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2020/11/12 第203回国会 衆議院 第203回国会 衆議院 本会議 第5号 令和2年11月12日
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2020/11/12 第203回国会 衆議院

第203回国会 衆議院 本会議 第5号 令和2年11月12日

#1
令和二年十一月十二日(木曜日)
    ―――――――――――――
  令和二年十一月十二日
    午後一時 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 包括的な経済上の連携に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定の締結について承認を求めるの件の趣旨説明及び質疑
    午後一時二分開議

#2
○議長(大島理森君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 包括的な経済上の連携に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定の締結について承認を求めるの件の趣旨説明

#3
○議長(大島理森君) この際、包括的な経済上の連携に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定の締結について承認を求めるの件につき、趣旨の説明を求めます。外務大臣茂木敏充君。
    〔国務大臣茂木敏充君登壇〕

#4
○国務大臣(茂木敏充君) ただいま議題となりました包括的な経済上の連携に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 政府は、本年六月以来、英国政府との間でこの協定の交渉を行いました。その結果、令和二年十月二十三日に東京において、私と先方国際貿易大臣との間で、この協定の署名が行われました。
 この協定は、我が国と欧州連合離脱後の英国との間で、物品及びサービスの貿易の自由化及び円滑化を促進し、投資の機会を増大させるとともに、電子商取引、知的財産の保護等の分野における協力を強化するものであります。
 この協定の締結により、経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定、いわゆる日・EU・EPAの下で得ていた利益を引き続き確保し、日系企業のビジネスの継続性を確保できます。また、高いレベルの貿易・投資ルールの下で、我が国と英国との間の貿易・投資の更なる促進につながると考えます。
 以上が、この協定の締結について承認を求めるの件の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 包括的な経済上の連携に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定の締結について承認を求めるの件の趣旨説明に対する質疑

#5
○議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。中根一幸君。
    〔中根一幸君登壇〕

#6
○中根一幸君 自由民主党・無所属の会の中根一幸です。
 私は、自由民主党及び公明党を代表し、ただいま議題となりました包括的な経済上の連携に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定について質問させていただきます。(拍手)
 英国のEU離脱に伴う移行期間が本年末に終了すると見込まれている中、日・EU・EPAにかわる新たな貿易・投資の枠組みを構築することは急務であります。本年六月上旬の交渉開始からわずか四カ月という異例の速さで本協定を署名するに至ったことは、画期的なことであります。
 同時に、これは、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、国際貿易・投資が低迷し、内向きに走る国も見られる中、我が国と英国が協力して、自由で公正な経済圏を守り、広げていく役割を主導していくという強固な決意を世界に示すものでもあります。
 本協定が有するこのような重要性に鑑み、私は、今国会において早急に承認すべきものと考えます。
 そこで、初めに、本協定の有する我が国の外交戦略上の意義についてお尋ねします。
 茂木外務大臣は、これまでTPPや日米貿易協定の交渉に携わってこられましたが、自由貿易を標榜する日本にとって、本協定はいかなる意義を有するでしょうか。また、英国のEU離脱に伴う移行期間が本年末に終了する見込みであると承知していますが、その場合、仮に本協定を年内に締結することができなくなると、どのような影響が生じると考えられるのでしょうか。外務大臣の見解をお伺いします。
 続いて、本協定にも密接に関連する、英国とEUとの間での交渉についてお尋ねします。
 英国を含む欧州諸国でビジネスを展開する日系企業にとっては、本協定の発効に加えて、英国とEUとの間でも安定した通商を行うことのできる環境が重要です。
 英国とEUとの間で行われている交渉の見通しについて、外務大臣にお伺いします。
 特に、農林水産品の市場アクセスについては、我が国の農林水産業が今後とも国の基盤として発展し、将来にわたってその重要な役割を果たしていくことが可能となるようであることが必要です。
 この点に関連し、本協定における農林水産品の市場アクセスに関する約束が我が国の農林水産業に与える影響について、また、本協定も踏まえて我が国の農林水産品の輸出促進にどのように取り組んでいくのか、農林水産大臣の答弁を求めます。
 新型コロナウイルス感染症は、デジタル化の推進の必要性を浮き彫りにしました。今後、日本のデジタル化を推進していく上でも、本協定において先進的なルールが定められていることは重要であると考えます。
 今後、本協定も踏まえ、WTOを始めとする国際社会におけるデジタル分野での議論にどのように取り組んでいくのか、外務大臣にお伺いします。
 最後に、本協定が締結されれば、経済分野で英国との間に強固な基盤が築かれると思いますが、EUを離脱し、グローバル・ブリテンを標榜する英国との間で、経済分野に限らず、今後どのような日英関係を築いていくお考えか、外務大臣にお伺いします。
 英国政府はTPP11への加入の意向を累次にわたり表明していると承知していますが、政府におかれては、英国とも連携し、また、TPP11や日・EU・EPAを始めとする既存のEPAを着実に実施すること、さらには、WTO改革にもしっかりと取り組んでいくこと等を通じ、我が国が世界の自由貿易体制の維持強化に主導的な役割を果たすことを要望申し上げ、私の質問といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔国務大臣茂木敏充君登壇〕

