くにさくロゴ
2020/05/29 第201回国会 参議院 第201回国会 参議院 本会議 第20号 令和2年5月29日
姉妹サイト
 
2020/05/29 第201回国会 参議院

第201回国会 参議院 本会議 第20号 令和2年5月29日

#1
令和二年五月二十九日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第二十号
  令和二年五月二十九日
   午前十時開議
 第一 大気汚染防止法の一部を改正する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
 第二 年金制度の機能強化のための国民年金法
  等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議
  院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、地域共生社会の実現のための社会福祉法等
  の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────

#2
○議長(山東昭子君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#3
○議長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。加藤勝信厚生労働大臣。
   〔国務大臣加藤勝信君登壇、拍手〕

#4
○国務大臣(加藤勝信君) ただいま議題となりました地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 少子高齢化が急速に進行し、我が国の社会が人口減少に直面するとともに、単身世帯の増加等家族の在り方や地域社会も変化する中で、個人や世帯の抱える課題が複雑化、複合化しています。こうした状況を踏まえ、市町村の包括的支援体制の構築、地域包括ケアシステムの推進、医療・介護のデータ基盤の整備等を通じて、全ての地域住民が相互に人格と個性を尊重し合いながら、参加し、共生する地域社会の実現を図るため、この法律案を提出いたしました。
 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。
 第一に、市町村において、既存の相談支援等の取組を生かしつつ、地域住民の抱える課題の解決のための包括的な支援体制の整備を行う新たな事業及びその財政支援等の規定を創設することとしています。
 第二に、地域の特性に応じた認知症施策や介護サービス提供体制の整備等を推進するため、認知症施策の総合的な推進に向けた国及び地方公共団体の努力義務を規定するとともに、有料老人ホーム等の設置状況を介護保険事業計画に位置付けます。
 第三に、地域の特性に応じた質の高い医療・介護サービス提供体制を構築するため、介護分野のデータベースの収集情報の拡大、医療・介護情報の連結精度の向上等により、医療・介護に係るデータ基盤の整備を推進します。
 第四に、介護人材確保及び業務効率化の取組を強化するため、その取組を介護保険事業計画に位置付けるとともに、介護福祉士養成施設卒業者への国家試験義務付けに係る経過措置の延長や、有料老人ホームの設置等に係る届出事項の簡素化のための見直しを行います。
 第五に、地域における良質かつ適切な福祉サービスの提供及び社会福祉法人の経営基盤の強化を図るため、社会福祉事業に取り組む社会福祉法人やNPO法人等の業務連携を推進する社会福祉連携推進法人制度を創設することとしています。
 最後に、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、令和三年四月一日としています。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────

#5
○議長(山東昭子君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。田島麻衣子さん。
   〔田島麻衣子君登壇、拍手〕

