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2021/02/24 第204回国会 衆議院 第204回国会 衆議院 財務金融委員会 第6号 令和3年2月24日
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2021/02/24 第204回国会 衆議院

第204回国会 衆議院 財務金融委員会 第6号 令和3年2月24日

#1
令和三年二月二十四日(水曜日)
    午前八時四十五分開議
 出席委員
   委員長 越智 隆雄君
   理事 井林 辰憲君 理事 うえの賢一郎君
   理事 神田 憲次君 理事 鈴木 馨祐君
   理事 藤丸  敏君 理事 末松 義規君
   理事 日吉 雄太君 理事 太田 昌孝君
      青山 周平君    井野 俊郎君
      井上 貴博君    池田 佳隆君
      今枝宗一郎君    上野 宏史君
      鬼木  誠君    加藤 鮎子君
      勝俣 孝明君    門山 宏哲君
      金子万寿夫君    城内  実君
      工藤 彰三君    小泉 龍司君
      斎藤 洋明君    田中 良生君
      武井 俊輔君    津島  淳君
      中山 展宏君    野中  厚君
      船橋 利実君    古川 禎久君
      本田 太郎君    牧島かれん君
      宮澤 博行君    八木 哲也君
      山田 賢司君    山田 美樹君
      海江田万里君    櫻井  周君
      階   猛君    野田 佳彦君
      長谷川嘉一君    古本伸一郎君
      斉藤 鉄夫君    清水 忠史君
      青山 雅幸君    前原 誠司君
      田野瀬太道君
    …………………………………
   財務大臣
   国務大臣
   (金融担当)       麻生 太郎君
   内閣府副大臣       赤澤 亮正君
   財務副大臣        伊藤  渉君
   経済産業副大臣      長坂 康正君
   内閣府大臣政務官     和田 義明君
   財務大臣政務官      船橋 利実君
   政府参考人
   (内閣官房内閣人事局内閣審議官)         藤田  穣君
   政府参考人
   (内閣府大臣官房審議官) 村山  裕君
   政府参考人
   (総務省大臣官房審議官) 辺見  聡君
   政府参考人
   (総務省自治税務局長)  稲岡 伸哉君
   政府参考人
   (財務省大臣官房長)   茶谷 栄治君
   政府参考人
   (財務省主計局次長)   角田  隆君
   政府参考人
   (財務省主税局長)    住澤  整君
   政府参考人
   (財務省理財局長)    大鹿 行宏君
   政府参考人
   (国税庁次長)      鑓水  洋君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       日原 知己君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議官)           間 隆一郎君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮崎 敦文君
   政府参考人
   (厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長)           岸本 武史君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)         江口 純一君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房審議官)           中原 裕彦君
   政府参考人
   (中小企業庁事業環境部長)            飯田 健太君
   政府参考人
   (中小企業庁経営支援部長)            村上 敬亮君
   政府参考人
   (国土交通省大臣官房審議官)           黒田 昌義君
   参考人
   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君
   参考人
   (日本銀行企画局長)   清水 誠一君
   財務金融委員会専門員   鈴木 祥一君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十四日
 辞任         補欠選任
  穴見 陽一君     武井 俊輔君
  津島  淳君     金子万寿夫君
  中山 展宏君     八木 哲也君
  宮澤 博行君     野中  厚君
  山田 賢司君     斎藤 洋明君
同日
 辞任         補欠選任
  金子万寿夫君     津島  淳君
  斎藤 洋明君     山田 賢司君
  武井 俊輔君     青山 周平君
  野中  厚君     工藤 彰三君
  八木 哲也君     中山 展宏君
同日
 辞任         補欠選任
  青山 周平君     上野 宏史君
  工藤 彰三君     宮澤 博行君
同日
 辞任         補欠選任
  上野 宏史君     池田 佳隆君
同日
 辞任         補欠選任
  池田 佳隆君     穴見 陽一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)
 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)
     ――――◇―――――

#2
○越智委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁黒田東彦君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として総務省自治税務局長稲岡伸哉君、財務省大臣官房長茶谷栄治君、主計局次長角田隆君、主税局長住澤整君、理財局長大鹿行宏君、国税庁次長鑓水洋君、厚生労働省大臣官房年金管理審議官日原知己君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#3
○越智委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――

#4
○越智委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。野田佳彦君。

#5
○野田(佳)委員 おはようございます。立憲民主党・無所属の野田佳彦でございます。
 二月、一番国会の中でハードな日程をこなしているのは恐らく財務大臣だというふうに思います。連日の予算委員会、そして時折入るこの財務金融委員会、今日は八時間コースですし、一番大変だと思います。私も、財務大臣経験者としてその御苦労はよく分かるつもりでありますが、お見かけする限り、お元気そうで何よりでございます。
 今日は八時間コースの、私、トップバッターですけれども、特例公債法、余り細かいことは言わずに、少し昔のこともたどりながら質問をさせていただきたいと思いますので、答弁要領でいろいろメモを用意されていると思いますけれども、なるべくそれにかかわらずお話しいただければと思いますし、もしフォローしなければいけないときは主計局次長に補っていただければというふうに思います。
 まずは、初めて特例公債を発行したのは、もう既にこの委員会でも紹介がございましたけれども、昭和四十年、一九六五年だったというふうに思います。そのときの内閣が佐藤内閣、そして大蔵大臣が福田赳夫さんです。これが戦後初の特例公債の発行ですよね。
 そして、その十年後に、これはせんだって清水委員が披露されていました、参考人質疑で取り上げておりましたけれども、大平元総理が大蔵大臣のときに十年ぶりに特例公債の再発行をしています。このときの言葉が、大変私はこの特例公債発行の意味というものを象徴的に表していると思うんです。異例の措置であればその年度限り、その特定の目的のためにこれだけのものをお願いするというふうに限定しなければならないと。
 福田赳夫さんも、そしてこのときの大平さんも財務省の幹部だった方、大蔵省の幹部だった方でありますから、財政法のたてつけというのはよく分かっていらっしゃる。だから、赤字国債を発行することに対しては特別の考えというものがあったと思うんですが、この大平元総理の、一九七五年当時の、特例公債を再発行せざるを得なくなったときのこの心境と言葉について、今、財務大臣はどのように捉えていらっしゃいますか。

#6
○麻生国務大臣 財務大臣の体力について御心配いただきまして、ありがとうございました。この会議が終わったら終わりかとお思いでしょうが、今晩は夜の十時、イタリアとの電話会談とかいうのが続いておりますので、一番働かされている財務大臣というのは多分日本じゃないかなと思ってはいるんですけれども。
 いずれにいたしましても、予算というこの時期というのはいろいろなものが重なって起きておりますので、なかなか難しいということはもう野田先生よく御存じのとおりなので、感謝を申し上げます。
 さて、今、特例公債の話が出ておりましたけれども、今おっしゃるとおりに、昭和五十年度、大平内閣等々で、この話が出て、実際には五十一年にスタートしておりますけれども、これは財政法第四条の特例でありまして、できる限りその発行を抑制するというのが望ましいというのは、もう間違いなく、この大平大蔵大臣の御指摘、今、野田先生が言われたとおりの話なんですが、特例公債の発行というのを始めるに当たりましては、こういった基本的な考え方というのは極めて大事なところであって、これは重く受け止めないかぬところだ、私どももそう思っております。
 今の厳しい財政状況、コロナ等々もありましたので、そういう状況を踏まえますと、当面、特例公債を全く発行せずに財政を行うということは困難、そう思っております。したがいまして、この度の今回の法案では、いわゆる安定的な財政運営を確保するという観点から、これは野田先生のときの、平成二十四年のときの、議員修正をされてあのとき定められた枠組みを踏まえまして、現行法と同様に五年間ということで、特例公債発行の根拠として設けさせていただいております。
 いずれにしても、この新型コロナウイルスというものの危機を乗り越えて、経済再生と財政再建というものの両立をしっかりした上で次の世代にということをやっていくのが我々の責任だと思っておりますので、二〇二五年のプライマリーバランスの黒字化目標等々の目的なり目標というものの達成に向けて、今後、歳出歳入両面においてこの取組をしっかり続けていかねばならぬと思っております。

#7
○野田(佳)委員 大平さんが異例の措置と言って特例公債を発行して、それは一九七五年と言いましたけれども、その異例の措置が一九七五年から一九九〇年までずっと、歳入欠陥がもう常態化して続くんですよね。そして、例外的に九一年から九三年は特例公債を発行しなくて済んだんです。これはバブルとか何かがありましたので、景気がよかったんですよね。その後、また九四年から今日に至るまで、特例公債の発行は常態化した。
 それで、今大臣に触れていただきましたけれども、二〇一二年に、私が総理のときに、複数年度にわたって特例公債を認める議員修正が行われました。このときも、リーマン・ショックと東日本大震災の直後でございましたので、特例公債を当面は出さざるを得ないという判断もありました。だから複数年度ということもあったんですけれども、特例で認めてきた、それで単年度ごとで特例公債法を審議してきた。これは本当に特例なんですが、複数年度というのは特例の特例なんですよ。
 特例の特例も常態化してしまったということに対して、私は危機を感じなければいけないと思います。その点についての大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

#8
○麻生国務大臣 これはもう全く野田先生おっしゃるとおりで、あのバブルの、景気のよかった八〇年代だってずっと特例公債ですから、あのとき。そして、バブルがはじけましたのが、一九八九年十二月に株価が三万八千九百十五円つけて、最高値が出たあのときでも特例公債。
 その翌年から特例公債がなくなって、今おっしゃるように、九二年に再発を始めて、実際は九三年からスタートさせていただいたんですが、御存じのように、その後は、階先生が勤めておられた長銀が、九八年でしたかね、倒産。その前の年に北海道拓殖銀行が倒産、三洋信販、山一等々が続いたのが九七年だったかな、ああいったような状況になっていって、金融危機、アジア通貨危機とかいろいろな表現がありましたけれども、そういったものになっていって、今日までずっと。
 それで、その後はリーマンが起きて、まあ、東北の津波等々ありましたので厳しい状況が続いておりましたが、だんだん情勢が変わってきて、それなりには努力をさせていただいておりましたが、最後、野田先生たちのときの公債依存度が五〇%弱だったと思いますけれども、安倍内閣で、今回のこのコロナの前までで公債依存度が三〇%強ぐらいまで落ちていたんですけれども、今回のことで一挙にまた駄目になるということになりますので。そういった意味では、私どもとしては、特例の特例と言われる点はよく分かりますけれども、向こう五年間特例を出さずにやれるという状況には今ない、そう判断をさせていただいた上で、今回こういったような形でやらせていただくということで、財政状況が悪化しているのは事実でありますので。
 そういった意味では、私どもとしては、今から、少なくとも、少子高齢化等々、私どもには避け難い多くの問題を抱えておりますので、そういった問題を考えて、いわゆる給付と負担のバランス等々というものを考えていきますと、少なくとも令和七年ぐらいまでの間、引き続き特例公債を発行せざるを得ないということになるであろうということは明らかでありますので、この間、この発行の許可をということで法案を提出させていただいたということであります。
 これまでの先人というか我々の先輩に倣って、償還に対しては私どもとしてはきちんと対応していくということをしていく姿勢をきちんと保っていかないと、これは少なくとも、今後、金利とかマーケットとかそういったものにいろいろな悪影響を与えるということもありますので、その点を踏まえてしっかり対応していかねばならぬと思っております。

#9
○野田(佳)委員 特例公債発行が常態化してしまったということは本当に残念なんですが、ただ、常態化しても、かつては予算と特例公債一体で成立をさせてきました。
 特に平成に入ってからはほぼ同時に成立をしているということだったんですが、崩れ始めたのが二〇一一年、菅直人内閣のときでして、私はそのとき財務大臣をしていました。苦労しましたけれども、結局、その特例公債法が成立をしたのが八月だったんですね。財務大臣としては、八月を越えて九月に入ったら予算執行を抑制せざるを得ないなと思っていましたけれども、何とかその前に法律は通ったんです。
 この頃のことを、当時は野党側でいらっしゃったので反対側から見ていたと思いますけれども、なぜこんなに遅れたのか、思い出していただければありがたいと思います。

#10
○麻生国務大臣 あの頃は与野党がねじれていましたからね、国会。そういった意味では、私どもの中で、いわゆるねじれ国会の中で、いろいろな背景としたものであったとは思うんですけれども。
 二〇一一年度の特例公債法については、これは予算をめぐってかなり意見の立場というか対立がありまして、裏づけとなりますこの特例公債法というものに関しましても、いわゆるねじれ国会の中で、なかなか成立の見通しが立たないという状態がかなり長く続いたというものだと思っておりますので、最終的には、八月の見直し等については、あれは三党合意が成立をして、そして、これを受けてあの月に特例公債法が成立したんじゃなかったかなと、ちょっと、記憶が少しずれているかもしれませんが、八月に最終的にまとまったんだと思っておりますので。
 やはり、あの頃のねじれ国会というのは、非常に、いろいろな法案等々、政策等々に大きな影響を与えた、そのうちの一つがこの特例公債法という、だから、大きな被害というか影響を受けたというものの最たるものの一つではなかったかと。
 あの頃、私、ちょっとこの担当をしていませんので正確な記憶じゃありませんけれども、そのように記憶をいたしております。

#11
○野田(佳)委員 大体の記憶でしたけれども、私は鮮明に覚えていますが、二〇一一年というのは東日本大震災が発災をした年じゃないですか、二〇一一年三月十一日。その年の特例公債が、ある種、人質になってしまって、予算執行に影響しかねないという状況になってきたんですね。当然、そうなると、政局的には、総理大臣としては何としても特例公債を通さないと、予算執行できないと困りますから。
 六月に当時の菅総理が、記者会見でいわゆる退陣三条件といいますか、自分が辞めるときにはこういう環境を整えなければいけないということで、三つ言っているんです。それは、第二次補正予算案、それから再生可能エネルギーの特別措置法がありました、そして特例公債法案。この三つが通らないと駄目なんですよ、ただ、三つ通ったら辞めますよという退陣三条件を言うんですね。
 当然、補正予算は復興の予算でしたから、これは野党もすぐ協力していただいた記憶があります。特例公債については最後までなかなか与野党の折り合いがつかなくて、結局、あの頃、我々の政策、特に力を入れていたものがばらまき四Kとか言われていましたけれども、そのばらまき四K、いわゆる子ども手当、高校授業料の無償化、それから農家の戸別所得補償制度、高速道路の無料化社会実験、これらを撤回しろ、見直しをしろという要求、それを一部認めてようやく特例公債法が通ったんです。通ったのが八月の二十六日でした。その日に菅さんは辞めたんです、その日に。
 それで、菅さんが辞めたので民主党代表選挙になって、今日、たまたま海江田さんも、前原さんもさっきまでいらっしゃったんですね、と五人出まして、勝たせていただいたのが私だったものですから、八月の末に、民主党代表選挙を経て、首班指名選挙を経て、私が総理になるということだったんです。
 ということで、特例公債というのはどうしても私にとっては忘れられない法案なんですが、そして、多分、自分が総理になったときにもこの特例公債は大変大きなネックになるんじゃないかという嫌な予感をしながら総理になりましたら、やはりなったんです、やはり。菅さんは八月で済んだんですけれども、私の場合は十一月までもつれ込みました。二〇一二年の十一月十六日に、特例公債、これは改正しましたね。さっき冒頭で大臣から御説明がありましたとおり、多年度にわたって特例公債を発行できるという議員修正、これが成立したのが二〇一二年の十一月十六日なんですね。
 その意義というものを改めて大臣に確認をさせていただきたいというふうに思います。

#12
○麻生国務大臣 これは、今ちょっと思い出しながら、極めてあの頃は厳しい状況にあったことを思い出しながら伺っていたんですけれども。
 これは、当時、二〇一二年の特例公債法というのは、予算の成立の後も、特例公債法というものが国会で成立をしておりませんでしたので、いわゆる地方行政を含みます国民生活等々に影響を与えかねないという状況が生じていたんだというように思いますが、当時、野田先生の御意見を受けて、最初、三党において協議を行って、複数年度にわたる特例公債の発行根拠を設けるとされたんだと記憶をいたしております。
 これは、厳しい財政状況を見ますれば、引き続き翌年度も特例公債の発行というのは避けられないという状況でもありましたので、そんな中で、複数年度にわたりまして特例公債を発行することが可能ということにすることが、いわゆる安定的な財政運営というものの確保につながっていくんだということで、この話合いができ上がったんだと思って、そういうことを考えられての御提案だったというように理解をしておりましたが、なかなか、ああいったときの状況の中において、政局が安定していないとああいったことになる。
 でも、与野党でそれなりの理解をし、次、誰がなってもこの状態はそんな簡単に変わるわけがないだろうがというお話も誠に事実だったと思いますし、事実、そのとおりになりましたし、そういった意味では、あの提案というものに与野党合意ができ上がったということは、それなりに皆見識を持って対応をさせていただいたんだと思っております。

#13
○野田(佳)委員 まあ、それなりの見識というか、そうせざるを得なかったといいますか、私は葛藤がありましたのは、憲法では予算は衆議院の優越が規定されているにもかかわらず、特例公債法という法律が通らなかったら予算執行できない。だから、事実上、憲法で規定されていることが骨抜きにされちゃうんですよ、参議院で抵抗に遭ったりすると。そんなことが本当にいいのかなとずっと思っていましたので、だから、菅さんよりも引っ張っていたんですよね、引っ張っていた。だから十一月まで行きました。
 十一月まで行くと、これはやはり深刻な影響が出てきまして、九月に入ってから予算執行を抑制し始めたんです。そうすると、例えば一般会計から特別会計への繰入れができなくなったりとか、あるいは補助金の停止みたいなことが出てきました。そして、十一月二日に地方交付税交付金の交付が先送りせざるを得なくなった。地方自治体は困るんですよ。そうすると、短期の借入れをせざるを得なくなる、金利の負担は政府が見ざるを得なくなるという状況になりまして、これは国民生活、地方、経済、いろいろなところに影響が出始めました。
 後から検証すると、二〇一二年の十一月というのは景気の底の一番のボトムなんです。それはそうです、地方とか国民にお金が流れない状況ですから。建設国債とか復興債はもう発行しているんです。赤字国債が発行できないということがこんなにきついことかと。加えて、そうなっちゃうと、多分、十二月からは国債発行停止という状況になりますから、そうなるとマーケットへの影響が出ますよね。これは国際社会も心配してきて、IMFもG20も、日本が世界経済の下方リスクであるという声明を出し始めるんです。
 というような状況があって、十一月にはもうどうしても結論を出さなければいけないということで、複数年度、当面は特例公債に頼らざるを得ないだろうということで複数年度の提案をしたということでございまして、十一月ぎりぎりというのは、この修正が三党間で合意をされたのが十一月十三日なんですね。政調会長間で修正合意がなされて、そして十四日で衆議院の財金でこれは可決をしています。その十四日に党首討論で私と安倍さんで討論をして、議員定数削減を条件に解散をするということを言明しました。十一月十六日、参本でこの特例公債法が成立をします。それを見て、午後に、十一月十六日に解散をするという、本当にぎりぎりの段階だったということなんです。
 これも先ほど大臣触れていただきましたけれども、三党合意に至るプロセスなんですが、元々は、三党の党首会談、二〇一二年の十月十九日にございまして、そのときに自民党の安倍総裁と公明党の山口さんと三人で党首会談があるんです。そのときに、私は、やはりこれは特例公債で何とかしなきゃ、野党から解散要求はありましたけれども、特例公債を何とかしないと解散なんかできませんから、それで提案をしたんですけれども、三つ提案しているんですよ、このときに。
 一つ目の提案は、今般のいわゆる特例法の改正と枠は同じですけれども、法案の本則を修正して、そして多年度にわたる特例公債発行を可能とする案、これが第一案。第二案というのは、翌年度に多年度にわたる特例公債の発行を可能とするということを、提出している法案の附則で変えて位置づけるというのが第二案。第三案が、法案はいじらないで、予算と特例公債法案を一体的に処理することを与野党で覚書をしましょう、覚書を交わしましょうということ。この三つ提案した中で、一番目の提案がいわゆる政党間協議の俎上に上って、そしてようやく成案を得たというプロセスをたどっているんですけれども。
 私は、本当は法案を触りたくはなくて、なるべく与野党合意で覚書を交わしていこうと。というのは、当然、解散した後に我々が勝てる可能性は余りない状況ですから、我々が野党になったときは特例公債法は人質にしないという、ある意味、武装解除するという意味なんですね。何党が政権を取ったって、特例公債を人質にしてしまったら予算執行できない。こんなことをやったら一番困るのは国民ですから、そんなことはやらないようなということをやっていきましょうというのが一番の本意だったんですね。しかも、前提として、当面の間は特例公債を発行せざるを得ないけれども、特例公債の抑制に努めるということが絶対条件だったんです。その辺がまさに魂の中の魂なんですよね。
 先般、与党の本田委員だったでしょうか、質問をされていまして、答弁は伊藤副大臣が答弁されていますけれども、平成二十四年当時、二〇一二年当時の三党合意に基づく枠組みを本法案においても維持しているのかという質問がありました。そのときに副大臣は、三党合意は現在も重要な意味を持つ、三党で決めた枠組みを踏まえ云々と答えられています。枠組みは確かにそのとおりです、多年度にわたる。ただ、魂は忘れられてしまっているのではないかと私は思うんです。
 その点についての大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

#14
○麻生国務大臣 これは、野田先生御指摘の特例公債発行抑制の努力義務ということになるんですが、これにつきましては、平成二十四年の三党の覚書というか確認書を踏まえて特例公債法の規定を設けさせていただいておりますのは御存じのとおりなんです。
 政府としても、現行の特例公債法によりまして、五年にわたりまして、社会保障関係費の義務的な伸びという、あの当時、ほったっておいたら一兆円と言われていたんですけれども、そういったようなものの、高齢化していく、特に二二年度から、団塊の世代が一斉に七十五歳になるというところからいわゆる高齢化が急激に増えてくるんですが、その高齢化が増えてくる増加分以内にとどめて、それ以後のものを、いわゆる厚生労働というか福祉関係のものには歳出を増やさないという目安に沿った予算編成等々をこれ以後行わせてきていただいておりましたり。
 また、歳入面に関しましても、消費税、いろいろありましたけれども、一〇%への引上げということで、後年度の負担というものの、ツケ回しを軽減するというようなことで、財政健全化に取り組み、できるだけ国債発行額というものを控えめに抑えてきて、十一兆七千億ぐらいの、新規特例公債の発行を抑えられてきたのが、過日の当初予算まではやらせていただいたんですが、そのほかにも、当初予算ベースで見ますと、政権交代以降の話ですけれども、コロナ前の、特に令和二年度までの公債発行額、十一兆七千億を減額しておりますし、特例公債でも約十二兆九千億の減額を行ったりさせていただいておるところです。
 いずれにしても、足下では予定外に、コロナ対策ということによって歳出が急激に増加して財政状況が悪化しておりますのは事実でありますが、このコロナの一日でも早い収束等々をやって、国民の生活とか暮らしとか、そういった全体的なものをきちんとやっていくということだと思いますけれども、大きな災害が発生するというのは今後ともあり得る話でありますので、私どもとしては、その時々には当然の対策を打ちつつ、特例公債というものの発行額の絶対量をできる限り抑える、抑制するというようなことを努力していかなければならぬのだと思っております。

#15
○野田(佳)委員 確かに、前回の二〇一六年の特例法改正のときまでには、二〇一五年度までに、特例公債というか、プライマリーバランスの赤字を半減するという目標は達成をしていました。前半の部分は当たっているんです、今の御説明は、いろいろな意味で。
 ただ、その後をたどると、結局、二〇二〇年度までにPBの黒字化を図るということは先送りされましたよね。ここは決定的にちょっと違いがあって、それの総括をちゃんとしていただかなければ私はいけないと思うんです。
 先般、これは階さんが本会議で質問していました。私、がっかりしたのは、何でPBの黒字化ができなかったかというのは一点だけしか答えていないんですよ、大臣。それは、消費税の引上げ分の使い道の見直しにより困難になった、この一点しか言っていないんです。もうちょっと、歳入においても歳出においても厳しい総括が私は必要だと思います。
 PBの黒字化というのは、これは財政健全化のまさに入口じゃないですか。出発点です。それも国際公約でしょう。それができなかったことは、消費税の使途変更だけではないですよ。これは厳しい総括をしなければいけないんですが、その話をやっているとちょっと時間がなくなってしまいますので、これは飛ばします。きちっと総括ができていないなと思うんです。
 総括ができていない上に、今提出している法案には財政の健全化の目標を具体的に書いてないですね、今までの、PBの黒字化とか。本来ならば、政府がちゃんと方針で掲げているんだったら、公的債務残高対GDP比を減らすとか、そういうことを併せて書くべきだと思います。書いてないというのは、私は、これは財政の健全化を事実上棚上げしているんじゃないかと。
 骨太の方針二〇二〇でもこれはスルーしていますね、同じです。コロナ禍だから多分立ち止まってしまっていると思うんですよ。私は、コロナ禍でも財政規律は必要だと思います。可能な限り計画を立てて、明記して、国民とその目標を共有する努力をするのが政治のあるべき姿だと思います。
 これは、よく似ているなと思うのは、日銀の物価目標二%と同じですよ。言ってはいるけれども本気じゃない、これが一番よくないと思いますよ、財政を考える上で。
 その点についてのお考えがあれば、お聞かせいただきたいと思います。

#16
○角田政府参考人 法案の条文関係について、簡単に申し上げたいと思います。
 特例公債法四条の趣旨でございますけれども、これは特例公債の発行抑制の努力義務を課すものでございます。
 そして、取組の方向性をどう示すかということでございますけれども、そこに、具体的な健全化の目標を法律上に書き込む必要はないと考えまして、今回は、財政の健全化という一般的な表現を取らせていただきました。
 このこととは別に、プライマリーバランスの黒字化目標につきましては堅持をいたしているところでございます。

#17
○野田(佳)委員 いつも答弁はそういう答えですね、最近の。法律に書き込む必要は必ずしもないからという言い方じゃないですか。今まで書いてきたんだから、書いてないのは後退ですよ、どう見たって。理由になっていないんですよ。私は、事あるごとに目標は掲げるべきだと思います。危機感をみんなで共有して、その目標に一緒になって汗をかくというのが筋であって、書かないというのは後退ですということを明確に申し上げたいと思います。
 その上で、この特例法の改正は、改正するたびに、私は、財政規律という観点からすると後退し続けていると思うんですね。
 最初は、特例公債は単年度で審議をして成立をさせた。それが多年度になった、その端緒を開いたのは私ですから、これは痛恨の極みです。その後、単年度から多年度になっても、四年から今度は五年になったんですね、四年から五年。しかも、今のように、財政健全化の目標はより曖昧になってきている。しかも、元々は議員修正なんだけれども、その魂を忘れて、安易に今政府が提案をしている。いろいろなことを含めて、特例公債法の改正のたびに、私は、財政規律が緩んできているし、赤字国債の発行という禁じ手が、ある種、日銀の財政ファイナンスと相まって打ち出の小づちになってきている、そこに危機感を感じます。
 大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

#18
○麻生国務大臣 この特例公債、財政法第四条の特例ですけれども、できる限り発行というのを抑制するのが望ましい、これはもう当然のことだと思っております。
 政府としても、これまでも、いわゆる歳出改革に当たりましては特例公債の発行抑制に努めてきたところであって、少なくとも、平成の二十四年から見ましても間違いなく、四十四兆から三十二兆まで公債発行額のあれが減ってきておりますし、また、特例公債を見ましても、三十八兆が二十五兆まで減ってきておるというところであります。
 現在のところ、こういったものが、少なくとも、マーケットにおいて極めて大量の国債が極めて低金利でかつ安定的に消化をされておるというのは事実でありますが、マーケットは、今大丈夫といってもあしたも大丈夫という保証は全くない世界だと思っていまして、したがいまして、今後とも経済再生といわゆる財政再建というものの両立というものを図らなければならぬところでありまして、財政の健全化というものは、歳入を増やせば足りるという話ではなくて、歳出改革と両方でやっていかぬとなかなか達成できるものではないと考えております。
 したがいまして、特例公債の発行期間というものをいろいろ御心配いただいておりますけれども、これを延長したからといって、私どもは、財政規律というものを緩めるということは全く考えておりませんし、緩ませるというような意識も持っておりません。
 財政の持続可能性の確保というのは、これは極めて重要な課題でありまして、日本のように、債務、財務というか、そういった意味におきますといわゆる借金が多いということでありますので、私ども、そういった借金を次の世代へということに関しましては責任を持たねばならぬところなのであって、引き続き、財政というものにつきましては、その健全化に努めていくという努力、姿勢というものは持ち続けなければならぬ大事なことなのであって、気を引き締めて財政運営に当たっていかねばならぬと思っております。

#19
○野田(佳)委員 気を引き締めてというお話で、もちろんそうしてほしいんですけれども、でも、特例公債という特例の措置が多年度化という特例の特例、これまた常態化するということで、残念ながら、私は、ますます財政状況が悪化をしてきているというふうに思いますし、しかもコロナ禍が加わりまして、せんだって予算委員会で総理とも質問しましたけれども、ワニの口というよりも、ワニの顎が外れたというか、もうどうしようもない、表現できない状況になってしまったので、一層のこと、これはしばらくは特例公債を発行せざるを得ないと思います。
 しかも、今回、五年ということですが、五年間で特例公債の発行から脱却できる可能性も私はあるとは思えないんですね。だとすると、政府はもちろん引き締めて頑張るとおっしゃいますけれども、国会もしっかり民主的な統制を、原点に戻って、単年度でこの特例公債についてはチェックをして、財政規律の観点からきちっと審議をしていくということが私は大事になってきているのではないかと思います。
 ということで、多年度化ではなくて、また元に戻して単年度ごとに、特例公債を発行するかどうか、その額についてきちっと国会の中で審議する、民主的統制をもう一回図るように元に戻すべきだと私は思いますけれども、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

#20
○麻生国務大臣 これは、政府としては、平成二十四年度の三党合意の議論を経て議員修正をさせていただいた上で、複数年度の取組というのが定められた経緯を十分に踏まえる必要があると私どもも考えております。
 繰り返しになりますけれども、特例公債を発行せざるを得ないというような厳しい財政状況が続いておって、しかもこれが当面続く可能性が高いという状況の中では、安定した経済財政運営というものを確保するという観点から、私どもとしては、引き続き複数年度によります特例公債の発行というものをする根拠としては、この点は非常に、安定という点に関しましては、これは根拠として求めざるを得ないところだと思っております。特例公債の発行というものの期間を仮に延長したからといって、だから財政規律が緩むとは考えておりませんし、また、緩ませようとも考えておるわけではございません。
 したがいまして、今、今後、二〇二五年度のプライマリーバランスというものの黒字化目標の達成というものも私どもは考えておりますし、極めて厳しいとは思いますけれども、そういったものに対する努力、目標というのはきちんと持って取り組んでいかなきゃいかぬものだと思っております。

#21
○野田(佳)委員 もう時間が来ましたから質問を終わりますけれども、改めて申し上げますが、特例公債の多年度化と予備費の多額計上、この二つは、国会による民主的な統制を形骸化することになっていると思いますので、その動きについては私は強く反対をしていきたいというふうに思います。
 質問を終わります。ありがとうございました。

#22
○越智委員長 次に、海江田万里君。

#23
○海江田委員 立憲民主党・無所属の海江田万里です。
 ちょっと今、喉が渇いているので水を先に飲ませてください。ちょっと待ってください、私の持ち時間でいいですから。私は重度の花粉症で、花粉症の薬を飲んでおりますと喉が非常に渇きますので。お許しをいただきたいと思います。
 さて、今、野田委員から、野田元総理から、るる、平成二十四年当初の、私どもが特例公債法を四年分まとめてやらなければいけない理由について、そのときの経緯についてお話があったと思います。
 これは、その当時の事情を知らないこの財務金融委員の方々も多いわけでございますが、当時、私はちょうど越智委員長のところに座っておりまして、三党で議員修正して、それが十一月の九日から議論が始まったわけであります。時の財務大臣は安住さんでしたかね。だから、私らは本当によく知っているんですよ、一番、何が原因であったかということを。
 それはやはり一番大きかったのは、その前の、これは野田さんのときじゃなくて、菅総理のときの参議院の選挙で実は勝てなくて、ねじれてしまって。先ほど、経済的安定性を、財政的、財政状況を安定させる、安定した財政状況のためにこの複数年化は必要だというお話、今、麻生大臣からありましたけれども、これは政治的に安定していなかったんですよ。そっちがメインなんですよ。だから、さっきお話があったように、引っ張りに引っ張って、八月に入ってもまだ駄目だ、そして十一月になっていよいよ最後の崖が来て、そして、私どもが幾つかの選択肢の中からこういうことでどうですかといって出したところがこの複数年化という話になったわけですから。
 私は、この二十四年のときの複数年化は本当にやむにやまれない事情があったし、それから、私たちも決して、私も当時は代表選で野田さんとは争いましたけれども、この特例公債法を人質に取ってそしてやるようなことというのは、これはもうあるべきではないし、よもや与党、当時の野党の自民党の方々も、皆さんそれぞれ見識のある方だからそういうことにはならないだろうと思っていたわけでありますけれども、あに図らんや、そういう事態になってしまった。
 そういう事態になってしまいましたけれども、私たちが今度野党になったときは、やはり特例公債の日にちを、本当に、いわゆる日程闘争をやって、そしてこれを成立させないようにするようなことなんかはやっちゃいけないよということは一人一人が肝に銘じているわけですよ、これは。
 そういう政治的な不安定さというのは今はないし、第一、私たちはこの経験を踏まえて、経験をやはり教訓化しているわけですから、特例公債を盾にして、人質にして、そして予算が実質的に執行できないようなことにしちゃいけないとみんな思っているんですよ、これは。そんなことをやったら国民から本当に指弾されますよ、批判されますよ。私たちは、そんなことは誰も、恐らく誰一人としてやろうと思っていない。だから、そういう政治的な安定性ということでいえば、とりわけ特例公債に対しての安定性ということでいえば、私たちはみんなそういう教訓化した中で分かっているわけですから。だから、これをやる必要というのは私はないと思っている、これは。
 その意味で、平成の二十八年のときは、これはまさに五年でやってしまって、それ以来、五年の期日が来たから今度はまた継続をしましょう。そして、今、野田委員の最後の質問のところで、やはりこれから将来も単年度主義に、元に戻すべきじゃないだろうかという提案に対して、それは、麻生大臣は、大変残念でありますけれども、単年度に戻すということはおっしゃらなかった。
 私は、これは本当に残念。これからもやはり複数の、一つ、今五年というのが相場になっているんですよ、何で五年かということは私は分かりませんけれどもね。五年ということが一つの相場になっていますけれども、これからもやはり五年なりで、複数年化でやるつもりですか、どうですか。

#24
○麻生国務大臣 これは特例公債の話に限りませんで、やはり与野党が衆参でねじれますと、なかなか今言われたような話で我々は考えませんよ、そういう見識の高い方ばかりがいつも選ばれているという保証はありませんから。事実でしょうが。私たちもそうじゃなかったんだから、俺たちも自分のことを言えた立場にありませんから。それが歴史ですよ。
 その前のときから、この世界にもう四十年もいますので、こういったねじれなんというのは何回も知っていますので、小渕内閣のときもありましたし。あのときだって、銀行が潰れた最大の理由は何だったんですか、あのとき、さっさとやっておけばよかったじゃないですかと、言いたいことはいっぱいありますよ。それでも、あのときは、どんどん潰れてもいいと言う方もいらしたわけですよ。現に潰れましたから。昔の名前で出ている銀行なんか今ほとんど、三井、三菱、住友ぐらいで、あとはパソナかりそなか分からぬようなものになったでしょうが。本当にそうなっております。えらい話になった、あのときだって。
 だから、そういった意味で、やはり、ねじれれば、そのときの政権を獲得するためにとかやるために何でもあり得る可能性があるんだ、私どもはそう思って、今の皆さん方のように見識が高い方ばかりが選ばれるということは限らないというのが私どもの体験として分かりますので、なかなか今の話は、おっしゃっている意味はよく分かりますけれども。
 少なくとも、私ども、毎年でやるべきだという御説には決して反対ではありません。反対ではありませんけれども、現実問題として、今政権が安定しているというのが、これがずっと安定している保証は全くありませんから、そういった意味では、私どもとしては、毎年というのになった途端に政権が、若しくは衆参がねじれた場合にはまた同じことが起こり得る可能性は十分にある。あのときに、十一月までなってしまったようなことも十分に起こり得る。
 そういったことは歴史の教訓として覚えておかないかぬと思いますので、私どもとしては五年間とさせていただいてきましたけれども、少なくとも向こう五年間、直ちに特例公債を出さなくていいという状況になるほど景気が、経済が、税収が回復するとはとても思えていないということだと思っております。

#25
○海江田委員 やはり財政の運営については、もう言うまでもありませんけれども、財政法という法律があるわけですよ。私たちの国というのは法治国家ですから、やはりまずその法律に基づいて事を進めていかなければいけないということで。せんだって当委員会では、決算の剰余金を国債の償還に充てませんで、そしてまた新たな、それだけ発行を減らすという形での法改正、改正法をやりましたね、ここで。ついこの間やったばかりです。
 それから、この財政法の歴史というのは、実は、これは昭和二十二年ということで、もう麻生大臣はお生まれになって、私はその翌々年でありますけれども誕生したということで。当初はいろんな考え方がありました。戦争の原因は公債の発行だから、だから公債は発行しないでおこうという、非常に厳密な、ストリクトといいますか、ということでああいう法律になってきた。だけれども、その中には守っていかなきゃいけない大きな原則というものもやはり残っているわけですよ。
 そういうものを一つ一つやはり覆していって、もちろん法律を決めますけれども、だけれども、その法律が今度のように五年間の発行を許すでありますとか、むしろ、毎年毎年この議論をしなきゃいけないのを怠ることになっているんじゃないだろうかということで。
 私、ずっと、かねてから不思議に思っていたのは、十五か月予算という言葉、麻生大臣も時々お使いになりますけれども、財政法を見ますと、財政法の第十一条で、「国の会計年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終るものとする。」と。四月一日から三月三十一日は十二か月ですよね。一年というのは十二か月に決まっているんですよ、昔から、古今東西を問わず。何で十五か月の予算だなんということを言うんですか、これは。
 しかも、これは、十五か月予算でと、口でいろいろ説明するとき、いや、これは十五か月予算と考えていただければいいんですとか、そういうことを私は否定をするものじゃありませんよ。だけれども、国の、閣議決定された令和三年度予算編成の基本方針の中にも、いわゆると書いてございますけれども、十五か月予算なんて文字が書かれちゃっているんですよ。私はおかしいと思いますよ、これは。一年は十二か月でしょう。いつから十五か月になったんですか。

#26
○麻生国務大臣 第三次補正予算と来年度の令和三年度の本予算について、いわゆる十五か月予算と申し上げておりますのは、これらの予算を、三か月と十二か月合わせまして切れ目なく諸課題に当たっていくという趣旨であります。したがいまして、国の会計年度を四月一日から十二月三十一日までと規定している財政法というものに関しまして、違反をするものではございません。

#27
○海江田委員 いやいや、今、十二月三十一日と言い間違えたんじゃないですか。三月三十一日ですよね、これは。
 それは一年で、やはり閣議決定するところで十五か月予算なんというのは、これはこれまでも書いていましたかね。私、ちょっと今回初めてじゃないかなというような気もしているんですけれども。ただ、毎年のを調べているわけじゃありませんけれども、閣議決定の中に、予算は十五か月だ、十五か月の予算を組むというようなことを言うというのは、これは明らかに財政法をないがしろにするものですし、第一、一年は十二か月しかないのに十五か月だなんと言うのは、これは、何といいますか、天然自然の摂理に反しますよ。
 これは、もう書かないということを言ってくれますか。

#28
○麻生国務大臣 書かないというのは、閣議決定で書かないということを言っておられるんですか。

#29
○海江田委員 そういうことです。

#30
○麻生国務大臣 検討させていただきます。

#31
○海江田委員 どうして私が十五か月予算ということに対して問題視するかというと、やはりそこには、これはもういろいろな人が、識者が指摘をしているところでありますけれども、赤字公債の発行につながる歳出の冗費というものが必ず出てくるんですよ、これは。表向き、当初予算ではしっかり、これまでずっと安倍政権のときは、とにかく対前年比で新規の国債の発行額を減らすとかそういう努力をやっていましたけれども、最後の補正のところで全部それをひっくり返してしまっているわけですよね。
 だから、そういう意味からいっても、十五か月予算だと言って、そして、もう年中行事になっていますけれども、年の瀬に、それこそ経済対策を組んで、そして補正をまず、国会が始まって議論をやって、補正の予算というのは、もう言うまでもありませんけれども、非常に時間的な制約のある中での議論ですよ。だけれども、その中に重要な、あるいはかなり値の張る予算を計上して、そして次の当初予算につなげていくということ、結果的にやはりそれは、財政の規模が膨らんでしまう、あるいは歳出の規模が膨らんでしまうということに、私はあるんじゃないだろうかと。
 そういう意味も込めて、やはり、十五か月予算というのはもうこれから使わない。切れ目なくはいいですよ。切れ目なくはいいけれども、やはり、これまでのような財政運営というものはもうここいらで、今回はコロナがありましたから、令和二年から令和三年についてはこれは致し方ないとして、これからの一つの戒めとして、先ほど来お話のあった、財政規律を自分たちも忘れているわけではないということの一つのあかしとして、やはりそういう表現はしない、そういう考え方は、これは切れ目なくということで言えばいいですけれども、それ以外のところでやはり十五か月予算ということはもう言わないということを重ねて答弁をお願いします。

#32
○麻生国務大臣 御趣旨は分かりましたけれども、基本的に、私どもとしては、予算というものは、三月、四月でばさっと切れるというこれまでのやり方で、工事なんか見ていたら分かりますけれども、ばたっとあそこで止まりますしね。
 そういった意味では、経済というものを考えたときには、切れ目なくというのは極めて重要な要素だと思っておりますので申し上げておりますけれども、そういったところが財政の規律を緩めることになるということに関しましてはいかがだろうかと存じますけれども、そういう御意見もあるといって拝聴させていただきました。

#33
○海江田委員 大臣、経済はずっと一年続いていいですよ、切れ目なくていいですよ。だけれども財政は、それを、やはりどこかの段階で、それこそ決算をやって、そして、その決算の中でどういうところに歳出、その前に予算を組んで、予算、決算ということで、やはり一年を区切りにしてそこを見るわけです。だから、国会の議論だってそうでしょう。国会の議論が始まって、そこでもって、予算をやると同時に決算もしっかり見ていくということ。
 だから、これはやはり必要なんですよ、一年の区切りというのは、財政の上では。それは、財政を無視して、経済は毎日流れて、一年三百六十五日分流れるのならば、それに合わせていって、別に一々ストップさせる必要はないじゃないかというのは、これは確かに経済の流れからすればそうですけれども。
 そもそも、先ほど来、予算委員会でよく使いますけれども、歳入歳出でしょう、これは。ただ収入と言わぬでしょう。歳出でしょう。歳入でしょう。歳というのは年なんですよ、これは。年は一年なんですよ。だから、切れ目がないのがいいんだ、切れ目がないんだと言うんじゃなくて、やはり財政については、一年ごとにしっかり、四月から三月まででそこでけじめをつけるということが私は大切だと思うし、現に、この間やっていることは、今回はコロナの問題がありましたけれども、昨年の問題、昨年はまだまだ、昨年の議論をするときは緊急事態宣言も出ていなかったし、確かに、中国あたりでは、あるいは一部の国では新型感染症は蔓延していましたけれども、日本ではまだそれほどでもなかったということもあるわけですから、これは。ちょうど今頃になってから出てきた話、深刻な話になってきた話ですから。
 やはり、そういうときに補正を作って、結果的に、国債の新規発行というものを、当初予算ではそれができたけれども、補正も入れてしまったら、昨年の段階からですから、もうこれは駄目、いわゆる対前年比削減というものはなくなった、そういうような事実もあるわけですから。
 だから、私は、やはり、十五か月予算と言って、切れ目がない、切れ目がないと言って補正を次から次へと組んで、その補正が拡大してしまって、そして結果的に日本の財政事情を悪化させているというふうに申し上げているわけです。分かりませんかね。

