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2020/12/02 第203回国会 衆議院 第203回国会 衆議院 科学技術・イノベーション推進特別委員会 第3号 令和2年12月2日
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2020/12/02 第203回国会 衆議院

第203回国会 衆議院 科学技術・イノベーション推進特別委員会 第3号 令和2年12月2日

#1
令和二年十二月二日(水曜日)
    午前九時三十分開議
 出席委員
   委員長 田嶋  要君
   理事 石川 昭政君 理事 関  芳弘君
   理事 西村 明宏君 理事 松島みどり君
   理事 八木 哲也君 理事 津村 啓介君
   理事 緑川 貴士君 理事 濱村  進君
      井林 辰憲君    今村 雅弘君
      小渕 優子君    尾身 朝子君
      大岡 敏孝君    金子 俊平君
      小泉 龍司君    杉田 水脈君
      田畑 裕明君    高木  啓君
      竹本 直一君    出畑  実君
      渡海紀三朗君    中曽根康隆君
      中村 裕之君    中山 展宏君
      馳   浩君    宮下 一郎君
      簗  和生君    岡本 充功君
      吉良 州司君    城井  崇君
      末松 義規君    中川 正春君
      山岡 達丸君    太田 昌孝君
      岡本 三成君    畑野 君枝君
      青山 雅幸君    高井 崇志君
    …………………………………
   国務大臣
   (情報通信技術(IT)政策担当)         平井 卓也君
   国務大臣
   (知的財産戦略担当)
   (科学技術政策担当)
   (宇宙政策担当)     井上 信治君
   文部科学副大臣      高橋ひなこ君
   厚生労働大臣政務官    こやり隆史君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  時澤  忠君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  渡辺その子君
   政府参考人
   (内閣府大臣官房総合政策推進室長)        三上 明輝君
   政府参考人
   (内閣府政策統括官)   柳   孝君
   政府参考人
   (内閣府知的財産戦略推進事務局長)        田中 茂明君
   政府参考人
   (内閣府日本学術会議事務局長)          福井 仁史君
   政府参考人
   (金融庁総合政策局参事官)            田原 泰雅君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議官)           川中 文治君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議官)           塩崎 正晴君
   政府参考人
   (文部科学省科学技術・学術政策局科学技術・学術総括官)          合田 哲雄君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議官)           間 隆一郎君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議官)           山本  史君
   政府参考人
   (気象庁長官)      関田 康雄君
   衆議院調査局科学技術・イノベーション推進特別調査室長           吉田 郁子君
    ―――――――――――――
委員の異動
十二月二日
 辞任         補欠選任
  大岡 敏孝君     中曽根康隆君
  竹本 直一君     金子 俊平君
  宮下 一郎君     高木  啓君
  岡本 三成君     太田 昌孝君
同日
 辞任         補欠選任
  金子 俊平君     竹本 直一君
  高木  啓君     宮下 一郎君
  中曽根康隆君     大岡 敏孝君
  太田 昌孝君     岡本 三成君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 科学技術、イノベーション推進の総合的な対策に関する件
     ――――◇―――――

#2
○田嶋委員長 これより会議を開きます。
 科学技術、イノベーション推進の総合的な対策に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官時澤忠君、内閣官房内閣審議官渡辺その子君、内閣府大臣官房総合政策推進室長三上明輝君、内閣府政策統括官柳孝君、内閣府知的財産戦略推進事務局長田中茂明君、内閣府日本学術会議事務局長福井仁史君、金融庁総合政策局参事官田原泰雅君、文部科学省大臣官房審議官川中文治君、文部科学省大臣官房審議官塩崎正晴君、文部科学省科学技術・学術政策局科学技術・学術総括官合田哲雄君、厚生労働省大臣官房審議官間隆一郎君、厚生労働省大臣官房審議官山本史君、気象庁長官関田康雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#3
○田嶋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――

#4
○田嶋委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中村裕之君。

#5
○中村(裕)委員 おはようございます。自由民主党の中村裕之です。
 科学技術・イノベーションを推進するということは、我が国が将来何で食っていくか、日本の世界における地位をしっかりとしたものにする上で非常に重要なテーマだというふうに思っております。
 その上で、この委員会での質疑は初めてということですので、この質問の機会をいただいたことに感謝を申し上げ、質問をさせていただきたいと思います。
 私、党内で、若手で、日本の未来を考える勉強会という議員連盟を活動しておりますけれども、その議員連盟で、先般、現役の大学院生を中心とした学生さんとの意見交換の機会をいただきました。代表の山岸さんという方は、フランスに大学で留学をして、そして日本の大学院に戻ってきて、大学院生という方でありまして、フランスでは、違う学校との研究交流ですとか研究機関とのいろいろな研究内容の共有ですとか、そうしたことが非常に活発に行われていたにもかかわらず、日本に戻ってくると、大学の壁を越えた、そうした情報交換などがなかなかしづらいというようなお話をされておりました。学校の姿勢や教授の考え方にもよるかもしれませんが、明らかにフランスとはそういった環境が違うというお話をされていたところであります。
 そうした中で、ことしは、新型コロナウイルス感染症拡大の関係で、研究室に行けないという期間があって、リモートでの研究室とのやりとりですとか、そうしたことが常態化をしてきたわけでありまして、ある意味、このことが、研究のデジタルトランスフォーメーション化ですとかリモート化ですとか、そうしたこと、新しい環境のもとでの研究、そして距離や時間軸を超えた世界との研究内容の共有や情報収集、また共同研究などにつながる、新しい、いいきっかけになるのではないかと私は考えております。
 その意味で、この研究分野におけるポストコロナ社会においての研究のデジタルトランスフォーメーション化を強力に推進する必要があると思いますけれども、井上大臣とそれから文部科学省にも、考え方、取組についてお伺いしたいと思います。

#6
○井上国務大臣 中村委員御指摘のとおり、ポストコロナにおいて、世界的に研究のデジタルトランスフォーメーションが進む中、多様な研究データの収集、共有、利活用を戦略的に進め、新たな知見の創出へと結びつけていくことがより一層重要になると認識しております。
 こうした状況を踏まえ、関係各省と連携して、公的資金による研究データの管理、利活用に関する政府としての基本的な考え方等の検討、戦略性を持って研究データの保存、共有、検索等を行うための研究データ基盤システムの二〇二〇年度本格運用の開始、ムーンショット型研究開発制度における先進的な研究データのマネジメントの導入、欧州、G7等との国際的な連携等を進めております。
 今後、研究データの戦略的なマネジメントを行うことによって、国内外における知識の共有を図るとともに、AIを活用してデータ解析を行う研究等を加速し、高付加価値な研究結果の創出を促進してまいります。

#7
○高橋副大臣 委員御指摘のとおり、ポストコロナ社会においては、研究のデジタルトランスフォーメーションを推進し、新たな科学的手法の発展や、魅力的な研究環境の構築、生産性の向上を図ることが重要です。
 そのため、文部科学省では、第一に、時間や距離に縛られず研究を遂行できるような研究施設、設備のリモート化、スマート化を推進してまいります。第二に、マテリアル分野やライフサイエンス分野を中心とした高品質な研究データの収集、共有と、先導的なAI・データ駆動型研究を加速してまいります。第三に、これらの取組を全国規模で支える次世代情報インフラとして、学術情報ネットワーク、SINETや、スパコン「富岳」を始めとした高性能計算資源の整備拡充に努めてまいります。
 以上、三点についてしっかり取り組んでまいります。

#8
○中村(裕)委員 戦略的マネジメントの導入ですとか、「富岳」などを活用した、そうしたシステムということで、しっかりこういったデジタルトランスフォーメーションを進めていただければと思います。
 先ほど申し上げた学生の山岸さんという方ですけれども、日本の若手研究者の環境の悪さを非常に感じているということで、彼女の書いた一文をちょっと紹介しますが、日本の研究者を取り巻く劣悪な環境、待遇と、社会的地位の低さは問題視され続けています、こういった書き出しで、問題提起をされています。
 実際に、大学院で教授のもとにいますと、とにかく競争的資金の確保を、耳にたこができるくらい、非常にそれを求められているということで、自分が実際に研究をしたい分野について没頭して研究できるような環境にないということをおっしゃっておりましたし、加えて、フランスでは、大学院生も含めて、年間数十ユーロで全ての学校に納めるお金は済むわけですけれども、日本ではやはり、学費も高ければ、大学院生としてもなかなかアルバイトもできないし、ポスドクになってもなかなか収入面で恵まれない、そうしたいろいろな環境の悪さが、非常にフランスと比較して日本では劣悪だという言葉を使っているところでありまして、こうした状況では、なかなかすばらしい科学技術やイノベーションが生まれてこないのではないかということを危惧しているところであります。
 それで、文部科学省では、創発的研究支援事業というのを始められました。このことについてお伺いしたいわけですけれども、本当に時代の変化が激しくて、不確実性が高い時代を迎えていて、もうどんどんと時代が変わっていくという状況の中で、ソサエティー五・〇という時代も迎えるわけでありまして、こうした中で、やはり若手研究者が腰を落ちつけて研究に専念できる環境が必要であります。
 文部科学省で今年度から開始をしている創発的研究支援事業というのは、総額五百億円が令和元年度の補正予算で措置されておりますけれども、七百人程度に年間七百万円程度を想定して、破壊的なイノベーションの創出をする研究者を支援するという事業だと聞いております。多くの研究者が腰を落ちつけて研究に専念できる環境を創出することが非常に重要でありまして、この事業の成果というのは、先々になりますけれども、大いに楽しみだというふうに感じています。
 先ほどの山岸さんのお話からするとしても、この事業に期待する面が大きいわけですけれども、この事業についての文部科学省の見解をお伺いしたいと思います。

#9
○塩崎政府参考人 お答えいたします。
 我が国が将来にわたってノーベル賞級のインパクトをもたらす研究成果を創出し続けるためには、研究者がしっかりと腰を据えて、自由で挑戦的な研究に打ち込める環境が必要と認識してございます。
 このため、文部科学省におきましては、令和元年度補正予算におきまして五百億円の基金を造成しまして、若手を中心とした研究者の挑戦的、融合的な研究を、研究に専念できる環境を確保しつつ、最長十年間にわたり支援をする創発的研究支援事業を創設したところでございます。
 本事業におきましては、今年度から令和四年度まで計三回の公募を予定しておりますけれども、先般実施しました第一回公募におきましては、多くの研究提案が寄せられ、全国の研究者からも強い関心、ニーズがあったと考えてございます。
 こうした状況、また委員の御指摘を踏まえまして、若手を中心とします多様な研究者の潜在能力を最大限に引き出しまして、我が国の基礎研究力の底上げを図れるよう、事業の着実な推進と充実に努めてまいりたいと思います。

#10
○中村(裕)委員 研究に専念できる環境をつくる意味で非常にいい事業だと思いますし、研究者からも期待されていると思うんですが、多くの研究者から多様な申請があったということですけれども、大体何件の募集に対して何件ぐらいあったとか、そういったところはお答えできるでしょうか。

#11
○塩崎政府参考人 お答え申し上げます。
 現在、第一回目の公募ではおおむね二百人程度を採択する予定でございますけれども、そこに二千五百人以上の応募があったということでございます。

#12
○中村(裕)委員 ただいまの数字を見ても、二千五百件以上の応募があったということですから、この事業に期待を寄せる研究者も非常に多いということがわかりますし、こうした腰を落ちつけて研究できる環境というのは多くの研究者が求めていることも、これは確かだと思います。
 こうした事業については、文部科学省としても更に努力をして、多くの予算を確保して、この二千五百人の中でできるだけ多くの研究者にこの事業に当たっていただけるような努力をしていただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 続いて、若手研究者の支援の関係ですけれども、研究者の卵である博士後期課程学生への支援も重要であります。
 優秀な学生が研究者を志さなければ、将来のイノベーションの担い手が枯渇をしてしまいます。また、今大学にいらっしゃる若い研究者の方々が、十年後、助教、二十年後、教授となっていく世代ですけれども、そうした方々がどんどん劣悪な環境のもとで大学を離れていくと、教授のなり手もどんどん減っていくことになります。
 そういった危惧がある中で、やはりこの博士後期課程学生というのは将来を担う方々ですから、将来への投資という意味で我が国としてしっかり取り組むべきであって、そこには、ハーバード大学の四・五兆円、エール大学が三・三兆円の基金を持っているように、日本もこうした基金を創設して、ファンドですね、ファンドを創設していく必要があると思います。
 日本のこうした世界に伍する規模のファンド創設に関して、井上大臣のお考え、また取組をお伺いしたいと思います。

#13
○井上国務大臣 科学技術立国である日本の未来は、研究の担い手である博士後期課程学生を含む若手研究者にかかっております。しかし、我が国の博士課程進学率は大きく減少し、主要国の中で唯一、博士号取得者が減っている状況です。若手研究者、特に博士後期課程学生の抜本的な処遇改善が必要と認識しています。
 世界の主要な大学では、大規模基金を保持し、その運用益を学生の奨学金に充当するなど、優秀な学生確保や研究環境整備に対し手厚い支援を行っております。一方、日本の大学の資金規模は、米国などの大学と比べ圧倒的に小さく、その格差が拡大傾向にあります。
 こうした現状を打破するために、本年七月に閣議決定された骨太の方針に沿って、関係省庁と連携し、世界に伍する規模のファンドの創設に向けて検討しております。
 ファンドの創設などを通じて、博士後期課程学生を含む若手研究者の支援など、将来の研究基盤の強化にしっかり取り組んでまいります。

#14
○中村(裕)委員 大臣、ありがとうございます。
 本当に大学の経営も大変な状況だと思います。二〇〇四年に法人改革ということで国立大学が国立大学法人に移行してから、運営費交付金が一千五百億近く減額をされているという状況です。
 この運営費交付金というのは基本的に人件費がほとんどですので、それだけ研究者の方々の処遇や人数、そういったところに影響があるんだと思います。
 今、競争的資金を確保するように政府が大学法人に求めていて、成果を上げることを大学に求めている関係で、どうしても目の前に成果が出そうなところに行ってしまう。また、目の前に成果がすぐあらわれないような研究分野にはなかなか研究者が取り組めないし、まして民間企業は、成果がいつあらわれるかわからないものにはなかなか資金を出さないわけでありまして、こうしたところが大きな研究開発の隘路になっているんじゃないかと私は思っています。
 しっかり、日本人は勤勉ですので、また知的欲求も高いですから、自分がテーマとして真実を追求するということに関しては大きな力を発揮できると思っていますが、そういった環境をまた我々が一生懸命つくっていく必要があると思いますので、井上大臣また文部科学省の皆さんと力を合わせてつくっていければと思います。
 最近、新型コロナウイルス感染症の関係では、エアゾールとか、飛沫のシミュレーションが随分「富岳」を使ってされていまして、タクシーの中でどうだとか飛行機の中でどうだとかというのがテレビで見られるようになりました。
 「富岳」というのは、やはりソサエティー五・〇社会の基盤となる大きな技術であるとともに、十一月十七日には二度目の四部門世界一という快挙をなし遂げましたので、日本のスーパーコンピューターを組成する技術力の高さが世界に証明できたというふうに思っているわけですけれども、一方で、何か、グーグルが量子コンピューターで、当時のスーパーコンピューターで一万年かかる計算を二百秒で実行したという話が出てきたわけです。
 量子コンピューターのそこだけ見るとすごいなというふうに思っていまして、何かスーパーコンピューターは無用の長物にならないのかという心配をしているところですけれども、量子コンピューターの特徴、また、スーパーコンピューターの今の「富岳」の特徴、また、それらの認識を伺うとともに、スーパーコンピューターの必要性についてお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

#15
○塩崎政府参考人 お答え申し上げます。
 スーパーコンピューターは、我が国の大学、研究機関を始め産業界にも導入されている計算基盤としまして、健康、医療や気象、防災など、さまざまな分野への展開が確立されているとともに、米国、中国、欧州におきましても、スーパーコンピューター開発に巨額の投資が行われているというところでございます。
 他方、量子コンピューターは、組合せ最適化問題を始めとする特定のタスクに大きな強みを発揮すると考えられてございます。昨年グーグルから発表されました量子超越性は、量子コンピューターの発展にとって重要なマイルストーンと承知してございます。
 一方で、実社会問題の解決に用いることができる汎用型の量子コンピューターを実現するためにはある程度の期間を要するとともに、量子コンピューターの発展後も、従来のコンピューターと相補的に利活用されていくものと認識してございます。
 文科省におきましては、我が国の中長期的な計算基盤につきまして、スーパーコンピューターのみならず、量子コンピューターやネットワーク、データ処理環境を含めた将来のあるべき全体像を検討すべく、科学技術・学術審議会のもとに有識者会議を設けておりまして、一昨日も活発な議論がなされたところでございます。こうした有識者の意見を踏まえつつ、計算基盤の将来像について引き続き検討を進めていきたいと思ってございます。

#16
○中村(裕)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、量子コンピューターの開発にもまだしばらくかかるし、汎用性の高さでいうとスーパーコンピューターにはかなわないということですので、しっかり運用していただきますとともに、一千百億円の開発費のうち三百億円余りがまだ未払いになっているようですから、世界一のものをそういうみっともない状況に置いておかないようにお願いをしまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございます。