#6
○田島麻衣子君 共同会派、立憲・国民.新緑風会・社民の田島麻衣子です。
 ただいま議題となりました政府提出の地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律案について、会派を代表して質問をいたします。
 質問に先立ち、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになりました方々にお悔やみを申し上げるとともに、現在も治療に当たられている方々やその御家族に心よりお見舞いを申し上げます。
 そして、医療従事者、介護・障害福祉事業者を始め地域の子供たちを守り、今、このときも社会の機能を支えてくださっている全ての方々に心より感謝を申し上げます。
 まず、安倍総理にお聞きします。
 総理にとって法の支配や、その下の正義とは何を意味するのでしょうか。国会が制定し積み上げてきた法規範と法解釈を守り、尊重する気持ちをお持ちでしょうか。
 去る五月二十日、黒川前東京高検検事長の賭けマージャン問題が報道され、黒川氏は訓告という制裁的内容を有さない処分で、自己都合退職となりました。
 第一次安倍政権は、二〇〇六年十二月十九日、賭けマージャンが賭博罪に当たると閣議決定しています。ここに金額の多い少ないという記述はありません。それどころか、防衛省は二〇一七年三月二十七日、陸上自衛隊青野原駐屯地で黒川氏と同じレートで賭けマージャンをしたとされる自衛官九名を停職の懲戒処分にしました。
 安倍総理に伺います。
 なぜ、政府の公式見解として賭博罪に当たる行為を行った九名の自衛官は重い懲戒処分を受け、同じ行為を認めたとされる検察庁のナンバーツーは何らの制裁も受けずに訓告処分で済むのでしょうか。黒川検事長の懲戒処分権者は内閣、すなわち安倍総理です。賭博罪等の犯罪を取り締まる検察の最高幹部である黒川氏が、普通の自衛隊員よりも処罰が軽くてよいとする理由をお示しください。
 岡田副官房長官は、五月二十六日、外交防衛委員会で、内閣及び内閣官房は、この間、法務省による二十一日付けの調査結果及び検討結果の報告書を受け取っていない、しかし、それらの内容を総理は適宜報告を受けていたと答弁しました。
 安倍総理は、法務省のこれらの報告書の内容の説明を、誰から、何日の何時頃に受けたのか、それは、黒川氏の訓告処分を内閣として異論がないとした時点の前なのか、後なのかをお示しください。
 そして、安倍総理は懲戒処分権を有する内閣の首長として、いつの時点で黒川氏には懲戒処分は不要であると判断したのか、具体的にお示しください。
 そもそも、安倍総理は黒川氏の懲戒処分権を有する内閣の首長として、黒川氏を懲戒処分にしないという判断及び結果について法的な責任を有するとお考えでしょうか。お答えください。
 法務省や検事総長の判断のいかんにかかわらず、安倍総理は黒川氏を懲戒処分とする案件を自らが主宰する閣議に提出することができました。安倍総理は、なぜ黒川氏は懲戒処分が不要と考えたのでしょうか。安倍総理御自身のお考えをお示しください。
 そして、東京高検検事長を辞職した黒川氏の任命責任について、安倍総理は、法務省、検察庁の人事案を最終的に内閣として認めた責任は私にあるとおっしゃいました。今後、どのようにその重い任命責任を果たしていかれるのか、その責任の取り方を具体的に御教示ください。
 さらに、安倍総理に伺います。
 後手後手の対応を始め失政を繰り返している、多くの国民が信頼し得ない総理の下で新たな日本を作成することができない、現在の日本には、王様が裸だと分かっていても、それを言うべきではないという空気が支配している、そろそろ真実を語ることが求められる。これは、二〇一一年四月十四日、夕刊フジに総理御自身が寄稿したコラムです。今、まさにこの同じ言葉が御自身に問われているのではないでしょうか。国民の苦しい不安の声が届いていないと気付くべきではないでしょうか。感想を求めます。
 次に、法案の質問に入らせていただきます。
 我が国は、かつて経験をしたことのないスピードで少子高齢化が進む中、子育てと親の介護を両立しなければならないダブルケア問題など、これまでの仕組みで対応し切れない課題が発生しています。こうした課題に対して、属性や世代を問わない包括的な相談窓口対応などを市町村の任意事業として行う試みを評価します。
 しかしながら、地方自治体では、この包括的な支援体制の構築事業に交付金が付くことによってこれまで割かれてきた高齢分野、子供分野、障害分野、生活困窮分野など、予算が現場で削られるのではないかと危惧する声があります。
 加藤厚労大臣にお聞きします。
 この任意事業が開始されても、これまで各分野に充当されてきた予算は削らないということを是非この場で確認させてください。
 そして、高齢化が進む中で圧倒的に足りないのが、介護分野で働こうと意欲を持ち続けることができる方々の数です。介護関係職種の有効求人倍率は平成三十年で三・九五倍と、全職種の一・四六倍をはるかに上回っています。
 そして、私の地元愛知県では、先日、高齢者向けのデイサービス事業で新型コロナ感染症のクラスターが発生しました。NHKの取材結果によると、二〇二〇年四月の時点で、高齢者入所施設で感染した職員は日本全国で約百七十人に上るといいます。今もこの感染のリスクに不安を抱きながら介護の現場を支えていらっしゃる方は多いはずです。介護士を取り巻く仕事環境はこれまで最も過酷であっただけではなく、昨今のコロナ禍でも更に大きなダメージを受けています。
 今、こうした厳しい状況に置かれている介護の現場で人材を確保するために必要なのは、果たして介護人材確保や業務効率化の取組を地方自治体の介護保険事業計画に新たに書き込むことでしょうか。有料老人ホームの設置に関する届出事項の簡素化を図るための見直しを行うことでしょうか。これらはプラスにはなっても、介護人材が圧倒的に足りないという問題の根本的な解決にはならないのではないでしょうか。
 また、加藤厚労大臣にお聞きします。
 これまで例外的に認められてきた、国家試験を受けずに社会福祉資格を取得できる経過措置を更に五年延長させることは、今も資格試験に励まれている受験生のモチベーションを下げるだけではなく、問題を先送りすることになりませんか。お答えください。
 介護分野を支える人材不足の解消のために今必要なのは、介護の仕事に興味を持てる若者を増やし、介護の分野で働く意欲を失わない職場環境を用意することではないでしょうか。そうした環境を用意するためには、今も必死に現場を支える方々の物心両方のケアを充実させることが大事なのではないでしょうか。人材不足の解決策の鍵は、人を大事にするという日本型経営モデルの基本に立ち返ることにあるのではないでしょうか。
 セクハラやパワハラは介護現場では珍しくないといいます。ばかなど人格を否定する発言をされる、性的な冗談を繰り返されるなど、介護の現場では女性の割合も多く、介助の一環で身体接触が多いことも背景にあります。どんなに人格を傷つけられることを言われても黙って耐えるしかない。私は、介護団体の方々から直接話を聞いて本当にいたたまれなくなりました。安倍総理は、多くの介護士が直面しているこうしたセクハラ、パワハラの現状を御存じでしょうか。お答えください。
 こうした問題に国が正面から取り組み、今も介護に従事する方々の尊厳を守ることなしに、介護人材を確保することは難しいのではないでしょうか。国として、介護現場のセクハラ、パワハラ問題にどのように真剣に取り組んでいかれるか、安倍総理に御所見を伺いたいと思います。
 そして、心のケアに加えて必要なのは、待遇改善です。この点について、安倍総理は度々この国会でも、これまでの処遇改善に加え、昨年十月にも月額最大八万円の処遇改善を行ったところと答弁されてきました。
 私は、これまでも地元の介護施設で働く方々に多くの話を聞いてまいりましたが、彼らの生活は苦しいままです。将来の不安なく生活できるだけの賃金を保障してほしい、こういう介護士の方々の切実な声は今も根強くあります。消費税の増税を使い始まった処遇改善が本当に功を奏しているならば、こうした声はなくなるはずです。
 政府が十分にやっていると答弁を繰り返す介護士の処遇改善と、介護士が待遇は十分でないと嘆き続ける差の原因はどこにあるのか、安倍総理の考えをお聞かせください。
 安倍総理の通算の在職日数は、憲政史上最長となりました。かつてどの首相も経験したことのないほどの長い間、総理大臣席に座っていらっしゃって、その視界は今、どれほどクリアなものなのかと思います。国民の苦しみや生活の不安に関する切実な声は、どれほど明瞭にその耳に届いているのでしょうか。是非、国民に寄り添う気持ちを再度、我々にお聞かせ願えればと思います。
 次に、医療・介護のデータ基盤の整備について質問させていただきます。
 質の高い政策立案のためには、正確なデータが政策立案者の手元にあることが大事です。地域の医療・介護の状況を把握し、介護・医療分野の調査分析のために医療・介護データベースの連結精度を向上させようという趣旨に賛同いたします。
 しかしながら、この法案の中に、七百六十八億円の国家予算を投入し、顔認証付きカードリーダーを調達、提供する業務が社会保険診療報酬支払基金の業務として追加されるという提案を、国民の財産を守る我々はどう考えるべきでしょうか。
 これは、医療機関の窓口で医療保険の資格確認を速やかに行うために、令和五年三月末までに全ての医療機関や薬局等に顔認証付きカードリーダーを設置するという計画です。顔認証付きカードリーダーの調達に係る予算は約二百億円程度、残りは医療機関等でシステム改修に掛かる費用を国が一部負担するというものです。
 カードリーダー導入の本当の目的が、窓口の医療保険の資格確認にあるのであるならば、被保険者番号ないしマイナンバーをオンラインで確認する仕組みをつくれば十分です。一台九万円もする顔認証付きのカードリーダーをわざわざ全医療機関等に提供する必要はありません。個人情報保護の観点から、顔認証のデータはその場で消去するそうですが、ならばなおさらのこと、高い予算を付けて顔認証機能を加える必要はないのではないでしょうか。加藤厚労大臣、お答えください。
 新型コロナ感染症の感染拡大に対する経済対策として、一人当たり十万円の特別定額給付金がオンライン申請になりました。しかしながら、総理も御存じのとおり、これには多くの不備が指摘され、今は郵送申請方式が主流となっております。新型コロナ感染の感染拡大を受けて休業した方々への雇用調整助成金の申請もオンラインになりましたが、初日にシステムに不備が見付かり、今も再開の見込みは立っていません。
 私たちがすべきことは、必要なのかどうかも不明な高額の機械を国民の税金で調達し、医療機関等に配るのではなく、まず、こうしたオンライン行政の基本をきちんと着実に押さえ、国民の皆様の生活のために実行することではないでしょうか。安倍総理、お答えください。
 IT化には多額の予算が付き、そこには利権も発生します。IT事業を第二の利益誘導型の公共事業にしていただきたくはありません。私は行政のIT化に賛成ですが、やるからには国民がその効果を実感する形でIT化を進めるべきです。そして、その効果をしっかりと国民に対して説明するべきです。そして、不要の予算は新型コロナ感染症の拡大で困っている学生、DV、医療・介護従事者、生活困窮者の方々などのために使うべきと考えます。
 国が最も大事にすべきは、国民の命であり生活です。政権の目前の利益や都合でもなく、利権でもありません。そのための法律であり、法解釈であり、医療・介護制度であり、行政のIT化であるということを強く申し上げまして、私の質問を終えたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

#7
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 田島麻衣子議員にお答えをいたします。
 黒川前東京高検検事長の処分等についてお尋ねがありました。
 法の支配やその下の正義とは、人権の保障と恣意的権力の抑制とを趣旨として、全ての権力に対する法の優越を認める考え方及びそのような考え方に基づいて正義を実現することであると承知しております。行政府の長として立法府が制定した法を遵守し尊重することは当然であり、今後ともその責務を果たしてまいります。
 その上で、国家公務員の人事上の処分については、所属の各省庁等において個別の事案に応じて適正に判断しているものと承知しています。黒川氏の処分についても、法務省において必要な調査を行い、法務省及び検事総長において事案の内容等、諸般の事情を総合的に考慮して訓告が相当であると判断し、適正に処分したものと承知しています。
 個別の人事プロセスに関することはお答えを差し控えますが、私自身は、先週二十一日の夕刻、森法務大臣から、事実関係の調査結果を踏まえて処分を行ったこと、その上で、黒川氏本人より辞意の表明があったので、これを認めることとしたいとの報告を受け、法務省の対応を了承したものです。
 他方で、黒川氏を検事長に任命したこと等については、法務省、検察庁の人事案を最終的に内閣として認めたものであり、その責任については私にあり、御批判は真摯に受け止めたいと考えております。
 御指摘のコラムについては、当時の菅政権による東日本大震災や福島第一原発事故への対応について寄稿したものです。
 私自身は、これまで行政府の長として、国民の皆様の不安や不満の声など様々な声をしっかりと受け止めながら政策を前に進めてきたところですが、今後も一層身を引き締めて政権運営に取り組んでまいります。
 介護現場のハラスメント対策や介護職員の処遇改善等についてお尋ねがありました。
 急速に少子高齢化が進み、人生百年時代が到来しようとする中で、介護人材の確保は大変重要な課題であると認識しており、着実な処遇改善に加え、ハラスメント対策を含む職場環境の改善を図っていくことが必要であると認識しています。
 介護現場でのハラスメントは、あってはならないことですが、一部そのような御指摘があることは承知しております。このため、厚生労働省において、労働組合などの当事者団体の御意見も踏まえた上でハラスメントの対策マニュアルや職員研修用の手引等を作成し、その防止を徹底するとともに、さらに、今年度から都道府県や事業者が行う研修や相談窓口の設置などに対して支援を行うこととしました。
 また、介護職員の処遇改善については、これまでの累次の処遇改善により自公政権で月額五万一千円の改善を行ってきましたが、昨年十月からは月額八万円の更なる処遇改善を行ったところです。その時点での当該処遇改善の実施率は全体の五割強にとどまっていましたが、更に二割の法人が実施を検討しており、その実施を着実に促していくことで現場の介護士の皆さんの賃金の向上を実現してまいります。
 引き続き、介護の現場で働く職員の皆さんを含め、国民の皆様の苦しみや生活の不安に関する声にしっかりと寄り添いながら、必要な支援を行ってまいります。
 顔認証付きカードリーダーについてお尋ねがありました。
 来年三月から医療保険の資格情報をオンラインで確認できる仕組みを活用することで、マイナンバーカードを健康保険証として利用する取組が開始されます。
 御指摘の顔認証付きカードリーダーは、患者の方がマイナンバーカードを健康保険証として利用する場合に、医療機関等の窓口で確実な本人確認や資格確認を効率的に行うために整備することとしているものであり、マイナンバーカードの健康保険証としての利用を進めるために必要なシステム整備であると考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣加藤勝信君登壇、拍手〕