#34
○麻生国務大臣 先ほどと同じことを言っておられますので答弁も同じことになりますけれども、基本的に、そういう御意見もあるということは拝聴させていただきます。

#35
○海江田委員 それから、先ほども議論になりましたけれども、今度の公債特例法の改正案の第四条、財政の健全化ということ。この健全化の定義について、先ほど何か次長はむにゃむにゃとおっしゃいましたけれども、もう少し明言をしてもらいたい。
 これまでのようなプライマリーバランスの黒字化ということは目標に掲げないということですけれども、ただ健全化というだけじゃなくて、じゃ、この健全化というのは具体的に何を意味しているのかということを説明していただきたいと思います。

#36
○角田政府参考人 お答え申し上げます。
 政府は、財政健全化の当面の具体的目標といたしまして、二〇二五年度プライマリーバランス黒字化及び債務残高対GDP比の安定的な引下げを掲げております。
 そういう意味で、この量的な目標、プライマリーバランスというフローでいきますと、赤字幅を圧縮し、黒字側に持っていく、あるいは黒字幅を拡大させていくという方向に向かっていくというのは定量的に申し上げられると思います。それから、債務残高対GDP比は非常にクリアだと思います。
 こうした量的に捉えられる目標のほか、条文は、財政健全化に向けて経済・財政一体改革を推進するんだということを申し上げております。
 そういう意味でいうと、質的な意味合いも実は込められておりまして、一つは、受益と負担のバランスを図りまして、将来世代に重いツケを残さない持続可能な財政を構築するという観点、それから、選択と集中、ワイズスペンディング等を推進して、成長力強化等の政策目的をより効果的に達成する予算にしていくという気持ちも込めまして、財政健全化ということを申し上げているところでございます。

#37
○海江田委員 前回は、具体的な、プライマリーバランスの黒字化という言葉も入っていたわけでありますから。だけれども、今回それが抜け落ちたということは、やはり前回と比べると、その意味では、今でもその二五年の黒字化の目標というのは下げていないんだということをおっしゃりたいんでしょうけれども、それならば、前回も書いていたわけですから今回も書けばいいので、それはやはり受け取る側は、今回書かなくなったことによる、財政規律を緩めよう、あるいは二五年のプライマリーバランスの黒字化というものがもう事実上無理になったんだなということの一つのシグナルとして見てしまうわけですよね。
 だから、前回書かなかったらいいので、今回やはり何で書かなかった、それが解せないんですね、これは。いかがですか。それで、書いて何か不都合なことがあるんですか。

#38
○角田政府参考人 お答え申し上げます。
 不都合とかそういう話ではなくて、先ほど申し上げたことに尽きるんですけれども、最初の二十四年法自身にはプライマリーバランスとかいう具体的な目標を記載されていたわけではございませんので、全体としての特例公債法の果たす役割を見たときに、その骨格をしっかりと受け継がせていただくという趣旨で条文を整理させていただいております。

#39
○海江田委員 お互いマスクをしていますから、余りよく聞き取れないので。とりわけ、今の角田さんの話はよく聞き取れなかったわけでありますけれども。
 二十四年とやはり二十八年は違うんですよね、はっきり言って。二十四年は、先ほど来るるお話があったように、いろいろな事情があってああいうことにせざるを得ないと。だけれども、それは決してよかったことじゃないねという反省は私らにはありますけれども。二十八年のときは、やはりそういうような、東日本大震災、まだ十年の復興期間の間でしたけれども、発災したわけでもありませんし、それから与野党の逆転というのもあったわけじゃないわけだから、だから、そういうときにあえてやるためには、やはりこれだけの説明を、しっかり目標を掲げなきゃ駄目だねということがあったはずなんですけれども。
 今回は、一回五年にして、それで何とか乗り切ったからこれからも五年にしよう、それから、財政の健全化の目標というのも、財政の健全化を図るという言葉だけで具体的な目標は書かないでいいであろうと。
 やはり、こういうものを見たら、本当に、市場はといいますか、それから我々は、健全化についての熱意といいますかあるいは意欲というものが、あるいは野田さんの言葉をかりれば魂かな、何かそういうものが大変希薄になったなと言わざるを得ないというふうに思うんです。
 これだけ国債を大量発行してしまう、それから残高が積み上がってしまうということのリスクというのは、これはやはり一旦金利が上がったときのリスクですよね。金利が上がる理由はいろいろな理由がありますけれども、最近特にいろいろなところで指摘をされていますのが、やはり日本で自然災害ですね、これは。大規模、規模の大きな自然災害が起きた場合のリスクというものが指摘をされていますね。
 財政審議会の、毎年毎年予算の前の建議、令和三年度予算の編成等に関する建議という中でも大規模な自然災害の発生時のリスクということがわざわざ書かれておりますけれども、このリスクというのは、ほかの外国でもいろいろな自然災害のリスクというのはありますが、日本の場合は、かなり、せんだっての大きなまた東北地方の地震もそうでしたけれども、やはりそういうリスクというものはあるわけですよね。
 とりわけ、これから三十年ぐらいの間は大変それが発生する可能性も高いということがあるわけですから、そういうリスクに対する備えの意味から、もう、やはり財政規模というのは、国債の発行というのは、かなり禁欲的にならざるを得ないと思うわけですけれども、いかがでしょうか。そういうリスクへの備えというものは何かほかにやっておられるでしょうか。

#40
○麻生国務大臣 これは海江田先生御存じのように、今までのところ、日本の場合は、個人金融資産が約一千九百兆、現預金も一千兆というような、潤沢ないわゆる国内の家計金融資産というものがありますので、こういったものを背景にして、低金利、極めて低い金利で安定的に国債というものが消化をされておりまして、今〇・一%とかいう形で消化をされておりますし、幸いにして、外資でこれを買っておられる方もおられますけれども、全て円建て。外貨で日本の国債は売られておりませんので、国内発行の金融だけで国債を消化しておりますのは、アメリカを除きますと、日本と、デンマークだったかな、どこかがやっているぐらいのものだと思いますので、幸運な状態が続いているんだと思っておりますけれども、この幸運な状態がいつまでも続くとは限らないというのがこの金融の世界だ、そう思っております。
 したがいまして、海江田先生御指摘のとおり、例えば、自然災害とか、予想できないいろいろな、感染症もありましょうし、いろいろなものが出てきて追加的な財政支出というものを余儀なくされるということは、これは十分に考えられることであって、財政が更なる悪化をするということもないわけではありませんし。
 また、日本の場合は、中期的にというか、長期的にはいわゆる生産年齢人口というのが激減しますから、そういった意味では、それによってGDPが低迷するとか家計の金融資産が減るとか等々によって財政の持続性に対する信頼性が失われるということも、これは下手すると、経済が成長しないことによって起きてくる金利の状況なんという、よく言われる悪い金利上昇というのも起こらない保証はありませんので、私どもとしては、今後とも、国債というものへの信頼をいかに確保するかとか、社会保障というものの持続性というものをいかに確保するか等々、将来への不安というものに対していろいろ対応しておくということは極めて大事なことだと思っていますので、経済再生、財政健全化といったような点に関しましては、両面を常に考えて対応しておかなければならぬということは、全く私どもそう思っております。

#41
○海江田委員 口では財政健全化ということをおっしゃるわけでありますけれども、実際に行っていることというのは、まだまだ健全化の努力できるじゃないだろうかということをやはり行っていないという現実があるんじゃないだろうかというふうに思います。
 それから、私が今言いたかったのは、大規模な自然災害、例えば地震なんかの場合、これまで積み上がった国債の金利が上がることによって、これはやはり大きな、本来、災害に対する備えもやらなきゃいけない、備えというか災害に対するきちっとした対応もしなきゃいけない、また、新たな財政出動もやらなきゃいけない、だけれども、それができなくなっちゃうんじゃないですかということです。
 幸い、今は本当に金利がマイナス金利であったり、ほぼほぼゼロ近傍に張りついていますから、利払いの負担も少ないわけでありますけれども、この利払いの負担も多くなる、それから金利が上がる、それから国債の格付も下がるということで、これはやはり大変なことになるんじゃないだろうかということ。だから、やはり、まず国債はできるだけ少なくしなければいけないということに、堂々巡りでありますけれども、なるわけであります。
 今、非常に金利が低いことによって、国債費、中でも利払い費というのは非常に少ない額で済んでいますけれども、仮に一%上がったらどのくらいになるのかということを教えていただきたいと思います。

#42
○角田政府参考人 お答え申し上げます。
 極めて機械的な試算でございますけれども、先般予算委員会に提出させていただいております令和三年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算、こちらにおきまして、令和三年度予算における制度、施策を前提に、向こう三年間の国の一般会計の歳出歳入を機械的に試算いたしております。その中で、国債費の額につきましては、金利が一%増加した場合に、令和四年度には〇・八兆円、五年度には二・〇兆円、六年度には三・八兆円増加すると試算をしてございます。

#43
○海江田委員 令和四年度が〇・八兆円。もう一回ちょっと、よく聞こえなかったので。

#44
○角田政府参考人 舌足らずで申し訳ございません。
 ベースの数字からどれだけ増えるかという増分についての数字でございまして、四年度が〇・八兆円、五年度が二・〇兆円、六年度が三・八兆円、試算の数字から上振れるということでございます。

#45
○海江田委員 いずれにしましても、何兆の規模で利払い費が増えるということは、結果的には、例えば二五年ということでいうと、もし金利が一%上がることによってということですけれども、三・八兆から四兆からそこいらの金額がやはり増えなきゃいけないわけですよね。ただでさえも、二〇二五年の黒字化というのは、PBの黒字化というのはほとんどもう難しいんじゃないか、内閣府なんかは七・二兆円ぐらい不足するんじゃないだろうかということが言われていますけれども。利払いの費用は一応プライマリーバランスからは外されますけれども、だけれども、やはり非常に大きく日本の国の財政というものを危なくするわけですから、私は、金利が一%ぐらい上昇する可能性というのは、日銀が幾ら一生懸命人為的に金利を抑え込もうとしても、そういう自然災害でありますとか、あるいは安全保障上の問題だとか、やはりそういうことは常に頭の中に置いておかなきゃいけない。
 それから、先ほど麻生大臣が言いましたけれども、私は、短期的には自然災害であるとかそういうような問題、リスクというのはありますけれども、やはり中長期的には少子高齢化の問題ですよね、これは。国債の格付の場合も、やはり日本の少子高齢化ということがかなり大きな問題になっていますから、やはりこの問題も考えておかなければいけないというふうに思いますが。
 日本の国債というのは、幸い国内で全部消化されているというような、円建てがほとんどだというようなお話もありますけれども、日本の国債の場合、その不安というのは、今お話をしましたように、やはり少子高齢化ということも気にしていなきゃいけないわけでありまして、今たしか、世界的に、国債の評価のランキングでいうと、二十何位ぐらいになるんじゃないですか。ちょっと、そこの数字、ありましたら教えていただきたいと思います。

#46
○角田政府参考人 ムーディーズで申し上げますとA1ということでございますので、上から五番目のところのランクでございます。

#47
○海江田委員 上から五番目というのは分かっている当たり前の話でありまして、まずトリプルAからずっと始まってということで、世界的なランキングがあるでしょう。たしか、上の方の国は北欧の国だったか何だったかあって、日本は低い、二十位以下なんですよ。中国だったか韓国なんかの方がもっと上にずっとあるんですよ、これは。だから、そこのところを教えてくださいという話なんですよ。

#48
○角田政府参考人 いわゆるワイン表の話だと思いますけれども、ちょっと手元に資料がございません。申し訳ございません。

#49
○海江田委員 大体そうなんですよ。二十何位とか二十四位とか二十五位とかで、中国の方が少し最近上に行っちゃったんですよね、これは。大変残念で、日本の国債の格付からいくと、決して麻生財務大臣が自慢するような、日本は金融資産がたくさんあるからとか、国内でほぼ消化されていると言うけれども、だけれども、やはり外国のお金だって日本の国債に入ってきているわけですから。国債というのは、日本は余り気にしませんけれども、外国の投資家なんかは、格付によって買ったり、あるいは買うのを禁止されたりとかいうことがあるわけでありますから、やはり格付に対しては非常に注目をしていなければいけないと思うんですけれども。
 こういう格付が決して上位の方ではない、二十何番ぐらいだという事実を麻生大臣はどのようにお考えになりますか。

#50
○麻生国務大臣 昔、ボツワナより低いと出ましたよね。南アフリカのボツワナより日本の国債が低いと出たじゃないですか。あれでたしか、ムーディーズかスタンダード・アンド・プアーズで両方出たんですよ。僕は、あのときは、名前を変えて、スタンダード・アンド・プアーズじゃなくてプア・スタンダーズと名前を変えたらどうですかと言い返して、結構騒ぎになりましたよ。しかし、その後すぐ修正しましたね、あそこは。
 僕は、企業の格付というのはお金になりますから一生懸命調べておられるとは思いますけれども、国の格付なんかやっても何の金にもならない商売ですから、あそこの会社は、私は、この種の問題に関しての格付の見方は極めて冷静さを欠いておる、基本的にそう思っております。
 その上で、私どもとしては、こういったようなものというのは一つの目安にはなるんだとは思いますけれども、私どもは、少なくとも、今極めて低い金利で国債は消化をされておりますし、また、その国債というものも、外貨によって消化されている部分はほとんどなくて、全て円、国内価格、国内の通貨で消化をされておるというのは、アメリカと日本と、あと、デンマークとどこかだったか、もう一個あったと思いますが、そういった国ぐらいしかないと思っておりますので、そういった意味では、私どもの国債というものは、少なくとも今までのところ極めて高く評価をされてしかるべきものだと思っております。
 ただ、財政の質だけ見た場合は、間違いなくG7の国々に比べましても極めて状況は厳しいというのは御存じのとおりでありますので、私どもとしては、その点は十分に注意をしながら対応していかないかぬものだと思っております。

#51
○海江田委員 先ほどもお話ししましたけれども、国債の格付というのは、ほかの社債だったかの一応のスタンダードになることは確かでありますし、それから、確かに円建てでありますけれども、だけれども、円建ての債券を買う外国の投資家もいるわけで、たしか国債全体の十何%、一二、三%ぐらいは買っているんですよね、これは。それが買えなくなるということになると、やはりこれは国債の市場価格が更に下がる。市場価格が下がれば、やはりこれは金利も上げざるを得ないわけでありまして、今、この後、階さんが日銀の総裁を呼んでいろいろお話があるようですけれども、やはり日銀が国債を大量に引き受けてくれるから万全だというようなことは、麻生大臣、口には出しませんけれども、やはりどこかでそういう気持ちがあるのかもしれませんけれども、決してそれは、人為的なものでありますから、評価されるものではありませんし。
 やはり国債の残高をできるだけ減らしていくということと、それからもう一つは、やはり何といっても成長率ですよね、日本の成長率。日本の成長率の低さとそれから債務残高の多さ、この二つが相まって国債の評価は低いわけですから、こういうことはしっかりと、国債の評価に誰も金を出してくれないから勝手にやるんだみたいな言い方というのは、これはやはり財務大臣としては適切ではないと思うので、やはり、この国債の評価というものに対してもそれなりに気配りをして、そして、その一番の原因でありますところの債務残高、大き過ぎる債務残高と、それからもう一つの成長率の低さというものを気にする、これを何とかしなきゃいかぬなという思いを持っていただきたいんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

#52
○麻生国務大臣 おっしゃることは極めて当然のお話なんだと存じますけれども、少なくとも、日本の場合、一九九〇年代からデフレーションによる不況という、過去、少なくとも第二次世界大戦後、世界でやったことがないデフレーションというのをやった国だと思っておりますので。そういった意味では、あのときの対応、景気に対応するに当たって、インフレ不況をもってデフレ不況に対応した、あの辺あたりから約三十年近くにわたって日本の政策は間違えた、日銀も間違えた、政府も間違えた、財政を緩めるべきところを、金融を締め、財政を締めた等々というのは大きな政策間違いだったんだ、私はそう思っておりますけれども。
 そういった意味では、いろいろなものが起きた後、対応して今日まで来ておりますけれども、それなりに今対応を間違えずにやってこられたものが、ちょっと今度コロナのおかげで一挙に財政のところが厳しくなっておりますけれども、これは世界中起きておりますので、同時にみんなで頑張ってやっていかないかぬということで、この間のG7も今週の金曜日のG20も、同様の結論に達する予定にしておりますけれども。
 そういった形で、私どもとしては、財政の状況というのは、G7の中でも日本の場合は極めて大きな財政負担をしょっておるという形でありますので、今言われましたように、格付の話等々については、私どももきちんと対応していかなければいかぬところであろうと思っております。

#53
○海江田委員 やはり格付も余り、ばかにするという言い方はおかしいですけれども、無視をするというわけにはいかないということであります。
 それから、やはりどうしても、先ほどお話がありました、ずっとワニの口だった、僕はこの間からカバの口だということを言っているわけですが、上顎ががっと上がって、下顎はそのままなんですか、そういうような状況になってしまっているということで、やはり、今回のように、コロナの問題があって規模の大きな財政出動をしなければいけない、そういう中でこの五年間の特例公債の発行の法律を作るわけですから。だから、これは、むしろ、ほかの国はそれぞれ健全化していたところだって、さあこれだけ財政出動したから大変だ、後始末をどうしようかというときに、これまでかなり、その意味では、国債の発行を積み上げてきた我が国の取るべき立場とすれば、やはりほかの国から見たときでも、ああ、日本は財政出動したけれども、やはりこれからは財政規律というものにかなり力を入れているんだなというような中身の発信をしなければいけないので、今回はそれを逆行することになっていますから、ただでさえも債務残高が積み上がっていたのが更にこれで積み上がるんじゃないだろうかという懸念をやはり多くの人たちが持ってしまう、日本の人たちが持ってしまう、あるいは海外の人たちが持ってしまうということは、決して日本のためによくないということ。
 それからもう一つ、最後になりますけれども、前回の財務金融委員会でも、これはもう階さんが理詰めで、赤木ファイルですね。裁判所に対しては、赤木ファイルは、これは裁判の結果に影響を与えないということを言いながら、国会では、裁判の結果に影響を与えるからこれは出せないということを言ってきたので、やはりあの言葉を聞いていると、何だ、この一年以上財務省は何をやっていたんだ、いわゆる財務省の綱紀粛正といいますか、これは全く進んでいないんじゃないかというふうに私は思わざるを得ない。全く変わっていないんじゃないだろうかというふうに思わざるを得ないので、一体どこが、この一年間、綱紀粛正、これまでの反省を踏まえて新しい財務省になったのかということをおっしゃってください、これは大臣から。

#54
○越智委員長 麻生財務大臣、申合せの時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。

#55
○麻生国務大臣 財務省としては、一連の問題というものに関したことに関しては、これはもう真摯に反省して、二度とこうしたことが起こらないようということで、秋池参与の指導の下で文書管理の徹底等々をやらせていただいたんだと思って、組織風土の改革を進めているところでもあります。
 国の信用を守り、希望ある社会を次の世代に引き継ぐということを理念に掲げて、少なくとも今私どもはそういったものに取り組んでおるところだと思っておりますので、私どもとしては、いわゆる風通しのいいものに、いろんな形でやっていくということをしていかないと次の世代に続いていかぬと思っておりますので、きちんとした形で組織風土をつくり上げてまいりたいと思っております。

#56
○海江田委員 オーケーです。終わります。

#57
○越智委員長 次に、階猛君。

#58
○階委員 今、海江田委員が最後におっしゃられました赤木ファイルの問題についても取り上げたいところですが、今日はまず、今日の議題である特例公債の発行の特例法案、これについて日銀総裁にも、関連してお伺いしたいと思います。
 日銀総裁は、十六日のこの委員会、前原委員との議論で、金融政策の出口につき二つの要素があると言われていました。その一つである政策金利、すなわち短期金利を上げていくということについてお伺いしたいと思います。
 短期金利を上げていけば、当然ながら、当座預金への付利のコストが上がっていくということも総裁はおっしゃられていました。当座預金への付利のコストが上がるということは、日銀が民間金融機関に支払う利息が国債の運用で日銀が得られる利息を上回ってしまう、すなわち逆ざやに陥る事態が将来発生する可能性が出てくるわけです。そうした事態に備えて、債券取引損失引当金というものが二〇一五年の終わり頃に拡充されたというふうに伺っています。
 今日お配りしている資料の一ページ目を見てください。この債券取引損失引当金、毎年の積立額と累積の残高、更に毎年の積立率、表の右の方に書いておりますけれども。
 総裁に伺います。これ、なぜ積立率が、二〇一七年から一八年にかけて五〇から九五パーに上がり、そして今度は、二〇一九年にかけて九五が五〇に下がったのか。
 最近の日銀の国債の利回りを考えると、平均で〇・二%ぐらいなんですね。他方で、日銀当座預金は、二ページにありますけれども、日銀当座預金、十二月積み期というふうになっていますが、プラス金利が適用されているのが約二百兆円、これが、〇・一%金利を支払っていますのでマイナス二千億円なんですね。そうすると、一兆円引く二千億円で、まあ、ネットすると八千億円ぐらいの黒字というふうに今はなっているわけですね。
 ただ、これも、昨年来コロナオペで付利の対象が広がっていることや、来年度からは経営統合やリストラを行った地銀等への当座預金への付利も始まるということで、利ざやはどんどん縮小していくわけですね。すなわち、逆ざやのリスクはむしろ高まっていく。そういう中で、なぜ債券取引損失引当金の積立率、上げるのでも維持するのでもなく大幅に下げたのか。この点について理由をお聞かせいただければと思います。

#59
○黒田参考人 御案内のとおり、量的・質的金融緩和というものは、実施している間はバランスシートが拡大いたしますので収益が押し上げられる一方で、出口の局面では、御指摘のような日銀当座預金に対する付利の引上げなどによって収益が減少しやすいという特徴がございます。
 こうした特徴を踏まえて、出口に向けた収益の振れ幅を平準化して日本銀行の財務の健全性を確保するという観点から、平成二十七年度に債券取引損失引当金を拡充したわけであります。こうしたことによって、国債の保有などから生ずる損益の全部又は一部を積み立てることができることになったわけでございます。
 こうした下で、債券取引損失引当金の積立てにつきましては、毎年度の決算において、日本銀行の財務の状況あるいは収益の状況、その動向などを総合的に勘案して決定しておりまして、令和元年度の決算においてもこの考え方は変わっておりません。

#60
○階委員 考え方が変わっていないのに、なぜ九五が五〇になるんですか。そこを聞いているんですよ、答えになっていないですよ。ちゃんと答えてください。

#61
○黒田参考人 先ほど来申し上げているとおり、日本銀行の収益はその時々の金融経済情勢あるいは日本銀行のバランスシートの状況によって大きく振れ得るということを踏まえまして、実際に積み立てる金額、これは、自己資本比率の水準あるいは足下及び先行きの損益の状況を勘案して、ある程度増減できる仕組みとなっております。
 そうした点を反映して、日本銀行の会計規程では、債券取引損失引当金について、対象となる損益の五〇%に相当する金額を目途とした上で、自己資本比率の水準及び収益の動向等を勘案して定めるということになっております。この考え方は変わっておりません。

#62
○階委員 全く納得できる説明がないわけですね。
 なぜこういうことを聞いているかというと、今後、短期金利が上がって当座預金への付利のコストが上がっていくということは総裁も述べられているわけです。そういうことも念頭にありながら、かつ、さっき言ったように付利の対象となる様々なオペとか地銀の経営を変えたときの付利とか、そういうのもある中で、普通に考えたら利ざやが縮小していくわけだから、この積立金の積立率ですね、これは、少なくとも下げるのではなくて維持するか上げるか、どっちかだと思うんですよね。
 なぜこの積立率を前年より大幅に下げているのか、この説明が全くできていないということをまず御指摘したいと思います。
 その上で、今度は、財務省、政府参考人にも聞いておきます。
 資料一ページのとおり、昨年度の日銀による国庫納付金、これは、予算では五千七百十八億円だったのに、実際には決算で一兆二千三百五億円、何と二倍以上になっているわけです。これ、債券取引損失引当金の積立率の低下がなければ、この上振れ分のうち三千五百億円程度はなかったというふうに見られます。先ほど日銀総裁と議論したとおり、積立率を低下すれば日銀の債務超過のリスクをそれだけ高めるわけです。
 本会議でも指摘しました。積立率の低下、政府がなぜ承認したのかということについて、財務大臣の答弁は、財務状況や収益の動向等を総合的に勘案して適切に行われたということでしたけれども、単に、決算剰余金を増やすことで、さきの補正予算の赤字国債発行額を減らしておきたかった、そういうふうにしか見えないんですね。
 何のために日銀納付金の額を予算の二倍以上にしているのか、これは理由がよく分かりません。恣意的に決めているんじゃないですか。参考人、どうなんですか。

#63
○大鹿政府参考人 お答えいたします。
 日銀の決算におきましては、日本銀行から、日本銀行法施行令に基づきまして、債券取引損失引当金等の積立てについての申請が行われます。その際、債券取引損失引当金の積立額につきましては、先ほど日銀総裁からも御答弁がありましたとおり、日銀において会計規程が定められておりまして、これに基づいて債券に係る損益の五〇%に相当する金額をめどとして算定されているというふうに承知をしております。
 御指摘の引当金の積立率の推移でございますけれども、過去五年間におきましても、この引当金の積立金積立率は、平成三十年度の決算を除いて五〇%であったところでございます。
 したがいまして、財務省においては、この引当金の積立額を恣意的に操作しているということではなく、日銀からの承認申請に対しまして、関係法令に照らして、また総合的な要素を勘案して承認を行ったということで御理解をいただきたいと思います。

#64
○階委員 今、不自然に見える数字を二つ挙げたわけですね。一つは、積立率が二〇一九年度にかけて大幅に下がっている。もう一つは、国庫納付金の額が当初予算の二倍以上になっている。どう考えても、これは人為的に操作しているように見えるわけですね。
 他方、決算剰余金の国庫に入れる額は今回も特例法を通してゼロにしていますね。これは財政法六条で、本来二分の一、少なくとも二分の一は過去の借金の返済に充てるということになっているんですが、この例外を定めているわけです。
 こういうことをやって剰余金を補正予算に使っているわけですけれども、要は、剰余金を増やせるだけ増やして、それで補正予算では赤字国債を減らしているというような操作をしたというふうにしか見えないわけです。
 財務大臣に伺いますけれども、私、事務方にも聞いていますが、この国庫納付金の額というのは、そんなに、財務省と無関係に決められているわけではなくて、結構財務省も関与して決めているというふうに聞いていますよ。財務省が関与することによって日銀の財務リスクを高める、これは本末転倒だと思いますよ。
 今、政府の財政運営が信認されて国債が買われているわけではありません。国債が買われているのは、日銀がどうせ買い上げてくれるだろう、買い取ってくれるだろうということで民間金融機関は国債を買っているだけなんです。ところが、もう日銀が債務超過になって買入れ余力もないということになったら、一気にこの国債の消化能力というのは激減しますよ。
 こういう中で、財務省はむしろ日銀の将来の国債消化能力にマイナスの影響を及ぼすような国庫納付金の操作を行っている、これは非常に問題だと思いますけれども、この点について財務大臣の見解を伺います。

#65
○麻生国務大臣 この日銀の納付金、いわゆる実際の納付額につきましては、これは日銀において、日銀法という、いわゆる日本銀行法に基づいて、収益から引き当て積立額というものを含みます所要の経費というのを引いた上で、法定準備金として積み立てられた額、いわゆる当期の剰余金の五%というものを控除して残額を国庫に納付するということにされております。御存じのとおりです。
 毎年度の決算に当たる日銀納付金の額につきましては、日銀において関係法令に基づいて適切に算定を行われているものだと私どもは承知をしております。
 財務省として、毎年度、日銀の財務状況また収益の動向等々を総合的に勘案して、財務諸表等を承認いたしておるというところであります。

#66
○階委員 一点だけ確認させてください、財務大臣に。
 要は、日銀の納付金というものは政府の意向によって左右されるということはないということでいいですか。

#67
○麻生国務大臣 ないということです。

#68
○階委員 では、大臣のお言葉ですので、そのとおり受け取っておきましょう。
 それでは、総裁に再びお伺いします。
 日銀は国債をたくさん持っていますが、これは満期までの保有を前提にしているわけです。そこで、時価は変動しますけれども、時価が下落したからといって、毎期の決算でその下落分を損失として計上することはないというふうに聞いています。
 ただ、日銀は、長期金利を低く抑えるために、額面より高い金額で国債を買い入れることも昨今では間々あるわけですね。その場合、額面を基準として償還がなされます。そうすると、償還時に日銀が受け取る額は購入額を下回ります。その場合、償還時に損失が発生し得るわけです。こうした償還時の損失の見積額について、毎年均等に償却する、そういう会計上の処理がなされているはずです。
 現在、日銀が保有する国債が満期償還を迎えた場合、こうした償却額を総計すると、どれぐらいの損失が生じるのか。事前に通告していますので、日銀総裁、お答えください。

#69
○黒田参考人 令和二年度九月末におきます保有国債の簿価が五百二十九兆九千五百六十三億円、額面金額は五百十八兆五百六十四億円ということで、差額が十一兆九千億円程度であります。もっとも、御指摘のとおり、日本銀行では、国債の評価方法について償却原価法を採用しておりまして、こうした簿価と額面の差額を毎期均等に償却し、損益計算上、国債利息に計上しております。
 国債利息に係る収益につきましては、こうした利息調整額だけでなくて、クーポン収入も含めた国債利息収入全体で評価することが適当だというふうに考えております。具体的には、保有国債の利回りによって判断することが適当というふうに思っております。
 その上で申し上げますと、令和二年度上半期の利息調整額がマイナスの九千百二十七億円、クーポン収入が一兆四千六百五十一億円でありまして、令和二年度上半期の国債全体の運用利回りはプラスの〇・二一四%になっております。

#70
○階委員 〇・二%という運用利回りは先ほども私申し上げました。そして、今確認しましたとおり、償却原価法によって、将来償還時に発生する損失は毎年毎年の債券の運用益の中から差っ引くことによって、損失が一気に顕在化しないようにしているということも確認しました。
 そこで、またもう一つ数字をお伺いしたいんですが、日銀当座預金、これは資料二ページ、先ほども御覧になっていただきましたが、これは、プラス金利だけではなくて、ゼロ金利、マイナス金利の適用残高もありまして、トータルしますと、二〇二〇年十二月段階では四百七十兆円あるわけですね。
 この四百七十兆円、平均預入金利はどれぐらいになっているんでしょうか。お答えください。

#71
○黒田参考人 令和元年度の決算で、補完当座預金制度利息として千八百八十二億円を計上しております。この金額は、プラス〇・一%のプラス金利に係る利息二千八十七億円と、マイナス〇・一%のマイナス金利に係る利息二百四億円との差額であります。
 なお、補完当座預金制度利息を日本銀行当座預金の平均残高、これは三百九十九兆六千二百八十五億円ありますけれども、これで除した場合、利息が〇・〇四%程度になります。

#72
○階委員 今の〇・〇四%というのは、ちょっと古い数字なんですよね。二〇一九年度の数字だと思うんですね。そうですよね。
 私が聞いたのは、直近の数字を聞いているわけです。この二〇二〇年十二月の、上の段の当座預金の残高に係る平均預入金利はどれぐらいか、これを聞いているんですが、数字は出ますか。

#73
○黒田参考人 あくまでも、平均預入金利というのは年度で計算しておりますので、その年度の数字というのは令和元年度の決算の数字しかありませんので、その年度の平均預入金利をお示ししたわけであります。
 その後、決算が出てくれば、またその段階でその年度の平均預入金利というのが計算できるということになります。

#74
○階委員 定量的なものは、じゃ、今後出てくるとして、定性的に言えば、今、先ほど言ったコロナオペとか、あるいはこれから地銀が経営統合したときのサービス金利とかもありますし、そもそも当座預金がどんどん増えているというのがあるわけですけれども、こうした中で、平均預入金利はこれから上がっていく傾向にはあると思うんですけれども、その点は何かお答えはいただけないでしょうか。

#75
○黒田参考人 確かに、御指摘の地域金融機関の経営基盤強化ということのための、それを間接的に促進するための特別当座預金制度というのが来年度から入ってまいりますので、その分は確かに支払い利息が増えることは間違いありません。
 ただ、どのくらい増えるのかというのは、地域金融機関がどの程度応募してきて、しかも、それが当方の考えている基準に達しているかという判断によりますので、にわかには申し上げられませんけれども、あの制度を公表したときに、仮にほとんどの地域金融機関がアプライしたときの年間当たりの支払い利息の機械的な計算は示しましたけれども、具体的にどのくらいになるのかは、やはり年度が始まって、どの程度の金融機関が応募してくるか、しかもそれが基準に達しているかということの判断によると思いますので、今の時点で具体的に数字を申し上げるのは難しいと思いますが、委員御指摘のとおり、支払い利息が増える要因ではございます。

#76
○階委員 これから増えていくだろうということに加えて、出口に近づけば、冒頭言ったとおり、短期金利を上げていくということも起こり得るわけです。
 そこで、仮に、日銀当座預金、今五百兆近くあるわけですけれども、平均預入金利、今、〇・〇四%という数字が先ほど出ました。これが仮に一%に平均が上昇すれば、支払い利息は五兆円ぐらいになるわけですね。国債の利息収入は、さっきお話があったとおり、大体半期で五、六千億で、年間にすると一兆円ぐらいだ、差引きすると、五兆円引く一兆円で四兆円近い赤字が今後出てき得るということです。他方で、冒頭申し上げました債券取引損失引当金は今四兆八千億円ですか、一年でもし金利が一%上昇すれば大半が消えてしまうということです。
 他方、この場合には、国債の金利、すなわち長期金利も上がるので、日銀が国債を買えば利息収入が増えるんじゃないかと言う人もいますけれども、今念頭に置いているのは金融緩和の出口の段階のことなので、新たに国債を買い入れるということも想定しづらいわけですね。逆に、買い入れるとするならば、その必要があるのは過度な金利上昇を防ぐためであるから、額面以上の金額で買い入れることになって、先ほど言った毎年の償却額、償却原価法に基づく償却額、これが増えていくわけです。そうすると、満期保有までの償還損も拡大するということになります。
 ETFなど他の金融資産から利息や配当収入というのもありますけれども、こちらの方もリスクがあるわけで、市場価格が下落すれば、逆に日銀が時価の下落による損失を被るリスクもあるということです。
 私は、先ほど言ったとおり、今の国債発行を支えているのは日銀の信認だと思います。日銀の信認はどこから生まれているかというと、財務の健全性であります。その財務の健全性がどんどん損なわれてしまうということを懸念しているわけですが、今言ったような状況の下で将来的に日銀が債務超過に陥る危険はないのだろうか、このことについて総裁に伺います。

#77
○黒田参考人 まず、国債の償還損につきましては、評価方法として償却原価法を採用している下で発生を想定はしておりません。
 また、利ざやの逆転につきましては、確かに、出口の局面における日銀当座預金に対する付利金利の引上げ等によって支払い金利が上昇することに伴って、利ざやの逆転が生ずる可能性があるということは認識しております。
 また、ETF及びJ―REITにつきましては、評価方法として原価法を採用した上で、期末時点で時価総額が帳簿価額の総額を下回る場合には、その差額に対して引当金を計上することとしております。
 もっとも、日本銀行の損益は、これらの日銀当座預金に対する支払い利息や引当金計上といった費用がある一方で、国債の利息収入やETFの分配金などの収益がありまして、様々な要因によって決まってまいります。また、準備金の積立てなどによりまして、自己資本の充実にも努めております。このため、債務超過に陥る危険について、予断を持ってお答えするということは適当でないと思います。

#78
○階委員 私、直近のバランスシートを見る限り、自己資本の部は各種の引当金も入れたとしても大体十兆円ぐらいだと理解していますが、そんなものですか、総裁。済みません、通告していませんが。大体でいいですよ。

#79
○黒田参考人 自己資本の残高は九・二兆円程度。足下ですと九・五兆円ぐらい。

#80
○階委員 ありがとうございます。
 まあ、大体十兆円としましょう。この十兆円が、たかだか当座預金の金利が平均で一%になるだけで、ほぼ二年で枯渇しちゃうわけですよ。これをどう考えるかということですよ。出口になったら一%なんてすぐじゃないですか。だから、私は、国債発行というのが日銀に頼っているような今の状況は非常に危険だということを言いたいと思っております。
 一方、先ほど来議論になっています、政府が目標として掲げている、野田先生のお言葉をかりれば、言っているだけでやる気がないと言われている二〇二五年度のプライマリーバランス、この財務省の見通しがどうなっているのかということもお尋ねしたいと思います。
 十九日の本会議で、麻生大臣は、内閣府の経済財政試算の楽観的な方、すなわち成長実現ケースに基づいて、プライマリーバランス、七兆円余りの赤字見通しになっているというので、これは私も資料に当たってみました。三ページ目、二〇二五年度の内閣府の見通しは、真ん中あたりに、基礎的財政収支、「国・地方の財政の姿」という二つ目の表の一番上にマイナス七・三兆円というふうになっています。これについてどうやって黒字化するんですかということを私は尋ねましたが、黒字転換の方法について大臣から納得できる説明はなかったです。ここではそこには立ち入りませんけれども。
 私がそれ以前に問題だと思っているのは、この七兆円余りの赤字見通しの前提となっている、その一つ下の表ですね、「国の一般会計の姿」という表も見てください。この中で、二〇二五年度、一般会計だけで見るとマイナス八・七兆円のプライマリー赤字です。プライマリー赤字がこうなっていますけれども、財務省の試算との間では、実はそごが出てきています。今申し上げたマイナス八・七兆円は内閣府の試算ですけれども、次のページを見ていただければと思います。
 これは財務省の試算です。財務省の一般会計のプライマリーバランスの見通しを示したのが、この四ページの表の下の方ですね。こちらは「経済成長三・〇%ケース」というふうに銘打っていまして、これも楽観的なんですが、この楽観的なシナリオの下、「12基礎的財政収支」という下から二行目のところですね、これが令和二年以降、マイナス十四・三、マイナス十二・二、マイナス十一・三となっておりまして、ここで終わっているんですね。肝腎な二〇二五年度の見通しが、財務省は示していないわけです。
 二〇二五年度のプライマリーバランスの黒字化達成を本気で目指すのであれば、この前提となる一般会計の方のプライマリーバランスの二〇二五年度の見通しも財務省として示すべきだと思います。この点について、どうなっているんでしょうか。これは参考人でもいいですよ、お答えください。

#81
○角田政府参考人 今の、政府のプライマリーバランスの目標につきましては国と地方のSNAベースということでございまして、私どもの方の試算につきましては一般会計についての機械的試算を行っているところでございまして、これは毎年、三年分、今期を前提にして三年後までの推移をお示ししております。マクロ経済モデルに基づいているものではないものですから、先に行けば行くほど実際の経済との整合性が必ずしも十分じゃないものですから、三年ぐらいということでとどめさせていただいておりまして、もちろん、来年になりましたら、当然、二〇二五も射程距離に入ってまいります。

#82
○階委員 まず、本気で二〇二五年度を目指すのであれば、財務省としてきちんと、二〇二五年度、今の実力ベースでどうなっていくのかというのは示すべきだと思いますよ。これは審議する前提として。
 あと、資料五ページのとおり、プライマリーバランスについては二〇二四年度まで、示していないんですけれども、「国債整理基金の資金繰り状況等についての仮定計算」というのは二〇三〇年度まで示していまして、二〇二五年度の年度末の公債残高とか利払い費等はちゃんと試算を出しているわけですよ。こういうのができるんだったら、二〇二五年度のプライマリーの数字がどうなるのか、これは財務省として出せるじゃないですか。出してくださいよ。

#83
○角田政府参考人 こちらの「国債整理基金の資金繰り状況等についての仮定計算」ですけれども、これはどこかに書いてあると思うんですが、試算の前提の一ポツでございますけれども、令和七年度以降、新規公債発行額は令和六年度の差額と同額、金利は六年度と同水準と仮置きしたので、計算ができているということでございます。

#84
○階委員 なので、信憑性はこの際おいておきますから、この前提でいいですから、出してください、皆さんの見通しだとどうなるのかというのも参考として知りたいので。財務大臣、それは出せる数字なので、出してもらっていいですか。財務大臣、指示してください。

#85
○麻生国務大臣 今言いましたようなところ、大体三年先ずつまでやっていますので、これまで。それを今回だけ四年だけ出せ、四年分だけ出せというお話なんですけれども。
 形としては、余り正確なものには、先ほど申し上げましたように、次長が説明しましたとおりですから、それだけ、余り正確なものにはならないとは思いますけれども、検討させていただきます。

#86
○階委員 是非、金曜日にまた質疑がありますので、それまでに出していただければと思います、これは簡単に出せる数字だと思いますから。
 それで、もう一つ気になるのは、この四ページの上の方の試算の前提となる数字が、余りにも内閣府のものとずれているわけです。
 例えば、消費者物価上昇率ですけれども、丸で囲んであるのが財務省の試算の前提で、もう二〇二二年度から二%に達するということで、これは二%の物価目標を掲げている日銀よりも楽観的な見通しなんですよね。これは変だなと思います。
 それからもう一つ、金利の方ですけれども、十年物国債の金利、これは、下の方に丸で囲っていますけれども、二〇二二年度は一・二とか、二〇二三年度は一・三、二〇二四年度は一・三となっていますけれども、一方の内閣府の数字でいうと、二〇二二年度は長期金利〇・〇、二〇二三年度も〇・〇、二〇二四年度で〇・三、全然違うわけですよね。同じ政府内なのにこれほど前提が違う試算を出している。これは何なんだろうかと思いますね。
 これは、やはり政府として統一的な見解を出して、それでこういう見通しを示すべきではないかと思うんですけれども、この点について、財務大臣、御見解があればお願いします。

#87
○角田政府参考人 先ほど申し上げたような機械的な試算でございまして、名目成長率の三%ですとか物価の二%というのは、ある意味目標として掲げておるものでございますから、それを使わせていただいて、実体経済につきましては、内閣府の方でしっかりと試算をさせていただいておりますので、この役割分担ということなんだろうというふうに考えております。

