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2020/11/20 第203回国会 衆議院 第203回国会 衆議院 厚生労働委員会 第6号 令和2年11月20日
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2020/11/20 第203回国会 衆議院

第203回国会 衆議院 厚生労働委員会 第6号 令和2年11月20日

#1
令和二年十一月二十日(金曜日)
    午後一時三十五分開議
 出席委員
   委員長 とかしきなおみ君
   理事 大岡 敏孝君 理事 門  博文君
   理事 菅原 一秀君 理事 長尾  敬君
   理事 橋本  岳君 理事 中島 克仁君
   理事 長妻  昭君 理事 伊佐 進一君
      青山 周平君    安藤 高夫君
      上野 宏史君    大串 正樹君
      大隈 和英君    木村 次郎君
      木村 哲也君    木村 弥生君
      国光あやの君    小島 敏文君
      後藤 茂之君    後藤田正純君
      高村 正大君    佐藤 明男君
      塩崎 恭久君    繁本  護君
      白須賀貴樹君    田畑 裕明君
      百武 公親君    村井 英樹君
      八木 哲也君    山田 美樹君
      渡辺 孝一君    阿部 知子君
      稲富 修二君    尾辻かな子君
      大島  敦君    川内 博史君
      白石 洋一君    津村 啓介君
      西村智奈美君    森田 俊和君
      山川百合子君    高木美智代君
      桝屋 敬悟君    高橋千鶴子君
      宮本  徹君    青山 雅幸君
      串田 誠一君
    …………………………………
   議員           橋本  岳君
   議員           西村智奈美君
   議員           大河原雅子君
   議員           篠原  孝君
   議員           桝屋 敬悟君
   議員           宮本  徹君
   議員           足立 康史君
   厚生労働大臣       田村 憲久君
   厚生労働副大臣     三原じゅん子君
   厚生労働副大臣      山本 博司君
   総務大臣政務官      宮路 拓馬君
   厚生労働大臣政務官    大隈 和英君
   厚生労働大臣政務官    こやり隆史君
   政府参考人
   (厚生労働省医政局長)  迫井 正深君
   政府参考人
   (厚生労働省健康局長)  正林 督章君
   政府参考人
   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         鎌田 光明君
   政府参考人
   (厚生労働省労働基準局長)            吉永 和生君
   政府参考人
   (厚生労働省子ども家庭局長)           渡辺由美子君
   政府参考人
   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    赤澤 公省君
   政府参考人
   (厚生労働省老健局長)  土生 栄二君
   政府参考人
   (厚生労働省保険局長)  浜谷 浩樹君
   政府参考人
   (国立感染症研究所長)  脇田 隆字君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房審議官)           岩城 宏幸君
   参考人
   (独立行政法人地域医療機能推進機構理事長)    尾身  茂君
   厚生労働委員会専門員   吉川美由紀君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月十九日
 辞任         補欠選任
  山井 和則君     森田 俊和君
同月二十日
 辞任         補欠選任
  後藤田正純君     八木 哲也君
  宮本  徹君     高橋千鶴子君
  青山 雅幸君     串田 誠一君
同日
 辞任         補欠選任
  八木 哲也君     後藤田正純君
  高橋千鶴子君     宮本  徹君
  串田 誠一君     青山 雅幸君
    ―――――――――――――
十一月二十日
 減らない年金、頼れる年金を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一号)
 同(笠井亮君紹介)(第二号)
 同(穀田恵二君紹介)(第三号)
 同(志位和夫君紹介)(第四号)
 同(清水忠史君紹介)(第五号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第六号)
 同(田村貴昭君紹介)(第七号)
 同(高橋千鶴子君紹介)(第八号)
 同(畑野君枝君紹介)(第九号)
 同(藤野保史君紹介)(第一〇号)
 同(宮本徹君紹介)(第一一号)
 同(本村伸子君紹介)(第一二号)
 同(赤嶺政賢君紹介)(第一四九号)
 同(笠井亮君紹介)(第一五〇号)
 同(穀田恵二君紹介)(第一五一号)
 同(志位和夫君紹介)(第一五二号)
 同(清水忠史君紹介)(第一五三号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第一五四号)
 同(田村貴昭君紹介)(第一五五号)
 同(高橋千鶴子君紹介)(第一五六号)
 同(畑野君枝君紹介)(第一五七号)
 同(藤野保史君紹介)(第一五八号)
 同(宮本徹君紹介)(第一五九号)
 同(本村伸子君紹介)(第一六〇号)
 医療・介護の負担増の中止を求めることに関する請願(岡本あき子君紹介)(第二九号)
 同(日吉雄太君紹介)(第一〇九号)
 同(村上史好君紹介)(第一六一号)
 社会保障制度改革に関する請願(横光克彦君紹介)(第三〇号)
 同(平口洋君紹介)(第六八号)
 お金の心配なく、国の責任で安心して暮らせる社会とするための社会保障制度の拡充に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四四号)
 同(笠井亮君紹介)(第四五号)
 同(穀田恵二君紹介)(第四六号)
 同(志位和夫君紹介)(第四七号)
 同(清水忠史君紹介)(第四八号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第四九号)
 同(田村貴昭君紹介)(第五〇号)
 同(高橋千鶴子君紹介)(第五一号)
 同(畑野君枝君紹介)(第五二号)
 同(藤野保史君紹介)(第五三号)
 同(宮本徹君紹介)(第五四号)
 同(本村伸子君紹介)(第五五号)
 七十五歳以上医療費窓口負担二割化に反対することに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五六号)
 同(笠井亮君紹介)(第五七号)
 同(穀田恵二君紹介)(第五八号)
 同(志位和夫君紹介)(第五九号)
 同(清水忠史君紹介)(第六〇号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第六一号)
 同(田村貴昭君紹介)(第六二号)
 同(高橋千鶴子君紹介)(第六三号)
 同(畑野君枝君紹介)(第六四号)
 同(藤野保史君紹介)(第六五号)
 同(宮本徹君紹介)(第六六号)
 同(本村伸子君紹介)(第六七号)
 子供のための予算を大幅にふやし国の責任で安全・安心な保育・学童保育の実現を求めることに関する請願(奥野総一郎君紹介)(第七八号)
 同(櫻井周君紹介)(第八四号)
 同(長尾秀樹君紹介)(第八五号)
 同(牧義夫君紹介)(第八六号)
 同(笠浩史君紹介)(第八七号)
 同(生方幸夫君紹介)(第一〇三号)
 同(手塚仁雄君紹介)(第一〇四号)
 同(宮本徹君紹介)(第一〇五号)
 同(重徳和彦君紹介)(第一一〇号)
 同(荒井聰君紹介)(第一二九号)
 同(堀越啓仁君紹介)(第一三〇号)
 同(牧義夫君紹介)(第一三一号)
 同(村上史好君紹介)(第一三二号)
 同(近藤昭一君紹介)(第一六二号)
 障害福祉についての法制度拡充に関する請願(阿部知子君紹介)(第一〇二号)
 安全・安心の医療・介護の実現のため夜勤改善と大幅増員を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一一七号)
 同(笠井亮君紹介)(第一一八号)
 同(穀田恵二君紹介)(第一一九号)
 同(志位和夫君紹介)(第一二〇号)
 同(清水忠史君紹介)(第一二一号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第一二二号)
 同(田村貴昭君紹介)(第一二三号)
 同(高橋千鶴子君紹介)(第一二四号)
 同(畑野君枝君紹介)(第一二五号)
 同(藤野保史君紹介)(第一二六号)
 同(宮本徹君紹介)(第一二七号)
 同(本村伸子君紹介)(第一二八号)
 高過ぎる国民健康保険料の引下げへ抜本的改善を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一三七号)
 同(笠井亮君紹介)(第一三八号)
 同(穀田恵二君紹介)(第一三九号)
 同(志位和夫君紹介)(第一四〇号)
 同(清水忠史君紹介)(第一四一号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第一四二号)
 同(田村貴昭君紹介)(第一四三号)
 同(高橋千鶴子君紹介)(第一四四号)
 同(畑野君枝君紹介)(第一四五号)
 同(藤野保史君紹介)(第一四六号)
 同(宮本徹君紹介)(第一四七号)
 同(本村伸子君紹介)(第一四八号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 労働者協同組合法案(後藤茂之君外十四名提出、第二百一回国会衆法第二六号)
 厚生労働関係の基本施策に関する件
     ――――◇―――――

#2
○とかしき委員長 これより会議を開きます。
 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、参考人として独立行政法人地域医療機能推進機構理事長尾身茂君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として厚生労働省医政局長迫井正深君、健康局長正林督章君、医薬・生活衛生局長鎌田光明君、労働基準局長吉永和生君、子ども家庭局長渡辺由美子君、社会・援護局障害保健福祉部長赤澤公省君、老健局長土生栄二君、保険局長浜谷浩樹君、国立感染症研究所長脇田隆字君、経済産業省大臣官房審議官岩城宏幸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#3
○とかしき委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――

#4
○とかしき委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。木村弥生さん。

#5
○木村(弥)委員 自由民主党の木村弥生です。
 私は、まず初めに、このコロナ禍において、日々現場で職責を果たしておられます全てのエッセンシャルワーカーの皆様に感謝を申し上げたいと思います。そして、中でも、感染のリスクと緊張感にさらされながら、病院で、施設で、訪問看護ステーションで戦い続けておられる看護職の仲間たちを誇りに思います。
 彼ら、彼女らは、GoToトラベルやGoToイートの恩恵をほとんど受けておりません。第二次補正予算では、慰労金として直接の手当が実現いたしました。これは、看護界史上なかったことでございます。これを特例にしてはいけない、超少子高齢社会の医療提供体制のキーパーソンである看護職のモチベーションの維持のためにも、看護の専門性が今後また正しく評価されていくべきであると考えます。
 それでは、質問に入ります。
 新型コロナウイルス感染症対策の最前線の一つが、保健所の保健師を始めとする職員の皆さんです。住民からの相談の対応を始め、積極的疫学調査、濃厚接触者の健康観察、感染者の入院等の調整や情報管理、患者の移送、軽症者宿泊療養施設の設置、管理、福祉施設等の感染対策指導など、質、量ともに大変な業務を一気に引き受けておられます。
 私の地元の話で、保健所から聞いた話でございます。やむを得ず入院できない自宅療養者の健康観察においては、自宅療養中に急変があるかもしれないという不安が常にあります。実際、ひとり暮らしの高齢者の方から連絡を受けた保健師が直行して、救急車に同乗して、バイタルサイン、そしてサチュレーション、酸素飽和度のチェックです、それからADLといって、生活の機能がどんなふうになっているのか、また脱水のチェック等を行い、そして、ただでさえ保健師が少ない中でますます現場が疲弊したという、こういった話を聞きました。
 感染症対策が長期にわたり、緊迫した状況が続いているため、保健師たちは本当に疲弊し、限界に近づいております。このところ、全国で感染者数が急激に増加し、さらなる感染拡大が危惧されており、保健所がその機能を継続できるのかどうか、大変な懸念があります。
 そもそも、保健所数は、地方の行政改革等で半数以下に減りました。公衆衛生業務に加え、皆様のお手元にある資料をごらんください、地域医療構想の策定や推進を始め、地域包括ケアの推進、児童虐待や精神疾患対応など、新たな業務が増大しており、保健師の人員不足が従来から問題となっておりました。そして、その上に現在のコロナ禍であります。
 今、保健師が一人でも休んでしまえば、直ちに保健所の業務が麻痺してしまうところがあります。資料の裏をごらんください。皆様の、先生方の御地元、特に、一人の保健師がどれだけの数の人を見ているのかといったグラフでございます。
 さて、そこで田村厚生労働大臣に質問です。
 今回のコロナ禍で、保健所の機能強化の必要性が明らかになりました。感染拡大のみならず、平時においても保健師を増員し、体制整備を図ることが重要であると認識しておりますが、大臣の見解をお聞かせください。

#6
○田村国務大臣 委員おっしゃられますとおり、医療関係者の皆様方、介護関係者の皆様方、また保育関係者、いろいろなエッセンシャルワーカーの皆様方がおられるわけでありまして、改めて心から感謝を申し上げたいというふうに思います。
 保健所の話がありました。保健師を始め専門職の方々中心に、多くの方々が保健所で頑張っていただいておられる。特に保健所、この新型コロナウイルス感染症対策において、例えば住民からの相談業務であるとか積極的疫学調査、場合によっては人の搬送、検体を運んでいただいたり、いろいろな業務をしてきていただいております。
 そういう意味で、大変な負荷がかかっておるということでございまして、何とかこれを和らげていかなきゃならぬということで、民間に委託できるものはこれを委託しながら、一方で、やはり保健所の機能を強化しなきゃいけませんから、特に感染拡大地域においては、他の地域からのお助けもいただきながら対応してきているところであります。
 言われるとおり、根本的に、いろいろな形の中で、保健所、人員の削減をしてきました。もちろん市町村に移管した業務もありますが、こういうふうな全国的な感染症拡大において、やはり保健所自体が、機能というものがまだまだ強化をしなきゃならぬなということを改めて感じておるわけでありまして、八月、今後の取組ということで、恒常的にやはり人員強化をしていかなきゃならぬということで財政措置の検討を始めております。
 そういう意味で、引き続きしっかりと取り組んでまいるように努力をしてまいりたいというふうに思っております。

#7
○木村(弥)委員 大臣、ありがとうございます。
 そこで、やはり自治体の保健師というところで、総務省の見解を伺いたいと思っております。本日は、総務省から宮路大臣政務官にお越しいただきました。保健師の定員の数の拡大について見解を伺いたいと思います。

#8
○宮路大臣政務官 御指名ありがとうございます。
 本年八月に新型コロナウイルス感染症対策本部で決定されました新型コロナウイルス感染症に関する今後の取組において、保健所等の恒常的な人員体制強化に向けた財政措置について検討することとされたところでございます。
 これを受け、現在、総務省と厚生労働省におきまして、保健所の実態を把握するとともに、地方公共団体の御意見を伺っているところでありまして、保健所が今後果たすべき感染症対策の機能などを踏まえて、恒常的な人員体制の強化について検討しております。
 総務省としては、令和三年度に向けて、今般の新型コロナウイルス感染症への対応状況を踏まえながら、厚生労働省としっかりと連携し、保健所の人員体制強化のために必要な財政措置について検討を進めてまいりたいと考えております。

#9
○木村(弥)委員 ありがとうございます。
 私も、九月まで総務大臣政務官として御縁をいただいておりました。そして、保健師の資格を持つ厚生労働委員として、しっかりと今後の体制について見守って一緒にやっていきたいと思っておりますので、どうぞ御指導よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 続いての質問に入ります。
 緊急避妊薬のアクセスの改善でございます。
 コロナショックによりまして、より弱い立場の方々にしわ寄せが行っています。外出の自粛の影響により、DVや性暴力被害、若年層の妊娠に関する相談が急増いたしました。国際社会においても、グテーレス国連事務総長が、女性と女の子をコロナ対応の中核に据えるように要請をいたしました。
 平成三十年度の人工妊娠中絶件数は十六万一千七百四十一件ございます。望まぬ妊娠を防ぐための方法として、七十二時間以内に服用すれば高い確率で妊娠を回避できる緊急避妊薬、いわゆるアフターピルというものがあります。九十カ国で処方箋なしで入手できますが、我が国では医師による処方でしか入手できず、保険が適用されないため高額な費用もかかります。
 緊急避妊薬の薬局の販売については、既に二〇一七年にも厚労省で検討されましたが見送られております。現在、また評価検討会議において課題や論点の整理が行われてあることは承知しております。
 私は、二年前より、市民団体の皆さんとアフターピルについて五回ほど勉強会や集会を重ねて、昨年二月二十七日の予算委員会第五分科会でも質問しています。ことしに入ってからも、田村厚労大臣、橋本聖子女性活躍担当大臣にも要望を提出したところでございます。十月九日には田村大臣が記者会見で、緊急避妊薬のニーズがあると理解していると述べておられます。折しも十一月の十一日に示された内閣府の第五次男女共同参画に関する基本計画策定に当たっての基本的な考え方の中で、緊急避妊薬の検討が明記されました。
 先行きの見えない不安の続く中、女性や子供の健康を守るために、緊急避妊薬へのアクセス改善が必要です。もちろん、それに並行して、自分の、そして相手の体と尊厳を守る教育が必要なことは言うまでもありません。国の見解をお聞かせください。

#10
○鎌田政府参考人 緊急避妊薬のアクセス改善でございます。
 御指摘のとおり、これは大切なことという観点から、まず、緊急避妊薬を処方する医療機関を本年一月にホームページに掲載して、現時点ではそれが、十月十九日時点で医療機関は三千百九十二あることを御紹介しております。
 さらに、単にそういう対面だけではなくて、オンライン診療でも提供できますようにということで、今申し上げた三千余りの医療機関、基本的には産科医さんだと思うんですが、産科医さん以外にも、研修を受けたお医者さんが処方できるように研修を進めております。
 そのお医者さんですが、十月一日時点で約千百名の医師が研修を受けております。さらに、その先生方の処方を受けて調剤する薬剤師、薬局ということについても研修をお願いしておりまして、それは現在、十一月一日時点で三千八百七十名の薬剤師を研修しているところでございます。
 こうした施策を通じまして、さらには、関係機関と協力しながら、緊急避妊薬を必要とする女性が適切にアクセスできるように体制を構築しているところでございます。

