております。
 先日、更生保護施設に勤めていらっしゃる方から御相談をいただいたんですけれども、入所者の方で、更生保護施設の退所日が近づいてきていると。でも、その中で、退所後に行く先がなかなか決まらないと。なおかつ、仕事にも就くことができなくて、経済的にも退所した後自分がどうなっていくのかという先が全く見えないという状況の中で、退所を本当に目の前にした中でまた万引きをして逮捕されてしまったと、本当にそういうようなことがやっぱり現実にはまだあるんですというようなことも含めてお伺いをさせていただきました。
 更生保護施設に入ること自体も、希望したから全員が入れるというわけではない中で、せっかく更生保護施設の中で頑張っていこうと思われていた本人、また、そのために努力を重ねてこられた周りの関係者の方々のいろんな思いを考えたときに、やっぱりそういう不幸なことというのは一つでも減らしていかなければならないというふうに思っております。
 ただ、この更生保護施設に入所されている方は、やはり身内などに頼る方というのが少ないというような現状の中で、施設を退所した途端、仮に住居があったとしても独りぼっちになってしまうということも十分に考えられます。高齢や障害があるということにより就労が困難な方が更生保護施設を退所した後も再犯をせずに安定した生活を送るためには、福祉・医療機関などの支援につなげることが重要とも考えております。そのために、保護観察官や更生保護施設の職員が退所後も継続的に伴走支援を行うことが重要というふうにも考えております。
 以前にも、更生保護施設に伺わせていただいたときに、そこでは、退所後も大体二年間をめどとして手紙を出したり電話を掛けたりという、そういうアフターフォローをしていると。やっぱり退所して終わりということでは、本当に立ち直るきっかけをつくっても、そこから先に進めなくなってしまうということもお伺いをしました。
 こういう長期の伴走が退所後も必要だというようなことが言われている中で、この更生保護に対しての大臣の御見解、いただけますでしょうか。

#64
○国務大臣(上川陽子君) ただいま委員御指摘いただきましたとおり、御高齢の方、あるいは障害のある刑務所出所者等が地域で安定した生活を送るためには、必要に応じまして福祉・医療機関等々の支援につなげるということ、そして更生保護施設退所後の息の長い支援が重要であるということ、このことについてはそのとおりだというふうに認識をしております。
 令和三年度からでございますが、新たに八つの更生保護施設に専門スタッフを配置をいたしまして、更生保護施設を退所した者等に対しまして訪問による生活相談支援等を試行的に開始する予定でございます。また、保護観察所に社会復帰対策官、これを新設をする予定としているところであります。これらにより、更生保護施設職員とも連携をして、委員がおっしゃりました伴走支援、伴走型の支援ということの充実強化をしっかりと図ってまいりたいというふうに考えております。
 また、課題として認識している点でございますが、満期釈放者等に対しまして更生緊急保護制度として保護観察所において生活相談等の支援を実施しているところでありますが、これ期間等が限定的という点がございます。したがいまして、支援が可能な期間、これを延長をすること、また、地域で生活する満期釈放者等に対する援助等につきましては法整備が必要ではないかというふうに考えておりまして、この点につきましても今後積極的に検討すべき課題というふうに認識をいたしております。

#65
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
 刑務所を出所された方などのその住居を確保するという点については、やはり更生保護施設が重要な役割を果たしております。
 その退所後の居住先を含めて、自立準備ホームなどの多様な受皿を確保する必要があると考えますけれども、いかがでしょうか。

#66
○政府参考人(今福章二君) お答えいたします。
 ただいま委員御指摘のとおり、行き場のない刑務所出所者等の多様な受皿を確保するということが大変重要だと考えております。
 そこで、平成二十三年度からは、更生保護施設以外に、更なる緊急的な住居確保施策といたしまして、NPO法人等が運営する宿泊施設を自立準備ホームとして保護観察所に登録をし、刑務所出所者等の保護を委託する取組を始めているところでございます。
 しかし、近年は、更生保護施設退所後や満期釈放後の住居確保でありますとか、増加する複雑な問題性を抱える刑務所出所者等の受入れが課題となっております。
 このため、自立準備ホームの多様な運営主体や形態を生かした居住支援策の施策の充実強化や、処遇困難者の受入れを強化するための自立準備ホーム制度の拡充に取り組んでまいりたいと考えております。

#67
○伊藤孝江君 もう十年ぐらい前にはなりますが、弁護士としてホームレスの方の支援をさせていただいて、法律相談を公園とか川とか行って受けさせていただいていたときに、刑務所を出所してそのまま行く先がなくてホームレスになったとか、更生保護施設から行く先がなくてホームレスになったという方もたくさん見てきました。
 当時と今とではもちろん制度もかなり変わってきていて充実をしてきていますので全く同じ状況というふうには考えてはいませんけれども、やはり個々人の事情の中で、そういうふうに自分の希望するところに行くことができない、また生活を諦めないといけないというふうになってしまう方がいる現状もやはりあるかと思います。しっかりと更生保護、進むことができるように、また大臣のお力もいただければというふうに思っております。
 では、次のテーマで、技能実習生の在留資格の変更についてお伺いをいたします。
 今、技能実習生の方が、期間が切れたとしても、コロナの影響で飛行機が飛んでいないであるとかというそういう現実的な問題もある中で、帰国できないという方がいらっしゃいます。今帰国することができない技能実習生への対応として、入管庁としては特定活動への在留資格の変更を認めておられます。この資格を変更した後には、当初、それまで認められていた業務と同じ業務を行うということももちろん可能ですけれども、異なる業務をするということでも就労が認められるという資格がつくられています。
 ただ、技能実習生の立場とすれば、転職の困難さを考えたときに、今働いている場所で引き続き働くことができるというふうになるのがやはり一番望ましいのではないかと思っています。そうであれば、技能実習生の在留資格が期限切れになる前にできる限り早く、技能実習生本人だけではなく雇用している事業主にも、在留資格を変更することでそのまま働き続けることができるということを認識してもらうことが重要と考えます。
 一義的には監理団体が周知の役割を担うことになると思いますけれども、技能実習機構や入管庁の方から更なる周知徹底に取り組むことができないでしょうか。

#68
○政府参考人(松本裕君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、技能実習生が在留資格上の不利益を被ることがないように、御指摘の特例措置につきまして、実習実施者あるいは監理団体に対しましても必要な周知を行うことは、技能実習生の保護の観点から極めて重要と認識しておるところでございます。
 この点、外国人技能実習機構を通じた監理団体へのメール配信等の情報発信を現在行っておりますところ、御指摘の特定活動への在留資格変更の特例措置につきましても積極的に情報を発信しておるところでございます。
 そのほか、例えば出入国在留管理庁のホームページやSNSを通じた情報発信、さらには外国人在留支援センター、FRESCにおける専用ヘルプデスクにおける対応、外国人技能実習機構における八か国語での母国語相談窓口等においても情報発信を行っておるところでございます。
 このほか、出入国在留管理庁におきましては、三月九日から在留外国人等に対しまして、希望された方にその希望された項目、内容につきまして新たにメールの配信サービスを開始したところでございます。
 このような内容を充実させますとともに、このような手段も積極的に活用して、技能実習生はもとより、実習実施者等に対しましても更に積極かつ適切な情報発信に努めてまいりたいと思っておるところでございます。

#69
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
 今回、地元の自治体、ある自治体の方から相談を受けまして、技能実習生がたくさんいらっしゃる地域で、技能実習生の期限が切れた後、在留資格の変更というのができることを知っていたかどうかというのは分からないんですが、在留資格の変更をせずに、不法残留という形になるんだと思うんですけれども、いなくなってしまったと。そういうことをできる限り防いでいきたいというふうに自治体としては考えていると。
 でも、じゃ、その技能実習生がどこに勤めているのかということを知っているかというと、そういう情報は自治体では持っていない、また、どの会社が技能実習生を雇用しているかということも全く分からないという中で、やはり雇用主にも働きかけをしていきたいということを考えるとちょっと情報が余りにもないという中で、今、商工会議所とも連携を取りながらやろうというふうに考えているということなんですが、商工会議所でもどこが技能実習生を採用しているかは分かっていない、把握できていないというのが実情だというふうに聞いております。その中で、技能実習生自らが役所なりどこかに相談をしてくれれば対応のしようがあることであっても、そのヘルプを受けることができていないというのが実情だというふうに聞いています。
 この現状として、今、入管庁や技能実習機構からの情報というのは、監理団体を通じて技能実習生には届いていると思います。ただ、これが自治体には届いていないと。技能実習生だけでなく、外国人対応に尽力されている自治体が多い中で、様々な情報のうち技能実習生に関するものが自治体には届かないというのはやはりもったいないんじゃないかなというふうに思っています。
 技能実習生に関連する情報を自治体にもしっかり届けて、自治体の側でサポートしたいと思っているところたくさんありますので、そういう情報に使っていただくということも大事じゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

#70
○国務大臣(上川陽子君) 委員御指摘いただきました地方公共団体との連携という問題でございます。
 極めてこれからも大切な、連携を深めていくということが大切であるというふうに認識をしておりますので、地方公共団体と連携した形で在留外国人に対する周知徹底を図るということ、このことの可能性はもっともっと追求していくべき課題というふうに認識をしております。
 今、現状でありますが、出入国在留管理庁におきましては、この技能実習生を含めまして在留外国人が対象となる新型コロナウイルス感染症に関する在留資格に関する特例措置等やまた生活支援策等につきまして、適時、地方公共団体に対し情報提供を実施している状況でございます。また、外国人の受入れ環境整備を担当する職員、これを地方の出入国在留管理局に配置をしておりまして、地方公共団体の方々から今委員がおっしゃられたような様々な御要望、御要請等に、しっかり踏まえた上で、一元的相談窓口の職員等に対しまして、出入国在留管理に関する諸手続を始めといたしまして、コロナに関する特例措置等についての情報提供をするとか、あるいは研修なども実施をしている状況でございます。
 加えて、先ほど説明がありましたけれども、FRESC、外国人在留支援センターでありますが、そのヘルプデスクにおきましても、地方公共団体等の関係機関からの問合せに対しまして情報を提供すると、こうした機能も果たさせていただいております。
 法務省といたしましては、在留外国人の方々に必要な情報がしっかりと届くということが極めて大事であるというふうに思っておりまして、そのために受入環境調整担当官を活用するなどして、地方公共団体との連携、これについて更に深めてまいりたいというふうに考えております。

#71
○伊藤孝江君 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 では、次のテーマに移ります。再審事件の証拠開示について、短時間ですが、お伺いをいたします。
 再審事件、誤った有罪判決が確定をした場合に冤罪被害者を救済するための制度であります。この冤罪というのは、私自身は、やっぱり国家が犯す一番の人権侵害、一番大きな人権侵害の一つではないかというふうに考えています。
 弁護士のときにも、再審事件に関しては、死刑事件等で、また既に刑の服役を終えた方の事件とということで、二件だけですけれども直接携わらせていただいたこともあります。その中で、この再審事件、いろんな理不尽を感じてきたというのが実情の中で、今日は少し、この証拠開示という点に関してだけですけれども、一つお伺いをさせていただきたいというふうに思っています。
 刑事事件、もちろん地方裁判所、高等裁判所、最高裁判所と三審制ですので、この中で最終的に有罪というふうに確定されたものが間違っていたということですので、簡単に再審事件が認められるわけではありませんし、極めてまれなことでもあります。
 再審事件が開始をされるに当たっては、無罪となるべき証拠を新たに発見したときというのが法文上の要件になります。この無罪になるべき証拠を新たに発見するという中で、近年多いのが、検察官が最初の裁判のときに、確定審の、地裁、高裁、最高裁でやっているその裁判のときに出していなかった証拠、これを再審請求審又は再審の手続の中で出してきて、その証拠が実は有罪をひっくり返すような大きな価値を持っていたということで冤罪が認められていくというふうにつながっている事件が多いというのがあります。
 そういう点では、事件が確定した後に新たな証拠が発見された、見付かっていなかったものが見付かったということもあるでしょうけれども、今日問題にさせていただきたいのは、元々検察が持っていた証拠、それを出していなかった、それが大きな価値があったんだという点についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 まず、この再審請求審について、検察官から開示された証拠、この証拠こそ証拠価値が高いと、有罪、無罪を決するに当たり大きな影響を与える証拠である場合が多いということだというふうに私は考えていますけれども、その点まず確認させてください。

#72
○政府参考人(川原隆司君) お答え申し上げます。
 今委員がお尋ねの証拠の評価の判断は、これは裁判所においてなされるものでありまして、今の証拠開示、御指摘がございましたが、証拠開示によって開示された証拠、個々の証拠が裁判所の判断に与えた影響の有無及び程度につきましては、法務当局としてお答えすることは差し控えたいと存じます。

#73
○伊藤孝江君 この証拠の開示については大きく二つ問題があると考えています。
 法文上明確に制度が決まっていないということの中で、現行制度上は裁判所の訴訟指揮によることになります。弁護人側で証拠を開示してほしい、あるいは検察官が持っている証拠の一覧表をまず出してほしいという要請をして、それに対して裁判所が訴訟指揮で、それに応じるのも応じないのも、応じるとしてどう応じるかも全く裁判所の自由だというのが現状です。これがまず一点と、もう一つは、裁判所が証拠を開示してください、あるいは証拠の一覧表を出してくださいと検察官に言っても、検察官がこれに応じないことがあるという、この二点が大きな問題だというふうに考えています。
 この再審の問題については、また日を改めてお聞きしようと思いますけれども、一点、法務・検察行政刷新会議報告書の中におきましても、この証拠開示制度の在り方について、再審請求審でも証拠開示制度を設けるべきではないか、再審請求審段階における証拠開示のルールも定められるべきであるとの意見が書かれています。
 大臣、この受け止め、いかがでしょうか。

