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2020/11/19 第203回国会 参議院 第203回国会 参議院 法務委員会 第3号 令和2年11月19日
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2020/11/19 第203回国会 参議院

第203回国会 参議院 法務委員会 第3号 令和2年11月19日

#1
令和二年十一月十九日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月十八日
    辞任         補欠選任
     難波 奨二君     塩村あやか君
     竹谷とし子君     谷合 正明君
 十一月十九日
    辞任         補欠選任
     谷合 正明君     下野 六太君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         山本 香苗君
    理 事
                磯崎 仁彦君
                豊田 俊郎君
                真山 勇一君
                伊藤 孝江君
                柴田  巧君
    委 員
                小野田紀美君
                中川 雅治君
                福岡 資麿君
                森 まさこ君
                山崎 正昭君
                山下 雄平君
                渡辺 猛之君
                塩村あやか君
                下野 六太君
                川合 孝典君
                山添  拓君
                伊波 洋一君
                嘉田由紀子君
   委員以外の議員
       発議者      秋野 公造君
       発議者      古川 俊治君
       発議者      石橋 通宏君
       発議者      梅村  聡君
       発議者      伊藤 孝恵君
   国務大臣
       法務大臣     上川 陽子君
   大臣政務官
       厚生労働大臣政
       務官       大隈 和英君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   村田 斉志君
       最高裁判所事務
       総局民事局長   門田 友昌君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        青木勢津子君
   政府参考人
       警察庁長官官房
       審議官      堀  誠司君
       法務省大臣官房
       政策立案総括審
       議官       竹内  努君
       法務省民事局長  小出 邦夫君
       法務省刑事局長  川原 隆司君
       厚生労働省大臣
       官房審議官    大坪 寛子君
   参考人
       慶應義塾大学講
       師        長沖 暁子君
       明治学院大学社
       会学部教授    柘植あづみ君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した
 子の親子関係に関する民法の特例に関する法律
 案(秋野公造君外四名発議)
    ─────────────

#2
○委員長(山本香苗君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、竹谷とし子さん及び難波奨二君が委員を辞任され、その補欠として谷合正明君及び塩村あやかさんが選任されました。
 また、本日、谷合正明君が委員を辞任され、その補欠として下野六太君が選任されました。
    ─────────────

#3
○委員長(山本香苗君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省民事局長小出邦夫君外四名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#4
○委員長(山本香苗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────

#5
○委員長(山本香苗君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律案の審査のため、本日の委員会に慶應義塾大学講師長沖暁子さん及び明治学院大学社会学部教授柘植あづみさんを参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#6
○委員長(山本香苗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────

#7
○委員長(山本香苗君) それでは、生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#8
○山下雄平君 自由民主党の山下雄平です。質問の機会をいただき、誠にありがとうございます。
 不妊治療という問題についてですけれども、年々不妊治療を行われる方の人数というのは増えていっております。統計によると、二〇一八年現在では十六人に一人のお子さんが体外受精で生まれた計算になるというふうに伺っております。特有の病気による方と、また、あと晩婚化も影響しているのではないかというふうに思います。
 調べましたら、今から七十年前、一九五〇年現在では初婚の年齢というのは全国平均で男性は二十五・九歳、女性は二十三歳だったのが、七十年たって二〇一九年現在では男性が三十一・二歳、女性は二十九・六歳と晩婚化が進んでおります。最も晩婚化が進んでいる東京都では、全国平均よりも男性も女性も一歳ほど遅くなっております。ちなみに、私の地元、九州佐賀県では、全国平均よりも一歳ほど若い、男性が三十・四歳、女性は二十九歳となっておりますけれども、佐賀県も含めて、全国の都道府県においてこの七十年間、大体男性は五歳ほど、女性は六歳ほど初婚年齢が上がっております。
 いつ結婚するか、結婚するかどうかというのは個人の自由でありますし、いろいろなライフスタイルであったり価値観の問題だというふうに思っておりますけれども、結婚したい、子供を持ちたいという、そう思っていらっしゃる方の希望が実現できるように我々政治の人間としては汗をかかなくちゃいけないというふうに思っておりますし、結婚できるような所得を上げていくような取組、また子供を持ちたいという人を支えていく取組というのは非常に重要だと思っておりますけれども、この不妊治療の経済的負担というのは非常に重くて、調べましたところ、一回当たりの平均費用というのは、顕微授精で四十三万円、体外受精でも三十八万円掛かり、場合によってはどちらも百万円以上掛かる場合もあるということであります。
 費用負担を少しでも軽くしようと、国が、都道府県が助成制度を設けていますし、私の地元の佐賀県で調べましたところ、佐賀県というのは二十の市、町があるんですけれども、全ての自治体、市町村が体外受精、顕微授精の上乗せ支援をされておられます。ただ、男性の不妊治療については、十一の市、町しか実施されておりませんでした。
 不妊治療は一度で結果が出るということはなかなか少なくて、何十回と挑戦される方もいらっしゃって、そうした子供を持ちたいと思っていろいろ努力されている方にとって、この費用負担というのは非常に大きな障害になっております。
 菅総理大臣も不妊治療の保険適用を表明されておられますけれども、来年度に保険適用するというのはなかなか難しいのではないかという話も伺っております。まずは、先行して不妊治療の公的助成を充実させる方針だというふうに伺っておりますけれども、充実策の内容が公表された後は速やかにそれを実施する、若しくは公表された後、実施が後になるのであれば、遡及して適用しなければ、その内容を知った後、じゃ、内容が実現されるまで不妊治療はやめようというふうに不妊治療控えが起きるおそれがあると思うんですけれども、この点について政府の考えをお聞かせいただきたいのと、先ほど申し上げたように、市町村も独自で充実策をやっておりますけれども、その財源を国の施策の財源として当てにして、市町村にこの財源出せというふうな形をやるべきではないというふうに思うんですけれども、その点についてお考えをお聞かせください。

#9
○政府参考人(大坪寛子君) お答え申し上げます。
 厚生労働省では、委員御指摘のとおり、これまで十六年度から助成制度を設けております。不妊治療の保険適用までの間、この現在の助成措置、これを大幅に拡充することとしておりまして、現在、所得制限、助成額などの論点につきまして保険適用への移行を見据えて検討しているところでございます。
 本年末までに保険適用までの工程を明らかにすることとしておりまして、保険適用までの間の助成措置の拡充につきましては、御指摘のように、可能な限り速やかに実施できるようにしてまいりたいと考えておりまして、現在、引き続き鋭意検討を関係者と調整をしているところでございます。
 また、二つ目の地方の負担についてでございます。
 現行の助成制度における負担割合は、国庫負担が二分の一、地方負担が二分の一というふうになっておりまして、地方負担分につきましては地方財政措置が講じられているというところでございます。それに上乗せで自治体の方で拡充策を取っていられるというところもあることは承知をしておりまして、現在考えております拡充につきましては、今の負担割合、これを基本としつつ、地方自治体に過度な財政負担が生じないように調整をしてまいりたいと考えております。

#10
○山下雄平君 充実策確定、発表した段階から適用できるような形にしないと、やはり不妊治療控えが起こると思いますので、その点、非常に留意して立案していただければと思います。
 今回の法律、不妊治療の拡大とともに、夫婦以外の第三者から精子、卵子の提供を受けて子供を授かられる例も増えてまいりました。しかし、現行の民法の規定では第三者を介する生殖医療を想定してなく親子関係が非常に不明確であったので、長年の課題に法制化するということについては非常に意味があると思います。
 ただ、積み残された課題もありまして、一番は、やはりお子さんが自分の出自を知る権利をどうやって担保していくかということだというふうに思っておりまして、やはり当事者の方からも、親がそうやって自分で判断してやったんだから、それは能動的に選択してそうした治療をしたんだから、子供の思いにまで責任を持つべきだというような指摘も出ております。また、子の福祉は当事者の自己決定権を超えるんだというような意見もあります。
 子供の出自を知る権利が守られるように、情報の管理であったりとか、保護の体制整備を急ぐ必要があるというふうに思いますけれども、一方で、AIDを行っている病院からは、そうした制度が整備が進めば進むほど、ドナーの提供が、どんどんどんどんドナーが確実に減っていくというような指摘も出ています。
 出自を知る権利の担保と十分な数のドナーの確保を手だてる、両方を両立させる手だてというのはあるんでしょうか、お聞かせください。

#11
○委員以外の議員(秋野公造君) 山下先生におかれましては、これまでに佐賀の若い方々のお声を随時お届けいただきまして、ありがとうございました。
 発議者は、出自を知る権利につきましては重要な論点であるという具合に考えておりまして、一方で、ドナー情報について開示をすることについて国民のコンセンサスが得られている状況ではないということも考えております。それが今、山下先生のおっしゃった一つの背景になっているかと考えておりまして、そのときの論点として、親子関係を明確にしてほしいという議論があったということを承知してございます。
 今回の法律は、産んだ女性を母親と定めるということ、そして生殖補助医療に同意した夫を父親と定めるということでありまして、医療界の要請に応える形になっておりますので、まずはその状況も見させていただきながら、附則の三条に二年を目途として検討事項を設けておりますので、その中でしっかりと議論していきたいと思います。

#12
○山下雄平君 もう私の時間がなくなってしまったんですけれども、やはりせっかくそうした法整備をしても、アンダーグラウンドに、ネットで取引をするとか、外国にそうしたところを、制度がないところを委ねてしまうというのでは、結果的に生まれたお子さんが出自を知ることができなくなってしまうという懸念もありますので、そうしたことについても適切な対応を考えていただければと思います。
 以上、質問を終わります。

#13
○真山勇一君 立憲民主・社民会派の真山勇一です。答弁者の皆さん、どうぞよろしくお願いします。
 早速質問に入りたいと思います。
 今回の法案審議に当たっては、本当に様々な意見がいろいろありました。これを踏まえてまず確認をさせていただきたいことがあります。それは、なぜ今この内容で法案の成立を急ぐ必要があるのかということです。
 本来であれば、生殖補助医療や生命倫理の問題がしっかりと議論されるべきであり、それらについての結論を得て、その後法制化をすべきではないかという問いかけもあります。これについてお答えいただきたい。
 それからまた、現在、法制審議会で親子法制の見直しについて議論されていますけれども、その結論を待たずに民法に特例を設ける理由は何か、これについてもまずお答えいただきたいと思います。

#14
○委員以外の議員(古川俊治君) まず、先ほどのお話もありましたけれども、既に夫婦の間の生殖補助医療というものが十五人に一人に近づいているという状況でありまして、これは、毎年毎年出生数が減る中で増えております。そのような生殖補助医療全体を考えた場合に、一つの明確な理念を定めておく必要があるのではないかと、まずそれが一つの問題意識でございます。
 そして、九条、十条、先ほど御指摘いただきましたこの民法の特例につきましては、やはり今、配偶子を提供を受けて子供を産む方がおられまして、その数は、近年、これがずっと起こってきましたので、その意味からいうと増えている状況にあります。一応の最高裁判例は今ございますが、しかしながら、法律的には訴訟を起こさないと親子関係が確定できないという状況が続いております。そうしたことを一日も早く解決するというためにこの時期にやらせていただきました。
 それから、一番私どもが重要だと考えておりますのは、先生が今御指摘いただきましたような、より深い審議を行ってから定めるべきではないか。しかしながら、二〇〇三年から十七年、この問題は、そういう認識はありながら放置されてきたわけでございます。ここで二年以内に国会で議論をしてまとめるんだということを表明するということに大きな意義があるとも考えております。

#15
○真山勇一君 法規制がないままに現場がどんどんどんどん進んでいるという、そういう状況はよく分かりました。
 もう一つお伺いいたしたいと思います。
 この本法案の附則第三条についてなんですけれども、今後多くの課題についての検討というのは行われていくことになると思うんですが、法案には、衆参の厚生労働委員会の合同審査会の活用等というふうに書かれています。しかし、これまでの議論を振り返ってみますと、幅広い検討を行うというためには合同審査会だけでは不十分であるというふうに思われます。超党派議連はもちろん、当事者の方たちにも加わっていただき、それからさらに、政府がこの問題にどう責任を持って取り組んだ、取り組んでくれるのか、取り組んでいくのか、こういうこともありますし、そして国民の間にコンセンサスをどう醸成していくことができるのか、これも不可欠ではないかというふうに思っております。
 附則では二年という期限が明記されていますけれども、その今後の議論を進めるに当たって、結論を得るまでの具体的な、明確な道筋、つまりロードマップですね、そういうものを作って、これを必ず明示していただけるということを約束していただきたいんですが、いかがでしょうか。

#16
○委員以外の議員(古川俊治君) ありがとうございます。
 ここに掲げました両議院の合同審査会というのは、国会が広くこの議論に必ず関わって議論をするという形を、過去の先例を調べてこの形が最も両議院が関与できるという形であると結論が出て、一つの例として書かせていただいたということでございます。
 ただ、もちろん審議の場はこれに限りませんで、この国会の中には議員連盟というものもございますので、そうしたものを様々活用していただきながら、真山先生も含みます立憲民主党の皆様方と私どもも一生懸命話し合いたいと思いますし、もう超党派でこの議論を進めていく。その中で、どのような順序で二年間で審議を終えるか、まずこういったものも御一緒にお考えいただきたいというふうに考えております。

#17
○真山勇一君 二十年近く止まったままになっていた問題なわけですけれども、今回、まず一歩を踏み出す、この一歩を踏み出すというわけですので、どうか議論を止めない、議論を止めないという不退転の決意で取り組むことを重ねてお願いして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

#18
○塩村あやか君 立憲民主党の塩村あやかでございます。私の方からも質問をさせていただきたいと思います。
 今回、今十七年ぐらい話が進んでいなかったということで、私たちは国会の責任としてしっかりと今回は前に進めて一定の結論を得なくてはいけないというふうに思っております。
 私の方からは、法案について具体的にお聞かせいただきたいと思っております。
 まずお伺いしたいのが、第九条そして第十条についてです。
 九条と十条の規定は、現状においても、これまでの最高裁の判例などにより司法上、担保、確立はされています。でも、この規定であれば急いで立法する必要はないのではないか、こうした声も聞こえているところです。また、九条は、現状、日本において認められていない代理懐胎を認めるという認識でよいのか。さらに言えば、産んだ人を母と定める旨が明記してあることからも、分娩者が母である、これはもう確定、固定されてしまうのか。国によっては裁判で遺伝上の親を親とする道も開かれています。
 それぞれ三問、見解をお伺いいたします。