#88
○階委員 どういう役割分担になりますか。役割って何なんですか。内閣府の役割と財務省の役割は全然違うんですか。

#89
○角田政府参考人 マクロモデルを使ってどう分析するかということを始めたときに、餅は餅屋というか、内閣府さんの方でそういう数字をお示しになるようになったんだと思っています。
 私どもの方は、かなり、昭和の何年だったかというのは正確に覚えていませんけれども、こうした将来推計を機械的にお示しして、どれだけそのギャップを埋めなきゃいけないかということを認識して、それに寄与するために数字をお示ししているということでございます。

#90
○階委員 いずれにしても、二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化を目標に掲げている以上は、財務省として、二〇二五年度の見通しも次の審議までに出していただきたい。
 そして、このようなそごが出ているということは、これはやはり政府の統計に対する信頼を失わせしめるわけですね。私どもは、こうしたことが余り一般の人には知られていないわけですけれども、むしろ、こういう将来の予測については、客観的、中立的な独立財政推計機関を設けて、そこがきちっとした中身のものを出していくという方が誤解を招かなくていいのではないかということを主張しておきたいと思います。
 残された時間があと僅かになってきましたが、前回に引き続き、赤木ファイルの問題について少し取り上げたいと思います。
 前回のこの委員会で、内閣の法制局長官は、裁判に不当な影響を及ぼすような国政調査については拒み得るという答弁だったわけです。
 そこで、私は、十九日の本会議において、財務省として予備的調査の求めに応じることが裁判に不当な影響を及ぼすというなら、具体的にどういう影響を及ぼすのか、そして、その影響は軽微な程度でなくて不当とまで言えるのはなぜなのかというお尋ねをしました。
 それに対して、財務大臣の答弁は何と言われたか。当該訴訟において主要な論点となっていることを踏まえれば、訴訟の一方の当事者である国といたしまして、裁判所の判断を仰ぐべきであって、訴訟外において存否を含めて回答すること自体が裁判所の訴訟指揮や判断に対して矛盾を与えかねないことから、裁判に不当な影響を及ぼすものになり得るという答弁でした。
 これは、裁判の中では、この間資料でお出ししたとおり、回答しても裁判の結論に影響ないというふうに主張しているわけですね。赤木ファイルは、国会に回答あるいは提出すれば、裁判で今行われている文書提出命令の申立ての審理が意味がなくなるということは私も理解しています。
 ただ、これは、意味がなくなるということは、果たして裁判に不当な影響を及ぼすということにつながるのかどうかということを私は問題提起したいと思います。むしろ、不当な影響を及ぼすというよりも、その分、審理が早く進んで、赤木さんの御遺族である赤木雅子さんの早期救済にも資するわけですよね。ですから、不当な影響を及ぼすどころか、国会に提出した方がむしろいい影響が及ぶ。
 財務省としては、国会に提出することが不当な影響だと言っているということは、むしろ裁判を遅延させる、これが目的になっているんじゃないですか。なぜ、この裁判を早く終わらせるようにすることが不当な影響なのか、この点についてお答えいただけますか。

#91
○大鹿政府参考人 お答えいたします。
 御指摘のファイルにつきましては、委員御指摘の経緯をたどっております。それで、今後、裁判所の訴訟指揮を踏まえて、その存否を明らかにする必要があるかも含めまして、原告との間でお互いに必要な主張を行った上で、裁判所が、現在出されております文書提出命令の申立ての採否を決定されるということになろうかと思っております。
 このように、御指摘のファイルにつきましては、現在、この訴訟における主要な論点となっています。したがいまして、私どもとしましては、訴訟外の言動等によって訴訟に対する司法審査に影響を及ぼすことは適切でないと考えておりまして、国会を含めます訴訟外において回答を差し控えたいということを申し上げている次第であります。御理解いただきたいと思います。

#92
○階委員 私が言っているのは、影響を及ぼすことは認めていますよ、文書提出命令申立てが意味がなくなるということでは影響を及ぼす、ただ、それが不当な影響なのか、いい影響じゃないかと。裁判が早く終われば、被害者の救済に資するわけじゃないですか。なぜそれが不当な影響なのかと言っているわけですよ。
 逆に、不当な影響ということは、皆さんは裁判を遅延させようとしているんですか。不当な影響だと言っている理由をお答えください。

#93
○越智委員長 財務省大鹿局長、申合せの時間が過ぎておりますので、簡潔に答弁してください。

#94
○大鹿政府参考人 お答えいたします。
 私どもは、裁判を遅延するといった目的を持っているわけではございません。
 現在、当該訴訟において主要な論点となっていることを踏まえますれば、この訴訟の一方当事者である国としては、裁判所の判断を仰ぐべきであって、訴訟外において存否を含めて回答すること自体が裁判官の訴訟指揮や判断に対して予断を与えかねない、そのことが裁判に不当な影響を及ぼすものになり得るというふうに考えているということでございます。

#95
○階委員 皆さんがそうやってへ理屈を言えば言うほど、ますます隠蔽体質が明らかになってくるということで、この続きはまた次回行いたいと思います。
 終わります。

#96
○越智委員長 次に、清水忠史君。

#97
○清水委員 日本共産党の清水忠史でございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
 特例公債法案、来年度から五年間、自動的に特例公債の発行を政府に認めるという法律案でございますが、既にこの法律の経緯をよく御存じの野田元総理、そして海江田元財務大臣から詳しい質問が、指摘が……(発言する者あり)経産大臣から、当時の財務金融委員長でしたかね、ございましたので、私の方からは、一点だけ麻生総理に質問をさせていただきたいというふうに思います。
 赤字国債の発行については、一九七五年、当時の大蔵委員会で、大平正芳大蔵大臣が、これはあくまでも異例のことであるというふうに述べられました。財政規律を保つための最低限の措置としてやはり単年度に限定をしたというところが、私、非常に大事だというふうに考えております。
 それで、麻生大臣は、階議員の本会議での質問にも答えて、無尽蔵に赤字国債を発行するものではないというふうにも述べられたんですが、結局、予算を組むのは時の政権ですから、赤字国債の多寡については時の政権の裁量に委ねられているという点からすると、赤字国債がどんどん増えていくということも十分考えられるわけであります。
 それで、二十二日に当委員会で参考人質疑が行われました。群馬大学名誉教授の山田博文先生は、複数年度にわたり特例公債の発行を自動的に認めることで国債が累積する、そうなれば国債費が増大をする、国債の償還は優先して行わなければなりませんので、結局は国民生活関連予算を圧迫することになる、こういうふうに指摘をされました。
 このときに、これ以前、過去五年間の特例公債を発行した期間を含めまして、二〇一二年から二〇二〇年までの八年間を見ましても、GDPはほぼ横ばい、一・〇五倍です。そして一方、国民負担率が四・九%、これは社会保険料などがそうですが、増えていると。
 麻生大臣のこの法案の提案理由説明の中でも、財政再建と経済成長の両立を図る、こういうふうに述べられたわけですが、結局経済は成長していないんじゃないか、この五年間を見ましても。こういう指摘については、麻生大臣自身、どのように受け止められましたでしょうか。

#98
○麻生国務大臣 質問通告があったのは前半のところだけで、後半のところはないよね。でしょう。(清水委員「はい」と呼ぶ)間違いないね。
 まず、最初の御質問には、これは御指摘があっておりますので、その点に関しましては、この清水先生の御質問の答弁というのは、質問者の階先生、そのお隣に座っておられますけれども、特例公債法案は無尽蔵に赤字公債を発行することを可能にするものじゃないか、そういう御質問があったんだと受けまして、各年度における具体的な赤字公債の発行額というものは、これは特例公債法ではなくて毎年度の予算において定められておるものなんですよ、この法案は赤字公債を無制限に発行可能とするというものではないという趣旨を申し上げたものであります。
 現在の厳しい財政状況を考えますと、これはどう考えても、当面の間、特例公債というものを全く発行せずという形で財政運営を行うということは困難と考えております。
 したがいまして、複数年度にわたる特例公債の発行根拠というものを設けることは、これは安定的に財政運営を確保する観点から必要な対応と考えております。先ほど、安定している状況じゃないかという御指摘も他の議員からあっておりましたけれども、それは今の状況でいえばそうかもしれませんが、来年そうなっているという保証なんかありませんから。
 したがいまして、私どもとしては、安定的な財政運営というのを確保する観点から必要な対応だと考えておると申し上げているのであって、したがって、毎年予算の議決があるということも御存じのとおりなので、これをもって特例公債の複数年度化を行ったというものではないというように御理解いただければと存じます。

#99
○清水委員 結局、財政法第四条というのは、国の歳出は公債又は借入金以外の歳費をもってその財源としなければならないとしているのは、例えば、過去の戦争で戦費調達のために大量の国債を発行して国家財政と国民生活を破綻させた、痛苦の経験があったからだと思うんです。この反省に立つならば、複数年度にわたり赤字国債の発行を認めるべきではないというふうに思います。
 衆参ねじれの問題も引き合いに出されましたけれども、それは時の有権者、国民の意思による帰結でありますので、そこは与野党が真摯に、赤字国債発行が必要であるならば、その趣旨について丁寧に国民に説明をして、野党は、その修正の意義をしっかりと伝えて決着させるということであって、私は、やはり財政の単年度主義というのは逸脱するべきではない。
 先ほど指摘しましたけれども、結局、経済成長と財政再建が両立されていないというのはそのとおりであります。提案理由説明にありましたから質問させていただきましたけれども、結局、山田参考人からも指摘がありましたけれども、本当に財政再建するというのであれば、プライマリーバランスを一日も早く黒字化するというのであれば、歳出削減だけじゃなくて、やはり歳入ですよ。どこから税金を集めるのかということですよ。
 この八年間を見ましても、GDPは横ばいなのに、いわゆる企業の利益剰余金はどんどん増えて、内部留保はどんどんたまっている。また、金融資産をお持ちの方、純資産を一億円以上持っている人たちもどんどん増えているわけです。こういうところへ適正な課税をすることなしに、私は、本当にこの財政再建と経済成長はできないということを指摘しておきたいと思います。
 次に、確定申告の時期でもありますので、納税猶予の特例について質問をいたします。
 配付資料の一を御覧ください。
 これは納税猶予申請書の写しであります。これには、「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律第三条により読み替えて適用する国税通則法第四十六条第一項の規定により、以下のとおり納税の猶予を申請します。」こう書かれております。
 国税通則法第四十六条第一項というのはどのような内容なのか、説明していただけますでしょうか。

#100
○住澤政府参考人 お答え申し上げます。
 御質問の国税通則法第四十六条第一項でございますが、これは、震災、風水害、落雷、火災等の災害により納税者がその財産に相当な損失を受けた場合に、その災害のやんだ日から二月以内にされた納税者の申請に基づき、一年以内の期間を限り、一定の国税の納税を猶予することができることを規定したものでございます。

#101
○清水委員 国税通則法第四十六条、今答弁がありましたように、その災害がやんだ日から二か月以内にされたその者の申請に基づき、その納付期限から一年以内の期間に限り、その国税の全部又は一部の納税を猶予することができると規定されていると。
 今言われましたけれども、災害のやんだ日というのは、災害が引き続き発生するおそれがなくなり、その復旧に着手できる状態となった日のことを規定していると思うんですが、国税庁、それでよろしいでしょうか。

#102
○鑓水政府参考人 お答えいたします。
 国税通則法第四十六条第一項における災害のやんだ日につきましては、法令上の明確な定義はございませんけれども、その取扱いといたしまして、通達上、客観的に見て、申請をした者等が申告、納付等の行為をするのに差し支えないと認められる程度の状態に復した日とするとしております。
 具体的には、委員御指摘のとおり、災害により直接被災した場合には、災害が引き続き発生するおそれがなくなり、その復旧に着手できる状態になった日や、それから、交通の途絶があった場合には、交通機関が運行を始めた日などが該当することとしてございます。

#103
○清水委員 その上で、住澤主税局長にもう一度確認するんですけれども、今回の規模のコロナの感染拡大による、災害ですよ、いわゆる。これは税法にも想定されなかったわけです。
 だから読み替えてということになっていると思うんですが、その四十六条第一項を読み替えて今回のコロナウイルス感染症にも適用した、ここは間違いないですかね。そこを確認させてください。

#104
○住澤政府参考人 お答えいたします。
 このコロナ特例でございますが、昨年四月のコロナ税制特例法において規定をされているものでございまして、国税通則法第四十六条第一項、先ほど御質問のあった規定を読み替えて適用する構造になってございます。
 これは、国税通則法第四十六条第一項において、災害により納税者がその財産に相当な損失を受けた場合については、延滞税なし、担保を求めないという格好での納税猶予の制度が設けられておりまして、これと同様の法的な効果をもたらす特例をつくるということでございましたので、法技術上の効率性の観点からこの四十六条一項を読替え適用するということをいたしておりますが、元々、制度の趣旨といたしましては、物的な相当の損失を受けたような場合を念頭に置いているわけではなくて、あくまで四十六条二項以下の一般的な経済的な損失の場合を相手にしてございますので、元々、制度の位置づけとしては異なる制度ということでございます。

#105
○清水委員 今そのように述べられましたけれども、新型コロナの影響を受けてこのような特例制度を創設されたという説明がございました。
 そして、災害がやんだ日というところが非常に重要だというふうに思うんですが、現在もまだ緊急事態宣言が発令中であります。解除の話も府県によっては出てきておりますが、それでも感染者の数も下げ止まりということもありますし、油断をすれば第四波、第五波という感染拡大があるかもしれないと思うんですね。ですから、この新型コロナウイルスの感染拡大がもう既に終了したと今言えるのか。
 いわゆる災害とは違う制度だというふうにおっしゃいましたが、それを読み替えたということであるならば、やはりこのコロナによる災害というのはまだやんだとは言えないと思うんですが、そこはいかがですか。

#106
○住澤政府参考人 お答えをいたします。
 先ほども申し上げましたとおり、この四十六条一項は、災害により納税者がその財産に相当な損失を受けた場合に、無担保、延滞税なしでの納税猶予の制度を設けているものでございます。
 今回のコロナ特例でございますが、確かに新型コロナの影響に配慮した措置ではございますけれども、政府といたしましては、このコロナ特例の納税猶予特例以外にも、政策金融機関による無利子融資あるいは無担保融資でありますとか様々な資金繰り支援なども行っているところでございまして、この制度を存続するかどうかという問題と、国税通則法四十六条一項の性格というのは別の問題であろうというふうに考えております。

#107
○清水委員 私が聞いたのは、コロナ災害が終わったかということを聞いているだけであって、その他の制度の説明を伺っているわけではありません。
 既にこの納税猶予の特例制度は二月一日で終了しているわけですが、では伺います。
 新型コロナの影響は過去の災害にも匹敵する内容であるということは多くの国民の皆さんが実感していることですし、誰がどう考えても、まだ緊急事態宣言下ですから、その災害がやんだというふうに考えている人もおられないと思います。
 それで、この納税猶予の特例制度の運用実績について伺います。
 国税、地方税、保険料で、納税の猶予の特例が利用された件数及び残高を教えていただきたい。これは国税庁、総務省、厚生労働省にそれぞれ確認させてください。

#108
○鑓水政府参考人 お答えいたします。
 国税に関してでございますが、新型コロナ税特法により創設された納税の猶予の特例につきましては、令和二年十二月末時点で、適用件数は約二十八万件、適用税額は約一兆二千七百億円となってございます。

#109
○稲岡政府参考人 お答えを申し上げます。
 地方が徴収する税については、令和二年十二月までの実績で、徴収猶予の特例の件数は二十五万三千件程度、税額は三千六百五十億円程度となっているところでございます。

#110
○日原政府参考人 お答え申し上げます。
 厚生年金保険料等の納付の猶予の特例につきまして、日本年金機構におきまして、事業所からいただきました申請に基づいて、令和二年十二月二十八日までに約九・一万事業所に対して許可を出させていただいておりまして、この許可の額で申し上げますと、約七千六百億円となってございます。

#111
○清水委員 ありがとうございました。
 皆さん、お聞きになられましたか。物すごい件数と金額なんですよね。国税と地方税を合わせると約一兆六千三百七十八億円、さらに、年金保険料や健康保険料を合わせると、納税猶予の特例については約二兆五千億円ということなんです。
 国税庁に改めて確認したいと思いますが、既存の納税の猶予制度の適用状況、例えば平成三十年事務年度と比較して、運用状況はどうか。これは、平成三十年の事務年度の件数、税額及び今回と比較して、何倍ぐらいに納税猶予が増えたのか、これを教えていただきたいと思います。また、直近の件数や税額、これは例えば過去三十年の中で何番目ぐらいに多い数なのか、ここまで教えてください。

#112
○鑓水政府参考人 お答えいたします。
 平成三十事務年度におきます既存の猶予制度のうち申請によるものの適用状況でございますが、約四万二千件、額にして約六百九十五億円となってございます。
 一方、新型コロナ税特法により創設された納税の猶予の特例につきましては、先ほど御答弁申し上げましたけれども、適用件数は約二十八万件、それから適用税額は約一兆二千七百億円となってございます。これは過去三十年間で最も大きく、これまでにない適用状況でございます。

#113
○清水委員 今お聞きいただきましたように、適用件数で六・七倍、そして税額で約十八倍、三十年間の中で納税猶予の件数が最大だと。それぐらいこの新型コロナの影響は多くの事業者や国民に押し寄せたということなんですね。
 配付資料の二を御覧いただきたいと思います。
 つまり、リーマン・ショックや東日本大震災に相当する規模で、今回、この納税猶予の特例が活用されているわけですけれども、国税庁のデータで特徴的なのは、消費税に対しての特例猶予の適用が飛び抜けているんですよね、金額として。残高が、これは地方消費税分も含むんですが、約七千五百億円で、約六割を占めているんです。
 消費税の適用が多いのは、法人税や所得税と違って、法人税、所得税は赤字の場合は税額は発生しませんのでね、消費税はそうはいかない、赤字であっても多額の納税が発生するから、だからこそ、この適用の税額の中で消費税が一番多いのか、私はそういうふうに見ているんですが、それで間違いないですか。

#114
○鑓水政府参考人 お答えいたします。
 消費税の特例猶予の適用件数が多い理由でございますが、これは詳細には私どもとしては把握してございませんけれども、そもそも税額自体が、税収に占める割合が消費税が多いといったような要因ですとか、委員御指摘のような要因、様々な要因があろうかと思います。

#115
○清水委員 時間が来ましたので、ちょっと途中になりました。
 午後からの質疑でまたお願いしたいと思いますが、いずれにしても、一昨年の十月に消費税率が一〇%に増税された下に今回コロナの不況が押し寄せたということで、まさに二重の打撃となり、このような規模とこのような件数とこのような金額で納税猶予の適用がなされているということだけ指摘して、続きは午後に譲りたいと思います。
 ありがとうございました。

#116
○越智委員長 次に、青山雅幸君。

#117
○青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会、青山雅幸でございます。今日も大変貴重な時間、ありがとうございます。
 早速でございます。この特例公債法、私は大変重要な法案だと思っております。そして、まさにこの財務金融委員会で真剣な議論がなされるべきものであるというふうに考えております。
 EUと日米には私は大きな差があると思っておりまして、それは何かというと、財政規律に関してどういったルールがあるか、そして、単にルールがあるかないかだけではなくて、それを守る気があるかないかという意味で、私は、EUと残念ながら日本、米国には大きな差があるというふうに考えております。
 アメリカには、後で後ほどまた御紹介いたしますけれども、種々のルールがありますけれども、これはなし崩し的にいつも守られずに変わっていくというのが現状でございます。日本にも、今日議論になる特例公債法、元はといえば財政法四条に基づくものでございますけれども、こういった厳格なルールがありますけれども、アメリカと同様に守られていない。この財政規律を守る気がないというところから、私は、社会保障費の増大を本来何らかの税収で賄うべきであったところを、これを賄わない、それが日本の消費税の今現在一〇%、EUでは平均して二〇%というところの差に実はつながっている、そして反面、国債残高の差にもつながっている、そういうふうに考えております。
 そういった問題意識から議論をさせていただきたいんですけれども、まず、日本では実質的な財政規律に関する法規は財政法四条しかないというふうに思われます。細かい国債の返し方とかそういったルールはありますけれども、そういったものではなく、正面から財政を律するものはこれしかないというふうに思われるんですけれども、先ほど言いましたように、もしこれが厳格に守られれば、これはEUどころではない、EU、アメリカを超える大変な厳しい財政ルールなんですけれども、まずは、この財政法四条一項の制定趣旨、あるいはこれが制定された背景などをお伺いしたいと思います。

#118
○角田政府参考人 お答え申し上げます。
 財政法第四条第一項は、国の歳出は租税等をもって賄うという、いわゆる非募債主義を定めております。その上で、ただし書におきまして、公共事業費等の財源に限って公債の発行を認めることとしています。
 この非募債主義でございますけれども、昭和二十二年に財政法が制定されておりますけれども、その際、公債をむやみに出して財政の基礎を危うくすることを防ぐために規定されたものと承知をいたしております。

#119
○青山(雅)委員 非常に簡便なお答えだけだったわけですけれども、御承知のとおり、戦前に国債が、やはり戦費あるいは軍事費を賄うために、別に軍事費を賄うためにというところに主眼があるわけではなくて、財政目的を賄うために大変な増発がなされた、それによって戦後国民が大変な迷惑を被った、新円切替えとかで、これは一般国民が主に、自分の財産があっという間に消えてなくなるような結果を生んでしまった、その反省の下につくられたルールなんだと思っております。
 事前のレクで、そのところで、そこをはっきりなかなか言うのが難しい、公債の発行目的云々というところがあるのでという話だったわけですけれども、そこはいろんな考え方があるので仮に置くとしても、やはり、国が国債を乱発するということは、ひいては国民に大変な迷惑をかけることがある、それがあってはいけないということでつくられたルールだと思います。
 そして一方、考えると、政府の年度ごとの支出は、その時々に存在する国民に対するサービスなわけですから、その時々に存在する国民から徴収した税で賄うというのは、私は、極めて健全な常識でありモラル、そういったものであると思います。それを具現化した条項であると思います。先ほども言いましたように、これが守られればEUをも上回る厳しい財政ルールとなるわけです。
 ところが、残念ながら、現状を見ると、将来の国民負担が増すことになることは間違いない、赤字国債を発行していけば。
 建設国債においては、言うまでもないことですけれども、そのときに造ったインフラが将来の国民のためにもなるわけですから、これを将来の国民も分かち合うという意味では、建設国債については確かに例外とする、これは意味があるわけですけれども、例えば、今我々が受けている公共サービス、これを将来の国民の負担でもって賄うというのは、これはやはりモラルに欠けていることは間違いないというふうに考えられます。
 このモラルに欠けていることが、残念ながら、議会制民主主義につきまとう、国民感情への配慮が優先されるという我々の民主主義の宿命、あるいは、今回のコロナのような突発的事態の勃発によって必ずしも守り切ることができないということで、非常にやむを得ずに編み出された方策がこの特例公債法というものだと思っております。
 先ほど野田元総理が触れられておりましたけれども、これが初めて成立したのが昭和四十年度のこと。これは本当に突発的なことだったようですけれども、昭和五十年度以降は、御承知のとおり、これが常態化している。特に、これはまた後に触れたいと思いますけれども、昭和五十九年度からは、文言として、償還のための起債は行わないものとするという規定があったものが削られてしまって、借金を借金で返す、雪だるま式に借金が増える、そういう構図に陥っているわけです。もうそうなってからかれこれ三十年近くが経過する、もっとですね、三十年以上が経過するということになってしまっているわけです。
 そこで、改めてお伺いするんですけれども、単年度の縛りだった特例公債法の制定の仕方が、これも先ほど野田元総理が詳細に経緯をお話しいただきましたけれども、平成二十四年度からは複数年ということになってしまったわけです。これについて、どういうふうな趣旨、背景、経過といったことでこういう形になったということを今政府はどういうふうにお考えになっているのか、見解をお聞きしたいと思っております。

#120
○角田政府参考人 午前中、大変やり取りがあったところで恐縮でございますが、改めて御質問ですので、お答え申し上げたいと思います。
 平成二十四年当時は、予算の成立後もその裏づけとなる特例公債法が成立せず、地方行政を含め、国民生活に影響を及ぼしかねない状況が生じておりました。こうした中、当時の野田総理から、どの政党が政権を取っても当面は特例公債を発行せざるを得ない状況にあることから、平成二十四年度の対応だけでなく、それ以降も考えまして、予算と特例公債法を一体的に処理するルールをつくるべきだとの御提案があったことを受けまして、当時の民主党、自民党、公明党の三党の間で御議論があり、三党確認書において、複数年度にわたり特例公債の発行を可能とする現在の枠組みが取りまとめられたと承知をいたしております。

#121
○青山(雅)委員 先ほど野田元総理が御説明されたとおりの認識である、政府も同じ認識であるということをお伺いしました。
 問題は、この状況が変わった平成二十八年度、今度はこれが、状況が変わっているにもかかわらず、五年間という形で、複数年をまた認める特例公債法が提案され、成立したわけですけれども、これはどういった趣旨あるいは背景事実で行われたものでしょうか。

#122
○角田政府参考人 こちらは午前中かなり突っ込んだ議論があったところだと思いますけれども、二十八年の特例公債法改正時ですけれども、平成二十四年の三党確認書と議員修正によって定められた枠組みを引き継ぎ、引き続き特例公債を発行せざるを得ない厳しい財政状況がある中で、安定的な財政運営を確保する観点から、令和二年度までの五年間、特例公債の発行根拠を延長したものと承知しております。

#123
○青山(雅)委員 若干、要は、平成二十四年度と二十八年度、事情が変わっているんだと思うんですね。二十四年度は、ねじれ国会などの政局不安定などもあって、安定的な政治とそれから予算の成立ということでこういった複数年度のものが設けられた、今度は、財政状態が極めて厳しい、それが続くのでという形に変わったんだというようなお答えだと思っております。
 では、今回、複数年度にされているその理由は何でしょうか。

#124
○越智委員長 角田次長に申し上げます。もう少し大きな声で話してください。

#125
○角田政府参考人 二十八年も今回も、厳しい財政事情の下で、当面五年間、特例公債に依存せざるを得ないという点は同じでございます。今回につきましても、先ほどの繰り返しになりますけれども、安定的な財政運営を確保する観点からということでございます。
 この点につきましては、非常に政治的なお話になりますので、私がこれ以上申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。

#126
○青山(雅)委員 お伺いしますけれども、財政状況ということで、今問題とされているのは、平成二十八年のときもそうですけれども、プライマリーバランス黒字化という形で何とかそこの財政状況を改善しようということですね。
 そこで、念のため、簡便に御説明いただきたいんですけれども、プライマリーバランス黒字化というのはどういう意味合いを持つんでしょうか。簡単に定義だけで結構です。

#127
○角田政府参考人 御説明申し上げます。
 プライマリーバランスとは、その時点で必要とされる政策的経費をその時点の税収等でどれだけ賄えているかを示す指標でございます。これが黒字だということは、政策的経費よりも税収等が上回っているという状況でございます。
 この黒字化の目標年度は、財政健全化を目標とされております経済財政運営と改革の基本方針二〇一八において、二〇二五年度とされているところでございます。

#128
○青山(雅)委員 今言われたとおりで、プライマリーバランス黒字化でさえも二〇二五年なんですね。そして、プライマリーバランスが黒字化されたとしても、それは単に政策的経費が賄われるだけで、利払い費や国債の償還費は賄えないわけです。つまり、この赤字国債は、当面、めども立たずにずっと続けざるを得ないというわけです。
 そこで、麻生大臣にお伺いしたいんですが、麻生大臣はちょっと退席されているので、もしあれでしたら、ちょっと時間を止めていただけないでしょうか。

#129
○越智委員長 時間を止めてください。
    〔速記中止〕

#130
○越智委員長 では、速記を起こしてください。
 青山君。

#131
○青山(雅)委員 結局、何が言いたいかというと、財政が厳しいのでこういった複数年度の特例公債を認めるというような法律を作らざるを得ない、ところが、プライマリーバランスの黒字化でさえも二〇二五年が目標である、その先、さらに、利払い費等まで賄えなければ特例公債を続けざるを得ないわけですから、これを理由とするのであれば永遠に複数年度の特例公債法を出さざるを得ないわけですね。
 そうすると、私、こういうようなやり方をしているのがやはり日本の国政の問題点だと思っているんです。要は、こういうふうな場当たり的なやり方はやめて、これが続くのであれば、それを正面から認めて財政法四条を改正する、改めて財政規律については別のルールを設ける、あるいは潔く特例公債法は一年ごとに戻す、こういう現実を見てちゃんとした体制を、非常に大事な財政規律のことです、取るべきだと思うんですけれども、この点について麻生大臣のお考えをお伺いしたい。

#132
○麻生国務大臣 今、財政法第四条のお話なんですけれども、これは公共事業等々の財源に限って公債の発行を認めるということになっておるわけです。
 これは、公共事業等については、その支出によって、道路とかダムとか、何でしょうか、建物とかいろいろなものがありますけれども、そういった資産というのが曲がりなりにも形成されますから、その資産というものの受益は将来の世代までにも及ぶということを踏まえて、いわゆる将来世代にも負担を求めることが許容されるという趣旨で解されておるわけです。
 そうした資産性が認められない支出というのは今いっぱい出てきていますけれども、社会保障関係、そういうのが多いようなことになりますけれども、そういった支出の財源について公債を発行するんだという場合につきましては、財政法上の第四条の特例として別途の立法措置を行わせていただいているということだと思います。
 こうした基本的な考え方というのは、財政運営のいわゆる健全性というものを確保するという意味からも意味があることなのであって、この財政法第四条を改正するという考え方は今持っておりません。
 その上で、この特例公債法は、現在の厳しい財政事情というものを考えますと、当面の間、特例公債というのを全く発行せずに財政を運営するということは極めて困難ということだと思いますので、複数年度にわたる特例公債の発行根拠を設けるということは、安定的な財政運営というものを確保する観点からも極めて必要な対応ではないかということだと思っておりますので、この特例公債法というのは平成二十四年に議員修正によって決められたもので、この枠組みを継続していくという趣旨のものであります。

#133
○青山(雅)委員 この点については、まだ少しやり取りをさせていただきたいと思っていますので、また午後、続きを聞かせていただきます。
 ありがとうございました。

#134
○越智委員長 次に、前原誠司君。

#135
○前原委員 国民民主党の前原でございます。
 かなりマクロ的な観点の議論ばかりでございますので、基本的には財務大臣にお答えをいただきたいと思います。
 日本がこれだけ世界の中でも飛び抜けて財政赤字が多いにもかかわらず、金利も非常に低い状況で推移をしていて安定をしているということ、その大きな背景というのは、一つには、自国通貨が発行できること、そして、発行した国債というものが九割程度が自国内で消化をされているということ、それに併せて、国内の資産が大きいということが言えるのではないかと思います。あと、経常収支の黒字、これも大きいのではないか。つまりは、お金が海外から入ってくるということ。
 こういった点が多いと思うんですけれども、大臣、お配りしているまず一の資料を御覧いただきたいんですけれども、日本が安定的に推移をしている大きな理由というのは、資産が多いから。国は借金は多いですけれども、国としての資産が多いということを示したもの、一部でありますけれども示したものであります。
 一番上が家計金融資産ということで、千八百兆と覚えていましたけれども、千九百一兆まで直近では上がっているということ。そして、それから住宅ローンなんかの負債を引いたもの、これがその下の青い折れ線グラフでございまして、家計金融純資産と言われるものでありまして、これが一千五百五十四兆ある。一般政府総債務というのが赤い折れ線で、一千四百一兆円ということでありまして、これだけでもまだ百五十兆円ぐらいの差があると同時に、まだ民間の非金融法人企業の金融資産も一千二百十五兆円ありますので、これは描いていませんが、このグラフには載せていませんけれども、まだそういう資産がある。
 国の資産は、大体、負債と資産というのはとんとんでありますし、国の資産というのはなかなか現金化できないものが多いので、そういう意味では、個人のセクターそれから民間のセクターの預金資産に国の負債というものが、言ってみれば総体的に担保されているという状況の中で、安定的な推移が行われているということであります。
 国債の発行余力はその面ではまだあるんだというふうに思いますけれども、ただ、この金融資産が積み重なっている大きな理由というのは、やはり、高齢化に伴って将来に備えている方が多いと思うんですね。私は、このいわゆる家計の金融資産というのは高齢化が進んでいく上で減っていくというふうに思うわけでありますけれども、そうなると、借金は増えていく、民間の非金融法人の資産はどう推移していくか分かりませんけれども、少なくともこの千九百兆円の資産は減ってくる可能性がある、私はそういうふうに見ていまして、そういう意味では、余力のあるうちに抜本的な歳出歳入改革、あるいは日本の財政を立て直す、経済成長戦略も含めて、やらなければいけないというふうに思いますが、まず大臣の御見解を伺います。

#136
○麻生国務大臣 これは間違いなくこういった形になっておりますので、多分、私も同じように、今、団塊の世代の方たちがいずれも早晩もう七十五、六になってこられるはずですから、後期高齢者ということになりますので、そういったことになりますと、資産は常識的には減るんですよね。私もそう思うんです。私は十年ぐらい前から減るんだと思っていたんですが、全然減らないものですから、余り当てにならぬなと、自分でそう思っているんですけれども。何となく、八十歳で死ぬ予定だったんですけれども、百歳までになっちゃったので金が使えなくなったんだと言われる高齢者の方が増えましたな。そういった意味で、これはなかなか減らないかなというのは、ちょっと正直あります。だから、そこのところだけはちょっと意見が、今、私の勘なんですけれども、そういったような感じがしておりますので、ちょっとここは違うかなと思いますけれども。
 いずれにしても、日本の財政というのは極めて厳しいんですけれども、現時点においては、前原先生おっしゃるように、巨額の個人金融資産というものプラス経常収支が黒というのも極めて大きいんですけれども、こういったものを背景として、ほとんどの国債というものが国内で消化されて、外貨による消化はゼロ、外国人による国債の購入は一〇%前後ありますけれども、いずれも円で取引しておられますので、外貨による取引はゼロということになっておりますので、これだけ超低金利だけれども極めて安定しているということで、こういうことになっておるんだと思います。
 経常収支は、東北大震災のときでしたか、あのときちょっと減りましたけれども、それ以外は減らずにずっと来ておりますので、金融資産というものが海外に流出するということもほぼなくここまで来ておりますのですが、私ども考えておかないかぬのは、こういう状態が確かに続いていますけれども、これがずっとそういくかという保証はちょっとなかなかないので、何が起きるか分かりませんし、災害が起きても、戦争が起きても、何が起きても、いろいろなことが起こるわけで。
 私どもとしては、国債発行というものにつきましては、どういう具合にどの程度までやるべきか、なるべく抑えに抑えた方がいいに決まっておりますので、私どもとしては、いわゆる、まずはプライマリーバランスというところまで戻さねばいかぬと思っておるんですけれども、それ以後も、少なくとも特例公債などというものを発行せずしてきちんとやれるような形まで一日も早く戻していくという姿勢が大切なんだ、私は基本的にそう思っております。

#137
○前原委員 姿勢は恐らく誰も同じだと思うんですが、それを本当に政治家の意思でやるつもりがあるかどうかということが、私、大事なんだと思いますね。
 先ほど、社会保障・税の一体改革をやられた野田元総理が質疑をされておりました。私も当時の政調会長で、あのときは三党合意というのがありました。あれも反省はいろいろあるとは思うんですけれども、誰もが、それは消費税なのかほかの税なのかは別にして、やはり歳出歳入改革というのは、経済成長もプラスしてやらなきゃいけませんけれども、歳入改革も絶対やらなきゃいけないんですね。そうなると、どこかが負担を持たなきゃいけない。負担を求めるというのは、それは政治家にとっては非常に苦しいことですけれども、将来的なことを考えたら誰かがそれをやらなきゃいけないというつもりで我々はあれをやらせていただいて、そして一定の役割を果たしたんじゃないかと私は思っております。
 方向性だけではなくて、いろんなリスク、先ほど少し大臣がお触れになられましたけれども、私もやはりいろんなことを考えるわけです。今回のコロナでもかなりの、全て、例えば持続化給付金にしても、雇用調整助成金は一部元々の財源がありましたけれども、ほとんどが借金じゃないですか。
 地球温暖化が進んでいくと、よく言われるのは、永久凍土が解け始めて、その中に閉じ込められた菌とかウイルスが出てきて、更にまたパンデミックというのは世界中で起こりやすいんじゃないかと。あるいは、地球温暖化によって、例えば太平洋の海水温が上がって、そして、昔は五十年に一度とか百年に一度の大雨あるいは台風だったのがしょっちゅう来る。強風が吹き荒れる、風速もかなり厳しい、きつい台風が増えてきているということもあります。
 また、富士山って三百年以上噴火していないんですよね。八〇〇年から一〇八三年までは十二回噴火しているんですよ。その後四百年間余り噴火していないんです。それで、また噴火を始めて、そしてまた噴火していないんですね。東京に首都が移ってから噴火していないんです。
 日本列島というのはプレートの上に乗っておりますので、必ず地震は起きる。南海トラフにしても、南海トラフの地震が起きる可能性は三十年以内に七〇%以上だと数年前に言われていたわけですね。
 そういう意味では、いわゆる災害リスク、それからパンデミックリスク、それから火山の噴火によるリスク、これは災害リスクと含めて同じでありますし、それから、私は一応安全保障を大学でも専攻し、今も安全保障の分野は非常に関心があるテーマなんですけれども、米ソ冷戦がなぜ崩壊したか。理由は簡単なんです。ソ連が軍拡競争に耐えられなかったんです。結局、それだけの経済力がなくアメリカと軍拡競争をやらなきゃいけなくなって、結局ギブアップしちゃったわけですね。それが米ソ冷戦の崩壊ですから。
 後で少し見ていただきますけれども、日本は今の、言ってみれば予算をかなりの赤字で補填しながらやっている、そして今回のコロナによる様々な問題も赤字国債を発行して何とかやりくりしている。しかし、これが本当にいつまでも続くのかねと。
 そして、こういうリスク、例えば財政破綻を起こしたときには、先ほど米ソ冷戦の話をしましたけれども、一番困るのはやはり弱者なんですね、生活弱者。年金が減らされる、減額される、あるいは様々なサービスが減らされる、なくなる。こういったしわ寄せがあるのは、弱者、国民全般なんですね。そういう将来のことも考えて今しっかりやっておくというのが、私は政治の責任ではないかと思うわけです。
 先ほど、特例国債を発行しないでもという、気持ちは分かりますし、要は、具体的にそれをどう行うのか。今の政府・与党からは、じゃ、あの民主党政権がやったときのような、社会保障・税の一体改革のような、何か抜本的に、超党派でも呼びかけて、何かこれを本当に改善しようという提案もないし、気概もないし、具体案が見えないと思うんですけれども、何かされなきゃいけないと思われませんか。

#138
○麻生国務大臣 今おっしゃるように、これは足下で見ますと、やはりコロナ対策というものに追われていますので、何となく、歳出の増加が急激に上がります、そういった状況から、財政状況というのは更に悪化しているというのは事実なんだと思うんですね。ウイルス治療薬等々が出てくることになって、これは大分収まってくるんだと思いますけれども。
 市場の信頼性というのを確保しておかぬといけませんので、このコロナが終わった後の経済回復、少なくとも十―十二は急激に上がったことにはなりましたけれども、また一―三は必ず下がってくる、その後、また四月になりますとまた変わったことになってくるんだとは思いますけれども。
 そういった意味で、経済と財政と両立させていくということを一応基本としてできるようなものにしていかないと、やはり今言われたような問題が起きてきたときに対応しかねるということになるので、最初からそういったものを考えておかなきゃいかぬのだと思うんですけれども。
 少なくとも、税収等々は戻っていくんだとは思うんですけれども、このままいけば、二〇二五年度までにはいろんな対策をすることにしておりますけれども、行わなかった場合は七兆円ぐらいの赤字になるというような状況等々を考えますと、私どもは今、医療保険が一番でかい支出になりますので、そこのところだったりをいろんな、直して、高齢者の負担をとか、また薬価の改定をとかいうのをやらせていただきますので、そういったことで七兆円というのはかなり抑えられると思ってはおりますけれども。
 いずれにしても、そういったものに一つ一つ取り組んでいく地道な努力をやらないかぬと同時に、今言われたような問題は今後とも起こり得る問題として頭に入れて、きちんと、経済成長プラス税収増プラス歳出の抑制等々いろんなものをやっていかないかぬということだと思っておりますので、基本的に今言われていましたようなことを一つずつ、ちょっと、これがというようなものがあるわけではないんだと思うので、一つ一つ丁寧にやっていくという姿勢が大切なんじゃないのかなと思っております。

#139
○前原委員 資料の三を御覧いただきたいと思います。
 財務省が作られているグラフで、これは何度か私も引用させていただいているんですけれども、三十一年前と今と予算を比べた場合、税収がほぼ一緒で歳出が一・五倍になっている、一・五倍以上になって四十兆増えている。しかし、その一・五倍になっている中で増えているというのは、高齢化に伴う社会保障費と借金の返済の国債費だけなんですね。ほかのところは三十年以上たってもほとんど変わっていない。公共事業、文教・科学技術費、防衛費、交付税、ほとんど変わっていない、三十一年たっているのに。
 どういう状況になっているかということで、まず教育の分野を見ていますと、四ページを御覧いただけますか。
 これはずっと、直近の対GDP比の各国の公的教育支出。日本は二・九%、これはOECD諸国の中では下から数えて二番目です。OECD平均は四・一で、二・九ですね。科学技術関係予算の推移を見ていますと、アメリカと中国は伸ばしている。これが、今、米中の覇権の一つの裏づけになるわけでありますけれども、日本はこうやって、赤の折れ線ですけれども、べたっと変わらない状況にある。
 だから競争力が減っていくわけですよ。例えば国際競争力評価でも、三十年前は一位、四年連続一位だったのが今三十四位まで落ちていますね。これが現状ですし、企業の競争力も落ちてきているという状況です。
 五ページを御覧いただけますか。
 防衛関係費、これは、右の折れ線グラフを見ていただくと、アメリカは絶対額が大きいので横ばいはそれほど問題にならないにしても、日本はずっとほぼ横ばいですよね。中国は伸ばし、私、今度予算委員会の分科会で防衛大臣に質問しますけれども、韓国は一・七倍なんですね。もうそろそろ、絶対額でもほぼ並んだ状況です。これが現状ですね。韓国といったら、人口は日本の半分以下ですよ。その国が、ずっとこうやって防衛費を伸ばし、そして絶対額でも並ぶ状況になってきている。そして、自衛隊は竹島を武力で取りに来るんだという報告書を秘密裏に作成して、それを言ってみれば予算獲得の手段にしている、こんな状況ですよね。
 つまりは、この財政赤字がだんだんだんだん拡大していって、今日はもう時間がありませんのでMMTとかなんとかの議論はしません、さんざんしましたのでしませんが、少なくとも、財政赤字が拡大していることが、本来的に言えば投資をしなきゃいけないところに投資ができなくて、そしてそれが日本の国力を弱めているということになっているという認識は、大臣、お持ちですか。

