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2021/02/22 第204回国会 衆議院 第204回国会 衆議院 財務金融委員会 第5号 令和3年2月22日
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2021/02/22 第204回国会 衆議院

第204回国会 衆議院 財務金融委員会 第5号 令和3年2月22日

#1
令和三年二月二十二日(月曜日)
    午後一時開議
 出席委員
   委員長 越智 隆雄君
   理事 井林 辰憲君 理事 うえの賢一郎君
   理事 神田 憲次君 理事 鈴木 馨祐君
   理事 藤丸  敏君 理事 末松 義規君
   理事 日吉 雄太君 理事 太田 昌孝君
      穴見 陽一君    井野 俊郎君
      井上 貴博君    今枝宗一郎君
      鬼木  誠君    勝俣 孝明君
      小泉 龍司君    杉田 水脈君
      田中 良生君    中山 展宏君
      深澤 陽一君    船橋 利実君
      本田 太郎君    宮澤 博行君
      山田 美樹君    海江田万里君
      櫻井  周君    階   猛君
      野田 佳彦君    長谷川嘉一君
      古本伸一郎君    斉藤 鉄夫君
      清水 忠史君    青山 雅幸君
      井上 一徳君
    …………………………………
   財務大臣政務官      船橋 利実君
   参考人
   (SMBC日興証券株式会社金融経済調査部部長金融財政アナリスト)     末澤 豪謙君
   参考人
   (明治大学商学部教授)  水野 勝之君
   参考人
   (群馬大学名誉教授)   山田 博文君
   財務金融委員会専門員   鈴木 祥一君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十二日
 辞任         補欠選任
  加藤 鮎子君     深澤 陽一君
  城内  実君     杉田 水脈君
  前原 誠司君     井上 一徳君
同日
 辞任         補欠選任
  杉田 水脈君     城内  実君
  深澤 陽一君     加藤 鮎子君
  井上 一徳君     前原 誠司君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)
     ――――◇―――――

#2
○越智委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案審査のため、参考人として、SMBC日興証券株式会社金融経済調査部部長金融財政アナリスト末澤豪謙君、明治大学商学部教授水野勝之君、群馬大学名誉教授山田博文君、以上三名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多用のところ本委員会に御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 まず、参考人各位からそれぞれ二十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人は委員に対し質疑することができないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。
 それでは、まず末澤参考人にお願いいたします。

#3
○末澤参考人 SMBC日興証券、末澤でございます。よろしくお願いします。
 私からは、こちらの資料、二〇二一年の経済・金融市場の動向と特例公債法、COVID―19とアメリカのバイデン新政権、こちらの資料を使って御説明させていただきます。
 一ページめくっていただきまして、世界経済と金融市場の動向、COVID―19パンデミック、二〇二〇年米大統領選とバイデン新政権、特例公債法、この四項目を御説明させていただきますが、何分、全体が二十分でございますので、前半分は相当早送りで折り返させていただきます。
 それでは、二ページ目でございますけれども、右下にページ数を振っております。
 まず、今年の世界経済、金融市場の動向でございますが、昨年、世界は、新型コロナウイルス感染症、COVID―19のパンデミックによる、世界中でロックダウン、都市封鎖が実施されたことで、リーマン・ショック後を底とした戦後最長の経済拡張局面は終了し、景気後退局面に入りました。
 実は、もう昨年の半ばには回復期に移っているとは思います。今回、特に株価も相当暴落しましたが、未曽有、空前絶後の規模の世界的な金融緩和、財政出動により、株価の反発が先行し、世界経済も回復軌道にある。
 ただ、今後は、私は、V対LからVダッシュ対Vダブルダッシュ、こちらの攻防になる。つまり、ウイルス対ロックダウン、これが昨年の戦いで、対COVID戦争でございましたが、今年は、ワクチンの普及が期待される一方、いわゆるバリアント、変異株が今後また増えてくる可能性がありますので、この辺りがやはり今年の世界経済の大きな不安定要因。
 あと、もう一つこの下に書いてあるのは、二〇一九年まで戦後最長の景気回復局面が続いたんですが、実は政治不安が世界で続いておりまして、過去五年半でG7の六か国で首脳が交代し、今年の九月にはドイツのメルケルさんも首相を退任されるということでございます。この背景には、やはり所得及び資産の格差拡大、また移民、難民問題があったと考えております。
 三ページ目でございます。こちらは今年のタイムスケジュール、右側にはCOVID―19の経緯をお示ししておりますので、また御参考にしていただければと思います。
 四ページ目でございますが、こちらはIMFの世界経済の見通しでございますけれども、今年、二〇二一年の成長率はプラス五・五%と、昨年十月の見通し対比は〇・三ポイント上方修正されています。右下のグラフの方を御覧いただきますと、昨年は先進国がマイナス四・九%、世界全体でマイナス三・五、新興国及び発展途上国がマイナス二・四ということで、リーマン・ショック後の景気後退局面を上回る、いわゆる大恐慌、世界恐慌以来のマイナス局面になりましたが、今は反発局面にある。
 五ページ目でございます。ちょっとこの辺りも早送りでいきますが、今回の危機の特徴を一言で言うと、極めてスピードが速かった。これはなぜかというと、景気後退もロックダウン、つまり人為的な経済封鎖でもたらされました。一方で、それに対しては金融緩和、財政拡張、財政出動、こちらで対応した関係で、株価の動きも、高値と安値、リーマン・ショック時は一年半かかったのが、今回は一か月半。また、アメリカの雇用情勢も、急激に悪化して、その後は徐々に回復しているということでございます。
 六ページ目でございますが、今回の景気回復の一つの特徴は、やはり株価が高い。六ページの右上を御覧いただくと、アメリカの個人純資産、これは一昨年の十二月に百十八兆ドル、日本円ですと一京三千兆円になりましたが、それが一回大きく落ちた後、また回復ということです。
 あと、七ページ、こちらも、アメリカの方では、今、住宅価格、右上でございますが、過去最高。これはなぜかというと、右下のグラフですね、住宅ローン金利が極めて下がっているということでございます。
 あと、八ページでございます。ただ、やはり今後の不透明要因、リスク要因というのは、八ページの青い折れ線がアメリカの長期金利ですね、これが〇・三%台まで下がったわけですが、今、足下は一・三%台ということで、一%ほど上がってきている。あと、スペイン風邪の事例にもありましたように、感染第二波、第三波というのは、ある面、変異株の登場とかが影響しているところもありますので、その辺りがやはり不透明要因、リスク要因だと思います。
 九ページ目でございますが、これはアメリカのCOVID―19対策。ちょっと詳しくは御説明しませんが、昨年十二月までの第五弾で総額四兆ドル、重複がございますので、重複を除くと大体三・四兆ドル規模のものを実施しておりまして、足下では、バイデン新政権が一・九兆ドル規模の追加対策案を提示し、これはちょっと超党派ではなかなかうまくいかないということで、財政調整制度、リコンシリエーションを使って今やっておるということです。
 ただ、十ページでございますが、アメリカの財政は急激に悪化しておりまして、このまま行きますと、やはり金利上昇又はドル安の懸念というのは払拭できない。
 あと、十一ページ、十二ページは、今度は日本の場合ですね。日本も、十一ページの左上、リーマン・ショックを超える景気後退がございましたが、その後、二四半期連続のプラス成長に転換しております。ただ、マーケットでは、この一―三月期は、緊急事態宣言の再発令もありまして、またマイナス成長になるのではないかというのが一般的な見方でございます。
 あと、十二ページ、これは今回、株価の方は、バブル期の一九九〇年八月以来の水準に日経平均等々は戻ってきたんですが、やはりかつてと違うのは、グローバル化と少子高齢化の進展。
 十三ページ、十四ページは、為替の動向と株価の動向ということで、後でちょっとビジュアル的に御覧いただきたい。
 十五ページでございますけれども、日経平均株価は、九〇年八月以来三十年半ぶりの三万円台を回復しております。ただし、為替相場は相当円安でございますし、いわゆる不動産価格も低迷したままというのはちょっと、バブル期とは相当違う。
 十六ページ、今回、特に、株式の買手の主役というのは海外がずっと主役だったんですが、足下は日本銀行さんが主役になっている。
 済みません、引き続き十七ページから参りますが、COVID―19パンデミックですね。
 十八ページ、これはもう御案内だと思いますが、人に感染するコロナウイルスというのは今回が七種類目ですね。元々四種類、風邪コロナウイルス、こちらは皆さん、冬場の風邪の大体一〇%から一五%がこれでございます。あとSARS、MERSということです。SARSは終息しましたが、MERSは今でもたまに出てくる。
 あと、WHOでは国際的な公衆衛生上の緊急事態宣言というのを二〇〇九年四月から出していますが、この十年ちょっとで六回目ということでございます。やはり背景には、グローバル化と気候変動が影響している可能性がある。
 あと、十九ページ、二十ページでございますけれども、この十九ページのグラフは、上がSARSですね、下が今回ということで、これは実は単位がもう全然違いますので比較はできないんですが、足下では世界では感染は少し収まりかけておるということでございます。ただ、変異株ですね、B1・1・7とかB1・351とかブラジルのP1、こういうものが徐々に拡大しております。
 あと、二十ページ、新型インフルエンザのパンデミックというのは二十世紀以降四回ございました。ちょっと次の二十一ページを御覧いただくと、我が国の場合、実は第一回目のスペイン風邪の波は世界に遅れること半年後に起きていますが、一九一八年の秋に発生し、十一月がピークです。二回目が二〇年の一月ということで、二回目は季節性インフルエンザとほぼ同じタイミングでピークになっていますが、この間変異が起きたということで致死率が上がったというふうに言われております。
 二十二ページ、二十三ページはアメリカと日本の感染状況でございまして、足下は、御覧のとおり、感染は収まりつつありますが、ただ、やはり死者の数は相当出てきているということでございます。
 二十四ページ、二十五ページは、今回の新型コロナウイルス感染症対策ということで、三次にわたる補正予算が組まれまして、空前絶後の規模の国債も増発されております。単位が過去とはちょっと比較にならない単位になっております。
 二十五ページでございますが、ここでちょっと私、一点申し上げたいのは、今回のコロナショック、これを鑑みても、財政再建、財政健全化というのはやはり平時、平常時しかできないということが再度確認されたのだろうと。
 実は、当初予算と決算に関する一般会計税収を比べますと、一九七五年以降四十六年間で、二十六勝二十敗。勝利というのはどういうことかというと、当初の見積りよりも決算が上回った。一方で、敗退というのはここが下がってくるんですが、実はここが二十六勝二十敗、勝率は六割ほどあるんですね。これは累計すると、今年度は見込みでございますが、マイナス三十兆円。
 なぜかというと、過去も、左下に書いていますが、第一次及び第二次オイルショック、バブル崩壊、金融危機、リーマン・ショック、コロナショックと、平均して大体十年に一度大きなショックがあって、そこで一旦税収がどんと落ち込む。また、そのときには大型の補正予算等が組まれますから財政が大きく悪化する、この繰り返しでございます。ですから、やはり今回のコロナショックを乗り切った後は、常の財政健全化が必要だということだと思います。
 二十六ページから、アメリカの大統領選と政策動向。ちょっとこちらの方も、時間の関係で、もうさらっとさせていただきます。
 二十七ページ、トランプさんというのは、大統領弾劾訴追二回目、初めての大統領ということで、過去に政治家の経験も軍人の経験もない初めての大統領でございますが、相当異色の大統領だった。
 二十八と二十九ページ、これは二〇一六年と二〇二〇年のアメリカの大統領選を比較していますが、実は選挙人の獲得数は全く同じなんですね、二百三十二対三百六。ただ、違うのは、得票数が民主党さん、共和党も、いずれも一千万票増やしているということで、実はアメリカでは相当大きな二極化、対立が起きているということでございます。
 三十ページは、バイデン政権が打ち出した第一弾の新型コロナウイルス対策でございまして、これは足下、今議会で、下院の方で財政調整法というのをこれから可決しようとしている。財政調整法というのは、リコンシリエーション、財政調整制度に基づく法律でございまして、上院でフィリバスター、これは六十票ないといわゆるクローチャー動議は可決できませんが、この財政調整制度を使えば単純過半数でいけますので、これでやろうとしているということでございます。
 あと、三十一ページ、ただ、第二弾、これは二月以降と書いていますが、今日の報道等では三月にバイデンさんは第二弾の対策を出してくるということで、これにはクリーンエナジープランだとか、育児や介護の問題、メディケアの対象年齢の引下げ、オバマ・ケアの拡充、あとインフラ整備、こういったものが打ち出されるということでございます。
 こういうものをやるとどのぐらい財政が悪化するのかということで、三十二ページ、これはアメリカのCRFBという超党派の中立系のNPOが試算をしたものでございますが、先ほどのコロナ対策を除いて、こういった元々のバイデンさんの公約を全部実現すると、十年で五・六兆ドル規模の財政収支が悪化するというのが中央値として試算されております。
 あと、三十三、三十四ページは、バイデン政権の対中政策と全体の政策をちょっと論じております。三十四ページでございますが、基本的にバイデンさんはビルド・バック・ベターということで、よりよい再建、ただし経済政策の柱はバイ・アメリカンとクリーンエナジー、これが政策の柱になっております。
 あと、三十五ページ、ちょっとここまで来るのが本当に早足で申し訳ございません。ここからが本題、本論でございまして、ちょっと時間をかけて御説明させていただきますが、三十五ページ、特例公債法についてですね。
 三十六ページでございます。実は、この財政問題というのは、アメリカで過去、金融市場を大きく揺るがす事態が幾度か発生しています。いつからかというと、二〇一〇年以降です。これはなぜかというと、ちょうどオバマ政権の中間選挙でいわゆるティーパーティーが勢力をのして、いわゆる与野党の対立が深刻化したのが二〇一〇年からでございまして、それ以降は、幾度も国際金融市場の波乱要因になっている。
 一つが、政府機関閉鎖、いわゆるガバメントシャットダウンでございます。
 アメリカの場合は、本予算に相当する統合歳出法、この成立というのは、実は日本と違いまして、会期の始まる前、向こうは十月から始まりますけれども、九月までにできたことはほとんどございません、ここ十年間で。結果的に、その間、統合歳出法が成立するまでは、複数の歳出継続法、これはCRと言っておりますが、日本でいいますと暫定予算、これを成立させている。これは実は今会計年度、この十月に終わります二〇二一会計年度も既に五本通っているんですね。ようやく六本目をする前に、一応、統合歳出法が昨年の年末に成立したということでございます。
 ただ、当然、これだけの状況ですから、CR又は本予算の成立が遅れることは過去に多々ございまして、二〇一八年には、アメリカの政府機関の一部が十二月二十二日から二〇一九年一月二十五日まで三十五日間、これはクリントン政権時を上回って、過去最長の政府機関閉鎖に追い込まれております。過去、アメリカの場合は、長いもので、長いというのは一日以上ですね、数時間というのはもっといろいろあるんですが、一日以上閉鎖されたのは大体十回発生しております。
 一方、債務上限、これはデットシーリング、デットとシーリングということでございますが、アメリカの政府債務の上限は、一九一七年の第二自由公債法に規定されております。一九四一年以降約百回、債務上限が変更されております。ただ、近年は、与野党の対立で債務上限を引き上げられず、一時的な債務上限の撤廃が恒常化しています。
 これはどういうことかといいますと、この右上にグラフがございます。アメリカ政府債務の上限と残高ということで、青いのが残高なんですが、茶色の方が債務上限を表しています。かつては、債務上限というのは継続しているんですね。つまり、ある期日が来ると債務上限を引き上げています。
 ただ、二〇一三年あたりから、実は上限の引上げが行われています。これはどうやっているかというと、債務上限の規定をサスペンド、撤廃、停止する措置ですね。これはなぜかというと、上限を引き上げようとすると、幾ら引き上げるかという議論になりまして、ここは与野党で合意ができないということで、一定期間債務上限の規定を停止する、こういう極めてイレギュラーな措置が取られていまして、実は足下もそうなんですね。今年の場合ですと、七月三十一日までは債務限度の適用が停止されています。
 ですから、現時点では、アメリカの財務省は、必要な措置、一応、不必要なものを調達してはいけないという規定があるんですが、必要な措置については財務省の権限で調達できる、これをやっていまして、では、七月三十一日になるとどうなるかということなんですが、ちょっと下に書いていますが、通常ですとその前に法案が通らないケースが多いので、その場合は八月一日に前日の債務残高で債務限度額が再設定されます。ですから、それ以降、八月一日以降は一ドルたりとも新規の調達ができなくなる。
 では、それでお金が足りなくなるかというと、実は、ちょっと上に規定があるんですが、財務省の緊急措置の規定がございまして、これで、私も五年前にOMB、アメリカ行政管理予算局、あとCBO、議会予算局をちょっと訪問しましてこの辺りを照会してきたんですが、州、地方政府向けの支援だとか公務員退職年金向けの国債発行の停止、為替安定基金の国債への転換停止、こういったもので、当時、五年前というのは大体二千億ドルほどのちょっとやりくりできるへそくりがあったんですね。これを使って対応しました。ですから、大体数か月から、場合によっては半年ぐらいはもつんです。ただ、今は財政赤字が大きな金額ですから、多分今回はもう数か月しかもたない。九月末の予算、来年度予算が切り替わるまでにはこの問題をどうにかしないとまた資金繰りが悪化する、こういうことにはなります。
 一方、次のページ、三十七ページでございますが、これが特例公債法の成立が遅れた二〇一二年秋の状況でございます。この右側に特例公債法の公布日というものを出していますが、かつては、御案内のとおり、ちょっと時期が遅かったんですが、平成に入ってからは、大体新年度が始まる三月までには特例公債法が成立して、四月一日から特例公債、赤字国債の発行が可能となっていましたが、二〇一二年秋は、いわゆるねじれ国会でございまして、特例公債法の成立が大幅に遅れたため、建設国債、四条国債ですね、あるいは借換国債、復興国債、財投国債の発行がほぼ終了し、残るは特例公債のみとなって、場合によったら、市中向けに発行している国債の発行が停止される寸前になったということがございます。
 また、そういう状況ですから、特別会計への一般会計繰入れの一部停止、地方交付税の配分抑制、補助金の一部停止等が実施されたということでございまして、仮に一旦国債の発行が停止されると、金利は急低下した可能性があるものの、その後は逆に急上昇する可能性がある、また、日本国債の格下げリスクも増大するものと見込まれておりました。
 最後の三十八ページでございますが、私は、今回の特例公債法五年の延長、これはやむなしと考えております。
 実は、私の地元四国の香川県の大先輩であります大平正芳元総理、元大蔵大臣が大蔵大臣当時の答弁でも、単年度立法による財政規律維持との考え方も、財政健全化計画等が未策定であり、また、近い将来に特例公債からの脱却が見通せる場合は合理的、こういう答弁をなさっていますが、現在は、御案内のとおり、早期脱却はなかなか難しい。
 しかも、今回、政府は、国と地方のPB赤字の二〇二五年度黒字化、同時に、債務残高対GDP比の安定的な引下げを掲げております。ただ、現実はなかなか厳しい。やはり百年に一度のコロナ禍ということでございますので、余り、何というんですか、ややテクニカルなリスク、デフォルトリスク等をここであえて引き受ける必要はないんじゃないか。
 具体的な特例公債の発行総枠は各年度の一般会計予算総則に明記し、国会審査の対象になっておりますので、完全に政府にその権限が与えられているわけではない。あと、二〇一二年のように、仮に特例公債法案が与野党の政治的駆け引きで成立が遅れ、国債の発行が停止し、一般会計から特別会計への繰入れや地方交付税交付金の配分、補助金の支給停止等が発生すると、やはり日本経済や国民生活にも多大な影響が及ぶ。また、金融市場が混乱するリスク、日本版ミニガバメントシャットダウンの様相を呈することも想定されます。
 ということで、財政健全化には、やはり成長戦略とともに歳出歳入改革が重要であるというのが私の主張でございます。
 以上、御清聴ありがとうございました。(拍手)