#17
○田嶋委員長 次に、濱村進君。

#18
○濱村委員 公明党の濱村進でございます。
 早速質問に入らせていただきますが、今、与党としては与党税調で税について議論をしておりますが、その中で、実は、財務省さんから出てきた資料の中で、民間企業における研究開発支出について、国際的に見ても非常に高い水準を維持していることが示されるデータが提示されました。
 これは文科省の科学技術指標二〇二〇をもとに提示されたわけですけれども、民間企業の研究開発費の対GDP比率につきまして、二・六〇%という水準である。これがどんなものかというと、実は韓国が三・六四%でございまして、世界トップ、これに次いで日本は二位ということでございます。
 一方で、政府の研究開発費の負担割合、これは研究開発費全体に対して政府がどれだけ負担しているかという割合でございますけれども、日本は一五・四一%なんですね。これは世界的に見ればどうなるかというと、フランスが三四・五九%という数字でトップ、これは、私の手元にあったのは古い数字なので、今ちょっと変わっているかもしれませんが。主要国の中でも日本だけが二割を切っているというような状況でございます。
 私は、科学技術立国であるとか、今後、成長戦略の柱であり、土台、基盤となるそうした研究開発については、もっともっと政府が支出、投資を主導していっていただきたいというふうに思っておりますけれども、井上大臣の御所見をお伺いいたします。

#19
○井上国務大臣 濱村委員御指摘のとおり、我が国の研究開発費の政府負担割合が諸外国に比べて低いのは事実でありますけれども、官民の負担割合はどのくらいが適切なのか、一概に申し上げるのは困難と考えています。
 政府は、学術研究や基礎研究を支え、さらには、量子技術や革新的な環境技術など、実用化までに時間がかかる技術の研究開発を主導する役割を担っております。また、政府の研究開発投資は民間投資の呼び水としての効果もあり、第五期科学技術基本計画においては、政府研究開発投資は対GDP比一%、官民合わせた研究開発投資は対GDP比四%以上を目指すこととし、官民投資の拡充を図ってまいりました。
 現在、来年度からの次期基本計画の策定に向け議論を行っているところであり、研究開発投資の目標については、現行計画を上回る積極的な目標が設定できるよう検討を深めてまいります。

#20
○濱村委員 ぜひ基礎研究の部分に対して徹底的に予算を投資していっていただきたいというふうに思っております。
 民間のところは社会実装しやすい分野について研究しやすいというのはどうしても出てくるかと思っておりますので、そのあたり、やはり、政府がどういう研究に投資をするべきかということと民間ではそれぞれ役割が違うというふうには思っておりますので、我々もしっかり応援をしてまいりたいというふうに思っております。
 続いて平井大臣にお伺いをしたいと思いますが、先週ですか、デジタル改革関連法案ワーキンググループの作業部会の取りまとめについて公表がされました。平井大臣は所信的挨拶でも触れられておられましたけれども、データ戦略についてもしっかりやっていくということをおっしゃっておられて、このデータ利活用についても、先ほどの取りまとめの中でも整理がされているわけでございます。
 ここの中に書いてあるのがベースレジストリーということでございますが、政府保有データであったりとかこうしたものでどういうものが利活用でき得るデータであるのか、これをしっかり整理された上で活用できるように整備をされるということを取りまとめの中には記載されていたわけでございます。
 このデータ戦略について平井大臣としてはどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。

#21
○平井国務大臣 質問ありがとうございます。
 委員御指摘のデジタル改革関連法案ワーキンググループ作業部会の取りまとめにおいて、デジタル庁は、法人や土地などの分野でも頻繁に参照される社会の基本的な情報、いわゆるベースレジストリーの整備方針を策定することとしておりまして、当該方針のもとでデータの標準化とかデータのクレンジングを実施することになっています。
 ベースレジストリーはさまざまな場面で参照される社会の基本データでありますから、正確性とか最新性が確保された社会の基盤となる情報です。こうした情報を行政手続等において参照可能にすることにより、行政手続におけるワンスオンリー等、国民の目線に立った大幅な利便性の向上が期待できます。
 ベースレジストリーの具体的な項目などの検討は、デジタル・ガバメント閣僚会議のもとに設置されたデータ戦略タスクフォースにおいて御議論いただいておりまして、まず一番目、多くの手続で使われること、二番目、災害等の緊急時に必要であること、そして三番目、社会的、経済的な効果が大きいことの三つの観点から優先順位を設定するなど、整備方針について御議論いただいています。
 今後、年内、データ戦略タスクフォースの取りまとめを踏まえまして、社会の基本データであり社会の基盤となるベースレジストリーの整備、活用、あり方について検討していく予定です。

#22
○濱村委員 今、データ戦略タスクフォースで議論していただいているところという話がございました。基本的にはこれは、政府が保有しているデータについて、社会インパクトが大きいであるとか、そうした観点で選別していくという話でございますけれども、実はデータといってもいろいろなデータがあって、政府保有の、今おっしゃっていただいたデータについては正確性とか最新性が求められる、それはそのとおりです。どちらかというと静的なデータであって、そんなに日々、日々に動くようなデータではありません。
 一方で、民間とかでは、よく動くデータ、特に、例えば携帯キャリアとかが保有しているような人流動向とか、人がどれだけ、どの駅で、どれぐらいの移動があったかとかというようなデータを持っていたりするわけです。そうした動的なデータについてもぜひとも活用していくということも、この先の話としてはぜひお考えいただきたいなというふうに思っておりますし、現にコロナ対策等でも既に参考にしながら施策を考えておられるということがございますので、こうした動的な民間が保有しているデータの利活用についてもしっかりと検討をお願いしたいというふうに思っております。
 このデータの利活用については適切な運用が非常に重要でして、余り行き過ぎてもいけないというところも反面あります。利活用ばかりが重視されてしまって、個人情報保護法が遵守されていないとか通信の秘密の侵害のおそれが生じるようなことがあってはなりません。ですので、行き過ぎた内容であったりとかそういうことが起きないように牽制する機能が必要だと考えておりますけれども、大臣の御所見をお伺いいたします。

#23
○平井国務大臣 同じ問題意識を持っています。
 デジタル社会において、データが価値創造の源泉であり、その流通、利用がデジタル社会の重要な礎である。デジタル化を進めることによって、デジタル技術を活用してデータを最大限効果的に活用した多様な価値、サービスの創出が可能となる環境を構築していくことは非常に重要なことだと思います。
 二十六日のデジタル改革関連法案ワーキンググループにおける取りまとめにおいても、デジタル庁の業務の大きな柱の一つにデータ利活用が掲げられ、また、私もベースレジストリーの整備等を始めとしたデータ利活用環境を構築することの重要性はかねがね申し上げてきました。
 他方で、委員御指摘のとおり、データの利活用を進めていくに当たり、個人情報保護の観点が重要であることは揺るぎないと認識していますし、例えば自分のデータにいつ、誰が、どのようにアクセスしたかを確認できるなど、データの利活用における透明性の確保が大事だと考えています。そのほかにも、保護が図られるような具体的な方策についてしっかりと検討していきたいと考えています。

#24
○濱村委員 ぜひともよろしくお願いします。
 少しやわらか目の話に聞こえそうなんですが、いわゆるPPAP問題についてお伺いします。
 委員の皆さんの中で、PPAPと聞いて、何の話しよるんやと思っておられるかもしれませんが、ピコ太郎のPPAPではありません。これは、メールを送信するときに誤送信をして情報漏えいしてしまうというようなセキュリティーインシデントというのは多発しておりますが、そうした場合に、メール送信するときの添付ファイルについてジップファイル化して、暗号化して、パスワードも送信して、復号化する、そういう方式があります。実は、これはセキュリティー的にはほとんど意味がありません。なので、大臣も役所の中でおやめになるという話をされておられるんです。
 何でPPAPと言うねんという話がございますが、パスワードつきジップ暗号化ファイルを送りますのP、パスワードを送りますのもう一回P、暗号化の最初の頭文字Aのプロトコルということで、PPAPと呼ばれた方がおられます。やゆしておられるんだろうと思っておりますが、つまり、効果が薄いんです。
 なぜ効果が薄いかというと、メール送信して、ほとんどが自動的にパスワードについても送られているということなんですね。これを、もう一個つけ加えて言えば、パスワード自体が非常に短いものが多い。効果があるようにするためには、パスワードを十分長くて複雑なパスワードにすること、もう一つは、メール以外の伝送経路で伝達をするというようなことを講じれば、まあ意味はあるかなというところなんですね。
 これがなかなか理解されずに、今、日本の中では一般化してしまったというような不幸な状況にあるわけですけれども、大臣は、十一月十七日に、中央省庁でパスワードつきジップファイルのメール送信を廃止するということを明言されて、さらに、二十六日には、内閣府、内閣官房でこのPPAPを取りやめた。
 実は、これをなかなか理解できておられない方が、大臣が暗号化をやめると言っているぞとちょっと誤解をされておられる方がおられましたので、わかるように、なぜやめるのかということを御説明いただければと思います。

#25
○平井国務大臣 先日、イベントでピコ太郎さんにお会いしたら、このPPAPの話、理解されておりまして、確かにあのジップファイル、同じように送るのは危ないですよねということを言っておられました。
 ジップファイル送付後に続いてパスワードが自動的に送付される方式は、これはジップファイルとパスワードが同一経路で届いてしまうので、第三者でも容易に解凍することができるので、これはそもそもセキュリティー対策として有効でないどころか、これが狙われるというか、これでひっかけやすいというような意味で非常に危険です。
 加えて、メールを受け取る側まで、本来ジップ化不要なものまで手間を強いるというデメリットがあるし、携帯で読めないとかいろいろな、ほかにもあるんですが、このような理由から、現場の皆さんも、やめてほしいという言葉がたくさん寄せられた結果、内閣府、内閣官房において二十六日に廃止しました。
 他方で、機密性に応じて暗号化などのセキュリティー対策をとることはもちろん重要であって、例えば、ファイルとパスワードを別の経路で伝達するなどの方法をとることができます。このため、内閣府、内閣官房においても情報の機密性に応じて適切な対応を行うよう、内閣府大臣官房サイバーセキュリティ・情報化推進室から関係各位に今周知したところです。
 いずれにしても、メール送信時のセキュリティー対策において、暗号化自体が無意味であるかのような誤解を受けないよう説明、周知がなされるべきだと考えておりまして、私も、これから引き続き丁寧な説明をしてまいりたいと思います。

#26
○濱村委員 経路をしっかり分けるということが重要ですし、また、あと、ファイル転送とかのクラウドサービスとかもあるので、ぜひそうしたものを御活用いただければというふうに考えております。
 もう一点、菅総理が、十一月二十三日、竹中平蔵先生との講演で、デジタル庁の人材に関連して、海外からの人材、あるいは育てていただいた世界で活躍できる方をデジタル庁で受け入れると述べられたと報道がございましたが、海外からの人材というのは外国人のことなのかなというふうに推察をしたりするわけでございますけれども、これは必要性があるかどうかがポイントだと思っております。
 例えば、四月に行われました新型コロナ対策をテーマとした国際ハッカソンにおいては、日本の企業チームがトップファイブに入っているんですね。国内に有能な人材がいるということは事実だろうと思っておりますが、これを活用し切れていないんじゃないんですかというふうに思います。
 ですので、デジタル庁の人材について、外国人活用、これの必要性については大臣はどのようにお考えなのか、御意見を伺います。

#27
○平井国務大臣 私も、菅総理の発言というものは承知した上で、デジタル庁は、外国人の活用に関して、公務員としての採用は当然考えておりません。我が国にはデジタル化に高度な知見や経験を有する多くのエンジニアがいることから、まずはこれらの優秀な人材をデジタル庁が獲得できるよう、魅力的な職務内容や組織文化を整えていきたいと思っています。
 他方で、デジタル社会をめぐる枠組みや技術はグローバルに進展しておりまして、世界の潮流に精通した人材を活用していくことも重要であることから、例えばプロジェクト単位で先進的な海外の知見や経験を有する方を活用するなど、必要に応じて何らかの形で参画していただくこともこれは検討していきたいというふうに考えております。

#28
○濱村委員 大臣と考え方が一致したなと思っております。公務員としては考えていないけれども、プロジェクト単位で必要に応じてということでございます。
 現実に即して、ぜひとも、必要な人材は必要な形で活用できるようにしていただければと思っておりますが、公務員ということに限って申し上げますと、これは日本人であろうが、外国人はなかなか難しいかもしれませんけれども、機密情報やそれに準ずる情報にアクセスできる立場にあるわけでございます。公務員としての欠格条項というのに当てはまらないこと以上に、ちゃんとした適格性が必要だというふうに考えておりますが、そういう意味でのセキュリティークリアランスの考え方は、私は重要だなと思っております。
 今、なかなか、セキュリティークリアランスについて真正面から議論がなされて、まだ成熟していないなと思っているんですが、デジタル庁の人材については、セキュリティークリアランス、どのように適用されるおつもりか、お伺いします。

#29
○平井国務大臣 デジタル庁では、みずから構築又は統括管理するシステム、その中には機密情報等、機微にわたる情報を取り扱うことも想定されることから、職務権限に基づいた厳格なアクセスコントロール措置をする必要があると考えています。
 ただ、セキュリティークリアランスの問題は、はっきり言って、具体的に答弁しづらい話ではございますし、いずれにしても、デジタル庁において具体的な業務に応じた情報管理をしっかりと実施できるような措置を講じていきたいとは考えております。

#30
○濱村委員 時間が参りましたので終わりますけれども、今のセキュリティークリアランス、本当に難しいところはございます。ですが、そうしたことも議論できるデジタル庁にしていっていただきたいということをお伝えして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

#31
○田嶋委員長 次に、岡本充功君。

#32
○岡本(充)委員 きょうは質問の時間をいただき、ありがとうございます。限られた時間ですから、端的に質問していきたいと思います。
 まず、お配りしています一枚目の新聞、大変気になります。やはり医療は、税金と保険料がその大半を占める、原資に占めるサービスです。そこで、この報道を見る限りでは、医療機器メーカーから医師側にリベートが払われたということが報道されていますけれども、これから調査ということでありましょうが、メーカーの方は景品表示法等で課徴金の可能性があるという話でありますが、やはり医師の側にも問題意識を持ってもらう仕組みが必要だと思います。
 ぜひしっかり調べてもらって、こういったことがまずいんだということをしっかり周知していただきたいというふうに思うわけでありますけれども、きょうは指摘をしておきたいと思いますが、もし、厚労省の方から何かあれば。

#33
○間政府参考人 お答えいたします。
 委員がただいま御指摘いただきましたように、その御指摘の事案につきましては、現在、景品表示法に基づきまして活動しております医療機器業公正取引協議会が事実関係の調査を行っております。
 こちらの協議会が定めております公正競争規約におきましては、医療機器の選択又は購入を誘引する手段として金品を提供することは禁止をされております。
 また、今委員御指摘がありました医師個人の話につきましては、一般論として申し上げれば、医療機器が不公正な取引方法により選択されて、そして、患者の適切な医療がもし阻害されたということがあれば、これは問題だというふうに考えております。
 このために、厚生労働省といたしましては、現在の協議会の事案の調査の状況を注視し、また、その結果も踏まえつつ、御指摘の事案について対応をしっかり検討してまいりたいというふうに思います。

#34
○岡本(充)委員 保険医の資格なども停止することが厚労省はできるわけでありますから、どういう方法ができるのかということも含めて、しっかり研究していただきたいと思います。
 さて、新型コロナウイルス感染症が広がる中で、大変、ワクチンそれから治療薬、待望されているところです。
 ちょっと一般論で結構なんですけれども、いろいろな薬が承認をされる中で、近年は、多くの薬の評価をするときに、プラセボと言われる偽薬と、それから評価したい薬、これを、医師も、それから患者さんも両方、どちらが本物の薬かわからないようにする二重盲検テスト等をやっています。
 一方で、医師はこれは偽薬だと知っているということで、医師はその事実を知りながら治験をやる、単盲検テストというかシングルブラインド、あるんですけれども、ちょっと伺いたいんですけれども、近年承認をされた薬の中で、シングル・ブラインド・テストで承認をされたもの、特にオーファンなど希少疾患はちょっと除いて、どの程度あるのかについて事実関係を教えてください。

#35
○こやり大臣政務官 お答えいたします。
 あくまで一般論といたしまして、臨床試験の結果に及ぼすバイアス等を考慮いたしますと、客観的な評価のために二重盲検試験はよく用いられるところでございます。
 他方、例えば客観的な評価指標で評価する形となっていれば、単盲検試験であっても承認審査に活用することは可能というふうに考えております。
 委員御指摘の実績でございますけれども、過去三年間にさかのぼりました実績におきましては、希少疾病用医薬品以外の医薬品につきまして、プラセボを対照とした単盲検試験の成績のみが根拠となって承認された事例は確認されておりません。

#36
○岡本(充)委員 いろいろな薬がありますが、患者さんが、治験を受ける方、被験者が一定程度確保できる疾患において、普通はダブルブラインドでやるんだということの確認、ということでありました。
 そういう意味では、これからの承認がどういうふうになるのかというのが待たれる薬もありますけれども、いろいろな課題があるんだろうと思います。
 一方で、被験者が一体何人ぐらい必要なのかということで、患者数がたくさんいる疾患、先ほどの、希少疾患ではないようなもので、評価をする治験の被験者の数が百五十人程度というようなことで承認されたものはあるんですか。