#74
○国務大臣(上川陽子君) 御指摘の再審請求審におきましての証拠開示につきましては、平成二十八年に成立した刑事訴訟法等の一部を改正する法律附則九条三項におきまして検討することが求められているものでございます。そこで、平成二十九年三月から、最高裁判所、法務省、日本弁護士連合会、警察庁の担当者で構成する刑事手続に関する協議会を設けまして、協議、意見交換を行っているところでございます。
 再審請求審における証拠開示制度を設けることにつきましては、法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会において議論がなされたところでございますが、再審請求審における証拠開示について一般的なルールを設けること自体が困難である、手続構造の異なる再審請求審において通常審の証拠開示制度を転用することは整合しないといった問題点が指摘されたところでございます。
 これらを踏まえて慎重に検討する必要があるというふうに考えております。

#75
○伊藤孝江君 済みません、時間が来ましたので、また次に続けさせていただきたいと思っております。
 最高裁、済みません、来ていただいていたのに質問なしで申し訳ありません。
 終わらせていただきます。

#76
○委員長(山本香苗君) 午後一時に再開することといたしまして、休憩いたします。
   午前十一時五十六分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会

#77
○委員長(山本香苗君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、法務行政の基本方針に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#78
○清水貴之君 日本維新の会の清水貴之と申します。今国会からこちらの法務委員会でお世話になることになりました。どうぞよろしくお願いをいたします。(発言する者あり)ありがとうございます。初めて法務委員会で質問させていただきます。
 まず初めに、国際仲裁についてお伺いをいたします。
 大臣も所信の中で、国際仲裁の活性化についてのお話をされていらっしゃいました。恥ずかしながら、私、国際仲裁、実態よく分かっていなかったところがあるので、いろいろ資料を見ますと、件数は非常に日本は少ないですね。世界で年間二千件以上行われているんですけれども、日本国内で受理されている件数というのは大体十件、二十件ぐらいということです。
 この島国日本で、海外との取引とか貿易とか盛んに行っている国でこの件数というのは非常にある意味残念な数字かなともいうふうに思うんですけれども、こうなっている今の現状についての認識、さらに、これから、活性化について言及されていらっしゃいますので、どうやってこれを進めていくのか、この辺りの見解、大臣、お話しいただけますでしょうか。

#79
○国務大臣(上川陽子君) 国際仲裁でございますが、国際商取引における法的な紛争解決手続のグローバルスタンダードでございます。
 今委員から数字を出していただきましたが、諸外国に比べますと大変我が国での利用というのは低調であるということは否めないというふうに思っております。我が国企業の海外進出を促進し、また海外からの投資を呼び込む上で、この国際仲裁の活性化につきましては喫緊の課題であるというふうに考えております。
 政府におきましては、平成二十九年の九月に内閣官房に国際仲裁の活性化に向けた関係府省連絡会議を設置をいたしまして、平成三十年四月に今後の取り組むべき課題という形で整理をしたところでございます。その中で、官民が連携して、仲裁専用施設の整備、また人材の育成、広報、意識啓発に取り組むとともに、最新の国際水準に見合った法制度の整備ということにつきましても検討すべき課題として指摘をされたところでございます。
 こうした指摘を受けまして、法務省におきましては、一般社団法人日本国際紛争解決センター、JIDRC等と連携をいたしまして、国内外の企業等に対する広報、意識啓発、こうした活動、また仲裁人、仲裁代理人等の人材の育成、さらに仲裁専用施設の整備等の各施策を積極的に実施してきたところでございます。その一環といたしまして、昨年三月でありましたが、東京虎ノ門に最先端のICT設備を備えた国際仲裁専用施設を開業をいたしました。
 また、仲裁関連法制の整備といたしまして、昨年五月に外弁法を改正をいたしまして、外国法事務弁護士が代理可能な国際仲裁事件の範囲を拡大するとともに、最新のUNCITRALモデル法に対応させるための仲裁法の改正、こういったことの作業も鋭意進めているところでございます。
 法務省といたしましては、国際仲裁の活性化のためにインフラ整備と法制度整備ということを併せて精力的に取り組んでいるところでございます。

#80
○清水貴之君 今のお話聞いていますと、やはりこれからまだまだ取り組まなければいけない課題というのは多々あるなというふうな実感をいたしました。
 今、日本全体でもそうなんですが、特に大阪、兵庫など関西で、国際金融都市、こういった都市をつくろうと、特区によって呼び込んでいこうという、そういった動きを積極的に行っています。この国際仲裁の拠点と国際金融都市というのは非常に相関性が高いというふうに思っています。先ほどのこの国際仲裁の実施件数ですけれども、国際金融都市と言われているシンガポールでしたら大体五百件ぐらい年間行われています。韓国でしたら四百件を超えています。やっぱりこういった非常につながりが強いものだというふうに思うんですね。
 ですから、こういったところを一緒になって相乗効果を狙っていく、こういったことも必要ではないかと思いますが、この辺りについての大臣の考えをお聞かせください。

#81
○国務大臣(上川陽子君) 委員御指摘いただきました国際金融センターということでありますが、世界に開かれたこうした金融センターを実現するということにつきましては、これは海外資産運用等を行ってきた事業者また人材を我が国に呼び込み、観光のみならずビジネスを行う場としても魅力的な国家を実現するという観点で極めて重要な政策と考えております。
 そして、海外からの事業者が安心して我が国において起業をする、そして取引を行うためには、事業から生じ得る法的紛争、こうした問題につきましてグローバルスタンダードに見合った基準によって確実にこれが解決されると、こういう仕組みが整っているということが重要でございます。金融センターの一つのインフラとして、こうした紛争解決のための、しかも世界的な規模でそれが対応できるようなこの仕組みをしっかりと整備していくということが、その促進のためにも重要というふうに考えているところでございます。
 法務省といたしましては、この国際金融センターの実現を目指す関係自治体また関係府省などとも連携をし、引き続きこの国際仲裁の活性化に向けまして取り組み、基盤整備ということについてはしっかりと進めてまいりたいというふうに考えております。

#82
○清水貴之君 そのような是非法務行政としてのバックアップをお願いしたいというふうに思います。
 さらに、具体的な話になっていきますと、様々な規制緩和というのも今後必要になってくるかなというふうに思います。例えば、法人税を下げて外国の企業が来やすくなる、金融機関来やすくするとなったら、これは金融面ですから金融庁などが頑張っていただくということになると思うんですが、この法務行政でいいますと、在留資格の関係ですよね、こういったところでも、その国際金融センターにふさわしい、特区でふさわしいその規制緩和というのを必要なところでは是非進めていっていただきたいと思いますが、この辺りの検討状況もお聞かせいただけたらと思います。

#83
○政府参考人(松本裕君) お答えいたします。
 令和二年十二月八日に閣議決定されました国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策におきまして、世界に開かれた国際金融センターの実現のための取組の一つといたしまして、海外の人材がビジネスを容易に開始できるよう、高度外国人材に対するボーナスポイントの新設、家事使用人の雇用要件の緩和、在留資格、短期滞在で入国後、帰国することなくビジネスを開始するための在留資格付与の特例、さらに配偶者就労に係る利便性の向上の特例を講じることが挙げられているところでございます。
 出入国在留管理庁といたしましては、現在、これら特例等の実施について金融庁等の関係府省庁と検討を行っているところでございますが、可能なものから順次、具体的に申し上げますと、短期滞在で入国後帰国することなくという点と配偶者就労に関する点につきましては早ければ年度内に、それ以外の点につきましても遅くとも本年夏頃までをめどといたしまして、速やかに実施できるよう努めてまいりたいと思っているところでございます。

#84
○清水貴之君 是非よろしくお願いいたします。
 続いて、新型コロナウイルスの水際対策についてお伺いをします。
 まず、これは国交省さんに来ていただいておりまして、入ってくる人数のこの制限に関する話で、飛行機で来られる方が多数だと思いますので、国際線の人数、これについての制限を導入し始めたということなんです。これ、どういう根拠といいますか、どういう理由といいますか、そして何を目的としているのか、この辺りについての見解をまずはお聞かせください。

#85
○政府参考人(平嶋隆司君) 水際対策につきましては、三月五日に政府の第五十七回新型コロナウイルス感染症対策本部におきまして、水際対策強化に係る新たな措置(九)が決定されております。その中の対策といたしまして、検疫の適切な実施を確保するため、日本に到着する航空機の搭乗者数を抑制し、入国者数を管理するということとされたところでございます。
 このため、検疫の確実な実施を図るため、検疫を所管する厚生労働省さんからの要請を受けまして、航空局から航空会社に対して到着旅客数を抑制することを要請しております。具体的には、最近の利用動向等を踏まえて、国内の航空会社、また海外の航空会社について、数の抑制を要請しているところでございます。

#86
○清水貴之君 ですから、入国して検疫をする、その能力に合わせた制限だというふうに理解をしているんですが、ただ一方で、これ、在外邦人、海外に住んでいらっしゃる日本の方からすると、急に制限掛かって、これ戻りたいときに戻れなくなるんじゃないかと、ただでさえ変異ウイルスが広がっていて、入国時の検査なども対象国の検査というのは厳しくなってきていますので、そういった不安の声も広がっているということなんですね。
 ですから、厚労省さんもこれ来ていただいていまして、ちょっと監視体制のお話お聞きしたいんですが、その前に、今の話で、そういったニーズに合っているかどうかというのが私ちょっと気になっておりまして、この辺りについて、入国制限、今のお話で、確かに検疫の能力に合わせて入ってくる数を調整するというのはそれは分かるんですが、一方で、それ以上にやっぱり今戻りたいという方がいるんだったら、今度は逆に検疫の体制を強化すればもっと多くの方を受け入れられるわけですから、ちょっと逆転しているなというふうにも感じてしまうんですね。この辺りについて、これ厚労省さんですかね、国交省さん。

#87
○政府参考人(浅沼一成君) お答えいたします。
 ちょうど今、変異ウイルスのお話をいただきました。いわゆる変異株と言っているものでございますけれども。この流行地域、国がどんどん増えてきている段階におきまして、その状況に合わせた形で検疫の強化をしているところでございますので、今、大体一日当たり千五百程度の入国者の方々に対しまして、そのうち変異株が確認されている国・地域からの入国者の数の方々が、日によって変わりますけれども約千人程度いらっしゃると。この方々を検疫の方で入国後三日間、あっ、三泊四日、ですから入国後三日目に追加の検査を、これ検疫所の方が用意しました宿泊施設での待機をした上での検査ですから、その宿泊施設の確保状況を考えますと、まだ若干力はありますけれども、かなり厳しい段階になってきているところでございます。
 ですので、私どもといたしましては、この宿泊施設の確保というのを今進めているところでございますが、宿泊施設を確保するだけでは、やはりこれ運営の話がございますので人の手配だとか、あるいはインフラということで例えばリネンの準備だとか、そういったサポート体制も含めて準備しなくちゃいけませんので、検疫の強化ということであるならば、そういったことも含めた上で対応させていただいているところでございます。

#88
○清水貴之君 となりますと、今、変異株が広がってきていて、その対象国ですよね、対象国をもっと増やした方がいいんじゃないかという、そういった議論もあるというふうに思います。当初四か国が今十七ですかね、増やしてきてはいるんですが、更にもっともっとしっかりと変異株に対する対策を取るべきじゃないかという意見もあります。
 で、それまたやり出すと、今度は、今のお話でいいますと、更にこの入国の人数制限とかにもつながってきますよね。そうなると、また在外邦人の方からしたら、大丈夫なのかという声も出てくると思うので、この辺りのバランスというのが非常に難しいと思うんですが、こういったことに関する見解、お願いいたします。

#89
○政府参考人(浅沼一成君) お答えいたします。
 まず、現在の検疫の状況をもう一度御説明させていただきますと、全ての入国者の方々に対しまして、出国前の七十二時間以内の検査証明の提出を求め空港検査を実施するとともに、入国後十四日間の待機等につきましての誓約書の提出を求めることとし、この誓約に違反した場合は、氏名等の公表や検疫法上の停留、また外国人の方の場合には在留資格取消し手続や退去強制手続等の対象になり得るものとする検疫強化措置を講じているところでございます。
 加えまして、議員御指摘のとおり、変異株が流行している国・地域、現在十七の国・地域でございますが、こちらからの入国者に関しましては、出国前と入国時の二回の検査に加えまして、先ほど申し上げた検疫所が確保した宿泊施設での待機を求めて、入国後三日目に追加の検査を実施した上で、入国後十四日間の公共交通機関の不使用と自宅待機を求めることとしております。
 また、この入国後十四日間の健康フォローアップを行うために、センターの設置を民間機関に委託しております。これは、従前保健所がこのフォローアップをしていたんですが、その保健所の代わりにセンターから日々の健康状態や自宅等待機の状況の確認を行っているところでございまして、こうした人的、物的資源等の様々な制約条件等も踏まえた中でのリスクに応じた実効的な検疫を実施しているところでございます。
 引き続き、関係省庁と連携いたしまして、機動的に検疫、水際対策を実施してきたところでございますが、今後とも、国内外の感染状況などを見極めつつ政府全体として必要な対応を講じてまいりたいと考えております。