#140
○麻生国務大臣 これはもう、前原さん、一番問題なところです。やはり、借金の返済、そして、先ほどの少子高齢化に伴います負担といわゆる給付の話、負担のバランスの問題から、少なくとも、いわゆる社会保障関係費が急激に伸び、しかも、その額を今までどおりに伸ばしたら年間一兆円ずつぐらい伸びていくところを、この八年間は約五千億ぐらいでということをやらせていただいていますけれども、前だったら、もうとっくの昔にパンクしております。
 そういった意味では、私どもとしては、この問題は、二つは、非常に大きな問題で、これによってほかの部分のやつが抑制されているのは事実だと思っております。

#141
○前原委員 時間が来ましたので終わりますけれども、将来的な財政破綻のリスクをどう回避するのかと同時に、もうずっとこの歳出抑制をほかの分野にしてしまって、特に教育とか科学技術、あるいは国防、こういったものにお金がかけられなくて日本の国力が落ちてきているんだという危機意識を共有して、しっかりこういった歳出歳入改革、経済成長の議論を具体的にやはり進めていかなきゃいけないということを申し上げて、質問を終わります。
     ――――◇―――――

#142
○越智委員長 次に、内閣提出、所得税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁黒田東彦君、企画局長清水誠一君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣人事局内閣審議官藤田穣君、内閣府大臣官房審議官村山裕君、総務省大臣官房審議官辺見聡君、自治税務局長稲岡伸哉君、財務省主計局次長角田隆君、主税局長住澤整君、国税庁次長鑓水洋君、厚生労働省大臣官房年金管理審議官日原知己君、大臣官房審議官間隆一郎君、大臣官房審議官宮崎敦文君、子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長岸本武史君、経済産業省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官江口純一君、大臣官房審議官中原裕彦君、中小企業庁事業環境部長飯田健太君、経営支援部長村上敬亮君、国土交通省大臣官房審議官黒田昌義君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#143
○越智委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――

#144
○越智委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申出がありますので、順次これを許します。井上貴博君。

#145
○井上(貴)委員 どうもお疲れさまでございます。所得税法の一部改正案について御質問をさせていただきたいというふうに思います。
 冒頭、まず、質問に入らせていただく前に、麻生財務大臣、黒田総裁とは同郷でありまして、本当に長年にわたって御指導いただいておりますが、そういう中で、麻生大臣がいつも言われる言葉に、人に対する説得力は客観的な過去の歴史観と一桁まで言える数字だ、それと、自分たちが経験していないことは歴史に学べということをよくお話しになられます。
 そういう中で、今ちょうど渋沢栄一がNHKの大河ドラマになります。麻生大臣の高祖父であられます大久保利通公、先ほどの大平先生の話なんかも、歴史に学ぶという話が野田先生からもありましたけれども、一度歴史に学んでみたいというふうに思っています。
 そういう中で、当時の大隈重信公が、予算編成をするために渋沢栄一公を当時の大蔵省に入れます。その中で、当時大蔵卿でありました大久保利通公と、当時、日本はまだ弱い、軍事的にも本当にこのままでいったら大変な状況になるのではないかということもあって、予算編成の中で、インフラ整備に充当すべきだと言う渋沢栄一と、いやいや、さりとて軍事費は大事だ、日本の国民を守らなければいけないんだと、今と同じような議論が行われ、そういう中で、渋沢栄一公は民間に行くことになります。
 そういう中で、渋沢栄一は九十一歳まで生きることになります。その中で、幕末、明治、大正、昭和の激動の時代を生き抜き、五百社、六百団体に上る、今の基幹産業のほとんどを渋沢栄一はつくることになります。八十歳のときに関東大震災を迎え、そしてその復興支援にまた心血を注ぐという歴史を持っています。
 その渋沢栄一公を、二〇一九年の四月の九日、当時の大久保利通のやしゃごであられる麻生先生が、新一万円札に渋沢栄一をされるということでありましたし、それから津田梅子さんも、あのときの岩倉具視使節団に六歳で一緒に同行されています。そして津田塾をつくる、それから英語教育の最初ということをやり遂げられるということもあります。そして千円札は、これは二〇一九年ですからこのコロナ禍前ですけれども、北里柴三郎さん、近代の医学の父と言われる方を千円札にされるという状況になります。私たちの、今度の二〇二四年からの新一万円札、五千円札、千円札は、日本の資本主義の父と言われた渋沢栄一公を一万円札にされたということもございました。
 このようなコロナ禍で本当に苦しんでいる国民を助けるため、最前線で大臣は日々活動されておりますけれども、そういう状況下の中で、デフレからの脱却をし、そして強い国をつくっていくんだという思いから、この表れが、このお三方を最終的に発表されたものだというふうに思っています。日本の底力、勇気、希望を与えるラインナップになっているというふうに思います。
 そういう面では、これからのコロナの状況下を踏まえ、この有事を何とか乗り越えていくために、麻生大臣のこれからの意気込みをまずお聞かせいただきたいというふうに思います。

#146
○麻生国務大臣 渋沢栄一という方は、いわゆる明治の元勲とか西郷隆盛とか、そういったような派手なイメージは全くない方なんですけれども、少なくとも、この人が、やはり明治時代の、あの時代に資本主義とか民間主導とかいうようなことを確立していった中で最も貢献した財界人を挙げろといったら、ちゅうちょなく渋沢栄一が出てくるんだと、私の、歴史の中で入っている、頭の中ではそういうことになるんですが。証券取引所をつくられたり民間で初めて第一国立銀行をつくったりいろいろされておられるんですが、今言われましたように、五百幾つのあれをつくって、今その中で残っているものがいっぱいありますけれども、そういうようなものをやっていった方。
 やはり明治という、あの帝国主義によってどんどんどんどん各国が、アジアの中で多くの国々が、保護領化とか植民地化とかいろいろな表現がありますけれども、されていった中で、この国はほぼ数少なく、自主独立を保って近代化に成功した唯一のアジアの国なんだというように私には見えるんですけれども。それを成し遂げた背景というのは、政治もすごかったんだと思いますけれども、それに応えて民間もやはりうまく対応して、富国という部分をやってのけた意味では大きかったんだと思うんですよね。
 今、女性の話がよく出てきますけれども、少なくとも、津田梅子というのは、日本でいけば初めての、女子の海外留学生第一号ということになるんだと思いますが、帰ってこられてからも津田塾等々いろいろな貢献をされたことも確かですし、北里先生は、今、科学技術とか医学とかいろいろ言われておりますけれども、そういった中で、この人とか野口英世とかというような方々の貢献された部分というのはいろいろな意味で非常に大きく、今の時代だったら間違いなくノーベル賞、そういったことになっていた人たちだったと思っていますので。
 そういった政治家以外の部分で、明治の時代というのを、大きく貢献した人にもっと日が当たってもおかしくないんじゃないのかね、私はそう思っておりましたので、今回、新札をということに何十年に一遍かでやりますので、それに当たっての人選というので、このお三方を選ばせていただきました。
 いずれにしても、今は、そういったあのときの時代に比べれば、今の時代の方がまだよほど楽なんじゃないんですかね。あの頃の方がもっとしんどいんじゃありませんか。ロシアから攻められるとか、そういったような時代ですよ、あの時代は。そして、ロシアからの南下をどうやって止めるかというのをいろいろ組んで、まあ歴史を語っても始まりませんけれども、そういった時代に比べれば、今我々が置かれている状況というのは、あのときに比べればよほど豊かですし、その分だけ緊張感が足らぬのかもしれませんし、いろいろな意味で反省しなきゃいかぬところがいっぱいあるのかもしれませんけれども、我々は十分にそれをやれるだけの余力を持っていると思いますし、それをやっていかねば御先祖様に申し訳がないなという感じがしております。

#147
○井上(貴)委員 ありがとうございます。
 大久保利通は富国強兵という言葉を残されました。今、少子化、災害、それからコロナ、外圧、そして温暖化と、本当に多岐にわたる国民の大きな諸課題が山積しております。そういう中で、あの大久保利通が残した言葉に当てはめるならば、国を富んで、富国強衛かなと、一言で言うとそう思います。そういう時代を、安心して、国民の生命そして生活を守り抜くための施策を打っていく必要があるというふうに感じています。
 今回、新型コロナウイルスについて、私も昨年政務官、そして一昨年は補佐官をやらせていただきましたけれども、そういう中で昨年からの第一次補正予算、第二次補正予算に関わらせていただきましたが、そういう中で最も大きかった施策の一つは、先ほどから特例公債の発行の件をいろいろ御議論いただいておりましたけれども、昨年の五月の二十二日の、財務大臣、中央銀行総裁会議の共同記者会見というのが行われております。アメリカの政府とFRBや、EU各国とヨーロッパ銀行はやっておりません。
 ですけれども、日本は、黒田総裁と財務大臣麻生先生と共同記者会見を五月二十二日にされ、黒田総裁の方から、政府が決めて実行される緊急経済対策における無利子無担保融資などを中心に、日本銀行から見て、そういった制度を利用して無利子無担保で中小企業等に、また、あるいは個人事業者に融資した金融機関に対して、その総額を日本銀行がバックファイナンスする、この発言をいただいたことが、私は、今回の施策の中で一番大きかったというふうに思います。
 政府系金融機関だけではなくて民間の金融機関も追随していただいて、二次補正予算からは本当に御協力をいただいて、国民お一人お一人を民間の力もかりて守ることができるような環境をつくっていただいたということにおいては、政府だけではなくて、日銀総裁のあの発言は非常に大きかったというふうに思っています。これに対してはコメントは求めません。
 先ほどからも御議論いただいていますけれども、財政再建の必要性というのは我々も本当にひしひし感じていますし、この状況ではいけないというふうに感じています。ですけれども、この状況下、この有事の状況を乗り越えるためにも、この発言は非常に大きかったというふうに思っています。
 昨年の一次補正、二次補正に携わらせていただいたときに、今話をしました無担保、無保証、無金利の融資をやらせていただいたのと同時に、二次補正予算で資本性劣後ローンというメニューもつくらせていただきました。
 ですけれども、これは本当に大きな議論がありました。あの当時の状況下の中で、資本性劣後ローンまで、大企業、中企業を守るための資本を投下するということまでやらなければいけないのかという議論もあった中で、そういう中、最終的にぎりぎりの段階でメニュー化を認めていただくような状況をつくることができました。そのことによって、大企業を守るだけではなくて、その取引先企業、下請企業を守ることにつながっていきます。そのことで、今、資本性劣後ローンを始め、資本を投下して、何とかその企業が潰れないで守ることができるような環境をつくれているというふうに思っています。
 もし、あのときつくっていなければ、年末から年始にかけて、今、そのメニュー化を急がなければいけないような状況だったのではないか。五月の段階から六月にかけてメニューをつくり上げることができたことというのは非常に大きかったというふうに個人的には思っています。
 そのことについて、大臣の御意見を頂戴したいというふうに思います。

#148
○伊藤副大臣 済みません、私の方から答弁させていただきます。
 今、井上先生御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症の影響を受けました事業者への資金面での支援、これは大変重要でございます。
 これまで、事業者の支援ニーズに対応して、令和三年一月末時点で、実質無利子無担保融資等は官民金融機関において約二百二十九万件、約四十三兆円、日本公庫等による資本性劣後ローンは千八百四十七件、約三千四百七億円の融資を決定しております。
 企業の資金繰りについては、日銀短観の資金繰りDIを見ましても、昨年六月を底に緩やかに改善をしておりまして、これらの資金繰り支援策は一定の効果を上げていると考えております。
 日本公庫等に対しては、累次にわたり、新型コロナウイルス感染症特別貸付け、資本性劣後ローンの積極的な実施等を要請しているところでありまして、引き続き、事業者の支援に全力で取り組んでまいりたいと考えております。

#149
○井上(貴)委員 ありがとうございます。
 このメニュー化をするに当たって、経済界の方々、それから様々な企業の方々等の御意見をヒアリングさせていただきましたけれども、本当に、例を挙げれば航空業界、それから、我々はそれまでは、コロナ前まではインバウンドを推し進めておりました。そういう中で、不動産業界一つ取っても、マンション業を営んでいた方々に対しても、これからはインバウンドだということで、ホテル業やそういったことを率先してやっていこうというような状況になって、そういう方向に進めたという責任もあるのではないかというふうに思っています。
 そういう中堅企業の不動産会社の方々も、今回のコロナのことで、マンション業だけやっていればそう痛手はなかったけれども、ホテル業に手を出したために、また、それをなりわいとするような状況をつくったために、今回のコロナで大打撃を受けたという企業もあることも事実であります。
 ただ、無担保、無保証、無金利で貸せる金額というのも限られます。そういう中で、資本を投下して、そして何とか守ってやるべき中堅企業もたくさんあるのではないかというふうに思っています。そういう面では、我々の中小企業を守っていく、そして雇用を守っていくためにも、大企業、中企業、中小企業、そして小規模事業者、それぞれの一つ一つの手当てを丁寧にしていくことというのが不可欠だというふうに感じています。
 あと、国際金融については午後質問をさせていただきたいというふうに思っておりまして、午前中の質問はこのくらいで終わらせていただきたいというふうに思います。
 以上でございます。ありがとうございました。

#150
○越智委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議

#151
○越智委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 引き続き、内閣提出、所得税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑を続行いたします。井上貴博君。

#152
○井上(貴)委員 引き続き、残り十分、御質問をさせていただきたいというふうに思います。
 国際金融について御質問をさせていただきたいというふうに思います。
 二〇一九年に開催されましたG20財務大臣・中央銀行総裁会議で、財務大臣補佐官として携わらせていただきました。麻生大臣、黒田総裁は我が郷土福岡の宝であり、本当に目の当たりに、お二人の高い交渉能力とリーダーシップのおかげでコミュニケを発表することができたことは、今でも感慨深いものがございます。
 そういう中で、六月の末に行われましたG20サミットの裏番として、財務大臣・保健大臣会合が初めて執り行われております。そこでユニバー・ヘルス・カバレッジの必要性、UHCの必要性について、UHCファイナンスの重要性を世界に広めていく提案をしております。
 今になって考えてみると、こういうコロナの状況下になる前に、実際、このUHCファイナンスの重要性をあのときに決めておいたということ、提言することができたというのは非常に大きかったのではないかということを御質問させていただきたいというふうに思います。
 それと、時間も限られておりますので、次に、麻生先生の懸案事項である、GAFAを始めとした世界的なプラットフォーマーへの国際課税問題であります。
 昨今、GAFAを始めとした世界的なプラットフォーマーが世界的な大きな影響を持っていますし、その責任もあろうかというふうに思っています。それらの企業に対しての課税に対して、日本は、麻生大臣の下、世界における国際課税ルールの議論を主導してこられました。今後も国際課税ルールの議論に一層取り組んでいく必要があろうかというふうに思っています。
 これについて、今の現状の国際課税に関する議論の原点、そして議論の現状についてお聞きするとともに、議論の方向性について、麻生先生の御意見を頂戴したいというふうに思います。
 最後にもう一点。
 今回のコロナ下における経済再生、デジタル化、グリーン化など、様々な施策が令和三年の税制改正並びに予算案として盛り込まれております。
 そういう中で、国際金融都市、国際金融センターをつくるという方向性を骨太の方針でも一部書かせていただきましたけれども、そういう中で、今の中国の状況、そして香港の状況を考えると、第一義に、日本が主導的に、資本主義、民主主義、法の支配が確立されたアジアの中での先進国である我が国がアジアの市場を担っていく責任があるというふうに思っています。
 そういう中で、我が国の良好な治安、それから生活環境、そして一千九百兆円の個人金融資産がある強みを生かして、この国際金融センターを日本に持ってくる、また、日本がイニシアティブを取っていく必要があるというふうに思います。
 この三点について、麻生先生に御質問させていただきたいと思います。

#153
○麻生国務大臣 三つ御質問をいただきました。
 UHCの話ですけれども、昭和三十五年、まだ日本が復興しているとは言い難いようなあの状況下において、日本は国民皆保険制度を成立させてきていたところが、今回のいわゆるコロナに対しましても、感染症対策が極めてお粗末であったと言わざるを得ないというような状況にもかかわらず、先進国の中で死亡者が他国に比べて百分の一以下というような形で済んでおりますのは、あのときの制度のよさだと思います。
 少なくとも、保健大臣でこの種のヘルスをやるのは無理、間違いなく、保健と財政と一緒にやった日本みたいなものをまねしなければ無理という話を国連で申し上げて、それが今、少しずつ形になりつつあるところだと思っていますが、少なくとも、そういった話がG20等々の会議で議論されるようになってきたということで、UHCのファイナンスに関わります部分に関しまして、いろいろな意味で、今後とも更に話を進めていかねばいかぬところだと思っております。
 二番目のデジタル課税の話は、これは二〇一三年、バッキンガムシャーで行われたG7の会合でしたか何とかでの中央銀行総裁会議等において、BEPS、BEPSというのはベーシック・エロージョン、プロフィット・シフティング、略してBEPSという国際課税の話を、日本がこれを言い始めて今日かれこれ七年、八年たったことになりますけれども。
 おかげさまで、この問題を、いわゆる消費者がいる国に物理的拠点がなければ税金を払わなくていいという今の制度の欠点を、抜け穴をついて、今の時代、通販によって大量のものが送り込まれてきて、それには誰も税金を払っていない、受け取っていないということになりますので、こういうのを軽課税国を利用してやっているという手口はどう考えてもおかしいということを申し上げて、騒ぎになり始めて八年、アメリカがついにこれに乗ってくるところまで大阪サミットで追い込んでおりますので。
 結果として、今回こういったような形で、今年二〇二一年の半ばまでに結論を出すということで、アメリカの制度とフランスの制度と、いろいろな形で中間色を今、日本が取り持ってやっておるところですけれども、一応、本年の半ばまでにグローバルなスタンダードが決められつつあるというところまで来ておりますので。ちょっといま一つ、もう一歩というところで、去年中には、残念ながら、アメリカ、フランス等々ヨーロッパ勢との意見が合わずできませんでしたけれども、今年に入ってから随分様相が変わってきている、フランス側も随分寄っておりますから、いろいろな意味で効果が出てくると思っております。
 最後に、国際金融センター。これは御存じのように、世界は、グリニッジ時間でいいますと、イギリスのロンドン、アメリカのニューヨーク、そしてアジアではシンガポールや香港が大体八時間ずつぐらいずれておりますので、これを軸にして世界の金融マーケットというのは回っておりますが、香港が御存じのように極めて不安定、先行き見通し不透明という状況になりまして、この金融センターをアジアのどこかでということで、日本でもこれをということで、今いろいろ動きが出てきております。
 この問題については税金の問題が大きくなりますけれども、これは金融課税の話なんだからということで、いろいろな意味で、法人税、所得税等々について、我々として、日本の法律内できちんとやれる方法を今いろいろな形で検討させていただいておりまして、今、魅力的な国家として、少なくとも、世界の金融市場というものを扱うに当たって、日本には、治安もいい、そして何といっても大きな金融というマーケットがある、しかも個人金融資産は一千九百兆等々ある、そういったところに金がある、だけれどもその金がほとんど動いていないという状況にありますので。
 こういったものの状況を動かせるというような状況、それをまた動かせる人材、そういったものが全部集まりませんとなかなかうまくいきませんので、こういったものを含めまして、今、いろいろな問題点を探り出して検討させていただきつつあるというところまで来ておると思っております。

#154
○井上(貴)委員 ありがとうございました。
 麻生先生は、今日で二千九百八十二日、財務大臣を務められました。憲政史上最長、戦後最長であります。三月の十四日には三千日になろうかという状況になります。
 今、渋沢栄一のお話をしましたけれども、渋沢栄一、津田梅子、そして北里柴三郎さん、この三人の方が新しい紙幣に、これから二十年間、コロナ後の世界を、毎日その紙幣を見ることになります。麻生先生からの日本は大丈夫だとの力強いメッセージを毎日見る紙幣になろうかというふうに思います。そういう面では、このコロナ下、一人でも多くの方々を助け、そしてコロナ後、新しい世界をつくっていくためにも、これからも御尽力をいただければありがたいというふうに思います。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

#155
○越智委員長 次に、太田昌孝君。

#156
○太田(昌)委員 公明党の太田昌孝でございます。
 所得税法の一部を改正する法律案につきまして、質問をさせていただきます。
 質問に先立ちまして、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになった方々に、御遺族の皆様方含め、衷心よりお悔やみを申し上げ、また、罹患された多くの皆様方にお見舞いを申し上げる次第でございます。
 また、医師、看護師を始め医療関係者の皆様、また、介護に関わっておられる皆様、さらに、エッセンシャルワーカーの皆様にも心から敬意と感謝を申し上げる次第でございます。
 今回の所得税法の改正案、今まさに、ポストコロナを見据え、あるいは現行のコロナで苦しんでいる皆様方のためにも、しっかりと早期に成立をさせ、そして、多くの皆様方の、あるいは企業の皆様方の支援の一助となることを願って質問をさせていただきたいと思います。
 初めに、法人税関係についてお尋ねをいたします。
 この新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大する中で、世界経済の減速、訪日外国人の客数の減少等に加えて、外出自粛や休業要請等の影響もありまして、日本経済は大きな影響を受けております。
 先日、二月の十五日でございますが、公表されましたGDP統計によりますと、二〇二〇年の名目GDP、マイナス三・九%となっておりまして、大きなダメージを受けております。今年こそ、二〇二一年こそは、新型コロナの感染防止に万全を期して、日本経済を成長軌道に戻していくことが重要であります。
 こうした中で、日本における中小企業、御存じのとおり、全企業数の九九%以上を占め、雇用の七割、付加価値額の半分以上を生み出す、まさに日本経済の屋台骨であります。この中小企業を税制面でしっかりと支え、厳しい中にあっても、経済の活力の源となって前向きの投資に取り組んでいただく必要があります。
 こうした観点から、今回の改正案における、中小企業の支援のため、どのような措置を盛り込んでいるのか、その意義も含めてお伺いをいたします。

#157
○伊藤副大臣 お答えいたします。
 地域経済の中核を担う中小企業を取り巻く状況を踏まえまして、令和三年度税制改正におきましては、中小企業等に関わる軽減税率の特例、中小企業投資促進税制及び中小企業経営強化税制の適用期限を延長することとしております。
 また、中小企業の経営資源の集約化による事業の再構築などにより、生産性を向上させ、足腰を強くする仕組みを構築するため、MアンドAを実施する中小企業の投資リスクに備える準備金制度を創設するとともに、前向きな投資を推進するための措置を講ずることとしております。
 こうした改正により、中小企業者の生産性の向上や経営基盤の強化をしっかり支援してまいりたいと考えております。

#158
○太田(昌)委員 ありがとうございます。中小企業にとっては大変に心強い答弁でありました。
 今の答弁にありましたとおり、今回の改正案の中には、中小企業の軽減税率の特例あるいは中小企業投資促進税制等の延長、こんなものが盛り込まれておりまして、非常に重要である、このように思っております。
 さらに、今回の改正案の中で、これは新規の措置として、中小企業事業再編投資損失準備金制度の創設、これも今盛り込まれている、こんな御答弁がございました。この制度に関して、ちょっと若干申し上げたいことがございます。
 といいますのも、中小企業における経営者の高齢化、私の地元でも、大変に、後継者がいなく、そして高齢化、本当に今深刻な事態となっております。この二十数年間の間に、経営者の年齢層のピーク、それまでは四十代後半であったものが六十代後半に、今急速に高齢化が進んでいるところでもございます。
 後継者がいまだに決まらない中小企業が多い中で、優れた技術や人材を有する生産性の高い中小企業が市場から次々と退出していくおそれもあるわけであります。これまでも、中小企業の事業再編を促し、事業承継を進める施策を政府は打ち出してまいりましたけれども、コロナによる先行きの不透明感から、こうした再編の流れが滞ってしまってはいけないと考えております。
 この点、今般、中小企業の事業再編を促し、第三者による事業承継も後押しするために準備金制度が設けられることは、大変意義が大きいと考えます。その上で、中小企業の事業再編を進めるためには、こうした税制を準備するだけでなく、事業引継ぎ支援センターの行うマッチング支援事業など、優秀な技術や意欲のある中小企業同士の橋渡しをより一層進めていくことが重要であります。
 中小企業の事業再編に向けて、マッチング支援等をどのように具体的に進めていくものか、中小企業庁にお伺いをしたいと思います。

#159
○飯田政府参考人 お答えいたします。
 経営者の高齢化が進んでいる中で、御指摘のとおり、後継者不足に悩む中小企業の事業再編、これを進めていくことは大変重要だというふうに考えてございます。
 御指摘のとおり、来年度に向けて税制を措置していただいたところでございますが、これにとどまらず、中小企業同士のマッチングをしていかなければその税制も適用されませんので、大変重要だと思っております。
 御承知のとおり、近年では、MアンドAについての市場も急速に拡大をしてきております。MアンドA支援機関の数は、二〇一九年時点で三百社に上っておりまして、かなり増えております。中小企業の皆様も、昔はMアンドAというと非常に拒否感があったんですが、少しそういった点についてのアレルギーもなくなってきたかと思います。
 また、こういった民間ビジネスとして成り立ちにくい小規模なMアンドAにつきましては、御指摘がありました、中小企業庁が全国四十七都道府県に設置しております事業引継ぎ支援センター、これを中心に年間約千二百件程度をマッチングしております。本年四月には、このマッチングとそれから親族内承継、これは別途、事業承継ネットワークを持っておりますが、この機能を統合して、事業承継支援のワンストップ窓口を設置する予定でございます。
 他方で、二〇二〇年の休廃業の件数は非常に多くなって、五万件弱となっておりますので、更に一層に事業承継を進めていく必要があるというふうに考えております。
 こうした観点から、事業引継ぎ支援センターのデータベースを各都道府県のセンター間で共有するということに加えまして、金融機関、税理士、MアンドA仲介業者などの民間事業者にもこれを開放いたしまして、支援機関同士や圏域を越えた広域的なマッチング支援、こんなことも行っていきたいというふうに考えてございます。
 さらに、昨年十一月には、学識経験者、士業の方々に加えて、商工団体、金融機関、仲介業者などもオブザーバーとして御参加いただく検討会を設置してございます。中小企業の経営資源集約化を進めるために必要な官民の取組について検討を進めておりまして、中小企業のMアンドA支援市場の健全な発展に向けた取組を含めて、今年の春を目途に取りまとめも行う予定でございます。
 こういった取組を通じまして、あらゆる施策を総動員して、後継者不足に悩む中小企業を後押ししていきたい、このように考えてございます。

#160
○太田(昌)委員 ありがとうございました。
 税制はしっかり背中を押す、あるいは、そういう中で、是非とも、中小企業庁、各都道府県と連携の上、先ほどのワンストップ相談窓口あるいはデータベースの開放など様々な施策を講じる中で、後継者不足あるいはマッチング、そうした事業承継についての支援、一層の推進をお願いをしたいと思います。
 続きまして、住宅ローン控除の特例の延長等についてお伺いをしたいと思います。
 住宅着工件数の動向を見ますと、新型コロナウイルスの感染症の影響もありまして、令和二年八十一・五万戸と、令和元年の九十・五万戸から大きく減少している状況にあります。言うまでもなく、住宅建設は極めて裾野が広く、経済への波及効果も大きい産業でありまして、この局面で内需の柱となる住宅投資の喚起を図ることは日本経済にとって非常に重要であります。
 昨年五月の緊急事態宣言の解除後、住宅展示場来場者は徐々に持ち直しの動きが出てきておりまして、一部の事業者からは受注が持ち直してきたとの声も聞こえております。しかし、緊急事態宣言が再び発令されたことで、今後の見通しが不透明なものとなっていることは否めず、こうした中で、消費者の住宅取得環境をしっかり下支えすることがますます必要であります。
 このため、今回の改正案において盛り込まれました住宅ローン控除制度の特例の延長、住宅取得資金に関わる贈与税の非課税枠の引上げは、現下の経済情勢を踏まえると極めて重要なものと考えます。これらの措置の概要とその目的について、財務大臣にお伺いしたいと思います。

#161
○麻生国務大臣 太田先生、今回の改正案によって、新型コロナウイルス感染症の影響などで低迷が続いております住宅投資の購買層をその気にさせるとか喚起するために、経済対策という観点から住宅ローンの控除等々を改正しようというのが趣旨だという具合に理解をしております。
 具体的には、住宅ローン控除というものがありますけれども、この特例を延長して、一定の期間に契約をした場合には、来年、令和四年末までに入居した方を対象とするんですけれども、特例の延長分につきましては、合計所得金額千万円以下の人、以下の人ですよ、以下の人に限って、床面積が四十平米から五十平米未満である住宅について、これは、通常、今までは五十平米以上だったんだと思いますが、五十平米未満である方の住宅についてもこの控除を適用するということです。
 それから、住宅取得資金の贈与に係るいわゆる非課税措置のお話ですけれども、これは、令和三年四月以降の非課税限度額というものを拡大させていただいて、従来千二百万円だったものを千五百までに引き上げるということをやらせていただこうと思って、これによって低所得の方々の住宅取得というものの喚起につながればと思っております。

#162
○太田(昌)委員 ありがとうございます。
 ただいま、住宅ローン控除そして贈与税の非課税措置の二つの住宅取得に関わる支援措置、御答弁を頂戴したわけでございます。
 住宅取得に関しましては、これらに加えまして、例えば、すまい給付金であったり、グリーン住宅ポイント制度の導入などの予算措置も講じられているところであります。
 特に、グリーン住宅ポイント制度につきましては、東京圏から地方に移住する場合などにつきましては百万円相当のポイントと、ポイントの上乗せが発行されることになっておりまして、このコロナ禍の中で、東京からの一極集中打破といいますか、地方に移転をする、こうした地方創生の観点からも極めて重要なものであるというふうに考えております。また、テレワークの普及で、これは企業によっても東京オフィスの縮小が見られること、そうしたことから、こうした地方移住に対してこれもやはり背中を押す、そうした大切な政策であろう、こういうふうに考えております。
 厳しい経済状況にある中で、そうした地方移住などの動きも踏まえて、住宅取得を支援する効果、これを最大限に発揮されるためには、こうした税制上の措置だけでなく、予算措置も併せて効果的に取り組む必要があると考えます。
 こうした住宅取得の支援策全体につきまして、先ほど申し上げました東京一極集中の是正、地方創生の観点も含めまして、具体的にどのように進めていくものか、これは国土交通省にお伺いをいたします。

#163
○黒田政府参考人 お答えいたします。
 内需の柱であります住宅投資は、経済波及効果が大きいことから、議員御指摘のとおり、税制上の措置に加えまして、予算上の措置も効果的に講じることにより、住宅投資を喚起し、日本経済全体を回復させていくことが極めて重要であるというふうに考えております。
 このため、住宅ローン減税の特例措置と併せまして、令和二年度第三次補正予算におきまして、グリーン住宅ポイント制度の創設及びすまい給付金の給付に必要な財政上の措置を講じていただいたところでございます。
 特に、グリーン住宅ポイント制度につきましては、東京一極集中の是正、地方創生にも資するものとなるよう、東京二十三区在住、在勤世帯による東京圏以外への移住の場合には、一定の省エネ性能を有する住宅の新築についてポイントの上乗せを行うとともに、既存住宅の取得についてポイントを付与することとしているところでございます。
 また、住宅金融支援機構の融資制度におきましても、地方創生の観点から、公共団体と連携をいたしまして、移住者の住宅取得に対する地方公共団体の補助金等と併せまして、フラット35の金利を一定期間引き下げるということも講じておるところでございます。
 国土交通省といたしましては、こうした各種の住宅取得の支援策につきまして、できるだけ多くの皆様に御活用いただけるよう、住宅関連団体や住宅情報提供サイトなどを通じて周知徹底を最大限図ってまいりたいと思っています。
 また、東京一極集中是正や地方創生の観点からは、まち・ひと・しごと創生本部を中心とした関係省庁と緊密に連携をして対応してまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。

#164
○太田(昌)委員 御回答ありがとうございました。
 どうか、政策、先ほど来申し上げておりますとおり、地方への移転の流れ、しっかりと確たるものにするべく、更なる支援をお願いをいたしたいと思います。
 次に、子育てに関わる助成等の非課税措置についてお伺いをしたいと思います。
 今回の改正案におきましては、ベビーシッターや認可外保育所の利用などの子育て支援について、国や地方自治体が行っている助成を非課税とする措置が盛り込まれたものでございます。
 これまで、地方自治体の助成制度を活用し続けると、実際に所得が増えたわけでもないけれども所得税が課されてしまうということがあったわけです。
 例えば、これは東京なんですけれども、都内の十二区七市ではベビーシッター利用支援事業というのが実施されておりますけれども、東京都によりますと、年収五百万円の方が四月から十二月に月平均五十時間ベビーシッター利用支援事業を利用した場合は助成額百一万二千五百円となりまして、その場合の所得税、住民税の負担が二十万を超えるケースもあったということでございます。この結果、せっかくの地方自治体による子育て支援の取組が、課税がネックとなって利用がためらわれたり、子育て世帯の負担となったりするということが問題となっておりました。
 今回の非課税措置を多くの子育て世帯や関係者が心待ちにしてきたところでありまして、地方自治体の子育て支援助成措置をより快く利用してもらえるよう、公明党としても非課税措置の実現に奔走してきたところであります。
 改めて、今回の非課税措置の目的とその概要について、これも財務大臣にお願いをしたいと思います。

#165
○麻生国務大臣 これは、国が今、地方自治体等と、国含めまして、少子化対策を推し進めるという中で、子育ての家庭の保育、また、そういう関係に関わる負担軽減を図るという観点から、子育て支援のための助成を実施する動きがいろいろな各地で広がってきておりますのは御存じのとおりです。
 今回の改正案においては、子育て支援の観点から、いわゆる学資の支援金ですが、それから幼児教育、また保育教育等々の無償化によって国から受ける補助等々について非課税とされておりますのは御存じのとおりなので、そういった点を考えて、保育を主とする国とかまた地方自治体からの子育てに関わるいわゆる援助、助成等々につきまして、その得られたものに関しては所得税の非課税という措置を講ずるということにしておるということであります。

#166
○太田(昌)委員 ありがとうございます。
 御答弁いただきましたとおり、子育て支援の観点から前向きな措置であります。これは、利用者にしっかりと周知していくことが重要だというふうに考えます。
 非課税措置の対象ですが、これは子育てに関わる施設、サービスの利用料に対する助成ということでありますけれども、詳細は今後省令等で具体化することになるというふうにも伺っております。
 現状の方向性といたしましては、ベビーシッターや認可外保育所あるいは一時預かり、病児保育などの施設の利用料が対象となりまして、さらに、これらの助成と一体として行われる助成についても対象となる方向と聞いておりますが、各地方自治体が行っているそれぞれの事業がどうなるのか、分かりやすく利用者に伝えることが必要であるというふうにも思います。
 今回の非課税措置を踏まえまして、より多くの子育て世帯が地方自治体の助成を安心して受けられるように、厚生労働省において地方自治体と連携しながら利用者に具体的に分かりやすく伝えていく必要があると考えますが、厚生労働省の取組につきましてお伺いをしたいと思います。

#167
○岸本政府参考人 お答えいたします。
 今回の非課税措置でございますが、地方自治体等が行う子育て支援に係る利用料等の助成に係る所得税等を非課税とする措置を講ずることで、子育てに関する負担を軽減するとともに、地方自治体等の子育て支援策を後押ししようとするものでございます。
 御指摘のとおり、今後、事業の主体であります地方自治体と利用者、それぞれに周知を行っていくことが重要であると考えておりまして、厚生労働省といたしまして、非課税措置の内容や対象範囲に関する通知やQアンドAの発出、各都道府県等の子育て支援担当を対象にした全国児童福祉主管課長会議など様々な機会を通じまして、地方自治体に対し、今回の非課税措置の説明を行い、利用者への周知を依頼するなどしまして、丁寧な周知に努めてまいりたいと考えております。

#168
○太田(昌)委員 やはり、地方自治体としっかり連携をして、しっかりそれを利用する人に届けることが大事だと思うんですね。ですから、そういう意味では、今回の措置そして対象、そうしたものも、しっかり地方自治体と連携を取りながら、実際のいわゆる制度の利用者に届くように御尽力をお願いしたいというふうに思います。
 コロナはもとよりとしまして、我が国として抱える構造的な、やはり少子高齢化に立ち向かうための大切な施策だというふうにも認識をしております。どうか、厚労省の御尽力をお願いをしておきたいというふうに思います。
 次に、雇用の維持、確保の観点から、ちょっとお伺いをしたいというふうに思います。
 新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、採用計画を見直したり、あるいは見直しの検討に動いたりしている企業もこれは多々あるというふうに聞いております。
 こうした中で、新卒採用の低迷によりまして第二の就職氷河期をつくること、これだけは絶対に避けなければならないというふうに思います。また、雇用を守ることが個人消費の原資となる所得の下支えにもつながるという意味でも、これは重要であろうというふうに思います。
 この点、今回の改正案におきましては、従来、賃上げ・投資促進税制と呼ばれていた大企業向けの支援措置につきまして要件の見直しを盛り込んでいるというふうに承知をしております。また、中小企業向けの所得拡大促進税制につきましても、雇用を守る観点から要件の見直しが行われていると承知をしております。
 これら賃上げ・投資促進税制及び所得拡大促進税制につきまして、要件の見直しの内容とその狙い、また意義につきましてお伺いをしたいというふうに思います。

#169
○伊藤副大臣 お答えいたします。
 ポストコロナに向けた経済構造の転換、好循環を実現をするためには、雇用や生活を支えながら、成長分野への円滑な労働移動と、そのために必要な人材投資が重要であると考えております。
 こうした観点から、今先生御指摘のとおり、大法人向けの賃上げ及び投資促進税制につきましては、新規雇用者給与を増加させた企業を対象とするよう見直し、人材確保、人材育成を促すこととしております。また、中小企業向けの所得拡大促進税制につきましては、新規採用、離職の影響も含めた雇用者全体の給与等支給額の増加を要件とするよう見直すこととしております。
 これらによりまして、厳しい雇用情勢の中にあっても、雇用の維持拡大をより強力に促していきたいと考えております。

#170
○太田(昌)委員 ありがとうございます。
 さきのリーマン・ショックの後にいわゆる就職氷河期というのが発生をしまして、いまだに苦しんでおられる方がたくさんいらっしゃいます。突然のコロナ禍ということでございまして、今年も、春の就職の内定率も大変に下がってしまっているというのが実態であろうというふうにも思います。
 学生さん、大学生あるいは高校の、就職を目指す方々と懇談をいたしましても、先に進む、あるいは、今現在、友人と交流もできない、あるいはなかなか就職戦も思ったとおりのような形になっていないというような状況の中で、大変に苦労を抱えて、また、先行きの不安も抱えておられます。それは、今現在、一年生、二年生、まさに今年このコロナの中で入学した学生が将来に向けてやはり不安を覚えていることと全く同様であろうというふうに思っております。
 そうした大変に苦衷の声を聞くにつけ、やはり何としても、いわゆる第二の就職氷河期だけは絶対につくらないんだ、政治の責任としてしっかりそういう人たちの声にお応えをしていくんだということも、これはメッセージでもあろうかなというふうにも思うわけでございます。
 雇用調整助成金も、いわゆる緊急事態宣言が発出されて、翌月まで延ばすというふうな形になっておりますけれども、これ自体も、さて、その先、これで前倒しになったときに、四月、どうなるのかという不安を抱えている方もたくさんいらっしゃいますし、そういう意味で、雇用、そして雇用の維持、確保、さらに、就職氷河期、今の、まさにこれから新しい一歩を踏み出すそうした学生の支援のためにも、どうか、財務省の特段のまた税制における支援、さらに、これにおける中小企業に対しましての支援、心からお願いを申し上げたいというふうに思います。
 最後の質問になりますが、今回の改正案に盛り込まれているものではありませんけれども、納税猶予の特例の期限後の対応についてちょっとお伺いをしておきたいというふうに思います。
 午前中もちょっと、初めのところで御質疑等行われておりました。納税猶予につきましては、昨年、コロナウイルス感染症が拡大をして先が見通せない中で、とにかくできることは何でもやろうというようなことの中で、新型コロナ税特法において、事業者の資金繰り支援の観点から、無担保かつ延滞税なしで一年間納税を猶予するという異例の措置が設けられたものでございます。
 この特例、本年の二月一日でこれは終了をしておりまして、今、納税猶予の特例を受けている方の納付期限、順次これから到来することになるわけでございます。コロナ禍において、納税することによって事業継続や生活維持に支障を来すおそれがある方々にとってみれば、既存の納税猶予の制度が引き続き活用できることが非常に重要となっております。
 先日、今月の九日でございましたが、私、本会議でも質問をさせていただきました。その際には、麻生大臣からは、納税者の置かれた状況等に十分に配慮をして、積極的な周知、広報と迅速かつ柔軟な対応に努めてまいりたい、このような御答弁をいただいたところでございます。
 柔軟な対応ということでございますが、これは、分割納付を含めまして、個々の実情に沿ったきめ細かい対応が必要であろうというふうに考えます。改めて、特例猶予の期限後の対応について、具体的にどのように対応していくのか、特に、特例猶予の適用を受けている方への対応等も含めまして、御説明をお願いをしたいと思います。

#171
○伊藤副大臣 お答えいたします。
 国税庁では、特例猶予の申請期限が過ぎた後におきましても、既存の猶予制度をきちんと活用できるように、業界団体や関係民間団体を通じた周知を始め、あらゆるチャンネルを通じて積極的な周知、広報を図っているところでございます。これは、本会議での大臣からの御答弁と同様でございます。
 また、既に特例猶予を受けている納税者に対しましては、猶予期限が到来する前に個別に連絡をするとともに、引き続き新型コロナの影響により納付が困難という場合には、既存の猶予制度を御案内をさせていただいております。
 新型コロナの影響を受けている事業者に対して既存の猶予制度を適用するに当たっては、納税者個々の実情を十分にお伺いをしながら、事業継続に必要な運転資金の確保に配意するなどの取組を行っているところでございます。
 引き続き、納税者の置かれた状況等に十分配慮しつつ、迅速かつ柔軟な対応に努めてまいりたいと考えております。

#172
○太田(昌)委員 ありがとうございます。既存の制度ということで、換価の猶予とか、こういったことがあろうかというふうに思います。
 当然のことながら、昨年猶予していただいた方、即刻今年の納税も当然始まるわけでございますし、大変に今のコロナ禍、なかなか先が見えない中にあって御苦労されているということ、これが実態であろうというふうにも思います。
 今おっしゃっていただきましたとおり、既に今の制度を使っておられる方には、その返済が始まる前に個別に連絡をしていただきながら、既存の制度あるいは融資制度についての御案内をしていただいているということ、感謝を申し上げる次第でございます。
 どうか、今回の納税猶予、もう一年本当は延長していただければとちょっと心の中では思ったところでございますが、しかし、逆に言えば、何としても、この一年でコロナを克服して、日本の経済がまた回復の軌道に乗ることを御期待をし、そのための精いっぱいの支援を財務省そして各省庁にもお願いをして、私の質問を終わります。
 本当にありがとうございました。

