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2021/02/02 第204回国会 参議院 第204回国会 参議院 本会議 第5号 令和3年2月2日
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2021/02/02 第204回国会 参議院

第204回国会 参議院 本会議 第5号 令和3年2月2日

#1
令和三年二月二日(火曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第五号
    ─────────────
  令和三年二月二日
   午前十時 本会議
    ─────────────
 第一 新型インフルエンザ等対策特別措置法等
  の一部を改正する法律案(趣旨説明)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────

#2
○議長(山東昭子君) これより会議を開きます。
 日程第一 新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 本案について提出者の趣旨説明を求めます。西村康稔国務大臣。
   〔国務大臣西村康稔君登壇、拍手〕

#3
○国務大臣(西村康稔君) ただいま議題となりました新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 新型コロナウイルス感染症の発生の状況等に鑑み、感染拡大を防止し、国民の生命及び健康を保護するとともに、国民生活や国民経済への影響が最小となるよう、必要な法制を整えることが喫緊の課題であります。
 このような状況に対処し、新型インフルエンザ等対策特別措置法等に基づく感染症対策を強化するため、この法律案を提出いたしました。
 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。
 第一に、新型インフルエンザ等緊急事態に至る前から、実効的な感染症対策を講ずることができるようにするため、新型インフルエンザ等まん延防止等重点措置を創設します。
 第二に、国及び地方公共団体は、新型インフルエンザ等の影響を受けた事業者や医療機関等を支援するための必要な措置を講ずることとします。
 これらの措置により、都道府県知事は、措置が必要な業態に係る事業を行う者に対し、営業時間の変更等を要請するとともに、必要な財政上の措置等の支援を行うこととします。正当な理由なく当該要請に従わない場合には、当該要請に係る措置を命令することができることとし、当該命令に従わない場合には過料に処することにより、実効性を担保します。
 第三に、新型インフルエンザ等まん延防止等重点措置の創設に併せて、新型インフルエンザ等緊急事態を見直し、特定都道府県知事は、施設管理者等が正当なく施設の使用制限等の要請に従わない場合には、当該要請に係る措置を命令することができることとし、当該命令に従わない場合には過料に処することにより、実効性を担保します。
 第四に、新型コロナウイルス感染症を感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における新型インフルエンザ等感染症として位置付けます。
 第五に、厚生労働大臣及び地方公共団体間の情報連携、電磁的な方法による届出等について、必要な規定を整備することとします。
 第六に、厚生労働大臣及び都道府県知事等は、緊急の必要があると認めるときは、医療関係者、検査を行う民間事業者等に必要な協力を求めるとともに、正当な理由がなく当該協力の求めに応じなかったときは、協力するよう勧告するとともに、従わない場合は、その旨を公表することができることとします。
 第七に、厚生労働省令で定める新型インフルエンザ等感染症及び新感染症について、患者等に対して宿泊療養又は自宅療養に関する協力を求めることができることとします。また、検疫法上も、宿泊療養又は自宅待機その他の感染防止に必要な協力を求めることができることとします。
 第八に、入院先から逃げた場合又は正当な理由がなく入院措置に応じない場合及び積極的疫学調査に応じない場合の罰則を設けることとし、実効性を担保します。
 最後に、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、公布の日から起算して十日を経過した日としています。
 以上が、この法律案の趣旨でございますが、この法律案につきましては、衆議院において、営業時間の変更や施設の使用制限等の命令に従わない場合の過料の額の引下げ、入院措置や積極的疫学調査に係る罰則の刑事罰から行政罰への変更等の修正が行われたところであります。(拍手)
    ─────────────

#4
○議長(山東昭子君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。そのだ修光さん。
   〔そのだ修光君登壇、拍手〕

#5
○そのだ修光君 自由民主党のそのだ修光です。
 私は、自由民主党・国民の声を代表して、新型インフルエンザ対策特別措置法改正案等について質問いたします。
 新型コロナウイルス感染症により数多くの尊い命が失われました。心よりお悔やみを申し上げます。また、療養中の方々の一日も早い御回復を願っております。
 そして、日々最前線で尽力をされておる医療従事者、保健所等の皆さん、介護従事者の皆さん、国民生活を支えるエッセンシャルワーカーの方々に心から感謝を申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症拡大を抑えようと、中国や欧米などでは制約が極めて厳しい都市封鎖や休業命令などの経済活動の制限が行われました。フランスや英国、イタリア、ドイツの一部などでは外出禁止違反者には罰則が科されたと聞いております。
 一方、我が国では、平成二十四年に成立した新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、密閉、密集、密接、三密となる場面を回避することなどの行動変容、営業自粛、大型イベントの人数制限、自粛などを求める要請により、ここまで対応してきました。しかし、自粛疲れも見られるようになり、また、感染力の強い変異株の市中感染も確認されております。
 そこで、我が国におけるここまでの新型コロナウイルス感染症対策をどのように総括しておられるのか、現在の緊急事態宣言による感染抑制効果をどのように見ておられるのか、その上で、今、特措法等を改正しなければならない理由を、どのようなものなのか、これらの点について総理の見解をお伺いいたします。
 新型コロナウイルス感染症を抑え込むには、これまで明らかになってきたこの感染症の特性を踏まえた戦略が重要です。このウイルスは、無症状のまま、また次の感染へつながるという非常に対処しにくい特徴を持っていますが、一方で、三密に加えて大きな声を出す場所のリスクが高いことも分かってきました。したがって、感染が爆発してから広範囲に拡大抑制措置を講ずる段階に至る前に、感染しやすい場面にポイントを絞った対応を取ることが有効です。
 今回の特措法改正案では、政府は、特定の地域において、国民生活及び国民経済への甚大な影響を及ぼすおそれがある蔓延を防止するため、まん延防止等重点措置、言わば予防的な措置を発出できるようになります。
 そこで、緊急事態宣言の発令と比較して、具体的にどのような状況であれば、まん延防止等重点措置が出されることになるのか、また、どのような手順を踏むのでしょうか。さらに、まん延防止等重点措置の区域の知事はどのような要請や措置ができるのか、西村大臣にお伺いをいたします。
 平成二十四年に新型インフルエンザ特別措置法案が国会で審議された当時、参議院の内閣委員会において、担当大臣から、自粛されるべき期間も一から二週間程度に限定されたものという旨の答弁がなされました。
 しかし、新型コロナウイルス感染症に対処するには、法案審議時の想定をはるかに超えて、しかも、二度にわたり緊急事態宣言が発出されるような厳しい状況になった今、この状況を踏まえた柔軟な対応が必要です。
 そこで、国及び地方公共団体は、都道府県知事による要請等が事業者の経営に及ぼす影響を緩和し、また、休業、営業時間短縮などの経済活動への制限要請の実効性を高めるために、法的な根拠を明らかにした上で一定の支援を講ずべきと考えますが、一方で、感染拡大を速やかに抑えるためには支援措置を迅速に行うことも求められます。この点についても、西村大臣の見解をお伺いいたします。
 蔓延防止に係る措置による影響に対して支援措置が講じられる一方、要請や命令による感染拡大抑制のための実効性を上げるために罰則を科すことは先進国においても見られております。ただ、罰則については常に抑制的であることが求められます。
 そこで、まん延防止等重点措置時そして緊急事態宣言時、それぞれにおいてどのような段階を踏んで最後の手段とも言える行政罰が科せられることになるのか、西村大臣にお伺いをいたします。
 現在の感染症法では、危険度の高い感染症の蔓延防止のため、都道府県知事は、入院勧告や従わない場合の強制的な入院、いわゆる入院措置ができると規定されております。いわゆる入院措置ができる。しかし、現状、病床が逼迫していることから、高齢者や基礎疾患がある人を除いて軽症、無症状は、原則、地方自治体が用意した宿泊施設あるいは自宅での療養を求められております。御理解をいただいて療養に努めておられる方々に心から感謝を申し上げます。
 一方、ごく一部であると思いますが、宿泊療養への理解を得られずに、要請された方が無断で出歩いてしまった事例、外出を強硬に求めることで宿泊療養施設、医療・保健関係者が説得に苦慮した事例も耳にいたします。また、感染経路の把握のために保健所が行う積極的疫学調査でも、行動歴などの聞き取りを拒否するケースが多くなっております。このため、全国知事会も実効性を高める法改正を求めてきました。
 そこで、入院措置や積極的疫学調査等に応じてもらうように、一定の罰則を設けることで、誰が見てもこれはやむを得ないというときに限った伝家の宝刀的な抑止力を持たせると同時に、入院しても心配ないように、小さな子供のいる場合は保育支援や、介護が必要な家庭への支援など、十分なバックアップがなければならないと考えますが、この点についてどのように考えておられるのか、厚労大臣にお伺いいたします。
 新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち重症化しやすいのは、高齢者と基礎疾患のある方々であることが統計的に明らかになっています。
 高齢者の安心な暮らしを守る上でなくてはならない介護サービスの現場は、感染対策に万全を尽くしつつ、献身的に業務に当たっております。介護サービスの現場は、以前から人手不足が慢性化していましたが、感染拡大以降は疲労こんぱいでぎりぎりの状態です。しかも、感染者が出た施設、福祉施設や職員に対する中傷やうわさで利用者が急減するなど、風評被害も全国で相次いできました。介護に携わる方々の心が折れてしまいかねません。
 介護の現場を守らなくて日本の安心を守れるのかと強く訴えてきましたが、政府からは、令和三年度の介護報酬改定でプラス〇・七〇%という前向きな対応をいただきました。また、特措法改正案でも、差別の防止に係る国及び地方公共団体の責務が加えられております。
 これからも高齢化が進む我が国の生活の安心、安全を守るためには、このコロナ禍で介護現場を疲弊させ、経済的あるいは精神的な基盤を毀損させてはなりません。介護現場でのクラスターを防止するため、定期的な社会的検査を是非とも行っていただきたいと思います。
 検査体制の強化を含め、政府に引き続き物心両面、介護現場を全力で支えていくという覚悟を総理にお伺いをいたします。
 最後に、新型コロナウイルス感染症との闘いは百年に一度の国難と言っても過言ではありません。雪に耐えて梅花麗し、明治維新の志士、西郷南洲翁が、維新後の激動の時代を困難に負けることなく強い心を持って生き抜いてほしいと、おいの政直に詠んで送ったものであります。この言葉を総理にお贈りいたします。
 総理、体に気を付けて国民のために頑張っていただきたい。先日も、野党の先生からエールが送られておられました。我々も全力で支えてまいりますことをお誓い申し上げ、終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕

#6
○内閣総理大臣(菅義偉君) そのだ修光議員にお答えをいたします。
 まず、冒頭、御協力をいただきましてありがとうございます。
 これまでの対策の総括、現在の緊急事態宣言による感染抑制効果、特措法等の改正理由についてお尋ねがありました。
 九月の就任以降、一貫して国民の命と暮らしを守ることを最優先に、日々の感染状況を把握し、専門家の意見も聞きつつ、対策による国民生活やなりわいの影響にも常に思いをはせながら、適切な判断を行い、必要な対策を行ってきました。
 緊急事態宣言により全国の新規感染者数も減少が続いており、まさに、専門家の皆さんが急所と指摘する飲食による感染リスクへの対策の成果が現れているものと考えております。
 今般の特措法の改正は、この対策をより実効的なものとするため、支援と行政罰をセットで規定するものであります。速やかな御審議をお願いをいたします。
 介護現場に対する支援についてお尋ねがありました。
 新型コロナへの感染が続く中で、現場で従事されていられる方々が感染防止に留意しながら介護サービスを提供できるよう、しっかりと支援を行うことが重要だと思っています。
 このため、介護施設等に対して今回の補正予算を含めて約五千億円の支援を行うとともに、介護報酬改定では、感染症への対応力の強化も踏まえた報酬の引上げも行っております。引き続き御苦労されている介護の現場をしっかりと支援をしてまいります。
 また、重症者の発生を可能な限り食い止めるために、感染拡大地域の施設の従業員や入所者などに対して実質的に国の費用負担で検査をできるようにしており、引き続き都道府県と連携をしながら徹底をしてまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣西村康稔君登壇、拍手〕