#90
○清水貴之君 その入国後の話なんですけれども、今、アプリを導入して位置情報を確認したりとかするようなことも考えているという話、聞いております。去年これ入国した方にお話を聞いたら、その二週間の間、じゃ、どういったやり取りがあるのかというふうに聞いたら、一方的な機械で掛かってくる電話で、応答する、答えるというような話だったんですね。
 それじゃ何か一方的だなというふうに思ったんですけれども、最近これ入国、先週ぐらいに入国された方かな、話を聞いたら、今LINEを使ってやっているということなんですが、それも画面見せていただいたんですが、質問が一日二問ぐらいなんですかね、はいといいえで答えるんですけれども、はっきり言って、もうどう答えたか、まあいいかげんに答えようが何しようが、もうぱっと、はいとかいいえ押してぱっと返すだけですので、本当にちゃんとその方々がどういう状況にあるかというのがこれじゃちょっと確認できないんじゃないかなというふうにも思ったんですね。
 ですから、毎日千人、二千人の方が入ってきている中でどうやってどこまで厳しくやっていくかというのも難しいところだと思うんですが、特に今変異株というのがこれだけ話題になっている、すごい懸案事項になっているので、やはりこの辺は厳しく見ていくべきではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

#91
○政府参考人(浅沼一成君) お答えいたします。
 先般の政府決定に基づきまして、従来、変異株流行国からの入国者に対して行っていたセンターの健康フォローアップにつきましては、順次この対象者を変異株確認国も含めた全ての国からの入国者に拡大するとともに、フォローアップ内容を強化して、御指摘のあったスマートフォンによるアプリを活用した位置情報の確認、これを原則毎日行う、またビデオ通話による状況の確認、こちらも原則毎日行う、この確認の中で三日間以上連絡が取れない場合等につきましては民間の警備会社等により見回りを実施することとしております。
 引き続き、水際対策につきまして、政府全体として必要な対応を講じてまいりたいと考えております。

#92
○清水貴之君 いろいろ制度はつくっていらっしゃるのは理解しているんですが、ただ、それが有効に本当に機能しているかなというところで大丈夫かなと思うところもやっぱりありますので、その辺りまで、そのフォローといいますかね、ちゃんと機能してこそのその仕組みですから、見ていただきたいなというふうに思います。
 その変異株に関して、今入国かなり制限されているんですが、特段の事情のある方、これ法務省に答弁お願いしたいと思いますが、特段の事情というのは、日本人の方であったりとか永住者の配偶者等とか外交官とかそういったことなんですけれども、こういった方が入国可能となっています。
 今後オリンピックというのも控えていますので、これをどう動かしていくかといいますか範囲を広げていくかということになってくるのかなと思います。観客の方には入っていただかない、外国の方の観客の方はなしでという話ですけれども、とはいえ、関係者とか、それこそ選手だとか、これから入ってくることが考えられる中で、この特段の事情をどう見ていくのか、動かしていくのか、ここに公平性があるのかどうか、この辺りについても非常に重要なポイントじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

#93
○政府参考人(松本裕君) お答えいたします。
 まず、前提といたしまして、先生御指摘のとおり、現在、入管法五条一項十四号に基づきまして、特段の事情がない限り、上陸拒否の対象国・地域、これ百五十二現在ございますが、こちらに滞在歴がある外国人につきまして上陸拒否の措置を講じているところでございます。
 さらに、この特段の事情、これも委員御指摘がございましたが、この特段の事情により入国を認めている事例といたしまして、日本人や永住者の配偶者等の身分関係のある者、あるいは外交、公用、さらにはワクチン開発の技術者等、公益性のある者、例えば親族の危篤に伴い訪問する者等、人道上の配慮の必要がある者等、あるいは再入国者、これらの者につきまして個別に判断して特段の事情を検討していたところでございます。
 御指摘のオリンピックにつながるスポーツ選手等についてでございますが、外国人プロスポーツ選手に関しましては、関係省庁との協議を踏まえまして、二〇二〇東京オリンピック・パラリンピック競技大会種目に係るプロスポーツにおける外国人選手等の活動は、この大会の成功に資するという観点から公益性が認められるという判断の下、令和二年九月以降、必要な防疫措置を確実に実施しながら入国を認めていたところでございます。
 しかしながら、政府といたしましては、変異株への警戒が世界的に高まっていることを踏まえまして、予防的な観点も踏まえまして、緊急事態宣言が発令されている間、全世界からの新規入国を認める枠組み、すなわちビジネストラック及びレジデンストラックの一時停止を含め水際対策に係る一連の新たな措置を実施したところでございます。こうした状況の中、外国人プロスポーツ選手の新規入国も一時的に停止していたものでございます。
 今後の水際対策の在り方につきましては、国内外の感染状況、特に御指摘の変異株等の状況なども見極めつつ、政府全体で検討しているところでございますが、外国人プロスポーツ選手の入国につきましては、公益性が認められるという視点で、緊急事態宣言を解除後、必要な防疫措置を確実に実施しながら入国を再び認めることとしておりまして、現在、その具体的な運用の在り方について調整しているところでございます。
 以上でございます。

#94
○清水貴之君 大臣にも、今後のその入国に関する見解、見通しなど、最後、お話しいただけますでしょうか。

#95
○国務大臣(上川陽子君) 水際対策につきましては、政府はこれまで国内外の感染状況等を見極めつつ、国民の健康と命を守り抜くことを最優先に不断の検討を進めてまいりました。
 今後におきましても、緊急事態宣言を解除する際に、国内外の感染状況などを見極めつつ、どのような防疫措置等を行うこととして、どのようなものについて例外的な入国を認めていくのか、政府全体で検討して判断することになるわけでございます。
 今検討中ということでございますので、法務省といたしましても、水際でのリスク管理ということにつきましては、万全を期すために、関係省庁と連携をしながら、また変異株、これの国内外の感染状況等も見極めながら必要な水際対策につきましての不断の検討と、そして適切な措置の実施というところに取り組んでまいりたいと考えております。

#96
○清水貴之君 あと二分ありますので、最後に一問。
 外国人技能実習生について、先ほど伊藤先生からもあったんですけれども、今回コロナでやはり仕事を失ってしまう実習生もたくさん出ている中で、地元で話を聞いていると、一方で、実習生がなかなか予定どおり来てくれなくて、仕事に逆に困ってしまうと、人手が足りなくて困ってしまうという、そういう事業者さんもいらっしゃいます。やはりこういったところのマッチング、いろいろ仕組みはあるというふうに聞いているんですが、ここがやっぱり双方にとってメリットがある大事なことかなと思いますので、これ是非進めていただきたいという思いで、最後の質問にさせていただきたいと思いますが、よろしくお願いします。

#97
○政府参考人(松本裕君) お答えいたします。
 委員御指摘の、特に現在コロナ禍で解雇等、あるいは帰国ができない技能実習生につきましては、入管法上の特例措置といたしまして、技能実習の資格から、特定活動、しかも就労ができるという資格を与えることとしております。
 そのような中、技能実習機構におきまして、継続的な技能実習がかなわなくなった技能実習生につきましても、それに代わる技能実習先を紹介するなどの取組をしているところでございます。
 委員の御指摘も踏まえまして、また今後、適切に対応していきたいと思っているところでございます。

#98
○清水貴之君 以上で終わります。ありがとうございました。

#99
○川合孝典君 国民民主党の川合孝典です。
 上川大臣には、今国会もどうぞよろしくお願いいたします。
 質問に入ります前に、今の清水委員のやり取りを聞かせていただいていてふと思い出したことがあったのでお伝えをしたいと思いますが、実は私、娘が今ニューヨークに在住しておりまして、昨年のちょうど緊急事態宣言でロックダウン、ニューヨークがあった折に、その直前に実は日本に一時帰国をさせました。そのときに、帰ってきて本人が言うには、ニューヨークの空港で飛行機に乗る前の、出国です、この手続だけで半日近く検査等で待たされて大変な思いをして飛行機に乗り込んで、それで帰ってきたんですが、日本に帰ってきたら怖くなるぐらい何もなかったと、そのままするっと家まで帰ってきたと。本人も、えっ、これで本当にいいのかということで、自主隔離を二週間自宅でやったということがありまして。で、去年の秋口にニューヨーク戻りましたけれども、その折も、やはり日本から出国するのとアメリカで入国するのとではかなりの手間の違いがある。
 したがって、そこから言えるのは、その検査項目だとか水際対策ということで理屈として対策を組み立てるということとは別に、効果的にどう防疫をするのかということがあった上で、それを担保しながらいかに効率的に水際対策を行うのかということが肝なんだろうと私は思っているんです。
 で、皆さん同じことを考えていらっしゃると思うんですけれども、そのことを前提として、実際海外でどうやっているのか。日本がこうしているということとは別に、海外の国、諸外国が、日本が受入れをしたときに安心して来ていただけるかどうかということが極めて大事なことでありますので、そうした視点からもこの水際対策ということをきちんと御議論していただきたいということを今の清水委員のやり取りを聞いていて感じましたので、質問とは全く関係ないんですけれども、冒頭述べさせていただきました。
 それでは、質問に入らせていただきたいと思いますが、本日、私は在留外国人のこのコロナ禍で非常に顕在化してきた様々な問題点について、今日はもう一本勝負で、大臣それから出入国在留管理庁にお伺いをさせていただきたいと思います。
 幾つか実は資料を配らせていただいているんですが、この資料は私の出身の組織がまとめたものでありまして、私の出身の民間労働組合団体でありますが、様々な業種が集まっている団体でありまして、そこには流通小売業、それからフード、さらには食品加工、それから外食、そういったいわゆる外国人労働者を多く受け入れている業種の企業がたくさんございます。恐らく数万人単位で既に働いていらっしゃると思いますが。
 そうした方々が企業内の労使関係の中できちんと組合員として守られているかどうかということを、組織運営を行っていく上で必要性に駆られて、実はミャンマー語、ベトナム語、中国語、三か国語で、外国籍の従業員さんの労働相談の窓口を去年の秋に実は設置いたしました。何かあったら遠慮なく言ってくださいということで窓口を設置して、それをホームページで公開して、さらにはフェイスブックのメッセンジャーで専用のアドレスを公開しましたところ、組合員から一件も相談が来ずに、一般の在留外国人の方から質問が集まり始めたと、実はこういうことでありまして。
 したがって、当初の想定とは若干違っておったわけでありますけれども、知らない、見ず知らずの人のところに言葉が通じるというだけの理由で相談しに来られている方々がかなり、それぞれが事情があって、また苦しい状況の中で相談に来られている件数がかなり積み上がってまいりましたので、今どういう問題が起こっているのかということをこのアンケートの調査結果に基づいて少し御紹介し、議論させていただきたいと思います。
 まず、中身に入ります前に大臣に確認をさせていただきたいんですが、現在のこのコロナ禍の中で、外国人の、いわゆる在留外国人労働者の方々をめぐるトラブルが様々増えてきているということがよく指摘されておりますけど、法務大臣として今の現状についてどのような問題意識をお持ちになられているのか、このことについてまずお伺いしたいと思います。

#100
○国務大臣(上川陽子君) 在留外国人の方々につきましては、この新型コロナウイルス感染症の影響を受けて企業やアルバイト先等から解雇をされ職を失うなど、生活に困難を抱える事態が発生しているということについては認識をしているところでございます。
 法務省におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により生活に困難を抱えているそうした在留外国人の方々に対しましては、外国人在留支援センター、FRESCに設置いたしました、これも多言語、また無料のヘルプデスクにおきまして、在留資格に係る手続、また御指摘のような労働問題を始めとする相談に電話で対応しているところでございます。
 令和二年九月一日から運営を開始したところでございますが、今年に入りまして二月末までの半年間ということでその相談の件数を取ってみますと、二千四百件の御相談を受けている状況でございます。例えば、相談内容といたしましては、会社の都合の解雇であるにもかかわらず自己都合退職願を出すように求められているでありますとか、また、内定をもらっていた会社から業績悪化のために内定の取消しとの連絡があったと、こうした相談が寄せられているところでございます。
 こうして、東京労働局や法テラス等の、同じFRESCの施設の中に東京労働局や法テラス等のブースもございまして、そちらとそれぞれ連携を取りながら、その御相談のニーズに応じて、適宜よく連携をしながら回答して対応しているという状況でございます。
 このような対策につきましては、さらに地方自治体との関係性ということ、連携ということは極めて重要であるというふうに認識しておりまして、地方公共団体におきましても様々な相談が来るわけでございますので、この一元的な相談窓口での対応に対して、この外国人の、そのFRESCの方におきましても、その地方自治体の窓口の対応力を向上させるための様々な情報を随時提供をさせて協力させていただいている状況でございます。
 こうした、日本全体で、様々な関わりのある方たちあるいは機関、そういったところと連携をよく取って、スムーズにこうした相談が的確に解決に導くことができるようにあらゆるリソースを総動員していく必要があるということが、この間の取組の中で強く感じたところでございます。

