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2020/11/19 第203回国会 参議院 第203回国会 参議院 財政金融委員会 第2号 令和2年11月19日
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2020/11/19 第203回国会 参議院

第203回国会 参議院 財政金融委員会 第2号 令和2年11月19日

#1
令和二年十一月十九日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月十七日
    辞任         補欠選任
     北村 経夫君     中西 祐介君
     宮崎 雅夫君     櫻井  充君
 十一月十八日
    辞任         補欠選任
     櫻井  充君     石井 正弘君
 十一月十九日
    辞任         補欠選任
     石井 正弘君     高橋はるみ君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         佐藤 信秋君
    理 事
                西田 昌司君
                藤末 健三君
                宮島 喜文君
                牧山ひろえ君
                秋野 公造君
    委 員
                石井 正弘君
                高橋はるみ君
                中西 健治君
                中西 祐介君
                馬場 成志君
                藤川 政人君
                宮沢 洋一君
                元榮太一郎君
                勝部 賢志君
                古賀 之士君
                水岡 俊一君
                横山 信一君
                音喜多 駿君
                上田 清司君
                小池  晃君
                大門実紀史君
                浜田  聡君
                渡辺 喜美君
   国務大臣
       財務大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(金融)
       )        麻生 太郎君
   副大臣
       内閣府副大臣   赤澤 亮正君
       財務副大臣    中西 健治君
       文部科学副大臣  田野瀬太道君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        前山 秀夫君
   政府参考人
       内閣府地域経済
       活性化支援機構
       担当室長     石田 晋也君
       内閣府地方創生
       推進事務局審議
       官        佐藤 朋哉君
       金融庁総合政策
       局長       中島 淳一君
       金融庁総合政策
       局総括審議官   白川 俊介君
       金融庁監督局長  栗田 照久君
       財務省大臣官房
       長        茶谷 栄治君
       財務省主計局次
       長        宇波 弘貴君
       財務省主計局次
       長        青木 孝徳君
       財務省主税局長  住澤  整君
       国税庁次長    鑓水  洋君
       文部科学省大臣
       官房審議官    高口  努君
       文部科学省大臣
       官房審議官    蝦名 喜之君
       厚生労働省大臣
       官房危機管理・
       医務技術総括審
       議官       佐原 康之君
       厚生労働省大臣
       官房審議官    山本  史君
       厚生労働省大臣
       官房審議官    榎本健太郎君
       厚生労働省労働
       基準局安全衛生
       部長       田中佐智子君
       厚生労働省子ど
       も家庭局児童虐
       待防止等総合対
       策室長      岸本 武史君
       中小企業庁事業
       環境部長     飯田 健太君
       国土交通省大臣
       官房審議官    山田 知裕君
       国土交通省大臣
       官房技術審議官  東川 直正君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○財政及び金融等に関する調査
 (新型コロナウイルス感染症対策の徹底と収束
 後の財政健全化に関する件)
 (新型コロナウイルス感染症対策予備費に関す
 る件)
 (少人数学級推進に関する件)
 (キャッシュレス決済サービスを通じた銀行口
 座からの不正出金事案に関する件)
 (経済対策としての消費税減税に関する件)
 (近時の経済財政運営に対する評価に関する件
 )
 (令和二年度第三次補正予算編成に関する件)
 (費用対効果を踏まえた財政支出の在り方に関
 する件)
    ─────────────

#2
○委員長(佐藤信秋君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、宮崎雅夫君及び北村経夫君が委員を辞任され、その補欠として中西祐介君及び石井正弘君が選任されました。
    ─────────────

#3
○委員長(佐藤信秋君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣府地域経済活性化支援機構担当室長石田晋也君外十九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#4
○委員長(佐藤信秋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────

#5
○委員長(佐藤信秋君) 財政及び金融等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#6
○宮島喜文君 自由民主党の宮島喜文です。
 本委員会において初めて質問させていただきます。よろしくお願いいたします。
 まずは、新型コロナ感染症の影響と対応について御質問をいたします。
 新型コロナ感染症の流行が社会経済活動に甚大な影響を及ぼしました。また、世界全体で経済が落ち込む中、日本経済においてもサプライチェーンの寸断、自粛、外出自粛による消費活動の低迷など深刻な影響が生じました。また、十一月に入り全国で感染者が再び増加していることから、新型コロナ感染症の第三波が来ているのではないかと、こういうような話も言われているところでございます。
 感染者の確定、また感染源の究明、さらには接触者の調査など、クラスター対策などに当たる保健所や検疫所、また、感染者の診療や検査に当たります最前線、医師、看護師、看護助手、検査技師など病院スタッフが、皆さんが本当に感染拡大の防止等、一人でも多くの命を救うために昼夜を分かたず今でも奮闘しているわけでございます。私は、医療現場出身の身として、改めてこの医療従事者の皆様にお礼を申し上げますとともに、国としては十分なサポートを求めていきたいというふうに思うところでございます。
 さて、このような危機的な状況の中で、私は財務大臣政務官として、麻生大臣の下で政府内の議論や国会での説明など経済対策や補正予算に、策定に関わりました。この対策の中で、資金繰り支援、これは政府系金融機関と民間の金融機関、これが連携して官民協調して支援に当たるということができたわけでございます。特に、中小又は小規模の事業者向けの資金繰り支援は、事業を継続していくという観点、また非常に重要なことであると考えておりまして、日本政策金融公庫等によります融資の実績も大変伸びてきたものと認識しているところでございます。
 これまでの政府の対策の効果もあり、この日本における人口当たりの死亡者数、これは欧米など主要国に比べて少ないということがございますし、また、経済の落ち込みも諸外国に比べればそこまで至っていないのではないと、そう考えているところでございます。
 そこで、財務大臣兼金融担当大臣として、この新型コロナウイルス感染症対策について、財務省、金融庁のこれまでの進めてきた取組、それらに対する現時点の評価について、大臣にお伺いしたいと思います。

#7
○国務大臣(麻生太郎君) これは、宮島先生御指摘のありましたように、これは二度の補正をやらせていただいたんですが、今言われましたように、やっぱり企業にとりましては、キャッシュフロー、いわゆる資金繰りの話が一番の経営というものをやっていく上において大事なところでありますので、この資金繰り支援というものを講じるというのは、これは目先一番大事なところだと、そういうところからスタートをさせていただきました。
 政策金融機関、民間金融機関によります実質無利子無担保の融資を含めて資金繰り対策をいろいろ講じさせていただきましたし、私の方からも民間、官民両方のいわゆる金融機関に対して累次にわたり強く要請をさせていただいてきたところなんですが、結果として、政府系金融機関、今実績で約十三兆、それから民間の金融機関でも約二十五兆円というようないわゆる事業規模というもので支援をさせていただいておりますので、倒産等々が最初は、リーマン・ショックのときもちょっとえらい騒ぎでしたけれども、あのときちょうどマーケットからキャッシュが全く消えたという事態でしたけど、今回は少し、ああいった形のものではなくて全般にということになりましたものですから、企業は先行き見えぬ分だけ手前で資金を借りた、必要ないかもしれぬけどとにかく借りるというような形で資金の先取りをやったところが随分あるのは事実ですけれども、それらのものには十分、かなり対応ができたというふうに思っておりますので、それなりの成果を上げられたのではないかと思っております。

#8
○宮島喜文君 ありがとうございました。対応はうまくいったという今御判断のようにお聞きいたしました。
 では、この新型コロナウイルス感染症が経済に与える影響と今後の見通しについて具体的にお尋ねしたいと思います。
 このコロナ禍にあって、日本経済は依然厳しい状況にあるんではないかと思うわけでございますが、一方、各種政策も、先ほど大臣からもお話がございましたように、効果を上げて回復の兆しにあるというふうにも見られるところでございます。
 しかしながら、ただ、この経済の回復のペースでございますが、慎重な見方もございます。例えば、民間のエコノミストには、二〇二〇年度に五・七%ぐらいの落ち込みを見込んでいる一方、二〇二一年度の回復は三・四%にとどまるんではないかという見方もあるわけでございます。
 GDPの五割を占めるこの個人消費、これについては、持ち直しているとはいえ、やはり外出の自粛などの影響もございまして、まだ引き続き弱さも見られるんではないかと思います。
 また、欧米では今感染者が再拡大しているという状況にございますから、そういう中で、我が国も感染者が増えているということを考えますと、仮にこういう状態が続いていきますと、内外の経済の先行きの不透感というものも強くなれば設備投資などは冷え込みが生じてくると、こういうことになろうかと思います。その結果、今懸命に努力して持ちこたえている企業の倒産や働く方の失業など、こういう問題も起こってくるということが懸念されるわけでございます。
 こうした行き先に対する懸念を打ち消し、力強い成長を実現していくためには、やっぱり国民のこの感染リスク、これに対する不安を払拭していくということが必要ですし、この感染拡大防止とそして経済活動、本格的にこの両立をしていかなきゃいけないということが今後も必要不可欠な問題と考えているところでございます。
 経済財政政策、今申し上げましたが、感染防止と経済活動の両立をする観点から考えて、まずは足下の経済動向、これをどのように評価しているか、そして今後の行き先について、これ、力強い回復が実現できるのかどうかということをどのように考えているか、財政当局の認識というものをちょっとお伺いしたいと思います。

#9
○副大臣(中西健治君) 宮島委員おっしゃるとおり、日本経済、大きな影響をこれまで受けてきているということだと思います。
 四月から六月期のGDPはマイナス八・二%、年率でマイナス二八・八%と大きく落ち込みました。宮島委員おっしゃるとおり、諸外国と比べて、欧米諸国と比べてこの落ち込み幅というのは大きかったわけではありませんけれども、やはり四月―六月期は非常に厳しかったと。
 今週、月曜日に七月―九月期のGDPが発表になりました。これは、全体で前期比プラス五・〇%ということになりました。特に、この中で見てみると明るい部分もございまして、個人消費が前期比プラス四・七%、これは社会活動のレベルが一段回復してきたということだろうというふうに思います。あと、輸出ですけど、特に米中を中心に回復はしたと、回復したということがありまして、前期比プラス七・〇%ということでありました。
 先行き、今後の見通しということについてですけど、おっしゃられたとおり、足下でまた感染が拡大しているということがございますので、予断を持って言うことというのはなかなか難しいというふうに思いますけれども、この感染リスクに十分に注意をしながらやはり経済活動を回していく、こうしたことを私どもとしてはやっていかなきゃいけないというふうに思います。
 引き続き、感染状況や経済動向をきめ細かく分析しながら経済財政運営に万全を期していきたいと考えております。

#10
○宮島喜文君 ありがとうございました。
 今の御説明聞いて、確かに厳しい状況とはいえ持ち直してきていると。四月、五月に比べればというお話でございまして、こういうことを考えていきますと、また今それこそ感染者が増えているという状況を考えると、今後も引き続き警戒を緩めるわけにはいかないんだろうなというふうに考えているところでございます。
 そうした中で、先ほどお話がございましたけれども、いわゆる今後はその感染防止を万全を尽くしていくということ、また同時に社会経済活動も徐々に広げていくと、引き上げていくと、こういうことが基本方針で考えられているということを確認できたわけでございますが、一日も早くそれをするためには、やっぱり特効薬又はワクチンの国民への接種、これが進めることが重要だと考えているところでございます。
 また、私が思うに、やはり、感染者や医療従事者を取り巻く社会的環境でございますが、これは差別や偏見も起きているわけでございます。このような差別や偏見は、感染症というこの長い人類との闘いの歴史の中で何度も繰り返されているわけでございまして、科学技術が進んだ今日においてもこのようなことが起こるということは嘆かわしい状況にあるわけでございます。感染症を正しく恐れると同時に、過剰に恐れないようにすることも今大切ではないかと思っているところでございます。これは、政府の方でもっと広報等を充実しなきゃいけないだろうということで求めてまいりたいと思います。
 それを申し上げた上で、ここは財政金融委員会でございますので、予算の編成についてお話をさせていただきます。
 先日、十日でございますが、菅総理より、新たな経済対策を策定するよう指示があったはずでございます。経済対策を実施するためには第三次補正予算も編成が進められているというふうに思うところでございますが、今回の予算編成の特徴等を考えれば、やはりこの新型コロナウイルス感染症に対応という大きな問題があるということが一つ。そこにおいて、この感染状況がどのように今後変化し、推移していくかと、これがやはり予見が困難だということもあろうかと思います。
 そういう意味で、編成は大変な状況にあろうかと思いますが、さらに、よく考えてみますと、財政状況という面では厳しい状況がこのコロナ以前からあったわけでございますから、これらの喫緊な課題にも答えを出していかなきゃいけないんではないかと私は思うわけでございます。
 これらの問題全体を考えていくような前向きな回答を出していくためには、やはり一次補正、二次補正、先ほどもお話がございました、今までのその取組を十分踏まえ、いたずらに規模だけを追うのではなくて、本当に効果的である施策、重点化する、また必要な改革は着実に進めていくという、こういう視点がなければいけないと思いますし、また、それが質の高い予算配分を行うという形になろうかと思っておるところでございますし、そんな点から考えていかなきゃいけないと思うところです。
 今、予算編成の真っただ中でございますからお答えが難しい点はあろうかと思いますけれども、この新型コロナウイルス感染症の収束が見通せず、様々な課題がある中で行われるこの平成二年度の第三次補正、そして令和三年度の当初予算編成についてどのような今考え方の下で進められているのか、その方針について御説明願いたいと思います。

#11
○副大臣(中西健治君) 宮島委員おっしゃられるとおり、今総理から経済対策の指示があって、第三次補正予算に向けていろんな検討を行っているというところでございます。基本認識としては、経済再生きっちり行って、そして財政健全化に道筋を付けていくということだろうというふうに思います。それが我々の責務だろうというふうに考えております。
 こうした基本認識の下で、感染拡大の防止と経済活動の両立を進める中で、民需主導の経済成長軌道に戻していくこと、これが大変重要なんじゃないかというふうに考えております。今回の経済対策というところでやはりデジタル化ということが大きなテーマということになりますけれども、こうしたデジタル化等の経済変化、構造変化を捉えて公助に頼らずに業績を伸ばしているという企業も多数あることは事実でありますので、そうした自律軌道に乗っていくような後押しをしていきたいと考えています。
 今後の予算編成においては、これまでの対策の効果等も見極めつつ、今申し上げたデジタル化などの重要課題に真に効果的な施策に重点化を行うとともに、足下で緊要性が余り見られないといったものについてはやはり見直しを徹底するということが必要なのではないかというふうに考えております。
 おっしゃられるとおり、今後とも質の高い予算を作っていくように努力したいと思います。

#12
○宮島喜文君 ありがとうございました。
 では、今までのその大規模な一次補正、二次補正編成した結果、新規債の発行額は六十兆円を追加されましたし、公債依存度は五六%を超えていると、こういう状況になってまいりました。これまででも、財政が悪化するのは問題だという議論がありながら、一方では、これだけの規模の対応を行っても目に見える問題がすぐには生じていないため、このような財政運営ではよいのではないかと考える方も増えてきているのではないかと思います。しかし、私は、そうした考えで本当に大丈夫なのかと心配していると思うんです。
 ということでございまして、やはりコロナの対応に通じて、やはり医療機関なんか見ていますと、日本のこの皆保険制度を基盤とした医療提供体制はきちんとしているなというのを私感じておりますし、我が国の社会保障制度そのものを考えてみますと、これは以前からどこでも言われているわけでございますが、少子高齢化によって、社会保障の給付、この受益、国民の皆さんにとっての受益と負担と、これがアンバランスが拡大していると、こういうことがあったわけでございまして、構造的な問題でございますが、これも忘れてはいけないと思います。
 私は、国民の皆さんが最良な保健医療サービスを適切に受けられるということを前提に、この受益と負担のバランスを取り戻して社会保障制度の持続性を高めていかなきゃいけない、そういうことが、後世に、次の世代にしっかりつないでいくことが私たちの責務だろうと思います。
 そこで大臣にお伺いしたいと思うんですが、短期的には財政出動を求められる中で、改めて財政の健全化の必要性をどのように考えておられるのでしょうか。また、この悪化したこの財政、コロナ対策で、この健全化をどのように進められようとしているか、お伺いしたいと思います。

#13
○国務大臣(麻生太郎君) これは御存じのように、新型コロナというこれまでに経験したことがないようないわゆる危機的な状況に対して、これは、国民の生命とか暮らしとか安全とかいうものを守るためにはいろんな形での財政出動を余儀なくされたと思っております。
 ただ、不確実性というのが強まっております中において、やっぱりいざというときに備えるためにこれリスクマネジメントというのをきちんとしておかねばなりません。その意味で、財政健全化というのをきちんとしておかないと対応ができないということになりますので、対応余力というのを残しておく必要があるんだと思っております。
 御存じのように、日本の場合はこのコロナが始まる前から給付と負担の問題でいえば少子高齢化という構造的な課題というものをこれ抱えております。したがいまして、高齢化に伴います社会保障の増加、それから少子によります支え手の減少ということによりまして財源が減少します。という大きな課題というものをいかにやっていくかが大事なところで、世界に冠たる国民皆保険とか社会保障制度というものを、これをきちんと次の世代に引き渡していく責任というのも我々に与えられているんだと思っております。
 特に、団塊の世代が後期高齢者というか、後期高齢者入りする二〇二二年というのには、これ、給付と負担の見直しというものを始めとするいろいろな問題をきちんと実現しなきゃならぬと思っておりますので、このプライマリーバランスというものを二〇二五年度までには黒字化というものをやらねばならぬと。また、社会保障制度というものを、サステーナブル、持続可能なものにするというためなどにこれ、歳出歳入両面からの改革というのは引き続き大事な課題として取り組んでいかねばならぬところだと思っております。

#14
○宮島喜文君 ありがとうございました。
 基本的な認識が理解されたと私は思っておりますけれども、これは引き続き中長期的な問題でもございますから、非常にきちんと踏まえて対応を考えていっていただきたいと思います。
 では次に、地域金融機関の経営改善についてお伺いしたいと思います。
 これは、新型ウイルス感染症の流行以前から、地方圏はいわゆる人口減少ということがございますし、この地域経済が縮小になってきているという大きな問題があっていて、そこにこのコロナが来て追い打ちを掛けていると、こういう状況だと思っております。そういう中、やはり地域金融機関、これは自身の経営環境が厳しくなると、これは店舗を少なくしたり、また人員を削減するという、こういう状況になってサービスが結果的には低下すると、こういうことにつながるんではないかという懸念があるわけでございます。地域経済において、地域の金融機関、これは新しい産業を育成し、また成長力を強化する観点からも非常にこれからも重要であると私は考えているところでございます。
 そういうことで、この長引くコロナ禍を乗り越えて活性化していく、地域経済を活性化していくためにも経営改善を、金融機関の経営改善も急務であろうと思いますが、この辺について金融庁はどのように対応を行っていくか、お聞きしたいと思います。

#15
○副大臣(赤澤亮正君) 御質問ありがとうございます。
 地域金融機関をめぐる経営環境は、委員御指摘のとおり、以前より低金利環境やあるいは急速な人口減少などを背景に厳しい状況が続いてきたことに加えて、足下で新型コロナウイルス感染症の影響を受けてより一層厳しさを増していると、言わば三重苦と言っていい状況であるかもしれません。
 金融庁としては、地域金融機関が例えば地域企業に対して適切なアドバイスやファイナンスを提供し、企業の付加価値向上を図ることなどを通じて持続可能なビジネスモデルを構築をして、地域経済の発展に貢献していくことが重要であると考えております。
 このため、金融庁としては、地域金融機関の金融機能の向上とこれを通じた地域経済の活性化を図る観点から、規制緩和など地域金融機関の経営基盤の強化に向けた環境整備を進めるとともに、適切なモニタリング、対話を通じて地域金融機関自らの取組を促してまいりたいと考えております。

#16
○宮島喜文君 ありがとうございました。
 コロナがこれなかなか収束しない中、事業の継続に関しても、新たなやはり地域経済で、視点で事業を起こしていかなきゃいけない、こういう段階に入ってきているだろう、支援だけもらっていても駄目だと、次の一歩を、事業を展開するという、そういう段階に入ってきていると思いますので、是非その辺の御指導や支援を強めていただけたらと私は思うわけでございます。
 では次に、話題を変えまして、働き方改革についてお伺いしたいと思います。
 このコロナの感染拡大ということで、新しい生活様式を取り入れた暮らしが始まって半年になるわけでございます。徐々に経済活動が再開していく中で、働く皆様はやっぱりテレワークとか、こういうもので社会全体が変わってきているなというふうに思うわけでございます。この新しい働き方、ワーク・ライフ・バランスの多様化とかバックグラウンドを持つ方々の活躍の点、この観点からも望ましいと思うわけでございまして、今後も継続してまた進化するということも考えられます。
 社会情勢の中で行政においても率先して働き方改革に取り組むことは極めて重要なわけでございまして、この財政金融委員会でもちょっとその点についてお話しさせていただきたいんですが、財務省ですね、これ皆さん御存じのように、本当に皆様は予算編成、税制改正など、各省庁の取りまとめ役をということで重要な役割を担っていると。こういう多くの省庁と仕事をするということを認識しておるわけでございますが、その財務省が先頭を切って働き方改革に臨むことで政府全体に波及して変わってくるんではないかというふうに思うわけでございます。
 また、金融庁においては、やはり霞が関の中でも、民間の銀行や証券という、そういうようなところの民間の企業とのやり取りが非常に多うございますから、金融庁の取組がまた民間の方にも波及していくだろうというふうに思うわけでございます。
 このような観点から考えますと、数ある役所の中で財務省や金融庁は、働き方改革について、政府内又は民間の先ほど申しました効果も含めて、その波及効果というのは、その動きに対する波及効果というのは極めて高いと私は考えております。
 そこで、それぞれの、財務省、それぞれでございますが、金融庁、まあ働き方いろいろ考えていらっしゃると思うんですが、本省又は本庁の取組、又はいわゆる税務署や税関など地方での機関での取組について御説明をいただきたいと思います。

