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2020/11/18 第203回国会 衆議院 第203回国会 衆議院 外務委員会 第3号 令和2年11月18日
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2020/11/18 第203回国会 衆議院

第203回国会 衆議院 外務委員会 第3号 令和2年11月18日

#1
令和二年十一月十八日(水曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 あべ 俊子君
   理事 伊藤信太郎君 理事 鈴木 貴子君
   理事 鈴木 憲和君 理事 薗浦健太郎君
   理事 中根 一幸君 理事 阿久津幸彦君
   理事 小熊 慎司君 理事 佐藤 茂樹君
      小田原 潔君    尾身 朝子君
      城内  実君    黄川田仁志君
      國場幸之助君    新藤 義孝君
      鈴木 隼人君    辻  清人君
      中曽根康隆君    中谷 真一君
      松島みどり君    簗  和生君
      青山 大人君    岡田 克也君
      近藤 和也君    緑川 貴士君
      山川百合子君    渡辺  周君
      竹内  譲君    穀田 恵二君
      浦野 靖人君    山尾志桜里君
    …………………………………
   外務大臣         茂木 敏充君
   法務副大臣        田所 嘉徳君
   外務副大臣        鷲尾英一郎君
   農林水産副大臣      宮内 秀樹君
   防衛副大臣        中山 泰秀君
   外務大臣政務官      國場幸之助君
   外務大臣政務官      鈴木 隼人君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  安東  隆君
   政府参考人
   (法務省大臣官房審議官) 保坂 和人君
   政府参考人
   (外務省大臣官房参事官) 遠藤 和也君
   政府参考人
   (外務省大臣官房参事官) 河津 邦彦君
   政府参考人
   (外務省大臣官房参事官) 御巫 智洋君
   政府参考人
   (外務省北米局長)    市川 恵一君
   政府参考人
   (外務省経済局長)    四方 敬之君
   政府参考人
   (外務省領事局長)    水嶋 光一君
   政府参考人
   (財務省大臣官房審議官) 源新 英明君
   政府参考人
   (農林水産省大臣官房審議官)           神井 弘之君
   政府参考人
   (農林水産省大臣官房国際部長)          水野 政義君
   政府参考人
   (経済産業省通商政策局通商機構部長)       黒田淳一郎君
   政府参考人
   (防衛省防衛政策局次長) 野口  泰君
   外務委員会専門員     小林 扶次君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月十八日
 辞任         補欠選任
  山川百合子君     近藤 和也君
同日
 辞任         補欠選任
  近藤 和也君     山川百合子君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 包括的な経済上の連携に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)
     ――――◇―――――

#2
○あべ委員長 これより会議を開きます。
 包括的な経済上の連携に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本件審査のため、本日、政府参考人といたしまして外務省大臣官房参事官遠藤和也君、大臣官房参事官河津邦彦君、大臣官房参事官御巫智洋君、北米局長市川恵一君、経済局長四方敬之君、領事局長水嶋光一君、内閣官房内閣審議官安東隆君、法務省大臣官房審議官保坂和人君、財務省大臣官房審議官源新英明君、農林水産省大臣官房審議官神井弘之君、大臣官房国際部長水野政義君、経済産業省通商政策局通商機構部長黒田淳一郎君、防衛省防衛政策局次長野口泰君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#3
○あべ委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――

#4
○あべ委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中谷真一君。

#5
○中谷(真)委員 先生方、おはようございます。自民党の中谷真一でございます。
 本日は、質問の機会をいただきまして、心から感謝を申し上げます。委員長また委員各位の皆様には、本当にありがとうございます。
 時間も限られておりますので、早速質問に移りたいというふうに思います。
 栄光ある孤立、これは十九世紀後半のイギリスの等距離外交をあらわした言葉であります。また、英国には永遠の友人も永遠の敵もいない、そこにあるのは国益だけだ、これは十九世紀のイギリスの政治家、首相まで務めたパーマストンの言葉であります。これは、イギリスの外交におけるバランス感覚をあらわした言葉ではないかというふうに思っているところであります。
 更に申し上げますと、ソ連邦の崩壊や今回のイギリスのEU離脱を言い当てたと言われております、フランスの歴史学者であるエマニュエル・トッドは、このEUについて、ドイツ支配がされているということで痛烈に批判をしております。
 これらを鑑みて、イギリスのこのバランス感覚が今回EUを離脱させたのではないかというふうに思うところであります。
 英国が今回EUを離脱したわけでありますが、これまでEUに入っていたときは、日本はEUとEPAを結んでいたというところであります。今回は、離脱したためにイギリスと結び直すということであるというふうに思います。
 日・EU・EPAに比して、日英EPAを今回結んだわけでありますが、ここでかち取ったものは何であるか、御説明をお願い申し上げます。

#6
○四方政府参考人 お答え申し上げます。
 日英EPAは、EU離脱後の英国との間で、日・EU・EPAにかわる貿易・投資の枠組みを確保するものでございまして、日・EU・EPAをベースとしつつ、市場アクセス、ルール等一部の分野におきまして、より高い水準の規律を実現いたしました。
 市場アクセスの面では、日・EU・EPAで獲得しました英国市場へのアクセスを維持するとともに、鉱工業品につきましては、鉄道車両、自動車部品等一部の品目でアクセスの改善を確保しました。日本側の農林水産品につきましては、関税は日・EU・EPAと同内容を維持し、英国に対する関税割当て枠は設けないなど、日・EU・EPAの範囲内での合意となっております。
 ルール面では、電子商取引、金融サービス、ジェンダー等の一部の分野で、日・EU・EPAより先進的なルールを新たに規定しております。
 これらによりまして、日英間の貿易・投資のさらなる促進が期待されまして、また、我が国といたしまして、英国と連携して自由貿易を更に推進していくという力強いメッセージを発信することになると考えております。

#7
○中谷(真)委員 交渉期間が極めて短い中でこれだけのものをかち取ることができたというのは、私は評価できるというふうに思っているところであります。
 この条約についてでありますけれども、この条約については代表質問等でかなり論点が出尽くしているというところもございます。ですから、私は、もちろんこの条約が非常に重要なのでありますが、今後のイギリスとの関係をどう築いていくかというところを中心に聞いていきたいというふうに思います。
 EU内にあったイギリスとEUの外に出たイギリスでは、私ども日本にとってのイギリスとの関係というのは変わってくるのではないかというふうに思っているところであります。EU内でのプレゼンスはイギリスは今回失うことになるというふうに思いますが、ただ、自由を獲得することができるのではないかというふうに思っているところであります。
 今まで日本の企業、たくさんの企業がイギリスに会社を持っております。これはやはり、EUにおける拠点、EUを見るに当たっての拠点であったりとか、これはゲートウエーになっていたというふうに思います。これが今後どのようになっていくのか。
 私は、EUから出たイギリスは、そのEUという範囲から、今度はより広い地域へこぎ出していくのではないかというふうに考えているところであります。特にインド、そしてアジア、この方向に出てくるのではないかというふうに考えているところであります。
 そこでお聞きしたいのは、EU内における英国とEU外の英国では、日本にとって価値が変わってくるのではないかというふうに思っているところでありますが、政府の見解をお聞きしたいと思います。

#8
○河津政府参考人 お答え申し上げます。
 我が国にとって英国は基本的価値を共有するグローバルな戦略的パートナーであり、英国のEU離脱後もこの点自体は変わらないと考えております。
 一方で、委員からも御指摘がございましたけれども、我が国は、英国がインド太平洋地域への関与を強化している、このことを歓迎しているところでございまして、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた協力を含め、幅広い分野で日英関係を、一層協力していきたい、このように考えているところでございます。

#9
○中谷(真)委員 今おっしゃったように、インド、アジアに対しての関与を強めていくということであります。
 私ども日本国にとっては、そう考えますと、私どもがインド、アジア地域においてさまざまな国と関係をつくっていくわけでありますけれども、その触媒となり得る国、これがイギリスとなってくるのではないかというふうに考えているところであります。
 十月末にトラス貿易相が来日をいたしました。この際、TPPに対して強い関心を示したというところであります。西村大臣は、これに対してしっかりとサポートしていくということをおっしゃっておりました。
 このTPPの中には、オーストラリア、ニュージー、シンガポール、カナダ、マレーシア等、これはコモンウエルスと言われている国々が入っています。非常にイギリスと強い関係を持っている国々が入っております。イギリスが入ってくることで、更にこういった国々とも関係強化が図られるのではないかというふうに考えているところであります。
 そこで、もう一つは、アメリカの大統領がバイデンにかわりました。アメリカは一旦離脱をしたわけでありますが、やはりTPPにアメリカが入ってくることは、バイデンにかわりましたので、これは想定されるところであります。また、イギリスがTPPに関与してくることによって、アメリカを引っ張り込むこともできるのではないかというふうに思うところであります。
 それらを踏まえまして、TPPに英国が参加すること、このことが日本にとってどういう利益がある、国益となるのかについてお伺いしたいと思います。

#10
○四方政府参考人 英国は、従来からTPP11加入に関心を寄せておりまして、トラス国際貿易大臣も、来年の早い時期にTPP11への加入を正式に要請する意向を表明されています。
 TPP11協定は、この協定が定める高い基準を満たす意思のある全てのエコノミーに開かれているということで、我が国といたしましても、英国のTPP11加入への関心を歓迎し、その旨、先月訪日いたしましたトラス大臣にも茂木大臣から伝えております。
 我が国にとりまして、英国は、自由、民主主義、市場経済、人権、法の支配といった基本的な価値を共有するグローバルな戦略パートナーであります。また、英国は、約千社の進出日本企業にとって、欧州事業の統括及び研究開発拠点ということで、委員御指摘の欧州へのゲートウエーになっているということでございまして、我が国にとりまして極めて重要な貿易・投資相手国でございます。
 TPPへの加入要請は各国が個別に判断する事項でございますので、英国の加入要請の時期につきましては予断する立場にございませんけれども、我が国といたしましては、引き続き、TPP参加国と連携しつつ、イギリスの動向を注視するとともに、必要な情報提供を英国の方に行ってまいりたいと思っております。

#11
○中谷(真)委員 イギリスのTPP入りというのは、私も非常に日本にとっていいことだというふうに思っているところでありまして、イギリスが入ってくるに当たって、これはしっかりと政府としてサポートしていただきたいというところであります。
 私、政務官をさせていただいていたとき、これは去年の十一月でありますけれども、UAEにおいて、ムラリーダラン外務副大臣に当たる、副大臣級だというふうに聞いておりますけれども、この方と会談する機会をいただきました。
 このときは、RCEPが非常に話題に上がっておりました。それは何かと申し上げますと、最初、インドはRCEPに対して非常に興味を示しておりまして、交渉に加わっていたというところでありましたが、中国の工業製品、また、オーストラリア、ニュージーの農産品等々がインドに入ってくると非常に国益を失うということで、RCEP交渉から離脱をした直後ぐらいでありました。
 私は、RCEPは、ASEAN、豪、ニュージー、そして日本、中国、韓国、こういった国々が入っているところでありますけれども、これでインドが抜けてしまうと非常に中国の影響力が大きくなるのではないかというふうに考えたところでありまして、ぜひインドにもRCEPに入っていただきたいということをこの際申し上げたところであります。
 そうすると、先ほど申し上げた理由で、中国の関与が強まるかどうかは私どもの関するところではあるけれども、それよりも、先ほど申し上げた中国の工業製品や豪州、ニュージーランドの農産品、こちらの方が国益を害するんだということを主張していたのを覚えております。
 先ほど申し上げたとおり、RCEPにおいてインドが入ってくるかどうかというのは大きな、いわゆる中国の余りに強いプレゼンスになってしまわないように、これは非常に重要なことだというふうに考えるところでありまして、RCEPにもう一回インドを引き込むにも、私は、やはり、インドと強い関係を持っている英国に対して、これを含めて交渉していくことがいいのではないかというふうに考えているところであります。
 英国が今後、RCEPへのインド参加に対して後押しになるかというところについてお聞きをしたいと思います。

#12
○四方政府参考人 お答え申し上げます。
 英国とインドとの関係につきましては、歴史的には深い関係にございますけれども、第三国間の関係でございまして、我が国といたしまして特段コメントすることは差し控えたいと思いますけれども、その上で申し上げますと、我が国にとりまして、先ほど申し上げましたとおり、英国は基本的価値を共有するグローバルな戦略的パートナーでございまして、九月の日英首脳電話会談におきましても、菅総理から、英国がインド太平洋地域への関与を強化していることを歓迎するとともに、両首脳は、自由で開かれたインド太平洋、FOIPの実現に向けて連携していくことで一致をしております。
 また、インドは十億人を超える人口を抱え、近年、着実に経済成長を実現しており、委員御指摘のとおり、インドがRCEP協定に参加することは極めて重要と考えております。その観点から、我が国といたしまして、RCEP協定の署名に際して、RCEPがインドに対して開かれていることを明確化する、インドのRCEPへの参加に係る閣僚宣言の発出に尽力をいたしました。
 今後とも、インドの将来のRCEP協定への参加に向けて、我が国といたしまして主導的な役割を果たしてまいりたいと存じます。
 以上です。

#13
○中谷(真)委員 このRCEPに対しても、私は英国の関与を日本政府としては求めていくべきではないかというふうに考えているところであります。
 先ほど中国の話をしましたけれども、私ども、この日本にとって安全保障面の最大の脅威が中国であるということは、これはほとんどの方がそうであると考えていると思います。
 イギリスの対中政策でありますけれども、これは香港の状況、また、ボリス・ジョンソンはファーウェイについて、これを国内に入れないということを発言しているということを考えますと、以前の対中政策からするとかなり強硬になってきているのではないかというふうに考えているところであります。
 もちろん、安全保障面では日米同盟が基軸であることは間違いないわけでありますけれども、歴史的には、日本とイギリスは、かつては日英同盟というものを結んだ歴史もあるというところであります。そういう意味では、今後、安全保障面でもイギリスとの関係を強めることは非常に有益ではないかというふうに思っているところであります。中国を見るならば、取り囲むように三角形をつくっていくということは非常に重要であるというふうに思うところであります。
 また、インド、東アジア、東南アジアには、コモンウエルスと言われている国々も多く存在しているわけであります。こういった国々との関係強化、これは安全保障面でも非常に、イギリスが関与してくることは結束を強めるというふうに思うところであります。
 また、あとは、日米同盟は非常に重要な基軸であるんですけれども、日米だけだと、これはバイでやりますと非常に足元を見られるというか、日本はアメリカに隷属しているわけではないというところもあって、そういう意味では、日英と関係をつくることは、日米同盟にとっても非常に我が国にとっていい環境を生み出すのではないかというふうにも考えるところであります。
 今、イギリスと日本は、共同訓練をやったりとかということで非常に急速に関係を強化しております。またさらには、今後出てまいりますが、将来戦闘機についても、ロッキードとBAEがこれに手を挙げているというふうに聞いているところでもあります。
 アメリカ一辺倒ではなく、今後はイギリスとも絡めた日米同盟、こういうものをつくっていくことが、よりよい日本にとっての日米同盟になっていくというふうに考えているところであります。それを踏まえて、英国と更にそういう安全保障面でも強化していくべきというふうに考えるところでありますが、政府のお考えをお聞きしたいと思います。

#14
○茂木国務大臣 中谷委員には、この九月まで外務大臣政務官として私の仕事をお支えいただきまして、特に中東アフリカの問題であったり、さらに、日本の大きな外交のツールでありますODAの戦略的な活用、こういったことでも大変御尽力いただいたことを改めて感謝を申し上げたいと思っております。
 まず、日米同盟。これは日本外交の基軸でありますが、単にこれは我が国だけではなくて地域の平和と安定にも貢献するものでありまして、日本として、米国とも協力しつつ、自由で開かれたインド太平洋の実現に取り組んでいきたい。ただ、これは日米二国間でできることではなくて、価値観を共有する国々をたくさん巻き込んで、そういった自由で開かれたインド太平洋という考え方、これを広げていくことが必要だと考えております。
 こうした中で、基本的価値を共有するグローバルな戦略的なパートナーである英国の存在、御指摘のように極めて大きいと思っておりまして、同じ海洋国家である、かつて日英同盟を結んでいた、更にさかのぼりますと、インド太平洋地域にイギリス東インド会社を展開して活動もしてきた、こういう歴史もあるわけでありまして、こんな英国と、外交、安全保障から経済、さらにはグローバルな課題の解決など、幅広い分野において関係を一層強化させていく、こういったことは極めて重要だと考えております。
 先日、香港の問題についてG7の外相の声明をつくったんですが、そのときも、ドミニク・ラーブ・イギリスの外務大臣と私の間でかなり協議してこういったものをまとめるということで、もちろん米国との関係はありますが、英国ともしっかりと連携をしながら、G7であったりG20、また国際社会でのさまざまな取組を進めていきたいと考えております。

#15
○中山副大臣 おはようございます。
 防衛省・自衛隊といたしましては、防衛大綱のもと、日米同盟の強化を図りつつ、自由で開かれたインド太平洋というビジョンを踏まえ、米国以外の国々とも多角的、多層的な安全保障協力を戦略的に推進してまいります。
 とりわけ英国については、欧州のみならず世界に影響力を持つ国であり、我が国と歴史的にも深い関係があるのみならず、安全保障面でも我が国とともに米国の同盟国として戦略的利益を共有いたしております。具体的には、二〇一七年の日英安全保障共同宣言を踏まえまして、幅広い分野で多層的な交流を実施しており、近年では、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて協力するパートナーとして、より実践的な共同訓練や、北朝鮮による瀬取りを含む違法な海上活動に対する警戒監視活動といった、実質的な協力が着実に進んでいるところであります。
 安全保障、防衛分野における日英協力の深化は、両国のみならず地域の平和と安定にとっても極めて重要であり、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出に大いに資するものであります。防衛省・自衛隊としては、こうした観点から、今後とも日英の防衛協力を一層深化させてまいりたいと思います。
 また、後段御質問のありました次期戦闘機につきましては、現中期防で、国際協力を視野に、我が国主導の開発に早期に着手することとしており、現在、米国及び英国との間で協議を進めておりますことは、委員も御指摘のとおりでございます。また、御承知のとおりです。
 次期戦闘機の開発に当たっては、同盟国である米国とのインターオペラビリティーの確保、向上が重要と考えておりますが、いずれにしましても、現在、協力の潜在的な可能性を有する両国との間でいかなる協力があり得るのか、可能性を見きわめているところであります。

#16
○中谷(真)委員 終わります。ありがとうございました。

#17
○あべ委員長 次に、佐藤茂樹君。

#18
○佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。
 大臣所信に対する質疑に続きまして、きょうは質問をさせていただく機会をいただきまして、ありがとうございます。
 私どもは、この委員会で議題となっております日英EPAについては、イギリスとの経済関係の緊密化、発展につながるものであって、今国会での承認手続を急ぐべきである、そのように考えているところでございます。
 その上で、きょうお聞きをしたいのは、大変大詰めに来ておりますイギリスとEUのFTA交渉の見通しについて、まずお尋ねをしたいと思います。
 イギリスとEUの将来の関係を決める交渉というのが最終局面に入ってきておりますが、大変難航しておりまして、交渉がまとまるのかどうか予断を許さない、そういう状況でございます。特に、イギリスのEEZでの漁業問題と双方の企業の競争条件のあり方というのが対立点でありまして、交渉が続いているというように日本にも報じられているわけでございますが、イギリスとEUの合意が成立しても、それぞれの議会の承認手続の期間が必要となってまいりますので、一月に発効させるには十一月中旬がそれぞれ双方の状況からして交渉期限、そのようにされているわけでございます。
 それで、EUは十九日にオンライン形式で、主にテーマは新型コロナウイルス感染症対策ですけれども、首脳会議を開く予定であって、それまでの合意を何とか目標にしているという見方もありますけれども、十九日というともう今週でございますので、時間も迫っておりまして、道筋は大変不透明であります。
 この最終局面でのイギリスとEUの間で行われているFTA交渉を含めた交渉について、その見通しを日本政府としてどのように見ておられるのか、外務大臣にまず最初に御答弁をお願いしたいと思います。

