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2020/11/26 第203回国会 参議院 第203回国会 参議院 厚生労働委員会 第5号 令和2年11月26日
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2020/11/26 第203回国会 参議院

第203回国会 参議院 厚生労働委員会 第5号 令和2年11月26日

#1
令和二年十一月二十六日(木曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月二十六日
    辞任         補欠選任
     島村  大君     山下 雄平君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         小川 克巳君
    理 事
                石田 昌宏君
                自見はなこ君
                石橋 通宏君
                矢倉 克夫君
                足立 信也君
    委 員
                衛藤 晟一君
                こやり隆史君
                島村  大君
                そのだ修光君
                羽生田 俊君
                藤井 基之君
                古川 俊治君
                本田 顕子君
               三原じゅん子君
                山下 雄平君
                打越さく良君
                川田 龍平君
                田島麻衣子君
                福島みずほ君
                塩田 博昭君
                山本 博司君
                東   徹君
                梅村  聡君
                田村 まみ君
                倉林 明子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉岡 成子君
   参考人
       国立感染症研究
       所所長      脇田 隆字君
       川崎市健康福祉
       局医務監
       川崎市立看護短
       期大学長     坂元  昇君
       江戸川大学メデ
       ィアコミュニケ
       ーション学部教
       授
       薬害オンブズパ
       ースン会議メン
       バー       隈本 邦彦君
       北里大学大村智
       記念研究所ウイ
       ルス感染制御学
       教授       片山 和彦君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○予防接種法及び検疫法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────

#2
○委員長(小川克巳君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 予防接種法及び検疫法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案の審査のため、四名の参考人から御意見を伺います。
 御出席いただいております参考人は、国立感染症研究所所長脇田隆字君、川崎市健康福祉局医務監・川崎市立看護短期大学長坂元昇君、江戸川大学メディアコミュニケーション学部教授・薬害オンブズパースン会議メンバー隈本邦彦君及び北里大学大村智記念研究所ウイルス感染制御学教授片山和彦君でございます。
 この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙のところ御出席いただきまして、ありがとうございます。
 皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 次に、議事の進め方について申し上げます。
 まず、脇田参考人、坂元参考人、隈本参考人、片山参考人の順にお一人十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず脇田参考人からお願いいたします。脇田参考人。

#3
○参考人(脇田隆字君) 国立感染症研究所の所長をしております脇田と申します。
 新型コロナウイルスワクチンに関する意見を述べさせていただく機会をいただきまして、参議院の厚生労働委員会の皆様に感謝申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症は、今年の一月中旬に日本で初めての感染者が検出されております。それ以降、拡大と縮小を繰り返しながら感染の流行が続いております。新規の抗ウイルス薬とワクチンがない中で、日本の対策は、保健所を含む公衆衛生と医療機関による感染者の対応が行われてまいりました。
 廃止となりました専門家会議から提唱させていただきました三密の回避、また、分科会からの感染リスクが高い五つの場面の回避を含めた基本的な感染対策を広く市民の皆様に実行していただくことも重要な感染対策であります。これまでの市民の皆様の協力と、保健所、自治体の関係者、医療機関の関係者の皆様の御努力に感謝申し上げたいと思います。
 さて、この新型コロナウイルス感染症の流行を収束させるためには、新型コロナウイルスに対するワクチン、新型コロナワクチンとさせていただきますが、利用可能となった段階でそこのワクチンを接種していただくことが重要と考えております。
 もちろん、有効性の高いワクチンは皆が待ち望むものである一方、安全性の確保が極めて重要でございます。
 しかし、ワクチンの性質上、一定の健康被害が避け難いこともまた事実でございまして、その点をよく理解した上で、ワクチンによる健康被害を最小化するために、品質及び安全性の確認と副反応への対策をしっかり取っていくことが求められます。
 ワクチンの開発には通常長い年月が必要となりますが、新型コロナワクチンにおいては、いわゆるワープスピードにより、これまでにない短期間で開発が進んでおります。また、これまで実用化されたことのない核酸によるワクチン、あるいはウイルスベクターワクチンといった新規技術によるワクチンが最も早く実用化されようとしております。
 最近、欧米で開発中のワクチンの第三相試験の評価結果が報道されております。今のところ、ワクチンの接種により新型コロナウイルス感染症の発症予防と重症化予防が期待できる結果であり、また、これまで重篤な有害事象はないと思われます。感染の予防にはどの程度効果があるかは明らかではありませんが、現時点での結果を常識的に考えれば、ワクチンの広範囲の接種によって、個人の発症及び重症化予防のみではなく、社会における流行の防止にも一定程度効果が期待できるのではないかと考えています。したがって、新型コロナワクチンが承認された後に、迅速に広く接種が可能となるように準備を進める必要があると考えます。
 しかし、繰り返しになりますが、我が国の承認過程において有効性と安全性をしっかり確認することが重要と考えます。また、承認後においても、臨床の現場での接種が開始されれば、一定程度の健康被害は避け難いため、その被害を最小限にするために副反応の調査及び対応をしっかりと準備しておくこともまた必要と考えます。
 開発中のワクチンは、保存温度が超低温が必要であるものもあります。広く接種を円滑に進めるための準備が重要です。複数のワクチンが開発中であり、承認された後に接種が開始されると思いますが、それぞれのワクチンで保存方法が異なります。接種間隔も異なる場合があり、市町村が接種の主体となるわけですが、現場で混乱しないようなオペレーションを準備することが必要と考えております。その上で、新型コロナワクチンについて明らかになった情報は広く周知すべきと考えます。それぞれのワクチンの有効性と安全性の情報、接種の目的について丁寧に説明する必要があります。
 この感染症は、八割の方は感染しても軽症あるいは無症状です。二割の方が中等症以上の肺炎を発症し、特に高齢者においては重症の肺炎により命を落とす場合もございます。新型コロナウイルスワクチンの接種の目的は、この感染症による死亡者や重症者の発生をできるだけ減らし、結果として新型コロナウイルス感染症の蔓延の防止を図るということです。もちろん、承認されればワクチンの有効性と安全性の情報が更に明らかにされると考えますので、効果が高く安全なワクチンが我が国において広く接種されることにより新型コロナウイルス感染症の流行が抑制されることを強く望みますし、私の立場でも、可能な限りこのワクチンにおいても開発あるいは準備においても努力をしたいと考えております。
 また、今回の新型コロナウイルス感染症のパンデミックで明らかになりましたように、日頃からの新興・再興感染症に対する検査診断、治療薬、予防薬であるワクチンの研究開発の重要性が再認識されました。
 米国では、NIHと保健省が支援する官民共同研究のプラットフォームが準備されており、迅速なワクチン開発につながったと認識しております。日本でも、AMEDによるアカデミアを中心にサポートする研究はありましたが、特にインフルエンザやコロナウイルスなど急性呼吸器感染症は更にパンデミックを起こす可能性が高いウイルス感染症です。
 感染者がまだ一人もいない段階でも企業がアカデミアと共同で開発に取り組むことができる研究開発体制を平時から準備することが次のパンデミックに備えるためにも重要と考えます。
 ありがとうございました。

#4
○委員長(小川克巳君) ありがとうございました。
 次に、坂元参考人にお願いいたします。坂元参考人。

#5
○参考人(坂元昇君) 川崎市健康福祉局医務監の坂元昇でございます。この度、当審議会にお呼びいただきまして、誠に光栄に存じます。
 以下からは、お手元の資料に従って御説明さしてまいりたいと思います。資料左の上に資料番号が振ってございます。
 資料二と三には、二〇〇九年の新型インフルエンザ流行に際して、国は国民を対象とした接種計画を策定いたしました。接種の理由として、国民の大多数に免疫がないことと基礎疾患のある方が重症化する可能性があることを指摘した上で、接種目的として、死亡者や重症者を減らし、医療機関の混乱を防ぐことにあるとしております。それに従って、資料四と五にありますように、接種対象者の明確化、そのタイムスケジュール等が示されております。
 しかし、新型インフルエンザと今回の新型コロナウイルスとはいろいろな面で異なるものはありますが、多数の住民が予防接種を受けるという基本的な理念において差はないと思います。このときの教訓をしっかり生かし、副反応の問題も含めて国民に接種の目的と意義を明確に伝える必要があるということだと思います。
 資料六にありますように、この二〇〇九年の接種では、川崎市では一日最高千六百件という問合せの数などから、事前には接種者が、接種希望者が多いことが想定されましたが、資料七の報道記事にありますように、実際には感染症が軽症で済んだことなどから、接種希望者が予想外に少なく、残念ながら大量のワクチンが廃棄されております。
 八にお示ししておりますように、これから説明させていただく資料の多くは、平成二十六年の厚生科学研究班による新型インフルエンザ等発生時における予防接種の円滑な実施に関する研究を参考に、川崎市民全員に予防接種を実施することを想定したシミュレーションであります。今後、これを新型コロナワクチンの特性に合わせて修正してまいりたいと思っております。なお、令和二年九月現在の市の人口は百五十四万と増えております。
 資料九では、資料四の二〇〇九年の国のインフルエンザ予防接種の計画を参照し、川崎市における接種人口、背景別にまとめたものです。この中で、特に基礎疾患につきましては、市町村にとって基礎疾患の把握は難しく、基礎疾患があっても必ずしもかかりつけ医がいるとは限りません。
 資料十では、川崎市における接種体制の分類を示しており、第一に妊婦や乳幼児などかかりつけ医での個別接種方式、第二に学校や高齢者施設などで行う施設集団接種方式、そして第三は体育館などの臨時接種会場での方式と約六百の医療機関での接種方式を合わせた地域集団接種方式の三つの接種体制を想定しております。第三の地域集団接種方式は、最も多い百十二万人を対象としております。
 資料十一には、市内七十八か所程度の臨時接種会場での接種方式を、資料十二には、約六百の医療機関での接種方式をそれぞれお示ししております。しかし、大都市圏での臨時接種会場での接種方式は、医療資源や事務職員の投入などの効率性に難点がございます。一方、資料十二の六百の医療機関での接種方式は、最低でも週に十時間以上の接種業務への対応が求められます。ただし、今回は、接種予定のワクチンの中にはドライアイスなどでの保存が必要で、千人が最小パッケージであるものはあることから、配送や医療機関へのドライアイス供給など工夫が必要になると思われます。計算上では百十二万人の接種において一医療機関一日平均三時間から四時間を接種に割いていただく必要があるため、六百の医療機関の集約、連携体制を考えてまいりたいと思います。また、ワクチン流通や在庫管理など、通称Vシステムと呼ばれているオンラインで行うことから、オンライン操作が可能な医療機関での集約も必要かと思います。また、市町村の予防接種台帳との関連付けも必要かと思います。
 資料十三には、新型インフルエンザ発生時に学校や高齢者施設などにおける施設集団接種を行う場合の想定を示しております。派遣する医師や看護師等の調整が必要になります。また、問題としては、在宅介護を受けている方への訪問接種についても、医師の指示による訪問看護師による接種の検討も必要かもしれません。
 資料十四には、新型インフルエンザ等での接種の課題がまとめられておりますが、新型コロナウイルスに共通するところは多いと考えております。
 特に、資料十五には、川崎市における一年間の転出入をお示ししたものです。接種券の配付に当たっては、このようなことも考慮に入れる必要があります。さらに、越境通勤通学の接種の確保についても検討が必要だと思います。重要なことは、住民が受けやすく分かりやすい、しかも柔軟性があり、さらに医療従事者や市町村の負担軽減につながる接種の工夫が必要であると考えております。
 資料十六では、モデル臨時接種会場のレイアウト、資料十七は、内閣官房、厚生労働省、そして川崎市共同で行った実際の訓練風景であります。写真にありますように、気分が悪くなったりする接種者の対応に取られる時間も想定する必要があります。ビデオ撮影をすることで、その接種の流れの課題などを繰り返し分析する必要もあります。
 最後に、資料十八には、国、県、市町村の連携の重要性について、課題について実例をお示しいたしました。二〇一一年春頃より、生ポリオワクチンが危険であるとの情報がSNS等で拡散し、その結果、接種率が著しく低下しました。近隣のポリオ流行国からポリオが入り込む危険性のレベルまで集団接種率が下がったことを懸念する専門家もおりました。この危機状態を打開するために、神奈川県は国内未承認の不活化ワクチンを海外から医師の個人輸入という形で輸入し、県立病院等で接種を開始しました。
 しかし、国においても近隣国でのポリオの発生状況を勘案しながら不活化ワクチンの導入の検討を考えておりましたが、予防接種法の改正が必要なことから、法による接種主体の市町村としては従来どおり生ワクチンの接種を続けるという義務が生じておりました。このことが住民に混乱を起こさせ、市町村に多くの住民から不安や苦情が寄せられることになりました。このことは予防接種における国、県、市町村の密接な連携の大切さを我々に教えるものとなりました。今回のコロナワクチンの接種でも、この教訓が生かせればと思っております。
 最後に、速やかにワクチンが行き渡る流通システムの構築、住民とのリスクコミュニケーションの確立、副反応も含めた情報公開、そして納得の上での接種率の向上が必要であると思います。さらに、サービスとして、ワクチン接種の英文での証明発行もあるかと思います。
 また、今回のような特別な場合には、副作用、副反応、効果など積極的把握のため、メーカーが法によって実施が義務付けられております接種開始後半年間の副作用等の積極的収集が可能な市販直後調査へ行政機関の積極的な協力、応援が必要ではないかというふうに考えております。また、これとVシステムのオンライン化のリンクが必要ではないかと思っております。
 そして、最後に重要なのは、国、県、市町村の協力の下、今まで御説明してまいりましたような住民全員を想定した安全な予防接種体制を一日も早く市町村が構築し、そのため、できるだけ早い段階で医療関係者との協議を開始し、さらに人員や会場の確保に向けた予算の策定についても早急に進める必要があります。
 つまり、法的根拠は市町村にとって不可欠な問題であります。市民の健康を守るためにも、今回の予防接種法の改正が一日も早く実現することを切に期待するものであります。
 資料十九には、まとめを掲載させていただきました。
 以上でございます。ありがとうございます。