#17
○政府参考人(茶谷栄治君) お答え申し上げます。
 財務省では、新型コロナ感染症対策を契機に、緊急時においても場所にとらわれずに業務継続できる新たな働き方を確立するために、テレワーク環境の大幅拡充やITの利活用などに積極的に取り組んでおります。
 具体的には、本省におきましては、全職員の同時テレワークを可能とするまでの環境の整備を行いましたし、また、ウエブ会議の積極的な活用も図っております。また、外部講師を招いたテレワークマネジメントの研修の実施などにも努めているところでございます。
 また、今お話ございました地方支分部局においても、これはテレワークにどうしてもなじまない業務、例えば税関の取締り業務であるとか、あるいは国税の税務調査であるとか、あるいは財務局の災害立会業務とか、こういうのもございますが、テレワーク可能な業務については可能な限りその環境の整備とか、あるいは地方の官署の建物を利用したサテライトオフィスとか、こういうような取組なんかも進めているところでございます。
 こうした取組というのは、今お話ございましたように、育児中であるとか、あるいは介護中であるとか、多様なバックグラウンドを持つ職員一人一人が最大限能力を発揮して活躍できる職場を目指すという観点からも重要であると考えておりまして、引き続き、継続、進化を図ってまいりたいと考えているところでございます。

#18
○政府参考人(白川俊介君) お答え申し上げます。
 金融庁は地方部局がございませんので、金融庁本庁の取組をお答えいたします。
 テレワークを始めといたしました新しい働き方につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大を契機として取組を進めたわけでございますが、実際にやってみますと、緊急時の業務継続のツールになる、業務の合理化、効率化につながる、育児、介護等様々な事情を抱える職員にとって一層の活躍につながるといった効果が見られたところでございます。
 そこで、金融庁では、令和二事務年度の金融行政方針において、コロナ対応を契機とした新しい働き方を確立させ、テレワークや外部とのオンライン会議などの積極的な活用を定着させていくことを掲げております。
 テレワークを定着させていくためには三つの要素が重要だと考えております。
 第一が制度面です。実施手続の簡便化、柔軟化を行います。第二に設備の面です。職場PCの持ち帰りを容易にし、通信回線の増強やオンライン会議ツールの導入を行っております。第三に実施しやすい雰囲気づくりの面です。幹部職員の呼びかけ、自ら実施などのほか、日頃から職員間で関係を構築し、常時対面でなくても円滑に業務を進められる環境を整備しております。
 こうした取組の結果、足下では、おおむね半数以上の職員が週一回以上テレワークを実施している状況にあります。
 このようにコロナ対応を契機として進んだ働き方改革が後戻りすることないよう、引き続きしっかり取り組んでまいります。

#19
○宮島喜文君 ありがとうございました。
 財務省や金融庁において、やはり時代に即した働き方改革を実現するため様々な取組があるということをお聞きいたしました。引き続き進めていただければと思うわけでございます。
 一方、中長期的な視点に立てば、国内外の環境の変化が大きい、又は国民のニーズも多様化してきている現在、政府としては国民の期待を応えるためにも、やはり若手職員の、多様な職員が意欲を持って働く場、また発揮していただくことが非常に重要だと思っているところでございます。財務省や金融庁にとどまらず、組織風土というものをその時代にふさわしく進化していくと、そして風通しの良い組織をつくっていただきたいと思うわけでございます。
 財務省の新しく策定した組織理念、これに、多様な職員の一人一人を大切にし、チームワークで高い成果を上げる、風通しが良く、効率的で実行力の高い組織という言葉がございます。この言葉を私も財務政務官時代、若手の職員と懇談する際話をさせていただきました。この質疑は、国民の皆さんとか当然金融庁の、財務省の職員見ていると思います。
 最後に、大臣、是非この組織改革、風通しの良い組織づくりに向けた意気込みについて一言お言葉をいただきたいと思います。

#20
○国務大臣(麻生太郎君) 今御指摘のありましたように、財務省、金融庁におきましては、これは国民の視点に立って、やっぱり今の時代に合ったふさわしい仕事のやり方とか働き方とかいろいろあるんだと思いますが、高い価値を国民に提供できるという組織風土というのをつくり上げていくというものを目指さないといかぬのだと、そう思っております。これまで組織理念の浸透とかコンプライアンスの確保に向けた取組に加えて、働き方改革やいわゆる業務の効率化、コミュニケーション等々、確実に組織内の雰囲気が変わってきているなと最近感じてはいるんですけれども、更に風通しの良い組織をつくり上げるように邁進してまいりたいと考えております。

#21
○宮島喜文君 ありがとうございました。
 私も、財務政務官の時代、地方の方の機関を回らせていただきまして意見交換をする中で、若手の方々の意欲というもの、こういうところでこうやって頑張っているんだというのを強く感じたもので、こういう発言をさせていただきました。
 いずれにしても、組織づくりが基本で、そして働く人が安心して働く、そしてやる気になって働く。こういう、これは民間でもそうでしょうし、公の組織でもそうでしょうが、組織風土のつくり方、これについて、是非今後も財務省、金融庁、率先して進めていただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わりにします。
 ありがとうございました。

#22
○牧山ひろえ君 立憲民主・社民の牧山ひろえです。
 財政金融委員会では十一年ぶりの登壇になります。大臣所信についての質問を担当させていただきます。よろしくお願いいたします。
 新型コロナウイルス感染症は現時点で特効薬やワクチンが開発途上であり、三つの密を避けるために人の感触を極力減らすなど、蔓延防止のために様々な措置が講じられてきました。三月以降、学校の休校や外出自粛の呼びかけなどが行われるようになって、四月から五月にかけては、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言が発せられたことで経済活動は大きな制約を受けることとなりました。
 政府は、緊急事態宣言と同時に新型コロナウイルス感染症緊急経済対策を策定し、これまでに二度の補正予算を編成するなどの対応を行ってきました。しかし、四月から六月期の実質GDPは、前期比年率でマイナス二八・八%と大幅な落ち込みを見せています。日銀が十月二十九日に示した展望レポートでは、二〇二〇年度の実質GDP成長率について、政策委員の中央値でマイナス五・五%と見込んでおり、今後も決して楽観できない状況にあることは御承知のとおりでございます。
 とりわけ心配されるのが雇用情勢です。完全失業率は上昇しておりまして、厚生労働省が取りまとめた新型コロナウイルス感染症の影響で解雇等が見込まれる労働者数は、十一月六日時点までの累計で七万人を超えています。また、企業の休廃業や解散も急増しております。
 これから年末が近づく中で、国民が安心して仕事や生活を継続できる環境を整備していくことが政府の責務であると考えますが、麻生大臣の御認識をお伺いしたいと思います。

#23
○国務大臣(麻生太郎君) 御指摘ありましたように、政府としては、二度の補正予算とか、またコロナ予備費の活用等々を通じて雇用の維持、また事業の継続、国民の生活の安定等々の下支えに万全を期しているところであります。
 また、十一月の十日でしたかの閣議におきましても、総理からポストコロナに向けた経済の持ち直しの動きを確かなものとして民需主導の成長軌道に戻せという御指示もあっておりますので、新型コロナウイルス感染症のまずは拡大の防止でありますし、また、このポストコロナと言われるようなもの、という時代とか経済構造というものに合わせて展開もしていかなきゃならぬ業種もあろうと思いますので、そういったものの好循環を実現すると。
 傍ら、防災・減災等々、国土強靱化というものはこれやらねばならぬ大事なところなんで、このインフラができませんと生産性も上がらぬということにもなってくることにもなろうと思いますので、やっぱり国民の安全、安心の確保というこの三本を柱にして経済対策を策定するように指示のあったところであります。したがいまして、経済対策の三次補正等々、盛り込む具体的な施策については、これは総理の今指示に基づいて目下検討させていただいているという段階であります。
 いずれにいたしましても、社会活動とこの拡大防止という活動をこれ両立させぬといけませんので、しっかりとした効果的な施策を取りまとめてまいりたいと考えております。

#24
○牧山ひろえ君 ありがとうございます。是非しっかりお願いしたいと思います。
 補正予算も含め、対策の規模を検討する際に、新型コロナ感染症による経済損失がどの程度かというのは指標にすべき情報だと思うんですね。
 国際通貨基金、IMFは、十月十三日に改定された世界経済見通し、WEOにおいて、このコロナ禍の経済的損失について、今後六年間で二十八兆ドル、すなわち約三千兆円と試算しました。
 そこでお伺いしたいんですけれども、日本のコロナ禍の経済的損失についてはどの程度と見積もられていらっしゃるんでしょうか。

#25
○国務大臣(麻生太郎君) これはもう極めて大きな被害というか影響が出ていることは確かですけれども、まだちょうど今継続をいたしておりますので、今の段階で経済的損失というものに対する見積りというものを申し上げるのは少々困難だと思いますが。
 その上で、二〇二〇年、今年度の四―六のGDPにつきましては、国内外で様々な経済活動が抑制をされております関係で、前期比マイナス八・二%となっております。他方、七―九、翌月ですが、この七―九の期においてGDPは、社会活動レベルが少し引き上げられていく中で持ち直しの動きというものが見られて、前期比でプラス五・〇%の成長に転じております。
 したがいまして、今後、日本経済が本格的な成長軌道というものに戻っていくためには、感染拡大防止と社会活動、いや、経済社会活動というものの両立を図って経済を回していくということが重要ということになろうと存じます。既に二回にわたりまして補正予算をやらせていただき、事業と雇用、そして生活の下支えというものを守るための施策を講じてきたところであります。
 更に新たな経済対策の指示も出されておりますので、引き続き、感染状況とか経済動向などのいろいろきめ細かく分析をいたしました上で経済財政運営というのをやってまいりますので、今の段階で御質問のどれくらいのマイナスになっているかというのを数字の上で申し上げるということは少々困難であろうと思っております。

#26
○牧山ひろえ君 コロナ対策が最優先ということは間違いないと思うんですけれども、やっぱり無限に原資があるわけではないですし、対策の適正な規模というものは当然あると思うんですね。この経済的損失の規模によって、次年度予算の規模をどうするのか、第三次補正予算を組むべきなのか、予算編成の際の真水はどの程度にするのか等々、様々な検討に影響を与えると思うんです。なるべく早期に見通しを出していただくことを希望します。
 内閣府が十六日に発表しました二〇二〇年度七月から九月期の実質国内総生産、GDPは前年比で年率二一・四%増となりました。四月から六月期に記録した戦後最大の年率二八・八%の落ち込みの半分を取り戻した計算となります。
 一方で、アメリカの場合はどうなっているかといいますと、四月から六月、年率三一・四%減少し、そして七月から九月期に三三・一%取り戻しているんですね。ユーロ圏は、四〇%減少し、そして六〇%戻しているんですね。ですから、四月―六月期に失った分の米国は七割以上取り戻している、そしてヨーロッパの場合は九割以上回復しているということになります。
 このように、欧米は我が国を上回る回復ペースを示しています。日本の回復ペースが欧米に及ばない原因について、麻生大臣はどのようにお考えでしょうか。

#27
○国務大臣(麻生太郎君) これは、御指摘のとおり、数字の上ではそうなっておりますが、ヨーロッパの場合、御存じのように、極めて厳しいロックダウンという、まあ地域閉鎖というんですかね、そういうものをやって、四―六のGDPの落ち込みというものを見ますと、これは日本より断然大きかったということもありますので、七―九の成長率はそれに比べますとどんと高くなってくるということなんだと思います。
 その上で、日本の新型コロナ前の水準との比較で申し上げれば、日本の七―九の、四―六じゃありません、七―九のGDPは四・二%減となっておりますから、主要国と比べて大きな差はほとんどないと思っております。
 今後、本格的な経済成長に戻していくということになりますと、感染拡大防止と経済成長というものの両立を図って日本の経済を回していくことが重要なんだと思いますが、いずれにいたしましても、感染状況とかまた経済動向というのをきめ細かく分析して経済財政運営に万全を期してまいりたいと思いますが、もうしばらくこの種の話は、日本の場合、七―九の場合にかなり預貯金が逆に増えたりしておりますから、そういった意味では、それを全部ばっと消費に回ったアメリカなんかと比べて、国民の生活態度というものもかなりそれらに数字の上では出てくるだろうなという感じはいたしております。

#28
○牧山ひろえ君 七月から九月期は回復傾向なんですけれども、それでもコロナ拡大前の水準には到底達していないんですね。その状況下で、多くのアナリストは、十月から十二月期につき景気の減速という見通しに立っているんです。経済の回復と感染拡大の両立のバランスは非常に繊細でありまして、注意深いかじ取りが求められていると思います。
 さて、新型コロナウイルス感染症の感染拡大とこれによる日本経済への甚大な影響を乗り越えるために、新型コロナウイルス感染症緊急経済対策、これが四月七日に閣議決定され、四月二十日に変更の閣議決定がされました。この経済対策を実行するために編成された令和二年度第一次補正予算においては、予備費が一兆五千億円計上されました。また、第一次補正予算を強化するために編成された令和二年度第二次補正予算におきましても、予備費に十兆円が追加されました。以上によって、新型コロナウイルス感染症対策予備費は、第一次、第二次補正予算を合わせて十一・五兆円にも上っています。
 令和二年度当初予算における年度予備費は五千億円です。これは予算全体の割合の〇・四九%に当たります。これに対しまして、一次補正では五・八四%を、そして二次補正では三一・三四%を予備費が占めていることになります。
 このことからも、通常の予備費の規模に比較して、まさに桁違いの巨費が計上されていることが分かります。この予備費につきましては、使用決定の状況が、お配りした資料、これですね、資料に掲載されております。現時点での予備費の使用額合計は四兆二千二百二十億円、使用残額は七兆二千七百八十億円です。
 これらの状況を鑑み、第二次補正予算成立から六か月が経過した現時点から振り返って、十一・五兆円という規模が果たして適当であったのかどうか、また、財政弛緩が生じてはいないかについて、それぞれどのように評価されているのか、麻生大臣の見解をお示しいただきたいと思います。

#29
○国務大臣(麻生太郎君) このコロナの予備費に関してのお話ですけれども、これは、新型コロナウイルスへの対応策がこれはかなり長期戦になってくるということを見据えておりますので、状況の変化に応じて臨機応変にかつ迅速にというか、時機を逸することなく対応する必要があったことから計上させていただいたものであります。
 新型コロナウイルスへの対応に万全を期すという観点から考えても、コロナ予備費の規模を十一・五兆円というのは過大だったと考えているわけではありません。また、このコロナ予備費について、これまでも持続化給付金とか雇用調整助成金の特例措置に不足が生じておるという経緯や、また、検査体制の抜本的な拡充とか医療提供体制の確保など、感染拡大防止というのに必要な経費に措置をしてきたと思っております。
 いずれにしても、適時適切に対応してきたものと考えておりますので、委員の御懸念のように、財政が緩んだとかいうようなことが生じているというようには考えておりません。

#30
○牧山ひろえ君 予備費は歳出予算に計上されているものの、その具体的な使途は予算の議決の段階では未確定であり、使用される段階で初めて特定されるため、予算の議決時点では国会の最終的な承認を経たものと言うことはできない性質のものです。この意味で、予備費は、憲法八十三条に規定される財政民主主義、そして八十六条に規定される予算の事前議決の原則の例外と言えると思うんですね。それゆえ、規模については必要最小限であることが強く要請されます。
 ですが、今回の新型コロナウイルス感染症対策予備費は、リーマン・ショックや東日本大震災時に編成された補正予算全体の規模に匹敵する十一・五兆円という史上空前の規模が計上されております。そして、予算の事前議決の原則とその例外との関係を逆転させるかのような状況となっています。
 このため、私たち立憲民主党は、この規模の妥当性について強く疑義を呈するとともに、財政規律を緩めるのではないかとの懸念も指摘してまいりました。その疑義と懸念は、今の御答弁でもまだ払拭されてはおりません。
 六月八日に衆参の本会議で行われました第二次補正予算に関わる財政演説におきまして麻生財務大臣は、同補正予算で追加する十兆円の新型コロナウイルス感染症対策予備費につきまして、こう説明しておられます。十兆円のうち五兆円は新型コロナウイルスの第二波、第三波が襲来し、事態が大幅に深刻化した場合への対応に必要な金額であり、残り五兆円は予見し難い事態が起こった場合に万全を期するために必要な金額であるというふうにおっしゃられています。
 前者の五兆円、すなわち事態が大幅に深刻化した場合の五兆円につきましては大まかな内訳も示しており、雇用維持や生活支援に一兆円程度、事業継続に二兆円程度、そして医療提供体制等強化に二兆円程度というふうにされております。
 新型コロナウイルス感染症対策予備費のうち、使用が決定されたのは現在のところ四・二兆円です。この四・二兆円と、第一次補正予算で計上した一・五兆円や、そして第二次補正予算で計上した十兆円との対応関係、とりわけ十兆円の内訳との関係を御説明いただければと思います。

#31
○国務大臣(麻生太郎君) 六月八日のこの財政演説におきましては、令和二年度の第二次補正予算の措置したコロナ予備費十兆円のうち、五兆円につきましては、ある程度の幅を持ったものとして、雇用維持や生活支援の観点から約一兆円、事業継続の観点から二兆円程度、そして医療提供体制の強化の観点から約二兆円程度というものが必要になるのではないかと考えているということを申し上げさせていただいたのが六月八日だと思います。
 これまでに使用決定されたコロナ予備費四・二兆円のうち、この財政演説より後に使用決定が行われました四兆円につきましては、雇用維持や生活支援の観点、一兆円程度必要と申し上げたところから九千五百二十九億円、また事業継続の観点、二兆円程度が必要と想定から一兆二百五十一億円、医療提供体制の強化の観点から二兆円程度と申し上げたものから二兆七十億円のものとなっております。
 また、一次補正で措置をされておりますコロナ予備費一・五兆円も、これは二次補正で措置をされたコロナ予備費十兆円も同じコロナ予備費として整理をされておりますので、使用決定されましたコロナ予備費につきまして、一次補正の由来によるものなのか二次補正の由来によるものかというものは、なかなかちょっと区別ができませんという点に関しては御理解をいただければと存じます。

#32
○牧山ひろえ君 元々、予備費の性質上お金の色分けを厳密に行うことは難しいということは承知しているんですけれども、財政規律が確保されているのかを確認する必要があること、そして政府には説明責任を誠実に履行する義務があること、こういったことからすると、対応関係について国民にも分かりやすく整理して説明することが必要なのではないかと思うんですね。こういったことがまた求められているのではないかと思うんですね。
 さきに述べましたように、大臣御自身の演説の中で、使うべき局面を区別して説明されています。そういったことからすれば、予備費の使用決定時にどの枠組みからの支出なのかを明示した上で支出を行うべきだったと私は思います。
 新型コロナウイルス感染症対策予備費の使用について、麻生財務大臣は財政演説の中で、適時適切に国会に御報告いたしますと述べられました。しかし、さきの通常国会では、野党側からの会期延長の求めは受け入れられず、早々に閉会されてしまいました。
 現時点で使用決定された四・二兆円のほとんどは通常国会の閉会後に使用決定されたものであり、合計四回、総額四兆円にも上る多額の予備費使用に関わる国会報告は、衆参の予算委員会理事懇談会において政府から聴取する形で行われてきました。ただし、理事懇談会は広く一般に公開されるものでもないですし、また、委員会で作成されているような会議録というのは理事懇談会では作成されません。
 衆参予算委員会理事懇談会での政府からの説明は、使途と金額が簡単にまとめられたペーパーで行われるにとどまっています。お配りしました資料を御参照いただければと思います。これですね。これが果たして財政演説で述べられた適時適切な報告にかなうものであったのか、麻生財務大臣の見解をお示しいただければと思います。

#33
○国務大臣(麻生太郎君) 今御質問あったコロナ予備費の使用につきましては、これは第二次補正予算提出の際の財政演説において、適時適切に国会に報告すると申し上げたところであります。予備費は、これ予算の事前議決の例外として内閣の責任で支出をするものでありますけれども、予算委員会におけます審議の経緯を踏まえまして、コロナ予備費の使用を閣議決定した際、その種の話を予算委員会、衆参の予算委員会、また理事懇談会の場で御報告をしてきているところであります。
 資料の内容が不十分だったんではないかという御指摘なんだと思いますが、これは口頭での説明を含めまして、きちんと適時適切に御報告を行いながらやっていかないかぬと思いますが、いずれにしても、これきちんと丁寧に説明していくというのは大事なところだと思っております。この適時適切な形でこのコロナへの対応に万全を期してまいりたいと思っておりますけれども、なかなかちょっと、このコロナの場合は、これまでのあれと違って極めて予測不可能、いつ収束するか分からぬとか、もういろんな話が日に日に入ってくるところなんで、なかなか対応が難しいところだとは思っておりますけれども、御説明、に対する対応というものはきちんとやっていかねばならぬものだと思っております。