#8
○国務大臣(加藤勝信君) 田島麻衣子議員より三問の御質問をいただきました。
 まず、包括的な支援体制の整備に係る新たな事業の財政措置についてお尋ねがありました。
 新たな事業を実施するための財政措置は、介護、障害、子ども、生活困窮の各法の実施義務に基づき、人員配置基準などを維持しながら必要な支援を提供するとともに、その実施に係る国、都道府県、市町村の費用負担は各法に規定する負担割合を同様として必要な予算を確保していくこと、また、参加支援、アウトリーチ支援、多機関協働といった既存の事業を支え、体制構築の強化に資する新たな機能についても、必要な予算を令和三年度以降要求していくこととしております。
 具体的な財源規模については予算編成過程において調整していくこととなりますが、全ての住民を対象とした包括的な支援体制を構築し、複雑化、複合化した支援ニーズに対応できるよう、必要な財源確保に努めてまいります。
 介護福祉士国家試験の経過措置についてお尋ねがありました。
 介護福祉士の養成施設卒業者に国家試験合格を義務付けることで資質を向上させるという、平成二十八年の法律改正当時の基本方針は堅持しております。
 経過措置については、平成二十八年当時と比較して介護現場の人手不足が深刻化していること等の状況の下、審議会などにおける議論で有識者、関係者の皆さんから様々な意見がありました。
 具体的には、質の高い介護を提供するためには全員が国家試験を受けるべきであり、経過措置を延長しないでほしいといった介護福祉士を目指す方々などからの切実な意見があった一方で、経過措置を延長しなければ介護サービスの提供に支障が生じかねないといった意見もあったところであります。こうした様々な意見も踏まえつつ、最終的には、経過措置を五年間に限り延長することを法案に盛り込んでおります。
 一方で、この経過措置はあくまで暫定的なものであり、この間に養成施設の教育の質を上げ、国家試験合格率を高めていくことが必要であります。
 このため、養成施設ごとの国家試験合格率などを公表する仕組みを新たに実施するほか、養成施設の教育の質の向上に係る取組、例えば留学生向けの介護福祉士試験対策教材の作成などについて必要な経費への財政的支援を行い、経過措置終了に向けた環境をつくっていきたいと考えております。
 また、国家試験義務付けのみならず、介護福祉士の方々が資格を取得した後も現場で活用し、チームリーダーとしてその力を発揮していただくことが重要であります。
 今年度においては、介護福祉士の果たすべき役割をより明確にし、資格の価値を高めていく観点から、キャリアモデルの検討を行うこととしており、介護福祉士が更に魅力のある資格となり、またこれを目指す人も増えていくような、こうした循環をつくっていくべき努力をしてまいります。
 オンライン資格確認に利用する顔認証付きカードリーダーについてお尋ねがありました。
 厚生労働省としては、令和三年三月からマイナンバーカードを健康保険証として利用することができるよう、オンライン資格確認等システムの準備作業を進めているところであります。
 マイナンバーカードを健康保険証として利用する際には、四桁の暗証番号を入力する方法では暗証番号を忘れてしまう方もおられることから、マイナンバーカードに表示された顔写真と本人の顔を確認する方法も採用し、それにより成り済ましを防ぎ、確実な本人確認を行うこととしたところであります。御指摘の顔認証付きカードリーダーはそのいずれの方法にも対応可能であり、誰にでも使いやすいものとなっております。
 また、令和元年六月のデジタル・ガバメント閣僚会議において、マイナンバーカードの健康保険証利用に向けた初回登録において、令和三年三月からは医療機関等の窓口における顔認証方式による登録処理を進めることともされております。
 厚生労働省としては、顔認証付きカードリーダーの普及を促進し、患者や医療機関の利便性の向上を図っていきたいと考えております。
 以上です。(拍手)
    ─────────────

#9
○議長(山東昭子君) 下野六太さん。
   〔下野六太君登壇、拍手〕

#10
○下野六太君 公明党の下野六太です。
 私は、自民、公明を代表して、ただいま議題となりました地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律案について質問いたします。
 初めに、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々に謹んでお悔やみを申し上げるとともに、現在治療中の方々の一日も早い回復をお祈り申し上げます。
 さらに、医療現場、福祉活動に従事する方々、社会を支えるために働いておられる全ての方々に敬意と感謝を表します。
 まずは、今回の法律案を総論として質問させていただきます。
 地域共生社会の実現とは、子供、高齢者、障害者、生活困窮者など全ての方々が地域、暮らし、生きがいを共につくり、高め合うことができる社会であると考えます。これを平成二十九年、厚労省が地域共生社会のキーワードを我が事・丸ごととしていますが、その意識の下での仕組みづくりが大切だと考えます。
 昨今の地域における問題は複雑化、複合化しており、八〇五〇問題やダブルケアや認知症の介護の問題に加えて中高年の引きこもりなど、解決が困難とも思える難題が山積しているのが地域であると思います。
 今回の法律案が機能するかどうか、ひとえに地域に暮らす方々一人一人の意識改革が重要だと思います。地域で暮らす方々が、私の幸せは地域の方々とともにある、私だけの幸せはない、地域の方々とともに幸せになっていくのだという意識に立たない限り、目指す地域共生社会にはならないのではないでしょうか。助け合い、守り合い、全ての人が生き生きと輝く地域をつくるのだという私たちの意識改革が重要だと考えますが、安倍総理の見解をお伺いします。
 それでは、具体的な法律案の内容についてお伺いします。
 まず、地域共生社会の実現に向けた包括的支援体制の整備についてお伺いします。
 近年、一つの世帯で複数の課題を抱えているようなケース、例えば八〇五〇問題や子育てと親の介護に同時に直面するダブルケア問題など、現行の支援制度の枠組みだけでは十分に対応し切れない事態が生じています。
 こうした状況を受け、今般の改正案では介護、障害、子ども・子育て、生活困窮者支援など、既存の相談支援等の取組を生かしつつ、相談支援、参加支援、地域づくり支援を一体的に実施する新たな事業が創設されることにより、これまでは支援制度のはざまに落ちてしまっていた人に対しても支援が行き届くようになります。
 しかしながら、複雑な生活課題を抱える方々にこの制度を利用してもらうためには、その当事者に制度の存在そのものを知ってもらうことが大前提となります。特に、こうした方々は情報弱者であるため、制度の周知については特段の配慮が必要であると考えます。悩みを抱える方々がこの新たな事業を利用することができるような制度の周知方策についてどのようにお考えでしょうか。加藤厚生労働大臣にお伺いします。
 また、たとえ制度の存在を知っていたとしても、虐待や暴力被害にさらされてきた方、性的指向、性自認に悩む方、日本語の理解が不十分な方など、当事者だけでは相談支援機関の窓口までたどり着くことが難しい方もいらっしゃいます。そのため、新たに創設される制度においても、窓口での相談支援だけでなく、アウトリーチ型の支援も併せて実施することが重要であると考えますが、この点について加藤厚生労働大臣の御所見をお伺いします。
 次に、介護保険制度改正についてお伺いします。
 介護を社会全体で支え合う介護の社会化を掲げて二〇〇〇年にスタートした介護保険制度は、本年四月に制度創設から丸二十年を迎えました。この間、我が国では高齢化が大きく進展し、介護サービスの利用者数は制度創設時の三倍を超え、介護を必要とする方にとってなくてはならない制度に定着し、発展してきました。
 団塊の世代が全て七十五歳以上となる二〇二五年が近づく中、更にその先を見据えると、いわゆる団塊ジュニア世代が全て高齢者となる二〇四〇年には高齢人口がピークを迎えます。このような人口構造の変化を踏まえて、介護保険制度がより良い制度となるよう、定期的に見直していく必要があります。
 そこで、これまでの二十年である介護保険制度創設からの総括と、これからの二十年である二〇四〇年を見据えた今後の介護保険制度のあるべき姿を安倍総理にお伺いします。
 続いて、政府の認知症施策についてお伺いします。
 我が国の認知症の患者数は、二〇二〇年には六百万人以上になると推計されており、二〇二五年には約七百万人、高齢者の五人に一人が認知症になるとされています。認知症に関する不安の声が数多く寄せられる中、公明党は、いち早く認知症に関する課題に取り組み、昨年六月には、自民党と共同で認知症基本法案を議員立法として提出しております。
 政府は、介護保険法の施行以降、二〇〇五年から開始された認知症サポーターの養成や、二〇一二年のオレンジプランの策定、二〇一五年の新オレンジプランの策定など、関係省庁が一丸となって様々な取組を推進してきました。
 そして、政府は、昨年六月、自公両党での一連の取組も踏まえつつ、認知症施策推進大綱を取りまとめました。大綱では、認知症の発症を遅らせ、認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会を目指し、認知症の人や家族の視点を重視しながら、共生と予防を車の両輪として施策を推進することを基本的な考え方としていますが、認知症と地域共生社会の実現に向けて政府としてどのような具体的施策を推進していくのか、加藤厚生労働大臣にお伺いします。
 最後に、介護人材の確保策についてお伺いします。
 介護関係職種の有効求人倍率は、全職種に比して高い水準となっており、都道府県別に見ても全都道府県で二倍を超える状況にあるなど、近年、介護分野における人材不足が深刻な状況となっています。
 今般の改正案では、保険者である市町村の介護保険事業計画の記載事項に介護人材の確保、資質の向上に関する事項が追加され、市町村レベルで介護人材確保の取組を促進していくことが期待されます。
 市町村が介護人材の確保を進めていく上では、介護職の仕事の魅力を積極的に発信していくことが重要であります。特に、若年層を対象として、介護の仕事に対するイメージの改善や、介護の仕事のやりがいなどをアピールしていくことが将来の介護職への就職希望者を増やすことにつながるのではないでしょうか。
 この点、中・高等学校において、介護の職場体験ができるようなプログラムを実施したりすることで介護の仕事の魅力を発信していくことも一案と考えますが、将来の介護人材を確保するための政府の取組について、加藤厚生労働大臣にお伺いします。
 誰もが生き生きと輝く地域共生社会の実現に向けて誠心誠意取り組んでいくことをお誓いし、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

