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2020/11/17 第203回国会 参議院 第203回国会 参議院 法務委員会 第2号 令和2年11月17日
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2020/11/17 第203回国会 参議院

第203回国会 参議院 法務委員会 第2号 令和2年11月17日

#1
令和二年十一月十七日(火曜日)
   午前十時三分開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月十六日
    辞任         補欠選任
     高良 鉄美君     伊波 洋一君
 十一月十七日
    辞任         補欠選任
     谷合 正明君     竹谷とし子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         山本 香苗君
    理 事
                磯崎 仁彦君
                豊田 俊郎君
                真山 勇一君
                伊藤 孝江君
                柴田  巧君
    委 員
                小野田紀美君
                中川 雅治君
                森 まさこ君
                山崎 正昭君
                山下 雄平君
                渡辺 猛之君
                難波 奨二君
                竹谷とし子君
                谷合 正明君
                川合 孝典君
                山添  拓君
                伊波 洋一君
                嘉田由紀子君
   委員以外の議員
       発議者      秋野 公造君
       発議者      古川 俊治君
       発議者      石橋 通宏君
       発議者      梅村  聡君
       発議者      伊藤 孝恵君
   国務大臣
       法務大臣     上川 陽子君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   村田 斉志君
       最高裁判所事務
       総局人事局長   徳岡  治君
       最高裁判所事務
       総局民事局長   門田 友昌君
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   手嶋あさみ君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        青木勢津子君
   政府参考人
       内閣府子ども・
       子育て本部審議
       官        藤原 朋子君
       法務省大臣官房
       政策立案総括審
       議官       竹内  努君
       法務省大臣官房
       審議官      山内 由光君
       法務省大臣官房
       司法法制部長   金子  修君
       法務省民事局長  小出 邦夫君
       法務省刑事局長  川原 隆司君
       法務省保護局長  今福 章二君
       法務省人権擁護
       局長       菊池  浩君
       法務省訟務局長  武笠 圭志君
       出入国在留管理
       庁次長      高嶋 智光君
       外務省大臣官房
       参事官      河邉 賢裕君
       厚生労働省子ど
       も家庭局児童虐
       待防止等総合対
       策室長      岸本 武史君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○法務及び司法行政等に関する調査
 (性犯罪・性暴力対策の推進に関する件)
 (家族法制の改正に関する件)
 (養育費の不払問題に関する件)
 (京都コングレスの開催に関する件)
 (外国人労働者の権利保護に関する件)
 (最高裁判所判事の任命に関する件)
 (死刑制度に関する件)
 (親権制度の見直しに関する件)
○生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した
 子の親子関係に関する民法の特例に関する法律
 案(秋野公造君外四名発議)
    ─────────────

#2
○委員長(山本香苗君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、高良鉄美君が委員を辞任され、その補欠として伊波洋一君が選任されました。
    ─────────────

#3
○委員長(山本香苗君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣府子ども・子育て本部審議官藤原朋子さん外十一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#4
○委員長(山本香苗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────

#5
○委員長(山本香苗君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#6
○豊田俊郎君 自由民主党の豊田俊郎でございます。おはようございます。
 上川法務大臣、三度目の大臣就任ということで、大変おめでとうございます。
 せんだっての法務大臣からの所信挨拶の中で、何点か深掘りして御質問を申し上げたいというふうに思います。
 法務行政の具体的課題への取組としてまず最初に挙げておられたのが、性犯罪、性暴力対策の推進についてを挙げておられました。大臣は常に性暴力の被害者や支援者の話に耳を傾けてきたと伺っております。性暴力のない社会の実現を目指す議員連盟の会長として要望書を取りまとめたとも伺っております。このようなことが本年六月に関係府省会議で決定された性犯罪・性暴力対策の強化の方針につながったのではないかと思っております。性犯罪・性暴力対策の強化の方針では、令和四年度までの三年間を性犯罪・性暴力対策の集中強化期間と位置付け、関係府省が連携して各施策を推進していくこととされております。
 そこで、上川法務大臣から、性犯罪、性暴力の根絶に向けた決意をお伺いしたいと思います。

#7
○国務大臣(上川陽子君) 性犯罪、性暴力は、被害者の尊厳を著しく侵害するものでございます。その心身に長年にわたりまして重大な苦痛を与え続けるものでありまして、決して許されるものではございません。
 私は、平成二十九年の刑法の一部改正、刑法一部改正後、委員から御紹介いただきましたとおり、性暴力のない社会の実現を目指す議員連盟、ワンツー議連と言っておりましたけれども、その会長として、また、自由民主党の司法制度調査会長として性犯罪、性暴力の問題に取り組み続けてまいりました。この間、被害当事者の皆さんが勇気を持って声を上げられ、また支援者の方々とともに熱心に活動を続けられた、その結果として、今、性犯罪、性暴力の根絶に向けた動きがかつてない高まりを見せているものと認識をしているところでございます。
 御指摘いただきました性犯罪・性暴力対策の強化方針につきましては、こうした社会的また政治的な背景を受けまして策定されたものでございまして、今後はこれを着実に実行をしていくということが何より重要というふうに考えております。
 私は、この度三度目の法務大臣を拝命いたしまして、この強化方針に基づく法務省関連施策の実現の責任を担うという立場になったことから、性犯罪、性暴力の根絶に向けた決意を込めて、所信の中で性犯罪、性暴力対策の推進を冒頭に挙げたものでございます。
 今後とも、この強化方針に掲げられました法務省関連施策につきまして、スピード感を持って他の省庁とともに連携をしながら着実に推進してまいりたいというふうに思っております。

#8
○豊田俊郎君 決意の中でも、スピード感を持ってという御発言でございました。これらの課題はなかなか後を絶たないのも事実でございます。できるだけスピード感を持った対応を、是非、その三回目の大臣就任という立場からも実行に移していただきたいと要望をさせていただきたいというふうに思います。
 続きまして、無戸籍状況の解消についても言及をされております。
 大臣は所信挨拶で、無戸籍状態の解消に関し、徹底した実態調査に努めるとともに、寄り添い型の取組を実施していくとお述べになられております。
 法務省はこれまで、無戸籍者ゼロタスクフォースを設置して、関係機関間の連携強化を図ったり、各地域での地方協議会を開催し、地域の弁護士会、家庭裁判所、法テラスとの協力体制を築いたりしてきていると承知をいたしております。
 他方、無戸籍者の人数は、令和元年六月現在で八百三十人と伺っております。ちなみに、私が住んでおります千葉県の八千代市でございますけれども、今年の十月十日現在で、今年は今のところ確認されておるのは一名、人口二十万人でございますので数字的には大変少ない人数だと思いますけれども、ただ、千葉県全体を見てみますと、千葉県は御案内のとおり六百三十万人の人口を有しておりまして、ここでは六十二人の無戸籍者が確認をされておるという状況でございます。
 そこで、法務省が把握している最新の無戸籍者の数について確認をしたいと思います。

#9
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 無戸籍者の数につきましては、平成二十六年九月から情報集約を行っておりまして、これまで累計三千二百三十五名の無戸籍者を把握し、そのうち合計二千三百十八名の方が戸籍に記載されております。その結果、本年十月十日現在、法務省が把握している九月末時点での無戸籍の方は九百十七名となっております。
 この九百十七名はこれまで最も大きい数となっておりますが、これは住民登録のない無戸籍者に対する特別定額給付金の支給について周知したことによって把握者数が増加した一方、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、無戸籍者の、無戸籍の解消手続に時間が掛かって解消者数が大きくならなかったことであろうと分析しております。

#10
○豊田俊郎君 コロナ禍の中で人数の把握が思ったより少なかったという報告でございますけれども、これまでも無戸籍状態の解消に向けては様々な取組がなされてきたにもかかわらず今の数字ということ、九百十七名ということでございます。何か隘路となって完全な解消に至っていないと私自身感じているところでございます。
 この解消に向けた法務大臣の決意をお聞かせ願えればと思います。

#11
○国務大臣(上川陽子君) 無戸籍の方につきましては、国民としての社会的な基盤を与えられておらず、社会生活上の不利益を受けるという人間の尊厳にも関わる重大な問題が生じているというふうに認識をしているところでございます。
 御指摘いただきましたとおり、無戸籍者の問題の解消に当たりましては、この間も様々な取組をしてきたところでございます。
 例えば、市区町村の窓口等から得られた情報により、各法務局におきまして無戸籍者の情報についてしっかりと把握をしていくこと、またその把握した情報に基づきまして、法務局や市区町村の職員が無戸籍者の母親等に定期的に連絡をしたり、また個別に訪問するなど、一人一人に寄り添い、戸籍の記載に必要な届出あるいは裁判上の手続が取られるよう支援をしていたり、また裁判費用等の相談があった場合には、法テラスでの民事法律扶助制度について案内をしたりということで、また、法務省におきましても、無戸籍者ゼロタスクフォースを設置するとともに、こうした各法務局におきまして、市区町村と弁護士会等との関係機関との協議会を設置をするなどして、寄り添い型の取組を進めてきたところでございます。
 また、民法の嫡出推定制度が無戸籍者を生じる一因であるという御指摘を踏まえまして、令和元年六月二十日におきまして、法務大臣から法制審議会に対して、嫡出推定制度の見直しについて諮問をし、現在、法制審議会に設置されました、民法、これは親子法制の部会でありますが、民法部会におきまして調査審議が行われているというところでございます。
 これまでの取組によりまして、相当数の無戸籍者の解消がされた一方で、毎月新たな無戸籍者の報告がなされているということも事実でございます。これにつきましては、夫と関わりたくないなどの理由によりまして裁判手続に踏み出すその決断まで一定の時間を要するケースがあるなど、現実にも非常に問題がある状況でございます。
 法務省といたしましても、私といたしましても、無戸籍を解消し、その解消までの期間ができるだけ短くなるように、新たに充実したウエブコンテンツにより裁判手続等の情報を分かりやすく御提供するとともに、法テラス、弁護士会等の関係機関と更に連携を取りながら、引き続き、無戸籍者ゼロのための施策を推進し、ゼロに限りなく近いように進めてまいりたいというふうに思っております。

#12
○豊田俊郎君 その決意、今伺ったわけでございますけれども、なかなかこれ市町村では、この問題、対応しかねない問題だというふうに思います。今、民法の法務部会で審議が進んでいるということでございます。これはあくまでもゼロを目指して、是非実施に移していただければというふうに思います。そのことも御要望をさせていただきます。引き続きの御活躍を期待したいというふうに思います。
 続きまして、京都コングレスの開催について少しお伺いをしておきたいというふうに思います。
 御案内のとおり、開催延期となった第十四回国連犯罪防止刑事司法会議、いわゆる京都コングレスの新たな開催日程を令和三年三月七日から三月十二日までの六日間に決定したと承知をいたしています。前回のドーハ・コングレスには、約百五十か国から犯罪防止刑事司法分野の専門家約四千人が参加したと伺っております。
 これは仮定の話になりますけれども、この今の状況、コロナ禍の中で前回と同様の人数がこの会議に参加をしたらと思いますと、感染リスクは大変高いのではないかというふうに推測をされます。感染のリスクを抑えつつ、京都コングレスを成功させる新たな手法が必要ではないかと思いますが、法務省としてどのように検討を行っているのか、御説明を願います。

#13
○政府参考人(山内由光君) 京都コングレスの開催方法につきましてですが、コロナ禍であることの開催であることを踏まえつつも、他方で幅広い参加も得たいということでありますので、具体的な開催方法といたしましては、オンライン会議システム、これなどを幅広く活用する予定でございます。来場参加につきましては、当然のことながら感染症対策にも万全を期する所存でございます。
 今後も、主催者である国連と協議しつつ、あと関係省庁とも連携しながら、必要な準備を進めてまいりたいと思っております。

#14
○豊田俊郎君 オンライン会議という御回答でございますけれども、オリンピックも控えております。私は、この会議の成功は更なる国際大会へもつながってくるというふうに思いますので、是非十分な検討をした中でこの会議を開催をしていただければというふうに思いますので、このことも要望をさせていただいておきます。
 次に、外国人の受入れと適正な在留管理についてお伺いをいたします。
 大臣の所信の中で、新型コロナウイルス感染症の影響による、帰国が困難となり、就業先が見付からないなどの事情により生活に困難を抱えている在留外国人に対し、帰国できるまでの間、安心して生活できるよう支援に取り組む旨を述べられております。
 コロナ禍の中、解雇された外国人などに対してどのような支援を行っているのか、法務省として具体的な取組をまずは御説明願います。

#15
○政府参考人(高嶋智光君) お答えいたします。
 出入国在留管理庁におきましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響によりまして帰国ができない外国人に対して在留資格の変更等を認めることとしておりまして、特に、その中で就職先が見付かった外国人に対しては、一定の条件の下で就労が可能な特定活動への在留資格変更を認めるなどの特例措置を講じているところでございます。
 また、解雇された技能実習生に関する御質問でございますが、技能実習生、ほかにもおりますけれども、自力で再就職先を探すことが困難な方に対しましては、厚労省がハローワーク等でやっているのとはまた別に、出入国在留管理庁としましても新たに必要に応じてマッチング支援を行うなどの措置を講じ始めているところでございます。
 さらに、在留外国人からの相談に対応するため、外国人在留支援センター、略称FRESCと呼んでおりますけれども、このFRESCに技能実習生や留学生等を対象とした多言語、フリーダイヤルによる専用ヘルプデスクを設置したほか、従前から、東京出入国在留管理局に全国から問合せ可能な外国人在留総合インフォメーションセンターを設置しまして、技能実習生等の抱える生活上の、あるいは在留資格上の問題について相談に応じ、確実に問題が解決できるよう支援を実施しているところでございます。
 出入国在留管理庁としましては、今後も我が国に在留する全ての外国人に引き続き我が国において安心して暮らしていただけるよう、関係省庁と連携しまして各種支援策を強力に推進してまいります。

#16
○豊田俊郎君 マッチング支援とか、また相談窓口を設置ということで、いろんな方面で対応していただいていることは今のお話でも分かりますけれども、私どもの地域でも大変外国人の労働者に頼る部分も多々ございます。農業関係や漁業関係においては大変な状況になっているのも事実でございます。その足らない状況の中で技能実習生等が来日できなくなり、人材確保の影響が出ている業種があるということでございます。これ、数字はどこから出た数字かちょっと定かではないんですけど、技能実習生も含めて、今四千百人の方々が入国できないでいるということをお聞きをいたしました。
 先月、十月からは外国人の入国制限が緩和されたと承知しておりますが、特定技能外国人や技能実習生等の入国は可能なのか、その辺をちょっと御確認をしたいというふうに思います。

#17
○政府参考人(高嶋智光君) 法務省としましては、これまで、国内への感染者の流入防止のための水際措置に万全を期して、国内での感染再拡大の防止に努めつつ、国際的な人の往来の再開に向けて、政府全体としての検討結果を踏まえながら段階的に必要な措置を講じてまいりました。
 御質問の技能実習生等についての入国でございますが、十月一日から、原則として、全ての国、地域につきまして、観光による短期滞在を除く、主に中長期滞在者を念頭に置きまして、ビジネス上必要な人材等や、留学、家族滞在等その他の在留資格を持って、有する、取得している者につきまして追加的な防疫措置を講じること、さらに、その防疫措置を確約できる受入れ企業や団体がいることを条件としまして新規入国を許可することとしております。今、一か月ちょっとたったところでございます。
 したがいまして、この中に御質問の特定技能外国人や技能実習生も当然含まれるわけでございますけれども、この外国人が新規に入国を求める場合には、それぞれの在留資格に応じた在留資格認定証明書交付申請など、従来からあります手続を取った上で、さらに、コロナ禍における追加的な防疫措置として定められた要件に従って入国することを条件として入国が可能になっているところでございますので、これらの手続を踏んだ上で、段階的にその入ってこれなかった方々については解消されていくものと考えております。

#18
○豊田俊郎君 そうすると、コロナのこの状況の中では、入国する方が増えるということにはなかなかならないのではないかなということを危惧しております。
 最終的なハードルの中でやっぱり防疫措置ということでございますけれども、これは企業側がとる措置ということ、また出国する場合の出国先、出国側がとる措置と。この辺の連携を是非取った中で、今のこの経済状況の中での人手不足の解消のためにも、是非有効性のある方策を導き出していただければというふうに思うところでございます。引き続きの御努力をお願いを申し上げておきます。
 続きまして、不動産の登記手続に関する押印の廃止について少し御質問をしたいというふうに思います。
 政府は規制改革の一環として押印手続の見直しを推進して、進めておられます。法務省は、内閣府、経済産業省とともに、押印についてのQ&A、これ令和二年の六月十九日に発表しておりますけれども、私法上、契約は当事者の意思の合致により成立するものであり、契約に当たり押印をなくしても契約の効力に影響は生じないとしております。
 また、他方で、これ十一月の十三日なんですけれども、押印を存続する方法で検討している手続、これによりますと、不動産登記の申請は、財産的価値の高い不動産の権利に関するものであることから、厳格な本人確認を行う必要性が高く、これ存続の方向で検討しているというようなことが記載をされております。貴局のホームページでは、土地等の売買に関する登記の書面申請には虚偽の登記を防止するため売主の印鑑証明書を添付することとされており、売主、買主の実印や認め印を押印することとなっております。
 そこで、不動産登記を法務局に申請する際の登記義務者、いわゆる売主、それから登記権利者、これは買主、この押印ですけれども、実際は士業、司法書士とか土地家屋調査士といった代理人に依頼するわけでございますけれども、この依頼する際の関係者の押印については、関係者の押印、いわゆる委任状ということになりますけれども、押印についてはどのようになるのか、きちんと整理した上で国民に示す必要があるのではないかと考えております。
 これらの押印の扱いについての説明を法務省から伺いたいと思います。

#19
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 不動産登記手続は、委員御指摘のとおり、財産的価値の高い不動産について所有権の移転等を公示するものでございますため、現在の実務におきましては、その登記が実行された場合に登記名義人が不利益を受けることになるものにつきましては、その意思に基づいて登記申請がされたものであることを確保するといった観点から、申請書や代理人への委任状には実印の押印を求めております。
 このように、実印の押印を求めている書面につきましては、引き続き厳格な本人確認を実施するなどの観点から、実印の押印を存続させる方向で検討を進めているところでございます。他方で、実印の押印を要せず認め印によることを許容している書面に関しましては、今後、代替措置等の要否について関係機関、団体との協議や意見聴取を行いながら、押印の廃止について検討してまいる所存でございます。

#20
○豊田俊郎君 そうすると、認め印について、認め印で押印しているものについては全て廃止という方向で検討しているという理解でいいんですかね。

#21
○政府参考人(小出邦夫君) それは今後の検討に係るところでございまして、代替措置が必要かどうかということも含めまして、これから関係機関、団体との協議、あるいは意見聴取を行いながら検討していくということでございます。

#22
○豊田俊郎君 仮に、代替措置として、これがいわゆる記名を義務付けた場合、これはもう印鑑押す手間と同じことになりますし、その記名をした人の本人確認、これもなかなか容易ではないというふうに思いますので、この辺は、いろんな角度、方面からいろいろ検討した中で、よりこういう手続が透明性が高く、そして正確なものであるということを担保できるような形を、この際でございますので是非検討していただければというふうに思いますので、これは、引き続き早い時期に、河野大臣も毎回テレビに出ますと印鑑廃止、押印廃止というようなことを訴えられておりますので、早い時期にこの辺の方向性を出してもらえればというふうに思います。
 最後の質問に入らせていただきます。
 所有者不明土地問題への対応ということで、大臣の所信の中ではもう少し突っ込んだ話聞けるのかと思ったんですけれども、今まで党において上川大臣とは共に特命委員会等々で議論をしてきた案件でございます。
 いわゆるこの所有者不明土地問題でございますけれども、法制審議会の民法・不動産登記法部会において調査審議がされておりまして、昨年十二月、同部会において民法・不動産登記法等の改正に関する中間試案が取りまとめられたと承知をいたしております。
 この中間試案において、本年一月から三月にかけて、広く一般の意見を求めるためにパブリックコメントの手続を実施していると承知をいたしております。このパブリックコメントの結果について、提出された意見の件数、意見の提出した、いろんな方々から意見が寄せられたと思いますけれども、団体等及び意見の内容はどのようなものであったか、御説明を願います。

#23
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 パブリックコメントの手続におきましては、各地の弁護士会、司法書士会、土地家屋調査士会などの専門家の団体のほか、地方公共団体、経済団体、森林組合などの林業関係者、法律研究者などから合計約二百五十件の御意見が寄せられたところでございます。
 寄せられた意見のほとんどの意見が所有者不明土地対策の必要性を前提とするものでございまして、法的には提示された論点について賛意を示すもののほか、逆に問題と考えられる課題を指摘しつつこれに反対するといったもの、さらには中間試案において取り上げられていない新たな検討課題を指摘するものなどが見られたところでございます。

#24
○豊田俊郎君 所有者不明土地を前提にした意見が多かったということだというふうに思います。
 ただ、今、審議会で議論されている民法二百九条及び二百三十三条の改正でございますけれども、これは御案内のとおり、相隣関係について隣地所有権を規定した民法の二百九条と竹木の枝の切除等を規定した同法二百三十三条、この改正は、民法の改正は、平成十六年に形式的な改正以外、一度も行われていないと伺っております。
 特に、今回の中間試案の中でも導管等設置権及び導管等接続権の規律を新たに設けるということも検討されているというふうに承知をしているところでございますが、このことについて何点か質問をしたいというふうに思います。
 これらの規定の改正を検討することになった経緯ですけれども、パブリックコメントでいうように所有者不明土地の問題を契機したものの意見が多かったということなんですけれども、結果的には、これは所有者不明土地以外にも私は適用される改正だというふうに思います。その辺の経緯についてお伺いをしたいというふうに思います。