#37
○こやり大臣政務官 お答えいたします。
 まず、一般的に、治験の規模につきましては、想定される効果が発揮された際にプラセボとの有意差が認められるよう、統計的根拠に基づき症例数は設定されます。そのため、多人数、少人数、まあ、少人数であっても有効性が示されているのであれば、承認審査に活用することは可能と考えています。
 昨年度に限ってでございますけれども、承認された新薬を調べましたところ、全身麻酔薬、痛風の治療薬やアトピー性皮膚炎、抗菌薬等におきまして、百五十名から二百五十名程度の規模で検証的試験が行われているところでございます。

#38
○岡本(充)委員 検証的試験ではなくて、新薬ですよ、新薬で、若しくは効能追加で、百五十人で承認した、その試験だけをもって承認した事例があるのかと聞いているんです。

#39
○こやり大臣政務官 プラセボとの比較でいいますと、アトピー性皮膚炎の薬、これが百五十八名で試験を行われているところでございます。

#40
○岡本(充)委員 その一剤だけということですね。
 全部で何剤ぐらい去年承認していますか。

#41
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
 昨年度に承認された新薬を調べましたところ、今政務官が申し上げたものを含め、四剤が、新薬の承認あるいは効能追加の試験として百五十名から二百五十名程度の規模での試験を根拠にしているというところでございます。

#42
○岡本(充)委員 違う違う、分母分母。もっとたくさんあるでしょう。

#43
○山本政府参考人 済みません。
 新薬の全体数、ちょっと手元にはございませんが、大体百強ぐらいだと考えております。

#44
○岡本(充)委員 要するに、先ほど言われたように、プラセボと比較したのは一つだけなんですよ。一%以下なんですね。かなりレアケースということでありまして、いろんな課題があるとは思いますけれども、やはり、私は、科学的なデータがきちっとそろって、効果があるのであればその薬は承認される、しかし、そこがあやふやなままで承認をされるということはあってはならないということを、くぎを刺しておきたいと思います。
 皆さんのお手元には、再生医療と、それからいわゆる遺伝子治療の世界の現状を記したものをお配りをしています。
 日本はやはり少ないですね。大変気になるわけでありまして、ドラッグラグという言葉がかつてありました。日本ではなかなか使えない薬があるというのが大きな課題だったわけでありますけれども、こうした世界の先進的で、そして効果が一定程度認められている医薬品。もちろん、メーカーが申請してきてくれればいいですよ。メーカーが日本で申請しない、若しくはメーカー自体が小さな会社のこともあるんです。そういう場合、日本で使えるようにどういうふうにしていくかというのは課題です。ぜひラグができないようにしていただきたいと思います。
 政務官、ぜひそこは取組、今の状況では小さな会社だから申請してこないということはあり得ますから、日本でも使えるような仕組みをちょっと考えていただきたい。よろしくお願いします、一言。

#45
○こやり大臣政務官 委員御指摘のとおり、開発は重要な課題でございまして、これまでも取り組んできましたけれども、審査体制を含め、しっかりとした体制強化に取り組んでいきたいというふうに思っております。

#46
○岡本(充)委員 いやいや、海外でできていて、日本にどうやって持ち込むかということですよね。
 だから、それは、患者さんが本当に希少な疾患でたくさんいなかったり、開発したメーカーが小さかったりするけれども、ベンチャーとかが特許を持っていたりするわけです。そういうところの技術をどうやって日本で使えるようにするかというのは、こっちが座っていて、申請してくださいと待っているだけでは来ないですよということを言っているわけですから、そのあり方をちょっと研究して考えた方がいいですよと言っているんです。よろしいですか。(こやり大臣政務官「はい」と呼ぶ)じゃあ、そういうお願いをしたいと思います。
 それで、最後にiPSの話をしたいんですね。
 最後の一枚が、これはiPSの研究開発はどこまでいっているのかということです。なかなかね、これは本当に難しい課題です。
 きょうは、大臣に御答弁いただきたいんですけれども、細かな専門的な話はしません。こうやって見ると、なかなか、iPS、まだ臨床応用が難しい状況です。かなりの国費を使っています。私は、国費を使うなと言っているわけではないし、応援するべきだと思っていますが、やはりどういった成果につながるのかということがなかなか見えていない、今現状ね。
 それこそ、令和四年度までですか、十カ年の重点期間が終わるわけでありますから、どういう方法でその研究結果を見えるようにするのか。もちろん、拙速な臨床試験をやれとか治験をやれと言っているわけではありませんけれども、やはり、そこなくして次の研究予算が確保しづらいというのもまた事実ですから、工夫をしていただきたいというふうに思っています。
 ぜひ大臣、このiPSの現状について、所見があればいただきたいと思います。

#47
○井上国務大臣 iPS細胞を含む再生医療の実現については、政府としては、再生・細胞医療・遺伝子治療プロジェクトとして第二期健康・医療戦略等の柱の一つに掲げており、同戦略等に基づいて着実に支援してまいりたいと思います。

#48
○岡本(充)委員 本当に、そのペーパーを読むんじゃなくて、どうしていくかということはやはり考えなきゃいけないですよ。
 それは役所はそうやって言いますよ、事務的にはね。ただ、かなりの巨額の費用を投じている。もっと言ったら、いろいろな研究課題が日本にはある中で、いろいろな研究者から見ると、ある意味、大変うらやましい研究環境を提供してもらっている状況にあると思います。もちろん、国家プロジェクトとして応援していくということは私は必要なことだと思いますけれども、どうやって見えるようにしていくか、考えていかなきゃいけない。
 これを見ていただくとわかるとおり、なかなか、臨床応用がまだ進んでいないんです。何か課題があるんじゃないかと思うんですよね。
 これで見ていただくと、それ以外の、例えば体性幹細胞を利用した商品などは、もう上市されているものも幾つか出てきています。大変値段が高いものも多いですけれども、この一番上の緑色になっているところ、これは製剤として、赤い字が商品名ですね、出ています。
 私が専門としている血液内科領域でも、移植後の拒絶反応を抑える薬が出ていまして、テムセルという、これも大変よく使われているようでありますけれども、なかなか需要に対して供給が追いつかないというようなこともある。たくさんつくれないものですからね。そういうことになっています。
 こうした、グリーンはかなり上の方まで来ているわけですけれども、薄いブルーはiPSです、なかなか来ていないということは、何かサポートが必要なんじゃないか、何か課題がやはりあるんじゃないかというふうに思っています。
 そういう意味で、これはやはり一つ一つ、もちろん、個別のことをここで議論するのはやはりできないということでありますけれども、ここをしっかり見ていただきたいし、大臣自身、例えばAMEDには行かれたことはあるんですか。

#49
○井上国務大臣 まだ行ったことはないんですが、ぜひ機会を見つけて伺いたいとは思っています。

#50
○岡本(充)委員 やはりちょっと一回行っていただいて、現場のサポートをしてみえる職員の皆さんと意見交換しながら、何が課題なのかということをやはり見ていただきたい。
 もう一つ、やはり重要なポイントは、さりとて、過剰に政治が介入するのもよくないと思います。
 よく研究者の方から言われる話で、日本国は、きょう、厚労省も文科省も来られていますけれども、競争的研究資金でお金を出すと、その進捗状況を研究者にペーパーで出すのを求めているんですね。ある研究者の話を聞くと、十一月に今年度分の採択された研究資金が配られましたね、十一月に配られて、もう十二月に、今年度はどれだけ進捗しましたかというレポートを求めるわけです。それはさすがに何なんだという声が上がっていますよ。
 だから、やはり、そういう意味でいったら、ある程度自由に、しっかり研究をしてもらう、それで結果はちゃんと出してもらって、結果で評価をするということをやっていかないといけないんじゃないか。もう、ペーパーで出してくれといって、一々そのペーパーをつくることに時間をとられるというようなことではいけないんじゃないかというふうにも思っています。
 そういう意味で、やはり、直接所管ではないかもしれないけれども、こうしたAMEDとのかかわり方のあり方とか、それから研究者により自由度の高い研究をしてもらえるようにするとか、こういったことをやっていかないと、残念ながら、私は、日本の大きな看板にしようと思っていた再生医療や遺伝子医療の分野で、世界に今実際におくれをとっているわけですから、この状況が続くと思っています。
 そういう意味で、ぜひiPSについても丁寧に、それから、それ以外のさまざまな研究の課題についても丁寧にぜひ見ていただいて、課題を一つ一つ、しっかり指示をして解決をしていただきたいと思います。大臣、いかがでしょうか。

#51
○井上国務大臣 委員の御指摘も踏まえて、しっかり検討していきたいと思います。

#52
○岡本(充)委員 あともう一つ、これは重要な観点だと私は思うんですけれども、日本の研究者が海外にどれだけ行っているのかということで、外務省にちょっと調べてもらいました。
 外務省が、在米国の在留邦人で、いわゆる長期滞在者として届けを出している方のうち留学生や研究者それから教師数ということで、これは全部一緒のようでありますけれども、ここに区分される人の数が一体何人いるのかというので、これは大変申しわけなかったんですけれども、急遽調べてもらったんです。
 平成二十年十月一日時点では六万八千九百四十三人ですよ。もちろん、届けを出していない人もいるかもしれないので、これが事実の数字かどうかはわかりませんけれども、そういう届けがあった。ところが、二十八年の十月一日は五万九千四百二十七人なんですよ。一万人近く減っているわけですね。
 もちろん、日本の若者の数が減ってきているんだといって片づける人もいるかもしれないけれども、これはやはり、何か、日本人が海外で、これはアメリカだけの話ですけれども、研究をしたり教育関係の仕事についたりすることが少なくなっているということの一つの証拠じゃないかと思っています。
 もちろんアメリカに行くだけが研究ではありませんけれども、何でこうやって人が行かなくなっているのかということについても、これはやはりしっかりその原因を調べる必要があると思います。
 大臣の所管は科学技術全般でありますから、医療だけじゃないと思いますけれども、今お話をしているのも決して医療の研究者だけではありませんが、ぜひ、こうしたさまざまな状況を分析していただきたい。
 もう一つは、これも大臣にはぜひお願いしたいんですけれども、海外から来る外国人の研究者、こういった方々がやはり日本を選んでほしい。残念ながら、日本を選ばずに、ほかの国で研究している人がふえているような印象を持っています。なかなかこれは統計がとりづらいんですけれども。
 それで、どういう環境を彼らが望んでいるのか。もちろん日本は出入国管理は法務省がやっていますけれども、まさに横串で見る国務大臣として、ぜひそこは閣内でも意見表明をしていただきたいと思いますけれども、いわゆる家族の滞留を許してほしいという声があります。さまざまな就労の問題だとか、もちろんいろいろな課題があるとは思いますけれども、家族が研究者と一緒に来て、研究ができる環境をつくっていくというのも、日本のいわゆる研究者獲得の一つの大きなポイントになるのではないかと思います。
 きょうは、こういう指摘をさせていただきました。この段階で、やりますという答弁はできないでしょうけれども、ぜひそういった観点で見ていただいて、日本の研究者が海外に行き、そして海外の研究者が日本に来れる環境をつくっていくために努力をしていただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

#53
○井上国務大臣 問題意識は委員とおおむね共有しております。関係省庁と協議をしながら取り組んでいきたいと思います。

#54
○岡本(充)委員 先ほどからお話をしていますように、いろいろな課題が多いです。きょうは文科省も厚労省にも来ていただいていますけれども、やはり、それぞれの省庁でもそうした問題意識を持って、研究費のあり方、それから研究環境、そしてさまざまな支援政策を考えていただきたいと思います。
 とりわけ文科省、そこは応援していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

#55
○合田政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま先生から御指摘いただいたことにつきましては、学術、科学技術の国際交流の問題だけではなくて、例えば、日本人の研究者が海外に行かなくなっている理由ということでございますが、科学技術・学術審議会の国際委員会において、平成二十四年の議論でございますと、若手の研究者の帰国後のポストの確保に不安があるでございますとか、それから、若手研究者が学内においてさまざまなマネジメントも含めて重要な役割を担っていて、なかなか外に出づらいというような状況もあるというふうに伺ってございます。
 現在、第六期の科学技術・イノベーション基本計画に向けまして、博士課程の進学者の数が少なくなっている、あるいは若手研究者の任期なしのポストが少なくなっているというような状況も含めて、構造的に、若手研究者が腰を据えて志を持って研究するということが国際交流にも重要な役割を果たすということで検討させていただいているところでございまして、文部科学省としても、御指摘を踏まえてしっかりと検討させて、対応させていただきたいというふうに存じております。
 以上でございます。

#56
○岡本(充)委員 厚労政務官も来ていただいていますから、ぜひ厚労省でも、ちょっとどういう課題が、いや、ポストがないなんていうのはもうずっと言われているんですよ。何も、今気づいた話じゃないんですよ。
 そういう意味で、今の私の論点で課題があるということを指摘をしているので、厚労省もさまざまな研究推進をする仕組みを持っていますから、きょうは井上大臣に横串をもって見てくれと言っていますけれども、やはり個別にやっていくという方針を、ぜひ戻って大臣と話をして進めていただきたい。いかがでしょうか。

#57
○こやり大臣政務官 委員御指摘のように、さまざまな課題がございます。我が国における研究開発力を向上させるためにも、各省連携して取り組んでいかねばならないというふうに思っておりますので、今後とも省内でもしっかりと取り組んでいきたいというふうに思います。

#58
○岡本(充)委員 きょうは、そういうことで多岐にわたって質問しました。平井大臣にも本当は質問したいことがあったんですけれども、きょうはちょっと済みません、話はまとまってこちらでやりました。
 いろいろな課題を次回は質問をさせていただきたいと思いますが、きょうは、改めて、科学的な知見に基づいて行政を推進してほしいということをお話をさせていただきました。ぜひそういった観点で今後とも政策推進をお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。

#59
○田嶋委員長 次に、城井崇君。

#60
○城井委員 立憲民主党の城井崇です。
 質疑の機会をいただき、ありがとうございます。きょうは、井上内閣府特命担当大臣と政治家としての議論ということでお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
 まず、若手研究者支援についてお伺いをいたします。
 先日、全国大学院生協議会の皆さんから大学院生の研究環境の改善に関する要請を受けました。約七百五十名のアンケートに基づきまして、高等教育の漸進的無償化、研究生活の基盤となる経済的支援の抜本的拡充、国立大学運営費交付金と私学助成の拡充、大学院生のライフプラン実現支援の強化、コロナ禍における大学院生を対象とした支援の強化など、主に文部科学省や厚生労働省などに改善を求める内容が多くございましたけれども、科学技術・イノベーションを担当する井上大臣に、その中から幾つか要請内容をお伝えしながら改善をお願いしたく、以下、質問したいと思います。
 一つは、若手研究者支援の改善についてです。
 本日の議論でも、大臣から博士後期課程の支援の重要性については言及をいただきました。政府は、これまでにも、研究力強化・若手研究者支援総合パッケージの実行など、研究者支援をやってきたというふうに説明をされるというふうに思います。この点は重要だというふうに思っています。
 ただ、きょう、わざわざここで質問を申し上げるのは、それらを踏まえてもなお研究現場は苦しい状況にあるということを多くの大学院生から聞き取りをさせていただいたものですから、ぜひお伝えしたい。
 例えば、実際には業績主義が強過ぎて、博士論文を早く出せと言われて長期的な研究をやりにくいというお声ですとか、ティーチングアシスタントやリサーチアシスタントにつきまして、新型コロナの影響で、これまでとは異なってオンラインでの取組が多い、毎週レポート提出の課題が課されることで、そのTAやRAの方々が、例えば約五百名のレポートを毎週チェックをするような業務を与えられるといった形で負担がふえているということ。
 また、学会や研究会の運営など、研究者の卵としての業務や自分の研究以外の仕事もある一方、週十時間以上のアルバイトに従事する大学院生は二人に一人という状況になっているというふうに聞きました。コロナ禍での学費減免は焼け石に水で、スピーディーに生活支援のための現金給付を実現してほしい、こうした切実な声を届けていただいたところでございました。
 大臣、研究力強化・若手研究者支援総合パッケージの着実な実行は大事だというふうに私も思っています。大変重要です。ただ、そのときに、修士課程にしても博士課程にしてもポストドクターにしても、それぞれにきめ細やかに支援が届いているかどうか、人数を確保した中で、それが何割に届いたか、こうしたきめ細やかなところが重要だというふうに思っておりますし、現場のニーズにかなうというふうに考えています。
 この研究者支援の現状と研究現場の悲痛な声とのギャップをいかに埋めていくか、大臣の考えをお聞かせいただけますか。

