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2021/02/17 第204回国会 参議院 第204回国会 参議院 資源エネルギーに関する調査会 第2号 令和3年2月17日
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2021/02/17 第204回国会 参議院

第204回国会 参議院 資源エネルギーに関する調査会 第2号 令和3年2月17日

#1
令和三年二月十七日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 二月十日
    辞任         補欠選任
     小沢 雅仁君     森屋  隆君
 二月十二日
    辞任         補欠選任
     そのだ修光君     阿達 雅志君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         宮沢 洋一君
    理 事
                滝波 宏文君
                三浦  靖君
                宮崎 雅夫君
                青木  愛君
                河野 義博君
                梅村  聡君
                田村 まみ君
                山添  拓君
    委 員
                阿達 雅志君
                こやり隆史君
                自見はなこ君
                高階恵美子君
                高野光二郎君
                高橋はるみ君
                藤木 眞也君
                宮島 喜文君
                岸 真紀子君
                塩村あやか君
                森屋  隆君
                竹内 真二君
                新妻 秀規君
                音喜多 駿君
                舟山 康江君
                市田 忠義君
   大臣政務官
       文部科学大臣政
       務官       三谷 英弘君
       経済産業大臣政
       務官       宗清 皇一君
   政府特別補佐人
       原子力規制委員
       会委員長     更田 豊志君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        亀澤 宏徳君
   政府参考人
       文部科学省大臣
       官房審議官    堀内 義規君
       経済産業省大臣
       官房原子力事故
       災害対処審議官  新川 達也君
       経済産業省大臣
       官房審議官    岩城 宏幸君
       資源エネルギー
       庁長官      保坂  伸君
       資源エネルギー
       庁電力・ガス事
       業部長      松山 泰浩君
       環境省大臣官房
       審議官      白石 隆夫君
       環境省環境再生
       ・資源循環局長  森山 誠二君
       原子力規制委員
       会原子力規制庁
       次長       片山  啓君
       原子力規制委員
       会原子力規制庁
       長官官房核物質
       ・放射線総括審
       議官       山田 知穂君
       原子力規制委員
       会原子力規制庁
       長官官房審議官  金子 修一君
   参考人
       東京電力ホール
       ディングス株式
       会社代表執行役
       副社長      文挾 誠一君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○原子力等エネルギー・資源に関する調査
 (「原子力問題に関する件」のうち、原子力規
 制委員会の活動状況)
 (原子力問題に関する件)
    ─────────────

#2
○会長(宮沢洋一君) ただいまから資源エネルギーに関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、小沢雅仁君及びそのだ修光君が委員を辞任され、その補欠として森屋隆君及び阿達雅志君が選任されました。
    ─────────────

#3
○会長(宮沢洋一君) 原子力等エネルギー・資源に関する調査を議題といたします。
 まず、「原子力問題に関する件」のうち、「原子力規制委員会の活動状況」について、原子力規制委員会委員長から説明を聴取いたします。更田原子力規制委員会委員長。

#4
○政府特別補佐人(更田豊志君) 原子力規制委員会委員長の更田豊志でございます。
 参議院資源エネルギーに関する調査会における御審議に先立ち、原子力規制委員会の業務について御説明申し上げます。
 原子力規制委員会は、原子力に対する確かな規制を通じて、人と環境を守るという使命を果たすため、様々な課題に取り組んでおります。
 まず第一に、原子力施設等に係る規制の厳正かつ適切な実施について申し上げます。
 東京電力福島第一原子力発電所の事故の教訓を踏まえ強化した規制基準への適合性審査については、これまで、発電用原子炉について十一の事業者から二十七基の原子炉に係る申請が、核燃料施設等について九つの事業者から二十一の施設に係る申請がなされております。
 このうち、発電用原子炉については、令和二年二月二十六日の東北電力女川原子力発電所二号炉に対するものを含め、これまでに計十六基に対して設置変更許可を行いました。また、核燃料施設等については、核燃料物質の加工施設、使用済燃料の貯蔵施設と再処理施設、及び廃棄物管理施設に対して、これまでに十件の事業変更許可を行うとともに、試験研究炉に対して、これまでに二件の設置変更承認及び五件の設置変更許可を行いました。
 発電用原子炉の運転期間延長については、これまでに関西電力高浜発電所一号炉及び二号炉、美浜発電所三号炉並びに日本原子力発電東海第二発電所の計四基に対して認可を行いました。
 発電用原子炉の廃止措置計画については、これまで計十四基に対して認可を行いました。このほか、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」を始め計五件に対しても、廃止措置計画の認可を行いました。
 また、平成二十九年に改正された原子炉等規制法に基づき、昨年四月から、新たな検査制度の運用を開始し、事業者のあらゆる安全活動について監視を行っています。東京電力柏崎刈羽原子力発電所におけるIDカード不正使用の事案については、規制の関与の下で改善を図るべき案件であると評価し、再発防止策が確実に、かつ継続的に行われているかについて、今後追加の原子力規制検査を行うことにより事業者を監視、指導してまいります。また、これ以外にも、原子力施設等で事故トラブルが発生した場合は、速やかな状況確認などを通じて、今後とも引き続き適切に対処してまいります。
 以上のとおり、原子力施設等に関する審査、検査を順次進めております。
 規制基準については、安全研究等により得られた最新の科学的、技術的知見、新規制基準に係る適合性審査の実績等を踏まえて、高エネルギーアーク損傷対策、降下火砕物対策、火災防護対策等に係る改正を行い、継続的に改善を図っております。
 第二に、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向けた取組の監視等について申し上げます。
 原子力規制委員会は、東京電力福島第一原子力発電所の安全な廃炉や汚染水対策の実施に向け、規制当局としての立場から積極的な監視を行っており、安全かつ着実に廃炉作業が進むよう、実施計画の審査などに当たっております。
 引き続き、処理した水の処分や使用済燃料プールからの燃料の取り出し等の対策が適切に行われるよう、監視、指導を行ってまいります。
 また、同発電所の事故調査については、一昨年九月より、廃炉作業を進める東京電力や関係省庁等との調整、連携の下、現場の実情の確認作業や公開の会合で放射性物質等の放出又は漏えい経路、原子炉建屋における水素爆発の詳細分析等について検討を重ねてきました。現在、その中間取りまとめの案につきまして、広く意見募集を行っております。いただきました御意見も踏まえ取りまとめを行うとともに、今後とも継続的な調査、分析を進めてまいります。
 第三に、原子力災害対策及び放射線モニタリングの充実並びに保障措置について申し上げます。
 原子力規制委員会では、昨年十月に原子力災害対策指針を改定し、特定重大事故等対処施設の運用開始を見据えて緊急時活動レベルを見直したほか、基幹高度被ばく医療支援センターの機能強化により、原子力災害時における医療体制の着実な整備を進める等、原子力災害対策の充実を図っております。
 放射線モニタリングについては、原子力規制事務所におけるモニタリング担当職員の配置及びモニタリング資機材の配備等により、緊急時モニタリング体制の充実を図っております。また、関係省庁及び関係機関と連携して、東京電力福島第一原子力発電所事故に係る状況に応じた環境放射線モニタリングを継続するとともに、モニタリング結果について、国内外への情報発信にも努めています。
 また、国際約束に基づく国内の原子力施設に対する厳格な保障措置の適用により、国内全ての核物質が平和的活動にとどまっているとの評価を継続して国際原子力機関、IAEAより得ております。
 以上、原子力規制委員会の業務について御説明いたしました。
 本年三月十一日で、東京電力福島第一原子力発電所事故の発生から十年となります。原子力規制委員会は、あのような事故は二度と起こさないという決意の下、与えられた職責を踏まえ、原子力利用の安全が確実に担保されるよう、また、我が国の原子力規制に対する信頼が回復されるよう、今後とも努力してまいります。何とぞよろしくお願い申し上げます。

#5
○会長(宮沢洋一君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 次に、原子力問題に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#6
○滝波宏文君 自民党、福井県選出の滝波宏文です。
 三・一一東日本大震災からちょうど、来月で三・一一からちょうど十年になります。その節目に当たり、当調査会において質問の機会をいただきましたこと、会長、理事、委員の先生方に感謝申し上げます。
 三・一一は、国家の危機であったことはもちろん、私個人としても、役人から政治の世界に飛び込むきっかけの一つであった一大事でありました。私が生まれ育ったふるさとであり地元である福井県は、今でも日本最多の原子力発電所を抱える立地県でありまして、我が国のエネルギー政策は全く他人事にできない土地柄です。そのエネルギー政策が三・一一で国民的議論の荒波に入っていく。大蔵省、財務省の役人だった私は、それまでエネルギー政策に携わったことはありませんでしたが、我がふるさとに大きく関わり、国民生活、産業社会、経済の基盤となる電力等につき、現実的で責任あるエネルギー政策を確立せねばならないと、この世界に飛び込んだわけであります。
 固定価格買取り制度、FITや電力システム改革は私が議員になる前に決定していたことでありますが、第四次エネルギー基本計画、そしてエネルギーミックスは議員になってから決定したものであります。エネルギー基本計画は第五次を経て、今年、いよいよ第六次エネ基を作る年になるわけであります。
 その節目の年の初め、大変憂慮すべきことが起きました。北陸、東北地方では、豪雪までもたらした寒波の到来等により電力需給がぎりぎりまで逼迫したのです。これは、三年前の北海道ブラックアウト、全域停電に匹敵する大事件であって、論点としてはそれ以上に多くの課題を含んでいると思います。すなわち、北海道ブラックアウトは、地震、そして送電線断絶に伴う石炭火力、水力、風力の各発電所の停止によるものでした。災害と発電及び送電線という供給側の問題であったわけであります。
 これに対し、この年初の電力需給逼迫は、雪等、悪天候による太陽光の発電大幅低下だけでなく、そのバックアップに必要な調整力である火力の燃料不足、とりわけ、気化する性質上、長期備蓄の難しいLNGが在庫残り一週間まで底をつき、比較的CO2を出さないと期待されているそのLNG価格が高騰、コロナ、緊急事態の巣ごもりと寒波での需給増と相まって電力のスポット価格も急騰し、電力自由化の観点からは本来そぐわない価格上限を緊急導入して送配電会社に逸失利益という負担を生じさせるなど、資源確保、需要側の問題、そして自由化を含めた電力システム改革の弱点露呈等々と、多岐にわたる課題を三・一一後のエネルギー政策に突き付けています。
 北海道のブラックアウトへの対応は昨年のエネルギー強靱化をうたった法改正で行ったわけでありますが、今度はより広範に、供給面以外を含めたもう一段高い我が国のエネルギーシステムのレジリエンス、強靱化が求められていると思います。
 すなわち、カーボンニュートラルの1Eだけではない3EプラスS全体のアップグレードがこの第六次エネルギー基本計画に必要だというふうに考えておりますが、今回の需給逼迫について、エネ庁長官から、経緯はもう省略して結構ですので、受け止め、所感と、今後、第六次エネ基でどう対応していく方針かを簡潔にお答えください。

#7
○政府参考人(保坂伸君) お答え申し上げます。
 今回の電力需給逼迫の背景は、御指摘のように、断続的な厳しい寒波による電力需要の大幅な増加、LNGの在庫の減少による火力発電の稼働抑制などの要因が重なったものと考えております。
 資源が乏しく周囲を海で囲まれた我が国におきまして、安全性、安定供給、経済性、環境適合性、今御指摘のSプラス3Eの全てを満たす単一の完璧なエネルギー源がない足下の状況におきましては、レジリエンスの観点からも多様なエネルギー源をバランスよく活用することが重要であると再認識をしたところでございます。
 今回の需給逼迫では現場の御尽力もあって安定供給を確保できたところでございますが、今後の電力の安定供給や市場制度のあるべき姿を達成すべく包括的な検証を実施し、必要な制度的な対応についてしっかりと検討してまいります。
 加えまして、二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向けましては、再エネの最大限の導入はもちろんのことでございますが、原子力を含めあらゆる脱炭素化の選択肢を追求してまいりますが、同時に安価な電力の安定供給を確保することは大前提だと認識してございます。
 強靱なエネルギー供給体制を構築し、経済と環境の好循環を実現するため、安定した電源への投資確保を促すための制度整備などについて、エネルギー基本計画の改定に向けて集中的に議論し、結論を出していきたいと考えております。

#8
○滝波宏文君 ありがとうございます。
 今般の電力需給逼迫については、一月十五日に福井県大飯四号機が運転再開したことで一服したようにも見えますし、また、北海道ブラックアウトは、泊原子力発電所が動いていたなら回避できたとの話もよく聞きます。
 両事件は資源の乏しい島国の日本にとって、今お話ありましたように、様々なエネルギー源をバランスよく活用していくことの大事さを改めて明らかにしております。とりわけ原子力、天候に左右されず安定的に稼働できる準国産エネルギー源として、運転時に温室効果ガスも排出しないベースロード電源である原子力の重要性を両事件はハイライトしていると思われます。
 菅政権が二〇五〇年カーボンニュートラル目標を打ち出す中、今回の電力不足も示すように、再エネの導入にも限界があり、やはり電力の安定、安価な供給と脱炭素化を同時に実現させるためには、提言と一緒の玉虫色ではなく、新増設、リプレースの検討も含め、原子力の活用にしっかりとかじを切るべきときと考えますが、エネ庁長官の見解を伺います。

#9
○政府参考人(保坂伸君) 二〇五〇年カーボンニュートラルに向けましては、温室効果ガス排出の八割以上を占めるエネルギー分野の取組が特に重要でございます。他方で、カーボンニュートラルは簡単なことではございませんで、日本の総力を挙げての取組が必要と認識してございます。
 このため、再生可能エネルギーはもちろん、安全性が確認された原子力を含め、使えるものは最大限活用し、水素、アンモニアなど新たな選択肢も追求していくというのが政府の基本的な考えでございます。もちろん、カーボンニュートラルを目指すエネルギー政策を検討していくに当たりましては、各エネルギー源の強み、弱みを十分に考慮していくことが必要でございます。
 先月に電力需給が逼迫する事態が生じ、検証作業を進めているところでございますけれども、天候に左右されず安定的に稼働できる準国産エネルギー源といった特性を持つ原子力につきましては、こうした状況でも安定供給を支える脱炭素電源として強みを発揮できるのではないかと考えております。
 その上で、現在エネルギー基本計画の見直しに向け審議会において議論を行っているところでございますけれども、様々な御意見に耳を傾けながら、原子力の在り方を含め、結論ありきではなく議論を進めていきたいと考えております。

#10
○滝波宏文君 ありがとうございます。
 こういう話をしますと、いわゆる脱原発派の方々から原子力は安全じゃないという御意見が出るわけでありますが、立地県を地元とする者として申し上げたいのは、その安全とは一体誰の安全なのかということであります。
 三・一一で避難計画対象地域が半径約三十キロに広がったことは評価しますが、その中でも、原子力のリスクは一義的に足下の立地自治体地域にこそ掛かっています。この発電所足下の皆様の安全こそ、何より確保すべきことではないでしょうか。そして、それは脱原発あるいは原子力推進との立場に関わらないはずであります。
 ちょっと資料の順番が前後して恐縮ですが、一番最後の六、資料六を見てください。
 これは私が以前から国会での場を含め申し上げていることを図式化したものです。原子力は一次元ではなくて二次元で考えるべきだというものでありますけれども、大都会を始めとする消費地への安定、安価な電力の供給のために、立地の皆さんの抱えるリスクを他人事とせず自分事として捉え、そのリスクの軽減等のために立地に寄り添うこと、これは、原子力推進対脱原発というこの図である横軸とは別に存在します。すなわち縦軸にあるはずだと私は思います。
 例えば、福島第一発電所で停止中の炉も事故を起こしたように、運転中でなくてもそこにリスクがあることを考えれば、今原子力施設がある以上、立地地域の全てでいざというときの避難道整備、これは立地に寄り添うために国を挙げて行わねばならないことであります。
 そのために原子力立地特措法の延長法案が今、国会に提出されておりますので、これ以上の避難道の議論は同法案の審議の際に行いますが、原子力の安全性を重視される方には、是非、その御主張がこの縦軸、立地に寄り添うものにならなければ実質的な意味を成さない、議論がずれているというふうに御理解いただきたいと思います。私自身、発電所の足下とまでは言えませんが、それだけに、立地県全体を代表する議員としてのお願いであります。
 そこで、規制委員長に問います。三・一一後設立された規制委員会の長年の業務の結果として、原子力発電所足下の立地の皆様のリスクはどれくらい下がったのか。まさか何も言えないことではありますまい。例えば炉心損傷確率は三・一一前に比べてどうなっているのか。規制委員会無用論を招かない答弁をお願いいたします。

#11
○政府特別補佐人(更田豊志君) 原子力規制委員会は、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえ、新たな規制基準を策定し、基準への適合性について厳格に審査を進めているところでございます。新規制基準に適合した原子力発電所について言えば、東京電力福島第一原子力発電所事故相当の事故が発生する可能性は低く抑えられているものと考えております。
 一方で、リスクは決してゼロにはならないとの認識の下、残されたリスクを低減させる活動に規制当局と事業者の双方が継続的に取り組むことが重要であると考えております。

#12
○滝波宏文君 ゼロリスクはあり得ないと、常にそこにリスクがあることをきちんと捉えて、〇・一でも下げていく、不断の努力が必要だ、そういう部分は正しいと思いますが、やはりちょっと答えにもう少し踏み込んでいただきたいなという思いもあります。
 資料の五を御覧ください。
 これは政府の総合資源エネルギー調査会の資料から取ってきたものですが、例として高浜三号機の安全性向上評価書であります。事故発生原因、レベルによってそれぞれ数字は違いますが、三・一一前に比べて少なくとも三分の一、著しい改善では千分の一にリスクが下がっていることが見て取れます。
 これは、事業者の自主的努力も加わっていますけれども、当然、規制委員会の安全性向上に向けた業務の結果でもあるというふうに考えております。その分、立地住民のリスクは確実に軽減されているわけでありまして、規制委員会にも先ほど言った立地に寄り添う心でしっかり仕事をしていただくことを改めてお願いいたします。
 続けまして、二〇五〇年という長期目標、カーボンニュートラルというものがございますが、この取組も重要なわけでありますけれども、その手前にある二〇三〇年においても、3EプラスS、すなわち安全性を前提に、経済性、環境性、エネルギー安全保障を同時達成していくことが重要だと思います。そのためには、地元福井県の美浜発電所や高浜発電所といった四十年超えの運転が求められているのではないでしょうか。
 国として明確なメッセージを立地に伝えるためにも、エネルギー政策上の四十年超えの運転の必要性について、エネ庁長官の見解を伺います。

#13
○政府参考人(保坂伸君) 委員御指摘のとおり、世界各国では温暖化対策等の観点から原子力発電所の長期運転の具体的な取組が進められておりまして、例えば、イギリスやフランスなどでは四十年超運転が進められ、さらに、アメリカでは六十年超運転に向けて四基の原子力発電所の認可が出されているほか、八十年超運転に向けた検討も開始されているものと認識してございます。
 また、国際機関におきましても、例えばIEAのファティ・ビロル事務局長は、原子力発電所の運転延長は費用対効果の高い方策であるだけでなく、気候変動目標を維持することにつながる、今日これらは最も緊急性のある政策課題であると述べているところでございます。さらに、二〇二〇年十二月のIEAとOECD・NEAの合同報告書では、原子力発電所の運転延長は最も安価な低炭素電源であるとされているところでございます。
 こうした中で、日本でございますけれども、もちろん安全確保は大前提でございますが、安定供給や経済効率性、環境適合の観点から、我が国としても原子力発電所の長期利用を進めていくことが重要であると考えております。四十年を超える原子力発電所を含め、着実に再稼働を進めていきたいと考えております。