#34
○牧山ひろえ君 そうはいっても、これを見て適時適切と考える国民はまずいないと思うんですね、こんな簡単なものでは。
 例えば、理事懇談会において通常の予算審議におけるのと同じように予算書に相当する詳細な資料を併せて提示することも簡単だったと思うんですけれども、そうされなかったのはなぜなんでしょうか。

#35
○国務大臣(麻生太郎君) なぜなのかと言われると、予備費の場合でありますので、少なくともあらかじめ予測しておくことがなかなか不可能なところで、急にこういったものというように出てまいりますんで、そういった形ではなかなかきちんと説明をするという段階にはできなかったんではないかと思っております。

#36
○牧山ひろえ君 さきに述べましたように、そもそも予備費は予算の事前議決の原則の例外であるので、やはり抑制的に運用されるべきだと思うんですね。その上、新型コロナウイルス感染症対策予備費は、先ほど申し上げましたとおり、リーマン・ショックや東日本大震災時に編成された補正予算の規模に匹敵する金額が計上されているのですから、通常の予備費以上に説明責任が果たされなければならないのは当然だと言えると思うんですね。
 今回のやり方ですと、国会に報告は一応されていますけれど、います。しかし、その場でやり過ごしだけという印象が極めて強いんではないかなと思うんです。今後の予備費の国会報告に際しては、今までのような形だけの報告方式を改め、財政民主主義の趣旨に沿った実質的な内容を伴う報告を行うことを強く求めます。
 以上のように、これまで行われてきた国会報告では政府の説明責任が十分に果たされているとは到底思えないんですけれども、加えて、国民への説明も極めて不十分であると言わざるを得ないと思います。新型コロナウイルス感染症対策予備費に限らず、通常の予備費にも共通して指摘できることはありますが、現状では、予備費の使用について、政府、財務省から広く国民に対して積極的な情報開示がなされていないためではないかと考えております。
 例えば、予備費の使途についてホームページにまとめて掲載するなどのことが、簡単なことだと思うんですけれども、行われていないのではないかなと思います。少なくとも、例えば、コロナ、予備費、使途という言葉でグーグル検索を行っても、省庁のホームページには上位に表示されないんです。予備費で、省庁のホームページに掲載されているケースもないというわけではないんですけれども、結局、国民に調べにくくなっている場合が多いんですね。ですから、国民がこういった予備費に関しまして、閣議決定されたときに新聞に載った記事を見るという、それで初めて知るというのではやっぱり適切ではないと思うんです。
 したがって、新型コロナウイルス感染症対策予備費を含めて予備費につきましては、使途を使用を決定する都度財務省ホームページなどにおいてきちんと掲載するなどの取組を行うことが最低限求められる情報ではないかと思いますが、麻生大臣、是非前向きな検討、見解をお伺いしたいと思います。

#37
○国務大臣(麻生太郎君) 一連の、今御質問は、趣旨はよく分かるところですけれども、閣議後の記者会見等々聞かれたことがあるかどうかは知りませんけど、この種のことは、結構、閣議後の記者会見で質問にはことごとく答えてきておるというようには思ってはおるんですけれども、いずれにいたしましても、文書が要るということを言っておられるんでしょう。だから、その点につきましては、私どもの方で検討させていただきます。

#38
○牧山ひろえ君 是非、新聞記事で初めて国民が知るということではなくて、きちんと財務省のホームページ等で記載して国民に知らしめるという、そういった決意を見せていただければと思います。
 質問を終わります。

#39
○勝部賢志君 立憲民主・社民の勝部賢志です。
 早速、質問をさせていただきます。
 まずは、少人数学級の推進について伺いたいと思います。
 資料をお配りしておりますので、資料の一を御覧ください。下の方にページが打ってあります。これは、経済財政運営と改革の基本方針二〇二〇、いわゆる骨太方針の中の初等中等教育改革等についての記載を資料にしたものですけれども、その冒頭から、学校の臨時休業等の緊急時においても、安全、安心な教育環境を確保しつつ、全ての子供たちの学びを保障するため、少人数によるきめ細やかな指導体制の計画的な整備やICTの活用など新しい時代の学びの環境の整備について関係間で丁寧に検討するということが記されています。
 それを受けて萩生田文部大臣は、子供たちの個別適切な学びを実現することができるようにするため、新しい時代の学びを支える環境を整備することが必要として、学級編制の標準の引下げを含め、少人数によるきめ細やかな指導体制の計画的な整備について予算編成過程において検討すると表明されました。いわゆる少人数学級に向け、一歩踏み込んだ発言をされたわけであります。
 しかし一方で、財政審の分科会、歳出改革部会の議論が行われた十月の二十六日に財務省から出された資料では、後ほどちょっと紹介しますが、少人数学級は学力向上に大きな効果はないなど、幾つかの理由を挙げて、少人数の指導体制の整備はするとしつつも、学級規模の縮小については消極的であります。
 この少人数の指導体制をどう整備していくのかということ、つまりは、学級編制の基準を引き下げて学級規模を縮小していくことを目指すのか、それとも、これまで同様、教員の加配などで少人数指導にとどまるのか、コロナウイルス感染症の対応を踏まえて安全、安心な教育環境を確保しつつ個別最適な学びを実現するということを考えれば、どのような手法を用いていくのか、まさに丁寧な議論が必要だと私は考えています。
 ですので、この問題をこの財政金融委員会でも議論をさせていただきたいということなんですが、お配りをしました資料の三を御覧ください。
 これが今御紹介をした財務省から出された資料なんですけれども、中段のところに赤い字で、「新しいデータを使った研究ほど、学級規模の縮小の効果はないか、あっても小さいことを示している研究が多い」と、こう書かれていて、以下幾つか具体が書いてあるんですが、表題といいましょうか、何というんですか、テーマといいましょうか、まあ表題ですね、表題には、「学級規模の学力への影響は限定的」だと、こういうふうに記されているんです。
 でも、本当に果たして効果はないのかということなんですが、次のページ、資料四、資料五を見ていただきたいと思いますが、これは実は文科省がこの学級規模の学力への影響について考え方をまとめたものであります。
 上から二つ目の四角の中に文科省の見解というのがあって、そこに考え方が記されているのと、その下に研究事例というところがあって、上の赤い字ですね、「学級規模が小さいほど、学習規律・授業態度が良い、授業内容の理解が高まる」と。これ、学力調査をやった分析の研究結果なんですね。
 こういうような研究も一方ではありますし、また、地方自治体は独自に少人数学級を実施しているんですね。その効果は実証済みでありますし、そして、その少人数学級に取り組んでいる自治体でやめたところは一つもないんです。逆に言うと、年々増えていると。これこそが効果があるという証左ではないかというふうに思います。
 それから、特別支援学級の児童生徒の数は、御承知のように、一クラスの標準というのは極めて低くなっていて、標準は八人です。障害のある子供たちのインクルーシブ教育、つまり一緒に教室で障害のある子と学ぶということを考えたときに、あるいは特別な配慮を必要とする児童生徒の増加などを考えると、少人数学級にしていくということは必須の条件に今なっているということなんですね。間違いなく、そして教育的な効果もその方が高いということなんだと思います。
 このような点だけ見ても、学級規模の学力への影響を限定的というふうに表現をすること自体、私はおかしいのではないかなというふうに思いますが、逆にむしろ効果が大きいというふうに私は考えています。その点について財務省としていかがお考えか、お聞かせください。

#40
○政府参考人(青木孝徳君) 少人数学級の効果につきまして御質問いただきました。
 先ほど御紹介いただいたのは十月二十六日の財政審の歳出改革部会での当方から提出した資料なんですけれども、そこで、最近の研究事例、まさにその学問的研究事例として取り上げさせていただいたものでございまして、学級規模が学力に与える影響につきましては、日本の大規模なデータを使った研究が近年蓄積されております。そのような研究の成果については、学級規模の縮小の効果はないか、あっても小さいということを示している研究が多いという指摘をしている論文があると承知しております。
 これは、関東地区の小中学校のビッグデータを取りまして、学力テストの点数とか、あとはその質問調査に基づいたデータに基づいて調査をしているんですけれども、そういった、エビデンスに基づくとそういうことがありますということを私どもは紹介をさせていただいております。
 あわせて、他方、社会経済的な背景が低い学校の生徒、御両親の年収とか教育に対する関心とかそういったものが相対的に低いというところなんですけれども、そういった生徒においては有意な学級規模の効果が確認されたという研究結果も存在しているというふうに承知いたしております。

#41
○勝部賢志君 研究の、何というんですか、研究した発表が少ないということをもって学級規模の学力への影響は限定的と言うのは、これは余りにもちょっと乱暴だなというふうに思うんですよ。
 それで、少人数学級を望む声というのは以前からあることはもう皆さんも御存じだと思いますけれども、その願いの中心は、とにかく子供たちに目が行き届き、落ち着いた環境で学習に取り組むことができるようにしてほしいということ、そして、授業だけではなくて、日常の学校生活の中で様々な子供たちの変化や声にしっかり耳を傾け、とりわけ今課題となっているいじめや不登校の対応も含めて、きめ細やかに子供たちに寄り添った対応ができるように学級の規模を引き下げてほしいというのが元からある願いの中心になっているんですね。このような切実な思いが、逆に言えば、学級規模が大き過ぎることのデメリットにもなっていると、大き過ぎることがデメリットなんだということの訴えでもあるわけです。
 このような状況を受け止めると、文科省として、先ほどちょっと御紹介をした学級規模を引き下げることの効果あるいは大きいことのデメリット、そういったことを文科省として十分に把握をされているというふうに思いますので、少人数学級のメリットがどのようなところにあるのか、あるいは少人数学級と少人数指導の効果の違いも含めて御説明をいただきたいと思います。

#42
○副大臣(田野瀬太道君) お答え申し上げます。
 少人数指導といいますのは、一定の教員数の下で、一学級の児童生徒数を維持したまま、特定の教科等の授業において、例えばですけれども、学級を習熟度別に二つのグループに分けたり、二つの学級を三つのグループに分けたり等々、学習集団を少人数化するものであり、主に学習の定着度に差が生じる算数や数学において実施されておりまして、つまずきの解消や基礎学力の定着といった効果があるものと考えております。
 一方で、少人数学級でございますけれども、学級編制の標準、四十人を下回る学級を編制するものが少人数学級とされております。これは、特定の教科等の授業といった学習集団のみならず生活集団も少人数化するものでありまして、学習面のみならず生徒指導や保護者対応などにおいてもきめ細やかな対応がしやすくなり、生徒指導面での問題の早期発見など、幅広く学校教育活動に効果があるものと考えております。また、今般のコロナの感染症対策としても、身体的距離の確保がしやすいといった声も上がっておるところでございます。
 少人数学級につきましては、地方六団体を始め学校現場からも強い要望があり、自民党、公明党、両与党からも決議をいただいておりまして、高いニーズがあるものだと考えておるところです。

#43
○勝部賢志君 副大臣、ありがとうございました。
 今、大臣の答弁の中にもありましたけれども、特別に配慮が必要な子供たちというのは非常に今増えてきています。そして、保護者の方々からも、きめ細かい行き届いた指導や先生方の対応というものを求める声が非常に高まっています。そして、今の説明の中にもありましたように、まさにコロナという状況でありますので、本来的に少人数学級のメリットというのは元々そもそもあり、それに加えて、コロナによって更に少人数学級を求める声が高まっているという状況であります。
 学校現場からはこんな声が寄せられているんですけれども、とにかく感染防止を考えたら、現状のままではとてもじゃないけれども密は避けられないと。分散登校は一時的にやりましたが、もう今は普通に戻っていますね。四十人教室にいると物すごい密になると。文科省は十五人程度と、こう言っているわけですから、とてもじゃないけど、もう毎日心配でたまらないということ。
 それから、分散登校を体験した教員からは、授業に集中しづらい子が落ち着いた環境で学習ができた、発表が苦手な子や消極的な子が活躍する機会が増えたというような意見もありますし、また、不登校だった子が登校できるようになったと、こういう事例も実際に報告されています。
 それから、保護者の方からですけれども、子供が学校から帰ってきて、授業がよく分かったと。これは、その授業そのもの、毎日毎日いつも同じようなものじゃないかもしれませんが、やはり人数が少ない中でやることに対する子供の率直な感想なんだと思うんですね。それから、これも親御さんからですが、子供がいらいらしなくなったように感じるというような報告もあります。
 それから、これは教員からですけれど、ICT教育について、効果を最大限引き出していくためには、四十人を一人の教員が対応するのはこれは到底無理だという話があります。これは専門家も実はそういう話を言っています。
 それから、実はこんなこともあって、資料六を御覧いただきたいんですが、今タブレットやパソコンを児童生徒一人当たりに、全員に配付するということを授業としてやっていますですよね。このパソコンを置くと、今の机の規格、四十センチ、六十センチの規格では、置いてしまうと、あとほか何も置けないような状態になると。できれば机を大きくしてほしいということで、新JIS規格というのがあって、これは実は四十五センチ、六十五センチの机なんですね。今までの机より一回り大きいんです。これを置くと、この図の左側見てください。普通の教室、六十四平米の教室が基本で、これがほとんどです、日本の学校はですね。その中にこの大きさの机を置くと、真ん中見てもらうと分かるんですけれども、四十の机を置くことはできないと。これは通常の形です。密を避けてというと、もっと実は空けなければならないのかもしれません。ですので、机が置けないと。これは、ICTに関わって考えていっても、物理的に難しいんだと、こんな声も実は出てきているところであります。
 こういった声がある中で、財務省、先ほどあのように言われましたけれども、このような実態や声にどのように対応していこうとお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。

#44
○政府参考人(青木孝徳君) お答えします。
 まず、コロナへの対応ということで、コロナだからということをよく、コロナだから少人数学級というようなことをよくお伺いします。ただ、その点に関しましては、もちろん感染状況も踏まえながら必要な対応に万全を期すということが大切だと思っております。
 令和二年度の二次補正予算におきまして、授業の遅れを取り戻すための教員の加配配置や学習指導員の追加配置などの措置をしっかり、もちろん消毒とか換気とか、そういったことも含めてしっかり対応していかなければいけないと思っています。
 一方で、少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備、新しい時代の学びの環境の整備につきましては、やはりこれは中長期的にきちんとしっかり丁寧な議論をして考えていく必要があろうかと思っています。
 その際、先ほど端末のお話もありましたですけれども、端末一人一台を生かしてどういう形態で授業を行っていくのがきめ細かな学びにつながるのかとか、それから一方で、教員を増やして学級編制を三十人とかというお話なんですが、教員を増やすとなると、今でも教員の採用倍率が非常に低下していて、教員の質について懸念の声もある中でそれをどういうふうに考えていくのかとか、また、加配定数を今付けてそれぞれ地域の実態に応じて使っていただいているんですけれども、そういった加配も含めた教員全体の配置をどのように最適化していくのかとか、ICTの活用というのは、学びというところだけではなくて、まさに先生が今負担になっている校務、事務的な仕事、そういったものも効率化して、要は、本業である学びというか、教えとか授業の方に集中的にいろんなことをやっていくということもあろうかと思います。そういったもろもろのことごとをしっかり総合的に検討して、財政当局でございますので、費用対効果ということも含めてきちんと丁寧に議論をしていく必要があろうかと考えております。

#45
○勝部賢志君 コロナの対策でどうですかという話をして、とにかく子供たちが密で四十人じゃやっていけないと、こう言っているんですが、そこには何も触れていないんですよ。
 先ほど副大臣もおっしゃったように、少人数指導というのは教育効果を上げる場合に必要な場面もあるかもしれません。しかし、今まさにコロナで拡大が広がっている、拡大の最中ですよね、昨日も今日も。そんな中にあって、いつ学校でもその感染広がるかもしれない。学校がその源になれば、やっぱりこの密の状態、本当にこれでいいのかというのはもう国民的な課題になるわけですよ。
 しかし、そのことには全く対応しようとされていないというのは、これは、先ほど言った資料に限定的だなんて書いて何かこう反対ののろしを上げるような、そういう手法は、私は非常に、今の時代の要求というか、国民の要求に目を背けていることだというふうに思いますよ。
 後半言われた教員の採用の話なんですけれども、これ、じゃ、是非文科省にお聞きをしたいと思うんですが、要するに、いっとき採用が非常に増えて、教員の採用、じゃなくて倍率が下がったと、倍率が下がることによって、何というんですか、質を保てないというような状態があるというようなことをおっしゃっているんですけれども、決してそんなことないんじゃないかと思いますよ、今後は。
 文科省もある程度シミュレーションを持っていて、今後の教員の確保について見通しを持っておられると思いますので、その点について副大臣から答弁お願いします。

#46
○副大臣(田野瀬太道君) お答え申し上げます。
 倍率と、そして質の点につきまして御質問いただきました。
 公立小中学校の教師の退職者数が平成三十年度末をピークに減少することに伴いまして、今後、教師の採用倍率は下げ止まり、改善していく見込みとなっております。
 引き続き、文部科学省といたしましては、教職の魅力の発信や学校における働き方改革の推進等により、志願者の確保、これをしっかりと図ってまいりたいと考えておるところでございます。
 また、教師の質の確保であったり向上に向けましては、教職課程の充実によりまして入職段階の質を確保しつつ、入職後も教員育成指標の策定等を通じた体系的、効果的な研修を実施させていただくとともに、特別免許状の活用等によります社会人などの多様な人材の活用を図るなど、養成、採用、研修の一体的改革をしっかりと推進してまいりたいと考えておるところでございます。

#47
○勝部賢志君 教員の確保について、文科省も最大限努力をされ、そしてある程度の見通しを持っておられるという前向きな答弁いただいたんですけれども、私は、そういった教員の確保の課題がある意味クリアされれば、問題は財源かなと、先ほどおっしゃいましたけど、財務省の方おっしゃいましたけど、私は、実はこの財源も解決できる課題だというふうに実は思っています。
 少子化の影響によって、ここ十年で小中学校の児童生徒数は百万人弱減っているんです。これは、これからも更に続きます。児童生徒の減少に伴って、当然ですけど教職員の数もいわゆる自然減という形で減っていくんですね。この自然減を使っていけば、この少人数学級できるんですよ。事実、第五次の改善計画、あのときは六万人の自然減を活用して、十二年掛けて四十五人から四十人にしたんですね。ですから、毎年度の大きな追加的な財政負担なんかはなくても、これを活用すればできるわけですよね。
 ですから、私はこのこと指摘をさせていただきますけれども、ここは先ほど丁寧に議論をすると言いましたが、文科省の中にもそういった考えをお持ちの方もいらっしゃるでしょうし、大臣含めて、今日副大臣もお越しいただきましたが、やはり少人数学級にこの際もうしっかり向かっていくんだという、そういうことを是非関係者間で、我々国会も含めて、しっかり議論をしていきたいと思いますので、是非これを実現していくということを麻生大臣にも頭の中に入れていただけたらと思うんですが、ちょっと時間が、予定の時間が来てしまい、幾つかもっと別の質問も実は用意をしているんですけれども、ちょっと資料の九ページ、十ページを御覧いただきたいと思うんです。
 これは先ほど副大臣もおっしゃっておられましたが、自民党、それから公明党の与党からも、実は少人数学級、もっと具体的に三十人学級あるいは三十人以下学級ということの要求、提言がなされています。詳しいことは中身をお読みいただけたらと思います。私も考え方には賛同するものであります。実はこれは多くの国民の皆さんの今願いなのではないかというふうに実は思っています。
 それから、資料の二なんですけれども、ちょっと戻りますが、恐縮ですけれども、これは、実は全国の自治体からこういう要請が上がっているんですね。上の方は、一つはコロナに対応した感染防止の観点からも是非とも進めてほしいということがこう赤字で書かれています。これは全国知事会、全国市長会、全国町村会です。
 この方々は、要するに、自前で、先ほど言いましたけれども、もう少人数学級を進めているんですよね。今国がやっているのは一年生です。小学校の一年生です。けれども、それを二年生、三年生、四年生ぐらいまで拡大しているところもあるんです。しかし、もう財政が厳しいということもあって、それからもう一つは、やっぱり全国的な教育の機会均等、あるいは子供たちの教育環境の均等化、整備という意味で、是非これは国でもってこの対応をしてほしいというのが要請の趣旨であります。
 こういうことを踏まえて、是非麻生大臣に、この少人数学級に向けた考え方について御理解をいただいた上で是非前向きに進めていただきたいと思いますが、考え方をお聞かせいただきたいと思います。

#48
○国務大臣(麻生太郎君) これはもう昔からよく言われている話なんで、先生よく御存じのところなんですけれども、先ほど政府参考人の方からも申し上げておりますけれども、少人数によるきめ細かな指導体制とか計画的な整備など、これは、新しい時代の学びというものについての環境整備については、これはもう関係者間でいろいろやっていかないかぬところだと思っているんですが、これは教員に、受けられる、いわゆる受験をされる人の比率はどんどん下がって今一・一ぐらい、そんなもんでしょう、今。そんなところまでになってきていますので、教員の質の確保というのは一定、十分に考えておかにゃいかぬところですからね。
 もう一点は、教員配置の適正化という話で、よく言われる加配の話がありますでしょう。この加配定員というのを十分に持っておられる都会の方は、実は加配のあれを余りよく活用しておられませんな、数字の上から見ると。地方の方でよく加配が行き渡っているような気が、うまく使っておられると思いますが、都会の方では、どういうわけだか、余り、東京、大阪、名古屋、いずれも余り使っておられるように見えませんので、そういった意味では、教員の加配のいわゆる適正化等々いろんなものをこれ検討せにゃいかぬところなんであって、費用対効果とかいろんな表現あるんだと思いますけれども、総合的に検討していく必要があろうと思っております。

