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2020/10/30 第203回国会 参議院 第203回国会 参議院 本会議 第3号 令和2年10月30日
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2020/10/30 第203回国会 参議院

第203回国会 参議院 本会議 第3号 令和2年10月30日

#1
令和二年十月三十日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第三号
  令和二年十月三十日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────

#2
○議長(山東昭子君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。山口那津男さん。
   〔山口那津男君登壇、拍手〕

#3
○山口那津男君 公明党の山口那津男です。
 私は、公明党を代表して、菅総理の所信表明演説に対し、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 菅内閣の発足から一か月以上が経過しました。この間、やるべきことをスピード感を持って実行する新内閣の政治姿勢に国民から大きな期待が集まっています。まさしく国民のために働く内閣として着実な成果を上げられるよう、政府・与党が一致協力して内外の重要課題の解決に全力で取り組んでまいりたいと思います。
 新政権の発足に当たり、公明党は自民党と新たな連立政権合意を交わしました。この中には、新型コロナウイルス感染症の影響から国民生活を守り、経済を成長軌道に回復させることを始め喫緊の課題であるデジタル化の推進、少子化の克服、防災・減災、復興、脱炭素社会の構築など、我が国が乗り越えなければならない優先課題への対応が盛り込まれています。この政権合意に基づき、どこまでも国民の悩みに寄り添い、真摯に耳を傾けながら、困難な課題を一つ一つ解決してこそ、国民の信頼を獲得し、安定した政権運営と国民が待望する改革が成し遂げられるものと考えます。
 公明党は、国民目線で改革を進める菅内閣を支え、将来に希望と安心の持てる日本をつくるため、全力を挙げてまいります。
 以下、政権合意に盛り込まれた重要課題を中心に質問いたします。
 初めに、これから冬を迎えるに当たり、新型コロナウイルス感染症の検査体制の充実と季節性インフルエンザとの同時流行に備えた対策について伺います。
 感染症から国民の命と生活を守るため、社会的活動、経済的活動を維持しながら感染拡大を抑え込むことが求められています。そのためには、検査が必要な人が迅速に検査を受けられるよう体制を拡充しなければなりません。
 感染が広がる地域においては、医療機関や高齢者施設等で一斉に定期的な検査を実施することが可能となりました。また、重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患のある方が希望する場合、検査費用を国が補助する仕組みもできています。
 今後、一日二十万件の検査体制を確保するに当たり、どの地域でも必要な検査が幅広く実施できるよう、国は準備状況を把握しつつ、体制整備が進んでいない自治体への支援など、適切な対策を講じるべきです。
 あわせて、季節性インフルエンザと新型コロナの同時流行に備えた対策も急務です。今後、発熱患者が増加することを想定し、医療機関に対し財政的な支援や個人防護具の無償配布などを実施し、適切に検査と診療ができる体制を速やかに整備しなければなりません。
 検査体制の充実や季節性インフルエンザとの同時流行に備えた取組をどう進めていくのか、総理に伺います。
 今、国民が期待する新型コロナワクチンの確保と接種体制の整備について伺います。
 公明党は、海外開発のワクチン確保に加えて、国産ワクチンの開発も強力に推進してきました。政府においては、安全で有効なワクチンを一日も早く全ての国民に提供できるよう、引き続き最重要課題として取り組んでいただきたい。
 接種体制の整備については、国が主導し、身近な地域で迅速かつ円滑に受けられるよう万全を期すべきであります。あわせて、希望する人が安心して接種できるよう、国が積極的に安全性、有効性について分かりやすく発信することも大切です。
 一方で、世界規模で広がる感染拡大を防ぐには、発展途上国への支援も不可欠です。発展途上国を含めてワクチンを幅広く供給する国際枠組み、COVAXファシリティーへの参加を公明党は政府に強く求めてきました。こうした中で、日本が先進国の中でいち早くCOVAXへの参加を表明したことは関係機関から高く評価されています。引き続きワクチンの開発と公平な分配に向けて、日本が世界を牽引するリーダーシップを発揮していただきたいと思います。
 ワクチン確保や接種体制の整備が万全か、総理に伺います。
 菅内閣が真正面から取り組む少子化対策について伺います。
 二〇一二年に民主党、自民党、公明党の三党で合意した社会保障と税の一体改革では、年金、医療、介護に加え、新たに少子化対策が社会保障の柱の一つとなりました。さらに、二〇一七年には消費税増収分の使い道を見直し、幼児教育の無償化や低所得者に対する大学など高等教育の無償化を実現し、加えて、私立高校生の授業料実質無償化を含め、全世代型社会保障の構築に向けて大きな一歩を踏み出しました。
 しかしながら、昨年の出生数は初めて九十万人を下回り、今年もコロナ禍の影響の下、更に下回る予測であり、少子化は予想以上の速さで進んでいます。少子化の背景には、出会いの機会の減少や子育て中の孤立感や負担感、子育てと仕事の両立の難しさ、教育費を含む経済的な負担など様々な要因が挙げられますが、若い世代の希望をかなえるために、こうした要因を取り除いていくことが必要です。
 深刻な少子化を克服するため、焦点となっている不妊治療への保険適用や出産育児一時金の増額を始め結婚支援や男性の産休・育休支援、仕事との両立支援、さらには、年末までに取りまとめるポスト子育て安心プランなど、少子化対策の抜本的な強化をトータルパッケージで示す必要があると考えますが、総理の答弁を求めます。
 本格的支援が注目される引きこもり、八〇五〇問題への対応について伺います。
 少子高齢化、人口減少が進む中、八十代の親が引きこもりの五十代の子供を養う八〇五〇問題や介護と子育てを同時に担うダブルケアなど、個人や家族が抱える生きづらさやリスクが複雑化、多様化しています。こうした複合的リスクに社会全体で対応するため、様々なニーズや生活上の課題を受け止める包括的支援体制の整備が急務です。
 本年六月に成立した改正社会福祉法では、断らない相談支援を含む重層的支援体制整備事業が創設されました。来年四月から本格的にスタートするこの制度は、国民が最も身近に感じ、菅政権が立ち向かう縦割り打破の象徴として、全区市町村での実施を目指すべきと考えます。あわせて、行政のデジタル化を進める中で、給付金等の行政手続を申請主義から申請なしに届けるプッシュ型に切り替えていくことも必要です。
 引きこもり、八〇五〇問題の支援について、総理の答弁を求めます。
 切実な課題である自殺対策について伺います。
 自殺者数は本年七月以降、昨年同時期と比べて三か月連続で増加。特に、本年八月は三十代以下の女性の自殺者が七四%も増えており、看過できない状況です。
 こうした中、SNSを活用した相談事業も利用者が増加傾向にあり、十分な対応が必要です。対応の質を担保しつつ相談員を増やすことや、相談から個々の問題解決へ具体的支援につなげることが大切です。さらに、コロナ禍が女性の雇用や生活に与える影響を早急に把握し、女性の自殺要因を分析した上で適切な対策を講じるべきです。
 あわせて、インターネット上の誹謗中傷対策も重要です。公明党は、本年六月に提言を政府に提出し、誹謗中傷の書き込み削除や加害者情報の開示促進、情報モラル教育や啓発普及、相談体制の強化、侮辱罪を始めとする刑事罰の見直しなど、早急な対策を求めました。
 自殺対策やインターネット上の誹謗中傷対策にどう取り組むか、総理の答弁を求めます。
 腰を据えて取り組むべき防災・減災対策について伺います。
 昨年は台風災害が相次ぎ、今年も七月豪雨により、熊本県を始め九州や中部、東北など、各地で甚大な被害をもたらしました。お亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた全ての方々に心よりお見舞いを申し上げます。
 近年の気候変動等の影響により甚大化する風水害対策の強化は喫緊の課題です。政府は、新たな取組として、全国の百九の一級水系を対象とした流域治水プロジェクトを表明しました。プロジェクトの策定、実行に当たっては、縦割りを打破し、国と地方のみならず企業や住民も巻き込み、流域全体の関係者が一体となってハード、ソフトにわたる水害に強い地域づくりを着実に進めていくべきです。
 加えて、高齢者や障害者の実効性ある避難支援、電気、ガス、水道、通信等のライフラインの強靱化、長期停電対策などの取組も重要です。また、私が居住する葛飾区を含め二百五十万人が住む東京都の江東五区や名古屋、大阪などの都市部に広がる海抜ゼロメートル地帯における大規模広域避難などの事前防災対策も、国と地方が連携して急ぎ進めていくべきです。
 気候変動等を踏まえた風水害対策の強化をどう図るか、総理の答弁を求めます。
 私は、本年の七月豪雨の被災地、熊本に行った際、気象庁防災対応支援チーム、いわゆるJETTなど専門家による気象情報の分析や解説などを通じた市町村への支援が重要な役割を果たしたこと、また、災害発生地域において、地方気象台OBなどローカルな気象災害情報に精通した人のアドバイスが的確で有益だったことを伺いました。
 防災が政治の主流となる今日、専門家の派遣とともに、受け手の市町村にも気象災害情報の専門家を育成していくことが大切です。国の地方気象台だけでは地域のきめ細かな状況に対応し切れません。災害が起きてからではなく、日頃から地域に精通した知識と技術を生かし、地方気象台を始め関係部門と連携しながら災害予防や避難体制の整備に当たることが望まれます。
 例えば、茨城県の日立市では、天気相談所を設置し、気象予報士三人を含む専門人材を育成してきました。百年を超える気象データの蓄積を基に地域特有の気象条件を解析し、きめ細かな気象情報を市民に提供するほか、防災対策、環境保全に取り組んでいます。今後、こうした国と地方が連携した双方向の取組が不可欠です。
 また、七月豪雨では、十一時間以上にわたって停滞した線状降水帯が球磨川流域に大規模な洪水氾濫をもたらしました。早期避難に直結する線状降水帯の観測、予測技術の向上は喫緊の課題です。
 気象災害情報の専門人材を生かした国と地方の双方向の地域防災力強化と線状降水帯の観測、予測技術の早期向上にどう取り組むか、国土交通大臣の答弁を求めます。
 いよいよ全国配備が整うドクターヘリについて伺います。
 救急医療や災害時対応など、国民の命を守るドクターヘリの役割はますます高まり、年間出動件数は増加し続けています。公明党は、ドクターヘリの全国的、安定的な運営を確保し、効果的な活用が可能となるよう、一貫して取り組んできました。これにより、現在未導入である東京都や福井県においても、令和三年度から導入が予定されています。残る香川県も導入が視野に入り、京都府は近隣府県との広域的カバーができております。今後は、こうした新規導入の財政支援に加え、人件費や飛行時間に応じて補助金を増額するなど、全国システムの充実が望まれます。
 ドクターヘリの安定的な運航を確保するための財政支援の強化について、総理の答弁を求めます。
 この夏も、九州地域における豪雨を始め世界各地で今まで経験したことのない異常気象が多発しており、気候危機への対応は待ったなしです。新型コロナウイルスの影響により、今年のCOP26は来年に持ち越しとなりましたが、世界的な自然災害の動向を考えれば、温室効果ガス削減への流れを止めるわけにはいきません。
 また、ウイズコロナ、アフターコロナを見据え、元の社会に戻すのではなく、この度の自公連立政権合意に盛り込んだように、思い切って持続可能で強靱な脱炭素社会に向け変革を促すことが必要です。公明党は、二〇五〇年を視野に温室効果ガス排出実質ゼロを目指すことを本年一月の通常国会で提案しており、今般の総理の決断を歓迎いたします。
 その上で、大事なことは具体的な取組です。徹底した省エネや再エネの主力電源化の推進、石炭火力発電のフェードアウトやイノベーションの創出など、政策を総動員して脱炭素社会への取組を加速化させなければなりません。
 そのためには、政府、自治体、経済界など、オールジャパンで推進することが不可欠です。二〇五〇年までにCO2排出実質ゼロを表明した自治体、いわゆるゼロカーボンシティは、今や二十三都道府県、百四十四市区町村を数え、人口規模では約八千万人に達します。一〇〇%再エネ調達を目指すRE一〇〇やESG投資など、グリーン化に取り組む企業も確実に増えています。
 こうした脱炭素社会への自治体や経済界等の具体的な取組を後押しする手厚い支援が必要と考えますが、総理の答弁を求めます。
 経済再生へ、ポストコロナ時代を見据えた成長戦略について伺います。
 初めに、事業継続と経営改善に向けた支援についてです。
 ポストコロナ時代の社会経済活動は、感染拡大防止に万全を期しながら、事業の再開、継続に果敢に挑戦する事業者を支援していくことが最も重要です。
 特に、中小・小規模事業者に対しては、業種別ガイドラインに基づいた感染防止対策を一層支援するとともに、非対面型ビジネスモデルへの転換やテレワーク環境の整備といったデジタル化、リモート化、あるいはサプライチェーンの強靱化に向けた生産拠点の国内整備や多元化など、こうした前向きな投資を支援するための各種補助金の更なる拡充を求めます。
 あわせて、サプライチェーン全体で適正な取引の実現や付加価値の向上が可能となるよう、下請取引の適正化に粘り強く取り組む必要があると考えます。
 加えて、コロナの影響が長期化する中で、中堅・大企業も含め本業の立て直しや事業転換といった本格的な経営改善が課題となります。今後は、資本性資金やファンドの活用、人材のマッチングなど、業種や企業規模ごとに異なる多様なニーズに応じた適切な支援につなげることが極めて重要です。数ある支援が事業者の皆様にきちんと届くよう、金融機関やよろず支援拠点等を中心とした寄り添った相談支援体制を一層強化していただきたいと思います。
 事業継続と経営改善に向けた支援について、総理の御見解を伺います。
 次に、科学技術・イノベーション推進についてです。
 コロナ禍を契機として、公衆衛生や健康・医療、気候変動、災害といった生命を守る産業分野におけるイノベーションを成長の源泉としていくことが重要と考えます。総理が言及されたグリーン社会の実現に向けた革新的イノベーションを始め日本の高い技術力を生かし、生命を守る産業分野におけるイノベーション創出をポストコロナの成長戦略の柱に据え、投資目標を設定し、官民が連携して強力に推進していただきたい。
 あわせて、我が国の研究力の抜本強化を図るため、特に、博士課程学生を含めた若手研究者の生活を支援し、キャリアパスを確保する仕組みを早急に実現するとともに、大学等によるファンドを着実に創設していただきたいと思います。
 科学技術・イノベーション推進と研究環境整備について、総理の答弁を求めます。
 新型コロナウイルスの感染拡大は地域経済にも甚大な影響を与えています。国は、地域経済を支え奮闘する方々が希望を持ち安心して暮らせるよう、デジタル技術を駆使したポストコロナの地方創生を強力に推進すべきです。
 とりわけ、地方におけるテレワークやサテライトオフィス等の環境整備、地方大学を含めた官民によるSTEM人材の育成は、地方のデジタル化を進める重要な取組です。また、多くの方にデジタル化の魅力を実感してもらうためには、医療、教育、交通など、多岐にわたる分野でデータ利活用を推進するスマートシティーの構築が重要ですが、そのためには地域住民の理解と合意形成が必要となります。
 先般、私が視察した福島県会津若松市は、データは市民のものという理念の下、市民が自ら同意の上でデータを提供し、成果を還元するオプトイン方式を実施し、市民の理解と協力により先進的なスマートシティーを実現しています。このような先進モデルは、自治体の縦割りを打破し、システムの統一・標準化を進め、どの自治体に住んでいても行政サービスを届ける推進力になります。まず福島県を震災復興、地方創生、分散型国土形成の象徴となるよう、デジタル化実証推進県として先行拠点に位置付けてはいかがでしょうか。
 地方のデジタル社会実現に向けた支援策、特にデジタル庁構想に福島県を位置付けるアイデアについて、総理の答弁を求めます。
 全国約九百万人の雇用を抱える観光産業も、新型コロナや豪雨災害等の影響により、大きな打撃を受けています。事業継続や雇用維持などの支援策に加え、GoToトラベル事業などにより観光産業は回復の兆しを見せていますが、さらに、今後の需要動向や被災地の状況、現場の声も考慮してGoToトラベル事業の来年のゴールデンウイークを含めた延長、予算の増額も検討すべきです。
 特に重要なことは、地域経済を支える中小のホテルや旅館、旅行業者、飲食・土産店などの経営の安定や雇用の維持とともに、生活や観光の足として地域を支え続けているバス、タクシー、鉄道、航空、旅客船等の交通事業者への一層の支援です。
 また、働きながら休暇を楽しむワーケーションなどを通じた新たな旅行市場の拡大とともに、感染拡大防止の徹底や地域で展開する新たな観光ビジネスへの支援などが求められています。こうした支援を年内に策定する政策プランに是非反映させていただきたいと思います。
 今後、地域経済を支える観光復興にどう取り組むか、総理に伺います。
 農林水産業の成長産業化を進める輸出拡大の取組について伺います。
 政権交代時と比べて輸出額は倍増し、更なる輸出拡大に向けて、二〇三〇年まで輸出額五兆円を新たな目標とする食料・農業・農村基本計画も改定されました。この計画に基づく輸出促進は地方活性化にもつながり、大きな起爆剤になると考えます。
 しかし、担い手不足や輸出相手国・地域の規制等の諸問題に加え、新型コロナの影響による日本食の展覧会などのイベント中止や外国人観光客の大幅な減少等が農林水産業者の大きな痛手となっています。また、小規模農家などは生産量が少ないため、海外からのニーズがあるのに輸出拡大が進まないといった課題もあります。
 こうした実情を踏まえ、例えば、産地間の連携強化によって農地面積や生産量の拡大による供給力の充実を図り、販路開拓とともに輸出額を拡大していくことも必要です。農林水産物・食品の輸出拡大に向けた当面の戦略を年末までに策定するに当たり、農林水産業の生産、加工、流通にわたって強みを生かし、弱みを打開する必要があると考えます。
 農林水産業の輸出拡大に向けた支援について、総理の御見解を伺います。
 先月開催された国連総会では、新型コロナウイルスの対応をめぐる米中の対立が鮮明になる中、総理は、一般討論演説において、多国間主義の重要性を強調されました。このような状況だからこそ、多元的な価値観と対話を重視する国際協調体制を強化すべきと考えます。
 貧困、格差、気候変動など地球規模の課題は未曽有の感染症拡大によってますます深刻化しています。その問題それぞれの解決をゴールに掲げたSDGsは、本年、行動の十年をスタートしました。SDGsの実現には多国間の取組が不可欠であり、その中心は国連です。本年は国連創設七十五周年であり、ますますその役割は大きくなっています。我が国としては、国連の行動を支援しつつ、人間の安全保障の理念の下、SDGs達成に向けて国内外の具体的な課題克服へのリーダーシップ発揮を求めたい。
 さらに、世界で保護主義的な動きがある中、日本がTPP11や日EU・EPAなど、自由で公正な経済連携協定の締結を協調を旨として主導してきたことを高く評価いたします。去る二十三日に署名した英国との新たな包括的経済連携協定は経済関係の緊密化と多国間協調につながるものであり、今国会での承認手続を急ぐべきです。
 これからの外交課題における国際協調と日本の貢献について、総理の御見解を伺います。
 十月二十五日、核兵器禁止条約が五十か国の批准を達成し、九十日後の来年一月二十二日に発効することが決まりました。いかなる場合も核兵器の使用を禁止するとの規定には、核廃絶を目指す上で歴史的に大きな意義があります。
 公明党は、先日、核廃絶に向けての緊急要望を政府に提出しました。要望では、延期されているNPT運用検討会議について、次の会議が開催された際に成果文書が採択されるよう合意形成に貢献することや、米ロの新戦略兵器削減条約、いわゆる新STARTの延長と、対象分野や中国などを含めた枠組み拡大の道を開くこと、そして核兵器禁止条約発効後に開催される締約国会合へのオブザーバー参加など、我が国の貢献の在り方を更に検討していくよう求めました。
 国連の中満泉事務次長との会談の際、中満氏は、核廃絶という目的の根っこは共有しているというメッセージが唯一の戦争被爆国である日本から出てくることが重要だと強調されましたが、全く同感です。核兵器禁止条約の発効が確実となった今、私は改めて広島、長崎への締約国会合招致を求めたいと思います。
 公明党は、日本が核兵器国と非核兵器国との真の橋渡しの役割を担い、核軍縮を進め、核廃絶に向けた国際社会の取組をリードする重要な使命を有していると考えます。核廃絶に向けた総理の御決意を伺います。
 最後になりますが、コロナ禍の影響は今なお国民生活に広く深く及んでいます。特に、年末に向けては企業業績や雇用情勢の行方が注視されるところであり、引き続き国民生活を断じて守り抜くとの決意で、あらゆる事態に備えた万全の対応が必要となります。
 公明党は、未曽有の危機を乗り越え、安心と活力ある日本の未来を開くため、これまで克服できなかった課題を解決し、国民本位の政策実現により一層取り組んでいくことを改めてお誓い申し上げ、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕

#4
○内閣総理大臣(菅義偉君) 山口那津男議員にお答えをいたします。
 季節性インフルエンザとの同時流行に備えた取組や新型コロナウイルスのワクチン確保についてお尋ねがありました。
 この冬の季節性インフルエンザの流行期に備え、検査キットの製造メーカーに増産を要請するとともに、地域における診療体制、検査体制の整備に向け準備を進めております。
 また、医療機関への支援については、これまで約三兆円の支援を実施してきており、インフルエンザ流行期に備えた支援としても、発熱患者等を対象とした外来体制を取る医療機関への支援を行っております。
 ワクチンについては、来年前半までに全ての国民に提供できる数量の確保を図るべく、国内外を問わず精力的に企業との交渉を重ねるとともに、研究開発への支援を行っております。
 また、円滑、迅速な接種に向けて今国会で予防接種法の改正法案を提出しているほか、接種順位の決定や各自治体での体制、機構など準備も進めてまいります。
 少子化対策についてお尋ねがありました。
 少子化の問題は、結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が絡み合って生じておりますが、長年の課題である少子化対策に真っ正面から取り組み、大きく前に進めてまいります。
 例えば、不妊治療への保険適用を早急に実現します。男性が子育てに主体的に参加するための環境整備を進めるとともに、待機児童の問題について、年末までに新たな計画を取りまとめます。こうした対策について、年末に取りまとめ予定の全世代型社会保障検討会議の最終報告の中でトータル的な形をお示しをします。
 あわせて、少子化社会対策大綱に基づき、安定的な財源を確保しつつ、様々な施策を速やかに具体化し実施に移すことで、総合的な少子化対策を推進をしてまいります。
 引きこもり、八〇五〇問題、自殺対策、インターネット上の誹謗中傷対策についてお尋ねがありました。
 引きこもりや八〇五〇問題を含む複合的な課題に対応するため、さきの通常国会で包括的な支援体制を市町村で整備するための法改正を行ったところです。市町村がこれらを積極的に実施できるよう全力で支援してまいります。
 自殺対策については、令和二年度補正予算を活用して、民間団体におけるSNS相談の相談員の増員などの体制強化を図っております。
 特に、女性の自殺者の増加が見られることから、新型コロナウイルスによる女性への影響や課題、自殺者数の動向に関する分析を進めており、その結果も踏まえ、速やかに具体的な対策につなげてまいります。
 インターネット上の誹謗中傷対策については、事業者による自主的な書き込みの削除などを内容とする政策パッケージの推進や人権啓発活動に備え、侮辱罪の法定刑の在り方などについても必要な検討を行ってまいります。
 防災・減災対策についてお尋ねがありました。
 風水害の被害を軽減するため、これまでも省庁の垣根を越えたダムの活用を進めてきましたが、さらに、流域関係者が連携し、遊水地や雨水貯留施設の確保、海抜ゼロメートル地帯での避難体制の構築などに取り組み、水害に強い地域づくりを進めてまいります。
 ドクターヘリについては、御指摘のように、人件費の増額や飛行時間に応じた補助金の設定など、自治体などから御要望があると承知をしており、予算編成過程において必要な対応を行ってまいります。
 脱炭素社会に向けた自治体や経済界への支援についてお尋ねがありました。
 二〇五〇年カーボンニュートラル実現するため、内閣全体でしっかり体制を組み、取り組んでまいります。国と地方で検討を行う新たな場や成長戦略会議でしっかりと検討を行い、あらゆる政策を総動員して、地方自治体や経済界の取組を後押しをします。
 中小事業者に対する支援についてお尋ねがありました。
 経営資源の集約化による事業の再構築やデジタル化を含め、生産性向上に取り組む中小企業を強力に支援するなど、あらゆる政策を総動員してまいります。
 下請取引の適正化については、サプライチェーン全体の共存共栄を目指すパートナーシップ構築宣言を推進するとともに、悪質な事例に対しては下請法に基づく指導など厳正な対応を行ってまいります。
 また、中小企業の経営改善のためのワンストップ窓口であるよろず支援拠点などにおいて、相談員を増員し、金融機関とともに、きめ細かな助言、サポートを行ってまいります。
 科学技術・イノベーション政策についてお尋ねがありました。
 官民が連携し、科学技術を強力に推進できるように次期科学技術・イノベーション基本計画においても、研究開発投資の目標について検討を進めてまいります。
 また、科学技術立国である日本の未来には若手人材育成が重要と認識しており、博士を目指す学生や若手研究者に対する支援策を強力に推進してまいります。
 さらに、ファンドの創設など、世界レベルの研究基盤を構築するための仕組みを実現をし、世界に誇る科学技術で未来を切り開く国を目指してまいります。
 地方のデジタル化についてお尋ねがありました。
 役所に行かずともあらゆる手続ができる。地方にいながら都会と同じような仕事や生活ができる。国民が当たり前に望んでいるサービスを実現をし、デジタル化の利便性を実感できる社会を目指し、地方のデジタル化を推進してまいります。同時に、高齢者の方々も含め、誰でも使いやすいサービスとなるよう丁寧に説明してまいります。
 デジタル庁構想における福島県の位置付けの御提案については、会津若松市における教育・医療分野で住民の情報を同意を得た上で地域全体の住民サービスへの活用の事例など、先行的な自治体の取組に十分配慮してまいります。これらの施策を含めて、省庁の縦割りを打破し、官民のデジタル化を強力に推進する司令塔としてデジタル庁を来年に設立をします。
 観光の復興についてもお尋ねがありました。
 GoToトラベル事業の実施期間については、今後の感染状況、観光需要の回復状況、予算の執行状況等を見つつ検討してまいります。
 観光や公共交通の事業者については、これまで雇用調整助成金や持続化給付金、日本政策投資銀行の危機対応融資の活用などの支援を行っており、今後も必要な事業者にこうした措置が行き渡るように取り組んでまいります。
 また、当面の観光需要を回復させ、観光立国として復活するため、例えば、旅館、ホテルの感染対策や施設の改修支援、観光地の受入れ環境整備、ワーケーションなどの推進のための政策プランを年末までに策定します。
 農林水産物・食品の輸出についてお尋ねがありました。
 今年の輸出額は、年初以来、新型コロナウイルスの影響が出ていましたが、直近は回復傾向にあります。この動きを更に伸ばし、市場が求めるものを作るという発想に立って改革を行っていけば、目標の実現は十分可能であると考えています。
 そのためには、御指摘のとおり、高品質な作品の産地の育成など強みを生かす取組と、定量確保を可能とする産地間連携など弱みを補完する取組を併せて支援していく必要があると思います。こうした点も含め、当面の具体的な戦略を年末までに策定し、早急に実行に移してまいります。
 国際協調と日本の貢献についてお尋ねがありました。
 新型コロナウイルスにより人間の安全保障が脅かされており、国際連携の強化が必要です。SDGs達成も念頭に、保健分野など途上国を支援するとともに、多国間主義を推進していきます。
 世界経済が低迷し、内向き志向も見られる中、率先して自由で公正な経済圏を広げ、多角的自由貿易体制を維持し、強化していきます。日系企業のビジネスの継続性を確保するため、日英の経済連携協定の速やかな締結、発効を目指します。
 核廃絶への決意についてお尋ねがありました。
 我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の取組をリードする使命を有しており、これは我が国の確固たる方針であります。
 政府としては、核軍縮の進展に向け、これまでも立場の異なる国々の橋渡しに努め、相互の関与や対話、共通の基盤の形成に向けた努力を粘り強く促してきており、今後も国際的な議論に積極的に貢献をしていく考えであります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣赤羽一嘉君登壇、拍手〕

#5
○国務大臣(赤羽一嘉君) 山口那津男議員から、気象予報、防災・減災対策などについてお尋ねがございました。
 近年の気候変動により激甚化、頻発化する自然災害から国民の皆様の命と暮らしを守るためには、御指摘のように、国と地方、双方向の地域の防災力強化、向上が必要不可欠でございます。議員御出身の茨城県日立市は、全国の地方自治体が模範とすべき先進事例の一つであります。
 これまで気象庁は、全国の市町村において、気象予報士等を活用し、防災対応の現場で即戦力となる気象防災アドバイザーを育成するための研修を通じて、地方自治体による避難勧告の的確な発令や防災対策の習熟などに取り組んでいるところでございますが、ただいま御提案いただきました地域特有の気象情報に精通した地方気象台OB、OGの活用は、まさに即戦力として地域防災力の向上に寄与できる大変有益な取組であると考えます。
 実は、全国の地方整備局ではOB、OGを防災エキスパートとして組織化し、その技術的な経験を災害現場で発揮していただくことなどで防災・減災対策の大きな戦力となっていただいております。
 本日の御提言を受けまして、また、こうした事例に倣い、国土交通省として、全国の気象台OB、OGから気象防災アドバイザーを任命し、新たな人材ネットワークを構築することで、市町村における地域防災力の向上が一層進むよう取り組んでまいります。
 また、近年、線状降水帯による集中豪雨の被害が数多く発生しており、早期避難を可能とするためには、線状降水帯の予測精度の向上が喫緊の最重要課題でございます。
 線状降水帯の観測・監視体制の強化のため、気象庁の観測船二隻に加え、海上保安庁と連携し、同庁の測量船四隻それぞれに線状降水帯の上流に当たる洋上の水蒸気を正確に把握できる高度な観測機器を搭載するなどの新たな取組を令和三年度概算要求に盛り込んでおります。
 また、特に被害の多い九州地方で、線状降水帯の早期予測のために大学等の研究機関の知見も積極的に活用しつつ、最新のスーパーコンピューター「富岳」等の科学的知見に基づくより高度な解析・予測技術を開発し、実用可能なものから順次導入することにより、予測精度の早期の向上に努め、線状降水帯による豪雨被害を可能な限り未然に防ぐことができるよう、全力で取り組んでまいります。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────

#6
○議長(山東昭子君) 片山虎之助さん。
   〔片山虎之助君登壇、拍手〕

#7
○片山虎之助君 日本維新の会の片山虎之助です。
 私は、我が党を代表して、菅総理に質問いたします。
 菅総理、第九十九代の内閣総理大臣に御就任おめでとうございます。憲政史上最長の第二次安倍政権の官房長官を七年八か月務められ、その上での御就任は誠に御苦労さまですが、国家国民のために引き続きベストを尽くされますようにお願いいたします。
 私ども日本維新の会は、菅政権に対しても前政権と同様、是々非々主義で対してまいります。良い案には賛成、悪い案には反対、反対の際には建設的な提案を示して、修正協議など合意形成に努めます。強行採決や審議拒否にはくみしません。引き続き国会改革には先導的な役割を果たします。我が党独自で行ってきた身を切る改革は今後も続けます。
 総理が就任時に、国民のために早く働きたい、当たり前のことを当たり前にやれるようにしたいと述べられ、所信表明では、行政の縦割り、既得権益、あしき前例主義を打破し、規制改革を進めるとし、携帯電話料金の引下げなど具体的な政策を提示されましたことは、たたき上げの苦労人、令和おじさんというイメージとも呼応して国民の幅広い共感を呼んで、それが高い支持率につながったと考えます。総理、いかがですか。
 政策が各論で分かりやすく、特に負担を軽減する施策は広く国民に歓迎される一方、総論や体系的な発想が少ないという意見があります。いかがですか。
 とりわけ強調される規制改革は是非断行すべきですが、その基本は官の役割を縮小し、民の自由に任せて活力を引き出すことなのに、実際は官が企業活動など民に介入する方向での議論になっていること、また規制改革の実効性を求めるなら法律改正を伴うという指摘があります。どうお答えになりますか。
 さらに、菅新政権は、前安倍政権の継承、発展を図ると表明、閣僚も留任など残留も多く、口の悪い評論家は安倍氏のいない安倍内閣などと評しています。けれども、私には、打ち出す方針、政策はかなり前政権とは違った感じを受けます。何を継承し何を継承しないのか、また、どういう国家を目指し、どういう国際社会の実現を図るのか、もう少し明確にしてほしいと思います。総理、いかがですか。
 大阪では、大阪都構想の是非を問う住民投票が十一月一日に行われます。我が党はこの実現に向けて今まさに全力で取り組んでいます。住民一人一人が大阪の将来を考え、その地方自治の形を自ら決定する、我が国では初めての試みです。これが民主主義と地方分権のあるべき姿です。総理は大都市法制定に当たっては主導的な役割を果たされてきましたが、今後の地方分権、統治機構改革を含めて御感想があればお聞かせください。
 ところで、現憲法は策定時から今日まで七十三年間、当事者であり最終決定権者である国民が参加せず、国民投票も行われませんでした。これは現憲法にとって致命的な欠陥です。総理、どうお考えですか。
 また、私は、最終決定権者である国民に憲法やその改正案について十分な情報と知識を与え、我が国の最高法規である憲法に対する見識を持っていただくことは、発議と併せて国会の重要な任務だと考えます。この点も総理の御所見を伺いたい。
 そして、当面行うべきことは、七国会連続継続審査の国民投票法改正案を早急に成立させ、引き続き各会派の憲法改正案、なければ建設的な議論を国民の前で開陳することです。最大与党である自民党総裁としての御決意をお伺いします。
 政府の目指す新型コロナの拡大防止と経済社会活動の復活の両立は間違いない方向ですし、重症者と死亡者を最小化してきた医療関係者等、皆様の御努力は高く評価します。しかし、総体として感染者数が減らないこと、クラスターが依然数多く発生することに国民は不安を持っています。安心の担保をまず与えること、それがないと経済社会活動にも身が入らないと思いますが、総理、いかがですか。
 次第に経済社会活動のレベルが上がり、人の移動が活発化している一方、秋冬のインフルエンザの流行期を迎えました。ピーク時に一日三十万人の発熱者の発生も予想されています。国民が新型コロナと挟み打ちにならない対策が急がれます。今年はインフルエンザの予防接種の希望者が急増しているようですが、既に実施した予防接種の状況から見て、現時点でのワクチンの供給見込みは十分なのでしょうか。
 新型コロナの検査はPCR検査始め各種ありますが、検査体制は格段に充実されてきました。しかしなお、いつでもどこでも誰でも簡単に安くできるという検査のベストミックスが求められています。専門機関からかかりつけ医まで動員して、これが実現できるように万全を期してほしいと考えますが、いかがですか。
 今後、発熱患者が急増した場合、相談、検査、患者の振り分けなど、様々な業務が増加します。医療体制は、保健所を司令塔に地元医師会や市町村も含めて一元的に処理するシステムでなければ混乱は必至です。そのために人員の増強と法的な根拠が欲しいという意見がありました。総理、いかがですか。
 最前線で新型コロナ患者の治療に当たる医療関係者への中傷や、感染の存在を公表した学校、保育園、事業所等への差別的な言動が散見されます。このようなことがあってはならないことです。総理自ら先頭に立って、差別、偏見を行わないよう、直に国民に訴えていただくことが一番の効果だという関係者の切実な願いを聞きました。総理、いかがですか。
 政府は、来年前半までに全国民に無償で提供できるワクチンの確保を目指し、外国の製薬会社と相当な数量の購入を合意したと報じられています。ワクチンを完成させるには、効果や副作用を見極めるため治験が必要ですが、進捗状況とワクチン完成の見通しはいかがですか。さらには、配分、接種の具体的な時期はどうなりますか。
 政府においては、今回のコロナ対策のため、数次の緊急経済対策を実施してきました。今年度の当初予算に二度の補正予算を加え、事業規模は融資を含め約二百三十四兆円、我が国では過去最大、世界的に見ても最大級です。問題は、この巨額をスピード感を持ちながら適正な執行ができているかどうかです。実際、ちまたには、必要とするお金が届かないと、いつまで待っても、そういう苦情にあふれていますので、お尋ねいたします。この金額のうち、国民、事業者に届いて活用されているのは何%ぐらいですか、お示しください。
 新型コロナの影響で、本年四月から六月の実質GDPは年率マイナス二八・一%と、リーマン・ショックを上回り、戦後最悪の落ち込みとなりました。我が党は、身を切る改革や徹底した行財政改革がない中で行う消費税率の引上げには一貫して反対してきました。しかるに、前政権では二回の引上げがなされ、軽減税率も導入、税率は一〇%となりました。新型コロナに伴う景気の現況に鑑み、消費回復の手段として最も即効性のある消費税をヨーロッパ諸国のように時限的に下げる、すなわち、景気回復するまでの二年間、元の五%に引き下げるとともに軽減税率は廃止する、総理、いかがですか。
 予備費について、さきの通常国会で私は、本年度予算における合計十二兆円もの多額の予備費、特に、第二次補正予算に計上した十兆円は過大過ぎて違憲のおそれがあると指摘しました。まだ七兆円以上の予備費が残っているはずですが、どうですか。今後、コロナ対策等で必要な支出は予備費でなくて第三次補正予算にし、残った予備費はその財源にする、振り替える、そして国会審議を仰ぐのが筋ではないかと考えますが、いかがですか。
 総理は、所信表明で、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出をゼロにすることを宣言されました。方向性は理解できます。しかしながら、その従来の五〇年までに八〇%削減という目標でさえ、現時点で存在しない革新的技術の開発、普及が不可欠と言われており、電力構成のみならず、我が国経済や国民生活に極めて重大な影響を及ぼします。あと三十年で本当に実現できるのか、そのためにはいつまでに何をしなければならないのか、国民に具体的に分かりやすくお示しください。
 総理の目指す携帯電話料金の引下げは賛成です。一世帯当たりの支出額は年間約十・三万円と負担が大きく、引下げができれば個人消費の増加、ひいては景気回復に結び付きます。しかし、言うまでもなく携帯電話料金は政府でなく事業者が決めるものです。これまでも政府は料金引下げを視野に競争促進に向けた様々な取組をしてまいりましたが、それでも実質はそれほど下がりません。何が原因なのか。
 現在の改革案は、伝えられるところによると、料金、サービスを分かりやすくし、公正な競争を更に促進し、他社への乗換えを簡単にすることを目指していますが、これで下げる効果がどのくらいあるのでしょうか、不明です。とすれば、電波利用料の見直しや独禁法改正までを視野に入れるお考えなのでしょうか、所見を伺います。
 総理は、デジタル庁の創設にも強い意欲を表明されています。行政のデジタル化という基本的な方向には賛成です。しかし、デジタル技術活用の主体や分野は多岐にわたっており、個人情報保護の問題もあります。まず組織ありきの議論は、往々、屋上屋を架し、関連の役所をもう一つ増やすだけに、今までと同じ効果になるおそれがあります。なぜ長年同じことが指摘されながらうまくいかなかったのか、その解明を十分して要因を排除し、断固として実現していただきたい。
 また、国、自治体のシステムの標準・統一化も、言うはやすく行うは難しです。簡単でない。特に、自治体には法律による義務付けを考えなければ実効が上がらないと考えますが、いかがですか。
 本年は、安保改定六十周年という節目の年です。その安保条約は、我が国の外交・安全保障の基軸である日米同盟をつなぐ根幹です。それゆえ日米同盟の今後を考え、できるだけ日米安保の非対称性は薄めるべきだというのが私の持論です。
 具体的には、日米同盟は堅持しつつ、国民の同意の下に、なだらかに自立・共同防衛の道を模索していくことです。そのためには、防衛費をGDP一%以内に収めるという慣例にこだわったり、秋田、山口両県へのイージス・アショア配備計画が停止され、代替案を検討する際に、強い抑止効果を持つ敵基地攻撃能力は全く考慮にしないとかはやめた方がよいと思います。
 情勢に応じて柔軟に検討し、国民の同意を得ながら次第に非対称性を薄めていく、この努力が肝要だと考えますが、いかがですか。
 我が国の外交・安全保障の当面の課題は、米国とともに自由で開かれたインド太平洋を実現させること、あわせて、中国は最も重要な隣国としてこれまでどおり戦略的互恵関係を積み上げていくことです。
 現在、米中対立が世界的規模でエスカレートして、今や米国は中国を異質と見切り、デカップリング政策に大きくかじを切ったとも言われています。両国の対立が武力衝突など決定的にならないためにも有力な第三国の調整が必要で、我が国にそれを期待する向きがあるようです。しかし、これは両国間をうまく立ち回るだけでは済まない。果たしてそれをやれるだけの、我が国に、人間に例えれば知力、体力、気力があるのか、総理の所見を伺います。
 また、我が国では、このような国際情勢の中、特に中国を念頭に経済安保強化論が台頭しています。考え方は十分納得できますので、早い対応の方が良い。総理の御所見をお伺いします。
 尖閣諸島周辺では中国公船の領海侵入が常態化し、日本漁船が操業中に追尾される等、どちらが主権国か分からない状態が発生しています。中国側はこれを既成事実化し、国際的に認知させたい意図があるという臆測まで出ています。この対策として、我が国の実効的支配を内外に明確にするため、かねてから尖閣諸島には灯台や無線局、避難港を建設、管理する話もあり、最近では生物多様性条約にのっとった海洋保護区を設定、差し当たりそのための調査や準備を行う、また、この海域で日米が共同の演習や訓練を定例化する等の提案もあります。総理、どうお考えですか。
 総理も、九月の国連総会で東京オリンピック・パラリンピックを来年夏に開催すると表明され、国内でも準備の加速を指示されています。私も開催を強く希望しつつ、何点かお伺いします。
 第一に、海外からの選手約一万人の入国時の検査、入国後の行動管理はどうしますか。
 二つ、全国五百以上の自治体がホストタウンになるとのことですが、計画どおり実施となりますか。国の支援はどうしますか。
 三、観客の人数制限はどのようになりますか。その場合、販売済みの四百四十八万枚のチケットの払戻しはどうなりますか。
 四、開催延期やコロナ対策に伴う経費の増加は幾らですか。節減三百億円、IOCの支援七百億円と言われておりますが、これでは足りないと思います。どうですか。この場合の赤字は誰の負担ですか。
 五、ロシア政府機関の我が国へのサイバー攻撃を、先日、英国政府が発表しました。事実の確認とそれへの対応、今後のサイバーテロ対策はどうなっていますか。
 二〇二五年「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに大阪・関西万博が開催されます。現在のパンデミックを見るとき、今後、世界が健康長寿に大いなる関心を寄せてくることは自明ですし、自動化と顔認証による先端技術を万博において実現できれば、未来社会における日本の役割の重要さを世界中に認識させることになります。また、国内的にはこの万博を大阪、関西だけでなく、名実共にオールジャパンの万博にすることが私どもの悲願です。
 さて、菅内閣では、経済産業大臣兼任ではない国際博覧会担当大臣が置かれました。これは歓迎しますが、なぜこのタイミングでこの任命なのでしょうか。
 さらに、新型コロナの影響で今年予定されたドバイ万博は延期となりました。大阪・関西万博への影響をどのように見ておられますか。
 終わりに、我が党は、新型コロナ禍の国難が続く中にあって、国民の健康と生活を守り、経済社会活動を回復させることを最優先としながら、大阪都構想実現など新しい時代を切り開く維新改革を成し遂げるため、引き続き邁進することをお約束して、私の代表質問といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕

#8
○内閣総理大臣(菅義偉君) 片山虎之助議員にお答えをいたします。
 規制改革と支持率についてお尋ねがありました。
 規制改革については、行政の縦割りや既得権、あしき前例主義を打ち破って、内閣を挙げて全力で取り組んでいきます。
 特に、オンライン診療・服薬指導、オンライン教育などのデジタル化時代における規制改革や携帯電話料金の引下げも含め、具体的な政策を速やかに実現してまいります。
 支持率については、官房長官時代から申し上げておりますように、毎回の支持率には一喜一憂しないことにしております。これからも国民の皆様の声を謙虚に受け止め、一つ一つの課題に取り組むことで国民のために働く内閣として期待にお応えをしていきたいと思います。
 政策の承継、規制改革、目指す国家像、国際社会の姿などについてお尋ねがありました。
 菅政権では、内政、外交にわたり安倍政権を継承しつつ、更なる改革を進めてまいります。まずは、感染対策と両立させる経済を回復をさせ、これまでのアベノミクスは継承し、さらにグリーン社会の実現、デジタル化などに取り組みます。
 外交においては、厳しい安全保障環境の中、国民の命と平和な暮らしを守り抜いてまいります。
 拉致問題は、菅政権においても最重要課題であり、全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現に向け、全力を尽くします。
 日米同盟を基軸としつつ、自由で開かれたインド太平洋の実現を戦略的に推進するとともに、近隣国との安定的な関係を築いてまいります。
 同時に、新型コロナウイルスにより人間の安全保障が脅かされ、国際連携の強化が一層求められる中、国際社会において多国間主義を推進をします。
 こうした政策を進めるに当たり、私が常に念頭に置いているのは、やるべきことをスピード感を持って実行し、結果を出すことです。規制改革に当たっては、法律改正のみならず様々な手法を組み合わせながら、携帯電話の引下げを始めとしてできるものから改革を進め、国民の皆様に成果を実感いただきたいと思います。
 私の目指す社会像というのは、自助、共助、公助、そして絆です。片山代表に御紹介いただいた意見も受け止めながら、これからも国民のために何が当たり前なのかをしっかりと見極めた上で、行政の縦割り、既得権益、あしき前例主義打ち破って大胆に決断し、実行に移してまいります。
 地方分権改革についてお尋ねがありました。
 いわゆる大阪都構想は、議員立法として成立した大都市地域特別区設置法に基づくものであり、大阪市を廃止して特別区を設置することにより、二重行政の解消と住民自治の拡充を図ろうとする大都市制度の大きな改革であると認識しています。本件は、法律上、地域の判断に委ねられているものであり、大阪市民の皆さんが構想の趣旨と内容を十分に理解をしていただいた上で判断されるべきものと考えます。
 また、地方分権改革は、地域が自らの発想と創意工夫により課題解決を図るための基盤となるものであり、今後とも地方の考えを重視しながら着実に進めてまいります。
 憲法改正についてお尋ねがありました。
 日本維新の会が憲法改正について具体的な考え方を示し、憲法審査会において建設的な議論を呼びかけておられることにまずもって敬意を表したいと思います。
 憲法改正については、国会でお決めいただくことであり、内閣総理大臣としてお答えすることは差し控えさせていただきますが、その上で、お尋ねでありますのであえて申し上げれば、憲法改正は、国会が発議し、最終的には国民投票により主権者である国民の皆様が決めるものであります。それゆえ、憲法審査会において憲法改正についての議論を重ね、国民の皆さんの理解を求めていくことが私たち国会議員の責任ではないかと考えております。
 まずは、憲法審査会において、国民投票法改正も含め、与野党の枠を超えて建設的な議論を行っていただきたいと思います。
 感染拡大防止と社会経済活動の両立についてお尋ねがありました。
 新型コロナウイルスの爆発的な感染は絶対に防ぎ、国民の命と健康を守ります。その上で、社会経済活動を再開して経済を回復をしていくというのが基本方針です。
 このため、早急に今後の感染拡大に備えた対策を講じるべく、これまでの経験や科学的知見も踏まえ、クラスター発生時には国から専門家によるチームを派遣するとともに、大規模、集中的な検査実施による感染の封じ込め、感染拡大時における保健所支援のための広域調整や関係団体による専門人材等の応援派遣、季節性インフルエンザとの同時流行も見据えた検査・医療提供体制の整備などについて、地方自治体共に密接に連携し、国が主導して万全の準備、対応を講じております。
 インフルエンザワクチンの供給見込みと検査体制の拡充についてお尋ねがありました。
 今シーズンのインフルエンザワクチンについては、昨年の消費量よりも一八%多い大人六千六百万人分に相当する本数が供給される見込みとなっており、ワクチンを必要とする方が接種できるよう、引き続きその安定供給に取り組んでまいります。
 また、この冬の流行期に備え、地域の医療機関で一日平均二十万件の検査能力の確保に向けて検査キットの増産を要請をするとともに、発熱患者等を対象とした外来体制を取る医療機関への補助などを行うなど、地域における診療体制、検査体制の整備に向けて準備を進めております。
 発熱患者が急増した場合の医療体制についてお尋ねがありました。
 この冬の季節性インフルエンザの流行期に備え、検査キットの増産を要請するとともに、地域における診療体制、検査体制に向けて今準備を進めています。
 また、保健所は、地域における新型コロナウイルスの対策の拠点として、相談への対応、検査、医療機関の調整など、大変重要な役割を担っていただいております。
 こうした保健所の体制強化を図るため、自治体において保健所への人的、物的支援を行える体制を整えるとともに、関係団体などの協力を得ながら、専門人材などを広域的な応援派遣を行う体制を構築をいたしております。
 なお、様々な法的論点については、全体の法体系との整合性を図るとともに、幅広い御意見も伺った上で、必要なものについては速やかに検討を進めてまいります。
 新型コロナウイルス感染症に関連する偏見、差別への対策についてお尋ねがありました。
 ウイルスとの闘いの最前線に立ち続け、我々の命と健康をこの感染症から守るべく努力をしていただいている医療従事者の皆さんなどへの中傷や差別は絶対に許されるものではありません。
 このため、これまでも政府広報において、テレビスポットコマーシャル、医療従事者を始めとする関係者への人権上の配慮を呼びかけるなど、不当な差別や偏見を防止する取組を実施してまいりました。
 また、法務省において、ホームページやSNS等を通じた呼びかけや人権相談などの取組を行っているほか、文部科学省においても、差別・偏見防止のための啓発動画の作成、周知など、様々な取組を行っております。
 さらに、分科会の下にワーキンググループを設置し、今後の取組の在り方について専門家の御議論をいただいているところであり、その結果を踏まえ、更なる対応を講じてまいります。
 新型コロナウイルスワクチンの開発見通しと配分、接種時期についてお尋ねがありました。
 ワクチンについては、国内外において治験が複数進められており、既に大規模に投与する第三相の試験を行っているものもありますが、具体的な開発などの時期については、予断を持ってコメントすることは差し控えたいと思います。
 政府としては、安全性、有効性の確認を最優先に、来年前半までに全ての国民に提供できる数量の確保を図るべく、国内外問わず精力的に企業との交渉を重ねるとともに、研究開発への支援を行っております。
 ワクチンが開発された際には速やかに接種が実現できるように、今、国会で予防接種法の改正法案を提出しているほか、接種順位の決定や各自治体の体制構築などの準備も進めております。
 緊急経済対策の執行状況についてお尋ねがありました。
 新型コロナウイルスの影響により経済が戦後最大の落ち込みを記録する中で、事業規模約二百三十兆円を超える対策を講じてまいりました。
 コロナ禍でも国民や事業者の皆様方に現金を手当てする政策について申し上げれば、十万円の特別定額給付金についてはほぼ全額の十二兆七千億円を給付、最大二百万円の持続化給付金や日額上限一万五千円の雇用調整助成金は、当初の予算額を超えるそれぞれ四兆八千億円、一兆九千億円を支給決定をいたしております。引き続き必要な支援が行き渡るように取り組んでまいります。
 消費税率の引下げについてお尋ねがありました。
 新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少した事業者については消費税等の納税猶予の特例を行っておりますが、消費税については、社会保障制度のために必要な財源と考えております。
 新型コロナウイルス感染症対策予備費についてお尋ねがありました。
 令和二年度第二次補正予算における十兆円のコロナ予備費は、新型コロナウイルスへの対応が長期戦となることを見据え、状況の変化に応じて臨機応変に、かつ時機を逸することなく対応する必要があることから計上したものです。
 コロナ予備費については、検査体制の抜本的な拡充、医療提供体制の確保などの経費や、持続化給付金や雇用調整助成金の特例措置など、不足を生じた経費に措置をしております。
 今後も、残された約七兆三千億円のコロナ予備費を適時適切に用い、新型コロナウイルス感染症への対応を万全を期してまいります。さらに、内外の経済動向を注視しながら、ちゅうちょなく必要な対策を講じてまいります。
 温室効果ガス排出ゼロに向けた取組についてお尋ねがありました。
 二〇五〇年カーボンニュートラルを実現するため、内閣全体でしっかり体制を組み、取り組みます。今後、具体的な方策について、成長戦略会議や国と地方で検討を行う新たな場、こうした場所で集中的に検討を行ってまいります。
 また、革新的技術の開発、普及については、産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長につながるという発想の転換を進め、次世代型太陽電池、カーボンリサイクル、水素を始めとした革新的なイノベーションを推進し、経済と環境の好循環をつくり出します。
 携帯電話料金の引下げについてお尋ねがありました。
 事業者間の公正な競争が働く仕組みを整備することが大切です。昨年、電気通信事業法を改正するなど、改革を進めてまいりました。この結果、これまでも大手三社において三割程度の引下げが行われるなど、一定の成果が出ています。
 先般、総務省がアクションプランを公表しました。これを受けて、直近では、二年前と比較して五割以上低廉な大容量の料金プランが新たに出てくる動きがあると承知しています。
 現時点では、携帯料金引下げのために電波利用料の見直しや独占禁止法の改正を行うことはしていませんが、引き続き公正な競争環境の整備を通じて料金の低廉化に努めてまいります。
 デジタル庁と行政のデジタル化についてお尋ねがありました。
 行政機関の縦割り、自治体ごとに独自のシステムを調達してきたことなどにより、国、地方一体となったデジタル化が遅れてきたと考えています。これらの課題を抜本的に解決するため、行政の縦割りを打破し、大胆に規制改革を断行するための突破口として、デジタル庁を設置します。
 国、自治体のシステムの統一・標準化により、国、地方を通じたデジタル化の基盤を構築し、国民がデジタル化の利便性を実感できる社会を実現をいたします。同時に、高齢者の方々も含め誰でも使いやすいサービスになるよう丁寧に説明をしてまいります。特に、自治体のシステムについては、今後五年での統一・標準化の実現を目指し、法制化も含め検討します。
 日米同盟と我が国の防衛の在り方についてお尋ねがありました。
 日米同盟の抑止力と対処力を一層強化するためには、自らの努力により、自らを守る体制を抜本的に強化し、果たし得る役割の拡大を図っていくことが必要であると考えています。防衛費については、防衛力の質、量を十分に確保するために必要な経費を確保してまいります。
 また、先月公表の総理談話を踏まえ、イージス・アショアの代替策に加えて、抑止力を強化するため、ミサイル阻止に関する安全保障政策の新たな方針について検討しているところです。
 米中関係及び経済分野における安全保障についてお尋ねがありました。
 新型コロナが世界に拡大する中、米国と中国が安定的な関係を構築していくことは、我が国の国益に沿うのみならず、国際社会の平和と安定の観点からも重要です。
 そのような観点から、日本としては、同盟国たる米国との緊密な協力をしつつ、中国との安定的な関係を築き、中国が大国として責任を果たしていくよう、様々な方策やアプローチを駆使して働きかけを行っていきます。
 その上で、革新的技術が出現し、安全保障と経済を横断する領域で様々な課題が顕在化している中、経済成長と安全保障の確保を両立していくため、国家安全保障局を中心に政府一丸となって、俯瞰的、戦略的な対応をしっかり行っていく考えであります。
 尖閣諸島についてお尋ねがありました。
 歴史的にも国際法上も尖閣諸島は我が国固有の領土であり、現に我が国は、これを有効支配しております。
 尖閣諸島及び周辺海域を安定的に維持管理するための具体的な方策については様々な選択肢がありますが、実際にどのような方策を取るかについては、戦略的な観点から判断していくものと考えます。
 いずれにせよ、今後とも、国民の生命、財産及び我が国の領土、領海、領空を断固として守るという方針の下、冷静かつ毅然と対応していきます。
 東京大会の選手の入国やホストタウンについてお尋ねがありました。
 東京大会における感染症対策については、各省庁、東京都、大会組織委員会による調整会議において議論を進めているところです。海外選手の入国については、調整会議において検査や行動管理を含め具体的な検討を進め、年内に中間整理を行う予定です。
 ホストタウンについては、現在五百七の自治体が登録されておりますが、来年の大会に向けて海外の選手を受け入れる準備を進めており、政府として感染症対策などについて必要な支援を行ってまいります。
 東京大会の観客やチケット、追加経費についてお尋ねがありました。
 観客の在り方については、各省庁、東京都、大会組織委員会による調整会議において今後議論が進められ、チケットの取扱いについても、大会組織委員会において議論されるものと承知しています。また、東京大会の延期に伴う追加的経費については、大会組織委員会や東京都を中心に、その内容の精査が進められていると承知をしております。
 東京オリンピック・パラリンピック競技大会におけるサイバーテロ対策についてのお尋ねがありました。
 本年十月十九日のイギリス政府発表については承知しております。重大な関心を持って情報収集、分析に努めています。
 政府としては、大会のサイバーセキュリティーの確保に向けて、国内外の関係機関などとの情報共有を進めつつ、最新の脅威動向を踏まえた対策を官民一体となってしっかりと推進していきます。
 国際博覧会担当大臣が設置されたタイミングと理由についてお尋ねがありました。
 二〇二五年に開催する大阪・関西万博は、開催期間六か月、来場者数二千八百万人を想定する大イベントであり、国としてしっかり実施していく必要があると思います。
 特に、国際的な調整、セキュリティー対策などにおいて、政府として責任を持って対応する必要があります。年内に見込まれる国際機関の登録承認後、直ちに参加招請を開始する必要がある、こうしたことを踏まえ、今回の組閣において国際博覧会担当大臣を新設したものです。
 ドバイ万博延期の大阪・関西万博への影響についてお尋ねがありました。
 ドバイ万博の延期により、直ちに大阪・関西万博に影響があるとは考えておりませんが、ドバイ万博が終了してからの期間が短くなることで参加国の準備に支障が出ないように、各国への参加招請活動にしっかり取り組んでまいります。(拍手)

#9
○議長(山東昭子君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時三十三分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開議

#10
○副議長(小川敏夫君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。小林正夫君。
   〔小林正夫君登壇、拍手〕