#14
○滝波宏文君 我が国のエネルギー政策の観点からも、四十年超え運転、これをしっかり進めていくことが不可欠というふうな認識かと思います。
 その上で、立地自治体地域の皆様の不安を払拭するために、運転期間が四十年を超える原子力発電所の安全性について、科学的、技術的な見地から規制委員会が具体的にどのように安全を確認しているかも含め、丁寧に説明をいただくことが必要であります。規制委員長の答弁を求めます。

#15
○政府特別補佐人(更田豊志君) 運転期間を四十年とする定めについては、科学的、技術的な評価を行うタイミングを特定しているものというふうに認識をしております。
 また、この運転期間延長の審査においては、審査時点で新規制基準に適合していることを前提として、これに加えて、運転に伴い生じた設備の劣化状況を詳細に把握するための特別点検の結果、その点検結果を踏まえた延長しようとする期間における設備の健全性評価の結果、その評価結果を踏まえて策定された長期施設管理方針、これらの提出を受けて、延長しようとする期間の基準適合性が維持されるかという観点で確認をしております。

#16
○滝波宏文君 なかなかお経のような回答だったような気がしますが、四十年未満であっても四十年超えであってもしっかりと安全が確保されているというふうに理解しました。
 御案内のとおり、私の地元福井県高浜町そして美浜町が、国内初となる四十年超えの高浜一、二号機及び美浜三号機の再稼働に同意しました。今後福井県の同意が必要でありますが、これらが無事に再稼働できるかは、今後全国で相次ぐ四十年超え運転に向けた試金石となります。
 そんな中で、福井県の杉本知事は、四十年超え再稼働の議論の前提として、使用済燃料の中間貯蔵について県外施設の提示を条件に求めました。本来、四十年超え運転と中間貯蔵は別物だというふうな思いがエネ庁にはあるのだろうと思いますが、地元福井県では現にリンクしてしまっています。
 先週金曜日に、福井県へ関電から、青森県むつ市の中間貯蔵施設の共用案が候補として示され、二〇二三年末までに県外中間貯蔵地を確定させる、できない場合には高浜、美浜の四十年超え運転は行わないという報告がありました。しかし、県民からは、単なる先送りではないのか、福井県は何を得たのかというふうな疑問の声も聞こえてきます。一方、むつ市長は、共用化を認めた事実はないと反発をしております。
 問題解決に向けて、ここは国が一層汗をかかなければならない状況だと私は思います。何よりも、立地同士、青森と福井同士が対立構造のようになってしまうのはあってはならないことだし、とても悲しいことだと思います。本来は、この問題は、使用済燃料というごみを出した大都会を始めとする消費地と立地地域との問題のはずです。リスクを負いながら安定、安価な電力を供給してきた立地地域が、消費地そして国から十分に感謝され、報われ、誇りを持つことができなければ、我が国のエネルギー政策は立ち行きません。
 ついては、本件についての政府の対処方針及びより一段汗をかく覚悟をエネ庁長官に伺います。

#17
○政府参考人(保坂伸君) 使用済燃料の福井県におけます県外貯蔵施設の確保という点につきましてお答えを申し上げます。
 先週十二日金曜日に、関西電力森本社長及び私から福井県杉本知事に対しまして、使用済燃料の福井県外での貯蔵に向けた取組の状況を報告いたしました。その際、関西電力の社長からは、使用済燃料の県外搬出に向けて、ほかの地点も含めてあらゆる可能性を追求し、二〇二三年末までに地点を確定するべく不退転の覚悟で取り組むとの決意の表明があったところでございます。
 二〇二三年末までの福井県外の中間貯蔵施設の計画地点の確定につきましては、今後事業者が作成する使用済燃料対策推進計画にその期限を適切に反映させるとともに、使用済燃料対策推進協議会等の場におきまして、それに向けた取組の状況をしっかりと確認していく考えでございます。
 杉本知事は、貯蔵容量が逼迫しつつある使用済燃料の問題につきまして、全国的な課題であり、国としてしっかりと責任を持って課題の解決に取り組んでほしいとおっしゃっているものと承知してございます。
 国といたしましては、こうした地元の思いをしっかりと受け止めまして、エネルギー基本計画に基づき、使用済燃料対策の政策当事者として、二〇二三年末までの福井県外における中間貯蔵施設の計画地点の確定に向けまして、関係者の理解の確保等に事業者とともに最善を尽くしてまいりたいと考えているところでございます。

#18
○滝波宏文君 重要な問題であります。単なるお飾りの言葉に終始するのではなく、問題解決に向けて実質的に前に進めていただきたい、仕事をしていただきたいと思います。そして、いつまでも日陰者扱いでは立地地域も付いてこないということを警句として申し上げます。
 さて、また規制委員長への質問に戻り、三・一一から十年の棚卸し、振り返りをしたいと思います。
 原子力規制委員会が発足し、二〇一三年七月の新規制基準施行から七年以上が経過しましたが、資料一のように、いまだ再稼働したプラントは九基にとどまっており、設置変更許可の審査中プラントが十一基も残っております。特に敷地内の地盤審査が長期化し、基準地震動SSが未確定のプラントが九基も残っています。
 敷地内地盤審査が長期化している要因として、私も国会で様々議論してまいりましたが、法的な根拠がない有識者会合による検討に時間を要した問題と、審査の初期段階において指摘されなかった論点が審査が進んだ段階で出されてくる言わば後出しじゃんけんの問題の二点が特に指摘されます。
 一点目の有識者会合については、二〇一二年以降の有識者会合のゴーサインが出ない、一二年以降、有識者会合のゴーサインが出ないと事実上規制委員会の審査が進まない状況となっていました。しかしながら、そのように規制委員会審査の前提とされていた有識者会合の見解については、法的根拠を欠くというだけでなく、その見解内容への批判も多く、お手元の今度資料二にありますように、二〇一四年十二月三日の規制委員会において、今度はこれは参考とするというふうに扱いの方針が変わりました。
 結局、そもそも有識者会合というのは法的根拠のない会合でありまして、そのような会合の対応のために敦賀二号機や志賀二号機等は無駄に時間を割かれてきたということであります。行政に当たる際のデュープロセス、適正手続の確保上、誠に問題がありまして、失ってしまった時間はもう戻ってきませんが、規制委員会として改めて真剣に反省をし、カバーアップをしていただく必要があると思います。
 二点目の審査における論点が後から出されている後出しじゃんけん問題につきましては、例えば泊発電所の審査が長期化している要因として、更田委員長は、今度は資料三ですけれども、一昨年五月二十三日の規制委員会において、ここまで長期化した原因、責任が全て北海道電力にあると言うつもりはありません、規制当局としても重要な確認事項なのだったらもっと早く指摘しておけばよかったというところはあって、この点については原子力規制委員会は明確に反省点があると思っていますと発言し、審査長期化の一因が規制委員会にもあると明言しているわけであります。
 以上のように、敷地内地盤審査が長期化している理由には事業者だけではなく規制委員会の責任によるところがあり、このカバーアップのためにも、地盤審査の加速化に向けて、論点は早く提示する、後から出さない、変えない等の取組を改めて強化する必要があると思いますが、規制委員長の見解を伺います。

#19
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
 まず、地震というものは、原子力発電所に対する脅威として考えるものの中で最も防護が考えにくい脅威の一つであります。あらゆる機器に同時に面的に作用するだけに、地震に対する審査というのは極めて慎重に行う必要があります。であるからこそ、個別の発電所ごとに、敷地内の断層による重要施設への影響評価や活断層に起因する地震動評価を求めています。
 これは事業者と原子力規制委員会との間に地震という極めて恐れるべき脅威に関して共通理解を設けるためのプロセスであり、新たに論点が浮上することは当然のことであろうと思っております。私たちはこれを後出しとは考えておりません。調査が進むにつれ、議論が進むにつれ、科学的、技術的な議論において新たな論点が浮上することは極めて当然のことであり、むしろ論点を抑え込んでしまうことは大きな欠けをつくる要因となっております。
 一方で、審査を効果的、効率的に進めることは、私たちにとっても限られた資源を審査に投入している観点から重要なことであろうと考えています。そのために、審査の予見性を確保するために、審査における内容をあらかじめ事業者に示したり、同じ論点について議論する場合には他の事業者の同席等を許すなどの取組を進めているところです。
 しかしながら、地震、特に断層に関しては発電所ごとに状況が異なります。また、繰り返しますが、調査が進むにつれて新たな論点が浮上することは避けられませんし、論点の浮上を抑えるという考えは持っておりません。

#20
○滝波宏文君 事業者とコミュニケーションしっかりと取っていただく必要があるし、今、私としては珍しいと思いましたが、予見性確保という言葉が委員長の方から出てきたわけでありまして、そこは評価いたしますが、規制側、強大な権限を持っております。被規制側が萎縮してしっかりとした話ができない状態ではいけないと思います。
 敦賀二号機の、浄書をして、見え消しじゃなくて出してきた資料について、おまえらだましたじゃないかというふうな詰め方をかなりしているかと思いますが、私は、あれはきちんとした指示とそれを受け取るコミュニケーションがうまくいっていなかったというふうに見えます。
 そういった部分も含めて、先ほど来、この資料二、三でもありますように、規制委員会自身の責任もあるわけでありますから、どこは筋悪だというような先入観ですとか色眼鏡を排して、しっかりと審査を前に進めていただきたいと思います。
 続けまして、今ちょっと委員長からも話もございましたが、適合性審査に要する期間についてどうやって縮めていくかの工夫の話でありますけれども、今、標準処理期間というものがございます。地盤審査、プラント審査合わせて設置許可であれば標準処理期間は二年と、これ規制委員会自身で決めているわけでありますが、実際は、先ほどの資料一の紙でも見ていただいて分かるように、大幅に徒過しているわけであります。
 あれだけのことがありましたので、当初そういうふうに、なかなか二年で収まらないのも分かりますけれども、やっぱりいろんな審査が積み上がってきたら、それは二年の方に収束していかなきゃいけない。そのための審査の効率化努力、これが必要だと思いまして、更田委員長からこれまでの答弁において、主な論点であるとか、それから既に判断をしたものの結果をまとめた審査書というものをきちんと作っていく等の方針を御説明いただいているわけですが、現状に鑑みれば、それだけでは不十分ではないかと思います。
 先ほどの話は言わば判例を単にまとめるというふうなものだと思いますが、それだけでなく、審査期間が実質的に標準処理期間に間に合うよう収束をしていかなければいけないと思います。そのためには、プラント側の審査において、これまで合格に向けて蓄積してきた実績をフルに活用し、例えば同型の炉で既に実績があるものは審査しない、差分のみ審査する等、これまでよりも一歩踏み込んだ効率化の取組を進め、標準処理期間である二年で審査を完了できるようにする必要があるのではないかと思いますが、節目の今、今後の審査効率化に向けた改善について、委員長の決意を求めます。

#21
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
 安全審査は、繰り返しますけれども、科学的、技術的な議論を重ねて事業者と私たち原子力規制委員会が共通理解に達することが極めて重要であります。
 そして、プラントの安全審査で特に時間を要しているものというのは、サイトごとに異なる自然ハザードに対する評価、これが何よりも一番時間が掛かっております。先ほど申し上げた、断層活動、地震等に係る審査というのには十分な時間が必要です。さらに、プラントでも、プラントごとに耐震性の評価等は一つ一つ行う必要があります。たとえ同型炉であっても、それぞれに耐震性等については厳格なチェックが必要であります。
 むしろ私は、時間にとらわれて審査を切り上げるというようなことはあってはならないというふうに常々、審査チームに対して指導といいますか、訴えているところであります。疑問を持ったら必ず声を上げろと、前言にとらわれて、前言を翻すことになるから発言を慎むというようなことは決してあってはならない、疑問を持ったら必ず声を上げて、十分に理解に達するまで、腑に落ちるまで審査を続けるべきだというふうに話をしておりまして、時間にとらわれて安全を値引きするというようなことは決してあってはならないというふうに考えております。
 一方で、先生御指摘の効率化や一定の期間内に確認作業を終えるように努力するということについては、これは同型炉での同一部分についての審査を省略するといったやり方はなかなか現実的とは思われませんけれども、これはお互いの、双方の、規制当局である原子力規制委員会、原子力規制庁とそれから事業者の技術的な習熟と、それから議論を闘わすということにおけるスキルの向上を待つしかないというふうに思っております。

#22
○滝波宏文君 行政の組織として、ノーと言っていれば仕事をしているようになっているようなことでは、機能する組織とは言えないと思います。しっかりと対応していただきたいと思います。
 もちろん、原子力の活用に当たりまして、安全性の向上への不断の努力、これが不可欠であることは言うまでもありません。ただ、その安全性の向上は、誰かのメンツのためでも特定の者の庭先をきれいにするためのものでもなく、何よりも立地住民のリスク軽減のために、実効的に関係者の努力がかみ合って安全度が上がっていくものでなくてはなりません。規制委員会がバックフィットを事業者に要求する際、被規制者が対応するために必要な経過措置期間を設けるのはそのためだと理解しております。
 ところが、テロ対策のための特定重大事故等対策施設、いわゆる特重施設のバックフィットに当たりまして、規制委員会は、経過措置期間五年の大半を自分たちの許認可の審査に費やした上に、設計変更も何度も指示を出したにもかかわらず、経過措置期限までに工事が完了しない場合プラントを即時停止するとの判断を下しました。
 この昨年四月二十四日に下された規制委員会の判断は、その一週間前、四月十七日に開催された原子力部門の責任者との意見交換において、事業者から期限超過の場合の対応の検討について要請を受け、その際は、具体的にどう対応するかというのは今後規制委員会の場で改めて議論をしたいとされたわけでありますが、そこから急転直下、一週間でその激烈な判断に行ったわけであります。事業者から一度だけ意見を聞いてそういったところに急遽行ってしまったわけでありますが、これもデュープロセス、適正手続上、非常に問題であります。
 先ほどの資料四にありますように、更田委員長は、特重の有無は、これがないからいわゆる重大事故等に対処できないという状態があるわけでは決してない、プラントの状態というのは我々が求める安全レベルに達していると、安全上の問題はないと一方で言いながら、これを見過ごすことは規制委員会にとってはできないというふうに言っており、まあ言わば規制委員会のメンツのためにこのような決定をしているようであり、権限濫用と言われても仕方ないレベルだと私は思います。
 とりわけ、規制委員会は、内閣から独立した三条委員会として、大臣も、総理でさえ指示できない強大な権限を有しているだけに、権力の使用に当たっては特に謙抑的であるべきです。その意味でも、この特重、期間、期限でのプラント即時停止の決定は、規制委員会が反省すべき点が多々あり、見直すべきだと思いますが、改めて委員長の見解を伺います。

#23
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
 特定重大事故等対処施設の設置期限に関して、これを見直す考えは持っておりません。特定重大事故等対処施設の設置期限に関しては、パブリックコメントを通じ事業者の意見を聞いて定めたものであります。また、審査会合や原子力部門の責任者との意見交換の場においても繰り返し期限を守れるか否かについて問いかけており、事業者に対して意見を求めてまいりました。
 二〇一九年四月十七日に公開で行われた事業者との意見交換会において事業者から間に合わないとの意向が示されたことを踏まえて、同年四月の規制委員会において議論を行いました。その結果、改めて期限を変更すべきとするような特段の状況変化は認められなかったため、見直しは行わないと判断したものであり、このプロセスには問題がなかったものと考えています。
 原子力規制委員会の数次の問いかけに対し、期限直前になって間に合わないとの話が出てきたことは事実であり、規制側と事業者が、なぜそれまで事業者が私たちに伝えてこなかったのか、こういったコミュニケーション、コミュニケーションは双方向のものでありますから、このコミュニケーションについて、今後とも、CNO、原子力に関わる責任者ないしは経営トップとの間の意見交換を進めてまいりたいというふうに考えております。

#24
○滝波宏文君 行政、私も行政マンでありましたけれども、権限を持っている人間は、被規制者の方がいかに萎縮をして物が言えないか、そういうこともちゃんと考えなきゃいけない、そうでないときちんとしたコミュニケーションに至らないと思います。
 最近、震源を特定せず策定する地震動のバックフィット、これについては比較的好事例をやっているように見えますので、しっかりそういうことを踏まえて進めていただきたいことを申し上げて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

#25
○岸真紀子君 立憲民主・社民の岸真紀子です。
 二月十三日に福島県沖で最大震度六強の地震が発生しました。地震の揺れや津波も心配されるところでしたが、原発についても大丈夫なのかと感じた方は多かったと私は考えます。
 先日の地震で、原子力規制庁は、青森から神奈川まで六県にある、十七か所の研究機関も含めた原子力施設の影響を発表していました。電力会社や研究機関、そして規制庁が原子力の安全に努めていただいていることはとても重要ですが、地震のたびに国民は不安を抱えなければいけないという現実に、私たち政治は改めて向き合うことが重要であるということを冒頭申し上げ、質疑に入ります。
 原子力問題を考えるに当たって、原発稼働に伴う核のごみをどうするかが重要な位置付けとなります。そこで、今日は核のごみについてお伺いします。
 各原発から排出される使用済核燃料はどのぐらいあり、どのように保管しているのか、また、使用済核燃料以外にも放射性廃棄物というのはたくさん出ると思うんですが、これについてはどういった廃棄物の処分方法を行っているのか、簡潔にお答えいただきたいです。

#26
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
 全国の原子力発電所で使用されました使用済燃料でございますけれども、二〇二〇年十二月末時点で約一・九万トン存在してございます。これらは、各原子力発電所等のサイト内にございます保管用の燃料プールや乾式キャスクにおいて貯蔵されているところでございます。
 また、原子力発電所の運転等により生じます低レベル放射性廃棄物という廃棄物につきましては、放射能レベルに応じまして、例えばL1、L2、L3といったような形の分類ごとに処分方法が定められてございまして、原子炉等規制法に基づきまして、浅地中若しくは一定以上の深度の地下に埋設して処分などの対応を行うこととなってございます。

#27
○岸真紀子君 ただいま御回答いただきましてありがとうございます。
 様々な疑問が残りますので、一つずつ確認していきたいと思います。
 現在、日本は、使用済核燃料をリサイクルするという、全てを再処理して使うという政策を進めています。そういった政策の下、六ケ所再処理工場に各原発から出た使用済核燃料を持ち運ぶことというのが基本となっています。再処理が続けられないと、各原発内に今貯蔵されている、報告ありましたが、貯蔵されている使用済核燃料は管理容量を、限界を超えてしまいますので、原発を運転できなくなるという構図にあります。しかし、再処理しても処理し切れない状況が続いているのではないでしょうか。
 プルサーマルの直近の実績は、二〇一九年で、佐賀県の九州電力玄海原発三号機の約〇・二トンのプルトニウムを消費していると存じます。これによって、日本が保有している現在のプルトニウム総量は、二〇一八年末の四十五・七トンから二〇一九年末で約四十五・五トンとなります。昨年の調査会でもお聞きしたことではあるんですが、依然としてこのプルトニウムの量が大量に蓄積されている状況にありまして、海外からも不安視をされています。
 これ問題だと考えるんですが、このことについて、今日、宗清政務官にお越しいただいています。見解の方をお伺いします。