#7
○国務大臣(西村康稔君) 答弁に先立ち、先ほどの趣旨説明におきまして、緊急事態措置を見直しと言うべきところ、緊急事態を見直しと発言しましたので、訂正をさせていただきます。
 そのだ修光議員からの御質問にお答えをいたします。
 まん延防止等重点措置が発令される状況、その手順、そして都道府県知事の要請や措置の内容についてお尋ねがありました。
 まん延防止等重点措置を公示するべき状況としては、都道府県内の一部地域で感染が拡大し、医療の提供に支障が生ずるおそれがある状況を想定しております。基本的には、ステージ三相当での適用を想定しておりますが、一部地域の急速な感染拡大が全県に広がるおそれがある場合などは、都道府県知事と連携して地域の感染状況もよく見極めつつ判断することになると考えております。また、都道府県知事が政府に対して措置の公示を行うよう要請することができることとしております。
 まん延防止等重点措置の期間、区域の指定、変更に当たっては、基本的対処方針を変更し、まん延防止等重点措置の実施に関する重要な事項を定める必要があり、この際、第十八条第四項に基づき、専門家の意見を聞くこととしております。
 まん延防止等重点措置の対象区域の都道府県知事は、期間、区域を定め、措置を講ずる必要があると認める業態の事業者に対して、営業時間の変更等の必要な措置の要請、これに正当な理由がなく応じない場合の命令等をできることとしております。
 これらに加え、政令で入場者の整理や発熱症状を呈している者の入場禁止、従業員に検査を受けることの勧奨など定めることを想定しており、営業時間の変更より私権制限の程度が小さな内容の措置を規定する予定であります。
 次に、支援措置についてお尋ねがありました。
 要請に基づいて休業や営業時間短縮した方のみならず、多くの事業者の皆さんが厳しい状況にあると認識しております。新型コロナウイルス感染症による影響を緩和し、国民生活及び国民経済の安定を図る観点から、累次にわたる予備費や補正予算によって対応してきており、要請に応じていただけるよう、今後も支援を行っていく考えであります。
 このため、今回の特措法改正案においては、国及び地方公共団体が新型インフルエンザ等の影響を受けた事業者等を支援するために必要な措置を講ずる義務を明記することといたしました。休業要請などを受けた事業者に対する支援を規定することでより実効性を高めるものであり、必要な支援が行き渡るようしっかりと対応してまいります。
 また、支援措置を迅速に行うことは極めて重要な課題です。パート、アルバイトの方を含め、一人当たり月額上限三十三万円の雇用調整助成金は申請から約二週間で支給決定を行っているほか、実質無利子、無担保融資も、売上げ減少要件を直近一か月に加え、直近二週間でも判断できるように要件緩和を行うなど、支援の迅速化に努めております。また、中堅・中小企業者への最大四十万円の一時金についても、簡素な仕組みで迅速に支給できるよう努めるなど、できるだけ速やかに必要な方々に必要な支援が行き届くよう不断の取組を行ってまいります。
 まん延防止等重点措置時、その際に、緊急事態宣言の際の行政罰が科されるまでのプロセスについてお尋ねがありました。
 行政罰である過料が科されるまでは、まん延防止等重点措置と緊急事態措置とで同じ手続を踏むこととなっております。
 まず、要請に当たっては、あらかじめ学識経験者の意見を聞かなければならないこととされております。次に、要請に応じていただけない場合は、知事は、特に必要があると認めるときに限り、命令を行うことができ、加えて、あらかじめ学識経験者の意見を聞かなければならないこととされております。また、命令の前には、要請の趣旨を文書により丁寧に説明していくこととしております。それでもなお命令に従っていただけないときに限り、知事から裁判所に対し命令違反があったことの通知が行われ、非訟事件手続法にのっとり、過料を科すかどうか決定されます。
 いずれにしましても、まずは要請に応じていただけるようしっかりと支援を行いながら、要請に応じていただけない場合にも、要請の趣旨を文書により丁寧に説明し、理解を得ながら手続を進めていくこととしてまいります。(拍手)
   〔国務大臣田村憲久君登壇、拍手〕

#8
○国務大臣(田村憲久君) そのだ修光議員にお答えいたします。
 感染症法上の入院措置及び積極的疫学調査についてお尋ねがございました。
 今般の改正法では、積極的疫学調査や入院措置について、正当な理由がなく対応いただけなかった場合等については罰則の対象となることとしていますが、まずは御本人の人権に配慮した適切な対応が図られる必要があると考えております。
 その上で、御指摘のようなケースについて、患者本人やその家族に必要な介護や保育等の福祉サービスを確保できないために拒否していることが措置の決定後に明らかになった場合等には、正当な理由に該当し得ると考えられるため、入院の罰則が適用されないことも想定されるところであります。
 あわせて、御家族等への支援については、子供への支援に関しては、保護者の代わりに養育が可能な親族がいない場合等においては、例えば児童相談所が一時保護所で一時保護を行うこと、他方、介護に関しては、家族に要介護者がいる方が入院等をする場合は、都道府県が市町村の協力の下、ケアマネジャー等と連携し、必要な支援を行うこと等としております。
 この際、児童相談所や介護事業所等における感染症対応に必要な費用については、先月成立した第三次補正予算及び令和三年度予算案に計上しております。
 引き続き、こうした支援に取り組むとともに、法案が成立した場合には、罰則の適用の具体例や判断材料を示し、御本人や御家族などの人権や生活に配慮した現場での適切な運用を図ってまいります。(拍手)
    ─────────────

#9
○議長(山東昭子君) 木戸口英司さん。
   〔木戸口英司君登壇、拍手〕

#10
○木戸口英司君 立憲民主党の木戸口英司です。
 私は、立憲民主・社民を代表し、新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案について質問いたします。
 昨日、田野瀬文科副大臣と自民党大塚国対副委員長が役職辞任し、さきに辞任した松本前国対委員長代理とともに離党しています。緊急事態宣言下の一月十八日、共に深夜まで銀座のクラブを訪れていたこと、松本氏の一人で行っているとの弁明が虚偽だったこと、コロナ禍で苦しむ国民を愚弄するものです。同様の問題で、公明党遠山前幹事長代理は議員辞職しました。
 国民に権利制限と罰則を科す特措法改正案が提案され、緊急事態宣言の延長が図られようとしているこのときに、政府・与党は国民の理解、協力なくしてこの危機を乗り切ることができると思っているのでしょうか。総理・総裁としての責任は大きい。国民に対し、どう申し開きしますか。
 新型コロナウイルスに襲われ亡くなられる方が全国で連日増加しています。一日現在、五千七百五十二人。病院での治療も受けられずに亡くなられる方も増えてきており、救える命はなかったのか。心から哀悼の誠をささげます。
 救える命があったのではないか。
 厚生労働省によると、昨年の自殺者数は速報値二万九百十九人で、前年を七百五十人上回ったとされます。リーマン・ショック後の二〇〇九年以来の増加となります。特に、女性が一四・五%増え、働く女性で増加が目立ちます。また、小中高生の自殺者数は四百四十人、過去最多となりました。
 雇用悪化で非正規労働者数が減少に転じ、コロナ禍のしわ寄せは社会的に弱い人ほど受ける現実があります。求められる支援は年代や性別、地域によって異なり、国や自治体は民間とも連携し、自殺の背景を詳細に調査し、きめ細かい支援に努める必要があります。現状認識と自殺対策の取組について、総理の所見を伺います。
 二月七日に期限が迫る緊急事態宣言は、延長されることとなります。菅総理は、一か月後には必ず事態を改善させるとしていましたが、対象区域の新規感染者数と医療体制等の大幅な改善には至りませんでした。対象区域の現状に対する認識と、延長は一か月程度と言われておりますが、ステージ二が見通せる状態となるには更なる対策が必要と考えますが、総理の所見を伺います。
 新型コロナウイルス感染症対策分科会からは、昨年十二月二十三日、飲食店などの営業時間の更なる短縮の要請を含め、会食、飲食による感染拡大リスクを徹底的に抑えるよう、緊急事態に匹敵する対策を求める提言が出されています。しかし、政府は緊急事態宣言が求められていないとし、一月七日の発令となりました。発令がもっと早ければ感染拡大を早期に抑え込み、解除を早めることができたと考えますが、総理の所見を伺います。
 GoToキャンペーン停止、海外からの入国停止、緊急事態宣言再発令、特措法改正等、菅総理の判断に対し後手であったとの批判が強まっています。精いっぱい取り組んでいるとの総理答弁もありましたが、政治、わけても危機管理は結果責任であることからも、批判は当然です。
 そもそも、政府において感染症対策への備えがされてきたのか。厚生労働省が新型インフルエンザ流行後の二〇一〇年にまとめた感染症対策に関する報告書は、事実上放置されてきました。提言では、国立感染症研究所や保健所、PCR検査、医療提供の体制強化等を求めています。また、厚生労働省が感染症指定医療機関の体制改善を二〇一七年に総務省から勧告され、全国調査を行ったにもかかわらず、結果の取りまとめすらなされていませんでした。
 これら政府の感染症対策の不作為を認め、これまでの取組を検証し、対策と体制の抜本的な立て直しが必要と考えますが、総理の所見を伺います。
 感染判明後に入院や宿泊療養等を調整中となっている人が、一月二十七日現在、全国で九千十二人、自宅療養者数は二万六千百三十人に上っています。保健所の業務の逼迫、医療従事者やベッドの不足で入院や療養先の調整が追い付いていないこともあり、在宅で亡くなる人も増えています。民間病院による後方支援等も含め、病院間の連携に向け、医療関係団体による協議や自治体と医療機関の話合いが精力的に進められています。
 菅総理は、衆院予算委員会の答弁で、体制ができていないことは責任者として大変申し訳なく思うと陳謝しました。一方で、三次補正予算で医療に必要な予算はしっかり確保しているとも答弁しています。そこからは、逼迫する医療の体制立て直しへの国のリーダーシップも道筋も見えてきません。政府の具体的な取組について総理に伺います。
 改正案において、新型インフルエンザ等対策有識者会議を新型インフルエンザ等対策推進会議として法的に位置付けることとなります。
 これまでも、対策の決定過程において、政治と専門家の役割分担の不安定さが国民に不安と不信を与えてきたと言えます。尾身分科会会長もインタビューで、専門家の意見を聞き、大所高所から政府が判断する、そういう関係がなかった、採用するかしないかの理由をきちんと説明するのが政府としてあるべき姿だと述べています。専門家の意見を聞いた上でと総理は語りますが、問題は、決定に至る過程の説明責任が不十分な点にあります。
 厚生科学審議会感染症部会が改正案におおむね賛成だったとする政府説明は、多くの委員が罰則に反対か慎重であった事実を覆い隠すもので、看過できません。改めて、厚生労働大臣に説明を求めます。
 法改正で専門家による会議が規定されるこの機会に政治と専門家の役割分担について再構築するべきと考えますが、総理の所見を伺います。
 特措法等改正は、全国知事会の提言もあり、野党として改正案をさきの臨時国会に提出しております。特措法の課題を認識しながら改正の、緊急事態宣言再発令に至るまで放置してきた政府の責任は大きいと言えます。改正案は、まさに突貫工事、立法事実も曖昧で、感染抑制に効果的か、事業者への支援は十分か、国民の権利制限と罰則は妥当か、議論の余地はあまたです。
 創設されたまん延防止等重点措置について、運用が曖昧な点があります。まず、当措置を公示する要件は政令で定めるとしていますが、公示の判断基準について総理に伺います。
 また、緊急事態が宣言される前において国民の権利を制限し、罰則が導入されることについて、国民の権利保障の観点から、命令及び過料は抑制的な運用であるべきと考えますが、総理の所見を伺います。
 内閣と都道府県知事の権限と裁量が拡大されることからも、国会のチェックは必要です。公示期間や区域の変更、解除等の各段階において、国会への速やかな報告を求めますが、総理に対応方針について伺います。
 時短要請等で影響を受ける事業者に対する十分な支援は、地域経済と雇用を守るために必須です。今回の改正案によって、事業者への支援措置を講ずることは国や地方自治体に課せられた義務となり、事業者に対する必要な財政上の措置その他の措置を講ずるものとしています。要請等による経営への影響や事業規模等も勘案したきめ細やかで十分な支援を行うことを強く求めます。
 まん延防止等重点措置や緊急事態宣言が発出された際のそれぞれの段階において、財政上の措置その他の措置に関し、具体的にどういった支援をどの程度行うことを考えているのでしょうか、総理に政府の方針を伺います。
 十分な支援がなされないまま要請を受け入れた事業者が倒産するようなこととなれば、受忍限度を超えるのではないでしょうか。所見を伺います。
 また、時短要請の対象外の事業者、さらに、宣言区域外の事業者の経営にも幅広く影響が及んでいることから、売上げ減少の著しい事業者に対し、給付金等の支援策を再度検討する必要があると考えますが、所見を伺います。
 感染者や治療に当たる医療従事者、また、その家族等に対する差別や偏見、心ない誹謗中傷等、人権が脅かされる悪質な事例がいまだ後を絶ちません。こうした行為は、当事者への人権侵害にとどまらず、積極的疫学調査を始め感染症拡大防止の取組に負の影響を及ぼしかねません。法改正で差別の防止に係る国及び地方自治体の責務が規定され、国としても、広報、教育や啓発、相談窓口の充実強化、差別を受けた方への支援等、一層の対策が必要ですが、具体的な施策を総理に伺います。
 感染症法改正案について、同法はその前文において、我が国においては、過去にハンセン病、後天性免疫不全症候群等の感染症の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受け止め、これを教訓として今後に生かすことが必要とうたい、感染症の患者等の人権を尊重しつつ、これらの者に対する良質かつ適切な医療の提供を確保し、感染症に迅速かつ適確に対応することが求められているとしています。感染症を予防するだけでなく、感染症の患者に対する良質かつ適切な医療の提供が求められています。
 しかし、新型コロナウイルス感染症をめぐっては医療崩壊が叫ばれ、良質かつ適切な医療が提供されているとは言えません。また、過去、様々な感染症において繰り返されてきた差別、偏見という歴史を教訓として生かせていないことも事実です。
 法改正に当たり、いま一度、政府は前文の意義を改めて強く認識し、感染症の患者等の人権を尊重しつつ、良質かつ適切な医療の提供を確保する必要があると考えますが、総理の所見を伺います。
 本法案の当初の政府案は、入院措置に応じない又は入院先から逃げた感染者や保健所による積極的疫学調査を正当な理由なく拒否した者等に対し刑事罰を科すという、とても容認できる内容ではありませんでした。
 しかも、事例の具体的なデータは示されないまま、罰則を設けることによる抑止効果は判然とせず、罰則を設けることで、かえって検査を受けることを忌避する患者や調査対象者と保健所等の職員との間でトラブルが発生する可能性が高まるのではないかという懸念もあります。
 法案の修正を経て、行政罰である過料は科せられるものの、刑事罰ではなくなった点は一定の評価はしたいと思います。そもそも入院等調整中の方がたくさんいる中で、入院等協力の求めに応じない方に勧告、措置を行い、罰則を科すことには強い疑問を感じざるを得ません。
 改めて、感染症法改正の趣旨と、人権が損なわれる運用はないことを、総理から国民に丁寧な説明を求めます。
 また、衆議院における修正を踏まえ、入院措置に応じない方等に対して、罰則による抑止ではなく、その必要性をいかに丁寧に伝えて理解いただくのかが重要であり、多忙極まる保健所等の職員が本来の業務を遂行できるよう支援する政府の役割は大きいと考えますが、厚生労働大臣の所見を伺います。
 感染症法改正案では、厚生労働大臣、都道府県知事は、緊急の必要があると認めるときに医療関係者等に必要な協力を求めることができるとし、要請に応じなかった場合に勧告を行い、正当な理由なく勧告に応じなかった場合にはその旨を公表することができるとしています。
 なぜ、病床確保が進まないのか、医療機関が抱える課題と不安を払拭することこそが解決の必須条件と考えます。
 そもそも医療崩壊は、地方において医師の不足と地域及び診療科偏在という形で既に顕在化し、感染症の拡大で、都市部においても医師不足を大きな要因とする医療の脆弱性が明らかになったと言えます。
 眼前の医療崩壊を防ぐ対策に全力を挙げるとともに、病床削減に力点が置かれたこれまでの医療改革を転換し、中長期的な視点で医師の適正な養成と配置を図る抜本的な改革に早期に取り組むことが必要と考えますが、総理の所見を伺います。
 四月以降の開始を見込む高齢者へのワクチン接種について、政府は三か月以内に完了できるよう自治体に体制整備を求めています。前例のないプロジェクトとなります。
 集団接種を想定した訓練が一月二十七日、川崎市で行われ、所要時間や人員体制等、課題も明らかになっています。会場や人材確保、ワクチンの保管・運搬体制の構築等、困難な準備に挑む自治体に対する支援策について、ワクチン担当大臣に伺います。
 接種券の配付開始まで約二か月となる中、政府は接種状況を管理するための新システムを構築するとしていますが、運用は接種開始に間に合うのか、導入に向け市町村の新たな負担とならないか、システムの概要と併せ、伺います。
 また、ワクチン接種が先行している米欧において、需要急増のため供給が追い付かず、接種計画の遅滞が問題化し、ワクチン争奪戦とも言われます。我が国へのワクチン供給は計画どおりとなるか、見通しについて伺います。
 菅総理は、施政方針演説で、国民の皆さんの希望を実現したいと述べています。憲法第十三条、幸福追求権の前提は個人の尊重とされています。法改正に当たり、立憲民主党は、政府にこの点を強く求め、また、自らに課し、コロナ禍を克服し、国民の命と生活を守る政治に邁進することを誓い、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕

#11
○内閣総理大臣(菅義偉君) 木戸口英司議員にお答えをいたします。
 自民党に所属していた議員の行動等についてお尋ねがありました。
 緊急事態宣言の下、深夜まで会食し、かつ、これを明らかにしなかったことを受け、昨日、田野瀬太道文部科学副大臣を更迭いたしました。また、自民党においては、松本純議員、大塚高司議員、田野瀬議員に離党勧告を行い、この三名は離党をいたしております。さらに、遠山清彦氏は議員辞職されたものと承知をしています。
 国民の皆さんに御理解と御協力をお願いをしている中、政治家は率先して範を示すべきところ、こうした行動はあってはならないことであり、極めて遺憾であります。私からも国民の皆様に心からおわびを申し上げる次第でございます。いま一度身を引き締め、新型コロナ対策に全力を尽くしてまいりたいと思います。
 自殺対策についてお尋ねがありました。
 自殺者数については昨年七月から高めの水準であり、特に、女性や若者の増加の割合が高くなっています。その原因、動機としては、健康問題や家庭問題、経済・生活問題、学校問題など様々なものであると承知しています。
 政府としては、自治体や民間団体と連携をし、自殺を考えている方に対する相談体制の拡充や周知を図るとともに、自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指し、総合的な対策を推進してまいります。
 対象区域と更なる対策についてお尋ねがありました。
 緊急事態宣言により、新規感染者数は減少傾向となっており、飲食を中心とする今回の対策が効果を上げているものと考えております。一方で、医療提供体制は引き続き多くの地域で逼迫をしており、警戒が必要な状況と考えています。
 このため、本日、専門家による諮問委員会を開催をし、緊急事態宣言の対象区域及び期間についてお諮りすることになっております。
 都道府県とも連携しながら、引き続き対策を徹底し、まずはステージ四を早急に脱却することを目指すとともに、解除後も必要な対策を継続し、更なる感染者数の減少を目指していきたいと思います。
 緊急事態宣言の発出についてお尋ねがありました。
 緊急事態宣言は強力な手段であり、国民の生活を大きく制約するものでありますから、政府として最善の判断が求められます。国会の附帯決議においても、専門的な知見に基づいて慎重に判断すべきとされております。こうした中で、私は、日々の感染状況などを把握をし、専門家の御意見をお伺いしながら判断したものであり、今後とも適切に対応してまいりたいと思います。
 対策の遅れについてお尋ねがありました。
 九月の就任以降、一貫して命と暮らしを守るという強い思いの下で、日々の感染状況を把握をし、専門家の意見も聞きながら、国民の皆さんの生活やなりわいへの影響にも思いをはせ、適切な判断を行い、必要な対策を行ってまいりました。また、都道府県とも連携しながら、医療体制や検査体制の拡充も行ってきたところであります。
 現在、緊急事態宣言に基づき強力な対策を講じており、一日も早く感染を収束させるべく全力を尽くしてまいります。その上で、御指摘も踏まえながら、これまでの経験を踏まえ、問題点や改善点を検討し、更に対策を進化させてまいります。
 医療提供体制についてお尋ねがありました。
 政府としては、病床確保のために、患者を受け入れる医療機関に対してこれまで三・二兆円の支援を行うとともに、第三次補正予算で一・四兆円の追加支援を行っております。例えば、東京では国と都が緊密に連携しながら、年末以降、約二千床を確保しました。さらに、私自身が直接医療関係者の方々にお会いをし、協力の要請を行うなど、取組を進めてきました。
 また、保健所についても、保健師等を派遣できる体制の整備など、その負担軽減のための支援を進めております。
 引き続き、必要な方が必要な医療を受けられるよう、国と地方で緊密に連携しながら、先頭に立って対策を進めてまいります。
 政治と専門家の役割分担についてお尋ねがありました。
 新型コロナ対策については、これまでも専門家会議や分科会など専門家の皆さんから御意見を伺いながら、政府が判断をし、必要な対策を進めてまいりました。
 今回の改正案では、政府による対策の決定過程において有識者会議の意見を聞くことや、当該会議が必要と認めるときに政府に対し意見を述べることができることを明確化することとしております。
 引き続き、政府の責任の下で、専門家の皆さんから御意見を伺いながら、しっかりと対策を進めてまいります。
 まん延防止等重点措置についてお尋ねがありました。
 この措置は、都道府県内で感染拡大するおそれがある場合や、それに伴い医療の提供に支障が生ずるおそれがある場合などに講じていくものであり、個人の自由と権利に十分配慮しつつ運用することといたしております。
 このため、あらかじめ学識経験者の意見を聞いた上で公示を行うこととし、国会への速やかな報告をすることにいたします。また、公示期間の延長、区域変更又は解除についても同様に対応してまいります。
 事業者への支援についてお尋ねがありました。
 まん延防止等重点措置や緊急事態宣言発出時の具体的な支援内容については、改正法の趣旨に基づいて設定されることとなりますが、要請による経営への影響の度合いなどを勘案し、必要な支援となるよう適切に対応してまいります。
 また、今回の緊急事態宣言では、飲食店を始め大きな影響のある事業者に支援を行うこととしていますが、その他の事業者に対しても、資金繰りの支援や雇用調整助成金の特例措置による人件費の支援を行っております。これらの措置により、事業や雇用を支えてまいります。
 差別防止についてお尋ねがありました。
 感染者や関係する方々への差別はあってはならないことであり、改正法案では、国及び地方公共団体の責務として、実態把握や啓発活動を行うことを規定をしております。
 具体的には、差別、偏見等の防止に向けた啓発、教育に資する発信を強化する、地方自治体における相談体制構築の取組について国が支援する、こうした対策を行うことを想定をしております。
 患者等の人権尊重と医療の提供についてお尋ねがありました。
 今回の改正法案においても、前文の規定や患者等の人権の尊重に関する規定を踏まえ、新型コロナ感染症について、患者等の人権が尊重され、不当に差別されることがないよう、啓発活動等を行うことを規定することにいたしております。
 運用に際しては、こうした規定を受け止めて、患者等の人権に配慮した適切な対応に努めるとともに、必要な方に必要な医療を提供する、この医療体制の確保に向けて、引き続きしっかりと支援をしてまいります。
 感染症法改正の趣旨と人権の尊重についてお尋ねがありました。
 感染拡大を防止するためには感染者に対する入院措置は重要であり、今回の改正法においては、個人の人権に配慮しながら、その実効性を高めるための措置を講ずることとしております。
 法律の運用に際しては、宿泊療養や入院に御協力いただけるよう丁寧な説明を努めることなどにより、本人の人権に配慮した適切な対応に努めてまいります。
 中長期の医療改革についてお尋ねがありました。
 まずは、新型コロナ患者を受け入れる医療機関に対し強力な支援を行い、必要とされる医療提供体制の確保に全力を尽くしてまいります。
 その上で、今回、局所的な病床数や医師等の不足、医療機関相互の役割分担、連携体制の必要性など、感染症に対応する上での課題が浮き彫りとなりました。こうした点を踏まえ、今後、中長期の医療提供体制について検討することとし、対応をしてまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣田村憲久君登壇、拍手〕