#19
○委員以外の議員(秋野公造君) 塩村先生も、法案の一句一句を御精査くださり、御指導賜りましたことを御礼申し上げたいと思います。
 まず第九条でありますけれども、懐胎をして出産をする、その女性が出生した子の母親であるという従来の民法の解釈、そしてこの解釈を改めて示した平成十九年の最高裁の決定を踏まえつつ、子の福祉の観点から、代理懐胎であるかどうかを問わず、生殖補助医療により生まれた子の母子関係を安定的に成立させようとしたものでございます。懐胎し出産した女性が出生した子の母親であるということを法律で明らかにさせていただいております。
 代理懐胎を積極的に容認するものでは決してありませんで、ただ、代理懐胎をめぐっては、そもそも代理懐胎を認めるかどうか、代理懐胎により生まれた子の親子関係についてはどう考えるべきか、これ様々な議論がありますので、現時点ではとても広い合意が得られている状況ではございません。その意味で、代理懐胎を明示した親子関係について、その明確な規定は設けていないところであります。
 ただ、附則の三条に、この代理懐胎の是非も含めて議論が行われるようなことになったならば、この生殖補助医療に応じ、この出生した子の親子関係を安定的に成立させる観点から親子関係の特例を設けることも含めて検討すると定めさせていただいておりますので、これからしっかりと議論をしていきたいと思っております。

#20
○塩村あやか君 ありがとうございます。
 いろいろな考え方があって、いろいろな方法を選択する人がいると思うんですね。ですので、これからしっかりと議論を一緒にしていきたいと思っております。
 あわせて、これに係る親子関係、続けて聞いておきたいと思います。
 これも十条なんですが、精子提供で生まれた子供は精子提供者に対して認知の訴えを提起をすることができるのか、また、精子提供者はその子供、懐胎した子供ですね、これを認知することができるのか、お伺いをいたします。

#21
○委員以外の議員(秋野公造君) 先生、結論から申し上げますとできないということになりますけれども、出生した子による精子提供者に対する認知の訴え、これについては、嫡出推定が及ぶ場合には夫が嫡出否認をしない限り認知の訴えを提起することができないところを、この十条が適用される場合には、子に嫡出推定が及ぶことを前提として夫が嫡出否認をすることができなくなることから、出生した子が精子提供者に対して認知の訴えを行うことは、提起をすることはできないという整理でございます。
 一方、精子提供者による認知につきましては、これ改めて夫が嫡出否認をすることができなくなることから、精子提供者は精子を用いた生殖補助医療により女性が懐胎した子を認知することはできないということでございます。

#22
○塩村あやか君 ありがとうございます。
 この十条があることによって、私たちも今回当事者たちからいろいろ話を聞いたんですね。精子提供者が少なくなっている理由が、やはり今後、認知とか、例えばその養育費の請求があるということがその原因だということでしたので、この十条で一定程度の歯止めが掛けられると確認ができてよかったと思います。
 続きまして、出自を知る権利の観点からお伺いをさせていただきます。
 本法案は、生まれくる子供の最善の利益の保障は基本理念でうたわれています。もちろん、その中には生まれくる子供の生命に対する権利や健康も含まれて、我が国も批准をしている子どもの権利条約の要請にこれは合致すると考えていいか、お伺いをいたします。

#23
○委員以外の議員(秋野公造君) 先生、改めてこの出自を知る権利というのは法律の中に明記をしてございませんけれども、基本理念の中に、生殖補助医療により生まれる子について、心身共に健やかに生まれ、かつ、育つことができるよう必要な配慮がなされるものと。あるいは、児童の最善の利益が主として考慮されること、これ条約三条でございます。全ての児童が生命に関する固有の利益を有すること、条約六条。こういう定める条約の要請には合致していると発議者は考えているところでございます。

#24
○塩村あやか君 ありがとうございます。
 これは非常に重要な、私、答弁だったと思います。生まれくる子の生命、健康は非常に重要で、子どもの権利条約に合致しているとの答弁でした。
 例えば、これまでスクリーニングをしても数年後に精子提供者の遺伝病が見付かって、その男性から生まれた子供たちも、複数の子供に遺伝性疾患が発生してしまったという例が世界にはあります。また、万が一の近親結婚なども遺伝病のリスクが伴うんですよね。
 私は、この質問の冒頭に出自を知る権利からと質問したと思うんですが、子供の命と健康を確保をするための出自を知る権利はあるという認識でよろしいでしょうか。否定するものではないと思うんですが、改めてちょっと。

#25
○委員以外の議員(秋野公造君) 私たち発議者は出自を知る権利については重要な論点ということで一致をしてございますので、しっかり法成立後に話し合っていきたいと思います。

#26
○委員以外の議員(古川俊治君) 先生御指摘の子どもの権利条約につきましても、父母を知る権利についてはできる限りと、アズ・ファー・アズ・ノウと、そこに書いてありますので、アズ・ファー・アズ・ポッシブルと書いてありますので、そういう意味では、今後、この日本の文化というものも考えながらその点は話し合われることになるんだと理解しております。

#27
○塩村あやか君 ありがとうございます。
 共通の認識は取れたと思っておりますので、今後しっかりと検討して、子供たちが自分の出自を知るというところをみんなで話し合っていきたいと思っております。
 続きまして、リプロダクティブヘルス・アンド・ライツについてお伺いをいたします。
 この法案には、このリプロダクティブヘルス・アンド・ライツの言葉が明記がされていないんですね。リプロの理念はこの法案で共有をされているのか、されているとすれば、それはどこにあるのかをお伺いしたいと思います。

#28
○委員以外の議員(石橋通宏君) 御質問ありがとうございます。
 最初に、塩村委員におかれましては、これまでの我が会派の中での様々な議論に本当に積極的に当事者の皆さんの声を届けていただきながら関わっていただきましたことに、この場をお借りして本当に感謝申し上げたいと思います。
 御質問いただきましたリプロダクティブヘルス・アンド・ライツについても、これまでも我々発議者の間でも様々な議論もさせていただきました。確かに文言としては明記はしておりませんけれども、これは先ほど来説明させていただいているとおり、基本理念のこの第三条、この一に、女性の健康の保護が図られなければならないということ、さらには、二のところで、その意思に基づいて行わなければならない。まさにここが、私たちとしては女性のリプロダクティブヘルス・ライツの理念がここに盛り込まれているというふうに考えておりますので、また今後の検討の中でその具体化に向けてしっかりと前に進めてまいりたいというふうに思っております。

#29
○塩村あやか君 これも非常に重要なことですので、附則の中で、しっかりと念頭に置いて今後議論をしていきたいと思っております。
 続きまして、本法案の対象範囲についてお伺いをいたします。
 三条には、生殖補助医療は、不妊治療としてと書かれているんですね。生殖補助医療は不妊治療ではない場合、例えば同性カップルやシングルの方々が妊娠、出産を希望するときにも使われているのが現実ですね。この法案には、誰が生殖補助医療を利用できるのかは書いていません。
 同性カップルや未婚シングルなど、誰もが対等に利用できるとこれは解釈されてもいいのか、これをお伺いしたい。又は、検討事項として附則第三条に託されているという考え方もあるのかもしれません。この辺りについてお伺いしたいと思います。

#30
○委員以外の議員(秋野公造君) 本法律案におきましては、生殖補助医療の対象者につきましては、基本的に、生殖補助医療の提供を受ける者、あるいは、女性といった文言を用いておりまして、法律上の夫婦という言葉を、限定する文言を用いていないところであります。よって、同性カップルやシングルの方々への生殖補助医療の提供、これが法律上制限することにはならないとまず考えております。
 改めて、附則第三条におきまして施行後二年を目途に検討するということを定めさせていただいておりますので、この同性カップル等への生殖補助医療の提供の在り方についても含まれていると考えてございます。

#31
○塩村あやか君 ありがとうございます。
 明快な答弁をいただいて、かなり救われた方がいるんじゃないかなというふうに思います。同性カップル、そして未婚シングル、さらにはアセクシュアルと、いろんな性自認をしている方がいらっしゃいますので、ここについても是非附則の中でしっかりと検討していただきたいというふうに思っております。
 続きまして、複数回これ法改正を予定しているのか、こうしたことも聞いていきたいと思っているんですね。
 今まで、議論を今しました生まれた子の知る権利ですよね、諸外国では複数回の法改正がされています。日本も複数回の法改正を重ねて附則第三条に託された課題を解決していくことが私は必要ではないかと、二年だけでとどまってはいけないと思っているんですね。この辺りはどのように考えているのか、これをお伺いしたいと思います。

#32
○委員以外の議員(石橋通宏君) 大事な点の御質問ありがとうございます。
 もちろん、私たち発議者といたしましても、この附則第三条の、多くの課題がこの今後の二年をめどの検討の中に含まれております。ですので、まずは、みんなで協力をしながら、とにかく二年で結論を得て、次なる法制上の措置を講じていくんだと、そういう決意を持ってこの法案を提出をさせていただいておりますので、まずはその努力をさせていただきたいと思います。
 ただ、御指摘のとおり、諸外国でも、また我が国のこれまでの議員立法等の事例でも、やっぱり複数回重ねながら、より合意形成を図りながら、合意形成ができたものから順次法改正をしていくという手続を取っているのもありますので、全部を結論出てからということになれば、また何年掛かるか分からないということも想定できますので、随時、まずは二年をめどに精いっぱい議論させていただいて、結論を得られたものから法改正、次なる制度上の対策をするということもあり得るという思いで臨んでいきたいと思っております。

#33
○塩村あやか君 ありがとうございます。ほっといたしました。
 もう、一回だけでは絶対終わらないと思うんですよね。そして、二年先に一回法改正をしたところで終わってしまうと、これはまたいろんな問題が取り残されて、その先、日本だけ二十年、三十年、はたまた五十年遅れてしまうということになりかねませんので、二年先、もうしっかりと議論をしていただくということで言質が取れたと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、最後の質問になります。
 この法案は、今議論をしている中で分かったんですが、たくさんのことを附則の三条に託しているという形になります。二年以内に検討するとのことで、課題がもう本当にたくさん、多分恐ろしいぐらい山積していると思います。いろんな議論が出てくるかと思います。
 そこで、発議者の石橋議員にお伺いをさせていただきます。
 この附則第三条で検討されるべき積み残し、これから検討しなくてはいけない課題、何であると皆さんは認識をして、そしてこの先どう議論をしていくのか、そしてまた、野党の発議者として、この反響の大きい本法案に懸ける決意をお伺いさせていただきたいと思います。

#34
○委員以外の議員(石橋通宏君) これも大変重要な御指摘をありがとうございます。
 もう既にこれまで発議者から御説明を申し上げたとおり、あとは御質問いただいた皆さんからも御指摘をいただいたとおり、この附則第三条、多くのことが積み残しの課題として私たちも認識をさせていただいております。
 委員御指摘のとおりたくさんの課題がありますので、全てを網羅的にここで申し上げることはできませんが、主なものだけでも、先ほど御指摘をいただいた女性のリプロダクティブヘルス・ライツを具体的にどう確保していくのか。さらには、先ほどの出自を知る権利をこれまたどう在り方を検討していくのか。代理懐胎について、さらには、精子又は卵子提供者の情報管理を行う。これ、是非公的機関でしっかりと管理できる体制もつくっていかなければならないというふうにも思っておりますし、審査、監督の制度なども当然議論は必要だというふうに思っております。また、先ほどの同性間カップルについての生殖補助医療の提供の在り方も重要な課題だと認識をしておりますし、さらには、当事者の皆さんのインフォームド・コンセントの在り方なども、これ、不利益の回避の対策も含めて決めていかなければならないと。
 主なものだけでもこれだけ多くの課題がございますので、これをしっかりと我々議論をして前に進めていきたいと思っております。
 重ねて、先ほど古川発議者からも御説明させていただいたとおり、私たちは、それをするためにも、速やかに超党派の議員連盟を是非多くの会派、党の皆さんに御参加をいただいて、そして私たちもそこに積極的に参加、参画をさせていただいて、その立法府としての責任を是非果たしていきたいというふうに考えております。その決意を込めて、今回は私たちもこうして発議者の立場で参画をさせていただいておりますので、委員におかれましても、今後ともの御協力、御指導をいただきますようお願いをさせていただきたいと思います。
 ありがとうございます。

#35
○塩村あやか君 終わります。一緒に頑張りましょう。よろしくお願いいたします。

#36
○伊藤孝江君 公明党の伊藤孝江です。
 発議者の先生方、今日はよろしくお願いいたします。
 今回の法案、検討が始まってからかなりの長い期間を経てようやく取りまとめられました。この間、過去に厚労省や法務省においても中間的取りまとめがなされているにもかかわらず、その後の検討が進まなかったという実情があります。この経過からも、生殖補助医療というのがいかに重いテーマであるかということも示唆されるところでもありますし、また、個人の人権に配慮をした生殖補助医療に関する法整備が求められる実態が増えてきているということも紛れもない現実でもあります。
 私たち公明党も、不妊治療等支援推進プロジェクトチーム、立ち上げさせていただき、先日、菅総理に提言も提出をさせていただきました。
 今回、立法府に属する発議者が議論を重ね、法案として取りまとめられたことに、まず敬意を表したいと思います。また、民法の考え方、最高裁の判例と矛盾せず、生殖補助医療という民法が想定していなかった世界観を今回溶け込ませながら親子関係の安定化を図る、さらに、その前提となる生殖補助医療の定義と基本理念を定めるという形でまとめていただいたことを高く評価をさせていただきたいというふうに思っております。
 一方で、行政において中間的取りまとめまでなされていながら、その後議論が進まなかった。この点を乗り越えて今回法案化をされたということだと思いますけれども、一体これまでなぜ議論が進んでこなかったのかというところ、大切な点だというふうに考えております。
 この点、石橋発議者、いかがお考えでしょうか。

#37
○委員以外の議員(石橋通宏君) 御質問ありがとうございます。また、伊藤委員におかれましても、これまで御党の様々な御議論の中で本当に積極的に関わっていただきましたことに、まず感謝申し上げたいと思います。
 その上で、御指摘の点、実はまさにその点も、我が会派の議論の中でも、なぜこれまでこれだけの長年の要請がありながら、なぜこれだけ政府内でもいろんな提言が既にされていながら、立法措置が政府においても、そして私たち立法府においてもできてこなかったのかということもかなりの議論をさせていただきました。やはり、それは、先ほど申し上げたいろんな論点についてなかなか、やっぱり賛否両論、様々な御意見が当事者の皆さんの中でも、さらには医学界においてもあるということも含めて、それがやっぱり難しかったんだろうというふうに思っております。
 だからこそ、私たちは、まず合意形成ができているところで、まずこの法案、土台をつくって法的安定性をまず確保していただいて、そして先ほどの附則、検討事項において次なるステップに進んでいこうと、そういう決意を持って今回法案を提出させていただいておりますので、是非御理解をいただければと思います。

