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2021/02/16 第204回国会 衆議院 第204回国会 衆議院 財務金融委員会 第3号 令和3年2月16日
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2021/02/16 第204回国会 衆議院

第204回国会 衆議院 財務金融委員会 第3号 令和3年2月16日

#1
令和三年二月十六日(火曜日)
    午前九時三分開議
 出席委員
   委員長 越智 隆雄君
   理事 井林 辰憲君 理事 うえの賢一郎君
   理事 神田 憲次君 理事 鈴木 馨祐君
   理事 藤丸  敏君 理事 末松 義規君
   理事 日吉 雄太君 理事 太田 昌孝君
      穴見 陽一君    井野 俊郎君
      井上 貴博君    石川 昭政君
      今枝宗一郎君    鬼木  誠君
      加藤 鮎子君    勝俣 孝明君
      門山 宏哲君    小泉 龍司君
      田中 良生君    津島  淳君
      中山 展宏君    船橋 利実君
      古川 禎久君    本田 太郎君
      宮澤 博行君    山田 賢司君
      山田 美樹君    青山 大人君
      海江田万里君    櫻井  周君
      階   猛君    野田 佳彦君
      長谷川嘉一君    古本伸一郎君
      斉藤 鉄夫君    清水 忠史君
      青山 雅幸君    前原 誠司君
      田野瀬太道君
    …………………………………
   財務大臣
   国務大臣
   (金融担当)       麻生 太郎君
   内閣府副大臣       赤澤 亮正君
   総務副大臣        熊田 裕通君
   財務副大臣        伊藤  渉君
   厚生労働副大臣      山本 博司君
   経済産業副大臣      長坂 康正君
   内閣府大臣政務官     吉川  赳君
   外務大臣政務官      國場幸之助君
   財務大臣政務官      船橋 利実君
   文部科学大臣政務官    三谷 英弘君
   厚生労働大臣政務官    こやり隆史君
   政府特別補佐人
   (内閣法制局長官)    近藤 正春君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  伊吹 英明君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 高杉 優弘君
   政府参考人
   (財務省主計局次長)   宇波 弘貴君
   政府参考人
   (財務省主税局長)    住澤  整君
   政府参考人
   (財務省理財局長)    大鹿 行宏君
   政府参考人
   (国税庁次長)      鑓水  洋君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議官)           塩崎 正晴君
   政府参考人
   (スポーツ庁審議官)   豊岡 宏規君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官)            佐原 康之君
   政府参考人
   (中小企業庁次長)    奈須野 太君
   政府参考人
   (株式会社国際協力銀行代表取締役専務取締役)   天川 和彦君
   参考人
   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君
   参考人
   (日本銀行企画局長)   清水 誠一君
   参考人
   (独立行政法人国際協力機構理事)         山中 晋一君
   財務金融委員会専門員   鈴木 祥一君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月十六日
 辞任         補欠選任
  城内  実君     石川 昭政君
  階   猛君     青山 大人君
同日
 辞任         補欠選任
  石川 昭政君     城内  実君
  青山 大人君     階   猛君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)
 財政及び金融に関する件
     ――――◇―――――

#2
○越智委員長 これより会議を開きます。
 財政及び金融に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 両件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁黒田東彦君、企画局長清水誠一君、独立行政法人国際協力機構理事山中晋一君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官伊吹英明君、外務省大臣官房審議官高杉優弘君、財務省主計局次長宇波弘貴君、主税局長住澤整君、理財局長大鹿行宏君、国税庁次長鑓水洋君、文部科学省大臣官房審議官塩崎正晴君、スポーツ庁審議官豊岡宏規君、厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官佐原康之君、中小企業庁次長奈須野太君、株式会社国際協力銀行代表取締役専務取締役天川和彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#3
○越智委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――

#4
○越智委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。井林辰憲君。

#5
○井林委員 おはようございます。自由民主党の井林でございます。
 今日は、財務金融委員会にて質問させていただく機会をいただきまして、同僚議員に御礼を申し上げたいと思います。
 また、新型コロナウイルス感染症に罹患されお亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げますとともに、感染されている方々や後遺症に悩まされている方々の一日も早い回復をお祈り申し上げます。
 また、感染症は、医療従事者だけでなく、多くの方々に御不便や我慢をお願いしています。全ての方々に感謝を申し上げ、一日も早く新型コロナウイルス感染症を乗り越えるために微力を尽くしてまいりたいということをまずお誓い申し上げたいと思います。
 また、このような中で、福島県沖で大変大きな地震がございました。今も御苦労されている方、また災害復旧に従事されている方にも併せて感謝を申し上げまして、質疑に入らせていただきたいと思います。
 まず、ちょっと大臣所信に入らせていただく前に、厚生労働省に来ていただいております。新型コロナウイルス感染症の中でも感染力が大変強いと言われているイギリス型と呼ばれる変異株について、地元静岡県で初めて市中感染が見つかったということで、そのことについてお伺いをしたいと思います。
 英国において報告された変異した新型コロナウイルス感染症(変異株)、これは厚生労働省さんの発表資料にそのような記載がございます、について、全国初の市中感染が確認された静岡県の感染者について、感染確認の経緯を含め、把握している点を説明していただきたいということ。
 そしてもう一つは、英国において報告された変異した新型コロナウイルス感染症の静岡県への感染拡大確認のために、静岡県から検体を取り寄せたというふうに伺っていますが、その数や変異株の確認状況。
 また、二月からは静岡県独自でも検査を行っているというふうに聞いていますが、その状況についても御説明をいただくと同時に、先般、十一名クラスターが発生したということで、この中に三名の静岡県在住者の方がいらっしゃるということですが、蔓延はないというふうに静岡県の方は判断をしておりますけれども、厚生労働省もその判断で間違いないのかということを確認させていただきたいと思います。よろしくお願いします。

#6
○佐原政府参考人 お答えいたします。
 一月十八日に公表しました静岡県での新型コロナウイルスの変異株の感染者が把握された経緯につきましては、まず、静岡県外のある自治体で行われた変異株のPCR検査で、変異株の感染が疑われた事例がございました。
 その事例について、所管の保健所による積極的疫学調査が行われたところ、関連のある静岡県内の感染者が把握されまして、その方のゲノム解析を国立感染症研究所で実施したところ、変異株であることが一月十八日に確認されたところでございます。
 一月上旬以降、変異株のスクリーニングを目的に、静岡県から国立感染症研究所に約三百の検体が提出されておりますけれども、このうち変異株であったことが判明した事例は、一月十八日に公表した一例のみと承知しております。
 今年一月以降、国内で、英国等の滞在歴がない方からの感染事例が、複数都道府県にまたがる広域事例も含め、確認されております。これまでに行われたゲノム解析の結果からは、現時点で、英国で報告されている変異株は、静岡県も含めて我が国では主流になっておらず、蔓延している状況ではないものの、引き続き状況を慎重に注視していく必要があると考えております。
 いずれにせよ、政府としては、引き続き様々な情報を収集しつつ、監視体制の強化を図ってまいりたいと考えております。

#7
○井林委員 ありがとうございました。
 今回の変異株の最大の私ども地元静岡県での混乱は、一月十八日夜に、今御答弁いただいたように、海外渡航歴がない静岡県在住の三人に、英国において報告された変異した新型コロナ感染症が全国で初めて判明したという公表がなされました。お手元の資料でございますけれども、これは十九日、次の日の朝の一面でございます。これで性別と年代は公表されたんですが、在住市町はおろか、地域も公表されませんでした。
 これで大変なパニックに陥りまして、一体どこのところに住んでいる方なのかというようなことがある。また、三名という複数でしたので、面的な広がりがあるんじゃないかということで、多くの皆様が不安な心境になりました。正直言って、私のところにも問合せがありましたし、各市町の窓口にも多くの問合せが来ているというふうに聞いていますし、二枚目の資料で、その日の夕刊ですが、「県内市町 多数問い合わせ」というような記事にもなりました。
 私も、この感染者の在住市町を公表しない理由というのを知りたいというふうに思って、いろいろな方にお伺いをして、静岡県の方に聞いたら、国の指導で公表できないという答えでございました。確認させていただいたら、厚生労働省から出されている新型コロナウイルス感染症における情報に係る基本方針について(案)というものをいただきました。そこには、感染者の居住している市町は公表を原則しないんだというふうに記載をされてあります。そして、横枠では、居住している市町などは、その市町が公表する場合は国も併せて公表する可能性がありますよというふうに書いていて、ちょっと無責任な書きぶりだなというふうに正直思ったのが感想でございます。
 今回の新型インフルエンザの特別措置法の改正の中でも新たに蔓延防止措置というものが導入されまして、それは、対策は都道府県から更に狭いエリア、恐らく市区町村を想定してということでございますが、そういう対策も取られる中でこうした基本方針があるということで、やはり変更する判断も含めてやっていただきたいというふうに思っております。
 その後の報道の経緯、三枚目で、翌日の朝刊ですが、三人は東部保健所管内の在住者だということで、これは取材の報道でございます。そして、さらに、翌日にはもう既に、この新聞記事、一番上の三行目の下の方から、東部保健所管内でというふうにだんだん情報が断定されて、この間で静岡県が公表するというふうに決めました。やはりこういう現場の混乱というのは、本当に現場で御苦労されている方々にとって非常に大きな負担になるというふうに思っております。
 静岡県東部保健所管内において、英国において報告された変異した新型コロナウイルス感染症(変異株)の市中感染が全国で初めて確認された地元の政治家として、現場の混乱を目の当たりにして申し上げるんですが、この感染者の情報の公開については、都道府県全体ということではなくて、ある程度個人が特定されない中で、保健所管内ですとか市区町村とかに変更すべきだと思います。
 コロナ対策で大変お忙しい中、大変恐縮ですけれども、地元からも非常に声が大きいということで、御答弁をお願いしたいと思います。

#8
○こやり大臣政務官 まず、変異株の感染の静岡県における事例に対しまして、井林委員に御尽力を賜りましたことを改めてお礼を申し上げたいというふうに思います。
 委員御指摘の感染症が発生をした場合における情報の公表についてでございますけれども、まず、不当な偏見、差別があってはならないということで、特に感染初期、事例が少ないような場合には特に気をつけないといけないんですが、個人情報の保護に留意し、個人が特定されないように配慮する必要がございます。私の地元でも、昨年の初期の段階では、地域が特定されただけで引っ越しを余儀なくされたというようなケースも少なくございませんでした。
 そういう意味で、こうしたことについて留意をしつつも、感染症の蔓延防止のために必要な情報、議員御指摘のありました感染症の推定感染地域なども含めて、必要な情報は適切に公表していかなければならないというふうに考えております。
 その上で、今般の事案に係る感染者の保健所名あるいは市町村名についてでございますけれども、保健所の調査によりまして濃厚接触者の特定が既になされておって、不特定多数との接触が確認されていなかったこと等の状況を踏まえまして、この事例につきましては、国及び静岡県とも相談しながら、市町村名を非公表としたところでございまして、何とぞ御理解を賜ればというふうに存じ上げます。

#9
○井林委員 ありがとうございます。
 市町村名までの公表というのはいろいろ考えなければいけないんですが、現場に即した情報の提供の在り方というのを是非お願いを申し上げたいというふうに思います。
 最後に、このやり取りをさせていただくときに、変異種じゃなくて変異株というふうに言ってくださいということを相当厚生労働省の皆様から御指導をいただきました。種と株で随分違うということでございます。
 そのことは私も専門家の皆様の御指導に従おうと思うんですが、逆に、私は、これをやらせていただくと、英国において報告された変異した新型コロナウイルス感染症と、ずっとやり取りしているんですよね。英国、英国という言葉が物すごく出るんですが、当初、このウイルス、これは当然、中国ウイルスとか武漢ウイルスと言う方もいらっしゃいますけれども、そういうことを呼ぶべきではない、そういう国々の方々や特定の地域の方を非難する、また差別につながるということで、そうすべきではないということで私どもは新型コロナウイルス感染症というふうにお呼びしているんですが、では、なぜこっちは英国において確認されたというのをつけるのかというのが非常に強い疑念でございました。
 特に、私たちが切り札として位置づけているワクチン。アストラゼネカの本社はイギリスでございます。極めて慎重な対応というか、こうした方々の心に寄り添った対応が必要だというふうに考えております。
 この呼び方について、工夫の余地というか、そうしたものの配慮というものが必要だと思いますけれども、御答弁をお願いしたいと思います。

#10
○こやり大臣政務官 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、特定の地名や名称をつけることで当該地域への差別や偏見につながりかねないということで、WHO等も指摘をしているというふうに承知をしております。
 この英国の変異株の正式名称はVOC―202012/01という呼称でございますけれども、現時点では、分かりやすさ等の観点から、英国において報告された変異株というふうな表現を用いているところでございますけれども、委員の御指摘も踏まえまして、今後、引き続き、適切な呼称がないかどうか検討してまいりたいというふうに考えております。

#11
○井林委員 ありがとうございます。
 大変だと思いますけれども、いろいろなところに御配慮いただいて御対応いただければというふうに思っております。
 厚生労働省の皆様、済みません、お忙しい中、ありがとうございました。御退席をいただいて結構でございます。
 それでは、所信に基づいて質疑を行わせていただきたいと思います。
 目下最大の課題は、新型コロナウイルス感染症対策のために抑え込んだ経済や、ウィズコロナ、ポストコロナ時代を見据えた経済転換への支援措置だと考えております。財政にしろ金融政策にしろ、今は緊急の対応の時期だというふうに思っておりますし、この基本認識は事前レクの段階などでも確認をしておりますので、質疑を行うつもりはございません。
 ただ、緊急の対応でありますから、いつしか、通常時、出口戦略というのを考えなければなりませんし、しかもこれは、今回の場合は単なる出口というものではなくて、今回の新型コロナウイルス感染症を乗り越えた先の社会ですから、やはりウィズコロナ、アフターコロナにおいて、社会経済、国際社会も含めてですが、大きく変わったところに私たちは到達しなければいけないんだろうというふうに思っておりますし、その社会経済、国際経済も含めてですが、想定しておくことは極めて重要なことだろうというふうに考えております。
 まず日銀総裁にお伺いをしますが、このコロナ禍を乗り越えた先の社会経済の在り方、国際社会も含めてですが、どのような社会になっていると想定されているのか、そして、そのような社会において、物価の安定と金融システムの安定という日銀に課せられた大きな目標をどう実現していくというふうに考えられているのか、答弁をお願いします。

#12
○黒田参考人 御案内のとおり、この新型コロナウイルス感染症は今なお内外経済に大きな影響を与えておりまして、そうした意味で、まずは危機からの脱出あるいは脱却のために、感染症の封じ込めと経済活動の両立を図る必要があると考えておりまして、日本銀行としても、感染症対応として行っている現在の強力な金融緩和措置をしっかりと実施していくことで、引き続き経済を支えていく考えであります。
 同時に、委員御指摘のとおり、危機を乗り越えた先も見据えて日本経済全体で取り組むべき課題を考えていくということも大変大事であるというふうに思っております。とりわけ、この感染症流行前から、例えば人口減とかあるいは地球環境とか様々な問題があって、それは我が国の経済も直面していたわけでありますから、そうした意味でも、資本の蓄積あるいはイノベーションを促すことによって生産性を高めていくということが極めて重要だろうと思っております。
 具体的にどんな形になるのかというのは、今いろいろな形で議論されておりまして、国際会議、対面会議はできないんですけれども、いわゆるビデオコンファレンス方式で数十回私も国際会議に参加しておりますけれども、足下でこういうことをやっているということは皆一致しているわけですね。それが、将来の経済、今の状況から脱却した後の経済、そこに向けてどういった政策を取るべきかということについてはまだ意見が十分収れんされていないと思います。それは、コロナ後の世界というものについて、おぼろげにイメージはあっても、具体的に政策とリンクして議論されるということがまだ少ないんだろうと思います。
 ただ、少なくとも、この感染症の影響を契機にデジタル化が一段と進んでいくということは、これは注目すべき動きだというふうに思っております。
 経済環境の変化を社会全体として前向きな動きにつなげていくということが我が国の成長力を高めていくという面でも重要だと思いますので、日本銀行としては、その使命である物価の安定と金融システムの安定に資するように様々な努力をしてまいりますけれども、そういうことを通じて、日本経済の持続的な成長に貢献するよう最大限努力してまいりたいというふうに思っております。

#13
○井林委員 ありがとうございます。
 なかなかポストコロナ時代、アフターコロナの時代がまだ世界のコンセンサスの中で見えにくいというときだからこそ、是非、いろいろな国際会議の場を通じてコンセンサスをつくる流れをつくっていただきたいなというふうに思っております。
 まさにその次の質問に当たるところの一部を総裁にお答えいただいたような感じになっているんですが、金融政策を行っていく上で、国際協調というか、国際社会の動きに連動したり、先取りしていくことは極めて重要だと思っておりますし、あえて、国際協調しながらも、しているということを言わないということも選択肢の一つなんだろうというふうに思っております。
 現在は新型コロナウイルス感染症拡大防止、経済回復に手いっぱいであり、緩和的な金融政策を行っていますが、しかし、いずれは正常化への動きが出てまいりますし、特に主要国では、ワクチン接種の進展により状況が劇的に改善する可能性もございます。我が国でもワクチン接種をコロナ対策の切り札と位置づけておりますし、多くの関係者の方々がこれによって事態が大きく改善、進展していくことを期待しているものでございます。
 このような中で、いつとは明示できませんが、世界金融の流れが大きく急に変わるということもございますし、また変わらない場合もございます。また、よく比較されるリーマン・ショック対応からの回復期では、アメリカは金融を引締めに動きましたが、ヨーロッパは緩和的態度を取り続けたということもございました。各国、地域によって状況は異なるかもしれないという可能性もございます。しかし、世界の流れが変わるとき、リーダーシップを取り、我が国の国益、経済の安定と発展に貢献することは中央銀行の総裁として極めて大きな役割だと思います。
 リーマン・ショック後、先ほど申し上げましたけれども、G20トロント・サミットではあえて金融の面については言及いたしませんでした。これは、そういうことを言及しないという選択をしたのではないかなというふうに私は思っております。自国経済が最優先であることは当然ですが、しかし、国際協調の重要性は変わらないと思います。
 その中で、先ほど総裁からも、いろいろなテレビ会議やインターネット会議をやっているということですが、流れが大きく変わろうとしているときに、中央銀行総裁として、多くの総裁が任期が長い、ほとんど黒田総裁の任期と同じぐらいの方々が非常に多いということでございます。各総裁の考え方などもよく熟知されていると思います。この大きな流れの中で、しっかりリーダーシップを取っていくという決意をお聞かせいただきたいと思います。

#14
○黒田参考人 通常の場合でもそうですし、こういった一種の危機的な状況におきましては、政策運営に当たって、国際的な情勢あるいは様々なリスク要因、さらには各国の政策スタンスというものについて、適切に把握して認識して共有していくということが非常に重要だと思います。
 幅広い意味でいえば政策協調と言われるわけですけれども、その場合も、別に、財政についても金融についても同じことをやるという意味ではないと思います。まさにそれぞれの国に合った政策を取るわけですけれども、その相互関連というものをお互いに認識しつつ政策を取っていくということであろうと思っております。
 この点、G7、G20などの国際会議は、各国の政府、中央銀行の間で大変貴重な意見交換の場でありまして、私も麻生大臣とともに積極的に議論に参加し、貢献してきているところであります。
 また、私の在任期間もかなり長くなっていまして、G7やG20の参加者の方々とも大分親しくおつき合いしていただいて、彼らの考え方をよく知っておるつもりでございますので、こういったこと、経験も生かしつつ、世界経済の安定と持続的な成長のためにできる限りのリーダーシップを発揮してまいりたいというふうに考えております。

#15
○井林委員 ありがとうございます。
 世界の各中央銀行総裁とも随分親しくなられたということでございます。
 今後のG7、G20関連で予定されているものというだけでも、財務大臣・中央銀行総裁会議だけでも五件、もう既に予定をされているということでございます。世界経済が大変厳しい状況に直面している中であるからこそ、国際協調しながら、そして、是非リーダーシップを取って、この国の金融政策のかじ取りをしていただきたいというふうに思っております。
 さて、財政政策についてお伺いをしたいと思います。
 新型コロナウイルス感染症対策の経済対策を今大胆に取っていただいておりますし、事前のレクなどでは、主要国に比べて、対GDP比で累計事業規模で引けを取らない規模で対策を取っているということに、私、非常に強い決意を感じ取っておりますし、これはリーマン・ショックとの比較ということで資料をお願いしたら、リーマンのときには世界のそういう経済対策と比べたものを財務省さん自身がお作りになっていないということで、今回のことに関して言うと、かなり世界の中でもしっかり対策をしていくんだという強い決意というのもあるのではないかなというふうに思っております。
 大切なのは、現在の経済対策がスピード感を持って適切に執行され、本当に困っている方々の手元に届く、また、ウィズコロナやアフターコロナを想定し、厳しい状況でも果敢に事業展開を図ろうとする方々の手元に届くことが大切だというふうに考えております。
 他方で、出口戦略を考えることも非常に重要でございます。私は、財政は景気がいいときにはしっかり引き締める、そして景気が悪いときには必要な分だけしっかり経済対策を行う、場合によっては国債発行もためらうべきではないというふうに考えています。
 他方で、どれぐらい国債発行は可能なのかという議論もございます。これは私自身も不勉強で、どれぐらいの国債発行ならインフレを引き起こさないのかということは私自身もまだ分かりませんし、世界のどの国を見ても、統一的な政府の見解というものは出ておりません。
 しかし、この国にある国債発行可能な能力、余禄がもしあるのであれば、できることなら私の子供たちの世代やまだ見ない孫の世代に可能な限りそういう余禄を残しておいて、今の私たちからは想像もつかないような大きな社会経済的なダメージや、想像したくはありませんけれども安全保障上の様々なダメージ、そうしたものに備えて余禄を残しておきたいというのが私の思いでございます。
 そうなると、財政健全化という議論になりますが、コロナ禍前はプライマリーバランス、麻生大臣の所信でもプライマリーバランスということでお話しになりました。これの考え方が財政健全化の大きな柱になってまいりました。一定の期間をターゲットに置いて財政を健全化させようという目標を取るということは、一つのやり方として評価されるかもしれません。
 しかし、お手元の資料、最後の資料でお配りをさせていただきましたが、これは財務省さんにお作りをいただいた資料ですが、その目標を決めると、プライマリーバランスを徐々に徐々に改善させようということをしてしまう。特に、日本の官僚機構というのは極めて優秀でありまして、一定の期間をターゲットに決めると、その目標に向かってこつこつと積み上げていくということでございます。
 こうすると、やはり経済の成長率と経済状況と、先ほど申し上げた、景気が悪いときにはきちっと財政出動する、景気がいいときにはきちっと引き締めるということ、そうしたこととちょっと両立しにくくなるのではないかというふうに思っておりますし、PBは執行額で見ますので、国会で審議をされている当初予算や補正予算といったものに比べると、どうしても政治の目が行き届きにくくなるのも現実でございます。
 特に、私は平成二十八年度はもう少し大胆な執行があってもよかったのではないかと悔やんでおります。もちろん、PBに代わる新たな指標があるのかと言われると、すぐさま思いつくわけではございませんし、一定の時期を目標にしてプライマリーバランスというものを改善するというか、財政目標を一定の時期に置くということは、私は正しいことだと思っております。
 ただ、これからの財政運営を考えていく上で、プライマリーバランスの功罪も含めて経済財政を考えて、課題はどこにあったと考えられるのか、お答えをいただきたいと思います。

#16
○船橋大臣政務官 お答えいたします。
 将来世代のための財政健全化に向けた姿勢やプライマリーバランスの黒字化目標は、新型コロナ対応により更に財政状況が悪化する中で、市場の信認を維持すること、少子高齢化など新型コロナ以前からの構造的な変化の中で社会保障等の持続可能性を確保すること、いざというときのリスクに備えて政府の対応余力を確保すること、こうした観点から重要であると考えております。そのため、二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化目標に向けて、社会保障等の歳出改革の取組を着実に進めていくとともに、経済再生と財政健全化を進めてまいります。
 一方で、経済動向を踏まえた対応も必要でございますことは、井林議員御指摘のとおりでございます。政府といたしましても、リーマン・ショックなど大きな危機が生じた場合には、経済活動や国民生活を守るため、機動的に対応してきております。
 今回の新型コロナに対しましても、三度の巨額の補正予算を編成するなどの対応を取っておりますけれども、引き続き、経済動向等を踏まえ、経済財政運営に万全を期してまいりたいと思っております。

#17
○井林委員 ありがとうございます。是非、機動的な対応というのをお願いしたいというふうに思っております。
 最後に、麻生大臣にお伺いをしたいと思っております。
 コロナ対策の財政運営を行っていって、恐らく、この感染状況が落ち着いてくるというときが必ずやってくると思います。そのときに、やはり出口という議論、正常化という議論があると思います。残念ながら、リーマン・ショック後の二〇一〇年六月に開催されたG20のトロント・サミットでは、先進国の財政計画とは別枠で日本が言及されているということで、少し出遅れ感があるような形に見受けられます。
 今度はそうしたことがないということを私は祈るばかりでございますし、今回、麻生大臣は、もうG7の中では最長の財務大臣の任期でございますし、G20の中でも二番目に長い在任任期をお持ちでございます。まさにリーダーシップを発揮して、今度はそうした、G20になるのかG7になるのか分かりませんが、世界のコミットメントが出るときには、しっかりと日本がその中心にいるということが伝わるようなリーダーシップを図っていただきたいと思いますが、その決意を最後にお伺いしたいと思います。

#18
○麻生国務大臣 今回の新型コロナウイルス感染症対応のために世界中の国々で財政に負担がかかり、結果として悪化している、これは間違いない事実だという前提でいかないかぬのだと思うんですが、その中にあって、元々日本の場合は財政が、他の先進七か国に比べても財政状況はいい方ではありませんでしたから、そういった意味で、私どもは元々マイナスからというか、負担がかかっている上にこれが来ていますので。
 対応もかなり十分にやっておると思いますので、結果として、リーマンに比べて、倒産件数もあのときに比べて二分の一から三分の一ぐらいに少ないと思いますし、失業率もあのときは五・何%、今二・九ぐらいですから、その意味では、そういったものの効果もかなり上がっているんだと思っております。しかし、状況としては、当然のこととして、その分だけ財政を圧迫するということになりますので、大幅に悪化をしておると思っております。
 したがいまして、財政運営をさせていただく我々としては、これは市場の信認を失わないようにしておきませんと、今金利が超低金利になっておりますけれども、急に上がるという可能性がないわけではありませんので、いろいろな意味で私どもは考えておかないかぬ、注意をしておかないかぬということが第一。
 加えて、日本の場合は、少子高齢化という中長期的には最大の問題を抱えております。したがいまして、間もなく団塊の世代と言われる昭和二十一年生まれの方々がいずれも後期高齢者ということになってきますので、そういった意味では、次の世代に未来というものをつないでいかないかぬということになりますので、この点は非常に大事なところというのが、我々も抜けられない大前提です。
 その上で、このコロナによりまして、世界中、財政出動をせねばならぬ。戦後というか第二次大戦後一回も財政出動したことがないというドイツですら、今回は大幅に財政出動をいたしておりますので、そういった意味では、今回これをどうするかということで、バイデン政権になりましてからイエレン財務長官と個別に一回、G7で一回、もう二回電話等々で会談をさせていただいておりますが。
 問題は、財政をいつコロナ対策から再建の方に振り向けてくるかということが今一番問われているところだと思いますので、これはばらばらにやっても意味がありませんので、全体としてやるということをみんなで話をきちんとしようじゃないかということで、今の段階としては、少なくとも日、英、米、仏、独あたりのところは間違いなく、この件に関しては今ではないと。まだコロナ対策に当分の間時間がかかるということは、皆、各国も認めておりますので、そういった意味では、この問題に関しましては、更にしっかりと議論をしながら全体でまとめていくという方向に事を進めたいなと考えております。