#11
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 下野六太議員にお答えをいたします。
 地域共生社会の実現についてお尋ねがありました。
 人口減少や少子高齢化の進行により、地域のつながりが弱まる中で、全ての人々が役割を持ち、支え合いながら、自分らしく活躍できる地域共生社会を実現することが重要であると考えており、この実現のためには、議員御指摘のとおり、地域住民一人一人の意識に働きかけていくことが必要です。
 このため、今回の見直しでは複雑化、複合化した課題を抱える個人や世帯に対し、関係機関が協働することが必要な支援を届けるための体制を構築するとともに、地域の人々がつながり、互いに気に掛け合う関係性が育まれるような地域の支え合いの体制づくりを進めることとしており、これにより地域住民一人一人の意識改革にもつなげていきたいと考えています。これらを通じて地域共生社会の実現に向け全力で取り組んでまいります。
 介護保険制度についてお尋ねがありました。
 二〇〇〇年の介護保険制度導入時、ちょうど私は自民党の社会部会長でありましたが、介護保険制度は、それまで家族が多くを担っていた高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みとすべく創設したものであります。
 それから二十年がたち、高齢者数は約一・六倍となる中で、サービス利用者は三倍超の約五百万人となり、介護が必要な高齢者の生活の支えとして、また、介護離職を防ぐ手だてとして定着、発展してきたものと受け止めています。
 今後、二〇四〇年に向けて高齢化が一層進展し、介護需要が更に増加、多様化すると同時に、現役世代の減少が顕著となります。こうした状況を踏まえれば、介護保険制度において介護人材の確保、地域の実情に応じた介護基盤の整備、介護予防、健康づくりの推進などがより重要となると考えられ、本日御審議いただいている社会福祉法等の改正法案においても、こうした課題への対応を盛り込んでいるところです。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣加藤勝信君登壇、拍手〕

#12
○国務大臣(加藤勝信君) 下野六太議員より四問の御質問をいただきました。
 情報が行き届きにくい方にも配慮した周知方策についてお尋ねがありました。
 御指摘の、悩みを抱える方々は情報が行き届きにくいため、新たな事業を実施する際にはより一層の配慮が必要であります。取組内容やその手続等を御理解いただけるよう、周知する際に様々な工夫が必要と認識をしております。
 具体的には、自ら相談機関を訪れることが困難な個人や世帯に対し、訪問を通じてその方が必要とする支援に関する情報提供を行う、また、地域における住民主体の居場所づくりを進め、その場を活用して参加者に対し支援に関する情報提供を行うなど、様々な手段を活用して情報を提供していく必要があります。厚生労働省として、市町村による住民一人一人に対する丁寧な働きかけを支援をしてまいります。
 加えて、制度施行に当たっては、市町村が活用できるリーフレットなどの作成や様々なSNSを活用した情報発信など、多様なメディアによる広報方策についても検討してまいります。
 アウトリーチ型の支援についてお尋ねがありました。
 御指摘のように、制度の存在を知らない方、あるいは自ら相談することが難しい方に対しては、相談に来られるのを待っているだけではなく、支援を届けるアウトリーチの観点が重要であります。
 今回創設する新たな事業では、自ら相談機関を訪れることが困難な個人や世帯を対象として、訪問による相談支援を行う事業を位置付け、支援に必要な人員を確保できるよう、国として支援をしてまいります。こうしたことを通じて市町村における包括的な支援体制の整備を行い、地域住民の複雑化、複合化した支援ニーズへの対応を進めてまいります。
 認知症対策の推進についてお尋ねがありました。
 認知症は誰もがなり得るものであり、認知症への社会の理解を深めつつ、認知症であってもなくても、同じ社会の一員として住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けられるようにすることが必要であります。
 政府としては、昨年六月に取りまとめられた認知症施策推進大綱に基づき取組を進めております。
 その具体的な取組として、まず、認知症に関する正しい知識と理解を持った認知症サポーターの養成であります。今後は、とりわけ生活環境の中で認知症の方と接する機会が多い小売、金融、公共交通機関等に勤められている方々や、人格形成の重要な時期である子供、学生に対する養成機会の拡大を図ってまいります。
 二つ目は、認知症の方御本人が認知症に関する発信や啓発活動を行う希望大使の取組であります。本年一月に五名の認知症の方々を希望大使として任命をいたしました。アルツハイマー月間などに開催される各種のイベントや国際的な会合などでの御活躍を期待をしております。
 三つ目は、認知症バリアフリーの取組であります。コンビニ、スーパーや郵便局、バス、電車などを認知症の方にとっても使いやすくする取組であり、官民一体となって業種ごとのガイドラインの作成に取り組んでまいります。
 さらに、今回の改正法案においては、国、地方公共団体の努力義務として、認知症の人と地域住民の共生の推進や、地域における認知症の人への支援体制の整備などを追加して盛り込んでおり、認知症対策の一層の取組強化を図ってまいります。
 介護人材の確保についてお尋ねがありました。
 国民一人一人が必要な介護サービスを安心して受けられるよう、サービスを提供する人材を確保、育成することは喫緊の課題と認識をしております。御指摘の中学校や高等学校における介護の職場体験の取組については、介護の仕事の魅力を発信するという意味でも有益と考えており、厚生労働省として、介護の職場体験授業を行う介護事業所に対し地域医療介護総合確保基金を活用した財政支援を行っているところであります。
 また、文部科学省においても、中学校、高等学校学習指導要領を改訂し、介護に関する内容を充実したところであり、中学校では令和三年度から、高等学校では令和四年度から新たな学習指導要領に基づく指導が実施されると承知をしております。
 厚生労働省としては、これらのことも踏まえて、引き続き介護の仕事の魅力発信に向けた取組を進めてまいります。
 このような取組に加え、処遇改善や就業促進、職場環境の改善による離職の防止、人材育成への支援など総合的に実施することにより、介護人材の確保に全力を尽くしてまいります。(拍手)
    ─────────────

