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2020/12/01 第203回国会 参議院 第203回国会 参議院 農林水産委員会 第5号 令和2年12月1日
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2020/12/01 第203回国会 参議院

第203回国会 参議院 農林水産委員会 第5号 令和2年12月1日

#1
令和二年十二月一日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月二十六日
    辞任         補欠選任
     加田 裕之君     林  芳正君
     宮沢 由佳君     石垣のりこ君
 十二月一日
    辞任         補欠選任
     林  芳正君     高橋はるみ君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         上月 良祐君
    理 事
                堂故  茂君
                藤木 眞也君
                山田 修路君
                田名部匡代君
                紙  智子君
    委 員
                高橋 克法君
                高橋はるみ君
                野村 哲郎君
                林  芳正君
                舞立 昇治君
                宮崎 雅夫君
                山田 俊男君
                石垣のりこ君
                郡司  彰君
                森 ゆうこ君
                河野 義博君
                熊野 正士君
                高橋 光男君
                石井 苗子君
                舟山 康江君
                須藤 元気君
   国務大臣
       農林水産大臣   野上浩太郎君
   副大臣
       農林水産副大臣  宮内 秀樹君
   大臣政務官
       農林水産大臣政
       務官       熊野 正士君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        笹口 裕二君
   政府参考人
       内閣府知的財産
       戦略推進事務局
       次長       渡邊 厚夫君
       総務省大臣官房
       審議官      川窪 俊広君
       農林水産省大臣
       官房総括審議官  青山 豊久君
       農林水産省大臣
       官房統計部長   大角  亨君
       農林水産省消費
       ・安全局長    新井ゆたか君
       農林水産省食料
       産業局長     太田 豊彦君
       農林水産省経営
       局長       光吉  一君
       農林水産省農村
       振興局長     牧元 幸司君
       農林水産省政策
       統括官      天羽  隆君
       農林水産省農林
       水産技術会議事
       務局長      菱沼 義久君
       林野庁長官    本郷 浩二君
       水産庁長官    山口 英彰君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○種苗法の一部を改正する法律案(第二百一回国
 会内閣提出、第二百三回国会衆議院送付)
○農林水産に関する調査
 (農林水産省における定員管理に関する件)
 (高病原性鳥インフルエンザ対策に関する件)
 (食品ロス削減に向けた取組に関する件)
 (農業農村整備事業に関する件)
 (漁業経営安定対策に関する件)
○特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────

#2
○委員長(上月良祐君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、加田裕之さん及び宮沢由佳さんが委員を辞任され、その補欠として林芳正さん及び石垣のりこさんが選任されました。
    ─────────────

#3
○委員長(上月良祐君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 種苗法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣府知的財産戦略推進事務局次長渡邊厚夫さん外四名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#4
○委員長(上月良祐君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────

#5
○委員長(上月良祐君) 種苗法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#6
○宮崎雅夫君 おはようございます。自由民主党の宮崎雅夫でございます。本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 時間も限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。
 今回の法改正に伴う農家の皆さんが持っておられる不安に関しまして、先週の質疑で様々なケースにつきまして各委員からも取り上げられましたけれども、一般品種と登録品種の違いでありますとか、登録品種でも許諾が新たに必要なものとそうではないもの、また自家増殖と増殖の違いと、いろんなケースがございますので、具体的にケースを分類をしまして説明していくことは大変重要だと改めて感じた次第でございます。
 加えまして、残念ながら現行の制度につきまして理解が十分でない場合もございますので、現行の制度と改正後についての変化でありますとかその影響、制度上どの立ち位置に立っているのかということを明確にしていく、これが必要だというふうに思います。
 また、登録品種で自家増殖をする場合の新たな許諾の手続についても、ひな形を示すんだという答弁も先週ございましたけれども、具体的なイメージがなかなか分からなければ、許諾料について、それがリーズナブルなものであっても、新たな手続自身はこれもう新たなコストでもありますので、負担感というのも生まれてくるんだろうというふうに思います。
 農家の皆さんの不安を払拭して新たな枠組みを機能させるためには、これはもう全ての制度に言えることでもございますけれども、現場レベルまで法改正の趣旨でございますとかその内容を理解できるように、様々な工夫をしながら丁寧に周知をしていくことが極めて重要だというふうに思います。
 そこで、今後、現場での内容の周知を全国で具体的にどのように行っていくのか、お伺いをいたします。

#7
○政府参考人(太田豊彦君) お答えをいたします。
 種苗法につきまして、今国会で改正をいただきましたら、制度面におきましては、育成者権者が登録品種を海外流出などから守りやすくなりますけれども、優良な品種を守る上では、育成者権者だけではなく、登録品種を利用している農業者、農業団体、流通販売業者などの協力も重要だというふうに考えております。
 このため、農林水産省といたしましては、全国段階に加え、地方でも説明会を開催するほか、農業者や農業者団体、流通販売業者など各段階の関係者にも分かりやすい資料などを作成をいたしまして周知を図ってまいりたいというふうに考えております。特に、今まで御不安が寄せられております点、あるいは誤解がある点につきましては重点的に説明をしていきたいというふうに考えております。
 それぞれの現場で栽培されている品種の登録状況などをまずは情報提供するとともに、法改正では、一般品種に許諾が必要となったり、在来種が何者かに品種登録をされて権利を主張されるなどということはあり得ないということ、それから、現行法において許諾が必要な増殖とそれから自家増殖は異なっておりますけれども、イチゴなど多くの登録品種につきましては増殖許諾に基づいて既に利用されておりまして、法改正によりまして手続や農家負担に変更はないといったことであるとか、それから、改正によりまして許諾料は大きく変わるということは考えられず、許諾手続につきましても団体を通じた一括許諾あるいは委員おっしゃったようにひな形を提示する、こういったことを通じまして農家負担を軽減していくこと、こういったことを丁寧に説明してまいりたいと考えております。

#8
○宮崎雅夫君 ありがとうございます。
 今回の場合は、今局長から御答弁いただきましたけれども、そのような丁寧な説明をしていただいて、そういうような努力による現場の認知度、そして理解度を向上していただくことこそが結果として目的の一つでもございます海外流出の防止にもつながるんだろうと思いますので、是非しっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。
 次でございますけれども、我が国の国内育成品種の出願件数につきましては、ピークの平成十九年度の九百五十五品種から減少しまして、平成三十年度には六割程度になっております。我が国の重要な知的財産である登録品種を増加させていくことは、品種の多様化を通じて消費者、農業者にとってもメリットのあることだというふうに考えております。
 例えば、先週の質疑でもございましたけれども、シャインマスカットなんかはまさしくそのいい例だというふうに思うわけでございますけれども、また先週の参考人質疑の中でも、参考人の方から、果樹ではシャインマスカットよりももっとおいしいものがあるんだけれども現行法では育成者権保護ができていないために出せないものもある、そんなお話も参考人の方からお話として出たわけでございます。
 品種開発を促進をして消費者、農業者、そして育成者権者にもメリットをもたらすためにも今回の法改正が必要であるというふうに考えますけれども、野上大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

#9
○国務大臣(野上浩太郎君) 今シャインマスカットの話が出ましたけれども、シャインマスカット、これ農業者にとっても栽培がしやすく、また高値で販売できるということもありますし、消費者にとっても薄皮で大変おいしいということで、農業者、これはまた消費者にとっても双方メリットがあるものだというふうに思います。
 しかしながら、先生御指摘のとおり、近年我が国の品種登録件数というのは減少しておりまして、その要因としては、先日の参考人質疑で金澤参考人からも御発言があったように、この品種開発、本当に多大な時間とコストが掛かるわけでありますが、現行の種苗法では一度種苗を販売してしまえばその後の増殖を止めることは困難であると、また適切な対価の回収が困難であるということから、こうした環境では育種が進まないということが述べられたと思いますが、そういうことも大きい要因だというふうに思います。
 今般の法改正によりまして、育成者権者の保護が適切に図られるようになってこの育成者の品種開発の意欲を高めると同時に、開発される新しい品種にはこれは消費者にもメリットをもたらすということでありますので、このことをしっかりと進めてまいりたいと考えております。

#10
○宮崎雅夫君 ありがとうございます。
 品種開発については、農研機構でございますとか都道府県の試験場といった公的機関の役割が非常に大きいわけでございまして、出願件数でも食用作物では八一%でございましたり、また果樹なんかでは一般品種と公的機関の開発をした登録品種は栽培面積でいえばそのほとんどを占めるというようなことを承知しております。
 しかし、先ほど申し上げたとおり、大臣からもお話もございましたけれども、公的機関の出願件数も減少をしておりまして、特に都道府県についてはピーク時の半分以下の状況になっておりますので、体制でございますとか予算の充実も、これも大変重要なことだというふうに思います。
 また、これらの公的機関も育成者権者として今回の法改正によって、これはボリュームによってもちろん違うわけですけれども、自家増殖について許諾を当然していくということになりますので、そのボリュームによっては、品種開発だけではなくて、これらを踏まえた体制の整備も必要な場合もあるというふうに思うわけでございます。
 そこで、今後、品種開発において重要な役割を担う農研機構など公的機関について、法改正に伴う新たな業務、こういったものも含めまして、品種開発の促進に向けて体制整備などをどのように行っていくのか、お伺いをいたしたいと思います。

#11
○副大臣(宮内秀樹君) お答えをいたします。
 農研機構等の公的機関は、高品質なブランド品種などの開発に取り組んでおりまして、農業の成長産業化に重要な役割を担っているというふうに考えております。
 このために、農林水産省におきましては、公的機関等に対しまして、国主導のプロジェクトの研究の推進等によりまして、例えば品種開発期間の短縮を可能とする育種基盤技術の開発や気候変動への適応等のニーズに応じた品種開発等の支援を講じておるところでございます。
 また、令和三年度予算概算要求におきましては、農研機構が中核となって公的機関等が連携いたしまして、輸出促進等に対応した新品種の開発や、品種の効率化、栽培地に適応した生産技術の開発、国内在来品種の収集、保存の促進に取り組む予算を要求をいたしているところでございます。
 さらに、品種開発の体制につきましては、農研機構では、スーパーコンピューターとデータベースによる農業情報研究基盤を構築いたしまして品種開発のスピードアップへの活用を開始するとともに、品種の権利保護のために知的財産部を設立いたしまして海外での権利化や権利侵害に関する情報収集などの権利保護のための体制を強化しているところでございます。
 今後とも、種苗法改正に合わせた品種開発が円滑に推進されますよう、それぞれの機関の強化を図るための予算確保や体制の整備にしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

#12
○宮崎雅夫君 ありがとうございます。
 御答弁の中でもいろんな取組を既にやっていただいているというお話でございますけれども、やはりこれも、予算も大変重要なことでございますので、来年度予算の確保等に向けてしっかり取り組んでいただければというふうに思いますし、また、農研機構自身は異なるやはり立場もあって、品種登録審査というのも担っているということでございます。
 品種登録がこれからどんどん増えていくということになってくれば、その審査も適切、そして迅速にやっていただかないといけないということになりますので、この点も踏まえて体制整備なども図っていただきたいというふうに思います。
 次でございますけれども、今回の法改正に加えて、海外流出の防止につきましては、海外における品種登録の促進ということとともに、海外での育成者権者の育成者権侵害の情報をできるだけ早く収集をして、産地化する前にその芽を摘んでしまうということでございますとか、海外では法的な枠組みがまだできていないというところもございますので、そういった支援を行っていく、そういった各国との連携と協力をしっかり行っていくことが重要だというふうに考えます。十一月十五日にはRCEPの協定も署名をされました。協定の中では知的財産についての合意もございますし、またUPOV条約の枠組みもございます。
 そこで、今回のRCEP協定の署名も踏まえて、育成者権保護についての各国との協力、連携についてどのように取り組んでいくのか、お伺いをしたいと思います。

#13
○政府参考人(太田豊彦君) お答えをいたします。
 今回の法改正と併せまして、引き続き予算措置におきまして、他国での品種登録あるいは侵害情報の収集を努めてまいりたいというふうに思っております。
 一方で、我が国で育成された品種が海外で適正に保護されるためには国際的にも調和された品種保護制度の普及が必要でございますけれども、東アジア地域のRCEP加盟国におきましては、UPOV加盟国は中国、韓国、ベトナム、シンガポールしかないのが現状でございます。
 これまで、日本のイニシアティブで、二〇〇七年にASEANプラス日中韓の十三か国で東アジア植物品種保護フォーラムを設立をいたしまして、各国の品種保護制度の整備に向けた技術協力などの支援を行ってきております。このフォーラムの下で、二〇一八年に、全ての参加国のUPOV条約加盟を共通目標とした十年戦略が採択されまして、ミャンマーやブルネイがUPOV加盟の手続を進めているなど、着実な成果が生まれていると考えております。
 また、海外での品種登録を迅速化するためには、日本における品種登録の際の審査結果を基に海外での品種登録を可能とする協力関係、この構築も必要でございます。今回種苗法が改正されれば、これが更に進むということが期待をされております。
 今般署名されましたRCEPにおきましても、締約国はUPOV条約加盟に向けた協力を求めることができるというふうにされておりますので、これまでの取組を後押しするものだというふうに思っております。
 引き続き、東アジア地域におきます……

#14
○委員長(上月良祐君) 時間が参っておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。

#15
○政府参考人(太田豊彦君) はい。
 植物品種保護制度の整備の促進に努めてまいります。

#16
○委員長(上月良祐君) 時間が参っております。

#17
○宮崎雅夫君 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

#18
○石垣のりこ君 立憲民主党の石垣のりこでございます。
 さあ、今回の種苗法改正案について、これまで衆参様々な議論がなされてまいりました。どのような法案であれ、日本の農業を守る、すなわち、私たちの命を支える食を、安全を含めて自分たちでしっかりと確保していくということが大原則でございます。その法案の改正も含めて、それが実現されるためのものでなくてはなりません。
 これまで今国会、様々な議論がなされてまいりましたけれども、いろんな議論を私も聞いておりまして、どうも種苗の海外流出を防ぐために自家増殖の許諾制が必要という点に関しては納得ができません。
 野上大臣、やはり、これまでの議論を踏まえても、海外流出を防ぐためには登録品種の自家増殖の許諾制が必要とお考えでしょうか。

#19
○国務大臣(野上浩太郎君) やはり、海外流出を防ぐためには、できる限りの措置をするという観点からも、農業者が増殖している種苗を起点とする海外流出についても登録品種の自家増殖を許諾制とすることとしております。
 これまでいろんな議論がございまして、例えば、自家増殖の見直しについては例外品目を設ければいいんではないかとか、あるいは届出ですとか通知にすればいいんではないかとか様々な議論があったわけですが、例えば例外品目を設けるということになると、その一つの品種、品目の中にもいろんな品種があるわけです。品質管理を徹底してブランド化をするというもの、あるいは新たに病害に対応するためのもの等々、ある品目に属する品種を全ての一律の取扱いにするということは適当でないということもありますし、海外流出を防止すべき優良な品種がない品目であっても、将来的に優良な品種になることが、可能性もあるということでありまして、これも適当ではないということであります。
 また、通知とか届出制でいいではないかという話も御議論としてあったんですが、これですと、通知や届出をすれば種苗の増殖行為が容認されるということにもなりますので、法改正と実効性が変わらなくなってしまうおそれがあるということで、この許諾制であれば、育成者権者は、自家増殖をする者が利用条件の遵守が期待できる者であることを確保できると、あるいは利用条件を書面で明文化をして農業者に周知をできること等々、抑止効果も高めることができるということで、登録品種の自家増殖は許諾制とすることが適切であるということを考えております。

#20
○石垣のりこ君 お答えありがとうございます。
 農業者の方たちのその意識を高めるというのは、別に、自家増殖を一律に登録品種に関して許諾制にすること以外でも実現可能な方法だと考えますけれども、大臣は、これまでの議論を踏まえても、登録品種の自家増殖の一律許諾を含めた今回の法改正必要であるというお考えには変わらないということだったと思いますが、多くの今委員が質問を既にされていらっしゃいますけれども、改めてちょっと事実確認をしていきたいと思います。
 農家が自家増殖した種苗が海外流出して日本が損害を被っていると断定できる事例は、現段階で何品種、何件把握しているでしょうか。

#21
○政府参考人(太田豊彦君) お答えをいたします。
 農業者の自家増殖を起点といたしまして我が国において開発された品種が流出した事例としては、山形県の紅秀峰の種苗が国内の農業者によって増殖され、オーストラリアに流出し、海外へ持ち出された後、現地で産地化され、日本に輸出されそうになったという、この一件でございます。
 こうしたケースにつきましては、通常は発見することが困難ですけれども、この事例につきましては、日本への逆輸入に向けた広報が行われたということで把握された特殊なケースであったため発覚したものでございます。
 このように、海外流出につきましては、具体的な流出ルートの実態の把握は困難でございますけれども、農水省によるヒアリングなどでは、海外のバイヤーが種苗業者や個人農家に対して、個人の農業者に対して、我が国で開発された果樹等の種苗の売渡しを求めてきているという情報も寄せられております。優良品種が流出するリスクは高いことには疑いはございません。
 また、最近でも、農水省の調査におきまして、都道府県において種苗の流出を厳重に管理した品種ですら、三十六品種が通販サイトで確認をされているところでございます。

#22
○石垣のりこ君 紅秀峰のみというのがシンプルな回答だと思うんですけれども、ちなみに海外流出の事例、新聞等々でも時々見るんですけれども、日本の品種が海外流出していると確認された事例というのはどのくらいあるんですか。

#23
○政府参考人(太田豊彦君) 今少し述べさせていただきましたけれども、農水省の調査を最近行いました。都道府県において種苗の流通を厳重に管理していた品種でも、その同じ名前の三十六品種が中国や韓国の通販サイトで確認をされておりますので、なかなか流出のこういった事態を看過するということは適切ではないというふうに考えております。

#24
○石垣のりこ君 実際よく例に出されますシャインマスカットを筆頭に、海外流出した事例というのを新聞等々で個別に了承しているというふうには思うんですが、農水省として、農水省の責任で調査をしている海外流出の基本的データは持ち合わせていないというふうな今御答弁であったと私自身は認識いたしております。
 ホームページ等々では見ているけれども公式な数字として農水省では確認していないということでよろしいでしょうか。

#25
○政府参考人(太田豊彦君) 今の調査は農水省の調査でございます。農水省の調査でウエブサイト上で確認をされたというものでございます。

#26
○石垣のりこ君 そのウエブサイト上で確認されたということは、それは公式な数字として、農林水産省では、日本の種苗が海外流出している事例として、三十何例でしたっけ、六例、三十六例であるというふうに公式に見解を表明できるということでよろしいんですか。

#27
○政府参考人(太田豊彦君) これは、あくまでも同名の三十六品種がウエブサイト上で確認されているということでございます。

#28
○石垣のりこ君 非常に緩い調査というのか、目視で確認というのか分かりませんけれども、今二つの質問させていただきましたけれども、農林水産省では、自家増殖の事実と種苗の海外流出の事実の因果関係、その因果関係どころか、日本の種苗が海外流出して被害を被っている実態を客観的に把握できるデータを持ち合わせていないということが今の答弁から明らかになったのではないかと思います。これで農家が自家増殖をしているから日本の優良品種が海外に流出しているんですと主張する客観的、明確な根拠はないと言えるのではないでしょうか。
 資料の一枚目御覧いただきますと、海外での品種登録を進めているJATAFFのウエブサイトにこんな記事がございます。日本のほとんどの優良品種の種苗が大量に海外へ流出しています、様々なルート、多様なルートで流出しており、海外への種苗の持ち出しは物理的に止めるのは困難であると、このように書かれているわけですよね。
 農林水産省では、日本の種苗が流出している事例を具体的に客観的に把握していないというふうにおっしゃっていましたけれども、このJATAFFのホームページには海外へ大量に流出しているというふうに、これが事実のように書かれております。農水省すら持っていないデータをJATAFFの方では何か調査をして把握しているんでしょうか。まあこの辺ちょっと追及していくと時間が足りなくなりますのでこの辺でやめますけれども。
 続けて伺ってまいります。
 資料の二を御覧ください。
 こちら、都道府県による新品種の出願件数に関するグラフですが、二〇〇七年から五割以上減少しております。農林水産省はこの理由をどのように分析しているでしょうか。

#29
○副大臣(宮内秀樹君) お答えをいたします。
 委員御指摘のとおり、都道府県による品種出願件数は、二〇〇七年から二〇一八年にかけまして百三十五件から五十六件に減少をしておるところでございます。
 このように品種登録出願件数が減少した背景につきましては、国内の種苗市場の縮小による見通しの悪化などを背景にいたしまして、品種の開発にはやはり多大な時間とコストを要するにもかかわらず、現行の種苗法では、登録品種であっても、一度種苗を販売してしまえばその後の増殖や品種開発した都道府県外への流出を止めることが困難でありまして、開発に十分なインセンティブが得られないというようなことが挙げられるというふうに考えております。
 今般の法改正によりまして育成者権の保護が適正に、適切に図られるようになりましたら、都道府県にとりましても、海外流出防止が図られることに加えまして、栽培地域の制限によりまして産地ブランド品種の管理が容易になることから、品種開発の意欲を高めることにもつながるというふうに考えております。

#30
○石垣のりこ君 市場の見通しが縮小していて暗いと、あと、流出に関して適切な措置がとられていないということが主な原因というふうに分析していらっしゃるということですけれども、そのような分析に至った具体的なデータというのはあるんでしょうか。

#31
○政府参考人(太田豊彦君) お答えをいたします。
 今の根拠でございますけれども、農林水産省が業界から聞き取った結果でございます。

#32
○石垣のりこ君 業界から聞き取った結果ということですけれども、聞き取り調査ということなんですが、どのぐらいの範囲で、どういう農業の形態の方たちに伺ったのかというところまではちょっと分かりませんけれども、その辺もちょっと後ほど具体的に資料をいただければと思いますが。
 結局、流出に関してということなんですけれども、海外への種苗の流出実態というのは、先ほどの話から把握されていないということです。ですので、都道府県の新品種開発の意欲が減退しているという理由になっている流出というのは、海外というよりかは、どちらかというと国内流出を懸念したものではないかというふうに推測されます。
 主として主要作物の品種開発を担っている都道府県、もちろんこれは果物などもありますけれども、果樹などもありますけれども、予算が乏しい、余り新品種の開発に重きが置かれていない、せっかくいい品種が開発できても国内での主に種苗の流出によって権利が侵害されてしまうことによって都道府県の新品種の開発が年々減少してきていると、そのような懸念から今回のこの種苗の新品種開発に関して減少がなされているというお話であると思うんですが、今の御説明でも、自家増殖と海外流出の因果関係に関しては、ほとんどその調査自体の詳細が分からないので何とも申し上げられませんが、国内流出に関しては何らかの聞き取りがあったと。これ事前のレクチャーを受けたときにもそのようなお話があったんですが、そもそも海外流出の現実のどういう状況であるかというデータがないわけですから、把握のしようがないと農水省さんでもおっしゃっているわけですから、農家の方たちがそれに関して海外流出が困るということを現状でヒアリングで話をされること自体もよく分からない理屈でございます。
 さらに、新品種開発ももちろん推し進めなきゃいけないというのはもちろんなんですけれども、野菜の種苗についてちょっと伺います。
 国内生産状況というのは現在どのぐらいあるんでしょうか。また、それは国内で採種できている種子のどのぐらいを占めていますか。

#33
○政府参考人(太田豊彦君) お答えをいたします。
 野菜の種苗の国内生産状況でございます。現時点で、野菜の種苗の国内生産状況、採種面積のデータにつきましては存在をしておりません。
 なお、採種面積のデータではありませんが、野菜の種子につきましては、植物種類の特性に応じまして野菜の本来の原産地に準じた環境で栽培するという特性がありますので、九割は海外で生産されているものと承知をしております。

#34
○石垣のりこ君 九割が海外生産ということですけれども、国内生産状況を把握していらっしゃらないと、野菜の種苗をほぼ民間に任せっ放しの状況ということになっていると思うんですが、国内では全て作れるわけではないということも分かりつつ、国内では基となる種、種苗の供給すら野菜の場合危ういという状況が放置され、統計すら取られていないということになります。この統計すら放棄しているということが非常に悲しい、種、種苗に関する農水省の悲しい現実を物語っているのではないかと考えます。
 そして、ちょっと時間がなくなってまいりましたけれども、こういう今の一連の答弁から、農家の自家増殖が海外へ日本の優良な種苗が流出しているということの客観的なデータは農林水産省では把握していないということが前段で分かったかと思うんですけれども、もう一点、今回の種苗法改正において、農水省の答弁を仮にそのまま受け止めたとしてですよ、許諾料はごく僅かです、事務手続もできるだけ現場に負担のないようにします、イチゴだって現在ほとんどのケースは増殖の許諾料込みで販売されているから何も変わりません、そもそも登録品種を自家増殖している農家は僅かで大半に影響はないのではないかというようなお話まで出てきております。
 しかしながら、自家増殖の許諾制は海外流出の防止策としては有効とは言い難いにもかかわらず、これは前段のお話からそうだというふうに判断しますけれども、海外流出を防止するためという姿勢を崩さないという点が、この種苗法の改正案を今ここで強行に推し進めていくことに対する非常に疑念を払拭し切れない大きな理由ではないかというふうに考えます。
 もう一つは、先日、参考人としてこの参議院の農水委員会にもお越しいただきました全国愛農会の会長の村上真平さんのお話の中の、誰が種を守り育ててきたのか、新品種が生まれる前段の品種があるわけで、それは誰か個別の権利を主張するものというよりはコモンズ、公共性の高いものなのではないかという問題提起でございます。
 もちろん、工業製品ではない、より個人の著作権のような権限が主張され得るものでも何らかの意味での模倣というのは前提にあるわけなんですけれども、特に植物、生き物です。これに関しては、新品種ができました、はい、この植物の品種は全ての権利において開発した人のものですというふうにはならないのではないかと。あくまでも、もっと丁寧に育成者権者と農業者の双方の利益、権限のバランスというのを考えなくてはいけないのではないか。この点が今回の種苗法の一部改正案に関してはおろそかになっているのではないかと言わざるを得ません。
 ちなみに、一番最後の資料です、資料四ですけれども、種苗法の逐条解説、これは現物主義との関係においてですけれども、植物体の集団として特性化して数値化して評価することの方法的限界ということが書かれてあります。今回の種苗の育成者権者という育成者権、知的財産を考える上で、本来、型というものがあってほぼ同じものを再生産できる工業製品と同様に捉えることの限界というのがこの点にも示されていることを参考として示させていただきます。
 さあ、これまでの議論を踏まえまして、今回の種苗法改正における登録品種一律自家増殖許諾制という立法の根拠が成り立つというふうに野上大臣はお考えになるか、最後に伺いたいと思います。

#35
○国務大臣(野上浩太郎君) 海外流出の件も含めて申し上げますと、海外流出を防ぐためのやはりこれはできる限りの措置をやらなければならないということで、農業者が増殖している種苗を起点とする海外流出についても登録品種の自家増殖を許諾制とすることとしているわけでありまして、また、なかなかデータがないではないかというお話もございましたが、紅秀峰の件はお話あったとおりですが、やはりこういった件は通常発見することがなかなか難しい中で、しかし一方で、いろんな情報も寄せられていると、こういう状況がありますので、やはりできる限りの措置をすることは重要だというふうに考えております。

#36
○石垣のりこ君 いろんな情報収集されているのであれば、それをちゃんと突き詰めて、客観的事実、データとして示した上で、これ、だって権限を制限したり権限を拡大するという大きな改正になるわけですから、ヒアリングでそういうお話が出ている、そういう推測を基に法改正をするんだという非常に曖昧なことをやっていいんでしょうかという異議を申し立てて、私の質問を終わります。