#6
○委員長(小川克巳君) ありがとうございました。
 次に、隈本参考人にお願いいたします。隈本参考人。

#7
○参考人(隈本邦彦君) よろしくお願いします。
 元NHK記者で、現在、江戸川大学の教員をしております隈本と申します。薬害防止のためのNGO、薬害オンブズパースン会議のメンバーでもあります。
 資料に、後半に付けました縦長の方ですが、私どもの意見書と、それから私自身、NHKの社会部厚生省担当記者時代に、実際にワクチン薬害の取材をしております。そして、今多くの薬害被害者の方と薬害根絶のための活動をしております。そうした経験を基に意見を述べさせていただきます。
 資料の二ページ目を御覧ください。
 結論から申し上げますと、改正法律案で接種勧奨と努力義務の設定、そして損失補償契約には反対の意見を持っております。
 次をめくってください。
 接種勧奨と努力義務を課す前提として、そのワクチンには高い有効性と安全性がなければなりません。現状でそれが確認できるのか、それを私としては疑問に持っております。
 次をめくってください。
 まず、有効性についてですが、もう先生方は御存じで、釈迦に説法かもしれませんが、薬の臨床試験、承認を受けるための臨床試験、つまり治験には五つのツーがあると言われています。御覧のとおりの五つのツーです。それに照らすと、安全性より前にまず有効性に関してですね。
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 治験の有効性の確認の限界は、やはりツーフュー、ツーブリーフがあると思います。ワクチンの治験は多くても数万人ですが、国民の大多数に打たれるとなると数千万人ですから、ツーフューです。それから、治験の観察期間が短過ぎです。今話題となっているファイザーとかモデルナのワクチンの治験でも、有効性の判定は治験が始まってから五週間から六週間で行われています。私たちが最も知りたい重症化予防効果や致死率を下げる効果の確認も難しいし、そもそもその長期間にわたる感染予防効果がどれだけあるのか治験では分からないというのは皆さん御存じのとおりです。
 もちろん、意見書に書きましたように、治験は厳密にやっていただきたいんですけれども、とにかく、新しいワクチンというのは多くの国民が打つようになってから本当の実力が分かってくるというものだと言うこともできます。はしかのワクチンとかポリオのワクチンは長年の経験でその実力が証明されてきているというふうに私たちは感じています。
 このことは、専門家は御存じですけれども、国民の多くはどうでしょうか。もし政府の審議会が承認したら、ああ、これはいいワクチンなんだろうといって打ってしまうということにならないでしょうか。特に、新型コロナウイルスはRNAウイルスで変異しやすいとか、再感染の可能性なども指摘されています。新型コロナワクチンの本当の実力は治験の段階では分からないと考える方がいいのではないでしょうか。
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 安全性の確認についても、治験にはツーフュー、ツーナローの限界があると思います。数千万人の国民が打つわけですから、治験では対象でなかった子供とか大変高齢な方、特異体質の方も受けると思います。ワクチンは元々、人の免疫を人為的に操作するものです。ですから、まれにギラン・バレ症候群など自己免疫疾患が発症することもあります。
 日本脳炎ワクチンで実際にあったことですが、自己免疫疾患の急性散在性脳脊髄炎、ADEMの発生で、五年間にわたって積極的勧奨が中止されたことがあります。新型コロナワクチンには、ウイルスの遺伝情報を人の体内に入れるというこれまでにない作り方をするものもありますので、国民の大多数に接種されたときにこれまでにない何かの病気が出るということは十分考えられるのではないでしょうか。
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 では、市販後の安全対策はどうかということですが、我が国では、副反応疑い報告をワクチンメーカーと医療機関が受け付けるという受動的なシステムしかありません。しかも、このような自発報告には、その時点で医学的に診断名が確立している病気しか報告されないという限界がありますから、新しいワクチンの新しい副作用は見付かりにくいと考えられます。
 一つの重要な実例が、私自身が取材をした新三種混合ワクチン、MMRワクチンの無菌性髄膜炎です。
 接種十四日後をピークに入院が必要なほどの髄膜炎を起こすという重篤な副反応があったんですが、平成元年に定期接種化された後、六十万人ほどに打たれても、その報告は六件しか上がってきませんでした。十万人に一人です。これは、その当時、ワクチンで無菌性髄膜炎はまず起きないというのが医学的常識だったことと、接種後十四日もたって発熱をするので、親御さんからすれば、二週間前に打ったワクチンが原因かもと想起することができなかったためです。
 しかし、NHKのニュースでこの副反応の報道が、副反応の存在が報道されると、十万人に一人だったのがすぐに数千人に一人という頻度になりました。そしてさらに、厚生省が通知を出しまして翌年一年間調べると、実に七百人に一人という非常に高率な副反応が起きていることが分かりました。
 次のページを御覧ください。
 そして、このワクチンでは、接種したお子さんの同居の姉にうつってしまって病気が発生するという二次感染事例が起きまして、ついにMMRワクチンは接種見合せということになりました。実は、この二次感染事例も、二年後に学会発表がニュースになるまで当局への報告はありませんでした。この事実から、自発報告だけに頼る安全対策がいかに脆弱かということが分かります。しかも、情報は国民に適切に提供されませんでした。
 次のページを御覧ください。
 このワクチンが重篤副反応頻度が七百分の一と極めて高いということが分かった九一年、当時の厚生省は予防接種委員会の秘密会を開いていました。この資料は、数年前、私のゼミの学生が薬害被害者とともに行った情報公開請求で出てきた議事録です。
 次の十ページを御覧ください。
 この議事録の最後のところ、委員が小児科学会が四月にあるがどこまで言っていいかと聞いたのに対して、担当者が対外的にはこの委員会は開催されていないことになっていますと答え、七百分の一の頻度について言っていいかという質問には、それも一切公表していませんと答える生々しいやり取りです。この数値はこうして国民に伝えられませんでした。実は、この時期に二次感染が起きていたんです。しかし、そのことはメーカーからも報告されないし、その見付けた医師からも報告されていませんでした。
 次の十一ページを御覧ください。
 副反応疑い報告からシグナルを見付け出したときには、適切な疫学調査をして能動的に調べることが必要です。しかし、残念ながら、我が国にはそれを専門に行う常設の研究機関はありません。そこで、厚生省の、厚労省の研究班がつくられるわけですが、あくまで非常勤の、しかも厚労省が選んだメンバーですから、私の知る限り、安全対策の問題点を厳しく指摘する結果が出たことはありません。
 次のページから、一例として、子宮頸がん予防ワクチンと言われたHPVワクチンの接種後の多様な症状について調べた厚生労働省研究班のデータをお示しします。この研究班では、難病の発生頻度を調べる手法を使って、決められた半年間に多様な症状で学校に行けなくなったりした若い患者がいるかどうかを調べ、その人たちの接種歴を調べました。
 次のページがその結果の一部ですが、赤枠で囲った接種歴ありの人、青い棒グラフが多くなっています。このワクチンの副反応に典型的に見られる光過敏、脱力発作、そして次のページを見てください、月経異常、認知機能障害などが接種者に多くなっています。
 次のページを御覧ください。
 この認知機能障害ですが、全ての項目において二十五か月以上続いている人もいるというのがこの調査班の結果なんです。ところが、そして次のページ、これ十六ページには折れ線グラフがありますが、これ実は症状の数なんですね。右端、十個以上の症状がある人は一五・六%と、接種者の方が多いんです。三倍多いんです。しかし、研究班の結論は次のようなものでした。
 次のページを御覧ください。
 多様な症状のある人は接種していない人にも一定数存在したというものです。元々多様な症状のある人を選んで調べているんですから、一定数いるのは当たり前です。その頻度が三倍高かったことについて、研究班長は、いろんなバイアスがあるので統計的に有意かどうかは調べなかったと説明しています。そして、その最後の結論だけがメディアで報道されました。それが現状です。
 次の十八ページを御覧ください。次のページを御覧ください。
 ワクチン安全対策の方向性を決める副反応検討部会も新型コロナワクチンに対応できるのか、疑問を持っています。現状では、数か月に一回開かれる会議に、それまでに集まった副反応疑い報告が事務方から一覧表を基に説明され、短時間で次々と審議されています。各症例のカルテや検査データなどは検討されません。私は常々、この検討部会に薬害被害者や市民代表などワクチンを受ける側で安全性に積極的にチェックしたいという立場の人が入っていないことに疑問を持っています。その一方で、ワクチンメーカーとの利益相反のある研究者が複数入っています。
 次の十九ページを御覧ください。
 国民には自己決定権があります。最終的には確かなデータを見た上で打つかどうかを決める権利、インフォームド・コンセントの権利があるはずです。しかし、脆弱な情報収集体制でそれが可能でしょうか。そして、法律で接種勧奨、努力義務が決まると、医療福祉関係者、接客業の人たちが、職場の圧力の下、意に反して打たざるを得ないということにならないでしょうか。
 損失補償契約については、実はメーカーの不正などがあっても補償するのかとか国会の承認がなくてもいいのかという疑問はあるんですが、時間がありませんので割愛します。
 この資料、二枚めくっていただいて、まとめ、最後のまとめを御覧ください。
 MMRワクチンをめぐる裁判では国は敗訴していますが、その教訓がその後の安全対策に十分生かされているとは思えません。二〇〇九年にはHPVワクチン、遺伝子組換えの技術を使って、自然感染の十倍以上のレベルの抗体をもう何十年にわたって粘膜にしみ出させて感染を制御するという全く新しいタイプのワクチンが登場し、厚労省の資料でも、十万人に五十二人というほかのワクチンに比べて高い頻度で重篤副反応が報告されています。ところが、その被害を訴えた人の多くはこれまでにない症状だということで因果関係を認めてもらえず、適切な治療が受けられていないというのが現状です。
 次が最後のスライドです。
 サリドマイド、スモンなど、過去の薬害の歴史を見ても、何か症状を訴えても最初は必ずその薬との因果関係が否定されています。そして、その被害が拡大した後にようやく対策が取られるという経過をたどっています。そうした歴史に照らし合わせると、今回の法律案の接種勧奨と努力義務、そして損失補償契約は拙速ではないかというふうに私は考えています。
 以上です。

#8
○委員長(小川克巳君) ありがとうございました。
 次に、片山参考人にお願いいたします。片山参考人。

#9
○参考人(片山和彦君) 私は、北里大学大村智記念研究所ウイルス感染制御学の教授をしております片山と申します。よろしくお願いいたします。
 私の方からは、ワクチンの開発者及びワクチンの研究者としての立場から、現在報告されている新型コロナウイルスワクチンのうち代表的な四つのものについて、分かっていること、科学的に明らかにされていること、それから分かっていないことのまとめをしてみました。このまとめを御説明したいと思います。
 まず、皆さんよくニュース等で目に、耳にされると思いますけれども、ワクチンの効果の算出方法というのを一枚目のスライドにまとめています。
 ワクチンというのは、例えば接種対象者群が一万人だとします。そうしたら、その一万人を五千人ずつに二つに分けて、ワクチン接種群と、もう一つはワクチンと似たような薬、何の効果もないものですけれども、そのプラセボ接種群というのに分けます。そして、この接種、両方とも接種されたものですけれども、普通に生活していただく。その間、経過を観察します。
 プラセボ接種群には発症者が千人出たとします。それに対してワクチン接種群には発症者が百人出ましたという結果が得られたとすると、本来、何もしなければ千人の発症者が出たにもかかわらず、ワクチン接種群は九百人の減少を認めたということで、効果が九割ということになるわけです。つまり、発症予防効果が九〇%という数字はこの数字で出てきます。
 では、このラインを引くときに診断をどうするかという問題があるんですが、発症者と定義するのか、それとも入院患者と定義するのか、それとも重症者と定義するのかと、ボーダーの引き方によって効果の数字というのが前後に動くことになります。
 例えば、ロタウイルスワクチン、これは今年の十月に定期接種化されたものですけれども、重症入院症例の予防効果、この効果が九〇%以上という数字を出しています。しかし、このワクチンは感染を予防するワクチンではないんです。重症入院症例を予防するワクチン、その効果が九〇%というふうに理解していただきたいと思います。
 では、麻疹ワクチンを見てみます。この麻疹ワクチンの場合は、今度は発症の予防効果です。この予防効果としては、長年のワクチン接種のデータもございますし、九五%以上という数字が出されています。
 では、皆様毎年打たれているかと思いますけれども、インフルエンザのワクチンではどうかと。インフルエンザワクチンは発症予防効果が五〇%前後という曖昧な数字になっていますが、これ実は数字を出すのが非常に難しいからです。ボーダーを引くのが難しいということでこのような数字になっています。
 では、SARSコロナウイルス2に対するワクチンは、ニュースソース上では九〇%以上の発症阻止率を示しましたという報告がありますので、私としては、このデータはなかなかいい結果なんだなと思いました。
 さて、次のページをめくってください。
 四つのワクチンについて分かっていることの概略をまとめました。まず、一番上の行にワクチンの種類が書いてあります。左から御説明します。
 ファイザー、ビオンテック。このBNT162b2というのはワクチンの記号で、この記号でFDAの三相治験の結果を皆さんの手でも調べることができます。ネット上に公開されています。主成分は、S1―RBDというレセプターにくっつく領域のメッセンジャーRNA。RNAワクチンです。接種回数は二回、ゼロと二十一日の間隔を置いて二回目を接種します。第三相試験では四万四千人に接種がされまして、ほぼ終了しています。接種年齢層、これが大切なんですけれども、十二歳以上、この集団の中には五十六歳から八十五歳が四〇%含まれています。有効性の数字ですが、九十四人が発症した時点での計算値では九〇%、それから数週間たちまして百七十人が発症した時点での計算値は九五%という数字になっています。この計算の方法というのは同じ基準で計算したもので、人数の増加によってパーセンテージが増えたというふうに御理解ください。副反応については、軽微な副反応があるという大ざっぱな書き方ですけれども、中は細かく書かれているんですが、ここでは御説明させていただくことは省きます。温度管理ですが、マイナス七十度C保存では最大半年、二度から八度では五日間という保存条件になっています。
 もう一つ、モデルナのものです。次のカラムですね。メッセンジャーRNAの1273という記号で示されています。S2領域のメッセンジャーRNA、先ほどのファイザーとは違う部分のRNAを使っています。このワクチンは二回の接種、ゼロ、二十八日間の間隔を置いてもう一度。三万人の到達目標ですが、ほぼ達成している状況でデータが出ています。十八歳以上が接種対象者で、十二歳よりも六つ上ですね。六十五歳以上が七千人含まれています。九十五人発症時点での有効率が九四・五%という数字になっています。軽微な副反応については、このように報告されております。マイナス二十度Cで最大半年、二度から八度の温度で三十日間の保存が可能というワクチンです。
 では、その次ですね、アストラゼネカのワクチンです。これは、S領域のDNAをアデノウイルスに組み換えて、そしてアデノウイルスにDNAを運ばせるというもので、ワクチンの形態としてはアデノウイルスそのものです。これは、投与方法ですけれども、二回投与します。投与方法一、投与方法二という治験が行われました。今朝ほどですけれども、ネイチャーに報告がありましたが、この投与方法一というのは間違えて半量を打ってしまったというものだそうです。その間違いがいい結果を生み出したという報告になっていて、ちょっとトピックとしては面白いトピックでした。三万人の目標ですが、今は到達まだしていません。十八歳以上に接種をしています。投与方法一、これが効果が九〇%、投与方法二、従来予定されていたものですが、これが六二%の効果でした。合わせてみますと七〇%の効果ということです。皆さん、このニュースはお聞きになったことがあると思いますけれども、重度の副反応者が一名出たため一時治験中止となりましたが、その副反応はワクチンに由来するものではないということが分かったために再開されています。保存方法は二度から八度、六か月以上という割と安定したワクチンです。
 最後に、ノババックスのワクチンについて御説明します。これは、リコンビナントたんぱく質、ほかの生物でつくらせて、そのSたんぱく質というものだけを大量につくって、そしてそれを打ち込もうというワクチンです。それにアジュバンドが入っていて、サポニンベースの新しいアジュバンドが使われています。接種目標が、英国で一万五千人、USAとメキシコ合わせて三万人の目標を立てていますが、まだ到達していません。十八歳以上。今走っている最中ですので、詳細な有効性のデータ、副反応データ、温度管理のデータは出ていません。これが分かっていることです。
 では、次のページを御覧ください。
 ワクチンについて分かっていないことをまとめました。
 重症化阻止効果について、特に重症化高リスク群への効果については、ファイザーがプラセボ、ワクチン接種群の比較をして重症化阻止率はかなり高いというふうに言っていますが、実際の数字がこれです。プラセボ群は百六十二例中九例が重症化している、ワクチン接種群は八例の発症例に対して一例重症化しているということですので、非常に数字が小さいので、まだ重症化阻止率についての正しい数字は出ていないものと考えられます。モデルナについても同じように九十分の十一、ワクチン接種群では五分のゼロということで、ワクチン接種群は完全に重症化を防いでいるというように見えますが、この数字の母数を注意して御覧いただきたいと思います。
 次に、ワクチンの効果ですね。持続期間ですが、ファイザー、モデルナ共にこの治験のデータというのは数か月の観察、二週間から三週間というような話もありますけれども、そのデータが交ざった状態での報告です。ですから、まだ長期間の有効期間というのは分からないということになります。SARS―CoV―2の第三相治験開始というのが七月スタートなんですね。ですから、まだ四か月、二回接種目からまだ最長で三か月。どれぐらい効果がもつのかというのはこの程度のデータしかないというわけです。再感染はあるのか、どの程度の頻度なのか、このデータについても報告はまだ取れていません。
 次、三番ですけれども、低年齢層、先ほどの一番低い年齢で十二歳というところでカットされてきましたので、十二歳以下の低年齢層への効果については治験対象に入っていないため分かりません。ですから、治験対象にも入っていませんので、安全性についても確認されていないということです。
 四番目、副反応については、四か月程度では接種の初期の副反応が観察されますが、これは、正しい副反応を把握するためには長期観察が必要ですので、まだ不十分だなというところです。
 一番懸念されているのはADEという現象なんですけれども、これは皆さんお聞きになったことがあるかと思いますが、アンタイボディー・ディペンデント・エンハンスメントという言葉で言われております。これは、不要な抗体をつくるためにその抗体が逆に感染を増強してしまうという現象です。SARSのワクチンでは実験動物で確認されている現象です。デングのワクチンでは上市後の副反応調査でADEが発覚しました。ADEの発覚までに少し長い時間が掛かっているということです。これは、長期間観察しなければADEは見付けられないと、長期にわたる副反応調査が重要であるということを意味しています。
 さて、このワクチンについていかに考えるかですが、ワクチンは感染を防ぐのではなく重症化をかなり防ぐというふうにこの四種のワクチンについては考えれば判断がしやすいのではないかなと思います。ですから、重症化症例をいかに防ぐか、その防ぐことによってどれだけの人々が救えるのかというような形で考えていくとよいのではないでしょうか。
 安全性にはまだ不安が実際はあると思います。なので、接種するしないというのは、これらの情報を吟味して、そして自分たちの意思で判断できるように個人の意思を重視したいところであると私は思います。
 以上です。