#61
○井上国務大臣 科学技術立国日本の未来は、これからの若い力にかかっていると言っても過言ではありません。
 しかしながら、博士後期課程への入学者数は平成十五年をピークとして減少傾向にあり、その主な原因は、在学中の経済面や卒業後のキャリアパスの不安であると考えております。特に、博士後期課程学生は、学生であると同時に専攻分野について主体的に研究活動を行っており、将来自立した研究者としての地位を確立するという観点も重要であります。
 委員からも御紹介いただいた研究力強化・若手研究者支援総合パッケージ、これに基づきまして、今、関係省庁とも連携をしながら、大学院生が授業科目や研究指導をできる限り充実した形で受けられるよう、学内奨学金や特別研究員、DCの充実、多様な財源による優秀な博士後期課程学生のリサーチアシスタント、RAとしての採用の促進等による処遇の向上に努めてまいりたいと思っております。
 その上で、また、関係省庁と連携して、世界に伍する規模のファンドの創設に向けて検討しておりますので、そのファンドの創設などを通じても、博士後期課程学生を含む若手研究者の支援など、研究現場の改善にしっかり取り組んでまいります。

#62
○城井委員 ありがとうございます。
 そうした施策が一つ一つきちんと現場に届いていくところまで確認をいただくということで、着実な実行をお願いしたいと思います。
 世界に伍するファンドについては、後ほど質問をいたします。
 続きまして、大学院生及び博士課程修了者の就職状況の改善について大臣に伺います。
 全国大学院生協議会の調査によりますと、大学院生全体の七六・一%が就職への不安や不満があるという回答でした。博士課程卒で研究職を希望する大学院生に対して就職の不安を聞いたところ、八七・八%が不安だという回答でした。このうち、八四・三%が正規職につけるか不安というふうに答えています。
 テニュアトラックや卓越研究員制度など、これまでの対策がございますが、これをもってしても十分な改善に至っていないというのが現場側からの認識でした。むしろ大学や研究所では、正規ポストから非正規ポストへの置きかえが進んでいる、任期つきの常勤研究者や非常勤研究者といった不安定な雇用形態は三十代の割合が最も高くなっているというのが現状であります。政府の取組と現場のニーズのミスマッチがあるのではないか、もしかしたら大きくなっていないか、ここを心配しています。
 アカデミックポストの拡充ということも含めて、これが助成金なのか研究予算なのか、入り口は幾つかあると思いますが、大臣、ここは科学技術の担当大臣としても投資、応援をすべきではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。

#63
○井上国務大臣 我が国の研究力強化には、若手を中心とする研究者がじっくり腰を据えて研究に打ち込める環境をつくることが重要である。ポストの不安定な状況など、近年、研究者を取り巻く状況が特に厳しくなっていると認識もしております。
 このため、先ほどのパッケージに基づいて、関係省庁とも連携をしながら、例えば、競争的研究費、企業との共同研究費等の外部資金を含めた多様な財源による若手研究者のポスト確保、国立大学においては、人事給与マネジメント改革の実施状況に応じた運営費交付金の配分、若手研究者を中心に、最長十年間、挑戦的な研究を支援する創発的研究支援事業、こういった施策にしっかりと取り組んでまいります。
 さらに、これらを次期科学技術・イノベーション基本計画の検討に反映して、科学技術予算の充実を図ることによって、我が国の研究力の抜本的強化も図ってまいります。

#64
○城井委員 大臣、ぜひ、非正規ポストでなおかつ任期が短期のポストの動きについては今後注視をいただいて、その部分がふえてくるようだと今の施策が届いていないとなろうかというふうに思いますので、息長い研究を続けられる環境整備、ぜひお願いしたいと思います。
 続きまして、国が支援する研究の出口のあり方について伺います。
 科学技術・イノベーション基本法の第二条二項で、「成果の実用化によるイノベーションの創出」と規定することで研究成果の実用化を強調しており、大学院生を含めた全ての研究者の研究内容に実用化という成果が求められておるというふうに認識しています。
 このように研究の出口を決めることは、研究者の研究の自由を狭め、研究の新規性を脅かすことにつながるとの意見が大学院生たちから上がっています。
 きょうの、先ほどの委員からの議論にもございましたが、もちろん、息長い研究であっても最終結果のチェックは必要だというふうに認識をしているんですが、ただ、基礎研究のように実用化がゴールではない研究も、我が国の科学技術基盤を担う大切な研究としてしっかり支援をすべきだというふうに考えています。
 こうした実用化がゴールではない研究者の声をいかに科学技術・イノベーション政策に反映をしていくか、基礎研究などの現場の声の反映方法と支援の充実について、大臣の見解をお聞かせください。

#65
○井上国務大臣 基礎研究は、多様で卓越した知を生み出すイノベーションの源としても重要であり、本年六月に改正された科学技術・イノベーション基本法において、基礎研究の推進において国が果たす役割の重要性も規定をしております。
 そのため、関係省庁と連携をしながら、科研費等を通じた継続的な支援、大学等における研究活動を支える基盤的経費の確保などに取り組んでまいりました。
 また、科学技術・イノベーション政策の検討においては、我が国の研究を担う研究者の方々の声をしっかり聞くことも大変重要であります。
 このため、本年策定されたパッケージの検討に際しましては、若手研究者から直接いただいた御意見、また、関係省庁における各種調査研究の結果等を踏まえて施策を取りまとめました。
 さらに、現在検討中の科学技術・イノベーション基本計画についても全国キャラバンなどを通して研究者の意見を伺っているところであり、引き続き、現場の声もしっかりと踏まえて、基礎研究の支援を図りながら科学技術・イノベーション政策を進めてまいります。

#66
○城井委員 そうした取組を一つ一つ着実に進めていきたいというふうに思いますが、先ほどの、いわゆる実用化という成果の部分のところで、実際に基礎研究などの部分が壁になるのではないかという心配が現場であるということはぜひ留意をいただきたいということをこの機会にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
 続きまして、きょうも議論になりましたが、世界レベルの研究基盤を構築するための仕組みの実現、大臣言及の世界に伍するファンドについて、少し細かく伺ってまいりたいと思います。
 この仕組みの実現につきましては、来年度概算要求で、内閣府と文部科学省が共同で事項要求として上げているところであります。
 科学技術立国日本の実現に向けた次世代のための百年の計、意欲的な取組だということで、私自身も大いに応援したいというふうに考えておりますが、ただ、具体的な計画の姿が見えてきていないというのが実情でございます。メリットやデメリット、リスクの部分も含めて国民にしっかり説明をして、全国民応援のもとで取組を加速させるべきです。
 そこで、大臣に質問します。
 まず、この仕組み、運用基金をどの程度必要と見込んでいるか、具体的な原資は何か。例えば財政投融資を使うことは、政治が決断すれば実現可能性が高いと考えます。
 また、誰の責任で運用基金を用意するか。米国の例でいえば、大学が寄附などで集めた資金を運用する基金があって、ハーバード大学ですと四・五兆円、エール大学ですと三・三兆円の規模で運用していると聞きました。大学が原資の一部を準備するとしても、例えば東京大学でも、同様の取組は百億円ぐらいにしかすぎない。大学等による大規模な基金積立てはなかなか現実的には難しいんじゃないかというふうに考えています。
 この運用する基金について、大臣の考えを聞かせてください。

#67
○井上国務大臣 この大学等ファンドにつきましては、非常に重要だと認識しており、また、何としても実現をしたいと思っております。
 思っておるんですが、現段階では各省庁と協議中ということなので、なかなか具体的なことをお答えできないということは御理解をいただきたいと思います。
 その上でですが、大学等ファンドにつきましては、大学における世界レベルの研究基盤の構築に向けた支援を長期かつ安定的に行うために必要な基金規模を、現在、関係省庁とともに検討をしております。
 資金調達に当たっては、当面政府の資金を活用しつつ、民間、大学の資金を順次拡大していくことを想定しております。
 引き続き、関係省庁と連携し、適切な資金規模や調達方法も検討してまいります。

#68
○城井委員 なかなか言いづらいという、検討中ということでありますけれども、報道ベースのところを少し確認だけと思いますが、規模十兆円という話があり、三次補正でも対応するという方向だという報道があります。また、原資の官民割合は最終的には五対五を目指したいという報道がありましたし、このファンドはJSTのもとに置くという報道もありました。
 こうした報道の部分について、検討に上がっているか上がっていないかという点だけ確認したいと思いますが、お答えできる範囲でお願いします。

#69
○井上国務大臣 大変恐縮なんですけれども、まさに現在関係省庁と協議中ということで、ちょっと詳細についてはまだお答えできないということでお願いをいたします。

#70
○城井委員 少なくとも三次補正の審議の段階では詳細をお示しいただけるものだというふうに思っています。というのは、内容がないと、これが役に立つものかどうかという判断が、国会側が判断がつかないということになろうかと思いますので、その点はぜひお願いしたいと思います。
 続いて、基金運用による利益についてお伺いしたいと思います。
 運用益の創出をどの程度になると見込むかという点であります。先ほどの基金の規模がまだ言えないという状況ですけれども、その中でも、どのような運用をしていくかという点については当然検討すべき部分だというふうに思っています。
 仮に報道にあった基金総額十兆円ということにいたしますと、年一%運用で年間に一千億円の運用益ということになります。これは、理化学研究所の年間総予算に匹敵する金額、大変大きいというふうに考えています。ちなみに、アメリカのハーバード大学は、四兆円の基金を利回り七%程度で運用ということでありました。
 この運用益の見込み額、いつごろの達成で、いつから研究費として配分できるか、運用は誰が行うか、運用失敗などの損失の際の負担はどのように考えるか、国民負担はあり得るか。特に、こうした過去の政府系ファンドは責任が曖昧になりがちだったものですから、こうした運用についての部分は、大胆にいかなきゃいけない部分は理解しながらも、責任の部分はきちんと確認しなきゃいけないというふうに思っていまして、こうした具体的な運用部分について大臣の見解をお聞かせください。

#71
○井上国務大臣 現在、委員が今御指摘になった運用の主体や方法、また運用や支援のスケジュール、責任の所在などの制度設計を行っているところであります。
 その上で、現在申し上げられることとしては、運用に当たりましては、GPIF等を参考にしつつ、外部の資産運用機関に委託することを考えておりますが、ファンドの運営団体のガバナンス強化や長期分散投資などを通じてリスクを最小化しつつ、長期で安定した運用益を確保したいと考えております。
 なお、このファンドは公的資金を中心とした元本による運用益を活用するものであり、政策目的に応じて民間だけでは担うことが難しい事業へリスクマネーの投資をする政府系ファンドとは異なるものであります。

#72
○城井委員 今、超低金利の市場の状況でありますので、収益確保についてはなかなか難しいところもあろうかと思いますので、リスク管理については政府側としても十分に行っていただきたいということをお願いしたいと思います。
 続いて、運用益の配分について伺います。
 運用益を具体的にどのような配分で研究支援に充てていくか。例えば、支援対象の大学や研究機関の数を幾つと見込んでいるか。私からの提案は、RU11を中心に支援をスタートして、約二万人の研究者支援を届けることができると、まずは、複数年度にわたる有望な研究の継続を担保できるというふうに考えています。
 教員やサポートスタッフなどの人件費、奨学金や生活費支援、研究施設整備などにそれぞれどのぐらい充てる見込みか。使い勝手のよい交付金の形が望ましいと私は考えていますが、運用益の配分と交付方法について、現在段階での大臣の具体的な見解を聞かせていただければと思います。

#73
○井上国務大臣 これも現在検討中なものですから、なかなか具体的なこと、申し上げるのは限られるんですが、大学等ファンドは、運用益を活用し、世界に比肩するレベルの研究開発を行う大学等における世界水準の研究基盤の構築を目的とするものです。ですから、具体的には、博士後期課程学生を含む若手研究者などの人材、共用施設やデータ連携基盤といった研究インフラ、研究拠点、スタートアップ拠点など、大学等における将来の研究基盤の構築を支援することを想定をしております。
 引き続き、支援対象の考え方や配分、交付方法等の詳細な制度設計については、関係省庁と連携し、検討を加速してまいります。

#74
○城井委員 続いて、こうした基金運用による研究費確保を仮に行っていく場合に、一つ重要な部分があるというふうに思っています。これは、官民で仮につくっていくときに、民間側からの資金の確保、つまり寄附などの部分が拡充していけるかという点であります。
 この点は、これまでにも寄附に対する控除の拡充などで応援してきたというのがこれまでの政府の姿勢かというふうに思いますが、ただ、欧米との違いは、寄附文化が根づいているか根づいていないか。きっかけをやはり意識的につくっていく必要があるというふうに考えています。
 そこで、お伺いいたします。ここは二問まとめてお伺いしたいと思います。
 教育機関、研究機関などへの寄附に対する免税措置の拡充が必要という点、そして、寄附について、企業の従業員や配偶者による教育研究機関への寄附に企業がマッチをして寄附をする場合、こうした部分について免税措置の拡充やあるいは新規の免税が必要だという意見が専門家からございますけれども、こうした部分もあわせて対応すべきだというふうに考えますが、大臣、いかがでしょうか。

#75
○井上国務大臣 大学等の教育研究機関が、運営費交付金など国による財政措置に加えて、寄附金などの外部資金による多様な財源の確保を図ることは重要と認識しています。
 そのため、関係省庁と連携し、大学等への寄附に係る税制改正として、国立大学法人、国立研究開発法人等への評価性資産の寄附に対するみなし譲渡所得税の非課税承認を受けるための要件の緩和等、また、国立大学法人等への個人寄附に係る税額控除の対象事業の拡大等に取り組んでまいりました。
 内閣府としては、今後とも、関係省庁と連携し、国立大学法人等に必要な予算の確保に努めるとともに、外部資金獲得に向けて、関係団体の要望も踏まえつつ、必要な税制改正等を検討してまいります。

#76
○城井委員 最後に、ナノテクノロジープラットフォームの大型設備の利用に順番待ちが恒常的に生じている件について、大臣にお伺いしたいと思います。
 委員の皆様のお手元にも資料をお配りをいただきました。ごらんください。
 ナノテクノロジープラットフォームの大型設備の利用に順番待ちが恒常的に生じています。この表の中で申しますと、稼働率の部分を見ていただけば、これだけ使われているにもかかわらず、順番待ちが、一番右側、一週間以上というところから一カ月、二カ月に及ぶものまでございますけれども、ごらんいただければと思います。文部科学省からの報告によりますと、稼働率が八五%を超え、順番待ちが短いものでも一週間以上、長いものだと一カ月にもわたる設備が少なくとも五つあります。中には、ニーズが高いのに、修理の中古部品待ちで共用を停止しているものもあります。
 研究現場からニーズが高く、稼働率が一〇〇%に近い上に順番待ちが長期にわたる設備については、追加での整備をして、我が国の研究スピードのアップを物理的に図るべきだと考えています。
 この質問を大臣にするに当たって、文部科学省の所管ということで確認をいたしておるんですが、ここでわざわざ申しておりますのは、文部科学省の取組も当然応援するんですが、今申した、いわゆるナノテクということでいうと、日本のある意味でトップランナーになってもらわなきゃいけない分野のはずでありまして、こうした部分については、科学技術振興やイノベーション推進の立場からしても、研究現場のニーズが高い設備の支援については、科学技術担当大臣としても、合わせわざで、セットで、協力して取組を強めていくべきではないか。設備充実についても大臣にも協力いただく、検討をぜひいただきたいということを提案申し上げ、お願いしたいと思いまして、この質問を申し上げています。
 大臣、ぜひ、これは共同して応援できるか検討しようと言っていただけないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

#77
○井上国務大臣 近年、研究に必要となる設備や機器が大型化、高度化する中、先端的な設備を全国の研究者が共用できるように促進することは、我が国の研究力強化のために非常に重要であります。一方で、ナノテクノロジープラットフォーム事業のように、利用件数が増加することで、設備の稼働率が高く、かつ順番待ちが生じている事例も存在しております。
 このため、文部科学省において、高度化、自動化の機能を有した材料分野の最先端共用設備の整備について、来年度概算要求に計上していると承知をしております。
 ナノテクノロジーを始めとする先端技術は日本の研究力や産業競争力のかなめであり、内閣府としても、本年一月に策定したパッケージに基づき、関係省庁と連携しながら、今後もより一層、先端設備の共用化を促進するとともに、必要な研究設備の整備も促進してまいります。

#78
○城井委員 ぜひ内閣府の立場からも応援をお願いいたしまして、そろそろ時間かと思います、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。

#79
○田嶋委員長 次に、緑川貴士君。

#80
○緑川委員 皆様、お疲れさまでございます。立憲民主党の緑川貴士です。
 私は、前の仕事は秋田県のテレビ局で気象予報士もしておりましたので、きょうはそれに関連した質問をさせていただきたいと思います。
 アジアの大陸、そして海洋の温度、また湿度、気圧の影響も受けながら、四季折々の自然の表情がはっきりしているというのが日本の季節の特徴であるというふうに思いますし、そうした四季に彩られた日本文化、また生活に密着した話題もテレビを通じてお届けをさせていただいたこともありました。
 昨今は、温暖化が一つの要因と見られる気象現象が目立つようになりました。頻発しているのが線状降水帯であります。きょうは、これについての質疑にちょっと時間を割きたいと思います。
 ことし熊本県などを襲った七月豪雨、また、おととしの西日本豪雨、三年前の九州北部豪雨は、全て線状降水帯による雨であります。前線や台風に比べてやはりスケールが小さい、積乱雲が次々に局地的に発生をして、それが帯状に連なって大雨を長く降らせるという現象ですが、今の観測の技術では事前に捉え切れないということが大きな課題になっております。
 線状降水帯のメカニズムというのは、解明はまだ完全にされていないということなんですが、主に、海から供給される水蒸気の量をどれだけ正確に把握できるかということが予測にかかわる大きなポイントだということで、観測施設のない洋上について、気象庁は来年から、線状降水帯が発生しやすい梅雨の時期に気象観測船を東シナ海に回して、水蒸気量を具体的に数値を観測するという業務を始めるということです。具体的には、GPS衛星から電波を船の上で受けて、水蒸気量を測定することができるんですけれども、加えて、観測機器のついた気球も飛ばして下層のデータを集めるということです。
 ただ、線状降水帯をつくる積乱雲というのは、下層の暖かく湿った空気が上に持ち上げられて、上層でそれが冷やされることで発達していくわけですから、大気の下層だけではなくて、中層や上層の水蒸気量の正確な把握ということが重要になってきます。しかしながら、GPS衛星を使った観測では、層ごとに観測することは技術的にはできないんですね。
 予測精度向上につなげるための洋上観測なんですが、まず、課題が多いというふうに考えますけれども、関田長官のお考えを伺いたいと思います。