#49
○勝部賢志君 是非これは積極的に、そして丁寧に検討していただきたいと思うんですけれども、大臣御承知の上でお話しだったというふうに思いますけれども、その加配の関係、これは例年増えてきています、年々ですね。その加配によって、学校での指導内容に幅が増えたり、あるいは効果が出てきたりというのも、先ほど私も申し上げましたけど事実です。
 ですから、加配も活用の方法によっては非常に有効だというふうに思っているんですが、先ほど申し上げたコロナの状況もあり、そして、やはりこれから、その何というんですか、コロナだけじゃない感染症もあるかもしれませんし、又は子供たちの本質的なその今の学びをしっかりサポートしていくということでいうと、やはり学級規模を縮小していくという考え方にも是非目を向けてもらうと。
 その上で、先ほど費用対効果というお話がありましたが、申し上げましたように、自然減のことを使ったり、あるいは加配の定数を多少考え直して正規の教員に振り当てていくというようなことも検討する必要があると、検討できるのではないかというふうに思いますので、そのことを申し上げ、丁寧にと申し上げましたので、またいずれこの課題取り上げさせていただくことがあろうかというふうに思います。
 もう時間が参りました。実は用意をしていて、ここにお越しいただいた参考人の皆さん、大変申し訳ありませんでした。また別の機会で是非質疑をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 委員長、ありがとうございました。

#50
○大門実紀史君 日本共産党の大門です。
 内閣替わりましたけれど、また麻生大臣、よろしくお願いをいたします。
 まず、経済、消費税についてでありますが、まず、昨日の衆議院の我が党の清水忠史議員の議論もありましたけれど、改めてお聞きしたいと思いますが、七―九のGDPは四半期ぶりにプラスになったとはいえ、全体見ますとやはり昨年十月の消費税増税後の落ち込みから回復していない、依然日本経済は消費税増税後の落ち込みにコロナが追い打ちを掛けているという状況が続いているんだというふうに思います。
 さらに、今コロナの第三波に直面しておりまして、感染も経済も予断を許さないという状況だと思いますので、思い切った対策が必要ではないかと思います。我が党もほかの野党の皆さんも、そして自民党の中でも、こういうときだから思い切って消費税の減税をという声が上がっております。
 資料を用意いたしましたけれども、世界の国々でも、主流のコロナの対策の経済対策が、消費税、付加価値税の減税ということになっております。今現在三十七か国、その国旗を並べてみました。我ながら大変きれいな資料だなというふうに思いますが、これに日の丸が加わるともっときれいになると思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

#51
○国務大臣(麻生太郎君) 白と赤だけ二色というのは、私の知っているのではポーランドだけなんだと思っていたんですけれども、日本を入れますとね、確かにおっしゃるように二か国、もう一国、ここに白と赤ね、色の色彩感覚としては分かります。
 ただ、消費税につきましては、御存じのようにもう急速な高齢化、正確には少子高齢化ということになりますけれども、いわゆる稼ぎ手の方が少なくなって受取側の方が増えてくるという人口構造の関係から、これは社会保障給付費というのがもう非常に増えてくるということになってきておるのが一点。それから、いわゆる国民が広く受益をいたすことになります社会保障の費用を、これは稼げる世代だけでということができた人口比が勤労者世代六に対して高齢者世代一という頃だった昭和三十五年ぐらいと今とは全く違っておりますので、あらゆる世代で広く公平に分かち合うという観点から、これは社会保障の財源としていわゆる位置付けられたというのが現状であります。
 したがいまして、昨年の消費税の引上げで、全ての世代が安心できます全世代型の社会保障というものへと大きく転換をしていくため、これはどうしても必要なものだと思っておりますので、今引き下げるということを考えているわけではありませんが、今御指摘のありましたドイツ、イギリス等々、そのとおりなんですけれども、これはまず財政状況が日本より良いというもののほかに、日本では全ての人に一律十万円というのの給付金を含めて二回の補正予算もやります対策等々を行っておりますので、これらは、ほかの国でそのようなことはやっておられません等々、私どもとしてはそれなりに実績というものもあるんだと思っておりますので、急速に進む少子高齢化というのを考えていった場合に、この社会保障の財源として位置付け、私どもとしてはこれをやっていかねばならぬという、これは日本の人口構造上からも絶対的な条件だと思っておりますので、一応、今の、今御指摘のように、消費に影響があるというような点もあろうかとは思いますけれども、財政を考えるという場合におきましては、この問題に関しましては消費税を引き下げるというような考え方は持っておりません。

#52
○大門実紀史君 この三十七か国はいろいろな事情がありまして、まあ社会保障財源論というのはちょっといろいろ議論しなきゃいけないんですが、多かれ少なかれどこの国も社会保障の財源に付加価値税はなっております。経済状況もいろいろでございまして、なおかつ、いろんな給付金制度をやっている国もあるわけですね。
 ですから、申し上げたいことは、そういういろんな国が共通して今回踏み切ったという意味を考えていただきたいということでございますし、安倍内閣のときに二回にわたって消費税の増税を延期されたこともありますよね、政治判断として。そういうこともありますので、今コロナの第三波という、直面しているわけですから、その消費税の減税を門前払いにするんじゃなくて、考慮の余地なしということじゃなくて、この先何が起こるか分かりませんので、政策の選択肢の一つとして、除外しないで、政治判断も含めてこれから見ていっていただきたいなということは申し上げておきたいと思います。
 その上で、次の、ちょっと急ぐ問題がございまして、緊急に対応をお願いしたい現在進行形の問題を取り上げたいというふうに思うんですけれども、今、銀行口座からの不正出金問題が本当に今現在進行中のようなことで起きております。この間、ゆうちょ銀行、NTTドコモ、ほかの複数のキャッシュレス決済サービスでも銀行口座から不正に預金が引き出される事件が相次いでいるわけであります。
 この問題で、実は私、業界の関係者に独自にヒアリングを行いましたので、それも踏まえて質問と問題提起、対策について問題提起をしておきたいと思います。
 まず、資料の二枚目ですけれども、まず金融庁、犯罪の被害の状況、何が起きたのかということと、現在までの金融庁の対応について簡潔に説明をしていただけますか。

#53
○政府参考人(中島淳一君) お答えいたします。
 NTTドコモによりますと、ドコモ口座に係る被害は、昨年十月から本年九月にかけ、百二十八件、二千八百八十五万円発生しております。また、NTTドコモ以外の複数の資金移動業者においても被害が発生している状況でございます。
 これを受けまして、銀行や資金移動業者に対しまして、金融庁からは、銀行による認証の強化、資金移動業者による本人確認の強化等の不正防止策の実施及びそれまでの間の口座連携の停止、被害者に対する補償方針の策定と実施、利用者相談への真摯な対応などを求めているところであります。また、広く国民に対しまして、警察庁や消費者庁とも連携した上で、銀行口座からの不正な出金についての注意喚起を行っているところでございます。

#54
○大門実紀史君 この金融庁の上の図が手口といいますか、やられたことなんですが、ちょっと分かりにくいので次の三枚目に、要するに、不正出金の手口といいますか、どこで何が起きたのかというのを簡略化したものを作りました。これに基づいて少し説明、質問をしたいと思うんですけれども。
 まず、犯人はどこかから、利用者個人の名前、口座番号だけでなくてIDとパスワードをどこかから入手したわけであります、これは後で触れますけれども。そして、上の方ですけど、インターネットバンキングですね、銀行の、ここに入ろうとはしたんですが入れなかったわけであります。
 なぜかというと、銀行のこのインターネットバンキングというのは、この口座から振り込みとか送金する場合は、多要素認証といいまして、ID、パスワードだけでは送金できないと。ワンタイムパスワードとか、あるいは指紋や生体認証と、もう一つの認証がないと送金ができないので、犯人はID、パスワードは入手したんだけどインターネットバンキングには入れなかったわけです。
 じゃ、どこを狙ったかということで、狙われたのが今回のNTTドコモ、ペイペイやLINEペイなどの資金移動業者ということになります。なぜ狙われたかというと、この資金移動業者は多要素認証の義務付けがないというような等々のことがあったので、セキュリティーが弱いということで、ここに入られて、パスワード、IDを使って不正出金して犯人がお金を手に、入手したということになります。
 資金移動業とは何かといいますと、これは、昔は振り込みというのは銀行とか郵便局からしかできなかったんですけれども、今は百万円以下の送金ならばインターネットとかスマホで国内、海外にも送金できるようになっております。それを扱えるのが資金移動業者、登録制であります。NTTドコモとかペイペイ、LINEペイ、楽天Edyなんかもこの資金移動業者ですね。で、そこはID、パスワードだけで入れるんで、犯人はそこを狙ったということでございます。大きく言えばそういう、簡略化して言えばそういうことが起きたということですね。
 そこで、どうしたら防げただろうということでちょっと質問していきたいと思いますが、まず、資金移動業に対する指導、金融庁のですね、指導監督体制について聞きます。
 去年の七月にセブンイレブンがセブンペイというような、セブンペイを始めました。資金移動業の登録を受けて、セブンペイというサービスを開始しました。開始した直後から不正送金が起きて、セブンイレブンはすぐセブンペイを停止をして、その後もう廃止、やめちゃいましたですね。大事件が起きました。
 そのときの手口というのはIDの乗っ取りという方法ではありましたけれども、いずれにせよ、このセブンペイの不正送金のときも、この本人確認あるいは多要素認証がこの資金移動業者のところで行われていたとしたら被害は防げたはずであります。あれからもう一年少したったんですけど、また同じようにこの資金移動業者のところのセキュリティーの低さでこういう問題が起きたとなったわけですが、金融庁として、セブンペイの事件を受けてその教訓を生かしてきたのかと、この一年、金融庁として資金移動業者に対してどういう指導をされてきたのか、まず伺いたいと思います。

#55
○政府参考人(中島淳一君) お答えいたします。
 昨年七月に発生しましたセブン・ペイ社の事案は、固定式のパスワードのみで同社のサービスにログインが可能である仕組みであった中、悪意のある者が何らかの手段により利用者のパスワードを不正に入手し、利用者に成り済ましてログインを行い、不正利用を行ったものでございます。
 こうしたことを受けまして、金融庁では、資金移動業者、前払式支払手段発行者向けの事務ガイドラインを改正し、事業者に対しまして、通常とは異なる携帯電話で取引を行う場合等において、固定式のパスワードのみに頼らない多要素認証等を導入すること、あるいは内外の環境変化や事件に応じ認証方式の見直しを行うことなど、セキュリティー対策の強化を求めてきたところであります。

#56
○大門実紀史君 結局それが実行されなかったので今回こういうことが起きたということになるわけですけど。
 少し深掘りして聞きますが、本来、この資金移動業者、これは犯罪収益移転防止法、犯罪収益移転防止法というのがありまして、アカウントを開設する際に免許証やパスポートなどで顧客の本人を確認する義務が法律上はあったんですね。
 ところが、この図のところに書いていますが、依拠、括弧付きで書いてある「依拠」で済ませるというやり方がされてまいりました。依拠というのは業界用語らしいんですけれども、要するに、銀行が既に本人を確認をして口座を作っているから、自分たちは改めて本人確認をしないで、銀行がもう確認しているんだから銀行が確認したことに依存する、依拠すると、まあ銀行が代わりにやってくれているんだと、そういう依拠で済ませるというやり方が実態、実態的にはやられてきたわけであります。
 一応、施行規則ではそういう形もあり得るとはなっているんですが、本来なら、法律そのものは資金移動業者が自分で本人確認をしなさいとなっているのを、銀行が確認したことに依拠して済ませるというやり方が実態として行われてきました。これは、利用者、利便性ですかね、簡便性で、一々本人確認するのは大変だと、マッチするのは大変だということのような理由でやられて、金融庁も容認をしてきたわけであります。
 被害の大きかったドコモ口座などは、もう開設時に、今言ったように、もう銀行に依拠して自分たちはやらないというような、本人確認も行いませんでしたし、むしろ本人以外でもドコモの口座は作れたというふうな野方図なこと、状態だったわけであります。だから、結果として、犯人はID、パスワードだけで銀行までたどり着いて出金までしたということになったわけであります。
 私は、今回の不正出金問題のセキュリティー上の第一の問題はここにあったのではないかというふうに思いますが、金融庁の認識はいかがですか。

#57
○政府参考人(中島淳一君) お答え申し上げます。
 犯罪収益移転防止法上、資金移動業者などの特定事業者が顧客との間で口座振替により決済される取引を開始する際には、銀行がその預金口座の開設に際してその顧客の本人確認を行っていたことを確認することにより取引開始時の本人確認を行うことができるとされております。今般の不正出金は、こうした方法により本人確認を行う資金移動業者のアカウントと連携する預金口座から多数発生していることから、まさに委員御指摘のとおり、当該確認方法を廃止すべきであるという意見があることは承知をいたしております。
 一方で、今般の被害原因は、悪意のある者が何らかの方法で預金者の暗証番号等を不正に入手している中、移動事業者と銀行が暗証番号のみで預金者本人か否かの確認を行っていたなど、その確認の仕方に脆弱性があったことによると考えております。また、こうした確認方法は、資金移動業者だけでなく、クレジットカード会社など他の事業者においても既に利用されていることや、顧客の利便性にも配慮する必要もあると考えられることから、まずは資金移動業者と銀行に対して、実効的な要素を組み合わせた多要素認証など、堅牢な本人確認の方法の導入を求めていくことが適当ではないかと考えております。
 その上で、事業者の取組等を注視しつつ、問題があるようであれば、必要に応じて関係省庁と連携しつつ、制度の在り方についても検討してまいりたいと考えております。

#58
○大門実紀史君 セブンペイの事件が起きて、今回事件が起きて、更に業界に、業者に求めていくというだけなんですけれども、それだとまた起きるんだと思うんですね、私。やっぱり、法律どおり、法律どおり、依拠じゃなくて本人確認するということを義務付けると、依拠はもうやっちゃいけないと、自分で確認するということを法律で義務付けるということが必要だと思いますので、いろいろ検討した結果それもあり得るというようなことだと思うんですが、その検討をもう今からやるべきだと申し上げておきたいと思います。
 こういうセキュリティーが軽視されてきた背景に何があるかということなんですけれども、要するに、もう何でもデジタル、何でもこういうフィンテック、そういう中で、セキュリティーなんか後でいいと、とにかく利便性、利便性と。
 ですから、簡単にログイン、取引、使用ができるようにということで、これ、新経済連盟というのがございまして、楽天の三木谷さんが代表理事でありますけれど、IT企業中心の経済団体ですよね。去年の四月に取引時確認の合理化についてという要望を出されておりまして、簡単に言えば、今言ったような本人確認をもっと簡単にしろと、もうできるだけ省略しろというようなことを出されているわけですね。
 業界団体だけではないんですね。それを応援する自民党の人たちもおられまして、特に平井卓也さんが頑張っているんですね。資金移動業者、新経済連盟の会員、たくさんの企業から献金をもらっておられます。デジタルIT担当大臣に今回なられましたが、ちょっと露骨過ぎるんじゃないかと私は思っておりまして、大丈夫かなというふうに思うわけですけれども。そういう方の政治的な動きとかがいろいろあって、とにかく、規制、規制とかはこれは大事な利用者保護なんですけど、それよりも利便性、利便性という流れで来たところに今回の問題も起きてきたのではないかというふうに、流れとしてそう思うわけであります。
 麻生大臣の下で、森長官、遠藤長官の下で、金融庁はフィデューシャリーデューティーといって、顧客本位の業務運営、利用者保護というのを非常に第一に掲げられて、強い指導ができる銀行や保険にはかなりそういうことを会議でも徹底されてきたんだけれども、このIT、フィンテック分野は、この時代の流れもあるかも分かりませんし、そういうちょっと、非常に頑張る、政治家の圧力もあったかも分かりませんけれど、全体として、この金融庁が掲げてきた顧客本位の業務運営、フィデューシャリーデューティー、これはこのフィンテックやIT分野では大変弱かったんじゃないかというふうに、甘かったんじゃないかと思うんですけど、局長の御感想いかがですか。

#59
○政府参考人(中島淳一君) 金融庁といたしましては、顧客本位の業務運営が非常に大切だということで、これは銀行、保険のみならず、免許業種のみならず、あらゆる業種に対して徹底してまいりたいと、その必要があると考えております。

#60
○大門実紀史君 次に進みますね。
 この問題の核心は、どうやって犯人が大量の利用者情報、ID、パスワードを入手したかと。このことが分からないと有効な再発防止策は取れないんですよね、あれこれ推測でやっていても。どこから入手したのか、どこから漏れたのかということなんですね。
 今の時点で、金融庁として、どこから大量の顧客情報、ID、パスワードが漏れたか、流出したか、把握されておりますか。

#61
○政府参考人(栗田照久君) お答え申し上げます。
 今般の不正出金事案につきましては、現在警察において捜査中であると承知しております。今のところ、犯人がどのような手段でID、パスワードなどを入手したかについては明らかになっていないものと承知しております。

#62
○大門実紀史君 どこからこの顧客情報、ID、パスワードは流出したのかということなんですけど、今日の時点では一つの可能性として申し上げておくということにしておきますけれども、私が業界関係者のヒアリング通じて最も懸念しているのが、電子決済等代行業者からの、業者そのものか、その関係者なのか、そこで働いている人なのか別として、分かりませんが、電子決済等代行業者、まあ電代業者といいますが、からの流出が最も可能性が高いのではないかと思うわけです。なぜならば、現在、銀行以外に顧客の大量のパスワード、IDを保有しているところはどこかと、銀行以外にどこがそんなもの持っているんだというと、この電代業者、電子決済等代行業者だからでございます。
 これは、二年前、この委員会で銀行法の改正について議論をいたしました。当時委員の方は覚えていらっしゃると思いますが、この電代業者のことが大変中心の、法改正の中心になったわけであります。
 資料の四枚目に、当時の銀行法改正の概要というのが資料で配らせていただきました。電子決済代行事業者というのは、これもLINEペイとかドコモは、先ほどの資金移動だけじゃなくて、電子決済事業者にも登録しておりますけれども、顧客がですね、顧客がこの電代業者にパスワードを提供をいたします。電代業者は顧客の代わりに金融機関、銀行にアクセスをして、銀行口座の残高をそのアプリを通じてお客さんに知らせる、あるいはお客さんの代わりに送金をする、支払をするというようなのが電子決済代行事業者、電子決済等代行業者でございます、電代業者でございます。
 何のためにそういうお客さんのニーズがあるかというと、幾つもの銀行の口座を一括してアプリで管理したいという方は、この電代業者に頼んで、パスワードとIDを預けて、通じてやってもらうということとか、送金とかを早くやれるのでやってもらうということで利用者が増えてきているわけでございました。
 ところが、当時の銀行法改正のときに、そうはいっても、この電代業者が顧客のパスワードとIDを大量に預かっている状況というのはセキュリティー上大丈夫なのと、これ危ないんじゃないのということになって、当時の銀行法の改正は、下の段ですね、直接電代業者がパスワードを預かったりするんじゃなくて、使うんじゃなくて、銀行の持っているオープンAPI、システムに接続することによって、そういうやり方に変えましょうと。そうすると、電代業者にパスワード、ID預ける必要ないですからですね、それが銀行法の改正の肝だったわけであります。
 金融庁に聞きますけれど、この電代業者がID、パスワードを預からないでオープンAPIに接続するということの銀行法改正から、施行後、施行後でももう二年以上たったんですかね。今この切替えは完了したんでしょうか。

#63
○政府参考人(栗田照久君) お答え申し上げます。
 まさに委員指摘のとおり、平成二十九年の銀行法改正におきまして、電子決済等代行業者が利用者のID、パスワードなどの認証情報を保有する場合の漏えいリスクなどを踏まえまして、そのような認証情報の提供を受けることなく電子決済等代行業者がその業務を営むことができるよう、銀行に対してAPI接続が可能となるような体制整備を求めてきたということでございます。
 しかし、残念ながら、このAPI接続に係る契約条件につきましては、銀行とこの電代業者との協議がなかなか収束しないという面もございまして、銀行と電子決済等代行業者の間で暫定的なスクレーピング契約がまだ残っていると、それによりまして、この電代業者が銀行口座の、係るID、パスワードを保有されているという状況がまだ残っているというふうに承知しています。