#7
○国務大臣(茂木敏充君) 中根議員から、日英EPAの外交戦略上の意義についてまずお尋ねがありました。
 日英EPAは、EU離脱後の英国との間で、日・EU・EPAにかわる貿易・投資の枠組みを規定するもので、日系企業のビジネスの継続性を確保し、日英間の貿易・投資の促進につながることが期待をされます。
 新型コロナにより貿易・投資が停滞をする中、これまでTPP11や日米貿易協定を通じて自由貿易の国際的な取組をリードしてきた我が国が、日英EPAの締結により、自由貿易を更に推進していくという力強いメッセージを発信することは、意義深いものと考えております。
 仮に本年末の移行期間終了までに日英EPAを締結できなければ、日英間の関税率が上昇するなど、日英間の貿易や日系企業のビジネスに大きな影響が出ることとなるため、日英EPAの早期締結は極めて重要であると考えております。
 次に、英国とEUの将来関係の交渉についてお尋ねがありました。
 現在、英国とEUは将来関係協定の締結に向けて交渉していると承知をいたしております。
 英・EU交渉の結果は、英国を含む欧州諸国でビジネスを展開している日系企業に影響を及ぼすものであり、これまでも英国とEU双方に対して早期妥結を働きかけてまいりました。
 日本としては、引き続き、英国とEUの交渉の動向を強い関心を持って注視していくとともに、英・EU双方に対して早期妥結を働きかけていく考えであります。
 日英包括的経済連携協定を踏まえた国際社会におけるデジタル分野での議論への取組についてお尋ねがありました。
 AIやビッグデータの活用など、これからのデータ駆動型経済の鍵となるデジタルデータを国際的にどのように利活用していくか、そのルールづくりが重要になってきています。
 日本は、これまで、データ・フリー・フロー・ウイズ・トラスト、すなわち信頼性ある自由なデータ流通の実現に向けて、TPPや日米デジタル貿易協定を始めとするデジタル分野の国際的なルールづくりを主導してまいりました。
 日英包括的経済連携協定における電子商取引節でも、情報の越境移転の制限の禁止、コンピューター関連施設の設置要求の禁止、ソースコード、アルゴリズムの開示要求の禁止等を規定しており、これらの規定は、デジタル貿易、電子商取引分野における国際的なルールづくりにおける議論をリードするハイスタンダードなものであります。
 現在、我が国は、昨年六月のG20大阪サミットの機会に立ち上げた大阪トラックのもと、WTOにおいて、八十カ国以上の国とともに、電子商取引に関する国際的なルールづくりの交渉を共同議長国として推進しています。
 我が国として、こうしたWTOにおける取組を始め、ポストコロナで重要性が増すデジタル分野に関する新たなルールづくりにおいて、国際社会で主導的な役割を果たしてまいりたいと考えております。
 最後に、今後の日英関係についてお尋ねがありました。
 我が国にとって、英国は基本的価値を共有するグローバルな戦略的パートナーであります。日英包括的経済連携協定の締結は、良好な日英関係のさらなる強化のための重要な基盤となるものであり、かつ、今後も日英が自由貿易を更に推進していくという力強いメッセージを発信するものであります。
 また、近年、日英間の安保・防衛協力は飛躍的な発展を遂げております。引き続き、英国と、共同訓練、海洋安全保障、瀬取り対応、防衛装備品移転や共同研究を含む具体的な協力の一層の推進に努めてまいります。
 さらに、新型コロナ対策や気候変動対策、そして、自由で開かれたインド太平洋の実現のための協力を含む幅広い分野で日英関係を一層強化してまいります。(拍手)
    〔国務大臣野上浩太郎君登壇〕

#8
○国務大臣(野上浩太郎君) 中根議員の御質問にお答えいたします。
 農林水産品の市場アクセスについてのお尋ねがありました。
 本協定において、日本側の農林水産品については、関税は日・EU・EPAと同じ内容を維持する、日・EU・EPAで設定された関税割当ては設けないなど、日・EU・EPAの範囲内となっております。
 このため、英国に対して、日・EU・EPAにかわり、今回の日英協定が適用されることになったとしても、我が国の農林水産業への追加的な影響はないものと考えています。
 また、我が国からの輸出については、牛肉、茶、水産物など主要な輸出関心品目の関税の撤廃や地理的表示の保護などの日・EU・EPAの内容を維持しており、英国市場に向けた我が国農林水産物の輸出促進に強力に取り組んでまいります。(拍手)
    ―――――――――――――