#28
○大臣政務官(宗清皇一君) お答えさせていただきます。
 今御指摘、御質問ございましたように、二〇一九年末で我が国の保有量は四十五・五トンで、国内が八・九トン、海外の保管分が三十六・六トンとなっています。このプルトニウムにつきましては、利用目的のないプルトニウムは持たないという原則は堅持をしておりますし、プルトニウムの保有量、これの削減に取り組む方針でございます。
 電気事業連合会は、昨年十二月に新たなプルサーマル計画をこれ公表しておりまして、地元の御理解が大前提でございますが、稼働する全ての原子炉を対象に一基でも多くプルサーマル導入を検討し、二〇三〇年度までに少なくとも十二基でのプルサーマルの実施を目指す旨を表明したものと承知をしておりまして、こうした計画に基づきましてプルサーマルを一層推進して、プルトニウムの利用拡大に取り組むこととしております。
 なお、使用済燃料の再処理につきましてですけれども、今後、使用済燃料再生機構が策定をいたします実施中期計画に基づきまして、これは日本原燃が実施をすることになっておりますが、この計画は、プルサーマルの着実な実施に必要な量だけ使用済燃料の再処理が実施されるよう経産大臣が認可を行うことで、これらの取組を通じてプルトニウムバランスの確保の取組に向けてやっていきたいと考えております。

#29
○岸真紀子君 ありがとうございます、お答えいただきまして。
 今十二基を目標としているといいながらも、なかなかこれできないという、地元の理解も難しいということもあってなかなか進んでいないんじゃないかなというふうに考えます。
 また、フルMOX炉を大間原発が目指しているみたいですが、たとえこれが完成したとしても、年間に最大一・一トンのプルトニウムを消費する想定であって、やっぱりこれ使い切れるものではないんじゃないかなと考えます。更に言うと、使用済燃料をリサイクルしても、劣化をしたりすることを考えると、せいぜい一回か二回しか使えないんじゃないかと思います。再処理することによっての危険性の方が高くて、まあ費用面もそうですし、この資源の再、有効活用というメリットをデメリットの方が大幅に上回っているんではないかと、再処理せずにそのまま埋設する直接処分の方が望ましいんではないかというふうに私は考えます。
 それと、再処理することによって生まれる高レベル放射性廃棄物について、二〇〇〇年施行の特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律ができて以降、これまで、高知県の東洋町が手を挙げましたが断念した経過があります。今回、北海道、私の地元の北海道ですが、北海道の寿都町、神恵内村が実質初めての文献調査の認可となります。これから進もうとしています。
 この最終処分場ですが、何か所造ろうと考えているのか、また、最終処分場に捨てようとしている核のごみの量は決まっているのか、お伺いします。

#30
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
 高レベル放射性廃棄物の最終処分場についてのお尋ねでございますけれども、現時点では、再処理において生み出されますガラス固化体というものを約四万本以上処分できるという施設を念頭に、全国で一か所建設することを想定してございます。

#31
○岸真紀子君 そのガラス固化体が四万本以上というふうにおっしゃっていましたが、ちょっと素人では分からないので聞きますが、どのぐらいの威力でどのぐらいの影響があるのか、簡単にお答えいただけますか。

#32
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
 先ほど御答弁申し上げました、現在貯蔵されております使用済燃料が約一・九万トンあるわけでございますが、これをガラス固化体に換算しますと約二・六万本に相当いたします。
 そういう中でいいますと、この処分場は四万本でございますので、こういったものも当然包含した形で処理、処分できるようなことを念頭にございます。

#33
○岸真紀子君 なかなか想像してもどのぐらいの影響があるのかというのが分かりにくいなというふうに感じましたので、本当にこれ、一か所に全部、例えばこれ進んでいったとして、いいのかという問題があります。危険度が高い全国の原発から持ち込まれるこの放射性廃棄物を一つの自治体で受け入れるというのが、住民の感情的にも理解がし難いと考えます。
 また、事故がないことが当然前提ではあるんですが、冒頭にも触れましたが、日本は地震が非常に多い国です。核の半減期まで十万年も掛かるという中で、事故が起きないという保証はありません。だからこそ、住民のみならず、国民の理解は重要になってきます。
 理解のためにはどう安全なのかということが重要になりますが、特定放射性廃棄物最終処分法にあります第二十条に安全確保の規制というのは別に定めるとなっていますが、今これ、現行どうなっているでしょうか。

#34
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、地層処分の安全確保というのは大前提でございます。現在、この最終処分法第二十条におきまして、別の法律の定めによるということになってございますけれども、これにつきましては、今後、規制の基準につきましては、原子力規制委員会は、進捗に応じ、概要調査地区等の選定等に安全確保上少なくとも考慮されるべき事項を順次示すことが適当というふうにされてございます。
 この基準の策定というのは、今後、原子力規制委員会において適切に検討がされていくものと、これを踏まえた上で必要なルール、規制の定めというのがなされていくものというふうに承知してございます。

#35
○岸真紀子君 原子炉等規制法を読んだんですが、全部が、本当に全部原子力規制委員会で決めるとなっていて、丸投げになっているんじゃないかというふうに感じましたし、果たしてこれで安全の確保の規制になるのかというのはちょっと理解し難いものと感じています。
 具体的なことは原子力規制委員会というふうにおっしゃっていましたので更田委員長にお伺いしますが、この最終処分場についての今の原子力規制委員会で検討している現状についてお伺いいたします。

#36
○政府特別補佐人(更田豊志君) 高レベル放射性廃棄物の処分につきましては、平成二十七年五月に閣議決定がなされておりまして、この閣議決定、特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針、この中で、さっきの御答弁にありましたけれども、将来の安全規制の具体的な審査等に予断を与えないとの大前提の下、概要調査地区等の選定時に安全確保上少なくとも考慮されるべき事項を順次示すことが適当とされています。
 少しかみ砕きますけれども、最終的な安全基準等は、掘っていく穴であるとか、地上に造る設備、それから地下に造る設備等の設計をどのような機能を要求するか、性能を要求するかという基準になりますので、具体的な処分方法が固まってこないとその基準というのはなかなか策定しづらいところがあります。
 一方で、現在行われているような文献調査から今度概要調査に進むような段階においては、例えば断層であるとか火山であるとか、そういった自然の脅威に対しては、少なくともこれはこう避けるべきであるとかどういう状態であるべきだというような要件は、これは本多先生に対する予算委員会での御答弁でも申し上げましたけれども、概要調査に進むようなところで後から基準が決まるような状態では選定に対して疑義を持たれてしまうという懸念をおっしゃっていました。私たちもその懸念については共有をしておりますので、概要調査に進むまでの段階までにこういった安全要件については示していきたいというふうに考えております。

#37
○岸真紀子君 今委員長自らもおっしゃっていただきましたが、本多平直議員も多分おっしゃったことと同じです。やっぱり選定をするに当たって、やっぱりその辺が不透明過ぎてなかなか理解がし難いというところです。
 処分場の選定はいかに安全な地層を選ぶのかということになってきますが、さっきも言ったように、十万年にわたっての安全となります。しかし、現行、文献調査の手挙げの自治体と都道府県の意見は聴くこととなっているんですが、近隣自治体を始め関係する自治体の意見が反映されることになっていません。これは問題ではないかと思うんですが、このことについて政務官にお伺いします。

#38
○大臣政務官(宗清皇一君) お答えいたします。
 最終処分場の選定のプロセスについては、長い年月を掛けまして、地域の御理解を得ながら丁寧に調査のステップを踏みつつこれは取り組んでいくものであるというふうに思います。
 文献調査についてのことは、もう先生よくシステム御理解なので割愛をさせていただきたいというふうに思いますが、文献調査の後に次の概要調査に進もうと、そういった場合には、法令に基づく手続に従いまして、知事と市町村長の御意見を聴いてこれを十分に尊重することとしておりますので、その意見に反して前に進むことはございません。
 こうした法令に基づくプロセスにおいて、隣接始め周辺市町村の皆様の御意見は基本的には知事の御意見の中に反映されるものと考えていますけれども、国として、文献調査の期間を通じて、周辺の市町村に対しましても、地域の声を踏まえつつ積極的に説明や情報提供を行って、事業についての幅広い御理解が得られるようにしっかりと取り組んでまいります。

#39
○岸真紀子君 御承知だと思いますが、島牧村では、島牧村に放射性物質等を持ち込ませない条例が可決されています。ほかの近隣自治体でも同様の動きが今現在あるところです。道と寿都近隣三町村は、電源立地地域対策交付金、いわゆる文献調査の交付金ですが、これを受け取らないという表明までしています。近隣自治体の意見を反映する仕組みをつくるべきだということを重ねて申し上げておきます。
 自治体の意見は反映されるんですが、その立地自治体の意見は反映されることになっているんですけど、問題はもう一つありまして、地域住民の意見が反映されているのかどうかというところがあります。寿都町では住民投票を求める署名を町に出しているんですが、住民投票の必要はないということで実施をしていません。これで、一体、本当に地域の住民の意見というのは反映されていると思いますか。お伺いします。

#40
○大臣政務官(宗清皇一君) お答えさせていただきます。
 最終処分地の選定に当たりましては、地域のやはり御理解をなくしては進めるものはもうできないものであるというように認識をしております。このため、国として、地域において丁寧に議論を重ねていくことがもう何よりも重要であると考えておりますし、その地域において、では具体的にどのような方法で合意形成を図っていくのかについては、それはそれぞれの自治体の御判断を尊重することが重要であるというふうに思っています。
 具体的には、寿都町と神恵内村から、文献調査の実施に当たっては、これ住民投票はしていませんけれども、複数回にわたって住民説明会もしておりますし、議会での議論を踏まえて町長と村長が御判断をされたものであるというように思っておりまして、この御判断を最大限尊重すべきだというふうに考えております。
 地域におきまして、この事業について様々な御意見があることは十分に承知をしております。国として、北海道のこの二町村において今後設置されることになっています対話の場を始めとして、ありとあらゆる機会を通じて住民の方々に様々な情報提供を実施をしていきたいと思いますし、住民の方々からも直接御意見もお伺いしながら、地域の中でこの事業についての検討を深めていただけるように積極的に取り組んでまいります。

#41
○岸真紀子君 今、それぞれの地域の合意形成というのは、当然その自治に介入すべきではないと考えますが、一方で、地元の首長の意見を聴いたらもう住民の意見を代弁しているので聴かないよというのは、それはやめていただきたいということも申し添えておきます。
 この最終処分法ができるときに、第三条二の三に関係住民の理解の増進のための施策に関する事項というのが入っていますが、法を作るときから実はこれ既に不安視されていました。今回、寿都町と神恵内村で対話の場の設置に向けて準備を進めているようですが、その対話の場の委員選出に問題が出ています。寿都町に至っては公募をしないとなっていますし、神恵内村については、二十人のうち、二十人委員を選ぶんですが、公募で五枠しかないと。で、結果的に応募は四人だったということもありますが、これで果たして、推進している自治体側とNUMOが選ぶ人の中で議論されることが中立性が担保できると言えるのかどうかというところです。
 中立性の確保ということで考えるともっと改善してほしいんですが、そこについてはどうお考えでしょうか。

#42
○大臣政務官(宗清皇一君) お答えさせていただきます。
 最終処分場の選定につきましては、地域の御理解、これがもう一番重要であるというように思っております。国として、地域において処分事業のこれ、賛否に偏らない議論を丁寧に積み重ねていくことがもう何よりも重要であるというふうに考えております。
 こうした観点から、今、町村及びNUMOにおいては、公募のこれは有無にかかわらず、最終処分場に慎重な方々、まあ不安を持っておられる方々もおいででございますので、様々なスタンスの住民の方々に御参加をいただく形での対話の場において偏らない議論を進めていっていただけるものと承知をしておりまして、詳細については現在町村とNUMOにおいて検討中でございますけれども、引き続き、国としても地域の御理解が深まるように最大限の努力をしてまいります。

#43
○岸真紀子君 NUMOが、これまでも説明会にバイトで雇ったとかそういう問題もあって、なかなかその、本当に透明性というか、中立性が保てるのかどうかというのが不安に感じます。だから、本当はもっと公募枠を増やすべきだと考えます。
 時間にもなってきたのでそろそろまとめに入りますが、福島第一原発のデブリを始め、原発政策を進めようにしても、やっぱりこの核のごみの処分方法というのが明確に決まっていないですね。最終処分場だけじゃなくてほかの問題も含めて、なかなかこのデブリ、どうやって処分するのかという方向性、決まっていません。不透明なところがたくさんある中で、これからその原発政策を更に進めるというのはなかなか理解がし難いのではないかと考えます。
 また、大学とか企業の研究機関を合わせると、日本で生み出される核のごみの問題というのは本当にもっともっとたくさんあります。都合の悪いことも含めて情報を開示することが重要です。規制委員会には申し訳ないですが、この間あの報告が四か月もされていなかったとか、都合の悪いことを隠されるとなかなか、本当に疑いたくなるということにもなってきます。これは、電力会社とか原子力規制委員会だけの問題じゃなくて、国がやっぱり責任を持って向き合うことが重要です。
 引き続き、原子力の安全確保と併せて処分場についてもっと本気で取り組んでいくということをお願いし、私の質問を終えます。
 ありがとうございました。

#44
○会長(宮沢洋一君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕

#45
○会長(宮沢洋一君) 速記を起こしてください。

#46
○青木愛君 立憲民主・社民の青木愛です。
 今、岸委員からも若干触れられましたけれども、私は、柏崎刈羽原子力発電所の原子炉を操作している中央制御室に、東電の社員とはいえ、不正入室があったという、その事案について質問をさせていただきたいと思います。
 まず、この中央制御室に至るまでに何重ものミスが重なっているということが分かりました。不正入室した、まず、仮にAさんとしますが、この不正入室した東電社員のAは、まず、このIDカード、御自身のカードをなくした時点で届出をしなければならなかった。そして、このIDカードを使用されてしまった同業者の社員B、この方はロッカーに鍵を掛けていなかった。ですので、ロッカーを開けてこの社員Aは他人のIDカードを使って、原子炉、心臓部ですよね、原発の、そこに不正入室をしたという大変なこれは事案であります。
 この中央制御室に至るまでの間に二か所のチェックポイントがあります。警備員が立っていますが、まず一か所目のこの警備員、これは委託の警備員ですが、ちょっと違和感を感じたと。IDカードにある顔写真とやっぱり違うので違和感を感じたんだけれども、この社員AはこのIDカードの持ち主である社員Bだと名のって、そこをスルーしてしまったということなんです。
 そして、二か所目のチェックポイント、そこは警備員が東電の社員だということでありますが、そこは識別情報であります指紋なのか目なのか、そこはセキュリティー上明らかにされておりません、分かりませんけれども、識別情報で機械の方はおかしいと異常を示したんですね。機械が本人ではないと異常を示したにもかかわらず、そこに立っていた東電の警備員は、IDカードの認証コードを変えて、それは権力を越え、権限を越えた行為でありますけれども、認証コードを変えてその社員Aを制御室の中に入れてしまったという、もう何重にもこのミスが重なってしまったという状況であります。
 安全管理どうなっているのかと、これ東電社員だったからまだと言えるかどうかも分かりませんが、テロ等も懸念されている中でこういう不正入室を行ってしまった、これは大変重要な、これ看過できない事案だというふうに考えております。
 今日は、文挾東電副社長にお忙しい中おいでいただき、大変ありがとうございます。この件につきましては、まずは東電の説明を求めたいというふうに思います。

#47
○参考人(文挾誠一君) 御質問ありがとうございます。
 東京電力ホールディングスの文挾です。よろしくお願いいたします。
 先生、今御説明のとおり、この事案の発生に至ります経緯についてはそのとおりでございます。
 東京電力におきましては、柏崎刈羽原子力発電所のID不正使用と、もう一つ、その安全対策工事が終わったということを公表してございましたが、その後、工事が未完了ということも見付かってございます。そういうことが、事案が度重なる、度重なって発生してございますので、地元の方々を始め広く社会の皆様に御心配をお掛けしていることに対しまして、この場で改めておわびを申し上げたいというふうに思います。
 この両事案とも、安全に対する姿勢とかあるいは地域の皆様との信頼に対しまして言い訳できない重大な事案と考えてございまして、会社としても大変重く受け止めてございます。
 以上でございます。

#48
○青木愛君 東電副社長から事実であるということと、さらに、不正、工事が済んでいないのに済んでいたという報告をしたということも自ら説明をしていただいたと思います。
 これ、更に問題があります。この事案が発生したのが九月、昨年の九月の二十日です。翌日、このIDカードを使用されてしまった東電の社員が、今度は自分の勤務のタイミングで翌日入ろうとしたら入れなかったということで、そのIDカードの認証コードを変えてしまった警備員が、昨日のことですから、あっ、じゃ、そのときのあれかということで、それでこの事件というか事案が発覚したというふうに聞いています。
 それをもって、東電は、九月二十一日、その事案が発覚したその日のうちに東電は報告はしているんです、原子力規制庁に。翌日しているんですが、これで問題なのは、原子力規制庁のその後に取った対応なんだと私は思っています。
 九月の二十三日、それから二日後でありますけれども、実は、更田委員長の下で原子力規制委員会が実は開かれています。このときの議題は、この不正入室を許してしまった柏崎刈羽原子力発電所の再稼働を認める最終の保安規定、保安規定の認可、これを許可をするという最終の、再稼働に向けての最終のこの議題が諮られている。その委員会が二日後の九月二十三日に開かれていた。
 これ、認可決定されているんですけれども、なぜこの委員会の中で原子力規制庁は、東電から報告を受けているにもかかわらず、こういう事案があったんだ、東電から報告が来たということをなぜその委員会で皆さんにお伝えしなかったのか、ここをまず原子力規制庁にお伺いします。

#49
○政府参考人(山田知穂君) 東京電力から本事案が報告された時点で委員長及び委員に報告することまで思いが至らなかったことは判断が甘かったと言わざるを得ず、反省しているところでございます。
 当初、幹部が担当部門から報告を受けた時点では、入域したのが中央制御室に入域する資格を有する社員であったこともあり、直ちに核物質防護上の重要な事案として報告すべき対象とは考えていなかったところでございました。
 本年二月十日に開催した第五十六回原子力規制委員会において、原子力規制検査全般について、検査における指摘事項に該当する可能性のある事案や判断に迷う場合は速やかに委員長及び委員へ報告を行うように運用を改善することとし、この運用については検査の規定類で明確化することを報告し、了承されたところでございます。
 今後は、この方針に基づき、委員長及び委員への報告を適切に行ってまいります。

#50
○青木愛君 この九月二十三日の原子力規制委員会にはどなたが出席をされていたんでしょうか。東電の方は出席されていたんでしょうか、どうなんでしょうか。規制庁の出席はあったんでしょうか。

#51
○政府参考人(山田知穂君) 通常の原子力規制委員会では、委員とそれから規制庁の職員が出席をしております。

#52
○青木愛君 その開催主宰である更田委員長には報告がなされていなかったということですね。

#53
○政府参考人(山田知穂君) はい、その時点では報告をいたしておりませんでした。

#54
○青木愛君 もし報告をしていれば、同じ柏崎刈羽原子力でのことですからね、議案もこの柏崎刈羽の再稼働に向けての認可の、それを議題としている。その同じ柏崎刈羽原発所で不正入室が二日、三日前に起こったばっかりなんですよ。そこで報告をしていれば、その場の委員会でこの保安規定の許可、これを決定するとは到底考えられないんです。
 ですので、私は、故意にこれを委員長に報告しなかったのではないか、そのように受け止めざるを得ないんですけれども、規制庁、いかがでしょうか。