#19
○茂木国務大臣 これは日本が交渉を行っているわけではなくて、まさに英国とEUの間で、将来の関係についての協定で、現在交渉が行われている。あす、一つの山場をまた迎えるということでありますが、交渉の今後の見通しであったりとか、いつまでに交渉が妥結するか、幾つかの難しい課題もあるようでありまして、もともとEUの中にいたイギリスが離脱をする、想定外のことから始まって、もう一回関係を修復しようということですから、そんなに簡単なことではないと思っております。
 しかし、我が国にとっては、英・EU交渉の結果というものが英国を含みます欧州諸国でビジネスを展開している日系企業に影響を及ぼすものであることから、これまでも、かなり早い時期から英国とEU両方に対して早期妥結を働きかけてきたところでありまして、日本としては、引き続き英国とEUの交渉の動向を関心を持って注視していくとともに、先日、トラス大臣が日本に来て、日英の包括的経済連携協定を結ぶに際しても、私の方から改めて、英・EUの交渉を急いでほしい、こういうことも要望したところでありますが、引き続き、英・EU双方に早期妥結の働きかけを続けていきたいと思っております。

#20
○佐藤(茂)委員 ぜひ、日本政府としてもできる限りの働きかけをしていただきたいと思います。
 今、外務大臣からも答弁ありましたように、現在、イギリスには約千社の日系企業が進出して、約十八万人の雇用を創出しております。先ほど四方経済局長の答弁でも、欧州のゲートウエーになっているんだ、そういう話がありましたように、イギリスに進出している日系企業の多くは、欧州における生産や販売等の重要拠点として、日、イギリス、そしてEU間で密接なサプライチェーンを構築しております。
 そこで、きょう経済産業省に来ていただいていると思いますが、仮にイギリスとEUのFTA交渉が決裂してFTAが締結されなかった場合に、イギリスに拠点を置く日系企業の経済活動にいかなる影響が及ぶと考えられるのか、また、日英間の貿易についても影響が及ぶのか、政府の見解を伺いたいと思います。

#21
○黒田政府参考人 お答えを申し上げます。
 英国とEUとの間でのFTA等の交渉が年内に妥結しない場合には、英国とEUとの間での関税負担の復活など、現地に展開する我が国企業の経済活動に甚大な影響が生じるということが考えられます。
 さらに、日本と英国間の貿易の影響につきましては、これは一概に申し上げることは困難でございますけれども、今委員御指摘のとおり、貿易量の減少、あるいは、企業の判断によっては生産拠点やサプライチェーンの見直し等の影響が及ぶ可能性もあるというふうに考えてございます。
 このため、経済産業省といたしましても、関係省庁とも連携をし、英国とEU間の交渉が速やかに妥結するよう、あらゆる場面を通じて双方への働きかけを行ってきたところでございます。
 こうした働きかけに加えまして、英国に進出している日系企業の支援のため、昨年十月にブレグジット対応サービスデスクを設置したところでございます。このサービスデスクにおきましては、通関手続や規制面での対応、販路の転換、開拓等に関する情報提供、さらには個別の相談対応等を行っているところでございます。
 引き続き、英国への進出企業への影響が最小限となるよう支援を行ってまいりたいと考えております。

#22
○佐藤(茂)委員 冒頭外務大臣も答弁されましたように、この日英EPAを締結したとしても、イギリスとEUのこの交渉が万が一悪い方に向きますと、日本の企業の経済活動にも大変な影響を与えることは今御答弁あったとおりでございますので、引き続きやはり日本政府としてもできる限りの働きかけをしていただきたいのと、万が一この交渉が実らなかったときの対応というものもぜひ想定して対策を打っていただきたいと思うわけでございます。
 もう一つ、残り時間でお聞きをさせていただきたいのが、十五日の日に署名をされましたRCEPのことでございますが、その意義については前回の質問の機会にもう外務大臣からも答弁をいただいたところでございますが、ぜひ世界の自由貿易体制を発展させる基盤として、このRCEP、活用をしていっていただきたいと思うんですが、その上で、RCEPについても残された課題もあろうかと思います。
 一つは、自由化の水準ですね。今回、自由化の水準というのは、中国や東南アジア諸国も参加をさせないといけないという優先課題もありましたので、結果としては、関税を撤廃する品目の割合というのは九一%となっております。これは、一〇〇%近い関税撤廃率となったTPPと比べれば、自由化の水準というのは低くなりました。日本はぜひ、協定発効後も自由化の水準を高める努力をしていただきたいというのが一点でございます。
 もう一つは、先ほど中谷委員からもありましたように、日本が参加を呼びかけていたインドが、昨年秋以降、交渉から離脱をされているわけでございます。やはり、インドの産業競争力の強化も含めてしっかりと協力をするなどして、粘り強くインドのRCEP参加というものも今後促していくべきだと思うんですが、重立った、以上二点も含めて、RCEP署名と今後残された課題、それに対して政府としてどう取り組んでいくのかということについて、外務大臣の御答弁をお願いしたいと思います。

#23
○茂木国務大臣 時間は大丈夫ですか。
 今週日曜日に署名に至りましたRCEP協定、これは、世界のGDP、貿易総額の約三割、そして我が国の貿易総額のうち約五割を占める地域の経済連携協定でありまして、地域の貿易・投資の自由化、活性化に資するものであります。
 本協定によりまして、地域に広がりのあるサプライチェーンも活性化、効率化されて、自由で公正なルールづくりが推進されることが期待される、これが基本的な考え方であります。
 その上で、出された二つの懸念といいますか今後の課題ということですが、自由化のレベル、これは、本協定は、もともとASEANから始まって、それが日中韓、さらにはニュージーランド、オーストラリア、インドに広がるという形で、カンボジア、ラオス、ミャンマーといった後発開発途上国を含めて、制度や経済発展状況が大きく異なる国々も交渉に参加しました経済連携協定でありまして、これはTPPであったりとか日・EU・EPAとは参加国、そして背景、事情が異なっておりますが、まずは、できる限りレベルの高い協定を目指しつつ、早期の発効と着実な実施を通じて地域の望ましい経済秩序につなげていくことが重要であると考え、交渉を進め、署名に至った形であります。
 こういったものができますと、当然、そういう後発途上国にしてもさらなる発展が望まれてくる。そういう状況を見ながら、今後、見直す場合にはどういう規定にしていくか、更にレベルを上げていく、こういったことも視野に入ってくるんだろう、こんなふうに考えております。
 一方、インドについてでありますが、インドの将来の参加について、インドは今、貿易赤字拡大というのを抱えている。また、幾つかの国内事情がありますが、十億人を超える人口を抱えて、近年、着実に成長を実現していることを踏まえますと、インドがこの協定に参加することは、経済的にも、また戦略的にも極めて重要だと考えておりまして、我が国としては、RCEP協定の署名に際して、RCEPがインドに対して開かれていることを明確化する、インドのRCEPへの交渉に関する閣僚宣言の発出に尽力をしたところでありまして、今後とも、インドの将来のRCEP協定への参加に向けて主導的な役割を日本として果たしていきたいと考えております。

#24
○佐藤(茂)委員 時間が参りましたので、質問を終わります。ありがとうございました。

#25
○あべ委員長 次に、山川百合子君。

#26
○山川委員 おはようございます。立憲・社民・無所属の山川百合子でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
 まず、日英EPAについてお伺いしていきたいと思います。ちょっと、少し、前の先生方の質問とかぶる部分もありますが、私は私として質問をさせていただきたいというふうに思います。
 まず、日英EPAの意義について茂木大臣にお伺いをいたします。
 最初は、まず二点です。
 一つは、ブレグジットと本協定締結が、英国を欧州のゲートウエーとして事業展開してきた日本企業への影響について、そしてもう一つは、英国とEUのFTA交渉の見通しと、少し御質問ございましたが、日英EPAの締結の関係についてお伺いをしたいというふうに思います。
 これまで日本企業の多くは、英国をゲートウエーとして欧州への事業展開をしてきました。しかし、ブレグジットによって、英国とEU間に有効なFTAが締結されなければ、英国を拠点とした欧州全域への事業展開が困難になるリスクが想定をされます。
 一方、そのような英国とEU間のFTA交渉が妥結する前に日英EPAが締結されることによって、英国に新たなビジネスチャンスを期待して英国進出を検討する日本企業もあることと思われます。日本政府としては、先行して締結しているEUとのEPAを重視し、EU諸国との良好な関係を維持しながら、EU離脱を果たした英国とも新たにEPAを締結し、英国との新たな可能性を構築していかなければいけないというふうに思います。
 既に英国に進出している日本企業へのブレグジットによる影響はどのようなものなのか、それに対する保護策、支援策はどのように構築しているのかといった具体策については経産省の政府参考人から、そして、ブレグジットによる欧州の大きな事情変更に対する日本政府としての外交ビジョンや見通し等御認識については茂木大臣にお伺いをしたいと思います。
 なお、梶山経済産業大臣は、英・EUのFTAが成立しなければ日英EPAを締結した意味がないというふうに御発言をされておられますが、その発言の真意と、閣内の一致した御認識がどのようなところにあるかも踏まえて、大臣と参考人から御答弁をお願いいたします。

#27
○黒田政府参考人 お答えを申し上げます。
 英国には約千社の日系企業が進出をし、欧州における生産や販売等の重要な拠点として、日英間で密接なサプライチェーンを構築してございます。こうした中で、来年一月に予定される英国のEU離脱後にも日英間のビジネスの継続性を確保すべく、現在、まさに日・EU・EPAにかわるものとして日英EPAを御審議をいただいているというところでございます。
 その上で、英国とEUとのFTA等の交渉が年内に妥結をしない場合には、英国とEUとの貿易にWTOルールに基づいて関税が課される見込みでございまして、この場合は、英国を欧州のまさにゲートウエーとして事業を展開している我が国企業の経済活動に甚大な影響が生じる可能性があるというふうに考えてございます。政府としても、英国とEU間の交渉が速やかに妥結するよう、あらゆる場面を通じて双方へ働きかけてきたところでございます。
 こうしたことに加えまして、英国に進出している日系企業の支援のため、昨年十月にブレグジット対応サービスデスクを設置したところでございます。このサービスデスクにおきましては、通関手続や規制面での対応、販路の転換、開拓等に関する情報提供、さらには個別の相談対応等を行っているところでございますけれども、引き続き、英国への進出企業への影響が最小限となるよう支援を行ってまいりたいというふうに考えてございます。

#28
○茂木国務大臣 三つの側面があると思うんですけれども、今回、日英のEPAを結ぶことによって、EU離脱後の英国との間で日・EU・EPAにかわる新しい貿易・投資の枠組みを規定して、日系企業のビジネスの継続性を確保し、日英間の貿易・投資の促進につながることが期待をされる。日本とイギリスの間では、こういった日・EUのもとで日本と英国がそれぞれ享受していた利益が得られる。
 次に、今度は、例えば、日本の企業がEUの中、イギリス以外のEUで部品等をつくって、最終的には日本等でアセンブリーをしてイギリスに出す場合も、拡張累積が適用されますから、それは日本でつくったのと同じ形になる。英国も同じような形で、今度は、EUで部品であったりとか素材を調達をして、イギリスでそれを組み立てるなりなんかをして、それを日本に輸出する場合は、それはあたかもイギリスでそういったものがつくられたという形で、日・EU・EPAのもとで低関税等々で輸入ができるということになっていきます。
 もう一つ、どうしても残りますのは、シンプルに英国とEUの間で取引をする、日本から英国に出ている企業、ヨーロッパへ出ている企業、これが取引する、ここについては、残念ながら日英EPAでカバーすることができなくて、英国とEUの間の新しい関係というものが構築される必要がある。ですから、これは早く、早期に締結するよう双方に促してきているところでありまして、この努力は続けてまいりたいと考えております。

#29
○山川委員 ありがとうございます。
 続いて、三点目として、日英EPAが日・EU・EPAで定められた農産品輸入の数量枠の範囲内とすること、このことの実効性についてお伺いをしておきたいと思います。
 以前、茂木大臣に私から本会議でTPPのことでお尋ねしたことがございます。あのときは、米国がTPPから離脱し、その後に、米国が日本との新たなFTAの交渉によって日本に新たな農産品の非課税輸入枠を迫った場合、日本の農業者や酪農業者をどのように守れるかということをお伺いをいたしました。
 今回の日英EPAの締結においては、日・EU・EPAにおいて決めた数量の範囲で英国との自由貿易枠を確保するというふうに伺っています。
 TPP交渉においては、米国を含む関税割当て枠内数量を決定し、その後、米国が離脱してもその数量が維持され、英国を含む日・EU・EPAにおいても、英国離脱後の数量枠の引下げを議論しないまま、英国がEUとのFTA妥結に至る前に日本が先行して日英EPAを締結し、その数量枠をEUとの数量枠の範囲と決定するということであります。
 確かに、英国にとっては魅力的な初のEPAになるわけですが、EUにとっては今回の日英EPAがどのように映るのかも気になりますので、この点について、大臣の御認識を伺っておきたいと思います。

#30
○四方政府参考人 お答え申し上げます。
 今回、日英EPAにおきましては、日・EU・EPAで関税割当て枠が設定されております二十五品目につきまして、新たな英国枠は設けず、ソフト系チーズや一部の調製品の十品目につきまして、日・EU・EPAで設定された関税割当ての利用残、まあ残りですね、が生じた場合に限り、その範囲内で日・EU・EPAの関税割当てと同じ税率を適用する仕組みを設けることといたしました。
 したがいまして、どの年度にあっても、英国とEUからの低税率での輸入量の合計が、もともとの日・EU・EPAの関税割当て枠の数量を超えることはないという仕組みになっております。

#31
○山川委員 大臣にお願いしたんですけれども、わかりました、ありがとうございます。
 それから、続いてなんですが、投資保護や紛争解決のことについて伺っておきたいというふうに思います。
 投資保護や紛争解決の手続に関する規定が本協定には盛り込まれていません。これは、日・EU・EPAについても同様でございます。我が国とEUとの間には、ISDSを推進する我が国に対して、EUはICSの導入を主張するなど、考え方に違いがあったため、協定には盛り込まれず、その後、協議が続けられていると思います。ですので、ここで伺っておきたいのは、EUとの交渉の状況はその後どうなっているかということを一点。
 それから、一方、英国は、TPP11協定への加入に関心を示したり、トラス大臣がISDS条項などを含めて将来更に協定を進化させる用意があると発言されるなど、ISDS条項について前向きであるように思います。ですが、本協定にISDS条項が盛り込まれなかった理由と今後の見通しについて、お伺いをしたいと思います。

#32
○四方政府参考人 委員御指摘のとおり、日・EU・EPAにおきましては、日・EUの間の立場に相違がありました投資紛争解決手続につきましては規定しておりませんけれども、その後、日・EU投資交渉を通じまして、EU側と協議を行ってきております。
 具体的には、二〇一九年三月の日・EU投資交渉会合におきまして、日・EU間の投資保護規律及び投資紛争解決手続につきまして意見交換を行い、引き続き協議をしていくことで一致しておりまして、いかなる紛争解決手続規定を設けるか等に関し、投資家の保護と国家の規制権限との適切なバランスの確保等に努めるべく、事務レベルでの協議を行ってきているところでございます。
 日英EPAにおきましては、先ほど委員の方からISDSとございましたけれども、投資紛争解決手続につきまして、日・EU・EPAと同様に規定しないことになりましたけれども、本協定発効後、一定の条件を満たす場合には、本協定にISDS手続等に関する規定を追加することについて協議することができる旨定める、いわゆる見直し条項を新たに規定することといたしました。

#33
○山川委員 ありがとうございます。
 そして、四点目として、今回の日英EPA交渉で盛り込まれた貿易と女性の経済的エンパワーメントについてお伺いをしておきたいと思います。
 これはぜひ、細かいところは参考人の方でも結構なんですが、ビジョンについては大臣から御答弁いただければというふうに思います。
 社会全体で女性が活躍できる環境を議論するときに、ジェンダーギャップ指数がたびたび取り上げられるというふうに思います。二〇一九年十二月の世界経済フォーラムによると、我が国は百五十三カ国中百二十一位、これに対して、英国は二十一位。女性役員の割合では、我が国が八・四%であるのに対して、英国は三二・六%。英国は、我が国よりもずっと女性の経済参加が進んだ社会と言えそうであります。
 また、政治分野で見てみても、アメリカでは今回、大統領選を経て初の女性副大統領が誕生することが報じられています。英国では、既に一九八〇年代にマーガレット・サッチャー政権が誕生しています。日本の男女雇用機会均等法よりも十年も早く性差別禁止法や賃金平等法も成立をしています。
 今回の日英EPAに貿易と女性の経済的エンパワーメントが位置づけられているということの経緯と意義。そして、あわせて、TPP11協定での規定もほぼ同様な中身かというふうに思うんですが、このTPP11協定のもとでこれまでどのような取組が行われてきたのか、その状況。そして、さらに、英国との協定ですので、我が国が英国からどのような点を学べると考えていらっしゃるのか。全体のビジョンはぜひ大臣から、もしあれば、もちろん具体策についても教えていただきたいというふうに思います。

#34
○茂木国務大臣 全体の話から。
 山川委員おっしゃるように、ジェンダーギャップ指数、これを見てみても、我が国が百五十三カ国中百二十一位、それに対して英国は二十一位ということで、政治経済面を含めて女性の参画が進んでいる。学ぶことが大変多いんだろう、こんなふうに思っております。
 それも含めて、今回、日英のEPAでは、創出される機会や利益を女性が十分に享受できるように、日英双方が女性の経済的エンパワーメントに関して協力することで日英間の認識が一致して、この貿易、女性の経済的エンパワーメントに関する章を新たに設けた。
 確かに、内容的にはTPP11に含まれている内容でありますが、日英EPAでは独立した章を設けて、かつ、本分野における作業部会を新たに設置をするということになっております。
 この作業部会において、市場であったり、それから技術、また資金調達の女性のアクセスの改善等について取組を共有する。また、具体的なアイデア、こういうのも持ち寄る。英国の知見も参考にしながら、女性の経済的エンパワーメントをしっかりと進めていきたい、そんなふうに思っております。

#35
○四方政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど、TPP11での規定、その後の実施状況ということでお話がありました。
 これまでTPP11のもとで、開発全般につきまして議論する開発小委員会を二回開催しておりまして、女性の経済的エンパワーメントに関する意見交換を行うとともに、今後ともベストプラクティスの共有等を進めていくことで合意をしております。
 日英のEPAにおきましても、先ほど茂木大臣から言及のあった作業部会の場を活用して、イギリスの実績、経験等の共有等も通じ、我が国の取組の参考としてまいりたいと存じます。