#4
○越智委員長 ありがとうございました。
 それでは、次に水野参考人にお願いいたします。

#5
○水野参考人 明治大学商学部で教鞭を執っている水野と申します。
 専門領域は計量経済学という分野です。財政学ではありません。本日は、経済学を少しかじった一国民として話をさせていただきたいと思います。
 現代経済の現象は分かりにくいことばかりで、自分で習った経済学ではおかしいと思われるにもかかわらず、ほかの誰も何も異を唱えない状況になってしまっています。いま一度、基本的な経済学に立ち返り、王様は裸だ、おかしいものはおかしいと考え、経済の状況を点検してみる必要があるのではないでしょうか。
 おかしいと思いながらも誰も言わないことに、なぜプライマリーバランスが必要なのか、なぜ赤字国債が問題なのかという単純な問いがあります。
 もし赤字国債で賄うことができると国民が認識し始めたら、皆が税金を納める意欲を失っていくおそれがあります。今は血税という思いで国に貢献していますが、赤字国債を発行して済むならば、それで済ませてほしいです。国のために税金を納めるという意欲が薄くなってしまいます。税金を納めないで幸せを味わえるならば、働きたくもなくなります。
 かつてレーガノミクスが基礎としていた基本的サプライサイド・エコノミクスは、税率を高くすると国民が働く意欲を失い、逆に税収が減ってしまうという考え方でした。赤字国債の話に当てはめれば、赤字国債依存を高めれば高めるほど国民は労働意欲を失い、税収が減るという悪循環になりかねません。
 我々労働者は、働いて、税金を納めて、日本国に貢献しているという誇りを持ってきました。国にとって最も重要なことは、国民が心から支えてくれることだと思います。赤字国債がマンネリ化したら、十年後、二十年後の国民の意識は、今の我々ほど納税の意義を真摯に受け止めてはいないのではないでしょうか。
 さて、本日は、十年後、二十年後もそうならず、国民が生きがいを持って働きたい、納税したいという気持ちになるような日本経済づくりの提案を行いたいと思います。
 経済では、一方的な思考がなされがちです。景気がよいと、永遠にその状態が続くと皆が錯覚してしまいます。それに警鐘を鳴らしたのが、かつてのサローのゼロサム社会という考え方でした。結局経済はとんとんという考え方です。光と影のように、プラスがあれば他方でマイナスが存在するという警鐘です。我々は、プラスに浮かれてマイナスを見損ないがちになりますが、プラスとマイナスをしっかりと捉えていかなければなりません。
 まず、株価について触れます。
 株価が異常な値上がりをしています。誰もが異常な高値と認識しながらも、なお上昇しています。人の欲の堰ができて、金融市場から実物市場にお金が流れなくなっています。
 かつての経済理論では、金融市場を動かせば実物市場も動き、金融市場で均衡すれば実物市場でも国際収支の市場でも均衡するという考え方でした。現在は、この市場の連動性が崩れています。それは、今話した、人の欲が形成した堰のためです。日銀や年金資金が株を買い支えて堰が形成されてきました。お金がその堰をなかなか越えられません。株を購入する側も、昨年の二月、三月のように株価が下落しても、どうせ日銀が買い支えてくれると考えてしまいます。その安心感がお金を株式市場にとどめ、結局、不況なのに株が上がるという事態を発生させてしまっています。
 このことは世界にも当てはまります。市場として、調整機能が欠けてしまっています。金融市場と実物市場が別々に均衡してしまっています。
 その第一の問題は、富める者はますます富む、貧しい者はますます貧しくなるというプラスとマイナスの同時発生です。これこそが現代の経済格差の原因となっています。
 第二の問題は、株価が上昇しているからといって、アメリカや中国のような世界を牽引するような企業が日本に生まれていないことです。日本では、昭和や平成の企業の活躍が今なお真っ盛り、世界を牽引するイノベーション大企業が生まれません。
 第三に、コロナ禍が終わり実物経済がプラスに動き出したときに、株価の上昇する余地がなくなってしまうことも問題です。バブル崩壊という大きなマイナスの事態が待っている可能性があります。
 経済を一方的に見て慌てないことも重要です。
 コロナで飲食店がピンチです。大学生もアルバイトができず困っています。飲食店を救うべく、政府も給付金を出しています。
 ただ、ここで一つ考えてみたいことがあります。新型コロナが起ころうが起こるまいが、日本人の胃袋の大きさは一定です。飲食業がピンチですが、そこの消費が減った分、増えているところもあるはずです。胃袋に関してのゼロサムだからです。外で外食しなければ、巣ごもりで飲食をします。実際、売上げを伸ばしている企業もたくさんあります。
 シュンペーターという経済学者が、創造的破壊という言葉を使いました。イノベーション期には、マイナスになる企業での失業者の発生は、新たなプラスとなる企業の雇用で賄われるという考え方です。イノベーション期には創造的破壊があります。ピンチの方ばかりだけでなく、チャンスの方も見ながら着地点を考えられる目が必要です。
 さて、水野の最大の主張の点です。
 景気は必ずよくなったり悪くなったりします。景気循環です。通常、景気循環は、設備投資や建設投資を要因としています。これまでの政策で設備投資や建設投資が促進されたために、もし多少需要が増えても、企業設備やホテル等に関して、稼働率で調整できます。したがって、次々に新たな投資がなされるような状況にはありません。
 そのために頼るべきは、技術革新に基づいた景気循環です。技術革新をイノベーションといいます。ICTにしても、AIにしても、イノベーションの真っただ中です。自動運転、ドローン、ロボットなど、幾らでも可能性があります。
 近年、日本の技術はガラパゴス化しがちでした。世界をリードする技術力を持ち得る日本として、イノベーション力で景気循環を動かすべきです。イノベーションは、ゼロサム状態の全体を底上げしてくれます。
 水野の独自の研究の一つに、技術進歩のラチェット効果という理論の開発があります。ラチェットというのは歯止めという意味です。景気後退期には技術進歩率が向上するということを経済モデルを使って証明しました。景気後退期には、資本設備や投入する労働力を減じなければならない反面、企業は生産性を上げるために技術開発を行います。つまり、景気後退期には技術開発が進むと言えます。
 次の独自の水野の研究は、防衛についてです。政治的に中立的立場として説明します。
 アメリカ、中国等、経済大国となると、軍事技術の向上に力を入れます。その軍事技術が民間に開放されると、民間力で大きなイノベーションが巻き起こされます。かつてのインターネットも冷戦終結後に民間開放されて、世界経済は大いなる発展を遂げました。
 結論から先に言うと、日本でも国内防衛産業の技術を民間転用し、国全体の経済イノベーションに役立てられるような仕組みをつくるべきだということです。
 水野は、日本の防衛産業の経済的効率性の分析を行いました。水野が開発した産業間取引の効率性を測定する指標で計算しました。その結果、日本の防衛産業は効率的産業ではないという結論になりました。防衛産業の技術が伸びるどころか、産業自体がままならないという状態であることが分かりました。
 現状、日本は、アメリカから防衛装備品を言い値で押しつけられてしまっています。日本の防衛産業の国際共同研究も遅々として進んでいません。日本の代表的な防衛企業でさえ国内民間航空機が開発できない、大型クルーズ船を造れば大赤字というのでは、防衛技術に関してはより一層貧弱であるという想像がついてしまいます。
 どっちみちそろえるべき防衛装備品ならば、国内産業の技術力を向上させるようなことを配慮すべきです。アメリカ頼みにならず、防衛産業の技術力を向上させ、その技術の民間転用で日本全体のイノベーションを引き起こす状況づくりが重要です。
 水野独自の研究によれば、産業間の取引が閉鎖的である、非効率的であるという例は、日本の各産業で見られる現象です。私が計算した林業も閉鎖的でした。計算していない産業の幾つかは同様でしょう。他産業との交流を閉鎖してしまったら、イノベーションなど本格的に進むはずがありません。産業間の閉鎖性の打破を呼び起こし、イノベーション力を強めていく産業構造をつくってほしいものです。
 特例公債との関連でお話しします。
 赤字国債のシステムづくりが巧みにでき上がってしまうと、それに気づいたとき、国民は他人任せ、政府任せになってしまうおそれがあります。国民の労働、納税があっての日本経済です。我々労働者は、自分のためと国のために働いています。赤字国債を発行すれば解決してしまうという認識を持ったとき、税金が無用に思え、労働意欲が減退してしまいます。
 提案です。
 第一は、プライマリーバランスの必要性を常時国民に訴え、赤字国債は一時的現象である旨を国民に伝えることが重要ということです。
 今でさえ、何かあるたびに世論は、政府が補助すべきというように、政府のお金は自分たちが出しているという実感はなく、どこか他の人が出しているという他人事のようになってしまっています。国債を発行して、日銀が買って問題が解決するなら、誰もがそうしてほしいです。
 なぜプライマリーバランスが必要なのか。プライマリーバランスこそが、国民が労働意欲、納税意欲を持つための分かりやすい目標なのです。国民が、自分たちで自分たちの国づくりを行うという責任感を持てる目標なのです。赤字国債を発行するにしても、原則毎年審議にかけて、国民に、なぜ赤字国債の発行が必要なのか、納得のいく説明をいただきたいと思います。毎年が無理でも、せめて二、三年に一度は審議を通して国民に説明してほしい。なぜ納税が必要なのかを理解したいためです。
 第二は、もし赤字国債発行を慢性化させるならば、政府がイノベーション社会を実現し、そのイノベーションを享受するために国民が働きたくなる、そうした社会をつくってほしいということです。
 若い人が総保守化してしまい、今の就職人気企業が昭和のときとさして変わらない企業ばかりというのでは、新たなイノベーション企業に優秀な人材を回せません。世界的なイノベーション企業があっての今後の日本経済です。この技術革新期に、日本に世界的イノベーション企業を誕生させてほしいと思っております。
 いずれにしても、国民が納得いく説明を審議を通して欠かさないでほしいです。もし今回特例公債の法案を通したとしても、国民が、どうせ赤字国債が助けてくれると織り込んで勤労意欲、納税意欲を失ってしまったら、経済効果が思ったように伸びない可能性があります。まず、ここで挙げた疑問や課題を解決すべきだと考えます。
 以上です。(拍手)