#25
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、法制審議会の民法・不動産登記法部会におきましては、隣地使用権や竹木の枝の切除の規定の見直し、あるいは御指摘の水道やガス等のライフラインの設備の設置に関する権利の明確化など、民法の相隣関係規定の改正について検討されております。
 これらは所有者不明土地問題を契機に、隣地が所有者不明土地であっても、その円滑かつ適正な利用を可能とする方策として検討されてきたものでございます。
 民法の相隣関係規定は、委員も御指摘のとおり、明治二十九年の現行民法の制定以来改正がされていないところでございまして、この間の社会経済情勢の変化に合わせて相隣関係の規律を現代的に改める必要が生じております。
 部会におきましては、現在問題とされている隣地が所有者不明である場合、あるいは適切に管理されていない場合にも国民が円滑かつ適正に隣地を利用することを可能とするといったことを目指して調査審議が進められているところでございます。
 引き続き法制審議会において充実した審議が行われるよう努めてまいりたいと考えております。

#26
○豊田俊郎君 私も長い間行政の立場でもございました。住民の方から、いわゆる道路管理者への要望として、隣地からはみ出した竹木についての伐採が、強い要望が出たこともございます。放置した土地というのは、ほとんど遠方の方であったり、それを使用目的を持たないで所有している方が多うございまして、なかなか、この際、道路管理者といえども、隣地の方、接続している地主さんに伐採の要請をするわけでございますけれども、なかなか応じてもらえなくて、通学路等大きなトラブルになったこともございますし、また、導管の問題でございますけれども、ガス、水道、また最近では電気を入れる方もいらっしゃいますけれども、水道と併せて下水の接続でございますけれども。
 実は、道路といってもいろんな道路がございまして、もちろん市道であり県道であり、まあもちろん国道であれば問題ないんですけれども、これが建築基準法の四十二条二項道路、いわゆる狭隘道路と言われておりまして、幅員が狭くてそれを拡幅した分というのは私有地になっておるわけでございます。また、同じ四十二条の一項五号道路、いわゆる道路位置指定によって築造された道路、これもなかなか引き取り、行政としてもなかなか寄附を受けづらいという局面ございまして、これも私道、個人名義になっているケースが大変多うございます。
 これらがその隣地からすれば相隣関係に当たるわけでございまして、この同意の取得に大変苦労しましたし、私は水道管理者でもあったわけでございますけれども、この際にも住民の方に同意を要求したことも何回もございますし、なかなかそれが取得に手間を取って諦めた方も実はいらっしゃいまして、私は一日も早くこの問題は解決したいなと思っておりました。
 あわせて、これはまあ国交でもまたお話ししますけれども、旧宅造法による分譲でございます。山林分譲と言われるような分譲もございますけれども、これらにおいてもいまだに私道、私名義の道路が大変多うございますので、この辺をしっかり整理をしてまいりたいというふうに思います。
 時間が参りました。まだまだいろいろ質問をさせていただければと思いますけれども、また次回に譲らせていただいて、これで私の質問を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。

#27
○真山勇一君 立憲民主・社民会派の真山勇一です。
 上川大臣、改めてよろしくお願いいたします。
 先日の上川大臣のあの所信の挨拶なんですけれども、その中でおっしゃったことが、ちょっと私も注目しているところがあります。
 法務の課題たくさんあると思うんですけれども、その中でもやっぱり私が注目した二つの点申し上げたいと思うんですが、一つは、誰一人取り残さない社会という言葉を挙げられました。これは、余りにももう最近知られていますけれども、国連で採択されたSDGs、持続可能な開発目標に掲げられた言葉です。まさに、やっぱり今の日本が、現状を見てみますと、格差広がって貧困という問題が取り上げられる、そういう状況の中にあって、やっぱりみんな同じように扱われるんだということはとっても大事なことじゃないかというふうに私は感じております。
 それからもう一つは、法の支配の貫徹された社会ということを大臣おっしゃいました。本当にそのとおり、まさに至極真っ当な目標じゃないかというふうに思います。公正公平、そして法を守る、私はフェアな社会というのは絶対に必要じゃないかというふうに思っています。
 ですから、大臣おっしゃった中でもこの二つ、本当に私はそのとおりだというふうな感想を持っております。そうしたことに向けて、是非大臣、私も頑張りたいので、大臣も是非、この目標達成、頑張っていただきたいというふうにまず申し上げたいと思います。
 それでは、今日の質問に入りたいと思います。
 実は、最近私のところに届いた訴えがありました。これをまず取り上げたいと思います。
 アスベストの問題なんですね。アスベスト、これは、建築資材で使われております断熱材、防音材、それから屋根のスレート、いろいろなものに使われて、今は使われない方向に向かっているんですが、過去に使われたもの、一九五〇年代頃からこれ使われて、高度成長期には建設資材としてもう本当にいろいろ使われたと。その名残がまだまだあるわけですけれども、その建設現場で働いていた方、この問題はアスベスト、石綿という名前のとおり綿状の繊維なんだそうですね。それで、その繊維の大きさというのは千分の一ミリぐらいという小さいことで、吸い込むと当然肺をやられるということですね。じん肺、それから中皮腫という、ちょっと難しい名前ですが、水が肺にたまったり肺が石灰化しちゃうという、その中皮腫という病気、あるいはもっと進めば肺がんになるというようなことで、そういう被害、健康被害を受けている方がいらっしゃるわけです。
 で、こういう人たちに対する救済、まあ給付金があるんですが、実は、亡くなった人がこのアスベスト被害で亡くなられたということを証明するためには死亡診断書が必要だというんですね。この死亡診断書は法務省に保管されているというふうに言われていまして、患者の方、特に亡くなった方、遺族の方が、私の家族の働き手だったその亡くなった方の死亡原因がもしアスベストだったら給付金受けられるんだけど、その証明するすべがこの死亡診断書しかないということで、法務省、法務局に問合せをしたら、なくなっちゃった、廃棄しちゃったという回答だったらしいんですね。それが、私お配りした一枚目の資料の「父の死は石綿被害 認めて」という、このあれで出ていますけれども、要するに死亡診断書がないんですね、五年で廃棄というふうに書いてありますが。
 この辺の、この死亡診断書の、なぜ廃棄されているのか、その辺の辺りをちょっと説明をしていただきたいと思います。

#28
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 法務局は市区町村から送付を受けた死亡届を添付されている死亡診断書とともに保管しております。この死亡届を含む戸籍の届け書でございますが、戸籍法施行規則四十九条二項の規定によりまして、市区町村において届け書を受理し、又は送付を受けた日の翌年から法務局において二十七年間保存することとされておりますが、同じ戸籍法施行規則の四十九条の二の規定によりまして、法務局が市区町村から戸籍の副本の送付を受けたときには五年の経過により廃棄することができることとされております。
 これは、戸籍の副本には届け書等による記載がされていることから、届け書を廃棄したとしても戸籍の再製等の事務に支障を来さないということが理由とされております。
 委員御指摘のとおり、一部の法務局において、市区町村において届け書を受理し又は送付を受けてから二十七年を経過する以前に戸籍の届け書を廃棄しているものもあると承知しておりますが、これは、先ほど申し上げました戸籍法施行規則の四十九条の二の規定、すなわち、戸籍の副本の送付を受けたときは五年の経過により廃棄することができるという規定によって廃棄したものでございます。
 もっとも、この死亡届の保存につきましては、本年六月に厚生労働省から五年を経過したものについても可能な限り保存するよう協力要請がございまして、また、本年十一月にアスベストによる健康被害を受けた方の家族などからも同様の要望があったこともございまして、現在は、五年を超えて廃棄可能な届け書につきましても、当分の間、廃棄することのないように法務局に周知しているところでございます。

#29
○真山勇一君 今の御説明ですと、市区町村、死亡届なので、多分、普通の手続でいうと、市区町村の窓口に出されたものが法務省、法務局の方へ回ってくるという説明というふうに解釈いたしたんですけれども。
 確かに、廃棄は問題はないとしても、やはりアスベストで亡くなった方、過去に、これ、アスベストのとても大きな問題点というのは、症状が出てくるのがとても時間が掛かるということですね。つまり、建設現場で働いていたけれども、そのときは何ともなかったのに、十年あるいは一番長い人は四十年後にそういうことが出てくるということがあるわけですね。
 そのときに、じゃ、どこで証明してもらうかということを考えると、例えば病院、当然、死亡診断書ですから病院が書いているわけですけれども、その病院あるいは勤めていた会社とかというのがあると思うんですが、もうその病院がなくなっちゃっているとか会社がなくなっちゃっているとか、いろいろ手を尽くしてみたらこの法務局に残っている死亡診断書だけが唯一の手掛かりだという遺族の方が多いわけですね。その方が、この新聞記事のように、お父さんの死亡診断書を探したらもう廃棄されてしまったということだったわけです。
 確かに、五年で廃棄も認め、支障がなければということなんですけれども、厚労省の方からも協力要請が来ているように、支障がないとは言えないので、やはり保存できるならしていただきたいということがあると思います。
 今の話ですと、保存していない理由として、場所がないと言われたというようなことを一部の被害者の患者の方、患者、被害者家族の方がやっぱりおっしゃっているということ。場所がないなんて言われちゃうと、やっぱりとても遺族としては切ないと思うんですね、感情としてね。だから、やっぱり保存していただく、唯一の手掛かりということなので。
 是非、この死亡診断書をこれから廃棄しないということを厚労省からも要請出ているそうなので、大臣の方から一言、やっぱりこれ、この後のことをちょっと是非一言お願いします。

#30
○国務大臣(上川陽子君) ただいま法務局の方から局長が説明したとおりでございます。
 この間の様々な御要請をいただきまして、この戸籍の届け書につきましての一連の資料につきましては、適切に保存をしてまいりたいというふうに思っております。

#31
○真山勇一君 ありがとうございます。
 是非遺族の方の気持ちを酌んでいただいて、やはりそれしか手掛かりがないということなので、是非、法務局、よろしくお願いしたいというふうに思います。
 ちょっとこの関連で、どうなんでしょう、例えば、今のお話伺っていると、廃棄しちゃう前に、例えば戸籍にいろいろなものを移すときに、今デジタル化というのが進んでいるんですから、例えば場所がないからなんていう、例えばそういう理由で廃棄しているとすれば、デジタル化すればそんな問題って一挙に解決しちゃうんじゃないかと思うんですけれども、その辺りというのはどう考えていらっしゃいますか。今一生懸命デジタル化ということで政府も進めていらっしゃるわけですけれども、どうでしょう。

#32
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 現在、法務局におきましては、市区町村から送付された紙の届け書を保管しているところでございますが、令和元年の戸籍法の改正によりましてその電子化が行われることとなり、これ令和五年度に予定されているこの改正法の施行後は、市区町村において戸籍の届け書を受理した場合に、当該市区町村において届け書の情報を画像化し、この情報を法務大臣が管理する新しいシステムに送信して、法務省において管理することとなります。
 法務省といたしましては、今後とも戸籍の届け書が適切に保管されるよう対応してまいりたいと考えております。

#33
○真山勇一君 是非お願いします。
 そのアスベストのやはり健康被害というのは、時間が掛かるということを申し上げましたが、長いと四十年ぐらい、これは新聞の下の記事見ていただけるとお分かりのように、四十六年前の石綿労災認定というのが出るわけですね。だから、死亡診断書があればこういうことが可能なわけですね。
 石綿の被害というのは今まだ出て、中皮腫で毎年千五百人ぐらいの方が亡くなっているというふうな統計もあるそうです。これが、要するに建築資材の、アスベストの建築資材がなくなるまで、二〇三〇年ぐらいまでまだこういう状態が続くということなので、保存期間が支障なければ五年なんというのはもうとてもじゃないですけど、こういうことじゃなくて、保存していただきたいということと、デジタル化、是非、これはもう世の中の大きな流れですので。やはり紙で置いておいたら、それは場所取ると思いますよ、どこか行っちゃうかもしれません。でも、デジタル化するということも大事だと思います。是非、この辺をしっかりやっていただきたいというふうに思います。
 次の質問に移りたいと思います。
 やっぱり、先ほどの大臣の言葉を更に敷衍しまして、新しい家族の在り方ということをちょっと考えていただきたいと思います。子の親権、子供の親権、養育をめぐる問題についてお伺いしたいというふうに思います。
 上川大臣は所信の中で、親権制度、養育費、面会交流、それからチルドレンファーストという言葉を使って言及をされております。改めて、こういうふうに言及されているこの意気込みを改めてお伺いしたいと思います。

#34
○国務大臣(上川陽子君) 離婚後の親権制度、そしてまた面会交流、さらには養育費の問題ということで、父母の離婚に伴いまして、子の養育の在り方に関しましては非常に重要な課題であると認識をしております。
 子供の利益を図る観点から、この重要な問題に対しまして、私といたしましても、所信でも述べさせていただきましたが、最優先課題の一つとしてしっかりと取り組んでいこうと、こういう決意でいるところでございます。

#35
○真山勇一君 今のやはり社会、特に家族の形、大きく変わっていると思います。最優先で取り組む、まさにそういう課題ではないかと私も認識をしております。
 それに、その関連でお伺いしたいのが、一昨年なんですけれども、大臣がいらっしゃったときに、私、EUから手紙が来たと、この子供の扱いについてですね、ハーグ条約に絡んでの話なんですけれども、そのときに、面会交流あるいは離婚後のその面会交流や子供の引渡し、特に引渡し、そうした点について、日本の現状に懸念を示す書簡を受け取られたというふうに思います。
 その後、それに対して大臣は回答の書簡を出されたというふうに伺っておりますけれども、これで、やり取りで、問題点指摘されて、そして大臣が回答されて、何か改善したことはあるんでしょうか。

#36
○国務大臣(上川陽子君) 思い起こすわけでございますが、真山先生からこの委員会におきましてもただいま御指摘の、私がこの法務大臣務めていた平成三十年四月に、EU加盟国の大使らが法務省に来られました。そして、面会交流や子の引渡しに関する問題につきまして、関係当局間での対話と意見交換を求める書信を手交していただいた、私も受け止めさせていただいたところでございます。
 これに対しまして、私からの返書ということでございますが、今後も情報交換を行いつつ相互の理解を深めていくことを希望する、こうした旨の返書を出させていただいたところでございます。
 これ以降でありますが、法務省とEUあるいはその加盟国との間で、必要に応じまして適宜意見交換等を行ってきたと承知をしております。
 我が国におきましては、この父母の離婚に伴う子供の養育の在り方をめぐる問題につきまして、国内における子の引渡しや国際的な子の返還等の強制執行の実効性向上を図る民事執行法及びハーグ条約実施法の改正法、これが本年四月に施行されるなどして、これまでも様々な取組を実施してきたところでございます。
 また、離婚に伴う子の養育の在り方につきましては、現在、家族法研究会におきまして幅広く検討が進められているところでございまして、チルドレンファーストという視点でスピード感を持って検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

#37
○真山勇一君 ハーグ条約自体が子の連れ去りの問題を取り上げていて、そして、まず原状復帰、つまり連れ去られる前のところに、元に戻すということが基本にうたわれているわけですね。ところが、日本がハーグ条約批准して、そしてその後実施法ができたけれども、なかなかそれに沿ったことが行われない、なかなか難しい。実施直後からしばらくの間は一件も、なかなか成功例がない。つまり、子供を引取りに行ったとしても、やはり拒否にあったりして、なかなか執行官が子供を収容するということができない、そういう状態が続いていたわけですね。
 そういうことがアメリカとかそれからEUなんかからもかなり懸念が示されていたと思うんですけれども、そういう状況は、最近は法改正で、例えば執行官が親がそばにいなくても子供を保護できるというようなふうに変わっているんですけど、そういう効果っていうのは上がっているんでしょうか。

#38
○国務大臣(上川陽子君) この実効性を図る観点から今年四月に施行ということでございますので、今コロナ禍ということではございますが、大変重要な案件というふうに思っておりますので、しっかりとその実が上がるように更に推進をしてまいりたいというふうに思っております。
 何よりも、やはり意見交換を重ねながら、それぞれ、また日本の実情も十分に理解していただきつつ、相手の国との関係性の中で一つずつの事案について成果、成果というか実効を上げていきたいと、これが法律の趣旨でございますので、それに基づきまして私どもしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っております。
 また、いずれ少し時間を掛けながら、まだ施行したばかりでありますが、その実効についての評価ということにつきましてもきめ細かく対応してまいりたいというふうに思っております。

#39
○真山勇一君 当然のことですけれども、国境を越えた交流というのは今もうどんどんどんどん広がってきて、ボーダーレスになってきているわけですし、そうなれば国際結婚も増えるし、国際結婚が増えればやはり残念なことに離婚に至るような夫婦もいらっしゃると思うので、こういう例は多く出てくると思いますので、是非、時間を掛ける必要もあるかもしれませんけれども、やっぱりこの辺りも速やかな検討をこれからしてとお願いしたいというふうに思うんです。
 その例として、一つちょっと大臣にこれ伺いたいことが次の質問にありますけれども、二枚目の資料を見ていただきたいんですが。
 これ、実は見ていただきたいんです。ですが、この方は国際結婚じゃなくて日本人同士の御夫婦なんですけれども、アメリカにいるときに離婚されて、アメリカで離婚の手続をしたということなわけですね。御主人とお子さんはまだ現地に残っているそうなんですが、奥さんはこっちに帰られました、日本に。それで、日本に帰ってきて、これ戸籍を取り寄せてみたら、こんなことが起きていたんですね。
 これは、上が今、離婚と書いて、それから戸籍に記録されている者というのは二つあります。お子さん二人いらっしゃるそうです。もちろん、今まだアメリカの方にいるんですけれども。そして、この戸籍に記されている者の、真ん中の段の、真ん中の方の親権というところを見てください。親権を定められた日、これちょっと消してありますが、親権者、ここですね、親権者、父母。父母って書いてあるんです。それから、もう一人の子供のところの記録のところにも、一番下のところですが、親権者、父母って書いてあるんですね。日本は単独親権ですから、戸籍には普通は父か母としか書いていないんじゃないかと私は思うんですが、この方は父母って書いてあるんですね。
 こういう戸籍が日本に今ある、こういうことは、大臣は認識はございましたか。

#40
○委員長(山本香苗君) 小出民事局長。(発言する者あり)
 大臣からまずお答えいただいて、その後に。

#41
○国務大臣(上川陽子君) 今、この見え消しというか、黒く塗ったこの本当に個人のプライバシーの塊のような戸籍でございますが、こういう形で拝見したことはございません。
 ただ、それぞれ国によりましてこの問題についての法制の在り方が異なります。日本は今御指摘いただいたような内容の中で取り組んでいるところでありますが、その居住の場所で裁判の管轄権というのがそれぞれありますので、そこで確定した決定につきましては、そのこと自体が最終的な判断という形で戸籍の方にも影響してくるというふうに理解をしているところでございます。

#42
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 これ、外国でなされた判決の日本における承認のケースでございまして、御指摘のこの外国の判決あるいは決定におきまして父母の離婚後の親権が共同親権とされている場合で、その決定が民事訴訟法第百十八条の確定判決あるいはこの条文を準用しております家事事件手続法第七十九条の二の確定した判決に該当し、かつ民事訴訟法第百十八条各号に掲げる要件の全てを具備するときには、その外国の判決の効力は我が国においても承認されるということでございまして、日本人である当該子に係る戸籍には御指摘のとおり父母が親権者として定められた旨が記載されておりまして、この場合は、父母は離婚後の子に対して共同して親権を行使する状態になると承知しております。

#43
○真山勇一君 ちょっと、私こういう黒塗りは良くないなと思いながら、これは個人のプライバシーなのでちょっと隠してはありますけれども。
 やはり、ちょっと私もこれ見せられたときには少しびっくりしたんですね。日本は単独親権というふうに言われております、民法でもそういうふうに決まっておりますけれども、その単独親権の国に共同親権が認められて、そして、今お話ですと、それは認めているということですと、どうなんでしょう、具体的な何か、こういう方が日本にどのぐらい、こういう共同親権の人がどのぐらいいるのかとか、それから、あるいはそれによって何か不都合とかいろいろな問題というのは起きていないのかどうか、その辺はいかがなんでしょう。

#44
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 御指摘の戸籍に当該父母が親権者として定められたといったことが記載されている場合について、それが具体的な事例とか何件あるのか、ちょっと件数を把握しておりませんので、このような記載がされた場合に我が国において不都合が生じているかどうかについても承知しておりません。

#45
○真山勇一君 そんなに数がないんでなかなかその実態つかめられないかもしれませんが、今この我が国において単独親権と共同親権が両方存在するということで、今後、例えば、これで予想される何か問題点とか気掛かりな点というのは考えられておりませんか。

#46
○政府参考人(小出邦夫君) それぞれ具体的な事例に応じて何が問題なのかというのを考えるべきだと思いますが、例えば、共同親権の状態が非常に不利益というか、子に対して悪影響を及ぼすといいますか、子の利益の観点からはよろしくないというときに、外国の裁判所の判決によって共同親権とされているものを我が国で一旦承認したとしましても、その場合に父又は母の単独親権に変更することが日本の裁判所が手続上できるかどうかといったようなことは問題になるのかなというふうに思います。

#47
○真山勇一君 やっぱり大臣もおっしゃっているように、親権制度と同時にやっぱり出てくる問題、養育費の問題ですとか面会交流、それから監護権なんというのもあると思うんですけれども、そういう問題もあるんじゃないかと思うんですね。
 今、やはり日本で例えば連れ去りみたいなことが起きているけれども、この辺り、単独親権だとどうしてもどちらかが親だということになってしまうんですが、共同親権ですと両方、親権者がこういうふうに両方ということになると、例えば養育費の問題を決めるに当たったり、それから面会交流に当たったり、子供のことをどうするかということを考える上で、単純にどちらがいいかということはとてもいわゆるセンシティブな問題ではあると思うんですけれども、それぞれの家族によって違いもあると思うんですが、やはりこうしたことが今後増えていくことは考えられるわけですよ。国際結婚も増えておりますし、日本人同士でもこういうことがある。
 特に、国際結婚の場合はもっときっとシビアな状況というのが出てくるんじゃないかというふうに思うんですが、この辺りから、やはり今大臣がおっしゃったその家族法なんかでも検討はされていますけれども、やはり一つは、そんなに結論を長く待っていられずに、やはりある程度の方向性というのは見出さなくてはいけないというふうに思うんですが、その辺りはどういうふうに考えていらっしゃいますか。

