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2020/11/27 第203回国会 参議院 第203回国会 参議院 本会議 第5号 令和2年11月27日
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2020/11/27 第203回国会 参議院

第203回国会 参議院 本会議 第5号 令和2年11月27日

#1
令和二年十一月二十七日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第五号
  令和二年十一月二十七日
   午前十時開議
 第一 平成三十二年東京オリンピック競技大会
  ・東京パラリンピック競技大会特別措置法等
  の一部を改正する法律案(第二百一回国会内
  閣提出、第二百三回国会衆議院送付)
 第二 一般職の職員の給与に関する法律等の一
  部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付
  )
 第三 特別職の職員の給与に関する法律の一部
  を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第四 防衛省の職員の給与等に関する法律の一
  部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付
  )
 第五 郵便法及び民間事業者による信書の送達
  に関する法律の一部を改正する法律案(内閣
  提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員、裁判官訴追委員
  及び同予備員辞任の件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員等各種委員の選挙
 一、国家公務員等の任命に関する件
 一、包括的な経済上の連携に関する日本国とグ
  レートブリテン及び北アイルランド連合王国
  との間の協定の締結について承認を求めるの
  件(趣旨説明)
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────

#2
○議長(山東昭子君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 野上浩太郎さん及び藤井基之さんから裁判官弾劾裁判所裁判員を、松下新平さんから裁判官訴追委員を、櫻井充さん及び宮崎勝さんから同予備員を、それぞれ辞任いたしたいとの申出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#3
○議長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。
 よって、いずれも許可することに決しました。
     ─────・─────

#4
○議長(山東昭子君) この際、欠員となりました
 裁判官弾劾裁判所裁判員二名、
 裁判官訴追委員一名、同予備員二名、またあわせて
 皇室会議予備議員、
 検察官適格審査会委員予備委員各一名、
 国土審議会委員三名の選挙
を行います。
 つきましては、これらの各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することとし、また、裁判官訴追委員予備員、皇室会議予備議員の職務を行う順序は、これを議長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#5
○議長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、裁判官弾劾裁判所裁判員その他の各種委員を議席に配付いたしました氏名表のとおり指名し、職務を行う順序を決定いたします。
    ─────────────

     ─────・─────

#6
○議長(山東昭子君) この際、国家公務員等の任命に関する件についてお諮りいたします。
 内閣から、検査官、原子力委員会委員長及び同委員、個人情報保護委員会委員並びに公安審査委員会委員長及び同委員の任命について、本院の同意を求めてまいりました。
 これより採決をいたします。
 まず、検査官に岡村肇さんを任命することについて採決をいたします。
 内閣申出のとおり同意することに賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#7
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
 よって、同意することに決しました。
 次に、原子力委員会委員長に上坂充さんを、同委員に佐野利男さんを任命することについて採決をいたします。
 内閣申出のとおり同意することに賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#8
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
 よって、同意することに決しました。
 次に、個人情報保護委員会委員に浅井祐二さん及び高村浩さんを任命することについて採決をいたします。
 内閣申出のとおり同意することに賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#9
○議長(山東昭子君) 総員起立と認めます。
 よって、全会一致をもって同意することに決しました。
 次に、個人情報保護委員会委員に大島周平さん及び梶田恵美子さんを任命することについて採決をいたします。
 内閣申出のとおり同意することに賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#10
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
 よって、同意することに決しました。
 次に、公安審査委員会委員長に貝阿彌誠さんを、同委員に鵜瀞惠子さん、西村篤子さん及び秋山信将さんを任命することについて採決をいたします。
 内閣申出のとおり同意することに賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#11
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
 よって、同意することに決しました。
     ─────・─────

#12
○議長(山東昭子君) この際、日程に追加して、
 包括的な経済上の連携に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定の締結について承認を求めるの件について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#13
○議長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。茂木敏充外務大臣。
   〔国務大臣茂木敏充君登壇、拍手〕

#14
○国務大臣(茂木敏充君) ただいま議題となりました包括的な経済上の連携に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 政府は、本年六月以来、英国政府との間でこの協定の交渉を行いました。その結果、令和二年十月二十三日に東京において、私と先方国際貿易大臣との間で、この協定の署名が行われました。
 この協定は、我が国と欧州連合離脱後の英国との間で、物品及びサービスの貿易の自由化及び円滑化を促進し、投資の機会を増大させるとともに、電子商取引、知的財産の保護等の分野における協力を強化するものであります。
 この協定の締結により、経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定、いわゆる日EU・EPAの下で得ていた利益を引き続き確保し、日系企業のビジネスの継続性を確保できます。また、高いレベルの貿易・投資ルールの下で、我が国と英国との間の貿易・投資の更なる促進につながると考えます。
 以上が、この協定の締結について承認を求める件の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────

#15
○議長(山東昭子君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。山田宏さん。
   〔山田宏君登壇、拍手〕

#16
○山田宏君 自由民主党の山田宏です。
 まず冒頭、条約審議に先立ち、先般行われた日中外相会談について質問いたします。
 外相会談後の共同記者会見やぶら下がり取材での王毅外相の発言を知った多くの国民は、尖閣は我々の主権と述べ、偽装漁船の侵入をやめさせよという発言に強く憤慨しています。偽装漁船とは何ですか。昔から尖閣を漁場として営んできたごく普通の漁業者ですよ。偽装漁船って、おたくの国の話でしょう。国民は、この中国外相の発言に対して、茂木外相にびしっと反論してほしかったと強く感じています。
 そこで、外相会談ではどんなやり取りがあったのか、なぜ会談の場で反論されなかったのか、茂木外相の御所見を伺います。お立場上、お立場上、大変困難な立場にあるということも理解しておりますし、また、記者発表のルール上、困難なことは分かりますけれども、中国側の主張は主張としても、礼を失する見下した発言に対してはびしっと我が国の名誉を守ってほしいと思っています。
 それでは、自民、公明を代表して、ただいま議題となりました日英包括的経済連携協定、日英EPAについて質問いたします。
 この協定をここまで早期に締結できたのは、相手をしてタフネゴシエーターと言わしめた茂木外相の手腕によると、これは評価しております。
 我が国は、海洋国家として共通の歴史を持つ英国と長い間、関係を強化してきました。英国も、五年前に国家安全保障戦略を公表し、日本をアジアにおける最も緊密な安全保障上のパートナーと位置付けてきました。平成二十九年には日英物品役務相互提供協定、日英ACSAを締結しています。
 経済関係でも、今回の日英EPAは、英国のEU離脱後、先進国として初めて結ぶ経済連携協定となります。そして、我が国こそ日EU・EPAやTPP、そしてRCEPという巨大な自由貿易圏の形成に向けての要であり、我が国が主導して保護主義的な流れを食い止める防波堤の構築につなげなければなりません。
 そこで、今回の日英EPAの早期発効が持つ大きな意義について、外務大臣の見解を伺います。
 貿易投資分野においても、英国と日本は長い間、相互に有益な関係を築いてきました。自動車製品の二国間貿易は昨年、約四千億円。鉄道においても英国の都市間高速鉄道で日本企業が製造した鉄道車両が営業運転されています。
 しかし、本年一月三十一日の英国の欧州連合、EU離脱で、日EU・EPAによる優遇的な措置は本年末に切れてしまいます。例えば、本邦企業により生産された鉄道車両を英国に入れるとき、また、英国で生産された自動車を日本に入れる際に現在の優遇関税が適用されなくなります。経過措置失効後も日英両国が日EU・EPAと同等の恩恵を受けるためには、新たな協定を結び、発効させなければなりません。
 そこで、今回の日英EPAでは、工業製品分野において、日EU・EPAで獲得していた関税の即時撤廃など、本邦企業が享受してきたメリットはどのように確保されているのでしょうか。経済産業大臣に伺います。
 あわせて、本邦企業は英国のEU加盟を前提に生産戦略を練り、構築してきましたから、EU加盟国から工業製品を送る、あるいは英国からEU加盟国に送る際にも現在のメリットが確保される必要があります。英EU・EPAの早期合意と発効についても我が国として全力で支援していく必要があると考えますが、この点について外務大臣に伺います。
 農林水産分野では、政府の根気強い交渉により、日本側の関税については、日EU・EPAの水準を超える市場開放は行わない、しっかりと国内産業を守る内容となっています。
 英国の関心が高かったブルーチーズでも、関税割当て枠で譲歩していません。仮に譲歩していたとすれば、将来的に英国以外からの追加要求につながりかねませんでした。割当て枠について譲歩しないという方針を貫いたことは、これからの貿易協定交渉においても大きな意義があります。
 一方、英国側の関税については、牛肉やお茶、水産物など、我が国の関心の高い品目で日EU・EPA同様、関税撤廃を確保しています。農林水産品の輸出に力を入れている地方では、これまでと変わらないチャンスが期待できます。
 そこで、農林水産分野での日英EPAの内容は、日EU・EPAと比較し、我が国の農林水産業に携わる方々にどのような効果と影響をもたらすのか。あわせて、消費者にとってもどのようなメリット、デメリットがあるのか。これらについて農林水産大臣にお伺いいたします。
 今回の日英EPAは、日EU・EPAには盛り込まれていなかった規定が追加されているという先進性も特徴です。
 例えば、日EU・EPAにはなかった貿易及び女性の経済的エンパワーメントという規定が設けられました。
 さらに、昨年十二月に承認された日米デジタル貿易協定と同様、デジタルの世界における保護貿易主義や覇権主義を止めるための先進的かつハイレベルなルールとなっている点も特徴的です。
 昨年、我が国は、大阪で開催されたG20で、デジタル経済、特に、データ流通や電子商取引に関する国際的なルール作りを進めていくプロセスとして大阪トラックを立ち上げました。大阪トラック、そして日米デジタル貿易協定、日英EPAという流れで見れば、国際的なルールを作るという我が国の戦略は着実に進んでいると評価いたしております。
 そこで、今後、どのように大阪トラックの具体化を引き続き進めていくお考えか、外務大臣に伺います。
 英国のEU離脱とともに、英国との大英帝国時代の歴史的なつながりが深い国々が協力関係を築いている英連邦、コモンウェルスの動きについても関心が高まっています。EU離脱後の英国の基本戦略として語られるグローバル・ブリテンの背景にも、五十四か国の加盟国、二十四億人の人口、そして三人に一人が十五歳から二十九歳という若さなど、コモンウェルスへの成長力があります。
 平成二十五年九月、私は、南アフリカで開催されたコモンウェルス議会協会総会に、我が国の交流が進むきっかけとなる期待と、コモンウェルス加盟国との更なる関係強化への関心を記した安倍総理の親書を携えて、自費でオブザーバー出席したことがあります。
 その際、民主主義と法の支配に立脚した政治制度を基本的価値とするコモンウェルス加盟国の議員との意見交換を通じて、加盟国の中にも日本との関係強化を望む声が数多くあることを知りました。
 そこで、今回の日英EPAの発効を機に、我が国は、コモンウェルスが開催する様々な会議等にオブザーバーとして参加することを通じて、経済はもとより福祉や医療の面、また安全保障の面でも加盟国との関係強化を図るべきではないかと考えますが、外務大臣の御見解を伺います。
 ここから、日英EPAに関連して、自由貿易協定全般についても伺います。
 今月十五日、中国、韓国を含むFTA、自由貿易協定として我が国が初めて結ぶことになるRCEPの署名が行われました。自由化水準が低いという指摘もありますが、内向き志向の懸念の中、世界最大のFTAとして、自由貿易、投資の枠組みが世界に広がる重要な前進となります。
 一方、今回の署名では、中国に対して巨額の貿易赤字を抱え、自国産業への悪影響を懸念するインドが参加しておらず、RCEPにおいて人口で六割、名目GDPで五五%、貿易額で四割を占める中国の突出感が強くなっています。
 我が国と共通の価値観を共有するインドのRCEPへの加盟は、RCEP内のバランスはもちろん、自由で開かれたインド太平洋の実現のためにも必須だと考えます。
 そこで、我が国としては、インドのRCEP加盟に向けて引き続き働きかけと支援を進めるべきと考えますが、外務大臣の見解を伺います。
 自由貿易、投資環境の拡充、そして自由で開かれたインド太平洋の実現にとって、TPPも極めて重要な位置付けを持っています。
 アジア太平洋という地理的範囲を越えて、英国は、担当大臣が来年初めにTPPに正式加盟を申請したい旨、議会で表明しています。総理も、ボリス・ジョンソン首相との電話会談で歓迎すると発言、翌十月の日英EPAの署名式の際には、日英双方の大臣間で英国の加盟協力に関する書簡を交換しています。タイや台湾を始めとする複数の国・地域も加盟に対して強い関心を示しています。
 そこで、我が国の経済発展の基盤である自由貿易投資体制の推進はもちろん、自由で開かれたインド太平洋の実現のためにも、TPPへの加盟拡大に対して戦略的な発想を持って臨んでいくべきと考えますが、外務大臣の見解をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣茂木敏充君登壇、拍手〕

#17
○国務大臣(茂木敏充君) 山田議員から、日中外相会談及び共同記者発表における王毅国務委員の発言についてお尋ねがありました。
 当然ながら、御指摘の王毅国務委員の発言は、尖閣諸島についての中国側独自の立場に基づくものであり、全く受け入れられません。尖閣諸島は歴史的にも国際法上も疑いのない我が国の固有の領土であり、現に我が国はこれを有効に支配しています。尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題はそもそも存在しません。
 このような我が国の立場については、日中外相会談の中で私から王毅国務委員に対して明確に伝えており、過去最長となる領海侵入や接続水域内の航行、我が国の漁船への接近等の個別の事案も取り上げながら、我が国の強い懸念を伝え、中国側からこうした行動を取らないよう強く申し入れました。また、共同記者発表後に行われた議論の中でも、こうした我が国の考えを改めて申入れを行いました。
 今後とも、日本の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの決意の下、冷静かつ毅然に対応してまいります。
 次に、日英EPAの早期発効が持つ意義についてお尋ねがありました。
 日英EPAは、EU離脱後の英国との間で、日EU・EPAに代わる貿易投資の枠組みを規定するもので、日系企業のビジネスの継続性を確保し、日英間の貿易投資の促進につながることが期待されます。
 我が国は、自由で公正な経済圏を広げるべく、TPP11、日EU・EPA、日米貿易協定の締結など、国際的な取組をリードしてきました。その我が国が、日英EPAを締結することにより、自由貿易を更に推進していくという力強いメッセージを発信することは意義深いものと考えています。
 仮に本年末の移行期間終了までに日英EPAを締結できなければ、日英間の関税率が上昇するなど、日英間の貿易や日系企業のビジネスの継続性に大きな影響が出ることとなるため、日英EPAの早期締結は極めて重要であると考えております。
 英国とEUとの将来関係の交渉に関する日本政府の対応についてお尋ねがありました。
 英EU交渉の結果は、英国を含む欧州諸国でビジネスを展開している日系企業に影響を及ぼすものであり、これまでも英国とEU双方に対して早い段階から早期妥結を働きかけてきました。英国については、私自身がラーブ外務大臣やトラス国際貿易大臣、EUについては、貿易担当欧州委員に対して働きかけ、また、EU加盟国の主要な外務大臣との会談においても早期妥結の重要性を強調し、前向きな対応を促してきました。
 引き続き、英、EU双方に早期妥結を働きかけていく考えであります。
 大阪トラックの具体化についてお尋ねがありました。
 日本はこれまでデータ・フリー・フロー・ウイズ・トラスト、すなわち信頼性ある自由なデータの流通の実現に向け、TPPや日米デジタル貿易協定を始めとするデジタル分野の国際的なルール作りを主導してきました。
 日英EPAにおいても、情報の越境移転の制限の禁止、コンピューター関連施設の設備設置要求の禁止、ソースコード、アルゴリズムの開示要求の禁止等を規定しており、これらの規定は、デジタル貿易、電子商取引分野における国際的なルール作りにおける議論をリードするハイスタンダードなものであります。
 我が国として、昨年六月のG20大阪サミットの機会に立ち上げた大阪トラックの下、WTOにおける取組を始め、ポストコロナで重要性が増すデジタル分野に関する新たなルール作りにおいて引き続き主導的な役割を果たしていきます。
 コモンウェルズ加盟国との関係強化についてお尋ねがありました。
 コモンウェルズは英国を含む五十四の国々の連合であり、民主主義、人権、法の支配をその中核的価値、原則に掲げています。
 我が国が基本的価値を共有するコモンウェルズの国々と様々な分野で連携することは有意義であり、私自身、英国や豪州、インドを始めコモンウェルズの国々の外相と緊密に連携してきています。引き続き自由で開かれたインド太平洋の実現のための協力を含む幅広い分野で、これらの諸国との関係を一層強化してまいります。
 インドのRCEPへの参加についてお尋ねがありました。
 インドは、貿易赤字拡大の懸念や幾つかの国内事情を抱えていますが、十億人を超える人口を抱え、近年、着実に経済成長を実現していることを踏まえれば、インドがRCEP協定に参加することは経済的にも戦略的にも極めて重要であります。
 我が国としては、RCEP協定の署名に際して、RCEPがインドに対して開かれていることを明確化するインドのRCEPへの参加に関する閣僚宣言の発出に尽力したところであり、今後とも、インドの将来のRCEP協定への参加に向けて主導的な役割を果たしていく考えであります。
 最後に、TPPの拡大についてお尋ねがありました。
 我が国は、自由で公正な経済圏を広げるべく、TPP11、日EU・EPA、日米貿易協定を締結するなど、国際的な取組をリードしてきました。
 ハイスタンダードでバランスの取れた二十一世紀型の新たな共通ルールを世界に広めていくとの意義を有するTPP11への新規加入については、様々なエコノミーが関心を示しているところです。
 他方、TPP11は、市場アクセス面でもルール面でも高いレベルの内容となっており、関心表明を行っているエコノミーがこうした高いレベルを満たす用意ができているかどうかについては、しっかりと見極める必要があると考えています。
 来年、TPP委員会の議長国となる我が国としては、新規加入に関心を示すエコノミーの動向を注視しつつ、戦略的観点を踏まえながら、引き続きTPP11の着実な実施及び拡大に取り組んでまいる考えであります。(拍手)
   〔国務大臣梶山弘志君登壇、拍手〕

#18
○国務大臣(梶山弘志君) 山田議員からの御質問にお答えをいたします。
 日英EPAの鉱工業品関税についてのお尋ねがありました。
 議員御指摘のとおり、日英間では自動車や自動車部品、鉄道車両等、多くの産品が取引されており、現在、日EU・EPAが適用をされています。英国のEU離脱の移行期間終了後も日本企業がこのメリットを維持できるよう、鉱工業品について日EU・EPAと同様に日英EPAでも将来的に全品目が関税がゼロになります。
 加えて、日EU・EPAで獲得した高いレベルの即時撤廃を維持するとともに、鉄道車両やターボジェット、自動車部品の一部について新たに即時撤廃を獲得し、英国への市場アクセスの改善を確保をいたしました。
 これにより日系企業のビジネスの継続性が確保をされるとともに、日英間の貿易投資が更に促進されることを期待をしております。(拍手)
   〔国務大臣野上浩太郎君登壇、拍手〕

#19
○国務大臣(野上浩太郎君) 山田議員の御質問にお答えいたします。
 農林水産業及び消費者への影響についてお尋ねがありました。
 本協定において、日本側の農林水産品については、関税は日EU・EPAと同じ内容を維持する、日EU・EPAで設定された関税割当ては設けないなど、日EU・EPAの範囲内となっており、日EU・EPAに代わり今回の日英協定が適用されても我が国の農林水産業への追加的な影響はないものと考えております。
 我が国からの輸出につきましては、牛肉、茶、水産物など主要な輸出関心品目の関税の撤廃など、日EU・EPAの内容を維持しており、輸出の取組を後押しするものと考えております。
 また、我が国の消費者に対しては、例えばコーヒーやビスケットなど英国産の輸入食品について、日EU・EPAで得られた低税率が引き続き適用されることとなります。
 農林水産省としては、本協定の適切な運用に努めるとともに、英国市場に向けた我が国農林水産物の輸出促進に強力に取り組んでまいります。(拍手)
    ─────────────

#20
○議長(山東昭子君) 白眞勲さん。
   〔白眞勲君登壇、拍手〕

#21
○白眞勲君 立憲民主・社民の白眞勲です。
 私は、会派を代表しまして、ただいま議題となりました日英包括的経済連携協定について質問をいたします。
 これに関連して、まず聞かなければならないことがあります。
 政府は森友学園関連の国会答弁で事実と違う答弁を百三十九回していたということが二十四日、分かりました。事実上の虚偽答弁じゃないんでしょうか。
 それに比べ、今度は安倍前総理の後援会が開いた桜を見る会の前夜祭をめぐり、安倍氏側が費用を負担した件が報道された件です。この報道が事実であるならば、安倍政権は国会においてうそをつきっ放ししていたとなるわけで、これほど国会、国民を愚弄、ないがしろにした話はありません。とんでもない話であります。こんなうそ答弁を連発されていたならば、何を国会で聞いても信じられなくなるではありませんか。
 茂木大臣は安倍政権時代からその中枢にいたわけで、そのお立場からこの件に関してどう見ているのか、見解をお伺いいたします。
 次に、核兵器禁止条約についてお伺いいたします。
 核兵器禁止条約は来年一月に発効しますが、広島、長崎の市長は、政府がオブザーバーとして締約国会議に参加するよう求めております。また、両市議会は、被爆地の広島、長崎での締約国会議の開催も併せて要請しております。
 この件について、十一月五日に私が予算委員会で質問したところ、菅総理は、締約国じゃない中で不適切と一蹴しました。被爆国の総理大臣とは思えないほど大変後ろ向きな答弁をされて私は驚きまして、あきれて、そのとき私の方から不適切だと言うこと自体が不適切だと私が言いましたが、その後、外交防衛委員会で茂木外務大臣に同様のことを質問しましたら、菅総理のときとは打って変わって、一般論で申し上げますと、核軍縮に関する国際会議を開催することは、ちょっと省略しますが、我が国の核兵器廃絶への強い願いを世界に発信する上で有意義だと考えておりますと、すばらしい前向きな答弁をされたので、これまた驚きました。
 是非、この会議を広島、長崎で開こうではありませんか。
 一九八二年六月、第二回国連軍縮特別総会をきっかけとして、広島、長崎両市は、世界の都市や自治体に対し、国境を越えて連帯することを呼びかけました。平和首長会議であります。
 また、一か月前の一九八二年五月に、この本会議場でこれに関する決議を全会一致で採択しました。その決議には、「特に、核兵器が二度と使われることのないよう実効ある国際的措置をとることを強く訴えること。」を政府に要請しております。それから約四十年経た現在、今まさにこの決議文が核兵器禁止条約によって実現しようとしているのです。
 政府は、今まで核兵器禁止条約について、核兵器保有国の支持がないから署名しないとしています。しかしながら、先ほど申し上げた平和首長会議には、現在、何と百六十五か国・地域の七千九百六十八都市が加盟しており、その中には、核保有国のアメリカ二百十八都市、ロシア六十七都市も含まれているのです。であるなら、市民のこうしたうねりを、政府そして私たち国会議員は強力に支援すべきじゃないんでしょうか。
 締約国会議を広島、長崎で開催するのと同時に、これら平和首長会議を広島、長崎で開催することに政府が協力することこそが、政府の言う立場の異なる国々との真の橋渡し役ということになるのではないでしょうか。この提案について、外務大臣の見解を求めます。
 今年八月九日の長崎平和式典における長崎平和宣言では、日本政府と国会議員に訴えますとして、日本政府に対してだけでなく、初めて国会議員にも呼びかけたとのことですが、そこには、核兵器の怖さを体験した国として、一日も早く核兵器禁止条約の署名、批准を実現するとともに、被爆者援護についても触れられています。世界の流れがこの条約の発効を機に、今、確実に変わってきています。ここにいる国会議員の皆さんの力で核廃絶を実現しようじゃありませんか。
 二〇一六年五月、当時のアメリカのオバマ大統領は、広島を訪問し、核廃絶を訴えました。これは日本全体として望んでいたことです。この度、アメリカにおいてバイデン氏が大統領選で勝利を確実にしました。オバマ氏と同じ民主党であるバイデン次期大統領を茂木外務大臣は長崎に招待するおつもりがあるかどうか、お聞きいたします。
 次に、条約の国会提出の順番についてお伺いいたします。
 日英EPAは今年十月二十三日に署名されましたが、それまでに日印ACSA等三本がこの条約の前に署名されていますが、なぜかこれらの条約は今国会に提出されていません。普通、書類は下から順番に処理しますよね。日英EPAだけが提出したのはなぜですか。外務大臣、お答えください。
 この件、今から一年前の昨年十一月に同じようなこと、私、外交防衛委員会でも指摘したんですね。あのときは日米貿易協定、デジタル協定でしたが、その前に署名された幾つもの条約は放っておいて、この条約二本だけが国会に提出されてしまったのです。当時、私がそのことを質問した際、茂木外務大臣は、日本全体としての優先順位、国益に資するかを考えて国会にお諮りをしたいと答弁しました。これ、どういう意味なんでしょうか。私、当時言いましたが、署名した順番どおりに条約を国会に提出して国会で審議することが相手国への誠意だと思います。
 これはまさに、病院で順番待ちをしていたのに、VIPが来たからって後回しにされて、VIPの診療が終わったらもう店じまいだと追い払われるということと一緒じゃありませんか。それを去年指摘したら、茂木大臣は何と言ったと思いますか。病院の列と条約の議論は必ずしも一緒にできない問題だ、当たり前ですよ、そんなの私だって分かりますよ。しかし、本質は同じ問題ではないんでしょうか。
 日英EPAはもちろん重要ですが、日印ACSAは防衛協力という観点からも非常に重要ではないんでしょうか。それなのに、今年も全く同じ、結局は英国をVIP待遇しているということではないでしょうか。この点について、茂木外務大臣の答弁を求めます。
 そもそも、今回の臨時会が短過ぎるんですよ。菅新総理になっていますし、ましてやこのコロナ禍ですよ。議論すること山ほどあるんじゃないんでしょうか。ところが、総理は、臨時会で所信を表明する前にベトナム、インドネシアに海外旅行ですよ。だから臨時会の期間が短くなってしまったんじゃないんでしょうか。今国会をもっと早く開いて、順番に国会、すべき、署名、条約をする審議をすべきだったんじゃないんでしょうか。
 今触れた日米貿易協定の扱いについても聞かなければなりません。この協定について安倍前総理は、日本の自動車、自動車部品に対して追加関税を課さないことをトランプ大統領との間で確認できていると説明されました。トランプ大統領と確認、アメリカ政府ではなくて。つまり、自動車、自動車部品については協定には明文化されておらず、安倍前総理とトランプ大統領の口約束になっているのではありませんか。日米間の共同声明でさえ、本共同声明の精神に反する行動を取らないとされているのみで、具体的にこの件、明記されていません。日米共にトップが替わった現在、大丈夫でしょうか。
 バイデン氏がトランプ大統領とは異なる考えを持った指導者であることは明らかです。様々な政策の変更が予測される中、この約束、守られるんでしょうか。守られるというのであるならば、そう考える根拠をお示しください。茂木大臣は、既にバイデン氏にこの点について聞いているのでしょうか。以上の点について、茂木外務大臣の答弁を求めます。
 一般的に、貿易協定は締約国を優遇する措置を設けるもので、特別なルールを定める場合にはWTOに通報する仕組みとなっています。しかし、日米貿易協定は発効から既に約一年にもなっているのにもかかわらず、WTOに通報されていませんよね。これでは日米二か国だけがこっそり、こっそり特別なルールで貿易を行っていると国際社会から見られてしまいます。WTOに通報しないと二人だけの秘密、秘めやかに存在するルールになってしまうじゃないですか。こういう例はほとんどないですよ。先進国同士で締結した協定で、WTOに通報していない協定はほかにあるんでしょうか。
 世界的な経済大国である日本と米国がこのように見られるのは私には耐えられません。なぜ政府はこの協定をWTOに通報しないのでしょうか。そして、いつWTOに通報するのでしょうか。以上につき、茂木外務大臣の答弁を求めます。
 しかも、日米貿易協定については、最近まで外務省のホームページのEPA、FTAのページに掲載されていなかったじゃありませんか。今回、日英EPAの国会審議が開始されてから初めて掲載されているんです。私、ちゃんと見ていますよ。プリントアウトもしましたからね。日米貿易協定は政府の言うとおりにWTO協定、ガットと整合的であるなら、自信を持ってホームページに掲載したらどうですか。それとも、何かやましいことでもあるんでしょうか。日米貿易協定が外務省のホームページのEPA、FTAのページに掲載されていなかった理由を説明してください。
 ちなみに、英文のホームページにはいまだ掲載されていません。日本語ホームページには入って、英文には入っていない理由はなぜですか、お答えください。要するに、国際的には通用しないFTAなんじゃないんでしょうか。
 日英EPAを議論する際に外せないのが、英国とEUの交渉の行方です。英国とEUのFTA交渉は、年末の移行期間終了の、間に合わせなければならないのに、公平な競争基準等をめぐり、いまだに折り合えていません。日英EPAができても、イギリスEU間でのFTAがまとまらないと在英の日系企業、特に自動車産業はサプライチェーンの関係から多大な不利益を被ることが予測されます。
 政府は、衆議院の審議においても、英国、EUに随時働きかけを行っていると答弁していますが、それでは足りないんじゃないんでしょうか。相談窓口を設置したのも結構ですけれども、相談したって、ああそうですか、大変ですね、ではどうにもなりません。イギリスEU間で年内にFTA交渉が折り合わず、合意なき離脱となった場合の在英日系企業の具体的な支援策について、経済産業大臣にお伺いいたします。
 英国からの農産品の輸入については、イギリスEUのEPAの範囲内で、EU・EPAの範囲内で合意となりました。また、見直し規定についても、EU・EPAと同じく、特定の品目について、協定発効五年又は日英両国が合意する年のいずれかの早い年に見直しの対象になることが規定されています。
 ところが、同時に、協定発効五年後、日英両国はより迅速な関税の引下げ又は撤廃等を行うため、原産農産品の取扱いの見直しを開始するとされています。しかも、こちらの見直し規定は、我が国で守るべき米なども対象とされています。
 茂木外務大臣は、衆議院での議論において、この見直し規定は見直し協議を予断するものではない、もう一回言います。この見直し規定は見直し協議を予断するものではない。言っている意味が分かりません。また、英国は米の生産、そして対日輸出国ではないので問題ないともおっしゃっていますが、生産者の皆さんはそれでは安心できないわけなんですね。
 これを入れることによって、今後、他国とのFTA交渉の弱みにつながる可能性はないのでしょうか。また、この条文は「開始する。」とあるので、本協定発効五年後には見直し協議が始まってしまいます。これも問題ではないでしょうか。これらの点に関し、日本政府としてはどういうお考えなのか、茂木大臣の答弁を求めます。
 工業製品の関税撤廃について、政府のペーパーを見ると、日本はイギリス市場に対して追加的に鉄道車両、自動車部品等の即時撤廃を確保したと、新たに関税の即時撤廃を勝ち取ったかのように記載していました。
 でも、この追加的な関税撤廃は、イギリスが日本のためにわざわざ市場アクセスを改善したものではなく、イギリスがEU離脱に伴って設定する税率の中で無税にするもので、要するに日本だけ特別扱いしたのではなくて、世界各国共通して無税でイギリス市場にアクセスできるようになったのではないんでしょうか。日英EPAの成果としてそんなに誇ることでもないような気がしますけれども、どうしても誇りたければそれでもいいんですけれども、経産大臣、いかがでしょうか。
 中国の習近平国家主席は、今月二十日、APEC首脳会議において、TPP11への参加を積極的に検討すると述べましたが、一つ気になるのが台湾との関係です。台湾には多くの日系企業が進出しています。台湾はTPP11への参加の意向を示していますが、RCEPやTPP11への台湾の加入について、日本政府としてはどのようにお考えでしょうか。
 日英EPAでは、初めて女性のチャプターが盛り込まれ、ジェンダーについて記載されています。これ自体いいことなんですけれども、この内閣から出てくるかよと、私は思わず目を疑いました。今の政権にそれを掲げるだけの資格があるのか疑問です。自分の胸によく手を当てて考えてみてください。ジェンダーを声高に唱えるのであるならば、まずは内閣の構成員から手を示すべきなんじゃないんでしょうか。今の菅内閣の大臣、副大臣、政務官のうち、女性は何%なんでしょうか。日英EPAを締結した茂木大臣にお伺いします。
 大体、この内閣は、日本学術会議の任命拒否問題についても、菅総理は、総合的、俯瞰的活動を確保する観点から判断したと繰り返すのみで、全く説明していません。しかも、女性会員そのものの割合は、日本学術会議約三八%と低いにもかかわらず、女性の教授の任命拒否しちゃったら、これ、やっていることと言っていることがちんぷんかんぷんじゃありませんか。
 本来、学問というのは様々な意見を述べ合うことで自分の考えも刺激を受け、さらには反対意見に対する論理構成を高めることで深まっていくもので、歴史的にはそれによって人類は発展したのじゃないんでしょうか。これは別に学問の世界だけではなくて、我々国会議員にも当てはまることだと思います。ここに集う全ての国会議員、与党も野党も関係なく、それぞれの議員の意見、異なるのは当たり前なんです。
 でも、より良い世の中をつくりたいという思いは共通しているわけで、論争をすることで、お互い切磋琢磨しつつ、結果的にこの国がすばらしい国になっていく。ほかのどこかの国みたいに異なる意見を持っている人物を排除したりするんじゃなくて、明るく楽しく元気よく、そして仲よくしていくことが重要だと思っております。これからも大いに皆さんと議論を深めていこうじゃありませんか。
 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣茂木敏充君登壇、拍手〕

#22
○国務大臣(茂木敏充君) 白議員から、森友学園と桜を見る会についてお尋ねがありました。
 既に総理や官房長官が述べられているとおり、政府として、引き続き真摯に答弁するよう努めていくことが重要と考えています。
 その上で、個別の事案について、私はその詳細を承知しておらず、報道の逐一等について見解を申し述べることは差し控えます。
 次に、核兵器禁止条約の締結国会合、平和首長会議を同時に広島、長崎で開催すること及びバイデン次期米国大統領の長崎訪問についてお尋ねがありました。
 我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の取組をリードする使命を有しており、核兵器禁止条約が目指す核廃絶というゴールは共有しています。
 また、御指摘の平和首長会議は、核兵器廃絶の市民意識を喚起することなどを目的とするものであり、加盟都市が集う総会が、原則として四年に一回、広島、長崎両市で交互に開催をされており、これまでも外務省として総会の開催を後援しています。
 一方で、核軍縮に関する我が国の立場に照らして核兵器禁止条約に署名する考えはなく、広島、長崎での開催や平和首長会議との同時開催を含め、核兵器禁止条約の締約国会合に関する我が国の取組や関与の方法については慎重に見極める必要があると考えています。
 ただし、国際社会が被爆の実相に関する正確な認識を持つことは核軍縮に向けたあらゆる取組のスタートとして重要であり、我が国として被爆の実相を伝える取組を積極的に推進していきます。その観点から、要人の被爆地訪問は極めて有意義であると考えています。
 御指摘の二〇一六年五月の当時のオバマ米国大統領の広島訪問は、現職の米国大統領として初めてのものであり、戦没者を追悼し、核兵器のない世界を目指す国際的機運を盛り上げる上で極めて重要な歴史的機会となりました。
 バイデン次期米国大統領が大統領就任後に訪日される際には、首脳会談に加え、その他の滞在中の日程を含め、十分な成果が上がる訪日となるように調整を行いたいと考えております。
 今国会提出条約及び国会の会期についてお尋ねがありました。
 日英EPAについては、仮に本年末の移行期間終了までに締結できなければ、日英間の関税率が上昇するなど、日英間の貿易に大きな影響が出ることとなるため、日英EPAの早期締結は極めて重要であると考えております。
 国会に提出する条約については、国会日程や政府全体の提出法案のバランス等を考慮の上決定していきます。病院の急患と一緒にしているわけではありませんが、今回の臨時国会では、限られた会期を含め、様々な要素を総合的に検討した結果、日英EPAに絞って審議をお願いすることといたしたものであります。
 なお、国会の会期について、外務大臣としてコメントすることは差し控えます。
 日米貿易協定における自動車、自動車部品の追加関税についてお尋ねがありました。
 自動車、自動車部品に係る米通商拡大法二百三十二条の扱いについては、日米首脳共同声明において、両国は、協定が誠実に履行されている間、両協定及び本共同声明の精神に反する行動を取らない旨を明記、そして、これが日本の自動車、自動車部品に対して追加関税を課さないという趣旨であることは首脳会談で明確に確認したところであります。これは極めて重い了解事項であると考えています。
 さらに、バイデン次期大統領は、同盟国への追加関税措置に慎重な立場を表明していると承知をいたしております。バイデン新政権とも本件を含めた通商政策について連携をしていく考えであります。
 日米貿易協定のWTOへの通報についてお尋ねがありました。
 お尋ねの先進国の範囲は必ずしも明らかではありませんが、WTOのホームページでは、現在、五十四の自由貿易協定がいまだに通報されていないことが公表されており、この中には、香港ASEAN貿易協定やオーストラリア・インドネシア貿易協定も含まれております。
 日米貿易協定のWTOへの通報については日米間で調整中でありまして、調整の後、しかるべく行う予定であります。
 日米貿易協定の外務省のホームページへの掲載についてお尋ねがありました。
 日米貿易協定の関連資料につきましては、昨年十月に日米貿易協定が署名された時点で、速やかに外務省ホームページに関連資料を明確に掲載いたしております。その際、英文ホームページへも掲載を行っています。
 その上で、本年十一月上旬、日米貿易協定の関連資料掲載箇所へのリンクを、我が国の経済連携協定(EPA・FTA)等の取組のページにも掲載いたしました。
 日米貿易協定の外務省のホームページへの掲載を含め、経済連携協定等について、ホームページ上に、いかなる形でどのような箇所に資料を掲載し、またリンクを設けるかについては、案件ごとに総合的な観点から検討を行っております。
 日英EPAの見直し規定についてお尋ねがありました。
 日英EPAの再協議規定は、TPPなど他の協定においても設けられている一般的な規定でありまして、日英EPAのこの規定が今後のFTA交渉に特段の影響を及ぼすことになるとは考えていません。
 御案内のとおり、英国は、米の生産国そして対日輸出国ではありませんが、いずれにせよ、日英EPAに基づく見直し協定に当たっては、我が国の国益に反する合意をするつもりはございません。
 台湾のRCEPやTPP11への参加についてお尋ねがありました。
 RCEP協定については、協定発効から十八か月後、全ての国及び独立関税地域に新規加入が開放されることになります。RCEPは開かれた協定であり、政府としては、同協定の水準を満たすあらゆる国・地域に対して同協定への関心を歓迎しますが、まずは、地域の望ましい経済秩序の構築につなげるべく、RCEP協定の早期発効に向けて取り組みたいと考えております。
 ハイスタンダードでバランスの取れた二十一世紀型の新たな共通ルールを世界に広めていくとの意義を有するTPP11への新規加入については、様々なエコノミーが関心を示しているところです。
 他方、TPP11は、市場アクセスの面でもルールの面でも高いレベルの内容となっており、関心表明をしているエコノミーがこうした高いレベルを満たす用意ができているかどうかについては、しっかりと見極める必要があると考えております。
 来年、TPP委員会の議長国となる我が国としては、新規加入に関心を示すエコノミーの動向を注視しつつ、戦略的観点も踏まえながら、引き続きTPP11の着実な実施及び拡大に取り組んでいく考えであります。
 最後に、菅内閣における女性の割合についてお尋ねがありました。
 菅内閣における女性の割合は、約一一%となっております。
 日英EPAでは、貿易及び女性の経済的エンパワーメントに関する章を新たに設けており、これに基づき設置をする作業部会において、市場や技術、資金調達への女性のアクセス改善等に関する取組を共有すること等を通じて、女性のエンパワーメントを促進していきたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣梶山弘志君登壇、拍手〕

#23
○国務大臣(梶山弘志君) 白議員からの御質問にお答えをいたします。
 英EU間のFTA交渉が年内に妥結しない場合の在英日系企業への支援策についてお尋ねがありました。
 英国のEU離脱に伴い英EU間で交渉が妥結しなかった場合の関税負担の増加に加え、仮に交渉が妥結したとしても、通関手続の発生や規制面への対応など様々な追加負担が発生することが見込まれます。そのため、経済産業省では、在英日系中堅・中小企業等への支援を徹底するため、昨年十月に約二百人の職員、専門家から成るブレグジット対応サービスデスクを設置をいたしました。
 サービスデスクには、例えばFTA交渉が妥結しない場合の関税負担や、通関手続に伴う物流の混乱への懸念など、様々な相談が寄せられているところであります。これに対しては、例えば英EU交渉が妥結しない場合に事業に支障が出ないよう、在庫の積み増しや代替となる調達ルートの検討など、具体的な対応策を提案し話し合うなど、きめ細かい対応をしているところであります。
 引き続き英国、EUに対して速やかな妥結を働きかけるとともに、こうした取組を通じて企業への影響が最小限となるよう、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。
 工業製品の英国側の関税撤廃についてお尋ねがありました。
 鉄道車両等については、英国政府が来年から無税とする旨公表しておりますが、日英EPAでこれらの品目の関税の即時撤廃を約束することにより、将来的な関税の引上げを防止できるという点で意義があります。
 また、自動車部品である電気制御盤は、英国政府が来年から二%の関税を掛ける旨公表しておりますが、日本からの輸出については日英EPAの発効と同時に無税となります。
 今回の合意が、我が国製造業の英国市場における競争力の強化につながることを期待をしております。(拍手)
    ─────────────

#24
○議長(山東昭子君) 浅田均さん。
   〔浅田均君登壇、拍手〕

#25
○浅田均君 日本維新の会、浅田均です。
 私は、会派を代表して、ただいま議題となりました包括的な経済上の連携に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定の締結について承認を求めるの件について、関係大臣に質問いたします。
 日本維新の会は、結党以来、自由貿易体制の拡大を支持し、TPPや日EU・EPA等に賛成してきました。少子高齢化と人口減少に直面する我が国経済の成長の原動力になる上、域内の平和と安定に大いに資するものと考えるからです。
 我が党は、本協定につきましても、日EU・EPAをほぼ維持しつつ、物品貿易については一部品目で英国市場へのアクセスを改善し、電子商取引、金融サービス等の分野では先進的なルールを規定したこと等を評価しております。
 世界は保護主義に傾きつつあります。今こそ、自由貿易の旗を高く掲げ、本協定を遅滞なく発効させることにより、世界経済の成長に向けて責任ある姿勢を内外に示すべきだと考えます。
 その上で、本協定の残された問題点や、さらに協定の先を見据えた諸課題について伺います。
 まず、懸念されますのは、年内を期限とする英国とEU間のFTA交渉が難航していることです。英国には一千社以上の日系企業が進出し、欧州における生産や販売等の重要拠点とし、日英EU間で密接なサプライチェーンを構築しています。交渉決裂で英EU間の関税が復活すれば、在欧日系企業は甚大な打撃を受け、本協定によるメリットも大きく損ないます。
 茂木外務大臣に質問します。
 英国とEU間のFTA交渉が年内に妥結する見通しについてどう見ていますか。合意に向けて何が一番のネックになっているとお考えですか。北アイルランド問題ですか。関税同盟ですか。また、政府として両者が速やかに歩み寄るよう、何か働きかけることはできませんか。
 政府は、昨年十月、英国に進出している日系企業支援のため、ブレグジット対応サービスデスクを設置し、通関手続や規制面での対応、販路の転換、開拓等に関する各種情報提供を行っているということです。
 そこで、日系企業が特にイギリスに要望していた以下五点について、どうなったのか御説明ください。
 一点目は、労働者へのアクセスの問題、二点目は、外資参入に係る基本政策、三点目は、データ保護法制を制定する際の情報保護の水準とデータ移転の自由の維持について、四点目は、英国の独自規制・基準のEU基準との整合性、五点目は、研究開発予算へのアクセス、以上、梶山経済産業大臣に答弁を求めます。
 菅総理は、所信表明演説で、農産物の輸出について、二〇三〇年に五兆円の目標達成に向け、当面の戦略を年末までに策定し、早急に実行に移すと宣言されました。しかるに、昨年の英国に対する農林水産物の輸出額は約六十八億円で、全体の〇・七%にすぎません。
 野上農林水産大臣に質問します。
 本協定では、英国側の関税について、牛肉、茶、水産物など主要な輸出品目の関税撤廃を確保した日EU・EPAと同水準を維持していますが、今後、農林水産物の対英輸出をいかに飛躍的に拡大していく考えですか。具体的な戦略は描かれているのですか。
 英国は、TPPへの加盟を目指し、我が国も協力することで合意しています。英国が入れば、TPPは環太平洋地域を越えた巨大な自由貿易圏に発展します。
 茂木大臣にお尋ねします。
 英国のTPP参加について、日本の国益、ひいては国際政治経済等の観点からどのような効果があるとお考えですか。中国を牽制する意味においても英国のTPP参加を早めるべきと考えますが、来年TPPの議長国として、日本はどのように英国のTPP加盟を後押ししていく方針ですか。
 ところで、八年の交渉を経て、日中韓やASEANなど十五か国が地域的な包括経済連携、RCEP協定に署名しました。成長著しいアジア地域に人口、GDP共に世界の三割を占める巨大な自由貿易圏が築かれます。日本にとっては、最大の貿易国である中国、三位の韓国と結ぶ初の自由貿易協定であり、コロナ禍で落ち込む日本経済を再び成長軌道に乗せるための起爆剤になると期待されます。
 とはいえ、RCEPが内包する危うさから目をそらすことはできません。インドが対中貿易赤字の増大を理由に離脱したことで、域内での中国の影響力が突出する懸念があります。
 強調すべきは、対中摩擦やコロナ禍で、サプライチェーンを含む貿易投資先として中国に大きく頼る危険性がはっきりしたことです。政府は、企業の海外拠点の分散化を促してきましたが、中国の影響力が増せば、この流れが元に戻りかねません。中国の影響力を弱めるためにもインドの参加は不可欠です。インドは、菅政権が掲げる自由で開かれたインド太平洋への重要なパートナーです。
 茂木大臣にお尋ねします。
 政治リスクの高い中国経済に過度に依存することになれば、中国が軍事、経済一体での覇権追求を加速させかねません。どう認識されていますか。インドが希望すれば無条件で参加できる仕組みが閣僚宣言に盛り込まれましたが、政府は具体的にどのようにインドに参加を促していく考えですか。産業の育成や競争力強化の支援といった経済面での協力にとどまらず、安全保障など広範な領域で日印関係を強固にしていくことが近道ではないですか。見解をお示しください。
 RCEPでは、関税は参加国全体で九一%の品目で段階的に撤廃され、日本からの工業品輸出では九二%の関税がなくなります。ただ、ほぼ一〇〇%の撤廃率のTPPや日EU・EPAに及ばず、撤廃までの期間が二十年などと長いものも顕著です。中国向けの輸出では、完成自動車の関税撤廃に合意できていません。
 農林水産分野の関税撤廃率も限定的になりました。電子商取引では、ソフトウエアの設計図となるソースコードの開示要求を禁止する項目も見送られました。これは、妥結を優先したからでしょうか。
 梶山大臣に質問します。
 デジタル分野でのルールの縛りが甘くなったのは中国への配慮があったと指摘されていますが、事実ですか。政府は今後、どのように関税自由化の水準を引き上げ、より厳格な経済ルールを整備していく考えですか。また、日本が主導して、中国による協定の履行状況を厳しく監視するなどルールの遵守を迫っていくべきですし、RCEPの枠内にとどまらず、公正で透明性ある経済の確立を促すために米欧等とともに改革を迫っていくことも必要だと考えます。政府の対応をお示しください。
 アジア太平洋地域には、自由化の水準がより高いTPPとRCEPという大型EPAが併存することになります。それぞれの関税や規則などが絡み合い、通商が混乱する可能性もあります。現に、日本、オーストラリアなど七か国が重複して参加します。
 茂木大臣にお伺いします。
 今後、RCEPとTPPのどちらの経済ルールが標準になるのか、課題となります。先進的なルールを定めたTPPを軸とし、RCEPの水準を段階的にそれに近づけていくべきと考えますが、どう認識されていますか。来年、TPP議長国の日本として、いかにTPPとRCEPのルールとの整合を図っていく考えですか。将来的に双方が統合されることも想定されていますか。
 一方、我が国周辺国・地域では、台湾もTPPへの参加を求め、日本の協力に期待しています。台湾のTPP参加に対する日本政府の立場と協力の方向性について、見解をお示しください。
 さきのAPEC首脳会議では、中国の習近平国家主席がTPPへの参加を前向きに検討すると述べました。一党独裁の政治経済体制をも揺るがしかねないTPPの規律を中国が真剣に受け入れようとしているのか、疑義は拭えません。
 中国の意図は、多分に政権移行期にあるアメリカをにらんだ政治的なものと考えますが、日本政府としてどのように捉えていますか。現実的に中国のTPP加盟へのハードルは極めて高いと考えます。日本のスタンスと今後の対応をお示しください。
 いずれも茂木大臣に答弁を求め、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣茂木敏充君登壇、拍手〕

#26
○国務大臣(茂木敏充君) 浅田議員から、英国とEUの将来関係の交渉の見通し及び日本政府の対応についてお尋ねがありました。
 英国とEUとの間の将来関係協定の交渉は、EU加盟国であった英国がEUを離脱をし、新たな関係を再構築しようとするものでありまして、委員御指摘の点も含めて、その性質上簡単なことではないと考えており、現時点で交渉の今後の見通しについて予見することは困難であります。
 ただし、英EU交渉の結果は、英国を含む欧州諸国でビジネスを展開している日本企業に影響を及ぼすものであり、これまでも英国とEU双方に対して早い時期から早期妥結を働きかけてきました。
 私自身、英国については、ラーブ外務大臣やトラス国際貿易大臣に、EUについては、貿易担当欧州委員に対して働きかけ、また、EU加盟国の主要な外務大臣との会合においても早期妥結の重要性を強調し、前向きな対応を促してきました。
 引き続き、英、EU双方に対して早期妥結を働きかけていく考えであります。
 次に、英国のTPP参加についてお尋ねがありました。
 英国は従来からTPP11加入に関心を寄せており、トラス国際貿易大臣も二〇二一年の早い時期にTPPへの加入を正式に要請する意向を表明しています。TPP11協定は、この協定が定めるハイスタンダードを満たす意思のある全てのエコノミーに開かれており、我が国としても、自由貿易を始め基本的価値観を共有する英国のTPP11加入への関心を歓迎します。
 加入要請は各国が個別に判断する事項であり、英国の加入要請の時期について予断する立場にはありませんが、我が国としては、引き続きTPP11参加国と連携しつつ、英国の動向を注視するとともに、必要な情報提供を行っていく考えであります。
 RCEPに関して、中国経済への依存とインドの参加に向けた働きかけについてお尋ねがありました。
 RCEP協定は、世界のGDP、貿易総額の約三割、我が国の貿易総額のうち約五割をカバーする地域の経済連携協定であり、地域の貿易投資の自由化、活性化に資するものであります。RCEP協定を通じて中国を含む参加国との経済的な結び付きが強化されることになりますが、相手方の、相手国の関税も撤廃、削減されるため、我が国経済による他国への依存度が一方的に高まるとは考えておりません。
 インドは、貿易赤字拡大の懸念や幾つかの国内事情を抱えていますが、十億人を超える人口を抱え、近年、着実に経済成長を実現していることを踏まえれば、インドがRCEP協定に参加することは経済的にも戦略的にも極めて重要であります。
 我が国としては、RCEP協定の署名に際して、RCEPがインドに対して開かれていることを明確化するインドのRCEPへの参加に関する閣僚宣言の発出に尽力したところであります。今後とも、日印特別戦略的グローバルパートナーシップの強化に取り組むとともに、インドの将来のRCEP協定への参加に向けても主導的な役割を果たしていく考えであります。
 RCEPとTPPの関係についてお尋ねがありました。
 我が国は、自由で公正な経済圏を広げるべく、TPP11、日EU・EPA、そして日米貿易協定を締結するなど、国際的な取組をリードしてきました。今般、日英包括的経済連携協定及びRCEP協定についても署名に至りました。
 RCEP協定は、後発開発途上国を含め、制度や経済発展状況が大きく異なる国々も交渉に参加した経済連携協定であり、TPPとは参加国や背景、事情が異なりますが、できる限りレベルの高い協定を目指してきました。まずは、RCEP協定の早期の発効と着実な実施を通じて、地域の望ましい経済秩序の構築につなげていくことが重要と考えております。
 これに対して、TPP11は、ハイスタンダードでバランスの取れた二十一世紀型の新たな共通ルールを世界に広めていくとの大きな意義を有しており、来年TPP委員会の議長国となる我が国としては、新規加入に関心を示すエコノミーの動向を注視しつつ、戦略的観点も踏まえながら、引き続きTPP11の着実な実施及び拡大に取り組んでいく考えであります。
 最後に、中国及び台湾のTPP参加についてお尋ねがありました。
 ハイスタンダードでバランスの取れた二十一世紀型の新たな共通ルールを世界に広めていくとの意義を有するTPP11への新規加入については、様々なエコノミーが関心を示しているところであります。
 他方、TPP11は、市場アクセスの面でもルールの面でも高いレベルの内容となっており、関心表明を行っているエコノミーがこうした高いレベルを満たす用意ができているかどうかについては、しっかりと見極める必要があると考えています。
 来年、TPP委員会の議長国となる我が国としては、新規加入に関心を示すエコノミーの動向を注視しつつ、戦略的観点も踏まえながら、引き続きTPP11の着実な実施及び拡大に取り組んでまいります。(拍手)
   〔国務大臣梶山弘志君登壇、拍手〕

#27
○国務大臣(梶山弘志君) 浅田議員からの御質問にお答えをいたします。
 日系企業がイギリスに要望していた五つの項目の現状についてお尋ねがありました。
 労働者へのアクセスについては、人材確保の観点から、既に英国に居住しているEU加盟国の国籍を持つ労働者については、必要な手続を経れば引き続き滞在可能になると承知しております。
 外資参入につきましては、英国は引き続き外資を歓迎する姿勢を見せており、EUからの離脱を契機に外資規制が強化される動きは承知をしておりません。
 情報保護とデータ移転につきましては、特に個人情報の保護とデータ移転についての懸念が示されていたと承知しています。この点については、EUの個人情報の保護水準と同等の個人情報保護制度が英国で導入されることが発表をされています。また、今後EUが英国の個人情報保護水準の十分性を認定すれば、英EU間のデータのやり取りもこれまでどおり可能となります。
 英国の規制、基準のEUとの整合性につきましては、例えば、EUの製品安全基準であるCEマークについて、継続使用を一定期間可能とする経過措置等が設けられております。
 最後に、研究開発予算へのアクセスにつきましては、現在、英EU間で研究開発等の補助金を含む公平な競争条件についての交渉が行われていると承知しており、協議の行方を注視をしております。
 昨年十月に開設したブレグジット対応サービスデスクにおいて、こうした要望についても情報提供や個別の相談等の対応を行い、日本企業への影響が最小限となるようしっかりと取り組んでまいります。
 RCEPのデジタル分野でのルールについてお尋ねがありました。
 交渉の詳細な経緯については言及は差し控えますが、RCEPは、制度や経済発展段階の異なる多様な十五か国の間で合意、署名されたものであり、特定国への配慮によるデジタル分野でのルールの縛りが甘くなったとの事実はありません。その上で申し上げれば、例えば、データ囲い込みの動きに歯止めを掛けるためのデータ・フリー・フローの原則やサーバーの国内設置要求の禁止について一部の国がRCEPで初めて約束したことは、地域における自由で公正な経済ルールの構築に資するものと考えております。
 RCEPにおける完全自由化の水準の引上げや、より厳格な経済ルールの整備についてお尋ねがありました。
 RCEP協定では、発効五年を経過した後に一般的な見直しを行うことが規定されております。現段階でその結果を予断するものではありませんが、一般的な見直しを通じて協定の質をより高いものとするべく各国と協議をしてまいります。今後、RCEPを地域に自由で公正な経済活動を根付かせるためのプラットフォームの一つとして大きく育てていく所存であります。
 RCEPの協定のルールを遵守させる必要性、また、米欧等と連携して公正で透明性のある経済の確立を促す必要性についてお尋ねがありました。
 RCEPでは、協定の遵守に問題がある国がいる場合、まずは、合同委員会及び下部組織である各委員会の場で協定の実施や運用に関する問題を検討し、ルールの遵守を求めていくことになります。さらに、それでもルールを守らない国に対しては、場合によっては紛争解決のための手続によって是正を求めることも考えられます。また、RCEPの枠外でも、例えば政府の過度な支援措置によって過剰生産能力の創出がされないよう、日米欧三極貿易大臣会合では産業補助金ルールの強化に向けて議論を進めているところであります。
 こうした取組を通じて、問題意識を共有する国々と連携しつつ、自由で公正な経済ルールの実現、実施にしっかりと取り組んでまいります。(拍手)
   〔国務大臣野上浩太郎君登壇、拍手〕

#28
○国務大臣(野上浩太郎君) 浅田議員の御質問にお答えいたします。
 日英EPAによる対英輸出についてのお尋ねがありました。
 我が国農林水産物・食品の輸出拡大に向け英国と粘り強く交渉した結果、英国側の関税については、牛肉、茶、水産物など主要な輸出関心品目について、関税撤廃を獲得した日EU・EPAの内容を維持しております。
 この市場アクセスの改善を生かし、更なる対英輸出の拡大を図るためには、英国市場で求められるニーズや規制に対応し、マーケットインの発想で輸出に取り組むことが必要不可欠であります。
 このため、二〇三〇年五兆円の輸出目標に向けて、輸出拡大のための関係閣僚会議において、現在、当面必要となる具体的な戦略を検討しており、先日、戦略の骨子案をお示ししたところであります。総理からは、次回の会合において具体的な実行戦略を提示するよう指示があったところであり、政府一体となって近日中に戦略を取りまとめることとしております。(拍手)
    ─────────────

#29
○議長(山東昭子君) 大塚耕平さん。
   〔大塚耕平君登壇、拍手〕

#30
○大塚耕平君 国民民主党・新緑風会の大塚耕平です。
 会派を代表して、ただいま議題となりました日英EPAについて質問いたします。
 短期集中的な交渉に注力した関係者に敬意を表します。二国間交渉の合意は、双方が互いに利を得たと評価する言わばウイン・ウインの結果です。
 そこで、外務大臣に伺います。日英それぞれが利を得たと考えている点及びそれぞれが譲歩した点について御説明ください。
 昨年九月二十日、英国政府は、日英EPAに関する意見募集のための情報文書を公開しました。交渉内容について国民から意見を求めたものであり、多数の意見が寄せられたそうです。それらを踏まえ、今年五月十三日、英国政府は、戦略的アプローチと題する約百ページに及ぶ文書を公開し、交渉に臨む基本方針と内容を国民に説明しました。
 対する日本政府による同様の対応はなく、大筋合意が発表された九月十一日に二ページの資料が公表されただけです。
 国民や国会に対する情報開示や透明性の観点から、その対応が適切であったか否か、外務大臣の認識を伺います。また、今後、同種の交渉において国民や国会に対する情報開示の在り方を改善する意思があるか否か、伺います。
 英国政府は、日英EPAによる影響試算も公開しました。GDPプラス〇・〇七%、対日輸出プラス二一・三二%、日本からの輸入プラス七九・六七%、賃金上昇率プラス〇・〇九%などです。
 日本は事前に試算を行ったか否か、行っていたとすれば公表したか否か、外務大臣に伺います。
 英国政府の公開文書から、ブルーチーズ、豚肉、地理的表示、皮革、繊維、デジタル、会計・法律等のビジネスサービス、金融サービス、中小企業政策が英国側の重点分野であったことが読み取れます。これらの分野に関して、何を要求され、何を合意したのか。経産大臣、農水大臣、金融担当大臣にお伺いします。
 一方、日本側は、経産大臣が六月九日の記者会見において、自動車、デジタル、農産物が重点分野である旨発言しました。三分野について、交渉に臨んだ方針と結果について、経産大臣、農水大臣から説明願います。
 また、英国政府は、ビジネス目的での人の移動に関し、ビザ取得や配偶者、扶養家族の滞在期限等の要件、及び知的財産権の保護に関して、映画や音楽等のオンライン侵害規定について、日EU・EPAを上回る柔軟性を確保したと説明しています。具体的にどういうことか、外務大臣、経産大臣に説明を求めます。
 英国の事前公開文書には、日英EPAはTPP参加へのステップという認識が明記され、トラス担当大臣も同趣旨の発言を繰り返しています。
 そこで、英国のTPP参加に関する日本政府としての受け止め方を外務大臣に伺います。
 英国は日本を含むTPP加盟国と既に協議を行っているとも聞きますが、事実関係を伺います。
 今月十五日にRCEPが合意に至りました。中国の習近平国家主席はAPEC首脳会議で、TPP加入を検討すると述べました。中国の意図は容易に想像が付きます。しかし、日米同盟を基軸とする日本が米国抜きのTPPへの中国参加を是認することは様々な問題を惹起します。
 そこで、外務大臣に伺います。
 十二日の菅総理とバイデン次期米大統領の電話会談においてTPPへの早期参加を促したのでしょうか。また、今後、米国に早急な参加を促す努力をするのか否か伺います。
 あわせて、来日した王毅外相とTPP参加に関する協議があったか否か、及び中国との今後の貿易交渉に臨む基本認識も説明願います。
 中国のTPP参加に関しては、英米との順番、及び参加の段階でTPPの内容がどうなっているかが重要な鍵となります。
 そこで、外務大臣に伺います。
 日英EPAとTPPを比較すると、どの分野がどのように異なるのか御説明ください。特に、デジタル分野に関して、日英EPAとTPPの違いを説明してください。
 TPP参加に関しては、英米両国が中国に先んじること、及び英国が加入する段階でTPPを日英EPAと同等以上の内容に見直すことが必要と考えますが、外務大臣の認識を伺います。
 中国の動きを考える場合、RCEPと日英EPA、TPPとの内容の違いも重要です。
 そこで、お伺いします。RCEPは、日英EPAやTPPに比べて貿易自由度において、どの分野でどのように劣後しているのでしょうか。外務大臣に具体的に説明願います。
 十九日の外交防衛委員会で、RCEP第十章六条に技術移転等の強要禁止が盛り込まれたことを外務大臣に伺いましたが、その点も含め、RCEPと日英EPAの違いについて説明してください。
 デジタル貿易分野はWTOにルールがなく、TPPや日EU・EPA、USMCA、日米デジタル貿易協定が先行しています。TPPを超える形で妥結したのがUSMCA及び日米デジタル貿易協定です。
 そこで、外務大臣に伺います。日英EPAをUSMCA及び日米デジタル貿易協定と比較すると、デジタル分野に関して、どこが同じでどこが違うのか説明願います。
 その上で、日英EPA第八章に関して伺います。
 七十一条の用語定義において、コンピューター関連設備としてサーバー及び記憶装置を限定列挙しています。技術進歩やインフラの実態を鑑みると、サーバー及び記憶装置等として幅広く規定するのが適切と考えますが、なぜ限定列挙したのか、経産大臣に理由を伺います。
 七十三条では、ソフトウエア関係の貿易の条件として、当該ソフトウエアのソースコード及びそのアルゴリズムの移転、アクセスを要求してはならないとしています。しかし、七十三条の規定は、相手国の規制機関や司法当局の要求は認めており、しかも、執行活動のみならず調査、検査名目も可としています。さらに、同条一項(a)で、自由に交渉された契約や政府調達においては、移転、アクセスを自主的に付与することを認め、しかも、一項(b)で政府権限としての活動を除外しています。日英EPAのこのような規定がTPPに反映され、これをもって強権的国家の参加の前提とする場合、潜在的な問題が多いと考えます。
 八十四条の情報の越境移転、八十五条のコンピューター関連設備設置、八十六条の暗号装置規定でも同様の懸念があります。
 これら条文の解釈を経産大臣に、及びこの規定がTPPに反映されることを前提とした強権的国家の参加の懸念等について、政府の認識を外務大臣に伺います。
 ちなみに、七十一条の用語定義及び七十三条の該当条文においてもソースコードの定義が定められていません。ソースコードについて日英間の合意した定義を経産大臣に伺います。
 同様の問題意識で金融サービスについても伺います。
 六十三条三項で、金融当局が金融サービスのコンピューター関連設備を利用し、設置することを要求する権利を認めていますが、四項では、効果的な金融上の規制及び監督のために適当な限度を超えた態様で要求してはならないと定めています。
 適当な限度とはどのようなことか、金融担当大臣に日英間での合意内容を伺います。
 ISDS条項について伺います。
 ISDSが導入された一九八七年から二〇一九年までの提訴件数は千二十三件に上り、国別では米国百八十三件が一位、英国は八十六件で三位です。国側が多額の負担を負うケースが多いISDSによる紛争処理には、透明性及びコストの観点から否定的な国が増えています。
 EUはISDSに代わる国際投資裁判所を提案しているほか、米国も今やISDSには否定的であり、USMCAのISDSは実質的に無効化されました。一方、日本は引き続きISDSに前向きであり、英国も肯定的と聞いています。しかし、日英EPAにはISDSは盛り込まれませんでした。
 ISDSに対する基本認識及び日英EPAに盛り込まれなかった理由について、外務大臣に伺います。
 WTOの行き詰まりに象徴されるように、世界の貿易体制は矛盾と限界に直面しています。技術革新の加速やコロナ禍の影響で世界のサプライチェーンは不確実性を増し、貿易投資協定の内容は今まで以上に重要性を増しています。
 これまでの延長線上の内容では対応できない事態も想定され、条文の分析や交渉戦略の在り方には専門家の知見を最大限に活用する必要があります。
 過度の秘密主義を是正し、的確な情報公開を行い、多くの専門家の知見を生かし、国益及び国際的利益に資する交渉を行うことを求め、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣茂木敏充君登壇、拍手〕

#31
○国務大臣(茂木敏充君) 大塚議員から日英EPAの内容についてお尋ねがありました。
 日英EPAは、両国の貿易投資を促進する上でウイン・ウインな結果となっていると考えております。
 市場アクセス面では、日EU・EPAで獲得した英国市場へのアクセスを維持するとともに、鉱工業品について一部品目でアクセスの改善を獲得しました。日本側の農林水産品については、関税は日EU・EPAと同内容を維持し、英国に対する関税割当て枠は設けないなど、日EU・EPAの範囲内での合意となっております。特段の譲歩は全く行っておりません。
 また、ルール面では、電子商取引、金融サービス、ジェンダー等の一部分野で、日EU・EPAより先進的なルールを新たに規定をいたしております。
 次に、日英EPAの交渉過程における対応、今後の情報開示の在り方及び日英EPAの影響試算についてお尋ねがありました。
 本年六月の日英EPA交渉立ち上げ以後、八月の私の訪英、九月の大筋合意、十月の署名式のそれぞれの記者会見を始めとする様々な機会に交渉の方針、目的や合意内容を明確に説明をいたしております。また、協定文書についても十月の署名時に速やかに公表するなど、適切な情報公開を行ってきております。
 その上で申し上げれば、経済連携協定交渉を進める上で、国民及び国会から理解を得ることは重要でありまして、相手国との信頼関係や類似の交渉への影響も踏まえ、適切に対応してまいります。
 日英EPAの影響試算について、既に我が国は二〇一七年に英国を含めたEUとのEPAについて経済効果分析を行い、日EU・EPAのGDP押し上げ効果は約一%と試算されております。また、二〇一七年当時の日本とEUの貿易額に占める英国の割合は約一三%でありました。こうした数字は現在も大きく変わることはないと、このように考えております。
 日英EPAにおける人の移動及び知的財産の規定の内容についてお尋ねがありました。
 人の移動については、日本側は日EU・EPAと同様の約束を規定しており、英国側は企業内転勤者に同行するパートナー及び子の一時的な滞在等を認めるなど、日EU・EPAと比較して新たな約束を規定いたしております。
 知的財産権については、日EU・EPAを上回る規定も含まれておりまして、例えば、デジタル環境における知的財産侵害行為に対する刑事上の手続及び刑罰を定めております。
 英国のTPP参加及びTPP参加国との協議についてお尋ねがありました。
 英国は、従来からTPP11加入に関心を寄せており、トラス国際貿易大臣も、二〇二一年の早い時期にTPP11への加入を正式に要請する意向を表明しています。TPP11協定は、この協定が定めるハイスタンダードを満たす意思のある全てのエコノミーに開かれておりまして、我が国としても英国のTPP11加入への関心を歓迎いたします。
 TPP参加国との協議については、本年九月にTPP11参加国及び英国との間で高級実務者レベルの非公式会合を開催したところでありますが、現時点で英国からは正式な加入要請は通報されておらず、したがって、加入交渉は行われておりません。
 加入要請は各国が個別に判断すべき事項でありまして、英国の加入要請の時期について予断する立場にありませんが、我が国としては、引き続きTPP参加国と連携しつつ、必要な情報提供を行ってまいります。
 先般の菅総理とバイデン大統領の電話会談についてお尋ねがありました。
 御指摘の電話会談におきまして、TPPに関するやり取りはありませんでした。
 日中外相会談におけるTPPをめぐるやり取り及び中国との今後の貿易交渉に臨む基本認識についてお尋ねがありました。
 日中外相会談において、王毅外相から、二十日のAPEC首脳会議で習近平国家主席がTPP11について参加を積極的に検討すると発言したことについて説明がありました。私からは、TPP11はハイスタンダードでバランスの取れた二十一世紀型のルールを世界に広めていくという意義を有しており、新規加入を希望するエコノミーについては、こうした高いレベルを満たす用意ができていることが必要である旨、説明をいたしました。
 我が国としては、中国との通商関係を含め、自由で公正なルールを推進する取組を通じてインド太平洋地域における経済秩序の形成に引き続き主導権を発揮していく考えであります。
 日英EPAとTPPの違いや、デジタル分野での日英EPAとUSMCAなど、他協定の違いについてお尋ねがありました。
 日英EPAは、TPPと同様に、ハイスタンダードでバランスの取れた二十一世紀型の貿易・投資ルールを定めるものでありますが、その上で、日英EPAは、TPPにはない企業統治章や貿易及び女性の経済的エンパワーメント章を独立した章として設けるなど、日英関係の実態を踏まえた規律が定められています。
 日英EPAのデジタル分野の規律は、情報の越境移転の制限の禁止やコンピューター関連設備の設置要求の禁止等、TPPやUSMCAあるいは日米デジタル貿易協定と同等、若しくは、アルゴリズムの開示要求の禁止など、それ以上の最新のデジタル分野に関する規定を盛り込んでおり、デジタル分野における国際的なルール作りにおける議論をリードするハイスタンダードな内容となっております。
 TPPの拡大及びTPP11の協定の見直し、また、日英EPAの規定を踏まえたTPPの拡大についてお尋ねがありました。
 ハイスタンダードでバランスの取れた二十一世紀型の新たな共通ルールを世界に広めていくとの意義を有するTPP11への新規加入については、様々なエコノミーが関心を示しているところであります。
 他方、TPP11協定は、市場アクセス面でもルール面でも高いレベルの内容となっており、関心表明を行っているエコノミーがこうした高いレベルを満たす用意ができているかどうかについては、しっかりと見極める必要があると考えております。
 まずは、全ての署名国の締結や新規加入によってTPPのルールを国際的に定着し、広げていくことが重要であると考えております。その上で、TPP11協定のルールを将来どのようにしていくかについては、他の締約国とよく相談していきたいと考えております。
 RCEP協定と日英EPA及びTPP11との比較、またRCEP協定第十章六条についてお尋ねがありました。
 RCEP協定は、後発開発途上国を含め、制度や経済発展状況が大きく異なる国々も交渉に参加した経済連携協定でありまして、TPPや日英EPAとは参加国や背景、事情が異なるために、一概に比較してお答えすることは困難であります。
 その上で申し上げれば、物品市場アクセスについては、攻めと守りのバランスに配慮した交渉の結果、RCEP協定での我が国の品目数ベースの関税撤廃率はTPPの九五%、日英EPAの九四%に対して、八八%となっております。
 ルール分野については、国有企業や補助金など、TPPや日英EPAにあってRCEP協定にはない分野があるほか、例えば電子商取引分野について、ソースコードの開示要求の禁止は協定発効後に各国と協議することとなっています。
 また、御指摘の技術移転に関する要求の禁止については、RCEP協定第十章六条の中で、投資受入れ国が他の締約国の投資家に対して、技術移転要求の禁止を始めとして投資の阻害要因となり得る措置の履行を要求、強制してはならないことを定めております。こうした規定は、WTO協定を上回る内容を含むものでありまして、日英EPAにも含まれており、我が国が重視する新たな共通ルールの下での自由で公正な経済圏の拡大に資するものであると考えております。
 最後に、ISDS条項についてお尋ねがありました。
 ISDS条項は、公正中立的な投資仲裁に付託できる選択肢を与えることによって、国外に投資を行う日本企業を保護するために有効であると認識をいたしております。
 日英EPAにおいて、投資紛争解決手続については、日EU・EPAと同様に規定しないことになりましたが、協定発効後、一定の条件を満たす場合には、本協定にISDS手続等に関する規定を追加することについて協議することができる旨定める、いわゆる見直し条項を新たに規定をいたしております。(拍手)
   〔国務大臣梶山弘志君登壇、拍手〕

#32
○国務大臣(梶山弘志君) 大塚議員からの御質問にお答えをいたします。
 日英EPAにおける皮革、繊維、中小企業政策、自動車、デジタルの交渉経緯及び合意内容等についてお尋ねがありました。
 英国側要求内容など、交渉経緯の詳細は差し控えますが、日本市場へのアクセスについては、皮革は、輸入実績がなく国内への影響が想定されない九品目のみ関税撤廃時期を日EU・EPAより二年早めることにとどめました。
 また、繊維は、日EU・EPAと同様の関税撤廃を約束をいたしました。
 中小企業政策は、EPAの利活用に関するセミナーや、輸出支援策の情報共有等の協力内容を新たに規定することで合意をいたしました。
 自動車及び自動車部品の英国市場へのアクセスについては、日EU・EPAの高いレベルの関税撤廃を維持し、日系自動車メーカーのビジネスの継続性を確保をしました。さらに、一部の自動車部品について新たに即時撤廃を獲得し、英国への市場アクセスを改善をいたしました。
 また、デジタルについては、情報の越境移転の制限の禁止、コンピューター関連設備の設置要求の禁止など、日EU・EPAよりもハイレベルな内容に合意をしました。
 日英EPAにおける農産物の交渉経緯及び合意内容等については、この後、農林水産大臣より答弁いただきます。
 人の移動及び知的財産についてお尋ねがありました。
 茂木大臣からの説明のとおり、人の移動については、英国政府は日本から英国に赴任する企業内転勤者に同行する家族の滞在を認めるなど新たな約束をいたしました。
 また、知的財産権については、デジタル環境における著作権や商標権の侵害に対する権利行使を新たに規定するなど、日EU・EPAよりもハイレベルな内容に合意しました。
 これらの合意を通じて、日英間のビジネスがますます活性化することを期待をしているところであります。
 日英EPA第八章における用語の定義及び七十三条、八十四条、八十五条、八十六条についてお尋ねがありました。
 交渉の詳細な経緯についての言及は差し控えますが、コンピューター関連設備は、交渉の結果、コンピューターサーバー及び記憶装置と定義しておりますが、これはTPPや日米デジタル貿易協定の定義と同じです。また、ソースコードについては、TPPや日米デジタル貿易協定と同様、定義をしておりません。
 ソースコード条は、正当な目的の場合を除き、自国での事業実施の条件として、ソフトウエアのソースコードやアルゴリズムの開示要求を禁止しています。
 情報の越境移転条は、国境を越える情報の移転を原則として制限しないことを規定しています。
 コンピューター関連設備の設置条は、自国での事業実施の条件として、自国にサーバーなどコンピューター関連設備を設置することを原則として要求してはならない旨を規定をしています。
 暗号法を使用する情報通信技術製品条は、暗号化した製品について、正当な目的の場合を除き、自国での販売、流通の条件として、暗号の開示や自国が指定する暗号を使用すること等の要求を禁止をしております。(拍手)
   〔国務大臣野上浩太郎君登壇、拍手〕

#33
○国務大臣(野上浩太郎君) 大塚議員の御質問にお答えいたします。
 ブルーチーズ、豚肉、地理的表示についてお尋ねがありました。
 英国からの要求内容など、交渉経緯の詳細については差し控えさせていただきますが、ブルーチーズを含むソフト系チーズの合意内容につきましては、英国向けの関税割当ては設けず、日EU・EPAで設定された関税割当ての利用残が生じた場合に限り、その範囲内で日EU・EPAの関税割当てと同じ税率を適用する仕組みを設けることとしています。
 豚肉については、日EU・EPAと同じ内容の関税措置とすることとしております。
 地理的表示については、日EU・EPAで保護されている地理的表示を、本協定の下でも引き続き保護することとしています。また、保護する地理的表示を追加する協議等を協定発効後速やかに開始することとしております。
 次に、農産物に関する交渉方針と結果についてお尋ねがありました。
 農産物については、過去の経済連携協定を超えないとの方針の下、国益を守るため、毅然とした姿勢で交渉を行いました。
 その結果、日本側の農産物の交渉結果は、関税は日EU・EPAと同じ内容を維持する、日EU・EPAで設定された関税割当ては設けないなど、日EU・EPAの範囲内となっております。
 我が国からの輸出については、牛肉、茶など主要な輸出関心品目の関税の撤廃など、日EU・EPAの内容を維持することとなっております。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕

#34
○国務大臣(麻生太郎君) 大塚議員からは、日英EPA、金融サービス等についての計二問お尋ねがあっております。
 まず、合意内容についてお答えをさせていただきます。
 交渉経緯について詳しく言及をすることは差し控えたいと存じますが、日英EPAの金融サービス分野に関しましては、日EU・EPAで確保した情報の越境移転ルールに加え、さらに、相手国の金融サービス提供者に対して、自国内にコンピューター関連設備の設置を要求することの禁止等を新たに盛り込んでおります。
 日英EPAの会計・法律等のビジネスサービス分野につきましては、日EU・EPAと同様の規律を定めております。
 次に、第八・六十三条第四項中の適当な限度についてのお尋ねがありました。
 これは、先ほど申し上げましたとおり、日英EPAの金融サービス分野におきましては、相手国の金融サービス提供者に対して、自国内でコンピューター関連設備の設置を要求することを禁止をいたしております。
 他方、例外措置として、効果的な金融上の規制及び監督のために情報への適当なアクセスを確保することができない場合には、こうした要求を行う権利を認めております。
 御指摘の第八・六十三条第四項におきましては、効果的な金融上の規制及び監督のためであっても、適当な限度を超えた態様でそうした要求をしてはならないとされておるところであります。
 この適当な限度につきましては、こうした経済提携協定におきましては、一般的に恣意的かつ過剰とならない範囲というように解されておるところであります。(拍手)
    ─────────────

#35
○議長(山東昭子君) 井上哲士さん。
   〔井上哲士君登壇、拍手〕

#36
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 会派を代表して、日英EPAについて質問いたします。
 冒頭申し上げます。
 桜を見る会前夜祭をめぐって安倍前総理の虚偽答弁の疑いが強まっています。国会として看過できません。証人喚問で真相を解明しようではありませんか。全党に呼びかけるものであります。
 まず、日米関係とバイデン新政権への対応について伺います。
 一つは、核軍縮についてです。
 バイデン氏は、大統領選前の八月六日、広島、長崎の恐怖を二度と繰り返さないため、核兵器のない世界に近づけるよう取り組むと述べ、核兵器の役割を減らすとしたオバマ政権の目標を継承することを表明しました。
 一方、オバマ政権が核の先制不使用政策を検討した際に安倍前総理が反対したと当時のワシントンポストが報じ、唯一の戦争被爆国としての姿勢が問われました。
 バイデン氏の発言に対する認識と、核の先制不使用に対する政府の見解を伺います。
 米国は、トランプ政権下で、核戦略、二〇一八年のNPRを打ち出し、小型核兵器の開発や核兵器の近代化、包括的核実験禁止条約、CTBTの批准の放棄を明記しました。NPTの核軍縮義務に背を向け、核軍拡へと大きくかじを切ったことは、核廃絶を訴えてきた被爆者と多くの人々を失望させました。
 このトランプ政権の核戦略を高く評価するとしてきた日本政府の姿勢が、新政権に替わる今、改めて問われます。日本は核兵器国と非核兵器国との橋渡しを唱えてきましたが、国連総会第一委員会における日本提案の核軍縮決議の内容は後退を重ね、今年は米国の賛成を得るために、過去のNPT再検討会議の合意の履行を核兵器国に迫る文言を削除しました。その下で、五年前と比べ共同提案国の数は四分の一以下になり、賛成国数も大きく減りました。
 核の傘にある国も含めて、日本の提案が国際的な支持を減らしていることを反省すべきではないですか。やるべきことは、NPRへの支持を撤回して、米国も含めて合意したこれまでのNPT再検討会議の合意の履行を求めることではないか。
 そして、間もなく発効を迎える核兵器禁止条約に反対する姿勢を改め、核兵器を違法とする新たな国際規範を力に核廃絶に向けた世界の取組を進めることこそ、唯一の戦争被爆国に求められる役割ではないか。お答えください。
 もう一つは、在日米軍駐留経費の負担についてです。
 アメリカ側から繰り返し負担増要求が示される中、来年三月に期限が来る思いやり予算の特別協定に関する協議が始まっています。特別協定は、暫定的、一時的、特例的な措置として結ばれましたが、改定を繰り返し、負担の範囲も広げられてきました。米軍が世界で最も安上がりに駐留できる国となり、この十年間で海外の米軍兵員数に占める日本の割合は一一・一%から三三・七%に増加し、在日米軍基地の増強が進んでいます。
 この協議にどう臨んでいるのですか。地位協定上の義務もない思いやり予算は、増額が許されないのはもちろん、廃止すべきです。
 以上、外務大臣の答弁を求めます。
 通商政策について伺います。
 政府は、アベノミクスの柱に成長戦略を掲げ、経済連携はその切り札だとして、日豪EPA、TPP、日欧EPA、日米貿易協定、日米デジタル貿易協定を締結してきました。菅内閣は、この成長戦略を継承するとして本案の承認を求めています。しかし今、従来の在り方こそが問われています。
 新型コロナのパンデミックが浮き彫りにしたのは、多国籍企業が国境を越えた活動で利益を最大化させるためのルール作りを推し進め、経済主権、食料主権をおろそかにした貿易自由化一辺倒で突き進んだ経済の脆弱性です。
 グローバルサプライチェーンが途絶し、海外からの部品や原材料の調達が滞り、生産停止の影響が波及する事態に直面し、コロナ危機の下でもマスクや医療用物資の調達さえままならない事態に陥りました。
 政府の成長戦略が外需頼みの危機に弱い経済社会を助長したという認識はありますか。継承ではなく、根本的な見直しが求められているのではないか。西村経済再生担当大臣の答弁を求めます。
 日英EPAについて外務大臣に伺います。
 まず、政府が本協定の国内への影響試算を実施していない問題です。なぜ行わなかったのか、理由を説明いただきたい。
 国民の暮らしに大きな影響を及ぼす貿易交渉において、政府間の秘密交渉が批判され、ヨーロッパでは一定の情報開示や説明が行われるようになりました。英国では、日英EPAに関して、交渉に入る前から国内の意見聴取を行い、その内容の開示も含めて交渉の目的、範囲及び経済的、社会的な影響を分析した文書を作成し、公表しています。
 日本はどうか。大筋合意の後になってその概要が発表されただけです。国民への情報開示の姿勢が余りにも大きく遅れています。その認識はありますか。
 茂木大臣は貿易交渉について、国益を損なう交渉をするつもりは毛頭ないと繰り返します。しかし、民主主義社会において内閣の結ぶ条約が本当に利益にかなうかどうかを見極めるのは大臣ではありません。主権者である国民一人一人です。それには政府からの必要な情報開示が不可欠です。改善する考えはないか、答弁を求めます。
 ソフト系チーズについて伺います。
 協定は、英国産のブルーチーズに対して、EUへの関税割当て枠の未利用部分についてEUに認めたのと同じ低税率を適用することを認めていますが、この扱いについてEUにはどう説明をしたのですか。EUから一層有利な取扱いを求める再協議の提起を招く要因になり得るのではないか、政府の認識も示されたい。
 また、協定では乳製品も見直し規定の対象になっているほか、英国産への低税率適用に関して運用改善のための協議を行うこととされています。その対象になる事項を具体的に示していただきたい。
 英国は、EUより好条件を獲得することを目標にしてきました。茂木大臣は衆議院の審議で税率や枠の変更を否定しましたが、将来にわたって税率の変更や英国枠の新設を排除する規定は協定のどこにあるのか、明らかにしていただきたい。
 次に、農産品の見直し規定についてです。
 農産品の日本側の関税は日EU・EPAの範囲内で合意されたと説明されます。しかし、見直しの対象は、日EU・EPAでは牛肉、豚肉、乳製品、でん粉、砂糖などとしていたのに対し、本協定では新たにそれ以外の農産品にも拡大しました。なぜEUへの約束を超える見直しを定めることになったのか説明を求めます。
 最後に、ジェンダー平等についてです。
 本協定には、我が国の締結するEPAとして初めて、独立の章として第二十一章貿易及び女性のエンパワーメントが設けられました。なぜこの章を設け、具体的にどのような取組を行うのですか。
 一方、日本のジェンダーギャップ指数が百二十一位にまで低下する要因となった指導的分野での女性の割合について、政府の第五次男女共同参画基本計画案では、今年までに三割にするという目標が二〇年代終わりにまで先送りをされ、失望の声が上がっています。この章を実効あるものにするためには、取組の中で意欲的な目標を掲げる必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 以上、政府の見解を求めて、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣茂木敏充君登壇、拍手〕

#37
○国務大臣(茂木敏充君) 井上議員から、バイデン次期米国大統領の発言及び核兵器の先制不使用についてお尋ねがありました。
 我が国は唯一の戦争被爆国として、菅総理が本年九月の国連総会の一般討論演説で述べたとおり、広島、長崎が繰り返されてはならないと考えており、バイデン次期大統領とも認識が一致していると考えています。我が国としては、核兵器のない世界の実現に向けて、地道に、現実的に核軍縮を前進させる道筋を追求していくことが適切であると考えており、米次期政権とともに取り組んでいきます。
 核の先制不使用宣言は、あくまで一般論として申し上げれば、全ての核兵器国が検証可能な形で同時に行わなければ有意義ではなく、現時点で当事国の意図に関して何らの検証の方途もない核の先制不使用の考え方に依存して我が国の安全保障に十全を期すことは困難であると考えております。
 次に、核兵器廃絶決議、米国の核態勢の見直し及び核兵器禁止条約についてお尋ねがありました。
 我が国の核兵器廃絶決議につき、昨年に比べて賛成国数が減少いたしましたが、核兵器国である米国や英国、また核兵器禁止条約を支持する国を含む非核兵器国等、多くの国々の支持を得て採択されたことは、橋渡しに努める我が国の取組が一定の支持を得られたものと考えています。
 また、核兵器国も参加する核軍縮・不拡散のための法的枠組みでありますNPTの下で、過去の合意文書の履行を重視する我が国の姿勢に変わりはありません。来年開催が見込まれるNPT運用検討会議が意義ある成果を収めるものとなるよう、この点も含め積極的に貢献をしてまいります。
 なお、御指摘の二〇一八年に米国が発表したNPRは、米国による抑止力の実効性確保と我が国を含む同盟国に対するコミットメントを明確にしているものでありまして、引き続き我が国として高く評価をしております。
 核兵器禁止条約については、これまで繰り返し表明しているとおり、核軍縮に関する我が国の立場から照らして署名する考えはありませんが、我が国としては、引き続き立場の異なる国々の橋渡しに努め、核軍縮の進展に向けた国際的な議論に貢献していく考えであります。
 在日米軍駐留経費負担についてお尋ねがありました。
 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、日米同盟は、我が国の防衛のみならずインド太平洋地域の平和と安定のためにはなくてはならない存在であり、在日米軍駐留経費は、日米安保体制の下、在日米軍の円滑かつ効果的な活動を確保する上で重要な役割を果たしてきているというのが基本認識であります。
 今回の交渉では、一層厳しさを増す地域の安全保障環境や我が国の厳しい財政状況等を踏まえ、また、米国が政権移行期にあるということも考え、適切に対応してまいります。
 日英EPAの影響試算の在り方、また日英EPAの情報開示の在り方についてお尋ねがありました。
 我が国は、既に二〇一七年に英国を含めてEUとのEPAについて経済効果分析を行っており、日EU・EPAのGDPの押し上げ効果は約一%と試算をされております。また、二〇一七年当時の日本とEUの貿易額に占める英国の割合は約一三%でありました。こうした数字は現在も大きく変わっていない、そのように考えております。
 また、日英EPAの交渉方針、目的や合意内容について、六月の交渉開始、八月の私の訪英、九月の大筋合意、十月の署名式のそれぞれの記者会見等において、様々な機会に説明をしてきております。
 その上で申し上げれば、経済連携協定交渉を進める上で、国民及び国会から理解を得ることは重要であり、相手国との信頼関係や類似の交渉への影響も踏まえ、今後も適切に対応してまいります。
 日英EPAの下で日EU・EPAの関税割当ての利用残を活用する仕組みにつき、EUへの説明等についてお尋ねがありました。
 この仕組みは、日EU・EPAの関税割当て枠の利用残が生じた場合に限り事後的に特恵関税を適用できる可能性を与えるものでありまして、これは日EU・EPAの関税割当て枠の運用に影響を与えるものではなく、EUから再協議の提起を招くものとは考えておりません。こうした点については、EUに対しても説明を行っております。
 運用改善のための協議、また日英EPAの税率変更や英国枠の新設についてお尋ねがありました。
 日英EPAでは、日EU・EPAで設定された関税割当ての利用残が生じた場合に限り日EU・EPAと同じ税率を適用する制度について、その仕組み及び運用の改善が見直しの対象とされておりますが、今後、英側と協議する具体的な内容について予断を持ってお答えすることは困難であります。
 また、税率変更や英国枠の新設について、委員御指摘のような内容が明記されている規定が協定内にはございませんが、今後の見直し協議に当たって、我が国の国益に反する合意をするつもりはございません。
 日英EPAの見直し規定についてお尋ねがありました。
 日英EPAの見直し規定は、日EU・EPAと異なるものの、TPPなど他の協定においても設けられている一般的な規定であると理解をいたしております。
 最後に、貿易及び女性の経済的エンパワーメントに関する章についてお尋ねがありました。
 日英EPAで創出される機会や利益を女性が十分に享受できるよう、女性の経済的エンパワーメントに関して協力していくことが重要であるという点で日英間の認識が一致し、この章を新たに設けました。
 この分野に関する作業部会において、市場や技術、資金調達への女性のアクセスの改善等に関する取組の共有等を行うことにより、女性の経済的エンパワーメントを促進していきたいと考えています。
 なお、この章には数値目標の設定に関する規定はありませんが、作業部会における女性のアクセスの改善に関する情報交換等を通じて、この章を適切に実施していく考えであります。(拍手)
   〔国務大臣西村康稔君登壇、拍手〕

#38
○国務大臣(西村康稔君) 井上哲士議員から成長戦略についてお尋ねがございました。
 我が国経済は、バブル崩壊以降、経済の低迷やデフレにさいなまれてきました。二〇一二年の政権交代以降、まずはデフレからの脱却を最優先課題として取り組み、日本銀行による金融緩和とともに、コーポレートガバナンス改革による企業収益力の向上、イノベーション改革などの成長戦略に取り組んでまいりました。
 その結果、政権交代後、早々にデフレではない状況をつくり出し、企業収益が二〇一八年度に過去最高となり、生産年齢人口が五百四十五万人減少する中での就業者数四百四十四万人増加、一九九二年十月以来の低水準となる完全失業率二・二%など、雇用環境の大幅な改善を実現しました。
 経済全体でも、新型コロナウイルス流行前の二〇一九年には、GDP、名目、実質共に過去最高を記録いたしました。
 そして、その成長の果実を弱い立場の方を含めて幅広く行き渡らせる、すなわち成長と分配の好循環をつくり出すために、残業時間の上限規制を導入し、生産性向上に取り組み、また賃上げにつながる同一労働同一賃金を実現するなど、働き方改革などを実行してまいりました。その結果、二〇一九年に、総雇用者所得の名目、実質とともに過去最高になるなど、雇用環境の大幅な改善を実現をしてまいりました。
 こうした大幅な雇用環境の改善やそれに裏付けられた消費環境の改善に加え、外需も様々な自由貿易協定の効果もあり、農産品輸出額が年間約四千五百億円から約九千億円へと倍増、中堅・中小企業の輸出額、現地法人売上高が二〇一二年度の十五・六兆円から二〇一七年度には二十三・四兆円と、五年で一・五倍に拡大し、さらには、訪日外国人客が二〇一二年から一九年に約四倍に増加するなど、地方経済も含め日本経済全体の底上げを実現してまいりました。
 したがって、これまでの成長戦略は、成長と分配の好循環を実現してきており、外需頼みの危機に弱い経済社会を助長したとの御指摘は当たらないと考えております。
 さらに、コロナ禍においては、海外へ依存度の高い医療物資などの供給が滞るなどの課題も明らかになりました。補正予算、予備費合わせて合計三千六十億円を措置し、サプライチェーン強靱化の取組を進めるなど、更に強い経済の実現に向けた取組を進めております。
 菅総理により御指示をいただき、ポストコロナに向けた経済構造の転換、好循環の実現に向けた新たな経済対策の取りまとめを進めております。成長戦略会議での議論も進めつつ、スピード感を持って更に強い経済の実現に取り組んでまいります。
 その上で、自由で公正なルールに基づく国際経済体制を維持すべく、我が国が主導的な役割を担い、経済成長、富の源泉である自由貿易を引き続き推進していくことが成長戦略としても重要であると考えております。(拍手)

#39
○議長(山東昭子君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────

#40
○議長(山東昭子君) 日程第一 平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法等の一部を改正する法律案(第二百一回国会内閣提出、第二百三回国会衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。文教科学委員長太田房江さん。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔太田房江君登壇、拍手〕

#41
○太田房江君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教科学委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を令和三年に延期することに伴い、大会推進本部の設置期限を延長し、令和三年における国民の祝日に関する法律の特例を定めるとともに、所得税、法人税及び法人住民税等の特例措置の適用期限を延長する等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、大会に向けた新型コロナウイルス感染症対策の検討状況、大会延期に伴う追加費用と負担の在り方等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党の山添委員、れいわ新選組の舩後委員より、それぞれ反対の意見が述べられました。
 討論を終わり、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対して附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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#42
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#43
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。(拍手)
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#44
○議長(山東昭子君) 日程第二 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案
 日程第三 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上両案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長森屋宏さん。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔森屋宏君登壇、拍手〕

#45
○森屋宏君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案は、人事院の国会及び内閣に対する令和二年十月七日付けの職員の給与の改定に関する勧告に鑑み、一般職の国家公務員の期末手当の額の改定を行おうとするものであります。
 次に、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案は、一般職の国家公務員の給与改定に伴い、特別職の職員の給与の額を改定しようとするものであります。
 委員会におきましては、両法律案を一括して議題とし、コロナ禍における給与改定の在り方、国の非常勤職員の処遇改善、国家公務員の働き方改革等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党の田村委員より一般職給与法等改正案に反対、特別職給与法改正案に賛成の旨の意見が述べられました。
 次いで、順次採決の結果、一般職給与法等改正案は多数をもって、特別職給与法改正案は全会一致をもって、いずれも原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────

#46
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
 まず、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案の採決をいたします。
 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#47
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。(拍手)
 次に、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の採決をいたします。
 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#48
○議長(山東昭子君) 総員起立と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
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#49
○議長(山東昭子君) 日程第四 防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。外交防衛委員長長峯誠さん。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔長峯誠君登壇、拍手〕

#50
○長峯誠君 ただいま議題となりました防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、外交防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、一般職の国家公務員の例に準じて、防衛省職員の期末手当を改定するものであります。
 委員会におきましては、防衛大学校等の卒業生の任官辞退及び中途退職の状況、新型コロナウイルス感染症が防衛大学校等の授業に及ぼす影響、防衛大学校等の教育内容と人材育成の在り方等について質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本維新の会の浅田委員より反対、日本共産党の井上理事より反対する旨の意見がそれぞれ述べられました。
 次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────

#51
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#52
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。(拍手)
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#53
○議長(山東昭子君) 日程第五 郵便法及び民間事業者による信書の送達に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。総務委員長浜田昌良さん。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔浜田昌良君登壇、拍手〕

#54
○浜田昌良君 ただいま議題となりました法律案につきまして、総務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、郵便の役務のなるべく安い料金によるあまねく公平な提供を確保するとともに、日本郵便株式会社と一般信書便事業者との間の対等な競争条件を確保するため、郵便業務管理規程の認可基準のうち郵便物の配達日数及び送達日数に係る基準の緩和並びに配達地により異なる額の料金を定めることができる郵便物の範囲の拡大を行うとともに、一般信書便事業についても同様の緩和等を行おうとするものであります。
 委員会におきましては、ユニバーサルサービスの在り方、郵便サービス見直しの効果、郵便局の役割と活用の在り方、職員の処遇改善の必要性等について質疑が行われました。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────

#55
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#56
○議長(山東昭子君) 総員起立と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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