#11
○木村(弥)委員 予期せぬ妊娠ややむを得ない妊娠中絶がどれだけ女性の心と体を傷つけるのか、負担になるのか、どうか当事者の声をよく聞いて、寄り添う姿勢を示していただきたい、このように願うところでございます。
 そしてまた、この緊急避妊薬を必要とする女性に対しまして、やはりリプロダクティブヘルス・アンド・ライツ、性と生殖にかかわる健康と権利を尊重し、そして、女性に寄り添い、相談、助言、支援ができる専門職が必要だと思います。そういった意味におきまして、私は、助産師の活用が図られるように御検討いただきたいと考えておりますが、いかがでしょうか。

#12
○渡辺政府参考人 先生御指摘のございました、避妊のことも含めまして、女性に寄り添った支援をしていくということは非常に重要だと思っております。
 厚生労働省といたしましては、これまで都道府県等を実施主体として、全国八十四カ所にございます女性健康支援センターというところでさまざまな支援を行っておりまして、その中では、御指摘のありました助産師さんも含めて、専門職による相談支援ですとか、あるいは、場合によっては医療機関等への同行支援、さらには、匿名による電話相談、SNS等を活用した相談支援など、さまざまな専門的な支援を行っているところでございます。
 今後も、予期せぬ妊娠をした方々のさまざまな悩みに寄り添う支援を行っていくという観点から、このセンターの設置の促進を図るとともに、そのサービスメニューにつきましても、状況に応じて多角的に拡大していくことも含め、考えてまいりたいと考えております。

#13
○木村(弥)委員 ありがとうございます。ぜひ、こちらは日本助産師会からも要望がありますので、お願いいたします。
 調査によりますと、ゼロ歳児の虐待死による死亡、これは全体の四割を占めていると言われております。そしてまた、性暴力や性被害等も含まれていると私は思っています。これは本当に負のスパイラルがありまして、性暴力があって、児童虐待、そして自己肯定感の低下があって、孤立感や自傷行為があって、寂しさを埋めるための男女関係があって、そしてまた性感染症と児童虐待という、こういった負の連鎖を私は断ち切りたい、そのためにもアフターピル、どうか御検討いただきますようお願いいたします。
 最後の質問です。
 先ほど、人工妊娠中絶件数が十六万件と申しました。日本で生まれる子供たち、今、年間八十六万人でございます。この十六万件が、もしかしてこの小さい授かった命がこの世に生まれて出ていれば、日本に百万人の子供たちが生まれていく。
 そういった意味におきまして、ちょうど平成二十八年十二月に、民間あっせん機関による養子縁組のあっせんにかかわる法律、これは私も若干尽力いたしました。社会的養護、特別養子縁組や里親制度を更に広げて、小さな命がどんなような事情にあるにせよ、生まれてくればちゃんと育てていくよ、こういった国の姿勢を示していくべきだと思いますが、どうか最後に御見解をお願いいたします。

#14
○渡辺政府参考人 御指摘のございました里親や特別養子縁組、まだまだ日本では諸外国に比べても活用が非常に低いというところがございます。
 厚生労働省としましては、これまでもさまざまな形で啓発等を行ってきておりますが、特に里親等につきましては、手当の増額なども含めて、その普及のために財政的な支援も拡充しているところでございますので、もう一つの家族の選択肢という意味で、里親や特別養子縁組の普及ということもしっかりやっていきたいと思っております。

#15
○木村(弥)委員 ありがとうございました。
 不妊治療の保険適用や、また出産一時金の増額等々、周産期医療に非常にスポットが当たったことは、私は大変望ましい、喜ばしいと思っております。
 ただ、やはりそういった里親、特別養子縁組制度をもっと支援していきながら子供たちをすくすくと育てていけるような、そんな国にしていきたい、そんな思いを持ちまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

#16
○とかしき委員長 次に、白石洋一君。

#17
○白石委員 立民の白石洋一です。
 まず、緊急包括支援事業の慰労金の執行のあり方について質問させていただきます。
 これは慰労金ということで、医療分野、介護、そして障害福祉の職員、スタッフの方に二十万あるいは十万、五万、支払われるものなんですけれども、今のこの申請、入金の状況と、そして、それが施設に入金されて、その後、ちゃんと職員、スタッフの方にどのように渡っているか、渡ることが確保されているか、その点、お願いします。

#18
○迫井政府参考人 御答弁申し上げます。
 医療従事者などへの慰労金につきましては、十月三十一日時点での都道府県からの報告によりますと、医療については医療機関等からの申請に対する交付の割合は約七八%、介護については約七二%、障害については約七六%となってございます。
 この慰労金につきましては、医療機関等から医療従事者など御本人への入金が迅速にされるよう、医療機関等に対しまして、入金後速やかに、これは一カ月以内を目途としておりますけれども、都道府県宛てにその実績を報告するように求めているところでございます。

#19
○白石委員 医療、介護、障害、それぞれ七八%、七二%、七六%と、まあまあだとは思いますけれども、まだ四分の一が、施設で受け取っていないということです。本当に、慰労金ですから、なるべく早く届けていただきたいんですね。
 それが施設に届くに終わらず、本人に、そこの職員、スタッフにちゃんと届くようにするということも大事なことだと思います。
 私は、やはり現場の声だと、ほかのところでもらっているのに自分のところはまだだ、ほかのところの施設だったらよかったのに、自分のところはまだだ、確かに自分は署名したと。これは施設に対する代理申請をするということになっていますね、委任をすると。委任する際に署名捺印しているらしいんです。だから、施設は申請の手続に入っているはずなんだけれども、なかなか入金されないということがあるんです。
 これは県の事務というふうになっていて、四十七都道府県それぞれあるんだと思うんですけれども、それを促進する、そして遅いところは促すというふうな観点から、厚労省さんはどのようにされますでしょうか。

#20
○迫井政府参考人 御答弁申し上げます。
 先ほども御説明いたしましたけれども、医療機関など、それぞれお勤めの方に関しましての申請については、それぞれ従事者がおられるわけでありますけれども、これは、正規に採用されておられます方はもとより、派遣労働者や受託業務従事者分も含めまして取りまとめを行うということを、なるべくわかりやすく、厚生労働省のホームページはもとより、リーフレット等で周知をいたしまして、しっかり都道府県に対してそういった趣旨を徹底していただいた上で、なるべく早期に執行していただきたいということを申し上げております。
 それから、今委員御指摘のとおり、現場、特に個々の従事者の方々からは、やはりどうしても横でいろいろな情報をお持ちになりますので、いろいろな、ある意味苦情といいますか、御自身にとって、こういったところに来ていないということはいただいております。そういったことをなるべく情報として私どもで集約をいたしまして、再度の都道府県に対する促し、これも行わせていただいているところでございます。

#21
○白石委員 ぜひ、医療機関とか介護施設とか障害福祉というのは登録業者さん、登録事業主ですから、どこが申請して、どこが申請していないというのはわかるわけですから、申請していないところに個別に促すということが必要なんじゃないかなと思います。
 それと、もう一つは、コールセンターを設けて、申請しているはずなんだけれどもまだ受け取っていないというような声を酌み取って、そして、それは国なり県がその施設に、おたくには入金したんだけれども、まだ支払っていないじゃないですか、ちゃんと支払ってくださいということを促す仕組みをぜひつくっていただきたいんです。
 事業主としては、すぐに払う良心的なところもあれば、これを払ったら、自分の手元資金でもありますし、払ってまたその職員さんがどこかに行かないかということを懸念するような場合もあるやに聞きますので、そういった仕組みを、もうこれは来年三月末までにやらないといけないことですから、ちょっと考えていただけませんでしょうか。

#22
○迫井政府参考人 御答弁申し上げます。
 この慰労金は、特に早期執行の中でも力を入れて私どもやらせていただいているところでありますけれども、それ以外の二次補正それから予備費につきましても、やはり現場にお届けをするというのが非常に重要な論点だと、これは国会でも御指摘をいただいておりますので、その点については重ねて私どもも努力をしたいと思っております。
 実際、コールセンターのような情報集約については、現時点でもある程度やらせていただいているつもりではありますが、改めまして、特に執行状況が余り進捗がよろしくないと思われるような都道府県については、個別にしっかり促して、早期執行に努めてまいりたいと考えております。

#23
○白石委員 コールセンターも、規定どおりの本当に冷たい対応、コールドな、冷たい対応をしているように聞きます。そこでも、乗りおくれている人、取り残されそうな人をちゃんと酌み取って、それを上から県なり施設なりに伝えていくという仕組みをぜひつくっていただきたいです。
 そして、次なんですけれども、取り残されそうな方々というのは個人申請です。六月末というのが基準日で、そのときにはもう退職していた、でも慰労金を受け取る資格がある方というのは、基本は前の医療機関なり施設か、それとも、もう転職先があるのであれば転職先から申請してください、代理申請してくださいということになっているんですけれども、どうやら、そんな、やめた人間に対してそこまで親切じゃないようなところもあるのかもしれません。それで個人申請をせざるを得ないというところもあるんですけれども、そういう方々の個別申請について、どのように厚労省としては把握されていますでしょうか。

#24
○迫井政府参考人 御答弁申し上げます。
 個人申請は、今委員御指摘のとおり、現に今勤めておられる方は医療機関の方からということでございますけれども、御指摘のとおり、既に退職された方を始め、どうしても個人でないと申請ができないケースがございます。
 基本的には、そのことも念頭に、慰労金をお渡しをする仕組みのパンフレットの中にそういった情報を入れさせていただいております。それから、ホームページにも掲載させていただいておりますけれども、個人の方がその部分の情報になかなかアクセスできないというようなこともあり得ると思いますが、その点についてはしっかり、我々としてもさらなる周知を図っていきたいと思っております。
 その上で、実績といたしまして、個別申請については、ある程度私どもとしても数字の把握をするよう努力をいたしておりまして、医療の関係それから介護の関係、医療の関係について申し上げますと、十月末時点での報告は約二万件、それから介護分が約三万件、障害分が約七千件。こういった、個別の申請についても行われておりまして、こういったことの数字も把握をしながら、しっかり対応させていただきたいというふうに考えております。

#25
○白石委員 ぜひここを注視していただいて。
 その方々も含めてなんですけれども、お手元にお配りしました、これは愛媛県の場合ですけれども、そこに、慰労金です。慰労金、支援金とあって、慰労金の方は、医療機関について、その受け付け期間、締切りはことしの十月三十一日必着になっているんですね。一方、介護、障害福祉、これは来年の二月二十八日。ちなみに、支援金の方も同様、二月二十八日必着、締切りになっているんです。こういったこともあるわけですね、四十七都道府県。愛媛の場合は、医療機関が早目に締め切られる。
 そうすると、さっきおっしゃった、医療機関については七八%がもう申請済みですと。では、残りはどうなんだと。気がつくのが遅かった、あるいは申請が手間取っているうちに、もうこの期限が来てしまったというようなところも残ってしまうんじゃないかと思うんですよ。ましてや、個人申請のところ、個人申請の方というのは、まごついているうちに終わってしまったということになりかねません。
 これはやはり、厚労省としても、県任せじゃなくて、まず、締切日というのは来年の三月末まででいいんですから、そこをめどとして延長すべきだというふうに指導すべきだと思うんですけれども、このあたり、大臣、いかがでしょうか。

#26
○田村国務大臣 おっしゃられましたとおり、個人で申請される方、本来は医療機関でまとめていただきたいんですが、医療機関も、退職後どこに住まわれているかわからないということもあります。そんな中で、いろいろな機会でこの慰労金等々を知った場合に個人で申請していただくと。
 ただ、言われるとおり、もう期限が来ているところがございます、都道府県で。これは、なるべく性格上早く執行する、つまりもらっていただくという意味で、一定程度期限を切った方が、都道府県もいろいろな周知等々をしていただけるんではないかということであったわけでありますが、中には、しっかりと、その後個別に対応いただいている都道府県もあるようであります。
 改めて、こういうことがあった場合には対応いただけるようにお願いをしてまいりたいというふうに考えております。

#27
○白石委員 ぜひ、やはり厚労大臣が言うことの言葉は重いですから、厚労大臣の通知ということで、各県に、早目にこうやって期限を設定しているところについても柔軟に対応するように促すように、ぜひよろしくお願いします、本当に。
 そして、次のテーマに移らせていただきます。薬のクレジットカード払いですね。
 政府としては、キャッシュレスの支払いというのを全体の四割を目標としているということですね。それは、薬局での支払いも例外じゃない、じわじわそれはふえている。当然だと思いますし、薬局というのは患者さんが来るところです。できるだけ接触は避けた方がいいという意味からでも、現金よりはキャッシュレス、クレジットカードの方が感染症リスクは下がるわけですから、扱ってもらった方がいい。
 薬局の現場の感覚でいうと、大体一%、数%はクレジットカードで支払うようになってきたということです。ですから、政府の四割というところからは随分低いんですけれども、それでもふえてきていて、どこがふえているかというと、高額な薬を購入する場合にクレジットカードを使うことが多いということなんです。
 一方、薬価というのは公定価格ですね。だから、キャッシュレスでクレジットカードを使おうが使うまいが、同じ値段じゃないといけない。これはガソリンスタンドとは違うところですね。ガソリンスタンドだったら、クレジットカードだったら二円高くなりますよとか自由にできるんですけれども、それが薬局の場合、今のところできないということです。
 では、クレジットカードを使うことにたえられるような差益、つまり、卸値とそれから売却値との差益の状況、あるいは技術料というものがちゃんとあてがわれているのかというところを、厚労省はどういうふうに把握されていますでしょうか。

#28
○浜谷政府参考人 お答えいたします。
 まず、薬局における薬価差益の状況でございますけれども、薬局における薬価差益そのものは把握しておりませんけれども、令和元年度の薬価調査の結果によりますと、薬局、医療機関全体の医薬品の平均乖離率、つまり購入価と薬価の差ですけれども、これは八%でございます。
 また、調剤報酬、技術料でございますけれども、これは、薬局の経営状況に応じまして、医療経済実態調査の調査結果を参考にしながら改定してきておりまして、ちなみに、調剤報酬におきましては、調剤基本料を経営の効率性等を踏まえて設定しておりまして、例えば小規模薬局の調剤基本料につきましては、グループ薬局などと比べまして高い設定としております。

#29
○白石委員 八%の差益があるような統計も出ているということなんですけれども、これは、卸の方の力がだんだん強くなってきて、四社の卸の寡占状態になっていて、ちょうど携帯電話料金と似たような話かもしれませんけれども、一方、薬局側、病院の薬局も含めてやはり非常に小さいということで、力関係は随分今変わってきているみたいです。そんな中で八%。これでもそんなにないんですけれども、そんな中でクレジットカード手数料を払っていたら大変なことになる。
 先ほど、技術料もあるよ、小規模のところに配慮しているということなんですけれども、技術料というのは、処方箋の内容と日数で決まるものであって、支払い金額によって高くなるものではないわけですね。ということは、先ほど申し上げたクレジットカード、一、二%ですけれども、高い薬を買った場合にクレジットカードで購入された場合に、技術料というのは安い薬を買ったものと同じなのに、非常に高いクレジットカード手数料を支払わざるを得ないわけですね。
 こういう状況がある中で、クレジットカード手数料というのは今、薬局と言わず、大手とそれから零細で大体どれぐらいだというふうに経産省は把握されていますでしょうか。

#30
○岩城政府参考人 お答え申し上げます。
 クレジットカードの手数料につきましては、業種ごとの未回収リスクや加盟店のキャッシュレス決済金額等を考慮しつつ、加盟店と決済事業者との相対での契約に基づき決定されているものと承知しております。
 経済産業省といたしまして事業規模別の手数料率を持ち合わせてはおりませんけれども、一般的に、中小店舗向け手数料は大型店舗等と比較して負担が重いとの指摘があると承知しております。

#31
○白石委員 では、数字としては把握されていないんですか。そういう、ちょっと抽象的な話でしたけれども。平均何%だとか。

#32
○岩城政府参考人 経済産業省といたしましては数字を把握しておりませんけれども、一般的に、店舗により異なりますけれども、五%から七%というふうに、中小店舗の手数料でございますけれども、言われているということでございます。

#33
○白石委員 やはり、キャッシュレス決済を促すのであれば、これはもうちょっと安くならないかというところを追求していただきつつ、国としてキャッシュレス決済を四割を目指すということであれば、それは医療分野も例外ではないわけで、今一、二%というのを上げていかないといけないですね。
 上げていく、それはまた感染症リスクを減らすことになるわけですから、じゃ、どんどんクレジットカード、キャッシュレス決済を使ってくださいと促す形の公定価格の体系、あるいは何か仕組みをつくるということを、今まさに来年薬価改定ですから議論されていると思うんですけれども、そこの議論の中にこれも入れていただきたいんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

#34
○田村国務大臣 薬価を含む診療報酬ですが、これは療養の給付の費用ということでお支払いをするわけですね。そういう意味からいたしますと、クレジットカードの手数料が療養の給付に当たるかというのは、これはちょっとなかなか難しいところがあると思いますし、更に言うと、現金でお支払いされる方とクレジットカード等でお支払いされる方、しかもクレジットカードは、要はパーセンテージは各企業で違いますから、それを全部分けて、一物何価になるかわかりませんけれども、お支払いをすることは多分技術的に不可能であろう。
 なお、医療経済実態調査で薬局等々いろいろと調査した上で薬価改定は行っておりますので、平均するとその中には入っているというふうには存じ上げております。QRコード等々手数料が低いものもキャッシュレスの中にはありますので、いろいろなものを御利用いただくというのは一つなのかもわかりません。

#35
○白石委員 大臣、ぜひ、余り複雑にならないようにということなんですけれども、薬価を改定するときのその基準となるのは卸売価格ですね。それに何%、まあ二%なり上乗せするというところに加えて、やはりクレジットカード、何割ぐらい扱っているんだ、その手数料は、さっきおっしゃった平均六%ぐらいだったら、六%ぐらいもう上乗せして薬価を決めようじゃないか、そうしたらキャッシュレス決済というのは医療分野でも普及すると思いますので、ぜひ、今の議論の中にちょっと一石を投じていただきたいんです。最後にお願いします、これで終わりますので。

#36
○とかしき委員長 田村厚生労働大臣、申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

#37
○田村国務大臣 先ほど申し上げました療養の給付の中に入るかどうかということ、まず前提としてこれを議論をしなきゃならないというふうに思っております。

#38
○白石委員 終わります。ありがとうございます。

#39
○とかしき委員長 次に、津村啓介君。

#40
○津村委員 新型コロナによる少子化の加速、尊厳死、臓器移植、この三つのテーマについて質問をさせていただきます。
 先週十一日水曜日に、おめくりいただきまして二ページの、来年の出生数八十万人割れもという記事に出ておりますが、厚労省が、四月から七月の妊娠届出件数が一〇%程度減っているということを先月の二十一日に公表されまして、こうした記事になっております。
 七月の数字を十月ということでは少し遅いのではないかということで、先週の質問通告を月曜日にさせていただきましたけれども、その翌日に、早速、母子保健課の方から各都道府県に通知を発出していただいて調査をするということで、本日が締切りになっていると伺っています。
 一枚おめくりいただきますと、これはまだ数字が固まっていないそうですから仮の数字としてごらんいただければと思いますが、私自身が地元の岡山県に聞き取らせていただいた数字を載せております。五月から七月までの調査は既に厚労省さんに前回報告済みで、既に公表されているものですが、八月、九月、十月と見ても影響が続いていることが見てとれます。
 これは、四十七都道府県ほとんど同じような動きを前回していましたので、今回の、本日が締切りということですから、詳細の公表は来週以降になると思うんですが、きょうこの時点までに届いている傾向としてどういう、私の手元の岡山の数字から想像すれば八月、九月まで影響が見られるということなのか、また、六カ月全体でマイナス七%程度になっていますけれども、こういった傾向は今全国でどんな形になっているのか、また、いつごろ固まった数字は公表していただけるのか、伺いたいと思います。

#41
○田村国務大臣 大変申しわけありません。きょうということなので、まだ十分に精査、解析ができていないものですから、ちょっときょうは、まだお出しすることができないということであります。
 データがそろい、精査が終わり次第、結果を公表させていただきたいと思いますが、ちょっと今、この時点で、いつになるかというのはなかなかお答えしづらいということでありまして、なるべく早く公表できるようにしたいと思います。

#42
○津村委員 二〇二一年の出生数が仮に八十万人割れということになれば、例えば産婦人科もそうですし、あるいは、将来、学校においても、あるいは社会全体にとっても、ひのえうまの生まれの方が大きく減ったことでその後さまざまな影響が指摘されたように、今後、日本社会に大きな影響が予想されます。
 この妊娠届というのは、ある意味で、先行指標という言い方がいいかわかりませんけれども、ほとんどの女性はきちっと出していらっしゃるわけですから、来年の出生数が見えてくるという意味においてきちっとフォローしていくべき数字だと思うんですけれども、この八十万人割れになる可能性が高い今の状況を大臣はどういうふうに捉えていらっしゃるかということと、これから数字を今回に限らず継続的にフォローしていくべきだという私の前回以来の御提案に対して、大臣の御所見を伺いたいと思います。

#43
○田村国務大臣 これは、本年は八月に実施した調査結果でありますけれども、コロナ禍ということでどういうふうな影響が出ているかというのを調査するということでやりました。実際問題、委員がおっしゃるとおり、前回も申し上げましたけれども、五月、一七%、六月、五・四%、七月、ほぼ一一%ということなので、かなりやはり減少しておる。
 これが、新型コロナウイルスによるいろいろな、原因はまだ分析できていませんが、不安やいろいろなことがあるんだと思いますけれども、経済的なこともあるのかもわかりませんが、そういうことを考えたときに、継続的にこういうことが続くのかどうかというのは、これから分析、つまり、ことしだけじゃなくて来年も含めて見ていかなきゃならないことなんだというふうに思います。
 でありますから、やはり、少子化が続くというのはいいとは思っておりませんので、今までもこれからも我々がやっていかなきゃならない政策、例えば待機児童の問題、これは新たな計画もつくっていかなければなりませんし、あと、やはり不妊治療、これは保険適用を含めて総理から指示いただいております。あと、男性の育休等々も促進しようということで、パートナーが産後間もないころに男性が育休をとれるような、そんな環境をつくれないかということで検討しておりますが、ほかにもいろいろなことをやりながら、出生率を上げていく、子供を産みたいな、育てたいなと思っておられるそういう御家庭で子供を産み育てられるような環境をつくろうと思います。
 一方で、言われるとおり、毎月毎月というのはなかなか事務負担が要るわけですね。ですから、どれぐらいというと、年間単位である程度見られれば、それは前年対比等を見てどういうような形なのかというのがある程度はわかってこられると思いますので、このコロナ禍においては一定程度こういう形でお示しをしていかなきゃならないとは思っておりますが、しかし、平時に戻ったら、各都道府県等々の事務負担等々を考えましても、平時の対応に戻させていただければというふうに考えております。

#44
○津村委員 将来のことまではなかなかわからないのかもしれませんが、今、コロナ禍が続いている限りにおいては、引き続きことし、来年とフォローしていきたいという御答弁をいただいたと思いますが、それでよろしかったですか。

#45
○田村国務大臣 コロナ禍というのがいつまで続いているのかというのは、なかなか、ちょっと我々も判断がしづらいところがございます。
 今回、この八月に五、六、七というのをやり、そして八、九、十というのを今回やりました。これを精査させていただきながら、これから続けるかどうかということも含めて検討させていただきたいというふうに思います。

#46
○津村委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いしたいと思います。継続的に私も厚労委員会でウオッチさせていただきたいと思います。
 続きまして、先週に続いて尊厳死のことでございます。
 厚労省は二〇〇七年に終末期医療の決定プロセスに関するガイドラインというものを設けているわけですけれども、こちら、平成三十年、二年前の厚労省御自身の意識調査によると、この利用状況というのは、医療現場、看護師さん、そして介護現場を含めて三〇%を割っております。また、これを知らないという方もお医者さんでも三〇%前後いるということで、実際にこれが、もともとのガイドラインの目的である、よりよき人生の最終段階における医療の実現に資するという役割を十分果たせていないのではないかというふうに私は思うんですけれども、大臣、いかがですか。

#47
○田村国務大臣 御指摘のガイドライン、前身の終末期医療の決定プロセスに関するガイドラインというのを作成をする段階から、やはり医療者、それから患者、御家族等々、しっかりとコンセンサスを得られる、こういうところを基本的に確認をしてきました。
 よりよき人生の最終段階における医療の実現に資するとの考え方に立ってまいりましたが、なかなか、おっしゃられるとおり、御理解をいただくというか、それ自体を知ってみえられないという方々も医療関係者の中にもおられる。私自身も、実は、みずから、聞かれて、こういうものがあるんですよと申し上げたときに、えっ、そんなのがあるのか、知らなかったとおっしゃられて、ああ、これはまだまだ普及していないなというふうに改めて感じたわけであります。
 そういうことも含めて、現在のガイドラインを改定した際には、いろいろなそういう普及も含めて、とにかく、それぞれの方々がみずからの人生を考えてどういう治療を望むか、みずからの人生をどのように全うしていくかということを含めて周知ができるようにということで新たなものをつくったわけでありまして、これに関してはしっかりと普及をさせていきたいというふうに考えております。

#48
○津村委員 大臣、四ページをごらんいただきたいというふうに思います。
 これは、きのう、おととい、私、日本公証人連合会さんに連絡をとらせていただきまして、ちょうど二年前、リビングウイルについて、ACP、いわゆる人生会議を厚労省が推進するということが二年前の三月だったわけですけれども、その約半年後に、これは日経新聞さんが日本公証人連合会の調査を扱った二年前の十月一日の記事ですけれども、ACPの推進ということを受けてリビングウイルがふえていると。そのとき初めて調べたそうですから、正確な数字、前年比ということは出てこないようですけれども、私がきのう聞きましたので、上に書いてある平成三十年一月からの数字が公正証書としてのリビングウイルの統計ということになります。
 二年前の十月以降の数字はきのう初めていただいたもので、初めて出させていただくものですが、これを見ていくと、去年の十月までは、ある意味、少しずつですけれどもリビングウイルの登録数がふえているようにも見えるんですが、昨年十月の二百二十九件を境に、ことしはコロナがあるからかもしれませんけれども、リビングウイルの作成というのが減っているようにも見受けられます。
 これは、厚労省さんが進めていらっしゃるACPの普及、あるいはガイドラインの普及啓発という点では少し残念な状況だと思うんですが、大臣の御評価を伺いたいのと、また、今後この数字を厚労省としてもフォローしていくべきではないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。

#49
○田村国務大臣 ガイドラインに沿って、とにかく自分の人生の最終段階をしっかり考えていただきたいということでありまして、同時に、家族、それから、もちろん御本人もそうであります、医療機関で何度も何度も話し合って、どのような対応をしていくのか、これを共有していただく人生会議といいますか、今言われたACP、アドバンス・ケア・プランニングというような形でこれを今進めさせていただいておりますが、これは、一回だけじゃなくて、そのときによって御本人の考え方も変わると思いますし、家族の考え方も変わりますので、何度も何度も繰り返し話合いをしていただいて、その都度文書に残していただくということが重要なんだと思います。
 ただ、ここにあります公正証書に残すといいますか、そこまで法的位置づけのある文書を残すとは言っておりませんでして、ですから、公正証書の数がふえてきていないから、だからこの人生会議がちゃんと進んでいないという評価はなかなか難しいのではないのかなというふうに思います。
 どういう形で我々の意図というものが十分に御理解をいただいているかということ、それを一つ見る指標としてはこの公正証書もあるのかもわかりませんが、もうちょっと幅広に、そういうことがある程度わかるような方法はどういうものかということも含めて検討させていただきたいと思います。

#50
○津村委員 田村大臣は尊厳死の問題に大変お詳しいので釈迦に説法になりますけれども、委員の皆さんにも知っていただきたいので少し触れますと、一九九一年の東海大学での不幸な事件によって、その後、尊厳死あるいは延命治療の中止ということが非常にデリケートになってしまって、当時、終末期、末期がんで大変苦しまれた方を若手の医師の方が延命治療を中止したところ、内部からの通報によって殺人罪に問われたというケースであります。
 ただ、このガイドラインが二〇〇七年にできて以降は、私、一枚目の質問要旨のバーで書かせていただいていますけれども、解説編の中に、刑事責任や医療従事者間の法的責任のあり方などの法的側面については、ガイドライン策定以降、大きく報道されるような事態は生じていませんが、引き続き検討していく必要がありますと。つまり、このガイドラインをつくったことによって、そうした事件が大きく報道されるような形では起きなくなった、改善しているよということを言いつつ、引き続き検討していかなければいけないということも自覚的に記されているわけですが、その後の検討状況を教えてください。

#51
○田村国務大臣 ガイドラインというものをつくって、一定程度、本人の意思というものがどういうものであるかということは記録に残るような方向で今進めておりますが、このガイドラインを改定したときに、今言われた医療、ケアの中止でありますとか、また、そもそも開始等に関する医師の刑事責任のあり方については引き続き検討していくというふうになっておるわけであります。
 まだ今広くコンセンサス等を得られている状況にはなっていないというふうに認識をいたしておりまして、もともと、委員がおっしゃられますように、議員立法等々で整備するというのはここに大きな主眼があったということでありますけれども、そのときもやはりまだ幅広くコンセンサスが得られていなかったということで、なかなかこれが進んでいないという現状でありますが、現在においても、いろいろと議論をされている最中ではありますけれども、自民党の中でも、直近では二年の七月に開催されているようでありますが、まだ十分な合意に至っていないというふうに理解をさせていただいております。

#52
○津村委員 先週も申し上げましたが、与野党の各会派の議員の皆さんと一緒に進めていきたいというふうに思います。
 最後に、ちょっと時間が短くなりましたが、臓器移植のことであります。
 臓器移植は、私も、二〇〇九年の臓器移植法改正のときには、当時、山内康一さん始め、与野党の多くの議員の先生方が大変御努力をされている姿を目にして、国会議員の仕事というのはすごく重いものだなということを感じたことがございますが、五ページを見ていただきますと、その法改正後は、心停止下の臓器移植から脳死下の臓器移植にある意味シフトが見られるということは言えるかもしれませんが、残念ながらドナー数自体は伸び悩んでいるわけであります。
 この議論を、議事録をさかのぼって、厚労委員会でどういう議論がされているのか、過去数年のものを見ましたけれども、免許証での意思表示をきちんとやろうとか、そういう議論が多い一方で、余りインフラ面の話が深掘りされていないなと思っておりまして、四百四十、臓器提供施設というものが全国にあると思うんですが、そのバランスであるとか、結果として地域でどのぐらい腎臓移植というものが、臓器移植の中でも心臓移植に比べて比較的ポピュラーなのが腎臓移植だと思うんですけれども、どういうバランスかというものを臓器移植ネットワークの公表している数字からはじいたものが六ページであります。
 これは、東京に集中しているというのならまだわかるんですけれども、そうではなくて、沖縄県、愛知県、香川県、富山県、福岡県というのが上位、そして山梨県、山形県、滋賀県、鹿児島県といったところが伸び悩んでいて、沖縄県の〇・三一%、人口千人当たりですけれども、山梨県の〇・〇二%、十五倍差があるわけですけれども、こういった地域の格差というところにもぜひ目を向けていただいて、提供施設のあり方、あるいは移植コーディネーターの方々の数が全国の配置として適正なのか、こういったことにもぜひ目を配っていただきたいと思うんですが、大臣、いかがですか。

#53
○田村国務大臣 おっしゃられますとおり、ばらつきがあります。
 いろんな理由があるんですが、そのときに適したレシピエントの方がどこにおられるかだとか、ちゃんと公平に公正に適した方にというような形でマッチングをしていただいておるわけでありますが、待機日数だとか、もちろん、実際問題どれぐらい搬送にかかるかという時間もあると思います、ドナーの方々のところからレシピエントに届くまでの間。それから、今言われたとおり、そもそもできる機関というものが限られていて、そのできる医療施設がやった経験があるかどうかということもまたあるわけであります。そういうようないろんな体制の整備状況の差というのがある程度こういう形でばらつきがあるということであります。
 ネットワークの皆様方も我々に対してもいろんな御示唆をいただくわけでございまして、なるべくこういうような偏りがなくなるように我々も努力はしていかなければならないと思いますが、今、現状では、やはり、ドナーから臓器をまずしっかりと摘出をいただいて、それがいただける場所、そして今度は、移植できる場所、そこが整備してこれないことにはこのばらつきは改善はしないというふうに思っておりますので、またいろんな御意見を聞きながら進めてまいりたいというふうに思います。

#54
○津村委員 これは与野党の理事、委員の方にも申し上げたいんですけれども、尊厳死の問題も、臓器移植の問題も、あるいは生殖補助医療の問題も、こういういわゆる生命倫理の分野というのは、日本は世界に比べてルールメーキングが非常におくれているわけですね。もちろん早ければいいというものではないんですけれども、議論自体が余りなされていないのが、議事録等も見ましたけれども、率直な感想です。
 それは、やはり議員立法という日本の国会の仕組みの中のある種の知恵でやっているわけですけれども、逆に言えばそこに頼り過ぎていて、臓器移植のことも、それは議員立法でつくられたものですからというふうに厚労省さんと話していてよくなるわけです。
 ただ、実態として、こういう、都道府県でどうなっているかとか、これが時系列でどう変化しているかというのを国会議員がずっとフォローしていけるインフラを持っているかというと、そういうわけでは必ずしもないわけで、立法自体は我々が知恵を出していくことは当然なんですけれども、制度改善という意味では、厚労省さんにもぜひ、生命倫理は行政はできませんという姿勢じゃなくて、さまざま問題提起をしていただきたいですし、立法府を代表してそこに入られているのが政務三役の皆さんでいらっしゃるわけですから、ぜひそこの間をつないでいただきたいなということを申し上げて、終わります。

#55
○とかしき委員長 次に、山川百合子さん。

#56
○山川委員 立憲の山川百合子でございます。よろしくお願いいたします。
 きょうは二問なんですが、まず最初に、生殖補助医療、不妊治療についてお伺いをしたいというふうに思います。
 参議院で、生殖補助医療で生まれた子の親子関係を明確にする民法の特例法案が参議院に議員立法で提出されて、それが本日可決をされたというふうに思います。この法案は、民法の特例のほか、生殖補助医療の提供に関する基本理念や国の責務などを定める内容となっております。また、生殖補助医療及びその提供に関する規制のあり方ですとか、生殖補助医療で生まれた子供の出自を知る権利や、卵子などのあっせんに関する規制のあり方等のこういう大事な問題については二年を目途に検討するという検討規定に位置づけられている、そういう内容のものであります。
 この法案については、二十年余りにわたりいろいろな取組が行われてきて、ようやく一歩前進だという見方がある一方、大事な点が検討事項に全部入っていて、特に出自を知る権利などについても検討事項に入っているので、拙速に決めるべきではないのではないかという慎重論もあるわけであります。
 私としては、二十年余りにわたって先生方が一生懸命取り組んでこられたということは重々承知しているんですけれども、議論の経緯というものをいま一度ここで確認しておきたいというのがきょうの質問のメーンのところでございます。
 平成十二年に厚労省の専門委員会で検討を始めて、そして、それを受けて法制審議会でも十三年から親子法制について検討し、十五年には中間試案を出し、また、同じ十五年には厚労省の生殖補助医療部会の方が報告書を出し、また、平成二十年には、厚労相と法務相から審議をするように言われて、日本学術会議の方がやはり報告書というのを出していると思いますが、ただ、この二十年を振り返ってみますと、ある一時期議論が集中的にされたんだけれども、その後何となく停滞をしているというような印象を持つわけであります。
 そこで、まず最初に、今日に至るまでの政府における生殖補助医療のあり方に関する検討の経緯について、確認の意味も含めて伺わせていただきたいと思います。
 それで、通告の際に、きちっと丁寧にお願いします、詳しくお願いしますと言ってあるので、ぜひ詳しく、よろしくお願いいたします。

#57
○渡辺政府参考人 御指摘のございました生殖補助医療をめぐる議論の経緯でございますが、時系列的に申し上げますと、まず、平成十三年から十五年にかけて、厚生労働省の中の厚生科学審議会の生殖補助医療部会というところで検討しまして、法制化を図る場合の論点ということにつきまして報告書が取りまとめられたわけでございます。
 この中では、例えば、幾つか代表的な論点としまして、精子、卵子、胚の提供等による生殖補助医療を受けることができる方の条件、例えば代理懐胎の可否とかそういった点ですとか、あるいは、逆に、提供を行うことができる者の条件、それから、そういったものの授受に関しての対価を例えばどうするかといった実施の条件、あるいは、生殖補助医療の実施医療施設のあり方、さらに、出自を知る権利に関しての情報開示等に係る運営機関のあり方、こういったことが議論されたわけでございます。
 その後、代理懐胎をめぐって最高裁の判決等がございまして、そういった動向を踏まえまして、今先生御指摘のございました、厚労大臣と法務大臣から日本学術会議に審議を依頼しまして平成二十年に報告書が取りまとめられ、これにつきましては、国民の代表機関である国会がつくる法律によるべきということとされたところでございます。
 そして、こうした状況も踏まえまして、平成二十五年以降、与党におきまして立法化の議論が行われ、先生御指摘のように、ちょっと途中、一時中断はございましたが、今般、与野党において一定の議論が調い、現在、本国会において議論がなされているものと承知しております。

#58
○山川委員 ありがとうございます。
 今、経緯について御説明いただいて、ありがとうございます。
 それと時を重なるようにしてというんでしょうか、不妊治療の助成の開始とか適用の拡大とか、それも片側であったと思うんですが、それについても確認をさせていただきたいと思います。

#59
○渡辺政府参考人 生殖補助医療につきましては、不妊治療の重要な選択肢の一つということで学会でも位置づけられておりますが、まず、この不妊治療、最近の助成とか保険適用をめぐる動きの中で、これは、生殖補助医療のうち、法律上の夫婦間の体外受精と、特に、非常に高額な体外受精、顕微授精につきまして経済的負担の軽減を図るという観点から、厚労省におきまして平成十六年度から公費助成を行ってきたところでございます。
 一方で、法律上の夫婦以外の卵子や精子を取り扱う生殖補助医療につきましては、こういった経済支援以前の問題として、先ほど御指摘のございました民法の特例を含めまして、家族関係を始めとするさまざまな倫理的な課題があることから、その規制のあり方等につきまして、先ほど申し上げました国会において法案が審議されている、そういった違いがあるということでございます。

#60
○山川委員 ありがとうございます。
 経緯としては整理をしていただいたんですけれども、では、そこの整理していただいた中で触れていただいたこととももちろん重なるんだと思いますが、やはり、きょうは確認ということがメーンなので、生殖補助医療と不妊治療のまず定義、それから、その上で、これをめぐる論点をきちっと整理いただきたいということをきのうもちょっと申し上げておいたので、経緯の中に重なる部分もあるでしょうが、きちっとここで整理させてください。厚労省と法務省がこれまで検討してきた中の論点ということであります。

#61
○渡辺政府参考人 まず、法務省の前に、厚労省の方としてお答えしたいと思います。
 まず、定義ということでございますが、生殖補助医療につきましては、日本産婦人科医会の定義がございまして、これは「妊娠を成立させるためにヒト卵子と精子、あるいは胚を取り扱うことを含むすべての治療あるいは方法」というふうに定義をされております。
 一方、不妊治療につきましては、文字どおり不妊に対する治療でございますが、この不妊というものにつきましては、日本産婦人科学会の定義がございまして、この中で「妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しないもの」、通常この一定期間は、学会の定義によりますと「一年というのが一般的である」ということでございますが、それぞれ、不妊治療、生殖補助医療ということはこのように定義をされております。
 そして、これについての論点ということは、先ほども申し上げました生殖補助医療を受けることができる者、あるいはそのために卵子、精子等を提供することができる者の条件とか、その授受に関しての実施の条件、あるいは出自を知る権利、こういったことが論点として挙げられるかと思っております。

#62
○山川委員 論点もかなりコンパクトにまとめられたように思います。論点はかなりたくさんあると思うんですけれども。
 まず確認ですが、先ほどの定義のところからですが、生殖補助医療についての定義は、厚労省としては日本産婦人科医の定義を使っておられて、そして、不妊治療については日本産婦人科学会の定義を使われているということと理解いたしました。
 それから、論点がかなりコンパクトに整理をされたと思うんですが、さまざまな論点があろうかと思います。また、不妊治療の保険適用ということも言われていて、生殖補助医療でどこまでが範囲なのかということも含めて、かなり論点、議論が、これまでも非常に難しい問題であったからなかなか進まなかったということがありまして、論点をきちっと整理しておくということは大事だと思うんですが、ここで、議員立法で法律が参議院は通っておりますけれども、検討課題はたくさんあります。
 このような動きの中で、政府における今後の生殖補助医療のあり方に関する議論はどうしていこうとされているのか、お伺いをいたしたいと思います。

#63
○大隈大臣政務官 お答えいたします。
 山川委員の生殖補助医療に関する御関心あるいはお取組については敬意を表したいというふうに思っております。
 御質問の、今後の政府の取組というようなこともいろいろお尋ねでございますが、生殖補助医療に関する問題というのは、委員御指摘のとおり、個人の生命倫理観、あるいは家庭観、あるいは倫理も含めてさまざまな問題に密接にかかわるものでございまして、医学的、あるいは倫理的、法的、社会的な側面から捉えて、国会の場を含めて幅広い議論が行われるべきであろうというふうに考えております。
 きょうも、参議院の本会議の方で議員立法が通過したというふうにお聞きしておりますけれども、厚生労働省としましても、国会における議論も注視しながら、国内の生殖補助医療の実態や諸外国の生殖補助医療に関する法制度、ヨーロッパ、欧米を含めて、その実情の把握に取り組んできたところでございます。
 政府提案による法制化の方には至っておりませんが、関係する各省と連携しながら、国会の御議論をしっかりと見守っていきたいというふうに思っております。

#64
○山川委員 国会の議論を注視しながら対応していきますというような御答弁だと思うんですけれども、それから、御答弁の中に、これまでも実情把握に努めてきたという御答弁もあったと思うんですが、前回の質問で、実態調査のことについても、過去に行ってきた提言も含めて随分と確認もさせていただいているんですけれども、こういう場でやらせていただく質疑だけでなくて、省庁の担当の方とお話なんかをする中で、私の印象としては、もっと真剣に取り組んでいただきたいな、もっと真剣に実態把握に主体的に取り組んでいただきたいなという、そういう思いがすごく強いんですね。
 今回、法律が、今度は衆議院ですけれども、課題がたくさんあるので、それを二年をめどに検討していくということはすごく大事なんですが、やはり、国会でやることももちろんなんですけれども、いろいろな実情把握とかということは政府でなければできないことはたくさんあると思っているんです。
 ですが、片側で、大分前に、法案が提出をされるようになった段で、実は、当事者の実情把握が全くできていない法案なんてあり得ないということで、国会の方は、これはあり得ないというふうに差し戻したということもいろいろ調べていくとあるようなんですね。
 ですので、やはり、どこがということも大事ですが、本当に実態を把握していく。そして、生殖補助医療というのは、前回も申し上げましたけれども、もう実情の方がどんどんどんどん進んでいて、私がかつて五年ぐらい前にやっていたときよりも、もう実態がどんどん変わっていっているので、当事者の見えているもの、当事者の抱えている課題はそれぞれ本当にたくさんあると思うんですね。
 ですので、ぜひ政府もしっかりと実態を把握するということ、この生殖補助医療にしっかりとコミットしていくということ、そのために、当事者からきちっと話を、いろいろな人から聞いていくということにぜひコミットしていただきたいと思うんですが、田村大臣の御所見を伺いたいと思います。

#65
○田村国務大臣 この生殖補助医療のみならず、先ほど津村議員から臓器移植の話がありました。臓器移植法案をつくったとき、私は賛成討論をやった、今から二十四年前ですけれども、そんな記憶がございます。
 臓器移植法も、同じように何回もチャレンジして、結果的に最後は党議拘束を外して、それで成立した法律でございました。ですから、与野党で賛成、反対が分かれた。それぐらい、やはり、死生観、倫理観、生命観、いろんなものがある中で、意見がまとまらない、国民の中でもまとまらないという法案でありましたが、その責任をしっかり担った国会、国民の代表たる国会がしっかりと法律を通して、そして、今、まだ十分じゃないところがたくさんあるのは私も承知しておりますが、それぞれ議員連盟等々でいろんな活動をいただきながら、法律ができましたから、政府もしっかりとそれに対して対応いただいておるということであると思います。しているということだと思います。済みません、私、政府でございます。
 これに関しても、今般、法律を議員立法でお出しをいただいて、私も若干なりとも以前党でかかわった記憶があります。非常にこれも、代理懐胎はどうするんだとか、また、出自を知る権利はどうするんだとか、いろんな問題があって、それぞれ国民の中でも意見が割れる、そういうような議論であります。
 だからこそ、責任を持って国会の中で、今こうやって委員を始めとして多くの方々がかかわりながら法案を成立をさせようとしておることに改めて敬意を表するわけでありますが、しっかりとその議論を我々も注視させていただきながら、各省庁と連携して、法律が成立した暁にはしっかりと行政機関として対応してまいりたいというふうに考えております。

#66
○山川委員 ぜひ、本当に、当事者がどういうことに直面して悩んでいて、どういう希望を持っているのかということを含めて、専門家の方の意見を聞くのももちろん大事なんですけれども、私は、これは言っていいのかと思ったんですが、当事者からいろいろ話を聞くと、専門家と言われている方が、実は今日の現状をわかっていない方がコメントして、そういう中で物事が決まっていくのはとても心配だということも随分寄せられているんです。
 そういう声も踏まえて、ぜひ、本当の今の実態を把握しながら、もちろん理念とそれから実情をどう結びつけていくのかというのが政治の役割だと思うので、そこのところにぜひ力を注いでいただきたいというふうに思います。
 それでは、きょう二つ目として用意しましたCOVID―19の分析と解決策に関する質問なんですが、少しちょっと時間が足りないんですけれども、お伺いしたいのは、COVID―19の実態がどこまで解明されて、科学的な対応策としてどのようなことが現在研究若しくは検討されているのかということをきょうはお伺いしておきたいというふうに思います。
 一つ目、COVID―19の感染メカニズムについて。二つ目、原因となっているSARSコロナウイルス2はこれまで何種類確認されていて、変異のスピードはどうなのか。そして、三つ目として、アジアが、欧米と比べると、感染拡大や重症化する割合が比較的緩やかな印象を今持っているわけですが、地球全体を俯瞰した際に、地域的な偏在性や各地の気候による特性を発見されているのか。そして、四番目として、BCGが有効なのではないかという一部研究機関の仮説があって、オーストラリアで治験を進めてきたと理解をしているんですが、何らかの治験結果は得られているのか。現在までにわかっている範囲で全部一緒に、済みません、わかっている範囲で教えていただければと思います。

#67
○脇田政府参考人 お答えいたします。
 今、まとめてということでしたので、順番にお答えしたいと思いますけれども、まず、新型コロナにかかった場合に免疫反応ができるのかということもありました。
 それは、一般的には、感染症にかかりますと免疫反応が誘導されて再感染をしにくくなるということがありますが、今般の新型コロナウイルス感染症につきまして、多くの症例では、その感染後に免疫反応を獲得する可能性が高いと言われています。
 ただ、免疫反応の持続時間がどのぐらいあるのかということは、まだ研究が進められている状況で、例えば、いわゆる終生免疫が誘導されるのか、あるいは免疫ができる期間が短いのか、それについてはまだ今研究が進められているというところであります。
 それから、変異のスピードがどの程度で、何種類のコロナウイルスがあるのかということですけれども、新型コロナウイルスは約三万の塩基のRNAをゲノムに持つウイルスです。
 RNAウイルスというのは変異の速度が速いということが知られていますけれども、新型コロナウイルスは比較的変異の速度が低いということが知られていて、大体二週間に一カ所程度の変異が入るということが知られていますので、日本に侵入してから一月から約十カ月程度ですけれども、それを考えますと、平均して二十カ所程度の変異が入っているということになります。
 種類ということになりますけれども、このウイルスは、生物学的、ウイルス学的に申し上げれば、コロナウイルス科、そしてベータコロナウイルス属に属する新型コロナウイルス、SARSコロナウイルス2型ということで、これは一種類でありまして、まだ本当にこのウイルスは生まれたてほやほやのウイルスで、ウイルス学的には一種類のウイルスということになっております。
 世界のコロナウイルスの感染状況が大きく違う理由はどうかという御指摘ですけれども、確かに各国で大きく感染状況は異なっています。
 この要因につきましては、例えば、ウイルスがどのように流入してきたかということも国によってかなり違っております。それから、各国において、文化でありますとか習慣、そして生活様式、それからこれまでの対策、そういったものもかなり違っているということですので、それが複合的に関与しているということですから、一概に比較することはなかなか難しいわけですが、そういった文化であったり習慣であったり、それから対策ということに関しては、どのようなものがウイルスを抑えることに効いているのかということも研究が進められているという状況だと認識をしております。
 したがいまして、我が国におきましては、市民の衛生意識の高さであったり、保健所が一生懸命クラスター対策に取り組んでいただいていたり、あるいは、医療機関の皆様が一生懸命治療に当たっていただいているということが感染拡大を抑えるためには効果的であったと考えますが、現状、感染が拡大をしているということですので、我々も強い危機感を持って対策に当たっていく必要があるということを考えております。
 最後に、BCGのことをお尋ねになったと思います。
 BCGワクチンが新型コロナウイルス感染症の感染を予防する効果があるのではないかというようなお話があります。一方で、日本ワクチン学会が四月の三日に見解をまとめております。新型コロナウイルスに対するBCGワクチンの有効性というのは、いまだにその真偽が科学的に確認されたものではないということですから、現時点では否定も肯定もされておらず、推奨されていないというふうに承知しています。BCGワクチン接種の効能、効果というのはあくまで結核の予防ということですので、新型コロナウイルス感染症の発症あるいは重症化ということに特異的に予防が可能というものではないということが指摘されています。
 ですから、現時点において、BCGワクチンの感染予防効果、新型コロナウイルスに対する効果としては、特異的な効果が認められているものではないというふうに認識をしております。

#68
○山川委員 ちょっと時間もなくなってしまっているので。ありがとうございます。御丁寧にありがとうございました。
 COVID―19、新型コロナウイルス感染症がどういうものなのかということが解明されて、それに対して適正なワクチンで対応していくかということになっていくと思うので、きょうは伺ったわけであります。
 時間がないのでちょっと飛ばしますが、感染症予防の三原則には、病原体、感染経路、そして宿主のいずれかが欠けても感染はしないと言われていると理解しています。
 ここ数日の感染拡大は再び夜の町でも発生していると言われていますが、これまで政府は、感染経路の遮断を重視して対策を講じてこられています。やはり、不特定多数の顧客との接触や接待を伴う事業の従事者にPCR検査を定期的に実施して、陰性判定をもって職場に復帰するように、例えば全員検査の制度をつくることは私はとても重要だというふうに思っています。検査体制もかなり進展があると聞いておりますし、私も、地元の小さな在宅医療機関がPCR検査ユニットを導入をしたということで、視察もいたしました。
 ぜひ、この全員検査、ある特定の職に関しては全員検査をするということについて、大臣のお考えを伺いたいと思います。

#69
○田村国務大臣 特定の職種に対する全員検査でございますか。
 夏のときに新宿で、どこの地域とは言いませんけれども、検査センターをつくって、保健所も出張していただきながら大変な検査をやりました。ただ、それでも、じゃ、新宿のあまたあるお店のうちどれだけが検査されたか、働いている方々のどれぐらいが検査されたかといったら、それは一部であったわけで、やはり検査せずにいた方々は結構おられるというふうにお聞きいたしております。検査数を見ればわかると思いますが。
 つまり、何を言いたいかというと、あのときは、商店街というか、その責任者の方々の協力を得て、なるべくお店の方に検査に行ってくださいといういい人間関係でかなり進んだんです。ところが、それでも全部はやり切れない。
 つまり、やろうとすれば、法律をつくって強制的に、検査をしなければ要は何らかのペナルティーがあるというようなことであればそれはできるかもわかりませんが、なかなか強制的に全ての職種というわけにはいかない。
 ですから、今も、クラスター等々が起こっておる、若しくは起こる可能性、蓋然性が高い、近くでいろいろなことがあるというような、そういうようなところは、一応、行政検査でエリアを決めて、そこに来てください、検査をしてくださいというようなことは今もやっておりますし、今、多分、すすきのは、そういうようなことをやっていただいていると思います。残念ながら、全員その検査をやれているかというと、それはなかなか難しい。
 法律をつくるには、私権制限等々になってまいりますので、国民的な御議論をいただく必要があるのではないかというふうに考えております。

#70
○山川委員 ぜひ、この感染予防の三原則を徹底するような形の対策をお願いしたいと思います。
 少し質問を残しておりますが、時間となりましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

#71
○とかしき委員長 次に、宮本徹君。

#72
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。
 きょうは、尾身先生に来ていただきました。お忙しい中、本当にありがとうございます。そして、連日対策の先頭に立っておられること、本当に心から感謝申し上げたいというふうに思います。
 それで、感染拡大が急激に進んで、きょうも東京は五百人以上ということで、二日連続、北海道は三百人余、新たな陽性者が確認されたということであります。
 やはり、感染拡大防止のためには、どうすれば感染が終息に向かうのか、何が感染リスクを高めるのか、そういう科学的な共通認識を国民全体で共有していくというのが非常に大事なことだと思います。
 先生方の分析では、感染者の八割はうつさない、そして、そのことからいっても、クラスターを早期に終息させてクラスターの連鎖をとめれば、これは下火の方向に向かっていくんだということであります。
 そこで、じゃ、クラスターがどうやって発生しているのか。これも先生方の分析で、三密の場で感染が広がるということを早くから指摘されていらっしゃいました。これに学んで、イギリスでは三密プラス二に気をつけようということで、三密プラス大声と時間ですね。私はここでは三密プラス三つに気をつけようということを言っているんですけれども、三密と大声と時間とマスクなし。三密プラス三、これがリスクだということを私も提唱しております。
 ただ、こうしたことが共通認識にみんなでなっていく上では、やはり感染経路についての共通認識が必要だと思うんですよね。感染経路はいろいろ言われていますが、クラスターの要因となっている感染経路というのは主には何なんですか。
    〔委員長退席、門委員長代理着席〕

#73
○尾身参考人 お答え申し上げます。
 先生の、クラスターの原因になっている感染経路は何かという御質問ですよね。
 これは前から申し上げていますように、この感染は、私が感染していて、隣の人に感染させて、その人も一人だけ感染、そういうような一人一人の感染というもので伝播するような性質ではありません。それはなぜかというと、先生がおっしゃったように、これは当初から、五人感染しても一人しかほかの人に感染させないということが当時からわかっていまして、その事実は今でも基本的には変わりありません。
 したがって、クラスターがなぜ起きるかというと、五人のうち一人だけが感染させる、その一人が、たまたま誰とも感染しない、あるいは感染しても接触した人が一人だけだったら、二人、三人いくうちに自然に消えていってしまう疾患です。ところが、この一人が、たまたま、いわゆる先生がおっしゃった三密の状況で何人かいるところにいると、そこでクラスター感染が起きる。そういうような感染の伝播をするということであります。

#74
○宮本委員 ですから、そういう感染伝播は、もうちょっとお伺いしますと、マイクロ飛沫感染ですね、先生方の言い方で言えばマイクロ飛沫感染、私はエアロゾル感染と言っていますけれども、で起きているのか、飛沫感染で起きているのか、接触感染なのか、主にはどれですか。

#75
○尾身参考人 そういう意味では、先生のおっしゃったエアゾールという言葉は、我々基本的には使っておりません。
 エアゾール感染とマイクロ飛沫感染というのは、大きな意味では、広い意味では同じですけれども、エアゾール感染というのは、その中で特に長距離においても感染し、長く空気に漂う、したがって長距離でも起こる、長い時間、長距離でも起こる。それに加えて、マイクロ飛沫感染というのはそれに比べて短距離で起こる感染で、二つは似ているようでも基本的には違う。
 我々は、マイクロ飛沫感染というのが実は三密のところで起きて、それ以外にも、それはだから、いわゆる飛沫が飛ぶということで起こることは間違いない。それと同時に、接触感染というのも当然ありますね。
 先生のおっしゃったいわゆるエアゾール感染というのは、似ていますけれども、長い距離を漂っていく。これはいわゆる空気感染というものですけれども、この空気感染については、今のところ私どもはそういうことが起きているとは思っていません。なぜかといいますと、空気感染という、こういうものが起きていれば、今の状況でこれだけの数の感染でおさまっていることはないと思うので、今のは飛沫か、あるいは接触感染がほとんど大部分だというふうに考えております。

#76
○宮本委員 物すごい長距離で起きているということを私は言っているわけじゃないんですね。普通の人が空気感染でイメージすることを言っているわけじゃなくて、三密の環境であれば、ちょっとの距離じゃなくても、もう少し離れている距離でも、例えば感染研のホームページを見れば、飛行機の中で、かなり離れた客席での感染の例が紹介をされております。あれを見ると、あれを飛沫感染というふうに説明しても、国民の人はわからないですよね。
 普通、飛沫感染というと、何か唾がぺっぺっと飛んでいるイメージなんですよ、国民にとっての飛沫感染というのは。でも、そうではないわけですよ。実際に起きている現象というのは、三密の環境であれば、もう少し広い範囲で、先生方で言うマイクロ飛沫は浮遊していくということなんだと思うんですけれども、そういうことなんじゃないんですかね。

#77
○尾身参考人 お答えします。
 先生のおっしゃるように、いわゆるマイクロ飛沫感染ですよね、これは、三密の上で換気が悪かったりいろいろな条件がそろうと、空気感染ほどではないけれども、ある一定の距離に、せきをしたり、くしゃみをしたり、大声を出すと行くということがこれは当初からわかっておりまして、そのために、今はマスクの効用というのがある程度いろいろな調査でわかっていて、そういう意味で、食事の、そういう三密のところに行った場合には、避けると同時に、近距離で会話なんかをするときには、両方が、お互いがマスクをするということで、いわゆるマイクロ飛沫感染というものを防げるということだというふうに思います。

#78
○宮本委員 ですから、三密の環境では一定の範囲で飛ぶと。
 ですから、今、マイクロ飛沫なのか、飛沫か。一般の人がイメージする飛沫感染というのは、こういう、唾が飛ぶということなんですよね。だけれども、もっと見えないようなマイクロ飛沫、エアロゾルだと私は思うんですけれども、そこはここで議論してもしようがないので、おいておきますけれども。
 そのマイクロ飛沫が浮遊しての感染というのが、クラスターの発生ではかなりの部分を占めるというのが事実なんじゃないですか。

#79
○尾身参考人 お答えします。
 何%かはっきりはわかりませんけれども、先生のおっしゃるマイクロ飛沫感染がクラスター感染の重要な役割を果たしていることは間違いないと思います。

#80
○宮本委員 ですから、だからこそ、この間、換気のことを相当夏ぐらいからずっと強調され続けて、CO2モニターの話だとかも出てきているというのは、私はエアロゾルだと思って、空気伝播だと思っていますけれども、皆さんは。それは、距離の問題はありますけれども、何メートルというので区切られるものではないと思うんですよね。区切られるものじゃないんですよ、これは、相当離れていても、例えば、温度が低い環境なんかだと物すごい広い範囲でも起きていますよね、クラスターは。まあ、乾燥した場合もそうですけれどもね。ですから、そこをもっと国民全体で共通認識を持たなきゃいけないと思うんですよね。
 ですけれども、そこが、主に飛沫感染と接触感染とかと割と厚生労働省のホームページなんかにも書いてあるんですけれども、クラスターでは、マイクロ飛沫感染、それなりのかなりの範囲まで三密の場合では影響を及ぼす、マイクロ飛沫感染が先ほど先生おっしゃったとおり重要な役割を果たすというのを、厚労省のホームページにはそう書いていないんですよ。我々は、普通に読むと、主に飛沫感染、接触感染によって感染するという書き方なんですね。これだと伝わらない。
 例えば、そうすると、今、介護施設でクラスターが起きていますけれども、介護施設では換気はどれぐらいの頻度でやった方がいいと厚生労働省は示していますか、大臣。

#81
○土生政府参考人 御説明させていただきます。
 厚生労働省におきましては、介護施設の感染拡大防止策の一助といたしまして、専門家や関係者等の意見を踏まえまして、介護現場における感染対策の手引きというものを作成しているところでございます。
 その中で、先生から御指摘のございました介護施設の換気ということでございますけれども、ポイントだけ申し上げますと、小まめに換気を行い、部屋の空気を入れかえることが必要、定期的な換気を行う、窓を使った換気を行う場合、風の流れができるよう、二方向の窓を定期的に数分間程度全開にするといったことなどをお示しして、各事業者等に周知をさせていただいているという状況でございます。

#82
○宮本委員 今お話あったとおりで、換気というのは当然重視して書いているんですけれども、一時間に何回換気すればいいかということも実は示されていないわけですよね。
 WHOは一時間に六回換気するのがいいということを、ディレクターのマリアさんがしゃべっておられるというのもありましたけれども、それは別に介護施設ということではなくて一般的な話だと思うんですけれども。
 先生方の言葉ではマイクロ飛沫感染がクラスターではかなり重要な部分を占める、換気が大事だ、だけれども換気の回数が、どれぐらいやったらいいのかというのは介護施設でも示されていない。報道を見たら、いや、一時間に一回換気していましたとか、こういう話は出てくるわけですけれども、では、一時間に一回で十分なのかという問題というのはあるわけですよね。あるわけですよ。
 ですから、私が何が言いたいかといいますと、繰り返しになりますけれども、やはり、クラスター対策が大事だという点でいえば、そこでの伝播ルートをもっと国民全体の共通認識にしていく必要がありますし、また、換気についてももっと、クラスターが起きている場所、飲食店はCO2モニターをつけようという話になっていますけれども、今、医療機関、介護施設でのクラスターがふえているわけですから、そういうところでの換気をどうしていくのかというのをもっと踏み込んで示していく必要があるんじゃないかというふうに思います。
 もちろん、介護施設の伝播ルートはわからないですよ。伝播ルートはわからないですけれども、札幌の百人とかというクラスターということを考えた場合、やはり先生の言うマイクロ飛沫が一定影響しているのではないかということを思わざるを得ないんですね、私自身は。それは調査が必要な話ですけれども。そういうことを私は問題意識として持っているということを、きょうは先生にお伝えしたかったということでございますので。
 大臣、介護施設についてもちゃんと、換気、もうちょっと踏み込んでやっていただくように、一言お願いします。

#83
○田村国務大臣 私も、ずっとこれに関して関心を持っていました。
 というのは、政府の、まだ政府に入る前ですけれども、いろいろな専門家の方々が三密回避ということを言われました。換気をよくしてくださいという限りは、普通の飛沫、よく我々が、言われたとおり、すぐに落ちる飛沫では起こらないわけで、一定程度浮遊している飛沫があるからこそ換気をしなければならないんだろうと。そういう中においてマイクロ飛沫という話が出てまいりまして、エアロゾルかマイクロ飛沫か、私も専門家じゃありませんからわかりませんが、換気は非常に重要であると。場合によっては、一定時間、環境によっては長く浮遊している可能性もあるんだろうと思います。
 介護施設に関しては、言われるとおり、一律のつくりじゃありません、大きさもいろいろありますし。ですから、ここで何か一律のものを示すというわけにはいきませんが、一定時間で数回というのは、要は空気の流れをよくしてということであって、全くもって、これ、ちゃんと、この建物で、これぐらいのシミュレーションで、そもそもどれぐらいの飛沫を浴びれば、暴露すればどういうような体調の方が感染しやすいかというのも、個人差もありますし、なかなか出てこないんだと思います。
 ですから、一般論として、よく換気をして、空気の流れをつくって、そういうよどみがないようにという意味で、これはこういうのを示させていただいておりますが、徹底して換気をしっかりやってくださいというのを更にお伝えをしてまいりたいというふうに思います。

#84
○宮本委員 先生、お忙しいと思いますので、これで結構でございます。ありがとうございました。

#85
○門委員長代理 尾身理事長、御退席ください。

#86
○宮本委員 予定以上にちょっと時間がかかっちゃいまして、ちょっと残った時間で障害者福祉関係のことをお伺いしたいと思うんですが、本当にもう余り時間がないからあれですね。
 問いを一つ飛ばしまして、私、前の前の大臣の根本大臣とは随分、予算委員会の分科会で三十分使って議論したテーマがあるんですけれども、それは障害者の青年・成人期の余暇活動及び父母の就労支援という問題なんですね。
 今、特別支援学校にお子さんが通っている間は放課後デイサービスが御存じのとおりあります。しかし、それを卒業した後どうなるのか。一般就労される方もいれば、福祉的就労に進む方もいれば、あるいは生活介護の施設に行かれる方もいるわけですけれども、就労継続支援施設だとか、あるいは生活介護の場合は午後三時ぐらいで終わるケースがたくさんあるわけですよね。そうすると、その後、どこで本人たちはどう過ごすのかという問題があります。本人たちの余暇活動の支援をどうするのか。
 実は、放課後デイサービス、ここまで整備したからこその課題が出てきているのは、やはり、放課後デイサービスがあるから御両親も共働きをできた、あるいはシングルでも働きながらできたわけですけれども、十八歳、特別支援学校をお子さんが卒業して、放課後デイがもう卒所となった後は、本人たちが過ごす場所がないために親御さんが仕事をやめざるを得ない、あるいは仕事をパートに変えざるを得ない、こういうことが今起きて、十八歳の壁だとか午後三時問題ということが言われております。
 現実は、地域活動支援センター機能強化事業だとか、日中一時支援だとか、いろいろなものを使っての、社会福祉法人さんだとか、あるいは自治体の方で努力はされていますけれども、御存じのとおり、地域生活支援事業は、法律は国が二分の一出すとなっていますけれども、二分の一もお金は出ていないわけですよね。出ていない。そうすると、かなり社会福祉法人さんが持ち出ししながら支えると。でも、そういうやり方は余りもたないですから、多くのニーズがあるわけですけれども、ニーズにとても応え切れない状況があるというのは大臣も御存じのことだと思うんです。
 ですから、これは、やはりちゃんと全国の必須事業にしていく、あるいは放課後デイの青年・成人版のような給付制度を全国的に整備していく、そうしたことを私は検討していかなきゃいけないと思うんですよ。
 ぜひ、これをどうしていくのかというのを厚労省で本格的に検討するという仕組みを設けていただきたいというのが、きょうの質問の趣旨でございます。
    〔門委員長代理退席、委員長着席〕

#87
○田村国務大臣 おっしゃるとおり、青年・成人期の障害者の皆様方が、夕方だとか休日等々どこに居場所等々をという話の中で、言われたとおり、日中一時支援でありますとか地域活動支援センター等々を御利用されているという方々もおられて、委員はそういう問題意識を持たれたので、平成元年だったというふうにお聞きしておりますけれども、委員が御質問されて、調査をやるべきではないかというような形の中で、委員からのいろいろな御提案もあって、開所時間がどれぐらいだとか、どういうニーズがあるかということを調査をして、そういうものを各自治体に周知をさせていただいておるということであります。
 そういう意味では、そういうものをどうしていくのかということを考えていかなきゃいけないわけでありますが、実際問題は、開所時間等々も限りがあるわけでありまして、そういうものを整備してくるのも一つだと思います。
 一方で、地域共生社会というのは、そもそも障害者の特性だけではなくて、高齢者でありますとか、なかなかいろいろな困難を抱えている方、もちろん健常者の方々も含めて、一緒になって地域をつくっていこうという考え方でございますから、そういう観点からも、みんなが集える場所というものを一つ考えていくというのも、この地域共生社会を進める中においての一つの方向性ではないのかなというふうにも考えております。
 いずれにいたしましても、委員のその問題意識というものは私も共有させていただいている部分がございますので、これからもいろいろな御提言をいただきながら、我々もいろいろな検討を進めさせていただきたいというふうに思います。

#88
○宮本委員 御提言はきょうさせていただきましたので、ぜひ、厚労省内で勉強会なり検討会を、問題意識を共有していただいたということですから、始めていっていただきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

#89
○とかしき委員長 次に、串田誠一君。

#90
○串田委員 日本維新の会の串田誠一でございます。
 厚労省は十八日、おとといですけれども、児童虐待の二〇一九年度数を三万三千九百四十二件増の十九万三千七百八十件として、過去最高を更新したという発表をされました。
 昨今、新型コロナにおいて、接触する時間が多いということから、更に虐待件数がふえているという話も聞いているんですけれども、十一月現在において対前年比等の数字があれば教えていただきたいと思います。

#91
○渡辺政府参考人 御指摘のございました十一月分は、まだちょっと集計というか、これから集計いたしますので手元にはございませんが、直近の五月、六月、七月を見ますと、五月は二%減少、六月は一〇%増加、七月は六%減少ということで、少し月によって変動はございますが、こういったコロナの状況ですので、年度の報告に加えまして、こういった月別の状況も引き続きとっていきたいというふうに思っております。

#92
○串田委員 いずれにしても、虐待件数による保護件数というのがふえているというのは現実なんだろうなとは思うんですけれども。
 一方で、昨日、TBSが放送されたところによりますと、一時保護所は刑務所のようだ、二度と行きたくないというのが、体験している子供が発言されていて、これはよく報道されたりしているんですが、そこで出てきているのは私語が禁止だと。テレビで、ほかの人と見ていて、私語ができないけれども、ただ番組を見て笑ったら叱られたというようなことでございまして、このような、私語を禁止したり、子供にとってみると、いきなり学校帰りに車に乗せられて施設に入れられ、そして携帯電話等も取り上げられ、友達にも連絡ができなくなり、学校にも通学ができなくなるという意味では、非常に精神的にもショックを受けるわけでございますけれども、さらに、私語も禁止、笑ってもいけない、これはどういう趣旨でこのような規制をされているんでしょうか。

#93
○渡辺政府参考人 個別の今の御指摘のことについてのコメントは差し控えさせていただきますが、一般的に、虐待などさまざまな事情で保護される子供さんにつきましては安全確保の観点から一定のルールを定める必要があるとは思いますが、他方で、一時保護につきましては、やはり保護される子供の権利が保障されて、かつ適切な環境で保護されることが必要だと考えております。
 このため、厚労省としましては、実際に保護された場合に、一律に集団生活のルールを押しつけるということは権利侵害に当たるとか、あるいは子供同士の会話を一切認めないということも、これは権利侵害であるということで、こういった一時保護中の子供の権利擁護につきましては自治体に周知をしているところでございます。
 また、現在、こういった保護所内の処遇も含めまして、一時保護の手続全般のあり方につきまして有識者による検討会で議論を進めているところでございまして、そこでの御意見も踏まえて、更に改善するべきところがあれば改善していきたいと思っております。

#94
○串田委員 最近では、明石市の児童相談所が親との面会を原則的に認めるということで、大変波紋を広げているわけでございます。通常の児童相談所ですと、一時保護をした後、親に面会はさせないというのが非常に多いようなんですが、逆に原則として認めるというようなことであります。
 そして、今、私語も禁止というようなことは人権問題だというようなこともありますし、そういう意味で、児童相談所ごとにどういうような扱いをしているのかという調査結果、統計的なものはお持ちなんでしょうか。

#95
○渡辺政府参考人 統計データという形ではとってございませんが、現在、私どもの方で示しておりますガイドラインの中では、こういった面会に関しての制限というのは、子供の安全の確保が図られ、かつ一時保護の目的が達成できる範囲で最小限とするということですとか、あるいは、制限を行う場合には子供や保護者にきちんと説明して記録にとどめる、さらに、不満や不服が出た場合に、なぜ必要なのか納得が得られるように努力が求められるということをガイドライン上も示しておりますので、引き続き現場の実態というものもしっかり把握していきたいと思っております。

#96
○串田委員 非常にそういう意味で、児童相談所のあり方というのはかなりばらつきが私はあると思うんですけれども、大臣、非常に難しい質問なんですが、子どもの権利条約においても、児童相談所が昨年国連から勧告を受けております。日本の児童相談所は問題があるということで勧告がなされているわけなんですが、親との面談というのは私もよく相談を受けたりするんですけれども、親と子供が面談を、原則ということはもちろん例外もあるわけで、子供の最善の利益を害する場合にはそれは会わせるべきではないと思うんですけれども、原則と例外というのを明確にしておくということは必要だと思うんですが、大臣、子どもの権利条約との観点からは、一時保護をされたときに親との面会を原則として認めるべきであるのか、原則として認めないべきであるのか。原則と例外、大臣としてはどのようにお考えでしょうか。

#97
○田村国務大臣 今委員おっしゃられたように、子どもの権利条約第九条第三においては、「児童の最善の利益に反する場合を除くほか、父母の一方又は双方から分離されている児童が定期的に父母のいずれとも人的な関係及び直接の接触を維持する権利を尊重する。」と書かれています。
 そういう意味では、やはり児童の最善の利益に合致しているかどうかということを判断するんだと思いますが、今局長からも話がありましたが、一時保護ガイドライン、ここに、面会等に関する制限は、子供の安全の確保が図られ、かつ一時保護の目的が達成できる範囲で必要最小限度とすると。つまり、面会に関する制限は必要最小限度とするということであろうと考えております。

#98
○串田委員 今、力強い原則論を述べていただけたと思うんですけれども、どうも現場がそうではない。
 特に、その新聞記事を読んでいただければわかりますが、明石市が原則として子供の親との面会を認めると。もちろん、その例外というのを、第三者機関で例外であるのかどうかというのを確認している。こういうようなことを発表したら波紋を呼んでいるということで、反対の意見なども載せられた、そういう記事が幾つもあるわけでございます。
 ということは、現場ではそうではない扱いがなされているということで、先ほどの子供のように、刑務所のようだ、二度と入りたくないというような、これはちょっと本当に保護になっているんだろうかというようなこともありますので、今のようなことも含めまして、例えば私語だとかそういったようなことも、人権侵害だとかそういうようなこともわかるんですが、ガイドラインとして、私語を禁止するというのはどういう趣旨なのかどうかわかりませんので、やはりきっちりと、ばらばらにならないようなガイドラインというのをつくられた方がいいのではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

#99
○田村国務大臣 先ほど申し上げた一時保護ガイドライン、ガイドラインの基本的な考え方というのがありまして、子供の状態や背景を踏まえずに一律に集団生活のルールを押しつけることは権利侵害に当たるとの考え方を示しています。例えばというのがありまして、外出、進学、通信、面会に関する制限は、子供の安全の確保が図られ、かつ一時保護、これは先ほどの話が入っていると思いますけれども。
 いずれにいたしましても、職員の方々にばらつきがあるということも委員言われるのかもわかりません。そういう意味では、研修の充実をしっかりとして、このガイドラインに書いてある基本的な考え方というものをしっかり御理解いただく。
 と同時に、やはり、生活上のルール、これに関していろいろな御議論もありますので、そういう意味で、有識者検討会、ここで一時保護所内での処遇のあり方も含め、今検討いただいております。年内にも取りまとめをしていく予定でございますので、しっかりと御議論いただいた上で、それを踏まえて、また、職員の皆さんにその考え方を徹底をしてまいりたいというふうに思います。

#100
○串田委員 昨日のTBSの中で、現職職員が勇気を持って発言されているシーンがあったんですけれども、大きな声でどなってしまって子供を怖がらせてしまったことが何度もあるという発言をされていました。
 これは、普通だと虐待として一時保護される状況なんですよ。一時保護所の中で虐待があって一時保護されなきゃいけなくなるというのは、これはおかしな話なんですけれども。
 ただ、私はその職員をただ単純に非難することもできないなと思うのは、児童相談所の職員の中で非正規公務員というのが何人いるか、統計的にありますか。

#101
○渡辺政府参考人 今の数字でございますが、一時保護所に関しましてはそういった数字がございまして、私ども厚労省の調査によりますと、一時保護所の職員につきまして、本年四月一日現在で、全国三千七百五十二人のうち約半分に当たります二千人が非常勤職員となってございます。

#102
○串田委員 今私が質問したのは非正規公務員のことなんですけれども、統計的にとっていないという話をいただいていますので、とっていないんですが。
 NHKの昨年の十一月六日のクローズアップ現代というのは検索するとすぐ出てくるんですけれども、ここに、非正規公務員が三分の一、そして児相の職員は手取り十六万円で働いているというのもかなり多いらしいんですね。
 先ほどからも申し上げているとおり、虐待をしている数が非常にふえてきて、そして、どなってしまったというのを私はそれだけで非難できないなというのは、もう人手不足であり、なおかつ非正規公務員として手取り十六万円というようなところで働いているというのは、これは幾らいろいろな研究しようが何しようが、やはり私は、現場がかなり過酷なんじゃないかな。
 将来を担う子供のためには、やはり職場の環境というものを改善していただきたい、あるいは人手不足を解消していただきたい、こういうふうに思っているんですが、大臣、お考えいただけないでしょうか。

#103
○田村国務大臣 失礼しました。先ほど、検討会、年内と。取りまとめが年度内でございますので、訂正させていただきたいと思います。
 今おっしゃられました一時保護所の職員の方々も、やはり精神的にも肉体的にも大変だというふうに私も思っています。そういう意味では、業務量も多いし、どう改善していくかということで、今年度予算なんですけれども、最大、職員の配置基準、これを四対一から二対一と大幅改善をしております。まだ全ての、一時保護所で全てがこうなっているわけじゃありませんけれども、かなり改善しつつあるというふうに思います。
 それから、それぞれ設備等々に関しても、例えば心理療法室を整備した場合の加算なんかつけておりますが、処遇の問題というもの、人員配置だけでなくて、重要だというふうに思っておりまして、ここに関しては特殊勤務手当ということで月額二万円相当の引上げ、これを処遇改善を図っているということでございまして、今年度いろいろなことをやってまいりました。
 いろいろな状況を見ながら、更にどういう検討の必要があるのかというのは検討してまいりますが、まずは今年度の処遇改善、それから配置等々の改善、こういうものをしっかりとやる中において、実行していく中において、それぞれの職員の方々のいろいろな対応というものが改善していけばというふうに思っております。

#104
○串田委員 ありがとうございます。
 大臣、今、四人に一人が二人に一人ということでありましたけれども、明石市長の泉市長がつい先日こちらに来られたときに東京の児相の視察に行かれたんですけれども、今、倍の定員が入っているんです、倍の定員が。ですから、定員に対しての人間の二対一なんですけれども、倍に入っていればまた四対一になってしまうんですね。一〇〇%以上の児相というのはいっぱいあるんですよ。そういう現場をぜひ確認していただいて、改善していただければと思います。
 ありがとうございました。

#105
○とかしき委員長 大臣は御退席いただいて結構です。
     ――――◇―――――

#106
○とかしき委員長 次に、第二百一回国会、後藤茂之君外十四名提出、労働者協同組合法案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申出がありますので、順次これを許します。伊佐進一君。

#107
○伊佐委員 公明党の伊佐進一です。
 本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 さきの通常国会の終盤、六月十二日に全会派共同で衆議院に提出されました労働者協同組合法案について質問させていただきます。
 いよいよ委員会の審議が行われるということになりました。私が一番最初の質疑者でありますので、冒頭、この基本的な事項、しっかりとこの意義を議事録にとどめておくという意味で、何点か確認をさせていただきたいというふうに思っております。
 まず、議員立法で提出されたこの法案は、一言で言うと、労働者のための協同組合制度をつくるというものだというふうに私は理解をしておりますが、協同組合といっても、例えば、今我が国にあるのは、農業協同組合、いわゆる農協であるとか、あるいは消費生活協同組合、こういうものもございます。ただ、これは事業者あるいは消費者による協同組合制度というものでありますが、労働者による協同組合制度というのは存在をしておりません。
 今回の法案は、まさしく新たな協同組合制度をつくるという、新たな組織法制だというふうに思っておりますが、この法案の立法事実として、その背景あるいは本法案の目的について確認をさせていただきたいと思います。また、あわせて、具体的にどのような法人になるのかという点についても質問させていただきたいと思います。

#108
○橋本議員 お答えをいたします。
 まず、本法案が必要とされる背景及びその目的につきましてお尋ねがございました。
 近年、労働者が自発的に協同して労働し、事業を行うという協同労働の形で、地域における多様な需要に応じた事業が運営、実施される事例が見られます。
 この協同労働は、多様な就労の機会を創出することにより、地域の課題を解決し、地域に貢献するものであり、今後一層の拡充が望まれます。
 しかしながら、現行法上は、出資、意見反映、労働が一体となった組織であって、地域に貢献し、地域課題を解決するに当たって利用可能な非営利の法人という協同労働の実態に合った法人制度が存在いたしません。
 そのため、一部では、やむを得ず既存の法人形態である企業組合やNPO法人などを利用して事業が実施されていますが、これらの法人は、出資や営利性の点で協同労働の実態に合わず、利用しづらいとの声がございます。
 こうした背景によりまして、本法案は、新たな法人形態として、組合員が出資し、それぞれの意見を反映して組合の事業を行われ、組合員みずからが事業に従事することを基本原理とする組織である労働者協同組合を法制化するものでございます。
 これによりまして、多様な就労の機会が創出されるとともに、地域における多様な需要に応じた事業の実施が促進され、ひいては持続可能で活力ある地域社会の実現に資するものと考えておりまして、こうした目的を目指すものであります。
 次に、労働者協同組合は具体的にはどのような法人なのかというお尋ねがございました。
 労働者協同組合は、今申し上げましたように、組合員が出資し、そしてそれぞれの意見を反映して組合の事業が行われ、そして組合員みずからが事業に従事することを基本原理とする組織でございまして、地域に貢献し、地域課題を解決することを目指したものであり、出資配当を認めない非営利の法人となります。
 また、労働者協同組合の特徴としては、組合は組合員と労働契約を締結すること、剰余金の配当は従事分量によることといった点が挙げられます。
 本法案では、こうした労働者協同組合の性質のほか、理事、監事等の役員、総会等の機関、行政庁による監督などを規定してございます。
 以上でございます。

#109
○伊佐委員 ありがとうございます。
 この協同労働の法制化に向けては、本当に長い長い時間をかけて、経緯があったというふうに認識をしております。もうたくさんの方々が携わってこられました。
 我々公明党では、この本日提出者でいらっしゃいます桝屋委員ももちろんですし、初期には、本当に我々の大先輩の、初代厚生労働大臣も務められました坂口力先生の名前も浮かんでまいりますが、当然、もちろん公明党だけではなくて、各会派、関係議員の皆様が党派の垣根を越えて活動した結果だというふうに思っております。
 長い長い時間をかけてきたこの議論、この経緯、どういう経緯でこの法案化作業が続けられてきたのかというものを御説明いただきたいというふうに思います。

#110
○桝屋議員 お答えをいたします。
 法制化の経緯についてのお尋ねでございます。
 私は思いますに、我々立法府における具体的な作業の前に、当事者団体によります協同労働の法制化運動、長い法制化運動があったというふうに理解をしております。
 きょうも傍聴席にお越しでございますけれども、ワーカーズコープあるいはワーカーズコレクティブの皆さん方、本当に長い、一九九〇年代、もっとそれ以前から熱心にお取り組みになってきたという経緯があると思っております。
 そして、二〇〇八年、平成二十年ごろでありますが、超党派の議員連盟、協同出資・協同労働で働く協同組合を考える議員連盟の取組が行われました。この超党派議連、何と百名を超す大きな会でありまして、会長を坂口力さん、会長代行を仙谷由人さん、それから幹事長を長勢甚遠さんが務められたわけであります。
 なお、背景には、そうした当事者団体の思いを受けた、元連合会長の笹森さんが会長をされておりました協同労働法制化市民会議の強い要請があったと記憶しているところでございます。
 しかし、残念ながら、諸般の事由で成案を得ることができず、その後、この議連の活動は休止状況となったわけであります。
 また、民主党政権下でも、民主党の先生方を中心とする議員連盟によりまして、協同労働の協同組合の法案要綱が検討されたわけでありますが、いわゆる労働者保護の問題をめぐり、成案を得ることができなかったという経緯があると思っております。
 その後、二〇〇九年、平成二十一年でありますが、国際協同組合年の取組の中で、協同組合振興研究議員連盟の活動が開始されたと理解をしております。この議連では、当初、協同組合憲章の国会決議を求める活動などが行われたようでありますけれども、小山展弘前衆議院議員などの取組もありまして、自公政権下におきまして、超党派の議員連盟として新体制が発足をいたしました。
 この協同組合振興研究議員連盟、会長を河村建夫先生、事務局長を篠原孝先生が務められ、議連として、労働者協同組合法案の成立を応援するという方向が打ち出されたわけであります。
 一方、与党におきましても、地方創生、一億総活躍プラン、こうした流れもありまして、二〇一七年三月の七日、与党政策責任者会議のもとに、先ほどまでここにおられました厚生労働大臣をされておられます田村憲久議員を座長とする与党協同労働の法制化に関するワーキングチームが設置をされたところであります。以来、ワーキングチームの会合を十回重ね、その間、当事者団体とも十一回に及ぶ実務者会議を行い、当事者団体の声も伺いながら、実態に即した法制化の作業を続けてきたところでございます。また、その都度、与党の政策責任者会にも状況を報告しながら作業を進めると同時に、先ほど御紹介しました超党派の議連にも報告をし、御理解をいただきながら作業を進めてきたところでございます。
 こうした議論の積み重ねの中で、労働者協同組合法案の法案骨子を固め、条文化の作業を行い、提出者の先生方を始め、本当に多くの先生方の多大なる御協力を賜りまして、最終的に全会派共同での提出に至った、こういうことでございます。
 以上でございます。