#55
○政府参考人(山田知穂君) 先ほど申し上げましたとおり、委員長に報告すべき案件と認識をしていなかったということでございました。

#56
○青木愛君 この事案がこのまま世間にさらされることなく再稼働に進んでいっていたら、もうどうなっていたかと思います。
 これ、更田委員長にもお伺いしなければなりません。後からこの事態を知り、これをどのように受け止められたのか、更田委員長の御見解をお願いいたします。

#57
○政府特別補佐人(更田豊志君) まず、本事案につきまして、原子力規制庁の担当部門から報告を聞いたのは本年の一月十九日でございました。したがいまして、事案の発生から約四か月、私を含めた原子力規制委員会は本件について報告を受けておりませんでした。
 報告を受けた直後といいますか、もう報告を受けた時点で、このような案件については速やかに報告を受けておくべきであるというふうに考えました。
 その後、原子力規制委員会、臨時会も含めまして、原子力規制委員会におきまして、原子力規制庁に対して、先ほども説明がありましたけれども、核物質防護に関わるもの、これいわゆるセキュリティー情報ですので、発電所や原子力施設の脆弱性を悪意ある第三者に知られてはならないという観点から情報の取扱いには極めて慎重な配慮が必要ではあるとはいうものの、同じ組織の中ではありますので、こういった核物質防護に係る事案についても規制委員会に対して速やかに報告するようにというふうに指示をしたところであります。
 原子力規制委員会としては、今後、個別の事案について迅速に把握した上で、検査の枠組みの中でしっかりとこれに対応していきたいというふうに考えております。

#58
○青木愛君 更田委員長からは、本年に入ってからの報告を受けたということであります。極めて問題だと思います。
 やはり、その九月の段階での委員会の持ち方、私は、先ほどだましたとかという言葉についてのあれもありましたけれども、本当にある意味、規制委員会の更田委員長始め委員のメンバーの方々、本当にだまされていたのではないかというふうに思います。
 この再稼働、柏崎刈羽原発所の再稼働を優先して進めたいがために、更田委員長始め委員には内密にして、そして、原子力規制庁と東電がどういうふうなそれまでの間相談があったのか分かりませんが、想像で申し上げて申し訳ありませんけれども、その原子力規制庁がどういう判断で、委員長にも言わず、委員にもそれを伝えず、その再稼働の最終認可を、それを優先して決めてしまったのか。本当にこれは問題だというふうに思います。大丈夫でしょうか、本当にこの原発の安全管理、任せていて大丈夫かなというふうに思います。
 更田委員長、先ほどからいろいろと御答弁を伺っていると、本当に慎重に誠実に御対応をしたい、対応したいんだなというその思いがすごく伝わってくるんですけれども、いかんせん組織でありますから、そこはどうなっているのか、政府との関係、東電との関係、原子力規制庁、そして委員会とのそこのコミュニケーション、本当にこれで原発の再稼働、これを任せて、判断を任せていいのかというのが率直な国民の一人としての思いであります。
 私は、この九月の二十三日、この議事内容について少なくとも白紙にすべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

#59
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
 いわゆる原子力発電所の再稼働に至るまでには、これ再稼働そのものは原子力規制委員会が決める立場にございませんけれども、その再稼働に至るまでの規制上のハードルというのは四つございます。一つは、いわゆる新規制基準に適合するという設置許可を受けること。それから、工事に関して、設工認と呼びますが、設置及び工事の認可というものについて認可を受けること。残り二つが、保安規定を申請して認可を受けることと核物質防護規定を申請して認可を受けることであります。
 保安規定は、これはいわゆるセーフティー、安全設備に関する規定でありますので、公開で議論も行いますし、また、その認可のプロセスも公開で行っております。
 一方、核物質防護規定の方は、これはいわゆるセキュリティー情報が関わりますので、審査のプロセスも非公開ですし、また、核物質防護規定の認可に至る判断もこれは非公開で行っております。また、核物質防護規定そのものが公開できないという形になっています。
 そういった意味で、再稼働に至るハードルの四つのハードルのうち、公開で行っている三つに非常に高い関心が集まりますけれども、これは致し方のないところと思いますが、今回のIDカード不正事案というのは、非公開で議論を行い、審査を行い、認可をしている核物質防護規定に係るものであります。
 まずは、この事案の内容を検査を通じてしっかり把握すること、そして、その核物質防護の、東京電力が行う防護が十分なものであるのかどうかを改めて確認すること、そしてさらに、核物質防護規定が妥当なものであるのかという形でこれから審査を進めてまいります。
 それから、お尋ねの御懸念といいますか御不安はもっともなところだろうと思います。どうしても何か問題が起きると、担当するところには、事案が大きくなってほしくないという、これは一般的なバイアスが働くことを私たちは恐れています。
 したがいまして、透明性は、社会の中でのバイアスが局所に掛かったとしても、それをチェックする機能を働かせるために透明性があるわけですけれども、核物質防護に関しては、この社会に対する透明性をどうしても保ちにくいところがあります。であるからこそ、原子力規制委員会、規制庁の中での情報の共有というものがますます重要になるのであろうというふうに考えております。

#60
○青木愛君 セキュリティー上、そのプロセスの開示について難しいところは十分に理解をいたしますが、今回の事案に関しましては、私といたしますと、やはり九月二十三日の会議に立ち戻ってやることが、まあ私は再稼働にも反対の立場ではありますけれども、少なくとも、そこに立ち戻るべきだということを指摘をしておきたいと思います。
 最後に、ちょっと異なる質問になりますけれども、先ほど岸委員からも原発のごみ処理の問題がありました。
 もうこれは、人類が核を利用してきてしまったがために我々に課せられた本当に深刻な課題であります。現状では、数十万年地中に埋めるということが世界の主流になっているわけでありますけれども、私も何度か衆参委員会を通じて取り上げさせてもらったのが加速器を用いた核変換技術というものであります。長寿命核種を短寿命核種に、安定核種に変換できるというもので、半減期が数十万年掛かるものを数百年に縮めることが可能であるという技術であります。
 これについて、今日は文科省来ていただいていると思います。これまでもいろいろと予算付け等を行ってこられたと思うんですが、やはり、何というのかしら、もう一段ステップアップした研究にするには、特に東海村のJ―PARCにはその施設を建設するための土地の予定地などももう確保しているわけなんですが、今は基礎研究の段階ということの文科省の判断だと思います。ただ、いろいろとメンテナンス等も掛かり、研究費になかなか回らないという事情もあるようです。
 これは、人類としてやはり後世に伝えていかなければならない知見だというふうに思っております。また、世界にも日本が貢献できる分野でありますから、ここをもっと文科省としても推進をしていただきたい、そのように思うことがまず一点と、現場から上がっている声が、研究者はもう純粋に研究をしておりますから、放射性物質もいろいろな種類があります。それに関わる状況もいろいろあります。一律にこの規制を設定するのではなくて、そのリスクに応じた規制ですね、何というんでしょうか、何でもかんでも厳しいということでは逆になくて、研究者にとってはやはり自由に研究ができる、そういう基準、そういう規制であってほしいということが現場から声が上がっております。
 うまく通じたでしょうか。その点について、ちょっと時間のない中でございますので端的に御答弁いただければと思いますけれども、よろしくお願いします。

#61
○政府参考人(堀内義規君) お答えいたします。
 エネルギー基本計画におきましては、使用済燃料の対策に関する将来の幅広い選択肢を確保するという観点から、放射性廃棄物の減容化、それから有害度の低減ということのために技術開発を実施するということとされております。
 文科省では、加速器を用いまして高レベル放射性廃棄物に含まれる長寿命の核種を短寿命の核種やそれから安定な核種に変換する技術であります加速器駆動核変換技術、私どもはADSと呼んでおりますけれども、に関する研究開発を推進しております。
 平成三年度予算案におきましては、ビーム照射や腐食に強い材料の開発など、このADSの実現に向けて必要な要素技術を開発をしていくということとともに、この長寿命の核種であるマイナーアクチノイドを分離するという技術についても開発を併せて取り組んでおりまして、約九億円の予算を計上させていただいております。
 文科省としましては、この技術重要だというふうに認識しておりまして、引き続き必要な予算を確保し、これの研究開発に着実に取り組んでまいりたいと思っております。

#62
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
 先生の御指摘の中にもありましたとおり、試験研究炉、千差万別であります。潜在的なリスクが極めて小さなものも含まれます。したがいまして、原子力規制委員会としては、こういったリスクの大きさに応じた弾力的な規制を心掛けたいというふうに考えております。
 ADS、加速器駆動未臨界炉のようなスイッチを切ればすぐ止まるような炉もあれば、様々な炉があります。施設の特徴を捉えた規制に努めてまいりたいというふうに考えております。

#63
○青木愛君 ありがとうございます。しっかり受け止めていただいたと思います。研究者の声をまた伝えていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 ありがとうございました。

#64
○新妻秀規君 冒頭、この質疑の機会に感謝を申し上げます。
 早速質疑に入ります。
 先ほど岸先生、また青木先生からもございましたが、この東電社員のID不正利用による中央制御室への入室の課題、大変重要な案件ですので、一部質問重なりますが、別の論点からも問いたいと思いますので、私からも取り上げさせていただきます。
 まず、東京電力に伺います。
 この東電柏崎刈羽原発の、昨年九月、東電社員が同僚に成り済ましてIDカードを無断に使用して警備担当者を欺いて中央制御室に入ったという事案、これ、原子力規制委員会が今月の八日、非公開の臨時会合でこの問題議論をして、東電の自主的な取組には任せられないと判断し、追加検査をして改善状況を把握することとしたということであります。
 本件、核物質防護規定に違反する事案でありまして、東京電力に対しては、ずさんな危機管理体制と指摘せざるを得ません。猛省を促したいと思います。
 まず、東電に、現在の調査の状況、そして原因分析、取られた是正・再発防止策について伺います。また、今回の教訓を事業者間でどのように共有をし、今後の再発防止に取り組んでいくのでしょうか。答弁求めます。

#65
○参考人(文挾誠一君) それでは、お答えさせていただきます。
 当該事案の発生につきましては、改めて深くおわびを申し上げたいというふうに思います。
 本事案につきまして、発覚後すぐに施錠管理の徹底とか本人確認プロセスの見直し、それに現場での登録装置の使用禁止、核セキュリティーの再教育等の再発防止策を実施をしてございます。
 今後でございますが、この原因究明の深掘り、あるいは更なる再発防止の策定というものを原子力規制庁へ報告期限であります三月の十日までに行う予定でございます。これまで実施した対策に加えまして、更なる対策の検討を早急に進めてまいりたいというふうに思います。
 また、本事案につきまして、事業者間の共有という御質問を受けてございますが、これにつきましては、電気事業連合会を通じましてほかの電気事業者と事象の共有を図ってございます。今後実施する対策につきましても、引き続き事業者間で情報共有をしっかりしていきたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。

#66
○新妻秀規君 今、副社長から御答弁ありましたけれども、暫定対策は取られているんだなということは理解いたしました。しかし、本当に真因、真の原因を突き止めるここの原因究明、極めて重要ですので、三月十日のこの是正の報告、これ皆さんに納得していただける、国民の皆さんが納得していただけるような、そうしたものに仕上げていただきたいというふうに思います。また、事業者間での取組を是非ともよろしくお願い申し上げます。
 次に、規制庁に伺います。
 今、東京電力から、原因究明、また是正についての方針、答弁ありましたけれども、規制庁としてこうした事業者の是正の努力について、是正の努力に対してどういうふうに側面支援をしていくのか。
 また、本事案については、先ほど青木先生からもございましたが、九月二十一日に東電から報告を受けたのに、四か月間、規制委員会に報告をしない、眠らせる。これは、まさに本当に事態を軽視し過ぎているというふうに言わざるを得ないわけなんです。なぜこういう判断に至ったのか、また、今後どのような是正を取られるのか、お伺いします。
 また、先ほど青木先生からもございましたが、昨年九月二十三日の定例会合で、柏崎刈羽六号機、七号機、再稼働に必要な管理手順をまとめた保安規定の変更、変更が了承されています。先ほど申し上げましたとおり、東電から規制庁への報告は九月二十一日、二日前。会合前に規制委員会が問題を把握していれば判断が異なった可能性もあったという指摘もあります。事実、二月八日の非公開会合、原子力規制委員会の非公開会合では、この変更の認可の、この当該の変更認可の申請の内容の適否とは関係なく、この種の事案の発生直後に認可に関わる判断を行うことは適当でないとする意見も事実出ています。
 この不正入室が問題となる核物質防護規定、そして再稼働の判断に関わる保安規定、これ全く別の独立の仕組みとなっていますが、これで本当にいいのか、再検討が必要でないかと思いますが、この件、答弁をまとめて求めます。

#67
○政府参考人(山田知穂君) まず、事業者に対してどのように対応していくかということでございます。
 核物質防護事案につきましては、これまでも、事業者間の自主的な情報共有に加えて、原子力規制庁としても、事案の程度に応じて、情報の取扱いに留意しながら各事業者に周知をするとともに、事業者の改善の取組を促してきているところでございます。
 本事案の情報共有については、今後の追加検査の結果も踏まえながら、各事業者への情報共有や指導を適切に行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
 それから、報告が遅れた件でございます。
 これ、先ほども答弁をさせていただきましたけれども、まずは、本事案が報告された時点で委員長、委員に報告しなかったということについては判断が甘かったということで反省をしているところでございます。当初、報告を幹部が受けました際には、直ちに報告すべき事案というような重要性を認識をしていなかったということで報告をしていなかったということでございます。
 本件に対する対応としましては、先ほど申し上げましたとおり、委員会の方に検査事項を、検査における指摘事項となる可能性のあるものについては速やかに委員長、委員に報告するようにということで、これも検査の規定類にきちんと反映をした上で対応していくということで、この方針については御了解いただいたところでございます。今後はこの方針に従って対応していきたいというふうに考えているところでございます。
 それから、最後に、核物質防護規定と保安規定が別の枠組みになっているということについてでございますけれども、原子炉等規制法において原子力発電所の保安のために必要な措置は保安規定に、特定核燃料物質の防護のために必要な措置は核物質防護規定にそれぞれ定めて原子力規制委員会の認可を得ることというふうに定められているところでございます。
 保安のために必要な措置は公開の原則の下で規制を行う一方、核物質防護のために必要な措置は、施設の脆弱性を明らかにしないという観点から、原則非公開で規制を行っているところでございます。
 このように、保安規定と核物質防護規定はそれぞれ規定の性格が異なって、規制のやり方も異なっているところでございまして、それを踏まえた形で原子炉等規制法においては別の体系というふうになっているというふうに理解をしてございます。
 本事案は原子力規制委員会で認可した核物質防護規定に違反したものでございますので、この核物質防護に係る規制の関与の下でしっかりと改善を図っていくべき問題というふうに考えているところでございます。

#68
○新妻秀規君 同じ事業者というところをもう少し考えた方がいいのかなということを私としては思いますけれども、承知いたしました。
 続きまして、規制委員長に伺います。今後の対応です。
 原子力安全の最後のとりでとして、事業者に対しては抜き打ちの仕組みを活用しながら強く改善を促していただきたいと思いますが、どのように取り組まれますでしょうか。また、事務方として支える身内である規制庁について、この度の対応に対する委員長の所見、そして今後どのように指導していくのか、お伺いしたいと思います。

#69
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
 原子力規制委員会としましては、核物質防護規定と東京電力の核物質防護措置が十分なものなのか、抜き打ちも含めた原子力規制検査の枠組みを通じて厳しく確認、評価をしてまいりたいというふうに考えております。また、必要な場合には更なる対応の要否を判断していきたいというふうに考えております。
 それから、規制庁から規制委員会に対する本事案の報告の遅れに関しましては、既に注意を与え、さらに改善の指示をしたところであります。
 ただ、これはまだ改善の途上であります。なかなか、セキュリティーに係る情報に関して、これ以上なら報告、これ以上は報告しないという線引きは難しいところがありますので、規制庁も含め、また規制委員会も経験を積む必要があると考えておりますし、セキュリティー事案の経験を積むというのは事案が起きないとと考えているとなかなか進みませんので、想像力を働かせて様々な状態、事案を想定をして、こういった場合にどういう報告プロセスを取るかというような検討を重ねてまいりたいというふうに考えております。

#70
○新妻秀規君 今回の事案では、ある意味、東京電力さんはすぐに報告をしたわけなんです。やはり、身内である規制庁と規制委員会の風通し、これは是非とも、今委員長がおっしゃいましたけれども、しっかり風通しを良くしていただきたいというふうに改めてお願いしたいと思います。
 続きまして、先ほど更田委員長からの報告にもございました、東電の福島の第一原子力発電所の事故、事故の調査・分析に係る中間まとめの案について伺いたいと思います。
 まずは、このベント失敗の教訓をどう生かしていくのかについて伺います。
 まず、この中間取りまとめ案、このつい一月、報告されたもので、公表されたものであります。
 資料のまず一を御覧ください。この事故当時、このベントの成功、失敗が大きな関心を呼びました。ベントは、この資料の一にあるとおり、これ左側が一号機、右側が二号機、例として示してありますけれども、この枠の中央にフラスコ状のもの、これは原子炉格納容器なんですけれども、この内部の圧力が上がり過ぎるのを避けるために、このガスを、この真ん中に煙突みたいなやつありますね、これ一号機、二号機共用の共用排気筒なんですけれども、そこから出すと。これがベントです、簡単に言いますと。
 この事故では、結果として一号機、三号機、四号機で水素爆発、二号機は爆発は免れたものの、ベント自体失敗と。この中間取りまとめ案は、この新たな測定結果に基づいてそのメカニズムを新たに明らかにしています。
 この資料の一で分かるように、一号機、二号機、煙突を共用しているわけなんですけれども、一号機は、この緑色の矢印のように一部ベントは成功している。でも、この黄色い矢印ありますね、このように自号機に逆流してしまったり、また二号機の方に流入してしまったりしているということなんです。二号機、先ほど申し上げましたとおり、ベント自体失敗と。
 三号機でも、同様に四号機と配管、排気筒、煙突共用しているんですけれども、三号機のベントガスが同様に三号機、自号機に逆流して、また四号機にも流入しているという状況です。
 資料の二、御覧ください。例として三号機示しますけれども。結局、電源を喪失してしまったので、いろんな弁があって、このベント、うまくベントを機能させるためにいろんな弁があるんですけれども、電源が失われてしまったので、結局、この左下の方からびゅうっとベントガスが赤い線通してこの煙突、右上の煙突に流れていくべきところが、この弁がいろいろあって、左側が通常の待機時、右側が電源喪失時なんですけれども、結局、電源が失われてしまったので左上の方に逆流していって、自号機に戻っちゃったり、他号機に、右上の方に流れて流入してしまったりしているということで、結局、このベントが結局非常時の電源喪失によって機能しなかったということで、ベントの構造上の問題をこの中間取りまとめは指摘しているわけなんです。
 全ての装置、それが適切に機能しなければならないことは言うまでもないんですけれども、このベントの例、付けりゃそれでいいということにはならない、そういう証左なんじゃないかなというふうに思います。
 この中間取りまとめが指摘しているこのベントガスの逆流、また他号機への流入、これなぜ予見できなかったのか、また、今回のこの指摘を他の原発における原子炉の安全対策にどう生かしていくのか、これ東電さんに伺いたいと思います。