#10
○委員長(小川克巳君) ありがとうございました。
 以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#11
○本田顕子君 自由民主党、本田顕子でございます。
 四人の先生方、本当に勉強させていただきまして、ありがとうございます。
 まず、ワクチン接種事業について御質問をさせていただきたいんですが、先ほど脇田先生から大体国の支援についてはお述べいただきまして、今般の新型コロナワクチン、この委員会におきましても高度な品質管理が求められるということで様々に審議をしているわけでございますけれども、脇田先生のお話を伺いまして、政府が確保している輸入ワクチンは超低温管理のものもあり、メーカーによって保管温度が異なり有効期限も異なるので、そうした上で、比較的短期間にこれまでにない規模の接種になることが見込まれるので、国が主導的役割を担って広範囲な視点で、住民の皆様に身近な視点で接種体制を構築していくことが求められているんだなと私なりに理解をさせていただきました。
 そこで、坂元先生に地方自治体の準備について更にお尋ねをさせていただきたいと思います。
 坂元先生のお話で川崎市の先進的な取組をお聞かせいただいたわけでございますけれども、こうした準備をしていない自治体の方がまだ多いと思うんですね。今日、御紹介していただきましたこういったシステムを大体構築するのにどれぐらいの時間が掛かったのか。あと、厚労省の資料を私、見ましたところ、市町村があらかじめ準備しておくべきこととして予防接種台帳システム等のシステム改修が必要であるという記載がございました。どのような改修が必要と考えておられるか教えていただきたくお願いいたします。

#12
○参考人(坂元昇君) ただいまの御質問、まず最初の御質問がこういうシミュレーションを作るのにどれぐらいの期間が掛かるのかということですが、川崎市においては、医療系団体とも相談しながらおおむね半年程度、ただ新型インフルエンザが逼迫していたのではないのでゆっくりゆっくり半年程度なので、その気になればもうちょっと短くこういうものは策定できるのではないかというふうに思っております。
 それから、第二点目の予防接種台帳ですが、現在、予防接種台帳の電子化が進んでおり、それぞれの市町村の予防接種台帳がある程度連携になって、お互いに情報が取れるというシステムになっております。今後、このコロナワクチンが行われるにつき、その予防接種台帳の中にこのコロナワクチンの項目を入れると、その際に、どういう項目を入れてどういう連携システムをつくっていくかということが恐らく重要になるのではないかと。それから、場合によっては、現在国が進めておりますワクチンの円滑化の配布システム、Vシステムとの連携も場合によっては考える必要があるのではないかというふうに思っております。
 以上でございます。

#13
○本田顕子君 次に、日本人のワクチンに対する信頼をどのように見ておられるのか、リスクコミュニケーションの立場から、坂元先生と隈本先生にお尋ねさせていただきたいと思います。
 今回、私は、予防接種法の審議を通して、HPVワクチンについて考える機会も増えました。御案内のとおり、HPVワクチンは二〇一三年四月に予防接種法に基づき定期接種化となりましたが、二か月後の六月に接種勧奨の一時差し控えとなりました。積極的な接種勧奨が差し控えられているため、接種対象者等に定期接種であることや有効性、リスクが十分に伝わっていない状態が続いております。
 十一月十二日に自民党内で開催されました勉強会で、こちらにあります厚労省で作成されているパンフレットの紹介があったんですけれども、この一番後ろのこちらの部分なんですけれども、ここに書いてある言葉が、この御案内は小学校六年から高校一年生相当の女の子やというふうに書いてあるんですが、この下の二行目のところに、接種をお勧めするお知らせをお送りするのではなく、希望される方が接種を受けられるよう、皆様に情報をお届けしていますと書いてあるわけでございます。私は、この一文、この接種をお勧めするお知らせをお送りするのではなくというこの一文が、初めて読む女の子や保護者の方には抑制に働いてしまうのではないかと思ったわけでございます。
 今回、予防接種実施においては、住民の方へ接種の勧奨や個別通知のようなものが必要になると私は思います。隈本先生のお話ではお考えもいただいたわけでございますけれども、ワクチンの接種が円滑に進むにはどのようなことを伝えていくべきか、リスクコミュニケーションの立場から、坂元先生、隈本先生、お考えをお聞かせください。

#14
○参考人(坂元昇君) ただいまの御質問の件につきまして、まず、このワクチンの名前の遺伝子ワクチンという名前が国民の皆様方に不安を醸し出しているのではないかというふうに思います。
 私、医務監のほかに看護短大の学長をやっておりまして、看護学生にこの遺伝子ワクチンの説明をしました。最初聞いたところはやはり恐ろしいとか、何か遺伝子が変わっちゃうんじゃないのかという不安がありましたが、ちゃんと説明するときっちり納得していただけるという形で、やはりこの名前から来る不安感というのは多いんではないかというふうに思っております。
 実際に我々の市町村に寄せられる質問の中でも、遺伝子が変わっちゃうんじゃないですかとか、そういう質問がありますので、これは、遺伝子ワクチンとは何かというのを、ひとつアニメーションみたいなものを作って国民に分かりやすく丁寧に説明する私は必要があるだろうというふうに考えております。
 それから、勧奨接種と努力義務についてですが、勧奨接種、努力義務があるのはワクチンのA型ワクチンであります。ここは、市町村の方で市民の方に受けろという強制をしたことは一切ございません。
 ただ、接種勧奨につきましては、大きな目的としましては、赤ちゃんとか乳幼児の場合は接種を受けていない方に虐待対象例があるということから、市町村は受けていない方に連絡して、どうされましたかということを聞いているのと同時に、それから、そういう接種情報が行き渡らない方がいらっしゃるといけないので、こういうことがありますよという意味で、接種を受けろとか、受けないといけませんよとか、余りそういう強制を市町村側として努力義務とか接種勧奨の中でしているわけではございません。
 以上でございます。

#15
○参考人(隈本邦彦君) HPVワクチンのことについてお答えいたします。
 先ほどのリーフレットの最後の文章分かりにくいと、私もそう思っております。なぜ分かりにくいかというと、接種、積極的勧奨の中止が今、見合せが今も続いているということを書かないで、ニュアンス的には書いているように見せて、実際には情報をお届けしますと言っている点ですよね。要するに、国の姿勢、方針は今のところ積極的勧奨は中断しているわけですから、そのことをはっきり書いた上、ただ情報はお伝えしますというふうにちゃんと書けばいいのに、その一つの文章にそれをまとめようとするから分かりにくいんだと思います。
 リスクコミュニケーションの立場というのは、基本的に一般市民と専門家との言わば双方向やり取りです。リスクコミュニケーションにお詳しい先生に聞いてみますと、それは何かこういう知識とか情報をこうなんですよと教えるのがリスクコミュニケーションではなく、なぜ国民が不安を持っているかということを知りつつ、その専門家との間で双方向のコミュニケーションをすることがリスクコミュニケーションと、本来そうあるべきだというふうに考えております。私もそう考えております。
 それで、そういう意味では、実際国が今積極勧奨を中止していることと、そして得られたデータについて素直に出せばいいのに、そこで例えば接種勧奨を中止しているという言葉は書いてないんですね、そのリーフレットには。そういうことを書かないようにリーフレットを作るから、そういう分かりにくいことになるんだと思います。しっかり書いた上で、もし本当にそのリスクに関する、例えば一万人に五人ぐらいの重篤な副反応があるということを書いてありますが、その事実を正確に書いていただきたい。
 ただ、私の立場から言いますと、実はその重篤な副反応の中に、非常に、言わば進学を諦めて、そして人生の設計を全く諦めて、もう学校に行けなくなって苦しい思いをしている人ってことが一言もこのリーフレットに書いてないというのは、それは今私が意見陳述で申し上げましたとおり因果関係がまだ医学的に確立していないからということなのかもしれませんが、しかし、それは水俣病のときもそうでした。それから、御存じの方も多いと思いますけど、スモンも最初は感染症だと言われました。薬害であることが、それがはっきりしたのは一九七〇年のことですし、それから、製薬会社がそれを責任を認めるまではそれから九年掛かりました。ということは、やはり、最初は疑わないで、症状を訴える人がいたら適切に治療もしますよという態度を示すことが国民のワクチンに対する信頼感を上げることだと思っています。
 付記しますと、国民の多くはワクチンを信頼しています。そして、多くの人は、国から何か紙が来たらこれは受けなきゃと思う人たちばかりです。今HPVワクチン訴訟で原告になっている方ってみんなそうですよ。市町村や学校から打ってくださいって紙が来たから、もう全部信用して打っている人たちばっかりです、ほとんど。だから、何かよくワクチン忌避が進んでいるみたいな意見がありますけど、実際のはしかのワクチンの接種率を見てください。本当に九〇%超えていますよね。多くの人は信用しているんです。ただ、いいワクチンと悪いワクチンがあるので、その情報を正しく提供してほしいと考えているのが私どもの考え方です。
 以上です。

#16
○本田顕子君 ありがとうございます。
 では、次に、ワクチンの優先接種について、また、小児や妊産婦の接種について、現段階での御見解を片山先生にお尋ねいたします。
 コロナワクチンにつきましては、未承認の開発段階ではありますけれども、先ほど資料にありました、全国民分の数量を確保している状態であるかと思います。感染症の重症化を防ぎながら通常の医療提供体制も維持していくために、ある程度の優先順位が、上位に付けるとか、必要になってくるのかなというふうに考えておりますけれども、先ほど小児の件につきましては先生の資料にございましたけれども、妊産婦の接種について、また一番重症化しやすい高齢者について、もう一度、どのような接種体制を組むことが大切か、教えてください。

#17
○参考人(片山和彦君) 御質問ありがとうございます。
 まず、小児については先ほど御説明したとおりで、データ自身がありませんので、ここが一つ問題ですね。小児については、実際にその感染者、PCR陽性の感染者を見ても症状の出る方というのは非常に少ないということ、それから重症になる例が非常に少ないということで、接種対象群として積極的に考える必要はないのかなという気がします。
 妊産婦についてですけれども、妊産婦の皆さんについては治験のデータがそもそもございませんので、ここも私たちはデータを待ってから考える必要があるだろうと思います。早急に対策を立てるのではなく、御本人がそれでもと希望するのであれば接種していただいてもいいのかもと思いますが、そのときのリスクは御自身で負っていただくということになるかと思います。
 高齢者についてですが、六十五歳以上ということで七千人というデータがモデルナの場合は出ています。それから、五十六から八十五歳が四〇%というデータがファイザー、ビオンテックのワクチンから出ています。ということは、この二つのワクチンの治験のデータを見ますと、感染の予防効果というのはかなり、発症予防効果というのはかなりあるだろうというふうに推測することができます。
 今のところ、短い期間ですけれども、副反応は重篤なものが出ていませんので、この部分については、重篤化して、重症化して、又はお亡くなりになってしまうというようなこともございますので、むしろ優先順位を上げてこの部分を重点的にお願いする方がいいのかなと私は思います。
 以上でよろしいでしょうか。

#18
○本田顕子君 ありがとうございます。
 次に、ワクチンの接種勧奨や努力義務について、脇田先生にお尋ねをいたします。
 先ほどの御意見の中で、新型コロナワクチンは重症化を防ぐものであると。それを伺いまして、健康を損なうリスクの軽減ですとか医療の負担軽減、社会経済の安定につながるものではないかというふうに思うわけでございますけれども、どのようなワクチンが世の中に出てくるのかなかなか分からない中での接種勧奨や努力義務を付けることに強い抵抗感がある方もいらっしゃいます。
 接種勧奨や努力義務を原則化することについてのお考えや、適用すべきではないと考えられるのはどんな状況なのか、脇田先生の御見解をお聞かせください。

#19
○参考人(脇田隆字君) お答えいたします。
 接種勧奨、努力義務についての御質問だと思います。
 まずその前提となるのが、このワクチンがどのようなベネフィットがあって、どのようなリスクがあるかということになろうかと思います。つまり、有効性がどの程度であって、また一方ではその副反応がどの程度生じるか、それがまたさらに年代によったり、それから基礎疾患によっても異なるであろうということが今現状では予測されています。
 そういったことがあり、もちろん重症化がしやすい高齢者の方であったり基礎疾患を持たれる方にとっては、このワクチンを接種することによってその重症化、そして死亡のリスクを下げることが期待されるということが今徐々に臨床試験の結果で分かりつつあるのだろうというふうに認識をしています。
 ただ一方で、若い世代の方、それから、先ほど片山先生からもお話ありましたけれども、小児の方であれば、そもそもその発症したり重症化したりするリスクは少ないと考えられます。ただ一方で、そういった若い方が感染をして、そして社会にその感染が広がるというリスクもあるわけですね。そういったリスクとベネフィットのバランスを十分に勘案する必要があると思います。それがもう少し明らかになった時点でこの努力義務であったり接種勧奨というものを定めていく必要があるのではないかなと。
 現時点では、だから、どちらがいいのかと問われますと、それはやはりもう少しこのワクチンの有効性、安全性を見極めてから決めることが必要ではないかと現時点では考えております。