#48
○国務大臣(上川陽子君) 離婚後も父母の双方が適切な形で子供の養育に関わることにつきましては、これは子供の利益の観点から非常に重要なことであるというふうに考えております。父母が離婚した後の子の養育の在り方について、そのような観点から今後検討を進めていくべき重要な課題であると認識をしております。
 御指摘の問題につきましては、離婚後も父母の双方が子供の養育の責任を負うべきであるとして、離婚後も父母が共に親権者となるいわゆる共同親権制度を導入すべきであるといった御意見がございます。また他方で、離婚後共同親権制度を導入すれば、離婚した夫婦の間で子供の養育に関する事項に必要な合意が適時に得られないなど、子供の利益に反するおそれもあると、こうした指摘もございます。
 我が国におきまして、父母の離婚後の親権制度など父母の離婚後の子の養育の在り方につきましては、現在、家族法研究会におきまして民事法制の観点から幅広く検討が進められていると承知をしております。
 この問題につきましては、共同親権制度の導入の是非というような言葉にとらわれることなく、子供の最善の利益を図るために父母の離婚後の子供の養育はどうあるべきかという原点に立ち返って検討すべきものではないかというふうに考えておりまして、そのような視点を持ってしっかりと検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

#49
○真山勇一君 前回のEUからの書簡のときにお伺いしたら、やはり大臣の方からは、児童の権利に関する条約、これを重要視しているというようなお答えもいただいたわけですけれども、児童の最善の利益を図る、そして、両親は子供の健全な育成のため共通の責任を持っており、それを守らなければならないというようなことが児童の権利に関する条約には明記されているわけです。
 こうしたことからチルドレンファーストという言葉も出てくるんじゃないかというふうに思うんですが、この共同親権の問題と同時に、大臣も所信の中で述べられているように、共同養育の問題ですとか面会交流の問題も同時に出ていますね。これ、やっぱりどこから進めるかというのも一つ大きな課題になるんじゃないかというふうに思っています。
 今、動きをいろいろ見ていますと、どこから先に手を着けるかということでいろんなアプローチがされているというふうに思うんですが、やはり今社会の中で問題になっている子供の貧困あるいは母子家庭の貧困などという面から見ると、養育費というようなことにスポットライトが当てられて、とにかくそういう面でも先に進めろよというような動きがありますけれども、大臣としては、家族法の話合いなども含めて、何というんですかね、共同親権と養育費の問題と面会交流、これやっぱり一つのセットになるような、それぞれ関連のある問題ではあって、どこから先にやるかとか、あるいは全体的なバランスを取りながらやっていくのがいいのか、その辺というのはどんなふうに考えられておられますでしょうか。

#50
○国務大臣(上川陽子君) 家族法研究会におきまして民事法制、こうした観点から幅広い検討が進められてきているということでございますが、様々なアプローチの仕方があろうかと思います。
 今、養育費の在り方につきましては様々な形で提案をなされておりますし、また、面会交流の在り方につきましても、戸籍の中にどう記載するかも含めましてこれまでも取組を進めてきているところでございますので、そういう観点から進めていけば、家族の在り方に関する大きなフレームワーク、こういったものについても当然のことながら視野に入ってくるということであります。
 どこから行けば一番ベストなのかという議論というのもありますが、それ以上に、今、現下の課題や問題の中で極めてシリアスな点のところから入っていくということもアプローチの仕方としてはあるのではないかというふうに考えておりまして、今まで蓄積された様々なところでの御議論というものを大切にしながら、全体観の中でこの問題につきましても対応してまいりたいというふうに考えております。

#51
○真山勇一君 この子供をめぐる問題というのは、やはり大きな問題点は離婚ということだと思うんですね。
 やはり今までの我が国の在り方というと、離婚というのは夫婦二人が破局してしまったということで、離婚届すればそれで終わりというような、市町村の窓口に離婚届届ければそれで終わりということだったわけですけれども、やはりそれじゃ、子供のいない夫婦はともかくとして、子供いる夫婦の場合は、やっぱり子供をどうするんだということが大きく今クローズアップされてきているわけです。
 それが、世界的な大きな流れの中で、やはり子供のことも考えなくてはいけない、子供の最善の利益を守るということが大事であるというふうに言われてきているわけですね。やはり子供にとってはお父さんは一人だし、お母さんも一人だし、そういうことがあるわけですね。やっぱりそれが片方だけが親ということで片方は切り捨てられてしまうという、そういうことが今やはり日本の単独親権というところにはあると思うんですね。
 もちろん、世界を見てみれば、全部が全部共同親権ではありません。単独親権の国ももちろんありますけれども、やはり子供のことをチルドレンファーストで考えてみれば、やっぱり子供にとってはお父さんだしお母さんだしという存在があるわけで、その存在が一方的に消されてしまうというか、法律上なくなってしまうということがやはり単独親権の言ってみれば問題点というふうなことを言われているんじゃないかというふうに思いますが、大臣がおっしゃるように、やっぱりその共同養育の問題とか、それから面会交流の問題もこういうこととリンクしながらやはり考えていくべき問題じゃないかなというふうに思っております。
 そういうことで、もちろん今家族法会議で議論されているところだとは思いますけれども、こういう辺りの一つの議論のめど、もう何回ぐらいやられているんですかね。九回ぐらいやられているというふうに伺っていますけれども、その辺りで、今後のここら辺のめど、どんなふうに考えておられるか、お聞かせください。

#52
○国務大臣(上川陽子君) 家族法研究会におきまして、先ほど申し上げましたとおり、父母の離婚後の子の養育の在り方について幅広く議論がされているところでございますが、現在、各論点につきまして二巡目の議論が行われているものと承知をしているところでございます。
 子の養育の在り方やそれに関する制度的な方向性につきましては、先ほど申し上げたとおり、様々な意見や課題の御指摘がございまして、今の段階で取りまとめの時期について申し上げるということがなかなか難しい状況でございますが、私からは、子の利益に関わる極めて重要な問題であるというふうに考えておりまして、法務省の担当者に対しましては、子供の利益、また目線、これを大事にしながらスピード感を持って積極的に議論に参加するよう指示をしているところでございます。

#53
○真山勇一君 先ほどの大臣のお答えの中でも、大変重要な課題であり最優先で取り組みたいというお言葉がありました。是非、世の親のため、それから子供のため、特に子供のため、考えて、この議論、速やかに進めていただくということをお願いして、質問を終わります。
 ちょっと早いんですが、終わります。ありがとうございました。

#54
○伊藤孝江君 おはようございます。公明党の伊藤孝江です。上川大臣、どうかよろしくお願いいたします。
 先ほど来テーマに上がっております養育費について、まずお伺いをさせていただきます。
 私たち公明党としまして、不払養育費問題対策のプロジェクトチームを立ち上げさせていただいております。九月には、森前法務大臣また加藤前厚労大臣に対しても、現行法の枠内でまず予算措置などで取り組むことができる方策について緊急提言を行わせていただきました。
 子の養育費の支払実態について、厚労省の方が、平成二十八年度全国ひとり親世帯等調査結果として調査をしたものが上げられております。母子家庭のうち、養育費を現在も受けているのが二四・三%、受けたことがないのが五六%、半数を超えます。今四分の一という養育費を受け取っているこの家庭、この率をどう上げていくのかというために大事なことの一つは、養育費の取決め率を上げることだというふうに考えております。
 平成二十八年のこの調査では、養育費の取決めをしているのは、離婚時にですね、四二・九%、半数以上は取決めをしておりません。ただ、現実には取決めをしている方がやっぱり取り決めていない場合よりはるかに支払率が高い。現在も養育費を受給しているのは、取り決めていた場合五三・三%、取り決めていない場合は僅か二・五%。養育費を受給していないのも、取り決めた場合は一七・二%に対して、取り決めていなければ八六・九%に及びます。
 じゃ、なぜ取決めがなされていないのかというところでの一番多い理由は、相手と関わりたくないというのが三一・四%。取決めの交渉が煩わしいという五・四%も合わせれば、監護している側の親の感情がベースに、理由になっているという事案が三分の一を超えるというのが実情です。
 子の養育費は、離婚後の子供の生活を経済的に守るという観点と併せて、非監護親も親としての責任を果たし親子関係を維持することが子供の精神的な安定にもつながるという側面もあると考えております。養育費はまさに子供の成長に欠くことができないものである、その重要性からすると、親が相手と関わりたくないという自分の感情的な理由で養育費の話合いをしない、したくない、もう放棄するというようなことではなくて、お互いに子供のために協議を重ねていくことが大切で、政治としてはその環境づくりをしっかりしていかなければならないというふうに考えております。
 現状では、養育費について民法上明確な規定はありませんけれども、まずは子の養育費に関連する議論の出発点を監護親が自らの感情で放棄するなどというふうなことをしていいものではなくて、子供にとって不可欠で、子供の権利なんだというところを出発とすべきと考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。

#55
○国務大臣(上川陽子君) 伊藤委員におかれましては、御党の不払い養育費問題対策PT事務局長として大変熱心に取り組んでこられたということで、九月には緊急提言を森前大臣に提出されたと。その趣旨の中の大きな柱に、子の健やかな成長とそして未来をということで位置付けながらお取り組みになったことに対して、心から敬意を表したいというふうに思っております。
 御質問でございますが、子の養育費の不払の問題、喫緊の課題、子供にとって喫緊の課題であるというふうに思っております。子の養育の在り方に関する問題として、子の養育費が支払われるべき状況でありながら、子の父母間で必要な取決め等がなされずに養育費の支払がなされないということにつきましては、これは子の利益の観点からは相当ではないというふうに私も考えているところでございます。
 この喫緊の課題に対してしっかりと取り組んでいくということを最優先の課題として私も共有してまいりたいというふうに思っております。

#56
○伊藤孝江君 まだまだ子の養育費、しっかりと取り決めていくことがまずは出発、大事なんだということは社会的にも周知をしていかなければならないという現状にあるというふうに認識をしています。
 取決めをする方がやっぱり任意での支払率、その後に支払っていただきやすい、支払いやすいというところにもつながるでしょうし、私自身も弁護士としての経験で言わせていただければ、例えばお母さんが子供を連れて離婚しているという場合に、そのお母さんの不貞行為であったりお母さんの浪費が原因で離婚したときに、それでも養育費を払わないといけないのかという父親側からのかなりの抵抗というのはやっぱりよくある。でも、そのときに、話合いの中で、単に金額を幾らにしましょうというだけではなくて、例えば、じゃ、子供の携帯電話代払ってもらえませんかと、子供の塾代を払ってもらえませんかという形で直接、お母さんの手を経ずに払うという、子供の生活をしっかり守っていくと。子供が携帯電話を持ったらお父さんとも自由に話ができますよというようなこともやり取りをしながら、何とか協議をしながら払っていただく約束を取るというふうにみんな頑張っているところでもあります。
 そういう点で、子の養育費を取り決めるための周知をしっかりと進めていくに当たりまして、私たちのこの緊急提言でも、SNSやホームページなどでの一元的な情報提供、また、離婚届の用紙を通じて情報提供できないかということを提言させていただいております。子の養育費問題に関する広報啓発についてどのような姿勢で臨まれるのかということについてお伺いいたします。

#57
○国務大臣(上川陽子君) 御党の緊急提言におきまして、まさに養育費に関する広報啓発活動を進めるべきということで、大変具体的な提言をいただきました。その背景には、こうした取決め率を高めるという大きな問題意識があったというふうに理解をしております。
 法務省ではこれまでも、養育費及び面会交流に関するこの合意書のひな形、これを掲載したパンフレットを作成したり、また、夫婦が離婚をする際に考えておくべき事項をまとめたウエブページの公開などの取組を行ってきたところでございます。
 今後も、国民目線に立った適切な周知、広報が極めて重要であると考えておりまして、例えば、動画等を通じてより分かりやすい形で情報を提供すること、あるいは離婚を考えている方が手に取る離婚の届け用紙に記載する参考情報を充実させることなどを通じまして、情報発信の拡充にスピード感を持って取り組む必要があるというふうに思っております。
 いずれにしても、御理解いただいて、そしてその情報に接していただかなければ利用していただけないということでありますし、今のような取組につながらないということでございますので、更に一層力を入れて取り組んでまいりたいというふうに思っております。

#58
○伊藤孝江君 是非よろしくお願いいたします。
 子の養育費、もし支払っていただけない場合、また、取決め、あっ、ごめんなさい、養育費を請求するためにというか、まず取り決めるために、調停、審判という手続、裁判所で使うことが可能です。ただ、現行の手続は、本人、当事者が行うにはハードルが高いという指摘がずっとあります。他方で、万一支払が滞った場合を想定しますと、単なる当事者間の合意ではなくてやはり債務名義にしておくことが望ましいという中では、費用が安いという点で裁判所のメリットは大きいという声もあります。当事者の方自身が手続を行えるように、運用、制度面の見直しが必要であるというふうに考えます。
 緊急提言の方では、特にこの調停や審判につきまして、利用者のニーズ等を踏まえた運用改善の取組、実践例の共有を図ることなどを提言させていただいております。
 養育費に関する調停、審判について、利用者にとってどのような点がハードルとなっているというふうに認識をされ、その解消のためにどのような検討がなされているのか、最高裁にお伺いをいたします。

#59
○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。
 最高裁といたしましても、家庭裁判所の調停手続等の運用を利用者の目線に立って一層利用しやすいものとしていくことは重要な課題と認識しているところでございまして、何よりもまず、裁判手続の利用に必要な情報を当事者となられる御本人の方々にもできる限り分かりやすくお伝えすることが重要であると認識しております。
 また、例えば一人親の当事者の方が仕事などの関係で裁判所に来庁されることが御負担であるという場合など、出頭負担の軽減の重要性についても、御指摘重く受け止めているところでございます。
 そこで、養育費に関する調停手続等に関する分かりやすい情報提供につきまして、現在、裁判所のホームページに調停の申立てから強制執行手続の完結に至るまでの手続全体について必要な情報を一元的に集約した特設ページの作成を進めておりまして、本年中をめどに完成を目指しております。
 また、出頭負担の点については、調停手続等におけるテレビ会議の利活用など、手続のリモート化による出頭負担の軽減について法務省、日弁連とも連携しつつ検討を始めておりまして、これを積極的に進めてまいりたいと考えております。
 さらに、一回一回の期日をより充実させ、調停手続などの運用をより利用しやすいものとするべく、各家裁における検討やその工夫の共有の取組が進められておりまして、そうした運用上の工夫についての情報発信も重要であると考えているところでございます。
 養育費の取決めと支払確保の問題につきましては様々な会議体等で知恵を集めた議論が行われていると承知しておりまして、最高裁としましても、こうした議論にもしっかり耳を傾けつつ、調停手続その他の裁判手続の利用を必要とする方々が適切にこれを利用できるよう必要な検討を続けるとともに、各家裁の取組を支援してまいりたいと考えております。

#60
○伊藤孝江君 子の養育費の問題ですけれども、まずこの離婚の前に、現実には相当期間の別居が先行する事例も多いというのが現実だと思います。ただ、この離婚前の別居期間の間の問題に関しては法律上も規律が見当たらない。
 よく受ける相談の一つで、母親が子供を連れて父親と別居をした後、父親から生活費をもらっていないというだけではなくて、児童手当が父親に支払われ続けているというような問題があります。この児童手当の振り込み先を子供と同居をしている親の方に変更することができないのかという点について、内閣府にお伺いをいたします。

#61
○政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。
 離婚前の別居の状況における児童手当の支給についてお尋ねございました。
 児童手当は、まず法律上は、児童を監護し、生計を同じくする父母のうちいずれか児童の生計を維持する程度の高い者に支給をすると、これが大原則でございます。しかしながら、離婚協議中などの理由によりまして父母が別居をしている場合につきましては、児童と同居している親御さんの方に対して支給をするというふうに法定をしてございます。自治体におきまして離婚協議中であることを書類で確認いただくように、その取扱いについても通知をしているところでございます。
 また、配偶者からの暴力を訴えている事例につきましては、住所を知られることで危害が加えられるおそれが強い場合などもございますので、住民票の移動ができない場合であっても、現に児童を監護をされていて、配偶者と比べて生計を維持する程度が高いと判断をされた場合には、具体的には、健康保険上の被扶養者に、片方の配偶者の被扶養者になっていないとか、婦人相談所のその証明書が発行されているとか、様々確認の方法ございますけれども、そういったことを確認した上で受給者を変更するということが可能であるということを自治体に取扱いを通知をしているというところでございます。

#62
○伊藤孝江君 今、制度の方御説明いただいたんですけれども、現実には、自治体に相談をしても全く対応していただけないというのが多いというのも実情だというふうに認識をしております。
 今後、どういうふうにこの周知徹底、取り組んでいただけるのか、端的にお願いいたします。

#63
○政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。
 ただいま申し上げました取扱いにつきましては、いずれも平成二十四年に自治体への取扱いを通知しているところでございますが、特に照会の多いDVのケースにつきましては、本年二月の都道府県等への説明会でも改めて周知をしたところでございます。また、コロナの関係で本年実施をいたしました子育て世帯への臨時特別給付金のQAにおきましても、この平成二十四年の通知を明示をして改めて通知をしたところでございます。
 委員御指摘のとおり、児童手当を適切に支給をするということは極めて重要でございますので、例年二月頃に都道府県に対する説明会を我々やっておりますので、そういった機会などを活用しまして、より一層の制度周知に努めてまいりたいと考えております。

#64
○伊藤孝江君 例年どおりの説明では周知できていないのでお願いしますということですので。また、DVの事例だけではなく多いということも御理解をいただければというふうに思っております。
 この、別居期間中、児童手当の問題とは別に、離婚してからは養育費という形で子供と一緒に住んでいない親は子供の生活費を払うと。ただ、これは別居している間も、養育費ということではなく婚姻費用という形で、例えば妻と子が生活をして父親が一人で生活していると、で、父親のお給料でこれまで暮らしていたということであれば、妻と子の生活を扶養する義務というのは当然別居期間中もあります。
 ただ、なかなか現実には離婚の前後という形で取り上げられることが多いので、この別居期間中の生活をどう確保するのかというのがなかなか知られていないですし、婚姻費用という言葉自体、養育費に比べてもまだまだ認知度が低いというふうに承知をしているところです。
 しかも、この婚姻費用ですね、別居期間中に扶養してねという、生活費を請求できる権利ですけれども、婚姻費用は請求したときから発生するというのが原則ですので、請求をしなければいつまでたってももらうことができないし、後から遡ってももらえない。本当に貧困につながる一つの状況になっている事情でもあります。
 そういう点では、この婚姻費用だけではなく、この別居期間中のことというのを法的に整備していくことが必要なのではないかというふうに考えるところです。
 緊急提言でも、離婚前、別居中の諸問題についても対応を急ぐように提言をさせていただきましたけれども、別居期間中のこの問題について、運用面、制度面から抜本的な見直しを行う必要があると考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。

#65
○国務大臣(上川陽子君) 別居に関する問題につきましては、御党の緊急提言におきまして、離婚後だけではなく離婚前の別居期間中の問題についても対応を急ぐべきであると、こうした強い御提言をいただいたところでございます。
 その背景には、養育費に比べましても社会の認知度が一層低いという実態、また、別居中の婚姻費用の分担についてその重要性の周知が少し不足しているのではないか、このことを通して考えてみても、子供の成長のために極めて重要な問題であると、こういう御認識があったものとして承っております。
 この問題につきましては、法務省の養育費不払い解消に向けた検討会議の中間取りまとめの中でも取り上げられておりまして、法務省としても問題意識を持って検討をしているところでございます。
 また、委員からも触れていただきました制度上の問題ということにつきましても、現在、法務省の担当者も参加いたしております家族法研究会において取り上げられておりまして、ここにつきましても、子供の利益を図るという観点から必要な検討を進めるというところでございます。
 もっとも、民法には別居という概念が設けられておらず、そのような概念を創設することが可能かつ相当かといった課題もあるというところでもございます。
 いずれにいたしましても、別居期間中の婚姻費用の分担の問題につきましては、御指摘のような重要性も踏まえた上で、子供の利益の観点から検討を進めてまいりたいと考えております。

#66
○伊藤孝江君 養育費に関して最後の質問ですけれども、子供の未来、また、一人親の九割を占める女性の活躍など様々な問題が関係するものとして、政府全体で取り組んでいく必要があるというふうに考えております。
 ただ、その中でも養育費の取決め率を上げていくというところでは、やっぱり特にこの点、法務大臣が中心となって他省庁をリードしていっていただきたいというふうに思いますけれども、大臣の決意をお伺いさせていただきます。

#67
○国務大臣(上川陽子君) 養育費の不払問題への対応につきましては、政府の骨太方針等で明確に位置付けられた上で、現在、法務省内の有識者による検討会議、また厚生労働省とのタスクフォース等におきまして、厚生労働省を始めとする関係省庁、関係機関と連携をしながら、運用改善で対応可能な課題や、また制度面の検討が同時に進められているところでございます。
 子の養育費の不払の問題につきましては、一人親問題、子供の貧困対策、女性の活躍の推進など、様々な重要施策とも関わるものであるということでございますので、今後とも取組を進めるに当たりましては、厚生労働省を始めとする関係省庁と十分に連携を図っていく必要があるというふうに考えております。
 私といたしましても、子供にとりましての最善の利益、子供の健やかな成長と未来のためにも、関係省庁としっかりと連携しながら、チルドレンファーストの視点に立ってしっかりと取組を進めてまいりたいと考えております。