#19
○井林委員 ありがとうございます。
 是非その方向で御努力いただきたいと思いますし、まずはこのコロナウイルス感染症が一日も早く収まることを御祈念申し上げまして、そして、そのために微力を尽くしていくことをお約束申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

#20
○越智委員長 次に、櫻井周君。

#21
○櫻井委員 立憲民主党・無所属の櫻井周です。
 本日も、前回に続きまして質問をさせていただきます。
 まず、大臣所信に対する質疑ということではございますが、この中で麻生大臣が財務大臣として言及されていないこととしまして、国際局の業務について全く触れておられないというふうにお見受けいたします。
 財務省の中では、財務省ナンバーツーと言われる方、財務官、それから国際局、こういう部門があって、しかるべき方がいらっしゃるわけでございます。その業務について全く言及がないというのは、それはそれなりのお考えがあってのことなのかもしれませんが、やはりこうした部分についてもしっかりと目くばせをしていかなければいけないのではないのか。そういった問題意識も持ちまして、まず国際業務に、国際的な問題について取上げをさせていただきます。
 本日は、日本銀行の黒田総裁にもお越しいただいておりまして、まさに黒田総裁は、以前は財務官、国際局長、国際金融局長をされていたということもございますので、そういった部も非常に重要な部門だというふうに心得ておりますので、質問をさせていただきます。ただ、ちょっと個別具体的な質問をさせていただきます。
 二月、今月に入りまして、ミャンマーで軍事クーデターが発生いたしました。この十年間のミャンマーでの取組、民主化に向けての取組を大幅に後退させるものということで、各国とも大いに失望し、そして非難する声明を発表しております。
 また、世界を見渡しますと、この二十一世紀に入ってから、実は世界の民主主義は後退しているのではないのか。二週間ほど前に、イギリスのエコノミスト誌が毎年発表する、デモクラシーインデックス二〇二〇年が発表されておるんですが、この中でも、発表されて以降最悪の状況というふうになっております。
 このせっかく進んできた民主化の取組、これが後退しつつあるわけですが、しかし、本当に後退してしまうのではなくて、何とか元の道に戻っていくように、そういう努力を我が国としてしていくべきだというふうに考えております。
 各国とも日本政府は協調して、G7外相声明ということで、軍事クーデターと認定して、結束して非難をするということ、また、それ以外の国、例えばインドネシア、オーストラリアとも外相同士で電話会談もしている。
 一方で、アメリカは、軍事クーデターと認定するということになりますと政府直接のODAはできない、さらには、軍関係者の資産凍結、輸出規制などの制裁も進めている、こういう話もございます。
 一方で、中国は軍事クーデターを非難はしていないということで、G7各国がミャンマーへの支援を停止する、さらには経済制裁ということになりますと、そこに生じた空白に中国はどんどん入り込んでくるのではなかろうか、こういうことも懸念されるところでございます。
 まず、ちょっと外務省にお伺いをいたしますが、ミャンマーでの軍事クーデターに対して我が国はどのような方針で対応するのか、教えていただけますでしょうか。

#22
○國場大臣政務官 日本は、ミャンマー情勢に重大な懸念を有しており、これまでもミャンマー国軍に対し、民間人に対する暴力的な対応を直ちに停止すること、アウン・サン・スー・チー最高顧問を含む拘束された関係者を解放すること、民主的な政治体制の早期回復を強く申し入れてきております。
 十日の日米外相電話会談でも、米国との間で、これらをミャンマー国軍に強く求めることで一致し、引き続き緊密に連携していくことを確認しております。
 このように、日米両国は、ミャンマーにおける民主的な政治体制の早期回復という共通の目標を共有しており、日本として、今般の米国の決定を理解しております。
 日本としても、ミャンマー国軍への働きかけを含め日本独自の役割を果たしつつ、米国を始めとする同志国と緊密に連携していく考えでございます。

#23
○櫻井委員 ありがとうございます。
 それで、ここは財務金融委員会でございますので、特にこうした財務の観点から質問させていただきます。
 ミャンマーに対しては日本は多額の債権を持っていたわけでございますが、これについて、二〇一二年四月に東京で会議があって、当時の野田総理も会談をされて、それで、この巨額の債権について放棄する用意があるということを発言をされて、約束をしております。
 その後、麻生財務大臣は、二〇一三年一月三日にネピドーでテイン・セイン大統領と会談をして、ミャンマーが日本向けに抱えている五千億円の延滞債務について、三千億円は放棄をし、残り二千億円についてもつなぎ融資をして解消するというようなことで、約束をしてきております。また、翌一月四日には、ティラワ経済特区を訪れ、同国に対する新たな支援の実施を確認をしたということでございます。
 これらの取組は、ミャンマーへの債権放棄は、ミャンマー政府が民主化を進めるということをサポートするということが前提になっているというふうに理解をしております。しかしながら、今回、債権放棄をせっかくやったにもかかわらずこうした軍事クーデターに至ってしまったというのが重ね重ね残念なわけでございますが、この債権放棄の経緯と合意事項、そしてその合意事項の遵守状況についてちょっと御説明をお願いいたします。

#24
○高杉政府参考人 お答えいたします。
 過去の経緯でございますけれども、二〇一二年の四月に、当時の野田総理とテイン・セイン・ミャンマー大統領との間で首脳会談が行われまして、それまでのミャンマー政府による民主化、国民和解及び経済改革努力を踏まえまして、そのような前向きな動きを後戻りさせず、ミャンマーの国際社会への復帰を促し、さらに、ミャンマーの政府及び国民が改革の恩恵を実感できるよう、延滞債務問題の解消に向けた全体的な道筋として、円借款に係る延滞債務について三点の合意がございました。
 ここは委員御指摘のとおりでございまして、一つは、二〇〇三年三月以前の返済期日到来分の千九百八十九億円でございますけれども、こちらを、超短期の商業ローンを、ブリッジローンを活用してミャンマー側が日本側に一旦返済した上で、日本側が同額の長期の円借款をプログラムローンとして供与し、ミャンマー政府の政策や改革の取組をモニタリングする。それから二番目に、二〇〇三年四月以降の返済期日到来分の千二百七十四億円でございますけれども、こちらについて免除手続を再開すること。さらに三番目、遅延損害金の千七百六十一億円がございますけれども、こちらについてはミャンマー政府による改革努力の継続を一年間モニタリングをした後に免除するということで、二〇一二年四月の首脳会談で合意をしたところでございます。
 それを踏まえまして、我が国としましては、二〇一三年一月に千九百八十九億円のプログラムローンを供与するとともに、千二百七十四億円の債務免除を行いました。さらに、この一年間のモニタリングを行った上で、その年、二〇一三年の五月に千七百六十一億円の債務免除を行ったものでございます。

#25
○櫻井委員 一定期間モニタリング、一定期間といっても一年ですけれども、モニタリングをしながら民主化の支援を続けてきた。まさか十年たってひっくり返されるというふうには思わなかったというところもあるかと思います。
 ただ、その後も継続的にミャンマーに対して様々な支援をしてきている、多額の円借款も供与しているというふうに承知をしております。
 この円借款等、無償資金協力も含めてですが、エクスチェンジ・オブ・ノーツ、交換公文を締結をされているかと思います。また、円借款であれば、その後、ローンアグリーメントも締結をされているかと思います。
 こうした約束事、契約の中で、民主化への努力の継続など、そういったことを担保するような条項は入っているんでしょうか。

#26
○高杉政府参考人 お答えいたします。
 円借款の交換公文、それからローンアグリーメント、いわゆる貸付契約でございますけれども、こちらにつきまして、民主化そのものについて、これを条件として供与するというような条件を付しているという事実はございません。

#27
○櫻井委員 そうすると、円借款については、まず、毎年一定額といいますか、というわけではないにしても、毎年継続的に供与をしてきたかと思うんですが、来年以降、来年度以降はこうしたプロセスをどうするのか。新規については当面見合わせるのかどうなのか。この点についての方針を教えてください。

#28
○越智委員長 誰への質問ですか。

#29
○櫻井委員 これは、円借款の供与というのは、これはどこに、外務省になるんですか、財務省になるんですか。

#30
○高杉政府参考人 お答えいたします。
 我が国の今後の対ミャンマー経済協力の対応でございますけれども、現時点では予断することなく、今後の事態の推移を注視し、検討してまいりたいと考えております。

#31
○櫻井委員 まさに、円借款というか、この部分については外務省と財務省が共管しているというふうに承知をしているので、どちらが答弁されても私は構わないんですけれども、御答弁をよろしくお願いいたします。
 その上で、新規のものについてはしっかりとチェックをしながら、状況を見ながらということではございますが、今この時点において、軍事クーデターが実際起きていて、先ほど、様々非難もしているし、アウン・サン・スー・チー氏の即時の釈放、解放ということを求めているわけです。それがかなっていない状況の中で新規を供与するというのはちょっとあり得ないだろうというふうにも思いますし、また、オンゴーイングのプロセスにあるもの、例えば、円借款についても、ローンアグリーメントを直近結んだものがあろうかと思いますが、それについて、まだ発効していないもの、エフェクティブになっていない借款もあるのではないかというふうにも考えるんですが、そういったものはありますでしょうか。オンゴーイングの状況について教えていただけますか。

#32
○山中参考人 お答え申し上げます。
 対ミャンマー向け円借款に係る貸付契約調印済みの案件のうち、現時点で借款契約が未発効の案件は一件ございます。
 本案件も含めた今後の対応につきましては、事態の推移を注視しつつ、日本政府とも緊密に御相談をしながら適切に対応してまいる所存でございます。

#33
○櫻井委員 もう少し踏み込んであれこれお尋ねをさせていただきますが、既にローンアグリーメントを結んだものであったとしても、コントラクターと契約していないという事業もあるのではなかろうかと思います。実際、ローンアグリーメントを結んだ後も、そこから入札等をやって、それから業者が実際に選定されるまでには一定期間かかるものだというふうに承知をしておりますので、そういったものについてはどうするのか。さらには、コントラクターとの契約も済んでいる状況の中で、それでも事業実施のプロセスを止める、つまり、貸付け実行を止めるということもあり得るのかどうなのか。その辺りについて教えていただけますでしょうか。

#34
○山中参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、借款契約が発効済みの案件のうち、ミャンマー政府又は実施機関と日本企業等との間で契約がまだ未締結のもの、そういった案件もございます。
 これらの案件の扱いを含めた今後の対応につきましては、先ほども申し上げましたとおり、事態の推移を注意しつつ、日本政府とも緊密に御相談をしながら適切に対応していきたいというふうに考えております。

#35
○櫻井委員 あともう一点JICAにお尋ねをさせていただきますが、円借款のプロジェクトで、契約したコントラクターの中に軍が関与するような企業が入っていたりはするのかどうなのかについても、ちょっと教えてください。

#36
○山中参考人 お答えいたします。
 今御質問がございましたような軍関係の企業の関与というのは、確認はされておりません。

#37
○櫻井委員 同じ質問をJBICにもさせていただきます。
 一方で、JBICの投融資に関する事業で、ミャンマー軍が関係するような企業、こういったものはございますでしょうか。

#38
○天川政府参考人 お答え申し上げます。
 当行の融資対象事業におきまして、ミャンマー国軍が直接関与している事業はございませんが、間接的な関与も含めてお答えを申し上げますと二件ございまして、一件は、当行の融資先でミャンマー国軍が関与している事業として、キリンホールディングスがミャンマーにおいてビールの製造販売事業を行うミャンマー・ブルワリー・リミテッドに資本参画するに当たり、当行がその必要な資金の一部を融資した案件がございます。
 なお、このミャンマー・ブルワリー・リミテッドは、キリンホールディングスとミャンマー企業でございますミャンマー・エコノミック・ホールディングス・パブリック・カンパニー・リミテッドとの合弁事業でございまして、このミャンマー企業が福利厚生年金の運用会社として国軍と取引があるというふうに承知してございます。
 あともう一件は、こちらは国軍ではございませんで、ミャンマーの国防省が関与する案件といたしまして、日本企業がミャンマー企業とともに実施する複合不動産の開発運営事業に必要な資金の一部を融資した案件がございます。当該事業を実施する土地は、合弁相手先であるミャンマー企業がミャンマーの国防省より借り受けて、それを転借しているということでございます。

#39
○櫻井委員 円借款の方では、軍が関与しているそういったコントラクターは入っていないということでございますが、一方で、JBICの方では、軍と何らかの関係がある企業も事業の中に含まれているということでございます。
 やはり、今回のクーデターに対して我が国の対処する程度というもの、全部引いてしまうというのはさすがに、そうしますとその後本当に、民主化への道に引き戻していく、そういう手がかりもなくなってしまうことになりますので、それはちょっとやり過ぎだというふうに思います。
 他方で、何もしない、これまでどおりというのもこれまたあり得ない。やはり、軍事クーデターを起こしてしまったということですから、そのことに対する責任といいますか、我が国は厳しい態度を示す、具体的に示すということも必要だろうと思います。
 どの程度やるのかということについて先ほど来いろいろ質問させていただきましたが、いろいろな段階があろうかと思います。新規を出さない、既存案件についても、コントラクターが決まっていない、コントラクターに迷惑がかからない範囲でやる、又はもっと厳しく、止めてしまうという方法もありますし、少なくとも、軍が関係する企業については、こちらについては解消していくということは必要なことだろうというふうに考えておりますし、既に報道では、キリンホールディングスについては合弁を解消する方向で取組を進めているという報道もございますので、これは適切な判断であろうというふうにも承知をしております。
 続いて、ミャンマーに対する支援というのは、我が国が直接行うものもございますが、例えば、世界銀行やアジア開発銀行を通じて行っているものもございます。こうしたものについて、当然、ミャンマー政府に対する借款、アジア開発銀行なり世界銀行が供与するときには、これは理事会、ボードの会議に諮られるわけでございますが、そのときには、日本から派遣されている理事は賛成するのか反対するのか、また、ほかのG7の理事はどのような議決行動を取るのかというのも、これは大変重要なことでございます。
 特に、アジア開発銀行については、G7各国が仮に反対をしたというときに、日本政府が賛成するか反対するかで過半数に到達するかどうかということの分かれ道になるのではなかろうか、キャスチングボートを握っている、そういう状況でもなかろうかというふうにも思います。
 これは財務省ですよね、財務省にお聞きをしますが、このとき、どういった議決行動を取ろうというふうに考えているのか、御説明をお願いします。

#40
○麻生国務大臣 ミャンマーに関する情報というのに関して、軍事クーデターというけれども銃弾の音がまだ一発も聞こえていないというのが今の状況なんだと理解をしております。全然情報が入ってきませんけれども、今現地におります者、何人か日本大使館から行っているのもおりますので、ネピドーにしてもヤンゴンにしても、状況はほぼ同じで、デモやら等々あっても、いわゆる軍事クーデターによって鎮圧されていて戦車がとか鉄砲がとかいう話ではないという状況になっておるというのは、これは我々は頭に入れておかないかぬところだと思っております。
 その上で、世界銀行及びアジア開銀等々につきましては、これは重大な懸念を有しているということを表明している一方、ミャンマーの持続可能で包摂的な成長というものを目標にしっかり取組を続けているというような状況を認識をしておりまして、今の軍事政権というかクーデターが成った後も、その経済政策はそのまま継続ということをしておりますので、この両機関、両機関とは世銀とアジア開銀ですけれども、ミャンマー向けの支援に関しては、具体的な方針というのは何ら今示されておりません。
 その上で、日本としては、両機関を通じまして、ミャンマーに対する支援につきましては、これは事態の推移というものをもう少しよく見なきゃ分からぬと思っておりますので、そういった意味では、私どもとしては、他の加盟国とも連携をしながら適切に対応してまいらねばいかぬところだと思っております。

#41
○櫻井委員 実は今日この部屋には、ミャンマーの債権放棄ということに関わった方、麻生財務大臣はもちろんのこと、野田当時の総理、それから黒田総裁もアジア開発銀行総裁として対ミャンマーの債権放棄に直接関わっておられるということで、そうした方々がいらっしゃる前で私が質問させていただくということはちょっと恐れ多いところではございますが、ほかの質問もございますのでこの件についてはこれで一旦終了とさせていただき、二番目の質問もちょっと時間が押してまいりましたので割愛をさせていただいて、三番目の質問に移らせていただきます。
 株価高騰、今しておりますけれども、これと、それから日本銀行の金融政策等についてお尋ねをいたします。
 日本銀行に御質問させていただく前に、まず文部科学省に質問させていただきます。
 今年度の三次補正予算の中に、五千億円、大学ファンドというものが入ってございました。来年度の財投計画の中で四兆円の計画があるというふうに承知をしております。そうしますと、これは合わせて四兆五千億円ということになりますが、十兆円規模の大学ファンドという触れ込みになっております。
 スタートは四兆五千億円。どうやって十兆円規模のファンドにつくり上げていくという計画になっているんでしょうか。

#42
○塩崎政府参考人 お答えいたします。
 大学ファンドは、まずは国の資金を活用しつつ、その後、参画する大学や民間からの資金を順次拡大することとしておりますが、世界に伍する規模の大学ファンドとして十分な支援を大学に対して行うためにも、大学改革の制度設計等を進めながら、令和四年度予算要求等も視野に入れて、十兆円の早期実現を目指してまいりたいと思ってございます。

#43
○櫻井委員 四兆五千億円からスタートして十兆円にするということで、いろいろなところからお金を集めてくるということもあるでしょうし、また、上がってきた利益についてそれを再投資するということもあるんですよね。今うなずいていらっしゃいますので、そういうことかと思います。
 十兆円にするのは別に駄目だとは言いませんが、ただ、そんなお金があるんだったら、今はもうまさに大学はお金がなくて研究もままならない、ノーベル賞、以前は毎年挙がってきたわけでございますが、今後はなかなか厳しいんじゃないかということをノーベル賞の受賞された方々が嘆いておられる、危機感を表明されているという状況でございます。この十兆円にするのに一体いつまでかかるのか。普通に五%利回りで考えますと、十五年か、もっとかかるかもしれない。そういう状況ですので、そんなことをするお金があるんだったら、もうすぐにも大学にちゃんと予算を確保して投資する、こっちが先決ではないのかというふうにも考えるわけです。
 にもかかわらず、この十兆円ファンドというようなまどろっこしい方法を取っている。これは、まさに株価押し上げを狙ってこういったファンドをつくっているのではないのかというふうにも考えるんですが、そういうことなんでしょうか。どうですか。

#44
○三谷大臣政務官 お答えいたします。
 今御質問いただきました大学ファンドにつきましては、世界トップレベルを目指す我が国の研究大学の研究基盤を長期的、安定的に支援することを目的として、長期的な観点から安全かつ効率的に運用を行うということを基本的な考え方としております。
 今委員が御指摘の、海外の事例でもございますけれども、本当に海外は、寄附金を原資とした数兆円規模の大学ファンドを保有、運用して、その運用益を長期安定的に人材や研究設備に投資することで充実した研究基盤を構築しております。このような長期にわたる取組が我が国と欧米との研究環境の差の一因となっているというふうに認識をしております。
 したがいまして、今回、大学ファンドをつくらせていただくわけですけれども、この大学ファンドにつきましては、市場の短期的な動向よりも長期的な観点からリスクを抑制しつつ確実な収益を目指すことや、そのため、日本株などの特定の資産に偏ることなく、国内外の様々な種類の資産に分散して投資を行うことなどを運用の基本指針とすることを想定しておりまして、この運用の制度設計に当たりましては、総合科学技術・イノベーション会議の下に設置いたします有識者会議におきまして、国内外の投資環境などを考慮した上で、経済、金融等の専門家の協力も得て、幅広く知見を集めながら今後検討することとしております。
 このように、本ファンドは、世界トップレベルを目指す我が国の研究大学の研究基盤を長期的、安定的に支援することを目的としておりまして、御指摘のような株価対策の手段としての運用を目的とするものではございません。

#45
○櫻井委員 株価対策かどうかというのはおいておいても、今、日経平均株価、バブル崩壊以降で最高値を更新しているというような状況です。これでファンドをつくって買うということになると、高値をつかむことになってしまうのではないのか。結局、それで、ファンドをどんどん殖やすところがもう減っちゃって、大学に配分するどころの騒ぎではなくなってしまうのではないのか。
 そんなことではなくて、憲法にも財政というのは単年度主義できちっとやっていくということになっているわけですから、ちゃんと、そんなお金があるんだったら、そちらで毎年政治の責任として必要なお金を確保するということが本筋だというふうに申し上げておいて、日本銀行にもお尋ねをします。
 日本銀行は、ETFを大量に保有をされているという状況でございます。いわば、日本株式の最大株主という状況でございます。GPIFを抜いて最大株主、こういう報道も本日の日経新聞にも載っておりましたけれども。こういう状況でございますが、一方で、日経平均株価、バブル崩壊以降最高値を更新している。
 一方で、日銀短観によりますと景気は非常に悪い状況が続いているということなはずなのに、なぜこの株価、高騰しているんでしょうか。

#46
○黒田参考人 まず、ETFの買入れ自体につきましては、従来から御説明いたしているとおり、大規模な金融緩和策の一環として実施しておりまして、その目的は、株式市場のリスクプレミアムに働きかけることを通じて、金融市場の不安定な動きが企業や家計のコンフィデンスの悪化につながることを防止するということで、そういうことを通じて、経済、物価にプラスの影響を及ぼしていくということであります。
 そこで、最近の株価につきまして中央銀行総裁が何か具体的にコメントするというのはやや僭越だと思いますが、基本的な考え方として、株価は、収益の、特に企業の収益の先行き、経済の先行きを勘案して決まってくるという面が非常に強いと思いますので、IMFの最近の見通し等も見ますと、従来見ていたよりも少し経済成長を上方修正しておりまして、特に、日米などにつきましては経済見通しを上方修正をしております。
 また、米国でも日本でもそうですけれども、企業収益の発表が次々に行われ、あるいは先行きの見通しを企業が発表しておりますけれども、それが、従来考えていたよりも少しよいものが出てきている、さらには、コロナ対策の鍵になると思われるワクチンについて欧米で接種が進んでいるというようなことを、全体を見て、恐らく、経済あるいは企業収益の先行きというものを考えてこういうことになっていると思うんですけれども、ただ、それは基本的なことであって、実際にこれが行き過ぎているのか行き過ぎていないのかというのは、後になってみないと分からないという面があります。
 具体的に申し上げますと、やはり、この経済動向というのは不確実性が依然としてかなり高い、コロナワクチンがかなりのスピードで欧米で接種が進んでいますので、ダウンサイドリスクでなくてアップサイドリスクが出てきたと言うエコノミストもいますけれども、私は、依然として慎重に見ておりまして、世界経済、日本経済にとってやはりダウンサイドリスクというものは無視できないというふうに思っておりますので、そういう意味では、経済動向、金融市場の動向を十分注意しながら金融政策全体を進めてまいりたいと思っております。
 ETFの買入れにつきましては、先ほど来申し上げていますように、大規模な金融緩和の一環でございますので、当面、これをやめるとかあるいは出口を考えるという状況にはないというふうに考えております。

#47
○櫻井委員 たまたまですけれども、今朝の日経新聞を見てみますと、まさにこうしたことが記事に載っていまして、別に私が質問するからこういう記事が出てきたわけではないと思いますが、ちょっと紹介をいたしますと、景気との差があり過ぎて違和感しかないというようなコメント、五十代の会社員は首をかしげたということですとか、平成バブルのときのような熱狂はない、ごく限られた一部の人が買い上げているのではないか、こういった市民の感想が記事になっておりました。
 二〇一二年末からアベノミクス相場は一巡すると、外国人投資家は売手に回り、受皿となったのがETFの購入を拡大した日銀だ、日銀保有のETFは昨年末で四十六・六兆円、GPIFの四十五・三兆円を超え、日本株の実質的な筆頭株主になった、こういうふうにも書かれております。
 さらに、SMBC日興証券チーフ株式ストラテジストは、過剰とも言える緩和を背景に株高が急速に進んでいるというふうに指摘をしておりますし、また、岡三証券グローバルリサーチセンター理事長は、そろそろ外国人頼みや日銀頼みから脱し、国内投資家が市場を支える仕組みをつくるタイミングだ、こういうふうにも言っております。
 結局、今回のこの株高、株が高騰しているのは、日本銀行が買い支えているからではないんでしょうか。特に、株価が一旦下がるような、その日のマーケットで下がるような傾向が出てきたら、すかさず日本銀行が買ってくれる、値が上がることはあっても下がることはないというふうになれば、投資家としてこれは買わない理由はないということでどんどん買ってしまう。それがある種のバブルを引き起こしているのではないでしょうか。
 バブルというのは、先ほど黒田総裁は、これは崩壊して初めてバブルだったというのが分かるということなんですけれども、ただ、それではまずいと思うんですが、この原因についてしっかりともう一度御答弁をお願いいたします。

#48
○黒田参考人 先ほど来申し上げましたとおり、このETFの買入れというのは、大規模な金融緩和策の一環として行っておりまして、企業や家計のコンフィデンスの悪化につながることを防止するということで、経済、物価にプラスの影響を及ぼしていくということであります。
 具体的には、昨年三月に、感染症の影響によって金融市場が大きく不安定化したことを受けてETFの買入れを増額いたしましたけれども、同時に、ETFの買入れ額は市場の状況に応じて上下に変動し得るということとしておりまして、めり張りのある柔軟な買入れを行っております。
 実際、昨年春は積極的な買入れを行った結果として市場の不安定な動きを緩和する効果がありましたし、また、その後、市場が落ち着きを取り戻していく下で買入れ額は減少しておりまして、昨年秋以降は極めて少ない額の買入れにとどまっております。
 そういう意味で、あくまでも株式市場のリスクプレミアムに働きかけ、金融市場の不安定な動きを阻止するという観点から行っているわけでありまして、特定の株価水準とかあるいは株式市場の取引とか、そういうものを目指して行っているものではございません。
 先ほど来申し上げているとおり、現在の株価の高騰の背景には、世界的に見て、景気の先行きについての楽観的な見方が広がっている、さらにはワクチンの接種が進んでいるといったことがあると思いますけれども、先ほども申し上げたように、依然として世界経済は不確実性がありますので、私どもとしても十分、経済、物価、金融市場の動向を注視して、適時適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