#9
○議長(大島理森君) 阿久津幸彦君。
    〔阿久津幸彦君登壇〕

#10
○阿久津幸彦君 立憲民主党の阿久津幸彦です。
 私は、立憲民主党・社民・無所属を代表して、ただいま議題となりました日英包括的経済連携協定について質問いたします。(拍手)
 質問に先立ちまして、さきに行われました米国大統領選挙についてお尋ねします。
 既に、ジョー・バイデン候補が勝利宣言をし、菅総理も、バイデン氏と初の女性副大統領になるであろうカマラ・ハリス上院議員に祝意をあらわしたとのことです。
 私は、この大統領選を通じて、二つのことが特に強く印象に残りました。一つは、バイデン氏が米国民に忍耐と融和を訴えたこと。もう一つは、ハリス氏が、性別などに関係ないと子供たちに夢を語ったことです。私は、米国民主主義の底力を見た思いでした。
 そこで、茂木外務大臣にお尋ねします。
 大臣は、このたびの米国大統領選挙を通じて何を感じましたか。強く印象に残ったことなどがございましたら、お聞かせください。
 次に、本題に移らせていただきます。
 我が国と英国は、自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値を共有する戦略的パートナーであり、日英間で緊密な経済関係を築いていくことや、一般的に経済協定を結ぶことに特に異論はありません。しかし、これはヨーロッパにとっては英国のEU離脱という衝撃的な出来事の副産物として検討を余儀なくされた協定であることは、きちんと認識しなければなりません。
 今回の日英EPAは、英国がEUを離脱したために、我が国と既に合意し、発効済みの日・EU・EPAが適用されなくなることから、新たに署名されたものです。離脱の要因を一つに絞ることは困難ですが、少なくともEU側から見れば、ヨーロッパ全体を一つの地域として政治的、経済的統合を進めてきた流れに逆行し、EUという共同体全体の利益を損なう可能性もあるものと考えられます。
 そこで、外務大臣に伺います。外務大臣は、英国のEU離脱をどのように評価しているのでしょうか。
 菅総理は、所信表明演説で、「世界経済が低迷し、内向き志向も見られる中、率先して自由で公正な経済圏を広げ、多角的自由貿易体制を維持し、強化していきます。」と述べられました。英国との二国間のEPA締結は、菅総理が掲げられた多角的自由貿易体制の維持強化という方針との矛盾が生じるおそれはないのでしょうか。米国がTPPから離脱して我が国との包括的なEPAを求めていることを考え合わせると、結局、我が国は、先方の都合に合わせた二国間交渉を受け入れ、我が国が多年にわたり努力して築き上げてきた目標に反し、後追いで内向き志向を肯定し、助長しているのではないかという批判には何と反論されますでしょうか。外務大臣に伺います。
 現在、イギリスとEUは大変苦労して、貿易交渉を含むさまざまな交渉をまとめています。イギリスとEUの合意より先に日英が貿易協定を結ぶ、それも、日・EU・EPAと同じ条件どころか、キャッチアップ条項により、あたかもイギリスのEU離脱がなかったかのような協定を結ぶことは、EUの存在意義を矮小化するような行為にはならないでしょうか。
 日英EPAを結ぶに当たって、EU当局とも話合い、調整などは行っているのでしょうか。この協定の合意内容についてEU当局とどういったやりとりがあったのか、具体的に外務大臣よりお答え願います。
 我が国と英国の経済関係に目を向ければ、現在、英国には約千社の日系企業が進出しており、約十八万人の雇用を創出しています。日系企業にとって、英国は、EUへのゲートウエーであり、重要な地位を占めています。
 現在行われている英国とEU間のFTA協議は難航しており、英国のEU離脱の移行期間が終了するまでにFTAの発効が間に合わない可能性も否めません。
 そこで、英国とEUとの間のFTAが発効しなかった場合に、英国に拠点を置く日系企業が受ける影響について伺います。
 英国には、我が国の基幹産業であるトヨタ、日産、ホンダなどの自動車メーカーを始め、多くの日本企業が進出しております。英国に工場を置く日本企業の多くは、部品の半分近くをEU諸国から輸入し、英国内で組み立て、完成品を英国からEU諸国へ輸出するサプライチェーンを構築しています。
 英国とEUとの通商協議が決裂した場合、例えば、英国からEUに輸出される乗用車には何%の関税が課せられることになるのでしょうか。梶山経済産業大臣に具体的な数字をお尋ねします。
 一部報道によりますと、トヨタや日産など日系の自動車メーカーが英国政府に対して関税コストの補償を請求する動きがあるとのことですが、日系企業の事業の継続性を確保するための政府のバックアップ体制はどうなっているのか、梶山経済産業大臣から説明をお願いします。
 本協定は、政府の説明によれば、基本的に日・EU・EPAの内容を維持しつつ、物品貿易について、一部品目で英国市場へのアクセスを改善し、ルール分野では、電子商取引、金融サービスなどの分野においてより先進的かつハイレベルなルールを規定したものとなっているとのことでありますが、具体的な内容について伺います。
 物品貿易の分野で英国市場へのアクセスが改善された品目名と改善された内容について、具体的な数字を挙げて説明をお願いします。
 電子商取引の分野で新たに設けられた規定の具体的な内容とその効果について、説明をお願いします。
 農林水産品について伺います。
 日本側の関税について、政府は、日・EU・EPAの範囲内としています。確かに、ブルーチーズなど、日・EU・EPAで低関税での輸入を認める関税割当て枠が設定された品目については、新たな英国枠は設定されていません。
 また、日・EU・EPAにおいて牛肉や豚肉などに設定されている、輸入が急増した場合に関税を引き上げる緊急輸入制限措置、セーフガードの発動基準数量についても、英国とEUからの合計輸入数量が日・EU・EPAと同じ発動基準数量に達した場合にのみ、英国に対してセーフガードが発動されることとなり、英国からの急増には対応することができます。
 しかし、EUに対してはどうでしょうか。日・EU・EPAにおけるセーフガードの発動基準数量は英国からの輸入量も含めて設定されたものですが、英国に日・EU・EPAが適用されなくなった後も発動基準数量は変わりません。EUに対しセーフガードが発動しにくくなるのではないでしょうか。政府の見解を野上農林水産大臣に求めます。
 東アジア地域包括的経済連携、通称RCEPについて伺います。
 RCEPは、我が国や中国、韓国、ASEANなどが巨大な経済圏の実現を目指すものであり、今月十五日に開催されるASEAN首脳会議で大筋合意に達するとの報道がありました。RCEPが発効すれば、RCEPを通じた対中国輸出などが促進され、新型コロナウイルス感染拡大によって低迷した我が国の景気回復につながるとのプラスの見方もあります。
 一方で、参加予定であったインドは、多額の対中国貿易赤字を抱えており、国内へ安価な中国製品が大量に流入することへの懸念があることなどを理由に参加を見送る方針であると承知しております。
 インドは、我が国が掲げる自由で開かれたインド太平洋構想の重要なパートナーであり、民主主義や法の支配といった共通の価値観を有した長年の友好国であります。RCEPという強大な経済圏における中国の影響力が過大にならないようにするためにも、インドの参加は必要不可欠なのではないでしょうか。
 RCEPの発効は、当初の予定どおり、インドを含めた十六カ国でスタートするべきであり、インド抜きでのRCEPへの署名は慎重を期すべきだと考えますが、政府の見解を求めます。
 最後に、本協定の第二十一章、貿易及び女性の経済的エンパワーメントについて伺います。
 二〇一〇年に九十四位だった日本のジェンダーギャップ指数は、二〇一九年には百五十三カ国中百二十一位で、過去最低となりました。一方の英国は、ジェンダーギャップ指数では二十一位、女性の活躍が進んだ社会と言えます。我が国では女性管理職の比率が民間企業、公務員ともに一一%台に対し、英国では三〇%を超えており、国会議員における女性の割合も、我が国は衆議院で九・九%、参議院で二二・九%であるのに対し、英国下院議員に女性が占める割合は三四%であります。
 ジェンダー平等の実現は、国連が設定した持続可能な開発目標、いわゆるSDGsの一つです。我が国においては、これほどに男女に格差があるばかりか、一向に改善しない状況について、人権の尊重、民主主義という観点からも問題視されているからこそ、この条項が入ったのだと思います。
 本条約の要請である、女性による国内経済及び世界経済への衡平な参加の機会を増大させることの重要性を認識することに対応して、日本政府はどういった具体的な取組を行っていくのか、御説明ください。
 以上、私、立憲民主党、阿久津幸彦からの質問とさせていただきます。
 どうもありがとうございました。(拍手)
    〔国務大臣茂木敏充君登壇〕