#37
○森ゆうこ君 立憲民主党、森ゆうこでございます。
 ちょうど一か月前、十一月一日に、上越、私の地元、新潟県上越市の高田小町、高田世界館にて、上越たねまきマルシェというイベントが開催されました。これを開催したのは、小さなお子さんを持つ若いお母さんたちでございます。
 当初、この種苗法の改正に関して、私どもの事務所にいろいろ相談がありまして、請願を出したいとか、それから、いろいろ情報を提供してほしいというような相談があり、まず皆さんで勉強会を開いてみたらどうですかということに対して、いろいろ活動を重ね、そして、たねまきマルシェというイベントを開催しました。
 このイベントには、この食の基となる種をいかに守ることが子供たちにとって大切なのかということを勉強したその成果とともに、地元の飲食店が出店をされたりということで、地元の食材を使い、また、多くの地元の農家の皆さんも参加されたということで、二つの会場で千五百人ぐらい集まったということで御報告をいただきました。
 この報告書の一文を引用させていただきたいと思いますけれども、今回の種苗法改正案では、種の知的財産権や企業側の権利を守ることばかりが優先されていますが、世界の流れと逆行していると言わざるを得ません。種、食料であり、命を守るものです。食べ物を食べずに生きられる人はこの世の中に一人もいません。種や農業を軽視し、ビジネスのために利用することは、国民の命をお金もうけのために利用しているのと同じではないでしょうか。議員の皆様には、農家や消費者の声に耳を傾けていただき、慎重な審議をしていただきたく存じますということで、今子育て中のお母さんたちの切なる訴えを頂戴いたしました。
 私も、改めてちょっと事実関係を確認させていただきたいと思います。
 自家増殖の実態、これは、自家増殖をしている農家の割合はどれぐらいなんでしょうか。衆議院でも確認されておりますけれども、事実関係確認させてください。

#38
○政府参考人(太田豊彦君) お答えをいたします。
 自家増殖の実態でございます。現場の実態といたしましては、稲につきましては、ブランド化の観点から、品質向上を図るために現場で自家増殖を行わないように指導されているという実態がございます。麦、大豆につきましては、実需が求める品質を満たすために自家増殖は行われていないという実態がございます。バレイショ、サトウキビにつきましては、病害虫防止の観点もありまして、公的な管理の下で種苗の増殖、配付が行われているという実態がございます。野菜につきましては、自家増殖が技術的に不可能なF1品種というふうになっておりますので、自家増殖というのがほとんど行われていないというふうに承知をしております。
 イチゴやカンショなどにつきましては、農家が自分で必要な種苗を増殖をしております。これは増殖することを前提に許諾契約を結んでおりますので、自家増殖も含んで許諾料を支払われた上で種苗が販売をされております。このため、これらの作物につきましては新たに許諾手続が増えるといったことは想定をされておりません。

#39
○森ゆうこ君 私は、自家増殖をしている農家の割合は一体どれだけですかと質問しているんですよ。数字を答えてください、数字を。

#40
○政府参考人(太田豊彦君) お答えをいたします。
 農水省が調査をした結果、自家増殖をしている農家につきましてはほとんどいないという結果になっております。

#41
○森ゆうこ君 いや、それうその答弁でしょう。何を基にそう答えているんですか。根拠は何ですか。どのような調査ですか。衆議院でも同じ質問があって答弁しているじゃないですか。(発言する者あり)

#42
○委員長(上月良祐君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕

#43
○委員長(上月良祐君) 速記を起こしてください。

#44
○政府参考人(太田豊彦君) お答えをいたします。
 平成二十七年度に都道府県を通じまして登録品種の自家増殖の事例を把握するために調査をいたしております。その結果、自家増殖を行っている農家というのはほとんどいなかったということでございます。

#45
○森ゆうこ君 いや、そのアンケート調査、五二%が自家増殖を手掛けていたんじゃないんですか、今局長が引用したアンケート調査では。違うんですか。(発言する者あり)

#46
○委員長(上月良祐君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕

#47
○委員長(上月良祐君) 速記を起こしてください。

#48
○政府参考人(太田豊彦君) お答えをいたします。
 今申しました平成二十七年度に行った生産者アンケートでございますけれども、自家増殖を行っていると見られる生産者、これを調査対象として都道府県に選定をしていただきまして、これを母集団として登録品種の自家増殖を行っている品目あるいは許諾条件を調査するために行いました。
 この結果、今五二%と言われましたけれども、そのような割合が、生産者の割合は高くなっておりますけれども、これは農家全体の実態を示すものではありません。この調査で自家増殖を行っているとの回答では許諾契約を結んでいるケースというのが相当数含まれておりますので、許諾契約に基づかずに……

#49
○委員長(上月良祐君) 答弁は簡潔にお願いいたします。

#50
○政府参考人(太田豊彦君) はい。
 許諾契約に基づかずに登録品種の自家増殖を行っている農家というのは、したがいまして、ほとんど把握できなかったというふうに申し上げているところでございます。

#51
○森ゆうこ君 いや、うそをつかないでください。
 これ、毎日新聞、つい二、三日前の記事にそんなこと書いていないですよ。情報公開請求したら、農水省は自家増殖をしていると思われる農家に限ってアンケート調査を実施せよと、自治体にそういう指示を出したんですか。そんな記述はどこにもない。しかも、調査によれば、出先機関の一つが地元農協に具体的な人選を依頼した文書には、これはある地域ですけど、自家増殖をしている生産者を選ぶ必要はありません、そう書いてあって、別に自家増殖をしていると思われる農家を対象に行ったアンケート調査じゃないでしょう。うそつかないでください。
 そういうふうに指示文書、通知を出してアンケート調査、本当にしたんですか。本当にしたんですか。

#52
○政府参考人(太田豊彦君) お答えをいたします。
 このアンケートにつきましては、あくまでも自家増殖を行っていると見られる生産者を調査対象として都道府県に選定をしていただくということをお願いしたものでございます。

#53
○森ゆうこ君 いや、だから、それを客観的に示す資料はあるんですか。そんなふうに頼んでいないでしょう。本当に自家増殖をしていると見られる農家を調査してくださいと、そういう依頼をしたんですか、していないんですか、どちらなんですか。
 ごまかさないでください。これ、法改正の根拠になる自家増殖をしている農家がどれくらいいるのか、これ基本中の基本じゃないですか。何でそんなごまかす答弁するんですか。うそでしょう、それ。

#54
○政府参考人(太田豊彦君) お答えをいたします。
 先ほどからも申し上げているとおり、自家増殖を見られる、自家増殖を行っていると見られる生産者を調査対象として都道府県に選定をしていただくということでお願いをしているものでございます。(発言する者あり)

#55
○委員長(上月良祐君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕

#56
○委員長(上月良祐君) 速記を起こしてください。

#57
○政府参考人(太田豊彦君) お答えをいたします。
 毎日新聞の報道は承知をしております。その上で、県によって受け止め方というのはあるのかもしれませんけれども、農林水産省としては、自家増殖を行っていると見られる生産者を調査対象として農家に選定をしていただいて調査を行ったものでございます。

#58
○森ゆうこ君 虚偽答弁じゃないですか。こんな基本中の基本の数字、すぱっと答えられない。もう一回差し戻した方がいいんじゃないんですか、質疑。
 それで、アンケート調査では、契約により自家増殖の制限がされているという方が四六%いて、そのうち禁止が一七%なんですね。許可が必要という人が残りなんですけれども。
 この間、農水省は、いや、全然変わらないんだと。これ、実は大きな違いですよ。原則自家増殖は農業者の権利として認められている。しかし、例外的に育成権者の権利を及ぼす場合ということを例外的にしてきた。それを百八十度転換するわけだから、何も変わらないと言うけど、変わるに決まっているじゃないですか。
 じゃ、一律禁止というのが誤解だと言うんですけれども、本当に誤解ですか。自家増殖、許諾できない場合があるんじゃないんですか。許諾を禁止される場合があるんじゃないんですか。

#59
○政府参考人(太田豊彦君) お答えをいたします。
 今回の改正によりまして、登録品種の自家増殖につきましては育成者権者の許諾を必要とするということとしておりますけれども、一般品種の自家増殖は自由でございます。登録品種につきましても許諾を得れば自家増殖はできるということでございますので、自家増殖が一律禁止になるということではございません。

#60
○森ゆうこ君 いや、どうしてきちっと質問に答えていただけないんですか。
 登録品種、自家増殖、許諾さえ得ればこれまでどおり可能だとおっしゃるわけですけれども、許諾が下りなければ禁止状態は解除されないわけであります。育成者権者の意向次第では必ずしも許諾を得られるとは限らないじゃないですか。必ず許諾は得られるんですか。

#61
○政府参考人(太田豊彦君) お答えをいたします。
 自家増殖を認めるかどうかは、確かに育成者権者の意思によりますけれども、例えばサトウキビのように公的機関が農業者に利用していただくことを目的に開発する品種、こういったものにつきましては、自家増殖が許諾制になったとしても、農業者の営農に支障となるような条件を課すということは想定をされておりません。

#62
○森ゆうこ君 いや、だから、民間にどんどん開放してと言っているのに、今のじゃ全く答弁になっていませんよ。
 それで、もう少し、今日でこれ、これから採決するんですよ。全然答弁めちゃくちゃじゃないですか。
 これまでは、登録品種の自家増殖に育成者権の効力を及ぼす植物の基準ということで、自家増殖を制限しても、①、これ農水省の資料ですよ、種苗の安定供給が確保されるか、②農業経営を著しく圧迫するような種苗購入費等の増大が起こらないか等を検討し、それがなければ自家増殖に、元々農業者は自家増殖について、登録品種であっても可能であるわけですから、自家増殖に育成者権の効力を及ぼす植物を決定していたわけです。
 じゃ、今回、全面的に原則禁止と、登録品種の農業者の自家増殖を全面禁止というこの法律案を、改正案を提出するに当たり、これまでこういうふうに基準を設けてきちんと審査してきたわけですけれども、種苗の安定供給が確保されるのかということについて検討したんでしょうか。

#63
○政府参考人(太田豊彦君) 今委員がおっしゃったのは、現行の法制度におきまして、栄養繁殖植物につきまして許諾制にするための基準のことだというふうに理解をしておりますけれども、今回の改正につきましては、そういう観点ではなく、日本で開発された種苗が海外に流出をしており、それによりまして日本の農業者が不利益を被っているということを考慮いたしまして、自家増殖につきまして許諾制を取り入れ、海外への持ち出しに対する制限を付すとともに、自家増殖の場面におきましても管理を強化しようという、そういった趣旨で改正をお願いをしているところでございます。(発言する者あり)

#64
○委員長(上月良祐君) 森ゆうこさん、質疑を続けてください。質疑をお続けください。

#65
○森ゆうこ君 なぜ質問に答えないんですか。私、そんなこと聞いていませんよ。
 今回の法改正によって、これまで、登録品種の自家増殖に育成者権の効力を及ぼす植物の基準ということで、これ農水省が基準を決めて慎重に検討してきた、そのときの基準の一つを言っているんですよ。種苗の安定供給が確保されるか、このことは、原則として自家増殖を認めないというこの法改正に当たり、種苗の安定供給が確保されるかという、この重要な点についてきちんと調査をし検討されましたかと聞いているんですよ。
 検討したか、しないか、答えてください。

#66
○政府参考人(太田豊彦君) お答えをいたします。
 委員御指摘の点につきましては、栄養繁殖植物を自家増殖の下に許諾制の、失礼いたしました、許諾制の下にするための基準でございますけれども、その観点として種苗の安定供給という観点がございます。
 今回の改正におきまして、種苗の供給の実態につきましては特段の変更がございませんので、安定供給につきまして御懸念のことは当たらないというふうに考えております。(発言する者あり)

#67
○委員長(上月良祐君) 太田局長。

#68
○政府参考人(太田豊彦君) お答えをいたします。
 種苗の安定供給につきまして……(発言する者あり)

#69
○委員長(上月良祐君) 御静粛にお願いいたします。

#70
○政府参考人(太田豊彦君) 種苗の安定供給につきましてしっかりと検討した上で今回の改正をお願いをしているところでございます。

#71
○森ゆうこ君 いや、おかしいですね。だって、自家増殖の実態もはっきり分からない、きちんと答えられない。どれぐらいの割合の人がやっているのか、はっきりと答えられない、虚偽答弁をする。それで今回、全面的に原則禁止にしたときに種苗の安定供給が確保されるのか。なぜそういうことを言うかというと、自家増殖をしている理由は種代を節約するためではなく、生産に必要な種苗の量を確保するためというふうに答えている人の方が圧倒的なんですよ。
 今回コロナで、中国から種を輸入していた、それが滞って生産に必要な種苗を確保できないという事態が生じて大問題になりました。先ほども石垣さんの質問に対して九割野菜は海外依存と。そういう状況の中で、食物の生産のために自家増殖をしている、それが制限されたら生産に影響を及ぼさないのかということについてきちんと調査をして検討を加えるのは当然じゃないですか。余りにもおかしいと言わざるを得ません。
 まともに答えないんで私が用意した質疑がなかなか全部できないんですけれども、この間、グローバル種子企業によって主要農作物も支配されるんじゃないかというふうなことについて妄想だとか陰謀論だと言うんですけど、本当ですか。
 今日お配りした資料、シンジェンタという、これ、グローバル種子企業第二位。今もう、物すごいMアンドAを繰り返して寡占化が進み、今やモンサントだってないんですよ、バイエルに買収されて。ゲノム編集もできて、今までとは全く違う想像できないような品種改良して、それはこの間のこの法案の賛成の立場である金澤参考人も、そういう重要な種子が支配される、それは危険性があるということで警鐘を鳴らしていましたよ。
 このシンジェンタ、直まきだそうです、直まき。これ、もう農業の機械の会社も協力をしていよいよ本格的に、もう既に相当前に日本国内に試験圃場も確保してターゲットにしてやっているわけですよ。なぜ日本だけがそのターゲットにならないなんていう生ぬるいことを言えるんでしょうか。どうですか、大臣。

#72
○委員長(上月良祐君) 森委員、申合せの時間が参っておりますので、質疑をおまとめください。

#73
○森ゆうこ君 いや、そうなんですけど、まともに答えないじゃないですか。
 大臣、最後に一言だけ。

#74
○国務大臣(野上浩太郎君) 今御指摘のあったシンジェンタにつきましては、これ世界第三位の規模を持つ世界有数の種子のグローバル企業であるということは承知しております。世界市場ではそのほか、バイエルですとかコルテバ・アグリサイエンス等々、大企業が展開をしているわけでありますが、しかしながら、我が国におきましては、食用作物、果樹、野菜の品種につきましては国内で開発された品種が登録のほとんどを占めておりまして、海外の種苗会社等が開発した品種はほとんどありません。これは、これまでも御議論ありましたが、我が国の品種は北から南までの気候条件、土壌も全く違う日本の国土の多様な気候や風土に合うものであることから、少品種かつ大ロットに種苗を販売する目的で品種を開発する外国企業の開発方針に合致しないことが原因であると考えております。

#75
○森ゆうこ君 のんきなものだね。終わります。

#76
○河野義博君 公明党の河野義博です。
 前回に続きまして、私のところに寄せられました不安、疑問のお声を中心に質問させていただきます。
 まず、有機農業者が影響を受けるんじゃないかという御懸念に関しまして、これ大臣に伺います。
 本改正案に懸念を示される方々の御主張の一つに、登録品種の自家増殖を許諾制にすると有機農業者が困るということをお伺いをするわけであります。一方で、そもそも有機農業者や自然農法に取り組む方々は、在来種などの一般品種を栽培されている方が多いというふうに私は理解をしておりますけれども、まず実態はこれはどうなっておられますでしょうか。一般品種ならば種苗法の対象ではもちろんありませんので、今回の改正の影響はありません。本委員会にいらっしゃった参考人で、登場していただきましたけれども、有機農家の方も、一般品種を栽培しているので御自身は改正の影響は受けないというふうにおっしゃっておられました。
 そこで、有機農業の栽培品種の実態、どのように把握しておられるか、また改正による影響の見込みについて、政府の見解を改めてお示しください。

#77
○国務大臣(野上浩太郎君) 農林水産省は昨年、委託事業として有機事業者を対象にアンケート調査を実施しておりますが、これによりますと、自家増殖している品種の九割以上は一般品種との回答を得ております。一般品種につきましては、農業者は許諾も許諾料も必要ありませんので、自由な利用が可能であります。また、登録品種を自家増殖しているとの回答は二割程度でありましたが、回答の中で特定された品種は全てが公的機関が開発した品種でありまして、これも許諾を得れば自家増殖が可能であると考えております。
 したがって、有機農業に取り組む農業者については、通常の農業者よりも改正による影響は小さいと考えております。

#78
○河野義博君 影響は少ないというふうな御答弁を大臣からいただいております。しっかり不安には引き続き向き合っていく必要はあると思いますけれども、正しい理解を進めていくということが大事だと思っています。
 次に、ちょっと一問飛ばしまして、都道府県によって登録品種の割合が多くて大きな影響を受けるところではないかという懸念もいただいております。都道府県ごとに、また作物によっては登録品種の割合が多くて、自家増殖が許諾制になると問題があるんではないかというような懸念をお伺いをいたします。
 自家増殖の許諾料の心配についてであれば、既に前回の委員会で私の質問に対して説明がありましたけれども、食用作物や果樹などは、国や都道府県の試験場が開発したものが多いため、許諾料は低く設定されていると、民間も公的機関の設定する許諾料の水準を参考にするから高くならないという見込みが示されたわけであります。
 そもそもそうですよね。べらぼうに高い種苗を買って、商売にならなければ皆さん買わないわけであって、価格設定というのは、周りを見ながら市場原理に基づいて設定されていくんだろうというふうに私は思いますけれども、そもそも分業も進んでおりまして、種苗を買って自分は栽培に専念するという方々が現場では多いと私は把握をしております。
 都道府県が開発した登録品種については、産地づくりやブランド化のため、現在既に自家増殖をしないことを約束して栽培しているという実態もあります。なかなかこの問題の所在が明らかではないと私は思いますけれども、こういった漠然とした不安、こういった懸念に対して政府としてどのように考えているのか、答弁をお願いします。

#79
○大臣政務官(熊野正士君) お答えいたします。
 例えば、北海道の道の試験場やホクレン等が道の農業振興を目的に心血を注ぎ開発してきた登録品種があります。これらは北海道の気候に適するように開発されたものであり、道内での普及やマーケティングに取り組むとともに、種苗や作物の病害対策の観点から毎回購入した種苗を使用するよう要求しており、その成果として道内の生産量シェアが極めて高くなってございます。これは、公的機関等による品種を活用した産地づくりが進んでいる好例であると考えております。
 これらの品種は、公的機関や道の生産者団体が道の農業者に利用していただくことを目的に開発した品種であることから、種苗法の改正で自家増殖が許諾制になっても、農業者の営農の支障になるような許諾料を課すとは考えてございません。

#80
○河野義博君 よく分かりました。ありがとうございます。
 関連をしますけれども、産地づくりの取組の促進にこれは非常に役立てていかなければならないと思いますけれども、都道府県の開発する登録品種は産地形成の核ともなり得るものでありまして、マーケットに出す量の調整や品質を維持確保するためにも、地域や農家を限定して種苗を渡して、栽培技術を伝承しながらブランド化が図られております。このようなケースでは、都道府県と栽培する農家の方々との間で自家増殖をしないという約束もなされていると伺います。
 地域農業の振興、農業者の所得向上、地域の活性化のため、ブランド農産物をつくる取組は国としてもしっかり後押しをしていくことが求められると思います。しかしながら、現行法では、権利者が意図しない地域へ種苗が流出し、栽培されてしまったとしても、なかなか違法性を問うことが難しく、泣き寝入りしてしまうという実態があるわけであります。
 本改正案では、出願時に収穫物の栽培地域を限定することを、限定する条件を付することができるということにされております。産地形成においてどういったメリットが生じることになるか、御説明をいただきたいと思います。

#81
○大臣政務官(熊野正士君) お答えいたします。
 現行の種苗法では、育成者権者が種苗を一旦譲渡した場合には育成者権が及ばなくなるため、育成者権者の意図しない地域に種苗が持ち出され、その地域で収穫物が栽培されたとしても育成者権者はこれを制限することができません。さらに、そのような栽培を行った者が自家増殖を行えば、将来にわたりその地域で生産が行われることになります。
 このため、例えば、都道府県が地域ブランド品種として開発し、自県農業者に栽培を限定していたとしても、品種管理の行き届かない他県に種苗が流出し、収穫物が栽培されることを制限できず、このことが産地化、ブランド化の支障になっている例もあります。
 今般の改正案では、育成者権者が登録品種の収穫物の栽培地域を限定し、意図しない地域での栽培に対し育成者権を行使できることとしているため、都道府県による登録品種を用いた産地形成の取組の後押しとなり、都道府県の品種開発意欲を高めるものと考えています。

#82
○河野義博君 やっぱり産地のこのブランド戦略として、地域を限定とするのか、あるいは広く栽培を許諾して普及を図るかというのは、いろいろな選択肢があって、どの選択肢を採用するか、そういうことが大事だと思います。うまく使っていくべきだと私は思います。
 その際にどういう選択するかということについては、知的財産権やマーケティングの専門家によるアドバイス、こういった点も重要だと思います。現在、地理的表示、いわゆるGIですね、GIは、サポートデスクが設置されていまして、GI登録申請に関する事前の相談対応などを行っておられます。今回の法改正に基づいて、栽培地域を限定するか否か、こういった点、その利用条件を設定することは、地域のブランド戦略の中に位置付けられるものでありまして、こういった戦略の策定や手続などについて、GIサポートデスクのような専門家によるアドバイスは非常に重要だと私は考えます。
 植物新品種の栽培地域を限定するか否かなど、その利用条件を設定するに当たって、地域の産地づくりの取組を促進する観点からサポート体制を構築すべきと考えますが、政府の方針を伺います。

#83
○政府参考人(太田豊彦君) お答えをいたします。
 どのような産地づくりを進めるか、これは都道府県などの育成者権者がそれぞれの農業振興方針に基づきまして具体的に検討するというふうに考えているところでございますけれども、改正をいただきましたら、この種苗法をうまく活用した産地づくり、産地の形成に向けて、栽培地域を限定するであるとか、そういったことが重要になりますので、この制度の趣旨、あるいは条件を設定する場合の手続、条件を設定した場合の種苗の表示、こういったことにつきまして、都道府県を含みます開発者、種苗の開発者に丁寧に説明をしてまいります。
 また、今GIのお話がございましたけれども、知的財産を有効に活用するためのアドバイスを行うような相談窓口、この整備につきましても検討していきたいというふうに考えております。

#84
○河野義博君 そうですね。これをうまく活用できるような体制を是非、サポート体制をお願いしたいと思います。
 次に、在来種に関してですが、在来種そのもの、あるいは在来種を一部改良したものの品種登録の可否、こういったことがどうなるんだというお声も寄せられておりまして、在来種そのもの、在来種を一部改良したものの、登録した権利者から当該在来種の自家増殖行為について訴えられるんではないかというような心配もあるようです。
 既存の品種と特性によって明確に区別されるものの登録が認められるという品種登録制度を考えれば、こういった心配も杞憂なのではないかなというふうに私は感じておりますが、政府としてどのようにお考えでしょうか。

#85
○政府参考人(太田豊彦君) お答えをいたします。
 品種登録制度におきましては、委員おっしゃいますように、植物の種類ごとにそれぞれ五十から百項目の特性を調べまして、特性表を作成をいたしまして、既存品種と明確に区別される場合に品種登録が可能となっております。したがいまして、在来種そのものを含め、在来種と特性が同じ品種というものが登録されるということはございません。
 また、在来種の一部を改良して在来種と明確に区別されるに至った品種につきましては、これは品種登録は可能でございますけれども、改良の基になった在来種に育成者権が及ぶことはありませんので、これも訴えられるという御心配はないというふうに考えております。

#86
○河野義博君 訴えられることはないと明確に御答弁をいただいております。
 最後に、今回の法改正、いろんな疑問、漠然とした疑問や杞憂も含めて現場に不安の声があること自体は、これは事実でありまして、引き続き、現場に対してやっぱり丁寧な説明が必要だろうと思います。
 改正案の趣旨及び内容に関する周知徹底の方策、これしっかりお願いしたいと思いますが、どのようにお考えか、お聞かせください。

#87
○政府参考人(太田豊彦君) お答えをいたします。
 優良な品種を守る上で、これは育成者権者だけではなくて、登録品種を利用している農業者あるいは農業団体、流通販売業者の協力も重要だというふうに考えております。このため、全国段階に加え地方でも説明会を開催したいというふうに思っておりますし、分かりやすい資料を作りまして周知を図っていきたいというふうに考えております。
 また、登録品種の出願時に国内利用の限定という利用条件を付しまして、海外持ち出しを制限する場合につきましては育成者権者に条件を付けていただく必要がございます。自家増殖の許諾を行うに当たって農業者への過度な負担にならないよう配慮する、配慮していただくということも含めまして、この改正案の趣旨を育成者権者にもしっかりと周知を図っていきたいというふうに考えております。

#88
○河野義博君 よろしくお願いします。
 資料を作って説明会を開くという、従来どおりの正しい方向だと思いますが、それ以外にも実効性のある説明の仕方っていろいろあると思うんですよね。農林水産省はそういったところに先取の取組をされておられますので、より一層の努力を求めたいと思いますし、やっぱり、この法改正をうまく活用していくということが大事だろうと思います。かつ、不安は不安として残る中で、もし現場で問題点が発生したならば、そこは機動的に修正を行うのかどうかということも含めて、今後とも不断の努力をお互い続けていく必要はあるんだろうというふうに思いますので、その点もお願いをし、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

#89
○石井苗子君 日本維新の会の石井苗子です。時間の許す限り、質問をさせていただきます。
 まず、今回の改正の主目的は、この資料の一番最初に書いてあります。皆さんももうよくお分かりだと思います。主目的は、日本の品種が海外に流出し、その農産物が第三国に輸出され、日本の農産物を外国に輸出する際の障害になる事例が数多く出てきているということでございます。これに対していろいろな施策を取っていっているわけですけれども、前回、私も質問を時間によってカットしなければならなかったことから確認をさせていただかせてもらいます。
 改正法の五十五条でございます。登録品種の種苗をなりわいとして譲渡する者は、その譲渡する登録品種の種苗又は包装、包みですね、包装に登録品種である旨の表示を付けなければならないと、こう書いてあります。この表示ですが、以前は努力義務となっておりました。改正で登録品種であることの表示を義務付けることになったんですが、どうして義務付けなければならなかったのか、これまでは努力義務であったんですが、努力義務では守られなかったということがあったのか、これ大臣、どこにポイントがあるのか、簡単に御説明してください。

#90
○国務大臣(野上浩太郎君) 今般の改正によりまして、登録品種につきましては国内利用限定等の利用制限ができると、あるいは自家増殖につきましては許諾に基づいて行うというような制限が掛かることになりますので、農業者が安心して種苗を利用できるように、購入する種苗が登録品種であるか否かを識別できる取引環境を整備する必要があります。
 包装、パッケージといった、包装かもしれませんし、タグの場合もあれば証紙の場合もあれば、いろいろな場合があるとは思いますが、このため、登録品種の種苗を譲渡する場合には登録品種である旨を表示すること及び指定国ですとか指定地域の制限を付す場合にはその旨これを表示することを義務付けたわけであります。
 また、利用制限が付された登録品種である旨が表示されることで、税関等での確認が容易になりますし、海外持ち出しが抑止され、また種苗流通事業者における確認も容易になるということであります。

#91
○石井苗子君 最近、私は疑い深くなっちゃったのかもしれませんけれども、世の中には悪いことをする、ずるをする人が多いわけでございます。先ほどの、我が国の優良品種が海外に流出する事件が数多く起こっていると。不正な海外への持ち出しというのは堂々と輸出の形を取るわけではありません。ですから、いわゆる流出というのはずるいことをやっているわけです。
 例えば、正規に登録品種を取得した人がですね、個人が、品種登録の表示を剥がして、引っ剥がしてですよ、輸出としてではなく、育成権者の指定していない海外の国に持ち出したとします。持ち出した後に海外で増殖して販売する、こういうことをした場合、この海外に持ち出すという行為はどのように規制することができますか。持ち出しの時点で違法にすることができますか。