#101
○川合孝典君 ありがとうございます。
 今大臣から御説明いただいた中で、是非ちょっと知っておいていただきたいなと思うことがあるので指摘させてもらいたいんですが、電話等で相談を受け付けているということなんですけど、今回いろいろ調査してみて分かったのが、この外国人向けの相談の窓口を設置して、ホームページですよね、つまりはパソコンで見るということなんですが、ホームページに要は紹介しただけでは全く反応がなかったんです。それが、フェイスブックのメッセンジャーで専用の窓口を告知したところ相談が入り始めた。
 つまり、これ何を意味しているかというと、その後、いろんな方々と話させていただく中で明らかになったのは、在留外国人の方は情報を取るのにパソコンや電話は使っていないということなんです。つまりは、スマホを使って、それでやり取りをしていて、かつSIMの入っていない要はスマホで、WiFi環境の整った場所でだけやり取りをしている。お金が掛かりますからね。したがって、電話だと、実はそういう弱い立場、経済的に追い詰められた立場の在留外国人の方は相談にそもそもアクセスできないという事実があると。
 したがって、ここにどう対応するのかということ、これをやるだけでも相当相談がしやすくなると思いますので、これすぐやっていただきたいんですけど、いかがでしょうか。

#102
○政府参考人(松本裕君) お答えいたします。
 御指摘ありがとうございます。必ずしも先生の御指摘にマッチングするものかどうかというところがございますが、出入国在留管理庁におきましては、三月九日から事前に登録をした方に入管庁から積極的にその御関心のある項目についてメール配信を行うサービスを始めておるところでございます。これらは、在留外国人はもとより、例えば技能実習でありますと監理団体とか等も対象としているところでございまして、今その内容の充実化を図ろうとしているところでございます。
 そのような取組の中で、先生御指摘のパソコン等あるいは電話を使えない方々がいるということを念頭に置いて対応したいと思っております。

#103
○川合孝典君 考えられることをどんどん進めていただいていることを大変感謝を申し上げたいと思いますが。
 そうですね、ちょっとその辺のところも含めて、この後の質問で幾つか確認させていただきたいんですが、今監理団体の話が出ましたんで、お手元お配りさせていただいたこのアンケートの資料の事例の一、二辺りをちょっと見ていただけるといいんですが。
 この事例の一は解雇事例、事例の二つ目は賃金の減額の事例ということなんですが、この事例、時間がありますので私読みませんけれども、読んでいただくとお分かりいただけるのは、そもそもこれ監理団体がきちんと対応していれば解決できる課題ばっかりなんですよね。監理団体が本来の役割を果たしていないことによって、要は技能実習生の方々が正しい情報にアクセスできなくて、若しくは正しく自らの権利を主張することができなくて、結果的に実習先企業の言うがままに要は追い詰められていってしまっているという、そういう状況が明らかになってきております。
 改めてなんですが、この監理団体には、当然のことながら研修を実施すること、それから研修実施者に対する検査や訪問指導、さらには実習生に対する定期的な訪問面談、こういうものが義務付けられていると思うんですけれども、そうしたことについて法務省さんではどのように把握をしていらっしゃるのか、このことをお教えいただきたい。

#104
○政府参考人(松本裕君) お答えいたします。
 委員御指摘のように、監理団体は、技能実習法に基づきまして、認定された計画に従って入国後講習を実施すること、三月に一回以上の頻度で実習実施者に対する監査を実施し、技能実習生と面談をすること、技能実習生からの相談に言語面を含めて適切に応ずるとともに、助言、指導その他必要な措置を講ずることなどが義務付けられているところでございます。
 これらの対応につきましては、外国人技能実習機構におきまして、監理団体からの監査報告書による報告や監理団体に対する実地検査時における帳簿等の閲覧等により適切に行われているかどうか確認しているところでございます。
 また、確認の結果、監理団体が監理事業を適切に実施しているとは認められない事案があれば、その内容に応じて監理許可の取消しや改善命令等を含めた行政処分を行っているところでございます。

#105
○川合孝典君 ということなんですよね。例えば帳簿を閲覧して問題がどの程度分かるのか。書いているのも監理団体ですからね。報告も当然、監理団体側から監理団体の目線で見たものを報告するということになるわけであります。したがって、そこに何が起こるのかということについては、まあ口にまではしませんけれども、御想像いただけると思います。
 大臣に是非聞いていただきたいのは、監理団体自体が非営利の団体ということではありますけど、実際問題として、実習先の企業から一人当たり一定の手数料が入る仕組みで運営されておるわけであります。ビジネスパートナーなんです、これ。その関係にあるということは、つまりは非営利ということにはなっておりますが実質的営利団体ということで、そこには利害関係が生じているということであった場合、そのことを前提としたときに、いわゆる実習先企業にとって都合の悪い情報というものを果たしてつまびらかに開示しているのかということ、まあ疑って掛かるわけではないですけど、結局、そこにニュートラルに情報が開示されているのかということについては、これ極めて枠組みのそもそもの問題として指摘されなければいけないと私は実は思っているんです。
 したがって、大臣に是非御認識をお伺いしたいんですけど、その監理団体に対して様々検査に入るとか報告書を出させるとかということとは別に、実際どういう説明を受けてどういう環境で技能実習生の方が、在留外国人の方が働いていらっしゃるのかということを本人が報告をするという枠組みというものはつくれないんですかね。
 要は、隠蔽につながるようなこと、隠蔽ありきという話は決してしたくはありませんけれども、技能実習生に定期的に、今どういう状況で仕事をしているのかということ、報告を義務付けるような枠組みというものを考えてもいいんじゃないのかと実は私感じておるんですけど、この点について、大臣、御認識を是非伺わせていただきたいと思います。
 これは大臣だと思いますよ。政治判断ということですから。

#106
○国務大臣(上川陽子君) 技能実習生の方々が実際に働いている現場に係る状況の中で、そうしたことについてオープンにする機会というのはなかなか中でない場合には、そうした監理団体、あるいは直接国の方でも様々な機関等連携をしておりますので、率直に申し出て、御意見というか状況を御報告いただけるような仕組みについては、ちょっと検討に値するのではないかと思っております。
 今の現状の運用の実績は絶えずフォローしているわけでありますが、そういう中にありまして、検査が十分に行き届かないケース、そして撤退しなければいけないケースも少ないわけでありますが出てきていますので、そういったことも踏まえて、また今の御意見、参考にさせていただきたいと思います。

#107
○川合孝典君 是非前向きに検討していただきたいと思います。
 私、この制度自体が運用され始めている以上は、これが悪いということではなくて、この制度で実際に技能実習生の方を受け入れることで大切な企業の戦力として働いていらっしゃる企業だってあるわけです。真面目にきちんと監理をして、適正に運営されている監理団体さんがほとんどだと思うんです。であるがゆえに、一部のそういう技能実習制度の趣旨を逸脱した若しくは無視した形での運営を行っている監理団体や受入先企業は、やっぱりそれに対しては厳しく対処をされないと本来の法の制度の趣旨が要はゆがめられてしまうというそういう問題意識で申し上げているんだということを是非御理解いただいた上で御対応いただければと思います。
 この件については、もう一点、時間なくなってきたのでちょっとはしょりますが、お手元の資料の事例四のところ、労働契約と実態の乖離という資料を付けさせていただいていますので、ちょっと御覧いただきたいと思います。
 実際のその雇用契約と要は受け取っている賃金との間でかなり差が出ているということでありまして、これについては実は二枚ぺらをもう一個資料で付けさせていただいておりますが、この技能実習生の方はビルクリーニングをしていらっしゃる変形労働時間で働いていらっしゃる方でありまして、本人の承諾も得て、ちょっと、名前は消しましたけど、引き伸ばしてみました。
 これ御覧いただきますと、この拡大版という、多分ミャンマー語だと思うんですけど、これで始業時間と終業時間はきちんと書かれている、変形労働時間制であるということは書かれている。で、一年の総所定労働時間が下の四のところに一年間二百七十二日と書いてあって、そして年間総所定労働時間が二千四十時間、ここまで書かれているんですね。
 で、一枚めくっていただきますと、賃金の計算です。これはなかなかすごくて、時間給で時給八百五十円と書かれていて、時給八百五十円掛ける一年間の二千四十時間、これを十二で割った金額が月給として十四万四千五百円と、こう記載されている。これだけです。
 結果、この方の相談の内容を見てみると、実際七時間半所定内労働時間で働けると言われているけど移動時間はその勤務時間に入らないということで、結果的に手取り六万円ぐらいですという、こういう話なんですよ。
 このこと自体がどういう契約が実際に本人と監理団体若しくは受入先、実習先企業の間でなされているのかということについては確認しなければいけないんですが、こういうことが現実に起こっていて、そのことをチェックし切れていないという事実があるということ、こういう問題が起こらないようにするために一体何をしなければいけないのかということを考えていただきたい。
 出入国在留管理庁は是非それを、まず取組をどう進めるのかということについて御検討いただいて、ある程度方向性が出たところでまた是非意見交換をさせていただきたいと思います。
 それと、同じこの事例四のところですけれども、私自身、この問題をいろいろ精査していてふと気が、はたと気が付いたことがあります。四ページの上から五行目、対応というところなんですけど、技能実習一号は基本的に実習先を変えることができないことをこの当事者の方に説明した云々と書かれているんですが、その後、OTITに母国語相談してみなさいと言ったところ、OTITに相談したところ、母国語相談はあくまでも相談窓口であると、人権侵害や暴力等には対応するが、労働時間や労働契約については労働基準監督署に相談してくださいと、こう言われたと。
 労働基準監督署に母国語相談窓口はあるんでしょうか。ということなんですよ。そもそもの役割が何なのかということについて、こういうことが起こるから問題が結局どんどん深刻化していくということであって、こういうところにも問題があると思います。
 ただ、これOTITさんだけの問題ではなくて、このいわゆる在留外国人、外国人技能実習制度もそうですが、在留外国人の出入国等に係る管理は法務省さんがやっていらっしゃいますけど、実際働いていらっしゃる方を管理する技能実習制度は厚生労働大臣ですからね。ここに実は見えない壁がありまして、デリケートな部分についてお互いが踏み込んできちんと管理責任を負い切れていない部分があるということなんです。
 だから、この質問をやるときにもいつも言われるのが、外国人技能実習生というと、法務省さんに質問するとそれは厚生労働省さんでと、こう来るんですよね。何かかみ合わないと。在留外国人といえば法務省ですねと、こう来るわけですよ。
 この問題をどうきちっと解決して、いわゆるそのワンストップで今困っていらっしゃる在留外国人の方々、外国人技能実習生の方々に対応できるものをつくらなかったら、この問題、より一層深刻化すると思います。
 で、申し訳ございません、大臣、御答弁いただかなくて結構ですので、お願いしたいのは、是非、田村厚生労働大臣ともこの問題についてすり合わせを行っていただいた上で、要はワンストップのサービス窓口、相談窓口をつくるのか、若しくは監理団体に対してどう対応を行っていくのかといったようなことも含めて、一度ちょっと整理をしていただけないかということであります。これはお願いということで申し上げておきたいと思います。
 時間がなくなってまいりましたので、あと一点ほど質問させていただきたいと思います。
 大臣の御認識伺いたいと思うんですが、技能実習生が日本に来るに当たって、送り出し機関から多額の手数料を取られていると、多額の借金抱えて来ているという話がよく言われております。おおむねベトナムで年収二十四万円ぐらいが標準だと言われていますが、相談者の方々、大体八十万から百万ぐらい借金を抱えて来られている。
 日本人の感覚でいくとポルシェ一台分ぐらい借金抱えて来ているという、こういう感じになるわけでありますが、そういう、その本来決められている手数料があるにも、それを大きく上回る法外な手数料を取って、それで日本に受け入れているというこの問題に関して、大臣はどう御認識されているのかということを是非お聞かせいただきたい。これ最後にしたいと思います。

#108
○国務大臣(上川陽子君) この我が国への技能実習生への送り出しに関しまして、多額の借金を抱えたまま来日するケース、こういったことについて、一部存在するということは承知をしております。不当に高額な手数料を徴収するなどの不適正な行為を行う送り出し機関等につきましては、確実にこの制度の枠組みから排除しなければいけないという認識を持っているところでございます。
 この技能実習制度につきまして、今十四か国との間でしっかりと二国間協定の取決めを行ってきておりまして、まさにこの今の不適正な送り出し機関等の把握、こうした場合には、その枠組みを通じて相手国に通報をいたして、当該国の政府による調査、指導、また送り出し機関の認定の取消し等の対応を求めているところでございます。
 外国人の技能実習機構におきましての技能実習計画の審査におきましても、技能実習生本人が徴収費用等について理解をしているかどうかということについても十分重要な視点でございまして、また、不当に高額な手数料等の徴収等がないか、こういったことについても御本人に確認をしているところでございます。さらに、外国人の技能実習機構が実地検査を行う場合におきましては、技能実習生と面談をさせていただきまして、不適正な事例を把握した場合には事案に応じまして相手国政府への通報をしている状況でございます。
 また、日本側として、送り出し機関への対応といたしまして、失踪率の高い送り出し機関からの新規の技能実習生の受入れにつきまして一定期間停止する措置なども講ずる予定としているところでございます。
 相手国のいる状況の中でこの制度を適正に運用するということにつきましては、二国間の関係の中の当初の取組、また様々な措置を講じながら実際に把握をした場合には、それが適切に、先ほど申し上げたように排除することができる仕組みにはなっておりますので、それが実際に運用をされるか、されているかどうか、こういったことも含めまして絶えず検証しながら、より良い制度になるように努力してまいりたいというふうに考えております。

#109
○川合孝典君 これで終わらせていただきたいと思いますけれども、送り出し機関の中にそもそもお金稼ぐためのブローカーさんが介在しているというお話もあります。二国間の協定に基づくものということは重々承知いたしておりますが、こうしたことが起こらないということを前提とした、起こらないような形での二国間協定をどう結ぶのかということが問われているということでありますので、そのことを指摘させていただきまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