#49
○櫻井委員 繰り返し、ワクチンなど感染症対策が進んで、だからそれに対する期待だとおっしゃるんですが、その理屈でいうと、感染症が広がる前、一年以上前の状況に戻るという勢いなら分かりますが、それをはるかに超えてということの説明にはならないんじゃないでしょうか。
 そもそも、日本銀行は日本株の筆頭株主という状況ですが、このETFは一体どうするのか。これは未来永劫持ち続けるんですか。これはどこかで、タイミングは今言えないにしても、いずれ日銀は手放す、こういうことにするのか。そこはどうなんでしょうか。

#50
○黒田参考人 もちろん、買い入れたETFの取扱いについて将来は議論になるということになると思いますが、物価安定の目標の実現にはまだ時間がかかるという状況でございますので、ETF買入れを含む金融緩和の出口のタイミング、あるいはその際の具体的な対応を検討する局面には至っていないというふうに見ております。
 もちろん、物価安定目標が実現される、実現に近づくというときには、現在の全体の大規模な金融緩和、このETFの取扱いも含めて全体について、出口に向けた戦略あるいは方針について金融政策決定会合で議論して、適切に情報発信していくということになると思います。

#51
○櫻井委員 今の御答弁ですと、二%の物価目標を達成した暁には保有しているETFは手放す、こういう理解でよろしいですか。

#52
○黒田参考人 先ほど申し上げましたとおり、ETFの取扱いを含めて、出口に差しかかった段階で、出口に向けた戦略、方法について、金融政策決定会合で議論して決定して、適切に情報発信してまいりたいということでありまして、何か予断を持って申し上げるということは適切でないというふうに思います。

#53
○櫻井委員 中央銀行が株式をこれほど大量に保有するということ自体が極めて異常な状態で、異常な状態が更に今まだ拡大し続けている、異常が更にもっともっと異常になりつつあるという状況でして、これについて、いずれ解消するつもりはあるんだ、それは三年先なのか、五年先なのか、十年先なのか、五十年先なのかは分からないにしても、いずれは解消するんだ、未来永劫持ち続けるというものではないということぐらいは言ってもいいんじゃないかと思うんですが。未来永劫持ち続けるというのは、まさに国家資本主義じゃないのか、こういうふうにも思ってしまいます。
 間違ったメッセージをマーケットに与えることになるのではないのかというふうにも思いますので、是非ともそこは適切なる、もちろん政策決定会合で決めることで、総裁が勝手に一存で発言できないとおっしゃるのかもしれませんけれども、そこはちゃんとそういった議論もしっかりしていただきたいというふうに思います。
 バブルが崩壊すると本当に大変だということは、我々、三十年前、経験をしているわけです。特に、私なんかの世代からしますと、ちょうど大学を卒業する頃にバブルが崩壊して、就職氷河期とか超氷河期とか言われて、ロスジェネとかいろいろなことを言われております。私は、大学に入るのに一年遅れて、さらに、今振り返って、何のために行ったのかとちょっと反省するところもありますが、大学院まで行ってしまったので、三年遅れで就職戦線に出ていったものですから、もうさっさと卒業していればそれほどひどくなる前だったのに、最悪のときに就職活動をしたものですから、私も含めて、周りの友人も含めて大変な苦労をしていたわけです。
 そういったこと、私ども、大学生だけでなくて、いろいろな場面でいろいろな方々が苦労されたこうしたバブルというのは起きちゃいけないという反省の下に、日本銀行も、「バブル期の金融政策とその反省」ということを日本銀行金融研究所が二〇〇〇年十二月に出しております。これは日本銀行のホームページにも載っておるところでございます。「直言すれば、一九八〇年代の資産価格バブルこそ、一九九〇年代の日本経済停滞の一原因である。」と。「政治圧力や外圧も大きな問題であった。しかしバブルの怖さをもっと直截に認識できておれば、対応も違っていたはずだと思う。」こういう言葉も入っております。
 ただ、この昭和末期のバブル崩壊、これはある種民間の強気期待によるもので、日本銀行はある意味金融緩和を助けたということで、不作為の責任は問われる、こういう立ち位置だと思います。
 ただ、今回の令和のバブル、これは日本銀行による官製バブルそのもので、日本銀行が主犯になるのではないのか。日本銀行は三十年前のバブル崩壊の失敗をまた繰り返すのか。前回はアシストした幇助犯にすぎなかったかもしれないが、今回は主犯として失敗を主導するのか。このことについて、最後に総裁にお尋ねをさせていただきます。

#54
○黒田参考人 足下、感染症の影響で経済、物価への下押し圧力が続いているわけですので、物価安定の目標の実現にはなお時間を要するということでありますので、経済、物価のいずれについても、感染症の影響を中心にこの下押し圧力、下振れリスクの方が大きいという状況が現下の状況であります。
 こうした中で、金融機関の貸出残高が前年比五、六%で伸びているということでありますけれども、これはコロナ禍において金融機関が企業などの資金繰りをしっかりと支えているということの表れだと思っております。
 また、株価について、先ほど申し上げたとおり、このところ大きく上昇しておりますけれども、基本的には、市場参加者の多くが今後も世界経済の持ち直しが続いて企業収益が回復していくと予想していることの反映だというふうに見ております。
 日本銀行としては、物価安定の目標の実現のために現在の強力な金融緩和を続けていくことが適当と考えておりますが、一方で、御指摘のような、金融に関する潜在的なリスクというものにも十分な注意を払いながら適切な政策運営に努めてまいる方針でございます。

#55
○櫻井委員 まだちょっとだけ時間は残っているようなので、もう一問お聞かせいただきます。
 結局、ETFの買入れと、それからこのコロナ禍で経済が大変だということ、ETFを買うことによってこのコロナ禍での経済が大変だという状況を支えることにつながっているのかどうかというと、そうじゃないでしょうと。株価はこれだけ上がっているんだから、いわゆる株式市場が悪くてその資産デフレで景気が悪くなっているというのだったら百歩譲ってそういう方法も考えられ得るかなと思いますけれども、そうじゃない逆の状況になっているわけですから、その問題点、日本経済の課題は別のところにあるんじゃないでしょうか。景気との差があり過ぎて違和感しかないというこの日経新聞の記事にあったところがまさにそれを端的に表していますし、今の状況はさすがにやり過ぎだろうということで、先ほど井林辰憲委員からも出口のこともそろそろ考えたらどうですかというような質問がありましたけれども、やはりそういうところではないでしょうか。
 ちょっとしゃべっているうちに質問時間が終了しましたので、質問はなしでこれで終わらせていただきますが、まさに日本の今後の十年、二十年、三十年を考えたときに、大きなツケを将来残すことになるのではないのかという懸念を表明いたしまして、適切なる対応を日本銀行それから財務省にもお願いをして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

#56
○越智委員長 次に、日吉雄太君。

#57
○日吉委員 立憲民主党・無所属の日吉雄太です。よろしくお願いいたします。
 まず初めに、この夏に行われる予定のオリンピック、パラリンピックについてお伺いさせていただきたいと思います。
 各国で代表者が決定して、選考が行われているところでありますが、今の日本の代表者の決定状況、そして、その際における選考の変更等があったのかどうか、また、公正公平に行われているのかどうか、日本の国内の選考状況についてお伺いさせていただきます。

#58
○豊岡政府参考人 お答えを申し上げます。
 各競技団体が発表しております日本代表への内定選手は、オリンピックが計百二十名程度、パラリンピックが計六十名程度と聞いております。
 なお、日本代表選手団の決定につきましては、各競技団体から日本オリンピック委員会、日本パラリンピック委員会への推薦を経まして、オリンピックについては七月、パラリンピックについては八月に、それぞれ出場選手を登録することとなっております。
 個別の競技の選考状況について網羅的に把握しているものではございませんけれども、国際オリンピック委員会、国際パラリンピック委員会や国際競技団体、国内競技団体の選考基準を踏まえまして、公正公平な選考が行われるものと考えております。

#59
○日吉委員 コロナ禍におきまして、なかなか十分な予選なり選考が難しい状況もあるのかなと思いまして、そこで選考自体が非常に大変な状況になっていなければという趣旨での質問なんですが、全体として何名ぐらいの代表が予定されている中での百二十名、六十名の決定なんでしょうか。

#60
○豊岡政府参考人 お答えいたします。
 出場選手につきましては、今後引き続き選考が行われる、あるいはランキングに基づいて決定が決まるといった選手もおりますので、いわゆる母数については、今の段階で何人中何人という形でお答えすることは難しい状況でございます。まだ確定していないということでございます。
 ただ、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、日本選手団の決定につきましては、オリンピックについては七月、パラリンピックについては八月と、それぞれ選手を登録することになっておりまして、着実に進んでいるものと考えております。

#61
○日吉委員 大体の数を教えていただきたいんですけれども。六百人ぐらいというふうに聞いているんですが、いかがですか。

#62
○豊岡政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど申し上げたとおりになるのでございますが、まだ出場が決定していないというか、枠が決まっていないとか、今後の競技によって決定するものもございますので、大体どれくらいかというのをちょっと申し上げるのが難しゅうございまして、申し訳ございません。

#63
○日吉委員 済みません、何割決定しているとか、大体で結構ですので、細かい数字は要りませんので、教えてください。

#64
○伊吹政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、個別の選手が決定しているというお話と、それから出場権の枠がどの国に行くかというお話があると思うんですが、まず前者については、オリンピック全体で、一月二十八日にIOCが発表していますけれども、六割の選手枠の配分が既に決まっているということになっています。
 残りの分については、これから選考大会で決まる場合もありますし、それから、ランキングで決まる場合もございますので、一番遅い選考大会というのは六月の末から始まる大会というのがありますので、その段階で最終的に決定をすると思います。(日吉委員「総数が何人になっているか。最大何人出られるか」と呼ぶ)総数は、選手が全部で一万一千人でありまして、枠でカウントすると、団体競技とかもありますので、大体八千枠ぐらいございます。
 それから……(日吉委員「その中で日本の枠は」と呼ぶ)

#65
○越智委員長 日吉君、発言は、委員長に発言を求めてください。(日吉委員「はい。申し訳ございません」と呼ぶ)

#66
○伊吹政府参考人 日本選手の枠というのは、先ほど、多分、報道で六百という数字が出ているというのは委員御指摘があったと思うんですが、日本選手について現段階で分かっていることは、開催国枠が与えられていますので、それが、人数でいいますと、大体四百人分ぐらいの開催国の枠というのがありまして、それ以外に、出場権を個別に選手の力で獲得しているというのが八十人分ぐらいありますので、大体、今既に決まっているものが四百八十ぐらい。
 四百八十ぐらい枠としてはあるということなんですが、これから、例えばゴルフとかテニスみたいに、ランキングで六月の末ぐらいにばさっと決まるものがありますので、そういうもので追加で出場権を獲得して枠が増えるということがありますので、先ほどスポーツ庁から答弁がありましたように、母数のところがよくまだ決まっていないというのが現状でございます。

#67
○日吉委員 ありがとうございました。
 次に、世界の代表の選考状況、細かいことは御説明が難しいと思いますけれども、大体どのぐらいの代表の方々が全体のうち決まっているのか。また、その選考の状況で何かトラブルがないかどうか。そして、オリンピックに参加を取りやめようというような国又は地域というのが現れていないかどうか。この辺りを教えてください。

#68
○伊吹政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたように、枠については、オリンピックで全体で六割、それからパラリンピックも、各競技団体のホームページを拝見しますと、大体六割ぐらいやはり枠が決まっているというのが現状でございます。
 先ほども申し上げましたように、これから選考大会、選考大会は三月、四月ぐらいが一番多くて、ランキングで決まるものは大体六月ぐらいで決まるものが多いので、それに従ってきちんと決まっていくということだと思っています。
 それから、各国、選手の派遣については、今の段階で派遣を取りやめるとかそういう話は出ていませんので、我々としては、皆さんが安全、安心に参加していただけるようにしっかり準備をしていきたいというふうに考えてございます。

#69
○日吉委員 ありがとうございました。
 世論調査で、行いますと、七割、八割の方が五輪の延期、中止を求めている状況がある中で、また、五輪を開催した後のコロナの感染状況を不安視される方がいらっしゃる中で、また、今のこの状況で、各国が本当に、コンディションを整えるとかそういったことも含めて、公正公平な五輪を行う前提が整っているのかどうかが不安視されている中で、五輪を行うことというのがかなり危惧されているところもあります。
 そんな中で、二〇三二年に改めて東京で開催した方がいいんじゃないか、こういう意見もある中で、公正公平な代表の選考が行われるということを今後も注意しておいていただきたいなというふうに申し上げさせていただきます。
 続きまして、次の、本題の方に入らせていただきます。
 まず最初に、日本の財政状態、また、特に国債の辺りで日銀の対応、そして財政の健全化、これについてお伺いして、最後に、今後の税制についてこれからお伺いしようと思います。
 まず、国の財務諸表、貸借対照表を見ますと、現在、資産合計六百八十一・三兆円に対して負債合計一千二百七十三・一兆円で、資産・負債差額は五百九十一・八兆円ありますという状況です。負債の主なものが公債であります。
 まず最初に、資産サイドについて一つお伺いいたします。
 有価証券そして有形固定資産について、含み損益がどのようにあるのかということをお伺いさせていただきたいと思います。
 あと、オリンピック関係のスポーツ庁の方々、これで御退席いただいて結構です。ありがとうございます。

#70
○越智委員長 どうぞ。

#71
○宇波政府参考人 お答え申し上げます。
 今委員御指摘になられました、国の財務諸表におけます令和元年度末有価証券は百二十六・五兆円、それから土地などの有形固定資産は百八十八・七兆円となってございます。
 それぞれどういうふうに評価をしておるかという御質問かというふうに存じますけれども、それぞれ申し上げますと、まず、有価証券につきましては、外貨証券など市場価格のある有価証券が大宗を占めております。百二十六・五兆円のうち百二十五・九兆円がそれに該当いたしますが、これらについては時価評価によって計上をしてございます。
 次に、有形固定資産につきましては、公共用財産と、それから国有財産等に大きく二つに分かれますが、まず公共用財産、これは道路ですとか河川などが該当いたしますけれども、これについては、施設の耐用年数にわたる過去の用地費や事業費等を累計することによって取得原価を推計をし、そこから減価償却費相当額を控除することなどによって百五十二・一兆円を計上してございます。
 それ以外の国有財産等でありますが、これは、毎会計年度ごとに、例えば土地でいえば、相続税の路線価に基づく評価を行っております。その他のものについては、様々な方法がございますが、その他の方法によって改定をされた国有財産台帳価格などによって三十六・六兆円を計上しているところでございます。

#72
○日吉委員 一点、有形固定資産について再度確認をさせていただきます。
 市場価格が上がったら上げているということがあるんでしょうか。それで、実際に、含み損益というのは、今のお話だと何となくないような感じがするんですけれども、市場価格で大きく乖離しているようなものはないのかどうか、それともそこまで詳しく分からないのかどうか、この辺りを教えてください。

#73
○宇波政府参考人 損益という観点で計上してはございませんので、真っすぐお答えになっていないかもしれませんが、主たるものである外貨証券につきましては、基本的に、その負債側で外為資金証券を発行して、それが見合いの負債に……(日吉委員「有形固定資産です」と呼ぶ)
 有形固定資産の公共用財産につきましては、これは元々国が原始取得しているものもございますし、いわゆる河川ですとか道路とかといったものでございますので、そもそも市場価格の推計が困難であります。それから、売却を想定していないものが大半を占めておりますので、ただいま申し上げたように、取得したときの用地費あるいはその後の改修などにかかった事業費などを累計することによって取得原価を推計をして、そこから減価償却費を控除しているという観点なので、損益という概念では捉えてございません。
 失礼いたしました。

#74
○日吉委員 ありがとうございます。
 そうすると、実勢、市場価格とは乖離した数字にはなっている可能性があるということが分かりました。ありがとうございます。
 次に、負債サイドの国債についてお伺いいたします。
 ちょっと仮定の話で恐縮なんですけれども、国債が多額でかなり問題だという議論になるんですけれども、ちょっと極論で恐縮なんですが、国債がない社会というのはどういう社会なのかというのをちょっと質問させていただきたいんです。
 そもそも、そういう社会というのは、税収があって、その範囲内でずっと賄っていくという社会になると思うんですけれども、会社で考えると、売上げがあって、それで支出を賄っていくということで、そうすると、利益が出た分において新たな投資を行っていくということになるんですけれども、それだと大規模な投資なりというのができなくて、工場を造ったりとかそういったものをするに当たっては、やはりお金を借りたり又は資本を注入していただくとかして元手を確保しなければいけない。そういった場合に、日本政府においては資本の注入という概念がありませんので、国債の発行になってしまうと思うんですけれども、外部から資金を調達するという点においては。
 そういう前提を踏まえて、もし国債がなかったらどういう社会になるのかなというのをお答えいただけますでしょうか。

#75
○麻生国務大臣 これは会社の話とちょっと比べてやるのはいかがなものかと思いますけれども、かなり混乱するでしょうね、こういうものが全くないという話を前提にして考えるという話になると。
 今回、新型コロナへの対応として、過去最大の国債を発行させていただきましたけれども、これは、財政面で機動的な反応というのを行うためには一定程度の国債発行というようなものが必要になるということがあるんだというふうに考えておかないと、それが何もないという前提でやると、ちょっといろいろ、財政運営とか国家運営とかいうようなものに関しては非常に大きな混乱を来すだろうなということは予想ができます。
 ただ、国債発行につきましては、これは御存じのように、経済とか財政とかいわゆるいろいろなもので、市場の状況によって発行額とかまたその残高が変動しますので、こういったものは。そういった意味で、適正な規模がどれくらいかと言われても、これはなかなか一概に申し上げるということは難しいんじゃないかという感じは正直いたしますけれども。
 その上で申し上げさせていただければ、現在のところということが一番御心配なんだと思うんですが、市場においては、これは、最大のというか大量の国債が低金利、超低金利かつ安定的に消化されておりますので、市場もこれで大丈夫ということになっておるんでしょうけれども、あしたも大丈夫かとか未来は大丈夫かとか言えば、それは、そんな保証は全くありませんね。
 したがいまして、日本の国債残高というのは御存じのように累増してきておりますので、その背景に、もう一個、少子高齢化という非常に大きな問題を私どもは抱えておりまして、いわゆる社会保障でいいますところの負担と受益のバランスという構造的な課題を抱えております。
 したがいまして、財政運営に対する市場からの信認というものが失われないように、財政の健全化というものに対する真摯な態度というのをきちんと保っていくということをしないと、財政の持続可能性というものを確保していくということが極めて重要なんだ、私どもはそう思っております。
 したがいまして、次世代のことを考えていくのは当然のことなので、そういった意味では、債務残高の対GDP比というものにつきましては、常に安定的なものにするべく努力をしていかないと、今回のような非常時というもので、各国、全部やっておりますけれども、これはいずれ全部安定させるようにせにゃいかぬということで考えておるとは思いますので、常にそういったものを考えながら、こういった機能というものは有効に使われてしかるべきだと思っております。
    〔委員長退席、鈴木(馨)委員長代理着席〕

#76
○日吉委員 今もお話の中で、全くないというのは混乱するというお話があったのと、もう一つ、今日大丈夫でも、またいつ大丈夫じゃないときが来るかというのは分からないというお話がありました。
 後者に関係するんですけれども、今回の国債を発行するに当たっては、大丈夫だという結論を持って補正予算を組まれたと思うんですけれども、そこで今回も大丈夫だというような判断をされるに至ったポイントというのは何だったんですか。

#77
○麻生国務大臣 これは、マーケットとの対話、会話ということになるんだと思いますけれども。
 少なくとも、国債というのは、御存じのように、日露戦争のときの国債、一九〇五年ですから、あの国債をいつ返したんだと。あれは一千万ポンドを借りているわけですから、戦時公債として。一千万ポンドの戦時公債を払うという約定から大幅に、第二次世界大戦等々もありましたので、日本は敗戦国にもなっておりますので、そういった意味では、あのときの公債というのは、実際は、一九八八年に返した、だから八十五年か何かで返し終わっているんだと思いますので、その意味では、公債というものに対する信頼というものは、これは日本の場合は御先祖様のおかげで極めて高い信頼を得て今日までやらせてきていただいているんだと思いますので、こういったものは大事にしないといかぬところで、日本の国債は当てにならぬということでは、とてもではないけれどもこんな低金利でやれるはずがありませんので、そういったものも大事にしながら、私どもは引き続ききちんと対応していかねばならぬものだと思っております。

#78
○日吉委員 質問への、今回どういう判断をされたのかというところが、ちょっとポイントがよく分からなかったんですけれども。(発言する者あり)

#79
○麻生国務大臣 ありがとうございました。いやいや、あなたに褒められると何か怪しいかなと思わないでもないけれども、まあいいや。
 今の御質問ですけれども、そういったようなこれまでの御先祖様の信頼がありましたおかげさま、また、ここのところ、極めて厳しい状況でもきちんとした形でずっと金利をちゃんとお払いをして償還を、一年国債であろうと二十年国債であろうと全部返却をさせてきていただいておりましたおかげで、私どもとしては今回あれだけの大量の国債を、従来どおりという金利でやらせていただくことができた、対話がそれなりにきちんといったことだと思っております。

#80
○日吉委員 今、お話、理解できました。そういうことですと、これまでの信頼、そして実績に基づいて今回も発行できるという判断をされたということだと理解しました。
 そんな中で、先ほど大臣も、国債残高の適正規模がどのくらいかというのはなかなか難しいだろうというお話がありました。
 一方で、債務残高比率の引下げというのを掲げられております。これは、GDPに対して国債残高を、今二〇〇%ぐらいですかね、それを引き下げていきましょうという目標なんですけれども、ただ、GDPが大きくなれば、国債残高自体が引き下がらなくても、多少増えても、その比率さえ引き下げれば、比率さえと言ったらちょっと語弊がありますけれども、比率を引き下げていくという目標だということからすると、ある程度、国債の適正規模を考えながらのこの目標なのかなというふうにも思っております。
 これは、引き下げることを目指していくということなんですけれども、なかなか、目標値というものが本来政策であれば必要なのかなと思うんですが、どのぐらいまで引き下げることを今考えられているんでしょうか。

#81
○麻生国務大臣 これは、日吉先生、財政健全化の目標としていわゆる債務残高というものがよく問題になるところですけれども、これは将来に向けて発散することがないようにするために、いわゆる、よく言われますプライマリーバランスというものを、マイナス、プラスをきちんとバランスさせて、せめて、今マイナスのところをプラスまでということにしてみたり、また、債務残高の対GDP比率というものを安定的に引き下げるというのを目標に掲げたりさせていただいておりますけれども、ただ、国債発行については、その時点の経済とか財政とか市場とかいろいろな状況によって発行額とか残高というのは変動をいたしますので、そういった意味では、現時点でも、適正な債務残高の規模というものにつきましては、これは一概に申し上げるということはちょっと困難だと思っております。
 なかなか、財政が、今、GDPが五百兆が六百兆とかいうことになると、またそれで少しそういった物の見方も変わってきますので、どれくらいと言われると、ちょっと今一概に申し上げることは難しいと思っております。

#82
○日吉委員 確かに難しいと思うんですけれども、やみくもに債務残高比率を引き下げるという目標だけでは、ちょっといろいろ政策を行っていく上でも弊害が出てくるんじゃないのかなと思いますので、正しいかどうかというのはなかなか分からないところがあるかもしれないですが、当面の、引き下げた後の数値的な目標というのはあってしかるべきなんじゃないのかなというふうに思ったりもしております。
 その一方で、プライマリーバランスの黒字化をもう一つの指標として持たれておりますけれども、これを黒字化するためのアプローチ、どういったことをやって黒字化にしようとしているのかということで、多分、いろいろな、社会保障費を人口構成以上に増やさないとか、ほかの経費を見直していくとか、こういったことだと思うんですけれども、それで黒字化というのはこの後できるような状況なのか、大臣の御見解をお聞かせください。

#83
○麻生国務大臣 これは、コロナがなければ大分形として見えてくることになる予定だったんですけれども。ちょっとコロナで一挙に、この七、八年の間に新規国債発行は十二、三兆減ったと思いますけれども、これが一挙にどんと増えておりますので、そういった意味では、なかなか難しい形にまたなって、ゼロからスタートみたいなことになったのが甚だ残念なところなんですけれども。
 今の社会保障費というものなりを考えたりいたしますと、必要な負担をいただかないまま給付だけは増えていった、急速な高齢化もありましたので、そういった背景として増大してきたんだと思っておりますので。その結果、給付のかなりの部分については赤字公債という借金で、将来の世代に負担をおかけするという形で賄われておるという状況にあるのが今の現状だと思っております。
 したがいまして、この高齢化が更に、二〇二二年から団塊の世代が一挙に後期高齢化世代に突入していきますので、そのことによって起きる負担というものが大きなものになりますので、支え手の減少というのがそれにもう一つ加わりますので、財源というものは更に縮小するということになりますので、私どもとしては、今回の予算でも、後期高齢者の分、増える分だけに抑えるという目標を立てて、少なくともそういった形での予算を作らせていただいたと思っております。
 いろんな意味で、この問題というのは、そんなすぐ答えが出てくるものではないと思っておりますので、一応、世界に冠たる国民皆保険制度というものを始めとして、社会保障制度というものを次世代に確実に渡していくためには、今回、例えば毎年薬価改定というのを、今まで二年で一遍だったものを一年に一遍やらせていただくとか、今申し上げましたように、高齢化による増加分だけに収めるという方針も、社会保障関係費の実質の伸びを抑えることも達成しておりますし、いろんな意味で、今後とも、後期高齢者の方に御負担をお願いするとか、いろんなこともやらせていただいておりますけれども、そういったもので、給付と負担、見直しを始め、いろんなことを少しずつ確実にやっていくという具合に、これで一発で解消するというふうなものはない、私どもはそう思っております。
    〔鈴木(馨)委員長代理退席、委員長着席〕

#84
○日吉委員 今の大臣のお話ですと、いろいろなところを少しずつ改善していくというように受け止めたんですけれども、その一方で、一番の課題は、少子高齢化、労働人口が高齢化しているということがあったり、産業構造も変わっていく。
 こういった中におきまして、プライマリーバランスを黒字化をするに当たって、一番の課題を抜本的に見直した上で、それは時間がかかるかもしれませんけれども、そのために一旦お金を使ってでも、抜本的な見直し、改革のために、それはある意味、教育にもお金を使うとかいうことにもなろうかと思いますし、様々なところにお金を使って構造を変えて、黒字の体質になるような社会にしていく、そういう思いというか、そういうことをやっていくというお考えはありませんか。