#38
○伊藤孝江君 まず第一歩を踏み出すという点、本当に私自身も同意をさせていただきたいと思います。
 ここからまた、先ほど来ずっと議論も重ねられておりました、また別の論点、またやっていく中で新たな論点が出てくるかもしれないと、そういうことをしっかりと本当に国民的議論としていきながら、法案をしっかりこれからももっと充実させていくと、その第一歩だということで、今回評価をさせていただきたいというふうに思っております。
 次に、いわゆる子供の出自を知る権利に関連をしてお伺いをさせていただきます。
 先ほど発議者の方からも、出自を知る権利について重要な論点として捉えているという発言もありました。この権利については、権利として保障して法制度化している国もありますけれども、日本でどのようにしていくべきかというのは、まだこれから様々な観点から議論を進めていかなければならないものだというふうに承知をしております。
 一方で、これまで非配偶者間人工授精、いわゆるAIDを積極的に実施をしてきた慶應大学では、このAIDの実施が困難になっているというふうな状況もお聞きをしているところでもあります。
 この点につきまして、発議者の古川議員、いかがお考えでしょうか。

#39
○委員以外の議員(古川俊治君) ありがとうございます。
 慶應義塾大学は、全国のAIDの約四〇%から五〇%をずっとやっておりました。年間で千五百ぐらいあったというふうに思っております。それまでは、ドナーは一定の人たちをお願いをして得ていたわけなんですけれども、二〇一七年から、今後、国会で議論が進み、出自を知る権利ができるという可能性があるということをインフォームド・コンセントにおいて情報開示するようになりました。それから全くと言っていいほどドナーが現れなくなりました。
 このことはイギリスの先例もございまして同じな状況なんですけれども、今、実を申し上げますと、大体男性の、これはいろいろ、正確なデータはございませんが、一%ぐらいは無精子症という範疇に入るんではないかという御意見もあります。そうすると、顕微授精をやっても挙児が得られないわけですね。それから、今議論で御指摘いただきました、いわゆる性転換の手術をされた御夫婦では当然提供の精子が要るわけですから、そういうニーズを、必要としている皆様、患者さんがいらっしゃる中で、この医療をどう保つか、これが今大変な問題になっておりまして、今後、この附則第三条の議論の中でこの点も取り上げられていただきたいというふうに思っております。
 ちょっと当事者として申し上げれば、一私立大学の病院にこの重い課題を全部依頼されても困ると、やはり国で責任を持って制度をつくっていただきたい、これが当事者の声でございます。

#40
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
 いただいた当事者の声ということも、本当に私たちもしっかりと学ばせていただきながらというか受け止めさせていただいて、これからの議論に反映をさせていきたいというふうに思いますので、今後とも御指導いただければというふうに思います。
 では、最後に発議者の秋野議員にお伺いをいたします。
 秋野発議者は平成二十四年から本法案に携わってきておられるということをお聞きをしております。今回、大学の先輩の今村定臣日本医師会常任理事、また増崎英明長崎大学病院長ら、専門家からの御意見をいただいたり意見交換をしていただくことと併せて、当事者の方々の声も聞きながら、当事者とも議論を積み重ねてきたと。
 その中で、今回法案化という形で今審議に至っているわけですけれども、この法案審議に当たるまでの所感であったり、また今後の決意について、秋野議員からお願いできますでしょうか。

#41
○委員以外の議員(秋野公造君) 石橋発議者からもありましたが、伊藤議員におかれましては、御地元兵庫の、特に女性の皆様のお声を随時お届けいただきましたこと、感謝申し上げたいと思います。
 その上で、私の恩師のお名前も挙げていただきまして質問をされるということは、その思いに十分応える法案が、案が作成できたのかと、厳しい御指摘かと思っておりますけれども、多くの方々にお伺いしたことは、全て望むことは、質の高い生殖補助医療を提供したい、あるいは質の高い生殖補助医療を受けたい、こういった思いでありました。よって、本法案におきましては、生殖補助医療の定義、定義さえも法定化されておりませんでしたので、そこを定めるとともに、基本理念、女性の健康の保護、生まれくる子供の福祉という形で基本理念をしっかり定めさせていただいたところであります。
 コンセンサスが十分に得られていない領域も多々あり、積み残しも多い法案になりましたけれども、これからもしっかりと様々な思いを受け止めながら次のステップへ向かっていきたいと思います。
 ありがとうございました。

#42
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
 今、秋野議員からもいただきましたけれども、本当に、生まれてくる子供、また出産をすることになる、また人工授精などに取り組む、挑戦をする女性、そして卵子や精子を提供する方、本当にたくさんの当事者の方がいる今回の問題で、またたくさんの当事者の方がいろんな思いをそれぞれ重ねられている件でもあります。
 その中で合意形成をしていくという、これからの作業もまだまだ難しいところもたくさんあるかとは思いますけれども、しっかりと私自身も議員として全力で取り組みさせていただくことをお約束をしまして、今日の質問を終わります。
 ありがとうございました。

#43
○柴田巧君 日本維新の会の柴田巧です。
 まず、法案についてお聞きをします。
 先ほどからも話が出ておりますように、このいわゆる生殖補助医療というのは非常に現実のものになっているわけですが、しかし、民法は第三者が関わる生殖補助医療で子供が生まれることを想定をしていなかったために、法整備の必要性が唱えられてきたわけで、二十年にわたって議論が重ねてこられたところでございます。
 発議者の先生方の御努力によって今回こうやって提出をされて、これによって、この生殖補助医療で生まれた子供が法律上不安定な立場に置かれる状態を解消することを期待をしたいと思いますし、親子関係が明確になり安定することを期待をしたいと思います。そういう意味で、発議者の皆さん方の労を多としたいと思っているところであります。
 その上で、この法案が成立した後にまたいろんな課題もあろうかと思いますし、取り組んでいかなきゃならない事項も幾つかあると思いますので、それらをちょっと幾つかお聞きをしていきたいと思います。
 この生殖補助医療は、ドクターのみならず、受精卵を作って育てる胚培養士ですかね、とか、あるいはエンブリオロジストといった技術者が関わっているわけですけれども、そういった人たちの技術によって受精卵の育ち方に違いが出ると言われておりますが、また、その技術には大きな差もあると言われて、場合によってはミスも生じて受精卵がなくなってしまったケースがあるやというふうにも聞いているところであります。
 しかし、その技術者は、こういうふうに生殖補助医療においては大変重要な役割を果たしているにもかかわらず、公的な資格は現在はないわけです。学会などの認定があるのみとなっているわけでありますが、良質かつ適切な生殖補助医療を提供していく上でも、それに関係する資格等が重要になってくるというふうに考えられます。
 そこで、この五条にもありますが、基本理念を踏まえ、良質かつ適切な生殖補助医療を提供するように努める。あるいは、この附則第三条第一項に生殖補助医療及びその提供に関する規制の在り方とありますが、この生殖補助医療の質的担保を図るためにも国家資格の創設などがこれから法の成立後必要になってくると思っていますが、梅村聡発議者のお考えをお聞きをしたいと思います。

#44
○委員以外の議員(梅村聡君) 今、柴田委員から御質問がありましたように、この質的担保というのは、これ非常に重要なことだと思っております。
 今回の法律案の中でも、この第三条の基本理念、それからこの第五条の医療関係者の責務として、これ良質かつ適切な生殖補助医療を提供するよう努めなければならないということで規定をされていると思います。
 その中で、今御質問がありましたように、いわゆる国家資格ですよね、これをどう検討していくかということですけど、現時点では、医師等は国家資格として認められていると。ただ、今回、質的担保のために新たに生殖補助医療の提供の過程に携わる者についての国家資格の創設、これについてはこの附則三条第一項の検討の中でその議論をすることは含まれていると、こう考えておりますので、やはりこれからしっかり検討して議論をしていかなければならない課題だと考えております。

#45
○柴田巧君 ありがとうございます。
 今、梅村発議者おっしゃったように、この質的担保を図るためにも、その方向でしっかり取組がなされることを期待をしたいと思います。
 この後、厚労省にこの生殖補助医療について幾つか確認の意味も込めてお聞きをしたいと思いますが。
 この我が国の生殖補助医療については、その件数自体は大変大きなものがあるというふうに言われておりますが、成功率が低いのではないかという指摘があるやに聞いております。例えば、今日は資料用意しておけばよかったかもしれませんが、国際生殖補助医療監視委員会が実施した調査では、日本の生殖補助医療の実施件数は六十か国中第一位でありますけれども、出産率になると最下位の六・二%だということで、言わば生殖補助医療で、おいては一番出産できない国と言っても過言ではないのではないかと感じております。
 技術的には高いものがあると言われていますが、また件数も多いのですけれども、このように成功率が低いことの要因をどのように分析をしているのか、そして今後どのようにこれに対応していくつもりなのか、これは厚労省にお聞きをしたいと思います。

#46
○政府参考人(大坪寛子君) お答え申し上げます。
 今委員御指摘の国際委員会の数値、これしばしば引用されるものでございますが、この引用がまず、専門的な話ですけれど、凍結しました受精胚を使ったものと新鮮受精胚と二つございまして、我が国では凍結するケースの方が多うございますが、この中では、引用されていますのが、新鮮受精胚の成績がよく使われております。また、我が国といたしましては四十歳以上の患者割合が世界と比較しまして最も高率であること、こういった背景がございます。
 同じく、この委員会の文献報告を見てみますと、新鮮胚と凍結胚を合計をいたしました治療成績、これは我が国は世界の平均と遜色がないこと、また凍結胚のみの成績では世界平均を上回っていること、また四十歳未満に限定をいたしますと凍結胚の成績は世界第二位にあることなど、論文を読んでいきますとなかなか高い水準にあるということも報告がされております。
 厚生労働省といたしましては、引き続き、生殖補助医療の技術の向上も含めまして、不妊に悩む方々への支援に取り組んでまいりたいと考えております。

#47
○柴田巧君 いろんな見方、データによって違いがあるのかもしれませんが、いずれにしても、成功率がより高く、また技術が上がっていくことにまた努力をしていただきたいと思います。
 この法案に関しては最後の質問にさせていただきたいと思いますが、本法案の第五条には、この医療関係者の責務として、さっきもちょっと触れましたが、医師その他の医療関係者は、第三条の基本理念を踏まえ、良質かつ適切な生殖補助医療を提供するよう努めなければならないと定めているわけでありますが、現在は法規制がありませんので、学会の自主規制に基づいていろんなことが実施されているわけですけれども、この法の成立後にこの指針やガイドラインなどを政府として策定をするということを考えているのか、これは厚労省にお聞きをしたいと思います。

#48
○政府参考人(大坪寛子君) お答え申し上げます。
 本法案の附則の第三条におきましては、生殖補助医療の規定の在り方などにつきましても国会において御検討いただけるということを承知をしております。
 厚生労働省といたしましては、こうした国会での御議論を踏まえまして、必要な施策につきまして関係省庁と連絡、連携をしてまいりたいと考えております。

#49
○柴田巧君 ありがとうございました。
 いずれにしても、第一歩を踏み出したのは、踏み出すということになると思っていますが、残された課題なり検討事項も多々あると承知をしておりますので、これをスタートにまたより良いものになっていきますように、またこの生殖補助医療がいろんな意味でより充実したものになることを期待をして、法案についてはこれで終わらせていただきますので、発議者の先生には御退席いただいて結構でございますので。

#50
○委員長(山本香苗君) そのままでよろしいですか。
 じゃ、続けてください。

#51
○柴田巧君 じゃ、済みません、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 犯罪被害者支援について、先般の大臣所信の際にお聞きをしようと思っていましたが、時間の関係で触れられませんでしたので、お聞きをしたいと思います。
 大臣は所信の中でも、この犯罪被害者等基本法、これは、大臣は制定にも深く関わられたと承知をしておりますが、その中で、所信の中でも、理念にのっとり、きめ細やかな対応に努めてまいりますということを述べていらっしゃるわけですが、この考えがいろんな面で浸透しているのか、形になっているのかということをちょっとお聞きをしていきたいと思います。
 先月、十月の七日に、二〇一一年に富山など四県、六つのお店でお客さんが約百八十人が食中毒を発症して、そのうち五人が亡くなった焼き肉チェーン店の集団食中毒事件がございました。富山検察審査会の不起訴不当議決を受けて再審査を行った富山地検は、十月の七日に再び不起訴処分としたということでございます。
 この処分に先立って、遺族の方々には前日六日の日に富山地検から再捜査の結果について説明があったようですが、担当検事からの説明は、業務上過失致死傷容疑で書類送検された元社長と卸業者の元役員二人を二〇一六年に富山地検が不起訴とした際と同じ、この事件発生を予見することが困難だったなどの内容だったということで、全くほぼ一緒の説明だったようであります。この説明に対して遺族の方々は、最初に不起訴を告げられたときと全く同じ説明だったことに非常にびっくりした、余りにショックが大きく頭が真っ白だと記者会見で心境を述べられたわけであります。
 この事件は私の地元で起きて、その店にも私は何回か行ったことがございます。そして、その日、事件が起きた日、実はうちの家族もそのお店に行きました。行きましたが、お店がいっぱいだったので、隣のお店に、おすし屋さんですが、移ったので事なきを得たのですけれども、私のよく知っている方々の御家族がそこでお亡くなりになったのでございまして、事件発生以来、いろいろと非常に身近な問題として私も捉えてきましたし、この十年近くの間、事実解明を目指して遺族の皆さんがいろんな活動をしてこられたことをそばで見てきた者の一人としても、なぜ裁判所の判断を仰がなかったのかなと非常に素朴な疑問も感じますが、全く同じ説明だったというのは非常に誠実さに欠けるのではないかという気がしてならないわけで、大臣はきめ細やかな対応をというふうにおっしゃっていますが、現場ではなかなかそんなことになっていないのではないかと感じざるを得ません。
 この刑事訴訟法の規定にある不起訴理由を告知するという趣旨からは、より詳細な説明が禁じられているわけではないと考えていまして、むしろ望ましいという意見もあるということを承知をしているわけで、もっと丁寧な、あるいは被害者に、その家族に耳を傾けるということがあってしかるべきだったのではないかと思っています。
 そこで、検察としては、この具体的事案に応じた不起訴理由の説明を行うのが適切だと考えますが、どのようにお考えになっているか、お聞きをしたいと思います。

#52
○政府参考人(川原隆司君) お答えいたします。
 ただいまのお尋ねは個別事件における捜査機関の活動内容に関わる事柄でございますので、大変恐縮でございますが、所見を述べることは差し控えさせていただきたいと存じます。
 その上で、一般論として申し上げますと、検察当局におきましては、犯罪被害者等の方々の御希望に応じ、関係者の名誉やプライバシー等の保護の要請に配慮しつつ、不起訴処分の内容及び理由を丁寧に説明し、そのお気持ちにできる限り応えられるように努めているものと承知しており、今後も犯罪被害者等の方々の心情等に配慮し、適切な運用に努めていくものと承知しております。

#53
○柴田巧君 ただ、全く同じ説明だったというのは、本当にそんな寄り添った形の、あるいは丁寧な説明だったかというのは大変疑問に感じざるを得ないわけでありますが、そもそも、犯罪によって様々な困難に直面した犯罪被害者の方々に、やっぱり個々の実情に合った適切なサポートが必要な場合が多いというのは間違いないと考えていまして、そのような方々に対する保護や支援のための取組というのは、実際に検察では、じゃ、どのようにやっていらっしゃるのか、お尋ねをしたいと思います。