#110
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
 初めに、NTTによる接待問題について伺います。
 上川大臣も総務副大臣時代にNTTの接待を受けたと報じられております。いつ、どなたと、そして何を話をされたのか、また費用負担はどうだったのか、御答弁いただけますか。

#111
○国務大臣(上川陽子君) ただいまの御質問でございますが、個別の事案の一つ一つにお答えするのは差し控えさせていただきたいと思います。
 私自身、大臣規範にのっとりまして、自分を律しながら職務に精励していくと、こういう姿勢で臨んできましたし、現在も法務大臣としてそういう姿勢で臨んでおります。

#112
○山添拓君 個別のことにはお答えにならないということなんですけれども、個別の会食などが大臣規範にのっとっているかどうかというのはその事実関係に照らして判断されるべきものだと思うんです。御自身で反しないものだと判断できるものではないと思うんです。
 刑法の贈収賄罪は、職務に関して賄賂を受け取ったり贈ったりする行為を処罰の対象としています。これは、現に行政をゆがめていなくても職務の公正性に対する国民の信頼を損ねるからであります。大臣規範は職務上の依頼の有無にかかわらず供応接待を禁じるものですが、趣旨は同じであろうと思います。
 大臣に改めて伺いますが、関係業者との会食の存在自体が疑惑を招き得る、だから禁じられているのだと、そういう認識は、大臣、お持ちですか。

#113
○国務大臣(上川陽子君) 先ほど委員の方から、この問題のスタートに当たりまして特定の企業の名前を指摘されたところでございます。
 私自身、大臣規範にのっとりまして、規律をしっかり守りながら適正に仕事をしてまいりましたので、その意味では今のようなお答えをさせていただいておりますし、また、今法務大臣としても、大臣規範にのっとりまして、しっかりと自分を律しながら緊張感の中で対応をしているという状況でございます。

#114
○山添拓君 いや、それはお答えいただいていなくて、一般論として、大臣規範に言うのは、関係業者との会食の存在自体が疑惑を招き得るのだと、だから禁止しようということになっている、それはそのとおりではないですか。

#115
○国務大臣(上川陽子君) 大臣規範の趣旨に抵触するかどうかという御質問だというふうに思いますが、個々の事案等も踏まえまして総合的に勘案をし、自ら適切に判断して対応していくべきものというふうに考えております。
 その意味で、私自身、大臣規範にのっとりまして、自らを律し、そして職務に精励をしていくと、こういう姿勢で臨んでおりますし、これからもそういう姿勢で臨んでまいりたいというふうに考えております。

#116
○山添拓君 今の御答弁で納得いく方はほとんどいらっしゃらないと思うんですよ。全容解明の意思があるのかどうかが問われていると思います。現職閣僚であればなおさらのことだと思うんです。個々の事案について是非明らかにしていただきたいと、今日はその指摘にとどめたいと思います。
 東京出入国在留管理局、東京入管で発生した新型コロナのクラスターについて伺います。
 男性の被収容者百五名のうち五十八人の陽性が確認され、職員六人と合わせて合計六十四人、大クラスターとなりました。経過について気になることがございます。
 入管庁の発表では、二月十五日に男性職員一名、男性の被収容者四名のPCR検査陽性が発覚したのが最初だとされております。しかし、例えば毎日新聞では、中東出身のある男性が一月末に喉の痛みを感じ、二月十一日には食事の味がしなくなった、コロナかもしれないと職員に伝えたが大丈夫だと言い、深刻に受け止めてもらえなかったと報じております。
 私が伺った支援団体の皆さんから寄せられた別の方に関しては、二月八日に発熱があり、診療を求め、十一日には食事も取れない状態だったけれども、十五日まで何もされず、十七日に陽性となったと。
 最初の感染判明より前から感染が疑われる症状を訴えている被収容者がいたのではありませんか。

#117
○政府参考人(松本裕君) お答え申し上げます。
 委員御指摘の報道は当方も承知しているところでございます。ただ、それを踏まえて、その東京入管で収容しているどなたなのかというところの特定が至っていない、あるいはどのようなことを主張されているのかというところについて当方として把握できていないというのが正直な現状でございます。
 その上で、東京出入国在留管理局におきましては、本庁も含めて作成して累次改定しております感染症対策マニュアルに基づいて対応を取ってきたところでございまして、この点は東京出入国在留管理局においても同様であると承知しております。
 そのような中、御指摘のような体調不良者の訴えに適切に対応しなかった事案につきまして、当庁として具体的に把握している状況にはないというところでございます。
 ただ、いずれにいたしましても、このような大量の感染者が発生したことは非常に重く受け止めておりまして、改めるべきところは改めたいと思っておるところでございます。

#118
○山添拓君 一か月たってまだ把握ができていないということ自体が深刻だと思うんです。
 私が紹介しました二人目の例の方は、昨年十二月に二度検査を受けて手術が必要だと言われていたそうです。ところが一月末に、申請していた仮放免が不許可となりました。この方は内臓の病気があるのに仮放免ではなくコロナをもらった、信じられないと、こういうお話だということであります。ふだんから被収容者の命が軽んじられる中で、入管当局への信頼が揺らぐ事態が広がっております。
 別のある方は、八月に続いて二度目の感染となりました。五十代の方です。別のブロックに移すと言われたんですが、移すけれども治療はしないんだと、こう言われたので移るのを拒んでいると職員から胸を殴られた、制圧で取り押さえるというだけではなく、いきなり暴行だったというんですね。
 こういう事案は承知していますか。

#119
○政府参考人(松本裕君) 委員御指摘の事案については、当庁としては把握しておりません。

#120
○山添拓君 ビデオで録画していたという証言がありますので、是非御確認いただきたいと思います。
 十五日に最初の陽性者が確認された後、十七日にかけてPCR検査が行われ、三十九名の陽性が確認されました。この最初の時点で濃厚接触者だと判定された方もいたはずです。ところが、二人から四人が同じ空間で暮らす共同室のままのブロックが多かったといいます。その結果、二十四日の検査では更に十六名、翌週には三名、新たに感染が判明しております。三人部屋で、最初は一人陽性だったと、ところが、その後二人が順次陽性になった、そういう区画もあったといいます。
 支援団体に寄せられた情報では、陰性の人の、陰性だとなった人の部屋に来る職員に、防護服を着ている人と着ていない人がいたというんですね。つまり、陽性者のブロックに入った職員がそのまま陰性者の部屋にも入っていたのではないかと、ゾーニングができていなかった可能性が指摘されています。陰性だった人を同じ部屋に雑居でとどめたのは、これは感染症対策として妥当とは言えなかったんではありませんか。

#121
○政府参考人(松本裕君) お答えいたします。
 東京出入国管理局におきまして陽性の感染者が判明して以降、感染が判明した被収容者を専用区域に分離することを含めまして、感染拡大を防止するための収容の方法につきまして、収容施設の現状等々を踏まえて保健所に個別具体的な相談をし、その指導を受けながら対応してきたところでございます。
 その点、検査結果が陰性でありました被収容者につきましては、可能な限り個室で収容するという方針の下、臨んでおりまして、ただ、この点、居室を移すことに伴う感染を避ける必要性があったり、あるいは居室を移すことに関する被収容者の心情その他処遇上の観点等を考慮しながら個室での収容を進めたところでございます。
 現状におきましては、継続して保健所の指導を受けながら、検査結果が陽性となった者の一部を共同室に収容しておりますが、検査結果が陰性の者、これは陽性となったことがない者につきましては、いずれも個室において収容しているところでございます。

#122
○山添拓君 保健所の指導とおっしゃるんですけれども、保健所は雑居のままでよいと推奨したわけではないですよね、今うなずいておられますけれども。ほかの雑居部屋に移すなということであって、個室に移すことは可能であり必要でもあったと思うんです。
 施設の現状を踏まえというお話がありました。しかし、例えば刑務所では、受刑者に陽性者が出た場合にはゾーニングを行っています。感染の可能性がある受刑者は原則として個室に移す、個室が足りない場合は別の刑務所に移すなどして単独処遇を確保していると伺います。
 つまり、個室が原則なんですよ。入管は刑務所以下なんですか。

#123
○政府参考人(松本裕君) お答えいたします。
 入管の収容施設と矯正の収容施設、収容の在り方そのものが本質的に異なっております。その上で、我々も東京出入国管理局の収容施設におきまして、それぞれ収容ゾーンがございますが、その中で感染者が出た区域と出ていない区域というものを区分けして、それはもう初期の頃からゾーニングを実施しております。
 御指摘は、感染者が出たその収容棟、これは区画でございますが、その中でより単独、個室の対応が適切であったのではないかという御指摘と認識しておりますが、そこも……(発言する者あり)あっ、違いますか。その中で、その施設のその区分、区割り等々を踏まえて可能な限り対応してきたという認識でおるところでございます。

#124
○山添拓君 今私が指摘したのは、陰性だった人もです。つまり、濃厚接触者の可能性がありますので、陰性だと一旦検査でなっても感染させる可能性がある方がいる可能性がありますし、実際いたわけです。そうした人について個室に移すことができなかったのは、これは個室が少ない施設の都合の問題だと思うんです。しかし、そうなることが分かっていたからこそ、この間入管では仮処分を増やす対応を取ってきていたはずです。
 やはり東京入管で、施設のそういう現状があるにもかかわらず、限界があるにもかかわらず、百人規模での収容を続けてきたと、そのこと自体が問題だったのではありませんか。そういう認識はおありですか。

#125
○政府参考人(松本裕君) お答えいたします。
 委員御指摘のように、コロナ禍の下、仮放免の活用等により収容の人数を減らすという取組を進めていた、これは事実でございます。ただ、やはり退去強制手続に掛かっている者につきまして、収容が必要な者については必要を維持する、その中でコロナに適切に対応しないといけないというのが我々のミッションだというふうに認識しておるところでございます。
 そういう中で、この施設において集団感染が発生したことは非常に重く受け止めておりますが、我々といたしましては、限られた施設の構造の中で必要な対応は取ってきておりましたし、御指摘のその、例えば女子の収容者につきましては全員陰性ということが確認されましたので別の収容施設に移すなどの措置も継続してとってきたところでございます。

#126
○山添拓君 退去強制だから収容が原則でいいのかということが根本的には大きな問題としてあります。この点については改めて議論をさせていただきたいと思っていますが、外国人に対する、こうして、その非正規滞在だということで収容して構わない、私の受け止めでは刑務所以下の扱いをする、そういう言わば差別的な認識を前提に非正規滞在者を人権の主体として扱わない、そうした姿勢が裁判でも厳しく批判されております。
 次は大臣に伺いますが、名古屋高裁の二〇二一年一月十三日の判決は、難民不認定処分を争っていた南アジア出身の男性が、処分の告知をされた直後に手錠をはめられ、翌日チャーター便で強制送還されたと、これは裁判を受ける権利を侵害されたと争った事件であります。難民審査が却下されて、提訴するかどうかの検討をするいとまも与えずに送還してしまったというものです。
 判決は、司法審査を受ける権利を実質的に奪ったとして、入管職員の行為を違法として国家賠償請求を認めました。この判決は国が上告せずに確定しております。
 司法審査を受ける機会を保障しないという運用は誤りですね。

#127
○政府参考人(松本裕君) 私からお答えしたいと思います。
 まず、委員御指摘の判決の対象となった個別事案の事実関係等々にわたる事項でございますので、お答えを差し控えさせたいと思っておるところでございます。
 ただ、今回の判決内容を踏まえまして、収容について、あるいは退去強制手続につきまして改めるべき点は改め、適正な職務の執行に引き続き努めてまいりたいと思っておるところでございます。

#128
○山添拓君 では、答弁に立たれたので次長に伺いますけれども、UNHCR、国連難民高等弁務官事務所の難民認定基準ハンドブックがあります。駐日事務所もこれを翻訳しております。そこには、申請者が難民とは認定されなかったときは、司法機関に不服を申し立てることができる合理的な期間を与えられなければならないとあります。
 このとおりに運用していれば避けられた事態だと思います。誤った運用だったということではありませんか。

#129
○政府参考人(松本裕君) お答えいたします。
 具体的な事案についてのコメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、先ほども申し上げましたように、御指摘の判決も踏まえまして、送還の実施に係る過程で対象者に対する手続上の教示、告知を適切に行うこととか、こうした教示、告知に際しましては、対象者が訴訟の提起や弁護士との連絡を希望した場合には速やかにそのための機会を与えることなど、対象者の権利や手続の適正に十分な配慮を行うよう、より一層改めてまいりたいと思っておるところでございます。