#68
○伊藤孝江君 ありがとうございます。どうかよろしくお願いいたします。
 続きまして、京都コングレスについてお伺いをいたします。
 今日、私もピンバッジ着けてきました。おととしは法務委員会の方で視察にも会場等行かせていただいておりまして、本当に、延期になったコングレス、しっかりと大成功していくことができるように私たちとしても後押しをさせていただきたいというふうに思っているところです。
 今回、この京都コングレスの中で日本における更生保護などの再犯防止の取組を発信すると、その中で中心の一つが保護司の存在だというふうに思います。この日本の保護司制度は、フィリピンやケニアなど海外諸国でも取り入れられているということで、私も先日教えていただいたんですが、今回、世界保護司会議が行われるというふうにも聞いております。この取組は、保護司が担う社会的役割の再認識又は自信や意欲につながり、保護司個人に与える影響も大きいと同時に、高齢化、なり手不足など、制度の在り方に影響を与えかねないほどの深刻な課題を抱える日本の保護司制度にとってもアピールの機会ともなるというふうに思います。
 改めて、この世界保護司会議を開催する意義についてお答えいただけますでしょうか。

#69
○政府参考人(今福章二君) ただいまお尋ねの世界保護司会議は、京都コングレスのサイドイベントとして開催するものでございますが、その意義としましては、第一に、保護司など、地域ボランティアの有用性などについて議論をし、日本の保護司や更生保護制度を積極的に世界に発信する機会とすること、そして第二に、そこでの議論の結果を京都コングレス開催後の再犯防止や更生保護に関する国連のスタンダードづくりや、保護司を始めとする地域ボランティアの制度を各国に広げていくための礎とすること、そして第三に、ただいま委員御指摘のとおり、そのようにして保護司が国際的に評価されることは、日本の保護司の方々の誇りややりがいの向上に資するとともに、保護司の重要性や保護司の魅力を社会にアピールすることにもつながりまして、一人でも多くの国民の皆様に保護司に関心を持っていただくことで、保護司のなり手不足の解決の一助にもなることなどが考えられます。
 こうした意義を踏まえまして、世界保護司会議とその後を含めた保護司の国際発信について積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

#70
○伊藤孝江君 本当に深い思いを持って取組をされている保護司の皆様からしたら、すごく心強い企画なのかなというふうに思います。
 ただ、私の地元兵庫県でも、帰って、保護司をされている方々、たくさん知っている方にお聞きしますと、世界保護司会議もそうなんですけれども、コングレスそのものもまだ知られていないというような実情でして、本当に非常に残念だというふうに思っています。保護司会などにも協力をいただいて、多くの保護司の方がこの会議を知ってオンラインなどで見ていただくことができるよう周知していくべきではないかというふうに思います。
 ただ、この会議が英語で行われるとのことで、周知と併せて見ていただきやすい工夫等にも尽力をいただきたいんですけれども、法務省、いかがでしょうか。

#71
○政府参考人(今福章二君) ただいま委員御指摘のとおり、保護司の皆様にこの会議について知っていただくことは大変重要ですので、現在、保護局では、世界保護司会議に関して、保護司が集まる会議などで周知することはもちろんですが、保護司全員に配付しております月刊の研修誌「更生保護」、これに特集を組むなどしましてその周知に努め、会議の開催に向けた機運の醸成を図っているところです。
 また、この会議の状況はリアルタイムで発信されるものの、その際は英語のみでございますので、後日、日本語の字幕を付けて編集などを行い、オンラインで配信し、保護司の研さん資料として活用する予定でございます。
 ただいま御指摘のとおり、オンラインによる周知や研さん資料等の共有は大変重要なものでございますので、引き続き必要な環境の整備に努めてまいりたいと存じます。

#72
○伊藤孝江君 よろしくお願いいたします。
 この世界保護司会議と併せて今回私がちょっと注目をさせていただいたのが、このコングレスに先立って行われる京都コングレスのユースフォーラムです。犯罪防止、刑事司法に関する世界の若者によるフォーラムで、全体で約二百人、うち日本からは約百人程度の方が参加するというふうにお聞きをしております。
 そのうちのテーマの一つは、青少年犯罪の予防、罪を犯した青少年の社会復帰における若者の役割ということで、犯罪予防や更生保護など、注目されることが少ない問題に強く関心を持ってくださっているこの若者たち、高校生や大学生などを中心というふうにお聞きをしておりますけれども、この若者の人たちが連帯をしたり、また対話の機会をつくるということは本当に重要な取組であるというふうに評価しております。
 これから社会を担うこの若者たちが持つ可能性を考えたときに、このコングレス、ユースフォーラムで終わりということではなく、引き続きこの若者の人たちも巻き込んでのいろんな取組を行うことができればというふうにも考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。

#73
○国務大臣(上川陽子君) 京都コングレス、ユースフォーラムにつきまして、大変これに対して評価をしていただき、ありがとうございます。
 この世界の若者による犯罪防止、刑事司法に関するフォーラムでございますが、京都コングレスの前の週に開催をされる予定でございまして、その結果につきましては勧告という形で京都コングレスそのものの本体の方に提出をされましてその議論に反映をされると、こういう関係性になっているところでございます。SDGsがターゲットイヤーとなる二〇三〇年以降の社会を担うユースの世代の声に、我々大人というかが真摯に耳を傾ける重要な機会であるというふうに考えております。
 委員御指摘のとおり、このユースフォーラムは、様々な価値観、バックグラウンドを持つ世界各国の若者が真摯な議論を通じまして、連帯と対話、こういったことを醸成をしながら、将来につながるパートナーシップを築くことができる場として大変有意義な場ではないかというふうに考えております。
 ユースフォーラムを通じまして、国際感覚を有する人材を育てていくと同時に、若い世代に犯罪防止、刑事司法への理解を深めていただくということで、極めて重要なことであると思っておりまして、委員御指摘のとおり、京都コングレスが開催すればそれで終わりということではなくて、その後につきましても一つのレガシーとしてこのような取組を行うということにつきましても検討してまいりたいというふうに考えております。

#74
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
 京都コングレス、三月、遠いようでもうすぐ来ると思いますので、大変かと思いますけれども、しっかり応援させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 では、次のテーマに移らせていただきます。
 次は、乳幼児揺さぶられ症候群、いわゆるSBSやAHTなどと今言われている問題です。
 児童虐待は決して許されることはありませんし、認めるべきでもありません。と同時に、虐待していないのに虐待したとして、無実の者を犯罪者として扱うことがあってもならないと。児童虐待を許さないことと冤罪をなくすこと、これは両立させていかなければならないテーマであるというふうに私自身は考えております。
 この乳幼児揺さぶられ症候群というのは、単純化すると、硬膜下血腫、脳浮腫、眼底出血の三兆候があった場合に、暴力的な揺さぶり行為、つまり虐待があったと認めるというふうな考え方を言います。このいわゆるSBS、AHTが疑われ子供の虐待が罪に問われた事件で、近時、不起訴や無罪判決が多く出されております。
 私の知る限りですけれども、近いところで無罪事件が七件、判決自体はもう少しの数があります。不起訴は八件以上と、八件以上。裁判で自らの主張が認められなかった側は、えてして裁判所の理解が足りないという批判をしがちではありますけれども、有罪率が九九%と言われる日本の刑事司法において、これだけ不起訴や無罪判決が続くというのは尋常ではありません。裁判所の無理解という言葉で片付けてしまうのは、子供に対しても、虐待を疑われた人に対しても不誠実であると言わざるを得ないというふうに思っております。
 ここで本当に間違っていただきたくないのは、虐待を見逃しても構わないということでは絶対にありません。虐待が疑われる状況がある場合、子供の安全を最優先に考え、迅速に対応、保護するのは当然です。ただ、その後、現実に虐待がなされていたかどうかという捜査、判断は慎重に丁寧に行われるべきです。冤罪で乳児から親を長期間分離するのは、それこそ虐待です。結果的に罪に問われなければいいではないかということでは決してありません。
 幼い子供がけがをしたり亡くなることに加えて、一番信頼していた家族が子供を虐待したとして逮捕、起訴をされる。夫婦関係、家族関係に大きな影響があります。子供とも親子関係を取り戻すまでに長い時間が掛かってしまいます。最終的に無罪になった方や家族の方にもお会いをしましたけれども、長期にわたり身柄を拘束され、どれほどの苦悩の中で無実を訴え続けてこられたか、また、家族がどんな思いで支え続けてこられたかをお聞きすると本当に胸が痛みます。
 子供の利益を最優先にすると、そういう観点からも絶対にこの冤罪は生むべきではありません。虐待を見逃さないことと冤罪をつくらないことを両立させるために、真剣に取り組んでいただきたいというふうに思っております。
 まず、一般論として、無罪判決が出されたとき、また、この問題のように各地で類似の無罪判決が複数起きているときに、検察庁としてどのような対応をするものなのかということをお教えいただけますでしょうか。

#75
○政府参考人(川原隆司君) お答え申し上げます。
 虐待による頭部外傷の事案についてのお尋ねでございますが、お尋ねは、結局のところ、個別事件における裁判所の判断ないし検察当局の事件処理に関わる事柄でございますので、大変申し訳ございませんが、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。
 その上で、あくまで一般論として申し上げますれば、検察当局におきましては、無罪判決があった場合、当該事件における捜査・公判活動の問題点について検討するなど、適正な捜査、公判の実現に努めているものと承知しております。

#76
○伊藤孝江君 一般論でも、本当に、無罪判決が出た、なおかつ類似事件で続いているという場合にどのように対応するのかということすらきちんとお答えいただけないというのは、本当に残念に思います。
 無罪判決が続く背景には、厚労省の手引にある三兆候の存在があります。検察官が書かれた論文に、総合的に判断していると、三兆候だけではないんだというふうな記述もありますけれども、総合的だから大丈夫ということではなく、重要なのは総合的な判断がどういう内容なのかということだというふうに考えます。
 これまで、検察側が意見を求め裁判で協力を得た専門家に偏りがあるとの指摘があります。虐待問題に熱心な一部の小児科医とかだけではなく、小児脳神経外科医や画像診断医を始めとするこのSBS事案で見られる症状の診断、治療に通常から携わっている専門家の意見を聞くことが必須であるというふうに考えております。この点は、以前、予算委員会でも訴えさせていただきました。
 冤罪を生まないために、捜査や起訴の判断に当たっては、単にセカンドオピニオンを実施する、何回聞きましたという話ではなく、先ほど述べさせていただいたSBS事案で見られる顕著な症状について知見が豊富な適切な専門家にセカンドオピニオン、サードオピニオンを取っていただくことを御要望させていただきたい。
 法務大臣の御所見をお願いいたします。

#77
○国務大臣(上川陽子君) 今委員から、事件についてのことにつきましてもお触れになりながら、この問題について御意見を賜りましたことを感謝申し上げたいというふうに思います。
 個別事件については、法務大臣として所見を述べることについては差し控えさせていただきたいと思います。一般論として申し上げるところでございますが、委員御指摘のとおり、無実の方が処罰をされるようなことがあってはならないと、このことはもう当然のことであるというふうに思っております。
 他方で、子供が最も安全に安心して生活できるはずの家庭内におけるこの児童虐待事案につきましては、慎重なしっかりとした審理の上で厳正に対処するという必要があることも、これも事実でございます。
 その上で、検察当局においての取組ということでありますが、何といってもやはり的確に主張、そして立証を行う、そして御指摘のような事案を含む児童虐待事案に対しまして引き続き適切に対処していくことが必要であるというふうに思っております。

#78
○伊藤孝江君 適切に対処という言葉を信じさせていただきたいと思いますけれども、本当に医学というところだけではなく、もちろん専門的な分野がある場合、当然専門の人たちに御意見を聞かれながら捜査なり訴訟なりということを進めていかれているというふうに信じておりますけれども、その点しっかりと緩むことなく、常に検討しながら進めていっていただきたいというふうに思います。
 今回、検察庁として、無罪判決が出された事案はもちろん、有罪が確定している事案も含めて徹底的に分析をして、このいわゆるSBS事案におきましてどのような捜査が求められているのか、虐待の有無を判断するために現状で何が足りていなかったのかというところはしっかり検証していただかなければならないと思っております。これは虐待を見逃すことでは絶対ないですし、子供を保護するというのは最優先というのは先ほど言わせていただいたとおりのところです。
 大阪高裁の判決では、本件は、一面で、SBS理論による事実認定の危うさを示してもおり、SBS理論を単純に適用すると、極めて機械的、画一的な事実認定を招き、結論として、事実を誤認するおそれを生じさせかねないものであるというふうに判示されております。
 ここで事実を誤認するおそれが指摘されています。画一的な事実認定をされればですね。これは、冤罪を生むおそれがあるということもそうですけれども、逆に虐待した人も見逃されるかもしれないと。この三つに当てはまらなければそれで終わりというふうな判断になってしまうとそうなる可能性もありますから、きちんと虐待をしたのかどうかというところをどう判断するのかというところは本当にしっかりと医学的にも検討を重ねていっていただきたいというところですし、検察庁がどういう医師にどのような形でどのように意見を求めていくのかというところは真摯に追求をしていっていただきたいというふうに思います。
 検察庁として冤罪を生まないために、また虐待した人を見逃さないために、このいわゆるSBS事案の検証結果を類似事案における捜査上の留意点として、今後のために警察や検察官に示すべきというふうに考えますけれども、法務省、いかがでしょうか。

#79
○政府参考人(川原隆司君) お答えをいたします。
 先ほどの答弁を繰り返す形になってまず恐縮でございますが、一般論として申し上げれば、検察当局におきましては、無罪判決があった場合、当該事件における捜査・公判活動の問題点について検討するなどし、適正な捜査、公判の実現に努めているものと承知しております。
 その上で、お尋ねの虐待による頭部外傷の事案につきましては、法務省におきまして、検察官に対するこの種事案を含む児童虐待に関する研修を実施しておりますほか、必要に応じて各検察庁内で勉強会を開催するなど専門的な知見を共有するための取組を行っているものと承知しております。
 今後とも、この種事案を含む児童虐待事案に適切に対処するための必要な取組を行ってまいりたいと考えております。

#80
○伊藤孝江君 ありがとうございます。今、専門的な研修も行っているということで、その点はありがとうございます。
 もう一つ大切なことは、もちろん検察官の方御自身が医学的に判断できるということは当然ないという前提になろうかと思いますので、本当に各地でどのような医療機関と、どのような専門家の先生と連携を組むのかというところも並行してやっていかなければ駄目だと思うんですね。
 なので、そこの部分についてもしっかりと検察庁としてはこれから見ていきたいということ、いかがでしょうか、法務省。

#81
○政府参考人(川原隆司君) お答え申し上げます。
 ただいまのお尋ねは、その個別事案におきまして、その死因の確定、死の原因の確定について適切に対処すべしということでございますが、一般論で恐縮でございますが、検察庁におきましては、個別の事件につきまして、死因の確定その他につき、問題点の解明につきましては、必要な捜査を適切に行うよう努めているものと承知しております。

#82
○伊藤孝江君 以上で終わらせていただきたいと思いますけれども、個別の事案だからということではなく、今後どう対応するのかというところに生かしてくださいということは承知いただいているというふうに信じて、終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。

#83
○委員長(山本香苗君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十五分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開会

#84
○委員長(山本香苗君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#85
○柴田巧君 日本維新の会の柴田巧です。どうぞよろしくお願いをいたします。
 まず最初に、午前中、豊田先生、伊藤先生からもありましたが、私からも京都コングレスについてお聞きをします。
 当初は今年の四月に開催予定でありましたが、御案内のとおり、新型コロナの感染拡大によって、来年の三月の七日から十二日までの六日間、京都で行われます。第十四回目となるこの国連犯罪防止刑事司法会議、京都コングレスですが、五年に一度開催される国連最大規模の会議でありまして、我が国では一九七〇年以来五十一年ぶりにやはり同じ京都で開かれるということでございます。
 本来ならばというか、いつもの会議だと、各国の司法大臣、検事総長等が参加、議論をして、それを通じて国際協力の促進をしていく、そしてまた、より安全な世界を目指して協働していこうということを目的としているわけであります。そういう意味でも、世界の刑事司法の専門家の皆さんが会して議論をされることは大変意義がありますし、先ほどもありましたように、我が国での犯罪防止や再犯防止の取組が正しく理解をされ、発信をするいい機会です。そしてまた、国際的なプレゼンスをその刑事司法分野において高めていくいいチャンスでもあろうかと思っています。
 そして、より大事なのは、この会議を通じて犯罪防止や再犯防止に国民が関心を持ってもらい、安心、安全な社会をどうつくっていくかと、こういうことにつなげていくことが肝要だと考えるわけですが、そこで幾つかお聞きをしてまいりますけれども、先ほどもありましたが、コロナで延期になって、今、もうあと数か月になってきましたが、またこの第三波らしきものになりつつあります。何とか開かれて会議が行われることを期待をするところでありますけれども。
 まずそこで、この新型コロナ感染対策をどのようにしながら開催をするのか、そして、先ほども触れましたように、国民の皆さんにやっぱり関心を持ってもらうというのは非常に重要なことだと思っていますが、どのようにこの関心を高めていくのか、併せてお尋ねをしたいと思います。

#86
○政府参考人(山内由光君) まず、京都コングレスの開催方法についてのお尋ねがございました。
 コロナ禍での開催であることを踏まえつつも、他方で幅広い参加が得られるようにしたいと思っておりまして、具体的な開催方法といたしましては、オンラインテレビ会議を活用しつつ、来場参加とオンライン参加を組み合わせたいわゆるハイブリッド方式、こういうのを採用する予定でございます。
 もちろん、来場参加につきましては、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部が決定いたしました新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針、また、業種ごとに策定される感染拡大予防ガイドライン、これらなどを踏まえまして感染対策に万全を期していく所存でございます。
 あわせて、京都コングレスに向けた国民の関心、これをどう高めるのかという御質問もございました。
 大変重要なことでございまして、現在、例えばSNS上で国内外の京都コングレス関係者が開催までの日数をカウントダウンするような動画を今、現在順次掲載するような企画を展開しております。本日でしたらあと百十日でございますので、百十日に向けた動画を今日掲載したところでございます。
 また、京都コングレスでも取り上げられるような、例えば企業と刑事司法の関わり合いといったような、こういったテーマを、オンラインイベントでそういったテーマについて議論し合うような企画も予定されておりまして、そこでももちろん京都コングレスを広報していく予定であります。
 また、それ以外に、法務省が開設して、あと運営している京都コングレスの専用ホームページ、これもございます。そこにはもう京都コングレスに関する情報を随時掲載しておりますし、また、これ以外でも、例えば新聞などに京都コングレスの広告、こういったものも掲載しております。
 引き続き、こういった形で開催に向けて国民の関心を高めるべく力を入れてまいりたいと思っております。

#87
○柴田巧君 ありがとうございます。
 コロナ時代における大変重要な国際会議だと思いますので、モデルとなるような是非会議に、感染対策もしっかりしていただきながらやっていただきたいと思いますし、いろんなツールを活用して国民の関心を高めるように努力をしていただきたいと思います。
 次に、先ほども触れましたけれども、このコングレスを通じて世界の刑事司法の専門家の連携をいかに深めていくか、また我が国の犯罪防止や再犯防止の取組をいかに世界にアピールをしていくか、そして何よりも、日本におけるこの犯罪防止や再犯防止が一層進んで、安心、安全な社会をつくっていくためにどのように取り組んでいくか、これ併せてですが、お尋ねをしたいと思います。

#88
○政府参考人(山内由光君) 世界の専門家との連携という点についてでございますが、まず、御指摘のとおり、京都コングレスでは各国の司法大臣とか検事総長などを含む関係者が議論を行う形になります。当然、刑事司法関係者、こういった司法機関との連携強化とか、あるいは国際協力の促進、こういったことも活発に京都コングレスでは議論されることが予想されます。
 また、そういった面も含めまして、京都コングレスにおきましては成果文書として京都宣言が採択される予定でございます。これが国連とか加盟国の犯罪防止、刑事司法分野におけるその取組の中長期的な指針になる予定でございます。
 法務省といたしましては、外務省とももちろん連携しつつ、このホスト国としてこの京都宣言、いろんなことが含まれる京都宣言を円滑に取りまとめて、またコングレスの後もその京都宣言の実施、これにリーダーシップを発揮することを意図しております。そういった形で、もちろんその刑事司法専門家の連携を深めていきたいと思いますし、国際協力を更に推進してまいりたいと思っております。
 あと、こういった取組についてのこの国際的なプレゼンスについての取組ということが御質問でございました。
 再犯防止という点でございますけれども、保護司の皆様が連綿と、皆さんによって連綿と受け継げられたこの更生保護制度というのがございます。再犯防止施策というのは、我が国の安全、安心な社会を支える重要な取組でございますので、京都コングレスにおきましては、こういった取組について、全体会合などにおいて各国の代表に向けたステートメント、こういったことを通じて紹介することもしてまいりますし、法務省が主催するようなサイドイベントなどにおいてもこの再犯防止などをテーマとして掲げて、そういった取組についてしっかりと発信していきたいと思います。もちろん、成果文書である京都宣言においても、そういったものを盛り込むことによって引き続き国際的プレゼンスを高めていきたいというふうに思っております。
 最後になりますが、コングレスの後の我が国における犯罪防止、あるいは再犯防止、取組の推進という点についての御質問もございました。
 京都コングレスでは、全体会合とか、先ほども申しましたサイドイベント、あるいはワークショップ、こういったいろんな機会がございます。そこにおいて、世界各国の刑事司法専門家によって各国のそれぞれの犯罪防止、刑事司法分野の取組が紹介されることになろうかと思います。我が国といたしましても、この機会に、そういった各国の取組における成功例でございますとか創意工夫、これに耳を傾けて、我が国における犯罪防止や再犯防止に関する施策を実施する上での参考にしてまいりたいと思っております。そういった形で、コングレス後においても引き続き安心、安全な社会の実現に向けてコングレスの成果を活用していきたいと思っております。

#89
○柴田巧君 ありがとうございました。
 大臣にお伺いをしますが、今回のこの京都コングレスでは、全体テーマとしてSDGsの達成のための犯罪防止、刑事司法及び法の支配の推進ということになっているわけで、これについて、五年に一度の会議ですから、しっかりと議論がなされるのは大いに期待をしたいと思いますが、あわせて、このウイズコロナの真っただ中に今あるわけで、ややもすれば弱い立場の人が更に弱くなっていく、あるいは世界が分断されていくというような兆候もある中で、この刑事司法がどのような役割を果たしていくのか、あるいは法の支配や基本的人権がいかに尊重されるかなどなど、このコロナ禍ならではの直面する課題についても私は議論があってしかるべきではないかと思っているんですが、大臣の御所見をお伺いをしたいと思います。