#92
○政府参考人(太田豊彦君) お答えをいたします。
 今回の法改正でございますけれども、登録品種の種苗を業として譲渡する場合又は広告等で譲渡の申出をする場合には品種登録をされている旨の表示を義務付けることとしておりますけれども、この表示の有無と育成者権が及ぶかどうかにつきましては関連するものではございません。
 したがいまして、品種登録されている旨の表示が剥がされている、こういった場合でありましても、輸出先に制限がある登録品種を持ち出す場合などにつきましては育成者権が及ぶということになりますので、発覚をすれば罰せられるというようなことになるわけでございます。
 ただ、表示が剥がされている場合というのは、その外見のみから持ち出しを発見するというのがなかなか困難であるというのも事実でございますので、これを現地において品種登録、外国においてですね、品種登録をされれば、その国において栽培や流通の差止めが可能になりますので、農林水産省としては、持ち出された後においても不正な種苗への利用に対応できるような観点から、他国での品種登録というのを今後とも進めてまいりたいというふうに考えております。

#93
○石井苗子君 いわゆる、こちらでは止められない、でも、向こうに行ってから何とか規制を掛けようという努力をしているということなんですが。個人が持ち出すことに対しては違法にはならないと、海外で譲渡をすると輸出扱いになって種苗法の規制が掛かると、このように理解してよろしいですか。

#94
○政府参考人(太田豊彦君) 表示が剥がされていても育成者権が及んでいるという状態には変わりませんので、国内利用限定というような条件が付けられた種苗につきまして、これを持ち出すということは育成者権の侵害になるということでございます。

#95
○石井苗子君 違法になるんですね。

#96
○政府参考人(太田豊彦君) そのとおりでございます。

#97
○石井苗子君 分かりました。違法になるという点で、次の質問に行きます。
 改正法二十一条の二第一項二号です。出願品種の産地を形成しようとする場合には、産地を形成しようとする地域を指定できることになっていると書いてあります。つまり、ほかでの生産を制限することを届け出ることができるというふうに解釈を、読むことができるんですけれども、これまでも都道府県の開発した品種はその産地の域外での栽培を制限していたようでございます。しかし、地域の指定を可能にしたのはどのような趣旨に基づくものでありますか。
 これ、大臣にお聞きしたいんですが、産地を指定することが重要だというのは分かるんですが、例えば山形県のあの大評判のつや姫なんか県外で県の奨励品種として許諾して作っておりますけれども、これ普通に作っておりますけれども、この地域の指定を可能にしたのはどのような趣旨だったんでしょう。

#98
○国務大臣(野上浩太郎君) 新品種を活用してその産地の形成を図るということ、これ、都道府県によっては、栽培地の限定ですとか生産者の技術等を細かく管理をしてそのブランド価値の向上を図っております。
 しかしながら、現行の種苗法では、これは育成者権者が譲渡された登録品種の種苗が育成者権が及ばないとされておりますので、他県の農業者の手に渡って意図しない地域で販売されたときに、この育成者権者はこれを制限できないという状況になります。このため、せっかく開発した都道府県のブランド品種であるにもかかわらず、品質管理が行き届かない地域で栽培されれば、これは産地化、ブランド化の取組の支障となってしまうおそれがあります。
 このような状況を踏まえて、今般の改正で指定地域外での栽培を制限できるようにしております。この改正によりまして、都道府県のブランド品種の品質管理をしやすくして都道府県の産地化、ブランド化の取組を後押しをできると考えております。

#99
○石井苗子君 私は、考えそのものはいいと思っているんです。強い農業をつくるんだったらブランドですよ、日本のブランド。だから、言いたいことは、売り込みに力を入れなきゃならないと思うんですね。
 そこで、質問させていただきます。
 産地を形成したいんだったら売り込みに力を入れてもらいたいんです。地域ブランドの品種を育てることについて、地域的表示、これGIと呼ばれておりますが、これを守るということなど様々な取組をしているということが書かれてありますが、積極的に海外で売り込むということを、大臣、農水省としてはどのようにお考えですか。

#100
○国務大臣(野上浩太郎君) 海外にやはり売り込んでいくときには、例えば品質やロットがしっかりそろっていくということが大事であると思っています。その品質ですとかロットがそろうためには、やはりそういうブランド化あるいは産地化が進むということが大事だと思っておりますので、海外で勝負できる、そういう農産物の産地の形成にも今般の改正はつながっていくと考えております。

#101
○石井苗子君 そのときに気を付けていただきたいことがあるんです。百十二ページに書いてありますけど、海外に輸出して、その国で試験研究目的に利用されるのか、そうでないのか、これを確認するのは国内よりも難しいと私は思うんです。本当に試験研究が目的なのかどうか、これ確認することできますか。どなたかお答えください。

#102
○政府参考人(太田豊彦君) お答えをいたします。
 種苗法におきましては、試験研究、試験又は研究目的の利用につきましては育成者権の効力が及ばないというふうになっております。しかしながら、試験研究目的で登録品種を利用するという場合には、これは育成者権者の了解の下で行っていただくべきだというふうに考えております。
 したがいまして、海外への持ち出しが制限される登録品種につきまして、例えば外国の方が試験研究目的と称して市中に流通する種苗を購入しようと、こういった場合につきましては、その具体的な用途を確認をして、試験研究目的であることが確認できなかった場合には販売はしないと、こういった意識を醸成して、官民で協力して流通防止対策を行っていきたいというふうに思っております。
 この場合、目的を偽っていた場合には、先ほどの場合もそうでございますけれども、育成者権の侵害となりますので損害賠償の対象となり、また、一旦外国に出て、またその方が日本に再入国した場合には、刑事罰の対象となるということとなります。

#103
○石井苗子君 ちょっとはっきりしないんですけれども、取引の時点でそれを契約して違反した場合は罰すると、取引の時点で確認するということでよろしいですか。

#104
○政府参考人(太田豊彦君) そのとおりでございます。

#105
○石井苗子君 しかしながら、二十一条一項一号を読みますと、新品種の育成、そのほかの試験又は研究のためにする品種の利用には育成者権は及ばないというふうにあります。試験研究目的かどうか確認することは、私は必ずしもそう容易なことではないと思っているんですが、外国に輸出する場合には輸出先国を指定できるようになると、こう書いてあります。
 でも、指定国以外の国でも試験研究の目的である場合は育成者権の意思に反して持ち出すことができますか、できませんか。

#106
○政府参考人(太田豊彦君) お答えをいたします。
 試験研究目的は育成者権の効力は及ばないというふうになっておりますけれども、これは、先ほども申しましたように、試験研究目的で利用するということにつきましては、育成者権者の了解の下で行っていただきたいというふうに考えております。

#107
○石井苗子君 何となく裁判みたいになってきちゃいましたけど、試験研究の目的である場合、指定国以外の国では意思に反して持ち出すことができることになりますね。ですから、これは試験研究で持ち出したということになると、結局どうなっちゃうか分からないという、そこを一番私は危惧しているわけで、どこかでしっかりと売り込みと、それから試験目的ということで指定国以外の国で、その育成者の権利が及ばないところで、この試験目的だということで結局どうなっちゃうか分からないというところ、ここのところもしっかりと取り締まっていっていただきたいと思います。
 時間の関係がありますので、ちょっと気になることを、多々ございましたので、質問させていただきます。
 日本の登録品種で海外での保護を図るために海外での品種登録が有効である、これ分かります、そう書いてあります。これまでもずっとその話をしてきましたので、確かに有効であろうと思うんですが、海外で品種登録する場合に日本の審査で行ったデータを活用する、日本の審査結果を活用する、品種登録に活用するということが大変メリットがあると私は思うんですけれども、例えば、日本で行った品種の検査結果を使えとなれば、時間も短縮できますし、その費用も節約できると思うんですね。これ、農業にかかわらず医療の世界でも同じような問題があるんですけれども、時間短縮と費用の節約、どこのデータを活用するかということなんですが、とても大事な視点だと思います。
 しかしながら、しかしながら、日本の審査データの活用は、植物の新品種の保護に関する、これユポフと読むんですね、国際条約の加盟国との間では可能になっていますが、日本の審査結果の海外での審査の利用、この加盟国におきましてどのくらい進んでいますか、どの程度進んでいますか。

#108
○政府参考人(太田豊彦君) お答えをいたします。
 海外で品種登録する場合には、やはり海外におきましても、日本と同様に、比較栽培をした、特性が近似した対象品種を選定して比較栽培をした上で審査をするということが一般的でございます。
 UPOV条約におきましては、UPOVの加盟国が出願品種の審査を行う場合には、この品種の栽培試験を行うことはなく、他国での審査結果を活用できるということになっておりまして、この仕組みを活用するということで迅速な品種登録が可能となっております。
 これまでの実績につきましては、農水省の事業によりまして登録された八十五品種のうち二十六品種につきまして、我が国の審査結果が活用されているという状況でございます。

#109
○石井苗子君 八十六あって二十六しかやっていない、(発言する者あり)八十五で二十六しかやっていないということですね。ちょっと活用が進んでなさ過ぎるというふうに私はそのデータから、データを見るとそう感じるんですけれども、どのくらいの計算式があるんだか、ちょっとまだそこまではやっていないんですけれども。
 もう一つ、協力覚書というのがございますね。この件に関してですけれども、植物品種の保護に係る審査の協力に関する協力覚書というのが出ていると思うんですけれども、これはどのような内容であるのか、この覚書ですね。
 覚書を交わすということは、お互いにメリットがあるようにやるものなんですけれども、日本にとってこの覚書はどんなメリットがあるのか。つまり、覚書の内容を説明していただいて、メリットを説明していただいて、先ほど審査が早くなるとか節約できる、そういうのはもういいですから、この覚書によって日本にとってどんな効果があるのか、ここ大事なんで、その効果を教えてください。

#110
○政府参考人(太田豊彦君) お答えをいたします。
 まず、この覚書の内容でございますけれども、先ほどの栽培試験、現地での栽培試験をその日本のデータによって代替することができるということで、審査の迅速化が図られるものでございます。
 このメリットでございますけれども、先ほどの海外への流出の事例の御議論にもありましたように、海外で品種登録をされていれば、我が国の国内品種につきまして、差止めであるとか損害賠償であるとか、そういったことが可能になりますので、そういったことが我が国にとってのメリットであるというふうに考えております。

#111
○石井苗子君 そこなんですけれども、最後の質問になりますが、是非やっていただきたいことがあります。
 日本の優良品種の流出が問題となっているんです、今。そうすると、今の覚書だとか、こういうメリットがあるだとかという、研究も試験もそうですけれども、一番重要な優良品種の無断栽培が問題視されている中国と韓国、これが、この資料の百三十七ページを見ますと入っていません。
 なぜ締結されていないのか、今後締結に向けて交渉を是非進めていただきたいんですが、大臣、どのようにお考えでしょうか、中国と韓国です。

#112
○委員長(上月良祐君) 大臣、時間が参っておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。

#113
○国務大臣(野上浩太郎君) はい。
 日本は今、協力覚書、十五の国と結んでいるところでありますが、中国や韓国との覚書の締結の見込みにつきましては、相手国との関係があるため具体的に申し上げることはできませんが、我が国の登録品種が中国や韓国において適切に保護される重要性も踏まえまして、引き続き植物品種保護の審査協力の推進に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

#114
○委員長(上月良祐君) 時間が参っております。

#115
○石井苗子君 是非、お願いいたします。
 終わります。

#116
○舟山康江君 国民民主党の舟山康江でございます。
 今回のこの種苗法改正案につきましては、衆議院、参議院とこれまで多くの議論を重ねてきたと思っています。ただ、いまだに多くの懸念が聞かれるというのも事実だと思っています。
 改めて、この懸念について確認したいと思います。前回の当委員会での参考人質疑でも、村上参考人から、なぜ農民が種を取ってはいけないのかとの根本的な疑問が呈されました。また、地域に伝わる伝統種や在来種といった固有種を育て、その種子を自家採種して使い続けることが生物多様性を農地に取り戻すために最も効果的な方法と主張されております。
 まずこの点ですね、農民が種を取ってはいけないのかという根本的な疑問、これ、いまだに多くの方が持っているんではないかと思いますけれども、これについて、明確に大臣から御答弁いただきたいと思います。

#117
○国務大臣(野上浩太郎君) 今般の改正につきましては、これは登録品種の自家増殖について育成者権者の許諾に基づき行うこととするものであり、禁止するものではございません。また、一般品種や在来品種については、農業者は許諾も許諾料も必要なく、これは自由に利用ができるものであります。
 また、有機農業についていろいろと御懸念を示されておられるところでありますが、有機農業者につきましても、従来から栽培されている一般品種の利用が多いために通常の農業者よりも影響は小さいと考えておりますし、さらに、その上でなお、有機農業に取り組む農業者が登録品種を選択をして自家増殖により種子を確保することとする場合であっても、育成者権者の許諾を得ていただければ自家増殖が可能であります。
 このように、有機農業も含めて、農家の皆さんが種子を取ることができないということはないと考えております。

#118
○舟山康江君 種を取ることができないという疑問がまだまだあるんですね。やっぱりそこは払拭していかなければいけないと思いますし、今御答弁あったように、自家増殖が許諾制になるのは登録品種だと。これも、登録品種は禁止という話がありますけれども、許諾に基づいてできるということだと思います。
 次の懸念は、その際の負担だと思うんです。まず、公的機関が開発している登録品種、登録品種のかなりの部分は公的機関が開発していますけれども、ここの許諾料が高額になる可能性はないのか、改めて大臣にお聞きします。

#119
○国務大臣(野上浩太郎君) この農研、例えば農研機構は、従前から農業者への負担を掛けずに優れた新品種を普及させるということを基本姿勢としております。
 国から農研機構に対しては、種苗の販売時に徴収している許諾料につきましては法改正を理由として高くしないこと、また、自家増殖を許諾制とした場合の許諾料につきましては、許諾手続に必要な事務経費等について負担していただくことはあり得るものの、農業者にとっては過度な負担とならないように指導してまいります。
 また、都道府県の試験研究機関が育成した登録品種に関する許諾につきましては、これは衆議院の農林水産委員会で決議をいただいた附帯決議にもありますとおり、その手続が農業者の負担になることがないようガイドラインを提示するなど、その周知徹底も図ってまいりたいと思っております。
 したがって、公的機関が開発している登録品種の許諾料が高額になるということは考えておりません。

#120
○舟山康江君 一般的には高額になることは私も考えられないとは思いますけれども、今後、国として是非そこはしっかりとチェックをし、調べていく必要があると思っています。
 続きまして、公的機関の開発登録品種に対する懸念がほぼないということであるとすれば、問題となり得るのは、現在自家増殖が行われている登録品種のうち、民間開発品種ということになるかと思います。この民間の開発した登録品種が実際に多くの栽培種で自家増殖がされているとすれば、許諾料の水準いかんによっては農家に悪影響が及んでしまうと考えますけれども、この辺りの実態等いかがでしょうか。

#121
○副大臣(宮内秀樹君) お答えをさせていただきます。
 民間の種苗会社といいましても、農研機構や都道府県の許諾料の水準を見ざるを得ないということから、著しく高額な許諾料となることは考えられないというふうに考えております。
 その上で、登録品種の中では、稲、麦類及び大豆等の食用作物等は公的機関の開発品種が多く、栽培面積においても大宗を占めております。また、栽培実態を見ましても、民間開発の登録品種はほとんど栽培されておりません。
 果樹類につきましては、登録品種の中では公的機関の開発品種は品種数ベースでは五割程度となっておりますけれども、栽培面積では公的機関の開発品種や一般品種が大宗を占めておりまして、民間開発の登録品種はほとんど栽培されていないのが実態でございます。
 また、野菜は、市販の種苗のほとんどが自家増殖が技術的に不可能なF1品種となっておりますために、農家による自家増殖はほとんど行われていない。
 さらに、有機農業や自然農法に取り組む農業者につきましては、農林水産省が実施したアンケート調査によりますと、一般品種の利用が多くて、通常の農業者よりも影響は小さいというふうに考えております。
 このような実態を踏まえました、農家の経営に支障が出ることはないというふうに考えております。

#122
○舟山康江君 私も、実際に登録品種を使っている農家の方、これも、今現在も一定の許諾とか条件付で使っている人が多くて、無条件で使ってこれから新たなハードルが上がるというのは余り考えにくいのかなと思いますけれども、ただ、今懸念を示させていただきましたように、もしその民間開発の登録品種で新たに許可を得なければ自家増殖ができないようなものがあるとすれば、これは一定の問題が生じ得ると思いますので、是非そこは今後もチェックをしていただきたいと思いますし、冒頭に御発言ありましたけれども、確かにこれ競争、ある意味では、どれを使うかというのは農家の選択の中で、公的機関がこんなに安くて民間がうんと高いということであると、実際に今稲なんかは民間でかなり、十倍ぐらいの高い米が売っていて、収量が高いとかいろんな特性があるにせよ、普及面では、何というか、残念ながらというか、進んでいないということは、やっぱりこれ農家の選択ということもあると思いますので、なかなか、影響が大きいというのはちょっと今回の改正では考えにくいと私も考えております。
 ただ、一方で、EU、これは自家増殖の例外を認めていると聞いております。その中で、小規模な農業者は許諾料を免除されていると聞いていますけれども、なぜEUは例外を設けているのか、そしてまた、日本もそのような例外を設けるという議論はなかったのか、これについてお答えいただきたいと思います。

#123
○副大臣(宮内秀樹君) お答えをさせていただきます。
 欧州におきましては、原則として全ての品種に育成者権が及ぶということとなっております。例外となっている品目につきましては、自家増殖に育成者権が及ばないこととなっているということでございます。
 しかしながら、このような例外品目につきましても、許諾料相当額を利用料として支払うことや増殖数量の報告の義務が別の法律で課されているというふうに承知をいたしております。この場合の利用料は我が国と比べまして数十倍から数百倍と高額であるために、小規模な農業者のための例外が設けられているということで承知をいたしております。
 一方、我が国におきましては、これら穀類等の作物は公的機関が税金を使って開発した品種が中心になっておりまして、農業者全体がこれらの登録品種を極めて安価な許諾料により利用できるという恩恵を既に受けているという状況にあるというふうに考えております。小規模な農業者についてのみ許諾料を徴収しない特例を設ける必要はないというふうに考えているところでございます。
 さらに、種苗法改正法案では、登録品種の海外流出を抑止することを目的に、登録品種の増殖につきまして、現行法では困難な実態把握を可能にすること、また、全ての増殖を行う農業者が利用条件を遵守することを確保するために自己増殖を許諾制にすることとしておりまして、小規模な農業者であっても流出のリスクに変わりはないことから、小規模な農業者を例外扱いにすることは不適切であり、全体といたしまして、我が国の優れた品種を守る取組を進めていく必要があるというふうに考えております。

#124
○舟山康江君 今の御答弁でも分かるとおり、やっぱり日本は公的機関がきちんと一定の開発に力を入れていると、ここすごい大事だと思うんですよね。やっぱりそこは担保しなければいけないと思っています。ちょっとまた後で触れますけれども。
 さらに、よく聞かれるもう一つの懸念、法改正で農業者が長年にわたり守り継いできた在来品種が利用できなくなるんじゃないか、こんな懸念もよく聞かれます。新品種も、基本的に在来種などを基にして、本当にずっと長年にわたって受け継いできた在来種を基に新しいものを作って、それが登録されてしまうと元のものも使えなくなるんじゃないか、こんな懸念がありますけれども、今般の種苗法改正で、また我が国の品種登録制度の中でこういった事態は起こり得るのか、懸念は当たるのか、お答えください。

#125
○国務大臣(野上浩太郎君) 種苗法では、在来種はもとよりでありますが、流通を開始してから一年以上経過している品種は登録できません。また、一年以内のものであっても、そもそも種苗法では、育成者権者でなければ誰であっても登録ができないという状況であります。
 また、在来種の、今お話のあった在来種の一部を改良をして明確に区別されるに至った品種については、これは品種登録が可能でありますが、その登録品種の育成者権者がその改良の基となった在来種に及ぶことはないため、利用が制限されるということはあり得ません。

#126
○舟山康江君 ありがとうございます。
 それは、やっぱりその懸念もあるんですよね。新品種はすべからく登録されるということでもないと、一年たてば登録できないし、また年数たてば登録から外れる、一般品種になるということもきちんと説明していく必要があるかと思います。
 先ほどの話に戻りますけれども、やっぱり公的機関が品種を開発しているということで、これ普及とかを目指しているわけですから、それで比較的安く種が手に入るということです。やっぱりここは大事だと思いますけれども、将来にわたって公的機関が品種開発を続けられる保障というのはあるんでしょうか。

#127
○国務大臣(野上浩太郎君) 公的機関の役割につきましては、今御指摘あったとおり、農業の成長産業化を進めていく上でも極めて重要な役割を担っていると考えております。
 農水省では、公的機関に対しましてこれまで様々な支援措置を講じてきておりまして、例えば具体的には、育種基盤技術の開発ですとかニーズに応じた品種開発、育種素材の提供等々の支援を行ってきております。
 さらに、令和三年度の予算要求におきましても、農研機構が中核となって公的機関等と連携できるような予算の要求をしているところであります。具体的には、気候変動に対応した新品種の開発ですとか、あるいは生産技術の開発、国内在来品種の収集、保全等の予算を要求をしているところであります。
 農林水産省としては、こういう取組を通じて、今後も公的機関が継続して品種開発を実施できるような予算の確保等に努めてまいりたいと考えております。

#128
○舟山康江君 大臣は、非常にここを大事と考えていただいて、予算要求もされているということですけれども、これを本当に今後ずっと永続的に大丈夫なのかと素直に信じられない背景に、独立行政法人の試験研究機関や都道府県が有する種苗の生産に関する知見の民間事業者への提供を促進すべしという農業競争力強化支援法の八条四号、そしてまた、平成二十九年十一月に出されました事務次官通達があると思うんですね。特に事務次官通達は、あたかもどんどん民間参入させよう、都道府県から民間へ種子生産の主軸を移せ、都道府県の種苗に関する業務は民間に知見を明け渡すまでの移行的な措置と言っているかのごとくの内容になっています。だから、関係者は、どんどん民間に売り渡すんじゃないか、国は手放すんじゃないか、国はここから手を引くんじゃないか、そんな懸念と不安を持っているわけですね。
 ですから、今回の種苗法に関してもいろんな懸念があると思うんです。高くなるんじゃないか。ですから、これは本当に、これ単なる誤解なのかどうなのか、そこをお聞きしたいと思いますし、やっぱりこの事務次官通達、八条四号、見直すとか廃止すべきじゃないんでしょうか。幾ら大臣がちゃんと予算で措置しますと言っても、こんな中身がある限り、やっぱり永続的に都道府県が開発しないんじゃないかという懸念があるわけですよね。
 是非そこ、今までもちょっと問題があるかのような御答弁もありましたけれども、改めて、見直す、廃止する、そのことをはっきり言っていただかないと懸念は消えないと思います。よろしくお願いします。

#129
○国務大臣(野上浩太郎君) 事務次官通知についてのお尋ねでありますが、主要農作物種子法は、これは昭和二十七年に、戦後の食料増産という目的のために、稲、麦、大豆の優良な種子の生産、普及を進めるために制定をされて、食料増産に貢献するものでありましたが、しかし、その後、様々な状況が変わりまして、法により都道府県に一律に種子供給を義務付けてきた結果、いわゆるブランド米の種子については多くの都道府県によって力を入れて供給される一方で、中食、外食用に適したものには十分取り組めていない、あるいは民間の参入がしにくい等々の課題が生まれてきたために、種子法により全ての都道府県に対し一律に義務付けるというやり方を廃止をしまして、都道府県の力に加えて民間事業者の力も生かした種子の供給体制を構築することとしたわけであります。
 一方で、平成三十年の法廃止後も県で継続していただいている種子供給業務につきましては、農林水産省としても重要であると認識をしております。
 御指摘の通知につきましては、現在御審議いただいております種苗法が改正されれば、その施行に当たりまして、必要に応じ、本通知についても所要の改正を検討してまいります。

#130
○舟山康江君 ある意味本当矛盾しているんですよ。この事務次官通達の中には明確に、民間事業者による稲、麦類及び大豆の種子生産への参入が進むまでの間は、これ民間事業者ですね、都道府県も知見を維持し、しっかりとやってくださいということで、何かもう参入終わったら手を引けと言わんばかりの中身ですから、もうこれ必須ですよ。必ずこれ、見直し、廃止をしていかないと、今回の種苗法も本当不安が拭えませんから、是非そこはお約束いただきたいと思っています。
 もう一つ、この今回の改正に係る議論がかみ合っていないのは、種苗法というのはいわゆる知的財産権の内容を規定するものなんですね。種苗に関する政策のあるべき方向性はこれは本来別に定めなければいけないと思います。
 例えば、これ知財戦略本部にお聞きしますけれども、技術やイノベーションに関する特許、それから著作物、コンテンツに関する著作権、これ、それぞれ特許法、著作権法とありますけれども、そのほかに別途、政策の方向性を定める法律があるんじゃないかと思うんですけれども、どうなっていますでしょうか。

#131
○政府参考人(渡邊厚夫君) お答え申し上げます。
 技術やイノベーションに関する施策の方向性を定めた法律につきましては、例えば、科学技術・イノベーション創出の活性化を目的として産学官の連携の強化などを盛り込んだ科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律があります。
 また、著作物、コンテンツに関する施策の方向性を定めた法律につきましては、例えば、コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する施策を総合的かつ効果的に推進することを目的として、資金調達を図るための制度の構築だとか海外における事業展開の促進等を盛り込んだコンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律があると認識しております。
 以上でございます。

#132
○舟山康江君 そうなんですよ。だから、その特許権、著作権、こういった権利の保護と併せて、それをどうやって資金を投入して財政支援をしながら進めていくかという、これセットであるわけですね。
 その一方で、種苗法に関しては、これに対応する政策の方向を示す法律がないと思いますけれども、いかがでしょうか。

#133
○政府参考人(太田豊彦君) お答えをいたします。
 委員御指摘のとおり、種苗法は育成者権という知的財産権の内容を定める法律でございまして、優良な新品種の開発に関する政策の方向付けを行うという規定はございません。また、そのような方向付けを行う別の法律も存在はしていないところでございます。
 しかしながら、種苗法は育成者権、育成者の権利保護を通じまして品質開発を促進するということを企図しておりますので、特に今回の法改正におきまして、品種の海外流出の防止を図るということが新品種の開発意欲を高めるというふうに、つながるというふうに考えておりまして、農業の振興にも役立つというふうに考えております。

#134
○舟山康江君 まあ、それを言ったら、特許法とか著作権法もそうですよ、保護することによってやっぱり新たなものを生み出していくというそういった方向に行くわけですから、それを言えば同じですけれども、ただ、やはり政策の方向性を定める法律というのは、これ絶対必要だと思います。
 お配りした資料を御覧いただきたいと思います。
 優良品種の持続的な利用を可能とする植物新品種の保護に関する取りまとめということで、検討会によって、今回の種苗法改正を検討するに当たって取りまとめたものですけれども、二枚目の四、今後更に深掘りすべき課題として幾つか挙げられておりますけれども、この中にまさに、優良品種の開発に公的機関が重要な役割を担っていることも踏まえ、品種開発に向けた研究開発予算の充実を図るべき、伝統野菜等の一般品種を含め、農業者の高齢化による種苗生産農業者の存続や伝統野菜の種子の維持に対して、適切な支援策を検討すべきと、こういった提起がされているんですね。
 こういった法律、必要じゃないでしょうか。大臣、いかがでしょう。

#135
○国務大臣(野上浩太郎君) この公的機関によります品種開発ですとか、あるいは伝統野菜等の種子生産について、これは極めて重要であると認識をしております。このため、公的機関の品種開発に対して様々な支援措置を講じてきたところであります。
 ちょっと具体的に申し上げさせていただきますと、DNA解析技術の開発等の基礎研究ですとか、生産現場や消費者のニーズに対応する品種の開発、育種素材の提供等の支援を行ってまいりました。
 加えまして、先ほどもちょっと触れさせていただきましたが、新しい令和三年度予算概算要求におきましては、農研機構が中核となって、そして公的機関等と連携できる予算を要求しております。新品種の開発ですとか生産技術の開発、あるいは国内在来品種の収集、保全、このような予算も要求をしております。
 また、伝統野菜等の種子生産の支援については、地域における種苗生産体制づくりですとか、採種技術の講習会の開催など、産地が行う在来種品種の保全の取組等を支援しているところであります。
 そして、農水省としては、独立行政法人通則法に基づきまして、令和三年度から五年間にわたります農研機構が行うべき業務を規定する中期目標というものがあるんですが、これを今年度中に作成することといたしております。農研機構における品種開発ですとか遺伝資源の収集、保存、都道府県試験場等への育種素材の提供が引き続き適切に実施されるように、これらの業務をこの中期、中長期目標にしっかり位置付けてまいりたいと考えております。