#12
○国務大臣(田村憲久君) 木戸口英司議員にお答えいたします。
 感染症部会における議論についてお尋ねがありました。
 感染症法等の改正については、一月十五日の感染症部会で議論を行い、罰則を設けることを含め、改正の方向性についておおむね了承が得られたところでありますが、一方で、慎重な運用が必要といった趣旨の指摘も多くあったと承知しております。また、感染症部会は公開の場で議論され、その議事録についても委員の確認後、速やかに公表されております。
 保健所等の職員への支援についてお尋ねがありました。
 保健所による健康観察等の業務においては、入院措置が必要な方たちに十分な御理解をいただき、病状等の状況を踏まえ、適切な対応に御協力いただくことが重要であると考えております。
 他方、今般の新型コロナウイルス感染症への対策においては、地域の住民からの相談への対応や積極的疫学調査などで保健所には過大な業務負荷が生じていることも承知をいたしております。
 そのため、厚生労働省においては、各保健所設置自治体に対して、全庁的な応援体制の構築、保健所業務の積極的な外部委託の推進等について要請を行い、各保健所設置自治体において、保健師等の専門職が専門性の高い業務に専念できる体制を含め、保健所の即応体制の強化に向けて取り組んでいただいております。
 加えて、保健所の人員体制の強化については、都道府県単位での専門人材派遣の仕組みの活用、自治体間の職員の応援派遣の調整、保健所において感染症対応業務に従事する保健師の増員のための地方財政措置等を進めており、引き続き、感染拡大時を含め、全国的な人員体制の強化を図ってまいります。(拍手)
   〔国務大臣河野太郎君登壇、拍手〕

#13
○国務大臣(河野太郎君) 初めに、自治体に対する支援策についてお尋ねがありました。
 ワクチン接種については、知事会や市長会などと協議を行い、地方自治体の負担が生じないようにする旨お伝えしてきました。予備費と三次補正で計上したワクチン接種体制確保事業のうち、三次補正分について、当初想定した個々の自治体の補助上限額をほぼ倍増する額とします。これにより、接種実施体制の確保、会場の確保、医療機関や医療従事者への支援を行うことができます。この予算を活用し、各自治体において万全の接種体制の確保を進めていただきたいと考えております。
 次に、新システムの構築についてお尋ねがありました。
 政府としては、個人単位の接種状況などを自治体において逐次把握するシステムを構築することを検討しております。自治体に負担を掛けないよう、自治体の声も聞きつつ早急に検討を行っているところであり、お知らせできることから随時情報提供するとともに、早期に概要をお示しできるようしっかりと進めてまいります。
 最後に、我が国へのワクチン供給の見通しについてお尋ねがありました。
 ワクチンの確保については、基本的対処方針において令和三年前半までに全国民に提供できる数量の確保を目指すこととしております。現在、政府としては、基本的対処方針に沿って必要な確保に向けてEUや各企業などとの調整に取り組んでおります。
 国民の皆様が安全で有効なワクチンを一日でも早く接種できるように全力を尽くしてまいります。(拍手)
    ─────────────

#14
○議長(山東昭子君) 秋野公造さん。
   〔秋野公造君登壇、拍手〕

#15
○秋野公造君 公明党の秋野公造です。
 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律案について質疑を行います。
 冒頭、羽田雄一郎議員の御逝去に、また新型コロナウイルス感染症にてお亡くなりになられた方々に心からの哀悼の誠をささげるとともに、闘病中の皆様の御回復を心からお祈り申し上げます。
 公明党は、特措法及び感染症法の改正について一月七日に加藤官房長官に申入れを行いました。
 まず、公明党は、入院調整を行う都道府県と積極的疫学調査を担う保健所設置自治体との連携を法定化するよう求めましたが、法案に反映されたことを評価します。
 しかしながら、情報が共有されても、どのように感染に至ったか、行動様式の公表などの差異は解消されるでしょうか。地域の実情に任せる部分は多いとしても、分かりやすい普及啓発のために、国が住民に対する普及啓発の在り方について何らかの判断の基準を示すことを求めますが、厚生労働大臣の見解を伺います。
 また、公明党の求めに応じて、宿泊療養と自宅療養を法定化したことを評価します。今回、医療を提供できないことを理由に、宿泊療養と自宅療養に対しては要請までにとどめ、勧告できないことと整理しましたが、療養している方の尊い命が失われていることを考えると、その質を高める取組は待ったなしです。
 公明党は、昨年四月六日の党会合において、山口代表自らパルスオキシメーターを手に取って重症化の端緒を早期発見する仕組みを提案し、呼吸数と併せて観察し、記録するよう求め、厚生労働省は翌日にその旨を全国に通知しました。政府には、改めてパルスオキシメーターの活用を徹底するよう求めます。
 また、長崎港に停泊したクルーズ船にて百四十九名の集団感染が発生した際には、「死者ゼロの真相」という書籍にも紹介されておりますが、健康アプリを活用して症状がある乗員を抽出し、防衛省にお願いしてお借りした移動CT車を用いて肺炎の診断を組み合わせ、早期発見、早期治療を可能とし、結果として全ての命を守って帰国させることができました。昨年四月、五月の時点で死者ゼロは実現しています。
 このように、質の高い健康アプリや移動CT車の活用、さらには重症化をモニタリングするために訪問診療と訪問看護を組み合わせるなど、療養の質を上げた政省令やマニュアルの改正が必要と考えますが、厚生労働大臣の見解を伺います。
 病床が逼迫しています。公明党の求めに応じて、病床の確保と入院調整を都道府県知事の役割として明確にし、厚生労働大臣の指示を明示したことを評価します。また、特措法に基づく臨時の医療施設を対策本部が設置された後に開設できるとしたことも評価します。
 一方で、医療機関に対して病床の確保について勧告までできると改正するわけですが、知事が臨時の医療施設を開設できるにもかかわらず、既存の医療機関に対して勧告が必要になる状況とはどのような場面を想定しているのか、厚生労働大臣にお伺いします。
 これまでの医療計画の下では感染症に対する病床の備えが十分でなく、医療機関は多くの急性期病床を少ないコロナ専用病床に振り替えてきました。今後は、新興感染症の感染拡大時に速やかに病床確保できるよう、急性期病床を感染症の受入れ病床に振り替えることができるよう整備しておく必要があり、感染症を含んだ医療計画に見直すべきと考えますが、厚生労働大臣の見解を求めます。
 さらに、急性期を脱した感染者については一般病床以外の病床も活用するよう一月七日に官房長官に申し入れ、また一月二十二日の代表質問にて山口代表も確認の質疑を行いましたが、後方支援病院を活用して病床の逼迫を改善する検討状況について、総理に伺います。
 法改正に明示された病床を確保する医療機関や医療従事者に対する支援の中に、個人防護具やマスクの十分な確保が含まれているか、お伺いします。
 外国からの輸入に頼り、医療従事者の命を守る個人防護具等を十分に確保できなかった轍を二度と繰り返してはなりません。この反省は骨太の方針にも明記されており、一定程度は国産で確保しておくことは重要と考えますが、総理に見解と取組の進捗についてお伺いします。
 重症化、中でも死に至る原因として重症肺炎と血栓によるものが海外の文献から明らかとなっています。しかし、我が国においても同様なのか判明していないことは残念です。我が国においても死因究明を適切に進めることで死に至る重症化の原因を調べる必要があると思いますが、政府の見解を伺います。
 また、感染症法第十五条に定める検体の採取については、お亡くなりになった方のことは想定していません。議員立法死因究明法には解剖を最も有用な手法として定めており、法改正を契機にどのように対応するのか、厚生労働大臣の見解を求めます。
 公明党は、感染症との闘いにおいては多様な治療の選択肢を提供することが重要との観点から、昨年三月九日にレムデシビルの活用を提案し、昨年五月七日に特例承認に至りました。さらに、既存薬を転用して治療法の充実を求め、平時の体制を想定したAMEDによる公募研究ではなく、現下の緊急時には厚生労働科学研究を機動的に実施して幅広く知見を集めるよう求めてまいりましたが、国は、臨床研究をAMEDで実施するというデマケに縛られて積極的に臨床研究を実施できず、その結果、イベルメクチンやアクテムラといった国産の医薬品の効果が外国から報告されていることを残念に思います。
 今回、公明党の度重なる指摘で国の調査及び研究の推進についての法文が盛り込まれましたが、改正後は、緊急時又は感染症については国が積極的に臨床研究も含めて実施する改正と受け止めていいか、厚生労働大臣の見解を伺います。
 国立感染症研究所等に病原体の情報を集約すると定めたことを評価しますが、感染症法や食品衛生法に定められていない、例えば熱帯感染症の蔓延のおそれがある場合、知見が十分な熱帯医学研究所に病原体の情報を集めることが有効な場合もあると思われ、法改正が熱帯医学研究所との連携も含むのか、厚生労働大臣の見解を伺います。
 また、国立医薬品食品衛生研究所が支援して体外診断薬の信頼性を担保しておりますが、法改正が国立医薬品食品衛生研究所の連携を含めているか、厚生労働大臣の見解を伺います。
 国立国際医療研究センターに臨床情報を集約すると定めたことを評価します。その際には、感染症に関する高度な人材と連携して研究の成果を適切に提供し、人材育成と両立させることが重要であります。感染症を担う大学教授の約半数が長崎大学出身であることを考えると、医学に関する大学と連携して臨床情報を整理することは重要と考えられ、法改正はその連携を含むか、厚生労働大臣の見解を伺います。
 さらに、DMATのように感染症の専門家等を組織化して、クラスターが発生した医療機関等の現場に派遣する仕組みを検討するよう求めますが、厚生労働大臣の見解を伺います。
 公明党は、知事会が要望する対策の実効性を高める改正を求めてきました。水際対策を扱う検疫法と国内対策を扱う感染症法の関係について、近年の感染症の流行が公衆衛生の質が高い我が国から起こるよりも海外から流入することによるものであることを考えると、今や水際対策と国内対策の垣根は低く、検疫法と感染症法の考え方を調和させようとした改正には立法事実があります。その上で、特措法上の私権の制限に対する正当な支援をどう定めていくのかについて、総理の答弁を求めます。
 今回の法改正は対策の実効性を高めるためのものであり、最終目標は新型コロナウイルス感染症を終息させることです。公明党は終息へ向けた仕組みづくりに今後とも力を尽くすことをお誓いし、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕

#16
○内閣総理大臣(菅義偉君) 秋野公造議員の御質問にお答えをいたします。
 後方支援病院の活用についてお尋ねがありました。
 患者が回復した後の受皿となる医療機関の確保は、確保病床を最大限有効活用する観点からも大変重要であります。このため、御党からの御提案も踏まえ、こうした患者の転院を受け入れられる医療機関に対し、昨年十二月より入院診療に係る診療報酬の加算を三倍に引き上げるとともに、本年一月二十二日より更なる加算の算定を認めることとしました。引き続き国と地方で緊密に連携をしながら、地域の医療資源を総動員して病床確保に努めてまいります。
 個人防護具の確保と国産化についてお尋ねがありました。
 今般、政府が実施しております医療従事者に必要な個人防護具の確保は、改正法における医療機関等に対する支援に該当します。
 マスク等の個人防護具については、これまで輸入に依存していたものが多く、今回、国内企業への増産要請や補助金による国内生産拠点の整備等を行い、例えば、マスクの国内生産については月一億枚程度から月二億八千万枚程度に増加してきているところであります。引き続き個人防護具の国内生産体制の確保に向けた取組を進めてまいります。
 特措法改正における支援についてお尋ねがありました。
 今回の改正法案では、休業要請などを受けた事業者の経営や国民生活の影響を緩和をするために支援を行うこととしており、こうした規定に基づいて具体的な支援内容が設定されることになります。その際、要請による経営への影響の度合いなどを勘案し、必要な支援となるよう適切に対応してまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣田村憲久君登壇、拍手〕