#81
○関田政府参考人 お答えいたします。
 線状降水帯の予測精度を向上するためには、線状降水帯の発生に結びつく大気の状態、ただいま御指摘いただきましたとおり、特に水蒸気の流入量を正確に把握するとともに、スーパーコンピューターを活用した数値予測技術を高度化するということが大変重要と考えております。
 この水蒸気の流入量を正確に把握するため、現時点で最新の観測技術を活用した施策としまして、これも御指摘いただきました、気象庁と海上保安庁が連携しまして、GNSSを利用した洋上観測を令和三年度の概算要求に盛り込んでいるところでございます。
 御指摘のとおり、GNSSを利用しました観測では鉛直方向に積算をした水蒸気量が得られます。このため、このデータだけでは水蒸気の鉛直分布を知ることはできませんが、このデータにあわせて、気象衛星観測あるいは高層気象観測等の他の観測データをあわせまして、これをコンピューターに入力し、数値予報技術を用いることで、水蒸気の鉛直分布を含む大気の状態を一定の精度で推定することが可能でございます。
 気象庁といたしましては、今後も、最新の観測技術を活用するなどによりまして、大気の状態をより詳細かつ高精度に把握できるよう努めてまいりたいと考えております。

#82
○緑川委員 やはり層ごとには、鉛直プロファイルという手法のみでは当然できないということで、それ以外の手法を用いて、補完的に、その観測を何とか正確に、できるだけ正確な予測に近づけていくというお話でありますが、現状の技術ではやはり十分ではないというお答えであります。
 下層は、観測気球で観測できるにしても、一つは、船の航行に沿ってやはり観測をしていく。つまり、その航行に沿ってですから、点や線としてのデータでありますから、この広い東シナ海の上で二隻の観測船で一定期間に十分な観測データを得られるかどうかということも、今後しっかりと見ていきたいというふうに思っておりますけれども、何より、気象庁は観測船を二隻しか保有していないので、北西太平洋での水温とか潮流、また汚染物質の観測などもやはり年間で行っているということですから、年間の観測計画を見直して、東シナ海での観測にその船を回していくということで、日ごろから大変な業務に更に新たな業務が加わっていくということで、そうした時間を捻出していくと気象庁はお答えされているので、相当な御苦労があるというふうに思いますし、今後、こうした計画が無理のないものであるかというのはしっかりと見ていきたいというふうに考えております。
 この観測技術を、長官おっしゃったように、更に高めていくのとあわせて、そこから得られた観測データをどう有効に活用していくかという課題もあります。スパコンのお話に触れていただきました。
 気象庁では、熊本県で球磨川の氾濫につながった線状降水帯の豪雨が事前に予測できたものかどうかについて、スーパーコンピューターで、世界一の計算速度を誇る「富岳」を使って解析をしたということです。この「富岳」を使うことで、従来の予測の五十倍にもなる一千通り以上の予測をもとに積算雨量を計算できるようになった。つまり、予測のモデルがふえることで、効果的に観測データを活用できるようになって、より現実の大気に近い状態からの予測ができたということです。
 その結果、球磨川流域で氾濫が発生する半日前という早い段階で、積算雨量二百ミリに達する豪雨を六〇%の確率で予測できたということであります。
 ただ、これもやはり課題としてあると思うんですが、「富岳」による解析が今後の予報にすぐに生かせればいいんですが、こうしたスパコンを常に使えるというわけではありません。
 また、今回は一つの事例の成果でありますので、それをほかの事例にうまく適用できるかということもわからない。
 加えまして、圧倒的な計算資源のあるこの「富岳」でも、時間のある中でできた今回の豪雨予測であって、限られた時間で、せわしい気象予報の現場でそれを活用することには相当な期間がかかると思います。
 より確かな研究開発が必要になりますので、今回の解析を現場で早期に生かせるようにするために、大臣にお伺いしたいと思うんですが、気象研のスパコンの性能をまずは「富岳」並みに引き上げるということが欠かせないというふうに思っておりますけれども、お考えを伺いたいと思います。

#83
○井上国務大臣 これは所管外でありますので、具体的なことは気象庁の方にお聞きになっていただきたいと思いますが、一般論として申し上げれば、スパコン等の情報処理環境のより一層の高度化により、さまざまな研究が更に進展することが考えられます。
 多くの研究現場ですぐれた情報処理機能が活用され、一層の社会課題解決やソサエティー五・〇の実現に貢献することを期待しております。

#84
○緑川委員 ぜひ、現場のさまざまな工夫の上に、何とかこの観測技術を高めつつ、その観測データをスパコンにしっかりと活用していこうというふうにしている動きですので、御配慮いただきたいというふうに思います。
 この「富岳」については、やはり、コロナ関連での試験利用も始まって、治療薬の候補を探すことなどでも成果が期待されている中です。
 他方、やはり災害を引き起こす極端な気象現象の正確な予測は、待ったなしであります。毎年のように大きな自然災害が起こり得る日本で、「富岳」を用いてできるような予測をすぐに実用化して、命を守る情報提供につなげていくべきだというふうに思います。
 スパコンによる研究成果を今後蓄積していくこと、また、観測技術をあらゆる今の手法で高めていくこと、また、線状降水帯のメカニズムを解明していくこと、このさまざまな課題を克服するというのは、一朝一夕にはやはりできません。
 今の水準でできる予測が頼りなんですが、その予測に基づいた情報を受け取る側はどうかというと、今回の七月豪雨では、例えば、その情報が出されたからといって特段の措置はとっていないという自治体が多かったということです。つまり、半日前という時点で予測に基づく情報を気象庁が仮に流したとしても、自治体の方で情報が十分活用されていないということです。
 こうした中で、今の予測ではあらわせないながらも、迫り来る災害への危機感というものを気象庁から自治体や地域の住民にどう伝えていくのか、その仕組みを気象庁としてどうつくられていくのか、伺いたいと思います。

#85
○関田政府参考人 お答えいたします。
 線状降水帯の発生を事前に予測することは、大変、現在困難でございますが、気象庁といたしましては、今後、半日前に線状降水帯の発生を予測する情報の提供、これを目標といたしまして、現在、技術開発に取り組んでいるところでございます。
 一方で、二〇二二年に情報の提供の開始を予定しておるところなんですが、この情報提供開始当初においては、恐らく空振りが多いという、かなり確度の低い情報になるということが予想されております。
 こういった確度の低い情報をどのように防災対応に活用していくのかということにつきましては、防災対応の最前線であります市町村などとしっかりと議論をしていく必要があるというふうに考えております。このため、アンケート調査や、また、それを踏まえました議論による意見交換を現在始めたところでございます。
 気象庁としましては、これらの調査結果やあるいは意見交換の結果を踏まえまして、気象庁が防災情報の伝え方という観点で御議論をいただいております防災気象情報の伝え方に関する検討会、ここにおいて、有識者の御意見もいただきながら、さらなる防災気象情報の改善に取り組んでまいりたいと考えております。

#86
○緑川委員 やはり、受け取る側がどう受け取りやすいかということ、そして、さまざまな意見交換を通じて、どのような情報であればまた確度として信頼が得られやすいか、これは危機意識を高めていくような内容であると。これは、文言の、もちろん伝え方なども含めて、非常に重要であるというふうに思っております。
 やはり、危機感を、それも、いろいろなものをトータルで正しく伝えていくためには、費用もかかると思います。客観的なデータを、観測技術を高めていきながら、そのデータに基づく情報をどう適切に、効果的に伝えていくかという上では、やはり費用がかかるということがベースにあります。
 求められる業務が非常に気象庁として多くなっているとお見受けします。気象庁の予算の規模というのは、しかしながら、この二十年で見れば縮小している傾向にあるんですね。今年度の気象庁の予算額というのはおよそ五百九十五億円なんですが、この予算を日本国民の数で割って国民一人当たりの負担額にすると、五百円弱なんです。喫茶店のコーヒー一杯分で気象とか防災に係る情報を年間で届けているわけです。コーヒー予算とも言われている、報道にもありますが。
 一方で、支出はというと、観測機器の維持管理に係る費用が特にふえている。かつて科学技術庁とか国交省で共同で負担していた気象衛星の「ひまわり」は、八号、九号からはもう単独で気象庁で負担することになっていますし、スパコンの運用経費も、業務に欠かせないものの、費用負担がやはり増している状況です。
 そうした中で、大きな自然災害が相次いでいることを受けて、観測の強化、情報発信、費用が膨らんでいる中で、予算がふえないという厳しい財政状況があるというふうに私は認識をしておりますけれども、長官の御見解はいかがでしょうか。

#87
○関田政府参考人 お答えいたします。
 ただいま御指摘いただきましたとおり、日本は、大雨や台風といった豪雨災害だけではなくて、地震や、あるいは火山噴火、こういった自然災害が多く発生する土地でございます。
 こうした自然災害から国民の命や暮らしを守るために、気象庁ではこれまでも、計画的な予算執行や業務の効率化に努めながら、必要な予算を確保し、観測、監視の強化や防災気象情報の高度化を実施してきたところでございます。
 例を挙げますと、近年におきましては、例えば、平成三十年に、従来の約十倍の計算速度を持ちますスーパーコンピューターの運用を開始しました。これにより、台風や集中豪雨等の予測精度の向上を図っております。
 また、平成二十六年の御嶽山の噴火を受けまして、予測が難しいとされております水蒸気噴火の兆候を捉えるため、火山観測体制の強化等に取り組んできたところでございます。
 また、令和三年度概算要求について申し上げますと、先ほど御質問ありました、本年七月、九州地方に多大な被害を及ぼしました線状降水帯の予測精度向上のため、従来より観測精度の高い最新の気象レーダーの設置や、先ほど御答弁申し上げました気象庁と海上保安庁の連携によります洋上での水蒸気観測等、線状降水帯の観測、監視体制の強化に向けて必要な予算を概算要求に盛り込んでいるところでございます。
 今後も、計画的な予算執行及び業務効率化を図りながら、気象業務の高度化等に必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。

#88
○緑川委員 防災、減災のかなめとして、再編も今進めてきたわけですけれども、そうした重責が増している中で、大きく予算規模が変わるということの見込みが私は立っていないように思えます。
 来年度の概算要求で、確かに、おっしゃったような線状降水帯の予測体制の強化などに係る費用、こうしたものは数字計上ができない事項要求になっていますが、今明示している要求額としては、前の年度よりも少ない要求になっております。
 非常に歳出圧力が強まっているという中で、やりくりが何とか気象庁としてできているのは、私は職員の努力が大変大きいというふうに思います。他省庁であれば何億という費用をかけてシステムを外注するというのを、理系の技術者が多い気象庁ではそれを自前で開発できてしまうということが、これはあります、よくも悪くも。
 頼もしい職員がいるというのはすばらしいんですけれども、気象や防災情報の取得で一番国民が頼りとする気象庁のホームページに、今回、広告を掲載して、サイトの運営費をみずから捻出しようと試みられたこともありました。これは、結局、不適切に当たる広告が多数表示されたということで、掲載は今停止していますけれども、要は、ぎりぎりのところで職員が努力をして経費を工面しているという実態のあらわれだというふうに私は考えます。
 国民の命にかかわる防災情報を扱っているだけに、こうしたものはやはり国の予算でしっかり確保して賄うべきものだと思いますし、今後、無理な対応がとられないような予算の増額ということは必要だというふうに思います。
 ただ、もちろん予算には限りがあるというのは承知をしております。その増額に見合うような組織の再編を進めていくことも、一つ、一案ではないかというふうに私は考えております。
 行政の例えば縦割りを克服しながら効率的なデジタル化を進めていこうというデジタル庁に対して、これは防災の分野でも同じことが言えると思います。
 今回、気象庁は組織を改編して、長官に次ぐポストとして気象防災監が置かれて、より防災重視の姿勢というものを打ち出していますが、気象庁以外にも防災を担当する機関というものがあります。
 例えば、内閣府の防災情報システム、国交省の川の防災情報や防災情報提供センター、また、環境省の熱中症予防情報サイトというものがありますが、各省庁が、予算や人が散らばっているという状況を変えて、防災情報の管理や一般向けの発表を気象庁に一元化をすることで、より住民に伝わりやすく再編をしていくことが必要ではないか、あるいは、気象庁を含めた防災担当の部局を統合して防災省のような省庁をつくって、防災に係る国の体制を抜本的に見直すということも考えられると思います。
 ここで、大臣、お伺いしたいんですが、防災研究を進めていくというお立場からの御所感、御見解を伺いたいと思います。

#89
○井上国務大臣 まず、防災に係る国の体制の見直しについては、私の所掌を超えるものでありますから、回答を差し控えたいと思います。
 防災研究の取組におきましては、防災にかかわる府省庁が、十分な連携を図りながら、研究開発課題を抽出するとともに、研究開発や社会実装の道筋づくりに係る取組を進めることが重要です。
 現在、内閣府で進めている第二期SIP、戦略的イノベーション創造プログラムの国家レジリエンス(防災・減災)の強化においても、関係府省庁が参画する推進委員会の場も活用しながら、府省庁間での調整を進めております。
 引き続き、関係府省庁間の連携を強化しつつ、先端的な防災技術の研究開発を推進するとともに、その成果の社会実装を図り、政府一丸となって防災対策のさらなる充実に取り組んでまいります。

#90
○緑川委員 このコロナ禍の中で社会の動きが大きく変わろうとしている中で、国の省庁横断的な再編を含めたさまざまな動きということをやはり高めていく機運であると私は考えております。
 気象庁の人件費以外の予算は、やはり、この五年間の平均で見ても二百億円ちょっとなんです。ですから、さらなる再編によって、時代に対応した新たな挑戦ができる体制が求められているというふうに思います。
 最後に、気象観測について、地域的な課題について触れたいと思います。
 ことしの八月に起きた問題なんですが、秋田県の天気は晴れていたんですが、八月中のある日、新潟市にある気象レーダーが秋田県内に強い雨が降っていると誤って観測していたという問題が、その八月中、少なくとも四回起きたということです。
 原因になっていたのが、秋田県沿岸に並んで建っている風力発電の風車です。気象レーダーは、電波がはね返る時間や強さから雨や雪の降る場所、量を調べるものなんですが、その電波が大気中で屈折して、風力発電の風車の動きを降水と判断してしまったのではないかというふうなことです。
 同じような問題が過去にどれだけあったかというのは、国の方で把握をしていないということなんですが、ほかの地域でも今後起こり得る可能性があります。この気象レーダーの観測データが誤れば、やはり自然災害の危険度をはかる各種の指標、またスマホの防災アプリ、一般の活用にも支障が出てくる話です。
 気象庁は、対策として、風車の設置について事業者に事前の通知を求めて、影響の少ない風車の配置になるよう求めていますけれども、通知自体を把握していない事業者もいるということで、さらなる周知を気象庁としてお願いをしたいと思います。
 大臣に、済みません、お伺いしたいんですが、カーボンニュートラルへ向けて再エネ割合を高めていこうという中で、今回の風力発電の導入が更に進んでいくわけですけれども、こうしたものが気象システムに干渉するという課題に対して、科学技術を所管される大臣として、受けとめをお伺いしたいというふうに思います。

#91
○井上国務大臣 この件も具体的には所管外でありますけれども、気象庁に確認したところ、風力発電施設が気象観測データに影響を及ぼすことがあるため、気象庁においては、経済産業省や環境省と連携をして、地方自治体向けのゾーニングマニュアル等に気象レーダーへの影響を掲載するなど、風力発電事業との共存を図る活動を行っているというふうに聞いております。
 一般論においては、新しい技術の導入に際し、ほかのシステムとの間で支障が生じることが判明した場合には、専門家の意見なども踏まえつつ、さらなる技術の高度化やルールづくりなど、互いのメリットを生かしつつ共存するための解決策を関係者が連携して見出していくことが重要と考えております。

#92
○緑川委員 質問はいたしませんけれども、こうしたせっかく地域に恩恵をもたらすはずの技術や事業の推進というものが、気象観測とか、それを受け取る地域の住民に影響が出ないことをしっかりと求めて、質疑を終わりたいと思います。