#11
○国務大臣(茂木敏充君) 阿久津議員から、米国の大統領選挙についてお尋ねがありました。
 今回の大統領選挙は、投票総数が前回を一千三百万票以上上回る一億五千万票以上という過去最大の投票となり、米国国民の関心の高さがうかがわれます。また、事前の予測どおり、両候補の大接戦となりました。
 コロナ対応、経済・社会保障政策、格差問題など争点も多岐にわたり、選挙結果から見ても、米国社会にさまざまな意見が存在する現状が見てとれます。このような中、バイデン氏は、八日に実施された勝利宣言のスピーチにおいて、民主党、共和党の党派を超えて、米国の融和、統合を目指す大統領となる旨述べています。まさにこのことが今アメリカが抱えている課題である、このようにも考えているところであります。
 また、今般、カマラ・ハリス氏が、米国史上初となる女性の次期副大統領となることが確実となったことは、女性の活躍の観点から、また、多様な価値観を尊重する観点からも意義があるものと考えております。
 いずれにしても、日米外交の基軸である強固な日米同盟に変わりはないと考えており、一層の強化に努めてまいりたいと思います。
 次に、英国のEU離脱についてお尋ねがありました。
 本件は、あくまで英国の判断に基づくものでありまして、我が国として評価する立場にありません。
 一方、英国を含む欧州諸国には多くの日系企業が進出をしており、現在英国とEUが行っている将来関係協定交渉の結果がこれら日系企業に影響を及ぼさないよう、英国とEU双方に対して働きかけを行ってきました。
 日本としては、引き続き、英国とEUの交渉の動向を強い関心を持って注視していくとともに、英・EU双方に対して早期妥結を働きかけていきたいと思います。
 日英EPAと多角的自由貿易体制の維持強化の方針との関係についてお尋ねがありました。
 我が国は、WTO改革に積極的に取り組むことを通じて多角的貿易体制の維持強化に貢献するとともに、TPP11や日・EU・EPA、また、これらを補完する日米貿易協定等の締結を通じて複数国間の貿易・投資に関する枠組みを強化することにより、自由貿易を推進してきました。
 日英EPAは、英国がEUを離脱することによって貿易・投資に与えるマイナスの影響を回避するため、日・EU・EPAにかわる貿易・投資の枠組みを確保することで、日系企業のビジネスの継続性を確保するとともに、自由貿易を更に推進していくという力強いメッセージを国際社会に対して発信するという重要な意義を有するものと考えております。
 なお、英国は、TPP11への加入にも関心を示しており、政府としては、その実現を支持し、多角的自由貿易体制のさらなる維持強化に努めていく考えであります。
 日英EPAに関するEU当局とのやりとりについてお尋ねがありました。
 日英EPAは日・EU・EPAとは別の国際約束でありまして、日英EPAの運用は日・EU・EPAの運用に影響を与えるものではなく、協定の内容そのものについてEUと調整は行っておりません。
 その上で、EUからは本協定の内容について関心が示されていることも踏まえ、これまでも累次にわたって説明を行ってきており、引き続き、必要な情報共有をEUとの間でも図ってまいりたいと考えております。
 英国市場へのアクセス、電子商取引の分野についてお尋ねがありました。
 日英EPAでは、日・EU・EPAで獲得した英国市場へのアクセスを維持するとともに、鉄道用車両やターボジェット、自動車部品であります電子制御盤等について、英国市場へのアクセスの改善を確保いたしました。
 具体的には、鉄道用車両に関しては、日・EU・EPAでは十三年目撤廃となっていたものを即時撤廃に、ターボジェットに関しては、四年目撤廃となっていたものを即時撤廃に、電子制御盤についても、市場アクセスの改善を確保いたしております。
 電子商取引の分野では、日英間のデジタル貿易及び電子商取引を促進するため、情報の越境移転の制限の禁止、コンピューター関連設備の設置要求の禁止、ソースコード、アルゴリズムの開示要求の禁止等を規定しています。これらの規律は、国際的なルールづくりをリードし得るハイスタンダードなものと考えております。
 これらによって、物品貿易及び電子商取引の分野での日英間の貿易・投資のさらなる促進が期待されます。
 RCEPへのインドの参加についてお尋ねがありました。
 RCEP協定については、現在、交渉の大詰めを迎えており、我が国としては、昨年十一月のRCEP共同首脳声明を踏まえ、RCEPの年内署名と貿易赤字拡大の懸念や幾つかの国内事情を抱えているインドの交渉復帰に向けて取り組んでいるところであります。
 十億人を超える人口を抱え、近年、着実に経済成長を実現しているインドの重要性は言うまでもなく、インドがこの協定に参加することは極めて重要であり、我が国としては、インドの参加に向けて、引き続き主導的な役割を果たしていきたいと考えております。
 最後に、女性に関する具体的な取組についてお尋ねがありました。
 本協定では、女性が経済に衡平に参加する機会を増大することの重要性を認識し、女性が本協定で創出される機会や利益を十分に享受できるよう、日英間で協力していくことを規定いたしております。
 こうした取組を進めるため、本協定のもとで設置をされます貿易及び女性の経済的エンパワーメントに関する作業部会において、英国と協力を進めていく考えであります。(拍手)
    〔国務大臣梶山弘志君登壇〕

#12
○国務大臣(梶山弘志君) 阿久津議員からの御質問にお答えをいたします。
 英国とEUの通商協議が決裂した場合に乗用車に課せられる関税率と日系企業の事業の継続性の確保についてのお尋ねがありました。
 現在、英国からEUに輸出される乗用車に関税は課されていませんが、仮に英国とEUの通商協議が決裂した場合、英国からEUに輸出される乗用車には、WTOルールに基づいて一〇%の関税が課される見込みです。そのため、英・EU間の交渉が速やかに妥結するように、私自身もあらゆる場面を通じて英国、EU双方への働きかけを行ってきたところであります。
 また、現地日系企業の事業の継続性の確保に向けては、通関手続や規制面での対応等も重要となることから、昨年十月に開設をいたしましたブレグジット対応サービスデスクによる情報提供や個別の相談等に引き続きしっかりと取り組んでまいります。(拍手)
    〔国務大臣野上浩太郎君登壇〕

#13
○国務大臣(野上浩太郎君) 阿久津議員の御質問にお答えいたします。
 牛肉等のセーフガードについてのお尋ねがありました。
 EUに対する牛肉等のセーフガードについては、英国のEU離脱後は、英国を除くEU二十七カ国からの輸入実績によりその発動を判断することになります。
 しかしながら、現在のEU及び英国からの輸入量の合計が日・EU・EPAの発動基準数量を相当下回る状況にあること、本協定がEUや英国からの輸入量の増加の直接的な要因となることは見込みがたいこと等に鑑みて、本協定がセーフガードの発動に影響を与えるような状況にはないと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――

#14
○議長(大島理森君) 笠井亮君。
    〔笠井亮君登壇〕

#15
○笠井亮君 私は、日本共産党を代表して、日英包括的経済連携協定、EPAについて質問します。(拍手)
 本協定は、コロナ禍で初の自由貿易協定であり、EU離脱後の英国が主要国との間で初めて結ぶ、日欧EPAにかわる新たな枠組みであります。
 七年八カ月の安倍政権は、自由貿易を成長戦略の柱に掲げ、国境を越えて利益の最大化を追求する多国籍企業に経済主権、食料主権を売り渡してきました。
 それが、今日のコロナ禍で何をもたらしたか。マスクや防護服などが海外生産国の輸出規制に直面して国内供給が逼迫し、海外調達部品不足に見舞われ、日本の食料自給の脆弱性が浮き彫りになりました。
 菅政権には、こうした外需頼みの政策、TPP11、日欧EPA、日米貿易協定などの貿易自由化が危機に弱い社会経済をつくり出したという根本的反省はないのですか。
 本協定について、英国政府は、EUに加盟していたらかち取れなかった大勝利だなどと評価しています。日本政府は一体何を譲歩したのですか。
 まず、日欧EPA自体が問題です。
 発効直後に欧州からのチーズ輸入量が前年同月比一・五倍にもなり、二〇一八年十一月二十日の本会議質問で私が取り上げた、懸命に経営努力する北海道など酪農産地の危惧が現実になっているではありませんか。
 その上、英国産ブルーチーズ等の輸入枠には将来の見直し規定が盛り込まれ、パスタ、米菓子など十品目で原産地規則が大幅に緩和されています。日欧EPA超えは明らかではありませんか。
 TPPや日米貿易協定などを含め、自動車等の工業品の輸出増と引きかえに農業に犠牲を強いる高い水準の市場開放で、日本国内の生産現場、雇用、国民生活、地域経済にどんな悪影響が出ているのか、明らかにされたい。
 本協定に、さらなる自由化に向けた再協議規定が盛り込まれていることは重大です。
 日欧EPAは、米は関税撤廃、削減等の対象から除外としています。ところが、本協定では、全ての農産品を見直し対象としています。なぜ、米をその対象から除外しなかったのですか。主食である米を際限のない自由化にさらすものではありませんか。
 また、日本側が投資の自由化やサービス貿易分野で留保している労働者派遣業、建設、教育、医療、福祉などが今後の改定交渉のテーマにならないと断言できますか。
 英国のトラス国際貿易相は、来年初めにもTPP参加の意向を表明し、西村TPP担当大臣も、日英EPAはその後押しになると述べています。将来、米国が復帰する可能性があるもとで、日本が芋づる式に、より高い水準の市場開放を迫られるのではありませんか。
 本協定には、個人情報を含むデータ移転の自由などが盛り込まれています。EU離脱で英国には一般データ保護規則、GDPRが及ばなくなるもとで、個人情報保護や中小企業の利益よりも、GAFAに代表される巨大プラットフォーマーの利益を優先し、ビッグデータを制約なくビジネスに活用させるものではありませんか。
 英国は、昨年九月以来、日英自由貿易協定、FTAの意見聴取を実施し、交渉目的や影響試算も公表されてきました。なぜ、日本政府は今日に至るまで交渉の具体的内容や範囲、影響試算などを国会と国民に一切説明しないのですか。TPP秘密交渉の前例を踏襲することは許されません。
 コロナ禍の今、国内生産基盤の抜本的強化、食料自給率の向上など、内需を拡大し、危機に対応できる強い経済づくりにかじを切ることを強く求めて、質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣加藤勝信君登壇〕