#90
○国務大臣(上川陽子君) 京都コングレスにつきまして委員から大きな問題意識の中で数々の御指摘をいただきまして、ありがとうございます。
 まさにコロナ禍を経験して、また今まさに感染が拡大している世界的な兆候の中でございますけれども、そうした経験をしてから初めての国際会議になるわけでございます。このコングレスにおきまして、コロナ禍における刑事司法の課題ということについて、これはこれまでの議論の中でつくられてきたアジェンダの中には明示的に入ってはおりませんけれども、当然のことながらこの問題につきましては議論の対象になるというふうに認識しているところでございます。
 例えば、討議すべき事項といたしましては、過剰収容状態にある刑務所におきましての衛生面、保安面の対処策でありますとか、あるいは差別、偏見に動機付けられた犯罪への対処策などとか、あるいは刑事司法におけるICTの効果的活用方策など、コロナ禍を意識した課題が提起されている状況でございます。
 こうした問題は一過性の問題ではございません。ポストコロナの時代においても、またウイズコロナの時代においても、法の支配が貫徹する、浸透し、また誰一人取り残さない社会を実現する上で、刑事司法が果たすべき役割を考えるに当たりましても大変重要な視点を提供するものというふうに考えております。
 開催国の法務大臣でございますので議長になるわけでございますが、このコロナ禍における課題はもとより、ポストコロナ時代において刑事司法が果たすべき役割につきましても十分に議論をしていただくことができるようリーダーシップを発揮してまいりたいと思っておりますし、その上で成果文書といたしまして国際社会がまさに中長期的な指針となる京都宣言を取りまとめるということでありますので、法の支配が浸透し、誰一人取り残さない社会の実現に向けまして主導的な役割を果たしてまいりたいと思っております。

#91
○柴田巧君 大臣、ありがとうございます。
 所信の中でも、この法の支配や基本的人権の尊重といった普遍的、基本的価値や国際協力の重要性を国際社会に強く打ち出すべく指導力を発揮をしていきたいと述べておられましたし、今もそういう意気込みが伝わるものでありましたので、是非ホスト国の法務大臣として強いリーダーシップを発揮をして、いい会議になりますように頑張っていただきたいと思います。
 次に、法務行政、司法のデジタル化についてお尋ねをしたいと思います。
 御案内のように、この新型コロナによって、我が国の行政のデジタル化は極めてお粗末というか極めて遅れているということがあらわになりました。この反省の下に、新内閣になって菅総理の下、デジタル庁の創設などデジタル化を急ごうという動きになってきているわけで、大きな方向としては結構なことだと思っているわけですが、大臣もさきの所信の中で、この法務行政のデジタル化、IT化を力強く推進するなど、法務行政のイノベーションを推進してまいりますとおっしゃっておられるわけですが、このイノベーションというのは大変私も気になりまして、結局どのようなことを実現しようとしているのか、また、それにより国民の利便性をいかに高めようとしているのか、大臣のより具体的なお考えをちょっとお聞かせをいただければと思います。

#92
○国務大臣(上川陽子君) 現在、政府におきましては、内閣官房を中心といたしまして行政のデジタル化を推進しているところでございますが、法務省といたしましても、法務行政の利便性向上、そして利用者の負担軽減、業務の効率化などの観点から、デジタル化やIT化の整備を強力に進めてまいりたいと考えております。
 法務省におきましては、政府におけるデジタル化に向けた基本的な方針としてデジタル三原則と、これは、デジタルファースト、ワンスオンリー、そしてコネクテッド・ワンストップということでございますが、そうした三原則を踏まえつつ行政手続のオンライン化を進めております。現在、登記関係や在留審査関係を中心に、四十を超える手続におきましてオンライン利用が可能となっており、この更なる拡充を検討しているところでございます。
 また、法務省内の業務システムでございますが、この点につきましても、各システムの連携を含めましてより一層効率化や質の向上のための検討を進めるとともに、今コロナ禍ということでありまして、国全体としてもテレワーク勤務と、こういったことについては非日常の手段として位置付けるのではなく、日常的な手段としてもこれを利活用していくという方向が今出てきているところでございますので、そのためのリモートアクセス環境の整備でありますとかオンライン会議のシステム、こうした整備を進めているところでございます。さらに、民事裁判の手続のIT化及び刑事手続のIT化を推進するとともに、省内の新時代の法務省AI推進会議におきまして、法務行政等におけるAI技術の活用につきましても戦略的に検討を行っているところでございます。
 今後とも、内閣官房と連携をしながら、利便性の向上、また負担軽減といった利用者目線の視点を大事にしながら、従来の枠組みにはとらわれない柔軟な思考で、積極的に新しい技術も取り入れつつ、デジタル化、IT化、AIの活用の推進ということに対しましてしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

#93
○柴田巧君 日本は、二十年ほど前からいわゆるデジタルガバメントを取り組んではきました。いろんな戦略やら計画は出してきましたが、実際のところ、なかなか実現されなかったゆえに今回のような事態になっているわけですけれども、あわせて、欠落していたと思われるのは、利用者目線というところが大変大きく欠落をしていたのではないか。業務の効率化や質の向上を今おっしゃったように上げていくのは大変重要なんですが、あわせて、利用者にとって、国民にとって使い勝手のいい、そういうデジタルガバメントにしていく、デジタル化にしていく必要があると思っていますので、この点しっかり押さえていただきながら進めていただきたいと思っております。
 続いて、また大臣にお聞きをしますが、大臣、これ先ほどから押印の廃止のことも取り上げられていましたが、今年の九月二十五日の記者会見でも、旧来の枠組みにとらわれない柔軟な思考で必要な取組を積極的に進めてまいりますと、この押印等の見直しについておっしゃっていますが、婚姻届や離婚届の押印については廃止する方向で検討しているというのは承知をしています。
 ところで、この婚姻届や離婚届等の戸籍の届出をオンラインで行うことについては、これは制度上は可能にはなっているんですが、実際に導入している市町村は今のところないということでありまして、この点、記者会見でも大臣は、戸籍のこの届出のオンライン化については、届出を受ける市町村が判断すべきものと考えており、法務省としては検討していないと、こういうふうに何回か述べていらっしゃいますが、私は、デジタル施策を進めていくに当たっては、この押印の廃止に加えて戸籍届出のオンライン化についても、現場の市町村が導入しやすい環境を整備をしていく、あるいは支援を行うといったことなどなど、法務省はもっと、もうちょっと積極的に検討してもいいのではないかと考えているんですが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

#94
○国務大臣(上川陽子君) 法務省としましては、オンラインによる戸籍の届出につきまして、これまでに法令の整備あるいは通達による標準仕様書の整備などを行ってまいりました。そして、平成十六年の四月一日から制度上は行うことが可能となっているという、そういう状況でございます。
 戸籍事務は、御承知のとおり、市区町村長が管掌することとなっているものでございまして、その導入につきましては、市区町村長において判断される事項と承知をしております。住民自治の中でしっかりと取り組んでいただくというのが基本中の基本というふうに考えております。現在、事実上でありますが、導入している市区町村はないということで、その点につきましても記者会見で述べたとおりでございます。
 幾つかの市区町村に戸籍の届出のオンライン化を導入しない理由は何かということをお尋ねしてみましたところ、全てではございませんので、そうした意見の中と、お伺いした意見ということでございますが、オンラインによる届出と書面による届出が混在しているということで、処理が大変複雑になるという御指摘もございました。また、届出人等の電子署名、これが必要であるということで、利用が想定されないということなどが指摘されているところでございます。
 この仕組みは、あくまで戸籍事務ということで、市区町村長の判断ということでありますので、ここの部分については極めて大事にしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

#95
○柴田巧君 まあ、今おっしゃったように、市町村の判断ということになりますが、何か後押しをするような方策がないか、ちょっとまた検討もしていただけると有り難いなと思っていますが、そうすることによってデジタル施策が更に進んでいくのではないかと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 次に、司法のデジタル化といいますかについてお聞きをしたいと思いますが、現在のところは、例えばこの民事訴訟規則二条、同じく百五十七条等において、民事訴訟では訴状や判決書などについて押印が必要だと。また、刑事訴訟法二百条、刑事訴訟規則五十五条等においては、刑事訴訟では逮捕状等の各種令状や裁判書などについて押印が必要だということになっていますが、行政手続のこのように押印の見直しが進む中で、裁判手続における押印の見直しというのもこれから検討していく必要性が高いのではないかと思っていますが、この点どのように考えているのか、あるいは取組をもしされているところがあれば併せてお尋ねを、最高裁にお願いをしたいと思います。

#96
○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) お答え申し上げます。
 政府におかれましては、新型コロナウイルス感染防止の観点やデジタルガバメント実現という観点から、押印の廃止に向けた取組が進められているものと承知をしておりまして、最高裁におきましても、裁判手続を含めた押印の見直しについて現在検討を進めているところでございます。
 とりわけ、特に裁判所職員以外の、国民の皆様方に押印を求めているものについて、これを廃止できないかというところで一つの力点を置いて検討を進めているところでございまして、政府の検討状況を踏まえつつ、できる限り速やかに検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

#97
○柴田巧君 具体的にいつまでということは答弁ありませんでしたが、より早くその具体的なものが出てくるように是非検討を進めていただきたいと思います。
 時間的にちょっと迫ってきましたので、これが最後の質問になるかもしれませんが、大臣にお尋ねをします。
 裁判所に対して訴えの提起をする際には、事案に応じていろんな証明書等、あるいは住民票の写しなどなどが添付書類として必要となるわけです。
 しかし、これによって法務局に出向いたり、あるいは自治体の窓口に出向くなど、大変いろんな意味でコストが、手間暇掛かるということになるわけでありますが、この裁判手続のIT化によって裁判所のシステム等が進んでいく、そのことによって裁判所のシステムと行政機関のシステムを連携をさせていくというのが非常に重要なことではないかと思っていまして、これによって更に当事者の利便性が向上をしていくのではないかと考えるわけです。
 各行政機関が保有する情報を裁判所が入手するということができれば、今申し上げたように、利便性は更に、利用者の、向上するのではないかと思っていまして、行政と司法のシステムを連携をさせていくこと、これは真剣に考える必要があるのではないかと思いますが、大臣の御所見をお聞きして、最後にしたいと思います。

#98
○国務大臣(上川陽子君) 先ほど委員御指摘をいただきましたIT化、そしてAIの導入等も含めまして、こうしたデジタル化につきましてはあくまで利用者の目線というのが極めて重要だというふうにおっしゃったところ、ここは非常に重要と私も考えているところでございます。
 御指摘いただきました裁判所のシステムと行政機関のシステムとの連携につきましても、このような観点から、実は現在、法制審議会の民事訴訟法(IT化関係)部会におきまして、その実現の可否も含めまして調査審議がされていると承知をしているところでございます。法制審議会の部会におきましては、利用者の多くの方々にITの利便性をしっかりと実感していただくことができるように、様々な方策、システムが検討されているものと承知をしておりまして、引き続き充実した調査審議がなされていくことを私も期待しているところでございます。

#99
○柴田巧君 終わります。ありがとうございました。

#100
○川合孝典君 国民民主党の川合孝典と申します。上川大臣には、どうぞよろしくお願いします。
 私は、今日は、今大変マスコミ上でも話題になっております外国人技能実習生並びに外国人労働者の今直面している課題、そのことに対しての対応の必要性について、大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
 まず、質問の前提として、大臣も御存じかと思いますが、外国人技能実習生が、ここ近年失踪者が非常に増えているということが指摘され続けてきております。この問題について上川大臣はどのような御認識をお持ちでしょうか。

#101
○国務大臣(上川陽子君) 技能実習制度を含めまして、この問題につきまして、失踪実習生の問題も含めまして、その適正化に向けましてしっかりと取り組んでいくということは極めて重要なことというふうに認識をしております。制度をしっかりと運用していく立場にあるという省庁としても、この点については、随時の様々な課題に対応していこうということで取組を進めてまいりました。
 実は、その適正化に向けまして、平成二十九年の十一月に施行されました技能実習法に基づく措置、これに基づきまして様々な進めをしてきたわけでございますが、そして、昨年三月に技能実習PTが取りまとめました改善方策に基づきまして対応もしてまいりました。
 ちょっと、その対応、改善方策ということで具体的に申し上げたいと思うわけでありますが、実習の実施者に対しまして、通常、監理団体が行う三か月に一回の監査や、また外国人技能実習機構が定期的に行う実地検査に加えまして、同機構が失踪、死亡事案発生時には臨時の実地検査等を速やかに実施をすること、あるいは、失踪に帰責性がある監理団体等に対する一定期間の新規受入れの停止措置を講じる省令改正も行ってきたところでございます。またさらに、昨年十一月におきましては、失踪技能実習生の減少に向けた更なる改善方策といたしまして、相手国におきましてのブローカー対策を求めるなど二国間取決めに基づく対応を強化をすると、こうした具体的な施策に実際に取り組んできているところでございます。
 しかし、この様々な失踪防止に向けた取組を行っている中においてもなお失踪技能実習生の数が昨年一年間で約八千八百人に上っているということにつきましては、大変重く受け止めているところでございます。
 法務省といたしましては、この更なる改善を図るべく、厚生労働省や、また外国人技能実習機構等の関係機関ともしっかりと連携をしながら、引き続き技能実習制度の適正化及び失踪技能実習生のゼロに向けまして、しっかりと取り組んでまいりたいと思っているところでございます。

#102
○川合孝典君 ありがとうございます。
 今、様々なお取組をしていただいていることについては御説明があったわけでありますが、残念ながら、その取組をしているにもかかわらず、数値的に改善しないという状況がある。
 その理由というのをどのように認識されているのか、どのように把握をされているのかということ、政府参考人でも結構ですので、御説明をいただけますでしょうか。

#103
○政府参考人(高嶋智光君) 技能実習PTを設置した上で様々な調査、それから分析を行っているところでございますが、失踪している、失踪の原因としては様々な理由があるというふうに我々としては認識しております。
 多くの技能実習生、国によっては母国に多額の借金を抱えた状態で日本にやってきまして、その借金を返済するために日本で働いている。そのために高い賃金をできるだけ求めようとする傾向があるということは、調査の結果明らかになっております。また、技能実習の現場におきまして、実際に賃金未払が発生したり、深夜にわたる労働が強制されていたり、あるいは暴行等の人権侵害が発生していたりする事例がございます。そのために、本来、技能実習生は一つの特定の場所で働くこととされておりますが、そこから逃げ出すほかなく逃げ出したという事例もあるというふうに聞いております。

#104
○川合孝典君 ほとんど全ての技能実習生が巨額の借金を抱えて日本に来ているというのは、これは事実でありますので、ただ、日本に来るときに、労働条件についてはきちっと、賃金の水準については説明を受けた上で本来来られているはずにもかかわらず、賃金の未払ですとか、若しくは天引き、給与天引きで実際にはいっぱい引かれてしまって、当初説明を受けていた給与の水準から全く懸け離れた低い賃金、ひどい事例でいくと、二百円、時給二百円弱などという信じられないような労働条件で、ほぼ奴隷労働のような働き方に置かれている方もいらっしゃると、こういうことであります。
 そうした状況が結局起こってしまっている理由、それを改善するために一体何をしなければいけないのかということについて、これ法務省として何らか所管している厚生労働省とも御議論されているのかどうかということをちょっとお聞かせいただきたいと思います。

#105
○政府参考人(高嶋智光君) 今御指摘のございました賃金不払等の案件が現実に生じているということは、これは我々も承知しております。
 このような事案が発生した場合におきましては、当然その労働当局、労働監督当局等々が連携を取りまして、我々が分かりましたら情報提供したり、場合によっては一緒に摘発したりすることもございますが、そういう労働賃金不払事件について検挙しているというふうに承知しております。場合によっては、刑罰、罰則が適用される場合もあると承知しております。
 一部の受入れ企業等においては、御指摘のとおり、制度の趣旨が、この制度の趣旨、すなわち、本来であれば技能の移転を通じた国際貢献を目的とする制度でありますけれども、そして、現にこれまで多くの技能実習生がこの実習を全うしまして、母国等に戻って活躍されていると承知しているのでありますが、このようなまた負の面があるということも承知しております。
 労働関係法令の問題、今申し上げましたような労働関係法令違反の問題や技能実習生の失踪等の問題が生じていることは事実でありまして、これにつきましては、関係省庁とどのように防止していくかということは常にこれまでもいろいろ協議しているところでございます。

#106
○川合孝典君 何とも苦しい御答弁でしたけれども。
 大臣に是非御認識お聞かせいただきたいんですが、本来であれば、その契約違反の働き方を強いられる状況にあったときに、必要に応じて必要な窓口に対して相談きちんとすることができれば失踪する必要がないはずなんですよね。なのに失踪する方が後を絶たないというこの問題の背景には、やっぱりシステム上、相談の窓口体制も含めた問題があるのではないのかと私、実はシンプルに考えておるんですけれども。
 そこで、ちょっと確認をさせていただきたいんですが、外国人の方からの相談の窓口の体制の整備の状況についてどうなっているのかということを、参考人で結構ですので、お聞かせください。

#107
○政府参考人(高嶋智光君) 外国人の相談窓口についての御質問でございますが、まず一つ目としまして、法務省では、外国人受入環境整備交付金によりまして、地方公共団体による一元的相談窓口の整備、運営を支援しているところでございます。令和二年度、これは昨年度からやっておりますけれども、令和二年度は九月一日時点で百八十九の地方公共団体に対して交付決定を行っております。
 また、この一元的相談窓口は地方公共団体が設置する窓口の方でございますけれども、在留外国人からこの一元的相談窓口に問合せ等があった場合におきましては、様々な相談、多言語で対応をして様々なアドバイスをしているところでございますけれども、昨年中に受け付けた相談件数はちなみに二十一万一千七十六件となっております。
 それからもう一つ、これは今年七月、新宿区内に開所しました外国人在留支援センター、通称FRESCの窓口でございます。これは外国人共生施策を所管する四省庁八機関が集まった施設でありますけれども、同センターにおきましては、法テラス、それから労働局等の入居機関と連携しまして、外国人からの問合せにきめ細かく対応しているところでございます。九月一日には多言語フリーダイヤルのヘルプデスクも設置、開設しまして、新型コロナウイルス感染症の影響で困り事を抱えた外国人からの相談も受け付けているところでございます。

#108
○川合孝典君 様々な取組をここへ来てやっていただいていることについては私も認識はいたしておりまして、そうなんだけれども、やっぱり失踪者は減らないと。その背景に何があるのかというところに行き着かないと、要は効果的な、実効性の高い対策にならないんじゃないのかなと思っております。
 ちょっと指摘させていただきたいのは、例えば、相談窓口をつくって、例えば技能実習生の方が実習先とのトラブルなんかが生じたときにそれを相談窓口に連絡していただく、その目的で窓口設置しておられるはずだと思うんですが、例えば、その相談の目的がハラスメントだとか解雇だとかという案件に関して技能実習生の方が相談をしに来るということになったときに、この相談は強制帰国等のリスクと裏腹の関係に実はあるということになると、要は秘密が保持されるということがきちんと担保されていなければ、怖くて相談の電話が本当に追い込まれている人はできないという事実があるということを前提に置いた上で、どういう窓口をつくるのかということの受皿を整備していただかなければいけないのではないのかなと、私、実はそんなふうに考えておるわけであります。
 母国語で相談ができた上で秘密が保持される、そういう相談窓口の設置というものが私は必要だと思うんですが、済みません、通告しておりませんけれども、大臣、こういう考え方についていかがでしょうか。

#109
○国務大臣(上川陽子君) ただいまの委員の御指摘については、極めて重要であるというふうに思っております。
 先ほど局長から答弁の中にございました、今年の七月、令和二年の七月に外国人の在留を支援する国の機関を集約させた拠点、FRESCを開所いたしまして、このFRESCの施設にも、私もすぐに一回目の視察ということで行かせていただきました。ワンフロアの中に四つの行政機関の具体的な相談の窓口、つまり一番外国人の方とインターフェースになる部分、これについてワンフロアでセットされている状況です。法テラスも入っておりますし、人権擁護に関する機関も入っていますし、それから、厚生労働省的に言うとハローワークのような形の仕事の面での相談もあるということであります。また、ジェトロのような機関も入っている状況であります。
 そうすると、そのそれぞれの縦型ではなくて総合的な連携をしながら一人の方の相談に応じていくと、しかも、今のようにプライバシーというか秘密をきちっと保持しながら、そして的確にその方のニーズに応えていくと、こういう一つの拠点が一つの大きなビジネスモデルとして今動いている状況でありまして、これ非常に効果的だと私は思っております。まさに、どこに行ってもいいか分からない、しかも行った先でもしかしたら自分はというようなことの不安の中で、思う気持ちがある中でアクセスできないと。こういう部分の障壁をのくためにも、こうしたネットワークのことができるような施設あるいは設備、こういったものについては十分なる整備をしていくということが今、今の課題に解決するにおいても極めて緊急な取組の一つになろうかというふうに思って帰ってまいりました。
 全国の中でも、どこまでどういうニーズをくみ上げていったらいいのか、全部フルスペックでできるわけではございませんので、それぞれの役割、地域の中でニーズの高いところで、より連携して行うことができるような仕組みづくりということについては、これはもう本当に待ったなしで取り組んでいきたいと思って、今指示をしている状況でございます。

#110
○川合孝典君 ありがとうございます。
 それだけ充実した施設が、いわゆる受け入れた外国人にきちっと対応できるだけのキャパシティーがないとやっぱりいけないということでありますので、当然様々な制約条件があろうかと思いますが、国策として外国人労働者を受け入れている限りは、その方々が日本人と同等の法律でのきちんと権利が守られるという体制をどうつくるのかということ、このことについては極めて法務省の役割というのは大きいと思いますので、是非お取組を引き続き前にお進めいただきたいと思います。
 一点、参考人の方で結構ですので確認させていただきたいんですが、現在、法務省や出入国在留管理庁の多言語対応の取組の進捗状況というのはどのようになっているのか、お教えいただけますか。