#64
○大門実紀史君 実はこの電代業者がお客さんからID、パスワードを集める、預かる、これはもうやめましょうということになって、法律では今年の五月三十一日までにやめる努力、努力をしなさいとなったわけですね。ところが、今あったように、できていないという状況、まあ法律の努力、努力ではあるけれど、法律に書いてあることが実行できないという状況になっているんですね。非常にずるずるとした対応になっているわけであります。
 これ、私、銀行法改正のときの議論、議論といいますか、思い出すんですけれども、あのときは、自民党の何部会になるんですかね、金融部会なのか財金部会なのか分かりませんけれど、自民党の中の良識派の方からちょうどあの銀行法改正のとき聞いたんですけど、もう金融庁が何度もその部会に呼ばれて、銀行法改正はいいけど余り厳しくやるなと、利便性大事だと、萎縮させるなということで、かなり呼ばれて、あの平井卓也さんですね。もう一人の名前を言えば、逮捕されたあきもと司ですよ。ああいう人たちががんがん呼んで、金融庁呼んでやったというのを、当時の聞いていたのを思い出しますよね。
 そういうことがあるから、この五月三十一日までにできないことも含めて、金融庁は、そんたくしたのか何なのか分かりませんけれど、ちょっとずるずるで、ずるずるで甘く来たんじゃないかということを強く当時のことを思い出すと思うわけでございます。
 とにかく、いまだ大量のID、パスワードが電代業者の下に保有されているということなんですね。ほかにないんですよ、大量に一般の方々のID、パスワードを保有しているようなところってないんですね、銀行以外ないんですよね。それで、銀行から漏れていませんから。そうすると、そこから漏れた可能性が一番高いということを指摘をしているわけでございます。
 ですから、現段階では一つの可能性ということで結構なんですけれど、電代業者からの流出の可能性をきちんと調べるべきだと思います。これを私、十月十三日に金融庁のレクで申し上げたんですね。そうしたら、その後、内部で検討されたのか、最後の資料ですけど、十一月十日付けで、これは何ですか、通達じゃなくてお願いですかね、電代業者へのお願いというのが出されました。
 私が質問するこの所信質疑の日程とかを考えられたと思うんだけれど、質問したときには既にもう手は打っていますということを示したかったのか分かりませんが、とにかく私の質問の前にこれを出されたわけですね。出されたことは別にいいんですけれども、もっと早くやってほしかったということは申し上げておきたいと思います。
 ただ、中身が、API接続、先ほど、まだ残っているというか、やられていないAPI接続を急いでくださいとか、漏えい防止策を強めてくださいとか、被害、つまりパスワードの漏えいはありましたかと今頃問合せするとか、何か緩い、もう腰が引けたお願いなんですよね。これ、顧客保護への危機感も使命感も感じられないというようなひどいお願いだと私は思っております。
 まず、電代業者が持っているID、パスワードのこの保有状況、管理状況について、急いで金融庁は調べるべきだと思いますが、いかがですか。

#65
○政府参考人(栗田照久君) お答え申し上げます。
 現在、電代業者に関しまして、今委員御指摘の要請とともに調査をいたしておりまして、どのような情報を保有しているのか、どこで保有しているのかなどについて、現在調査を行っているところでございます。

#66
○大門実紀史君 調査というか、アンケートなんですよね。答えても答えなくてもいいようなアンケートを出されている段階で、私、次の被害がいつ起こるか分からない状況ですから、ちゃんとした調査をすべきだということを申し上げておきたいと思いますし、銀行法の改正のときの附帯決議で、参議院の附帯決議はこういうことを一番起きてはならないということを懸念した附帯決議になっておりまして、この利用者保護について、関係省庁が適切かつ機動的な対応を強めることというような附帯決議がわざわざ上がっているわけですね。その下で起きているんですね、ずるずる、ずぶずぶ、甘々で来たからですね。そのことはちょっと本当に反省して、機敏な対応、附帯決議どおりの対応をしてもらいたいというふうに思います。
 こういうことの背景は、先ほども申し上げましたけど、デジタルといえば何でも許されるような風潮とか、政治的なIT関連議員の圧力もあると思いますし、菅内閣自身がデジタル最優先というふうなことを言っているんで、ますます危ない、利用者保護は置いてきぼりになるんじゃないかと危惧しております。
 最後に、麻生金融担当大臣にお聞きいたしますけれど、とにかく利用者保護をないがしろにして犯罪が起きているわけですので、金融庁はしっかり、私は業界の健全な発展のためにも利用者保護というのは非常に大事だと思うんですよね、長い目で見れば。そういう点でいえば、そもそも、この間の顧客本位、利用者保護というのは、私は金融庁の非常に大事な矜持であり、すばらしい志だと、心意気だと思っておりましたので、それはデジタルでもフィンテックでも同じだと思うんですよね。そういう点で、顧客本位の業務運営を揺るがず貫くことが、業界の発展にも、健全なですね、本来的な発展にもつながると思いますが、麻生大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

#67
○国務大臣(麻生太郎君) これはもう御指摘のとおり、金融機関が利用者、それ使っておられる方々の十分ないわゆる金融サービス、フィンテックの発展に伴いましていろいろ利便性を考えていくときに、利用者の利便というだけじゃなくて、ちゃんとセキュリティー、安全性も確保しておかないかぬという御指摘なんで、これは全くもって極めて適切な話だと思っております。
 先ほども金融庁の方から申し上げましたように、これは十分な対策というものをこれはちゃんと考えて顧客対策というものをやらないかぬということで、もう言ってきて、事実、実行している最中にこの不正出資金事業というのが発生したことは、これは甚だ遺憾なことだと思っております。
 したがいまして、事業者に対して不正防止の実施というものを求めておりまして、利用者保護という観点から、今後十分な対応というものがなされるように金融庁として適切に対応してまいりたいと考えております。

#68
○大門実紀史君 終わります。ありがとうございました。

#69
○委員長(佐藤信秋君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時六分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会

#70
○委員長(佐藤信秋君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、石井正弘君が委員を辞任され、その補欠として高橋はるみ君が選任されました。
    ─────────────

#71
○委員長(佐藤信秋君) 休憩前に引き続き、財政及び金融等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#72
○音喜多駿君 日本維新の会の音喜多駿です。
 新内閣が発足いたしましたが、麻生大臣続投ということで、引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
 冒頭、ちょっと質問通告入っていないんですが、よろしければ、ひとつ麻生大臣の見解、御説明をいただければと思います。
 昨日の衆議院の財政金融委員会の質疑の中で、少子化対策を御議論されているときに、麻生大臣が、産んだら大変とばかり言うから少子化が進むんじゃないかと、もっと夢とか希望とか語る人が出ないから少子化が進むんじゃないかというような御発言をされて、こちらは朝日新聞が大きく報じまして、いろいろ物議というか、大きな話題を呼んでいるところであります。
 私も二人の子供を育てているんですが、確かに子育てというのは大変な反面、それ以上に夢や希望というのもあるものであって、そうしたものはしっかり伝えていかなきゃいけないなということはもう麻生大臣がおっしゃるとおりだと思う反面、やはり個人では限界があって、国や政治が仕事をしなければ少子化対策はままならないんじゃないかというような御意見もあって、強い批判も上がっているところではあるんですけれども、この発言の真意について、もし補足などもあれば、いま一度麻生大臣からお聞かせいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

#73
○国務大臣(麻生太郎君) 何人兄弟。(発言する者あり)俺六人なんだ。男三人、女三人で生まれて、俺は戦争前に生まれていますので、大分世代が違うのかもしれませんけれども、六人、七人ざらでしたね、あの時代は、という記憶はあるの。
 子供を学校やるの大変って、私、小学校でランドセルありませんから、革のランドセルしょっているやつは羨ましいなと思って育った。そういう時代に学校行っていますので、そういったことから考えると、貧しいからとかいうだけで測れるのかねというのは、ちょっと正直そう思いますね。
 傍ら、子供の多い兄弟というのは、何となくランドセルは兄貴のが弟に回ってきたりするものだったんじゃないの、大体。今はお古のランドセルしょっている子供なんて見たことないね。みんな何かえらい高そうなランドセルで、重そうですな、あれ見ていると。そういうのしょっている人見ていますんで、ちょっと私、何となく子供を産まなくなった、大変だ、大変だっていう話ばっかりが出ますけど、子供って育てたら大変だけど面白いよという話が全然出てくることがないんで、私どもの周りで三人、四人というのはいるんですけど、それ、男三人ばっかりだったものがどうしても女の子が欲しくてもう一人頑張ったら四人目も男だったとかその逆とかいうのが大体四人のやつの、私の友達、三、四人いますけど、四人子供持っている。みんな子供楽しそうですわ。
 僕はあれ見ていると、やっぱり、親御さんと一緒に住んでいたから、それができるのかもしれませんけれども、やっぱり子供というのを産んで楽しいという部分の話を全く外に聞かれませんと、何となく、昔と違って周り核家族みたいな感じでいると、何となく、子供、大変、大変という話ばっかりが先行するというのは子供が減っていく理由の一つかなという気がするということを申し上げたと思っております。

#74
○音喜多駿君 時代時代でいろんな御苦労があると思いますし、そうした苦労を後世に継がないというか、子育て環境を良くするためにやはり政治は仕事をしなければならないと思いますし、価値観も多様化しております。
 少子化対策という点ですと、一時期はN分のN乗方式とか、税方式で言えば、産めば産むほど税が減税される、そうした仕組みが議論されていたときもあるんですが、ちょっと最近尻すぼみになっているようなイメージもありますので、こうした税制があれば、麻生大臣は六人兄弟だと、非常に家計も助かると、こういう明確な子育て世代を応援するようなメッセージというのも政治は出していく必要があると思いますので、その点は是非また今後も議論させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、質問通告の方に戻りまして、私からは、足下の経済政策、減税や財政出動について、国際金融センターについて、そして税務手続のオンライン化についての主に三点を質問させていただきますが、まず冒頭、消費税の減税の提案に関連して、新聞に対する軽減税率の在り方について取り上げたいと思います。
 というのも、十一月一日にいわゆる大阪都構想に関する住民投票が行われました。御案内のとおり、否決という結果が示されまして、この民意は厳粛に受け止める一方で、住民投票の過程で大きな問題も発生をいたしました。毎日新聞社が都構想追加コスト二百十八億円増という見出しで記事を出し、多くのメディアがこれに追随し、この言わば誤報が結果を大きく左右したという選挙分析も専門家から出されている状況です。
 公職選挙法第百四十八条にも、「虚偽の事項を記載し又は事実を歪曲して記載する等表現の自由を濫用して選挙の公正を害してはならない。」という明確な規定もあり、住民投票中に特定の立場の勢力と結託をしてアジテートする新聞というメディアについて、これは政治的に優遇されるような軽減税率が適用されているのはいかがなものかと改めて感じる次第であります。
 この問題、我々日本維新の会は衆参の様々な委員会で今週取り上げさせていただいておりますけれども、決して負け惜しみで何か言っているわけではなくて、これ本当に民主主義の危機の一つだと思うんですね。
 今後、憲法改正等々で国民投票なども行われる、住民投票もいろいろ全国各地である中で、新聞というメディアが角度を付けて一定方向に世論を誘導するような報道がまかり通ってしまえば、そして人々がそれを信じてしまえば、何度投票をやっても正しい結果は生まれないわけですから、この毎日新聞の今回の報道に、野党のみならず、一部の大阪自民党の方の一部が乗っかっていったということも、非常に私はこの日本の社会にとって危惧すべき事態の一つではないかと痛感をしております。
 こうした今回の件に加えて、総務省の調査によりますと、最も利用しているテキスト系のニュースサービスという項目で、紙の新聞は、平成二十五年は五九・三%、約六割だったものから、令和元年には二八・五%と半減しており、もはや新聞を読む人は全国的に一部の人しかいない状況であることは明らかです。
 また、デジタル化された新聞には有料サービス、このデジタル化の有料サービスにはなぜか軽減税率が適用されていないことも、日本の社会のデジタル化を進めている菅政権の方針とも矛盾するのではないでしょうか。
 こうした報道内容に問題も多く、かつ社会的役割が明確に変わった新聞については軽減税率の適用をすることはもはや不合理と考えますが、麻生大臣の見解をお伺いいたします。

#75
○国務大臣(麻生太郎君) これは、軽減税率を適用するしないという最初の消費税の導入する段階の初期からこの話があった話なんですけれども、御存じのように、幅広い方々に日々読まれているという当時の状態でもありましたし、また、購読料に係る消費税につきましては、これはOECD三十五か国中、たしか三十か国で新聞は消費税を軽減されていたという記憶がありますが、多分そういったようなことが世界的には同じことだしということでやられて、そっちの方向になっていったんだと思っておりますんで、今御指摘されておられることいろいろあるんだとは思いますけれども、今そう軽減税率は広く適用されているという現状、OECDにおいてね、現状で考えたときに、今すぐこれを直ちにというような考えを今持っているわけではありません。

#76
○音喜多駿君 今御答弁の中にあったように、導入当時いろんな議論があって、全国にあまねく均質に情報を提供し、幅広い層に読まれているということが、そういう前提が、理由があったわけですが、先ほど見たデータを見ても、そうした前提はもはや崩れ去って変更、変わってきています。
 また、麻生大臣におかれましては、軽減税率導入に際して、二〇一三年当初は新聞への適用にかなり否定的な発言を会見の中で何度もされていたことも記憶をしております。これは政治の事情によって導入がなされたかもしれませんけれども、どんどんどんどんこれは時代に合わせて変えていくものでございますので、是非麻生大臣自身の当初のお考えを政策に反映していただきたいと要望をさせていただきます。
 次に、減税の政策について御質問いたします。
 おとといも麻生大臣から、税体系全般にわたる見直しという言葉もありました。一方で、麻生大臣は、二〇二五年度までのプライマリーバランスの黒字化、この目標は撤回せず、財政健全化を強調されています。中長期的な財政健全化というのはもちろん重要である一方で、コロナという特殊事情が加わったわけですから、この短期目標は、残念ながら非現実的であり、かつ市場に向けたメッセージとしてもマイナスの影響を与えてしまっているのではないでしょうか。コロナ禍における経済界のダメージは今なお厳しいものであり、時限的に税体系を見直し、景気浮揚をさせる必要があります。
 プライマリーバランス黒字化の目標は一時撤回若しくは延期を示された上で、コロナ禍を踏まえて、例えば消費税五%に時限的に引き下げるなど、景気浮揚策のためにシンボリックな減税を大胆に行うべきと考えますが、麻生大臣の見解をお伺いいたします。

#77
○国務大臣(麻生太郎君) これは、消費税につきましてはもう、これはもう御存じのように、いわゆる日本の場合は、少子そして高齢化というのは、これは多分、日本にとって長期的には多分これが最大の国難というべき大問題なんだと認識をしております。
 その上で、少子になっていくことによって高齢化が進みますと、負担する人の側の比率がどんどん高くなって、これが導入された昭和三十五年は勤労者六人に対して高齢者一人ぐらいの比率だったものが、今二・五ぐらいになったのかな、もっと下がったかな、ぐらいと一人になっておりますので、それは簡単に言えば税金三倍ぐらいもらわぬと割に合わぬという、単純に引き延ばせばそういうことになるんですが、今はそういうことをせずに、その分は保険ではなくて税金、しかもいわゆる赤字公債で賄っておるという状況にもありますので、そういった社会保障制度というものを今のような皆保険、そういったような社会制度を維持するという前提で行くならば、何としてもこの財源というのがしっかりされねばならぬ。その意味で、いろいろな検討の結果、この消費税が社会保障の財源ということになったというのが経緯でもあります。
 したがいまして、今、全世代型の社会保障制度改革というのをやっていくためには、この消費税というのは、これはその財源として、私どもとして今引き下げるということは全く考えているわけではありません。
 いろんな意味で、このコロナというのは確かに、そうですね、感染症なんというものは少なくともこの七十年間全くないものの一つでしたので、対応が、極めて初期の段階で対応があたふたしたというのは事実だとは思いますけれども、今これをきちんとした形でやらせていただいて、おかげさまでそれなりの対応ができて、死亡者の数も先進国の中では一番少ない形にもなっておりますし、倒産件数等々、失業者の数を見ましても、それなりに対応ができてきているというふうに思ってもおりますので、今のこの段階でしゃにむに消費税を引き下げるということを考えているわけではありません。

#78
○音喜多駿君 この件はずっと前国会のときから議論させていただいておりますけれども、財源として消費税が重要である一方で、そうした効果で景気が冷え込んで税収が減れば当然財源というのは減っていくわけでありまして、やはりこういったコロナの中で、先ほど大門委員からも御指摘あったように、世界各国、まずは減税をして景気回復に努めるということは主流派経済学の考え方に沿っても当然のことだと思いますので、我々としては、是非これは提案を続けていきたいと思いますし、近日中に、我が党は再び消費税の減税法案、こちらを議員立法で提出する予定でございます。与野党の皆さん、是非とも今国会での審議、採決をお願いしたいと思います。
 減税と並行し、景気刺激策として財政出動ももちろん重要です。十月の自殺者の数は二千人を超え、昨年よりも六百十四名増加しており、コロナが原因である可能性が極めて高く、景気対策による現役世代の救済は待ったなしの情勢です。
 一方で、予備費は現在約七兆円ほど残っているということであり、これが積み残されたまま三次補正予算に話が進むというのは、これは明らかに筋が悪いのではないでしょうか。財政出動の例として、地方特例交付金として地方に交付する、若しくはキャッシュレス還元、キャッシュレスポイント還元、このキャンペーンを再開する、児童手当を増額するなど、こうしたことを我々は提案したいと思いますが、いずれにしても、三次補正予算編成前に、先に今はまだ積み残っている予備費を用いて景気の刺激策となる大胆な財政出動を行うべきと考えますが、麻生大臣の見解をお伺いいたします。

#79
○国務大臣(麻生太郎君) 先日、十日の閣議でしたか、総理から、コロナ、いわゆるポストコロナというか、それに向けて経済の持ち直しの動きを確かなものとするために、民需主導の成長軌道に戻していくための施策をという話があっております。
 したがいまして、新型コロナウイルス感染症の拡大防止、ポストコロナに向けた経済構造の転換、好循環の実現並びに防災・減災、国土強靱化推進のための安心、安全の確保、この三点というものを柱として経済対策を策定するよう指示のあったところであります。
 したがいまして、経済対策に盛り込むための施策については、総理からの指示に基づいて今検討を進めさせていただいていますが、現時点で対策の内容が決まっているものではありませんけれども、感染拡大の防止と社会経済活動の両立を図るためにいろんな施策を取りまとめてまいりたいと思っておりますが、仮に今緊急に予算の手当てが必要になる事態が生じた場合ということでしたら、コロナ予備費等々を活用して対応することになるだろうと考えております。

#80
○音喜多駿君 先ほど来御議論あるとおり、もう第三波の真っただ中に来ているという中で、本当に緊急経済対策はもう待ったなしの早急な課題ですので、是非、これは早急にプランを固めて実行していただきたいと思います。
 時間が迫っておりますので、一問飛ばして、内閣府さんにお聞きしたいと思います。
 国際金融センターについて御質問させていただきます。
 この国際金融センターについては、端的に申し上げますと、私たちは、これは全国単位でやるべきではなくて、都市を絞って、エリアを絞って、東京、福岡、大阪など、ポテンシャルがあるところに絞ってやるべきではないかと考えています。しかしながら、現在、金融庁さんに見解をお伺いすると、そういうことではないと。全国で同じようなものを、施策を打って、日本全体で、面で金融都市センターになっていくというような構想ですので、これはちょっと私は間違ったというか、余り効果的な方法ではないのだろうと思っております。
 今、金融庁さんが税制改正要望出されていますけれども、これも規制緩和として、税制の減税として最低限のものであって、香港やシンガポールといった国際金融都市に比べて、我が国の税制、特に法人税や所得税は極めて高く、より一層の大胆な負担軽減を行う必要があります。
 こうした大幅な減税や英語対応、在留資格の緩和といった規制緩和は、全国的に行うものではなく、特区的な発想を用いて行うことが現実的、効果的ではないかとやはり考えております。現にロンドンは、レギュラトリーサンドボックスという制度を用いて国際金融都市として発展していきました。
 そこで内閣府に伺いますが、現状の国家戦略特区という枠組みにおいて、国際金融センターに資する取組として可能なことはあるでしょうか。また、特区内で税率を自由に変更するようなことは可能かどうかを伺います。

#81
○政府参考人(佐藤朋哉君) お答え申し上げます。
 国家戦略特区制度でございますけれども、大胆な規制・制度改革を通して経済社会の構造改革を重点的に推進をいたしまして、産業の国際競争力の強化あるいは国際的な経済活動の拠点の形成を図るということを目的としておりまして、平成二十五年度の創設以来、様々な規制改革を実現しております。
 お尋ねの国際金融センターあるいは国際的なビジネス拠点の形成に資する取組といたしましては、例えば、開業ワンストップセンターの設置でございますとか、あるいは外国人家事支援人材の入国、在留を可能とする特例の創設、あるいは高度な外国人材の受入れを促進しやすくするための在留資格、高度専門職を付与しやすくする制度の創設などを行ってきているところでございます。
 また、税についてお尋ねでございますけれども、課税の特例措置といたしましては、御指摘のような、その法令を改正せずに自由に税率を変更できるような仕組みはございませんけれども、例えば、特区内で規制の特例措置の適用を受けて事業を行う企業等の設備投資について特別償却あるいは税額控除を認めるというような特例がございまして、例えば、外国人向けのインターナショナルスクールの整備事業などに活用されているところでございます。

#82
○音喜多駿君 済みません、麻生大臣に聞こうと思ったんですが、時間が参りましたので、この国際金融都市構想については、大阪も昨日正式に意思を表明したところでございますので、是非、この都市に、一部地域に限定してでも、しっかり特区的な発想で推し進めていただきますよう要望いたしまして、また続きは次回議論させていただきたいと思います。
 終わります。ありがとうございます。

#83
○上田清司君 麻生財務大臣、埼玉県知事あるいは全国知事会会長として大変な御教示、また御支援、御指導を賜りましたこと、この席をお借りしまして厚く御礼を申し上げます。
 また、この三十年近く、麻生大臣は、経済企画庁長官、経済財政担当大臣、あるいは総務、外務、そして総理、与党にあっては政調会長、幹事長、そして特に請われて、副総理、財務大臣を長くこうしてやっておられます。まさに国の大黒柱、国家の柱石として御尽力いただいていることに心から感謝を申し上げます。これは本当でございますので、お世辞でも何でもございません。
 それを踏まえまして、実は菅総理の所信表明で、バブル崩壊後、最高の経済状態を実現したところ、コロナ禍があったと。この最高の状態というのがどうも気になって、様々な質疑を聞いておりましたら、GDPの総額が過去最高になっていることとか、株価の上昇、あるいは雇用の拡大、有効求人倍率の好調さなどを挙げておられました。
 資料で提供しました一番後ろを見ていただきたいんですが、最後のページでございます。実質GDP及びその成長率の推移ということで、これは国会図書館がまとめたものでございますが、この図を見ても明らかのように、確かにGDP総額はずっと上がってきているわけでありまして、米中が日本の最大の貿易相手国、ASEANの伸長などを考えれば、当然、日本の経済が、対外的なものと関連しておりますので、上がってくるのは当たり前であります。
 しかし、この成長率のところを見ると、一%前後で浮き沈みしております。平均すると〇・九%、この七年八か月、この期間ですね。この〇・九%の成長率が最高の経済状態だったというふうに言えるのかということについて、麻生財務大臣の見解を伺いたいと思います。

#84
○国務大臣(麻生太郎君) 諸外国と比べてという中で、今、上田先生の御質問にもありましたけれども、その前の状況が、少なくとも約二十年とか三十年とかいいますけれども、そういった、正確には多分、一九八九年の十二月の二十九日に株価が三万八千九百十五円付けた、あれが多分最高値、あれ以外三万八千円付けたことないと思いますので。あれからずっと下がり始めて、上田先生、九二年に赤字公債を再発行というときから多分いわゆるバブル崩壊というのが始まったんだと、多分歴史家はそう書くんだと思いますけれども。
 それから約二十数年間、ずっと日本はデフレーションという、まあ数々不況はありましたけど、日本でインフレの不況はありましたけどデフレの不況をやったことありませんし、世界も、一九二九年のウォールストリートの株の大暴落ですか、あれ以後、バブルというのを戦争が始まるまで、いわゆるずっと、第二次大戦が始まるまでずっとデフレという状況を、まあルーズベルトがいろいろなことをやって、やってまた戻ったりなんかしていますので、まあデフレ。それが直ったのは多分戦争が終わってからインフレに一挙に振ったんだと思いますが。
 我々、そのインフレ経済以外やったことないのがこの七十数年だったと思いますので、このデフレ対策というのは最初のうち、日銀も間違えた、政府も間違えたんだと思うんですよね。金融は緩和すべきところは金融は収縮させたし、財政も出動すべきところが逆に財政は均衡というようなことになったのが、あれがそもそもの発端だったと思うんですけれども、結果的に長いこと突っかかりましたものですから、私どもとしては、極めて厳しい二十数年間を送った。
 安倍内閣になってそれをどうしたかというと、日銀と話をして、済みません、おたくも金融政策間違えたし、うちも間違えましたので、うちはもう財政というものを機動的に出動させますので、日銀さんもこの金融収縮一本やりじゃなくてということを話をさせていただいた結果がいろんな数字になってきているんだと思っておりますので、個別に言えばいろんなことを申し上げられるのは分からぬことありませんけれども、流れとしてそういう中で回復させてきたというのが一番大きな成果だとして言えるんではないかと思っております。

#85
○上田清司君 必ずしも御回答にならなかったんですが。実は、今からその話をしようと思ったところなんですが、先ほどのは成長率がぱっとしませんよという話だったんですが。
 海外と比較しては、一枚目と二枚目のところを見ていただければ有り難いと思っております。いかにも日本のGDP、ドルベースではほとんど動いていないと。約五百兆が五百五十兆になって過去最高ですよという話が、実は全然動いていないと。
 特に、このグラフもそうですが、一番下の数字、これは吉良州司衆議院議員が作成していただいた資料ですけれども、二〇一九年は一九九五年に比べてどの程度増えているかということで、日本が〇・九三倍、一番下のところです。アメリカが二・八倍、ドイツが一・四、フランスが一・七、あのイタリアですらも一・七一、イギリス二・一、カナダ二・〇と、こんな調子で実は一番低いと。五年おきの棒グラフで見ても、各国はこのとおり右上がりになっていますが、日本はほぼ横ばいと。
 これが本当に日本の経済最高の状態を実現したと言えるのかということで御質問をさせていただきましたが、今、麻生大臣は、一九二九年以降からの歴史的なお話と、デフレについて我々はよく分からなかったと、インフレ基調であったからと、そのために苦労して、金融緩和で一旦株価は持ち直していると。
 しかし、実際どうなのかということになってくると、今言ったように、日本は余り成長していないと。これ、本当に経済は最高の状態を実現したと言えるんでしょうかということを改めて伺いたいと思います。簡潔にお願いします。

#86
○国務大臣(麻生太郎君) 上田先生、もう一点、この中で、是非、この頃は一ドル二百四十円、一九八五年でね、八五年に始まって、これ八九年のときに百二十円ぐらい、それが七十九円までどおんと行っていますので、その分ちょっと円で計算すると、四割ぐらい、三割ちょっと違っているというのはちょっと頭に入れておいていただければと思いますが。
 その上で申し上げさせていただければ、経済成長率に比べますと、これはOECDの加盟国の中では、平均成長率に比べて、OECDの平均成長率に比べて低くとどまったことは確かです、ドルベースでいきますと。先進国の中でも急速に進む少子高齢化というのも、構造的な原因もあるとは思いますけれども、日本の場合はそれが急激に進んでいる国の一つなので、その中でデフレではないという状況をつくり出したということで、名目成長率のうち、名目GDPの伸びもそれなりに達成をさせていただきましたんで、まあ実質一・〇とかいうことになったんで、ほかの国も、フランスの一・三か、四とか、そういったところと比べましても、私どもとしてはそれは決して間違っていないと思うんですが、経済成長というか成長戦略というのを更に加速させて成長率を高めていくというのは、これは極めて重要な課題なんだと思っておりますので、比較対象の問題だとは思いますけれども、我々としては、その前の年代、数十年、二、三十年に比べてみて、この二〇一二年以降、ざあっと上げてきたというのは事実ではないかというふうに思っております。

#87
○上田清司君 それでは、視点を変えて、よく経世済民というふうに、世を治め、言わば民の心というか、あるいは懐を温めるというのは仁徳天皇の時代からの日本の伝統だというふうに私は思っています。
 民の懐が温かくなっているかどうか、豊かになっているかどうか、要するに賃金はどうだというベースで見ていくと、三枚目の図表を見ていただきたいんですが、一九九七年を一番ピークに基本的には名目賃金並びに実質賃金がずっと下がってきているという、この事実がございます。しかも、次のページも見ていただきたいんですが、世界との比較でいくと、日本の賃金が異常に低迷していると。これはちょっと九七年ではありませんが、一九九五年ベースで、日本総研の山田久氏が取りまとめたやつでありますけれども、日本が一九九五年を一〇〇と賃金見たときに、ドイツは約一・五倍、アメリカは二倍と、日本は逆に下がっているという。要は、国民の懐が必ずしも豊かになっていない、どっちかというと、この視点から見たときに本当に経済が最高の状態だったというふうに言っていいのか、このことについて大臣の見解を伺いたいと思います。

#88
○国務大臣(麻生太郎君) これは、上田先生のおっしゃるように、現金給与の総額でやるんですけれども、雇用環境の改善というのが続いていったことは確かなんですけれども、相対的に給与水準が低い、いわゆる正規ではない非正規、パートの労働者が新たに雇用した場合には、これは一人当たりの平均賃金の伸びは必然的に抑制されるということになりますけれども、こうした中でも二〇一九年辺りを見れば、少なくとも名目では増加しているという形になっているとは思いますが。
 総じて企業が利益を出した割には、私どもは、設備投資というのに回った額、賃金、いわゆる可処分所得というか賃金の方に回った分の比率に比べて内部留保が高過ぎやせぬかと、その分をもうちょっと賃金にあげられた方がどうですかと。こういったのは、これは本当は労働組合の話なんだと思いますけれども、自民党が言うのはいかがなものかと思わぬでもないんですが、毎回、財界との対談でこれ申し上げ続けてきたんですけれども、今、内部留保がたまっておった、ためていた会社の方が今回のこの危機に当たっては内部留保があった方が楽だったという結果になって、残念ながら、おまえの言うこと聞かなくてよかったと多分財界の人は思っているとは思いますけれども。今、残念ながら、それが課題、現在だと思いますが、給与にもう少し回ってもしかるべきではなかったかとかいう御意見に関しましては、同一労働同一賃金、いろんな問題を私ども今回やらせていただきましたけれども、こういった点に関しましては、今後ともやりつつ、もっとしかるべき給与になってもおかしくないんじゃないか。
 これはデフレの部分ももちろんありますよ、この中には。その中にもありますけれども、そうですね、この七年間でも二%、ベアという言葉が出てくるようになっただけでも今までとは違うとは思いますけれども、ベースアップという言葉が、二%前後で行けたという点は少なくとも評価すべきかと思いますが、もう少し上がってもよかったのではないのかというのは個人的な感情としてはありますけれども、今おっしゃる点は分からぬわけではありません。

#89
○上田清司君 ありがとうございます。
 最高の水準ではなさそうだというのは、ニュアンスは聞きました。
 やはり可処分所得の月額分で見ていっても、一九九七年は四十九万七千円、二〇一九年は四十七万七千円で毎月二万円の差があって、年間で二十四万の差があります。これ、やっぱり家計の消費支出に明らかに大きくその部分が出ているような気がします。この家計消費支出で、ピークが一九九三年で三十三万五千円ですが、二〇一九年には、まだコロナの影響がないときですが、二十九万三千円ですので、この間五十万円やっぱり差が出ていると。
 御案内のとおり、もう釈迦に説法で恐縮ですが、インバウンドで一千万が三千万になったと、大変これはこれですばらしいことですが、やっぱりこの外国人の方が十五万円で一週間過ごすというのが平均ですので、これをGDPに換算すると一兆五千億ですので、三兆円しか増えないと。しかし、日本国民が三百六十五日生きて生活をして消費をするわけですから、この六割、三百兆以上のお金が動くところを、やっぱり一〇%所得をアップさせるような政策につながってきていないんじゃないかというのが私の率直な考え方であります。
 また、時間が限られていますので、三十七分で終わりということになっていますので、あと二分しかありません。
 私は、やや大本営的発表、いいところだけを見せていくという傾向が強いんじゃないかというふうに見ております。例えば、平成元年と平成三十年を見比べて、時価総額の企業上位、世界の五十社に、平成元年には日本は三十二社入り、ベストテンに六社いた。今はトヨタが二十六位で一社しかないという事実。あるいは、ついこの間発表されたばかりですが、世界の競争力で、一昨年が三十位だったんですが、昨年が三十四位に落ちていると。これも、八九年から九二年の間、実は四年連続トップだったわけですから、これも大幅に落ちてきていると。まあ「富岳」が頑張っておりますけれども、非常に頑張っていただいて有り難いところですけれども。
 また同時に、大臣も御承知のとおり技能オリンピックというのが二年に一回やっていますが、これは五十六種、それこそ大工さんからコンピューターの接続から、あるいはまた服装デザイン、フラワーデザイン、料理、もう本当に各種にわたる、言わば日本の物づくりの根幹を成すような、言わば、何というんでしょうか、現場の技術者、それを競い合うやつですが、ずっと一貫して一位から三位、悪くても四位だったんですが、去年、おととし、初めて九位をぼおんと出ました。昨年、七位が出ました。
 明らかに日本の物づくりの技術力だとか競争力とかというのが落ちてきているんじゃないかと、都合の悪いのを押し入れの中に直して表に今は出さないんじゃないかというのが私の率直な感想であります。むしろ悪いものを摘出して、もっとやっぱり日本が強くなるような、そういう考え方に立つべきではないかということを申し上げ、大臣の所感を伺いたいと思います。

#90
○国務大臣(麻生太郎君) 二次産業、まあ一次産業を含めまして、そういう技術というものが物づくりというのに体現されて、日本は物づくり大国として輸出というのになっていったんだと思いますが、今言われましたように、この三十年間、八九年以降で見ますと、やっぱりGDP、物を作って売るという貿易収支というものを見てみましても、石油が上がったり下がったりいろいろしたりで大きくそこのところは数字が変わりますけれども、少なくとも、日本は物づくりで金を稼いでいたという時代から、やっぱり、三百六十円が百二十円にまでドルが落ち、今はまた百四円とか五円まで落ちてきますと、当然日本で作って物をやるより海外で物を作ってやる方が利益率がでかい、いわゆるグロス・ナショナル・インカムというのがGDPに代わって出てきたんだと思いますので、そういったので全部そっちに流れていったというのは事実だと思いますね。
 結果として、日本の国内で物を作る人の絶対量が減って、三百四十四万台輸出していたアメリカへの車が今は百七十万台に落ちていますから、三百四十四万台アメリカで造って、日本で造っているのは百七十万台という形になっている分だけ、労働者もそれだけ採用、雇用が落ちたということだと思います。
 したがいまして、やっぱり技術という面でいきますと、今おっしゃるような傾向が、自動車を例に引きましたけど、そのほかにも出てきているんだと思いますので、これは長期的にこれどうするか、この技術はもう廃れたものとして、いや、捨てるのか、もっとAI使ってどうにかするのかとか、いろんなことを考えていかにゃいかぬ大事な曲がり角に来ているとは思いますけど、言われていることは事実だと思います。

#91
○上田清司君 時間ですので、終わります。ありがとうございました。

#92
○渡辺喜美君 渡辺喜美でございます。
 例によって順不同で参りますので、後ろの秘書官、反射神経研ぎ澄まして出してくださいね。
 大臣がお生まれになったのが昭和十五年。その頃、全国の銀行の数がどれぐらいあったかというと、三百六十九でありました。見てきたような口を利いて申し訳ありませんが、昭和元年には銀行の数は千五百七十一あったわけです。一県一行主義というのは、法律ではないんでしょうけれども、馬場大蔵大臣でしたですかね、昭和十一年頃、帝国議会でそのようなことを語っておられます。その頃、昭和十一年の銀行の数が五百二十一であります。御案内のように、昭和二年、日本は世界大恐慌に先駆けて、昭和恐慌を起こしました。千五百七十一あったのが、昭和四年、世界大恐慌の年には千四行まで減っております。それが昭和二十年、終戦の年には六十九まで減っているんですね。
 この間、日本は資本主義国家から相当、国家社会主義への道を歩んでまいりました。戦前の日本というのはある意味資本主義国家でありますから、資本市場でお金を調達するというのはごく普通に行われていた。ところが、国家社会主義になっていきますと、直接金融は統制ができないので間接金融にシフトをしていこうと、そういうことになっていくわけですよ。何で日本が資本主義国家から国家社会主義になっていったかは、前にも申し上げましたけれども、貧困対策というものをおろそかにしてしまったんですね。そこで国家社会主義がばっこし、コミンテルンの世論せん孔工作がはびこると、そういうことになってしまったわけであります。
 大体、昭和十五年前後に日本の戦後レジームと言われるものの非常に多くが固まってきていますね。例えば、九電力体制なんというのもそうですよ。源泉所得税や法人税法ができたのもこの年。地方配付税、地方交付税ですね、この原型ができたのも昭和十五年であります。
 こうした統制型システムをつくる過程で、言わば同調圧力を利用して銀行の数を減らしていこうという歴史と今回の地銀再編というのは、一体どのように異なるんでしょうか。大臣、いかがですか。

#93
○国務大臣(麻生太郎君) 強制という形であのときは一県一行とか、国立銀行としては、第一銀行から、第二はなかったな、第三銀行、第四銀行をつくっていくんですけれども、今回の場合は、少なくとも私どもは強制をしているわけではありませんので、今のように人口がそのままの状況で減り続けるという前提で行って、今のような銀行の経営やっていった場合は、これは今の状況を維持するのは低金利の中では極めて難しい。
 結果として、倒産を避けるために銀行は経営体制を変えるか合併するか、いろいろなことを考えていかねば難しいとは思いますけれども、あのときの統制経済との関係と言われても、全く関係ないと存じます。

#94
○渡辺喜美君 是非そうあってほしいなと思いますよ。
 銀行の業績不振の背景、いろいろありますが、私はやはりデフレ経済というのが最大の理由かと思います。メガバンクの一角、みずほ銀行が週休四日制を導入をするという驚きのニュースがありました。いかに銀行業界全体が斜陽産業になってきているか。AIの発展によって、銀行とか役所とか、それから士業界、AIに取って代わられるところが非常に大きくなってくると言われております。
 地銀の業績不振の背景には一体どういうことがあるのか、端的にお答えいただきたいと思います。

#95
○国務大臣(麻生太郎君) 先ほど申し上げましたように、今合併を余儀なくされた例えば長崎とかその他、例を見てみますと、人口減少というのは大きな理由の一つだったと思っております。
 もう一つは、やっぱり利ざやがかつてのようにありませんから、今のように貸した金と預かった金との利幅というものが極端に薄くなってきていますので、その二つが非常に大きな原因だったろうなという。
 もう一つは、地域にありました産業がかなり、例えば雇用を多くやっております自動車産業が現地で造る、アメリカ、ヨーロッパ等々で現地で造るということになって、こっちで造っている人の雇用が減る等々のことがあって、結果としてそこにあった工場が閉鎖というようなことになってきましたというようなことが両々相まって、銀行経営は厳しいものになっていったんだろうと思っております。

#96
○渡辺喜美君 日本の金融機関の貸出残高を縦軸に取り、横軸に金利を取りますと、大体零コンマ何ぼのところにでっかい山があるんですね。それがするするっとなくなってきて、上限金利の手前でぽこっと小さなこぶが出てくる。これをフタコブラクダのグラフと呼んでおりますけれども、非常にいびつな金利体系になっているんですね。
 金利というのは、御案内のようにリスクプレミアムでありますから、千差万別。もうちょっと正規分布に近い形になってもいいのではないかと思われますが、先ほど来申し上げているように、長引くデフレによってこうした統制時代の金利体系から逃れられずにいるというのが今の残念ながら日本の金融ビジネスの現状であります。
 お手元にお配りをしてある資料ですが、二枚目をお開きいただきますと、「起死回生の「三本の矢作戦」」、まあどこかで聞いたような名前の文章でありますが、これは今から二十一年前、私が一年生議員のときに東洋経済に寄稿した雑文であります。
 当時、九七年に拓銀、山一が破綻し、九八年には長銀、日債銀が破綻をし、この文章を書いたのは多分九八年の十二月頃だったかと思いますが、ヘッジファンドのLTCMというのが破綻するんですね。で、ロシア国債がおかしくなってきて、それで長期金利が一%割れという事態になった頃だと記憶しております。
 その頃、もうこれは金融と産業の一体再生という大手術が必要だと。この大手術を行うには、相当のデフレ圧力を伴いますので、大量のハイパワードマネー、まあベースマネーですね、これを大量に供給すべきだと。日本経済再生のためのバイアグラ大作戦と称して怒られたのでございますが、要は大規模金融緩和ですよ。と同時に、積極財政を行う。
 ここで私が提案した大半のスキームは、ほとんど実現をしております。ただ、時間がやたら掛かり過ぎた。であるがゆえに、先ほど上田先生もおっしゃっておられたように、日本が三十年間成長しない国家に成り下がってしまったというわけであります。
 今、コロナの第三波の中で、恐らく、今のところ成功してきている倒産隔離政策というのが相当危うい状況になってくるのがもう目に見えております。まあ流動性への供給というのはいろんな手段、方法でやってきた。それが、これから徐々に明らかになっていくのは支払能力の問題。つまり、ソルベントであるかインソルベントであるか。バケツの底に穴が空いているかどうかという問題が大きく浮かび上がってきます。
 そうすると、やはり債権放棄、過剰債務のカット、こういう枠組みが残念ながら再び大規模に必要になってくるわけでありまして、中小企業再生支援協議会とかそういった枠組みの中で相談件数がやたら増えているようでありますが、それで、その体制で十分かどうか、ちょっと経産省、中小企業庁ですか、お答えください。

#97
○政府参考人(飯田健太君) お答えいたします。
 再生協議会の体制についての御質問でございます。
 中小企業再生支援協議会でございますけれども、今般の新型コロナウイルス感染症の影響で、今後ますます相談件数が増えてくるというふうに思ってございます。
 このため、私どもといたしましても、中小企業再生支援協議会の体制拡充に必要な予算ということで、令和二年度の第一次補正予算におきまして措置をいただいたところでございます。現在、三百人のところを四百人に体制を拡充すべく取り組んでいるところでございます。
 それから、そのほかに、同じく再生という意味で申しますと、金融機関から債権買取りなどを行う中小企業再生ファンド、こちらにつきましても令和二年度の第二次補正予算の方で二百億円措置いただいたところでございます。
 こうした支援を通じて、事業再生しっかり支援してまいりたいと思っております。

#98
○渡辺喜美君 ちょっと、桁が一つ足りないんじゃないでしょうかね。これから第三次補正の編成に取りかかるわけでありますから、もうちょっと桁を一個多くしたぐらいの要求をなさってもよろしいのではなかろうかと思います。
 以前も申し上げたことでありますが、日本の縦割り行政の中で、持続化給付金は経産省だと、それから雇用調整助成金は厚労省だと。アメリカはどうやっているかというと、もう金融機関を窓口にするわけですね。目利きは、入口の目利きは金融機関にやってもらう。給料、給与とかそれから家賃とか、そういったものはもう債務免除付きでいくと。まあハイブリッド型融資というやつですよ。
 したがって、こういう第三波が明らかになってきているときに、雇用調整助成金の延長をやめろとかいうことは言いませんけれども、新たなこういう債務免除付ハイブリッド融資というものを考えてはいかがでしょうか。個別に再生する場合もあるし、再編につながる場合もありますが、大臣、いかがでしょうか。

#99
○国務大臣(麻生太郎君) ちょっと、払わなくてもいい貸付金という話ですね、今言ったのは。簡単に言えば、ハイブリッド型何とかかんとかって名前だけいろいろ片仮名くっつけているけど、返さなくていい貸付金よね。融資ですな、簡単に言えば。債務免除は払わなくていいんだから。モラルハザードの問題やら何やらも考えずにやろうというわけですな。ちょっと賛成いたしかねます。

#100
○渡辺喜美君 これは以前も申し上げたことで、大臣は徳政令みたいなことはできないと、そういうことで否定をされました。
 要は、補助金で流すというところを、これを債務免除でやる。原資は税金じゃありませんよ、これはね。いつも申し上げるように、政府が国債を発行して、日本銀行がその国債を買い取るという形で通貨発行益というものを原資にするわけであって、別に将来世代の負担になるわけでも何でもない。
 そもそも、国債の発行が少ないから金利がマイナスになるんじゃありませんか。じゃ、インフレになったらどうするんだ、だからインフレ目標というのがあるんじゃないんですか。二%のインフレ目標があって、全くそれが実現できていない。それを、先ほど大臣御答弁になられたように、それ、積極財政やるべきときに増税二回もやっちゃっているわけですよ。それじゃ、せっかく大規模金融緩和やったって、財政がブレーキ踏んでいるのと同じです。残念ながら、安倍内閣のときに国民負担率は増嵩している。四四%ですよ、直近の国民負担率は。これじゃ、財布のひもが緩むわけがないのであります。
 質問通告に戻りますが、臨時のベーシックインカムとして、給付金、もう一回お配りになったらいかがですか。

#101
○国務大臣(麻生太郎君) ベーシックインカムの話ですね。
 特別定額給付金という、これはもう緊急事態宣言というのを受けまして、全国に拡大した状況を考えて、簡素な仕組みで迅速かつ的確にという形で家計の支援というのを行わさせていただいて、国民が連携してこういった困難乗り越えていくために給付したものでありまして、今御存じのように緊急事態宣言というのはもう解除をされておりますので、状況はあのときとはかなり異なっておると考えておるのがまず第一点。
 続きまして、国民皆保険とかまた皆年金といった仕組みが日本の場合定着をしておりますから、かなり、もう七十年近く。日本の社会保障制度というものを踏まえますと、全ての個人に最低限の所得を無条件に与える、いわゆるベーシックインカムというような考え方を、これはちょっとやろうとすれば、これちょっと慎重に考えないといかぬところだと思いますので。
 私どもは、感染拡大防止と社会活動の再活性というのの両立を図るためにいろんなものを考えて、施策を考えてまいりたいと思っておりますけれども、ベーシックインカムとして二回目のいわゆる特定給付金というのを配るというような発想は今持っておりません。

#102
○渡辺喜美君 先ほど、戦前の日本が貧困対策に失敗した、おろそかにしてしまったということを申し上げましたけれども、貧困とは何ぞや、お金がないことですよ。じゃ、そのお金がない状態に、これを地方に任せる、民間に任せるというのは無理です。
 貧困対策というのは国家の仕事です。お金がない状態を貧困と言うんだったら、お金を配ればよろしい。いや、そんなこと言ったらインフレになるじゃない、だからインフレ目標があるんですよ。インフレ目標二%が達成できずにデフレになりかかっている。需要ショックがこれだけ起きている。デフレギャップが五十五兆円、ちょこっと戻ったってまだ三十兆円以上ありますよ。そういうときに国債増発してお金配って、何か罰が当たることがあるんですか。全くありませんよ。
 先ほど少子化の話がありました。厚労省来ていますかね。厚労省発表の数字を見て驚きましたね。令和二年五月の妊娠届出数、何と前年同月の一七・一%減、六月、五・四%減、七月、一〇・九%減、まあ八月以降はまだ出ていないというわけです。大体長期的な少子化傾向が続いている。生まれてくる赤ちゃんの数が九十万人割り込んで、今八十六万ぐらいですか。それがこの調子でいくと八十万割ってしまうと。ということですよ。これが国難でなくて何なんですか。
 菅内閣は不妊治療の保険適用ということをやろうと、大変結構なことですね。今、出産一時金というのがありますけれども、四十二万ぐらいですか。でも、おめでた給付金というのはないですね。どこの自治体もやっていません。せいぜいおめでたグッズを配るぐらいが関の山ですよ。生まれてくる子供の数がこれだけ減ろうとしているときに、おめでた給付金ぐらい配ったって、別に罰は当たりませんよ。
 まず、厚労省、このままいくと来年の出生数、八十万人切るんじゃありませんか。ちょっと答えてください。

#103
○政府参考人(岸本武史君) お答えいたします。
 本年八月に実施いたしました調査の結果につきましては、妊娠届出数の減少が見られたわけでございますが、これに新型コロナウイルス感染症の流行が影響を与えることは推測されるわけでございますけれども、具体的にどのような要因が届出数の減少に影響しているのか、またこれがその来年の出生数にどう影響してくるのかについては、ちょっと現時点では評価はなかなか難しゅうございまして、厚労省におきまして更に分析をしてまいりたいと考えているところでございます。

#104
○渡辺喜美君 恐らく、こういうことを自治体から数字集めるのは初めてだと思うんですね。厚労省もそれなりに危機認識を持ってこういうことを始めたんだろうと思います。
 これはもうコロナが影響をしているというのはもう明らかですよ。当然、背景には雇用不安というのがあるでしょうね。もう給料も下がってしまっている、このまま子供をつくって本当に大丈夫か、そう思っているからやっぱり減るんですよ、こういうのがね。
 仮に、妊娠届というのは十一週以下が大半ですよね、九三%ぐらい。で、例えば、日本では残念ながら十六万を超えた中絶というのがあります。大半は経済的、身体的理由。その内訳は分からない、出していませんからね。その中には経済的理由ということもあるでしょう。いや、実にもったいないことですね。おめでた給付金なんか出したら中絶費用になるなどという意見もありますが、妊娠届を出すということは覚悟を持って母子手帳をもらいに行くんですよ。覚悟を持って子供をつくろう、そういう人がおめでた給付金もらって中絶費用に回すか。到底考えられないですね。日本では御案内のように二十二週未満の中絶というのが認められているという現状であります。
 仮におめでた給付金を毎月、妊娠届出したら十万円配ったって、八か月として、八、八、六十四だから、六千四百億円で済んじゃいますよね。第二次補正予算だってまだ相当、何兆円も残っているわけでしょう。仮に、こういう対症療法ではありますが、功を奏して百万人ぐらい子供が生まれる、だって一兆円も掛かりませんよ、これ。百万人だって八千億円ですよ。十分財源あるじゃないですか。どうですか、大臣。取りあえずは対症療法ですけど、やってみる価値はあるんじゃないですか。

#105
○国務大臣(麻生太郎君) 対症療法の極みみたいな話ですけれども、所管は厚生省なので、ちょっと私らのところに聞かれても、それでやったら効果があるかないか。あるという場合、よほどのことでない限り、私ども、ないものにお金を出すつもりはありませんので、よくあるという確証を厚生省で得ていただかぬとなかなか乗れませんですな。

#106
○渡辺喜美君 厚労省、どうですか。

#107
○政府参考人(岸本武史君) お答えいたします。
 厚生労働省といたしましても、コロナ禍の中で妊婦の方々を支援することは重要であると考えております。
 令和二年度第二次補正予算におきましても、新型コロナウイルスに感染した妊産婦等の方に対して、助産師、保健師等による電話や訪問などによる寄り添いケア支援ですとか、御本人が希望される場合の分娩前のウイルス検査の実施などの総合的な支援を行っております。また、妊娠、出産、子育ての不安解消にしっかり取り組んで、子供を安心して産み育てる環境整備が重要であると認識しておりまして、少子化対策大綱に基づいて不妊治療への支援、保育の受皿整備、男性の育児休暇取得促進など、総合的な対策に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、安心して子供を産み育てることができる環境を整備するため、個々人の結婚、出産、子育ての希望実現を阻む隘路の打破に取り組んでまいりたいと考えております。

#108
○渡辺喜美君 とにかく、今は非常事態であるということを忘れない企画立案というのが必要になるわけですね。
 お手元のペーパーの一枚目、いつも出している景気動向指数、これは高橋洋一教授が作ったグラフを渡辺事務所で加工したものであります。
 これを見ますと、やっぱり去年の十月ぐらいからどかんという谷ができているというのがよく分かりますね。家計支出の動向を見ますと、やっぱり去年の十月から家計消費支出は何と十二か月連続でマイナスになっていると。今年の九月は前年対比で何と家計消費支出は一〇・二%のマイナスですよ。いかに日本はコロナの前から経済が落ち込んでいたかという証拠になります。
 GDPギャップをプラスにするというのは、先ほど来申し上げているように、需要を付けてやる。そのためには、給付金とか減税とか、そういう政府がお金を配るということが非常に大事なことになりますが、大臣、いかがお考えですか。

#109
○国務大臣(麻生太郎君) いろいろなギャップの話というので御意見が出ていますが、需要を増やすということが大事という御趣旨ではないかと考えますけれども、新型コロナへの対応ということで言われるんだったら、これは二度にわたる補正予算とか、事業とか雇用とか生活を守るということは、いろいろやらせていただいた施策というのを着実に実行してまいる中で、この民間の需要というものは回復していくことが重要なんだと思っております。
 民需主導の成長経済に戻していかぬと、政府支出だけでそれを賄うのには限度がありますので、その意味では、私どもとしては、新たな経済対策というものに関しましてはいかにして民需主導に構造を切り替えていくかというのが一番大事なところだと思って対応して、少なくとも、これまでやった中で効果のなかったものはやめる。そして、いろんな意味で、私どもとしては、規制改革が始まって、デジタライゼーションとかいろんなものが今出てきつつありますけれども、そういったものをなるべく民需主導につながっていけるようなものには更に支援をしていく等々、いろいろめり張りの付いたものにつくり変えていかぬといかぬところではないかと思っております。

#110
○渡辺喜美君 その民需主導というのは昔からキャッチコピーとして使われているんですけど、その民間が大変冷え込んでしまっているわけですよ、家計消費を始めとして。デフレギャップが五十五兆円からちょこっと持ち直しても、恐らく三十兆円以上ありますよ。世耕自民党参議院幹事長は、三十兆から四十兆円の第三次補正予算が必要だと。まあ妥当な数字だと思います、私も。
 でも、今までのやり方、つまり各省持ち寄りで、積み上げ方式でやっていって三十兆円も四十兆円も積み上がるんですか。政治主導でですよ、政治主導で、あるいは官邸主導でどかんと給付金配る、大減税やる、そういうことでもやれば話は別ですけれども、第三次補正、三十兆も四十兆も各省積み上げで積み上がるんですか。

#111
○国務大臣(麻生太郎君) 政治主導というのの意味がちょっとよく分からぬのですけれども、財務省においてこれはしっかり予算を詰めながらやっていかないかぬところなんだと思いますけれども、少なくとも予算の規模のみで評価するのは正しい見方とは言えぬのだと思いますね。
 その意味で、いわゆる、私どもとしては質の高い予算を編成していくということになるんだと思いますけれども、少なくとも、金を配った結果どうなったかというのは、今いろんな方がよく言われますけれども、少なくとも、個人の預貯金は七―九で増えております。あのときは、十万円を配ったのは、かなりな部分が多くの方々に助かったということと同時に、それは、かなりな部分は預貯金に回らなければあんなに十何兆も増えませんから、預貯金が。その前の四―六に比べて七―九はぼんと増えております、数字、御存じのとおりなんで。金配っただけじゃ駄目です。それが確実に使われなければ意味がありませんので、マネタリーサプライというもの、そういったものがきちっと増えていくことにならぬと景気対策にはならぬのだと思っております。

#112
○渡辺喜美君 とにかく、日本は、残念ながら、子供が減ったせいでデフレになったわけじゃないんですよ。日本のマクロ経済政策のかじ取りを誤った結果、デフレになっているんですね。それは、もう繰り返し先ほど来議論があるように、増税やっちゃいけないときに増税をやる、金融緩和をやるべきときに金融引締めをやる、この失敗なんですよ。
 だから、今例えば給付金が効果がなかったかのようなことをおっしゃられましたけど、給付金配った頃は家計消費支出もマイナス幅が縮小しているんですよ。例えば、六月なんかはマイナス幅がマイナス一・二%ぐらいに縮小していますよね。ですから、そういうお金は、まあ一時的に滞留することはあっても、使われるようになるんですよ、これは。
 ですから、これは、第三次補正予算というのが非常に、日本経済のこの財政の崖、これを考えたときに非常に大事なことになります。
 今、円高がちょっと嫌な感じで進んできていますね。今日辺り百三円台ぐらいまで行ったのでしょうかね。デフレギャップを解消するのに円高というのは有効なことでしょうか。これを来週また黒田総裁ともやりますけど、日米の実質金利差がもうマイナス、アメリカは実質金利はマイナス一%ですから。日本は実質金利はゼロの上行っているんですよ。そういうところが背景にありますけれども、円高でデフレギャップ解消できるでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

#113
○国務大臣(麻生太郎君) 円高でデフレギャップはできるかというお話ですけれども、これは、まずお断りしておきますけれども、ドル安が正しい表現だと思いますね。ポンドも上がっていますしユーロも上がっていますけど、下がっているのはドルだけですから、ドル安という表現の方が正しいんだと思いますけれども、結果として円も高くなっておるということだと思っております。
 その上で、為替の水準とかその方向性というものについて、これはいろんな臆測を与えることになりますので、財務大臣としてコメントすることはありません。
 その上で、一般論として申し上げさせていただければ、いわゆる円安になった場合は、これは輸出業者等々、いろんな形で収益につながるということで期待はできますけど、輸入物価は上がりますから、そういった意味では地方経済や消費者の生活に影響を与えるということにもなりますので、これは両方あるんだと思いますので、様々な影響を及ぼすことだと思いますので。
 いずれにしても、GDPギャップと為替の関係を一概に申し上げるということは困難だろうと思います。

#114
○渡辺喜美君 とにかく、円・ドルレートというのは内閣の通信簿みたいなものですね。
 第二次以降の安倍内閣が百円飛び台でありましたが、これが百円を割って円高が進むということになると、再び日本がデフレの谷底に落ちかねないということを申し上げて、質問を終わります。
 ありがとうございました。

#115
○秋野公造君 公明党の秋野公造です。お役に立てるように質疑したいと思います。
 大臣にお伺いをしています。
 政府・与党は、喫緊の課題である新型コロナウイルス感染症対策を始め、国民の生命や生活を守り日本経済を再生していくための施策を講じるために、先ほど来お話があっていますとおり、第一次補正予算二十五・六兆円、第二次補正予算三十一・九兆円、そして今、第三次補正予算の編成ということでございます。
 足下の令和二年度予算、一般会計の規模が百六十兆円ということで、新規国債発行額も九十兆円ということで、公債発行残高は現時点で九百六十四兆円に及ぶということです。税収についても、新型コロナウイルスに伴う措置の経済への影響で、当初の見積りの六十三・五兆円を下回るということでありますけれども、これまで以上に賢い支出や歳出改革が求められる状況ではあります。
 現下の状況で、この経済再生に向けて必要な財政支出を機動的かつ積極的に行うことをためらうべきではないということを強く申し上げたいと思う一方で、このポストコロナの経済社会を見据えて、中長期的観点から財政の健全化も着実にやらなくてはならないということでありますが、経済再生と財政再建の両立という非常に困難な狭い道に立ち向かう財務大臣の御所見、来年度編成、来年度予算編成に向けた決意をお伺いをしたいと思います。

#116
○国務大臣(麻生太郎君) これはもう、次の世代に我々は未来というものをつなげていくわけですから、その意味におきましては、この新型コロナという一種の感染症に伴います経済危機、いろんな意味での社会構造の危機でもあろうかと思いますが、これを乗り越えて経済再生と財政の健全化というものを両立させていくというのは我々の責任だろうと思っております。
 総理から、十一月の十日でしたか、いわゆる社会活動経済レベルというものは引き上がっていく中で、我々の考えておかにゃいかぬのは、あの新型コロナが出てきた最初の頃は、よく対応が分かりませんし、内容も不明でしたので、とにかくもう自粛をお願いしますというような話で、とにかく効果あるかないか知らないけど、とにかくこれもやれ、あれもやれというような話をいろいろ申し上げてきたんですけれども、ああいう緊急避難的な対応というものをやって、まあ内容が分かりませんからやむを得なかったとは思っておりますけれども。そういったときとは違って、今、大分知見も、この一年弱の間に知見も増えてきておりますので、そういった意味では、緊急避難的な対応とはおのずと違ったものになってこないとおかしいと思っております。
 今後は、この感染状況というのをよく見ながら、私どもはそのポストコロナの結果、いろんなものが、日本の脆弱なところというのがよく分かってきましたので、自治省が、十万円と言ったらすぐ配れますなんていったって、全然配れなかった。なぜといえば、どういうところだったか、もう御存じのとおりなので、そういったような現実を見た場合に、経済構造というもののどこに脆弱なところがあるかとかいうところも分かってきましたし、いろんな意味でリモートでいろいろ仕事ができるということもかなり明確に分かってきましたので、そういった意味で、私どもとしてはいろんなものをやっていかないかぬ。
 また、エネルギーというものに関しましても、今グリーンとかいう表現がなされていますけれども、そういったものにいろんな形で、これは水素というかヘリウムに変わっていくんだとは思いますけれども、そういったものに関して構造転換を変えていく。自動車なんか最たるものなんでしょうけれども、そういったものになってきますと、新たに新しいものがそこに出てくるので。
 これ、大変という話で、何でも遅れている遅れていると言うのはみんな好きですけれども、排気ガス規制のときに、大変だ大変だとみんな言ったじゃないですか。やってみたら、結論、排気ガスって一番うまくやったのは日本だったんじゃないんですかね。ああいった気概というのは今の日本にはないのかねと、まあ新聞にはないんでしょうけど、私ども、それ見ているとちょっと、少々残念な気がしますので、私ども、いろんな形でそういったものに優先的にいろんな支援をしていきながら、効果のなかったものにはもうこれは、少なくともやめていくというようなことで、めり張り付けたものでやっていかないかぬと思っておりますけれども。
 いずれにしても、歳入歳出両面からきちんとやっていかないと、今言われたような懸念が顕在化することになりかねぬと思っております。

#117
○秋野公造君 大臣のめり張りのある対応というのは、本当にそうだと思います。
 ちょっとここで、資料に基づいて、これから防災・減災、国土強靱化を進める観点から、ちょっと情報提供を含めて質疑をしたいと思います。
 ちょっと資料一を皆さん御覧いただきますと、ベンジルアルコールといいまして、橋の長寿命化のために塗り替えを行う際にこのベンジルアルコールといったものを使って、橋の塗膜を剥がして、あるいはPCBを除去したり、あるいはその塗膜を塗り替えることに使うわけでありますが、これは医学論文でありまして、その塗膜の剥離剤によって急性ベンジルアルコール中毒が起きたという医学論文が出ました。
 ちょっと一ページ目だけで結構ですけれども、三行目見ていただくと黄色線を引いています。気管挿管をして人工呼吸器管理が開始ということで、特異的な治療法がないということでありまして、ちょっとこういう側面があります。
 これ、治療法がなくて命に関わることであるということで、注意喚起の質疑を行わせていただいたところでありましたが、その後も中毒や死亡事例も発生していると聞いておりまして、まずは厚労省にその後の対応、質疑以降の対応についてお伺いしたいと思います。

#118
○政府参考人(田中佐智子君) お答えいたします。
 橋梁などの塗装の塗り替え工事におきましては、剥離剤を使用して古い塗装を剥がす作業が広く行われていると承知をしております。
 昨年五月の委員からの御指摘を踏まえまして、ベンジルアルコールを高い濃度で含有する剥離剤を使用した工事における災害について調査をいたしました。そのところ、中毒事案、それから死亡事案が頻発をしていることを厚生労働省としても把握をしてございます。
 このために、今年八月に、橋梁等の工事の関係者に対しまして、ベンジルアルコールが体や健康に及ぼす影響を周知をするとともに、ベンジルアルコールを含む剥離剤を用いる場合の対策として、防毒マスク、保護衣の使用、換気の実施などの措置を講じることなどについて通知を出しまして、事業者に対して指導を行っております。
 また、その後、ベンジルアルコールを含む剥離剤を吹き付ける作業では防毒マスクが有効でない可能性もあることが厚生労働省として把握した事実関係から分かってきましたので、今年の十月十九日に、送気マスクを使用することなどを追加で求める通知を発出して、指導を行っているところでございます。
 さらに、建設工事を所管する国土交通省に対しても事業者に対する指導や周知に協力いただくよう要請をしておりまして、国土交通省とも連携しつつ、ベンジルアルコールによる労働災害の再発防止に万全を期していきたいと考えております。

#119
○秋野公造君 直ちに調査に入っていただいた対応に感謝申し上げたいと思いますけど、今ちょっと気になる言葉がありました。
 防毒マスクだけでなく、送気マスクの対応も求めたということでありますが、その意図について教えてください。

#120
○政府参考人(田中佐智子君) お答えいたします。
 通常、溶剤を取り扱う場合は、溶剤から揮発する有害物質への暴露を防ぐために防毒マスクを使用すると、そういうようなことになっておりますが、ベンジルアルコールを高い濃度で含む剥離剤を吹き付ける作業では、防毒マスクを使用していた作業者にも中毒の症状が認められております。
 これまでに発生しております中毒等の詳細な原因は調査中ではありますものの、作業を行う方の安全の確保に万全を期する観点から、最も暴露防止の効果が高い呼吸用保護具である送気マスクの使用を求めることとしたものでございます。

#121
○秋野公造君 送気マスクまで追加していただいたことは本当に感謝したいと思いますけど、ちょっと大変な状況だと思います。
 業界に対して指導を行うということでありますけれども、これ、ベンジルアルコール自体に対する規制の強化を行うべきではないでしょうか。

#122
○政府参考人(田中佐智子君) ベンジルアルコールによる災害防止についての委員の御指摘は重く受け止めます。また、死亡事故が発生をしていることからも、厚生労働省として早急に対応を行ってきているところでございます。
 ベンジルアルコールによる労働災害を防止するためには、事業者や実際に作業を行う作業者に、その危険有害性とともに取り扱う際の注意事項を知っていただくことが重要と考えております。
 このため、委員の御指摘も踏まえまして、ベンジルアルコールについて、労働安全衛生法に基づき化学物質の危険有害性や取扱い上の注意事項などの情報を伝達する仕組みであります容器へのラベル表示、それから、安全データシートの交付の義務対象に追加するための政省令改正に向けた手続を進めておるところでございます。
 また、ラベル表示等の義務付けがなされた場合には、作業を行う場合のリスクアセスメントも義務となりますので、これらの見直しを行うことによりましてベンジルアルコール中毒の防止が図られるものと考えております。
 なお、ベンジルアルコールを含有する剥離剤を使用した塗装塗り替え工事において発生した中毒事案につきましては、発生原因、それから発生機序など、まだ解明すべき点が多くございまして、引き続き、労働安全衛生総合研究所等の協力も得ながら調査研究を推進し、必要な対策を講じてまいりたいと考えております。

#123
○秋野公造君 政省令まで対応していただきまして、感謝を申し上げたいと思います。引き続き、万全な対応をお願いをしたいと思います。
 この防災・減災、そして国土強靱化に向けては、建設業の皆様の大きな貢献があるわけでありますけれども、他産業と比較をして労働時間が長くて休日数が少ないということで、国交省において働き方改革実行計画ということを策定をいただいて、週休二日の推進と、休日を確保するといったような取組を行っていただいていると承知してございます。
 直轄工事では、週休二日を確保した工事で労務費とか機械経費を補正する取組が行われているということでありますが、市場単価を採用している工種では、その材工単価のために補正の対象となっていないというのが現状かと思います。
 ほとんど全ての工種がいまだに市場単価となっているのり面工事。のり面工事について、これ、担い手を確保する意味でも、休日数を増やして、より働きやすい環境づくりが必要と思いますが、残念ながら、これ週休二日工事の補正が適用されておりません。これについて強く先般申入れを国交省に行ったところでありますが、その後の対応についてお伺いしたいと思います。

#124
○政府参考人(東川直正君) お答え申し上げます。
 建設業の担い手を確保する観点から、委員御指摘のように週休二日の確保などの働き方改革、喫緊の課題だと認識しております。
 国土交通省が実施する直轄の土木工事では複数の積算方式を採用しておりまして、このうち労務費、機械経費などが明らかな積算方式、これにつきましては、週休二日を確保した工事におきまして、現場の実態を踏まえてそれらの経費の補正を行っているところでございます。
 一方で、市場単価を用いる方式、これにつきましては積算業務の効率化を目的に導入された積算方式でございますけれども、元請、下請間の取引価格の実態を調査し、施工単位で取りまとめられた積算方式となっていることから、労務費、機械経費などの費用が明らかではございません。このため、現状では、市場単価を用いるのり面工事などにおきましては週休二日の補正ができておらず、業界団体などから補正の適用についての要望をいただいているところでございます。
 国土交通省といたしましては、のり面工事を含む直轄工事全体で週休二日工事の補正の対象にできるよう既に検討に着手しているところでございまして、早期に結論を得られるよう努めてまいります。

#125
○秋野公造君 素早い対応に感謝したいと思います。
 次に、資料七ページ御覧いただきたいと思います。
 トイレでありますけれども、このワーク・ライフ・バランスの推進の観点から、国交省においては、直轄工事では快適トイレということで、①、②、③ということで、こういったトイレを活用することで女性技術者の採用も増えたということで効果が上がっております。一方で、この快適トイレを一工事で費用計上できる数が二基となっておりまして、工事、施工延長がとても長いところでは、もう歩いて、何キロも歩いてトイレに行かなくてはならないといったような状況は大変、このワーク・ライフ・バランスの観点からいかがかと思います。
 原則二基でも結構かと思いますが、複数設置を可能として、ワーク・ライフ・バランスに考慮した取組を進めるべきかと思いますが、御見解お伺いしたいと思います。

#126
○政府参考人(東川直正君) お答え申し上げます。
 建設現場におきまして、働きやすい職場環境の整備、これも委員御指摘のとおり、建設業の将来の担い手を確保する観点から重要であると認識しております。
 このため国土交通省では、直轄工事から率先して、建設現場において男女共に働きやすい職場環境とするために、洋式便器とすること、あるいは臭いにおいが逆流しない機能などを備えた誰もが活用しやすいトイレを快適トイレということで標準仕様を定めまして、平成二十八年十月以降に入札手続を開始する工事に導入しているところでございます。
 従来の運用では、御指摘のとおり、快適トイレの費用計上につきまして、積算上、一工事において男女別で二基を上限とさせていただいていたところでございますけれども、規模の大きな工事ではトイレまでの距離が長いということで、もっと柔軟に設置ができないのかというような意見もいただいていたところでございます。
 こうした御指摘などを踏まえまして、令和二年の十月、この十月でございますけれども、に運用を見直しまして、施工延長が長いなどトイレを施工箇所に応じて複数設置する必要性が認められる工事におきましては、二基と限定せず、施工箇所ごとに計上できるというふうに改めたところでございます。
 国土交通省といたしましては、引き続き、建設現場におきまして、全ての人が働きやすい職場環境の整備に取り組んでまいります。

#127
○秋野公造君 改めて、素早い対応に感謝したいと思います。
 私、この真ん中の二番目のトイレカー、車載型のトイレにつきましては、例えば甚大な被害を受けた被災地などでの活用ということで、先般、球磨村がなかなか道路も啓開しないような状況の中で、トイレがないと被災地の対応が進まないということで、島原市がこの球磨村にトイレを貸与して大変喜んでいただいたような事例に、御紹介をさせていただいたところであります。
 女性活躍という観点でもきれいなトイレは非常に重要で、消防職員とか消防団員の女性任用を推進するためには私こうしたことは非常に重要じゃないかと思って、消防庁の皆様に提案をするんですが、前のページ見ていただきますと、物すごく大きな支援車を準備なさったようでありまして、キャンピングカーと同様のものを御準備されたということで、本当に、この火災といった小回りが利かなきゃいけないような、そういうところに本当に果たして合うのか、そして非常に高額であるような印象を持つんですが、安価で機動力のあるトイレカーと比較して、高価で重厚な支援車の費用対効果というのは非常に悪いんじゃないかと思うんですけれども、主計官の認識、お伺いしたいと思います。

#128
○政府参考人(宇波弘貴君) お答え申します。
 財務省といたしましては、それぞれの事業の担当省庁から予算の要求をいただきまして、政策の目的の妥当性、それから委員御指摘の費用対効果といったような観点も含めて、様々な観点から議論を行って、予算の査定を行っているところでございます。その上で、個々の調達については、委員御承知のとおり、契約価格の設定を含めて執行官庁において適切に行っていただくという形になってございます。
 議員御指摘の支援車でございますけれども、これについては、トイレという機能だけではなくて各種災害等に対応した資機材の収納室などの様々な機能を有するものであるというふうに承知しております。こうしたことを踏まえて、財務省といたしましても、要求の妥当性が認められるものとして予算措置を行い、消防庁において適切に調達が行われたものと考えております。
 財務省といたしましては、今後とも、御指摘をいただきました費用対効果の点も含めて、しっかりと予算の査定を行ってまいりたいというふうに考えてございます。

#129
○秋野公造君 その要求の妥当性がいかがなものかと質疑をしているわけであります。
 もう一回支援車の資料を見ていただきますと、平成二十二年四十七台、平成二十四年十七台、出動実績は十年の間に百三十一台ということでありまして、少しお考えになっていただいた方がよろしいかと思います。
 一方で、同じ消防庁関連で、消防飛行艇についてちょっとお伺いをしておきたいと思います。
 防衛省が開発をしたUS2の救難飛行艇を消防飛行艇に活用することについて質疑をさせていただいたところでありまして、消防庁に検討を求めた結果、消防飛行艇による空中消火活動の消化能力は高いと、技術的にもクリアをしているということで、何が導入できない課題なのかとお伺いをしますと、導入経費と維持管理費が多額であるといったような御答弁があったところであります。
 US2は、部品供給メーカーは千四百社を超えて、国内サプライチェーンを守るといった観点や、あるいは南西諸島の邦人保護、海難あるいは救難支援、注目を集めておりまして、そして、過去の四国の離島の火災でありますとか、あるいは東日本大震災のコンビナート火災や様々な大規模火災が我が国でも起きていることを考えると、消防飛行艇の導入ということは理にかなっていると思いますが、あとは予算ということでありまして、決して費用対効果は悪くないと思いますが、これ、財務省の見解、お伺いをしたいと思います。

#130
○政府参考人(宇波弘貴君) お答え申し上げます。
 大変恐縮でございますが、議員御指摘のこの消防飛行艇の導入でございますけれども、消防庁からの予算の要求をいただいておりません。したがって、現時点では、大変誠に恐縮なんですが、具体的なその中身を精査することができない、具体的な費用対効果について責任を持ってお答えすることができないということでございますので、御理解をいただければと思います。
 今後そうした要求がございましたら、費用対効果ですとか政策目的などを十分に吟味をして、消防庁としっかり議論をしてまいりたいというふうに考えております。

#131
○秋野公造君 大変失礼いたしました。
 大臣が冒頭、社会保障の受益と負担といったようなお話もございました。私、医療費の多くを占めているとよく注目をされる透析について、ちょっと今日、資料も提示しながらお伺いしたいと思います。
 透析はお金が掛かるというイメージを多くの国民が持っていますけれども、命を助けるだけでなく、社会復帰を可能とするコストパフォーマンスが極めて高い医療であります。
 しかしながら、これ透析も問題ですけれども、九ページを見ていただきますと、透析を受ける方の合併症も極めて深刻な状況でありまして、例えば左、九ページの左を見ていただきますと、壊疽でありますけど、足が真っ黒けになって、一気に足が真っ黒になるという、ここまで来るともう切断をしなくてはならないということでありまして、右上を見ていただきますと、透析の患者の四%が足を切断をして、左下を見ると、一たび足を切断したならば一年で半分の方がお亡くなりになっているということで、この透析を受けている患者さんの合併症を防いでいくということも、すなわち、一たび足を切ったら三百万掛かります。血流のいいところまで切り続けることになりますので、十回切ると三千万ということになります。
 膝から上を切ると一千万ということになりますが、ちょっとここで、まず透析の患者数がどれぐらいいるのかということ、そして透析医療の年間総額、一人当たりの年間総額をお伺いして、そして透析の患者全員の一年当たりの透析だけのお金、必要な経費についてお伺いしたいと思います。

#132
○政府参考人(榎本健太郎君) お答え申し上げます。
 今お尋ねの人工透析を行っている患者の数でございますが、二〇一八年末時点で約三十四万人というデータがあるというふうに承知をしております。
 それからまた、お尋ねいただきました人工透析に係る医療費でございますが、日本透析医会の第二十二回透析医療費実態調査報告によりますと、患者一人当たりの月額の医療費につきましては約四十万円、そして、これに十二を乗じますと、患者一人当たり年間で約四百八十万円というふうに試算されるところでございます。
 それからまた、お尋ねの人工透析に係る年間の医療費の総額でございますが、患者一人当たりの年間医療費に二〇一八年末の透析患者数約三十四万人を乗じることによりまして機械的に推計をいたしますと、約一・六兆円ということになるところでございます。

#133
○秋野公造君 透析の患者さん、先ほど申し上げましたが、命を助けるだけでなく、社会復帰を可能とするコストパフォーマンスが高い医療であると、合併症を予防していくことが重要だということを申し上げましたけれども、ここで重要なのは、腎移植を行うことができたならば、透析を行っていたとしても十分に老廃物を出すことができません、それで合併症が大きく進んでいるわけでありますので、腎移植を推進することができたならば生活の質は大幅に上がるわけでありますけれども、ちょっと先ほど、ランニングコストという言い方は適切ではないかもしれませんが、腎移植が行われた場合、免疫抑制剤が必要となるかと思いますが、その際の一人当たりの年間の必要な医療費及び全体の、それ、仮に全ての人が、全ての人が腎移植を希望するかどうかは分からないものの、今、腎移植を待つ患者さんの待機年数が十六年も、十六年も待たないと腎移植ができない状況であるということを考えますと、私はニーズは多いと思っております。仮に、仮にでありますが、全員が腎移植をすることができたならば、必要な医療費は幾らになるか、お伺いしたいと思います。

#134
○政府参考人(榎本健太郎君) お答え申し上げます。
 今先生も御指摘ありましたように、免疫抑制剤を継続的に投与するという前提で試算を行ってみるということでございます。お尋ねの年間の一人当たりの移植後の医療費ということでありますけれども、免疫抑制剤ということで標準的な組合せ、用量で使用するというふうに仮定をいたしまして機械的に医薬品の費用を試算いたしますと、一人当たり約九十万円程度となると試算されます。
 それからまた、移植後の医療費の年間総額ということで、仮に約三十四万人全てがこれを対象となるというふうに試算をしてみますと、単純に掛け合わせますと、移植後の医薬品の費用ということで、総額で年間約三千億円というふうになるところでございます。
 以上でございます。

#135
○秋野公造君 全て仮定の話ではありますが、透析の患者さんが全て腎移植を行うことができたならば、一・六兆円の医療費が三千五百億程度に減じることができて、何よりも生活の質は大きく上がり、そして今私は合併症の治療の経費などは一切入れておりませんので、大きな効果があるんだろうと思っています。
 ちょっと前提としてお伺いをしておきたいと思いますけれども、腎臓を、機能している腎臓を何とか守ろうとしている段階の患者さんを診る医療及び学問と、透析患者さんのように腎臓がもうなくなってしまって、腎臓がなくなってしまって透析を導入あるいは移植などを導入する、そういった深刻な合併症に対応する透析などを始めとする医療及び学問というのは根本的に違うという理解でよろしいか、ちょっとこの確認をしておきたいと思います。

#136
○政府参考人(佐原康之君) お答え申し上げます。
 腎機能が保たれている状況下にあっては、腎機能の重症化並びに透析への移行を防ぐことを目的として、患者の状態に応じて薬物療法や食事療法などを行うことが中心となります。他方、腎機能が失われ透析が必要となった場合については、透析前の治療と重複するところはあるものの、より重要なことは、透析に伴う合併症への対応を行う必要があるということであると思います。さらには、透析治療については、大きな生活様式の変容を伴い、治療を継続し続ける患者に対する心理面やあるいは倫理面での配慮も求められるなど、透析導入前とは異なった対応が必要になると認識しております。

#137
○秋野公造君 よって、透析を受けている患者さんというのは特段の配慮が必要だということで様々厚労省においても支援がなされてきたということでありますが、残念ながら、これ、資料、その次を見ていただきますと、十ページ目の最後の資料を見ていただきますと、腎移植、特に献腎移植、生体腎移植でありますが、献腎移植、お亡くなりになってから腎を提供する数は改正臓器移植法が成立してから三分の一まで減ってしまっている状態で、QOLも上がり、財政上の効果もあり、どんどん、希望する人は十六年も待ち、そういう状況で献腎移植の数が三分の一まで減ってしまっているということでありまして、脳死の移植と異なり、心臓死で行う腎移植ですから、手術室さえあれば行うことができる、極めてアクセスは非常に高いものでありますが、私が思うに、残念ながら、例えば介護施設で暮らす方、幾ら臓器提供の意思を持っていても移植ができない。在宅の方もできない。実は、臓器提供を希望する方の思いというものがかなう状況にはないというのが一つの誘因ではないかと。
 この心停止下の献腎移植、強力に進めるべきと私は思いますが、厚労省に改めて見解をお伺いしたいと思います。

#138
○政府参考人(佐原康之君) お答えいたします。
 議員御指摘のとおり、平成二十一年から心停止下及び脳死下の献腎移植総数はほぼ横ばいでありますが、その内訳を見ますと、脳死下献腎移植が増加する一方で心停止下の献腎移植は減少しているという現状にございます。
 厚生労働省では、移植患者の生活の質の向上の観点からも、腎移植等についての情報提供を行うとともに、生着率等を勘案し、特に脳死下臓器提供を可能とする医療体制の整備を進めてきましたが、十分な件数の献腎移植は実施できておりません。
 脳死下臓器提供は五類型施設でのみ可能でありますが、心停止下臓器提供には、今御指摘いただきましたとおり、手術室のほかに特別な施設要件はございません。このことを十分に医療機関に周知し、御指摘のとおり、臓器提供を希望する方の尊い意思を尊重できるよう体制整備を進めることが心停止下臓器移植を増やすためには重要であります。
 厚生労働省としては、脳死下臓器提供のみならず、心停止下臓器提供についても医療体制の整備を進めてまいりたいと考えております。

#139
○秋野公造君 ありがとうございます。
 改めて、こういう、QOLも上げ財政上の効果もあること、いいことずくめならば財務省も知恵を出す必要があろうかと思いますが、医療費削減の観点からも積極的に進めることについて、御見解をお伺いしたいと思います。

#140
○政府参考人(宇波弘貴君) お答え申し上げます。
 委員御指摘の医療保険財政の持続可能性という点については、私どもも同じ問題意識で様々な施策に取り組んでいるところでございます。
 御質問いただきました腎移植につきましては、これは厚生労働省におきまして、委員から御指摘のあったとおり、腎不全の患者の方が透析の医療から離脱できるという意味でQOLが改善する、生活の質が改善するという点から推進しているものと承知をしております。
 今御議論のあった献腎移植の実態、件数なども踏まえて、財政当局といたしましても、厚生労働省が進めている腎移植の体制整備等の推進、まずこれが必要かと思いますので、これについて適切に厚生労働省と協議をしてまいりたいというふうに考えてございます。

#141
○秋野公造君 ありがとうございます。よろしくお願いします。
 八ページ目の資料を御覧いただきたいと思います。日本初のがん治療で、がん細胞にホウ素を取り込ませ、そこに中性子線を当てることでがん細胞だけを壊すことができるといったようなBNCT治療と、すばらしい治療が開発をされて、そして、下側の写真見ていただきますと、いわゆる頭頸部、顔の下半分にできたがんについて、今般保険適用が実現をいたしました。
 顔の頭頸部にできたがんを切除すると顔がなくなってしまうということで非常に難しくて、しかし、浸潤といってがんがしみ込んだそういったような状況でも上手に治療することができると。画期的なものができたわけでありますが、残念ながら再発悪性神経脳腫瘍、これが残念ながらまだ通っておりません。
 一日も早い保険適用を求めたいと思いますが、まず厚労省の見解、お伺いしたいと思います。

#142
○政府参考人(山本史君) お答え申し上げます。
 委員にはこれまでにもいわゆるBNCTにつきまして何度も御質問をいただいております。
 このBNCTに用いる医療機器及び医薬品につきましては、世界に先駆けて日本で承認申請されるものといたしまして、平成二十九年四月に先駆け審査指定制度の対象品目に指定されました。その際の予定効能・効果は、頭頸部がんと悪性神経膠腫でございます。委員御指摘のように、このうち頭頸部がんにつきましては昨年承認申請され、本年三月に迅速に承認を行い、さらにその後、医薬品、医療機器それぞれ保険収載をされております。
 一方、この度、悪性神経膠腫につきましても治験が行われ、その結果が得られたと聞いております。悪性神経膠腫に係る治験データの評価に当たりましては、生存期間等はがんの悪性度に加え患者の全身状態やがんの進行の程度などによっても大きく異なることから、患者背景等を含め慎重に評価を行う必要があると考えておりますが、先般、山本厚生労働副大臣に対して研究者や患者等の関係者の皆様から早期の保険適用拡大に関する申入れもあったと承知しております。
 今後、この悪性神経膠腫につきまして承認申請がなされれば、PMDAにおきまして速やかに有効性、安全性の審査を行い、承認の可否の判断を適切に行ってまいりたいと考えておりますし、また、効能追加の承認がなされれば、所要の手続を経た上で保険適用となります。

#143
○秋野公造君 ありがとうございます。
 最後に、中西副大臣、お伺いしたいと思います。
 費用対効果で測るのは余り適切ではなかったかもしれませんが、明確なものは財務省として推進をしてもらいたいと思います。御見解をお伺いしたいと思います。

#144
○副大臣(中西健治君) どうもありがとうございます。
 個別の専門的な医療技術については評価できるということではありませんけれども、費用対効果が高いものであればそれは推進していきたいと考えておりますので、厚労省としっかり話していきたいと思います。

#145
○秋野公造君 終わります。ありがとうございました。

#146
○委員長(佐藤信秋君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後二時五十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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