#16
○国務大臣(加藤勝信君) 笠井議員より、貿易自由化と危機への対応についてのお尋ねがございました。
 国内市場のみならず、海外の需要をしっかり取り込んでいくことは、我が国経済の持続的成長のために欠かせないものであり、引き続き、自由貿易協定の戦略的な推進は重要であります。
 また、さまざまな地域と多角的な貿易関係を広げていくことは、サプライチェーンの多元化、強靱化を通じて、危機に強い経済構造の構築にもつながるものであります。
 同時に、今般のコロナ禍によって顕在化した課題も踏まえ、国内生産拠点の整備や輸入の多い農産物の国産への切りかえに向けた支援策も進めてまいります。(拍手)
    〔国務大臣茂木敏充君登壇〕

#17
○国務大臣(茂木敏充君) 笠井議員から、日英EPAの内容についてお尋ねがありました。
 日英EPAは、日・EU・EPAのもとで日本が得ていた利益を継続すべく、国益に沿って、全力を挙げて交渉を行い、合意に至ったものであります。
 また、日英EPAは、日・EU・EPAをベースとし、日英関係の実態に即したものにする観点から修正を加えていますが、基本的に、英国に対して日・EU・EPAを超える市場アクセスを与える内容とはなっていないと考えております。
 次に、日・EU・EPA発効後の欧州からのチーズ輸入による影響についてお尋ねがありました。
 EUからのチーズの輸入量は、日・EU・EPA発効前から増加傾向にあると承知をいたしておりまして、日・EU・EPAにより急増したとは認識をいたしておりません。
 政府としては、日・EU・EPA等を踏まえた総合的なTPP等関連政策大綱に基づき、農林水産業等への対策を実施しており、引き続き、万全の対策を講じていく考えであります。
 日英EPAにおける見直し規定及び原産地規則の緩和についてお尋ねがありました。
 御指摘の見直し規定は、見直しの結果を予断するものでは全くなく、また、農産品十品目の原産地規則についても、加工食品を日本から英国へ輸出することも念頭に、我が国の国益を損なうことがないよう、政府として慎重な考慮のもとで英国と交渉した結果であります。
 日英EPAにおいては、EUに与えたような関税割当てを設けず、その他の農林水産品についても、日・EU・EPAと同じ内容を維持しておりまして、日・EU・EPAの範囲内となっております。
 経済連携協定等による日本国内への影響についてお尋ねがありました。
 TPPや日米貿易協定等の経済連携協定等において、我が国は、常に守りと攻めのバランスを意識しながら交渉を進めてまいりました。
 こうした経済連携協定等の締結は、関税のみならず、投資、サービス等も含めた市場アクセスの諸条件を改善し、さらには、通関手続の迅速化、投資ルールの明確化、知的財産の保護等によりまして、中小企業を含みます我が国の企業にとって、世界へ果敢に踏み出す大きなチャンスをもたらすものと考えております。
 また、農業についても、総合的なTPP等関連政策大綱のもとでの農林水産業の生産基盤の強化や、高品質な我が国農林水産物の一層の輸出拡大に向けた支援を行ってきているところであります。
 このように、我が国が締結してきた経済連携協定等は、国内経済へのプラスの影響を最大化し、また、マイナスの影響を抑えるための対策を同時にとっております。
 農林水産品を対象とした再協議規定についてお尋ねがありました。
 日英EPAでは、我が国の国益を損なうことがないよう、政府として慎重な考慮のもとで英国と交渉した結果であります。
 日英EPAの再協議規定は、TPPなどの他の協定においても設けられている一般的な規定でありますが、この規定は協議の結果を予断するものでは全くなく、政府として、国益に反する合意をすることはありません。
 投資やサービス貿易分野における今後の改定交渉についてお尋ねがありました。
 日英EPAにおいては、他の経済連携協定や投資協定と同様に、必要な留保を置くこと等によりまして、国内法との整合性を図り、それぞれの締約国が必要な政策判断を行う裁量を確保いたしております。
 我が国としても、国益に反する改正を行うことはございません。
 TPP11協定の将来の見通しについてお尋ねがありました。
 英国は、従来からTPP11加入に関心を寄せており、トラス国際貿易大臣も、二〇二一年の早い時期にTPP11への加入を正式に要請する意向を表明しています。
 TPP11協定は、この協定が定めるハイスタンダードを満たす意思のある全てのエコノミーに開かれており、我が国としても、英国のTPP11加入への関心を歓迎し、その旨、先月訪日したトラス国際貿易大臣にも私からも伝えているところであります。
 TPP11への加入要請等は各国が個別に判断するべき事項でありますが、我が国としては、新規加入の交渉に際しても、国益に反するような交渉、そして合意をする考えはありません。
 最後に、日英EPAの対外説明についてお尋ねがありました。
 本年六月の日英EPA交渉立ち上げ以降、八月の私の訪英での交渉、そして、九月の大筋合意、十月の署名式の記者会見を始めとするさまざまな機会に、交渉の目的や合意内容を説明してきております。
 また、協定文書についても十月の署名時に速やかに公表するなど、適切な情報公開を行ってきています。
 日英EPAは、英国にとって、EU離脱後締結する最初の包括的な自由貿易協定であり、英国はこのような中で試算を行っていると理解をいたしております。
 また、我が国は、二〇一七年十二月に内閣官房が日・EU・EPAについて既に経済効果分析を行っており、英国を含めたEUとのEPAについては、GDPの押し上げ効果は約一%と試算されており、二〇一七年当時の日本とEUの貿易額に占める英国の割合は約一三%となっていると理解をいたしております。(拍手)
    〔国務大臣野上浩太郎君登壇〕