#173
○越智委員長 次に、末松義規君。

#174
○末松委員 立憲民主党の末松義規でございます。
 まずちょっと、第一番目に、大臣にお聞きしますけれども、連日、大臣も御審議お疲れさまでございます。この一番目は、第一生命のやり手販売員が、十九億円という、そういった詐欺事件を起こしたということなんですけれども、私の方で今関心を持っているのは、その被害者の救済についてでございます。
 この前、被害者の方と弁護士さんが私の事務所に来られて、補償がなされずに非常に困っていると。それで、第一生命の方からもなかなかどうなるのかという見通しを示してくれないし、金融庁の方も対応が遅いということを私の方に言われて、実はその方は会社の経営者ということで、経営で、コロナの関係で、もう本当に、非常に財務状況も厳しいということで、いつ潰れるかということで夜も眠れないんだ、こういうことを言われておりました。
 この事件、もうちょっと詳しく言うと、第一生命の西日本マーケット統括部に在籍していた正下さんという社員、今何か認知症になっておられるという話ですけれども、この方がお客さんに、個人で、高金利が適用されるという特別枠があるんだ、これで運用すればいいじゃないかということで、架空の金融取引を持ちかけてお客さんから不正に金銭を取得していた。二十四名被害者がいるんですけれども、総額が約十九億円、こういうことなんですね。
 私の方でお聞きしたいのは、大体、実際に第一生命が、昨年の七月六日に警察に通報して、そして八月三十一日には被害者の損害額の約三割、これを先行弁済、補償しますということで、それは、被害者に対してそこは三割を支給したということなんですけれども、その後全く進んでいないということで、今裁判所で調停ということに持ち込まれているようなんですけれども、そこで、昨年の十月二日にこの件を世間に公表したということでございます。
 ここで、私の方で先ほど金融庁の方にも聞きましたら、金融庁の方で、昨年の十二月に、生命保険協会に対して、営業職員の管理というアンケート調査を行って、そこで、今年の一月に、協会で分析をして、今結果を出そうとしているということなんですけれども。
 やはり、コロナで本当に困っている会社の経営者等おられて、その被害者の方は数千万だまし取られたと言っていましたけれども、こういうことに対してちょっと私が思うのは、金融庁も対応が遅いんじゃないかと。大体、金融庁には昨年の七月ぐらいには情報が行き渡っていたと思うんですけれども、そういったことが一切、それから七か月間たって、この第一生命という会社の信用の中で、それを信じて、この被害者の方が信用されてお金を出した、これが詐欺に遭った、これはもっと早く救済ということに、金融庁もきちっとそれを十分の十しっかり補償しろということを言うべきだったんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

#175
○麻生国務大臣 これは、まず第一に、末松さんお分かりと思いますが、これは民民の話ですからね。最初から役所が介入しろというようなお話に聞こえますけれども、まず、民民の話だということをまず第一に頭に置いておいていただかぬと、下手にやりますとこれは介入になりますから。
 その上で、二十四名の顧客から長年にわたって十九億五千百万円というものの金銭を詐取したという事案、今の話なんですが、これは、金融庁は、現在、保険業法の第百二十八条第一項に基づいて、第一生命に対して、少なくとも、事案の全容解明をすると同時に、適切な被害者対応及び実効的な改善策の実施を求めているというのが今の私ども金融庁の立場であります。第一生命に対してですよ。
 今後の行政対応について、これをちょっと予断を持ってコメントすることは差し控えますが、大事なところと思うのは、これは第一生命においてまずは適切な被害者対応及び実効的な改善策が実施されるということが第一なんだと思うんですが、議員のように御意見もありますということはこれは重々認識をいたしておりますけれども、金融庁において、いわゆる当該者というか第一生命がきちんとした対応を行うようこれはしっかり確認をしてまいらねばいかぬというところが一番のところなんだと思っておるんですけれども。
 被害者の方々への弁償ということになってくるんだろうと思いますけれども、第一生命としては、今言われましたように、返済されていない金額の三割というものを先行していわゆる代替弁済を実施ということなんですが、三割を超える部分につきましては裁判所の調停手続を利用するということとしております。
 調停手続については、昨年の十一月から被害者へ案内を出して、一部の方々が了承、一部の方々が検討中ということを公表しているものだと承知をしておりますので、被害者の方々に対する弁償等につきましては、これは民民で決定をされるということになりますので、コメントをこれにしろと言われるのは、ちょっと私どもとしては差し控えないかぬところですけれども。
 一般論として申し上げれば、会社が被害者対応を適切に行うということが重要であると考えておりますので、この点につきましては、金融庁においてもしっかり確認をしてまいりたいと思います。

#176
○末松委員 事実関係は大臣のおっしゃっているとおりで、私の方で、こういう保険業界というのは本当にその意味で信用が第一であるし、第一生命で特定の社員が非常に特別の何か権威ある調査役になって、その信用でもってだまされたという話ですけれども、結構ほかの、保険業界全体にもそういう傾向があるという話も聞いているんですけれども。
 ただ、私の方としては、民民の話であることは百も承知なんですけれども、そういった中で、金融庁がそれに対して、こういったことが今後起こらないような、今取りまとめをされているという話ですけれども、そこはきちんとこういうことに対して、二度とあっちゃいかぬという中で、やはり何かのガイドラインとか、あるいは、少なくともこの被害者に対して、確かに裁判所が調停はしているところなんですけれども、ずっと長くかかるということは、例えば私のところに来た被害者なんかは大変な状況になっているわけですから、そういうことを踏まえながら、第一生命に対してもきちんとそこは、救済は急ぎなさいということは金融庁としても言えるんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

#177
○麻生国務大臣 生命保険会社の営業職員というのに詐欺というかそういった事案というのは、過去に時々発生をしておりますのは御存じのとおりなので。
 こうした中で、第一生命の元営業職員による詐欺事件というのは、これはまず十八年間という期間の結構長いのと、十九億という被害額がでかいのと、極めて、まあ優秀なんでしょうけれども、優秀な販売員が顧客との間の信頼関係を利用したというのが、ちょっとなかなか額も大きいし、そういった意味で特徴だったと思うんですが、現時点で、ほかの保険会社でこのような事案が発生しているというのを我々は捕捉していないんですけれども、とにかく、この事案を踏まえまして、私どもの方からは、保険会社に対して、営業職員に対する管理体制というのを改めて検証して、必要な対応を図るようにということは求めております。
 その上で、今、生命保険協会において、管理する会社の取組事例等の収集、共有等の検討をしているものと承知をいたしております。

#178
○末松委員 重ねて、この被害者に対して、本当に、金融庁としても、そういったことが早期に救済されるように、そこは促していただければと思っております。
 次に、インボイスについてお話をさせていただきます。
 今、インボイスの制度が令和五年の十月一日から開始されるんですけれども、大体、そこで、基準期間というのが二年間あるということで、実質的には今年の十月一日から課税事業者の登録ということになるわけでございます。
 実は、私が、個人的な体験で恐縮なんですけれども、ちょっとコンピューターの扱いがうまくなくて、三時間ぐらい一生懸命直していたんですけれども、結局、最後諦めて、コンピューターのお困り事を解決するレスキューのような仕事をやっている私の友達に頼んでやったら三分で直ったわけですけれども。
 その友達が言っていたのが、今度、非課税業者になるというのかな、一千万円以下ということで、自分としては、多分取引がこれから排除されて、自分の会社が潰れてしまうかもしれない、これも非常に暗い顔をして私に言っていたんですけれども、だから、このインボイスという制度を、是非ちょっとそこは延期、あるいは、できれば中止してほしいという、助けてくれという話もありました。
 こういった中で、いろいろと調べてみたら、やはり、まず一点目、売上高で見た場合、ちょっとこのコロナの状況でかなり売上げが下がって、非常に異常な下がり方をしている状況がありますので、そういった意味で、インボイス制度導入というのを早急にあるいは性急に進めるべきではないというのが私の一つの考え方であり、二つ目が、とにかくインボイスをやると、税の手続が非常に、伝票の集計作業とか保存、管理、適格性の確認とかの手間がかかって、更にコストの負担が大きいわけです。これはるる従来から指摘をされてきたわけですけれども、この追加の徴税コストを誰が負担するのか、できれば、紙ベースであれば、現在の領収書や区分記載請求書で十分対応できるんじゃないか、これを今ずっと、中小企業の方々を中心に私も何人も、多くの方から聞いてきました。
 そういった意味で、インボイス、これを、是非ここはもっと時間をかけてほしいというのと、もう一つはやはりやめてほしいということ、特に軽減税率の関係で本当に事務量が大変なんだということでした。
 三番目が、今政府の方でデジタル化を推進しているわけですけれども、できれば電子インボイスという形でこれから計画的にやっていくべきではないかということ、これも専門家あるいは実務家からも提案がございました。やはり、これから電子インボイスという形にしないといけない。それをやりながら、結局、紙というのをだんだんなくしていきながら、そういう電子インボイスできちんとやっていけばいいのではないか。ただ、電子インボイスというとまた若干時間がかかりますから、推進する、それとの間合いを計りながらやっていくということで、今性急に今の形でのインボイスというのをやるのはやはりちょっと早過ぎるという思いがいたします。
 これらの問題点について、御認識をいただきたいと思います。

#179
○住澤政府参考人 お答え申し上げます。
 インボイス、適格請求書ということでございますが、このインボイスは、標準税率と軽減税率という複数の税率が存在する下で適正な課税を行うために必要な制度ということで、御指摘のとおり、令和五年の十月から導入されることになっておりまして、諸外国の状況を見ましても、欧州諸国始め、付加価値税、日本の消費税に類する制度を導入している国におきましてはほぼ例外なく導入されている制度でございます。
 このインボイスにおいて税額が明確になるということで、中小事業者にとっての価格転嫁面でのメリット等々も期待されるところでございます。
 この制度の円滑な導入を図るという観点から、元々この制度設計を行いました際に、軽減税率の導入からインボイスの導入までの間に四年間の準備期間を設けるとともに、そこから更に六年間、免税事業者からの仕入れについて、インボイス制度の下でも一定割合仕入れ税額控除を認めるといったような経過措置が設けられているところでございまして、事業者の準備ですとか影響に配慮した制度設計が行われているところでございます。
 また、その事務負担の点で御指摘がございましたが、この点につきましても、様々な現行制度との接続に配慮した仕組みも設けられてございまして、例えば御指摘の税額計算につきましても、インボイスの下で、インボイス記載の消費税額を積み上げて計算する方式、これはヨーロッパ等で行われている方式でございますが、こういった方式と併せまして、これまでの日本の請求書等保存方式、帳簿方式の下で行われてきたような、帳簿上の税込み価格を税率で割り戻して税額を計算する現行方式によって計算することも可能というふうにいたしております。こういった様々な配慮も行われているということでございます。
 また、免税事業者の方が取引から排除されるのではないかと今御懸念の点でございますが、こういった点につきましては、その事業者の方が売手となる場面を想定いたしますと、顧客がその事業者である場合、BツーCの取引につきましては、そもそもこのインボイスの発行を求められるということはございませんので、そういった影響は基本的にはないだろうということでございますし、また、事業者間でこの取引を行う場合、BツーBの取引におきましても、買手の方が簡易課税を適用している事業者である場合、これは、今、課税事業者の中で簡易課税を選択されている方が三分の一以上でございますので、こういった方が仕入れを行う場合にはインボイスの保存も不要ということで、インボイスの発行を売る側が求められることもないというようなことでございます。
 いずれにしても、こういった制度の内容がきちんと周知されることが必要であろうかと思いますので、この周知、広報に努めるとともに、この制度の円滑な導入に向けて取組を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

#180
○末松委員 今局長が言われたBツーBの話で、三分の一は問題ないだろうと。では三分の二については、これについてはおっしゃりませんでしたけれども、これが一番大きな、取引から排除されるような、そういう慣行を生むんじゃないですか。

#181
○住澤政府参考人 お答え申し上げます。
 BツーBの取引で簡易課税適用でない方に売る場合、確かに仕入れ税額控除の面で影響が出る可能性はあるわけでございます。
 ただ、取引上の関係というのは、仕入れ税額控除ができるかできないかだけで決まってくるわけではございませんので、ほかの様々な取引条件を見て御判断がなされていくものというふうに考えております。
 また、そういった環境の中で、仮に現在免税事業者である方が課税選択をする、課税事業者になることを選択するという場合につきましては、先ほど二年前が基準期間というお話がございましたが、ここも、本来、免税事業者の方が課税事業者になる場合は、課税期間の開始前までに選択の届出をしていただくということなんでございますけれども、このインボイス制度が始まる一年目の年につきましては、課税期間が始まった後でも課税選択ができるという仕組みを設けておりますと同時に、仮にその課税選択をされる場合、売上が一千万円以下というような小さな事業者の方ですので、別途設けられております簡易課税制度というのを使うことが可能でございますので、仕入れについて面倒な記帳を行うことなく、売上についてきちんと記帳していただければ税額計算が可能だということで、事務負担の面でもそういった配慮が既に行われているということでございます。

#182
○末松委員 あなたのように、弁舌爽やかに全てがさっとうまくいけばいいんですけれども、大体一千万円でやっている方々の目から見たら、本当に事業は厳しいものですよ。何かあなたから見たら本当に、あなたは別に事業者をやっていないから彼らの気持ちはそんなに分からないかもしれないけれども、本当にやめなきゃいけないかどうかの瀬戸際に立って考えている人はたくさんいるんですよ。
 だから本当に、そこを周知するのと同時に、周知しても結局は大多数の方が解決できない場合、そういうことに対して丁寧に、やはりそこは更にこのシステムの設計をちょっと改善していただきたい。
 改善していただくということで、たしかあれでしたよね、この二十八年税制の改正法の附則の第百七十一条第二項で、こういう様々な、検証していく、そういう軽減税率導入後三年間の準備状況の検証というのが書いてあるんですけれども、こういうことに対して検証というのはなされたんですか。そこの結果というのはちょっと私は知らないんですけれども、それをちょっと言ってくれませんか。

#183
○住澤政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の平成二十八年の所得税法等の一部を改正する法律の附則百七十一条第二項におきまして、この軽減税率制度の円滑な運用及び適正な課税を確保する観点から、中小事業者の経営の高度化を促進しつつ、軽減税率制度の導入後三年以内を目途に、御指摘のような事業者の準備状況でありますとか取引への影響の可能性等について検証するという規定が設けられているわけでございます。
 現在まだこの導入後三年以内の期間内でございますので、現時点におきましては、事業者に対する周知、広報に努めながら、事業者からの様々な御疑問にお答えするということに努めてございますけれども、今後、この規定を踏まえた検証も行ってまいりたいというふうに考えております。

#184
○末松委員 その検証は、いつ頃結果を出すんですか。

#185
○住澤政府参考人 お答え申し上げます。
 この附則の規定におきましては、軽減税率制度の導入後三年以内を目途にとなってございますので、この規定を踏まえて対応してまいりたいというふうに考えております。

#186
○末松委員 是非そこは頼みますね、本当に。
 特に去年から今年にかけてコロナということで、景気のいいところはいいですよ、悪いところも、土砂降りもたくさんあるんだから、そこら辺を踏まえた、現実を踏まえた対応を是非そこはお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 ちょっと次に参ります。
 所得税法のMアンドAに関する税制上の措置の改正案についてなんですけれども、これはMアンドAをやりやすくするやり方だということで紹介されているんですけれども、例えば、欧米の大資本が出てきて、そこで日本のいい会社をばんばんばんばん買いまくっていく、MアンドAをやりやすくするということで、日本の優秀な企業がどうもそこで一挙に買われちゃうというのも、私も民族主義者の観点からいくと、なかなか看過し得ないという懸念もあるわけですけれども、その辺については、是非その不安を答弁で解消していただけますか。

#187
○住澤政府参考人 お答え申し上げます。
 今回のこの株対価MアンドAに関する措置でございますが、これは、本年の三月一日から改正会社法が施行されまして、株式交付制度というのが創設されるということに伴った措置でございます。
 この会社法上の株式交付制度でございますが、今御指摘の欧米の大資本というのは外国法人のことを意味されるということであれば、外国法人はこの株式交付制度を利用することはできないという制度のたてつけになっているというふうに承知しておりますので、本税制も国内法人が買収法人になる場合を念頭に置いた制度になっているということでございます。

#188
○末松委員 いや、ただ、欧米の大資本、欧米でなくてもいいですよ、中国の大資本が、日本の法人の企業という形にしておいて、そういう子会社をどんどんつくって、その子会社がばんばんばんばん買い占めるということはあるわけでしょう。今のあなたの答弁は、直接買う場合は、なかなかここはそういう法律的なたてつけになっていない。では、そういう日本の子会社がどんどんこの外国法人の意向を受けて買った場合、間接的な支配を受けた場合、それについてはどうなんですか。

#189
○住澤政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、間接的な支配がある場合というのはあるわけでございますが、元々この税制上の制度をつくります際に、資本の所有者によって国内法人の取扱いを異なるものとすることがそもそも適切であるかどうかという問題がございますし、それに加えまして、実務上の問題として、今回の措置は、買収の対象会社、買収される対象会社の株主に対して課税の繰延べを認めるという制度になっているわけですが、この対象会社の株主が買収する側の株主の資本の所有者を一々確認していく、しかもそれも、親法人でありますとかそのまた親法人といった系列をたどるということも実際上は必要になってくるわけでございますので、そういったことは実際上困難であるということでございまして、したがいまして、先ほどの会社法上の対象と併せて、国内法人を買収会社とするMアンドAを対象とする、そういった制度になっているわけでございます。

#190
○末松委員 ちょっと一言いいですか。確認ですけれども。
 結局、そういった間接的な統治の場合は、これは、そのまま、チェックもできないし、そういった意味で、できる、要するに、間接的な支配というのは十分にできますよ、こういうことですよね。それをイエスかノーかで言ってください。

#191
○住澤政府参考人 そういった場合も、この適用を排除してはいないということでございます。
 なお、外為法上のそういった外資による買収等に関する規制についてはまた別の問題でございます。

#192
○末松委員 そこはちょっとそういった意識で、間接的な買収が大きな資本からなされる、欧米、中国、そういうところも、是非ちょっとそこは念頭に置きながらやっていただきたいと思います。
 次に移ります。
 電子帳簿について、やはり、訂正などの履歴というんですか、これが必要だということで、財務省の説明では、これは実際に、改ざんとかああいうものを防ぐために、今余り普及していないので、だから取りあえず罰則を強化して、それが、一応、ソフトでそういった改ざんができないようにするという仕組みよりも、まず罰則を強くしてそして改ざんを予防するという点がメインなんですというお話を聞いたわけですけれども。
 それはそれで一つあるんですけれども、先ほど住澤主税局長が言ったように、例えば、さっきのインボイスは全世界的に行われていますよということで承ったんですけれども、例えば世界の会計ソフトなんかで、中国とか欧米で、これも訂正等の履歴を残して改ざんができないようにする、こういうソフトそのものは全世界的に普及していると私は聞いているんですね。
 だから、そういった意味では、やはり改ざんができないようなことをきちんとシステムとしてやらせるのが私は原則、筋だと思うんですけれども、それはいかがでしょうか。

#193
○住澤政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の改正の内容についてまず御説明いたしますと、今般、電子帳簿保存法を改正するわけでございますが、その中で、訂正履歴の保存等の現行の厳格な要件、今御指摘のあった要件でございますが、これを満たさない電子帳簿の中で、正規の簿記の原則に従っているという条件がまず一つ、それから、税務調査の際に税務職員が行います質問検査権の行使に応じまして、ダウンロードを求めるということをいたしました場合、それに応じていただけること、こういった要件を、一定の要件を満たす場合に、紙に印刷することなく電子帳簿としてこの電子データのまま保存するということを可能にする改正でございます。
 これと併せまして、御指摘のようなトレーサビリティー、いわゆる訂正履歴の保存ということも重要な課題でございますので、そういった要件を満たしている現行の電子帳簿保存法の下での電子帳簿、これにつきましては、優良な電子帳簿という位置づけにいたしまして、過少申告加算税を軽減するなど、そういった普及を促進するためのインセンティブ措置を講じるということにいたしているわけでございます。
 こういった帳簿の保存につきまして、全ての事業者に対して訂正履歴の保存ということを義務づけることに関しては、事務負担の問題でありますとか、そういった対応をしているソフトのコストの問題等々もございますので、今後検討していくべき課題であるというふうに考えてございます。

#194
○末松委員 事務負担とか、それは確かにある程度かかると思うんですけれども、世界の、事務負担というかな、ソフトの利用のコストなんかを見ても、そんなに極めて重い負担という感じでもないんですね。
 だから、そういった意味では、原則は、きちんと、そこは改ざんできないような、そういったトレーサビリティーがしっかりできるように、これが世界の常識ですよね。トレーサビリティーができるというのが一番重要なので、是非そちらを本当に原則にするような形でやっていただきたいし、もしコスト負担でみんなちょっと、なかなかためらっているというのがあれば、このトレーサビリティーをやるということは会計の非常に基本的な、基本の基本ですから、是非そこを、政府の方でもそういったものに対してある程度支援をする、そういうことを最初の間はやるべきだと思うんですけれども、いかがですか。

#195
○住澤政府参考人 お答え申し上げます。
 我が国の電子帳簿保存の現状でございますけれども、先ほどから議論になっております訂正履歴の保存、トレーサビリティーを満たしたものしか電子帳簿の保存が認められていないということで、全体で、個人、法人を合わせまして八百万以上の事業者がおられる中で、この電子帳簿保存の利用件数というのは二十万件程度にとどまってございます。極めて少数であるということでございます。その背景には、その手続負担の問題もございますが、そういったコストの問題もあるということだろうと考えております。
 そこで、こういった今回の改正をいたすわけでございますが、今後の課題といたしまして、先ほど申し上げましたように、電子帳簿の信頼性の向上でありますとか、そもそもの記帳水準の向上ということは非常に重要な課題でございますので、引き続き、御指摘も踏まえて検討してまいりたいと思います。
 そういった中で、先ほどお話が出ました電子インボイスの問題についても、今、民間の電子インボイス協議会において様々な検討が行われておりますが、こういった動向も見ながら検討をしていきたいというふうに考えてございます。

#196
○末松委員 是非そこもよろしくお願いします。
 またちょっと次のテーマに移りますけれども、今、私も、本当にコロナに対する対応の予算が膨大になって、ちょっとこれは、先ほどからPBバランスとかいろいろと言われていますけれども、本当に大変な状況の中で、やはり、逆に国税の方々の人数を増やして、これは取れるところからもしっかり税金を取るというのが重要だ。
 私は、関税職員を増やしていくということのために、本当に、ある意味では税金をもっともっと取れるところから、人を、調査官を増やして税金を取っていくということは必ずしも悪い発想ではないと思いますし、また、消費税の不正還付とかあるいはシェアリングエコノミーなどの経済活動に関する調査で、多額の税金の申告漏れというのが発覚したということで報道もありました。
 ちょっと関係者に聞いてみたら、昔、一〇%を超えていた法人実調率というんですか、が最近は三%前後になっていると。本当に低くなっているんですね。また、所得税の実調率というのは一%程度。だから、法人については大体三十三年間に一度、あるいは個人に対しては百年に一度しか税務調査が入らないよ、こういうふうな厳しい、情けない状況にもなっているんですけれども。
 こういうことは、やはりきちんとこれからの税収を確保するためにも、税制に関わる、税務に関わる職員、国税の調査官等の、そういう実員をきちんと手当てしていくということが必要と思うんですけれども、そこは大臣に御質問します。そこは是非よろしく対応していただきたいと思いますけれども、いかがですか。

#197
○麻生国務大臣 国税庁関係というか国税の職員を増員すべきじゃないかというお話なんだと思いますが、これは今、経済活動が国際化したり、ICT化とかいろいろな表現はあるんだと思いますが、調査とか徴収の事務が昔に比べて複雑になってきて、いわゆる税務行政を取り巻く環境は厳しくなっておるというのは事実だと思いますね。
 こうした中で、適正とか公平とかいう課税を、徴収を引き続き行っていくためには、これは税務というか税の執行をする体制の強化を図っていくのは重要なんだ、私どももそう思っておりまして、令和三年度の予算案におきましては、軽減税率制度の実施への対応、租税回避等、これは例のBEPSなんか全部入っていますけれども、への対応、それから税務手続のデジタル化の、新しい日常ですかね、その実現に向けた対応、そして、今、日本産のお酒等々の酒類の輸出促進、これも税務職員に関係するんですけれども、こういうのを図っていくために所要の体制というのを織り込むため、国税庁の職員につきましても四十四名の純増を計上させていただいております。
 財務省として、引き続き、この現場の状況も見極めながら、国税庁につきましても必要な定員というものをしっかり確保してまいりたい、そういうふうに考えております。

#198
○末松委員 そこは本当によろしくお願いしたいと思います。
 最後に、ちょっと最近の株価、非常に、三十年ぶりに三万円を超えて更に上がっていく。アメリカもそうですよね。史上最高の株高になってきているんですけれども、これはちょっと実体経済を見ると、これも何人も質問しておられますけれども、本当にこれはバブっているんじゃないかと。
 実体経済はそんなにいいのかというと、いいところはいいんだけれども、かなりのところは土砂降りになっていて、どうも株価とこの実際の経済の実態が乖離していて、これは私から見たらバブルじゃないか、こういうことで、バブルということであれば今度は落ちるという危険性があって、これまた一九九〇年ちょっとですかね、そのぐらいに我々が経験した、もう本当に大変なあのバブルの崩壊ということ、これまた日本経済を、大きくショックを起こさせるということなので、これについて、今、内閣府ですか、答弁をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。

#199
○村山政府参考人 株価についての御質問をいただきました。
 このところ株価が大きく上昇していることについては承知しておりますけれども、金融市場や株価の水準そのものについてのコメントは差し控えたいと存じます。
 株価は様々な要因によって決まるものでありまして、一概に申し上げられませんけれども、株価には、現在の企業収益また資産に加えて、将来の企業収益が反映されると言われております。また、株価には、景気に半年程度先行する指標とも言われておりまして、日本経済への先行きの期待も含まれていると見ております。
 御質問いただきました、いわゆるバブル期と最近の株価の動きについてということでございますが、市場関係者や専門家は、株価水準に関する目安として、株価や企業収益を比較する指標、株価収益率、PERと言われております、また、株価と純資産を比較する指標、株価純資産倍率、PBRと言われています、こういった指標を参照していると承知しております。
 そこで、こうしたデータ、日本取引所のデータから比較してみますと、PERにつきましては、バブル期の平均六十倍程度にあったのに対しまして本年は二十八倍程度。PBRにつきましても、当時四・三倍に比べまして最近は一・六倍程度。このように、いずれの指標も、足下の値はバブル期に比べて相当程度低い水準にあるというふうに見ております。
 こうしたことからも、いずれにしても、平均株価には、個別企業の動きだけではなく、我が国経済に対する国内外の投資家の評価や先行き期待といった景気モメンタムも反映されていることから、今後とも注視してまいりたいと思っております。

#200
○末松委員 終わります。ありがとうございました。

#201
○越智委員長 次に、日吉雄太君。

#202
○日吉委員 立憲民主党・無所属の日吉雄太です。よろしくお願いいたします。
 本日は、所得税法等の一部改正案の審議ですが、まず初めに、基本的事項を幾つか確認させていただこうと思います。
 長い間、日本はデフレにあえいでおります。そんな中で、景気を回復するためにインフレ目標を持って取り組んでいるわけですが、なかなかこれを達成することができません。
 最初に、日銀さんにお伺いいたします。
 インフレを引き起こすための要因、一つは貨幣の流通量を増やす、一つは需要を増大していく、このようなことが考えられますが、これについて簡潔に説明していただけますでしょうか。

#203
○清水参考人 お答え申し上げます。
 物価上昇率につきましては、短期的には様々な要因の影響を受けますが、やや長い目で見ますと、物価の動きは、第一に、経済全体の需要と供給のバランスであるマクロ的な需給ギャップと、第二に、景気が通常の状態のときに物価がどの程度上昇すると人々が予想するかを示す中長期的な予想物価上昇率、この二つによって決まるというのが標準的な考え方でございます。
 現在日本銀行が行っております金融緩和も、こうした標準的な考え方に沿った政策でございます。すなわち、イールドカーブコントロールの下で金利を低位に安定させると同時に、インフレ率が安定的に二%を超えるまで、マネタリーベース、これは中央銀行が提供します、供給します通貨量でございますけれども、その拡大方針を継続することを約束したオーバーシュート型コミットメントで人々の予想物価上昇率を引き上げることを企図してございます。これらを通じて、名目金利から予想物価上昇率を差し引きました実質金利を引き下げることが金融緩和の起点となり、需給ギャップの改善、さらには物価上昇につながってまいります。
 実際、実質金利は低位で推移する下で、資金調達コストの低下などを背景に、金融機関の貸出しは増加を続けてございます。そうした下で、需給ギャップは二〇一七年にははっきりとプラスに転じた後、プラス幅を拡大いたしました。
 こうした良好な経済環境の下で、デフレ期には見られなかったベースアップが七年連続で実現するなど、賃金も緩やかに上昇し、物価が持続的に下落するという意味でのデフレではない状況になったというふうに考えてございます。

#204
○日吉委員 デフレではない状況ということですけれども、それは少し後でお話をさせていただくとしまして、今、日銀さんのお話の中で、マネタリーベースを増やすことによって民間金融機関の貸出しを刺激して、マネーストックベースの貨幣を増やしていく、これによって需要、需給に対応していく、こういったことで物価が上昇していくような説明を受けたと理解いたしました。
 その中で、民間金融機関が貸出しをすることで貨幣を増加していくということが行われるんですけれども、今日お配りした資料を御覧いただけますでしょうか。
 ここで、二番に「民間金融機関の貸出」という、この1、2のところを少し御説明させていただきますと、民間金融機関が貸出しをすると、民間非金融機関においてお金、預金が入ったので、資産という預金が計上されるとともに、将来返さなければいけない借入金という負債が計上されることになります。また、金融機関の方では、貸出金という資産、将来お金が返ってくるという資産が計上されるとともに、預金という将来要求があったら払わなければならない負債が計上されてくることになります。ここで、民間非金融機関のところで預金が計上されているということで、貸出しをすることによって、世の中に預金というお金が、貨幣が増えていくということがまず一つ挙げられます。
 こういう理解で貨幣が増えていくということでよろしいでしょうか、金融庁さん。

#205
○和田大臣政務官 お答え申し上げます。
 銀行による信用創造につきましては、銀行が企業等に貸し出し、その資金が貸出先の企業から銀行に預金をされて、それをまた銀行が貸し出すということの繰り返しを通じまして、元の数倍の預金や貸出残高となるというふうなことと承知をしております。
 議員まさに御指摘のとおり、銀行による信用創造が円滑に行われることは、預金などの信用貨幣を増加させるものでありまして、円滑な金融仲介機能により様々な経済活動を支えていくといった観点から、金融の重要な機能というふうに考えてございます。

#206
○日吉委員 ありがとうございました。
 もう一つ確認させてください。
 この表の五の一に「政府支出」というところがあるんですけれども、これを見ていただきますと、日銀さんや民間金融機関の振替の処理はありますけれども、それを除いて考えると、政府が政府預金を支出して純資産を減らすことによって、民間非金融機関では預金が増えて純資産が増えるという、ここでもお金が増えていくことになると思いますが、財務省さん、財政支出をすると世の中にお金が増えている、結果的にそういうことでよろしいでしょうか。

#207
○伊藤副大臣 お答えいたします。
 マネーストックは、企業や家計などに供給されている現預金等の大きさを示すものであります。経済・物価水準、金利水準などを踏まえた銀行の与信行動、企業や家計の資産選択行動など、様々な要因によって決まってくるものと理解をしております。
 政府がその保有する預金を用いて国内の非金融法人や家計などに対して支出を行う場合には、その時点で当該法人、個人等の保有する現預金の額が増加することによって、その金額の分だけマネーストックが増加することとなります。
 一方で、政府は、こうした支出を行うために必要とされる政府預金を得るために、租税の徴収や国債等の発行を行う必要がございます。その過程において法人、個人等の保有する現預金の額が減少する場合には、その金額の分だけその時点においてマネーストックが減少することになります。
 このように、財政支出がマネーストックに与える影響については、そのための資金調達手段等によって異なることから、一概にお答えすることは困難と考えております。
 なお、政府が支出のために発行した国債を銀行が購入する場合には、銀行による信用創造を通じてマネーストックの増加につながることになりますが、あくまでも金利水準等を踏まえた金融機関の主体的な判断によるものであることに留意が必要であると考えております。

#208
○日吉委員 今のお話で、この表でいう五の一の「政府支出」、これを行うと、お金は確かに増えます。その一方で、五の二の「徴税」を行うと、税収によってお金は減ります。その大小によって結果的にマネーストックが増加するか減少するかというケースがあるという御説明だったと思いますが、ただ、支出すると増えます、税収が上がると減ります、こういうことは単純に言えるのかなという基本的なところを確認させていただきました。
 それで、もう一度日銀さんにお話を伺いたいんですが、量的緩和を行ってきました。これを行ってきたんですけれども、なかなか目標のインフレ率に達しないわけなんですけれども、これは何ででしょうか。

#209
○清水参考人 お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたとおり、日本銀行が大規模な金融緩和を続ける下で、デフレではない状況とはなりましたが、二%の目標は達成されてございません。
 その背景には様々な要因がございますが、まず、我が国においては、予想物価上昇率の形成において過去の物価動向の実績に引きずられる傾向があるという、いわゆる適合的な期待形成のウェートが大きいという点がございます。その下で、二〇一四年以降の原油価格の大幅な下落などによって、それまで上昇していた予想物価上昇率が再び落ち込んだことがございます。
 また、足下では、感染症の影響により、物価に下押し圧力が加わってございます。
 さらに、より根本的な要因としましては、長期にわたる低成長やデフレの経験などから、賃金、物価が上がりにくいことを前提とした考え方や慣行が家計や企業に根強く残る下で、企業の慎重な賃金、価格設定スタンスが明確には転換していないということも指摘できます。
 また、弾力的な労働供給や、企業の生産性向上の余地の大きさなども、物価上昇に時間がかかる要因となってございます。
 そのように考えているところでございます。

#210
○日吉委員 いろいろな要因を御説明いただきました。
 またちょっとこの表を見ていただきたいんですけれども、要は、量的緩和をした場合にお金が増えるのは、一義的にはこちらの日銀、政府、金融機関、ここのお金が増えるのであって、民間非金融機関のお金というのは直接増えるわけではなく、例えば、こちらの金利が下がることによって貸出金利が下がって借入れがしやすくなる環境が整う、こういうことで民間非金融機関の借入れが増えていくことはあるのかなとは思うんですけれども、直接、量的緩和によって世の中にお金を増やすことができないことが一つ要因なんじゃないのかなというふうに考えております。
 そんな中で、次の質問なんですけれども、借入金が全くない世界というのは、ある意味、お金がない世界になってしまうので、資本主義の前提として、借入れが行われているということが不可欠なのかなと思っております。
 なので、ちょっと、借入金がない世界というのはどういう世界なのかを御説明していただいた上で、借入金を増やしていくにはどうしたらいいのか、何か手段があるのか、教えてもらえますでしょうか。民間の金融機関の、借入れを増やしていくためにできることというのは何かあるんでしょうか。

#211
○和田大臣政務官 お答え申し上げます。
 御質問で想定されているような、銀行による貸出しが行われず、企業がお金を借りず、信用創造が円滑に機能しなくなった場合でございますけれども、委員が御指摘のとおり、世の中にお金が出回らなくなり、経済活動の大幅な縮小を招くなど、社会にとって大きなマイナスをもたらすというふうに想定をしております。
 このため、繰り返しになりますけれども、銀行貸出しや企業の借入れを通じた信用創造が円滑に行われることは、円滑な金融仲介機能により様々な経済活動を支えていくといった観点から、金融の重要な機能だというふうに考えてございます。
 こうした円滑な信用創造機能が経済全体として損なわれることのないよう、政府としては、現在のコロナ禍におきましても、官民金融機関に対して、事業者のニーズに合った迅速かつ積極的な新規融資等の実施、これを要請するとともに、官民の実質無利子無担保融資等を通じて、事業者の資金繰り支援に万全を期すように努めているところでございます。
 それで、去年の五月からの、とりわけ実質無利子無担保の融資の貸出残高の推移なんですけれども、政府系の金融機関につきましては、去年の五月末において約七兆円だったものが、今年の一月末時点では十五兆円と、倍増以上してございます。民間金融機関におきましては、三兆円だったものが十七兆円というようなことで、ここら辺の融資の幅というものをかなり増やしてきているといったことを併せて御報告申し上げます。

#212
○日吉委員 今御説明いただきました、借入れを増やすためのサポートをする制度というのはいろいろ整っているのかなとは思うんですけれども、直接借入れをする必要性がないところで借入れを増やしていくという手だてというのは、なかなかないんじゃないのかなという思いがあります。
 そしてもう一つ、財政赤字が大きくあるわけなんですけれども、先ほどの話ですと、財政赤字というのは収入よりも支出が大きいから起こっているわけなので、世の中にお金が多く行き届いているのかなと思うので、それはどちらかというとインフレにつながっていくのではないかなと思うんですけれども、財政赤字が多いのになかなかインフレになっていない、インフレ目標を達成できていない、この理由は何でしょうか。

#213
○麻生国務大臣 これは先生、財政赤字とインフレのリスクに関するお尋ねなんですけれども、インフレというのは、いわゆるマクロ的な需要と供給の関係とか、家計や企業のインフレに対する予想等々、様々な要因によって決まってくるものなので、財政政策との関係のみを取り出して議論するというのはちょっと困難だと思いますね。
 足下でインフレ率が低い水準にとどまっている理由、これだけ日銀がお金を印刷しながらもというのは、これは日銀としてみれば、長期にわたります低成長、加えてデフレなどの経験などから、企業のいわゆるマインドとか家計を預かっている主婦のマインドというものが、これまでずっと続いてきていますので、なかなか変わらない、変わりにくいということもあるんだと思います。
 加えて、企業において、賃金がこの七、八年、間違いなく一%、二%で、いわゆるベアというか、ベースアップのという言葉で言えば確実に賃金は上昇をしておりますけれども、価格設定等々のスタンスが企業ははっきりしていませんから。
 そういった要因が挙げられて、結果として、これだけお金が、ヘリコプターマネーでばらまけば物価は上がるなんて言っておられた方も随分おられましたな、昔は。昔はといっても、まだいますけれども。そういう人もおられますけれども、現在、現実問題としてはそのようになっていない理由と言われれば、多分そういうことなんだと思うんですけれども。
 その上で、私どもが懸念するのは、仮に財政運営というものに対する信認が失われる、マーケットからの信頼が損なわれる、結果として日本の国債とか円とかいうものに対する信認も失われるということになれば、これはインフレということも含めまして、経済、財政、また国民生活に多大な影響が及ぶということは十分に起こり得る話だ、私どもはそう思いますね。
 したがいまして、財政運営というもので言わせていただくと、市場に対する、市場における信認というものが将来にわたって続いていくように、失われないように、社会保障の改革とか経済再生とか財政再建とか、いろいろなものを全部取り含めて安定したものにしていくということにしていって、その中で確実に、経済が成長に伴って、インフレもそれに伴って少しずつ少しずつというような形が我々としては望ましいとは思っておりますけれども。
 片っ方、国際情勢を見ましても、行きつつあると思うと、途端に石油の値段がぼんと下がってデフレになってみたり、なかなか、国際的なものを見ても、我々が期待するような形でインフレにはなっていない。これは日銀も同じような悩みなんだと思いますが、そういったような状況に置かれていると理解しております。

#214
○日吉委員 今、財政政策だけでインフレは説明できないということでしたけれども、幾つか私の方から申し上げますと、お金が貯蓄に回るとかでなかなか動いていないというのが一つ。あと、プライマリーバランスの黒字化を目指していくということは、税収の方が多くて支出の方が少なくなるわけですから、それ自体は世の中のお金を少なくする政策になっている。
 消費税も増税しました、消費税に限らずですけれども、税収を増やすということは世の中のお金を減らしていくということになりますし、特に消費税の場合は、消費意欲を減退させるという意味でまたお金が使われにくくなるというような流れがある中で、一緒にデフレに向かうような、インフレとは反対の方向の政策を行ってしまっているからではないかなと思うんですけれども。
 質問ですが、今申し上げたプライマリーバランスの黒字化というのは、世の中のお金を減らす方向に働く政策に結果としてなりますね。これを確認させてください。

#215
○麻生国務大臣 これは御指摘のとおりなんですが、足下で国と地方というもののプライマリーバランスというものが赤字になって、政府は借入れ過多という状況にある一方で、家計と企業は貯蓄過多ですから、そういった状況が続いているということが今置かれている状況です。
 したがいまして、財政の持続可能性を維持するためには、政府の借入れ超過というものを解消していくと同時に、消費とか投資の拡大につながる経済の好循環というものを実現していくという中で、民間の中における貯蓄過多というものを減少させていくということが期待される、いわゆる消費が起きるということだと思いますが。また、消費を促進するためには、賃金が上がるとか、いろいろなことがあります。
 こうした民需主導の経済成長を実現する中においては、やはり緩やかなインフレが期待されているのであって、PBの黒字化目標のみを切り取ってデフレ的かどうかというのを論じることはちょっと適切じゃないと考えております。
 いずれにいたしましても、今後とも、金融政策とか財政政策とか成長戦略等々、そういったものを一体的に進めていく中で、デフレ脱却というものを確実にして、持続的な経済の成長と持続可能な財政構造の再確立とか、そういったものに取り組んでいかなければならぬということだと思っております。

#216
○日吉委員 今大臣から、質問に対して、PBの黒字化はデフレに向かうような政策だ、それはそうだ、でも、それだけで決まるわけではない、そういうお話だったと思います。確認できたのは、PB黒字化がデフレに向かう政策だということが確認できたのと、そうすると、税収の増加というのもデフレに向かうものだということであり、貯蓄についてもお話をいただきました。
 ちょっと国債について触れさせていただきますけれども、国債残高がどんどん増えているんですけれども、国債の金利というのはどんどん下がってきております。これは先ほどほかの委員の方が幾つか御説明されていましたけれども、これについてどのように理解をされているのか、教えてください。

#217
○伊藤副大臣 お答えをいたします。
 国債の発行額は、国債金利に影響を与え得る要因の一つではありますけれども、国債金利は、経済財政の状況や海外の市場の動向など様々な要因を背景に市場において決まるものであり、また、その動向についてコメントすることは、市場への無用の混乱を生じさせないことから、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思っております。
 発行当局としては、引き続き、国債市場の状況や投資家の動向等を注視しつつ、市場関係者との丁寧な対話を行いながら、適切な国債管理政策に努めてまいりたいと考えております。
 最後に、一般論としてですが、国債発行額が増加をしますと、国債市場での需要が緩み、国債の利回りの上昇圧力にはなるというふうに考えております。

#218
○日吉委員 上昇圧力にはなるというお話ですが、実際の数字としては下がっているという現実がありまして、そこの解釈として、この表の、国債を発行しても政府が財政支出をしないと世の中にお金が増えないと思うんですけれども、財政支出をすることによって国債の残高が増えるということは、政府の財政支出でお金が増えている、だから国債の金利、利回りが下がっていて、国債の価値自体は高いままであるのかなというのが一つの要因じゃないのかなということを申し上げさせていただきます。
 それと、先日、長谷川委員も質問されておりましたが、ちょっと念のため確認させてください。
 平成十四年四月三十日付「外国格付け会社宛意見書要旨」におきまして、「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。」というのは、この意味合いは、経済自体が過度なインフレが起こるということがあるかもしれないけれども、国債自体を償還できなくなることは自国通貨建てで貨幣発行権がある日本においてはない、形式、形としてのデフォルトということ、償還することができなくなることはない。ただ、政府が償還をやめようというような、こんな意思決定をすれば償還できなくなりますけれども、そういうことがない限りは償還できなくなることはない、こういう理解でよろしいですか。