#136
○舟山康江君 そこまで取り組んでいただいているんであれば、やっぱり法的担保、法的根拠が私は必要だと思っています。
 お配りした資料三枚目を御覧いただきたいと思います。
 これは、種苗に関する政策のあるべき方向性、国として取り組むべき施策を規定した法律案が必要ではないかということで、実は、通常国会が終わった六月ぐらいから、立憲の徳永議員と一緒に、法制局交えて議論して考えてきたものであります。まだ形にはなっておりませんけれども、試案として今日は提示をさせていただきました。
 先ほどの検討会取りまとめのまさに、この下線を引いた二点と、今大臣もお話しいただきましたけれども、試験研究、それから在来品種の保護、そういったものをやっぱりきちっと法的担保を持って進めるべきではないかという思いで途中まで検討させていただきましたけれども、私はやはりこういったものを法定化することは必要だと思っています。
 先ほどの著作権法、それから特許法のいわゆる政策の方向を定めた法律というのは、議員立法で立法されているということもありますので、これ閣法でという検討もいただきたいと思いますが、場合によっては、これに関しても議員立法で与野党を超えてしっかり議論をしてこの後押しをする。やっぱりいろんな不安を払拭するためにも、その試験研究とか在来品種の維持、保護を後押しするような法律の議論が必要だと思っております。
 是非、改めて、政府としてこういったことを作ることはどうなのかという御意見と、もしそれが無理であれば、是非議員立法でやっていきたいということを皆様に呼びかけたいと思います。
 まず、大臣、いかがでしょうか。御覧になった感想をお聞かせいただきたいと思います。

#137
○国務大臣(野上浩太郎君) 政府として今法律を検討しているということはございません。
 また、議員立法に関する取扱いについては差し控えさせていただきますが、いずれにしても、この公的機関の品種開発ですとか、あるいは伝統野菜等の種子生産につきましては、これは極めて重要なものであると考えております。

#138
○舟山康江君 まあ残念ではありますけれども、やっぱり我々立法府の一つの仕事は行政府に政策を実施させると。そういった担保の法律を作るということも立法府、まさに法律を作るところですから、重要な役割だと思っていますので、与党の皆様も含めて是非この後一緒に検討いただきたいということをこの場をお借りして呼びかけさせていただきまして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。

#139
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 二回目の質疑となります。一回目の質疑のときには、種苗法が育成者と農業者の利益のバランス論に立って立法化されたことを踏まえて、この改正案はバランス論を崩すものになることを指摘しました。また、育成者権のみを強化すれば生産者の負担が増えることになると、その事例を経営コストに占める種苗費の比率がこの十年間だけでも増えていることも示しました。その際、種苗代、許諾料は、地方の農業試験場が開発した種苗よりも農研機構で十倍から二十倍程度、民間では百倍近く高いことを指摘しました。そこで、農研機構の許諾料の利率は独立行政法人になって以降高くなっているんじゃないかというふうに聞いたところ、明確な答弁がありませんでした。
 改めて確認しますけれども、これ高くなっているんですよね。

#140
○政府参考人(菱沼義久君) お答えいたします。
 許諾料を含む独立行政法人の自己収入に関しましては、政府全体の方針などにおきまして、知的財産の活用などを通じて自己収入の拡大を図る旨が位置付けられています。ただし、国民生活への影響に配慮しつつ見直しを行うことについても記載されているところであります。
 農研機構においてもこの方針に従いまして適正な許諾料に見直してきており、具体的な数値は許諾先との契約上公表することはできませんが、独立行政法人となる前、すなわち平成十三年より前ではございますけれども、比較しますと、農業者の過度な負担にはならない範囲で許諾料は上がっています。ただし、ここ数年は値上げをしておりません。
 許諾料の設定に当たっては、都道府県の許諾料の水準や農業者などの外部からの意見、これは高いのか安いのかといった御意見も踏まえつつ農業者の過度な負担にならないよう配慮しており、農研機構の許諾料が営農の支障になっていることはないと認識しておりますが、我々は、農林水産省といたしましては、法律改正を契機に許諾料を原則として上げることのないようということを指導していきたいと思っています。

#141
○紙智子君 余分なことをいろいろしゃべらなくていいですよ。
 実際には、国の研究所は独立行政法人化に伴って自己資金を自ら稼がなきゃいけないので、許諾料の利率も上昇しているということですよね。率、今言わなかったですよね。消費税だって八%から一〇%に上げるときに多くの国民は反対しました。で、利率を明らかにしなければ高いのかどうかというのは判断しようがないんですよ。種苗代が増えるということは通常ないとか考えにくいんだということは、これ主観的には言いますけれども、判断するのは生産者なんですよ。説明責任を欠いているというふうに思います。
 次に、登録品種と自家増殖の関係について聞きます。
 農林水産省の説明では、登録品種の割合はお米で一七%、ほとんど一般品種だから登録品種を許諾制にしても影響はないというふうに言いました。一方、衆議院で参考人として出席された印鑰さんが米の全国登録品種の割合を調査されていますけれども、生産量に占める登録品種の割合は全国三三%、新潟、富山のコシヒカリBLを入れると四割になります。北海道は八八%です。品種数に占める、これ品種数ですね、品種数に占める割合は全国六四%、北海道で七三%です。
 米穀機構の一七%と何でこんなに違いが出るのか米穀安定供給確保支援機構に聞きました。機構は各県に主食、酒米、モチ米の品種ごとの作付面積割合の情報の提供を求めているんだけれども、作付面積と品種の割合を提供してくる県もあれば、品種の割合のみ、上位の情報を提供しない県もあると、各県で対応はまちまちだというふうに言っているわけです。
 つまり、米穀機構の調査というのは、水稲のうちどれだけ登録品種が使われているか全面的に調査したものではありません。しかも二十品種だけです。一方で、印鑰さんのデータというのは、生産者が自ら食べる自家用を除いて、品種検査をされている二百七十三品種を農林水産省のデータを基に算出したものです。これ、どちらが生産実態に近いと思いますか。

#142
○政府参考人(太田豊彦君) お答えをいたします。
 十一月十二日、衆議院農林水産委員会の参考人質疑におきまして参考人として出席されました方が示した資料というのは、二〇一八年に品種検査された稲に占める登録品種の割合を生産量別、品種別、品種数別に整理されたものでございます。
 農林水産省においてこのデータ、二〇一八年産米の銘柄別農産物検査数量からウルチ米の検査における登録品種の検査数量の割合を計算をいたしますと、産地品種銘柄数で登録品種三一%、一般品種六九%となりまして、参考人が主張するデータの詳細な根拠は不明ではないかというふうに考えております。
 なお、参考人御自身も当日発言をされておりましたけれども、米穀の農産物検査につきましては、検査を受けずに品種名が不明なまま流通する米穀の状況を把握できないために、登録品種の割合を把握する際のデータとしては利用をしていないところでございます。
 農林水産省では、作付面積の八割以上把握可能な米穀安定供給安定支援機構が公表する水稲の作付け品種の資料から登録品種割合を作付面積ベースで把握してお示ししたところでございます。
 ちょっと訂正をさせていただきます。

#143
○委員長(上月良祐君) 簡潔にお願いします。(発言する者あり)
 速記を止めてください。
   〔速記中止〕

#144
○委員長(上月良祐君) 速記を起こしてください。

#145
○政府参考人(太田豊彦君) 先ほど、産地銘柄、産地品種銘柄数と申しましたけれども、産地品種銘柄数量の誤りでございます。訂正をいたします。

#146
○紙智子君 もう長いだけ言っているけど、全然聞いたことに答えていないんですよ。生産実態にどちらが近いかって聞いたんですよ。
 印鑰さんは、農林水産省のデータを活用して算出しています。登録品種が一七%しかないということを言うのであれば、米穀機構のデータではなくて自らのデータで公表すべきですよ。米穀機構の一部のデータを使って影響がないと都合のいい説明をしていて、これ、ごまかしじゃないかと思われても仕方がないんじゃないでしょうか。
 二〇一五年の自家増殖に関するアンケートについても聞きます。これは、さっき森さんもちょっとやりましたけれども。
 自家増殖を行っていると答えた生産者は全体の五二%。自家増殖を行っている理由として、生産に必要な種苗の量を確保するためと答えたのが三五%、種苗購入費を削減するためというのが三〇%もあります。生産者に新たな負担を強いるんじゃないかと。さっきのちょっとやり取り聞いていて、五二%といったら多いと思うわけだけど、いや、それは決して多いわけでなくて、それはいろいろ指示してやった、サンプルが、母数が違うからみたいなことを後付けで言っていたみたいですけれども、ちょっとそういうことを聞くと、そもそもこれってどういうデータの下に、正確なんだろうかということ自身も非常に疑ってしまうわけですけど、取りあえず今日私が聞こうと思ったのは、実際にはこれ新たに生産者に負担が増えることになるんじゃないですか。

#147
○委員長(上月良祐君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕

#148
○委員長(上月良祐君) 速記を起こしてください。

#149
○政府参考人(太田豊彦君) 御指摘の自家増殖に関する生産者アンケート調査につきましては、先ほども申しましたけれども、自家増殖を行っていると見られる生産者を調査対象として……(発言する者あり)はい。
 では、お答えをいたします。
 農研機構や都道府県はこれを普及することを目的として品種を開発しておりますので、農業者から営農の支障となるような高額の許諾料を徴収するということは通常ないというふうに考えております。また、民間の種苗会社につきましても、こういった許諾料の水準を見ておりますので、著しく高額な許諾料となることは考えにくいというふうに考えております。

#150
○紙智子君 全然分からないですよね。
 私が聞いている生産者も、種苗代がかさむので二〇%とか三〇%、何割かは自家増殖をやっているんだというふうに言っているわけですよ。新たな負担になるというのは、これ明らかだと思うんですね。しかも、米の直接支払がなくなってしまって、生産費を賄うために自家採種をしているという人もいるわけですよ。
 改正案は、自家増殖を定めた第二十一条二項、三項、これを削除して自家増殖を原則禁止にするものですから、育成者権が強化されます。生産者は、農業機械なんかもそうなんですけれども、生産資材の購入をするときに、機械メーカーなどの力が強いので弱い立場に置かれています。種苗も農機具同様、生産機材ですから、価格が上昇したらこれ経営に影響を与えるわけです。育成者が強化されれば、その権力が濫用されたり種苗費が上昇したり許諾料が上昇するという可能性があります。
 この歯止めを掛ける規定というのは、改正案にあるんでしょうか。

#151
○政府参考人(太田豊彦君) お答えをいたします。
 一般的に、育成者権者が農業者の経営に支障を来すような許諾料の設定を行う場合につきましては、登録品種以外の品種も多くある中で、そのような品種、そのような登録品種は農業者から選択されないため、委員御指摘のような弊害が起こるということは考えにくいというふうに考えております。
 その上で、仕組みでございますけれども、現行の種苗法二十八条におきまして、登録品種の利用が公共の利益のため特に必要であるときは、この登録品種を利用しようとする者は育成者権者に通常利用権を許諾するように協議を求めることができ、また、この協議が成立しない場合には農林水産大臣の裁定を申請することができる、こういった仕組みがございます。
 我が国の農業生産上必要な場合には、育成者権者の意思にかかわらず農業者が許諾を得られることができる、こういった仕組みが既に存在しているところでございます。

#152
○紙智子君 今、第二十八条に裁定条項があるんだという説明なんです。この裁定規定というのは、逐条解説種苗法によると、ある種苗について農業者の需要があるにもかかわらず種苗会社がそれに見合う供給を行わない、つまり種を売らない場合の規定なわけですよ。ですから、意図的に種苗を高くする行為の歯止めというふうにはならないんじゃないかと。
 育成者権のみが強化されることで種苗会社の力が強くなれば、これ企業による種苗の支配につながるんじゃないか、当然これ生まれる懸念だと思うんですね。生産者は生産資材を買うときに大手から圧力を受けます。農産物を売るときにも量販店などから値下げの圧力を受けます。しかも、農産物の自由化で外圧も受けていると。権力の濫用を防ぐ実効ある規定がなければ、これは種苗会社の支配が強まることになると思うんです。
 次、有機農業について聞きます。
 知り合いの有機農家は登録品種を使っていますけれども、その中から種取りを行って、五年程度掛けると地域に合った種に固定してくるというふうに言っていました。有機農家も毎年許諾料を払わざるを得なくなりますから、新たな負担が生まれると。これで有機農業というのは本当に広がっていくんだろうかと。
 有機農業の生産者が優良品種を確保して、自家採種や保存、さらに地域に合った育種を育てるということでいうと、その幅が狭まっていくことになるんじゃありませんか。

#153
○政府参考人(太田豊彦君) お答えをいたします。
 有機農業に取り組む農業者につきましては、従来から栽培されている一般品種の利用が多いために、通常の農業者よりも影響は小さいというふうに考えております。
 その上で、農家による品種開発、これは農業の発展にとって大切であるというふうに考えておりますが、種苗法上も、新たな品種の開発を目的とした品種の利用、これについては育成者権の効力が及ばないというふうにされております。今回の法改正は、新品種の保護、これを充実させることで、個人の育種家も含めて品種開発のインセンティブを高め、品種の開発を促すものでございまして、農業の発展に資するというふうに考えております。

#154
○紙智子君 有機農家の農業をやっている人は一般品種が多いからほぼその影響ないということをよく言われるんだけど、私の知っている有機農業の人で、今実際に登録品種なんだけど知らないで使っている人もいるわけですよ。そういう人は新たにまた負担をしなきゃいけなくなるということがあるわけで、新たな負担を求めれば、どうしたってこれ有機農業の育種の幅を狭めるものになると思うんです。改正案は、有機農業を含めて農業の在り方を大きく変えることになると。農業者を種苗のこれは単なる利用者、消費者にするものじゃないかと言わざるを得ません。
 さて、改正案は海外流出を防止するためだというふうに言います。具体的に聞くんですけれども、日本の種苗が海外に流出をして日本農業に被害が出たと、さっきもちょっとありましたけど、認定できる事実というのはあるのでしょうか。

#155
○政府参考人(太田豊彦君) お答えをいたします。
 我が国で開発されました優良な品種が海外に流出して問題となっておりますけれども、現在の種苗法では海外への持ち出しは合法でございますので、また海外で禁止されている品種も少ないために、育成者権者侵害という観点、育成者権者の侵害という観点からいえば、確認された被害というのは大きなものとは言えません。
 ただ一方で、中国や韓国で生産されたシャインマスカットが東南アジア諸国などに輸出をされております。我が国からの輸出促進の支障となっているということもありますので、我が国の農業者が本来得られるべき利益が失われているということは大きな問題だというふうに考えております。

#156
○紙智子君 今の答弁でも、被害が出たと認定できる事実があるかないかと聞いたら、それはないということだと思うんですね。日本の種苗が海外に流出をして日本農業に被害が出たと認定できる、そういう事実はないと。
 種苗法の第二十一条には、新品種の育成その他試験又は研究のために品種を利用できるという規定がありますよね。つまり、試験や研究目的に海外に持ち出すことは可能だと。海外で日本の品種を掛け合わせてイチゴなどの新品種を開発をし、販売することもできると。だから、農水省自身が、これまで海外流出を防ぐ手だては海外において品種登録を行うことが唯一の対策だというふうに言ってきたんだと思うんですね。それなのに、育成者権を強化するために生産者の自家採種まで事実上禁止するということになるから、生産者からは、悪者にされているというふうに怒りが出てくるんだと思います。
 育成者権を強化することと、これ自家採種を禁止するということを分けて考えるべきじゃないかと。そこのところが、幾ら説明されても、衆議院もそうです、参議院でもそうですけど、その質疑をネットで見ている人が、そこがどうしても腑に落ちないというふうに言っているんですよ。分けて考えるべきじゃないんですか。

#157
○政府参考人(太田豊彦君) お答えをいたします。
 登録品種につきまして、これが海外に流出するというこのルートとしては、市中に流通している種苗と、それから農業者が増殖している種苗、これを持ち出す場合の二通りが考えられます。今回の改正法案は、このうち市中に流通している登録品種の海外への持ち出しを制限できるようにすることとしております。一方で、育成者権者が海外持ち出しを制限した場合に、正規に販売される種苗の持ち出しができなくなりますので、今度は農業者個人の増殖種苗が狙われるということが懸念をされることになります。
 このため、法制度上海外流出を防ぐためのできる限りの措置をするという観点から、自家増殖を許諾制とし、自家増殖を起点とする海外への流出につきましても防ぐ必要があるというふうに考えて、今般の改正をお願いしているところでございます。

#158
○紙智子君 やっぱり、自家増殖の農家を結局は悪者にしているというふうに感じてしまうものですから、怒りが止まらないと思うんですね。
 改正案は、自家増殖をする生産者から種苗が海外に流出するんじゃないかと、だから、すごいびくびくして、自由な農家の増殖を認めないと、生産者を管理していこうという発想なわけですよ。
 これは、やっぱり成長戦略、輸出戦略を進めるために事実上自家増殖を禁止して生産者を管理下に置くということになるわけで、これって農業の多様化につながるんでしょうか。

#159
○政府参考人(太田豊彦君) お答えをいたします。
 今般の法改正は、育成者権に、海外、国内限定であるとか、それから特定の地域限定であるとか、そういった制限を課することによりまして産地の形成、それから種苗の開発、こういったものを進めるというものでございます。
 これによりまして、これまでいろんな面で支障がありました産地づくり、それから輸出、こういったことを幅広く進めることができる効果があるというふうに考えておりまして、農業の多様性につながるものであるというふうに考えております。

#160
○紙智子君 多様性につながると言いましたけど、私は逆だと思いますよ。
 やっぱり、参考人の、この間お聞きして、村上真平さんが、農民は種を取って自分たちで育種し、ずっと続けてきたと、何で種を取っちゃいけないのかという発言がありました。
 種取りというのは、農業改良普及所などからの技術指導で発展してきました。育種者と生産者の共助、それで発展させることが大事なんだと思うんです。それを、成長戦略だ、輸出戦略だということを強調する余り、その共助を壊していくんじゃないかと、そのことが問われていると思うんです。そもそも、やっぱり命を育んでいく産業である農業、そして種、この多様性、生産者の意欲や創意性を後退させてはならないんだと私は思います。
 日本の育種力が今後どうなるのかということでは、農林水産省は知的財産戦略二〇二〇に農林水産研究イノベーション戦略二〇二〇と発表しています、公表しています。ここでは、ゲノム編集等による新規遺伝子型の創出を進めて、民間企業等が実用化を図るとあります。米についても、農研機構や大学などがゲノム編集技術を開発して実用化を図ると書いてあります。
 国民的な議論がまだこれ進んでいないのにゲノム作物を実用化していいのかと。ゲノム種苗、ゲノム作物、ゲノム食品というのは、製造過程のこれ表示義務はあるんでしょうか。

#161
○政府参考人(太田豊彦君) そのような義務はございません。

#162
○紙智子君 表示義務はないんですよね。表示がなければ食の安全や安心への不安は高まるばかりだと思います。
 世界では、育種、育苗の在り方が大きく変わろうとしていると思うんですね。
 農林水産省の元種苗課長の松延洋平さんは、新型コロナを受けて、やっぱり行き過ぎたグローバル化の是正を求める動きが広がっているんだと。開発者の権利を優先するUPOVの路線も変更する必要があるんだと言われているんですよ。
 種の権利、農民の権利を求める動きというのは、今世紀に広がりつつあります。二〇〇一年に採択をされた国際条約、食料・農業植物遺伝資源条約において、締約国は農民の植物遺伝資源の権利を保護する責任があるということを明記しています。そして、二〇一八年に採択された小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言は、種子の権利が規定され、農家の農業採種の種苗を保存、利用、交換、販売する権利ということがうたわれています。
 今回の改正は、こういう流れに逆行するものになるんじゃありませんか。

#163
○国務大臣(野上浩太郎君) 農業者が自家増殖を行う権利につきましては、ITPGR上、明示的に位置付けられていないと認識をしております。また、小農の権利宣言についても、国連加盟国を法的に拘束するものではありません。
 今回の改正では、登録品種の自家増殖に育成者権者の許諾を必要とすると考えておりますが、一方で、一般品種については、これは許諾も許諾料も必要ない自由な利用が可能であります。また、登録品種についても、この育成者権者の存続期間が満了すれば一般品種となりますので、これは誰でも自由に利用できるようになっております。
 このように、種苗法の枠組みの下では、農業者による自由な種苗の利用と新品種の保護の双方についての配慮がなされていると考えております。
 今回の改正は、育成者権者の保護を通じて、植物新品種の知的財産を守る、そして産地形成を後押しをして地域の農業活性化に資するものになる。やはり、毀損するような利益があってはいけない、本来の日本のしっかりとした、新品種を守って、そしてそれで得られる農業者をしっかり守っていくということが必要だというふうに思っております。

#164
○委員長(上月良祐君) 時間が参っておりますので、おまとめください。

#165
○紙智子君 はい。
 やっぱり流れに反していると思いますよ、世界の流れに。日本の種子を守る会の八木岡努会長は、これまで開発者の権利を重視するUPOVと、その権利を守りつつ遺伝資源の保全や利用を定めた食料・農業植物遺伝子条約、この理念の間でバランスを取ってきたんだと。やっぱりこのバランスを崩すような種苗法の改正は廃案にすべきだと。私も全く賛成であります。
 そのことを申し述べて、私の質問を終わります。

#166
○須藤元気君 こんにちは、須藤元気です。
 前回に引き続き質問をさせていただきます。
 まずは、種子の生産体制の支援策についてお伺いします。
 農家さんの人口減少と高齢化が進む中で、原種や種子を生産する農家さんも減ってきていると聞きます。原種や種子を生産するには、品種が混ざらないようにするため、またウイルスに侵されないようにするため、圃場について非常に厳格な条件をクリアしなければならず、また種取りも高い技術が求められています。
 食の安全保障のためには、開発した品種を農家さんに届ける過程についてもっと公的な支援があってもよいかと思います。
 そこで、種子の生産体制を維持発展させるために支援策が必要だと思いますが、どうお考えでしょうか。

#167
○国務大臣(野上浩太郎君) 稲、麦、大豆に限らず、この種子の生産につきましては、今御指摘のあったウイルスによる病気の蔓延を防止をしたり、あるいは異品種の混入の防止をするということは、これは特に重要だと考えております。
 このため、栽培管理に手間の掛かる原種圃ですとか原原種圃、採種圃での作業の効率化や省力化に向けまして、農林水産省では種子生産農家の作業負担軽減につながるドローンを活用した圃場モニタリングですとか病害虫、病害防除といった省力化技術の開発を行っております。
 また、民間も対象とした効率的な種子生産を実現するための技術体系の実証などについても支援をしているところであります。
 また、各県では、普及指導センター等の職員がJAと連携をしまして、種子農家、生産農家に採種圃での栽培管理や病害虫防除の指導的な、技術的な指導を行っているところでもあります。
 今後とも、良質な種子の安定供給が図られるように、必要な取組を進めてまいりたいと考えております。

#168
○須藤元気君 ありがとうございます。
 ドローン技術を活用してこの病気の根源を特定するサービスを行っているということで、まあ民間もやっていますけれども、是非とも政府としてしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 さて、次ですが、これまでほかの先生たちもいろいろと質問していますが、この登録品種、一般品種の割合についてお聞きします。
 農水省は、品目ごとの登録品種の割合を挙げています。米一七%、ミカン三%、リンゴ五%、ブドウ一三%、ジャガイモ一〇%、野菜九%。これを見る限りでは、登録品種は全体の一部であり、今後も多くの品種は自由に自家増殖できるので影響はそこまで大きくないのかなと、初めは私、思いました。
 しかし、月刊現代農業のホームページを見ますと、農水省が言及していない登録品種が挙げられていました。北海道の小麦では何と九九%、大豆では八六%が登録品種だそうです。同様に、茨城県のサツマイモでは約三七%、沖縄県のサトウキビでは少なくとも五五%以上が登録品種であると書かれています。多くは一般品種だから問題ないと農水省は説明されていますが、この地域別の数字を見る限り、実情とは懸け離れた詭弁なようにも聞こえます。
 多くの農家さんが心配されている最大の理由は、このような情報がクリアではないからだと思います。ですから、今回の改正案を安心して、そして納得してもらうために、都道府県ごとに登録品種、一般品種の割合を作物ごとしっかりと細かく発表するとよいと思いますが、いかがでしょうか。

#169
○政府参考人(太田豊彦君) 委員御指摘の小麦や大豆につきましては、民間企業の品種は栽培されておりません。また、北海道などを中心とした産地の試験場あるいは農研機構が新品種開発と普及を行ってきたことによりまして、登録品種の割合が相当に高いものになっているというのは承知をしているところでございます。
 しかし、これらは実需の要請に応じて生産をされておりますので、実需というのは製粉業者であったり、そういった買手の側でございます。実需が求める品質を満たすために自家増殖というのは行われておりません。
 また、サトウキビにつきましては、全てのサトウキビの登録品種は農研機構や沖縄県が開発したものでございまして、病害虫防止の観点も含めて、公的機関が品種の開発から種苗の増殖や配付などの供給体制に関与している状況でございます。
 これらは、いずれも公的機関がそもそも農業者に利用していただくということを目的に品種を開発して、その新品種を活用した産地づくりが進んでいるというものでございます。こういった品種につきましては、法律の改正後も何らかの営農の支障が生じるということは想定をしていないところでございます。
 こういった品種も含めまして、各都道府県の協力の下で、各県における主な作目につきまして、使われている品種を調べまして、登録品種、一般品種を整理して表にして農水省のウエブサイトで公表をしているところでございます。(発言する者あり)

#170
○須藤元気君 ありがとうございます。
 この今数字が出ていないと森先生がおっしゃいましたけど、実際にこのやはり各都道府県において栽培されている品種、登録品種、一般品種、やっぱり数字を出して、細かく出すことがいろいろと懸念が払拭されていくのではないかなと思いますので、是非検討していただければと思います。
 さて、今回の改正案の勉強をきっかけに、品種保護Gメンという方々がいることを知り、興味を持ちました。
 この品種保護Gメンは通称であり、正式には品種保護対策役といい、平成十七年から国の種苗管理センターに置かれているとのことです。知的財産権を守るためにメーンで動かなければいけないのは権利者です。そうは言っても、育成者権の侵害を防止、監視することや、侵害されているのではないかと思ったときに、権利者自身が実際に現場まで行って調査を行い、侵害の証拠となる植物をどのように入手し、証拠保全したらよいかなど、何かいろいろと考えていくと、映画の「ミッション・インポッシブル」並みに大変難しいだろうと推察されるわけであります。
 そこでお伺いしますが、品種保護Gメンは、育成者権の保護、活用を支援する業務を行っているそうですが、現在、全国で何人ぐらい活動されておられるのか、また、近年の業務の実施状況についても、あと課題も含めて教えてください。

#171
○政府参考人(太田豊彦君) 現在、種苗管理センターにおきましては、品種保護対策役、いわゆる品種保護Gメンが全国七か所に二十名配置をされておりまして、育成者権者からの登録品種の侵害への対応を含む登録品種の保護や活用に関する相談等に対応しております。
 平成三十年度につきましては、育成者権の侵害を含む知的財産に関する相談、これが百四十二件ございました。こういったことに対応したほか、侵害状況の記録を証拠として活用するために、侵害状況記録、これを四件作成をいたしております。それから、証拠品を保管するために、ここで種苗の受託、これを十九件やっております。さらに、品種の類似性試験、これを一件実施しているところでございます。