#18
○国務大臣(野上浩太郎君) 笠井議員の御質問にお答えいたします。
 日・EU・EPAの酪農産地への影響についてのお尋ねがありました。
 日・EU・EPA発効後、EUからのチーズの輸入は、令和元年度は対前年度比六%増となっておりますが、これは同協定発効前の平成三十年度の対前年度比一一%増を下回っており、同協定発効後に輸入が急増している状況にはありません。
 他方、日・EU・EPA等を踏まえた国内対策として、これまで、総合的なTPP等関連政策大綱に基づき、畜産クラスター事業や国産チーズの競争力強化対策等の体質強化対策、生クリーム等を加工原料乳生産者補給金制度の対象に追加するなど制度を充実した経営安定対策等の万全の対策を講じてきたことから、令和元年度の生乳生産量は四年ぶりに増加に転じ、今年度も増加する見通しであります。
 農林水産省としては、今後とも、全国の酪農家の方々の不安や懸念を払拭し、新たな国際環境のもとでも安心して再生産に取り組めるよう、引き続き対応してまいります。
 日・EU・EPAとの比較についてのお尋ねがありました。
 本協定において、日本側の農林水産品については、関税は日・EU・EPAと同じ内容を維持する、日・EU・EPAで設定された関税割当ては設けないなど、日・EU・EPAの範囲内となっています。
 御指摘のチーズ等に係る特恵待遇適用の制度についても、本協定上の再協議の規定がありますが、その対象は制度の仕組み及び運用の改善となっており、関税の取扱いは対象として想定しておりません。
 また、ルール分野において、農産品十品目に係る原産地規則を日・EU・EPAから変更していますが、これは、日本から加工食品を英国に輸出する際に特恵税率を利用しやすくする等のメリットを踏まえつつ、日英双方に適用されるものとして見直しを行ったものであります。
 再協議規定についてのお尋ねがありました。
 日英EPAでは、米も含む全ての農産品を対象とした再協議の規定が置かれておりますが、これは、TPPなど他の協定においても設けている一般的な再協議条項であります。
 本再協議条項は、その結果をあらかじめ約束したものではなく、協議が行われる場合も、国益に反する合意をする考えはありません。(拍手)
    〔国務大臣梶山弘志君登壇〕

#19
○国務大臣(梶山弘志君) 笠井議員からの御質問にお答えをいたします。
 日英EPAのデータ移転の自由についてお尋ねがありました。
 日英EPAにおいて、個人情報の保護を規定し、個人情報などの重要なデータを適切に保護した上で、情報の越境移転の制限の禁止の規定によってデータの自由な越境流通を確保しております。
 これらの規定によって個人情報を適切に保護しながら、遠隔での製造機器の運転管理、メンテナンスや、オンライン上のサービスなど、データを活用した新たなビジネス展開が可能になります。これは、大企業のみならず、中小企業、小規模事業者にも裨益するものであります。
 なお、英国政府は、個人情報保護については、EUの一般データ保護規則、GDPRの保護水準を維持した英国版GDPRの導入を発表しておりまして、これまでの個人情報の保護レベルは維持されるものと認識をしております。(拍手)
    ―――――――――――――

#20
○議長(大島理森君) 浦野靖人君。
    〔浦野靖人君登壇〕

#21
○浦野靖人君 日本維新の会・無所属の会の浦野靖人です。
 私は、会派を代表して、議題となりました包括的な経済上の連携に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定の締結について承認を求めるの件について質問をいたします。(拍手)
 まず、日米の通商分野における課題に触れます。
 国際協調を重視するバイデン次期大統領は、トランプ政権による離脱を経てアメリカ抜きで発効したTPPへの復帰について再交渉すると表明されました。TPPを主導した日本にとって、歓迎すべきことです。
 一方、昨年妥結した日米貿易協定の交渉第一段階で、日本は、自動車関税の撤廃などを手にできず、押し切られました。
 茂木大臣に伺います。アメリカのTPP復帰に向け、政府は具体的にどのように取り組んでいく考えですか。これと並行し、次のステージを迎える二国間協定交渉をいかに進めていく方針ですか。
 日本維新の会は、結党以来、自由主義経済圏の拡大を支持し、TPPや、日本とEUのEPA等に一貫して賛成してまいりました。我が国の経済成長への原動力になる上、域内の安全保障体制の強化に資すると考えるからです。
 日英の新協定は、六月に始まった政府間交渉が三カ月でスピード決着しました。内容も、日・EU間のEPAがほぼ踏襲されるなど、評価に値すると考えます。
 懸念されるのは、年内を期限とする英国、EU間のFTA交渉が難航していることです。
 英国に進出する日本企業の多くは、欧州の重要拠点として、日・英・EU間で密接なサプライチェーンを構築しています。交渉決裂で英・EU間の関税が復活すれば、日英協定によるメリットも大きく損ないます。
 梶山経済産業大臣に伺います。英・EU間の交渉が年内に妥結しなければ、在欧日本企業にどのような影響を与えると見ていますか。政府として、その事態を想定した対策を検討していますか。また、日本が率先し、英国とEUが歩み寄るよう双方に強く働きかけるべきだと考えますが、政府はどう対応しているのでしょうか。
 日本の真価が更に問われるのは、日英の新協定の先です。英国はTPPへの参加を目指し、我が国が協力する方針です。欧州の英国を迎えれば、TPPは環太平洋地域にとどまらない巨大自由貿易圏に発展します。世界に広がる保護主義の防波堤を固める上でも、意義は大きいと考えます。
 茂木大臣に伺います。英国のTPP参加をいつまでに実現させたいお考えですか。他のTPP締結国のスタンスをどう認識していますか。
 日英の連携を、外交、安全保障を含むあらゆる領域で一層強化していくことも重要です。香港や新疆ウイグル自治区で人権を弾圧し、南シナ海、東シナ海で海洋覇権を企図する中国に対処するためにも、両国の結束は不可欠です。
 英国は、二〇一五年の国家安全保障戦略で、戦後初めて日英間を同盟と記し、アジアの最重要パートナーに位置づけました。安全保障や対中政策において、英国といかに連携の深化を図っていく考えですか。茂木大臣の見解を求めます。
 近く、日本、中国、韓国、ASEANなど十六カ国による自由貿易圏構想、RCEPが、当初参加方針だったインドが離脱したまま十五カ国で妥結する見通しです。このままでは、域内での中国の影響力が突出する懸念が拭えません。日本は、自由で開かれたインド太平洋構想を推進しています。
 茂木大臣に伺います。インドの加盟を求めていた日本が、インド抜きの妥結を甘受するに至った理由は何ですか。インドの加盟に日本が果たすべき役割は大きいと考えますが、政府は、どのようにインドに加盟を促し、完全な形のRCEP実現への環境を整えていく考えですか。
 以上、日本維新の会は、責任政党として、国家及び国民の利益に資する外交、通商政策の実現に努めていくことをお誓いし、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔国務大臣茂木敏充君登壇〕