#85
○麻生国務大臣 これはなかなか、今のに対する答えというのは、そんな簡単な答えがあるわけじゃありませんので。
 今申し上げたように、薬価の改定という話を申し上げましたけれども、こういったような問題を含めまして、これは、私どもとして、今、デジタルトランスフォーメーションとかいろんな話がよく出ますけれども、こういうことによって、人手が足りなくなってくるというので、海外に行かれると分かるんですけれども、例えば、マクドナルドのハンバーガーなんかが一番分かりやすい例かと思いますけれども、マクドナルドのハンバーガーを例えば海外で頼みますと、大体、ダブルチーズなのかシングルなのかというのは、あれは全部ボタンで決めるんですよ。それで、そのボタンを押すとそれが出てくる。日本でそんなことをやるところはなく、口頭で言えば全部出るんですよ。だって、そのとおり出ますから。イギリスでそれをやられたら、まずそれが出てくるまで物すごい時間がかかりますから、ごちゃごちゃばしゃっと、押した方がすぐ出る。
 だから、パートで働いている人のレベルが高いから、機械化、デジタル化するより、そっちの方が絶対効率がいいですから、ですから日本は進まなかった。これは現場に行ったら分かります、行って買物されると、ハンバーガーを買ったらすぐ分かりますよ、意味が。そういったような質が高いから、デジタライゼーションが進まないんですよ。
 いろんなところで入れるところは、多分そういったところは、日本の場合は、パートタイムで働いている人のクオリティーが高い、レベルが高いからそういったデジタライゼーションが進まなかったというのは確かですから、その意味じゃ、これから物すごくそこのところにはほかの国に比べて伸び代があると思いますね。デジタライゼーションがスタートしますと、その分だけ人が余りますから、その分だけほかの仕事に、職場に回せるという可能性も出てくるでしょうし、その分だけ給料が上げられるということにもなるでしょうし、いろんな意味で、そういったところにもっと知恵を使えるということにならざるを得ない、人の絶対量が不足しますから。
 そういった面は一つの例だとは思いますけれども、少なくとも、イノベーションとかグリーンとかいろんなようなものが世界中そういった方向に動きつつありますから、そういった中で、我々としては、うまく生産性をそれを使って向上させるというようなことがその一助になるかな、これで全てが解決するなんという答えがあるわけではないんだと思っております。

#86
○日吉委員 ちょっと、私の頭が悪いのか、余り理解ができなかったところがありますけれども。
 そうすると、今目指している財政の健全化が達成されたときに、何となく私、社会が豊かになっているような気がしないんですけれども、どういう社会になられているとお考えですか、大臣は。

#87
○麻生国務大臣 少なくとも、今、何となく、達成されたときに一番大きなのは、まず不安感ですな。何となく不安だからというのは、結構気持ちの中に残っている大きな部分じゃないですかね。
 病気になるとかいうのはもちろんのことですけれども、それに対応する職がなくなるとか、八十歳ぐらいまでしか生きない予定だったのが百歳まで生きるということになったら、残り二十年間、貯金をどうしておくとか、いろんな意味での不安感というのはありますので、そういったものを安心させられるようなものにするというのは非常に大きなものになりますので。
 そういったものの安心が、結果として、給料が上がる、間違いなく上がっていくということで安心して金が使える、消費に回せるとか、そういったようなもので、私どもとしては、大きなものが出てくる可能性というのは、そういったものが一番大きなところかなという感じはいたしますけれども。

#88
○日吉委員 不安感という話には非常に共感がありまして、経済が発展するにも、将来の不安がやはり払拭されているということが大事だ、それで、今お金がちゃんと、困らないほどあるということが大事なんじゃないのかなと思いますので、そういった不安感を取り除く、ない社会というのを目指さなければいけないかなというふうに思っております。
 そういう意味で、私としては、やはり根本的な、財政の赤字の体質を根本的に直すような抜本的な改革を行って、それを実現するためにはある程度お金を使っても仕方がないですけれども、その後にその体質が回っていくような、そういう社会がいいんじゃないのかなということを申し上げさせていただきます。
 それと、一つ、財務省さんのホームページを拝見していて気になったんですけれども、こちら、お配りした資料です。
 これは、プライマリーバランスが均衡、現状と均衡した状態を表している、説明している表なんですが、この一番下のところに、我が国の二〇二〇年度の一般会計第二次補正予算で考えてみるとということで、そうすると、プライマリーバランスの赤字が六十六・一兆円になっていますということになっております。しかし、これは補正予算後なので、非常に今年のコロナにおけるイレギュラーな状況をここで言っていると思いますので、ある意味、これだけ見た方にとっては、かなりの赤字が毎年発生しているんじゃないかということで、ミスリードをする可能性があるんじゃないのかなというふうに思っております。
 また、ここで言う、政府の一般会計だけでの例なんですけれども、目標としているプライマリーバランスの黒字化というのは、特別会計も含んだ国と、あと地方も含んだ上での黒字化を目指しているということであれば、これだけを示すというのは非常に片手落ちなような気もしております。また、二〇二〇年度の数字だけではなくてその前の数字も示すとかしていくと、多分マイナス十兆円ぐらいの金額になっていたんじゃないかなというふうに思います。
 なので、これはちょっとミスリードをするように思うんですけれども、少しこれは修正した方がよろしいんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

#89
○宇波政府参考人 御指摘いただきました資料、これは御指摘のとおり、一般会計のプライマリーバランスの赤字の数字、これは、新型コロナ対策に伴う補正予算に伴う歳出増を反映した数字でございます。
 財務省においては、対象とする読者の方々あるいは目的に合わせて、様々な形で広報活動を行ってございます。御指摘いただきました資料は、最も薄い、分量を減らして、簡潔な記述を心がけた資料でございまして、そういう意味で、令和二年七月段階での見えているPBの数字を端的に記載したということでございます。
 他方、ホームページ上は、より詳細で網羅的な解説を含んだ資料として「日本の財政関係資料」というものも公表しておりまして、こちらですと、六十一ページに、当初予算の段階でのプライマリーバランス九・二兆円の赤字、これが二次補正後に六十六・一兆になっていますということを記載した形で解説をしているところでございます。
 委員御指摘のように、当該御指摘いただきましたこの薄い資料の方は二次補正後だけの数字が記載されているということでございますので、今後のデータ更新の機会を捉まえて、適切な注を付記するなどの工夫を行ってまいりたいというふうに考えております。

#90
○日吉委員 大臣、いかがでしょうか。

#91
○麻生国務大臣 いかがでしょうかって、宇波が今答弁をさせていただいたとおりで、これは事実を書くとこういうことになりますので、もっと分かりやすい図をとかいう、いろんな表現はあるかとは思いますけれども、一応、事実の数字としてはこういうことになろうかと存じます。

#92
○日吉委員 事実の数字であるというのは確かにそうだと思うんですけれども、目指しているべきプライマリーバランス黒字化というのは、ここの、一般会計での黒字化ではなくて全体としての黒字化でありますし、そこの一部だけを例として出すのは不適切じゃないかなということと、この数字自体がミスリードに、巨額になり過ぎていることがありますので、そういったことを踏まえると、もう少し修正なり追加、加筆すべきではないかなという思いがありますので、御検討いただけませんでしょうか。

#93
○麻生国務大臣 これは、いろいろ答弁させていただきましたけれども、いろいろな意味で、御指摘も踏まえながら、財政の現状というものに関して、丁寧で分かりやすい広報というものを我々としては今後とも工夫をしていかないかぬところだと思っております。

#94
○日吉委員 工夫をということですので、ここの修正も含めて御検討いただきたいと思います。
 次に、今後の税制についてお伺いいたします。
 先日の本会議におきまして、経済が回復するまでの当面の間、消費税を廃止したらいかがかという、その方針があるかどうか総理に伺いましたが、社会保障に重要な財源ですというお答えをいただきました。
 大臣も同じ考えだと思いますけれども、念のため、消費税、当面の廃止、これはお考えはありませんか。

#95
○麻生国務大臣 今、日吉先生のは消費税の話ということになろうかと思いますけれども、これは御存じのように、急速に、少子高齢化というのを背景に、社会保障関係費のいわゆる給付の分が急激に増大をするという中にあって、我々としては、社会保障を、働く方だけに頼っておるとかなり偏ったことになりますので、なるべく、払える方、負担できる方等々に、広く受益をする社会保障の費用をあらゆる世代から広く薄く公平に分かち合うという観点から、社会保障の財源として、この消費税というのは、この間引き上げさせていただくときに、そういったことからこれは決められたということだと思っております。
 したがいまして、二〇一九年の消費税率の引上げは、これは全ての世代が安心してということを考えて社会保障制度を大きく転換したものだと思っておりますので、これはどうしても、今後とも少子高齢化という状況が続いていく今の状況の中にあっては極めて必要なものであって、これを今引き下げるということを考えているわけではありません。
 令和三年度の予算というものを早期に成立をさせていただいて、着実に実行させていただくということで、このコロナに対する対策等々に万全を期すとともに、何といっても内需主導の経済成長というものを実現する等々、こういったものの経済財政運営というものに一生懸命万全を期してまいらなければならぬものだと思っております。

#96
○日吉委員 今のお話ですと、消費税を当面も廃止するお考えはないというお話でしたが、一方で、世の中では、消費税を、むしろコロナが収束した後上げるんじゃないかというようなことを不安に思われている方々もいらっしゃいます。
 一五%にするのではないかというようなこと、又は別な、消費税でなくても、コロナを克服、収束したに際して増税を行うのではないかということが言われておりますけれども、その辺りのお考え、今、何かありますでしょうか。

#97
○麻生国務大臣 今、この十年余りで、リーマン・ショック、東日本大震災等々、今回のコロナを含めましていろいろな危機的な事態が起きたんですが、そのたびに、我々としては、国民生活のいわゆる安定というか、そういったものを守るべく果断な財政措置というのを取ってきたんだということだと思いますが、将来世代への責任というのを果たすためには、今の世代が負担を分かち合うという取組も併せて行ってきたんじゃないですかね、私どもの場合は。東北大震災のときはいろいろやられましたし、いろいろな形で。
 したがいまして、今度のコロナに対しましても、私どもとしては、早期に予算を成立させてその対応をさせていただいて、景気というものやら経済というものを元にまずは戻すということを考え出し、実行し、そして、財政の持続性の確保といったような問題を含めまして、将来世代というものへの責任とか義務とかいうものを念頭に置いてやっていく必要があるのであって、今すぐ直ちに消費税を上げねばならぬというような状況の前にやらねばならぬことがもう一段階あるのではないかと思っております。

#98
○日吉委員 済みません、ちょっと途中聞き取れなかったところがあるんですけれども、将来世代への責任というキーワードがあったと思います。
 その中で、今やらなければいけないこともある、しかし、コロナに対しても今対応していかなければならないということで、コロナ収束後の増税について、それはないとは言い切れない、言ってはいない、増税もする可能性はある、こういうことでよろしいですか。

#99
○麻生国務大臣 私どもには、今どういう、今の状況でとか、いろいろな前提がついておりますので、こういった話をさせていただくと、いや、あのときないと言ったじゃないかと、今日のこの委員会の話がずっと後々引っ張るというのがここの習慣ですから、そういった意味では、うかつなことは言わぬ、歴代言われないことになっておるんだと思いますが。
 したがいまして、私も今、上げるとか下げるとか言うつもりは全くありません。

#100
○日吉委員 うかつなことは言わないということでございましたが、上げるとも下げるとも言わないということなので、上がるかもしれないですしということでしょうかね。まあ、下げるとはおっしゃらなかったような気がしますけれども。
 コロナが収束する、これが一番大事な今課題だと思います。そのためにお金も使っていかなければいけません。ただし、それで、コロナが収束したからすぐ今度は増税ということになると、経済が大きく冷え込むことになろうかと思います。過去の状況を見ましても、大変苦しいときが続いてきたのではないかなという思いがあります。ここで増税があるということになりますと、世の中の方も将来に対するまた不安ということが生まれてしまいます。
 安心な未来という意味では、それこそコロナが収束した暁には安心な未来が待っているというような思いに国民の皆様が至っていただけるよう、そういった政策を行っていただきたいなということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
 今日はどうもありがとうございました。

#101
○越智委員長 次に、階猛君。

#102
○階委員 立憲民主党の階猛です。
 先般の地震によって被害を受けられた皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。
 私は東日本大震災の被災地の出身でございますけれども、十年たってもまだ余震があれだけの大きな規模で起こるということに、改めてあのときの震災の甚大さを思い起こしたわけであります。
 当時、家を失った方、仕事を失った方、生活の基盤が壊された方がたくさんいらっしゃる中で、災害援護貸付け、災害弔慰金法の下での比較的所得が低い方に利用される、三百五十万円が上限だったと思います。そして、六年間返済期間が猶予されて、もう返済がスタートしている方もたくさんいらっしゃいます。
 ところが、この間、それほど経済的に恵まれているような状況では被災地はなかったという中で、延滞なども多数発生しております。
 更に加えて、コロナ禍においてますます厳しくなっているということから、金融庁の方でも、個人版債務整理ガイドライン、資料でお配りしていますけれども、これにコロナ禍で影響を受けた人の特則というのも定められまして、運用が開始されております。
 この個人版ガイドラインのコロナ特則を災害援護貸付けの方にも適用してほしいというような要望が地元の弁護士から寄せられております。
 そこで、今日は赤澤副大臣にお越しいただいておりますけれども、このガイドラインの中で、適用を受ける債権者というところ、二ページ目の右側に下線を引いているところがあります。対象債権者の範囲というところで、債務整理を行う上で必要なときは、その他の債権者を含むこととすると。
 今申し上げました災害援護貸付けの債権者は市町村でありますが、この市町村というのは例示された中には挙がっておりませんけれども、その他の債権者に含まれるということでいいのかどうか、まずここを確認させてください。

#103
○赤澤副大臣 階議員には、過去一貫して、被災者支援の観点から、令和元年の災害弔慰金法の改正の与野党協議にも積極的に御参画、御貢献いただいておりまして、ありがとうございます。
 お尋ねの自然災害債務整理ガイドラインのコロナ特則でございますが、これは金融機関などによる研究会によりまとめられたものでございまして、金融機関などが、新型コロナの影響により住宅ローン等の債務を弁済できなくなった個人の債務者に対して、破産手続等の法的倒産手続によらず、債権者と債務者の合意に基づいて債務を免除するというものでございます。
 お尋ねのガイドラインの対象となる債権者は、金融機関などのほか、必要なときはその他の債権者も含むとされており、御指摘のとおりでございます。その他の債権者には、災害弔慰金法に定める災害援護資金貸付けを行う市町村も除かれるものではないというふうに承知をしております。

#104
○階委員 はい、承知しました。
 そこで、その他の債権者に当たるということを確認できましたので、ガイドラインの下で市町村が災害援護貸付けに係る債務を免除したとします。その場合、災害弔慰金法十四条という条文がありまして、これは資料の二、ページ番号でいうと四ページを見てください。上の方に災害弔慰金法を書かせていただいております。市町村が災害弔慰金法十四条に基づき免除した場合、県は市町村が免除した償還額を免除し、国は県が免除した償還額を免除するという規定があります。
 これは何を言っているかというと、この災害弔慰金法の貸付けの原資というのは、県がまず市町村に貸して、そのうち三分の二は県に対して国が貸している、こういうバックファイナンスが二段階になっているというような仕組みなんですね。
 ところで、市町村が免除することを自由にできるかどうかということなんですが、そこには要件がありまして、その一つ上の段落に、これは平成三十一年の改正の際に追加されたところですけれども、破産手続開始の決定あるいは再生手続開始の決定に該当する場合になったときという要件がかかってくるわけです。
 ところで、ガイドラインの方にまた戻っていただきますと、このガイドラインで適用を受ける、今度は債務者の方ですけれども、どういう債務者に適用があるかというと、資料の二ページ目の左側です。破産手続等の法的倒産手続の要件に該当することになった債務者に適用するということが二ページ目左側の上の方に書かれておりますので、条文上は必ずしも当てはまっているかどうか微妙なところではあるんですけれども、これは政策判断として、破産手続開始を受ける債務者と同じような境遇にある災害援護資金を借り受けた債務者については、災害弔慰金法十四条を類推適用するなりして市町村の免除を認め、バックファイナンスをした県やら国やらの免除も認めるというのがいいのではないかというふうに考えますけれども、この点について御見解をお願いします。

#105
○赤澤副大臣 災害援護資金貸付金について、災害弔慰金法十四条に基づき、市町村は、借受人が死亡、重度障害となったときのほか、破産手続開始の決定又は再生手続開始の決定を受けたときに、償還未済額の全額又は一部を免除することができるとされ、この場合、その財源を貸し付けている県への償還や、県の国への償還を免除するものとされているのは御指摘のとおりでございます。
 ガイドラインによる債務整理は、破産手続等の法的倒産手続の要件に該当する債務者について、法的倒産手続によらずに債務の免除を行うものであり、災害弔慰金の免除の要件である破産手続開始の決定を受ける前のものでありますので、災害弔慰金法十四条での免除の要件とは合致しないということでございます。
 このため、市町村がガイドラインによる債務整理に応じて災害援護資金貸付金の債務を免除するとしても、災害弔慰金法に基づく市町村や県の償還金の債務を県や国が免除することはできないものと考えておりまして、類推適用というお話があったんですが、やはり国の債権の保全といったことも大変重要なことでございますので、なかなか難しいところがあるというふうに考えております。

#106
○階委員 この点については立法的な手当てをひょっとすると検討しなくちゃいけないかもしれませんが、まず現行法でできることを考えていきますと、この災害援護貸付けについて、その下、地方自治法による債権放棄とか、債権管理法による免除というのがあります。
 例えば、地方自治法の施行令に基づくと、債務者が無資力又はこれに近い状態にあるときは履行延期の特約を結ぶことができる、あるいは、その場合に市町村に貸し付けた県の方も免除することができる。あるいは国の方も、債権管理法に基づいて、これは十年経過後ですけれども免除することができるといったような規定があるわけです。
 こちらは、いきなり免除するのではなくて、まずは無資力又はこれに近い状態にあるときには履行延期の特約を結んで、それから十年たった後になお厳しい状況にあるときは免除ということになるわけですけれども、ここで問題になるのは、ここでも債務者の要件として、無資力又はこれに近い状態にあるときということになっております。
 このガイドラインが適用になる場合というのは、債務者はさっき言ったように破産状態に近いということなので、債務者が無資力又はこれに近い状態にあるときということに当てはまると思うんですけれども、当てはまるという理解でよろしいかどうか。
 こちらは、債権管理法は財務大臣、そして地方自治法の部分については総務省の政務の方から御答弁をいただければと思っております。二点お願いします。

#107
○麻生国務大臣 今の債権管理法の方で、債権管理に関するこれは一般法ということになりますけれども、この法律の第三十二条において、国の財産保全の観点から、今、階さんおっしゃったとおり、債務者が無資力又はこれに近い状況ということにある場合、もうちょっと債務の履行を延期して十年を経過した後なお弁済の見込みがない時に限りというので、国が当該債務というものを免除することができると定めております。
 この法律の条文で無資力又はこれに近い状況というものの定義ですけれども、債務者がその生計を維持するに足る資力を有しない程度の生活状況又はこれに準ずる状態ということを意味すると解されております。
 他方、御指摘のありました債務整理ガイドラインというものは、新型コロナの影響によって債務の弁済が困難となった債務者については、破産手続によらず生活、事業の再建を図るためのものということになっておりまして、こうした債務者が債権管理法上の無資力又はこれに近い状況というものに当たるか否かということが一番言っておられる点なんだと理解しておりますので、これは一概にお答えすることは困難なんだと考えていますが、いずれにしても、債権を管理する立場の各省庁から相談があった場合ですけれども、個々の状況、債務者の状況等々を踏まえつつ適切に対応していかざるを得ぬということになろうかと存じます。

#108
○熊田副大臣 お答えいたします。
 地方自治法施行令第百七十一条の七では、債務者が無資力又はこれに近い状態にあり、債務の履行を延期して十年を経過した後においてなお弁済することができる見込みがないと認められるときに限り、地方公共団体の長は当該債務を免除することができると定められております。
 なお、同条に規定する無資力又はこれに近い状態については、国の会計について定める債権管理法と同様、債務者がその生計を維持するに足る資力を有しない程度の生活状態又はこれに準ずる状態を意味するものと解されておりますが、その適用に関しては、各地方公共団体において個別の事案ごとに判断すべきものと考えております。

#109
○階委員 市町村が、債務者が無資力又はこれに近い状態にあるときということを判断すれば、県や国もそれに従うということでいいのかどうか、あるいは、県や国はまた独自の判断をするということになるのか、まずその点を確認したいんですが、財務大臣、それはどちらになるんですか。

#110
○麻生国務大臣 これは多分、階先生、個別の状況によるんだと思うんですね。一概にちょっと、それは町ですとかそれは県ですとか一概に言えるか、ちょっとそこのところは個別の状況によるかなと思いますけれども。

#111
○階委員 やはりこの辺りが、災害援護貸付けについてガイドラインを適用する上でネックになっているところかなと思うんですね。
 ガイドラインの適用を受ける債務者というのは、先ほど来議論しておりますとおり、生計を維持するに足りる資力を有しないという状況とほぼ同視、ほぼというか、同視できると思うんですね。同視できるということであれば、もう債務者が無資力又はこれに近い状態にあるときだというふうに認めて、市町村が履行延期の特約を結び、そして、十年その状況が続いたら国や県は免除ができるということで政府内で整理された方がいいと思います。
 これは法改正ではなくて解釈の問題です。債務者が無資力又はこれに近い状態にあるときの中には、債務者がガイドラインの適用を受ける場合を含むというふうに整理していただければいいのかなと思っています。
 大臣に、最後、この点についてちょっと検討をお願いしたいんですけれども、いかがでしょうか。

#112
○麻生国務大臣 これは災害援護資金貸付けの免除ですか、だから、したがって、災害弔慰金の法の趣旨とかいろいろあるんだと思いますので、目的や他の貸付金とのバランス等々も考えないかぬと思いますので。
 それからいくと、これは所管の内閣府でちょっと調整をせぬと、私ども財務省だけでどうのこうのとか、総務省等、皆関係してきますので、ちょっとなかなかいかぬと思いますので。これはやはり内閣府において整理されるべきものであると考えますので、ちょっとこの点は検討せないかぬところでしょうね。

#113
○階委員 最後の方、検討しなくちゃいけないというふうに伺いましたけれども、それでいいですね。はい、よろしくお願いします。ガイドラインは金融庁も関わって作っていますので、是非主体的に御検討もお願いします。
 話題を変えまして、地方創生臨時交付金というのが、今回、三次補正でも予算に盛り込まれました、一・五兆円ですか。このうち一兆円は地方単独事業に使えるということで、これは緊急事態宣言地域や今回新たに設けられた蔓延防止等重点地域、こういった地域に該当しない私の岩手のような地域にとっては、非常にありがたいものです。この一兆円が配分されることによって、地方独自の事業者支援なども行い得るということになりますので、これは是非それぞれの地方で活用を進めていくべきだと思っております。
 その上でお伺いしたいんですが、私の資料の三というのを見ていただきたいんですが、通し番号のページでいうと五です。
 この地方創生臨時交付金、各県、市町村に配分されるわけですけれども、交付対象外経費の中に、事業者等への損失補償という項目があります。事業者等への損失補償をする場合は交付金の対象になりませんよということなんですね。
 ところで、その中身を見てみますと、事業者等に対する施設の使用の制限、催物の開催の制限等の要請、指示に従い生じる損失を補償する目的で行う支出経費には交付金を充当しないことという説明になっております。
 ところで、緊急事態宣言とか蔓延防止等重点措置の地域では当然要請とか指示があると思うんですが、それ以外の地域では要請とか指示がないので、そもそも要請、指示に伴い生じる損失というのはないと思うんですね。ということは、私のような岩手では、この要件がネックになって交付対象外になるということはないという理解でいいのかどうか、確認させてください。

#114
○吉川大臣政務官 いただいた質問でございますが、地方臨時交付金の地方単独事業分ということでございました。委員おっしゃっていただいたように、三次補正では一兆円ということになっておりますが、これの損失補償ということに関して質問をいただいたわけでございます。
 この損失補償が、委員御指摘のとおり、確かに、指示、要請に伴いこれらに生じる損失額、つまり、逸失利益を直接的に補償する目的で地方自治体が経費の支出を行う事業は対象外とされておるわけでありますので、委員の御指摘に関しましても、要請、指示等がなければこれらに関しての拠出というものはできないというような認識でおります。
 なお、ただ一方で、これはそもそも自由度の高い交付金ということになっておりますので、例えば独自の時短要請であるとか、そういったものに関して協力する事業者を支援するというような目的での協力金、こういったものの支出は自治体の判断でできるものと認識をしております。
 これは一次、二次の補正でも同じものがあったわけでございますが、その際にも、自治体独自で、様々な形で感染防止等の対策に協力をいただいている企業さん、これはイベント、飲食、こういったところに関わる業種に限らず様々な支援をしていただいたという事例がございますし、三次補正においても検討していただいている自治体、こういったものがあるものと認識をしております。
 こういった取組によって、そもそもこの地方創生臨時交付金の趣旨である、国の施策ではカバーできない部分を地方自治体独自の取組で支援できるように、直接の補償というのは、これはつまるところ事業活動に内在する制約ということになりますので、逸失利益の補填ということは指示があってもなくても難しいということになっているわけでございますが、今説明したとおり、その他の形で、協力支援金という形での地方自治体の取組に期待するものであります。

#115
○階委員 もう一点だけ確認させてください。
 逸失利益の補填は難しいということをおっしゃられました。例えば、事業を継続するためには、やはり固定費でどんどんお金が出ていく。それで、その分を借入れとかでできればいいんですけれども、そういうのもままならないという場合に、利益までは面倒を見てほしいとは言わないんですけれども、固定費で出ていく分ぐらいは、雇調金とかはもちろん使って、それでもなお足らざる部分は、事業継続のためだということで、自治体が独自で補填してあげるということはありなんじゃないかなと思うんですけれども、どうでしょうか。

#116
○吉川大臣政務官 まず、委員の先ほどの質問の前提として、固定費に関する補填というものが、例えば自治体がイベントの開催を制限したりしている状況下におけることなのか、それともふだんの事業経営のルーティンの中でのことをおっしゃっているのかということにもよるわけでございますが、例えばこれが、つまり、様々な制約のある中でということの支出ということになりますと、やはり地方創生臨時交付金の性質上、少し難しいのかなと思います。
 ただ、それをふだんの事業活動の中において、協力金ですとか支援という形で企業さんに自治体が独自で支援をして、それを固定費に充てるのか、若しくは実質上売上げの補填として捉えるのか、こういったところは企業さんもそれぞれかとも思いますので。
 つまり、項目として、何か制限があるときに逸失利益の分を補填すること、これは申し上げているとおりできないわけでございますが、支援金ですとか協力金、つまり、これはあくまで感染防止対策でございますから、感染防止に協力をしていただいたということに関して、自治体がその自治体の中にある法人に様々な協力金、支援金をするという点では可能かとは思います。
 なので、具体的にそれが固定費なのか何なのかということをちょっと私に問われると、それは自治体の判断にもよりますし、企業さんがどのように会計に入れていくかということにもよるかと思いますので。
 以上になります。