#11
○小林正夫君 国民民主党・新緑風会の小林正夫です。
 私は、会派を代表して、菅内閣の所信表明に対して、総理大臣並びに関係大臣に質問いたします。
 私たち国民民主党は、幅広い国民の思いを実現する現実的な政策提案型の改革中道路線を歩むものであります。真に国民のためになるべく、様々な課題に対し正面から議論をしてまいります。この姿勢こそが今の政治に求められている役割であると申し上げ、質問に入ります。
 菅総理大臣の政権運営の在り方についてお伺いいたします。
 菅総理は、就任後初めての記者会見で、自分の使命は安倍政権の取組を継承して前に進めていくことであるとの決意を示しておられます。
 安倍前総理は、二〇一二年十二月の第二次安倍内閣発足以来、アベノミクスを掲げ、経済再生とデフレ脱却に取り組んでこられました。戦後二番目の長さと言われる景気回復に支えられ、三本の矢を始め女性活躍、働き方改革、地方創生、新三本の矢、一億総活躍、人づくり革命、全世代型社会保障など、多くの施策を繰り広げてこられました。確かにこの間、株価は上昇し、完全失業率も低下してまいりました。しかし、安倍前総理が取り組もうとしたこれらの政策は、それぞれが実現したと言えるのでしょうか。
 立て続けに打ち出すキャッチコピーは勇ましく、取り組んでいる感があるものの、どれもが掛け声倒れに終わっているのではありませんか。また、内閣府が七月に公表した年央試算は、二〇二〇年度の実質GDP成長率はマイナス四・五%の見通しです。この見通しを達成するのでさえ、かなり厳しいのではありませんか。そのような中で、総理に、具体的に安倍政権の何を引き継ぎ、どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
 国会での議論を避ける、国民への説明責任を果たさないという安倍前総理の姿勢を継承するということはあり得ないと思います。政権運営の在り方について、総理の御所見を伺います。
 あわせて、伺います。
 日本学術会議の会員候補六人に対する任命拒否の理由は明らかにすべきであり、国民への説明責任を果たしていません。任命拒否の理由は何ですか。明快にお答えください。
 憲法は、国家像を示す大切な規範です。一九四七年五月三日に日本国憲法が施行されました。戦後から高度成長を経て、今は新型コロナウイルス感染で新たな日常を模索する時代にあり、大きく社会が変化をしています。私は、憲法の施行と同じ年の五月に生まれ、今年七十三歳になり、社会の変化を実感しています。
 私たちの生活は、科学、技術の進歩とともに未来に続いていきます。国民民主党は、大切な理念を守りつつ、未来志向の憲法について議論することは必要だと考えています。安倍路線の継承を公言する総理ですが、憲法論議についても、自身で改憲提案をするなど、総理として極めて前のめりだった安倍路線を継承するのでしょうか。総理の憲法改正に対する基本姿勢について伺います。
 これまで、与野党超えて賛成の声が多いのにもかかわらず、国会での論議が進んでいない選択的夫婦別姓について伺います。
 私たちは、以前から選択的夫婦別姓を導入する民法改正案を提出し続けており、先日十月二十一日には男女共同参画担当大臣を訪れ、選択的夫婦別姓制度の実現に向け要請を行いました。最近では、自民党内でも議論する作業チームが設置されると伺っています。少子化対策、人権面、女性活躍、子供の教育面、様々なところで問題が生じている現状を捉え、速やかに民法改正に向けて動き出すべきと考えます。総理の御所見を伺います。
 総理は、行政の縦割りの打破や不妊治療の保険適用の拡大の検討、携帯電話料金の引下げの検討を指示するなど、相次いで新しい施策を打ち出し、国民のために働く内閣と自負しています。一つ一つの施策は示されるのですが、総理の国家観、我が国をどのような国にしたいのか、総理がどのような社会を実現したいのかが見えてまいりません。
 私たち国民民主党は、人への投資を重視して、公正な再配分によって理不尽な格差をなくす社会を目指しています。総理は、自助、共助、公助、そして絆が国の基本であると語っておられます。まず自分で頑張りなさい、そして、共に助け合ってください、それが難しければ公が助けますよというのが総理の目指す国家像なのでしょうか。総理は、国はどうあるべきと考えているのですか。いかなる社会にしていきたいのですか。御所見をお伺いします。
 経済対策についてお聞きします。
 安倍前総理は、金融政策、財政政策、成長戦略を三本の矢とするアベノミクスを進めてこられました。しかし、第三の矢である成長戦略は十分成果が現れていないのではないでしょうか。これからコロナと共存していく中で、総理はどのような方針を持って経済政策を行っていかれるのでしょうか。経済政策の方向性と基本的考え方についてお伺いいたします。
 新型コロナウイルスのために冷え込んだ消費需要を喚起するため、七月に政府のGoToトラベル事業が始まりました。また、外食産業の需要を喚起するためGoToイート事業も始まりました。
 こうした事業によって観光地に人が戻り、閑散としていた飲食店もにぎわいを徐々に取り戻していますが、その一方で、人の動きが活発になって、日々多数の新規感染者数が報告されています。GoToトラベルでは事業の恩恵が、高い価格の宿泊施設事業者に偏っていることなども指摘され、経済効果を評価する一方で、感染予防や公平性の観点からも多くの問題が指摘されています。
 総理にお伺いします。
 GoToキャンペーン事業による経済の活性化、消費の喚起と感染拡大の防止は、これまでうまくいっているとお考えですか、御認識をお聞かせください。また、人の動きや人と人との接触が拡大していく中で、感染拡大をどうやって抑え込んでいくのでしょうか、併せて伺います。
 企業活動が停滞して、多くの企業が売上げの減少、資金繰りに苦しんでいます。特に、その影響は中小企業に対して強く出ています。日銀短観によると、中小企業の資金繰り判断は、昨年十二月調査のプラス一一が今年六月調査ではマイナス一と、急速に悪化しています。足下の九月の調査ではプラス二と下げ止まりの動きを見せていますが、今後のウイルス感染の状況によっては予断を許しません。
 企業の資金繰りを下支えしてきた持続化給付金や家賃支援給付金等の資金繰り支援策が今後も切れ目なく実施されることが期待されています。企業の資金繰り支援は今後、どのように行われるのか、総理のお考えをお聞きします。
 あわせて、財源として新型コロナウイルス感染症対策予備費で対応し切れるのか、第三次補正予算の編成が必要になってくるのか、見通しについてもお答えください。
 厳しい経営状況にある中小企業は、持続化給付金などによって当面の応急措置は施されています。しかしながら、新型コロナウイルスの収束はいまだ見通せず、将来に対する不安が払拭できていないのが実態です。
 こうした中で、総理は、中小企業の統合再編を促す考えを明らかにされております。中小企業の経営体質を強化するためには、コロナ後の新しい生活様式に対応したビジネスモデルの開発や、新たな業態に挑戦する支援が求められています。アフターコロナに向けて、中小企業の統合再編を通した生産性の向上や技術開発、人材育成、能力開発などに対してどのような施策を実施し、企業の持つ資金や人材などの資源を配分していくお考えか、総理に伺います。
 新型コロナウイルス対策について伺います。
 新型コロナウイルスの拡大によって、医療提供体制に問題が生じています。感染症患者の受入れ可能なベッド数が限界に近づく医療機関が増え、医師や看護師などの医療従事者は極度の緊張の中で不眠不休の対応を迫られ、その状況は今日も続いています。
 一般入院患者の受入れ制限や感染を懸念する受診者の減少など、コロナ治療で頑張れば頑張るほど病院の経営が悪化し、労働条件が切り下げられるなど、医療機関の経営と働く環境は厳しい状況に置かれています。新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金や新型コロナウイルス感染症対策予備費も活用されていますが、十分な医療提供が行われにくくなっている現状があります。
 診療報酬の見直しや補助金の拡充などが行われていますが、これで十分との認識でしょうか。地域医療を守り、適切な医療提供体制を維持していくためにどのような政策を展開していかれるのか、総理にお伺いします。
 世界各国でコロナウイルスのワクチン開発が進められています。ワクチンについて、総理は、所信表明で、安全性、有効性の確認を最優先に、来年前半までに全ての国民に提供できる数量を確保し、高齢者、基礎疾患のある方々、医療従事者を優先して、無料で接種できるようにしますと述べられました。しかし、ワクチンが実用化されても、安全性への疑問や健康被害等を心配し、接種をためらう人がいると言われています。いかにして国民に安心してワクチン接種をしてもらうようにするのか、総理のお考えをお聞きします。
 十月から、ビジネス上必要な人材や留学生等について外国人の入国制限が緩和され、今後も徐々に入国制限の緩和を進めていく方針と伺っていますが、ヨーロッパ諸国においては感染が再拡大しています。海外との人の移動の拡大が我が国の感染拡大につながらないようにどのような施策を講じるお考えですか、総理にお聞きします。
 雇用、労働政策についてお聞きいたします。
 新型コロナウイルスの影響で解雇や契約更新されない雇い止めなどで仕事を失った人は、厚生労働省の調べによると、全国で六万六千人を超えています。実際にはもっと多いとも言われています。
 企業の業績が悪化する中で雇用を下支えするために、雇用調整助成金の助成率引上げや助成対象の拡大という特例措置がとられています。これらの措置は年末までの時限的なものとされていますが、八月の完全失業率が三年三か月ぶりに三%台に上昇するなど、足下で雇用の悪化が顕著となっており、特例措置の延長が必要と考えます。
 景気の本格的な回復が見通せない中で特例措置を打ち切ることは、雇用の切捨て、失業の大幅な増加につながることが懸念されます。雇用を守るため、政府は今後いかなる対応を取っていくのか、総理の御所見をお伺いいたします。
 新型コロナウイルス感染症の拡大で非正規労働者の雇用環境が悪化し、非正規労働者の方の数は、本年三月以降六か月連続で前年を下回り、八月には昨年に比べて百二十万人も減少しています。
 雇用調整助成金の非正規雇用者への支援、給付対象の拡大など施策も講じられていますが、コロナ感染の先行きが見通せない中で、非正規の方々の不安は募るばかりです。不安定な立場に置かれている非正規労働者の雇用環境の改善は喫緊の課題です。同一労働同一賃金の実効性を確保し、安心して働ける環境を整備するように一層の取組が必要と考えます。総理の御所見を伺います。
 新型コロナウイルスは、私たちの働き方にも大きな影響を及ぼしています。
 三密を避け、通勤時の感染のリスクを減らすために、多くの企業が在宅勤務やテレワークの実施に踏み切りました。その経験は、住むところと事業所が遠く離れていても業務ができることにつながり、一部では単身赴任が解消されるなど、働き方が大きく変わってきています。他方、職場を離れることができない職種もあります。
 政府は、働き方改革を進めていますが、コロナ禍が続く中で、また、人工知能や膨大なデータを収集する技術の活用で人が働く場を失うと心配する声もある中で、我が国はどのような働き方を目指すのか、総理の御所見を伺います。
 労働安全衛生法第二十三条の中では、事業者は、労働者を就業させる建設物その他の作業場について、換気、採光、照明などについて必要な措置を講じなければならないとしています。在宅勤務やテレワークが拡大されていますが、作業する場所は果たしてこの労働安全衛生法第二十三条が守られているのでしょうか。環境が整わない中で作業を行っている人も多いのではないかと心配します。
 厚生労働大臣の御認識と、法に示された環境の確保にどう取り組むのか、厚生労働大臣にお聞きします。
 私は、国力の源は労働にありと考えています。労働災害が起きない作業環境をつくることが何よりも大事です。
 昨年は労働災害で亡くなった人が八百四十五人で、一昨年より六十四人減少しましたが、この五年間で四千五百人以上が尊い命を失っており、一日当たり二人から三人亡くなっています。
 政府が率先して、安全は、命は全てに優先する視点で労働災害の防止対策を講じることが喫緊の課題であると厚生労働大臣と共有できるか、伺います。
 現在、様々な企業で人工知能や膨大なデータを収集する技術を使って労働災害を未然に防ぐシステムや機器が開発されています。国として、開発側の企業と導入側の事業者に支援をして、踏み込んだ労働災害防止対策を進める施策もあると思います。
 厚生労働大臣に、労働災害撲滅に取り組む決意を伺います。
 エネルギーの安全保障についてお聞きします。
 天然資源に乏しい我が国のエネルギー自給率は、二〇一八年度、一一・八%です。命や生活や産業を維持していくために、エネルギーの安全保障は極めて大事です。
 十月十三日に、総合資源エネルギー調査会において、エネルギー基本計画の見直し論議が始まりました。総理は、所信表明の中で、安定的なエネルギー供給を確立しますと述べられました。更なる文化的生活や第五世代移動通信システム、電気自動車の普及等を目指す社会は、質の高い電力の安定した供給がなければ成り立ちません。
 総理は、電源構成のベストミックスはどうあるべきとお考えですか、お聞きいたします。
 経済産業大臣には、エネルギー基本計画の見直しに対する姿勢をお伺いします。
 国民民主党は、改革中道の立ち位置で、現実的な政策に取り組み、提案型の政党として頑張ることを申し上げ、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕

#12
○内閣総理大臣(菅義偉君) アベノミクスの成果と継承についてお尋ねがありました。
 政権交代以来、経済最優先でアベノミクスに取り組んできており、雇用者数が約四百万人増え、地方の公示地価が昨年二十七年ぶりに上昇するなど、大きな成果を上げたと考えています。また、働き方改革により時間外労働の上限規制を導入し、全世代型社会保障改革によって幼児教育や大学の無償化を進めることもできました。さらに、女性活躍推進法を制定し、各企業に女性採用、登用等の計画策定を求めています。こうした取組を継承し、改革を更に進めます。さらに、グリーン社会の実現とデジタル化によって経済社会を大きく変革し、経済成長を実現します。
 一つ一つの改革を進めるに当たっては、国民の声に真摯に耳を傾けて、政府としての考え方を丁寧に説明してまいります。
 日本学術会議についてお尋ねがありました。
 私が日本学術会議について申し上げてきたのは、まず、年間十億円の予算を使って活動している政府の機関であり、任命された会員は公務員となるので、国民に理解される存在であるべきということです。
 個々人の任命の理由については、人事に関することであり、お答えを差し控えますが、任命を行う際には、総合的、俯瞰的な活動、すなわち専門分野の枠にとらわれない広い視野に立ってバランスの取れた活動を行い、国の予算を投じる機関として国民に理解される存在であるべきだということ、更に言えば、例えば、民間出身者や若手が少なく、出身や大学にも偏りが見られることも踏まえて、多様性が大事だということを念頭に、私が任命権者として判断をいたしました。
 なお、この総合的、俯瞰的な活動が求められること、産業人、若手研究者、地方在住者など多様な会員を選出すべきことについては、総合科学技術会議から日本学術会議の組織や会員の選出方法について意見具申があったのも事実です。
 憲法改正についてお尋ねがありました。
 国民民主党が憲法改正について議論を呼びかけておられることにまずもって敬意を表したいと思います。
 憲法改正については、国会でお決めいただくことであり、内閣総理大臣としてお答えすることは差し控えさせていただきますが、その上で、お尋ねですのであえて申し上げます。
 憲法改正は、国会が発議し、最終的には国民投票により主権者である国民の皆さんが決めるものです。それゆえ、安倍前内閣総理大臣と同様に、憲法審査会において憲法改正についての議論を重ね、国民の皆さんの理解を深めていくことが私たち国会議員の責任ではないかと考えております。
 まずは、憲法審査会において、与野党の枠を超えて建設的な議論を行っていただきたいと思います。
 選択的夫婦別氏制度についてお尋ねがありました。
 夫婦の氏の問題は、我が国の家族の在り方に深く関わる事柄であり、国民の間に様々な意見があることから、引き続き国民各層の意見を幅広く聞くとともに、国会における議論の動向を注視しながら対応を検討してまいります。
 私の目指す国家像についてお尋ねがありました。
 私は、まず自分でできることは自分でやってみる、そういう国民の皆さんの創意工夫を大事にしていきたいと思います。そして、家族、地域でお互いに助け合う、その上で、最後は国が守ってくれるんだ、セーフティーネットがしっかりあるんだという信頼が大事だと思います。
 新型コロナウイルスの爆発的な感染を絶対に防ぎ、国民の命と健康を守り抜きます。そして、雇用を守り、事業を継続し、経済を回復するために、公助たる政府としてしっかりと責任を果たしたいと思います。
 また、グリーン社会とデジタル化を自ら主導し、経済社会を大きく変革させ、世界の中でも安全、安心の魅力ある国づくりをしていきたいと思います。
 また、日米同盟を基軸としつつ、国益を守り抜く、積極的かつ戦略的な外交を展開してまいります。
 成長戦略の成果についてお尋ねがありました。
 政権交代以来、いわゆる第三の矢として成長戦略を掲げてきましたが、特に、観光や農業改革により地方の所得を増やし、地方を活性化させ、それによって日本経済の底上げを図ってまいりました。
 その結果として、訪日外国人数は安倍政権発足時の年間八百三十六万人から昨年には三千二百万人と約四倍、農産品の輸出額は年間約四千五百億円から九千億円へと倍増しました。
 年初から新型コロナ感染拡大が見られる中で、まずは感染対策と社会経済活動の両立を図ることに全力を挙げていきます。あわせて、ポストコロナに向けて、グリーン社会の実現とデジタル化によって経済社会を大きく変革し、経済成長を実現させます。
 GoToキャンペーンについてお尋ねがありました。
 旅行や飲食は個人消費という形で経済の大きな割合を占めており、経済の活性化に不可欠ですが、新型コロナウイルスにより大きなダメージを受けたことから、感染対策をしっかりと講じた上で、GoToキャンペーンによる支援を行っているところです。
 各事業の実施に当たっては、事業者が感染対策をしっかり講じた上で、利用者の方々にはいわゆる三密などに注意していただいており、GoToトラベルでは、七月以来延べ二千五百万人以上の方々が宿泊し、感染が判明したのは数十名にとどまっています。
 今後も、事業者において感染対策を徹底し、GoToキャンペーンを適切に運用してまいります。
 中小企業の資金繰り支援についてお尋ねがありました。
 依然厳しい経済状況の中で、まずは雇用を守り、事業が継続できるように最大二百万円の持続化給付金や最大六百万円の家賃支援給付金、最大四千万円の無利子、無担保融資などの措置が行き渡るようにしてまいります。
 その上で、今後とも、新型コロナウイルスが経済に与える影響を始め内外の経済動向というものを注視しながら、ちゅうちょなく必要な対策は講じてまいります。
 中小企業に対する支援についてお尋ねがありました。
 経営資源の集約化による事業の再構築やデジタル化を含め、生産性向上に取り組む中小企業を強力に支援するなど、あらゆる政策を総動員してまいります。また、中小企業大学校における研修や教育訓練費等を増加させた中小企業に対する税制措置などにより、中小企業の人材育成についても支援をしていきます。
 医療提携体制とワクチンについてのお尋ねがありました。
 医療機関への支援については、これまで約三兆円の支援を実施してきており、まずはこれらの支援を医療現場の皆様に速やかにお届けするとともに、今後とも地域医療の確保に向けて必要な取組や支援を検討していきます。
 ワクチンについては、安全性、有効性の確認を最優先に、来年前半までに全ての国民に提供できる数量の確保を図るべく、国内外を問わず精力的に企業との交渉を重ねるとともに、研究開発の支援を行っております。また、円滑、迅速な接種に向けてこの国会で予防接種法の改正法案を提出しております。接種順位の決定や各自治体での体制構築などの準備も進めてまいります。
 海外との移動の拡大による感染拡大の防止策についてお尋ねがありました。
 十月から実施した入国制限の緩和に当たっては、検疫での検査や公共交通機関の不使用などの従来の措置に加え、防疫措置を確約できる受入れ企業、団体がいることを入国の条件とするなどの追加的な措置を講ずることとしたところです。また、検疫での入国時の検査能力を来月中に一日二万人に引き上げることとしており、国際的な人の往来については、防疫措置をしっかりと講じ、感染拡大の防止と両立する形で段階的に再開をしてまいります。
 雇用、労働対策についてお尋ねがありました。
 新型コロナウイルス感染症により経済が大きな影響を受けた中にあって、政府としては、これまでも雇用を守るため、雇用調整助成金についてこれまでに例のない特例措置を講じるなどの対応を行ってきました。この特例措置の取扱いについても、今後の雇用情勢などを踏まえ、適切に判断してまいります。
 非正規雇用労働者の待遇改善と、コロナ禍や技術革新の下での働き方についてお尋ねがありました。
 正社員と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を解消し、同一労働同一賃金、実現するため、各都道府県に働き方改革推進支援センターを設置をし、事業主への丁寧な個別相談などを実施しています。また、このコロナ禍も一つの転機としてテレワークなどの新しい働き方を進めていくことが重要であると考えており、技術革新なども活用しながら、労働者それぞれの事情に応じた多様で柔軟な働き方を推進してまいります。
 電源のベストミックスについてお尋ねがありました。
 二〇五〇年カーボンニュートラルを実現するため、内閣全体でしっかり体制を組み、取り組んでまいります。特に、効果ガスの八割以上を占めるエネルギー分野の取組が重要であり、電源についても、再エネのみならず原子力を含めてあらゆる選択肢を追求していきます。今後、二〇五〇年のカーボンニュートラルを目指す道筋を含めたエネルギー政策について集中的に議論し、結果を出してまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣田村憲久君登壇、拍手〕