#6
○越智委員長 ありがとうございました。
 それでは、次に山田参考人にお願いいたします。

#7
○山田参考人 山田でございます。よろしくお願いいたします。
 お時間が限られておりますので、多少とも断定口調になることをお許しください。
 私がここで今日意見として申し上げたいのは、最初にちょっと結論を申しますと、財務省の今回の改正法案に関する提案の理由ということでは、経済再生と財政健全化の両立を図っていきたいということなんですが、私はそれは大賛成で、では、そんなことが、OECDでもトップレベルの政府債務大国で、しかもアメリカと争うことになった貧困格差大国日本にできるのかということになるんですが、できますということを申し上げたいんですね。
 この資料の、お手元にある資料の四ページと五ページに、莫大な埋蔵金が存在するということです。最初に申しますと、表二は、全産業の、いわゆる内部留保金と言われるんですけれども、利益剰余金が、この間、爆発的に増えております。既にこれについては財務大臣の麻生さんからも、これはちょっと課税した方がいいんじゃないか、最近は言わなくなりましたが、そういうふうなことがありましたね。五百三十八兆円です。
 それから二点目は、とうとう日本もアメリカのような格差大国になって、これは二年ごとに野村総合研究所が報告書を作成して出しております、これによりますと、純金融資産が一億円以上を富裕層というふうにしておりますが、つまり、不動産とかそういうものを一切抜きにして、金融資産だけでもって、負債を差っ引いて純金融資産が一億円以上、この人たち世帯の保有する金融資産は三百三十三兆円です。もうちょっとそこを下げて、純金融資産が五千万円以上、ここのところで見ると五百八十八兆円もあります。ここに課税をしても、全く生活は困りません。この富裕層には、全く生活は困りません。今問題なのは、日本国憲法の第二十五条で言うところの健康で文化的な生活が壊されているという、そこに問題があるわけですから、その点に照らしていくと、この富裕層は全く、課税しても生活は困りません。
 アメリカでは、かなりの数の、ビル・ゲイツさんとかバフェットさんとか富裕層は、自分たちに何で課税しないんだということを連名でもってメディアに訴えていますよね。日本も例えば何人かの非常に目立った資産家がおりますが、やはりアメリカの富裕層の懐の深さみたいに、日本もそういう人が現れてほしいというふうに思います。やはりこれが、この層で五百八十兆円ないし三百三十三兆円の課税対象はあるんじゃないか。
 次の五ページですが、これは対外投資です。日本は世界最大の対外債権大国です、三百六十四兆円。アメリカは世界最大の対外純負債大国ですが、この中で、日本を捨てて、海外にマネーが投資されている。トランプさんは、アメリカを捨てて、アメリカから外に行って稼いでいる企業はけしからぬということをおっしゃいましたが、私も、やはりそういうことを考える必要があるんじゃないか、日本の国益をもっと重視する必要があるんじゃないか。
 対外的な投資という点では、やはりこれは余ったマネーですから、国内から余ったマネーが出ているわけです。詳しいことは説明は省略しますが、この中の外貨準備というのがあります、表の左側の下の方ですね。外貨準備というのは、要するに日本の外貨準備高ということになりますが、百四十四兆円ありますけれども、この九割以上はアメリカの政府の発行する国債を保有しています。あとはドル建て預金なんですね。
 かつて、東日本大震災が起こったときに、アメリカの著名な経済学者は、日本はこんな世界最大の、今は中国に抜かれましたけれども、外貨準備を持っているんだから、ここを取り崩して震災対策財源に何で充てないかということを言っております。文書も出しております。海外からそういうメッセージすら来ているわけなんですね。だから、そういう面では、外貨準備も含めた三百六十四兆円の純資産、ここにやはり課税のメスを入れるところまで来ているのではないのかというのが、私の今回の、皆さんに申し上げたいことです。
 最初の一ページに参りまして、今回の法案は、五年先まで特例債を発行する、これを常態化するということになりますが、一応、原則的なことを踏まえますが、予算は基本的には単年度主義なんですね。そこから逸脱しているということと、国債発行を原則的に財政法で禁止していますので、これらをやはり空文化する。しかも、赤字ですから、見合い資産がないわけですよ。料金も入ってこないし、手数料も入ってこないし、そういうふうな非常に問題の国債を増発するということになります。
 今現在、既に普通国債だけで取り上げても、GDPの二倍近くになっていますね。普通国債の残高の七割は特例債なんですね。この状況で、日本は政府債務大国というふうなことになっています。
 BSとかNHKの教育なんかでもよく、世界のそういう知性に聞くということで、フランスのジャック・アタリ、この人は単なる学者じゃなくて、閣僚とかをやったり、若い頃からフランスのブレーンなんですけれども、この人は、政府債務を返済する、解消するには八通りあると。増税、歳出削減、経済成長、低金利、インフレ、戦争、外資導入、デフォルト。よく採用されるのがインフレだと。
 これは、戦後の昭和二十年から二十六年を見れば、物価が三百倍になりましたから、そういうことによって政府債務を洗い流しましたね。そういうふうなことなんですが、この八つを実際にはセットしながら、ただ、日本は戦争とかその辺はちょっと違いますけれども、この八つの選択肢、戦略というのを実際にセットしています。だから政府債務が解消していますね。増税は消費税なんかが一番いい例ですけれども、やはりそういう問題があります。
 そして、国債が累積すると、一応、一通りちょっとあれしますが、まず、国債費が増大してきていますね。国債費の場合は、予算の場合には最優先でそれをまず差っ引きます。残りでもって国民生活関連予算というふうなものに配分するということになりますので、最優先に、国家に金を貸したその本人に対して、国債投資家に対してまず支払いをする、そういうふうな形で予算が組まれますので、ますます圧迫するということになります。
 それから、対外的には国債の格付を下げます。今は二十四位ですよね。経済は世界第三位なんですけれども、その国の国家的な信用、対外信用は二十四位なんですね。IMFから、例えば消費税を一五%にしろとか、いろいろな言い方があります。それは、日本政府の発行する国債の信用を担保したいから、新財源でもって支えろということなんです。こういうような、いわば税財源の拡大要請の口実になっていますね。
 それから次の問題が、どうしても借金、借金というふうにはしますが、経済学的には、国債や株というのは同じ、資金請求権という有価証券というふうに定義されます。どういうことかというと、国債だったら、政府から利子や元本償還をやる権利があるということですね。そうなりますと、国債、公債は将来租税の先取りということになります。したがって、将来の、若い人の世代の税負担の強化というところに結びついていくということになります。
 大きな二点目に行きます。
 大体、今、借換債も含めて毎月二十兆円の国債が発行されていますね。この二十兆円の国債を、では発行はできるのかということになりますが、それを可能にしているのが日銀による国債の大量買入れですね、異次元金融緩和、買入れです。
 それは、国債引受けを、直接引受けを戦前やっていますけれども、それは禁止ですから、一旦プライマリーディーラーといいますかそういう大手金融機関、これは日本勢が半分近く、海外勢がウォール街を含めた半分、二十社でやっています、この二十社が政府の国債を買いますけれども、買ってすぐ売るんです。どこに、日銀に売るんです。そういうふうな形で回しています。ですから、日銀が実際にもう国債の消化機関化しているという現状があります。明らかにこれは財政法第五条の形骸化ということになります。
 それで、その仕組みというふうなことでいきますと、大体、今、日銀は、借換債とかも含めて百兆円前後の国債を民間金融機関から買っているわけなんですね。そうやって資金を回しているという状態があります。国債を日銀がそうやってあれするというと、日銀の下に非常にたまって、今、大体半分ぐらいまで行っていますね。国債発行残高はどんどん膨張しています。
 財政再建というのは、一つは国債の発行を抑えるということだったんですけれども、この前の五年間でそういうことを言いましたが、全く目標は未達成です。経済も低迷していますね。そういうふうな状況が現実のリアルな世界です。
 私たちが法案を一つ立ち上げて、それに付随する政策を展開する、そのためには何が必要かといったら、実際、過去の政策がどういう経済的な帰結をもたらしているのかということを踏まえて、そこから教訓を出していかなきゃいけないということだと思いますね。そういう点でいいますと、やはり非常に問題です。
 国債は、株と同じように価格変動リスクがあります。そういう金融商品ですので、何らかのきっかけで国債価格が下落するとこれは金利上昇になりますが、日銀には国債評価損が発生して、日銀は発券銀行ですから、円の信頼を毀損する、そういう状況になって、円安というふうな状況が訪れます。円安は、憲法二十五条の立場からいえば、食料の大体六割はカロリーベースで輸入ですから、食料品の輸入物価の値上げという形でもって国民生活を直撃します。ただ、輸出産業は、トヨタクラスで一円円安になると四百億ぐらい為替差益が出ますから、ますます格差が広がるという状況になります。
 いずれにしましても、そういう、国債費が非常に膨張したりとか、利払い費が膨張したりとか、財政圧迫や財政破綻を誘発するリスクというふうなものを国債の増発というのは抱え込んでしまいます。
 大きな三点目ということになりますと、今、借金ということだけに目が行きますが、国債は、先ほどもちょっと触れましたが、資金請求権という証券で、これを買っていたら、国家から、政府から利払い、元本保証を一〇〇%やってくれるわけです。非常に格付の高い、そういう金融商品です。
 今の現状は、実体経済は長期的な低迷下で、では何で金もうけするかといったらば、金融ビジネスで金もうけに振っています。国債も利子が低いから、買って持っているだけでは全然あれだということで、どんどん売買をする。ざっくり言って、国債流通市場、売買高は二京円です。一・九京円ですね、兆の値を超えているわけです。
 なぜこういう事態になっているかというと、超高速取引ということで、一秒間に数千回の売買というふうなことがやられています。国債は、グローバルなマネーの、アメリカン・マネーやチャイナ・マネーもそうなんですけれども、ターゲットになっています。そして、猛烈な回転を人知を超えるスピードで行われています。そういうことであっという間に二京円ぐらいまで行っているわけです。
 こういう売買取引ができるのは、グローバルな金融ビジネスをやっている欧米のウォール街やシティー、ロンドンや、それから東京の三メガバンクあたりのわけになりますね。つまり、実体経済、国民生活にとって必要な財やサービスよりも、手っ取り早いコンピューターの、昔、日経新聞は電算機ギャンブルという言い方をしましたが、そういう金融ビジネスでいわば利益を増やす、そういう事態が進展していることがあります。
 つまり、国債は政府の借金という形だけで見ちゃいけないということなんです。有力な金融商品であって、これは、日本はようやくそういうふうな見方が広がってきましたけれども、アメリカのウォール街やシティーのあるイギリスは世界中の国債のそういう巨大マーケットになっています。
 一九八八年から二〇一一年だと思いますが、モルガン・スタンレーというウォール街の非常に大手がありますが、それは各国の国債の利回りで七%とか回すんですよ。すごいでしょう。利回り七%か八%ですよ、平均が。ただ、株の場合は平成元年から二年のところでどんと落ちましたから、さすがにウォール街でもそこではマイナスです、利回りマイナスになっていますね。
 この点がほとんど抜けているというところはやはり大きな問題です。つまり、国庫の赤字は利益の主要な源泉になっているというのが現代経済の特徴だということなんですね。国庫の赤字で稼ぐということが現代経済では行われています。
 次は、二ページ目に参ります。
 日銀が、さっき国債の間接引受けだと申しましたが、民間金融機関が買います、大量に。何といったって、月二十兆円国債を発行しなきゃいけないわけですから。それで、買ったものを日銀が更に高く買ってくれます。民間金融機関は、政府から公募入札というふうな形で、アンダーパー、要するに額面よりも低いことで買います。そして日銀は、何とオーバーパー、額面価格より高く買ってくれるわけですから、これはどんどん安く引き受けて高く売れる、そういう形で、日本の国債の発行と財政の資金繰りが回っているんですね。
 その結果、どういうことが起こっているかというと、日銀は、直近の残で十二兆円ほどの国債償還損を抱えております。国債は額面でもって償還しますから、額面よりも高く買ったらば、その高く買った分は国債償還損として日銀のバランスシートを傷つけます。そういうところです、十二兆円ですよ。
 これは、この表一の、いろいろ、名目GDPから一番最後の十二、日銀の国債償還損は、例えば二〇一二年の段階で約一兆円でした。ところが、この八年後ぐらいになると何と十二兆円まで上がっています。この十二兆円分はどうしたのといったら、それは民間の大手金融機関から高く買ったことによって被る損失で、立場からいえば、民間の大手、これは日本だけではありません、世界の民間の大手は十二兆円も日銀から利益を増やしてもらった。国債の日銀への売却益なんですよ。日銀は償還損十二兆円、民間は売却益十二兆円、こういう形でもって国債というのが金融ビジネスに使われているということですね。
 ひどいのが、今日ぱっと買ったらすぐ日銀に売る、これが日銀トレードというんですけれども、これの利回りで、瞬間風速でいくと三八%ぐらいの利回りの取引があるということが、この辺のデータはかなり微妙なあれで調べるのが大変なんですけれども、そういう指摘をしている国債に関する研究書もある。研究書ですね、著書もあります、私の友人なんですが。
 そういうことで、私たちがこの新しい法案をあれするときに、では過去五年間の特例公債の発行期間がどういう結果をもたらしたかというのが、この二ページの四の表一になります。経済は成長していません、全然、一・〇五倍です。ところが、株価だけ二・六倍になっています、時価総額は二・三倍ですね。富裕層や大手金融機関から企業、こういうふうなところは、つまり株式を持っている層は、ざっくり言って資産が二倍になったんですね。アメリカからすればまだあれですけれども、こういう状況が発生しているわけです。
 ところが、政府債務は一・三倍、この政府債務の中には財投債とかが含まれています、普通国債だけではありません。富裕層の金融資産も一・八倍とかと、つまり、経済成長を上回る資産の膨張というのがあるということですよ。この点は明らかにゆがんでいますね。そういう事態があるわけです。
 経済は低成長のままなのに資産が倍増して、株式を始めとした、大企業でいったら内部留保金が、利益剰余金がどんどん積み上がって、大企業の利益と富裕層の資産はどんどん拡大していく。ところが、国民生活は、消費税は一〇%に上げられる、社会保険料をどんどん上げられて、負担率は三九・四%から四四・六%まで、プラス四・九%ですよ。これはやはり非常なゆがみと格差が発生しているということになります。この点はやはり無視するということはできないのではないかということが、私が申し述べたいことの一つです。
 それで、こういうような事態、過去五年間の特例公債の発行期間でこれが発生しているわけです。過去の事態を見ますと、五番目として、このようなことが言えると思うんです。
 先ほど申しましたように、やはり、ざっくり言えば巨額の埋蔵金、ここに対する新たな課税をすることが、財務省の提案のように経済の再生と財政再建というダブルの目標を達成する上においては不可欠ではないのか。是非そのことを、細かいところでは法律のいろいろなものがありますので、これは非常に有能な財務省のスタッフの皆さんがやってくれるんじゃないかと思いますが。
 やはり日本は主権国家で、国民主権というふうなことをきちんと憲法で明記しているわけですので、私たちの経済学は、国民主権、生活ということでいえば二十五条、これを基準にしていろいろなことを考えなきゃいけないということです。そうすると、消費税の増税じゃなくて減税をしたりすると、これは国民の可処分所得を高めて、消費需要を喚起して、経済の再生へとつながっていく。
 あと、最後は、SDGsというふうな大きな枠組みで、ウィズコロナ、ポストコロナの世界というふうなものを日本から積極的に世界に向かって情報発信してほしいというのが私の申し上げたいことです。
 時間が参りました。どうも失礼いたしました。(拍手)

#8
○越智委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――

#9
○越智委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申出がありますので、順次これを許します。今枝宗一郎君。

#10
○今枝委員 自由民主党の今枝宗一郎です。
 本日は、財務金融委員会の参考人質疑に立たせていただいたこと、委員長を始め理事の先生方、また同僚委員の先生方に感謝を申し上げたいと思います。
 また、何よりも、参考人として、大変お忙しい中、国会に足をお運びいただきまして御説明をいただいた末澤参考人、また、水野参考人、山田参考人、お三方に心から感謝を申し上げます。
 特例公債法に関わることに加えて、コロナの問題について、また経済の動向の見通し、今後の政策についてなど、お三方から非常に貴重な意見を拝聴いたしました。本日賜りました御意見をしっかりと今後の議論に、参考にさせていただきたいというふうに思っております。
 さて、まず、内容にちょっと入る前にでありますけれども、お三方に是非お聞きをしたいことがございます。
 実は今、当然、コロナ禍でございまして、この中で先生方にわざわざ国会に足をお運びいただくということを、私も大変、感謝とともに申し訳ないなという思いでいっぱいであります。国会法でも、衆議院、参議院の両院の規則でも、オンラインは駄目だということは実は書いていないわけでございまして、お三方として、もしオンラインで御自身の御意見が開陳できるとすれば、それはいいなというふうに思われるかどうか、ちょっと教えていただければと思います。お三方、よろしくお願いいたします。

#11
○末澤参考人 やはり、この御時世でございますので、オンライン、リモートの会議も十分検討の余地はあると思います。
 私、実は自宅のマンションの理事会の副理事長をやっているんですけれども、先般の総会でオンライン可能に規約を変えました。
 以上でございます。

#12
○水野参考人 私は、大学の会議や授業でオンラインを多用はしているんですけれども、やはり不公平感というのは拭えないんじゃないかなと思います。学生にしても私の方もそうですけれども、電波の加減で切れちゃうとか、学生はどうしてもカメラがないパソコンがあったり、途中で切れて、先生ごめんなさいというように、ずっと授業に出られなかったりというように、現状では不公平な状況ではないかなというように思います。

#13
○山田参考人 今はもう全国的な学会もほとんどZoomとかでやっているんですが、今御指摘があったように、いい面と悪い面がありまして、わざわざこんな出かけてこなくても自分の意見が言えるというふうな面はとても便利です。ただ、やはり双方向でやるとなるというと、リアルな臨場感とか、本当にどれだけ訴えたいのかとか、その辺ではやはり限界がありますね。やはり対面じゃないと限界があります。この両方をうまく使い分けたらいいんじゃないかと思います。

#14
○今枝委員 どうもありがとうございます。非常に参考になりました。
 それでは、内容に入ってまいりたいと思います。
 まず、末澤参考人に何点かお聞きをさせていただきたいと存じます。
 私、二〇一二年の初当選でございますけれども、その後、自公政権におきまして、いわゆる大胆な金融緩和、機動的な財政出動、民間投資を喚起する成長戦略、三本の矢でございますが、経済は大きく成長いたしました。GDPは六十兆円増えて、日経平均株価は二・五倍増えたとよく言われますけれども、より重要なのは、私たち一人一人の暮らしに直結をしたものとして、例えば失業率は、政権交代時四・三%であったものが、二〇一九年十二月では二・二%にほぼ半減をいたしましたし、また、有効求人倍率も、〇・八三から一・五七ということで二倍弱に増加をいたしました。雇用者総報酬も、一割以上、約三十五兆円増えてきたわけであります。
 このまま更に賃金と消費が上がっていって、一人一人にその成長が実感をできる状況まであと少しというところまで来たわけでありますが、それが、もう皆様御案内のとおり、新型コロナの世界的なパンデミックによって全て崩れ去ってしまったというのが正直なところだと思います。本当にざんきの念に堪えません。
 新型コロナは、現在まで、世界で一・一億人が感染をし、死亡者の方は約二百四十四万人。我が国でも、四十二万人近い方が感染、陽性者数として把握をされて、七千数百名もの方が亡くなられております。心からお悔やみを申し上げ、現在闘病中の方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。
 そして、医療関係者の方々には、年末年始も休む暇なく診療に当たっておられますし、国民の皆様には、不便な暮らし、また、自らや自分の会社の収入が減ったとしても、感染拡大防止のために活動を制限を自らいただいております。本当に感謝を申し上げたいと思います。
 新型コロナによって自由な経済活動、社会活動ができないわけですから、こういうときこそ政府の経済支援によって、企業が倒産しないように、また国民生活がしっかりと成り立っていくように支えなくてはいけません。
 ここで是非お聞きしたいのが、コロナ禍が始まって以来、三次にわたる補正予算で約七十三兆円の感染症対策や経済対策を日本は行っております。この七十三兆円という規模感、これにつきまして、経済対策の規模として十分なのか、御評価をどのように考えておられるのか、末澤参考人に御意見をお聞きしたいと思います。お願いします。

#15
○末澤参考人 先ほども申し上げました今回の新型コロナウイルス感染症のパンデミック、これは、パンデミックとしましてはやはり一九一八年から二一年のスペイン風邪以来、あと、経済危機といたしましては一九二〇年代後半から三〇年代前半の大恐慌、世界恐慌以来の規模になっております。
 今回の規模が最終的に適当だったかどうかというのは、これはもう後世でしか判断できませんが、分からない状況では、やはり小さいよりは大きい方がいい。これは、一部は見せ金的な安心感に結びつきますし、今回、予備費が相当大きな規模になりました。
 この予備費についてはいろいろな議論はあるんですけれども、やはり今後、実際に使っていく段階で国会でもきちっと審査して、もっとワイズスペンディングな活用をしていただければ、これは国民生活にとっても極めてプラスになるというふうに考えております。