#20
○本田顕子君 ありがとうございます。
 最後にもう一つ、脇田先生にもう一度お尋ねさせていただきたいんですけれども、ワクチンの迅速な接種体制の確立への期待は大きいと思うんですが、接種開始後のモニタリングについても幾つか先生方から御意見をいただきましたけれども、もう一度、このモニタリングをして適切な対応を取っていくことについての重要性などをもう一回先生から御見解を伺えればと思います。

#21
○参考人(脇田隆字君) お答えいたします。
 接種開始後のモニタリングということですけれども、やはり、この新型コロナワクチン、開発が開始されてからまだ一年たっていないという状況で、短い時間で臨床試験を行い、そしてその有効性と安全性を今見極めているという状況です。やはり、副反応も有効性も、その短い期間でどうしても見極めが付かないものも出てくると思います。ですから、特にこの新型コロナに対するワクチンというのは、その接種を開始した後のモニタリング、非常に重要になってくると思います。
 ですから、先ほどお話もありましたように、接種台帳についてはきっちりと記録をしていただくということはもちろん重要ですし、それとひも付けするような形で、接種後のどのような副反応があったのか、あるいはどのような病気を発症したのかというようなことをきっちりフォローアップできるような体制というのを構築していくべきだというふうに思います。
 現在、副反応については医療機関であったりそれからメーカーの方から報告をされるということですけれども、そういった個人の病歴からもそういったことをしっかりフォローアップしていく体制をつくるということが大事だと考えております。

#22
○本田顕子君 ありがとうございます。以上で終わります。

#23
○石橋通宏君 立憲民主・社民の石橋通宏です。
 まずは、四名の参考人の皆様、今日は本当に貴重な意見提起をいただきましてありがとうございます。しっかり参考にさせていただいて、今後の議論に生かしてまいりたいというふうに思っております。短い時間で、本当にいろんなことをお聞きしたいのですが、十分に尽くせないかもしれませんけれども、随時お聞きしてまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 最初に、今日せっかく脇田参考人にお見えをいただいておりますので、この間、本当にいわゆる第三波、本当に感染拡大が各地で過去最多ぐらいの状況で起こっておって、特に医療機関の皆さん、医師会の皆さんからは、本当に医療崩壊の危機だという大変危機的なメッセージも出されております。
 参考人のアドバイザリーボードも、二十四日の会合の後の、参考人自身もかなりこの医療崩壊、医師、現場の、まあ病床はまだあったとしても、そこに医師、看護師の皆さん、担い手の方々が必要なんだと、だから、単に病床があるだけで対応できるわけではないんだというメッセージも出しておられました。本当にそのとおりだというふうに思います。
 大変気になりますのは、当委員会でもかねてから政府に対して危機的な状況を共有したいと思っておりましたが、アドバイザリーメンバーの一人の方なんでしょう、二十四日の会合後に、政府のいろいろな方に非常に強い危機感がちっとも伝わらないと、悲痛な感じだという発言を記者に対してされております。
 アドバイザリーボードでそれだけの状況認識で政府に伝わらないというのは大変危機的な状況を私も受け止めるんですが、参考人、アドバイザリーボードとして、この間いろいろ発信しながら政府に伝わらない、その辺の状況について少し共有いただければ大変有り難く存じます。

#24
○参考人(脇田隆字君) 御質問ありがとうございます。
 アドバイザリーボードもここのところ頻繁に開催をしまして、現在の感染状況については議論をしております。それから、アドバイザリーボードには、公衆衛生の担当といいますか、保健所の先生でありますとか、それからまさに医療機関で現場で対応していただいている先生方からも御意見をいただいております。
 ですので、今現状でその保健所の先生方が、もちろん感染者が増えてきて、それらの感染者の方々の入院調整であるとか、それから積極的疫学調査であるとか、そういった業務の負荷が今まさにどんどんと高まっているという状況で、患者さんの命を救うために業務を優先させていかなければならない状況にあるということも伺っておりますし、それから、まさに今委員がおっしゃったとおり、医療体制、特に病床がどんどん埋まっていく状況にあって、病床、もちろん予定病床というのはあるんですけれども、それがすぐに動かせるわけではなくて、そこにおける医師であったり、それからコメディカルの人たちがいないとそこの病床をすぐには動かせないんだというその悲痛な声を我々としては聞いているところですので、アドバイザリーボードのまとめでもそのような、まさに今、通常の医療によって本来救われる命が救われないような状況になりつつあるということをまとめとして述べさせていただいたところです。

#25
○石橋通宏君 是非、今後とも、重要な局面だと思いますので、アドバイザリーボードの皆さんの積極的な政府への御提言も含めてお願い申し上げたいと思います。
 その上で、今日、いろいろ意見陳述をいただきましたワクチンの関係ですが、続いて脇田参考人に、先ほど本田委員からの最後の方の質問で、リスク、ベネフィットで、特に若い世代の方々はリスクが低いのであれば果たしてワクチン打つ必要があるのだろうかという話だと思います。先ほど参考人が、いや、そうはいっても若い世代の方々がウイルスを運んでしまう懸念があるんだというふうにもおっしゃいましたが。
 ちょっと教えてください。例えば高齢者、重篤化率の高い方、疾患をお持ちの方、そういう優先順位の高い方に接種をいただいて一定の免疫を獲得していただけるのであれば、仮に若い方々がウイルスを運ぶような状況になったとしてもリスクの高い方々はそこで防御ができておるのではないかとも素人考えでは思ったりするんですが、そうではないのか、それを是非教えてください。

#26
○参考人(脇田隆字君) お答えいたします。
 この感染症の非常に難しいところは、年代あるいは基礎疾患によって感染した際のその病態がかなり違うということがあると思います。その上で、もちろん今委員が御指摘のように、優先順位の高い高齢者の方であったり、それから基礎疾患のある方においては、是非防御免疫というものを付けるためにワクチンの接種が必要だというふうに私も考えています。
 一方で、若い方が、私、先ほどウイルスを運ぶだけじゃないかみたいなお話ししたかもしれませんが、それだけではなくて、若い人も発症する方は必ずいるわけですね。最近、後遺症というものも話題になっていますが、若い方が発症して、そして長くその後遺症に悩んでいるというような例も報告をされています。
 ですから、決して若い人だけがリスクがないということではなくて、感染をすれば一定のリスクで発症して、更に後遺症が出る可能性もあるということですので、これが、このワクチンの有効性が本当にどの程度あるのかということも十分に見極めた上で、そういった年代による接種の、何といいますかね、お勧めの仕方の違いといいますか、そういうことも考えていく必要があるというふうに考えます。
 やはり、社会全体で全員の健康を守るという視点も非常に重要だと思いますので、市民全員がワクチンを接種してこの新型コロナに強い社会をつくるんだという気持ちも私としては強調したいなというふうに思います。
 以上です。

#27
○石橋通宏君 ありがとうございます。
 同じ趣旨で片山参考人にお聞きしたいのですが、先ほど陳述の中で、これやっぱり主として重症予防効果ではないかという御発言があったと思います。とすると、今の脇田参考人の御発言にもあった、特に若い世代の方で確かに一定感染はされる、発症はされます。ただ、重症という観点からいけば、やはり先ほどもちょっとお話があった二十代、特に二十代以下の方々は、これまでの少なくとも知見でいけばそれほどの重症化はないという事実から照らせば、やっぱりリスク、ベネフィットからいけば重症化予防の高い方々に接種をいただいた方がいいのではないかという考えもあると思いますが、参考人、いかがお考えでしょうか。

#28
○参考人(片山和彦君) 私の意見を述べさせていただきます。
 若い方でも、数は少ないんですけれども、私たちの研究所の隣に研究所病院というのがありますし、相模原に北里大学病院というのがありまして、積極的に患者さんを受け入れるということをしています。実際に私の手元に届く患者さんの年齢等を見てみますと、若い方もいらっしゃいます。比較すると少ないですが。
 なので、優先順位を高齢者側、重症発症例が多い方に傾けていくというのは正しい判断だと、効果的なワクチンの使い方だと思いますけれども、若い方をそれは無視してもいいというわけではないですね。ですから、若い方にも、まあ全年齢層にできるだけ供給できるのであれば重症予防の対策を立てていただく。では、どこに重点的に立てるのかというのを優先順位で皆さんに考えていただくのがよろしいのかなと思います。

#29
○石橋通宏君 ありがとうございます。
 続いて、片山参考人に伺いたいのですが、冒頭、脇田参考人からも、今回、ワープスピードで非常にスピード感を持った開発だというふうに。私たちも、安全性の確保の観点からいけば、隈本参考人からも盛んにその辺の懸念を示していただいたと思いますが、今回、海外で第三相試験が行われたワクチンについては国内で第三相やらなくてもいいんだと、一定の試験があれば、つまり二相的な二百人、三百人ぐらいの程度の日本人に対する効果の検証で比較すればそれでいいんだというようなことで、第三相の省略が言われておりますが、どうなんでしょう。
 今回のコロナワクチンの場合、これだけ欧米人と日本人含めたアジア人で感染状況とか発症、重症化の状況とか、かなりこれまで得られた知見でも違うのではないか。とすると、果たしてこのコロナワクチンについて、海外で第三相やっていれば日本で第三相やらなくていいんだということが本当に通用するのかというふうな懸念を多くの国民がお持ちなんですが、片山参考人、いかがお考えでしょうか。

#30
○参考人(片山和彦君) まず、今流行しているウイルスについてお話しします。
 日本で流行しているウイルスと海外で流行しているウイルスは基本的に同じです。遺伝子の変異速度が速いという報告もありますけれども、このウイルスは基本的に遺伝子の変異速度は遅いんです。非常にゆっくりしている。なので、ウイルスの違いによって重症者の数ですとかそれから重症化の年齢層が違うとか、そういうことが起きているわけではありません。
 では、人種の違いによって、また遺伝子の違い、ヒト側の遺伝子の違いによってそういったことが起きているのかというのは、今、慶応大学を中心とするコロナウイルスタスクフォースという研究班も結成されまして、全ての日本の方の遺伝情報を片っ端から読み解くという作業をしていますが、今のところ目立った特徴は見出されていません。ただ、遺伝情報を読み解くにはかなりの時間が掛かりますし、それから遺伝子の数も必要になってきますので、もう少し時間が必要だと思います。
 さて、問題ですけれども、実際に日本の状況と海外の状況で、海外の状況で使われているワクチンの有効性をそのまま持ってきて日本人に使っていいのかということですが、これは、同じ人間としては大体遺伝情報ってそんなに差がないので、劇的な違いは起きないだろうというふうに私は思います。ですから、小規模の第二相の試験で目立った重症、重篤な副反応が出ないのであれば、恐らく同じ傾向を示すだろうというふうに判断してよいのかなと思います。

#31
○石橋通宏君 同じ質問を隈本参考人に確認をさせていただいてよろしいでしょうか。本当にそれで今回のコロナワクチンについて安全性の確保として懸念がないのか、お考えをお聞かせください。

#32
○参考人(隈本邦彦君) まさに御指摘のとおりで、短い臨床試験と、それから少ない、例えば日本人が参加するのが少ないので、安全性を確認するというのはやっぱりまだ早過ぎるのではないかというふうに思います。
 それから、ワクチンのメリット、デメリットというのは、単に有効性とか安全性の問題だけではなくて、その病気がその国内でどれほど重大で、流行をしていて、人の命を奪っているかということとの比較がとても大事で、そういう意味では、仮にリスクが例えば一としましょう、海外でリスク、副反応の頻度とか重篤副反応の頻度が一とした場合に、その一が、海外でたくさん人が亡くなっているところでは甘受しなきゃいけないものかもしれませんが、例えば本当に亡くなっている人の数の少ない国であれば、その一は許容できなくなることだってあり得るわけですね。そういう意味では、日本での感染状況と、そして得られたデータを国民に示して、そして国民が選ぶというのが私としては理想だと考えております。

#33
○石橋通宏君 ありがとうございます。
 もう一問、隈本参考人に伺いたいのですが、先ほど来、今回の法案において国民、全ての国民に接種の努力義務を課すということについても、参考人、慎重な御意見をお持ちだと理解をします。
 ちょっと先ほどありましたように、接種義務、結局努力義務であっても法的に努力義務を全ての国民に課す、それによって、残念ながら日本ってかなり同調圧力の強い国であって、先ほども打たない方に対する差別的なものが過去にもあったという参考人からの御発言もありました。とすると、その辺を今回大変懸念をするわけですが、参考人、改めてこの点について、今回の法案について、接種義務を課す、努力義務を課すこと、それによる現場への、国民への影響含めてどのようにお考えか、再度お聞かせをください。

#34
○参考人(隈本邦彦君) ありがとうございます。
 既に、私自身もこの委員会の議論を録画で見させていただきまして、先生方も十分この点については御心配されていると思われますし、それから衆議院の附帯決議にもそういった懸念がしっかり書かれていましたので、先生方の、委員の先生方の問題意識も全く同じだと私も感じておりまして、その点については、是非そこ、つまり同調圧力、まあよくある話で、先ほど例として挙げましたが、医療福祉関係者は、あなた接種していないでもしうつったらどうするのというような一言で、これはもう有無を言わさず打たざるを得ないというか、もう仕事を辞めるか打つしかないみたいな状況に追い込まれることが心配です。
 もちろん、附帯決議や実際に附則で本人が嫌だと言ったら無理やり打たせませんよと書いてあっても、やはり義務が、ちょっと誤解されて、実際にこれは打つのが国民の義務なんじゃないかと。今現状で、感染した学生に対して、あんたがそういうことをするからほかにうつったんだみたいな感じですごいバッシングを受けたりするような事例がありますよね。その延長線上に、ワクチンを打てない、打たないで感染した人がもしいたとしたらその人たちがバッシングを受ける、それが怖いから受けるというようなことが起こらないか大変心配しております。
 以上です。

#35
○石橋通宏君 ありがとうございます。
 坂元参考人にお伺いしたいと思います。
 先ほどもございました、すごい、今回説明をいただきました川崎市のあの事例、本当にすばらしいといいますか、準備をされているところで敬意を表したいと思います。
 一点、先ほど半年ぐらい掛けて準備をされたという話がありました。それは若干時間的な余裕があったので半年でできました、急がなければいけなければもっと急いでみたいなお話もありましたが、例えばこれだけの体制を準備されるのに、これ川崎市の規模なり人材も含めておられるのでこれができた。つまり、ほかの市町村、今回、全国の市町村に接種の勧奨が行われなければならないと、現場で対応いただかなければならないわけですが、では、本当に小さい規模のなかなか人的にも余裕がないような自治体で同様の体制が今回取れるのか。
 特に、今回は、じゃ、三種類のワクチンが仮に承認をされて、で、打っていただこうということになったときに、これ三種類のワクチンに現場で対応いただく、先ほどお話しした、それぞれが違う保存の温度だったり対応をしなければいけない中で、それが果たして小さな自治体でも可能なのかという懸念があるんですが、参考人、それについてはどのようなお考えをお持ちなのか。どういうことを政府が、国がやっていくべきなのか、御意見あればお聞かせいただければと思います。

#36
○参考人(坂元昇君) 川崎市が特に優れているわけではなくて、以前からそういう関心を持ってやっていたという点で、これは一定市町村の規模に合わせたモデル案みたいなものを、例えば専門家がある程度提示していただいて、そういうモデル案に従ってそれぞれつくっていくという、そのモデル案があればかなり市町村はつくる負荷が軽減されるのではないかというふうに私は考えております。既に、こういうモデル案に関しましては、川崎市の岡部健康安全研究所長を長とした住民への接種体制のシミュレーション案というのができていますので、それを参照にしていただいてつくっていただければというふうに思います。
 確かに、委員御指摘のように、保健所の職員が主体になるかと思うんですけど、片やその積極的疫学調査、もう一つはその接種体制の構築とそのフォローということで非常に大変というふうになりますので、その辺は、市町村として一番大変なのは人員確保だろうというふうに思っています。人員確保する意味でも早めに法を通していただいて、議会と一緒になって予算確保、それから国からの財政支援をいただければ、市町村としては有り難いというふうに思っております。
 以上でございます。