#111
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
 外国人に向けて法務行政やその各種サービスにつき多言語で情報発信することは、法務行政への理解を得るためにも、また外国人の方々が法務行政に適切にアクセスできるようにするためにも重要であると考えております。法務省では、ホームページやパンフレットの英訳版を作成しまして、法務省の組織ですとか各種施策を紹介するとともに、人権相談窓口や法テラスを始めとする各種窓口の連絡先やリンク先を案内しているところでございます。
 我が国に在留する外国人労働者を含みます在留外国人への情報提供につきましては、出入国在留管理庁が運営する外国人生活支援ポータルサイトにおきまして、外国人の生活や就労に関する情報を十四言語で掲載をしているところでございます。また、新型コロナウイルス感染症に関する外国人の在留諸申請手続の特例等につきましても、法務省のホームページにおきまして多言語での発信に努めているところでございます。さらに、出入国在留管理庁では、本年度中に十四言語に対応した多言語専用ホームページの開設を予定しているところでございます。
 法務省では、引き続き外国人への効果的な情報発信を実現するため、多言語による情報発信の強化に取り組んでまいりたいと考えております。

#112
○川合孝典君 いろいろなお取組を始めていらっしゃるということは実は私も調べて分かりましたので、試しに使ってみました。そうしましたところ、確かにサイトの中に入っていけば多言語対応をしているいわゆるパンフレット、リーフレットのようなものも作って入っているんですが、そこに行き着くまでに日本語が必要なものが割と多いですね。大切なことは、語学力が、日本語の語学力が小学生程度の方であってもサイトにアクセスして必要なものがどこにあるのかというところに行き着けないといけないという意味でいくと、頑張って取組を進めていらっしゃるということについては十分評価はしておりますけど、今のままの状況ではまだ全然使えないということ、これが一つ。
 それともう一つは、元々、そうでなくても法務省のホームページは恐らく日本で一番難解なホームページということだと思いますので、したがって、いかに外国人の方に理解いただけるような平易、簡便な表記、説明をするのかということも考えないといけないと思いますので、日本の法律の文章をそのまま英訳をしてしまいますと、実際に何を言っているのか分からないという話になりかねないということも踏まえて、是非御対応いただきたいと思います。
 時間がなくなってまいりましたのでちょっと飛ばして質問させていただきたいと思いますが、在留外国人の方々は、例えば裁判、訴訟という話になったときに、経済的理由、いわゆる困窮していて、その日の生活にすら困っていらっしゃる方々ということでいくと、経済的理由から法的救済を求めることを諦めざるを得ない状況に追い込まれておられる方々がいらっしゃるということなんですが、この問題に対してどう対処するのかということについて基本的な認識をお聞かせいただきたいと思うんですが、よろしくお願いします。

#113
○国務大臣(上川陽子君) 来日する外国人の更なる増加も見込まれる折からでございまして、法的トラブルを抱えた外国の方々に対しまして、国籍を問わず法的支援を提供するということは大変重要であるというふうに認識をしております。
 先ほど、法テラスにおきまして多言語情報提供サービスということで今鋭意努力しているところでありますが、この法的トラブルに関しましては、さらに資力が一定基準以下であるなどの要件を満たす場合には、民事法律扶助として無料法律相談や、また弁護士費用の立替え等を提供し、また必要な通訳料も含めた支援を実施するなど、外国人に対する法的支援の充実に実は努めているところでございます。
 こういった面につきましては、法テラスが極めて重要な役割を果たしているということでございますので、引き続き、これらの法的支援を適切に運用することができるよう、法務省としても必要な協力をしてまいりたいというふうに考えております。

#114
○川合孝典君 ありがとうございます。
 法テラスや日弁連の委託援助制度ですか、こういうものも整備していただいているという話は、もう私も調べて分かりました。
 その上でなんですが、この法テラスが、例えば委託援助制度で、いわゆる弁護士事務所に対して仕事を委託するときのいわゆる委託費が相場に比べると極めて安いということの指摘が実は出ているんですけど、そのことがまず事実なのかどうなのかということは確認させていただきたいのと、いわゆる請け負う、受託する弁護士事務所側からすると、コストは安い、翻訳費用等々も含めて持ち出しがある、そういう状況の中でどんどん増えてくる外国人労働者の訴訟を受け付けるということに対して、受けないわけではないんでしょうけれども、負担を感じながら仕事を受けるという状況に追い込まれているということが、結果的にいわゆる訴訟に対して対応するのが後手に回ってしまっているのではないのかみたいな、そういう指摘もあったりしますので、このいわゆる法テラスを使った援助制度に対して、私は、国のもっと援助をきちっと入れて速やかに外国人に対応する、訴訟に対応できるようなバックアップというのも法務省としてなさるべきなのではないのかなと、このように考えておるんですけれども、実際、法テラスの委託費用というのはそんなに安いものなんでしょうか。

#115
○政府参考人(金子修君) お答えいたします。
 弁護士報酬が安いかどうかということは、なかなか、評価の問題がありますので、私どもからして安いんだということはなかなか申し上げられないところではございますが、ただ、外国人に対する法的支援を行う場合の弁護士の報酬と日本人に対して法的支援を行う弁護士の報酬に違いがあるわけではないということはまず一点申し上げさせていただきます。
 ですから、外国人に対する法的支援を行っても報酬が十分得られないからということが何らかの動機になっているとは考えられないということは一点申し上げます。
 それから、そうすると、今度、一般的に、法テラスを通じて支援を行う弁護士の報酬を増額するべきかというところに問題が行き着くわけでございますが、法テラスを利用する方に結局償還していただくということが基本になりますので、結局はその利用者の負担の増大、負担が増えるということの問題がございますので、その点についても考慮しながら検討していかなければいけないという問題になろうかと思います。

#116
○川合孝典君 最終的には裁判費用も含めて負担をしなければいけないということになりますと、当然、期間が限られている状況の中で在留されている方の場合には裁判を起こすことのメリットすらない、結果的に泣き寝入りにつながるということになるわけでありまして、したがって、期間限定で技能実習等で来日されておられる方々に対するいわゆる法律で定められた権利を擁護するための枠組みというものは、従来の日本の国内で運用されているものとは別の考え方をきちっと整理しないといけないんじゃないのかということだと思うんですね。
 要は、仕事面でも非常に脆弱な雇用であり、かつ、在留資格というのも非常に弱くて不安定なものということの中で、殊更守るための制度整備というものを行わないと、結果的にコロナだとか不景気だとかという状況になったときに一番最初にしわ寄せがそこに行ってしまうというのは、これ歴史が物語っている話だと思います。
 したがって、時間が参りましたのでこれで終わりますが、是非、上川大臣には、今、外国人労働者は日本人に比べて弱い状況に置かれていらっしゃるということを前提として様々な制度整備を行っていただきたい、このことを申し上げまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

#117
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
 日本学術会議への人事介入が大問題となっています。憲法二十三条、学問の自由に基づき独立性が保障されるべき存在にもかかわらず、任命拒否の理由を説明できないのは致命的だと言わなければなりません。共同通信の世論調査で、総理の説明が不十分だとする人が七割近くに上りましたが、当然だと思います。
 資料をお配りしております。十一月十三日付けの毎日新聞です。最高裁判事の人事にも官邸が圧力を加えていたという報道です。
 安倍政権の下で、退任する判事の後任人事で官邸への説明方法が変わったと、何で一人しか持ってこないのか、二人持ってくるようにと杉田官房副長官が求めたと、あるいは、菅氏は周辺に最高裁が持ってくる人事をそのまま認めるだけなのはおかしいと漏らしているという記事です。以前には、弁護士出身者の後任に日弁連推薦でない者が充てられた際に、それが官邸の意向によるものだという報道もされたことがあります。
 最高裁に伺います。
 長官を除く最高裁判事は、憲法七十九条一項で内閣が任命するとされております。その際、最高裁長官が総理に対して意見を述べるのが慣例だと伺います。なぜ意見を述べるんでしょうか。

#118
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君) お答え申し上げます。
 最高裁判所判事の選任につきましては、最高裁判所長官が長官としての立場から内閣総理大臣に対して意見を述べるというのが慣例となっております。これは、最高裁判所長官が裁判所の運営に最も詳しい立場にあるということ、また、最高裁判所判事の選任という事柄の性質上、司法部の意見を聞くことが望ましいということからこのような慣例になっているものと承知しております。

#119
○山添拓君 今おっしゃった事柄の性質上というのは、これは司法の独立を担保するためにという、そういう趣旨ですね。

#120
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君) お答え申し上げます。
 最高裁判事の選任が最高裁判所の運営の実情を踏まえたものとなるようにということであるというふうに承知をしております。

#121
○山添拓君 司法の独立とは関係ないということですか。

#122
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君) お答え申し上げます。
 憲法は内閣が最高裁判所判事を任命することとしておりますけれども、そのことと司法の独立との関係につきましては、憲法の解釈にわたるものでございますので、最高裁判所としてお答えすることは差し控えたいと存じます。

#123
○山添拓君 これは最高裁がお答えを差し控えてしまうと困るんですけれども。
 大臣に伺いますけれども、内閣の一員でもあるかと思います。この記事にあるような事態があったかどうかということを御存じでしょうか。

#124
○国務大臣(上川陽子君) 今の御質問でございますけれども、法務大臣として私ここで答弁に立っているわけでありますが、内閣を代表してお答えする立場にないということで、この件については答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。

#125
○山添拓君 では、一般論としてで結構ですけれども、最高裁判事の任命に当たっては司法の独立を踏まえるべきだと、ですから、任命権が内閣にあるからといって自由に介入できるわけではないと、この点は大臣もそのような認識でしょうか。

#126
○国務大臣(上川陽子君) この点に関しましても、私、内閣を代表してお答えするという立場ではございませんので、その点、御理解をいただきたいというふうに思います。

#127
○山添拓君 裁判所というのは、とりわけ最高裁は行政の行為に対する違憲審査権も持っていますので、行政府をそんたくするような最高裁の構成になってはならないと思うんですね。少なくとも、司法の独立というのは、その意味で独立性が求められ、内閣が人事権を背景に、任命権を背景にその人事に介入してよいということにはならないと。これは内閣の一員である大臣として御答弁いただいてしかるべきことではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

#128
○国務大臣(上川陽子君) 内閣の一員ではございますが、内閣を代表してお答えをするという立場ではございませんので、その意味で、お答えにつきましては差し控えさせていただきたいと申し上げたところでございます。

#129
○山添拓君 これは極めて残念に思います。そういう答弁で本当によいのかということが問われると私は思います。
 裁判所法四十一条は、最高裁判事というのは識見の高い、法律の素養のある四十歳以上の者と、任命資格を明記しております。ですから、法律上もまた憲法上も、内閣が恣意的に任命権を行使できるとは到底言えないと思うんですね。
 検察庁法改正案もこれは同じ問題だったと思うんです。準司法官として独立性が求められる検察官について、内閣の定める事由があると認めるときには勤務延長を認めると、こうした規定で内閣による介入を正面から認めようとしたものでありました。国民のうねりのような反対世論、弁護士会や元検事総長、あるいは東京地検特捜部長経験者などの反対の声を受けて政府はとうとう法案を撤回しましたが、まだ危険はあると思うんですね。検察官にも勤務延長を可能にしたという解釈変更が残っている限り、第二、第三の黒川問題は生じ得ると言えます。
 大臣に伺いますが、解釈変更を撤回するおつもりはないのでしょうか。

#130
○国務大臣(上川陽子君) 解釈変更ということで、当時、私、その任に当たっておりませんでございましたので、そのところの詳細についてはつまびらかにしておりませんけれども。
 これは、変更につきましては、国家公務員の一般の定年の引上げに関する検討の一環として検察官についても検討を進める過程で、検察庁法を所管する法務省において必要な検討を行った上で、関係省庁からも異論のないとの回答を得て解釈を改めたものと承知をしているところでございます。今のような状況であったということを聞いている状況でございます。

#131
○山添拓君 聞いているということですから、当時違ったから分からないということではなくて、あれだけの世論を受けて法案の撤回に追い込まれたわけですから、改めて検討し直し、解釈変更を撤回していただきたいと思うんです。
 安倍政権も菅政権も、国家公務員であれば意のままに人事介入できると考えているように見受けられます。しかし、学問の自由や司法の独立、憲法上求められる独立性の保障を軽視したり、あるいは無視するような政治は決して許されるものではありません。そのことを厳しく指摘をして、今日は次のテーマに入りたいと思います。
 コロナ禍で、女性がとりわけ困難を強いられる状況があります。政府や自治体へのDVの電話相談は五月、六月で前年の一・六倍、性暴力被害のワンストップ支援センターに寄せられた相談は四月から九月で一五・五%増えたとされます。二十五歳から三十四歳女性の完全失業率は八月に四・七%、女性の多い宿泊業、飲食業への影響が顕著に表れております。自殺者は七月以降四か月連続で前年を上回っていますが、特に女性で増加が著しく、十月は前年の一・八倍だと、これは女性の人権に関わる問題だと思います。
 まず、この点について大臣の認識を伺います。

#132
○国務大臣(上川陽子君) 新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりまして、外出自粛や休業等によりまして生活不安や、またストレスを原因とする配偶者からの暴力、あるいは雇用環境悪化による失業など厳しい状況に置かれている女性が増加していると、そうした実態に対しましては様々な懸念が表明されているところでございます。また、今委員御指摘のように、そうしたことを背景として自殺の増加も極めて深刻であるというふうに認識をしているところでございます。

#133
○山添拓君 感染拡大の第三波にもかかわらず、今、GoToを中止できずに支援策を改めようとしない、こういう下では、雇用と営業への影響はますます深刻化してしまいます。若年女性など既に困難にある人をこれ以上追い込んではならない、自助では済まされない事態だということを是非御認識いただきたいと思うんです。
 資料を配付しております。
 二枚目ですが、私は、先日、一般社団法人Colaboが運営するバスカフェで、代表の仁藤夢乃さんらにお話を伺いました。食事やコスメや生理用品などを無料で配っているこのバスカフェには、この日も新宿で十八時から二十二時、四時間で四十六名の十代の女性が利用していました。
 夜の町を巡回して少女たちに声を掛ける声掛けチームにも同行させていただいたんですが、夜の町で少女たちを探して声を掛ける、その中心は性的搾取を目的としている人たちばかりだということなんですね。渋谷や新宿には毎晩百人ほどのスカウトが立っていると。歌舞伎町で私たちも実際それらしい人を複数見かけました。ですから、本当は声掛けチームの方も百人規模で臨まなければ間に合わないんだと、こういうお話でありましたが、それは壮絶なものだと思います。
 Colaboなどの取組は、若年被害女性等支援モデル事業として国も支援をしています。来年度から本格実施の予定だと伺いますが、どのように支援策を拡充する計画か、厚労省に伺います。

#134
○政府参考人(岸本武史君) お答えいたします。
 様々な困難を抱えた若年女性につきましては、自ら悩みを抱え込み、問題が顕在化しにくく、公的な支援につながりにくいといった側面が指摘されているところでございます。
 こうしたことから、厚生労働省におきましては、平成三十年度に若年被害女性等支援モデル事業を創設いたしまして、公的機関と民間団体が密接に連携し、夜間の見回り、声掛けなどのアウトリーチ支援、居場所の確保、相談対応、自立支援等の支援を行ってきたところでございます。
 令和三年度概算要求におきましては、モデル事業として実施してまいりました事業につきまして、相談支援体制や医療機関との連携等の強化を図った上で、本格実施に移行することを検討しておりまして、現在議論を行っているところでございます。

#135
○山添拓君 予算額などについて、どのように拡充する予定かということも御紹介いただけますか。

#136
○政府参考人(岸本武史君) 予算額につきましては、現在、財政当局と調整中でございますが、令和三年度の要求につきましては、一か所当たり補助金額を大幅に引き上げる形で実現をしたいということで私どもとしては要求をしているところでございます。

#137
○山添拓君 資料の四ページに、二千六百万円を要求されているということで、御自身ではお話しになりませんでしたが大幅な増額を要求しているのだと。
 仁藤さんは、アウトリーチを強化することによって出会う少女たちがどんどん増えていると。にもかかわらず、その行き先が圧倒的に不足しているというお話をされていました。
 厚労省の事業では、一時的な居場所の提供が原則とされてシェルターなどの支援を行うことになっておりますが、中期的な、中長期的なシェルターについても、これは支援の強化が必要だと考えるんですけれども、いかがでしょうか。

#138
○政府参考人(岸本武史君) お答えいたします。
 まず、本事業を現在実施しておりますモデル事業につきましても、原則その短期の、一時の居場所提供を予定してございますが、場合によってはもう少し長い期間も対応できるような仕組みとはしてございます。
 また、先生御指摘の、より中長期的なシェルターによる支援に関しましては、昨年十月、困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会という検討会の中間まとめにおきまして、未成年の若年女性への対応を含め、困難な問題に直面する女性を対象とした包括的な支援制度の必要性が指摘されているところでございまして、これについて引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。
 また、安心、安全な居場所の提供に向けまして、夜間相談、見守り支援を行う体制整備を行うなど、困難な問題を抱える若年女性の支援については、今後とも努めてまいりたいと考えております。

#139
○山添拓君 ありがとうございました。
 韓国では、二十四歳までを対象にする青少年福祉支援法に基づいて、青少年シェルターなどの予算が付けられています。これは歌舞伎町のような繁華街のビルの一角に駆け込める場所が幾つも整備されているというわけですね。日本でも公的に支えることが大事だと思いますので、是非前向きに検討を進めていただきたいと思います。
 あわせて、相談や公的機関への申請に弁護士が同行することもありますけれども、その多くは手弁当です。こうした費用を十分賄えるようにするためにも支援の全体的な、抜本的な拡充が必要だということを、これは指摘させていただきたいと思います。
 Colaboの相談は十代後半が大半です。性暴力や性的搾取の被害に遭う。DVや虐待で安心して過ごせる場所がなく家出を繰り返す。あるいは薬物に依存する。そもそも発達障害や知的障害がある。あるいはコロナでアルバイトが激減して困窮する。ほとんどの場合、その抱える問題はすぐに解決することができない複合的な困難です。現在、少年法改正に向けた議論の対象とされている十八歳、十九歳も、まさにこの年代に当たると思うんですね。民法の成年年齢を引き下げるから少年法も合わせてと、こう単純にはいかない現実があると私は考えます。
 そこで、大臣に伺いますが、現在の少年事件の手続や処遇は、年長少年、十八歳、十九歳についても有効に機能しているという認識をお持ちでしょうか。

#140
○国務大臣(上川陽子君) 少年法は、第一条に規定するとおり、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的としているところでございます。
 このような少年法に基づく現行制度は、十八歳及び十九歳の者も含め、少年の再非行の防止と立ち直りに一定の機能を果たしているものと認識しているところでございます。

#141
○山添拓君 一定の機能という答弁でしたが、現在そうして有効に機能しているのであれば、民法や国民投票法と合わせるために位置付けを変えるというのは、これは立法事実としての論拠に乏しいと指摘せざるを得ません。
 私は、先月、長岡市の新潟少年学院を訪れたのですが、五年ほど前から特殊詐欺の少年が増えてきたというんですね。受け子のように実行行為の一部を行うだけで大した報酬も受けていないと。そのために、むしろ被害者意識の方が強い少年もいるということでした。そこで、独自の更生プログラムを開発してグループワークなどを通して自己分析を求める。さらには、高卒認定試験を受けるコースも用意して教育的な処遇が行われていました。
 成人と同じ刑務所に行くことになれば、一人一人に目が届くような処遇は難しく、再犯防止はもとより社会復帰においても後退しかねないと思います。十八歳、十九歳というのは、成長発達途上にあって可塑性を有する存在だ、だから現在の少年法が有効に機能している、このことは改めて認識されるべきだと思います。
 少年法の特徴の一つが、犯罪には該当しないけれども、将来そのおそれがあることを問題とする虞犯です。少年法の目的である健全育成との関係で虞犯による保護処分があることは、どのような意義を持つと認識しておられるでしょうか。大臣、御答弁をお願いします。

#142
○国務大臣(上川陽子君) 少年法は、一定の事由に該当し、性格及び環境に照らして、将来罪を犯すおそれのある少年、いわゆる虞犯少年ということでありますが、につきましても家庭裁判所による保護処分の対象としているところでございます。このような現行制度につきましては、十八歳及び十九歳の者も含め、少年の再非行の防止と立ち直りに一定の機能を果たしているものと認識をしているところでございます。
 今、少年法の在り方に関しましては、調査審議が行われました法制審議会におきましても、十八歳、十九歳の者につきまして、虞犯について、必要に応じて保護処分に付することによって対象者の成長を支援して立ち直りを図るということは重要であるとの意見も示されたものと承知をしております。
 こういったところでございますので、こうした法制審議会の答申を踏まえまして、この全会一致でまとめられたものも含めまして、この虞犯につきましては処分を行わないというふうにされたところでございます。