#130
○山添拓君 合理的な期間が必要だという点についてはいかがですか。

#131
○政府参考人(松本裕君) その手続、対象者の権利や手続の適正の配慮の中で適正に対応していきたいと思っておるところでございます。

#132
○山添拓君 そもそも難民認定がほとんどされない下で、司法の場で争う機会の保障は最低限必要であります。
 今国会に提出されている入管難民法改定案は、三回以上の難民申請者は、もう裁判どころか、行政の手続中でも強制送還を可能とするものとなっていますが、もってのほかだと思います。難民認定の在り方こそ見直すべきだと指摘したいと思います。
 仮放免の制度がありますが、収容中に仮放免をする、一時的にですね、こういう仮放免が認められても、その間就労が禁止され、居住している都道府県からの移動が禁止されるなど、厳しい行動制限が課せられます。
 私は、先日、NPOアデイアベバ・エチオピア協会の方からお話を伺いました。エチオピアでは二〇一八年に政権交代があり、それ以後、前の政権につながる人が次々逮捕されているといいます。在日エチオピア大使館で外交官の下で働いていた人も多くが難民申請を余儀なくされました。しかし、実際に迫害を受けたわけじゃないと、あるいは反政府運動のリーダーではないと、そういう理由で認められずに申請が長期化している方もいます。
 難民申請中で仮放免中の人は就労が認められておりません。そこで、別の就労資格のある人が限られた収入でこれを支えているわけですが、コロナで仕事が減って、支える側も苦しくなっています。肉や野菜、マスクや生理用品などが足りずに、健康状態も心配だとお話しでした。
 厚労省に伺います。
 こうした非正規滞在の外国人、医療保険の適用はなく、住民基本台帳にも登録されておりません。ワクチンの接種は受けられるんでしょうか。

#133
○政府参考人(大坪寛子君) お答え申し上げます。
 今お尋ねの新型コロナのワクチン接種でございますが、基本的には、原則、住民基本台帳、これに記録されている方を対象にしまして、住民票所在地の市町村が実施主体となってワクチン接種をすることを想定をしております。ただ、この点におきましては国籍要件を設けておりませんで、在留の外国人の方につきましても同様、原則として接種の対象とすることにしております。
 今お尋ねのありました不法滞在者の取扱いでございますけれど、現在、関係省庁と調整中ではございますが、例えば仮放免中の方で地域に居住の実態がある場合、この場合には、自治体に対して申請をしていただくことで接種の機会を得られるというふうな方向で検討しております。

#134
○山添拓君 接種を受けられるということで、是非、広く受けられる体制を取っていただきたいと思うのですが、それはつまり、コロナというのは、もちろん国籍を問わず、もとより正規滞在なのか非正規滞在なのかを問わず、リスクがあるわけです。この国に暮らしている人である以上、感染拡大防止のための必要な支援は行うべきだという趣旨であろうと思います。
 コロナ禍で、日本人や在留資格のある外国人の場合には、生活に困窮した場合、緊急小口資金や住居確保給付金など特例的な措置も様々行われております。生活保護を申請するケースもあろうかと思います。
 厚労省にこれも伺いたいと思いますが、非正規滞在の外国人の場合にこうした制度は使えるのでしょうか。使えないとすれば、その理由は何ですか。

#135
○政府参考人(岩井勝弘君) お答え申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少し生活が困窮される方々に対しては、緊急小口資金等の特例貸付けや住宅確保給付金など、重層的なセーフティーネットによる支援を行っております。
 この緊急小口資金等の特例貸付けや住宅確保給付金においてはいわゆる国籍条項を設けず、外国籍の方がおられる世帯であっても、適切な在留資格を有し、日本人と同様に要件に該当する場合は支援を行っているところでございます。
 御指摘の仮放免等、在留資格を有さず適法に在留していない方への支援の在り方については、まずは出入国や在留資格を適切に管理するための施策の必要性等の関連において検討されるべきものと承知しております。

#136
○山添拓君 ちょっとはっきりしないんですけれども、要するに非正規滞在、仮放免中の方などの場合には、通常はそうした支援は受けられない状態ではないですか。

#137
○政府参考人(岩井勝弘君) 今御指摘ございましたように、仮放免等、在留資格を有さず適法に在留していない方に対しては、先ほど申し上げました緊急小口資金等の特例貸付け等の対象とはならないと考えております。

#138
○山添拓君 その理由については御説明いただけますか。

#139
○政府参考人(岩井勝弘君) 先ほど申し上げました緊急小口資金等の特例貸付けでございますが、これは生活困窮者の自立を支援する制度でございます。
 我が国におきまして就労等を通じまして自立することを支援するという趣旨でございまして、先ほどおっしゃいました仮放免等の方については、我が国においてそういう自立を支援するということ、自立という生活をされるということを想定しておりませんので、制度の対象とならないものでございます。

#140
○山添拓君 就労できないことが前提となっているからです。
 様々な相談支援活動の現場でも、こうした外国人に対して支援の手だてがないということが極めて高いハードルになっています。もう、支援している方に伺うと、現金を渡すぐらいしかやれることがないと。しかし、幾らか渡したところで、これは焼け石に水です。支援する側の財政ももちません。仮放免中の就労制限や行動制限が大きな要因となっています。コロナ禍で支援を必要とするのに、国籍は関係ないはずです。生活困窮に陥らないような対策が必要ではないかと考えますが、法務大臣、いかがですか。

#141
○政府参考人(松本裕君) 御指摘の仮放免につきましては、退去強制手続において収容されている者について、諸般の事情を総合的に考慮し、一時的に収容を解く制度でございます。
 その上で、在留資格を有しない仮放免者について就労等を認めることにつきましては、在留資格制度を採用し、かつ在留資格を有しない者の就労を一定の要件で許容する制度が存在しない現行入管法の下では困難であり、仮放免中の生計につきましては本人の資産や保証人や家族等の支援によって支えることが想定されているというのが現状でございます。

#142
○山添拓君 大臣、所信の挨拶で、外国人との共生社会の実現のために孤立させることなく地域のコミュニティーを構成する一員として受け入れていくと述べられました。いかがですか。

#143
○国務大臣(上川陽子君) 退去強制処分を受けて仮放免中の外国人の方々につきましては、処分に従って早期に帰国をしていただくということが何より重要であると考えております。
 しかし、コロナ禍におきまして、仮放免中の外国人の方々が航空便の停止、減便等によりまして帰国困難となる事案が多くなってきたということでございまして、こういう状況下の中で、関係省庁と連携を重ねながら関係国と調整をして、国費におきましての送還の積極的な実施など、こうした外国人の方々が速やかに帰国をするための力を尽くしてまいってきたところでございます。
 また、出入国管理庁におきましては、仮放免中の外国人の方々が生活に困窮しているという場合につきましては、所轄の地方入管局、入管の方に御連絡をいただき、帰国の支援を含めまして、個別にきめ細やかな対応を行うということにしております。
 なお、仮放免中の外国人の方々が、入管当局が仮放免を許可するときにその外国人の方々の意向というのを確認をしておりまして、希望がございましたならば入管当局からその居住地等の当該市町村に通知をしていく、こういう制度になっている状況でございまして、その市町村におきまして提供可能な行政サービスにつきましては適切に対応しているものというふうに考えております。

#144
○委員長(山本香苗君) 時間が来ておりますので、おまとめください。

#145
○山添拓君 是非、十分対策を取っていただきたいと思います。
 終わります。

#146
○高良鉄美君 沖縄の風の高良鉄美です。
 昨年十一月に上川大臣に質問ができませんでしたので、今日が初質問となります。どうぞよろしくお願いいたします。
 今年三月十一日、東日本大震災から十年を迎えました。被災した方々の御苦労は想像を絶するものだったと思います。被災者の中には、十年たっても心の傷が癒えない、復興復興と言われるたびに置き去りにされたような気持ちになる、あるいは、被災地を理解しない方に寄り添うと言われるとかえって傷つくという方もいらっしゃいました。
 翻って、安倍政権下、あるいはさらに菅政権下では、沖縄県民の心に寄り添うといいながら沖縄県民の苦悩に背を向け続けました。辺野古新基地建設の埋立てに遺骨が交じった土砂が使われたのではないかという危機感を持った沖縄戦の遺骨収集ボランティアのガマフヤー、いわゆる自然ごうを掘る人ですけれども、この代表の具志堅隆松さんは、慰霊の地から採取した土砂を新基地建設に使うのは死者への冒涜だとして、ハンガーストライキで抵抗しました。
 この遺骨が交じった土砂というのは、沖縄戦の犠牲者ということですから、沖縄県民だけじゃないんですね。日本全国の当時沖縄戦に参加した日本兵、さらには米兵もいるんですよ。そういう土砂を辺野古の新基地建設に使うということは、これは人倫に反するんじゃないか、こういう思いがあって、言葉は誠実でも行動が不誠実で、言葉に見合うものでない場合には信頼を得ることができないということを申し上げて、質問に入ります。
 まず、上川大臣は所信の冒頭で、法の支配の貫徹された社会、そして、多様性と包摂性のある誰一人取り残さない社会の実現を目指すと述べられました。上川大臣の法の支配についての御認識をお示しください。

#147
○国務大臣(上川陽子君) ただいま委員から法の支配の意義という形で、私の所信で述べさせていただいた引用をしていただいて御質問をいただきました。
 この法の支配の意義といった御質問をいただきますと、私自身が最初に法務大臣として、この法務委員会におきまして座っていらっしゃいました、当時江田五月議員から全く同じ御質問をいただいたときの身の引き締まる思いに、また思い出すところでございます。
 江田議員におかれましては、留学をされていらっしゃいまして、イギリスでございます、ルール・オブ・ロー、ルール・オブ・ロー、これを日本語に翻訳をした概念として法の支配ということをおっしゃっておられました。このルール・オブ・ローは、イギリスにおきましては、裁判所の前では王様も国民も対等であるということを意味するんだということをおっしゃっていたことを思い出すわけでございます。
 私は、広く法というものの重要性、これが社会に浸透していることが重要であるというふうに考えております。法の支配とは、元々、専断的な国家権力の支配、人の支配でありますが、を排斥し、権力を法で拘束することによりまして国民の権利、自由を擁護するということを目的とする原理であるというふうに認識をしております。現在、この法の支配の内容として重要なものは、憲法の最高法規性の概念、また権力によって侵されない個人の人権、また法の内容、手続の公正を要求する適正手続、デュー・プロセス・オブ・ローということでありますが、さらに権力の恣意的行使をコントロールする裁判所の役割に対する尊重などと考えられているところでございます。
 私は、このような法の支配の内容が浸透している社会が法の支配の貫徹された社会ということであるというふうに考えておりまして、それを目指して法務大臣としての職責をしっかりと果たすべく努力をしてまいりたいと、こう思っております。

#148
○高良鉄美君 ありがとうございました。
 今大臣が言われた、やはり人権とか公正とか、あるいは適正手続といった非常に広い概念であるということは、森まさこ大臣時代にそういうようなお答えもありました。これ、やはり憲法の最高法規性を含めて、かなり意識してもらわないといけないと、いろんなものを、立法の際にですね、そういうことを少し申し上げて、次の質問へ移ります。
 三月十三日の朝日新聞の朝刊に家庭裁判所の記事が掲載されています。記事の中で、少年犯罪を防ぐのは厳罰主義ではない、事件の深層を探り少年を立ち直らせることだと記載されていました。それが、家庭裁判所のできた経緯がまさにそれだったわけですね。そして、震災のときに震災孤児が出たんです。その方たちに一番寄り添って、本当に相談を受けながら助けをした、あるいはその親を探すためにどうしたらいいのかとか、あるいは引取りをどうするのかとか、そういうことをやったのが家庭裁判所の調査官や職員だったわけです。
 こういうことでいうと、少年法の改正については、この家裁の裁判官の経験者あるいは家族法学者などから、厳罰化については慎重な意見が上がっています。
 お配りした資料の意見書、今日、資料が三部ありますけれども、一番最初の、この少年法改正の関連で、日本女性法律家協会の方から出ていますけれども、この宛先ですね、参議院法務委員会委員各位ということで、この法務委員会で見ると、この少年法改正について、こういった現場の方が、あるいは裁判官の経験者の方が、厳罰化に慎重な意見が上がっているということで、大臣もこの意見書、目を通されたと思うんですけれども、実務に携わる方の思いをどのように受け止められていらっしゃるでしょうか。手短にお願いいたします。

#149
○国務大臣(上川陽子君) 委員御指摘いただきましたこの報道につきましては承知しておりますし、また意見書についても拝見させていただいております。
 私自身も、法務大臣に就任する前でございましたが、自民党の司法制度調査会長を務めておりまして、この少年法の在り方につきましても幅広い御意見を賜りながら議論を進めてきたところでございます。
 少年法の在り方に関しましては、様々な御意見そして考え方を御披瀝なさる方々がたくさんいらっしゃいまして、その意味では、こうした問題についての関心非常に高いし、またこうした制度そのものをしっかりと維持していくということに対しての強い熱意、意志を感じたところでございます。
 その上ででございますが、法制審議会の部会におきまして、この少年法の問題につきましても議論をしていただきました。この部会におきましては、法律の研究者の方、少年事件の実務に精通した弁護士、あるいは元裁判官の方々、少年犯罪の被害者の方、また報道関係者の方など、様々なお立場の方々に御参加をいただきました。そして、少年の矯正保護の実務に携わっていらっしゃる方々からのヒアリングを行うなど、幅広い観点から調査審議が行われたというふうに承知をしております。そして、法律学以外の学問分野の研究者、民間企業、団体の方々なども加わった法制審議会の総会におきまして、全会一致により答申が採択をされたところでございます。
 今国会に提出いたしました少年法等の一部を改正する法律案は、このような経緯をたどりつつ取りまとめられた答申ということでございますが、それに基づくものということでお出しをさせていただきました。法務省といたしましては、本法律案の趣旨、内容につきまして十分に御理解をいただき、そしてしっかりと運用できるよう、丁寧な説明を尽くしてまいりたいというふうに考えております。