#13
○国務大臣(田村憲久君) 小林正夫議員にお答え申し上げます。
 テレワーク等における作業環境の確保についてお尋ねがありました。
 場所にかかわらず適切な作業環境下で業務を行えるようにすることは、労働者の健康確保の観点等から重要な課題であると認識をいたしております。
 このため、テレワークの際の作業環境についても、労働安全衛生法第二十三条に基づく基準と同等になるよう、ガイドラインを策定しておりますが、労使が協力して取り組むべき事項や留意すべき事項をより分かりやすくお示しすべく、専門家の御意見を聞きながら検討を進めております。
 こうした取組を通じ、労働者が健康で安全にテレワークを行うことができる作業環境の確保にしっかりと取り組んでまいります。
 次に、労働災害の防止対策についてのお尋ねがありました。
 労働災害で亡くなる方は長期的には減少傾向にありますが、今なお多くの方が亡くなっており、労働災害の防止対策は非常に重要な課題と私も認識しておりまして、小林正夫議員とその意味では思いを共有をさせていただいております。
 御指摘のAI等の新技術を活用した労働災害防止対策については、安全を確保しつつ導入を進める必要があることから、関係省庁とも連携し、AI導入に当たっての信頼性を評価するためのガイドライン策定に向けた検討を進めております。
 厚生労働省といたしましては、AIの導入促進等、あらゆる技術を活用した対策や、国や事業者、労働者等の関係者が重点的に取り組む事項を定めた第十三次労働災害防止計画に基づき、労働災害防止に向けた取組を総合的に推進してまいります。(拍手)
   〔国務大臣梶山弘志君登壇、拍手〕

#14
○国務大臣(梶山弘志君) 小林正夫議員からの御質問にお答えをいたします。
 エネルギー基本計画の見直しについてお尋ねがありました。
 エネルギー基本計画につきましては、今月十三日から見直しに向けた議論を開始をしたところであります。
 エネルギー政策を進める上では、安全性の確保を大前提に、経済性、気候変動の問題への配慮、エネルギー供給の安定性といった観点についてバランスを取ることが重要であります。
 今後、日本は二〇五〇年カーボンニュートラルの実現を目指しますが、その過程においても、質の高い、災害に強い安定的な電力システムなど、エネルギー安全保障の確保は達成すべき課題であると認識をしております。
 こうした観点を踏まえて、結論や期限ありきではなく、様々な御意見を伺いながら議論を進めていきたいと考えております。(拍手)
    ─────────────

#15
○副議長(小川敏夫君) 小池晃君。
   〔小池晃君登壇、拍手〕

#16
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 会派を代表して、質問します。
 日本学術会議が推薦した会員候補六名の任命拒否は、民主主義と法治国家の在り方に対する総理の基本姿勢を根本から問うものとなっています。
 中曽根元首相を始めとして、これまで政府は、総理大臣による任命は形式的任命にすぎないと答弁してきました。実際、委員が任命制になって以来三十七年間、学術会議が推薦した委員が任命されなかったことは一度もありませんでした。それが総理に拒否されたのですから、学術会議の事務局長も驚愕したと答弁したのであります。理由の説明を学術会議側が求めるのは当然ではありませんか。任命拒否された六名の方も説明を求めており、個別の人事を盾に拒否する理由は成り立ちません。総理には、任命拒否の理由を誠実に説明する責任があります。逃げずにお答えください。
 総理は、必ず推薦のとおりに任命しなければならないわけではないという点について、内閣法制局の了解を得たと言いますが、そのことは当時の学術会議会長にも、意思決定機関である幹事会にも伝えられていませんでした。これでどうして首相の新たな権限行使が正当化できるのか。そもそも、国会で繰り返し答弁されてきたこととは異なる首相の任命の法的意義について、国会に諮らず政府が勝手に判断できるというなら、国会審議の意味などないではありませんか。納得のいく答弁を求めます。
 総理は、任命拒否の新たな理由として、民間出身者や若手が少ない、出身や大学にも偏りが見られるとしましたが、それぞれ具体的な根拠をお示しください。この間の学術会議の改革努力によって、男女比も、会員の地域分布も、特定大学への集中も是正されてきています。総理の発言は虚偽ではありませんか。
 しかも、拒否された六名の研究者の中には、五十代前半の方も、女性も、その大学からただ一人だけという方も含まれています。多様性を大事にしたという総理の説明と矛盾していませんか。大体、総合的、俯瞰的な観点で判断したと言いながら、人文科学系の研究者だけを任命拒否したのは、総合的、俯瞰的な観点に反するのではありませんか。
 総理は学術会議の在り方を見直すと言いますが、安倍政権下の有識者会議が一五年三月に、現在の制度は期待される機能に照らしてふさわしいと報告したのに、今になって見直しを言い出すのは支離滅裂ではありませんか。この五年間に有識者会議の結論を覆すような事実があったのですか。具体的に示していただきたい。
 学問と科学は、政治権力に従属するものであってはなりません。学問が弾圧され、戦争に突き進んだ過去の教訓から、憲法二十三条は学問の自由を保障したのです。
 学問も科学も国民のためのものです。この問題は、任命を拒否された六名だけの問題でも、学者、研究者だけの問題でもありません。全ての国民にとっての重大問題であります。
 日本学術会議法に反し憲法で保障された学問の自由を脅かす任命拒否は撤回すべきです。以上、総理の答弁を求めます。
 新型コロナ感染症がヨーロッパで猛威を振るい、我が国でも感染者が広がっています。徹底したPCR検査で陽性者を保護し、感染拡大を抑えなければなりません。
 今後、季節性インフルエンザの流行も予想され、医療現場には大きな負担となります。しかし、所信表明演説で、総理は、医療現場や保健所に対する敬意と感謝を述べただけで、具体的な支援策は一言もありませんでした。
 そこで、総理にお聞きします。
 日本医師会が全国の診療所を対象に行った経営影響調査で、四月から六月期の医業収入は対前年比で平均一三・三%のマイナスとなり、給与費も軒並みダウンしました。感染拡大による医療崩壊が起こる前に国の政策の不備による医療崩壊が起こるような事態は決してあってはなりません。
 政府は、新型コロナ患者を受け入れた医療機関に支援の対象を絞っていますが、どの医療機関でもコロナ感染者の受診があり得る緊張状態の中で診療しています。そして、受診抑制による患者減は、コロナ患者を受け入れていない病院や診療所でも深刻です。
 この危機を打開するためには、日本医師会や日本病院会などが要望しているように、医療機関全体に対する減収補填が不可欠です。自民党の医療系議員団本部は、コロナ非対応病院も三割の減収だとして、三兆円を超える減収補填を提案しています。与党からも上がる声に政府は応えるべきではありませんか。
 新型コロナ感染の影響が長期化する中で、暮らしと経済の危機も進行しています。小口倒産が急増し、過去の借金が返せない個人事業主の自己破産も増加しています。コロナ禍の下で、小さいところから潰れていく状況は極めて深刻です。
 総理の地元に本社を置く日産自動車には、焦げ付けば国が借金の肩代わりをする一千三百億円もの政府保証が付けられました。一方、日産の下請企業では経営が悪化し、早期退職者募集などリストラが横行しています。今、政府が真っ先にやるべきは、四兆円もの内部留保を抱える巨大企業ではなく、立場の弱い中小企業を直接支援することではありませんか。
 雇用者の数は、リーマン・ショック時を上回る勢いで非正規雇用を中心に百万人以上減っており、中でも女性の減少が目立ちます。東京商工リサーチの調査によれば、上場企業六十社が一万人以上の早期希望退職者を募集しています。これから年末に向けてリストラが急加速する危険性があり、事態は極めて深刻であります。
 総理には、コロナ禍から誰一人取り残さないという姿勢を明確に示していただきたい。誰も路頭に迷わせない、どんな業者も潰さない。これが今求められる最大の経済対策ではありませんか。政府として、大企業に対し、リストラに走るな、今こそ内部留保を吐き出し、雇用を守る責任を果たせと言うべきではありませんか。
 雇用調整助成金は、単に延長するだけではなく、給付内容の拡充と手続の更なる簡素化を進め、活用の拡大を図るべきではありませんか。持続化給付金は一回限りとせず、支給要件を改善するとともに、コロナ収束まで事業を維持できるよう複数回支給すべきではありませんか。休業支援金は、事業主が休業を指示していないなどの理由で申請に協力しない例が後を絶たず、必要な人に支援が届いておりません。行政が事業所に強力に働きかけ、是正すべきではありませんか。
 総理は、所信表明で、新型コロナウイルスの中にあってもマーケットは安定していると胸を張りました。しかし、コロナ危機の下で史上最高に膨れ上がっているのは富裕層の資産であります。一千億円以上のビリオネアの資産は、コロナ前の十四兆円から十九兆円に膨らんでいます。
 多くの国民がコロナ禍で仕事を失い、賃金が下がり、売上げが消え、事業の継続に四苦八苦しているときにも、株式市場には公的マネーがつぎ込まれ、株価を買い支え、大資産家の資産はどんどん増えていく。こんな経済の在り方でいいのか、巨大な格差を生み出す経済社会が長続きするのかが根本から問われているのではありませんか。
 暮らしと中小企業の危機に対処するためにも、緊急に消費税を五%に減税し、財源はアベノミクスで潤った富裕層や大企業に応分の負担を求める税財政の改革が必要であります。以上、総理の答弁を求めます。
 総理は、所信表明で、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするとしました。これを三十年先の空手形に終わらせないために、今何をなすべきかが鋭く問われております。
 第一に、国連事務総長が石炭中毒とまで非難した日本の石炭火力発電所の新規建設をどうするのか。現在建設中あるいは計画中の十七基の石炭火力は、二〇五〇年にも温室効果ガスを出し続け、このままではゼロ宣言は絵に描いた餅で終わります。総理が石炭火力発電に対する政策を抜本的に転換するとした以上、新規建設を中止し、既存石炭火力の計画的な停止、廃止に踏み切ることを明言していただきたい。
 第二に、温室効果ガスゼロのためには、省エネ、効率化の徹底とともに、日本が既に後れを取っている再生可能エネルギーの本格的な導入が必要です。これは国際的なビジネスの面からも、地域経済の再生のためにも迫られています。
 経済同友会や三十四道府県を正会員とする自然エネルギー協議会も求めているように、二〇三〇年の発電に占める再生可能エネルギーの目標を少なくとも四割以上にするべきではありませんか。
 東京電力福島第一原発事故により発生している汚染水の海洋放出の動きに、福島と全国の漁業者を始めとする方々から怒りの声が上がり、県議会を始め県内の七割の議会が反対や慎重な対応を求める意見書を上げています。新地町の漁師は、来春からようやく本格操業になるというときにトリチウムを流し、またマイナスから始めろというのかと悲痛な叫びを上げています。
 総理は、福島の復興なくして東北の復興なし、東北の復興なくして日本の再生なしと述べましたが、復興の妨げとなる海洋放出の強行が許されると思いますか。当面は陸上保管を継続し、国内外の英知を結集し解決すべきではありませんか。
 総理は、温室効果ガスゼロについて、原子力を含めてあらゆる選択肢を追求すると述べましたが、原発はこのように今もなお筆舌に尽くし難い苦しみを与え続けているではありませんか。
 地球環境のために脱炭素をと言いながら、放射能による生命の危機を引き起こす原発に頼るなど、言語道断、時代錯誤の極みではありませんか。
 総理は、所信表明で、普天間飛行場の危険性を一日も早く除去するため、辺野古移設の工事を着実に進めると述べました。しかし、軟弱地盤の改良工事に伴い、政府の試算によっても、完成までにあと十二年、費用も一兆円近くに拡大することが明らかになっています。
 そもそも、日米両政府が普天間飛行場の全面返還に合意したのは、一九九六年の橋本・モンデール会談です。あれから来年四月で二十五年、その上、十二年以上も掛かる計画のどこが一日も早い危険性除去なのですか。県民の民意に背く辺野古新基地建設の破綻は明白ではありませんか。
 政府が四月に沖縄県に提出した設計変更申請書は、これまでの沖縄本島北部だけではなく、沖縄県全域から埋立土砂を採取する計画を明記しています。そのうちの七割を占めるのが、沖縄戦の激戦地である本島南部の糸満市と八重瀬町。戦後七十五年を経た今なお戦没者の遺骨が発見され、遺族の元に送り届ける活動が続けられている地域であります。沖縄戦遺骨収集ボランティア、ガマフヤーの具志堅隆松代表は、戦争で亡くなった人の遺骨を岩ズリと一緒に軍事基地の埋立てに使うなど戦没者への冒涜だと、厳しい批判の声を上げています。総理はこの声をどう受け止めるのですか。
 総理が官房長官当時の二〇一五年の国との協議で、当時の翁長雄志知事は、沖縄戦での悲惨な体験と戦後の米軍統治下で基地が造られた経過について、県民には魂の飢餓感があると述べ、新基地建設の中止を訴えました。これに対し、当時官房長官だった総理は、私は戦後生まれなので沖縄の歴史は分からない、日米合意の辺野古が唯一というのが全てだと述べたといいます。このような姿勢が県民に寄り添うものだと言えるのでしょうか。沖縄の苦難の歴史に向き合い、辺野古新基地建設の断念と普天間基地の閉鎖、撤去に正面から取り組むことこそ政府の責任ではありませんか。
 杉田水脈自民党衆議院議員による女性は幾らでもうそをつけますからという暴言は、性暴力被害者を再び深く傷つけるものです。被害者は、被害に遭う方にも問題があるなどと言われ、誰にも相談できず苦しんできました。そして今、全国に広がるフラワーデモで誰にも話せなかった被害が語られ始めています。杉田発言はこうした動きに冷や水を浴びせるものであります。断じて許すことはできません。
 総理は、この議員の度重なるこうした暴言を今回も容認するんですか。形だけの謝罪でよしとするんですか。自民党の比例代表選出議員であり、総理は、自民党総裁として議員辞職をさせるべきではありませんか。
 日本が国連の女性差別撤廃条約を批准して今年で三十五年ですが、ジェンダーギャップ指数は百二十一位と年々後退し、世界の流れから大きく取り残されています。条約の実効性を強化するための選択議定書は、既に百十四か国が批准しています。もはや先送りは許されません。
 全ての女性が輝ける社会の構築というのなら、年内に閣議決定される第五次男女共同参画基本計画で、これまでのように真剣な検討などにとどめるのではなく、直ちに批准すべきではありませんか。総理と男女共同参画担当大臣の答弁を求めます。
 核兵器禁止条約の批准国が五十に達し、発効が確定しました。核兵器の開発、実験、生産、保有から使用と威嚇まで違法化し、核兵器に悪の烙印を押す画期的な国際条約です。日本共産党は、被爆者を始めとする核なき世界を求める世界の声が結実した巨大な一歩を心から歓迎するものであります。
 しかし、政府がこれに背を向けていることは、唯一の戦争被爆国として極めて恥ずべきことと言わねばなりません。ノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン、ICANのベアトリス・フィン事務局長は、日本が核兵器禁止条約に加われば世界にとてつもない衝撃を与える、その決断は核保有国の姿勢を擁護している他の国々が核兵器を拒絶する引き金になると述べています。総理はこの声にどう応えますか。核兵器廃絶に向けた国際社会の取組をリードするなどというなら、速やかに条約に署名し、批准すべきではありませんか。
 そのことを強く強く求めて、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕

#17
○内閣総理大臣(菅義偉君) 小池議員にお答えいたします。
 日本学術会議の会員の任命の理由の説明についてお尋ねがありました。
 過去の答弁は承知しておりますが、憲法第十五条第一項は公務員の選定は国民固有の権利と規定しており、この憲法の規定に基づき、日本学術会議法では会員を総理が任命することとされていることから、この任命に当たっては必ず推薦のとおりに任命しなければならないわけではないという点については、内閣法制局の了解を得た政府としての一貫した考え方であり、今回の任命も日本学術会議法に沿って行ったものであります。
 日本学術会議の会長及び幹事会との関係についてお尋ねがありました。
 日本学術会議法において、会長は会務を総理し、会議を代表することとされ、また、幹事会は会議の運営に関する事項を審議することとされています。一方で、会員の任命権は内閣総理大臣であり、日本学術会議の推薦に基づく会員の任命に当たっては必ず推薦のとおりに任命しなきゃならないわけではないという点については、内閣法制局の了解を得た政府としての一貫した考え方であり、今回の任命も日本学術会議法に沿って行ったものです。
 過去の答弁についてお尋ねがありました。
 過去の答弁は承知しておりますが、先ほど申し上げたとおり、憲法第十五条第一項との関係で、日本学術会議の会員については必ず推薦のとおりに任命しなきゃならないわけではないという点については、内閣法制局の了解を得た政府としての一貫した考えであり、日本学術会議法の解釈変更ではない旨は国会において内閣法制局からも答弁をしているとおりです。
 今回の任命については、国会の場などにおいて、御質問に応じて説明できることはきちんと説明してまいります。
 会員の出身や大学についてお尋ねがありました。
 個々人の任命の理由については、人事に関することであり、お答えを差し控えますが、任命を行う際には、総合的、俯瞰的な活動、すなわち……(発言する者あり)
 ちょっと注意していただけますか。
 すなわち専門分野の枠にとらわれない広い視野に立ってバランスの取れた活動を行い、国の予算を投じる機関として国民に理解される存在であるべきだということ、更に言えば、例えば、民間出身者や若手が少なく、出身や大学にも……(発言する者あり)ちょっと静かにしてください。