#36
○山川委員 ありがとうございます。
 大臣にも細かく御答弁いただき、ありがとうございます。
 せっかくこの項目が入っているわけでありまして、何をするのかなというのがちょっとビジョンとして、あるいはピクチャーとして見えてこないところがありまして。ただ、これがせっかく入っているわけでありますし、やはり日本の女性の活躍ということを進めていくためにも、この機会をぜひ有効に使っていただきたいなと思いますので、どうぞ取組をよろしくお願いをいたします。
 日英EPAについてはこの質問でちょっと終わらせていただいて、残りの時間を、アメリカで大統領選が行われてバイデン次期大統領が誕生するということになりましたので、それに合わせて、日米同盟及び外交政策の調整について伺っておきたいというふうに思います。
 米国で民主党のジョー・バイデン候補が大統領選挙に勝利をされました。アメリカの国内政治そして外交が大きくシフトしていく可能性を感じ、私は期待をしております。私は、みずからの政治活動の中で、国家のために国民があるのではなく、国民のために国家があるのだという立場を貫いてまいりました。
 右派とか保守などと呼ばれる言説が国家とかコミュニティーといった社会構造を重視する傾向が強いのに対し、左派とかリベラルと呼ばれる言説は国民とか個人の自由を重視する傾向が強いと政治学では区別されているようであります。
 その意味においては、再びアメリカを偉大にというスローガンを掲げたトランプ政権から、個人の自由、分断から協調といった個々人に視点を当てる民主党政権がアメリカに誕生することは、政治的なスタンスや方向性が内政でも外交でもともに大きくシフトしていく可能性を示唆しているわけであります。
 バイデン次期大統領が、菅総理との初の電話会談で、尖閣諸島が日米安全保障条約第五条の適用範囲だと明言されたことは鮮烈でありましたし、驚きました。もともとバイデン氏は、オバマ政権の八年間副大統領を経験されています。多国間主義、同盟重視、国際社会における米国のリーダーシップの回復を三本の柱とする外交、安全保障政策を掲げておられます。
 トランプ大統領はパフォーマンスと二国間外交でディールに持ち込む手法であったのに対して、バイデン次期大統領は、私から見るとですが、ミッションオリエンテッドで、実務型の手法で、外交手法が大きく異なることが予想されるというふうに思います。茂木大臣もそのような御認識でおられるのかを伺いたいと思います。
 また、日米双方の基本的価値として共有されてきたというふうに思うんですが、自由や民主主義、基本的人権、法の支配が、バイデン政権によって更に個を重視したリベラルな思想を土台にすることで、北朝鮮による拉致問題や香港情勢、チベットやロヒンギャ問題など、決してこれらの問題に見て見ぬふりをすることはできないとして、米国を中心とする外交アジェンダに明記されるのではないかと考えます。
 日本国の主権の問題である尖閣諸島の問題にしても、香港情勢などとあわせて、二国間ディールではなく、多国間主義、同盟重視、米国のリーダーシップの回復といった観点からバイデン政権は取り組むことになり、その意味で、対中政策の一部がトランプ政権以上に厳しいものになるのではないかということも考えられます。
 安倍政権そして菅政権はトランプ政権と親和性が強かったように思いますが、バイデン政権になって変化するであろう政治的スタンスや方向性、手法を前に、日米同盟を基軸とする日本外交をどうかじ取りをしていかれるのか、茂木大臣のバイデン政権の外交スタンスの変化についての御認識と、どのような腹づもりというんでしょうか、腹づもりで米国とともに世界のリーダーシップを発揮していくというお考えなのか、ぜひこの機会にお伺いできればと思います。

#37
○茂木国務大臣 基本的なバイデン政権の認識をお話しした上で、先生の方から六つのテーマについて今お話がありました、それぞれ答えていると、それぞれ数分かかるんですけれども、そうすると時間が終わってしまいますが、どのように返したらよろしいでしょうか。
 まず、言えていることは、基本的にバイデン政権も、外交だけではなくて、内政、最重点の四つのテーマというのを取り上げているわけであります。さらに、今回の選挙の結果を見ても、バイデン次期大統領も勝利宣言のとき、八日だったと思いますが、もはやアメリカには、ブルーステート、つまり民主党の州も、レッドステート、共和党の州もない、ユナイテッドステーツなんだと。つまり、ユニティー、どう結束していくか、このことを非常に強調しているということで、内政重視をすると。
 さらには、連邦議会の構成を見ると、恐らく、上院は決まっておりませんけれども、もう半分は共和党がとっておって、残りの議席がどうなるか。下院についても、民主党が過半数はとりましたが、議席というのは減らしている中で、なかなか、議会対応というのも、社会保障政策を進めるにしても、また国内でグリーンの関係の大幅な投資をするにしても、議会対応も結構大変ということで、相当なエネルギーを議会の方にとられるのではないかな、そういうふうに思っております。
 そういった中で、確かに外交のスタイルというのは、トランプ政権がとってきたような形の、一国主義、米国第一主義のもと、それをバイで進める、二国間の交渉で進める、こういうやり方から、多国間重視、こういう方向に変わっていく。パリ協定にも戻る、WHOに対するコミットメントも強める、さらには、一時崩れてしまったNATO始め同盟国との関係も強化していくということをやるわけでありますが、こういう内政を重視しつつ、一方でこういった外交の課題にどこまでコミットできるのか、これはまさにこの後、新政権が誕生したときの政策、こういうものをしっかり見ていく必要があると思っています。

#38
○山川委員 ありがとうございます。
 もう一つ、今、全体的なことをお伺いしたんですが、もう少し政策的な、ピンポイントなことについても二点ほどお伺いをしておきたいというふうに思います。
 一つ目は、クライメートジャスティスの問題です。
 これからは、地球環境をいかに保全、保護をしていくかという観点がバイデン政権によってより強く打ち出されてきていますし、そうなってくることが予想されます。
 日本はこれまで、京都議定書に始まり、COP3やパリ協定など、地球環境問題に積極的に取り組んできたと考えています。これに対して、トランプ政権は地球環境よりもデトロイトが重視されてきた印象があるわけです。
 このようなバイデン政権における変化を、ちょっと先ほどその項目は触れていただきましたが、このバイデン政権による変化をどう受けとめ、どのように日米が緊密に連携しながら地球環境問題にこれまでとの違いをつくっていくことができるかが一点目。
 それからもう一つは、ユニバーサルヘルスケアやグローバルヘルスなどの保健、社会保障分野重視の価値観がバイデン政権においては強くなるんだろうというふうに思います。
 トランプ政権は、オバマ・ケアを否定し、日本の皆保険制度が米国の生命保険商品の日本市場における販売の障壁になっているとの認識から、これらがISDS条項の適用対象とされるのではないかと懸念されてきて、これは本会議質問のときにもちょっと触れさせていただいたと思うんですが、結果的に、米国がTPPから離脱し、今日に至っています。
 バイデン政権がこのような保健、社会保障分野重視の姿勢を近い将来貫くとすれば、日本は米国に貢献することができる先進例を示すことにもなり、仮に米国がTPPに加入したとしても、日本の皆保険制度がISDS条項のターゲットにされなくて済むかもしれません。
 以上、クライメートジャスティスと、ユニバーサルヘルスケアやグローバルヘルス重視のバイデン政権との対応について、もう少し踏み込んで御答弁をいただければと思います。

#39
○茂木国務大臣 バイデン次期政権は、気候変動に対して、先ほども申し上げましたが、デーワンにパリ協定に復帰をする、また、弱者に配慮した公正な環境面の取組、これを公約に掲げてきたところであります。米国、世界第二位の温室効果ガスの排出国でありますが、その一方で、環境分野においてさまざまな先端的な技術の導入等を行ってきている国でもあるわけであります。
 我が国も、総理の所信表明演説で、二〇五〇年までに、温室効果ガス排出を実質ゼロ、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言しております。もちろんこれは、大統領選挙の結果がどうなる、そういうのを見越したものではなくて、結果的に、日本の方向、そしてアメリカの次期政権の方向が一致したんだろう、こんなふうに考えておりますが、先週の菅総理とバイデン次期大統領の電話会談でも、気候変動問題について日米で緊密に連携していくことで一致したところであります。
 我が国としては、バイデン大統領が百日以内に開催したいとしております気候変動サミット、そして来年にはイギリスでCOP26も開かれるわけでありまして、そういったものもにらみながら、米国とも協力しつつ、気候変動問題に積極的に取り組んでいきたいと考えております。
 また、バイデン次期大統領、医療の面、WHOとの関係の回復であったりとか、国際保健分野におけるリーダーへの回帰に加えて、国内の社会保障制度の充実についても公約に掲げていたと思います。
 今の新型コロナが世界的に広がる中で、この対応、これは国際協調がどうしても必要な分野であります。最優先の取組を国際社会全体としてしていかなきゃならないと思っています。
 今、御案内のとおり、例えばCOVAXファシリティーを見ても、開発している国がなかなかこれに入ってくれない、こういう問題があるわけでありまして、これはアメリカに対しても、そういったものに入ることによって、途上国にもしっかりと、安価な値段でワクチンが届くような状況をつくっていく、こういったことは重要だと思っております。
 国際保健分野のリーダーでありますアメリカと、これまでそういったユニバーサル・ヘルス・カバレッジ、これを推進してきた日本として、しっかり連携していければと思っております。

#40
○山川委員 ありがとうございます。
 もちろん日本は、日本の価値、それから外交スタンスというのは、相手国にかかわらず持っているわけでありますが、やはり基本的人権とかあるいは環境問題とか、日本が進めてきているこの理念を、アメリカの大統領がかわったことによって、一緒に進めていく可能性がすごく広がったんじゃないかなというふうに期待しておりまして、その中で、ぜひ、国際社会の中で日本のプレゼンスを更に発揮していただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。ありがとうございました。

#41
○あべ委員長 次に、小熊慎司君。

#42
○小熊委員 立憲民主党の小熊慎司でございます。
 きょうは、イギリスからツイッギーが来日した日ということで、イギリスに関連する質疑をさせていただきますけれども、包括的な経済上の連携に関するグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定、いわゆる日英EPAについて質問をさせていただきます。
 これまでの間、さまざまな大臣の答弁を拝見いたしますと、外務大臣というのは、隣に元外務大臣の岡田先生がいるので緊張していますが、民主政権時においても、自公政権においても、比較的安定的な大臣が就任をされていたなと思います。
 茂木大臣におかれましても、この間の「日曜討論」も非常に安定的でありましたし、きょうも、また先日の質疑も、原稿を余り読まずにしっかり自分の言葉で答弁をしている。その中で逸脱をすることがない。答弁をほとんど原稿で答えている菅総理より一国の宰相としてはふさわしいのではないかと思わざるを得ないぐらいの安定的な答弁であります。
 そうした安定的な大臣でありますから、今回のこの日英のEPAに関しても、これは時間的に限られていました。ことしじゅうにやらなければ無協定状態になってしまう、WTOのルールに従わざるを得ない。しかし、WTOの中にはデジタル関連のことがほとんど言及されていない。今、デジタル社会の中で、こうした状態に陥ってしまうのはよくない、日英両国にとってよくないということは、これまでの同僚議員の質疑の中でもありました。
 もちろん貿易交渉、これはしっかり質が求められるものでありますけれども、時間も限られていたということで、六月九日、トラス大臣と茂木大臣との会談から始まって、わずか三カ月で仕上げたということは、外務省にお聞きすると、近年まれに見るというか最速の交渉であったというふうに確認をさせていただいています。うまくこの短い期間の中でまとめられた。さらに、直接両国を行き来することのできないこのコロナ禍の中でまたこうした交渉をまとめ上げたということは、これは評価に値するというふうに思います。
 しかし、このコロナの中でこの交渉をまとめられるに当たってさまざまな御苦労もあったと思いますが、最速でここまでまとめ上げた、また、コロナという非常に厳しい状況の中でまとめられた茂木大臣のリーダーシップを始め、これまでの経過についてお聞きをいたします。

#43
○四方政府参考人 お答え申し上げます。
 日英EPAは、英国のEUからの離脱を契機といたしまして、先ほど委員からお話のありました、六月九日に茂木大臣とイギリスのトラス大臣との間で、テレビ会議システムを用いまして交渉を開始いたしました。その後、テレビ会議で精力的に事務レベルで交渉を行いまして、さらに、八月六日に茂木大臣が訪英し、閣僚レベルで交渉を前進させるべく、丸二日間、膝詰めでトラス大臣と交渉し、主要論点について認識の一致に至ったものであります。その後、九月十一日に大筋合意に至り、十月二十三日に茂木大臣とトラス大臣との間で、交渉開始から約四カ月半という異例の速さで日英EPAに署名することができたものでございます。
 我が国といたしまして、英国がEUを離脱することによるマイナスの影響を回避し、可能な分野でできるだけ高いレベルの、先ほど委員からデジタル分野というお話がありましたけれども、そういうルールを規定する目的で交渉に臨み、大きな成果が得られたと考えております。

#44
○小熊委員 大臣に答弁を求めていなかったんですけれども、この質問は。何か、御苦労というか、ありましたか。

#45
○茂木国務大臣 これは、ある意味、デッドラインが決まっていました。ことしで切れてしまうというので、国会等で御審議いただくことを考えたら、ある程度、九月中にはどうにかしなければいけない、こういうところで、ある程度の下ごなしをしながら、六月に本格的な交渉を始めたわけでありますけれども。
 よかった点の一つは、もともとイギリスはEUに入っていたわけでありますから、日・EU・EPAをベースにする、ほとんどそれと同じにする、それよりはみ出すものはつくらない。一方で、お話がありましたように、電子商取引とか、新しい、日英だけだったら日米のようにできる分野についてはしっかりハイレベルなものをつくっていこう、こういう二つの目的のもとでやっていきまして、タイムスケジュール的には、八月、コロナ禍でありましたが、私、訪英をしまして、やはり、二日間にわたって膝詰めの協議をする中で、どうにか認識の一致まで行きたい、リーチコンセンサスまで行きたい、そこまで持っていくことができた。そこからは、自分のタイムスケジュールとしては、その前の年にやった日米の貿易協定、これと大体同じタイミングで、リーチコンセンサスまで行ったから、次は大筋合意、これぐらいで行ける、こういうスケジュール感に乗って交渉が進んだ、こんな形であります。

#46
○小熊委員 ありがとうございます。
 これまでの、合意に至るまでのそれぞれの国内でのアプローチというか経過をたどってみますと、イギリスにおいては、意見募集のための情報文書が出て、国民、また各業界団体、さまざま意見、百以上集まったというふうにお聞きしていますけれども、その後、イギリスの戦略的なアプローチという文書も出して、この交渉に当たっての獲得目標を広く情報公開をしております。日本においては九月の大筋合意後に数枚の報告書が出ただけでありまして、国内における経過の違いがあります。
 過日質問もさせていただきましたけれども、外交の民主化、民主的外交、これを日本も推し進めると。外交青書にも「国民の支持を得て進める外交」と。国民の支持が得られなければ外交政策というのはうまく推進していかないという立場を日本もとっているわけであります。もちろん、交渉事ですから、さまざまな機密扱いにしなければならない点も、相手国がありますからありますけれども、しかし、イギリスだけではなくて、各国、こうした貿易交渉に関しては、事前に情報を提供し、意見を募集して、自分の国はこういうことを獲得目標にして交渉に当たる、それを広く国民に提示をした上で交渉に当たっていて、結果、こういうふうにまとまったんだけれども、ここがかち取れた、かち取れていないという、まさに説明責任が明確になっているわけであります。
 しかし、日本ではそういったことになっていません。こうしたプロセスをたどるということが、まさに日本の外交がうたっている国民的な、国民の支持を得て進める外交ということに合致するのではないかというふうに思いますが、今後、こうした取組、各国の例のような取組というのは、日本政府としてはどのように対応していくのか、お聞きいたします。

#47
○茂木国務大臣 それぞれFTA等の性格によって違うと思うんですが、今回の場合、イギリスの側から見ると、全く新しい協定というか、それをつくっていくというのに対して、日本は日・EU・EPAに入っていて、そこから離脱をしてしまったイギリスとできれば同じような形のものをつくっていく。ですから、例えば経済効果も、日・EU・EPAのときに、大体GDPを押し上げる効果が一%と試算をしました。大体、そこの中で貿易額に占めるイギリスの割合は一七%、こういう数字は既に出してあって、そんなに大きく変わるものではないと思っております。
 一方で、電子商取引等については、更に日英間で、日米デジタル貿易協定等を踏まえて、TPP11より更にハイレベルなことができるのではないかな、こういう形でやっておりまして、そういった点は、交渉に入るに当たって、また、現地で八月に交渉を行った際、さらには九月の大筋合意、十月の署名式等々で記者会見等で説明をさせていただいておりますが、今後、更にわかりやすいような説明をしていきたい。
 もちろん、全く新しいタイプの経済連携協定をつくるということになりますと、その目的は何なんだとか、より複雑な説明が必要な場合も出てくるかと考えております。

#48
○小熊委員 今、大臣答弁で、日・EUがベースになっておりますから、それでも、英国はそういう国内的な経過をたどりました。これは、ここでこれ以上の議論は避けますが、ぜひ、やはり、国民の支持を得て進める外交という意味においては、こうした意見募集のための情報文書をしっかり出していく。意見を募集した後に、日本がどういう戦略的アプローチをするかということも示しながら交渉に入っていくということが、その後の、交渉合意の後の説明にも寄与するものだと思いますし、貿易の振興の観点、さまざまな条約の有効的な成果のためにも必要だと思いますので、そうしたアプローチの仕方もぜひ検討するように申し述べたいというふうに思います。
 次に移りますが、日本はどういう獲得目標をするかということなしに入りましたが、今大臣言ったとおり、日・EUのEPAがベースになっています。それ以上のものはやらないんだということで入っていて、そういう意味では、イギリスの文書を見るとかなり野心的な、こういうことを獲得すると言っていながら、結局は日・EUの協定におさまったという意味では、イギリスの高い要求を防いだという意味でも、交渉が成功したと言える部分もあるのではないかというふうに思いますし、また、これまでの質疑でもありましたとおり、これを皮切りに、これを呼び水として、TPPの枠組みにイギリスに入っていただくということが一筋できたなというふうにも思います。
 そういった点もあると思いますが、改めて、今デジタル分野というのもありましたけれども、今回の日英のEPA、これは日・EUのEPAがベースになってはいるものの、今回、改めて日本が獲得できたものというのはどのようなものがあったのか、端的にお答えください。

#49
○鷲尾副大臣 交渉の結果、日・EU・EPAで獲得した英国市場へのアクセスを維持したことに加えまして、鉄道車両や自動車部品等、一部の品目で英国市場へのアクセスの改善を確保いたしております。
 また、ルール面では、大臣も御指摘されておりますが、電子商取引、金融サービス、ジェンダー等の一部の分野におきまして、日・EU・EPAより先進的なルールを新たに規定することができたと考えております。
 更に申せば、新型コロナによりまして貿易・投資が停滞する中、これまでTPP11や日米貿易協定を通じて自由貿易の国際的な取組をリードしてきた我が国といたしまして、日英EPAの締結により自由貿易を更に推進をしていくという力強いメッセージを発信することができるものと考えております。

#50
○小熊委員 ありがとうございます。
 先ほど言ったとおり、TPPにどう呼び込んでいくか。まず、先ほども答弁がありましたけれども、これはイギリスがそれを望んでいるというか、検討しているということでもありますので、より具体的に、どのように今後イギリスにアプローチをしていくのか、お答えいただきたいと思います。

#51
○茂木国務大臣 これは、TPPの持っているハイスタンダードな内容、これを受け入れる用意のある国については参加を歓迎したい、これは日本の基本的な立場でありまして、ここまで幾つかの国が参加に関心を示しておりまして、東南アジアでいいますとタイ、そしてヨーロッパでいいますとイギリス、これが代表的な例になってくるかと思うんです。
 私も、今回、この英国との交渉を進める中で、トラス大臣とは直接二回やって、それからまた電話会談等をしておりますが、その際に、必ずこの交渉と同時に、将来、TPPにイギリスとして入りたいんだ、こういう参加の関心を示されまして、先日日本に来たときも、英国として、二〇二一年、来年の早い時期にTPPへの加入を正式に要請する意向だ、このように表明をしておりました。
 我が国として、英国のTPP加入への関心を歓迎して、先月、私の方からもそのことはトラス大臣には伝えたところであります。もちろん、加入要請というのは各国が個別に判断をする、英国の側で判断をすべきことでありまして、いつ加入するか、こちらが予断する立場にはありませんが、感じでいうと、そんなタイミングをイギリスは考えているようでありまして、これは、既に締約している国、これの合意がないとできませんので、そういった国ともよく連携をしながら、このTPPが更に世界に拡大するように持っていければと思っております。