#13
○議長(山東昭子君) 東徹さん。
   〔東徹君登壇、拍手〕

#14
○東徹君 日本維新の会の東徹です。
 会派を代表して、地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律案について質問します。
 今週月曜日、五月二十五日にようやく新型コロナウイルスの緊急事態宣言が全て解除されました。これは、外出自粛や休業要請に御協力いただいた国民の我慢と努力の結果であります。
 それに対し、この間の厚生労働省の対応は、スピード感に欠け、ちぐはぐであったと言わざるを得ません。
 布マスクの配布はいまだに終わっていません。医療用ガウンなどは、情報が現場まで届いておらず、病院で医師や看護師などが休憩時間に手作りしていたという報道が先週ありました。PCR検査については、自治体との間で意思疎通がうまくいかず、患者がPCR検査を早く受けたいと思っても、なかなか検査が受けることができない状況が続きました。雇用を守るために必要な雇用調整助成金については、申請がなかなか進まず、一億円掛けてつくった雇用調整助成金のオンラインシステムは初日でダウンしたまま復旧のめどが立たないといった状況で、余りにもお粗末としか言いようがありません。
 これまで厚生労働大臣は、省内で不祥事が起こるたび、ガバナンスの改革を行うなどと言ってきましたが、今回の対応を見ると、組織としての体を成しているのか疑問に思います。今こそ真剣に組織改革を行い、国民の命を守るために一丸となって取り組むべきであることを指摘して、質問に入らせていただきます。
 まず、新型コロナへの対応について伺います。
 新型コロナの感染拡大という未曽有の危機によって、私たちの生活は一変しました。人との接触を避けることが求められ、テレワークやオンライン授業、オンライン診療など、これまで普及してこなかったものが一気に広まりました。これらは、どこに住んでもよいという新しい選択肢を与えてくれています。
 世界でも有数の密集都市である東京は、密集しているがゆえに感染リスクも高く、実際に東京を離れる人も増えてきています。新しい生活様式にとどまらず、東京に全てを一極集中させることを、発展してきた社会を改め、地域、地方を活性化し、新しい社会をつくるチャンスにしなければならないと考えますが、安倍総理の見解を伺います。
 緊急事態宣言は、人の交流の多さを理由に、二十一日に関西圏、二十五日には首都圏といった単位で解除されました。新型コロナは、都道府県という単位で対処することの限界や、自治体と国との間で権限と財源をどのように分担、移譲するかという根本的な問題を明らかにしています。
 我が党は、憲法改正案の一つとして統治機構の改革を掲げ、道州制の議論を進めていこうと考えています。参議院では、憲法審査会が二年半も開かれていないという異常事態が続いており、このまま今国会も開催されないのであれば、会長の不信任動議を出したいと考えています。憲法審査会において、緊急事態条項だけでなく、道州制の議論も始めていきませんか。安倍総理にお伺いいたします。
 新型コロナの影響により、我が国経済はリーマン・ショック以上の深刻なダメージを受けています。国民生活を守り、我が国経済を回復させようとするならば、昨年一〇%に引き上げた消費税について、全品目に八%軽減税率を適用し、実質的に減税すべきと考えますが、安倍総理の答弁を求めます。
 次に、法案に関して伺います。
 団塊の世代が七十五歳以上になる二〇二五年の先、団塊ジュニアが六十五歳以上になる二〇四〇年頃には、六十五歳以上の高齢者の人口が三千九百万人とピークを迎える一方、現役世代は急激に減少いたします。このような超高齢社会においては、介護職が魅力あるものとなり、夢や希望の持てるような職業でなくてはなりません。
 介護職の社会的評価については、私は三年前の本会議において、その向上にどのように取り組むのか質問しました。当時の塩崎大臣は前向きに答弁をしていただきましたが、三年たっても状況は大きく変わっていないように思います。
 今回の新型コロナ対応で改めて明らかになったように、医療従事者と同様、介護職がいなければ、介護を必要とする人たちの生活というものは成り立たなくなり、社会を維持していくことはできません。確かに処遇改善は進み、一定程度介護職の給与は増えてきましたが、いまだに介護職は大変で低賃金であるといったイメージは払拭されていません。
 政府におかれては、このようなイメージを払拭できるよう、今まで以上に、介護職の重要さや処遇改善も行ってきたことを発信していただき、介護職の社会的評価の向上に取り組んでいただきたいと思いますが、安倍総理の見解をお伺いいたします。
 また、介護福祉士は、ただ単に、排せつ介護、食事介護、入浴介護をするだけではありません。例えば、利用者のプライドを傷つけず、自分で排せつができるようにするなど、利用者の自立した生活を維持するため、その高い専門性を発揮する場面も多く、それにふさわしい社会的地位が認められるべきです。
 現在は、名称独占であり、資格がなくても誰でもできる職種にとどまっていますが、介護福祉士の専門性が必要となる業務については、介護福祉士でしかできないよう業務独占を認めることが利用者にとっても質の高いサービスが受けられることにつながると思いますが、加藤大臣の答弁を求めます。
 脳卒中の予防について伺います。
 高齢化と人口減少が同時に進む中、社会を維持していくためには、予防介護に取り組み、健康寿命を延ばすことが重要です。特に、脳卒中はあらゆる疾患の中で介護が必要となる場合は最も多く、要介護五となる大きな要因でもあります。一方、生活習慣の改善で発症リスクを低下させることができます。厚労省は、スマートウオッチなどウエアラブル端末を活用したスクリーニングなど、脳卒中の予防に取組を強化してはどうでしょうか。加藤大臣に伺います。
 サービス付き高齢者向け住宅について伺います。
 サービス付き高齢者向け住宅、いわゆるサ高住は、安定した運営収入の確保のため、介護保険の利用ありきで入居者が集められるなど、特別養護老人ホームや老人保健施設などと同様の介護施設だと言えます。入居者も九割が介護を必要とする高齢者です。これまでサ高住における事故も多く報告されてきました。
 民間主導のサ高住と介護施設の役割分担を明確にし、それぞれの配置の最適化やサービスの質の向上を図る必要がありますが、国において、サ高住が国土交通省と厚生労働省の共管になったままではいつまでも議論が進まず、最適化はできません。サ高住が介護施設として機能している実態に鑑み、厚生労働省において、補助金の交付事務なども含めて介護施設と一体的に所管すべきです。
 国土交通省は、サ高住を厚生労働省に移すべきと考えますが、赤羽大臣の答弁を求めます。
 社会福祉法人の規模の拡大について伺います。
 全国に二万あるとされる社会福祉法人は、多くが小規模な事業所です。事業所の規模が小さければ職員の給与を引き上げる余力に乏しく、キャリアアップの機会も限られてしまいます。
 今後、経営者の高齢化や老朽化した施設の更新など、社会福祉法人の抱える課題も更に顕在してくることから、利用者や職員のためにも、社会福祉法人の規模を拡大を進める必要があり、国はそれを様々な観点から支援していくべきと考えますが、加藤大臣の見解を伺います。
 我が国は、世界で例を見ない超高齢社会がやってきます。将来に希望の持てる社会であるために、介護人材の担い手確保とサービスの質の向上は重要であります。今回の法案は、まだまだスタート段階と言えます。
 日本維新の会は、将来世代に責任を持ち、新型コロナという緊急事態への対応にはスピード感を持って国民の生活と我が国経済を守りながら、我が国の将来を見据え、必要な改革を提言していくことをお約束し、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