#93
○田嶋委員長 次に、畑野君枝君。

#94
○畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。
 十月二日の日本学術会議第百八十一回総会は、第二十五期新規会員任命に関する要望書を菅義偉内閣総理大臣宛てに出すことを決定いたしました。
 その内容は二点です。
 一、二〇二〇年九月三十日付で山極壽一前会長がお願いしたとおり、推薦した会員候補者が任命されない理由を説明いただきたい。
 二、二〇二〇年八月三十一日付で推薦した会員候補者のうち、任命されていない方について、速やかに任命していただきたい。
というものです。
 これは梶田隆章会長が菅首相にも申し出ておられます。菅首相が日本学術会議委員の任命を拒否した問題について、多くの方々が声を上げておられます。六名のうち二名が任命されなかった東京大学の五神真総長も憂慮され、同会議からの要望に対する真摯な対応を政府には望みますと言われておられます。
 また、十月一日からわずか一カ月の間に、これは十月三十日時点ですけれども、六百七十の学協会、学会や大学、大学人を始め、法律家や市民団体などからも、任命を拒否した理由の説明と任命拒否された六名全員の速やかな任命を求める抗議の声明が寄せられております。
 今回の措置は憲法二十三条が保障する学問の自由を侵害する行為だと、その多くの声が指摘をしています。
 例えば、日本科学史学会は、「法や日本国憲法第二十三条に規定された学問の自由を蹂躙する行為であり、到底容認できない」。また、法政大学総長メッセージは、「この任命拒否は、憲法二十三条が保障する学問の自由に違反する行為であり、全国の大学および研究機関にとって、極めて大きな問題であるとともに、最終的には国民の利益をそこなうものです。」と述べられています。
 井上信治内閣府科学技術担当大臣に伺います。
 憲法第二十三条の学問の自由は、一九四六年七月十六日、金森徳次郎大臣の学問の自由を保障する理由についての答弁にあるように、学問、思想が弾圧され、戦争への道につながったことへの反省から刻まれたものだと思います。
 井上大臣にこういう認識があるかどうか伺います。
 ちょっと紹介しますが、当時、金森大臣は、学問の自由を保障する理由について、「従来ノ日本ノ実情ヲ御覧ニナレバ分リマスルヤウニ、又過去ニアリマシタ所ノ多クノ場合ヲ御覧ニナレバ分リマスルヤウニ一ツノ政治的ナル権力ガ、自分達ノ行動ヲ思フヤウニ発展セシメヨウト致シマスルト、各人ガ其ノ心ノ自然ノ伸ビ方トシテ学問ヲ研究致シマスル所ニ、大イナル妨ゲヲ生ズル訳デアリマス、」と答弁されております。
 いかがですか。

#95
○井上国務大臣 憲法第二十三条に定められた学問の自由は、広く全ての国民に保障されたものであり、特に、大学における学問研究の自由、その成果の発表の自由、教授の自由を保障したものであると認識しております。
 また、旧憲法下において、国家権力により学問の自由が圧迫されたことなどを踏まえ、特に明文で学問の自由を保障したものと認識しています。

#96
○畑野委員 戦争への道についてはお答えになりませんでしたが、そういうことも含めてということになると思います。
 日本学術会議法は、その前文で、「日本学術会議は、科学が文化国家の基礎であるという確信に立つて、科学者の総意の下に、わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与することを使命とし、ここに設立される。」と掲げています。
 この前文にはどのような科学者の決意が込められているか。
 一九四九年一月二十二日、日本学術会議の設立総会で、日本学術会議の発足に当たって科学者の決意表明が採択されました。
 ここには、「われわれは、これまでわが国の科学者がとりきたつた態度について強く反省し、今後は、科学が文化国家ないし平和国家の基礎であるという確信の下に、わが国の平和的復興と人類の福祉増進のために貢献せんことを誓うものである。」と述べております。
 そこに至る経緯について、資料の二枚目に付しておりますけれども、日本学術会議の前身と言われる学術研究会議が建議を戦後出しました。一九四六年三月十四日、文部大臣に建議したものです。
 そこでは、「吾々ノ祖国ガ今コノ筆紙ニ尽シ難キ悲運ニ逢着シツツアル根本的原因ハ従来永キニ亘リ政治ノ局ニ立ツモノハモトヨリ国民一般ガ学問ヲ軽視シ、真理ノ命ズル所ヲ無視シ、国民一般ノ生活ハモトヨリ文化、経済、政治ガ不合理ナル精神ニ依ッテ支配サレ不合理ニ営マレ来リタルコトニ存ス。」と述べています。
 そして、先ほど紹介した、日本学術会議は一九四九年の一月二十二日に総会で決定された声明でこのように述べたわけです。
 その経過では、資料の二枚目の下にありますが、第一回総会の議事録、原案のこれまでの態度について、平塚英吉会員が、反省という中には戦争中のことが特に強く入っていると考えますに対し、亀山議長が、私もそう了解してよろしいと思いますとした上で採択され、議決されたものです。
 井上大臣に伺いますが、声明、「日本学術会議の発足にあたつて科学者としての決意表明」の中で、「これまでわが国の科学者がとりきたつた態度について強く反省し、」と述べて、科学者が戦争に協力した痛苦の歴史の反省の上に立って設立された、これが学術会議の発足の原点だと思いますが、井上大臣はそういう認識をお持ちですか。

#97
○井上国務大臣 日本学術会議は、日本学術会議法前文にもありますとおり、科学が文化国家の基礎であるという確信に立って、科学者の総意のもとに、我が国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与することを使命として設立されたものと認識しております。
 また、御指摘の声明につきましても、昭和二十四年の日本学術会議第一回総会において取りまとめられたものと承知をしております。

#98
○畑野委員 井上大臣、そうしますと、第一回総会の議事録からも、反省という中には戦争中のことが特に強く入っていると考えますという議論の中で、そうした科学者たちが戦争中の行いについて強く反省したということで日本学術会議の声明もつくられている、これが原点だという認識でよろしいですか。確認です。

#99
○井上国務大臣 結構です。

#100
○畑野委員 大事な御答弁をいただきました。
 次に伺いたいのは、日本学術会議法です。
 第三条は、「日本学術会議は、独立して左の職務を行う。」と規定しています。「一 科学に関する重要事項を審議し、その実現を図ること。」「二 科学に関する研究の連絡を図り、その能率を向上させること。」です。
 一九四八年の第二回国会では、六月三十日に行われた衆議院文教委員会で、第三条の「独立して」とはどういう意味かとの質問がされています。政府の答弁は、学術のことにつきましては、日本学術会議が各省の制肘を受けないで、独立した形において自由にその職務を行うという考えでございますと答弁しています。
 井上大臣の御認識はいかがですか。

#101
○井上国務大臣 委員御指摘のとおり、日本学術会議法第三条において、日本学術会議は独立して職務を行うとされております。
 また、昭和二十三年六月三十日の衆議院文教委員会において、政府委員が、政府、各省の制肘を受けないという趣旨である旨を答弁していることも承知しております。

#102
○畑野委員 当時、本当に自由闊達に議論されているのを私も議事録で読ませていただきました。
 そこで、井上大臣に伺いますが、日本学術会議と政府の関係です。
 政府から日本学術会議に検討を要請する仕組みというのは、内閣総理大臣からの諮問、審議依頼だということでよいですか。

#103
○福井政府参考人 これにつきましては私どもからお答えした方がいいかなと思って、お答えをさせていただきます。
 まず、日本学術会議法では、「政府は、左の事項について、日本学術会議に諮問することができる。」となっておりまして、これは、特に内閣総理大臣に限られているわけではなくて、政府の各大臣等であると考えております。
 もう一つ、日本学術会議法の方には、「科学に関する重要事項を審議し、その実現を図ること。」という所掌事務がございます。これに基づきまして、学術会議では、関係機関からの審議依頼を受けて回答するということを行っております。これも、関係機関ということでございますので、政府の各機関から御要望があれば回答するということでございます。

#104
○畑野委員 つまり、きちっとしたものとして依頼されるという確認です。誰かが勝手に、好き勝手に言うということではなくて、正式に、きちんと政府として文書なりでやるということですね。

#105
○福井政府参考人 そのように予定しております。

#106
○畑野委員 大事なことです。
 日本学術会議の提言などは、学術会議が、さまざまな分野の学問上の研究成果に基づいて総合的、俯瞰的観点からまとめ上げ、我が国の科学者を代表して発出したものです。この内容に対して政府が変更あるいは再検討を求めることは、日本学術会議法が規定する独立して職務を行うに反する行為だと思います。
 学問研究の成果に介入するということは、学問の自由を侵害することになります。こうした介入は、日本学術会議の独立性、学問の自由、自律性の観点から行うべきではないと考えますけれども、井上大臣、いかがですか。

#107
○福井政府参考人 学術会議の科学に関する重要事項の審議、あるいは私どもの職務に関しまして、政府が直接指揮監督するものではない、それは独立して行っているという認識でおります。

#108
○畑野委員 確認なんですけれども、井上大臣、日本学術会議が審議する内容について政府から物を言うことは、組織の独立性の観点から行わないということでいいですか。確認です。

#109
○井上国務大臣 政府が日本学術会議に対して審議を求める場合には、日本学術会議法に基づく諮問又は日本学術会議会則に基づく審議依頼を行うものと考えております。
 なお、審議依頼などの際には、審議項目とあわせて依頼されることが通例であると承知しています。

#110
○畑野委員 そうすると、中身の決定については日本学術会議が決定するということですよね。

#111
○井上国務大臣 そのとおりだと思います。

#112
○畑野委員 確認しました。
 大臣、ちょっと一つだけ確認なんですけれども、日本学術会議が、二〇一七年三月二十四日、軍事的安全保障研究に関する声明を発表しました。この声明は、資料にもありますが、一九五〇年の戦争を目的とする科学の研究には絶対に従わない決意の表明という声明、一九六七年の軍事目的のための科学研究を行わない声明を継承する、すなわち、軍事研究は行えないことを改めて確認をし、防衛装備庁の安全保障技術研究推進制度は、政府による研究への介入が著しく、問題が多いと指摘したものです。
 大臣、この声明の内容について、変更や再検討を求めることはしないというのは当然なんですけれども、確認です。

#113
○井上国務大臣 あの声明については、学術会議が発出したものだというふうに考えています。

#114
○畑野委員 それで、井上大臣は、日本学術会議のあり方の見直しに関して、十一月十七日の参議院内閣委員会で、「いわゆるデュアルユースの問題につきまして、これ、私としても、やはり時代の変化に合わせて冷静に考えていかなければいけない、そういう課題だというふうに考えておりまして、このことについても梶田会長とお話をしております。」と述べられました。
 これは、ちょっと訂正しないといけない、介入になる答弁だと思うんです。正確にきちっと言っていただきたいと思いますが、この問題について。

#115
○井上国務大臣 日本学術会議のよりよいあり方については、これまで、梶田会長ら日本学術会議の皆さんとさまざまな意見交換を行ってまいりました。
 委員御指摘の答弁は、その中で、デュアルユースについても時代の変化に合わせて冷静に考えなければならない課題であるが、何を検討課題とするかを含めて、まずは学術会議自身に考えていただきたいという趣旨で伝えたものです。

#116
○畑野委員 大臣、本当に、学術会議の成り立ち、独立性を含めて、しっかりと御認識されて、御発言、御答弁していただきたいと思うので、一言申し上げておきたいと思います。
 今、梶田会長は、正確なデータに基づいて議論してほしいということを訴えられております。予算もなくなり、旅費がないという問題もある。十億円と言われているけれども、本当に大変な状況を訴えています。
 それと、いろいろな中で、例えば中国の千人計画に日本学術会議が協力しているという事実に基づかない話がSNSなどで流されて、日本学術会議と中国科学技術協会間の協力覚書がその根拠などという言説が流されているんですね。本当に、関係者は、全く関係ないことでSNSで攻撃をされるという事態なんです。
 確認します。そういう事実はあるんですか。

#117
○福井政府参考人 御指摘は、いわゆる中国の千人計画とよく言われておりますが、中国が海外のハイレベル人材を招致するという計画のことかと思います。
 日本学術会議は、多国間や二国間の枠組みを通じましていろいろな学術交流は行っておりますけれども、そのような、いわゆる千人計画を支援するような学術交流事業は全く行っておりません。

#118
○畑野委員 そうですよね。こういったことも本当に国民が知っていく必要があると思います。
 それで、政府は最近になって学術会議のあり方を見直すと言っているんですが、伺いたいのは、この間、政府が一体御自身で何をしてきたのかということです。
 二〇〇三年に総合科学技術会議の専門調査会がまとめた「日本学術会議の在り方について」でも、二〇一五年に日本学術会議の新たな展望を考える有識者会議がまとめた「日本学術会議の今後の展望について」でも、日本学術会議の機能を発揮するために、会員の活動を支援する事務局の機能、体制を強化する必要があると指摘しています。
 伺いますけれども、内閣府がこの受け取った報告書をどう受けとめて、事務局の機能、体制の強化を行ったのかということが問われます。二〇〇三年度と二〇二〇年度の日本学術会議の予算額、その間の事務局の正規職員の数はどうなっているんですか。

#119
○福井政府参考人 二〇〇三年、平成十五年度でございますが、このときの予算額は約十四億六千万円という記録になっております。これに対しまして、本年度、令和二年度の予算額は約十億五千万円でございます。
 同じ期間をとりまして、平成十五年度の予算上の定員数でございますが、これは六十一名でございました。現在、令和二年度の予算上の定員数は五十名となっております。

#120
○畑野委員 大臣、私もきょう、資料を、学術会議事務局からいただいたものをもとにつくりました。一番多かった十四億円の時代から、もうずっと下がっているんです。
 それで、その中で、もちろん会員の皆さんの活動も、先ほど紹介したように大変になっている。出張もなかなかできない、ボランティアでやっているという事態になっているんだけれども、事務局も、伺いましたら、正規の職員も六十一人から五十人で、もう本当に減っているということなんです。
 それで、そういう点では、大変なこういう状況を見て、事務局体制の強化のためにふさわしい予算をつける必要があると思うんですけれども、いかがですか。

#121
○井上国務大臣 現在、学術会議のよりよいあり方について、事務局体制も含めて、年末までに一定の結論が得られるよう、学術会議とともに未来志向で検討をしております。
 予算については、財政当局と相談しながら措置されるものであると考えており、必要な予算についてはその必要性をしっかりと説明してまいります。

#122
○畑野委員 政府みずから日本学術会議の機能、役割を高めるための責務をきちんとやっていないで、学術会議に対してあり方の見直しを求めるというのは、私は本末転倒だと思いますよ。
 井上大臣が十一月二十六日に、報道でいえばですよ、国の機関からの切離しについても検討するべきだという意向を伝えたというんですけれども、これも本当に節度を欠いた発言ですよ。国会の中では、そういうことを言わないように、多分節度を持って言っているんでしょうけれども、記者会見に行くと、言ってはならないことも含めて、介入になるようなことを次々とおっしゃっているんです。
 それで、伺いますけれども、さっき紹介した日本学術会議の組織形態については、二〇一五年に有識者会議の「日本学術会議の今後の展望について」の結論としてどう書かれているか。「国の機関でありつつ法律上独立性が担保されており、かつ、政府に対して勧告を行う権限を有している現在の制度は、日本学術会議に期待される機能に照らして相応しいものであり、これを変える積極的な理由は見出しにくい。」とあるんです。
 井上大臣はこれを引き継いでいらっしゃいますか。

#123
○井上国務大臣 当然引き継いではおります。
 先日、十一月二十六日の学術会議の会長や幹部の皆さんとの意見交換におきましては、各国のナショナルアカデミーの特色なども話題になり、学術会議がナショナルアカデミーとしての機能を発揮する上で最も適切な組織のあり方を検討するとのお話をいただきました。私からも、各国のナショナルアカデミーと同様に国の機関から切り離すことも含め、よりよい機能発揮のために望ましいと考えられる形態を検討いただくようにお願いをいたしました。

#124
○畑野委員 だから、それが節度を欠いた発言ではないですかと言っているんです。
 それで、それについては、学術会議からもそうじゃないという声もあり、日本の成り立ちも含めて、あるという話もあり、大臣が発言すると、そういうことを押しつけているというふうに伝わっていくわけなんです。
 「日本学術会議のよりよい役割発揮に向けた検討について」、日本学術会議幹事会が十一月十二日に出しましたよね、こういうものを。みずからが検討するということが大事じゃないですか。確認です。

#125
○井上国務大臣 そのとおりだと思っています。
 ですから、私の方から学術会議に対してこの検討をお願いをしております。

#126
○畑野委員 きちっとわきまえて発言をお願いしたいと思うんです、大事なことですから。法律の歴史的な経過がありますから。
 そこで、私、次に伺いたいのは、資料にありますが、二〇一八年に日本学術会議事務局から相談を受けた内閣法制局の応接録について伺います。
 日本学術会議事務局は、どうして参考資料一覧について調べたり、内閣法制局に相談する必要があったんですか。

#127
○福井政府参考人 まず、当時の状況でございますが、日本学術会議の会員は平成二十九年に半数改選を行っております。その後、平成三十年十月、総会がございますが、この間に定年によりまして三人の欠員が生じることとなっておりました。この三人の欠員につきまして、後任となる会員を選考、任命することが必要となっておりましたが、このうちの一人につきまして、平成三十年十月の総会へ承認提案を行わなかったということがあったと承知しております。
 御指摘の平成三十年の際の文書でございますが、これは、以上のような経緯、それから、当時、任命権者側から定数以上の推薦を求められる可能性があったことなどから、その後の推薦作業のために、学術会議事務局として、従来からの推薦と任命の関係の法的な整理を確認するため作成したものでございます。