#71
○参考人(文挾誠一君) それでは、お答えさせていただきます。
 御指摘の建屋への逆流につきましては、ベントの配管と非常用ガス処理系を遮断するための弁が全交流電源喪失によりまして操作できない状態に陥ったという、これはもう先生御指摘のとおりでございます。
 平成七年のアクシデントマネジメント策では、諸外国の対策例などを参考にしながら、当時の得られた知見に基づきまして進めておりましたが、それで規制当局や有識者との議論も経て取り組んでいたという事実がございます。
 しかしながら、今回のように、津波によりまして複数号機が同時に被災をしまして、長時間にわたりまして全交流電源喪失に至るとの想定がされておりませんでした。
 柏崎刈羽原子力発電所に今現在設置中でございますフィルターベントにつきましては、他の号機とか他の系統と配管を共有することなく、排気口まで独立したラインで設計、敷設されているというものでございます。ベントが逆流や流入を起こさないような対策を講じてございます。
 また、全交流電源喪失時には、常設又は可搬型の代替交流電源設備からの給電によりまして、中央制御室からの弁の開閉操作が可能であることに加えまして、管理区域外からの現場での手動によります操作も可能となるような設計というふうにしてございます。
 今後も継続的な事故調査等によりまして新たな知見が得られた際には、発電所の安全対策に反映してまいりたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。

#72
○新妻秀規君 今、副社長、最後におっしゃいましたけれども、こうした新たな知見、これをどういうふうにしてこれからの安全対策に生かしていくのかというのが極めて重要なところなので、是非ともこれからも継続的な取組をお願いをしたいと思います。
 次に、規制委員長、お伺いをします。
 今回の中間取りまとめによります新しい知見、例えば今回ベントガスの話とか、次の質疑で取り上げますこの原子炉格納容器の蓋、シールドプラグの高い線量とか、こういう知見を今後どのようにして原子力規制に反映していくのか、また、事故の教訓を次世代に引き継ぐためのアーカイブ化、様々な資料が、次代に引き継ぐべきだと思いますけれども、これどう取り組むのか、また、今後も事故調査が続けられ、その知見はその都度規制に反映されていくという理解でよろしいかどうか、三点まとめて答弁お願いします。

#73
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
 まず、新規制基準の策定に当たって非常に強く意識したことの一つが、東京電力福島第一原子力発電所事故において、いわゆる電力自主で行われたシビアアクシデント対策が全く機能しなかったということにあります。
 先生がお示しになっているこのベント、これは耐圧強化ベントですが、これは当時規制要求ではなく、当時の規制当局は設計の概略を示しただけで、実際の設置は電力に委ねられておりました。で、これが機能しなかったということが一つの最大の反省で、新規制基準では、フィルターを備えたベントの細部に至るまで、このときの痛い目に遭った反省を織り込んでいます。例えば、ベントラインであれば、水素の発生を考えたらば、ベントの勾配は出口に向かって上がっていかないと水素が途中でたまってしまうと。そういった細かいところも含めて、その教訓は新規制基準の中に反映をしております。
 さらに、こういった事故分析等を通じて得られる教訓というものは、これは、調査そのものは、やはり研究であるとか、事故を分かりたいという関心の下に進むものでありますけれども、そこから得られた教訓、知見というものは、今後、原子力規制委員会の技術情報検討会などの枠組みを通じて、例えば、基準に反映をさせるべきか、それか細かい事業者の努力に反映を促していくか、そういったことを一つ一つ決めてまいりたいというふうに考えております。
 それから、事故調査で得られる情報のアーカイブ化、これは大変重要ですし、現在でも原子力規制委員会のホームページを通じて情報の公開に努めているところでありますが、更に細かい情報についても順次公開できるように努めてまいりたいというふうに考えております。

#74
○新妻秀規君 ありがとうございます。
 私、飛行機の設計をやっておりまして、飛行機の設計は墜落事故のたびに進化してきた、このように言われております。
 様々なこの設計の細部、スペック、ここには人の命がこもっているんだというのを先輩からも教えてこられたので、今委員長がおっしゃられたのは、本当そのとおりだなというふうに受け止めました。これからも是非ともそうした視点で規制を進化していっていただきたいと、進化させていただきたいというふうに思います。
 次に、同じこの中間取りまとめのシールドプラグ、この蓋の話に移りたいと思います。
 今回の中間取りまとめでは、この福島第一原発の各原子炉の現在の詳細な状況を明らかにしております。
 ここでもう一回資料一を御覧ください。
 この左側の一号機も右側の二号機も、枠の上の方にシールドプラグってありますよね、これがこの原子炉の格納容器の蓋なわけなんですけれども、ここに今極めて高い、高い線量があると。で、二号機の場合、この三層から成る蓋の一番てっぺんのカバーと真ん中のカバーの間にセシウム137というこの放射性物質が二京から四京、京都の京と書くやつで、一兆の一万倍、二京から四京ベクレル、どれくらいもう大きいかも分からないくらいすごいんです。で、三号機、三京ベクレルという物すごい高い線量の可能性が指摘されています。
 この線量については、委員長御自身、一月二十七日の記者会見で、最初聞いたときにはとにかくびっくりした、廃炉作業に与えるインパクトは極めて大きいだろう、戦術ではなく戦略にインパクトを与えるような結果だと、こう御発言もされていらっしゃるところです。
 まず、東電と経産省に伺います。
 これまで格納容器の床などに滞留しているデブリ、これをいかに取り出すのかというのが焦点だったと思うんです。ただ、今回、この格納容器の高いところにあるこの蓋が極めて高い線量。廃炉を着実、確実に進めていくためには、デブリだけじゃなくてこの高い線量を有する蓋も取り出して解体しなくちゃいけない。また、当然、周辺環境に影響がないよう進めなくちゃいけない。また、このデブリ、格納容器の蓋、取り出した後に環境に悪影響が生じないように保管しなくちゃいけない。
 ここで、この一連の廃炉作業、この中間取りまとめで指摘があったこの蓋の存在、どのようにこの計画に影響を与えるのか、まず東電に伺います。その次に経産省に伺います。

#75
○参考人(文挾誠一君) それでは、お答えさせていただきます。
 極めて高い線量の蓋の存在につきましては、これまで当社におきましても、二号機の原子炉建屋のオペレーティングフロアにて線量調査を実施をいたしておりまして、原子炉格納容器の蓋周辺がとにかく高い線量であるということについては承知をしてございました。
 二〇一九年度末に策定をしてございます廃炉中長期実行プランというのがございます。この中で、中長期ロードマップを達成するための、この先十年間程度の廃炉全体の主要な作業プロセスをお示しをさせていただいてございます。
 この蓋の取扱いにつきましては、今後示された課題も踏まえて今後検討してまいりますが、この廃炉中長期実行プランの計画における作業プロセスの中でも、必要に応じまして柔軟に見直しをしてまいりたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。

#76
○政府参考人(新川達也君) お答え申し上げます。
 一月二十六日に、原子力規制委員会が、福島第一原子力発電所一号機から三号機の格納容器上部の蓋に大量の放射性物質が付着しており、今後の廃炉作業や発生する放射性廃棄物の管理といった観点から、対処方法の慎重な検討と困難を伴う取組への的確な対応が求められるとの報告書案を公表したと承知をしております。
 廃炉作業は、中長期ロードマップに基づき安全かつ着実に進めているところでございます。過去の東京電力による調査の結果から、各号機の格納容器の蓋周辺の線量が高いことは推定をされておりまして、中長期ロードマップは、こうした結果も踏まえ、廃炉作業がある程度の高線量下で実施されることを考慮した上で策定されております。
 他方で、廃炉作業は日々得られる情報に基づいて個々の工程を柔軟に調整することとしております。そのため、現時点で中長期ロードマップの見直しを行うのではなく、今回の報告書案による新たな知見を踏まえ、作業を柔軟に見直していくことがまずもって重要と考えております。
 今後も予測の難しい困難な作業が発生することも想定されますが、国も前面に立ってしっかりと進めていく所存でございます。

#77
○新妻秀規君 慎重にかつ着実に進めていただきたいというふうに思います。
 続きましては、作業安全について伺いたいと思います。これは東電さんと経産省、双方にまた伺いたいと思います。
 こうした高線量の蓋などを取扱う作業員の安全確保をどう図るのか。また、経産省には、海外での作業の知見の導入などを積極的に是非とも行っていただきたいのですが、どのように取り組まれるか。また東電そして経産省の順に答弁願います。

#78
○参考人(文挾誠一君) それでは、お答えさせていただきます。
 作業安全を進めるに当たりまして、先生御指摘のとおり、その作業される方の安全の確保というのはこれ大前提でございます。
 高線量の蓋に限らず、高線量の機器を取り扱う際には、遠隔装置の採用とか、あるいは遮蔽などの被曝低減対策とか、放射ダストの拡散防止の措置というものをしっかりと講じまして、安全の確保については万全を期していきたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。

#79
○政府参考人(新川達也君) お答え申し上げます。
 福島第一原発の廃炉作業は、世界に前例のない困難な取組であることに加え、高い放射線量の中での危険を伴うものであることから、作業員の安全確保は極めて重要であると認識をしております。そのためには、適切に除染、遮蔽、遠隔技術などを組み合わせることが必要でございます。
 海外での廃炉作業の知見の導入につきましては、例えば燃料デブリの試験的取り出しについて英国の企業との共同開発を行うなど、海外の英知の結集にも取り組んでいるところでございます。
 今後も、作業員の安全を確保し、廃炉作業を着実に進めていくため、海外の知見も活用しつつ取組を進めてまいりたいと考えております。

#80
○新妻秀規君 私も、工場の現場で安全は全てに優先するということはもうたたき込まれていましたので、是非とも安全第一で着実に進めていただきたいと思います。
 次に、規制庁に伺います。
 規制面ではこの件、規制面ではどのように対応されますでしょうか。

#81
○政府参考人(金子修一君) 御指摘の格納容器上部の蓋、下面の汚染の詳細について、まずその量などがまだ具体的に明らかになっているわけではありませんので、東京電力にも調査をお願いしておりますが、規制委員会としてもこれしっかり把握できるように取組をまず進めてまいります。
 その上で、先ほど東京電力や経産省からもありましたけれども、この蓋が床面に当たっているオペレーティングフロア、ここについては空間放射線量率が非常に高いので、作業者の被曝管理には十分な注意が必要とされますけれども、さらに、この蓋を取り扱うということになりましたら、例えば遠隔で扱わなければならないことなど、技術的な検討を十分に行わなければならないと思います。
 したがって、規制委員会としましては、東京電力から具体的なこの取組の計画が示された場合に、被曝の低減の対策、あるいは周囲に汚染を拡大しないための防止の対策、こういったことの妥当性について審査等において厳正に確認してまいります。

#82
○新妻秀規君 厳正な審査を是非ともお願いをしたいと思います。
 最後に、リスクコミュニケーションについて東電と経産省にお伺いします。
 この作業、万が一の事故に備えて、周辺住民に影響が及ばないようにするための対策を策定すること、また平時から周辺の住民とのリスクコミュニケーションを密にすること、極めて重要と考えますが、どのように取り組まれるでしょうか。まず東電にお伺いします。
 また、続きまして、今回の一連の報道が根拠のない風評につながってはならないというふうに思います。先ほどの申し上げた平時からの住民とのリスクコミュニケーションと風評払拭の取組について、これは経産省に答弁を求めます。

#83
○参考人(文挾誠一君) それでは、お答えさせていただきます。
 先生御指摘のとおり、リスクコミュニケーション、これ非常に大事だというふうに認識してございます。それで、使用済燃料プールからの燃料取り出しとか、あるいは燃料デブリ取り出しに向けた作業につきましては、事前に立地町を始め各自治体に説明させていただくということとともに、廃炉作業の取組については広報誌などを通じてお知らせをしているという状況でございます。
 また、作業に当たりましては、放射線物質の飛散とか流出の可能性など、作業に伴うリスクをあらかじめ抽出をいたしまして安全対策を講じるとともに、万一トラブルが発生した際には各自治体へ直ちに通報するということとしてございます。
 現在、コロナ禍に伴いまして、発電所や廃炉資料館というものがございますが、これの視察の受入れを中断させていただいてございますけれども、受入れ再開となった際には、廃炉の現状とか取組につきましてより理解を深めていただけるように、地域の皆様に丁寧に説明、案内させていただきたいというふうに思ってございます。
 こうした取組とか活動を始め、あらゆる機会を通じまして、引き続き地域の皆様と、これは一方通行ということではなくて、双方のコミュニケーションというものをしっかり図っていきたいというふうに思います。
 以上でございます。

#84
○政府参考人(新川達也君) 福島第一原発の周辺地域で住民の帰還が進む中で廃炉作業を進めるということでございますので、安全かつ着実に作業を進めることは当然としまして、情報発信や双方向のコミュニケーションの強化を図ることは極めて重要であると考えております。
 地域及び国民の皆様の不安を払拭しつつ、御理解を得ながら廃炉作業を進めていきたいと考えております。
 このため、政府としましては、地元自治体やマスコミに対する作業の進捗状況の説明、動画やパンフレット、SNSを用いた情報発信、廃炉・汚染水対策福島評議会を通じた地元関係者への説明などを通じて、タイムリーかつ分かりやすい情報発信に努めております。
 また、御指摘の地域住民との双方向のコミュニケーション、これにつきましては、地域イベントへの説明ブースの出展や福島第一原発の視察や座談会の機会を積極的に設定をしているところでございます。
 今後とも、透明性のある廃炉作業を徹底するため、しっかりと情報発信の取組を進めてまいります。

#85
○新妻秀規君 是非積極的な取組をお願いします。
 以上です。ありがとうございました。

#86
○音喜多駿君 日本維新の会の音喜多駿です。
 私からは、初めに、年明けに発生いたしました全国的な電力需給の逼迫問題について質問させていただきます。
 需給の逼迫をめぐっては、全ての電気事業者に加入が義務付けられている電力広域的運営推進機関が、電気事業者に対する計画的な供給量確保に関する要請を行った後、一月六日に非常災害対応本部を設置し、逼迫状況をホームページでも明らかにしてきました。しかし、この周知は主に事業者向けであり、国民全員が今冬、電力供給が危機的状況であったことを知るすべは余りなかったように思っております。
 そこで、まず、資源エネルギー庁あるいは政府の公式関連のウエブサイトで今般の電力不足関連の情報は発信、提供されていたのかを伺います。

#87
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
 今年の年初から上旬にかけまして、電力需給が逼迫した状況が生じました。これは、断続的な寒波による電力需要の大幅な増加、LNG在庫の減少による火力発電の抑制など様々な要因があったわけでございますけれども、これに対しましては、あらゆる発電所のフル稼働、広域的運営推進機関の下での機動的な融通、まさに燃料確保等、関係者の連携により、連日、広域的には安定供給に必要とされる予備率三%を確保できてきたという状況にございます。
 今御質問いただきましたホームページの掲載というのはございません。けれども、こうした需給の状況及び安定供給の確保への対応につきましては、一月八日の会見以降、会見のたびに梶山大臣の方から御説明申し上げますとともに、その状況を踏まえまして、暖房の利用などふだんどおりの生活を続けていただきつつ、電気の効率的な利用を続けていただきたい旨申し上げてきたところでございます。

#88
○音喜多駿君 改めて指摘するまでもなく、今、国民がどういうところから情報を得ているかといえば、やっぱりインターネットというのが非常に重要な要素になっていると。そうした中で、記者会見で繰り返し述べていたからホームページに載せなくていいということには私は全くならないというふうに思います。
   〔会長退席、理事滝波宏文君着席〕
 確かに、そして電力需給逼迫の一義的な責務は電力会社にあるのかもしれません。でも、電力のような社会インフラの供給整備は国にも大きな責務があるのであり、電力需給逼迫状況を国民に、ホームページも含めてもっと広く知らせる必要があったのではないでしょうか。突発的な大停電が起こってから対処するのでは遅過ぎますし、事前に逆に情報があれば、非常用電源のある施設などは有事に備えることができます。特に、今般のコロナ禍においては、病院などの重要施設の停電はあってはならないことです。
 電力供給が綱渡りの状況下においては、非常用電源の準備が必要な病院などの施設のためにも積極的に国が情報発信をするべきと、今の状況を改善すべきと考えますが、政府の見解をお伺いいたします。

#89
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
 繰り返しになりますけれども、今回の需給逼迫に対しましては、あらゆる電力会社におけるフル稼働運転でございますですとか、地域間での機動的な電力融通、燃料の確保の協力、こういったことによりまして、広域的な形では安定供給に必要とされる予備率三%というのは確保できる見通しがあらかじめ立っていた状況でございます。
 この取組自体、あの東日本大震災の経験を踏まえまして電力システム改革を進めてまいりまして、広域的運営推進機関ということを軸といたしました地域のエリア電力を越えて広域的に全国で電力を安定供給するという、こういう仕組みを実現し、これは適切に機能した結果のものだと考えてございます。結果的に節電要請ですとか計画停電ということが必要となる状態に至っていなかったというふうに認識してございます。
 ただ、もちろん、安定供給に万全を期す必要がございます。今回の需給逼迫については包括的な検証を行っているところでございますけれども、それに伴い、安定供給及び市場制度の在り方については、必要な手当て、制度的なところも含めて対応していきたいと思ってございますし、委員御指摘のように、その際の情報発信の在り方ということについてもしっかり検討していきたいと考えてございます。

#90
○音喜多駿君 ちょっと改善の在り方、いろいろるる述べていただきましたけれども、どこまで御認識されているのか、ちょっと不安なところは正直ございます。
   〔理事滝波宏文君退席、会長着席〕
 今回の電力の逼迫状況の危機感というものを国として本当にどう受け止めていたのか。
 先月十九日には、経産省の有識者会合で委員の松村東大教授から、災害に近いという発想が必要ではないかという御意見があり、複数の委員やオブザーバーが、災害クラス、見解に同調したと聞いております。こうした意見があるにもかかわらず、梶山大臣は繰り返し節電要請を発出しない旨を発言をしておりました。
 どうして節電要請を発出しなかったかという理由については、もうちょっと先ほどと答弁重複すると思いますので先に進みますけれども、これはかなり電力事業者とは温度差がある認識であると私は感じております。
 一昨日、電力広域的運営推進機関が供給電圧調整の実施依頼を行っていたことを発表しました。電圧の調整をしていた、すなわち電気の質を下げていたということは、場合によっては機械の不調など補償の問題も出てくるのであり、今回の需給逼迫状況は電力事業者のみで解決すべき問題ではなかったのではないか、法令に基づく節電要請をしておくべきではなかったかと私は感じています。
 もっとも、この種の議論は印象で語っても仕方がないということも承知をしております。コロナ禍において国民に我慢を強いている中、節電要請をすることは政権の更なるダメージになるから節電要請を発出しなかった、そういった言説も散見されますが、節電要請の判断は、そうした要素に何か政治的なというか、主観的な要素に基づく人為的な判断ではなく、需給ベースで判断をすればよく、数字的な根拠に基づいて判断も可能なものです。
 節電要請は電気事業法三十四条の二に基づいて行われるものと承知しておりますが、ただ、この条文で言う「電気の需給の調整を行わなければ電気の供給の不足が国民経済及び国民生活に悪影響を及ぼし、公共の利益を阻害するおそれがあると認められるとき」というのが、これは具体的にどういう状況なのかがこの文面だけでは分かりません。
 そこで、そもそも節電要請が行われる基準は事前に作成されているのかどうか伺います。また、仮にその基準を作成していないのであれば、節電要請発出の基準を作成、公表しておき、今後、電力需給逼迫状況が再度発生した場合は人為的に決定するのではない体制を整えておくべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。