#17
○国務大臣(田村憲久君) 秋野公造議員にお答え申し上げます。
 情報公開の基準についてお尋ねがありました。
 感染症が発生した場合における情報の公開については、厚生労働省において情報の公表に係る基本方針を取りまとめ、都道府県に対し、これに従った適切な情報公開を行っていただくようお願いしています。
 基本方針については、現在、感染症部会で具体的なケースにおける公表の在り方をQアンドAでお示しすること等について議論を行っており、御指摘も踏まえ、引き続き適切な公表の在り方について検討を行ってまいります。
 宿泊療養や自宅療養の質の確保についてのお尋ねがありました。
 宿泊療養や自宅療養の実施に当たってはその環境整備が重要でありますが、現状では法律に明確な根拠がないまま実施されているため、公明党からの御提言も踏まえ、今般の法改正において感染症法に法的根拠を設けることとしております。
 また、宿泊療養施設等における医療の提供に当たっては、健康観察のための訪問診療、訪問看護を含め緊急包括支援交付金を活用いただくことができ、御指摘の移動CT車の活用に充てることも可能であります。
 法案が成立した際には、宿泊療養等に関する基準を定める省令改正を行うとともに、マニュアル等において先進事例も併せてお示ししていくことを検討しております。引き続き都道府県と連携して健康観察の質の向上に取り組んでまいります。
 医療機関に対する勧告についてお尋ねがありました。
 今般の改正案においては、現行規定にある医療関係者への協力要請の規定は存置しつつ、その対象に民間の検査会社等を加えた上で、正当な理由がなく協力要請に応じなかったときは勧告等ができることといたしております。
 この協力要請等の内容は病床確保に限らないものですが、病床確保について言えば、これまでも、令和二年度の補正予算や予備費を活用した支援パッケージをお示しし、医療関係者の御理解を得ながら取り組んできたところであります。
 まずはこうした協力のお願いを基本として取組を進める方針に変わりはありませんが、急激な感染の拡大に伴い、多くの都道府県で医療提供体制への負荷が更に厳しさを増す中で、臨時の医療施設も活用しつつ、患者の生命、健康を守るために万全を尽くすため、その方策の一つとして規定の見直しを行うものであります。
 感染症法に基づく協力要請、勧告の運用に当たっては、地域の医療関係者の意見を十分に伺いながら進めてまいります。
 医療計画の見直しについてお尋ねがありました。
 今回の新型コロナウイルス感染症への対応においては、感染症以外の一般医療も含め、我が国の医療提供体制に多大な影響が生じており、例えば局所的な病床数不足の発生、感染症対応も含めた医療機関間の役割分担、連携体制の構築等の課題が浮き彫りになったところであります。また、今般の対応において必要となる病床を確保する上で、病棟内での感染防止のためのゾーニングの実施やマンパワーの配置の工夫により、既存の一般病床を活用した患者の受入れ体制の構築が有効であるとの知見が明らかとなりました。
 こうした課題や知見を踏まえ、厚生労働省としては、今後の医療提供体制の在り方について、新興感染症等の感染拡大時に対応可能な医療機関や病床の確保等、医療提供体制に関して必要な対策が機動的に講じられるよう、医療計画の記載事項に新興感染症等の感染拡大における医療を追加するための医療法改正法案を本日閣議決定し、国会に提出することとしております。
 今後とも、都道府県等と緊密に連携しながら、地域の実情に応じた実効的な医療計画の策定が図られるよう、医療提供体制の確保に関する基本方針等の見直し等、必要な対応を進めてまいります。
 新型コロナウイルス感染症の重症化要因の分析についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症対策において、死亡に至った要因に着目することは重要であると考えております。厚生労働科学研究費等により、新型コロナウイルス感染症に関する死因の究明、病態の解明を進め、得られた知見を診療の手引に反映すること等により、適切な医療の提供に努めてまいります。
 感染症の調査及び研究の推進についてお尋ねがありました。
 今般の法改正も踏まえ、新型コロナウイルス感染症を克服し、今後新たに発生する感染症に対応するため、臨床情報、検体等を迅速に収集し、一元的に情報を管理する基盤整備事業を行う等、国として感染症に関する調査及び臨床研究を積極的に推進してまいります。また、調査及び臨床研究を推進していくに当たっては、今般の法改正で盛り込まれた規定に基づき、御指摘いただいた機関との連携も含めて対応してまいります。
 大学との連携や専門家の派遣についてお尋ねがありました。
 国立国際医療研究センターにおいては、御指摘の長崎大学と学術連携協定を締結し、共同で国際保健人材の育成に取り組んでおり、国が調査及び臨床研究を推進するに当たっても、国立国際医療研究センターのみならず、大学等も含め、これらの機関が相互に連携して進めていくことになると考えております。
 また、厚生労働省としては、感染症危機管理に関する専門家の派遣に関し、クラスターが発生した自治体からの要請等に応じて省内の専門チームを派遣することや、人材育成の観点から、国立感染症研究所に実地疫学専門家養成コース、FETPを設けて実地疫学専門家を養成することなどの対応を行っているところであり、引き続き御意見をいただきながら、感染症対策を担う人材の育成確保のために取組を進めてまいります。(拍手)
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#18
○議長(山東昭子君) 高木かおりさん。
   〔高木かおり君登壇、拍手〕

#19
○高木かおり君 日本維新の会の高木かおりです。
 私は、党を代表して、新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律案について、総理、関係大臣に質問いたします。
 冒頭、新型コロナウイルスによりお亡くなりになられた方々に哀悼の意を表しますとともに、闘病中の皆様に心からのお見舞いを申し上げます。
 さらに、日々過酷な医療現場を懸命に支えてくださっています医療従事者の皆様に心から敬意を表します。
 我が党は、一年前に国内でコロナ感染が広がり始めた頃から、感染防止策の実効性を高めるには、都道府県知事の休業要請や医療機関への協力要請に係る権限強化が必要であり、そのためには新型インフルエンザ特措法の改正が必要だと訴えてまいりました。
 それでも動かなかった政府が、現下の第三波の猛威に抗し切れず、ようやく重い腰を上げたのは十二月下旬のことでした。悠長に構えていた政府の危機管理の甘さは、残念ながら厳しく指摘せざるを得ません。
 さはさりながら、本案の国会提出前から衆議院での審議に至る過程で、医療提供体制に向けて知事の権限を強化する感染症法十六条二項の改正など、肝の部分に我が党の主張が反映されたことは評価いたします。
 ただ、本案は急ごしらえで仕上げられたため、幾つかの課題が積み残されています。
 第一に、補償の問題です。
 休業等の要請、指示、命令と経済的補償はセットで行わなければ法律の実効性は担保されません。本案では、事業者に対する支援を必要な措置を効果的に講ずると規定されていますが、その支援がどこまでを想定しているのか、極めて曖昧ではないでしょうか。事業者は、要請、命令により経営に直接的また間接的に影響を受けますが、事業者の業種、規模、形態等は千差万別です。また、特定業種への協力金等、画一的な支援には不公平感が否めません。
 そこで、総理に三点お伺いします。いずれも素通りすることなく、しっかりお答えください。
 政府は、補償という言葉を一貫して忌避し、事業者が要請、命令に応じて損失を被っても、事業活動の内在的な制約を錦の御旗にして、憲法二十九条三項の損失補償の対象とはならないとの立場を押し通しています。内在的な制約の線引きも不透明です。政府が言う内在的な制約とは何なのか、国民に分かりやすく御説明ください。
 また、政府はいわゆる受忍論を取っていると考えますが、これは、公共の福祉を理由に国家が国民に問答無用に一定限度の犠牲を強いるものにほかなりません。補償なき休業要請や医療機関への協力要請、指示が憲法二十九条違反ではないとされる理由をお示しください。
 そして、事業者の損失を公平かつ適切に埋める補償について、政府は、業種や規模等に応じた損失を個々に算定するには時間が掛かり、迅速に処理できないとも主張しています。しかしながら、事後にできるだけ早期に支給するなど柔軟に対応できるはずです。それでも検討される余地はないのでしょうか、総理の明快な御答弁を求めます。
 第二の課題は、知事と国との権限と責任の在り方についてです。
 基本的対処方針の策定や緊急事態宣言の発令等に係る政府と都道府県知事との権限と責任の在り方も不明確なままです。過去二回発出された緊急事態宣言においては、国と知事との役割分担がなされていないため、スムーズに事が運ばなかったという経緯があります。
 総理にお伺いします。
 本来、医療現場など地域の実情を熟知する知事が国と一体となって指針策定の段階からしっかりと参画できる体制を確立すべきではないでしょうか。対策の実効性をより確保するために、それを特措法にしっかり書き込むことが不可欠と考えますが、総理の見解をお示しください。
 第三に、医療体制の最適化についてです。
 我が党は、現今の厳しい状況にある医療提供体制を有事シフトにすることこそ感染症対策の要だと訴えてまいりました。本案では、感染症法の改正により、知事が医療機関に必要な措置を直接要請、指示することに道が開かれています。維新は特措法三十一条の適用を求めてきましたが、政府は、病原性が非常に高い本当の緊急時に使われると説明し、感染症法十六条の改正で落ち着きましたが、いずれにしても不十分です。
 問題は、民間病院による感染者の受入れが大阪府では約一〇%にとどまるなど、全国的に低水準にあることです。十分な保障を担保した上で、中等症、軽症の患者をたとえ一床でも二床でも受け入れてほしいと知事たちは切に願っています。
 総理にお伺いします。
 万全な医療体制をしくためには、知事がコロナ病床の拡充等の要請、指示等により医療機関のマネジメントでリーダーシップを取ることが欠かせません。その実効性を高め、一人でも多くの国民の命を守るためにも、コロナ対応に伴う医療機関の減収補償や金融モラトリアムなどによる経営保障を法で担保すべきだと考えますが、前向きな答弁を求めます。
 また、国が所管する国立大学附属病院、独立行政法人等は、高度な医療技術や様々な情報を有しており、既に重症者を受け入れていただいていると承知しておりますが、他方、入院できずに自宅療養されているハイリスク感染者も少なくなく、その受入れと回復時の転院に配慮した医療体制の最適化を更に推し進めていく必要があります。
 今こそ感染症に対する危機管理を徹底し、感染症に強い国をつくっていかなければなりません。総理の一層のリーダーシップが求められていると考えますが、総理の見解をお聞かせください。
 次に、ワクチン接種に係る問題です。
 まず、費用の問題です。
 自治体には、ワクチン接種の準備段階から、予約業務や配送、保管、会場設営や医師、看護師の確保など多くの費用が発生し、接種後も副反応などの健康相談等の業務は多岐にわたります。計画どおりに接種が進まなければ、その分費用がかさみます。
 政府は、ワクチン接種のための基本的費用について、全額国費の新型コロナウイルスワクチン接種事業負担金を拠出し、市町村が設ける会場での接種に係る運営費等が負担金を超える場合、補助金で補填するとしています。
 総理にお尋ねします。
 自治体にとって、費用負担の問題は財政計画に直結し、ワクチン接種の工程にも影響を及ぼします。財源が確実に担保されなければ前に進めません。国がワクチン接種に係る全費用を賄い、自治体の負担は皆無だと理解していいのでしょうか。それとも、補助金には上限があり、自治体の負担が発生する場合もあるのかどうか、明確にお答えください。
 ワクチンに関する事務負担も自治体の懸念材料です。コロナ禍において、私たちは日本のデジタル化の周回遅れを痛感させられました。
 河野大臣にお伺いします。
 マイナンバーの行政へのフル活用や霞が関の事務負担軽減に取り組む維新としては、ワクチンの接種事務も全国の自治体でマイナンバーを活用し、事務処理の効率化、迅速化を図るべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、コロナ禍は、雇用に深い影を落としています。
 特に、非正規で働く女性や一人親家庭の環境は大変厳しく、雇い止めやシフトの減少が続き、自殺者も増えています。さらに、シフトで勤務する方々の間には、雇用調整助成金など法的に休業手当の制度が保障されていることすら把握されていない方も少なくありません。せっかくある仕組みが使われていないのです。この点についても、政府として周知徹底が求められています。
 そこで、田村厚生労働大臣にお尋ねします。
 再就職支援等を含め、雇用の悪化の改善に向けて政府としてどう取り組むお考えでしょうか、具体的に見解をお示しください。
 最後に、西村担当大臣にお伺いします。
 緊急事態宣言が延長された場合、現在の対策が一定の効果を上げたことを目に見える形で示すことができれば、自粛に応じている事業者や国民にとって明日の希望の光となり、我慢を続ける活力を生み、宣言の効果がより高まると確信していますが、いかがでしょうか。また、新しいライフスタイルとして、黙って食べる黙食が広がりつつあります。これが飲食店等でも徹底できれば、更にコロナ感染の封じ込めが期待できるのではないでしょうか。大臣の見解をお示しください。
 政府には、第三波の収束を待つことなく、第四波、第五波に備え、更なる特措法の改正始め、先手を打ってコロナ対策に取り組むよう強く求めるとともに、日本維新の会も引き続き建設的な提案、協力を行っていくことをお誓い申し上げ、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕

#20
○内閣総理大臣(菅義偉君) 高木かおり議員へお答えをいたします。
 事業者への支援についてお尋ねがありました。
 休業要請などを受けた事業者に対する具体的な支援内容については、改正法の趣旨に基づき設定をされることになりますが、要請による経営への影響の度合いなどを勘案し、必要な支援となるよう適切に対応してまいります。
 また、憲法二十九条三項は、私的財産権に対して、公共の福祉のために要求される制約を内在的制約とし、損失補償の対象とはならないと解しているというふうに承知をしております。
 その上で、特措法による施設の使用制限等に関する措置は、施設の使用自体が感染症の蔓延の原因となることなどから、事業活動の内在的制約であると法制定時に整理されているというふうに承知しています。
 特措法と補償についてお尋ねがありました。
 特措法で感染症の拡大防止を目的として休業等を要請した場合でも、事業活動に内在する制約であることから、憲法第二十九条第三項の損失補償の対象とはならないと解釈をされております。その上で、そうした基本的な考え方は今回の改正によっても変わるものではないと考えます。
 業種や規模に応じた支援についてお尋ねがありました。
 今回の改正法案では、休業要請などを受けた事業者の経営や国民生活への影響を緩和するため支援を行うこととしており、こうした規定に基づいて具体的な支援内容が設定されることとなります。その際、要請による経営への影響の度合いなどを勘案し、必要な支援となるよう適切に対応してまいります。
 国と都道府県知事との役割分担についてお尋ねがありました。
 特措法では、国が基本的な対処方針で大きな方針を示し、各知事は地域の実情に応じて措置を判断するとされております。その上で、知事と意思疎通を図りながら方針の策定を進めるために、基本的対処方針の策定等を諮る諮問委員会に知事会からの御出席をいただいているほか、関係知事との間で必要な連絡を取り、意向を確認しております。今後とも、各都道府県知事としっかりと連携をして対策を進めてまいります。
 医療機関の経営保障についてお尋ねがありました。
 医療機関に対しては、これまでも三・二兆円の支援を行うとともに、三次補正で一・四兆円の追加支援を行っています。また、診療報酬についても大幅な引上げを行ってきています。
 御指摘のように、一般的に医療機関の減収補償を法律に規定することについては、減収の要因も様々であり、適当ではないと考えておりますが、他方で、個々の事情に着目をし、新型コロナ患者を受け入れる医療機関がそのことによって損失を被ることがないように国として支援をしてまいります。
 感染症に対する危機管理体制についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、医療提供体制の整備を含め、平時より、感染症の危機管理体制を構築していくことが重要であると考えています。今般の新型コロナ感染症対策に対しても、私を本部長として、全閣僚をメンバーとする対策本部において、専門家からの助言も得ながら、政府一丸となって対応に当たっているところであります。今後とも、不断の見直しを進め、感染症を含めた危機管理能力を一層高めてまいります。
 ワクチン接種の費用についてお尋ねがありました。
 自治体におけるワクチン接種に対する補助金については、昨日、各自治体に対し、その上限額をほぼ倍増する旨をお示しをしたところであります。引き続き国として接種の費用を全額負担し、全力で支援をしてまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣西村康稔君登壇、拍手〕

#21
○国務大臣(西村康稔君) 高木かおり議員の御質問にお答え申し上げます。
 緊急事態宣言の効果に関する情報発信についてお尋ねがございました。
 緊急事態宣言の下、飲食店の営業時間短縮、不要不急の外出自粛、テレワーク七割の推進等の取組など、国民の皆様の御協力もあり、新規陽性者数は減少傾向になり、専門家からも一定程度の感染者の減少の効果があったと評価されております。これまでも、私自身、記者会見で、新規陽性者数の動向を含めた感染状況や鉄道利用者数などの人流の状況などモニターを用いながら説明し、一定程度の効果があった旨と、しかしながら、病床がなお逼迫していることから、引き続き取組を徹底していく必要がある旨を説明してきております。
 これまで国会においても丁寧に説明するよう努めてまいりましたが、感染拡大を長引かせないためにも、国民の皆様に御協力をいただき、国、都道府県、事業者、国民の皆様一体となって取り組むことが重要です。今後とも、会見でデータを示したり、SNSでの発信などしながら、国民の皆様に共感を持っていただけるようなメッセージを発信できるよう努めてまいります。
 黙食についてお尋ねがありました。
 マスクを取る飲食の場面は感染リスクが高いということが累次の分科会の提言でも示されております。今回の緊急事態宣言においては、飲食の場面が感染の起点となっていることを踏まえ、飲食店の営業時間短縮に加え、昼間も含めた、また県をまたぐものも含めた不要不急の外出自粛要請、出勤者の七割削減を目指したテレワークの推進など、飲食につながる人の流れを減らす対策を講じてきています。
 昼間の飲食であれば大丈夫ということではなく、また、仲間で集まってのいわゆる宅飲み、十九時までの飲酒、二十時までの会食であればリスクがないというわけではありません。会食での食事会、パーティーなどでのクラスターも多数報告されており、成人式後の飲食でのクラスターも幾つも確認されております。
 その上で、エッセンシャルワーカーの方々など、外出をしなければならない方や、テークアウトやデリバリーを使えない場合など、外で外食をしなければならない場面もあるかと思いますが、その際は、食べるとき以外はマスクを着用する、黙って食事をするなど慎重な行動、感染予防策の徹底をお願いしたいと思います。
 私としては、丁寧に情報発信に努め、皆様に御理解をいただき、お一人お一人の御協力をいただきながら感染拡大を抑えていければと考えております。(拍手)
   〔国務大臣河野太郎君登壇、拍手〕

#22
○国務大臣(河野太郎君) ワクチンの接種事務におけるマイナンバーの活用についてお尋ねがありました。
 マイナンバーについては、行政手続を効率化し、国民の利便性を向上させるものです。ワクチンの接種については、効率的かつ迅速に実施することが重要です。厚生労働省や自治体においては、円滑なワクチン接種に向けてシステム開発などの取組を進めていると承知しており、速やかに準備が行われることを期待しております。これに加えて、接種状況などを自治体において逐次把握するシステムを構築することを検討しており、既に厚生労働省や自治体で取り組んでいるシステム開発に影響を与えない形でシステムを構築するよう、早急に検討してまいります。(拍手)
   〔国務大臣田村憲久君登壇、拍手〕

#23
○国務大臣(田村憲久君) 高木かおり議員にお答えいたします。
 雇用対策についてお尋ねがありました。
 コロナ禍において、しっかりと暮らしと雇用を守っていくことが重要であります。
 事業主の雇用維持の支援としては、これまで雇用調整助成金の特例等を講じてきましたが、さらに、令和二年度第三次補正予算及び令和三年度当初予算案において必要な財源を計上するとともに、今般の緊急事態宣言に伴い、雇用調整助成金について、基本的対処方針に沿った知事の要請を受けて営業時間の短縮に協力する飲食店等に加え、特に業況が厳しい大企業についても、助成率を中小企業と同水準の最大十分の十に引き上げることとしました。
 また、再就職支援については、子育て中の女性等のニーズに合った積極的な求人開拓等に取り組む等、求職者の方の置かれている状況に応じたきめ細かな就労支援に取り組んでまいります。
 さらに、感染症の影響による離職者をトライアル雇用する事業主への賃金助成制度を創設する等、これまで就労経験のない新たな分野への移動を望まれる方の早期再就職を支援しております。
 こうした支援が必要な方々にしっかりと行き届くよう周知を徹底するとともに、一日も早く感染を収束させ、国民の皆様が安心して暮らせる日常を取り戻してまいります。(拍手)
    ─────────────

#24
○議長(山東昭子君) 矢田わか子さん。
   〔矢田わか子君登壇、拍手〕

#25
○矢田わか子君 国民民主党・新緑風会の矢田わか子です。
 会派を代表し、新型インフルエンザ等対策特措法等の一部を改正する法律案について質疑をいたします。
 まず、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた皆様の御冥福を心よりお祈り申し上げます。さらに、現在も療養中の皆様の一日も早い御回復をお祈りいたします。
 また、この瞬間も命と向き合っていただいている医療現場の皆様、保健所関係者の皆様、心から感謝を申し上げます。
 政府は、一年にわたり感染症対策を講じてきましたが、今なお多くの方々がコロナ感染の不安におびえ、また経営難に陥り、日々の生活も苦しい状況にある、この状況を私たちは受け止めなければならないと思います。
 今回の法改正が、真にこの状況を打破し、感染症拡大を食い止め、日常を取り戻すことができる、そのことによって皆様の不安に寄り添うことができるのか、そんな思いを込めて質疑をいたします。
 まず、これまでのコロナ対策について三点伺います。
 政府は、昨年八月の新型コロナウイルス感染症対策本部において、冬場の感染拡大に備え、医療供給体制や検査体制を拡充する今後の取組方針を決定しています。この方針を着実に実行していれば、現在のような深刻な状況は回避できたはずです。
 これは、政府が本来の役割を果たし切れていないということであり、私たちは今この現状を猛省しなければなりません。この国のリーダーである菅総理の御見解を求めます。
 次に、雇用対策について伺います。
 コロナによる失業者は政府統計で八万人を超え、雇用への影響は甚大です。ある民間調査によると、パートなどで仕事が半分以下、又は休業手当などの出ていない方は女性だけで九十万人を超えています。非正規や女性の労働者を中心に深刻な影響が出ています。
 そこで、提案します。
 今後、ワクチン接種の開始などに伴い、保健所業務など、更に人手不足が予測されます。また、生活難の方々への公的な相談窓口の強化も必要です。このような公的部門で積極的に失業者を採用していくというのも一つの有効な雇用対策になると考えます。これまでの雇用対策の評価、総括とともに、厚労大臣の見解を求めます。
 三点目に、補償措置の制度の継続について伺います。
 昨年、政府は、感染症により経済的な影響を受ける国民、事業者に対して様々な補償措置を設けましたが、そのほとんどは一度きりの支援、対象期間の期限も迫っています。
 例えば、休業支援金・給付金、小学校休業等対応助成金、妊婦の休業補償などの制度は四月以降も継続する必要があります。また、これらの助成金は利用率が極めて低いことを踏まえ、周知徹底とともに、個人申請化を進めるなど、利用時に障害となっている手続的な問題の改善が必要です。さらに、雇用調整助成金の特例措置も含め、大幅な延長が必要であり、これらの制度改善と支援の延長について、厚労大臣、見解を求めます。
 次に、特措法改正案について四点伺います。
 まず、新設されるまん延防止等重点措置です。
 この措置は、国民の行動や経済活動に関わる私権の制限が行われるという点においては緊急事態宣言下と何ら変わらないにもかかわらず、国会への報告義務や国として専門家の意見を聞くという科学的客観性を担保するプロセスがありません。また、この措置の発令要件は政令で定められることとなっていますが、現在、何ら明らかになっていません。このような重要な法改正をする場合、予定する政令の内容も同時に明確にすべきです。
 私権制限に関わる重要な政策の遂行に関しては、議会における民主的な統制が不可欠であり、時の政権の裁量により過度な権限行使が行われる懸念もあります。国として、この新たな予防的措置がなぜ必要となるのか、その理由とともに、今指摘した懸念について、西村大臣、見解を求めます。
 二点目に、病床確保のための施策について伺います。
 現在、感染が判明した多くの方が、入院先や宿泊療養先が見付からず、自宅待機状態になっており、東京都だけでもその人数は約四千二百人にも上ります。昨年十二月から今年一月までの二か月間で、自宅で亡くなられた感染者は二十九名、このうち調整中の方が十名もおられました。まさに、医療供給体制の整備、加えて療養先の調整業務や自宅療養者のフォロー業務を担う保健所の体制強化は喫緊の課題です。
 政府は、昨年末、感染患者の病床を増設する場合、補助金を増額することを決めましたが、実際には、人材確保やICU整備などの課題もあり、民間の医療機関や大学病院で感染患者の受入れが進むのかは非常に不透明です。
 現行の特措法第三十一条三項は、「医療関係者に対し、患者等に対する医療等を行うべきことを指示することができる。」と規定していますが、実際に指示されたことは一度もなく、この条文で指示ができないのであれば、まずは逼迫する病床確保に関し実効性ある法改正を行うべきです。厚労大臣と西村大臣の見解を求めます。
 三点目に、営業制限と補償について伺います。
 国民民主党は、店舗、事業の休業や操業時間の短縮など国民への協力を求める場合は、万全な補償をセットで盛り込むべきと考えを主張してきました。
 今回の改正案では、営業時間短縮などの要請、命令に従わない場合の罰則が明文化されましたが、罰則を設けるからには、営業時間によって損失する利益に対し、十分な補償措置をとるべきです。
 条文上、罰則規定は明確ですが、補償については、「必要な財政上の措置その他の必要な措置を効果的に講ずるものとする。」と、極めて抽象的な記述になっており、これでは全くバランスが取れていません。
 補償に関しては、事業者が倒産することなく、事業の継続と従業員の雇用を守れる補償水準の確保が必要です。財政上の措置の基準を明確にし、国と地方公共団体がこの点に責任を持つことを国民の前に示す必要があると考えます。総理大臣の見解を求めます。
 四点目として、一律の協力金について伺います。
 現在、緊急事態宣言下にある都府県では、飲食業で時短要請に応じた事業者に一律一日最大六万円の協力金が支給されています。しかし、この措置は飲食業に限定され、納入業者などの関連業者、一部協力金出されますが、その他の業種には何らの補償もありません。
 苦しいのは飲食店だけではありません。売上げの落ち込みはありとあらゆる業種に及んでおり、営業時間の短縮に応じている他業種店舗からは不満の声も出ています。
 さらに、飲食店でも、事業規模によって掛かる経費は当然異なり、一律の協力金のみでは損失補填に至らず、経営危機に直面する店舗が出ています。東京商工リサーチが去年十二月に実施した調査では、このままの感染状況が続けば飲食店の三二%が廃業を検討という結果が出ています。
 昨年の持続化給付金の申請手続では、確定申告書や売上台帳の提出が必要でした。これに加え従業員名簿があれば、それぞれの事業規模を把握することができ、段階的な協力金を支給できるはずです。罰則の前に、事業規模に応じた協力金の支給は必須要件だと思います。総理の見解を求めます。
 次に、感染症法改正について伺います。
 まず罰則に関して、改正案では、感染者がホテル等における宿泊療養の要請に応じない場合、都道府県知事は入院勧告し、この要請に応じない場合、罰則が科せられます。
 罰則は行政罰に修正されましたが、宿泊療養や入院勧告に応じないことも様々な理由があるはずであり、行政罰といえども、悪質なケースに絞るなど慎重に運用すべきです。また、行政罰を科すことになると、過料の徴収のために、役所、保健所にも更に負担が増えます。厚労大臣に見解を求めます。
 二つ目は、宿泊療養における療養者の安心を確保するための管理体制の問題です。
 ホテルの療養等に対する便益を高め、管理体制を強化することによって、感染者による協力へのインセンティブを高めることができます。例えば、療養者にはスマートフォンとデータ連携できるパルスオキシメーターを配布し、クラウド等を利用して医師、看護師、保健師が一括管理すれば、管理する側の作業削減にもつながり、療養者側も容体の急変時にも即座に対応が可能となります。厚労大臣の見解を求めます。
 以上、九項目について質問いたしました。今回の法案における不明点、疑問点は多岐にわたっておりますが、国民の皆さんにとっても疑問や不安が残らぬよう、政府として説明責任を果たされることを要望し、代表質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕

#26
○内閣総理大臣(菅義偉君) 矢田わか子議員にお答えをいたします。
 八月に決定した今後の取組方針についてのお尋ねがありました。
 政府としては、これに基づいて、感染症法における運用の見直しや季節性インフルエンザ流行期に対応した抗原検査キットの大幅な拡充、かかりつけ医等に相談、受診できる体制整備、保健師などの応援派遣スキームの構築など、着実に対策を講じてきたところであり、御指摘は当たらないものと考えております。
 引き続き、一日も早い感染収束に向けて、感染対策に全力を尽くしてまいります。
 財政上の措置についてお尋ねがありました。
 改正法案では、休業要請などを受けた事業者の経営や国民生活への影響を緩和するため支援を行うこととしています。具体的な支援内容については改正法の趣旨に基づき決められることになりますが、要請による経営への影響の度合いなどを勘案し、事業を継続をし、雇用を守るために必要な支援となるよう適切に対応してまいります。
 事業者への支援についてお尋ねがありました。
 今回の緊急事態宣言では、飲食店を始め大きな影響のある事業者に支援を行うこととしていますが、その他の事業者に対しても資金繰りの支援や雇用調整助成金の特例措置による人件費の支援を行っており、これらの措置によって事業や雇用を支えてまいります。
 また、時短営業に協力する飲食店への一日六万円の支援金は、迅速な支援を行うため、多くの地域において店舗ごとには一律としておりますが、店舗数に応じた支援金としております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣西村康稔君登壇、拍手〕

#27
○国務大臣(西村康稔君) 矢田わか子議員の御質問にお答え申し上げます。
 まん延防止等重点措置についてお尋ねがありました。
 昨年四月の緊急事態宣言発出が国民生活に大きな影響を及ぼした経験、また、昨年夏に大阪、愛知などで感染が拡大する中、地域や業種を絞って営業時間短縮等を行うことにより感染拡大を抑え込むことができた経験、さらに、十一月末以降、東京都などにおいて二十二時以降の営業時間短縮の要請がなされましたが、知事の要請を遵守しない店舗も多く、感染が拡大した経験、こうしたことを踏まえ、感染が拡大してきている場合に機動的な対策を講じることを可能とするために、最前線で対応に当たってこられた知事会からの御提言も踏まえ、今般、まん延防止等重点措置を創設することといたしました。
 まん延防止等重点措置を公示する際に満たすべき要件については政令で定めることとしておりますが、例えば、新規陽性者数等の発生の状況を踏まえ、ある地域において感染が拡大しており、都道府県内に更に拡大するおそれがあること、それに伴い医療の提供に支障が生ずるおそれがあると認められることといった内容を規定することを想定しております。
 実際に、まん延防止等重点措置を公示する際は、あらかじめ学識経験者の意見を聞いた上で行うこととなっており、国会へその旨及び必要な事項については速やかに報告することといたします。まん延防止等重点措置の公示期間の延長、区域変更又は解除についても同様に対応してまいります。
 病床の確保に関する改正内容についてお尋ねがありました。
 医療関係者に対する要請、指示については、後ほど田村大臣から答弁があると思います。感染症法の改正案で、協力要請の実効性を高めるための措置が講じられているものと承知をしております。
 加えて、特措法の改正案において、臨時の医療施設について、従来は緊急事態宣言が発出されていなければ開設できなかったところ、より早期に、政府対策本部が設置されたときから開設できることとしております。
 いずれにしても、病床をしっかり確保することは国民の皆様の命を守るために何よりも重要であり、これまで補正予算、予備費を活用し、病床の確保に努めてきたところでありますが、今般の改正案により対策の実効性を高め、引き続き都道府県と連携して全力を挙げて取り組んでまいります。(拍手)
   〔国務大臣田村憲久君登壇、拍手〕

#28
○国務大臣(田村憲久君) 矢田わか子議員にお答え申し上げます。
 これまでの雇用対策と保健所などの公的部門における失業者の採用についてお尋ねがありました。
 コロナ禍においても、我が国の完全失業率は直近で二・九%と、主要国の中で最も低い水準で推移しておりますが、国民の皆さんの雇用と暮らしを守っていくため、政府を挙げて取組を進めてまいります。
 これまでも、事業主の方々の雇用維持の努力を最大限に支援するため、雇用調整助成金について前例のない特例措置を講ずるとともに、新たに休業支援金を創設し、中小企業の労働者を早期に支援してきました。
 また、非正規雇用労働者等に対する相談支援のためのハローワークの体制の強化や、雇用保険を受給できない求職者のセーフティーネットを強化するための求職者支援訓練の受講対象人数枠の拡大などにより、求職者の方の置かれている状況に応じたきめ細かな就労支援にも取り組んでいます。
 今般の第三次補正予算や令和三年度当初予算案においても、国民の皆さんの雇用と暮らしを守っていくために必要な施策を盛り込んでおり、こうした支援が必要な方々に行き届くようしっかりと対応してまいります。
 なお、ワクチン接種の体制整備については、まずは市町村において必要な人員を確保し、一日でも早く希望する住民への接種ができるよう進めていただきますが、その際、非常勤職員等に係る雇用対策を併せて行う自治体には、そうしたことを含め、国として支援をしてまいります。
 休業支援金・給付金や小学校休業等対応助成金等の制度の継続等についてお尋ねがありました。
 雇用調整助成金の特例措置及び休業支援金・給付金については、緊急事態宣言が全国で解除された月の翌月末まで現行措置を延長することとしております。
 学校休業等の対応については、来年度予算案では、特別な有給休暇制度とテレワーク等の継続勤務ができる両立支援制度を整備し、この特別な有給休暇を取得させた事業主に対する支援を盛り込んでいます。
 母性健康管理助成金については、休業が必要な妊娠中の女性労働者に関して、新たな有給休暇制度を導入する事業主や、二十日以上の有給の休暇を取得させた事業主への支援を行うこととしております。また、現在の支援制度が必要な方に行き届くよう、休業支援金については、制度の対象者を分かりやすくお示しした上で、大学や生活困窮者の相談支援機関などを通じた丁寧な周知を行ってまいります。
 小学校休業等対応助成金、母性健康管理助成金については、様々な機会を通じて周知に努めるとともに、労働者から相談があった場合には、労働者の意向を踏まえ、事業主への積極的な働きかけを行ってまいります。
 病床の確保に関する改正内容についてお尋ねがありました。
 御指摘の特措法第三十一条に基づく医療関係者に対する要請、指示は、病原性が非常に高い場合など極めて緊急性の高い状況が想定されているため、現時点では、まずは感染症法第十六条の二など、その他の規定を活用しつつ協力要請を行っていただきたいと考えております。
 その上で、昨年末から年明けにかけての急激な感染の拡大に伴い、多くの都道府県で医療提供体制への負荷が更に厳しさを増している中で、今般の改正案では、感染症法第十六条の二の規定を見直し、現行規定にある医療機関への協力要請を存置し、まずはこれを基本としつつ、正当な理由なく協力要請に応じられなかったときに勧告、さらに正当な理由がなく勧告に従わなかったときは公表できるようにすることとしております。
 いずれにいたしましても、病床の確保に当たっては、地域の医療関係者の意見を十分に伺いながら、必要な協力をお願いしてまいります。
 入院措置に関する罰則についてのお尋ねがありました。
 今般の改正案では、入院措置について、正当な理由がなく入院措置に応じていただけない場合や、入院先から逃げた場合に罰則の対象となることとしていますが、まずは御本人の人権に配慮した適切な対応が図られる必要があると考えております。
 その上で、罰則の運用については、基本的な考え方としては、患者等の個人の権利利益と感染症の予防、蔓延防止という公共の利益を考慮して、都道府県等において判断して実施されるものと考えております。
 いずれにしても、この法律案が成立した場合には、実際の運用に当たって保健所等の現場において円滑な運用がなされるよう、国としても基本的な考え方や具体例をお示しするなど必要な対応を行ってまいります。
 宿泊療養の管理体制についてお尋ねがありました。
 宿泊先で療養される患者の方々については、症状に変化があった場合に速やかにこれを把握し、医療機関等につなぐことが重要であります。
 このため、保健所で定期的に健康観察を行い、症状が変化した場合等に備え、患者からの連絡や相談体制を構築しております。その際、都道府県が緊急包括支援交付金を活用して、症状の変化を速やかに把握できるよう、パルスオキシメーターを購入すること、訪問診療やオンライン診療等の新型コロナウイルス感染症に係る医療費を支援すること等が可能となっております。
 また、保健所の負担軽減という観点から、健康観察についても、交付金を活用し、国の負担で医師会等に委託可能であり、先般、パルスオキシメーターの活用と併せて改めて検討いただくよう自治体にお願いしたところであります。
 引き続き、先進事例も含め、こうした手段も活用しつつ宿泊療養者の健康確保のための体制をしっかりと構築してまいります。(拍手)
    ─────────────

#29
○議長(山東昭子君) 田村智子さん。
   〔田村智子君登壇、拍手〕

#30
○田村智子君 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりました新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律案について、菅総理に質問いたします。
 本法案の最大の問題は、新型コロナの感染抑制のためと称して、感染症法に患者への罰則、特措法に事業者への罰則を創設することです。自宅で何の治療も受けられないままに亡くなる方がおられる下で患者への罰則を議論するのか、客席を減らし、営業時間を削り、様々な感染対策を講じ、懸命に努力している事業者を罰則で脅すのかと、怒りを禁じ得ません。
 その上、自民党松本純国対委員長代理が深夜、銀座のクラブを訪問していたことが先週明らかとなり、田野瀬副大臣と大塚衆院議運理事が昨日になって同席を認めた。一週間も事実を隠していたのです。自民党の自浄作用はどうなっているのですか。総理、国民の前で事実を明らかにし、謝罪すべきではありませんか。
 法案について質問します。
 菅総理は、昨年末、罰則と給付金はセットで必要ではないか、次期国会に提出して成立させたいと表明しました。年明け早々の一月五日、各政党からあらかじめ意見を聞いて法案をまとめるとの説明で、新型コロナ対策政府・与野党連絡協議会が行われ、八日、十三日と回を重ねました。
 その場で私は、罰則が必要だという根拠、保健所が対応できるのか、患者への刑事罰は差別と偏見を助長するなど罰則に反対の意見を述べ、他の野党からも反対と懸念が繰り返し示されました。
 こうした議論が報道される下、一月十四日、日本医学会連合が入院拒否などに対する罰則を厳しく批判する緊急声明、日本公衆衛生学会と日本疫学会も連名で同様の声明を発表。翌十五日には、厚生科学審議会感染症部会で罰則への反対、懸念の意見が多数出されていたことも、議事録の公表によって分かりました。
 ところが、一月二十二日、国会提出された法案は、これらの意見を全く顧みないものでした。野党の意見を聞いてといいながら聞き流したのでしょうか。各学会、そして感染症部会での意見はいつ、どこで、どのように検討されたのでしょうか。多数の批判、懸念がありながら患者への刑事罰さえ必要だと判断した、それだけ重大な立法事実とは何だったのですか。これらは、菅政権の新型コロナ対応の基本姿勢にも関わる問題です。総理の明確な答弁を求めます。
 衆議院本会議で菅総理は、罰則の創設について感染症対策の実効性を高めるためと答弁していますが、どのように実効性を高めることになるのか、具体に説明いただきたい。罰則の周知、要請に従わない者を実際に罰することで国民に恐怖心を持たせることが感染症対策の実効性なのでしょうか。併せて答弁を求めます。
 罰則の周知もその運用も、直接担うのは保健所ではありませんか。時短営業の要請に応じていない事業者があった場合、どのような手続によって罰則を科すのでしょうか。また、正当な理由なく入院や積極的疫学調査を拒否したという場合、正当な理由の判断は誰がどのように行うのでしょうか。この場合も患者に罰則を科す手続について説明を求めます。
 昨年の新型コロナウイルスの感染拡大によって、まず体制が逼迫したのは保健所でした。今も、入院の優先順位の判断など、命の懸かった業務に休日もなく懸命に対応されています。その上、罰則への対応を求めることは、感染症対策の実効を高めるどころか、まさに逆行、足を引っ張るものではありませんか。
 全国保健所長会が一月二十七日、厚生労働省に提出した感染症法改正案への意見では、個々の保健所からの様々な意見や懸念を承っているとして、対応困難な患者に対する罰則規定を求めないという意見を紹介しています。この意見書は大変抑制的な書きぶりですが、患者の個々の事情に丁寧な対応を行ってきたこと、必要なのは保健所の人的体制であること、住民の立場であらゆる人の命と健康を守る使命を持続可能としてほしいなどの訴えが伝わるものです。
 これまで保健所がどのような困難事例にどう対応してきたのかを政府として把握し、分析していますか。また、保健所の抜本的な人員増こそ患者の理解と協力を得る実効性ある施策ではありませんか。
 感染症対策の実効性は、恐怖心を持たせる施策ではなく、国民が安心できる施策を網の目のように広げていくことです。
 自営業の方が、仕事を休むと収入が減るため入院を拒否したという事例があります。新型コロナ感染者は仕事を休んだときに公的医療保険の傷病手当の対象となりますが、給与所得ではない自営業者やフリーランスは対象外です。この場合、所得保障の制度はありますか。
 また、濃厚接触で自宅待機の場合、傷病手当の対象となりますか。時給や日給で働いている濃厚接触者は二週間無給状態となりますが、どのような支援策があるのか、お答えください。
 無症状、軽症、濃厚接触で自宅待機となった場合、十日から二週間、一歩も外出しないための生活必需品の支援は現状でどれだけの自治体が行っていますか。今回の特措法改定でも、食料などの生活物資の支給は自治体の努力義務のままです。支給しない自治体があってもよいということでしょうか。
 非正規雇用の労働者が新型コロナに感染したことを店長に連絡したら、もう来なくてよいと解雇を宣告されたという事例があります。感染や濃厚接触で仕事を休むと解雇する、これは違法ではありませんか。必ず是正指導すると約束いただけますか。
 これらは氷山の一角です。不安定で弱い立場で働く方の中には、様々な不利益や差別、社会的制裁を恐れて、症状があっても検査を受けないということが現に生じています。その上、罰則で脅せば、更に追い詰められ、隠れた感染を広げかねないのではありませんか。必要なのは、感染しても、濃厚接触となっても、全ての人の生活を守るという支援策ではありませんか。
 以上、総理の答弁を求めます。
 本法案では、民間医療機関が厚労大臣及び都道府県知事による感染症患者受入れの要請に応じない場合に、受入れの勧告、勧告に応じない場合の公表という、医療機関への社会的制裁も行おうとしています。新型コロナ患者が入院できないのは民間病院の責任だというのでしょうか。民間医療機関の九割が二百床未満、人員配置上もぎりぎりの運営をしており、多くの中小医療機関は新型コロナ患者受入れは困難というのが実態ではありませんか。
 条件のある医療機関は既に新型コロナ患者を受け入れており、それ以外も看護職員の派遣、他の疾病患者の引受け、発熱外来など、新型コロナ対応に貢献し、地域医療を守る役割を果たしています。政府はこのような地域の医療機関をどう評価しているのでしょうか。
 そもそも、社会保障抑制のためとして、地域医療構想などで高度急性期や急性期の病床を減らし、医療機関が要望する人員配置基準の引上げに背を向けてきた、これら長年の政策こそが新型コロナ患者を受け入れる余力を医療現場から失わせてきた、その認識と反省はあるのでしょうか。
 最後に、まん延防止等重点措置についてお聞きします。
 要件は全て政令に委ねられ、国会の関与もなく、政府と知事の判断により、罰則付きで事業者への要請及び命令を行うことになります。今回の緊急事態宣言でさえ協力金は限定的、しかも、持続化給付金、家賃支援給付金を打ち切るということを見ても、これは、事業継続への補償もなく、罰則によって事業者を要請に従わせるというものではありませんか。
 長期にわたるコロナ禍で国民の中に不安が沈殿している下で、罰則と社会的制裁によって不安をあおり、国民を分断させるなどあってはなりません。苦難に応える、誰も取り残さないと政府が宣言し、協力と連帯を築かなくてどうするのか、このことを厳しく指摘し、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕

#31
○内閣総理大臣(菅義偉君) 田村智子議員にお答えをいたします。
 自民党に所属していた議員の行動等についてお尋ねがありました。
 昨日、田野瀬太道文部科学副大臣を更迭いたしました。また、自民党においては、松本純議員、大塚高司議員、田野瀬議員に離党勧告を行い、この三名は離党しました。さらに、この三名は会見を行い、謝罪したものと承知しております。
 国民の皆さんに御苦労をお掛けしている中で、政治家は率先して範を示すべきところ、こうした行動はあってはならないことであると思います。私からも国民の皆さんに心からおわびを申し上げますとともに、いま一度身を引き締め、新型コロナ対策に全力を尽くしてまいりたいと思います。
 法改正における立法事実についてお尋ねがありました。
 感染症法等の改正については、入院や積極的疫学調査に応じていただけない事例があり、罰則を設けることについて、その実施主体である全国知事会からも提言があったものと承知をしています。また、一月十五日の感染部会では、最終的にはおおむね了承が得られたと聞いております。
 また、今般の法案については、先般の与野党の協議を得て、罰則を過料にするなどの修正が衆議院で行われたものであります。
 政府としては、引き続き国会における御審議の結果をしっかりと踏まえ対応してまいります。
 感染症法における罰則についてお尋ねがありました。
 今回の改正案では、患者の人権にも十分配慮しつつ、まずは御本人の御理解を得ながら、入院患者を行うことを基本とするものであります、入院措置を行うことを基本とするものであります。
 その上で、どうしても応じていただけない場合には、必要に応じて罰則を適用することで感染症の蔓延を防止するという感染対策の実効性を高めることができるものと考えています。その際、法律の運用に際しては、人権に配慮した適切な対応に努めてまいります。
 今般の法改正に関する罰則の適用についてお尋ねがありました。
 今回の改正法案により創設される行政罰の適用については、まず都道府県において判断され、最終的には、裁判により過料を科すかどうかについて決定されることになると考えます。
 このため、実際の運用に当たっては、保健所などの現場において円滑な運用がなされるよう、国としても基本的な考え方や具体例をお示しするなど、必要な支援を行ってまいります。
 保健所の困難事例への対応と人員増についてお尋ねがありました。
 全国の保健所では、御指摘の困難事例を含め、現場の様々な課題に対し、職員の方々のきめ細かな御尽力により対処いただいているものと承知しております。
 このため、今回の改正法案では、保健所が講じる感染防止の措置に関する理解を得やすくする観点から、自宅療養及び宿泊療養を法律上明確に意味付ける旨の改正を行います。
 あわせて、保健師等の広域的な応援体制を約千二百名から三千名に増員するとともに、感染症対応業務に従事する保健師を来年度から二年間で約九百名増員することとしており、保健所の取組を強力に支援してまいります。
 自営業者等の保障についてお尋ねがありました。
 新型コロナ患者が治療に専念できるよう、その入院や宿泊療養費、自宅療養の際に必要な治療費については、全額公費により負担をしております。
 また、自営業者やフリーランス等の方については、傷病手当の対象とはなりませんが、就業することができないことに伴って一時的に生活資金が不足する場合や生活に困窮される場合には、緊急小口資金等の特例貸付けや住居確保給付金の支給など、重層的なセーフティーネットにより支援を行っているところであります。
 自宅療養者に対する生活支援についてお尋ねがありました。
 生活必需品の支援を行っている自治体を網羅的に把握はしておりませんが、自宅療養に当たっては、外出する機会をなくすため、必要な方には食事の提供を確実に行うことを都道府県にお示ししており、その費用は、交付金として全額国費で支援をしております。引き続き自宅療養者への生活支援について適切に実施してまいります。
 雇い止めの問題や検査を受けやすい支援策についてお尋ねがありました。
 感染や濃厚接触により休業し、そのことで雇い止めになることは問題であり、そのような事案を把握した場合には、適切に指導などを行っています。
 また、検査については、感染拡大防止の観点からも、受けやすい環境づくりを進めることが重要であると考えております。
 このため、新型コロナの行政検査については実質的に全額国の負担で行うとともに、今回の改正法案の趣旨を踏まえ、感染者や濃厚接触者となった場合に、その人権が尊重され、不当に差別がされることがないよう、国と地方自治体で啓発活動を行ってまいります。
 民間病院でのコロナ患者の受入れ等についてお尋ねがありました。
 地域の医療提供体制については、地域の実情に応じて様々な患者に対して必要な医療をどのように提供していくべきか、地域で役割分担を協議し、地域全体として面で支えていくべきものと考えております。
 そうした中、対応規模の小さい民間医療機関でも患者の受入れを行っていただいているケースもあり、国としても、体制確保に係る必要な支援を行ってきました。引き続き必要な方が必要な医療を受けられるよう病床確保に努めてまいります。
 他の疾病患者の引受け等による新型コロナ対応に貢献している医療機関への評価についてお尋ねがありました。
 地域の中の役割分担により、コロナ患者だけでなく様々な患者に対して必要な医療が提供されることが重要であると考えております。
 このため、これまでも、感染症対策を徹底しつつこうした地域医療を継続いただくために、コロナ対応を行っていない医療機関への支援も含めて三・二兆円の支援を行っているほか、過去に例のない最大減収十二か月分を上限とする無利子、無担保等の危機対応融資も実施してきました。引き続き地域の医療機関の状況を踏まえ必要な支援をちゅうちょなく実施をしてまいります。
 地域医療構想等についてお尋ねがありました。
 地域の医療提供体制は、それぞれの医療ニーズに合わせ、効率的で質の高い体制の確保を目指して取り組む必要があります。こうした考えの下に、地域の医療提供体制については、感染症対策という観点も踏まえ、地方自治体とも連携をしながら検討を進めてまいります。
 まん延防止等重点措置の実施と支援についてお尋ねがありました。
 措置の公示については、あらかじめ学識経験者の意見を聞いた上で行うこととし、国会へ速やかに報告することになっています。
 また、罰則とセットで規定される支援については、改正法の趣旨に基づき具体的内容が決められることとなりますが、要請による経営への影響の度合いなども勘案し、必要な支援となるよう適切に対応してまいります。(拍手)

#32
○議長(山東昭子君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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