#128
○畑野委員 山極前会長は、会長への報告なしに文書がつくられたことについて、あり得ないと批判をされております。
 伺いますが、この応接録の日本学術会議事務局がつくった参考資料一覧には、推薦に基づく任命をする例として、候補者ネガチェックがあります。これは具体的にどういうことですか。何のために調べるんですか。

#129
○福井政府参考人 当時のことでございますけれども、ここで、資料に載っております候補者ネガチェックとは、恐らく欠格条項への該当の有無などを確認するという意味ではなかったかと思います。
 この資料は、学術会議法における推薦と任命の関係の法的整理を確認するに当たって、任命に関する類似の規定を確認するために作成した資料であると思われますが、この確認によってどのようなことを整理していったのかについては、ちょっと現状では不明でございます。

#130
○畑野委員 推薦のとおり任命する義務があるとまでは言えないという考え方は、一九八三年当時からの考え方と政府はおっしゃるんだけれども、それを示す文書はないんですよね。それはこれまでの審議で、国会で明らかになっています。
 そもそも一九八三年の答弁も、内閣法制局と詰めたと言っているわけです。形式的任命は確定した法解釈なんです。
 ところが、二〇一八年に、ネガチェックとか差戻しの有無とか、逐条解説まで調べて、それも何か、推薦されてきたものはどうすれば任命しなくてよいかという方策をつくり出すための調査じゃないかと言われますよ。
 私、委員長にお願いがあるんですが、学術会議事務局に、推薦に基づく任命の例、指名に基づく任命の例、名簿に基づく任命の例、申出に基づく任命の例、それぞれについて、ネガチェック、実質的選考、差戻し・拒否の有無、差戻し・拒否有無の逐条解説などを各省庁に問い合わせているんです。どんな依頼をし、どんな回答があったか、委員会に文書を提出するように求めます。

#131
○田嶋委員長 後刻、理事会で協議いたします。

#132
○畑野委員 出してくださいね。
 大臣、今、四十の国際的な学術団体と百四十以上の国や地域を代表する学術団体が加盟する国際学術会議の会長からの書簡、日本学術会議の総会への六人の学者の任命を承認しないとの日本の内閣総理大臣の決定に関する懸念を公表、梶田会長がいたしました。世界が注目しているということです。
 この書簡、大臣、お読みになりましたか。どう受けとめられているか伺って、質問を終わります。

#133
○井上国務大臣 総理の任命の件に関しましては、これは総理大臣の権能ですから、総理の方にお聞きになっていただきたいと思います。

#134
○畑野委員 大臣、読んでいらっしゃるんでしょう。読んでいないんですか。

#135
○井上国務大臣 私の方は、職務の権限に基づいて日本学術会議の今後のあり方について検討をしていっております。

#136
○畑野委員 今後のあり方に関する大問題ではありませんか。世界からそういうふうに言っているんですよ。ぜひ読んでいただきたいということを申し上げ、そして、日本学術会議への人事介入は世界からも批判を受ける暴挙だ、撤回すべきだ、そのことを強く申し上げて、私の質問を終わります。

#137
○田嶋委員長 次に、青山雅幸君。
    〔委員長退席、津村委員長代理着席〕

#138
○青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会、青山雅幸でございます。
 きょうは、貴重な質問の機会をありがとうございます。
 早速、聞かせていただきます。
 まず、お手元の資料1をごらんください。これは、フォーチュン社が毎年発表しておりますグローバル五百社の上位百社内の日本企業です。
 グローバル五百社全体も、一九九五年、百五十社近くあったものが、今、四十九社くらいになっていて、三分の一に減っているんですけれども、上位百社の中もかなり減っております。一九九五年が三十七社、二〇〇〇年が二十二社、二〇一九年が八社です。
 この中で、私、更に深刻だと思っておりますのが、メーカー系製造業、あるいはソフトエンジニアを含めて、物づくりにかかわる企業というのが、一九九五年には十三社、それが二〇〇〇年には十社、二〇一九年にはわずか三社に減ってしまっております。しかも、二〇一九年の場合、三社はいずれも自動車産業です。
 つまり、日本の一昔前のイメージである物づくり大国あるいは技術大国というものは、もうすっかり陰になってしまっている、過去のものになってしまっている。このことを、私は、日本じゅう、特に政治も意識しなければいけないと思っているんですね。
 結局のところ、国力増大のためには、やはり企業の国際競争力を底上げしていくというのが私はどうしても必要だと思っています。今現在、サービス産業中心で、この新型コロナ禍の前は、おもてなし云々で観光立国を目指している部分もあったわけですけれども、やはり国の力というものは、本質的には、私は、きちんと物をつくったり、そういった質実剛健としたものをきちんとやっていかなければ、日本は先進国として、どんどんどんどん今の地位を滑り落ちていってしまうと思うんです。
 当然ながら、今の世の中というのは、科学技術、いろいろなシステム、そういったものが中心になっています。その科学技術力の底上げというものが大変重要だと思っておるんですけれども、まず、井上大臣の今のことに関する御所見をお聞きしたいと思います。
    〔津村委員長代理退席、委員長着席〕

#139
○井上国務大臣 私も委員と問題意識は共有しております。我が国の企業の国際競争力が低下している状況について強い危機感を持つとともに、その要因の一つとして研究力の低下が挙げられると認識しています。
 国際競争力の向上を図るには、スピード感を持ってイノベーションの源泉となる研究力の強化に取り組むことが重要です。このような認識のもと、来年度からスタートする次期科学技術・イノベーション基本計画において、世界に誇る研究力を取り戻すための大胆な取組等を盛り込んでまいりたいと思います。

#140
○青山(雅)委員 そこのところ、ぜひよろしくお願いいたします。
 その上で、更に突っ込んでお聞きするわけですけれども、CSTIの有識者会議というものがあるようですけれども、このメンバーの平均年齢はどのくらいになっているんでしょうか。

#141
○柳政府参考人 お答えいたします。
 内閣府設置法第二十九条第一項第六号の規定に基づく総合科学技術・イノベーション会議議員七名の平均年齢につきましては、本日時点で六十五歳となっております。

#142
○青山(雅)委員 まあ、大体予想どおりかなということなんですね。
 経験や知識はもちろん大事だと思います。例えば政治の世界でもそうですし、どの世界でも経験、知識というのは非常に大事なんですけれども、事科学技術というようなことに関して見れば、やはり平均年齢が余り高いと新しいものが入ってこない。これはもう、ある意味、常識的なところかなと思っております。つまり、今までの経験、知識に引きずられて、大胆な発想が出てこない。
 国の科学技術等の方向性を決めていく、政府の方向性を決めていくCSTIのメンバーの平均年齢が六十五歳というところに、私は非常に問題があると。というのは、日本は、御承知のとおり、先ほど挙げた一九九五年くらいから、もう三十年くらいにわたって負け組一直線なわけですね。
 一定程度の年齢の方は御記憶でしょうけれども、アメリカを世界一の産業国、物づくりの国からその当時引きずりおろして、そこから日本の時代だと思われたわけですね。ところが、日本企業はどんどんどんどん国際競争力を失い、逆にアメリカからは、御承知のGAFA、グーグルであるとかアマゾンであるとかアップルであるとか、マイクロソフトであるとか、新しい国際競争力を持った全く違う新興勢力があらわれて、あっという間に世界を席巻していったわけですね。
 その後どうなったかというと、今度は中国が出てきて、今、5G、トランプさんがいろいろとやっていましたけれども、アメリカに取ってかわる勢いで新しい産業に取り組んでいる。
 一方、日本は、新しい産業どころか、御承知のとおり、三菱重工が、子会社の三菱航空機ですか、MRJ、今、MSJというふうに名前を変えていますけれども、中型の航空機、これはまあ新技術というよりは既存技術の集合体なわけですけれども、型式証明もできない。一兆円もつぎ込んでいるようですけれども、もう十年、二十年やっているけれども、空を飛ぶことすらまだ、試験飛行はもちろんやっていますけれども、できないで、事実上凍結というようなお話がございます。日本は、要は、既存技術もだめになってきているし、新規技術もだめになっている。
 一方で、アメリカはどういうふうに伸びてきているかというと、別に国がリードしているわけじゃないんですね。アップル、マイクロソフト、アマゾン、これは御承知のとおりガレージから始まっている企業と言われています。つまり、大学生くらいの若者が自分の家あるいは知り合いの家のガレージでもって始めたような企業が、今世界をリードする巨大産業になっているわけです。
 私は、ここに日本の問題点があると思っていまして、なぜかというと、こういった新しい産業とか企業というのは、予測不可能なことをやっているわけですね。まさかグーグルだとかあるいはフェイスブックみたいな企業が、あんなものが世界をリードするようなものになるなんて誰も思わないし、国もそんなところにお金をつぎ込んじゃいないわけですよね。アマゾンだって同じです。あるいは、アップルやマイクロソフトだって、別に国の援助を受けてできたわけじゃないです。
 一方、そのころ日本は何をやっていたかというと、御記憶の方はいると思うんですけれども、トロンという官製のOSをつくろうとして、つくったんですけれども、別に全く売れないというか、汎用化はされなかった。
 私が思うには、大変申し上げにくいことにはなるんですけれども、政府が一定の科学技術の方向性を決めてやっていくという方針では、結局のところ無理なのではないか。ソサエティー五・〇とか、いろいろと名前は躍っております。名前は躍っているし、それは何となく名前を聞くと、横文字だし、格好よさそうだし、今、将来性がありそうだしということで、何となく安心するんだけれども、そういった、今我々が、一定程度の年齢になったような人間が考えて格好いいと思うようなことというのは、本当に物にならないことの方が多いのではないか。
 そういった、政府が具体的な方向性を決めるというのは、直接運営するような粒子加速器であるとか宇宙開発プロジェクトだとか一定程度のものに絞って、やはり基本に戻って、基礎科学や大学教育、大学や大学院における研究に広く分配する。なぜなら、どれが当たるかなんて誰にもわからないわけですね。
 企業でよく言われるんですけれども、全員一致で重役会議なんかでいいと言われたやつは大体はやらない、はやるのはみんながそっぽを向いて一人くらいしか賛成しないようなものであると言われるわけです。つまり、ランダムな方向性の中から数%の確率で全く新しい産業や技術が生まれるわけですから、例えば、今回もムーンショット目標とか言われていますけれども、そういったものに予算をつぎ込み過ぎないで、広く、満遍なく基礎科学を発展させるという方向をもう一度考えてみた方がいいと思うんですけれども、その点に関して大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

#143
○井上国務大臣 個々の研究者の知的好奇心やアイデアに基づく学術的研究や基礎的研究は、将来のイノベーションの種となる重要なものであり、幅広く推進することが必要です。
 このため、関係省庁とも連携しつつ、最長十年間、自由な発想による挑戦的研究を支援する事業を創設したほか、基礎研究の担い手となる若手人材育成等を抜本強化するためのファンドの創設についても検討を行っています。
 他方、こうした研究の中から、適切な目ききを経て、大きなインパクトをもたらす可能性が高いものを選定し、研究投資の重点化を図ることも重要だと思います。
 例えば、山中先生によるiPS細胞の研究や、赤崎先生や天野先生らによる青色発光ダイオードの研究は、ともにノーベル賞を受賞されましたが、当初は基盤的な経費などで進められてきた研究成果の中から重点プロジェクトを組成し、戦略的に支援してきたものであり、現在、大きな社会経済的な価値をもたらしております。
 このように、基礎研究と戦略研究は、いずれも重要であり、これらをバランスよく振興してまいりたいと思います。

#144
○青山(雅)委員 ぜひ、余り絞り過ぎずに、幅広く自由な芽が伸びる余地を大切にする、その辺、よろしく御検討いただければと思っております。
 もう一つ大事なことは、日本の技術あるいは会社が伸びていかない理由の一つとして最近言われ始めているのが、日本は、何だかんだ言って高等教育が不足しているのではないかと。高等教育も、別に大学ではないです。アメリカなどは、事情をよく知る人などの話を聞くと、大学なんか出ているのは当たり前だ、そんなことで何も差別化できない、その上で、修士であるとか博士であるとか、更にどれだけ自分に投資をして学問上の差別化をしているかが大事であると。私の友人なんかでも外資系企業を渡り歩いてきた人間はいますけれども、確かにそのとおりなんですね。大学を出ていればいいというものではない。
 ところが、日本は、逆に、一時オーバードクターという声がよく言われました、今はポストドクターと言われているようですけれども、こういう超高等教育を受けた優秀な人材の行き場がない。大学などで研究職などにつければいいわけですけれども、なかなかそういう人ばかりではない。
 そこで、まず、私は、例えば公務員の任用制度において、今、院卒を総合職としてある採用枠を設けているようですけれども、これも三十歳未満で、中身を見ると、法科大学院の、要は司法試験に通らなかった人の受皿みたいになっているような感じが見えます。そういうのではなくて、理系の人を含めて、非常に超高学歴な人を重用していく、そういう社会制度づくりをまずは公務員の試験の方から始めたらどうかと思うんですけれども、これについても大臣の御意見をお伺いしたいと思います。

#145
○井上国務大臣 日本の科学技術力の未来は、これからの博士課程学生を始めとする若い力にかかっていると言っても過言ではありません。しかしながら、博士後期課程への入学者数は、平成十五年をピークとして減少傾向にあり、その主な原因は、在学中の経済面や卒業後のキャリアパスの不安であると考えております。
 このため、内閣府では、内閣人事局等とも連携をし、博士号取得者の国家公務員や産業界等における採用や処遇等に関する実態やニーズの調査を行い、現在、分析を進めております。
 今後、その結果も踏まえ、国家公務員における博士号取得者の専門的知識や研究経験に応じた処遇について検討を進め、博士号取得者のキャリアパスの拡大や博士後期課程学生の処遇の改善を図り、科学技術力を底上げしてまいりたいと思います。

#146
○青山(雅)委員 ぜひ、そこの点、よろしくお願いします。日本が生きていくのは、やはり人材だと思います。ぜひ、そこの点をよろしくお願いいたします。
 もう一つ、関連しまして、先ほどもちょっと出ましたけれども、優秀な学生を世界じゅうから集める、そういう視点が最近ちょっと欠けているのではないかなと。アメリカがずっと勝っているのは、世界じゅうから超優秀な学生を集めて、教育するだけじゃなくて、その先、さっきも言いましたように、その人たちが大変、最初からすばらしい収入を得て活躍していくような場が設けられている。つまり、世界のトップがみんな来ているからアメリカは強いわけですよね。
 ところが、日本はどうも最近そういうところがないんじゃないか。日本にすばらしい学生を集めて研究を続けてもらって、そのまま日本で産業を興してもらう、こういうようなことにこそ、私はお金をつぎ込むべきだし、サポートすべきだと思うんですけれども、これについても大臣の所見をお願いいたします。

#147
○井上国務大臣 我が国の科学技術・イノベーション力を強化していくためには、世界じゅうから優秀な学生や研究者が我が国に集まり、活躍する環境をつくっていくことが重要です。
 このため、政府としては、諸外国の優秀な留学生の受入れ、海外からの研究者等の雇用促進のための国際公募の拡大、英語対応の強化、また、世界トップレベル研究拠点プログラムを通じた国際研究拠点の形成などの取組を進めてきています。
 また、海外からの学生を含め、博士人材の産業界へのキャリアパスの構築に向けて、企業との連携による博士後期課程学生の長期有給インターンシップの促進、企業と大学による優秀な若手研究の発掘事業、アントレプレナー教育、スタートアップエコシステム形成のための取組強化等も推進をしております。
 内閣府としては、関係省庁と連携し、これらの施策に取り組むとともに、来年度から新たにスタートする科学技術・イノベーション基本計画の検討に反映し、科学技術予算の充実を図ることにより、世界じゅうからすぐれた研究人材が集まり、活躍する環境をつくり、我が国の科学技術・イノベーション力の強化につなげてまいりたいと思います。

#148
○青山(雅)委員 ぜひ、そういった基盤整備こそ、政府、一生懸命やってください。お願いいたします。
 最後に、エネルギー政策、エネルギー政策に関する技術開発についてお伺いします。
 今後の世界の一つの主要な産業として、再生エネルギーというものが中心になってくるのは間違いございません。
 世界を見渡すと、中国においては、習近平氏が九月二十二日、国連でビデオ演説をして、二〇六〇年までにカーボンニュートラルの実現を目指すということを表明しております。それから、バイデン次期アメリカ大統領は、一〇〇%再生可能エネルギー社会への移行を公約として、資料をきょうおつけしましたけれども、かなり具体的な踏み込んだグリーンエネルギー政策について、そして、それに対する政府の関与について表明をしております。
 米中がいずれもグリーンエネルギー、再生エネルギーについて大きく踏み込んでいく今、日本がこれに関する技術開発をおくらせてはお話にならないかと思っております。
 日本では、原子力に関してこそ、いろいろとやられておりますけれども、こういった再生エネルギーに関して、国が率先して技術開発をしていくというような機運はまだないように思われます。
 そこで、お聞きしたいんですけれども、国の施策として、米中におくれをとることなく、こういった再生エネルギーへの研究開発を前面に押し立てて、私は、こういったことこそ、政府が主導して、ムーンショットでもやっていくべきだと思うんですけれども、それに対して大臣の御所見をぜひお伺いしたいと思います。