#150
○高良鉄美君 ありがとうございました。
 この少年法という法律ができた立法事実あるいは立法趣旨ですね、そういった面を考えると、これから議論をもっと深めていかないといけないんじゃないかなと私自身は思っています。
 先ほど京都コングレスのお話が出ましたけれども、上川大臣は、もう本当に議長国と法務大臣として大変な御苦労をされたと思います。
 この京都コングレスに際しまして、最終日、その翌日ですね、これは資料の二番目ですけれども、日弁連それから国際弁護士連盟、駐日欧州連合代表部が三月十三日に死刑廃止に向けて積極的に動き出すことを呼びかける共同メッセージを出しました。
 死刑廃止ということですけれども、本日資料として配付していますこの部分については、国連加盟国百九十三か国のうち死刑制度がない国は百十二か国、この資料に書かれていますけれども、死刑を十年以上執行していない国は五十か国に上っています。実にその加盟国の八割以上ということになります。
 様々な議論があったことは承知していますけれども、国際的な人権意識、死刑廃止の国際的な潮流に鑑みて、これを機に再度検討していくときだと思いますが、大臣の見解をお伺いします。

#151
○国務大臣(上川陽子君) 委員御指摘いただきましたこの共同メッセージでございますが、死刑制度の廃止は、人間の尊厳と生きる権利を奪うことのできない権利とする価値観を共有し、寛容と共生の社会を形成、成熟させることに意味があり、世界の自由、正義及び平和の実現に目的があるなどとされております。死刑制度につきましては、国際的にも様々な御意見があるものというふうに承知をしているところでございます。
 死刑制度の存廃についてでありますが、こうした様々な国際機関における議論の状況、また諸外国における動向等を参考にしつつも、基本的には、各国それぞれ国内の事情もございます。国民感情もございます。犯罪情勢や刑事政策の在り方、こうしたことを踏まえて独自に決定すべき事項であるというふうに考えております。
 現在、国民世論の多数が、極めて悪質、凶悪な犯罪については死刑もやむを得ないと考えておりまして、多数の者に対する殺人や強盗殺人等の凶悪犯罪がいまだ後を絶たない状況等に鑑みますと、その罪責が著しく重大な凶悪犯罪を犯した者に対しまして死刑を科することもやむを得ないというふうに考えております。死刑を廃止するということにつきましては適当ではないというふうに考えております。

#152
○高良鉄美君 伊藤委員の方からもこの件ありましたけれども、正義というのがこの死刑を執行することにあるのかということがいろいろ問題になります。上川大臣は十六人の死刑執行に署名されていますけれども、それを経験として持っていらっしゃるということは相当真剣に向き合っていらっしゃるというふうに私は評価しまして、やはり法の支配をよく知っている加盟国がこれだけ反対を、死刑を廃止していると、そしてもう執行していないということなんです。ですから、冒頭、法の支配というふうなことを言ったのは、これらの国々は法の支配を根底には持っている国々だということですね。改めて死刑執行の停止とその検討が行われることを心から期待して、次の質問に入ります。
 難民の関連についても、先ほど少し受入れ国の問題もありましたけれども、真山議員の方からも事例を挙げられて、そのスリランカの女性の問題があったということがありましたけれども、やはり受入れ国の社会の人権意識を映す鏡だというのが難民保護だと。ですから、極端に我が国の難民認定の制度、この辺りが国内外から随分低いことが指摘されています。
 この問題については、ただ、先ほども事例を山添議員挙げましたけれども、常勤医師の確保が急務であるというふうに佐々木入管庁長官も認識されていましたけれども、残念ながらそれがまだ、急務とは言っているけれども、できているかどうか分からない状態ですが、法改正ということもありますけれども、その前にこの状況の解消ということで、常勤医師の確保について上川大臣の認識を是非よろしくお願いいたします。

#153
○国務大臣(上川陽子君) 入管収容施設は、被収容者の命を預かる施設でございます。法務省令であります被収容者処遇規則第一条におきましては、被収容者の人権を尊重しつつ適正な処遇を行うことを処遇の基本的な在り方として規定をしているところでございます。入管収容施設におきましては、このような施設の性格を踏まえ、従来から絶えず処遇の改善に努めてきたところでもございます。
 その上で、医療体制ということでございますが、これは、被収容者処遇規則第三十条第一項の規定によりまして、被収容者が罹病し又は負傷したときは医師の診療を受けさせ、病状により適切な措置を講じることが求められており、各入管施設、収容施設におきましては、このような現行法令の規定に従った診療を実施する体制の構築に努めてきたところでございます。
 全国十七か所の入管収容施設がございます。現在、常勤医師が配置されているのは大村入国管理センターのみでございまして、その他の施設につきましては非常勤のお医者さん、医師によりまして対応をしていただいている状況でございます。
 出入国在留管理庁におきまして、この更なる常勤医師の確保、これは極めて重要な問題と認識をしておりまして、私もかつて、一回目、二回目、法務大臣を務めていたときにも、このことにつきましては、もうあらゆる手だてを尽くしながらお願いに回らせていただいたこともございました。実態は今のような状況でございます。
 また、お医者さんのみならず、准看護師あるいは看護師の資格の取得等につきましても、入国警備官によりましての資格を積極的に取っていただくように奨励しているところでございますし、また、医療設備の整備につきましても、こうした充実を図るということについてしっかりと対応をすべく、この間計画を立てて実践してきたところでございます。
 入管の施設、収容施設におきまして、この医療体制の充実、さらに被収容者の人権に配慮した適正な処遇の徹底、これにつきましては、コロナ禍ということもございまして様々な今の現状の厳しさもございますので、そういう中において、特にその問題につきましては力を更に入れてまいらなければいけない課題というふうに認識をしております。

#154
○高良鉄美君 是非、今大臣のお言葉の大事な命を預かっていると、非常に印象に残ります。やはりこの問題というのは適正な、まあいろんな意味で適正という言葉が使われますけれども、しっかりとその内容を、本当に適正なのかどうかということも含めて是非大臣の今後にまた期待をしたいと思います。
 今度は、実は共同親権の方に、もう一つあったんですけれども、共同親権のちょっとお話、今日幾つか出ておりますけれども、選択的夫婦別姓が認められないというものとのつながりがあって、そのために事実婚をしている夫婦の子供が単独親権になっているという、まあそう多くはない、ある程度の数がいる問題というのが指摘してきましたけれども、夫婦が共に子供を養育しているのに事実婚というだけで単独親権というのは、また子供の最善の利益と言えないというような問題があるんじゃないかと。
 それで、離婚後の子供の共同親権について、この法務省の、今日も紹介がありました、未成年期における父母の離婚を経験した子の養育に関する実態についての調査・分析業務報告書、これを読みましたけれども、なかなか見事なもので、私も分からず、子供がこういうふうに考えていたのかなということを思い出したりしながら、多くの示唆がありました。やっぱり子供の利益というのは、そういうようなアンケートとかそこの中に素直に表れるんじゃないかと思いますけれども、今、この共同親権、単独親権について賛否両論、あるいはもうぶつかり合うような意見もありますけれども、それぞれやっぱり共同親権でもこういうようなケースがいろいろあると、あるいは単独親権の場合でもこんな問題がある、あるいはこういうところで共同親権では駄目なんだとか、いろいろあると思いますので、その辺の場合、事例集などが今度個別にあったらお互いに理解が広がるんじゃないかなと。こんな事例では、なるほどねと、だから共同親権を求めているんだなとか、そういうこともあるんじゃないかなと思いますけれども。
 この辺は、事例で、先ほど幾つかの川合委員の方からも事例というのがありましたけれども、こういう事例を出していくというのは大事じゃないかなと思いますが、事例集などはいかがでしょうか、御検討は。

#155
○国務大臣(上川陽子君) 御指摘のとおり、父母の離婚を経験した子供が置かれる状況につきましては様々であるというふうに受け止めております。誰一人取り残さないためにも、子供の目線に立って父母の離婚に伴う子の養育の問題ということをしっかりと検討する必要があるという、そうしたことで今般も法制審議会に諮問をしたところでございます。
 離婚等の際に子供がどのような状況に置かれていたのか、また子供の成長に父母の離婚等がどのような影響を与えていたのか、その実態を把握するということは極めて重要なことであるというふうに思いまして、今般、法務省といたしましては、初めてでございますが、未成年期に父母の離婚等を経験した子供の実態に関する調査を行わせていただきました。
 その結果を見ますと、やはりこれまで、ある意味では目の前に、いろんな声は聞いておりましたけれども、こうした様々な影響をいろんな場面で及ぼしているということについて明らかになってきたということでございますが、その内容とか程度につきましては子供の置かれた状況によりまして相当な幅があるというのも事実だなと思っているところでございます。
 したがいまして、今委員、事例集という話がございましたけれども、こうした状況に置かれた子供たちの具体的なケース、これにつきまして収集するための更なる調査ということにつきましては、大変検討すべき課題であるし、またそこから知見もしっかりと学ばせていただく必要があるのではないかというふうに考えておりますので、しっかりと検討を行って対応してまいりたいというふうに考えております。

#156
○高良鉄美君 ありがとうございます。
 最後になりますけれども、選択的夫婦別姓についてお伺いしますけれども、先ほど真山委員からの午前中の質問に上川大臣は、世論が拮抗しているというのは、まあ世論の関連のお話を少しされていたと思います。余り前向きじゃなかったのかなと思ったりもしたんですが、男女平等の観点から夫婦の氏を見直すということは、これは、一番最初に法の支配と言いますけれども、法制審も憲法や条約に照らしてこの見直しの問題というのが挙がってきたと思うんですね。
 そして、世論のみを理由に法改正をしないということについては、今日英文で出ていますけれども、そういうことも含めて、国連女性差別撤廃委員会が厳しくこういったものを指摘して、この大事なポイントとして夫婦別姓の問題を取り上げているということがあります。
 ですから、女性差別のないような法制度ということで、婚外子の相続分の規定の違憲決定とか、あるいは再婚禁止期間の違憲判決がもう最高裁で出ていますけれども、この最高裁が夫婦別姓は違憲だということを言うまでこれをやらないのかということが問題なわけですよ。法務委員会の中できちんと、あるいは法務省の中で、この夫婦別姓の問題が最高裁から指摘される、あるいは判決が出される前に、きちんと合憲性の推定があるわけですから、法律というのはそこをきちんと作って、是非、そうした場合が初めて法制審の答申を立法化するということになるんじゃないかなと。ですから、これを法制審がそう言っていても立法化をしないということになると訟務機能の強化にも逆行するんじゃないかということで、法務省自体としてきちんとやる必要があるんじゃないかと思います。
 そういうことで、今世論の調査ということも出ましたけれども、この世論調査も、真山委員も午前中ありましたけれども、もう逆転しているんじゃないかと。そして、自民党もワーキングチームを作ると、この夫婦別姓については。そして、沖縄の場合は、実に賛成が反対の十倍を超えるんですよ、もう。そして、青森だって九倍を超えているわけです。だから、そういったもう世の中の動きはもちろんのこと、人権と、最初に法の支配と言いましたけれども、そういった部分にも関連していると思いますので、是非積極姿勢を示していただければなと思います。
 もう最後になりましたので、ちょっとだけ重要な点をこの夫婦別姓について言いますけれども、この資料です。済みません、この資料ですけれども、これは届いたのが、今、外務省のホームページに、それから男女共同参画局ですね、内閣府の、そこにも載せるべきじゃないかと思うんですけれども、これ、いかがでしょうか。どちらでも結構です。最後の質問とします。

#157
○委員長(山本香苗君) お時間来ておりますので、簡潔に御答弁願います。

#158
○国務大臣(上川陽子君) 法制審議会、法務省におきましては、平成八年の二月に選択的夫婦別氏制度を導入すること等を内容とする民法の一部を改正する法律案の要綱を答申をしている状況でもございます。この間、改正案を二度にわたりまして準備をしたところでございますが、様々な状況がございまして、いまだ至っていないということも事実でございます。
 時代が大きく変わりつつあるということ、世論の中でもそうした動きも見られますので、その意味で第五次男女共同参画基本計画にのっとりまして検討してまいりたいというふうに思っております。