#111
○伊佐委員 ありがとうございます。
 本当に、この二十年以上にわたって山あり谷ありで、いろいろなものを乗り越え乗り越え、きょうに至ったんだというふうに思っております。
 とりわけこの三年間、提出者であります桝屋委員も本当に随分御苦労されてきて、じゃ、公明党がこの経緯の中でどういうふうに苦労してきたのか。恐らく桝屋委員は眠れぬ夜もあったんじゃないかというふうに思いますが、その思いを聞かせていただければというふうに思います。

#112
○桝屋議員 今申し上げたような二〇〇八年当時の大きな議員連盟の動き、その中心が私どもの大先輩の坂口力さんでありまして、その坂口さんが勇退をされるときに、私ども公明党議員を集められまして、ぜひともこの協同労働の法案を仕上げてもらいたいと、御自分の法案骨子までお出しになって強く要請をされました。
 その思いを受けて、二〇一六年二月に、党内の一億総活躍推進本部の中に、地域で活躍する場づくりのための新たな法人制度検討小委員会、これを設置いたしまして、改めて協同労働の現場視察なども行いながら、再びの取組を開始したところでございます。
 ここは何としても自民党の先生方に御理解をいただく必要があるということで、我が党からしつこくしつこくお願いをいたしまして、翌二〇一七年三月でありますが、先ほどお話のありました田村先生を座長とする法制化に関するワーキングチームが設置をされ、先ほど申し上げたような経緯になったわけであります。
 また、こうした与党内の作業は逐一、超党派議連の協同組合振興研究議員連盟にも報告をし、御理解をいただきながら、作業を進めさせていただきました。その際は、立憲民主党の篠原孝先生、事務局長をお務めでありましたが、本当に御苦労をいただいたところでございます。
 さらに、労働者協同組合法案につきましては、NPO制度との関係もあり、NPO議連の先生方との調整、あるいは、企業組合との関係もありますから、中小企業団体中央会の皆さんとの調整、あるいは、法律ができましても、都道府県、実務を担当する都道府県知事会の調整など、我が党としてはひたすら陰の調整役を務めさせていただいたと思っております。
 おかげさまで、多くの皆様方の御理解をいただき法案がまとまり、全会派一致で衆議院提出となったところでございます。
 本日の質疑につきましても、こうして各党の提出者が相そろいまして、大変な方々でありまして、恐らく幅の広い答弁がなされるんではないかといささか心配をしておりますけれども、人口減少時代にあって持続可能な地域社会を築くために必要な法案だということは全会派一致でございますので、どうぞ委員の皆様の深い御理解を賜りますようにお願いをする次第でございます。
 以上でございます。

#113
○伊佐委員 最後に一問、具体的に質問させていただきますが、きょうはワーカーズコープまたワーカーズコレクティブの皆さんも傍聴席にいらっしゃいますが、この労働者協同組合となることが見込まれる団体はどのような団体かということもお伺いしたいと思います。

#114
○桝屋議員 この法案ができますれば、どの程度の団体の皆さん方が手が挙がってくるか、こういうことでございますが、私は、NPO制度ができたときをよく覚えておりまして、本当に新たな潮流があのNPO制度で始まったわけでありまして、同じように、そうした時代を期待をしているわけであります。
 とりわけ、きょう傍聴席におられますワーカーズコープあるいはワーカーズコレクティブ、長年、協同労働の実践を続けてこられました。それこそ、ワーカーズコープだけでも全国に三百五十ぐらいの事業所がありまして、一万三千人以上の方が働いておられる。一方、ワーカーズコレクティブについても、生協活動を中心に発足をしてきた多くの皆さん方も、全国でそれこそ五百団体以上、一万人以上の方が既に働いておられる。そうした方々がNPOや企業組合の形で運営をされているわけでありまして、そうした方々の中から、この制度に移行してこられるという方々はあるのではないか。
 特に、ワーカーズコープの皆さんは連合会、全国の組織をお持ちでありますから、まとまってそうしたアクションを起こされるのではないか。ただ、コレクティブの皆さん方は、一つ一つの事業所の思いというものが強いわけでありまして、それぞれがこの法案の中身をしんしゃくされながら、地域におけるさまざまな乗り物といいましょうか、ビークルという言葉を使っておりますが、お選びいただけるのではないかと思っております。
 その他、今後は、さまざまな形で、協同労働の働き方を求めて、多くの団体、個人の方が立ち上がられるのではないかという期待をしているところでございます。
 以上でございます。

#115
○伊佐委員 この法案というのは本当に、今、自助、共助、公助といいますが、共助というものを力強く後押しするものじゃないかというふうに思っております。また、地域のきずなというものも太く強くしていく大事な法案であると思っております。
 これは、可決させていただいた後、しっかりまたこの中身についても我々は後押しをしていきたいというふうに思っております。
 以上、終わります。ありがとうございました。

#116
○とかしき委員長 次に、大島敦君。

#117
○大島(敦)委員 私自身、超党派の協同組合振興研究議員連盟の副会長を拝命しておりまして、その場でも感じていた関係議員の皆様の熱意により、こうして法案がまとめられ、全会派で提出に至ったことに心から敬意を表したいと思います。また、私の思いを伝えるために、資料を配付させていただきました。
 さて、この法案の、各人が生活との調和を保ちつつその意欲及び能力に応じて就労する機会の確保という観点は重要なものです。その実現のためには、労働者協同組合で働く方々に対しても、労働法規による保護が万全に行われなければなりません。この法律の成立によって労働者保護が後退する事態を招くようなことがあってはならないと考えますが、この点に関する懸念の声も幾つか耳にしているところです。このような声に応えるという観点から質問させていただきます。
 まず、労働者協同組合との間で労働契約を締結した組合員の全員に労働基準法、最低賃金法、労働組合法等の労働関係法規が完全に適用されるかどうか、お伺いいたします。

#118
○西村(智)議員 お答えいたします。
 提案者としては、代表理事、専任理事及び監事以外の組合員について、労働者としての保護を及ぼすべく、組合に対して、これらの組合員との間で労働契約を締結することを義務づけることとしています。これにより、協同労働の名をかりた、いわゆるブラック企業による労働者の搾取の防止を図るという趣旨です。そのため、一般的には、労働契約を締結した組合員全員に労働関係法規が完全に適用されるものと理解しております。
 その上で、具体的な法令の規定の適用に当たっては、個別の事案の具体的な実態に応じて、労働関係各法に定める労働者に該当するか否か等が判断されるものと考えます。
 その際には、本法案に労働契約締結義務が規定されていることも勘案されるものと考えております。
 いずれにしましても、労働者協同組合では、組合員の労働者としての権利を尊重し、労働関係法規を遵守して事業を運営すべきであると考えます。

#119
○大島(敦)委員 労働者協同組合で働く方々には労働関係法規が適用されるとのことですが、では、労働組合を結成することはできるのでしょうか。

#120
○西村(智)議員 本法案には、労働組合の結成を妨げる規定はございません。
 そのため、労働者協同組合で働く方々も、労働組合法上の労働者に該当する者であれば、労働組合を結成することが可能となっております。

#121
○大島(敦)委員 次に、法案の具体的な規定に関して質問します。
 第八条第一項に、「総組合員の五分の四以上の数の組合員は、組合の行う事業に従事しなければならない。」と規定されている趣旨はどのようなものでしょうか。

#122
○西村(智)議員 労働者協同組合は、組合員が出資し、それぞれの意見を反映して組合の事業が行われ、組合員みずからが事業に従事することを基本原理とする組織であり、このような組合の性質上、本来であれば、全ての組合員が組合の行う事業に従事することが適当です。しかしながら、実際には、家庭の事情によって当分事業に従事できなくなるなど、事業に従事する意思はあるものの従事することができない方が存在することが想定されます。
 お尋ねの第八条第一項は、このような、事業に従事することができない組合員について、常に組合からの脱退を求めることは組合の構成を不安定にさせるとの考えから、一定程度存在することを許容する趣旨の規定であります。
 以上です。

#123
○大島(敦)委員 続いて、第八条第二項には、「組合の行う事業に従事する者の四分の三以上は、組合員でなければならない。」と規定されていますが、その趣旨はどのようなものでしょうか。

#124
○西村(智)議員 組合員みずからが事業に従事することを基本原理の一つとする労働者協同組合においては、本来は組合の行う事業に従事する者の全員が組合員であることが適当です。
 その上で、実際の事業活動においては、事業の繁忙期における人手不足などで、アルバイトとして非組合員を事業に従事させる必要が生じます。また、労働者協同組合では、出資の全額の払込みを完了したときに組合員となるため、組合の事業に従事しながら分割で出資の払込みを行い、組合員になろうとする者が出てくることも想定されます。
 お尋ねの第八条第二項は、このような実際の必要性に鑑み、「組合の行う事業に従事する者の四分の三以上は、組合員でなければならない。」として、組合の基本原理を損なわない範囲内において組合の事業活動に柔軟性を持たせるという趣旨の規定です。

#125
○大島(敦)委員 第八条第一項、第二項の趣旨はよくわかりました。
 しかし、何らかの事情でこれらの要件を満たせない可能性が出てきた場合、例えば、業務に従事していない組合員の数が総組合員の数の五分の一を超えそうであるという場合に、業務に従事していない組合員が組合員資格を剥脱されるというおそれはないのでしょうか。

#126
○西村(智)議員 先ほどお答えしましたとおり、第八条第一項は、組合員みずからが事業に従事するという労働者協同組合の基本原理を前提としつつも、家庭の事情等によって当分事業に従事することができない組合員が一定程度存在することを許容する趣旨の規定です。
 このような趣旨から、労働者協同組合の組合員資格の剥奪、すなわち除名について、単に事業に従事していないことは除名事由ではなく、長期間にわたって組合の行う事業に従事しないことを除名事由として位置づけております。
 そして、除名事由に該当する組合員についての除名の手続は重大な効果を有するものであることから、総会における本人の弁明の機会の付与や、特別の議決、すなわち、総組合員の半数以上の出席とその議決権の三分の二以上の多数を要すると、厳格なものとなっております。
 したがって、御懸念のような、事業に従事していない組合員の割合を理由に直ちに組合員資格を剥奪することはできないものと考えます。
 なお、御質問の点は労働者協同組合の理念にかかわる重要な点であることから、あえて付言させていただくならば、仮に、組合員資格の剥奪を目的として特定の組合員に具体的な業務が与えられないような状況があるとすれば、全ての組合員が出資し、みずからが働く場をつくり出すという組合の理念に根本から反するものと考えます。

#127
○大島(敦)委員 最後に、剰余金の配当について伺います。
 労働者協同組合における剰余金の配当は、損失を補填し、準備金等を控除した後、第七十七条第一項、なお残余がある場合に、組合員が組合の事業に従事した程度に応じて行うもの、同条第二項と認識しております。
 恣意的、不公平な剰余金の配分が行われることのないよう、配当のあり方に関して、組合の事業に従事した程度の判断方法を明確化するなど、考え方や具体的な算定方法を示すべきではないでしょうか。

#128
○西村(智)議員 剰余金の配当については、それぞれの組合において各組合員の意見を反映して決定されるべきものとの考えから、従事分量配当を前提としつつ、定款で定めるところにより行うものとし、組合自治に委ねております。
 もっとも、剰余金の配当が事業に従事した程度に応じて公平に行われるべきであるということは、大島議員と認識を同じくするものです。
 提案者といたしましては、組合の事業に従事した程度の具体的な評価としては、日数、時間等が主な要素となりますが、それだけではなく、業務の質や責任の軽重なども考慮されるものと考えているところです。
 なお、本法案成立後の運用に当たっては、組合の適正な運営に資するため、厚生労働大臣が指針を定めることとしており、その際には、あらかじめ労働政策審議会の意見を聞かなければならないということもあわせて規定しております。
 労働者協同組合は、この指針に沿って適正に運営されるものと考えております。

#129
○大島(敦)委員 誠実な御答弁、ありがとうございました。
 私の質問項目はここで終わります。
 先ほど桝屋先生がおっしゃられたとおり、私も二十年間携わっておりまして、坂口厚労大臣、二十年前の厚労大臣でした。それから、連合の笹森会長、会長を御勇退されてからはずっと、この協同労働の協同組合については熱心に取り組まれていたことを思い出しまして、その最初の議連の人事の中で長勢甚遠先生がいらっしゃったということ。
 一番乗り越えなければいけないハードルが、多分労働者性だったと思います。そこを乗り越えていただいて今法案ができたことは画期的なことだと思っていまして、私も、せんだって埼玉県にあるワーカーズコープさんの現場を視察して、一つのモデルを見せていただいて、そのとき私が感じたのは、事業規模や売上至上主義ではなく、働く人同士のコミュニケーションを大切にしながら価値観を共有し、自律的に活動できるワーカーズコープはこの対極にあると感じました、法的に裏づけられれば社会的な信用も増し、仕事起こしもしやすくなる、協同労働はこれからの時代に先行した働き方だと思うと発言をさせていただきまして、この協同労働、今回のこの法案ができることによって我が社会が非常に安定して更に進むことを期待して、私の質問は終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

#130
○とかしき委員長 次に、高橋千鶴子さん。

#131
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 この委員会、お久しぶりでございます。
 労働者が主人公となり、多様な人々の就労を生み、地域課題の解決を通じ、持続可能な町づくりを目指すという目的のもと、本法案が提出されました。私も議員連盟の末席を汚す者ではありますが、先ほど経過をお話しされた桝屋提出者を始め、この間、粘り強く関係団体との調整を続け、今日提出の運びとなりました皆様に心から感謝と敬意を表したいと思います。
 本日の日本農業新聞に、日本労協連の古村伸宏理事長が法案の二つの捉え方を述べておりました。一つは、既に取り組んでいる人たちの活動を法的に定義をすること。二万五千人を超える就労者、四百四十億を超える事業の実績が既にあるということ、その方たちにとって、これをきちんと定義をするということの意味というのは本当に大きいと思います。もう一つは、社会的に孤立し就労機会に恵まれない人たちや地域で仕事を起こそうと考えている人たち、こうした方たちの受皿にもなるということ。
 かつては、思い起こしますと、失業対策事業、あるいは雇用福祉事業団など、私たちの先輩たちが公共事業の仕事を中心に働く機会を得る努力をしてきました。そうした努力と、地域の子育て、高齢者、障害者、若者など多様な課題、また、コロナ禍の今こそ求められる協同労働、この協同労働が法制化されることの意義は大変大きいと感じております。
 では、質問に入ります。
 二〇一〇年に続いて、ことしも三月に、まだ懸念が残るとして、日本労働弁護団が声明を出しております。ここでの懸念に応えるものになったと承知をしておりますが、その中から三点伺いたいと思います。
 この法案提出直前で二〇一〇年のときには実現しなかったネックは、先ほど大島委員もお話しされましたけれども、労働者性の担保についてだったと思います。組合員が出資し事業を行うという枠組みでは、労働基準法による、使用される者で、賃金が支払われる者、九条に当たるのか懸念が残り、また、労働者には該当しないとされた二〇一八年のワーカーズコレクティブの裁判例もあったという指摘がございました。
 そこで、改めて伺いますが、本法案は組合員の労働者性が担保されるのか、伺いたいと思います。

#132
○宮本議員 高橋議員にお答え申し上げます。
 労働者協同組合において、事業に従事する一般の組合員が労働者としての保護を受けられないような事態を生じてはならないというのは、高橋議員と認識を全く同じにするものでございます。組合員がチープレーバーとして使われるような事態は絶対に避けなければならないと考えております。その点は、法案の作成過程におきましても、労働者保護の観点から、日本労働弁護団やあるいは労働組合の皆さんとも話合いを重ねてきた点でございます。
 法案第二十条において、代表理事、専任理事及び監事を除く組合員との間で組合が労働契約を締結しなければならないとしているのは、このような組合員が組合と労働契約を結ぶ事業の従事者であることを明確にする趣旨であります。組合員の労働者性については、労働契約の締結という事実を踏まえた判断がなされるものと考えております。
 また、法案の作成過程におきまして、第一条の文言について、「組合の事業が行われ、」や、あるいは「組合員自らが事業に従事する」との修文を行いました。この修文も、事業を実施するのはあくまでも組合であり、組合員は事業の従事者であるとの考えを明確にすべきとの御意見を踏まえたものでございます。事業に関する第七条なども同様の考えに基づく規定ぶりとなっております。
 その上で、組合員は事業者ではなく労働者であることを明確にするため、今後定められる指針等において、事業を実施するのはあくまでも組合であって、組合員は事業の従事者であることや、また、労働者協同組合制度においては、組合員は組合と労働契約を結ぶ事業の従事者であり、基本的に一部の企業組合のような事業者性を有するものではないことという趣旨が明らかにされるものと考えております。