#117
○階委員 要は、支援金とか協力金という名目であれば、ある程度柔軟に対応できるというふうに伺いました。それでよろしいですよね。その場でうなずいていただければ結構です。はい、ありがとうございました。
 では、済みません、内閣府から来ていただいた副大臣、政務官、総務省から来ていただいた副大臣の皆様には、ここで御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。
 がらっと話題は変わります。
 通告していませんが、麻生大臣に伺います。
 あした二月十七日はどんな日だか、これは御存じでしょうか。分からなければ分からないで結構です。

#118
○麻生国務大臣 記憶にありません。

#119
○階委員 実は、あした二月十七日は国会にとっては大きな日でして、安倍前首相が、私や妻が関係しているということになれば、間違いなく総理大臣も国会議員も辞めるという答弁を予算委員会でした日なんですね。
 そして、この国会の発言で改ざんが始まる原因がつくられたんだというふうに、昨年、自殺された赤木さんの御夫人が手書きのメモを公開したということであります。
 財務省で調査実務を担当した財務省の幹部の方も、この発言がきっかけとなって改ざんが始まったということも録音テープに残っているということで、やはりこの二月十七日の安倍前首相の発言がターニングポイントだったと言えるかと思います。
 この間、私どもも予備的調査もして真相解明に努めてきたわけですけれども、いまだに肝腎の赤木ファイルが出てきません。その出てこない、提出されない理由を、財務省は訴訟に関わることであるため回答を控えたいということで、これは前代未聞の、今までなかったような回答でありました。
 そこで、昨年十一月二十四日、こういう理由で提出しないことは認められるのだろうかという問いに対して、近藤法制局長官から答弁をいただいております。ここをまず振り返ってみたいんですが、今日の資料の四番、ページでいうと六ページ目です。
 傍線を引いていますけれども、「現に裁判所に係属中の事件であるからといって、およそ国政調査の行使が許されなくなるわけではございませんが、一般論としては、民事、刑事を問わず、裁判所に係属中の事件について裁判所と同様の目的で行われるなど、当該事件に係る裁判に不当な影響を及ぼすような国政調査については、その要求を拒み得ると解されております。」
 ここで大事なことは、裁判に不当な影響を及ぼすような国政調査については資料提出を拒み得るんだけれども、それ以外では拒めませんよということを言っているんだと思うんですが、長官、その理解でよろしいかどうか、お答えください。

#120
○近藤政府特別補佐人 私の先日の答弁でございますけれども、今御指摘のように、基本的には、当該事件に係る裁判に不当な影響を及ぼすような国政調査については拒み得るということでございます。

#121
○階委員 そこで、政府の方は、一方、赤木夫人が提訴した民事訴訟において赤木ファイルを提出していないわけです。なぜ民事訴訟においても提出していないのか。この理由について、政府参考人、御説明いただけますか。

#122
○大鹿政府参考人 お答えいたします。
 御指摘のファイルでございますけれども、現在係属中の国家賠償請求訴訟におきまして、存否も含めて求釈明事項の対象となっております。その上、先般、原告側から文書提出命令の申立てがなされているというところでございます。
 これに対します国側の対応、その趣旨、理由等につきましては、私どもはこの訴訟の一当事者でありまして、現在このように訴訟が係属中でありますので、訴訟に関わることであるということでコメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、この国家賠償請求訴訟につきましては、国として引き続き必要な主張を行いながら、真摯かつ適切に対応していく所存でございます。

#123
○階委員 なぜ提出しないかという理由については、結局、語らないわけですね。
 そこで、私もいろいろ手を尽くしまして、この求釈明に対して国側が何と答えたかということを、国側の代理人が作成した準備書面を取り寄せました。
 資料五、八ページからのところを見ていただきたいんですが、原告、赤木夫人ですけれども、原告側がこの赤木ファイルなどによって本省からの指示、修正箇所、改ざんの過程を明らかにしようというものであり、また、国において、亡き俊夫が、いつ、誰の指示に基づいて、どの部分をどのように改ざんしたのかを明らかにする必要があるというふうに、国側としては受け止めております。
 その上で、しかしながらということで、国は、原告の請求を基礎づける事実としての決裁文書の改ざんの経緯や内容等の事実についてはおおむね争いがないため、いずれも回答の要を認めない旨回答、いずれもと言っておりますが、赤木ファイルも当然この中には含まれております。
 また、次のページに行っていただきますと、現時点でも、原告の請求を基礎づける事実としては訴状に請求原因として記載された事実に変わりはないということで、なかなか一般の方には分かりづらい表現なんですが、この請求を基礎づける事実というのが、裁判の勝ち負けを決する事実なわけです。ここにおおむね争いがないということで、回答の要を認めない、回答の必要がないということを国は言っている。これはどういうことかというと、要は、この赤木ファイルというのは裁判の結果に影響を与えないということを言っているわけです。
 ということは、私ども国政調査に対しては、不当な影響を及ぼす場合は出すことができないと言っているわけで、この裁判で国が言っていることは、まさに影響はない、この赤木ファイルは出しても影響はない、だから出さないと言っているわけですよ。これは矛盾していませんか。裁判でこれを言っているわけだから、裁判に影響がないと国が自ら自白しているわけだから、こちらに出してくださいよ。予備的調査に応えてください。提出しなくてはいけないと思いますよ。どうですか、矛盾していませんか。

#124
○大鹿政府参考人 お答えいたします。
 今委員が言われました、令和三年十二月二日に裁判所に提出した被告国第二準備書面、今、このパネルの資料の五で提示されているものでありますけれども、これにつきましては、国としてまだ法廷で陳述をしておりませんで、訴訟記録となっておりませんが、その旨の記述があることは事実でございます。
 他方、これに対しまして、原告側から先日、文書提出命令の申立てがなされたということは先ほど申し上げたとおりでございまして、現在裁判が係属しているということであると思います。
 したがいまして、私どもとしては、現在裁判が係属しておりますので、この存否も含めてコメントは差し控えさせていただきたいと考えております。
 いずれにしましても、現在係属中の訴訟につきましては、裁判所の訴訟指揮の下、国として引き続き必要な主張を行いつつ、真摯かつ適切に対応していくというのが私どもに課せられている事柄であると考えております。

#125
○階委員 いや、もう一回確認しますよ。
 この書面に書かれてあるとおり、裁判においては、赤木ファイルを出しても結果に関係ないから、だから出す必要がないと言っているわけですよ。つまり、裁判に影響がないということをこの準備書面で言っている。
 裁判に影響がないんだったら、先ほど近藤長官が言ったように、国政調査には応じる義務があるんじゃないんですか。裁判に不当な影響を及ぼす場合に限って提出を拒み得るんですよ。さっきの近藤長官はそうおっしゃっていたでしょう。だったら、ここに出してくださいよ。矛盾しているじゃないですか。国政調査権を踏みにじるようなことを皆さんはやるんですか。国会の権威を踏みにじるんですか。出してください。

#126
○大鹿政府参考人 お答えいたします。
 まず、先ほど令和三年十二月二日に裁判所に提出したと申し上げましたが、令和二年の誤りでございました。ここで訂正をさせていただきたいと思います。
 その上で、御質問でありますけれども、お答えでありますけれども、予備的調査につきましては、これは私ども、衆議院のウェブサイト等で確認をしておりますけれども、議院の国政調査権に基づく調査そのものではなく、これを補完するものであって、その調査協力要請は強制にわたるものではないという説明がなされていると承知しております。
 その上で、予備的調査は国政調査権を補完するものでありますので、私どもとしてはこれに可能な限り協力すべきものであると考えておりまして、こうした観点から、先般御要請をいただきました大変多岐にわたる資料について、合計百三十名の職員に対して必要な資料探索等の確認を行うなど、できる限りの協力をさせていただき、大部の資料を提出させていただきました。
 御指摘のファイルにつきましては、先ほど来お答えしておりますように、現在係属中の国家賠償請求訴訟におきまして求釈明事項の対象となっており、また、文書提出命令の申立てもなされておりますので、訴訟に関わるということで従来から回答を差し控えさせていただいているところでございまして、この点、御理解をいただきたいと思います。

#127
○階委員 裁判で言っていることと国会に対して言っていることが矛盾しているんじゃないですかと言っているわけですよ。
 裁判では、裁判に影響を与えないから出す必要がないと言っておきながら、国会では、これを出すと裁判に不当な影響が及ぶということを理由に出していない。どっちなんですか。出すことは裁判に影響があるのかどうか、どっちなんですか。端的に答えてください。

#128
○大鹿政府参考人 この裁判におきましては、私どもは被告という立場で、裁判の一当事者でございます。その中で、私ども、原告側の主張に対しまして、必要と思いますところの主張をその都度させていただいてきております。
 まだ現在裁判が係属中でございますので、御指摘のファイルにつきまして御提出することは裁判に影響を及ぼし得るものと考えておりまして、そのために控えさせていただいているというところでございます。(発言する者あり)

#129
○越智委員長 財務省大鹿局長、端的に答えてください。

#130
○大鹿政府参考人 裁判に影響を及ぼし得るものと考えております。

#131
○階委員 そうすると、準備書面の言っていることはどういうことなんですか。そもそも事実関係について争いがないから回答の要を認めないというふうに言っていますよ。ここは裁判に影響がないということを言っているんじゃないですか。矛盾しているでしょう。だったら裁判で出すべきじゃないですか。
 止めてください。

#132
○越智委員長 答弁できますか。
 手が挙がったので、財務省大鹿局長。

#133
○大鹿政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、私どもはそのような主張を現在裁判において行っておりますけれども、その点も含めて、今現在係争中、係属中ということになっておりますので、その点は矛盾しないのではないかというふうに考えます。

#134
○階委員 その点を含めてというのが意味が分からないんですけれども。
 明確に、裁判の中では、裁判に影響がない、基礎づける事実について争いがないから回答の必要がないと言っているわけじゃないですか。だから、裁判に影響があるんだったらこういう答えにはならないはずですよ。この回答は矛盾していますよね。

#135
○大鹿政府参考人 当該資料が文書改ざんの状況を表すものであるという考え方から、原告側から求釈明事項の申立てが出ているわけでありますけれども、私どもとしては、文書改ざんの事実等についておおむね争いがないので回答の要を認めないというふうなお答えをしておるところでございまして、そのことと、存否も含めてファイルの存在を明らかにするということが裁判に、与える影響がどのようになる、どのような影響を及ぼすかということについては、別の観点のものだというふうに考えるべきかと承知をしております。

#136
○階委員 ちょっと理解できないので、今の答弁、ちょっと整理してもらっていいですか。

#137
○越智委員長 速記を止めてください。
    〔速記中止〕

#138
○越智委員長 速記を起こしてください。
 財務省大鹿局長。

#139
○大鹿政府参考人 お答え申し上げます。
 私どもとして、訴訟の場において回答の要を認めないという主張を行っていることは事実でございますが、そのことと、影響を与えない、裁判に関係がないということまで申し上げているということではないというふうに御理解いただきたいと思います。

#140
○階委員 回答の要を認めない理由が、これはテクニカルな言葉も入っていますけれども、原告の請求を基礎づける事実としての決裁文書の改ざんの経緯や内容等の事実についてはおおむね争いがないためという理由で回答を要しないと言っているわけですよね。請求を基礎づける事実に争いがないということは、裁判の勝ち負けには関係ない、つまり裁判に影響がないということを言っているわけですよ。ここでは裁判に影響がないと言っておきながら、国会では裁判に影響があると。まさに二枚舌じゃないですか。おかしいですよ。矛盾していますよ。
 それで、こういう言い方で、一方で、国会では、影響があるから出せない、一方、裁判には影響がない、関係ないから出さない。まさにどっちにも出さない、都合の悪いものは隠蔽する、そういう姿勢が今も続いていると言わざるを得ません。
 私、大臣に、今のやり取りを聞いていて、是非政治家として答弁を求めたいんですね。
 去年、赤木さんが亡くなったときの手記が公開されたときに、国会での質疑において麻生大臣の責任も追及されました。その中で、麻生大臣は、問題の発生を許した組織風土を改めないといけない、信頼回復に向け取り組んでいる、大臣としての職責を果たしたいというふうに、これは三月十八日、国会の中で答弁されているわけです。
 それから約一年たちますけれども、いまだに、都合の悪いことは適当な理由をつけて、あっちでもこっちでも出し渋っている。これでは信頼回復にはつながらないでしょう。組織風土は全く変わっていないと言わざるを得ませんよ。大臣のリーダーシップでこれを国会に出させてください。お願いします。

#141
○麻生国務大臣 財務省として、一連の問題行為が生じたということに関して真摯に反省とこの間御説明申し上げましたけれども、そのとおりで、事実、そのとおりにさせていただいていると思っております。
 問題は今言っている話ですけれども、これは基本的には裁判長の話でもありますので、裁判長の訴訟指揮に委ねるということが適切なんじゃないかと思っていますけれども。

#142
○階委員 裁判長の訴訟指揮に従うというのは当然なんです。訴訟指揮に従った結果、さっきから言っている国側の書面が出てきた。つまり、裁判には影響がないという書面が出てきているわけです。であれば、国会には出していただいていいんじゃないでしょうか、大臣。

#143
○麻生国務大臣 それに対する見解は先ほど大鹿から申し上げているとおりなのであって、私どもとしては、その種のことに関しまして、少なくとも、裁判に関係するという話を裁判所以外でということではなくて裁判所でというように思っておると、先ほど大鹿から申し上げているとおりです。

#144
○階委員 だから先ほど近藤長官に改めて確認したんですよ。裁判に関係することだから出せないというのは間違っていて、裁判に関係することであっても基本的には出せるんだけれども、裁判に不当な影響を及ぼす場合には出せないというのが先ほどの近藤長官のお答え。
 裁判に不当な影響を及ぼすかどうかが大事なことなんですが、国側は準備書面で、裁判に影響がないということを明確に言っているわけですよ。だから出すべきだと言っているわけで、今の大臣の答弁は全く理由になっていませんよ。出すべきではないですか。不当な影響を及ぼすものとは言えません。それは国側が自白していることです。だから、出してください。自分の言葉で答えていただければ、本当は出さざるを得ないということが御自身でも分かっていらっしゃるんじゃないですか。是非これは出してくださいよ、本当に信頼回復に努めるのであれば。
 私は、財務省としてこれからいろいろ、それこそ財政再建などにも取り組んでいかなくちゃいけないという中で、国民に負担をお願いする前に、まずは自分たちが国民から信頼を回復されるような努力をしなくちゃいけないわけでしょう。それが、去年から全く進歩もないどころか、むしろ後退している気がします。
 こういういいかげんな理屈で国会の予備的調査を拒否するのはやめてほしい。是非出してください。もう一回、大臣、答弁をお願いします。

#145
○麻生国務大臣 先ほど度々申し上げておりますとおりでありまして、この国家賠償請求訴訟の一方の当事者であります国、私どもとしては、財務省としては、これはあくまでも訴訟の場で国として主張を明らかにした上で、そして証拠に基づいて立証を尽くすということでありまして、裁判所の判断を仰ぐということが基本なんだと思いますので、訴訟以外の言動等々について訴訟に対する司法審査に影響を及ぼすべきではない、これはずっと申し上げてきているんだと思っております。
 御指摘のファイルにつきましては、現在係属中の国家賠償請求訴訟の話に……(階委員「駄目です、答えていない、そんなこと聞いていません」と呼ぶ)何が答えていないんだ。今のが答えなんじゃないんですか。(階委員「いや、同じことなら結構ですよ」と呼ぶ)同じことを申し上げます。

#146
○階委員 大臣は曲解されているんですよ。法制局長官のお答えを聞いていないんですか。法制局長官は、裁判に関係するから、裁判が進行中だから出せないということじゃなくて、裁判係属中であっても基本的には出せるんだけれども、不当な影響を及ぼす場合は出せない、こう言っているわけですよ。
 だから、出せないというんだったら、不当な影響を及ぼすということの理由を述べてもらわないと、答えになっていないんですよ。なぜ出すことが裁判に不当な影響を及ぼすということになるのか、ここを明確に答えてください。

#147
○麻生国務大臣 先ほど法制局長官の話を聞いていなかったんじゃないかという御指摘ですけれども、まず、聞いておりました、ここにおりましたのでね。まずその点から最初に訂正しておきます。聞いておりました。
 その上で、また、これは裁判が始まっておりませんので、裁判の中でどういう段階で出てくるのか私どもも全く今知らされておりませんから、これが本当に我々にとって不利になるのか、そうじゃないのかどうなのかということに関して、私どもは今、状況がよく分からないというのが正直なところです。

#148
○階委員 よく分からないでは理由にならないんです。不当な影響を及ぼすということは、皆さん方に説明責任、挙証責任があるわけですよ。原則は応えなくちゃいけない、提出しなくちゃいけないんだけれども、例外として拒み得る事由ということで、裁判に不当な影響があれば拒み得るんだけれども、よく分からないじゃ駄目なんですよ。不当な影響が及ぶということを、大臣は説明責任があるんですよ、出さないんだったら。
 ここを説明してくださいとさっきからずっと言っています。裁判に不当な影響を及ぼすとなぜ言えるのか、言ってください。

#149
○大鹿政府参考人 先ほど来の答弁の補足をさせていただきたいと思いますけれども、予備的調査を国政調査権そのものと考えた場合であっても、法制局長官がおっしゃられていますように、裁判所と同様の目的で行われる国政調査については裁判に不当な影響を及ぼすような場合があるということで、一般論として、裁判所に係属中の事件について裁判所と同様の目的で行われる国政調査は、基本的には当該事件に係る裁判に不当な影響を及ぼすものになり得るというふうに考えられると思います。
 私どもは、そのような立場に立って、御指摘のファイルにつきましては、裁判の過程において必要な主張を行いながら、裁判所の指揮に基づいて、適切かつ真摯な対応を取っていきたいというふうに考えているところでございます。
 なお、国政調査権を背景とした国会における質疑あるいは質問主意書に対します答弁におきまして、国家賠償請求訴訟の一方当事者である国として訴訟に関わることについて回答を差し控えているという例は、国として一般的にあるものと承知をしております。

#150
○階委員 本件については、近藤法制局長官からの答弁を前提にして今までやり取りが行われてきました。その中で、今日も確認したとおり、当該事件に係る裁判に不当な影響を及ぼすような国政調査についてはその要求を拒み得るということですので、不当な影響を及ぼしているということを財務省の側で説明できないのであれば、提出するしかありませんよ。さっきからずっと聞いているんだけれども、何が不当な影響を及ぼすか、全然答えていないじゃないですか。
 そして一方、裁判で出している書面には、影響を及ぼさないという趣旨のことが書いてある。だから、皆さんが提出を拒む、国会に提出を拒む理由はないと言っているんですよ。不当な影響を及ぼすことがないんじゃないですか。不当な影響を及ぼしているというんだったら、ちゃんと、不当な影響だ、不当な影響が及ぶんだということを説明してください。このやり取り、ずっとやっていますから。大臣、ちゃんと答えてください。さっきの大鹿さんの……

#151
○越智委員長 階君、申合せの時間が過ぎていますので、まとめてください。

#152
○階委員 はい。
 では、最後に、大臣、不当な影響を及ぼすと考える理由、これだけ端的に答えてください。

#153
○越智委員長 既に持ち時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。

#154
○麻生国務大臣 簡潔に。
 訴訟指揮に従います。

#155
○階委員 答えていません。答えていません。訴訟指揮に従うというのは、全然答えていません。

#156
○越智委員長 申合せの時間が経過しておりますので、まとめてください。

#157
○階委員 では、この件については、また改めて質疑をさせていただきたいと思います。
 以上です。

#158
○越智委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時七分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時四十一分開議

#159
○越智委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。長谷川嘉一君。

#160
○長谷川委員 立憲民主党の長谷川嘉一でございます。
 今日は、通告に従いまして質問をさせていただきます。
 質問に入る前に、今回の新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになりました皆様方に心からの哀悼の誠を表すると同時に、今なおこの感染に苦しんでいらっしゃる皆様方にお見舞いを申し上げます。
 また、今回は、病院関係者のみではなく、多くの介護施設の皆様方、その御家族も大変な御心労でございます。あわせて、そうした全ての皆様方にお見舞いを申し上げます。
 それでは、通告に従いまして質問をさせていただきます。
 まず第一番目に、先月、一月二十七日に、経団連の中西宏明会長が、日本の賃金水準がいつの間にか経済協力開発機構中で最下位になったと発言をされております。
 実際、二〇一八年は約四万ドルで十九位、翌二〇一九年は三万八千ドルで二十四位となっております。一人当たりのGDPで見ると、一九八八年の二位から信じられないほどの凋落であり、一八年には二十六位となり、アメリカの六割、ノルウェーの半分以下となっている次第であります。
 厚生労働省が発表した令和元年度の賃金構造基本統計調査によると、国民の年収、中央値で見ますと、二百四十万円から四百五十六万円で、一九九六年から百万円ほど減少しております。
 この現実を大臣はどのようにお考えになるか、お聞かせください。

#161
○麻生国務大臣 これはもうこの間、ずっと七、八年言われ続けた話で、今改めて、びっくりして発言されるような話でもない。ずっとこれは昔から言われ続けておりますし、この八年ほど、財政諮問会議等でも、私どもの方、政治家の方から、組合の話を、迎えてしゃべっておりましたので。連合の神津さんも出ておられましたので、連合の会長として、しゃべるのはあなたたちの仕事じゃないですか、俺たちがやっているのはおかしいんじゃないですかと。私たちがあなたたちにしゃべって、票は民主党、交渉は俺たちって、これはどう考えてもおかしくありませんかね。四、五回、公式文書に残っていると思いますが、言わせていただいて、度々削除されているとは思いますけれども、私ども、そう申し上げ続けておりますので。
 実質賃金の伸びというのは、それでも、先生、確実に、いわゆるベアなんという言葉が、何年ぶりですかね、ベースアップなんという言葉が出たのは。ベアとかいって、熊と間違えた新聞記者がいたと笑っていましたよ、新聞記者が。いやあ、驚きました、若いやつはベアという言葉を知りませんでしたと言っていたので。ベースアップというのは、私どもが学生のあの頃は当たり前の言葉だったんですが、今はなかなか通じない時代。それでも、今、ベアで一・何%とか二%ぐらいのところに行きましたので、少しは上がったとは思いますが、少なくとも、この間のGDPの伸びとか企業収益の伸びとか、また企業の内部留保の伸びから見ても、この賃金というのはもう少し高く、労働分配率が高くてしかるべきだったのではないかと、私どもも基本的にそう思います。

#162
○長谷川委員 私、まだ経験の浅い部分がありますので、重複しての質問で大変失礼かと思いますが、私も御答弁をお聞きして、認識を新たにさせていただきます。ただ、この問題は皆さん共通の大問題として、まさに国を挙げての対応をされているというところで、また敬意も申し上げたいというふうに思います。
 ちょっとグラフを用意させていただきましたけれども、えっと思うような状況が見られます。
 この一枚目の上の部分でありますけれども、主要先進国の実質賃金は、改めてこの場でおまえから聞かされる話ではないということかもしれませんけれども、多くの国民の皆様方に対しましても申し上げておきたいと思いますが、この一番下の赤いラインが日本国、その上が、中位が米国、そして、スウェーデンが一番上にある。日本とイタリアが最下位でほとんどこの三十年間変わっていないという、本当に厳しい現実を突きつけられて我々は世界で戦っているというふうな状況ではないかというふうに思います。
 また、世界各国のGDPの増加率で見ると、これはグラフの間違いではなくて、日本だけが、過去二十年間、現在に至ってはマイナスとなっているのは日本しかないという現実も併せて、私も驚愕の思いで見させていただいております。
 このように、皆様方におかれましても、主要先進国で最も低い数字、また、GDP比でいくとマイナス、この現状を、参考人で結構でございますけれども、どのように認識されていらっしゃるか、お聞きいたします。

#163
○伊藤副大臣 一人当たりの賃金は、雇用環境の改善がこれまで、このコロナ禍の前までという言い方が正しいかと思いますけれども、続く中で、相対的に給与水準の低いパート労働者の方が新たに雇用された場合に、一人当たり平均賃金の伸びが抑制をされることになります。こうした中でも、二〇一九年度までは名目で増加をしてまいりました。
 その上で、雇用者数の増加の影響も加味した国民皆さんの稼ぎである総雇用者所得は、実質で見ましても、二〇一九年度までおおむね増加をしてきたという状況でございます。
 政府としては、同一労働同一賃金の実現など、非正規雇用労働者の待遇改善等を進めてきておりまして、今後もこうした施策を着実に進めていくことが重要であると考えております。

#164
○長谷川委員 どうもありがとうございました。
 この賃金の伸び率がぴたりと止まったのは、非正規雇用を拡大した約三十年前から、また、消費税の導入もこの辺りからということで見ると、何かその辺に大きな課題が内在しているのかなと思えてなりませんが、この問題については、是非、政府、与野党併せてしっかりと取り組んで、少しでも先進国、諸外国に並べるような水準に行くことを御期待を申し上げる次第であります。
 では、次の質問に移らせていただきます。
 総務省が今月五日に公表した家計調査によりますと、総世帯の消費支出は、一世帯当たり二十三万三千五百六十八円であり、前年比実質六・五%減となっております。二人以上の世帯の消費支出は、一世帯当たり二十七万七千九百二十五円であり、前年比実質五・三%の減であります。
 この現実をどのようにお考えになられるか。大変に恐縮ではございますが、大臣の御所見をお伺いできればと思います。

#165
○麻生国務大臣 今、長谷川先生言われましたように、これはたしか先月の五日の話でしたかね、家計調査が出されたんだと思いますけれども、外出の自粛等々いろいろあったとはいえ、少なくとも前年比で、前年同期比でマイナスの六・五%だったと思いますので、そういった意味では、これはちょっと厳しい結果になっているというのはもうはっきりしていると思いますね、この数字で。
 これまで累次の補正予算等々を通じていろいろやってきましたけれども、十万円行っても、それが消費に回らないで、それがそのまま貯蓄に回ったとか、いろいろな影響が出てきているんだとは思いますよ。あの数字が物すごく、あそこだけいわゆる貯蓄というか預金が増えておりますので、二十兆ぐらい増えた。もちろん、十二兆もあったでしょうけれども、消費をしなかった部分で、消費が減った部分が貯蓄に回っている等々もあったんだとは思いますけれども。
 これは、雇用とか事業とか生活とかいろいろな意味で、できる限り緩和するためにいろいろな施策を取ってきたところでありますが、いずれにしても、個人消費でいえば、四月、五月ぐらいには何となく底を打ったかなという感じまでは戻ってきたんだと思っておりましたけれども、何となく、その後、緊急事態措置等々によって、感染防止策等々はかなり徹底した、かなり行き渡ったということもあるんだと思いますが、足踏みが完全に起きておりまして、その意味では、この動向を引き続き注視をしておかないかぬところだと思っております。
 いずれにしても、この緊急事態がどれくらい、いつ解除されるか等々いろいろなものがあろうかと思いますけれども、何となく、金があっても使う気にならないという、景気の気の部分が起きてこないと景気はよくなりませんから、そういった意味では、私どもはこういった点を更に喚起をさせていくという、気分的な問題も大きいんだと思いますが、このコロナというものの、引き続ききちっと対応して、ワクチンとか薬とか、いろいろなものが晴れませんと何となく安心感も出ませんので、そういったものも含めてやっていかねばならぬところだと思っております。

#166
○長谷川委員 大臣、ありがとうございました。
 資料は、先月ではなく、今月五日の資料でございます。
 それで、これについては参考人にお聞きしたいと思うんですが、コロナも大変な追い打ちをかけておりますが、一昨年十月に消費増税となったわけであります。消費税は大変重要な税財源ということは我々も認識しておりますが、この十月の前の景気指数、経済状況を見ると、景気にブレーキをかけてしまいかねないタイミングではあったのかというふうに私個人としては思っておりますが、政府としてはどのようにお考えになるか。この影響がこれに出ているのではないかと思いますが、御答弁をお願いいたします。

#167
○伊藤副大臣 お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、新型コロナの影響によって、日本経済は個人消費を含めまして厳しい状況にあると理解をしております。
 足下では、感染拡大に伴い、個人消費は持ち直しの動きに足踏みが見られるものの、輸出は増加をし、生産は持ち直すなど、日本経済には持ち直しの動きが見られますけれども、新型コロナが内外経済を下振れさせるリスクに十分注意する必要があると考えております。
 こうした中で、政府としては、御存じのとおり、総合経済対策を迅速かつ適切に執行するとともに、緊急事態宣言による影響を受ける方々に対して、必要に応じて予備費も活用し、それぞれの状況に応じた効果的な支援策を講じているところでございます。
 引き続き、新型コロナの感染拡大防止に取り組むとともに、経済財政運営に万全を期してまいりたいと考えております。

#168
○長谷川委員 ありがとうございました。
 コロナの部分での支給金、様々出ておりますけれども、預金できる人もいらっしゃるかもしれませんが、これでもまだまだ足らないという方が大半であります。しかも、預金できるという部分よりも、将来が、あるいは先々の動向が心配でそれを使えないという方たちも多いのではないかという、私見ではありますけれども、申し述べさせていただきます。
 また、私の認識はまだまだ足らない部分がありますけれども、かつて消費増税を導入するときに物価上昇二%という基準があって、いつの間にかそれは外れているということではありますけれども、そういう物価の上昇期、インフレ基調のときに初めて増税というのが行われるのかなと思うんですが、今回見ると、そういった達成については余り視野に入っていないのか、あるいは、視野に入れているけれども、それ以上に重要な優先順位の結果そういうふうに踏み切られたのか。この辺についての御所見をお伺いいたします。

#169
○麻生国務大臣 今二つ質問なんですけれども、コロナによる悪化が生じる、出てくる、顕著になる前の間の雇用とか所得環境の改善というのが続いておりましたので、それを背景にして、いわゆる個人消費も含めまして少なくとも緩やかには回復していた、私どもはそう思っております。
 したがいまして、二〇一九年の消費税率引上げに当たりましては、経済への影響というのを乗り越えるために様々な対策を行って、結果として十分な規模の措置が講じられておりますので、駆け込み需要とか、前回起きましたような反動減とかいったものは、前回というのは二〇一四年ほどの影響はなかったと考えております。今、こうした各種の対策の効果もありましたので、消費税そのものの影響は、この一月にかけては結構薄らいできたんだと理解をしております。
 いずれにしても、事業というものを見ましても、対策の効果もあって、リーマン・ブラザーズのときに比べれば、倒産件数は四千件と約半分ぐらいなものになっていると思いますし、いろんな形で、あのときは失業率が五・九%ぐらいだったと思うんですが、今回は二・九ぐらいで止まっておる等々、いろんなもので対応というものをそれなりにはやらせていただいた結果は、一応の対策はできたと思っておりまして、コロナに関してはちょっと別の話になってきているとは思います。
 いずれにいたしましても、物価の方は日銀の話になろうかと思いますので、私どもの方としてはなかなか申し上げにくいところですけれども。
 いずれにしても、賃上げの話等々は、今後とも日本の消費等々が継続していく上で極めて重要な要素を占める部分だと思っておりますので、企業、今内容、コロナによって先行き極めて不透明な感じをしておられる経営者も多いとは思いますけれども、先ほどの、一番最初の御質問の中西さんの話のとおり、比べていただいてもこれははっきりしている流れだと思いますので、ここのところは今後とも労使双方の努力が必要だと思っております。

#170
○長谷川委員 御答弁ありがとうございました。
 では、次の質問に移らせていただきます。
 またできれば大臣ということで、本当にしつこくて申し訳ない気持ちでありますけれども、貴重な時間と貴重な機会でございますので、御容赦いただきたいと思います。
 長期にわたる所得の減少と度重なる消費増税による個人消費を収縮させる圧力に、先ほど来御答弁いただいておりますけれども、新型コロナウイルス感染症対策による更なる収縮圧力が加わり、我が国のGDPの六割を占める個人消費が相当に傷んでいるのが現実ではないかと思います。これについて具体的にどのような対策が必要であるか、御所見をお伺いいたします。

#171
○麻生国務大臣 新型コロナの影響に対しまして、これは感染拡大の防止というものに対して万全を期すとともに、企業が倒産すると途端に雇用というものがなくなりますので、そういった意味では、雇用がなくなるといわゆる生活というものが守れなくなりますので、そういった事業、雇用、そして生活、そういったものを着実に志向する中で、やはり、コロナという、この種の大きな感染症というのは少なくともこの七十年間一回もありませんから、そういった意味では、不安というものが極めて大きな要素を占めているんだと思います。
 その上で、私どもとしては、今後、いわゆるワクチン、薬等々がいずれ普及してくることによってそういったものの不安が取り除かれていくということになっていった後のいわゆる成長、民需を主導とした成長につなげていかないかぬところなんですけれども、そういったときの成長というものが従来と同じものでいけるか、一年間休んだからすぐまたここへいけるかというと、なかなかそんなわけにいかないのではないか。
 少なくとも、いろいろな方、リモート等々に言われるように、出勤者が半分で事が動くような形になってきたりしておりますから、そういった意味では、いろいろな意味で、デジタルトランスフォーメーションなんという言葉が出始めましたけれども、そういったようなものに対する投資というものが大きくなるでしょうし、環境というものでグリーンなんという言葉が出てきましたけれども、そういったものによる投資が起きてきてみたり、いろいろな形で新しい方向で事は動き出すであろうと思いますけれども、なかなかその一歩が踏み出せない、したがって生産性が上がらないというようなことにもなっておりましたけれども。
 嫌でもそういったことをやらざるを得ないという状況になってきている部分というのは、我々、その分だけ伸び代があるという面も十分に評価せないかぬところだと思いますので、その点をどうやってやるか、今後そちらの方向に更に軸足を移していくということが必要だろうと思っております。

#172
○長谷川委員 ありがとうございます。
 では、参考人に御質問を、続けてさせていただきます。
 この用意した表の一番下なんですけれども、過去二十年間、現在まで、各国のGDPの増加率を見ると、これももう使われ尽くしている資料かもしれませんけれども、日本だけがマイナス、アメリカを見ると、真ん中辺、五割増し、韓国も五割以上伸びているという中で現在に至っているわけであります。
 GDPをどのように伸ばしたらいいのか、その大本の病根は、大本の伸びなかったマイナスの原因は、これを見るとまさに日本だけなものですから、どのようにお考えになっているのかを、参考人からの御答弁で結構ですので、お聞かせいただきたいと思います。

#173
○麻生国務大臣 先ほど御答弁申し上げたのと少し重なってしまうかもしれませんが、生産性を上げるという話。
 先生、例えば先生がどこか買物にいらっしゃるとしますよね。例えばデパート、どこでもいいですよ、三越でも伊勢丹でもどこでもいいですが、行くと、お客さん、何になさいますと言って、売り子の人が先生のところに来ますでしょう、わざわざ。あれをアメリカで、イギリスで、ああいったことがあるかというと、絶対ないですよ。何か盗むんじゃないかと思って見られているかもしれませんよ。しかし、そうでもない限り、まず寄ってくることはない。人がいませんから。したがって、生産性は高いんですよ、アメリカのデパートって。人がいませんから。その代わりサービスは悪い。ということになっている、私にはそう見えるんですね。
 したがいまして、人を減らすとか、包み紙を丁寧にしなくても袋だけでちゃんとそれでよしとするとか、いろいろなことに我々が、何だ、こんなこともしないのかよというような、サービス低下は生産性の上昇とほぼ同じことになりますので、そういったものに我々がなれるか。今はもう人がいないんですよ、若い人が今そういったところで働いてくれないので、もっといろいろなところへ行っちゃいますからというような話になってきて、というようなことがいわゆる生産性とかいろいろなことになります。
 ちょっと先ほどどなたかの質問でハンバーグ屋の話をしましたけれども、海外でハンバーグを頼んだら、もう間違いなく機械で全部出てきたやつが、どんと出てくるのが一番速い。民間のアルバイトの人がやると、遅いし間違っているし、というようなことになる。
 そういったようなのは、質が高かったがゆえに、日本の場合は全く優秀な労働者に支えられていた部分というのはあったんだと思いますけれども、その分をもっとほかのところに回していかないと、これからは人が足りませんから、ということになってくる。というと、そこを機械に、デジタルに代わっていくというようなこと、一つの例ですけれども、そういったようなことになっていかざるを得ぬという。
 そこらのところが、生産性が上がる、一人当たりの給与はそれで上がりますから、そういった意味ではそっちになっていくかなとは思いますけれども、我々がその気分になれるかという話は、ちょっとこれはまた別問題でして。何だよこれというのだって、そう思うんだったらその分だけ払ってもらわないかぬ。それは付加価値が高いということですから、その分だけ付加価値を上げるためにはそっちをやってもらわないかぬというようなことが、どうやって折り合いをつけていくかというのは、これからなかなか難しいところだろうなと思って見てはいるんですけれども。
 生産性を上げるとかいうことは、ちまちました話でいくとそういったことになりますので、逆に言えば一番伸び代がある。我々、今までやらずに人がやってくれたところを、もう人がいなくなるから機械に代わらざるを得ないという、その機械も猛烈な勢いで進歩してきていますので、そういったようなことになっていくかな。そこらが多分生産性の伸び代としては大きいとは思いますけれども、少々コストもかかりますし、時間もかかりますしということをどれぐらい早く切り替えてやっていくかということになるかなとは思っております。

#174
○長谷川委員 大臣の御丁寧な御答弁、本当にありがたく感じます。
 ただ、このグラフについての説明については、できれば、政府の見解をお示しをいただくということは、後日でもいいんですけれども、できますでしょうか。これは議会ルールが、委員会ルールがどうなっているか分かりませんので、御無理でなければその辺を御要望して、次の質問に移らせていただきます。
 まず確認、次はしばらく確認になりますので、御容赦いただきたいと思います。
 我が国では国の借金という言葉が使われておりますけれども、私たちの国以外では、これは政府の借金と表現されている国が大半です。国債や借入金、そして政府の短期証券の二〇二〇年十二月末までの残高合計が一千二百十二兆四千六百八十億円になったと発表されましたが、その主たる国債は全て円建てであるということでよろしいでしょうか。

#175
○船橋大臣政務官 お答えいたします。
 先般、二月十日でございますけれども、普通国債、財投債を含む国債、借入金、政府短期証券等の二〇二〇年十二月末時点における残高の合計が一千二百十二兆四千六百八十億円となった旨を公表させていただいております。
 その大半を占める国債を含め、これらは全て円建ての債務でございます。

#176
○長谷川委員 ありがとうございます。
 では、次の質問に移らせていただきます。
 巷間よく話に出てまいりますので、確認でございます。
 財務省のホームページにも載っておりますが、国債が一〇〇%自国通貨建てである日本政府は財政破綻しないという見解に相違はございませんでしょうか。

#177
○宇波政府参考人 委員御指摘の見解でございますけれども、これは、平成十四年に、恐らく、日本国債の格下げの理由についてより客観的な説明を求める中で、格付会社がデフォルトとしていかなる事態を想定しているのか説明を求めたものでございます。財政当局として、日本の財政健全化の必要性を否定したものではございません。
 このことを申し上げた上で、私どもとしては、日本国債が購入されているのは、日本の財政運営に対する信認が前提となっているというふうに考えてございます。したがって、年々厳しさを増す財政状況に鑑みれば、仮に市場の信認を失う事態が発生すれば、金利の上昇を通じて、市場からの資金調達が困難となる可能性も否定できないと考えております。
 引き続き、財政の持続可能性に対する国民や市場の信認を確保するため、プライマリーバランスの黒字化に向け歳出歳入両面の改革を続けてまいりたい、こういうふうに考えてございます。

#178
○長谷川委員 大分理解を深めさせていただきましたけれども、まだまだこれについて私の認識をこれから深めてまいりたいと思います。
 次の質問に移ります。
 日本銀行の資金循環データで見ると、二〇二〇年第三・四半期で、国債合計が一千三十五兆円のうち、四八%強の四百九十七兆円を日本銀行は保有しております。また、例年多額の国債費が予算計上されておりますが、二〇二一年度予算案でも、一般会計総額百六兆六千九十七億円のうち、国債費が二十三兆七千五百八十八億円と計上されておりますが、日本銀行保有のこの国債に対する利回りの中で諸経費を差し引いた額が国庫に納付金で戻されると確認しておりますが、これに間違いはございませんか。

#179
○船橋大臣政務官 お答えいたします。
 御指摘のとおり、日本銀行の資金循環統計によりますと、直近でございますが、二〇二〇年九月末における日本銀行の国債保有額は四百九十七兆円となってございます。なお、国庫短期証券も含めた日本銀行の国債保有額は五百四十二兆円でございます。
 次に、令和三年度予算におけます国債費につきまして日本銀行に支払われる利払い費のみを切り分けるということは困難でございますけれども、日銀の令和元年度決算における国債利息収入につきましては、約一・二兆円であったと承知をいたしております。
 その上で、国債利息収入を含む日銀の収益につきましては、日本銀行法等に基づき、日銀が所要の経費等を差し引いた上で、法定準備金等を控除し、残額を国庫に納付をいたしておりまして、それが、令和元年度決算における日銀国庫納付金といたしましては、約一・二兆円であったと承知をいたしております。

#180
○長谷川委員 お手元にもう一枚資料を、これはそちらの方で作っていただいた資料ですけれども、税引き後のものでありますけれども、令和元年度、一兆二千九百五十二億円が余剰金としてあり、この中で国庫に納付されたのが一兆二千三百五億円、まさに、この国債の利幅にほぼ匹敵するものではないかと思います。その前年度もほとんど同じような形でずっと来ているということでありますので、改めてこれは確認までにさせていただきました。ありがとうございます。
 それでは、次の質問に移らせていただきます。
 二〇一八年の中小企業白書で、日本の企業規模別従業員一人当たりの労働生産性は、大企業はリーマン・ショック時の水準を回復しておりません。一方、中小企業は、リーマン・ショック時も大きな影響を受けず、横ばいの状態であります。大企業や中小企業の労働生産性が伸びていないのは、一九九七年以降、需要が縮小し続ける、投資を拡大する状況にないことが主たる原因ではないかと思います。
 また、三月に国会に提出される予定というふうに伝え聞いている部分でありますので間違いがあったら御容赦いただきたいと思いますが、この法律案の中で、中小企業のMアンドAや地方銀行再編に関する法律案などがあるのではないかと思われます。
 私は、現在、地方創生特別委員会の委員を続ける中で、地元も含め、地方の経済を注視してまいりました。現在、東京のような大都市における中小企業でも、地方銀行の毛細血管のようなきめ細かい対応により、活動している状況がございます。地方銀行の再編による中小企業の倒産、廃業が起こらないような施策を期待するものでございます。
 また、銀行の企業への資本参入は、現行法では五%が限界、これは破らないという財務省からの説明も受けておりますが、これも将来にわたって破らないというふうに私は肌感覚では聞きましたけれども、これも、これをしっかり守っていただきたいというふうに思っております。
 それについては財務省から、今お話しさせていただきましたように御説明をいただいたということも改めて申し添えさせていただきます。
 仮にではありますけれども、銀行法の一部の改正によって、この限度を外して、外資系銀行も含めて資本参入を自由にするようなことになった場合、小さくても優良な、各地方にあるすばらしい技術を持った中小企業が資本系列の中に組み込まれて、場合によったら親会社の意向で地域から海外に移転するという事態も考えられるわけであります。これを危惧しているということを申し述べさせていただきます。
 次に、最後から二番目の質問になりますけれども、時間の関係で移らせていただきます。
 我が国最大の同盟国であるアメリカにおいては、バイデン政権におけるイエレン財務長官、元FRB議長でありますが、この方が、インフレを恐れて新型コロナ禍における縮小経済からの力強い脱却をしない方がダメージが大きいという趣旨の発言を行っております。不足のない、新たに二百兆円規模の財政出動を行うと伝えられております。
 地域の空洞化や多数の失業者、今以上に賃金抑制などを促進する中小企業のMアンドAや地方銀行の再編などではなく、企業に対する貸付金以外にも粗利に対するしっかりとした補償、そして消費減税など、今はまず、新型コロナウイルスパンデミックによって傷んだ中小企業の経営体力の回復と消費拡大政策による経営環境の改善を最優先させ、国民の命を守り、国民の生活を守り抜くという強い国民へのメッセージこそが必要であると考えますが、大臣の御所見をお伺いいたします。

#181
○麻生国務大臣 おっしゃるとおり、ジャネット・イエレンという方とこの三週間に二回ぐらい電話で話をしておりますけれども、今おっしゃったように、今の財政出動というものを切り上げて財政再建とか均衡とかいうことに走る気はない、アメリカの方策としてははっきりしております。同様に、ドイツ、イギリス、フランスも同じ方向で事は動いておりますので。
 直ちに今、経済としては金融緩和の方向をしばらく続けるということで中小企業等々に対する支援というものをやっていこうとしていることは確かだと思っておりますので、日本がこれまでやってきましたものと同じような方向に事は動き始めて、新しい政権においてもその方向でいくということをはっきりさせたんだと思っております。これは、他の国もみんな聞いていたと思いますので、それは、それなりに、そういう方向で受け止めていると思っておりますけれども。
 いずれにしても、日本の場合も同様に、今、少なくともアメリカの場合、日本と違いますのは、コロナによる死亡者が五十万人を超えておりますから、日本のように五千人と五十万では桁が二つぐらい違いますので、そういった意味では、影響というのは、私どもの受ける感じというのは大分違うと思いますけれども。
 そういう意味では、私どもとしては、今後とも、日本の中において民需主導で、このポストコロナというのが見えてきた今の段階においては、民需主導でこれをやっていくために当たりまして、少なくとも、規制の緩和とか技術の革新とか、いろいろな形での経済構造の転換等々によって、いわゆる潜在成長力を高めていくという方向で私どもとしては経済の後押しをしていくということが大事なのであって、経済、今のところ金融等々で資金繰りの話等々が主なところになっておりますけれども、その資金繰りも、少なくとも新しいものに対する投資、デジタルトランスフォーメーションなんかに対する投資、そういったものへの新しい分野にということに金が使われていく、設備投資がなされていくという方向に私どもとしては後押ししてまいりたいものだと思っております。

#182
○長谷川委員 消費税減税には踏み込まないというふうな御答弁というふうに解釈いたしましたけれども、我が党も含めて、期限つきの消費税減税を今こそやるべきだという声は大きいし、また、国民に世論調査をしたとしても、これについての賛同者が多いということはあるのではないでしょうか。
 これについてはここにとどめますけれども、最後の部分で追加して大臣にお伺いしたいと思いますが、先ほど、中小企業を救うということが、これから五年後、十年後、また大きな効果を発揮する、このまま放置することはありませんけれども、このままの状態に、今の状況での支援をすることによって受ける日本企業のダメージは、シンクタンクの様々な資料によると、今後十年以上は尾を引くのではないかというふうな試算もあります。
 こういった中で、一つには、中小企業の粗利に対して、全額ではなくても、倒産させないという部分で一定額を的確に補助をする。また、生活困窮者には、もう一年以上たってきているわけですから、きめ細かい対応で。先ほど、不正受給の話が昨今テレビ等でも報道されました。タクシーに乗ってもそんな話がされますけれども、そういったことは厳に出さない。こういったことで、本当に必要な人たちに支援が行き渡るように御要望申し上げて、大変失礼かもしれませんけれども、もう一度、この日本の経済を守るお立場の大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。

#183
○麻生国務大臣 今後、日本でこのポストコロナになりましても変わらないものの一つは、人口の減少、少子高齢化というので、生産性、生産人口が激減していくということです。
 これは避けて通れない現実でありますので、少なくとも、そういう中にあって、民需主導で経済成長というものを実現させていくためには、いわゆる規制改革とかいろいろなことをやっていかねばなりませんので、中小企業等々、それに合った体質改善をやる努力を自らもしてもらわないかぬ。避けて通れぬところだと思っております。これは大企業でも同じだということだと思いますので。
 そういった意味で、きちんとそういうことをやらぬと潜在成長率が伸びていきませんので、そういったことになろうと思いますので、企業や家計の不安に対処するために、いわゆる万全の守りの施策と新たな時代に向かっての攻めの施策と両方をやっていかないかぬとかいうところだと思いますので、経済財政運営というものに関しましては、その両面をにらんでやっていかねばならぬなと思っておる次第であります。

#184
○長谷川委員 御答弁ありがとうございました。
 そのように、こういった状況で、支援をしても支援をしても淘汰される宿命の方たちは多いですし、この逆境をチャンスにして、様々な支援策をまた受け入れながら更に次の時代に向けて伸びるような企業も出てくるということは大いに期待できますし、その辺は共感できる部分でございます。
 時間の関係がありまして、これは要望だけにとどめますけれども、最後の質問として、二〇二〇年十二月四日に立憲民主党税制調査会長の方から税制改正への提言、そして昨年の十二月十日には政調会長からの談話も述べられております。二〇二三年度導入予定の適格インボイス制度等々を含めて様々な提言が出されておりますが、採用され、評価された部分も多いわけでありますけれども、残念ながら導入されていない部分が多くございます。この辺をしっかり対応していただけますよう御要望申し上げて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

#185
○越智委員長 次に、清水忠史君。

#186
○清水委員 日本共産党の清水忠史でございます。
 本日二月十六日から始まった確定申告について質問をいたします。
 昨年も、新型コロナウイルスの影響を受けて、申告期限が延長されました。緊急事態宣言下で始まる今年の確定申告についても、四月十五日まで延長されることとなりましたが、その理由について、麻生大臣、説明していただけるでしょうか。

#187
○麻生国務大臣 本年の二月の二日に緊急事態宣言の延長というものが決定をされておりますので、その期間が令和二年分の所得税の確定申告期間と重なるということを踏まえまして、十分な申告期間を確保して確定申告されるところの会場等々で混雑回避の徹底を図るなどの観点から、申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税等の申告期限、納付期限について、全国一律、令和三年四月十五日までに延長することとしたということであります。

#188
○清水委員 つまり、まだまだ新型コロナの影響が収まっていないという認識で、今年についても延長されたというふうに思います。
 ただ、去年は、納税猶予の特例措置を導入し、納税者の負担を緩和させる措置も同時に行われました。残念ながら、納税猶予の特例措置は今年二月一日をもって終了したわけですが、麻生大臣、なぜこれは延長しなかったんですか。

#189
○麻生国務大臣 国税の納税猶予につきましては、これは、既存の猶予制度というものに加えて、無担保かつ延滞税なしで一年間納税を猶予するという特例が設けられた、御記憶のとおりです。ここが一番肝腎なところですから。
 この特例の終了後においても新型コロナの影響により納付困難な場合には、これは今ある既存の猶予制度というのを御利用いただければよろしいので。少なくとも、原則として一年間猶予することとか、分割して納税していただくということもできますし、また、適用される延滞税も令和三年分から年一・〇%に引き下げられております。御存じのとおりです。したがいまして、担保につきましても、担保提供が明らかに可能な場合を除いて不要ということになっておりますのも御存じのとおりだと思います。
 したがいまして、このような制度の活用も含めまして、納税者の資金繰りや収支の状況など、個々の事情、実情等々を十分に伺いながら、適切に対応させていただきたいものだと思っています。

#190
○清水委員 いろいろ言われたんですけれども、それは既存の納税猶予制度を説明されただけであって、納税猶予の特例措置を延長しない理由ではありません。
 特例措置では、担保の提供は不要ですし、延滞税が免除されます。そのほかに、新型コロナによる収入減少を口頭で説明するだけで構わないという柔軟な対応をしていたわけですね。コロナ禍の影響が今も続く現状を考えれば、延長することは当然だというふうに考えます。この問題については、引き続きこの委員会で取り上げていきたいと思います。
 次に、持続化給付金などの課税の問題について質問します。
 コロナ禍で行われた事業者向け給付金の課税、非課税の考え方について、日本ではこれは課税とされるわけですが、欧米諸国では必ずしもこれは一致しておりません。配付資料の一枚目を御覧ください。これは国会図書館に調べていただいた資料なんですが、ドイツやイギリスでは事業者向けの給付金は課税となっておりますが、アメリカやフランスでは非課税となっております。
 フランスで非課税措置が取られている理由について、これは、財務省、説明していただけるでしょうか。

#191
○住澤政府参考人 お答え申し上げます。
 米国とフランスにおきまして、中小企業又は個人事業主等に対するローンの返済の免除でありますとか給付措置に係る収入が非課税とされている例があることは承知をいたしておりますけれども、それが非課税とされた背景、理由等につきまして承知はいたしておりません。
 一方、事業収入の補填でありますとか営業経費の補填に充てるような事業に関連する給付につきましては、基本的に、事業所得の収入として課税となるという扱いをしておりますけれども、基本的に、そういった状況にある多くの事業者の方々は、売上げの減少でありますとか各種の経費の支払いなどに迫られているという状況にあると考えられますので、こういった給付金が事業収入に算入されてもなお赤字となるというケースが多うございますので、その場合、課税所得は生じないということになるわけでございます。

#192
○清水委員 アメリカやフランスが非課税なのは知っているが、その理由や背景は分からないということですから、一度これは調べていただきたいと思います。
 とにかく、各国の政策上の位置づけで対応が変わっているということだと思うんですが、消費税についても確認したいと思います。
 持続化給付金などの公的な給付金、助成金は、消費税の申告上、どのように取り扱われるのか。給付金は消費税のかかる課税売上げに含まれるのか、含まれないのか。これを端的にお答えいただけますか。

#193
○鑓水政府参考人 お答えいたします。
 消費税法上、国内において事業者が対価を得て行う資産の譲渡それから役務の提供等に対して消費税を課すこととされております。
 したがいまして、御指摘のような、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い事業者が国や地方公共団体から支給を受ける給付金については、一般的に、資産の譲渡あるいは役務の提供等を行うことの反対給付として事業者が受け取るものではございませんので、消費税の課税対象とはなりません。

#194
○清水委員 これは消費税の課税対象とならないという答弁がございました。
 本日から始まりました二〇二〇年分の確定申告では、各種給付金等は、所得税や法人税の申告書の売上げには含まれるものの、消費税の申告書の売上金額には含まないということが今の答弁で明らかになったわけですが、私、今、手元にあるんですが、確定申告の説明書である令和二年分消費税及び地方消費税の確定申告の手引、これには記載がありません。
 また、国税庁作成の、国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ、FAQというのはよくある質問という意味ですが、これにも消費税上の扱いについては記載されていないんですね。
 唯一、経産省のFAQに少し書いているだけでありまして、このままだと、確定申告で間違って消費税の課税売上げとして申告する人が出てくると思うんですね。実際、そのような問合せが私の事務所に何件も来ております。
 国税庁、これは、なぜこうした説明書に記載しないんですか。

#195
○鑓水政府参考人 お答えいたします。
 御指摘の持続化給付金に係る消費税の取扱いにつきましては、同給付金を申請する事業者の方に周知する観点から、経済産業省のホームページにおいてお示ししているところでございます。
 それから、事業者の方が国又は地方公共団体等から受ける、特定の政策目的の実現を図るための給付金等に係る消費税の取扱いにつきましては、資産の譲渡等の対価に該当しない。その旨、消費税法基本通達においても明らかにしてきたところでございます。
 いずれにしても、ただいま御指摘もございましたので、現在確定申告の時期を迎えている個人事業者の方が戸惑うことなく円滑に申告していただけるよう、FAQを公表するなど、対応してまいりたいと思います。

#196
○清水委員 ホームページへの掲載など、広報による周知徹底を是非お願いしたいと思います。
 確かにこれは受付は経産省ですけれども、経産省のホームページを見ますと、確定申告、詳しくは国税庁のホームページを、こうなっているわけですから、是非その点改善をお願いしたいと思います。
 仮に、間違って消費税の申告書に持続化給付金などを含んだ金額を売上げとして記入した場合、その分多くの消費税を納税することになるわけです。その場合はどうしたらいいのか。確定申告した後に、余分に納税した消費税分は、これは返還していただけるんでしょうか。

#197
○鑓水政府参考人 お答えいたします。
 まずは、事業者の方が日頃の経理や申告の実務を戸惑うことがないように行っていただけるように、周知も含めて、丁寧な対応を行っていくということが重要と考えております。
 その上で、売上金額を過大に計上するなど申告内容の間違いに気づいた場合には、法定申告期限前であれば申告書を再度提出していただく、それから、法定申告期限後であれば更正の請求を行っていただくといったことで、減額をお求めいただけることができるということでございます。

#198
○清水委員 是非、確定申告の相談会場などで事業者の方々に周知徹底していただいて、誤って余分に納税することがないように、しっかりと手だてを取っていただきたいと思います。
 持続化給付金自身に課税されるという問題については、引き続き本委員会で取り上げていきたいと考えております。
 次に、持続化給付金の支給の問題について質問したいと思っております。
 家賃支援給付金は既に給付されているという事業者が、持続化給付金の申請には不備があるとして追加資料の提出が求められ、それに対応できないといった相談が私の事務所に寄せられております。
 今日は経済産業省から長坂副大臣にお越しいただいておりますが、長坂大臣はこのような事例があるということを御存じですか。知っているか知らないかだけ、まずお伺いしたいと思います。

#199
○長坂副大臣 知っているか知っていないかということでございますけれども、家賃支援給付金は、一月の売上げが五〇%以上減少のほかに、三か月三〇%減少も対象としております。ですから、両制度では要件が異なっているわけでございまして、そのために、申請者が選択する売上げ減少の対象月や提出書類も異なる可能性がございます。
 御指摘のような、家賃支援給付金が給付され、持続化給付金が給付されない事例はあり得ると認識をしております。

#200
○清水委員 確かに、持続化給付金と家賃支援給付金の制度の違いはそこなんですね。いわゆる家賃支援給付金の場合は、三か月連続で三〇%、前年度、売上げが減少していれば支給の対象になる。しかし、それ以外は同じなんですよ。
 同じ目的、同じ条件でコロナ禍に苦しむ事業者を支援するための政策であるはずなのに、いわゆる前年度比五〇%減という条件に、一か月ですね、減という条件で家賃支援給付金が出ている事業者に対して持続化給付金が出ない。これは同じ条件の対象です。ですから、実施する事務局が違えば対象の基準が変わるということがあってはならないというふうに思うんですね。
 今、長坂副大臣の方から、三か月連続の三〇%の減少ということを除いては、これは対象基準は同じですから、そういう点では、片方が支給されて片方が支給されないというダブルスタンダードがあってはいけないというふうに思うんですが、そこはいかがでしょうか。

#201
○長坂副大臣 先ほど申し上げましたとおり、持続化給付金と家賃支援給付金は別々の制度でございまして、要件や提出書類は異なっております。
 さらに、実際に給付金の申請を受けた際に、提出書類が異なる場合もあり得るため、御指摘のような事例、どちらかの給付金のみが対象となる事例はあり得ると考えております。

#202
○清水委員 持続化給付金も家賃支援給付金も、新型コロナの影響を受けている事業者の事業継続を支援し、再起の糧となるよう事業全般に使える給付金をするという趣旨、目的は同じだと思うんですね。
 確かに、家賃と持続化給付金の方では、例えば家賃の方でいいますと、家賃の証明だとか、あるいは家主さんからの証明書類だとか、提出する書類は違うと思いますよ。しかし、五〇%、前年度、減少していれば給付されるという持続化給付金と家賃支援給付金、対象基準が同じであれば、両方支給されて当然だと思うんです。しかも、家賃支援給付金は支給されているのに持続化給付金が出ないというのは、書類の数からいっても、家賃支援給付金の方が多いわけですよ。
 ですから、これは提出する書類の問題ではなくて、前年度比五〇%減少して給付金の対象となっており、家賃支援給付金は出たのに持続化給付金が出ないというのは、これは書類の問題ではなくて、基準が違うということじゃないですか。認定基準が違うということじゃないですか。そこはいかがでしょうか。

#203
○長坂副大臣 委員御承知のとおりでありますが、家賃支援給付金は、昨日の時点で、約百八万件の申請に対しまして、約九十八万件、約八千五百億円を給付しております。持続化給付金につきましては、約四百四十一万件の申請に対しまして、約四百二十一万件、約五・五兆円を給付しているところでございます。
 今お話しのような案件、御指摘でございますが、個別の審査結果についてこの場でお答えすることは控えさせていただきますけれども、具体的に問題となっている申請者の氏名や番号等を御教授いただければ、審査に誤りがないかなど状況を確認の上、適切に対応したいと思います。

#204
○清水委員 今の答弁は非常に大事でして、個別に丁寧にしていただきたいと思うんですが。
 一点だけ、個別の問題ではなくて、一般論でも結構ですので、長坂副大臣の認識を問いたいと思うんですが、家賃支援給付金と持続化給付金、これはもちろん提出書類等は異なることがあるわけですが、審査する基準については、これは認定基準は同じだ、前年度に比べて五〇%減少している、一か月でも、ここが合致していれば基本的に認定基準は変わらない、決してダブルスタンダードで審査基準しているわけではないということだけは確認させていただけないでしょうか。

#205
○奈須野政府参考人 ちょっと技術的な質問でございますので、私の方からお答えさせていただきます。
 家賃支援給付金は、売上げが前年同月比から五〇%減少するか、あるいは三か月連続で三〇%減少するという要件を満たせば、家賃支払い額の六か月分の何割かを支給するということでございます。
 一方で、持続化給付金は、前年同月比から売上げが五〇%以上減少した場合に、それを十二倍して年収の差額を給付するということでございますので、対象月の選択によって、実は持続化給付金の場合は支給額が変わってくるんですね。
 ですから、申請者としては、より有利な対象月を持続化給付金では選択して対象月とすることができますので、そこが両者の制度の違いということでございます。

#206
○清水委員 その有利なはずの持続化給付金が出なくて家賃支援給付金が出ているわけですよ、五〇%減ということで。だから、私は、これは二重基準ですかというふうに聞いているわけで。
 ですから、本来であれば、奈須野さんでもいいんですが、家賃支援給付金が正当に支給されているという事業者に対しては、持続化給付金に対しては支給するというふうにしていただけませんか。

#207
○奈須野政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま長坂副大臣がお答え申し上げたとおり、具体的な事案で何が問題になっているのかということをちょっとしっかり確認して、適切に対応してまいりたいと考えております。

#208
○清水委員 何が問題になっているかについて質問したいと思います。
 現在、持続化給付金の申請で不備だとされるケースで多いのが追加資料の提出なんです。そのうち、対象月の請求書と振り込み記載がある通帳のコピーを求めることがあるわけですが、これは何のために提出を求めているんでしょうか。長坂大臣、お願いします。

#209
○長坂副大臣 お答え申し上げます。
 持続化給付金の審査におきまして、二〇一九年度分の確定申告書と二〇二〇年の売上台帳を確認しております。事業実態がないにもかかわらず虚偽の確定申告をして持続化給付金を不正受給したという犯罪も相当数出ていることから、事業実態をしっかりと確認する必要があると考えているわけであります。
 こうした観点から、申請者に提出いただきました証拠書類だけでは給付要件を満たしているかについての確認ができない一部の方に対しましては、事業実態を確認するために追加の関係書類の提出を依頼しているところであります。
 具体的には、御指摘の二〇一九年中の対象月に発生した請求書の写し、それに伴う振り込み、支払いが分かる通帳の写しの組合せのほかに、二〇一八年度確定申告書の第一表、令和元年度分の市町村民税、特別区民税、都道府県民税申告書の写しの三種類の書類のうち、申請者が提出可能な書類のいずれか一つの提出を依頼しているところであります。

#210
○清水委員 請求書と通帳の提出というふうに指摘したわけですけれども、現金取引が主で、銀行口座を介した振り込みがなされていない商売というのはあるわけでありまして、例えば、おかみさん一人で営んでいる小さな飲み屋さんでは、お酒は近所の酒屋から仕入れて、食材はスーパーで購入し、当然お支払いも現金で、銀行振り込みは使用しておりません。あと、神社のお祭りにお店を出す露天商の方、これは仕入れは全て現金で、露店の支払い、これはもう現金しかありませんので、嘆いておられます。そのような事業者の方は、請求書はあるんですが、通帳に振り込み記載がありません。
 お伺いしたいんですが、なぜ領収書では認められないのかということなんですね。経産省は、このような銀行振り込み以外の商売をそもそも事業者として認めないということなんでしょうか。通帳の代わりに領収書では駄目なんでしょうか。

#211
○長坂副大臣 通常の審査において提出されている書類のみでは取引の実態を十分確認できなかった一部の方を対象にいたしまして、追加の関係書類の提出を依頼しております。その際には、客観的かつ公平に事業実態を確認するためには、請求書に加えて、そこに記載されている取引を裏づけるために、銀行が発行している信憑性のある書類として、振り込み、支払いが分かる通帳の写しを求めております。
 なお、税務署による税務調査のための取引実態の確認と持続化給付金の審査における給付要件の確認を要する方に対する確認とは、その目的が異なるから手段についても異なってくるというふうに考えております。

#212
○清水委員 参議院の方でしたかね、財政金融委員会で麻生財務大臣が、日本の由緒正しきフリーランスはテキ屋だというふうに言われまして、これは給付金の対象とすべきだという発言をされて、実は多くの方々が励まされたという声が私のところにも届いております。
 つまり、出せない書類を出せ出せと言って、それができなければ、対象者であるにもかかわらずいつまでたっても支給されないという状況、これを改善するつもりがないのかということを伺っているわけです。
 長坂副大臣は、いわゆる税務調査の目的と今回の給付金を支給するための書類については目的が違うため異なると言いましたけれども、配付資料の二枚目を御覧ください。
 ここには、税務のルールでは帳簿等の保存義務が事業者に生じておりまして、資料にあるような帳簿や書類を管理しなければならないとなっていますが、そこには請求書とともに領収書や小切手控えなども当然含まれているわけなんです。
 国税庁に確認します。いいですか、国税庁さんに確認します。税務調査で事業実態を調べる際に、銀行振り込み以外は取引として認めていないのか。領収書では偽造の疑いがあるため、例えば、取引の実態はなかったとの判断をするのか。この辺りはいかがですか。

#213
○鑓水政府参考人 お答えいたします。
 一般論として申し上げることになりますが、国税当局が税務調査等を行う際における事業者の取引実態等の認定に当たりましては、必ずしも銀行振り込みの履歴などといった書類の有無のみによって判断するわけではなく、領収書や帳簿書類を含め、これまでの取引慣行など、個々の取引における事実関係に基づきまして適切に判断していく、こういうことになります。

#214
○清水委員 今お聞きいただいたとおりですよ。ですから、個々の取引関係について、領収書等でもしっかりとその取引を確認して、そして、認定基準に達していれば持続化給付金を支給するということは当たり前じゃないですか。
 大臣、領収書では駄目だというその説明、もう一度していただけますか、それとも支給していただけますか。

#215
○長坂副大臣 私どもといたしましては、税務調査の場合は、法律上の調査権限に基づき申告後に税務調査ができるわけでありますが、持続化給付金につきましては、給付後にそのような権限がないために、給付金の支給を判定する入口の段階でしっかりと審査をする必要があるという違いがございます。
 領収書と店舗等で一般的に発行されるレシートは、明確な区別がありません。これをもって事業実態を把握することは困難であるために、領収書は認めておりません。

#216
○清水委員 それは、コロナで苦しんでいる事業者に対して余りにもひどいですよ。
 経産省は、請求書と預金通帳の写しだけではなく、例えば、二〇一八年の確定申告書の写しでも構わないというふうにおっしゃっておられますけれども、うちの事務所に相談に来られる方は、そのような追加資料を求められても、確定申告するかどうか、所得税が発生するかしないかの非常に小規模な事業者が多いわけです。
 先ほども言いましたけれども、請求書と振り込み記載がある通帳などで事業実態が証明できれば構わないと。事務局は、今言いましたように、確定申告書、持続化給付金の、売上げ比、売上げ比較、対象年のですね、前年の確定申告書の提出を求めていますが、しかし、そういう事業者は二〇一八年も売上げが少ないために確定申告をしていない人が大半なんです。
 つまり、二〇一八年分の確定申告書も提出できずにいる。そして、現金商売をやっているために請求書や銀行振り込みの写しもない。だから、再三再四、コロナで営業で売上げが落ち込んで、五〇%以上落ち込んで苦しんでいるにもかかわらず、いまだに支給されないということで苦しんでおられるわけです。
 もう一度、国税庁に確認します。所得税が発生するだけの所得がない場合でも、確定申告をしなければなりませんか。

#217
○鑓水政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘の所得税が発生するだけの所得がない方につきましては、所得税の確定申告義務はございません。

#218
○清水委員 今答弁があったとおりですよ。長坂副大臣、最後はやはり政治的な、私、決断というか判断を求められていると思うんですね。
 確定申告する義務がない、必要がないという小規模な事業者、所得税が発生するかしないかのような事業者、確定申告をしなくても構わないと今答弁がありました。そして、現金商売中心で、領収書はあるが、請求書や銀行振り込み通帳の写しは、資料として出したいけれども、手元にない。こういう事業者が、去年から始まっている新型コロナの不況の下で、いまだに持続化給付金がもらえずに苦しんでいるんです。
 こういう事業者をしゃくし定規にシャットアウトして潰すのではなく、歯を食いしばって頑張っているこれらの事業者に対して、何らかの対応を、最後まで、支給できるように努力するというのが今政治に求められているんじゃないですか。

#219
○長坂副大臣 大変苦しんでいらっしゃる方を救っていく、そして下支えしていくというのは我々の思いでございますが、しかし、その事業実態というのを確認をするために、一部の方には追加で関係書類の提出を御依頼をしているわけであります。
 そして、今お話しのような、短くさせていただきますが、確定申告書が出せないという方は、例えば、住民税の申告書の提出も認められております。所得税が発生するだけの所得がない場合であっても、住民税の申告書を提出していただけるものと考えております。

#220
○清水委員 時間が来ましたけれども、いずれにしても、持続化給付金、家賃支援給付金、まだ未支給の方々がおられます。
 引き続き政府に対応を求めて、私の質問を終わります。

#221
○越智委員長 次に、青山雅幸君。

#222
○青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会、青山雅幸でございます。
 本日も貴重な質問の機会、ありがとうございます。
 早速ですが、質問に入らせていただきます。
 令和二年度第一次、二次、三次補正予算の歳入は、予算の剰余金と、金地金の売払い、これは五千億円もあったようですけれども、あと、地方公共団体からの公共事業費負担金二千二百八億円などを除いて、御承知のとおり、全額赤字国債で賄われているわけです。これに令和三年度予算、これも相当程度の割合が国債で賄われているわけですけれども。合わせると、令和二年度は、本予算通しで国債の発行額は百十二兆円という大変な規模に上るわけです。これは一年度の本予算丸々を国債で賄ったよりまだ多いという超異例な事態だと思っております。結局、実質の増加も九十八兆円と、やはり一年間の国家予算に匹敵するような赤字国債が令和二年度は増えてしまっているということです。
 これは、新型コロナウイルスパンデミックという非常事態への対応として誠にやむを得ないところであるとは思いますが、ただ、日本においてはいろいろ特殊事情がございます。というのは、御承知のとおり、アメリカやEUには明文上の財政ルールというものが厳然として存在しております。ところが、日本は、御承知のとおり、財政規律に関する明文の立法としては、国債の返済方法や剰余金の使い方など非常に技術的なものを除けば、財政法四条ただし書以外には存在しないところでございます。
 ところが、追って当委員会でも審議が始まると思いますけれども、特例公債法、これが成立すれば、少なくとも今後五年間は全く規律がなくなる、そういうちょっと先進国の財政に関する在り方としては異例の事態が再び生じると思っております。
 そういった状況に関して、財政規律に責任を負う立場であられる麻生財務大臣はどういうふうに考えておられるのか、御見解をお聞きしたいと思います。

#223
○麻生国務大臣 今回のこの特例法の改正案というのは、少なくとも、今言われましたように、今後五年間にわたりまして特例公債を発行せざるを得ないという厳しい情勢、いわゆる財政情勢にある等の中で、安定的な財政運営を確保するという観点から、平成二十四年に議員修正によって定められた枠組みというものを引き継いでおります。
 現行法と同様に今後五年間の特例公債の発行根拠を設けるというのがこの法律の基としてありますけれども、議員御指摘の財政規律というものにつきましては、これまでの、現行のいわゆる特例公債法の下で、社会保障関係費の伸びというものを高齢化による増加分に収めるなど、歳出の目安に沿った予算編成というのを行ってきておりますほか、歳入面を見ましても、消費税率の一〇%の引上げに伴いまして、後への財政の負担、ツケ回しはしない、減らすなど、政府としてそれなりに財政健全化に取り組んできたと思っております。
 今後とも、経済の再生と両立を図りつつ、財政健全化というものについて、歳出歳入の両面の改革というものを継続していくということでありまして、特例公債の発行期間を五年延長したからといって、財政規律を直ちに損なうというふうに考えているわけではございません。

#224
○青山(雅)委員 特例公債法に関しては、先ほども申し上げたとおり、追ってまた審議がございますでしょうから、そのときにもまた是非きちんと議論させていただきたいと思いますが、前触れとして少し私の考えを言わせていただければ、当時、この特例公債法が始まって一番最初の頃は、それこそ大臣が総理大臣、その前の状況ですけれども、大変御苦労されたように、ねじれ国会とかそういったことで、いわば、今アメリカでよく繰り返されているような財政の崖、予算が非常に政争に使われるという部分があったので、立法事実として、そういったことがあった時代が直近にあったときにはそれなりの合理性はあったのかなと思いますけれども、御承知のとおり、今、衆参両院とも自公の与党が圧倒的な多数を占めております。そうしますと、立法事実として本当にこれが必要なのかということは、強い疑念がございます。
 これについては特にまだ質問通告もさせていただいておりませんので、また次の機会に譲りたいと思いますけれども、そういった、本当に今このものが必要なのかどうか、そして、こういうルーズなことが習慣化してしまったときに、今の、度々私が問題にさせていただいておりますMMT的な考え方が幅を利かせて、五年間のうちは幾らでも特例公債出し放題なんだというふうな形で誤用されないように、是非、麻生大臣に気を配っていただければと思っております。
 続きまして、いわゆる緊急事態宣言、これを疫学的に言うと、社会的距離制限政策、こういう言い方をしますけれども。
 報道によると、自民党内の方七十三名が十万円一律給付の再支給を提言したい、そういったことをされたということでございます。そして、そういった記事に関して、私は非常に遺憾に思うわけですけれども、麻生大臣が抵抗すると、国民のことを考えていないんじゃないかなどという誤った批判がされている、現下の状況はそういう形だと思っております。
 今の財政状況を見ると、もちろん、政府にそういった余裕があれば、国民の困窮に対してできる限りのことをする、これは当然のことでございますけれども、ただ、その方法が、無限定なばらまき的な給付ができるような状況かどうかというと、やはり財政状況から考えると、そう簡単にこれが容認できるような状況ではないと思います。
 これと異なり、私が非常に問題だと思っておりますのは、優先順位からすれば、国や地方自治体の社会的距離制限政策、簡単に言えば緊急事態宣言、これで経済的損失を受ける方々への補償が当然優先されるべきだ。直接国の政策によって損害を受けているわけですから、こういった方に関して、まずは優先順位として、幅広く普遍的に行う支援策よりも先に行われるべきでないかというふうに考えております。
 今度の特措法の改正においても、政府は、それに伴って営業制限をされた方への財政的な支援に関しては、支援という立場、あくまで支援である、補償ではないという立場を一貫して取っておられますけれども、ただ、名目は支援であっても、実際には補償に近づける努力、これはできるんじゃないかと思っております。
 今後、特に強制力を伴って営業制限がなされる場合、過料ですけれども、名目どおり支援にとどまるのであれば、私は弁護士でもありますので、憲法二十九条三項に違反するとして訴訟が起きたときに、国や地方自治体が敗訴する危険性も十分にあるかなと思っております。これは完全に私見でございますけれども。
 そういった法的問題だけではなくて、例えば銀座あたりに、一等地で非常に大きな面積で、ミシュランで星がつく、そういうような立派な料理店、別にミシュランで星がついているから立派というわけではないですけれども、構えが立派という意味ですけれども、そういったところもあるわけで、今の均等の一律な支援策では、そういったところはちょっとひとたまりもないだろうなと簡単に想像がつくわけです。
 こういった、ある意味いろいろなグレードがございます。政府も例えば五つ星ホテルをもっと造るべきだとかいうような政策をされているのと同じで、レストランとか料理店でも、やはり高級なものがあるとそれなりに海外から富裕層が来る、そういう効果もあると思うんです。そうすると、こういうところもきちんと守っていかなければ、将来の日本の、今のパンデミックが収まったときに、大切な日本の観光の資源が失われるということになると思っております。
 ですから、繰り返しますけれども、法的にも実質的にも、名目はともかくとして、支援をできるだけ実質的な補償に近づけることが政策としては賢明で適切かなと思っておるんですけれども、こういったことに関して、麻生大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

#225
○麻生国務大臣 これは青山先生、今回の緊急事態宣言の中において、これまで一年の間いろいろ経験もさせてもらったり知見も得ましたので、いわゆる飲食店の営業時間の短縮というのを主に中心とした対策を行うことにさせてもらったということなんだと思うんですね。
 緊急事態宣言下において、要請に応じた飲食店等々に対する協力金に関わる国の支援というものの額を引き上げてみたり、飲食店の時短ですかね、時間短縮の営業等々に関わりまして、不要不急の外出をちょいと控えてくださいとか、県外に用もないのにちょっとというような話で自粛の要請というのをさせていただいたんですが、それによって売上げが大幅に減少したという中小企業等々に対して、一時支援金というものを支給するということにさせてもらったんです。例えば県外でありましても、その県外におしぼりを届けているとか、ようじを届けているとか、いろいろありますので。
 そういった取組に加えまして、政策金融公庫を通じまして、実質の無利子とか、それから無担保融資の延長等々、いわゆる無利子の枠を広げさせていただいたりしました。
 そういったものの中から、新分野に展開する事業転換というのをやっていかないかぬということで覚悟を決められたところもありますので、そういったものを支援する事業再編のための再構築の補助金というものも、一兆一千億か二千億か、そういったビジネスモデルというものを転換するに当たって支援する持続化補助金等をやらせていただいて、特別枠を創設するとか優先的に採択するとか、いろいろなことをやらせていただいているところなんですけれども。
 新型コロナウイルスというものの影響を受けて、私どもの余り目につかないところもいっぱいあるんだと思いますので、そういった意味では、事業者をしっかり支援していくということを主に政策投資銀行等々いろいろなところでやらせていただいて、細かいものを含めまして、結構今回は、前回と違って、いろいろ影響を受ける業種等々が分かってきておりますので、そういった形で対応させていただいておるということだと思っております。