#172
○須藤元気君 全国で七か所、二十名の配置、それが多いか分かりませんが、育成者権を守るための活動として機能しているということは分かりました。
 権利侵害の立証が可能かどうかは権利の実効性を確保する上で重要であります。その立証の困難性を克服する手段の一つとしてDNA分析があるようですが、種苗管理センターにおいては、現在どのような植物についてDNA分析が可能となっていますでしょうか。また、DNA分析の結果で全てが決まるわけではないようですが、どのように結果が利用されているのか、権利侵害の立証における位置付けについても教えてください。

#173
○政府参考人(太田豊彦君) お答えをいたします。
 種苗管理センターにおきましては、現在、かんきつ、イチゴ、白インゲンマメ、小豆、イグサ、お茶、黄桃、日本梨、ヒマワリ、トウモロコシ、カーネーション、リンゴ、パイナップル、バレイショ、ブドウ、十五品目につきましてDNAマーカーによる品種識別が可能となっております。
 このような品種につきましては、DNAマーカーによる識別の結果をもって同一品種である可能性が極めて高いということが言えるために、育成者権の侵害を立証するに当たって一つの重要な証拠として用いることができると考えております。
 なお、品種の特性の発現とDNAとの関係が必ずしも明らかではございませんので、DNAの結果のみをもって、また直ちに権利侵害が立証されるものではないということにも留意が必要でございます。

#174
○須藤元気君 ナショナル・ジオグラフィックという雑誌があるんですけれども、それで、世界中の人を対象にDNAの検査を行い、人類の起源と移動の歴史を調査するプロジェクトを長いこと行っています。
 実は私も十年前ぐらいにこのDNA分析をしました。DNA分析の結果はちょっとあれなんですが、済みません、個人情報ですので。人間であったことは確かであります。
 DNA分析の結果が全てではないとはいえ、大変興味深いものがありました。DNA分析は客観的な資料として重みが大きいと思われますので、国としてもより多くの植物について可能となるよう、種苗管理センターの技術開発を促進させていくべきではないでしょうか。政府の方針をお伺いします。

#175
○政府参考人(太田豊彦君) お答えをいたします。
 この今委員おっしゃいますDNAマーカーによります品種識別技術、これは育成者権の侵害から我が国の優良な品種を守るための重要なツールになり得るというふうに考えております。
 しかしながら、既存のDNAの品種識別技術では専門的な設備あるいは多くの時間を要しますので、令和二年度から、侵害の可能性の高いかんきつなどの品目を対象として、簡易かつ迅速に品種を識別する技術の開発、こういう技術開発を行っているところでございます。
 引き続きこのような取組を促進をして、このDNAマーカーによる品種識別技術がこういった面で積極的に活用できるように取り組んでまいりたいというふうに思っております。

#176
○須藤元気君 ありがとうございます。
 今回の改正案をめぐっては、自家増殖の制限や育成者権侵害訴訟の見直しにおいても、育成者権を強め過ぎるおそれもあるのではないでしょうか。農家さんなどが登録品種を無断で自家増殖しているなどとあらぬ容疑を掛けられ、訴えられるのではないかという心配もあります。
 品種保護Gメンは、専門的見地から、権利者のみならず、この疑われた方にも是非寄り添ってもらいたいです。双方の間に立って問題を解決するサポート役になりますと政府が言ってくれると、農家さんも少しは安心するのではないでしょうか。
 格闘技もそうなんですけれども、やはりレフェリーって中立でなければいけません。私も経験ありますが、興行によっては本当ひどいレフェリーがいまして、相手を勝たせよう勝たせようという、レフェリーを殴りたくなるときもありました。
 よくホームやアウエーという言葉がありますが、育成者権を適切に保護し、また農家さんが安心して、安心して農業を続けられるにようにするため、この品種保護Gメンの増員、そしてこの透明性、体制強化必要だと考えますが、政府の方針をお伺いします。

#177
○副大臣(宮内秀樹君) お答えをさせていただきます。
 委員からも先ほどからも御指摘いただいておりますように、農研機構では種苗管理センターに品種保護対策課を設置をいたしておりまして、平成二十二年から品種保護対策役、いわゆる品種保護Gメンでございますね、を全国七か所に二十名配置をいたしまして、育成者権者からの登録品種の侵害への対応を含めまして、登録品種の保護や活用に関する相談等に対応をして一定の成果を上げているところでございます。
 このため、今般の種苗法改正におきまして、侵害の立証手続の負担を軽減するために、特性表と侵害が疑われる品種を比較いたしまして農水省にその判定を求めることができることといたしまして、この判定に当たっては必要に応じまして農研機構に栽培試験等を行わせるということにいたしております。
 この判定制度は農業者も活用が可能でありまして、仮に育成者権者等から不当に訴えられましても、この仕組みを御利用いただくことで客観的に専門的な見地から確認を受けることができると、まさに委員御指摘のところでございます。
 農水省といたしましても、農研機構の種苗管理センターの品質保護対策の体制の充実にしっかり努めてまいりたいというふうに思っております。

#178
○須藤元気君 是非、すばらしいレフェリーを育てていただければと思います。
 今回の改正案は、花やフルーツ、野菜、米の自家増殖を一律に許諾制とする内容になっています。しかし、アメリカ、EUなどは、穀類やジャガイモなど国民の生命に関わる重要な作物は登録品種であっても例外作物として自家増殖を認めています。
 先日の参考人質疑で、両参考人から様々な観点からの御意見を伺いました。私としては、野菜、米などは従来どおり自家増殖の自由度を残し、花やその他のブランド品種は規制を別枠にして、規制条件を細かくし運用するアプローチもありかと思います。世界の趨勢である食料安保重視の観点からすると、今回の改正案の現実的な落としどころとしてよいのではないでしょうか。特に、日本の伝統文化であり、日本人の主食であるお米は例外作物にするべきではないかと私は強く思います。
 農水省の御見解をお伺いします。

#179
○政府参考人(太田豊彦君) お答えをいたします。
 自由に自家増殖することができる例外品目を設けることにつきましては、今委員御指摘の米を例に取りましても、これは品質管理を徹底し、ブランド化をする品種もあれば、新たな病害に対応するために迅速かつ広範に普及させる品種、こういったものもあります。多様な品種がある中で、ある品目に属する品種全て一律の取扱いをするということは適当ではないのではないかというふうに考えております。
 その上で、現在、海外流出を防止する優良な品種がない品目でありましても、将来的に優良な品種が開発される可能性というのはございます。また、例外品目を設けた場合には、その品目というのは海外流出させてもよいと、こういった受け止め方もされかねないということから適切ではないというふうに考えております。
 今、海外の事例を御紹介いただきました。例えばEUでは、自家増殖につきましても原則として許諾が必要となっていますけれども、品種の開発者が必要な利益を確実に回収するという、こういう観点から、許諾料を徴収する仕組みがあることをもって穀物などの一部の品目で自家増殖を制限しないということとなっております。一方、全ての国の制度を把握しているわけではありませんけれども、登録品種の自家増殖に関しまして例外規定を持たない国としてはイスラエルが挙げられるのではないかと考えております。
 なお、UPOV、今委員御紹介をいただきました植物新品種の保護に関する国際条約でございますけれども、このUPOV条約でも、自家増殖というのは原則許諾が必要で各国の判断で例外措置を講じることができると、こういった規定になっているところでございます。

#180
○須藤元気君 私が最後の質問者で、この後、討論、採決が行われるわけですが、結果がどんな形であれ、日本を守っていくためにしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 私の質問は以上になります。ありがとうございました。

#181
○委員長(上月良祐君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

#182
○石垣のりこ君 立憲民主党、社民会派を代表しまして、ただいま議題となりました種苗法の一部を改正する法律案について、反対の立場で討論をいたします。
 農林水産省は、本法案の提出の背景として、我が国の優良品種が海外に流出し、農林水産業の発展に支障が生じているとの認識を示しています。そこで、育成者の権利を強化する改正案を出すことでその現状を是正しようとしています。
 海外流出を防止し、新品種開発を促進していくためにも、資金と労力を掛けて品種開発をする育成者の権利を適切に保護する必要性については異論のないところです。
 しかしながら、種苗という農の根幹に関わる権利の在り方については、開発した育成者のみならず、農業者の権利、言わば種苗の生みの親と育ての親の権利のバランスがどのようであるべきか、丁寧に議論を進めていかなければならないと考えます。そのためにも、まずもって、育成者の権利を拡大する根拠となる事実や統計が客観的に妥当なものである必要があります。
 しかしながら、今国会の委員会での多くの質疑を通じて明らかになったことは、農家の自家増殖という事実と種苗の海外流出及び新品種開発の開発数の減少という事実に明確な因果関係が確認できなかったということです。そうである以上、それを根拠に法改正を行い、現行法で保障されている農家の権利を制限することに何の正当性もありません。
 また、種苗というものの知的財産権は、再生産が前提の工業製品などと同等に扱うことには限界があり、種苗法の逐条解説にも明記されているところです。種子、種苗は、長い歴史の中で農業者によって受け継がれてきたものです。つまり、種苗は、その特質上、権利が特定の誰かに属することになじむものではなく、本来、公共性を有するものであって、育成者の権利は農業者の権利との兼ね合いの上に成り立つものです。
 残念ながら、世界の種苗市場は、合併、買収を繰り返して誕生したグローバル企業による寡占化が着々と進んでいます。我が国の主要作物は射程外であると考えるのは余りにも甘いと言わざるを得ません。圧倒的な資金力でゲノム編集など最先端の技術を使い、これまでの常識では考えられないような品種を次々と生み出す巨大なグローバル企業によって、気が付けば食の根幹である米、麦、大豆などの種苗も独占されていたと、そのようなことがあっては本当に後の祭りです。後悔し切れません。
 日本の農業を守るには、種子を守るための予算措置を保障する法律、種子法の適正な復活、さらに、主要作物だけではなく、野菜などの在来種も含めた食料としての作物を保護し、活用していくことが必要と考えます。これらに国が責任を持って取り組むことこそ、今求められているのではないでしょうか。
 民間の知見を活用することと民間任せにすることは違います。コストの過度な削減、競争力偏重の農業政策は、日本の農業の振興どころか衰退を招くものです。誤った認識に基づいた安倍農政、それを引き継いだ菅農政の衰退政策の延長線上にあると言わざるを得ない今回の種苗法の一部改正案は立法根拠の妥当性を欠くものであることを指摘して、反対討論といたします。

#183
○舟山康江君 国民民主党の舟山康江でございます。
 種苗法の一部を改正する法律案について、賛成の立場から討論します。
 種子や苗などの種苗は、農林水産業の基礎的な生産資材であり、多様な品種の種苗の利用によって産地形成を促進し、農業者の利益につながるものであることは論をまちません。そして、そのためには、古くからその地に伝わる在来品種や一般品種に加え、新たに開発された品種、その中で登録された登録品種双方の保護、維持が重要です。
 今回の法改正に賛成する理由は、第一に、海外に登録品種が流出している事実がある中、それを防止することと、流出のいかんにかかわらず、育成者権者の適正な保護によって多様な品種を維持、確保するために必要だと考えるからです。その際、農業者が利用する際の権利とのバランスには留意する必要があります。
 その上で、第二に、これまで様々な懸念が出されてきましたが、①一律に全ての種子の自家増殖が禁止になるわけではなく登録品種だけであり、それも許諾によって可能であること、②自家増殖を行っている方の多くは一般品種を利用しており、影響はほぼないこと、③実際に栽培されている登録品種を面積ベースで見ると、そのほとんどが公的開発品種であり、自家増殖を行うにしても、その際の許諾料が法外になるとは考えにくいこと、④民間開発の登録品種でこれまで何らの許諾条件なしで自家増殖が行われている事例はほとんど考えられないこと等から、一定の懸念、不安は払拭できるものと考えるからであります。
 一方で、その大前提は、公的機関がこれからも新品種開発、育成を担い続けることと在来品種がしっかり保全されることであり、民間への知見の提供を促す農業競争力強化支援法八条四号や平成二十九年の事務次官通達は廃止するか適切な表現に改めるべきであります。加えて、公的機関による新品種の育成と在来品種の保全を支援するために財政措置等によって国が支援することが必要であり、法制化が必須であると考えます。
 この二点をしっかり検討し、実現することがいまだ残る多くの懸念を払拭することにつながることから、引き続き議論をすることを提起し、賛成討論といたします。

#184
○紙智子君 私は、日本共産党を代表して、種苗法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。
 反対する第一の理由は、自家採種を認めた第二十一条の二項と三項を廃止し、育成者と農業者の利益のバランスを崩し、国の役割を放棄するものだからです。
 一九九八年、UPOV九一年条約に沿って種苗法を改正したときに、農林水産省は、種苗の育成する側と使う農業者の側の一種の調和点だと答弁していました。
 二〇〇九年に農林水産省生産局知財課が編集した逐条解説種苗法では、九一年UPOV条約は、育成者と農業者の利益の調和を図り、育種活動の自由、自家増殖の例外を容認する等農業の実態に即したものである、普遍的な制度となっていると解説しています。
 また、農林水産省は、海外流出を防ぐには海外において品種登録を行うことが唯一の対策だと言ってきました。従来の見解にも反します。生産者の自家増殖の事実上の禁止は、成長戦略、輸出戦略を進めるためです。
 農林水産省の知財課長は、検証・評価・企画委員会産業財産権分野会合で、自家増殖が認められている分野で民間の参入が阻害されていると言っています。ここに本当の狙いがあるのです。
 改正案には育成者権の濫用を防止する規定はありません。育成者権のみが強化され、種苗会社の力が強くなれば、企業による種苗の支配が強まることになります。日本の育種力の発展は育成者と生産者と試験場の共助です。種苗の生みの親は試験場、育ての親が生産者だと言われています。自家採種の事実上の禁止は、農業者を種苗の単なる利用者、消費者にするもので、農業の多様性も生産者の創造性も奪うことになりかねません。
 反対する第二の理由は、生産者の負担を増やすものだからです。
 農林水産省の自家増殖に関するアンケートでは、三割もの生産者が種苗購入費を削減するためと答えています。新たに許諾料の支払が求められれば、生産者の負担が増えるのは明らかです。種苗代は、都道府県が開発した種苗より、国の農研機構が十倍から二十倍、民間では百倍もの高額なものもあります。農研機構が高額な許諾料を取ることは通常ないと言いますが、独法化以来許諾料を上げているのです。説明責任は果たされておりません。
 国際社会は、食料・農業植物遺伝資源条約を始め、種の権利、農民の権利を求める動きが広がっています。改正案はこの流れに逆行するものです。種苗法改正案の廃案を求めて、反対討論とします。

#185
○委員長(上月良祐君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 種苗法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手をお願いいたします。
   〔賛成者挙手〕

#186
○委員長(上月良祐君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、田名部さんから発言を求められておりますので、これを許します。田名部匡代さん。

#187
○田名部匡代君 私は、ただいま可決されました種苗法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会及び国民民主党・新緑風会の各派並びに各派に属しない議員須藤元気さんの共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    種苗法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  我が国の優良な登録品種は貴重な知的財産であり、これを適切に保護し、農業者の所得向上と地域の発展に寄与することが強く求められている。また、近年、我が国の優良な登録品種が海外に流出し、他国で生産され第三国に輸出される等、我が国からの農林水産物の輸出をはじめ、我が国の農林水産業の発展に支障が生じる事態が発生している。これらの課題に対処するため、育成者権の強化を図ることが求められている。一方で、育成者権の強化が農業経営に悪影響を与えるのではないかとの懸念にも十分配慮する必要がある。
  よって政府は、本法の施行に当たり、次の事項の実現に万全を期すべきである。
 一 我が国の優良な植物新品種の海外流出の防止を目的とした育成者権の強化が、農業者による登録品種の利用に支障を来したり、農産物生産を停滞させ食料の安定供給を脅かしたりしないよう、種苗が適正価格で安定的に供給されることを旨として施策を講じること。
 二 稲、麦類及び大豆の種苗については、農業者が円滑に入手し利用できることが我が国の食料安全保障上重要であることに鑑み、都道府県と連携してその安定供給を確保するものとし、各都道府県が地域の実情に応じてその果たすべき役割を主体的に判断し、品種の開発、種子の生産・供給体制が整備されるよう、適切な助言を行うこと。
 三 各都道府県が、稲、麦類及び大豆の種子の原種ほ及び原原種ほの設置等を通じて種子の増殖に必要な栽培技術等の種子の生産に係る知見を維持し、我が国の農業競争力の強化を図ることを目的として、こうした知見を民間事業者に提供するという役割も担いつつ、都道府県内における稲、麦類及び大豆の種子の生産や供給の状況を的確に把握し、必要な措置を講じることができるよう、環境整備を図ること。
 四 稲、麦類及び大豆については、品種の純度が完全で優良な種子の供給を確保するため、原原種の採種ほ場では育成者が適切な管理の下で生産した種子又は系統別に保存されている原原種を使用するよう指導すること。
 五 種苗法に基づき都道府県が行う稲、麦類及び大豆の種子に関する業務に要する経費については、従前と同様に地方交付税措置を講じること。
 六 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構、都道府県等の試験研究機関が育成した登録品種に関する通常利用権の許諾については、その手続等が有機農業をはじめ農業者の負担になることのないよう、適切に運用するとともに、これらの公的試験研究機関に対してガイドラインを提示する等により、その周知徹底を図ること。
 七 農業者が意図せずに、育成者権者の許諾を得ずに登録品種の自家増殖を行い、不利益を被ることを防止するため、農業者に対して、制度見直しの内容について丁寧な説明を行うこと。
 八 公的試験研究機関が民間事業者に種苗の生産に関する知見を提供する場合においては、我が国の貴重な知的財産である技術や品種の海外や外国企業への流出を防止するため、適切な契約を締結する等十分留意するよう指導すること。
 九 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構種苗管理センターのDNA分析等の技術開発の促進や品種保護対策役の人員体制の拡充等を図るとともに、税関等の水際対策を強化すること。
 十 登録品種の種苗の海外流出の防止に当たっては、ホームセンター等の販売員等が意図せずに登録品種の種苗を外国人に販売すること等により不利益を被ることを防止するため、ホームセンター等に対して、制度見直しの内容について丁寧な説明を行うとともに、国において適切な運用を図ること。
 十一 海外での品種登録の取組を支援し、推進すること。
 十二 新品種の開発は、利用者である農業者の所得や生産性の向上、地域農業の振興につながるべきものであることに鑑み、我が国において優良な植物新品種が持続的に育成される環境を整備するため、公的試験研究機関による品種開発及び在来品種の収集・保全を促進すること。また、その着実な実施を確保するため、公的試験研究機関に対し十分な財政支援を行うこと。さらに、これらの施策を推進する立法措置に関する国会における議論に資するよう、必要な情報を適時適切に提供すること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願いいたします。

#188
○委員長(上月良祐君) ただいま田名部さんから提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

#189
○委員長(上月良祐君) 多数と認めます。よって、田名部さん提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、野上農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。野上大臣。

#190
○国務大臣(野上浩太郎君) ただいまは法案を御可決いただき、ありがとうございました。
 附帯決議につきましては、その御趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

#191
○委員長(上月良祐君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#192
○委員長(上月良祐君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 午後二時に再開することとし、休憩いたします。
   午後一時四分休憩
     ─────・─────
   午後二時開会

#193
○委員長(上月良祐君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、林芳正さんが委員を辞任され、その補欠として高橋はるみさんが選任されました。
    ─────────────

#194
○委員長(上月良祐君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 農林水産に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、総務省大臣官房審議官川窪俊広さん外九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#195
○委員長(上月良祐君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────

#196
○委員長(上月良祐君) 農林水産に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#197
○郡司彰君 立憲民主党の郡司彰でございます。先週に引き続きまして、田名部理事の指名によりまして質問させていただきます。指名でございます。
 大臣、先週はいろんな議論をさせていただきましたが、緊急事態のガイドラインについて触れさせていただき、その残りについて今度また質問をさせていただくというようなことでございました。今日は、食料安全保障そのものについてお時間をいただきたいなというふうに思っておりますが、まず冒頭、食料安全保障、国として、あるいは大臣としてどのように認識をされているか、お聞かせをください。

#198
○国務大臣(野上浩太郎君) 今、世界は人口増加をしている中で食料需要が非常に増加をしている、あるいは、気候変動があったり大規模な災害がありましたり、新型コロナウイルスの感染があってロシアやウクライナの輸入規制などもございましたし、サバクトビバッタですとか豚熱などの病害虫や疾病など、やはり中長期的に見まして様々なリスクがあるというふうに考えております。
 この食料の安定供給というのは、やはり国家の最も基本的な責務の一つであると認識しております。食料・農業・農村基本法の第二条二項においては、国内の農業生産の増大を図ることを基本として、これと輸入と備蓄を適切に組み合わせることによって確保することといたしておりますが、国内農業生産の増大につきましては、担い手の育成、確保ですとか生産基盤を強化をしていく、あるいは農地バンク等による農地の集積化を図っていく、麦、大豆の増産等を通じた輸入品から国産への切替え等を図っていく、あるいは日本型直接支払などの政策で地域を下支えをしていくということも重要だろうと思っております。
 また、輸入につきましては、国内生産では十分に需要を満たせない小麦ですとか大豆ですとかトウモロコシ等を安定的に輸入できる体制を整えるとともに、備蓄につきましては、不測の事態に備えまして、米や小麦、飼料作物について、飼料穀物につきまして一定水準を確保するほか、先般も御議論させていただきました緊急事態食料安全保障指針等で具体的な不測のときの対策を定めているわけでありますが、これらに基づく適切な対応の確保が求められているというふうに考えております。

#199
○郡司彰君 大臣の方からは、食料安全保障そのものが、我が国だけの問題ではなくて、国際環境、貿易のありようも含めて位置付けられているというふうなことだったろうというふうに思っております。
 私、先週お話をさせていただいたのは、その中で、外国から入ってくるということが、いろんな理由はあるにせよなくなった場合、あるいは国内での生産も同様な形で緊急事態だというふうになったときのことを含めてお話をさせていただきましたが、若干、全体の食料安全保障そのものではなくて、緊急事態に関する部分を強調した形の質問をさせていただきたいなというふうに思っております。
 その前に、農業センサス、五年ごとでございまして、来年の五月に正式な公表となるわけでありますけれども、速報、概報のような形が出てまいりました。いろんなところでも取り上げられているようでありますけれども、例えば、従事をする方が、見出しによると四十万人減ったというような見出しが新聞等では躍っておりますが、農水省の方の、いただいたところによりますと、二つ大きく言われております。農業経営体数は二一・九%減少したものの、そのうち法人経営体は一三%の増加である。もう一つが、十ヘクタール以上の農業経営体が担う経営耕地面積が五割を超えた、一経営体当たりの経営耕地面積は三・一ヘクタールというような二つに大きく分類をされております。
 この二つ目のところの、例えば平均すると耕地面積が三・一、これ、ちょっと平準化するということよりも、平均を出すというのが余り意味がないような気もしておりまして、例えば、今日は北海道の方もいらっしゃいますけれども、北海道は三十ヘクタールですよ。それ以外が二・二。それを単純に平均すると三・一というような形になります。
 以前、何年か前でありますけれども、時の大臣に、基本計画の中に、我が国でも水田で例えば百ヘクタールを超えるような経営体が出てきた。これは、まあ簡単に言うと、その当時の農水省の認識では、良かった良かったとまでは言わないけれども、良かったが一つぐらいの評価をしておりました。
 私は、そのときもお聞きをしたんでありますけれども、今のようなセンサスに表れている流れが今後どのような形で推移するか、いずれ五年ごとのセンサスに出てくるものがおおよその流れとして見えてくるんだろうと思いますが、大臣は、百ヘクタールを超えるような農家がどんどん出てくるということを含めて、今回のセンサスの流れというものはよしとする流れに行っているんだろうか、それとも、いや、ここはちょっと考えなければいけないというものが含まれているというふうに思っていらっしゃるんでしょうか。お聞かせをいただきたいと思います。

#200
○国務大臣(野上浩太郎君) 御指摘ありましたとおり、今回のセンサスでは、個人経営体は百四万経営体に、また、基幹的農業従事者数は百三十六万人となりましたが、これは五年前のセンサスと比べますと、経営体では約三十万経営体が減少していると。それから、基幹的農業従事者につきましては、これは四十万人が減少しているということであります。一方で、法人経営体は三・一万経営体でありまして、五年前のセンサスと比べると四千経営体が増加をしております。また、農業経営体の全体の一経営体当たりの経営耕地面積は三ヘクタールを超えたところということであります。
 このように、農業経営の法人化ですとか担い手への集積等々が進展しているということでありますが、これは一定の成果だとは思いますが、一方で、高齢化が進展する中で、農業従事者の減少によりまして農業の持続性が損なわれることがないようにしていかなければならないと考えております。
 集積が進んでいく農家もあれば、一方で家族経営等々の経営もあるわけでありますので、経営規模の大小ですとか法人、家族経営の別を問わず、意欲ある担い手を幅広く育成、支援していくことが重要であると考えております。

#201
○郡司彰君 どちらか、良しとか悪いとかということの決め方ではない現状に合ったような施策をこれからもやっていくし、現状に合わせた対応というものが必要なんだということになってくるんだろうというふうに思います。
 これから、そうした観点の上に立って先ほど言いました食料安全保障を実効的に行うためにはどういうことが必要か、たくさんあると思いますけれども、今日は三点に絞ってお話を伺いたいと思います。
 まず一つ目は、農地というものが保全をされていなければ、これは食料安全保障というものにならないだろうというふうに思っておりまして、その中の、具体的に土地改良事業についてお尋ねをさせていただきたいと思いますが、土地改良事業は、御存じのように、農業生産基盤の整備及び、ここからがちょっと私の認識と違うというよりも、あっ、そうなのかと思って読んでいるんですけれども、及び農村の保全というふうな記載がございます。単純に農地の保全ではなくて農村の保全、これは、大臣以外の方でも結構でございますけれども、どういう意味を持った言葉なのでありましょうか。

#202
○国務大臣(野上浩太郎君) 農村の保全につきましては、本年三月に閣議決定されました食料・農業・農村基本計画におきまして、農村に人が住み続けるための条件整備ということと同義であると考えておりますが、具体的には地域コミュニティー機能の維持強化ですとか、あるいは多面的機能の発揮の推進、生活インフラ等の確保等が必要となってくると考えております。

#203
○郡司彰君 農村という言葉そのものが非常に難しいんだろうと思うんですね。昔の字単位とかというときには、村がたくさんあったときには、その中の耕地面積が幾らだとかというような形で農村というものが簡単に規定できたような気がします。今でも山村は、その自治体の中における山林の割合が二五%だったですかね、以上のところが山村。農村というのは、自治体が合併を重ねたりすることによって非常に、この農村というのは何だと。
 昨年の安倍政権のときに農村の所得というのがすごく上がったんだという話がございましたので、私、そのときも農水省の方とちょっとやり取りをさせていただきました。農村というのはどこですかといったらば、そういう部分があるところは全部なんですと。簡単に言うとですよ。そうすると、日本全国で全部農村ということの該当になるのかといったら、まあ簡単に言うとそうですというようなところの言いようもありました。
 ここに私が持ってあるものの法律の解釈の中でいうとまた別なようなことが書かれておりますけれども、私どもが若い頃はちょうどその中間ぐらいのときでありまして、農村というのはみんなが集まれる機能がある、そしてその人たちが農道の管理、それから用水の管理、こういうものをきちんと行えるような機能が残っていて、農業を営んでいる地域が農村なんだと、こういうような言われ方をしたこともございました。
 先ほどのセンサスでいう百ヘクタールを耕すというところの出現がこれからどんどん続いてくる、あるいは東日本と西日本で相当違うんだというふうに思いますけれども、多くの農家の方々が田んぼを預けて耕作をしてもらうという形式も相当増えてきております。
 そうしますと、この土地改良事業というのは、もう専門家がいるから細かくは後で聞けばよろしいのかもしれませんけれども、ほかの公共事業と違って同意を取るんだと、三分の二必要なんだと。そして、実施する主体は、国あるいは都道府県、それから団体ごとというような形で、もし行った場合には十年据置きで十五年間ぐらいの償還を行うということになってくるんだというふうに思いますが。
 こういう、農村の中で今まで当たり前のように機能してきたものが、先ほど言ったセンサスのような流れの中でこれからも機能していくということになりましょうか、若しくは機能させるためには何か新たな手だてというものが必要だというふうにお考えでしょうか。