#52
○小熊委員 そもそも、日本とイギリスとの貿易、これは重要な友好国ではありますが、客観的に見れば、日本の貿易全体の中の輸入が約一%、輸出が二%と、量に関しては非常にちっちゃいわけでありますけれども、しかし、今回のこのEPAの意味というのは、今後のいろいろな世界とのかかわりの中での大きなきっかけになるものであります。
 今質問をさせていただいたTPPに関しても、今回、一応、両国ともに、デジタル貿易に関してはいろいろな獲得ができたということを発表もされています。もちろん、今大臣が言ったとおり、ハイスタンダードな、高水準のデジタル貿易分野の協定が成ったというふうにも評価をするところであります。これは、TPPの中でもデジタル貿易の言及はありました。先ほど言ったように、WTOのルールの中にはこれが余りありませんから、今後重要な内容になってきますけれども。
 TPP以上に上回るものが今回の日英のEPAの中に盛り込まれている。ただ、先んじて言えば、日米のデジタル貿易協定も同じぐらいこれは高水準であります。こうした高水準のデジタル貿易の分野の協定といったものは、今後もっと広めていくべきだというふうに思います。
 それで、質問に移りますが、イギリスが主体的にどうするかということもありますが、イギリスがTPPに入ってくる際には、せっかくこの日英のEPAの成果であったデジタル貿易分野におけるハイスタンダードなものを、TPPの中でも生かしていくべきだというふうに思います。そういう意味においては、イギリス入りの際にTPP加盟各国に働きかけて、こうしたデジタル貿易分野の今回の成果を生かすために、それをまた高度なものに変えていくということをしていくべきだというふうに思いますが、それに対する見解をお願いします。

#53
○茂木国務大臣 デジタルの分野は本当に日進月歩というか、いろいろなものが進んでいくわけでありまして、TPPも、数年前から交渉して、ようやくおととしの三月八日に署名をして、昨年の一月に発効、こういう段階でありまして、このTPPの協定では、デジタルプロダクトの無差別待遇であったりとか情報の越境移転の制限の禁止、コンピューター関連施設の設備の要求の禁止、ソースコードの開示要求の禁止という、いわゆるTPP三原則、これを定めて、電子商取引に関する包括的かつ高い水準のルールを整備した先駆的な協定であったと思います。
 これはこれでできて、これをしっかり守っていくということが重要なんだと思いますけれども、さらには、今度は日米とか日英になりますと、更に進んだことをいろいろ検討しまして、アルゴリズムの開示要求の禁止、こういったことも、TPPにはなかったんですけれども、入れ込む形にしたわけであります。
 恐らく、デジタル分野のルールというのは今後、昨年のG20大阪サミットで日本が打ち出したデータ・フリー・フロー・ウイズ・トラスト、こういう考え方のもとで、具体的なルールをどうしていくかとか、そういったことがWTOの場で今話し合われているところでありますが、どこかの国が、英国も含めて、TPPに入ってくるとなると、まずはTPP参加国の了解が必要ということになりますから、そこの中で、ルールまで変えて参加を認めるのかどうかというのは、恐らく、どちらかといいますと締約国の側に判断の権利があると思っておりまして、そういった国とこれから意見交換をしていかなきゃなりませんが、TPPそのものも、でき得れば、より高いレベルに進化していく、これで決まった協定ではなくて、進化していく協定になっていくことが個人的には望ましいと思っております。

#54
○小熊委員 ぜひこれは、国内においてはデジタル庁の設置もされるわけでありますので、国外との関係の中でもこうした分野における進展は必要ですし、この日英EPAの成果というのは、ある意味、その先のいろいろな波及効果ということを考えれば、今大臣の言っていただいたとおり、ほかの部分に関しても、協定に関しても、ほかの国との連携の中でも、こうしたハイスペックな、ハイスタンダードなものをしっかり獲得できるように今後努力をしていただきたいと思いますし、デジタル庁も、公明党の山口代表は福島県にと言っていただいていますので、私も大きく御支援をしたいというふうに思う次第であります。
 では、次に移ります。
 この日英関係を見てみると、先ほども少しありましたが、これまで、対中国に対する外交政策というのは完全に一致していたわけではないなというふうにも私は認識をしています。アジア開発銀行などへの対応も少し違っていたという点も含めてそういうふうに指摘をさせていただきますが、しかし、現在、香港において、一国二制度による香港返還を定めた一九八四年の英中共同宣言が覆されている状況でもあり、日本とはまた違った形で親中的な対中政策をとってきたイギリス外交においても、大きな変化の兆しがあります。
 アメリカやカナダと一緒に、これに対する批判する共同声明もイギリス政府が出していますが、そうした意味において、今回、この香港を始め、自由を侵すような状況が生まれている中で、対中政策、イギリスとの一致している部分、それでもまだちょっと一致しない部分、認識、見解などについて、あらかじめお聞きいたします。

#55
○鷲尾副大臣 香港情勢につきましては、G7外相声明を作成した際を含めて、これまでもラーブ外相と連携してきたところでございまして、日英の考え方にそごがあるとは考えておりません。
 香港が、一国二制度のもとで自由で開かれた体制が維持され、民主的、安定的に発展していくことが重要であるというのが我が国の一貫した立場でありまして、これは日英間でも一致しているものと考えております。
 我が国としては、英国を含む関係国とも連携しつつ、引き続き適切に対応してまいります。

#56
○小熊委員 適切にというところ、より具体的に答えられませんか。

#57
○茂木国務大臣 これは恐らくイギリスだけではなくて、この二年ぐらいだと思いますけれども、ヨーロッパの主要国の英国に対する見方というのが徐々にシフトをしてきているような感じがいたします。それはやはり、今まで、どちらかといいますと英国という非常に大きな魅力的な市場というものがあった、それを中心にさまざまなことを考えるところから、今は、英国が、失礼しました、中国がとっているさまざまな現状変更の試みに対する懸念、これの方がかえって強くなってきている。
 そういう懸念の中で、しかし、中国とどうつき合っていく、向き合っていくのが必要かということでありまして、例えば、昨年一月の日英の首脳会談において、当時は安倍総理、そしてメイ首相でありましたが、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、主に三つの点で一致をしておりまして、その一つが海洋安保です。そして、二つ目が質の高いインフラ。三つ目が5Gを始めとする通信分野での日英協力。
 これはある意味、想定しますと、どういうことが起こっているからこういう協力をしようというのもある程度明らかなんじゃないかなと思って、これは、イギリスとの間もそうでありますし、私、先日、フランスも行ってまいりましたが、またフランスとの間でも同じような議論をしておりますし、ドイツも、このインド太平洋に対する新しいビジョン、これも提案をしたところでありまして、英国だけではなくて、ヨーロッパ全体がその方向に今向かってきているような気がいたします。

#58
○小熊委員 今言及になられた三つの柱の一つ、5Gやその他デジタルテクノロジーに関する機器の供給に関して、イギリスは中国に依存している。
 こうした状況を回避するために、今言われた、イギリスだけじゃない、フランスもと言いましたけれども、イギリスが提言したのが、G7に加えて、オーストラリア、韓国、インドを含めた十カ国で、そうした体制をきっちり守っていこうじゃないか、とっていこうじゃないかという、D10というものをやっていこうじゃないかということを提言をされましたが、これは報道ベースで知って、その後の動きが私は捉えられていませんが、このD10に関して、日本政府の見解と現在の対応についてお伺いいたします。

#59
○鷲尾副大臣 英国が、5G等の供給に関しまして、G7諸国に豪州、韓国、インドを加えた十カ国から成るD10の形成を検討している旨の報道は承知いたしております。
 英国は我が国にとりまして基本的価値を共有するグローバルな戦略的パートナーでありまして、国際社会の課題への対応につきましては、英国との間で引き続き緊密に意思疎通をしてまいります。

#60
○小熊委員 これはその後そんなに動きがないというふうにも捉えていますが、先ほど大臣がおっしゃられたとおり、自由で開かれたインド太平洋の実現の中で、その柱にもこうしたものが織り込まれております。
 これは、うがった見方というか、ちょっと激しい言葉を使えば対中包囲網というふうにも捉えかねませんけれども、大事なことは、今、大臣が先ほど言った三つの柱ということで、普遍的な価値観のもとにやっているわけですから、それに中国が従っていく、価値観を共有すれば、別に対中包囲網ということではなくて、国際的な協調の中でやっていけばいいわけであり。
 ただ、やはり中国は中国でのいろいろな戦略があり、一帯一路に関しても、二年前にこの外務委員会でヨーロッパに行きましたけれども、当初は歓迎していたんだけれども、ウイン・ウインの関係じゃなかった、中国だけに利益をとられているというような評価も二年前で既に起きてきたわけでありますから、やはり、しっかりとした国際協調の中でさまざまな分野の発展を目指していくということが重要であるというふうに思いますので、ぜひ、ある意味これは中国を意識せざるを得ませんけれども、イギリスがD10、その後余り進んでいませんが、このイギリスの打ち出した提案というものは、まさに日本政府の、日本外交の進めている自由で開かれたインド太平洋の実現と合致していくものもあると思いますので、ぜひそうした連携を今後も深めていくべきだというふうに思いますが、答弁があればお願いいたします。

#61
○茂木国務大臣 恐らく、データ分野における新しいルールをつくるに当たっても、また、5Gの世界、どういった形で設備からその運用、管理まで、これは経済安全保障にもかかわってくる分野でありますが、どうやっていくかということについては国際的な協議というものが必要であって、それはG7の場でもやるんでしょうし、さまざまな、ファイブアイズでもやるんだと思います。それからおっしゃったようなD10。さまざまなところでやりながら一つに集約をされていく、WTOの場であったりとか、そういうことだと考えておりまして、いろいろな場でそういう議論が進むという段階で今はあるんだと思います。
 まだ技術そのものもどんどん先に進んでいくものでありますから、そういった中で新しいルールをできる限り早期に、より多くの国を巻き込んだ形でつくっていきたい、そんなふうに思っております。

#62
○小熊委員 ぜひ、この分野に関しては寡占状態を許すわけにはいきませんから、もちろん中国のこうした行き過ぎた対応、また一方で、自由主義陣営でもGAFAがちょっと大きくなり過ぎているという議論もアメリカの中でありますので、やはり日本がしっかり世界の利益のためにこの分野に関してもリードしていくことを求めて、次に移りたいというふうに思います。
 この自由で開かれたインド太平洋についてでもありますが、今現在、昨日、オーストラリアの首相と首相会談が行われて、こうした自由で開かれたインド太平洋についても意見が合致をしたということも確認をされています。
 また、大筋合意がなされたといういわゆる日豪の円滑化協定についてお伺いいたしますけれども、先ほどの日英EPAは三カ月でまとめましたが、日豪のこの円滑化協定は、およそ六年にわたってこれまで協議を重ねてきましたが、ようやく大筋合意、とはいってもまだまだ課題が残されていると思いますが、これまでの経過についてお伺いいたします。

#63
○遠藤政府参考人 お答え申し上げます。
 オーストラリアは、アメリカを除けば、我が国との間で安全保障、防衛協力が最も進展している国の一つでございます。
 近年、日豪間で共同訓練等の協力活動が一層盛んになっている中で、委員御指摘のとおり、二〇一四年七月に、日豪首脳間で日豪円滑化協定の交渉開始について一致をしたというところでございます。
 その後、両首脳からの指示に基づき日豪の間で精力的に交渉を続けてまいりまして、その結果といたしまして、おっしゃられるとおり、昨十七日、両首脳は、日豪円滑化協定の大枠合意に至ったことを確認いたしまして、可能な限り早期に協定に署名すべく、必要な残された課題に引き続き取り組むことを確認したというところでございます。

#64
○小熊委員 これまでのこの協議の中で課題、障害となってきたものが死刑制度であります。この点についても、この大筋合意に入ったんですか。相当この六年間の協議の中で、オーストラリアは死刑制度がありませんから、日本にはあるということで、これが大きな障害になってきて、時間もかかってきてしまった。
 この死刑制度についてどういうふうに議論がなされ、大筋合意がなされたというのは、具体的にどういうふうに死刑制度の取扱いがなされたのか、お聞きいたします。

#65
○遠藤政府参考人 お答え申し上げます。
 日豪円滑化協定につきましては、全体として引き続き交渉中でございまして、交渉の内容を明らかにすることは差し控えさせていただければと思いますが、死刑の扱いにつきましては、おっしゃられるとおり、日本が死刑制度のある国、豪州が死刑制度が廃止されている、そういう両国の法制度の違いを前提といたしまして、被疑者の逮捕、引渡しや捜査に関する相互協力を行う規定とすることを考えているというところでございます。

#66
○小熊委員 では、外務省か法務省か、どちらかに答えていただきたいんですが、報道ベースでまたその議論の過程を見ていると、折り合いをつけるためにはどうするかという中で、公務外でオーストラリアの軍人が日本で罪を犯し、死刑相当の罪を犯してもそれを適用しないということでまとめようとしているというような報道も一部あり、仄聞をしておりますが、同じような罪を犯して日本人は死刑になり、同じような罪を犯してもオーストラリア軍人であれば死刑にならないというようなことが法的整合性が持てるのか、お聞きいたします。

#67
○田所副大臣 我が国において特定の国の外国人についてのみ死刑が適用されないこととすることが許容されるかどうかについては、そのような特別な取扱いをする目的や必要性などを含め、さまざまな観点から慎重な検討を行うことが必要であります。
 したがって、一概にお答えすることはできないというものであります。

#68
○鷲尾副大臣 日豪円滑化協定の中身につきましては明らかにすることは差し控えたいと存じますけれども、今ほど御指摘がありましたが、死刑の扱いにつきましては、日本が死刑存置国、豪州が死刑廃止国であるという両国の法制度の違いを前提に、被疑者の逮捕、引渡しや捜査に関する相互協力を行う規定とすることを考えておりまして、これ以上の詳細につきましては差し控えますけれども、それぞれの国における法制度の根幹の変更は互いに求めないとの考え方に基づく規定とすることを考えております。

#69
○小熊委員 変更は求めないと、今、鷲尾副大臣。田所副大臣は、一概には言えないと。一概には言えないということは、そういったことも可能性があるという含みとして捉えていいですか。田所副大臣、どうですか。

#70
○田所副大臣 特別な取扱いをすることについて、目的や必要性などを含めて、さまざまな観点から慎重な検討を行ってどうするかを決められるということでありますが、現在、交渉中の内容についての状況についてはお答えはできないということでございます。

#71
○小熊委員 いや、今の具体的に交渉中のことを言ってくれという話じゃなくて、鷲尾副大臣は、お互いのそういう法律には踏み込まないと言っているのであれば、それはケース・バイ・ケースなんという答弁にはならないはずなんです。田所副大臣は、場合によってはあるかもしれないという答弁ですよね、それ。全くそれは、特別な場合を除きなんということじゃなくて。
 その法的整合性ってどうなんですか。特別な場合だと、この人はこれを当てはめて、この人はこれを当てはめないなんということを高度の政治判断でやるのが法務行政ですか、法律ですか。ケース・バイ・ケースってあり得るんですか。副大臣。

#72
○保坂政府参考人 前提といたしまして、交渉中の協定に関してはお答えを差し控えるということでございまして、今、法務副大臣がお答えをしたのは、一般論として、例えば、特定の外国人についてのみということでお尋ねがございました。その点につきましては、そのような取扱いをすることの目的、必要性あるいはその処罰の平等の確保の要請、外国人犯罪の情勢等々、国民世論、刑事政策のあり方などを含めまして、慎重な検討が必要になります。したがって、現段階でそれが許容されるとかされないかをお答えすることは困難ですということを申し上げたということでございます。

#73
○小熊委員 端的に言えば、鷲尾副大臣は、お互いそういうものには踏み込まないと言ったんだから、そのとおり、ちょっとずれがあるように思いますが。
 実際、これは私も丹念に追っかけさせていただいていますけれども、六年間の協議の中で、死刑制度がこの円滑化協定交渉の中で、これが課題になっているのは事実ですよ。鷲尾副大臣がお互い踏み込まないと言っても、これはその交渉の過程の中で議論になっているのは事実でありますし、そもそも、オーストラリア政府は、他国にも死刑制度廃止を訴えていくということを外交方針の一つにしています。だから、これを避けて通るわけにはいかないんですね。
 この死刑制度に関しては国民的議論も必要です。
 不肖私も、同僚の鈴木貴子議員とともに、自民党の河村会長を筆頭に、死刑制度を考える議員連盟というのに参加をさせていただいて、この点についてもいろいろ議論をさせていただいています。
 そもそもは死刑廃止議連というのだったんですけれども、これでは議論が広まらないということで、これも鈴木貴子議員の提案でしたけれども、死刑制度そのものを考えるということで、存置派、反対派含め参加をして、国民的議論をして、しっかり日本のあり方を考えていこうという議連でありますし、これはそもそも、死刑廃止議連の会長であった亀井静香元議員と、あと、きょう誕生日を迎えられる漆原良夫先生の御指導のもと、しかも、きょうは創価学会の創立記念日ということで、あと、どうでもいいんですが、ミッキーマウスの誕生日でもあって、二重、三重のめでたい日でありますが、この漆原先生の御指導もあって今の議連があって、深い議論をさせていただいています。
 これは、もっと議論をちゃんと国民に明らかにしていかなきゃいけないと思っています。オーストラリアではこれはすごい話題になっているし、我々も、議連をやっていて、各国から、日本の死刑制度はどうなっているんだと。先日も鈴木貴子議員と一緒にフランス大使館に行って、EUの各国の大使館員と、外交官と、議論を交わさせていただいてまいりましたけれども。
 また、昨年、ローマ法王が来られた際もさまざまなコメントを残していっているところであり、今回の円滑化協定の中で死刑制度の扱いをどうするかによって、日豪だけの間ではなくて、まさに死刑制度の廃止を求める国が、同じように何かをやるときに、これもこういうふうにしてくれということに波及していく重要な交渉課題であるわけです。
 ある意味、日本は先進国で、非常に尊敬される国でもありますが、国際的には、この点に関しては非常に先進国的でない、人道的でない、前近代的な国家というような評価も得ているところであります。
 ちょっと立ちどまって、この死刑制度があることによって、今回、この交渉が難航しているのも、死刑制度があることで難航しているというのも事実ですから、こういった部分について、存置しているということに関して国際的に厳しい目を向けられているということに関しての、外務省としてはどのような自覚を持っているのか、お聞きいたします。

#74
○茂木国務大臣 日本として、オーストラリアとの間で、米国に次いでさまざまな安全保障分野での協力というのを進めてきておりまして、それを更に進めるためには、この日豪のRAAは必要なものだと思っております。
 早急にまとめたいと思っておりますが、そこの中で、日豪の制度的な差がある、これを埋めるために死刑問題を含めて議論しているというのは事実であります。
 ただ、RAAでやることと、一般的に死刑を廃止した国から同じようなことが求められるかということは別だと私は思いますが、いずれにしても、両国の制度が違いがある中で、どういった形だったらばこの協定を結べるかということについて、詰めの協議をしなければいけないと思っております。

#75
○小熊委員 これは、私はあってはならないと思います。仮定の話には答えないということですし、交渉中ということでありますが、一部報道等で仄聞しているような結果に終わるということは、日本人とオーストラリアの軍人が最高刑が違うということは、あってはならないことになりますし。
 もちろん、この円滑化協定というものは非常に重要な、この二国間だけではなくて、まさに自由で開かれたインド太平洋のためにとっても重要な協定となるものであると思いますから、しっかりとしたものに、締結に向けて努力をしていただきたいんですが、どうしても避けて通れません。
 ここで田所副大臣に聞きますけれども、時間がありませんから、二つあわせて聞きます。
 なぜ存置派、これは国会議員も含め、日本の国民は存置派が多いです、世論調査をすると。でも、世論調査の結果を見ると、何で存置をしますかというと、重犯罪の防止になっているというのが非常に多い。しかし、いろいろな検証をしていますと、各国でもそれは結果が出ていますが、決して重犯罪の防止に死刑が役立っていないというのは科学的な根拠となっています。エビデンスです。しかし、日本国民の多くがそういうふうに思ってしまっている。
 こうした誤解を解く、存置するか廃止するかという観点ではなくて、そうした抑止力になっているという誤解を解くための努力は法務省もしなければなりませんし、また、実は、死刑存置派が多いといっても、設問を変えて、例えば終身刑があればどうですかというと、死刑は廃止して終身刑導入がいいだろうということもあります。
 世論調査も定期的に行っていて、そのように存置に誘導的な設問ではなくて、そうした設問はどうかということも議連で提言しましたら、国民の意識の経年変化を見なきゃいけないのでなかなかそれはできないということも法務省から伺っていますが、やはり、正しく法的な理解を求めるためにはアンケートが少し変わってもいいですし、世界各国、死刑を廃止した国でも、いまだにアンケートをとっている国を見れば、年によってやはりアンケートの内容を変えています。
 やはり、正しい法的な意識の醸成、国民的議論のためには、古臭い偏った設問ではなくて、まさに国民的議論をしっかり正しい情報のもとでしていくためにも、そうした検討も必要であろうかというふうに思いますので、この世論の誤解をどう解いていくのかという観点と、しっかりとした、今回の円滑化協定でも必ずこれは国民的議論にしなければなりませんから、この国民的議論をどうやっていくのか、この二点について、最後、お伺いいたします。

