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2021/02/26 第204回国会 衆議院 第204回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第2号 令和3年2月26日
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2021/02/26 第204回国会 衆議院

第204回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第2号 令和3年2月26日

#1
令和三年二月二十六日(金曜日)
    午前九時開議
 出席分科員
   主査 細田 健一君
      衛藤征士郎君    大岡 敏孝君
      中谷 真一君    野田  毅君
      伊藤 俊輔君    岡田 克也君
      落合 貴之君    松原  仁君
      清水 忠史君    藤野 保史君
   兼務 斎藤 洋明君 兼務 鈴木 憲和君
   兼務 武井 俊輔君 兼務 村上 史好君
   兼務 吉田 宣弘君 兼務 山尾志桜里君
    …………………………………
   法務大臣         上川 陽子君
   外務大臣         茂木 敏充君
   内閣府副大臣       赤澤 亮正君
   経済産業副大臣      長坂 康正君
   内閣府大臣政務官     和田 義明君
   政府参考人
   (内閣官房領土・主権対策企画調整室土地調査検討室長)           中尾  睦君
   政府参考人
   (内閣府規制改革推進室次長)           彦谷 直克君
   政府参考人
   (警察庁長官官房審議官) 堀  誠司君
   政府参考人
   (法務省大臣官房政策立案総括審議官)       竹内  努君
   政府参考人
   (法務省大臣官房審議官) 山内 由光君
   政府参考人
   (法務省大臣官房司法法制部長)          金子  修君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    小出 邦夫君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    川原 隆司君
   政府参考人
   (法務省矯正局長)    大橋  哲君
   政府参考人
   (法務省保護局長)    今福 章二君
   政府参考人
   (法務省人権擁護局長)  菊池  浩君
   政府参考人
   (出入国在留管理庁次長) 松本  裕君
   政府参考人
   (出入国在留管理庁在留管理支援部長)       丸山 秀治君
   政府参考人
   (外務省大臣官房長)   石川 浩司君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 赤堀  毅君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 曽根 健孝君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 長岡 寛介君
   政府参考人
   (外務省大臣官房参事官) 遠藤 和也君
   政府参考人
   (外務省大臣官房参事官) 徳田 修一君
   政府参考人
   (外務省大臣官房参事官) 御巫 智洋君
   政府参考人
   (外務省北米局長)    市川 恵一君
   政府参考人
   (外務省領事局長)    森 美樹夫君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議官)           高口  努君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議官)           間 隆一郎君
   政府参考人
   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    赤澤 公省君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房審議官)           福永 哲郎君
   政府参考人
   (経済産業省通商政策局通商機構部長)       黒田淳一郎君
   法務委員会専門員     藤井 宏治君
   外務委員会専門員     小林 扶次君
   予算委員会専門員     小池 章子君
    ―――――――――――――
分科員の異動
二月二十六日
 辞任         補欠選任
  うえの賢一郎君    大岡 敏孝君
  野田  毅君     中谷 真一君
  岡田 克也君     伊藤 俊輔君
  藤野 保史君     清水 忠史君
同日
 辞任         補欠選任
  大岡 敏孝君     うえの賢一郎君
  中谷 真一君     野田  毅君
  伊藤 俊輔君     佐々木隆博君
  清水 忠史君     高橋千鶴子君
同日
 辞任         補欠選任
  佐々木隆博君     落合 貴之君
  高橋千鶴子君     畑野 君枝君
同日
 辞任         補欠選任
  落合 貴之君     松原  仁君
  畑野 君枝君     藤野 保史君
同日
 辞任         補欠選任
  松原  仁君     田嶋  要君
同日
 辞任         補欠選任
  田嶋  要君     岡田 克也君
同日
 第二分科員鈴木憲和君、村上史好君、第五分科員吉田宣弘君、第八分科員斎藤洋明君、武井俊輔君及び山尾志桜里君が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 令和三年度一般会計予算
 令和三年度特別会計予算
 令和三年度政府関係機関予算
 (法務省及び外務省所管)
     ――――◇―――――

#2
○細田主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。
 令和三年度一般会計予算、令和三年度特別会計予算及び令和三年度政府関係機関予算中法務省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。
 この際、分科員各位に申し上げます。
 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 質疑の申出がありますので、順次これを許します。大岡敏孝君。

#3
○大岡分科員 おはようございます。滋賀県の衆議院議員、大岡敏孝でございます。
 それでは、早速でございますが、法務に関わる予算に関しまして質問してまいりたいと考えております。
 まず、現在も新型コロナウイルスの感染拡大、そして社会的な活動が抑制されておりまして、そのことに関する影響というのが国民の各層各位に出ております。とりわけ、今回は心の問題、メンタルヘルスの問題について取り上げたいと思います。また、これに関わる犯罪の問題、そして、もう少し踏み込んで申し上げると、心に困難や悩みを抱えている方の弱みにつけ込んで、そして立場や地位を利用して害を及ぼしているにもかかわらず、取締りの網から逃れてしまっている事例について取り上げたいと考えております。
 まず最初に、法務省にお尋ねをしたいと思います。
 女性や児童のメンタルヘルスの問題が大きくなっておりますけれども、これに伴って自殺が急増しています。しかも、その自殺が、精神科医が関わる中で起きているというケースも多々見られるようになってきています。
 ここは、調べてみると、本当に許せない事例がたくさんありまして、地位や関係性を利用して患者の女性と性的な関係を持ったり、場合によっては、診療を装って女子生徒にわいせつな行為をしたり、とんでもない事例というのが出てきているわけですね。
 このように、外から見えない場所で行われる、また診療を装って犯罪が行われて立件しにくい案件につきまして、法務省、検察としてはどのように対応しているのか、また、今後、こうした犯罪が増えつつある中でどのように対応を強化されるのか、教えていただきたいと思います。

#4
○川原政府参考人 お答えを申し上げます。
 具体的事件の処理は、当該事件において行われた捜査によって収集された証拠に基づいて個別に判断される事柄でありますが、一般論として申し上げれば、検察当局においては、法と証拠に基づき、刑事事件として取り上げるべきものがあれば適切に対処しているものと承知しております。

#5
○大岡分科員 まあ、そのとおりなんだと思いますけれども、ただ、やはり、この事例はまさに、法と証拠、その法にも課題があり、証拠の収集にも課題があるから大きな問題になっているということは、是非、当局、認識をしっかりと持っていただきたいと思います。
 その上で、医療を所管をしております厚労省に来ていただいておりますので、お尋ねをしたいと思います。
 こうした事例を厚労省は、まず、どの程度把握しているのか。また、日本においては、海外と違って、すごく、医師が診療だと言えばかなり広範囲に守られてしまっている実態がありまして、その立場を利用して、診療に偽装してわいせつ行為をやっているというケースが多々見られるわけです。
 医師が治療を目的として、まあ、最初は治療を目的として患者に接する中で、薬物等を使って、合意を取り付けたとして性的関係に及んでしまった場合、現在の医師法なり医療法なりの法令でもって、国や自治体がその医療機関に指導あるいは処分をするということは、今の時点で、できるんでしょうか。

#6
○間政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘のように、医師法におきましては、罰金以上の刑に処せられた者、あるいは医師としての品位を損するような行為のあったときなどに該当するものについては、有識者から成る医道審議会の意見を聞いた上で、医業の停止あるいは免許の取消しといったような処分をすることができるというふうに定められております。
 このうち、今委員御指摘のわいせつ行為を行っている事例を含めまして、罰金以上の刑に処せられた者についての行政処分を適正に行うために、医師については、罰金以上の刑について公判請求あるいは略式命令請求がされた場合には、公訴事実の要旨や判決結果等について法務省に情報提供を依頼し、情報把握を行っているところでございます。
 また、医師法に基づく行政処分につきましては、個別の事案ごとに諸般の事情を総合的に勘案して行っているものでありますので、刑事あるいは民事の判決結果などを中心に事案の詳細を把握した上で、行政処分をしっかり行うということをやってきてございます。
 一方、御指摘のような事例も含めまして、司法における事実認定がないケースにつきましては、そもそも事実をどのように把握するのか、事実認定をどのように行うのかという課題がありまして、行政処分について慎重な検討が必要となるというふうに考えております。

#7
○大岡分科員 これは本当に、被害者が次々と出ていく中で、しっかりと対応していかなければならないと思っております。
 そうした中、現在法務省では、検討会において、性犯罪に関する刑法の議論が進んでいるというふうに承知をしております。今回申し上げたとおり、医師と患者の地位や関係性を利用して性的関係を持つとか、あるいは、治療と称して薬物を使って、それで事実上合意を誘導して性的関係を持とうとしている場合、そうした精神疾患あるいは心の困難、あるいは障害を抱える患者のケースを想定したような議論がなされているのかどうか、教えていただきたいと思います。
 当然のことながら、もう皆さん御承知だと思いますけれども、欧米においては、そもそもこの関係性を利用して性的関係になること自体を禁止されている。精神科医と患者とか、先生と生徒とか、こうした関係でもって性的関係になること自体を禁止されているわけであって、私は当然、そちらに持っていくべきだというのが私の意見ですけれども、現在検討会ではちゃんと議論がなされているのかどうか、教えていただきたいと思います。

#8
○上川国務大臣 御質問でございますが、現在、法務省におきまして、性犯罪に関する刑事法検討会が開催をしております。その検討会の中で、準強制性交等罪の心神喪失、抗拒不能の要件の在り方でありますとか、また、御質問がございました地位、関係性を利用した犯罪類型の在り方についても論点として挙げられておりまして、その中で、被害者が障害を有する場合も含めて御議論がなされている状況であります。
 御議論の中では、例えば、準強制性交等罪の抗拒不能の要件の明確化のため、薬物の影響でありますとか、また障害などを列挙すべきであるといった御意見、あるいは地位、関係性を利用した性犯罪につきましては、医療職や心理職、福祉施設職員のように、相手方の生活や、また生命や精神状態を左右できる立場にいる人による行為を処罰できるようにすべきであるといったような御意見が述べられているものと承知をしております。検討会におきまして、委員御指摘の点も含めまして、活発な御議論がなされているということであります。
 性犯罪に係る刑事法の在り方の検討につきましては、喫緊の課題であるということでございますので、スピード感を持ってしっかりと検討を深めてまいりたいと思っております。

#9
○大岡分科員 大臣から力強い御答弁をいただきました。
 弱い人の立場、あるいは泣き寝入りをせざるを得なかった方々がたくさん出ている中で、是非、上川大臣、旗を振っていただいて、そうした方を守れるような法整備を進めていただきたいというふうに思います。
 一方で、また厚労省にお尋ねをしたいと思います。
 先日、ある鹿児島県の精神科クリニックにおきまして、院長が三十人以上の女性患者と関係を持った、しかも、そのうち二人が自殺をしているという事件がありました。結果として、医師として常軌を逸した行為そのものは罪に問われず、診療報酬の不正請求ということで逮捕、起訴されまして、有罪が確定をしております。その後、この不正請求を理由として、医業停止三年の行政処分を受けているということでした。
 まず、これは事実なのかどうか、教えていただきたいと思います。
 あわせて、本来、私の感覚からすると不正請求以上に重罪だというふうに感じる性的な不適切な行為に関しては、処分の理由にされなかったのでしょうか。これを理由とする処分はなかったのでしょうか。このことも確認をさせていただきたいと思います。
 御存じのとおり、医師法では第七条で、医師としての品位を損するような行為があったときは、厚生労働大臣は処分することができるという規定になっておりますが、これは当たらないのでしょうか。当たらないとすれば、これ以上の品位を損するような行為があるのか、これが当たらないんだったら、一体、じゃ、何が当たるのかということを是非教えていただきたいと思います。
 更に申し上げると、この規定を使って処分された事例があれば教えていただきたいと思います。
 こうしたケースは、法務あるいは検察任せとせずに、今後、こうした事例は厚労省もしっかりと関係各所と連携をしながら情報収集に当たるべきだと思いますが、こうした事案への対応につきましても併せてお尋ねをしたいと思います。

#10
○間政府参考人 お答えいたします。
 まず、御指摘の事案につきまして令和三年一月に行った行政処分は、司法処分が確定している診療報酬の不正請求による詐欺行為に着目して行ったものでございます。
 医師法におきましては、先ほどもお答えいたしましたけれども、あるいは委員からも御指摘ありましたが、医師としての品位を損するような行為に該当する場合には、有識者から成る医道審議会の意見を聞いた上で処分をすることができるというふうにされております。
 過去に、この医師としての品位を損するような行為を理由として、行政処分を行った例はあります。数は多くございませんが、あります。直近の例で申し上げますと、ちょっと古くなりますが、昭和五十七年に、医師がいわば診療放棄をしてしまった、要するに、辞めたと言って、いなくなってしまったというような事例について、免許取消しを行った事例がございます。
 医師法に基づく行政処分につきましては、個別の事案ごとに諸般の事情を総合的に勘案して行っておりまして、議員の御指摘の性的な不適切な行為につきましては、先ほどお話がありましたが、診療報酬の不正請求の事案と異なりまして、現段階では司法等による事実認定は行われていないことから、私どもとしては、事実認定の手法等を検討し、その上で、品位を損するような行為に該当するか否かについて検討を行う必要があるというふうに考えてございます。

#11
○大岡分科員 ありがとうございます。
 直近の例が昭和五十七年と。もう御存じのとおり、昭和から平成になり、令和になりまして、時代が実は三つまたがっているんですけれども、直近の例が昭和ということでは、事実上、医師法七条というのは、運用されていないとまでは言いませんけれども、極めて運用しにくい状態が続いているということですね。
 先ほど答弁の中でおっしゃったように、結局、事実認定ができない。この後の質問で言いますけれども、これは医師のまさに特殊性でございまして、医者はこういう問題事案を起こしても、三枚、カードを持っているわけですよ。実際、三枚、カードを持っているわけです。
 一番最初に切ってくるカードというのが、御存じのとおり、それは治療の範囲内だと言ってくるわけですよ。どんな睡眠薬を飲ませようと、どんな意識をもうろうとする薬を飲ませようと、それは治療だと、一枚目のカードを切ってくるわけですよね。
 次、二枚目のカード、これは同意があったと言うわけですよ。不適切なことをやっても、同意がありましたと。でも、それは、その同意というのは、薬を使って同意させたんだろうと誰が見たって思うことでも、同意があったと、二枚目のカードを切ってくるわけですね。
 そして、三枚目のカードはというと、大体、まあ大体とまでは言いませんけれども、その手の悪い医師はお金をたくさん持っているケースが多い。三枚目のカードは、弁護士を使って示談をしてくるわけですよ、お金をどんと積んで。
 結局、この三枚のカードで法の網を抜けられてしまうというのが私はもう最大の問題点だし、これは、厚労省も法務省も是非御理解をいただいて、しっかりと対応を進めていただきたいと思います。
 その上で、先に言ってしまった上で次の質問をさせていただきたいと思いますけれども、患者に対する強制わいせつで逮捕、送検された後、本人が事実を認めながら、事実は認めているわけです、事実を認めながら弁護士を使って示談をして、そして刑事裁判に至らず診療を続けているというケースがあります。これは、この近くの、東京のある精神科のクリニックでございますけれども、これでも医師として品位が十分あるという、先ほどのお話なんでしょうか。
 結局、品位がなくて処分されたやつというのは、診療放棄ですよね。診療放棄と、来た客に対してわいせつな行為をする、場合によっては自殺まで追い込んでしまう、一体どっちが悪いんだと。これは本人が認めているわけですよ。認めていながらも処分されないということは、一体、この医師法七条というのはどこを基準にして品位があるとかないとか言っているのか、これを明確にしていただきたいと思います。

#12
○間政府参考人 個別の事案については現段階ではコメントは差し控えたいと思いますが、しかし、いずれにしても、個別、それぞれの事案の詳細を把握した上で適切に対応する必要があるというふうに思っています。
 医師法に基づく行政処分につきましては、繰り返しになりますけれども、個別の事案ごとに諸般の事情を総合的に勘案して行っているものであり、現在、委員も先ほど御指摘があったと思いますが、刑事や民事の判決結果等を中心に、事案の詳細を把握した上で行政処分を行ってきているということでございます。
 その上で、示談により刑事裁判に至らなかったというケースになりますと、そもそも、その事実をどのように把握するのか。つまり、示談の条件にもよるんだろうと思いますけれども、そういう問題あるいは事実認定をどのように行うのかという課題がございますので、行政処分について慎重に検討していく必要があるというふうに考えております。
 いずれにしましても、法に基づいた対応をしっかりやりたいというふうに思っております。

#13
○大岡分科員 本当に、このように医師法七条は事実上ざる化している、しかも、悪いやつが捕まらないということは、是非皆さん、認識をしていただいた上で、正しく運用して、別に悪くないやつを捕まえろと言っているわけじゃないんです、本人もやったのを認めているやつなんだから、きっちり処分してくれということをお願いしているわけでございまして、この運用につきましても、今後私もこれをしっかりとチェックをしてまいりますから、ここでこうして申し上げた、これが議論のスタートだと思って、しっかりと対応を進めていただきたいと思います。
 その上で、今回は予算委員会でございますので、少し予算的なことをお尋ねしたいと思いますが、こうした心のケア、メンタルのケアにつきまして、国そして地方自治体、どの程度の予算を使っているのか。また、その予算執行によってどういった結果を出せているのか。この点について教えていただきたいと思います。

#14
○赤澤政府参考人 お答え申し上げます。
 うつ病などのメンタルヘルス対策についてでございますが、まず、都道府県、指定都市に設置されております精神保健福祉センター等におきまして相談対応を行っており、相談内容に応じて必要な助言を行ったり、適切な機関等につなぐなどの対応を行っております。
 これらの活動に係る予算につきましては一般財源化されておりまして、私どもで具体的な予算額は把握していないという状況でございます。(大岡分科員「分からないの」と呼ぶ)地方公共団体の方は、一般財源化されておりますので、各地方公共団体の予算として、私どもが補助金を出しているという関係ではございませんので、そこはそうだと思います。
 それから、国の方で申し上げますと、令和三年度予算案で申し上げますと、うつなどのメンタルヘルス問題を抱える方に対する支援者として、心のサポーターを養成する研修を行うための予算、これが大体約三千万円を計上しております、等々の予算がございます。
 それから、自殺対策で申し上げますと、地方自治体が行う自殺防止に関する相談、人材育成、普及啓発等の実施、それから電話やSNSを活用した自殺防止対策に取り組む民間団体の支援、それから指定調査研究等法人が行う自殺の調査研究、分析等に係る経費は、約三十四億円を計上しております。
 御指摘のその効果ということでございますが……(大岡分科員「百三十四億、三十四億ですか」と呼ぶ)三十四億円です。
 うつ病対策や自殺対策の効果につきましては、一概に判断できるものではございませんが、例えば我が国の自殺者数で申し上げますと、平成二十二年から令和元年まで十年連続で減少したということは、こうした取組が寄与しているというふうに私どもは考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、厚生労働省といたしましては、引き続き自治体や関係機関と連携しながら、国民の皆様の心のケアに適切に取り組んでまいりたいと考えております。

#15
○大岡分科員 これね、申し訳ないんだけれども、私、ちゃんと通告していますから。県とか市町村で使っている金額は分からないという答弁は、ちょっと不適切というか、不誠実だと思いませんか。急に聞いたわけじゃないので、私。しかも、国にも自殺対策の部署をつくっているわけですよね。それで、県がどれだけ使うとるか分からぬ、市町村がどれだけ使うとるか分からぬけれどもやっておりますと言っても、これは申し訳ないけれども、それはやっているうちに入らないですよね。これはもうちょっとちゃんと仕事をしていただきたいと思います。
 しかも、十年連続で減っているということですけれども、現在、御存じのとおり、これは先日厚労省が発表したんじゃなかったでしたっけ、うつ病が増えているとか自殺が増えていると。申し訳ないけれども、古新聞で議論しているわけじゃないので、足下のこともちゃんと言ってもらわないと。去年やおととしの古新聞で議論しているんだったら、こんな予算委員会をやる必要ないんですよ。
 ちょっと、もう一回答弁してもらってもいいですか。

#16
○赤澤政府参考人 お答え申し上げます。
 自治体の予算につきましては一般財源化されておるという状況でございますが、先生から御指摘いただきましたので、ちょっと確認をさせていただきたいと思っております。
 それから、自殺者数につきましては、このデータは令和元年までのデータということでございます。御指摘いただきましたように、新型コロナウイルスの中で自殺者数が増えているということは、私ども厚生労働省としても重要な課題だと認識しております。
 今、自殺者問題につきまして、私どもの厚生労働省としても様々な取組を進めておりますので、引き続き、この取組につきましてはしっかりと対応してまいりたいと思っております。

#17
○大岡分科員 では、その答弁を了として、しっかりと、国民生活も、まさに今も変化をしているし、迅速にこの変化に対して対応することというのが政府に最も求められていることですので、是非、緊張感を持って、余り古新聞ばかり読まずに、申し訳ないけれども、私、令和元年の新聞を基にした政策を言っているわけではございませんので、その点につきましてはしっかりと注意をしていただきたいと思います。
 その答弁を受けまして、結局、効果が分からない中で、現在の対応としては、できるだけ早期に精神科医に接続をするというのが政策の中心になっていると思います。
 しかし、先ほど申し上げたとおり、皆さんがパスしている先が、本当にまともな医者なのか、まともじゃないのか分からないという中でパスしているんじゃないかということを私は大変心配しております。
 そこで、厚労省として、こうした対策で紹介をする相手先の精神科医や心療内科あるいは総合病院の、その担当している科、あるいはそこの医師が、診療の適正さや人権擁護の観点から、それにふさわしいのかふさわしくないのか、そうした評価をしっかりとやっているんでしょうか。この点について教えていただきたいと思います。

#18
○間政府参考人 お答えいたします。
 私の方から、医師の質の向上といった観点からのお答え、全般についてのお答えをまず、させていただきたいと思います。
 医師法におきましては、国及び医学医術に関する学術団体等は、公衆衛生の向上及び増進を図り、国民の健康な生活を確保するため、医師がその資質の向上を図ることができるよう、適切な役割分担を行うとともに、相互に連携を図りながら協力するよう努めることとされております。
 このような観点から、医師法に基づき診療に従事しようとする医師が受けなければならないこととされる臨床研修制度におきましても、医師が基本的な診療能力を身につけることを到達目標としており、研修期間を通じて指導する医師が臨床研修医の評価を行っております。
 また、平成三十年度に開始された新専門医制度におきましては、精神科も含めまして、医師の質の担保が目的の一つとされておりまして、中立的な第三者機関であります一般社団法人日本専門医機構におきまして、養成プログラムの評価、認定と専門医の認定及び更新を統一的に行うことで、臨床における専門的な診療能力の養成を行ってございます。
 この新専門医制度において、厚生労働省は、医師法の定めによりまして、医師が医療に関する最新の知見及び技術に関する研修を受ける機会を確保できるように、必要な措置の実施を日本専門医機構や学会に対して要請をしてございます。
 こうした制度を通じまして、医師の質の確保に引き続き取り組んでいきたいというふうに考えております。
 医師全般についての仕組みについて、御説明申し上げました。

#19
○大岡分科員 医師全体のレベルを上げるということは、それでいいかと思います。
 ただ、私が問題視しておりますのは、今回のような、犯罪につながる、あるいは、指導しているにもかかわらず、診療しているにもかかわらず、自殺されてしまうというケースを問題視しておりまして、お尋ねしたいのは、全体の底上げの問題じゃなくて、不良というか、好ましくない医師を把握できているかどうか。ここには渡しちゃ駄目だ、ここには接続すると大変な事件になる可能性があるということで、悪い医者を皆さんの方で把握できているのかどうかということをお尋ねしております。この点についてはどうなんでしょうか。

#20
○赤澤政府参考人 先ほど間の方から申し上げたのは一般的な話でございますが、精神医療という面で申し上げますと、精神医療の世界では、措置入院それから医療保護入院といった、本人の意思によらない入院や一定の行動制限を行うことがございますので、患者の人権擁護の観点から、これらの業務を行う医師は精神保健指定医であることが求められております。
 この精神保健指定医は、一定の精神科実務経験等を有し、患者の人権にも十分に配慮した医療を行うのに必要な資質を備える者といたしまして、厚生労働大臣が指定をしております。
 この厚生労働大臣の指定につきましても、やはり、人権等々、非常に配慮しないといけないので、令和元年の七月から制度を見直しまして、実際に経験した症例を基に策定したケースレポートについて、人権も含む精神保健福祉法の理解、それから臨床精神医学上の妥当性等の観点を評価して、それから本人に対する口頭での試問、面接試験を実施することで、十分な内容かどうかを確認しております。
 この指定医も、指定後五年ごとに研修受講を義務づけておりまして、質の確保を図っているということでございます。
 こういう指定医制度も、先ほども間の方から申し上げました一般的な医師に対する権限と、こういう指定医制度、精神保健福祉法に基づく指定医制度を合わせた形で個々の医師に対する対応というのが必要なんじゃないかと思っておりまして、そこはしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

#21
○大岡分科員 ちょっと、私として一〇〇%納得できる答弁ではありませんけれども、ただ、問題は、少なくとも不良だけは除いておく。研修はしっかりやっていただく、これは大事なことです。ただし、ここに持っていくと患者が被害に遭う、場合によっては、だって、若い女の子が、学生さんが、わいせつ行為とかされて、心に傷を負っちゃうわけですよ。こんなものを容認するわけにはいかないので、不良をしっかり取り除く、これを今後心がけてやっていただきたいと思います。
 最後に、法務省、そして法務大臣にお尋ねをしたいと思います。
 先ほど申し上げたとおり、精神科医という、地位もある、立場もある、権力もある、そしてお金もある、こうした方々が、それらを使って、先ほど申し上げたようなカードを切ることによって、法の正義をすり抜けているという事例があります。
 このことについて、法務省、当然、皆さんの最大の仕事は、法の正義、法によって公正と正義のある社会をつくっていくということがまさに皆さんの最大の課題、最大の職務だと思っておりますが、その視点から見てどのように感じておられるのか、教えていただきたいと思います。
 そして最後に、大臣に、こうしたことから、次の被害者、次の示談、次のごまかしをつくり出さないためにはどうした対策を進めていけばいいのか。とりわけ性犯罪、医療に偽装した自己欲求を満たすだけの行為が、医者の地位や知識やお金や立場や権力を使ってすり抜けてしまっているということをどう改善していくのかにつきまして、是非ここは、最後は大臣の決意、熱意をお聞かせいただければと思います。

#22
○川原政府参考人 お答え申し上げます。
 具体的事件の処理につきましては、当該事件において行われた捜査によって収集された証拠に基づいて個別に判断される事柄でありますので、その当否をお答えすることは困難であるということを御理解賜りたいと思います。
 その上で、先ほど示談というお話もございましたが、一般論として申し上げれば、検察官は、起訴、不起訴の判断に当たりましては、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況等、諸般の事情を総合的に考慮しているものと承知しております。

#23
○上川国務大臣 委員から御指摘がございましたこの性犯罪、性暴力でありますが、人の尊厳に関わる大変重要な案件でございまして、この侵害、また、その傷が長期間にわたりまして重大な苦痛を与え続けるということでございます。医師等がその立場や患者の脆弱さを悪用して性的行為に及ぶことは、あってはならないというふうに思っております。
 先ほど来申し上げてきた、性犯罪に関する、ただいま刑事法の検討会を開催しておりまして、まさにその点につきましての論点として挙げているところでありますので、スピード感を持ってしっかりと検討していただくよう、期待をしております。

#24
○大岡分科員 それでは、上川大臣を先頭に、法務省、そして厚労省、しっかりと連携をして力を合わせていただきまして、このような被害者が救われるように、泣き寝入りが起きないように、是非、法の正義と公正でもって日本社会をよりよくしていくように御活躍いただきますことを期待をしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

#25
○細田主査 これにて大岡敏孝君の質疑は終了いたしました。
 次に、伊藤俊輔君。

#26
○伊藤(俊)分科員 立憲民主党の伊藤俊輔でございます。
 引き続き、質問に早速入らせていただきたいというふうに思います。
 今日は、外国人労働者、そして技能実習生、そして留学生等についての質問をさせていただきたいというふうに思います。
 現在、コロナ禍で、かつてない危機に直面をしております。世界的なパンデミックの中で、海外から、そして海外への渡航が制限をされているという現状だと思います。日本に希望を持って来られた外国人労働者や技能実習生、そして留学生、現在どんな対応になっているのか、まず、コロナ禍での現状をお聞きをしたいというふうに思います。
 在日ベトナム人調査でも、技能実習生や留学生らの約七割がコロナ禍で仕事の問題があり、収入減になっている。そして、生活面、帰国困難、学習機会を失うなどの切実な声があることを承知をしております。
 外国人労働者や技能実習生、留学生、自国に帰りたいけれども帰れないという声に対して、各国の帰国希望者が現在どのくらいおられるのかということを、現状をお聞きをしたいと思います。

#27
○長岡政府参考人 お答え申し上げます。
 在留外国人の国籍別の帰国希望者の人数につきましては、例えば、令和三年一月二十九日のコロナ禍における困窮在留外国人対策関係省庁タスクフォースによる、困窮した我が国に在留する外国人への緊急対策方針についての報告、その報告書の中で、在京のベトナム大使館からの情報として、令和二年十二月六日時点の数字ではございますが、帰国を希望する在留ベトナム人が二万人以上に上るというふうに報告されているところでございます。
 外務省として、現時点において、ベトナム以外の国について、帰国希望者数の具体的な情報には接しておりませんけれども、委員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症の影響により様々な困難に直面する外国人に対しては、必要に応じて在京の大使館や関係省庁とも協力しながら、適切に対応していく考えでございます。

#28
○伊藤(俊)分科員 ありがとうございます。
 タスクフォース等の報告でも、ベトナム人だけでも約二万人という報告がありました。昨年の十二月の六日現在ということですから、それから多少増えているのか、現状が危惧されますけれども、ベトナム人以外の各国もいらっしゃると思いますので、外務省の方でもしっかり把握をしていただきたいというふうに思います。
 そしてまた、帰国ができない理由と、そして帰国便、救済便のこともお聞きしたいというふうに思います。
 これまでベトナム政府側が手配をした救済便、約五十五便とお聞きをしております。ベトナム側の水際対策の問題で現在は止まっているというふうにお聞きをしております。
 待機をしている、帰国を待っている方々が、一部誤解を生じている方がいるのかもしれないという思いもあるんですけれども、これは日本側の問題ではなくて、ベトナム側の水際対策の問題で帰れないんだということで認識がよろしいのかお聞きをしたいのと、そしてまた、であれば、帰国できない方々にきちんと伝わり、理解がされるように丁寧な対応が求められると思いますが、現状をお聞きをしたいと思います。

#29
○遠藤政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおりでございまして、現在、ベトナム政府は、新型コロナウイルス感染症の水際対策強化のため、海外から到着する航空便の数を厳しく制限しております。特にベトナム人の帰国につきましては、基本的にベトナム政府がアレンジした救済便のみに限られておるというところでございます。
 我が国といたしましては、ベトナム政府に対しまして、在日ベトナム人の方々の直面する困難等を伝えつつ、日本発ベトナム行きの救済便の増便、それから定期商用便の早期再開を強く働きかける等してきておりまして、帰国希望者の早期の帰国実現を支援しておるところでございます。
 ベトナム政府は、救済便を増便できない理由の一つといたしまして、隔離体制が不十分なことを挙げているということもございまして、現地での検査体制の拡充に向けた支援についても協議をしてきておるというところでございます。
 こうした働きかけや支援につきまして、在日ベトナム人の方々への周知にも引き続き努めながら、帰国希望者の早期帰国に向けてベトナム政府と協力してまいりたいと考えております。

#30
○伊藤(俊)分科員 現地の方の支援も引き続きお願いをして、そして、この切実な声の中には、恐らくオーバーステイになっている方とか様々な方が入っていると承知をしております。帰りたいのに帰れないと日本に来たことを後悔しているなどの一部報道がされたりすることもございますが、これはオーバーステイの方も含まれているんだと改めて思いますけれども、今後も、オーバーステイの方を含めてですが、丁寧な対応を求めたいというふうに思っております。
 そして、帰国できない間の、今、ビザの延長等の対応をしていただいているとお聞きをしております。帰国を待っている間は、今、数か月、半年、一年と中長期的な対応になっているんだと思います。収入が途絶えたり、仕事がなくなったり、あるいは寝床や食料の問題、生活困窮になっている方が一部おられるということも承知をしておりますが、技能実習法の施行規則第五十二条第九号では、そういった帰国までの支援は監理団体や受入れの企業側が持つということに定められているんだと思いますが、今十分な対応ができているのか、まず現状をお聞きをしたいと思います。

#31
○松本政府参考人 お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、技能実習法令等に基づきまして、技能実習が終了し帰国するまでの間につきましても、その間の生活に係る支援につきましては監理団体や実習実施者が必要な措置を講じる義務がございまして、現状、これらに基づいてその対応がなされているところでございます。
 また、外国人技能実習機構におきましては、八か国語での母国語相談窓口を設けておりまして、技能実習生からの様々な相談に対応しているところでございます。
 出入国在留管理庁といたしましては、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響におきまして本国への帰国が困難な技能実習生が現に生じているという現状を踏まえまして、帰国できます環境が整うまでの間、特定活動六か月等の在留資格により、本邦での在留を認めているところでございます。本月十九日時点におきますこれらの許可を受けて在留する外国人数は、速報値でございますが、特定活動就労可が約三万六千九百人、特定活動就労不可が約千五百人となっております。また、帰国困難な元技能実習生に対しまして特定活動就労不可を許可する際には、一定の条件を満たす場合には雇用保険の給付が可能であることなどにつきましても案内する周知文を配付しているところでございます。
 また、外国人技能実習機構におきましては、ホームページやSNSを通じまして各種支援策につきまして周知しているところでございます。
 出入国在留管理庁といたしましては、技能実習生が帰国できるまでの間、円滑に在留することが可能となるよう、制度を共管いたします厚生労働省や外国人技能実習機構と適切に連携して、技能実習生の支援、保護を図る観点から適切に対応してまいりたいと思っております。