#143
○山添拓君 しかし、大臣の今の答弁でも、今の虞犯の仕組み、十八歳、十九歳においても一定の機能を有しているという話でありました。
 私は先日、東京の狛江市にあります女子少年院の愛光女子学園を訪れました。女子が特に虞犯が多いわけですね。
 虞犯といっても、実際はいろいろだということでした。私が伺ったのは、例えば覚醒剤の自己使用で、警察では、一回使ったと、こう言ったわけですが、証拠上明らかでないということで、虞犯として少年院送致になったわけですね。あっ、虞犯という扱いになったと。鑑別所では、実は十回使っていたと、こういうふうに言ったというんですね。それで、少年院に来たら、本当は百回ぐらい使っていたというんですね。だけど、それでも虞犯として少年院送致となったことによって立ち直りの機会を与えられていると。
 少年院では、個人別の矯正教育計画、言わばカルテに沿った処遇が行われています。これは刑罰とは違うものです。園長さんは、入ったからには損はさせないというつもりでやっていると、こう熱意を込めてお話しでした。十八歳、十九歳を虞犯の対象としないということは、こういうチャンスを奪うことになりかねない問題だと言えます。
 続いて、今大臣のお話にあった法制審の答申では、家裁から検察官へと事件を送る、いわゆる原則逆送の対象事件の拡大を求めています。現在は故意に人を死亡させた事件に限られていますが、これを短期一年以上の自由刑。すると、強盗や強制性交罪などが入ってくるわけですが、そうしたものに対象を広げるものだとされています。
 しかし、強盗だといっても、例えば万引きが見付かって制止を振り切ろうとして軽微な暴行に及んだ、そういう事後強盗や、被害金額が少額で犯罪の結果は軽微だと、そういうものまで様々あります。犯情に幅があると言われています。
 成人と同じ刑事裁判になると、これは事案によっては、判決まで行ったとしても、刑の執行猶予判決となり得ると思われます。そうしますと、現行法のように家庭裁判所が様々な事情を考慮してきめ細かく処分を行うことが難しくなる、こういう指摘がされておりますけれども、大臣、この点についてはどのような認識でしょうか。

#144
○国務大臣(上川陽子君) 先ほどの虞犯の御質問に対しまして、私は、虞犯につきましては、一つの意見として、必要に応じて保護処分に付することによって対象者の成長を支援して立ち直りを図るということは重要であると、こうした意見も示されたところでございますが、議論の結果として、答申におきましては、十八歳及び十九歳の者は、選挙権等を付与され、民法上も成年として位置付けられるに至ったこと、また、民法上の成年に対して、罪を犯すおそれがあるというだけで処分を行うのは、罪を犯すおそれが、国家における過度の介入でありまして、成年年齢引下げに係る民法改正との整合性や、また責任主義の要請との関係でも問題があることなどを踏まえまして、虞犯による処分は行わないとされたものと承知をしているところでございます。
 先ほどちょっと途中で申し上げたところでありますが、先生の方から御指摘をいただきましたので付言させていただきたいと思います。これは法制審議会における議論ということで御紹介をさせていただきたいというふうに思っているところでございますが。
 また、今、逆送、原則逆送の話に触れていただきました。
 この点につきましても、法制審議会におきまして、十八歳及び十九歳の者に係る原則逆送の対象事件の拡大について御指摘のような意見も示されたものと私は承知しているところでございます。
 議論の結果でございますが、答申におきましては、十八歳及び十九歳の者は、選挙権等を付与され、民法上も成年として位置付けられるに至ったこと、また、これらの者につきまして家庭裁判所への全件送致の仕組みを採用するのであれば、国民の理解、納得を得るためには、同時に一定の重大事件については刑事処分が適切になされることを制度として担保をする必要があると考えられること、また、犯情が軽微な事案につきましては原則逆送の規定の例外規定を家庭裁判所が適切に運用をするということで対応できることなどを踏まえまして、原則逆送の対象事件を拡大することとされたものと承知をしているところでございます。
 法制審議会の答申でございまして、極めて長期間にわたりまして専門的見地から十分な調査審議を尽くしていただいた上で、総会の全会一致で取りまとめられたものでございまして、法務省といたしましては、この答申を踏まえて法整備に向けて必要な検討を進めていく所存でございます。

#145
○山添拓君 今、犯情という言葉がありました。
 最高裁に伺いますが、少年事件の少年調査票において、調査官は少年の置かれた環境や境遇についてどのように記載をしているのでしょうか。

#146
○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。
 家庭裁判所では、専門的知見を有する家庭裁判所調査官において、非行事実の内容に加えまして、委員御指摘の少年の生育史のほか、生活状況、家族状況等の少年の環境や資質に関する種々の情報を把握して少年が非行に至った要因を分析し、その分析結果とともに分析の根拠となる事実を少年調査票に記載しておりまして、その内容も踏まえ、適切な処遇選択を行っているものと承知しております。

#147
○山添拓君 今御紹介いただいた内容は、要するに少年の要保護性、生育環境に基づく要保護性という観点だと思います。その考慮はこれまでも重要視されてきておりますし、今後も変わることはない問題だと。現在、虐待や貧困や、あるいは家庭環境によって居場所がない、こういう少年が、そういう状況に置かれている少年がいる下でその把握というのは、あるいは分析というのは、変わらず重要なものだと思います。
 時間ですので質問を終わりますけれども、今日お配りしている資料の五ページの法制審の答申、大臣が今お話しだった答申は、十八歳、十九歳の位置付けあるいは呼称について、今後の立法プロセスにおける検討に委ねるのが相当としています。今後の立法プロセスというのであれば、法務省内における検討だけではなく、まさに立法府である国会のこうした議論も踏まえて慎重に検討すべきであり、拙速に進めるべきではないということを最後に指摘をしまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

#148
○伊波洋一君 ハイサイ、沖縄の風の伊波洋一です。
 本日は、高良鉄美議員に代わって質問をいたしますので、よろしくお願いいたします。
 上川大臣、法務大臣就任おめでとうございます。法務大臣としては三度目ということですが、安定という評価が与野党からございましたが、加えて、誠実な答弁姿勢も評価されたものと思います。
 上川大臣は、所信の挨拶で、誰一人取り残さない社会の実現を大きな目標に掲げ、法務行政を進めると述べられました。
 大臣、誰一人の誰に沖縄県民は入っているのでしょうか。残念ながら、沖縄県民の多くは本土から取り残されている、あるいは切り離されていると思っています。戦後七十五年も続く基地問題等で、司法を含め沖縄の民意が政府に伝わらないからです。辺野古新基地建設の是非を問う昨年の県民投票や衆参選挙で示した民意はないがしろにされています。沖縄が取り残されないよう求めて、質問に入ります。
 上川大臣は、来年三月に京都コングレスが開催されるとして、国際社会においても法の支配の確立やSDGsの達成に向けた取組がより一層進むよう司法外交を展開していくと述べられました。
 来年は京都コングレスやオリンピック・パラリンピックの開催で、日本が国際的に注目されます。京都コングレスでは、日本の刑事司法、とりわけ死刑制度の執行の在り方が関心を集め、どのような評価を受けるのか懸念しています。
 上川大臣は、法務大臣として最多の十六人の死刑を執行されました。犯行当時に少年であった死刑囚や再審請求中の死刑囚もいました。また、オウム真理教事件では、二〇一八年七月六日に七人が、同月二十六日に六人が一度に執行され、国内外で大きく報じられました。
 国際社会からの批判は受け止めていただく必要があると思います。
 EU加盟二十八か国とアイスランド、ノルウェー、スイスは、死刑執行を受けて、被害者やその家族には心から同情し、テロは厳しく批判するが、いかなる状況でも死刑執行には強く反対をする、死刑は非人道的、残酷で、犯罪の抑止効果もないとした上で、同じ価値観を持つ日本には引き続き死刑制度の廃止を求めていくとする共同声明を発表しました。
 EUは、死刑を基本的人権の侵害と位置付け、死刑廃止はEU加盟の条件としています。また、ドイツ政府は、死刑は非人道的で残酷な刑だとの声明を出し、EU駐日大使、国連人権高等弁務官事務所の報道官も批判するコメントをしています。
 上川大臣は、国際社会からの厳しい指摘をどのように受け止めていらっしゃるのでしょうか。御答弁を求めます。

#149
○国務大臣(上川陽子君) 死刑の執行に対しましては、ただいま委員から御指摘をいただきましたことも含めまして、国際的に様々な御意見があることにつきましては承知をしているところでございます。
 死刑は人の命を絶つ極めて重大な刑罰であるということから、その執行に際しましては慎重な態度で臨む必要があるものと考えております。それと同時に、法治国家におきましては、確定した裁判の執行が厳正に行われなければならないことも言うまでもないところでございます。特に、死刑の判決は、極めて凶悪かつ重大な罪を犯した者に対し、裁判所が慎重な審理を尽くした上で言い渡すものでございます。法務大臣としては、裁判所の確定した判断を尊重しつつ、法の定めるところに従って慎重かつ厳正に対処すべきものであると考えております。これまでの死刑執行の命令につきましても、このような観点に立ちまして、慎重な検討を重ねた上で最終的に発したものでございます。

#150
○伊波洋一君 死刑制度を持ち、死刑を執行している国は、今や例外的な存在です。アムネスティ・インターナショナルによると、昨年末現在で法律上と事実上の死刑廃止国は百四十二か国に上り、昨年死刑を執行したのは僅か二十か国と言われています。
 二〇一八年十二月の国連総会で、死刑の廃止を視野に入れた死刑執行の停止を求める決議が圧倒的多数で採択されました。日本が犯罪人引渡し条約を締結しているのは韓国とアメリカだけです。日本に死刑制度があることがネックになっていると言われています。日本は、国連の自由権規約委員会や拷問禁止委員会などから、死刑執行を停止し、死刑廃止を前向きに検討すべきであるとの勧告を受け続けています。
 二〇一八年には、EU及びEU加盟国との間で戦略的パートナーシップ、SPAを締結しており、その目的及び一般原則には、共通の価値及び原則、特に民主主義、法の支配、人権及び基本的自由の促進に共同で貢献することが掲げられています。京都コングレスのホスト国として国際的世論にも耳を傾けるべきであるということを申し上げます。
 続いて、入管収容について伺います。
 二〇二〇年九月、国連人権理事会の恣意的拘禁作業部会は、日本の入管収容は国際法違反との意見を発表したと承知していますが、日本政府に対し、具体的にどのようなことを求めているのでしょうか。

#151
○政府参考人(河邉賢裕君) お答え申し上げます。
 本年九月、国連の恣意的拘禁作業部会が、退去強制が決まった二名の外国人に対する入国管理センターへの長期収容が国際法違反であり、恣意的拘禁に当たるとして、出入国管理及び難民認定法の見直し等を求める意見書を日本政府に送付してきたところであります。
 同作業部会の意見書では、日本政府に対し、例えば以下のようなことを求めています。当該二名の外国人に対して事態を改善するための必要な措置をとること、当該二名の外国人の自由の恣意的な剥奪を取り巻く状況について完全かつ独立した調査の実施を確保すること及び責任者に対して適切な措置をとること、自由権規約上の日本が負う義務と両立するよう入管法の見直しを行うこと、また、フォローアップとして、六か月以内にこれらに関連する情報を提出することを求めております。

#152
○伊波洋一君 作業部会が見解を出すに当たっては、通報の内容や弁護団からの情報提供だけではなく、それに対する政府からの回答も聞いていると承知しています。日本の状況をよくよく把握した上でこのような意見が出ており、人権理事会の理事国である日本にとって非常に重大な指摘だと思います。
 外務省としてはどのように捉えているのか、伺います。

#153
○政府参考人(河邉賢裕君) お答え申し上げます。
 現在、意見書につきましては、法務省において内容の精査が行われているものと承知しております。外務省といたしましては、関係省庁と連携し、しかるべくフォローアップの回答を提出する必要があると考えております。

#154
○伊波洋一君 作業部会の意見が発表されて一か月以上経過していますが、これまでどのような対応をされてきたのでしょうか。

#155
○政府参考人(高嶋智光君) お答えいたします。
 この作業部会の意見書に対する対処でございますけれども、まず最初に、この問題となりました二人の外国人につきましては、いずれも作業部会からの意見書が出される以前から既に仮放免になっておりまして、現在も仮放免中であります。
 その上で御説明しますと、この意見書につきましては、元々いずれの事案における収容も、詳細のコメントは、詳細についてお答えするのは差し控えたいと思いますけれども、いずれの収容も法令に基づく適正な手続として行っているものでございまして、作業部会に対しては恣意的拘禁には該当しないというふうに説明しておるところでございますが、このような今回の意見書となったということでございます。
 現在、当庁では、先ほど外務省からも御説明のございましたとおり、意見書の内容を精査、検討しており、なぜこのような意見書になったのか、十分な精査、検討を行った上で、外務省を含めた関係省庁と連携し、適切に対応してまいりたいと考えております。
 なお、当庁におきましては、現在、収容・送還に関する専門部会の提言を踏まえた入管法の改正案につきまして検討を行っておりまして、収容の在り方や新たな収容代替措置、収容に代わる措置、収容代替措置の創設もその検討事項に含まれているところでございます。
 様々な御意見をも踏まえながら、できる限り早期に成案を得ることができるよう、この検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

#156
○伊波洋一君 ただいまの答弁は、何かこう日本がやっていることは正しいんだという言いぶりなんですけれども、この恣意的拘禁作業部会の勧告の百一から百六までですか、で、いわゆる具体的に、先ほど答弁したように指摘があったんですけれども、つまり、日本が当たり前に見ているものが実は国際的には国際法違反なんだと、こういう指摘なんですよね。私たちが見ているものは見慣れているからそのとおりで当たり前みたいに見える。だけど、その日本のやり方がもはや国際法違反なんだという指摘なんですよね。
 つまり、やはりここはしっかり考え変えていかなきゃいけないんだろうと思います。つまり、やはりこれから共有、共通の価値観とかということをずっと言いつつ、国際社会の中に日本の位置を位置付けようとしている日本が、実際に起こっている外国人に対する対処が全然こうなっていないという指摘なんですよね。
 そこで、上川大臣が今回の所信の挨拶でも被収容者の人権に配慮した適切な処遇の実施を徹底していくとおっしゃいました。六か月以内に作業部会に対して情報提供が求められる事項があり、その中には例えば法改正とか、あるいは実務上の変更が含まれています。どのように対応される予定でしょうか。御答弁をお願いします。

#157
○国務大臣(上川陽子君) 今回の事案につきまして、今作業している状況でございますので個別にはお答えを差し控えさせていただきたいと存じますけれども、作業部会のフォローアップは極めて重要だというふうに認識しておりますので、その意見書の内容につきまして十分に精査した上で、関係省庁と連携を取りながら、また適切に対応してまいりたいというふうに思っております。

#158
○伊波洋一君 是非、国際社会にもやはり理解できる対処が我が国で行われるよう求めて、終わりたいと思います。
 次に、民事基本法の見直しと訟務機能の充実強化について伺います。
 上川大臣は、民事法制の見直しについて、子供の最善の利益を図るチルドレンファーストの観点から検討すると述べられました。沖縄の風の糸数前議員や高良議員は、事実婚夫妻の子供が単独親権になっていることについて、子供のために共同親権にするべきではないかと主張してきました。上川大臣は、事実婚で両親が共同養育しているのに単独親権となっていることは子供の最善の利益にかなうと思われるでしょうか。御答弁をお願いします。

#159
○国務大臣(上川陽子君) 民法におきましては、委員御指摘のとおり、父母の婚姻中は子供の親権は父母が共同して行使することとされているところでございます。それに対しまして、事実婚のカップルから生まれたお子さんの親権については、父母のいずれかが単独で行使することとされていることでございます。
 委員御指摘のとおり、事実婚の父母の子からすれば、父母の一方のみが自身の親権者であることを知ったときにいろんな戸惑いを覚えるというのは子供の立場から当然であるというふうに思っております。
 他方で、現行法の下におきましては、法律婚と事実婚とでは、相続権の有無も含めまして法的な差異が設けられているところでございますが、事実婚の場合におきましても法律婚の場合と同様に共同親権を認めるべきか否かにつきましては、この民法の法律婚制度の存在意義に遡って検討する必要があるものと考えております。
 また、事実婚につきましては明確な定義がございませんで、様々な形態が考えられることからしますと、共同親権を認めるべき父母を定める基準としては不明確と言わざるを得ないというのも事実でございます。また、いつの時点で事実婚の状態が終了したのかが明確でない場合も考えられまして、そのような場合に共同親権の状態にあるのかどうかが不明確になるという問題もあるというふうに考えられます。
 したがいまして、事実婚の場合に父母の共同親権を認めることにつきましては、子の利益の観点からも慎重な検討を要するものになるというふうに考えているところでございます。

#160
○伊波洋一君 ただいま上川大臣は、その事実婚がなかなか共同親権になれない理由の根拠を申し上げておりましたけれども、一番の大きな原因は、事実婚がなぜ存在しているかということなんですが、それは選択的夫婦別姓が実現していないからなんですね。いわゆるその選択的夫婦別姓が法制化されれば事実婚は解消するわけです。
 ですから、そのこと自体が結局子供たちに大きな影響を与えているということを指摘して、次の質問に入ります。
 訟務機能の充実についてお伺いします。
 二〇一四年十月三日の衆議院予算委員会で、安倍総理は、国の制度の在り方や政策の根幹あるいは日本の名誉に重大な影響を与える訴訟が次々、様々な形で増加していることについて事実であると認識しています、これらの訴訟に適切に対応していくことは国として喫緊の課題であると考えています、政府全体としてしっかり訟務機能の充実強化を迅速に取り組んでいく、戦略的にしっかりと取り組んでいきたいと述べられました。
 国の安全保障政策のために犠牲を強いられている沖縄県民や、家族の在り方に関わるとして世論を理由に選択的夫婦別姓が認められない人たちが国賠訴訟をしている中、巨大権力を見せ付け威嚇をされているという、受け取る人もいると思います。
 上川大臣、お尋ねします。国賠訴訟に国が負けることが不名誉なことだと思われますか。

#161
○国務大臣(上川陽子君) 不名誉ということの御指摘ありましたけれども、それには当たらないものと思料をしているところでございます。
 いずれにいたしましても、裁判所が適正な判断をいただくために、当事者としての国の主張あるいは論点を法と証拠に基づいて提供していくことで訴訟に適切な対応をしていくことが重要であるというふうに承知しておりまして、今後もそうした同様の姿勢で対応してまいりたいと思っております。

#162
○伊波洋一君 二〇一五年五月二十七日、国の利害に関係のある争訟への対応に関する関係府省庁連絡会議が開催され、具体的に取り組まれていると思いますが、訟務機能の強化とは何を目指してどういうことをするのか、伺います。
 大臣、よろしくお願いします。

#163
○国務大臣(上川陽子君) 国の利害に関係する訴訟が提起された場合にあっては、裁判所に適正な判断をいただくために、当事者としての国の主張あるいは論点を法と証拠に基づいて提供していくことが訴訟の使命でありまして、その機能を充実強化していくことが挙げられます。また、訴訟の提起前の段階における予防司法という場面におきましても、裁判で培った訟務の知見を生かすなどして、行政段階における法的リスクを明らかにして紛争を未然に防止する機能を果たすことが求められ、その機能を充実強化していくことが挙げられるところでございます。

#164
○伊波洋一君 いわゆる夫婦別姓では、原告が法制審議会の答申理由を主張し、答申を受ける立場の法務大臣が法改正に後ろ向きに発言をされています。答申内容が立法化されていれば、訴訟をする必要はなかったはずです。法務省が率先して訴訟や紛争を未然に防止する、それこそが訟務機能の強化だと思います。
 九六年の法制審答申のうち婚外子の相続分の規定は、二〇一三年の違憲決定を受けて法改正されました。女性のみの再婚禁止期間については、二〇一五年の違憲判決で百日短縮の法改正が行われ、婚姻最低年齢も、成年年齢の引下げまで待たされましたが、法改正されました。
 婚外子相続分規定は、一九九三年に東京高裁が違憲決定をしたことや、自由権規約委員会からの勧告を受けて法制審の議論に追加されました。九五年の最高裁決定は、翌年に法制審答申が予定されていたので、立法判断に委ねた格好で合憲決定がされました。九五年の最高裁決定で、国会における立法作業によるべきであると補足意見が出されましたが、国会は動かず、二〇一三年の違憲決定まで、判断まで当事者は苦しみ続けました。
 国民に不利益を強いて裁判までさせることについて、上川大臣はどのように思われるでしょうか。

#165
○国務大臣(上川陽子君) ただいま委員から、平成八年二月に法制審議会が選択的夫婦別氏制度を導入すること等を内容とする民法の一部を改正する法律案要綱を答申し、法務省におきましては、平成八年と平成二十二年に法案の提出に向けましてこの法制審議会の答申を踏まえた改正案というものを準備したところでございます。
 しかしながら、この問題につきましては、国民の間に様々な御意見があったほか、また、平成八年当時は自民党、また平成二十二年当時は民主党を中心としたそれぞれの当時の与党内においても異論があったこと等から、改正法案の提出にまでは至らなかったものと認識をしております。
 選択的夫婦別氏制度の導入の問題ということでありますが、我が国の家族の在り方に関わる重要な問題でございまして、平成二十九年の直近の世論調査の結果におきましても、今なお国民各層の意見が分かれているということも事実でございます。家族形態の変化あるいはライフスタイルの多様化、さらには女性の社会進出、また女性活躍ということで、社会情勢が大きく変わってきている状況下ではございますが、そういったことにも十分に配慮する必要があるということについては確かでございます。
 国会における議論の動向も注視しながら、引き続き対応につきまして検討してまいりたいというふうに考えております。

#166
○伊波洋一君 選択的夫婦別姓については、上川大臣が、過去の答弁でも、国民の意見は分かれているとして前向きな答弁をされませんでした。法制審議会は国民の意見を聞かないで答申したのでしょうか。法制審議会は世論を十分に聞いた上で、今よりも反対が多かったけれども答申したと思います。なぜだと思われますか。
 法務省に伺いますが、法制審議会の議論を始めるまでの経緯、審議状況や答申に至るまでに、特に国民の声をどのように取り入れたかについて伺います。