#133
○高橋(千)委員 組合員は事業の従事者であるからこそ労働者性が担保される、そのことを指針においても明確にされるというお話であったと思います。
 次に、労働法規の遵守についてであります。
 組合員は、労働者であるとともに出資者でもあり、事業の運営に意見を反映させ得る立場であることから、事業の運営を優先する余り、労働法規を遵守しないことになる危険性はないか。あるいは、公共事業などの入札において、競争ですから、入札価格を下げるために賃金額を低く設定することになれば、組合員のみならず、競争相手となる民間業者の賃金相場を引き下げる要因にもなりかねません。
 そこで、労働者としての権利を尊重した上で事業を展開していくというのであれば、その旨を理念として定めておくことが適切ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

#134
○宮本議員 高橋議員と問題意識を共有するものでございます。
 本法案は、他の組合法を参考に、労働者協同組合の設立、管理等、組織法としての最低限度必要な事項について規定するものでございます。
 その上で、労働契約の締結義務につきましては、これまでの長い議論を経て、組合員の保護の観点から特に規定したものであり、労働法制を遵守する趣旨は明記されていると考えているところでございます。
 また、賃金の設定などについては、最低賃金の確保等、労働法制の遵守がなされるべきことは当然であります。
 同時に、具体的な賃金水準等については、持続可能で活力ある地域社会の実現に資することという制度の究極の目的のもと、組合自治、定款自治の観点から、それぞれの組合の実態に応じて詳細が決められるものと考えております。
 なお、本法案成立後、組合の適正な運営に資するよう、厚生労働大臣は必要な指針を定めることとされておりますが、この指針の作成に当たっては、事前に労働政策審議会の意見を聞くこととされていることが本法案の重要なスキームであると考えているところでございます。
 この指針におきまして、労働者協同組合が労働者としての権利を尊重した上で事業を展開していくことを明確にする観点から、労働基準法、最低賃金法、労働組合法等の労働法規を遵守するとともに、公正な競争を阻害する活動は行わない旨が明らかにされるものと考えているところでございます。

#135
○高橋(千)委員 今のお答えの中でありましたように、労政審の中で明確にこのことが明記されることをまず期待したい、このように思っております。
 それで、役員の人数制限についてなんですけれども、第三条第二項第四号で、議決権の過半数を有する組合員が組合との間で労働契約を締結していればよいとされております。かつ、役員の人数制限の規定はありません。極端な例を言いますと、一千人とか二千人の組合になり、その半分マイナス一人まで役員となることが可能であると。
 そうすると、半分は、労働契約に基づかない、つまりは労働法によって保護されない立場になってしまうのではないか、こういう指摘があるわけですが、したがって、役員の数については、例えば総組合員の一割以内などの人数制限が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

#136
○宮本議員 高橋委員おっしゃるとおり、労働法で保護されないいわゆる名ばかり理事のようなものは、名ばかり管理職同様、あっては絶対ならないと考えております。
 役員の定数につきましては、総会の議決事項であり、役員は総会において選挙されるわけで、定款自治のもと、各組合において整理されるものと考えております。
 その上で、法案第二十条は、代表理事又は専任理事を除き、組合と事業に従事する組合員との間で労働契約を締結しなければならないと規定しており、専任理事と言いながら実態として組合の事業に従事させる事態は、そもそも法案第二十条違反ということになります。
 高橋議員が指摘されます法案第三条第二項第四号は専任理事の複数配置を許容する規定ではございますが、それぞれの労働者協同組合の運営実態からそうしたニーズもあるのではないかと想定されたものでございます。
 提案者としては、労働者協同組合組織の基本原理からすれば、組合が行っている具体的な事業に全く従事しないような専任理事が組合員の半数近くを占めるような組合は現実的には想定しがたいものと考えておりますが、御懸念のような事態が起きないようにせねばならないと考えております。
 他の組合法制においても、役員の上限を条文で規定している例はないものの、監督官庁が示す模範定款などで役員数の考え方を示している例もあります。法案成立後に定められる指針等におきまして、役員の数について、例えば十人以内とか、あるいは総組合員の一割以内などの人数制限の定めの考え方が明らかにされるものと考えているところでございます。

#137
○高橋(千)委員 今、現実的には想定しがたいという答弁がありましたが、普通に考えてそう思うんですよね。やはり、志を同じくして協同労働の組合をせっかくつくろうと思った仲間たちが半分は役員よというのは本来はないことだろう。しかし、理論的に成り立つ以上、最初は本当に少数で始めた組合が、いつの間にか大きな企業とどこが違うのみたいになってしまったときに、そういう問題というのは起こってくるんだろうし、これまでもさまざまあったわけなんであります。だけれども、それは法律がそれを呼び込んでいるわけではなくて、いわゆる皆さんの労働者の自治に本当に委ねることが求められているんじゃないかな。
 私は、生協法の議論のときなんかも、生協がスーパーと違わなくなっちゃうんじゃないかというすごい懸念があった。でも、それをこっちが法律で反対するというよりは、やはりみずからの自主的な力で解決していく問題じゃないかという思いを込めて発言をしたことがあって、それと同じかなというふうに思っております。指針の中で模範的なものを示していくという考え方に賛同したいと思います。
 それで、最後に、附則第三条、特定就労継続支援を行う組合の特例について。
 これは、障害者総合支援法に基づく就労継続支援A型の事業所が、第八条二項「組合の行う事業に従事する者の四分の三以上は、組合員でなければならない。」この規定との関係について論点になったと承知をしております。
 附則では、当分の間、事業に従事する者及び組合員、つまり分母にも分子にも算入しないということで整理をされました。この規定が障害者差別にならないかとの指摘もあるわけでありますが、あえてこの規定を設けた意味、必要性について伺います。

#138
○宮本議員 御指摘の第八条第二項は「組合の行う事業に従事する者の四分の三以上は、組合員でなければならない。」としております。これは、事業の繁忙期における人手不足によりアルバイトとして非組合員を事業に従事させる必要が生じた場合等に備え、組合の事業活動に柔軟性を持たせることとした規定でございます。
 就労継続支援A型事業を実施する組合においても、就労継続支援に従事する従業者と、就労継続支援を受けている生産活動等に従事する事業の利用者とがともに組合の行う事業に従事する者に該当し、この四分の三以上の要件において算定の対象となります。その結果、利用者であって労働者協同組合の組合員でない者の人数が事業従事者の四分の一を超えることができず、就労継続支援の利用が実質的に制限されることとなります。
 しかし、既に労働者協同組合の基本原理に沿って就労継続支援A型事業が行われている実態がございます。私たちも、そういうワーカーズコープさんのお話をみんなでお伺いしたということもございます。
 そうした等々を勘案しまして、提案者といたしましては、労働者協同組合であることを理由に就労継続支援事業A型が制限され得る状況は望ましくないと考えました。
 そこで、就労継続支援A型事業の利用者については、当分の間、事業従事者に関する人数要件において算定の対象とはしないといたしました。
 なお、就労継続支援A型の利用者も、労働者協同組合の組合員となり、事業に従事できるのは当然のことでございます。
 以上御説明しましたように、この附則にあります規定は、労働者協同組合においても就労継続支援A型事業が滞りなく行えるよう、あくまで法案第八条第二項の規定に関する計算上の扱いを定めるものでありまして、障害者を差別するような性質のものではないということを御理解いただきたいというふうに存じております。

#139
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 障害福祉サービスも仲間であるということで、差別というよりは、むしろ合理的配慮になるのではないかと思います。必要な規定だと思っております。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

#140
○とかしき委員長 次に、青山雅幸君。

#141
○青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会、青山雅幸でございます。
 本日は貴重な質問の機会をお与えいただきまして、ありがとうございます。また、法案をまとめられました提出者の皆さんに心から敬意を表させていただきます。
 では、早速質問とさせていただきます。
 まず、労働者協同組合を出資持分のある非営利法人とすることに関して質問をいたします。
 私の手元に十一月十一日の東京新聞がございまして、ここに、提出者のお一人である足立康史議員、「地域貢献の思い 国会から支える」という記事が載っております。そこに、「法案の特色は。」というふうに質問されて、足立議員の方から、「出資持ち分がある非営利法人という、新しい選択肢を提示したことだ。この組織形態は旧医療法での医療法人と類似しているが、現行法制にはない。」とお答えになっております。
 こういった問題意識について少しお伺いさせていただきたいんですけれども、まず、本法案では出資持分のある非営利法人の設立を認めることとなっております。今回、この出資持分のある非営利法人を認めることとされた意義はどこにあるのでしょうか、お尋ねいたします。

#142
○足立議員 青山雅幸委員にお答えを申し上げます。
 青山委員は弁護士でいらっしゃるので、もう全て御理解をいただいた上で御質問いただいているかと思いますが、こういう機会ですので、私の方から改めて御説明を申し上げたいと思います。
 今御紹介いただいた東京新聞は、私、ふだんは読みませんが、東京新聞は。でも、大変、取材に来ていただいた記者の方はすばらしい方で、私の思いを尽くしていただいた記事になっているかと思います。
 今、青山委員から御質問のあった、出資持分のある非営利法人ということでありますが、これは非常に特殊なことのように思われる方もおられるかもしれませんが、組織の世界では論理的には十分あり得る話ですね。
 組織というのは、出資持分、持分があるかないかという軸と、配当があるかないかという二つの軸で整理をして、持分があって配当がある、それが営利法人、持分がなくて配当がない、これを非営利法人というふうに、マトリックスでいうとこの二つがあるわけですね。
 ところが、もしニーズがあるのであれば、持分はあるが配当はしない、そういう法人があっても、私はもともといいと思っていました。例えば、昔の、今は新設ができなくなっていますが、かつての持分ありの医療法人というのはまさにそれだったんですね。
 そういう意味で、今回の法案の意義は、そういう新しい選択肢を用意をしたということであります。
 きょうお越しのワーカーズコープ、ワーカーズコレクティブの皆様が、まさに、地域で人々がともに意見を出し合いながら働く場を自分たち自身でつくっていく。よく考えてみれば、こういう取組は当たり前の取組なんだけれども、そういう当たり前の取組を支える組織法制が今までなかったということですから、現場に、地域にそういうニーズがあるということでありましたら、組織法制としても当然あり得るし、現場にニーズがあるのであれば、これをしっかりと整備することは国会の責務であるということで、私も、桝屋先生等の呼びかけに応じまして御一緒させていただいて、力を尽くしてきたところでございます。
 一言付言すると、働く場を自分たちでつくって、財産的基礎も自分たちで持つというのは、実は維新の会的でありまして、自分たちのことは自分たちで決める、まさにこれは、公明党が力を、坂口先生、桝屋先生、歴代、力を尽くしてこられたわけでありますが、維新の会としても、公明党主導のこの法案に心から賛成をして御一緒に作業させていただいてきているということを付言させていただきたいと思います。
 ありがとうございます。

#143
○青山(雅)委員 ありがとうございます。
 重ねて少しこれに関連してお伺いいたします。
 今、平成十九年に第五次医療法改正が施行されて、今提出者のお答えにもありました、医療法人の非営利性を徹底し、医業を安定的に継続させる観点から、出資持分のある医療法人の新設ができなくなっております。
 今回、出資持分のある医療法人同様の問題はどのように解決されておられるのでしょうか、お尋ねいたします。

#144
○足立議員 お答えを申し上げます。
 改めて御指摘いただいた医療法人、まさにこれは、医療の世界は、日本は皆保険でありますから、昔は医療は産業だったんですね。民間のお金で回っていた。ところが、皆保険になり、いわゆる税金も入っていますが、保険料、社会保険料で回っている、公的なお金で回っている世界です。
 その公的なお金で回っている医療の分野に持分ありの医療法人があって、そして、解散するときにはそれは持ち出すというようなこと。剰余金の配当は禁止されている、要は非営利だから、剰余金の配当が禁止される一方で、退社時の出資持分の払戻しとか、解散時の残余財産の分配は禁止されていなかったんです、医療法人は。
 そこに批判が高まって、非営利なんだろう、では何でそんなことをするんだという批判が高まって、非営利性が形骸しているのではないかと言われ、厚労省が主導して、そういう持分ありの医療法人は新設はもうしないということになりました。
 その結果、今何が起こっているかというと、使い勝手のいい持分ありの医療法人が、マーケットで売買をされるということになっているわけであります。
 時間の関係がありますが、今御紹介があった、かつて、今はないですよ、今はないけれども、かつてあった持分ありの医療法人と今回の労働者協同組合法がまた一緒にされても困りますので、その違いだけ改めて申し上げておくと、今申し上げたように、医療法人は、解散時の残余財産の分配が禁止されていませんでした。それに対して、今回の労働者協同組合は、脱退の場合には出資額を超える払戻しを認めないということにいたしております。
 それから、剰余金等についても、必要な資金をプールした上で従事分量配当を行うことを認めています。これも、出資配当を禁止した上で、事業従事の成果を分配するための仕組みと考えれば、非常に整合性のある制度であるということでございます。
 以上です。

#145
○青山(雅)委員 御丁寧な御答弁ありがとうございました。
 続きまして、今度はNPO法人とのことでお伺いいたします。
 地域で活動する団体といたしましてはNPO法人もあると思います。このNPO法人と労働者協同組合、どのような違いがあるのでしょうか、お尋ねいたします。

#146
○足立議員 お答えを申し上げます。
 これも大変重要な点かと思いますが、一言で違いを申し上げれば、NPO法人はいわゆる認証主義をとっていますね。これはもうよく御存じのとおりで、都道府県知事による認証を必要としている、こういう非営利法人制度であります。
 しかし、今はもう余りそういうことはなくなったかもしれませんが、NPO法人ができた当初は、認証制度が権威づけに悪用されて、本来NPO法人制度が想定していなかったような方々が、このNPO法人を使って本来の目的とは違うようなことをされるようなことが散見をされた。その中でNPO自体の評価も若干ぶれた時期がありました。その後、当局のいろいろな対応で状況は改善されているのかもしれませんが、そういうことでございました。
 それに対して、今回の組合法は、簡便な設立を可能とし、地域の課題に迅速に対応できるよう、法定の要件を満たせば設立が可能となる、いわゆる準則主義をとっています。
 まさに、認証主義か準則主義かという点が私は両者の最大の違いではないかなと理解しております。

#147
○青山(雅)委員 ありがとうございます。
 今ほど御説明いただきましたNPO法人、それから企業組合から労働者協同組合への組織変更規定が設けられておりますけれども、その趣旨は何でございましょうか、お尋ねいたします。

#148
○足立議員 お答えします。
 ちょっと宮本先生と話していまして、最後の質問ですね。
 お答えを申し上げます。組織変更規定ですね、組織変更規定。
 既に、この労働者協同組合という船が、組織法がないときには、先ほどあったような皆様が今、例えばNPO法人制度を使ったり企業組合を使ったりしている、そういう形で活動されている方々がおられます。仮に組織変更規定を整備しなければ、まさにそういう方々は、一旦解散、清算した上で労働者協同組合を新設する必要があり、従前締結されていた契約の扱いや保有する財産の処分など、事業の継続に重大な影響が及ぶことが想定されます。
 そういう観点から、この法案では、現に活動するNPO法人や企業組合が労働者協同組合に円滑に組織変更を行うための制度を設けたところであります。
 ただ、これは暫定的な措置として整備をしておりまして、組織変更ができる期間は施行の日から三年以内に限るということにさせていただいております。

#149
○青山(雅)委員 先ほど御紹介いたしました東京新聞に、提出者のお言葉として、「福祉や農業、コミュニティービジネスなど、資本の論理だけで動くわけではない世界に適しており、献身的に地域の役に立ちたいという人たちの集まりを支えることができる法律になる。」というコメントが書かれております。まさにそのとおりだと思います。
 本日は御丁寧な答弁、ありがとうございました。

#150
○桝屋議員 青山先生の御了解をいただいて、先ほどの足立先生の御説明、NPOとの違いはそのとおりなんですが、認証主義と準則主義の違いと同時に、NPOは出資ができない。NPOができるのは、やはり寄附を集める、寄附をお願いする、あるいは収益事業を行うということはできるわけでありますが、社員みずからの出資ができない、そこが最大の違いではないかなと。いずれにしても、NPOもやはり二十の非営利活動を地域で展開されている、私は大事な大事な役割をお持ちだと。
 一方、この労働者協同組合は、みずからが出資ができる、更に主体性のあるといいましょうか、一味違う形でありまして、これからやはり地域活動を展開する上で、多くのビークル、乗り物があっていいのではないか、お互いのよさを地域の方に活用していただくということが趣旨だろうと思っております。

#151
○青山(雅)委員 大変わかりやすい補足をありがとうございました。
 これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

#152
○とかしき委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――

#153
○とかしき委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 第二百一回国会、後藤茂之君外十四名提出、労働者協同組合法案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕

#154
○とかしき委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#155
○とかしき委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――

#156
○とかしき委員長 次回は、来る二十七日金曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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