#149
○井上国務大臣 委員から御指摘がありました中国、米国などにおいてカーボンニュートラルに向けた取組が活発化している状況について、承知をしております。
 我が国においても、今国会での菅総理の所信表明の中で、気候変動問題への対応が国家としての最重要課題の一つとして位置づけられ、二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現を目指すことが宣言をされました。
 その実現には、総理も言われているように、鍵は革新的なイノベーションであり、実用化を見据えた研究開発を加速度的に促進することが必要と考えております。
 そのため、本年一月に策定した革新的環境イノベーション戦略において、例えば、人工光合成、水素エネルギーの利用促進など、推進すべき技術テーマを示したところでありますが、これを確実に進めるため、本年末を目途に重要分野に関する実行計画を取りまとめることとしております。
 引き続き、関係省庁による連携のもと、技術開発を促進することにより、コスト低減及び社会実装をできる限り早期に実現をし、我が国のみならず、世界のCO2排出量削減に貢献してまいりたいと思います。

#150
○青山(雅)委員 日本の未来を切り開くために、ぜひ全力を挙げて取り組んでいただきたいと思います。
 本日は、貴重な機会をありがとうございました。

#151
○田嶋委員長 次に、高井崇志君。

#152
○高井委員 国民民主党・無所属クラブの高井でございます。
 まずは、平井大臣、井上大臣、御就任おめでとうございます。
 平井大臣とはもうIT政策をずっとこの間、超党派で長年やってまいりまして、本当に超党派議連でも平井大臣が先頭に取り組まれたので、まさに適任の大臣だと大変期待をしております。
 また、井上大臣とは、去年、総務委員会の筆頭理事同士で切磋琢磨してまいりましたけれども、ちょうど去年の夏に衆議院の視察でヨーロッパも一緒に行かせていただいて、そのときに、井上さん、そろそろ大臣ですねという話をしたら、まんざらでもないお顔をされて、ちょうど組閣の前だったものですから、その組閣の時期に合わせて委員会も日程を決めなきゃいけなかったということを思い出しまして、無事大臣になれてよかったと思っております。
 そういった中で、今、井上大臣、大変苦労されているこの日本学術会議の問題、私は、任命の問題は大臣の所管ではない、総理ということなのでもう聞きませんけれども、この間、法務委員会でも質問したんですけれども、法的安定性という観点から、国会で答弁したことが政府の内部文書で変わるというのは、これはやはりいかがなものかと思いますし、また、その問題が決着していないというか、いろいろ議論のある中で、この日本学術会議のあり方の問題も、これを今議論するのが果たしていいのかということは、やはり、ここは少し任命の問題が決着がついてからというか、してから私は落ちついてあり方の議論はすべきじゃないかということはちょっと大臣には申し上げておきたいと思います。もう答弁は結構です、二十分しかありませんので。
 その上で、私はきょう井上大臣に、先日、十月十五日の読売新聞のインタビュー記事を見て、「万博 デジタル「実験場」に」と。私も全く大賛成、ぜひ頑張っていただきたいと思いますし、中でも私が非常に注目をしたのは、公文書管理にもデジタル化を最大限取り組んでいくと。
 この分野、ほとんどの大臣が余り取り組んできませんでしたが、私は実はこの国会でも何度も取り上げていまして、特に、国の公文書管理も大事なんですけれども、地方自治体の公文書館が全くデジタル化が進んでいないということを私は再三国会で質問してまいりましたけれども、全然、政府としていい返事がもらえていないんですが、ぜひ、大臣就任をきっかけに、この地方の公文書館のデジタル化も含めたデジタルアーカイブというものに全面的に力を入れて取り組んでいただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

#153
○井上国務大臣 公文書のデジタル化につきまして、実は私も超党派の公文書の議員連盟の事務局長を長く務めておりまして、大変関心もありますし、平井大臣とも協力をしてしっかり進めてまいりたいと思っております。
 国立公文書館や、地方公共団体が設置する公文書館、いわゆる地方公文書館が保有する歴史公文書等について、貴重な資料のデジタル画像や目録情報などをインターネットにより提供し、その十全な活用を図ることは時代の要請にかなうものであると考えています。
 平成二十七年には、全国公文書館長会議において、国立公文書館が地方公文書館とともに所蔵資料等のデジタル化に取り組む基本的考え方を取りまとめ、デジタルアーカイブの構築について積極的に推進することとしたと承知をしています。
 また、こうした中、国立公文書館においては、館が保有する資料のデジタル化を進めるとともに、地方公文書館に収蔵された資料についても国立公文書館のホームページから検索できるよう、情報連携が進められております。
 引き続き、国立公文書館と地方公文書館が連携してアーカイブのデジタル化が進むよう、取組を促進してまいりたいと思います。

#154
○高井委員 ありがとうございます。
 本来、内閣府が細かいことなので答弁すると言い張っていたんですけれども、大臣みずから答えていただいたことには感謝いたします。ただ、やはりそれでは足りないんですね、残念ながら。
 地方自治体、財源の問題もあるんですけれども、やはり国立公文書館との連携というだけでは地方の公文書館のデジタル化は進みませんから、これは確かに総務省とも所掌がかぶるところで、なかなか内閣府としてはやりにくいという気持ちはわかるんですけれども、ぜひこれは、大臣ですから、まさに平井大臣とも連携と今おっしゃっていただいたので、デジタル庁とも連携して強力に進めることが、本当にこれは国益にかなう重要な政策だと思いますので、大変期待しておりますので、ぜひお願いいたします。
 続いて、平井大臣にお伺いしたいと思います。
 やはり何といってもデジタル庁のことを聞きたいと思いますが、私もデジタル庁、本当に、初当選の二〇〇九年のとき以来ずっと訴えていることでありまして、菅総理、当時官房長官にも内閣委員会で何度も質問をし、また平井大臣にも質問して、お二人ともなかなか正式に踏み込んだ答弁は難しかったんですけれども、しかし、それでもかなり前向きに、気持ちをにじませた、あと、表情とかを見ていると、やるぞというような感じを私は受けていたんです。
 まさにそれが実現をするということで、本当に期待しておりますし、平井大臣がその先頭に立つということは適任だと思いますが、問題はどうやってつくっていくかということで、IT総合戦略室というのが内閣官房にできていますけれども、しかし、結局それは予算も権限もなくて、しかも人数も少ないということで、正直機能していない。それはもう大臣もよくおわかりだと思います。
 これをどうやって本当に司令塔にしていくかということですが、いろいろありますけれども、やはり、一つは人数というのも大事だと思うんですね。新聞報道で、五百人、民間から百人というのが、そういう検討中だということで報道されていますけれども、私も、五百、本当はもっと欲しいですけれども、それでも最低五百は集める必要がありますが、これをどうやって集めてくるのかというのは、これは私が霞が関で働いた経験からして、非常に難問なんですね。それぞれの省庁はどこもなかなか人を出したがらない。
 私は総務省出身で、総務省の幹部には、よく、総務省の局、丸ごと出したらいいじゃないですか、内閣官房に行って司令塔機能を持てる方が総務省にいるよりよっぽど仕事できますよと随分言っていましたけれども、なかなかしかし、総務省はそういう判断をしてくれない中で、平井大臣、五百人、あるいは民間の百人、どうやって集めるお考えですか。

#155
○平井国務大臣 サイズに関して言えば、まだ検討中ということで、一部報道でということですが、年内にははっきりしていくのではないかと思いますが、基本的には、やはり、最初からフルスペックのサイズは無理なので、小さく産んで大きく育てていくということになると思います。だから、ミッションとスコープを見ながらということですが。
 民間の人たちにとって、やはり、非常に働きやすい、そしてやりがいがあるというような職場をつくっていくということと、最近、霞が関は若い人たちに、そんな、就職先としては人気がないですよね。そういうことにならないように、特にエンジニアの皆さんが自分の使命感を持って取り組めるような環境であるとか、ですから、仕事の内容の設定の仕方とか、給与等も民間のニーズに応えて柔軟に今検討する方向でいます。
 民間の人たちと専門的な研修や経験を積んだ役人の皆さんとの連合チームになるので、そこをやはりどうやってうまく動かしていくか。連携した強い組織をつくるということが、やはり人を引っ張ってくる意味では重要ではないかと思っています。

#156
○高井委員 これからの課題ということで、きょうは踏み込んだ答弁はありませんでしたけれども、多分、大臣の頭の中には大分あるんじゃないかなと思いますので、私は、これは本当に総務省の一局を引き抜いてくるぐらいのことをやらないと、逆に、各省庁からの寄せ集めだけでは十分な司令塔に結局ならない、IT総合戦略室のただ人をふやしただけというのでは意味がないと思いますので、本当に千載一遇のチャンス、IT業界もこぞってみんな期待していますから、ぜひ平井大臣のリーダーシップでやり遂げていただきたいと思います。
 そして、民間の方百人、これもぜひしっかり集めてほしいんですけれども、実はこんな、きょうネットで私が見た記事なんですけれども、ITmediaというところで、「アイデア募集したら不正告発! 「政商」群がる? デジタル庁は大丈夫か」ということで、自治体システムの標準化の検討会に何か大手ベンダーの人が入っていて、大手ベンダーは自治体を回って、我々は検討会のメンバーだから大丈夫ですよみたいなことを言って回っていると。この著者は、無駄な競争を避ける縄張り争いの確定作業だみたいなことも言っている。それがそうなるかは、でも、そうなるおそれもあると思うんですね。
 ですから、やはりこの民間から集めるのも、経団連とかにただお願いして、大手ががっと来るだけじゃなくて、例えばベンチャー企業とか、なかなか出してくれるかわかりませんけれども、そこはぜひ平井大臣が口説いて、本当に幅広い優秀な人材を集めて、そのかわりきちんと、働く人にも、あるいはその提供した会社にも広くメリットが行くような、そういうデジタル庁をぜひつくっていただきたいと思います。
 それでは、続いて、eスポーツの話をちょっとしたいと思います。
 これも、ちょうどきのう、eスポーツの議員連盟で問題になったんですけれども、まず、私、eスポーツは大変重要な取組だと思って、今もう国内のオンラインゲーム市場というのは一兆三千五百億もあるということだそうです。アメリカ、中国に次いで三大市場にもなっている。あるいは、オリンピックの競技にもなるべく、今目指している、その候補にも挙がっているということで、私の地元岡山にも、高校にこのeスポーツが、部活があるというような時代、もうどんどん変化しています。
 そういった中で、きのうの議員連盟に各省庁に来てもらったら、何と八省庁、知財本部、経産省、スポーツ庁、消費者庁、警察庁、法務省、金融庁、文科省と八省庁来るんですけれども、どこが一体主管なのかよくわからない。
 いろいろ聞いてみると、一応、内閣府の知的財産推進事務局、井上大臣の所掌なんですけれども、ここが一応取りまとめなんですけれども、本当に取りまとめるだけというか、ホチキスでとめるだけみたいなそういう役割で、これでは、やはりこれだけ多岐にわたる省庁を取りまとめていくリーダーシップを持ったそういう組織が必要で、一応その組織のトップが今、井上大臣。多分、きょう初めて井上大臣、eスポーツは自分の所管だったのかと気づいたんじゃないかと思うんですが。
 ですが、eスポーツは非常に重要だし、非常に裾野も広くて今注目されていますので、ぜひこれは、この司令塔機能の強化、大臣、やっていただけないでしょうか。

#157
○井上国務大臣 eスポーツは新たな成長領域として期待されているところ、本年度に地財本部決定された知的財産推進計画二〇二〇や、閣議決定された成長戦略フォローアップにおいても、周辺関連産業への市場の裾野の拡大や、地域活性化、社会福祉などの社会的意義が着目されていると記載されており、政府として、eスポーツの産業の健全かつ多面的な発展のために必要な環境整備を図ることとされております。
 eスポーツにはさまざまな観点があり、例えば、ゲーム産業振興視点であれば経産省が所管であり、eスポーツ大会開催の法規制の観点ではそれぞれ関係法規の所管省庁であるように、複数の省庁とのかかわりがあります。
 eスポーツの健全かつ多面的な発展のために、関係省庁において、制度的課題の解消など、適切な環境整備に必要に応じて取り組んできたところ、内閣府としても、今後も、連携を強化しつつ、より一層努めてまいりたいと思います。

#158
○高井委員 知財本部が書くとそういう答弁なんですが、これはまさに関係省庁がかかわるので、大臣のリーダーシップで、これは本当に、万博と並んで非常にやりがいのある仕事だと思いますから、大臣の所掌ですから、ぜひやっていただきたいと思います。
 ちょっと具体的な問題が一つありまして、このオンラインゲームが今、さっき、一兆三千五百億円市場なんですけれども、その一、二割が中国の会社なんですね。ところが、中国の会社が資金決済法のルールを、日本国内の会社はみんなちゃんと守っていて、トップテンに入る会社は供託金を三億円も出しているんですね。ところが、中国の会社は、守っているのは三割ぐらいだということで、出していない会社が多い。
 これはイコールフッティングになっていないということをきのうの議連でも要望を受けましたので、資金決済法を所管している金融庁、きょう来てもらっていますが、これは何とかなりませんか、イコールフッティングできませんか。

#159
○田原政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、オンラインゲームを配信しているゲーム事業者さんが、前払い式支払い手段の要件を満たすようなゲーム内アイテムを日本人向けに発行している場合は、基準日の未使用残高が一千万を超えた場合、国内事業者か中国などの海外事業者であるかを問わずに、資金決済法で原則届出が必要となります。
 また、届出を行った事業者の方につきましては、資産の保全義務ということで、基準日の未使用残高の二分の一以上の発行保証金を供託とする必要があるということでございまして、財務局に対しまして定期的に報告をいただいております。
 金融庁と財務局は、国内、国外を問わず、資金決済法上無届けの疑いがある業者さんに対しましては、届出、資産保全状況の報告の要否について個別に対応をさせていただいております。また、金融庁では、広く資金決済法の届出義務、供託義務などにつきまして周知するためのリーフレットを日本語、英語、中国語で公表させていただいているところでございます。
 こういった取組をしっかりとしているところでございますけれども、引き続きこうした対応をしっかりいたしまして、利用者保護に欠けることがないようにやってまいりたいというふうに考えているところでございます。

#160
○高井委員 きのうもそういう説明ですけれども、中国の企業に周知していますというだけで改善できると思えないですよね。まあ、これはきのうのきょうなので。
 実は、この議連は河村建夫先生が会長なんですけれども、やはり議連としてもこれはしっかり取り組んでいこうということになりましたので、ぜひ金融庁はもっと踏み込んだ検討をお願いしたいですし、あと、井上大臣も、eスポーツの所管大臣ですので、ぜひ金融庁に対して指導をしていただきたいです。
 あと、この議連の場で、私は、きょうこの委員会があるので、平井大臣がいらっしゃるから、平井大臣はeスポーツに大変造詣も深いので、この際、デジタル庁でeスポーツを所管してもらいましょうという提案をしたら、非常に喜ばれました。この質問通告をしようとしたら、役所の方々が、絶対というか、そんなのつくれませんと言うんですけれども、それは役人は書けませんけれども、大臣、そして井上大臣も一緒にいますから。
 さっき、デジタル庁に五百人集める、これは大変だと思いますけれども、例えば、知財本部が今三十人います。知財本部を丸ごとデジタル庁に入れるぐらいに、やはり内閣官房にいろいろなそういう組織があるんですけれども、人数も少なくて、権限もなくて、本当にホチキスどめの役割しかできていないところが多いですから、こういったところを私はデジタル庁に集めて、強力にやるべきだと思います。
 ぜひ、ちょっと大臣、通告していなくて、平井大臣、申しわけないんですけれども、このeスポーツの取組を含めて、ぜひこれをデジタル庁で、井上大臣と相談していただいて、やっていただいたらどうかと思いますけれども、いかがですか。

#161
○平井国務大臣 デジタル庁に関しては、やらなければならないミッションというのが幾つかもう整理されていて、それ用の人材を集める。それも大変難しいので、小さく産んで大きく育てるということ、それをスピード感を持ってやるということを常々お話をさせていただいています。
 このeスポーツの可能性というものは物すごくあるし、実は、いろいろな会社でエンジニアの皆さんと話をしていると、そのエンジニアの人がeスポーツの中で活躍しているというケースもあるんですね。ですから、そういう意味で、非常にIT業界のエンジニアの人たちとeスポーツに参加している選手の皆さんに親和性が高いというか、同じゾーンにいる方もいらっしゃるんだと思います。
 ただ、デジタル庁の組織とかそういうものに関しては、今もうまさに我々検討中のところでございまして、人、物、金、そして法律もつくる状況の中で、今、将来何を担当するか、どのように変わっていくかということについては、ちょっと申し上げられない状況だと思っております。

#162
○高井委員 今、隣で与党の筆頭理事も移管しましょうと言っておられましたので、ぜひ前向きに御検討いただきたいということで、質問を終わります。
 ありがとうございました。

#163
○田嶋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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