#226
○青山(雅)委員 政府が大変有効な政策をいろいろ取られているなとは私も実感しております。
 ただ、このコロナウイルスパンデミック、いつまで続くか正直分からないというところがあるわけで、しかも、ワクチンが著効、そうすればこんなにいいことはないわけですけれども、変異種、変異株の問題もございますし、やはりある程度、もう一、二年続くということも当然想定はしなければいけない。
 そうなると、先ほど言ったように、今の政府の支援策では、例えば超一流のコックさん、料理人が別の事業形態にといっても、これはちょっともったいない話でございますので、是非、実質的な補償、損失を、もしこれからもロックダウンのような政策を取って、得る方がいるとしたら、やはりそこにももう少し気を配っていただくような政策を、次の課題だと思いますけれども、お考えいただければと思っております。
 次の質問に参ります。
 ここ数年は、近未来に対する不確実性が大変に増大してくると思っております。というのは、直下型地震である関東大震災タイプの震災、これを危惧する声というのは結構大きいわけです。
 現実にも、エビデンスとして、この一、二年、関東周辺で小規模な地震がずっと、千葉の方から始まって、ぐるっと東京を回るように起きているわけですね、神奈川の方まで。神奈川では異臭騒ぎも起きていて、これは地殻が割れて地下のメタンが出ているんじゃないかということを指摘する地質学者の方もおられます。GPSによる地殻の動きもやはり心配がされるところですし、また、御承知のとおり、大きい地震には周期説というのがございまして、その周期もやがて来るんじゃないかと言われているところでございます。
 要は、関東大震災の再発、それから南海トラフ、昨日もちょっと大きい地震がそちらの方で、西の方でございました、もちろん東北地方の地震もございましたけれども、こういった不測の事態が起きれば、再び巨額の財政出動が必要となることも十分に予想されます。
 ドイツのメルケル首相は、昨年の十二月五日、危機に対する国の財政力の動員と題する演説をされております。そこで、ドイツの連邦政府のホームページを見ると、二〇二〇年は膨大な資金を使うことができましたし、二〇二一年も同様となるでしょう、これは私たちが近年財政的に良好な状況であったからであり、借金を必要としなかったからです、ですから、現在、ドイツの借金はG7中で最も少ないのですと自信を持って述べておられるわけですね。
 今日午前中も、ドイツが戦後初めて財政出動をしたと大臣がおっしゃっておられましたけれども、残念ながら、ドイツと違って今の日本は、今、メルケルさんの言葉と正反対な状況でありながらも、パンデミックに対するため、無理な財政出動をせざるを得ない状況でございます。
 非常に残念ながら、日本は地理的に災害多発国家である、それから、温暖化で感染症によるパンデミックが以前より多発するということもよく学者の間では言われております。こういうことを考えると、私は、リスク予測も含めて、財政をきちんと均衡に向かわせられるときには向かわせる、そしていざというときに備えるという発想が非常に大事じゃないかと思うんですけれども、こういったことに関して、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

#227
○麻生国務大臣 これは青山先生御指摘のとおり、事前にあらかじめ予測できないというような、自然災害とか感染症とかいろいろあろうかと思いますけれども、いざというときのリスクに備えて、リスクマネジメントという観点から政府の対応余力というものをつくっておく、残しておく、これは極めて重要、私どももそう思います。
 そのために、足下でコロナの影響もあって、財政状況というのは間違いなく悪化しましたけれども、財政運営に対する市場の信認というものが失われないようにしておかないと次のときに対応ができませんので、したがいまして、先人に倣って債務償還等々に対する真摯な姿勢というのはきちんと保ちながら、私どもは経済再生と財政再建の両立というのをきちんとこれからやっていかないかぬというのは大事なところだろうと思っております。
 また、日本の場合は、御存じのように、コロナの発生する以前から、いわゆる労働者人口の減少というか、少子高齢化とか、いろいろな表現はありますけれども、こういった構造的な問題を抱えておりますので、次の世代というものにちゃんと未来をつないでいく義務と責任があろうと思いますので。
 社会保障というものとかいろいろなものが全部重なっておりますけれども、社会保障全般というものを考えますと、これを持続可能性のあるものにしていかないかぬというためには、これはきちんと今のうちに、できるところから、歳出の面でいろいろ、薬価の改定とかいろいろやらせていただいておりますけれども、そういったものを含めまして、歳入歳出両面からこの改革を継続していくという姿勢は極めて大事だ、私もそう思います。

#228
○青山(雅)委員 将来の備え、大変大事ですし、大臣が言われる、社会保障を次の世代に受け渡していく、これは本当に私たちの責任だと思います。
 その意味で、大臣が今、最後の防波堤のような役割を果たしておられることについては、私も本当に心から応援しております。また、社会保障の在り方とか税制の在り方について、是非議論はさせていただきたいと思います。
 今日は時間になりましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

#229
○越智委員長 次に、前原誠司君。

#230
○前原委員 国民民主党の前原でございます。
 まず、日銀総裁、黒田総裁に幾つか質問させていただきたいと思います。
 三月、来月でございますけれども、政策の点検が行われるということが報道されておりますし、また、総裁も言及をされておられます。
 二〇一六年の九月に総括的な検証というのをやられました。あのときは量的緩和からイールドカーブコントロールへと転換をするということをやられたわけでございますけれども、今回の点検というのはそういった総括的な検証ではなく、つまりは金融緩和の大きな流れを変えるとか、金融緩和を続けるにしても、やり方、メニューを変えるとかではなくて、今の大枠、資産買入れ、一部マイナス金利の導入、イールドカーブコントロール、こういうものは維持されるという認識でいいのか。まず、その点についてお答えください。

#231
○黒田参考人 御案内のとおり、前回の金融政策決定会合におきまして、現在のこの長短金利操作付量的・質的金融緩和の枠組みは維持しつつ、二%の物価安定の目標の実現には時間がかかるということが予想されることから、こうした下で、二%を実現する観点から、より効果的で持続的な金融緩和を実施していくための点検を実施するということといたしました。
 そういう意味では、御指摘のとおり、このイールドカーブコントロールとかマイナス金利とか、それ自体を見直すということは考えておりません。あくまでも現在のフレームワークの中で、より効果的でより持続可能な形に運営をしていくということを念頭に点検を進めて、三月の金融政策決定会合においてその点検結果を公表したいというふうに考えております。

#232
○前原委員 あくまでも枠組みは維持するということで、二%の物価上昇、これが困難な状況であるということの中でそれをどうすればいいのかという話なんですが。
 総裁、総裁が着任されてからもうすぐ八年になります。何度も何度も予算委員会やこの財務金融委員会でも議論させていただきましたし、もうなかなか言いたくないという気持ちにこちらまでなるわけでありますけれども、いつになったらこの二%が到達されるのかということを言い続けているわけですね。したがって、二%の物価目標を達成をするためにその枠組みは維持しつつ中身を見直すと言われても、またか、こういう感じを、それは、微妙な操作、違いというものによってビジネスは変わってきますから、市場関係者はかなり固唾をのんで見守っているというふうに思いますけれども、多くの国民からすると、あのときに、黒田バズーカと言われて、異次元の金融緩和だ、二年で二%だということで期待をしながら、総裁も二期目を迎えられて、そして、それでも二%物価目標を達成するんだと言われても、どうやって信用したらいいのかということなんです。
 ネガティブなことばかり言うつもりはありません。つまりは、点検によって何かを見直したことによってこうこうこういう道筋で二%へのより可能性が高まるんだというところをやはり示していただかないと、なかなか国民は納得できないのではないかと思いますが、いかがでございますか。

#233
○黒田参考人 委員の御指摘の点は大変もっともでありまして、私自身、二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するということで様々な金融緩和措置を講じてきたわけですけれども、残念ながらそれが実現されていない、それどころか、足下ではコロナ感染症の影響もありまして消費者物価上昇率がマイナスになってしまっている、政策委員の見通しでも、プラスに転じて少しずつ上昇していくという見通しにはなっておりますけれども、現在の展望レポートの展望のタイムスパンの中で二%に達するという見通しになっていないわけであります。
 そうした意味で、もちろん、点検の場合に、当然、これによってより物価安定の目標に近づけることができるということを明らかにしたいとは思いますけれども、実際問題として、二〇二一年、二年、二〇二三年でもなかなか二%に達するというのは難しいというような状況であることは認めざるを得ないと思います。
 ただ、別に弁解するわけではありませんけれども、量的・質的金融緩和を導入して以降、経済情勢が大分好転したこと自体はお認めいただきたいと思いまして、経済活動が押し上げられて企業収益とか雇用環境が改善して、需給ギャップも二〇一七年にははっきりプラスに転じて、プラス幅も拡大していたわけでありまして、賃金も、委員から常に指摘されているように、なかなか上がらないということはありますが、それでもベアが七年間連続で実現するとか、それから、いわゆるパートの方の賃金が非常に大きく上昇しているということであったわけですが、そこへこの感染症の影響で大分下押しされちゃったということでありまして、そういう意味では、これまでの努力が全く効果がなかったというわけではないと思いますが、ただ、やはり八年かけてもまだ二%が実現されていないということは事実でありますので、それを踏まえて更に一層の努力をしてまいりたいというふうに思っております。

#234
○前原委員 私が申し上げたのは、すぐ二%を実現できる状況か、特に今のコロナ禍においてそれはなかなか難しいのは分かりますけれども、点検をされたことによって、要は、ちゃんと二%という山を登っている、そういうところがちゃんと見えるような説明をしていただきたい。また、そうでなければ、政治も、やはり日銀総裁というお立場も結果が全てですので、そういう意味では、厳しい言い方かもしれませんけれども、ちゃんとそういった、山に登れているという道筋が見えるような説明をちゃんとしていただきたいということをお願いしたわけであります。
 その点検をされる上で、少し懸念事項を我々はお伝えしておかなきゃいけない。もちろん、それを踏まえて、プラス、マイナス、メリット、デメリットがある中で金融政策というのはやっておられると思うんですけれども、やはり、懸念事項をお伝えしておいて、それを踏まえてやっていただかなきゃいけないので、少しお話をしたいと思います。
 一つは、やはり、財政規律が緩んだこと、これは私はあると思います。八年たつと、総裁、ロングスパンでどう変わったかというのがかなり見えやすくなるんですね。
 これは質問通告していませんので分からなかったら結構なんですけれども、総裁の任期期間中、どれだけ国債残高が増えたと思われますか。御存じないですか。
 済みません、質問通告していませんので私がお答えしますと、平成二十四年度末の国債残高は七百六兆円、令和二年度の末は九百三十二兆円ということで、二百二十六兆円増える。令和二年度はまだ迎えていませんので見込みでありますけれども、それだけ増えるということになるんですね。
 つまりは、総裁が着任されてから日本の借金は一・三二倍増えた。全て総裁のせいだということを申し上げるつもりは全くありませんよ。ありませんけれども、我々が常々委員会や国会のあらゆる場で申し上げてきたように、国債の引受けを日銀が行うことによって、財政規律が緩んで、そして借金が増えたということについては、やはりこの政策が原因の一つであるということはお認めになりませんか。

#235
○黒田参考人 いわゆる量的・質的金融緩和ということで、大規模な国債の購入というものを二〇一三年の四月から始めました。それから、御指摘の、二〇一六年九月に総括的検証をして、国債の買入れ額の目標を示すということからイールドカーブコントロールに変えました。そうした下で、例えば十年物国債の目標をゼロ%程度にするということをやってきているわけです。
 そうした中で、国債の買入れというものは、イールドカーブコントロールの下では実際にはかなり減ってはいるんですけれども、いずれにせよ、量的・質的金融緩和の前段階であれ、長短金利操作付量的・質的金融緩和、いわゆるイールドカーブコントロールであれ、いずれも、これはあくまでも金融政策の目的のために、経済と物価を支えるために行っているわけでして、財政ファイナンスということではないというふうに私どもは考えております。
 ただ、そうした下で、確かに国債発行が、そうでない場合と比べると比較的容易にできたということは事実だと思いますが、それはあくまでも金融政策として行っていることであって、財政政策として国債を幾ら発行するかとかいうこと自体は、やはり政府、国会がお決めになることであろうというふうに考えております。

#236
○前原委員 このイールドカーブコントロールが二〇一六年の十月に導入されるまでは八十兆ネットで増という形で来ていまして、それが、おっしゃるように、それ以降は、今も八十兆円ネット増というところは変えておられないんですよね。変えていないけれども、コロナの直前の足下までには十兆円台までネット増が減っているということで、それはおっしゃる部分もあると思うんですが、逆に、先ほどの同僚議員の質問で、今回のコロナ禍においては、国債を発行して、そして財政出動を行っているわけですけれども、途端に、やはりそうなるとまた日銀のネット増の割合が増えていくということで、結果的には関連しているんですね。そういう意味では、借金がしやすいような仕組みになっている。それが目的でないというのは中央銀行のお立場としてはそのとおりだと思いますけれども、先ほど総裁もお認めになったように、やはりそういった部分もあるんだということの中でトータルで考えていただくということが必要なんだろうと思います。
 そして、その上で、これだけ借金が増えていく中で、仮に、幸いにも出口になりましたと。出口になるということは金利が上昇するということなんですが、本当にその二%という目標でいいのか。つまりは、こういう莫大な財政赤字が大きくなっていく中で。
 私、野田政権のときに最後に経済財政担当大臣をやらせていただいて、あのときは、デフレはよくない、デフレはよくないので、物価上昇はプラスの領域で、一%以下のプラスの領域で、中長期の目標として二%というのがあのときの言ってみれば目標だったわけでありますけれども。
 今まで二%と言っていて、では、一%を目標にして、二%は大きな目的ですということになると、これは腰が引けたなというふうに見られるのでなかなかそれは難しいのかもしれませんけれども、やはりこういった財政の言ってみれば赤字の拡大の中で、本当にしゃにむに二%の出口を目指して、本当に出口になったときに元利の返済が膨らんでいく、こういうことを考えたときに、本当にいいのかどうなのかということはお考えですか。

#237
○黒田参考人 もちろん、日本銀行が大規模な金融緩和を行っているのは物価安定の目標を実現するということでありますけれども、まず、二%は、従来から申し上げているとおり、消費者物価指数が実際のインフレ率よりも過大に出てくるという、これは経済学者が既に指摘している点ですけれども、それが第一点、もう一つは、やはり一定の金融政策の余地というものがある方が望ましいということ、そういうことを踏まえて、日本銀行のみならず欧米の主要先進国はほとんど全て二%の物価安定目標というものを掲げているわけですね。そうしたことの結果として、いわば、主要国が皆二%という物価安定目標を掲げて金融政策を行っていることが、間接的に主要国間の通貨、為替レートの安定をもたらしているとも言われているわけです。
 以上のようなことで、二%の物価安定の目標というものは依然として必要であり、これを変えるのは適当でないというふうに思っております。
 その上で、出口については、従来から申し上げているとおり、二%の物価安定目標の実現が目前に迫るというか、はっきり見えてきたというときには、当然、出口について具体的に政策委員会で議論して、その結果をマーケットにも知らせるという必要があると思いますので、そういう時点で、当然のことながら出口のタイミングとか具体的なものについてお示しすることになると思いますが、今の時点は、まだやはり二%の物価安定目標の実現にはかなり遠いわけですので、出口について具体的な議論をするのは適切でないと思いますが、これも委員が前提にされているように、出口というときは必ず二つの要素がありますので、一つは、政策金利、短期金利を上げていくということになるわけですね。そうなりますと、当然のことながら、日本銀行として、当座預金に対する付利がありますので、そのコストが上がっていく、それからもう一つは、資産買入れの額がどうなるかということはその状況次第ではありますけれども、そういった時点で当然長期金利も上がっていくということになりますので、これは、日本銀行の保有している長期国債についてのキャピタルロスになるんじゃないかという議論もあります。これは御承知のように会計上の問題はないんですけれども、政府にとって新規に借り入れる国債の金利が相当高くなるということは事実なんですね。
 ただ、それは、財務大臣を前にして申し上げるのも申し訳ないんですけれども、今は、金融政策の必要性があって長期金利までほとんどゼロにしているわけですけれども、物価安定目標が実現される状況になってくればその必要はないわけですので、当然長期金利は上がっていく、異常な上がり方をするのは好ましくないと思いますけれども、適切に上がっていくわけですね。その結果国債発行のコストが上がっていくというのはこれは当然のことであって、受け入れていただかざるを得ないというふうに思っております。

#238
○前原委員 先ほど主要国は全て二%の物価上昇目標だということをおっしゃいました。ただ、私、この間本会議でも質問をさせていただいたんですが、一九九〇年から比べると、賃金が先進国の中で唯一上がっていないのが日本でして、イタリアも余り上がっていないんですけれども、そして、潜在成長率がだんだんだんだん今下がってきている。労働、資本、それから全要素生産性、特にこのイノベーションですよね、こういったものが落ちてきているということを考えると、他国との比較ということで逆に無理な金融緩和政策になってしまっているということですので、そこは余り私は横並びに考える必要はないのではないかと思っておりますが、それは述べるにとどめたいと思います。
 二つ目のデメリットが、過度な金利低下が金融機関の利益を圧迫して、かえって金融仲介機能の弱体化につながるんじゃないかということなんですね。
 コロナが起きまして、二〇二〇年、去年の十一月十日に政策委員会で、地域金融強化のための特別当座預金制度というものを導入を決められました。これは、金融システムの安定確保のために、地域経済を支えながら経営基盤の強化に取り組んだ地域金融機関には、日銀当座預金残高に〇・一%の上乗せ金利を付与する、三年間の時限措置でございますけれども、こういうことなんですね。
 これは、地域金融機関の再編を促すという面もあると思いますけれども、同じく補完当座預金制度の付利を利用するマイナス金利政策の間で矛盾が生じている、こういった指摘もあるわけです。
 このように、マイナス付利とプラス付利が混在し相殺するというのは極めて分かりにくい。金融機関の体力を奪っているマイナス金利政策を、これは時限三年ということでありますので、やはり見直すということ、私はこれが必要だと思いますが、総裁のお考えを聞かせていただきたいと思います。

#239
○黒田参考人 まず、マイナス金利のことにつきましては、やはり、イールドカーブの起点を引き下げることによってイールドカーブ全体を引き下げるということが可能になっておりまして、全ての日銀当座預金にマイナス〇・一%かかっているわけではなくて、相当部分には〇%で、それから、かつての〇・一%かけていたものについてはずっと〇・一%かけている、ですから、元々金融政策の観点からやっている中でも、プラス〇・一%、〇、マイナス〇・一%とあって、しかも、限界的にこのマイナス〇・一%というところが非常に効いて、マーケットでも短期金利はマイナス〇・一%程度で安定しているわけですね。
 だから、そういう意味では、現在のマイナス金利政策は、短期金利をマイナス〇・一%程度で安定させると同時に、長期金利まで含めて低位にするという効果があるということは事実だと思います。
 ただ、御指摘のように、金融機関の金融仲介活動への影響が指摘されるということはそのとおりでありまして、我々もその点はよく承知をしております。
 そういったこともあってイールドカーブコントロールを入れたわけですけれども、現時点では少なくとも金融機関は充実した資本基盤を備えておりまして、金融仲介機能も円滑に発揮されてはいるんですけれども、やはり、金融機関の収益の下押しが長期化すると、いずれかの時点で金融仲介が停滞方向に向かうというリスクがあるということは承知しておりまして、先ほど来申し上げているように、こうしたリスクは現時点では大きいとは思っておりませんが、やはり、先行きの動向には十分注視していく必要がある。それとともに、今回の特別預金制度というのは、金融政策の観点から、短期金利をマイナス〇・一%程度で安定させイールドカーブ全体を下げるというものを阻害しようという気は全くなくて、あくまでも金融システムの安定確保という点から、金融機関に対して、合理化をし、さらには新しい金融ビジネスをすることによって、特に地域金融機関に対する下押し圧力が強いわけですので、地域金融機関が引き続き様々な形で地域経済に貢献できるように、いろいろな努力をされる場合にその地域金融機関にプラス〇・一%の金利をつけ加えるということでありますので、これは、金融政策、いわゆるマイナス金利政策を否定するとか変えるとかそういうことではなくて、構造的な要因もありますし、確かに低金利環境が続いたということもありますし、地域金融機関は現時点では十分な資本を持っているんですけれども、このままずっと行った場合には金融仲介機能にマイナスの影響が出てくるおそれがありますので、その点には十分一方で配意しつつ、他方で今のような特別な金融システムの安定のための措置を、金融庁もいろいろなことを考えておられますけれども、我々日本銀行としても考えてやっていきたいというふうに思っております。

#240
○前原委員 最後の懸念は、これはよく言われているようにETFなんですね。これだけ、今、時価総額で五十兆円ぐらいのETFを保有しているんじゃないかということを言われているわけです。
 二〇一六年のあの量的緩和からイールドカーブコントロールに変えられる前に、やいやいやいやい、これはいつまで国債を買うんだ、そしてナマズが池で暴れているとかいろいろなことを言われて、今やはりETFに相当関心が集まっているのは間違いないというふうに思います。
 総裁のお立場に立つと、じゃ、今の十二兆円をすぐに変えますということは多分言いにくいんだと思いますけれども、先ほどの量的緩和のネット増八十兆円もいまだに残しているわけですよね。残している中で、しかしながら、足下を見たら結局十兆円ぐらいまで減っていた、まあ今はちょっとコロナでまた三十兆ぐらいまで増えていますけれども、減っていたという形で、うまく、例えば、イールドカーブコントロールの機能強化というようなことに軸足を置いて、そして、資産買入れ、ETFなんかの買入れを続けなくてもいいようなことに、実質的に、要は軸足を変えるというふうに、私はあの二〇一六年のような形にされるべきだと思うんですけれども、そういったお考えはありませんか。

#241
○黒田参考人 このETFの買入れにつきましては、様々な問題が指摘されていることは、私ども十分承知いたしております。
 ただ、リスクプレミアムに働きかけて、金融市場の不安定な動きが企業や家計のコンフィデンスの悪化につながることを防止するという意味では、経済や物価にプラスの影響を及ぼしているというふうに考えておりまして、特に、御承知のように、昨年の春、感染症の影響によって市場が非常に大きく不安定化した際に、ETF買入れを増額して、市場の不安定な動きを緩和する効果があったというふうに考えております。
 現時点ではETFの買入れ自体も大分少なくなっておりますけれども、今の時点でこのETFの買入れをやめるとか、それから、何か恒常的に物すごく下げるとか、そういう考えは持っておりません。
 ただ、ETFの買入れについては、市場機能への影響とか様々な点が指摘されておりますので、今回の点検の中で、具体的にどのようなことができるか検討してまいりたいというふうに考えております。

#242
○前原委員 国債は減りますけれども、時間がたてば。ETFは減らないんですよ。ですから、そこは本当にうまく、今おっしゃったように点検の中で、イールドカーブコントロールの強化なのか分かりませんが、是非、ETFを余り日銀が買い占めないように、見直していただきたいということを申し上げたいと思います。
 最後に財務大臣にお伺いしたいと思いますけれども、このコロナ禍におきまして、雇用調整助成金とかそれから無利子無担保の融資を一生懸命やっていただいて、それが雇用を支えたり企業を支えているということは、大変これは私は大事なことだというふうに思うんですけれども、少しリスクマネジメントの中で財務大臣にお伺いしたいのは、東京オリンピックがなくなった場合。仮にですよ、今は一生懸命やろうということで努力されている。
 東京オリンピックが前提で、例えばホテルがたくさん建てられているとか、あるいはそれに向かっていろいろなビジネスをされてきた方はたくさんおられると思うんですね。一年延びました。しかし、なかなかコロナが収まらない、これは日本だけじゃなくて世界全体も。
 そうなったときに、特に、観光関連、ホテル、不動産、こういったものに対するリスクマネジメントとして、なくなったときに、私は、かなりいわゆる需給のバランスが崩れる、下落圧力が高まる可能性がある、こう思っているわけでありますが、そういったリスクについて、もちろん、東京オリンピックをやるんだ、やるべきだということは前提としながら、ただ、やはりそういう、大地震もいつ起こるか分かりません、そして、何が起こったときにも日本の経済というものをちゃんと安定させなきゃいけないという観点で、どのようにそういった点をリスクマネジメントとしてお考えになるか、お答えいただけますか。

#243
○麻生国務大臣 これは、オリンピックがないという前提などというのに対して答弁する気なんぞは全く今はないんですけれども、いろいろな話の一つとして、いろいろな意味で私どもとしては考えておかないかぬのだと思いますけれども。
 実体経済として見ますと、この間、一二・七%というのは、この十―十二で出たのがありますけれども、年率換算すると、四・何%ということになりますので。そういった意味では、実体経済というものに関しましては、厳しい状況にありますけれども、間違いなく、GDP等々は上がってきているというのはもう間違いない事実だと思いますので。
 足下で、コロナも、一月七日、東京で二千四百人、あれが、一月七日は木曜日だったと思うんですが、この一週間ずつ見ていれば木曜日が一番高いというのは毎週そうなっていますので、先週の木曜がそれがついに五百というところまで二千四百から下がってきておりますので、そういった意味では、感染症というのは、新聞を見ていれば毎日増えているような感じですけれども、実態は減ってきておりますので。
 そういった意味で、三次にわたる補正予算の効果もありましたので、少なくとも、リーマン・ショックのとき担当したこともあるのであれと比べちゃうんですが、どうしても、倒産件数はあの頃七千件ぐらい、今回は四千件ぐらいかな、それから、失業率は五・九ぐらいだったと思いますが、今は二・九とか八とかということまでなってきておりますし、いろいろな意味でそれなりの効果というものが、これだけどそっと国債を発行してやっておりますので。
 そういったことをやっておりますので、今、気分という転換でいきますと、金が出て十万円もらっても、その十万円が消費に回らないで、貯金が三か月で二十兆ぐらい増えたりしておりますので、なかなか消費に回らないところが一番難しいところだと思っておりますけれども、今言われましたようにオリンピックがなくなったとしても、コロナは一応収束しておると、私どもは今よりははるかにいい状況になっていると思っていますので、気分的にも変わってきますので。
 そういった意味では、今よりは間違いなく、今の十―十二の数字やらを見ましてもそういった形になってきておりますから、一―三、四―六とそういったものが上がってくるので、そういったものが変わってこないと、幾ら金を突っ込んで何をやっても、消費という、GDPの中に占める七〇%を超える比率の部分が増えてこないとなかなかそういったものが出てこないというところが最大の問題で、オリンピックというのは、その意味では、確かに気分が変わるという意味では非常に大きな要素なんだと私どもは期待をしておりますけれども、そういったものを除いた場合はどうかという点も我々も考えながらやっていかないかぬものだと思っております。

#244
○前原委員 リスクマネジメントをしっかり考えていただいて対応していただきたいということと、厚生労働副大臣、お出ましいただきながら質問できなかったことをおわび申し上げて、質問を終わります。
 ありがとうございました。

#245
○越智委員長 以上で、大臣の所信に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――

#246
○越智委員長 次に、内閣提出、所得税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 趣旨の説明を聴取いたします。財務大臣麻生太郎君。
    ―――――――――――――
 所得税法等の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――

#247
○麻生国務大臣 ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 政府は、ポストコロナに向けた経済構造の転換及び好循環の実現、家計の暮らしと民需の下支え等の観点から、国税に関し、所要の改正を一体として行うため、本法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして、御説明申し上げます。
 第一に、ポストコロナに向けた経済構造の転換及び好循環の実現を図るため、デジタルトランスフォーメーション及びカーボンニュートラルに向けた投資を促進する措置を創設するとともに、認定事業適応法人の欠損金の損金算入の特例を設けることといたしております。また、中小企業の経営資源の集約化による事業再構築等を促すための準備金制度の創設等を行うこととしております。
 第二に、家計の暮らしと民需を下支えするため、住宅ローン控除制度の特例の延長等を行うこととしております。
 このほか、土地の売買等に係る登録免許税の特例等について、その適用期限の延長や整理合理化等を行うことといたしております。
 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。

#248
○越智委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時五十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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