#54
○政府参考人(川原隆司君) お答えいたします。
 委員も御指摘のとおりでございまして、犯罪被害者等の方々の保護、支援にあっては、お一人お一人の心情に配慮した対応が重要であると認識をしております。
 検察当局におきましては、捜査への影響等を勘案しつつ、刑事手続の各段階において被害者の方々に対する情報提供を行っておりまして、先ほどもお答えしたように、処分の理由の説明をしているほか、被害者等通知制度に基づきまして、犯罪被害者等で通知を希望する方に対しましては、事件の処理結果、公判期日などを通知しているものと承知しております。また、公判段階におきましては、刑事訴訟法上定められております被害者参加制度等の各種制度の趣旨を踏まえ、被害者の方々の心情に配慮した対応を行っているものと承知をしております。
 さらに、検察当局におきましては、被害者支援員を配置したり、あるいは被害者ホットラインを設けるなどしているところでございます。また、検察当局におきましては、日本司法支援センター、いわゆる法テラス、さらに警察、弁護士会、民間被害者支援団体、地方公共団体等との連携も行っております。
 検察当局といたしましては、引き続き、これらの取組を通じるなどして、犯罪被害者の方々の心情に配慮した対応に努めていくものと承知しております。

#55
○柴田巧君 被害者の、またその御家族、御遺族の心情をしっかり捉えて、もっとより丁寧な対応をすべく努力をしていただきたいというふうに思っております。
 大臣は、先ほどもちょっと触れましたように、この被害者、犯罪被害者基本法の制定に当たって大変大きな役割を果たしてこられたわけですが、遺族や犯罪被害者の権利を明記したこの基本法は、十二月で成立から十六年を迎えるということになっております。来年度からは第四次犯罪被害者等基本計画の骨子が、来年度からの基本計画の骨子が十月にまとまって、十一月に意見公募を行った上で来年の三月に閣議決定される予定であるというふうに承知をしております。
 犯罪被害者を取り巻く環境は確かに改善されてきたところもあるのは認めますけれども、まだまだ不十分なところがあるのではないかと感じておりまして、細かいことを言えば、先ほどから触れていることもそうかもしれませんが、大臣としては、この法律の制定に尽力された経験を基に、現在のこの犯罪被害者への支援策が十分であるとお考えになっているか、あるいは、問題点があるとすればどういうところをクリアしていかなきゃいけない、充実していかなきゃいけないというお考えをお持ちか、併せてお聞きをできればと思います。

#56
○国務大臣(上川陽子君) 今委員から御指摘いただきましたとおり、犯罪被害者等基本法制定から今年で十六年目になります。
 私も、この制定におきまして、議員立法ということでございましたけれども、深く関わらせていただきまして、当時から、犯罪被害者等の皆様及び御家族、御遺族の皆様から多くの御意見と思いを、長年の活動の思いをいただきまして結実した法律という意味では、これを大事に運用していくということが必要であるということを肝に銘じてきたところでございます。
 御指摘のとおり、基本法ということでございますが、実は、性格的にいうと、理念の部分とそしてプログラムの部分、この二つの要素、理念法とプログラム法の二つの要素を持った法律でございまして、特にそのプログラム法の内容につきましては、不断の見直しをしていく必要があるということの認識の上で具体的な施策を基本計画で定めつつ、そしてその時々の環境、状況の中で新たな課題、またこれまで積み残した課題、こういったことを精査しながら新たな基本計画を作っていくと、こういうことを繰り返していくと、こういうプロセス型の取組ということで意図して作った法律であるということでございます。
 その意味では、具体的な施策の在り方、実行に当たりましては、その時代の変化を踏まえまして、犯罪の被害に遭われた方々やその御家族、御遺族の御意見を常に耳を傾けながら不断にその内容を見直していく、また改善をしていくということが求められているというふうに理解をしております。
 ただいま委員から御指摘ありましたとおり、平成二十八年の四月に策定されました現行の第三次基本計画、これは、法務省といたしましては、法テラスにおける各種の犯罪被害者支援でありますとかあるいは被害者への通知制度、こういったことについて情報の保護を図りながらしっかりと取り組んでいるところでございますが、現行の計画は令和二年度末までということの計画期間としているところでございますので、今まさに現在も、被害者の方も構成員となっている基本計画策定・推進専門委員等会議というところにおきまして、この現行の基本計画の実施状況、また被害者、被害者団体からの御要望事項も踏まえまして、第四次基本計画の策定に向けて検討を進めているところでございます。
 この新たな、まさに計画が策定されるこの節目の年に三回目の法務大臣に就任をさせていただきまして、十六年という月日の中で、この機会に改めて、各次の基本計画に基づく取組の推移、あるいはその実施の状況、更なる課題などにつきまして改めて振り返り、しっかりと整理した上で臨むようにということで、担当者に指示をしたところでございます。
 この最も大事な犯罪被害者等基本法の理念、これはまさに被害者の方々の権利利益を擁護する、保護するというところの理念法に基づきまして、具体的な支援のプログラムというものが明確に要望に応じてしっかりと打ち立てられ、また実施ができるように、更に努力をしてまいりたいというふうに考えております。

#57
○柴田巧君 時間が来ましたのでこれで終わりますが、今大臣がおっしゃったように、よりいい方向に向かっていくように御努力をお願いをして、終わります。
 ありがとうございました。

#58
○川合孝典君 国民民主党の川合孝典です。
 発議者の皆さんには、朝から御苦労さまでございます。
 前置きを抜きにして、たくさんあると指摘されている積み残しの課題について、今後の論点になるであろうことを、採決を行う前に幾つか確認をさせていただきたいと思います。
 二〇〇三年の四月に厚生労働省が生殖補助医療部会報告書で、代理懐胎を全面禁止する方針を打ち出しております。その後、法制化の動き等、議論が進んだわけでありますが、その後、現在に至るまで膠着している。この膠着した中での長年の懸案というのは、代理懐胎を法制化するかどうかというところに肝があるというふうに理解をしております。今後、妊孕性保存の名目の下に、精子、卵子の凍結保存が更に増えていくという可能性があるわけでありますが、同時に、代理懐胎や死後懐胎の可能性も高まっていくということが考えられるわけであります。
 そこで御質問なんですけれども、今回の法案では娩出した者を母親と規定しておりますが、代理懐胎や死後懐胎の規定の必要性について発議者はどう認識されているのかをお伺いしたいと思います。

#59
○委員以外の議員(古川俊治君) ありがとうございます。
 代理懐胎につきましては、様々議論があるというふうに理解をしております。一定数その治療法を必要とする人たちがいるのは事実でございまして、また、最近は子宮移植という方法も現に出てきていて、海外では出産例もあるというふうに聞いております。
 そうした状況の中で、先ほど委員御指摘のように、二〇〇三年には一度国の方で禁止というような案も出されましたが、その後、例えば二〇〇八年の日本学術会議の答申では、これは試行的に臨床研究としては一定認める余地があるというような指針も出ております。そうした中で、様々お考えがあるという中で、まだ明確な規定を置ける状況にないということでございまして、附則三条の二年間の議論の中でこれを定めていくということの方針を定めさせていただきました。
 また、死後懐胎、御指摘の死後懐胎につきましては、最高裁におきましては、平成十八年九月四日の判例でございますけれども、相続というものが概念、できない、扶養関係がなかったという点から、これを親子関係を認めないという判例がございます。ただ、海外の事例で見ますと、例えば合意が、亡くなる方の合意があった場合には親子関係を認めるとか、あるいは、例えば時間が短い場合ですね、亡くなってから生まれるまでの期間が短い場合には認めると、あるいは全面禁止するというような立法例もあるところでございます。
 その意味からも、この第三条というのは、この死後懐胎の規定の検討というものを別に排除しているわけではないわけでございまして、今後の議論の中で扱われていくものだと理解しております。

#60
○川合孝典君 ありがとうございます。
 今御指摘のとおり、死後生殖子については同時存在の原則に基づくと相続法上の問題が生じるといった点もあります。その辺り大変懸念いたしておりますので、今後積極的に御議論いただきたいと思います。
 次の質問に移ります。
 海外渡航をして代理出産を選択されるケースというのが非常に増えてきているわけでありますが、今回の法律改正によってこれを禁止することができるとお考えでしょうか、お聞かせください。

#61
○委員以外の議員(伊藤孝恵君) 海外に渡航しての代理出産というのは、実際に行われているものでありますし、それを止めるということは難しいというふうに思っております。しかしながら、それに付随する様々な課題というのが顕在化しているという現状、それから、この立法府での課題、議論というのが進んでいないという現状を鑑みまして、今回、附則第三条において、生殖補助医療及びその提供に関する規制の在り方を含め、二年を目途として検討が加えられ、そこの結果に基づいて法制上の措置が講ぜられるもの、具体的に法制上の措置等が講ぜられるものとしているものであります。

#62
○川合孝典君 ありがとうございます。
 次の質問に移ります。
 代理懐胎についての確認ということでありますが、代理懐胎にはIVFサロゲートとサロゲートと二種類あるというふうに理解しておりますが、その術式によっていわゆる遺伝情報が子に引き継がれるかどうかということが変わってくるということであります。
 今回の法改正というのは、子供の人権の観点から、生物学的な実の親に特別養子縁組を求めるということになるという理解でよろしいのでしょうか。この子供の人権の観点からそうするという規定をされたのかということを確認したいと思います。

#63
○委員以外の議員(秋野公造君) 現行法制がそうなっておりますので、現行上はもうそれしか今は選択肢がないということでありますので、ちょっと擦れ違った答弁になっているかもしれませんが、現行上はそういう選択肢がないと私たちは受け止めております。

#64
○川合孝典君 と申しますのも、次の質問に関わる話なんですが、特別養子縁組の場合、離縁をするということについて非常にハードルが上がるということでありまして、養子の利益のために特に必要があるときに、養子、実親、検察官の請求によって離縁が成立すると、こういうことになっております。
 今回のこの法律によって、特別養子縁組の判断にどのような影響が出るのかということを非常に懸念しているんですが、その点について御検討されたのであればお聞かせいただきたいと思います。

#65
○委員以外の議員(秋野公造君) 代理懐胎が、そもそもその取扱いについてもまだ発議者間の中でも決して成案が得られているところではない。その前提で、代理懐胎が行われた場合、この特別養子縁組に影響を及ぼすかということだろうかと思いますけれども、いわゆるその代理母が相当の監護を行うということはちょっと考えにくいと思いますので、大きな影響はないということを私たちは考えてございます。

#66
○委員以外の議員(古川俊治君) 御指摘ありましたように、この代理懐胎において特別養子縁組を使うというのはある意味で便法として現在使っているわけでありまして、例えば懐胎者の夫というのは全く関係がないわけですね。ところが、その生まれてくる子のお父さんになってしまうという状況があり、また、本来この特別養子縁組というのは離縁の意思がそのときになきゃいけないと。ところが、元々この代理懐胎の場合はまさにその子供を産んでもらうためにやっているわけでありまして、全くその元々代理懐胎が予定していたものではないものを、先ほど秋野発議者からございましたが、それしかないから使っているということでございまして、この点は今後、そこを含めて、附則第三条の検討で行っていくんだろうと考えております。
 ただ、そのほかの特別養子縁組については、これが何か影響するということはないと考えております。

#67
○川合孝典君 ありがとうございました。
 一定の確認をさせていただいたというふうに理解したいと思います。
 次の質問に移ります。
 先ほども若干触れられましたが、子供の出自を知る権利の部分について今回法案の中で明示されていないということなんですが、発議者御自身としてはこの子供の知る権利についてはどのように捉えていらっしゃるのかをお伺いしたいと思います。

#68
○委員以外の議員(秋野公造君) 発議者としましては、いわゆる出自を知る権利は重要な論点であるという具合に考えております。
 政府の答弁などを、過去の答弁などをひもといてみますと、例えば、先ほど塩村先生からも子どもの権利条約の関連で御質問をいただきました。採択された当時は生殖補助医療が想定されておらず、精子提供者と代理母がこの条約に言う父母に該当するかは慎重な検討が必要であると、こういった立場でありますが、それを踏まえて私どもは出自を知る権利は重要な論点であるということを申し上げているところであります。
 この出自を知る権利という言葉もいろんな文脈で使われているように思います。扶養義務が掛かるということをおっしゃる方もいらっしゃれば、遺伝情報という観点でおっしゃっている方もいるように思いまして、そういった意味では、生殖補助医療の世界だけでこの出自を知る権利ということについて議論することが、そういうことにはならないのではないかと思っておりますけれども、まずは、その出自を知る権利の前提となるであろうと思われる記録の保存でありますとか、あるいは開示の在り方でありますとか、そういったことを法律の中に明確に定めさせていただいておりますので、まずはこの医療の範囲というものをしっかり検討することに注力をしたいというのが発議者の考えであります。

#69
○川合孝典君 知る権利とも関わる話にもなってくるんですが、その問題とは別に、その情報をどう管理していくのかということについてはこれ非常に実は大きな問題をはらんでいると。例えば、身元確認ができる、遺伝子情報も含めて、犯罪捜査やその身元管理や医療上のニーズなどで、第三者の精子、卵子で出産した子供の場合には、生物学的な親子関係と民法上の親子関係等の資料というものがきちんと管理をされておかないと今後非常に対応に問題が生じる可能性があるわけであります。
 まだ今は、言っても人数がある程度限定されているということがありまして大きな問題にはなりませんけれども、これ、数が大きくなってからこの問題の議論していたのではもう全然間に合わないのではないのかということを私の立場としては懸念いたしておりますので、この点について改めてちょっと御認識をお伺いしたいと思います。

#70
○委員以外の議員(古川俊治君) 大変重要な課題だというふうに認識しております。
 今、現にそうしたものが行われてしまっているわけですけれども、その中では、一定の民間の組織がやっているという実態がございます。ただ、民間の組織ですと、これ途中でなくなったりするということは十分あるわけでございまして、しっかりこの公的な機関において長期間、検討したところまあ八十年ぐらいは必要じゃないかというふうに考えておりまして、百年ぐらいの期間しっかりその情報を保存できる、そういう義務を持った公的機関をつくるということは、議員御指摘の犯罪捜査あるいは身元確認ということも含めて、遺伝病、近親婚というのが言われておりますが、必要になってくる可能性があると思っております。
 そうした議論も、どのような機関をつくるか、その費用をどうしていくか等についても超党派で話し合っていくべき問題だと考えております。

#71
○川合孝典君 ありがとうございます。私も同様に感じております。
 そこで、ちょっと順番変えますが、本日は厚生労働省から大隈政務官に委員会の途中抜けて御出席いただいております。
 今やり取りした内容も含めてなんですが、この生殖補助医療の適正な提供を行うためということと同時に、情報をきちっと管理をしていくという上で、所管するのは、医療という側面では当然厚生労働省さんということにもなるわけでありますので、いわゆる会議体をきちっと設置するということと同時に、情報管理をするための公的機関というものの整備もしなければいけないということが今後の課題として大きくあるわけでありますが、この点について、政府としての必要性についての認識というものをお聞かせいただきたいと思います。