#15
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 東徹議員にお答えいたします。
 新型コロナウイルス感染症への対応と地域活性化についてお尋ねがありました。
 今回の感染症への対応に当たっては、ピンチをチャンスに変えて未来を見据えた社会変革を一気に進めていく、そうした発想も重要であると考えています。感染防止に当たって三つの密を避ける行動が求められる中で、御指摘のとおりリモート革命が進むと同時に、地方における暮らしの豊かさにも改めて注目が集まっていると認識しています。
 こうした中、足下で二十代の若者の地方への転職希望者が大幅に増加しているとの調査もあります。政府としても、地方にこそチャンスがあると考える若者たちの背中を後押しすることで、東京一極集中の是正、地方創生に全力で取り組んでまいります。
 道州制と憲法改正についてお尋ねがありました。
 道州制は、地方経済の活性化や行政の効率化を実現するための手段の一つであり、国と地方の在り方を根底から見直す大きな改革です。これまでも与党において道州制に関して検討がなされてきたところであり、政府としても、与党と連携しつつ取り組むとともに、今後の国と地方のあるべき姿については、御党の御主張なども含めて建設的な議論を進めてまいりたいと思います。
 その上で、憲法審査会の運営については国会でお決めいただくことであり、私が内閣総理大臣としてこの場でお答えすることは差し控えさせていただきますが、御党が憲法改正について具体的な考え方を示し、各論に踏み込んで真摯に議論されていることには敬意を表したいと思います。御指摘の点も含めて、是非、憲法審査会の場において、与野党の枠を超えて活発な御議論をいただきたいと考えております。
 消費税率についてお尋ねがありました。
 消費税については、急速に高齢化が進む我が国にあって、若者からお年寄りまで全ての世代が安心できる社会保障を構築するためにどうしても必要な財源と考えています。
 政府としては、コロナ時代の新たな日常をつくり上げていくその間も、事業と雇用を守り抜いていくため、一昨日、第二次補正予算を決定したところです。先般の第一次補正予算等と合わせ、事業規模で二百三十兆円を超える、GDPの四割に上る世界最大の対策で、この百年に一度の危機から日本経済を守り抜いてまいります。
 介護職員の社会的評価の向上についてお尋ねがありました。
 急速な少子高齢化が進み、介護を必要とされる方も増加することが見込まれている中にあって、介護分野での人材確保を進めることが大変重要な課題であると認識しております。
 そのためにも、議員御指摘のとおり、介護職員の社会的評価の向上を図ることが重要であり、政府としては、介護職員の処遇改善について、これまでも累次の処遇改善を行うとともに、昨年十月からは月額八万円の更なる処遇改善を行うなど、他産業と遜色のない賃金水準に向け取り組んでいるところです。
 また、介護現場の生産性を高めるために、ロボット、ICT等のテクノロジー活用を強力に進めていくこととしており、加えて、若年者や子育てを終えた方々、アクティブシニアの方々など、対象者別に介護の仕事に対する理解促進や魅力発信を図る事業も実施しているところです。引き続きこうした取組を進め、介護職員が長く働き続けられる魅力ある職場となるよう、そのための環境整備をより一層推進してまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣加藤勝信君登壇、拍手〕

#16
○国務大臣(加藤勝信君) 東徹議員より三問の御質問をいただきました。
 介護福祉士の業務独占についてお尋ねがありました。
 介護は、日常生活の支援を行うものであり、国民誰もが参画できることがメリットの一つでもあると考えております。そのため、介護分野に業務独占を導入することについては、こうしたこととの兼ね合いを考える必要があると思います。
 一方で、介護分野における唯一の国家資格である介護福祉士の方々には、その高い専門的知識やスキルを有する立場で現場で長く活躍し、チームリーダーとして力を発揮していただけるようにすることが重要だと考えております。
 このため、厚生労働省としては、介護福祉士を中心としたチームケアの先駆的取組の全国展開に向けた支援、介護福祉士の果たすべき役割をより明確にし、資格の価値を高めていく観点から、キャリアモデルの在り方についての検討を行っております。介護福祉士が更に魅力のある資格となり、取得を目指す人も増えていくような好循環をつくるべく努力をしてまいります。
 脳卒中の予防についてお尋ねがありました。
 脳卒中を始めとした循環器病の予防には、栄養や運動、禁煙等の生活習慣の改善が重要であります。厚生労働省としても、これまでも、第二次健康日本21に基づき、国民の健康に対する意欲を醸成するためのイベントの開催など、健康増進、生活習慣病予防に向けた普及啓発に取り組んでまいりました。
 加えて、昨年十二月に施行した循環器病対策基本法では、脳卒中等について、予防や医療、福祉サービスまで幅広い対策を総合的に推進することとされており、予防の取組も重要な柱の一つとなっております。現在、循環器病対策基本法に基づき、基本計画の策定を進めております。今後策定されるこの基本計画に沿って、脳卒中等を含めた循環器病の予防について更に具体的な取組を進めてまいります。
 社会福祉法人の規模の拡大についてお尋ねがありました。
 我が国の人口動態の変化や社会構造の変化に伴う福祉ニーズの複雑化、多様化に対応するため、福祉分野での専門性を有する社会福祉法人が、個々の法人の自主的な判断の下でそれぞれの強みを生かしながら連携、協働するとともに、規模の拡大を含めた経営基盤の強化を図り得るようにしていくことが必要と考えております。
 本法案では、社会福祉法人間の新たな連携方策として、社会福祉事業に取り組む社会福祉法人やNPO法人等の業務連携を推進する社会福祉連携推進法人制度の創設を盛り込んでおります。
 また、現在でも社会福祉法人の合併、事業譲渡は可能となっていますが、希望する社会福祉法人が合併、事業譲渡に円滑に取り組めるよう、必要な手続等を明示したガイドラインの策定や、組織再編に当たっての会計処理の明確化などの環境整備を推進していきたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣赤羽一嘉君登壇、拍手〕

#17
○国務大臣(赤羽一嘉君) 東徹議員よりサービス付き高齢者向け住宅の所管についてお尋ねがございました。
 サービス付き高齢者向け住宅は、そもそも政策上、社会福祉施設ではなく住宅として位置付けられております。その要件は、バリアフリー等のハード基準への適合と、安否確認等のサービス提供を必須とするものでございます。
 そして、サービス付き高齢者向け住宅のバリアフリー等のハード面の整備に関しましては、主として国土交通省が担当し、安否確認等のサービスに関しましては、国土交通省と厚生労働省の両省で共管するということになっております。また、入居者が利用される介護保険サービスにつきましては、厚生労働省が介護保険法に基づき、自治体を通じて指導監督を実施する立場にあると認識をしております。
 しかしながら、入居者の大半が介護保険サービスを利用されている実態に鑑み、国土交通省として、厚生労働省とより一層緊密な連携を図ることにより、高齢者の皆様が安心して暮らすことのできる住宅としての機能を十分果たせるよう、入居者に寄り添ったサービス付き高齢者向け住宅政策の取組をしっかりと進めてまいります。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────