#32
○伊藤(俊)分科員 ありがとうございます。
 現状、職に就けていない方がいらっしゃる、恐らく延べ千四百人ぐらい、まだ就職活動中というか仕事を見つけている方がいるというふうに聞いております。当然、アルバイト等でつないでいる方もいらっしゃるのかもしれませんが、実情は生活困難になっている方が一部いらっしゃるということを危惧していると思いますけれども、一人も取り残さないように対応していただきたいということ。
 私もかつてアメリカや中国に留学の経験があります。中国のときはちょうどSARSがあって、今と同じような現状を経験をいたしました。現地でマスクが調達できないとか、あるいは、近くの方が亡くなったケースもありましたし、情報がほとんどない、そして帰国を希望しても帰国ができないという状況を経験をいたしました。外国の地に行ってすごく不安な思いの中で、医療機関も、言語の問題もありますが、十分専門的なことが伝わらない中で、母国を離れて日本に来られている、そういう方々に対して、丁寧な対応を改めて求めたいというふうに思っております。
 そして、そういった方々に対しての窓口についてもお聞きをしたいというふうに思います。
 今、地方公共団体の一元的相談窓口が設置をされていると思います。そして、もう一つは、外国人在留支援センターのFRESCがあると思います。そして、時には大使館も対応しているのかなというふうに思いますが、大きく言ってこの三つが窓口になるんだろうというふうに認識をしております。
 一元的相談窓口には年間約二十一万件の相談がある、そしてFRESCには一日大体二十件程度相談がある、大使館においては、外務省の方でも詳細は、件数は承知をしていないというふうにお聞きをしておりますけれども、これから避けられない、外国の方を迎え入れる様々な政策を通じて、正確な実情を捉えて改善するために、それぞれの機関が連携をして情報を集約することが極めて大事だというふうに思いますけれども、そういった機関が事実上はまだないのかというふうに認識をしております。
 その現状を含め、大臣に認識をお伺いしたいというふうに思います。

#33
○上川国務大臣 様々な困難を抱えていらっしゃる外国人の方々の相談にしっかりと応じるということは極めて重要なことだと思います。相談しやすい体制づくりということが大変大事ですし、また連携をしていくということも極めて大事であるというふうに考えております。
 地方公共団体が運営する一元的相談窓口、ここの対応力を向上するということも含めまして、法務省におきましては、連携をするための様々な取組も行っているところであります。
 まず、今御指摘ありましたFRESC、外国人在留支援センター、これは、外国人の在留支援の総合的な拠点として開所をいたしまして、相談対応などで得た情報、有益な情報をできるだけ地方公共団体の方に提供するという役割を担っております。自治体の様々な一元的な相談窓口で対応された相談のうち、関係機関と協力をして問題解決に至ったような好事例、こういったことにつきましても、FRESCが情報を収集し、それも地方公共団体の方に情報提供していくということもしております。
 また、地方の出入国在留管理局などが主催をいたしまして、地域単位で一元的相談窓口職員同士によりましての事例研究や、また意見交換を行う機会を設けるなどして、相談対応の方策等につきましても共有をしていくということでの対応整備をしているところであります。
 引き続き、この相談対応におきましての好事例の収集を進めるとともに、先ほど申し上げましたような取組も充実させまして、一元的相談窓口の相談対応力の向上のための支援、協力をしてまいりたいというふうに思っております。相談内容の実態把握ということも重要であるというふうに考えておりまして、地方公共団体等の意向も踏まえまして、更なる実態把握の充実にも尽くしてまいりたいというふうに思っております。

#34
○伊藤(俊)分科員 ありがとうございます。
 実情、どんな相談があってどんな解決をされたのか、そして解決ができない問題があるのか、そういった情報を細かく集約をすることが大事だろうというふうに思っております。そういった全体を集約するような機関を、これから大事なこの政策を含めてですけれども、集約できるような機関があってもいいのかなというふうにも思いますので、是非お願いをしたいというふうに思います。
 そして、不法滞在やオーバーステイの方々についてもお聞きをしたいというふうに思います。
 今、年々増加をしている不法滞在、オーバーステイの方、オーバーステイの方は様々な理由があるというふうに承知をしておりますけれども、コロナ禍で帰国を求めて出頭するケースがあるというふうに承知をしております。そういった方々におかれても、帰れない、あるいは帰せない、自国の実情の問題、いろいろあるんだろうというふうに思います。
 ほとんどの方が収容を希望せずに待機をしているということもお聞きをしております。こういった方々への対応というもの、あるいは支援というものが今どうなっているのか、お聞きをしたいというふうに思います。

#35
○松本政府参考人 お答えいたします。
 不法滞在者が帰国を希望して自ら出頭してきた場合につきましては、通常、収容することなく出国までの手続を進めております。その上で、これまでの一般的な現状を申し上げますと、そのような帰国を希望して出頭してきた不法滞在者は、帰国のための航空券の購入を含めまして、帰国までの間の生活費につきましては自ら負担することが原則的な対応とされている中、実際に、コロナ禍以前は、航空券の購入費用や帰国までの生活費は自らの負担あるいは知人等の援助を得て工面した上で早期に出国をしていたというのがその大半でございました。
 もっとも、コロナ禍におきまして、帰国を希望して出頭した不法滞在者が、帰国便が飛ばないなどの理由によりまして早期に帰国できず、生活に困窮しているようなケースが生じているのが現状でございます。
 そのような場合につきましては、所管の出入国在留管理局等にそのような連絡、相談がありました場合には、大使館等と連携し、あるいは大使館等に相談するように勧めたり、場合によっては、冒頭御指摘がありましたチャーター便の枠を確保したり、あるいは必要に応じて帰国費用の全部又は一部を国費で負担して本国に送還するなど、個別の事情に応じて対応しているところでございます。

#36
○伊藤(俊)分科員 ありがとうございます。
 オーバーステイになった理由は本当に様々なんだろうというふうに思います。たまたま企業と合わなくて逃げ出さざるを得ないような状況があった方も中にはいらっしゃるのかもしれません。そういったオーバーステイの方々は特にですが、犯罪につながるケースがあったり、あるいは医療機関にかかれない方々であろうというふうに思います。
 今、コロナ禍においても、感染のリスクも含めて感染症対策の面からも、あるいは人権あるいは人道的な面からも、積極的に対応する方が望ましいというふうに思いますので、是非ここの観点も、オーバーステイだからといって差をつけるのではなくて、しっかりと対応をお願いをしたいというふうに思っております。
 そして、技能実習生においては、国内雇用継続へ、特例措置についてもお聞きをしたいというふうに思います。
 既に特定活動として、他業種、異業種への転職ができた方は三千九百五十四人とお聞きをしております。その業種、内訳などはまだ集約ができていないということでありましたけれども、しっかりと現状の分析あるいは評価をしていただきたいというふうに思います。
 その現状を簡単にお聞きをしたいのと、その上で、特定活動への在留資格の変更許可は、これまで技能実習生の他業種、異業種への転職を認めていない日本において、事実上、一時的にできるようにするものだと理解をしております。今後の技能実習制度を考える上でも、受入先の様々な問題において転職せざるを得ないような状況になったとき、柔軟に特定活動として認められるように、コロナ禍を抜けても対応していったらどうかというふうに考えますが、大臣にその認識をお伺いしたいというふうに思います。

#37
○松本政府参考人 まず、私からお答えいたします。
 御指摘のとおり、法務省におきましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響によりまして解雇等をされ、実習の継続が困難となった技能実習生等に対しまして、実習していたカテゴリーとは異なるカテゴリーへの転職を認め、雇用を維持する特例措置を行っているところでございます。
 この特例措置は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大という非常事態の下におきまして、実習の途中で解雇された技能実習生等につきまして、雇用を継続することにより本邦での生活を安定させるため、あくまでも現下の特異な状況における一時的な支援策として、人手不足分野の異業種への転職を認めているというところでございます。
 委員御指摘のような、技能実習生に責めのない事由により実習の継続が困難となった場合につきましては、制度上継続的な技能実習が可能となるように、監理団体等が技能実習生の転籍の支援を行うこととされておりまして、実際にこれに取り組んでいるところでございます。
 法務省といたしましては、外国人技能実習機構を通じまして、監理団体に対し指導助言を行うとともに、転籍に伴う調整等の支援を行っておりますところ、引き続き、個々の技能実習生の置かれた状況に十分に配慮しながら、制度を所管する厚生労働省とともに、適切に対応したいと考えております。

#38
○上川国務大臣 今回の新型コロナウイルス感染症の拡大によりまして様々な特例の措置を設けているところでございます。そうした実態のデータもしっかりと収集しながら、その分析、評価を加えた上で、また様々な御支援につきましても検討していきたいというふうに思っております。
 今の制度につきましては報告をさせていただきましたけれども、コロナ禍がこれから先もどのような形で動くかということもございますし、また、アフターコロナの時代に備えてということにつきましても十分に検討してまいりたいというふうに思っております。

#39
○伊藤(俊)分科員 技能実習生においては、来られるときに多額の借金をして来られるとか、あるいは、来られてからも、生活面だったり仕事面だったり、あるいはビザの関係だったり、かなりがんじがらめになりながら働いている方が多いという認識の中で、やはり、職を容易に替えることができない。これは、同じ業種であっても、なかなか、原則、容易に替えることができないという現状を踏まえながら、様々なケースに対応できるように、今回のコロナ禍の対応をまたコロナ後も生かせるような、そんな状況にしていただきたいというお願いをさせていただきたいというふうに思います。
 そして、監理団体そして受入れ企業についてもお聞きをしたいというふうに思います。
 現在、外国人労働者、約百六十五万以上ですかね、いらっしゃると思います。そのうち、約四十万ぐらいが技能実習生だと認識をしております。その七割で労働法令違反や、あるいは年間七千人から、多ければ九千人近く、技能実習生の失踪があるという、ある意味異常な状態なんだろうというふうに思います。
 制度の改善がまず求められるんだと思いますが、今、技能実習生の失踪対策としても、技能実習法に基づく措置、あるいは監理団体の実地検査など様々な対応をしていただいていると思いますが、実習生から監理団体に訴えたが届かないという声も一部聞こえてくる中で、失踪防止にどれだけの効果、改善につながっているのかという疑問がございます。
 現状、監理団体や受入れ企業への行政処分なり、受入れ停止の件数等、現状をお聞きをしたいというふうに思います。

#40
○松本政府参考人 お答えいたします。
 外国人技能実習機構におきましては、監理団体及び実習実施者に対しまして、定期的あるいは臨時に実地検査を行っております。そして、技能実習生に対する賃金不払いや人権侵害行為などの不適正な事案を認知した場合には、必要な改善勧告等を行うとともに、違反の態様に応じて監理許可の取消しや実習認定の取消しを行うなどの措置を講じているところでございます。
 技能実習法が施行されました平成二十九年十一月一日から令和三年二月十二日までの間に、監理団体の監理許可を取り消しましたのは十五件、実習実施者の実習認定を取り消しましたのが百二件となっております。このほか、技能実習の適正な実施を確保するための改善命令を行いましたのは、監理団体一件、実習実施者九件という状況でございます。

#41
○伊藤(俊)分科員 ありがとうございます。
 引き続き、適正な制度運用につながる、そして外国人労働者にとって喜ばれる環境をつくり出せるように、監理団体や受入れ企業あるいは送り出し機関なども含めて、より厳格な指導や実態調査を重ねていただきたいとお願いしたいというふうに思います。
 そして、今、先ほども、外国人労働者あるいは技能実習生においては、自国で来られるときに送り出し機関に平均約八十万円から百万円ぐらいの借金をしながら来られるという、ここのスタートの時点をどう見るかというのもあるんですが、借金をして日本に来るためにより高い賃金を求めてという問題もあります。低賃金や深夜労働や長時間労働、あるいはパワハラなどの人権侵害、あるいは転職ができない等のいわゆる逃げ場がない、そういうことに対しての早期改善が求められているんだろうというふうに認識をしています。
 いつまで日本を選んでいただけるか、日本の国柄が問われているんだろうというふうに思います。選ばれる国になるにはどうしたらいいのか、大臣の見識、認識を是非お伺いしたいというふうに思います。

#42
○上川国務大臣 外国人の労働者の方々がこの日本の国で働くということでありますが、日本の労働関係法令等に関する知識が必ずしも十分ではない場合が多いというふうに思っておりまして、労働条件等に関する問題が生じやすい状況がございます。
 政府といたしましては、外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策におきまして、適正な労働条件と雇用管理の確保のため、労働基準監督署における事業主への労働関係法令の遵守に向けた周知や、またハローワークにおきまして雇用管理改善に向けた相談、指導等の充実などの取組を実施をしている状況でございます。
 先ほど委員から、選ばれる国になるということの御指摘ありましたけれども、外国人に選ばれる国となるためには、何といってもこうした労働環境の整備が必要であるということでございますが、加えて、在留資格を有する全ての外国人を孤立させることなく、生活者としての外国人を社会を構成する一員として受け入れる、そうした姿勢に立ちまして、安心して安全に生活していく環境を整備をしていくということが極めて重要であるというふうに思っております。
 政府といたしましては、外国人材の受入れ、そして共生のための総合的対応策におきまして、行政・生活情報の多言語、易しい日本語化、また相談体制の整備等、暮らしやすい地域社会づくり等の様々な取組を進めております。
 外国人の方が生活をしながら、また働きながら、あるいは学びながらということでありますので、それぞれの全体がしっかりと総合的にサポートができるような環境づくりに向けまして、しっかりと対応を図ってまいりたいというふうに考えております。

#43
○伊藤(俊)分科員 是非、労働環境の整備はもちろんのこと、長期で見ると、我が国の賃金、賃金上昇率なんかも世界に比べると低水準になっているということも選ばれなくなる理由の一つになろうかと思いますので、その改善も求められるんだと思います。
 せっかく日本に来て、選んでいただいた方や日本語を学びたいという方、日本で働きたいという方、この滞在中にどんな思いに触れて自国に帰るのか。自国に帰った後も親しみを持って友好的な関係を築きたいと切に思いますが、実態とは異なる制度活用にならないように改善を求めたいというふうに思います。
 今日は中小企業庁にもお越しをいただいておりましたけれども、日本語学校の経営実態が極めて厳しいという状態をひとつお願いしたいと思いましたが、時間が来てしまいましたので、また別の機会に質問させていただきたいと思います。
 質問を終わります。ありがとうございます。

#44
○細田主査 これにて伊藤俊輔君の質疑は終了いたしました。
 次に、清水忠史君。

#45
○清水分科員 日本共産党の清水忠史でございます。
 犯罪被害者等の支援について伺います。
 来月、京都コングレスが開催されます。テーマは、SDGsの達成に向けた犯罪防止、刑事司法及び法の支配の推進とのことでございます。犯罪を防止することと併せ、犯罪被害者となった当事者やその遺族を支援することも国際的な課題だと考えます。
 これまでも犯罪被害者支援に熱心に取り組んでこられた上川陽子法務大臣に質問します。
 二〇〇四年には犯罪被害者等基本法が成立しました。その基本理念にはこう書かれております。「すべて犯罪被害者等は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有する。」とあります。
 法務省におきましても、加害者に対して速やかに経済的回復の観点から賠償を求めるための支援として、損害賠償命令制度が創設されました。
 しかし、日本弁護士連合会が二〇一五年に行いました損害賠償請求に係る債務名義の実効性に関するアンケート調査によると、殺人、殺人未遂及び傷害致死といった凶悪重大事件の被害者等において、民事訴訟の判決や損害賠償命令等の債務名義を得ている犯罪被害者では、何と約六〇%が賠償金の支払いを全く受けておりません。さらに、回収率を個別の犯罪ごとに見ましても、その平均は、殺人については三・二%、殺人未遂と傷害致死については共に一・四%と極めて低いということが分かりました。更に重大なことは、債務名義上の金額の全額が支払われたという方はただの一人もいなかったということであります。
 上川大臣は、このような実態を御存じでしょうか。

#46
○上川国務大臣 制定しました損害賠償命令制度につきましては、この運用に当たりまして、被害の当事者の方々、またそれを支える支援の皆様がこの制度を活用するということを念願に運動をされて実現したものでございまして、その実態についてはなかなか難しい状況ではございますが、しっかりこの制度を運用していただきたいということを願って、応援をしているところでございます。

#47
○清水分科員 この間、私は、犯罪被害に遭われた当事者や御遺族の方から直接話を伺ってまいりました。
 一般社団法人犯罪被害補償を求める会の代表の藤本護さん、関西の方でございますが、二〇〇二年に、日頃から相談に乗っていた加害者に妻を刺殺され、御本人も瀕死の重傷を負いました。藤本さんは、加害者に資力がないことを知りながらも、四十八年間連れ添った妻の命の重さを量るためには民事訴訟しかないということで提訴をされまして、三千二百万円の判決を得たわけです。しかし、加害者は、懲役十年の判決を受けた後、出所後に死亡。結局、支払われませんでした。
 つまり、日弁連のアンケートからも分かるように、凶悪重大事件の被害者やその遺族は、被害に遭った上に、損害賠償金の回収が全くできない場合は泣き寝入りを迫られる、非常に苦しい状況に置かれるということでございます。
 そこで、犯罪被害者等に給付金を支給する犯罪被害給付制度について伺いたいと思います。
 警察庁さん、この制度の目的について簡潔にお答えいただけますでしょうか。

#48
○堀政府参考人 お答えいたします。
 犯罪被害給付制度は、殺人などの故意の犯罪行為により不慮の死を遂げた犯罪被害者の御遺族又は重傷病若しくは障害という重大な被害を受けた犯罪被害者の方に対しまして、社会の連帯共助の精神に基づき、国が犯罪被害者等給付金を支給し、犯罪被害等を早期に軽減するとともに再び平穏な生活を営むことができるよう支援するため、昭和五十五年に創設されたものでございます。

#49
○清水分科員 今言われましたように、犯罪被害者、御遺族が犯罪から立ち直り、平穏な生活を取り戻してもらえると想定する一定の期間、経済的に支援を行うことを目的としているということでございます。
 では、その実績について確認させてください。
 昨年度、二〇一九年度の支給裁定件数、実際にこの給付金が支払われた件数、そして、遺族給付金と障害給付金の最高額及びその平均額についてお答えください。

#50
○堀政府参考人 お答えいたします。
 二〇一九年度中におきます犯罪被害者等給付金の支給裁定に係る被害者数は三百十六人でございます。
 また、同年度中におきます遺族給付金の平均裁定額は六百十三万九千円、最高支給額は二千四百九十一万五千円でございます。
 また、障害給付金の平均裁定額は三百九十万六千円、最高支給額は三千二百八十三万二千円でございます。

#51
○清水分科員 今、答弁で、裁定平均額ということがありましたけれども、これは平均額の間違いじゃないですか。最高額は今言われた数字ですが、ちょっと訂正していただいたら。

#52
○細田主査 堀長官官房審議官、ゆっくりでいいですから、正確に。

#53
○堀政府参考人 大変失礼しました。
 もう一度、正確に申し上げます。
 遺族給付金の平均裁定額は六百十三万九千円でございます。最高支給額は二千四百九十一万五千円でございます。
 また、障害給付金でございます。平均裁定額が三百九十万六千円、最高支給額は三千二百八十三万二千円でございます。
 大変失礼いたしました。

#54
○清水分科員 いずれにしても、平均でいうと、六百十三万円なんですね、遺族給付金。非常に少ないわけです。障害給付金も三百十九万円。余りにも低い金額になっている。
 なぜかということなんですよね。その要因の一つは、若年層に対する給付金の算定基準に私はあると考えております。
 これも警察庁に確認するんですが、勤労収入がなく、生計維持関係遺族のいない二十二歳の大学生の場合、この方が重大凶悪事件に巻き込まれ亡くなられた場合、その遺族給付金の最高額は幾らになりますか。

#55
○堀政府参考人 失礼いたします。
 今の御質問の前に、先ほどの答弁におきまして、また私とちってしまったようでございますが、障害給付金の平均裁定額につきまして三百九十万六千円ともしかしたら申し上げていたと思いますが、三百十九万六千円でございます。大変失礼いたしました。訂正させていただきます。
 それから、今の御質問でございます、収入のない二十二歳の大学生が被害者となった場合の遺族給付金の最高額ということでございます。
 遺族給付金につきましては、政令で定めます給付基礎額に、遺族の生計維持状況を勘案して政令で定める倍数を乗じて得た額を支給されるということになってございます。
 お尋ねの場合について当てはめてみますと、まず、収入のない方で二十二歳の方が亡くなった、なおかつ、収入がないということでありますと、生計を維持している遺族がいらっしゃらないという場合に相当いたします。したがいまして、その場合の遺族給付金の額は定額で決まっておりまして、三百六十万円となります。

#56
○清水分科員 大臣、三百六十万円なんですよね、僅か。驚きました。遺族を失った悲しみを埋め、平穏を取り戻すことが三百六十万円でできるのかということだと思うんです。
 実際に子供を亡くされた御遺族の方からは、政府事業である自賠責制度のように、将来の稼働期間を考慮した生涯賃金方式を採用してほしいという声をたくさん聞いてまいりました。仮に一億円近い債務名義を確定しても、それが加害者から支払われなければ、犯罪被害者給付金三百六十万円で泣き寝入りという実態が現実にあるということをまず認識していただきたいと思うんですね。
 もう一つ、この犯罪被害者等給付金の額を引き下げている要因に親族間犯罪があると思うんです。原則不支給若しくは大幅に減額としている規定に基づいているからであります。
 そこでお尋ねします。
 直近の親族間犯罪の件数と、殺人事件、これは未遂も含みます、全体に対する割合について、これを教えていただけますでしょうか。

#57
○堀政府参考人 お答えいたします。
 昨年中の未遂を含みます殺人事件の検挙件数は、全体で七百八十二件でございます。そのうちの親族間犯罪の件数は三百八十件、割合は約四八%でございます。

#58
○清水分科員 今お聞きいただきましたように、約半数が親族間犯罪ということであります。
 この犯罪給付を定めた法律の第六条では、夫婦、直系家族、同居の兄弟姉妹間など、親族間の犯罪には給付金の全部又は一部を支給しないことができる、こう定められているということにあります。
 しかし、この制度が創設された当時とは家族の在り方も変わってきていると思うんですね。例えば夫婦間のDVあるいは子らへの虐待、そういう親族間をめぐる暴力事件なども多様化、複雑化してきていると思います。それゆえに、これまでも一定の例外が認められてきたわけですし、その後も、例外的にこの給付金が支給される場合が次第に拡大されてきたわけでございます。
 二〇一八年の法改正により、親族間犯罪に係る減額、不支給事由の見直しが行われました。親族関係が破綻している場合には、親族関係を理由として支給制限を受けないということになったわけです。
 お尋ねしますが、夫婦間における親族関係の破綻の定義について、簡単に教えていただけますでしょうか。

#59
○堀政府参考人 お答え申し上げます。
 一言で申し上げますと、婚姻を継続し難い重大な事柄、事由が生じていたと認められる事情がある場合が該当します。
 これを、もうちょっと例を幾つか申し上げます。例えば、夫婦間において婚姻関係がもう事実上解消していたと認められる場合、あるいは、犯罪被害者である妻が加害者である夫からの暴力によって生命又は身体に重大な危険を及ぼされ、それから逃れるため別居していた場合、あるいは、犯罪被害者である妻が加害者である夫からの暴力の継続などにより両者がいわゆる支配隷属関係にあったと認められる事情がある場合、このような場合が、先ほど申し上げました婚姻を継続し難い重大な事由が生じていたと認められる場合に該当するというふうに考えております。

#60
○清水分科員 よく分かりました。
 では、具体的にお伺いするんですが、被害者である妻が加害者である夫と同居していたものの、今言われたように、日常的に暴力を振るわれていた、隷属関係にあったという事実があれば、これは支給される対象となるということでよろしいんでしょうか。

#61
○堀政府参考人 お答えいたします。
 実際の支給の裁定につきましては、どうしても個々のケースの証拠関係をきちっと精査いたしまして判断するということになろうかと思いますので、一般論で申し上げますと、先ほど申し上げたような事例に該当する場合は支給されることになる場合が多いのではないかというふうに考えております。

#62
○清水分科員 それを確認した上で、是非、警察庁の堀審議官に聞いていただきたいことがあるんですね。
 兵庫県で発生した傷害致死被告事件で、内縁の夫が内縁の妻に対し繰り返し一方的に暴力を加え、搬送先の病院で内縁の妻が亡くなったという事件についてなんですね。これは、離れて暮らしていた御遺族、娘さんが二人いらっしゃるんですが、この犯罪被害者給付金の申請を行ったところ、大阪府公安委員会から不支給の裁定が下された。ここまではいいんですが、ここから聞いてくださいね。
 この神戸地裁の判決文には、被告人は以前から被害者に繰り返し暴力を振るっていたことが認められ、被告人自身もこれまで被害者に暴力を振るったことを認めていると書かれているんです。しかし、遺族が行った審査請求に対する公安委員会の弁明書では、被害者が加害者から身体的暴力を振るわれている状況を推認できる事情はないと、この判決文の内容を真っ向から否定しているんですよ。こんなこと、あり得るんですか。

#63
○堀政府参考人 今のケースにつきましては、ちょっと個別に私も承知していないところで、何ともお答えが難しいところでございますが、一般的に申し上げますと、支給裁定を行うためには、この制度の趣旨からして、かわいそうな被害者の方に何とか社会連帯共助の精神で金銭的に支給するという制度趣旨ということに照らしますと、きちっとした事実関係を認定して、きちっとした裁定をするというのがあるべき姿であろうかというふうに考えているところでございます。
 以上でございます。

#64
○清水分科員 きちっとした事実関係を認定するためには、裁判所の確定判決文に事実を基づくということが必要ではありませんか。

#65
○堀政府参考人 それぞれのケースによるかと思いますが、その事実関係を認定する上での一つのファクターとして民事関係の裁判というものを参照するということは、それはあり得ることだと思います。

#66
○清水分科員 上川大臣もちょっと聞いておいていただきたいんですけれども、裁定するのは公安委員会ですよ。それが、いわゆる社会通念上、支払う、給付金を出すケースなのかどうなのか、減額する要件があるのかどうか、それは個々のケースによりますよ。しかし、裁定する上で、事件の確定判決文の事実を真っ向から翻しているわけですよ、このケースは。分かりますか。判決文では暴力があったと認定しているにもかかわらず、公安委員会の裁定で暴力がなかったと。これは、私、こんなことを認めていましたら、公正な裁定なんてできないと思いますよ。
 ですから、これは審議官、ちょっと調査して報告していただけませんか、個人的にでも構いませんので。調べていただきたいんですよ、そういうことがあるのかということを。お願いします。いかがですか。

#67
○堀政府参考人 まず、一般的に申し上げますと、都道府県公安委員会の支給裁定に異議を申し立てる、あるいは再審査を求められるという御意向がある方につきましては、国家公安委員会が審査庁という形になりますので、審査請求が行われることが多分にしてございます。
 今のケース、審査請求が出されている事案だとすれば、それは当然、国家公安委員会の事務方である警察庁において所要の事務を取り扱い、最終的に、その結果というものは国家公安委員会において判断がなされて、申立人に通知がなされるという形になってございます。
 したがいまして……(清水分科員「調べて報告しているのかと聞いている。聞いたことに答えてください」と呼ぶ)

#68
○細田主査 じゃ、もう一度質問してください。

#69
○清水分科員 こういう事例があるので、理解していただいていると思うんですよね。確定判決文の事実と公安委員会の裁定の認識が百八十度違うと言っているんですよ。これでは公正な裁定はできないでしょうと言っているんですよ。
 だから、こういう事例はあるということだから、今個別のケースに答えられないというんだったら、調べて、どうしてそうなっているのか、後ほど私に教えてください、こう聞いているだけです。回答、答弁を求めます。

#70
○堀政府参考人 個々のケースにつきまして、当事者の方のほかにどのような形で情報というものを提供できるかというのは、若干慎重な判断が要るかというふうに考えておりますので、そこら辺も勘案した上で判断させていただきたいというふうに考えております。

#71
○清水分科員 ちゃんと調べて御報告してください。
 こういうことがあるから、犯罪被害者等給付金がしっかり支払われない、平均額がぐんと下がるという理由があるんじゃないですかね。
 亡くなった女性には二人の娘さんがおられると私は言いましたけれども、親孝行できないのが寂しい、給付金を申請したのは男からの賠償の見込みがないからだ、母の医療費や葬儀費用をおばが負担してくれて、給付金が出たら、それで返したい、こういうふうにおっしゃっておられるわけですよね。
 是非、被害者や御遺族の方々だけでなく、国民から見て納得できるような裁定をしていただくことを強く求めておきたいと思います。
 そもそも、この親族間の犯罪に対して給付金を原則不支給とすることにやはり合理性がもうなくなってきていると思います。
 外国では、親族間犯罪について不支給とは規定しておりません。調べました。
 日本弁護士連合会も、社会通念上支払うことが適切でない場合には、この法律の六条三号の要素として検討すれば十分だ、もう一般化すればいいんだ、こういうふうにも提言しているわけです。
 是非これを見直すことを要望しておきたいと思います。
 次に移ります。
 この犯罪被害者給付金制度を周知徹底することの重要性なんですね。
 二〇一九年度の犯罪被害者等給付金の支給裁定件数は、先ほど審議官の答弁でも三百十六件とありましたが、申請条件の当てはまる全ての被害者、遺族がちゃんと申請できているのかどうかというのは私は疑問なんです。
 現在の制度は、遺族又は本人が請求するという申請主義になっております。被害者や遺族に給付金制度を周知することを警察署にしっかりと義務づけるということが求められていると思うんですね。
 お話を聞きますと、そうした努力をしっかりやっているということでありますが、しかし、例えば、殺人や性犯罪等の凶悪事件の被害者が精神的不安定に陥り、すぐに申立ての手続に入ることができないということもあると思うんです。
 ですから、一度周知した上で、一定期間が経過した場合は、これは申請期限が超過するということも考えられますので、それを避けるために、再度、この給付金の制度、申請しなくていいですかと声をかけるなどのきめ細かい対応が求められていると思うのですが、努力していただけないでしょうか。

#72
○堀政府参考人 お答えいたします。
 警察では、本制度が創設以来、本制度の対象となり得る犯罪を認知した場合には、犯罪被害者あるいは御遺族の方に対しまして、この制度の案内を盛り込んだ被害者の手引などを交付して説明するなどにより、本制度や手続について十分な教示を行うこととしております。
 さらに、加えましては、事案を認知したときの対応としては、この犯罪被害者給付制度の周知のみならず、様々な、警察でできる相談対応でありますとか、警察でできない相談対応あるいはカウンセリングなどについてはほかの機関に紹介したりというようなこともやっておりますし、先ほど委員がおっしゃったような、被害者の方が混乱して、なかなか、きちっとした法的権利を行使できるのに行使できないような状況に陥っているような場合には、ここは被害者サイドに寄り添った形で支援し、なおかつその情報を提供する。それによって、持っていらっしゃる権利行使に支障がないように努めるというような運用というのはやっておるところでございます。
 したがいまして、これは今までもずっと各現場には徹底するように努めてきておるわけでございますが、今後もそのような対応をきちっとやっていきたいというふうに考えています。
 さらに、加えまして、これは若干一般的な話になりますが、パンフレット、ポスター、ウェブサイトなどの媒体なども活用いたしまして、そもそもの、本制度というものがあるんだということを広く周知いたしまして、被害者の方の自主的な申請を支援する、こういったこともやっておるところでございます。

#73
○清水分科員 是非努力を続けていただきたいと思います。
 法務省に確認するんですけれども、犯罪被害者支援員制度というのがありますよね。これを私、いろいろ調べたんですけれども、これはやはり、裁判の申立てだとか、あるいは、審理、公判中には被害者に寄り添うということがあるんですが、判決が確定したりした後は、なかなか被害者あるいは御遺族の方々に寄り添っていただけないという声も聞いております。
 それで、ちょっと時間がございませんので、これはちょっと要望なんですけれども、例えば債務名義を確定しても、十年たつと時効になるわけですよね。その時効になるときには、更に申立てするのに費用がかかります。例えば一億円の債務名義を再提訴するためには、三十二万円の印紙代が要るんですね。弁護士費用は平均で、着手金、三百七十万円かかるんですよ。一円も取れない相手に、時効を消滅させないためにそれだけの費用がかかる。こういう費用についても支援していただきたいという声もあれば、まず、その消滅時効が来ることをそもそも失念している方もいらっしゃるわけですよ。教えてくれたらよかったのにと。
 そういう点では、やはり、公的身分を持つ検察庁の職員、これは犯罪被害者等支援員制度があるわけですから、是非、これは継続して中長期的な支援を法務省の方にお願いしておきたいと思います。
 最後に、上川陽子法務大臣に。
 今の議論を聞いていただきまして、この犯罪支援の制度について、やはりもっともっと改善していくということが求められているという認識を持っていただけたというふうに思うんです。
 凶悪重大事件に遭われた被害者や御遺族の方々の思いは痛切でして、経済的、精神的に被害が回復されたとは言い難い状況が続いていると思うんです。この基本理念に対しても、私はやはり不十分だと思います。
 兵庫県に住む女性、この方は、二〇〇一年に夫が隣家に住む男性とトラブルになって刺殺されたんです。男は、殺人罪で懲役八年の刑が確定。民事訴訟で八千万円の賠償命令が確定したんですが、支払われなかった。
 この女性は、法務局に通い詰め、男の隠し財産を、これは不動産ですけれども、見つけ当てて、別の裁判で差押えを行いました。長い時間かけてやったんです。しかし、それでも、手にしたのはほんの一部だけ、弁護士費用を差し引くと、手元には多くは残らなかったということなんですね。
 この方も、加害者は既に死亡しているんですよ。つまり、この女性は、家族を奪われ、そして暮らしが困窮、二重の苦しみに陥っている、こういうふうにおっしゃられました。
 また、二〇〇八年当時、同じ兵庫県で、電気工事業の社長を務めておられた男性は、加害者から殴られ、脳挫傷などの重傷を負った。その後、左半身麻痺などとなり障害二級の認定を受けたんですね。ただ、民事裁判で一億六千万円以上の、若かったので、当時、判決を得たんですが、一円も支払われなかった。加害者が居どころを変え続けるので差押えできないんです。この苦しみは、ちょっと想像に、耐え難いと思うんですね。
 お二人とも、北欧諸国、ノルウェーとかスウェーデンのように、国が賠償金を立て替えて、被害者の生活を再建できるような制度をつくってほしい、こういうふうに切実に、涙ながらに訴えておられました。
 大臣、こうしたことも含めて、犯罪被害者基本法にのっとった犯罪被害者支援を総合的にやはり進めていくべきじゃないかというふうに思うんですが、大臣の所見を伺いたいと思います。