#76
○田所副大臣 死刑の犯罪抑止力を科学的、統計的に証明することは非常に困難でありますけれども、一般に、刑罰は犯罪に対する抑止力を有するものと認識されており、死刑も同様であるというふうに考えております。
 死刑制度の存廃は、我が国の刑事司法制度の根幹にかかわる重要な問題であり、国民世論に十分配慮しつつ、社会における正義の実現等、種々の観点から慎重に検討すべきであるというふうに考えております。

#77
○小熊委員 ぜひ、これは慎重にじゃなくて、菅政権お得意の、総合的に、俯瞰的にしっかり問題を捉えて国民的議論に資していただきたいと思いますし、きょう出た、法務副大臣、漆原先生に誕生日おめでとうと電話して、死刑制度について教えてくださいとやっていただきたいと思いますよ、きょう、誕生日だから。そのことを申しまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

#78
○あべ委員長 次に、近藤和也君。

#79
○近藤(和)委員 石川県能登半島の近藤和也でございます。どうかよろしくお願いいたします。
 茂木大臣、一年ぶりでございます。日米貿易協定の連合審査のときに質問させていただきました。ありがとうございます。
 改めて、この数年間の日本の外交、貿易協定などさまざまな動きを見ていますと、やはり残念な部分が幾つかあったと思います。かわられるトランプさんに相当振り回された、プーチンさんにも振り回された、そういった部分があったと思いますが、少なくとも、歴史観であったり世界観というものが、かわられた前の総理大臣には少し薄かったのかなと、私は残念ながらそう思っています。かなり主観的な見方ですけれども。
 そして、新しい総理大臣にも、恐らく、まだそういったお話を具体的に伺ったことはありませんけれども、茂木大臣には、相当しっかりお持ちだという認識を私は持っております。よい意味で腰の据えた日本外交、頑張っていただきたいと思います。
 その上で、質問させていただきます。
 まず、イギリスとのEPAについてなんですが、一つ、これが成立しなければ日本の企業が困るということが第一義的にあるんだろうと思いますが、そこを除いた場合に、そこを横に置いておいて。今回のこの成立をさせること、イギリスにとってみればEUを抜けて初めてのバイでの交渉だと。そして、世界の流れでいっても、そして日本の本来の今目指しているべき方向性とすれば、バイよりもマルチだと思います。そういったところを置いておいたとしても、早期の成立をさせることにおいての日本にとっての価値、最大の価値はどこにあるとお考えでしょうか。

#80
○茂木国務大臣 今、世界的に保護主義、こういう動きが台頭する中で、日本は、米国が離脱をしてもTPP11をまとめる、この主導的な役割をやってまいりました。そして、そのすぐ後に日・EU・EPAをまとめる。そういったマルチの枠組みをつくりながら、そこから抜けてしまった国については、日米貿易協定、さらには今回の日英包括的経済連携協定、こういったもので補完し、さらには、今回RCEPについても署名をするという形で、全体として、地域全体といいますか、国際社会のほとんどをカバーする地域との間で、自由貿易圏、これをつくり上げる努力、その大半のものに日本が関与し、そして主導的な立場をとっている。同時に、そこの中で、新しいデジタル分野でのルールづくり等においても主導権を持っている。この意味は非常に大きいんだろうなと思っているところでありまして。
 英国との関係でも、今回は二国間の協定でありますが、この協定が結ばれることによって、恐らく英国にとっては、TPPに入ってくる、マルチの枠組みに復活する、こういう道も開けてくるんだろうと思っております。

#81
○近藤(和)委員 私が、一つ、この意義というか、もろ刃のやいばだなと感じるところが、先ほど言われたデジタル、電子商取引、金融サービスにおけるコンピューター関連設備等の設置要求の禁止等々のところでございまして、日本がこれから生きていく一つの方向性として、世界の金融センターを日本は目指していかなくてはいけないと思っています。
 ロンドンは世界で二番目、一番目はニューヨークで、今、残念ながら三番目は上海になっております。四番目が東京なんですが、五番目が香港、六番目がシンガポール、七番目が北京ということで、世界での三番目の地位をアジア間で激しく今争っているという状況でございます。この三番目の地位をつくるというところが、まず私たちの目指すべき方向だと思っていますが、イギリスにとってみれば、逆に二番手を、二大金融センター化といった部分も私はあるのではないかなというふうに感じています。
 企業でいけば、HSBCやロイズですとか、プルデンシャル、バークレイズ、名立たる企業がございますので、何とかこのもろ刃のやいばをいい方向につけていただきたいなというふうに思います。
 それでは、TPP11のお話が出てきまして、アメリカとの協定について話を進めたいと思います。
 一年前の議論のときには、発効後四カ月以内に協議を終える意図ということで、ことしの一月から日米貿易協定は発効いたしましたので、五月にはこの協議は終わっていなければいけなかったはずですが、コロナのこともあり、そして大統領選挙のこともあり、現状は進んでいないということ、政治家同士の間では進んでいないというふうに今認識をしております。
 そして、USTR、ライトハイザーさんも、恐らくは、恐らくというか間違いなくかわられるということで、今もう宙ぶらりんの状態なのではないかなというふうに思います。
 そこでなんですけれども、資料の四の部分で、今後想定されることですが、まずは、この自動車の部分については、これは私たちからしてみれば、関税撤廃というものは結果的に延長戦になってそのままですよねというのが私たちの言い分。政府・与党の方々の言い分とすれば、いや、これは関税撤廃を間違いなく進んでいくんだというような言い分で、ここは相入れない部分があるんですけれども。
 少なくとも、今、アメリカとの第二ラウンドといいますか、四カ月以内に協議を終える意図というものがずっと延長ということ、そして、さらに、先ほど大臣が言われました、バイデンさんはまずは内政だといったことも言われました。
 そういった点で、この自動車の部分が放置されるのではないかということを心配をしています。一方で、牛肉や豚肉に関しては、これは飛び級のような形で、関税はほかのTPP諸国並みに下がりましたから、かなり私たち日本にとってまずい状況がしばらく続くのではないかなというふうに思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

#82
○四方政府参考人 お答え申し上げます。
 日米貿易協定の今後の構想につきましては、二〇一九年九月の日米貿易協定合意の際の共同声明で、まずどの分野を交渉するのかを日米間で協議することとなっております。新型コロナの影響等もございますが、日米間では引き続き、この日米共同声明に沿って協議を行っていくこととしております。
 その上で申し上げますと、日米貿易協定の合意の際の共同声明にある今後の交渉の対象のうち、関税に関する事項につきましては、関税撤廃で合意している自動車・自動車部品を想定しております。
 いずれにしましても、国益に反するような協議、交渉、そうした合意はする考えはございません。
 また、牛肉等についてもお話がありました。日米貿易協定に関連して作成された交換公文で、牛肉のセーフガードの措置がとられた場合に協議を行うこととされております。

#83
○近藤(和)委員 国益を損なう協議など、それは誰だってしないはずですから。
 そして、セーフガードのところも、少し、私は聞いていないですが、お答えいただきました。牛肉や豚肉はこのTPPとは別枠で、結果としては、日本の牛肉、豚肉をつくられている方にとってみれば不利な状況が続いて、これを何とかがちゃんとくっつける協議を進めていますかということも聞こうと思いましたが、今お答えいただきましたが、要は、まだ進んでいないですよね、はっきり言えば。進めていただきたいと思います。
 そして、心配をしていますのが、トランプさんからバイデンさんにかわりました。やはり私はトランプさんはすごかったなと思いますのが、カリフォルニア州を捨てて、お米の協議は、日米貿易協定のときには、こちらにもありますけれども、除外ということで日本に恩を売った。一方で、豚肉や牛肉などで日本から前倒しで関税引下げなどをかち得たといったこと、セーフガードもかち取ったといったところで、この豚肉などにかかわる州ではしっかりと僅差で大統領選挙では勝っていたといったことも含めて、やはりトランプさんは交渉上手だったんだなというふうに思います。
 一方で、バイデンさん、民主党政権にかわりました。トランプ氏がいわゆる捨てていたカリフォルニア州、カリフォルニア米について、これも日米貿易協定のときには話としてありましたが、私たち日本とすれば、お米に関してはもう終わった話だということですが、アメリカにとってみれば、いやいや、そんなことはないよというような話も出てくるんじゃないかと思います。
 そこでなんですけれども、さらなる心配というのが、日本の姿勢として、日米貿易協定を進めているときでも、アメリカさん、TPPに戻ってきてくださいね、ずっと働きかけますよというのは日本政府の姿勢ですよね。だと思うんです。戻ってきていただく、バイデンさんもそのようなこともにおわせていらっしゃいますが、そのときに、じゃ、このお米の除外のところ、戻らないでも切りかえてくる可能性もありますし、戻るということになれば、入ってくるということになれば、この除外のところがどうなるのかということを大変心配をしています。
 その点について、茂木大臣、覚悟というか、しっかりやるんだといったことをちょっと御答弁いただきたいんですが。お願いいたします。

#84
○茂木国務大臣 バイデン政権において通商政策がどうなっていくか、これはまだ見通せない部分がたくさんあるわけであります。伝統的に、民主党政権の場合、国内の製造業を重視するであったりとか、そういう勢力もあったりもいたします。
 そういった中で、確かに、カリフォルニア、ブルーステートであって、仮に日本へのお米の輸出がある場合はカリフォルニアということになるんだと思いますけれども、まだ日米の間でも、第二段階の協議をどうするか、閣僚レベルでは議論をしておりません。事務レベルで協議が継続中という形でありまして、我々は、お米も含めた農産物について、第二段階で協議をするつもりはありません。
 そのように考えておりますが、じゃ、そのアメリカと協議をする中で、一体、アメリカがTPPに入りたいのかということは、アメリカの意向でありますから、聞いてみないとわかりません。そして、入ってくるに当たっては、日本を含め、締約している国の合意がなければ入れないという形になってまいりますので、アメリカがこういう条件なら入ってやるという形じゃなくて、締約国の条件に対してアメリカがそれをのむかという形でTPPへの参加というものは決まるものだと思っております。
 もちろん、日本として、米国、最もグローバル化された国でありますし、経済規模も大きい国でありまして、これがTPPに入ることに対して何ら異議があるわけではありませんが、基本的な考え方というのは、締約国の側が、相手側、新規加入国を入れるか入れないかというのを決めるということになってまいります。

#85
○近藤(和)委員 日本にとってみれば、この日米貿易協定というそのものが予定外のものだったのではないかなと私は思います。何とか、アメリカにTPPに入ってもらうときには不利な条件にならないように、一方で、自動車のところは、やはりもとどおりに、しっかりと関税ゼロにいきましょうねというところもあると思いますので、少なくとも、この予定外の交渉で、一次産業にかかわる方そして自動車産業にかかわる方は相当振り回されている。アメリカの四年ごとの選挙で、投資、事業計画、狂わされてはたまらぬという声は当然ありますので、そこはしっかり気をつけていただきたいなと思います。
 そして、次ですが、トランプ台風が去るという言い方がいいかわかりませんが、WTOがある意味ぼろぼろになってきています。事務局長も今空席の状況で、上級委員のところも今、実際は成り立っていない。この部分について、私は、日本が主導的な何か動きをするべきだと思いますが、この点はいかがでしょうか。

#86
○茂木国務大臣 WTO、おっしゃるように、昨今の新興国の台頭であったりとかデジタル化の進展等に対応できていないということは明らかでありまして、加えて、一方的な関税措置であったりとか新型コロナもあって世界貿易全体が収縮、縮減する中で、多角的貿易体制の礎たるWTOの改革、これは国際社会にとって待ったなしの課題だ、こんなふうに考えております。
 日本としては、来年予定をされております第十二回のWTO閣僚会議を見据えまして、特に四点、一つは、新型コロナを受けて導入されている貿易制限措置の要件をルール化していかないと、各国が、コロナなんだからこういうものは入れないとか、こういうものは出さないとか決めるのではなくて、ある程度これはルール化が必要だと思っております。それから二つ目は、デジタル経済におけるDFFTの新しいルールづくりを進めること。三つ目には、新興国の台頭で世界経済の実態が大きく変化する中で、各国が応分の責任を果たすこと。例えば、御案内のとおり、WTO上は中国は途上国です。世界のGDPの一六%を持っていながら途上国なんですよ。こういう世界の実態に合った応分の負担を果たすこと。さらには、恒久的な紛争解決制度改革を進めること。これが重要だと考えておりまして、こういった点については、米国とも、電話会談の際にライトハイザー通商代表とも話をしておりますし、WTO改革、今後新しい事務局長が決まっていくことになると思うんですが、新しい体制になるであろうその部分とも議論を始めるという段階でありますので、しっかり、このWTO改革についても、日本が主導的な立場で、今言ったような四点を中心に議論を引っ張っていきたいと思っております。

#87
○近藤(和)委員 最後に、RCEPについてですが、ちょっと質問で返していただく時間がありませんので、私の方から意見を言って終わりにしたいと思います。
 まず、なぜ今だったのかということですが、これは、ボゴール目標で二〇二〇年ということがあったと思いますが、やはり、インドが入っていないという点、そして台湾が入っていないという点。それぞれ、各国難しい点はあると思いますが、私の資料で一番目でいきますと、日本の貿易総額でいけば、一番が中国、二番が米国、これは広域圏ですがEU、そして韓国、そして台湾ということで、上位で五番目というところが台湾です。
 そして、資料の二、裏のページですけれども、これはGDPの順で並べたものです。インドはGDPで五番目、台湾はGDPで二十一番目、そして、隣のところに、TPP、RCEP、APEC、それぞれ記入しておりますけれども、APECには台湾も、これも地域ということで入っております。
 やはり、この両国、地域については、難しい面があったとしても、日本のこれからの立ち位置を考えていく場合には、この経済連携と外交、安全保障はもう表裏一体だというふうに思っています。
 インドでいけば、日本のこれからの有望な投資先、日本政策金融公庫でも、今、三番目にインドは有望な投資先だと、中小企業のアンケートでも出ています。有名な企業でいえば、リライアンスやタタのような企業があります。
 そして、台湾に関しては、やはり中国との相当厳しい局面がこれから訪れてくるんだろうというふうに、どこかであるんだろうと思います。
 その中で、やはり日本とすれば、国連中心主義、そしてWTOをしっかりと成り立たせていくといったところがこれから生きていくべき道だと思います。
 例えば、今回、イギリスとの経済連携に関しては、イギリスは国連の常任理事国でもあります。栄光の孤立をもう一度。栄光の孤立から日英同盟につながったと、以前の歴史がございましたが。
 今、少なくとも、日本海の違法操業問題に関しても、ロシアや中国との瀬取りの問題、中国やロシア、違反しているのに、それに対して有効に機能していないという部分があります。
 そして、インドに関しては、日本もそうだと思いますが、国連の常任理事国入りを望んでいるといったところもあると思います。
 いろいろな意味で、私は、一本筋を通した上で、十年、二十年、できれば国連創立百年のところを目指して、日本も常任理事国入りしていくんだ、そしてWTOをしっかりしたものにしていくんだ、日本の生きていく道は経済なんだ、そういった方針でしっかりと頑張っていただきたいというふうに思います。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

#88
○あべ委員長 次に、阿久津幸彦君。

#89
○阿久津委員 立憲民主党の阿久津幸彦でございます。
 日英の包括的経済連携協定について質問させていただくわけでございますが、本会議でも、趣旨説明、質疑で私、質問させていただきまして、全体としては丁寧な御答弁をいただきましたので、今回は、それをなぞるような形で少し深掘りできたらというふうに考えております。
 さて、この日英EPA協定なんですけれども、英国がEUを離脱したために、日本と英国を含むEUが既に合意し、発効済みの日・EU・EPA協定が適用されなくなるため、新たに署名されたものと理解しております。
 そこで注目されるのが、英国とEUとの間で新たにFTA協定を結ぶことができるのかどうかということだと思います。
 これはもう、ほかの委員の方々から何度も何度も繰り返し確認をされていることでございますが、状況は非常に厳しいと私も認識していて、十月末までにはというふうに言われていたんですが、英国とEUの間でFTA交渉が今も難航しているというふうに聞いています。
 そこで、ちょっと伺いたいんですけれども、英国とEU間のFTAが英国のEU離脱の移行期間内に発効されなかった場合、我が国、特に英国に拠点を置く日系企業にはどのような影響があるのか、その想定を伺わせていただければと思います。

#90
○黒田政府参考人 お答えを申し上げます。
 現在、英国には約千社の日系企業が進出をしておりまして、英国及びEUでビジネスを行うだけではなく、英国とEU間にまたがってサプライチェーンを構築している企業も多いというふうに理解をしております。
 したがいまして、仮に英国とEUの間のFTAが英国のEU離脱の移行期間内に発効しなかった場合におきましては、英国とEUとの間の貿易に関しては、英国側、EU側双方におきまして、WTOルールに基づく関税が課されるということになります。
 例えば、英国からEUに輸出されている乗用車につきましては、現時点では関税は課せられていないわけでございますけれども、FTAが締結されない場合におきましては、EUの対外共通関税率が適用され、一〇%の関税が課されるという見込みでございまして、ビジネスのコスト面への影響が懸念をされているというところでございます。
    〔委員長退席、伊藤(信)委員長代理着席〕

#91
○阿久津委員 これは事前に通告していないんですけれども、自動車の関税が一〇%かかると、推定だとどのぐらいの金額になるのか、何かお話しできる数字というのはございますか。

#92
○黒田政府参考人 お答えを申し上げます。
 ちょっと詳しい数字は持ち合わせておりませんけれども、推定というか推計をいたしますと、五百億円以上になるというふうに見込まれているところでございます。

#93
○阿久津委員 ありがとうございます。
 やはり自動車が絡んでくると、かなりの損失になる。
 先ほどお話しいただいたように、全体では、英国とEUにまたがっている企業もあるし、EU内の企業にも影響が及びますので、部品メーカーも含めると相当のものになるのではないかというふうに私は考えております。
 そこで伺いたいんですが、一方で、日英関係においては、英国のEU離脱の移行期間が終了した時点で、仮に日本と英国のEPAが発効されなかった場合には我が国にどのような影響があると想定しているか、お答えいただければと思います。

#94
○四方政府参考人 お答え申し上げます。
 本年末までに英国とEUの間で新たな協定なしに移行期間が終了しましたら、日・EU・EPAは英国に適用されなくなるという話がございますけれども、今、例えば、日・EU・EPAのもとでの削減税率というのは七・五%でございますけれども、日英EPAがない場合にはそれが一〇%まで上昇するという事態が生じまして、我が国の輸出に対して大きな影響が出るということでございます。
 こうした点を踏まえまして、政府としましては、英国のEU離脱後の移行期間が本年十二月末に終了することを念頭に、早期に国内手続を進め、来年一月一日からの日英EPAの発効を目指す考えでございます。
    〔伊藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕

#95
○阿久津委員 つまり、英国とEUの交渉を見きわめた上で慎重に本当は日英も結ぶべきだという論もあると思うんですけれども、それだと日英間で大きな損害をこうむる可能性も生じてくるので、これを政府も一生懸命急いで進めてこられたんだというふうに理解しておりますが、続いて伺いたいと思います。
 本会議での趣旨説明、質疑では、日英EPAを結ぶに当たり、EU当局へ合意内容について説明はしているが、別の国際約束なので、協定そのものについて調整はしていないというお答えだったんですが、これは率直なお答えだったと思うんですけれども、この辺は変わらないですか。ちょっと確認でございます。