#22
○国務大臣(茂木敏充君) 浦野議員から、米国のTPP協定復帰及び日米貿易協定の第二段階の交渉についてお尋ねがありました。
 現時点において、米次期政権の通商政策について予断することは差し控えたいと思います。
 その上で申し上げれば、TPPについては、我が国としては、米国を含めできるだけ多くの国、地域がTPPに参加することが望ましいとの考えに変わりはありません。
 日米貿易協定については、二〇一九年九月の日米貿易協定合意の際の共同声明で、今後の交渉については、まずはどの分野を交渉するかを日米間で協議することとなっております。新型コロナの影響等はありますが、日米間では、引き続き、この日米共同声明に沿って協議を行ってまいりたいと考えております。
 次に、英国のTPP加入についてお尋ねがありました。
 英国は従来からTPP11加入に関心を寄せており、トラス国際貿易大臣も、二〇二一年の早い時期にTPP11への加入を正式に要請する意向を表明しています。
 TPP11協定は、この協定が定めるハイスタンダードを満たす意思のある全てのエコノミーに開かれており、我が国としても、英国のTPP加入への関心を歓迎し、その旨、先月訪日したトラス国際貿易大臣にも私から伝えているところであります。
 加入申請は各国が個別に判断する事項であり、英国の加盟要請の時期や英国の新規加入に対する他のTPP参加国の考えについて予断する立場にありませんが、他のTPP参加国から英国の参加に特段の異論が出ているとは承知をしておらず、我が国としては、引き続き、TPP参加国と連携しつつ、英国の動向を注視するとともに、必要な情報提供等を行ってまいりたいと考えております。
 英国との今後の連携深化についてお尋ねがありました。
 我が国にとって、英国は基本的価値を共有するグローバルな戦略的パートナーであります。近年、日英間では、安保・防衛協力が飛躍的な進展を遂げており、引き続き、英国と、共同訓練、海洋安全保障、瀬取り対策、防衛装備品移転や共同研究を含む具体的な協力の一層の推進に努めてまいります。
 また、八月の日英外相会談を始めとするさまざまな機会を通じて、中国や北朝鮮を含むさまざまな地域情勢について、日英両国で認識の共有を図るとともに、緊密に連携していくことを確認しているところであります。
 引き続き、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた協力を含む幅広い分野で日英関係を一層強化してまいりたいと考えております。
 最後に、RCEPへのインドの参加についてお尋ねがありました。
 RCEP協定については、現在、交渉の大詰めを迎えており、我が国としては、昨年十一月のRCEP共同首脳声明を踏まえて、RCEPの年内署名と貿易赤字拡大の懸念や幾つかの国内事情を抱えているインドの交渉復帰に向けて取り組んでいるところであります。
 十億人を超える人口を抱え、近年、着実に経済成長を実現しているインドの重要性は言うまでもなく、インドがこの協定に参加することは極めて重要であり、我が国としては、インドの参加に向けて、引き続き主導的な役割を果たしていきたいと考えております。(拍手)
    〔国務大臣梶山弘志君登壇〕

#23
○国務大臣(梶山弘志君) 浦野議員からの御質問にお答えをいたします。
 英・EU間の交渉が年内に妥結しない場合の影響についてお尋ねがありました。
 仮に交渉が年内に妥結しない場合には、議員御指摘のとおり、関税負担の復活など、在欧日系企業のビジネスに甚大な影響が生じると考えております。そのため、英・EU間の交渉が速やかに妥結するよう、私自身もあらゆる場面を通じて英国、EU双方への働きかけを行ってきたところであります。
 加えて、英国に進出している中堅・中小企業に対して、昨年十月に開設したブレグジット対応サービスデスクを通じ、英・EU間の交渉が妥結しない場合の影響や対応策について、情報提供や個別の相談等を行っています。引き続き、日本企業への影響が最小限となるよう、しっかりと取り組んでまいります。(拍手)
    ―――――――――――――

#24
○議長(大島理森君) 山尾志桜里君。
    〔山尾志桜里君登壇〕

#25
○山尾志桜里君 国民民主党・無所属クラブの山尾志桜里です。
 会派を代表して、日英EPAについて質問します。(拍手)
 農業分野については野上農水大臣に、そのほかについては茂木外務大臣に伺います。五分という持ち時間を守れるように早口で失礼いたします。
 冒頭、バイデン氏を次の大統領に迎えることとなったアメリカとの関係について一点伺います。
 先ほども茂木大臣は、日米同盟を更に強化すると発言されておられました。確かに、日米同盟の強化は極めて重要です。しかし、それは、日本と米国の対等性の強化、ひいては日本という国家の自律の強化につながるべきだと考えます。安倍政権は、集団的自衛権の一部容認というカードを切ったにもかかわらず、日米地位協定の改定へとそれをつなげることができませんでした。この路線を継承した場合、日米同盟の強化が、むしろ日本と米国の主従関係の強化、固定化につながってしまうことを危惧します。
 菅政権は、日米関係に関しても安倍政権の路線を継承するのでしょうか。また、新政権では、日米の対等性の強化、そして、日本という国家の自律の強化に向けて日米関係をどうかじ取りしていくのか、お答えください。
 日英関係は、普遍的な価値観を共通にしているだけではなく、島国という地政学上の共通項、そして、皇室、王室の存在と議院内閣制により権力の安定、均衡を保つという統治機構上の類似性を持つ、極めて重要な二国間関係です。国際的な課題に対して共通の価値観や類似の手法を持って取り組みやすい関係と言うことができるでしょう。
 今回のEPA交渉は、EU離脱という英国側の事情が契機となったこともあって、基本的に、内容において日本の国益にかなうものだと考えます。また、英国にとっても、EU離脱後初めて主要国と本格的な貿易協定を締結できたというメリットがありました。それぞれの優先事項を基本的に満たすことができ、日英関係の健全な強化へとつながったことは評価したいと思います。
 その上で、個別の三項目について質問します。
 一つ目。デジタル分野については、外国企業に対して、自国へのサーバー設置を要求したり、暗号情報やアルゴリズムの開示を要求することが禁止されました。
 この重要なルールを定めるに当たって、現実に外国企業に対してこうした要求をする国家や事例を把握しているのか、把握しているならどんな事例があったのか、お聞かせください。
 その上で、今回盛り込まれたハイレベルのデジタル原則は、中国もメンバーであるRCEPにも盛り込まれる予定なのか、日本としてそれに向けていかなる交渉努力をしているのかについてもお答えください。
 デジタルの世界でも国家権威主義的な動きが見られる中、個人の人権を土台にした人間中心のデジタル原則を国際基準として設定していくことは極めて重要と考えます。
 次に、ジェンダーです。
 この協定には、日・EU・EPAにはなかった、貿易及び女性の経済的エンパワーメントという新たな章が入りましたが、実効性の観点から二つ。
 一つは、一条二項です。国際貿易において存在し得る女性に対する制度的な障害とありますが、これは一体何を想定しているのでしょうか。その具体例と解決策を伺います。
 二つ目、三条です。三条には、作業部会は女性の包括的な参加を得て行われるとありますが、数値を具体化するべきです。どの作業部会において何%を女性にする予定なのか、お聞かせください。
 さらに、農業分野について。古くはチャーチルも関心を持っていたと言われる、いわゆる培養肉について伺います。
 細胞農業技術によって家畜の細胞を培養して肉をつくり出すというもので、各国が技術開発を進め始めています。既存の畜産との連携や共存のあり方に目配りしつつ、潜在的な成長分野として日本も検討を進めていくことが考えられますが、今回の協定ではこの培養肉についてどのような議論があり、どんな扱いとなっているのでしょうか。野上農水大臣に伺います。
 最後に、日英パートナーシップの拡大の観点から、いわゆるマグニツキー法について伺いたいと思います。
 日本が主導した自由で開かれたインド太平洋の実現という考え方が、イギリスを含む欧州にまで広がりつつあることは評価すべきことだと思います。しかし、これまでの連携は、主に安全保障や経済の側面に置かれており、インド太平洋地域における人権の保護や民主主義の促進など、価値観外交の側面が不十分ではないでしょうか。
 例えば、香港における国家安全法施行、同法による一般市民の相次ぐ拘束、そして、きのうから報道されていますが、中国全人代から権限を与えられた香港政府による民主派議員四名の資格剥奪。こうした香港での普遍的価値への攻撃を黙認すれば、世界における価値の基準が変わってしまいます。一連の動きに強く抗議するとともに、新たな人権制裁法、マグニツキー法の制定を提案します。
 現在、国際社会では、深刻な人権侵害にはビザ規制や資産凍結といった制裁を発動するマグニツキー法の制定が拡大しています。イギリス、アメリカ、カナダでは制定済み、オーストラリア、スイスでは検討が進み、EUでは成立まで秒読み段階です。しかし、日本には人権侵害を理由に制裁を行う仕組みがありません。
 イギリスを含め、人権国家の標準装備となりつつあるマグニツキー法を日本でも制定すべきと考えますが、いかがでしょうか。実力あるアジア人権国家の日本の外務大臣として、前向きな答弁を期待して、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔国務大臣茂木敏充君登壇〕