#37
○石橋通宏君 貴重な御意見ありがとうございます。
 最後に、もう時間ありませんが、簡潔に、最後に片山参考人にもう一問だけ。
 コロナの再感染についての懸念、それがどうなのかと、それによってワクチンの効果にどのような影響があるのかということを少し御教示をいただければ有り難く思います。

#38
○参考人(片山和彦君) ワクチンの効果ですけれども、一番最後のところで申し上げたように、感染を阻止するものではありませんというふうに考えていただくのがいいと思うんですね。重症化を阻止するものである。
 ですから、再感染ですが、十分に起こり得ますし、ワクチンを接種して再感染を防ぐワクチンというのは実は余りないんですね。ほとんどのワクチンが感染をしています。その感染でまた免疫がブーストされて感染しても大丈夫な体になっていくと、こういうことですので、感染阻止型ではないというところを特に記憶にとどめていただいて、ワクチンを理解していただきたいなと思います。
 ワクチンの有効期間については、治験の期間が足りませんのでまだ分かりません。普通のワクチンは、ブースター、二度目の接種を受けた後に抗体価がぐんと上がるんですね。そこから半分ぐらいまで半年ぐらいで落ちるという感覚ですので、まあもっと長いのもありますけど、抗体価が下がる上がるということについて一喜一憂する必要はなく、ワクチンを打ったことによって誘導される免疫はきちんと誘導はされているんです。記憶も残っている状態にあると考えていただければいいかなと思います。

#39
○石橋通宏君 ありがとうございました。終わります。

#40
○矢倉克夫君 公明党の矢倉克夫です。
 四人の参考人の先生方、大変貴重な御意見ありがとうございます。
 私からは、まず脇田参考人に、今般の予防接種法及び検疫法の一部改正法案についての新型コロナウイルス対策に対しての位置付けであったり、また意義について、端的に伺いたいと思います。
 先ほど来より、世代ごとのリスク、ベネフィットのお話、どのようにワクチン接種を進めていくかという運用部分のお話についての御意見もあったと思いますが、そういうことも運用として動かしていく上ではやっぱり法的根拠も含めて必要であるというふうにも思っておりますし、先ほど坂元参考人からは自治体の体制整備というところで法的根拠が必要だという御意見があったところであります。
 そういう点も含めて、今、アドバイザリーボードのメンバーとしても危機意識をしっかり発揮するというお立場から、今回の法案が全体の対策についてどういう意義を持っているというふうにお考えか、お伺いをしたいと思います。

#41
○参考人(脇田隆字君) お答えしたいと思います。
 新型コロナウイルス感染症の対策において、今現在は、我々もこうやってマスクをして、手洗いをして、ディスタンスを取って、三密を避けるといったことをやっている、それでまあ何とか感染を予防しているという状況なんですけれども、いわゆる新しいワクチンが利用できるようになって、そして個人個人がこのコロナウイルスに対する免疫を付けるということがこの流行を抑えていくことで非常に重要であるというふうに考えています。
 そういった意味で、今現在開発が進んでいる新型コロナウイルスに対するワクチンが承認をされて、その効果とそれから安全性がしっかりと検証した上で使えるようになれば、それはなるべく早く市民、一般の方々に接種ができるような体制をつくるということがこの感染症を克服するために重要であるというふうに考えています。
 もちろん、接種の際の実施体制である、これはもちろん、やはりこういった国全体での流行における感染症ですので、国が主体となって行っていただき、ただ、実際にその接種を実施するのは川崎市を代表とするなどの市町村ということになりますから、そういった国とそれから都道府県、そして市町村の役割をしっかり明確にして、さらに、その費用の負担は国が全体的には負担をしていただいて、さらに、国民としてはそのリスクとベネフィットをしっかり見極められるような情報を届けていただき、有効性と副反応に対してもしっかりフォローすると、そういったワクチンを届ける全体の体制をしっかり整えていただくということがこの法案の意義であるというふうに理解をしています。
 ありがとうございます。

#42
○矢倉克夫君 ありがとうございます。全体の体制を整える上でも必要だという御意見は大変参考になりました。
 その上で、早期に届けるべき、安心を届けるという意味合いでも重要なワクチンの点ですけど、安全性と有効性というのをしっかり確認しなければいけないのは当然でありまして、それで、片山参考人にお伺いをしたいと思うんですが、まず、先ほど、今四つのワクチンの概略、非常に分かりやすい資料をありがとうございました。
 今の進んでいるワクチンというのは、多くはこれまでに、日本では有効というか、日本では流通というか、日本では使用されていなかったメッセンジャーRNAワクチンであったりウイルスベクターワクチンなど新しい技術を持ったタイプのワクチンということになります。
 こういう特質を持ったもの、今まで例がないからということの不安感もある一方で、例えば毒性を抜いたウイルスを入れる今までのワクチンとは違って、安全性という点でも一般的にはという、むしろあるんじゃないかというような御意見も一部であったりとかするんですけど、そういう部分について、今開発されているワクチンの一般的な安全性について等、もしお分かりのところがあればおっしゃっていただければと思います。

#43
○参考人(片山和彦君) この四つのタイプのワクチンについては、一番最後のノババックスのリコンビナントたんぱく質というものについて、今のワクチンに現状一番近いものです。例えば、パピローマウイルスのVLPというのもリコンビナントウイルスたんぱく質の一つですから、あのワクチンというのが大体これと同じタイプというふうに御理解いただければと思います。
 残りの三つが新しいもので、アストラゼネカのアデノウイルスというのは組み換えたウイルスそのものを打ちますので、そこにちょっと抵抗があるかもしれませんが、実際にウイルスとしては複製する能力を奪ってありますので、そんなに心配することはないと思います。
 それから、メッセンジャーRNAのタイプですけれども、それぞれ必要最低限の領域を宿主の細胞の中で合成させてウイルスのたんぱく質を表示させると、提示させるというタイプのワクチンですので、むしろ不活化の全粒子ワクチンと比べると副反応が出にくいのではないかと私たち研究者の目からは見えます。必要最低限の領域だけを提示させるということですね、余分なものは入れないという形です。
 それから安全性という面ですが、治験のデータ以上のことは私たちには分かりませんので、治験のデータを見る限りにおいては、今まで過去に開発されたワクチンに比べて安全性が低いというデータにはなっていません。ほぼ同じレベルになるだろうと思います。

#44
○矢倉克夫君 ありがとうございます。
 その安全性の確認について、先ほども少しお話がありましたが、この日本での第三相試験というのがなかなか困難性を伴う状況下にあって、どう安全性を確認するか。
 本会議等でも話は出ているんですけど、PMDAでは、海外で発生予防効果を評価する検証的臨床実験が実施された場合では、日本人における免疫原性であったり安全性を確認することを目的とした国内臨床試験を実施することで十分な場合があるとされておりますが、こういうこの日本における検査において、今やったような目的を達するために必要な検査、どういうデータが必要でどういう検査が必要なのかということをもう少し細かく、もし御知見いただけるところがあれば教えていただければと思います。

#45
○参考人(片山和彦君) 安全性に対するデータですが、世界的にやはり欲しているデータというのは同じなんですね。自分たちの国で自分たちの民族でやってみたいと。データを取って安心を手に入れたいという気持ちは同じだと思います。
 ただ、例えば人種の、人種間差等について反応の違いですけれども、それについては、ファイザー、モデルナ、アストラゼネカ、ノババックス、この四種類とも、USで治験をやっているもの、それからUKで治験をやっているもの、メキシコで治験をやっているもの等が交ざっています。どういった民族がどの程度、どういった人種がどの程度入っているのかというデータが治験データとして開示しているところもありますので、その中を見ていただくと、アジア系の民族がどれぐらい入っているのか、反応が同じだったのか否かというところを見ていただくことができると思います。そういうデータを見るしか今のところはないかなというところですね。

#46
○矢倉克夫君 じゃ、企業としては、最低限、日本に該当するような臨床試験もしっかりとやって、それをデータを開示するというところがやはり重要だということの理解でよろしいんでしょうか。片山参考人。

#47
○参考人(片山和彦君) 理想的には、導入する国に対して導入する国でそのメーカーのワクチンを治験をしていただいて、第三相の試験をきちんと最後まで成立させて、それから導入するというのが本当のワクチンの導入の方法だと思います。

#48
○矢倉克夫君 ありがとうございます。
 続いて、坂元参考人にお伺いをしたいと思います。
 資料、いただいた資料、川崎市の取組、本当にすばらしい、今までの御経験に基づいた着実な取組であるなというふうに思いました。私も国会質問の方で、全国の自治体の方から、仮に集団的な接種が行われる場合の体制整備というのはどうすればいいのかという御懸念があるということを聞いておりまして、まさに全国の懸念を体現された取組であるなと。先ほど、これをモデルケースとしてしっかりと広げていくというようなお話もありました。それについては、我々もしっかりと対応できるところ対応していきたいなというふうに思ったところであります。
 その上で、具体的に、先ほど石橋理事からも地方自治体の体制ということでお話がありました。私も全く同じ問題意識でありまして、それをどのようにするかということなんですけど、具体的には、人員の補充のための国の予算というところも、それも全くそのとおりだと思うんですけど、川崎市の場合は六百の医療機関があって、そこに医師の方がいらっしゃる。まさに接種をしてくださる医師の方がどれくらいいらっしゃるかということも非常に重要かと思うんですが、そういう人員、専門家の方を対応できないような自治体に対しては、どのような枠組みで集団的な接種ということも含めて体制組みをつくるべきなのかということをまずお伺いをしたいと思います。

#49
○参考人(坂元昇君) 割と医療従事者が豊富な自治体とそうでない自治体に関しては、やっぱり広域連携を組むことが私は必要ではないかというふうに思っております。
 それと、やはり、先ほどはちょっと述べ忘れたんですけど、国民のやはりこのワクチン接種に関して最大の不安は、副作用が出るんじゃないか、副作用を隠すんじゃないか、大丈夫かというのが私は共通した不安であるというふうに思います。
 現在、メーカーの方から我々の方に、いわゆる市販直後調査というのが法律で義務付けられて、それを国が進めているVシステムと連携をして見える形でできれば全症例の副作用等を集めたい、その際、自治体は協力いただけますかという今までにない問合せが来ております。こういうシステムを使えば恐らく瞬時に、一週間程度で百万程度の情報を集めることが可能なので、こういう意味でのまず国民が一番不安に思っている情報システムを公開という形で見える化して、メーカー、行政が一体となって私はつくっていくということが最も大事ではないかというふうに思っております。
 そういう点も踏まえて、広域的な委員会等をつくって、その人員がいない市町村への支援とか、そういうことをやっていけたらいい、いいかなというふうに思っています。その意味でも、しつこくなるんですが、やはりこういう体制を組むためには、一刻も早く法を通していただいて、市町村がしっかりした法的根拠に基づいてやっていける体制を築いていきたいというのがお願いであります。
 以上でございます。

#50
○矢倉克夫君 ありがとうございます。まさに、広域連携というのが非常に重要かなと思います。
 その上で、さらにデータ上の広域連携というところも。先ほど、接種の台帳の連携についてある程度は、こちらも済みません、坂元参考人にお伺いしたいと思うんですが、ある程度はできているというところがあると思うんですが、最終的にはこれ全国に広げていかなければいけない、また、医療機関との連携というところも必要かというふうに私は思っているんですけど、現場の感覚からその辺りについての御意見をもしいただければと思います。

#51
○参考人(坂元昇君) 予防接種台帳は、現在、多くの自治体で電子化されております。ただ、これは、予防接種が接種主体が法的に市町村ということから、システムの設計がそれぞれの市町村で行われているということから、広域的なシステムを連携するためにはある種特殊なソフトを介入させるとか、そういうことが必要であると思っております。
 今回の新型コロナウイルスに対して最大にちょっと考えなければいけないのは、予防接種台帳には、通常、接種歴のみで、そういう副反応とかそういうものが書き込まれないというシステムになっておりますので、私は、先ほど来述べておりますメーカーが法的に義務付けられている市販直後調査、ほぼこれ全数調査でございます、それとリンクさせていく、それから国が進めているワクチンの配布システム、Vシステムをリンクさせていくということで、この三つをうまいことリンクさせて、国民の多くの方が起こった副作用とかそういうものを正しい目で見れるシステムを広くつくっていくことが大事ではないかというふうに思っております。
 以上でございます。

#52
○矢倉克夫君 ありがとうございます。デジタル庁の話なども、しっかりそういう形での方向からも考えなきゃいけないなと今思いました。
 その上で、今の副反応についての共有というところ、非常に重要かなと思っております。隈本参考人に、その辺りについての御意見がありましたらおっしゃっていただければと思います。

#53
○参考人(隈本邦彦君) まさにその市販直後調査等が、誰に打ったかということは実は市町村は知っているのに、その後何が起きたかということについては市町村は積極的に調べていないというのが今のワクチンの現状です。ですから、もう自発的な、スポンテニアスな報告を受け付けるだけ。そして、それだとやはりみんなが監視していないと上がってこないというのは実例を申し上げたところですが、メーカーと医療機関だけが報告するという仕組みがやっぱりちょっと足りないんだと思います。
 アメリカでは、VAERSといって、誰でも、接種を受けた人なら誰でも報告できる仕組みがあります。それを、そういうものを、せっかくデジタルの世界になるわけですから、その接種台帳の電子化された接種台帳とリンクさせて、接種した人がその後どうなったのかということを多角的に集めていってしっかり分析していただく。そのデータがあれば、みんな安心して、まあこれぐらいのリスクならやってみようかというふうに受けるようになるんだと思うんですね。
 そういうことはなしに、安全なんですよと、ずっと、私も実は厚生省をずっと取材していたので分かるんです。つまり、僅かなリスクを怖がってみんながワクチンを受けなくなったらどうしようと、せっかく病気が予防できるいいワクチンがあるのに、何か怖がり過ぎて打たない人がいるんじゃないかという、そういう不安を常にワクチン行政を進めている技官の方はみんなお持ちです。あるいは専門家の方もそう思っていらっしゃると思うんです。
 しかし、それは、だから安全だと言い続けることが大事なのではなくて、本当の実像を国民に伝えて、これぐらいのリスクはあるけど、でもこれだけメリットがあるんだよということを正しい数字で伝えていくということがその姿勢として大事で、ついつい僅かなリスクを怖がる、庶民は、確かにそのとおりです。僅かなリスクを怖がるけど、だから、ワクチンを打たなくなるのが嫌だから安全だと言い続けるというのではない姿勢がとても大事で、そういう意味では、このワクチンをきっかけに、まさに臨時の予防接種に位置付けるとしたら、是非そういうシステムの構築をお願いしたいと私の方からも思います。
 以上です。