#91
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、政府による節電要請というものは国民生活に大きな影響を与えるものでございます。ですので、この発出の基準というものは、人為的に決めるということではなく、事前に作成、公表しておくことが望ましいというふうに我々も認識してございます。
 現在、この基準につきましては、ちょうど東日本大震災がございました、平成二十四年六月に、エネルギー・環境会議及び電力需給に関する検討会合というところが開かれまして、この中で、他電力から電力融通を最大限に受けても供給予備率が三%を下回る見通しとなった場合、この場合に政府から需給逼迫警報を発令し、節電要請、節電協力を求めるというふうな基準を定めているところでございます。
 このルールに従った場合、今回のケースについて申し上げますと、地域間で機動的な電力融通指示等の取組によりまして、あらかじめ広域的な形で供給予備率三%が確保できるという状況の見通しが立っていたため、節電の要請には至らなかったものでございます。
 しかし、委員御指摘のように、こういう広域的な融通という仕組みができ上がった中で、国民の方々にどういう形で情報をお伝えしていくべきかと。必要以上に不安をあおる必要もございません。ただし、一方で、必要な情報はお伝えしていく必要があるかと思っております。
 先ほど申し上げました検証のプロセスというのを進めておるわけでございますが、制度の在り方ということに加えて、情報の発信の仕方についてもしっかりと検討していきたいと考えてございます。

#92
○音喜多駿君 御丁寧な答弁をいただきまして、そこの中にあったように、今回は電力会社の懸命な努力等により突発的な停電などの最悪の事態は免れることができたと。ところが、かつて世界屈指の安定供給体制がしかれていたと言われている我が国の電力体制に、システム、制度の欠陥、あるいはエネルギーミックスにも問題があるということが露呈した場面であったとも考えられます。
 そもそも今回の逼迫の原因については、小売事業者側が適正に需要を把握していなかったからなのか、発電側の燃料調達に不備があったからなのか、まだ種々議論のあるところではありますが、そうした議論も、発電、小売事業の自由化と送配電分離が進む中で、安定供給の責任の所在が曖昧になっているために起きたとも考えられ、ますます国や資源エネルギー庁の役割は大きくなっていると考えられます。電力の安定供給体制を国としても再考していただくと同時に、先ほど来ありますように、情報発信体制、これについてもしっかりと見直していただくことを強く要望をいたします。
 関連して、昨年十二月末から一月中旬にかけて高騰した卸電力取引市場の高騰問題について質問させていただきます。
 スポット市場では、昨年末から一か月ほど高値張り付き状態が生じ、今年一月十五日には最高値のキロワットアワー当たり二百五十一円を付け、この高騰の要因の一つに売り札減少が考えられております。
 そもそも、電力の小売自由化は二〇一六年に全面自由化が行われ、登録小売電力事業者は現在約七百社になります。新電力の参入により消費者は安く電力を購入できるようになった一方で、今回のように新電力各社は調達価格の高騰により経営が圧迫され、事業停止や新規契約の受付を停止したケースも出ました。一方で、中には、不断の経営努力に加えて、日頃からリスクヘッジとして先渡し市場、相対契約などを活用し、今回のケースでも持ちこたえたと、こういった事業者もあります。
 事業者においては、卸電力取引市場からの調達依存度の見直しや先渡し等を活用したリスク回避が重要であり、また、新電力と契約する消費者への価格変動のリスクを丁寧に説明することが重要です。
 国は、市場経済において損失が出た新電力に対して安易に救済ばかりするのではなく、制度の不備を検証し、電力取引に関する情報開示や、新電力各社においてスポット市場からの調達に依存しないよう啓発をする必要があると考えます。
 電力・ガス取引監視等委員会では、一月二十二日より、当委員会のホームページにおいて、実際の市場データである売り札で構成される供給曲線と買い札で構成される需要曲線を迅速に公開する取組を始めたということですが、同時に、日本卸電力取引所、JEPXの電力先渡し市場や、東京商品取引所、TOCOMの電力先物取引市場を活用するなど、多様な調達手段を普及啓発することで電力取引市場の厚みと流動性を高める働きかけをするべきと考えますが、こちら、担当の経産省の見解をお伺いいたします。

#93
○政府参考人(岩城宏幸君) お答え申し上げます。
 ただいま委員御指摘の電力の多様な調達の方法ということでございましたですけれども、その中で先物取引の話も御言及いただいておりますけれども、電力先物等を活用しましてあらかじめ定めた価格で電力の調達を行った事業者につきましては、スポット市場の価格変動リスクを一定程度は回避できる可能性がございまして、経済産業省といたしましても、電力先物等の活用を促進すべきというふうに考えているところでございます。
 二〇一九年の九月に東京商品取引所におきまして電力先物の試験上場を開始しておりますけれども、実際の取引を通じまして、各電気事業者自らが価格変動や与信リスクをヘッジする重要性を認識し、必要な体制構築に取り組むなどの環境整備を行っていくことが重要であると考えております。そこで、東京商品取引所が中心となりまして、電力事業者向けの個別相談会やオンライン講座等を通じまして、電力先物市場に関する情報や各社の取組事例等の共有を行いまして普及啓蒙活動を行っているところでございます。
 経済産業省といたしましては、電力先物等の活用を促進すべく、引き続きしっかりと後押しをしてまいりたいというふうに考えております。

#94
○音喜多駿君 経産省としても先物市場等の活用、普及啓発、検討されているということですので、こちら、是非ともしっかりとやっていただきたいなと思います。
 現在は卸電力のスポット価格の高騰は落ち着きを取り戻しているものの、市場高騰時に電力調達ができなかった事業者は、大手電力会社から高騰した市場価格をベースとしたインバランス単価で購入し、電力調達を行っていました。
 経産省では、一月の十七日よりインバランス単価をキロワットアワー当たり二百円とする特例措置を行っております。価格高騰時には緊急避難的な措置というのは一定程度やむを得ないと思いますが、一部の新電力などが主張するインバランス単価の遡及的見直し、これは制度変更のリスクを高め、市場に対する信頼が失われかねないと考えますが、この点について経産省の現時点での見解をお伺いいたします。資源エネルギー庁。

#95
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
 今回の需給逼迫から契機といたしまして始まってまいりました卸電力市場の価格高騰というものに対しても、私どもとしてもしっかりした対応が必要だったわけでございまして、先ほど委員御指摘ございましたように、供給力不足が生じた際に小売電気事業者が送配電事業に支払うインバランス、この料金につきまして、価格が非常に高騰した状況が続いておりましたので、来年四月にそもそも導入を予定しておりました上限価格というのを前倒しで導入するという対策を講じたところでございますし、また、種々のこの市場の状況についての公開を通じまして、一月末には市場価格がおおむね落ち着いてきたというところでございます。
 今委員御指摘ございましたこの対策につきましては、一部の事業者の方々には、もっとこの非常な高騰状況に対するその支援措置を講じてほしいと、上限価格について申し上げましても、調整力調達の限界費用でもっと安い価格になるようにしてくれ、若しくは十二月、一月のインバランス料金についても遡及適用してもらえないかと、こういった要望も頂戴しているのは事実でございます。
 他方、この点に関しましては、この電力のビジネスというものが料金とこういう調達リスクに対してのリスク管理をどうするかということが鍵となるという性格があることもしっかり踏まえなければならないと思ってございます。何ら事前の策を講じなかった事業者がいらっしゃる一方で、自ら発電所を保有されたり、若しくは相対契約ですとか先物でヘッジしたりとかリスクに対する対応策を講じていらっしゃった事業者、こういった方々がいらっしゃる中で、市場の参加者に対しまして市場の結果について遡った形で対応するということについては、私どもは極めて慎重に対応していかなければならないと、このように考えてございます。

#96
○音喜多駿君 やはり、従前に高騰に備えていた、リスクに備えていた新電力事業者とそうではない事業者、こうしたものはやっぱり公平性の観点からしっかりと区別をした上で、今回の高騰や、そして今の市場環境、こうしたものを検証していただきたいと思います。また、国の介入というのはやはり市場ですから最小限とし、適切な競争環境となるようにそういった制度設計を改めていただくことというのを要望いたしたいと思います。
 電力の料金関係に関連しては、最後に、小泉環境大臣の電力コストに関する見識について、環境省にお伺いしたいと思います。
 昨年十二月十五日、環境大臣定例記者会見における記者の質問に対して小泉大臣は、自宅の契約を再エネに変えて料金が下がる、こういった旨の発言をされています。ただ、これは、FIT、固定価格買取り制度、この電気の調達に関して国民にも負担していただいている結果でもありまして、再エネは安いというこの部分だけを強調するのは質問に対する答えとしてはやや不誠実ではないかとも考えますが、こちら、環境省の見解をお伺いいたします。

#97
○政府参考人(白石隆夫君) お答え申し上げます。
 御指摘のあの記者会見におきます小泉大臣の御発言は、欧米諸国等で再エネの発電コストが下がり続けているということを踏まえまして、再エネ、イコール高いという思い込みを変え、再エネに対する不信論を払拭したいという趣旨で述べられたものだというふうに承っております。
 再エネにつきましては、議員御指摘のFIT制度の賦課金を含めて課題が指摘されているものの、こうした課題を解決いたしまして再エネの主力電源化を実現することが気候変動対策の観点からも重要でございまして、また、我が国のエネルギー代金の国内還流にもつながるものだと思っております。
 環境省といたしましては、FIT制度によらない再エネ普及を進めるためにも、再エネを求める電力ユーザーを増やしながら、初期投資ゼロで再エネ電気を利用できるいわゆるPPAモデルなど、そうした需要にも対応する新たなビジネスモデルを後押ししてまいりたいというふうに考えているところでございます。
 今後とも、経済産業省など関係省庁とも連携しながら、再エネの最大限の導入に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

#98
○音喜多駿君 これ以上は御本人に聞かないと何とも言えないところだと思うんですけれども、やはり再エネを普及させたいと、こういった思いは誰しも持っている、私も持っていますし、みんな持っていると思うんですが、世界的に見ても日本の再エネというのはまだまだ高コストであり、建設コストの低減、技術開発を促すことでこの再エネコストを下げて、国民負担を抑制しながら再エネ普及を図ると、こうした地道な取組をしていただくということを要望したいと思います。
 今、質問、これまで質問させていただいた二つの危機、すなわち電力需給逼迫とスポット価格の暴騰、こうしたものが浮き彫りにしたのは、資源に乏しい日本において多様な電源や燃料をバランスよく活用するエネルギーミックスの重要性です。そして、このエネルギーミックスについては、原子力の議論をまさに避けて通ることはできません。ましてや、菅総理はさきの国会で、二〇五〇年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言されているのであり、電源ポートフォリオを多面的に組み立てていく中で原子力発電を活用しないという選択肢は、現実的には、残念なことであるかもしれないですけど、現実的には到底あり得ないと言わざるを得ません。
 そうした中、経産省は昨年末、グリーン成長戦略を発表されましたが、この中で、原発につき可能な限り依存度を低減と言いつつも、引き続き最大限活用とも記しています。この原発の積極的活用について政府の姿勢が極めて曖昧であると、そのようにも受け取れるんですが、こちら、政府の見解をお伺いいたします。

#99
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
 エネルギー政策に関しましては、エネルギーミックスというものをお示しし、3EプラスSという原則の下で、どれ一つとして完全なエネルギーがない中でバランスを取っていくことが必要だということを述べ、また、徹底した省エネ、再エネの最大限の導入ということを取り組み、原発の依存度を可能な限り低減するというのが政府の方針であり、これは変わりございません。
 その上で、二〇五〇年カーボンニュートラルということを目指していくことは簡単なことではないわけでございまして、日本の総力を挙げての取組が必要だと認識してございます。そのためには、再生可能エネルギーはもちろんでございますけれども、安全性が確認された原子力を含め、使えるものは最大限活用していくという姿勢であり、水素、アンモニアなど新しい選択肢も追求していくというのが政府の基本的な考えでございます。
 こうした中で、あらゆる選択を追求する中で、必要な限りにおいて原子力も活用していくんだという趣旨で、原子力も含め使えるものは最大限活用していくということを申し上げているところでございます。

#100
○音喜多駿君 あらゆる方面に配慮をした御答弁であり、御姿勢であると思うんですけれども、どうしてもやっぱり原子力発電に関して踏み込みが、いろんなことを配慮すると中途半端で、不透明であると感じられてしまう面があるのかなと思います。
 これは推測ですけれども、政府として、エネルギーミックスを考える際、原発活用の必要性、重要性については十分理解されている一方で、原発を積極的に推進するというのは国民の理解が得られない、こうしたことから曖昧な姿勢にならざるを得なくなっているのではないかなと推察をしております。
 この国民の理解が得られない理由としては、やはり福島原発事故に代表される負のイメージがあるから、こちらにほかならないわけでありますけれども、このイメージは東電の失態や政府の原発政策の情報発信の不足に主にあるのであって、必ずしも技術、テクノロジーについてのイメージじゃないと私は思っております。加えて、原子力の技術をめぐっては、SMR、小型モジュール炉の開発が世界各国で進むなど、画期的なイノベーションが起こっています。
 そこで、小型モジュール炉の普及も踏まえ、これは、ここは原子力という名称を一新して新技術に合った前向きな名称、これを考えて普及させるということも私は一案かと思いますけれども、この点について政府の御見解をお伺いいたします。

#101
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のように、原子力というものを含めましてあらゆる選択肢を追求していくということは二〇五〇年のカーボンニュートラル実現に向けて大変重要なことだと思っておりますし、原子力という名称のお話もございましたけれども、これまでの歴史の中で確立してきたこの技術というものは、今後活用していく上でのエネルギー上非常に重要なものだというふうに考えているところでございます。
 委員から今御指摘ございましたように、SMR、小型モジュール炉というものは、その従来の軽水炉の安全性の向上に加えて、今後、出力小さく、安全性高めるとともに、投資を抑えること、可能性があるという面でも重要でございますし、また、高温ガス炉といったような、燃料を溶けにくい構造としてヘリウムガスを燃料の冷却に使うことによって安全に高温の熱利用を可能とするというような技術、様々な技術が出てくるわけでございます。
 国民の方々、いろんな方々の御理解を得ていけるような名称といいますか、というところももちろんあると思いますけれども、とにかく、まずは必要なこのエネルギー技術の開発ということについては、しっかりと革新的なものを開発していくべく進めていきたいと考えてございます。

#102
○音喜多駿君 ありがとうございます。
 名称変更というアイデアは突拍子もなく聞こえたかもしれませんし、人によってはそんなの本質じゃないだろうと言う方もいらっしゃると思うんですが、この原子力、これにまつわる負のイメージを取り除くあらゆる努力、情報発信というのを政府には期待したいと思います。
 加えて、我々日本維新の会は、必要なプロセスが法律上明確化されないまま再稼働が行われるなど、発電用原子炉の運転に関する判断、責任の所在が極めて曖昧な現状に鑑み、この発電用原子炉の運転要件における総理大臣、経産大臣の許可や地元知事の同意、あるいは原子力損害が発生した場合の国の負担、政治主導による最終処分施設などの確実な整備、こうしたことを明記した議員立法、これを今後提出すべく準備をしております。責任を明確化した上で、現実を見据えた、原発再稼働も含めたこのエネルギーミックスについて国会の場で議論をしていただけますことを、是非与野党の皆様にも期待をさせていただきたいと思います。
 話をエネルギーミックスの話に戻しまして、将来的にはゼロにするにせよ、政府の言うとおり可能な限り依存度を低減するにせよ、原子力発電の割合は具体的に年次で決めるということは我が国の電力安定供給体制を維持するために必要です。そうした国益を念頭にすると、安全性を審査する原子力規制委員会にも、審査の迅速化、この御努力を是非していただきたいとも考えます。
 こちら、他の委員からも指摘で議論がありましたけれども、更田委員長は昨年六月、原子力発電所直下の活断層の存在が焦点となっている安全審査について、議論が停滞して前に進まないのにリソースを投入するのは無責任だと述べて、不許可の判断もあり得ると示唆をされました。不許可になるのであれば、それはそれでエネルギーミックスの割合が定まるのであり、国益にもこれはある意味資すると考えます。
 エネルギーミックスということについては審査の考慮外であることは承知しておりますが、原子力規制委員会として既存原発の審査について審査停滞を回避する努力が一定程度必要だと考えるところ、その取組と見解についてお伺いいたします。
 またあわせて、小型モジュール炉についても、二〇三〇年までに実用化するという目標がある中、原子力規制委員会としてこの審査についてもできる限り停滞を回避する、迅速化する努力が必要かと考えますが、改めてこちら、見解をお伺いいたします。

#103
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
 まず、既設の施設に対する審査でありますけれども、これは個別の審査を特定して挙げることはいたしませんけれども、先生御指摘のように、長期停滞している審査については、不許可としないまでも、一旦審査を中断させるというようなことは、取組は必要であろうかというふうに考えております。
 もう一つ、小型モジュール炉に対する規制に関連しては、国際機関や各国規制当局間で新しい規制上のアプローチを含む議論が進められておりまして、その中には既設炉の継続的な安全性向上に対しても有益な議論が含まれていることから、原子力規制委員会としましても、規制当局間の議論に参加するとともに、各国の規制動向の把握に努めているところでございます。

#104
○音喜多駿君 ありがとうございます。
 間もなく時間参りますけれども、安全審査について、先ほど来御議論がありますように、時間を理由に形骸化するということはあってはなりませんし、慎重に慎重を重ねる必要というような、これがあるという一方で、やっぱり時間が掛かり過ぎてもいけない。非常に難しい問題なんですが、一般の審査機構や裁判機構であれば、やっぱりデッドライン、期限定めて、そこまで来たらやっぱりもう何らか、不許可にするなり中断という、今、ことも提案も出ましたけど、そうしたことをしていることもありますので、こうした点も含めて、是非今後も、役割は大きいと思いますので、迅速な、そして努力をしていただくことを御期待申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

#105
○田村まみ君 国民民主党・新緑風会会派の田村まみでございます。今日はよろしくお願いいたします。
 最初に、更田委員長から規制当局のこの活動の報告をいただきました。この中で、私は、今日、何点か質問を考えてきたんですけれども、なかなか活動状況だけに沿って質問するというのは難しく、それぞれの原子力発電についての考え方等々もどうしてもこの活動状況の質疑といいつつも挟んでしまう場面もあるかと思いますけれども、是非、今日、実りある質疑にしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず最初に、福井県にある関西電力大飯三号機、四号機の設置許可取消しの判決についてお伺いしたいと思います。
 昨年の十二月四日、大阪地裁が、福井県にある関西電力大飯発電所三号機、四号機の地震動評価、これを認めた規制委員会の審査の過程に看過し難い誤りが、欠陥があるとして、原子炉設置許可取消しを命じる判決を出しました。一方で、十二月の十七日には、国は裁判所の判決を受け入れ難いとして控訴していますけれども、まずその理由をお答えください。

#106
○政府参考人(片山啓君) お答えいたします。
 委員御指摘の判決につきましては、内容を精査をし、関係省庁とも協議をした結果、当委員会の、原子力規制委員会の基準地震動に関する審査における検討が不十分とする判決は、審査に対する誤った評価や事実誤認に基づくものであり、受け入れ難いため、上級審の判断を仰ぐ必要があるとの結論に至ったものでございます。

