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2021/01/22 第204回国会 参議院 第204回国会 参議院 本会議 第3号 令和3年1月22日
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2021/01/22 第204回国会 参議院

第204回国会 参議院 本会議 第3号 令和3年1月22日

#1
令和三年一月二十二日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第三号
  令和三年一月二十二日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────

#2
○議長(山東昭子君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。山口那津男さん。
   〔山口那津男君登壇、拍手〕

#3
○山口那津男君 公明党の山口那津男です。
 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました施政方針演説等に対し、菅総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 新型コロナウイルスの感染拡大が猛威を振るう中、新たな年が開幕しました。本院所属の羽田雄一郎議員が、昨年十二月二十七日、新型コロナウイルスに感染し急逝されたことに心から哀悼の意をささげますとともに、これまで感染で亡くなられた全ての方々に謹んでお悔やみを申し上げます。
 本年に入り十一都府県に緊急事態宣言が再発令されるなど、感染の終息はいまだに見通せない状況にあります。まずはコロナの脅威から国民の命と生活を守り抜くことに全力を挙げるとともに、その先を見据え、本年をポストコロナの新たな展望を開くスタートの年にしていかなければなりません。
 菅内閣はこれまで、感染拡大防止と社会経済活動の両立という極めて困難な課題に挑戦する中、脱炭素社会やデジタル社会の構築など我が国の構造転換や社会変革を促す新たな方針を提示し、経済対策の策定や今国会での関連法案の提出を進めてきました。また、公明党が長年取り組んできた携帯電話料金の引下げや不妊治療の保険適用にも道筋を付けるなど、着実な成果を上げつつあります。この上は、コロナを克服し、日本の活力と成長を取り戻す本格的な構造改革を国民目線で着実に進めることができるのか、これからが正念場と言えます。
 また、発災から十年の節目を迎える東日本大震災からの復興がどこまで進んだのか、そして、この夏に控える東京オリンピック・パラリンピックを成功裏に開催できるのか、このことも問われています。
 米国ではバイデン新大統領が誕生し、パリ協定やイラン核合意への復帰に期待が高まる中、国際協調や多国間主義を重視してきた日本の役割と貢献がますます重要となります。各国首脳との信頼関係の構築とともに、二〇三〇年までの達成をゴールとするSDGsの取組を加速させるなど、感染症や地球温暖化、防災・減災、核廃絶など地球規模の課題解決に向けて国際社会の協力と連帯を促すリーダーシップを総理に発揮していただきたいと思います。
 公明党は、どこまでも国民の窮状に寄り添い、一人の声を大切にする政治の実現に本年も全力で取り組み、国民のために働く菅内閣を支えてまいります。
 以下、当面する諸課題について質問いたします。
 海外では新型コロナワクチンの接種がスタートし、日本においても国民の関心が高まっています。国内では二月下旬までに接種を開始できるよう準備を進めるとの政府の方針が示されましたが、ワクチンの安全性、有効性が確認されたならば、速やかに接種できる体制を早急に整える必要があります。
 一方で、円滑なワクチン接種に向けては課題が山積しています。新たに開発されているワクチンには、その性能を保つため超低温による保管が必要なものもあります。ワクチンの分配方法や保管体制の確保、感染防止対策を含めた接種場所の調整など、地域ごとの綿密な計画が必要です。あわせて、市区町村には接種対象者に順次クーポン券を送付する作業も控えています。障害者や寝たきりの方などへの対応も早急な検討が必要です。
 このように、短期間でこれほど多くの人にワクチンを接種することは、これまで経験したことのない大事業です。しかも、感染収束の見通しが立たず、医療従事者の不足が指摘される中、希望者全員に接種するためのマンパワーがきちんと確保できるのか、深刻な課題です。
 こうした中で、総理は、ワクチン接種を円滑に進めるための担当大臣を設けることを表明しました。国民の命が関わるこの事業に失敗は許されないとの強い覚悟で、総力を挙げて取り組んでいただきたい。公明党は、党内にワクチン接種対策本部を設置し、全国の地方議員と連携して政府の取組を支えてまいります。
 地方自治体とも緊密に連携し、接種までの手順や優先接種の順番などを国民に分かりやすく説明しながら、混乱なく接種できるよう準備を進めていただきたいと思います。万全な接種体制の整備をどのように進めるのか、総理に伺います。
 コロナ対応の長期化に伴い、医療機関の経営は極めて厳しい状況にあります。さらに、看護師の離職などが相次いでいることに加え、昨年末から新規感染者数の増加も続き、病床の逼迫も深刻さを増しています。病床逼迫の改善についてはその原因を分析した上で、例えば、急性期を脱した感染者について、一般病床以外の病床の活用も考えられます。
 公明党は、今月七日、官房長官に対して、慢性期、すなわち回復期の病床に対しても十分に手当てして、再重症化すれば再び急性期の医療機関と連携できる仕組みを整えて、急性期病院にPCR検査が陰性になるまで入院させる現行の仕組みの改善を図るべきと提案しました。医療提供体制を断じて守るため、病床確保に向けた働きかけや、看護師、保健師等の専門人材の派遣調整など、国が前面に立った最大限の支援をお願いしたい。
 一方、感染が急拡大している地域では、自宅で療養する方が急増しており、その中には症状が急変し死亡する事態も起きています。また、家族内感染を防ぐために宿泊施設での療養も推進すべきですが、こちらも清掃、消毒などの対応が追い付かず、十分な受入れができない施設もあると言われています。
 公明党が提案したパルスオキシメーターの適切な使い方を徹底し、体調の悪化など迅速に把握するための仕組みを厳格化するとともに、体調の変化に応じて医療機関と確実につながる体制を早急に構築すべきです。
 国と自治体双方がこうした課題と責任を共有し協力して取り組まなければ、助かる命も助かりません。自治体の現場で効果的な運用がなされるよう、政府は責任を持って取り組んでいただきたいと思います。
 加えて、英国で見付かったコロナの変異種が静岡県の感染者から確認されました。海外渡航歴がなかったとのことですが、新たな感染拡大要因になり得ることから、感染源の特定とともに水際対策の強化も急務です。医療提供体制と水際対策の強化、そして、自宅や宿泊施設で療養される方の命をどう守るのか、総理の答弁を求めます。
 今国会では、新型インフルエンザ等対策特別措置法などの改正が検討されています。特措法の改正に当たっては、実効性を担保するため、都道府県知事が店舗に対し休業や営業時間短縮を要請、指示した場合の支援や応じない場合の罰則の在り方が焦点になっています。
 一方、感染症法及び一部検疫法の改正については、個人の権利に十分配慮した上で宿泊療養、自宅療養の実効性をどう確保するかが課題です。その際、宿泊療養の質を見直すとともに、やむを得ず自宅療養になった場合の管理体制を具現化すべきです。さらに、都道府県をまたぐ情報共有が進まないとの指摘を踏まえ、感染者を把握する保健所設置自治体と医療提供体制の調整を行う都道府県の情報連携の強化も急務です。
 罰則については、基本的人権尊重の下に、罰則の目的や保護すべき利益とのバランスを図る必要があります。その上で、国民の皆様には罰則の必要性や罰則適用の具体例を示すなど、丁寧な説明をお願いしたい。できるだけ幅広い合意を得て関係法律の早期改正を行い、今後の対応に生かしていくべきです。コロナ対策に必要な法改正をどのように進めていくのか、総理に答弁を求めます。
 政府が昨年策定した全世代型社会保障改革の方針には、公明党が二十年以上にわたり推進してきた不妊治療の保険適用や、待機児童対策などが盛り込まれました。
 不妊治療については、令和四年度からの保険適用に向けた工程表が定められ、保険適用までの間は助成金が大幅に拡充されます。流産を繰り返す不育症についても、自治体が検査費用等の助成を行う場合、最大五万円の補助金が創設されます。
 待機児童の解消に向けては、新たに十四万人分の保育の受皿を確保する新子育て安心プランが策定されました。令和三年度税制改正では、ベビーシッターや認可外保育施設の利用に対する助成金や産後ケア事業の消費税が非課税になります。
 こうした取組に加え、安心して子供を産み育てられる環境整備に向けては、更なる経済的負担の軽減が重要です。
 これまで公明党は、子供医療費助成制度を推進し、未就学児を対象とした助成制度が全市区町村で実施されています。今国会では未就学児の均等割保険料の軽減などを盛り込んだ法改正も検討されていますが、コロナ禍による影響も踏まえ、更なる減免も検討すべきです。
 さらに、男性の育児休業取得も重要な課題です。男性の産休制度を創設するとともに、育休を分割して取得できるようにし、育休制度の周知や環境整備を事業主に義務付けるため、今国会において育児休業法の改正案が提出される運びです。
 その際、従業員の育児休業取得など子育て支援に積極的に取り組む中小企業には、新たな補助金の創設など支援策の充実が不可欠です。子育て世帯の更なる経済的負担の軽減や、育休取得に積極的な中小企業への支援について、総理に伺います。
 公立小学校の一クラスの人数を二〇二五年度までに四十人から三十五人に引き下げることが決定いたしました。小学校全体の上限人数の引下げは約四十年ぶりとなります。少人数学級の実現は公明党の長年の主張でもあり、一歩前進と評価します。
 これによって教員が子供たちと向き合う時間が増え、いじめや不登校等に対応するきめ細かな指導の充実が可能となります。また、少人数によるICTを活用した学習を推進することで、一人一人に応じた学びの実現につながると期待できます。
 今後は、教員の働き方改革や英語等の専科教員、ICT支援員の配置などを通じて、教員の質を確保しつつ、小学校の三十五人学級を段階的に進めながら、中学校も含めた三十人学級の実現に向けて検討を進めていくべきと考えます。
 教員の質の確保を含めた少人数学級の実現に向けた取組について、総理の答弁を求めます。
 この夏に予定されている東京オリンピック・パラリンピック競技大会は、コロナ危機を世界が結束して乗り越え、再起を誓い合う象徴の場であり、各国選手たちが与えてくれる勇気と感動は、不安と閉塞感に覆われたこの世界に希望の光をともしてくれるはずです。また、東日本大震災より十年の節目を迎える本年、東京大会は、被災地を勇気付け、全世界に東北の復興と感謝を発信する復興五輪としての意義もあります。
 本大会を目指して、誰もが安心して暮らし活躍できる真の共生社会の実現に向けて昨年はバリアフリー法が改正され、心のバリアフリーを含めたソフト対策が強化されましたが、開催を契機に未来に受け継ぐレガシーを残していくことも重要な取組です。
 一方で、視覚障害の方が鉄道駅のホームから転落する事故が後を絶ちません。コロナ禍による影響で障害者への声掛けが減っていることも懸念されています。近年、各地で増加する無人駅の安全、円滑な利用に向けた対応も課題です。
 今国会に提出予定の障害者差別解消法改正案では、民間事業者による合理的配慮の提供の義務化が検討されており、周知啓発や相談体制の充実が求められます。
 東京大会の開催に向けた決意と、世界に誇れる真の共生社会の実現へ、総理の答弁を求めます。
 デジタル社会の構築は、ポストコロナにおける経済成長の源泉であり、国民生活の向上や豊かさの実感につながるデジタル化をあらゆる分野で進めていく必要があります。そのためには、高速通信網の整備や、情報システム、データの標準化、行政が保有する情報を有効活用できるデータ連携基盤など、デジタル全体の基盤整備が急務です。
 また、多くの方々にいち早くデジタル化の恩恵を実感していただくためには、5Gが当たり前の社会をつくらなければなりません。現在、企業や自治体等が個別に利用できるローカル5Gは全国の三十八か所で実施されていますが、更なる導入促進が必要です。ローカル5Gにより、飛躍的な生産性向上や、へき地等の診療所における遠隔診療、リアルタイムでの災害情報の把握など、多岐にわたる分野で国民生活を向上させることができます。こうした取組を進めた上で、スマートシティーのような未来都市を、先進事例の経験を役立てながら全国各地で構築すべきです。
 また、海外では、次世代の通信規格であるビヨンド5Gの研究開発が活発化しつつあります。海外に後れを取ることなく、我が国でも官民連携の下で研究開発に取り組み、世界のフロントランナーとして、日本の情報通信インフラを積極的に海外展開していくべきと考えます。
 ポストコロナにおけるデジタル化をどのように進めていくのか、総理の答弁を求めます。
 二〇五〇年カーボンニュートラルの実現を目指す脱炭素社会の構築は、デジタル化と並び、我が国の産業構造やライフスタイルの転換を促し、今後の日本経済の発展を左右する最重要の取組です。であればこそ、これまでの延長線上ではなく、官民が総力を挙げて取り組まなければ目標達成は困難であり、鍵を握る民間の革新的な技術開発を後押しするためには、政府の継続的な支援が不可欠です。
 第三次補正予算案には公明党が提案した企業の革新的技術開発を支援する基金が盛り込まれましたが、こうした予算措置とともに、税制、金融、規制緩和、国際連携など、あらゆる施策を総動員し、技術開発から実証、社会実装をトータルで支援していくことが重要です。
 その際、大事なことは、世界トップレベルの技術力を持ち、物づくり等の分野で世界を牽引してきた中小企業の潜在力を引き出し、脱炭素分野においても十分な競争力を持った企業、新産業を育成する視点が大切です。
 二〇五〇年目標の達成に向けた道筋と中小企業や新産業育成の視点を踏まえた基金の効果的活用について、総理に伺います。
 本年は、パリ協定の発効から五年を迎えます。既に百二十以上の国・地域が二〇五〇年カーボンニュートラルを表明し、国内では二百八自治体がゼロカーボンを宣言するなど、国内外で脱炭素社会構築への機運が高まっています。十一月にはCOP26が開催されますが、この機会を捉え、引き続き我が国が市場メカニズムの構築など、国際社会全体の温室効果ガス削減に貢献する具体案を積極的に発信すべきです。
 他方で、国内対策も重要です。来年度予算案等には、ゼロカーボンを目指す自治体の計画策定から設備導入の支援などが数多く盛り込まれており、こうした支援策も活用しながら、国と自治体が総力を挙げて取組を加速化させるべきです。また、各自治体で再エネ比率を向上できるよう、実効性のある地球温暖化対策推進法等の改正や複数の自治体が連携した再エネ導入支援など、自治体での取組を強力に後押しすべきです。COP26に向けた具体案及び自治体の取組への支援について、総理の答弁を求めます。
 農林水産物・食品の輸出拡大は地方の活性化を進める上で極めて重要な取組であり、更なる輸出拡大に向けて、政府は、農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略を策定しました。高品質な日本の農林水産物の物流の高度化や効率化を進めるためには物流基盤の更なる強化が重要ですが、現在、北海道や九州などの地方で生産された農林水産物の多くは、鮮度が求められるものであっても、一旦集積能力のある東京や大阪などに集められ輸出されることが主流となっています。
 今後も拡大が期待されるアジアの消費市場などに対応するためには、都市部だけではなく、安全で速やかに鮮度を保った状態で世界各地へ届けられるよう、地域別の集積地を設けるべきです。その際、物流コストの削減を図るとともに、鮮度を維持できる設備の導入や新たなルート開拓、改善への支援が重要です。
 農林水産物・食品の輸出拡大に向けた物流基盤の強化について、総理に伺います。
 昨日、米国大統領の就任式が行われ、バイデン新政権がスタートしました。我が国の外交・安全保障の基軸である日米同盟を更に強化するため、首脳会談の早期実現などを通じて新政権との信頼関係の構築、強化を図ることが極めて重要です。
 就任演説でバイデン大統領は、新型コロナ、気候変動などの課題解決に向け国民に結束を強く訴えるとともに、世界の平和、発展、安全のために同盟を修復し、再び世界に関与すると述べ、国際協調を重視する姿勢を示しました。就任直後にパリ協定への復帰を表明されたことを踏まえ、今後、日米両国が連携して目標達成に向けた取組を加速化させることが重要です。
 また、大統領選挙期間中にはイラン核合意への復帰にも言及していますが、そうした中で、昨日、イランのロウハニ大統領は、米国の合意復帰と制裁解除を要請しました。先般、イランが合意を大きく逸脱する濃縮度のウラン製造に着手したことで復帰への道のりは険しいと思われますが、国際不拡散体制の強化、そして世界と中東地域の平和と安定のために米国には再交渉の努力を望みたい。加えて、米国と同盟関係を結び、イランとも長い友好関係を築いてきた日本が、その立場を生かして両国の歩み寄りのために最大限の外交努力を尽くすべきではないでしょうか。
 自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった普遍的価値を共有する日米両国が共に指導力を発揮し、世界が直面する新型コロナや気候変動等、困難な課題の解決に取り組んでいかなければなりません。バイデン新政権とどのように日米関係を深化させていくのか、総理の答弁を求めます。
 核兵器禁止条約が発効します。同条約は、長年にわたり核の実相を語り継いできたヒバクシャの強い思いの結晶であり、核兵器の実験や開発、保有、使用などを初めて全面的に禁止した画期的な国際法規範です。バイデン大統領は、オバマ政権が掲げた核なき世界の理念を継承することを表明しています。同条約の発効と合わせ核廃絶の機運が世界で一層高まることを期待したい。
 公明党は、昨年、同条約発効後に開催される締約国会合に日本がオブザーバーとして参加すべきと提言しました。唯一の戦争被爆国である日本が条約のプロセスに関与することに大きな意義があり、何より、核兵器保有国が交渉に関わらない中で、日本が締約国会合に加わることで真の橋渡し役を担うことにつながると考えるからです。
 また、締約国会合を広島、長崎へ招致することで被爆体験、科学的知見を生かすことや、各国の代表が集う平和記念式典の時期に合わせた特別会合開催の機運醸成を図るなど、我が国の具体的な貢献策の検討を強く求めたいと思います。
 核兵器保有国も参加する核兵器不拡散条約、いわゆるNPTの運用検討会議は、コロナの影響で本年八月に延期されています。開催会期内に広島、長崎の原爆の日が含まれることからも、何としても会議を成功させ、核なき世界への取組が前進するよう全力を尽くしていただきたいと思います。
 核兵器のない世界の実現に向けた総理の決意を伺います。
 コロナ禍においても、甚大化する風水害や切迫する巨大地震への対策は待ったなしです。昨年、政府が与党から強い要請を受けて、総事業費十五兆円規模の防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策を決定したことは、我が国の防災・減災対策を加速化し、地域経済を活性化する観点からも高く評価します。
 その上で、災害に強い国づくりを進めるため、同対策に盛り込まれた計百二十三項目にわたる施策を国と地方、さらには官民が連携し、次の五年間でどれだけ進めることができるのかが重要な課題です。特に、公明党の主張を踏まえて盛り込まれた流域治水対策やインフラ老朽化対策などの施策は強力に進めていただきたい。
 また、二〇一五年に採択された仙台防災枠組の中に、全てのセクターにわたる防災の主流化が示されています。災害に備える力を一層向上させるため、生活や行動、様々な制度や仕組みの中に防災・減災、復興の視点を取り入れて、社会の主流に押し上げていくべきです。国土交通大臣の答弁を求めます。
 昨年、公明党は、近年の台風や豪雨等の被災地で行ったアンケート調査を基に、政府に対し新たな防災・減災対策を提言しました。提言を受けて政府は、高齢者等の避難支援情報を盛り込んだ個別計画の策定の促進強化、避難勧告と避難指示の一本化とともに、広域避難を円滑に行うため、災害が発生するおそれの段階で国の災害対策本部を設置できるようにするなど、新たな制度化の方針を明らかにしました。
 特に、東京、名古屋、大阪の三大都市圏に広がる海抜ゼロメートル地帯の広域避難対策については、自治体や民間企業とも連携し、台風の接近など災害の発生を想定し、発災前に具体的な避難先や経路、避難手段の調整や財源の確保などに向けた災害対策基本法や災害救助法の見直しが不可欠です。
 また、昨年の七月豪雨等の教訓から、全国の浸水想定区域内に立地する高齢者福祉施設の避難対策とともに、コロナ禍に対応した避難所の確保なども次の出水期に向けた喫緊の課題です。
 要配慮者を含めた広域避難対策等について、総理に伺います。
 昨年秋の臨時国会で、私は、地方気象台のOBなどのアドバイスが昨年の七月豪雨の際に自治体の防災業務の支援に有益だった事例を紹介し、気象防災の専門人材を自治体でもっと生かすべきと質問しました。これを受けて気象庁は、昨年の十二月、新たに二十九名の気象台OB、OGの方々を気象防災アドバイザーとして委嘱しました。この中には既に前橋市防災危機管理課の防災アドバイザーという役職で任命されている人もいます。
 今後も、市区町村の防災力向上を図るため、気象庁と総務省が連携し、市区町村に対し気象防災アドバイザーの周知と活用、普及に向けた仕組みづくりを推進するとともに、市区町村の中にも防災業務の専門家を育成していくことが重要です。総理の答弁を求めます。
 最後に、一言申し上げます。
 現在も続くコロナとの闘いは、国民生活になお影響を与えています。その中で、国民が一丸となって危機を乗り越え、内外の諸課題を大きく前に進めるためには、政治の安定と信頼が不可欠です。政治家自らが襟を正し、ひたすら国民生活の向上のために働き、結果を出す中でしか政治の信頼は回復できません。
 公明党は、生活者の目線で政策の合意形成を図り、国民に安心と希望を送る政治の実現に全力を挙げることを改めてお誓いし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕

#4
○内閣総理大臣(菅義偉君) ワクチン接種の体制整備についてお尋ねがありました。
 現在、できる限り、二月下旬までには接種を開始できるよう準備しております。さらに、一日でも早く開始できるようにあらゆる努力を尽くしているところであります。
 市町村に必要な情報提供を行い、体制整備を支援をするとともに、接種状況等を管理するシステムを構築してまいります。
 河野大臣に全体の調整とともに国民への分かりやすい情報発信を指示したところであり、自治体とも連携をし、手順や優先順位なども国民に対して分かりやすく説明しながら準備を進めてまいります。
 医療提供体制と水際対策の強化等についてお尋ねがありました。
 新型コロナへの対応が長引く中、国民の命と健康を守るため、地域の医療提供体制を確保し、現場で闘う医療従事者の方々に支援が行き届くことが重要であります。
 このため、これまでにも三・二兆円の医療機関支援を行うとともに、今回の補正予算で一・四兆円の追加支援を計上するなど、現場のニーズを酌み取りながら支援を行っております。
 自宅療養や宿泊療養については、患者の症状の変化を速やかに把握するためにパルスオキシメーターの購入費用を支援するなど、その活用を促進をしております。
 また、変異株が確認された国・地域からの入国に対する水際対策を速やかに強化をしてきました。変異株の国内感染者が確認された静岡県では、現状では感染の拡大は確認されていませんが、引き続き県内感染者の遺伝子解析を進めてまいります。
 特措法や感染症法等の改正についてお尋ねがありました。
 この一年間に得られた知見や経験を踏まえ、対策をより実効的なものとし、何としても感染を抑えていかなければなりません。
 このため、特措法や感染症法については、個人の自由と権利に配慮して必要最小限の私権の制限とした上で、支援や罰則の規定を設けるなど、感染症対策として必要な見直しを検討をしてまいりました。
 本日の閣議において、与野党の御意見も踏まえた上で法案を決定したところであり、今後、国会で速やかに御審議いただきますようお願い申し上げます。
 子育て支援等についてお尋ねがありました。
 長年にわたり我が国の最大の課題と言われてきたのが少子化の問題であります。不妊治療の保険適用や待機児童の解消、男性の育児参加の促進など、私の政権では思い切って前に進めています。
 御指摘の未就学児の均等割保険料については、子育て世代の負担軽減を図る観点から、来年四月から半額の経費で実施したいと考えております。
 また、御党から御提言をいただきました不妊治療の助成については、来年四月の保険適用までの間、二回目以降の助成額を倍にするなど大幅に拡充することといたしました。
 また、全ての企業に対し男性が育休取得しやすい職場環境を整備することを義務付けるとともに、希望に応じて一か月以上の休業を取得できるようにし、育休の取得に積極的な中小企業に対しては新たな助成制度を創設をいたします。
 今後も、結婚や出産、子育てを希望する方々の声に丁寧に耳を傾け、一つ一つの望みを実現していきます。
 教育の質の確保を含めた少人数学級の実現に向けた取組についてお尋ねがありました。
 今回、公立小学校について四十年ぶりの学級人数の大改正を行い、三十五人学級を実現することとしました。これによってICTも活用しながら学校現場で子供の状況を把握し、一人一人にきめ細かい教育を実現をしてまいります。
 その際、外部の人材の活用、社会人の採用、教師の計画的な採用などにより、教員の質の確保を図り、引き続き指導体制の効果的な強化充実に取り組んでまいります。
 東京大会と真の共生社会の実現についてお尋ねがありました。
 東京大会については、人類が新型コロナウイルスに打ち勝ったあかしとして、また東日本大震災からの復興を世界に発信する機会とし、感染対策を万全なものとし、東京都、大会組織委員会、IOCと緊密に連携しつつ、安全、安心な大会を実現する決意であります。
 また、東京大会を契機として共生社会の実現を図るために、改正バリアフリー法を踏まえ公共交通機関のバリアフリー化を進めるとともに、今国会において障害者差別解消法の改正に取り組み、事業者に対し障害者への合理的な配慮を義務付けます。これらにより、世界に誇れる共生社会というレガシーが残る大会が実現されるよう取り組んでまいります。
 デジタル社会の構築についてお尋ねがありました。
 役所に行かずともあらゆる手続ができる、地方にいながら都会と同じような仕事や生活ができる、デジタル庁が司令塔になり、世界に遜色のないデジタル社会を実現します。
 デジタル庁は、改革の象徴として本年九月に創設することとし、準備を加速してまいります。組織の縦割りを排し、強力な権能と初年度三千億円の予算を持った強力な組織として、国全体のデジタル化を主導していきます。一兆円規模の緊急対策として改革に着手し、全国規模のクラウド移行に向け、今後五年間で自治体のシステムも統一・標準化を進め、業務の効率化と住民サービスの向上を徹底してまいります。
 マイナンバーカードの普及のため、マイナポイントの期限も半年間延長します。この三月には健康保険証との一体化をスタートし、四年後には運転免許証との一体化を開始をします。
 5Gの速やかな全国展開を進めるほか、来年度までに五百億円の予算で離島を含めた全国津々浦々に光ファイバーを張り巡らせ、通信インフラの整備を進めます。
 さらに、情報通信インフラの海外展開を積極的に進めるほか、ビヨンド5Gの実現に向けた官民が連携した研究開発などを強力に推進をしてまいります。
 脱炭素社会の構築についてお尋ねがありました。
 二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向け、昨年末のグリーン成長戦略において、洋上風力や水素など十四の重要分野ごとに高い目標を掲げています。その目標の達成に向け、御指摘の二兆円の基金や税制措置を始め規制改革、標準化、国際連携など、まさにあらゆる施策を総動員をして、民間企業の大胆な投資とイノベーションを促し、産業構造の転換と力強い成長を生み出します。
 特に、高い技術力を持つ中小・ベンチャー企業は、大企業と協力することで新産業をつくり出していく可能性を秘めています。こうした低コストな蓄電池や次世代太陽光発電などの革新的な技術開発を二兆円の基金を始めとするあらゆる措置で支援をしてまいります。
 COP26に向けた具体案と自治体支援についてお尋ねがありました。
 脱炭素社会の構築に向けて、水素や洋上風力などの再エネの最大限の導入を始めあらゆる選択肢を追求をし、社会経済の変革について議論を進めます。COP26までには詳細を詰め、二〇三〇年の排出削減目標を設定をし、それまでの道行きと併せて世界に表明をしていきます。
 脱炭素社会の実現には、国と地方が協力をし、それぞれの地域における温室効果ガスを大幅削減することが重要です。昨年末に設置した国・地方脱炭素実現会議で具体的なロードマップについて議論を進め、自治体の計画立案から設備導入までを支援し、先行的な脱炭素地域を創出し、全国展開にしていきます。
 農林水産物・食品の物流基盤についてお尋ねがありました。
 地方の所得を引き上げるために、農産品の輸出拡大に大胆に取り組んでいきます。
 国内の余剰を輸出するという発想を転換をして、マーケットが求めるものを作るという発想に立った改革が必要です。御指摘のとおり、産地の育成と併せ、集積拠点や効率的な輸送ルートの構築といった物流基盤の強化が重要であると考えています。このため、輸出対応型の集荷施設を整備するとともに、地方空港の活用を進め、輸出に取り組む産地や事業者を支援をしてまいります。
 バイデン新政権との関係強化についてお尋ねがありました。
 政府としては、自由で開かれたインド太平洋の実現や新型コロナ、気候変動問題などの共通課題、御指摘のイランを含む地域情勢など幅広い分野においてバイデン新政権と緊密に連携をし、課題解決に取り組み、また、同盟関係をより一層強化をしていく覚悟であります。
 核兵器のない世界の実現に向けた決意についてお尋ねがありました。
 我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の取組をリードする使命を有しており、これは我が国の確固たる方針です。
 核兵器禁止条約については、核兵器のない世界を実現するためには、現に核兵器を保有している国を巻き込んで核軍縮を進めていくことが不可欠ですが、核兵器国のみならず、多くの非核兵器国からも支持を得られていません。緻密に現実的に核軍縮を進めさせる道筋を追求していくことが適切であるとの我が国の立場に照らし、同条約に署名する考えはなく、また、オブザーバー参加を含め、締約国会議への関与については慎重に見極める必要があると考えています。
 その上で、政府としては、引き続き核軍縮の進展に向け、国連総会への核兵器廃絶決議の提出や、広島、長崎における被爆の実相を伝える取組などを通じて立場の異なる国々の橋渡しに努めていく決意です。本年八月に開催が見込まれる核兵器不拡散条約運用検討会議についても、意義ある成果が上がるよう、引き続き国際的な議論に積極的に貢献していきます。
 要配慮者を含めた広域避難対策等についてのお尋ねがありました。
 毎年のように甚大な被害をもたらす豪雨災害に対応するため、高齢者や障害者の方などの避難計画の策定促進や海抜ゼロメートル地域などの広域避難を円滑に進めるための仕組みの創設、避難勧告と避難指示の一本化といった災害対策基本法の改正案を今国会に提出することを検討しています。
 また、浸水想定区域内にある高齢者福祉施設の避難確保計画の緊急点検や新型コロナ対策も踏まえた避難所の確保などにも取り組んでまいります。
 引き続き、高齢者などに配慮したきめ細かい災害対応に万全を期します。
 気象防災アドバイザーについてお尋ねがありました。
 災害が激甚する中で、個々の自治体の防災力を向上することは、地域の住民の安全を守るために重要です。地域の気象に精通する気象防止アドバイザーを十分に活用してもらうこととし、関係省庁が連携して自治体トップに直接働きかけるなどし、自治体への周知、普及に、復旧に一層取り組んでまいります。
 また、内閣府など関係省庁による多様な研修や訓練を通じ、引き続き防災業務に精通した自治体職員の育成をしっかり後押ししてまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣赤羽一嘉君登壇、拍手〕

#5
○国務大臣(赤羽一嘉君) 山口那津男議員より防災・減災、復興についてお尋ねがございました。
 近年、気候変動の影響により、頻発、激甚化する災害から国民の皆様の命と暮らしを守るためには、御指摘のとおり、国民生活の行動様式や社会の様々な制度の中に防災・減災、復興の視点を取り入れ、国民の防災意識並びに地域防災力を向上することにより、真の意味での防災・減災が主流となる社会を構築することが重要です。
 昨年十二月、与党からの強い要望を受け、政府全体で総事業費おおむね十五兆円規模の防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策を閣議決定し、中長期的な視点に立った対策を更に加速化、深化して実施できるようになりました。
 まず、国土交通省として、豪雨災害対策の新たな取組として、河川の流域全体を俯瞰する流域治水を推進してまいります。既に全国百九の全ての一級水系において、国、流域自治体、企業、関係団体等が参加する協議会を立ち上げ、今年度中に流域治水プロジェクトを策定するとともに、全国千三百十四のダムにおいて事前放流についての利水者との間で治水協定の締結が完了し、流域治水対策を着実に進めているところでございます。
 また、浸水想定区域など危険エリアにおける開発・建築規制の導入等、関係法令を見直し、災害に強い町づくりを強力に推進してまいります。
 あわせて、防災気象情報の高度化対策を進めるとともに、山口議員からの御提言で誕生した全国の気象台OB、OGの気象防災アドバイザーによる地域防災力の向上支援などにも取り組んでまいります。
 インフラの老朽化対策も深刻な課題です。五か年加速化対策の一つの柱にインフラの老朽対策が盛り込まれたことを踏まえ、早期の対応が必要な老朽施設へ集中的な対策を強化してまいります。
 最後に、国民の皆様の命と暮らしを守るには、ハード面の整備だけではなくソフト面の対策も重要です。例えば、ハザードマップを活用したマイタイムラインの作成や、地域単位での防災拠点や備蓄倉庫の整備及び避難訓練の実施などを通じ、国土交通省といたしましても、個人や地域の防災意識の向上を図り、地域防災力を強化することに全力で取り組んでまいります。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────

#6
○議長(山東昭子君) 片山虎之助さん。
   〔片山虎之助君登壇、拍手〕

#7
○片山虎之助君 日本維新の会の片山虎之助です。
 私は、我が党を代表して、菅総理に質問いたします。
 まず、新型コロナウイルスによりお亡くなりになられた羽田さん始め全ての方の御冥福をお祈りするとともに、現在治療されている方々に心よりお見舞いを申し上げます。
 これまで政府は、ウイズコロナ期には新型コロナ対策と経済活動の両立を図る、言わば二兎を追うと、二匹のウサギを追うという方針でしたが、感染拡大が続く中、国民の命と暮らしを守るためには、まず感染症対策を徹底し、国民に対する安心の担保を優先する、二兎でなくて一兎にすると私は受け止めました。この受け止めでよいのか、改めてコロナ対策に関する総理の基本的な考え方をお伺いします。
 再度の緊急事態宣言につきましては、出すタイミング、対象とする地域、行動等について、後手で小出し、右往左往という厳しい批判があります。特措法の改正も昨年中に済ませておくべきだったという意見も多い。緩やかな対策の逐次投入ではなく、先手を取り、対策は地方の意見を聞きながらも、果断で、かつ弾力的に行うという大変難しい注文ですが、総理、いかがですか。
 宣言の期間も二月七日まで、一か月では解除が難しいという見方が多い。総理は一か月で解除できる見通しをお持ちですか。それが不明ならば、むしろ長期戦を覚悟して率直に国民に現状を説明し、落ち着いて対策を進める方がよい。いかがですか。
 欧米に比べて病床数は多く感染者数は圧倒的に少ないのに医療は逼迫する、コロナ患者受入れにつき、かねてから指摘されている我が国の弱点です。特措法三十一条の要請、指示の規定等をもっと活用すべきではないか。その上で、緊急事態には、医療施設や医療従事者などに権限行使できるように改正すべきではないかという意見も出ています。今後、早急に対処するお考えはありますか。
 政府の時短業者等への協力金は、収益などを考慮せず一律日額六万円を給付する仕組みであるため、不公平感が出ています。迅速な給付のため当面は定額給付でやむを得ないとしても、デジタル技術を活用し、税務情報等と連携して、売上げや利益の規模に応じた額を交付する仕組みに速やかに変えるべきではありませんか。
 また、いわゆる支援金の議論は、その基本的理念が明らかでないところに混乱の出発点があります。支援金と憲法二十九条三項の補償との関係をどのように考えるのか、改正特措法上の規定はどういう発想に基づくのか、さらに金額の根拠は何なのか、政府の見解を明らかにしてください。
 国内で事例が出た変異ウイルスの蔓延が憂慮されています。このウイルスを検出できる体制はできていますか。国内での変異ウイルスの蔓延も想定に入れて、特措法等の改正や対処方針を検討しておくべきではないですか。さらに、別の変異ウイルスが出てくる可能性はありませんか。
 新型コロナのワクチンの接種を始めた世界各国の進捗状況がそれぞれ異なります。我が国でのワクチンの低温での保管、輸送、接種に当たる医療機関等の確保、接種の場所等の準備の状況をお伺いします。
 ワクチン接種のロジの総括、調整に河野大臣が指名されましたが、主たる期待は何ですか。また、現在開発中のワクチンは変異種にも効くのかという検証はどうなっていますか、お伺いします。
 今後ともパンデミックの発生が頻繁ならば、国内にワクチン研究開発や製造の基盤を持っていないと、毎回相当量のワクチンを輸入せざるを得なくなり、財政上も安全保障上も大きなリスクを負うことになります。そうならば、国内で全てを完結できるワクチンシステムを持った方がよい。総理にワクチン産業政策の考え方と具体的な戦略をお聞きします。
 第三次補正予算は、政府が再度の緊急事態宣言の必要を認めていなかった時点で編成したものであり、そのためGoToトラベル事業など年内に緊急に実施する必要がないものが入っています。また、特措法改正の内容ともきっちりと連動していないように思われます。そうであるならば、真に必要なものに組み替えた方がよいと思いますが、総理、いかがですか。
 近年、補正予算が常態化し、当初予算で計上するには筋が悪いものや予算のベースとしたくないもの、シーリングを逃れたいもの等が補正予算に回り、各省庁もそれを織り込み済みにして毎年度補正予算を編成しているとの指摘があります。あしき前例踏襲を打破しようという菅内閣では見直すべきではありませんか。
 今回の補正でも、脱炭素化技術の開発支援のための基金二兆円、国土強靱化対策一・六兆円余などは、本来、中長期的に腰を据えて取り組むべきもので、当初予算に計上すべきではありませんか。いかがですか。
 コロナ予備費は、令和二年予算では三兆八千億円を残し、令和三年度予算では五兆円を計上しています。令和二年度はあと二か月余り、これだけ多額の予備費を残す必要がありますか。
 また、令和三年度についても、通常国会は始まったばかりであり、追加的な経費が生ずるならば、財政民主主義の観点から、補正予算を機動的に編成して国会の審議を求める方がベターと私は考えます。御所見を伺います。
 緊急事態下でやむを得ないとはいえ、令和二年度の国債発行額は史上最大の百十二・六兆円、令和三年度の国債残額は九百九十兆円余となります。日銀の国債買入れが事実上の財政ファイナンスですから、今のところ国債消化への不安は生じていないようですが、財政の持続可能性が懸念されます。私は、政府はプライマリーバランスの確保にそれほど熱意はないとかねがね思っておりましたが、現状は放棄に近い。本気で今後の財政を考えるなら、直ちに歳入歳出の両面からアフターコロナの財政再建について検討を始めるべきと考えます。御所見を伺います。
 社会保障費の負担については、年齢でなく全ての世代がその能力に応じて支え合う、一定以上の所得や資産を保有する人はその負担能力に見合う医療費等を自己負担ないしは税負担とすべきというのが我が党の主張です。
 今回、政府が現役世代に配慮し、年収二百万円以上の後期高齢者の窓口負担を一割から二割に引き上げる決定したことは評価いたします。しかし、今後も医療費は膨らむため、今回の改革では現役世代への軽減効果が十分でない。これで終わりとするのではなく、引き続き窓口負担二割の対象の拡大に取り組むべきです。御所見を伺います。
 カーボンニュートラルは世界の潮流であり、方向性としては賛成です。しかし、二〇五〇年達成には超革新的な技術なしでは不可能であり、また、我が国のような自然条件では再生可能エネルギーもコスト高で、極めてハードルは高い。本気で実現するには、産業界はもとより、国民全体に覚悟が求められます。
 特に、原発は、我が党の主張のごとく、将来的にはフェードアウトするにしても、当面は活用せざるを得ません。我が党は原発再稼働責任法案を策定済みですが、原発の再稼働や新増設をどうするのか、使用済核燃料の中間貯蔵施設、最終処分場をどうするのか、電気代がどの程度まで上昇するのかなどの具体的な見通しを国民に示す必要があります。総理の御所見をお伺いします。
 ところで、現在、大寒波とLNG不足のため太陽光発電の稼働が低く、電力需給が逼迫していると聞きますが、国民に節電を呼びかけないで大丈夫ですか。また、電気代上昇のおそれはありませんか。さらに、太陽光発電など再エネの不安定性が明らかとなりましたが、政府の二〇五〇年再エネ五〇%ないし六〇%とする目安は達成可能でしょうか。
 デジタル庁の設立により、システム仕様の標準化・統一化は一歩前進となりますが、国民の利便向上としてはやや物足りない。ワンストップサービスを目指すのであれば、例えば、雇用主が今は別々に行っている年金、健保、失業保険等の手続や保険料、税の支払を一本化するぐらいの思い切った改革をしないと国民はデジタル化の利便性を実感できません。そのためには、システムの基となる年金、医療、税などの根拠法自体を改正する必要があります。デジタル庁設立後、速やかにこれを検討すべきではありませんか。
 NHKの次期経営計画案では、二〇二三年度中に約一割の受信料の値下げをする方針とのことであり、その点は評価します。しかし、コロナ禍で国民が経済的に苦しむ中、更なる値下げの余地がないか検討すべきです。
 受信料はいまだに対象者の二割以上が支払っておらず、これらの人々は岩盤不払層で簡単にいきませんし、徴収コストも当然かさみます。私自身のかねてからの主張でもあり、総理もかつて検討されたことがあると聞いておりますが、受信料の支払を法律上の義務とすること、仮にその増収分を丸々視聴者に還元すれば二割以上の受信料引下げが可能です。
 NHK側では、受信料を法律上支払義務化すると、視聴者とのコミュニケーションや契約、収納などの営業努力がなくなると心配しているようですが、幾らでもそれに代わる方法はあります。総理の御所見を伺います。
 世界的な感染拡大が止まらない中、世論調査によると、東京オリパラを中止すべきが開催すべきという意見を上回ってきています。ただし、一番多いのは再度の延期です。ワクチンの接種が今の計画で順調にいったとしても、外国人選手及び観光客の入国に国民の不安は残ります。
 オリパラについては、現行の案でいくかどうかを最終的に判断する時期はいつとお考えですか。大幅縮小や無観客での開催など、プランB、場合によってはもう少し厳しいプランCを作っておくべきではないですか。総理、いかがですか。
 バイデン次期大統領は、前トランプ政権とは変わり、国際協調や同盟国との関係を重視するという期待はあるものの、米国の国力の相対的な低下とともに、同盟国への様々な分担要求は増加するという見方が強い。しかし、我が国の基軸である日米同盟をバイデン政権においても維持強化し、機能させていかなければなりません。それには、今後できるだけ日米安保の持つ非対称性を薄めていくべきだというのが私の持論です。
 具体的には、日米同盟は堅持しつつ、国民の同意の下に、なだらかに自立・共同防衛の道を模索していく。それには矛と盾の関係の見直しなど、それなりの覚悟が必要になる。総理の御所見をお伺いします。
 中国は、最も重要な隣国としてこれまでどおり戦略的互恵関係を積み上げていくことが重要です。しかしながら、今や米中対立は深刻で、両国の対立がこれ以上決定的にならないよう、我が国は主体的に、そして戦略的に両国に働きかける必要があります。
 我が国は、自由と民主主義という価値を共有する米国などの諸国とともに、自由で開かれたインド太平洋を実現する一方、中国に対しては、例えばTPP加入に意欲を示している機会を捉えて、知的財産権を徹底させるなど国際規範を遵守するよう、それが大国として取るべき道であることをあらゆる手段を尽くして説得していくべきですが、言うはやすく行うは難い。総理は、米中対立をどのように分析し、対応するお考えか、お伺いします。
 中国公船の尖閣諸島周辺への領海侵入はとどまるところを知らず、昨年十一月二十四日の日中外相共同会見でも、王毅外相が一方的に中国の立場を強調するなど、我が国の主権をあからさまに無視する行動がエスカレートしています。もはや中国に抗議したり海上保安庁の巡視船が警備活動するぐらいではこの流れを押しとどめることはできません。とすれば、我が国の尖閣への実効的な支配を目に見える形で世界に示すことも必要になる。
 例えば、灯台や無線局、避難港の設置、生物多様性条約にのっとった海洋保護区の設定、この海域での日米の共同演習や訓練の定例化等で、できるものはやるべきだと私は考えますが、間違っているのでしょうか、御所見を伺います。
 その一つとして、地元石垣市は、政府が尖閣諸島を我が国の領土に編入した日である一月十四日を尖閣諸島開拓の日と定め、この日に毎年式典を開催しています。政府としても政務三役をこの式典に出席させるとともに、この日を内外にPRしてはいかがですか。
 私は、常々主権者である国民に、憲法やその改正案について十分な情報と知識を提供し、憲法に対する見識を持ってもらう努力をすることは、発議と併せて国会の重要な責務であると考えてきました。したがって、当面直ちに行うべきことは、八国会連続継続審査の国民投票法改正案を早急に成立させ、各会派の憲法改正案、反対ならばその意見を国民の前で堂々と開陳することです。我が党は、平成二十八年に憲法改正原案を公表しました。最大与党の自民党も党の正式な改正案を提出されることを望みます。自民党総裁として御所見をお伺いします。
 さて、政府も憲法改正について傍観者ではあり得ません。一国の最高法規、根本規範である憲法をより良きものにする責務は内閣にも当然ありますし、また、それだけの実力と実績もあります。内閣も憲法改正原案の国会への提出権を持つというのが従来からの政府解釈ですが、総理も同様にお考えですか。
 現行憲法は明治憲法の改正手続により改正され、政府が原案を作っています。安倍前政権は憲法解釈を変更し、安全保障法制を提案、成立させました。安全保障など国の存立の根幹に関する事項について、各党各会派が改正案を持ち寄り議論することは当然として、内閣としても改正に向けての論点を提示し、見識を示すことなどあってもよいと私は考えますが、いかがですか。
 これまで、我が党は独自で身を切る改革を実行してまいりましたが、それに加えて昨年の夏からは国会議員の期末手当の三割相当額を拠出し、ささやかながら新型コロナの医療現場の御支援をさせていただいております。日夜、新型コロナの最前線で御奮闘されている医療従事者の皆様方に心から敬意と感謝を申し上げます。
 私ども日本維新の会は、現下の国難に立ち向かい、アフターコロナの新しい時代をつくる維新改革に今後とも全力を傾注することをお約束して、私の代表質問といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕

#8
○内閣総理大臣(菅義偉君) コロナ対策に関する基本的考え方についてお尋ねがありました。
 現在の感染拡大を減少傾向に転じさせるためにも、今は感染拡大防止に全力を挙げることにしております。このため、都道府県とも緊密に連携しつつ、緊急事態宣言に基づき、飲食店の二十時までの営業時間の短縮や不要不急の外出自粛などの強力な措置を講じてまいります。
 今後とも対策を徹底をし、一日も早く感染を収束させ、国民の皆さんが安心して暮らせる日常、そしてにぎわいのある町を取り戻すべく、全力を尽くしてまいります。
 緊急事態宣言の発出等についてお尋ねがありました。
 緊急事態宣言は強力な手段であり、国民生活を大きく制約するものであることから、政府としては最善の判断が求められます。国会の附帯決議においても、専門的知見に基づき慎重に判断すべきとされています。こうした中で、私は、日々の感染状況などを把握し、専門家の御意見を伺いながら判断をしました。
 今後も、専門家や地方の意見も踏まえながら、感染拡大を何としても抑えるべく、しっかりと対策を講じてまいります。
 緊急事態宣言の期間についてお尋ねがありました。
 緊急事態宣言の期間については、専門家の意見を聞いた上で、今回の措置の効果を見定める期間として一か月としたものであります。まずは、宣言のレベルであるステージ四を早急に脱却できるよう、都道府県とも密接に連携をしながら、専門家が対策の急所と指摘する飲食による感染リスクについて強力な対策を徹底してまいります。
 特措法三十一条の適用についてお尋ねがありました。
 この規定により、都道府県知事は医療関係者に対する要請や指示が可能ですが、病原性が非常に高い場合など、極めて緊急性の高い状況が想定をされます。現時点では、まず感染症法第十六条の二などその他の規定を活用しつつ、協力要請を行っていただきたいと考えております。
 いずれにしても、感染症法等の見直しについては、本日の閣議において与野党の御意見も踏まえた上で法案を決定したところであり、今後、国会で速やかに御審議いただくようお願いを申し上げます。
 飲食店への協力についてお尋ねがありました。
 休業等の要請に伴う影響は事業者にとって千差万別である中で、緊急事態宣言の発出により大きな影響を受けている飲食店や納入業者などの方々に対して迅速な支援を行うため、協力金や一時金による支援を行うこととしたところです。御指摘の内容は今後の行政の参考としつつも、まずは、今厳しい状況にある方々に支援をお届けすることに全力を挙げたいと考えています。
 特措法改正における事業者への支援についてお尋ねがありました。
 今回の特措法改正法案は、休業要請などを受けた事業者に対する支援を罰則と併せて規定することで、より実効的な対策を可能とするものです。要請を受けた事業者の経営や国民生活への影響を緩和するために国及び地方自治体が支援を行うこととしており、こうした規定に基づいて、金額を含め、具体的な支援内容が設定されることとなります。
 なお、特措法で感染症拡大の防止目的として施設の休業などを要請したとしても、憲法第二十九条三項の損失補償の対象とはならないものと解されているというふうに承知をしています。
 新型コロナの変異株についてお尋ねがありました。
 変異株の国内感染者が確認された静岡県では、現状では感染の拡大は確認をされておりませんが、引き続き静岡県内の遺伝子解析を優先的に進めるとともに、全国についても監視体制を強化しております。また、変異株についても基本的な感染対策は同様であり、今回の特措法等の改正により対策の実効性が上がるものと考えております。
 さらに、そもそもウイルスは定期的に変異を繰り返しておりますが、国立感染症研究所において遺伝子解析を行っており、病原性や感染性に大きな変化がないかを注意深く監視をいたしております。
 ワクチンの準備状況等についてのお尋ねがありました。
 関係省庁が連携しながら接種準備を行っており、必要な物資の確保やシステムの構築により円滑な接種、流通に向けた取組を行うとともに、実施主体である市町村においては、会場の選定や関係機関との調整など、体制整備が進められていくものと承知をしています。
 河野大臣には全体の調整とともに国民への分かりやすい情報発信を指示したところで、規制改革担当大臣として各省庁にまたがる様々な課題を解決してきた手腕を期待しています。
 変異株への効果について、WHO等は現時点でウイルスの変異がワクチンの有効性に影響を与えるとのエビデンスはないとしていますが、今後の承認審査において変異株への効果を含め、適切に審査が行われていくものと考えています。
 国産ワクチンの開発・生産体制についてお尋ねがありました。
 新型コロナウイルスを始めとした予期せぬ感染症に対するワクチンについて、国内で開発、生産ができる体制を確立しておくことは重要です。生産設備の整備の補助など、これまでに様々な支援を実施してきました。引き続きパンデミックに備えたワクチン開発の基盤や生産体制の整備をしっかりと進めてまいります。
 三次補正予算についてお尋ねがありました。
 三次補正予算については、病床の確保、雇用や事業の支援に加え、必要なコロナ予備費を確保しており、緊急事態宣言下における新型コロナ対策や特措法改正後の事業者の支援にも対応できる予算となっております。この補正予算を早期に成立させ、感染拡大を防止し、経済と国民生活を守ってまいります。
 補正予算の在り方についてお尋ねがありました。
 補正予算は、当初予算編成後に生じた事由に基づき、緊急性の高い経費の支出や義務的な経費の不足を補うために編成するものです。今回の三次補正予算も、御指摘のあった基金や国土強靱化対策も含め、昨年十二月に決定した経済対策に盛り込んだ緊要性の高い政策課題に対応するために編成をしたものです。
 コロナ予備費についてお尋ねがありました。
 令和二年度及び令和三年度のコロナ予備費については、感染が長引く中で、臨機応変に、時機を逸することなく対応する必要が生じることも十分考えられることから、必要なものとして考えております。
 財政再建についてお尋ねがありました。
 経済あっての財政、その考え方の下に、当面は感染症対策に全力を尽くし、経済再生に取り組むとともに、今後も改革を進めてまいります。
 後期高齢者の医療費の窓口負担についてお尋ねがありました。
 若者と高齢者が支え合い、現役世代の負担上昇を抑えつつ、全ての世代の方々が安心できる社会保障制度を構築することは待ったなしの課題であります。
 そのため、少しでも多くの方に支える側として活躍していただき、能力に応じた負担をしていただくことが必要であり、今回、七十五歳以上の高齢者のうち一定の収入以上の方々について、その窓口負担割合を二割とするものであります。
 今後、そのフォローアップを行いつつ、持続可能な制度の確立を図るため、総合的な検討を進めてまいります。
 カーボンニュートラルと原子力政策についてお尋ねがありました。
 二〇五〇年カーボンニュートラルは、発想を転換してイノベーションを実現していけば十分に実現可能であると考えます。
 原発については、安全最優先、すなわち、新規制基準に適合と認めた原発のみ、地元の理解を得ながら進めていく、また、現時点で原発の新増設は考えていないという政府の立場に変わりはありません。使用済燃料対策、高レベル放射性廃棄物の最終処分等についても、これまでと同様に地元と向き合いながら進めてまいります。
 二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて、原子力も含めあらゆる選択肢を追求していく中で、コストの観点も含めて議論し、その結論を国民の皆様に示してまいります。
 電力需給と二〇五〇年に向けた再エネ導入の目安に関するお尋ねがありました。
 足下の電力の安定供給はしっかりと確保されているために、直ちに国民の皆様に節電をお願いする状況にはありません。また、電気料金については、あらかじめ単価の決まっている契約が大半であることから、影響は限定的であると考えています。
 再生可能エネルギーについては、二〇五〇年カーボンニュートラルに向け、より安定供給に貢献できるよう、蓄電池の活用や研究開発等への支援を通じて最大限導入を進めます。
 デジタル庁の設置後に取り組むべき制度改正についてお尋ねがありました。
 デジタル庁においては、医療、教育、防災など、生活に密接に関連している国民からの期待が大きい分野について、システムの整備方針を定めるとともに、必要な規制、制度上の課題の洗い出しと見直しを関係省庁と連携して推進をしていくことにしています。
 御指摘の年金、健康保険、雇用保険等の手続や保険料等の支払についても、国民生活に密接に関係するものであり、デジタル化を通じて利用者視点でのサービスの改革が実現できるよう検討してまいります。
 NHKの受信料についてお尋ねがありました。
 NHKについては、業務の抜本的効率化を進め、国民負担の軽減に向け放送法の改正に取り組みます。これにより、事業規模の一割に当たる七百億円を充て、月額で一割を超える思い切った受信料の引下げにつなげます。
 更なる引下げを行うための議員からの支払義務化の御提案については様々な意見があり、国民や視聴者の理解を得られるようにするためには多角的な議論が必要だと思っています。
 東京オリンピックとパラリンピックの開催についてお尋ねがありました。
 まずは新型コロナウイルスの克服に全力を尽くします。東京大会については、安全、安心な大会を実現するため、IOCや各種競技団体とも相談しながら感染対策の具体的な内容を現在検討しております。
 バッハ会長とも、東京オリンピックを必ず実現し、今後とも緊密に協力していくことで一致しており、引き続き東京都、組織委員会、IOCと緊密に連携をして準備を進めてまいります。
 日米同盟と我が国の防衛の在り方についてお尋ねがありました。
 バイデン政権においても、日米同盟を維持強化していく必要があることは御指摘のとおりです。
 打撃力については日米の役割分担の中で米国に依存しており、今後ともこうした日米間の基本的な役割分担を変更することは考えておりませんが、日米同盟を強化するため、日本が果たし得る役割はこれまで以上に拡大していくことが必要であると考えています。
 米中関係についてお尋ねがありました。
 新型コロナが世界的に拡大する中、国際協調の必要性は一層高まっており、米中両国が安定的な関係を構築することが国際社会の平和と安定の観点からも重要です。そのような観点から、日本としては、同盟国たる米国との緊密な協力を進めつつ、同時に中国との安定的な関係を築き、中国が大国としての責任を果たしていくよう働きかけてまいります。
 尖閣諸島についてお尋ねがありました。
 歴史的にも国際法上も尖閣諸島は我が固有の領土であり、現に我が国はこれを有効支配をいたしております。
 尖閣諸島及び周辺海域を安定的に維持管理するための具体的な方策については様々な選択肢がありますが、実際にどのような方策を取るかについては戦略的観点から判断していくべきものと考えます。
 いずれにせよ、今後とも、国民の生命、財産及び我が国の領土、領海、領空を断固として守るという方針の下に冷静かつ毅然と対応してまいります。
 尖閣諸島開拓の日についてお尋ねがありました。
 記念式典への政府の出席者についてはその都度適切に判断しておりますが、今後とも我が国の立場に関する正確な理解が国内外に一層広く浸透するよう、尖閣諸島を領有した経緯やその開拓の歴史などの情報発信にも努めてまいります。
 憲法改正についてお尋ねがありました。
 日本維新の会が具体的な考え方を示し、憲法審査会において建設的な議論を呼びかけておられることにまずもって敬意を表したいと思います。
 憲法のあるべき姿を最終的に決める主権者である国民の皆さんの理解を深めていくことは、私たち国会議員の責任ではないかと思います。他方、内閣は憲法第七十二条の規定により、議案を国会に提出することが認められていることから、憲法改正の原案を国会に提出することは可能と考えております。これは従来からの内閣の一貫した考えであります。
 いずれにしろ、議論の進め方などは国会でお決めいただくことでありますが、まずは憲法審査会において、与野党の枠を超えて、国民投票法改正などの様々な論点について建設的な議論が行われることを期待をいたしております。(拍手)

#9
○議長(山東昭子君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時三十分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開議

#10
○副議長(小川敏夫君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。榛葉賀津也君。
   〔榛葉賀津也君登壇、拍手〕