#16
○今枝委員 どうもありがとうございました。
 マクロで見てみますと、GDPは、リーマン・ショックのときは、二〇〇九年の一月から三月期ですかね、マイナス一七・八%で、今回のコロナにおいては昨年四―六が一番きつくて、二九・三%のマイナスであった。リーマンのときよりも激しい落ち込みであったというのは、数字として出ているわけであります。
 しかし、リーマンのときは失業率が五・一%まで跳ね上がりましたが、今回、足下でいうと二・九%で何とかとどめている。また、倒産件数も、いわゆる二〇〇九年には一万五千四百八十件だったそうであります。二〇二〇年、去年一年間でいうと七千七百三十件、半分くらいということになっています。
 経済支援ということをやっておりまして、減収補償ではないわけであります。また、ドイツみたいな一過性の消費税減税とか、大胆というか、そういうものも行っていないわけなんですけれども、かなり国民生活への影響というのを最小化しているような、そういう状況もあると思うんですけれども、その規模については後世が判断をするということでありますが、この対策で、今言ったような数字も見ながら、一個一個打たれている対策についてはどのように御評価をされているのか、教えていただきたいなと思います。

#17
○末澤参考人 前回の危機、リーマン・ショックと比べまして、今回の特徴は、ある面、先ほども、人為的なものでしたから、急激な失業率の上昇等を世界的に招きました。ただし、例えばアメリカでもPPP、国内でも雇調金等の拡充等で、やはり政府の対策も早かった。これがやはり極端な失業率の上昇等を防げたということで、そういう面では極めて適当な政策だった。
 ただ、やはり二極化が、今回、産業においても個人ベースにおいても極めてこれは世界的に拡大しておりますから、今、最も今回不利益を被っている皆様、企業、個人の皆さんへのサポート、これはもう引き続き極めて重要だろうというふうに考えております。
 以上です。

#18
○今枝委員 どうもありがとうございます。全体的に御評価をいただいたというふうに理解をしております。
 それでは、本題の特例公債法案について、関連した話をちょっとお聞きしたいと思います。
 今回の法案の第三条において、令和三年度から七年度の間の延長というのを求めているわけであります。単年度で延長していくということのリスクについては先ほど十分にお話しをいただいたと思いますけれども、複数年度化をすることによって日本の財政再建への工程が後退をするかとか、また、複数年度化で財政規律が緩むんじゃないかとか、そういった可能性については末澤参考人はどのように考えておられるのか、教えていただければと思います。

#19
○末澤参考人 私も、実は五年前にも同じような質疑に参加させていただいたんですが、実は、マーケット的には、今回の法案についてはほとんど注目されておりません。どういうことかと言いますと、やはり、それだけ日本政府また日本の中央銀行に対する信認が維持されているのと、一方で、やはりコロナ禍という極めて非常時でございますので、ここで一年でやるのか五年でやるのかについては、むしろ実際の経済効果、先ほど、むしろワイズスペンディングだとか、そちらの方への注目度の方が高いんですね。ですから、やはり、むしろ、今回のコロナショックを早期に収束させて、先ほど申し述べたように、より平常時に早く戻して、そこで私としては財政健全化をこれはもうきっちり進めていただきたい。
 特に、やはり今回、世界的にちょっと私は危惧しておりますのは、出生率が低下しております。アメリカの場合ですと、死亡者も多くて、先週末アメリカのCDCが発表したレポートで、これは昨年の一―六月期からの推計ですけれども、アメリカの、米国民の平均寿命が一年短期化しております、前年より。実は下期の方が一・七倍死者が増えていますので、実際は一年以上短期化する。
 我が国でも、多分、昨年度の出生数は八十万人台前半にまで落ち込む可能性があって、今年は場合によっては八十万前後というような見方も一部ございますので、やはり、長期的な成長戦略、少子化対策、これについては是非、この収束後、早期に挽回していただきたいというふうに考えております。
 以上でございます。

#20
○今枝委員 どうもありがとうございます。
 やはり長期的な視点も含めてということだったというふうに思いますが、このときに非常に重要になってくるのが、今回の特例公債法案の第四条におきまして、これまでは「国及び地方公共団体のプライマリーバランスの黒字化に向けて」というような文言があったわけなんですけれども、今回は「財政の健全化に向けて」という表現に変わっております。
 この表現の変化というものが、例えば財政再建への道にどういうふうに影響をするのか、しないのかするのか、また、その理由も是非、お考えのことがありましたらお聞かせいただければと思います。

#21
○末澤参考人 なかなか難しい御質問だとは思うんですけれども、やはりプライマリーバランス、こちらの黒字化は、過去、政府の極めて一貫した目標でございまして、現時点でも二〇二五年度のPB黒字化目標は、これは堅持されていると私は理解しております。
 ただ、やはりこういう状況でございまして、まずはこの収束、コロナ禍の収束を第一義と考えますと、むしろそこは、財政健全化という分かりやすい表現、国民の皆さんにも分かりやすい表現にすること自身は大きな問題ではない。むしろ、日々の努力といいますか、実効性をどうやって保っていくか、こちらの方がより重要だろうというふうに考えております。

#22
○今枝委員 どうもありがとうございます。
 後退をしない、特に、やはり日々の努力で一つ一つ積み上げていくべきだというお答えだったかと思います。ありがとうございます。
 それでは、大変お待たせをいたしました。水野参考人、また山田参考人にもお聞きをしたいと思います。
 今、末澤参考人にお聞きしたのと同様に、この第四条において、「国及び地方公共団体のプライマリーバランスの黒字化に向けて」という表現が「財政の健全化に向けて」というところに変わっております。そういったPB黒字化という言葉が一応この法案の文言からはなくなっているわけなんですけれども、そのことについて、財政再建への工程への影響、これは水野参考人、山田参考人、それぞれどういうふうに感じていらっしゃるのか、教えていただければというふうに思います。

#23
○水野参考人 私は、経済は要するに人の行動の結果ですよね、我々国民の行動の結果が経済の数値になって表れてくるということは、国民に分かりやすいということが一番大事なんじゃないかと考えております。
 ですから、プライマリーバランスという言葉が今度財政健全化になったらどこが違うのかとか、言葉の定義さえもなかなか分かりにくいので、できれば分かりやすい言葉を統一する。プライマリーバランスで皆さん頑張りましょう、そういうような国民への呼びかけという気持ちは忘れてはいけないんじゃないかなというように思います。

#24
○山田参考人 日本の行財政システムは、国と地方との関係という点でいきますと、例えば、今、一般会計歳出の中で、地方交付税交付金は十五兆九千億円、地方にあれしていますよね。もし、中央の一般会計のプライマリーバランスを黒字化するために、地方交付税交付金をやめて、地方に借金を押しつけて、地方のプライマリーバランスはますます悪化するけれども中央のプライマリーバランスは回復するというような帰結をもたらすとしたら、それはやはり一概には言えない。
 そもそも、ここでやはり外したというのは、実現できなかったからなんですよね。先立つ五年間で、プライマリーバランスを黒字化するというふうにして目標が実現できないと、そこの点でのやはり反省というふうなものをする必要がある。
 もし地方を外してやるのであれば、日本の中央集権的な行財政システムそのものをやはり抜本的に見直していくということを検討しないというと、中央政府と地方政府との間のアンバランスというふうなものがもっともっと深刻になる可能性がある、そういうリスクがあるということを申し上げたいと思います。

#25
○今枝委員 ありがとうございます。
 ちょっと山田参考人、少し私の質問の仕方が悪かったのかもしれませんが、地方を外してということよりも、プライマリーバランスの黒字化ということそのもの、これは国、地方合わせてであると思いますけれども、それをやはりこの特例公債法案には書き続けておくべきではないだろうか、若しくは、それは財政の健全化ということで全部包含されているから別にいいだろうというふうに考えておられるのか。その辺りについてお聞かせいただければありがたいなと思っております。(山田参考人「一言で言うとどういうことですか」と呼ぶ)
 一言で言うと、プライマリーバランスの黒字化という表現が今回の特例公債法案からは抜けているんですけれども、それについて、プライマリーバランスの黒字化の重要性というか、そういうところをどう考えておられるかということを聞かせていただければと思います。

#26
○山田参考人 プライマリーバランスの黒字化を目指すこと自体については、これは大切なことだと思います。財政健全化の上でも重要な論点だと思いますね。ただ、問題は中身なんですね。
 はっきり言えば、消費税を二〇%、三〇%上げて歳入増を図って、歳出削減は社会保障をばっさり切って、プライマリーバランス黒字化になりましたというのも、これもプライマリーバランスの黒字化なんですよね。
 ですから、そういうことではなくて、私が先ほど申し上げたように、税金を負担する能力のあるところから取って、そしてプライマリーバランスの黒字化につなげるということ、その点は大切だと思います。
 以上です。

#27
○今枝委員 どうもありがとうございました。
 お二方ともプライマリーバランスを非常に重要視されていることが分かりましたし、今、山田参考人からその具体論についても少しお触れをいただきました。
 では、水野参考人においてはイノベーションの重要性というものを非常に訴えておられると思いますし、御自身の研究内容でもそういうところが多分かなりあるんだろうなというふうに思います。
 実は、著書をちょっと読ませていただきまして、例えば、今はちょっと難しいですけれども、これまでインバウンド政策がいかに大きな経済成長を遂げさせてきたか、さらに、地方に造った空港なんかも、造っておいてよかったみたいな、有効活用できてよかったみたいなことも書いておられました。
 それと同時に、このイノベーション、いろいろなところであるわけでありますけれども、例えば我々の政権においては、まさに二〇五〇年のカーボンニュートラルを目指しまして、それを技術革新、イノベーションで達成していこうということでやっております。これは環境政策だけじゃなくて、まさに成長戦略、イノベーション政策の視点でやろうとしているわけなんですけれども、この点については成長戦略としてどのように感じておるか、イノベーションとしてどのように感じておられるのか、少し御所見をいただければありがたいです。

#28
○水野参考人 カーボンニュートラルについて、ちょっと御説明いただけますか。

#29
○越智委員長 それでは、今枝君、質問を続けてください。

#30
○今枝委員 続きます。
 二〇五〇年にカーボンニュートラルを目指して、そのために、いわゆる炭素税とか、そういった税で締めつけていくだけじゃなくて、例えば車、自動車の開発とかそういったものをやっていこうということで、技術革新をしていってそれを達成していこうということで、そちら寄りでやっているんですけれども、そのことについてどうお考えかというふうに、簡潔に教えていただければと思います。

#31
○越智委員長 水野参考人、時間が経過をしておりますので、簡潔にお答えをお願いします。

#32
○水野参考人 日本の経済というのは、先ほども少し触れたんですけれども、壁、壁、壁、壁ができているんですよ。やはりその壁が壊れるような、みんなが共通でできるような、それならみんなで頑張ろうねという、そういうようなイノベーションづくりというのは大賛成です。

#33
○今枝委員 ありがとうございました。
 終わります。

#34
○越智委員長 次に、太田昌孝君。

#35
○太田(昌)委員 公明党の太田昌孝でございます。
 本日は、財務金融委員会の中で質問をさせていただく機会を頂戴しまして、理事、また委員の皆様方に心から感謝を申し上げる次第でございます。
 また、本日は、お忙しい中、末澤先生、水野先生、山田先生、お時間をつくり、また、様々貴重な御意見を賜ることができました。心から感謝を申し上げる次第でございます。
 平成二十四年から、民主党政権時代の頃から、自民党、公明党、三党合意によって、特例公債、複数年発行できるようになって、これで三回目ということになるわけでございます。
 それ以前からということになりますけれども、リーマン・ショックもあり、あるいは東日本大震災もあり、あるいは今回のコロナショックということで、ワニの口が開いたというよりは天井が抜けてしまったかのような状況であろうかというふうに思います。また、先日は、福島エリアを中心にまた震度六強の地震も発生したというようなことの中で、やはり様々な、日本の経済あるいは社会活動の中でリスクを抱えながら、しかしそれを果敢に乗り越えていく、そんなことが必要なんだろうなというふうに思っております。
 また、現在、ようやく先週からワクチンの接種が始まりました。これによってコロナの収束が一歩でも早く進むことを願うわけでございますけれども、いまだに十都府県に対しましては緊急事態宣言が続いている、こんな状況でもございます。先ほど末澤先生からもコロナウイルスについては詳細な説明がございましたけれども、そういう中で、どこまでも国民を支え守る、その意味で、コロナ対策のために医療、経済あるいは文教等々諸政策を講じる政府、なかんずく、国家財政の現状と将来というよりも、直近の今後の財政見通しについてお尋ねをさせていただきたいと思います。
 まず、今回の予算編成時に加えて、これまで三次にわたる補正予算を組んで、この新型コロナを乗り越えるための対策を講じてまいりました。昨年、二次にわたる補正予算においては総額五十七兆を超える対策、さらに、三次補正で実質総額で十五兆四千二百七十一億円の予算を講じております。全て国民生活を徹して守るために講じられてきた予算執行と確信をしております。
 しかし、先ほど申し上げましたとおり、例えば、大災害あるいはリーマン・ショック等の経済危機をはるかに超える財政出動ということでございます。
 これにつきましては、このコロナウイルス、パンデミックという感染拡大からの大胆な政策、財政出動、これは世界の情勢から見ても当然のことというふうに思いますし、今、財政規律、大切なことではございますけれども、しかし、国民の生活をしっかり守るための予算として、私はここで財政出動をためらうべきではない、こんなふうに考えております。
 さらに、新年度予算について、今回の特例公債法についての法改正、これをやろうとしているところでございますが、新型コロナウイルスの感染拡大防止、それから経済回復、そして財政健全化、こういう大きな三つの課題、目標と申し上げてもいいでしょうけれども、こうした今の日本に課せられた基本的な課題であるというふうに考えております。
 本年の一月二十一日には、経済財政諮問会議に内閣府から提出されました中長期の経済財政に関する試算、これはあくまでも参考資料ではございましたけれども、これによりますと、以下のように今後の経済について予測をしておりました。
 既に公表されておりますので先生方も御承知のことだと思いますが、詳細は省きますが、今後想定されるGDPや物価動向等の中期的なマクロ経済の姿、二つのケースで比較しております。一つ目は成長実現コース、二つ目はベースラインケースという形で示されております。
 成長実現コースについては、GDP成長率は、感染症による経済の落ち込みからの反動、ポストコロナに対応した新たな需要などにより着実に回復して、中長期的にも、デジタル化やグリーン社会の実現、人材投資、中小企業を始めとする事業の再構築などを通じて生産性が着実に上昇する、実質二%程度、名目三%程度を上回る成長率が実現するとされております。
 この結果、名目GDPがおおむね六百兆円に達する時期は、感染症の経済への影響を見極める必要はあるものの、二〇二三年頃と見込まれています。また、消費者物価上昇率も、二〇二四年度以降二%程度に達すると見込んでおります。
 財政面でも、プライマリーバランスは、歳出改革を織り込まない自然体の姿で二〇二五年度にGDPで一・一%程度の赤字となるものの、黒字化の時期は二〇二九年度となる。引き続き、デフレ脱却、経済再生への道筋を確かなものとすると同時に、これまで以上に、民需主導の質の高い成長を実現していく中で、歳出歳入両面の改善を続けることが重要。公債等残高対GDP比は、試算期間内においては安定的な低下が見込まれる。なお、長期金利の上昇に伴って、低金利で発行した既発債のより高い金利による借換えが進むことに留意が必要。
 一方、ベースラインケースでは、経済成長率は中長期的に実質一%、名目一%台前半程度となる。また、消費者物価上昇率は〇・七%程度で推移する。
 財政面では、プライマリーバランス赤字対GDP比は、二〇二五年に二・一%程度となって、試算期間内のプライマリーバランス改善は緩やかなものにとどまるとされております。公債等残高対GDP比は、試算期間内はおおむね横ばいで推移する。
 こんなような予測をされておるわけでございます。
 新型コロナウイルス対策で、日本ではやっと先週からワクチン接種が始まりました。先ほど申し上げたとおりであります。もちろん、先進的にワクチン接種が進む国もある中にありまして、ワクチンが行き渡るまでには相当の時間がかかると思われますし、また、先ほど末澤先生の資料の中にもありましたワクチン対バリアント、変異株ウイルスの出現と言われたようなリスクもありまして、このことも踏まえた上で、今後の世界経済、日本経済の見通しについて、これはお三方にお伺いをしたいと思います。また、あわせまして、現在我が国が抱える巨額の国債の今後の安定的な償還、そしてそのリスクについて、それぞれの先生方に御教示賜れればと思います。よろしくお願いいたします。