#219
○伊藤副大臣 お答えいたします。
 先日の委員会でも事務方からお答えをさせていただいたとおりでありますが、御指摘の意見書は、二〇〇二年、平成十四年に、日本国債の格下げの理由についてより客観的な説明を求める中で、格付会社がデフォルトとしていかなる事態を想定しているのか説明を求めたものでございまして、日本の財政健全化の必要性を否定したものではもちろんありません。
 現在のところ、市場では大量の国債が低金利かつ安定的に消化をされておりますが、市場は、これまで大丈夫だからといいまして、明日以降も大丈夫という保証は残念ながらありません。財政運営に対する市場の信認が将来にわたって失われないよう、社会保障の改革など経済再生と財政健全化の両立に取り組むことで、経済、国民生活の混乱が万が一にも生じないよう全力を尽くすことが我々の責任であると考えております。

#220
○日吉委員 ちょっと私の質問に直接お答えいただけなかったのかなと思うんですけれども。
 過度なインフレとか、そういうことは多分、起き得るとは思うんですけれども、可能性としてはあると思うんですね。でも、形式的、形として償還は多分できるんじゃないのかなということを申し上げさせていただきます。
 その上で、時間がなくなってきましたが、財政規律、プライマリーバランスの黒字化、そして対GDP比債務残高比率を引き下げていく、これを、目標が達成されたときに、何年先になるか少し分かりませんけれども、そのときにどのような社会になっていると思われますか。
 ちょっと具体的な話というのは難しいかもしれないですけれども、イメージで結構なので、お答えいただけますでしょうか。

#221
○麻生国務大臣 ちょっと漠然とした御質問なのであれなんですけれども。
 財政健全化の目標についてですけれども、これは経済再生と財政再建というものを両立させる中で進められていくべきものなんだ、私どもはそう思っているんですが、健全な財政状況というものを実現するためには、今は何といっても、日本の場合は急速な少子高齢化というのが進行しておりますので、国民の安心、安全というものを、心というか気分というものを安心させる意味で、社会保障の安定、今の社会保障制度の安定とかそういったものをきちんとやる必要があろうと思いますし、高齢化に対応する必要があるんですが、そうした国民の将来への安心というのは、安心すると消費が起きますし、少子高齢化というのは、もう一人ぐらい産んでも大丈夫かなと思ってみたり、いろいろな形で、安心というものは少子化対策とか消費促進というものにもつながっていくんですが。
 財政余力というところで見ますと、私どもとしては、大規模な災害とか今回のような感染症とかその他将来のリスクというのを、いろいろな意味で強靱な、力のある経済財政の構造というのを確保していくということが確実にできるということが期待されているのであって、そこがないと、何となくちょっと、自分でやらないかぬとか、将来はとかいうことになりますし、八十歳ぐらいまでだと思って貯金したら百歳までということになれば、それはまたちょっと予定が違ったり、いろいろなものが混乱している部分はあろうかと思いますけれども、少し時間がかかっていくかもしれませんけれども、そういったものを一つずつ丁寧にやっていく以外に手がないと思っております。

#222
○日吉委員 一つずつ丁寧にということですけれども、私のイメージは、プライマリーバランス黒字化ということは、倹約していこうというイメージがありまして、ずっと倹約をしているとだんだんだんだん心も折れてきそうな思いもある中で、ほかに、先ほど前原委員から話がありましたが、教育とか防災とか、こういったところに十分なお金を本当に使うことができるのかなというような思いがあります。
 今後、消費が更に減退し、企業の投資もなかなか進まない、そして、デフレではないとおっしゃいましたけれども、これがしっかり解消されず、賃金もまた下がってしまい、失業者が増えていくというような、こんな世の中が続いていくんじゃないのかなと。その一方で、高所得者はますます所得が増え、企業も、利益を獲得している企業はますます剰余金を増やしていく。そんな中で、国際競争力はどんどん弱くなり、教育、科学、インフラ、防災、こういったものがしっかり整備されないまま、老朽化していく部分もある。それでも国債残高はなかなか減らずに、さらに、財政規律を守りましょうというようなことを将来も言っているような、そんな気がしてならないんですね。まず、今、こういった根本的な改革をするために少しお金を使いましょうということを考えた方がいいんじゃないのかなということ。
 それと、その前段階として、やはり貯蓄がある。それは富裕層の貯蓄で、先日の参考人質疑のときに山田先生がおっしゃっていましたが、富裕層でたしか三百三十三兆円の純金融資産がある、企業の剰余金でも五百数十兆円の剰余金があるというようなところ。これがやはり消費や投資に回らないことによって、お金が流通せず、なかなか目標のインフレに近づいていかないというような面がある中で、富裕層に対してしっかり課税をする。
 そして、本来もっと消費が上がっていくはずであろう中低所得者層に対して、消費税を減税、当面廃止するなどして、そこに消費意欲を湧かせることによって消費を増やしていく、これがお金を流通させていく上でまず必要なことなんじゃないのかなということを私は考えております。
 そんな中で、今回の税制改正におきまして、世の中の需要を増大させるような、消費を増やすような、こういった税制改正からの対応なりというものは何があるのか、教えてください。

#223
○住澤政府参考人 お答え申し上げます。
 令和三年度税制改正案におきましては、ポストコロナの経済再生でございますとか、デジタル社会、グリーン社会の実現など現下の課題に対応する観点から、様々な措置を講ずることとしております。
 その中で、御指摘のような投資を増やすということも含めまして、デジタルトランスフォーメーションやカーボンニュートラルに向けた企業の投資を促進する措置、あるいは、こうした投資に取り組む企業に対しまして繰越欠損金の控除上限の特例、また、中小企業の経営資源の集約化に資する税制の創設や、各種の中小企業関係税制の延長などを行ってございます。
 また、家計の暮らしと民需を下支えするという観点からは、住宅ローン控除の特例の延長、エコカー減税の延長、教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の延長などを盛り込んでございまして、これらの措置によりまして、経済構造の転換、好循環の実現や家計の暮らしの下支えを図ってまいりたいということでございます。

#224
○日吉委員 確かに、投資をしようとしている人たちを支えていくにはいろいろないいものもあると思います。ですけれども、なかなかないところから需要を見つけ出して、それこそそこに対してお金を払っていく。今一番需要が課題になっているものというのはワクチンなんじゃないでしょうかね。ワクチンに対する供給ができるような投資ができていれば、相当な、世の中にも役に立ったはずですし、切実に望まれていることだったのじゃないのかな。そういった何らかの、世の中の必要なところにお金を回していくような仕組み、こういったことをしっかりと考えていかなければいけないんじゃないのかなというふうに思っております。
 財政支出のために国債の残高が高まっている、このことが懸念されておりますけれども、そこには、やはり過度なインフレが起こってしまうんじゃないかということと、あともう一つは、望ましくない支出、これが生まれることが懸念されているんじゃないのかなと思っています。
 例えば、望まない支出としては、いろいろな産業の構造が変わってくるといった中で、そこにうまく対応できるような支出ができているかとか、富める者が更に富むような支出をしていないかとか、こういったことをしっかりと抑制していかなければならないというのは必要だと思います。
 ただ、その中で、今、現在の議論の中で、やはり財政規律を守るというところからスタートしているような気がしておりまして、もちろんそれは大事なことです。ですけれども、財政規律を守るありきではなくて、まず世の中をよくするにはどうするのか、どうしたらいいのかというところからスタートして、それにはどれだけのお金が必要なのか、そして、そのためには何をしなくちゃいけないのか。
 こういったことをしっかりと議論した上で、そこにどれだけお金をかければこの日本の経済を立て直すことができるんだということをしっかりつくった上で、その上で、このお金はどうしようかという議論をし、その上で、経済が立て直り、税収が増え、財政が回ってきたときに、では、あるべき財政の規律、GDP比に対する国債残高の比率をどのぐらいにするか。明確なポイントでなくても、その範囲でもいいんですけれども、そういった経済の規模に見合った債務残高というものを設定していくのがいいんじゃないのかなと私は思うんですけれども、ちょっと、最後に大臣、御意見をいただけないでしょうか。

#225
○麻生国務大臣 総じて財政規律の話をしておられるんだと思いますけれども、一般論として、いわゆる選択と集中とか、何でしょうね、よく使われる言葉、ワイズスペンディングとかそういったことになろうかと思いますけれども。
 例えば、第三次の補正予算とか令和三年度の予算等々において、足下のコロナの状況を踏まえて、いわゆるグリーン化とかデジタルトランスフォーメーションとか生産性の向上とか、いろいろなそういったものに資するものに対して予算を重点化するとか、人口減少とか少子高齢化といったような、日本の経済とか財政が抱えている構造的な課題というものを踏まえて、いわゆる社会保障制度というものをきちんと改革をするとか、これまでの歳出改革の取組というのをある程度、きちんと取組を継続させていただいたところではあるんですが、こうしたことが今後更に重要になってくるんだと思っております。
 いずれにしても、財務省として、我々が行います予算の執行調査とか行政事業レビューとか、そういった決算というものの検査報告等々を踏まえまして、更に予算編成というものに力を注いでいかないかぬなと思っております。

#226
○日吉委員 時間が参りましたので、終わります。どうもありがとうございました。

#227
○越智委員長 次に、櫻井周君。

#228
○櫻井委員 立憲民主党・無所属の櫻井周です。
 本日も質問の時間をいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、所得税法等の改正案ということで、税制全体について議論する貴重な機会でございますが、ちょっとその前に細かい税制の話をさせていただきたいと思います。本日は、厚生労働省からもワクチンの関連で来ていただいておりますので、そのことをまず質問させていただきます。
 まさに、今年、特に地方自治体にとって、去年は一人十万円の特別定額給付金、これを速やかに確実に国民の皆様にお配りする、これが地方自治体にとってふだんない業務として、非常に大きな業務としてあったわけです。今年は、ワクチン接種、これを住民の皆さんに速やかに、円滑に、安全に、確実にやっていくということが大きな課題になってくるわけでございますが、このときに、このワクチン接種、医療従事者を確保していくということが非常に大きな課題になっております。
 既にある病院の中で個別に接種をするという方法、練馬方式とか練馬モデルとかいうことも言われておりますけれども、ただ、それでは全然足りないだろう、やはりどこかに集まっていただいて、集団的な形でワクチン接種をやらなきゃ到底追いつかないだろう、このようにも言われております。そうしたところに来ていただく医師、看護師を確保するというのも、これはまた大変な作業でございます。
 この医療従事者の確保について、特に、既に病院や診療所で勤務されている方にこっちに来ていただくというのは、そうすると、既に勤務している病院や診療所の方との関係で、そちらの業務が滞ってしまうわけですから、そうすると、新たに、今まで看護師資格を持っているが現在は看護師として働いていないような方々、潜在的看護師なんて言われたりもしますが、こうした方々にもワクチン接種に従事をしていただく必要があるというふうに考えます。
 厚生労働省及び地方自治体ではこの計画をどのように進めているのか、教えていただけますでしょうか。
    〔委員長退席、藤丸委員長代理着席〕

#229
○宮崎政府参考人 お答え申し上げます。
 新型コロナワクチンの接種に当たる医療関係者の確保は大変重要な課題でございまして、現在、政府におきましても、自治体と連携して取組を進めております。医療関係団体からも御協力をいただきながら、万全な体制を確保できるように今取り組んでいるところでございます。具体的には、医療関係団体に対しまして、新型コロナワクチンの接種体制の構築についての協力の要請もいたしまして、全面的に協力したいとの意向も表明いただいているところでございます。
 また、特に、委員御指摘の看護職員の確保に関しましては、御指摘のように、潜在看護職員を活用するという方法も効果的なものと考えておりまして、このため、令和三年二月五日には、自治体と都道府県ナースセンターが連携して対応いただくように周知することも行っているところでございます。
 接種体制の確保に当たって、こうしたナースセンターも活用いただきながら、万全の体制を確保できるように自治体とともに取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

#230
○櫻井委員 そこで、ちょっと財務省にお伺いをいたします。
 いわゆる潜在的看護師の方、看護師資格を持っているが現在は看護師としては働いていない方々、こうした方々、いわゆる専業主婦だったりするわけでございまして、配偶者控除を受けている、そういう場合も少なくございません。
 そうしますと、ワクチン接種、これは大変な作業で、多分この秋から、もしかしたら年内はずっと続くかもしれない。そうしたときに、ずっとワクチン接種の会場で働いていただくということになりますと、勤務時間はどんどん増えていって、いわゆる配偶者控除を受けられなくなるぐらい、たくさん所得、以前は百三万円の壁とか言われておりましたけれども、これは百五十万円とか、ちょっといろいろ段階的にはなっておりますけれども、こういった壁がある中で、勤務時間をセーブしてしまう、そういう可能性もあるのではないのか、こういうふうに心配をするんです。
 ワクチン接種を進めていくためにはしっかり働いていただきたい、勤務していただきたいと思うわけですが、他方で、家計の話、それぞれの家計で、配偶者控除はやはり必要だというふうになったときに、その範囲を超えたくないというふうになったときに、どうしても勤務時間をセーブされて、働いてほしいのに働いてもらえないということが生じるのではないのか、このようにも懸念をするんですが、この点について財務省としてどのようにお考えでしょうか。

#231
○住澤政府参考人 櫻井委員にお答え申し上げます。
 配偶者控除でございますが、今御指摘の中にもございましたように、平成二十九年度の税制改正におきまして、配偶者側の収入制限、これを百三万円から百五十万円に引き上げるといった見直しが行われているところでございます。
 また、今、階段になっているといったような御指摘もございましたけれども、元々、昭和六十一年以前は、配偶者の収入が一定金額に達しますと配偶者控除が突然なくなってしまうということで、夫あるいは妻の方と合わせた世帯全体としての手取り収入が稼いだ結果かえって減少してしまうという、手取りの逆転現象ということが指摘をされてございまして、これを踏まえて、昭和六十二年以降は、改正が行われまして、配偶者特別控除という、別途、この配偶者控除がなくなった後も、徐々に減少していくタイプの所得控除を行うことによって、手取りの逆転現象が生じないような配慮が既になされているところでございます。
 現行制度では、給与収入が百五十万円から二百一万円にかけて徐々に配偶者特別控除の金額が減っていくという仕組みになってございまして、したがって、ワクチン接種のために短時間勤務などをされるという格好で一時的に収入が増えた場合にも、配偶者の方と合わせた世帯の手取り収入が減るということはございませんので、そういった意味での障害になることはないものと考えてございます。

#232
○櫻井委員 段階的になっているからということで逆転現象もないから、そこは余り心配しないでほしいということでございますが、結構、地元、地方自治体等にはそうした心配の声もあるものですから、そこは丁寧に説明をしていただきたいということで、よろしくお願いいたします。
 それから、実際は、配偶者控除よりも社会保険料の三号被保険者、こっちの制度の方が実は大きいのではなかろうかというふうに思います。こちらについては厚生労働省の方で柔軟に対応するという話も聞いておりますので、今日は、この問題はここまでにさせていただきます。
 ただ、ちょっと、この配偶者控除の在り方ということについて、やはりどうかなと。
 今回、税の公平性を考えて、潜在的看護師の方々に、拡大して、安心してたくさん働いてくださいよというようなことは特にはしないということは、これは税の公平性を考えれば当然のことかとは思います。
 ただ、そもそも配偶者控除というのは、ある種、男性の稼ぎ主で専業主婦を標準とする世帯単位で、税制で男性稼ぎ主をある種優遇し、女性が家事、育児、介護などを担うというふうに想定されたモデルが残っているものではなかろうかというふうにも思います。社会保険制度における三号被保険者も同様かと思います。
 女性が、そういった中で、働こう、働き出そう、子育てが一服したから働こうと思っても、ある種、税が罰を科しているかのような錯覚にも陥ってしまう。男女共同参画、女性活躍という社会には不合理ではなかろうかというふうに私も考えるところでございます。
 控除であれば、税率が高い高所得者に有利になる、こういうことになります。例えば、所得三百三十万円の、夫、妻、どちらでもいいんですけれども、仮に夫さんが三百三十万円の収入だ、妻さんがいわゆる配偶者控除を受けるということになりますと、税率一〇%ですから、最高税率のところ、三百三十万円ですと一〇%ですから、三十八万円掛ける一〇%で三万八千円の有利になる部分があるというのに対して、例えば所得が九百万円の方ですと、これは税率が二三%ということですから、三十八万円掛ける二三%ということで八万七千四百円有利になるということで、所得の多い方の方が有利になる。これが所得一千万円になると、税率は三三%ですけれども、控除の額自体が圧縮される、階段状になっているから十三万円ということで、掛けるの三三%ですと四万二千九百円ということにはなりますけれども、ただ、これでも三百三十万円の方と比較をすると、やはり一千万円の所得の方の方が四万二千九百円、税の有利、優遇を受けられるということになりますから、やはり大きな目で見ると、何かおかしいんじゃないのかな、金持ちの方が優遇されているような、こういう扱いになってしまう。
 所得税の在り方としても、こうした控除というのはなるべく廃止する、配偶者控除は廃止をしておくべきだというふうにも考えるんですが、この点について大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
 ただ、すぐに廃止できないというふうにしましても、控除ではなくて給付に切り替えて、今数字を挙げて申し上げたように、高所得者の方が有利になるような制度は改めるべきだというふうにも考えますが、大臣、いかがでしょうか。

#233
○麻生国務大臣 配偶者の控除につきましては、例えば、平成の二十九年度の税制改正において、配偶者の収入制限を百三万円から百五十万円に引き上げるなどの見直しを既に行っているのは御存じのとおりです。これによって、女性を含めてパートの方々が年収百三万円となるようにいわゆる労働時間を減らすというような、いわゆる就業時間の、就業調整というような問題にこれで対応したところなんですが、いずれにしても、各種の控除の在り方というものについては、これは令和三年度の税制改正大綱においても、働き方が多様化していく、リモート等々、特にこれからそういうものがはっきりしてくるんだと思いますが、多様化してくれば、経済社会の構造変化への対応とか所得再分配機能のいわゆる回復といった点からも、これは再検討するということにされておりまして、こうした方針を踏まえて今後検討を進めていくことになるだろうと思っております。
    〔藤丸委員長代理退席、委員長着席〕

#234
○櫻井委員 今後検討していただけるということで、よろしくお願いいたします。
 続きまして、せっかく税制改正についての議論でございますので、個別具体的な話はちょっとこれで終わりにしまして、厚生労働省の方もこれで退席いただいて結構でございます、大きな税の話をさせていただきたいと思います。
 税の話をする前に、そもそも我が国の社会それから経済が抱えている課題は何があるのか。これに対して、税制が全ての手段ではないですけれども、税制も、社会の課題それから経済の課題に対して解決していくための大きな手段の一つではあると思います。
 そこで、まず大臣にお尋ねをしたいのは、我が国は今どういう課題を抱えているのか、大きな課題についてお尋ねをしたいと思います。
 先にちょっと私の方から、こんな課題があるんじゃないのかということを申し上げさせていただきます。
 まず、キーワードで申し上げますと、少子化、高齢化、人口減少、経済格差拡大、個人消費低迷、デフレ。デフレについては、デフレとは言えないとか、もはやデフレではないとか、いろいろな言い方はありますけれども、ただ、日銀の目標は達成していないという意味において、完全に脱却できているわけではございません。また、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森前会長の発言等にも象徴されるような男女不平等、こうした課題があるのではなかろうか。そして、そうした課題が何となく解決されないままずるずる来てしまっているがゆえに、バブル経済崩壊以降、我が国は三十年に及ぶ停滞というのがあるのではなかろうか、こういうふうに考えるところでございます。
 もう少し個別に見ていきますと、少子化、人口減少についてでございますが、少子化については、特に第二次ベビーブーマー、団塊ジュニア世代というふうに言われますが、ちょうど私の世代でございます。これは、就職するときにちょうどバブルが崩壊して、就職氷河期というふうに言われました。私自身は運よく銀行に就職することができたわけですが、同級生の中には、なかなか仕事に恵まれなかった、そういう人も少なくございません。収入が安定しなければ、結婚したり子供を持つというようなことは到底できないということになります。
 また、私よりもう少し若い世代では、大学奨学金という名の教育ローンを受けて通い、就職してから返済に追われる。また、仕事面では、昭和の時代であれば働くなら正社員というのが当たり前だったのが、今や、非正規雇用、派遣労働、こういった不安定な、そして賃金も余り上がっていかない、そうした雇用形態が多く、給料も頭打ち、収入が安定しない、増えないということになりますと、やはり結婚や子供を持つということはなかなか難しい、こういうふうにもなってきております。夫婦共働きで家計を何とかやりくりしようというふうに思っても、それで、ようやく子宝に恵まれたというふうになっても、保育所で待機児童になるとたちまち家計が行き詰まってしまって二人目は到底無理、こういうことにもなりかねません。
 人生でそもそも大きな出費といえば、一般庶民にとってみれば、自宅の購入とか、あと子育て、こういったところが大きな出費でございます。若い世代が少なくなれば、国内消費も減ってしまうのも当然のことと言えます。
 そもそも、若い世代は、不安定で低賃金、非正規雇用、派遣労働などが多く、余り多く消費することができません。個人消費が低迷し、デフレに陥っている、これが今の少子化、人口減少、そして個人消費低迷ということの一つの大きな流れではなかろうかというふうに考えます。
 また、男女不平等ということについても、少子化で生産年齢人口が減少する中で女性活躍と言われても、例えば、去年、おととしですか、大学入試で、東京医科大学ほかの入試で、女性が不当に低く、減点されるというようなことがあったりということもありましたし、また、就職等で女性が差別されているのではなかろうか、こういうことがある。また、賃金においても、女性の方が賃金水準が低いということがあります。これは世界的に見ても、この男女の賃金格差、日本は非常に大きい。こういうふうになってくると、生きる気力が減退してしまうということにもなりかねません。
 それに反発するような方ももちろんいらっしゃるわけですが、そうした反発する力がある方は、それこそ、日本なんかもういいやと見捨てて海外に飛び出していく。海外で活躍される日本人の女性、私も数多く見てまいりましたけれども、このような形で日本はどんどん活力を失っていくのではなかろうかというふうに懸念をいたします。
 東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長の女性蔑視発言について、麻生大臣も、元々オリンピアンとして、オリンピック憲章が汚されたことについて憤っておられるのではなかろうかというふうに推察はいたします。ただ、このことについては今日は答弁を求めませんが。
 やはり、あともう一つ、この発言の中で結構影響が大きかったというふうに私が思うのは、わきまえるというような発言。会議で発言しないことを求めるといいますか、余り根本的なそもそもの問題点を突き詰めるというようなことをしない、そういうことでイノベーションがそがれてしまう、こういうことが起きてしまっているのではなかろうかというふうにも懸念するわけです。
 バブル崩壊以降のロストジェネレーション、団塊ジュニア、もうすぐ五十歳ということになります。小泉内閣以来の悪い流れを私は変えるべきだというふうに考えております。私自身の問題意識としては、ざっとこんなような社会的そして経済的な課題があるというふうに考えておりますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

#235
○麻生国務大臣 先生御指摘のとおり、やはり日本の場合は、中長期的には、生産年齢人口の減少、そして高齢化人口の比率が増加するというこの人口構成という問題は、これは日本が抱えております社会構造等々のいろいろな課題の中の一番大きな問題の一つだろうと思っております。
 人口が、今、少しずつではありますけれども確実に減少していっている中にあって、民需主導というもので経済成長ということを考えた場合に、人口が減っていくんですから、当然のことで売れるものの対象が減るということになりますので、いろいろな意味で、経済成長というのはなかなか今までのような話とは違ってくるので、ポストコロナというものを見据えた上で規制を改革する、今までの規制があったからできなかったものをできるように、経済構造というものの転換等々に取り組む必要があるんだと思いますが。
 もう一点、経済格差については、これは格差が固定化するということがないようにしておかなきゃいけませんし、さらに、とても、許容し得るとか認められるというような状態にならないような格差が生じないようにするといった意味で、様々な施策というのを進めていく必要があるんだと考えております。
 政府としては、少なくとも最低賃金の全国的な引上げ、これはずっとこの八年やらせていただいておりますけれども、企業の労働生産性、労働分配率等々いろいろ考えて、八年たって少し意見が変わってきたかなと思うところまでは来ているとは思いますが、同一労働賃金、いわゆる労働が同じなら賃金も一緒等々の話、非正規雇用労働者の待遇改善もありましょうし、幼児教育等々そういったようなもの、保育を含めまして無償化等々も、これは少子化対策の一環としても意味があるんだと思いますし、全ての世代が安心して生活できる全世代型の社会保障への転換などなど、これは政府として実際に取り組んでいるところなんですが、これらは間違いなく経済格差の是正につながっていく重要な要素の一つだと考えております。
 今、男女不平等の話も出ていましたけれども、政権交代以後、女性活躍ということで、保育の受皿の整備とか育児休業制度の拡充とか、女性の比率をというのでコーポレートガバナンスの改革等々に取り組んできておりますし、その結果として、日銀もたしか、始まって以来、女性の理事が生まれていませんかね。たしか生まれていたと思いますので、いろいろな意味で、女性の役員数が、少しずつではありますが確実に増加してきておられると思いますし、民間企業の各役職に占める女性の割合も上昇してきているという話ですので、指導的地位に就く女性が増える道筋がついてきているかな、最近ではそう思っております。
 いずれにしても、今、我々、男女共同参画型社会等々いろいろやらせていただいているところですけれども、こういうのは継続していくということが大事、そう思っております。

#236
○櫻井委員 大臣、ありがとうございます。
 今大臣からもいろいろ御説明いただいた中で、大きな方向性として、私と認識はそんなに変わらないというふうにも受け止めさせていただきました。
 その上で、個別具体的に少し考えていきたいと思います。
 まず、こうしたいろいろな課題があるわけでございますが、それに対して税制で一体どういうことができるのかということでございます。
 まず、冒頭申し上げました少子化、人口減少、こうしたことについて、この原因の一つとしては若者世代の窮乏化、貧しくなってしまっているというところがある。それは先ほど来申し上げた働き方の問題ですとかございますが、それに加えて、グローバル化や技術進歩によって格差が拡大しやすい、そうした素地ができているのではないのかというふうにも考えます。
 グローバル化自体、私は、これは必要なことだ、進めていくべきだというふうに思いますし、技術革新も当然進めるべきだと思います。ただ、その結果として格差が拡大しやすくなっているわけですから、それを例えば税制でしっかりと支える、格差が広がり過ぎないように累進的な税制にしていくというようなことが必要だというふうに考えます。
 昭和の終わりには一億総中流というふうに言われるような分厚い中間層があったわけでございますが、今や、格差社会と言われ、そして子供の貧困というようなことが言われるようになってしまっているということなので、この平成の三十年間、一体何があったのかというふうに考えますと、やはり、消費税がどんどん増えていって、そしてその一方で、法人税を中心に減税が進んだ、所得税についても減税が進んだというところで、より累進的な税制であるところの所得税や法人税が軽くなる、税制全体で見た場合、累進性の度合いが下がってしまう、余り累進的ではない消費税の比重が高まってしまった、こういうところにも一つ原因があるのではなかろうかと考えます。
 したがって、ちょっと大臣にお尋ねしたいのは、やはり消費税が中心になるような税制ではなく、累進的な税制であるところの所得税とか法人税、もっと大きな役割を果たすような税制に戻すべきだと考えますが、大臣の御見解をお願いいたします。

#237
○麻生国務大臣 消費税についてのお尋ねでしたけれども、これは、高速に、急速に高齢化が進んでいるという状態を背景にして、御存じのように、社会保障給付というのは、先ほどどなたかが出されていた資料を見ても、全予算のうちに占める比率は約三割。社会保障関係費ですから、百兆のうち三十何兆が社会保障ですから。そういった意味では極めて大きな問題になるんだと思いますので、国民が広く受益をされる社会保障の費用というのを、これは勤労世代だけで賄えますかね、真面目な話。そっちは賄う方、俺は賄ってもらえる世代だからね。そっちでよく真剣に考えないといかぬところを、俺たちが考えるんじゃない、あんたの世代が考えないかぬ話を今考えているというようにちょっと考えて、この問題を考えぬといかぬところだと思いますけれどもね。
 社会保障の財源としては、あらゆる世代がいわゆる幅広く公平に社会保障費というものをみんなで分かち合うという観点で、これは財源として消費税率がつくられておりますので、それをいわゆる哲学の基本として消費税率を引き上げさせていただいております。今、引き下げるということを考えてはおりません。
 税制の在り方について、近年、再分配というものの観点から、いろいろ、負担能力に応じて、累次の改正ということで、今累積という話がありましたけれども、そういったものをやらせていただいて、所得税については最高税率を五%引き上げさせていただきましたし、金融所得課税、いわゆる分離課税の話を含めまして、あれも一〇%だったものを倍にして二〇%に引き上げております。また、高所得者に対する基礎控除というものも二千五百万円超で適用なしというところに決めてきておりますので、いずれにしても、今後の税制の在り方については、これは、人口構成とかいろいろな意味で、社会全体、経済社会の変化等も踏まえて検討していく必要、これは大きな目で検討していかなきゃいかぬので、この部分でちょっと上げたり下げたりするような話じゃない、私はそう思います。

#238
○櫻井委員 麻生大臣には、こういう質問をすると、高齢化社会なんだから、あんたらの世代が負担する、それでいいのか、こういうふうに言われるんだろうなというふうに思いまして、それで、次の質問を準備させていただいております。
 確かに、大臣おっしゃるように、財務省のホームページを見ましても、高齢化が進み、支え手が減少していく中で、つまり現役世代が減少していく中で、特定の世代に負担が偏らない財源として消費税が重要なんです、こういうのが財務省の説明ですし、今の財務大臣、麻生大臣の御説明もこうでした。
 高齢化社会が進むというのは、高齢化というのは、本来、長寿が実現しているということですから、本当はとても幸せな社会ということのはずです。ただ、先々の、長生きすることが幸せではなくてリスクというふうに言われてしまっている社会、非常に残念なわけでございます。
 こうした中で、じゃ、この長生きする分の費用負担をどうするのかということなんですけれども、高齢世代というのは貧富の格差が大きいわけですね。麻生大臣のように、八十になられてもしっかりと現役としてばりばり仕事をされている方はそれなりの資産もお持ちでしょうけれども、ただ、現役時代に必ずしもサクセスフルでなかった、そういう方については高齢になってもなかなか生活も苦しいということになりますから、これを同じように消費税で御負担をお願いするというのはなかなか難しいのではなかろうかというふうにも私は考えるわけです。
 高齢者の世代、特に貧富の格差が大きいということになりますと、そうした高齢者の方でも資産をたくさんお持ちの方に応分の税負担を求めるというのが一つの方法ではなかろうかと考えるんですが、ただ、生きているときに、税負担、高齢になりますと、資産を持っていても収入が少なければ、どんどんどんどん減っていくようになりますと、やはりそれは不安になりますから、そういうやり方はさすがによろしくないと私も思いますので、例えば、お亡くなりになったときに、残っているものを国に納めていただくというような形で、つまり、相続税、そうした類いのものについて資産課税を強化していくというのが一つの方向性だというふうに考えますが、大臣、いかがお考えでしょうか。

#239
○住澤政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の相続税を含む資産課税の在り方でございますが、平成二十五年度の税制改正におきまして相続税の改正が行われまして、相続税の基礎控除を引き下げるという格好で改正が行われ、平成二十七年からその適用をされているということでございます。
 これによりまして、元々お亡くなりになった方の四%ぐらいしか相続税の対象になっていなかったわけですが、これが約八%ということで拡大をしてきているというのが現状でございまして、今後の資産課税の在り方につきましては、御指摘のような様々な社会経済の構造変化も踏まえまして、今後、この改正の効果も踏まえて検討していくべき課題であるというふうに考えております。

#240
○櫻井委員 高齢者の方で、いわゆる個人金融資産が千八百兆円とかいうふうに言われる中で、その多くは六十歳以上の高齢者の方がお持ちというようなところで、つまり、六十歳で退職金ももらい、それから親からの相続もしということでちょっと小金持ちになって、ただ、余り使う当てもなく、そのまま九十歳になって、お亡くなりになったら今度また六十の子供に相続するというような形で、余りお金をたくさん使うわけではない層、先ほど申し上げたように、お金をたくさん使うのはむしろ若い世代、家を買うとか、それから子育てする、そちらの世代の方がたくさんお金を使うんですけれども、それを終えた、お金を余り使わない層のところでぐるぐる回ってしまっているのではなかろうかというふうにも思うわけです。
 更に加えて申し上げますと、基礎年金の部分については税が投入されている。それは、高所得だった方、厚生年金があり、更に三階建ての企業年金まである方でも、基礎部分については税金が投入されているわけですから、その部分について、やはりもう少し、相続する、お亡くなりになったときに国庫に何らかの貢献をしていただけるような工夫が必要なのではなかろうかというふうにも考えますが、これは社会保障の制度とも絡んできますので、ちょっと余り今日は深入りせずに、この程度にしまして。
 あともう一つ、消費税絡みでは、最近、週刊誌報道なんかでも、コロナ復興で一五%、どさくさ増税プランにとか、財務省の暴挙で消費税二〇%時代が来るとか、何かそんな週刊誌報道もあったりして、確かにコロナ感染症対策でいろいろな財源が必要になっている、当面は赤字国債で賄っているけれども、これは一体将来どうやって返済するのかというところで、いろいろ国民の間でも心配が広まっているのではなかろうかと思います。
 確かに、景気が回復して、自然増でこれを賄えるということになればそれにこしたことはないんですが、しかしながら、今年度の新規国債発行額は百十二兆円を超えるというような水準ですから、なかなか自然増だけでカバーできる、そもそもプライマリーバランスすらほど遠い状況にある中で、それは午前中で既にさんざん質疑、議論したところでございますが、そういった中で、これは一体どうやって賄うのかということは大きな課題です。
 ただ、とはいいながら、先ほど来私が申し上げたように、やはり消費税ではないだろうというふうに考えるんですが、求めるのであれば法人税ですとかそちらだろうと私は考えるんですが、大臣は、消費税二〇%時代が来る、財務省の暴挙、こういう報道に対して、また、この財源論に対して、どのようにお考えでしょうか。

#241
○麻生国務大臣 私、お金を払って週刊誌を買ったことがないので、読んだこともないので、済みませんけれども、その種の話は週刊誌から得るということはまずないと思っておいていただければと思っております。
 先ほど相続税の話をしておられましたけれども、税金を払ったお金ですよ。死んだらまた取られるんですよ。二重課税と言われて、どう反論されるんですか。これを聞いて答えられた人は一人もいないんだけれども、難しいんですよ、この話は。
 だから、そういった意味では、この税金の話というのは、ちゃらちゃらちゃらというような話じゃなくて、ゆっくり落ち着いて話をしないと変な方向に話が弾みますし、こういう週刊誌なんという、どこから出てきたのか分からぬ情報を基にした話を、またそれを基にして国会議員が国会でしゃべるとなるとまた話が込み入りますからね。
 そういったところもちょっと頭に入れた上で、この十年余りの間を振り返ってみたときに、リーマン・ショックがありました、これは私のときでしたけれども。あの東日本大震災というのが、さっき野田先生というか、菅さんのときかな、あの辺で起きましたし、東日本大震災、リーマン・ショック、今回のコロナを含めて、いろいろな危機的な事態が起きているんですけれども、そのたびに我々は、いろいろな形で、国民生活というのを守るべく、いろいろな果断な行動というものを取って、財政措置を講ずるというふうなこともやらせていただいて、きちんとした形でこの社会、日本という国が次の世代というものにちゃんとうまくいくようにやってきたんだと思うんですが。
 まずは、コロナ対応ということに万全を期すとともに、令和三年度の予算をまず早期に成立をさせていただいて、着実にこれを実行していくということが目先一番肝腎なことだと思っているんですが。
 将来、消費税の在り方については、これは具体的な検討をしているわけでは全くありませんけれども、財政の持続性確保というのは重要な課題でして、将来世代というものに関して、まあ、おたくらの世代よりもっと後のこととかも考えなきゃいかぬなと思いますが、そういったものに責任というものを持って、ある程度きちんと腹に収めて、これはそれこそ幅広い視点で検討していかないと、何となく、直間比率の見直しというのが元々あったんですよ、もうそんな言葉は今全然聞こえてきませんけれどもね。やっと直間比率が少し直ってきたということになってきた状況にもありますので、そういったような話も含めて我々はこの問題を全体として捉えるなら、もっと大きな視点から大きな議論をやって、十分にこれをやっていかないと、妙に、あっ今だという、現場だけでぱっぱっぱっといった話は極めて危ない、私どもはそう思っております。

#242
○櫻井委員 週刊誌の報道を何か真に受けて質問するなというお叱りで、まあ、私も真に受けているわけではないんですが、国民の皆さんの中にはそういった心配の声もあるということの表れの一つではなかろうかということで、例の一つとして取り上げさせていただきました。
 私自身も、ちゃんと、将来に対して無責任な財政であってはいけない、将来に対して責任ある財政を考えていかなければいけないという観点から、財政規律というのは一定必要だというふうには考えますし、かなり大きくなってしまって、これは、金利が少しでも上がると、それこそ、元本を返すどころか、利払いすら立ち行かなくなってしまうのではないのか。午前中の階議員の議論にもありました。そもそも、突然、新規の発行をやめる、借換債もありますから、この分を考えても、その借換えすらできなくなってしまうような事態というのも心配されるわけですので、ちゃんと財政がマネジャブルな範囲で収まるように考えていかなければいけない、このようにも考えております。
 ちょっと時間がなくなってまいりましたので、また、残った部分については、あさって質問の機会がいただける可能性があるというふうにも聞いておりますので、続きはそこでさせていただきます。
 最後に、法人税の在り方についても、やはりアメリカでも、トランプ大統領の時代が終わって、トランプ大統領の時代に法人税の大幅な減税をやっておりますけれども、今度、バイデン大統領は、選挙の中で法人税の引上げということも主張していた。今現在は、政権が始まってそういう動きが顕著に見られるわけではございませんが、大きな方向性としては、やはり、法人税というのをもう一度主力の財源として見直していくべきだというのが起きているのではなかろうかというふうにも考えます。こうした問題について、あさってまた引き続き議論をさせていただきたいというふうに思っております。また、金融所得課税についても、また次の機会に議論させていただきたいと思います。
 最後に、経済対策の三次補正、もうこれは既に成立しているわけですが、財政支出、四十兆円あった。ですが、しかしながら、経済効果三・六%というふうに、これは内閣府で言っております。
 これは、五百五十兆円というふうにGDPを考えますと、掛ける三・六%で、大体二十兆円の押し上げ効果ということになるんですが、四十兆円の財政支出で二十兆円の押し上げ効果というのは、ちょっと何か少ないような気がいたします。ワイズスペンディングというようなことをよく言いますけれども、なかなか効果として十分上がっていないのではないかというふうにも考えますが、この点について最後にお尋ねをさせていただきます。

#243
○越智委員長 財務大臣、申合せの時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。

#244
○麻生国務大臣 今、総合経済対策の話をしておられるんだと思うんですけれども、いろんな意味で、グリーンとかデジタルとかいろんなものの話が、この中には、国土強靱化の推進を含めて、必要な施策が総合経済対策には盛り込まれていると思っているんですが。
 これまでの各種の政策効果もあって、持ち直しの動きというのは間違いなく出てきて、十―十二でGDPが伸びたりしていますし、いろんな形で持ち直しの動きが出てきているということは間違いないんだと思いますが、今後これを継続していくというのがすごく大事なところで、一―三は間違いなく下がると思いますけれども、コロナのおかげで下がるんだとは思いますが、早期にこのコロナの経済水準を回復する、コロナの前の水準に回復するということが大切なので、そういった意味では、やはり目先の景気とか経済というのをよくするということはどうしても避けて通れぬところだと思いますし、アメリカもこの間、電話でG7もやりましたし、今晩またありますけれども。
 少なくとも、今は出口よりまずはこの景気対策というのに集中しているのが、世界中同じ方向を向いているように思いますので、まずは、そういった意味で、民間の需要を喚起するとか、景気、なかんずく消費を喚起するとかいうことをやっていって、おかげさまで、日本の場合、設備投資が少し増えてきているような感じはしますけれども。
 いずれにしても、この経済対策を速やかに実行するということが大事なので、今のこの予算の成立を待って、直ちに実行できればと思っております。

#245
○櫻井委員 時間を過ぎましたので、これで終わります。
 ありがとうございました。

#246
○越智委員長 次に、古本伸一郎君。

#247
○古本委員 古本伸一郎でございます。
 立憲民主・無所属会派の枠の中で最後になるんでしょうか。理事各位の御配慮で、無所属の身でありますけれども時間をいただきましたので、年度改正を中心に質問をさせていただきます。
 まず、今日は厚労省にもお越しをいただいていますけれども、今、たまにマスクをつけていない方を拝見しますと、どきっとするくらいマスクの着用が大変一般的、あえて言うならば、国民のそれぞれの、自らの健康を守ると同時に相手にうつさないという意味では、半ば義務になっているんじゃないかなとさえ個人的には感じますけれども。
 まず、このマスクというのは、少なくともコロナを含めて、インフルエンザも発症数が大変今年は少ないと聞いていますけれども、非常に予防効果があるというふうに理解していますけれども、まず厚労省から、このマスクの着用について、その効用について伺いたいと思います。

#248
○間政府参考人 お答えをいたします。
 今委員から御指摘のありました新型コロナウイルス、インフルエンザの御言及もございましたけれども、その主な感染経路は飛沫、接触感染でございます。
 感染予防の対策としては、今御指摘のありましたマスクが、それをつけない場合と比較して有効でございます。そのように考えております。

#249
○古本委員 ありがとうございます。
 今アルコール消毒のやつは、済みません、聞くのを失念したんですけれども、恐らくアルコール消毒も意味があるんだろうと思います。今うなずいていただきました。失礼いたしました。
 他方、せんだって、関税の関係で財務省関税局から事前にレクを受けましたけれども、日切れ関税、その季節が参りましたので、何やら伺えば、いわゆるゴム手袋、ポリ塩化ビニール手袋の関税については、いわゆる関税優遇措置を受けるといいますか、要は内外差をどう考えるかということなんですけれども。
 他方、マスクについては、伺えば、いわゆる不織布マスクを含むものについては、関税による、要するにコストダウンを求めていないということを聞いて、むしろ財務省が厚労省に対して、マスクもできるだけ関税フリーにして安く国内に入るようにすればどうかという趣旨の、ある意味アドバイスといいましょうか、御助言をなさったそうなんですけれども、いや、ビニール手袋だけでいいんだという趣旨のことを厚労省が言われたそうなんですけれども、それは何か思惑があったんでしょうか。

#250
○間政府参考人 お答えいたします。
 まず、使い捨てポリ塩化ビニール製手袋につきましては、世界的な需要増によりまして調達価格が上昇し、関税負担の軽減を図る観点から、今般、関税率の無税化を要望しておる、そして、今国会に関連の法律案を提出させていただいているという状況でございます。
 この関税の引下げにつきましては、当該品目の輸入促進の観点という点もありますけれども、同時に、国内産業への影響も考慮する必要があるというふうに考えております。
 マスクと手袋を比較した場合ですけれども、マスクにつきましては、平時より全面的に輸入に依存しているポリ塩化ビニール製手袋と異なりまして、平時より国内企業が生産を行ってございます。また、国からの増産要請等により、平時ですと月一億枚程度、国内企業が生産しておられますけれども、その生産量が、昨年七月から九月まで増産要請を受けて、月二・八億枚程度まで増加してきております。現在、もうちょっと多くて二・九億枚程度でございます。そして、国内の供給量の三割程度まで増加している。
 そうしたことを踏まえまして、国内産業への影響も考慮し、令和三年度における関税改正要望は行わないこととしたという経緯でございます。

#251
○古本委員 数字を申し上げますと、この使い捨てポリ塩化ビニール手袋は、二〇一九年は四百三十五億、二〇二〇年は八百三十五億ということで、要は、みんな、買物に行くのにも手袋をはめる奥さんとかがいっとき出ましたので、去年コロナで、だから倍増したということなんでしょうけれども、何と不織布マスクは、二〇一九年は一千三百五十億に対し、二〇二〇年は五千百八十七億ということで、実に三倍増。こぞって、皆さん、必死でこのマスクを手に入れる努力をそれぞれ、先生方も、インターネットで御覧になっている多くの世の中の皆様も、マスクを手に入れるのがあの頃必死でした。ちょうど一年近く前ですね。
 そのことを思うと、安定供給させるということは非常に大事なので、国内のマスクメーカーを涵養するということは非常に意味があることだと思うんですが、それは、これから主税局の本題に入りますけれども、このマスクは、平均的には、住澤さんの感覚で言うと、一世帯、例えば御夫婦二人ですという御家庭ですと、今、月幾らぐらいマスク代に使っておられると思いますか。主税局長の庶民感覚で結構ですよ。

#252
○住澤政府参考人 お答え申し上げます。
 恐縮でございますが、我が家はみんな花粉症でございまして、マスクを大量に買い置きしてあったものを現在も使っておりまして、そういった値段については、申し訳ございませんが、承知をいたしておりません。

#253
○古本委員 これは失礼しました。
 じゃ、せっかくなので、今日は長丁場でありますので、委員長も、閑話休題ということで。
 委員長は、着けておられるマスクは日本製ですか、外国製ですか。

#254
○越智委員長 古本君に申し上げます。
 質問は委員長席ではなく答弁者席にお願いしますと言いたいところですが、ちなみに、私のマスクがどこかはちょっと確認をしておりません。

#255
○古本委員 厳格な委員長でいらっしゃるなというふうに思いますけれども。
 実は、事前に調べてきました。
 いや、委員長のマスクがどこかは知りませんけれども。ただ、お見受けするとメイド・イン・ジャパンのような気がいたしますけれども、ブランド名が入っておられますので。
 日本製ですと、三十枚入りで、大体、平均しますと千二、三百円から千五、六百円のようですね。いわゆる外国製ですと、三十枚入りで、安いやつですと四百円台から六百円台ぐらい、七百円台ぐらいで買えます。つまり、一枚当たりの単価で申しますと、外国製は恐らく二十円弱、一枚当たり。メイド・イン・ジャパンですと、一枚当たり平均で五十円ぐらいするんじゃなかろうかと思います。これが二人世帯、お二人で住んでいるのであれば、年間で、日本製だと三万八千円、外国製ですと一万二千円。仮に四人家族ですと、年間で、日本製をずっと使っていますという人がいるならば七万六千円を超える。外国製であれば二万四千円ということになります。
 主税局長、マスク代というのは、家計を圧迫しているという意味では、それは安いやつで何とかやりくりしておられる、実は、私も質問レクはもう全てリモート、ウェブにしておりますけれども、厚労省だ何だ、各省の若い官僚の皆さんも、できるだけ安いやつで賄って、場合によっては何回か使っていますという切実なあれがありましたけれども、まさに、厚労省からあったように、マスクの効果はあるわけですね。
 ちょうど一年前を思い出すと、必死で、店頭で売っている、ある意味メイド・インどこか分からないようなやつは、ゴムが切れたり、透き通るように薄かったり、これはもう言うまでもなく、あえて言うとメイド・イン・ジャパンの安心感というのは、だって、日本製ですとわざわざ書いているお店も山とあるわけですから。
 日本のメーカーを涵養するために関税優遇も求めていないわけです。何となれば、まさに日本製で安心して使っていただいたときに、有事のときに、まさにこのパンデミックのときに、外国に委ねなくても自賄いできるマスクの供給体制ができる。
 ですから、安いからいいとか、あるいは何回も使っているので負担になっていませんとけなげに言っている官僚の皆さんもいらっしゃいましたけれども、そうじゃないです。これは何がネックになっているかというと、医療控除の対象になっていないからです。
 住澤さん、なぜマスク代は、これだけ医学的にも科学的にもエアロゾルを防ぐということが証明されているにもかかわらず、どうして医療控除の対象にならないんでしょうか。

#256
○住澤政府参考人 お答え申し上げます。
 もうこれは釈迦に説法でございますけれども、所得税は、その年間に稼いだ所得の大きさに応じまして、それを担税力の指標といたしまして税負担を求めるという性格の税金でございます。したがいまして、所得からどのような支出にそれを充てられるかということにつきましては、基本的には考慮しないという仕組みになっているわけでございます。
 そうした中で、この医療費控除でございますが、本来そういった生計費の一部であるわけですが、一般的な家計の負担の水準を上回って偶発的に病気あるいはけがによって支出を余儀なくされるということで、本来であれば所得税の負担を求めるところでありますけれども、納税者の方の身体的、精神的な状況によって医療費の支出を迫られているという状況で、租税を負担する能力が減殺されているであろうということで、それをしんしゃくする制度として設けられているものでございます。
 こういった趣旨から、医療費控除の対象となっている医療費につきましては診療ですとかあるいは治療に必要なものに限られているということで、マスクは対象に含まれていないということでございます。

#257
○古本委員 他方、セルフメディケーション医薬品控除というのがございますね。これは創設されて何年かたちますけれども、自分自身の健康に責任を持ち、これはWHOで定義されていますので、軽度な身体の不調は自らで手当てすることをセルフメディケーション。そのために買った売薬あるいは湿布薬、これはドラッグストアでも町の薬屋さんでも、買ったものについては、年間一万二千円を超える部分から八万八千円未満のものについては所得控除ができる。
 率直に言って、風邪薬も、どんな薬でもいいですけれども、湿布薬でもいいですけれども、売薬が控除対象になるということも物すごく大事ですけれども、今これだけ国民的に、密を避け、エアロゾルを避け、つい立てまで立て、我々はやっている中で、それを国民の皆様にお願いをしている中にあって、マスクを真面目につけ、買い、そして、使い回して洗濯で洗ってというのも、それはまさに、御努力されている御家庭もあると思いますけれども、政府を挙げて、これは与野党関係なく、政治の意思で、まさに三密を避けていただけませんかとお願いしているんですから、そのためのマスク、セルフメディケーション控除なるものまで創設しているわけでありますので、ここには予防と書いていますよ、セルフメディケーション税制には、予防。
 これは大臣、実は、PCR検査あるいは抗原検査を、キットを買ってきて、そして自ら、いろいろなこういう公の場に出るときには検査しましょう、もし陽性だったらどうしようと思う人が、キットを買ってきて、陽性だったら控除対象になりますね。なんですって。他方、陰性だったら控除できない。
 試しに買ってみましたけれども、結構な値段しますよ、キット。それは、会社とか党とかがちゃんと配備してくれているという恵まれた環境にある方々には分からないでしょうけれども、これは、陽性だったら控除対象になり、陰性だったら全て自腹。
 これだけ国家的な危機に直面している中で、マスクとか、コロナ対策、PCR検査のキットとか、あるいはアルコールとかは、この際、セルフメディケーション税制の拡大解釈でもいいので、税法七十三条に定める、診療又は治療に限る、治療又は療養に必要な医薬品の購入に限るというのを少し拡大してはどうかと思うんですよ。大臣の御所見を求めたいと思います。

#258
○麻生国務大臣 先ほど主税局長の方からも答弁をさせていただいておりましたけれども、この医療費の控除というのは、これは、本来は生活費、生計費の一部でありますので、そういった医療費については、一般的な家計負担というものの水準を上回って、病気になった等々の偶発的な支出を余儀なくされたという場合には、納税者の税負担等々が少なくなるためにというので、控除する仕組みなんじゃないんですかね。医療費控除というのは基本的にそういうものだと思うんですけれども。
 マスクは、まず、そういった意味では、予防のためのものでもありますし、これは偶発的な支出とは言えるんですかね、そういった意味では。それから、感染症の予防とするということに関しては、これは感染症以外にも、花粉症にも使っておられますし、いろいろな意味で、エチケットとして使っておられる方もいらっしゃいますし、感染症の予防のみということになると、ちょっと公平性を欠くかなという感じもしますので。
 今、いろいろな意味で、予防というんだったら、そこに置いてあるアルコールの予防液もそうでしょうし、現場なんかで使われるゴムの手袋もそうでしょうし、いろいろな意味で、日用品との間の境界線もなかなかちょっと引きにくいし、値段も今、生活費に困るようなウン万円という話じゃなくて、一個に直しますと何十円という話ですから、そういった意味では、医療費控除の対象にするとなると、ちょっと考えないかぬかな。
 今まで聞いた話を余り真剣に聞いていなくて、大体、役人との話をちょいちょい聞いただけの話ですけれども、何となくそんな感じがしますので。ちょっと医療費の控除対象という話を、大体、そういうような対象にしようというような声を少なくとも私は聞いたことが余りありませんので、おまえの耳の方が塞がっておると言われればそうなのかもしれませんが。何となくそんな感じです。

#259
○古本委員 これが、恐らくコロナとの戦いというのが限定的にある期間我慢したらもう終わるというのなら私もここまで多分言わないです、それなりに税をかじった者の一人として。医療控除の概念は、住澤主税局長、そして麻生大臣がおっしゃったとおりだと思います。
 ただ、これは本当に、何年も続く長いコロナとの戦いを想定すると、なかんずく、これは家計を圧迫しますよ、真面目にちゃんとマスクを着けようという努力をなさる人は。とりわけ、個人的な感想なのであれでしょうけれども、メイド・イン・ジャパンの品質を信用して、信頼して買っている人は余計にコストになりますね。
 他方で、セルフメディケーションというものがありますので、少しそこから突破口を開いていく可能性はあるんじゃないかということを問題提起をさせていただきたいと思います。
 これは、つまり、CTスキャンとかPET検査とか、いわゆる人間ドックを含め、実はこれは、進んで健康診断を受けても一切控除対象になりません。仮に何か悪性のものが見つかったというと、これは対象になります。つまり、治療行為でなきゃ駄目なんだという線を今後とも本当に引いていくのかどうかという問題提起でもあると思っています。
 国民全体での医療費負担を下げるということでいえば、どんどんがん検診でもいろいろ受けていただいて、ステージが浅いうちに見つかった方が医療費の抑制になるに決まっています、費用対効果でいえば。コロナに関しても、物すごくしんどくなって、もうこれは間違いないというときから慌てて行くよりも、事前にPCR検査なり抗原検査をなさって、健康だけれども陽性だったということで病院に行っていただいて重症化を防ぐことが仮にできたならば、これはまさに、医療の崩壊に今現場は直面している中で、医療従事者の負担軽減にもつながるというふうに思いますので。
 るる申し上げましたが、是非研究テーマとして引き取っていただけたらいいなと思いますけれども、最後に主税局長。

#260
○住澤政府参考人 お答え申し上げます。
 セルフメディケーション税制についての御指摘がございましたので、若干その点も含めて説明いたしますと、この制度は五年前につくられた制度でございまして、今回の改正で延長いたしておりますが、医療費控除の特例という形で設けられてございます。
 特例という意味は、医療費控除の場合は十万円という適用下限額がございまして、医療費の総額が年間十万円を超えない場合は適用になりません。これに対して、セルフメディケーション税制におきましては、一定の市販薬につきまして一万二千円という適用下限額の例外を設けているというものでございます。
 したがって、対象になっている医薬品の購入費といいますのは、元々医療費控除の対象になるようなものに限られてございまして、治療、療養に要するものということになってございますので、先ほど申し上げました、医療費控除の元々の趣旨である、病気やけがなどによりまして一時的に税負担能力の減殺されているという点に着目した措置であるということには変わりがないわけでございます。
 その上で、予防医療の重要性ということは、これは御指摘のとおりだというふうに存じますが、所得税においてこれについてどこまでしんしゃくすべきかというのが恐らく問題提起されている点かと存じます。
 予防のために必要となる支出というのは、マスクですとかアルコール消毒薬に限らず様々なものが想定されますし、コロナ禍に限らず様々な病気の予防に必要なものも出てまいります。
 また、医療費控除と類似の制度といたしまして、雑損控除というのがございます。こちらの方は災害等による家財の損失に対して同様のしんしゃくを行っているものでございますが、例えば防災上の観点から住宅に対していろいろな改修を加える等の工夫ということもございますので、そういった予防的な措置について所得税の控除の対象に加えていくということについては、慎重な検討が必要ではないかというふうに考えております。

#261
○古本委員 執行現場の意見、今日、国税庁に来ていただいていますけれども、容易に想像できるのは、医療費控除はもう本当に百円、二百円の領収書を集めてきて申告があって、執行現場にしてみればまた仕事が増えるという声が想像に難くないです。
 であれば、例えば地震保険は、御案内のとおり、五万円以下であれば実費、五万円を超える地震保険については一定額、つまり、五万円定額で一律所得控除していますよね。だから、今マスクを着けていない人はいないという前提に立てば、ある一定額をもう必ずマスク控除といって創設したって。新しいじゃないですか。今日、与党の先生方に大勢聞いていただいていますけれども、そういう問題提起をしたい。
 一方で、民税非課税世帯、住民税を納めておられない世帯をどうするかというと、安倍前総理がマスクを配ったわけじゃないですか。さすがに現物支給はもうお互い嫌な思い出があるでしょうからないにしても、マスクの購入券を配るという手だってありますよ、補助券を。つまり、マスクがそのくらいエアロゾルを防ぐという意味において意味があるということを、挙げて財政当局も考えてほしいと強く問題提起をしておきたいと思います。
 今、国税の話を申し上げましたが、これ、リモートワークがすごく進んでいくでしょうけれども、政府部門の例えば省庁大学、省庁が設置している大学等々ですね、自治大学、消防大学、海上保安大学等々ありますけれども、この政府が設置している教育機関、新入職員研修とか省庁設置大学の教育とかは、やはりこれはもうやむを得ずリモートにするようにというふうにしているんですか、それとも集合教育をしているんですか。内閣人事局にお越しいただいています。

#262
○藤田政府参考人 お答えを申し上げます。
 委員お尋ねの件につきまして、内閣人事局の方から各府省に対しまして何らか指示をしているということはございませんで、新人研修につきましては、各府省におきまして、それぞれ研修の目的また内容等を踏まえながら実施をされているものと承知をしているところでございます。

#263
○古本委員 では、国税庁。
 税務大学があると思いますけれども、あるいは新入職員の教育等々あると思いますが、去年はどうだったのか、今年の四月に入省される人はどういう御予定なのか。開陳いただきたいと思います。

#264
○鑓水政府参考人 お答えいたします。
 税務大学校における採用時研修は、高校卒業程度の採用者を対象といたしました普通科研修と、大学卒業程度の採用者を対象といたしました専門官基礎研修に大別されます。
 令和二年度の普通科研修は、昨年四月から全国四か所の地方研修所において一年間の全寮制で行うこととしておりましたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、一部の期間を急遽在宅でのオンライン研修に変更し、実施したところでございます。
 同じく、令和二年度の専門官基礎研修につきましては、昨年四月から埼玉県和光市にある校舎において三か月間研修生を集合させて行うこととしておりましたが、同じく新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、全ての期間を急遽在宅でのオンライン研修に変更し、実施したということでございます。
 それから、今年、令和三年度につきましては、まず普通科研修につきましては、一年間の全寮制で行うこととしておりますけれども、その期間を集合研修とし、全国各地の地方研修所等で行う専門官基礎研修につきましては、税務職員としての基礎を身につけるカリキュラムなど、集合形式で実施した方が効果的なものは集合研修とし、在宅でのオンライン研修と組み合わせて実施することを予定しておりまして、そのための準備を今進めているところでございます。

#265
○古本委員 世の中全てがリモートだということではなくて、実際に集会し、面着し、人と交わることによって人材育成されるという分野もあろうかと思いますので、去年の結果を伺えば、コロナが発症して、もう日本中がひっくり返った中でありますので、そういうリモート教育をなさったというのはやむを得なかったと思いますけれども、是非、人材育成の面で遺漏なきように図っていただきたいなというふうに思います。
 先ほど来、コロナの対応の財源の話も出ていましたけれども、附則百四条というのがかつてありました。少しその話を触れたいと思います。
 導入として、新しい社会を創造していくという意味において、揮発油税について、まず事実関係を確認したいと思います。
 つまり、附則百四条というのは、諸先生方御案内のとおりでありますけれども、社会保障、高齢化、少子化が来る今世紀の最大の課題になる中で、麻生政権のときに、亡くなられた与謝野さん、そして谷垣大臣らが書き込まれた附則百四条というのが所得税法に特記されたんです。
 その附則百四条を、政権が替わり、横にいらっしゃいますけれども、野田副大臣、藤井大臣の下でお仕えしましたけれども、私どもはその附則百四条を引き受けました。最初の最初に確認があったのは、この附則百四条を引き継ぐかどうかでありました。そこに座っていらっしゃる財務省の関係者一同、それは肝に銘じていただきたい事実であります。それはなぜか。法律事項にそれが明記されていたからです。いずれが政権になろうとも、いずれが総理であろうとも、それは国の財政を守っていくために、財源を確保していくために、高齢化の、少子化の、ということだったと思うんですね。
 それでいうと、今般、現政権はカーボンニュートラルということを提言されました、二〇五〇年代でしょうか。その鍵を握るのは、自由民主党さんの税制大綱に書かれておられますけれども、最初に書かれたのはもう何年か前ですよね。今回の大綱、自民党、公明党の与党大綱に、検討事項として、保有から利用へ、車についてですね、保有から利用について、利用への変化に対応していくということを書かれていますけれども、政府大綱、今回の改正法案に入っていません。
 そこで、この大変大玉、超大玉である揮発油税ですけれども、この二十年間を遡って、恐らく平成十七年あたりがピークだったと思いますけれども、国、地方合わせた揮発油税収が幾らで、直近の決算ベース、令和元年度で幾らだったか、つまり、幾ら目減りしたのか、御答弁願います。

#266
○住澤政府参考人 お答え申し上げます。
 揮発油税及び地方揮発油税の合計の税収でございますが、御指摘の二十年前の平成十二年度におきましては三・一兆円でございます。その後、おっしゃったとおり、平成十七年度に三・二兆円のピークを迎えまして、その後、減少傾向にございまして、令和元年度決算におきましては二・五兆円となってございます。二十年前と比べると、およそ〇・六兆円の減少になっているという状況でございます。

#267
○古本委員 これは大臣、他に六千億歳入が飛んでいる税目なんてないですね。超大玉の税でありながら、六千億歳入が飛んでいます。これは、大きな理由は、車を運転する人口が減っている、車の燃費がよくなっている、いろいろな理由が考えられると思いますけれども。
 現政権として、与党として提言されている二〇五〇年代のカーボンニュートラル社会というのはどんな社会でしょうか。
 ちなみに、台数を拾うと、これは除軽、除く軽ですけれども、現在の登録車約四千万台、乗用車のうち、電気自動車は十万台ちょっとです、登録ベースで。コンマ二%です。いわゆる水素、燃料電池車に至っては三千台です。〇・〇〇七%です。
 かつて揮発油税が創設されたのは、それこそ日清、日露戦争の戦費調達由来だったと国税庁の物の本によく書いてあります。途中、戦争を挟み、戦後の昭和二十四年に現在のガソリン税の形になっていくんですけれども、私の理解では、このガソリン税の変遷というのは、財政物資的に課税した時代、つまり、たばこ税的な課税であった時代もあったんじゃないか。あるいは、個別の物品に対する消費税であるんですけれども、それは非常に担税力のある嗜好品に対する、もっと言うと、ぜいたく品課税であった時代もあったんじゃなかろうか。
 そして、今日的には、道路特定財源化してからは、道路建設目的税化していきましたので、この道路は皆さんのガソリン税で造られていますという看板、昔はよく刺していました。今じゃ、どうやって造っているのかというと、現実的に恐らくこれが当たっているんだと思います。来るCASEと言われる社会、自動化運転だとかITSだとか、事故のない社会、安心して歩ける社会、そういうことをつくっていこうと思うと、もっと財源が必要になるかもしれませんね。
 現在、電気自動車は、自由民主党、公明党さんのこの与党大綱に書いている保有から利用へという意味においての利用に関して、電気自動車は何か課税があるんですか、主税局長。

#268
○住澤政府参考人 お答え申し上げます。
 利用に際してということでございますが、走行に際してどのような税負担を伴っているかという御質問と受け止めてお答え申し上げますが、まず、一般論でございますけれども、電気につきましては、一般送配電事業者の販売電気に対して電発税が課税をされております。また、その発電に化石燃料を用いた場合には石油石炭税が課税されるという課税関係はございますが、電気自動車の走行段階に着目して特段の課税を行っているということはございません。

#269
○古本委員 大臣、つまり、あの附則百四条を大臣が書いていただいた、今からもう十何年前、私たちは、野田前首相もそれを引き継ぎましたよ。それで消費税に取り組みました。
 先ほど来、消費税反対の声も同僚議員から多々出ていますけれども、私は大賛成です。消費税以上に公平で、ある意味安定的に、目的税として社会保障を、これは老若男女、社会保障は皆享受しますので、みんなであまねく負担していただくこれ以上の税はないと固く信じていますし、公約違反だと言いますけれども、当時、大分言われましたけれども、私は最初の選挙から、消費税を財源にすべきと個人的に公約に書いていましたよ。それをこの場で、もう十何年前に質問したときに、谷垣当時の財務大臣は答弁なかったです。帰りのエレベーターで、もう鬼籍に入られたからお許しいただけるでしょう、与謝野先生が、多分高校の先輩後輩なんじゃないですか、おい谷垣、何でこの若い青年が質問したのに賛成と答えないんだと言ったんです、消費税を上げるべきだと僕が質問したのに対して。エレベーターの中でやり取りがありましたよ。
 そのくらい、財源確保といったらもうみんな二の足を踏むんです。でも、そこから逃げずに取り組めたのは、附則百四条があったからなんです。
 いよいよ、脱カーボン社会がもう到来していますし、それに向けた社会をつくり変えていくというのであれば、慌ててコロナのための財源を探すといってもなかなか前に進まない、慌てて脱カーボン社会のしつらえに変えた税をつくると言っても間に合いませんので、これは与党大綱に検討事項でとどまっていますけれども、是非、利用段階で揮発油税に頼っていくのか、果たして電気自動車への課税というのはどう考えるのか等々、これはいよいよ政治が判断し、新附則百四条を書き込むべきだと思いますけれども、大臣の御所見を求めます。

#270
○麻生国務大臣 基本的に電気自動車になりますよ、流れとして。僕はカーボンゼロ、CO2ゼロなんという話はそんな簡単な話じゃないと思っておりますので。公約としてゼロというのは世界中言っていますから、うちは反対ですというような、そういうような話ではないと思います。ただし、カーボンゼロというのは本当にゼロになりますかねといえば、そんなことはないんだと思うんですね。
 ですから、そういったことを言うと〇・〇二あってもまだあるじゃないかという話にしかなりませんから、うかつなことは言えぬ話だなと思いながらも、正直申し上げてなかなか難しい。しかし、言うこととしては、世界中皆カーボンを下げないかぬと言っている話なので、そういうことを言わないかぬな、私どももその程度には理解をいたしております。正面切ってこれは反対するという話でもありませんけれども。
 したがいまして、今言われましたように、電気にやると言われましても、電気自動車になるといっても、その電気を起こすものは何でやっているのかといえば、CO2を出して電気をつくっているわけですから、何の意味があるんだねと言われてみんな困っちゃうような、新聞記者のレベルというのはその程度のものだと思って、僕は正直経済部というのにがっかりした記憶があります。
 そういった意味もありますけれども、私は、今おっしゃるように、今回の揮発油税等々、道路に重要で、今考えたら田中角栄というのは天才みたいな人だったなと僕はつくづく思いますよ。でも、そういった意味で、あの税金を取ったおかげで道路がこれだけできたわけですから。
 そういった意味では税で持とうというのはそんな簡単な話ではないのであって、直間比率が、働く人だけに極端に偏った直接税の比率の高さを、これまでどっと消費税を入れて間接税の比率を高めてやっとここまで来られたという話ですけれども、これに代わって間接税を下げるべきだ、直接税をもっと取れと言っておられる共産党を始め、いろいろおられますよ。そこにもおられますけれどもね。あなた一人にかぶせるつもりは全くありませんけれども。
 でも、働く人の数がどんどん減っていく中で直接税の比率を高めるというのはどうやってやるのかねと、私は正直率直にそういった疑問を持ちますので、この種の話はうかつに、簡単な話で、高過ぎる、世界中が安くしたとか言うけれども、世界中は二〇%いっているところが一五%に引き下げたという話ですから、こっちはまだ一〇%の話なので、少し話しているレベルのところが、基が違っていると思っているような感じもいたします。
 いろんな意味でこの問題は、古本先生、税金の話というのはそれこそ全員で考えなきゃいかぬ大事な大事な話ですから、是非そういった意味で、高福祉高負担でいいと言われるところもあれば、アメリカみたいに低福祉低負担でやっているところもあればといえば、日本はそれでいけば真ん中ぐらいかなという感じがしないでもありませんけれども、ちょっと最近海外に行く機会が余りないのでちょっと海外はよく分かりませんけれども、何となくそういったような感じがする中で、税の問題、直間比率の問題、カーボン何とかの話にしても、こういった問題はちゃらちゃらちゃらとする話じゃなくて、みんなでしっかり検討をさせていただいた上での話にしないと極めて危険が伴うかなという感じがしております。

#271
○古本委員 ありがとうございました。
 公党間が、与党、野党共にこのテーマを議論し、政治の道具にせず、かつ法律に書き込み、いずれが与党でも、いずれが内閣総理でも普遍的に取り組むべき点、二〇五〇年代のカーボンニュートラルの時代は目前であります。そのときの社会づくりのための安定財源かくあるべしということを是非お互いに議論し合いたいし、その問題提起に今日はさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。

#272
○越智委員長 次に、清水忠史君。

#273
○清水委員 日本共産党の清水忠史でございます。
 所得税法等の一部を改定する法律案の審議ということで、先ほどに続きまして、二月十六日から始まりました個人所得税及び消費税の確定申告、この問題について質疑をさせていただきたいと思います。
 初めに、資料の三を御覧いただけますでしょうか。
 これは新型コロナウイルスの感染拡大に伴う納税猶予の特例でございます。これは、イベントの自粛要請や入国制限措置など、新型コロナウイルスの感染拡大防止のための措置に起因して多くの事業者の収入が急減しているという現下の状況を踏まえ、無担保かつ延滞税なしで一年間納税を猶予する特例でございます。
 先ほども申し上げましたけれども、二十八万件、金額にして一兆二千億円という、多くの方々がこの納税制度の特例をこの間利用しているということでございます。これだけの方々が、まだ緊急事態宣言が継続している下で、今年の納税額と合わせて、去年延滞した、納税猶予している税金を一度にまとめて払えるのかというのは、極めて困難だ、こう考えるのが自然だと思います。
 今月十六日の財務金融委員会で、麻生財務大臣は、私の質問に対し、特例の終了後においても既存の猶予制度というのを利用できる、こういうふうに述べられておりました。それほど、何か特例と既存の制度と余り違わないかのようなお話だったというふうに思うんですが、それならばそもそも特例措置を用意する必要がなかったわけで、やはり、コロナで苦しんでいる方々が、この特例制度によって納税猶予することができたということで大変救われているという状況は疑いがないと思います。
 資料にあるように、いわゆる既存の猶予制度と特例の猶予制度は何が違うかということなんですが、特例では、前年同月比でおおむね収入が二〇%以上減少していれば対象とされましたが、既存の措置では、大幅な赤字が発生した場合に納税を猶予するというふうになっているわけです。
 具体的にお伺いしますが、大幅な赤字というのはどの程度を指すのでしょうか。

#274
○鑓水政府参考人 お答えいたします。
 国税通則法第四十六条第二項の納税の猶予の適用を受けるためには、法令上、納税者がその事業につき著しい損失を受けた場合において、一時に納税ができないなどの要件を満たす必要がございます。納税者がその事業につき著しい損失を受けたということにつきましては、直前の一年間の利益金額の二分の一を超えて損失が生じる場合や、直前の一年間の損失を超えた損失が生じる場合が該当するものとして取り扱っているところでございます。
 なお、国税庁といたしましては、ただいま申し上げました納税の猶予を適用できない場合であっても、国税徴収法上の換価の猶予、これを柔軟に適用することとしておるところでございます。例えば、換価の猶予につきましては、国税を一時に納付することにより事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあると認められることなどが要件となっているところでございます。

#275
○清水委員 二分の一の売上げの減少ということで、特例で言う二〇%以上の減少に比べるとかなりハードルが高いというような気がしますが、今、国税局、次長の方から柔軟な対応というお話もありましたので、では、ちょっと具体的にお伺いしたいと思います。
 例えば、昨年納税猶予の特例措置を利用している事業者が、例えば持続化給付金であるとか都道府県からの休業支援金などで赤字幅は縮小した、しかし、今述べられた大幅な赤字には満たず、今年の確定申告では多額の消費税などの滞納が発生しそうである、このようなケースは今言われました既存の納税猶予の対象となるのか、お答えいただけますか。

#276
○鑓水政府参考人 お答え申し上げます。
 国税庁といたしましては、新型コロナの影響を受けている事業者に対しまして既存の猶予制度を適用するに当たりましては、納税者個々の実情に十分に配意した柔軟な対応に努めているところでございます。特例猶予の要件を満たすような方につきましては、基本的には既存の猶予制度を御利用いただくことができるものと考えてございます。
 納税者におかれましては、御不明な点がございましたら、最寄りの税務署に是非御相談いただければと思います。

#277
○清水委員 ありがとうございます。
 それで、ちょっと伊藤副大臣がおられないんですが、通告していないのでいいんですが、先ほどの質疑の中で、いわゆる納税猶予の特例を利用されている方々全てに返済期限が始まる前に連絡をして、既存の猶予制度の活用などを提案するというお話がありました。
 これも国税庁の方の答弁でいいんですが、いわゆる二十八万件と私、申し上げました、納税猶予の特例を利用されている方々。この方々全てに返済が始まる前に連絡をして、そして既存の納税猶予の制度について提案をし、今、鑓水次長がお話しされましたように、実情に応じて対応し、基本、納税猶予の特例をこれまで利用されていた方々については既存の猶予制度が適用されるものとしたいというふうに答弁されましたが、そういうことでよろしいでしょうか。安心されると思います。

#278
○鑓水政府参考人 お答えいたします。
 まず、納税者への通知という件に関してでございますけれども、国税庁におきましては、特例猶予の申請期限を過ぎた後におきましても、既存の猶予制度をきちんと活用できるように、業界団体ですとか関係民間団体を通じた周知を始め、あらゆるチャネルを通じて積極的な周知、広報を図っているところでございます。
 その上で、既に特例猶予を受けている納税者に対しましては、猶予期限が到来する前に個別に御連絡いたすとともに、引き続き新型コロナの影響により納付が困難という場合には、既存の猶予の制度を御案内しているということでございます。
 それから、適用をどうするかにつきましては、先ほど申し上げたとおり、柔軟な対応をしていくということで対応していきたいというふうに考えてございます。

#279
○清水委員 大事なところをちょっと答えていただかなくて、全ての方に返済が始まる前にそうした相談をしていただけるのか。ここが大事で、ある事業者は、わざわざ連絡いただいて、もう特例は終わったんだけれども既存の猶予制度を活用してください、大幅な赤字というふうに、従来ではなかなか難しいけれども柔軟に対応しますと連絡いただいて相談に乗っていただいたという方がある一方で、全く連絡がなく、あなたは条件に合わないので、これまで特例は活用していたけれども、事前にそういう連絡もなく、既存の猶予制度も当てはまらなかったというようなことがあれば、ちょっと具合が悪いと思うんですね。
 ですから、二十八万件というのは、これは鑓水次長が納税猶予の特例の件数を述べられたわけですから、これら全てに対応していただけるのか、これがすごく大事だと思うんです。払えるところは払っていただいたらいいんですけれども、もちろん払える事業者もあるでしょう。しかし、こういう人たちには押しなべて対応していただけるということで御答弁いただけますでしょうか。

#280
○鑓水政府参考人 お答えいたします。
 特例猶予の納付期限、これから迎える方もいろいろいらっしゃると思いますけれども、その期限が到来する前には個別に御連絡いたします。その上で、なかなか納付が困難であるという方につきましては、既存の猶予制度を御案内するということでございます。

#281
○清水委員 ありがとうございます。
 現行の猶予制度におきましても、例えば売上げの証明をする書類などが提出できないという場合は口頭説明も可能ということにもなっておりますので、是非柔軟な対応をお願いしておきたいと思います。
 このように、国税庁の方では柔軟な対応をしていただけるということでございまして、ただ、これは国税だけではなくて、先ほど私が紹介しましたように、社会保険料や地方税においてもかなりの件数あるいはかなりの金額ということで、納税の猶予の相談をしていただいているということでありますので、是非、総務省においても、これは地方公共団体にお願いしていただくということになると思いますし、また、年金保険料など、厚生労働省の方でも同様の対応をしていただける、これはコロナが続いておりますので、国税庁と並んでこうした対応をしていただけるかどうか、それぞれお答えいただけますでしょうか。

#282
○稲岡政府参考人 お答えを申し上げます。
 総務省におきましては、地方団体に対し、新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい状況に置かれ納税が困難な納税者等に対して、柔軟かつ適切な対応を改めて依頼する通知を一月十五日に発出いたしたところでございます。
 その通知の中で、特例猶予の期間が終了する納税者等への対応として、そういった方々に対しては、その猶予期間が終了することを確実に周知するようにお願いをしているところでございます。

#283
○日原政府参考人 お答え申し上げます。
 厚生年金保険料等の納付猶予の特例につきましても、その期限後なおその納付が困難な事業所につきましては、国税等と同様に、従来から設けております猶予の仕組みの活用によりまして、それぞれの事業所の状況に応じて柔軟に対応させていただくことといたしております。
 特例猶予期間の終了を迎えられる事業所に対しましては、昨年の十一月以降、終了の前にお知らせをお送りさせていただいて、早期の相談の呼びかけをさせていただいているところでございます。

#284
○清水委員 ありがとうございました。是非柔軟な対応をお願いしたいと思います。
 厚労省それから総務省につきましては、質問は以上でありますので、必要に応じて退席していただいて構いません。
 次に、所得税といいましたら、持続化給付金や家賃支援給付金が、消費税の課税売上げにはならないものの、所得税については課税されるということをこの間の委員会で明らかにしたところでありまして、今日はこの持続化給付金の課税問題について確認したいと思います。
 先ほど言いましたけれども、このコロナの下で、世界各国が事業者に対する経済的支援を行った給付金等につきましては、課税、非課税の考え方で欧米は必ずしも一致していないということであります。ドイツやイギリスでは事業者向けの給付金は課税となっているんですが、アメリカやフランスでは非課税となっております。
 財務省の住澤主税局長は、私の問いに、フランスで非課税措置が取られている理由や背景は承知していないと述べられたわけですが、これは確認していただくことはできないか。例えば、OECDの本部に財務省の職員を派遣しているというふうに思うんですが、もちろん現地法人の企業もありますし、一度これは現地で確認していただけませんかね。

#285
○住澤政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、先日の資料にもございましたように、フランスでは中小企業への給付金の一部につきまして非課税ということになっております。
 非課税とされた経緯等につきまして詳細に把握しているわけではございませんが、フランス政府の担当者に照会をいたしましたところ、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける中小企業等に対する支援措置として非課税としたということでございます。

#286
○清水委員 今お聞きいただいたように、やはり新型コロナで大変苦境に立たされている中小企業に対して、そういう支援なので課税しなかった、こういう考え方でそうなっているということでお答えがありました。
 それで、国税庁のホームページに掲載されている、国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ、ここにもいろいろ課税の問題が書かれているわけなんですけれども、今回の新型コロナ対策としてなされた様々な支援策のうち、例えば今言いました持続化給付金や家賃支援給付金がありますが、他方、新型コロナ感染症対応の休業支援金、あるいは一人十万円の特別定額給付金、それから子育て世帯への臨時特別給付金は、いわゆる法的措置がなされて非課税となっております。
 これらの給付金を法律でわざわざ非課税とした理由について説明していただけるでしょうか。

#287
○住澤政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の新型コロナ感染症対応の休業支援金につきましては、その支給を受けられる方々が休業手当を事業主から支給をされない、他方、雇用関係が継続しているために失業給付も受給できないといった困難な状況にある従業員の方々への支払いであるということ、さらに、失業給付、失業状態に至りますと失業手当の給付があるわけでございますが、これについては既存の制度において非課税とされていることとの関係も考慮する必要があるということなどから、雇用保険法特例法において非課税とされたものでございます。
 また、特別定額給付金、また子育て世帯への臨時特別給付金につきましては、これまで生活維持ですとか家計への支援のために給付される給付金につきましては非課税とする取扱いをしてきていることから、これらの給付金につきましても、引き続き家計への支援のための給付金という性格を有していることや、類似の児童手当が非課税とされていることなどを踏まえまして、昨年四月の新型コロナ税制特例法において非課税とされたものでございます。

#288
○清水委員 今御説明いただいたわけですが、いずれも、新型コロナの影響を受けて、事業者の場合は売上げが落ちたり、政府や自治体が決めた休業要請あるいは時短要請など社会的、政策的に協力したために売上げが落ちた、例えばフリーランス、個人事業者にとって、今言われた、例えば子育て世帯への給付金や休業支援金と同様に、生活を支えるための収入なわけです。
 彼らにとって、持続化給付金というものの性格は、いわゆるシフト労働者や非正規労働者の休業支援金と同じであり、生活を支える収入という点では何も変わらないというふうに思うんですが、これは主税局として、この持続化給付金、家賃支援給付金が生活を支えるためのものではないという認識に立っているのか、そこについて教えていただけますでしょうか。

#289
○住澤政府参考人 お答えをいたします。
 法人として事業を経営されている方、あるいは個人として事業主で活動されている方が、それぞれの経営に生活を依存しているということは紛れもない事実であろうというふうに考えてございます。
 他方で、先日も申し上げましたが、事業収入を補填するでありますとか、あるいは必要経費の支出に充てるためのもの、こういった事業に関連する給付につきましては、ほかの事業主の方々とのバランス上、やはり事業所得の収入なり、法人の場合は益金に算入することがバランス上適当であろうというふうに考えてございます。
 先ほど御紹介ございましたように、諸外国の取扱いにおいても、イギリスやドイツでは同様の取扱いをしておりますし、また、フランスの御指摘がございましたが、フランスの連帯基金支援金の場合は、調べてみますと、そもそも支給が月ごとに行われておりまして、前年同月の売上げからどのぐらい減少したか、その減少額が支給の上限ということでございますので、我が国の持続化給付金のように、ある一月を取りまして、その一月の売上げが一定以上減少している場合に、その十二倍と昨年の収入を比べて、その差額を二百万円を限度として補填するといったような、ある意味大胆な給付措置をやっているわけですが、ややこのフランスの制度とは違いがあるように考えてございます。

#290
○清水委員 フリーランスや個人事業者の営業を支えるという点では、一時金なのか、あるいは月ごとなのか、その違いはあるにせよ、これは私は生活を支える上で非課税とするべきだというふうに思うんですね。
 なぜか。それは、フリーランスの方や個人事業主の方々にとって、持続化給付金が課税とされると所得が生まれます。所得が変わります、増えます。ということは、その他の公的サービスの負担も変わるんです。例えば、国民健康保険料や介護保険料、その所得割部分は所得から算定しますから、上がります。子供の保育料、これも市民税額から算定されるわけです。
 このように、持続化給付金を受け取ることによって所得が増え、だから、持続化給付金というのはあくまでも、コロナの影響を受けて売上げがどんと落ち込んで、それで十分とは言えないところもあるかもしれないけれども、受け取っているものであり、そのことによって、様々波及していく、公的サービスの負担が増える。
 こういうことになると、結局、持続化給付金を受給するメリットが削減されるということになるんじゃないんですかね。

#291
○住澤政府参考人 お答え申し上げます。
 持続化給付金が元々議論されました背景に、事業者の方々が休業要請等によりまして収入が急減するといったような事情があったわけでございまして、それを補填するといったようなことで議論をされていたというふうに記憶をしております。
 こういったものについて、仮に非課税とするといったようなことにいたしますと、このコロナ禍においても、持続化給付金等の支給要件を満たさない状態で、例えば休業要請も受けていないとか、あるいは一定以上の売上げ減少といったような要件をぎりぎり満たさないというような格好で、苦労して収益を上げている方々もいらっしゃるわけでございまして、こういった方々との税負担のバランスというのをどう考えるかという問題があろうかと思います。
 また、負担が増える、あるいは負担が生ずるということでございますが、仮に昨年と同様の収入まで補填されているということであれば、昨年と比べて様々な公的負担が増えるということには必ずしもならないわけでございますので、そういった点も考慮していただければというふうに存じます。

#292
○清水委員 経費で補填される方ばかりではなくて、例えば通訳案内士の方、これは国家資格ですけれども、海外からの観光客をいろいろ案内する通訳士の方々は、仕事がなくなり、かといって、別に経費がかかるということでもありませんので、赤字となっていわば所得が生じないような確定申告ができるかというと、なかなかそれは難しいということもあるんです。
 住澤参考人は、以前、給付金が事業収入に算入されても赤字になるというケースが多いので課税所得が生じない場合もある、多いというふうにおっしゃっていましたが、そういう方々ばかりではありません。
 是非、このコロナの影響がまだ収束しているわけではありませんので、中小企業支援の一環として、今からでも、この持続化給付金、家賃支援給付金については非課税とすることを検討していただきたいと思います。
 最後に、今申し上げました持続化給付金の支給の問題について質問いたします。
 今日も経済産業省から長坂副大臣に来ていただいております。ありがとうございます。
 それで、先日の私の質疑、あるいは予算委員会での笠井亮衆議院議員の質疑などで、要するに現金取引で商売されている事業者の方々が、申請が不備とされて、結局、請求書と振り込み履歴のある通帳の提出が求められて、それが出せないということで、そこがネックになっているというお話をさせていただきました。
 それで、経済産業省、中企庁として、結果として、現金商売をしている業者に、出せない、どうしても出せない無理な資料の提出を求めていることによって持続化給付金の支給を拒んでいる、今このような事態にあるということは、これは副大臣、理解していただけましたでしょうか。そうやってもらえない事業者がいる、現金取引で。そういう事業者が残されているということは理解していただけましたでしょうか。

#293
○長坂副大臣 お答え申し上げます。
 私どもは、持続化給付金を少しでも給付したい、そういう思い、また、皆さんを下支えしたいという思いでやらせていただいておりまして、持続化給付金の審査においては、委員も御承知のように、二〇一九年度分の確定申告と二〇二〇年の売上台帳を確認しているわけであります。事業実態がないにもかかわらず、納税額がゼロの確定申告を行うなどの方法によりまして持続化給付金を不正受給したという犯罪も残念ながら相当数出ていることから、事業実態を改めてしっかりと確認する必要が生じました。
 このために、通常の審査において提出された書類のみでは取引の実態を十分確認できなかった一部の方を対象に、追加の関係書類を提出していただくよう九月下旬から運用を改めたわけであります。
 そして、具体的には、二〇一九年中の対象月に発生した請求書の写しとそれに伴う振り込み、支払いが分かる通帳の写しの組合せ以外にも、先般申しましたが、二〇一八年度確定申告の第一表、また二〇一九年分の市町村民税、特別区民税、都道府県民税申告書の写しでも提出可能であると案内をいたしております。そして、現金での振り込みにつきましては、ATMでの利用明細書や金融機関が発行している証明書も通帳の一種として認めているところでございます。
 したがいまして、例えば委員御指摘の公共料金の屋号宛ての請求書、その引き落としや振り込みが分かる通帳の写し、利用明細の組合せでも柔軟に認めさせていただいているところでございます。

#294
○清水委員 是非、不正受給は取り締まればいいと思うんですよ、私も、徹底的に。絶対やってはいけないことです。ただ、やはり、しっかりと事業実態が確認できる事業者に対しては、しっかりと最後まで支給していただきたいと思うんです。
 それで、前回もお話ししたんですけれども、例えば広島県でお好み焼き屋さんを五十年近く続けているお店もあるんですよね。現金取引ですから、なかなか請求書だとか振り込み履歴がないということで、この持続化給付金がネックになっていると。地域では親しまれているということなんですね。長坂大臣は愛知県ですから余りお好みは食べないかもしれませんけれども、食べられますか。(長坂副大臣「食べます」と呼ぶ)一緒ですか。
 座右の銘は、理想は高く、姿勢は低く、いつも心に太陽をというのが長坂副大臣のスローガンということで、是非、いつも心に太陽をというお気持ちで、事業実態を、今おっしゃられた例えばNTTなどの、電気料金だとか、金融機関のATMなどで、引き落としの明細書だとか、あるいは宅急便の代引きの領収書等も含めて、事業実態を確認されるというものについては追加の資料として認めていただけるということでありましたので、是非柔軟な対応をお願いしたいというふうに思います。
 最後に、やはり、家賃支援給付金は支給された事業者が持続化給付金は出ないという例が残念ながらまだ残されているわけです。
 もう一度確認したいんですけれども、申請者、事業者が、売上げが五〇%以上減少している対象月を同じ日として持続化給付金と家賃支援給付金を申請したならば、給付金の額やその計算だとか対象となる家賃などの証拠書類は違うにしても、給付金の対象者であるということの認定基準は、持続化給付金も家賃支援給付金も同じですね。これは確認したいと思います。事務方でも結構です。

#295
○飯田政府参考人 お答えいたします。
 同じ申請書類で家賃支援と持続化給付金ということでございました。
 この場でも副大臣からも御説明申し上げたと思うんですが、これはちょっと審査基準は、審査基準というか、審査の仕方は違っております。両制度で別途の審査が必要になります。それはやはり要件も違いますし、審査基準も違うからであります。
 特に、それぞれの給付金において発生している不正受給の手口パターンが結構異なっておりまして、家賃支援給付金では支払われた家賃の金額を元に計算するということなんですが……(清水委員「一緒かどうかだけ」と呼ぶ)済みません、それぞれ違っておりますので、必ずしも一致しないことがあるということでございます。
 失礼しました。

#296
○清水委員 いや、違わないと思いますよ。
 今言ったように、申請書類だとか計算方法は違うけれども、前年度に比べて五〇%以上減少しているということであれば、両方の制度の基準になるんじゃないですか。ならないんですか。なぜならないんですか。ならない説明をしてください。長坂副大臣でもいいですよ。

#297
○越智委員長 長坂副大臣、時間が過ぎていますので、簡潔に答えてください。

#298
○長坂副大臣 前回のこの金融委員会でも申し上げましたけれども、持続化給付金、家賃給付金、両制度の要件、売上げ減少月や提出資料が異なり得るため、家賃支援給付金と持続化給付金では別途の審査が必要だということであります。

#299
○清水委員 時間が来ましたので終わりますけれども、私が言っているのは、家賃支援給付金は出ているんです、事業実態があるから出ているんですよ、なのに持続化給付金が出ないというのは不条理でしょうと。
 だから、事業実態を確認する手だてを是非検討していただきたい、引き続き。このことをちょっとお願いしまして、時間が来ましたので、質問を終わります。
 どうもありがとうございました。

#300
○越智委員長 次に、青山雅幸君。

#301
○青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会、青山雅幸でございます。
 午前中に引き続きまして、財政ルールについて先に一つだけやらせてください。
 私の方で、午前中の最後に、麻生大臣の御見解、半永久的に複数年にわたる特例公債法を制定し続けなければいけないんじゃないか、そういう現状にあるところから考えると、私は、財政規律に関するルールはきちっとやはり法律で定めておく必要がある、そういう意味では何か別のルールをつくった方がいいんじゃないかということを御提案させていただいて、大臣の御答弁をいただきました。
 その続きでございます。
 私は、非常にこの点を重要視しておりますのは、今、財政ルールが事実上ないに等しいような状況になってしまっている。そのことが、ここ数年非常に盛んになってきておりますMMT的な主張、そして、それに基づくばらまき政策を言う政治的主張の根拠というか根源となってしまっているのではないかという問題意識がございます。何かあると財源のことを無視したような形での政治批判、あるいは野党の政府に対する批判や政策提案について、財源問題について真剣な検討がなされていないんじゃないかというふうに思わざるを得ないような状況が生じております。
 一方で、アメリカ、EUでは、今日資料でおつけいたしました、財政規律に関するいろいろなルールがございます。
 二枚目、資料二を御覧いただきたいんですけれども、アメリカというのは、いろいろなルールをつくってはその時々の状況に応じて変えていくというところがあるものですから、必ずしも模範的とは言えないかもしれませんけれども、それでも、きちんとルールを変えていくという意味では、今の我が国よりも一歩進んだところにあるのではないかと思っております。EUは、御承知のとおり、数値目標がびしっと出ておりまして、イタリアなどは予算を組み替えさせられたとかというようなこともございます。
 理想とするのは、日本においても今の日本の現状に合わせたEU的なルールをつくるというのが最も望ましいとは思いますけれども、仮になかなかそこまで行かないとしても、例えばペイ・アズ・ユー・ゴー法、義務的経費を増加させる新規の立法については、歳出削減又は増収策の提案を義務づけるというものでございます。
 日本も実質的にはそういうような考え方に立っているというような、財務省等はそういう立場での御説明がありましたけれども、こういったものがきちんとあるということになると、いろいろな政治勢力、いろいろな主張、政治的主張をするに当たっても、今よりも更に一段進んで、やはり財源の裏づけを考えなければいけなくなってくるのではないかと私は思っております。つまり、責任ある政治論争が日本においてもより現実化する。
 やはり、日本においては、一度政権交代がございましたけれども、政権交代の可能性が少ないということから、若干無責任な議論が行われているという感がなきにしもあらず。そういう意味からも、こういった法律をきちんと作ることによって、責任ある議論が行われるようにした方がいいんじゃないかと私は思っているんです。
 それからもう一つは、特例公債法が三党合意で成立した、これは大変よいやり方をされたんだなと思っております。財政規律について与野党が共に考えていくということは非常に重要だし、これからもそうであるべきだと思っています。
 そうすると、ここにある資料二の4を御覧いただきたいんですけれども、両院合同特別委員会というものがございます、アメリカにおいては。ここで赤字削減について与党、野党を問わず協議していく、こういうシステムをつくっている。これも非常に重要なことではないか。三党合意というような形も、実はこういったことを日本においても具現化したよい例だったのではないかと思っております。
 そこで、大臣にお伺いしたいんですけれども、ペイ・アズ・ユー・ゴー法のようなもの、あるいは与野党の垣根を越えての取組、これは国会の問題ではございますけれども、赤字削減のための両院合同特別委員会の設置などということを日本においても真剣に検討していくべき。特に、これから三十年、大臣も度々言われております少子高齢化がますます進んで社会保障の負担が日本に大変大きくなることを考えると、こういう超党派的な取組、あるいはきちんとした財政ルールが必要だと思うんですけれども、その点について大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

#302
○麻生国務大臣 今御指摘があっておりました、いわゆる財政健全化への道筋などを法律によって担保すべき、簡単に言えばそういうことを言っておられるんだと思いますが、財政健全化について、今アメリカの例を引いておられましたけれども、アメリカは、私が知っているこの七、八年の間に、少なくとも、両党でうまく話合いがつかず、私たちがワシントンにいる間に、国立博物館閉鎖、消防士の給料停止なんて何回も起きていますな、ルールがあってですよ。
 というのが実態なのであって、私どもは、そういうのを見ていますと、法制化という手段というのは確かに必要なものの一つかもしれませんが、それよりも、やはり、歳出歳入両面において具体的な方策というのをきちんと盛り込んだ計画というものを策定して、それを政府として責任を持って着実に取り組んでいくということが重要なので。そうじゃないと、具体的な話としては、法制化はされても形としては動きませんし、あのときはたしか国立博物館も全部閉鎖、何かえらい騒ぎになったという記憶がありますけれども、その後も何回か起きておりますからね。そういった意味では、今、日本としては、大きなところは骨太方針等々において財政健全化の目標とか実現方策を明らかにさせていただいているところなんだと思っております。
 超党派の委員会の設置につきましては、これは国会の場で御議論をいただくということになるんだと思いますけれども、財政規律というものをきちんと確保するために、国会での議論というものは、これは真摯に受け止めてまいらねばならぬところだと思っております。

#303
○青山(雅)委員 今御答弁いただいた中で、一つだけ重ねて質問させていただきます。
 今おっしゃったような政府機関の閉鎖、これは結構インパクトのあるニュースで、日本でもワールドニュースなどで報道されておりました。そういうのを見ると、やはり財政というのは非常に大事なんだなというのを、見ている方にも伝わってくるわけですね。
 私は、そういった姿を見せるというのも、政治が一つの規律を守るためには必要なんじゃないかと。だから、必ずしも、国立博物館が閉鎖した、あるいは給料が遅配した、あるいはいろいろな統計が遅れることになった、それもそれとして、真実の姿を国民の方に見ていただくという意味で必要ではないかと思うんですけれども、その点についてだけ重ねてお伺いします。

#304
○麻生国務大臣 一つの御議論として伺っておきますけれども、仮に日本で起きた場合は、御党のおかげで予算が止まったということになるということを覚悟しておられるわけですね。

#305
○青山(雅)委員 それはちょっと違うんじゃないでしょうか。
 それはあくまでも財政規律が守れなかったことによってこういうことになったということで、国民にも、財政に対する、例えばそれこそ消費税、私も、消費税率、今の社会保障を維持するためには今の税率ではなかなか足りないのではないかと正直思っております。そういったことについて真剣な議論が起こるきっかけになるのではないかと申し上げているわけであって、政争の具のためにそういったことをする、あえてするというつもりで、しなければいけないんだということを申し上げているのではないことを御理解いただきたいと思います。
 この話は、また金曜日に続けさせていただきたいと思っております。
 続きまして、所得税法の方について移らせていただきます。
 デジタルトランスフォーメーションについて、まずお伺いいたします。
 日本は、他の主要国と比べてICT投資が相当遅れており、投資額もかなり少ないのではないかと思っております。今回の新型コロナへの対応が迅速にできなかった主要な原因の一つは、やはり行政機関のデジタル化の遅れであったというふうに考えざるを得ないと思います。
 日本の産業競争力や行政の効率を高めていくためには、まずは企業そして行政機関でのデジタルトランスフォーメーションの進展が急務であると考えておりますけれども、そこにとどまらずに、社会全体がデジタル化として底上げしていくことが必要かと思っております。
 そこでお伺いしますけれども、デジタルトランスフォーメーション投資促進税制の創設が本法案には盛り込まれておりますけれども、これは、デジタルトランスフォーメーションという英語をそのまま訳せば、デジタル技術による変革、形態的変革という、単なるデジタル化ではなくて、かなり革新的な企業の変革という概念が入ったものだと思われます。
 まずは、このデジタルトランスフォーメーション、どういったレベルのものが想定されているのか、お伺いしたいと思います。

#306
○住澤政府参考人 お答え申し上げます。
 このデジタルトランスフォーメーション投資促進税制でございますが、デジタル技術を活用した、御指摘のように、まさにデジタルを活用するだけではなくて事業の変革を伴うような、そういったものを対象とする税制でございます。
 具体的には、デジタル要件といたしまして、データ連携等を行うということで、他の法人等が有するデータなどと組み合わせて連携を行っていくといったような要件が課されておりますほか、企業変革要件ということで、ビジネスモデルの変革等を求めることとしております。その要件として、商品の製造原価が八・八%以上削減されるでありますとか、生産性向上や売上高の上昇の目標を定めること、こういったことが予定されているところでございます。

#307
○青山(雅)委員 今お聞きしたとおり、大変判断自体が難しいものかなと。また、そこで求められる変革のレベルも大変高いものかと思います。
 そうしますと、判断者が正しい知見を持っていないとこれは判断できないと思うんですけれども、誰が判断し、また、その判断する組織なりはどうしてそういう判断能力があるというふうに期待されるのか、これについて御説明をお願いいたします。

#308
○中原政府参考人 今御説明のありました企業のデジタルトランスフォーメーションを支援するため、税制支援の要件としては、産業競争力強化法に規定される予定の事業適応計画の認定を受けることを前提にいたしまして、データ連携の共有、あるいはクラウド利用によるレガシー回避、独立行政法人の情報処理促進機構、いわゆるIPAが審査を行いますDX認定によるサイバーセキュリティーの確保といった、御説明申し上げましたデジタル要件と、それから、全社の意思決定に基づくものであるといった、一定以上の生産性向上といった企業変革要件、こういったことを設けることとしております。
 こういったことによりまして、従前のオペレーション変革による生産性の向上や、新たな販売方式の導入による新たな市場拡大を図る取組といったものをその対象にしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

#309
○青山(雅)委員 ありがとうございます。
 そういった中で、判断基準としてマークアップ率が八・八%というものがあるようなんですけれども、これはどういうことで決められているんでしょうか。そして、なぜこの半端な八・八%という数字なんでしょうか。

#310
○中原政府参考人 八・八%という目標につきましては、こうした高い目標にふさわしい革新的な取組を対象とするために、計画期間内に対象事業の製造原価八・八%の削減が見込まれることというものを要件としてございます。
 この算定に当たっては、各国、米国、欧州のマークアップ率、そして我が国におけるマークアップ率といったものを基準に策定する方向で検討を続けているところでございます。

#311
○青山(雅)委員 ありがとうございます。
 次に、今、大変レベルの高いものが想定されておりますデジタルトランスフォーメーション投資促進税制とまではいかなくても、中小零細企業の積極的なIT投資も、私は、日本企業の底上げには必要だと思っております。
 私の卑近な例で恐縮ですけれども、私、弁護士として弁護士法人を経営する立場であるんですけれども、ソフトウェア開発会社にオーダーで、事件や顧客を管理するデータベースを構築してもらったという経験がございます。非常にこれによって事業効率が大きく向上したんですね。
 こういった身近なITのデジタル化というのはほとんどの中小企業について有用だと思われるんですけれども、これに関してはどのような手当てが用意されているのか、また、利用実績などがどうか、簡単にお答えください。

#312
○村上政府参考人 お答え申し上げます。
 シンプルにITツールの導入を支援するところを、上限四百五十万、二分の一若しくは特別枠で三分の二で支援しますIT導入補助金、それから、デジタル化やネットワーク型のシステム構築も含めて設備投資を支援するものづくり補助金、これを令和元年で三年見込みとして三千六百億、それから、令和二年度の一次―三次補正予算で約四千億支援をさせていただいて、まさに御指摘をいただいたようなところ。
 それから、あと、デジタル化応援隊事業をやらせていただいておりまして、そもそも誰のところに相談に行けばいいのかよく分からないという話があるものですから、そういった方々と専門家のマッチングと、その専門家を雇うときの補助費用を出させていただくといったようなところを中心に、あとは税制なども含めて対応させていただいているところでございます。

#313
○青山(雅)委員 今言ったとおり、小規模でも百万、二百万、今おっしゃった三百万とかいう規模がかかって、中小企業には大変重い負担になるものですから、大変有用な支援だと思っております。ただ、これを全然知らないところも非常に多いかと思います。
 御提案なんですけれども、これはソフトウェア開発会社を通じて売り込みに使ってもらえば、そのくらいだったらやってみようというところが非常に多く出てくるかと。大抵は、商工会とか、使う側にとっての広報が図られることが多いんですけれども、これを利用して事業を展開する方に言えば、より熱意を持ってというと変ですけれども、お客さんに売り込むという形で広報が進むのではないかと思うんですけれども、その点、そういった広報の工夫についてどういったやり方を考えているか、また、今の提案についてどうお考えになるかを簡単にお聞かせください。

#314
○村上政府参考人 お答え申し上げます。
 まず第一に、一般的な広報としてのウェブサイトやSNS、その他、ラジオ、インターネット、いろいろな手段を通じて広報させていただいてございます。
 御提案をいただきましたような部分につきましては、先ほど言及しましたが、デジタル化応援隊、まずは分からないから専門家に相談をしたいと。その専門家のところに行きますと、その方々は開発会社さんを知っていらっしゃいますので、そこから開発会社の方が紹介をされて、そこからのいろいろなツールが分かるといった意味で、今、現実でも、もう数百件ベースでやっておりますけれども、かなりこのデジタル化応援隊が具体的に開発者サイドとのつながりをつくり、彼らから具体的に、今御指摘をいただいたような実際のアシストが入るといったようなことが起きていますので、その辺も力を入れていきたいというふうに思ってございます。

#315
○青山(雅)委員 知らなければ損をするというのが今の日本のやり方、税制に関するやり方です、あるいは支援に関するやり方。そこで不公平が生じることがないように、是非よろしくお願いいたします。
 あと、これはちょっと時間がないのでお願いですけれども、例えば、ソフトの購入費が七十万円以上だと支援があるというのが中小企業庁にあるようですけれども、一般的なソフトで七十万円する、汎用なソフトで七十万円というのはなかなかないわけですね。ちょっと中小企業にとって下限の価格、取得価格の下限が高過ぎて、非常に使いづらいものになっているんじゃないかと思われますので、是非この点、またお考えいただきたいと思います、政策立案するときに。
 続きまして、少子高齢化が進む中で、高齢者の社会に果たす役割というか存在が非常に大きくなってくる。あるいは、働き手としての高齢者のこういったITに関するスキルというのも大変重要だと思っております。
 まずは、一般的な消費者として、あるいは行政の利用者としての高齢者のITスキル、ICTスキルの向上を図る必要があると思いますけれども、この点、どういった方策が練られているでしょうか。

#316
○辺見政府参考人 社会全体のデジタル化が進められる中におきまして、誰もがデジタル化の恩恵を受けて豊かな人生を享受できる社会を実現することは極めて重要でございます。
 とりわけ、高齢者の方々につきましては、スマートフォンなどの情報通信機器を使ったデジタル活用に対する不安がありまして、オンラインによる行政手続や、ネットショッピングやSNSといったニーズの高い民間サービスの利用が進んでいないという実態がございます。こうしたデジタル格差の解消が重要であると認識しているところでございます。
 こうした点を踏まえ、総務省では、携帯ショップなどの事業者や地方公共団体と連携し、高齢者などのデジタル活用への不安の解消に向け、オンラインによる行政手続の利用方法などに関する助言、相談を行う事業を推進しているところでございます。
 今年度は、全国で十一か所、支援の基本的枠組みの構築に向けた実証実験を行っており、今後は、本年度実証の成果を踏まえて、全国で一千か所程度で講習会などを開催をするといった全国展開を図ってまいります。
 あわせて、来年度の地方財政計画に新たな歳出項目として地域デジタル社会推進費を計上しており、地域におけるきめ細かなデジタル活用支援の取組を促進してまいります。

#317
○青山(雅)委員 あと、もう一つだけ。
 エンジニアの知識が古くなって、これから高齢者は七十歳まで働くというような時代を迎えてくる中で、せっかくの知識が途中で使い物にならなくなるというのは非常に残念なことだと思うんです。この点について、経産省、何かお考えのことがあるか。

#318
○越智委員長 申合せの時間を過ぎていますので、簡潔に答弁してください。

#319
○江口政府参考人 お答え申し上げます。
 企業がデジタルトランスフォーメーション、DXを進めていくに当たりましては、委員御指摘のとおり、技術の進展に合わせたエンジニアの知識の更新をしていくというのが非常に重要になってまいります。
 エンジニアの学び直しによって先端分野に対応した人材を育成するということを目的といたしまして、経済産業省におきましては、IT、データ分野など将来の成長が見込まれる分野の教育訓練等を認定をいたします第四次産業スキル習得講座認定制度を実施をさせていただいておるところでございます。
 経済産業省といたしましては、このような形で企業DXを支えるデジタル人材の育成に努めてまいりたいと考えております。

#320
○青山(雅)委員 時間になりました。
 おいでいただきました方、最後まで行き着きませんで申し訳ございませんでした。また続きは金曜日にやらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。

#321
○越智委員長 次に、前原誠司君。

#322
○前原委員 国民民主党の前原でございます。
 八時間コースの財務金融委員会、財務大臣、皆さん、お疲れさまでございます。
 私が最後のバッターでございますし、私も午前中に引き続いて二回目の質問をさせていただきたいと思います。
 まず、国債発行計画について伺いたいと思います。
 国債発行計画というのは、借り換える国債と新規発行する国債を合わせて、一年間でどれだけの国債をどのように発行するか、財務省が前もって計画を示すものでございます。
 二〇二〇年度当初予算の場合、借換え国債と新規国債合わせて百五十三・五兆円の国債発行を予定し、そのうち百十七・四兆円を、事前に満期、つまり借入期間を決めて市中発行することにしました。最も短い一年満期の国債を二十一・六兆円、これは全体の一八・四%発行して、最長の四十年債は三兆円、全体の二・六%、三十年債は八・四兆円、全体の七・二%、これだけ発行する計画でありました。
 一年債の構成比は、第二次安倍政権以降一八%程度で推移し、三十年債と四十年債の構成比は一〇%未満でしたが、徐々に上昇傾向にありました。しかし、この二〇二一年度の当初予算ベースの国債発行計画は様相が一変いたしました。新型コロナウイルス対策で前年度より八十二・五兆円多い二百三十六兆円の国債発行を予定し、あらかじめ満期を決める国債も前年度より九十二・六兆円増えて二百十兆円となりました。
 二百十兆円のうち最も短い六か月債は四十一・二兆円、一年債は四十二兆円発行、つまりは一年以下の国債発行比率は、今までは一八%程度でありましたけれども、二〇二一年度は三九・六%、約四割も発行するということになります。しかも、二年債も三十六兆円発行する計画でありますので、二年以下の国債比率は全体の五六・八%、つまり、民間金融機関のニーズが強いのは短い国債ということになります。短い国債はすぐに借換債を発行しなければならない、まさに自転車操業というのが続くことになります。
 まず、理財局ですかね、伺いますけれども、短期国債が一八%程度で推移をしていた、三十年債、四十年債の構成もこうでしたけれども、今回の新型コロナ対応策で短期国債の割合が四割程度、二年以下だと半分を超えるということになっておりますけれども、この傾向は続くと見ておられるかどうか、その点についてお答えをいただきたいと思います。

#323
○麻生国務大臣 事務方はおりませんので。断られたからいないんですよ。私は呼びたかったけれども、そちらがお断りになったからということで、間違えないでくださいよ。
 令和三年度の国債発行総額というのは、令和二年度で、今、大幅に増発をいたしました短期国債が償還を迎えるということになりますので、借換債が大きく増加することになります。当初ベースでは過去最大ということになっているのは事実であります。
 したがいまして、令和二年度の補正予算で国債を大幅に増発した後も、これまでのところ、幸いにして入札は順調に実施をされておりまして、金利も安定的に推移をしているというのが現状であります。
 引き続き、市場の状況や投資家の動向等々を注視をいたしながら、市場に参加しておられる方々との丁寧な会話等々を行いながら、国債の管理政策というのをやってまいりたいと考えております。

#324
○前原委員 日銀総裁にお越しをいただいております。
 まず、前提で一つ確認させていただきたいことがあるんですが、二月十六日も当委員会にお越しをいただいて議論をさせていただきました。そのときに私の質問に対して、国債の買入れはあくまでも金融政策目的のため、経済と物価を支えるために行っており、財政ファイナンスではない、ただ、確かに国債発行が、そうでない場合と比べると比較的容易にできたということは事実だと思うということの趣旨を答弁されました。
 つまり、政府の国債発行を容易にしている面があるということをお認めになったわけでありますが、新型コロナウイルス対策として、日銀は国債を無制限で購入するという政策を打ち出しておられますけれども、結果として政府の国債発行を容易にする面が多いと私は考えますが、その点はどのように考えられますか。

#325
○黒田参考人 まずもって、もちろん財政運営そのものは政府、国会の責任において行われるというふうに認識しておりますが、その上で、日本銀行は、御案内のとおり、二〇一六年九月に導入いたしましたイールドカーブコントロール、いわゆる長短金利操作付量的・質的金融緩和の下で、二%の物価安定の目標の実現のため、大規模な国債買入れを実施しております。また、昨年三月以降のコロナ禍の下では、イールドカーブ全体を低位で安定させるという観点から、更に積極的な国債買入れを行っております。
 こうしたイールドカーブコントロールは、ゼロ%程度という長期金利の操作目標を実現するために必要十分な額の国債を買い入れるものでありまして、実際の買入れ額は、金融政策上の操作目標の実現を目指した結果として決まってまいります。
 このように、日本銀行による国債買入れは、金融政策運営上の必要から実施しておりまして、私どもとしては、政府による財政資金の調達支援が目的の財政ファイナンスではないというふうに考えております。

#326
○前原委員 その上で、では伺いますけれども、先ほど二%の物価目標ということをおっしゃいましたけれども、長らく達成をしておりません。ただし、仮に物価目標が達成して、そしてその先、更なる物価上昇、インフレが過熱懸念があるときは、国債を売って通貨を回収するというオペレーションというものをしなければならないわけです。そのときに、大量に長い国債を保有してそれを売却すれば、長期国債の価格が下落をする、つまり、長期金利が上昇しかねないという懸念があります。
 他方、今、先ほどからお話をしたように、短期で借り換えなければならないという自転車操業が足下で続いております。もし、財政ファイナンスでない、そしてまた、今、日銀総裁がおっしゃったように、あくまでも金融政策の目的だということであれば、日銀が保有する国債が満期を迎えたときに、こういった現下の自転車操業を緩和させるためにより長い国債に借り換えるということが、私はあってはならないというふうに思いますけれども、そういうことはないのかということは確認をしておきたいというふうに思います。

#327
○黒田参考人 先ほど来申し上げておりますとおり、現在のイールドカーブコントロールの下では、一番短期の政策金利をマイナス〇・一%にして、十年物国債の操作目標をゼロ%程度にして、そういう下で、適正なイールドカーブが形成されるように様々な国債の買入れを行っております。その結果として、現在持っている国債の、多分、平均残存期間というのは七年程度じゃないかと思いますけれども、それが何か特に短くなったり長くなったりしているということはなくて、大体安定しているというふうに思います。
 それは、イールドカーブ全体を安定させるという観点から、ある程度バランスよく中期、長期、超長期の国債の買入れを行っているということであるから、その結果だというふうに思っておりますが、いずれにいたしましても、現時点での国債の買入れ額自体は、昨年三月のコロナ禍以降、全体を低位で安定させるという観点から更に積極的な買入れを行いましたけれども、現時点では、マーケットも落ち着いておりますし、国債買入れ自体はかなり低位になっているということでございます。

#328
○前原委員 この間も指摘したことでございますけれども、確かに、二〇一六年のイールドカーブコントロールに切り替えられて以降は、ネット増の八十兆円というものからどんどんどんどん下がってきていて、コロナの前、直前には十兆円増ぐらいまで下がってきているわけでありますけれども、でも、それからまた上がってきていますよね、今。上がってきているということになれば、それは財政ファイナンスじゃないということの御答弁になろうかと思いますけれども、将来のことも考えてこの金融政策をやられていると思いますけれども、しっかりその点は注視をさせていただいて、そして、あくまでも国債発行は政府、国会の責任ということをこの間言い切られたわけでありますので、そういう、アシストと見られることのないように、我々もこれからも注視をしていきたいというふうに思っています。
 それでは、お配りをした資料を御覧をいただきたい、違うテーマに移りたいと思います。
 今回の所得税法の改正に関わる話になるわけでございますが、午前中は図五までいきましたので、図六から御覧をいただきたいと思います。
 私が午前中にどういう議論をしたかということをさらっとお話をしますと、個人や企業の金融資産が国の負債を上回っているため、また、経常収支が黒字であるとか自国通貨が発行できるとか、こういうことも含めて日本にはまだ財政的な余力がある。しかし、大災害などの対応リスクがあるし、また、最も大きなのは、歳出抑制による国力の低下。三十年、文教・科学技術費あるいは防衛費、ほとんど変わっていない。他国と比べると、まさに日本との対比は彼我の差があるということを述べて、財政再建は喫緊の課題であるということを述べさせていただきました。
 ただ、現在はまだコロナ禍でありまして、負担増の議論は俎上にのせるということは現実的でないというふうに思います。
 その上で、では今何を議論すべきなのかというと、やはり経済を成長させる、この議論をしっかり行うことが大事であるということでありますが、この図六を見ていただきたいんですけれども、これは日本の潜在成長率の推移を表したものであります。
 皆様方御承知のとおり、この潜在成長率というのは三つの要素から成り立っておりまして、一つは全要素生産性と言われるもの、イノベーションと置き換えてもいいのかもしれません。それから資本ストック、これは設備投資と置き換えていいのかもしれません。もう一つは労働ですね。労働には、このグラフでは二つの要素が描いてございまして、緑の労働時間、そしてオレンジ色の就業者数ということが描かれているわけでありますけれども、労働時間につきましては、働き方改革もありマイナスに作用している。就業者数については、女性の社会進出、シニアの方々の定年延長、再雇用を含めて若干プラス要素になってきたけれども、これも、人口減少、労働力の減少の全体の中で弱い動きになってきている。最も問題なのが、やはりこの青い部分、全要素生産性というものがほぼ消えかかっていて、潜在成長率全体がゼロに近くなってきているということでございます。
 次に、七ページを御覧いただきたいわけでありますが、第二次安倍政権以降ずっと、財務大臣、財務・金融大臣は、副総理兼財務大臣としてアベノミクス、日銀総裁もそうですけれども、主要な役割を果たされてきました。財政出動、それからいわゆる異次元の金融緩和ということでありまして、確かに株価は上がったし、金融緩和というのは基本的に資産の上がる方策であります、したがって株価は上がるということで、この赤の折れ線グラフ、経常利益は確かに、これはコロナ前です、二〇一九年ですから、コロナが入ると少し公平な評価ができないのでコロナは入れていません、コロナ前まででありますけれども、経常利益は六四%伸びたということでありまして、実際に、そういった面での企業は、全体として利益が増えたということは間違いないと思います。
 問題は、内部留保が経常利益以上に増えてしまっていて、設備投資も経常利益ほどは伸びていない。経常利益の伸びの半分ぐらいですね。そして、人件費に至っては、これは名目の賃金と見ていいと思いますけれども、この七年間で五%しか伸びていない、物価上昇を差し引いた実質賃金はむしろ四%下がってきているということでございまして、経常利益というものが設備投資や実質賃金、賃金に跳ね返っていない。
 財務大臣と黒田総裁はまさにアベノミクスを牽引された方々でありまして、実質賃金はむしろ下がっている、そしてなかなか設備投資に回っていない、日本のGDPの五五%がまさに消費ですから、経済が伸びない要因になってしまっている、このことをどう総括されますか。お二人にお伺いします。

#329
○麻生国務大臣 まず、今言われた話で、労働分配率という言葉はこの資料にはありませんけれども、これがずっと七〇%ぐらい以上ありましたね、私らの最初の頃、あの頃。それがいつの間にか六〇%台に下がって、どんどんどんどん下がっていったというのは、これはもう私のときが最高ぐらいのところでしたから、もう民主党のときぐらいからずっと一貫して下がっているんだと思うんですね、労働分配率って。これは余り使われない言葉ですけれども、よく御存じのとおりなんで、ここのところが私らとしては一番問題なんだと思っているんですけれども。
 少なくとも、政権交代以降一貫して、私どもとしては経済の再生というのを最優先に取り上げてやらせてきていただいたんだと思って、短期間でデフレじゃないという状況にまではつくり出すことができたんだと思っておりますし、GDPも最高水準のところまで行きましたし、名目、実質共に行きましたので、潜在成長率も改善してきたんだとは思ってはいたんですけれども、今言われたように、少なくとも日本の持続的な経済成長というものを維持、促進していくためには、おっしゃるとおりに潜在成長率というのが、高めていく必要があるというのは、これははっきりしているんだと思うんですね、私は。
 まず、私どもとしては、取り急ぎ今コロナをやらせていただいているというのが正直なところですけれども、ポストコロナに向けていろいろやらないかぬところだと思っているんですけれども、やはりこの中で、賃金の引上げというのは避けて通れぬ話なんじゃないのかということで、私ども、財政諮問会議等々でも、経営者代表に対して、これは我々が言う話じゃなくて、神津さん、あなたが言う話だ、連合の神津さんあたりに、これはあなたの仕事なんであって俺たちの仕事じゃないと思うんだけれども何で言わないんですかと言ったけれども、あの方は私と比べて品がいいので、控えめな方なんですね。私は面と向かってばあっと言いますので、そういうことを申し上げてきているんですけれども。
 それが七、八年続いて、やっとこのところ、一連のこういった資料も出たおかげもあるのかもしれませんけれども、アメリカに比べて、リーマンのときがゼロとすると、あれからどれだけ伸びたかという数字が時々出てきますけれども、ああいったものを見ても日本が一番伸びが低い。アメリカが高い。日本とイタリアが低いんだと記憶していますけれども、そういったような形になってきていますので。
 やはり、ここの賃金が企業によって、コロナのせいで、いい企業もあれば悪い企業もありますし、いい産業もあればそうじゃない産業もありますのでばらばらなんですけれども、春闘で一括なんていうのはやめてもらいたい、是非やれるところからやってもらいたいというのが率直なところです。したがって、同じ産業の中でも、そこそこやっている産業もあればそうじゃないところもありますので、そういった一律で何とかというヒラメの目みたいなことをしなくてやってもらいたいというのは率直なところなので。
 この賃金というのは、やはり今後の消費にもつながりますし、生活が安定してくるということによって、いわゆる子供が生まれるとかいうところにも関係してくるかもしれませんし、いろいろな意味で影響を与えるというので、この賃金というのが他国に比べて伸びが低かったという事実は確かなことだと思いますので、その点はきちんとやっていくというのは、これから、これは民間の話なので、私どもが介入して、上げるとかいうのを決められるわけではありませんけれども、そういった点は大きな要素だなというのが率直な実感です。

#330
○前原委員 黒田総裁には次の質問と併せてお答えいただきますけれども、労働分配率が下がっているのは問題だとか、賃金だということ、そのとおりなんですけれども、じゃ、どうするかというところの議論を是非具体的にしていかなきゃいけないと思うんですね。
 先ほど麻生財務大臣がおっしゃったグラフは八ページですね。ちょっとイタリアが入っておりませんけれども、この名目賃金の推移というものを見たら、イタリアも同じようなものでありますけれども、やはりこの日本の長期低迷というのは、残念ながら、何でこんなに上がらないのかということが言えるわけでありまして、ここは大きな問題だろうというふうに思います。
 黒田総裁に併せて伺いますけれども、日本取引所グループのCEOを務められた斉藤惇さんって御存じだと思いますけれども、この方がある新聞社のインタビューに応じて、こうおっしゃっているんですね。
 日銀によるETFの買入れには問題がある、株価は企業の健康状態を映しており、健康であれば上がり、病気になれば下がる、株を買い支えると、病気であっても見逃してしまう、日銀が債券を買うことは問題ないが、株はやめるべきだ、こうおっしゃっているんですね。私は同感なんです。
 やはり企業の株価というのは、民間の方がやはりその企業の努力とか、それこそイノベーションとか、あるいは経営者の取組とか、こういったものを評価して株が上がったり下がったりするということで、むしろやはり企業自体の奮起を促すということが本来株価であるのに、ETFがそれをゆがめてしまっている、病気を見過ごすような状況を生み出してきている、私はそのとおりだと思うんですね。
 これは金融緩和の一環である、経済をよくするということなんですけれども、結局、潜在成長率を下げるようなことに、このETFの購入というのはなってしまっているんじゃないですか。そのことも併せてお答えください。

#331
○黒田参考人 まず、景気の拡大あるいは労働需給の引き締まりに比べて一人当たりの実質賃金が伸び悩んでいるというのは事実でありまして、この点については、消費者物価が緩やかに上昇してきた一方、企業の賃金設定スタンスがなお慎重な下で、名目賃金の上昇ペースが緩やかなものにとどまっていたということが影響していると思います。
 ただ、先ほど麻生副総理も言われたとおり、二〇一三年以降、大規模な金融緩和とか、あるいは政府の様々な施策の下で、失業率も低下して労働需給も引き締まってきたことは事実でありまして、その下で、委員も御指摘のとおり、就業者数も増加して、雇用者所得全体としてはそれなりの伸びは見られたわけですけれども、やはり御指摘のように十分に賃金が上がっていないということが消費にも影響したということは否めないというふうに思います。
 ETFの買入れにつきましては、従来から申し上げているとおり、リスクプレミアムに働きかけることを通じて、市場の不安定な動きが企業や家計のコンフィデンスの悪化につながることを防止するということでありまして、特定の株価水準の実現のために実施しているわけではございません。
 しかも、この買入れというものも、非常に、市場の、今申し上げたリスクプレミアムの状況に応じて上下に変動し得ることとしておりまして、めり張りのある柔軟な買入れを行っているところであります。
 そういったことでありますけれども、御指摘のように、株式市場の機能低下が副作用として指摘されていることはもちろん承知しております。ただ、もっとも、市場機能への影響という点では、ETFを通じた日本銀行の株式保有割合は株式市場全体の七%程度にとどまっておりますし、また、買入れに当たりましても、幅広い銘柄から構成されるTOPIXに連動するETFのウェートを高めるといったようなことで、個別銘柄の株価に偏った影響ができるだけ生じないように工夫をいたしております。
 また、コーポレートガバナンスの面でも、スチュワードシップ・コードを受け入れている投資信託委託会社によって適切に議決権が行使される扱いとなっておりますので、御指摘の株式市場の機能低下という面の副作用というものは十分考えていかないといけないとは思っていますけれども、現状、先ほど申し上げたようなことで、機能の低下が著しくあるとか、あるいはコーポレートガバナンスの面でも大きな問題を生じているということはないのではないかというふうに考えております。

#332
○前原委員 そこは私は見解は全く違います。
 やはり、日銀が大量に国債を買う、今十二兆円ですか、そういう安心感の中で投資家が株を買うということ、それは、一つ一つの銘柄について吟味するということじゃなくて、全体として買われるということにつながっていると思いますので、私は、百害あってとは言いませんけれども、やはりこのETFについては、是非三月の政策点検では、これは抜本的に見直していただきたいということは申し上げておきたいと思います。
 斉藤さんはこうもおっしゃっているんですね。
 一九六〇年代には危機に対応して一時的に株を買い取った日本共同証券と日本証券保有組合の例があった、当時はどう処分するかを購入と同時に議論した、株売却で得た利益などで創設したファンドは今も学生に奨学金を支給している、こういうことをおっしゃっているんです。
 つまりは、そういうことをやった時期もあったけれども、それは、利益をどう使うかもしっかりと考えながらやったということをおっしゃっているわけですね。
 今日お配りをした資料の九を御覧いただきたいわけでありますけれども、これは去年の九月でありまして、今は恐らく、簿価でももうちょっといって四十兆円ぐらいになっているんじゃないかというふうに思うわけでございますけれども、かなりの利益を生んでいることは間違いないと思います。
 この政策点検をやられるときに、ETFそのもののいわゆる副作用ということは一定程度はお認めになられましたけれども、根本的にどうするかということまで言及されなかった。それと併せて、政策点検では、これもこの間、私、二月の十六日に申し上げましたけれども、国債というのは満期が来たら償還するもので減っていくわけですけれども、株は減らないんですね。したがって、そろそろこういった、いわゆる果実をどのように、つまりは、市場の機能をゆがめたという認識が少しでもおありになるのであれば、例えば人材育成とか、あるいは企業のイノベーションを後押しをするようなものに対してしっかりとサポートするというようなことを、やはりその副作用の見返りとしてしっかりと政策点検の中に入れるべきだと私は思いますけれども、いかがですか。

#333
○黒田参考人 このETFを含めまして、各種の資産買入れにつきましては、より効果的で持続的な金融緩和のための点検の対象となるというふうに考えておりまして、その場合の問題意識というのは、費用対効果の面でより効果的な運営ができないか、それから、平素の運営の持続性を高めると同時に、情勢変化に応じて機動的に対応できるようにするにはどうしたらいいかといったようなことがございます。
 また、市場機能への影響についても点検して、どのようなことができるかということも考えてまいりたいと思います。
 ただ、各種の政策を具体的にどのように見直すかということは点検の結果次第でありますので、現時点で具体的なことを申し上げるのは差し控えたいというふうに思います。

#334
○前原委員 果実をそういったものに使うという考え方自体はどうですか。

#335
○越智委員長 黒田総裁、時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。

#336
○黒田参考人 現在、現時点で、ETFからの配当というか、それはかなりの額に既に上っているわけですね。委員御指摘の点は、これはいわゆる簿価と市場価格の差、いわゆる潜在的なキャピタルゲインの話ですけれども、これはいろいろ変動しますし、今はこの額よりかなり大きくなっていると思いますが、それを実現するために売って、何かに具体的に使おうというようなことを今の時点で考えているわけではありません。
 いずれにせよ、現在の長短金利操作付量的・質的金融緩和全体の枠組みについて、いずれ出口に差しかかるということになれば、具体的に、それぞれの政策についてどのように出口を探っていくかということが具体的に政策委員会で議論になり、その結果を公表するということになると思いますが、現時点ではまだそういった状況にありませんので、ETFの非常に大きなキャピタルゲインをどうやって実現して、どのように使うかというようなことを何か申し上げるのはやはり時期尚早であるというふうに思います。

#337
○前原委員 潜在成長率が低いということ、また賃金が上がらない、これが日本の宿痾であるという問題意識は副総理あるいは日銀総裁とも共有できたと思いますので、それをどうやって解決していくのか、我々も具体的な提案もしてまいりますので、しっかり議論させていただきたいと思います。
 終わります。

#338
○越智委員長 次回は、来る二十六日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時五十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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