#54
○矢倉克夫君 ありがとうございます。情報を提供する、根底には当然国民、判断する国民を信頼するという観点が当然あるかなと思います。その部分でも非常に示唆に富むお答えでした。ありがとうございます。
 ちょっと最後の質問になると思うんですが、坂元参考人にお伺いしたいんですけど、事前に、要は、これ新型インフルエンザのときの経験を踏まえた上で書かれた文章だと思うんですけど、これ、感染症対策におけるコミュニケーションにおいて大事なのは加害者と被害者という構図をつくらないことだという、そういうお言葉があり、私は本当にそのとおりだなと。特に、コロナの状況にあっては、被害者、みんなも被害者になり得る危険性もあるということとともに、自分も加害者になり得る可能性もあるという、そういう理解をしっかり持つことがやはり重要かなというふうに今思っているところであります。
 そういう今おっしゃったことを実現するために、政府として、また我々として発信すべき情報を含めてどういう観点で進めていくべきかということ、最後、御意見をいただければと思います。

#55
○参考人(坂元昇君) 市町村において過去の感染症をいろいろ扱っている中で、一つのネックは、自治体ごとに公表基準が違うということがあると。住民の方が、例えば隣の横浜市まではここまで公表して川崎市はここまでとか、何か隠しているんじゃないかとか、逆にそういうものが不安になってくるので、私は、個人が特定されない形である程度感染予防という観点からできるだけ情報は公開していくべきだと。
 その中において、やはり個人攻撃というのは、今の段階で、川崎市でもそうなんですが、SNS等で行われるということで、やはりここの監視と。そういうことを書き込む人がいたら、そこは徹底的にやって、いわゆる感染症は個人の責任ではないと、これは集団でちゃんと対応していく問題だということを繰り返し繰り返しやはり国民に伝えていく私は必要があるだろうというふうに思っております。
 以上でございます。

#56
○矢倉克夫君 ありがとうございました。
 四人の参考人の先生方、大変貴重な御意見、誠にありがとうございました。しっかり政策に向けていきたいと思います。
 ありがとうございました。

#57
○梅村聡君 日本維新の会の梅村聡です。
 今日は、四人の参考人の先生方、貴重な御意見をありがとうございます。
 それでは、お一方ずつ私の方から質問させていただきたいと思いますが、まずは脇田参考人にお伺いしたいと思いますが、この質問は、どちらかというとワクチンそのものというよりも、今アドバイザリーボードでしていただいている今の新型コロナに関する御質問を一つさせていただきたいんですが。
 今年の二月からこの感染が広がりまして、日本国内で世界に比べて非常にうまくいった戦略の一つが、いわゆるクラスター対策というものと、それから、濃厚接触者の方をしっかり特定をしていってそのクラスターそのものを潰していくということについては、私はこれ一定の成果が出たのではないかなというふうに思います。特に、二月、三月の広がり始めたときは、やっぱり医療体制も十分ではなかったと思いますので、それが整うまでの一つの戦略としては非常に有効だったとは思うんですが、事今回のこのいわゆる第三波になってくると、市中感染の様相を呈してきています。
 追跡できないような経路不明の方も非常に増えてきている中で、保健所とか自治体のマンパワーの問題も考えると、そろそろクラスター対策はある一定のところにしておいて、それよりも早期発見、早期治療、こちらの方にシフトしていく時期も考えないといけないんじゃないかなと、こういうふうに思うんですが、こういったことに関して、クラスター対策ですね、いつまで今の体制で全数を追いかけていくということを考えておられるのかという、この御所見をお伺いしたいと思います。

#58
○参考人(脇田隆字君) お答えいたします。
 そういった対策については、もう二月以来ずっと専門家会議、そしてアドバイザリーボード、分科会で議論をしてきております。
 クラスター対策は、当然、流行がそれほど広がっていない時期には非常に有効であるということは間違いないと思います。早く感染者を見付けて、そしてその濃厚接触者からの感染を防ぐということですね。さらに、レトロスペクティブ、後ろ向きの調査によって感染の場を見付けるということで、これまでもどういった場でこの新型コロナウイルスの感染症が発生しているのだということを明らかにしてきたということがあります。
 ただ、三月から四月にかけて、緊急事態宣言ということになりましたけれども、そのときも、やはり感染の状況が非常に蔓延化といいますか広がって、そして、やはりクラスター対策だけではもう対応ができないということで、医療体制の逼迫もあり、接触の削減ということを、それから移動の制限ですね、そういったもの、自粛といいますか、そういうものをお願いをしたということになります。
 現在までも、それで目標は、やはりそれで感染の状況を改善をして、またクラスター対策ができるようなレベルまで落としていきたいということで、緊急事態宣言が解除されということを要は繰り返しているといいますか、それで、現在の状況は、保健所の先生方、本当に頑張っていただいて、明らかなその感染源というものはもうかなり押さえてきているわけですね。ですから、今現状で、市中感染とおっしゃいましたけれども、今どこに本当に感染源があるのかというのは非常に見えにくくなってきているというのが現状です。
 したがって、クラスターはあるんだけれども、そのクラスターがどこにあるのかというのは非常に見えにくい状況、それが広がってきてしまっていると。本当にその市中で感染をしているのか、いや、そうではなくて、その見えないところなんだけれども、やはり感染のリスクの高いところで感染をしているのかというと、我々専門家の中では、やはり感染リスクの高いところで感染が広がっているのだろうと。本当に町中を歩いていてすぐに感染してしまうとかそういうことではなくて、やはり会食の場であったりリスクの高いところでの感染がやはり広がってきているという状況というふうには判断をしています。
 ただ一方で、今委員がお尋ねになったとおり、感染が広がってきますと、やはり全数把握をどうするんだとか、それから積極的疫学調査の優先順位を考える必要があるとか、そういった議論が当然出てくるというふうに思います。
 ただ、今この状態であれば、今、昨日の分科会からも提案がありましたとおりに、接触の機会を今ここで少ししっかりと抑える、三週間抑えてみて、それで感染状況を改善させたいということになっています。ですから、やはり我々これから、今いわゆるステージ三相当の状況にあるような場所ではそういった感染を抑えるような対策をしっかりと取っていただいて、その状況を改善させることによって緊急事態宣言のような状況にはならないようにしていきたいというふうに考えています。
 ただ一方で、この新型コロナウイルス感染症の対応において、本当に全数把握いつまで続けるんだという議論は常にこれからもしていくべきだということは考えております。

#59
○梅村聡君 ワクチンではそのベネフィットとリスクという考え方がありますけど、政策の場合はそのベネフィットとマンパワーの問題もあるかと思いますので、特に自治体や保健所の職員さんが、私がお聞きする限り、かなりそのクラスター対策で疲弊をされているという面も多いと思います。ですから、そのマンパワーの面も是非検討の中で議題に上げていただきたいなというふうに思います。
 それでは、坂元参考人に次お聞きしたいと思いますが、私も地元が大阪ですので、非常に大都市でこのかなりの数の方にどう接種していくかというのは大きな問題だと考えています。
 今日御紹介いただいたのは、一つは、今回法案が通れば、臨時接種ということになりますから、実施主体は市町村、市町村長ということで、個別接種に関しては委託契約を結んだ医療機関がかかりつけ医として打つという方法と、それから市町村が主体となった集団接種というものの御紹介というのがありましたけど、私、働く世代の方がなかなかワクチン打ちにくい理由の一つが、やっぱり仕事を休まないとかかりつけ医に行けないと。そうして、かかりつけ医にやっと行っても、恐らくワクチンを打つとなるとかなり並んで、一日掛かりで並ばないと打てないみたいなことで、働く世代の方が、優先順位にもよるんですけれども、どのように機会をつくっていくのかが一つ重要だと思っています。
 おとといの当委員会でも私ちょっと質問をさせていただいたのは、職域で、例えば定期健診とか特定健診とか、場合によっては人間ドックもあると思うんですけれども、労働者は労働安全衛生法で必ず受診の機会、健康診断の受診の機会がありますので、委託契約を、その健診医療機関と委託契約を結べば健診と一緒にワクチンの接種ができると。こういう第三の道というか、ちょっとこちらでされていたのかもしれませんが、そういう方法も考えられると思うんですけれども、坂元参考人の御所見を教えていただきたいと思います。

#60
○参考人(坂元昇君) ただいまの御指摘、もっともかと思います。
 働いている方がわざわざ仕事を休んで受けに行くということは非常に大変なことだろうと。そこに際して、例えば川崎市を例に取りますと、数多くの方が東京都で働いております。仮に東京都の医療機関で受けられる、それからお勤めの企業でそこの産業医等が打つという想定は考えるべきだと私も思っております。
 最も大事なことが、一体どれだけの方が受けるかというある程度の基礎調査がないと、そういう振り分け、どの施設でどれぐらいを想定するという振り分けが市町村にとって難しいので、その辺のところを何らかの形でやっていけたらというふうに思います。
 それからもう一つ、例えば学校での集団接種の在り方、そうすると公立学校、私立学校で越境されている方もいますので、そういう意味では、ある一定の広域の自治体と相談しながら、そういう移動を要する方のお仕事を邪魔しない範囲でどうやったらいいかということは積極的に考えていきたいというふうに思っております。
 以上でございます。

#61
○梅村聡君 今、職域と申し上げたのは、先生おっしゃるように、その数がある程度読めるというのがあると思うんですね。職場の労働者以上の方が来ることはないので、一人、二人会社休まれる方でその日受けないということはあったとしても、数が大体読めると。全くの宣伝だけでこの日にやりますからという話になると、それこそ雨が降ったりそういうことでかなり差が出てくると思うので、是非そういうことも考えて、厚労省の方で、働きかけていきたいなというふうに思います。
 それでは、次、隈本参考人にお願いしたいと思いますが、確かに、今回、私も本会議でも質問したんですけれども、薬事承認の中で第三相試験がないことについて国民の方がどう見るかなと。つまり、国際的に約束をしたことで、これで安全が確保できるんだというのはいわゆるプロの議論でして、国民の方がそれを聞いたときに、さてどう感じるかなということが、私はここ一番大きなことだと思うんです。
 今日、隈本参考人の資料の中で、この二ページ目ですかね、接種勧奨と努力義務を課す前提としてそのワクチンには高い有効性と安全性がなければならないという、こういう内容の文章があるんですけど、ちょっとこれ私の解釈が間違っているかもしれないんですけれども、そもそも高い有効性と安全性は、任意接種だろうが定期接種だろうが、薬事承認としてされるときにはもうこれ既に必要なものであって、これがもうひとつ疑わしいから接種勧奨や努力義務を課す課さないという議論は、私ちょっと違うんじゃないかなと思っています。任意接種だろうが何だろうが、ある一定のレベル以上を日本では必ず確保しなければいけないもので、その中で、有効性に加えて、その病気の例えば致死性がどうなのかとか、社会に対するインパクトがどうなのかとか、あるいは社会全体の経済活動含めてどういう影響があるのかというところ、総合的に判断してこの接種勧奨と努力義務が課せられているのではないかなと、そう私は考えているんですけど、これはちょっと隈本参考人のお考え、違うのかどうなのかお聞きしたいんですが。

#62
○参考人(隈本邦彦君) 先生御指摘のとおりで、とにかくワクチンには、健康時に打つものですから、当然高い有効性と安全性がなければならない、おっしゃるとおりだと思っています。ですから、最低限必要なものは、任意接種であろうが、それは義務接種じゃなくて接種勧奨であろうが同じであります。
 ただし、過去の、これまた古い話ばかりしてあれですけど、過去のワクチンの事例を見ますと、やはり出てからすぐはその実力がはっきり分からないので、任意接種でかなり進めてから、そしてこの効果も十分だし、一番欲しいのは、この臨時の予防接種ですから、感染を広げない、流行を止めてしまう力ということなんですが、そういうものが分かってくるまでには、やはりある程度の時間を掛けて任意接種を続けながらその中でデータを集めていき、これは国民に自信を持って勧められるワクチンだなとなってから定期接種になっているという、これは過去のワクチンはみんなそういう歴史を持っていると思います。
 ちょっとまた物議を醸しますが、HPVワクチンは承認されてから一年ほどで接種勧奨の臨時の事業が始まって、ほとんど無料で打てるようになってしまったので、それちょっと僕らは早いなと感じているので今申し上げているところです。ほとんどのワクチンは任意接種である程度実績を積んで、まさにプロの目で見てこれは国民にお勧めしてもいいなというふうにはっきり自信を持てるようになってから勧奨と義務、努力義務がつくられてきているという流れがあると思います。
 もう一つ、また古い話を申し上げれば、元々予防接種法が改正されて、今、個別接種になっている、昔は義務接種と言っていたのを勧奨であるというふうに言うようになったのは、定期接種と言うようになったのは、やはり一人一人の健康状態を十分確認して、ちょっとこの人はワクチン打って大丈夫かという人をうっかり打たないようにするというそのワクチンの安全性の考え方ですね、そういう考え方で長年つくられてきたものですから、今、とにかく打たなきゃという雰囲気になっていることに私はちょっと心配をしているわけです。つまり、例えば、わあっと集団で接種をすると、中には本当は体調が良くないのに、まあこれ打つのが国民の義務だろうとかいってやってくる人がいたらどうしようということを念頭に考えております。接種勧奨というのはそういう重いものじゃないかというふうに受け止めて申し上げました。
 基本的に高い有効性と安全性がなければそんなワクチン認めちゃいけないというのはまさにそのとおりで、私もそう考えております。
 以上です。

#63
○梅村聡君 思いは私も共有しております。
 そんな中で、その今委員のお話でいくと、実力がはっきりするまでは任意接種という形ででもやっていったらいいじゃないかということなんですが、これちょっと鶏が先か卵が先かみたいな話になりますけど、任意接種でいきますと、健康被害が生じたときの、この接種勧奨と努力義務がなければそのときの補償とかそういうものも当然低くなるんですけど、その点はどうお考えなんですか。

#64
○参考人(隈本邦彦君) 私もその点、そこは問題だなと感じておりまして、我々の意見書にもそう書いておりますけれども、要するに、過去の新型インフルエンザのときには補償の方は十分というようなやり方も、これから作る法律ですので、そういう意味では、接種に関しては勧奨ではないし努力義務もないけれども、補償は当然公費で持って、国が行う接種ですので公費接種と同じ補償の仕方をするということは十分可能だと思います。
 そして、今、任意接種で行われているものでも、市長会とか全国町村会の入っている保険でかなり高額な、市町村の判断でやった場合ですね、国の接種勧奨のあるワクチンじゃなくても、市長会とか町村会の持っている保険でかなり高額な補償があります。ですから、そういう仕組みも是非活用していただいて、そういう方策を是非皆さんに考えていただきたいなと思っております。
 以上です。

#65
○梅村聡君 ありがとうございます。
 それでは、ちょっと時間少なくなったんですが、片山参考人にお伺いしたいと思いますが、先ほど、海外の新型コロナウイルスと国内のものは基本的には同じものだ、同じようなものだと。ただ、慶応大学で遺伝子解析なんかを今進めているというお話がありましたけれども、これちょっと毒性ということに限ると、毒性に関してもほぼ同じだという結論が出ておられるのかどうか、結論というかそういう見立てがされているのかどうか、教えていただきたいと思います。

#66
○参考人(片山和彦君) 毒性に関してですが、実際のところ分かっていません。
 つい最近ですけれども、一アミノ酸変異が増殖能力の高いウイルスを生み出すという報告が東京大学のグループからもございましたし、大阪の微生物学研究所の松浦先生のグループからもあったと思いますけれども、確かにインビトロで試験管の中で増殖の速度を比較すると僅かに違いがある。でも、そのウイルス自身は、実は日本の中では二月の時点から既にはやっていた主流の株なんですね。
 ですから、患者さんの中で、重症患者、重症化になってしまった方と、普通の感染症として二週間ぐらいで治っていった方、このウイルスを二つを比べても差がほとんど認められませんし、一定の傾向は見出せないということから、私たちウイルス学の立場からすると、まだ毒性に関してはどこが担っているのかはよく分からないというのが実際のところです。

#67
○梅村聡君 ちょっと時間なので、ちょっと最後にお聞きしたいと思うんですが、厚労省にもこの間質問したんですけど、まだそういう研究はされていないということなんですが、在外邦人の、例えばニューヨークやロンドンやパリに住んでいる日本人の方の感染率とか重症化率とか死亡率を出していけば、この日本国内と比べれば、同じ遺伝子というか人種なので、毒性をある程度推測できるとは思うんですけど、そういう研究というかモデル設定というのは余りされないものなんですか。

#68
○委員長(小川克巳君) 時間ですので、簡潔にお答えください。

#69
○参考人(片山和彦君) そういうモデル設定をして人種間の遺伝子を調べている、そういう研究もされていますし、ウイルス側の遺伝子を一つずついじってウイルスの病原性変化を試験管の中で調べているという地道な研究も同時に進んでいます。

#70
○梅村聡君 終わります。
    ─────────────

#71
○委員長(小川克巳君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、島村大君が委員を辞任され、その補欠として山下雄平君が選任されました。
    ─────────────

#72
○足立信也君 国民民主党の足立信也です。
 今日は、先生方、ありがとうございます。
 私、丸々二十二年間、消化器外科医やっていまして、大学とかその関連施設で、その後議員になったわけですけど、もう十六年以上たっていて、よく分かる分野と分かりにくい分野があるんですが、しかしながら、二〇〇九年のときに、新型インフルエンザ第二波の大流行のときに今いろいろ問題になっていることを、まあ現場監督みたいなもので、国会のですね、国の、やってきたので、それを基に聞きますが、なかなかドクターじゃなきゃ聞きづらいことが、いろいろ皆さん、実は分からないんだけど分かっているような顔をしなきゃいけないようなところもあって聞きづらいことがあると思うんで、私はそういうことを聞いていこうかなと今日思っています。
 まず、脇田先生にお願いしたいんですけど、今回、二億九千万回分の輸入ワクチンを契約するんだという話になっていますね。前回、十一年前は、海外の治験のデータ、それから臨床試験の結果、国内における臨床試験のデータ、それから市販後調査も全部公表したんですね。
 そんな中で、本会議とか委員会の質問を聞いていて、ここから質問なんですが、人によって言い方が違うんですよ。国内では何をやるかと。第三相試験をやれとか、治験をやれとか、臨床試験やれとか、人によっていろいろ違うんで、多分僕、区別が付いていないんじゃないかとまず思いましてね。私は国内では少なくともパイロット的な臨床試験必要だと思っていますが、国内で必要な、その第三相試験なのか、治験なのか、臨床試験なのか、そこをちょっと分かりやすく説明してもらいたい。

#73
○参考人(脇田隆字君) お答えします。
 国内で必要なのは、やはり臨床試験ですね。今現在、第三相試験は海外で行われています。通常、お薬であったりワクチンであったり、まあこれ臨床試験を行いますが、第一相、第二相、第三相とそれぞれ役割が違うわけですけれども、通常、日本でなかなか大規模な第三相試験ができないときには、海外の第三相試験の結果でその有効性、安全性を確認しつつ、第一相、第二相は国内でその小規模な試験を行って、それを合わせて承認のプロセスに至るということだと私は理解しております。

#74
○足立信也君 ありがとうございます。全く同感です。
 それで、十一年前は、ワクチンが輸入だと、それから量が少ないということで、メーカーの推奨は二回接種なんだけど一回でいいんじゃないかという議論が最初に起きたんですよ。それはエビデンスをつくらなきゃできないという話をしまして、臨床試験でもそこで一回のものと二回のものと何が違うのかという話をしたんです。ですから、やっぱり最低限、一相、二相含めたような臨床試験は必要だろうと。後で触れますが、私は一回打ちで済むんじゃないかと実は思っているもので、それはもう後に譲りますが。
 もう一問だけ、脇田先生に。七月のネイチャーに、コロナウイルスの検査は、感度の問題がいろいろあったけれども、感度よりも頻度だということを掲載されているんですけど、感染研で職員の方は今自費によるPCR検査あるいは抗原定量検査というのはどれぐらいの間隔でやられているんでしょう。

#75
○参考人(脇田隆字君) お答えいたします。
 感染研において、多分お尋ねのことは感染研の職員が自費によって検査をしているかということだと思いますが、自費による検査は感染研の職員に対しては行っておりません。
 以上です。

#76
○足立信也君 私は、診療に従事する方々あるいは介護施設の方々、定期的に検査していかなきゃいけないと、その仕組みが日本にないのが問題だと実は思っているんですね。メジャーリーグの前田健太投手が、メジャーリーグは二日に一回検査してきたと。すごいなと思ったんですが、そのことをちょっとお聞きしたくて。やっていないということですね。あっ、あります。

#77
○参考人(脇田隆字君) 定期的な検査による感染者の発見というものももちろん有効な場合があるというふうには感じております。それは、市中における感染状況によるものもあると思います。
 一方で、感染研含めて様々な地域あるいは自治体で今進めているのが、例えば症候群サーベイランスであるとか、あとはエビデンスサーベイランスという、イベントサーベイランスというものであります。そういったサーベイランスを用いて、例えば発熱の人がどのぐらいいるのか、ある時期あるいはある部署においてその発熱の患者がどの程度発生しているのかというような兆候をつかむということも一方で有効なものでありまして、そういった調査も自治体によっては導入しているところもあります。感染研においてもそういったものを導入をしようというところで今動いているところであります。

#78
○足立信也君 じゃ、坂元先生にお伺いします。
 川崎の取組、これ恐らく坂元先生と岡部先生でツートップでやられているんだと、やっぱりすごいなと思います。法案成立を速やかにという話ありましたけど、本会議でも委員会でも幾ら質問しても何も決まっていないんですよ。何も決まっていないところを、全くの白紙委任の委員会をやっているようなもので、これが極めて空疎な感じを今私自身は受けているんです。
 実は、十一年前、海外で承認をされて契約したのが、流行し始めた十月の頭です。十一月に健康被害の法案と損失補償の件で法案を特措法を作って出して、輸入が十二月で、優先順位を付けてやったわけですね。それぐらいの間隔でも承認されてどういうものだって分かっているからできた話であって、今何も分かりませんと言われるんですよ。その後も、三月に終息宣言をして、総括会議をつくって、総括報告書を六月に出して、そして八月にワクチンギャップ二十年というのを乗り越えるために三つのワクチン、Hibと小児の肺炎球菌とHPV、これをスタートさせたわけですね。
 そういう中で、先ほど梅村先生からもありましたけど、東アジアに非常に感染率、死亡率、重症化率が低いと。この理由として、やっぱり交差免疫があるんじゃないかという説が一番有力だと思うんです。ネアンデルタール人の遺伝子が重症化した国に多いというような話ありましたけど、交差免疫があるからだと。仮にそうだとしたら、さっき質問した件、話した件なんですが、ワクチンは一回打ちでもかなり有効性が出てくる可能性があると思うんですね。そこら辺は、あの当時は岡部先生がそれ関わっていられたと思うんですが、坂元先生の方はそこはどう考えられますか。

#79
○参考人(坂元昇君) まず、臨床試験のことですが、私、昔、国際的な臨床試験をやっていた経験からいいますと、今議論になっている第三相につきましては、海外である一定程度のデータが出たものを我が国でもう一度ダブルブラインドでやるというときに、その偽薬、プラセボを投与される方への倫理的配慮という問題から、これは国際的に余り好ましくないという見解があるようであります。
 それよりも、むしろ第二相のいわゆる免疫原性とかそういう細かな生物学的なチェック、ここにおいては毒性等も含めた、それは現在メーカーの方で数百人規模でやられているというふうに聞きますので、やはりその辺の詳細なデータの公表をしっかりやっていただきたいということと、御質問の一回接種なんですが、少なくても、現在出ている論文を見ますと、やはり二回目の方が中和抗体とかそういうものの上昇が見られると。
 ただ、問題は、委員御指摘のように、これどれぐらい続くかということが分かっていませんので、正直言って、我々のレベルから一回でいいのか二回でいいのかというのは、やはり海外での治験のデータ、私は現段階では論文レベルでは中間発表ではないかというふうに思っておりますので、先生御指摘のように、より詳細なやはり結果を一日も早く公表していただきたいというふうに思っております。
 以上でございます。

#80
○足立信也君 続いて、先生、必要な接種率、どれぐらい接種してほしいかなという話なんですけど、例えば前回の新型インフルエンザのときも、優先接種対象者五千四百万人のうち接種は五四%ぐらいです。それ以外の方は五%ですよ、接種したのが。季節性のインフルエンザの予防接種も、二〇一八年度で日本は五割に行っていないですね、四八%ぐらい。イギリスやアメリカなんかに比べるとはるかに低いわけですよ。
 で、総理に質問したら、これは個人防衛ですか、社会防衛ですかと言ったら、両方ですと言うんです。となると、ワクチンの接種率、これぐらいは欲しいなというのがありますよね。どれぐらいを想定されていますか。

#81
○参考人(坂元昇君) 私は専門家ではありませんが、直近の論文等を読むと、集団免疫効果というのはどうやって決まるかというと、一引く一の分母に再生産率を入れてそれでその差を見るということの計算式と同時に、ワクチンのそこに有効率というものを勘案して計算するという直近の論文が幾つか出ておりますと、見ますと、今回のモデルナとファイザーの九〇%という有効率というものを余り想定していなかったようで、どうも五〇程度の有効率を想定して計算されているのを見ますと、国民の六割から七割ぐらい接種するといいんではないかという一つのモデルが出ているだけでありまして、実際、確かなものというのは現在まだないように思われます。
 以上でございます。

#82
○足立信也君 隈本さん、ちょっと最後に質問します。ごめんなさい。
 片山先生にお聞きしたいんですけど、日本での小さな第一波、武漢亜型と言われていますね。三月、四月は、これゲノムシークエンスでヨーロッパ型だと、第一波ですね。それから、七月、八月のいわゆる第二波というのは東京型、東京・埼玉型。その間に無症状者で変異が起きたと。二週間に一回変異していますからという話で、私はこれが終息し切れずに今の波になっていると思うんです。
 ここで二つに分かれると思うんですね。終息し切れないから東京型がもう一回再燃しているのか、あるいはヨーロッパで今猛威を振るっているスペイン型といいますか、スペインで六月から非常に流行して、今大半を占めているこのタイプが来ているのか、これによって対処の仕方違うと思うんですよ。海外から来ているとするならば、もう国交といいますか、外交の問題であるし、国内のものが再燃しているとすれば、再燃しているとすれば、やっぱり国内の移動をかなり制限しないとよくないんじゃないかと、私、対処違ってくると思うんです。
 そこで、ワクチンの話なんですが、今回新しいタイプ、メッセンジャーRNAとウイルスベクター、組換えたんぱく、リコンビナントという話もありました。ここで、以前と、従来のやつと比べて、そのウイルスの株がそのものがないと開発できないというタイプのものはあるんでしょうか。つまり、どういうことかというと、今、仮にヨーロッパ型が流行しているとしたら、その元がないとできないとか、あるいは今作っているものが以前のものを作っているということもあり得るので、このワクチンのタイプで元々の株がないとできないというのはあるんでしょうか。

#83
○参考人(片山和彦君) この四つのタイプのワクチンのうち、一番時間が掛かるのがリコンビナントたんぱく質型ですね。発現させて、たんぱく質を精製してこないといけないので、その間に掛かる時間が長いというのがあります。
 ほかの核酸型のものは、核酸の配列が分かってしまえば、合成してしまえば済んでしまいますので、精製に掛かる時間はそんなに掛からないということですから、御心配のその例えばヨーロッパ型、アメリカ型、日本型、武漢型というものに劇的な配列の違いがあって、ワクチンとして接種している部分に大きな変異が起きたとしたときに作り直しがすぐに利くのかということに関しては、割と自由度の高いワクチンたちです。そんなに心配することはありません。
 ただ、配列を変えてしまうと、臨床試験一からやり直しということになってしまいますので、そこの時間掛かってしまいます。技術的には難しくないです。

#84
○足立信也君 二〇〇九年は、五月にオーストラリア、六月にアメリカから株を取り寄せて、そこからスタートしていったもので、今回はあれは心配はさほどないということですね。
 最後に片山先生に、最後なんですが、非常に聞きにくい、私自身も聞きにくいんですが、中国陰謀説なんですけど、いまだに武漢ウイルスとかチャイナバイラスとか言いながら、論文という形式か、いろいろ出ています。これ、北京から武漢に移ったウイルス研究所が作製したものだと。学問的には非常に面白い話なんですけどね。私がそれも知らなきゃいけないなと思って見たところ、これは自然の変異ではあり得ない塩基配列があると書いてあるのがあるんですよ。そんなことあるのかなと。人工的でしかあり得ないと書いているのがありまして、大変お答えが難しいかもしれませんが、この人工的にしか作り得ないというウイルスの変異のところというのはあり得る話なんですかね。

#85
○参考人(片山和彦君) 私たちが今までの臨床例から分離した塩基配列を全塩基配列と比較している場合においては、人工的な操作というのは非常にやりにくいですね。ウイルスはやっぱり長い歴史を持って徐々に人にアダプトしたり動物にアダプトして進化を続けてきたものですから、その数百年、数千年の歴史に私たちが簡単に手を加えることはそう簡単にはできないです。

#86
○足立信也君 全く同感です。ウイルスの専門の先生に是非そういう発言を聞きたかったので、大変申し訳ありませんが聞かせていただきました。
 隈本さんにお聞きしたいんですけど、損失補償、先ほど割愛されて触れられなかったですが、あのときも、十一年前もですね、契約が、もう政権が替わる前後の話です、せざるを得なくて、そこに損失補償のものが必要であって、じゃ、これ立法しなきゃという流れだったんですよ。そのことは今回利用されて、契約の段階では国会への承認は必要ないというような発言されたわけですけど、あのときの議論で、少なくとも実際に損失補償するときは国会の承認が絶対必要だろうと、そのときには契約書もお見せする必要があるだろうというふうになったわけです。そのことを本会議で質問したんですが、実際の損失補償をするときのことは全く触れられてなかったんですよ。これ委員会でまたやろうと思いますけど、その点について先ほど時間がなくておっしゃれなかったんで、是非そこのところをお願いします。

#87
○参考人(隈本邦彦君) ありがとうございます。というか、十分間と言われたのでもう焦って割愛してしまいましたが、ちょっと資料の下から四枚目を見ていただきたいんですけど、損失補償契約について申し上げたいことがあります。それは、例えばメーカーに製造不正やデータ不正があったとしても国が税金から負担するのかという素朴な市民の疑問であります。
 実は、私が何度も申し上げているMMRワクチンのとき、阪大微研というメーカーは勝手に製造工程を変えていました。そのことは、定期的な検査とかあるいは検定も国家検定もやっているんですが、そこでは全く見付かりませんでした。内部告発が実は厚生省とNHKに届いて、それがきっかけで発覚したんですね。最終的には立入検査をして業務停止処分になっています。同じことが化血研でもこの間あったばっかりです。
 こういう損失補償契約をしてしまうと、仮にこんな不正があったときは払いませんよという文章がちゃんと書いてないといけない、それをやってくださいねということが私のお願いです。損失補償されるんだったら副作用が出てもいいじゃないかみたいな、そんなメーカーいませんけど、実際には。しかし、モラルハザードが起きるかもしれないということをやはり国民の税金を使う場合には考えた方がいいと。
 では、次のページを御覧ください。
 今まさに御指摘のあったとおりで、国会の承認の手続をしてくれというふうに、当時野党だった加藤勝信議員が質問をされています。そして、この質問に当時の細川大臣が、約束しますと、必ず契約書を出しますと約束されているんですよ。この議事録発見しましたので、一応今日資料として持ってまいりました。
 ということで、是非、今閣内にいらっしゃる方は是非実現してほしいなと思います。
 以上です。