#204
○政府参考人(牧元幸司君) お答えを申し上げます。
 今委員から御指摘いただきましたように、農村をめぐる環境というものは大分変わってきておりまして、まさに、都市との境目と申しましょうか、そういうところについていろいろな変化が起きまして、今委員から御指摘いただきましたように、例えば農道とか、あるいは水路の管理をするにしても、農業者以外の都市の住民の皆様方の御理解も得なければなかなかそういう管理も進まないというような状況になっているかというふうに考えております。
 私どもといたしましては、例えば多面機能支払交付金によりまして、農地、水路、農道等の地域資源の共同活動の支援等も行っているところでございますけれども、そういう活動の中にあっても、農業者だけではなくて都市住民の皆様方の理解を得、あるいは、できれば参加を得ながらそのような活動を進めることによって農村地域の保全というものを図っていくということが望ましいと考えているところでございます。

#205
○郡司彰君 土地改良事業の関係でございますから少し具体的な話をさせていただきますが、通常、受益者と言われる方々は、賦課金、それから維持費のような形でもってお支払といいますか償還をしていくわけでありますけれども、土地改良企画課のところで資料を作っていただきました。経常賦課金と特別賦課金、合計をしたものが、平成十一年のときには六千八百三十五円、今二十九年現在のところで見ると四千百六十七円、大体四割減ぐらいの形になってきております。これ、大変御努力をいただいているというふうに思います。
 まず、三分の二の同意というのも、年齢が高くなってくる、世代が変わると、これから工事いつまでやるんだと。それから、全体で二十五年掛かって払い終わる頃どうなっているか分からぬぞというような形で、なかなか同意を全体で得るのが難しいかもしれませんけれども、いずれにしても今までのところはそういう形で成り立ってきた。
 先ほど言ったように、もう預けて頼んでいるんだというような形になりますと、預けている人がこの賦課金、維持費を払うのか、預かっている人が賦課金、維持費を払うのか、これは特段の決まりがありませんから、地区によって大枠、傾向があるんだろうと思います。
 私は、東日本の方が水田の、まあ何というんでしょうね、耕作をするのに借りて行う、規模拡大が進んでいる。どちらかというと西の方は畑作が多いようなことからすると、農地の集積、先ほど平均で三・一、北海道を除けば二・二。しかし、東と西でも相当違ってきて、その中で傾向として賦課金、維持費、どちらが払っているというようなことはお調べになったことはございますでしょうか。あるいは、感覚的にはどのように捉えていらっしゃいますか。

#206
○政府参考人(牧元幸司君) お答えを申し上げます。
 土地改良事業につきましては、委員から御指摘いただきましたように、この組合員の皆様方の賦課金ということで基本的に成り立っているわけでございますけれども、この土地改良区の賦課金につきまして誰から取っているかというお話でございます。
 今委員から御指摘いただきましたように、北海道、東北、北陸といったような東日本のところでは耕作者が組合員となって、耕作者から徴収している傾向が多いというふうに考えておりますし、また、関東から九州にかけては所有者が組合員ということで、所有者から賦課金をお取りしているということが多くなっているというふうに考えております。
 以上のように、委員御指摘のように地域差があるのではないかというふうに考えております。

#207
○郡司彰君 今後、それをどのようにしていかなければいけないか。つまり、営農に土地改良その他の関係というものは、日本という気候条件、その他の地形の関係も含めて必要だろうと思っているんですよ。それを、今段階がこうなんだけれども、その先五十年後、百年後にこういう形でということを今のところで検討していく必要があるんじゃないかというふうに思っています。これは答えが要りません。
 一方で、農地そのものの所有についても耕作の形態についても、いろいろと分かれてきております。今は農地を借りるとかということは企業でもできるようになったけれども、それは売買の対象にするべきだと、こういうような意見もあります。
 私は、以前から、所有の権利はともかくとして、誰が持つかは別にしても、農地そのものは公的なものだと。食料安全保障ということを考えても、公的なものとして扱わなければ、例えば誰々さんのうちが農業をやめた、ああ、そうですか、五年たったら山になっていましたというところをそのまま放置をするのでなくて、この国の食料安全保障のためには何百、何十万ヘクタールの農地が必要なんだというようなことからすれば、そうしたものをきちんとやっていく。
 私のところで、前回も言いましたけれども、たばこの耕作をやめたときに、本当に五年たったら林、私の方では高さがないのも山と呼ぶものですから、山に戻っているようなところがたくさんありました。
 それをもう一度戻すというのは、「ポツンと一軒家」のテレビでも御覧になってもお分かりのように、これは大変なことになるわけでありまして、このいろんな形で変わっていく中で耕作がされないような農地については、国がやっぱり水の管理まで含めて使えるような状態にしておく、何も作らないということであれば、ほかのヨーロッパの国や何かがやっているように、草地にしてでもきちんと確保するということが必要じゃないかというふうに思いますが、大臣、どうでしょうか。

#208
○国務大臣(野上浩太郎君) 御指摘のとおり、農業生産のまさに基盤である農地、これはもう限られた国民のための資源でありますので、この荒廃農地の発生防止と解消によって有効活用を図っていくことが重要だと考えております。
 農水省としましては、多面的支払あるいは中山間地直払い等々による地域の共同活動等への支援、あるいは農地中間管理機構による担い手への農地の集積、集約化、農業委員会による所有者への利用の働きかけ等による荒廃農地の発生防止と解消を進めておりますが、一方で、三月に決定されました食料・農業・農村基本計画におきましては、荒廃農地の発生防止、解消に向けた対策を戦略的に進めていくことが明記をされておりまして、令和三年度概算要求におきまして、放牧など粗放的な利用方策等に対する農地の簡易的な整備等の支援対策等に要求をしておるところでございます。
 さらに、長期的な土地利用の在り方に関する検討会におきましても、この放牧等による農地の多様な利用、あるいは長期的な土地利用の在り方について制度的な対応も含めた検討を進めておるところでございます。

#209
○郡司彰君 もう少し、何というんでしょうね、実効性がある形で、具体的に任せる団体、それを管理をする組織というものをきちんとやっておかないと、先ほど言いましたように、日本はほかの国よりも気候風土の関係で、コーデックス委員会が言っているような、草を生えないような自然農法なんというのが本当に難しい国でありますから、その辺のところは完全に具体的なものをこれから検討をしていただければなというふうに思っております。
 それから、センサスではありませんけれども、水田フル活用ということも、水田の利用については検討されているんだと思いますが、例えば水田を畑にしてはどうだと、お米は余っているけど、野菜はまだもうかる農業になるぞというようなことも発想としては出てくるかというふうに思います。
 そのときに、土地改良は、田んぼの下に物すごいお金を掛けてきたわけですよ。田んぼというのは簡単ですけれども、地表よりも低くなって水をためるような仕組みが田んぼ。畑作というのは地表よりも高くなっていて耕作するのが普通の畑。ですから、田んぼを畑にするというのは、意外と思っているよりもこれまでの財産というものをなくしてしまう可能性があるし、工事もそれなりに大変だということになります。
 もう一つは、この農地の価格でありますけれども、昔は大体、坪、平均すると百万、田んぼはね、十アールですか、十アールで百万ぐらい。それからいうと六十万、六割ぐらいが畑だったですよ。今も相当下がっているとはいいますけれども、直近の数字を見たらば、水田が七十二万の畑が四十二万とかという数字が出ていましたから、比率としてはほとんど変わらずに十対六ぐらいなんですね。
 これから、この基盤整備をもう一回やって畑にしますよ、もう一回同意をしてくれますかというのと、基盤整備で田んぼを畑にしたら地価は六割、下がるんですよというようなことに本当に同意をして行うということが可能だとお考えでしょうか。

#210
○政府参考人(牧元幸司君) お答えを申し上げます。
 今議員から御指摘ございましたように、水田を畑地化、汎用化するためには、排水条件の改良などが必要でございまして、土地改良事業によりまして、水田の区画整理、暗渠排水等の基盤整備を実施する必要があるところでございます。
 一方、これも委員から御指摘ございましたように、水田と畑には価格差があるということでございまして、確かに水田の方が価格が高いという状況にあります。しかしながら、この水田の畑地化によりまして高収益作物が導入されることになりますと、一般的には水稲作よりも収益性が高くなるということがございまして、この水田の畑地化、汎用化につきましては地域から大変御要望の高い事業だというふうに承知をしておるところでございます。
 したがいまして、この基盤整備の同意取得におきまして、田畑の売買の価格差というものは現場ではそれほど大きな課題になってはいないのではないかというふうに考えております。

#211
○郡司彰君 いつも国の施策で地元の人たちと少しずれることがあるんですよ。例えば、田んぼを大きくしましょう、みんなで集めましょう、いざとなったら、俺が返してもらうのはどの部分だとか、あぜ道全部取っ払っちゃったからその部分は誰のものになっちゃっているんだとか、地元の話題というのはそういう下世話なところなんですよ。ですから、昔から俺のところは米を作ってきたんだと、それが今度は米じゃなくて違うものを作るんだという、その答えというのは、今おっしゃったようなことだけではなかなかうずまらないから、これまでいろんな施策もなかなかうまくいかなかったんだと思います。
 ただし、私は、やっぱり同じように、収益性が高いのは、平地で投資するお金があって労働力が集まれば、それは畑作の方がよっぽどもうかりますよと思いますよ。ですから、そこに行くための手順というものを、先ほど言ったように、農地というのは、あなたの同意も必要かもしれませんけれども、費用や何かは私たち国が、公的なものが、あるいは自治体でも結構ですけれども、行うんですよというような転換をしないと。いろいろな施策というのは、農水省は、東京で考えている頭の中と違うところで、賛成、反対の感情というものがまだ農村にはあると思いますので、やはり農地というものが公的なものだというものをもっと打ち出す、そのことが大事なのかなというふうに思っています。
 時間の関係で次に行きますけれども、農地の保全ということのほかに、働く人をどう集めるんだということがあります。それで、新しく農業に関わりなかった方を育成をする、これももう随分努力をしていただいていますが、なかなか思うようにという形にはなっておりません。
 そして、企業の参入ということで、私、十二月になりましたから先月、福島県の植物工場というところに視察に行ってまいりました。これ震災復興で、ちっちゃな声で言いますと、農水省の復興予算よりも経産省の方が額が大きく出るので、経産省の予算で工場を造るというのをやっておりました。そこでは、条件として、でき上がって稼働したらば地元の人を二十人雇用しなさい。これ、ここで農業に対する雇用が新しく出てまいりましたが、これは別に農家の方々でなくてももちろん結構ですということになるわけであります。
 それから、実習生とかと言われてきたり、特定技能というふうに言われて、今度は五年間ということもございましたけれども、こういう外国の方々についても、私、もう二十年前以上から、法務省の方と農水省としっかり考え方を決めていかないと、いつまでたってもこれは同じことの繰り返しをやっているようになりますよと。今結果としては同じことの繰り返しです。
 そして、日本に来る国も変わってきました。どこどこの国がほとんどだった、どこどこの国がほとんどだった、これからはここが来るだろう、あそこが来るだろうという形で、まあ当たり前ですけれども、発展を続ける国からすれば、日本に来て労働力として働く、まあ形の上では労働力ではないという形になっていますけれども、そういうことの繰り返しの中で、今現在コロナが起こって、やっちゃいけないことですから一つも私はいいという話はしません、結果として、どこかで牛、豚が何百頭もいなくなったりしました。それで、どこかの国の人が解体をしてみんなに分けていた。その人のことは詳しく分かりませんけれども、コロナの下で仕事を離れざるを得ない、しかし国に帰る飛行機も飛ばない、そのような中で、どこがその人たちのことを考えているんだというと、正直言って私は、その辺のところは日本はほかの隣の国なんかよりもまだ弱いというふうに思っています。
 それからもう一つの事例ですけれども、もうお忘れの方がほとんどだと思いますが、雷が長野県で一日二十二万回鳴ったときがありました。そのときに、畑にいた外国の方、男女、男性が死亡しました、女性が重体になりました。これは、その後どこの国の人とも、どういうことだということの追っかけてのニュースはほとんどありませんでした。
 私、自分でいろいろ調べました。そうしましたらば、長野の警察関係の方も調べているということですけど、簡単に言うと、正規のルートではないような、正規ではないような証明書でやっていた可能性があるし、もちろん雇っていた側の方の方もそれを承知で雇っていた。いっぱい広い面積で同じような作物作っていたんですよ。物すごい雷が落ちたんですよ。ほとんどのところは避難させたんですよ。避難させなかったところの方が亡くなって、重体になって、今どうなっているか分かりませんけれども。
 これら含めて、私は農業の労働力というのは、これからますますどういう形で確保するかというのが大変な問題になってくる、もう何十年も前から、この問題は、労働力じゃないんだと、実習生なんだというような言い方だけで通用しない時代にもうなってきたから特定技能やその他の関係が出てきているんだと思いますが、これをこのままこれ以上続けるというのは是非やめていただいて、法務省あるいは国全体で検討していただきたいと思いますが、大臣、どうでしょうか。

#212
○国務大臣(野上浩太郎君) やはり農業の現場で必要となる人材を確保していくことは極めて重要なことであると思います。
 今先生御指摘あったように、農業で働く人材が不足している中で、この特定技能制度によります農業現場での外国人人材の円滑な受入れをしていく、様々な環境を整えて円滑に受入れをしていくということに向けまして、受け入れる側の、農業者ですとか、あるいは農業団体等に対しまして、外国人材が働きやすい環境となるような労務管理のポイントの周知ですとか、外国人材の働くモチベーションが向上するような優良な受入れ事例の情報提供ですとか、あるいは外国人の在留を支援する政府の窓口であります外国人在留支援センター等々と連携をして外国人材からの相談にも適切に対応するなど、外国人材の受入れ環境の整備に努めておるところでありますが、引き続き、これらの取組等々によりまして、この外国人材が円滑に受け入れられていくような取組を進めてまいりたいと考えております。

#213
○郡司彰君 言いようはそれぞれですけれども、ほとんど変わっていないんですよ、答弁そのものも。
 例えば、今現在ですと、特定技能の関係で各国と日本との間で協定を結ぶようになりました。それから一年もう半以上、二年近くになりましょうか、これまでに結んだ国が多くあります。
 しかし、この国にたくさん来ている国でそれが結ばれていない国もまだ三つ、四つは残っている。これはもう具体的にどこの国って分かっているわけですよ。私もここで言えばすぐ言えますけれども、そういう具体的に滞っている国ときちんと話をするということと、国内で、大臣お願いですから、法務省その他と、この労働力の確保ということを今の形でやっていたらば、農業だけじゃなくてこの国全体がおかしくなります。一旦どこかできちんと整理をするということを早急にやっていただきたいと思いますが、改めて御答弁いただきます。

#214
○国務大臣(野上浩太郎君) 政府全体として、重要な課題であると思いますので適切に対応してまいりたいと思います。

#215
○郡司彰君 すばらしい答弁の結果が出るようにと思っております。
 その次に、今まで農地、それから労働力、そしてこれからは、ちょっと私自身も余り見たり食べたりしたことがないんですが、代替え食あるいは培養肉の関係についてお尋ねをしたいと思います。
 昨日、おとつい辺りからの新聞で、名前、ちょっと会社の名前、ラクトさんかな、焼き肉チェーン店で大豆を原料にした焼き肉、お肉が食べられない、鳥肉嫌いだけれども、これなら大丈夫、栄養もバランスも良くなっていますよというのが盛んに宣伝をされております。
 私もちょっと調べてみましたらば、コーヒーにコオロギを入れて味が濃くておいしいコーヒーになっているとか、それからエビ煎餅にもコオロギの粉末が入っているとか、これ分からずにもう相当食べているらしいですね。もっとも日本そのものも、私自身も小さいときにはいただいたりしたことありますけれども、バッタとか何かの煮たものとか、今長野県なんかでもザザムシとか何かいろんなものがあるんだそうでありますけれども、ほかのヨーロッパの方では昆虫食が結構ブームで、昆虫食だけで生きているような人も出始めたとかということがあります。
 この代替えの食品というのは、これは国が相当戦略的に行っているんでしょうか。それとも民間が民間の判断で勝手に行っているということなんでしょうか。
 コオロギは国内でどの程度、何ていうんでしょう、生産されているんでしょうか、お分かりでしたらお答えください。

#216
○国務大臣(野上浩太郎君) 済みません、お答えできるところをお答えさせていただきたいと思いますが、近年、植物性のたんぱく質を原料とする代替肉製品ですとか、今お話のありましたバッタ等昆虫を原料とする昆虫食製品が展開をされておりますが、これは小売店や飲食店においても販売が開始されておりまして、最新のテクノロジーを駆使することで今までにない新しい形での食品を加工製造する技術、いわゆるフードテックと言われておりますけれども、それによりまして新たな食が生まれつつあるわけであります。
 培養肉につきましては、海外では米国やイスラエルなどの二十社以上の企業が今研究を行っております。我が国におきましては、科学技術振興機構の事業等におきまして、培養肉を大量培養するための技術開発ですとか、あるいは立体的な培養肉を生産するための技術開発が行われているところであります。
 一方、フードテックではありませんが、クローン牛については優秀な形質を持つ牛の大量生産などを目的として、我が国では平成の初頭から平成十年ぐらいにかけて公的機関、研究機関を中心に研究開発が行われたわけでありますが、現在では異常産など技術的な課題や消費者理解の面から商業的な利用は行われていないと承知をいたしております。
 これらについて、現在のところ食料安保の観点からの特段の位置付けということは行っておりませんけれども、新技術を開発した食品の開発状況の動向については今後も注視してまいりたいと考えております。

#217
○郡司彰君 あっという間に時間が来てしまって、また理事に叱られそうなんですが、最後に、ちょっと時間の関係でずっと飛ばして、備蓄の関係がいろいろ今回もございました。子供食堂、六十キロどうぞといったらば九月段階では一件しか実績がなかったとか、今はそれよりも百件を超えるような形になったとかと言われていますけれども、この備蓄のことが書かれているのは食糧法になるわけであります。
 私は、食糧法の第二条、三つのことが書かれておりまして、生産調整を行うとか機動的に運営をするとかいろいろありますが、直接貧困の方々に届くような法律の立て付けにはなっていないというふうに思っておりまして、食料安全保障という関係からすると、この食糧法というものをもう一回見直して、備蓄というようなものの活用の在り方も含めて食料安全保障という法体系の中に合うような形を行っていただけないだろうか。そして、予算も今の農水省予算の別枠できちんと食料安全保障というものを、少なくても一兆ぐらいは使って体制を整えていただきたいと思いますが、大臣、簡単で結構ですから、やりますとお願いいたします。

#218
○国務大臣(野上浩太郎君) 農林水産省では、従前より、食育の観点から、政府備蓄米を活用して学校給食における御飯食を推進してきましたし、今お話しにありました子供食堂等々にも拡大をして実施をしているところであります。一方、生活困窮者の方々に向けた食料支援等の対策は、厚労省ですとか各地方公共団体におきまして社会福祉制度の中で実施されているところであります。
 子供食堂ですが、フードバンクの活動など、民間の取組も盛んになってきておりまして、それを政府、地方公共団体等も多様な手法で支援をしているところでございまして、引き続き、備蓄米の趣旨を踏まえながら、適正かつ円滑な運営に努めてまいりたいと考えております。

#219
○郡司彰君 終わります。

#220
○石井苗子君 日本維新の会の石井苗子です。午前中に続きまして、また私が質疑させていただきますけれども、私、農業の素人ではございますが、うちの政党は民間でやれることは何でも民間でやっていくべきであるというような考え方が強い政党でございますけれども、私、この農水に入りまして、ちょっと違うんじゃないかというような感じが大いにしてまいりました。私は孤立した一人の、孤立じゃない、一人の政治家でもございますので意見を述べさせていただきますけれども。
 質問に入ります。大規模農家経営について質問させていただきます。ただいまもお話にありましたけれども、国家戦略特区制度による一般法人の農地所有の特例というところがございますが、この点について質問させていただきます。
 確かに企業は資金力があり、大規模経営ができるということもあります。その一方で、利益が上がらなければ容易に撤退してしまうという懸念もあります。企業の農地取得というのは賛否が分かれているところではありますけれども、江藤大臣ですね、前の、前大臣は、令和二年六月十二日に、農地法は農政の根幹に関わると述べていらっしゃいまして、農業政策の基本であるので慎重に対応していきたいとおっしゃっています。
 新たに就任されました野上大臣は、企業の農地取得に対して御自身はどのような見解をお持ちでしょうか、まずお伺いします。

#221
○国務大臣(野上浩太郎君) 企業の農地取得に関するお問合せでありますが、もう先ほどから御議論ありますとおり、農地は農業生産の基盤でありますし、同時に地域における貴重な資源でありまして、これは国として守っていく責任があると考えております。
 こうした中で、平成二十一年には農地法改正をしてリース方式での企業の参入を完全に自由化をして、平成二十八年の農地法改正では法人が農地を取得する場合の要件の緩和など、必要な見直しを行ってきたところであります。
 この企業の農地所有につきましては、農業から撤退をしたり、農地を他用途へ転売したり、あるいは産廃置場になったりするのではないかというやっぱり農業、農村現場の強い懸念がありますので、慎重に検討する必要があると考えております。

#222
○石井苗子君 私も、いきなり畑があったところや田んぼがあったところにマンションが建っているという風景を見たことがありまして、どうしたんでしょうかという、お聞きしたら、土地の方が、ここは撤退しちゃったんだよねというお話でした。ちょっと心が痛かった思いがあるんですけれども。
 続けて、大臣がもしそのようにこの問題に関しては慎重に、そして細かく見ていきたいとおっしゃるんでしたらば、現在の特区での企業の農地取得の特例、これを全国に広めていくということに関しまして附帯決議が出ております。非常に慎重に書いてありますよね。全国展開や実施期間の延長を前提としないことというような附帯決議も出ておりますし、荒廃することがないように、今のような、私が申し上げたような風景になるようなことがないように十分に配慮するべきだと書いてありますが、全国展開に関して、もう一度大臣にお伺いをします。これに関しては大臣はどのような個人的な御意見をお持ちでしょうか。

#223
○国務大臣(野上浩太郎君) 本件につきましては、本年七月の成長戦略フォローアップにおきまして、特区の実績等を踏まえた上で、二〇二一年八月に迎える特例の期限に間に合うよう取扱いを検討するとされておりますので、これに沿って今後取扱いを検討してまいりたいと考えております。

#224
○石井苗子君 これに沿ってというのは、もうちょっと何か、大臣としてはどのように、この全国展開を広めることについてどのように大臣は考えていらっしゃるのかということを個人的にお伺いしているんですけれども。

#225
○国務大臣(野上浩太郎君) 企業の農地取得についての考え方は、先ほど私申し上げたとおりであります。そのように考えておりますが、一方で、この特区の取扱いについては、これは成長戦略のフォローアップについて規定をされておりますので、これに従って検討してまいりたいと考えております。

#226
○石井苗子君 お立場ということでですね。やっぱり大臣ですから、自分はこう思うというようなのが議事録に残るぐらいおっしゃってもいいんじゃないかなとちょっと期待したんですけれども、残念でございました。
 話題を変えます。
 私は先ほどから、食べ物を作って、食べて、無駄なく、そして人々の生活を支えるという、この農業の在り方がやっぱり一番正当な、王道なのではないかと思っておりまして、食品ロスについては今年の四月の七日にここで質問させていただいております。食品ロスについてです。十月の三十日が食品ロス削減デーだったそうでございます。
 私は四月の七日に質問して、平成二十九年からこの食品ロスというのがどう変わってきたという推計が出ておりまして、今日資料としてお配りをいたしました。これ発見しました。ありがとうございます。
 食品ロスの量は、全体では平成二十八年度の六百四十三万トンから六百十二万トンに減ってきています。減少しています。事業系の食品ロスは三百五十二万トンから三百二十八万トンに減ってきています。これは原因は何だと思っていらっしゃるかということで、どのような見直しを何においてされましたでしょうか、御説明ください。

#227
○政府参考人(太田豊彦君) お答えをいたします。
 今委員御案内のとおりでございまして、平成二十九年度の食品ロスは六百十二万トンで、それは前年度から五%減少しております。このうち事業系の食品ロスにつきましては前年度から七%の減少でございます。
 事業系の食品ロスの要因といたしましては、平成二十四年度から行ってきた納品期限の緩和の働きかけ、こういったことによって食品業界における食品ロスの削減の取組が進展してきた、こういったことではないかというふうに考えております。
 食品ロスの削減につきましては、食品業界の取組はもとより、消費者の理解、協力が不可欠でございますので、賞味期限、消費期限の正しい理解なども重要であります。関係省庁と連携して消費者の啓発を推進をいたしまして、更なる食品ロスの削減に取り組んでまいりたいと考えております。

#228
○石井苗子君 この間もここで、分かりにくいですね、賞味期限という言葉、変えるつもりありませんかと言ったら、変えないとおっしゃったので、その質問はもうしませんけれども。
 なかなか、消費者に分かっていただいて理解していただいてこの食品ロスを減らしていくと、それも大事なことなんですけれども、もうちょっと、このSDGsを考えると先端的なもののやり方とデータの集め方というのが必要じゃないかと思うので質問させていただきますが、納品期限などの商慣行の見直しというのが効果を上げているということだけではなくて、例えば小売業では商品の売行き予測などでAIを活用しています。
 これ、AIというと、まるで何にも知らないところから何かを見付けてきてAIにしているというふうにお考えなんですが、実は、自動車工業のトヨタ工業が在庫整理をするときにかんばんシステムというのを使ったんです。随分古い、もう今から四十年か五十年ぐらい前の話だと思うんですが、そのやり方をこの食品ロスに、要するに全体的にどれだけ生産してどれだけ売れてどれだけ捨てているのかという在庫管理ですよね、これをプログラミングしているというAIの活用が進んでいるんですけれども、食品ロスの削減でもこのAI、人工知能を使った需要予測の効果が期待できると思うんですけれども、この需要予測のことなんですが、AIの活用というのは現状どうなっているか、どなたか御存じでしょうか。

#229
○政府参考人(太田豊彦君) 食品ロスの削減に関しましても、このAI技術というのは極めて有用なものでございます。近年、AIなどの新技術を活用した食品ロス削減に資する民間ビジネスがございます。これは、例えば食品事業者において発生する未利用食品のウエブを通じた販売、もう一つはこのAIでございますけれども、AIを活用した気象データ、それから出荷、販売データの分析による食品の需要予測、こういったビジネスが開発をされまして、既に実用化をされております。
 農林水産省におきましては、こうしたビジネスの事例を民間から募集をいたしまして、AIなどを活用した需要予測の技術などの事例を含めて二十四件の事例を今年の一月に公表をしております。事業系食品ロスの半減目標の達成を目指す中で、個々の食品事業者の努力に加えて食品事業者がこうした新技術を積極的に活用していただくと、こういったことによりまして更に食品ロスの削減の取組が進むことが期待されているところでございます。

#230
○石井苗子君 どういった民間企業のビジネスにそれを奨励しているんでしょうか。分かりますか。

#231
○政府参考人(太田豊彦君) お答えいたします。
 これは事例でございますけれども、豆腐指数というのがございます。廃棄、これは食品ロスでございますけれども、こういったことが多い豆腐につきまして、天候や曜日、特売、来客者数の影響を受けて、これは寄せ豆腐につきまして、この指数を活用して需要予測精度を三〇%程度向上させてロスを削減したと、こういったような事例がございます。

#232
○石井苗子君 聞き間違いがなければ、お豆腐ですか。(発言する者あり)豆腐ですか。豆腐の、あの大豆からずうっと、生産ロスがないように、そして消費ロスがないようにと一貫したAIの需要予測というのを立てているわけですね。分かりました。
 今、漁船走らせると、水揚げをして、その水揚げの魚の種類でもう値段がすぐ分かって、揚がったときにはもうどこに売ってどれだけもうかっているか分かるというようなAIもあるんですね。そういったことにお金を出していくというのもこれからは大切だと思うんですね。
 そういうところで働ける人を漁業とか、そういうところで働ける人を農業とかというふうに人材も呼んでくれば、外国の方も働くところも出てくるのではないかと思うんですが、食品ロスだけに特化して申し上げますと、AI活用に国の支援というのは今付いていますか。お願いします。