#72
○大臣政務官(大隈和英君) 御質問ありがとうございます。
 御指摘のとおり、生殖補助医療におきましては、識者の間でも様々な御意見あるいは議論があることと、大変難しい問題であることを認識しております。
 本法案の附則第三条におきまして、生殖補助医療の規制の在り方等については国会において検討することが規定されているものと承知しております。その中で、国会におきまして御議論をいただき、また、幅広い分野の関係学会、専門家等の御意見を踏まえた上で、先生が御指摘の情報管理機関というのは具体的にどのような想定されておるかということはありますが、個人情報の十分な配慮も含めた議論を関係省庁と連携しながらしっかりと進めてまいりたいというふうに考えております。

#73
○川合孝典君 おおむね想像したとおりのお答えということであるんですが、情報を管理する組織がどういうものをイメージするのかということについて、そのこと自体が厚生労働省なのか法務省なのかということが現在明確ではないわけです。もっと言ってしまうと、答弁者の登録をしたときにもどちらがやるのかで若干もめているというぐらいのことでありますので、したがって、そういう問題であるということを認識した上で、本法成立後、速やかに法務省と厚生労働省で連携をしながらこのことについての議論を始めていただきたいと思うんですけど、いかがでしょうか。

#74
○大臣政務官(大隈和英君) 今まさに御答弁申し上げたとおり、しっかりと関係省庁等で連携を深めながらしっかり議論してまいりたいというふうに思っております。
 ありがとうございます。

#75
○川合孝典君 その一言が欲しかったんです。ありがとうございます。よろしくお願いします。
 次の質問に移らせていただきたいと思います。政務官には御退席いただいて結構であります。

#76
○委員長(山本香苗君) では、大隈政務官、御退席いただいて結構でございます。

#77
○川合孝典君 残りの質問をさせていただきたいと思います。
 今回の法律案の中には、いわゆる商業利用の規制、それから優生学的悪用の禁止ということについて盛り込まれておりません。盛り込まなかった理由について御説明をお願いします。

#78
○委員以外の議員(石橋通宏君) 御質問ありがとうございます。これも重要な御指摘をいただいたと思います。
 実は、川合委員御指摘の商業利用の規制、特に商業的な悪用ですとか濫用ですとか、決してあってはいけませんし、さらには、優生思想的な対応も、これは何としても許していってはいけないという思いは発議者全体で共有させていただいて、実は法制化の過程においても何らかの形で文言として盛り込めないかという議論も法制局ともやらせていただきましたが、残念ながら、現時点においてなかなか、その概念の不明確さ、定義の不明確さ、そういったことから法律上の規定としてそのまま置くのは非常に現時点では困難であるということから、私たち、この基本理念の第三条、この第一項で女性の健康の保護が図られるべき旨を規定しておりますし、さらには、第四項で生まれくる子の福祉に配慮すべき旨の規定を置いております。この部分に、当然ながら、この商業的利用の規制、悪用、濫用の禁止、またさらには優生学的悪用の禁止ということも理念として盛り込んでいるというふうに整理をさせていただいて、今後、政府の取組、さらには私たちの今後の検討においても、これをしっかりと踏まえながらの今後の対応を進めていくべきものというふうに整理をさせていただいているところでございます。

#79
○川合孝典君 ありがとうございます。
 時間がぼつぼつ参っておりますので、最後の質問、移らせていただきます。
 附則の第三条の二に、両議院の合同審査会制度の活用等ということで、先ほどもちらっと触れられておられますけれども、具体的にこの文言が書き込まれていると。その背景に一体何があったのかということはおおよそ見当が付くわけでありますけれども、この合同審査会というものを仮に活用した場合になんですが、複数の案を、古川発議者はいろいろ考えたということもヒアリングのときにおっしゃっていましたけど、当然そういう議論が今後なされる可能性があるわけでありますが、この国会における委員会を活用した場合、党議拘束を外した形で複数案を提示することが可能なのかどうか。生命倫理に関わる問題等もありますので、当然それぞれ異なる立場で物事をお考えになられる方が今後出てくる可能性がありますけど、党議拘束を外した複数案を国会の委員会で提示することができるのかどうかということについてお聞かせいただきたいと思います。

#80
○委員以外の議員(古川俊治君) ありがとうございます。
 我が党のことをちょっと申し上げて恐縮でございますが、党の中でも、代理懐胎を認めて、一部限定的に認める案、そして代理懐胎を禁止する案、あるいは代理懐胎を一部認めた上で親子関係の特例を再度つくる案というものができまして、また同時に、第四案として、任意の議員から出自を知る権利を認める案を作るというお話もございました。我が党も幾つかの案を作る前提でずっと議論を進めてまいりましたので、今日御出席の多くの議員もその議論に加わっていただいたわけでございます。
 そうした中で、先生御指摘のこの両議院の合同審査会の中での取り上げ方でございますが、先例としては臓器移植の方がございまして、このときは最終的に六案まで出たというふうに認識しております。そうした形で各党いろんな案を出していただくということになると、当然ながら党議拘束は外れた形でないとそういう形にならないというふうに理解しておりますので、この点、各党でしっかり議論が煮詰まるのは、醸成されるのを待ちたいというふうに思っております。

#81
○川合孝典君 時間が来たのでこれで終わりたいと思いますけれども、私もまさに脳死臓器移植の議論をしたときのことを思い出しまして、ああいった形の議論をしっかりとしていかなければいけないということを感じておりましたので、今の答弁を聞いて大変安心いたしました。
 いずれにいたしましても、大変難しいテーマにお取り組みいただいたことに感謝を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

#82
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
 まず、長沖参考人に伺います。
 本法案は、第三者の卵子、精子により出生した子の親子関係を規定するもので、生殖補助医療そのものの規制の在り方、いわゆる行為規制や出自を知る権利などについては今後二年の検討課題とされております。しかし、本来、これらは一体の問題であって、親子関係のみを先行させるべきではないと私は考えますけれども、御意見を伺えますでしょうか。

#83
○参考人(長沖暁子君) 長沖です。よろしくお願いします。
 私は二〇〇三年から、AIDの当事者、産んだ親、それから提供者、生まれた子供たちの聞き取りの調査をしておりました。その後、生まれた人たちと一緒に「AIDで生まれるということ」という本を出しております。
 まず、ちょっと感想を述べさせていただきますと、この法案に出自を知る権利が入っていないということに失望しています。今回の法案で、治療に同意した夫が父と規定されているように、現在の生殖補助医療の基本はインフォームド・コンセント、当事者の同意ということになっています。ところが、生まれてくる子供はまさに当事者なんですけど、同意が取れない当事者なんですね。だからこそ、生殖補助医療に関しては、生まれてくる子供の福祉や権利を最優先しなきゃいけないというのが世界的な合意だと私は思っています。ここまでが最初に申し上げたいことなんですけど。
 で、この法案を読ませていただきますと、前半は通常の夫婦間の体外受精とかに関して規定されているんですけど、三章に突然、他人の配偶子を使った生殖補助医療における親子関係というのが出てきます。ということは、この法律で扱う生殖補助医療というのは何なのか、それから第三者からの配偶子を認めるというのをこの法律で決定するのか、その第三者の関わる生殖技術というのは、配偶子提供なのか、それとも代理懐胎なのか、そういう問題がどこにも見えない。それから、その対象となるのは夫婦なのか、それとも同性のカップルも認めるのか、それからシングルなのか、それもはっきりしません。生殖補助医療というのはとても幅広いものなので、それを受ける女性の健康、精神的、身体的健康の問題から、今、先ほど述べた問題のように、様々な検討をしなきゃいけない課題があると思っています。
 日本で、生殖医療において何を認めて何を認めないのか、その理由は何なのかという、そういう理念がまず重要で、その上で法律が成立するんだと私は思っています。理念のないまま精子提供や卵子提供を認めてしまうと、商業的な、先ほども出ていましたけど、商業的な提供というものに対する歯止めも利かなくなりますし、懸念されている優生思想の介入も許してしまうんだと思います。
 もう一つ、この法律の中で提供者のことが何も書かれていないんですけれども、例えば、精子提供者が提供を受けた人や子供から認知を求められた場合にどう対応できるのか、それから、卵子提供をした提供者が健康被害を受けたときにそれをどうやって補償するのか、そういうことも書かれていません。
 また、もう一つ、理念が決まった上で、それを実行するためには様々なシステムが必要です。例えば、出自を知る権利を保障するためには、治療を受けた人、提供者、生まれてきた子供の情報の登録、管理、それで追跡のシステムも必要になる。そういうようなシステムまで含めて確立することができて初めて健全な生殖補助医療が実施できるし、制御できるのではないかと考えています。

#84
○山添拓君 ありがとうございます。
 理念が定まってこそその必要なシステムが定まり、それによってこそ健全な生殖補助医療の実施と制御ができるというお話でありました。
 法務省に伺いますが、法制審の親子法制部会は二〇〇三年の七月、精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療により出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する要綱中間試案を発表しています。当時の議論は、いわゆる行為規制の在り方の検討と並行して行われて、法律により行為規制がされることが前提とされていました。その理由は何でしょうか。

#85
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 御指摘の法制審議会における検討が開始された経緯でございますけれども、まず、平成十二年の十二月に、厚生科学審議会先端医療技術評価部会の生殖補助医療技術に関する専門委員会におきまして、精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療のあり方についての報告書が取りまとめられ、生殖補助医療の行為規制の整備の検討が行われることになったと承知しております。
 このような第三者提供の精子、卵子等を用いて生殖補助医療がされた結果生まれた子は、医療を受けた夫婦の一人又はその双方と生物学上の親子関係が存在しないこととなりますため、報告書におきましては、このような医療行為を一定の条件の下で認めるとともに、医療を実施するための条件整備の一環として、生物学上の親子関係がない場合であっても法律上の親子関係を確定させる立法措置が必要である旨が記載されたところでございます。
 そこで、厚生科学審議会生殖補助医療部会における行為規制の検討と並行いたしまして、また行為規制の内容を前提としつつ、平成十三年四月から法制審議会生殖補助医療関連親子法制部会において、生殖補助医療により生まれた子の親子法制について検討が開始されたところでございます。

#86
○山添拓君 行為規制が前提とされてきたということでありました。
 法務省に確認ですけれども、親子関係が問題となった近時の最高裁判例でも、医療法制と親子法制はこれ両面からの検討が必要だとされてきたのではなかったでしょうか。

#87
○政府参考人(小出邦夫君) 委員御指摘のとおりだと認識しております。

#88
○山添拓君 現在、法制審議会の親子法制部会が開かれておりますが、例えば、そこでは、母子関係について、行為規制の立法の見通しが立たない現状を前提に親子法制を規律することについては慎重な検討を要するとされています。どのような生殖補助医療がいかなる要件の下に認められるかが定まらないのに、親子関係を先に定めるというのは不可能であり、適切でもないということだと思うんです。
 では、行為規制についての検討が進まなかったのはなぜなのか。厚生科学審議会の生殖補助医療部会は二〇〇三年四月二十八日、精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療制度の整備に関する報告書を発表しています。その後、これが法制化に至らなかった理由は何でしょうか。

#89
○政府参考人(大坪寛子君) お答え申し上げます。
 御指摘の生殖医療補助でございますけれど、法務省から今回答がありましたように、さきの検討会を踏まえまして、平成十三年から十五年にかけまして厚生科学審議会生殖補助医療部会で検討し、一定の取りまとめを行っております。
 その後ですが、日本人夫婦の代理懐胎による子の出生の受理、こういったことに関する裁判、そういった裁判の判決等がございまして、そういった動向を踏まえまして、厚生労働大臣と法務大臣の方から日本学術会議に対して審議を依頼したという経緯がございます。
 平成二十年に日本学術会議から報告書が取りまとめられました。その報告書の中には、国民の代表機関である国会が作る法律によるべきという御意見をいただいたというところでございます。

#90
○山添拓君 家族観や生命倫理に深く影響する問題であるので、政府が定めるのが適切かどうかという議論があったと、こういうことですね。

#91
○政府参考人(大坪寛子君) はい、御指摘のとおりでございます。

#92
○山添拓君 国会が作る法律にするべきだとされたわけですが、ところが、その後は主として与党内の議論のみで、国会での議論というのは部分的なものです。ましてや国民的な議論とその合意があるとも言い難い状況ではないかと考えます。
 法案の附則第三条三項には、法案成立後に行う検討の結果、親子関係について更なる特例を設けることも含めて検討し、法制化する旨が記されております。
 発議者に伺いますが、本法案による親子関係の特例以外にどのような場合を想定したものでしょうか。

#93
○委員以外の議員(古川俊治君) 一つがいわゆる代理懐胎というものでございまして、出産する親と、それから生まれてくる子の、特に女性、女性の卵巣は大丈夫なんだけれども子宮がよくないという方ですね、その場合に生まれた子の親子関係、これが一つでございまして、また、夫の同意がない場合、これ十条には、夫が同意があり、そこで夫以外の男性の精子を用いた生殖補助医療により生まれた子については、夫は、民法七百七十四条の規定にかかわらず、嫡出否認をできないと書いてあります。その場合、夫の同意がない場合に、その子の親子関係あるいは精子提供者の地位はどうなるのか、この問題も同様にこの規定の中に含まれていると考えております。

#94
○山添拓君 今、とりわけ代理懐胎のことを最初に答弁されましたが、これは医療の範囲にとどまらず、倫理的、法的、社会的に重大な問題を含むものだと思います。二十年掛かって議論が進まないものを僅か二年と期限を切って結論を急がせるということになるなら、これは乱暴だと指摘しなければなりません。
 長沖参考人に伺いますが、現在、生殖補助医療の下で既に深刻となっているのが、生まれた子の出自を知る権利をめぐる問題であります。参考人は生殖補助医療で生まれた人などからのインタビューを行い、研究を進めてこられたと伺います。どのような点が問題となってきたのか、いかなる法的整備が求められているかについて、御意見を伺います。