#18
○議長(山東昭子君) 倉林明子さん。
   〔倉林明子君登壇、拍手〕

#19
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 私は、日本共産党を代表し、社会福祉法等改正案について質問いたします。
 法案の質疑に入る前に、黒川前東京高検検事長の処分について質問します。
 内閣が余人をもって代え難いとして、法解釈を変更してまで定年延長させた黒川氏が、あろうことか賭博行為である賭けマージャンをしていたこと、さらにその処分は訓告にとどまり、約六千万円もの退職金が支払われることに、国民から抗議の声が上がっております。総理は、任命責任をどう果たすおつもりですか。十年前からの常習性を疑わせる新たな事実が報じられています。再調査の指示を出すべきではありませんか。処分について、訓告との判断がなぜ適正だと考えるのか、国民の疑念に総理自身の言葉で説明すべきです。明確な答弁を求めるものです。
 本法案は十一本の法律を束ねたものであり、高齢者、障害のある人、社会福祉事業などに関わる幅広い内容の制度改定自体、新型コロナ対応で多忙を極め疲弊した現場にとって重い負担になるものです。現場の意見を反映させることも困難であり、成立させるべきではありません。
 障害福祉、介護、保育などの現場は、緊急事態宣言の中でも、働く人たちの強い使命感によって維持されてきました。今、これらの事業が崩壊の危機に瀕しています。ケア労働を軽視する政策の下、低賃金と厳しい労働環境が長年にわたって放置されてきました。ただでさえ余裕のない現場にコロナ禍が追い打ちを掛けています。地域の介護、障害者支援の提供体制を崩壊させない対策が必要です。総理の認識を伺います。
 介護・障害福祉サービスの事業所に対し、きょうされんが今月行った調査によれば、居宅介護で八割、短期入所で九割近い減収率となっています。介護事業所からは、六月には資金ショートする、コロナが収まっても事業を再開できないという声が上がっているのです。総理、介護・障害福祉事業所には、昨年度の実績に見合う収入補填を早急に行うべきです。
 高い感染リスクにもかかわらず、マスクも消毒液も不足する中で不安と葛藤を抱え、極めて困難な支援を続ける全ての福祉従事者に対し、ふさわしい処遇が必要です。二次補正では不十分であり、特別手当等の更なる引上げを求めます。総理の答弁を求めます。
 新型コロナ感染症が拡大する中で、高齢者と家族の生活は激変しています。こんなときに、介護保険では来年八月から低所得の施設利用者の食費、居住費の負担増と高額介護サービス費の引上げが検討されています。医療では七十五歳以上の医療費窓口二割負担などもってのほかです。負担増は撤回することを強く求めるものです。総理の答弁を求めます。
 法案に関し、以下、厚労大臣に質問いたします。
 本法案は、地域共生社会の実現を目指し、包括支援体制を構築するとしています。社会福祉法は前回の改正で、地域で支援を必要とする人たちの把握と支援を、社会福祉事業者と住民に求めました。それでは、政府が目指す地域共生社会において国、地方自治体はどのような責任を果たすのですか。丸ごと丸投げなどあってはなりません。
 家族や地域社会が変化する中で、八〇五〇問題やダブルケア、社会的孤立などの問題が生じ、縦割りの現行制度では対応できないと説明されています。果たして行政の縦割りだけに問題があったのでしょうか。そもそも、政府が社会保障、福祉制度を縮小し、公務員を減らし続ける中で、必要な制度、支援が届かないこと、自己責任論や生活保護等へのスティグマが強化され、助けを求める声が出せなくなった結果ではありませんか。厚労大臣の認識をお聞かせください。
 住民の助け合いに任せるのではなく、各制度とそれを担う職員を量、質共に充実させ、的確な連携を強化することが不可欠です。住民の主体的な活動の前提となるものです。答弁を求めます。
 包括的支援体制として、断らない相談支援、地域づくり支援、参加支援、制度化されることとなります。これまでの介護、障害福祉、子供、生活困窮者に係る事業を一体化することになるため、交付金まで一括化され、結果として事業に必要な交付金が確保できなくなるのではないかと関係者から懸念の声が出ています。重層的な支援が可能となる財政措置は欠かせません。新たに拡充される事業への財政措置、人員配置基準、資格要件についても明確に示すべきです。
 非正規、低賃金の担い手を拡大し、社会福祉事業者も含めた地域の互助頼みでは問題解決にはつながりません。実効ある支援を担保するためには、高い専門性を持ったソーシャルワーカーが質、量共に確保されることが必要です。ふさわしい人員基準とそれを担保する十分な財政措置を求めるものです。
 本法案で新設される社会福祉連携推進法人は、昨年閣議決定された成長戦略フォローアップで示された生産性向上を目的とした社会福祉法人の大規模化を進めるものとなっています。社会福祉連携法人は、資金融通や人材確保などの協働化を可能とするもので、九割を占める中小法人の合併や事業譲渡への地ならしではありませんか。
 多くの小規模法人は、地域に密着した支援を行い、ニーズに沿った多様な選択肢を提供しています。その果たしている役割をどのように考えているのですか。大規模法人化の推進は、スケールメリットは達成できても、小規模法人の存続の危機を招きかねません。本来、社会福祉法人の連携や協働は、それぞれの社会福祉法人等が主体的に判断すべきものと考えますが、いかがですか。
 また、連携法人を通じた資金の貸付けを可能としていますが、これは、経営難に陥った際には法人間の助け合いによる救済に委ねるということでしょうか。
 連携法人は、医療法人、株式会社等営利法人なども社員となることができますが、総会の議決権は定款に委ねられております。地域における影響力、規模などにより、行使できる議決権の数に差を付けることもできるのですか。大規模法人等が多数を占め、連携法人の運営を主導することも可能になるのではありませんか。コロナ禍の下で、介護・障害福祉等の事業所が、規模に関わりなく、利用者、家族の生存権を保障し得る報酬、財政的保障を確立することこそ、今求められています。
 介護福祉士養成施設の卒業者への国家試験義務付けに係る経過措置の延長については、社会保障審議会福祉部会でも反対意見が多く、両論併記となりました。一六年の社会福祉法改正の際の附帯決議でも、国家試験義務付けを着実に進めると決議されています。にもかかわらず、なぜ更に五年間延期なのですか。今回の延期により、二〇三一年まで、国家試験にかかわらず介護福祉士の資格を得る経過措置が続きます。介護福祉士の専門性、地位向上を目指した制度を形骸するものだと厳しく指摘するものです。
 介護現場では、人材倒産が言われるまでに人手不足は深刻です。介護基盤の維持を脅かすまでになった最大の要因は、著しく低い賃金水準と実情に合わない職員配置、人員基準による厳しい労働環境にほかなりません。今直ちにやるべきはこれらの抜本的な引上げであると申し上げまして、質問といたします。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

#20
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 倉林明子議員にお答えをいたします。
 黒川前東京高検検事長の処分等についてお尋ねがありました。
 黒川氏の処分については、法務省において必要な調査を行い、法務省及び検事総長において事案の内容等、諸般の事情を総合的に考慮して訓告が相当であると判断し、適切に処分したものと承知しています。黒川氏の処分を決するに当たり、法務省においては事実関係について必要な調査を行ったものと承知しており、再調査は必要ないと考えています。
 他方で、黒川氏を検事長に任命したこと等については、法務省、検察庁の人事案を最終的に内閣として認めたものであり、その責任については私にあり、御批判は真摯に受け止めたいと考えております。
 その上で、今まさに我々には、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するとともに、国民の健康と命、雇用と暮らしを守り抜いていく大きな責任があると認識しております。行政府の長として、一層身を引き締めて行政運営に当たることにより、この責任を果たしてまいる所存です。
 介護・障害福祉事業所に対する支援についてお尋ねがありました。
 このような大変厳しい状況の中にあっても、現場では多くの職員の皆さんが介護や障害福祉サービスを必要とされる方のために業務を続けてくださっており、国として必要な支援をしっかりと行っていく所存です。
 このため、これまでも介護報酬等の特例的な弾力化措置を講じるとともに、第一次補正予算などにより、マスク等の物資の支援や、感染者が発生した施設等の職員確保に必要な費用の助成等を実施しています。
 さらに、第二次補正予算案においては、対象を介護・障害福祉の全事業所に拡大し、全額国庫負担とした上で、感染症対策の実施のために必要な掛かり増し費用の助成や、職員に対する最大二十万円の慰労金の支給等を実施するとともに、今般の新型コロナウイルス感染症の影響が特に大きいデイサービス事業者等に対して更なる介護報酬の特例措置を実施することとしております。
 今後とも、感染症対策のために大変厳しい状況にある介護や障害福祉現場をしっかりと支えてまいります。
 医療や介護の負担の見直しについてお尋ねがありました。
 介護保険料の伸びを抑制しつつ、高齢者の生活に必要な介護サービスを確保するためには、効率的な制度とするための不断の取組が不可欠です。
 御指摘の介護施設における食費や居住費への助成については、引き続き厚生労働省において丁寧に検討を進め、本年末までに結論を得ることとしています。
 また、後期高齢者の医療費自己負担については、現役世代の負担上昇に歯止めを掛けることは引き続き重要な課題であり、昨年の全世代型社会保障検討会議の中間報告において、七十五歳以上の高齢者であっても一定所得以上の方については新たに医療の窓口負担割合を二割とすることとしたところです。
 引き続き、高齢者の疾病、生活状況等の実態を踏まえて、本年末の最終報告に向けて全世代型社会保障検討会議等において丁寧に検討を行ってまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣加藤勝信君登壇、拍手〕