#74
○上川国務大臣 今年は、犯罪被害者等基本法が制定されまして十七年目になります。また、新たな基本計画が策定をされる年でもございます。犯罪に巻き込まれた方々、また御遺族の方々、御家族の方々の苦しみ、また、その後平穏な生活に戻るまでの間支援をし続けるという内容を盛り込んだ基本法でございました。
 不断の見直しをしながら、制度また支援の検証と、そしてそれにどう対応していくかということは極めて大事であるというふうに思っております。
 時代の変化もございます。また、被害者の方々の直接意見を踏まえまして、この計画を見直しをしていくということであります。そして施策にも反映をしていくということでありますので、熟度の高い被害者支援のための施策が総合的に取り組まれていく必要があるということは、その当時も、また今も全く変わりません。
 冒頭、委員の方から基本法の中に盛り込まれた理念ということの中で、犯罪被害者等の権利利益を保護する、こういう一文を入れさせていただきました。人ごとではないということの中で、みんなが支え合ってしっかりとこの取組を進めていかなければならないというふうに思っております。
 基本計画をしっかりと作り、また関係府省庁とも連携をしながら、被害者等を支援する取組の更なる推進と充実に努めてまいりたいというふうに考えております。

#75
○清水分科員 時間が来ましたので終わりますが、大臣は、犯罪被害者の会の大会で、今後も犯罪被害者やその家族の声に真摯に耳を傾け続けると述べられました。私が直接話を伺ってきた犯罪被害者、御遺族の方々にも直接会って話を聞いていただけませんか。いかがですか。

#76
○上川国務大臣 是非お会いをさせていただきます。

#77
○清水分科員 ありがとうございました。これで終わります。

#78
○細田主査 これにて清水忠史君の質疑は終了いたしました。
 次に、吉田宣弘君。

#79
○吉田(宣)分科員 公明党の吉田宣弘でございます。
 今の清水先生の質問に対して、本当に情熱あふれる御質問、本当に私も胸を熱くしたところでございます。清水先生のこの心に負けないぐらい私も情熱を込めて質問を申し上げたいと思います。
 私は、約三年半ぶりに先日国会に戻ってまいりまして、それ以来の質問ということになるわけでございますけれども、以前も法務委員会の方に所属をさせていただいて、上川大臣にもいろいろ御指導いただきながら、国民の皆様に、期待に応える法務行政のために私なりの仕事を担ってきたかなというふうに思っております。
 今国会でも引き続き法務委員会の方に所属をさせていただきます。法務行政の中においてしっかり国民の目線で発信もしていきたいし、政策の構築にも力を尽くしていきたい、そのように決意をしているところでございます。どうかよろしくお願いいたします。
 本日は、私からは再犯防止策について質問をさせていただきたく存じます。
 まず、冒頭ですけれども、この質問を考えるに当たって、法務省のホームページをまず最初に拝見をさせていただきました。トップページの注目キーワードというリンク集があるんですけれども、そこに再犯防止策ときちっと出ておりまして、法務省が再犯防止に積極的な姿勢が見て取れましたので非常にうれしく思ったところでございます。
 そこで、冒頭ですけれども、この法務省のトップページにおける注目キーワードとリンク集、これはどのような趣旨でこの注目のキーワードとなって挙げてあるのか、それについてお聞きをしておきたいと思います。

#80
○竹内政府参考人 お答えいたします。
 法務省ホームページのトップページには、注目キーワードといたしまして、本日現在で十四のトピックを挙げております。具体的には、新型コロナウイルス感染症、京都コングレス、そして委員御指摘いただいた再犯防止対策などを掲載しているところでございます。
 この注目キーワードでございますが、法務省の取組に関する重要なトピック、すなわち、国民の皆様の関心が高いだろうと思われる事項、広く御理解と御協力を賜りたいと考えている事項、それから法務省が重点施策として取り組んでいる事項などを選定しているものでございます。
    〔主査退席、衛藤主査代理着席〕

#81
○吉田(宣)分科員 ありがとうございます。
 国民の皆様の関心というものを意識してというふうな御答弁ございまして、やはり、法務省がきちっと国民の皆様のお心を様々お考えになられながら、このホームページというものを構成されているのかなというふうにうれしく思ったところでございます。ありがとうございます。
 次に進みますけれども、ある意味、理念的な質問になるかもしれませんし、根源的なところからちょっと問いを、質問をしていきたいと思っております。
 再犯防止策の対象、これは私の理解でございますので、法務省から聞いたとかそういったことではございません。あくまで私の理解です。第一義的には、罪を犯した者ということになるのかなと思っております。したがって、罪を犯した者以外の方、すなわち、法を遵守し、普通に国民生活を営まれておられる国民の皆様はこの対象ではないんだろうなというふうに思います。
 そして、罪を犯した者というのは、刑事手続の進捗といいますかに従ってちょっと考えると、警察に捕まってしまったというふうなことがあったかもしれないけれども、警察の段階で、処分保留というふうな形で身柄の拘束を解かれた方もおられると思いますし、また、送検をされて検察の方に段階が移っても、検察官の判断で今度は起訴猶予、また、起訴されて刑事被告人となって刑事裁判を経た後に、執行猶予判決を受けてまた社会に戻っていく、執行猶予判決は出ずにそのまま刑務所に入る者、違法性の程度や情状、様々な諸事情によっていろいろな段階があるかと思います。
 そこで、確認の意味でお尋ねを申し上げたいと思います。
 再犯防止策の対象は、警察段階での処分保留であった者から刑務所で刑期を終えた者まで広く捉えられているのか、それとも、刑期を終えた者だけに限られるとか狭く捉えられているのか、そのことについて確認をしておきたいと思います。
    〔衛藤主査代理退席、主査着席〕

#82
○竹内政府参考人 お答えいたします。
 平成二十八年の十二月に再犯防止推進法が成立をしておりますが、この法律の目的といいますのは、再犯の防止等に関する施策を総合的かつ計画的に推進すること等により、国民が安全で安心して暮らせる社会の実現に寄与するということにあります。
 こうした推進法の目的を踏まえまして、再犯防止施策におきましては、刑務所の出所者だけではなく、有罪判決の言渡しを受けて執行猶予や罰金となった者、起訴猶予処分となった者等も含めまして、犯罪をしたと認められる者を対象にして、再犯防止のために必要な指導や支援を行うこととしております。

#83
○吉田(宣)分科員 ありがとうございます。
 広く捉えられていることが今分かりました。ただ、それでもやはり、その中心は、刑期を終えた者の再犯防止策ということが私は中心になってきているのかなというふうに思います。
 執行猶予以前の者と実刑を受けた者の違い、そこに着目すると、これは刑罰を受けたか否かということになるのかなと思います。
 この点、日本弁護士連合会、日弁連が、「裁判員の皆さまへ 知ってほしい刑罰のこと」という冊子に書いてあるんですけれども、刑罰とは、有罪判決を受けた人に対して、その人の生命や自由、財産を奪うことですと。少し括弧書きの文章があるんですけれども、そこを割愛してちょっと更に進めますと、その種類としては、死刑、懲役、禁錮、罰金などがありますと説明をされています。そして、どうして刑罰を与えるのか、再び罪を犯すことがないようにという観点から、刑罰の目的について説明がされておるところでございます。
 少し長い引用になりますが、大変に重要な御説明かというふうに私は理解しております。ちょっと長いですけれども、引用させていただきます。
 どうして刑罰を与えるのか、再び罪を犯すことがないようにということで、裁判所は、被告人が有罪だと判断したときどういう目的で刑罰を科すのでしょうか。
 犯罪に対しては刑罰が科されることを広く社会に知らせ犯罪を予防する、というのは刑罰の目的の一つです。ただ、それだけでなく、刑罰の目的については、大きく分けて次の二つの考え方があります。一つは、その人が再び罪を犯すことがないように教育する目的(教育刑の考え方)、もう一つは、罪に対する報復をする目的(応報刑の考え方)を重視する立場です。
 皆さんは、目には目を、歯には歯をという、古代バビロニアのハムラビ法典の言葉を聞いたことがありますか。応報刑の意味は、この言葉に代表されます。犯罪に対しては、その責任に見合った苦痛を与えるという考え方です。しかし、それだけでは、罪を犯した人の改善更生をかえって妨げることになりかねません。
 例えば、長期間、刑務所に収容し社会から隔離してしまうと、社会性を失い、刑務所を出た後、社会で自活していく能力が失われてしまうことがあります。広く服役させれば生まれ変わる、すなわち、再び犯罪を犯さないようにできるとは限りません。服役期間が短い場合も、再犯防止の教育は時間が足りず、かえってムショ帰りのレッテルだけが残り、社会復帰の妨げとなることもあるので、むしろ、短期間の実刑よりは執行猶予(猶予期間内に他の刑事事件により再び有罪判決を受けない限り、刑務所で服役しないで済むこと)として社会内で生活しながら更生させた方が、再犯防止の効果が高いという指摘もあります。
 罪を犯した人もいずれ社会に復帰するのですから、応報よりもむしろ、その人が二度と罪を犯すことのないように教育することがより重要ではないでしょうか。裁判員の皆様には、是非、目の前の人が改善更生し、社会に復帰するにはどうしたらよいか、どのように教育を施していけばよいか、という視点を持って刑罰を選択していただきたいですというふうに、裁判員の方に対するメッセージとしてこの刑罰の説明がなされているところでございます。
 私は、再犯防止の観点から刑罰を捉えている点を極めて重要であるというふうに感じております。
 そこで、この刑罰の意義、目的若しくは本質について、法務省がどのような認識であるのか、その御見解をお聞きしておきたいと思います。

#84
○川原政府参考人 お答え申し上げます。
 刑罰の意義、目的については様々な考え方がございますが、一般に、応報、すなわち犯罪を行ったことに対する報いとして科すものであるとの考え方や、犯罪を予防するために科すものであるとの考え方があるものと承知しております。
 そして、今申し上げた犯罪の予防と言われる中には、その犯人に刑罰を科すことによる威嚇力によって犯人以外の一般人の将来における犯罪を予防する一般予防というものと、その犯人自身が将来再び犯罪に陥ることを予防しようとする特別予防が含まれるものと承知しております。
 委員が御指摘になった教育というものにつきましては、一般的に、今申し上げた特別予防の考え方の一側面であると理解しております。

#85
○吉田(宣)分科員 御答弁ありがとうございます。
 特別予防の一側面ということでございますが、重要な機能を私は持っているんだろうなというふうに思っておりますので、更に問いを進めたいと思います。
 さらに、日弁連が、「知ってほしい刑罰のこと」、今の冊子ですね、で、裁判員の皆様に刑罰について考えてほしいこと、今度は被告人の改善更生というテーマで、その最後の部分の文章が非常に私は心を打つすばらしい文章だと思いまして、またここで引用させていただきます。
 刑罰は、制裁であると同時に、更生させるための手段でもあることを忘れないでください。受刑者が、真の意味での改善更生を遂げ、再び社会の担い手となるべく、人間として自信と誇りを持って社会に復帰できることが、最終的には国民全体の利益になる、これは、二〇〇三年十二月二十二日「行刑改革会議提言 国民に理解され、支えられる刑務所へ」という文書から引用されているようですけれども、そのように言えます。真の意味での改善更生の手段としてふさわしい刑罰を選択してください。
 すなわち、刑罰というものに関して、深くその意義を理解した上で裁判員の皆様に発信されているという姿勢がうかがえます。
 更に問いを進めますけれども、私が先ほど申し上げた刑罰の目的における教育的観点、その観点からすれば、刑務作業の内容もその観点から捉え直すことも私は大切ではないかというふうに思います。
 そこで、まず、刑務所内で行われる刑務作業について、その種類や内容についてお教えいただければと思います。

#86
○大橋政府参考人 お答え申し上げます。
 刑務所では、大きく分けまして、生産作業、社会貢献作業、職業訓練、自営作業の四種類の刑務作業を行っております。
 一つ目の生産作業は、物品を製作する作業、労務を提供する作業でありまして、洋裁とか金属、木工、印刷、農業など、様々な業種がございます。
 二つ目の社会貢献作業とは、社会に貢献していることを受刑者に実感させることで、その改善更生及び円滑な社会復帰に資するものでありまして、例えば、本年度におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、医療用ガウン百三十六万枚を製作し、厚生労働省を通じて全国の医療機関に納めております。
 三つ目の職業訓練では、出所後の円滑な就労に資するよう、建設や介護など、職業に関する免許又は資格を取得させるなどしております。
 四つ目の自営作業は、刑事施設内で被収容者が生活する上で必要な作業を担うものであり、炊事や洗濯などがございます。
 法務省といたしましては、引き続き、これらの刑務作業を通じて受刑者の勤労意欲を養い、出所後の円滑な社会復帰に資するよう、雇用側のニーズに合致した職業訓練を取り入れるなど、刑務作業の内容についても必要な検討をしてまいりたいと考えております。

#87
○吉田(宣)分科員 ありがとうございます。
 これから時代も様々流れて転換していくと思います。刑期を終えた受刑者が再び社会の担い手になるという観点から、定期的にその刑務作業についても検討を深めていっていただきたく、ここで要望しておきたいと思います。
 さて、最近の再犯防止に向けた政府の取組を時系列的に見ると、二〇一六年十二月に再犯防止推進法が成立、この法案の成立過程には私も衆議院議員として携わっておりましたので、この法律の名前を聞くと、とても感慨深い思いです。その後、二〇一七年十二月、再犯防止推進計画が策定されたとお聞きをしております。そして、二〇一九年十二月、再犯防止推進計画加速化プランが策定され、その中で、満期釈放者対策の充実強化、地方公共団体との連携強化の推進、民間協力者の活動の推進がより重点的に取り組む課題とされているとお聞きをしております。
 そこで、まず、大前提として確認しておきたいのは、政府の目標でございますから、何がしかの目標が設定をされていると思います。その目標についてお示しいただくとともに、併せて、現状がどのようになっているのかについてお聞かせください。

#88
○竹内政府参考人 お答えいたします。
 平成二十四年七月に犯罪対策閣僚会議で決定されました再犯防止に向けた総合対策におきましては、当時二〇%前後で推移をしておりました出所受刑者の二年以内再入率につきまして、十年後であろうかと思いますが、令和三年までに二割以上減少させ、一六%以下にするという数値目標が掲げられております。
 この出所受刑者の二年以内再入率は近年順調に減少しておりまして、直近の数値であります平成三十年の出所者で見ますと一六・一%と、目標達成まであと僅かとなっておるところでございます。

#89
○吉田(宣)分科員 ありがとうございます。
 目標まであと一歩というところまで来ているという意味では、法務省の政策が非常に功を奏しているということがうかがえるかと思います。ただ、政府の取組もまだ緒についたばかりかというふうな気もいたしますので、できますれば、再犯率ゼロ、これを目指して取組を進めていただきたいと思います。
 次に、地方公共団体との連携の強化の観点から、これまで再犯防止モデル事業が行われてきたというふうにお聞きをしております。
 このモデル事業において、各都道府県若しくは市町村の取組状況、例えばモデル事業数、実施主体、私は九州・沖縄比例で選出をいただいておりますので、その数について様々教えていただければと思います。

#90
○竹内政府参考人 委員御指摘いただきました地域再犯防止推進モデル事業でございますが、国と地方公共団体との協働による地域における効果的な再犯防止対策の在り方について調査をするため、平成三十年度から本年度までを事業期間として、合計三十六の地方公共団体に委託して実施をしております。
 このモデル事業では、まず、地域の実態調査と事業実施計画の策定をいたしまして、そして、事業の実施、効果検証という一連の取組を行うこととしており、委託先の地方公共団体においては、地域の実情に応じた様々な取組が展開をされております。
 その取組の内容の具体例でございますが、委員が御言及なさった九州地方では、福岡県において立ち直りサポートセンターを設置して、起訴猶予者等に対する社会復帰支援が行われております。そのほかにも、長崎県や熊本県、あるいは北九州市、熊本市、奄美市におきましても、モデル事業といたしまして、民間の自助グループ等と連携した薬物依存を有する者への支援ですとか、あるいは協力雇用主等と連携した就労支援などの取組が実施をされているところでございます。

#91
○吉田(宣)分科員 ありがとうございます。
 九州でも取組が進んでいるということに非常にうれしく思います。
 また、各都道府県は、市町村も含めて、これからも再犯防止事業を継続できるように、法務省としても後見的な役割を十分に発揮をしていただきたいと存じますが、御認識をお聞かせいただければと思います。

#92
○竹内政府参考人 地方公共団体は、住民に身近な保健医療・福祉サービスなどの提供主体でありまして、犯罪をした者等への息の長い支援を実現する上で不可欠な存在であると認識をしております。もっとも、再犯防止施策はこれまで主に国の機関により担われてきた経緯がありまして、地方公共団体における取組はいまだ緒についたばかりと言えるかと思います。
 そのため、法務省といたしましては、地域再犯防止推進モデル事業の終了後も、地方公共団体における再犯防止の取組を更に促進していくことが必要であると考えております。そこで、法務省では、令和三年度におきまして、新たにブロック別の協議会を開催するなどいたしまして、モデル事業によって成果が確認された取組の周知、共有を図るとともに、都道府県と市区町村が連携した取組の確立に向けた検討も行うこととしております。
 法務省といたしましては、こうした取組を通じ、今後とも再犯防止に取り組む地方公共団体に対する必要な支援を積極的に行ってまいりたいと考えております。

#93
○吉田(宣)分科員 さらに、民間協力者の活動の推進というものが、先ほど私が述べましたとおり、挙げられております。
 この点、服役を終えた方を雇用しても長続きしないというような、民間協力者の方々のお悩みの声もお聞きをしているところでございます。ほかにも様々な課題があると推察をいたしますけれども、法務省としてどのように民間協力者の活動を推進していくのかについてお聞きしたいと思います。

#94
○今福政府参考人 お答えいたします。
 ただいま委員御指摘のとおり、刑務所出所者等につきましては、雇用継続が継続しない者が多いという面がございまして、その就労継続のためには、雇用された後も本人や協力雇用主さんに対する支援を継続する必要性が高いと考えられます。
 そこで、法務省といたしましては、刑務所出所者等の特性や希望を踏まえて就労先を確保するとともに、実際に雇用をしていただいている協力雇用主さんに対して年間最大七十二万円を支給する刑務所出所者等就労奨励金制度を活用いたしまして、雇用継続に取り組んでおります。また、民間団体に委託して実施しております更生保護就労支援事業では、令和二年度から新たに職場定着支援業務を加えまして、協力雇用主さん及び刑務所出所者等の双方に対して積極的な相談支援を行っております。
 法務省といたしましては、今後とも、これら協力雇用主に対する支援の取組などを効果的に運用いたしまして、関係機関との連携もしながら、刑務所出所者等が確実に職場定着できるよう努めてまいりたいと存じます。

#95
○吉田(宣)分科員 ありがとうございます。
 今は、コロナ禍で、民間協力者の方も大変だというふうに思います。より一層、民間協力者の方が協力しやすい環境づくりに、これからもお力をおかしいただければと思います。
 この民間協力者の活動の推進という観点から、もう一題ちょっとお尋ねしたいと思っておりますけれども、それは、刑期を終えた方の支援ということではなくて、起訴前に民間協力者が意見を聞いてもらえないかという話です。
 具体的には、送検された事件について、民間協力者が起訴権限を有する検察官に、例えば、情状の余地などについて意見を申し述べる機会ができないだろうかということです。
 起訴をする権限は検察官に独占されており、起訴するかどうかも含めて、全て検察官の広い裁量に委ねられていることは承知をしております。その上で、その裁量権を害さない範囲において、被疑者を支援する民間協力者の意見を検察官に提供できるような余地はないのか、法務省の御認識をお聞かせいただければと思います。

#96
○川原政府参考人 お答え申し上げます。
 一般論として申し上げれば、検察官は起訴、不起訴の判断に当たりまして、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況等諸般の事情を総合考慮しているものと承知しております。
 ただいま御指摘のありました、被疑者を支援する民間協力者の意見を含む再犯防止の観点につきましても、必要に応じて、ただいま申し上げましたような事情の一つとして、適切に考慮しているものと承知しております。

#97
○吉田(宣)分科員 適切に考慮されているということで、是非、民間協力者の方の思いがその背後にあるケースも多いかと思いますので、どうかそういった御配慮もよろしくお願いしたいと思います。
 再犯防止、これは国民の安心、そして、これは受刑者の教育的効果と密接な関係があると思っております。社会経済の発展のため、またこれは、犯罪が社会的、経済的損失になるだけではなく、貴い税金を使った刑務行政が受刑者の次の社会生活に資するものとなり、再び社会の担い手になることになれば、次の経済発展につながることは、私は言うまでもないことだと思います。そういう意味で、再犯防止計画は、その意義が極めて高まってくるんじゃないかというふうに思っております。これらの観点から、再犯防止政策というのは、私は、物すごい、やはり力を費やして取り組んでいくべき課題であるというふうに思っております。
 そこで、最後になりますが、再犯防止策に取り組む上川法務大臣の決意をお聞かせいただければと思います。

#98
○上川国務大臣 新たな被害者を生まない、また、国民にとって安全、安心な社会を実現するためには、委員御指摘のように、犯罪をした者等の再犯を防止するということは特に重要であるというふうに考えております。
 犯罪をした者等の立ち直りを支援することは、持続可能な開発目標であります、誰一人取り残さない社会の実現という、この理念にも合致するものと考えております。
 現在、政府におきましては、再犯防止推進計画等及び再犯防止推進計画加速化プランに基づきまして、地方公共団体やまた民間協力者の方々と連携をして、各種施策に取り組んでいる状況であります。先ほど説明をいたしましたけれども、平成二十四年当時、二〇%程度で推移をしていた出所受刑者の二年以内の再入率、これにつきましては、直近では一六・一%ということで、着実に成果が上がっているものでございます。
 他方、依然として、刑法犯の検挙者の約半数が再犯者であるということも事実でございますし、また、満期釈放者の二年以内再入率が仮釈放者に比べて二倍以上高いなどの課題もあるわけでございます。
 犯罪をした者等が円滑に社会の一員として復帰することができるよう、引き続き、国、地方公共団体、また民間団体等の連携を一層強化をいたしまして、再犯防止施策の着実な実施に取り組んでまいりたいと考えております。

#99
○吉田(宣)分科員 上川大臣、御答弁ありがとうございました。
 私の質問はこれで終わります。

#100
○細田主査 これにて吉田宣弘君の質疑は終了いたしました。
 次に、山尾志桜里君。

#101
○山尾分科員 国民民主党の山尾志桜里です。
 私、今日は、刑事記録の保存の件から始めたいと思っています。
 上川大臣が法務大臣になるとこの記録の保存や公開が進んで、大臣が替わると止まってしまうという印象があって、せっかくの機会ですので、私の中で、ここはいいんだけれども、大臣がもしかしたら目が届いていないところで残念な事態も起きているということを指摘をし、議論したいというふうに思っています。
 まず、大臣、二〇一八年九月の二十八日、刑事参考記録のリスト化と開示ということを決めて、実際、今それが実行されています。そして、今、私の手元にこの直近のリストが、八百五十四件、参考記録として保存が決まっているというリストがあるんですけれども、まず最初に、このリストを見ると、事件番号というのが振られていないので、必ずしも、どの事件が保存されているかということが分からない。これは残念ながら、少し致命的な問題かなというふうに思います。
 例えば、同じ業務上過失致死でも、薬害エイズ事件というようにいわゆる事件名が入っていれば分かりますけれども、一方、業務上過失致死傷という同じような罪名があっても、そのほかの情報として、確定年、平成十九年だとか、そして刑名、刑期、罰金五十万円等、保存庁が福井、これだけでは、何の事件を指してこれが参考記録として保存されているのか分からないという状態になっているんですね。
 それで、最初の質問です。
 これは、いわゆる事件名等が記載されていて分かるもの、そしてそれがないと分からないという状況になっているので、どういう基準でいわゆる事件名等を記載しているのでしょうか。

#102
○川原政府参考人 お答え申し上げます。
 刑事参考記録のリストを作成するに当たりまして、事件関係者のプライバシー等に配慮しつつ事件を特定するべきであるという考え方から、公刊されております判例雑誌、判例タイムズであるとか判例時報などでございますが、これらにおいていわゆる事件名が付されているものにつきましては、それらを参考にして事件名を記載することとしたものでございます。

#103
○山尾分科員 ちょっと確認ですけれども、いわゆる事件名等欄の記載の基準として、刑集、集刑、そして、憲法、刑法、刑訴法の判例百選に載っているものというふうには聞いているんですけれども、判例時報とか判例タイムズとか、そのほかの雑誌は入らないんじゃないですか。

#104
○川原政府参考人 この問題に関しましては、どういった記録を残すのかという基準と、その残すとしたものについてリストで事件名を付するかという基準でございまして、今委員御指摘されたのは残す方の基準、刑集なんかは残す方の基準として考えておりますが、今私がお答え申し上げましたのは、そういった基準に基づきまして残したものについて、リストに当たって事件特定のためにいわゆる事件名を付すかという話をお答えしたのでございまして、その基準につきましては、今私の方から、事件名をつけるという基準につきましては、私が今お答え申し上げたとおりでございます。

#105
○山尾分科員 そうすると、こう整理していいですか。後で話になりますけれども、残すかどうかの基準については判例百選だ、残すと決めたものについて事件名を書くかどうかは、判例百選だけではなくて、判例時報やタイムズも入れていく、そういう整理で、理解でよろしいですか。

#106
○川原政府参考人 委員御指摘のとおりでございます。

#107
○山尾分科員 その上で、そうすると、結局、判例百選や判例タイムズや判例時報に載らない事件については、どの事件か、このリストを見たら分からないんですね。
 アメリカなんかでは、それこそ、例えば私が被告人だったら、USA・VS・山尾志桜里みたいな感じで、被告人名で特定されたりということはあるんですけれども、日本で被告人名をここに書くのにちゅうちょがあるのは私も理解します。せめて事件番号の記載をされたらいかがですか。

#108
○川原政府参考人 お答え申し上げます。
 刑事参考記録のリストの記載内容につきましては、事件関係者のプライバシー等に配慮するという観点から、現在、罪名、確定年等の事項を記載しているところでございます。
 他方で、現在は、学術研究のために記録を閲覧する必要がある場合に、閲覧を申し出る方は、ある程度事件の特定ができていると思われますことから、事件を特定するために事件番号等を記載することとはしていないところでございます。
 事件番号等を記載することにより、閲覧を申し出る方にとってどのような便宜となるのかといった観点から、その必要性を判断することとなると考えているところでございますが、現時点においては、事件番号について記載する必要はないと考えているところでございます。

#109
○山尾分科員 そもそも裁判は公開で、その上で、プライバシーは公開のレベルで、その在り方で対応すべき問題であって、どの記録を保管して、どの記録を廃棄しているかを国民に知らせる、その事件をちゃんと特定できるようにするということはプライバシーと直接関係があるとは思わないので、再考を求めたいと思います。必要はあると思います。
 その上で、オウムの件なんですけれども、大臣、二〇一八年八月に、関連記録を総体として永久に保存する方針を発表されました。
 これは大臣にお聞きしますが、もう既に参考記録指定は全て済んだんでしょうか。指定状況をお伺いします。

#110
○上川国務大臣 法務省におきましては、一連のオウム真理教関連事件につきまして、それらの刑事参考記録を総体として将来に受け継ぐために、刑事裁判記録の法定の保存期間が満了した後も刑事参考記録として期限を定めず保存することとしたところでございまして、これは、今委員御指摘のように、平成三十年の八月に、当時私自身が法務大臣でありましたけれども、その旨の公表をさせていただきました。
 その後、オウム真理教関連の事件につきましては、刑事裁判記録の法定の保管期間が満了後、刑事参考記録として保存をする運用を開始をしておりまして、既にそうしたものが存在しております。

#111
○山尾分科員 改めて大臣から、このオウムの事件について、記録を総体として永久に保存するということを決められた、この決定の意義を、最初にお伝えいただけますか。

#112
○上川国務大臣 一連のオウム真理教関連事件につきましては、前例を見ない重大な事件でありまして、その刑事裁判記録等は、今後二度とこのような事件が起こらないようにするための調査研究の重要な参考資料ともなり得ることでございます。その刑事裁判記録等を将来の世代に確実に受け継いでいくことが重要であると考えた次第です。
 その場合、一連のオウム真理教関連事件の全体像を理解することができる記録を受け継ぐためには、オウム真理教関係者が行った様々な犯罪に係る刑事裁判記録を総体として保存をしていく必要があると考えました。
 そこで、平成三十年の八月三日に、一連のオウム真理教関連事件につきまして、それらの刑事裁判記録や死刑執行に関する行政文書を総体として将来に受け継ぐために、刑事裁判記録の法定の保管期間が満了した後も、刑事参考記録として期限を定めず保存するよう指示したものでございます。

#113
○山尾分科員 意義はそのとおりだと思います。
 それで、次の話をしたいんですけれども、せっかく永久に保存しても、それこそ、三年以上もう経過をしたから公開しませんというような運用をしていたら、これは教訓を受け継げないんですね。
 具体例をお話しします。
 このオウムの事件について、お手元に資料を添付させていただきました。
 江川紹子さんが平成三十年七月三十一日に閲覧請求を出しました。そして、翌年の四月十五日にこの閲覧不許可通知書が届いたということです。終結後三年経過しておりということですね。四条二項二号に当たるというところに赤丸があります。終結後三年経過をしているから、なお公開すべきとする正当な理由がない、こういう判断がされたということであります。
 これは、第一人者である江川さんが、大学教育も含めて社会全体でこの教訓のバトンを渡していこうという目的をきちっと明確にした上で、既に死刑執行された事件について、三名の被告人質問と、この法廷が唯一の証言となった麻原証言、閲覧の対象も相当限定して請求をしたにもかかわらず、正当な理由がないということで不許可。
 これは、どういった判断の経過をたどって不許可としたんですか。

#114
○川原政府参考人 お尋ねは個別の閲覧請求に係るものでございまして、大変恐縮でございますが、個別の閲覧請求の有無やその結果等につきましては、法務省として明らかにすることは差し控えさせていただきたいと存じます。

#115
○山尾分科員 大臣に聞かざるを得ないと思うんですね。
 大臣がやはりこのオウムの教訓のバトンを引き継ぐんだという思いで永久保存をしても、三年たったから駄目だと形式的な理由で不許可にされて、江川さんがこの分析ができないという状況で、どうやってこのオウムの教訓を後世に引き継げるんでしょうか。大臣、いかがですか。

#116
○上川国務大臣 確定した刑事裁判の記録の一般公開の在り方ということの御質問に係ることでございますが、開示の在り方につきましては、公開の要請と関係者の名誉、プライバシーの保全、保護等の利益とが調和したものである必要があるということでございます。
 先ほど御指摘の刑事確定訴訟記録法の四条ということでありますが、この四条におきましては、被告事件終結後三年を経過したときは訴訟記録の閲覧が制限される旨の規定が設けられておりまして、その趣旨でございますが、事件終結後、期間の経過に伴い、一般公開の要請に比して訴訟関係人の名誉等の利益の保護の要請がこれに優越するに至るからであると解されているところでございます。
 私が先ほど答弁をいたしましたけれども、将来のためにということで今回残すことにつきまして、その運用を、始まっている状況でございますが、しっかりと今のルールにのっとって取り組んでいくということは極めて大事かと思っております。

#117
○山尾分科員 この刑事確定訴訟記録法ですね、この法ができたときに、公明党の橋本委員が、やはりこれは四条の閲覧制限が厳し過ぎると、大変重要な指摘をしておりました。そして、これに対して、法務省の当時岡村さんという方ですけれども、こう答弁しているんですよ。閲覧が著しく制限されておるという点も、訴訟関係人や正当な理由があると認められる者については、閲覧の請求権が三年経過後でありましても認められているのでございまして、決して閲覧を著しく制限するような法案ではないと。
 今回は正当な理由をちゃんと認める場面じゃないですか。この判断の経過が極めて形式的になっておりませんか。
 これに対して、その当時の橋本委員は、閲覧のチャンスがなければ保存しても意味がない、まさにそれは保存ではなくて死蔵だと、極めて明快に問題点を指摘しています。
 是非、この四条の再検討も私は必須だと思いますし、その改正がなされるまでは、やはり正当な理由を通じた判断の柔軟性を高めて、原則公開という方向に沿った運用をしてほしいと思います。
 また江川さんが再請求をされるのか、準抗告されるのか、私は分かりませんけれども、大臣、この件については、大臣としてしっかりと目配りをして、大臣自らの問題として取り組んでいただきたいと思いますが、いかがですか。

#118
○上川国務大臣 全ての制度は絶えず検証を加えて、そしてよりよいものにしていく、そうした姿勢を私自身持っておりますので、この件につきましてもそうした姿勢で臨みたいと思います。

#119
○山尾分科員 是非、今の話を念頭に置いていただいて対応していただきたいというふうに思います。
 その上で、今回、刑事参考記録の保存について新たな仕組みを導入するというふうに、大臣、二月十二日の会見でおっしゃっておりました。こちらの、今回の新たな仕組みのポイントというか、ここが大事なんだというところをまず最初にお聞きをしたいと思いますが、いかがですか。

#120
○上川国務大臣 今般新たに刑事参考記録として指定されるべき記録が、より一層適切に指定されて、更に保存されるようにするために、指定の在り方につきましての改善をすることといたしました。
 具体的に申し上げますと、まず、刑事参考記録に指定する事件の類型につきまして、検察審査会において起訴議決がされた事件を新たに追加するなど、刑事参考記録として指定する事件の範囲を拡大することとしたところであります。
 また、刑事参考記録として指定されるべき事件が漏れなく指定されるようにということで、刑事参考記録の指定に当たっての判断基準、これを具体的に設定をすること。また、研究者や弁護士の方々など、外部の方から刑事参考記録の指定の要望等を受け付ける仕組みについて改めてその周知を図るということ、外部の方からの要望の判断に当たりましては有識者の御意見を聞く仕組みを設けるという形、また、検察庁職員に対しましては、刑事参考記録の指定に関する研修を行うことなどの取組を実施したところでございます。
 この取組につきましては、国立公文書館のアーキビストの方々にも御協力をいただくことにしておりまして、刑事参考記録の適切な指定、保存等に関しまして専門的知見に基づく貴重な御意見を頂戴できるものというふうに思っております。
 この運用でございますが、今年度中に運用を開始することといたしました。この方針の下で、刑事参考記録の適切な指定、保存に一層努めてまいりたいというふうに考えております。

#121
○山尾分科員 この取組は、これまでの、それこそ判例百選に載っている事件も四分の三ぐらい廃棄されていたとか、現状がよくなかったので、改善する取組として、私もいい取組だなと思っております。
 そこで、ちょっと指摘をしていきたいんですけれども、指定類型範囲を拡大したと。で、検察審査会の起訴議決の事件についても指定されることとしたと。いいと思います。ただ一つ、この点で残念なのは、無罪の裁判により終結した被告事件のうち重要なものというふうに、無罪事件の中でも、保存すべきものとして、重要なという範囲が絞られてしまっているんですね。
 私は、無罪事件というのは本当に様々な教訓が含まれていると思います。冤罪だったものもあるでしょう。あるいは、本当はもしかしたら真犯人だったのに、捜査の問題によって無罪になったというものもあるでしょう。無罪事件については重要なものということを絞り切れないと思いますし、その絞る判断を法務省、検察がするということは極めて適切ではないし、客観的に見たらそれは公正が担保されないというふうに思うのが当然なので、ここは無罪事件のものは全て参考記録として保存というふうに改善していただいた方がいいと思いますが、いかがでしょう。

#122
○川原政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の無罪事件につきましては、無罪に至った理由には様々なものがあると承知しておりまして、無罪となった事件が全て刑事確定訴訟記録法に言う刑事法制及びその運用並びに犯罪に関する調査研究の重要な参考資料であると思料される記録に該当するとは言えないと考えております。そこで、無罪事件のうち重要なものについて刑事参考記録の指定を行っているところでございます。
 先ほど大臣から答弁がございました新たな枠組みの下におきましては、無罪事件を含め、検察庁内にとどまらず、学術研究者等による指定の要望や有識者の御意見等を踏まえ、刑事参考記録として指定していくこととなるところでございます。このような外部の視点を踏まえながら、新たな枠組みの下におきましては、より一層適切な刑事参考記録の指定に努めてまいりたいと考えているところでございます。

#123
○山尾分科員 この有識者という話になりましたけれども、本当にその外部の目というのがきちっと担保された有識者なのかという点も私は大変気になります。最初に任命される有識者は誰になるんでしょうか。そして、任命権者は誰なんでしょうか。

#124
○上川国務大臣 今般、有識者を選定するに当たりまして、私から事務方に対しましては、中長期的に、法務省、検察の内部からでは必ずしも気づかない多角的な視点が指定の判断に反映されるようにということでありまして、特定のお立場にある外部の専門家の方に継続的に御関与いただくとともに、国立公文書館のアーキビストの方々にも御協力をいただくということによりまして、刑事参考記録の指定が一層適切になされていくような仕組み、これを検討するべきということで指示をいたしました。
 検討の結果でございますが、今般、有識者といたしまして、法務省の特別顧問、政府の審議会の委員の方々に御協力をいただくこととしたほかに、国立公文書館のアーキビストの方々にも御協力をいただくこととしております。

#125
○山尾分科員 そして、どなたかということは質問に答えていただけますか。

#126
○上川国務大臣 今、人選中ということもございますが、確定した方ということでお名前を挙げさせていただきますと、法務省特別顧問につきましては、井上正仁氏でございます。また、今般、御協力をいただく法制審議会の委員といたしまして、佐伯仁志様と大沢陽一郎様ということであります。
 現在、アーキビストの方々につきましては、認定制度もできましたので、いろいろな観点からちょっと御相談をさせていただいておりまして、そのようなことで、最終的な人選を決めていきたいと思っております。

#127
○山尾分科員 ここは提案なんですけれども、やはり、法務省の特別顧問にも、法制審メンバーの刑事系の方にも、法制審メンバーのメディア系の方にも、これまで女性が就いた例がないんです。そして、法制審のメンバーのメディア系の方というと、基本的に、読売新聞と共同通信の方が代わりばんこになっているという現状がございます。見ていただければ分かるとおりです。
 そういう中で、やはり、歴史家という視点でもう少し、ずっと法務省と一緒に法制審でやってきた、今も特別顧問でやっていますという方じゃなくて、アーキビストを入れるのはいいと思うんですけれども、もう少し柔軟に、歴史家の視点等で、大臣が選べるような枠を増やしたらいかがでしょうかと思うんですけれども、どうでしょう。

#128
○上川国務大臣 大事な点は、しっかりと、内部の判断ではなく、外部の目線を入れて、多角的な視点で判断をしていく、また御審議いただくということでございますので、人選につきましては、私は柔軟に対応してまいりたいと思いますし、また、ジェンダーにつきましても、バランスをしっかりとつくっていきたいなというふうに思っております。

#129
○山尾分科員 そうなんです。今言っていただいた方、枠がやはり少なければ、いろいろなジェンダーバランスも含めたバランスを取るのは極めて難しくなるのも、私も承知しておりますので、大臣おっしゃったように、是非、まだ、全部これで決まったわけではないでしょうから、対応を考えていただきたいと思います。
 最後に、この点でもう一点、基準の具体化というところで、全国紙の一面というような基準があるんですね。もちろん、など重大なとあるんですけれども、これはやはり、全国紙の一面というのは、やはり相当ハードルが高い。そして、これが例示をされると、やはり、各地方検察庁でも、この全国紙一面というのがかなり頭にたたき込まれて、やはり判断が狭くなるというリスクを感じます。
 民事裁判の記録は、やはり全国紙の二紙以上というようなことを具体例で挙げていて、具体例として挙げるなら、それぐらい少し幅を持った具体例、具体的な基準を挙げた方が私は適切だと思いますが、この点、検討いただけますか。

#130
○川原政府参考人 お答え申し上げます。
 今般、刑事参考記録として指定上申するべき事件に該当するか否かの判断が適切に行われるようにするため、具体的に設定することとした基準の一つであります、主要全国紙の一面に掲載されるなど大きく報道された事件の、主要全国紙の一面というのは、言葉どおり、大きく報道された事件の例示でございます。
 実際の運用におきましては、例えば、判決が、いわゆる全国紙のうち縮刷版が発行されている三紙において、毎月のトピックとして取り上げられているかということも考慮するなど、必ずしも一面に掲載された事件に限らず、その報道状況に照らして、大きく報道された事件に該当するか否かを適切に判断することとなります。
 まずは、新たな枠組みが適切に運用されるかどうかを見守り、御指摘のような意見も参考としながら、不断に検討を行ってまいりたいと考えております。

#131
○山尾分科員 是非、検討いただきたいと思います。
 それでは、シンプルに質問していきます。
 水際対策ですけれども、緊急事態宣言を解除しても今の入国停止措置というのは継続してほしいということを私、予算委員会でも申し上げて、大臣にも答弁をいただきました。そして、昨日二十五日の朝日新聞の報道では、現在の入国停止措置は継続の方向で調整しているという報道がありましたが、この点はいかがなのかということと、仮に入国停止措置を継続するということであったとしても、それはいいんですが、特段の事情で事実上緩和しては意味がないので、その点はどのように御検討されているのか、教えてください。

#132
○松本政府参考人 まず私から、現状の特段の事情について御説明いたします。
 現在、特段の事情により入国を認めている事例といたしましては、日本人や永住者の配偶者等の身分関係のある者、外交、公用、公益性のあるもの、人道上配慮の必要性のあるもの、再入国者がございます。
 このほか、所管省庁からの要請を受けまして、関係省庁間で検討し、これまで受け入れてきたものといたしまして、国費留学生、JICA留学生、JETプログラム参加者等がございますが、緊急事態宣言に伴い、これらを原則として停止しているところでございます。
 以上でございます。

#133
○上川国務大臣 これまでは、国内外の感染状況等を見極めつつ、国民の健康と命を守り抜くことを最優先に、水際対策について不断の検討を進めてきたということがございます。
 そうした中におきまして、政府としては、変異株への警戒が世界的に高まっているということも踏まえまして、予防的な観点も含めて、緊急事態宣言が発令されている間につきましては、水際対策の強化に係る一連の新たな措置を実施してきたところでございます。
 今後の水際対策の在り方につきましても、その時点その時点におきましての国内外の感染状況などを見極めつつ、更にどのような防疫措置等を行うかということにつきましても、また、どのようなものについてどの時点で例外的な入国を認めていくか、まさに政府全体として検討をしているところでございまして、法務省といたしましても、水際でのリスク管理に万全を期すために、引き続き、関係省庁と連携をして、国内外の感染状況等をしっかりと見極めながら、適切かつ迅速な措置を取っていく所存でございます。

#134
○山尾分科員 是非、慎重に検討していただきたいと思います。
 恐らく、テーマとしてあと一つしかできないと思いますので、ジェノサイドのことをお聞きしたいと思います。
 ジェノサイド、ウイグル問題で、日本がジェノサイド条約未批准という問題が再浮上しております。
 結局、条約を批准していない理由というのは、必要性の検討と国内立法の検討が必要というふうにこれまで言われてきました。昭和三十二年の外務委員会で岸信介外務大臣が研究中と言って以来、六十四年間研究が続いていて、今も未批准ということです。平成二十五年十一月には谷垣法務大臣が、私は十分に検討を加える必要があると思いますというふうに、一歩こう、ちょっと踏み込んだ発言をされていますが、上川大臣に伺います。検討状況を教えてください。

#135
○上川国務大臣 お尋ねの件でございますが、条約の解釈に関わる事柄でございますので、法務大臣としてお答えをする立場にはないということでございます。
 今、様々な国際環境の中が変化しておりますし、また、海外からも日本の国に入国される方も増えている状況でございます。大きな国際環境が変わっている中におきまして、一つずつの条約につきましても、外務省主管でございますけれども、法務省としても見守ってまいりたいというふうに思っております。

#136
○山尾分科員 条約締結の必要性は外務省マターだと思うんですけれども、こういったジェノサイドに対応するような国内立法については法務省マターだと思うんですね。
 最後に一問、伺います。
 私は、ジェノサイドというのは殺人の集合体でないと思いますし、例えば集団断種みたいなものは傷害の集合体ではないと思うんですね。これは、集団に属する構成員の命や身体といった個人的法益とは明らかに異なる、人種的集団だったり宗教的集団を集団として破壊する行為。これは、日本の今、国内法にはないタイプの新しい国際的法益と言ってもいいかもしれません。それを今まで日本の国内法で検討してきたことが具体的にはないわけですけれども、そういったものをきちっと日本の法務省内で検討していただく必要があると思いますが、最後に大臣の見解を求めます。

#137
○上川国務大臣 お尋ねの件でございますが、条約の解釈に関わる事柄ということで、法務大臣として更に踏み込んでお答えをする立場にないわけでございますが、様々な環境が大きく変わっている状況でございますので、しっかりと受け止めさせていただきたいと思います。

#138
○山尾分科員 ありがとうございました。

#139
○細田主査 これにて山尾志桜里君の質疑は終了いたしました。
 次に、落合貴之君。

#140
○落合分科員 立憲民主党の落合貴之でございます。
 本日は、予算委員会分科会ということで、法務大臣メインで、しかし、いろいろな省庁にまたがる重要な問題を取り上げさせていただければと思います。
 内閣府副大臣そして経済産業副大臣もお越しをいただきまして、ありがとうございます。
 まず、菅総理が秋の臨時国会の所信表明で、経済の状況について、バブル崩壊後、最高の経済状態を実現したところで新型コロナウイルスが発生しましたというふうにおっしゃっていました。それから、今国会の施政方針演説でも、アベノミクスの三本の矢により、日本経済はバブル期以来、好調を取り戻しましたということでございました。
 実際に、コロナまでは最高の経済だったんだけれども、コロナでこういう状態になってしまったというふうな説明のされ方をしていますが、実際にはそうではないというふうに思います。
 そもそも、景気拡大が終わったという記者会見を西村大臣が二〇二〇年七月に行っていまして、その二年前の二〇一八年にはもう景気拡大が終了して後退局面に入っていたというようなことを発表しています。
 それから、家計を見てみますと、特に世帯の経済の状況ですね、見てみますと、非常に厳しい結果となっていると思います。
 資料を御覧いただければと思います。
 安倍政権が始まってからの二〇一二年からの賃金と世帯消費について折れ線グラフにしました。二〇一二年から二〇一三年まではある程度よかったわけですけれども、そこから先はずっと下降しています。賃金も、二〇一二年よりか下がってしまっている、実質賃金が。それから世帯消費も、これは一割ぐらいも下がってしまっている。
 二ページ目を見ていただきますと、世代別の貯蓄ゼロ世帯の割合ですね。全部の世代で貯蓄ゼロ世帯がぼんと増えてしまっているという状況です。二〇一七年で区切っているのは、二〇一八年から数字の取り方を変えているので、これは二〇一七年まででまとめさせていただきました。
 こういう状況から見ても、決してバブル後の最高の状態でコロナを迎えたわけではないというふうに思います。これは与野党を超えて、どうやればいい状況になるのかということをやっていかなきゃいけない問題だと思います。
 特に、企業業績はそれなりによかったわけですけれども、GDPの六割近くを占める家計、特にこの世帯消費ですとか、各家庭の経済の状況がよくないということについて、何が原因でこうなってしまったとお考えか、内閣府副大臣、お聞かせいただければと思います。

#141
○赤澤副大臣 御質問ありがとうございます。
 それで、委員御指摘のとおりの面ももちろん、今からお話をしますが、アベノミクスにより大幅に改善した経済指標がたくさんあることについても事実であるというふうに思っております。
 御指摘は家計ということで、実質賃金の低下あるいは実質消費の低下ということでしたので、ちょっとそれに限ってお話をいたしますが、賃金については、これは委員の資料とちょっと違って、年数は二〇一二年から一九年ですけれども、七年間で名目賃金は二・四%増となった。しかしながら、実質賃金については、委員御指摘のとおり、二〇一二年から一九年にかけて低下しているということであります。
 これは、デフレ脱却に取り組む中で、物価上昇や、二度の消費税率引上げによる物価上昇による面が大きいというふうに考えておりますのと、ただし、二〇一三年以降、労働時間は減少しており、時給換算では二〇一六年以降は増加しているということも数字に表れております。
 それから、実質消費の方でございますが、総務省世帯消費動向指数で見ると、二〇一二年から一九年にかけて九・三%減少する結果となっております。
 この背景には、核家族化という言い方が正しいのかあれですが、平均世帯人員が減少している。世帯ごとで見ると、大人数の世帯は結論は多く出てくるというところはあるので、平均世帯人員が減少しているということが一つ利いてきます。また、相対的に消費支出額の少ない高齢世帯割合の上昇、あるいは二度の消費税率引上げやデフレ脱却に取り組む中で生じた物価の上昇などが影響しております。
 特に、今資料でおっしゃった年代別貯蓄ゼロ世帯の割合も、これはやはり、先ほど申し上げたように、若い世代が独立するようなことがあると、その家計は、数が増えた分、親と離れれば急にその世帯の貯蓄はないに近いというようなことが起きますので、その辺も影響しているのかなというのが、私がこれを、資料を今日教えていただいて感じたことでございます。
 今後、更に家計の所得や消費を拡大していくためには賃上げの流れの継続が重要でございまして、目下は緊急事態宣言中なので、ワクチン接種がようやく開始されたところでもあり、まずは感染拡大防止を最優先にしっかり取り組むということですが、同時に、経済成長や生産性向上に向けて、デジタル、グリーン、ヒューマンの三つのニューディールを推進するということは、西村大臣が再三申し上げています。
 賃上げについて、一昨日の経済財政諮問会議で菅総理から、足下の企業の業績改善を賃上げの流れの継続につなげていただきたい旨、わざわざ発言をまたしておられるところでありまして、政府としては、中小企業を始めとする生産性向上の支援や、雇用増や賃上げなど所得拡大を促す税制措置を講じたり、賃上げのモメンタムをとにかく維持できる環境を整備していきたいと思っています。
 また、最低賃金についても、今後も、より早期に全国加重平均千円という目標を達成できるよう、その方針を堅持しながら取り組んでいくことで、実質賃金や実質消費の拡大を図ってまいりたいと考えてございます。

#142
○落合分科員 これは、もう一個、表を持ってくればよかったですが、核家族化が増えていることは確かなんですけれども、同じ条件で、夫婦二人の子供二人の世帯で見ても、残念ながら、可処分所得も下がってしまい、消費額も下がってしまっているというような数字も出ています。
 やはり、今までの政策の何らかの副作用というか、そういうものが起こってしまって、なかなか家計にエンジンがかからないというところがあると思います。
 私は、幾つか挙げたいと思うんですが、まず、これから後半に挙げるコーポレートガバナンス改革。会社法の改正が主ですけれども、もうざっくり最初に言いますと、短期的な利益を出すために、人件費とそれから長期的な投資が抑制されてしまっている。実際に、その数字も後で御説明しますけれども、そういった副作用を生むコーポレートガバナンス改革がずっとこの二十年行われてきて、アベノミクスの柱でもありましたし、菅政権もそれを柱に掲げています。
 それから、消費税増税。これは、日本は消費税の支払いを、仕入れ税額控除方式を取っているので、売上げから仕入れを引いた金額の一〇%を納税するわけです。そうなると、人件費に係る部分に消費税がかかるということで、どんどんどんどん人件費を払う余力が減ってきてしまうというような税制に比重を持っていきました。
 それから、入管法の改正も行われました。これは法務省の管轄ですが、いわゆる低賃金の労働者を大量に入れることを認めてしまう。これは歯止めもかけていますが、こういうことを認めたことで、やはり賃金の上昇する圧力が減ってしまう。
 それから、働き方改革は、従来型の正社員じゃない働き方を認めていくということですので、これも正社員が減っていくような圧力となっていきました。
 今挙げたものは、全体的には企業業績を押し上げることにはプラスになります、増税以外は。しかし、我々一人一人、一億二千万人の生活にはマイナスに結果的に働いてしまっている。それが先ほどの結果に出ているということが問題だと思います。
 コーポレートガバナンス改革なんですが、これは菅総理もこの前の演説でも柱に掲げておりました、成長戦略の柱ですね。
 表の三を見ていただきたいんですが、九〇年代後半から、金融ビッグバンですとかそれからコーポレートガバナンス改革というのが本格的に行われてきました。これは二十年以上のこの推移を折れ線グラフにしたんですけれども、売上高というのはこの二十年でそんなには上がっていません。一割も上がらないぐらい。それなのに経常利益は三倍になりました。
 これは、何で売上げが上がっていないのに経常利益を三倍にできるのというと、頑張って利益を出すためにコストカットをしてきたわけです、各企業が。なので、従業員の給与は減ってしまいました、二十年以上前より。それから設備投資も減ってしまいました。特に二〇〇〇年代前半から、小泉政権ぐらいからコーポレートガバナンス改革を本格化したわけですが、その辺りから急に配当金だけぼんと増えて六・二倍にもなっているというような状況です。
 ここから見ても、やはり賃金が増えない改革をこの二十年間やってきた。しかも、その改革が成長戦略の柱になってきているので、なかなか国民の家計がよくならないというような状況になってしまっているわけです。
 これはいろいろな分野、省庁にまたがっているので、是非こういった場で取り上げたいと思いまして、法務大臣のいる場で取り上げさせていただきました。
 これは経済の話なんですけれども、賃金だけじゃなくて、経産省も関わる設備投資、これにもダイレクトに影響が出ています。例えば、菅総理はデジタル化が最も重要な柱だというふうにおっしゃっていますが、高度情報化社会が来るというのは三十年前から分かっていました。
 これも総務省が、情報に対する、デジタルに対する設備投資額をずっと何十年もまとめているんですけれども、この三十年間でアメリカはGAFAも生み出しましたけれども、デジタルへの設備投資額は三倍になっています。ただ、日本は全然増えていない。もう情報革命を過ぎているのに、九〇年と比べてもほぼ変わらないというような状況で、菅総理はデジタル分野のトップランナーになるとおっしゃっていますが、残念ながら、今の主戦場である5Gに関しても、先進国で最下位なだけではなく、残念ながら近隣諸国、中国や韓国にも遅れを取ってしまっている。なので、トップランナーどころか、世界にさえ追いついていないというのが現状です。
 これは、会社法の責任は私は重いと思っています。こういった話を二年前の会社法改正のときに森大臣に、こういう状況なのにこの改正の内容でいいんですか、今まで以上に株主に利益が回るような、こういう会社法の改正をしたら、もっと世の中が悪くなってしまいますよということを申し上げました。そうしたら、法の改正の審議のときの森大臣の答弁は、会社は株主のものです、ですからそれに沿った改革をさせていただければと思いますというような答弁でございました。非常に残念だったんですが。
 上川大臣、コーポレートガバナンス改革、今後も続けていくと、総理の方針ですけれども、このような株主の力をどんどんどんどん強めていく、そういう路線で会社法を改革していくのか、お聞かせいただければと思います。

#143
○上川国務大臣 前大臣が、会社は株主のものである、そうした御発言をなさったということは伺っております。
 株主は、株式会社の資本の出資者でございます。そのことを捉えて、会社法におきましては、一般に、株主が株式会社の所有者であると理解されていると承知をしております。
 もっとも、株式会社には、株主以外にも、従業員の方、また顧客の方、また取引先等の多様なステークホルダーが存在しているところでございます。株式会社には、株主の利益に資するよう、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現することが期待されておりまして、企業価値の向上が達成されれば、従業員その他のステークホルダーの利益にもつながるものと考えております。
 今後も、関係団体、関係省庁とも連携をし、企業価値の向上に資する、あるべきコーポレートガバナンスについて検討を続けてまいりたいというふうに思っております。

#144
○落合分科員 企業価値の向上は重要だと思うんですけれども、それがほかのステークホルダーへの還元につながっていないということが問題だと思います。MBAの教科書には、企業価値が向上すればステークホルダーが、みんな恩恵があるんだというふうに教科書には書いてあるんですけれども、実際にはそうなっていない。これはもう数字で見ても明らかですし、アメリカやヨーロッパでも最近言われ始めていることです。やはり、具体的にそういった方向に法改正を行っていかなきゃならないと思います。
 具体例として一つ挙げたいと思います。
 配当が六・二倍になっていることを申し上げましたが、自社株買いというのも二十年近く前に解禁されました。自分の会社の利益を自分の株を買うことに使っていいですよ、そうすることで株価が上がります、既存の株主の持っている株の価値が上がりますということで、株主還元策の一つなわけですけれども。
 見てみますと、日本でも、二〇〇〇年以降で、二〇〇三年と九年以外は新株発行額の方が少なくて自社株買いの方が多い。要は、株式市場から企業が資金調達しているんじゃなくて、企業がもうけたお金を株式市場から株主に吐き出している。この二十年間で十八年間それをやっているわけです。アメリカも、リーマン・ショックの二〇〇八年以降は大幅に自社株買いの方が多い。だから、何のために株式市場があるんですかと。企業のお金を株主が吸い上げるためにこの二十年間は株式市場があるという状況です。
 配当とか自社株買いの制限というのは、特にヨーロッパでは一部、ちょっとずつ導入され始めています。これは日本もやるべきじゃないでしょうか。

#145
○上川国務大臣 委員御指摘いただきました、剰余金の配当あるいは自己株式の取得等につきまして、会社が上げた利益をどのように分配するかにつきまして御質問でございます。
 基本的には、現行の会社法に定める規律の範囲内で、それぞれの会社におきまして、会社の持続的な成長及び中長期的な企業価値の向上に資するように、事業環境やあるいは事業計画等を踏まえて御判断されるべきものと考えております。
 会社法におきまして自己株式の取得及び配当の制限をする新たな規律を設けることにつきましては、各会社がその時点における個別具体的な事情等を考慮して柔軟に対応する余地を狭めることになり得るということから、慎重な検討が必要ではないかなと考えております。

#146
○落合分科員 今までは慎重でよかったと思うんですが、例えばアメリカでは、これが行き過ぎてしまって、社債を発行したお金で株主還元したりですとか、利益以上に株主還元をして、有名な企業でも債務超過になってしまうということが続発しました。トランプ大統領が怒って、いいかげんにしろということを発信しました。しかも、今回、飛行機会社とかもそうですが、苦しい中で公的資金を入れたのに、また株主還元をするというのも駄目だというふうにトランプ大統領が言っていたわけですが。
 そのように、株主の力を強める会社法のような改正をし過ぎたがために、企業の判断というのが株主の利益のためになり過ぎてしまって、ちゃんとした判断ができていない状況になってしまっているのが現状で、それに日本も数字を見ると近づいてきてしまっているというのが問題だと思います。
 時間がないので、具体的な質問は、言及だけにしますが、例えば社外取締役の設置義務も、森法務大臣はグローバルスタンダードに沿ったと言っているんですが、義務化しているのはアメリカだけで、ヨーロッパはしていません。これも、グローバルスタンダードじゃなくて、アメリカの投資家の要求をグローバルスタンダードだと言って日本に導入しているという状況です。
 それから、MアンドAもどんどんどんどんやりやすくしている。これは経産省も旗を振っていますけれども、これは、日本の中小企業を買ってもらうために、ジェトロを通じて外国語で企業情報を流して、外国の投資家向けにMアンドAで買ってくださいということを経産省がやっています。それは最近始めました。
 それから、会社を買う際には雇用を守らなきゃいけないという条件があったんですが、それも二年前だかに外しています。
 そういう形で、MアンドAを増やすということと経済全体のためになるということのどっちが重要なんですかと。MアンドAを増やすというのは経済状況をよくするためなのに、何のために法改正をしているのか分からないのが会社法改正であり、個別の経産省の施策であるということでございます。
 質問ですが、ROE経営ですとかこういう株主を尊重する経営というのは、経産省が旗を振ってきました。これはそろそろ、持続可能な経済発展を考える上では、経産省のこの方針というのは改めるべきじゃないでしょうか。

#147
○長坂副大臣 新型コロナウイルス感染症や第四次産業革命による急激な環境変化が進む中、MアンドAにより新たな経営資源を機動的に取り込むことは、企業の中長期的な企業価値の向上や持続的な成長によって有効な手段と考えております。
 こうした中、改正会社法に基づきまして本年三月一日に株式交付制度が施行され、自社株式を対価とするMアンドAが行いやすくなることは、我が国企業にとって多額の金銭の流出を伴わずに買収を実施できるメリットがあると考えているわけであります。
 このため、本制度は、例えば、第一に、手元資金に余裕がないが株式市場で将来性が評価されている新興企業や、第二に、銀行借入れでの資金調達に制約がある企業に利用されることが想定されます。
 日本企業がこれらの措置を十分に活用し、より機動的なMアンドAが可能になることで、各企業における成長分野を核とする柔軟な事業再編が促進されることを期待しているわけであります。

#148
○落合分科員 これは、現金を持っていなくても株を持っている人がやりやすくなるわけですから、これはやはり、株主の力を強めていくことを加速させているわけです。
 これは、持続可能な成長を目的とするのであれば、企業価値の向上と持続可能な成長がちゃんと両立するようなことを考えていかなければならない分岐点に来ていると思います。成長戦略は内閣府がまとめているわけですが、内閣府としても、コーポレートガバナンス改革自体は、やることは私は否定しないですけれども、進んでいる方向性が、二十年前はよかったけれども、もう今は合っていないんじゃないか。方向性は変えるべきだと思いますが、いかがですか。

#149
○赤澤副大臣 まず、私、金融庁の副大臣として今御質問にお答えしますが、経済財政担当の内閣府の副大臣として一言申し上げると、委員の問題意識は理解をいたしました。
 それで、私どもも、コロナ、今最優先で感染拡大防止を目指しますが、その後、やはり予算の中身、姿形を見ていただければお分かりのように、グリーン社会の実現であるとかデジタル化といったことを通して、コストカットだけで会社が利益を出していくということではなくて、しっかりとイノベーションで生産性を向上させて、それと歩調を合わせて賃金も上げていくという方向も目指していることは間違いがない。総理が繰り返し、賃上げの流れを止めないでくれということを経済界にお願いしているというのはそういう背景があってのことだということは、まず申し上げておきたいと思います。
 その上で、コーポレートガバナンス改革でありますが、金融庁は、コーポレートガバナンス・コードやスチュワードシップ・コードの策定、改定を通じて、会社の持続的な成長や中長期的な企業価値の向上に向けた取組の後押しをしてきた、思いとしては委員と全く同じであります。
 特に、日本のコーポレートガバナンス・コードは、二〇一五年の策定当初から、諸外国に先立って、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の創出は、様々なステークホルダーの貢献などの結果であることを認識し、ステークホルダーとの適切な協働に努めるべき、委員からは当初はよかったというふうに評価していただいた、その方向にまさに特徴があるということであります。
 その上で、この春に本コードの改定に向けて議論をしていまして、現在、有識者会議で議論、検討を重ねられておりますが、まさに、例えば人件費を含む人材投資の重要性についても議論がされており、従業員を始めとするステークホルダーとの協働の重要性も踏まえながら、更なるコーポレートガバナンス向上に向けた取組を後押ししてまいりたいというふうに考えてございます。

#150
○落合分科員 これは方向転換が非常に必要だと思います。先ほど申し上げた入管法の改正も経済に大きく影響を与えていますし、コーポレートガバナンスもそうですし。法務大臣、法務省のやっていることが経済の全体に影響を与え、そして、アベノミクスの残念ながら結果が出なかった部分の幾つかは法務省の施策が原因となっていると私は思います。
 この会社法の改正も、昨年の九月に原丈二さんが議長になって、法務省の下にも新しい会議もできています。これは新しい方向性の模索だと思います。今までやってきたことの方向転換を、やるべきところはやっていくんだという決意を伺えればと思います。

#151
○上川国務大臣 法務省におきましては、関係団体あるいは関係省庁と連携をいたしましてこのコーポレートガバナンスの強化のための取組を行ってまいりました。
 令和元年の第二百回の国会におきまして成立いたしました会社法の一部を改正する法律につきましては、株主総会の運営また取締役の職務の代行の一層の適正化等につなげるものという形で位置づけてきておりまして、コーポレートガバナンスのあるべき姿に向けての前進をさせるための基盤の整備ということについては、これまでもそうですけれども、これからもしてまいりたいというふうに思います。
 先ほど、企業が持続的に成長するということ、また中長期的な企業価値を向上させるということ、これをバランスよく進めていくということが極めて重要であると、私もそう思っておりますので、様々な御意見等も踏まえまして、これからもそれぞれ、法律の分野につきましても検証を重ねてまいりたいというふうに思っております。

#152
○落合分科員 株主、投資家はいろいろと要求をしてくるわけですが、国益に沿った改革が必要であるということを申し上げたいと思います。
 最後に、金融副大臣としてお伺いできればと思いますが、世界的な金余りもあり、株価が三万円を超えました。これはバブルなんじゃないかという声もあるわけですが、そこの認識はいかがでしょうか。

#153
○赤澤副大臣 株価の動向については、経済や企業の活動、背景、様々な要因により市場で決まるものと考えておりまして、その水準についての評価を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
 いずれにしても、市場の動向については引き続き注視してまいります。

#154
○落合分科員 国民がしっかりと幸せになる経済を模索していきたいと思いますので、是非これからもいろいろの問題を取り上げさせていただければと思います。
 本日はありがとうございました。

#155
○細田主査 これにて落合貴之君の質疑は終了いたしました。
 午後一時に本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    正午休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議

#156
○細田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。中谷真一君。

#157
○中谷(真)分科員 本日は、質問の機会をいただきまして、心から感謝申し上げます。ありがとうございます。
 時間が三十分と限られておりますので、早速質問に移りたいというふうに思います。まず、コロナ関連で質問をさせていただきます。
 年末年始、私、ちょっと地元を回っていたんですけれども、そのときに、ある酪農家の方のところに参りました。そこで言っていたのが外国人実習生の件についてであります。
 この外国人実習生、このコロナ禍において、季節的に、私の地元とかだと、農家に来て収穫とか、こういったことをされた後、すぐに本国に帰るというようなケースがあるんですけれども、今回このコロナ禍ということで、帰れなくなっちゃったという方々がおられて、その方々に、うちは忙しいので、ちょっと酪農を手伝ってくれないか、また牧場を手伝ってくれないかという話を持っていったところ、いや、それはできませんという話だったということでありました。
 この外国人の技能実習生については、このコロナ禍において帰れない方々が、することがなくて、また劣悪な環境にも置かれてしまうというところもあって、犯罪に手を染めるなんという報道もなされているところであります。
 私は、やはりここは柔軟に、その業種について柔軟に運用するべきじゃないかというふうに思っているわけで、今回、この特別な時期でありますから、国内だって、航空会社とかが、一時的な業種転換として様々な会社に出向したりというようなことをやっております。
 これはやはり、外国から来ていただいている、この人たちに日本を好きになって帰ってもらわなければいけませんから、そういう意味でも、これは、そういうことが国益だと思いますし、そういう意味でも、ここは柔軟な運用が必要だというふうに思いますが、これについて御見解をお願いします。

#158
○松本政府参考人 お答えいたします。
 出入国在留管理庁におきましては、昨年四月二十日から、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により解雇等され、実習実施が困難となりました技能実習生、解雇等され、就労の継続が困難となりました外国人労働者、さらには、採用内定を取り消された留学生を対象といたしまして、本邦での継続した就労を可能とするため、一定の条件の下で就労が可能な特定活動への在留資格の変更を認める特例措置を講じているところでございます。
 また、昨年九月七日からは、コロナ禍におきます雇用情勢等に鑑みまして、御指摘の、技能実習を修了し、帰国が困難となっている元技能実習生につきましても、本特例措置の対象といたしまして、これにより、帰国が困難な元技能実習生につきまして、実習していた職種カテゴリーに限らず、特定産業分野において就労することが可能となっております。本年二月十五日時点の速報値で、本特例措置により特定活動の許可を受けた者は三千九百五十四名となっているところでございます。
 本特例措置が活用されるためには、外国人本人や関係者の方々に対しまして、本措置についての情報を発信し、周知を図ることが重要と認識しているところでございます。
 出入国在留管理庁におきましては、これまでも、外国人技能実習機構と協力し、技能実習生の監理団体等への周知に努めますとともに、SNSを通じまして、広く本特例措置に関する情報発信を行ってきたところでございますが、今後も、関係機関と連携し、積極的な情報発信を行うことによりまして、本特例措置の円滑な活用促進に努めてまいりたいと思っているところでございます。

#159
○中谷(真)分科員 是非これは積極的に広報をしていただいて、積極的にやることが大事だと思うんですよね。消極的じゃなくて、しっかり広く広報して、それを促していくということを是非やっていただきたい。
 では、もう一つ聞きたいんですけれども、これは外国人実習生じゃないですか。外国人実習生、技能実習生だから、言葉の問題があるじゃないですか。これは広報されるときに、SNSをやられているとおっしゃったけれども、それは外国語も含めて、特に入ってきている方が多い地域に対しての外国語における発信は行っているんですか。

#160
○松本政府参考人 お答えいたします。
 技能実習生の多い八言語につきまして、先ほど御説明いたしました内容について情報発信しているところでございます。

#161
○中谷(真)分科員 是非よろしくお願い申し上げます。
 続きまして、ちょっと順番を入れ替えまして、先に三番で質問通告していた方を質問いたします。私の地元は印鑑の産地でありまして、この印鑑について御質問したいと思います。
 この印鑑、私ども、このコロナ禍において、非常に、言い方は悪いかもしれません、ちょっと悪者にされたというか、いわゆるリモートワーク、今回政府が国民の方々にお願いしているリモートワークを阻害しているということが強く言われまして、非常に苦境に立ったというところであります。
 ただ、ここでちょっと私は政府の認識を聞きたいのは、押印がデジタル化を阻害しているかのごとく言われているのはどうかなと。それは違うんじゃないんですかと。押印を求めていた書類また手続の中でも、これはデジタル化していったものは多々あるわけで、それを政府は、私に最初言ったときは、この印鑑の押印を一切なくさないとデジタル化が進まないんだ、だからまずは押印をなくすんですということを私に言ったんですね。これはどういう見解でそういう発想になるのか。
 手続をデジタル化する上で押印が邪魔になる、阻害になっているという、このことについてもう一回私は政府の見解を聞きたいんです。よろしくお願いします。

#162
○彦谷政府参考人 お答え申し上げます。
 政府では、新型コロナウイルスの感染拡大防止、それから国民、事業者の一層の利便性向上等の観点から、行政手続のデジタル化、効率化を進めているところでございます。
 今般の押印の見直しについてでございますけれども、こちらは、このような中で、各府省において全ての行政手続を対象に押印の必要性を再検討し、押印によって厳格な本人確認を行う必要がある手続を除いて押印を求めない、そういうことをしたものでございます。印章を全てなくすということではございませんし、実印や銀行印など本人確認や意思の担保において必要不可欠な印章については、印鑑登録制度等とともに今後とも残るというふうに理解をしております。
 この趣旨が正しく伝わるように、引き続き国民の皆様に丁寧な説明を行ってまいりたいと考えております。

#163
○中谷(真)分科員 明確に言ってもらいたい。デジタル化を阻害していないと。そこを明確に言ってもらいたいんですよ。もう一回お願いします。

#164
○彦谷政府参考人 昨年七月に閣議決定いたしました骨太の方針二〇二〇におきまして、新たな日常の定着、加速等のため、デジタル時代に向けてこれまでの規制、制度を総合的に点検するとしております。その中におきまして、書面、押印、対面を前提とした我が国の制度、慣行を見直し、実際に足を運ばなくても手続できるリモート社会の実現に向けて取り組む。このため、全ての行政手続を対象に見直しを行い、原則として書面、押印、対面を不要とし、デジタルで完結できるよう見直すとされているところでございます。

#165
○中谷(真)分科員 ちゃんと答えてもらいたいけれども。
 押印自体がデジタル化するのを阻害しているんじゃなくて、デジタル化したら押印がなくなるわけでしょう、要らなくなるという私は認識なんですよね、デジタル化が進めば。だから、押印があるからデジタル化できないんじゃなくて、デジタル化を進めたら押印がなくなるんじゃないのというのを私は聞いているんですよ。そこをちょっと答えてもらいたい。

#166
○彦谷政府参考人 行政手続におきましては、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律、通称としてデジタル手続法と呼ばれている法律がございます。こちらにおきまして、法令において書面で申請等を行う場合に押印が義務づけられている手続でありましても、オンラインで手続する場合には、当該法令の規定にかかわらず、押印を各府省が主務省令で定める方法に代えるということができるとされているところでございます。
 その意味で、法令上、押印義務がございましてもデジタル化できるということは、そういうことでございます。

#167
○中谷(真)分科員 そこをしっかりやっていただかないと、デジタル化を進めていく上で押印が非常に阻害になっているという、そういう間違った認識が流布されるというのはよくないんですよね。
 私どもも、私どもというか、私の地元だって、別にデジタル化に反対しているわけじゃないんですよ、この社会の流れに。そうではなくて、印鑑だってデジタルに乗っていこうという話をずっとしているんです。ですから、そこは是非政府としても、しっかりとそういう情報発信をしていただきたいというふうに思っています。
 それで、次の質問に移りますが、法人印をなくすという、このことがございました。それはもちろん、法人印の義務化をいわゆるしない、こういうことでございました。いわゆる二十四時間以内に会社設立をするんだということで、デジタル化していくということでありました。
 私どもは、デジタル化には反対しない、ただ、デジタル化に印も乗っけてもらいたいということでありまして、今回、この問題に対して、オンライン手続において、法人印の登録も同じくオンラインでできるようにしていただきたいということをお願いしてきたわけであります。
 このことについて今どういう状況になっているのか、教えていただきたいと思います。

#168
○小出政府参考人 お答えいたします。
 法務省におきましては、利用者の利便性を向上させる観点から、今月十五日施行の商業登記規則の改正によりまして、オンラインによる印鑑提出の運用を開始したところでございます。
 この手続は、印鑑届書をPDFデータ化し、電子署名、電子証明書を付して送信することによって印鑑の届出を実現するものでございます。
 その際、印鑑登録が適正に行われるように、送信された印影が原寸大であることを確保するために、目盛りつきの専用の用紙に押印してスキャンすることや、印影の鮮明さを確保するために、印影の画像データについて一定以上の解像度が必要であることなどを求めております。こういった点を含めまして、法務省のホームページでは、利用者がオンラインで適正な印鑑登録を行えるよう、印鑑届書の作成に当たっての注意事項を詳細に案内しているところでございます。
 今後とも、印鑑登録の適正を担保しつつ、利用者の利便性を確保すべく、制度を運用してまいりたいと考えております。

#169
○中谷(真)分科員 今回、本当にデジタル化に乗せていただいて、PDFとかスキャナーで送信できるようにしていただいたというのは、これは非常に、本当に心から感謝を申し上げます。
 この印鑑も、是非今後もデジタル化に乗っていくためにどういうことができるのかというのを、これはまた様々な、ちょっと政府と話合いをしたいなというふうに思っていますけれども、形状認証とかも含めて。ただ、今回、印影という形ではありますけれども、これをやはりデジタルで登録できるようにしていただいたというのは大きな第一歩でありまして、引き続き、是非このデジタル化に対して、印鑑についても考慮していただきたいということを心からお願いいたします。
 手続ももちろんデジタル化を進めていくんですけれども、全く紙がなくなるかといったら、私はそれもないんだろうと。それは、なぜならデジタルに対応できる方と対応できない方がおられるので、できるだけデジタルに対応していただくように今後進めていくということは、これは間違いないことでありますが、紙というのも、これは一つの物として残しておく必要もあるというふうに思います。
 思うんですけれども、これは私の支持者が幼稚園をやっていて、その幼稚園の業界が送ってきた文書なんですけれども、この後ろの欄にあるこれだけの文書について押印を廃止しますという、その文書を送ってきたというんですよ。
 ところが、その文書のここの先頭のところには、名前を書いて、ちゃんと役職印を押しているんですよ。何でかというと、この人が作ったかどうか、この文書は分からないからですよ。こういうことというのはやはり残しておかなきゃいけないと思うんですよね。これがなかったら、だって誰が作ったか、この文書、実際、分からないんですよ。
 ですから、そういうことはあるんだということは是非認識してもらいたい。
 これは外国の文書ですけれども、外国の方からもらった文書で、これは、私は安全保障をやっていたので、その安全保障関係でもらった文書で、バラクというイスラエルの首相からいただいた文書です。
 ここに、外国の文書って大体ここの位置に署名するんですよね。こういうことによって、この文書はバラクが出したということを証明しているわけですよ。じゃ、日本の文書も今後こうなるのかという話であります。ところが、バラクはちゃんとこのサインを登録しているんですよ。日本じゃ登録しないから、だから、そこら辺もよく考えながら、今後この運用についてはやっていただきたい。
 これは、いわゆる成り済まし文書というか、その人では実際ない文書、発出者が違う、かたりによる文書というのが今後出てくる可能性があるというふうに思いますので、そこは是非政府として、特に内閣府はよく見ていただきたい、今回これを進めているんだから。これは是非お願いをしたいところであります。
 次の質問に移ります。
 私が今手元に持っているのは、朝日新聞デジタルのアンケートを今持っているんですけれども、これは、脱判こ、どう思う、そういうアンケートであります。
 このアンケートを見ていきますと、例えば、社内の回覧文書については要らないというのがほとんどだったりとか、荷物の受取とか要らないとか、学校とかの通知文書とか要らないとか書いてあるんですけれども、この中でやはり必要だと言っている分野もあって、例えば、家や車の購入とか、相続の手続とか、あとは、今から申し上げたい婚姻、離婚届、これも非常に必要だというふうに国民は言っています。特に、この婚姻、離婚届というのについては、二百二十二が要る、二十九が要らない。これは、圧倒的に要ると言っています。これは、やはり契約だからだと思うんですよ。先ほどの車や家も契約ですし。
 ですから、本当にその契約をしっかり成立させるためには本人であるということを確認しなきゃいけないし、そういった意味で、私は、印鑑が必要だという国民の声が非常に多いんだというふうに思っています。
 ところが、婚姻届、離婚届の押印について、法務省は、なくすということをセンセーショナルにやられたんですけれども、ちょっとこれについてはもう一回考えていただきたいというふうに思っているところでありまして、これは、やはり人生最大の契約でありまして、この契約において印を押すというのは、私は極めて重要な行為だというふうに思っています。
 ですから、この婚姻届について、押印を見直しされるんでしょうけれども、今法務省がどういう考えで、この国民の声も受けて、どういう考えで今これを進めようとしているのかというのをお聞きしたいと思います。

#170
○上川国務大臣 お尋ねの件でございますが、婚姻届や離婚届などの届出人は、現在、届書に署名、押印することが戸籍法で規定されております。
 現在提出されているデジタル化社会形成整備法案におきまして、戸籍法を改正をいたしまして、届書への押印を廃止し、その真正確保のため、署名のみを求めることを規定しております。これは、政府の押印廃止の方針がございます、その下におきまして検討をさせていただきました。
 現在の婚姻届など戸籍の届けの押印につきましては、認め印でもよいということになっておりまして、また、届出人が印を有していないときは署名するだけで足りるとされていることを踏まえて判断をしたものでございます。
 他方で、今委員からお示しなさいました世論の動きというか、御意見等も踏まえて考えてみますと、婚姻等届けへの押印につきましては、明治の時代から戸籍の届書には押印することとされておりまして、重要な文書には押印を要するとの我が国の慣習がある、また、押印したいという国民の声もあるということでございます。以上を踏まえまして、この度、婚姻届そして離婚届を始めとする戸籍の届けにつきましては、押印義務は廃止した上で、民事局長通達によりまして、届出人の意向に基づく任意の押印を認める予定にしております。
 また、同通達で定める届書の方も、標準様式につきましては、任意の押印が可能なことが明らかになるよう適切に検討を進めてまいりたいと思っておりますし、また、任意の押印が可能なことにつきましては、法務省のホームページを通じて十分に周知してまいりたいというふうに考えております。

#171
○中谷(真)分科員 非常に前向きに御検討いただいているということだというふうに認識したところでありまして、ありがとうございます。
 ここに私、婚姻届を持っているんですが、久しぶりに見ましたけれども、これは何回も見ているようじゃ駄目なんでしょうけれども、この婚姻届、これは署名して捺印というような書き方になっています。是非今度、この後フォーマットを触られると思うんですけれども、印鑑を押すことは特別ではなくて、署名捺印という形のようなフォーマットで作っていただきたい。
 何か特別に印鑑を押させるというようなことではなくて、今まで自然に、署名して捺印する、ただし、これは任意であるという書き方で私はいいんじゃないかというふうに思いますので、是非押しやすいような、何か押しにくいようなフォーマットは是非やめていただきたい。この現行のフォーマットを是非踏襲していただきたいなということをお願いをしたいというふうに思います。
 次の質問に移ります。
 政府が検討している、まだこれは仮名なんでしょうけれども、重要土地調査法案。これは何年前でしょう、六年前、七年前ぐらいかな、対馬駐屯地の周辺が、外国の方、韓国籍の方に周辺をごっそり買われて、非常に駐屯地の機能発揮が阻害されるのではないかということがございました。
 これに対して、私もこれは五年前から取り組んできたんですが、いわゆる重要な施設に対してその機能を阻害するような土地の購入だったり利用、こういったものについては制限する必要があるんじゃないかということで、これはもちろん、元々は議員立法でやろうということでこれを進めてきたところでありますけれども、これはなかなかやはり難しさがございまして、外国人といわゆる日本人、どう区別するんだとか。もちろん無差別にしたんですが、そういったいろいろなことがございまして、なかなかというところがあったんですが、今回、政府が閣法としてこれを検討されているということで、心から感謝を申し上げたいというふうに思うところであります。
 それで、政府が検討している上で、その土地が誰のものであるか、どういう利用がされているかという調査を行った後に、機能を阻害する利用があった場合については中止を勧告又は命令することができるというようなところまで踏み込むというふうに聞いているところであります。この法案の肝は、その機能を阻害する利用とは何か。この定義は、私、極めて重要だと思うんですね。
 以前、防衛省に、対馬駐屯地の件でございましたから防衛省に、防衛施設の周辺でそういうことはないのかということを調べるべきだということで、これは実は調査を一度かけたことがございます。そうしたら、特にないと、全国で、いわゆる阻害するような利用はということを、私、報告を受けたんですね。
 ところが、私、たまたま沖縄に行きまして、那覇基地に行ったんですよ。那覇基地、那覇空港ですね。あそこには航空自衛隊がいるわけでありますけれども、そこでいろいろ聞きますと、御存じですかね、那覇空港のエプロンの先に、瀬長島という細長い島が出ていまして、その上にでかいホテルが建っているんですよ。それはエプロンを見渡せて、現地の人たちが言うには、格納庫の中まで見えると。
 那覇基地というのは、言うまでもなく、今は、特に中国機でありますけれども、中国機に対してスクランブルをかけている最前線の基地であります。多分、私がそういう中国の情報収集をする人間であれば、あのホテルから毎日双眼鏡でのぞいて、今飛び立ったとか、いつ飛び立ったとか、何機飛び立ったんだとか、今乗ったパイロットは誰だとか、こういったことまで多分報告できると思うんですよ、あの中にいれば。というぐらいのところにあって、それを隠すために、見えなくするために、さんざんな苦労をしている。これがまさに私は、いわゆる機能を阻害すると言えるのではないかというふうに、これは一例として申し上げたところであります。
 この機能を阻害する利用というのをきちっと定義しないと、いや、それは大丈夫ですということで、幾ら調査しようが何しようが、これは意味を成さないわけでありまして、その機能を阻害する利用ということに関して、今、現時点で政府がどう定義しようとしているのかということをお聞きしたいと思います。

#172
○和田大臣政務官 お答え申し上げます。
 中谷委員にも長年お取組をいただきまして、これから当国会で審議をされようとしております本法案でございますけれども、対象とする重要施設の機能を阻害する行為につきましては、安全保障をめぐる内外情勢、施設の特性等に応じて様々な対応が想定されます。
 そのため、全ての類型を網羅的に想定するというのは困難ではありますけれども、あえて例示をするといたしますと、例えば、電波妨害ですとか、ライフライン供給の阻害又はその施設への侵入の準備行為、また、施設周辺における施設の機能に支障を来すための構造物の設置等々が例として挙げられます。基本方針等において、可能な限り分かりやすい形で例示をすることを検討しております。
 なお、基本方針におきましては、想定される行為の類型を例示するに当たっては、あらかじめ想定し難い行為が行われる可能性があることや、また、例示されていない不適切な行為を助長するおそれもあります。また、さらには、時代や技術の変遷によってリスクの形というのも変わってまいります。こういったことを踏まえまして、関係省庁としっかりと協議をしながら、慎重に検討を進めてまいりたいと思います。
 また、二つ目の御質問かと思いますけれども、沖縄の事例を出していただきました。中谷委員も元自衛官、レンジャーで、国に御奉仕をされて、恐らく、現場の自衛官の、汗を流しておられる自衛官の真摯な思いを声としてお届けいただいたんだというふうに思います。
 この点につきましても、防衛省において、自衛隊の任務遂行に影響のないようにいろいろな措置を、御苦労の上、講じていただいております。
 一方で、本法案におきまして、重要施設の機能を阻害する行為としては、利用規制の対象とするかどうかにつきましては、一点一点のケースに応じて、審議会というものを設けまして、ここで意見をいただいた上で判断するという仕組みになる予定でございます。その際に、例えば、防衛省さんの方から、この審議会に対して御意見をいただくといったことも可能となっております。
 いずれにしましても、委員の御指摘をしっかりと重く受け止めて、踏まえた上で、重要施設等の機能を阻害する行為を防止するために、政府一丸となって必要な措置を講じるべく検討してまいりたいと思います。

#173
○中谷(真)分科員 いや、もうここは本当に肝ですから、これがきちっとしていないと、本当に、何を調べたって大丈夫という話になってしまって、これは全く実効性がなくなるので、是非政府でここをきっちりやっていただきたいということを申し上げたいと思います。
 最後に、今回、重要土地の話がございましたけれども、これで、例えば水源とか林地とか農地とか、こういったものもたくさん買われているんじゃないかということを確認をしたり、私の地元では空き家の問題がございますけれども、こういうのを調べていくと、誰が持っているか全然分からないというのがいっぱいあるんですよね。
 ですから、これはやはりちゃんと、国土管理の観点から、特に相続のときにそれが起きているので、相続登記についてちゃんとやらなきゃいけないんじゃないんですかということを以前から法務省に申し上げていたんですけれども、いや、法務省は、当時は、対抗要件主義なので、いわゆる土地の売買のときに登記するというのが基本的な要件で、これを変えようとすると、これを義務的にすると、もうこれは全ての法律をいじらなければいけないんだぐらいのことを言っていたわけですよ。ところが、何か、最近の検討では大分変わってきているというふうに聞いているところであります。私も、これは極めて重要な観点だと思います。
 今後、日本の国土管理という観点から、この相続登記についてどういう方向性を持ってやっていくのかについて、お答えをいただきたいと思います。

#174
○小出政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘のように、登記簿を見ても所有者が分からない、いわゆる所有者不明土地、これは、民間の土地取引や公共事業の用地取得、あるいは森林の管理など、様々な場面で問題となっており、その対策は政府全体として取り組むべき重要な課題であると認識しております。
 この問題の主要な要因ですが、委員も御指摘のとおり、相続登記がされないことにあるとされておりまして、法務省では、現在は相続登記は任意でございますが、これを過料の制裁を伴う形で義務化することなどを内容といたします法案を今国会に提出すべく準備を進めているところでございます。
 また、相続登記等の申請義務の実効性を確保するように、登記手続における申請人の負担の軽減に向けた環境整備策、これをパッケージで導入することとしております。
 法務省といたしましては、引き続き、法案の提出に向けた準備を進めるとともに、関係省庁とも連携しながら、この所有者不明土地問題の解決に向けた対策を推進してまいりたいと思っております。

#175
○中谷(真)分科員 終わります。ありがとうございました。

#176
○細田主査 これにて中谷真一君の質疑は終了いたしました。
 次に、武井俊輔君。

#177
○武井分科員 自民党の武井俊輔でございます。
 大臣には、いつも日頃から大変お世話になっております。今日、私で法務省の方は最後だということでございます。よろしくお願いをいたします。
 今日は、何点か御質問してまいりたいというふうに思います。
 先日といいますか、自民党の中でも、矯正、更生保護、様々な取組というものが、議連また調査会、いろいろな形で取組をされておりまして、私もそのメンバーでございまして、その中で、実際に矯正施設等がどういうふうになっているのかということを、全国、皆で、それぞれの地元で見ていこうということで、私も、宮崎刑務所でありますとか、また少年鑑別所でありますとか、様々に伺ってきたところでございます。
 本当に、現場で、大変厳しい状況の中で、本当に皆さんが誠意を持って向き合っていただいている姿というものにも大変心を打たれることも多くあったわけでありますが、宮崎刑務所は特に、二〇一六年にかけて、私は二回お邪魔をしました。一度は、地元の県会議員、市会議員の皆さんなどとも一緒にお邪魔をしたんですが、様々な施設を見せていただいたんですけれども、非常に驚くといいますか、ああ、こういうことなのかというふうに思いましたのは、非常に施設の老朽化が著しいことでございました。
 宮崎刑務所というのは昭和五十一年、私は五十年生まれで今四十五歳ですから、四十四年前ということなんですが、ちょうど昔は宮崎駅の真裏にあったんですけれども、これが山の方に移転をしまして、ですから、四十四年たっているわけなんですけれども、元々、大きな沼だったところを埋めて造っているわけなんです。
 行って、いろいろ館内を案内してもらうと、廊下なんですけれども、廊下の途中に四段ぐらい中途半端にどんと階段があったりして、これは何か不思議な造りですねみたいな話をしましたら、いやいや、ここは昔はフラットで、ずっと真っすぐだったんですよと。要するに、地盤が沈下をしてどんどんどんどん下がっていっている、これがまだ続いているんですというふうなお話もありました。
 さらに、衝撃でしたのは、臭いがするわけですね。これは何か卵の腐ったような臭いということにしておきますが、まあ、臭いんですよ、要するに。これはどうしたことかと話を聞きますと、要するに、同じ敷地の中に官舎があるわけですね、刑務官の方、職員の方の。そこに浄化槽があるんですけれども、これが非常に老朽化をしていて、これも定期的に職員の皆さんがいろいろ手入れもしていただいているようなんですけれども、夏はこんなものじゃないんだと。ちょうど、三月と十一月でしたから、それぞれ暑い季節ではなかったものですから、夏になると、これはもっときついと。そういったような状況の中で刑務官の方も暮らしておられるのかということを、改めて大変衝撃を受けたわけであります。
 昨今、やはり刑務官の皆さんも人手不足といいますか、これからきちんと人員の確保をしていくといったようなことも課題であるわけなんですけれども、そういったような中で、やはり住環境、そしてまたこういった刑務所自身の環境というものの改善というものも非常に喫緊の課題であるということを率直に感じたところでございます。
 宮崎刑務所もそうですけれども、こういった老朽化した刑務所の、もちろん刑務所自身の、受刑者の部分もそうですけれども、また、加えましてこういった職員の施設等の整備等の進捗、そしてまた課題等についてお伺いをしたいと思います。

#178
○大橋政府参考人 お答え申し上げます。
 刑事施設の整備は、被収容者の逃走防止、平穏な収容の維持等のために、また再犯防止政策の実現のための土台として非常に重要なものと考えております。また、宿舎につきましても、職員の住環境の整備、あるいは災害時の職員の安全を確保することが、収容施設の継続、収容の継続ということでも重要だということを認識しております。
 現在、支所なども含めて全国百八十五の刑事施設のうち、約四四%の八十一の施設が、現行耐震基準が定められた昭和五十六年以前に、宮崎刑務所もそうでございますけれども、建設されたものであるということでございまして、災害時に刑事施設の機能の維持を図り、国民の安全を確保するといった観点からも、その対策が急務となっている、これは御指摘のとおりだと思います。
 また、刑事施設につきましては、近年、自治体等と防災協定を結びまして、災害時には防災拠点としても機能するということを最近いろいろな施設で行っているところでございますので、今後も、耐震化等の確保を早期に実現しまして、これらの機能を安定的に確保するため、それぞれの施設の置かれた状況に応じまして、建て替え、改修など、必要な整備に早急に努めてまいりたいというふうに考えております。

#179
○武井分科員 刑務官の方というのは我慢強いといいますか、やはり非常に職業観の高い方々ですから、大変だというようなことはおっしゃらないんですけれども、なればこそ逆に、非常に心に詰まるものがございました。もう大臣も十分現状はお分かりかというふうに思いますが、是非また我々も、与党もしっかりとまたこういったことを改めて応援をしていかなければいけないというふうに思っております。そういう、なかなか直接声を上げづらい皆さんでもありますので、逆に皆さんから私たちに厳しい状況など、いろいろとまたお伝えを引き続きいただければ、一緒に応援をしてまいりたいと思います。
 また、そのときにお邪魔をいたしまして、いろいろお話をして、やはり刑務所内も非常に高齢化が進んでおりまして、介護の問題とかがもう本当に市井の状況と同じように押し寄せているということがありまして、これはNHKで特集されたんですが、「刑務所、まるで介護施設に」といった、これは府中刑務所をNHKの記者さんが実際に行かれて取材をされたルポでありますけれども、まさに同じような状況でございました。外部からもそういったサポートの人材もいろいろとお願いをしているという話は聞きましたが、世の中自体が、御案内のとおり、非常に介護については人手不足という状況でもありますし、なかなか外国人をお願いするというわけにも、やはり性格上、なかなか難しいところもあるわけであります。
 そういったような状況の中で、刑務官の皆さんが、これも受刑者の処遇に係る仕事ですから、本来の仕事といえばもちろん本来の仕事ではあるんですけれども、なかなか、介護や、あと、びっくりしましたのは、お風呂の時間、入浴の時間などは十五分と、普通の受刑者は厳密に決められているんですが、そもそも風呂に行くまでに、片道歩いていくだけで二十分かかりますみたいな方がいらっしゃって、手すりをつけたりとか、実際にお一人お一人していくということになると、お風呂の対応をするためにやはり刑務官が更に必要になってくる、人員も限られている中で。そういったようなことというのが非常に、改めて深刻だなと。
 また、いろいろ経費も限られている中で、例えばおむつの準備とか、やはりそういったようなこともしていかなければいけないといったようなことを改めて思うわけであります。
 ただ、やはりこういう窮状というのが、先ほどの刑務官の方の話でもそうなんですが、なかなか外には伝わってこないものですから、実際にどうなっているかということ、我々もなかなか、行ってみて初めて分かるということがあったわけでございまして、そういう意味でも、そういうこともよくまた、是非、こんなに大変になっているんだということも、皆さんにもよくお伝えもいただきたいなというふうにも思うんです。それを受けて一緒に応援をしていくということも必要だと思うんです。
 こういった、刑務所の介護、そしてまたこういった高齢化に係る課題、またこの対応について、今どのように取り組もうとされているか、お伺いしたいと思います。

#180
○大橋政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、人員の関係でございますけれども、年末における六十五歳以上の受刑者につきましては、平成二十八年末は六千二百三十人、令和元年末は五千八百二十六人ということで、人員こそ減少しているものの、全受刑者に占める割合は、平成二十八年末が一二・七%であったものが一三・九%ということで、その割合は増加しているというような現状にございます。
 高齢受刑者の中には、御指摘のとおり、身体能力とか認知能力が低下している者もございまして、刑務所におきましては、その配慮として、段差を解消したり手すりを設置したり、あるいは介護用の入浴設備の整備などのバリアフリー化を推進しているところでございます。
 また、高齢受刑者に対しましては、健康管理が重要ということでございまして、また、社会福祉制度を理解させるということも必要でございますので、そのための指導を行っておりますほか、高血圧とか糖尿病など生活習慣病に罹患している者も多くございますので、作業や食事について必要な配慮も行っております。
 また、高齢受刑者の処遇を行う刑務官に対しては、外部の専門家を招聘いたしまして認知症サポーター養成研修も実施いたしまして、認知能力の劣る受刑者の処遇能力の向上を図っております。
 また、御指摘ございましたように、介護に当たる刑務官の負担を軽減させるということが必要でございますので、高齢受刑者に対して適切な処遇を行うために、福祉や介護等の専門的な知識や経験を有する職員の配置も順次進めているところでございます。
 再犯防止推進計画におきましても、高齢受刑者に対する指導の充実、職員に対する研修の実施等が掲げられているところでございまして、今後とも、外部の専門家の支援も得ながら、高齢受刑者の再犯防止に向けた適切な処遇に努めてまいりたいと考えております。

#181
○武井分科員 ありがとうございます。
 先ほど老朽化のお話もしましたが、ただでさえバリアフリーにしなきゃいけないところが、やはりそういう時代にも合わない、本当にこれは負のスパイラルみたいな状況もございます。本当に、これは包括的な課題として、しっかりとまた、皆さんからも是非窮状も、私たちにもどんどんまたお伝えをいただきたいと思います。
 あと、また加えまして、やはり課題になったのは、外国人受刑者の増加ということもあるわけでありますが、課題はもちろん、食事とか文化とかそういうことも含めて多様にあるわけなんですけれども、これにつきまして、これは元々、平成十五年、欧州議会からスタートしたわけですけれども、いわゆる国際受刑者移送制度というのがございます。これは今、タイ、ブラジル、イラン、ベトナムの四か国と結んでいまして、それぞれの国で、当然、文化とか食事とかそういうものを考えても、それぞれの国で受刑した方が、お互いに、コストそしてまた本人にとってもいいわけであります。
 これは実際に結ぶとき、私もちょっと外務省でもおったんですけれども、いろいろと期待もされておるところなんですが、この国際受刑者移送制度の現状、状況について、受入れ、送り出し含めて、状況をお伺いしたいと思います。

#182
○大橋政府参考人 お答え申し上げます。
 現在、我が国は、先ほど御指摘ございましたとおり、欧州評議会の、刑を言い渡された者の移送に関する条約に加盟しておりまして、この加盟国六十七か国並びにタイ、ブラジル、イラン及びベトナムの四か国、合わせて七十一か国との間で相互に受刑者移送が可能となっております。
 我が国におきまして、国際受刑者移送の運用が開始された平成十五年六月以降、令和三年一月末日までに母国に送り出し移送を実施した外国人受刑者は四百六十六人、同期間に我が国へ受け入れた、受入れ移送を実施した日本人受刑者は十名ということになっております。

#183
○武井分科員 是非、また、これからも、よりこれを促進させていくことがやはりお互いにとってよろしいかと思います。せっかくの条約ですから、より活用できるように努力していただきたいというふうに思います。
 ちょっと時間も過ぎておりますので、次に進みますが、忘れられる権利についてお伺いをさせていただきたいと思います。これはちょっと大臣にお願いをいたしたいと思います。
 更生保護に取り組んでおられる事業者の方とお話をしたときに、それは、ある営業を伴う会社だったんですけれども、その会社に、出所された方を受け入れて、お仕事をしていて、営業ですから、当然回るわけですね、名刺を出して。そうすると、お客さんから会社の社長さんに、要するに、おまえのところは元犯罪者を雇っているのかといったような、もちろん、雇っていることは、それは決してその方は隠してはいないんですけれども。つまり、要するに、営業に来た名刺の名前を検索をして、過去の犯歴が出てくると。
 そういうことが繰り返されて、なかなか、本人も何とか頑張ってもう一回更生をしようと思っても、やはりそういうところで気持ちが切れてしまって、結局は退社、退職をして、その後はちょっと行方が、今どうしているか分からないというお話であったわけです。
 もちろん、性犯罪とか、そういった履歴をきちんとしていかなければいけないものがあるのは承知をしています。しかし、一方で、罪というのは、しっかり償えば、それはそこでまた新しいスタートを切れるというのが再犯防止にも非常に大きく資するものであるわけであります。
 そういったような意味で、インターネットでは、これは忘れられる権利として、EUなどでは、これは権利として明確に認められているというところが判例でも出ているわけですが、日本の場合は、これは二〇一五年のさいたま地裁ですけれども、過去の逮捕歴の削除を認める判決というのは出たんですけれども、これが高裁でまた取り消された。そういったようなこともあるわけで、まだまだ権利としてという、そういった認識というものがしっかりと確立されているというところまでは言い難いところであります。
 これは大臣にお伺いをいたしたいと存じますが、こういった、やはりもう一回再犯をしていくという意味においては、一定の過去を償った人はきちんと清算できる、そういった意味でも、このネット社会の中でいつまでも履歴に縛られていくということは大変不幸だというふうに思うわけでありますけれども、こういった、我が国においても忘れられる権利というものについて確立をしていくことが私は重要ではないかというふうに考えますが、御見解をお伺いしたいと思います。

#184
○上川国務大臣 委員御指摘いただきました、いわゆる忘れられる権利ということでございますが、我が国におきましては必ずしもその定義が明確ではないと指摘もございまして、様々な御議論がなされているものと承知をしているところであります。
 再犯防止という大きな方向性の中で、今委員御指摘のように、一度罪を償ったその先に、しっかりと社会の中でまた自立して生活をしていただくということは、これは大変大事なことでございまして、インターネットが今大変大きな力を得ているわけでありますけれども、インターネット上の前科前歴に関する情報が、当該前科前歴を有する者の権利を不当に制約をし、またその者の改善更生を阻害をするというようなことはあってはならないものと認識をしているところであります。
 法務省におきましては、今、人権擁護機関で、インターネット上の前科前歴に関する情報が人権侵害に当たるとして相談を受けた場合におきましては、相談者の意向に応じまして、当該情報の削除依頼の方法を助言をさせていただいております。また、調査の結果、違法性が認められるというものにつきましては、プロバイダー等に対しまして当該情報の削除を要請をしているところでございます。
 こうした人権擁護活動につきまして、法務省としてもしっかりとこれからも取り組んでまいりたいというふうに考えております。

#185
○武井分科員 ありがとうございます。
 もう一問、就労の阻害要因になっていないかというお話をちょっと御質問しようと思ったら、今もう大臣に御答弁をいただきましたので、まさにそれに尽きるというふうに思います。
 何とか頑張ろうと思っている思い、すごく純粋に何とかもう一回という思いを、なかなか、結局そういう方が再犯にまた陥ってしまうということがないように、これを社会としてどういうふうに応援をしていくかというのはやはり課題だというふうに思います。
 今、インターネットの社会ですと、昔であればまだ、こういったらあれですけれども、その地域を離れれば、生まれ在所を離れれば、また新しいところで一つの人生を送れるということもありますけれども、今はもう検索してしまえば、日本中どこにその人が引っ越しをしても、場合によっては海外に行っても、そのことというのが全部検索をされる、またされ続けるといったようなこと、やはりこれはなかなかつらいものではないかというふうにも思います。
 是非、いろいろと考え方も多様にありますし、やはり被害を受けた方のことというのも当然考えなければいけないわけでありますので、すぐすぐにということではないんですが、こういった権利について少しずつでも、この国でもそういった意識の醸成が進めばというふうに思っているところでございます。
 続きまして、最後でございますが、ヘイトスピーチについてお伺いをしたいと思います。
 私、過去にもこの質問を何度かさせていただいておりますが、なかなか、やはり今回も、地震がこの前、東北でありましたけれども、地震があると、やれ、何人がどうだみたいな話というのを、ああいうのを書きたがる人っているんでしょうけれども、やはりそういったようなことというのは、ふだん表には出ていなくて、本当に大きな災害、また、国民が大きな不安を感じたときというのは、やはりそういったようなものがつけ込まれてしまう。それは、日本ではもちろんありませんけれども、ウガンダの大虐殺などもまさにそういったヘイトスピーチのようなものから生まれてきたわけでありまして、ですから、こういうものは常に啓発をして、常にやはり危機感は我々は持ち続けなければいけないなというふうに思うわけです。
 その中で、私たち、私たちも選挙で選ばれて、ここで仕事を、立っておるわけでありますけれども、その選挙活動について、選挙活動というのは、もちろん選挙の自由という、公平、公正、そしてまた選挙活動の自由というのはかなり広範囲に認められているわけでありますが、一方で、これもニュースにもう実際に出ておりますので、挙げてもいいと思うんですけれども、この前の東京都知事選挙で、ある候補者が中国大使館の前で中国の蔑称を、記事ですから、ちょっと読んでもいいと思いますが、中国の蔑称のシナを連呼し、武漢肺炎をまき散らしたシナ中共政府に怒りの声を上げようと呼びかけ、シナ人は十万円で簡単に人を殺すなどと演説をしたなどというような記事が、これは七月三十日付の共同通信ですけれども、ありまして、それで、大使館から人が出てきたら、シナ人のねえちゃん、答えろみたいなこととか、そういったようなことを連呼をしているといったような報道があったわけであります。
 しかし、一方で、実際にそれについて、じゃ、判断が明確にできたかというと、選挙管理委員会は、これは都ですから都の選挙管理委員会ですけれども、この記事によりますと、基本的には選挙運動は自由である、選管が介入する権限がないといったようなことを述べておりまして、この発言については、なかなか、都独自では、これについて、議論の封殺になるのでできないといったような形で、平たく言えば、非常に後ろ向きといいますか、なかなか難しさがにじみ出るわけでありますけれども。
 やはりこれは選挙運動に名をかりたヘイトスピーチというのは、客観的に見ても明白ではないかというふうに思うわけですね。やはりこういったようなことをどのような形でまず対応をしていくのかということですね。
 加えて、やはり、例えば私たち、選挙で、加えてまた対策はあると思いますが、その上にまたお願いしたいのは、我々、立候補者説明会というのがあるわけですよ、選挙に出るときは必ず。まあ、本人は余り行きませんけれども、事務所の人間が行きまして、陣営の人が行って、これはこうですよとか、郵便はこうですよとか、これはこうですよというような事務的な説明があるんですが、例えば、やはりそういったようなところできちんと説明をするとか、そういったようなこともやはり私は今後必要ではないか、こういうことが違法であるといったようなこともしっかり伝えていくことも必要ではないかというふうに思うわけです。
 こういった選挙活動とヘイトスピーチについてどのように認識を持っているか、お伺いしたいと思います。

#186
○菊池政府参考人 お答えいたします。
 特定の民族や国籍の人々を排斥する不当な差別的言動はあってはならないものと認識しております。
 選挙運動等の自由の保障は民主主義の根幹を成すものではありますけれども、不当な差別的言動は、それが選挙運動等として行われたからといって、直ちにその言動の違法性が否定されるものではありません。したがいまして、法務省の人権擁護機関といたしましては、選挙運動等に名をかりた不当な差別的言動その他の言動により人権を侵害されたとする被害申告等があった場合には、その言動が選挙運動等として行われていることのみをもって安易に人権侵犯性を否定することなく、その内容、態様等を十分吟味して、人権侵犯性の有無を総合的かつ適切に判断した上で対応するようにしているところでありますし、今後ともそのような姿勢でしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

#187
○武井分科員 直ちにというところに非常に答弁の苦しさというものを感じるわけでありますが。
 やはり、今回、じゃ、実際の、先ほどの事例というものが、その後、何らかの処分といいますか、何らか問題になったかというと、結局は、やはりどうともなっていない。識者が、問題だというようなことはもちろん発言しますけれども、平たく言えば、もう言った者勝ちみたいに、つまり、ここはどうともできなかったということなんです。
 やはり、こういったようなものを放置しておきますと、それはいいんだみたいな誤った認識が広がっていって、何か妙な基準ができたりとか、そういう話にもまたなりかねませんから、是非、ちょっと先ほどもお話をしましたけれども、選管ともよく連携をしていただいて、そういった選挙の立候補者に対しての心構えの中で、こういったようなことも是非皆様からも発信をしていただく、そういった努力をしていただきたいなというふうに思っております。
 関連しまして、やはりそういう意味では、日常の中で、最近ある企業が、非常に特定の民族の名前を、企業名をやゆしたような表現をしたことを自社のホームページに掲示をして、今日さっき来る前に見ましたけれども、いまだもってそれは出ていますから、それはそれで、その会社としてはそれでよしとされて出されているんだろうというふうに思うんですけれども、やはり、特定の民族、特定の立場の方をそうして、出身というのは自分で変えられるものではないわけですから、やゆするというようなことは、これはやはりヘイトスピーチの要件に、私は非常に合致するのではないかというふうに思うんです。
 やはりそういったようなものが、平たく言えば、ずっと掲示をされているということは、もうそこはそこで開き直っているということになっているわけなんですけれども、やはりこういったようなことを、是非法務省としても、例えば経団連とか経済団体とか、今、やはりジェンダーなども世の中でも関心が非常に高くなっているわけですけれども、是非こういったようなことについて、法務省としても積極的な取組をいただきたいと思いますが、取組の状況をお聞かせいただきたいと思います。

#188
○菊池政府参考人 お答えいたします。
 近年、企業活動における人権の尊重が注目されるようになっており、企業には、ヘイトスピーチを含め、あらゆる差別や偏見をなくし、互いの人権に配慮した行動をとることが求められています。また、昨年十月には、ビジネスと人権に関する行動計画が関係府省庁連絡会議により策定され、企業活動における人権尊重が促されているところでもあります。
 こうした中、企業によるヘイトスピーチはあってはならないものと認識しております。
 法務省の人権擁護機関におきましては、企業に無料で講師を派遣し、ヘイトスピーチも含め、差別、偏見の解消をテーマとする人権研修を実施するとともに、企業が研修等で使用する人権啓発冊子の配布、DVDの貸出しなどの取組を行っています。
 また、法務省では、毎年、企業も含め、人権擁護上顕著な功績があった団体等を表彰し、その功績をホームページやSNSにおいて広く周知し、人権に配慮した行動の機運を高める取組も行っているところでございます。
 今後とも、企業によるヘイトスピーチの解消に向けた人権啓発活動にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

#189
○武井分科員 ありがとうございます。
 是非お願いしたいと思いますし、啓発がやはり非常に重要なんですが、あの黄色いポスター、私も事務所にも貼っていますけれども、これはインパクトがあって非常にいいんですけれども、やはり、より一層様々な工夫を是非していただきたいと思います。
 昨今、非常に自殺が社会問題になっていまして、いろいろな自殺をめぐる報道の在り方なども議論になっているんですが、例えば、ツイッターでありますとかインターネットの検索で自殺と入れると、例えば自殺の相談ダイヤルとか、そういったまたいろいろなメッセージが出たりというようなことを、事業者とも協力をして今取組を進めているわけで、やはりそれは一定の効果は、自殺対策の専門家に聞いても、あるという話はしていただくわけです。
 そういった意味で、例えば、そういうヘイト、言葉はなかなか難しいところがありますけれども、例えばそういうような発言とかを書き込んだりすることで、何かポップアップでそういった啓発ができるとか、何かそういったような、より一層ちょっと、LINEなども若者は多いですから、工夫していただくとか、そういった新しい取組について何か御検討いただきたいなと思うんですが、御見解を伺いたいと思います。

#190
○菊池政府参考人 お答えいたします。
 法務省におきましては、ヘイトスピーチに焦点を当てた啓発活動を様々行っているところでございますが、その中の一例といたしまして、これは、令和元年から、いわゆるヘイトスピーチ解消法の施行日である六月三日に合わせて、ヘイトスピーチに関連するキーワードを検索した際に、「ヘイトスピーチ、許さない。」のキャッチフレーズとともに、法務省のヘイトスピーチ対策関連ホームページへのリンクが表示される、そういう広告を行っているところでございます。
 委員御指摘のような様々な手法も含めて、いろいろ工夫をしながら、より効果的な啓発活動に取り組んでまいりたいと思います。

#191
○武井分科員 ありがとうございます。
 このヘイトスピーチというのは大変やはり恥ずかしいことだというふうに思いますし、やはり我が国が、品格というものを考えると、非常に残念だなというふうに思うところもあるんです。
 では、最後に大臣に、済みません、ちょっと通告しておらないんですが、大臣も非常に人権そしてまたこういったような問題、大変、党でも様々にお取組をなさってきたということを十分承知をしておるわけでございますが、こういったヘイトスピーチ等の現状について、大臣は今どのようにお感じになって、また、対策等は今お話もありましたけれども、大臣として今後どのようにお取り組みをされたいと、思いがあればお聞かせいただきたいと思います。

#192
○上川国務大臣 特定の民族あるいは国籍によってヘイトスピーチというような現象につきましては、絶えずウォッチをしながら、しっかりと、そして目を留めていくための努力を継続して行わなければいけないというふうに考えております。
 特に、啓蒙啓発活動につきましては、なかなか効果が実感できないということもありますが、先ほど黄色いポスターのロゴの、「ヘイトスピーチ、許さない。」、こうしたロゴにつきましては、皆さんの頭の中でああしたものがちょっと浮かんでくるところまで浸透を少ししてきたのかなというふうに思いますので、繰り返し繰り返し、絶えず進めていく必要があるというふうに思います。
 さらに、先ほど企業のヘイトスピーチにつきましても言及をされましたが、こちらからやはり積極的に出向いて、そしてその会社の中で研修をしていくということ、それによりまして、今その企業の中で考えていること、あるいは従業員の方たちが思っていらっしゃることも聞くことができますので、そういう対話の中で、更に啓蒙啓発の活動の深化を図っていくということは極めて重要だと思います。
 また、先ほどSNS等についての活用ということで御指摘ありましたけれども、まさに若いときから、また小さなお子さんから、やはりそうした芽をなくすということは非常に大事なので、そうしたいろいろな活動を通じて、特に小さいときから人権意識を培っていくことができるような環境整備につきましても、併せて新しいそうしたネットワークを活用して進めていく必要があろうかと思います。
 総合力ということでありますので、是非、気を緩めることなく、そうした取組を進めてまいりたいというふうに思っております。

#193
○武井分科員 ありがとうございました。また大臣のリーダーシップでこういった課題にも取り組んでいただければと心から願いまして、質問を終わります。
 どうもありがとうございました。

#194
○細田主査 これにて武井俊輔君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして法務省所管についての質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――

#195
○細田主査 次に、外務省所管について政府から説明を聴取いたします。茂木外務大臣。

#196
○茂木国務大臣 令和三年度外務省所管予算案につきまして、その概要を説明いたします。
 令和三年度一般会計予算案において、外務省予算は約七千九十七億円を計上しておりますが、そのうち、デジタル関連予算の百三十八億一千百七十二万二千円は内閣官房予算として計上されていることから、国会に提出する予算総額としては、六千九百五十八億七千二百八十八万九千円となります。また、外務省所管のODA予算は、四千四百九十七億九千七百九十五万六千円となっています。
 予算案作成に当たっては、三本の柱を掲げ、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取組を進めつつ、包容力と力強さを兼ね備えた外交を展開すべく、めり張りをつけた上で必要な予算を計上しました。また、新型コロナの感染拡大防止のための途上国支援や外交・領事業務のデジタル化推進などの喫緊の課題には、令和二年度第三次補正予算も活用し、早急に対処していく考えであります。
 第一の柱は、「人間の安全保障の危機である新型コロナウイルス感染症を克服するとともに、ポスト・コロナを見据えた取組を進める」です。在留邦人の保護、帰国支援に万全を期し、途上国での感染拡大防止、影響緩和などにもしっかりと取り組みます。また、ポストコロナを見据え、途上国の保健システム強化、新型コロナ対応の教訓を踏まえた国際的なルール作りなどを進めます。
 第二の柱は、「我が国と我が国国民の安全を守るべく、「力強さ」のある外交を推進する」です。国際秩序強化のために、自由で開かれたインド太平洋の実現など同盟国、同志国との協力強化、宇宙、サイバー等の新分野への取組、経済安全保障を含む経済外交の推進などに取り組んでいきます。また、危機に直面しても十分機能する外交・領事実施体制を構築するため、領事業務のデジタル化、在外公館の機能の強化などを進めていきます。さらに、在外公館等の新設及び外務省定員の七十二名純増に必要な経費を計上しています。
 第三の柱は、「国際社会との連携・協力を一層進め、「包容力」のある外交を推進する」です。国境を越える課題への対応やグローバルガバナンスを強化すべく、SDGsの推進や国際機関における邦人職員増加に取り組みます。また、我が国の政策、取組、立場の発信、我が国の魅力発信、親日派、知日派育成などを進めていきます。
 以上が、令和三年度外務省所管予算案の概要です。
 細田主査を始め、委員各位の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。
 なお、時間の関係もございますので、主査におかれましては、お手元に配付してあります印刷物を会議録に掲載されますようお願い申し上げます。
 以上です。

#197
○細田主査 この際、お諮りいたします。
 ただいま茂木外務大臣から申出がありましたとおり、外務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#198
○細田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――

#199
○細田主査 以上をもちまして外務省所管についての説明は終わりました。
    ―――――――――――――

#200
○細田主査 これより質疑に入ります。
 質疑の申出がありますので、順次これを許します。鈴木憲和君。

#201
○鈴木(憲)分科員 自由民主党の鈴木憲和です。
 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 まず、大臣にお伺いをいたしたいと思います。
 いわゆるホスト・ネーション・サポートについてであります。現下の厳しい安全保障環境の中において、日本にとっては、この日米同盟をいかに強固なものとして、つけ入る隙のないものにしていくかというのは、最も大事な一丁目一番地なんだろうというふうに思っております。
 そういう中、アメリカにおいては、ちょうどトランプ政権からバイデン政権に政権移行をしたところであります。そういう直後の中での、このホスト・ネーション・サポート、在日米軍駐留経費負担に係る特別協定の現行協定を一年延長するという改定議定書、署名がされました。
 正直、事前に、どういうふうになるんだろうかという心配をされた皆さんもたくさんいらっしゃると思います。そういう中で、茂木大臣がしっかりとリーダーシップを取ってまとめてくださったこと、これについては本当に評価をいたしたいというふうに思いますが、まず本件について、大臣の御所感をお伺いしたいというふうに思います。

#202
○茂木国務大臣 外務大臣政務官もお務めになりました鈴木委員、日米同盟の重要性、非常に深く御理解をいただいていると思っております。
 現行特別協定の有効期間、これが三月末までとなっていたことを踏まえまして、日米間でこれまでも協議を行ってきたところでありますが、先般、日米両政府は、現行特別協定を改正し、その有効期限を令和四年三月末までの一年間延長する改正議定書に合意し、二月の二十四日に署名を行ったところであります。
 インド太平洋地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中、日米同盟及び在日米軍は、我が国の防衛のみならず、インド太平洋地域の平和と安定のためになくてはならない存在であると考えております。その中で、在日米軍の駐留経費は、在日米軍の円滑かつ効果的な活動や米軍の地域への前方展開を確保する上で重要な役割を果たしてきております。
 私の方から、もう就任直後でありましたが、ブリンケン長官と電話をいたしまして、その電話会談で、このホスト・ネーション・サポート、早期に合意する必要があると提起をするなど、日米双方が真摯に交渉を重ねた結果、バイデン政権発足後のこの早いタイミングで合意に至ることができました。このことは、日米同盟に対する両国の強いコミットメントを示すとともに、日米同盟の信頼性を高め、それを国際社会に対して発信するものだと高く評価をいたしております。
 政府としましては、年度末までの発効を目指しておりまして、来週中にも改正議定書を国会に提出をさせていただく予定でありますので、国会での速やかな御審議をお願いしたいと思います。

#203
○鈴木(憲)分科員 ありがとうございます。
 恐らく、これは国会でもちろんしっかりと審議をした上で前に進めるべき話だと思いますが、これは一年だけの延長だというふうに思いますので、その先どうするかというのは、まさに本格的に今後アメリカとやるべき話だと思うので、是非その辺もしっかりと頑張っていただきたいというふうに思います。
 次に、今日の、これが私のお伺いをしたかったことでありますが、我が国の人権外交の在り方について議論を是非させていただければというふうに思います。
 昨今、中国におけるウイグルを始めとした様々な人権侵害に関する事案等を背景として、国際社会において、この人権という分野がどんどん大切になってきているように感じます。そのときに日本がどういう立ち位置をこの分野で占めていくのかというのは、まさに日本外交の力が試されるときなのかなと。そして、これは難しいテーマであるということも重々承知をしています。
 先日、これは二月二十三日になりますが、第四十六回人権理事会のハイレベルセグメントでの、これは茂木外務大臣自らのステートメントだったというふうに思います。私もしっかりと読ませていただきました。
 特に、日本にとって重大な問題である北朝鮮による拉致問題、これを国際社会といかに連携をして解決をしていくか。
 そして、あのミャンマーのクーデターの課題があります。これについては、重大な懸念という表現を使って、そして、アウン・サン・スー・チー国家最高顧問を含む関係者の解放と民主的な政治体制が早期に回復されることを強く求めるということが書かれています。
 そして三点目。国際社会における普遍的価値である自由、基本的人権の尊重、法の支配は、香港や新疆ウイグル自治区を始め、中国においても保障されるべき、昨今の情勢を深刻に懸念しており、中国に対して建設的で具体的な行動を強く求めますと。
 これは、大臣自らのお言葉でメッセージを出していただきました。大変心強く思います。
 この件も含めまして、茂木大臣、これまで長い政治経験がおありで、そして二〇〇二年には外務副大臣もなさっています。国際経験も豊富だというふうに思います。大臣のこれまでの政治経験から見て、国際社会の中で人権というのがどういうふうに今まで扱われてきて、今後どうなりそうだというふうに捉えていらっしゃるのか。こうしたことを、多少、外務省の公式見解を超えてでも結構ですので、まずお伺いをいたしたいと思います。

#204
○茂木国務大臣 大変重要な問題指摘をいただいたと思っております。
 人権、これは、普遍的な価値であっても、当然与えられるというよりも、例えば南アでの反アパルトヘイト運動、この盛り上がりであったりとか、私も一九八〇年代に米国に留学をしましたが、当時、様々な人種の人たちがいる中で、六〇年代の公民権運動、シビルライツムーブメント、マーチン・ルーサー・キングを始めとして、運動の成果としてこういったものをかち取ってきた。自然に与えられるものではなくて、様々な犠牲、多くの犠牲も伴いながらかち取っていくものだ、歴史的に、また世界的に、そのような側面も大きいのかな、こんなふうに思っております。
 昨年の末、私、南アフリカ共和国を訪問いたしました。その中で、一九六〇年代から反アパルトヘイト運動の先頭に立って、ちょうど前回の東京オリンピック、一九六四年から九〇年、二十六年間にわたってロベン島の刑務所に収監をされ、その後、一九九三年にはノーベル平和賞を受賞したネルソン・マンデラ元大統領はこんなふうに言っています。人権を否定することは、その人の人間性そのものを否定することだ。こういうふうに語っているように、人権は普遍的な価値でありまして、また、国連においても、人権の擁護と推進、これは、国際の平和と安全の維持、経済社会開発の推進と並ぶ三本の柱とされております。
 その一方で、昨今の国際情勢を見ますと、鈴木委員の方からも今お話にあったように、人権状況、これが深刻に懸念される事案というのが多数発生をしているわけであります。
 こうした状況も踏まえて、私は、二月の二十三日、国連の人権理事会におきまして、日本の外務大臣として初めてのステートメントを行いまして、アジア地域及び国際社会の人権状況の改善に貢献をし、そして対話と協力を重視した取組を進めていく、ここが重要だと思っておりますが、やはり、力によって何かをやっていくのではない、特に人権の問題というのは、対話と協力を重視した取組を進めていく、こういった我が国の決意を述べるとともに、我が国の取組についても説明をしたところであります。
 先ほど来述べているように、人権をめぐっては様々な動きがこれまで続いてまいりましたが、現在の状況でいいますと、欧州はかねてから人権重視ということでありますが、アメリカにおいても、バイデン新政権が発足をいたしまして、人権理事会への復帰を含めて、人権及び民主主義を重視する姿勢を示しているんだと思います。
 日本としても、こうした国際的な動きも踏まえて、国際社会と密接に連携をして、対話であったり協力、こういった人権の保護、推進に一層貢献していきたいと思っております。

#205
○鈴木(憲)分科員 ありがとうございました。昔の歴史から含めて、特にかち取ってきたというところ、まさにそういうことなんだろうというふうに思います。
 そこで、今日、大臣のお話の中でも、対話と協力を重視する、そして、茂木大臣になってから、包容力のある外交という言葉を使われております。
 私は、誰一人取り残さないとか人間の安全保障、これは大変大切なことなんだというふうに思っていまして、そのことを考えるときに、今年は日本にとっては、もちろんコロナ禍で大変な状況ではありますけれども、東京オリンピック・パラリンピックを開催する、そういう貴重な、大切な年でもあります。
 私はここで一つ御提案申し上げたいのは、是非茂木大臣に前向きにリーダーシップを持って検討していただきたいと思うのは、二〇一二年にありましたロンドン大会のときに、イギリスと、イギリスが要は中心になりまして、その後オリンピックが開催が決まっている国を、四か国ということにその当時はなりますが、イギリス、ロシア、ブラジル、韓国の四つの国によって、人権とオリンピック・パラリンピックに関する共同声明というのをまとめて、共同声明を出しています。
 これは私も読みましたが、オリンピックとパラリンピックを次のような目的で開催する意思をこの四つの国は表明するというふうに書いてあります。その中に、どう書いてあるかといいますと、尊重、多様性、寛容及び公正という価値について人々を教育する機会として、人権差別を含めあらゆる形態の差別と闘い、あらゆる人々が参加し得る社会を促進するための手段として開催をするということを意思表明するというような、ほかにもたくさん、様々、スポーツと障害者の関係とかありますが、そういう声明になっています。
 これは、どのようにしてこういう声明になったかといいますと、その後、この声明の目的についてということで、イギリスの、当時、これは閣外外務大臣ということになっていたんだというふうに思いますが、ジェレミー・ブラウン氏が、オリンピック・パラリンピック大会を通じて、スポーツの持つ大きな力によって国際的に人権の尊重を促進することにつなげるため、そういう目的でこの共同声明をまとめたということを説明されています。
 私は、今回、今年、この共同声明、もしやろうとすると、できるのは日本だけなんです。そして、どの国と一緒に今後やるかというと、これは、中国、二〇二二年の北京です、そして二〇二四年パリ、フランスです、そしてその後に、二六年にミラノ、イタリア、そして、決まっているところでは二八年のアメリカのロサンゼルス。
 そうすると、日本が中心となって、この五つの国と、人権が大切だということについて、そしてそれをオリンピックという機会に、オリパラの機会にしっかりと発信をしようということを、私は、世界に向けて、こういう時期だからこそやるべきだというふうに思います。
 そして、大切なことは、次の開催国が中国だということだと思います。これが、今まさに私は外務省に、そして茂木大臣の下でやっていただきたいというふうに思いますが、これについて大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

#206
○茂木国務大臣 オリンピック・パラリンピックは、その理念を通じ、人権擁護推進の機会としても大変重要と考えております。オリンピック憲章でも、憲章の定める権利及び自由というものは、いかなる差別も受けることなく、確実に享受されなければならないとされております。
 共同声明もそうでありますが、オリンピックを振り返ってみますと、様々な象徴的な差別の問題等々に対するシーンというのがありました。一九六八年、メキシコ・オリンピックのときのチャスラフスカさんの行動であったり、その後、オリンピックなどの、アメリカの陸上選手の行動であったりとか、多くの人々の印象に残るような活動というのが私はあったと思っております。
 そういった中で、我が国は、東京オリンピック・パラリンピックの開催国として、人権理事会において、スポーツとオリンピック理念を通じて人権を促進するための決議の主たる提案国となり、議論を主導してきております。
 御指摘いただきました人権共同コミュニケにつきましては、まず、お話しいただきましたロンドン大会の際の例も研究をして、この後、四つの国、中国、フランス、イタリア、米国、これを加えてということになると、どんなことがやり得るのか、またどういう対応が適当なのか、検討してみたいと思います。

#207
○鈴木(憲)分科員 ありがとうございます。
 今大臣から、検討してみたいというふうにお言葉をいただきました。もちろん、これは、他国がどのような形だったら一緒に共同声明という形ができるのか、若しくは共同声明以外のどんな形があり得るのかということは今後詰めていくべきだというふうに思っておりますので、是非前向きにやっていただきたいというふうに思います。
 私は、中国に対して、ウイグルという課題、今、人権理でも大臣がステートメントを出されています、そういうときだからこそ、そこをしっかりと、厳しく言うだけではなくて、何が私たちは一緒にできるのかという観点で、包容力ある形で巻き込んでいくという意味でも大切な機会だというふうに思いますので、是非よろしくお願いいたします。
 次に、コロナの状況下における在外公館における外交活動の在り方について、外務省にお伺いをいたします。
 まず、コロナですから、通常、在外における外交活動というのは、それぞれの国の大使の皆さんや若しくは領事の皆さんと意見交換をしながら外交政策について考えていくということだと思いますが、実際、会食ができない状況だというふうに思っています。
 そういうときに、日本国内でもオンライン会食はどうですかということを進めているわけですが、まず、在外公館においてオンライン会食はどのぐらい進んでいるかということをお伺いいたします。

#208
○石川政府参考人 お答え申し上げます。
 在外公館におきましても、オンラインを使った外交活動を行っております。
 ただ、現時点で、本省として、どれだけの数のオンライン会食が行われているかというのは、ちょっと正確には把握できている状況ではございません。

#209
○鈴木(憲)分科員 ありがとうございます。
 今のが実は大変大切なポイントで、私がなぜこの質問をしているかといいますと、これは大臣に是非聞いていただきたいんですが、オンライン会食といっても、お互いに、会食というのは要するに同じものを食べるから、ある種同じ食事で、同じものを食べて、仮にですけれども、お酒を飲んで、いい雰囲気で本音の話合いができるというのが会食のメリットだと思います。
 それをやろうとしても、実は今、外務省はどういうふうな対応をしているかというと、オンラインでやろうと思えば、実は日本にはすごい強みがありまして、これは、公邸料理人が作ったお弁当を日本酒とともに先方にお届けをして、そして一緒にやるということが私はできるんだろうというふうに思います。お弁当というのは日本の文化です。
 そして、それをやろうとしても、実はここからが課題でありまして、これは公費は実は使えないそうです。ふだんお客さんをお招きして公邸でやる分には当然外交予算の中で出るわけですが、オンラインで、お弁当を持っていって、日本のものですといってやろうとすると、出ない。だから進まないということも私は一因だろうというふうに考えています。
 これについて、もちろんワクチンが世界的に広まればこの心配はなくなるというふうに、普及すれば終わると思いますが、イタリアなんかは、やはりこの機にといって、イタリアの食文化を更に分かってもらおうということで、こういう取組を実はしているんです。
 イタリアができて日本にできない理由は私はないと思いますし、食の輸出をしっかりとやっていく上でも、ここは是非、外務省として前向きにやっていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょう。

#210
○石川政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、今、コロナの下において、外交活動はかなり制約を受けています。
 そういう中におきまして、在外公館の外交の在り方につきまして、それぞれの国、都市におけるコロナの感染状況なども勘案しつつ、御指摘のオンラインでの会食の実施も含め、引き続き様々な工夫を検討してまいりたいと思っております。

#211
○鈴木(憲)分科員 ちょっとそっけない感じの答弁だったように感じますけれども、是非前向きにやってください。
 可能であれば、是非大臣が、お弁当を、例えば日本国内の大使でも結構です、お届けをして、まずやってみる。そうするとどういう反応だろうかというのを見ていただければ、これはやった方がいいなというふうに多分思っていただけるんだと思いますので、是非その辺をよろしくお願いします。
 次に、在留邦人へのデジタル化の恩恵についてという観点でちょっとお伺いをします。
 今、国内はデジタル化を相当進めようというふうに思っていますが、この国民サービスの向上の恩恵は、やはり在外にいる邦人に対しても私は及ぶべきだろうというふうに思います。
 そうした観点で申し上げると、外務省の計画に、このデジタル化という面でいうと、例えば、窓口のキャッシュレス化とか、マイナンバーを活用したパスポートのオンライン申請等、上がっていますけれども、それ以外にも様々な手続が求められます、在外にいれば。例えば、私、すごく思うのは、運転免許証の更新とか。
 こうしたことを、これはもちろん外務省単体で検討できる話ではないというのはよく分かっておりますが、外務省が窓口になって、他省庁としっかりと連携をして、在外にいてもこのデジタル化の恩恵が及ぶんだということをしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思いますが、いかがでしょう。

#212
○森政府参考人 お答えいたします。
 在外公館で発行している各種の証明に関しましては、外務省デジタル・ガバメント中長期計画に基づき、令和四年度中、二〇二二年度中にオンラインによる申請を実現すべく、準備を進めているところでございます。
 委員に御指摘いただきました、犯罪経歴証明書の取得、運転免許証更新、出生届、遺産相続などの行政手続のオンライン化につきましては、御指摘もございましたけれども、それぞれの所管省庁において検討されている、あるいは検討が行われるべきものと考えておりますが、海外在留邦人の利便にも資するべく、御指摘のとおり、当省としても必要な協力は行っていきたいと思っております。

#213
○鈴木(憲)分科員 ありがとうございます。
 是非、もちろん国内をどう検討するかに沿ってですけれども、国内ができたのに在外邦人はできないということがないように、併せてやっていただきたいと思います。それがオンラインの、デジタルのメリットの一つなんだというふうに思いますので、是非しっかり、よろしくお願いします。
 この観点でいうと、もう一つ、デジタル教科書です。
 日本でも、タブレットをお配りして、今後デジタル教科書というのが進むんだというふうに思いますが、これについて、海外の日本人学校、補習校も含みますが、対応をどういうふうに考えているか、お伺いいたします。

#214
○高口政府参考人 お答えいたします。
 文部科学省では、憲法の定める教育の機会均等及び義務教育無償の精神に沿いまして、日本人学校及び補習授業校の児童生徒を含め、海外に居住する義務教育段階の児童生徒に対し、国内と同様、紙の教科書の無償供与を行っております。
 また、日本人学校におけるICT環境整備について、日本人学校教育環境整備事業を通じまして、児童生徒一人一台端末の整備やICT支援員の配置等を支援しているところでございます。
 海外に居住する義務教育段階の児童生徒に対するデジタル教科書の取扱いでございますけれども、基本的には、国内と同様の扱いとすることが必要だというふうに考えているところでございます。
 国内におけるデジタル教科書の在り方については、昨年七月より、デジタル教科書の制度面も含む今後の在り方につきまして有識者会議で検討を行っております。
 今後につきましては、同会議での検討を踏まえた国内におけるデジタル教科書の制度面の在り方、また、日本人学校等の一人一台端末、ネットワークの整備状況などを踏まえながら、日本人学校等に通う児童生徒に対するデジタル教科書の取扱いについて検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。

#215
○鈴木(憲)分科員 もちろん国内の状況を踏まえてということになりますけれども、これは海外にちゃんとやった方が、実は海外の方が多分メリットが大きいと思うのは、輸送コストの問題があります。国内で配送するのと、たくさん物流がある国であれば、輸送コストはそんなに大変じゃないと思いますが、残念ながらちょっと邦人の少ない、日本との関係では貨物を送るのが大変な国なんかももちろんあるわけですから、その辺も含めて、是非これは、海外もしっかりと視野に入れてやっていただきたいと思います。
 最後の質問です。今、コロナですから、観光客ということ、海外からというのは、今そういう状況にはもちろんありませんが、ただ、コロナを克服した後の世の中は、いかにしてインバウンドを取り戻すか、そして取り戻すだけじゃなくて、そこから先、更に前に進めていくかという観点が私は大切だと思います。そのときに、短期の滞在者向け、要は、観光に来られる方向けのビザのオンライン申請についてお伺いをします。
 まず領事窓口に来る方の申請を、実際に来る方の数を減らすということは、コロナ対策の観点からも大切なことだと思います。そして、オンライン申請を増やせばそういうことが可能になりますし、申請者の負担軽減の観点からだけではなくて、もっと大切なのは、オンライン申請をいただいてどのぐらいの短期間でさっとビザを出すことができるのかどうかということが、私はインバウンドを考えたときには極めて大切だと思っています。
 なぜそういうことを私申し上げるかというと、ビザの申請事務で大変進んでいるのはオーストラリアなんです。オーストラリアの関係者の皆さんにお伺いをすると、例えばワーキングホリデーのビザ、日本から行く場合、若しくは学生ビザ、これについてはオーストラリアは実は即日交付だそうです。即日交付なので、みんな、オーストラリアは行きやすいといって、オーストラリアが行く先に選ばれているということを、少なくともオーストラリアの関係者の皆さんはそういう認識をしています。
 これは、要するに、政府がやる努力によってインバウンドが増えることにつながるということだとまさに思います。
 私は、もちろん技能実習生や長期で来る方についてはしっかりと審査をすべきだというふうに思いますが、短期で、観光で来るという観点で、ビザの発給は、オンライン申請と同時に、できる限り審査の期間を短くして、即日交付とまでいかなくても、今は何か五営業日以内という規則だというふうに思いますが、いかに短くするかというのを、可能であれば、今後このKPIをつくるんだというふうに思いますので、達成すべき目標は、できる国においては即日交付なんだ、そういう高い目標と志を持って今後取り組んでいただきたいというふうに思いますが、いかがでしょう。

#216
○森政府参考人 お答えいたします。
 外務省は、ビザ申請者の利便性向上と在外公館におけるビザ発給業務の効率化を実現することなどを目指し、ビザのオンライン申請及び電子ビザの発給を行うためのシステムを導入することといたしております。委員御指摘の感染症対策に関しましても意味のあることと考えます。
 このシステムは、二〇二〇年四月から、まずは在中国公館における観光ビザを対象として導入開始を予定しておりましたが、残念ながら、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、現在までその導入を延期しております。
 今後、国内外における新型コロナの状況も勘案しつつ、導入時期等につき検討を進めてまいりますが、オンライン申請となった場合にありましても、御指摘の申請から交付までの期間においては、実は在外公館の査証官が審査を行うこととなります。我が国にとって好ましからざる人物の入国を事前に防止するためには、審査を適正かつ厳格に行うことはビザ発給業務の根幹でございまして、申請から交付までには一定の時間が必要であることについては御理解をいただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、外務省としては、引き続き円滑なビザ発給業務に取り組んでまいります。
 なお、御指摘のございましたKPIでございますが、現在、本件のビザのオンライン申請に関しては、ビザ申請数に占めるオンライン申請の割合として設定させていただいております。そのシステムの導入が開始される際には、運用状況も見つつ、達成すべき目標について必要に応じて見直してまいりたいと存じております。

#217
○茂木国務大臣 今、森局長の方から答弁があったとおりでありますが、適正な審査は必要でありますが、その期間を短縮する、こういう努力は極めて重要だと思っております。
 なお、先ほどの公邸料理人によります和食の弁当でありますが、まさに弁当、これは、幕の内弁当に象徴されるように、どんな状況においても食することができ、全てのものが前菜から出てくる、これが和食の魅力だと思っておりますし、それに日本酒が合わさる、特に十四代なんかが一緒だったらすばらしいことなんじゃないかなと思っております。

#218
○鈴木(憲)分科員 今の大臣の発言からは、しっかりとやっていただけるということだと思います。
 ちょっと誤解のないように申し上げますと、ビザの、短縮するというのは、できる国からやるべきだということを申し上げていて、どこの国でもやれということの趣旨ではありませんので。ただ、できる国から是非、即日交付を目指してやっていただきたいと思います。
 ありがとうございました。

#219
○細田主査 これにて鈴木憲和君の質疑は終了いたしました。
 次に、松原仁君。

#220
○松原分科員 今日は、茂木大臣、また外務省の方、関係の政府参考人の方に、ウイグルの人権状況を中心にして御質問させていただきたいと思っております。
 最初の質問は、これは入管といいますか出入国管理庁に聞くわけでありますが、パスポートの在留期間、パスポートが切れる、こういうふうな状況に関してどのような対応をするかということです。
 なぜこのような質問をするかといえば、新疆大学の学長タシポラット・ティップさんとか、東大の大学院生であった女性のミヒライ・エリキンさんとか、こういった方が、前段の学長さんは、ドイツの学会に出るために、北京経由で行ったときに飛行場で捕まって、再教育センターに入ったと。まあ、再教育センターといっても、そこは強制的に入るわけですから、強制的に入る施設ということになると思います。また、ミヒライさんの場合は、お父さん、お母さんが心配で、連絡が取れなくなって、戻って、そのまま再教育センターに入って、そして昨年の十二月に亡くなったというふうに報道で知っているわけであります。
 私の知人も、日本にいる、日本の国籍を取得している人も含めて何人かのウイグル人の方と話をすると、とりわけ二〇一七年ぐらいから、それまでは通常、電話連絡やメールができたのが、ぱたっと取れなくなったと。こういったことを、三人、四人の方と話していますが、この話は押しなべて言っている。
 いろいろなことがあるんですが、非常に、ウイグルに戻るということは、中国に戻るということがリスクがあるという話の中で、入管として、こういった人道上のリスクのある人たちについてどういう対応をするのか、まず御質問いたします。

#221
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
 出入国在留管理庁におきましては、今御指摘のウイグル人の方を含めまして、個々の外国人が本邦に在留を希望する理由などを踏まえまして、在留資格を決定しているところでございます。
 なお、一般論で申し上げれば、国籍国で生じた事情により帰国が困難であるなどの申出があり、人道上の配慮を行うべき必要性が認められる場合には、個別の事情に応じて、特定活動の在留資格を付与するなどの配慮を行っているところでございます。

#222
○松原分科員 パスポートが切れると海外には行けないわけでありますが、こうしたことに対する配慮というのはありますか。

#223
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
 出入国管理及び難民認定法第二十六条第二項に基づきまして、旅券を所持していない場合で国籍を有しないことその他の事由で旅券を取得することができないときは、法務省令に定めるところによりまして、再入国許可証を交付しております。これによりまして、御指摘のように、パスポートが失効したような外国人の方につきましても海外への渡航が可能となる仕組みとなってございます。

#224
○松原分科員 今の点は是非、入管としては、全国にある関係箇所に徹底をしていただきたいと思います。
 二つ目の質問でありますが、これは日本の、自民党の部会において発言があったという記事が各所に載っているわけでありまして、その記事は何かというと、日本の政府は中国が新疆で民族大量虐殺をしていることを認めずと外交部がコメントしていると。私が問題視しているのは、これが見出しとなっているということですね。小見出しになっている。
 これは、人民網という人民日報のデジタル版ではないかと思いますが、あと新華網という新華社通信のそういったもので出ておりまして、これは、聞きますと、ウェイボーという中国で最大のツイッターの部分ではトレンドランキング一位になったと。そのランキング一位になったときの様々な書き込みがあると。日本も客観的なことを言っているな、日本もこういうことを言うんだったら日本から牛肉を輸入してもいいだろうとか、こういうふうな話があるんです。非常に誤解を与えてしまっている。間違ったメッセージを与えてしまっている。これは非常に私は問題だと思っております。
 特に、日本のように、人権、そして自由、民主主義という概念を持っている国家として、ジェノサイドとして認識していないという発言が仮にあったとすれば、大問題だと私は思っております。ただ、私も関係者に聞くと、どうもそういう発言はなかったというふうに仄聞しておりまして、そうであるとすると、この人民網や新華網、こういったところに報道されていることが極めて大きな間違いであり、誤解であり、言葉を選ばず言うならばデマでありフェイクである、こういうふうに言って差し支えないと思っております。
 この部分の議論に関して、どういうふうな御認識かを政府参考人にお伺いします。

#225
○曽根政府参考人 お答えいたします。
 今御指摘の報道につきましては、日本政府の立場を正確に表したものではございません。日本政府が新疆ウイグル自治区の人権状況について深刻な懸念を有していないという印象を与えるとすれば、それは正しいものではございません。

#226
○松原分科員 今の御発言は、外務省的に若干回りくどい言い方をしていますが、間違いである、誤報である、日本の人権に対する立場は違うということを明確に外務省としておっしゃったというふうに認識をしております。それでいいと思います。
 その上で、であるがゆえに、茂木大臣も様々なところで発言をしておりますが、この問題に対しての日本政府の考え方をお示しください。

#227
○茂木国務大臣 新疆ウイグル自治区に関しましては、重大な人権侵害が行われている、こういった様々な報告であったりとか報道が出ているところでありまして、我が国としても同自治区の人権状況について深刻に懸念をしております。
 我が国として、先ほど委員の方からも御発言あったとおり、国際社会における普遍的価値であります自由、基本的人権の尊重、法の支配、こういったものが中国においても保障されることが重要であると考えてきておりまして、こうした我が国の立場につきましては、様々なレベルで中国にも働きかけをしてきております。
 中国だけにではなくて、関係国との間、さらには国際会議等においても緊密に連携してきておりまして、例えば、昨年十月には、国連第三委員会において、香港、新疆ウイグルに関する共同ステートメントに日本はアジアから唯一の参加国として参加し、新疆の人権状況に関する深刻な懸念を表明いたしました。
 さらには、今月の二十三日、つい先日でありますが、人権理事会におきましても、私から新疆ウイグル自治区等の人権状況について深刻な懸念を表明するとともに、中国に対して具体的行動を強く求めたところであります。
 引き続き、関係国とともに、国際社会が緊密に連携して中国側に強く働きかけていくことが重要であると考えております。

#228
○松原分科員 したがって、新華社、新華網とか人民網とは違う、我々は西側の諸国としての、自由、平等、これを尊重しているんだと明確な御発言があったと理解しております。
 その上で、ジェノサイドであるかどうかという議論が、これも一回聞いておかなきゃいかぬと思っております。
 行政レベルでそれを言っているのはアメリカであります。カナダは下院で、二百六十六、そして反対ゼロ、棄権があと、これで可決されました。オランダも、つい先頃ですか、可決をしたというふうに聞いております。
 こういった可決をそれぞれのところでしているのは議会のレベルでありますが、ジェノサイドの認定をアメリカ、日本にとって最も重要な同盟国のアメリカがしているわけですが、これに関しての大臣の御所見をお伺いいたします。

#229
○茂木国務大臣 今後の対応をどうするか、予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思いますが、その上で、個別の事案がジェノサイドとされるかどうかについては、例えば一九九四年のルワンダで起こったことをジェノサイドじゃないと言う人はいないんだと思います。
 ただ、今の状況について様々な議論はあると思いますが、重要なのは、どのような表現が使われるかということよりも、国際社会が一致して、この新疆ウイグルの人権問題、懸念をしている、そして改善が必要であるということを一致して訴えかけることじゃないかなと思っております。

#230
○松原分科員 この部分、極めて重要な御発言だと思って聞いております。
 カナダもイギリスも、行政はジェノサイドというふうに言うのには慎重な態度を示している。イギリスも、裁判所がジェノサイドを決定するだとか、いや、そうじゃないとか、いろいろとやっていますが、ただし、行政は言っていなくても、行政が何を言っているかといえば、サプライチェーンにおいて強制労働によってつくられたプロダクトがあればそれは使わないというようなところを、それはそれぞれが、カナダもイギリスも、当然アメリカも言っていると。オランダはこれからそういう議論になってくるでしょう。
 ジェノサイドというふうに使わなくても、これは後の質問にも関連しますが、このいわゆる強制労働をサプライチェーンの上流でないようにするというのは極めて重要だということを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
 次は、いわゆる国連第三委員会、この国連第三委員会のステートメントで、今、茂木さんがおっしゃったように、そういった話、実地調査をしようじゃないかという話があった。このいわゆるステートメントを含めて、日本は実態調査をしなければいけないというのは当然であります。
 今、茂木さんは、そういうふうに、様々な報道の中で、我々も懸念していると。懸念していることの事実を突き詰めていかなければいけないと。やはりこれは、アメリカの同盟国として、同時に人権大国としての日本としての矜持を是非御答弁で示していただきたい。

#231
○茂木国務大臣 新疆ウイグル自治区に関しては、委員御指摘のとおり、昨年十月六日の国連の第三委員会におきまして、国連人権高等弁務官等によります新疆への早急で効果的で自由なアクセスを許可することを含めて、幾つかのポイントについて改善の要求が出されているところであります。
 我が国としても、現地の状況に対する透明性の向上、また事実関係の把握、これは極めて重要であると考えておりまして、これまでも、現地に大使館員が出張した際に状況把握に努めてきた、こういう事例もありまして、今後も、実態調査を始めとして各方面からの情報の収集に努め、適切に対応していきたいと思っております。

#232
○松原分科員 これは、今お話があったステートメントで、ドイツが中心でやった。私は、ドイツはやはりナチスがユダヤ人のジェノサイドをした、そういうことでこの問題に物すごく敏感な感覚があるんだろうと思っています。アメリカも、これはニュルンベルクの裁判に匹敵するようなことだと、これははっきりと声明を出しているわけであります。
 したがって、我々もそれは、中国はお隣の大国でありますが、言うことは言うという立ち位置が、今そういう趣旨で茂木さんもおっしゃったと思うので、その実際の行動、これを是非行っていただきたいというふうに思うわけであります。
 次に参りますが、これは政府参考人にお伺いいたします。
 オーストラリアの戦略研究所、アメリカのシンクタンク、ニューヨーク・タイムズ、BBC、在日ウイグル協会、また、国際調査報道ジャーナリスト協会、ファイナンシャル・タイムズ、様々なところが多くの情報を提出をしている。こういったところに対して、実態調査を含め、情報連携をするのか、お伺いしたい。

#233
○曽根政府参考人 お答えいたします。
 新疆ウイグル自治区に関しまして、委員御指摘のようなシンクタンク等を含めて、重大な人権侵害が行われているという報道、報告が出されているのは、もちろん承知しております。
 我が国として、情報収集活動の具体的な手法の詳細に関わる事項につきましてはお答えを差し控えたいと思いますけれども、現地における人権状況を正確に把握するということが困難ではある中、様々な方法を通じて現地の状況を把握することは重要であるというふうに考えており、その観点から、こうした報道や報告も活用し、政府として適切な方法で対応していきたいというふうに考えております。

#234
○松原分科員 そういうことできちっと対応していくということが大事だと思います。
 茂木大臣がおっしゃったように、この問題に関して日本も懸念を表していると。何で懸念を表しているんだというときに、情報があるからだというだけではなくて、その裏取りをするということが極めて大事でありますから、今お話があったように、こういったものに関してきちっと、そういった、裏取りと言うと表現が下品ですが、実態を日本として確認した上で、ばんと物を発言する、大事だと思っております。
 その上で、中国政府の内部文書が何回かにわたって流出したと言われております。大変な分量であります。私も今、一つ一つ読んでいますが、かなり克明であります。個人の名前が物すごく入っております。あえてこれをフェイクとして作るとしたら、物すごい手間暇がかかるというふうに思っています。これが三回にわたって、最初はニューヨーク・タイムズに四百ページ出ました。ここに持ってきていますけれども、それを見せても、時間がないのでしませんが、大変に克明に書いてある。この中身というのが事実だとしたら、とんでもない話であります。
 これに関しての真贋、どのように判断しようとしているのか。どのようにその真実を、こういうものを見ながら、オランダやカナダ、イギリス、アメリカ、ドイツ、とんでもないとやっているわけであります。この部分をどうやって日本政府として裏取りをしようとしているのか、政府参考人にお伺いします。

#235
○曽根政府参考人 お答えいたします。
 政府としましても、こうした文書の一つ一つについて評価、今後の対応について申し上げることというのは現時点では差し控えさせていただきたいと思いますけれども、新疆ウイグル自治区の人権状況について、透明性の向上というのが大変重要だと考えております。
 そういった観点から、実地調査、実態調査を始め、様々な方法を通じて現地の状況を把握することが重要だというふうに考えております。
 政府といたしましては、新疆ウイグル自治区の人権状況について、これまでも中国政府が透明性を持った説明をすることを働きかけてきておりますけれども、その上で、御指摘も踏まえつつ、適切な対応を進めていきたいというふうに考えております。

#236
○松原分科員 一部御紹介すると、すごいですよ、危険分子を特定、当局に通知とか、疑わしいと判断した人物は拘束、強制収容所に送致とか、こういったことがその文書に載っているというふうに書かれている。これが偽物の文書なのか、本物なのか。非常に大部のものです。
 中には面白い文書、とんでもない話ですが、点数表があって、百点から引いていく。私、見ました。ウイグル人であるというだけで十点マイナス、四十歳以下で十点マイナス、日本に親戚がいる、十点マイナス。そのマイナスがある程度いくと再教育センターと。さっきの大学の学長さん、この学長さんだって日本の理科大で教えていたんですよ。
 時間があればそれもやりたいんですが、ちょっと、三十分の時間なので、この場は取りあえず、次の質問に移ってまいります。
 さて、そうしたことの中で、オーストラリアの戦略研究所が、十四社の日本の多国籍企業、サプライチェーンにおいて、ウイグルの強制労働によってプロダクトを作っているという指摘をしたという報道がありました。
 これに関して、まず経産省、簡単に答えてもらいたい、時間がないから。そのことについての、日本企業に対しての事実関係は照会しましたか。

#237
○黒田政府参考人 お答えをいたします。
 我が国としての情報収集活動の具体的な手法の詳細に関わる事項についてお答えすることは差し控えさせていただければと思いますが、様々な方法を通じて現地の状況を把握することは重要であるというふうに考えてございます。

#238
○松原分科員 もうちょっと踏み込まないといかぬと思いますよ。日本の企業の個名が出ているんですよ。名誉の問題ですよ。そのサプライチェーンにウイグルの強制労働がある可能性があるということを、このオーストラリアは言っている。個名が挙がっている。
 これ、ずっと静観したら、SDGsの観点から、日本という国は何なんだと、私の友人の若い青年も、強制労働で作られた服は着たくないと言っていますよ。
 じゃ、外務省、この点。

#239
○曽根政府参考人 お答えいたします。
 個々の情報活動、具体的な手法については、詳細に関わる事項につきましてはお答えを差し控えたいと思いますけれども、政府としても、人権とビジネスの関係については国連等でもいろいろな議論がなされております。
 二〇一一年に、国連人権理事会で、ビジネスと人権に関する指導原則というのが承認されまして、それを踏まえまして、日本政府としても、昨年の十月に、活動における人権尊重を促進する、図ることを目的としまして、ビジネスと人権に関する行動計画というのを策定しているところでございます。
 こういった計画も踏まえまして、豪州のこの報告書に挙がっている企業を含めまして、関係省庁とも緊密に連携して、協力して、関係情報を収集して適切に対応していきたいというふうに考えております。

#240
○茂木国務大臣 松原委員、これからの時代、例えば一つの製品、これを購入するにしても、単にその製品がいいか悪いかだけではなくて、どういうプロセスを通じてその製品が作られたか、また、そこにどんな原材料が使われているか、人権であったり気候変動、普遍的な価値、こういったものに基づいた企業行動が取られているか、極めて重要な視点になってくるのは間違いないと思っております。

#241
○松原分科員 茂木大臣、そのとおりですよ。おっしゃるとおり。だから、僕は、これはきっちりやらないと、バッシングが来ますよ。
 イギリスの外務大臣ラーブさんも、このことに関しては、新疆強制労働から利益を得る企業が英国で事業展開はできないようにすると言っている。議会でイギリスはジェノサイドと言ったんだけれども、手足を縛られちゃいけないから、ジョンソン内閣はそれはこうしている。しかし、こう言っているんですよ。
 カナダも同じですよ。議会では可決されたけれども、行政は一応手は縛られちゃいけないと思っているんだろう。でも、同じことを言っている。アメリカはもちろんそれを言っている。
 つまり、今茂木大臣がおっしゃったように、そのことを本当にきちっとやらないと、日本が、外務省は今言った行動計画がある、片っ方はOECDのデューデリジェンスがある。全部私見ましたよ、載っていますよ、人権というのが。だから、それを、十四社に対して、十四社に対してですよ、十四社が、じゃ、中国に対して、いや、ちょっと引きますと言えないかもしれない、国が守らなきゃいけない、国が審査しなければいけない。
 これは時間があれば更に突っ込んでいきたいと思うけれども、このラーブ外相の意見も含め、それから、他の部分の様々な国の話も含め、これは物すごい大事なことだから、世界から日本というのは何なんだと言われないように、特に外務省はやってもらいたいと思っております。
 この二つの質問を終わって、次は、東トルキスタン共和国、若しくは東トルキスタン・イスラム共和国が歴史的にかつて存在していたことを認識をしているかどうかについてお伺いします。

#242
○曽根政府参考人 お答えいたします。
 新疆ウイグル自治区では、同自治区全域を領土とするイスラム国家、東トルキスタン国の建設を目的とした民族運動があったと言われていることについては承知しております。

#243
○松原分科員 もうちょっとしゃべれない、もう少し。

#244
○曽根政府参考人 そういう運動が行われていたということ以上のことについては、申し訳ございませんが、現時点では確定的なことを申し上げることはできませんが、申し上げたとおり、東トルキスタンの建設を目的とした民族独立運動というのがあるということは承知しております。

#245
○松原分科員 要するに、民族運動で独立を目指す運動があったということは承知をしている、民族運動があったということは承知している、こういう理解でよろしいわけですね。分かりました。
 歴史的な認識というのは極めて大事だと思っております。個別のことはいろいろと言いませんが、極めて大事であるということを申し上げておきたいというふうに思っております。
 時間が、少しゆとりができましたので、ほかの質問で残っているところをまずいきましょうか。
 具体的に、日本政府はなぜ国連ジェノサイド条約を締結しないのか。政府参考人。

#246
○赤堀政府参考人 お答えいたします。
 我が国は、集団殺害犯罪のように、国際社会全体の関心事である、最も重大な犯罪を犯した者が処罰されずに済まされてはならないと考えております。
 締約国に対し、集団殺害の行為等を犯した者を国内法により犯罪化する義務を課しているジェノサイド条約の締結を考えるに当たっては、我が国におけるジェノサイド条約締結の必要性、締結の際に必要となる国内法整備の内容等につき、引き続き慎重に検討を加える必要があると考えております。

#247
○松原分科員 今の御答弁は、他の様々な国内法との関係があるから、そこは慎重に議論するのは、これは議会が主導するべき部分かもしれないけれども、そういったことをやっていきましょうということだろうと認識をいたしました。
 次に、マグニツキー法ですね。
 日本政府としてマグニツキー法の検討をする可能性があるかということに関して、政府参考人にお伺いします。

#248
○赤堀政府参考人 お答えいたします。
 マグニツキー法を日本も導入すべきかについては、これまでの日本の人権外交の進め方との関係、国際社会の動向など、様々な観点から不断の分析、検討が必要であると考えております。

#249
○松原分科員 こういうものをつくらないと私は駄目だというふうに思っています。
 拉致問題では、経済制裁というのを単独でできるように我々も議員として活動したけれども、中国の人権問題に関して、切り分けをしながら、きちっとピンポイントでも相手に対して議論できるような状況をつくる必要が私はあると思っています。
 そして、十一番目の質問かな、大臣に感想をお伺いしたいんです。
 今お話ししました新疆大学の元学長、大変なエリートであります。また、東京大学の大学院で修士課程を修了したウイグル人の大変優秀な女性、この方は昨年の十二月に亡くなられたというふうに報道されている。明らかに、強制的に収容されて、連絡も取れなくてそうなったというふうに周辺は言っている。強制的に収容されて連絡が取れない状況を、そのまま言葉をつなげれば強制収容所、こういうわけでありますが、こういう事例、これは山のように事例があるんですよ。例えば、チャドルを着ているだけで捕まったとか、いわゆるモスクでお祈りをしているだけでやられたとか。
 さっきのマイナスの点数も、モスクのことについて知識があるとマイナス十点とか。四十歳以下のマイナス十点というのは、明らかにそこで完全に思想を変えようとしているというふうな疑いも発生している。
 是非大臣もそれは見てほしいんですが、こういったものについて、大臣として、茂木大臣の個人的な正義感の中での印象、どういう印象を持たれるか、お伺いしたい。

#250
○茂木国務大臣 新疆ウイグル、歴史的に、シルクロードの中にあって、様々な民族であったりとか、人種、宗教、これが混じり合い、対立が生まれてきて、今の新疆ウイグルの状況、委員御指摘の点も含めて、人権状況、これが極めて厳しい状況にある、こういった報道であったりとか、また報告がなされている。
 これだけ多くの報道がなされていると、個々の事案について、それが全て正しいかどうか、それはなかなか確認しにくいところがありますけれども、これだけ多くの報告がある、これだけ多くの報道があるということは事実であって、それだけ人権状況に対する懸念というのは私は大きいのではないかなと思っております。
 そして、先ほど申し上げましたが、人権であったりとか法の支配、基本的な価値観については、日本は絶対に譲らない、お隣の中国と経済的にも深い関係があったり、様々な関係がありますけれども、だからといって、基本的な価値観について譲るというつもりは全くありません。

#251
○松原分科員 大臣の非常に重要な決意を聞かせていただいて、非常によかったと思います。
 重要なことは、世界のOECD諸国はそう動いている。デューデリジェンスもしかり、行動計画もしかり。それをきちっと反映させて、一つは、やはりそういった強制労働が行われているという事実というのは入っていますよ、今日は時間がないからそこまで行っていませんが、そういう強制労働が行われていることに関して、それに関して、もう一回確認をする、実態調査をする。実態調査をした上で、出てきた様々な、物すごいデータが出てきていますから、それが偽物かどうかもできる限り判断する。偽物でここまで作るというのは大変なことですから、誰が作っているんだという話になりますが。
 私は、この問題、日本の矜持が示されていると思っています。冒頭言ったように、新華網や人民網でそういう記事になって、日本は、そうか、西側の国と違うんだ、そういう報道がなされていますよ、各種新聞で。アメリカと価値観が違うじゃないかと流されていますよ。とんでもない、誤ったメッセージが出ている。
 我々は、人権を守るんだ、こういった人たちを助けるんだ、例えば、日本の国籍を持っている人が、二〇一七年から電話もできない、メールも取れない、たくさんいる。やはりこれで立ち上がらなかったら、僕は非常に、日本の国がかなえの軽重を問われると思っております。
 もちろん、茂木大臣が言ったように、日本だけが第三部会のやつで署名したということを僕は評価しています。評価しています。その上で、そこまで行動して、それでこそ初めて中国ともいい関係ができるんですよ。言うことをきちっと言って、我々はこういう価値観だよ、そこはチェックするぞ、SDGsもあるぞと。これを是非頑張っていただきたいと思います。
 以上で終わります。

#252
○細田主査 これにて松原仁君の質疑は終了いたしました。
 次に、村上史好君。

#253
○村上(史)分科員 立憲民主党・無所属の村上史好でございます。
 昨年のこの第三分科会に続きまして、茂木大臣に質問をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 まず、昨年も質疑をさせていただきましたけれども、新型コロナ対策としての水際対策について、振り返って指摘をさせていただいて、大臣の御認識を伺って、次に備えていきたいな、そういう意味で質問をさせていただきたいと思います。
 ちょうど今頃、昨年は二月二十五日に、この分科会で質問をさせていただきました。当時は、習近平主席が国賓として来日するのかどうか、そのことが大きな話題になっておりまして、私自身も質問をいたしました。そのときには訪日をするという前提での話でありましたけれども、僅か一週間後の三月の五日に訪日延期が発表されました。質問をした立場からすれば、ちょっと恨み節を言いたいぐらい、本当はもうそのとき決まっていたんじゃないかと思うぐらいなんですけれども。
 そのことを今日は捉えるのではなくて、実は、その三月の五日までは中国本土から入国拒否をしていなかったという事実であります。
 当時、武漢由来ということで、武漢は封鎖をされておりました。そういう中で、日本も、感染拡大が大変大きな問題となっているにもかかわらず、中国からの入国拒否を三月五日までやらなかったということは、結局、感染対策よりも政治目的を優先したんじゃないか、そういう指摘をされても仕方がないと思います。
 そういう昨年の状況について、大臣の御認識を改めてお伺いをしたいと思います。

#254
○茂木国務大臣 外務省としては、国民の健康と命を守り抜くこと、また在外邦人の安全確保、これを最優先に、コロナ発生以来、私を本部長としまして省内に対策本部を設けまして、本当に毎日コロナ対策の会議をやってまいりまして、各国での感染状況の広がりなどを分析をしながら、適時、感染症危険情報、これを発出したり、このレベルをレベル3に引き上げるということであったりとか、必要な水際措置を着実に実施をしてきたところであります。
 昨年質問いただいた二月の末、それから三月の上旬までというのは、定義の仕方によるんですけれども、コロナの世界的な拡大でいいますと、第二フェーズといいますか、最初、武漢で発生をするという状況から、その後は、これが湖北省に広がっていく、そしてまた浙江省の温州市に広がる。韓国では、大邱広域市の方に広がる。そして、三月上旬ぐらいだったと思いますけれども、ロンバルディア州を始めとするイタリアの北部三州、こういった形で感染が確認をされる。
 どっちかというと、第二フェーズまでは点での拡大という状況から、三月の中旬以降は、イタリアから入りまして、それがフランス、ドイツ、欧州全域、特に西ヨーロッパですけれども、それに広がって、北米と、面的な広がりを見せるようになって、感染者の数も大幅に増加した。これが多分、フェーズが変わった、第三フェーズといいますか、そういう状況でありまして、日本でも、ダイヤモンド・プリンセスの後に、今度は市中感染が確認される。こういった形で、国内の拡大傾向が明らかになってきたというのが三月中旬以降の世界的な動きだったんじゃないかなと思っております。
 このような新型コロナの世界的な拡大を踏まえて、昨年の四月の三日に、米国、中国、韓国、欧州各国を含みます四十九か国・地域を入国拒否の対象といたしました。この措置というのは、今御説明申し上げたように、あくまで新型コロナの内外の感染状況等を踏まえたものでありまして、日中間での習近平国家主席の訪日時期の調整とは何ら関係ございません。

#255
○村上(史)分科員 結果的に入国拒否が遅過ぎたんじゃないかという議論は当然あったと思います。あの当時もありました。
 今振り返ってみても、例えばアメリカは、一月の十九日に中国からの入国を拒否をしています。それはやはり、中国からウイルスが発生をした、未然に防ぐためにということで早めに入国拒否をしているわけですよ。日本の場合は、中国への配慮があったのかもしれないけれども、三月になってようやく中国からの入国を拒否した。これは後手に回っているんじゃないかということを強く指摘したいと思うんです。また、そういう反省点がなければ、次の対応も間違ってしまうと思うんですよ。
 そして、今言われましたけれども、ヨーロッパ始め中国、韓国、四十九か国、入国拒否をしました。それは四月です。四月になってからなんですよ。そして、第一次の感染があった。そしてその後、第二波の感染があった。それは、第一波は武漢由来、第二波はヨーロッパ由来、そのように指摘をされているわけです。当然それに合わせた水際対策というものを早めに取るべきではなかったのか、そういう点で、やはり検証する必要があると思うんです。
 もちろん、外務省さんとしても一生懸命やられたと。それは昨年の質疑でも分かります。分かりますけれども、やはり、一度そういう事実があるわけですから、まずそこから反省をして、次の対策を打つべきじゃないか、そのように思いますけれども、大臣の御認識はいかがでしょうか。

#256
○茂木国務大臣 新型コロナウイルス、まさに未知のウイルスでありまして、世界全体として試行錯誤の中で対策を取ってきたというのが事実であると思っておりまして、今後、この新型コロナウイルスをめぐる対応について様々な検証、次の新しい感染症、これを考えても必要なことだと思っております。
 一点、村上委員の方から、四月になって対応を取ったという話でありますけれども、先ほど御説明したように、かなり、世界の状況については、日本として、また外務省としても詳細に分析を進めてきて、点でどこで発生している、また、イタリアであっても、どの地域で発生している、それが全体的に広がっている、こういったことを考えながら、四月の、確かに、三日に米国等について入国阻止、こういう措置を取ったわけでありますけれども、その前に、欧州については、もう三月二十六日の時点で外国人の入国拒否、決定をしてきております。
 どこまで早くやるか、これはいろいろあると思います。太平洋島嶼国なんかは、やはり、医療体制が脆弱といいますか、どうしても不安があるということで、一気にすぐ閉じちゃう、こういった状況をみんな取っております。
 ただ、私なりに、いろいろな国の対応というのは検討してきましたけれども、決して日本が、主要国と比べて、水際措置であったりとか流入の防止策について後手に回ったということはない、そんなふうに考えております。

#257
○村上(史)分科員 もちろん、認識としては、本当のところは、極力、どういう場合でもスピーディーにそういう対策を打っていくというのが常道だと思うので、それに対する状況判断というのは別個ありますけれども、しかし、いろいろな面で次の対策に生かしていくという姿勢がやはり必要だと思いますので、今日は、あえてこの問題を取り上げさせていただきました。
 次に、昨年も議題になりました習近平さんの訪日問題なんです。
 昨年、王毅外相が来られて、外相会談を持たれました。そのときには訪日問題は一切議題に上がらなかったというふうに聞いております。両国民にとって熱が下がったのかなという思いは強くするんですけれども。
 ただ、今の中国を取り巻く状況を考えるならば、尖閣における度重なる日常的な領海侵犯、あるいは香港での人権抑圧の問題等、東シナ海、南シナ海、様々な問題を、周辺に悪い影響を及ぼしている今の中国でございます。そういう中国の国家主席である習近平さんを日本に招くということは、ここで一度白紙に戻す必要があるんではないかと。変にそのことを継続した問題として両国がそれに関与していくことは、結局誤ったメッセージを中国に与えてしまうんじゃないか、そういう思いもございますので、ここは一旦、訪日を白紙に戻すという決断をすべきだというふうに思いますが、大臣の見解を伺います。

#258
○茂木国務大臣 尖閣諸島の周辺海域では、中国海警船によります領海侵入や接続水域の航行が過去最長を記録し、日本漁船への接近事案が繰り返し発生するなど、一方的な現状変更の試み、これが継続していることは誠に遺憾であると考えております。
 こうした中で、二月一日に中国海警法が施行されたことを深刻に懸念をしておりまして、また、先ほど来議論になっておりますが、香港や新疆ウイグル自治区における人権状況についても、我が国として、国際社会とともに重大な懸念を持っているところであります。
 中国との間には、また中国と国際社会ということで見ても様々な懸案が存在をしておりますが、引き続き、首脳会談や外相会談等のハイレベルの機会を利用して、主張すべきはしっかりと主張し、懸案を一つ一つ解決して、また、中国側の具体的な行動を強く求めていくというのが基本方針であります。
 もちろん、事案が発生するごとに、適切なレベルで、中国に対して抗議であったりとか懸念表明、こういったことは会わなくてもやっているというのが状況であります。その上で、習主席の国賓訪日については、これまでも何度も申し上げておりますが、現在は新型コロナを落ち着かせる、そして収束に向けて取り組んでいくということに集中すべきでありまして、今は具体的な日程調整、これをする段階にはない、このように考えております。

#259
○村上(史)分科員 この問題についてはこれ以上申し上げません。状況を見て判断をいただきたいなというふうに思います。
 次に、通告では、バイデン大統領の外交方針、そして菅内閣の外交方針について茂木大臣からお聞きしたかったんですけれども、ちょっと時間が大幅に経過をいたしておりますので、また別の機会にお尋ねをしたいと思います。
 それで、まず尖閣問題、今日のテーマでもあるんですけれども、尖閣問題並びに領土問題と日米安保条約の関係について質問をさせていただきたいと思います。
 御承知のとおり、菅総理はバイデン大統領と電話会談をされまして、尖閣が日米安保条約の第五条の適用範囲であるということの確認を求められました。また、茂木大臣もブリンケン国務長官に同じように確認をされました。また、岸防衛大臣もオースティン国防長官に同じ確認を求めたということです。
 今まで、安倍前内閣のときから、日米関係はもう揺るぎないものだ、確固たるものだ、強固なものだと豪語されていたにもかかわらず、総理大臣さえ確認が取れたらいいのに、なぜ三回も確認を取らなければならないのか、それほど日米関係は脆弱なのか、そういう思いにもなりますけれども、なぜ三度の確認を求めたのか、その真意をお尋ねします。

#260
○茂木国務大臣 まず、簡単に私の方から申し上げますけれども、例えば、細かい内容について、やはり外交上のやり取りでありますので控えたいと思いますけれども、菅総理とバイデン大統領、当時、次期大統領だったと思いますけれども、その最初の会談のときも、日本側から、適用してもらえるんですね、こういったことを言って、しますよというよりも、バイデン大統領の方から、適用されるということを、バイデン大統領の方から何というかお話があった、このように承知をいたしております。

#261
○村上(史)分科員 その件については私もちょっと承知しておりませんでしたので、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。
 ただ、尖閣は、日本の施政権下の領域にあることは明白であります。石垣市の土地でもありますし、国有地でもあります。まさに日本の施政権が及んでいる地域でございますので、この安保の五条からすれば、改めて確認するまでもなく、適用範囲であるということは明々白々だということでよろしいんでしょうか。

#262
○茂木国務大臣 そのような理解で結構だと思いますが、新政権が発足をするとなりますと、その政権の外交政策について、日米同盟、これは日本の外交、安全保障の基盤でありますから、きちんともう一度すり合わせをするということはあるんだと思います。それは、日米間の問題というよりも、いかに日米同盟が強固であるか、こういったことを世界に対して発信する機会としても極めて重要なんだと思っております。
 今、バイデン新政権の下で、同盟国との関係強化、さらにはインド太平洋へのコミットメント、改めてしっかり示されているということは歓迎すべきことであると思っておりますし、これがまた、地域そして世界の平和と繁栄につながっていく、このように確信をいたしております。

#263
○村上(史)分科員 ありがとうございます。
 それでは、中国海警の問題について、ちょっとこの部分については割愛をさせていただきたいと思いますけれども、今、大臣とのやり取りの中でも、尖閣は安保条約の範囲であるということは確認をされました。
 それでは、竹島、北方四島は日米安保条約の適用範囲になるのか、明確にお答えください。

#264
○市川政府参考人 お答えいたします。
 我が国及び米国は、日米安保条約五条に基づきまして、我が国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が発生した場合、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処することとなりますが、現在の北方領土及び竹島は、現実に我が国が施政を行い得ない状況にございます。

#265
○村上(史)分科員 もっと明確に。安保条約の適用範囲ではないということは明確になるんですか。

#266
○市川政府参考人 ただいま申し上げたとおりでございます。

#267
○村上(史)分科員 我が国としては、領土問題は北方四島だけだということはかねがね主張しておりますし、そのとおりだと思います。
 竹島については、日本領土であるということを明確に我々も主張をしています。しかし、現実には韓国軍が実効支配をしているという地域でございます。そういう面で、なかなかこの問題は進展しないんだけれども、この問題についてアメリカの協力はなかなか得られないものだという認識でよろしいんですか。

#268
○市川政府参考人 米国との間では、平素より緊密に意思疎通をしてきております。米国に対し、領土問題に関する我が国の立場、こういうものについては常日頃からしっかりと伝達してきているところでございます。

#269
○村上(史)分科員 日米安保条約の中においても、アメリカ側からすれば、主権が及んでいる、及んでいないところに余りコミットしないということで、曖昧にしてきたところはあると思います。
 先日ですけれども、アメリカの方で、またちょっと踏み込んだ発言があったと聞いております。国防総省のカービー報道官のコメントがありますけれども、しかし、現実には変わったかに見えて決してそうではないというのが実態だと思うんですけれども、そもそも、この安保条約、もう一度問い直す必要があるんじゃないかというふうに私は思っております。
 先ほど、安保条約の条文を読まれました。全文は読みませんけれども、日本国の政権の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃があれば、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するというふうになっております。
 一方、NATOの条文では、同じような条文の中で言われているのが、第五条ですけれども、締約国は、締約国に攻撃があった場合は、自らへの攻撃とみなして、直ちに武力の行使をするということを明確にしています。ですから、タイムラグもなければ、この条約に入っている締約国は、もし攻められたらアメリカは間違いなく参戦するという保証ができています。
 ところが、安保条約ではその保証はありません。自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処する行動を決定するとなっております。
 アメリカも国内世論があります。国内世論にも影響をされる、そういうことを考えると、必ずしも日米安保条約によって、アメリカが武力行使、支援をするという確たる保証はないと思います。
 このことは、元自衛官の統幕の議長にも確認をしました。まさにそのとおりなんです、空白になるんですということを言っておられます。ですから、どうしても今日、その点を確認をしたいと思うんです。大臣、私の考え方、間違っていますか。

#270
○市川政府参考人 委員御指摘の、まさに日米安保条約の第五条でございますが、ただいま御紹介がありましたとおり、我が国及び米国は、安保条約五条に基づきまして、我が国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が発生した場合、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処することとなる、こうなってございます。
 このことは、我が国に対する武力攻撃が発生した場合には、米国がこれを自国に対する共通の危険と認めて行動することを義務づけるものである、米国による日本防衛の義務はこの規定によって明確に示されていると考えておりまして、この点、NATO条約と何ら遜色がないものと考えてございます。
 また、先ほど来の委員とのやり取りの中でもございますとおり、米国は、この日米安保条約の条約上の対日防衛義務のコミットメントを累次にわたり確認してきているところでございまして、そのコミットメントに揺るぎはないものということで、日本政府としては、米国が条約上の義務を果たすことについては信頼を置いているところでございます。

#271
○村上(史)分科員 まさに、日米の信頼関係の中で成り立っている条文だと思うんです。でも、先ほど申し上げたように、NATOの条約とは全く内容が違うんじゃないか、そのことはやはり議論をもっとすべきだと思っております。
 今日結論が出る話じゃないんだけれども、このことについては、日本有事、特に、対中国を考えたときに、台湾の問題、それに連動してやってくる問題でもありますし、単独の、中国からの圧力ということもあります。そういう面で、この辺のことはきっちりと押さえておかないととんでもないことになってしまわないか、そういう危惧を持っております。
 この問題については、私も安全保障委員会に所属をしておりますので、また別途議論をしていきたいと思います。
 そこで、日米安保条約に関して、駐留経費の負担の割合について何点か質問をしたいと思います。
 お手元に資料一をお配りをしております。
 これは国防総省の二〇〇四年の報告書を抜粋しているんですけれども、この中で、日本、韓国、ドイツ、イタリア、それぞれの負担の割合、また分担をどちらがするのかという表でございますけれども、日本は施設整備費、労務費、光熱水料等、全て日米分担となっております。韓国においては、光熱水料以外は米韓で分担となっております。ドイツ、イタリアについては全て米側が負担をするということになっておりまして、日本の負担割合は二〇〇四年当時で七四・五%です。その後、二〇一五年に防衛省に確認をいたしましたら、その負担率の割合は八六・四%と、一〇%以上も増えております。
 こういう状況を踏まえて、本当にこれだけの負担をすべきなのか。
 かねてより、日米安保条約は片務条約だ、日本の方が恩恵を受けている、だからもっと負担をすべきだ、それが思いやり予算のスタートでもあったと思います。しかし、この日米安保条約は、日本だけがただ乗りしているわけではないと思うんです。アメリカにとって、日本に基地を置くということは、世界戦略上も、また対中アジア外交においても、大変重要な役割を担っている。アメリカにとっても大きなメリットがある在日米軍基地だと思います。
 そのように考えるならば、やはり基地負担というものも根本的に考え直す必要があるんじゃないか、このことを強く思います。大臣の御所見を伺いたいと思います。

#272
○茂木国務大臣 また詳細については政府参考人の方から必要があればお答えをさせていただきますが、まず、NATOと日米安保条約、たてつけというのが基本的に違うわけですね。集団的安全保障で相互防衛をするのか、それとも、五条によって米国が我が国への武力攻撃に対して共同で対処して、一方で六条で、米国に対して、我が国の安全に寄与して極東の国際の平和と安全の維持に寄与するため、我が国が施設・区域を使用するために提供するという形で、五条と六条において、米国が果たす役割、日本が果たす役割というのが規定をされている。
 もちろんこれは、日本を守るだけではなくて、在日米軍というものが極東のみならず米国の地域展開を支えておりまして、このように、前方展開する米軍のプレゼンスというものは、インド太平洋地域全体における米国の利益の確保に貢献をしておりまして、米国もこの体制から大きな恩恵を享受をしていると考えております。
 そういったことも踏まえながら、また、我が国を取り巻きます安全保障関係が非常に厳しくなってきている。一方で、日本の財政状況も厳しくなってきている。さらには、宇宙であったりとかサイバーであったりとか、新たな領域というのも生まれてきている。そういった中で日米でどう協力をしていくか、役割分担をしていくか、大きな議論の中で決められていくものだと思っております。
 先ほど申し上げたように、それぞれの条約等が違いますので、ドイツと比較して、イタリアと比較してどうかというよりも、日米の分担が現在において適切であるかどうか、こういったことが重要な議論でありまして、その上では適切に分担されている、このように考えております。

#273
○村上(史)分科員 時間も参りましたけれども、大臣がおっしゃる意味はよく分かります。分かりますが、これは元々、日本は憲法九条があったので、その限界というものがありましたから、なかなか片務的な条約になっているということも分かります。
 ただ、安保法制を整備する中で、集団的自衛権行使も状況によっては可能になってしまった安全保障の枠組みができました。そうなると、どうしても、アメリカにも同じ歩調を歩むことになってしまう可能性もありますし、この辺は、日本が一方的に、この日米安保条約の中で恩恵を一方的に受けているわけではないということはやはり我々は認識すべきじゃないかと思います。
 そういう面で、五年ごとの駐留経費の見直し、一年延期となりましたけれども、来年に向けて、大臣には、この辺のことも含めて、駐留経費の法外な増額に対してははっきりとノーだと言い切るだけの決意を示していただくことを心からお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。

#274
○細田主査 これにて村上史好君の質疑は終了いたしました。
 次に、斎藤洋明君。

#275
○斎藤(洋)分科員 自由民主党の斎藤洋明です。
 外務省所管事項に関連しまして質問させていただきます。
 まず、我が新潟県にとりまして極めて重要な、最重要の課題であります拉致問題について何点かお伺いしたいと思います。
 まず、今の情勢としまして、北朝鮮は、新型コロナウイルス感染症で鎖国に近い体制をしいているという報道があります。対外貿易、とりわけそのシェアの大半を占める対中貿易が絞られているため、軍も民も相当疲弊をしているという報道があります。北朝鮮をめぐる環境が劇的に変化したという意味においては、一つの交渉の契機とも考えられますが、一方で、そもそも人的接触自体が著しく困難になっているという指摘もあります。
 現在の拉致問題をめぐる交渉環境につきまして、外務省の見解をお伺いいたします。

#276
○曽根政府参考人 お答えします。
 北朝鮮におきましては、現在、新型コロナの影響等によりまして大変厳しい経済状況に直面しており、輸出入や人的往来に様々な制約が生じているというふうに思われておりますが、その動向につきましては、重大な関心を持って常日頃から情報収集、分析に努めているところでございます。
 また、こうした動向が拉致問題に与える影響につきましても分析しているところでございますけれども、今後の対応に支障が来すおそれがございますので、その具体的な内容については控えさせていただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、政府としては、拉致問題の解決に向け、我が国自身が主体的に取り組むことが重要と考えておりまして、引き続き、拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、全力を尽くしてまいりたいと思っております。

#277
○斎藤(洋)分科員 是非よろしくお願いします。
 関連しまして、拉致問題の解決には、我が国の国内世論の醸成、それから国際圧力を強めていく、これは当然重要でありますが、先ほど御答弁いただいたとおり、我が国の主体的な粘り強い交渉が非常に重要であります。
 交渉の相手方、北朝鮮は、非常に特異な統治体制を取ってございますので、本件につきましては通常の外国との交渉とは異なる側面があると認識しておりまして、その意味で、本件に関しましては、外交ルート、通常の外交ルートによる交渉に加え、政党等の政治ルートによる交渉が非常に重要になってくるんじゃないかと考えますが、御見解をお尋ねいたします。

#278
○曽根政府参考人 お答えいたします。
 政府としましては、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決するために何が最も効果的かといった観点から、不断に検討してきておりまして、その姿勢は何ら変わるところではございません。
 他方、北朝鮮との交渉を進めるに当たりましては、二元外交とならないように留意しつつ、過去の交渉経緯等も踏まえながら、政府一丸となって対応していく必要があると考えております。
 また、その上で、国会議員の皆様が、議員としてのお立場から、外国政府等に我が国の事情や国民の声を直接説明し、訴えかけていただくことは大変重要であると考えております。

#279
○斎藤(洋)分科員 おっしゃるとおり、二元外交が我が国の国益を損なう場合は、これは厳に慎むべきものと考えます。
 一方で、様々なルートで働きかけをすることが結果としてこの拉致交渉の前進につながるのであれば、そのチャンスがある、そのチャンスを得られた人たちによる別の交渉ということも私はあり得ると思っております。
 一方で、一般的には、二元外交、おっしゃるとおり、これは国益を損なう可能性が高いものでもありますし、また、報道等で見ていますと、その人なりの立場で動いたんだけれども、結果としてはしごを外された、あるいはうまく交渉が進まなかったのではないかと推察されるような状況も散見されますので、しかし、この政治ルートによる交渉が重要になってくる場面においては、そういったルートの活用も私は非常に重要だと考えております。
 三番目に、ちょっと個別の話になりますが、多くの国において、食糧支援あるいは食料の輸出政策ということを国際交渉の手段、あるいは自国のいわば国防政策に位置づけて実施している場合もございます。
 我が国は今、米が余っております。米支援を交渉の選択肢にすべきと考えますが、御見解をお尋ねいたします。

#280
○曽根政府参考人 お答えします。
 繰り返しになりますけれども、政府として、今後の対応につきまして、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決するために何が最も効果的かという観点から、様々な対応について検討を不断に行っているところでございます。
 北朝鮮の人道支援につきましては、その必要性も含めて総合的かつ慎重に見極めた上で、適切に判断することとしたいと考えております。

#281
○茂木国務大臣 今答弁があったように、北朝鮮との間では、拉致問題、最重要課題としてあるわけでありまして、同時に、あらゆる射程のミサイル、そしてまた大量破壊兵器、このCVIDを進めなければいけない。そういった中で、全体としてどう進めるか、こういう全体像を持った上で必要な支援策というのは検討すべきだと思っておりまして、単発で今北朝鮮に対して経済制裁等を緩める、こういう時期では全くない、時期尚早であると考えております。
 一方で、人道支援というのは、ある意味、国際社会全体で行うものでありますから、そこの枠組みの中で進めていくということであると思っております。それとまた、日本で米が余っている、余っていない、これは全く別次元の議論なんじゃないかなと思います。

#282
○斎藤(洋)分科員 大臣からも御答弁いただきまして、ありがとうございます。
 おっしゃるとおり、包括的な交渉がもちろん大事でありますし、かつては個別の支援が結果として支援だけ先食いされて何も得られなかったじゃないかという場面を私も多々見ております。もちろん、軽々に個別の話をすべきではありませんが、その上で、あえて、私は、我が国が余っていると申し上げましたのは、国防政策という観点に立てば、農地をいたずらに潰して我が国の食料自給率を下げることは国防政策上プラスではないと思っておりまして、かといって、我が国の、じゃ、米は直ちに世界中の穀物市場に輸出できるかというと、そういう状況ではありませんので、一つの選択肢として是非議論いただきたいと思っております。
 次に、これに関連しまして、日朝バイの交渉も非常に重要でありますし、それと同様に、第三国を、この拉致問題の交渉に関わっていただくということが非常に重要と考えておりますが、外務省の見解をお伺いいたします。

#283
○曽根政府参考人 お答えいたします。
 我が国は、日朝関係を前に進めるべく、関係各国とも緊密に連携しているところでございます。これまで、米中韓三か国の首脳それぞれから金正恩委員長に対して、我が国の立場についても直接伝達されているというふうに認識しております。
 また、茂木大臣におかれましても、例えば先般の日米外相電話会談におきまして、北朝鮮の対応を含む地域や国際関係が直面する諸課題について緊密に連携していくことで一致するとともに、拉致問題の早期解決に向けて理解と協力を求め、ブリンケン国務長官から支持を得ているところでございます。
 我が国としましては、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、国交正常化を目指す考えに変わりはなく、今後とも、国際社会と緊密に連携しながら対応していきたいというふうに考えております。

#284
○茂木国務大臣 斎藤委員おっしゃるように、第三国の力をかり、また国際社会の力をかりるということは、この拉致問題を動かすためには極めて重要だと思っておりまして、私が外務副大臣を務めておりました二〇〇二年から三年の頃ですけれども、その頃、世界の様々な国に行って、この拉致問題、アブダクションイシュー、これを持ち出しますと、国によっては、分かってくれる国と、かなり丁寧な説明が必要な国というのがあったんですが、今はもうアブダクションと言えば必ずすぐに相手が分かってくれる。これだけ国際社会の拉致問題に対する理解というのは間違いなく広がっている、こんなことを実感いたしております。

#285
○斎藤(洋)分科員 二〇〇〇年頃と比較すると、おっしゃるとおり、国際社会の理解が非常に進んだと考えておりまして、それは、茂木大臣始め関係の皆さんの御理解のおかげだと思って、深く感謝をしております。
 その上で、交渉に巻き込むと申しますのは、今こうやって国際社会の理解があるのがもちろん大前提でありますが、その上に、今、日朝間にお互い交渉の土台になる信頼関係があるかといえば、これは相当厳しい状況だと思っています。ですので、第三国をいわば交渉の舞台にしてということも含めて、御検討をいろいろ、取り組んでいただきたいと思います。
 次に、既に質問が出ておりますが、尖閣諸島についても何点かお伺いしたいと思います。
 まず、中国公船が不法に我が国の領海に侵入を繰り返しているというのが現状でありますが、この現状を国際社会にどのように訴えておられるか、外務省の見解をお伺いいたします。

#286
○曽根政府参考人 中国海警船舶が累次にわたり尖閣諸島周辺の我が国の領海に侵入し、我が国の漁船に接近しようとする動きを見せていることは誠に遺憾でありまして、断じて容認できるものではございません。
 尖閣諸島周辺の我が国領海で独自の主張をする海警船舶の活動は国際法違反であり、これまで中国側に厳重に抗議してきているところでございます。
 尖閣諸島は歴史的にも国際法上も我が国固有の領土であり、我が国が現にこれを有効に支配しており、同諸島をめぐり解決すべき領土問題はそもそも存在しない。国際社会に対してはこのことを一番強く強調することが大切であるというふうに考えております。
 政府としましても、我が国領土、領海、領空を断固として守り抜くという決意の下、尖閣諸島に対する対外発信について、いかなる方法が効果的かという観点から不断に検討を行っていきたいというふうに考えております。

#287
○斎藤(洋)分科員 尖閣諸島周辺は好漁場でありまして、我が国の漁船が歴史的にもずっと漁業を重ねてきた地域であります。そこに今、中国公船が不法に侵入を繰り返すことによりまして、漁業を続けることに危機感を覚えておられる方々も相当おられます。
 この経済活動を営み続けるということが非常に重要でありまして、是非、この不法な侵入が繰り返されているという現状の訴えは継続してお願いしたいと思います。
 関連しまして、中国は、尖閣諸島にとどまらず、近隣の様々な海域で問題を引き起こしていると認識しておりますが、中国の海警法二十二条、これが国際海洋法に違反していると私は考えますが、政府にもそのように明確に見解を示していただきたいと思いますが、御見解をお伺いします。

#288
○曽根政府参考人 お答えします。
 中国の海警法第二十二条は、国家の主権、主権的権利及び管轄権が、海上において外国組織及び個人の違法な侵害を受ける場合には、武器使用を含む全ての必要な措置を講じる権利を規定しておりまして、その上で、四十九条に、警告が間に合わない場合等に直接武器を使用することができる、さらに、五十条には、武器を使用する必要な限度を合理的に判断し、人員の死傷及び財産の損失をできる限り避けなければならないとも規定しております。
 国際法上、武器の使用に関しては、一般に比例性、必要性の要件というのがございます。武器の使用を含む全ての必要な措置を講じる権利により、中国海警局が、国際法上必要とされる比例性及び必要性の要件を満たさず過剰な武器使用を行う場合には、国際法違反となります。
 こうした武器使用の権限も含め、中国海警法につきましては、国際法との整合性の観点から問題がある規定を含むと考えておりまして、これらの規定は、実際に適用される場合に国際法違反となり得るものである、このような観点から、日本としては、中国政府に対しても既に強い懸念を表明しているところでございます。

#289
○斎藤(洋)分科員 是非、引き続きしっかり、国際海洋法と関わる問題については情報発信をお願いしたいと思います。
 尖閣諸島に関しましては、歴史的にももちろん、国際法上も、御答弁いただきましたとおり、我が国固有の領土でありまして、中国の、とりわけ王毅外相を始めとする一連の当局関係者による主張は全く根拠を欠くものでありますが、この中国側の、不当ではありますが、極めて執拗な発信への対抗策についてお尋ねいたします。

#290
○曽根政府参考人 委員御指摘のとおり、尖閣諸島につきまして、正確な情報を適時適切に発信し、国際社会の理解と支持を得て、国際世論を味方につけることは大変重要だというふうに考えております。
 このような観点から、政府としましては、尖閣諸島に関する対外発信を強化してきておりまして、具体的には、平素からパンフレット、動画等の分かりやすい資料、広報資料を多言語で作成しまして、各国の駐在の大使等により、国際会議の場やメディア等に対する発信、さらには有識者、メディアへのインプット、有識者、メディアによる発信の実施等を通じまして、積極的、効果的な発信に努めてきているところでございます。
 また、総理や茂木大臣が各国の首脳、大臣との会談を行う際にも、尖閣諸島に関して正しい理解を得るべく、丁寧な説明を行ってきております。もちろん、そういった中では、中国の主張がいかに間違っているかという点も指摘しているところでございます。
 こうした取組を通じて、引き続き、尖閣諸島に関する対外発信に一層取り組んでいくとともに、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くという観点から、毅然かつ冷静に対処していきたいというふうに考えております。

#291
○斎藤(洋)分科員 是非、情報発信への努力を引き続きお願いします。中国の報道官の顔を知っている日本人は多いんですね。それだけ向こうの発信は執拗でありますので、是非とも情報発信の努力を引き続きお願いします。
 最後に大臣にお尋ねしたいと思いますが、中国の膨張政策、これは尖閣諸島にとどまりません。この膨張政策にしっかり対抗していくためには、価値観を共有する国々との外交、連携の強化、とりわけ日米豪印の連携が重要と考えますが、取組についてお尋ねいたします。

#292
○茂木国務大臣 斎藤委員がおっしゃるとおりだと思っておりまして、先般も、日米豪印四か国、QUADの外相会談を開かせていただきましたし、さらには、グローバルな戦略的パートナーであります日本とイギリスとの間でも、日英の2プラス2も先日やりました。また、日豪の外相会談、日米の外相会談等の中で中国の問題について取り上げて、私から、中国の海警法を含めて、東シナ海、南シナ海における一方的な現状変更の試みについての懸念を共有して、引き続き連携していくことで一致をいたしました。
 また、南シナ海の問題につきましては、力による一方的な現状変更の試みの問題については、ASEAN諸国ともしっかり今意思疎通しております。恐らく、数年前と比べるとASEANの国々もはっきり言うようになってきたな、そんなふうに実際感じておるところでありまして、しっかり連携をしていきたいと思います。
 そして、我が国が提唱しております自由で開かれたインド太平洋、これは、地域において、法の支配を始めとする共通の価値観、これに基づいて自由で開かれた秩序を実現することによって地域と世界の平和と繁栄を確保するものでありまして、日米豪印、ASEANを始め、この考え方を共有する国々と協力を深めるとともに、更にこれを、欧州も今インド太平洋に対するコミットメントを強めている、アフリカでもそういう声が上がってきている、連携の輪というのを広げていきたいと思っております。

#293
○斎藤(洋)分科員 大臣、ありがとうございます。
 是非、継続して、多国間外交を通じた中国の膨張政策への対抗策をしっかり進めていただきたいと思います。とりわけ海洋国家、島嶼国家、利害を同じくする国との連携、よろしくお願い申し上げます。
 最後に、北方領土に関連しまして二点お伺いしたいと思います。
 近年の対ロシア経済協力、またそれ以外の、経済協力というのにとどまらない各種の支援の概要を簡単に教えていただきたいと思います。

#294
○徳田政府参考人 まず、日本政府の対ロ政策の基本的な考え方について申し上げますと、平和条約締結問題を含む政治、経済、文化など幅広い分野で、日ロ関係全体を国益に資するよう発展させていくというものでございます。
 委員お尋ねの経済関係について申し上げますと、昨年十二月に行われました貿易経済に関する日ロ政府間委員会の共同議長間会合において、茂木大臣とレシェトニコフ・ロシア経済発展大臣との間で、新型コロナの影響によって両国間の事業に一定の制約が生じている中ではありますけれども、経済分野の互恵的協力について意見交換をし、両国の貿易経済分野の協力を進展させていくことで一致したところでございます。
 また、ロシアとの経済分野での協力であります八項目の協力プラン、これは、幅広い分野で日ロ両国の協力関係を互恵的な形で強化し、相互理解を増進することで、日ロ関係全体の発展を目指すものでございます。最近では、日ロの企業によるウイルスの迅速検査キットの共同開発といった協力も実現しております。
 政府としましては、経済分野のこうした取組を含めまして幅広い分野で日ロ協力を進めていく中で、領土問題を解決して平和条約を締結するという基本方針の下で、引き続きロシアとの交渉に粘り強く取り組んでいく考えでございます。

#295
○斎藤(洋)分科員 北方領土の返還交渉ということにつきましては、今、ロシア国内の状況を考えますと、相当悲観的にならざるを得ないと考えています。
 と申しますのは、憲法改正を彼らがしたということもありますし、構造としても、北方領土を返還しなくても日本からの経済協力が受けられるんだというところでは、インセンティブがなかなか働かないだろうと考えています。
 日本に北方領土が返還されるまでの間、あらゆる協力、支援を停止するという姿勢を示してもよいのではないかと私は考えておりますが、御見解をお尋ねいたします。

#296
○徳田政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、この八項目の協力プラン、今御説明したこれを含めまして、ロシアとの経済関係につきましては、途上国に対する援助でありますとか、あるいはロシアに対する一方的な支援のようなものではございません。これはあくまで、日本とロシア双方にとりまして互恵的な協力事業を推進する、政府としてそれを後押しするというものでございます。
 民間企業の個別の事業、プロジェクトにつきましても、それぞれの企業の経営判断に従って、最終的にはビジネスベースで進められるということになるものでございます。
 繰り返しになりますけれども、政府としては、今申し上げた、経済分野の取組を進めながら幅広い分野で日ロ協力を進めていく、そういう中で領土問題を解決して平和条約を締結するという基本方針の下で、引き続きロシアとの交渉に粘り強く取り組んでまいりたいと考えております。

#297
○茂木国務大臣 ロシアにおいて憲法改正が行われて、これで領土問題はどうなってしまうのかといういろいろな心配があるということは承知をいたしております。
 その上で、ロシアの憲法改正後に行われました菅総理とプーチン大統領との首脳電話会談におきましても、平和条約交渉を含めて日ロ関係を更に前進させていきたい、こういう発言がプーチン大統領からもあったところであります。
 経済であったり人的交流、様々な分野での両国間の関係、この発展というものが平和条約交渉、この進展にも資する、こういう考え方でもって進めていきたい。もちろん、戦後七十年以上動いてこなかった問題でありますから、解決するのはなかなか容易ではないと思っておりますが、私も、一昨年の十二月、モスクワに赴きまして、ラブロフ外相との間で八時間、二日間にわたって相当突っ込んだ議論を行ったりして、両国間で認識が一致する部分、立場が違う部分、かなり明確になってきている、そんなふうに思っております。
 残念ながら、その後、コロナの状況になって、対面でなかなか交渉できない、こういう問題はなかなか電話で進ませるという問題でもなくて、早くそういう交渉が再開できるような状況をつくって、交渉責任者として粘り強く対応していきたい、こんなふうに思っています。

#298
○斎藤(洋)分科員 大臣からも御答弁いただきまして、ありがとうございます。
 先ほども申し上げた拉致問題の話も一緒なんですが、私の問題意識としまして、今まで北朝鮮あるいはロシアとの交渉がなかなか進んでこなかった。その背景には、拉致被害者を自国、自領内にとどめ置いた方が、あるいは北方領土を返さない方が、彼らにとって経済的メリットが得られやすい環境に見えた場面が多々あったのではないかということが問題意識としてあります。北方領土を返還する方がロシアにとって利益になる、あるいは、拉致被害者を我が国に帰さないことには北朝鮮にとっては何もいいことがないと向こうからはっきり見えるような、是非、メッセージの発信をお願いしたいと思います。
 まだいただいた時間はございますが、一刻も早く大臣には外務省にお戻りいただいて、国益のために働いていただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

#299
○細田主査 これにて斎藤洋明君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして外務省所管についての質疑は終了いたしました。
 これにて本分科会所管の審査は全て終了いたしました。
 この際、一言御挨拶を申し上げます。
 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
 これにて散会いたします。
    午後四時七分散会
ソース: 国立国会図書館
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