#96
○茂木国務大臣 全く変わっておりません。
 別の協定ですから、これについて、例えば、EU側と協議して、今英国とやっているんだけれどもこんなことでいいかとか聞く筋合いでもありません。
 ただ、一方で、もともとはイギリスも日・EUにいた国でありますから、こんな形で交渉が進んでいるということにつきましては、細かい部分までは説明しておりませんけれども、適時EU側の方にも説明をさせていただいているところです。

#97
○阿久津委員 そうすると、ちょっと違った角度からの質問になってしまうんですが、EU当局の反応はどんなものだったのか。
 つまり、日英EPAを先に結ぶぞ、こういう状況で話が進んできているよというのを、EU当局にも、打合せはしなかったけれども説明はしたということだと思うんですけれども、その説明を受けて、何となく、大臣が印象に残っている、ポジティブだったのか、ネガティブだったのか、あるいは関係ないよという感じだったのか、印象はいかがでございますでしょうか。

#98
○茂木国務大臣 フランスであったり、ドイツであったり、幾つかの国の外相と話す中で、こんな感じで進んできているとか、大筋合意まで、リーチコンセンサスまできたとか、いろいろな話をすると、いや、日本はうまくやっているな、なかなか今ヨーロッパの方は苦労しているんだ、EUの側からすると、もう少し英国が譲ってくれれば進むんだけれどもとかいう感じで。
 これは、もともとEUにいたところから抜けたイギリスと交渉するというので、日本とは若干違った立場の交渉であるので難しさがあるのはわかるんですが、印象的には、日本は順調にいっているようでいいね、我々もしっかりしなくちゃ、これは重要だと思っているからどうにかしたいんだけれども、そのためにも、もう少しフレキシビリティーを発揮してほしいんだよな、EU側のこんな意見をよく聞きました。

#99
○阿久津委員 大臣から率直な意見をいただきました。本当にありがとうございます。私もそういうふうに考えております。
 それで、諸先生方のこれまでの質問にもありましたとおり、イギリス及びEU諸国は、ほかの外交関係を展開していく上でも、やはり日本にとってはキープレーヤーなんだと感じています。だから、日本は、もちろん英国ともうまくやらなくちゃならないし、EUともうまくやらなくちゃならないし、願わくば英国とEUもちゃんとうまくいって、世界全体でバランスをとってもらいたいというふうな思いが共通してあるんだと思うんですが、そこでちょっと伺いたいというふうに思います。
 我が国のまさにおせっかいになってしまうのかもしれないんですけれども、英・EU間のFTA締結に向けて、外務大臣、経産大臣始め我が国政府は、英国とEU双方にあらゆる機会を通じて早期妥結の働きかけを行ってきたというふうにいろいろな場所でお答えいただいております。
 具体的にはどんな働きかけを行ってきたのか、また、英・EU間のFTA協議が難航する現状をどう見ているのか、お答えいただければと思います。

#100
○茂木国務大臣 英国につきましては、私のカウンターパートでありますドミニク・ラーブ外相はもちろんでありますが、この貿易交渉を担当しましたトラス英国国際貿易大臣にもこの話をしております。
 一方、EU側につきましては、ドムブロウスキス欧州委員会の副委員長、貿易担当委員であります欧州委員でありますが、に対して働きかけを行い、また、EU加盟国の外務大臣、主要な国の外務大臣、これに対しても早期妥結の重要性を強調いたしまして、前向きな対応を促してきたところであります。
 そういった中で、難航している理由であったりとか、お互いに聞くと、相手がもう少し譲ってくれればいいんだけれどもという話で、どちらかというと、自分のところは誠実にやっているんだ、相手がもうちょっといかないからうまくいかないんだという説明が多いわけでありますが。
 難航する理由、それは交渉する本人も大変だとは思うんですが、英国がEUを離脱する、国民投票までやって、あれだけのことをやった上で、また何かの形での関係を構築しなくちゃならないという交渉ですから、それは難しい交渉になるんだろう、性格的にもそのように考えております。

#101
○阿久津委員 大臣もハーバードで国際政治を学んでいらっしゃると思うんですけれども、私も学生時代に、イギリス、それからドイツ、フランス、イタリアとの比較政治みたいなものをちょっとやっていた時期があるんですけれども、やはり微妙にそれぞれ違いますね、もちろん。それで、歴史が深くて似ているだけに、その違いがかえって際立ってしまう場合もあるというふうに感じております。
 特にイギリス側から見ると、EUの中に入っているというのは、ある種、経済的な恩恵はあったんだと思うんですが、プライドを含めて、何か言葉には言いあらわせない違和感みたいなものが、あるいは今までずっと感じていて、我慢していたこともあるのかもしれない。いずれにせよ、イギリスの判断ですし、民主主義的な確認作業も十分に行われた結果なので、それは尊重するしかないわけでございますが、イギリスはやはりプライドをとったのかなという個人的な印象も持っております。
 そこで、ちょっと具体的な話を経済産業関係で伺いたいと思うんですが、英国とEUとの通商協議が決裂した場合に、英国に進出した日本企業の多くが、サプライチェーンを壊されて莫大な損失をこうむる可能性があります。日系企業の事業の継続性を確保するため、政府は、先ほどお話にもありましたブレグジット対応窓口、サービスデスクを設けて、個別相談にも対応するバックアップ体制をとるとのことですけれども、もうちょっと具体的に、話せる範囲で、これについて伺えますでしょうか。

#102
○黒田政府参考人 お答えを申し上げます。
 仮に英国とEU間の交渉が年内に妥結しない場合におきましては、関税負担の復活などが見込まれることから、今御指摘いただきましたように、サプライチェーンが破壊され、現地に展開する日系企業のビジネスに甚大な影響が生じるという可能性があるというふうに考えてございます。
 また、仮に交渉が妥結した場合でありましても、英国とEUの間で通関手続が発生をする、あるいは、EUで認証を受けた製品を英国内で販売する場合に新たに英国でも認証が必要になるなど、実務上さまざまな追加負担が発生することも見込まれているところでございます。
 そのため、経済産業省では、ジェトロとも協力をいたしまして、英国に進出している特に中堅・中小企業等への支援を徹底するという観点から、昨年十月に、約二百名の職員、専門家から成るブレグジット対応サービスデスクを設置したところでございます。
 このサービスデスクにおきましては、英国とEU間の交渉の進展状況等に関しまして説明会を通じて情報発信を行う、あるいは、四百社以上の中堅・中小企業にそれぞれ担当者を配置をいたしまして情報提供や相談に対応する、さらには、通関手続や規制面の変更等について専門家によるセミナーの開催や個別相談を行うなどを実施しまして、企業の円滑な対応を支援しているところでございます。
 引き続き、こうした取組を通じまして、日本企業への影響が最小限となるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

#103
○阿久津委員 今お話にもございましたとおり、トヨタ、日産、ホンダとか日立さんとか、大きいところは自分のところでできるんですよね。だけれども、中小企業、部品メーカーを含めて、いっぱい、EU、英国関係で根を張って、拠点を張って頑張っていらっしゃるところもありますので、今の、通関手続を含めて、個別相談にも応じる方向性というのは非常にありがたいと思っています。
 それで、恐らく、コロナ禍ということも考えれば、拠点撤退とか、相当厳しい判断をやむを得なく行わなくちゃならない、あるいは判断を検討しなくちゃならないような事態も、各企業によっては出てくるんだと思います。その辺を含めて、融資とかいろいろな、国内でやっていただいているようなサービス、御相談を引き続きやっていただければありがたく思います。
 次に移りたいというふうに思います。
 次は、農林水産分野の方にちょっと質問を移したいと思うんですけれども、協定締結で、私が言うのもなんなんですが、一番難しいのは、やはり農林水産分野の整理だというふうに私は思っています。それはやはり、各国とも地元、選挙と密接につながっていますし、英国ジョンソン首相も、自国産ブルーチーズにはかなりのこだわりを見せて、わざと声高に叫んだのが印象に残っているんですが、そこで伺いたいと思います。
 英国は自国産ブルーチーズに新たな低関税枠を新設するよう求めておりましたけれども、日本政府は、英国枠を認めない一方で、EUからの輸入量が少ない場合には英国産へ低関税を適用できる仕組みで折り合ったというふうに聞いております。これで我が国は不利益になることはないのか。確認です。
 また、再協議規定があるんですけれども、これは関税そのものの再協議ということもあり得るのかどうか。これも確認でございます。
 同様に、牛肉や豚肉などにおける緊急輸入制限措置、セーフガードの発動基準と、実際の発動の可能性についてお答えいただきたいと思います。特に、現在のEU及び英国からの輸入量の合計が日・EU・EPAの発動基準数量を相当下回る状況にあるというふうにも聞いているんですけれども、正確な数字があれば、具体的に御説明をいただければありがたいと思います。

#104
○水野政府参考人 お答え申し上げます。
 本協定においては、ソフト系チーズについて、日・EU・EPAで設定された関税割当ての利用残が生じた場合に、当該利用残の範囲内で事後的に日・EU・EPAの関税割当てと同じ低税率を適用する仕組みを設けることとしております。二〇一九年度の日・EU・EPAにおけるチーズの関税割当て枠二万六百トンに対し、イギリスの利用実績はブルーチーズの十二トンのみとなっておりますが、この仕組みのもとでは、どの年度にあっても、イギリスとEUからの低税率の輸入量の合計が、もともとの日・EU・EPAの関税割当ての数量を超えることはあり得ないということでございます。
 また、委員御指摘のありました本仕組みについての再協議の規定でございますけれども、この対象は制度の仕組み及び運用の改善となっておりますので、関税の取扱いは対象として想定しておりません。
 もう一点、御指摘ございましたEUに対する牛肉等のセーフガードについてでございますが、イギリスのEU離脱後は、イギリスを除くEU二十七カ国からの輸入実績により、その発動を判断することとなります。しかしながら、EU及びイギリスからの牛肉の輸入量の合計は二〇一九年度で四千八百五十二トンであり、日・EU・EPAの発動基準数量の四万四千二百七十八トンを相当下回る水準であること、本協定がEUやイギリスからの輸入量の増加の直接的な要因となることは見込みがたいことなどに鑑みますと、本協定がセーフガード発動の可能性に影響を与える状況にはないと考えております。

#105
○阿久津委員 正確な十分なお答えをいただいたのに、ちょっとくどいんですけれども、済みません。次の質問になるんですが、再協議規定と国益についての確認になりますけれども、日英EPAでは、お米、米も含む全ての農産品を対象とした再協議の規定が置かれていて、米まで含まれているということに多少違和感も覚えるんですが、日・EUにはたしか米の特例、外すものがあったというふうに思うんですけれども、その運用方針について明確にお答えいただきたいと思います。

#106
○水野政府参考人 お答えいたします。
 本協定におきましては、米も含む全ての農産品を対象とした再協議の規定が置かれておりますが、これはTPPなど他の協定においても設けている一般的な再協議条項でございます。本再協議条項は、その結果をあらかじめ約束するものではなく、協議を行う場合も、国益に反する合意をする考えはございません。
 なお、現在イギリスから日本への米の輸入はなく、今後も輸入の可能性は低いと考えております。
 以上です。

#107
○阿久津委員 そうなんですよね。イギリスはお米を常には食べていないですから、一般的にはこの心配は全くないと理解させていただいていいんだと思うんです。
 次、がらっと変わった質問の方に移ります。
 本協定の第二十一章の要請であります、女性による国内経済及び世界経済への衡平な参加の機会を増大させることの重要性を認識することについて、その意義をどのように捉えられているか。また、新たに設置される貿易及び女性のエンパワーメントに関する作業部会について、議会承認前ですから、決まっていることがあれば、見通しや期待を含めてお聞かせいただきたいというふうに思います。大臣、いかがですか。

#108
○茂木国務大臣 今回の日英EPAでは、協定によりまして創出をされます機会であったりとか利益を女性が十分に享受できるように、日英双方が女性の経済的エンパワーメントに関して協力することが重要である、この点で認識が一致いたしまして、貿易及び女性の経済的エンパワーメントに関する章を新たに設けたところであります。女性の活躍というものは、国際社会全体にとって、経済社会に多様な視点や新たな創意工夫をもたらし、社会の活力を生み出す大きな源であることから、このような章を日英両国間で設けることができたことは大きな意義があると思っております。
 その上で、作業部会をつくるということにしておりまして、作業部会での運営方法等の詳細は今後英国側と調整をしていくことになりますが、女性の社会進出であったりとかエンパワーメント、こういう分野では、残念ながら日本より英国の方が進んでいる分野が多いと思いますので、どちらかというと学ぶ分野が多いかなと思っておりまして、そういった中でどういう議論をするかということも含めて、積極的にイギリスの知見等も活用しながら、それが両国の経済的なエンパワーメントの推進につながれば、こんなふうに思っております。

#109
○阿久津委員 ありがとうございます。
 私は、この二十一章に女性のことを取り上げていただいたこと自体が非常に意味があることだというふうに思っております。それはある種、女性を入れるということは、人権にきちっとした関心がある国だということをあらわすことにもなりますし、また、女性のジェンダーギャップの解消に向けては意識改革が求められておりますので、この二つを、ある種ほかの国々にも武器として使えるのではないかというふうに私は思っております。作業部会についても期待を込めて見守っていきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 最後の質問になります。
 英国の交渉担当者であるエリザベス・トラス国際貿易大臣は、茂木外務大臣にたびたび環太平洋経済連携協定、TPPへの加盟に意欲を示したと伝えられていますけれども、RCEPとの関係も含めて、英国のTPP加盟、意欲についてどのように考えられるか、お答えいただければと思います。

#110
○茂木国務大臣 英国は従来からTPP11加入に関心を示しておりまして、先日、トラス大臣が署名のために訪日した際も、二〇二一年の早い時期にTPPへの加入を正式に要請する意向というのが表明をされたところであります。
 TPP11協定は、この協定が定めますスタンダードを満たす意思のある全てのエコノミーに開かれておりまして、我が国としても英国のTPP加入への関心を歓迎し、その旨、私からもトラス大臣にお話をしたところであります。
 加入要請、先ほど言ったように二〇二一年の早い時期を考えているということでありますが、これはまさに各国が個別に判断する事項でありまして、いつになってくるか、お待ちをするという立場でありますが、我が国としても、引き続きTPP参加国と連携しつつ、英国の動向、こういったものも注視するとともに、必要な情報提供等を続けていきたいと思っております。

#111
○阿久津委員 私も、イギリスのTPPへの参加意欲というか、関心を示していただいたことを大変ありがたく思っています。
 それから、国際関係上、諸委員からも御指摘がありましたとおり、RCEPとの対抗上も、イギリスがTPPにも関心を示しているということは、大きな、ある意味では全体の充実にもつながるというふうに思っております。
 ちなみに、RCEPについてですけれども、恐らく来年、議会承認の協議に入ってくると思うんですが、私は、野党としての立場でいうと、意識してある程度厳しい態度をとり続けるべきだというふうに自分に言い聞かせております。それは、やはり外交は、ある種与野党も連携しながら全体のバランスもとっていかなくちゃならなくて、そういう意味では、中国のいいところ、悪いところありますけれども、そこのところにも目をちゃんと、ウオッチングしているということを対外的にも見せていく意味でも、そういうふうに考えております。
 そのことだけお伝えして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

#112
○あべ委員長 次に、穀田恵二君。

#113
○穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。
 日英EPAについて質問します。
 茂木大臣は、十二日の本会議で我が党の笠井亮議員の質問に対し、日英EPAの合意内容について、基本的に英国に対して日欧EPAを超える市場アクセスを与える内容とはなっていないと答弁しています。果たして本当にそうなのか。
 九月十九日付の日本農業新聞は、菅首相が安倍前首相の自由貿易の旗手として立つとの方針を継承するなら、農産物の市場開放が一層進むとの危機感を持たざるを得ないとしています。さらに、TPP以来の大型貿易協定の影響について、国内対策で生産も農家所得も維持されるとした政府の立場を、楽観的過ぎると批判しています。
 農産物の市場開放への危機感は農業従事者の共通の思いであることは、御承知かと思います。私も同様に考えています。
 そこで、農業への影響について具体的に聞いていきたいと考えます。
 本協定には、発効五年後に米を含む全ての農産品について見直す再協議規定が盛り込まれています。なぜ米を再協議の対象から除外しなかったのか、お答えいただければと思います。

#114
○茂木国務大臣 日英EPAの再協議規定、これは、TPPなど他の協定においても設けられている一般的な規定を英国との間でも置くことにしたものであります。
 御案内のとおり、英国は、米の生産そして対日輸出国ではないと理解をしております。また、私の考えでは、急にイギリスが米をつくり出して、物すごい量の米を日本に輸出してくる、そんな時代が来るとは考えられませんが、いずれにしても、政府としては、国益に反するような交渉、合意を行うつもりはございません。

#115
○穀田委員 大体、この種の話をすると、国益に反する合意をすることはない、これはいつも言うんですよね。
 私が聞いているのはその前の話で、確かに生産の問題についても知っていますよ。だけれども、それは政府間の協議ですから、この問題というのは。要するに、なぜ米が再協議の対象になったのかと逆に聞いているわけですね。
 茂木大臣は、本会議でも私どもはこのことを質問しています、余り明確にお答えになっていない。米は、日欧EPAでは再協議の対象とされなかった、そういうものです。なのに、なぜ日英EPAの再協議規定には米が含まれているのか、もう一度お答えいただきたいと思います。

#116
○茂木国務大臣 見直し規定、一般的な規定を置いたということであります。そこで本当に米のことが気になるのならば、除外しています。
 ところが、私は、どう考えても、イギリスが巨大な米の生産国そして輸出国になるということを、近い将来において想定することができない。かんがいをどうつくるんでしょうか、イギリスにおいて。あの寒冷気候の中で、どうやって麦と違う作物をつくり始めるんでしょうか。とてもそんな、私の考え得る頭の中では、イギリスが米の大生産地になっていくということは想定しておりませんので、何らの問題になることではないと思っております。

#117
○穀田委員 交渉事の話ですから、現在の状況についてどうなるかというんじゃなくて、規定の問題を私は聞いているわけですよね。だから、そこの書きぶり、つまり、今お話あった現況がこうというんじゃなくて、一つの考え方、協定に対する厳密性、そういう立場から議論をしているわけです。
 逆に、ちょっと別の角度から聞いてみたいと思うんです。
 米を再協議規定の対象にすることは、日本かイギリスか、どちらが要求したとなるんですか。

#118
○茂木国務大臣 普通に、この再協議規定を置くときに、これはいろいろやってきていますから、どこかからの文言を持ってくるということがある意味一般的で、TPPと同じ文言を入れたというだけにすぎません。それによって害が出るとも思っていないので、そのような表現にした。それについて、イギリス側も何らの問題はなかった。
 これについては、何らか議論があって、再協議規定についてはこうしたい、ああしたいと、イギリス側のドラフトと日本側のドラフトが全然違っていて、その調整をした、そういうふうには承知をしておりません。

#119
○穀田委員 私は、何度も言うように、協定の厳密性、しかも、日欧EPAとの違い、そういった点から言っているわけです。
 といいますのは、確かに、何度も茂木大臣は生産の話をするわけですけれども、もし日本が米をそういう再協議の対象として要求したのであれば、やはりそれはそれとして、主食の米を売り渡すことにつながりかねないし、それは許しがたいというのが私の考えであります。
 先ほども述べたように、大体、この種の議論をすると、国益に反する合意はしないという話が必ず出てくるわけで、それなら最初から再協議の対象から除外すればいいことだと私は思います。それをもし、さっき言ったように、日本から要求し、再協議のテーブルに応じる仕組みをつくったとすれば、重大なことだと思っています。
 結局、交渉の結果次第で米の輸入自由化に道を開き、つまり、そういうものが必ず世界には反映するわけですから、動きとして起こりかねない。したがって、今後のTPP改定交渉や新たな貿易協定で、より高い水準の市場の開放というんですか、それを迫られる基準となりかねないから私は言っているということを御理解いただきたいと思います。
 そこで、次に、宮内農水副大臣にお聞きします。
 日英EPAでは、ブルーチーズ等のソフト系チーズや一部の調製品については、日欧EPAで設定された関税割当てに未利用分が生じた場合に限り、当該未利用分の範囲内で、事後的に日欧EPAの関税割当てと同じ税率を適用する仕組みが設けられています。つまり、日欧EPAの輸入枠が余った分に限って、英国産にも低関税を通用するということになります。
 そこで、この仕組みについて聞きますが、協定では、必要に応じて本仕組みの運用改善について日英間で協議を行うとなっています、先ほども農水省の方から答弁がありましたけれども。ということは、今後の協議次第で運用改善の仕組みそのものが変わるということはあり得るということなのか、そこについて聞きたいと思います。

#120
○宮内副大臣 お答えをいたします。
 ブルーチーズ等は、特恵待遇適用になっております。この特恵待遇適用の制度につきましては、その仕組み及び運用の改善が再協議規定の対象とされております。
 運用改善についての協議の対象としては、例えば特恵輸入証明書の発給や申請の具体的な方法、手続などが含まれ得ると想定されますが、いずれにいたしましても、再協議規定については、その結果をあらかじめ約束したものではなくて、予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

#121
○穀田委員 今お話ありましたけれども、あらかじめという話はしてはるんやけれども、要するに、運用改善の提起があるわけですよね。その仕組みが変われば、英国産向けの関税割当て枠が新たにつくられる可能性も否定できないということじゃないかということなんですよね。

#122
○茂木国務大臣 それはありません。枠は変わりませんし、税率も変わりません。
 例えば、書類を出すのにもっと簡便にできないかとか、いろいろ、運用していくやり方についてそれは工夫できることがあったらやるということで、つくった、残った分について使えるというやり方、それからそれに適用される税率、この部分は変わりません。

#123
○穀田委員 もう一度農水副大臣に聞きますが、そういうことでよろしゅうございますか。
 つまり、私が聞いているのは、結局、関税割当て枠というのは、それは今お話あったように、ここまで線を引いているんだと言うんだけれども、理論上は可能だということになるんじゃないですか。

#124
○宮内副大臣 先ほど外務大臣からもお話がありましたように、この制度の枠組みが変更されることにはならずに、関税割当てにつながるものではない。また、特恵税率の対象数量の決め方も協定で明確に規定されておりまして、運用改善はこの規定を変更するものではありません。

#125
○穀田委員 いや、それは協定上の仕組みがそうなっていて、仕組みが変更されればこの関税割当て枠も、決してやらないと否定していない、そこには書いていないんですよ、その問題については。
 しかも、あらかじめそういうことについては想定できない、こう言うわけだから、可能性としてはあるというふうに私は言わざるを得ないと思うんですね。
 もし、新たに英国に輸入枠を認める変更を日本が受け入れれば、英国分も含めてEUに約束した市場開放水準を超えるおそれがある、こういう点が懸念されるものだから私は言っているわけです。
 そこで、次に、日欧EPAの発効後の農産品、農産物の影響について聞きます。
 チーズについて、茂木大臣は、この間、十一月十二日の本会議で、EUからのチーズ輸入量は日欧EPA発効前から増加傾向にあり、急増したとは認識していないと答弁されています。しかし、我が党の笠井議員が指摘したように、日欧EPA発効二カ月後には、EUからのチーズの輸入量が一・五倍に増加しているのは事実です。
 きょうは茂木大臣に聞くんじゃなくて宮内副大臣に聞きますが、チーズ以外はどうなっているのか。
 二〇一八年十一月二十日の衆議院本会議で、当時の吉川農水大臣は、日欧EPAの牛乳・乳製品に与える影響について、当面、輸入の急増は見込みがたいと答弁していました。
 そこで聞きますが、牛の冷凍肉、ミルク及びクリーム、バターの三品目について、日欧EPA発効後の二〇一九年二月から十二月の輸入額はどのようになっていますか。

#126
○宮内副大臣 お答えをいたします。
 二〇一九年のEUからの牛肉輸入額は、前年比三三一%と増加しておりますが、我が国の牛肉輸入額全体の〇・五%にとどまっておりまして、EUからの牛肉輸入が国内牛肉生産に与える影響は限定的であるというふうに考えております。
 農林省としては、引き続き、日・EU・EPAを含む経済連携協定が及ぼす国内牛肉生産への影響をしっかり注視してまいりたいというふうに考えております。
 それから、我が国の関税分類上のミルク及びクリームは、そのほとんどが脱脂粉乳でありまして、日・EU・EPA発効後、EUからの輸入額はわずかに増加をしておりますけれども、これはEU相場が上昇したことによるものでありまして、輸入量は減少しております。
 他方、バターにつきましては、日・EU・EPA発効後、EUからの輸入量は増加しておりますけれども、これは、国内で不足するバターを国の判断で、国家貿易によりまして輸入したことによるものであります。
 日・EU・EPAにおきまして、脱脂粉乳及びバターについては、国家貿易制度を維持するとともに、最近の輸入量の範囲内で関税割当てを設定するなど、適切な国境措置を講じております。
 このような状況のもとで、令和元年度の国内生乳生産量は四年ぶりに増加に転じまして、今年度も増加をする見込みであります。国内生乳生産への影響は限定的であるというふうに考えております。

#127
○穀田委員 限定的であるかという話を聞いたんじゃないんですよ。額を聞いているんですよ。そんな話を聞いたら、それこそ、長い話を聞いてがくっとするわ。
 額を言ってください。冷凍の肉は何ぼやね。そう質問してんねんから。

#128
○宮内副大臣 お答えをいたします。
 冷凍の牛肉は、二〇一八年が輸入額が五億円、二〇一九年が輸入額十八億円、今年は、一月から九月までで三十一億円ということになっております。

#129
○穀田委員 質問の内容をよく聞いてから、そう言ってんねやから、そんな話をしてくれぬでもええわけです。
 牛の冷凍肉の輸入から見ると、財務省の貿易統計では三十九億五千万円となっているんです、この期間。何かというとすぐ限定的だねと、大体、話で一番最初に限定的なのは、どこだってそうなんですよ。そこから広がってくるから問題なので、それがどのように伸びているかという問題を何回も言っているわけですよ。
 今答弁のあった、要するに、私が指摘している三十九億五千万円、それは期間の話ですね。期日が決まってこうなっているところから言っているわけです。
 それで、EUからの輸入の前年比で見ると、輸入が急増しているのは牛の冷凍肉だけではありません。今述べたバターとミルク及びクリームについても、貿易統計で見ると、バターは前年比一三六・六%、ミルク及びクリームについては二〇八・八%、これは財務省の貿易統計で明らかであります。
 そして、EUから輸入が倍増しているという事態、ここの事態について、欧州委員会が日欧EPA発効一年に行ったプレス発表を見ても、対日輸出が伸びているのがわかる。これを見ても、EUからの輸入が増加しているのは明らかであります。
 そこで、政府は、日欧EPA発効時の影響試算で、国内生産額が最大一千百億円減少すると試算してきました。日英EPAの発効によって、英国を含む欧州全体から引き続き安い輸入品が大幅に流入すれば、国産品の値崩れなどの事態を招くことは明らかであります。
 相手国の英国国際貿易省は、交渉の目的や範囲、獲得目標、経済・社会・環境的な影響などを総合的に分析し、国民に公表しています。翻って日本は、影響について日英間のそういう独自試算を行っていないというのは、これはけしからぬということを言っておきたいと思います。
 茂木大臣、新型コロナの感染拡大は、日本の食と農業を直撃しています。
 私は五月二十二日の本委員会で、例えばということで、宮城県の肥育農家では、牛を売れば売っただけ赤字が累積していると、悲鳴を上げている現状を紹介しました。フグの問題の質問をしたときだと言えば多分思い出せると思うんですけれども、こうした問題に対して茂木大臣の認識を当時お聞きしました。
 大臣は、新型コロナの影響で、牛肉だけでなく、さまざまな農産品についても影響が出ている、サプライチェーンが寸断されることによって、極めて深刻な状態にあると思っていると述べ、特にその影響は農家の皆さんに及んでくると答弁されましたが、この認識は今も変わりありませんか。

#130
○茂木国務大臣 基本的には変わっておりませんが、若干つけ加えさせていただきますと、新型コロナの影響によりまして、食料の生産、流通、消費など、食料の国際的なサプライチェーンの機能にも影響が及んでいるほか、食料を含む輸出規制等が行われた事例があり、この影響もあると思っております。
 かかる状況を踏まえまして、G20やWTO等の国際的な枠組みにおいて、各国が食料のサプライチェーンの機能を維持すること、農産品及び食品に関して輸出規制を行わず、不当な貿易障壁を設けることを差し控えること、世界の食料市場に関する情報の提供を継続すること等の重要性、確認をしてきているところであります。
 政府としては、今後とも、国際社会と適正な規制のあり方についてしっかりと議論をし、食料の輸出もできる、また食料の安定供給にも支障が生じないように対応してまいりたいと考えております。

#131
○穀田委員 今お話あった、前回お話あった内容の答弁というのは極めて重要だと私は思っているんです。ただ、後半の部分はちょっと私どもと少し意見が違いますが。
 今お話あった、輸出問題が出ましたよね。そこで、農水省が十月に発表した、「我が国における穀物等の輸入の現状」と題する資料があります。これは公表されているものですから。これですよね。そこには農産物、食品の輸出規制に関する最近の主な動きをまとめているけれども、これまでに世界で何カ国が輸出規制を実施したのか。事実を述べてください。

#132
○宮内副大臣 お答えいたします。
 これまで十九カ国で輸出規制が行われていることを確認いたしております。現在は五カ国でございます。

#133
○穀田委員 数字を見ますと少し違うことがあるかもしれませんが、今の答弁では、十九カ国で農産物、食品の輸出規制が行われたと。この事実が私は重大だと思います。
 小麦の輸出量が世界最大のロシアは、ことし四月から六月までの三カ月間の小麦や大麦などの輸出の上限を七百万トンに制限したほか、ウクライナも年間の輸出量の上限を二千二十万トンにしました。また、米をめぐっても、輸出量が世界三位のベトナムが輸出に上限を設けたほか、カンボジアも輸出を停止しました。このことは、コロナ禍で輸出規制がいかに簡単に起こり得るかを端的に示していると考えます。
 農水省は、こうした事態について日本への影響は限定的と言うけれども、コロナ禍で、TPP11、日欧EPA、日米貿易協定と矢継ぎ早に進めてきた輸入自由化の拡大が国内農業に更に追い打ちをかけている実態があります。
 農水省の畜産統計によれば、一九八〇年に三十六万四千戸あった牛肉の生産農家は、ことし四万三千九百戸へと激減しています。これが更に減ってしまうようなことになれば、安全、安心な国産牛肉を食べたいと思っても外国産しか買えない、そんな事態になりかねない状況であります。
 米の問題も深刻です。コロナ禍で生じた米の外食需要の大幅減少で、二〇年産の取引価格は米余りを反映して前年比で二〇%も下落しているわけですが、それは事実ですね。

#134
○宮内副大臣 ちょっと最後の質問が聞こえづらかったんですけれども。

#135
○穀田委員 前年比で二〇%下落しているのは事実ですね。

#136
○あべ委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕

#137
○あべ委員長 速記を起こしてください。
 宮内農林水産副大臣。

#138
○宮内副大臣 失礼をいたしました。
 価格の下落につきましては、本年の十月の統計で、前年度一万五千七百三十三円でしたのが一万五千六十五円ということでございますので、二〇%は下落をしていないというふうに思っております。

#139
○穀田委員 いずれにしても、メディアでは大きく下落していると。
 私たちは、ことし八月に、当時の江藤農水大臣に対して、米の需給改善のために備蓄米の買上げを大幅にふやすこと、それから、買い入れた主食用の米を新型コロナの感染拡大で苦境に陥っている国民、学生や子供食堂などに供給する仕組みをつくったらどうやと、こういう点を含めて緊急対策を申し入れたところです。今、政府に求められているのは、こうした緊急対策によって米価の暴落を回避することだと思うんです。
 ところが、政府の対応は、米価の安定のためには大規模な減産しかないと、二一年産の作付面積を二〇年より十万ヘクタール、生産量で五十六万トン減らすことを迫るものであります。これは新潟県一県に匹敵する、過去最大規模の減産になります。これでは、農業関係者に多大な負担と苦痛を強いることになるのは明らかであります。
 農水副大臣、コロナ禍で食料の輸出規制に踏み切る国が相次ぐ中で、日本の食料供給の危うさが改めて浮き彫りになった、これは誰もが思っていることだと思うんですね。こうしたもとで、今、政府がやるべきことは、三八%という主要国で最低水準の食料自給率、言いかえれば六割以上が外国頼みという日本の食料自給の実態を抜本的に見直すことではないでしょうか。その辺の見解をお聞きしたいと思います。

#140
○宮内副大臣 今回のようなコロナによる影響につきましては、その瞬時、瞬間にさまざまな対策を講じなければいけないと思いますが、お米や小麦の政府備蓄等の活用につきましては、必要に応じて的確に講じることといたしておるところでございますし、また、需要の操作や、価格の下支えを目的として主食用米を国が買い上げて市場隔離をするということは、政府備蓄米制度の趣旨にも合わずに、やはりこれは、市場で価格を決めて行っていくということを政策決定しておるわけでありますので、そのことによって、みずからの経営判断による需要に応じた生産、販売を進める米政策の改革にはそぐわないというふうに考えております。

#141
○穀田委員 それは前半の方の話をしたことに対する答えでしょう。私は、我々の提案に対してどうかと言っているんじゃなくて、私はそういう提案をしていると。しかも、そういう形で、もしお話あったような話を聞いたら、がっくりしまっせ。
 私が聞いているのは、今のそういう日本の生産、食料の自給率の実態を抜本的に見直す必要があるんじゃないかと。前の話は話として聞いてもうたらええと。問うているのは、そういうことですやんか。そう聞こえませんでしたか。

#142
○宮内副大臣 お答えいたします。
 食料自給率の向上、これは重要な政策だというふうに思っておりますし、特にコロナ禍における食料自給率のことにつきましては、国民の方々も非常に問題意識を高めたというふうに思いますので、このことについての政策は、しっかりとこれからも議論しながらつくっていかなければいけないということは当然のことであるというふうに思っております。
 農業基盤整備の強化とか、あるいは荒廃農地の防止など、さまざまな具体的な政策を今も進めてやっておりますけれども、担い手の育成、確保等を含めまして、今後も多くの方々の御意見をいただきながら、しっかり取り組んでいきたいというふうに思っております。

#143
○穀田委員 話がそういうことになると、ばくっとした話になる。
 要するに、食料の自給の実態を抜本的に見直す必要があるんじゃないかと。そのとおりだと言っていいと思うんですよね。そうなりますと、農水省がことし三月に策定した基本計画は、実現可能な水準という口実で、食料自給率の目標を四五%に引き下げているわけですよね。達成年度も二〇一五年、二五年度へ先送りしているわけですやんか。
 つまり、こういう事態になっているのに、五年前の目標だった五〇%から五%引き下げていた目標を踏襲した上で、更に達成年度を五年先送りする。まさに食料自給率の低下に歯どめがかけられていない深刻な実態になっているじゃないかということを、私ども思っているわけです。
 そこで、もう時間ですからあれですけれども、農産物や食料というのは、緊急時だからといって直ちに増産するというようなことはでけへんわけですよ。平素から自給率を高める努力が不可欠で、それを政策の柱にしっかり据えることこそ重要なのです。
 どう言おうが、要するに、さっき言ったように、その程度の話しかやっていないという現実をしっかり認めないとだめだと私は思うんですね。
 だから、政府が本気で食料自給率の向上を考えるんだったら、TPPや日欧EPA、日米貿易協定、そして、今回の日英EPA等を推し進めてきた際限のない輸入自由化路線を根本から見直すことが必要だ、そのことを求めて、質問を終わります。

#144
○あべ委員長 次に、浦野靖人君。

#145
○浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。よろしくお願いいたします。
 先日、キッズ外務省の話をしましたけれども、無事に特級キッズ外務官に認定されました。試験があるんですけれども、なかなか難しい試験でして、一応、特級ということで認定をされています。その中で、先ほど穀田委員もお話しになった小麦の生産量とかも、一位から五位はどこかとか、そういう質問が入っていましたけれども。
 きょうは法案質疑ということですので、まず最初に、代表質問でも、本会議場でも触れましたけれども、イギリスとEU間の交渉が年内に妥結しなければ、日本企業に影響が出るんじゃないかという質問をさせていただきました。
 そのときも答弁をいただきましたけれども、もう少し具体的に、詳細に、どういう検討をしていて、交渉していくのかというのを教えていただけたらと思います。

#146
○黒田政府参考人 お答えを申し上げます。
 英国とEUとの間のFTA等の交渉につきましては、年末に予定されております移行期間の終了を見据えまして、まさに今現在集中的な協議が行われているというふうに承知しており、私どもとしても状況を注視しているところでございます。
 仮に、この英国とEUとの間の交渉が年内に妥結しない場合におきましては、例えば、現在関税がかかっていない英国からEUに輸出される乗用車に対してWTOルールに基づきまして一〇%の関税が課される見込みであるということなど、在欧日系企業のビジネスに甚大な影響が生じるというふうに考えているところでございます。
 そのため、英国とEU間の交渉が速やかに妥結するよう、あらゆる場面を通じて双方への働きかけを行ってきたところでございます。
 その上で、このような働きかけに加えまして、英国に進出している日系企業の支援のため、昨年十月にブレグジット対応サービスデスクを設置したところでございます。このサービスデスクにおきましては、通関手続や規制面での対応、販路の転換、開拓等に関する各種の情報提供、それに加えまして、個別の相談対応等を行っているところでございます。
 引き続き、英国への進出企業への影響が最小限になるよう、私どもとしては支援を行ってまいりたいと考えております。

#147
○浦野委員 本来は、いつまでにこれを締結できないとだめなのかというのを聞くと、まあ、ことしの年末までにできないといけないんだというそもそもは話だったらしいんですけれども。要は、EUとイギリスで今ちょうどやり合っているということですので、しっかりと見守っていただいて、特に自動車産業がやはり影響が一番大きいんじゃないかということですので、しっかりと対応していただきたいと思います。
 続いて、今回の条約の中に、EPAの中に農薬関係も含まれているわけですけれども、そこで、農薬関連の質問をしたいと思うんですけれども。
 一部、うわさでは、EU域内ではもう使用が禁止されている農薬というのがあって、それが今、日本に大量に輸出されているんだということを書かれているものがあります。
 その関連で質問するわけですけれども、例えば、実際、EUの中でイギリスが一番その中で農薬を輸出している総数が多いんだということですけれども、書いてあるんですけれども、日本が輸入している農薬のうち、イギリスがどのぐらいなのか。これは世界で比較しても日本は農薬をたくさん輸入している輸入大国なのかというのを、まず一点、お聞かせいただきたいと思います。

#148
○神井政府参考人 お答え申し上げます。
 我が国へ海外で製造された農薬を輸入するには、我が国の農薬取締法に基づいて、国内法人がその農薬の登録を受けて輸入するという場合と、海外法人がその農薬の登録を受けて日本国内での管理を行う者を国内管理人として選任して輸入する場合がございます。
 これらの輸入数量について、農林水産省が調査した結果によれば、二〇一七年十月から二〇一八年九月における農薬の輸入量の総量は、国内流通量がこれは二十二万三千トンございますけれども、これのおよそ一四%でございまして、三万トン強でございます。そのうち、英国からの輸入量は二百四十二トンで、輸入量全体の〇・八%となってございます。
 なお、最も輸入量が多い国はベルギーで、二〇・三%というふうになってございます。

#149
○浦野委員 今、数字を教えていただきましたけれども、答弁の中にもありましたけれども、ちゃんと政府が認定したところじゃないと輸入はできない、そういう規制もちゃんとやっているということなんですね。
 その同じ記事の中に、発がん性物質が含まれているという懸念があって、日本で使われている農薬なども、輸入して使っている農薬の中に発がん性が高いもの、発がん性が高いからEUとかでは使用禁止になっているんだ、それを日本は輸入して使っているんだ、危ないということを言っているんですけれども。
 日本で今現在使われている農薬にそういう問題があるという認識なのかということと、例えば、その中でも代表的なものの中にパラコートというものがありますということを書いていました。確かに、パラコートの扱いというのは恐らく日本と世界各国で違うということなんですけれども、EUでは二〇〇七年に使用禁止されているものをわざわざ日本は輸入して使っているじゃないかという記事の指摘があるんですけれども、その点についてはいかがですか。

#150
○神井政府参考人 お答え申し上げます。
 我が国においては、農薬取締法に基づく登録を受けていない農薬は、国内での製造だけでなく、輸入や販売、使用もできません。我が国に輸入される農薬についても、国内で製造される農薬と同様に、農薬取締法による登録制度で審査を受ける必要がございます。
 現在は、食品安全委員会において食品への残留による人への健康への影響評価を行い、その結果をもとに厚生労働省において食品中の残留農薬基準値を設定し、また、環境省が魚や藻類などの動植物への影響評価を実施し、これらを踏まえて、農林水産省が農薬の安全性や効果が確保されることを確認した上で使用方法を定めて登録しているところです。
 このため、我が国に輸入される農薬についても、農薬取締法に基づいて定められた使用方法に従って使用する限り、安全性に問題が生じることはないと考えております。
 また、パラコートについてのお尋ねでございます。
 除草剤であるパラコートについては、先生御指摘のとおり、EUにおいて二〇〇七年に使用が禁止されておりますが、一方で、アメリカやカナダなど、使用方法を限定して使用が継続されている国もございます。
 これは、各国における農薬の登録が、それぞれの国の農産物の栽培実態ですとか害虫の種類の違いなどの特性を踏まえて、科学的根拠に基づく審査で使用の可否、使用方法等を定めていることによるものと認識しております。
 我が国においても、農薬取締法に基づく安全性の審査を経まして、科学的知見により専門家が定めた使用者安全確保のための指針に基づいて、保護の眼鏡、防護のマスク、あと、裏側に透き通らないような不浸透性の手袋、ゴム長靴、防除衣など、使用方法を限定して登録を認めておるところでございます。
 また、平成三十年に農薬取締法を改正していただいておりまして、令和三年度以降、パラコートを含む全ての登録農薬について最新の科学的知見により順次再評価をすることとしておりまして、さらなる安全性の確保に努めてまいりたいと思います。

#151
○浦野委員 丁寧に答弁をありがとうございます。国内でしっかりとそういう決まりもつくってあるし、それは大丈夫だということだと思うんですけれども。
 確かに、どんなものでも過剰摂取すれば毒になりますし、そういう使い方をしないという前提で販売されているものは、農薬に限らず、例えば薬でもそうでしょうし、幾らでもあると思うんですね。それを、使い方によっては危ないですよという話をし出すと結局何も販売できなくなりますし、有効な害虫駆除の薬が使えなくなりますから、僕は、それはそれでいいんだろうと思っています。
 要は、世界各国で気候も違うし、土壌の性質もいろいろ千差万別で、それに対応していろいろな農薬が世界各国で使い分けられているということだと思うんです。だから、ヨーロッパがだめだから日本も危ないんだとか、どこどこがだめだからここは使ってはいけないんだとかというのが、一概にそうではないということが確認できたと思っています。
 さらに、今の話であったら問題ないとは思うんですけれども、世界でつくっている、その人たちがいわくの危ない農薬が世界でどんどん禁止されていって、禁止されたから、余剰の農薬がまだ使える日本にどんどんどんどん向かってきているという主張もされているわけですので、その点についてはいかがでしょうか。

#152
○神井政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘の、先進国で使用禁止になって余った農薬が日本向けに輸出されているというような事実は承知しておりません。
 なお、外国でその国の法令に基づいて使用可能であった農薬が、登録の失効などの理由で使用不可能になった場合に、その農薬を我が国で販売、使用するためには、改めて我が国の農薬取締法に基づく審査を経て登録を受ける必要がございます。
 国内での販売、使用のためには、農薬取締法に基づき、液とか粒とか、そういう剤の形などの登録事項を遵守するということとともに、我が国で登録された使用方法や使用期限などを容器又は包装に表示する必要があることから、あくまでも一般論ですけれども、一般論として申し上げれば、通常の農薬メーカーが計画的な調達、製造、販売を心がけている中で、単純に外国で余った農薬だからということで日本向けに回すようなケースは想定しにくいものと考えております。
 いずれにいたしましても、我が国に輸入される農薬については、農薬取締法に基づいて定められた使用方法に従ってきちんと使用していただくということが重要でございまして、その限りにおいて、安全性に問題が生ずることはないものと考えております。

#153
○浦野委員 ありがとうございます。
 今御答弁いただいた内容ですと、別に、農薬について、その記事に書かれている懸念は基本的にはないということになると思うんですけれども、ただ、問題なのは、そういうことが書かれている冊子を与党の国会議員の方が配っているということなんですよね。少し前にそれが週刊誌に書かれたみたいですけれども。
 正直、それは、そういうのを信じる、信じないは勝手ですけれども、やはりちゃんとしたファクトに基づいてそういう議論をしないと、これが本当なのかどうなのか。一部、例えば、種苗法改正もこの間国会を通過しましたけれども、種苗法でも、かなり誤解の多いデマが飛び交っていました。一部、何かよくわからない話もありました。そういうことをわあっと言っている人たちが、また同じことを言ってはるわけですね。
 だから、正直、そういう事実に基づかないデマに飛びついて拡散をされるというのは非常によくあることですので、それについて、私はやはり、こういう質疑を通してしっかりとそういうことも中身を確認して否定をしないと、本当に、消費者にとって、国民にとって重要な情報というのが届かないことになりますので。
 ぜひ、農水省も、そういった、多分手が回らないぐらいたくさんいろいろなデマが出ますので、それに一々対応していただくのは本当に御苦労だとは思いますけれども、これからもしっかりと対応していただきたいと思います。
 私の地元の、私どもが経営している保育園も、園児に畑を手伝ってもらって、いろいろなものをつくるんですね。農薬はそんなに、ほぼ使わないんですけれども、肥料とか、それに、やはり、直接口に入っていくようなものを扱うものですから、結構そういうのは敏感に耳に入ってきますし、そういったものが子供たちの口に入るということもありますので、しっかりと対応していただけたらと思っています。
 最後、我々日本維新の会はこの法案は賛成ですので何も言うことはないんですけれども、せっかくですので、スティルトンチーズを食べてみようと思って、成城石井にしか売っていないということですので、一番近くにある成城石井さんに行ってきました。すると、売っていないんです。品切れで、ない。何個か成城石井をはしごするとあるらしいんですけれども、ゴルゴンゾーラとロックフォールは置いているんですけれども、もう一つが置いていない。世界三大チーズの一つがないということで、非常に、質問する以上は食べてみようと思ったんですけれども、食べられませんでした。
 昔、アニメ、本当に大分前のアニメなんですけれども、今思えばそれのことやなと思ったんですけれども、どうしてもスティルトンの名前が出てこなかったんです、その漫画を見ているときに。それはどういう漫画かというと、ブルーチーズ、本家はうちだというアニメなんですね。それで、ゴルゴンゾーラとロックフォールが言い合いをする、その中で、端っこで、いやいや、俺もまぜてほしいなみたいな漫画だったんですけれども。
 だから、二つは有名ですけれども、一つはなかなか知名度がないということで、今回、このEPAでスティルトンの話題が少し出ましたので、ちょっとは知名度が上がって、また皆さんの口に届くかなと思いながら、きょうの質問を終わりたいと思います。
 どうもありがとうございました。

#154
○あべ委員長 次に、山尾志桜里君。

#155
○山尾委員 国民民主党の山尾志桜里です。
 私が言うまでもなく、外交において言葉の選択は極めて大切で、言葉が変わっていく背景には必ず何らかの外交的な意図があるということだと思います。
 二〇一六年に日本が自由で開かれたインド太平洋戦略を打ち出した時点では、明確に戦略という言葉を使っていました。その後、戦略という言葉を使うことをやめて、自由で開かれたインド太平洋構想と呼び名を変えています。さらには、最近は構想という単語すらも外して、自由で開かれたインド太平洋というふうに言及されるようになりましたし、実際、この外務委員会でも、所信表明を始めとして、大臣も外務省の方もずっと、自由で開かれたインド太平洋と表現をされています。きょうもそうですよね。
 質問です。
 この戦略という言葉が構想に変わり、そして、今は構想すら外して使うようになった経緯と理由をお聞かせください。

#156
○茂木国務大臣 確かに、言葉というのは重要だと思っております。
 その上で、我が国が推進します自由で開かれたインド太平洋の構想は、今何で構想かというと、この後の言葉で実現という言葉を使うので、ここは構想と言わないと言葉がつながりにくいので。自由で開かれたインド太平洋の構想は、インド太平洋地域において、法の支配に基づく自由で開かれた秩序を実現することにより、地域全体ひいては世界の平和と繁栄を確保するとの考え方に根差したものであります。
 この考え方、今や、米国のみならず、豪州であったりインド、先日もQUADを開かせていただきました、さらには、AOIPをまとめたASEAN諸国、そして英国、フランス、ドイツといった欧州諸国まで広がり、多くの国から賛同や支持を得ているところであります。
 この考え方をどのような言葉で表現するかについて、これは全体の文脈の中で考えるものだと思っておりまして、核だったら戦略核とか戦術核、これによって言い方は違うんですけれども、戦略と言ったりビジョンと言ったり構想、さまざまな言葉を使ってきたのは事実でありますが、今申し上げたような考え方は全く変わっておりません。

#157
○山尾委員 今も茂木大臣は構想という言葉をお使いになって、全体の文脈に応じてという言葉をいただきましたけれども。ただ、戦略という言葉が使われなくなったというのは、これは事実としてあるんだろうというふうに思っていまして、その背景には、中国への配慮があるのかなというふうには思います。
 ただ、私、この戦略から構想へとか、あるいはビジョンとか、あるいはそういう言葉を使わないとか、そういうトーンダウンによって一番大切な、この自由で開かれたという価値の部分が維持されたり、あるいは強化できるのであれば、これは別に、必ずしも非難するつもりはないんです。ただ、こうした配慮を文脈に応じてした上で、しているにもかかわらず、この自由で開かれたという本質的な主張までトーンダウンするということがあれば、これは見逃せないというふうに思っています。
 そこで、次の質問ですけれども、菅首相が今月十四日のASEANの関連の首脳会談の後、自由で開かれたインド太平洋ではなくて、平和で繁栄したインド太平洋をつくりたい、こういうふうにお話をされました。
 過去数年の日本外交で最も重要なフレーズである自由で開かれたインド太平洋、これをこのタイミングで首相が平和で繁栄したインド太平洋というふうに呼び名を変えた、この理由をお聞かせください。

#158
○茂木国務大臣 御指摘の菅総理の発言でありますけれども、別に何か呼び方を変えたというわけではなくて、我が国として、自由で開かれたインド太平洋の実現を通じて、地域の平和と繁栄に向けた取組を主導していくと。先ほど僕が言ったことですから。この従来からのこういった日本の立場をコンパクトに表現されたということではないかなと思っております。
 いずれにせよ、政府として、今後も、ASEANを含みます考え方を共有する国々と連携して、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取組を戦略的に推進していく考えに変わりはありません。
 それで、先ほども申し上げましたが、後退をしているとは私は全く思っていません。この考え方というのは、相当、アメリカだけではなくて、豪州、インドに広がり、そしてASEANも、私、ほとんどの国を回ってきましたけれども、そこでも、自由で開かれたインド太平洋とASEANの掲げているAOIP、考え方としては一緒ですね、進めてみましょうということで意見の一致を見ておりますし、英国ともフランスともドイツとも話をして、そういう同じ考え方を持つ国がふえているというのは極めて重要だと思っておりますし、また、そこで言おうとしていることについても、共通の認識というのは深まっていると思います。

#159
○山尾委員 コンパクトにという言葉が出ましたけれども、コンパクトにするときに、自由で開かれたというここの部分を削ったり節約したりしてほしくないんですね。
 茂木大臣は多分これまでも、そしてここから先も、自由で開かれたという部分を節約したり削ったりということをできるだけなさらないようにされるんじゃないかなというふうに思っていますけれども、総理の言葉はそれ以上にある意味重いですので、ぜひこの問題意識は伝えていただけたらなと思うんです。
 ここでちょっと御紹介はしておきたいんですけれども、やはり平和や繁栄の方が自由に優先するというのは、ある意味、中国共産党の価値序列にも通じることだから、私自身は今この場でお話をさせてもらっています。
 例えば、二〇一八年、世界人権宣言七十周年のとき、習近平主席も祝辞を出していて、人権が大事だという話をされているんですね。そのときに、言葉を追うと、こういうふうにあるんです。中国国民は、各国の人々とともに、平和、発展、公平、正義、民主、自由という人類共通の価値観を堅持しというふうにおっしゃっています。当然、外交ですので、言葉の順序にも意味があって、平和と発展というのが最初にあって、次が公平と正義というのがあって、そして民主、自由というふうに続く。
 これとあわせて、前回この委員会でも言及させていただいた、香港における中国共産党の振る舞いですね。民主派議員の資格剥奪とか香港市民の自由を奪うとか、そういうものを見ても、今、自由とか民主を主張しなければ平和と繁栄が手に入るというようなともすれば考え方や価値観、価値観というか価値の修正が広がりつつあるということを物すごく懸念しているので、このまま日本が、インド太平洋の枕言葉を自由で開かれたという言葉から平和で繁栄したというふうに変えてしまったりとか、変わっていないというふうにおっしゃっていただいたのでそれは大事なことなんですけれども、でも、菅首相は平和で繁栄したインド太平洋とおっしゃったように、時と場合によって使い分けをするということを既定路線としてしまうことは、少なくとも結果として、あるいは見え方として、中国のこの価値の序列に沿う変更というふうにも見られかねないというふうに思いますので、これはやる必要のない配慮だし、やるべきでない配慮だというふうに思います。
 そこで改めて、この件では最後にしますけれども、茂木大臣、茂木大臣自身は、今後、時と場合によっては、平和で繁栄したインド太平洋というように、前回菅総理が言ったこういう枕言葉を使うことがあり得るのか、それとも意識的に、自由で開かれたインド太平洋、大臣がおっしゃったように、本当に価値をともにする国に物すごくきちっと広がっている日本主導のこのキーワード、これを統一していくというような思いがあられるか、そこのところをお聞かせください。

#160
○茂木国務大臣 無意識でも、自由で開かれたインド太平洋と多分言うのではないかなと思っております。
 その上で、平和と繁栄、これは、例えば語学体系によっても違うんだと思うんですけれども、アメリカ、欧米では、よくウイ・シーク・ピース・アンド・プロスペリティーと、つまりPPという形であれなので、よく使ったりするんですけれども、これは結果でありまして、自由で開かれたインド太平洋をつくることによって、最終的には地域の平和と繁栄がもたらされる、そしてまた国際社会の平和と安定がもたらされる。そのためには、まずつくることは自由で開かれたインド太平洋だと考えております。

#161
○山尾委員 理解は共通できたと思います。
 ちなみに、バイデン次期大統領が各国の首脳と電話をしたときも、聞くところによると、このインド太平洋構想については、平和で繁栄したというような、今おっしゃったようなその枕言葉でお話をされたというふうにも聞いていて、ここにちょっと引っ張られたんじゃないかということをおっしゃる方もいるんですけれども、そういうことではないというふうに思っていますし、むしろ、これから茂木大臣、次のアメリカの新政権とお話しするときは、自由で開かれたという、ここの部分がインド太平洋の肝だということを伝えていただきたいなというふうに思っております。
 次に、ちょっと順番を変えまして、日英EPAとRCEPのデジタルルールの比較の方を、ちょっと問題意識が重なるので先にやらせていただきたいと思います。
 私、代表質問のところで、この日英EPAで規定できたハイレベルのデジタルルール、これをRCEPのルールにもぜひ反映させてほしい、国家に情報が集中していくことをよしとするルールではなくて、個人の人権ベースのデジタルルールを国際標準にするように、日本も頑張って交渉してくださいということを言ったんですけれども、結果、残念ながら反映されなかったものがあるようです。
 日英には入った、サーバーの設置要求の禁止や、暗号開示要求の禁止や、アルゴリズムを含めたソースコードの開示要求の禁止、この中でRCEPに反映されなかったものは何でしょうか。

#162
○四方政府参考人 委員御指摘のとおり、日英EPAでは、情報越境移転の制限の禁止、コンピューター関連設備の設置要求の禁止、ソースコード及び暗号の開示要求の禁止に係る規定が含まれております。
 このうち、RCEP協定の電子商取引章におきましては、情報越境移転の制限の禁止及びコンピューター関連設備の設置要求の禁止は含まれておりますけれども、ソースコード及び暗号の開示要求の禁止に係る規定は含まれておりません。
 ソースコード等につきましては、RCEP協定発効後に各国と協議をしていくことになっておりまして、その中で、電子商取引の発展及び利用の促進に向けまして、あり得べき制度につき、我が国といたしましても引き続き各国と議論していきたいと思います。

#163
○山尾委員 そうなんですよね。なので、帰結として、例えば、日本企業が中国でビジネスをするときには、アルゴリズムを含めたソースコードの開示要求をされたりとか、暗号の開示要求をされたりとかすることが一応ルール上はありということになってしまったということなんです。
 今おっしゃっていただいたとおり、ソースコードの方は何とか検討事項に盛り込まれたんですけれども、暗号の方は検討事項にすら入らなかった。これはどうしてでしょうか。

#164
○四方政府参考人 お答え申し上げます。
 確かに、委員御指摘の暗号情報につきましては、RCEP協定におきまして明示的に言及されてはおりませんけれども、必ずしも検討の対象となる事項から排除されているわけではございませんので、暗号情報の開示要求の禁止につきましても、今後、各国と議論していくことは可能だと思っております。
 いずれにしましても、RCEP協定発効後に、電子商取引の発展及び利用の促進に向け、あり得べき制度について、引き続き各国と議論していきたいと考えております。

#165
○山尾委員 暗号については、つまり、例示されなかったので、入るとも入らないとも、今後の検討事項として決め切らなかったという結果だというふうに思うんですけれども、ここで大臣にお伺いをしたいと思います。
 今、データの世紀というふうに言われて、データというのは、皆さん御案内のように、たくさん食べるほど強くなるというような質のもので、そうしたデータが経済の原動力となっている中で、やはり二つの価値観のせめぎ合いがここでも起きているんだと思うんですよね。
 やはり、一つは、民間のデータを国家が吸収していって国家が強くなっていくという、こういった権威主義的なデジタルルール。しかし、私は、日本としては、やはりそういうものをよしとしないで、あくまで個人の人権ベースのデジタルルールを国際標準としていく、そして、このルールを守る、価値を同じくする国々とデータ連携をすることでちゃんと対抗していくということが日本の立場だと思っています。
 この点について、大臣の認識を伺います。

#166
○茂木国務大臣 半分認識を一緒にします。
 その上で、国家がデータを独占するのはよくないと思いますが、一方で、違ったバランスというのがあると思っておりまして、それは、データの自由な流通と、言ってみるとプライバシーであったりとかセキュリティーの保護、ここのバランスをどうとるか。
 ですから、データ・フリー・フロー・ウイズ・トラストという言葉を使うわけでありまして、そこはしっかりしたバランスが私は必要なのではないかなと考えておりまして、そこは全てプライバシーだけなんだと言ったら自由なデータの流通というのは確保できませんから、このバランスをどうとっていくかという問題だと思います。

#167
○山尾委員 私もその点、認識を共通にします。
 国民民主党も今、データ基本権の議論というのをしていまして、これは、やはり自由なデータ流通を可能にするために土台としてそういう権利が必要で、それによって健全なデジタル環境を前に進めていこうという考え方ですので、また引き続きこの議論も深めていければと思っております。
 ありがとうございました。

#168
○あべ委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。
 次回は、来る二十日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時五十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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