#88
○足立信也君 先ほど、実際に法律が成立した後、実際に使えるようになるまで相当時間今回あるんですよ。あのときもアメリカは医療免責があって、損失補償契約必要なかったんですよ。今回これだけ時間があるんだから、なぜその医療免責を法定化しなかったのかということをこの前本会議で申し上げたんですが、時間があるんだったらそこをやるべきだと私は思っていまして、あのときは特例承認で時間もないからやむを得なくやったという事実がありますもので、そこを更に前向きな答えが出てくるように、先生方の御意見を参考にまた委員会でやっていきたいと思います。
 ありがとうございました。

#89
○倉林明子君 四人の先生方、本当に第一線でお仕事をお抱えのところ、本当に私たちのためにありがとうございます。日本共産党の倉林でございます。
 脇田参考人にまずお聞きしたいと思います。
 連日、分科会、アドバイザリーボードとお忙しかったと思うんですけれども、昨日、続いての提言という格好ですか、分科会の、出されました。それを受けた格好で、行動規制の強化の方向性というんですか、考え方みたいなことを政府でも示されました。提言のところの肝の部分というんですか、昨日の提言の、そこをお聞かせいただきたいのと、感染状況の拡大というのは非常に深刻だというふうに思っていまして、北海道、札幌、東京でも、重症患者が増えるということがどれだけ医療を圧迫しているかということから言いますと、もう本当に待ったなしで、行動規制につながるようなことしていかないと本当に大変だという思いを持っているんですね。
 改めて、感染状況についての認識と昨日の提言ですね。済みませんね、ワクチンとちょっと直接リンクしませんが。

#90
○参考人(脇田隆字君) お答えしたいと思います。
 アドバイザリーボードにおきまして直近の感染状況の分析と評価をしております。
 それによりますと、今現在、全国的な感染拡大が進んでいるということです。特に北海道、それから首都圏、そして中部圏、関西圏といったところでの感染拡大が続いております。特に、実効再生産数で見ますと、関西の大阪、兵庫といったところは直近二を超えるということですから、かなりのスピードで増加をしているということがあります。さらに、重症者の増加が最近顕著に増加しているということもありまして、最近の感染者の年齢層を見ますと、七月、八月と比べまして高齢者の方に多く感染者が見られるということですから、やはり重症者の増加が今後も見込まれるということになります。
 そういった状況の中、それと、地域によって、現在、例えば北海道、札幌あるいは旭川で多くの医療機関、そして老人施設といったところでの大規模なクラスターが発生をしていて、そういう院内感染、クラスターが発生しますと、やはり地域の医療体制というものを非常に圧迫してくるということで、医療の提供体制が非常に厳しい状況に、今申し上げた北海道、それから首都圏、そして中部、関西ですね、そういったところで厳しい状況が続いているということになります。
 昨日の分科会では、そういった状況を踏まえて、これまで、その前の提言ではより一層踏み込んだクラスター対策ということをお願いをしたところで、昨日の分科会でも、政府の方からは、それに対する速やかな対応ということで様々な政策実施について御報告がありました。
 分科会としては、そういう状況ではありながら、更に強い対策が必要な地域があるということを今判断をしているということですので、アドバイザリーボードにおけるその感染状況の評価に基づいて一層強い対策、これにはやはりクラスター対策だけではなくて、その地域における、感染症を抑えるために一番重要なのはやっぱり接触の削減ということですので、現在、やはり感染が非常にリスクが高い会食の場というのがありますので、そういった営業時間の短縮であったり、それから移動の一定の自粛ということをお願いしたいということを提言の中に出したということになります。
 提言の中では、我々は、移動の自粛ですね、その感染が非常に広がっている地域とそうでもない地域との間の移動はもちろんなるべく避けていただきたいということは強くお願いをしているわけですけれども、どうしても一般の方々興味があるのがGoToトラベルがどうなるのかというところに注目が集まってしまっておりますので、もちろんGoToトラベルというのはある意味象徴的な、移動を、何といいますか、後押しするような政策でありますので、そのGoToトラベル自身が感染を拡大をしたというエビデンスがまだないにしても、やはり今この状況になりますと、感染拡大をしている地域あるいはそうではない地域との間の移動の自粛を進めていただきたいと、そういった意味の中でのGoToトラベルの一旦のそういった地域では停止をしていただきたいと、そういった提言をしたということであります。

#91
○倉林明子君 片山参考人に伺いたいと思います。
 研究開発もされているという紹介も見させていただきました。そもそも論で、おさらい的なんですけれども、ワクチンというのは通常どのように開発されていくのかと、一般的にですね、進め方ですね、御紹介ください。

#92
○参考人(片山和彦君) 通常のワクチンの開発ですけれども、ワクチンって割と歴史の浅い医薬品なので余りたくさんの例がないんですが、普通は大体十年ぐらいを掛けて開発を進めていきます。
 最初の三年ぐらいが基礎研究ということで、表になかなか出てこない研究ですね。こういう毒性があるので毒性を奪ったウイルスにしてそれを接種すれば免疫が付くんじゃないかと、こういうところを研究するわけです。どの辺に毒性があるのか、又はウイルスの感染力を奪うためにはどういう処理をして感染力を奪えばいいのかなと、こういうところを決めていきます。で、動物に接種して、これは前臨床というんですけれども、その前臨床試験で動物に確かな効果を発揮して動物に対する感染をプロテクトできる、症状が出てくるのをプロテクトできるというのを確かめます。これで大体五年ぐらいを費やす感じですね。第一相試験、第二相試験というのが始まって、小規模で安全性を、最終的に効果と安全性を確かめます。
 そして、第三相に突入してからは、通常は大体、まあ長いものでは五年以上走ると思いますけど、三年から五年ぐらいの期間をたくさんの人たちにワクチンを接種することでどういう状態になるのかというのを調べていくんです。この第三相試験というのが結構重要で、実際の社会の中で生活していらっしゃるところ、そこでどういう結果を生み出すのかという試験をします。
 ですから、ワクチンを打った群と打たない群、この二つの群の、どの方にワクチンを打ったのか、どの方にプラセボを打っているのかというのが分かっているのは治験コントローラーだけで、実際に免疫をしている医師の方も全然分からないですし、打たれた方も分からないです。だから、ワクチンを打たれたものとして生活していただいて、その結果を集計していくという調査をします。ですから、ここに非常に時間が掛かるので、ワクチンの開発全体には時間が掛かるというのはそのためです。
 それからもう一つ、私たちの免疫のシステムというのは、感染症が入って、そしてそれに対する体の免疫応答が起きるときに、すぐに頑張って免疫を付けなさいと誰かに頼まれても、何か栄養のある食べ物を食べても、加速することはできないです。必ず決まった時間が掛かります。一定のプロセスを経て、必ず決まった時間が掛かって反応が起きてきて、そして私たちは感染を防御するようになるので、その時間を短縮することは絶対にできないです。そこがちょっとポイントですね。ですから、時間がどうしても掛かってしまうというわけです。

#93
○倉林明子君 ありがとうございます。
 ところが、今回、核酸型ワクチン、メッセンジャーRNAというんですか、これ物すごいスピードアップして、そういう早く作れる特徴もあるんだということをお聞きはしているんですね。その核酸型のワクチンの特徴、それから、先ほども少し紹介あったと思うんですけれども、有害事象としてどういうことが想定されるのかというのを、引き続き片山参考人に教えていただきたいと思います。

#94
○参考人(片山和彦君) 核酸のワクチンの特徴を先に御説明します。
 核酸のワクチンというのは非常に新しいタイプの新規ワクチンというふうに皆さん理解していらっしゃると思うんですけれども、実は作られている歴史はかなり古くて、DNAのタイプでは動物実験ではもう三十年ぐらいの歴史を持っているんです。ですから、例えばマウスの皮膚にゴールドのパーティクルのDNAを塗って打ち込んでみるとか、それから尻尾のところに皮下で注射して免疫が上がるかどうかを確かめるというような実験は、もう既に私たち三十年ぐらいの経験を持って評価ができるんですね。
 それからRNAのワクチンは、これも同じように非常に歴史の古いワクチンで、ワクチンとして製剤として登場するのは今回が初めてなんですけれども、実際にRNAを導入して細胞に物をつくらせてその細胞の変化を見るというのは私たちが実験室で毎日のようにやっていることですので、そんなに新しいことではないですし、びっくりすることでもないです。恐れることでもないですね。
 そういった特徴がありますので、核酸のワクチンというのは、今までそのウイルスを不活化したり、それからウイルスを弱毒化させたりという複雑なメカニズムを調べるのではなくて、核酸を合成して、その合成した核酸を投与してたんぱく質をつくらせて細胞に免疫提示をさせるという単純なものなので、核酸が合成できさえすれば割とその工程を再現することが簡単なんです。余り時間が掛からないですね、確かめるまでにという特徴があります。それから、デザインを簡単に変更できるという特徴もあります。
 じゃ、懸念される副作用とかそういったものですけれども、今までのワクチンとして接種された経験のないもの、人体に対して使われた経験のないものですから、そこにどういった影響が起きるのかが分からない、そこが不安要素であります。ですから、短期の副反応については余りないというような報告がありますが、これを長期で見た場合にどうなるのかというのが最も知りたいところですね。不安な要素はたくさんあると思います。ただ、効果も出しやすいので、そのバランスを見て使うか使わないかを判断しているということになると思います。

#95
○倉林明子君 ありがとうございました。
 隈本参考人に伺いたいと思います。
 薬害オンブズパースンが十月六日に意見書を出されておりまして、これも読ませていただきました。ここで、細かくやっぱり承認審査の在り方について何点かの指摘、御意見が書かれているんですけれども、二つについてお伺いしたいと思うんです。
 その一つは、条件付早期承認制度の適用は論外だと一番に書かれております。二つ目が、特例承認の対象にすることは許されないということなんですね。その理由について、少し踏み込んで御紹介いただければと思います。

#96
○参考人(隈本邦彦君) 我々が心配しているのは、しっかりした臨床試験をやってさえ、先ほど意見でも申し上げましたように、本当の効果というか、流行を阻止できるのかとか、有効性、安全性についてよく分からないのにもかかわらず、このきっちりした臨床試験さえやらないで、今急いでいるからということで認めるというやり方はやめてほしいという意味で、この二つを出しました。
 実は、これは昔、元々、課長通知レベルで条件付早期承認をやり、そして、特例承認については海外で日本と同じレベルの臨床試験を通った薬であればもう臨床試験やらなくてもいいという、かなり乱暴な仕組みです。これがこの間の薬機法の改正で制度に入っちゃいました。我々としてはすごく、それまでに何度も、これ具体的には幾つかの薬がありますけれども、心配なので意見書を出していたんですが、薬機法で決まってしまいました。これをもし今回の新型コロナワクチンに使うのは、それは乱暴でしょうというのがこの意味です。
 条件付承認制度は、もう比較臨床試験をやらなくても、検証的な臨床試験をやらなくてもとにかく認めて、その後、いわゆるビッグデータといいますか、その後の薬のデータをたくさん集めればきっとその検証的臨床試験を省略してもいいだろうという考え方ですが、これはやはり、実際には使った人を観察研究するだけですから、その中で、本当にこれが薬の効果なのか、元々この人が病気自然に治ったのか分からないという中で認めてしまうというのは、これは、この制度自身は非常に限られた病気で物すごく緊急性が高いときに認めるというものなのに、今こういう国民全体が心配しているような病気でこれ入れるの良くないですよね。
 それから、委員からも御指摘ありましたけれども、レムデシビルに関してはもう三日で認めちゃったんですよね。世界で初めて正式承認した国になっちゃいました。それは、アメリカで、緊急使用は許可しますと、しかし正式承認は後ですよというふうになっていたのに、アメリカで緊急使用許可が出たということはまあ承認と同じかなみたいな感じで日本では認めてしまい、結果的にアメリカより先に承認してしまったということになっています。
 実際には、今、レムデシビル本当に効くのか、あるいは、もし軽い人に効いても重症化予防効果はないんじゃないかという、実は元々の臨床試験のデータを見るとそうなんですよね、非常に重篤な人は別に生存率余り変わらない。なのに、日本では特例承認して、そして重症患者に使うというルールにしているというのは、これはもうとにかく今対策をしていますよというアピールしたいのは分かるし、私ども国民としても薬は喉から手が出るほど欲しいけど、でも、この特例承認と条件付承認はこのワクチンに関してはちょっとやり過ぎでしょうというのが私どもの意見です。これ、意見書にはそう書いてあります。

#97
○倉林明子君 ありがとうございます。
 最後になるかと思うんですけれども、坂元参考人、ありがとうございます。私も看護師出身で、京都市会議員だった時期も長かったものですから、現場で医務監として御苦労されているんだろうということを本当に思いました。
 平時からこういう接種計画を立てておくと、人員の配置も含めてという準備というのは本当に必要なことだろうというふうに思ったんですが、改めて、感染状況が一体どういうふうになっているかということ抜きには、ちょっと体制の準備ということもなかなか考えにくいという思いも率直に感じたんですね。医療機関の負荷、保健所の負荷、これだけぱんぱんになっておりますので、更にそこに接種体制を市町村が担うということを考えますと、現場際で一体どういうことが支援としても必要なのか。
 人も要る、金も要る、これはよう分かっておりますので、もうちょっと具体的な支援の方法というものがあれば教えていただきたいと思います。

#98
○参考人(坂元昇君) まず一つに、マンパワーで今保健所の方では積極的疫学調査で患者さんの追跡調査をやっております。その中で、確かに委員御指摘のように、このコロナの接種が入ると非常に人員的にはぱんぱんという状態になるかと思います。
 その中で、恐らく、この接種が開始されると、もちろん医師会の先生方と相談しながら体制を構築していくということも必要ですが、恐らく多くの質問、不安等が住民から寄せられるということに対して答えていかなければいけないというマンパワーが必要だというので、その際に的確に答えられるデータが私は必要だろうと。
 そこが的確に答えられれば、分かりませんとか、いやそれはということがないんで、だから、私は先ほど申し上げておりますように、市販後直後調査という形で、市民に見える形でですね、そのデータが、できれば全部の、半年間ぐらいは全部のデータを集積して、それをウエブでオンラインでやっていくという形で、なるべく人員を削減して、それが自由にアクセスして見れるという形をつくれば、国民の皆さんも、あっ、今こういう状況なんだ、そうか、これぐらいの副作用なんだというのが、そういうできるだけオンラインを使った見える化を積極的にやって、マンパワーを負荷を掛けないというシステムをつくっていく必要があるんではないかというふうに思っております。
 その際の財政的な御支援とか、そういうものをいただければ、市町村としては感謝感激でございます。
 以上です。

#99
○倉林明子君 重要な大事な御意見、御指摘、本当にありがとうございました。
 終わります。

#100
○委員長(小川克巳君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。
 参考人の皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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