#107
○田村まみ君 今、大きな事実誤認があったというところだけしか触れられなかったんですけれども、この先の質問でも少し触れていきたいと思います。
 現在のこの規制の方ですけれども、東日本の、もう言うまでもなく、大震災の後、福島第一原発の事故で大きく見直されたものですけれども、平成二十四年に独立性の高い三条委員会として原子力規制委員会が発足して、この教訓を基に新しい基準が作られて審査をされている中で、今回、裁判があっての判決でした。
 国は、新しい基準は世界最高水準の内容になったという説明をする場面もあったり、また、審査では、電力会社に対して想定を厳しく見直す、そういうことを迫るような姿も見られて、地震などの想定が引き上げられることもあり、関係者は、事故の後、原子力規制は大きく変わったという評価をされる方もいらっしゃいます。そんな中での今回の判決でした。
 今回は、特に基準地震動について問題視をされています。判決の中の指摘では、基準地震動及び耐震設計方針に係る審査ガイド、いわゆる地震審査ガイドですけれども、これの中で要求している経験式のばらつきというものが加味されて検討されたのかされていないのか、その辺がいろんな報道等々でも問題になっているということが知らされております。この経験式で求めた地震規模の数値への上乗せを検討する必要があったと主張される方々もいらっしゃいます。
 科学者や技術者ではない国民が知りたいのは、非常に厳しいと私たちは聞かされているこの規制基準により審査が行われたというところが主な論点なんですけど、この判決のままであれば、福島の教訓が生かされていないというふうに捉えられかねませんし、土台となる審査の信頼性が失われかねません。
 原発を今回再稼働を進めるというふうに政府が言っているこの新基準で審査が行われた、このこと自体は、更田委員長は胸を張ってそうだというふうにおっしゃれますか。

#108
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えします。
 原子力規制委員会は、大飯発電所の基準地震動の策定に係る審査において、例えばFO―A、FO―B、熊川断層といった三つの断層の連動を仮定するなど極めて保守的な仮定を置いた上で、基準地震動が、敷地及び敷地周辺の地域的な特性を踏まえて地震学及び地震工学的見地に基づく総合的な観点から不確かさを十二分に考慮して策定されていることを確認し、妥当であると判断しており、その審査に過誤や欠落はないと確信をしておるところではございます。

#109
○田村まみ君 済みません、最初の一問目での規制庁の方からの今回の判決についてというところですごく簡潔にお答えいただいたので、今のような規制庁の判断の中で、じゃ、なぜこのような判決が出たのかという原因分析等々とか、そこの認識は国としては今のところないのでしょうか。

#110
○政府参考人(片山啓君) お答えいたします。
 大阪地裁がなぜこのような判決を出したのかということ自体を特に分析をしているわけではございませんけれども、当然、控訴に当たりましては、大阪地裁の判決文をよく分析をした上で、しっかりとそれに対する反論というものを、実際に行った審査の過程に沿って控訴の理由書を裁判所に提出をしているところでございます。

#111
○田村まみ君 ありがとうございます。
 二〇二〇年のその判決の直後の十二月の七日に電気新聞の記事で、北海道大学の奈良林直名誉教授は、最高裁判所まで行かないと判決は確定しないため直ちに運転停止をするものではないけれども、法律に基づいて原子力規制委員会が審査した結果を司法組織が否定するのは違和感があるというふうに、皆様と同じような見解を述べられているんですけれども、それと同時に、原子力規制委員会は、厳しい基準による審査であることを法廷内はもちろん広く社会へ説明していくべきだったと、これまでもしてくるべきだったと、米国の原子力規制委員会はやっているという認識があると、そういう部分では反省が求められるのではないかという持論を述べていらっしゃいますけれども、原子力に関して漫然とした不安を抱いている国民は少なくないということは、先ほど来の議論で皆さんもおっしゃっておりました。
 せめて、規制委員会がこの新基準の適合審査に合格したプラントについては問題ないと科学的、技術的に言い切るのであれば、国民が認識、そのことが技術的、科学的に安心できるものだというふうに認識ができるような説明も併せてするべきだというふうに考えますけれども、更田委員長、いかがお考えでしょうか。

#112
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
 私は、規制当局が安心という言葉をいたずらに使うようになったら、これは危険な兆候だと考えております。私たちは、安全について語りますけれども、安心という言葉を使うことには極めて注意深くあるべきだと思っています。
 東京電力福島第一原子力発電所事故の反省の、非常に大きな反省の一つは、規制当局が推進当局と一緒になって、ないしは事業者と一緒になって、安全神話の構築や普及に手を貸してしまったということにあると考えています。
 したがいまして、私たちは、私たちの審査の内容について、これからも説明責任を果たし、分かりやすい説明にできるだけ努めたいと考えておりますけれども、それを安心いただくための努力と捉えられてしまうと、それは違うというふうに考えております。

#113
○田村まみ君 ありがとうございます。
 今の発言いただいたことで、はっきりしました。
 今回の問題になっている点をより分かりやすくするために、二月三日の委員会で、基準地震動の策定に関する審査における不確かさの反映の具体例を付けて、委員会の中で様々、委員の皆様、説明を受けて議論をされていました。一同、皆様は、この不確かさだったり経験式のところの振れ幅みたいなところ、使い方が分かりやすくなったというような発言もありました。
 この科学的、技術的なところでは分かりやすくなったというふうに委員の皆様は一旦は見解を述べられておりましたし、委員のお一人の石渡委員は、地質学が御専門ですけれども、判決後の委員会で、今回使われた経験式そのものの妥当性のチェック、これを新しく起きた大きな地震で検証をきちっとしていっていることが重要であるし、今回使われた経験式の方では、二〇一六年の四月の十四日の震度七を観測した熊本地震でも検証されたその結果を、きちっと翌年の一七年の四月の二十六日に原子力規制委員会で、これまで使ってくるこの経験式から外れるものではなかったというような検証もきちっと科学的、技術的にされているというふうに私も認識をしております。
 これは、本当に震度幾つ以上の地震があったらこの経験式を見直すのかという基準が、学術的な基準があるのかもしれませんけれども、今おっしゃったとおり、安心は皆様の役割ではないですけれども、そのゼロリスクはないけれども、厳しい基準ということを常に規制委員会の皆様にはその中で御議論をいただいて、きちっと検証していっていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 二つ目です。今日は、東京電力の文挾副社長にも来ていただきました。ありがとうございます。
 先ほど来、二名の方が触れられましたけれども、私自身も、この東京電力の柏崎刈羽原発発電所の社員の他人のIDカード使用の入室についてお伺いします。重なるところもあるんですけれども、先ほど来のやり取り、答弁を聞きながら、私なりに少し納得できないところもあったので、もう一度お話しさせてください。
 何が起きたかは、青木理事の方ではっきりと説明いただきました。
 これ、多くの企業で同じ事案が起これば、一般的には社内での懲戒委員会などで本人や上司へ対応を決めて言い渡して改善をしていくということなんですけれども、これ、この件は、原子炉等規制法に基づいてテロ対策など定めている核物質防護規定に抵触するような重大な事案だというふうに考えております。
 もし食品製造メーカーで同じようなことが起きたときには、もしかしたら異物混入があったのではないかとかいうような形で、きっと先にその工場、企業が公に公開をして、このことについての注意喚起を促したりとか、その事態に対してまず社会へ弁明をするような事態だというふうに私は考えております。
 そんな中で、この今回の話なんですけれども、まずお伺いします。規制庁の方にまずお伺いします。
 東京電力から報告を受けたのに、なぜ公表をしなかったんでしょうか。これまでは報告をしなかったというところばかりだったんですけれども、なぜ公表をしなかったんでしょうか。

#114
○政府参考人(山田知穂君) 本件につきましては、まず核物質防護の観点でありますので、情報の取扱いには非常に注意をしなければいけない案件であるということはございます。
 それに加えてでございますけれども、今件につきましては、当初、規制庁内の担当部署の中で、直ちに報告、規制委員長、規制委員に報告すべき案件というふうに重要性を判断をしていなかったということで、そういった案件については四半期ごとに規制委員会に検査の結果を報告をするということになっておりますので、その時点で報告をするという考えでおりましたので、その時点まで本件についての情報の公開は行っていなかったという、そういう経緯でございます。

#115
○田村まみ君 実は、ちょっと通告でも、ちゃんと報告と公表と両方私並べてお話聞きたいと思って出していましたけれども、今の内容でこの公表しなかった理由に私ちょっとなると思えません。そのことで何かが起きて地域の住民の皆様へ影響があるということの想像が付かなかったのかということです。
 何か、何か反論があるんでしたらどうぞ、よろしいですか。

#116
○政府参考人(片山啓君) 山田総括審議官の答弁に補足をさせていただければと思います。
 今回のような、一般的に核セキュリティー事案につきましては、その施設の脆弱性を明らかにすることができない、そこに最大の留意を置かなければいけないということで、事案によっては、発生した事実そのものも含めて、公表を直ちにするということは難しいというふうに考えてございます。
 もちろん、委員御指摘のように、それがその事案を契機として、施設の安全に影響を及ぼして敷地外の方々に影響が及ぶような事案が起きた場合は、その起因がセキュリティーの事案であったとしても、安全上の問題として我々はジャッジ、その公表についてジャッジをしていかなきゃいけないというふうに思っております。
 ただし、今回の事案は、その安全上、施設の安全に影響を及ぼす、その時点では影響を及ぼす事案ではなかったというふうに我々としては判断しておりますので、直ちに公表しなければいけない事案だとジャッジをしていたわけではないということでございます。

#117
○田村まみ君 文挾副社長にお伺いしたいと思います。
 東電としては、その事案が発覚したときに規制庁の方へ報告された、翌日、その分かった時点で報告をされたということだったんですが、そのことは事実だということは先ほど来の議論で分かりました。
 その中で、公に公表されないということについてはどのように受け止めていらっしゃったんでしょうか。判断はもう全て規制庁に委ねるものだというふうに捉えていらっしゃったんでしょうか。

#118
○参考人(文挾誠一君) それでは、お答えさせていただきます。
 繰り返しになりますけれども、これはやはり、本件は核物質防護に関する事案でございまして、防護措置の脆弱性につながるおそれがあるということから、公表は差し控えさせていただきました。
 ですが、今、いろんな御意見があります。地元でもいろんな議論がされております。ですので、そういうことも踏まえまして、今後は情報公開と核セキュリティーのバランスを踏まえまして情報公開の在り方というものはやはり検討しないといけないかなというふうに考えてございます。
 以上でございます。

#119
○田村まみ君 ありがとうございます。
 報告に迷うことがあれば何でも報告するようにというようなふうに読み取れるような規定を設けたというような対策等々も先ほど来聞きましたけれども、これも先ほどの委員の中での意見にもあったかもしれませんが、タイミングを考えたときに、その危機管理のときに想像力がなさ過ぎるんじゃないかというふうに思います。
 これ、柏崎刈羽じゃなく別のところで起きたらこれでよかったのかというわけではないですけれども、明らかにタイミング的にこの柏崎刈羽原子力発電所の認可の話をするという手前の、本当に直前のタイミングでこの事案を受けて、それで、その防護に対する情報の公開に対して慎重にならなければいけないけれども、このタイミングで、後でこのことが分かったときにどのような批判とかどのような意見が出るかということに想像力が働かなかったんでしょうか。それがなければ幾ら規定をしても今後も変わらないというふうに私は考えますけれども、これ、今言ったように、直前だからということは一切関係なかったということを言えますでしょうか。

#120
○政府参考人(山田知穂君) 今回の件につきましては反省をしているところでございますけれども、今回、重要で直ちに報告しなければいけないというような判断をしたことに関しましては、先生御指摘のような、その他の件についての考慮をしたものではないということについては申し上げさせていただきたいと思います。

#121
○田村まみ君 なので、その考慮していないというところが、今言ったようなこの事実が後で分かった多くの人たちが結果的に疑念を抱いてしまっているということ、その受け止めは、済みません、通告していないですけど、どうでしょうか。

#122
○政府参考人(山田知穂君) その件につきましては、繰り返し申し上げておりますけれども、反省をしているところでございます。

#123
○田村まみ君 もうこれ以上言っても反省としか出てきません。具体的な現場の対策、そして、もう既に処分は東京電力さんの方では出ているけれども、反省をしておりますだけで規制庁が済ますということは、私の中では、やっぱり現場でそういうところを対策していこうという人たちに対してどのような姿勢を見せていくかというところには、少し足らざるものがあるのではないかということを指摘しております。
 今後、原因分析等々して改善がされていくことを東京電力の皆様にはお願いをしたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
 また、今回のパスワードが変更、現場でできるとか、要は、従業員を本当の意味で守るためにも、そのような不正というか、今回の事件も本当ちょっとしたことだということかもしれませんけど、そういう事前に事前に防ぐという対策をやるのが私は会社の責務だというふうに思っておりますので、是非そのことを鑑みて対策を打っていただきたいというふうに思います。
 続きまして、稼働の四十年を超える原子力発電所についてお伺いをしたいと思います。
 運転開始から四十年を超える関西電力高浜原子力発電所の再稼働について、今月一日に野瀬豊高浜町長は同意を表明されました。平成二十四年の原子炉等規制法改正により、原子力発電の運転期間が四十年に制限されて、一回に限り延長することが認められることとなったと認識しています。
 四十年超えの運転を行うために必要なプロセス、どのようなことをされているのかを委員長の方に御説明いただきたいと思います。

#124
○政府特別補佐人(更田豊志君) 規制上のプロセスだけについてお答えをいたしますけれども、運転期間の延長認可申請に当たっては、運転に伴い生じた設備の劣化状況を詳細に把握するための特別点検を実施し、その点検結果を踏まえて延長しようとする期間における設備の健全性を評価し、その評価結果を踏まえ追加で実施する施設管理方針、これは長期施設管理方針と呼んでおりますが、この方針を策定することが必要となります。

#125
○田村まみ君 ありがとうございます。
 この方針に基づいて審査をされているということなんですけれども、立地条件の違いや様々原子炉の構造の違いがあるにしても、今、実は、去年か、去年、アメリカでその八十年運転の許可が出たというようなことの報道もされております。
 これについて年数をどうこうというのは規制委員会の皆様の判断ではないということは承知しておりますけれども、学術的にだったりとか理論的に、どのようなことが世界で起きていて、今後、日本の原子炉に関して、原子力の発電に関して、安全だったりとか、もう経年の延長みたいなことに対して生かすべき内容だというふうに思っているんですけれども、このアメリカで出された許可の八十年運転、これについての評価とかは何か議論されたり議題になったりとかしているんでしょうか。そして、もしないということであれば、できれば委員長の個人の見解でもいいので述べていただきたいなというふうに思います。

#126
○政府特別補佐人(更田豊志君) まず、原子力規制委員会としましては、他国の規制上の判断について見解を申し上げる立場にはございません。
 その上で、個人的見解として申し上げると、ターキーポイント、ピーチボトム、どちらにつきましても建っているサイトの条件が全く違いまして、極めてその地震動に関してははるかに小さな地震動の想定でもつ発電所であります。そういった違い等も踏まえると、科学的、技術的にも余り参考となる情報が得られるというふうには認識しておりません。

#127
○田村まみ君 ありがとうございます。
 では、なかなか、この八十年の許可がアメリカの方で出たということが、今後の菅総理が表明された二〇五〇年のカーボンニュートラル実現でエネルギーミックスどうしていくかという中での、新しい原子力発電所を今造っていくという方向性にない中で、単純に長くすればいいという議論にはなりづらいようなふうに私は受け止めました。
 そして、もう一つ、私もその報道の中で見て気になったのが、このアメリカにおいて、先ほど地層学、地震の観点でお話しいただきましたけれども、運転の許可の期間が今まで四十年とされていて、その先に長くしていくというところは、技術的な理由よりも減価償却に必要な期間とかという性格が強いというような、どうしても、やはり造ったからにはということで、経済性みたいなことも相当加味されているというふうなことだったんですが、今の委員長の御発言を聞く限り、経済性というよりかは、やはり技術的、科学的、そして安全性を確保していくための視点で見ていただけるということを確認できたというふうに思います。
 最後に、時間がなくなってきましたけれども、昨年来もいろんな方々が質問されていました新検査制度についてお伺いします。
 改めて、昨年四月に運用開始したこの新検査制度の運用状況についてお伺いしたいと思います。

#128
○政府参考人(金子修一君) 新たな原子力規制検査は、大きく分けますと、施設のそばに駐在をしております規制事務所の検査官が実施をします日常検査、それから東京の事務所におります検査官がチームを組んで出張で実施をいたしますチーム検査の二つに分かれております。
 ちょうど運用が新型コロナウイルス感染症予防対策の下になりましたので、特に緊急事態宣言が発出されている期間におきましては、本庁から出張で検査官を派遣するチーム検査の一部は延期をするなどの影響が出ましたけれども、現地に駐在しております検査官による検査は滞りなく進めているようなところでございます。
 また、この検査官、能力が非常に大切でございますので、運用の中で検査の実践に有効な勉強会を開催したり、検査実例の情報共有の会議を開く、あるいは管理職が現場視察を通じて助言をするといったような取組も行ってございます。
 また、運用開始後すぐではございますけれども、継続的に改善が必要ということで、外部有識者あるいは原子力事業者等との意見交換をする公開の会合、意見交換会合を設けまして、これまでに三回議論をさせていただいているような運用状況となってございます。

#129
○田村まみ君 時間になりましたのでまとめたいと思いますが、是非、先ほども一人一人の能力が重要ということもありましたし、まだ全ての検査で安全上の問題にフォーカスした検査になかなか全てがなっているとは言い切れないということだというふうに思います。是非、現場の方々とのコミュニケーション、そして、教育を充実させていくということでしたけれども、そこを是非また重点的に進めていただき、安全上の問題にフォーカスした検査になるよう改善をよろしくお願いします。
 今日はありがとうございました。

#130
○会長(宮沢洋一君) この際、政府参考人堀内文部科学省大臣官房審議官から発言を求められておりますので、これを許します。堀内審議官。

#131
○政府参考人(堀内義規君) ありがとうございます。
 先ほどの青木議員への廃棄物に関する答弁の中で、令和三年度と申し上げるべきところを平成三年度と間違ってしまいまして、令和三年度に訂正させていただきたいと思います。
 失礼いたしました。

#132
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
 二月十三日、福島県沖でマグニチュード七・三の地震が発生し、宮城県、福島両県で震度六強を観測しました。深夜の大地震に衝撃が走りましたし、被害も広範囲に及んでいます。先ほど岸議員からも指摘がありましたが、同時に多くの人が原発は大丈夫かと不安を覚えました。
 菅首相は、十四日の午前二時前から行った会見の中で、原子力関係でも全て異常な報告についてはありません、全て正常ということでありますと述べました。
 東京電力に伺いますが、この時点で全て正常だと確認していたんでしょうか。

#133
○参考人(文挾誠一君) お答えさせていただきます。
 正確にはその時間軸についてはちょっと承知上げないところがございますので、福島第一原子力発電所あるいは第二原子力発電所で地震にとりましてどんな現象が起きたのかということをお話しさせていただきたいというふうに思います。
 二月十三日、二十三時八分頃、福島県沖を震源といたします地震が発生しまして、立地地点では震度六弱でございます。
 福島第一原子力発電所及び第二原子力発電所は、地震による原子力警戒態勢を発令しまして、緊急時対応に当たってございます。
 両発電所とも、招集いたしました原子力防災委員による現場パトロールにて現場の設備の確認を行ってございます。その結果、使用済燃料プールからの溢水による水たまりなどを確認をいたしましたが、拭き取り処理をするなどして対応してございます。
 また、五、六号機の滞留水を貯蔵してございますフランジタンクがございますが、この下部から堰内に漏えいが発生してございますが、その後、当該タンクから別のタンクに水の移送を行いまして、漏えいは停止してございます。
 なお、この敷地境界付近のモニタリングポストやダストモニターに有意な変動はなくて、本地震における外部への影響を及ぼすような異常はございませんでした。
 引き続き安全の確保に努めてまいりたいと思います。
 以上でございます。