#11
○榛葉賀津也君 私は、国民民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました政府四演説に対し、総理並びに関係閣僚に質問します。
 緊急事態宣言が十一都府県に拡大するなど日本中が緊迫する中、懸命に新型コロナ感染症に対応されている全ての関係者に心から感謝を申し上げます。
 また、昨年来多くの方々が感染症に苦しみ、昨日までに四千八百八十六名の方々がお亡くなりになりました。この中には、同僚の羽田雄一郎議員も含まれます。本当に悔しいです。犠牲になられた全ての方々に心からお悔やみを申し上げ、闘病中の皆様にお見舞いを申し上げます。
 一月十八日まで国会が開会されないという危機感の欠如、緊急事態宣言に至るまで政治決断の遅さ、遅々として進まない特措法改正など、政府・与党に苦言を呈したいことは山ほどあります。が、しかし、批判一辺倒では何の解決にもなりません。
 コロナ危機から全ての国民の命と生活を守る、現下における我々の使命はこの一点であります。そのために、我々国民民主党は、政策提案型の改革中道政党として具体的な提案をし続けてまいります。菅総理、どうか真摯に受け止めていただきたいと思います。
 新型コロナ対策で国民が最も切望しているのは、一日も早い安全なワクチンの接種と治療薬の開発、普及です。ワクチン接種において最大の鍵は、最優先される三百万人の医療従事者向け優先ワクチンの接種がスムーズに行われるか否かであります。専門知識の高い医療従事者がワクチンの安全性に懐疑的で接種を拒否するようでは、その後に続く高齢者向けの優先接種や基礎疾患者の優先接種、その後続く一般の方々の接種に深刻な遅延が予想されるからであります。
 総理、政府が目指すワクチン接種の工程表と、一般の方々にまで滞りなく接種が行われるための策を具体的にお答えください。
 ワクチン接種は、国の指示と都道府県の協力の下で各市町村が実施をします。各地で医療危機が叫ばれる中、本当に医師、看護師が確保され、接種が可能だとお考えでしょうか。併せてお答えください。
 ファイザー社やモデルナ社のメッセンジャーRNAワクチンは、マイナス七十五度前後の超低温保存が必要な上、輸送されたワクチンは最大五日しか保存ができません。しかも、最小流通単位は千百七十回接種分です。大切なワクチンを無駄にはできませんし、新型インフルエンザワクチンのときのように特定の自治体や医療機関にワクチンが偏在するようなことがあってはなりません。ワクチン接種には需給調整と流通の円滑化など、自治体までのロジスティックが極めて重要ですが、これらの対応は本当に大丈夫なのでしょうか。ワクチン担当大臣の答弁を求めます。
 地方の自治体が本当に知りたいのは、希望的観測でなく、現実に即したワクチンの現状と今後の見通しであります。都合の悪い真実でも、事実を率直に地方自治体にお伝えする、リスクコミュニケーションこそが成功の鍵だと思います。総理の認識をお伺いします。
 他方、ワクチン接種については厳しいデータもあります。日本における二〇一八年度の季節性インフルエンザワクチンの接種率は四七・九%で、アメリカの六八・七%、イギリスの七二%、韓国の八五・一%に比べ低い傾向にあります。二〇〇九年から一〇年の新型インフルエンザでは、一般の方の三〇%が接種するだろうと想定されましたが、実際の推定接種率は何と僅か五%でした。
 事実、NHKの調査でも、新型コロナワクチンを接種すると答えたのは全体の五〇%にとどまり、しないと答えたのは何と三八%にも及びました。世界で最も評価の高い医学誌、ランセットの指摘では、国民の政府への信頼度とワクチン接種の相関性が指摘されています。政府を信頼する国民の接種率は高く、信頼しない国民ほど低いというのです。総理、この現実をどう受け止めますか。
 日本国内で承認されている治療薬は重症者向けのレムデシビルだけであります。安倍前総理が承認を急いだアビガンも未承認です。治療薬に求められるのは第一に安全性ですが、国民は一日も早い普及を望んでいます。治療薬の現状と今後について、厚生労働大臣の説明を求めます。
 静岡県内で十八日、変異種の英国型コロナ患者三名が確認され、昨日、新たに一名の感染が発覚しました。渡航歴もなく、市中感染の疑いが指摘されています。国内では既に変異種が蔓延しているという前提に立った対応が必要ではないですか。英国や南ア型など変異種にも今あるワクチンは有効なのでしょうか。また、日本由来の変異種発生の可能性も十分に考えられるのではないですか。国民の不安を払拭するためにも、厚生労働大臣の御答弁を願います。
 総理は、コロナ対策の鍵を握るワクチン担当大臣に河野太郎大臣を任命しました。河野大臣は、自他共に認める令和の壊し屋です。大規模なワクチン接種に求められるのは、周到な事前調整とコンセンサスづくり、つまり根回しであります。防衛大臣当時のイージス・アショアの一件を見る限り、河野大臣の最も苦手な点とされるとお見受けをしますが、大臣任命の理由について、総理にお伺いします。
 我が党の足立信也議員は、昨年八月の段階から、医療現場の崩壊と風評被害を防ぐためには、医療施設で働くハイリスク者やエッセンシャルワーカーへのPCRの定期検査しかないと訴え続けてまいりました。今月、政府はその必要性をついに認めてくださいましたが、その具体的内容は明らかになっておりません。いつから、どの範囲の方々に、どういう頻度で定期的なPCR検査を行うのか、厚生労働大臣の明確な答弁を求めます。
 感染抑止のブレーキと経済のアクセルを同時に踏めば、国民生活という車はエンストします。我が党は、舟山康江政調会長を中心に、今は経済対策よりも感染拡大防止を最優先すべきと主張し、経済対策では国による万全の補償と罰則規定のめり張りの利いた特措法の改正案を提出しました。
 一方、政府はやっと一店舗一日六万円の協力金を打ち出しましたが、国が八割、自治体が二割を負担する仕組みです。時短営業等による感染防止は我が国全体の問題です。国が全額負担すべきと考えますが、総理の見解を求めます。
 また、例えば、政府の方針に協力をしたラーメン屋さんには一日六万円の補償が出ます。しかし、製麺屋さんや精肉店、八百屋さん、おしぼり屋さん、酒屋さんには補償はありません。政府は、飲食店の取引先にも中小企業最大四十万円、個人事業者最大二十万円の一時金を検討中とのことですが、持続化給付金は全てなくなり、焼け石に水との声もあります。事業者の実情に合った補償策が必要と考えますが、総理の見解を求めます。
 在宅勤務やテレワークができない物づくり産業では、操業調整による自宅待機を余儀なくされ、希望退職、倒産、廃業の危機に直面している中小企業が数多くあります。
 しかし、現在の雇用調整助成金の特例措置は本年二月末で終了です。その後の雇用を維持できない中小企業は、解雇予告手当の関係上、今月末までに解雇通告をしなくてはなりません。重大な雇用不安を招かないためにも、雇用と暮らしを守る生命線として雇調金の特例措置の延長を速やかに決断し、平時に回復するまで継続すべきと強く主張します。総理の決意をお聞かせください。
 新型コロナの療養期間中、組合健保及び協会けんぽの加入者は傷病手当を受け取ることができます。しかし、その額は月給の三分の二程度であり、国民健康保険の加入者に至っては傷病手当金の制度そのものがありません。さらに、濃厚接触者の自宅待機に至っては国からの賃金保障制度は皆無です。感染拡大を防止し、勤労者が安心して治療に専念できるような保障制度の構築が必要と考えますが、総理の見解を求めます。
 医療、介護、保育、小売、物流、交通などの各業種では、感染のリスクにさらされながらも懸命に就業を行ってくださっています。にもかかわらず、献身的なその働きを踏みにじるかのような中傷や差別、偏見、カスタマーハラスメントを受けていらっしゃる方が多くいらっしゃいます。断じて許されません。改正特措法にはこれらが法的責任の伴う行為であることを明記し、国民への周知を徹底すべきと考えますが、総理の見解を求めます。
 病院や経済を支える電力の安定供給は国家の礎であります。現在、寒波の影響や、コロナ禍によるテレワークの急増と巣ごもりによる暖房需要の増加、国際的な化石燃料調達環境の悪化等で電力の需要と供給が綱渡りの状態にあります。
 雪などの悪天候に太陽光はもろく、老朽火力の予期せぬ停止や在庫燃料の枯渇など、大規模停電がいつ発生してもおかしくない状況にあります。電力の需給バランスを調整し、安定供給を維持するため、不眠不休で取り組む現場の使命感や矜持に頼らざるほかない現状に強い危機感を抱いています。総理の御認識をお聞かせください。
 低廉で高品質な電力の安定供給は国家の存立基盤そのものであります。ゆえに、資源小国におけるエネルギーの安全保障や電力の安定供給に対する最終責任は国が担うべきであり、不測の事態に対する責任を現場に押し付けてはならないと思います。経済産業大臣の認識をお尋ねします。
 エネルギー分野では、電力システム改革、原子力依存度の低減、再生可能エネルギーの導入拡大、石炭火力の見直しなど、様々な議論がなされています。他方、脱炭素社会の実現に関しては、現実的で客観的な検証が不可欠です。安全の確保を大前提に、ベースロード電源の安定稼働など、盤石なエネルギーの供給体制を構築した上で脱炭素社会を目指していくべきと考えますが、総理のお考えをお聞かせください。
 ポストコロナの産業政策も今国会の重要な課題です。菅内閣は、二〇五〇年のカーボンニュートラル実現に向け、二〇三五年に新車販売を一〇〇%電動車にするなど、自動車産業でも野心的な目標を掲げました。しかし、自動車を始めとするCO2排出量一七%の運輸部門だけの削減では目標達成は不可能です。目標の達成には生産段階におけるCO2削減政策も重要です。
 欧米や中国との競争に打ち勝ち、電動車シフトを実現するには、蓄電池を始めとする新技術の開発や低コスト化、急速充電器や水素ステーション等インフラ整備、部品企業の業態変換など、きめ細かな支援が不可欠であります。これらの大変革には、国が中心となり欧米や中国を凌駕する税制や助成金等の支援策を講じるとともに、産業界とのより一層の緊密な連携が必要と考えますが、総理の御認識をお伺いします。
 とりわけ、世界に類のない複雑で過重な自動車関係諸税が電動車などの普及に影響を与えるのは必至であります。燃料課税や軽自動車の概念も変貌を遂げざるを得ないなど、自動車関係諸税の簡素化や抜本的な見直しが不可欠と考えますが、総理の見解を求めます。
 コロナ禍における公共交通のインフラ確保も重大な課題です。
 年末年始のJR利用状況は、対前年比で約三〇%程度に激減しています。二〇二〇年度の通期予測ではJR七社の合計で既に三兆円の減収が見込まれていますが、再度の緊急事態宣言により、更に巨額の赤字が計上される可能性があります。
 地域を、そして日本経済を根底から支える使命を担い続け、かつ、多くの雇用を生み出しているJRを始めあらゆる交通事業者への一層の経営支援を行うべきだと考えます。国土交通大臣の答弁を求めます。
 コロナ禍で、改めて気付かされたことが幾つかあります。
 人口減少と財政悪化という難題に直面し、日本が弱体化しているという現実もその一つです。コロナ禍前のインバウンド激増も、他の先進国や新興国の所得増加に対し、日本人の所得が低迷し、日本が相対的に豊かでない国になっていたことが一因であると客観的に認識すべきです。
 勤労者世帯の平均年収はこの二十年間で二十四万円減りました。かつて世界第二位であった国民一人当たりのGDPも今や二十七位です。一九八九年、平成元年、世界の企業トップ五十のうち三十二社が日本の企業、トップテンにも六社が入っていましたが、今はトヨタ自動車が唯一、二十六位に入っているのみです。かつては日本の上位独占が当たり前であった技能オリンピックも、今や入賞さえ厳しい現状です。
 我が国の科学技術力の低下が指摘される今こそ、官学民が連携して研究開発を推進し、国際競争力を高め、経済を活性化していかなければなりません。脱炭素化社会の実現に向けた水素エネルギーの活用、次世代蓄電池の開発、デジタル社会とIT国家の実現に向けたAI、ICT技術の開発分野などでは苛烈な国際競争が繰り広げられており、国として支援体制の強化が不可欠となっています。
 さらに、今日、新型コロナ対策におけるICT技術やバイオテクノロジーの活用が期待されており、これらの分野を含め、科学技術関連予算の大幅な拡充、政策を総動員した企業の研究開発から社会実装までの支援が必要であると考えますが、総理の覚悟をお伺いします。
 コロナ禍で再確認した最も重要なこと、それは、国家の基が国民一人一人にあるということです。人が技術を生み、サービスを生み、企業と産業と経済と国家を支えていくのです。
 つまり、日本の劣化は、我が国が長らくこの原点を忘れ、人への投資を怠ってきたことの証左です。二〇一九年九月のOECD発表によると、二〇一六年の各国の小学校から大学までの教育機関に対する公的支出のGDPに占める割合は、三十五か国中、三年連続で最下位でした。コロナ禍以前でも、日本の教育予算が少な過ぎました。先生の数も足りていませんし、そして、何より先生が多忙過ぎます。
 文科省は二〇一八年に初めて教職員の働き方改革に着手し、給食費の集金や登下校の見回り等、学校や教職員以外で担うべき業務を明確にしました。しかし、昨年末、給食費、七四%が学校で徴収という報道がありました。結局、何も変わっていないのです。
 コロナ禍を理由に学力の低下は絶対に許されない。感染防止に最大限の気を配りながら多様化、複雑化する任務に必死で対応することで、教育現場は逼迫しております。小中学校のみならず、幼稚園、保育園の現場でも、マスク着用により子供たちから先生方の表情が見えないなど、情操教育や心理学上、深刻な影響も危惧されています。
 コロナ禍だからこそ教育現場を政治が真剣に守り抜く、その覚悟が求められています。全ては子供たちのため、将来の日本を担う人のためです。
 教職員の働き方改革とコロナ禍における教育に対する総理の覚悟と決意をお伺いします。
 我々人類は、そして日本は、新型コロナなどに負けるわけにはいきません。国民民主党はこれからも党派を超えて新型コロナ危機に打ちかつためにあらゆる政策を駆使し、ポストコロナの経済再生、国家の基である教育と人づくりに全力を傾けることをお約束して、私の代表質問といたします。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕

#12
○内閣総理大臣(菅義偉君) ワクチン接種のスケジュール及び医師、看護師の確保についてお尋ねがありました。
 ワクチンについては、安全性、有効性の審査を行った上で、自治体と連携をして万全な接種体制を確保し、できる限り、二月下旬までには接種を開始できるように準備をいたしておりますが、さらに、一日も早く実現できるよう全力で取り組んでいるところです。
 今後、自治体とも連携しながら、国民に対して手順や優先順位などを分かりやすく説明していくとともに、接種状況等を管理するシステムを構築をし、国民への接種を進めていきます。
 なお、接種する医療関係者の確保等については、医療関係団体からも全面的に協力したいとの回答をいただいており、例えば新型コロナ患者を受け入れていない病院や診療所の御協力をいただくなど、必要な体制を確保してまいります。
 地方自治体へのワクチンの情報提供についてお尋ねがありました。
 ワクチンの接種事務を担うのは市町村であり、しっかりと準備をしていただくためには、準備に必要な正確な情報をきちんと提供していくとともに、必要な支援を行っていくことが重要と考えております。引き続き自治体と緊密に連携しながら、接種体制の構築に向けて準備をしてまいります。
 政府への信頼とワクチン接種の関係性についてお尋ねがありました。
 そもそも国民の信頼を得られるように仕事をしていくことは行政として当然であり、このため、長年の課題に一つ一つしっかりと答えを出して、国民のために施策を前に進めていきます。
 その上で、国民の皆さんに自らの判断で接種をしていただくためには、副反応や効果を含め、ワクチンに関する正しい情報を分かりやすく提供していくことが重要であると考えております。
 今回、河野大臣には全体の調整とともに、国民への分かりやすい情報発信を指示したところであり、引き続き政府を挙げて取り組んでまいります。
 河野大臣への指示についてお尋ねがありました。
 河野大臣は、規制改革担当大臣として複数の役所にまたがる困難な課題をしっかりとまとめて実現をしており、御懸念は当たらないと考えております。また、ワクチン接種に当たっては国民への情報発信は極めて重要であり、そうした意味でも、発信力のある河野大臣が適任であると考えています。国民の皆さんに安全で有効なワクチンをお届けできるよう、河野大臣を始め関係大臣が連携しながら、政府を挙げて取り組んでまいります。
 飲食店などへの協力金や一時金についてお尋ねがありました。
 飲食店への協力金については、その八割を国が負担することとしており、自治体の負担となる二割分についても、地方向けの臨時交付金を御活用いただくことができます。
 また、飲食店の営業時間短縮などの影響により大幅に売上げが減少する納入業者などについては一時金を支給することとしており、事業の継続、雇用の維持のためには、まずは公庫等によるきめ細かな資金繰り支援や雇用調整助成金の特例を活用いただくことになりますが、それに加えて、協力金や一時金の支給を併せて行うことで対策をより実効的なものとし、感染拡大を食い止めていく考えであります。
 雇用調整助成金の特例措置の延長についてお尋ねがありました。
 コロナ禍において多くの方が生活に不安を感じている中、しっかりと雇用を守ることは政治の使命であります。雇用調整助成金などの特例措置については、延長する方向で調整をいたしております。
 療養期間中の勤労者への保障制度についてお尋ねがありました。
 まず、新型コロナ患者が治療に専念できるよう、その入院治療費については全額公費により負担をしております。
 その上で、新型コロナ対応として、国民健康保険の保険者が任意で支給している傷病手当金について、国が特例的に財政支援をすることといたしております。また、濃厚接触者である従業員を休ませた場合には雇用調整助成金の支給対象とされており、国からの賃金保障制度が皆無という御指摘は当たらないものと考えます。
 政府としては、国民の命と暮らしを守り、感染拡大を抑えつつ雇用や事業を維持する、この考えに基づいて必要な対策を講じているところです。
 特措法改正案における差別防止についてお尋ねがありました。
 新型コロナの感染者や医療従事者、その家族はもとより、新型コロナに関係する方々への差別はあってはならないことです。
 このため、本日閣議決定した特措法の改正案については、差別的取扱いをなくすため、国及び地方公共団体の責務として実態把握や啓発活動を行うことを位置付けております。
 今後、国会で速やかに御審議いただくようお願いするとともに、国としても、差別的取扱いが行われないようしっかりと広報等に取り組んでまいります。
 電力の安定供給についてお尋ねがありました。
 断続的な寒波による十年に一度の電力需要の増加により、一月初めから需給が逼迫しました。その後、あらゆる発電所をフル活動させ、足下の電力需給は緩和をしております。
 現場で使命感を持って取り組む方々に感謝するとともに、電力の安定供給が国民経済に必要不可欠であるとの認識の下に、国としても、電力会社などと連携しながら、安定供給の確保に万全を期しております。
 盤石なエネルギー供給体制についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、脱炭素社会の構築に向けて、再エネの最大限の導入を始め、あらゆる選択肢を追求して議論してまいりますが、同時に、電力の安定供給を確保することは大前提だと認識をしております。
 そのため、強靱なエネルギー供給体制を構築をし、安定した電源への投資を促すための制度整備について、エネルギー基本計画の改定において集中的に議論をし、結論を出してまいります。
 新車販売の電動車一〇〇%についてお尋ねがありました。
 政府では、過去に例のない二兆円の基金や過去最高水準の最大一〇%の税額控除を講じてまいります。産業界とも緊密に連携をし、革新的な蓄電池の開発やインフラ整備などを今後検討し、産業構造の変革が円滑に進むよう取り組んでまいります。
 また、自動車関係諸税についても、技術革新や社会の変化などを踏まえながら、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に貢献することを含め、その在り方について検討を行ってまいります。
 科学技術力の強化についてお尋ねがありました。
 御指摘のように、産学官が一体となって研究開発を進め、これを社会に実装し、国際競争力強化につなげてまいります。若手研究者の育成、十兆円規模の大学ファンドの創設、大学改革などに取り組むとともに、今後五年間で官民の研究開発総額の目標を百二十兆円とし、積極的に科学技術、イノベーションの創出を促してまいります。
 教職員の働き方改革と教育への決意についてお尋ねがありました。
 新型コロナの感染の影響が長引く中で、不安を抱える子供たちへのケアが従来に増して必要となり、現場の先生の負担感も多くなっていると承知をいたしております。
 四十年ぶりの大改革となる小学校三十五人学級を実現をし、外部の人材活用、社会人の採用、教師の計画的な採用などにより、学校現場での教育活動に支障を来さないよう配慮しつつ、教育の現場における働き方改革を進めてまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣河野太郎君登壇、拍手〕

#13
○国務大臣(河野太郎君) ワクチン接種の自治体までのロジスティクスについてお尋ねがありました。
 新型コロナウイルスのワクチンについては、昨年の基本合意も踏まえ、希望する方々に速やかに接種を行うことができるよう契約交渉を行ってまいりました。その結果、三社との契約により、国民に必要な数量の確保は見込めております。
 当面は、薬事承認を前提として、ファイザー社のワクチンによる接種を先行させます。ファイザー社のワクチンについては、なるべく早く供給スケジュールを確定した上で、御指摘のロジスティクスを含め、自治体と連携して万全な接種体制を確保いたします。できる限り、二月下旬までに、まずは新型コロナウイルス感染症患者に頻繁に接する機会のある医療従事者から接種を開始できるよう準備をしているところでございます。令和の運び屋と言われるように頑張ってまいります。(拍手)
   〔国務大臣田村憲久君登壇、拍手〕