#36
○末澤参考人 今後の世界経済の見通しにつきましては、先ほどIMFの見通しも御紹介しましたとおり、ワクチンの普及が今後、夏にかけて進む、世界で。この前提の下、一部、今、前半は少し成長が落ちますが、下期には回復する、これが一般的な見方でございます。
 ただし、やはり幾つかリスクは指摘されておりまして、一つはアメリカの長期金利、今一・三%、これが一段の、バイデン大統領も、二月と言っていますが、多分三月になりそうですけれども、第二弾、また対策を発表するということで、やはり、経常赤字国、財政赤字国、二つの赤字が大きく膨らむような形でアメリカの長期金利が上昇すると、これはちょっとやはり株価等にマイナスとなります。
 あとは、先ほど、やはり変異株、バリアントの問題ですね。今、南アフリカ、ブラジル、最近イギリスで新しいものが確認されましたが、こういったものは、ワクチンの有効性を落とすような新たな変異株も、イギリスの1・1・7ではなくて新しい方ですが、あります。こうなってくると、またインフルエンザウイルスのように半年に一回ワクチンを打たなきゃいけないということにもなりかねませんので、ちょっとその辺りのリスクはまだやはりはっきりしない。基本的には、金融緩和、財政出動の効果によって、あとワクチンによって後半成長率は増すとは思いますが、やはり不透明性は大きい。
 そうした中、日本の国債市場はどうかということなんですけれども、足下では極めて安定推移となっております。日本銀行の購入量は実は少し減りぎみです、国債の発行額は増えているんですけれども。これはやはり、民間サイドでもある程度国債の需要があるということと、現段階では、欧米の国債の金利も下がりましたので、相対的に日本国債の魅力が、日本の投資家さんにとってみると少し増している面もあります。
 ただし、これは、先ほども申しました、中長期的にはやはり大きな少子高齢化というリスクがございましたので、それに対して日々取り組んでいく。日本国、日本政府がきちっと国債の償還、利払いを今後もやっていくというスタンスを、これは日々きっちりと表明し、実践していくことがやはり重要だろうと考えております。
 以上でございます。

#37
○水野参考人 今後の見通しについてなんですけれども、マイナスの材料としては、先ほど触れましたように、株価が異常に値上がりしてしまっていて、そして、その株価が今後どのような動きをするかというのがやはり日本経済に直結するんじゃないかなというように思います。
 例えば、金融市場の方から、先ほど私が申し上げた、堰が崩れ落ちて、そして実物市場の方にお金が流れ込んだらインフレ、そして、堰があるまま株価が大暴落したらバブル崩壊というように、これからの株がどのように落ち着いていくか、金融市場が落ち着いていくかというのが一つ心配なところ、マイナスとして心配なところ。
 もう一つ、プラスとしては、消費が経済にとっては非常に重要なところですけれども、これは、他国の消費のマインドの活発さというんですか、それを見ていると、コロナが収束したら、そうしたらまた日本に行きたいというような意欲が何かひしひしと伝わってくるような気もするし、我々日本人も、コロナが終わったら消費をしようという感じの気持ちがあるような状況のようにも思えるので、それがもし実現すれば、ある程度プラスの方向に、経済に作用するんじゃないかなというように思います。
 ですから、マイナスとプラスをどのように混合させてうまく見通しを立てられるかというのは、ちょっと難しいところではあります。
 国債の償還については、私、専門ではないので分からないですが、そのような、経済がプラスの方向に行ってくれれば、国債についても安定感が出てくるんじゃないかなというように思います。

#38
○山田参考人 まず、今後の経済回復なり安定性ということですけれども、中長期的な見通しでいきますと、日本の場合は、運転する方向を変えると非常に明るい展望があるということを申し上げたいですね。
 それは、今、世界の経済は大激動期に入っておりまして、産業革命以来、アジア経済圏が世界経済の中心になった時代に入りました。それに伴って、ざっくり三三%で、欧米はそれぞれ二割台です、アジアを中心として世界経済が回り始めた時代に入りました。これは、アジアに立地している日本からすれば、とてもいい追い風になりますね。
 そしてさらに、日本の最大貿易相手国は、戦後ずっとアメリカだったんですが、中国になりました。中国は対外的な、国際政治では大分問題があるというか、そこは私の専門でないので、それはそれとしてあるんでしょうが、経済について見ますと、これは既に欧米の専門家も、日本と中国が握手をしたら、産業革命以来握ってきた大英帝国の特権も戦後アメリカの特権もみんな奪われてしまう、そういう非常な危機感を持って、日中が握手をすることにいろいろな形でくさびを打ってきております。
 もし日本が、日本の貿易相手国は中国と申しましたが、アジア、ASEANを含むアジアを、日本の貿易の輸出と輸入のシェアでいきますと、とうとう五〇%を超えました。アメリカは一五%ですよ。EUだって一五%ですよ。ですから、EUやアメリカと別れたって日本経済は何とかもっていきますよ。でも、アジアから見放されたら日本経済は破綻します。もう明らかに破綻します。貿易立国日本のそういう経済構造です、原材料、資源はないし。
 そういう面では、アジアの国と仲よくなって、貿易を始めとして、私どもが全く想像ができないほど、日本の様々なグッズ、これはアニメとかも含めて、絶大なブランド志向はアジアの諸国にあります、日本の車から含めてですね。そこのところにきちんと焦点を絞って、アジア等の国と仲よくやって、そういう貿易のウィン・ウィンの循環に入れば、日本経済は非常に大きな展望があります。そこに持っていけるかどうかです。
 それは、国際政治で、第二次世界大戦をどう反省するかとか、もう日本は金がないんだから、公的援助でもって黙らせるということはできないんだから、韓国も、金をつかんだんだったらお前たちは静かにしろという時代は、日本はこれだけ財政赤字でもって対外援助ができなくなったので、それはもうアウトですよ。
 だから、そうしたらば、金がかからない、とにかく、国際会議に出たら、あんなに日本が謝っているんだからもういいかげん韓国何とかしろとか中国何とかしろというような世論をつくる。そして、貿易立国日本を大きく羽ばたかせる。これが中長期的な日本経済の再生だと思います。
 以上です。

#39
○太田(昌)委員 ありがとうございました。
 それぞれ、先生方、丁寧な御答弁、誠にありがとうございました。うちの先生方も、前向きな日本経済に向けての将来像を示していただけたかというふうに思います。
 ちょっと時間が余りありませんので、今、現状、コロナ禍によって、現場では、職を失ったり店舗を閉めざるを得ない、会社の存続ができない、かなり実体経済は傷んでいるという私の認識でございます。
 こうした中で、アフターコロナを見据えた経済の復興、大きく国民の望む政策でもあろうというふうに思いますが、それ以前に、コロナを乗り越えることも喫緊の課題であることに変わりはないわけでございます。
 その後の財政健全化につきまして、末澤先生、資料の中にも書いてございます。最終的に、成長戦略とともに、これは歳出歳入の改革が重要であるという御提言を頂戴をいたしました。具体的な取組について、是非お考えを御教示願えればというふうに思います。よろしくお願いいたします。

#40
○末澤参考人 どうもありがとうございます。
 先ほどはちょっとお時間がなくて御説明できなかったんですが、私の方で御用意しました資料の最終ページ、四十七ページに、私は、最終的に財政の持続可能性を高めるには何が必要かということで書かせていただいております。
 やはり、これは国力の充実が重要、私はアンチエイジングという言葉を使っているんですね。これはちょっと美容的に使われていますけれども、そういうことではなくて、私、日本国は世界に冠たる高齢国家でございまして、この中でどうやって新陳代謝を上げていくか、これは企業さんもそうですし、いわゆる少子化対策も、ここにやはり相当力を入れていかないといけないと思う。
 あと、次元の異なる成長戦略ということで、これほどアジアの、一方で相当競争相手が台頭してきておりますから、やはり差別化ですね。これは、アメリカのGAFAM等を見ても、やはり自国の強み、例えば英語圏だとか、かつての軍事に使われたインターネットだとか、やはり今は世界でも各国の強みがあるものしかもう残らないような状況になっちゃっているんです、世界分業の流れ。だから、日本の強みを極限まで発揮できる産業にある面選択と集中も必要でしょうし、やはり少子化対策ですね。これは本当に、私は、特に今回のコロナ禍でより一段の対策が必要になったと考えています。
 あと、やはり対外投資の運用利回り向上ですね。日本はまだ対外純資産世界一でございまして、これをどうやって今後配当として戻してくるか。
 あと、やはり中長期的な財政再建プラン。私は、これは、消費税が欧米と比較しても水準は相当低いという状況にございますので、行く行くは消費税の引上げ等もどこかでやはり検討せざるを得ないというふうに考えております。引き続き、成長戦略と財政健全化は車の両輪でやっていくべきだというふうに考えています。
 以上でございます。

#41
○太田(昌)委員 先生方、それぞれありがとうございました。
 今御指摘いただきましたとおり、今コロナ禍でもあり、冒頭申し上げましたとおり、定期的に、日本、リスクに襲われる中にあって、一方で、今の御指摘がありましたとおり、少子高齢化、構造的な課題というのは、まだ解決の道筋がなかなか見えないというような状況でございます。こんなときであればこそ、また、今の危機を乗り越えた上で、更にその先にこれを見通した経済対策というのが必要だというふうに思います。
 本日いただきました御示唆、これからの議論に生かさせていただきます。本日は、どうもありがとうございました。

#42
○越智委員長 次に、末松義規君。

#43
○末松委員 今日は、本当に貴重な御示唆、そして御教示を賜りました末澤参考人、そしてまた水野参考人、山田参考人、誠にありがとうございます。本当にお忙しい中こちらの方にお運びいただきまして、心から感謝を申し上げます。
 私の方は、この法案のまず本質的な面で、要は、毎年毎年特例公債というのをチェックするのか、それとも五年間という包括的な形でこれを運用するのかということがこの法案の一番の本質だと思いますので、その点について、三人の先生方から端的にお立場を賜りたいと思います。
 それぞれ、皆さん、先ほどの御説明の中でほとんど入っておりますので、そこは今回は非常に端的にちょっとお立場を御説明していただければと思います。

#44
○末澤参考人 今回の法改正は、四年、五年、五年ということで、三回目の複数年度の延長ということでございます。
 本来、戦後制定された財政法は、戦時下での日銀引受け等によるハイパーインフレーションの経験から、反省から作られたということで理解しております。そういう意味では、私は、本来は、財政健全化の道筋がつけるような状況であれば、むしろ単年度でやるべきだろうと思います。
 ちなみに、ドイツは、リーマン・ショック後、憲法、向こうは基本法でございますが、基本法を改正して、基本法の条項の中に一応財政収支の均衡を明示したわけですね。その後、複数年間、黒字化。去年、今年はコロナ禍で、一部赤字を容認しております。
 ただ、そういう状況になれば私はむしろ一年に戻すべきだと思うんですが、やはり客観的な情勢を考えて、じゃ、すぐに単年度でやれるか。特に今、コロナ禍という本当に百年に一度の危機の中では、これはもう、申し訳ないですけれども、やむを得ない。ある面、与野党の前向きな議論というのは、もっと別のところでやっていただければよろしいんじゃないかと考えております。
 以上でございます。

#45
○水野参考人 先ほど私も触れたんですけれども、国会の審議というのは、国民への丁寧な説明に値すると思うんです。経済は国民が動かしている、人間が動かしている。その動かしている人たちに理解してもらう。それが経済運営で最も重要なことだと思います。

#46
○山田参考人 やはり基本的には、予算は単年度主義という原則があるわけですね。
 なぜ単年度主義かといったらば、国民に全部分かりやすく一年一年区切ってあれする。何か変に、使い残しというよりも、ため込みとか、それやこれやの不透明な予算の在り方というふうなものはさせないという、そのために単年度主義があるんですね。ですから、そういう単年度主義から逸脱をしているという点で、やはり問題だと思います。
 それから、五年先までということで、これはもう明らかに財政規律が緩んで、今回、プライマリーバランス黒字化というのが出てこないのは、既にそれが破綻してしまっているわけですね。
 これから更に、この百年に一度の危機、コロナ危機の中で、いろいろな形で財政支出というのは必要になります。これはやはり一番たくさん大変なのは、ざっくり言えば、九九%の中小零細企業や国民ですよ。ここのところは財政で支えてやらないと、これはもう経営破綻が広がるわけですよ、生活破綻が広がって。やはり最近悲惨なのは、お母さんとお子さんのところの家庭がもう大変で、女性の自殺が目立っているというようなことを新聞報道で聞きますと、やはりそこのところはきちんと手当てしてやらないといけないです。これは最優先だと思いますね。
 ですから、そういう面では、そういうところの手当てをきちんとやるという点でも、これは非常に重要だというふうに思います。
 ただ、あくまでも、財政法が空文化されたり単年度主義から逸脱するという、つまり、異常事態なんだという自覚はずっと持ち続ける必要があるんじゃないかと思います。
 以上です。

#47
○末松委員 それぞれのお立場から非常に深い御意見を賜りまして、ありがとうございます。
 それでは、お三方に、お一人お一人、ちょっとお聞きしたいと思うんです。
 まず、末澤先生ですね。
 本当に、金融財政アナリストの現実的な視点に立たれて、経済一般からCOVID―19、さらにはバイデン政権とか、さらには特例公債法について、またその公債の状況についても、本当に詳細な御説明また資料をいただきまして、本当にありがとうございます。
 先生の方に、アメリカの説明をされているときに、ちょっと私もはっと思ったんですけれども、アメリカの場合、財政がうまくいかずに、与野党の関係で、ガバメントシャットダウンとか、本当に日本では起こり得ないようなことがアメリカは起こっているんですけれども、そういった中で、アメリカ人で、やはり政治家でも偉いなと思うのは債務上限ですね。さっきおっしゃられた、このデットシーリングというのをもう本当に決めていく、そういうことを政治が決断をしているということですけれども。
 日本の場合、今、やれ国債、借金が一千兆円だ、一千二百兆円だとか言われていますけれども、そういう、何といいますか、上限を決めていくというようなことは、何か曖昧なまま、不明でやっているわけですけれども、このデットシーリングというもの、借金の限界をきちっと決める、こういうことの考え方に対して、日本の場合、適用されるかどうかについて、その可能性ですかね、あるいは望ましいかどうかも含めて、御意見を賜れればと思っています。

#48
○末澤参考人 まず、米国と我が国の予算制度は違いもございます。
 米国の場合は、基本的に歳出法案ですね。この策定は議会がやります。アメリカの財務省は、基本的に、事後的に国債の発行をコントロールするという、ある面、資金繰り的な窓口でございまして、その中で、アメリカの財務省がどんどん野方図に国債を発行できないようにするための面でも第二公債自由法というのが設定された、つまり、行政府をある程度抑えるという面があると思うんですが、我が国の場合は、財務省は、これは予算の編成から、あと、これは財政法という日本独自の制度の下に四条国債と特例公債を分けて法案化していますので、そこである程度同じような歯止めというのはできているんだろう。
 ただ、私は、将来的に日本国が財政を本当に健全化するなら、与野党共同で、ドイツでやったような、それこそ憲法改正するなりして、少なくとも努力義務規定程度は入れてもよろしいんじゃないかと思います。これは少子化対策なんかも同様だと思うんですけれども。
 以上でございます。

#49
○末松委員 本当に、今、我々も、このままずるずると借金が増えていって、そして経済破綻が起きてくるというのが最悪の事態だと思っていますので、そのために政治家としてきちんと真剣に議論する時期が当然今も来てはいるわけですけれども、なかなかそこは前に進まないというようなことを問題意識を持っています。
 それでは、水野先生の方にお伺いをさせていただきたいと思います。
 水野先生、お聞きすると、特例公債漬けになって国民が労働意欲も失うというような哲学的な面も御説明されてこられましたし、また、長期的には、イノベーションというのを通じて経済を飛躍的に別の次元に上げていくというようなことが、結局は経済成長というのも前に進めて新たな発展的な社会あるいは経済をつくっていくということを御示唆いただいて、大変ありがたいんですけれども。
 今、ちょっと私の見た場合、例えばアメリカは、GAFAとかマイクロソフトとか大企業、それも若い企業がどんどん育っていって、そして世界を変えていっている、こういう大きなイノベーションが起こっているのに比べて、日本は、過去、ソニーとかいろいろな、そういった幾つかの企業が引っ張ってきたというのはあるんですけれども、それがどうも元気がなくて、なかなか育たない。
 そういったところは、アメリカと日本をもし比べた場合、日本にそういったイノベーション的なものが非常に少なくなってきて、さっき先生がおっしゃられたように、いろいろな日本社会に壁があって、それを乗り越えていく力がないような、そういうことにも、私もまあそうだなという感じはするんですけれども、何か、先生が研究されてきておられるシュンペーターの言う創造的破壊の、そういった大きなダイナミズムですか、特にイノベーションの、これをつくり出すにはどうすればいいかというのをちょっと御示唆いただければと思います。