#134
○山添拓君 全て正常だったんですか。

#135
○参考人(文挾誠一君) 今申し上げた以外は正常でございました。

#136
○山添拓君 述べられた部分は異常だったということなんですね。
 委員長に伺いますけれども、規制委員会は官邸に対して原発は全て正常だと報告されていたんでしょうか。

#137
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
 全て正常という報告はしておりません。

#138
○山添拓君 その時点で異常の報告がないということと全て正常だということは意味が全然違うと思うんです。
 二〇〇七年の新潟県中越沖地震では、震度六強の揺れで、柏崎刈羽原発の使用済燃料プールから大量の水があふれ、近くにいた作業員に掛かり、海にまで流れ出たりしました。規模や揺れ方によっては重大な事態が起こり得たわけです。
 総理の発言は、つまり全て正常だなどという発言は、これこそ誤解を招く発言だと思うんですね。
 その福島原発事故から十年を迎えます。避難地域の解除が進んでも、帰還は進んでおりません。商店や病院のない地域に帰れと言われても帰れないからであります。被害は決して終わっていません。
 被害賠償を求める集団訴訟は全国で約三十件に上り、高裁レベルで国や東京電力の責任を認め、賠償を命じた判決も相次いでいます。
 二〇一三年に作られた時効の特例法では、原子力損害の賠償請求権の消滅時効を、損害及び加害者を知ったときから十年としています。民法では原則三年ですが、これを延長して十年とされたものです。
 東電に伺います。
 これまでに賠償請求を行っていない被災者として東電が把握している個人や事業者の数を、避難区域の内外それぞれについてお示しください。

#139
○参考人(文挾誠一君) それでは、お答えさせていただきます。
 事故発生時に避難等区域、避難等対象区域に居住されておりまして、それで精神的損害の賠償の御請求をいただいていない方は、二〇二一年一月末の現在で七百六十五名というふうになってございます。
 一方、事業者様の損害とか、あるいは避難等対象区域外の個人様の損害につきましては、損害の発生状況はそれぞれ異なりまして、賠償請求をいただいていない方を特定するということは困難でございます。
 当社といたしましては、お問合せをいただいた機会などを捉えまして丁寧に御事情を伺うなどして、未請求の賠償項目があるかなど、確認の対応をしっかりしてございます。
 以上でございます。

#140
○山添拓君 今、説明された七百六十五名の中にはこの十年に亡くなられた方も含まれているかと思うんです。その相続人については把握されていますか。

#141
○参考人(文挾誠一君) 正確なところは、申し訳ございませんが、申し上げられませんが、基本的にはその相続人の方に対しても確認をしているという作業を続けてございます。
 以上でございます。

#142
○山添拓君 先ほど御説明のあったとおり、裁判では、区域外の被災者にも賠償が認められたり、中間指針を超える精神損害が認められたり、もちろん事業者に対する損害が認められたりということがありますが、そうした人については、あるいはそうした損害については未請求分としては認識されていないということであります。
 加害者である東電が把握していない未請求の被害者が多数に上っています。それは様々な事情があります。賠償そのものの複雑さや、証拠資料が不足しているという問題や、賠償の額を算定する困難さ、相続が未解決だということもあるでしょう。
 こうした中で、今度の三月十一日以降、順次時効が完成していくということになれば、救済されない被災者が生まれ得ることになります。なぜ消滅時効の特例法を再度延長しないのでしょうか。

#143
○大臣政務官(三谷英弘君) お答えいたします。
 東電福島原発事故から間もなく十年となりますが、時間が更に経過することに伴い因果関係の認定等も困難となることから、まだ賠償を請求されていない被災者の方々にはできるだけ速やかに請求を行っていただくことが重要でございまして、文部科学省といたしましては、被災者の方々に早期に賠償請求を行っていただけるよう、関係機関と連携し、広報や無料相談などの取組を精力的に行ってきております。
 また、時効特例法提出時の立法事実でございました避難生活を余儀なくされたことによる証拠収集の困難さ、賠償の請求に要する時間の問題などの状況は変化してきております。先生もこの原発事故の様々な問題に取り組まれてきたということは承知しておりますけれども、この点は、一般の不法行為につきましても、その事情を問わず、その知ったときから三年となっていることを考えましても、行使できるのであればやはり速やかに行使していただきたいというのがそもそものこの法の趣旨と考えておりまして、それはこの問題に関しても変わるものではないというふうに考えております。
 さらに、東京電力におきましては、時効の完成をもって一律に賠償請求をお断りすることは考えておらず、時効完成後も、最後の一人まで賠償を貫徹するべく、消滅時効に関して柔軟な対応を行わせていただくとの方針を表明していると承知しております。
 以上のことなどから、時効期間の再延長を目指すよりも、引き続き積極的な広報を行わせていただきまして、また、東京電力にも適切な対応を促すなどの取組を通じて、早期に賠償完了につなげていくことが適切であり、それが被災者の救済に資するものだというふうに考えております。なお、この点につきましては、原子力損害賠償紛争審査会におきましても同様の見解をいただいております。
 今後とも、関係機関と連携をしながら、迅速かつ適切な賠償が実施されるよう取り組んでまいります。
 以上です。

#144
○山添拓君 それは発想が逆だと思うんですね。時効は延長する、だからどんどん請求してほしいと。請求できるものは速やかに行使しろ、それは、この事故の被害の大きさや、被災者の置かれた実態や、その被害を額に表して請求しなければならないという困難さや、そうした状況をいろいろ無視するものだと思うんですよ。早期完了を強調するというのは、これは終わったことにしたいという意思の表れだと言われても仕方がないと思うんですね。
 資料を御覧ください。東電は二〇一九年十月三十日付けのプレスリリースで、柔軟な対応を行うとし、時効の完成をもって一律に賠償請求をお断りすることは考えておらず、個別の御事情を踏まえ、消滅時効に関して柔軟な対応を行うとしています。
 一律に断ることは考えないけれども、個別の事情によっては時効を主張して請求を認めないケースがあり得る、こう読めるんですけれども、いかがですか。

#145
○参考人(文挾誠一君) お答えさせていただきます。
 先生御指摘のところでございますが、時効を理由に御請求をお断りする具体的なケースというのは今想定をしてございません。したがいまして、賠償請求をお断りすることはせずに、時効完成後をもっても請求をいただいた場合には丁寧に対応いたしまして、最後の一人まで賠償を貫徹するという考えでございます。
 以上でございます。

#146
○山添拓君 では、なぜ一律に断らないと限定しているのですか。時効を理由に請求を認めない、そういう主張はしないんだと、こういうことなんですか。

#147
○参考人(文挾誠一君) お答えさせていただきます。
 繰り返しになりますが、時効を理由に請求をお断りする具体的なケースというのは今考えてございません。ですので、基本的に、また繰り返しになりますけれども、最後の一人まで賠償を貫徹するということでございます。

#148
○山添拓君 東京電力は、二〇一三年十二月、三つの誓いを掲げました。最後の一人まで賠償貫徹、迅速かつきめ細かな賠償の徹底、和解仲介案の尊重と、これを約束しました。
 しかし、実際には、中間指針の賠償基準に固執し、迅速でもきめ細かな賠償でもない状況が生まれています。ADRの集団申立ては和解案を軒並み拒否し、尊重していません。三つの誓いといいながら、それと懸け離れた実態が既にあるわけです。だから、時効についても懸念が広がっています。
 東京電力は、原子力損害賠償・廃炉等支援機構と共同で第四次総合特別事業計画を策定しています。今、案を作っている状況だと思います。政府として、東電が消滅時効を援用しないことを表現する内容となるように指導すべきじゃないでしょうか。

#149
○大臣政務官(宗清皇一君) お答えさせていただきます。
 特別事業計画の改定のこれは有無にかかわらず、東京電力は実質的に時効を理由に賠償請求をお断りすることは考えておらず、最後の一人まで賠償貫徹という精神で対応するものと私どもは認識をしております。
 特別事業計画は東京電力が国にそもそも申請をするものでございますけれども、経済産業省といたしましては、東京電力の今後の対応をしっかりと注視をしながら、被災者の方々が御不安な気持ちにならないように、関係機関とも十分に連携をして、賠償に関して正確な情報発信と周知に努める、それとともに、公正かつ適切な賠償を何よりも迅速に行うように東京電力に指導していきたいと思います。

#150
○山添拓君 実質的には時効を援用し請求をお断りすることはないと、こう重ねて言っているんですけれども、しかし、それが果たしてそうなるかどうかの懸念があるので、自治体も含めて様々なところから意見が寄せられていると思うんです。
 総合特別事業計画は経産大臣と総理大臣が認定をするものです。消滅時効は援用しない、時効を理由に拒むことはない、そう明確に記載するよう指導するべきじゃないかと、重ねて答弁を求めたいと思います。

#151
○大臣政務官(宗清皇一君) ちょっと繰り返しになって大変恐縮ですけれども、東京電力の方が時効を理由にこれは賠償請求をお断りすることはないということは明言をしておりますし、この三つの誓いをしっかり誠実に守っていただいて、最後の一人までこれ賠償請求という精神を貫いて、しっかり丁寧に対応していただくことがもう何よりも重要でございますので、私どもとしては、こういうことをしっかりと情報発信をしながら周知をしっかりして、公正で迅速なこの賠償ができるように東京電力を指導してまいりたいと思います。

#152
○山添拓君 三つの誓いとおっしゃるんですけど、先ほど申し上げたように、三つの誓いの二つまでは既にそれに反する事態が広がっているわけです。ですから、これはきちんと指導していただきたいと重ねてお伝えしたいと思いますし、それができないのであれば、やはり消滅時効の特例法、その再延長の法改正を急ぐよう求めたいと思います。
 残りの時間で次のテーマを行いたいと思います。
 新規制基準の下で規制行政が十分機能していると言えるのかと、今日も議論になっているところなんですけれども、改めて問いたいと思います。
 原子炉等規制法に基づく新規制基準において、既存の施設への適用、バックフィットですね、これを求めております。
 委員長に伺いますけれども、改めてこのバックフィットを求めることにした理由は何だったのでしょうか。

#153
○政府特別補佐人(更田豊志君) 東京電力福島第一原子力発電所事故の反省の中で最も大きなものの一つは、一旦許可された安全のレベルであればそれで十分なんだといって継続的な安全性向上の努力をしないできた、また、規制当局も求めないできたというところにあるというふうに認識をしております。そこで、この継続的な改善が欠けていたという視点に立って、原子炉等規制法の改正に当たって新たに盛り込まれた制度がこのバックフィットであります。
 バックフィットとは、既存の施設に対しても新たに設けた基準や新たな知見に対応するための措置を確実に行わせ、原子力施設の継続的な安全性の向上を図るための仕組みであるというふうに認識をしております。

#154
○山添拓君 新規制基準そのものは、福島原発事故の原因究明もないままに再稼働を急ぐために決定されたものでありました。そのため、重大事故への対策は部分的にとどまっています。例えば、炉心溶融の際に核燃料を回収するコアキャッチャーが不要とされると。不徹底なものだと思うんです。
 しかし、バックフィット規制自体は福島事故の教訓を踏まえて導入されたもので、最新の知見を安全対策に反映させようとするものだと言えると思います。
 ところが、現実には新規制基準への適合性審査はどうなっているのか。資料の三ページを御覧ください。各原子炉の審査状況の一覧表であります。
 二〇一三年に新規制基準が施行された後、各社が設置変更許可申請を行いました。しかし、多くの原発で、二〇一三年から一五年にかけて申請した原子炉、その審査中という状況が続いております。
 委員長に伺いますが、長期間を経ても審査中の原子炉が多数存在している、この原因は何でしょうか。

#155
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
 まず、既にお答えしたことでありますけれども、やっぱり共通理解が得られるまで徹底的な議論をするべきでありますし、また、新たな視点なり新たな観点からの議論が浮上した場合にはそれをいとわずに議論を尽くすということがこの審査の長期化に影響しているとは思います。もう一つは、具体的に言いますと、なかなかその共通理解が得られないもの、特に活断層であるとかそういった自然条件に関して、事業者との間と私たちの今の時点での理解が大きく隔たっているものについては長期化をしております。
 先ほども御答弁しましたけれども、余りに長く、期間、審査が停滞しているものに関しては、審査の中断というような手段についても考えなければならないケースはあるのではないかというふうには思います。

#156
○山添拓君 審査の中断だけではなく、不許可についても議論になっていましたけれども、不許可にした事例ってありますか。

#157
○政府特別補佐人(更田豊志君) 審査の過程においてもっと説明をされてくれという申請者をはねつけるということをこれまでしておりませんので、そういった意味で不許可という事例はございません。

#158
○山添拓君 ないんですよね。与党の議員の質問では、長過ぎるから急げと、こういう質問なんですけれども、急げばよいというものでもないと思うんです。
 この間、関西電力や四国電力、九州電力では審査が先行しておりますけれども、伊方原発三号機は差止めが命じられ、大飯原発三、四号機は先ほどありましたように設置許可の取消しという判決が出されました。規制委員会の安全審査は司法によって何度も否定されております。ですから、合格させてはならないものを無理に合格させようとするのが問題だと思うんですね。
 原子炉など重要な施設は、活断層、これは十二万年から十三万年前以降の活動が否定できない断層を指すとされていますが、その上には立地することができません。地盤のずれが生じ得るからです。
 そこで、多くの事業者が、活断層ではないと言うために躍起になっております。日本原電が地質に関するデータを無断で書き換えたり削除したりしたのも、活断層であることを否定する目的がうかがわれます。例えば、別のケースで、電源開発の大間原発ですが、二〇一四年十二月に設置許可の変更申請が出され、以後十五回にわたって敷地の地質、地質構造の説明を重ねて、そこでは断層ではなく変状だという説明をしてきています。
 活断層の可能性を否定できずにいるんじゃないんでしょうか。

#159
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
 否定できずにいるといいますか、否定するための立証に至っていないと言うべきであろうと思います。ですから、まだ議論中であります。

#160
○山添拓君 同じだと思うんですけれども。否定できずにいるわけですね。
 例えば、北海道大学名誉教授の小野有五氏は、大間原発に現れているのは、典型的かつ教科書的な活断層露頭と考えられるものが幾つも見られると、これらは活断層研究の専門家からもこれまでそのように評価されていると述べています。
 あるいは、審査会合の第八百四回、これ二〇一九年の十一月ですが、この際には、複数の安全審査官が活断層の動きによる可能性を示唆し、石渡委員も、岩石全体が膨張したという事業者の説明に繰り返し疑問を呈して、この露頭に見られている変形のこの様子は、この部分が剛体的に断層に沿って動いたためにこういう変形が起きたとこれは普通見るものだと思うと述べています。
 専門家から見れば、普通はこれは活断層の活動によるものだと、少なくとも断層が動いたことによるものだと見るべきだと、そういう指摘がされています。典型的な活断層と言われて、規制委員会としてもそう見るのが普通だとまで言っているのに、これは説明を工夫すれば活断層でなくなるということなんでしょうか。

#161
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
 科学的、技術的議論において工夫というものはありません。そしてまた、委員会としての見解を審査の、正直に申し上げますと、大間の審査というのはまだ序盤です、中盤に至っているとも思えないような状況ですので、審査官に余り、何といいますか、バイアスを与えたくありませんので、今の時点で委員会として、彼らは今はとにかくJパワーが示してくる立証に対して自由に疑問を投げかけられる状態にしたいというふうに私たちとしては考えております。

#162
○山添拓君 いや、自由に疑問を投げかける状態を何年も続けるのかということが問われていると思うんですね。
 確かに、先ほども委員長は、疑問があったら声を出し、腑に落ちるまで確認と、こう述べておられましたけれども、どれだけ説明を受けても腑に落ちない場合もあると思うんですよ。何かこう、絶対に不許可にしないと、許可にできる説明になるまで審査を続けると、そういう決まりでもあるんですか。

#163
○政府特別補佐人(更田豊志君) 大間の案件ではなく、一般論として申し上げますけれども、効率性であるとか、何といいますか、適正な規制を進める中には、不許可の判断というのも重要な判断であろうというふうに思っております。
 これまで不許可の事例というのはございません。事業者が、あるいは申請者が説明をしたいという要望に対して説明機会を与えることも一つの責任ではあると思いますけれども、いずれにせよ、明確な期間を示すことはできませんけれども、不許可というのは、その審査が長期化する場合にはあり得べき判断だというふうには思っております。

#164
○山添拓君 規制する側が手取り足取り指導して、納得できるまで審査を続けています。どういうふうに言ったらその疑問に答えられるのかということを被規制者側から規制委員会に求めて、こういう書き方をしてくださいと、それは私は工夫を求めていると思うんですけれども、そういう審査の会合の議事録も拝見しております。
 そんな許認可行政というのは聞いたことがありません。基準に満たないのであれば不許可とすべきであります。少なくとも申請を出し直させると、そういう対応も含めてやはり検討すべきじゃないでしょうか。

#165
○政府特別補佐人(更田豊志君) 申請の出し直しにつきましては、実際に補正という形で何度も補正がなされています。
 それから、先生がおっしゃった、指導をしているのではないかということに関しては、委員会も、まあ懸念といいますか、そういった議論をしたことはあります。
 私たちは事業者の指導者じゃありませんので、問題を解決したり課題を乗り越えるための指導は規制当局の仕事ではありません。ただ、どうしても、科学的な、科学技術的な意見を重ねている際にはアドバイスをしたくなるところもあるんだろうと思いますけれども、これは、規制当局として肝に銘じていなきゃいけないのは、私たちは事業者の指導者なりアドバイザーではありませんので、ここのところはきっちり注意をしたいというふうに思います。

#166
○山添拓君 活断層の有無というのはあるかないかの問題ですから、あると、その可能性が極めて高いのであれば、それはその判断を示すべきだと指摘したいと思います。
 個別のバックフィット命令においても、その実効性が問われる事態が起こっています。
 昨年五月のこの調査会で、大山火山の噴火規模、噴出規模見直しに伴う関西電力へのバックフィット命令について質問をいたしました。新しい知見に基づいて、想定される火山灰の厚さが十センチから二十五センチに変わり、基準を満たさないことになりました。
 資料五ページの⑪というところに、御覧いただきたいのですが、その際、設置変更許可の申請には期限を設けましたが、それに基づいていつまでに対策を終えるようにするのか、その期限は付されておりません。委員長、改めて、それはなぜでしょうか。

#167
○政府特別補佐人(更田豊志君) まず、期限につきましては、審査において、設置変更を許可する段階において、工事期間等々、対策の強度等々を考慮して定めることというふうに決めております。

#168
○山添拓君 ちょっと時間が来ているんですけれども……

#169
○会長(宮沢洋一君) 時間が来ております。

#170
○山添拓君 規制委員会では、設置変更許可の際に期限を設定すると、だから議論をする中で期限を決めようということになっていますが、しかし、対策を先延ばしにしたい事業者が審査自体を長引かせると、期限はいつまでも決まらないことになってしまうと思うんです。それはそうはさせないということが必要だと思うので、最後にこの点だけ伺います。

#171
○政府特別補佐人(更田豊志君) 先生おっしゃるとおりで、審査で寝っ転がっていればいつまでも対策を取らないということは許されるべきものではありません。
 ちなみに、この大山火山の噴出規模の見直しに係る設置変更許可については、審査は最終段階に来ておりまして、現在、審査書の取りまとめを行っているところでございます。

#172
○山添拓君 バックフィットを絵に描いた餅とさせないように、少なくとも対応までの期限を早期に明確にするよう求めて、質問を終わります。

#173
○会長(宮沢洋一君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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