#26
○国務大臣(茂木敏充君) 山尾議員から、日米関係についてまずお尋ねがありました。
 菅政権においても、安倍前政権と同様に、日米同盟は日本の外交、安全保障の基軸であり、インド太平洋地域と国際社会の平和、繁栄、自由の基盤となるものと考えております。
 その上で、我が国は、平和安全法制の成立や防衛大綱の見直しなど、主体的、自主的な努力により我が国の防衛力を抜本的に強化するとともに、みずからが果たし得る役割の拡大を図ってきております。
 我が国を取り巻く環境が一層厳しくなる中、引き続き、日米同盟における我が国の役割を積極的に果たしていくとともに、インド太平洋地域の平和と安定に向けて、日米で一層緊密に連携していく考えであります。
 次に、デジタル分野における外国企業に対する各種要求についてお尋ねがありました。
 日英EPAでは、日英間のデジタル貿易及び電子商取引を促進するため、情報の越境移転の制限の禁止、コンピューター関連設備の設置要求の禁止、ソースコードの開示要求の禁止の対象へのアルゴリズムの追加、暗号情報の開示要求禁止等、高いレベルの規律を規定いたしております。
 これらの規律は、特定の第三国を念頭に置いたものではありませんが、データ駆動型経済の鍵となるデジタルデータの利活用に関するルールづくりが重要であるとの考えに基づき、日系企業等から寄せられた懸念事項等を踏まえたものとなっております。
 いずれにせよ、このような国際的な議論をリードするハイスタンダードな規律を日英両国間で規定できたことは大きな意義があると考えております。
 RCEP協定のデジタル分野の規律についてお尋ねがありました。
 RCEP協定については、我が国としては、昨年十一月のRCEP共同首脳声明を踏まえ、引き続きRCEPの年内署名とインドの交渉復帰に向けて取り組んでいるところですが、現時点で同協定の内容について予断することは差し控えたいと思います。
 その上で申し上げれば、グローバル化が進展する一方、保護主義的な動きが広がりつつある中、我が国は、自由で公正な経済圏を広げるべく、TPP11、日・EU・EPA、日米貿易協定を締結するなど、国際的な取組をリードしてきました。今般、日英包括的経済連携協定についても、十月二十三日に署名に至ったところであります。
 我が国としては、RCEP協定を通じても、この地域に電子商取引や知的財産を含む自由で公正なルールに基づく秩序を形成し、自由貿易を推進していくというメッセージを世界に向けてしっかりと発信していきたいと考えております。
 日英EPAにおけるジェンダーの扱いについてお尋ねがありました。
 御指摘の制度的な障害の事例としては、例えば、市場や技術、資金調達への女性の衡平なアクセスの機会が限られているといった点が挙げられます。
 貿易及び女性の経済的エンパワーメントに関する章のもとでは、このような障害を軽減するための政策に関して、作業部会において、双方の経験を共有するといった協力を行っていくこととなります。
 本件作業部会を含みます各作業部会については、今後、メンバーの数を含む詳細を英側と調整していくことになりますが、女性の十分な参加を得られるよう配慮していく所存であります。
 最後に、いわゆるマグニツキー法についてお尋ねがありました。
 我が国は、人権を普遍的価値と捉え、国際的な人権規範の発展に貢献してきました。
 現在、一部の欧米諸国を中心に、人権侵害を行った個人や団体に対し、人権侵害を理由とした制裁措置を可能とする法律等の整備が進展していることは、十分承知をいたしております。
 御指摘のような仕組みは、我が国の人権外交のあり方との関係や、我が国が負っている国際法上の義務との整合性、各国の動きを含め、さまざまな観点から情報収集や調査研究が必要な課題と考えております。(拍手)
    〔国務大臣野上浩太郎君登壇〕

#27
○国務大臣(野上浩太郎君) 山尾議員の御質問にお答えいたします。
 培養肉の扱いについてのお尋ねがありました。
 一般論として申し上げると、交渉の議論の内容について申し上げることはできませんが、培養肉については、技術開発段階であり、食品としての貿易取引の実態がないことから、本協定に培養肉に関する規定は置かれておりません。
 なお、別途、本協定の農業協力章において、両国が農業及び食品の生産及び技術に関する協力等を促進していく旨規定されているところであります。(拍手)

#28
○議長(大島理森君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――

#29
○議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時二十分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
       外務大臣   茂木 敏充君
       農林水産大臣 野上浩太郎君
       経済産業大臣 梶山 弘志君
       国務大臣   加藤 勝信君
 出席副大臣
       外務副大臣  鷲尾英一郎君
ソース: 国立国会図書館
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