#95
○参考人(長沖暁子君) AIDで生まれた方の私はお話をずっと伺ってきましたけれども、その方たちの絶望というのは想像を超えたものがあると感じてきました。例えば、自分の誕生日というのがつらい、自分の誕生日になるとそのことを思い出すからつらいとおっしゃる話を聞いたときには、私自身も驚きました。
 今現状では、AIDは秘密にしておかなきゃいけないということだったので、多くの人は子供の頃から伝えられていません。なので、AIDで生まれた人が自分がAIDで生まれたという事実を知るきっかけというのは、両親の離婚又は親の病気や死という、そういうつらい場面で知ることが多いのです。なので、家族の危機でもう一つの自分の危機を抱えるという二重の葛藤を抱えることになります。そのために、親が長いこと自分に対して隠していたということに怒り、だまされていたと感じています。その結果、自分のアイデンティティーや人生そのものが喪失してしまったと感じたり、自分の半分が空白になってしまったと感じて、その後の人生を大きく狂わせてしまう人たちもいます。
 あえて子供に知らせる必要はない、平和に暮らしているのにあえて子供に知らせる必要はないと言う人もいるんですけれども、多くの人が、知る前から自分の家族に、理由は分からないけれども緊張感や違和感があったというふうにおっしゃっています。で、AIDだと知って、ああ、それだったんだと後から分かるということです。
 出自を知る権利のことが話題になっていますが、ある人は、なぜ精子提供者を知りたいかというと、自分が精子という物から生まれてきたんではなくて、そこに人がいたということを確認したいと言っています。
 この発言というのは、提供者ではなくて、配偶子という物としてそこだけにフォーカスを当ててきた生殖補助医療への根源的な問いだと思うんですね。この空白を埋めるには、その人としての提供者を知るということしかないのだと思っています。
 私が出会った、その大人になってからAIDで生まれたということを知った方々の多くは、精子提供や卵子提供に反対しています。このまま生殖補助医療を続けると自分と同じ苦しみを味わう人が増えてしまう。
 で、親が子供に事実を伝えないことというのも問題としてあるわけですけれども、これは、自分たちがやった選択に自信が持てないからであり、この親たちへのサポートも当然必要になってきます。
 厚生科学審議会で五年も掛けて審議されて、子供の出自を知る権利というのは子の福祉の観点から認めるという結論が出てからもう二十年近くたつんですね。いまだに、出自を知る権利に関して議論がなされてこなかったっておっしゃる発言をつい最近も聞いたんですけれども、そういうことを発言なさることが信じられません。
 海外では、一九八四年のスウェーデンを始めとして、二〇〇〇年代前半までにヨーロッパやオセアニアなどの国々では出自を知る権利が認められてきました。その根拠とされているのは子どもの権利条約なんですね。子どもの権利条約の七条と八条がその根拠となっています。子どもの権利条約は一九九〇年に発効されて、日本も九四年に批准しているはずです。
 生殖補助医療というのは、親とは別の一人の人間を誕生させる行為になります。しかし、最初にも申し上げましたように、その生まれてきた当事者である子供というのはその治療の同意を取れない子供、存在なわけですね。だからこそ、社会や大人は生まれてくる子供が健やかに生きるための権利というのを守らなきゃいけないと私は思っています。子供の権利と親の権利というのをてんびんに掛けるのではなくて、生まれた子供も親も幸せになるためのシステムや法というものを是非つくっていただきたいと思っています。
 今日はありがとうございました。

#96
○山添拓君 今の御発言は重く受け止めなければならないと思います。
 私も当事者の方からお話を伺いましたが、成人後突然その事実を知って、アイデンティティーが崩れて自分自身を肯定できない状態に陥ったと、これはもう想像を絶する事態だと思うんです。
 発議者に伺いますが、出自を知る権利を保障するべきか否か、両論あるとすればその理由について、例えば与党内ではどういう意見があったんでしょうか。

#97
○委員以外の議員(古川俊治君) ありがとうございます。
 一つは、今、長沖参考人からもいただきましたように、できる限り子供の権利というものを認めていこうということが一つございます。
 一方で、先ほども申し上げましたが、この出自を知る権利を認めた場合に、まあイギリスの例もございますけれども、やはり今、日本でも現にそういうインフォームド・コンセントを行ったために配偶子の提供者がずっと減ってしまうと、そして必要な治療を受ける方が受けられない状況になると。イギリスではこういうことをやった結果、海外に行って治療を受けるという例が増えたというふうに聞いております。
 その両面をどう考えていくかという意味で、これは生命倫理に関わる意味で自民党内でも相当議員の間でまとまりがなかったという状況でございまして、一つ申し上げれば、二十年放っておかれた議論をこの二年間のうちにできるところはせめてやると。少なくとも公的に情報を管理するシステムをつくることは出自を知る権利に資すると考えておりますので、そういったところをしっかり議論し、必要があれば、先ほど塩村委員からもお話ししていただきましたが、複数回に分けるという検討も可能であると考えております。

#98
○山添拓君 その検討は不可避だと思いますが、重要な論点だと言いながら認めない可能性もはらんでいるということだと思うんです。
 二〇〇三年の厚生審議会の報告書では、確かに、そのドナーの提供、ドナーが減ることについて指摘をしているわけですが、しかし、減るんだとしても子の福祉の観点からはこうした情報の開示はやむを得ないと指摘をしていました。そこから比べても大幅な後退だと言わなければならないと思うんです。知る権利を認めていくというのは、もうこれは避けられない問題だと思います。
 厚労省に伺いますが、この法案では、生殖補助医療の提供を受けた者、生まれた子に関する情報の保存、管理、開示等に関する制度の在り方について今後の検討課題としているわけですが、検討が生まれるまでの間に生まれる子について、当面、提供者に関する情報を保存するような措置を講じていくのでしょうか。

#99
○政府参考人(大坪寛子君) お答え申し上げます。
 今の御指摘の点につきましては、例えば日本産婦人科学会などでは会告の中で、それぞれ事例、尊重するようにということで、管理の在り方を規定をしております。それも全てではなくて、様々会告出ております中で、提供精子を用いた人工授精については、精子の提供者の、匿名としつつも、その実施医師は提供者の記録を保存すると、そういうことで会告を定めております。
 その心はといいますと、その出自の権利ということではなくて、出生児の個数を十人までと定めているところがございますので、その観点から医師はそれを知っていなければならないと、そういう規定になっております。
 いずれにいたしましても、この問題点は非常に倫理的にも難しい問題でございまして、本法案の附則において国会での御議論を待ちたいというふうに考えております。

#100
○山添拓君 時間ですのでもう終わらなければなりませんけれども、今、学会の会告の話がありましたが、二十年前の厚生審議会の検討も、会告に反する医師が現れて生殖補助医療が行われたと、そういう例が出発点だったわけですね。ですから、会告があるから大丈夫ということにはならないと思います。
 そして、二〇〇三年の報告書は、公的な管理運営機関による八十年の保存を提案していました。厚労省は保存すべきだと、これは直ちに通知をするべきだと思いますし、本当はもっと検討の時間が、議論の時間が必要だということを重ねて申し上げまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

#101
○伊波洋一君 ハイサイ、沖縄の風の伊波洋一です。
 本日も、高良鉄美議員に代わって質問いたしますので、よろしくお願いいたします。
 山本委員長を始め理事各位には、質疑に際し参考人をお認めいただき感謝申し上げます。
 早速質問に入ります。
 まず、本法案の発議者に伺います。
 今回の生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法特例に関する法律は、可決されれば生殖補助医療についての初めての法律になります。既にAID、非配偶者間人工授精による生殖補助医療も実施されて七十年を超えており、法律制定に当たっては、AIDで生まれた子の出自を知る権利について明文化することが重要な課題です。発議者はどのようにお考えでしょうか。簡潔にお答えください。

#102
○委員以外の議員(秋野公造君) 改めて、発議者は、出自を知る権利につきましては重要な論点であるということで一致をしているところでありますが、ドナーの情報を開示するところについては、国民的コンセンサスが得られていないということで明示をしなかったということであります。
 先ほど来、子どもの権利条約との関連につきましても御質疑がありましたけれども、政府におきましては、この精子提供者や代理母がこの条約に言う父母に該当するかは慎重な対応が必要と言っている状況を踏まえて、私どもは、出自を知る権利は重要であると、重要な論点であるという点で一致をしているところであります。
 出自を知る権利の言葉自体も様々なことをおっしゃる方がいる状況でもありますので、また生殖補助医療の範囲だけで考えていいということにもなかなかならないだろうと思いますが、一方で、大きな一角であることには間違いがありませんので、検討事項の中で、二年間の中でしっかり検討していきたいと思ってございます。

#103
○伊波洋一君 今回の民法の特例に関する法律案は卵子提供を可能にするものですが、不妊治療の該当者は必ずしも懐妊可能でない場合もあるでしょう。
 第三条の、これにより懐胎及び出産をすることになる女性の健康の保護が図られなければならないは、第三者の懐胎も想定したものでしょうか。いわゆる代理懐胎についても発議者はどのようにお考えでしょうか。簡潔にお答えください。

#104
○委員以外の議員(秋野公造君) 第三条の、これにより懐胎及び出産することになる女性という規定については、この第三者が懐胎する代理懐胎の場合を想定して規定したものではございません。生殖補助医療により懐胎し出産する女性全般を対象とするという考えでございます。

#105
○伊波洋一君 生殖補助医療のときに第三者が懐胎することもあり得るかということ、問いでしたけれども、これまでの答弁では、附則第三条の三の三で、第三章の規定の特例として、代理懐胎で第九条の出産をした女性が母とする規定の特例を設けることも含め法制上の措置が講ぜられることとするということも含めて検討されているというふうに答弁していると思いますが、そういうふうに理解して間違いありませんか。

#106
○委員以外の議員(古川俊治君) おっしゃるとおりで間違いございません。

#107
○伊波洋一君 次に、本日、柘植あづみ参考人をお招きしておりますので、伺います。
 まず、生殖補助医療の問題に詳しい柘植参考人はどのような研究をされているのか、まず自己紹介をお願いいたします。

#108
○参考人(柘植あづみ君) この法案についての意見を述べる機会を与えていただき、ありがとうございます。
 私の専門は医療人類学という日本では余りなじみのない学問です。医療人類学には幅広い研究対象がありますけれども、私は、文化人類学を基盤にしたフィールドワークとインタビューという方法を使って、生殖医療と女性の意思決定、そして女性の人生の選択という研究を行ってきました。
 生命倫理学も研究しております。生命倫理学の分野からは、医療技術に関する法律やルールの背景にどんな歴史や哲学それから思想や信条があるのか、それから社会構造があるのかなどの分析をしてきました。
 以上です。
 具体的に申し上げますね。
 具体的には、日本で生殖補助医療を実施している医師の方、それから生殖補助医療を使っている不妊治療をしている方、それから生殖補助医療で生まれた方たちへのインタビューをしてきました。
 それで、その生まれた方たちの中には精子提供で生まれた方も含まれています。それから、卵子提供を使って今不妊治療をしていらっしゃる方もいらっしゃいます。そして、海外では、精子提供で子供を持った方、卵子提供で子供を持った方たちにインタビューをしています。あと、少ないですが、代理出産で子供を持った方にもインタビューをしてきました。
 以上です。

#109
○伊波洋一君 これまでのインタビュー等で実際この生殖医療あるいは生殖補助医療でお生まれになった方、あるいは家族、そのことについて、いわゆるどういうことを今まで感じてこられたんでしょうか、この方々のインタビューについては。

#110
○参考人(柘植あづみ君) まず、この法案の基本理念が、生殖補助医療を受ける女性の健康の保護、それから実施する際のインフォームド・コンセント、体外に取り出された精子や又は卵子の採取と保管の安全性の確保、そして生まれてくる子供の健康への配慮などの四点にまとめられると思います。それに加えて国の責務なども書かれておりますけれども、いずれも重要な事柄だと思います。ただ、私には、その安全とか健康という書かれている文言が、標語のようにしか聞こえなかった、読み取れなかったと思います。
 標語と申し上げたのは以下の理由によります。
 私は、生殖補助医療に関する基本理念とは何かということを、いかなる生殖補助医療を誰に、誰が使うことを認めるか、それからどの生殖補助医療を使うことを認めるか、それからどんな制度を設けるのかなどがその基本理念を映し出すと思っています。つまり、誰が使えるのか、例えば夫婦に限った場合と夫婦に限らない場合というところで、その国が家族とか親になる人をどのように規定するかということを考えていると思います。あと、凍結受精卵をどのように扱うかという規則を設けるとしたら、それは生命というものをどのように考えているかにつながると思います。
 ですので、この法案を読んで理解できなかったのが、その基本理念を映し出すはずの、何というんですかね、法律用語でよく、規制する部分というのが書かれていない、行為規制が書かれていないということが問題だと思いました。
 例えばなんですけれども、旧優生保護法が犯した誤りについて考えたときに、誰が子供をなしてよいのかという規制になっていたわけです。そのような過ちというのを犯さないためにも、行為規制を明確にしないと基本理念というのは描けないのではないかと思いました。

#111
○伊波洋一君 ただいま参考人の方からは、現在の条文を読む限りにおいてこの基本理念がつかみ切れないと。つまり、更にそれをどのようにやろうとしているのかについて分からないというようなお話でございました。もちろん、先ほど来からの質疑の中でも、ずっと後に、あと二年間の間にという話で整理されておりますので、出ていないわけですね。
 そもそも生殖補助医療というのはどんな医療なのか、教えてください。

#112
○参考人(柘植あづみ君) 生殖補助医療というのは、子供を持つのを望みながらそれがなかなかかなわない人が用いる医療技術だということは皆さん御存じだと思います。
 もう一つの特徴が、精子と卵子を体外に取り出すということが特徴です。そのために、体外受精をすることで人為的な処置ができます、その受精卵に。
 それからもう一つが、性交を介さないで生殖ができるということになります。
 それで、もう一つは、不妊治療に関しては、高額な費用と通院の時間などが非常に掛かるということが言われていますけれども、それだけではなくて、排卵誘発剤のホルモン治療の副作用、それから、採卵から胚移植といった一連の過程で、それを何度か繰り返すことによって身体的な苦痛を伴うといったこともあります。さらに、成功率が、体外受精胚移植一回当たりの子供を得られる確率は二〇%以下です。子供を持つことを期待しては妊娠できなかった結果に落胆することを繰り返します。それを終わりのないジェットコースターと表現した方もいらっしゃいます。それから、いつ子供が持てるのかが分からない状態を出口の見えないトンネルの中にいるというふうに表現された方もいらっしゃいました。
 つまり、不妊治療のその生殖補助医療を受ける人たちの苦しみの中には不妊治療による苦しみが含まれていることを忘れてはいけないと思います。
 アメリカで卵子提供によって子供を持った九名の方にインタビューしたんですが、その方たちの、九名のうちの三人が卵子提供をした女性がホルモン剤の、あっ、まず一名ですね、卵子提供した女性がホルモン剤の副作用の事故がありました。それから、三人の方が、卵子提供を依頼した女性が体の状態が悪くなる。例えば、妊娠高血圧症、重度だったんですけれども、重度の妊娠高血圧症、それから妊娠糖尿病、それから出産の際に出血多量になって生命の危険にさらされた方、それから出産の数日後に緊急に子宮摘出手術をしなければいけなかった方などが僅か九名のインタビューで出てきました。その方たちは全て、卵子提供して子供が得られて良かった、うれしいとおっしゃっている方たちです。
 その健康や安全に配慮するとはどういうことかというのもやっぱり法律にもう少し詳しく書いていただきたいと思っております。
 以上です。

#113
○伊波洋一君 今の御答弁、お話、参考人のお話によると、かなり厳しい生殖医療の現場というのがあるようなんですけれども、では、生殖補助医療をより良いものにするには何が必要だとお考えですか。