#159
○委員長(山本香苗君) よろしいですね。

#160
○高良鉄美君 済みません。じゃ、もうこれで終わりたいと思います。
 ありがとうございます。

#161
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
 碧水会の嘉田由紀子でございます。
 上川法務大臣の大臣所信に関わりまして、離婚後の子供の幸せの問題について質問させていただきます。
 朝からもう真山委員、伊藤委員、そして今、高良委員も御指摘になりましたけれども、今回の未成年期に父母の離婚を経験した子の養育に関する実態についての調査・分析、これ千人もの二十代、三十代の男女それぞれの方の経験に即して、回顧法ではありますけれども、八十項目にわたって調査をした。私もいろいろ様々な心理学なりの調査研究見させていただきましたけれども、これほど包括的に調査したのは初めてだろうと思います。今まだ単純集計レベルなので、この後、性別とかあるいは別れた時期など、クロス集計ができると思いますので、そこでもっともっと知見が、子供の目線からの知見が出てくるのではないのかと期待をしております。
 そして、先ほど来、高良議員の質問にも併せて、統計的に多くの方の調査、これはこれで大事ですけれども、個別のケースを深めるべきではないかという御意見もありました。そういうことを私もいろいろやらせていただきながら、ちょうど最近、ある高校生が私のところに、どうしても嘉田議員と話をしたいと言ってこられましたので、一時間ほどズームで直接顔を見ながらお話しさせていただきました。首都圏に住む高校二年生の女子です。
 法務委員会で嘉田由紀子議員が共同親権と言っているのでいろいろ調べてみると、自分もこのことを勉強して、そして実際に自分もそれを実践していると言うんですね。どういうことかというと、その高校生は三年前に両親が離婚をして、家庭裁判所での話合いでどちらかの親を選びなさいと言われた。でも、お父さんもお母さんも好きなので、両方と暮らしたい。それで、三年間、週の前半はお父さん、週の後半はお母さんと、行ったり来たりしているということです。それこそ教科書持って制服持って行ったり来たりして、そして電車で三十分ほどなんですけれども、両方から学校へ通うのは不便がないと。でも、友達は、親が離婚したらどっちかの親を選ぶべきだろうと、両方の親の間を行ったり来たりするのはおかしいと白い目で見られると。
 そこで、私にその女性、女子高校生が、私の考えはおかしいんでしょうかと、海外では共同親権が普通というけれども、なぜ日本では私のように両親の間を行ったり来たりするのがおかしいと思われるんだろう。そこで、その方に、じゃ、今の暮らし楽しいですかと聞いたら、週の前半はお父さん三日間、それこそ、朝早く仕事に出て、お弁当も作ってくれて、夕方も早く帰ってくれて、本当にお父さんと三日間楽しいと。アニメのことなどでお父さんから学ぶこともいっぱいあると。後半の三日間は、弟さんがいてお母さんと暮らしているということで、今のこの両方行ったり来たりの状態を楽しんでいると。経済的にも、お父さんが学費を出してくれて、そして安定をしていると。
 なぜ、じゃ、日本では自分のようなケースが余り見られないんだろうということで逆に質問されたので、少しちょっと、日本の、なぜ単独親権がこんなにいまだに広く広がっているのかということで、百二十年前の明治民法の話をさせていただきました。家制度の下で、子供は家の跡取りとして、ある意味で家の所有物のように扱われていて、なかなか、女性が例えば離婚するときに子供を連れ出すと、家制度成り立たなくなりますので、単独親権というのは家制度を成り立たせるための一つの手段だった。戦後は女性も親権取れるようになったけれども、今度は子育ては女性ということで、今、九割以上が親権を女性。そこで今のような状態になっているんだけれども、実は国際的に見ると主要先進国では日本だけがいつまでも明治民法のような単独親権を保持しているので、ある意味で引き裂かれる状態にあるんだと。
 こういうことを、A子さん自身も今後もっともっと勉強してくださいということで、私が作りました法務委員会の冊子を送らせていただいたら、数日後、読んでいますと、そして、自分の意思を確認しながら、また友達とも若い人と意見を深めていきたいということで、今もやり取りさせていただいております。私は、彼女の話を聞いて本当に涙が出ました。こうして自分の人生をきちんと、世の中とは違うけれども、自分で切り開いていく、こういう子供たちが増えてくれることが日本の期待だろうと。
 ところが、多くの子供たちは、ある意味で、離婚直面して、自分自身でなかなか意見も言えず、今回のこの調査にもありますけれども、自分の意見も言えず、そして誰にも相談できず、一人で泣き寝入りして、そして苦しみを抱えているという子供さんがたくさんおられる。それが今回の千人調査でも出ていると思います。
 そういう中で、例えば今年の二月十七日ですけれども、東京地裁では、現行民法の単独親権は違憲ではないかという訴えに対して、違憲ではないという判断が出ております。そこで、その判断の根拠のところには、父母双方に親権が残ると子供の利益のための判断ができないんじゃないのかという懸念も示されております。
 ここでの大前提は、立法の趣旨に関して、離婚後の父母の関係は必ずしも良好ではないということが大前提になっているようでございます。そうすると、先ほどの真山委員の国別リストを見ると、本当に、単独親権の方が逆に、二十四か国調査で日本、トルコ、インド、ほかは皆共同親権選べるわけですね。そういう中では、日本の、あるいはインドやトルコの父母だけが仲が悪いんだろうか、葛藤が高いんだろうか。そんなことではないだろうと私自身は思っております。
 共同親権に移行できた国では、まさに親が子供のことを思って、そして大人の対応をしてきているということで、言うまでもなく、子どもの権利条約の第九条でも、父母の一方あるいは双方から分離されている児童が定期的に父母のいずれとも人間的な関係をつくっていくことが大事だと規定されております。
 そういう中で、もちろんDVによる児童虐待などがあったら別ですけれども、これはこれでDV防止法の徹底など別の手だてがあります。今回のA子さんのような、自覚、訴えもできず、離婚後の親子別離を当然のごとく受け入れさせられている、受け入れざるを得ない日本の子供たち、毎年十五万人から二十一万人発生してしまうと。四人から五人に一人です。
 そういう中で、上川法務大臣、この調査を指示していただいたことからこの問題の深刻さを深く理解していただいていると思いますけれども、このA子さんのような暮らしぶりというものに対してどういう御意見をお持ちか、ちょっと長くなりましたけれども、御意見いただけたらと思います。

#162
○国務大臣(上川陽子君) 父母の離婚に伴いまして子の養育の問題は、子の利益の観点から行われるべき問題でございます。
 その具体的な内容とか方法につきましては、個々の家庭の実情、また当事者の意向、協議等により様々な在り方があるものというふうに考えますが、今御紹介をいただきましたA子さんのケースということで、御自分のことを十分に意見を述べるということについてしっかりと考え方を持っていらっしゃり、また、親御さんお二人に対しましても、それぞれの関係性ということについての信頼感もしっかりおありになるということでありまして、そうした親御さんが離婚なさったとしても、その後の関係性については、むしろ子供さんがある意味ではしっかりとつながりの役割を果たしながら生活をしていらっしゃるという様子でございますので、非常にそうしたお子さんの声というものを大事にしていくということそのものが今回調査をした趣旨でもございました。今、先ほど来、具体的なケースということもございましたけれども、まさにそうしたケースの大変重要な一つではないかというふうに考えたところでございます。
 冒頭、今回の調査につきまして、千人規模ということで、二十代から五十代ということでありますが、御自分がそういう経験をした子供の時代のことに遡って、ある意味では客観的に自分自身を見詰める余裕がある世代の中で、二十代から五十代ということでありますが、時間の軸もございますので、その中でそれぞれどのように振り返って考えていくのか、またどうあるべきなのかということについての貴重な御意見をこの中に見出すことができるのではないかと私も思っております。
 今、単純集計ということでありますが、クロス集計も含めまして、でき得る限り様々な比較ができるように、あるいは検討ができるようにしていくということが大事かというふうに思っておりますので、そこはこれから詳細な分析をした上で、そのことの結果をオープンにさせていただきながら、また研究者の目線でも検討していただくことができるような、そういうものにしてまいりたいというふうに思っております。
 また、個別ケースにつきましても、委員の皆様から御指摘をいただきましたけれども、丁寧に進めていく必要が改めてあるということを認識しておりますので、ここのやり方につきましては少し検討を要することではありますが、定量調査等、そして定性的な事例の調査というものにつきましてもでき得る限り工夫してまいりたいなというふうに思っております。
 ありがとうございます。

#163
○嘉田由紀子君 御丁寧にありがとうございます。
 私も社会学者として、この定量的な調査、定性的な調査、それぞれにやり方はあるんですけれども、残念ながら、この離婚の問題とかあるいは家族の問題というのは、昔から、子供は黙っとけと言われたり、あるいは女子供は黙っとけと言われてなかなか自分の声も上げられない、声を上げるその習慣がないとなかなか考えもまとめられないというようなことで、この報告書の中にも、ある意味で、子供たちがそのことは考えたくなかった、忘れたかったというような声もたくさんありますので、ここはあなたたち語っていいのよ、どんどん思いを膨らまして、そして本当に自分が幸せになることが家族の幸せ、そして社会に対しても、前向きに生きていけるんだからという生きる力も、こういうところの個別インタビュー調査からもやっていただけると有り難いなと思います。
 そういう中で、大臣の所信、そして法制審議会に諮問を出してくださいましたけれども、この理念、既にもう語っていただいていると思いますけれども、家族法の見直しに関する理念について少し語っていただけたら有り難いです。

#164
○国務大臣(上川陽子君) ちょっと一つ訂正をさせていただきたいと思います。
 今の調査の対象でございますが、二十代から三十代の千人ということで、ウエブでのアンケート調査ということでございます。私何か五十代と言ったようでありまして、大変失礼いたしました。
 父母の離婚に伴う子の養育に当たりましては、何といっても子の利益が最も優先されるべきことでございます。現行法にもその旨の規定が存在するということで先ほども御紹介をさせていただきました。
 その上で、私自身、所信におきまして、子供の目線に立って、チルドレンファーストの観点から検討を行う必要があるということを申し上げてきたところでございますが、子の利益が最も優先されるという、様々な理解の仕方があろうかと思いますけれども、いろんな思いを込めてその表現をさせていただいたところでございます。
 特に、父母の離婚に伴う子の養育の在り方の検討に当たりまして、私自身、特に強調したい点は今委員とやり取りをさせていただいた点でございまして、離婚の当事者であります父母の意見あるいは立場を考えるのみではなく、父母の間にいるこの子供、子供を中心に置いて、子供の視点あるいは子供の意見を大事にすること、こういったことが極めて重要であるというふうに考えて今般の調査もしている状況でございます。
 子供の年齢に応じまして、お父さん、お母さんが離婚した年齢が本当に赤ちゃんのときから、その成長の段階によりまして多分いろんな思いを重ねていくものだというふうに思いますので、その置かれている状況とか心情を受け止めるということにつきましても子供の年齢に応じた捉え方ということが不可欠ではないかというふうに思っておりまして、このアンケート調査におきましても、いつという時期も含めまして、また、先ほどのお話のようにクロスの分析も、その離婚のときの年齢がどうなのか、その後の生活の中でどうなのかという、育ちのステージを比較しながら見ることができるようにしていくと、分析することができるようにしていくということにつきましても指示をしてきたところでございます。
 私からは法制審議会に諮問を行っている状況でございまして、これに先立つ家族法の研究会の議論におきましては、子の養育をめぐる問題について子の意思や意見を反映させるための方策も検討されたと承知をしております。法制審議会におきましても、そのような点を含めまして、幅広い観点から充実した調査審議がなされていくものと期待をしているところでございます。

#165
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。チルドレンファーストと、まさに子供目線でということでお考えいただいております。
 自治体の実務を担ってきた立場からいたしますと、離婚、協議離婚が特に子供への配慮なしに形式的に離婚が成立してしまう、それも九割もの離婚が判こ一つで、これからはもう判こも要らなくなるという形で、それこそ養育費も親子交流の約束事もなしでということが現場で起きておりますので、この辺りを、これはまたこの後議論が展開されると思いますけれども、協議離婚が認められる要件として共同養育計画の策定の義務化なども共同養育議連の方でも議論をしておりますので、こういうことを具体的に法制審議会でも議論していただけたら幸いでございます。
 そして、この法制審議会の言わば進め方やスケジュールですが、もちろん、諮問なさって、審議会に主体性があるわけですけれども、日々子供は生まれ、そして、今の生きづらいという状態、特にここのところ、コロナの後、心配しているのは、子供たちの自殺、五百人近い、去年などは今までに一番多い、しかも、例えば十代の子供の死亡率の一番高いのが自殺だというようなことで、本当にこれは何としてもスピード感を持って当たらないといけないと思うんですが、この法制審議会の、諮問を受けながら、民法改正についての進め方やスケジュール感について何らかの御意向がありましたら、言いにくいとは思いますけれども、御意見いただけたら幸いです。お願いいたします。

#166
○国務大臣(上川陽子君) この父母の離婚に伴う子の養育に関する法制度の見直しにつきましては、先月十日でありますが、私から法制審議会に諮問を行ったものであるということでございます。
 どのような議論を進めていくのかということにつきましても、まずは法制審議会の御判断に委ねたいというふうに思っております。
 もっとも、法制審議会におきまして充実した調査審議が行われるためには、事務局を務める担当部局が必要な事務を適宜適切に遂行するということが極めて重要であるというふうに思っておりまして、私といたしましてもその点については引き続き留意をしてまいりたいというふうに思っております。
 また、今、お話の中で出てきております実態調査、こうしたことにつきましても、今般の子供さんの目線でという調査に加えて、様々な検討、取組も考えているところでございます。できるだけ実態に基づいたファクトベースの御議論がスムーズにいくように工夫をしてまいりたいというふうに思っております。
 引き続き、調査審議、大事でございますので、しっかりと支えてまいりたいし、また、議論のしっかりとした、充実した審議を期待をさせていただきたいというふうに思っております。

#167
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
 法務行政というのは本当に幅が広くて大変だと思いますけれども、何よりも、この国の未来を担う子供たちが自信を持って、この国に生まれてよかった。子供は、生まれる国も時代も、そして親も選べません。
 最近、「子どもたちをよろしく」という映画を見せていただきました。寺脇研さんと前川さんが企画をなさった。そこは、二つの家族の中で、親のアルコール依存症やギャンブル依存症や、そこで苦しみながら、子供たちが自分もいじめの加害者になり、あるいは被害者になりながら必死に生きているんですけど、本当に、子供に何の責任もない、みんな周りの、親が、大人がということでございますので、私たち、それは公共性を担う政治家としても、また行政、社会人としても、ここは、未来に向けて思い切った民法改正に向けての議論をしていかなければいけないと思っております。
 法務大臣、どうもありがとうございました。
 以上です。

#168
○委員長(山本香苗君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後三時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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