#18
○副議長(小川敏夫君) 諸君にお願いいたします。静粛にお願いいたします。

#19
○内閣総理大臣(菅義偉君)(続) 例えば、民間出身者や若手が少なく、出身や大学にも偏りが見られることも踏まえ、多様性が大事だということを念頭に、私が任命権者として判断を行ったものであります。(発言する者あり)静粛に。
 個別の、個別の会員任命との関係はお答えを差し控えますが、現在の会員は、例えば所属別で見ますと、いわゆる旧帝国大学と言われる七つの国立大学に所属する会員が四五%占めています。それ以外の百七十三の国立大学、公立大学が合わせて一七%です。また、六百十五ある私立大学は二四%にとどまっております。また、産業界に所属する会員や四十九歳以下の会員はそれぞれ三%にすぎません。
 なお、特定の分野の研究者であることをもって任命を判断したことはありません。
 有識者会議の報告についてお尋ねがありました。
 平成二十七年三月の有識者会議の報告書では、日本学術会議の国の機関、法律上の独立性、政府に対する勧告権限という現在の制度について、会議に期待される機能に照らしてふさわしいとされたと承知しています。
 他方で、例えば、民間出身者や若手が少なく、出身や大学にも偏りが見られることや、会員の人選は、最終的に選考委員会などの仕組みはあるものの、まずは現在の会員が後任を推薦することも可能な仕組みになっていることについては、かねてから同様の問題があったものと思います。
 学問の自由についてのお尋ねについては、憲法第二十三条に定められた学問の自由は広く全ての国民に保障されたものであり、特に、大学における学問研究の自由、その成果の発表の自由、教授の自由を保障したものであると認識しています。
 今回の日本学術会議の会員の任命は、憲法第十五条第一項の規定の趣旨を踏まえ、任命権者である内閣総理大臣がその責任をしっかり果たすため、日本学術会議法により、推薦に基づいて国の行政機関として職務を行う会議の一員として公務員に任命したものであり、変更することは考えておりません。
 こうした考え方に基づく任命権の行使が、会員などが個人として有している学問の自由に影響を与え、これを侵害することになるとは考えておりません。
 医療機関の経営危機についてお尋ねがありました。
 医療機関においては、患者数の減少による収入の減少などが見られることから、これまで約三兆円の支援を実施してまいりました。まずは、これらの支援を医療現場の皆様に速やかにお届けするとともに、今後とも、国民の皆様に必要な地域医療が確保できるよう、必要な取組や支援を検討してまいります。
 中小企業支援及び大企業の雇用維持についてお尋ねがありました。
 依然厳しい経済状況の中で、引き続き中小企業などの雇用を守り、事業が継続できるように最大二百万円の持続化給付金、最大四千万円の無利子、無担保融資などの措置が行き渡るようにしてまいります。また、今後もちゅうちょなく必要な対策を講じてまいります。
 あわせて、雇用の維持に関しては、これまでも関係大臣から経済団体などに対し、雇用の維持等に対する配慮を行うよう最大限の経営努力を要請してきたところです。引き続き雇用情勢に応じて必要な施策を実施しつつ、事業の継続や雇用の維持に全力で取り組んでまいります。
 雇用調整助成金、持続化給付金及び新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金についてお尋ねがありました。
 従業員の雇用を守るべく実施している雇用調整助成金については、これまでに例のない特例措置を講じたところであり、八月にはその期間を本年十二月まで延長したところです。この特例措置の取扱いについては、今後の雇用情勢などを踏まえ、適切に判断してまいりたいと考えます。
 また、持続化給付金については、緊急事態宣言を経て厳しい状況にある事業者の事業の継続のためのあくまでも特例的な措置であり、引き続き必要な方々に行き渡るようにしてまいります。
 休業支援金・給付金について、事業主の協力がいただけず、申請、支給に至らないケースがあると聞いておりますが、こうした場合には、労働局で労働者からの申請を一旦受け付けた上で、事業主に対して調査を行う運用にしております。こうした運用や制度の対象者について、分かりやすく周知徹底を行ってまいります。
 格差、税財政改革についてお尋ねがありました。
 格差については、成長と分配の好循環を進める中で、悪化を続けてきた子供の相対的貧困率も減少に転じました。
 消費税については、社会保障制度のために必要な財源と考えています。
 富裕層や大企業への課税については、これまで所得税や相続税の最高税率の引上げ、法人実効税率引下げの際の外形標準課税の拡大などを行っているところです。
 まずは、新型コロナウイルスの中で、雇用の維持や事業の継続を最優先としつつ、格差が固定化しないよう、また許容し得ない格差が生じないよう、必要な施策を講じてまいります。
 再生可能エネルギーと石炭火力についてお尋ねがありました。
 二〇五〇年カーボンニュートラルを実現するため、研究開発等への支援を通じて国民負担を抑制しつつ、再生可能エネルギーの最大限導入を進めます。また、石炭火力に関しても、カーボンニュートラルに貢献するようなイノベーションを追求していきます。
 いずれにせよ、石炭火力や再エネの将来像を含めたエネルギー政策について集中的に議論し、結論を出してまいります。
 東京電力福島第一原発のALPS処理水の取扱いと原子力発電についてお尋ねがありました。
 福島の復興には廃炉の着実な進展が不可欠であり、その一環であるALPS処理水の取扱い方針を決定する必要があります。
 本年二月に報告書をまとめて以降、広く国民の皆様から貴重な意見をいただきつつ議論を積み上げました。敷地が逼迫する中、いつまでも方針を決めず先送りはできません。今後、更に政府内での検討を深め、適切な時期に責任を持って処分方針を決めてまいります。
 その上で、原子力発電については、いかなる事情よりも安全性を最優先することは言うまでもありません。今後、原子力を含め二〇五〇年カーボンニュートラルを目指すエネルギー政策については、集中的に議論をし、結果を出します。
 辺野古移設に係る工事計画についてお尋ねがありました。
 普天間飛行場代替施設建設事業については、沖縄防衛局において、有識者の助言を得つつ、十分に検討が行われ、しっかりとした計画が策定されていると承知しております。
 日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険性の除去を考え合わせたとき、辺野古移設が唯一の解決策であり、この方針に基づいて着実に工事を進めていくことこそが、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去することにつながるものと考えます。
 辺野古移設に係る埋立土砂についてお尋ねがありました。
 変更承認後の埋立てに使用する土砂の調達先は工事の実施段階で決まりますが、関係法令で認められた採石場から調達されると承知しております。
 普天間飛行場の辺野古移設に関する政府の責任についてお尋ねがありました。
 戦後七十年以上を経た今もなお、沖縄の皆様には大きな基地負担を負っていただいております。沖縄の基地負担軽減は政府の大きな責任であり、私自身、官房長官としてこれまで全力で沖縄の基地負担軽減に取り組んでまいりました。
 その結果、沖縄の本土復帰後最大の返還となった北部訓練場の過半の返還を始めとして、目に見える形での基地負担軽減を実現してまいりました。
 その中でも、世界で最も危険と言われる普天間飛行場が固定化され、危険なまま置き去りにされることは絶対に避けなければなりません。これは地元の皆様との共通認識でもあると思います。
 普天間飛行場の危険性を一日も早く除去するため、辺野古移設の工事を着実に進めていくとともに、これからも地元の皆さんの御理解を得る努力を続けてまいります。
 性犯罪被害に関する自民党議員の発言及び女子差別条約選択議定書についてお尋ねがありました。
 政府の立場で個別の国会議員の発言等についてコメントは差し控えたいと考えております。他方で、一般論で申し上げれば、政治家はその発言に責任を持ち、有権者から信頼を得られるよう、自ら襟を正すべきだと考えます。
 御指摘の選択議定書は、個人通報制度について規定するものですが、この制度は条約の実施の効果的な担保を図る趣旨から注目すべきものと考えます。
 その上で、女子差別撤廃委員会から出される見解などについて、我が国の司法制度や立法政策との関係でどのように対応するかなどの検討すべき論点があることから、各方面の意見なども踏まえ、早期締結について真剣に検討しているところであります。
 核兵器禁止条約についてお尋ねがありました。
 我が国は、唯一戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の取組をリードする使命を有しており、核兵器禁止条約が目指す核廃絶というゴールは共有しています。
 一方で、核兵器のない世界を実現するためには、核兵器国を巻き込んで核軍縮を進めていくことが不可欠です。しかし、現状では、同条約は米国を含む核兵器国の支持が得られていません。さらに、カナダ、ドイツなど多くの非核兵器国からも支持を得られていません。我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、抑止力の維持強化を含めて、現実の安全保障上の脅威に適切に対処しながら、地道に、現実的に核軍縮を前進される道筋を追求していくことが適切であると考えます。
 こうした我が国の立場に照らし、同条約に署名する考えはありませんが、我が国としては、引き続き、立場の異なる国々の橋渡しに努め、核軍縮の進展に向けた国際的な議論に積極的に貢献していく考えであります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣橋本聖子君登壇、拍手〕

#20
○国務大臣(橋本聖子君) 小池議員の質問にお答えいたします。
 第五次男女共同参画基本計画における女子差別撤廃条約選択議定書に関する記述についてお尋ねがございました。
 同選択議定書については、国内制度との関係で整理すべき課題があり、所管する外務省を中心に検討が行われていると承知をしております。
 第五次男女共同参画基本計画の策定に向けては、外務省の検討状況を踏まえ、議論を進めていきたいというふうに考えております。
 以上です。(拍手)
    ─────────────

#21
○副議長(小川敏夫君) 水岡俊一君。
   〔水岡俊一君登壇、拍手〕

#22
○水岡俊一君 立憲民主・社民の水岡俊一です。
 会派を代表して、菅総理の所信表明に対し、質問をいたします。
 議場の皆様はもとより、テレビ、ラジオで中継を聞いておられる方々に御理解いただけるよう、分かりやすい質問に努めてまいります。ですので、総理も是非明快で御丁寧な答弁をお願いをいたします。
 さて、所信に対する質疑に入る前に、一つお尋ねをいたします。
 昨日、ある建設会社の高速道路手抜き工事疑惑が報じられていました。報道によりますと、農水副大臣である宮内秀樹衆議院議員は、NEXCO中日本の職員を議員会館に呼び出し、国交省の担当者同席で、NEXCOが当該企業へパワハラを行ったとして謝罪させ、NEXCOの担当者を変更することも合意させたといいます。国交省、NEXCO共に議員会館での面談の事実は認めているようです。
 これがもし事実であるならば、ゆゆしき事態です。国交省、そして国交省所管の特殊会社NEXCOは、当該企業の陰に宮内副大臣とその派閥を意識する余り、過剰に対応しているとの見方もあるようです。
 そこで、最初の質問です。
 宮内農水副大臣を任命されたのは菅総理ですが、副大臣の一連の対応は問題ないとお考えですか。国土交通大臣、現時点で話題の手抜き工事は事実かどうか判明していますか。また、今後、調査するおつもりはありますか。お答えください。
 それでは、所信に対する質問に入ります。
 総理、七月以降自殺者が増加しています。前年同月と比べて七月から九月まで軒並み増加しており、特に、女性の自殺者は深刻な状況で、七月は九十六人、八月は百九十六人、九月は百三十九人の増加となっています。
 そこで、二つ目の質問です。
 政府は、自殺が増えている現状、特に、女性の自殺が増えていることをどのように分析しているのか、また、今後、どのような対策をお考えか、総理、お答えください。
 シングルマザーを中心とした一人親世帯の貧困率は四八・一%です。パートナーと離別、死別を経験しただけで約半数の世帯が子供を抱えて貧困に陥っているという事実が私たちの目の前にあります。前政権下において子供の貧困対策は進んでおらず、相変わらず約七人に一人の子供が貧困状態にある。これが日本という国の現状です。
 一人親世帯を支援するため、第二次補正予算によってひとり親世帯臨時特別給付金が支給されましたが、それも一回限りの給付にすぎませんでした。一方で、立憲民主党など野党は、児童扶養手当受給者に対して半年の間、臨時特別給付金を支給するコロナ困窮子ども支援法案を提出しています。一人親世帯の実態を踏まえれば、一回限りの給付では不十分であり、追加の給付金の支給が必要です。
 そこで、質問三です。
 総理は、一人親世帯の生活の実態についてどのように認識されているのか。そして、事業の経営悪化や生活困窮が更に深刻化していく年末に向けてどのような追加支援策を講じていくのかお示しください。さらには、子供の貧困問題に関して、菅政権としての根本的な対策をどのように考えているのか説明いただきたい。
 コロナ禍の影響で、大小問わず飲食店が休業や営業時間の短縮を余儀なくされました。また、二〇二〇年産米の需給緩和も高まっており、来年の需給の不安の声もあります。
 農林水産業は、国民の食の安心を確保する要であり、そこに従事する方々を支えていかなければなりません。私たちが法案として提案をしている米を含む農業者戸別所得補償制度のように、安全装置としての直接支払制度を組み合わせて推進していくことが重要だと思います。
 そこで、質問四です。
 コロナ禍で食料品の需給事情が変化する中、農家を始めとする生産者をどのように支えるつもりか、総理にお聞きします。
   〔副議長退席、議長着席〕
 所信表明で、教育は国の礎ですと総理はおっしゃった。そのとおりと申し上げたいところでしたが、総理はその後に、デジタル社会にふさわしい新しい学びを実現すると述べただけで、教育に対する熱意は何も伝わってきませんでした。
 総理は、秋田の地で高校まで学ばれて上京されたと聞きました。教員出身の私としては、公立の小中高で学んだ総理が、この国の公教育の本質を高めることに大きな力を発揮してくれるのではないかと本当は期待をしたいのであります。
 学校には、様々な家庭環境で育ち、いろんな特徴を持つ子供たちが学んでいます。一人一人の子供たちに目を配り、心や体の健康状態を気に掛け、学習の進度に心を砕く教職員がいます。四十人の子供たちそれぞれに十分な指導やケアができたかと日々悩みながら頑張っている教職員たちです。総理は、御自分の経験からして、公教育とは決して一斉に一律に効率的に行えるものではないということを御理解されているはずです。
 そこで、質問五です。
 総理は、日本の教育はどうあるべきだとお考えですか。そして、総理のおっしゃるデジタル社会にふさわしい新しい学びとは一体どんな学びなのか、明確に示してください。
 文部科学大臣、このことが文科省の求める少人数学級の推進や多様な子供たちに対する教育とどう結び付くかを示してください。
 続いて、質問六です。
 コロナ禍においてIT端末の普及は確かに支援策に違いないのですが、実際には、運用面やオンライン教材の作成など大きな負担にもなりかねません。総理はその認識をお持ちですか。御認識があるということであれば、今後の対応策をどのようにお考えですか。
 総理、国の礎である教育を揺るがす事態が近年顕著になっていることを御存じでしょうか。教員の志願者が大幅に減っていることから、教員採用試験の倍率が大きく下がるという状況が全国各地で起こっています。小学校教員の採用倍率が何と一・二倍という県もあります。志願者減の背景には、教員の過重労働が日常化し、学校は危険な職場というイメージが広がっていることがあります。
 各種の実態調査で、過労死ラインを超えて手当のない残業を強いられる教職員が多くいると報告されています。
 特に、コロナ禍の下、校内の消毒作業や膨大な量の課題プリント作成、オンライン授業の準備、部活動などで週に十六時間、持ち帰り仕事も含めると二十一・五時間のただ働き超過勤務がある状況です。労働基準法違反は明らかです。実際に過労死した教職員をたくさん知っています。
 そこで、質問七です。
 過労死の危険性を伴うほどの激務である教育現場について、総理はどうお考えですか。また、医療従事者の慰労金交付事業に倣い、教育機関や教職員への何らかの支援をしてはどうかとの意見がありますが、総理の見解をお聞かせください。
 総理は、所信表明演説において、多様性については一言も触れませんでした。多様性について関心がないとすれば極めて残念なことですし、一国のリーダーとしてはその資質が疑われます。多様性を尊重し、共生社会を実現することは、もはや世界の常識だからです。学術会議の会員任命に関する言い訳に多様性を使うのはやめていただきたい。
 全国で、同性同士など性的マイノリティーのカップルをパートナーとして認証する取組が進められており、私の知るところ、現在、六十一自治体、人口規模で三〇%をカバーするまでになりました。しかし、一方で、婚姻の平等を求める訴訟が全国各地で起こされています。原告の皆さんは、パートナーが亡くなるとき手を握ることさえ許されないかもしれないと訴えているのです。世界に目を向ければ、同性同士のパートナーシップに法的な保障がないのは、G7七か国で日本だけとなりました。
 そこで、質問八です。
 同性婚について総理はどうお考えですか。また、次回の国勢調査から同性カップルの数を調査すべきと考えますが、いかがですか。もし、これらに取り組まないとすれば、その理由をお答えください。
 次に、LGBTの子供たちへの人権保障についてお伺いをします。
 LGBTは人口の約八%という調査結果があり、これを前提とすると、学校の一クラスに少なくとも一人から二人はLGBTの子供がいることになります。ある調査では、約六割のLGBT当事者が学校でいじめを経験しています。とても高い比率であり、重大な問題です。また、社会的には、先日の足立区区議会議員の差別発言に見られるように、間違った認識で人権侵害を引き起こす事態が後を絶ちません。
 そこで、質問九です。
 学校で多様な性の在り方について学習する機会を保障し、正しい情報を子供たちに提供すべきと考えますが、御所見をお聞かせください。
 安倍政権の方針で外国人労働者の受入れを拡大し、今や様々な現場で外国人労働者が欠かせない存在となっています。しかし、新型コロナウイルス感染症が拡大すると、日本人と同じく生活苦に陥る外国人労働者が出ました。様々な事情で母国に帰れない人もいます。このようなときこそ、迎え入れた外国人労働者や留学生を置き去りにしない対策が必要です。
 そこで、質問十です。
 菅政権は、日本にいる外国人労働者、留学生等に対して、どのような方針をお持ちですか。また、どのように彼らの生活や人権を守っていく方針ですか。
 菅総理は、官房長官だった今年の七月、自らのブログに、内閣官房長官は政府のアイヌ政策推進本部長であり、アイヌ政策の責任者ですと記しています。その菅総理がアイヌ政策推進会議の座長として尽力されたアイヌ施策推進法が昨年五月に施行されました。同法は、アイヌ民族が民族としての誇りを持ち、その誇りが尊重される社会の実現を図ることを目的としています。
 しかし、盗掘などで違法に収集されたアイヌ民族の遺骨が、いまだに各大学及び総理も視察をされた民族共生象徴空間、ウポポイに留置されています。アイヌ民族に返還、再埋葬されるべき遺骨が、今も研究利用されていようとしているのです。
 そこで、質問十一です。
 アイヌ政策の責任者だった菅総理、今度は国の責任者として、こうした民族の誇りを踏みにじる行為を止めるべきではないですか。見解を明らかにしてください。
 菅義偉衆議院議員が総理に就任された今年二〇二〇年は、くしくも戦後七十五年に当たります。総理が所信でその戦後七十五年について言及されなかったことは、多くの国民が理解に苦しんでいると思います。
 この夏は、戦争を体験された方々のお話が新聞やテレビでもかなり広く報じられました。韓国との関係の問題だけでなく、遺骨収集や民間空襲被害者、戦災孤児のことなども取り上げられていました。
 遺骨収集については、厚生労働省がシベリアなどで収集遺骨を多数取り違え、十二年間もその事実を隠蔽していたことが判明し、昨年大きな話題になりました。また、今年は遺骨の調査にも収集や墓参りにも行けない状態が続いています。
 七十五年たっても戦争の傷が癒やされず、様々な不条理や差別を負わされたままの方々の訴えがあなたの耳に届いているはずです。違いますか。そうした方々を救済する法案も有志の議員らで準備されていますが、当事者の方々は九十歳を超え、御遺族も高齢化し、早急な措置を心より待ち望んでおられます。
 そこで、質問十二です。
 総理、あなたは遺骨の収集や墓参りについて、ロシアを始め関係国と協議するよう指示しているのでしょうか。また、戦後七十五年、なお未解決の戦後補償問題に対して、総理としてどのような姿勢で向き合うおつもりか、しっかりお答えをいただきたい。
 私は、先日、辺野古基地建設現場を視察してきました。サンゴ礁が見える透明度の高い海、無残にも自然を破壊する埋立て、ジュゴンが発見された場所、埋立土砂を運搬する船と無数のダンプカーを目の当たりにしてきました。総理は所信で、沖縄の皆さんの心に寄り添いながら取組を進めてまいりますとおっしゃった。住民の心に寄り添うということは、住民の不安を取り除くことから始まるのではないかと私は思うのです。
 私は、今月十九日に、沖縄県選出議員と一緒に、国会議員十一名で沖縄防衛局を訪問し、埋立てに関する問題点などについて説明を受けようとしました。ところが、あらかじめ連絡調整していたにもかかわらず、責任者である防衛局長は行方不明、次席の立場の職員は会いたくないと面会を拒否。このような信じられない沖縄防衛局の対応に非常に驚いたと同時に、これでは沖縄の方々の不安を取り除くことは到底無理ではないかと感じました。
 そこで、質問十三です。
 総理は、最高指揮官となられた今日、国民並びに国会議員に対する防衛省の対応方針をこれまでとは変更されたのか、お答えいただきたい。防衛大臣には、沖縄防衛局の全責任を負う立場の防衛局長が正当な理由なく勤務時間に居場所を明確にしないなどの対応は、防衛省の幹部職員として許される行為なのか、見解をお聞きします。
 政府による差別的な扱いや人権侵害、あるいはこれらを放置する扱いは枚挙にいとまがありません。
 例えば、コロナ禍における持続化給付金の支給対象から性風俗店を除外する扱い、ジェンダーギャップ指数百二十一位に象徴される女性差別、学校におけるいじめ、朝鮮学校に対する就学支援金の差別、今なお根深い部落差別、入管施設における人権侵害、不妊手術を強制された障害者への極めて不十分な救済など、こうした不合理な差別、人権侵害が解決しない要因の一つに、人権侵害救済のための日本の法制度が不十分だということがあります。
 自国の救済機関では権利が回復されない場合、人権条約機関に直接救済の申立てができる個人通報制度を設置している国があります。約百五十か国で何らかの個人通報制度が導入されており、G7のうち日本を除く全ての国で導入されています。人権に関する国連の各条約機関が日本に対して導入するよう何度も強く勧告していますが、実現されていません。
 また、日本には国内人権機関もありません。国内人権機関とは、その国に居住する人であれば国籍の有無にかかわらず、侵害された人権の回復を求めていくことのできる公的機関です。一九九三年に国連総会で決議されたパリ原則によって、幅広い権限、独立性を備えた国内人権機関を設立することについて、各条約機関からこれまた繰り返し勧告されています。既に国連加盟国のうち百二十か国以上において設置されていますが、日本にはまだその国内人権機関がありません。
 そこで、質問十四です。
 日本も多くの国が整備している標準的な人権救済の制度を速やかに整備して、誰一人取り残されない社会を実現すべきです。総理の見解をお聞かせください。
 以上で私の代表質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕

#23
○内閣総理大臣(菅義偉君) 水岡議員にお答えをいたします。
 宮内農林水産副大臣に関する報道についてお尋ねがありました。
 報道についての詳細は承知しておりませんが、必要に応じて宮内副大臣本人から説明があるものと考えます。
 自殺の現状と対策についてお尋ねがありました。
 自殺者数については昨年まで十年連続で減少し、本年に入ってからも減少傾向にあったものの、この七月から増加の傾向が見られ、特に女性の自殺者が増加していると承知しています。
 政府としては、自殺を考えている方に対する電話相談、女性や若者の利用が多いSNSを活用した相談体制の強化を図ってきているところです。また、厚生労働大臣の指定法人において自殺者数の動向に関する分析を進めているところであり、これらの結果も踏まえ、速やかに具体的な対策につなげていきたいと思います。
 一人親家庭への支援など、子供の貧困問題についてお尋ねがありました。
 一人親家庭については、経済的基盤が弱く、厳しい状況の中、今般の感染症の影響を受け、大きな困難が生じていると思います。こうした点を踏まえ、第二次補正予算により低所得者の一人親家庭への臨時特別給付金の支給を実施しております。
 今後とも、新型コロナウイルスによる一人親家庭の所得状況や生活実態、社会経済状況の変化を踏まえつつ、一人親世帯に対する関係施策の充実に向けた検討を行ってまいります。
 また、我が国の未来を担うのは子供たちであり、子供たちの貧困対策については、昨年十一月に改正した大綱に基づき、妊娠、出産からの切れ目のない支援や生活困窮家庭の親の自立支援など、子供を第一に考えた支援を包括的かつ早期に実施してまいります。
 コロナ禍における生産者への支援についてお尋ねがありました。
 新型コロナウイルスの感染拡大により、農林水産物の需要の減少や価格の低下が発生しました。これらの影響に対し、まずは生産者の事業継続のため、給付金や資金繰りなどの支援を行ってきました。その上で、麦、野菜などの安定的な需要のある作物の生産拡大を図るとともに、農地集積や輸出促進など、成長産業化に向けた政策を強化してきています。こうした施策を着実に推進することにより、生産者をしっかりと支えていきます。
 日本の教育のあるべき姿についてお尋ねがありました。
 教育は、今後の我が国の社会を担う子供たちを育むものであり、一人一人の多様な個性や能力を最大限に伸ばすものであると考えます。
 特に、デジタル社会の進展を見据え、一人一台のIT端末を活用して、オンラインと対面による教育の良さを組み合わせながらそれぞれの子供に最適な教育を実現することが重要であり、教育再生実行会議において議論を深めているところです。
 また、学校におけるIT端末の運用等についてお尋ねがありました。
 デジタル社会にふさわしい教育を実現する観点から、政府としては、全ての小中学生に対して一人一台IT端末を導入するなど、学校のICT環境整備を進めてまいりました。その運用を円滑に進め、教員の負担を軽減するため、ICT活用教育アドバイザーなどの支援要員を派遣し、支援しているところであります。
 教育現場の現状と教職員への支援についてお尋ねがありました。
 学校における働き方改革は喫緊の課題であり、教職員定数の改善、外部人材の活用など、総合的な取組を進めてまいります。
 特に、新型コロナウイルスへの対応として、教員や学習指導員、スクールサポートスタッフの増員を図るとともに、感染症対策に要する経費を支援してきています。
 今後の学校現場の状況を踏まえながら、教育機関や教職員に必要な支援を引き続き行ってまいります。
 同性婚についてお尋ねがありました。
 現行憲法の下では、同性カップルに婚姻の成立を認めることは想定されておりません。
 同性婚制度の導入の是非は、我が国の家族の在り方の根幹に関わる問題であり、極めて慎重な検討を要するものと考えております。
 他方、国勢調査は全国一律の客観的な基準で行う必要があり、婚姻関係についても、我が国の法制度にのっとった定義で把握することとしています。したがって、国勢調査において同性カップルに関する調査項目を設けることについては、法制度が整備された後に検討していくべき課題であると考えます。
 多様な性の在り方の学習についてお尋ねがありました。
 当事者の子供たちが学校で不安や悩みを抱えないよう、学校の先生が留意すべき点について研修などの機会を通じて理解していただくとともに、子供たちの人権尊重の意識を高めるための教育も行っています。引き続きこうした取組をしっかりと促していきたいと思います。
 外国人労働者や留学生等に対する今後の方針についてお尋ねがありました。
 我が国における、受け入れた外国人労働者や留学生などの方の中には、新型コロナウイルス感染症の影響により離職した方や生計維持が困難となっている方もおられると承知しています。
 政府としては、在留期間の延長、雇用維持支援、相談窓口の体制強化、また、外国人留学生に対する奨学金等による支援を行うとともに、日本人の方と同様に、セーフティーネットとしての再就職支援や緊急小口資金等の特別貸付けなどを実施しています。外国人の方を取り残すことなく、安心して生活していくことができるよう、必要な支援を着実に実施してまいります。
 アイヌの人々の御遺骨の研究利用についてお尋ねがありました。
 政府としては、閣議決定に基づいてアイヌの人々の御遺骨の返還を進めるとともに、直ちに返還できない場合は、国の民族共生象徴空間の慰霊施設において、アイヌの人々の受入れ体制が整うまで適切な管理を行うこととしております。
 また、慰霊施設においては、管理する御遺骨を用いた調査研究を行わないこととしており、大学の保管する御遺骨についても、国のガイドラインにおいて、アイヌの人々の同意を得られないものは調査研究の対象としないことにしています。
 今後とも、アイヌの人々による尊厳ある慰霊の実現が図られるよう、適切に対応してまいります。
 戦没者の遺骨収集等についてお尋ねがありました。
 個別案件の一つ一つに直接指示はしておりませんが、御遺骨の問題に対しては、遺骨収集の在り方を見直し適切に対応するというこれまでの方針に基づき、厚生労働省において対応しています。
 また、今年は新型コロナウイルスの影響により海外での遺骨収集や慰霊巡拝は行えておりませんが、御遺族のお気持ちを十分に酌みながら、各国における感染状況を考慮し、安全な状態の中で速やかに再開できるよう、引き続き努力をしてまいります。
 なお、政府としては、これまでも一般戦災者に対して、一般の社会保障施策の充実などを図る中で、その福祉の向上に努めてきております。
 国民の皆さんや国会議員の方々への防衛省の対応についてお尋ねがありました。
 国民の皆さんや国会議員の方々に対して防衛省がきちんと説明責任を果たしていくことは重要であります。このことに全く変わりはありません。
 人権救済制度についてお尋ねがありました。
 人権救済制度の在り方については、これまでなされてきた議論の状況も踏まえ、不断に検討しております。例えば、個人通報制度の導入については、人権諸条約に基づく委員会の見解に対しどのように対応するかなど、我が国の司法制度や立法政策などに関わる論点があるため、各方面の意見なども踏まえつつ真剣に検討しているところです。
 政府としては、引き続き誰一人取り残されない社会の実現に向けてしっかりと取り組んでまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣赤羽一嘉君登壇、拍手〕

#24
○国務大臣(赤羽一嘉君) 水岡俊一議員から、中日本高速道路株式会社が発注した橋梁の耐震補強工事についてお尋ねがございました。
 発注者である中日本高速道路株式会社より国土交通省に対し、鉄筋コンクリートの一部にひび割れを確認したとの報告があり、現在、施工不良の有無について同社が調査中でございます。
 国土交通省といたしましては、この中日本高速道路株式会社における調査結果を踏まえ、適切に対応してまいります。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣萩生田光一君登壇、拍手〕

#25
○国務大臣(萩生田光一君) 水岡議員にお答えいたします。
 少人数学級の推進や多様な子供たちに対する教育についてお尋ねがありました。
 一人一台端末の下、一人一人に応じた個別最適な学びを実現する必要があります。このため、現在、少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備など、新しい時代の学びの環境の姿について、教育再生実行会議において検討をしております。
 また、ICT活用の推進は、不登校児童生徒や障害のある児童生徒など、多様な児童生徒の特性に応じた学習機会の充実にもつながるものです。
 文科省としては、誰一人取り残すことなく、全ての子供たちの可能性を最大限引き出す教育を実現することが重要であると考えています。(拍手)
   〔国務大臣岸信夫君登壇、拍手〕

#26
○国務大臣(岸信夫君) 水岡俊一議員にお答えをいたします。
 普天間飛行場の辺野古移設に関し、沖縄防衛局の対応についてお尋ねがありました。
 御指摘の国会議員の方々の沖縄防衛局への御訪問については、御訪問について事前に御連絡をいただいていたものの、具体的な対応者の調整は御訪問の当日になったところであります。沖縄防衛局長については、当日は他の公務で外出する必要があったことから出席することができず、事業の内容に詳しい職員が対応させていただきました。
 当日の沖縄防衛局長の公務の詳細な内容については、今後の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあることからお答えを差し控えますが、防衛省としては、沖縄防衛局も含め、御訪問時の対応に当たっては、事前に十分に連絡調整を行わせていただき、しっかりと説明責任を果たしていくことが大切であると考えております。(拍手)
    ─────────────

#27
○議長(山東昭子君) 磯崎仁彦さん。
   〔磯崎仁彦君登壇、拍手〕

#28
○磯崎仁彦君 自由民主党の磯崎仁彦です。
 私は、自由民主党・国民の声を代表して、菅総理大臣の所信表明演説について、質問いたします。
 今回の所信表明演説に当たり、頭に浮かんだ二つの言葉があります。
 一つは、三つの鏡です。千三百年間読み継がれてきた帝王学の教科書「貞観政要」にある言葉です。
 一つ目は、自分の顔を映す銅の鏡、二つ目は、歴史に学ぶ歴史の鏡、最後の三つ目は、部下の厳しい直言や諫言を受け入れる人の鏡です。この三つの鏡は、良い意思決定をする上で必要な心構えとして挙げられています。
 もう一つの言葉は、私の地元香川県出身の大平元総理が使っていた楕円の哲学です。
 楕円には二つの中心点があることになぞらえ、政治にも、ある考えがあれば、それと相対立する考えがある。その二つが均衡を保ちながら緊張した関係にある場合こそ、立派な政治を行うことができるといった趣旨の言葉です。
 二つの言葉はいずれも、世の中には必ず異なる意見があるが、それを排除するのではなく、受け止めながら、バランスを取り、合意形成を進めていくことが大切であると教えてくれています。
 組織というものは、トップにはいい話しか上がってまいりませんが、現場に行くと、実はこういうことがあるというのが世の常です。どの組織であろうとも、トップはアンテナを高く張り、いろいろな話にじかに耳を傾けねばなりません。
 「貞観政要」を愛読され、多忙でも様々な方々からお話を伺うというスタイルを変えない菅総理であるからこそ、三つの鏡、それに加えて楕円の哲学の姿勢を崩さずに我が国が直面する様々な課題に対処していくことができると確信し、国民のために働く内閣の実現を全力で支えてまいりたいと考えております。
 菅総理は、安倍内閣で七年八か月間、内閣官房長官を務められました。官房長官は参謀、側近であり、大規模災害などの際の危機管理から省庁にまたがる政策調整に至るまで対応を求められる内閣の要です。内閣官房長官のマネジメント力こそ政治の真髄と言う識者もいます。
 その内閣官房長官を歴代一位の在任期間、務め上げた菅総理であるからこそ、内閣官房長官として求められる政治姿勢は何か、また、それは内閣総理大臣のそれとは違っていることを実感されていると思います。
 そこで、内閣官房長官と内閣総理大臣の政治姿勢について、どこがどう異なっていると認識された上で総理の職を全うしていくお考えでしょうか、お聞かせください。
 今から十年前、私は、平成二十二年七月、自民党が野党のとき、地元の皆様方に国政へと送り出していただきました。その野党時代の平成二十二年一月二十四日に定められた自由民主党平成二十二年綱領。ここには、常に進歩を目指す保守政党であるために、「正しい自由主義と民主制の下に、時代に適さぬものを改め、維持すべきものを護り、秩序のなかに進歩を求める」とあります。
 この綱領どおり、安倍政権では、時代に合わないものを変えるため、三本の矢などの大胆なデフレ脱却政策、働き方改革など、大胆な経済政策を断行してきました。また、日本を取り巻く安全保障環境の激変に対応し、平和安全法制の整備などを進めてきました。
 菅総理は、就任後初めての会見で、安倍政権の取組を継承し、前に進めていくことが自らの使命であると述べられておりますが、真の保守政党たる自由民主党の総裁として、変えるべきところは変え、守るべきところは守るというスタンスで政権を運営していただきたいと思います。
 そこで、菅総理は、安倍政権のどういうところを継承し、また、どういうところを変えていきたいとお考えでしょうか、お伺いいたします。
 政府の最も重要な役割の一つは危機管理です。
 私は、参議院議員となる前、民間企業で危機管理に関連する役職に就いたことがあります。危機管理は、きちんと対応できて当たり前、やり過ぎるとなぜそこまでやるのかという批判が出る、そして、対応が不十分で後手後手に回るとその不十分さを批判されます。民間企業であっても、危機管理は大変厳しいものであることを実感しています。政府においてはそれ以上の厳しさがあります。しかし、それでも危機管理においては、事前にリスクを認知した上で、前例にとらわれず先手を打つことが重要です。
 七年前、アルジェリアで起きた石油精製プラント襲撃事件では、前例のなかった政府専用機派遣に踏み切り、邦人避難に全力で当たられました。また、本年一月の中国武漢での新型コロナウイルスによる感染拡大では、武漢の空港が事実上閉鎖、現地の公共交通機関がストップし、現地邦人の帰国が困難な状況となる中、世界に先駆けてチャーター機を飛ばし、日本に戻されました。前例にとらわれず先手を打つの見本ではないかと思います。
 そして、自然災害や感染症についても、事前にリスクを把握し、予防的な措置を備えておくことが必要です。
 そこで、常に緊張感を持って危機管理に備えてきた菅総理としては、どのように防災・減災、国土強靱化や感染症対策に当たるおつもりでしょうか、お聞かせください。
 来週、十一月三日に行われるアメリカ大統領選挙の結果で、中国や北朝鮮に対する外交政策、TPPなどの貿易政策、そして地球温暖化政策など、米国の政策が大きく変わるかもしれません。
 現在、米中関係は、中国外相が国交樹立以来最悪と評するまでに冷え込んでいます。感染症危機は、米中対立を更にエスカレートする方向に働いています。選挙結果次第で、米中の関係は接近し、太平洋分割論を懸念する向きもあります。いずれにしても、日本は米中の関係で極めて難しい状況に置かれています。
 シンガポール建国の父、リー・クアンユーは、日米中の関係について、二等辺三角形の状態が安定の秘訣と語っていました。日米関係の辺が、米中、日中の辺よりも短く、強く、太い形が最も安定するというものです。
 しかし、現在、貿易額は、米中が日米と日中を上回っていますし、米中の関係も難しくなっています。この状態の中、日米中の二等辺三角形の安定性を増すために、日米関係をより強くすることが不可欠です。
 その一つは、安全保障上はもちろん、気候変動や自然災害、GPSを利用した自動運転や航空機の運航など、様々な分野で重要性が増している宇宙において日米の関係を強めることです。例えば、先日、小惑星のサンプル採取に成功した探査機オシリス・レックスも「はやぶさ」の成果を取り入れて開発されているように、我が国が持つ宇宙開発に関わる技術や経験は米国にとっても貴重であり、この分野での関係強化は両国に極めて重要です。
 そこで、米国にとって日本が不可欠な存在であることを宇宙開発を含め様々な領域で示す必要があると考えますが、どのように我が国の不可欠性を示して、日米中の二等辺三角形の関係を安定させていくおつもりでしょうか、総理にお尋ねします。
 英国とEUの間の経済連携協定をめぐる交渉に不透明感があるだけに、日英EPAを早期に発効させることは、二か国間のみならず、地球規模で自由で公平な貿易や投資を守り抜き、拡大させる機運を醸成させる意義深いものです。
 自由で公平な貿易や投資は、我が国や我が国と価値観を共有する国々の発展の土台となるものであり、これまでも、TPP、日EU・EPA、日米貿易協定と、日本を要とする自由貿易圏の範囲を広げてきました。英国やタイはTPPへの参加意向を示しています。
 本年五月末、李克強首相はTPPへの参加意欲を問われ、中国は前向きで開放的な態度を取っていると初めて公式見解を示しました。中国もTPP参加に関心を表していると見られています。しかし、この背景には米国抜きのTPPなら中国が主導権を握りやすいとの思惑があると思われます。
 中国加盟の可能性については、米国のTPPへの姿勢など大統領選挙後の米国動向を見極めていく必要がありますが、茂木外務大臣はTPP加盟に対する中国の動向をどのようにお考えでしょうか、お尋ねします。
 米国大統領選挙の行方次第で、米国のパリ協定、国連気候変動枠組条約へのスタンスも大きく動きますが、菅総理は先んじて今回の所信表明で、グリーン社会の実現として、温室効果ガスの排出量を二〇五〇年までに実質ゼロにすると宣言されました。EUや中国等の削減目標と並んで高い基準の国際公約を掲げることで、世界から取り残される懸念が払拭されるという大きな意義があります。言わばグラフに現在から積み上げて未来へと左から右に線を描くのではなく、未来から現在に向けて右から左に線を描くやり方であり、目標達成への強い野心が感じられるものです。
 目標が定まれば、我が国は一丸となって、達成に向けて、産業構造や生活様式の転換に全力を尽くさねばなりません。自動車産業や交通機関、電力業界だけではなく、IT産業においても対応が求められます。また、AI、ビッグデータなどがもたらす第四次産業革命はエネルギーの最適化の実現等に不可欠ですが、他方、データを集積し処理するセンターが消費する膨大なエネルギーに対策を講ずる必要があります。
 このように、脱炭素を進める過程では、新たな技術やビジネスによる温室効果ガス排出削減の最大化を図ると同時に、環境と経済の好循環をつくり上げる工夫が必要ではないかと考えますが、菅総理のお考えをお聞かせください。
 深刻化する海洋プラスチックごみ問題に対する取組が進んでいます。本年七月からは、全国の小売店で、原則プラスチック製レジ袋が有料義務化されました。
 この海洋プラスチックごみ問題については、昨年、日本学術会議が、データに基づく助言の必要性や各国の科学者がアクセスできるデータ管理システムの確立、観測船による調査基盤の強化などを含む声明を出しました。
 海洋プラスチックごみ問題のように、世界が直面する課題には科学的な知見と国際的な協力が不可欠です。各国の科学アカデミーと連携を築き上げてきた学術会議には、その機能を十分に発揮していただかなければなりません。同時に、学術会議自体、その在り方を不断に検討していくことが求められています。
 そこで、本年三月に出された外部評価有識者による活動状況に関する評価で指摘された事項、例えば、果たすべき役割と仕組みの構築、人文社会科学の果たすべき役割の再検討、会員選考等におけるダイバーシティーの推進などについてしっかりと対応していく必要があると考えていますが、総理のお考えをお聞かせください。
 北朝鮮による脅威の増大など、安全保障環境が大きく変化をしています。
 固形燃料型のミサイルとなり事前の動きが察知しにくい、また、軌道が変化するミサイルも開発が進んでいるなどの環境変化の中で、しっかりと抑止力を高めなければなりません。
 加えて、今回の感染症による国際的なサプライチェーンの分断により、軍事面だけではない食料、エネルギー、さらにはマスク等の生産といった経済産業活動も我が国の安全に直結していることが明らかになりました。
 同時に、通信分野での覇権主義が広がっています。機密情報を扱う通信回線や機器の導入については、規格が開かれたものか、常に安定的なデータ流通が保障されているかという点も考慮しなければなりません。
 政府では、本年四月一日、国家安全保障局に経済分野を専門とする経済班を発足させました。世界的な感染症の拡大による世界経済やパワーバランスへの影響など、重要課題への対応が期待をされます。しかし、我が国の国家安全保障戦略は平成二十五年に初めて閣議決定されたときのままです。
 安全保障戦略が対象とすべき範囲が広がっていることから、国家安全保障戦略についても見直しを視野に入れるべきと考えますが、どのようにお考えでしょうか。また、見直しの際には、経済、食料やエネルギー、そして感染症などの分野についても重きを置くべきと考えますが、どのような観点を盛り込むことを検討していくおつもりでしょうか、総理にお伺いします。
 我が国は、これまでエネルギー供給国の多様化を求めてきましたが、近年、スエズ運河航路の代替ルートである北極海航路や、石油、天然ガス資源開発の活発化から北極政策が注目されています。
 北極海航路では、スエズ運河航路に比べて欧州からの航行距離が約三分の二となる上、航路上のリスクも低いと評価されています。北極圏には石油、天然ガス資源が眠っていますが、ガス田、LNGプラント開発や輸出港の建設も進んでいます。
 一方、冷戦後、平和の海とされてきた北極海も、経済権益の拡大を目指して中国が探査を進めており、ロシアとの接近も懸念材料です。米国、ノルウェー、デンマーク、カナダなどの関係国を巻き込んで、我が国のエネルギー安全保障環境の改善のために、北極海航路や資源開発など北極政策をどのように進めていくおつもりでしょうか、梶山経済産業大臣にお伺いします。
 本年のノーベル平和賞に決まった国連食糧計画の授与理由は、飢餓が戦争や紛争の武器として利用されないための努力です。食料が安全保障にとって極めて重要であることを示しています。
 我が国の食料自給率はほかの先進国よりも低く、政府目標値に届いていません。農林水産業に従事する方々の高齢化が進み、人口減少で地域の活力も失われようとしています。加えて、コロナ禍による消費の落ち込みで農家の経営基盤自体が脅かされています。国産農産物こそ大切な一番頼れる存在です。
 高収益作物次期作支援交付金の運用に当たっては、農業者の皆さんが、新型コロナウイルスへの不安から営農を断念することなく、次のシーズンにおいても前向きに生産活動を行えるよう支援することを主眼とし、現場の事情をしっかり把握して対応すべきと考えます。
 そこで、農林水産業についても安全保障政策としての位置付けを明確にする。その上で、産業としての持続可能性を高め、生産に携わる方々が次のシーズンに向けて前向きになれる政策を講ずる。そうすることで食料自給率を改善していかなければ、我が国の安全、安心は保てません。野上農林水産大臣はどのようにこれらの課題に取り組むお考えでしょうか、お伺いします。
 長い間続いてきた地方圏からの人口流出、東京圏への一極集中の流れが、新型コロナウイルスの感染拡大により、在宅勤務の推奨、三密環境からの回避などが進んだことで変化が見られました。本年五月、七月、八月、そして九月は、東京都の人口は転出超過となっています。テレワークやワーケーションなどの新しい働き方で、東京に縛られなくてもよいのであれば、地方に生活の拠点を移そうという動きがますます高まります。
 しかし、公共交通機関の本数が少ないなど利便性が悪い、保育施設や学校はあるものの通いづらい、病院がない、あっても産科や小児科がないといった地域公共交通、保育、学校、病院へのアクセスに不安があるために、地方への移住に踏み出せないという声も聞こえます。また、地方の思いを国政に届けたくても、人口少数県という理由で合区選挙区になっている県では、大都市圏とは異なり、政治へのアクセスも制限されることになります。
 そこで、総理の言う活力ある地方をつくるためには、生活やなりわいにとって不可欠な地域公共交通、保育、学校、病院、政治参加などについて政府が国民に対して最低限の保障をしていく、言わば公共サービスのナショナルミニマム的なアクセスを確保していくべきとの考え方について、菅総理はどのようにお考えでしょうか、お尋ねいたします。
 新型コロナウイルスは教育の現場にも大きな影響を与えています。三密回避のため、高等教育のみならず義務教育でも遠隔授業が取り入れられています。しかし、家庭によってはインターネット環境が十分ではない、子供一人では遠隔授業の受講は難しいなどの課題も明らかになり、習熟度には差が生じているという指摘があります。
 また、キャンパスへの立入り制限のため、入学後、大学に通えず、友人もつくれないという悩みも聞きます。学生を取り巻く経済状況も厳しさを増しています。アルバイト収入や親元の世帯収入が減少したため、経済的な理由で学習を続けることができなくなるのではないかという不安を抱える学生も多くなっています。経済的支援が本当に必要な学生に情報が届いていないという話もあります。
 就職活動をめぐる状況も大きく変わりました。希望している業界の採用が軒並み中止となった、説明会やインターンシップも行われなくなった、リモート授業だけになったなど不安も広がっています。大卒の内定率は昨年と比較して一〇%以上低下しているとも報道もありますが、更に雇用への影響が長引き、就職氷河期への懸念も大きくなっています。
 学びの場で自分を磨き、そして社会に巣立っていこうという若い世代が不安にくじけてしまわぬよう、今こそ政府が支援の手をしっかりと届けるべきだと考えますが、総理の決意をお聞かせください。
 今回の新型コロナウイルス危機は、これまでの不況と異なり、女性就業者が多い産業を直撃し、女性の雇用をより厳しい状況に置いています。第二次安倍政権下では女性就業者は約三百三十万人増加しましたが、本年四月には対前月比で七十万人減少しました。これは男性に比べ約二倍の減少です。学校の一時休業や保育園の休園などにより家事や育児負担が増えたため、仕事を抑えざるを得ない女性も増えました。ある支援団体の調査では、シングルマザーの約七割以上が雇用形態の変更や収入減に見舞われたとのことです。
 五月、六月の二か月間に配偶者暴力相談支援センターに寄せられたDV相談は前年の一・六倍、女性の自殺者は、七月は六百五十九人、八月は六百六十人と直近五年間で最も多く、七月は前年同月に比べて九十六人、八月は百九十六人も増えています。また、東京都の性暴力ワンストップ支援センターには、今年の四月から八月までで、去年の同時期に比べて一・五倍の相談が寄せられています。
 女性を取り巻く状況が大変厳しいことをどのように認識された上で、どう苦しんでいる方々に支援の手を差し伸べるのか、さらに、そこからどう女性活躍に結び付けていくおつもりなのか、菅総理にお伺いをいたします。
 福島の復興なくして東北の復興なし。東北の復興なくして日本の再生なし。所信で示されたように、総理の強い思いは揺るぎません。
 就任後初の地方視察では、東日本大震災の被災地である福島県を視察され、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業などを視察されました。
 その際、私自身も経済産業副大臣時代に取り組んでいた処理水の扱いについて、菅総理は、今後できるだけ早く政府として責任を持って処分方針を決めたいと述べられました。敷地内の大量のタンクそのものが風評被害やリスクの要因になっているとの懸念もあり、処理水の取扱いは廃炉の円滑な進行のためにも解決されるべき課題であります。
 これまで七回にわたり開いた御意見を伺う場において聴取した関係者の声やパブリックコメントなどを踏まえ、与党の第九次提言にもあるとおり、風評への影響を起こさないための対策を徹底しつつ、早急に処理水の取扱いを決定すべきと考えますが、菅総理のお考えをお聞かせください。
 菅総理は、目指すべき社会像は、自助、共助、公助、そして絆だと述べられております。まずは自分でできることは自分でやってみる、そして、地域や自治体が助け合い、政府が責任を持って対応する。
 防災でも使われる三助ですが、江戸時代、出羽国米沢藩の藩主である上杉鷹山は、三助の実践を唱えています。自助については、それぞれの負担能力に応じて求められる範囲は異なり、それに応じて共助、公助の守備範囲も変わってくるものです。同時に、社会構造等の変化により、所得のみを勘案して負担能力を測ることがふさわしいのかという議論も必要です。
 介護保険では、施設入所者の食費、居住費の自己負担額を決めるに当たっては金融資産も勘案される制度となっています。高等教育の修学支援でも、本人及びその生計維持者の金融資産が認定要件に含まれています。また、医療保険制度でも、金融資産を勘案すべきだという議論があります。
 あわせて、厚生年金の適用対象が拡大され、従業員が少ない企業の短時間労働者も加入できるようになりましたが、零細な中小企業には雇用者負担は重いものです。負担額を決めるに当たり、事業者側の経営状況が考慮されなければ給与の切下げにつながるのではないかと懸念しています。
 そこで、全世代型社会保障制度を考えるに当たっては、資産格差や企業格差を是正するという観点からも、自己負担額を決めるに当たっては、所得のみではなく利益や資産も勘案していくことも含めて考えていくべきと思いますが、総理はどのようにお考えでしょうか、お聞かせください。
 自助、共助、公助、そして絆を考えるに当たり、自分なりに行き着いたキーワードは、選択肢のある社会でした。
 今や、国民の皆さんが持つ価値観の多様化はますます進んでいます。一つの方向性を提示し、その実現のために一つの政策だけを推し進めるやり方では、問題解決に至ることがなかなか難しい時代になっています。
 子育てについても、できる限り自分の手で育てたいという考えの家庭もあれば、共働きで保育を必要とする家庭もあります。待機児童対策や育児休業取得の促進はもちろんのこと、三世代同居しやすい環境づくりも求められています。
 雇用についても、ニーズが多様化しています。正規雇用を希望する人、自由に働く時間を決めたいという人、様々な希望があります。様々な希望がある以上、一つの働き方をあるべき姿とみなして政策を進めることは社会の実態やニーズに合っていないと感じます。
 政治の決断として、政策を一つに決めなければならない場面があるのは事実です。しかし、財源が限られている中で、とりわけ生活に直結した医療、介護、子育て、教育などの分野では、過剰なコストが掛からない限り複数の選択肢を提供し、国民の皆様がその選択肢の中から自分の判断で自由に選ぶ仕組みが必要ではないでしょうか。そして、選んだ選択肢では対応できないリスクが発生したときに、相互に連帯して生活を保障する共助、さらには公的扶助など、必要な生活保障を実施する公助がしっかりと機能する、このことが安心感につながるのではないでしょうか。
 菅総理は、自助、共助、公助、そして絆という国家像を追求していくに当たり、この選択肢のある社会の実現についてどのようにお考えかという点をお尋ねして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕

#29
○内閣総理大臣(菅義偉君) 私の政治姿勢についてお尋ねがありました。
 政権交代以降、官房長官として安倍総理を支え、経済の再生、外交・安全保障の再構築、こうした重要課題に取り組んでまいりました。今年に入ってからは、新型コロナウイルスの感染症拡大を食い止め、経済の回復に取り組んできました。その中で、アベノミクスを始めこれまでの各分野の改革は継承し、更に前に進めていきます。
 他方、総理大臣は国のトップとして最終決断を行う立場にあります。まさにこの国会において、温暖化目標について二〇五〇年カーボンニュートラルを宣言し、デジタル化を加速するため来年デジタル庁を創設をする、そうした決断をし、発表しました。
 これからも、国民のために何が当たり前なのかをしっかりと見極めた上で、行政の縦割り、既得権益、あしき前例主義を打破して、規制改革を進め、国民の負託に応えていきたいと思います。
 安倍政権の承継と変革についてお尋ねがありました。
 菅政権では、内政、外政にわたり安倍政権を継承しつつ、更なる改革を前に進めます。
 先ほど申し上げましたように、まずは何といっても感染対策と両立させる経済、これまでのアベノミクスを継承し、グリーン社会の実現、デジタル化に取り組んでまいります。
 外交においては、厳しい安全保障環境の中に、国民の命と平和を、そして暮らしを守り抜いてまいります。拉致問題は、菅政権においても最重要課題であり、全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現に全力を尽くします。日米同盟を基軸とし、自由で開かれたインド太平洋の実現、戦略的に推進するとともに、近隣諸国との安定的な関係を築いてまいります。
 防災・減災、国土強靱化や感染症対策についてお尋ねがありました。
 大規模自然災害については、発生時のリスクを想定した上で、被害を最小限に食い止めるため、国土強靱化基本計画に基づいて、省庁、自治体、官民の垣根を越えて災害に屈しない国土づくりを進めてまいります。
 また、感染症対策については、新型コロナウイルス対応も踏まえつつ、国立感染症研究所と国立国際医療研究センターの連携や疫学専門家の育成も含め、危機に迅速に対応できる仕組みを構築します。
 日米中の関係についてお尋ねがありました。
 我が国は、日米同盟を基軸とした外交・安全保障政策を展開していくとともに、中国と安定的な関係を築いてまいります。
 安全保障や経済社会にとっての宇宙空間の重要性が高まる中、宇宙分野における日米協力の推進も喫緊の課題であります。昨年十月に我が国が参画を決定したアルテミス計画における協力を含め、安全保障、民生利用、科学・探査などのあらゆる分野で連携してまいります。
 今後も、宇宙を含む様々な分野について日米協力を強化し、同盟関係を一層強固にしてまいります。
 環境と経済の好循環をつくり上げる工夫についてお尋ねがありました。
 二〇五〇年カーボンニュートラルを実現するため、内閣全体でしっかりとした体制を組み、取り組んでまいります。
 御指摘いただきましたように、産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長につながるという発想の転換を進めて、次世代型太陽電池、カーボンリサイクル、水素を始めとした革新的なイノベーションを推進し、経済と環境の好循環をつくります。
 日本学術会議についてお尋ねがありました。
 日本学術会議については、有識者による外部評価が定期的に実施されており、本年三月に公表された外部評価書で指摘された事項については、今後の日本学術会議の活動に反映されるものと承知しています。
 いずれにせよ、日本学術会議は、年間十億円の予算を使って活動している政府機関として国民に理解される存在であるべきであり、より良い組織をつくるよう、未来志向で梶田会長と議論を続けていきたいと思います。
 国家安全保障戦略の見直しについてお尋ねがありました。
 同戦略の策定以降、御指摘の経済分野や感染症などへの対応の重要性が増しており、政府としては、これらの分野を含めた中長期的な安全保障の方向性を見定める努力を継続しています。
 同戦略の見直しは現時点で決まっておりませんが、政府としては、我が国の将来の安全保障の在り方について引き続きしっかり議論して、検討していきたいと思っています。
 地方で生活をしていくための公共サービスの確保についてお尋ねがありました。
 新型コロナウイルス感染症を機に地方に関心が高まっており、東京一極集中の流れを変えるため、地方の生活環境を更に良いものにしていく必要があります。
 まずは、各地の観光や農林水産業などが成長できるように支援をし、地方の所得を引き上げ、地方の経済を活性化していきます。
 あわせて、地方での生活に必要なサービスを確保する観点から、地方公共交通の確保、中心市街地の再生、都市のコンパクト化、医療、介護などの地域包括ケアシステムの構築などに取り組んでいきます。
 若い世代への支援についてお尋ねがありました。
 遠隔教育及び新型コロナウイルス対策を踏まえた学校の再開を推進し、大学生については、家計が急変した学生を無償化の支援対象にするとともに、授業料減免を行う大学への支援や学生支援緊急給付金の支給など、様々な支援を講じてきています。
 就職活動については、経済団体に対して中長期的な視点に立った採用についての要請を行っており、さらに、新卒応援ハローワークを通じた担当者制による個別支援など、きめ細かな就職支援を行っています。
 コロナ禍で厳しい状況にある女性への支援についてお尋ねがありました。
 新型コロナウイルスにより、特に、女性の雇用が厳しい状況にさらされていますが、こうした中にあって、これまで進めてきた女性活躍の勢いは止めてはなりません。
 このため、今回の新型コロナウイルス対策についても、低所得者の一人親家庭に対する臨時特別給付金の支給や、小学校の臨時休校等によって仕事を休まざるを得なくなった保護者の皆さんを支援するための助成金の支給、DV増加、深刻化に対応するため、二十四時間対応の新たな電話相談窓口を開設するとともにSNS相談も対応するなど、コロナ禍で厳しい状況にある女性を支援するための取組を行ってまいりました。
 今後、今般の新型コロナウイルスの拡大により顕在化した課題も踏まえつつ、年末までに新たな男女共同参画基本計画を策定をし、全ての女性が輝ける社会の構築に向けて総合的な対策を推進をしていきます。
 東京電力福島第一原発におけるALPS処理水の取扱いについてのお尋ねがありました。
 本年二月に科学的根拠に基づく報告書をまとめて以降、自治体や農林水産業の団体との意見交換などを通じ、広く国民の皆様から貴重な御意見をいただきつつ議論を積み上げてきています。
 敷地が逼迫する中、いつまでも方針を決めず先送りすることはできません。更に政府内での検討を深め、今後、適切な時期に政府として責任を持って処分方針を決めてまいります。
 また、これまでに実施した風評被害対策のうち効果が大きいと考えられる事例を参考にするなど、関係省庁において具体的な風評対策の議論を深めていきます。
 全世代型社会保障の検討についてお尋ねがありました。
 少子高齢化が急速に進む中、現役世代の負担上昇を抑えながら、全ての世代の方々が安心できる社会保障制度を構築し、次の世代に引き継いでいくことが重要であると考えています。
 そのためにも、少しでも多くの方に支える側として活躍いただき、能力に応じた負担をいただくことも必要であると考えており、負担の公平性という観点からは、資産を勘案するといった点も含め、将来的な課題として検討していくことも必要であると考えます。
 選択肢のある社会の実現についてお尋ねがありました。
 私が目指す社会像は、自助、共助、公助、そして絆です。まずは自分でやってみる。その際、多様なニーズやライフスタイルを踏まえ、様々な選択肢を用意する。可能な限り規制を緩和し、選択に当たっての障害を取り除く。こうしたことは国の責任としてしっかり取り組んでいくことが必要だと思います。
 例えば、雇用の分野では、テレワークや兼業、副業など、柔軟な働き方を選択する環境をしっかりと整備していきます。
 子育ての分野でも、男女を問わず育児休業を取りやすい環境整備を進めるとともに、待機児童の解消を目指し年末までに新たな計画を取りまとめるなど、仕事と子育ての二者択一を迫られることなく能力を発揮できる社会を構築していきます。
 その上で、自助では対応できないリスクについては、家族や地域で助け合う、そして、最後は国がセーフティーネットでお守りをします。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣茂木敏充君登壇、拍手〕

#30
○国務大臣(茂木敏充君) 磯崎議員から、TPP加入に関する中国の動向についてお尋ねがありました。
 世界経済を見渡せば、グローバル化が進展する一方、保護主義的な動きが広がりつつあります。日本は率先して自由で公正な経済圏を広げるべく努力を重ねてきました。TPP11、日EU・EPA、日米貿易協定や日英包括的経済連携協定はこうした取組の成果であります。
 二十一世紀型の新たな共通ルールを世界に広めていくことの意義を有するTPP11については、英国やタイを始めとした様々なエコノミーが関心を示しており、我が国としてもこうした関心表明を歓迎しております。
 一方、中国がTPP加入について関心を公式に表明したとは理解しておりませんが、TPPは貿易、投資の自由化や紛争処理等において高いレベルの内容となっており、中国を含め各国がこれに参加する意図や用意があるかについては、しっかり見極めていく必要があると考えております。
 米国の大統領選後、来年、我が国はTPP委員会の議長国となります。我が国としては、新規加入に関心を示すエコノミーの動向を注視しつつ、戦略的観点を踏まえながら、自由貿易を主導し、TPP11の着実な実施及び拡大に取り組んでまいります。(拍手)
   〔国務大臣梶山弘志君登壇、拍手〕

#31
○国務大臣(梶山弘志君) 磯崎議員からの御質問にお答えをいたします。
 北極海航路や北極圏における資源開発についてお尋ねがありました。
 石油、天然ガスのほぼ全量を輸入に依存している中、昨年九月にはサウジアラビアの石油施設が攻撃される等の事案が発生しており、石油、天然ガスの供給源を多角化していくことの重要性が高まっております。
 北極圏は天然ガスを始めとして豊富な資源埋蔵量を有しており、北極圏における資源開発とその輸送ルートとしての北極海航路の確保は、我が国のLNG供給源多角化に資するものであります。
 このため、積極的な資源外交を通じて、北極圏における我が国企業も参画するLNG開発を支援するとともに、北極海航路でのLNG輸送に必要となる積替え基地事業への我が国企業の参画を後押しをしています。
 北極圏においてこうした取組を着実に進めることを通じて、我が国の新たなLNG供給ルートを確立を進めてまいります。(拍手)
   〔国務大臣野上浩太郎君登壇、拍手〕

#32
○国務大臣(野上浩太郎君) 磯崎仁彦議員の御質問にお答え申し上げます。
 農林水産業の課題についてのお尋ねがありました。
 国民に対する食料の安定供給は、国家の最も基本的な責務の一つであります。将来にわたってこの責務を果たしていくためには、国の基である農林水産業を成長産業として持続的に発展させ、食料安全保障の強化を図っていくことが重要です。
 食料自給率につきましては、本年三月に閣議決定された新たな基本計画において、令和十二年度にカロリーベースで四五%、生産額ベースで七五%まで引き上げるという目標を設定しております。
 農林水産省としては、この目標の達成に向けて、農林水産物の五兆円の輸出目標にも対応した生産基盤の強化、農林水産業の担い手の育成確保等に取り組んでいくこととしております。(拍手)

#33
○議長(山東昭子君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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