#114
○参考人(柘植あづみ君) この法案の中で足りないことを二点指摘させていただきたいんですが、一つが統計の整備について書かれていないことです。統計を整備して、その分析をして、そして情報開示をして、そしてそれを技術の進歩につなげていかないといけないと思っています。
 子供を願う人たちに生殖補助医療を安全で効果があるように実施するには、まず、これらの技術の情報の収集と分析が必要です。現在これは日本産科婦人科学会が行っていますが、法律を設けたならば、国が責任を持って、これを成功率や医療を受けた人及び生まれた子の長期的な健康も含めて調査していかないといけないと思います。もちろん、調査にはその方たちの尊厳を守る配慮も必要だと思います。
 もう一つが、この治療を受ける人たちが、医療を使う人が十分な情報を得て自分で決めていくという制度を設けることが必要です。それが結果的に技術の安全性を高め、成功率を上げて費用を下げることにつながっていくと思います。
 不妊治療をしてきた方に長くお話を聞いてきて思うのは、不妊治療によって生殖補助医療をしても子供を得られた人たちばかりではありません。むしろ、子供を得られなかった人たちが大勢いらっしゃいます。それで、その方たちがおっしゃるのは、不妊治療のやめどきが分からない、それから、自分の子供をもう諦めようと思うんだけれども、どうやったら諦められるのかが分からないというような声も多く聞きます。
 また、体外受精でお子さんができた方とできなかった方と別々にインタビューしたんですが、思い掛けず同じ言葉をもらったことがあります。どういうことかというと、不妊治療をしていたときには、あんなに子供がいなければいけない、どうしても子供が欲しい、こんなに頑張っているのになぜできないのということで苦しんだけれども、不妊治療から離れて、どうして私はあんなに自分を追い詰めていたんだろうか、あんなに子供ができない自分を卑下していたんだろうかというのが今は不思議だというふうに、そんな言葉でした。
 これらから、生殖補助医療の技術の質の向上だけではなくて、心理的なサポートや意思決定のサポートが必要だと思います。情報を得て自分でよく考える、性と生殖について、自分の体や心について理解して意思決定をしていく、それはリプロダクティブヘルス・ライツについて学ぶ機会にもなると思います。
 以上です。

#115
○伊波洋一君 今回はこの第三章に親子関係に関する民法の特例が入っております。やはり、本委員会は法務委員会ですので、それはとても重要な課題になっています。この法案のこの特例についての御意見をお聞かせください。

#116
○参考人(柘植あづみ君) 民法の特例についてなんですが、まず一つが、精子を提供する人、卵子を提供する人についてほとんど書かれていないことがあります。それは、精子を提供する人、卵子を提供する人を人格のある人として扱われていないんではないかという疑問を抱きました。精子を提供した人も卵子を提供した人も、実は自分の提供したもので子供さんが生まれたのかどうかを知りたいとか、それからどんな子供が生まれたのかという興味のある人たちもいらっしゃいます。いや、自分の提供したのは物なんだと、物を人にあげただけなんだとおっしゃる方もいらっしゃいます。
 それで、アメリカの卵子提供で子供を持った人のインタビューでも、子供を持った人たちが、自分たちが親であることに疑いはないんだけれども、もしも子供たちが事実を知って自分たちを親として認めるのかすごく不安だとか、それから、子供が提供者について知りたい、会いたいと言ったときにどうしようかということを悩んでいらっしゃるということをお話しされました。
 それで、オーストラリアのビクトリア州での調査のときには、子供の出自を知る権利を保障している州なんですけれども、そのための情報管理システム、それから、親と子の相談だけじゃなくて提供者からの相談のシステムも設けています。それから、法律が整備される前、出自を知る権利が整備される前に生まれた方たちの提供者探しもサポートしています。
 実際にオーストラリアで精子提供で生まれた人にインタビューしたときに、その方は出自を知る権利が保障されていない州で生まれたんですけれども、五歳のときから両親に、お父さんに種がなかったから、お母さんが親切な人から種をもらってあなたができたのよというふうに説明されていたそうです。両親との関係は非常に良くて、この女の子は二十歳の女性だったんですが、お父さん大好きな子だったんですけれども、だけれども違和感を感じて、何に違和感を感じたかというと、私は種から生まれたんだと。普通は、子供は人と人との愛情の中から生まれるのに、私は種から生まれたんだろうかというのがずっと疑問で、とうとう親しい両親にそういう疑問を出して、精子提供者を知りたいというふうにおっしゃったそうです。
 それで、私がどうして精子提供者を知りたいのか、なぜ、何を知りたいのかと伺ったら、精子提供者を遺伝的な親と思っているわけではないですと。精子提供者が、まず最初におっしゃったのが、チョコレートが好きかどうか知りたいと言われたので、私が意味が分からなくて、えって思っていたら、精子提供者が、私はチョコレートが大好きだから、でも、お父さんお母さんは好きじゃないから、精子提供者がチョコレート好きなのか、どんな音楽が好きなのか、どんな性格なのか、そういう人間としてどんな人なのかということを知りたいんですと、個人情報を知りたいわけではありませんとおっしゃって、私もそこで、はっとしました。
 この法律では、元に戻りますが、子供の親子関係を安定にするということが記されていますが、親子関係を安定にするのは、確かに安定的なものにするのは大事だと思います。だけれども、今まで述べたように、親子関係が確立したからといって子供が幸せになる、親が幸せになるということではないと思います。だから、その部分も是非お考えいただきたいと思います。
 それからさらに、将来的には代理懐胎というのも考えていくというようなことを報道とかで読んでいるんですけれども、代理懐胎も含めるんだとしたら、やはり同じように親との関係、産んだ人との関係なども考慮して決めていただきたいと思っています。特に代理懐胎の場合には、母子関係とか母親を誰にするかというのが裁判にもなっておりますので、その辺で是非具体的な検討をしてから入れていただきたい、もし入れるんだとしたら入れていただきたいと思っています。
 以上です。

#117
○伊波洋一君 もう時間来ておりますのでまとめますけれども、本日は柘植参考人、ありがとうございました。先ほどの参考人も含めてですね、やはり大きな課題があるということは分かりました。
 予定されている本法律案に対する附帯決議議案でも、大項目で十四、細目を加えると二十八項目に及ぶ多くの課題がまだ解決されていないことを示しています。本来ならば、掲げられている項目を解決されて初めて法案になるべきだと思います。特に、生まれてくる子の権利と課題が置き去りにされたままになっていることに懸念を表明いたしまして、私の質疑を終わります。
 ありがとうございました。

#118
○嘉田由紀子君 碧水会の嘉田由紀子でございます。
 参考人のお二人の皆様、長沖暁子さん、柘植あづみさん、ありがとうございます。それから、何よりも五人の発議者の皆さん、大変な御努力だったと思います。感謝を申し上げます。
 そもそも、この生殖補助医療の問題、二〇〇三年の厚生科学審議会の部会で報告をいただき、過去十七年にもわたり、衆議院、参議院での多くの議員が取り上げ、そして専門家の意見も様々、マスコミの御意見もございました。そういう中で、先ほど来、例えば伊藤議員からも御質問ございましたけど、なぜこんなに長く、ある意味でつるされて放置されて、そして進まなかったのかと。古川議員もおっしゃっておられましたけれども、それぞれの問題の奥深さということがあると思いますが、私はいろいろ行政の現場を見てきて、また、ずっと子供や家族の問題を見てきて、日本に、子供、家族を、本格的に、どんな困難なことがあっても子供や家族の利害を中心に据えて困難を乗り越えるんだという省庁なり当局がないこと、これが今までここまで放置されてきてしまった制度的背景ではないかと思っております。
 そういう中で、今回、附帯決議がたくさんあり、そして中途半端だという意見もございますけれども、ここはまずは第一歩、当事者がいるわけです、困っている国民がいるんですから、その皆さんに対して立法府として、また行政府として責任を取っていただくという意味で皆さんの挑戦に感謝を申し上げ、基本的には法案に賛成の立場で質問をさせていただきます。
 まず、第一点目ですが、生まれた子供の出自を知る権利、ずうっと今までございました。子どもの権利条約第七条、八条の件もございました。九四年に日本は批准をしているわけですから、そこで子供自身の知る権利ということを保障しなければいけない。
 そのためにどうするかということで、二〇〇三年の厚生科学審議会では、出自を知る権利を認め、提供された精子、卵子、胚による生殖補助医療により生まれた子が十五歳以上であれば、三つのこと、一つは、公的管理機関をつくり、その中に同意書及び個人情報を八十年間保存する、それから、出自を知る権利に対して提供者の個人情報の開示業務を行う、そしてさらに、医療実績の報告の徴収及び統計の作成を行うということで、精子、卵子、胚のコーディネーション業務及びマッチング業務などを公的に管理するということが既に二〇〇三年の報告書でも提案されております。先ほど古川発議者さんも詳しく言っていられました。
 そういう中で、長沖さんがまとめられた「AIDで生まれるということ」のこの書物の中、先ほど来議論ございますけれども、精子提供で生まれた子供たちの声、たくさん寄せられております。親にだまされていた、自分は何者なのか、自分の半分はどこから来たのか、切実な声がたくさん寄せられております。
 昨日も当事者のFさんにお会いしました。三十二歳のときに告知され、大人になって告知を受けたことで自分のアイデンティティーの根っこが崩れてしまった、どういう人生だったんだろうということで大変苦しんだ、せめて子供時代に自分がアイデンティティー形成をしていく前だったら、このことを組み込んで自分を成長させられたと語っておられました。
 一方で、匿名の方、山田さんですが、すまいる親の会という方の事例では、家族として幸せになるため、AIDで生まれた子供の幸せについてということで、幼いときに、六歳のときに、お母さん、お父さん、お父さんの卵が足らなかったから、だから卵をいただいたのよ、それであなたが生まれて、卵をくださった方には大変感謝をしていますよと、かなり日常的にそのことを伝え、そして、子供さん自身も、そう特別視せずに自分はその上でアイデンティティー形成してきたというような事例もあると伺っております。
 そこで、上川法務大臣に質問です。
 実はこれ、厚労と法務、両方分かれているところが既に大変今まで長く掛かってしまった理由だろうと思いますので、先ほど来、厚労政務官が管理をする組織をつくりますと言っていただきましたけれども、私の方は上川法務大臣に質問をさせていただきます。
 これまでに生まれてしまった子供さん、当事者のデータ、今から取り戻すことは困難かもしれませんが、今回のこの法案の成立を契機に、今後生まれる子供の自らの出自を知りたいという思いに応えられるように、戸籍情報を保管したり、あるいは手術前からの生殖医療情報を登録し、例えば八十年間という長期間保管できるような制度、組織づくりを法務省が中心となって、厚労省さんと相談しながら、政府として検討することが必要と思います。議員立法は、どうしてもそのままたなざらしにされる傾向もございますので、政府としてここを必要だと思うんですけれども、上川法務大臣の御認識、聞かせていただけますか。

#119
○国務大臣(上川陽子君) ただいま委員から御指摘いただきました厚生科学審議会生殖補助医療部会、これは平成十五年の四月、報告書を取りまとめたところでございますが、生殖補助医療を受けるに当たっての同意書や、また個人情報を八十年間保存することが示されたということを承知しているところでございます。
 委員御指摘のように、自ら出自を知りたいという気持ちにどのように応えるかという課題につきましては、どのような生殖補助医療をどのような体制や手続の下で行うべきかという行為規制の問題であると認識しておりますが、これは生殖補助医療の問題を検討する上で非常に重要であるというふうに考えております。
 本法律案の附則の第三条第一項におきまして、おおむね二年をめどに情報の保存及び管理、開示等に関する制度の在り方についても検討がなされることが予定されておりまして、その検討が開始された場合には、法務省といたしましても、検討内容をしっかりと注視しながら適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

#120
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。是非とも政府として、公的にというところで進めていただけたらと思います。
 二点目の質問ですが、これはかなり議論はありますが、例えば、この生殖補助医療は少子化にプラスになるとかマイナスになるとかそういうこととは無関係だということを強く主張されるマスコミの御意見もございますが、ただ、日本は今、この少子化の問題というのは国難でございます。そういうところで、本法案が成立することによって安心して生殖医療によって子供をもうけられるようになる、そのことが、親子関係安定化することで少子化対策に資すると私自身は期待をしたいんですけれども、上川法務大臣の御認識、いかがでしょうか。

#121
○国務大臣(上川陽子君) 本法案につきましては、この生殖補助医療により出生した子の母子関係、これは九条でございますが、そして精子の提供による生殖補助医療により出生した子の父子関係、十条でございますが、その規律を定めるものでございます。これまで判例や解釈に委ねられてきた点の規律が明確化されるということによりまして、親子関係の安定に資するものというふうに認識しております。
 本法案によりまして、生殖補助医療により出生した子の親子関係が安定するということは、委員が今個人の意見ということでお述べになりましたけれども、御指摘のように、少子化対策にもつながり得るものと考えられるのではないかと考えております。