#167
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 法制審議会の審議は平成三年一月に開始されたものでございます。当時、政府におきまして、昭和五十九年に国連において採択されたいわゆる女子差別撤廃条約を批准したことや、総理府の婦人問題企画推進本部に設置された婦人問題企画推進有識者会議において、男女平等の見地から婚姻及び離婚法制の見直しについて提言がされることが見込まれていたことなどを踏まえまして、法務省における検討が開始されたものでございます。
 法制審の審議の過程では、平成四年十二月に、それまでの審議によって明らかとなった問題点とこれに対する意見を中間報告として取りまとめて公表し、関係各界に対して意見照会を行いました。また、平成六年七月には、審議結果を取りまとめた民法改正要綱試案を公表して、関係各界に意見照会を行いました。これらの意見照会では、裁判所、日本弁護士連合会等の法曹団体、また大学及び研究者、経済団体、労働団体、その他の団体及び個人から多数の幅広い意見が寄せられました。このほかにも、平成七年一月から三月まで、法務省に受信専用ファクス、これ家族法ホットラインと呼んでおりましたが、これを設置して国民一般からの意見を広く募りました。これらの意見を踏まえまして、法制審議会は平成八年二月に民法の一部を改正する法律案要綱を決定し、法務大臣に答申したものでございます。

#168
○伊波洋一君 今、法務省からるる説明がございました。
 上川大臣、選択的夫婦別姓導入の民法改正を求める請願が最初に提出されたのは一九七五年、昭和五十年で、それから四十五年も出され続けています。請願権は憲法に基本的人権として保障されています。これも国民の切実な声です。上川大臣は様々な意見と言われますが、菅総理は、二〇〇六年に、不便さや苦痛を感じている人がいる以上、解決を考えるのは政治の責任だと述べられ、今月六日の予算委員会では、その発言に政治家として責任があると答弁をされました。
 法制審答申を受けた法務大臣として上川大臣には大きな責任があるということを申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
    ─────────────

#169
○委員長(山本香苗君) この際、委員の異動について御報告申し上げます。
 本日、谷合正明委員が委員を辞任され、その補欠として竹谷とし子さんが選任されました。
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#170
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。碧水会の嘉田由紀子でございます。
 四時間に及ぶ一般質問、上川大臣、御苦労さまでございます。菅総理大臣の下、たった二人の閣僚ということで女性の閣僚二人、大変期待をしております。アメリカでは、カマラ・ハリスさんが黒人女性として初めて副大統領に就任する予定でございます。上川大臣、法務大臣として過去二回の御経験がおありですし、日本の法務行政の変革に向けてお力を発揮していただけることと大変心強く御期待申し上げます。
 まず最初に、男女共同参画の家族の実現についてお伺いをいたします。
 上川大臣とは、二〇〇七年の十二月に五人の女性知事環境会議というのが大阪でございまして、そのときに少子化担当の大臣として御参画いただきました。私、当時知事をやっておりまして、大きな政策はどうやったら地方自治の現場で少子化対策対応できるかということで、女性の社会、政治参画、男性の子育て、家事参画という相互乗り入れを進めてきまして、有り難いことに、滋賀県では、人口当たりの出生率、一番高いのはいつも沖縄なんですけれども、全国二番目までいっとき回復をいたしました。
 ただ、地方自治で子育て支援、子供の幸せ、家族の幸せを進めてきた政策の中でどうしても越えられない壁がこの民法の改正問題でございました。子供の貧困、そして一人親家庭がどんどん増える、そういう中で、私自身、昨年の八月に参議院にお邪魔してから法務委員会でお世話になっております。
 大臣もよく御存じのように、国際的に見ますと、日本のジェンダーギャップ指数二〇二〇の順位、政治分野では世界百四十四位です。政治や経済活動は男性、子育て、家族活動は女性という極端な男女役割の分断意識が明治民法以来の離婚後の単独親権を疑問なく国民も受け入れておりまして、そして、男性や父親が子育てや家族生活から排除される傾向に拍車を掛けているのではないでしょうか。
 ただ、この四月、法務省の国際調査、結果が出ておりますけれども、いまだに単独親権しか選ばせない国は二十五か国中三か国、日本とインド、トルコ。インド、ヒンズー教、トルコはイスラム系の影響ということで、先進国の中では日本だけ、残り二十二か国は基本的に共同養育、共同親権を選べる国となっております。
 実は、歴史的に振り返ってみますと、江戸時代、意外と日本は男性が子育て、家族生活に参画をしておりました。明治以降の近代化の中で、男性は軍事、政治、経済、女性は銃後の守りで家族、子育て役割と分断をされてしまい、そして、明治民法の古い伝統を受け継いだまま、今の日本の離婚後単独親権制度が残っております。親権を失う父親は最新のデータですと九三%、つまり、十人のうち九人以上の父親が子育てから排除され、分断と孤独にさいなまされているわけです。
 アメリカの大統領選挙になぞらえますと、男女、父母がもっともっと分断ではなく融和的に子育てに共同して当たるべきと思います。そして、もっと男女共同参画の家族の在り方が少子化に悩む今の日本に求められていると考えます。午前中から真山議員、そして伊藤議員、また今ほどの伊波議員のお話にもありましたこの単独親権か共同親権か、この問題は子供さんにとって大変大事なテーマだと思います。アメリカでの留学経験もおありの大臣の御認識はいかがでしょうか。

#171
○国務大臣(上川陽子君) 冒頭、嘉田委員から三度目ということでエールを送っていただきまして、心から感謝申し上げます。
 また、かつて嘉田委員が知事に御就任されていた折に、全国でも四名の女性知事ということで、私もその当時大臣職を務めていたということもありまして、大変心強く意見交換をさせていただいたことを今でもよく覚えている状況でございます。
 その当時におきましても、この女性の政治参画と、そして男性の方の育児参画が両輪となっていかないとなかなかこの順位も上がらないんじゃないかというような議論につきましては、その後の委員が知事として様々なお取組をされてきたことを、その後もフォローというまではいきませんけれども、拝見させていただいて、施策の打ち出し方によりまして大きく社会へ関わっていく可能性があるということも私自身見させていただきまして、力強く思ったところでございます。
 まさに少子の時代でございますし、また、海外との関係性につきましても、これまで以上につながりを深めていく時代ということも事実であります。そういう中におきまして、この親子の関係、また子育ての状況を踏まえての今の現状の中での問題ということについて真正面から捉えていく必要があると私自身も認識しているところでございます。
 子育ての状況につきましては、諸外国の状況と比較しても、父親の子育てへの参画、参加が少ないことや、また父母の離婚後に子供と離れて暮らすこととなった親と子供との交流が十分でないということを指摘する声があることにつきましては承知をしているところでございます。
 その上で、一般論として申し上げるところではございますが、父母の離婚後も父母の双方が適切な形で子供の養育に関わるということにつきましては、これは、子供の利益という観点はもちろんでございます、同時に男女共同参画社会の実現という観点からも非常に重要であると認識を、考えているところでございます。
 父母が離婚をした後の子供の養育の在り方につきましては、御指摘の親権制度の問題も含めまして、現在、法務省の担当者も参加しております家族法研究会におきまして、民事法制の観点から検討をされているところでございます。
 私といたしましても、これら子供の養育の在り方に係る極めて重要な問題であるということでございますので、チルドレンファーストという、少し横文字を使うことの意味は、それだけ皆さんに関心を持ってもらいたいという意味で片仮名で表記させていただいておりますが、子供の最善の利益を図ると、これが趣旨でございますので、そうした点に関しましての検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

#172
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。大変心強い方向をお示しいただきました。
 今ほど大臣も言及なさいましたように、所信的挨拶では、両親が離婚した後の親権制度、養育費、面会交流の問題など、父母の離婚に伴う子供の養育の在り方については、子供の最善の利益を図るチルドレンファーストの観点から検討することが重要と所信を述べていただいております。
 親権制度と養育費と面会交流、これはセットで検討しないといけないと思います。例えば、養育費不払問題、今いろいろ問題になり、また社会的関心も高まっております。先ほどの伊藤議員も、二四・三%しか、片親、母親の方は受け取ってないという問題がございましたけれども、養育費不払問題をめぐっては、面会交流もできずに養育費だけを支払することはできないと多くの別居親は発信をしております。
 その点について、上川大臣、どう思われますか。

#173
○国務大臣(上川陽子君) まず、御指摘の問題につきまして、民法上におきましては、この面会交流の実施の有無とそして養育費の支払義務の存否につきましてはそれぞれ独立の問題であるという、そうした整理をされているところでございます。具体的には、父母の離婚後に非親権者と子が面会交流を実施していない場合であっても、それを理由として養育費の支払義務が影響を受けることはないと、こういう認識でございます。それぞれ独立した立場で、そういう位置付けで整理をされているところでございます。
 もっとも、御指摘のとおり、子に会うことができない中で養育費の支払をしなければならない状況があるという方々の中には、親の心情としては納得できないと、こういう思いを抱かれる方がいらっしゃるということにつきましては理解するところでございます。また、実際にも、面会交流が円滑に実施されている場合には養育費も継続的に支払われているということが多いという、そこが関係があるという、多いということで、そうした意味におきまして、養育費の支払と面会交流との間には事実上の相関があるという御指摘もあると認識しているところでございます。
 子の養育に必要な養育費の支払を確保するために、支払義務を負う方が子供のために自ら進んで養育費を支払う環境を実現すること、これ非常に重要であると考えておりまして、家族法研究会におきましては様々な論点を整理しながら御議論いただいているところでございますが、この父母の離婚後の子の養育の在り方につきまして幅広い検討が行われているものというふうに承知をしているところでございます。

#174
○嘉田由紀子君 御丁寧にありがとうございます。
 親の心情に即して見ていただいたときに、本当に別居親も苦労しながら、身を粉にして働きながら養育費を言わば払っているという、豊かな男性ばかりではありません。特に、片親が残され、連れ去られたお父さんなどは、もう仕事を辞めざるを得ないとか精神的に病んでしまうとか、そういう方もたくさんおられますので、養育費の支払自身は大変な努力の結果であろうと思います。
 そういう中で、共同養育計画策定の法的な義務化も取り沙汰されておりますけれども、これ根本に返ってみますと、八百十九条、民法で、あなたは親ではありませんと言われて法的に引き離される、その上で養育費の取決めを義務化されるというのは、法制度の整備として、国家としても余りにアンバランスではないでしょうか。バランスを欠いた判断と言わざるを得ません。そういう意味では、チルドレンファーストで子供の最善の利益を実現するためには、離婚後の父母が共同して子供を養育することができるよう民法を改正し、離婚後の共同養育、共同親権を認めた上で、養育費の取決めの義務化あるいは面会交流の進展が実現できると判断しますが、法務大臣の御認識はいかがでしょうか。

#175
○国務大臣(上川陽子君) 子の養育費の不払解消につきましては、子供の日々の生活に直結するものであるということから、法務省内に設置されました養育費不払い解消に向けた検討会議等におきまして、協議離婚時に養育費に関する取決めを確保するという観点から、御指摘いただいた様々な点も含めまして論点が取り上げられていると承知をしているところでございます。
 私といたしましては、委員御指摘の父母の離婚後の親権制度やまた養育費等の問題につきましては、子供の利益を図るために、父母の離婚後の子供の養育をどうあるべきかという、こうした原点に立ち返って検討すべきものではないかというふうに考えているところでございます。
 法務省の担当者も参加しておりますこの家族法研究会でございますが、現在、父母の離婚後の親権制度の在り方や、また養育費及び面会交流について取決めを確保する方策も含めまして、父母の離婚後の子の養育の在り方につきまして幅広く総合的な観点から検討が進められていると承知をしております。私としてもその検討をしっかりと見守ってまいりたいというふうに考えております。

#176
○嘉田由紀子君 今ほど家族法研究会、何度か言及いただきましたけれども、私は大変この研究会の結果に期待をしていたんですが、この九月二十九日に提出されたまとめ資料では、離婚後の子の養育の在り方につき、現時点で方向性を示そうとすることは相当でないとの見解が示されています。つまり、家族法研究会、一年掛けて、結局方向が決められないと、何も決めないことにしたということではないでしょうか。
 上川大臣が法務大臣なさっておられた二〇一八年、東京都目黒区の船戸結愛ちゃん虐待事件が起こりました。結愛ちゃんは片親親権の下、実の父親、その親族から切り離され、香川県に住んでいらしたんですね。そして、まま父に虐待され死に至らしめられました。最近、結愛ちゃんのお母さんが獄中からの手記を公表していますけれども、言わば新しい夫のマインドコントロールの下、子供さんも守れなかったと。本当につらい、読んでいて涙が止まりません。結愛ちゃん事件をきっかけに上川大臣が共同親権の導入の方向を示していただきました。
 二〇一八年七月十五日の読売新聞紙上で、二〇一九年には法制審で議論するとの記事が出たことがあります。本日の資料で配らせていただいておりますけれども、児童虐待をなくすためにも共同親権の議論は早急に進めなければなりません。今、毎日四百人の子供が離婚による親子分断に直面しております、一年間に二十一万人。昨年は八十六万人しか子供が生まれていないんですから、四人に一人の子供が両親の離婚により片親ロスの状態におとしめられております。
 一人親家庭の子供の貧困、大変深刻です。特に、コロナ禍での一人親家庭の貧困、先日もテレビで紹介されておられました。一刻でも早い対応が求められています。児童虐待、子供の貧困をもたらす要因の一つとなっている、もちろん要因は複数ですけれども、かなり大きな要因の一つとなっているこの片親親権の問題、どのような手順を経て結論を出す御予定でしょうか。その時間的見通しをお聞かせいただけたら幸いです。

#177
○国務大臣(上川陽子君) 先ほど申し上げました家族法研究会におきましては、父母の離婚後の子の養育の在り方につきまして幅広く検討がされている状況でございます。現在、各論点について二巡目の議論が行われているものと承知をしております。
 父母の離婚後の子の養育の在り方、それに関する制度的方向性につきましては、様々な意見、課題の指摘がございまして、現時点におきまして取りまとめの時期につきましては申し上げる状況でないということにつきまして御理解はいただきたいと思うんでありますが、この問題につきましては、子の利益に関わるものであることから、私から法務省の担当者に対しましては、子供の利益、目線を大事にしながらスピード感を持って積極的に議論に参加するように指示をしているところでございます。
 また、家族法制の在り方やその見直しは、子供に対しまして極めて大きな影響を与えるものでございます。また、それによりまして子供の健やかな成長が阻害されるといった事態が生じることのないように、実態に基づいたファクトベースの議論というものも進めていくことが重要ではないかと考えておりまして、現在、法務省といたしましては、協議離婚に関する実態調査や、また未成年期に父母の離婚を経験した子供さんの意識に関する調査についても準備を進めているところでございまして、そうした取組につきまして充実した調査を実施してまいりたいというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、制度の見直しに向けて更に検討を進めることとなった場合には法制審議会への諮問が必要になるというふうに考えております。諮問の要否あるいは時期等につきましては、スピード感を持ちつつも、家族法研究会における法的な論点整理、これの状況も踏まえながら、法務大臣として適切な段階でしっかりと判断してまいりたいというふうに考えております。

#178
○嘉田由紀子君 この議論が始まってそれこそ十年、その間一年間二十万人だと二百万人の子供が片親ロスに直面しているという、本当に日本の子供たちの未来に、そして今、経験をした、大人になっている方にも大変大きな問題です。
 今ほど大臣が協議離婚の実態、実は日本は九割協議離婚、これも子供の養育計画なりあるいは養育費の計画がなくても、まさに判こ一つで、これからは判こも要らない、離婚ができる、九割、そんな先進国はございません。もっともっと離婚に対しては、子供への責任、セットで扱われているのが先進国です。それから、離婚を経験した子供さんの声も聞いていただくということ、これ大変大事でございます。是非とも調査結果期待をしております。
 つい先日ですけれども、今日皆さんにお配りしておりますけれども、二〇二一年民法改正、男女平等子育ての幕開けということで、子育て改革のための共同親権プロジェクトの皆さんが国会内で院内集会を開催され、要望書を関係国会議員に手渡されました。離婚により子供を連れ去られた父、母、あるいは孫に会えなくなった祖父母、孤独と苦しみを抱えながらなかなか顔を出して発信できなかった。離婚自身がある意味でスティグマになってしまう。そして、自分が言わば大変苦しい中で、そこを半年以上準備して当事者二十四名が顔を出してくださいました。百ページを超える共同親権バイブルとも言える提言書を編集し、七百名を超える全国会議員に配ってくださいました。同時に、賛同者を募るホームページも作っております。大変勇気を持って記者会見を行いました。是非、このお手元にあるURL、アクセスをしていただきたいと思います。
 幾つかの声を紹介させていただきたいと思います。
 例えば、リーダーであります松村直人さん、本プロジェクト発起人ですけれども、ITコンサルタントをやって夫婦共稼ぎで子育てに深く関わってきたのに、離婚後、家庭裁判所が関わるようになり、月一回しか子供に会えない。単独親権制度は奪い合い、分断のシステムであり、争いと犠牲者を生む、すぐにでも単独親権制度を廃止して、つながりやきずなを根源とした共同親権制度に転換してほしい。
 川崎市の佐藤創さんは、二〇一三年に結婚、子供を授かって、そして二〇一八年、突然妻の実家に子供を連れ去られ、今ようやく月一回しか会えない。
 それから、まどかさん、母親でありながら子供を奪われた日々はまさに社会から自らの存在を抹消されたような思いだ。私は存在しない。単独親権で子供から親を奪うということは親そのものも抹殺される。存在を拒否される。子供のいない母親はつらい。誰かの存在を消し去ることであり、人間否定であるとまで言っておられます。
 工藤裕加さんは、祖母の立場から、息子夫婦の離婚に伴い孫と会えなくなってしまった。親族みんなでかわいがってきた孫に会えなくなってしまった。この段階まで、自分は単独親権というのが日本にあることを知らなかったということで、今の日本の制度はおかしい。
 滋賀県から参加した金光正治さんは、病気や失業で困難なときには行政の支援があるのに、家族の困難には行政の支援がない。共同養育、共同親権の制度の下で、問題がある親であっても仲よく暮らせるような、そういう前向きのサポートをしてほしいということでございます。
 もう時間がないんですが、上川法務大臣、この提言書にあるような当事者の声を聞かれていかがでしょうか。短くて結構ですので、感想を聞かせていただけたら幸いです。

#179
○国務大臣(上川陽子君) ただいま委員から、婚姻中は子供と大変深く関わってきたにもかかわらず、離婚を契機として子供との交流が限られてしまったという方々の声、実際のお名前とともに御紹介をいただきました。家族に関わる非常に私的な事柄であるにもかかわらず、実名で声を上げられたということについては大変重い覚悟ではなかったかなと推察するところでございます。
 家族の関係につきまして、また、特に子供の健やかな成長は誰もが望むところでございますので、そうした子供に対しての健やかな成長を支えるための様々な取組ということについては、力をしっかり入れて、スピード感を持って取り組んでまいりたいというふうに思っております。

#180
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
 ちょうど二十五分でございました。どうもありがとうございます。

#181
○委員長(山本香苗君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
 速記を止めてください。
   〔速記中止〕

#182
○委員長(山本香苗君) 速記を起こしてください。
    ─────────────

#183
○委員長(山本香苗君) 生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律案を議題といたします。
 発議者秋野公造君から趣旨説明を聴取いたします。秋野公造君。

#184
○委員以外の議員(秋野公造君) ただいま議題となりました生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律案につきまして、発議者を代表いたしまして、提案の趣旨及び主な内容を御説明申し上げます。
 近年、我が国ではいわゆる生殖補助医療の技術が進展し、生殖補助医療を受ける方も増加しておりますが、生殖補助医療については法律上の位置付けがなく、懐胎及び出産をすることとなる女性の健康の保護や当事者の意思の尊重、生まれる子の福祉への配慮といった共有されるべき理念も法定されておりません。
 また、現に生殖補助医療により生まれた子は相当数に上り、今後も生まれることが見込まれるところ、生殖補助医療により生まれた子の親子関係については、最高裁判例や解釈によって一定の方向性が示されているものの、法律上明確な規律がないため、その子の身分関係が不安定となり、その利益を害するおそれがある状況が続いていると指摘されております。
 本法律案は、このようなことから、個人の人権に配慮した生殖補助医療に関する法整備が求められている等の生殖補助医療をめぐる現状等に鑑み、生殖補助医療の提供等に関し基本理念を明らかにし、並びに国及び医療関係者の責務並びに国が講ずべき措置について定めるとともに、生殖補助医療の提供を受ける者以外の者の卵子又は精子を用いた生殖補助医療により出生した子の親子関係に関し、民法の特例を定めようとするものであります。その主な内容は次のとおりです。
 第一に、生殖補助医療の提供等に関する基本理念を明らかにし、不妊治療として心身の状況等に応じて適切に行われるようにするとともに、懐胎及び出産をすることとなる女性の健康の保護が図られるべきこと、実施に当たっては、必要かつ適切な説明が行われ、各当事者の十分な理解を得た上で、その意思に基づいて行われるべきこと、精子又は卵子の採取、管理等の安全性が確保されるべきこと、生まれる子について、心身ともに健やかに生まれ、かつ、育つことができるよう必要な配慮がなされるものとすることとしております。また、生殖補助医療の提供等に関する国及び医療関係者の責務について定めるとともに、国が講ずべき措置として、知識の普及等、相談体制の整備及び法制上の措置等について定めております。
 第二に、生殖補助医療により出生した子の親子関係に関する民法の特例を定めることとしております。具体的には、女性が自己以外の女性の卵子を用いた生殖補助医療により子を懐胎し出産したときには、その出産をした女性をその子の母とするとともに、妻が夫の同意を得て夫以外の男性の精子を用いた生殖補助医療により懐胎した子については、夫は、民法第七百七十四条の規定にかかわらず、その子が嫡出であることを否認することができないこととしております。
 第三に、国会で検討が行われることを前提に、生殖補助医療の適切な提供等を確保するための事項として、生殖補助医療及びその提供に関する規制の在り方、生殖補助医療に用いられる精子、卵子又は胚の提供又はあっせんに関する規制の在り方、他人の精子又は卵子を用いた生殖補助医療の提供を受けた者、当該生殖補助医療に用いられた精子又は卵子の提供者及び当該生殖補助医療により生まれた子に関する情報の保存及び管理、開示等に関する制度の在り方等について、おおむね二年を目途として検討が加えられ、その結果に基づいて法制上の措置等が講ぜられるものとしております。
 以上がこの法律案の提案の趣旨及び内容であります。
 何とぞ御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

#185
○委員長(山本香苗君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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