#50
○水野参考人 日本の経済社会あるいは日本の社会の場合、枠組みがもう固まっちゃっていて、その壁を、様々なところに壁ができ上がって、それを打ち壊すという力がこれまで日本にはなかったように思います。
 例えば、株式市場に代表されるような金融市場、金融市場でも、そちらにお金がたまってしまっている。そしてそれを、堰が実物市場であるならば、その堰を壊そう、壊せる、壊さなければいけないという方針がなかなかうまくいかない。
 日銀がマイナス金利で金融市場から実物市場にお金を流そうとしても、十分効果的ではなかった。逆にますます株価が上昇している。あるいは、若者が総保守化してしまって、先ほど話しましたが、総保守化で、大手企業、それも昭和からあるような大手企業の方に人材が行ってしまって、新たな人材が育たない。これもやはり、株式市場が調整能力を失って、新しい企業にお金を回すような仕組み、イノベーションを活発化させる企業にお金を流せるような仕組みが機能していない、それが原因だと思われます。
 また、産業間についても触れましたけれども、日本の産業間には大きな壁があって、取引が限られたところとしかなされていない、産業同士しかなされていない。そうした枠組みを外さない限り他の要素が入ってこないので、他との交流を活発化させて初めてイノベーションが起きるんですけれども、しかし、これまでの枠の中で活動しているから、なかなか画期的なイノベーションが起こらない。
 やはり、至る所に、学歴社会も、まさに私が受験、四十年前でしたか、四十年前の枠組みと全く受験の枠組みも変わっていないというように、日本の枠というのが社会においても経済においても固まってしまっている。その枠を壊すような力が必要なんじゃないかなというように思います。
 そして、シュンペーターの創造的破壊ですけれども、破壊は怖いんです。すごく怖いことであります。目の前の人たちが傷つく、しかし、それを実行していかなければ新たなイノベーションが起きない。その勇気を持つことが重要だと思います。

#51
○末松委員 本当に、私も、それが、日本社会の大きな活力を生むためには、破壊をも恐れぬ、新たな時代をつくるんだという、そういった若者を中心とした、あるいは別にシニアでもそれはできると思いますけれども、その気概が一番重要だということに対しまして、大変納得するところでございます。
 山田先生におかれましては、埋蔵金の話から始まって、本当に、経済格差とか、あと金融緩和を背景とする金融や証券市場の膨張、あるいはマネーゲーム、それがちょっと今かなり市場のゆがみとか経済のゆがみも出てきているということも御指摘いただいたり、あるいは、世界的に特異な日銀の債券購入、国債購入等のそういったシステムについてもかなり疑問を投げかけられたということですけれども、時間も余りないので、私の方でちょっと一点だけ。
 埋蔵金の話で、これまた本当に衝撃的な話ではあるんですけれども、日本にも、過去、一九四六年から四九年まで、要するに資産課税ということで、それを一挙に、円の交換ということですか、ああいうことでやって、経済、そのときはかなり衝撃が走ったんですけれども、戦後直後ということで、その混乱の中でそこを安定的にさせたということがありましたけれども。
 今、富裕層に対して、先生おっしゃるように、資産課税をかけるといった場合に、これは経済の緊急事態でもない限り、なかなか国民の、特に富裕層の皆さんに対して、財産課税かけるぞというのは、これはなかなか厳しいことではあるかな、政治的にですね、そう考えるんですけれども、そういった場合、何かやはり、経済緊急事態というような、そういうふうな形の認識、こういうものを持たせるため、あるいはそこに資産課税というものをやる根拠、これはどういうふうにお考えでしょうか。

#52
○山田参考人 私は、今の日本経済というか、政府の債務も含めて、到達点はやはり非常事態にあるという認識なんです。
 まず、その一つの理由は、IMFなんかで毎年発表している、財投債とかも含めた、OECDの中でのGDPに対する政府債務比率というのがあるんですが、それは日本だけが飛び抜けて、今二・六六から七倍なんですよ。経済の母体、成長の母体の二・七倍の規模で借金が重なっているわけです。ただ、これは国内から調達するのでまだあれなところはあるんですけれども、これは明らかに異常です。
 戦後の財政赤字大国とみんなから言われて、どっちかといえば問題視されたのはイタリアです。でも、イタリアなんか今はもう、まあリーマンとコロナでもってぐっと上がってきているんですけれども、一・六倍ぐらいなんですよね。ですから、世界第三位の経済大国が世界トップレベルの財政赤字、政府債務大国に陥っているということは、やはりもっと押し出していいと思いますね。
 埋蔵金というのは、分かりやすいのでそのように使ったんですが、アメリカやそれぞれのところでは、そういう富裕層はある程度還元しないと自分の地位が危ぶまれるというので、ボランティアから、いろいろな寄附から、ビル・ゲイツさんみたいに年間六千億だとかぽんぽんぽんぽん寄附するとか、そういう風習がないですよね。ないわけです。何か、成金大国とか、にわか何とかと、バブルのときには世界中からそういうふうにやゆされましたが、やはりそういうレベルを脱出しようと。むしろ積極的に、お金持ちの超富裕層は一肌脱ごうじゃないかというふうな、そういう呼びかけというふうなものをする必要があるのではないかと思います。
 あとは、債務がそういうのと、あと国民生活で、データで、例えば失業率がすごく減ったとか、そういうふうな数値ではなくて、リアルな生活場面でもってどれだけ悲惨なことが起きているかというふうなのを、もっと逐一、リアル経済社会というふうなものの情報をどんどん発信していく必要があると思いますね。それは本当に悲惨なわけです。これは地方にいてもそうです。
 私なんかも、ある国会議員の元の方は、自分の支持者で、飲食店を経営しているんだけれども、もう立ち行かなくなって、助けてくれという電話が入ったと。今どういう状態かといったら、車中生活だというんですよ。マンションも売って、自分の車でもって生活しているんだ、何とかしてくれと。ここまでやはり来ているわけですから、この際、やはり、こんな出したって痛くもかゆくもないわけです、資産課税というのは。
 ですから、その点はやはり、第二次世界大戦、それとは違いますけれども、戦後、戦争をしなくてこれだけ国債を累積した国は日本だけです。国債は、全て歴史的にも戦争なんですね。戦時国債の増発、そしてそれがしばらくいって、また戦争によって増えてくる、そういうのが財政学の常識なんですけれども、日本は戦争していない。戦争しないでここまでやってきたというところで、どうもその辺の深刻さというふうなものが、これ自体はいいことですよ、戦争しないというのはいいことなんですが、やはり国民には徹底する必要があるんじゃないかということで、是非、先生方皆さんもその辺を押し出して、これだけ不公平な資産格差というのは、一億総中流社会だったんですよ。欧米なんかの評論家は、日本は社会主義国だと言っていたんですよ。全く違ってきた。ここの落差は是非自覚してほしいというふうに思うんですね。
 以上です。

#53
○末松委員 もう時間が来たのでこれで終わりますが、本当にまだまだお聞きしたい、本当に三人の貴重な先生方に心からまたお礼を申し上げて、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

#54
○越智委員長 次に、清水忠史君。

#55
○清水委員 日本共産党の清水忠史でございます。
 本日は、当委員会に三人の参考人の方々、お越しいただきまして、誠にありがとうございます。
 早速質問に入らせていただきたいと思います。
 今国会の提出の特例公債法では、二〇二一年度から二〇二五年度まで五年間、特例公債の発行を自動的に認める内容となっております。
 一九七五年十二月、衆議院大蔵委員会で、当時の大平正芳大臣は、赤字国債発行についてこう述べておられます。財政法は、公債の発行は四条国債以外認めていないわけでございます、特例国債の発行が習い性となっては困るわけでございますので、異例の措置であればその年度限り、その特定の目的のためだけにこのものをお願いするというように限定しなければならぬと述べているわけです。
 つまり、公債特例法案は、閣法として提出し、その都度国会の承認を得るということが原則であり、単年度に限定しているのは財政規律を保つため最低限の措置だったということだと思います。
 そこで、山田参考人にお尋ねいたします。
 複数年度にわたり特例公債の発行を自動的に認めることで、これは単年度主義に違反するというふうに先ほど説明がございましたが、そのことで最も危惧される問題、特に国民生活等にとってどのような影響をもたらすことが考えられるか、このことについて教えていただけますでしょうか。

#56
○山田参考人 単年度主義という先ほどのあれだけじゃなくて、まず、国債の雪だるま式の膨張が起こります。実際起こっているわけですね。国債が雪だるま式に膨張すると、政府は借金返しとなりますので、国債費が増大していきますから、国債費以外の一般歳出がぐっと切り詰められてしまいます。非常に日本の経済社会が窮屈な、閉塞的な社会へと移行していくという、そういったふうなやはり問題も発生することになると思います。
 それから、対外的に国債の格付ということでありますが、今は外資で、実際に日本の国債マーケットの六割は外資が回していますよね、売買高なんかでも。ですから、そこのところから逃げられた場合、これは非常に大きなショックが発生します、国債価格が暴落という形で。国債の金利は長期金利の基軸金利ですから、全ての金利が一挙に暴騰します。
 そうすると、今、日本の国債の平均の金利は、ここに出ていると思いますけれども、〇・幾つなんですけれども、それが、財務省の何か試算もどこかにあったと思うんですけれども、一ポイント上がるとなるというと数兆円単位でもってどんどん増えていきます。来年三兆円増えて、次は、翌年は五兆円増えるとかという形になっていきますから、明らかに財政破綻というふうなのがもう目に見える状況になっていくということなんですね。そういったふうなやはり深刻な問題が発生します。
 それから、中長期的な見通しでいえば、やはり、政府に対する資金請求権というのが国債の本質ですので、これは将来の税金の先取り消費なんですね。そのことは、これは将来の、今の若い世代、まだ誕生しない、あるいは赤ちゃんも含めて、日本は六十年償還ルールというとんでもない、世界で例のない国債償還ルールを持ってやっているんですが、その世代、若い世代、将来を担う世代、ここが非常な重税に苦しむことになるという、こういう問題が発生すると思います。
 以上です。

#57
○清水委員 ありがとうございます。
 また、山田参考人は陳述の中で、今、このコロナ禍の中で、多くの国民や中小企業が不況に追いやられているわけですが、やはり、大規模な財政的、金融的援助の財源について、国債投資家など、大手金融機関や富裕層などにも負担を求めるべきではないかと陳述されました。
 政府は、一昨年、二〇一九年十月に消費税率を引き上げました。個人消費が冷え込んだ中で、新型コロナの問題が発生してきたわけです。いわば二重の打撃と言うほかないと思うんですが、このことを考慮すれば、資産をその中でもどんどん殖やしている投資家や富裕層の方々に税の負担を求めるとともに、一方で、消費税の増税によって重い負担を強いられた、新型コロナの影響を受けている所得の低い世帯、それから中小、小規模の飲食店、こういう方々の負担を軽くするために消費税率を引き下げることも必要だというふうに思うわけですが、山田参考人の御意見をお伺わせください。

#58
○山田参考人 消費税率は、消費に課税されるという点では、まさに消費需要を萎縮させる税金なんですね。しかも逆進性があるわけです。
 そういう点でいきますと、これだけ国民生活が悪化している中で消費税率が例えば上げられたりする状況は、ますますそういう、国民生活を破綻させる、逆進性を強める、格差を強める、生活苦を増大させるという点があります。
 この資料の二十ページに令和三年度の一般会計の歳出歳入の構成がありますけれども、例えば、消費税は最大の基幹税になっています。二十兆二千八百四十億で一九%を占めますよ。でも、考えてみてください。平成元年の四月まではこれはなかったんですよ、なかった。消費税はなかったんですよ。それで十分やってきたわけですよ。やってきたんですね。
 それが今は、所得税と法人税と消費税というのが、これは三つの税金が柱になっていますけれども、もうトップですよ。この税金の中で一九%です。それから、法人税は八・四%しかない。所得税が一七%です。この法人税については減税に次ぐ減税ですよね。法人減税の理由は、経済成長ということです。成長していないじゃないですか。全然していないです。法人税をどれだけ減らしても経済成長には全く結びつかないで、むしろ利益剰余金、いわゆる内部留保金が膨らむだけじゃないですか。
 こういう悪循環の現状を脱出して、消費税は下げる、法人税は上げるというようなところに踏み出すべきじゃないかというふうに思います。
 以上です。

#59
○清水委員 ありがとうございました。
 次に、末澤参考人に同じ消費税の問題でお伺いしたいと思います。
 末澤参考人の資料の四十七ページですね、財政の持続可能性を高めるためにはというところで、中長期的な財政再建プランの策定として、国際比較では消費税率の引上げ余地は大きいと。税率はEUなどは一五%とか二〇%のところがありますから、それだけを見れば、今の日本の八%と一〇%の複数税率による消費税率の、数字としては引上げの余地があるというふうに恐らくお考えだというふうに思います。
 また、財政再建という観点からも、やはり消費税がどうしてもこれは必要な財源だというような意見が政府の中にあるということも私、十分承知はしているんですが、あえて末澤参考人に伺いたいのは、そのEUも含めて今五十か国を超える国々で、このコロナの不況からいわば国民生活と経済を立て直すための手段として、付加価値税、消費税の引下げが実際に行われているわけでございます。その下げ幅であるとか引下げの期間というのはもうまちまちなんですが、これはやはり有効な手だてとして行われているということだというふうに思うんです。
 そこで、末澤参考人、率直に、将来的な財源の問題はあるかもしれませんが、いわゆるこの欧州の消費税減税をどういうふうに御覧になっているのか、あるいは、限定的とはいえ、消費税率を引き下げることによってこの日本国内でもたらす肯定的な評価ということについてどのようにお考えになっておられるか、お聞かせいただけるでしょうか。

#60
○末澤参考人 私は、我が国では今の一〇%水準からあえて引き下げる必要はないと思っています。これは、この四十七ページを御覧いただいても、これはヨーロッパについては大体二〇%台が標準なんですね。ちなみに、カナダとかアメリカは、例えばカナダはこの水準より高いです。これは連邦付加価値税ですので、カナダに関しては州の方がありますから、例えば、オタワがあるところだとたしか一三%ぐらいなんですね、私も行きましたけれども。実際は、全体としては日本の水準は相当、いわゆるG7、またOECD諸国でも極めて低い方なんですね。
 ですから、ここからするよりは、しかも、今、ある面、消費をちょっと、日本の場合はロックダウンではないですけれども、なるべく不要不急の外出を控えるということですから、やや逆行するところもあります。
 ですから、実際上はエンジンとブレーキを両方かけるような面もありますので、むしろ、本当に困っていらっしゃる方、企業さん、個人さんに直接給付された方が、これはコスト対比のベネフィットも大きいというふうに考えます。

#61
○清水委員 ありがとうございます。
 日本とヨーロッパではそれぞれコロナに対する対応の違いがあるということで、今現在、日本ではその必要性はないというふうに述べられたというふうに思っております。
 加えて、では山田参考人にお伺いしたいというふうに思うんですが、やはり消費税というのは、先ほども言いましたように、逆進性が非常に高い、いわば所得の低い人ほど負担割合が高くなるという性質を持っております。
 同時に、消費税が導入される以前につきましては、社会保障財源としては法人税なり所得税で対応してきたというような歴史的経過を鑑み、少子高齢化社会が今進んでいるとはいえ、消費税が重くのしかかっており、しかも、コロナとのダブルパンチで、いわば格差と貧困を広げているということを鑑みたときに、消費税の引下げが、先ほども聞いたポイントなんですが、低所得者の方や飲食店の方々にもたらす効果、これについてはどのようにお考えになっておられますか。

#62
○山田参考人 それはプラス面で非常に大きいと思います。具体的なデータは、それは財務省か何かがきちんとシミュレーションすれば出てくると思います。
 やはり消費税は、特に生活関連産業と言われる消費産業ですね、町の商店とか中小零細企業、ここが消費税を払うのが大変というのはもう非常に深刻な事態になっていますので、そこを税率をダウンするというふうな形を取るとかになれば、これは非常に助かるということはもう間違いありません。

#63
○清水委員 ありがとうございます。
 それでは、水野参考人にも一問お伺いしたいと思います。
 水野参考人の参考資料の中に、日本経済の現状について言及されたところの部分で、株価の異常な値上がりと経済格差というくだりがございました。
 確かに、株価はバブル期に迫るような形で三万円を超えるというようなことがありますが、果たして、足下の実体経済、とりわけ国民生活、中小零細業者の営業実態、こうしたものが伴っているのかという疑問があるわけですが、なぜそうなっているのかということについて、どのように見ておられますでしょうか。

#64
○水野参考人 先ほども触れたんですけれども、金融市場の方と実体市場がもう二分法で乖離しちゃっているということで、昔は経済学といったら連動していたんですけれども、しかし、金融市場の方でお金もうけの金融、お金の運営がなされている、そして堰ができちゃって、それが実体、実物市場の方に流れてこないという、それが格差を生んでしまう大きな原因だと思っておりますが、そういうお答えでよろしいですか。

#65
○清水委員 どうもありがとうございました。
 それでは、末澤参考人、水野参考人、山田参考人に最後同じ質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 前政権ですね、安倍内閣の下で異次元の金融緩和等が始まり、今や日本銀行が発行済み長期国債のほぼ半分を保有するという状況になっております。
 このような状態を私たちは財政ファイナンスの構造ではないかというふうに見ているわけですが、日銀の黒田総裁や政府の方は、金融政策のための国債購入なので財政ファイナンスとは違うという説明をされているわけであります。
 この説明について、それぞれの所属される学会や市場など、参考人の皆さんの活躍する現場ではどのような見方が大勢なのか、また、一般論として、財政ファイナンスがもたらす経済や財政へのリスクについて、現状からどのようなことが懸念されるのか、お答えいただけますでしょうか。

#66
○末澤参考人 なかなか難しい質問なんですが、たしか、日本銀行の黒田総裁は、財政ファイナンスか否かというのは、むしろ、現象ではなくて意思の問題だというふうに御説明されたと思うんですね。つまり、別に、今、政府、財務省等から頼まれて買っているわけじゃなくて、自らの政策目標達成のために買っていらっしゃる。ですからこれは財政ファイナンスじゃないとおっしゃった。私は、それはそのとおりだと思います。
 一方で、四十一ページ、おつけの資料にございますように、日本の国債保有比率は、日銀の保有は今、直近の統計ですけれども、二〇二〇年九月末で四五・一%。アメリカは今、実はどんどん上がっていまして一八・八%。一時一〇%ぎりぎりまで下がったんですが、これはやはりコロナ禍でこういう状況になっています。
 世界的に今こういう状況では、やはり中銀が介入されるというのはしようがないと思うんですね。ただ、それにしても懸念されるのは、実は、日銀の資金というのは、これは誰が持っているかというと、日銀が持っているんじゃないんですよ。これは民間の預金なんですね、元々、原資は。民間の預金が、銀行経由で日銀の当座預金ないし一部はキャッシュ、日銀券という形で日銀のファイナンスに回っているわけですから、実は、最終的な問題は、日本国が本当に今後この借金を返せるような状況になるかなんですよ。
 ですから、私は、やはり危惧しているのは、少子高齢化がどんどん進んでくると、だんだんと富裕層だとか大企業、多国籍企業が海外に逃避するとかいうようなリスクもありますし、ここ二、三十年のリスクで見ると、場合によっては東日本大震災規模の巨大地震、つまり南海トラフ地震の発生確率は三十年で大体今七六とか七七%なんですね。首都直下型が大体三十年以内の発生確率が約七〇%ということで、こういうリスクもあります。あと、日々の、地球温暖化等に伴うスーパー台風のリスクだとか、あと地政学的リスク。
 ですから、私はやはり、日本国が抱える少子高齢化を含めて、いろんなリスクに対するバッファーをある程度つくっておかないと、そのためには、日本銀行がこんなに国債を買わないでもいいような状況に、早く経済を正常化していくことは必要だと思っております。
 以上でございます。

#67
○水野参考人 日銀の経済への関与というのは、財政ファイナンスという問題以上に、日本の経済を、構造を変えてきてしまっている、そういうような主張を持っております。
 繰り返しにはなりますけれども、やはり、株式市場の調整能力がない。だから、企業だって、ユニクロが官営企業になっちゃっているとか、そういうように新しい企業の芽がどんどんどんどん潰されていってしまうというのも、やはり、日銀が金融市場に大きく介入している、そういうのが原因じゃないかなというように思います。
 そこの、先ほどの金融市場と実物市場の堰のところが人の欲だと言いましたけれども、人の欲をつくっているのは、日銀が介入してくれるから安心だというその欲、日銀が原因ですから、その根本のところをちょっと考え直さなければいけないんじゃないかな。そうしないと、日本の経済構造というのが、例えばバブル崩壊で変えなきゃいけないとか、そういう後追いになってしまうんじゃないかな、そういう心配はあると思います。

#68
○山田参考人 黒田総裁がどうして財政ファイナンスと言わないかというか言えない理由は、財政法第五条で、日銀に依存した財政資金調達は駄目だと禁止しているから、だからなんですよ。それをもし言っちゃったら、これは、日銀総裁は財政法第五条を否定したということになりますから、これ自体大問題になりますから。だから言えないということです。口が裂けても言えない。
 しかし、実際にはもう財政ファイナンスですよね。ちょうど手元に財務省が出している債務管理リポートの二〇二〇年版があるんですけれども、これで国債の保有者を、各国どういう状態かというのを見ますと、これは二〇一九年十二月末速報でちょっと古いことは古いんですけれども、日本だけが国債の四四%を日銀が持っています。今はもっと割合はちょっと上がっているはずなんですけれども。
 じゃ、アメリカは。これは一三%ですね。じゃ、イギリスは。二一%です、中央銀行が持っている、イングランド銀行。ドイツ、ブンデスバンク、これは一八%ですね。それから、フランスはこれは持っていないですね、ほとんど。全く持っていないということはないでしょうけれども、データには出ていないです。つまり、日本だけが四四%なんですよ。
 これは本当に異常事態です。戦時下みたいなもので、戦争が終わったような段階ですが、実際そうです、昭和二十年に終戦になったときなんかは日銀が持っていましたから。ただ、当時は猛烈な売りオペでもってそれをさばいたんですね。インフレを、昭和二十年から二十六年の間に、データがちょっと混乱していますけれども、三百倍から三百五十倍に物価を上げたんですよ、ハイパーインフレを起こしたんですね。かつてのドイツほどじゃないですけれども、あそこは一兆倍ですから。ですから、そういう点では、今はやはり明らかに異常事態になっているということですね。
 こういうふうになるというと、つまり国債の発行が青天井になっているということです。アメリカはキャップをしていますけれども、なぜ日本がそんなキャップ論議がないかといえば、日銀が実際引き受けているから。引受けというか、間接的に、あるいは、金融政策用語で言うと大幅な買いオペレーションというのをやっているからなんです。だから、もう幾らでも行くということですね。
 ということは、日本の民間金融市場の国債消化能力をもう完全に逸脱して、金融市場の大混乱の要因をずっと作り上げていっているという点もあります。
 やはり一番のあれは、先ほど最初に紹介しましたが、フランスのジャック・アタリが言っているように、とにかく重税、歳出削減それやこれやの八つの、日本は戦争じゃないので七つの戦略がもう既に動き出しているという悲惨な現状にあるということだと思います。
 以上です。

#69
○清水委員 どうも、皆さん、ありがとうございました。今後の法案審議に役立てたいと思います。
 ありがとうございました。

#70
○越智委員長 次に、青山雅幸君。

#71
○青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会、青山雅幸です。
 本日は大変貴重なお話、いろいろとお聞かせいただきましてありがとうございます。
 早速ですけれども、私の方からも幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 まず、末澤参考人にお伺いしたいんですけれども、大変アメリカの事情とかにもお詳しい、そしてマーケットのまさに現場に立っておられるということでございますので、その観点で幾つかお伺いしたいと思っているんですけれども、まずアメリカの、一時毎年のように繰り返されていた財政の崖について今日お話があったかと思います。今回の特例公債法はこういったことによる不安定さを回避するためというようなことで必要だというようなお話もあったかと思いますが。
 ただ、私はいつもワールドニュースなんかで見ていまして、たしかトランプさんなんかでも、最初の頃にピザを差し入れていたのはトランプさんだったと思うんですけれども、あれを繰り返すことによって、非常に緊張感のある、今財政というものが大変なところに来ているんだというようなことが国民にもぱっと伝わるわけですね。
 ところが、日本において、これはただでさえもMMT的な考え方が大変蔓延してきて、政府が国債を増発すればいいんだ、それは無限にできるんだ、日銀が引き受ければいいんだ、そしてそれは国民の借金ではなくて国の借金なんだから国民には関係ないんだ、だから、どんどんどんどん、例えば十万円の特別給付金なども再びやっても何の問題もないんだというような風潮が間違いなく出てきているわけです。
 そう考えると、本当にその財政の崖のようなものがあるのがいけないのかどうなのかというようなことに非常に私はいつも疑問に思うわけですけれども。
 確かに、短期的な混乱は起きますよね、いろいろな、統計局が止まったりとか職員の給料が払われなかったりとか。しかし、それによって、本当にアメリカがあれで大きなダメージを受けたとか、あれで大きな株安になったという話は聞いたことがないんですけれども、そういったダメージというのを本当に市場あるいは経済に与えているんでしょうか。

#72
○末澤参考人 過去、米国において財政問題が二つございまして、先ほどの、おっしゃった歳出法ですね、これが通らないということでのガバメントシャットダウン。もう一つがデットシーリング、これは、こちらの方がむしろ深刻でございまして、この場合は利払いとかもできなくなりますので深刻なんですけれども、これによって、過去、オバマ政権下で、アメリカの大手格付会社が米国債の格付をトリプルA格から一つ落とすということで、一時大きな金融市場の混乱要因にもなっております。
 ちなみに、トランプ大統領、もう前でございますけれども、彼も、実際は三十五日間のガバメントシャットダウン後相当支持率が下がりまして、その後は毎回CRについてもすぐサインをしておりますので、政治的にも、ガバメントシャットダウンないしデットシーリングに伴う混乱は米国においても現実にはなかなか容認されない状況になっていた。
 ただ、先生おっしゃるように、私は、日本の財政状況は相当深刻であって、それに対する危機感を醸成することは本当に必要だと思っております。
 私が特に深刻だと思っているのは、今日ちょっと御説明できなかったんですが、資料の四十三ページでございますけれども、要は、日本国というのが相当高齢化している。四十三ページに、これは日本の人口ピラミッド、既にもうこれはピラミッドとは言えない状況になっていますが、いわゆる現在の逆ひょうたん形がだんだんとつぼ形に変わっていくわけですね。何でつぼ形に変わるかというと、我が国の場合ですと、一九四七年から四九年生まれの団塊世代、その後団塊ジュニアの世代とあったんですけれども、つまり、団塊ジュニアの世代がいわゆる金融危機、就職氷河期に遭遇して、彼らがなかなか就職、正社員になれない、結婚できない、子供を産めないということで、結果的には団塊ジュニアのジュニアのこぶが発現しなかったんですね。
 ここが極めて大問題で、ですから、彼らは当然正規職社員の比率も低いので、次の混乱等が起きると、もう本当に生活保護の対象にならざるを得ない。従来、実は、我が国の場合は生活保護の比率が欧米に比べて極めて低いんですね、本来の同じ水準において。これは多分、ある面、家族社会といいますか、親戚縁者、家族で支えるという従来の仕組みがあったんでしょうけれども。ただ、もう今後は家族もいないわけです。そうすると、相当実は社会保障のコストも、ちょっと従来とは違う次元のものになりかねない。
 ですから、こういう面で私は、少子化対策というのは本当に喫緊で、しかも、これは今年やってすぐ成果が出るものではないので、こういう状況があるということを是非、つまり、今の現役世代、将来世代の負担の下に国債を発行しているんだということは是非もっと表明し、御理解いただくことが必要だと考えております。
 以上でございます。

#73
○青山(雅)委員 ありがとうございます。
 確かに政権の信頼問題にはなるかもしれませんけれども、今のお話をお聞きすると、特段の実務上の不都合が実際にあったというようなお話の御説明はなかったかのように思います。
 次に、アメリカにはこれ以外にも非常に複雑な財政ルールが幾つもあって、できたと思えばなくなってということで、追っていくのがすごく難しいんですけれども、まだあるようなのがペイ・アズ・ユー・ゴー原則。これは、何か新しい歳出を伴う法律を作ったら、それに伴う財源を確保するか、あるいは既存のものを減らしなさいと。
 これは、私、非常に有効だと思っていまして、今参考人がおっしゃったとおり、これから日本の社会というのは幾らお金があっても足りなくなってくるわけですね。今御説明があった、高齢化の進展によって社会保障費が莫大にかかってくる。一方、歳入の方はそれに見合って拡大するという努力を続けてこなかったものですから、平成の初めに五十兆円くらいしかなかった国債残高、今九百五十兆円くらいでしょうか、九百兆円も増えているわけですね。
 そう考えると、やはりそういった、この特例公債法ではない別な歯止めというものが必要なんじゃないかと思うんですけれども、特にペイ・アズ・ユー・ゴーなどに絡めて、末澤参考人の御意見をちょっとお伺いしたいと思います。

#74
○末澤参考人 こっちの方もなかなか難しい質問でございまして。
 米国でもペイ・アズ・ユー・ゴーの原則がございます、あと予算管理法等の縛りもあるんですが、これも実は、米国は毎年、新たな法、今だと財政調整制度とか使ってそれをちょっと、ないしはさっきのCRもそうなんですが、毎回適用除外にしてやっているんですね。ですからこれだけ借金が膨らんでいるので。そういう意味では、やはり意思が、本当に財政健全化に向けた意思が最も重要。
 実は米国でもかつては共和党主体に相当財政保守主義の流れがあったんですが、余りこれを言う人がいなくなりまして、民主党はより大きな政府にかじを切っているという状況でございます。ただ、米国の場合、ちょっと日本と違うのは、向こうの人口ピラミッドというのは、やや、ある面釣鐘形に近くて、しかも、移民、難民の流入によって増やしているという状況なんですね。
 だから、そこを、つまり、ちょっと話が長くて申し訳ない、私は元々銀行員ですけれども、銀行員が住宅ローンを貸すときに、基本的に八十歳までしか貸さない、別に幾ら資産があっても。それはなぜかというと、フローの収入がなくなるからなんですよね。あと、団体信用生命保険の問題もあるんですけれども。やはり、日本がこれだけ今後高齢化していく中でこの借金が本当に返せるのかという問題は、私はどこかで真剣に考えるべきだと思います。
 以上でございます。

#75
○青山(雅)委員 全くおっしゃるとおりで、私も同感でございます。そこのところの危惧感が薄れてきているのが大変怖いかなと思っています。
 あと一点、マーケットについてちょっとお聞きしたいんですけれども、日本が今回百兆円近いような赤字国債を発行してこのコロナの危機を乗り切ろうとしている。それ自体私は今この状況ではしようがないと思っているんですけれども、でも、円安にならなかったから、ほら見ろ、幾ら借金しても大丈夫じゃないかと、MMT、日本のMMTですので本家本元のMMTとはちょっと違うんですけれども、の方々がよく言われるわけですね。
 ところが、確かに、ドルを見ると、対ドルレートでは若干の円高に振れた。しかし、今日の資料にもあったように、アメリカは実は、三・四兆ドルですか、日本を大幅に上回る、日本円でいうと三百四十兆円を超えるわけですね、三百四十兆円を超える、それだけの巨額な赤字を発行したので、単に通貨安競争をしただけだ。実際にそこまでの巨額な財政支出をしていないEUのユーロと比べれば、両方ともユーロ高なんですね。ですから、あくまで国際比較で見なければいけない。
 だから、日本がこれだけ巨額な国債を発行したから大丈夫とは私言えないと思っているんですけれども、マーケットもそういう見方をしていると思うんですけれども、その点、いかがでしょうか。

#76
○末澤参考人 マーケットも、基本的にはやはり、今回の未曽有、空前絶後の国債発行についてどこかで心配な気持ちはあると思います。
 ただ、本当に米国が、より大きな対策、しかも、これは今回、今やっておりますのはバイデン第一弾のプランで、これから第二弾のプラン、もっと巨額なものが多分三月に、通るかどうか分かりませんけれども、ということで、ある面、今、金融緩和、財政拡張競争になっている中、相対的になかなか見えにくい。ただし、落ち着いたときには、やはり本当に国力がまた問われてくると思います。
 やはり、先ほど申し上げた日本の出生数も相当今年下がる可能性がありまして、これは本当に私、心配しておりますので、対策を与野党共同で是非取りまとめていただきたいと考えております。
 以上です。

#77
○青山(雅)委員 やはり懸念は共通しているんだなというふうにお伺いしました。ありがとうございます。
 続きまして、水野参考人にお伺いしたいんですけれども、先ほどお話しの中で、赤字国債依存が非常に常套手段化している、税金は無用じゃないか、こうなってくると勤労意欲の喪失につながるんじゃないかというようなお話をされていたかと思います。
 私も大変それを危惧しておりまして、というのは、昨年度、四月だったか五月だったか、若い方々たちがコロナで大変で、バイトとか収入が失われた。そこまでは大変だなと私も思うわけですけれども、金よこせというプラカードを掲げてデモをしていた、それが大変衝撃を受けたわけですね。
 やはり、若い方たちがそうやって政府からの補助というか、そういったものに頼るような気持ちが蔓延化してきていると、これはやはり勤労意欲の喪失の一つの表れかなと。
 もちろん、大変困窮されている方には老若男女を問わずきちんとした社会保障のセーフティーネットをきちっと用意するのは国の責務ですけれども、ただし、国民が金よこせというようなプラカードを掲げてデモをするような社会というのは、やはり若干普通でなくなってきているのかなと私は思ってすごく心配しているんですけれども、国債に頼る、そういったことが国民の勤労意欲を失わせる点について、今のような心配点も含めて、少しお話をいただけないでしょうか。

#78
○水野参考人 私も、サプライサイド経済学の根本のところから、増税をすると逆に税収が減る、そういうような人間の心理というんですか、逆転の心理が働きますので、国民が自分で働かなくても国がどうにかしてくれる、そういう基本的な考え方を持ち始めたら、短期的には大きな変化はないかもしれませんけれども、長期的には、国民が経済を動かしているわけですから、大きな変革が生まれるんじゃないかなと思います。
 先ほど幾つかの質問で、今回の補正の規模とかそういう問題が出ましたけれども、やはりそういう支出を行うならば、ただ単に渡しっ放しというよりは、そのときにやはりもう一つの規律としまして何らかの条件をつける、例えば十万円給付するならばその十万円でどういうことをしよう、そういうような条件、飲食店に補助するならば他の関連する業界にプラスになるような使い方もしてくださいというように、そうした、ただ単に渡すんじゃなくて、自分たちにも、国民が責任を持つ、政府から受け取ったものに責任を持つような、そういうような気持ちを持ち続けるような経済政策の運営が必要なように思います。

#79
○青山(雅)委員 単なるばらまきではなくて、何というんでしょうね、それがよりきちんと国民自身あるいは経済にとっても生きていくような、そういった縛りが必要かというような御意見だったと思います。ありがとうございます。
 続きまして、山田参考人にお伺いしたいんですけれども、国債破綻を心配されていると。事前に拝見しました資料を、お配りされた資料等を見ても、最終的には通貨安につながるということが非常に懸念されるというところまで触れられているところがあったかと思います。
 私も大変そこを心配しているんですけれども、一方で、国債がここまで発行額が増えたのは、特例公債法のせいというだけではなくて、むしろ、まさに、昭和の終わりから、平成の初め頃から非常に目立ち始めた人口構成のゆがみといいますか、高齢者層がどんどん増えていって、社会保障費が昔に比べると、昔五対一とか言われていましたね、支える人が五人で支えられる人が一人、それが三人に一人になり、やがて二人に一人になる。これを、普通であれば、歳入で賄うのが当たり前だと思うんです。
 先ほど話題に出ていたEUの消費税も、それはアメリカに比べれば格段に優れた社会保障があり、それを支えるためには消費税も高率がやむを得ない。平均的に一九から二〇くらい、北欧などは二五%くらいですよね。そういう、ある意味大人の論理がまかり通ったので、EUなどはそういうような財政的な、日本のような状況が生まれていない。その問題を例えば大企業の内部留保だけに求めておられたように思いますけれども、果たして本当にそれで計算上合うのか。例えば、法人税課税を上げればいいのか、所得税課税を上げればいいのか。
 御著書の中に書かれていた、アメリカの三九%という、今多分三〇%なのでもっと安いと思いますけれども、所得税率、日本などはもう既に、前よりは下がっているといっても四五%ですよね。だから、超大金持ちの方にはいいかもしれないけれども、累進的にやっと上がったような人には大変重い負担になっているわけです。法人税も諸外国に比べて決して安いわけではない。これ以上上げると、課税逃れで海外への逃避が起きるかもしれない、アメリカの大企業がみんなやっているように。
 その辺について、基本的に、やはり国債の心配をされるのであれば歳入の心配もされなければいけないし、具体的な案がなければいけないと思うんですけれども、その点についてはどうお考えでしょうか。

#80
○山田参考人 多角的、構造的な問題ですので一言で答えるのは難しいんですけれども、単純化して言えば、例えば北欧のように税金をすごく上げる、だけれども病気になっても失業になっても全然大丈夫だ。あるいは、フランスのように子供が三、四人いれば児童手当でもって、しかもその児童手当は親じゃなくて子供に対してつく、個別につくというような、そうすると生活に困らないとか、そういうような例があるわけですから。
 問題は、日本の国民がこれだけ消費税でもって生活が大変になっているということは、そういう北欧とかあるいはドイツ、フランスに見られる、ヨーロッパのようなそういうケア、社会保障の体制というふうなのが非常に貧弱で、よく言われるんですけれども、セーフティーネットは一段のところで破れ、二段のところで破れ、三段で破れた後は闇というような、先進国にはあらざるようなセーフティーネットの貧弱さ、こういうところをかっちりとケアをすれば、それは消費税を上げて全然国民は納得すると思いますね。そういう問題だと思います、消費税とのバランスは。
 それから、法人税については、企業サイドは税金を上げたら海外へ行くよと言いますよ。だけれども、統計を取ると、新聞なんか、日経なんかでもやっていますけれども、なぜ海外進出するんですかといったらば、人件費が安いというのが一番じゃないんですか。だから、法人税が高いから中国やアジア諸国に行くんじゃないんですよ。それはもうアンケートで出ていますよ。
 ですから、そういう点では、法人税を単純に比べるというふうなことではなくて、海外に逃げるのは法人税のせいじゃなくて、安い人件費と安い土地と水道、公共料金があるからという、そこの点は外せない論点だと思います。
 大体そんなところでよろしいでしょうか。

#81
○青山(雅)委員 日本の医療制度、実はEUなどに比べても大変使いやすいし、差別もないし、高額なものも使えるというような側面がございます。それから、アマゾン、アップルなども、アメリカの企業、現実に、アメリカから逃避をしているというようなところもございます。そういったことも踏まえて、またどこかでゆっくりと議論をさせていただければと思います。
 今日は、お三方、大変有意義な議論をいただきました。また、私の質問に真摯にお答えいただきまして、大変ありがとうございました。

#82
○越智委員長 次に、井上一徳君。

#83
○井上(一)委員 国民民主党・無所属クラブの井上一徳です。
 今日は、末澤参考人、水野参考人、山田参考人、本当にお忙しい中、貴重な御意見を賜りました。本当にありがとうございました。
 私、地元は京都北部なんですけれども、今、報道なんかでは日経平均三万円というような明るいニュースが報道されていますけれども、地元を回っていると本当に状況は深刻で、ますます深刻度を増しているような状況です。そういう状況の中で、私は、やはり企業とそして雇用、これをしっかり守っていく、そして国民の生活、健康、これを守っていくためにはもう積極的な財政は今は絶対していかなければならない、そういう立場です。しかしながら、このままでずっといけるわけではありませんので、経済を立て直していかないといけない。そういう観点から、ちょっとまず基本的なところで質問をさせていただきたいんですけれども。
 この資料は吉良州司先生という衆議院の先生がまとめられた資料なんですけれども、その中で面白い数字がありまして、これはドルベースで比較した数字なんですね、日本円じゃなしにドルベースで比較した。それで、過去二十五年間の名目GDPを見ると、米国が二・八倍、英国、イギリスが二・一倍、カナダが二・九倍、豪州は三・八倍、フランスとイタリアが一・七倍、ドイツ一・五倍というふうにいずれも増加しているんですけれども、日本だけが〇・九三倍ということで減少しているんです。日本だけがですね、二十五年間、ドルベースで見てみると。
 そして、これは何でこんなに日本だけが伸びていないかというと、やはり日本の個人消費の低迷がずっと続いているからなんです。それによって日本のGDPだけが上がっていない、むしろ下がっている。
 では、この個人消費がなぜ低迷しているのかということで、主要先進国の実質賃金、これを比較してみたんですね。
 これで見ると、一九九一年を一〇〇とすると、イギリスが一四八・三、約一・五倍になっているんですね。ドイツ、フランス、カナダが一・三倍なんです。他方で、日本は一〇四・七ですからほぼ横ばいなんですね。実質賃金が伸びていないわけです。それゆえに個人消費も伸びていない。こういう状況なわけです。
 私は、このアフターコロナの経済上、経済をどうやって立て直していくかということを考えていくときに、やはり個人消費をどうやって増やしていくか、そのためには賃金をどうやって増やしていくか、これが大事なんじゃないかと思っているんです。
 それで、まず先生方にお尋ねしたいんですけれども、日本だけがなぜ賃金が上がらないのか、どういうふうに思われているでしょうか。

#84
○末澤参考人 一つは、私はちょっと、今九五年との比較をされたと思うんですが、実は日本にとって九五年というのはもうピークなんですね、いろいろな面で。ちょうど生産年齢人口のピークが一九九五年でございます。
 為替も、実質実効為替レート、先ほどちょっと資料で、十五ページの左下なんですが、この実効為替レートというのは、物価の上昇、下落を調整したものでございまして、実質が本当の意味ですね。そういう面で見ると、実はこの赤い折れ線、ちょうどこれは一九九五年が、いわゆる円が本当に相対的に世界中で最も強かった。そこからはもうどんどん下落傾向にあるんです。
 そういう面では、ある面、やはりバブル期、ちょうど生産年齢人口がピークで、つまり生産年齢人口が多いということは、これは車も住宅もみんな買うわけです。しかもそこはちょうどバブルと相まって、私の記憶ですと、たしかあの頃は、東京二十三区でアメリカが買えて、山手線の内側でカナダを買えるぐらいの地価の時価総額があって、NTT一社がたしかニューヨーク証券取引所全体と一緒ぐらいに一部なったことがあるという、本当にジャパン・アズ・ナンバーワンなんて、バブルのピークなんです。だから、そこと比較すると当然落ちる部分が一つあります。
 しかもその後、人口が二〇〇八年から一〇年にピークアウトして、これは総人口ですね、やはり、ドイツ等ですと、マルクだったのがユーロに変わり、しかも移民の流入である面労働力不足を補ってきたという、つまりある面で通貨同盟の中に入っていたわけですが、日本はずっと単独でやってきて、その分やはり国際競争力は落ちて、だんだんと企業のいわゆる海外進出、いわゆる空洞化が進んだんだろう。
 ちょっと、これはもう時間の関係で御説明できなかったんですが、鉱工業生産と実質輸出の関係というグラフが私のこの資料の十二ページの左上にあるんですけれども、これをざっくり申し上げると、十二ページの左上のグラフを御覧いただくと、赤い折れ線というのが鉱工業生産、つまり車とか製鉄、鉄鋼の生産指数ですね。この生産というのは、もう本当に八〇年代後半にピークを打ってほとんど変わっていないんです。むしろ最近減っている。一方で、この青い輸出の方は、今コロナ禍でも過去最高水準に来ているということで、つまり、やはりグローバル化と少子高齢化への対応を怠ったということと、あとやはり賃金、おっしゃるとおり賃金の、つまりグローバル化と少子高齢化対応を怠ったことで企業も国内で余り投資しない、企業がむしろ、賃金も上げることについてはやや消極的だという問題があったんだろうと思います。
 以上でございます。

#85
○水野参考人 賃金がなぜ上がらないかですが、それについては、企業のアレルギーといいましょうか、それがあるからと思っております。
 これはもう今から五十年前に遡りますけれども、第一次石油ショックが起きて、それまでは前年の物価にスライドさせて賃金を上げていた、しかし、第一次石油ショックの前が狂乱物価のときで、その狂乱物価の上昇分を第一次石油ショック後に賃上げで上乗せした。それによって、日本にはスタグフレーションという現象が起きてしまった。
 つまり、第一次石油ショックで不況であるにもかかわらず賃上げをしたために、商品やサービスにその分を上乗せしたコストプッシュインフレーションですか、それが生じて、不況なのに物価が上昇するというスタグフレーションが起きてしまった。そして、それから脱出するのにまた日本の経済は苦労した。
 ということで、賃上げをする、基礎賃金を上げるというのは、非常に企業にとってアレルギーを持つことになってしまって、バブル期も基礎賃金が上がったわけではなくて、残業等が増えて、そして労働者にお金が入った、そういうような構造で、日本の賃上げというのは、今でも企業はアレルギーを持っているように思います。

#86
○山田参考人 現在の日本は、基本的には、個人消費の低迷が経済的な不況の非常に大きな柱だということは御説のとおりだと思います。
 じゃ、なぜ賃金がと申しますと、マクロベースでいきますと、これは、非正社員の割合が非常に増えてきたということが一番大きいです。
 日本の経営の三種の神器というのは、終身雇用と年功序列と企業別組合ですけれども、特にこの中の終身雇用を壊した。ここのところは非常に大きいですよね。
 アメリカ型の雇用といいますか働き方改革といいますか、それが入ってきて、かつての日本経団連とかの比較的高齢の方は、絶対それはやっちゃいかぬということで、若手のアメリカ帰りの経営者と物すごいバトルがあったんですよ。残念ながら、お年寄りの良識派は負けちゃった。なぜか。それはやはり、アメリカがバックについていたから、若い方に。なぜアメリカがバックにいたかというと、それは、その当時は、日本の貿易の最大相手国はアメリカだったからなんですね。
 そういう点では、今現在、非正規化の雇用は四割ぐらいまでいっていますよね。正規雇用者が一生涯働いて稼ぎ出す生涯所得は一億二、三千万ぐらいです、ざっくり。ところが、非正規でいったら五、六千万円なわけです。二つ合わせるというと、全般的には、結局、雇用を非正規にスイッチすることによって、マクロ的には賃金水準をぐっと落としちゃったんですね。ところが、賃金というのは消費需要の根っこです。ですから、消費需要は壊れます。でも、ミクロでいきますと、個々の会社の社長さんは、人件費をカットして、正社員から非正社員に替えれば人件費が減りますから、その分もうかります。
 ところが、その社長さんはもっとマクロ的な発想が必要なわけです。自分はもうかっている、だけれども、あそこもリストラをやり、ここもリストラをやり、全体として賃金水準がダウンしたために消費需要は一挙に冷え込んで、結局、自分のところの製品が売れなくなったというふうに嘆くわけです。
 今の社長さんに求められているのは、そういうミクロの経営だけでなくて、もっとマクロ的な、もっと言えばグローバルな経営感覚が求められているわけです。そういう点では、消費需要の低迷、賃金の低迷はまさにそこにあるんだというところは、とてもやはり外せない問題だと思います。

#87
○井上(一)委員 どうもありがとうございました。
 私も、地元を回っていると、経営者の方は、やはり最低賃金を本当は上げてあげたいんだと、皆さんのために。ただ、やはり最低賃金を上げると経営が成り立たないんだと。もうやっていけない。本当に、最低賃金を上げた分を価格に転嫁できればこれはいいんだけれども、価格に転嫁できないんだ、そのしわ寄せは全部中小企業に来てしまうんだということで、私は本当にこれは悩ましい問題だと思っているんです。
 そういう非常に難しいテーマなんですけれども、今日の毎日新聞に、見ていますと、アメリカでは最低賃金を上げるということで、この新聞記事だと、フロリダ州は五年間かけて十五ドルにすると。今八・六五ドルを十五ドルにする、ほぼ倍にする、五年間かけて。こういう動きがアメリカで広がっているということなんです。
 私も、こういうことが本当に進められれば、労働者の賃金は上がり、所得も上がり、それで消費が活発化するということだと思うんですけれども、他方で、特に中小の企業者にとっては、価格に転嫁できないので、もう本当にやっていけるのかどうかということだと思うんです。
 済みません、本当はこの点について皆さんにちょっとお考えを聞きたかったんですけれども、時間がないので、ちょっと次で。
 そうすると、賃金が上がらないとなると、本当に生活に困っている人はこれから本当にどうしていくんだというような心配になっていくわけですね。これも新聞なんかで見ますと、個人の家計の貯蓄がすごく増えているんですね。百兆円増えた。やはりこれは将来に対する心配だと思うんです。将来に対する心配があるので貯蓄に回してしまう、消費に回らない。
 そういう中で、ベーシックインカムの議論があります。最低の所得を保障してあげるベーシックインカム、これによって将来の不安を取り除く、それで消費を活性化させる、こういう議論が今出てきていますけれども、今というか、ありますが、このベーシックインカム論について三人の先生方はどういうふうに考えておられるか、お聞きして終わりたいと思います。

#88
○末澤参考人 欧州の一部の国で導入の動きがあるのは承知しております。仮に我が国で一人十万円で入れるとすると、百万とすると百兆円ですかね、一億人ですから。
 私は現時点ではちょっとなかなか困難だと思うんですけれども、ただ、二十年後、三十年後、先ほど申し上げましたように、本当に少子高齢化が進んで、特に団塊ジュニアの方々が生活に苦しむような状況になってくると、つまり生活保護が膨らむ状況になるのであれば、もうベーシックインカムの方がむしろ、働く気力といいますか自尊心を保持するという面でもプラスの可能性もある。
 ただし、ちょっと私は、まだここは研究段階で、現時点での導入は困難だと思いますが、やはり将来的には一つの検討課題ではあると思います。

#89
○水野参考人 イノベーションが進んで、そして人間がやることがなくなっちゃった、そのときにベーシックインカムが政府から給付される、そうすると、我々国民はどのような意識を持てばいいのか。ただでお金がもらえるんだから国に尽くす必要もないということで、そのイノベーションが進んだ先ですよね、そうしたベーシックインカム論が実現しようかしまいかというときこそ、そこを見据えて、国民が国のために働く、納税する、そういう意識を今から大切にしていかなければならないわけですよね。
 お金をただでもらえる、それで国のためとは思わなくなってしまう、その点を今から注意しておくべきじゃないですかというのが私の先ほどの意見です。

#90
○山田参考人 最初に、地元を回って、中小商店なんかは賃上げできないというあれですけれども、そこなんですね。つまり、今は日本の企業間格差が半端じゃないんです。
 ですから、もうけ過ぎて利益剰余金が五百数十兆円もたまっている、そこに課税するというのは、最低賃金あたりを中小零細商店に保障する財源にもなるんですね。そういう形にすれば、これまで膨らんだ企業間格差というのを少しバランスを取ることができるという点で、そういう税の使い方、これが必要になってきているということです。
 ベーシックインカムの問題は、これは、基本的には、国民の生活をお金で解決できる範囲では積極的に意味を持ちます。だけれども、お金で解決できないのもかなり多いわけです。例えば、医療とか介護とか保健だとか、様々な人的なサービスですよね、人肌を感じさせるサービス。これはベーシックインカムから抜けちゃうんです。だから、そこの両方をバランスよく組み合わせるというのが大切だと思います。
 以上です。

#91
○井上(一)委員 どうもありがとうございました。

#92
○越智委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、参考人各位に一言申し上げます。
 参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 次回は、来る二十四日水曜日午前八時三十五分理事会、午前八時四十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時一分散会
ソース: 国立国会図書館
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