#122
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
 このことによって子供を産むことを外側から圧迫するとか、そういうふうな問題ではないということ、それはきちんと切り離して、子供を産むか産まないかは個人の、また御夫婦の自主的な判断ですから、社会的にプレッシャーを与えるというものではないと私自身ももちろん理解をしております。
 そういう中で、毎回お伺いをするんですけれども、この生殖補助医療は二〇〇三年から二十年近く方向が見えなかった。同じことが、この離婚後の子供の親権の問題、これももう二十年近く前から議論されながら、なかなか出口が見えない。その間に片親ロスになる子供、毎年二十万人ほど、十年で二百万人もということで、ここも放置できないと、私自身は毎回家族の問題として取り上げさせていただいておりますけれども。
 離婚後の単独親権制度の違憲性を争う訴訟が今三つ提案されております。今日、新聞資料を出させていただいておりますけれども、一つは、二〇一九年十一月二十二日、八都道府県、男女十二人による東京地裁の訴訟です。二つ目は、二〇二〇年十月二十一日、男女六人による、これもやはり東京地裁。そして三点目が、つい最近です、二〇二〇年十一月十一日の、離婚後の面会交流制度が不十分だとして国家賠償を求める訴訟です。
 最初の二つは原告が父や母、祖父母など大人ですが、三番目の十一月十一日に提訴された裁判には三人の子供さんが原告として含まれております。そのうちの二人の声について紹介をしたいと思います。というのは、本当に日本の場合には子供の声を代弁する母体あるいは政治家も大変少ないので、ここはきちんと子供さんの声、ちょっと長くなりますが、御紹介させていただきたいと思います。
 まず、原告のN君です。今、十三歳です。
 僕のお母さんとお父さんは離婚して、僕はお母さんと一緒に暮らしています。お父さんとは前は月に一回会っていましたが、僕のお父さんは普通のお父さんです。僕はお父さんのことが大好きです。お父さんと会っているときは楽しいです。お父さんとはゲームの話をしたり、一緒に映画を見たり、お母さんとはしない遊びをして過ごすからです。
 ここが実は大変重要なんですね。外遊びとか、私は自然教育を専門にかなりしてまいりましたけれども、やはり父親がいないと、どうしても自然教育がおろそかになるということもございます。補足ですけれども。
 僕が小学校五年生のときから、お父さんとは会えないことが増えました。お父さんに電話やメールで次に会える日を尋ねても、返事が一か月くらいもらえないこともよくあります。お父さんに会いたい、もっと会いたいと言って無理だと言われたり、会う回数が減ったら嫌だなと思って、お父さんに直接言ったことはありません。次はいつお父さんに会えるのか、とても気になります。それだけではなく、本当は僕はもっとお父さんに会える回数を増やしたいのです。お母さんがお父さんに会えるように裁判所に手続をしてくれました。僕は裁判所の調査官に会いました。調査官から、お父さんとこれからどうしたいと五回くらい聞かれました。会いたいですと答えました。お父さんと会えるようにしたいのに、どうして何回も聞くのだろうと思いました。調査官の報告書には、お父さんが面会交流に消極的だから、現状を変える必要はないと書かれていました。
 ここに、この僕の、当人の失望があるわけですね。実は、調査官の聞き取りとか、現場では大変ないろいろ問題を聞かされておりますけれども、この十三歳の子供さんでももうそのことを気が付いている。
 僕はお父さんに会えるようにするために裁判所に行って調査官に話をしたのに、最低限の月一回お父さんに会えるかどうかも分からない状況、変えてもらうこともできないのだと分かりました。できるなら、毎週末、土日にお父さんと会いたいです。お父さんと会えるなら、ほかの予定より優先します。もっとたくさん会いたいけれど、せめて必ず月一回は会える約束を守ってもらえれば、もう少し安心してお父さんに会えるのに、今は不安がいっぱいです。
 なぜ離婚、親の離婚がこんなに子供さん、父子を分断してしまうのか。父子の、まさに今、生物学的な親子の話ありますけれども、父子の生物学的な、あるいは情愛、変わらないわけです。ですから、この生殖医療の話とある意味で近い問題、本当に本来の親子を何で法律のたった一行で、民法八百十九条でこういうふうに子供さんと離してしまうのか。お互いに不幸になる。
 私は、今の単独親権は子育て三方悪しだと言っております。子に悪し、親に悪し、そして世間に悪し。もちろん、DVや虐待で共同養育、共同親権を阻止しなければならないケースはあります。でも、そのケースがあるからといって、残り全てを共同養育、共同親権を否定するというのは、国民の願い、まさに今のN君のような子供さんの願いを踏みにじっていることになるのではないでしょうか。
 次に、原告Pさんです。十一月十一日に訴状を出した原告Pさんです。既に二十歳になっていますが、過去十年のことを思い起こしながら声を上げています。
 今でも私は、過去十年、北海道の母と千葉県の父の間を行ったり来たりしていたことが、PTSDによるフラッシュバックなど悩まされています。それほど強烈な影響を受けました。子供がいる家庭で離婚を検討中の方々がいましたら、いま一度考えていただきたいと思います。ほとんどのケースでは、離婚という選択肢は子供に悪影響しか及ぼしません。影響は大小様々ですが、ゼロ歳でも子供は人間です。夫婦げんかなどがあれば怖いと思いますし、兄弟がいれば離れ離れになると寂しい思いを常に抱えることになります。考えられる悪影響はたくさんありますが、それは一生続く不治の心の傷として残る可能性も十分あります。
 なので、離婚する前によく考え直してください。そして、仮に離婚するとしても、母、父にはいつでも会えるようにしておくこと、兄弟姉妹がいるのなら決して離れ離れにしないこと。子供は基本的に生まれ育った家族と一緒に過ごしたいと思うものです。母、父問わず甘えたい、頼りたい、相談したい、感謝の気持ちを伝えたい瞬間というのはいつ訪れてもおかしくありません。誰も争いたくありません、平和が一番なのです。このために、私は一番最初にお話ししました。いまだに時々離婚していなかったらと想像して、父と母がいる幸せな日々が欲せられ、そして願ってしまうということが今でもあります。
 最後にこの場を借りて、一生懸命面倒を見てくれた父に感謝しています、ありがとうございます。私の話は以上です。
 ということで、子供さんの例を二つお話しさせていただきましたけれども、上川大臣にお聞きします。
 今、国が被告となっている訴状、裁判ですので、コメントは困難かと思われますけれども、このような子供さんの声を聞かれてどう思われるでしょうか。可能な限りで結構です、御感想いただけたら幸いです。

#123
○国務大臣(上川陽子君) ただいま委員から、個別の訴訟に関してという形で二人のお子さんのということで御紹介をいただきました。
 大臣という立場上、個別の訴訟に関して意見を述べるということについては差し控えさせていただきたいというふうに思います。
 その上でということで、感想をというお尋ねでございますので少し申し上げたいと存じますが、離婚後に子供と会うことができないことによりまして大変つらい思いを抱かれていらっしゃる親御さんがいらっしゃるということ、また、親御さんに会えないということによって悲しい思いをしていらっしゃるお子さんがいらっしゃるということ、大変傷ついている心の部分を今お話の中で触れることになりまして、私も人の親として大変心が痛む、こうした心情をお伺いしたところでございます。
 特に子供さんの思いにつきましては、この離婚後の子の養育の問題といたしまして、チルドレンファーストという観点から重く受け止めなければならない問題であるというふうに考えております。父母の離婚後の子の養育の在り方を検討するに当たりましても、こうした方々のお声にもしっかりと耳を傾けるということが重要でありまして、家族法研究会におきましても、当事者の方々、支援団体からのヒアリングを実施するなどをしてきたものというふうに承知をしておりますが、今後とも様々なお声にも十分に耳を傾けた上で、子供の最善の利益、これを図る観点から、引き続きしっかりと検討をしてまいりたいというふうに考えております。

#124
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。大変お立場が難しいところ、お心を聞かせていただき、感謝申し上げます。
 今回のこの生殖医療の問題も、あるいは共同親権の問題など、これまで法は家族に入らずということで、ある意味で時代の変化に合わせてきちんと民法も、そして制度ができていなかった。
 最初に申し上げました、それこそ海外で何で共同養育、共同親権、困難なところも子供のためにといって過去三十年、四十年、皆やってきたのか。日本だけができていない。今回のこの生殖医療もそうですね。オーストラリアの例など、海外ではもう二十年前、三十年前に法整備ができている。日本が出遅れている。
 この日本が出遅れていることが結果的に子供の不幸やあるいは家族の幸せがつくれなくなっているということで、是非、今回の発議者の皆さんとともに、子供、家族のための立法の責任、行政の責任果たせていけたらと思っております。
 皆さん、どうもありがとうございました。

#125
○委員長(山本香苗君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

#126
○山添拓君 日本共産党を代表し、生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律案に反対の討論を行います。
 反対理由の第一は、いかなる生殖補助医療をどのように規制するか、いわゆる行為規制の在り方が全て今後二年の検討に先送りされていることです。
 第三者から卵子や精子の提供を受ける非配偶者間人工授精、AIDは、代理懐胎を含め、医療上の問題や倫理的、法的課題など多くの問題が指摘されています。商業的な濫用の危険、遺伝子の選別による優生思想の懸念、リプロダクティブヘルス・ライツの保障の要請など、生殖補助医療そのものの適否が問われており、親子関係の法的整理は、これらを踏まえた行為規制と一体に行うべきです。
 法制審議会親子法制部会も、行為規制の立法の見通しが立たない下で親子法制を規律することについて慎重な検討を要するとしており、親子法制のみを先行して規定することは本来不可能であり、適切でもありません。
 反対理由の第二は、生まれてくる子の出自を知る権利を保障するための制度の検討も先送りにされていることです。
 ある日突然出自の秘密を知り、アイデンティティーが崩れ最も信頼していた親に裏切られていたと感じ、信頼関係が崩れ苦しんでいる当事者が現に存在します。提供者の遺伝的情報が管理されず、開示する仕組みもない下で、遺伝的疾患や近親婚の可能性も生じています。
 質疑を通じて、今後の検討次第で、出自を知る権利自体を認めない可能性も明らかになりました。法制審議会の報告書が、情報開示の制度化によって精子、卵子の提供者が減少するとしても子の福祉の観点からやむを得ないとし、必要な情報の八十年保存を提案していたことからすれば大幅な後退です。自分は精子という物から生まれたのではなく、そこに人がいたことを確認したいという当事者の思いに耳を傾けるべきです。
 反対理由の第三は、本法案十条は夫の同意を前提としていますが、同意の有無をめぐる裁判例が現に存在するほか、出生した子と精子提供者との間の認知の問題についての規定もなく、父子関係が早期に確定するとは限らないことです。
 また、現在、法制審議会で嫡出推定制度自体の見直しが進められており、現時点で本法案による親子関係の規律を急ぐ理由は乏しいというべきです。
 国民的合意があるとは言えない中、本来、生殖補助医療で生まれた当事者、医療や法律の専門家など幅広い人の意見を丁寧に聞き、十分な検討を行うべきです。短時間の審議で今国会における成立ありきで急ぐべきではないことを強調し、討論とします。

#127
○委員長(山本香苗君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

#128
○委員長(山本香苗君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、真山君から発言を求められておりますので、これを許します。真山勇一君。

#129
○真山勇一君 私は、ただいま可決されました生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会、国民民主党・新緑風会及び碧水会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律案に対する附帯決議(案)
  本法の施行に当たっては、次の諸点について適切に対応するべきである。
 一 政府は、生殖補助医療及び不妊治療の提供に当たっては、以下の基本的認識に基づいて施策を講ずること。
  1 生殖補助医療の提供等については、それにより生まれる子の福祉及び権利が何よりも尊重されなければならないこと。
  2 当事者、特に女性の心身の保護及びリプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する自己決定権)の保障が尊重、確保されなければならないこと。また、保障されるべきリプロダクティブ・ヘルス/ライツには、女性の健康の確保だけではなく、身体的にも精神的にも本人の意思が尊重され、自らの身体に係ることに自ら決定権を持つことが含まれるものであることに留意すること。
  3 商業的な悪用・濫用を禁止し、防止するとともに、優生思想の排除を維持すべきこと。
  4 生殖補助医療及び不妊治療は、国による少子化対策としてのみ推進されるべきものではないこと。
 二 政府は、血縁のある子をもうけることを推奨するような誤解を招くことや、子をもうけることが人生のプロセスとして当然かのような印象を与えることがないよう、適切な措置を講ずること。
 三 政府は、本法第三条第三項に規定する精子又は卵子の採取、管理等の安全性の確保の要請は、胚についても及ぶことを踏まえた措置を講ずること。
 四 政府は、生殖補助医療及び不妊治療の提供を受ける者が安心かつ安全に必要とする治療を受けられるよう、不断にその質の向上に努めるとともに、その確保のために、自由診療の下での医療費及び高額請求等の実態把握、諸外国より低いとされる成功率の実態調査及び原因・要因の分析、生殖補助医療提供者の治療技術や治療実績などの把握や検証等を行い、治療技術の標準化や情報公開等の在り方についての検討を行った上で、必要に応じて法制上の措置を講ずること。
 五 政府は、生殖補助医療及び不妊治療の効果に関するインフォームド・コンセントを尊重したカウンセリング体制の強化並びに生殖補助医療及び不妊治療への社会の理解の促進を図ること。
 六 政府は、本法附則第三条に基づく法制上の措置が講ぜられるまでの間、生殖補助医療の提供等において婚姻関係にある夫婦のみを対象とするのではなく、同性間カップルへの生殖補助医療の提供等を制限しないよう配慮すること。
 七 政府は、生殖補助医療及び不妊治療を利用する当事者及びそれにより生まれる子への偏見を防止するとともに、不当な差別を禁止するために必要な措置を講ずること。
 八 政府は、養育里親、特別養子縁組等多様な選択肢の周知と支援体制を強化し、多様な生き方及び多様な家族の在り方を保障するための取組を推進すること。
 九 政府は、生殖補助医療及び不妊治療の研究において、ヘルシンキ宣言及び国の研究指針等が遵守されるよう努めること。
 十 政府は、仕事と生殖補助医療や不妊治療等との両立が実現できるよう、職場における働き方の環境や制度の整備を行うとともに、周囲や社会全体の理解の醸成のためのヘルスリテラシー等に係る教育の推進など必要な措置を講ずること。
 十一 政府は、生殖補助医療の提供における適正性を確保するための幅広い分野の専門家を構成員に含む検討会を設置すること。
 十二 政府は、ヒト受精胚に対する遺伝情報改変技術等の規制の在り方を検討すること。
 十三 本法附則第三条に基づく検討を行うに当たり、以下の事項をその対象とすること。
  1 女性のリプロダクティブ・ヘルス/ライツの保障が本法第三条の基本理念に含まれ、それは健康にとどまらず身体的にも精神的にも本人の意思が尊重されるべきことが含まれるものであって、その徹底が強く要請されていることを踏まえ、その十分な確保のための具体策
  2 児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)が子どもの最善の利益とともに命の権利や意思表明権の保障も要請していることに十分に留意した、生殖補助医療により生まれた子のいわゆる「出自を知る権利」の在り方
  3 本法が児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)の要請に十分に合致するものであることを担保する観点での、生命、生存及び発達に対する権利、子どもの最善の利益、子どもの意見の尊重等の保障の在り方の具体策
  4 精子又は卵子の提供者及び提供を受ける者が十分かつ適切な説明を受けた上で承諾した事実の管理等を公的に行う機関の在り方
  5 第三者機関による審査・監督制度や胚培養士等専門職の資格制度の在り方
  6 精子・卵子提供を受ける側の要件及び判断の在り方
  7 生殖補助医療や不妊治療に係る法令違反の際の罰則等と倫理規定の在り方
  8 同性間のカップルにおける生殖補助医療の提供の在り方や同性間のカップルに対する生殖補助医療に係る支援の在り方
  9 精子・卵子提供者を含む当事者に対する生殖補助医療に係るインフォームド・コンセントの確保・確立と不利益の回避のための具体的な制度の在り方
  10 生殖補助医療に用いられる卵子の提供において、家族間等の無償の卵子提供の強要を防止する対策
  11 代理懐胎についての規制の在り方
  12 現在、法制審議会民法(親子法制)部会において行われている嫡出推定制度等の親子法制に係る見直しの検討について取りまとめがなされた場合、その結論を踏まえた、生殖補助医療により生まれた子に関する新たな法制上の措置
 十四 本法成立後速やかに、幅広い会派の参加により本法附則第三条の検討を行うこと。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願いします。

#130
○委員長(山本香苗君) ただいま真山君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

#131
○委員長(山本香苗君) 多数と認めます。よって、真山君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、上川法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。上川法務大臣。

#132
○国務大臣(上川陽子君) ただいま可決されました生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

#133
○委員長(山本香苗君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#134
○委員長(山本香苗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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