#233
○政府参考人(太田豊彦君) お答えをいたします。
 国の支援というのがまだなかなか難しい分野ではございます。民間企業がいろんなことをやっておりますので、まずはその事例を募集をして、それを公表して、それをマッチングしようというような取組を進めているところでございます。
 こういった新技術によるビジネスを行う民間企業と食品関連企業が直接対話ができる交流会の開催、こういったことも検討しておりまして、これから今後ともAIを活用した食品ロスの削減、こういった取組を推進していきたいと考えております。

#234
○石井苗子君 是非予算措置をお願いします。
 今、対話ができる、何とおっしゃいました。(発言する者あり)交流会、あっ、対話ができる交流会も必要なんですけれども、やっぱり連携して支援をするための予算措置というのを付けていただきたいと私から申し上げます。
 あと五分以上ありますので。
 実は、採決は終わったんですけれども、種苗法についてもう一つ二つ私聞きたいことがありまして、これ農業全体に関することなんですが、高齢化が進んでいる日本の農業の後継者の問題についてお伺いいたします。
 種苗法もそうですけれども、今、農業が高齢化していると、農業者を営む人が高齢化しているという話が出てきておりますけれども、種もみ農家という、あの伝統的な技術を持った種もみ農家が高齢化して種子の安定供給に支障が出ているというのを、情報を読んだことがあります。
 農林水産業全体に高齢化が進んで後継者の問題が大きくなってくる中、種苗生産者の高齢化というのはどのようになっているんでしょうか。これに特化してお聞きします。その高齢化に対する対策は取っていらっしゃいますでしょうか。

#235
○政府参考人(天羽隆君) お尋ねの種子生産農家の状況について、稲について申し上げます。
 全国主要農作物種子安定供給推進協議会が平成三十一年度調べたところによりますと、六十歳代以上が約七割、その内訳は、七十歳以上が約三割ということでございます。また、農林水産省の調べによりますと、採種農家数は、令和元年産は六千二百十六戸となっているところでございます。
 委員御指摘のとおり、種子の生産につきましては採種農家の高齢化などが課題となっておりまして、これに対応するためには、効率的また省力的な種子生産体制を構築し、後継者の参入促進などを図ることが重要と考えております。
 このため、栽培管理に手間の掛かります原種圃や採種圃での作業の効率化や省力化に向けまして、種子生産農家の作業負担軽減につながりますドローンを活用した圃場モニタリング、さらには病害防除といった省力化技術の開発、また、民間も対象とした効率的な種子生産を実現するための技術体系の実証につきまして支援をしておるところでございます。
 また、各県におきましては、普及指導センターなどの職員がJAなどと連携をして、種子生産農家に採種圃での栽培管理、病害虫防除などの技術的な指導を行っているところでございます。

#236
○石井苗子君 今のは高齢者に対する指導ですか。特化してやっているわけではないですよね。後継者に対する高齢者の働き方改革とか、そういうような意味で質問したんですけれども。特化してやっていますか、そのお答えですか。

#237
○政府参考人(天羽隆君) ただいま申し上げたのは、後継者の参入促進のためにも、採種農家の作業であります栽培管理に手間の掛かる原種圃や採種圃の作業の効率化のために支援をしておるということでございます。

#238
○石井苗子君 私、この伝統野菜というのの、昔からある野菜だそうなんですけれども、私なんて京野菜ぐらいしか思い付かなかったんですけれども、物すごくたくさんあるんですね。日本というのは、伝統野菜と言っておりますが、伝統野菜などの取組について随分長いことやってきたと。で、その高齢者の問題なんですけれども、この伝統野菜を作っていた人たちということも踏まえて、伝統野菜などの種子の保存の取組について書いてあるところがございました。
 これ、やっぱり遺伝資源と、ジーンに入るわけですね、伝統野菜。そうすると、農業分野に関する遺伝資源については、これは農研機構などがやっているんですが、そこに事業が一つありまして、農業生物資源ジーンバンク事業というのを行っていらっしゃる。ジーンバンクですから、集めてくるんだと思いますけれども、情報を。これは茨城県に一つありますね、つくば市に、センターが。これを置いて、農業分野に関わる、午前中にも話がありましたけれども、この遺伝資源について探索収集から特性評価、保存、情報公開まで幅広く行っていると書かれてありますけれども、こういうものに関してでも、種苗の新品種の開発に貢献しているのかどうかというのもちょっと気になりました。
 貢献しているのであれば、新品種の開発にはどのような役割を果たしているのかと、予算も付いているのか、具体的にちょっとどなたかお願いしたいんですが、大臣、いかがでしょうか、この件に関して。

#239
○国務大臣(野上浩太郎君) 農研機構の遺伝資源センターでは、貴重な遺伝資源を次世代に引き継ぐとともに、研究開発の知的基盤として提供するために、今お話があったジーンバンク事業というものを実施をしております。
 具体的には、様々な特性を有する遺伝資源を国内外から収集、保存をする。また、各遺伝資源が有する特徴の調査ですとか、これらの増殖を行って、新品種開発を含む試験研究等での利用のため、研究機関ですとか民間事業者等に遺伝資源を提供しているところであります。
 植物では、稲、小麦、野菜、果樹、花卉等の作物の育種素材となる在来品種ですとか育成品種等の多様な植物遺伝資源を約二十三万点保全をしているところであります。
 また、私も先般現場に行ってきましたが、非常に最新鋭の、全自動で湿度の管理ですとか温度の管理とかできる、そういう最新鋭の種子保存施設を導入しておりまして、長期にわたって安全に種子を保存できるようにしたところでありますが、今後とも、遺伝資源の収集、保存、配付を通じまして、貴重な遺伝資源の保全ですとか、都道府県や民間企業等の新品種の開発に貢献してまいりたいと考えております。

#240
○委員長(上月良祐君) 時間が参りましたので、質疑をおまとめください。

#241
○石井苗子君 SDGsを考えると、これからの開発というのはすごく大事になってくると思いますし、日本だけじゃなく海外からその品種を手に入れる場合にもこの遺伝子の研究を進めていってほしいと思っております。
 ありがとうございました。終わります。

#242
○舟山康江君 国民民主党の舟山康江です。
 先ほど郡司委員からも少し議論があったと思いますけれども、農地についてお聞きしたいと思います。
 農地面積の減少が止まりません。また、価格も続落しております。大臣、その理由をどのように分析されているでしょうか。

#243
○国務大臣(野上浩太郎君) 農地面積は、令和二年度時点で四百三十七・二万ヘクタールでありますが、この二十年間で約四十六万ヘクタール減少しているわけであります。この主たる要因は、例えば宅地等への転用あるいは農地の荒廃等によるものだと考えております。
 また、農地価格の下落の要因は、農業従事者の減少あるいは賃借による農地の流動化が中心となってきている等が複合的に関係をしていると考えております。

#244
○舟山康江君 この農業の大きな指標について、私も農地面積は五百万ヘクタールというのがずっと頭にあったんですけれども、いつの間にか気付いたらもう四百三十七、本当に四百に近づくようなそんな状況ですけれども、今るる理由等の分析をお話しいただきました。
 つまりは、やっぱり農地に対するニーズが減っているんじゃないかと思うんですね。ということは、今の農業政策の方向性、これでいいんだろうかと、そこも考えていかなきゃいけないと思うんです。これまで農地の集積とか担い手への集中ということで、かなり農水省、国を挙げて対策をしてきましたけれども、本来、農業が非常に魅力的な産業であれば、やっぱり需要が増えるし、そうなると減ることもないし価格も下がらない。担い手に関しては、これいいか悪いかの議論は置いておくにしても、例えば個別農家が法人化したりすれば担い手の数、経営体の数は減るということで、必ずしも弱体化とは結び付かない側面もあるかもしれませんが、やっぱり、基盤である農地は、減るということはそれだけ魅力がない、何らかの原因があるということですから、やはりそれを歯止めを掛けるような方向に持っていかなければいけないと思います。
 そういう中で、果たして集積一辺倒というか、担い手への集中、それから規模拡大という方向でいいのか。また、最近輸出に非常に力を入れていますけれども、それが本当に輸出がみんな魅力的にいくのであれば、恐らくやる人が増えるわけですし農地が減らない。でも減っている。やっぱりそこは、少し政策をもう一度根本的に見直す必要があるのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

#245
○国務大臣(野上浩太郎君) 農地の集積につきましては、先ほどの資料等々でもありますとおり、進んできているところがあるわけでございますが、一方で、なかなか農地が集積できない例えば中山間地等々がある。やっぱり多様な農業があるわけでありますので、そこをしっかり支えていくことが必要でありますし、輸出のお話もございましたが、輸出についてですね、これは輸出等々の産地形成をしていくことによりまして、その農業の生産力も上がっていくということにもつながるわけでありますが、そのことによってだけで農業の方向性が決まるわけではありませんので、輸出等々も取り組みながら、先ほど申し上げましたような中山間地等も踏まえて、多様な農業をしっかりと支えていくことが重要であると考えております。

#246
○舟山康江君 多様な農業を支える中では、これ毎度のように私、一般質疑でも指摘をさせていただいていますが、やはり多くの人が農業を継続できる、多面的な役割をきちんと発揮するためにも、しっかりと農地というその生産基盤を維持するということの政策をもう少し厚く検討いただくということがやっぱりこの数字から見ても必要なのではないのかなと思っています。
 この農地ですけれども、生産基盤として非常に大事だということと同時に、やはりこれ、今、度重なる災害がありますけれども、災害のいわゆる減災にも役立つという側面があるのではないのかなと思っています。
 菅総理が所信表明演説で遊水地ということに言及をされました。まさに農地の遊水地としての役割を私はやっぱりこれまで以上に評価をする。畑、田んぼは雨で潰れたけれども、そこで、残念ながら作物も減収になってしまったけれども、その代わり、後ろに位置していた住宅が助かった、被害が軽減できたと。やっぱりこういった役割は非常に大きいと思うんですね。
 遊水地、こういった機能を今まで以上に評価をして、農地の復旧支援それから補償の充実、再検討すべきときに来ているのではないかと思いますけれども、いかがなものでしょうか。

#247
○国務大臣(野上浩太郎君) まさに流域全体でこの治水対策を進めていくという上で、農地の有する洪水防止機能を適切に発揮していくことは極めて重要だと思っております。農水省としても、農業者が地域の共同活動として取り組む、例えば田んぼダム等々の取組ですとか、水田の持つ貯水機能を活用した取組ということを推進をしてきているところであります。
 また、被災した農地の復旧に当たりましては災害復旧事業で支援しておりまして、激甚災害にあっては近年の実績で九六%という高い補助率が適用されております。なお、収入保険や共済等々に加入している農業者であれば、水害等による収入、収量の減少による補填等々の対象ともなるということでございます。

#248
○舟山康江君 今お話しいただいたことはもうそのとおりなんですけれども、その災害復旧ですね、確かに一般の公共物に比べれば農地はかなり災害復旧の補助率は高い状況ではありますけれども、先ほど申し上げたように、かなり人家また人命への被害軽減というところに役立つとすれば、もう少し別の観点を入れて、その減災に役立ったということで、一般の災害復旧ということにとどまらず、その減災への貢献ということも含めて、例えば、それでもいわゆる自己負担とか地元負担が残る、そして作物については共済若しくは収入保険で見るということですけれども、もう少しそこを公のために我が身を犠牲にするというか、そういった観点、場合によっては下流域の減災のために計画的に溢水させてそこで被害を受けてもらうということもありますよね。
 そういった部分の役割については、通常の災害復旧事業ということとは別に、もう少しやっぱり農水省として、まさに流域治水、山のダムの機能とか、田んぼのいわゆる貯水、遊水の機能ということをもう少し評価するような、新たに今年から国交省も流域治水の考え方に変わったわけですから、これを機に農水省として、これは農水省だけじゃないですけれども、政府全体として、このダム機能、遊水地機能というものをどう評価するのか。場合によっては、ここは、いざというときに収穫は我慢していただく代わりにきちんと全て補償しますというような考え方は、私はあってもいいんじゃないかと思いますけれども、そういったことを是非御検討いただきたいと思います。いかがでしょうか。

#249
○国務大臣(野上浩太郎君) 今、流域治水というお話がございましたが、国交省は遊水地に指定した農地に対しましては地役権を設定して補償を行うということとしています。これは、農地を遊水地として使用する権利を設定をして、治水目的の観点から補償を行っているものであります。
 農水省としては同等の制度は今ないわけでありますが、農水省としましては、流域全体での治水対策を進めていく上で、農村整備事業の実施に当たって遊水地の用地創出を行うなど、必要に応じて河川事業、国交省の河川事業との連携を図って、行ってまいりたいと思います。

#250
○舟山康江君 これ、地役権は、災害を受けるからその分補償ではなくて、要は災害のために、何というんですか、冠水を受け入れるということで、土地の価格が下がるその代わりに補償するというものですから、何というんですか、災害に対する補償とはちょっと違うんですよね。
 ですから、地役権とは別に、災害に対する補償、補償というのかな、減災のための、減災に貢献したことに対する支援というものを、是非私はもう一度検討していただきたいと思います。ここに来て毎年のように災害が来ているわけですから。そして、毎年のようにある特定の田んぼは冠水被害に遭っているということで、でも、それはそのほかの地域にとっては非常に役に立っている部分もあるわけで、そこは是非、農水省、また国に働きかける中で御検討いただきたいと再度お願いを申し上げたいと思います。
 今回、今年も災害が発生いたしましたけれども、その際に、農業関係でいえば、地方支分部局、農政局、それから農政事務所等の役割は非常に大きかったと思っています。
 私の地元山形県も、今年、梅雨前線による被害で大きな被害を被りましたけれども、直ちに農政局の人が来ていろいろ指導してくれた、査定に入ってくれた、いろいろアドバイスしてくれたと、非常に感謝の声が上がっています。
 そういう中で、一方で、ここ最近、毎年のように定員削減が繰り返される中で、特に地方局、これ、土地改良事務所等もそうかもしれません、平均年齢がどんどん上がって、どんどん人が減らされていくという状況になっています。若手の積極的な採用を始めとして、やっぱりここ地元に、現場にきちっと人を配置していかないと、どんどん、何というんですかね、きめ細かい対応ができなくなってしまうというふうに思いますので、この定員削減についてのお考え、何とか組織定員の充実をしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

#251
○大臣政務官(熊野正士君) お答えいたします。
 舟山先生御指摘のとおり、災害が頻発する中で、地方農政局等の地方組織の果たす役割は極めて重要と考えてございます。このため、現場の行政ニーズにきめ細かく対応できるよう、地方組織の新規増員数を近年増加させているとともに、新規採用者を配属しているところでございます。
 今後とも、地方組織の業務運営に支障が生じないよう、必要な定員及び人員の確保に努めてまいります。

#252
○舟山康江君 努力はされているということですけれども、お配りした資料を御覧いただきたいと思います。
 地方局だけではなくて、農林水産省の定員がもうここ十数年どんどんと減らされております。全省庁、いわゆる合理化の要求とかいろいろあるわけですけれども、全省庁が大体九割ぐらいの人員、ピークに比べて、二〇〇四年に比べて九割ぐらいの人員に対して、農林水産省、三分の二に激減しています。そして、これ毎回、定員合理化計画というものが出されていますけれども、昨年六月に内閣人事局が通知した農林水産省の合理化目標数は、二枚目ですね、次期と書いてあるところの、太字にしていますけれども、二千八百二十人で、削減率が一三・五九%、これは一番下の欄、全省庁平均よりも大きく上回っていまして、最大の削減率になっています。
 そして三枚目、新規増員要求はどうかといいますと、他省庁が大体、まあこれもひどい話ですけれども六割から七割で、いわゆる要求に対してどれだけ確定するかというところで来ているんですけれども、農水省は、ひどいときで二割ちょっと、今でも四割弱ということで、その新規増員要求もなかなか通っていないという、こんな状況ですね。
 一方で、先ほどの治水の問題とか、あとは二〇五〇年カーボンニュートラルということを考えると、やっぱり農林水産部門、果たす役割は大きいと思うんですよ。再エネも貢献できる、CO2削減もそう、コロナ後、地方回帰が進む中でやっぱり農業、本当に大事だと思うんですね。
 そういう中で、こんな状況で、地方には人を増やしたいと言っていましたけれども、全体がこんな削減されていることをこれどうやって受け止めるのか、このことに対してどう対処していくのかということ、大臣の見解、今の数々挙げた数値の現状について、大臣の見解をお聞かせください。

#253
○国務大臣(野上浩太郎君) 先生御指摘のとおり、定員合理化目標率については他府省より高い合理化率となっております。
 農林水産業を取り巻く課題に対応するために、この資料にもありますとおり、毎年の定員の増員の要求をしておるところでありますが、農水省としては、やはり農林水産業の成長産業化ですとか、その土台となる生産基盤強化の様々な重要課題に加えまして、今CSFとかASFとかですね、国内防疫、水際検疫、あるいは防災・減災の話もありますし、漁業の諸課題に対応するということもあります。様々な新たな対応も必要になってまいりますので、この令和三年度の新規要求については、前年度と同じではないかと言われますが、四百十人の増員請求を行っておりますので、必要な定員の確保に向けてこれは全力を尽くしてまいりたいと考えております。

#254
○舟山康江君 是非政府の中で、この農業の役割、本当に大きいと思います。今大臣からもありましたけれども、もうこの水際対策等も、豚熱の話もあるし、人の話もあるし、物の話、植物防疫、いろいろあるわけで、あとは違法操業の問題等で漁業調整官等も多分、非常に必要ですよね。そこを考えたときに、機械的に毎年減らされるこの現状に対して、やっぱりきちっと異議を唱えて認めてもらうようにしていただきたいと思います。政府の中で大きくそこは主張いただきたいと思います。
 そして、更に厳しいのが試験研究機関、独法なんですね。午前中の質疑でも、やっぱり独法、農研機構等がしっかりと開発をするということをおっしゃっていましたけれども、この組織そのものがどんどんと効率化係数等の削減の要請の中で小さくなっているという状況です。一般管理費は対前年比三%削減しろ、業務経費は一%削減しろということ、そして施設もどんどん老朽化しているということで、これだけ大事になってきているのにもかかわらず先細っているということですから、ここについてもしっかりと見直す、効率化係数による一律の見直しというのはやめるべきだと、少し考え直すべきだということも御主張いただきたいと思います。
 まず、この独法の役割、私は、先ほど、午前中、大きいということを大臣もおっしゃっていましたので、大変大きいと思いますので、この辺、併せてどのように対応されるつもりか、お答えいただきたいと思います。

#255
○政府参考人(菱沼義久君) お答えいたします。
 農水省の国立研究開発法人、四法人ございますが、例えば農研機構につきましては、スマート農業やバイオを始め最先端の研究開発を取り組み、農業競争力の強化に貢献しております。今後とも、しっかり貢献していきたいというふうに考えております。
 そういった中で、運営費交付金でございますけれども、これは四分類ありまして、人件費、一般管理費、業務経費、あともう一つ、研究業務を強化するための経費というのがございます。この運営費交付金は、税金を活用するため、研究内容の重複といったような無駄をなくして、効率的な運営をするためから、一般管理費と業務経費については、委員御指摘のとおり、一定の削減率を用いて削減しています。
 しかしながら、そうしますと研究開発費がなかなか減ってしまうということになりますので、我々としては、毎年度、重点的な研究課題を設定するなどの研究業務を強化するための経費というのがございますので、これをしっかり要求して、全体として運営費交付金の確保に努めているということでありまして、過去五年間、大体運営費交付金はほぼ横ばいとなっております。
 そういったところで、我々、今後も、研究開発法人の設置目的に即して十分なパフォーマンスが発揮できるよう、しっかり予算を取っていきたいと考えております。

#256
○舟山康江君 是非、先ほどの組織定員要求と同時にしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 菅政権が打ち出した二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、先般見直しに着手して、来年を目指して改定予定であると聞いております。
 農林水産省地球温暖化対策計画について、具体的にどのような見直しを行っていくおつもりなのか、教えてください。

#257
○大臣政務官(熊野正士君) お答えいたします。
 二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現には、最先端のバイオ技術等を活用した資源利用、農地、森林、海洋への炭素の吸収、固定、水稲品種の開発や家畜の最適管理技術による農畜産業からのメタン等の排出削減等に向けた新たな技術開発が必要です。
 農林水産省地球温暖化対策計画の改定にあっては、現時点で農林水産現場で対応できる施設園芸におけるヒートポンプ等の省エネ機器の導入、間伐や再造林等の適切な森林整備の促進、スマート農林水産業の加速的実装によるゼロエミッション化等を推進することやイノベーションを創出するための新たな技術開発等についても検討し、カーボンニュートラルの実現を目指してまいりたいと考えてございます。

#258
○舟山康江君 ありがとうございます。
 様々な技術革新等で実現するということと併せて、やはり森林ですね、森林の役割というのは、今まで以上に大きいのかなと考えております。
 この森林・林業分野で、例えば公共建築物木材利用促進法というものができて、かなり木材利用の建物が増えてきたのかなという気がしています。
 これは木材の利用、とにかく川上から川下までの一貫した利用と併せてやっぱりこのCO2削減というところにも効果があると思いますけれども、そこはもっと売り出していくべきだと思いますし、これまでどのような成果があったのか教えていただきたいことが一点と、それから、森林環境譲与税ですね、これ総務省も今日来ていただいていますけれども、見直しについて検討するとおっしゃっていましたので、この検討状況について教えていただきたいと思います。

#259
○委員長(上月良祐君) 時間が参りましたので、答弁は簡潔にお願いいたします。

#260
○政府参考人(本郷浩二君) お答えします。
 木材の需要を拡大していくためには、公共建築物について木造化や内装の木質化を図ることが重要であると考えています。
 現在、公共建築物等木材利用促進法に基づき、政府一体となって取り組んでおるところでございまして、現在、三階以下の低層の公共建築物の木造率は平成二十二年度の一七・九%から平成三十年度の二六・五%へ上昇しております。更なる向上に様々な取組を行いたいと思っております。
 また、木材は、建築物に利用されることにより、炭素を蓄えるとともに、一般的に鉄やコンクリート等の資材に比べて製造や加工時のエネルギー使用量が少なく地球温暖化の防止に貢献しているというふうに考えておりまして、そういう点も積極的に発信して木材利用の意義を広めていきたいというふうに思っております。

#261
○委員長(上月良祐君) 同様に簡潔にお願いいたします。

#262
○政府参考人(川窪俊広君) 譲与基準の見直しにつきましては、昨年及び本年の衆参の総務委員会の附帯決議を踏まえまして、各自治体の取組状況を確認作業中でございます。確認しております。
 こうしたことを踏まえて検討してまいります。

#263
○舟山康江君 終わります。ありがとうございました。

#264
○紙智子君 日本共産党の紙智子です。
 産地から寄せられている要望に沿って、裸麦の問題と鳥インフルエンザについてお聞きします。
 まず麦ですけれども、今年は西日本では天候に恵まれて、小麦、大麦、裸麦とも二〇一九年産よりも豊作になっています。
 愛媛県は裸麦の生産量が全国一位なんです。今年は、新型コロナ感染症の拡大で、需要減少と二年連続する豊作で在庫過剰になっています。
 裸麦は播種前契約なんですけれども、販売予定数量が四千二百二十一トン、販売見込みの数量、出荷見込みというのは六千五百八十一トンということで大幅に増えています。
 契約分よりも約二千トンがオーバーしていると。過剰分の支援をすべきではないかということですが、いかがですか。

#265
○政府参考人(天羽隆君) 国内産の裸麦でございます。主に麦みその原料、さらには主食用、麦茶の原料として使用されておる実態がございます。
 委員御指摘の愛媛県の裸麦につきましては、全農によりますと、令和二年産の集荷数量、十一月末現在で六千五百八十七トン、約六千六百トンということでございます。このうち千五百二十九トン、約千五百トンが契約数量を超過するというふうに聞いておるわけでございます。
 この契約超過数量につきましては、現在、全農と精麦会社などとの間で追加契約に向けて鋭意話合いが行われているというふうに承知をしてございます。

#266
○紙智子君 追加契約というのは一二〇%までできると聞いているんですけど、そうなんですか。

#267
○政府参考人(天羽隆君) この契約には、豊作などにより事前契約数量を超える収穫があった場合には、契約上、当初の契約数量を超える一定の幅、アローアンスと呼んでおりますけれども、愛媛県の場合には二割までは実需者が引き取ることになっております。

#268
○紙智子君 麦への支援策として、畑作のこの直接支払交付金、ゲタ対策と言われているものがありますけれども、交付金は食用として販売されなければ交付されないということで、これ、追加契約してもオーバーした分というのは交付対象にならないということなんでしょうか。

#269
○政府参考人(天羽隆君) お答え申し上げます。
 裸麦への担い手経営安定法に基づく畑作物の直接支払交付金、委員御指摘のゲタ対策の支払でございます。
 考え方といたしましては、捨て作りの防止、さらには実需を伴わない生産を排除するという考えの下、実需者と事前に契約の上販売されるものがこの対策の対象となってございます。
 ただし、豊作によりまして事前契約数量を超える場合には、先ほど申し上げましたアローアンスまでは実需者が引き取るということになってございます。このアローアンスの分まではゲタ対策の交付対象となるわけでございます。
 さらに、このアローアンスを上回る収穫物につきましても、事前契約をした実需者と協議をし、当初の契約数量を変更して販売される部分につきましてはゲタ対策の交付対象となります。しかしながら、食用として契約できなかった部分はゲタ対策の交付対象とはなりません。これ、念のため申し上げますけれども、あくまでもアローアンスを上回る部分についてのことでございます。

#270
○紙智子君 だから、追加契約しても、オーバーした分は食用ということでないということになった場合はどうしたらいいんでしょうか。保管とかあるんですか。

#271
○政府参考人(天羽隆君) お答え申し上げます。
 この契約数量を超えた分につきましてどのようにしたらいいのかということは、この麦、大豆を増産していこうという考え方の下、私どもも検討を進めているところでございます。
 現在、農林水産省、全農などが、輸入麦を使用しております精麦企業、みそメーカーなどを中心に、国内産の裸麦の利用拡大に向けてヒアリングなどを通じて意向の確認を行っておるところでございます。ヒアリングなどの中では、ユーザー企業、精麦会社なりみそメーカーなどから、国内産裸麦については作柄の変動が大きく、安定供給の面で不安があるといった指摘を受けてございます。
 今後の需要の拡大に向けて、国内産裸麦を安定的に供給できる体制を整備していくことが重要であるというふうに考えております。

#272
○紙智子君 裸麦の輸入量はアメリカからの輸入というのが急増していて、平成二十七年は二千トン、二十八年は八千トン、二十九年は二万トン、三十年度は二万六千トンなんですよね。
 農林水産省、今お話があったように、麦・大豆増産プロジェクトというのを推進しているわけですけど、この国産麦の使用拡大を図るために、輸入麦から国産麦への切替え、当面、その保管用の倉庫の整備支援を求めたいと思いますけれども、いかがでしょうか、大臣。

#273
○国務大臣(野上浩太郎君) 今、輸入麦から国産麦への使用の転換あるいは保管に対する支援が必要ではないかというお話でございました。
 私も先般、御地元の、愛媛県の皆様、関係者の皆様と話をさせていただいたところでありますが、今、統括官からお話しさせていただきましたとおり、今、精麦会社ですとか、あるいはみそメーカーに対してヒアリングを行っております。そのヒアリングの中では安定供給の面で不安がある等の指摘を受けておりますので、やはりこの裸麦が安定供給できる体制を整備していくことが重要であると考えております。
 このため、令和三年度概算要求では新たな、麦、大豆の豊凶変動に対応して安定供給を行うための産地での一時保管等の支援ですとか、あるいは、国内産麦の利用拡大に向けて、新商品開発、生産者と実需者のマッチングや商談会への支援を要求しているところであります。
 また一方で、同じ裸麦でありましてもモチ性の、特性のある裸麦に対する需要ですね、例えばモチ麦入り御飯ですとかモチ麦麺ですとかシリアル等々でございますが、この需要が拡大をしてきておりますので、これまでのウルチ性の裸麦からこのモチ性の裸麦への転換も利用拡大を図る上で有効な手段と考えております。概算要求中の、中でも、水田麦・大豆産地生産性向上事業においてはこのような作付け転換への支援も検討しているところでございます。

#274
○紙智子君 麦は、転作作物としても食料自給率を向上させるためには重要な作物だというふうに思います。豊作がやっぱり喜びになって生産意欲が高まるように、しっかり支援をしていっていただきたいと思います。
 それから次に、高病原性鳥インフルエンザについて質問します。
 新型コロナウイルスの感染症が第三波という深刻な状況で対策が急がれているんですけれども、家畜の方でも高病原性鳥インフルエンザの発生が、香川県を始め福岡、それから兵庫、そして宮崎でも続発していると。これ放置できない状況になっています。
 まず、現在の発生状況と感染ルート、なぜ香川でいうと集団発生をしたのか、分析をされているでしょうか。

#275
○政府参考人(新井ゆたか君) お答え申し上げます。
 今般の高病原性鳥インフルエンザの発生につきましては、十一月五日に香川県で一例目が発生して以来、香川県内で八事例、福岡及び兵庫でそれぞれ一事例、それから本日朝には宮崎県で一事例ということで、今まで計四県で十一事例が確認をされているところでございます。
 今シーズンは、ヨーロッパの諸国、イギリス、ドイツ、オランダ等でも発生が続いているということ、それから韓国の家禽の農場でも先週末、今シーズン初めての鳥インフルエンザの発生があったということを承知しておりまして、世界的にも発生が続いているという状況でございます。
 このような中、我が国での発生につきましても、これまで北海道、鹿児島県、それから新潟県におきまして、ふん便や池の水から高病原性の鳥インフルエンザのウイルスが確認をされております。これらのウイルスについて、今までの分析によりますと、いずれもH5N8亜型でございまして、シベリアの野鳥と同じということが確認をされているところでございます。したがいまして、飛来した野鳥が感染経路となっているかということにつきましては、環境省が実施する野鳥の監視調査結果を踏まえる必要がありまして、引き続き分析を行っていきたいというふうに思っております。
 これらのウイルスが農場にどのように入ったかという、いわゆる疫学調査でございます。疫学調査チームにつきましては、発生の都度、現地に派遣をいたしまして専門家の調査をしているところでございます。これによれば、ウイルスがネズミ等の小型の野生動物の侵入から入ったということ、それから農場におきます防鳥ネットの破れ、あるいはいろいろな隙間といったところから入ってきたということ、さらには、人、物の疫学関連による伝播の可能性というのが指摘されているところでございます。
 特に、香川県三豊市の発生につきましては、一例目の発生から三キロ圏内の中で、狭いエリアで立て続けに七件ということでございまして、これにつきましては、専門家の緊急提言によりますと、防疫措置が、最後の消毒までに時間が掛かったということ、それからやはり人、物の移動、車両等も含めましたそういう移動によりまして地域内の環境ウイルスが非常に高まっていたということが指摘されているところでございます。

#276
○紙智子君 農水省の家畜衛生部会家きん疾病小委員会で、過去にない続発ということで緊急提案まとめているんですけれども、大臣、この危機感はおありでしょうか。どんなふうに受け止めていますか。

#277
○国務大臣(野上浩太郎君) やはり、今回の発生は例年、例年といいますか、これまでの発生に比べて早い時期での発生であったということがあります。それから、立て続けにもう三キロエリアあるいは十キロエリアの中で集中的に起こったということもありまして、極めて強い危機感を持って対応しております。

#278
○紙智子君 私も、香川県の状況については現地の党議員団から状況や要望を聞いています。既に百三十九万羽もの処分が行われていると。被害が出た農家はこの先どうしたらいいのか不安に押し潰されそうになっていて、被害出ていない農家も、いつ自分のところからも出るか分からず恐怖に襲われていると。
 三豊市長さんは、同じエリアで鳥インフルエンザが続発して発生する異常事態で、四国一ここ養鶏が盛んな町で、一つの町で一つの産業が危機に瀕していると、危機感を強く持っておられると聞きました。
 殺処分の現場で対応する市の職員などの精神的、体力的な負担も大きいと聞きます。感染防止のために必要な対応策は、専門家会議の緊急提案でいわゆる飼養衛生管理の徹底や消毒などについて触れられているんですけれども、それらをやっぱり被害農家に寄り添って対応することが大事だと思うんですね。
 三豊市と隣接地域だけでも養鶏場が約百二十戸あると言われております。検査を担当する家畜防疫員が四人しかいないということですし、県の担当者が限られたマンパワーでは回り切れないと、人的支援が求められているというふうに思うんですけれども、どういう対応をされているでしょうか。

#279
○政府参考人(新井ゆたか君) 今お話しいただきましたとおり、三豊市におきましては非常に短時間で発生が続いているということで、防疫作業が長期化しているという状況でございます。防疫に従事されている方々の疲労も大変なことになっているということも、私どもも承知しております。
 このような防疫対応につきましては、自衛隊の災害派遣でありますとか、他の都道府県からの職員、それから家畜改良センターの職員の派遣、私どもも、動物検疫所、それから動物医薬品検査所、農政局の職員を派遣して香川県の防疫作業に協力しているところでございます。
 それから、現地にも十一月十五日に現地対策本部を設置をいたしまして、リエゾン職員を常に派遣いたしまして、香川県や三豊市と連携しながら対応しているところでございます。特に現在は、防疫措置の完了に向けての埋却、それから緊急提言にございました地域全体の消毒を徹底していくということで、幹線道路のみならず細部の道路までの消毒につきまして、市と連携を取りながらやっているところでございます。
 それから、職員の方々の健康管理につきましては、香川県が現場に医師を配備をしているということでございまして、それに加えましてメンタルヘルスケア等の相談窓口を設置しておりまして、これにつきましても協力しながら対応していきたいと考えております。

#280
○紙智子君 現地からの訴えでいいますと、五事例目までは鳥の埋却も終わって防疫措置は完了したんだけれども、それ以降について言うと、埋却場所の選定について、地元関係住民の同意も必要なために、この場所の確保ができずに困っているという話が出ているんですね。それからさらに、鳥の処分というだけじゃなくて、ふん尿も埋却しなければならないんだけれども、これができていないと。長期にわたってきていますから疲労も出てきているということで、これは是非しっかり見届けるようにしていただきたいと思うんですよ。まだ途中の段階だということで、現場は大変だということです。
 それから、養鶏業者の不安に応える支援というのが必要だということで、発生農場から三キロ以内の移動制限区域、それから三キロメートルから十キロ以内はこれ搬出制限区域というふうに指定されているんですけれども、その解除は防疫措置の完了から三週間後となっているわけです。それで、完了の見通しがまだ立っていない中で、養鶏業者は生産されてくる卵やひなの扱いに困っていると。
 以前、宮城とか千葉で発生したときに行われて、国と県との協議によって例外規定の適用がやられていたんじゃないかと。そういう対応を是非至急行ってほしいという要望が出されているんですけれども、これについてはどうでしょうか。

#281
○政府参考人(新井ゆたか君) 移動制限区域、特に搬出制限区域は三キロから十キロということで非常に広い範囲でございます。これらの区域からの食用卵や種卵、それから初生ひなの移動につきましては、リスクに応じて判断をするということでございまして、防疫指針に定められている一定の要件を県が確認し、農林水産省が協議を受けることで、例外的に制限の対象外として出荷を認めているところでございます。
 これにつきましては、香川県三豊市以外につきましては防疫指針にのっとって適時解除をしているところでございますが、三豊市に限りましては、狭い地域で短期間に続発したという状況がございましたので、この例外協議を十一月十一日から一時停止をしていたところでございます。しかしながら、その後、家きん疾病小委員会の意見も聞いた上で十一月二十日に例外協議を開始いたしまして、これまで協議があった農場については既に例外的な出荷を認めているという状況でございます。
 引き続き、ウイルスの拡散防止に万全を期すということを前提といたしまして、経済活動への影響も最小限に抑える観点から、例外協議の仕組みを活用してまいりたいと考えております。

#282
○紙智子君 そうしますと、もう既に例外協議を行って一定の措置をとってきているということでよろしいんですか。はい、分かりました。
 それから、この後、生産者に対する補償だとか支援というのが問題になってくると思うんですけれども、この支援制度についての情報の提供ですとか丁寧な説明がないと、やっぱり被災されている農家や業者の不安というのは解消できないと思うんですね。
 それで、殺処分などへの手当金だとか、売上げの減少額とか飼料やそれから保管、輸送などへの支援、どれぐらいのものになるのかということですとか、家畜防疫互助基金、こういう事業なんかもあるんだけど、これは任意だと、それで入っていない人も結構おられるということでもあって、こういう問題についての対応策、これはどういうふうにやろうとしているんでしょうか。

#283
○国務大臣(野上浩太郎君) 今お話のありましたこの高病原性鳥インフルエンザに対する経営支援対策につきましては、一つには、家伝法に基づきまして、原則殺処分した鳥の評価額の全額が手当金として交付されるほか、移動制限や搬出制限による売上げの減少や掛かり増し経費については、これ国と県の支援で全額助成をすることが可能となっております。また、経営再開に必要な鳥の導入や飼料、営農資材の購入等に要する資金につきましては、家畜疾病経営維持資金あるいは農林漁業セーフティネット資金の活用が可能となっております。加えて、御指摘のあった家畜防疫互助事業に加入している方が新たに鳥を導入する、そして経営を再開をする場合には経営支援互助金の交付を受けることが可能となっているわけであります。
 農林水産省としましては、各都道府県に対しまして、今シーズン一例目の香川県での発生を踏まえまして、今申し上げたような経営支援対策等の周知に関する課長通知を発出したところでありまして、これを受けて香川県においても個別の養鶏農家それぞれに対して周知を行ったところであります。
 引き続き、香川県とも連携をしながら、養鶏農家の方々が安心して養鶏業に従事できるように対応してまいりたいと考えております。

#284
○紙智子君 今いろいろと支援の中身言われていて、やっぱり現地全然分からないので、それをきちっと徹底するということが安心につながると思うんです。
 それと、最後にちょっと言いましたけど、互助基金のこの制度ってあるんだけど、やっぱり任意なので入れていない人たちがいて、そういう場合、入りやすくするだとか、そういったこともアピールしてやっていただく必要があるんじゃないかと思うんですけれども、この辺、最後、もう一言だけお願いします。

#285
○政府参考人(新井ゆたか君) 互助基金につきましては、農家ベースで六割強、それから羽数で考えますと大体八割程度の方が御加入いただいております。しかしながら、全員というわけではございません。これにつきましては、随時加入の制度でございますので、私ども、このシーズンになりますと、養鶏協会とともに、しっかり加入していただくことということでPRしているところでございます。
 そのように、やはり備えをしていただくということが一番必要でございますので、そういう意味では、今も加入できるということでございますので、そこについてはしっかり皆さんに周知をしていきたいと思っております。

#286
○委員長(上月良祐君) 時間が参っております。

#287
○紙智子君 時間になりましたので終わります。
 ありがとうございました。

#288
○須藤元気君 須藤元気です。種苗法に引き続き、質問をさせていただきます。一日二回の質問ということで脳みそが少しオーバーワークぎみですが、頑張っていきたいと思います。
 今日は水産業について幾つか質問をさせていただきます。
 先日も言いましたが、私は元気な魚屋さんという魚屋兼飲み屋を営んでおります。そういうこともありまして、有機農業と同じく水産業も盛り上げていきたいと考えています。
 まずは、違法操業と資源管理についてお聞きします。
 一昨年の臨時国会において七十年ぶりとなる漁業法の抜本改正が行われました。ちょうど本日、十二月一日にこの改正漁業法が施行され、漁獲可能量、TACによる管理が原則となります。現在、TACによる資源管理の対象は八魚種となっており、漁獲量全体の六割がカバーされていますが、政府はこれを八割まで拡大することを目標にしています。
 TACによる管理の対象魚種にはクロマグロのように国際的な機関で各国・地域の漁獲可能量を決めて資源管理を行っている魚種もあります。一方で、日本近海における外国漁船の違法操業、IUU漁業が問題になっているスルメイカのような魚種もあります。スルメイカについては、我が国の排他的経済水域内にある日本海の大和堆において、近年、違法操業を目的に水域へ侵入しようとする中国や北朝鮮の漁船が確認されており、水産庁や海上保安庁が放水等を行って退去させています。今年の九月末には、後に一部解除はされたものの、水産庁が漁船の安全を確保するという目的で大和堆の西部海域における操業自粛を求めるという事態も起きています。
 このように、外国漁船の違法操業が相次ぐ中で、日本の漁師さんたちが真面目に操業し、TACによる管理を行ったとしても、改正漁業法の目標である最大持続生産量を実現させることが果たして可能でしょうか。今日から新しい制度が始まることを踏まえ、改めて違法操業に対する実効性のある対応がなされ、資源を守ることを確実なものにしていくべきだと考えますが、農林水産省の見解を伺います。

#289
○政府参考人(山口英彰君) お答え申し上げます。
 今先生からも御指摘がございましたように、新しい資源管理制度がこれから始まるわけでございます。我が国漁業者には資源管理への協力をお願いすることになりますが、水産資源の維持、回復を図る上で大和堆周辺水域における外国漁船等による違法操業は問題であると考えております。
 水産庁といたしましては、本年三月に新造の大型漁業取締り船二隻を就航させ、イカ釣り漁業の漁期が始まる前の五月からこれら二隻を含め大和堆周辺水域に漁業取締り船を重点配備しております。また、漁業取締り船と巡視船との配置の見直しなどを行い、海上保安庁との連携強化を図っているところであります。
 このような大和堆周辺水域における外国漁船等に対する取締りにより、本年、水産庁は、十一月三十日までで延べ四千百七十八隻の外国漁船等に退去警告を実施しており、そのほとんどが中国漁船でございました。
 今後は、令和三年度中に新たに二隻の大型漁業取締り船を就航させ、取締り能力を強化するとともに、海上保安庁との一層の連携の強化を図り、漁業者の皆様に安全に操業していただけるよう万全を期していく考えでございます。

#290
○須藤元気君 ありがとうございます。
 正直、この違法操業に対する実効性のある対応というのは難しいのは分かります、外国船なので。そういった中で、日本の漁師さんたちをしっかりと守っていただきたいと思います。
 現在、資源管理に取り組む漁業者の経営安定を図るため、漁業者と国が積立金を積み立て、基準収入の九割を下回った場合にその分を補填する積立ぷらすが予算措置として行われています。今年は、不漁に加え、新型コロナウイルスによる外食需要の減少で多くの魚の値段が下がっています。上半期における漁業共済と積立ぷらすの支払総額が、これまでの過去最高だった去年の一・五倍にもなっています。これに加え、今後、最大持続生産量を達成するために、漁獲量ですか、抑制が必要となれば漁師さんたちの収入が更に減少することにつながりかねません。
 先月、宮城県の気仙沼、石巻、塩竈へ視察に行ってまいりました。漁業者の方からお話伺ってきましたが、収入減少への不安と所得保障の充実を求める声が多くありました。
 漁師さんたちは経営も厳しく、制度も厳しい状況にあります。速やかに機能強化と法制化を行い、漁業者の不安を払拭し、安心して漁業に取り組める環境をつくることは国の重要な使命だと考えますが、野上大臣の御見解をお伺いします。

#291
○国務大臣(野上浩太郎君) 今先生御指摘のとおり、今、新型コロナウイルスの影響ですとか、あるいは不漁等々もあって、漁業者の皆様の経営状況、大変厳しい状況にある中で、この積立ぷらすのセーフティーネットとしての役割というのはこれまで以上に大きなものになってきていると考えております。
 このコロナの影響等がその多くの事業者の経営に及んでいる現状におきましては、まずはその経営安定を図ることが急務であることから、制度の見直しに優先をして、第一次補正予算による財政支援など、漁業収入安定対策による今対応を行っているところであります。
 このため、コロナ等々の感染の影響を見ながら、まずは事業者の経営安定のためにしっかりと取り組んで、その影響を見極めつつ対応してまいりたいというふうに考えております。

#292
○須藤元気君 今後、新型コロナウイルスがどうなっていくか分からないので、万が一に備え、漁師さんたちを、保障をしっかり守っていただければと思います。
 次に、魚食の普及に向けた方策について伺います。
 世界の魚介類の消費量は過去半世紀で二倍と増えていますが、一方で日本は、二〇〇一年度には消費量が四十・二キロあったところ、昨年、二〇一九年度には二十三・八キログラムまでに減っております。中ぐらいのアジですと、百匹ぐらいですか、年間。世界は上昇傾向にあるのにもかかわらず、日本の消費量がここまで減少傾向にあるのはなぜでしょうか。
 本年三月の農林水産省の調査の中に、肉類と魚介類のどちらをよく購入するかという設問がありました。その中で、魚介類をよく購入するという人にその理由を聞くと、健康に配慮したからが七六%、魚介類の方がおいしいから、五二%となっており、健康志向がうかがえます。
 一方で、魚介類を余り購入しないという人にその理由を聞くと、肉類を家族が求めるからが四六%、魚介類は価格が高いからが四二%、魚介類は調理が面倒だからが三八%となっており、そのほかに、肉類の方がおいしい、食べたい魚介類が売っていない、魚介類の調理方法を知らないなどがあります。魚屋の店主としても、なるほどと思いました。
 確かに、私の周りでも肉を好きな人が多くて、二十九日は肉会というのをやったりとかしております。また、共働き世帯、単身世帯、高齢者世帯が増えると、手間と時間の掛かるこの魚介類の調理が難しくなることも理解できます。
 このような情勢を踏まえ、水産庁はファストフィッシュという取組を行い、魚介類を手軽においしく食べられる商品や食べ方を募集し、広めています。お配りした資料にいろいろとこのファストフィッシュの商品が並んでいるんですが、例えば四番のきざみあかもくスタンドパックとか、たたきめかぶスタンドパック、アカモクとかメカブって結構とろっとしているので、お皿に移すときに結構難しいんですよね、量を取るのとか。しかし、スパウトチューブなので、すごく衛生面もいいですし、食べたいときに食べたい分だけ使えるというので、これはいいアイデアだなと思いました。
 アイデアといえば、あと、ニューヨークのマンハッタンで博多料理店がめんたいこを売ろうとしたときの話があるんですが、アメリカ人は基本的に生の魚は食べません、食べる習慣がありません。ですので、メニューに生ダラの卵と書いたときは気持ち悪がられて全然売れなかったそうです。そこで、どうやって売ろうかと考えたところ、多くのニューヨーカーがフランス料理をリスペクトする傾向が強いということに気付いて、そのめんたいこのネーミングを博多スパイシーキャビアって変更したら、すごく売れたらしいです。
 ですから、同じものでもやはり視点を変えるだけで魅力的になったり、逆にこの魅力が半減してしまうこともあります。
 ですから、このファストフィッシュのような取組をもっとゲーム性を高くして推進していくことにより、これまでと違う日本の魚の価値が生まれるのではないかなと考える次第です。
 そして、あとは、やはりおいしいお魚料理を食べた経験が次にまた食べたいという原動力になります。まずは、日々の食卓においしい魚介類が上ることは重要だと考えます。よくウニが苦手だという方いますけれども、あれ多分、恐らく小さい頃にミョウバンたっぷりで古くなったウニを食べたからだと思うんですよね、ミョウバンの味がする。でも、新鮮な特に塩水ウニとか、あれ物すごくおいしいですよね、済みません、この新鮮でおいしいものを届けるということは重要だということです。
 そして、もう一つ、やはり調理することの楽しさを知ってもらえたらと思います。私は、自分のお店、夜立つことほとんどないんですが、魚さばくことが好きなので、国会に来る前、魚屋に寄って仕込みだけやってくるときがあります。もちろん、今日は仕込みやっていないんですけれども。国民の皆さんもこの新型コロナの対策として、在宅時間が増えて家族で料理する機会が増えていると聞きます。これを機に魚をさばくところから始めようということをもっと呼びかけていきたいと思います。特に子供たちに親しんでもらいたいと思います。小学校、中学校の子供たちにもこの魚をさばくこと、料理すること、そんな楽しい経験をさせてあげる機会を設けられたらいいなと思っています。
 ちょっと話長くなりましたが、もっと皆さんにお魚を食べてもらうため、将来を担う子供たちへのアプローチを含め、どんな方策を講じていく方針か、お伺いいたします。

#293
○政府参考人(山口英彰君) お答え申し上げます。
 今、先生の方からお魚の消費が減ってきている原因、特に肉類との関係において、肉類の方を家族が求める場合が多いとか、魚介類の価格の高さとか、調理が面倒であると、こういったことが御指摘していただきました。また一方で、魚のそういう提供の仕方、又はそのネーミング、さらには、おいしいものを子供の頃から食べて、それを、味を覚えていくことがこの魚の消費につながるのではないかという大変有意義な御示唆をいただいたところでございます。
 こういった思いも受けながら、水産庁といたしましては、現在、この国産水産物の消費を拡大する取組といたしましては、全国最大級の魚の祭典でございますFish―1グランプリ、これを毎年秋に開催しているところでございます。その中では、漁師自慢のプライドフィッシュの料理コンテストや、手軽に水産物を食べられる、今御指摘がございました、資料にございましたファストフィッシュの商品コンテストや、さらに、お子さん向けにさかなクンのステージ、ここに、これでクイズやトークショーなどを行っていただいて、一般消費者が魚に触れる機会の創出を行っております。
 また、学校給食で魚介類を出していただくことが重要でございますので、その国産水産物の利用を促進するノウハウを提供するこの学校給食関係者に、そういう料理の仕方等を提供する魚食普及セミナー等を開催させていただいております。
 また、民間の取組といたしましては、JF、全漁連が料理教室を全国展開する業者と連携いたしまして、魚の調理方法、これをSNSのライブで配信したり、レシピブックや小学生向けの副教材を作ったりしておられます。また、大日本水産会が行う子供向けの出前授業、おさかな学習会、ここでは、料理教室やお魚に触ってみるとか、こういう体験学習もやっているところでございます。
 このようないろいろ取組を行っているところでございますが、国産水産物の消費拡大に向けて引き続き努力してまいりたいと考えております。

#294
○須藤元気君 ありがとうございます。
 今、Fish―1グランプリ、プライドフィッシュと聞きましたけれども、恐らく水産庁で格闘家、格闘ファンがいるのかなと思いました。PRIDEやK―1グランプリと一緒だなとちょっと思ったわけですけれども、是非、イベントがあるときはステージでもリングでも造っていただいて、私と馳浩先生がちょっとエキシビションマッチでもやらさせていただきますので、よろしくお願いします。
 さて、次は水産エコラベルについてお伺いします。
 近年、様々な分野において持続可能性が注目されています。水産業においても、生態系や資源の持続性に配慮した方法で漁獲、生産された水産物に対して商品にラベルを表示する水産エコラベルの取組が国内外で進んでいます。我が国で活用されている主な水産エコラベルは、日本発の漁業、養殖業を認証するMEL、養殖認証でMELと統合予定のAEL、英国発の漁業認証MSC、オランダ発の養殖認証ASCと、AKBグループのようにたくさんあります。
 農林水産省が本年三月に公表した調査結果を見ると、この水産エコラベルの認証取得が大きく広がっていくのは正直難しいのかなと思いました。
 この調査結果によりますと、認証を取る意向があるのは漁業者の約二四%、流通加工業者の約三六%にとどまっており、取らない理由について、必要性がない、取得しても売上げが向上するとは思わない、手続が面倒、取得してもイメージが向上するとは思わないなどと厳しい意見が多くなっています。私が視察した気仙沼の水産加工業の方からも、取得しても売上げが上がるわけではないとおっしゃっていたのを覚えています。また、消費者においても認知度が約一二%とかなり低いです。せめて、この有機JASぐらいまで行けばいいなというふうに思うわけですが。
 また、取得費用について見ると、MSCやASCは数百万円掛かります。MELは数十万円から数百万円、この認証を維持するためには毎年の審査が必要であるほか、ロゴの使用にもお金が掛かります。こうした調査結果や取得費用を踏まえると、いろいろと難しい点があります。
 そこで、水産エコラベルの取得状況と費用の水準、消費者側の認識について、農林水産省としてどのような認識を持っているのか、お伺いします。

#295
○政府参考人(山口英彰君) 近年、水産資源管理に対する国際的な関心の高まりによりまして、資源の持続的利用や環境配慮への取組を証明する水産エコラベルの重要性が増しているところでございます。
 今先生の方から御紹介がございましたように、日本が作ったエコラベルとしましてはMEL、また、海外のエコラベルとしてはMSC、ASCがございます。
 認証の取得や維持のために必要な費用は各スキームで異なりまして、農業等における認証制度と同様に、認証の審査に伴う経費として事業者に一定の負担をしていただく、更に、この認証を継続するに当たっての経費等についても負担いただくことは委員御指摘のとおりでございます。
 そのような中にあって、他商品との差別化を図るための理由等によりまして、令和元年度以降、これらの生産段階の認証の件数は増えてきております。令和元年度以降では三十二件増加するなど、事業者の関心は高まってきている状況にあると考えておりますが、認証の件数そのものについてはまだ少なく、また、特にMELにつきましては、海外市場における知名度を含め、今後の普及が課題であると認識しております。
 さらに、消費者の認識につきましても、先生の方から御紹介がございましたように、その水産エコラベルの内容を知っている方は約一二%と低い状況でございます。一方で、約八割の消費者の方は水産エコラベルを選択的に購入する意思があると答えておられますので、国内に流通する商品数を増加させ、消費者の目に触れさせていくことが重要であると考えております。

#296
○須藤元気君 水産エコラベル、是非期待していますので、積極的に推進してください。
 今日は魚のお話がメーンとなりましたが、是非、先生方、今日は晩御飯、お魚を食べていただければと思います。ちなみに私のお店は営業中ですので。そんたくできるか分かりませんが、是非、頑張らさせていただきます。
 どうもありがとうございました。

#297
○委員長(上月良祐君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
    ─────────────

#298
○委員長(上月良祐君) 次に、特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。野上農林水産大臣。

#299
○国務大臣(野上浩太郎君) 特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 我が国において、違法に採捕された水産動植物が流通することにより、国内の水産資源が減少し、適正に操業を行う漁業者等の経営に影響を及ぼすおそれがあります。また、国際的には、違法、無報告、無規制漁業、いわゆるIUU漁業への対策として、海外で違法に採捕された水産動植物等の輸入を規制する必要性が高まっております。
 こうした状況を踏まえ、特定の水産動植物等について、違法に漁獲された水産動植物の流通を防ぐための取扱事業者間における情報の伝達、取引記録の作成及び保存、輸出入に際する証明書の添付等の措置を講ずることにより、違法な漁業の抑止及び水産資源の持続的な利用に寄与するため、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、特定の水産動植物等の国内流通の適正化のための措置であります。
 国内において違法かつ過剰な採捕が行われるおそれが大きいものであって、その資源の保存及び管理を図ることが特に必要と認められる水産動植物を特定第一種水産動植物として定めることとしております。
 次に、特定第一種水産動植物の採捕者やその採捕者が所属する団体は、あらかじめ、その採捕の事業が適法に行われるものである旨を農林水産大臣に届けなければならないこととしております。
 また、特定第一種水産動植物の採捕者や、その譲渡しを行う事業者等は、取引に関する情報の伝達、取引の記録の作成及び保存等をしなければならないこととしております。
 このほか、特定第一種水産動植物及びその加工品を輸出する事業者は、国が発行する適法に採捕されたものである旨を証する証明書を添付しなければ輸出してはならないこととしております。
 第二に、特定の水産動植物等の輸入の適正化のための措置であります。
 我が国に輸入される水産動植物のうち、外国において違法な採捕が行われるおそれが大きいと認められる等、国際的な水産資源の保存及び管理を必要とする事由により輸入の規制に関する措置を講ずることが必要と認められるものを特定第二種水産動植物として定めることとしております。
 そして、特定第二種水産動植物及びその加工品については、適法に採捕されたものである旨を証する外国の政府機関により発行された証明書等がなければ輸入してはならないこととしております。
 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

#300
○委員長(上月良祐君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時七分散会
ソース: 国立国会図書館
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