#21
○国務大臣(加藤勝信君) 倉林明子議員より六問の質問をいただきました。
 地域共生社会の実現に向けた国、地方自治体の責任等についてお尋ねがありました。
 少子高齢化や人口減少が進むとともに、単身世帯の増加など家族の在り方や地域社会が変化する中で、八〇五〇問題やダブルケアといったように個人や世帯の抱える課題が複雑化、複合化していると認識をしています。こうした状況に対応すべく、厚生労働省としては、生活困窮者自立支援制度を創設するなど、セーフティーネットの強化を進めてまいりました。
 さらに、平成二十九年の社会福祉法改正において、市町村に対し、地域生活課題の解決を図るための包括的な支援体制を構築するよう、努力義務を規定をいたしました。
 今回の法案では、これを更に進めるため、社会福祉法において地域共生社会の実現を目指す旨の規定を追加するとともに、国及び地方自治体の責務として、課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制の整備を進める、体制の整備に際しては、保健医療、労働、教育、住まい及び地域再生に関する他分野の施策との連携に配慮する旨を規定をしております。加えて、国及び都道府県の責務として、市町村において新たな事業の実施など包括的な体制の整備が適正かつ円滑に行われるよう、必要な支援を行う旨を規定をしております。こうした責務を果たしていくことで、地域共生社会の実現を図ってまいりたいと考えております。
 各制度を担う人員の充実や連携の強化等についてお尋ねがありました。
 地域住民の複合的な支援ニーズに対応していくためには、専門職による本人に寄り添った支援と、地域づくりを通じて生まれる地域住民同士の支え合いや見守りの双方を充実させていくことが必要であると認識をしております。
 今回の新たな事業で実施するアウトリーチ支援や、各相談支援機関との連携体制を構築する多機関協働の事業など、複合的な支援ニーズを抱える方に対する相談支援では、ソーシャルワーカーを始めとした福祉の専門職の役割は重要であると考えております。国としても、支援に必要な人員の確保と研修等を通じた資質の向上を図るため、必要な予算の確保に努めてまいります。
 新たな事業の財政措置等に関してお尋ねがありました。
 新たな事業を実施するための財政措置、人員配置基準、資格要件については、介護、障害、子ども、生活困窮の各法の事業実施義務に基づき、人員配置基準、配置人員の資格要件などを維持しながら必要な支援を提供するとともに、国、都道府県、市町村の費用負担は各法に規定する負担割合と同様として必要な予算を確保すること、参加支援、アウトリーチ支援、多機関協働といった既存の事業を支え体制構築の強化に資する等、新たな機能についてもそれぞれの機能に応じて求められる人員配置や職員の要件などを整理しつつ、適正な人員を確保できるように必要な予算を令和三年度以降要求していくこととしています。
 具体的な財源規模については予算編成過程において調整していくこととなりますが、全ての住民を対象とした包括的な支援体制を構築し、複雑化、複合化した支援ニーズに対応できるよう、市町村における事業実施に必要な財源及び人員の確保に努めてまいります。
 社会福祉連携推進法人制度創設の狙いや小規模な社会福祉法人が果たしている役割、連携や協働、合併等における法人の判断についてお尋ねがありました。
 社会福祉連携推進法人制度は、福祉分野での専門性を有する社会福祉法人などが社会福祉事業の主たる担い手としてふさわしい事業を確実、効果的かつ適正に行うため、それぞれの強みを生かしながら連携、協働するとともに、経営基盤の強化を図ることができるよう、新たな連携方策として創設するものであり、合併、事業譲渡を前提としたものではありません。本制度の活用も含め、連携、協働、合併等を行うか否かは、あくまでも個々の社会福祉法人の自主的な判断が前提となるものであります。
 また、社会福祉法人は、規模の大小にかかわらず、社会福祉事業の主たる担い手として地域住民の多様なニーズに対応していただいているものと考えております。
 厚生労働省としては、社会福祉法人を始め社会福祉事業を運営する法人が、その規模にかかわらず安定的なサービス提供が維持されるよう、必要な施策を進めてまいります。
 社会福祉連携推進法人制度における貸付業務と議決権についてお尋ねがありました。
 社会福祉連携推進法人が行う貸付業務は、社会福祉法人の経営基盤の強化を図り得るようにしていくため、社員である社会福祉法人に対し、社会福祉事業に必要な資金を支援するために認めるものであります。
 仮に、個々の社会福祉法人の経営が悪化した場合、自主的な再建や金融機関からの融資など様々な対応があり得ますが、あくまでも当該社会福祉法人の自主的な判断によって対応を決めることになると考えております。
 また、社会福祉連携推進法人の社員総会において、議決権については、有識者による検討会の報告書では、一社員一議決権を原則とすること、不当に差別的な取扱いをしないなどの一定の要件の下に定款で別段の定めを可能とすること、議決権の過半数を社会福祉法人とすることが適当であるとされており、これを踏まえて、議決権の内容については厚生労働省令で定めることとしております。
 介護福祉士国家試験の経過措置についてお尋ねがありました。
 介護福祉士の養成施設卒業者に国家試験合格を義務付けることで資質を向上させるという、平成二十八年の法律改正当時の基本方針は堅持をしております。
 経過措置については、平成二十八年当時と比較して介護現場の人手不足が深刻化している等の状況の下、審議会などにおける議論で、有識者、関係者の皆様から様々な意見がありました。
 具体的には、質の高い介護を提供するためには全員が国家試験を受けるべきであり、経過措置を延長しないでほしいといった介護福祉士を目指す方々などからの切実な意見があった一方で、経過措置を延長しなければ介護サービスの提供に支障が生じかねないという意見もあったところであります。こうした様々な意見も踏まえ、最終的には経過措置を五年間に限り延長することを法案に盛り込みました。
 一方で、この経過措置はあくまで暫定的なものであり、この間に養成施設の教育の質を上げ、国家試験合格率を高めていくことが必要であり、このため、養成施設ごとの国家試験合格率などを公表する仕組みを新たに実施するほか、養成施設の教育の質の向上に係る取組、例えば留学生向けの介護福祉士試験対策教材の作成などについて必要な経費への財政的支援を行い、経過措置終了に向けた環境をつくっていきたいと考えております。
 また、国家試験義務付けのみならず、介護福祉士の方々が資格を取得した後も現場で活躍し、チームリーダーとしてその力を発揮していただくことが必要であります。
 今年度においては、介護福祉士の果たすべき役割をより明確にし、資格の価値を高めていく観点から、キャリアモデルの検討を行うこととしており、介護福祉士が更に魅力のある資格となり、これを目指す人も増えていくような、こうした循環をつくっていくべき努力をしてまいります。
 以上です。(拍手)

#22
○議長(山東昭子君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────

#23
○議長(山東昭子君) 日程第一 大気汚染防止法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。環境委員長牧山ひろえさん。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔牧山ひろえ君登壇、拍手〕

#24
○牧山ひろえ君 ただいま議題となりました法律案につきまして、環境委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、建築物の解体工事における石綿の飛散防止を徹底するため、これまで規制対象ではなかった石綿含有成形板など、全ての石綿含有建材を規制の対象とするとともに、不適切な解体工事前の建築物の事前調査を防止するため、その調査方法を定める等の措置を講じようとするものであります。
 本法律案の審査に先立ち、委員派遣を行い、石綿の含有状況を調査分析する企業を訪問し、実情調査を実施いたしました。
 委員会におきましては、石綿の製造、輸入に係る規制の導入が遅れた経緯、石綿含有成形板などについて届出等の規制対象とはしない理由、解体等現場における大気濃度測定を早期に義務付ける必要性、災害時の飛散防止のための石綿使用情報の把握の方策、直接罰導入の背景や意義等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局した後、日本共産党を代表して山下委員より、大気濃度測定の義務付け等を内容とする修正案が提出されました。
 次いで、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して山下委員より修正案に賛成、原案に反対する旨の意見が述べられました。
 討論を終局し、順次採決の結果、修正案は否決され、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────

#25
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#26
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。(拍手)
     ─────・─────

#27
○議長(山東昭子君) 日程第二 年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。厚生労働委員長そのだ修光さん。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔そのだ修光君登壇、拍手〕

#28
○そのだ修光君 ただいま議題となりました法律案につきまして、厚生労働委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、社会経済構造の変化に対応し、年金制度の機能強化を図るため、短時間労働者に対する厚生年金保険の適用拡大、被用者の老齢厚生年金に係る在職中の支給停止制度の見直し、老齢基礎年金等の受給を開始する時期の選択肢の拡大、確定拠出年金の加入可能要件の見直し、児童扶養手当と障害年金の併給調整の見直し等の措置を講じようとするものであります。
 なお、衆議院において、児童扶養手当と障害基礎年金等の併給調整に係る政令の内容及び本法施行後の検討に関する規定を追加する修正が行われております。
 委員会におきましては、参考人から意見を聴取するとともに、被用者保険の更なる適用拡大に向けた見通し、基礎年金の給付水準の改善に向けた検討の必要性、二〇一九年財政検証における経済前提の妥当性、新型コロナウイルス感染症の拡大が年金財政にもたらす影響等について、安倍内閣総理大臣にも出席を求め質疑を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して倉林明子委員より反対の旨の意見が述べられました。
 討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────

#29
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#30
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十七分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト