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2020/10/29 第203回国会 衆議院 第203回国会 衆議院 本会議 第3号 令和2年10月29日
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2020/10/29 第203回国会 衆議院

第203回国会 衆議院 本会議 第3号 令和2年10月29日

#1
令和二年十月二十九日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第三号
  令和二年十月二十九日
    午後二時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の続)
    午後二時二分開議

#2
○議長(大島理森君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)

#3
○議長(大島理森君) 国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。石井啓一君。
    〔石井啓一君登壇〕

#4
○石井啓一君 公明党の石井啓一です。
 私は、公明党を代表して、菅総理の所信表明演説に対し、総理並びに関係大臣に質問をいたします。(拍手)
 新内閣が発足して一カ月半。高支持率のスタートは、国民のために働く内閣という政治姿勢に国民が大きな期待を寄せていることのあらわれと思います。
 公明党が推進してきた不妊治療の保険適用や携帯電話料金の引下げ、デジタル化の推進など、矢継ぎ早に打ち出された政策は、まさに国民の期待に沿うものです。こうした政策の実現に向けて、政府・与党が一致結束して取り組んでいかなければなりません。
 菅内閣発足に際し、公明党と自民党は、九項目にわたる新たな連立政権合意を取り交わしました。
 そこには、新型コロナウイルス感染症対策の充実を始め、産業や雇用を守り、国民生活、中小企業、地方の安心を取り戻すことやデジタル化を通じた社会の脆弱性の克服、深刻化する少子化への対策強化、防災・減災、国土強靱化の強力な推進、持続可能で強靱な脱炭素社会の構築など、国民生活に直結する政策が盛り込まれております。
 コロナ禍で停滞した日本社会を希望と安心の社会へと変革していくため、公明党は、自公連立政権の信頼関係を一層深めつつ、菅内閣をしっかりと支えていく決意であります。
 そこで、菅総理に、連立政権合意について、政府としてどう実現に取り組んでいかれるのか、まずお尋ねをいたします。
 具体論に入ります。
 大きな一つ目のテーマといたしまして、連立政権合意の柱の一つである、コロナ禍によって深刻な影響を受けている国民生活を守る取組について伺います。
 今、日本じゅうが、感染拡大防止に万全を期しながら、社会経済活動の維持、再開という未曽有の戦いに挑んでおります。
 特に、産業と雇用を守り、国民生活を守る観点から、以下、雇用と住まい、観光、文化芸術・スポーツ、中小企業の四つの分野における追加支援策を提案しつつ、質問をいたします。
 まず、雇用対策です。
 新型コロナウイルスの影響で、解雇や雇いどめに遭う人がふえており、十月十六日現在で累計六万人以上になります。雇用対策の強化が急務であります。雇用調整助成金の特例措置や、休業手当が支払われていない中小企業労働者への休業支援金、緊急小口資金等について、十二月末までとなっている対象期間を更に延長すべきであります。
 雇用調整助成金等で雇用を維持する間、休業だけではなく、従業員の能力やモチベーションを維持向上していく取組も大切です。例えば、雇用を維持しながら人手不足の企業に出向して働く在籍出向でも雇用調整助成金の支援を受けられますが、十分に活用されておりません。さらなる活用に向けて、企業間のマッチング体制の強化や出向に係る雇用調整助成金の拡充を行うべきです。
 また、ポストコロナ時代を見据えて、休業、失業中の方に対する教育訓練への支援の充実や、成長企業における雇用の受皿づくり、地域、業種を超えた再就職支援など、雇用政策と産業政策の連携がより重要となります。例えば、関係省庁連絡会議を設置して、雇用対策の政策パッケージを取りまとめるなど、政府を挙げて取り組むべきであります。
 住まいの確保も急がなくてはなりません。
 失業等により住まいを失うおそれのある方を支援する住居確保給付金については、最大九カ月間となっているため、四月から支援を受けている方は十二月で支援が切れてしまいます。同給付金の支援期間を早期に延長し、安心して年を越せるよう万全を期していただきたい。
 雇用や住まいを守るための対策について、総理の答弁を求めます。
 続いて、コロナ禍においてとりわけ大きな打撃を受けている観光業への支援について伺います。
 観光支援事業、GoToトラベルは、今月から東京都が加わり、その効果が全国に広がってまいりました。一方で、予算枠の地域配分の見直し、旅行業者が立てかえている割引分の支払いのおくれ、週末に予約が殺到するなどの課題が生じております。こうした現場の実態や課題に対して真摯に向き合い、今後の対応策にしっかりと生かしていくことが重要であります。
 その上で、GoToトラベル事業については、東京が二カ月おくれで開始されたことや、復興途上にある被災地の状況、さらに、観光業の業況が十分に回復していない状況を踏まえて、実施期間を少なくとも来年のゴールデンウイークまで延長すべきであります。
 また、菅総理は、当面の観光需要回復に向けた政策プランを年内に策定するとしております。業績悪化に苦しむホテルや旅館、旅行業や交通事業の方々の声をしっかり受けとめて、強力かつ効果的な支援策を盛り込んだプランの策定をお願いしたい。
 加えて、収益力が激減し、先の見えない状況にある中で、固定資産税の負担について、観光業界を始め多くの事業者から、担税力を大幅に超えている、納税猶予を更に延期してほしいといった悲痛な声が上がっております。特に、来年は三年に一度の評価がえの年に当たっており、本年一月一日の地価が基準となることから、その後のコロナの影響によって地価が下落しているにもかかわらず、実勢価格と見合わない増税を強いられるのではないかとの不安が広がっております。コロナの影響も十分考慮し、固定資産税については、土地に係る負担増を回避するとともに、業績不振の事業者には、引き続き負担の軽減措置を講じるべきと考えます。
 観光業等の支援について、総理並びに国土交通大臣の答弁を求めます。
 次に、コロナ禍で深刻な影響を受けている文化芸術、スポーツ活動に関する支援について伺います。
 文化芸術については、公明党の推進により、第二次補正予算で、個人や小規模団体に最大百五十万円支援することを柱とした、総額五百六十億円の文化芸術活動への緊急総合支援パッケージが取りまとめられました。今後、さらに、コロナ禍で影響を受けているフリーランスを含めた関係者や関係団体の活動基盤の強化に向けた取組を実施すべきと考えます。
 スポーツについては、全国規模のスポーツリーグ等における感染対策を強化するとともに、デジタル技術を活用した観戦体験やオンライン指導等の環境整備を推進すべきです。
 文化芸術、スポーツ活動を支えるための取組について、総理の答弁を求めます。
 中小企業の事業継続に向けては、持続化給付金や資金繰り等の支援策によって下支えを行ってまいりましたが、一方で、廃業件数が前年比で増加傾向にあるなど、中小企業の経営環境は依然として厳しい状況にあります。廃業に伴い、これまで蓄積されてきた従業員のノウハウや価値ある技術等が失われてしまうことが大きな問題となっております。
 近年では、後継者の確保が困難なことなどから、親族内承継だけでなく、他社へ事業などを譲渡する親族外承継のニーズも高まっております。
 今後は、事業などの買い手側が事業承継を契機に新たなビジネスモデルの構築や生産性向上に取り組むための支援を更に強化すべきです。
 また、都道府県ごとに整備されている事業承継ネットワークと事業引継ぎ支援センターの連携強化や、県を超えたマッチング支援にも取り組むなど、事業承継支援の体制強化を図るべきです。
 中小企業の事業承継、生産性向上支援について、総理の答弁を求めます。
 次に、各種給付金等の支給に時間がかかるなど、コロナ対策を通じて脆弱性が明らかになったデジタル化の進展について伺います。
 行政のデジタル化は、全省庁、全地方自治体にまたがる大きな変革を伴います。公明党は、その推進に当たり、二つの視点が重要と考えます。
 一つには、情報アクセシビリティーの確保です。高齢者や障害者、外国人、生活困窮者など、あらゆる人が、環境や能力にかかわらず、情報を不自由なく利用できるようにすることであります。
 デンマークのデジタル庁には、障害者を含めて市民全体を考慮した施策を推進する専門部局が設置をされております。日本のデジタル庁も、誰もが使いやすく、恩恵を受けられるようなデジタル化を目指すべきです。
 二つには、自治体の先行した取組への配慮です。
 国全体のデジタル化には、自治体のシステムの統一化や標準化が不可欠です。ただし、これにより、既に独自サーバーの活用や母子健康手帳アプリのような独自サービスの提供を行うなど自治体の先行した取組が、互換性が確保できず、使えなくなってしまうことがあってはなりません。さまざまな自治体の現場の実態に配慮したデジタル化を進めることが、国民の利便性の向上につながると考えます。
 デジタル化推進の基本方針について、総理の答弁を求めます。
 次に、ポストコロナ時代を見据えた教育のあり方について伺います。
 ポストコロナ時代は、子供の幸福を最優先するチャイルドファースト社会の実現を目指し、一人一人の子供に寄り添った教育に転換していくことが重要です。
 そのために、児童生徒が一人一台のパソコンやタブレット等の端末を活用して学習するGIGAスクール構想や、全ての児童生徒に対する個別最適化された学習計画の作成等を推進することが不可欠です。
 また、感染症対策の充実や心のケアなど、子供たちが安心して学べる環境の整備が急務です。
 そうした観点から、小中学校において、三十人以下の少人数学級を目指し、計画的な改善に取り組んでいくべきです。
 一人一人に寄り添った教育への転換と三十人以下の少人数学級に向けた取組について、総理の答弁を求めます。
 大きな二つ目のテーマといたしまして、連立政権合意に盛り込まれました、深刻化する少子化克服に向けた取組の強化について伺います。
 昨年の合計特殊出生率は一・三六と四年連続で低下し、出生数は八十六万人と初めて九十万人を下回りました。少子化は想定を上回るスピードで進んでおり、抜本的な対策が不可欠であります。
 不妊治療については、早期の保険適用や公費助成の抜本的な拡充に向けて、検討を加速化していただきたい。その一環として、不育症についても、検査・治療方法の確立を急ぎ、有効性、安全性が認められたものは速やかに保険適用すべきです。また、不妊治療の質の向上や、仕事との両立、相談支援、死産、流産の悲しみに寄り添うグリーフケアなど、幅広い支援の充実も求められております。あわせて、出産育児一時金の増額も求めます。
 子育てと仕事を両立し、安心して育てられる環境整備も重要です。
 待機児童の解消に向けて子育て安心プランの後継プランが策定されますが、保育の受皿の整備や、処遇改善を含む保育の質の向上を更に力強く進める必要があります。認可保育所に入れず、ベビーシッター等を利用する場合の減税等の支援策も検討すべきです。
 育児休業については、近年、男性の取得率が増加傾向にあるものの、いまだ七%程度にとどまる状況を打破するため、企業から従業員への積極的な周知や、休業開始一カ月前までとなっている申請手続の緩和、休業前賃金の実質一〇〇%を目指した育児休業給付金の増額を提案します。また、妻の出産直後に休業することができる、男性の産休制度の創設を求めます。
 妊娠、出産、子育て支援まで、少子化対策の抜本的な強化について、総理の答弁を求めます。
 次に、中間所得層や多子世帯への支援について伺います。
 コロナ禍で多くの人々が暮らしと仕事の基盤が脅かされている中、低所得世帯はもとより、中間所得世帯も含めた、誰も置き去りにしない新たなセーフティーネットの整備を求める声が高まっております。
 そうした声を受けて、公明党は、医療や介護、育児、障害者福祉、住まいなど、人間が生きていく上で不可欠な基本的サービスを原則として無償化し、弱者を助ける制度から弱者を生まない社会へと福祉の裾野を大きく広げるベーシックサービス論を本格的に検討してまいります。
 その柱の一つが、教育費の無償化です。
 家庭の経済的事情にかかわらず、希望すれば誰もが必要な教育を受けられるよう、教育費の負担軽減を段階的に進めておりますが、更に推進すべきです。
 具体的には、幼児教育無償化の対象となっていない、いわゆる幼稚園類似施設に関し、今年度実施している調査事業も踏まえながら、支援を推進すべきと考えます。あわせて、高校生の教育費などを支援する高校生等奨学給付金の充実も図るべきです。
 大学などの高等教育無償化については、多子世帯や中間所得世帯の教育費の負担に配慮した取組を講じていただきたい。
 中間所得層や多子世帯への支援拡充、さらに、段階的な教育費無償化拡大の取組について、総理の答弁を求めます。
 一人親への支援について伺います。
 一人親の支援に取り組む民間団体の調査によれば、シングルマザーのうち、減収、無収入の割合は七割超に上り、新型コロナウイルスに感染して家族をケアできなくなるおそれから自発的に休職、退職した方が三割に及ぶなど、一人親家庭は非常に深刻な経済的影響を受けております。第二次補正予算により、低所得の一人親世帯への臨時特別給付金が支給されましたが、再度給付することや、児童扶養手当の拡充など、早急に対策を検討すべきと考えます。
 一人親への支援について、総理の答弁を求めます。
 多様で柔軟な働き方や、リカレント教育について伺います。
 少子化、人口減少が進む中、子育てや介護と仕事の両立など、男性も女性もライフプランやライフステージに応じて多様で柔軟な働き方を選択できる環境整備が求められております。
 特に、コロナ禍で注目を集めたのがテレワークです。内閣府の調査によれば、コロナ禍でテレワークを経験した就業者は三四・六%に上り、今後テレワークを利用したいと希望する就業者も約四割に上ります。テレワークがよりよい形で定着できるよう、適切な労働時間管理や中小企業における導入、定着への支援を強化すべきです。
 あわせて、企業における時間単位の年次有給休暇制度や勤務間インターバル制度の導入、短時間勤務制度やフレックスタイムの普及も、より一層促進していただきたい。
 また、コロナ禍の新しい日常に対応し、自宅でのオンライン学習も含めたリカレント教育の充実を図ることにより、新たな職業スキルや知識を習得してニーズの高い職種や成長分野で就業できるよう支援することも重要であります。
 テレワークなど多様で柔軟な働き方の推進や、リカレント教育の充実について、総理の答弁を求めます。
 大きな三つ目のテーマとして、連立政権合意に盛り込まれた防災、減災、復興の強力な推進について伺います。
 コロナ禍にあっても、激甚化する台風災害や豪雨災害、切迫する巨大地震等から国民の命と暮らしを守るため、防災・減災対策、国土強靱化は引き続き強力に進めなければなりません。
 与党の強い主張により、政府の骨太方針に、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策終了後の中長期的な取組の方針が明記されました。
 近年の自然災害の発生状況を踏まえると、まだまだ対策が不十分なことは明らかであります。全国各地から対策の延長を求める声も上がっております。
 防災・減災、国土強靱化について、三カ年緊急対策で終了させることなく、令和三年度から五年間、新たな計画を策定し、インフラ老朽化対策なども含めて、必要十分な予算を確保すべきです。総理の答弁を求めます。
 先般の七月豪雨は、コロナ禍で経験する初めての大規模災害であり、分散避難や避難所の三密対策、ボランティアの受入れなど新たな課題が浮き彫りになりました。今後の我が国の防災対策、被災者支援等に生かすことが重要です。
 あわせて、近年の災害の教訓等を踏まえて災害法制や制度を見直し、我が国の防災、減災、復興政策を抜本的に強化すべきです。
 例えば、現状では、同じ半壊と認定されても大規模半壊に至らない場合、支援を受けられず、半壊世帯に対する支援が十分でないという課題がありました。今般、被災者生活再建法を改正して半壊世帯の支援対象を拡充することは評価をいたします。
 そのほかにも、近年の災害における災害救助法の運用実態の検証等を踏まえて、必要な見直しを図るべきです。
 また、住民にわかりやすい避難情報の見直しや、災害が発生するおそれの段階での国の対策本部の設置、発災前に避難先や避難手段の調整など大規模広域避難を円滑に行うための仕組み等を制度化するとともに、これらに係る財源確保も必要です。
 さらに、高齢者や障害者等の避難支援のための個別支援計画の策定や災害時の福祉支援などを制度化すべきであります。そして、これらについて、災害対策基本法や災害救助法などの災害法制に位置づけるべきであります。
 コロナ禍を踏まえた防災対策、被災者支援対策と災害法制の見直しなどについて、総理の答弁を求めます。
 来年は、東日本大震災から十年を迎えます。引き続き、被災者一人一人の心の復興に向けたきめ細やかな支援、産業、なりわいの再生を着実に推進し、創造的復興を実現していかなければなりません。
 中長期の課題を数多く抱える福島浜通り地域については、風評対策を進めるとともに、住民の帰還、移住等の促進、各種インフラ等の環境整備、農林漁業者等の再建に向けた取組を加速化すべきです。廃炉、処理水対策等も安全かつ着実に進めなければなりません。
 福島再生の切り札は、新産業の創出に向けた福島イノベーション・コースト構想です。同構想を更に加速するため、その司令塔となる国際教育研究拠点の創設が極めて重要です。
 同拠点について、政府は七月の骨太方針で、年内をめどに成案を得るとし、九月の与党の提言では、最も重要な政策課題と位置づけ、最も効果的、効率的な組織形態を検討し、予算と人員体制を確保するよう申入れを行いました。
 国際教育研究拠点の創設を始め、東日本大震災からの復旧復興に向けた総理の決意を伺います。
 大きな四つ目のテーマとしまして、公明党の要請で新たに連立政権合意に盛り込まれました持続可能で強靱な脱炭素社会の構築について伺います。
 コロナ禍での経済活動の自粛やエネルギー需要の減少等により、国際エネルギー機関は、世界全体のCO2排出が前年度比で八%減少するとの予測を発表しております。これを受け、欧州委員会は、経済回復と脱炭素化を同時に実現する、グリーンリカバリーを提唱いたしました。我が国としても、こうした海外の動向も踏まえつつ、経済再生と脱炭素社会の構築を同時に進める取組が重要となります。
 菅総理は、二〇五〇年までに我が国の温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすると宣言をされました。公明党が本年の通常国会で政府に提言をしていたところであり、その決断を高く評価いたします。今後は、二〇五〇年に向けた工程表をつくるなど実効性ある取組が求められます。そのため、再生可能エネルギーの主力電源化を進める大胆な投資や、地域資源を活用した再エネの導入等を強力に進めていくべきです。
 現在、北海道石狩市では、風力、バイオマスなどの再エネの活用や、AI、蓄電池を活用して需給調整を行うなど、再エネ一〇〇%の地産地消を目指した地域づくりを民間企業と連携して進めております。
 このような地域での再エネ活用は、経済の活性化や、災害時などのエネルギー確保にも効果的であることから、再エネ中心の地産地消型エネルギーシステムを構築すべきです。
 あわせて、立地制約を克服する太陽光発電や洋上風力発電の導入を拡大するための技術開発等を後押しすることにより、低コストかつ安定的な電力供給が可能となるよう支援すべきです。
 二〇五〇年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指した、再生可能エネルギーの主力電源化、エネルギーの地産地消への取組について、総理並びに環境大臣の答弁を求めます。
 ここまで、さまざまな内政の課題について取り上げ、提案をしてまいりました。この中で迅速な対応を要する取組については、今年度の予備費を活用していただきたい。
 あわせて、コロナ禍で深刻な打撃を受けている我が国の経済を底上げし、景気を浮揚させるため、需要喚起策やコロナ禍で苦境にあえぐ事業者、個人への支援策など、本格的な経済対策が必要であります。そして、それらを第三次補正予算案や来年度予算案に反映させるべきです。
 本年度第三次補正予算案の編成を含めた経済対策の策定について、総理の答弁を求めます。
 最後に、大きな五つ目のテーマである平和外交の強化について伺います。
 総理は、就任直後から、各国首脳等との電話会談や国連総会での一般討論ビデオ演説など、積極外交を展開されていらっしゃいます。先日は、初の外遊先としてベトナム及びインドネシアを訪問され、両国首脳と会談されました。我が国が地域や国際社会の平和と繁栄に積極的に貢献する姿勢を示されていることを高く評価いたします。
 また、ポストコロナ時代の国際社会は、自国中心主義や米中間の緊張の高まりなどとも相まって、これまで以上に予見しにくく、また、制御しにくくなっていくと考えます。
 そのような中で、菅総理には、我が国及び世界の平和と安全のために、今後、安倍政権が進めた地球儀を俯瞰する外交を更に深化させる取組を期待いたします。
 初外遊となったベトナム及びインドネシア訪問の成果とともに、菅政権の外交方針について、総理の見解を求めます。
 次に、日中、日韓関係について伺います。
 日中関係は、最も重要な二国間関係の一つです。九月の習近平国家主席との電話会談では、総理から、日中の安定した関係は、両国のみならず、地域及び国際社会のために極めて重要であり、ともに責任を果たしていきたい旨述べられたと承知をしております。今後も、首脳間を含むハイレベルでの二国間及び地域、国際社会の課題について緊密に連携を行うなど、さらなる関係発展に向けた取組を期待いたしたい。
 日韓関係について、九月、総理は、文在寅大統領と電話会談を行い、旧朝鮮半島出身労働者問題を始め、現在非常に厳しい状況にある両国の関係をこのまま放置してはいけない旨述べられるとともに、韓国側において日韓関係を健全な関係に戻していくきっかけをつくるよう改めて求められました。今後も、関係改善に向けて丁寧な対話を積み重ねていくべきであります。
 これまで中国、韓国と結んできた信頼関係を生かし、公明党といたしましても、政府の取組を後押ししてまいります。
 日中、日韓関係について、総理の見解をお伺いいたします。
 最後に一言申し上げます。
 ことしは、世界的なコロナ禍という未曽有の事態に直面をし、新しい日常への取組など、社会変革の必要性を実感いたしました。私たちは、この機会を捉え、安定のもとでの着実な改革を推し進めていかなければなりません。
 公明党は、「大衆とともに」の立党の精神を胸に、どこまでも国民に寄り添った政策の実現のため、全力を挙げていくことをお誓いいたしまして、代表質問を終わります。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣菅義偉君登壇〕

#5
○内閣総理大臣(菅義偉君) 石井啓一議員の御質問にお答えいたします。
 連立政権合意の実現についてお尋ねがありました。
 政府としては、この連立政権合意に盛り込まれている各事項について、公明党の意見も踏まえ、与党としっかり調整した上で、合意内容の実現に向けて強力に取り進めてまいります。
 雇用や住まいを守るための対策についてお尋ねがありました。
 経済が戦後最大の落ち込みを記録する中で、雇用と生活を守るためさまざまな支援策の拡充などを行ってきましたが、今後の取扱いについては、雇用情勢等を踏まえ、適切に判断をしてまいります。
 引き続き、雇用を守るとの立場に立って、新たな日常のもとでの経済社会活動に適合した雇用、就業機会の確保に、産業政策との連携を図りながら取り組んでまいります。
 また、住居確保給付金の今後の対応については、利用者の実態なども踏まえ、適切に検討してまいります。
 観光業等の支援についてお尋ねがありました。
 GoToトラベル事業の実施時期については、今後の感染状況、観光需要の回復状況、予算の執行状況なども見つつ、今後検討してまいります。
 また、当面の観光需要を回復させ、観光立国として復活をするために、例えば、旅館、ホテルの感染対策や施設の改修支援、観光地の受入れ環境整備などの政策プランを年末までに策定いたします。
 さらに、固定資産税については、市町村の基幹税であることを踏まえつつ、経済状況を見きわめながら、年末に向けて検討してまいります。
 文化芸術、スポーツ活動の支援についてお尋ねがありました。
 政府としては、文化芸術、スポーツ活動の再開や継続に向けて、実演家や技術スタッフの方々やそれらの団体に対し、その活動の支援を行っております。
 引き続き、文化芸術関係者や関係団体の活動基盤の強化、スポーツリーグ等における感染対策強化や、デジタル技術活用の環境整備の取組について、必要な検討を行ってまいります。
 中小企業の事業承継、生産性向上支援についてお尋ねがありました。
 御指摘のような状況下で、まず、政府としては、事業継承支援のワンストップ対応窓口の整備や、広域的なマッチング支援に取り組むことなどにより、円滑な事業承継を進めてまいります。
 また、生産性向上に関して、経営資源の集約化による事業の再構築やデジタル化を含め、生産性向上に取り組む中小企業を強力に支援するなど、あらゆる政策を総動員してまいります。
 デジタル化推進の基本方針についてお尋ねがありました。
 自治体のシステムの統一、標準化は、住民が引っ越しても同じサービスを受けられ、全国一律に迅速な給付を実現するために不可欠なものであります。今から五年後、令和七年度末までを目指して、作業を加速してまいります。その際に、御指摘のように、情報のアクセシビリティーの確保、先行的な自治体の取組に十分配慮いたします。
 これらの施策を含め、省庁の縦割りを打破し、官民のデジタル化を強力に推進する司令塔として、デジタル庁を来年に設立します。
 一人一人に寄り添った教育への転換と三十人以下の少人数学級についてお尋ねがありました。
 感染症対策の充実や心のケアなど、子供たちが安心して学べる環境の整備やデジタル社会にふさわしい新たな教育を実現することが重要です。
 このため、政府としては、一人一台のIT端末を整備するとともに、少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備について関係者間で丁寧に検討してまいります。
 少子化対策についてお尋ねがありました。
 少子化の問題は、結婚や出産、子育ての希望の実現を阻むさまざまな要因が絡み合って生じております。
 まず、妊娠や出産に係るさまざまな経済的負担の軽減を図ることについては、不妊治療の保険適用など、速やかに検討を進めてまいります。
 また、子育てと仕事の両立については、男性が子育てに主体的に参加するための環境整備を進めるとともに、待機児童の問題についても、年末までに新たな計画を取りまとめてまいります。
 引き続き、少子化社会対策大綱に基づき、安定的な財源を確保しつつ、施策を速やかに具体化し、実施に移すことで、総合的な少子化対策を推進してまいります。
 段階的な教育費無償化拡大の取組等についてお尋ねがありました。
 幼児教育、保育の無償化の対象でない施設を利用する方の負担軽減については、子育て支援の観点から、来年度からの支援のあり方について検討します。
 高校生等奨学給付金については、非課税世帯の第一子の給付額を増額するなど充実をしてきたところであり、引き続き教育費負担の軽減に努めてまいります。
 高等教育の無償化については、支援対象の基準において多子世帯への配慮を行っており、中間所得層の進学の状況などを見きわめつつ、検討します。
 一人親への支援についてお尋ねがありました。
 就業支援を基本としつつ、子育て・生活支援や経済的支援などの施策を総合的に進めており、例えば、児童扶養手当制度については、近年、多子加算額の倍増や、所得制限限度額の引上げなどを図ってまいりました。
 また、新型コロナウイルスの影響を踏まえ、第二次補正予算により、低所得の一人親世帯への臨時特別給付金の支給を実施しております。
 今後とも、新型コロナウイルスによる一人親家庭の所得状況や生活実態、社会経済状況の変化を踏まえつつ、関係施策の充実に向けた検討を行ってまいります。
 多様で柔軟な働き方の推進や、リカレント教育の充実についてお尋ねがありました。
 時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方として、テレワークなど新たな働き方の導入、定着を図ることが重要であり、こうした働き方に対応した就業ルールについて年内に検討をしてまいります。
 また、企業が実情に応じた形で時間単位の年次有給休暇制度などを導入できるよう、支援をしてまいります。
 リカレント教育については、オンラインも活用した職業訓練の機会の確保や、教育訓練給付制度による支援などに取り組んでいきます。
 防災・減災、国土強靱化についてお尋ねがありました。
 三カ年緊急対策後の取組については、骨太の方針二〇二〇においても、中長期的視点に立って計画的に取り組むため、国土強靱化基本計画に基づき、必要十分な予算を確保し、オール・ジャパンで対策を進めることとしております。
 省庁、自治体や官民の垣根を越えて、引き続き、災害に屈しない国土づくりを進めていけるよう、インフラ老朽化対策を含め、予算編成過程において、しっかりと検討してまいります。
 コロナ禍を踏まえた防災対策、被災者支援対策、災害法制の見直しについてお尋ねがありました。
 新型コロナウイルス感染症の感染防止のため、分散避難の呼びかけ、可能な限り多くの避難所の開設、避難所の衛生管理、市町村による被災家屋からの土砂出しの支援などの対策を実施しています。
 また、被災者支援の充実のため、避難所における生活環境の改善や、福祉避難所、福祉仮設住宅の提供、応急修理期間における応急仮設住宅の使用を可能とする恒久的な措置などを講じているほか、被災者生活再建支援法を改正し、支援金の支給対象を拡大したいと思います。
 さらに、毎年のように甚大な被害をもたらす豪雨や台風に対応するため、避難勧告と避難指示の一本化や、高齢者や障害者の方などの避難計画の策定の促進といった災害対策基本法の見直しを進めるなど、引き続き、コロナ対策も踏まえた災害対応に万全を期してまいります。
 東日本大震災からの復興についてお尋ねがありました。
 これまでの取組により復興は着実に進展する一方で、心のケアなどの被災者支援や、福島の本格的な復興再生に向けた課題が残されています。
 御指摘の福島イノベーション・コースト構想の司令塔となる国際教育研究拠点については、年内を目途に具体的な内容を決定いたします。
 福島の復興なくして東北の復興なし。東北の復興なくして日本の再生なし。この方針のもと、復興を更に前に進めてまいります。
 再生可能エネルギーの主力電源化及び地産地消への取組についてお尋ねがありました。
 二〇五〇年カーボンニュートラルを実現するため、研究開発などへの支援を通じて、国民負担を抑制しつつ、再生可能エネルギーの最大限導入を進めます。
 また、エネルギーの地産地消については、非常時のエネルギー供給の確保や、地域活性化に資するべく、再生可能エネルギーも含めた分散電源の導入を支援します。
 経済対策の策定についてお尋ねがありました。
 持ち直しの動きが見られるものの、依然厳しい経済状況の中で、引き続き、第一次、第二次補正予算を着実に執行し、雇用を守り、事業が継続をすることができるように、最大二百万円の持続化給付金、最大四千万円の無利子無担保融資などの措置が行き渡るようにしてまいります。
 その上で、今後とも、新型コロナウイルスが経済に与える影響を始め、内外の経済動向を注視しながら、ちゅうちょなく、必要な対策を講じてまいります。
 私の外国訪問の成果及び外交方針についてお尋ねがありました。
 今般、本年のASEAN議長国であるベトナムとASEAN主要国であるインドネシアを訪問し、インド太平洋国家である日本として、地域の平和と繁栄に引き続き貢献していくとの意思を明確に発信しました。
 厳しい安全保障環境の中、国民の命と平和な暮らしを守り抜くことは政府の最も重大な責務です。日米同盟を基軸としつつ、基本的価値を共有する国々とも協力し、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取組を戦略的に推進するとともに、近隣諸国との安定的な関係を築いてまいります。
 同時に、新型コロナウイルスによって人間の安全保障が脅かされ、国際連携の強化が一層求められる中で、日本は、多国間主義を推進していきます。
 日中、日韓関係についてお尋ねがありました。
 中国との安定した関係は、両国のみならず、地域及び国際社会のために極めて重要です。このような観点から、就任後速やかに習近平国家主席と電話会談を行ったところであり、引き続き、ハイレベルでの機会を活用し、主張すべき点はしっかり主張しながら、共通の諸課題について連携してまいります。
 韓国は極めて重要な隣国であり、北朝鮮問題を始め、日韓、日米韓の連携は不可欠です。旧朝鮮半島出身労働者問題などにより現在非常に厳しい状況にある両国の関係をこのまま放置してはなりません。健全な日韓関係に戻すべく、我が国の一貫した立場に基づいて、適切な対応を強く求めてまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣赤羽一嘉君登壇〕

#6
○国務大臣(赤羽一嘉君) 石井啓一議員にお答えをいたします。
 観光業等への支援についてお尋ねがございました。
 約九百万人もの雇用を抱え、裾野の広い観光関連産業は、コロナ禍の影響で深刻な状況にありますが、これまで政府として、事業の継続、雇用の維持への支援に全力を尽くし、そして、GoToトラベル事業によって、ウイズコロナ時代における新たな安全、安心の旅行スタイルの普及、定着を目指しつつ、国内旅行の需要を強力に喚起しているところでございます。
 GoToトラベル事業は、七月二十二日の事業開始から九月末日までに二千五百十八万人泊以上の利用実績があり、十月一日から開始した地域共通クーポンにつきましても二十八万店舗を超える登録状況で、地域消費に大きな貢献をするなど、苦境にあえぐ観光関連産業の経営支援や地域経済の再活性化に向けて一定の効果があったものと考えております。
 他方で、御指摘のように、予算枠の地域配分の見直しや、事業者立てかえ分の迅速な支払い、また、平日利用の増加による平準化など、現場において生じているさまざまな課題解決のため、観光庁と事務局との定期協議を徹底し、円滑な事業の実施に努めてまいります。
 GoToトラベル事業の延長につきましては、今月より東京を発着とする旅行が対象となったところであり、また、いまだに本事業を活用できていない被災観光地もあること、さらには、与党からの御要請も踏まえて、今後の感染状況、観光需要の回復状況、そして予算の執行状況等を見つつ、しっかり検討してまいります。
 あわせて、観光関連産業の資金繰りを支援すべく、必要な税制支援措置を関係省庁に要望しているところです。御指摘の土地の固定資産税につきましては、来年が三年に一度の評価がえの年に当たり、観光関連産業を含む多くの事業者団体から負担軽減を求める要望を伺っており、今後も税務当局と議論を進めてまいりたいと考えております。
 今後の観光需要の持続的な回復に向けましては、感染拡大防止策を講じながら、ワーケーションを始めとした新たな旅のスタイルの普及等による旅行市場の拡大や、インバウンドの回復までの期間を活用し、滞在コンテンツの造成支援や多言語対応などの訪日外国人旅行者の受入れ環境の整備などに取り組むことが必要です。
 菅総理からの御指示も踏まえ、こうしたテーマを含め、当面の観光需要を回復するための強力かつ効果的な政策プランを、現場の関係者の皆様の声をしっかり受けとめ、関係省庁と連携し作業を進め、年内に策定する予定でございます。
 以上です。(拍手)
    〔国務大臣小泉進次郎君登壇〕

#7
○国務大臣(小泉進次郎君) 二〇五〇年までの温室効果ガス排出量実質ゼロ、これを目指した再生可能エネルギーの主力電源化とエネルギーの地産地消の取組についてお尋ねがありました。
 再生可能エネルギーの地産地消は、脱炭素社会の実現に不可欠であると同時に、地域経済の活性化や災害に強い地域づくりにも貢献するものです。現状では、全国の約九割の自治体において、エネルギー収支がマイナスであり、エネルギー購入代金として地域外に資金が流出しているという試算もあります。
 こうした中で、例えば、環境省が福島県で支援した温泉熱発電では、エネルギーを地域に供給するとともに、その収益が高齢者のバス乗車券や高校生の通学定期券の無料化に貢献したというすばらしい事例もあります。
 今後、二〇五〇年までの温室効果ガス排出実質ゼロを表明した人口約八千万弱の自治体、ゼロカーボンシティーと連携し、関係省庁とともに再生可能エネルギーの主力電源化やエネルギーの地産地消を後押ししてまいります。(拍手)
    ―――――――――――――

#8
○議長(大島理森君) 志位和夫君。
    〔志位和夫君登壇〕

#9
○志位和夫君 私は、日本共産党を代表して、菅総理に質問します。(拍手)
 日本学術会議が新会員として推薦した科学者のうち、総理が六名の任命を拒否したことは、我が国の法治主義への挑戦であり、学問の自由を始めとする国民の基本的人権を侵害する、極めて重大な問題でした。
 第一に、任命拒否は、日本学術会議法に真っ向から違反しています。
 日本学術会議法は、学術会議の政府からの独立性を、その条文の全体で幾重にも保障しています。第三条で、学術会議は政府から独立して職務を行うとされ、第五条で、政府に対してさまざまな勧告を行う権限が与えられています。第七条で、会員は、学術会議の推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命するとされ、第二十五条で、病気等で辞職する場合には、学術会議の同意が必要とされ、さらに、第二十六条で、会員として不適当な行為があった場合ですら、退職させるには学術会議の申出が必要とされるなど、実質的な人事権は全面的に学術会議に与えられています。
 総理に伺います。日本学術会議には、一九四九年の創設時に、当時の吉田茂首相が明言したように、高度の自主性が与えられているということをお認めになりますか。六名の任命拒否は、学術会議の独立性、自主性への侵害であり、日本学術会議法違反であることは明瞭ではありませんか。答弁を求めます。
 一九八三年、会員の公選制を推薦制に変えた法改定の際に、学術会議の独立性が損なわれないかが大問題になりました。その際、政府は、繰り返し、総理大臣の任命は全くの形式的任命、実質的に総理大臣の任命で会員の任命を左右することはしない、推薦していただいた者は拒否しないと明確に答弁しています。
 総理、六名の任命拒否は、これらの政府答弁の全てを覆すものではありませんか。法律は、それを制定する国会審議によって解釈が確定するのであって、政府の一存で勝手に解釈を変更するならば、およそ国会審議は意味をなさなくなるではありませんか。
 総理は、憲法十五条一項「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」を持ち出して、任命しないことはあり得ると強弁しています。
 しかし、憲法十五条一項は、公務員の最終的な選定・罷免権が主権者である国民にあることを規定したものであって、それをいかに具体化するかは、国民を代表するこの国会で、個別の法律で定められるべきものであります。日本学術会議の会員の選定・罷免権は日本学術会議法で定められており、その法律に反した任命拒否こそ憲法十五条違反であり、憲法十五条を持ち出してそれを合理化するなど、天に唾するものではありませんか。お答えいただきたい。
 憲法十五条の解釈について、かつて政府は、明確に客観的に、もう誰が見てもこれは非常に不適当であるという場合に限って、任命しないという場合もあり得ると答弁してきました。
 総理、あなたが任命拒否した六名は、明確に客観的に、誰が見ても非常に不適当だということですか。それならば、どう不適当なのか、その理由を明らかにすべきであります。理由も明らかにせずに任命を拒否することは、六名に対する重大な名誉毀損ではありませんか。答弁を求めます。
 総理は、任命拒否の理由を、学術会議の総合的、俯瞰的活動を確保する観点からだと繰り返しています。ならば問います。総理は、六名を任命すると、学術会議の総合的、俯瞰的活動に支障が出るという認識なのですか。端的にお答えいただきたい。
 さらに、総理は、二十六日のNHKインタビューで、突然、学術会議の推薦名簿は一部の大学に偏っている、民間、若手が極端に少ないなどと非難を始めました。昨日の答弁では、多様性が大事とも述べました。しかし、それならば、なぜ五十代前半の研究者、その大学からただ一人だけという研究者、比重の増加が求められている女性研究者の任命を拒否したんですか。説明していただきたい。
 大体、総理が勝手に、選考、推薦はこうあるべきという基準をつくって任命拒否を始めたら、学術会議にのみ与えられた選考・推薦権は奪われ、学術会議の独立性は根底から破壊されてしまうではありませんか。
 加えて、学術会議が推薦した名簿を総理は見ていないと言う。見ていないで、どうして推薦名簿にそのような特徴があることがわかったんでしょうか。語れば語るほど支離滅裂ではありませんか。しかとお答えいただきたい。
 第二に、任命拒否は、憲法二十三条が保障した学問の自由を侵害するものです。
 総理は、任命拒否は学問の自由とは全く関係がないと言い放ちました。ならば聞きます。あなたは、憲法が定めた学問の自由の保障をどう理解しているのか。学問の自由は、個々の科学者に対してだけでなく、学会、大学など科学者の自律的集団に対しても保障される必要があります。科学者集団の独立性、自主性の保障なくして個々の科学者の自由な研究もあり得ないからであります。総理の見解を伺います。
 理由を明らかにしないままの任命拒否が、個々の科学者に萎縮をもたらし、自由な研究の阻害となることは明瞭ではありませんか。それはさらに、我が国の科学者を代表する日本学術会議の独立性を保障するかなめとなる会員の選考・推薦権という人事権の侵害であり、日本の学問の自由への乱暴な侵犯と言うほかないんじゃありませんか。総理の任命拒否は、学問の自由を二重に侵害するものではありませんか。答弁を求めます。
 そもそも、総理は、日本国憲法が、思想、良心の自由や表現の自由とは別に、学問の自由の保障を独立した条項として明記した理由がどこにあると認識しておられるんですか。
 一九三〇年代、滝川事件、天皇機関説事件など、政権の意に沿わない学問への弾圧が行われました。それは、全ての国民の言論、表現の自由の圧殺へとつながっていきました。毒ガスや生物兵器の開発、人体実験、原爆の研究、国民総武装兵器の開発研究など、科学者は戦争に総動員されました。そして、侵略戦争の破滅へと国を導いたのであります。
 総理、あなたには、憲法に明記された学問の自由の保障が、こうした歴史の反省の上に刻まれたものだという認識がありますか。答弁いただきたい。
 この問題は、日本学術会議だけの問題ではありません。全国民にとっての大問題であります。強権をもって異論を排斥する政治に決して未来はありません。
 日本共産党は、違憲、違法の任命拒否の撤回を強く求めるものです。総理の答弁を求めます。
 新型コロナ感染症は、感染が拡大方向に向かい、ヨーロッパのような再燃が強く危惧されます。緊急焦眉の課題に絞って質問します。
 検査と医療の抜本的拡充は感染防止と経済活動を両立させる最大の鍵ですが、政府の対応には大きな問題があります。
 一つは、PCR検査の立ちおくれです。
 日本のPCR検査の人口比での実施数は世界百五十二位。必要な検査がなお実施されていません。総理にはその自覚がありますか。
 無症状の感染者を把握、保護することを含めた積極的検査への戦略的転換を宣言し、実行に移すべきではありませんか。国の責任で、感染急増地、ホットスポットとなるリスクのあるところに網羅的な検査を行うこと、病院、介護施設、保育園等に対して社会的検査を行うことを求めます。感染追跡を専門に行うトレーサーの増員など、保健所の体制強化を求めます。
 多くの自治体が独自にPCR検査の拡充に乗り出していますが、行政検査として行う場合、費用の半分が自治体負担となることが検査拡充の足かせとなっています。全額国庫負担による検査の仕組みをつくるべきではありませんか。
 いま一つは、医療機関の疲弊です。
 日本病院会など三団体の実態調査によれば、全国の病院は四―六月期に平均一〇%を超える赤字となり、四分の一を超える病院で夏のボーナスがカットになりました。三団体の調査報告書は、国からの十分な支援がなくては地域医療が崩壊する可能性すらあると訴えています。
 総理は医療従事者への感謝を言われましたけれども、感謝というなら医療機関への減収補填に踏み切るべきではありませんか。新型コロナとインフルエンザの同時流行への体制づくりという点からも、医療機関への財政的補償が不可欠であります。総理の答弁を求めます。
 新型コロナが長期化するもとで、事業と雇用の危機は極めて深刻です。
 東京商工リサーチの調査によれば、コロナ収束が長引いた場合、廃業を検討する可能性があると答えた中小企業は八・八%、単純計算で実に三十一万社を超える中小企業が廃業の危機に瀕しています。
 雇用危機も深刻です。雇用者数は、コロナ前に比べて、六月は百四十五万人の減少、八月でも百十七万人減ったままです。リーマン・ショックの際の雇用者減の最大九十四万人と比べても、過去最悪の急激な雇用の減少が起こっているのであります。
 総理に伺います。
 現下の事業と雇用の危機は、放置すればコロナ恐慌を引き起こしかねない戦後最悪の状況だと考えますが、どういう認識をお持ちですか。お答えいただきたい。
 私は、こうした事態を踏まえ、次の三点を緊急に提起するものです。
 第一に、休業支援金の支給決定は予算額の五%、家賃支援給付金の給付額は予算額の二割弱にすぎません。制度はつくったが支援が届いていないという事態を直ちに是正する実効ある措置をとることを、ここで約束していただきたい。
 第二に、政府の直接支援策は、全てことしじゅうを対象としたものです。このままでは年が越せない、事業継続を諦めざるを得ない、これが現場の悲痛な声であります。総理、今この場で、雇用調整助成金のコロナ特例を延長すること、持続化給付金の第二弾を実施すること、家賃支援給付金を延長すること、生活困窮者のための貸付金を延長し返済免除の拡充を行うこと、そして、国が数千億円の規模で出資して文化芸術復興基金を創設することを約束していただきたい。いかがでしょうか。
 第三は、消費税を五%に減税するとともに、経営困難な中小業者には一九年度と二〇年度分の消費税の納税を免除することであります。資産一千億円以上の超富裕層は、コロナのもとで資産を十四兆円から十九兆円へとふやしています。富裕層などに適正な課税を行い、消費税を減税することは、税の公正の上でも急務ではありませんか。
 以上の諸点について答弁を求めます。
 総理は、自助、共助、公助、まずは自分でやってみると自己責任を繰り返し強調していますが、コロナのもとで多くの国民は十分過ぎるほどの自助努力をやっていますよ。政治の仕事は公助、暮らしを守り、よくするための公の責任を果たすことに尽きるということを訴えて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣菅義偉君登壇〕

#10
○内閣総理大臣(菅義偉君) 志位和夫君の質問にお答えをいたします。
 今回の会員の任命と日本学術会議法の関係についてお尋ねがありました。
 御指摘の吉田元総理の発言は日本学術会議の創設時に発言されたものと承知しておりますが、日本学術会議の運営については、日本学術会議法を始め関連する法令に沿って行われるべきものと認識をしております。
 日本学術会議法との関係の御指摘についてですが、憲法第十五条第一項は、公務員の選定は国民固有の権利と規定しており、日本学術会議の会員についても、必ず推薦のとおりに任命しなければならないわけではないという点については、内閣法制局の了解を経た政府としての一貫した考え方であり、今回の任命も、日本学術会議法に沿って打ち出したものであります。
 過去の政府の答弁についてお尋ねがありました。
 過去の答弁は承知しておりますが、先ほど申し上げたとおり、憲法第十五条第一項との関係で、日本学術会議の会員についても、必ず推薦のとおりに任命しなければならないわけではないという点については、内閣法制局の了解を経た政府としての一貫した考え方であり、日本学術会議法の解釈変更ではない旨は、国会において内閣法制局からも答弁しているとおりです。
 憲法第十五条についてお尋ねがありました。
 憲法第十五条第一項は、公務員の選定は国民固有の権利と規定しており、この憲法の規定に基づき、日本学術会議法では、会員を総理が任命することとしていることから、この任命に当たっては、必ず推薦のとおりに任命しなければならないわけではないという点については、内閣法制局の了解を経た政府としての一貫した考え方であり、今回の任命も、日本学術会議法に沿って行ったものです。
 憲法第十五条第一項に関する御指摘の過去の答弁は承知しており、また、個々人の任命の理由については、人事に関することであり、お答えを差し控えますが、今回の任命については、先ほど申し上げたような考え方に基づき、日本学術会議法に沿って行ったものであり、名誉毀損に当たるとは考えておりません。
 総合的、俯瞰的な活動に関してお尋ねがありました。
 私が日本学術会議について申し上げてきたのは、まず、年間十億円の予算を使って活動している政府の機関であり、任命された会員は公務員となるので、国民に理解される存在であるべきだということです。
 個々人の任命の理由については、人事に関することであり、お答えを差し控えますが、任命を行う際には、総合的、俯瞰的な活動、すなわち、専門分野の枠にとらわれない広い視野に立ったバランスのとれた活動を行い、国の予算を投ずる機関として、国民に理解される存在であるべきということ、更に言えば、例えば、民間出身者や若手が極端に少なく、出身や大学にも大きな偏りが見られることも踏まえ、多様性が大事だということを念頭に、私が任命権者として判断をしたものであります。
 この総合的、俯瞰的な活動が求められること、産業人、若手研究者、地方在住者など多様な会員を選出すべきだ、このことについては、総合科学技術会議から、日本学術会議の組織や会員の選出方法について意見具申があったものです。
 なお、今回の任命について、私が最終的な決裁を行うまでの間に、推薦の状況については説明を受け、私の考え方については担当の内閣府とも共有しており、それに基づいて私が最終的な任命の判断をしたものであります。
 日本学術会議と学問の自由についてお尋ねがありました。
 憲法第二十三条に定められた学問の自由は、広く全ての国民に保障されたものであり、特に、大学における学問研究及びその成果の発表、教授が自由に行えることを保障したものであると認識しています。
 また、日本学術会議については、日本学術会議法上、科学に関する重要事項の審議などの職務を独立して行うことが規定されています。
 今回の日本学術会議の会員の任命は、憲法第十五条第一項の規定の趣旨を踏まえ、任命権者である内閣総理大臣が、その責任をしっかりと果たすため、日本学術会議法により、推薦に基づいて、国の行政機関として職務を行う会議の一員として公務員に任命をしたものであります。
 こうした考え方に基づく任命権の行使が、会員等が個人として有している学問の自由に影響を与え、これを侵害することや、会議の職務の独立性を侵害することになるとは考えておりません。
 現行憲法における学問の自由の保障についてお尋ねがありました。
 現行憲法では、旧憲法下において国家権力により学問の自由が圧迫されたことなどを踏まえ、特に明文で学問の自由を保障したものと認識しております。
 日本学術会議の任命の取扱いについてお求めがありました。
 これまで申し上げたように、今回の任命は、憲法第十五条第一項の規定に基づき、任命権者である内閣総理大臣が、その責任をしっかりと果たすため、日本学術会議法に基づいて会員を任命したものであり、今回の任命について変更するということは考えておりません。
 検査の国際比較についてお尋ねがありました。
 我が国と他国では感染状況などが異なることから、PCR検査の実績の人口比で一概に評価することは難しいと考えております。
 その上で、我が国における一週当たりの検査数としては、四月上旬に約五万件あったのが、感染者数のピーク時における八月上旬には十七万件を超え、直近の一週間でも約十五万件となっており、全体として検査体制は向上していると認識しており、今後、冬の季節性インフルエンザの流行期も含めて、必要な方が迅速、スムーズに検査を受けられるよう、引き続き検査体制を強化してまいります。
 新型コロナウイルス感染症に係る検査の拡充についてお尋ねがありました。
 医療機関や高齢者施設等に勤務する方や入院、入所者、さらには感染者の濃厚接触者等に対しては、既に、無症状であっても行政検査の対象とするなど、積極的な検査を実施しているところです。
 また、この夏の感染拡大期においては、感染が拡大していた新宿の繁華街を対象に、新宿区と連携して面的な検査を実施したところです。
 保健所の体制強化についても、自治体に準備をお願いするとともに、関係団体などの協力を得ながら広域的な応援体制を構築しております。
 なお、行政検査の地方負担については、法律の規定により二分の一となっておりますが、地方創生臨時交付金の算定対象となっており、その分を地方自治体の財源として活用することが可能であります。
 医療機関への財政的補償についてお尋ねがありました。
 医療機関においては、患者数の減少による収入の減少などが見られることから、これまで約三兆円の支援を実施してまいりました。
 九月に閣議決定した予備費では、新型コロナウイルス感染症患者を入院させた医療機関に対する支援を拡充したほか、それ以外の医療機関も含めた支援策として、インフルエンザ流行期に備え、発熱患者等を対象とした外来体制をとる医療機関への補助や、新型コロナが疑われる患者を受け入れる救急、周産期、小児科医療機関への支援などを行っております。
 現下の事業と雇用を踏まえた経済認識についてお尋ねがありました。
 新型コロナウイルス感染症の影響により、我が国の中小企業・小規模事業者は厳しい経営環境に直面しており、雇用者数も減少をしました。
 社会経済活動を再開していく中で、雇用者数も徐々に増加し、景気に持ち直しの動きが見られておりますが、依然として我が国経済が厳しい状況にあるとの認識に変わりはありません。
 引き続き、感染対策を行う中で、雇用を守り、事業が継続できるよう必要な対応を行い、経済を回復させるべく全力を挙げてまいります。
 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金及び家賃支援給付金についてお尋ねがありました。
 休業支援金については、その支給に当たって、事業主の協力がいただけず、申請、支給に至らないケースがあると聞いておりますが、こうした場合には、労働局で労働者からの申請を一旦受け付けた上で、事業主に対して調査を行うという運用にしております。こうした運用や制度の対象者について、関係者にわかりやすく周知徹底してまいります。
 家賃支援給付金については、不正受給を防止する観点から、契約の確認などの審査に時間を要しておりますが、審査担当やコールセンターなどの体制増強を行い、給付の迅速化を進めているところです。
 政府の直接支援策についてお尋ねがありました。
 雇用調整助成金の特別措置の取扱いについては、今後の雇用情勢などを踏まえ、適切に判断をしてまいります。
 持続化給付金と家賃支援給付金については、緊急事態宣言を経て厳しい状況にある事業者の事業の継続のための特別な措置であり、必要な方々に行き渡るようにしてまいります。
 緊急小口資金などの特別貸付けについては、貸付実績や経済の動向などを見て、今後の対応を検討します。
 文化芸術への支援については、第二次補正予算において、文化芸術活動の再開や継続に向けて、実演家や技術スタッフの方々やそれらの団体を支援するために予算措置を行っております。
 消費税の減税等についてお尋ねがありました。
 新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少した事業者については、消費税などの納税猶予の特例を行っておりますが、消費税については、社会保障制度のために必要な財源と考えております。
 御指摘の富裕層への課税については、これまで、所得税や相続税の最高税率の引上げなどの見直しを行っているところですが、今後の税制のあり方については、経済社会の情勢の変化を踏まえ、検討する必要があるものと考えます。
 公助についてお尋ねがありました。
 私は、まず、自分でやってみる、そういう国民の皆さんの創意工夫を大事にしたいと思います。さらに、地域の皆さん、それぞれの創意工夫で地域をよくすることができる、それが私が実感していることですし、そうしたことができる環境を国がつくってまいります。その上で、最後は国が守ってくれるんだ、セーフティーネットがしっかりあるんだという信頼が大事だと思います。
 新型コロナウイルスの爆発的な感染を絶対に防ぎ、国民の命と健康を守り抜く、その上で、経済を回復させていくために、公助たる政府として、しっかりと責任を果たしていきたいと思います。(拍手)
    〔議長退席、副議長着席〕
    ―――――――――――――

#11
○副議長(赤松広隆君) 馬場伸幸君。
    〔馬場伸幸君登壇〕

#12
○馬場伸幸君 日本維新の会の馬場伸幸です。(拍手)
 いよいよ、十一月一日、大阪市を四つの特別区に再編する大阪都構想の是非を問う住民投票が実施されます。
 都構想の目的は、無駄のきわみたる大阪府と大阪市の二重行政を解消することで、大阪の成長戦略を一本化し、同時に、住民自治を拡充することにあります。大都市の成長を担う広域行政は府が担い、大阪市にかわって四つの特別区が住民に身近なサービスを提供するものです。
 実現すれば、明治維新の廃藩置県以来、約百五十年ぶりの統治機構改革となり、単に地域にとどまらない、新しい日本の形を決めていく国家的意義のあるプロジェクトです。
 大阪都構想への道を開いたのは、政令指定都市と道府県との間で深刻化する二重行政にメスを入れようと、当時野党だった自民党有志議員の皆さんが立ち上がったことでした。
 その熱い思いは政界で広く共有され、平成二十四年八月、共産、社民両党を除く超党派の議員立法により、大阪都構想の根拠法となる大都市地域特別区設置法、いわゆる大都市法が成立するに至りました。日本維新の会が結党される前のことです。
 改革を牽引した自民党の大都市問題検討プロジェクトチームで、座長として議論をリードされたのが菅総理でした。
 総理にお伺いします。
 大阪を舞台に、あと一歩で新たな国づくりへの大きな扉が開かれようとしています。大都市法制定に力を注がれた政治家の一人として、大都市法に基づく住民投票が実施される意義をどのようにお考えでしょうか。お伺いをいたします。
 二十六日の毎日新聞夕刊が、都構想に係る重大な誤報を一面トップに掲載しました。それに追随し誤報を拡散した在阪メディアが訂正に走るという、法定された住民投票において、あってはならない事態が発生しています。
 私たちも、報道の自由は最大限尊重する立場です。他方、公職選挙法百四十八条ただし書きには、「虚偽の事項を記載し又は事実を歪曲して記載する等表現の自由を濫用して選挙の公正を害してはならない。」とあります。本条項の趣旨を総務大臣からお示しください。
 その上で、毎日新聞の大誤報に係る以下の点について、我々の考えを述べます。総務大臣の見解をお願いいたします。
 一つ。大阪市財政局が公表した、大阪市を四市に分市した場合の基準財政需要額は、いわゆる補正係数のうち、需要額が上振れする段階補正のみを置きかえているが、都市化の程度といった態容に応じて補正する態容補正など、段階補正とは逆のベクトルをとる補正係数を無視している。
 二つ。特別区の基準財政需要額は、個々の特別区ではなく、東京では二十三の特別区、大阪都構想においては四つの特別区の区部全体を一つの市とみなして算定することとなっているため、そもそも個々の特別区の需要額の計算式は存在しない。
 三つ目。特別区の需要額は、単なる理論値であり、普通市が担当している水道や消防に係る事務を府が担当するという実態も全く反映していない。
 四。都構想が実現した場合の需要額は、府の需要額と特別区の需要額を合算して初めて意味を持ち、結論としては、現在の大阪府と大阪市の需要額と同額となる。
 そもそも、基準財政需要額は、単なる自治財政分野の行政実務で利用されている理論値にすぎず、大阪都構想にあっては、そうした理論値ではなく、行政の実態を十分に踏まえた財政シミュレーションを策定し、公表してきたところです。
 大阪都構想を実現することにより、大都市としての大阪が一体としてますます成長を続けることが可能となれば、経済成長で上積みされる税収によって、少子高齢化が進展する中にあっても、住民サービスを維持拡充していくことができる、我々はそう確信しています。
 毎日新聞には、メディアの真の役割を自覚し、適切な対応をとるよう強く申し上げておきます。
 次に、デジタル改革について御質問いたします。
 世界じゅうで猛威を振るう新型コロナウイルス、その国難の中で船出した菅内閣は、あしき前例主義を打破する、規制改革はど真ん中と掲げ、改革メニューを矢継ぎ早に打ち出されています。
 日本維新の会は、結党以来、維新八策を携え、新しい国づくりに全力で取り組んでおり、改革に対する視線は総理と重なります。
 最も肝要なのは、改革の中身とスピードです。規制改革の一丁目一番地が、世界から大きくおくれをとったデジタル分野の変革であることは言をまちません。
 政府は二十年前からデジタル化推進の旗を掲げ、数兆円規模の予算を投入したにもかかわらず、時間と税金だけが空費されました。
 この失われた二十年の元凶は何だったのか。古い仕組みには長年の利権が巣くい、それがさまざまな規制を隠れみのとしてデジタル化を阻んできたのであります。
 そうした中、マイナンバー活用の重要性をいち早く訴えてきた我が党は、自民、公明両党とともに、さきの通常国会に、緊急時に国が迅速に現金給付を行うために、マイナンバーと預貯金口座を連結させる、緊急時給付迅速化法案を提出しました。
 総理に質問いたします。
 政府は来年の通常国会にマイナンバーを始めとするデジタル関連法案を提出する方針ですが、緊急時給付迅速化法案は今国会で成立させるべきです。総理の御認識を伺います。
 日本維新の会は、マイナンバーと全ての預貯金口座のひもづけを義務づけ、徴税や給付を含むあらゆる行政施策に活用できるようにする、マイナンバーのフル活用を目指しています。
 デジタル改革、デジタル庁をおっしゃるのであれば、マイナンバーのフル活用にまで踏み込まなければその意義はないと指摘せざるを得ません。総理の見解を伺います。
 デジタル社会を支える最先端の基盤は電波です。AIもロボットも、電波がなければ機能しません。人口をはるかに上回る物と物をネットワークでつなげる電波は、デジタル化の大波に乗って飛躍的に重要度を高めることになります。
 しかし、電波は、特定の放送局や通信事業者など先住人が事実上独占してきた、日本の古き岩盤規制の象徴です。
 電波オークションの導入は世界の趨勢です。ことしのノーベル経済学賞には、電波オークションの研究や実用化に大きく貢献したアメリカの二人の大学研究者が選ばれました。
 総理にお伺いいたします。
 電波オークション導入に本腰を入れて取り組むお考えはないでしょうか。できないとおっしゃるのであれば、その理由をお示しください。
 総理が日本学術会議の新会員六人の任命を見送ったことに、一部の野党から、学問の自由への侵害だなどと批判が出ています。
 しかし、会議が推薦した会員候補を総理が形式的に任命していたあしき前例こそ見直す必要があると考えます。
 仮に、今回の任命権行使が学問の自由の侵害に当たるというのであれば、日本学術会議に対する民主的統制はどのようにきかせればよいのでしょうか。この場で野党第一党の代表に質問したいくらいですが、そうもいきませんので、一部野党の批判は筋違いであるとだけ指摘をしておきたいと存じます。
 他方、総理も、任命権を行使するに当たっては、その理由を説明すべきです。
 そもそも、日本学術会議は、毎年十億円もの税金が投入されている国の機関として、それに見合う役割、機能を果たしてきたのでしょうか。日本じゅうがコロナ禍で苦しんでいるときに、学術会議は、国家の知恵袋として、適切なタイミングで政策提言をしたと胸を張って言えるでしょうか。
 私たちは、こうした行政改革の対象にすべき組織はまだまだ存在すると考えています。行政改革の対象に聖域はありません。
 総理にお伺いします。
 日本学術会議だけでなく、国費で運営されている組織について、行革の観点から洗いざらい点検し、廃止や民営化が必要なものはその改革を断行していくべきと考えますが、いかがでしょうか。総理のお考えを伺います。
 新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行が予想される冬に向け、万全の体制を整えることが急務です。
 新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言発令で判明したのは、国と自治体の権限や責任、役割分担が曖昧だったことです。
 総理にお尋ねします。
 次の波に備え、特措法を早急に改正し、自治体に権限と財源を付与すべきですが、どう認識されていますか。政府は、特措法改正はコロナ収束後に検討すると悠長に構えていますが、その方針は変わりませんか。急がないのはなぜでしょうか。
 医療機関は総じて厳しい経営環境にあり、医療従事者も心身ともに過酷な状況に置かれています。まさに生命線たる医療機関を守ることができなければ、両立すべき感染拡大防止と経済活動は共倒れし、日本の社会経済は瓦解の危機に瀕します。
 総理に伺います。
 医療崩壊を防ぐために、診療報酬のさらなる見直しや、補助金の思い切った拡充、福祉医療機構による融資枠の拡大などの支援策が待ったなしの状況です。政府の対応をお示しください。
 日本維新の会は、憲法審査会を滞りなく開催し、憲法改正に向けた議論を広く展開することこそ、国民の皆様が憲法にしっかり向き合い、考えていただく機会になると確信しています。
 その観点から、我が党は、平成二十八年三月、教育の無償化、統治機構改革、憲法裁判所の設置という三項目の改正条文案を国民の皆様に提案しています。
 しかし、議論のテーブルに着くことさえ拒否し続けている、我が党以外の野党は論外として、改憲を党是とする自民党の覚悟も伝わってきません。
 特定の野党の皆さんに申し上げます。もう子供のようにだだをこねるのはやめ、国民のために前を向いて、汗をかこうではないですか。与党の皆さんも、野党とつき合うのは終わりにしていただきたいと思います。
 そこで、自民党総裁である総理にお尋ねいたします。
 今国会で国民投票法改正案を成立させること、並びに憲法審査会での改正項目の議論を深めていくことに指導力を発揮すると約束できますか。国民投票法改正さえ停滞するなら、衆議院の解散・総選挙に踏み切って国民の信を問う覚悟はありますか。憲法改正への決意をお示しください。
 日本維新の会は、これまで、やればよいとわかっていたけれどもできなかったこと、やらなかったことに果敢に挑み続け、光り輝く日本を取り戻し、先人たちが築き上げてきたこの国を胸を張って後世に引き継いでいけるよう、身を捨てて努力することをお誓い申し上げ、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣菅義偉君登壇〕

#13
○内閣総理大臣(菅義偉君) いわゆる大阪都構想についてお尋ねがありました。
 この構想は、議員立法として成立した大都市地域特別区設置法に基づくものであり、大阪市を廃止して特別区を設置することによって、二重行政の解消と住民自治の拡充を図ろうとする、大都市制度の大きな改革であると認識しています。
 本件は、法律上、地域の判断に委ねられているものであり、大阪市民の皆さんが構想の趣旨と内容を十分に理解していただいた上で判断されるべきものと考えています。
 マイナンバー制度の活用についてお尋ねがありました。
 マイナンバー制度は、デジタル社会のインフラとして、国民の利便性の向上や行政の効率化に資するものであり、来年三月からの健康保険証とマイナンバーカードの一体化のほか、運転免許証のデジタル化、公金受取口座における利用など、その利活用と普及を促進してまいります。
 御指摘の法案については、議員立法に関するものであることから、国会及び各会派において御議論をいただくものと考えます。
 電波オークションについてお尋ねがありました。
 電波の割当て手続の透明性や迅速性の確保につながる一方、落札額の高騰により設備投資の遅延や事業運営に支障が生じるおそれがあるなど、電波オークションにはメリット、デメリットがあると承知をしています。
 こうした点を考慮し、昨年、電波法を改正し、電波の割当ての審査項目に電波の経済的価値を踏まえた申請者による評価額を追加し、国庫に納付する仕組みを導入しました。
 その上で、オークション制度については、メリット、デメリット、導入した各国におけるさまざまな課題も踏まえ、引き続き、総務省において検討していくこととしております。
 学術会議についてお尋ねがありました。
 私が日本学術会議について申し上げてきたのは、まず、年間十億円の予算を使って活動している政府の機関であり、任命された会員は公務員となるので、国民に理解される存在であるべきということです。
 個々人の任命の理由については、人事に関することであり、お答えは差し控えますけれども、任命を行う際に、総合的、俯瞰的な活動、すなわち、専門分野の枠にとらわれない広い視野に立ってバランスのとれた活動を行い、国の予算を投じる機関として、国民に理解される存在であるべきということです。更に言えば、例えば、民間出身者や若手が少なく、出身や大学にも大きな偏りが見られることも踏まえ、多様性が大事だということを念頭に、私が任命権者として判断を行ったものであります。
 この総合的、俯瞰的な活動が求められること、産業人、若手研究者、地方在住者など多様な会員を選出すべきことについては、総合科学技術会議から、日本学術会議の組織や会員の選出方法について意見具申があったものです。
 日本学術会議については、新型コロナウイルスに関する提言を含めて、随時提言や報告を発表します。
 今後、日本学術会議については、国民に理解されるよりよい組織となるよう、未来志向で梶田会長と議論を続けていきたいと考えております。
 これ以外の政府の機関についても、予算の使途や機構・定員について各年度点検し、その中で必要があれば、それぞれのあり方についてもしっかりと対応していきます。
 特措法改正と医療機関の支援についてお尋ねがありました。
 特措法については、有識者の間でも、罰則を含めて規制強化をすべきという意見や、私権制限に慎重な意見などがあり、先日の分科会でもこうしたさまざまな意見が出されたということです。
 このため、特措法に関するさまざまな法的論点については、全体の法体系との整合性を図るとともに、幅広い御意見も聞いた上で、必要なものについては速やかに検討を進めてまいります。
 まずは、早急に、今後の感染拡大に備え、これまでの経験や科学的知見も踏まえ、地方自治体と密接に連携をしながら、国が主導して万全の準備、対応を講じてまいります。
 また、医療機関への支援については、患者数の減少による収入の減少などが見られることから、これまで約三兆円の支援を実施してまいりました。
 まずは、これらの支援を医療現場の皆様に速やかにお届けするとともに、今後とも、国民の皆様に必要な地域医療が確保できるよう、必要な取組や支援を行ってまいります。
 憲法改正についてお尋ねがありました。
 日本維新の会が憲法改正について具体的な考え方を示し、憲法審査会において建設的な議論を呼びかけておられることに、まずもって敬意を表したいと思います。
 憲法審査会の運営については、国会でお決めいただくことであり、内閣総理大臣としてお答えすることは差し控えたいと思いますが、その上で、お尋ねでありますのであえて申し上げれば、憲法改正は、国会が発議し、最終的には国民投票により主権者である国民の皆様が決めるものです。それゆえ、憲法審査会において憲法改正についての議論を重ね、国民の皆さんの理解を深めていくことが私たち国会議員の責任ではないかと考えております。
 まずは、憲法審査会において、国民投票法改正も含め、与野党の枠を超えて、建設的な議論を行っていただきたいと思います。
 なお、解散については、まずは新型コロナ対策、そして経済の再生が最優先であり、国民の皆さんの政権への期待もそこにあると思います。まずは、これらに全力で取り組みたいと考えます。
 ただ、いずれにせよ、一年以内には衆議院選挙を行う必要があり、そうした時間の制約も前提にしながら、よく考えていきたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣武田良太君登壇〕

#14
○国務大臣(武田良太君) 馬場議員からの御質問にお答えをいたします。
 まず、公職選挙法第百四十八条第一項ただし書きの趣旨について御質問をいただきました。
 公職選挙法第百四十八条は、新聞紙、雑誌の使命である報道、評論の自由を尊重し、一般の選挙運動規制の特例として、新聞紙、雑誌の報道、評論の自由を保障するものではありますが、事実無根や詐欺の事項を記載したり、意識的に事実をゆがめて記載するなど、表現の自由を濫用することにより選挙の公正を害してはならないことから、第一項ただし書きの規定が設けられたものと承知をいたしております。
 次に、特別区の基準財政需要額の算定方法について御質問をいただきました。
 まずは、制度の面から申し上げれば、特別区の基準財政需要額の算定については、特別区毎にそれぞれ算定するのではなく、特別区の区域全体を一つの市町村とみなして、さまざまな補正を適用して算定し、これを通常の道府県分として算定した部分と合算することとなります。
 合算して算定された交付税額は、基本的には従前と同水準となり、都に全体が交付をされます。
 その上で、都と特別区の間及び特別区相互の間の財源調整については、都区財政調整制度により行われることとなります。
 いずれにせよ、特別区設置の成否については、法令の手続に従い、地域の判断に委ねられているものであります。既に告示がなされており、また、みずからの地域のあり方を決める極めて重要な問題であることから、大阪市民の皆さんが特別区設置協定書の内容について十分に理解を深めた上で判断していただくことを期待しております。(拍手)

#15
○副議長(赤松広隆君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――

#16
○副議長(赤松広隆君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時四十九分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
       内閣総理大臣菅  義偉君
       財務大臣  麻生 太郎君
       総務大臣  武田 良太君
       法務大臣  上川 陽子君
       外務大臣  茂木 敏充君
       文部科学大臣  萩生田光一君
       厚生労働大臣  田村 憲久君
       農林水産大臣  野上浩太郎君
       経済産業大臣  梶山 弘志君
       国土交通大臣  赤羽 一嘉君
       環境大臣  小泉進次郎君
       防衛大臣  岸  信夫君
       国務大臣  井上 信治君
       国務大臣  小此木八郎君
       国務大臣  加藤 勝信君
       国務大臣  河野 太郎君
       国務大臣  坂本 哲志君
       国務大臣  西村 康稔君
       国務大臣  橋本 聖子君
       国務大臣  平井 卓也君
       国務大臣  平沢 勝栄君
 出席内閣官房副長官
       内閣官房副長官  坂井  学君
 出席政府特別補佐人
       内閣法制局長官  近藤 正春君
ソース: 国立国会図書館
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