#14
○国務大臣(田村憲久君) 榛葉議員にお答えいたします。
 新型コロナウイルス感染症の治療薬についてお尋ねがございました。
 新たな治療薬の開発につきましては、厚生労働省としても、一日でも早く国民の皆様の不安を解消できるよう、国内外の企業、研究者の英知を結集して進めております。また、その承認についても、安全性、有効性を前提に、優先かつ迅速に審査を行うことといたしております。
 新型コロナウイルスの治療薬については、抗ウイルス薬であるレムデシビルについて、昨年五月に重症患者を対象として特例承認を行い、今月には対象患者を中等症まで拡大をいたしました。また、従来より重症感染症等の治療薬として承認されているデキサメタゾンについては、昨年七月より新型コロナウイルス感染症診療の手引きに掲載しているところであります。
 このほか、既存の薬が使えないかどうかを確認する研究や、新しい治療薬を作るために必要な候補物質を探す取組も多くの機関によって行われており、研究費等により支援を行っております。
 新型コロナウイルス感染症の変異株についてお尋ねがございました。
 静岡県では、英国滞在歴のない患者四名について、英国において報告された変異株が確認されております。現在、推定感染源を調査中ですが、変異株の面的な広がりが確認されているものではありません。また、静岡県において、一月上旬以降、陽性が判明した約四十検体をゲノム解析したところ、変異株は確認されておりません。
 変異株に対するワクチンの効果については、WHOなども、現時点において、ウイルスの変異がワクチンの有効性に影響を与えるとのエビデンスは得られていない旨述べていると承知いたしております。
 政府といたしましては、引き続き様々な情報を収集しつつ、監視体制の強化を図ってまいります。
 ハイリスク者やいわゆるエッセンシャルワーカーへの検査についてのお尋ねがございました。
 重症化リスクの高い方々のいる施設に対して重点的に検査を実施し、重症者の発生を可能な限り食い止め、国民の命を守ることが極めて重要であります。このため、昨年八月以降、複数回にわたって、感染拡大地域の医療や介護の施設の従業員や入院、入所者などへの積極的な検査を実施するよう都道府県に要請しており、この検査については実質的に国の費用負担で実施できるようにいたしております。
 こうした検査の方法については、PCR検査や抗原定量検査のほか、これまでの科学的知見などに基づき、専門家の議論を踏まえ、複数の検体を混合して同時にPCR検査等を実施する検体プール検査法、一定の要件の下での無症状者に対する抗原簡易キットの使用の二つについて今般新たに実施可能としたところであり、引き続き都道府県と連携しながら一層の取組を推進してまいります。(拍手)
   〔国務大臣梶山弘志君登壇、拍手〕

#15
○国務大臣(梶山弘志君) 榛葉議員からの御質問にお答えをいたします。
 電力の安定供給確保についてのお尋ねがありました。
 国民生活や経済活動に不可欠な電力の安定供給に対する最終責任は、御指摘のとおり、国が担うものであります。東日本大震災の経験を踏まえ電力システム改革を進めてまいりましたが、電力広域的運営推進機関を設立するなど、日本全体で安定供給を確保する仕組みを構築してきました。
 今回、電力需給逼迫においても、電力広域的運営推進機関から電力会社への最大出力での運転指示や地域間での機動的な電力融通指示などにより安定供給を確保し、足下では需給の状況は緩和をしつつあります。
 引き続き電力需給状況を注視するとともに、電力広域的運営推進機関や電力会社と連携をしながら、国として責任を持って安定供給の確保に努めてまいります。(拍手)
   〔国務大臣赤羽一嘉君登壇、拍手〕

#16
○国務大臣(赤羽一嘉君) 榛葉議員から、交通事業者への支援についてお尋ねがございました。
 公共交通事業は、人口減少、少子高齢化が進み、極めて厳しい経営環境の中、地域住民の日常生活や我が国の経済産業活動を支え、また、今般のコロナ禍の下、現場では感染リスクの不安を抱えながら、まさにエッセンシャルワーカーとして公共交通機関の使命と責任を果たしていただいておりますことを改めて感謝を申し上げたいと思います。
 しかしながら、コロナ禍での移動抑制により需要は激減し、交通事業者を取り巻く環境は極めて深刻であります。
 そのため、これまで政府として、事業の継続と雇用の維持に向け持続化給付金の支払、実質無利子、無担保融資や日本政策投資銀行の危機対応融資等の活用、そして雇用調整助成金の拡充のほか、公共交通の感染対策への補助や地方創生臨時交付金による公共交通への支援など様々な支援措置を講じているところでございます。
 さらに、国土交通省では、令和二年度第三次補正予算案や令和三年度当初予算案等に地域の鉄道、バス、タクシー、フェリーや航空など各交通分野の路線の維持や事業の継続のための支援措置を様々盛り込ませていただいたところでございます。
 また、JR北海道及びJR四国に対する支援につきましては、今年度末となっている支援の期限を令和十二年度末まで延長し経営基盤の強化を図りつつ、設備投資に対する新たな出資制度の創設など前向きな支援の拡充等を講ずるための法案の提出に向け、現在検討を進めております。
 今後とも、国民生活、経済活動に欠くことのできないこれらの公共交通事業者がコロナ禍による危機を乗り越えられるよう、国土交通大臣として、現場で額に汗して働かれている方々へ思いをはせながら全力で取り組んでまいります。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────

#17
○副議長(小川敏夫君) 小池晃君。
   〔小池晃君登壇、拍手〕

#18
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 新型コロナウイルス感染症が深刻に広がっています。亡くなられた羽田雄一郎さん、そして全ての方々に心から哀悼の意を表します。闘病中の皆様にお見舞いを申し上げます。
 会派を代表して、総理に質問します。
 深刻な医療崩壊を食い止め、国民の命と健康を守る、政治の責任が求められています。しかし、医療機関に対する緊急包括支援交付金が現場に届いたのは総額三・二兆円の三分の一にもなりません。半年以上たっても現場に届かないのは、制度に問題があるからではありませんか。交付金の大半をコロナ患者受入れ医療機関に限定していることを見直すべきではないでしょうか。
 新型コロナと闘っているのは、感染患者を直接受け入れている病院だけではありません。日本医師会の中川俊男会長は、民間病院でコロナ患者の受入れが少ないとの指摘に対して、コロナ患者を診る医療機関と通常の医療機関が役割分担をした結果だ、民間病院は面として地域医療を支えていると述べました。総理にはそうした認識はありますか。
 今、公立、民間を問わず、多くの医療機関が役割を分担し、それぞれが力を尽くしています。発熱外来には、年末年始も多くの開業医が協力してきました。地域の救急医療体制を維持するため、コロナ患者に対応していない病院も肺炎や発熱の患者の受入れに協力しています。慢性期病院やリハビリテーション病院でも感染が軽快した患者を受け入れています。一般の病院や介護施設で陽性者が発生した場合、コロナ対応病院への転院が容易にはできず、数週間にわたってその施設で外来、新規入院・入所などを停止し、治療に当たるケースもあります。このように、日本中の医療、介護事業所が役割を分担しながら懸命に努力をしています。その全体を支援することなしに、コロナ危機を乗り越えることはできません。
 政府がやるべきことは、医療機関や介護福祉事業所の全体を対象に、感染拡大による減収を迅速かつ簡便な方法で補填することです。減収補填の必要性に対する明確な答弁を求めます。
 感染者の急増を抑え、医療崩壊を防ぐためには、無症状者も対象にした積極的なPCR検査などによって陽性者を早期に発見し、保護していかねばなりません。施政方針演説で総理は検査の方針について一言も触れませんでしたが、自治体任せにせずに、PCR検査を積極的に行う明確な戦略を示すべきではありませんか。
 新型コロナ感染症対策分科会に提出された資料によれば、五人以上の感染者が発生したクラスターの四五%は医療・福祉施設で、飲食関連の一九%を上回っています。医療・福祉施設でのクラスター発生の防止は、重症者を減らし、医療への負担を軽減する上で決定的に重要であり、全額国費による社会的検査を行うべきです。保健所の業務負担増にならないように、医療機関や介護施設などが民間機関も活用した自主検査を定期的に行う仕組みを国がつくり、その費用も国が全額負担すべきです。答弁を求めます。
 政府は、昨年春の緊急事態宣言並みの外出自粛などの徹底を国民に呼びかけています。ならば、お願いだけでなく補償が必要であり、昨年春に行った支援を今になって打ち切るなど言語道断です。
 ところが、政府の支援は、営業時間の短縮を求める飲食店には一日最大六万円の協力金、取引先には最大四十万円の一時金しかありません。これで十分だというのですか。事業規模に応じた補償の拡充が必要ではありませんか。
 持続化給付金、家賃支援給付金の打切りは撤回し、第二弾を実施すべきではありませんか。雇用調整助成金のコロナ特例の縮小、休業支援金の打切りも撤回し、感染収束まで継続し、対象を中堅企業や大手チェーン店などの労働者にも拡大すべきではありませんか。
 コロナ禍の下で外食需要が激減し、農業が大きな打撃を受けています。とりわけ米は、需要の消滅がそのまま在庫として積み上がるので、価格が大きく下がっています。
 ところが、政府の対策は、次の作付けで転作を要求するのみです。農家に減産を迫りながら、外国から七十七万トンものミニマムアクセス米の輸入を続けることは直ちに中止すべきではありませんか。
 米は基幹作物であり、国が余剰分を買い上げて市場から隔離し、需給均衡を図るべきではありませんか。
 三次補正予算は、緊急事態宣言発令前に作られたもので、感染の収束を前提としてGoTo事業に一兆円以上を付けています。このような予算案をこのまま成立させるのは、政治の責任放棄にほかなりません。すぐには必要でない事業はやめて、その財源を医療や補償などに回す抜本的な組替えを行うべきではありませんか。
 年末年始には市民団体やボランティアによる相談支援活動が各地で取り組まれ、私も参加しました。そこで見たのは、非正規雇用の人たちがコロナ危機をきっかけに仕事も住居も失い、日々の食事にも事欠く深刻な状態に追い込まれた姿です。生活困窮者、低所得者の手元に直ちに届く新たな給付金が必要ではありませんか。
 相談会では、所持金が数百円という貧困状態にあっても、生活保護制度は受けたくないと拒否される方が相次ぎました。つくろい東京ファンドが行ったアンケートによれば、生活保護を利用していない理由で最も多かったのは、家族や親戚に知られるのが嫌だというものでした。福祉事務所が親兄弟や子供などの親族に援助が可能かどうかを問い合わせるためです。
 厚労省は、生活保護の申請は国民の権利ですと呼びかけましたが、親族への扶養照会は生活保護を権利として利用する際の大きな障害になっています。有害な扶養照会はやめるべきです。緊急に運用を見直すべきではありませんか。
 政府は、コロナ特措法や感染症法の改定に、時短要請に応じない飲食店や入院措置に応じない患者への罰則、コロナ患者を受け入れない病院名の公表を盛り込みましたが、感染症対策は、国民の納得と合意、十分な補償、そして社会の連帯で進められるべきであります。
 罰則や制裁による強制は相互監視や社会の分断を進めることになり、感染症対策に逆行するのではありませんか。総理の見解を求めます。
 コロナ対策において何より大切なのは政治への信頼、とりわけ政治リーダーに対する信頼です。しかし、総理は、吉川元農水大臣の疑惑についても、学術会議への任命拒否の理由についても、国民に説明していません。総理はこれで国民の信頼を得られると思いますか。
 総理は、桜を見る会前夜祭をめぐる自身の答弁について、事実と異なるものがあったと認めました。安倍前総理のうそをオウム返しにし、疑惑解明を妨害してきた責任は重大です。たった一言のおわびで済むとお考えですか。
 前夜祭は桜を見る会とセットです。功労、功績のある者という招待者の選定基準が守られていれば、安倍氏の後援会員が大量に招待されることはなく、前夜祭による買収疑惑も起こりませんでした。当時、菅総理は官房長官として招待者選定の責任者でした。全容解明のための調査を行うつもりはあるか、お答えいただきたい。
 前夜祭の会費を補填した費用の原資についてもいまだに説明がなされず、領収書も明細書も提出されていません。安倍前総理の説明には根拠が全くありません。真相解明には、更にうそをつけば偽証罪に問われる証人喚問が不可欠ではありませんか。
 昨日、河井あんり参院議員に有罪判決が下されました。参議院選挙で莫大な資金を提供し応援した責任を総理はどう考えていますか。河井克行氏とともに証人喚問が必要ではありませんか。国会が決めることと逃げずにお答えください。
 今年で東日本大震災から十年となります。政府は、十年の復興・創生期間終了後、岩手、宮城などは五年、福島は十年で被災者支援や復興策に区切りを付けようとしていますが、期限を切って打ち切ることは許されません。被災者の生活となりわいの再建を目指して国が最後まで責任を果たすべきではありませんか。
 経産省のグループ補助金交付先アンケートによれば、被災地で売上げが震災直前の水準まで回復している事業者は四四%にとどまっています。そこに新型コロナが襲い、被災地の基幹的な産業である漁業、水産加工業や観光業は大打撃を受けています。
 漁業では、被災地の主要魚種であるサケ、サンマ、スルメイカの大不漁が続き、コロナによる飲食業の需要減も直撃しています。水産加工業の再建にグループ補助金は大きな役割を果たしましたが、その返済時期に大不漁、コロナが重なり、文字どおりの三重苦となっています。一層の支援強化が求められるのではありませんか。
 東京電力福島第一原発事故の汚染水の海洋放出の動きには、漁業者を始めとして、今までの努力を水の泡にすると、不安と怒りが広がっています。東京電力の試算では、現在タンクにためられている水の七三%にトリチウム以外のヨウ素やストロンチウムなどが含まれ、最大で基準値の二万倍とされています。当面は陸上保管を継続し、国内外の英知を結集し解決すべきではありませんか。
 一たび事故が起これば、甚大な被害をもたらし、長期にわたり先の見えない苦難を強いるのが原発です。脱炭素を口実に原発に固執するなど、愚の骨頂ではありませんか。再稼働をきっぱり断念し、原発ゼロへかじを切るべきではありませんか。
 沖縄の米軍新基地建設に関して聞きます。
 政府が辺野古の埋立てに使用する土砂を、住民を巻き込んだ凄惨な地上戦の激戦地である沖縄本島南部から採取しようとしていることに、県民の怒りが広がっています。
 私は、昨年十月の本会議で、このことについて総理の認識を問いました。ところが、総理の答弁は、関係法令で認められた採石場から調達されるという一言だけでした。戦没者の血が染み込み、遺骨の眠る地域から土砂を採取し、米軍基地の建設に使用することに総理は何の痛みも感じないのですか。
 戦没者の遺骨収集は国の責務です。政府は、戦没者の無念と遺族の心情に寄り添い、遺骨の収集と返還に全力を挙げるべきではありませんか。戦没者を冒涜する土砂採取計画の撤回を強く求めます。
 普天間基地を始めとする沖縄の米軍基地は、米軍が戦時国際法に違反して住民を収容所に入れている間に土地を取り上げ、建設したものです。そして、本土復帰後も米軍に奪われた土地は地主に返還されず強制使用が続きました。県民は、基地あるがゆえの事件、事故に苦しめられ、憲法に保障された基本的人権が踏みにじられてきました。
 総理は、官房長官のときに、当時の翁長雄志知事がこうした沖縄の歴史を語り、県民には魂の飢餓感があると述べたのに対し、私は戦後生まれなので沖縄の歴史は分からないと答えました。余りに無情です。私は昨年の本会議でこのことを指摘しましたが、答弁がありませんでした。
 改めて伺います。総理は今でも沖縄の歴史は分からないというのですか。そうした態度が沖縄の皆さんの心に寄り添うものだと言えますか。
 沖縄県民は、度重なる選挙と県民投票で辺野古新基地建設反対の民意を示し続けてきました。政府はこの民意に応え、新基地建設の断念と普天間基地の閉鎖、撤去に正面から取り組むべきではありませんか。
 来年度予算案には、これまで政府が進めてきたF35ステルス戦闘機と、同機に搭載する長距離巡航ミサイルの取得、「いずも」型護衛艦を空母化するための改修費に加え、新たに国産の地対艦誘導弾の射程を大幅に増やし、戦闘機や艦船に搭載可能にすることなどが盛り込まれました。これらは、今まで政府が他国に脅威を与えるから保有できないとしてきたものばかりです。敵基地攻撃能力の保有と一体どこがどう違うのか、御説明いただきたい。
 また、陸上配備型迎撃ミサイルシステム、イージス・アショアの代替策としてイージスシステム搭載艦二隻を新造するための予算も計上されています。しかし、その建造費は五千億円以上で、ミサイル取得費やランニングコストを含めれば一兆円を超え、青天井になることが指摘されています。総理はそのことを認めますか。
 今、国民の命を守るために緊急に必要なのは、敵基地攻撃能力でも米軍新基地建設でもなく、検査、医療、補償などのコロナ対策に予算を振り向けることではありませんか。過去最大の軍事費を削ってコロナ対策に回せ、このことを強く求めるものであります。
 本日、核兵器禁止条約が発効しました。核兵器が道義的に非難されるだけでなく、違法なものとなりました。日本共産党は、核なき世界に向けた新しい時代の始まりを心から歓迎するものです。
 昨年の国連総会では、条約への参加を訴える決議が加盟国の三分の二を超える百三十か国の賛成で採択されました。ある国の大使は演説で、条約の批准は核兵器の犠牲者に払える最高の敬意だと述べました。世界の多数の国々が被爆者の努力をたたえ行動に踏み出しているときに、唯一の被爆国の政府が背を向け続けるのですか。世論調査でも、禁止条約への参加支持は七割に達しています。これらの声に真摯に応えるのが被爆国政府の責務ではありませんか。
 核兵器に固執する米国と密接な関係にある日本が禁止条約に署名、批准をすれば、核軍縮の停滞が言われる情勢にも前向きな変化をもたらします。北東アジアの平和と非核化にとっても新たな展望を開くに違いありません。
 今こそ被爆国にふさわしい世界への発信と行動を、そのことを強く求めて、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕

#19
○内閣総理大臣(菅義偉君) 緊急包括支援交付金の執行についてお尋ねがありました。
 現時点で医療機関等からの申請額約一・四兆円に対し、昨年末までに約一・一兆円が実際に支払われたとの報告を受けています。執行にかなりの時間を要したことは問題であり、自治体の医療担当部局の業務が過剰になっている実態を踏まえ、国から直接執行する仕組みも取り入れているところであります。
 また、交付金は新型コロナ対応をしていない医療機関も含めて助成しておりますが、新型コロナ患者に向けての更なる病床確保が必要であることや、患者受入れ病院の医療従事者が大変な状況にあることなどを考慮すれば、交付金の多くはこうした病院に支払われるべきものと考えています。
 交付金の中には年度後半に費用が発生するものもあり、引き続き早期執行に努めてまいります。
 民間病院の役割についてお尋ねがありました。
 政府としても、新型コロナ患者を受け入れていない民間病院も含めて、地域で役割分担をしながら地域医療を支えているものと認識しております。コロナ対応を行っていない医療機関も含めた三・二兆円の支援や、過去に例のない無利子、無担保等の危機対応融資を実施しております。
 医療機関及び介護・福祉事務所全般に対する減収補填の必要性についてお尋ねがありました。
 これまでも、コロナ対応を行っていない医療機関への支援も含めて三・二兆円の医療機関支援を行うとともに、今回の補正予算案で一・四兆円の追加支援を計上するなど、現場のニーズを酌み取りながら支援を行ってまいります。また、介護・福祉事業者に対しては、コロナ対応に必要な経費について、今回の補正予算を含めて約七千億円を措置しており、引き続き必要な支援を実施してまいります。
 政府としては、こうした必要な支援を行うことで、実質的に新型コロナ患者を受け入れる医療機関等がそれによって損失を被ることがないようにしております。
 検査の戦略についてお尋ねがありました。
 必要な方が検査を受け、その結果、感染者を早期に把握し、療養等の対応を行うことが感染拡大を防ぐ基本であり、これまでも都道府県とも連携し、可能な限りの検査体制の拡充を図ってきたところであります。
 引き続き、都道府県とも連携しつつ、必要な検査を受けられるよう検査体制の拡充を図るとともに、感染拡大地域では症状のない方も含めた大規模、集中的な検査を実質的に国の費用負担で実施してまいります。
 社会的検査及び民間機関も活用した自主検査の実施についてお尋ねがありました。
 重症化リスクの高い方のいる施設に対し重点的な検査を実施することとし、感染拡大地域の医療や介護の施設の従業員や入院・入所者などに対して、実質的に国の費用負担で検査を実施できるようにしております。その際に、保健所の業務負担を軽減する観点から、あらかじめ自衛隊と施設が調整を行った上で、施設の配置医師等の協力を得て、保健所が関与することなく検体採取を行うことも可能としております。
 政府としては、引き続き都道府県とも連携しながらこの枠組みを活用してそうした方への検査を実施してまいります。
 飲食店への支援についてお尋ねがありました。
 事業者の規模にかかわらず、事業を継続し、雇用を維持していただけるよう、公庫等によるきめ細かな資金繰り支援や雇用調整助成金の特例などを行っているところです。
 こうした支援に加え、飲食店への協力金や納入業者等への一時金の支給を併せて行うことで、対策をより実効的なものとすることとともに、事業と雇用を守ってまいります。
 給付金や雇用調整助成金などについてお尋ねがありました。
 給付金については、申請期限を延長したところであり、今回の緊急事態宣言を踏まえ、無利子、無担保融資の限度額引上げ及び一時金の支給を行います。
 雇用調整助成金などの特別措置につきましては、先ほど申し上げましたように、延長する方向で調整しています。
 米の需給均衡に向けた対策についてお尋ねがありました。
 米のミニマムアクセスは、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉において全加盟国の合意の下に設定されたものであり、その中止は困難です。
 現在の米政策の考え方は、農家が自由に作物を決め、所得を向上させるものであり、国による買上げはこの考え方に沿わないものです。政府としては、野菜などの高収益作物への転換を支援してまいります。
 第三次補正予算についてお尋ねがありました。
 三次補正予算においては、病床の確保、雇用や事業の支援に加え、必要なコロナ予備費を確保しており、組替えを行わなくても新型コロナ対策にしっかり対応できる予算としております。この補正予算を早期に成立させ、コロナ予備費も活用しつつ、感染拡大を防止し、経済と国民生活を守ってまいります。
 生活に困窮されている方への支援についてお尋ねがありました。
 国民の命と暮らしを守ることは政治の責務であります。緊急小口資金等の特例貸付けや住居確保給付金の支給など重層的なセーフティーネットにより、それぞれのニーズに応じて支援を行っております。まずは一日も早く感染を収束させ、皆さんが安心して暮らせる日常を取り戻すべく全力を挙げてまいります。
 生活保護制度についてお尋ねがありました。
 扶養義務者の扶養が保護に優先して行われることは生活保護法に明記された基本原理であり、扶養照会は必要な手続であります。
 他方で、DVや明らかに交流が断絶している場合などにおいては照会を不要とする取扱いを認めており、引き続き、必要な配慮の周知徹底に努めてまいります。
 特措法改正案等の罰則についてお尋ねがありました。
 特措法や感染症法については、個人の自由と権利に配慮して、必要最小限の私権の制限とした上で支援や罰則の規定を設けるなど、必要な見直しを検討してまいりました。感染症対策に逆行するとは考えておりません。
 本日の閣議において、与野党の御意見も踏まえた上で法案を決定したところであり、今後、国会で速やかに御審議いただくようお願いを申し上げます。
 政治への信頼についてお尋ねがありました。
 政治資金については、法令にのっとって取り扱わなければならないことは言うまでもありません。政治家はその責任を自覚し、国民に疑念を持たれないよう常に襟を正すべきものと考えています。証人喚問については、国会がお決めになることであると思います。
 河井あんり議員に関する党からの政治資金については、所定の基準と手続を経た上で交付されたものです。なお、裁判は係属中であり、行政府の長としてこれ以上お答えすべきではないと考えます。
 また、日本学術会議の会員の任命については、法律に沿って、求められた役割等も踏まえて、任命権者として適切に判断をしたものであります。
 桜を見る会についてお尋ねがありました。
 今回、桜を見る会前夜の夕食会に関する私の答弁の中に事実と異なるものがありました。国民の皆さんに対して大変申し訳ない思いであり、施政方針演説において改めておわびを申し述べさせていただきました。
 安倍前総理は国会においてできる限りの説明をされたと考えておりますが、いずれにしろ、証人喚問については国会がお決めになることであると考えます。
 また、桜を見る会については、様々な御指摘について必要な調査を行い、国会の場でも繰り返し御説明をしてまいりましたが、御批判も踏まえ、少なくとも私の任期中は開催しないこととしました。
 東日本大震災からの復興についてお尋ねがありました。
 発災から十年を迎え、復興は着実に進展している一方で、今後も被災者の心のケア等の課題が残り、福島の復興再生には中長期的な対応が必要です。引き続き政府の最重要課題として、福島の本格的な復興再生、そして東北復興の総仕上げに全力を尽くしてまいります。
 被災地の水産加工業への支援についてお尋ねがありました。
 被災地復興の着実な進展に従い、水産加工施設も着実に再開をしています。その一方で、売上げの回復の遅れや原料不足といった困難も抱えていると承知しています。
 このため、政府としては、グループ補助金の償還猶予や販路開拓のための加工機器の導入支援などを講じているところです。また、その際、新型コロナの影響を調査し、被災地の中核産業である水産加工業の着実な復興に支障が生じないよう万全を期してまいります。
 福島第一原発のALPS処理水についてお尋ねがありました。
 タンクが増加し、敷地が逼迫する中、いつまでも方針を決めずに先送りすることはできません。これまで六年以上にわたる専門家による検討などの議論を積み重ねてきたところであり、今後、適切な時期に政府として責任を持って処分方針を決めます。その際、風評対策にもしっかりと取り組みます。
 原子力政策についてお尋ねがありました。
 資源に乏しい我が国において、電気料金上昇や気候変動問題などを考えれば、原発ゼロで最適な政策を実現できるとは思いません。
 原発については、安全最優先、すなわち原子力規制委員会が世界で最も厳しい水準の新規制基準に適合すると認めた原発のみ、地元の理解を得ながら進めていくのが政府の方針であります。
 辺野古問題に係る埋立土砂と戦没者の遺骨収集についてお尋ねがありました。
 さきの大戦において凄惨な地上戦を経験した沖縄では、厚生労働省と沖縄県が役割を分担して御遺骨の収集を進めております。
 変更承認後の埋立てに使用する土砂の調達先は決まっておりませんが、仮に沖縄本島南部の鉱山から土砂の調達が行われるとしても、採石業者において御遺骨に配慮した上で土砂の採取が行われるものと承知しています。
 沖縄の歴史と辺野古移設についてお尋ねがありました。
 悲惨な地上戦を経験し、返還まで多くの時を要した沖縄に、今もなお大きな基地負担を背負っていただいている事実を重く受け止めております。
 私は、これまで多くの沖縄の皆さんと会い、その基地負担の経緯や現状について率直なお気持ちを伺ってまいりました。だからこそ、私は、沖縄のために力を尽くし、那覇空港第二滑走路や北部訓練場の返還などを実現してきました。
 普天間飛行場の危険性の除去については、日米同盟の抑止力の維持と考え合わせたとき、辺野古移設が唯一の解決策であります。この方針に基づき着実に工事を進めていくことが普天間飛行場の一日も早い全面返還の実現につながることについて、地元の皆様の御理解を得る努力を続けてまいります。
 防衛予算についてお尋ねがありました。
 来年度予算案に計上している御指摘の装備は、いずれも我が国防衛に必要な自衛のための必要最小限度のものであります。また、敵基地攻撃を目的としたものではありません。イージスシステム搭載艦の総経費については引き続き検討することとしており、現時点でお答えすることは困難です。
 なお、新型コロナ対策に必要な予算はしっかり確保しています。
 被爆国政府の責務についてお尋ねがありました。
 我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の取組をリードする使命を有しており、これは我が国の確固たる方針であります。
 御指摘の核兵器禁止条約については、これまでも進めてきている政府の立場に照らし、署名する考えはありませんが、我が国としては引き続き核軍縮の進展に向け、立場の異なる国々の橋渡しを努め、国際的な議論に積極的に貢献をしてまいります。(拍手)
    ─────────────

#20
○副議長(小川敏夫君) 田名部匡代君。
   〔田名部匡代君登壇、拍手〕

#21
○田名部匡代君 立憲民主・社民の田名部匡代です。
 会派を代表して、政府四演説に対し、質問いたします。
 早速質問に入らせていただきたかったのですが、昨日の総理答弁に一言申し上げます。
 当然のこととして、コロナ収束は与野党協力して取り組むべき課題と捉えております。これまで私たち立憲民主党も積極的に政策提言を行ってまいりました。
 しかし、昨日、我が党水岡議員への総理の御答弁は、とても誠実とは言えませんでした。質疑者に対してもそうでありますけれども、日々の生活に不安を抱いておられる国民の皆様に対してであります。あらゆる機会を通じて国民に誠実に説明する責任が総理にはあります。答弁が長い短いではなくて、明確なお答えと丁寧な御説明を求めて、質問に入ります。
 コロナ対策についてお伺いする前に、大雪被害への対応について総理にお聞きをいたします。
 本年一月に入って、特に日本海側では記録的大雪となりました。除雪作業中や、また事故でお亡くなりになられた方々も多数おられます。まずは御冥福をお祈りをいたします。
 この雪で立て続けに車の立ち往生が発生をしたわけですが、今後の降雪に備え、対応の改善点や対策について検討されているのか、総理にお伺いをいたします。
 また、先日十九日には、東北自動車道で四、五十台の車両が絡む多重事故が発生しました。雪国では、地吹雪による視界不良もそうですが、除雪により一車線が利用できなくなるなど、各所で渋滞が発生し、緊急車両の移動や食料、燃料の輸送に影響が出ることもあります。現段階で農林水産関連施設等の被害も九千件を超えておりますし、農作物全体の被害総額は三十億円以上と試算されています。
 今後の降雪状況で除雪費の不足等も考えられ、必要に応じた十分な支援をお願いをしたいと思いますが、総理、お約束いただけますでしょうか。
 それでは、コロナ対策について伺います。
 改めて、コロナに感染し、お亡くなりになられた全ての方の御冥福をお祈りをいたします。
 そして、羽田雄一郎参議院議員、この場にいらしたら、きっといつものように頑張れよと声を掛けてくださったでしょう。会派の幹事長であった羽田議員から最後の御指示がこの代表質問ですので、一人でも多くの方の命や生活が守れるよう、コロナの収束を願い、総理にお聞きをしてまいりたいと思います。
 まず、第三次補正予算についてです。
 新型コロナウイルス感染拡大の影響で解雇、雇い止めになった方は八万人とされていますが、野村総合研究所の推計によると、女性のパート、アルバイトで仕事が半分以下に減り休業手当も支払われない実質的失業者は、昨年十二月時点で九十万人に上るとされています。ここに派遣社員や契約社員で同様の事例を含めると、更に深刻な実質的失業の実態があると考えられます。また、昨年の飲食店倒産件数は過去最多となっています。GoTo事業の見直し提言に耳を傾けず、この事態に陥ったのではないでしょうか。
 GoToイートについては、第三次補正予算案に五百十五億円が計上されています。事業に反対しているのではありません。まずは、徹底してコロナを封じ込め、医療崩壊を防ぎ、倒産や廃業を食い止め、この危機をしっかりと国民の御協力の下で乗り切っていただくことに全力を注入することが重要なのではないでしょうか。そのために、今こそ徹底的な支援が必要なんです。緊急事態宣言が出された地域だけではなく、全国みんな苦しい、そういう状況に置かれています。GoToイートだけではありませんけれども、このGoToイート事業について一旦立ち止まり、持続化給付や家賃支援などを続けるべきではないでしょうか。総理にお伺いをいたします。
 次に、検査体制について伺います。昨日、水岡議員も質問されました。それに対する明確な答弁がなかったので、再度お聞きをいたします。
 総理、適切な検査ができる体制とはどういう体制を指すのか、それはいつまでにどれだけの件数を実現するのか、明確にお答えをいただきたいと思います。
 私たちは、医療従事者や介護従事者、障害福祉サービス事業所、子ども・子育て支援施設へ慰労金を支給する法案を提出しましたが、是非これを実現をさせていただきたいと思います。我が党枝野代表からの問いに明確な答弁がありませんでしたので、改めて総理から答弁を求めたいと思います。
   〔副議長退席、議長着席〕
 次に、政府の緊急事態宣言の対象となっていない茨城県、沖縄県、熊本県などが独自の緊急事態を宣言をしています。飲食店の営業時間短縮などが要請されているのですけれども、しかしながら、協力金は十一都府県のよりも低額となっています。こうしている間にも多くの事業者の経営が逼迫していくのではないでしょうか。
 経産省のホームページに中小事業者に対する一時金の支援が掲載されていますが、この制度が県独自の緊急事態宣言下の事業所にも広く対象になるのか非常に分かりづらく、例えば運転代行事業者や、公共施設の休館によりヨガなど文化、スポーツ講座を休講せざるを得なくなった個人事業主から、救済されるのか不安であるという声が届いています。
 そこで、緊急事態宣言の発令が政府か地方自治体かにかかわらず、この一時金の制度は対象となるのか、総理に確認をさせていただきたいと思います。
 コロナ禍で少子化が加速するのではないかという懸念があります。妊娠届出数の推移を見ても、二〇二〇年五月から七月の妊娠届出数は前年と比べ大幅に減少いたしました。出産や将来への不安が影響しているのではないでしょうか。
 東京都は、三病院を実質的に新型コロナ専門病院とし、新型コロナウイルス感染症患者を重点的に受け入れる方針を決めました。そのため、妊婦を始め三病院に通院、入院している患者は転院を迫られ、今後の受診、治療や追加の費用負担等に大きな不安が生じました。最終的に東京都が追加の費用を負担するとの方針を示したということですけれども、今後二度と同様の事案を引き起こさないよう、国として万全の措置を講ずるべきと考えます。
 国として、転院に係る追加費用を患者に求めないことを速やかに決定、公表するとともに、転院に係る追加費用を患者が負担することのないよう、自治体に財政支援をすることを強く求めます。実行していただけるかどうか、総理から明確に御答弁を願います。
 新型コロナウイルスの感染拡大による影響は、農林水産分野も例外ではありません。昨年春は、農畜産物の消費が混乱し、店に並ぶ食品が一時的に品薄になりました。一方、感染拡大が世界的に進む中で、一部の国が小麦などの穀物輸出に制限を設けることもありました。効率性や安さを優先して食料供給を世界的に展開していますが、こうした状況の変化によってはリスクとなることを改めて感じます。
 私は、食料安全保障の観点から、自給率向上とともに、いざというときにも食料供給が維持できる潜在的な力である食料自給力の向上を目指すことが極めて大事だと考えます。政府も、食料の潜在生産能力を把握し、維持向上を図ることが重要であると認識して試算をしていますけれども、食料自給力を伸ばして実質的な自給を確保するためにはどのような政策を展開すべきとお考えですか、総理の見解を伺います。
 これらの危機的な経験を踏まえ、あらゆるその危機に対応して食料政策に取り組んでいかなければなりません。
 総理は、農林水産物の輸出額を現在の九千億円から二〇二五年には二兆円、二〇三〇年に五兆円の目標を掲げています。片や、輸入額は約九兆五千億であり、輸入に依存する日本の現状を如実に表しています。
 総理は、輸出額は増加したとおっしゃいますが、では輸出額の中に含まれる加工品の外国産の原材料の割合は一体どの程度でしょう。原材料が海外から輸出された農産品であるならば、これは本当の意味で我が国農業の発展に寄与していると言えるでしょうか。輸出拡大は大いに結構です。しかし、それが広く生産者の所得の底上げにつながるようにすることが重要なのです。また、輸入状況に左右されるものであってはなりません。
 食料安全保障の観点で、国内農政の検証とともに、輸出戦略の練り直しも必要ではないかと考えます。総理の見解を求めます。
 感染症の拡大は家畜にも及んでいます。
 豚熱は、二〇一八年九月に養豚農場で二十六年ぶりに発生が確認されて以降、昨年十二月末までに十県で発生が確認されています。また、高病原性鳥インフルエンザは、昨年十一月、香川県の養鶏場で発生が確認されて以降、昨日も千葉県で確認されましたので、十五県、三十七事例の発生報告となります。一方、有効なワクチンのないアフリカ豚熱は、二〇一八年八月に中国においてアジアで初めて確認をされて以降、アジア地域での発生が継続しており、養豚農家にとっては最大の脅威となっています。水際対策の徹底が求められるものであります。
 昨年、家畜伝染病予防法が改正されましたけれども、全国的に家畜伝染病のリスクは非常に高まっています。総理は、防疫措置の対応についてどのように取り組んでいかれるおつもりなのか、お答えを願いたいと思います。
 農林水産に関連するといえば、吉川貴盛元農水大臣が在任中に大臣室で計五百万円を受領したとして収賄罪で在宅起訴された問題であります。大臣室でなどというのは前代未聞ではないでしょうか。起訴状では、アニマルウエルフェアに関し国際獣疫事務局の規約改正案に、業界に有利かつ便宜な取り計らいを受けたいとの趣旨を知りながら、業界大手の役員から現金を受け取ったとされています。賄賂性の高いお金を受け取り便宜を図って政策がねじ曲げられるようなことは決してあってはなりません。許されることではないのです。
 今回の元大臣の在宅起訴を受け、衆議院本会議では、総理も、第三者による検証をされると承知しているとお答えになりました。第三者とはどういうメンバーなのか、検証結果はしっかり国会で御報告いただけるということなのか、総理に確認をさせていただきます。
 政治と金の問題はこれだけではありません。河井あんり被告のことも同様ですけれども、何の説明責任もこれまで果たされてきませんでした。政治の信頼回復に向け、総理にも責任を持ってしっかりとその責任を果たしていただきたいと思います。
 農水分野では、国家戦略特区による企業の農地取得を全国に拡大する話が持ち上がっています。
 現在、特区として企業の農地取得が認められている地域でも、ほとんどがリース方式で農地を利用しており、企業が農地を取得しなくても農業経営はなされています。現場の実態や要請に関係なく強引なやり方をするのはやめていただきたいと思います。
 今回の提案は一旦見送られたようでありますけれども、菅総理は、安倍前政権が続けてきた民間議員による提案を重視する路線をそのまま継承していくおつもりなのか、美しき豊かな農山漁村を目指される総理の農林水産政策に取り組む基本的な姿勢をお聞かせください。
 コロナ禍では、脆弱な立場に置かれやすい方たちに厳しい負担をもたらすことが浮き彫りにされます。様々な被害を受けている人たちがいることも決して放置してはなりません。性暴力被害もその一つです。残念ながら、日本社会にはいまだに被害者に落ち度があるという誤った思い込みもあります。過去には、自民党の女性議員で、女性は幾らでもうそをつけるなどと被害者を殊更攻撃して黙らせる許し難い発言もありました。
 現在、二〇一七年にされた刑法改正の三年後の見直しのための議論が進められています。この議論には、性暴力の被害を受けた当事者の方も加わっています。また、男性被害者や性的マイノリティーの被害者の方にもヒアリングをしています。法改正の議論に被害者に参加していただくことは、被害者に寄り添った法制度の見直しを実現する上で非常に重要なことでありますけれども、問題は、この議論の中で明らかになった性被害の実情、例えば、低年齢の子供が受ける被害の深刻さ、被害を受けて、被害をすぐには認識できないこと、PTSDなどの影響、二〇一七年改正で男性に対する加害も強制性交等罪として処罰されることになったわけではありますけれども、必ずしも被害の訴えやすさや支援にはつながっていないこと、加害を受けると男性でも女性でも誰でも恐怖や混乱により抵抗できない状態になってしまうことがあることなど、どのように現実の法改正につなげるかということであります。
 今後始まる法制審議会では、性被害の実情を適正に考慮した法改正を実現していただかなければなりません。被害当事者や支援員などを委員として選任することが有益と考えますが、いかがでしょうか。恐怖の余りフリーズしてしまった場合ですら、抵抗した痕跡がないと同意とみなす現行法のいわゆる暴行・脅迫要件の見直しは、今や必須と考えます。総理の御見解をお願いいたします。
 東日本大震災から今年三月で十年を迎えます。昨年十二月の時点で避難生活を送っていらっしゃる方々はいまだに約四万二千人もおり、被災前の生活を取り戻したと言えるものではありません。間違えても十年を区切りに東日本大震災を風化させてはなりません。
 震災後、グループ補助金などの支援は事業再建につながったわけですが、自己負担分の借金返済や売上不振で倒産に追い込まれた企業の中には水産加工業者も多いわけです。復興状況について、水産庁のアンケート調査でも、震災前と比較して売上げが八割以上回復した業者は大手であって、生産能力、売上げとも資本金の規模が小さなところほど回復も遅れています。加えて、震災時の借入れが残る事業者が、今回の新型コロナウイルスの影響で更に負債を抱え、限界まで追い込まれています。
 総理は心のケアについて触れられましたが、現実は深刻です。津波の被害を受けた地域は、水産業が盛んなところが非常にたくさんあります。コロナ禍で追い打ちを掛けられて、復興の歩みを止めることがあってはなりません。総理の御認識と、復興実現に向けた決意をお聞かせをいただきたいと思います。
 コロナ禍でも大規模災害が起こらないとは限りません。常に万が一に備え、避難所の感染防止対策のみならず、多数の負傷者が出ることなどを想定し、救急搬送、医療提供体制、感染拡大防止対策、食料や燃料の生活物資の安定供給など体制を整えていかなければなりません。どのように取り組まれるおつもりか、総理にお伺いをいたします。
 最後に、選択的夫婦別姓制度についてお伺いします。
 選択的夫婦別姓の導入について、六十歳未満の人を対象にした最近の民間の調査で、七割の人が選択的夫婦別姓に賛成でありました。特に、女性の二十代、三十代では八割が賛成であり、一番賛成が少ない四十代の男性でも六割の方が選択的夫婦別姓に賛成と回答をしています。これから結婚をし、家庭を持つ世代に対して選択肢を増やす、このことに総理御自身は賛成でしょうか、反対でしょうか、お聞かせをいただきたいと思います。
 立憲民主党は、二〇一八年に選択的夫婦別姓を導入するための法案を提出いたしました。この法案を実現し、結婚における選択肢を増やしていくことが重要と考えております。総理のお考えをお聞かせください。
 最後に、この場をお借りして、大学の先輩でもありました羽田雄一郎議員でありますが、政治は困っている人のためにあるんだと、いつもそうおっしゃっておられました。困難なときも、俺たちが頑張らなくてどうすると背中を押してくださいました。もう一度政権交代を目指し、国民のための政治をやろうと、そんなふうに声を掛けていただきました。
 総理は、自助、共助、公助、まずは自力だとおっしゃいますが、世の中にはぎりぎりのところで、もう我慢の限界の中で頑張っておられる方がたくさんいらっしゃる、みんな必死に頑張っているんです。その姿が見えていますでしょうか。
 羽田雄一郎議員が、国民のために、苦しんでいる人のために、そうおっしゃってきたことをこれからも立憲民主党の仲間と大事にしながら、まさに、国民の皆さん、あなたのための政治を行う、立憲民主党は全力で命と生活を守る、その政治を実現させていきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕

#22
○内閣総理大臣(菅義偉君) 初めに、今後の降雪への対応についてお尋ねがありました。
 大規模な車両滞留の発生を重く受け止め、今後の大雪については、高速道路とそれに並行する国道を広範囲、同時に通行止めするなど、人命の安全確保を最優先に対策を講じてまいります。また、地方公共団体が適切に道路除雪を実施できるよう支援をしてまいります。
 農産物の被害については、その状況を速やかに把握した上で対応してまいります。
 この大雪については、政府として責任を持ってしっかり対応します。
 給付金及びGoToイートについてお尋ねがありました。
 給付金については、申請期限を延長したところであり、今回の緊急事態宣言を踏まえ、無利子、無担保融資の限度額引上げ及び飲食店への協力金や納入業者等への一時金の支給を行います。これにより雇用や事業を支えます。
 GoToイート事業については、地域経済の下支えをするものであり、先月の経済対策において延長が決定されておりますが、各都道府県において感染状況を踏まえて運用を見直しております。
 適切な検査ができる体制についてお尋ねがありました。
 感染拡大を防ぐためには、必要な方が検査を受け、その結果、感染者を早期に把握し、療養者の療養等の対応を行うことが基本です。そのためには、必要な方が検査を受けられるようにすることが肝要であり、都道府県とも協力しながら体制の拡充を図ってきております。
 例えば、症状がある者の検査に使われる検査キットについては、季節性インフルエンザとの同時流行の可能性も考慮し、一日二十万件程度の需要があっても対応できる体制を整備してきました。今後とも、検査体制の充実を進めてまいります。
 医療従事者等に対する慰労金についてお尋ねがありました。
 政府としては、これまでにも三・二兆円の医療機関支援を行うとともに、今回の補正予算案で一・四兆円の追加支援を計上するなど、医療現場のニーズを酌み取りながら支援を行っております。
 法案の取扱いについては国会がお決めになることと承知しておりますが、医療や福祉の現場の関係者の方々に支援が行き届くことが重要であり、御党の御提案されている法案もこうした趣旨からのものであると承知をしております。
 特に、新型コロナ対応の医療機関に対しては、一床当たり最大千九百五十万円の支援を行っており、医療従事者への処遇改善に充てていただけるものと考えています。また、介護施設等に対して、コロナ対応に必要な経費について、第三次補正予算を含めて約八千億円を措置しており、必要な支援を実施しております。
 一時金制度の対象についてお尋ねがありました。
 今回の一時金は、政府が発令する緊急事態宣言に伴う飲食店の営業時間短縮などの影響により、大幅に売上げが減少する中小事業者に支給することとしております。こうした基本的な考え方の下で、経済産業省において制度の詳細を詰め、ホームページ等で周知をさせます。
 東京都の転院調整についてお尋ねがありました。
 御指摘のケースは、東京都が病床確保を図る中で、都立病院を新型コロナ対応に重点化し、入院患者を転院させることで生じた問題であり、自治体において対応されるのではないかと考えます。国としては、地方創生臨時交付金により自治体における様々な取組をこれは支援をしておりますので、こうした交付金の活用も可能であると考えています。
 食料自給力についてお尋ねがありました。
 食料自給力を確保するためには、潜在的な生産能力の維持向上が必要です。このため、生産基盤である農地の確保、担い手の育成確保、生産技術の発展を総合的に推進をしてまいります。
 農林水産物の輸出戦略についてお尋ねがありました。
 昨年の輸出額は、新型コロナの影響にもかかわらず、過去最高となった二〇一九年に迫る水準となっています。コロナ後においても、二〇二五年二兆円、二〇三〇年五兆円の目標達成に向け、重点品目ごとに国別に目標金額を定めて産地を支援するという現行の輸出戦略を着実に実行してまいります。
 我が国の食品製造業の国産原料の調達割合は約七割を占めています。食品の輸出を拡大していくことで国内の農林水産物の生産も増大し、生産者の所得向上が図られるものと思います。また、国内生産の増大は食料自給率の向上につながり、食料安全保障の確保にも資するものと考えています。
 家畜の伝染病についてお尋ねがありました。
 畜産農家が安心して経営を継続するためには、豚熱などの家畜伝染病の発生を防止することが不可欠です。
 まずは水際対策として家畜防疫官が入国者の携帯品の検査を行い、違法な肉類の持込みを抑え込みます。さらに、各地の生産者による衛生管理を徹底し、万が一の発生時には関係各省庁が連携をして家畜の移動制限や殺処分などの防疫措置を迅速に進めてまいります。
 吉川大臣に関する問題についてお尋ねがありました。
 第三者について、農林水産省において、法曹関係者一名、ジャーナリスト一名、有識者二名を選定する方向で人選を進めていると承知しています。また、検証結果は取りまとまり次第公表されるものと承知をします。政治家は自らの襟を正し、緊張しながら政治を行うべきものと考えております。
 農林水産政策に取り組む基本的姿勢についてお尋ねがありました。
 国家戦略特区における企業の農地取得の特例については、特例措置の期限を二年間延長するとともに、特例制度のニーズと問題点の調査を特区区域外でも実施することとしたものです。
 地方の所得を引き上げるためには、地域の産業の核である農林水産業を成長産業にしていくことが重要だと考えています。
 農産品の輸出については、世界に誇る牛肉やイチゴを始めとする重点品目を選定をして、国別に目標金額を定めて産地を支援します。また、主食用米から高収益作物への転換、森林バンク、養殖の推進などにより、農林水産業を地域をリードする産業として育て、更に改革を進めていきたいと思います。
 性犯罪に関する刑法改正についてお尋ねがありました。
 法制審議会の委員の構成などについてはお答えする段階にはありませんが、現在、法務省では、被害当事者も構成員とする刑事法検討会において、強制性交等罪の暴行・脅迫要件の在り方について検討を行っております。
 性犯罪は、被害者の尊厳を著しく傷つけ、重大な人権侵害であり、決して許されるものではありません。被害の実情も踏まえ、適切に対処してまいります。
 東日本大震災からの復興についてお尋ねがありました。
 発災から十年を迎え、復興は着実に進展する中で、引き続き、政府の最重要課題として東北の復興に全力を尽くしてまいります。
 被災地の中核産業である水産加工業については、売上げ回復に向けた販路開拓や新商品の開発などを支援してまいります。その際、新型コロナの影響を把握をし、復興に支障が生じないように万全を期してまいります。
 コロナ禍における大規模災害対応についてお尋ねがありました。
 感染拡大が続く中、被災者の安全と安心を守るためには、これまで以上に医療体制の確保や物資の補給などが重要です。また、分散避難や避難所の衛生管理、必要な物資の備蓄など、災害時の感染防止対策に取り組んでおります。引き続き政府一体となって自治体や民間とも連携をし、感染防止を念頭に置いた応急対策の検討や訓練の実施などを通じて災害対応に万全を期してまいります。
 選択的夫婦別氏制度についてお尋ねがありました。
 選択的夫婦別氏制度の導入を含む夫婦の氏に関する問題は、我が国の家族の在り方に関わる事柄であり、国民の間にも様々な意見があります。引き続き男女共同参画基本計画に基づいて、国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら検討を進めてまいります。これが、私の内閣の方針です。(拍手)
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#23
○議長(山東昭子君) 渡辺猛之さん。
   〔渡辺猛之君登壇、拍手〕

#24
○渡辺猛之君 自由民主党の渡辺猛之です。
 冒頭、羽田雄一郎先生の御逝去を悼み、謹んで哀悼の誠をささげます。
 私は、自由民主党・国民の声を代表して、菅総理大臣の施政方針演説について質問いたします。
 まず、新型コロナウイルス感染症対策のため、年末も年始もなく業務に当たっていただいた医療従事者や保健所等の皆様、エッセンシャルワーカーの方々に心より感謝と敬意を申し上げます。
 新年早々、一都三県を対象に出された緊急事態宣言は、一月十四日から、私の地元岐阜県も含めた十一都府県に拡大されました。岐阜県では当初から、自宅待機者ゼロ、徹底したPCR検査など、岐阜モデルと呼ばれる先手先手の対応で懸命に感染爆発を抑えていますが、全国的に感染者数の増加傾向は収まりを見せず、病床数も逼迫する中、緊急事態宣言の発出と経済活動の一定の自粛要請はやむを得ない措置です。
 一方、新型コロナウイルス感染症の拡大自体はもちろん、拡大を抑えるための経済活動へのブレーキも私たちの不安をかき立てます。社会や経済、雇用のみならず、生活や心までもが大きなダメージを受け、今どう暮らしていけばよいのか、将来どうなるのか、そんな不安が大きくなっています。
 参議院自由民主党では、一昨年から国民の皆様が感じておられる不安に寄り添い、その声を政策につなげていくために、不安に寄り添う政治のあり方勉強会を立ち上げ、活動を進めてまいりました。今回の新型コロナウイルス感染症についても、不安を抱えておられる人を支援するNPOの方々などからお話を聞き、さらにインターネットを通じて五千人を超える皆様から率直な思いを伺いました。
 そこで、新型コロナウイルス感染症拡大により、雇用、経営難、収入減少、そして生活への不安を抱えている方々が何とか前を向いてやっていこうと思える環境をどのように届けていくのか、この点について、総理のお考えを伺います。
 二度目の緊急事態宣言に伴う飲食店の夜八時以降の営業自粛、また年末年始を挟むGoToトラベルの一時休止などで飲食サービス、宿泊、運輸、小売業などに大きな影響が出ています。これらの業種は中小・小規模事業者が多く、また、非正規雇用の割合が高いことも特徴で、経済的な影響を受けやすい構造となっています。
 感染拡大防止のために思い切りブレーキを踏めば効果的であることは、一度目の緊急事態宣言から学びました。しかし、強めのブレーキを長く踏み続ければ、経済や雇用への影響は甚大なものがあります。
 経済のアクセルとブレーキをどう臨機応変に切り分けていくのか、知恵と戦略が必要です。飲食、宿泊サービス、小売などに関わる事業者の日々のなりわいをどう守り、さらに新たな生活様式へのマッチングをどう支援していくつもりでしょうか、総理のお考えをお聞かせください。
 新型コロナウイルス感染症拡大の中で、大変悲しいことではありますが、女性や若者の自殺が急増しています。厚生労働省の調査では、昨年の自殺者数は七月以降五か月連続で去年より多くなり、学生などの若い世代や働く女性などで特に深刻になっていることが分かっています。
 失業やアルバイト収入の大幅な減少などにより暮らしに大きな変化があった、気分が落ち込む、憂鬱になる、そんな声が聞こえてきます。オンライン授業やリモート勤務で人間関係が変わったり、井戸端会議もしづらかったり、感染症の拡大により、経済面だけでなく、心理的にも追い込まれてしまいがちです。また、地域的なつながりが弱くなることで、これまでの社会的なサポートも届きにくくなっているのが現状です。
 相談機関の方々は、信頼できる人や専門機関にまずは話をすること、これが第一歩だと言います。そして、解決策は必ずあるとも言っています。まずは相談です。いのちの電話、〇一二〇―七八三―五五六、ナヤミココロ。子供たちには、二十四時間子供SOSダイヤル、〇一二〇―〇―七八三一〇、ナヤミイオウ。
 政府には、関連するNPOの連絡先なども含めて更なる周知を図っていただきたいと思います。同時に、新たな生活様式に適合した社会的なサポート体制を早急に構築し、必要な人に必要な経済的、精神的な支援を届けていくことも重要です。
 政府は、女性や若者の自殺急増をどのように認識した上で、どう自殺防止のための対策を速やかに講じていく考えでしょうか。総理にお尋ねいたします。
 地方自治法第九十九条は、地方公共団体の議会が国会に対して意見書を提出することができると定めています。昨年は、全国各地の地方議会から、六千件を超える意見書が参議院に提出されました。
 参議院自民党には、私を含め地方議会出身の議員が多数所属しています。だからこそ、届いた意見書が地方の課題を解決するために議会内で懸命な調整が行われ議決されたものであるとよく分かっています。
 そこで、我々参議院自民党は、地方の院と呼ばれる参議院においてこそ地方議会からの意見書に敬意を払い、より活用されるべき、そんな思いを持って議論を始めました。先月も、全国地方三議長会の皆様から意見書に対する考えをお伺いいたしました。
 参議院議員は、院のイントラネットを通じて、提出された意見書を見ることができます。最近ではコロナ対策で地方財政も支出がかさんでいることから、コロナに係る臨時交付金の増額や財源措置確保、財政支援が目立ちます。また、義務教育の最前線で現場を見ている地方自治体であるからこそ、少人数学級の推進を求める意見書も多数寄せられています。
 そこで、地方議会から提出された意見書の中から、まずは、新型コロナウイルス感染症に係る臨時交付金の増額や財源措置確保、財政支援がどのような形で実現されているのかを坂本担当大臣に、次に、少人数学級の推進については、今後五年間で三十五人学級を実現するという方針が力強く打ち出されたところですが、どのような工程で実現化されていくのか、萩生田文部科学大臣に伺います。
 地方議会からの意見書のうち、数多くあるものの一つが防災・減災、国土強靱化です。毎年のように襲ってくる自然災害に、地方自治体は本当に苦慮しています。
 昨年は、令和二年七月豪雨が全国各地に大きな人的、物的な被害をもたらしました。岐阜県でも多くの箇所で河川の氾濫や土砂災害が発生し、四百棟を超える家屋が全壊、半壊、床上・床下浸水などの被害に遭いました。道路寸断で孤立集落が発生したり、基幹道路の国道四十一号は崩落により一時通行止めとなりましたが、国土交通省始め国、県、市町村の見事な連携で着々と復旧が進んでいます。
 令和二年七月豪雨では、全国アメダス地点における降水量の総和が平成最悪の水害と言われた平成三十年七月豪雨を上回っています。また、昨年末には新潟県で、今年に入ってからも富山県や福井県で豪雪による交通寸断が発生しました。
 近年、多発する豪雨や豪雪、さらには南海トラフ地震、首都直下地震などの大規模地震の発生も危惧される中、何よりも大切な国民の皆様の生命と生活を守り抜くためには、防災・減災、国土強靱化を迅速かつ強力に進めていかなければなりません。加えてインフラの老朽化も進んでおり、地方では、経年劣化のために通行止めとなる橋梁なども現れています。計画的かつ効率的な対応が必要です。
 昨年十二月、政府は防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策を閣議決定しましたが、その着実な実行のためには、国の予算の確保のみならず、厳しい財政状況にある地方公共団体への財政的な後押し、さらには事業執行効率化のための技術の高度化に向けた支援などを確実に講じていかなければならないと考えます。この点について、総理の御所見を伺います。
 我が国の経済と雇用を支え、活力を与えてきたのは、中小・小規模事業者の努力、技術、そして知恵です。小惑星リュウグウから土壌サンプルを持ち帰った「はやぶさ2」のプロジェクトでも、従業員二、三十人規模の町工場で作られた部品が採用されています。中小企業が作る電子部品や素材などが大企業の製品を支えています。今は大企業ですが、初めは中小・小規模事業者だったところもたくさんあります。ポストコロナを見据え、日本経済の体質を改革していくためには、中小・小規模事業者の数だけで今後の政策を語るのではなく、それぞれが抱える悩みに耳を傾け、どうすれば今のコロナ禍の苦境を乗り切り、生産性を高めていくことができるのかという視点からの政策が必要ではないでしょうか。
 これまでも、商工会や商工会議所などの支援機関は、伴走型の支援で地域の中小・小規模事業者を支えてきました。特に、新型コロナ感染症の影響が大きくなってからは、給付金や補助金の相談、申請など、中小・小規模事業者に寄り添った支援を続けてくれています。
 ポストコロナを見据え、中小・小規模事業者は、デジタル化への対応、コロナ禍での新たな販路拡大、事業承継など直面する様々な課題を乗り越えていかなければなりません。
 そこで、このような悩みに直面している中小・小規模事業者に寄り添い、必要なデジタル化を進め、あるいは事業承継を手助けすることによって生産性の向上を図り、ひいては従業員の賃金引上げにつなげていく。そのために政府として何ができるのか、総理の御所見をお尋ねいたします。
 人口減少社会に入っている我が国では、中小・小規模事業者においても成長著しい海外へと販路を広げることが大切です。
 日本は、TPP11、日EU・EPA、さらには日米、日英間で高いレベルの自由化を実現する経済連携協定を締結し、次いで、日中韓やASEAN各国など十五の国から成る包括的経済連携協定、RCEPを合意させています。成長力の高い地域に生産活動や販路を伸ばしていくチャンスが広がっています。
 一方、現時点でそのメリットを生かし切れていない企業からは、そもそもどのような仕組みなのか十分理解していない、販路の開拓の仕方が分からない、事務的な負担が大きいといった声が聞こえており、まだまだ経済連携協定がもたらす成長のきっかけをつかみ切れていないところもあります。
 政府の努力で締結にこぎ着けた経済連携協定を我が国の中小・小規模事業者の成長につなげるためには、海外展開支援や対内直接投資を後押しする政策をきめ細やかに講ずる必要があると考えますが、総理のお考えをお聞かせください。
 安全、安心で質の高い農林水産品も我が国の輸出戦略の一翼を担っています。新型コロナウイルス感染症拡大前は、三千万人もの訪日外国人が日本の農林水産品を買い求め、レストランの前には行列ができていました。令和元年の訪日外国人旅行者の食関連の消費額は一兆四千億円、一人当たりの飲食費は三万五千円と経済的に大きなものです。
 来日の目的の上位に日本食を食べることがあるように、海外での日本食需要、それに伴う日本の農林水産物へのニーズが高まっており、昨年の農林水産物・食品の輸出額は十一月時点で九千億円を超えた令和元年のペースに迫るほどです。
 各地方とも、農林水産物や食品の輸出促進など外国人の消費拡大への期待は高く、これまで熱心に取り組んでまいりました。岐阜県では、古田肇知事が先頭に立ち、JAの皆さんと連携し、地域の特産である飛騨牛やアユ、富有柿を中心に県産農産物の輸出促進に精力的に取り組んでいます。オーストラリアやフランスのレストランで岐阜県の食材が提供され、タイや香港での販売フェア、またハラール認証を受けた飛騨牛の需要開拓に向けたセミナーなども開催しています。
 新型コロナウイルスで、農林水産物や食品の輸出をめぐる環境は大きな影響を受けていますが、我が国の産品が持つ魅力は変わっておりません。コロナ禍に負けず、政府は、農林水産物・食品輸出五兆円目標の実現という旗を下ろすことなく、より魅力的な産品を生産していくための体制強化、生産段階での食品安全規制への対応など輸出障壁の解消、そして海外での販路拡大と、各種施策を戦略的に推進していくべきと考えますが、野上農林水産大臣の御所見を伺います。
 木材も海外での需要拡大に熱い目を向けています。我が国では、戦後造成された人工林資源が本格的な利用期を迎えていることから、国内での需要拡大はもちろん、木材製品の輸出拡大を進め、林業・木材産業の成長産業化を図っていくことが重要です。
 東アジアを中心に日本周辺では、経済成長、人口増加に伴う建設関連の木材需要が盛んとなっており、現在、輸出額も増加傾向にあります。木材輸出には、大きく分けて、加工していない丸太を出荷する原木輸出と、丸太に何らかの加工をして製品化した上で出荷する製材品輸出という二通りがありますが、日本では単価の低い原木輸出が全体の四割を占めています。しかし、急峻な山が多い我が国では、伐採や搬出に係るコストが高く、価格競争となることが多い原木輸出は、我が国林業の高付加価値化につながりません。将来に成長力の高い林業を伝えていくためには、より付加価値の高い、ブランド力のある製材品の輸出を増やしていくことが不可欠です。
 例えば、高温多湿な気候のためカビやシロアリに弱い木造住宅が普及してこなかった国や地域に、現地の条件に合った加工を施した部材を開発し、その部材を使用した健康志向の高い木造住宅を売り込む。あるいは、その国や地域になじみのない建築技術、いわゆる日本のたくみの技も併せて輸出することで、木材そのものだけではなく、生活文化やスタイル、そして技術も含めて総合的に売り込むことが日本の林業の成長力を高め、ふるさとの緑を将来へとつなげていくことに役立つと考えます。
 ちなみに、この議場に新たに設置されたスロープ、ここにも静岡、長野と並んで岐阜県産の木材が利用されています。
 そこで、国産材の輸出拡大と高付加価値化をどのように進めていくつもりなのか、農林水産大臣にお伺いをいたします。
 新型コロナウイルス感染症拡大の中、テレワークやインターネット通販などは更に需要を増しており、次世代通信技術やそれを活用した市場開拓に向けた投資も活発化しています。
 一方、今回の感染症の拡大で、日本のデジタル化の遅れが明らかになりました。技術やシステムの進化に合わせた政府のデジタル化ができておらず、特別定額給付金の配付では、その多くが十二年近く前のリーマン・ショックのときと同じように、地方自治体職員の手作業で処理されました。同様の給付金を数日で配付できた先進国と比べると、大変残念な状況です。また、民間企業でもテレワークなどへの移行がスムーズにできず、5Gネットワーク普及率も、先行する中国やEUなどに後れを取っています。
 総理は、デジタル庁を創設し、政府全体のデジタル化を一気呵成に進めるとの方針を明らかにしていますが、例えば、デジタル分野に詳しく、かつ世界トップクラスのデジタル関係のリーダーとネットワークを持つような人材を引っ張ってくるなど、これまでの常識を打ち破る思い切った策を講ずるべきと考えています。でなければ、世界と肩を並べるデジタル社会を構築することはできません。
 同時に、政府のデジタル化のみならず、日本社会全体のデジタル化を進めるには、5Gやその先の次世代通信技術開発の支援措置や電波の割当て優先措置などにより、先進的な通信インフラを早急に構築していくべきと考えています。
 そこで、総理に、デジタル社会構築に向けた強い決意、そしてその実現のための戦略をお伺いいたします。
 環境対応はもはや経済成長の制約ではない、総理は、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現を大胆に打ち出したとき、こう語りました。
 かつてオイルショック後、日本は省エネ性能の優れた技術を開発し、効率の良い優れた製品を世界に売り込んでいきました。制約が生まれても、それを乗り越える技術やシステムが発達すれば、新たな成長の起爆剤となります。カーボンニュートラルを技術やシステムの力で成し遂げることができれば、その製品がスタンダードとなり、世界市場を席巻することができます。
 既にEUは環境投資による経済活性化戦略を打ち出しています。米国も新大統領の下、地球温暖化防止策に対するスタンスを変えてくるでしょう。我が国の総理が、カーボンニュートラルの実現という野心的な目標を打ち出し、その達成を約束したことは、地球温暖化防止に対する固い決意を国内外に示すとともに、デジタルと並んで環境により経済を活性化させるというグローバルな競争に名のりを上げたということです。
 政府は、電気自動車向けの高性能電池の製造や省エネルギー生産設備の導入など環境対策に役立つ設備投資を行う企業に対して、投資額の最大一〇%を法人税額から差し引ける税制改正や、脱炭素化の重点分野を支援する二兆円の基金の設置など、矢継ぎ早に施策を打ち出しています。これらも含め、どのような形で官民の力を結集し、環境と成長の好循環を実現していくのか、その考えを総理にお伺いします。
 移動の高速化は経済や社会を大きく変える、これは、さきの東京オリンピック時に整備された新幹線や高速道路の効果を見ても明らかです。特に、東海道新幹線は、それまで特急電車で六時間掛かった東京―大阪間を三時間十分で結び、我が国の国土構造を一変させました。
 今、リニア中央新幹線の整備が進んでいますが、現在の新幹線で要する時間の約半分での移動を可能にします。また、リニアや新幹線は、乗客一人を一キロ運ぶときのCO2排出量が少なく、温室効果ガス削減にも大きく貢献します。このようにリニア中央新幹線や整備新幹線は、地方創生や地球温暖化防止に大きな効果があり、その整備促進へ期待が寄せられています。
 しかし、リニア中央新幹線については、JR東海が、当初予定である品川―名古屋間の令和九年開業は難しくなったと表明しています。また、北陸新幹線金沢―敦賀間の延伸開業も令和五年春から一年程度遅れると見込まれます。いずれも開業を見据えて準備を進めてきた地域経済にダメージを与えるものです。さらに、整備新幹線の場合は、建設費の一部を地元自治体が負担するスキームであることから、開業遅れに伴う工事費増は地元を直撃します。
 そこで、地方創生、そしてカーボンニュートラルの実現の観点からも、これまでの高速鉄道整備スキームの見直しを含めて抜本的な推進強化策を講ずるべき時期に来ているのではないかと考えますが、総理のお考えをお聞かせください。
 毎年、政府において、全国の中高生を対象に、北朝鮮人権侵害問題啓発週間作文コンクールが開催されています。入選作は作品集にまとめられており、いずれも力作ぞろいです。今年度は愛媛県の高校生や鹿児島県の中学生、昨年度は高校部門で山形県の高校生、そして中学部門では岐阜市立長良中学校三年生の生徒さんが最優秀賞に選ばれました。
 北朝鮮による日本人拉致事件から四十年以上が経過し、若い世代が日頃事件に触れる機会は少なくなっています。それにもかかわらず、毎年若い方々から寄せられるすばらしい作文を読むと、これはひとえに拉致被害者家族の皆様や拉致問題解決のために日夜邁進しておられる方々の御労苦が事件の風化を食い止めているのだと強く感じました。
 同時に、拉致問題自体を次の世代に持ち越すことがあっては絶対になりません。昨年六月には、横田めぐみさんのお父様、滋さんが八十七歳でお亡くなりになりました。心より哀悼の意をささげます。一日も早く拉致問題に終止符を打たなくてはなりません。これは我が国の国会議員全員の使命だと思います。
 安倍総理の強い働きかけにより、当時のトランプ大統領は拉致被害者の家族と面会し、金正恩委員長と二度の首脳会談で拉致問題に言及しています。菅総理は、バイデン新大統領との昨年十二月の電話会談で、拉致問題を最重要課題として理解と協力を求めています。今後、訪米、そして新大統領との会談も行われることと思います。人権問題に対してはこれまで以上に厳しいスタンスを取ると予想されるバイデン政権との連携を強め、拉致問題の解決に向けてあらゆる手を講じてほしいと考えますが、総理の決意と御所見を伺います。
 本年三月十一日、東日本大震災からちょうど十年を迎えます。
 昨年三月には、帰宅困難区域を除く全ての地域の避難指示が解除されました。JR常磐線の全線開通も実現されました。さらに、福島イノベーション・コースト構想の中核を成す福島ロボットテストフィールドや福島水素エネルギー研究フィールドも全面開所となり、本格的な復興に向けた動きは着実に進んでいます。
 しかし、今なお避難生活を送られている方々もおられます。また、専門家によれば、震災トラウマによる心のケアが必要な児童生徒は少なくなっているものの、養育上の問題や家族関係、貧困など、背景に震災の影響がある児童生徒は多く、長期のサポートが必要だという指摘もあります。
 福島の復興なくして東北の復興なし。東北の復興なくして日本の再生なし。この思いを胸に、復興完遂に向けてどのように取り組んでいくのか、総理のお考えをお聞かせください。
 全国知事会の参議院選挙における合区の解消に関する決議は、「参議院は、創設時から一貫して「都道府県」単位の代表が選出されることで、地方の声を国政に届けるとともに、我が国における戦後の民主主義の発展に重要な役割を果たしてきた。」という文言から始まり、参議院議員選挙における合区制度の問題点を掘り下げています。
 個人の多様化が進んでいると言われます。それと同様、都道府県も長い歴史の中でそれぞれの独自性を育んできました。それにもかかわらず、一人の議員を選出するに当たっての選挙人一人の有する影響力、すなわち投票価値の平等という物差しだけであらゆる議会の選挙制度を決めてしまってよいのかという全国知事会からの問題提起であると受け止めています。
 合区解消を求める意見書は、知事会を含む地方六団体、そして三十五の県議会から提出されています。多様性の時代であるからこそ、地方の多様性が反映される選挙制度を目指して議論を進めていかなければならないときであると、最後にそう申し上げて、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕

#25
○内閣総理大臣(菅義偉君) 感染拡大による国民の不安についてお尋ねがありました。
 新型コロナの影響が長期にわたる中、国民の皆さんが感じておられる不安に寄り添い、暮らしと雇用を守っていくことは政治の責務であります。
 雇用調整助成金の特例措置について、三月以降も延長する方向で調整しています。中小企業への無利子、無担保融資も四千万円の限度額を六千万円に引き上げます。また、生活困窮されている方々に対しては、緊急小口資金等の重層的なセーフティーネットにより支援を行ってまいります。
 その上で、まずは一日も早く感染を収束させ、国民の皆さんが安心して暮らせる日常を取り戻し、未来への希望につなげてまいります。
 事業者への対応についてお尋ねがありました。
 これまでも日々の状況を把握し、専門家の意見も聞きながら、対策が与える国民生活やなりわいへの影響も踏まえ、適切な判断を行い、対策を講じてきたところです。
 今回の緊急事態宣言に当たっては、これまでの経験に基づき、効果のある対象に徹底的な対策を行っております。その上で、影響を受ける飲食店や納入業者などの方々には協力金や一時金による支援を行い、資金繰り支援や雇用調整助成金と併せて事業や雇用を守っていきます。その上で、新たな生活様式に対応するための事業転換や感染防止対策についても支援を行ってまいります。
 自殺対策についてお尋ねがありました。
 自殺者数は昨年七月から高めの水準となっており、特に、若者や女性の増加の割合が高くなっています。その原因、動機としては、健康問題や家庭問題、経済・生活問題、学校問題など様々であると承知をしております。
 政府として、自殺を考えている方に対する相談体制の拡充や様々な相談窓口を周知するなど、自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指し、総合的な対策を推進してまいります。
 防災・減災、国土強靱化についてお尋ねがありました。
 対策の実施のための地方負担については、地方からの要望に沿って、防災関係の地方債の措置を継続、拡充していきます。また、効率的に事業を執行するため、ドローンの活用など技術開発や実用化への支援を行い、災害に屈しない国土づくりを進めてまいります。
 中小企業支援についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、「はやぶさ2」の快挙のように中小企業にはすばらしい技術がある一方で、コロナ禍をどう乗り越えて事業を継続するのか、悩みを抱えている企業も多いと承知をしています。
 政府としては、新たな市場を開拓できる製品の開発、多様なビジネスを創出するデジタル化、親族内承継や経営資源集約化など円滑な事業承継、こうした取組への支援を強化し、相談体制を充実させることで中小企業の生産性向上を図り、ひいては従業員の賃上げにつなげてまいります。
 中小企業の海外展開及び対内直接投資についてお尋ねがありました。
 我が国の中小企業が海外に展開して、成長する海外の需要を取り込むことで企業自身も成長できる、御指摘の問題意識は、私が経済産業政務官だった約二十年前から抱いていた思いであります。
 政府として、経済連携協定の活用を進めるとともに、関係機関の連携により、計画策定、資金調達、商品開発などを一体的に支援をし、中小企業の海外展開を促進をします。また、外国企業の誘致、外国企業との協業等の支援などの取組によって販路拡大などにつながる対内直接投資を推進をします。
 デジタル社会構築に向けた戦略についてお尋ねがありました。
 役所に行かずともあらゆる手続ができる、地方にいながら都会と同じような仕事や生活ができる、デジタル庁が司令塔となり、世界に遜色のないデジタル社会を目指します。
 デジタル庁は、改革の象徴として本年九月に創設をします。準備を加速してまいります。組織の縦割りを排し、強力な権能と初年度は三千億円の予算を持った強力な組織として、国全体のデジタル化を主導していきます。今後五年間で自治体のシステムも統一・標準化を進め、業務の効率化と住民サービスの向上を徹底してまいります。
 マイナンバーカードの普及のために、この三月には健康保険証との一体化をスタート、四年後には運転免許証との一体化も開始します。
 5Gの速やかな全国展開を進めるほか、来年度までに五百億円の予算で離島を含めた全国津々浦々に光ファイバーを張り巡らせ、通信インフラの整備を進めます。
 さらに、情報通信インフラの海外展開を積極的に進めるほか、ビヨンド5Gの実現に向けた官民が連携した研究開発などを強力に推進をしてまいります。
 環境対策と経済成長についてお尋ねがありました。
 経済と成長、経済と環境の好循環を実現するため、世界市場の獲得も視野に入れた企業の前向きな挑戦を応援をし、大胆な投資とイノベーションを促します。
 このため、環境投資への大胆な一歩を踏み出すべく、成長が期待される分野を中心に二兆円の基金や税制措置など、あらゆる政策を総動員をし、産業構造の大転換と力強い成長を生み出します。
 新幹線などについてお尋ねがありました。
 整備新幹線やリニア中央新幹線については、地方創生に貢献し、さらにはエネルギー消費量が少ないことから、環境の観点からも重要と考えています。こうした効果を最大限発揮させるよう、整備新幹線等を着実に整備し、新幹線ネットワークの構築を進めてまいります。
 拉致問題についてお尋ねがありました。
 拉致問題は、菅内閣の最重要課題です。拉致被害者の御家族も御高齢となる中、拉致問題の解決には一刻の猶予もありません。私自身、条件を付けずに金正恩委員長と向き合う決意の下に、北朝鮮に対して働きかけを行ってきています。
 引き続き、全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現に向けて、自らの先頭に立ち、バイデン米国新政権を含む関係国と緊密に連携しつつ、あらゆるチャンスを逃すことなく全力で行動してまいります。
 東日本大震災からの復興についてお尋ねがありました。
 発災から十年を迎え、地震や津波の災害を、被害を受けた地域では住まいの再建や道路などのインフラの整備はおおむね完了するなど、復興は着実に進展をしている一方で、今後も、子供を含む被災者の心のケアなどの課題が残り、福島の復興再生には中長期的な対応が必要です。
 引き続き、政府の最重要課題として、福島の本格的な復興再生、そして東北復興の総仕上げに全力を尽くしてまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣坂本哲志君登壇、拍手〕

#26
○国務大臣(坂本哲志君) 地方創生臨時交付金の増額などがどのように実現されているのかについてお尋ねがありました。
 地方創生臨時交付金につきましては、第一次、第二次補正予算で合計三兆円を措置しておりましたが、さらに第三次補正予算で総額一・五兆円拡充することとしております。総額一・五兆円の内訳は、地方単独分一兆円、時短要請に係る協力金等の支払のための即時対応分〇・二兆円、国庫補助事業の地方負担分〇・三兆円とすることを予定しております。
 さらに、昨今の感染状況を踏まえ、時短要請に係る協力金等支払を支援するため、地方創生臨時交付金に協力要請推進枠を設置し、これまで、第二次補正予算のうち留保していた五百億円に加えて、予備費により約九千五百八十七億円を追加措置し、合計一兆八十七億円を確保しています。
 これらにより、地方公共団体が行う地域の実情に応じたきめ細やかな取組を支援するとともに、飲食店への時短要請等に取り組む地方公共団体を引き続きしっかりと支援してまいります。(拍手)
   〔国務大臣萩生田光一君登壇、拍手〕

#27
○国務大臣(萩生田光一君) 渡辺議員にお答え申し上げます。
 三十五人学級の実現についてお尋ねがありました。
 ICT等を活用した個別最適な学びと協働的な学びを実現し、一人一人に応じたきめ細かな指導ができるよう、四十年ぶりに小学校の学級編制の標準を四十人から三十五人に引き下げることとし、今通常国会において義務標準法改正法案を提出することとしております。
 学級編制の標準の引下げに当たっては、各地方自治体における教職員や教室の計画的な確保が可能となるよう配慮しつつ、来年度の小学校第二学年から学年進行で実施し、五年後には全ての学年で三十五人学級を完成させることとしています。
 一人一人の多様な個性や能力を最大限伸ばすため、教育水準の維持向上に取り組んでまいります。(拍手)
   〔国務大臣野上浩太郎君登壇、拍手〕

#28
○国務大臣(野上浩太郎君) 渡辺議員の御質問にお答え申し上げます。
 農林水産物・食品の輸出拡大についてお尋ねがありました。
 我が国の農林水産物・食品は、アジアを中心に諸外国で大変人気があり、昨年の輸出額は、新型コロナウイルスの影響にもかかわらず、過去最高となった二〇一九年に迫る水準になっています。
 新型コロナウイルスにより外食需要が減少し、家庭食需要が増加するなど、海外での消費者のニーズも変化をしてきております。この中で二〇三〇年の輸出五兆円目標を実現するには、輸出先の消費者のニーズを正確に把握し、専門的、継続的に供給するマーケットインの体制整備が必要であります。
 昨年十一月の輸出拡大のための関係閣僚会議において、農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略を取りまとめました。戦略においては、二十七の輸出重点品目を設定し、品目別に具体的な輸出目標を設定するとともに、ターゲットとなる輸出先国のニーズや規制に対応した生産を行う輸出産地の育成や、海外の規制やニーズへの対応に向けチャレンジする事業者へのリスクマネーの供給、販路拡大に向けた品目別団体の組織化など、マーケットインの輸出体制の構築のための政策を推進してまいります。
 さらに、政府一体として輸出の障壁を解消するため、輸出先国の規制緩和、撤廃に向けた協議、規制やニーズに対応した加工施設の整備などを推進してまいります。
 次に、国産材の輸出拡大と高付加価値化についてのお尋ねがありました。
 二〇三〇年の林産物の輸出目標は千六百六十億円としており、昨年十一月に取りまとめられました輸出拡大実行戦略において、製材及び合板を輸出重点品目と位置付け、中国、米国、韓国、台湾を主要なターゲットとし、国産材の輸出拡大と高付加価値化を進めていくことといたしております。
 具体的には、マーケットインの発想に基づき、川上から川下までの企業等が連携した輸出産地を育成し、国際競争力のある高付加価値な製品の生産のための加工流通施設を整備するとともに、ジェトロや林業関係団体等の連携による日本産木材生産のブランド化を実施します。
 また、日本の加工技術を生かした日本式木材、木造建築を中国、韓国、台湾へ普及し、ウッドデッキ用等の高耐久木材の中国、米国、台湾等への販路拡大をすること等により、国産材の輸出拡大と高付加価値化の実現に向けて全力で取り組んでまいります。(拍手)

#29
○議長(山東昭子君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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