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2020/01/23 第201回国会 参議院 第201回国会 参議院 本会議 第2号 令和2年1月23日
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2020/01/23 第201回国会 参議院

第201回国会 参議院 本会議 第2号 令和2年1月23日

#1
令和二年一月二十三日(木曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第二号
  令和二年一月二十三日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────

#2
○議長(山東昭子君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る二十日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。福山哲郎さん。
   〔福山哲郎君登壇、拍手〕

#3
○福山哲郎君 立憲民主党の福山哲郎です。
 会派を代表して、安倍総理に質問いたします。
 二〇二〇年、かのえねの年が明けました。ね年は変化の多い年、新しい物事が始まる年などと言われ、政治では政変の年とも言われています。
 戦後六回、ね年がありました。一九四八年は片山、芦田両内閣が退陣、六〇年は岸総理が辞任、七二年は佐藤総理が長期政権に終止符を打ちました。また、九六年は村山総理が突然退陣を表明、二〇〇八年は福田総理が辞任されました。
 また、オリンピックの年も同様でした。六四年東京、七二年札幌、九八年長野、三回とも総理が交代しています。
 昨年秋の内閣改造から、ね年を迎えて安倍政権の潮目がそろそろ変わりつつあると感じているのは私だけではないような気がします。
 昨日、衆議院本会議で立憲民主党の枝野幸男代表から、私たちが目指す社会、支え合う安心、豊かさの分かち合い、責任ある充実した政府というもう一つの政権の選択肢をお示ししました。
 以下、質問に入ります。
 まずは冒頭、施政方針演説についてお尋ねします。
 総理は、施政方針演説で、自らに関係する桜を見る会、カジノでの国会議員の逮捕、河井前法務大臣夫妻の家宅捜索について、何も言及されませんでした。年が明ければ全てを国民が忘れるとでも思ったのでしょうか。余りにも不誠実で、国民をばかにしていると言わざるを得ません。なぜこれらの疑惑、不祥事に言及をされなかったのか、お答えください。
 総理が高らかに読み上げた地方創生交付金を活用した移住者は、何と既に県外に移住していたということでした。驚きです。県外に出ていた事実を知っていて演説されたのでしょうか。事実関係を伺います。もし御存じなかったとすれば、お粗末過ぎます。
 また、日本経済に関して、来年度予算の税収は過去最高となりましたと言い切られていますが、本当でしょうか。あなたは予言者にでもなったおつもりですか。これは単なる見通しにすぎないのではありませんか。現に、昨年も見通しには届かず、下方修正しているではありませんか。まさに国民をミスリードする表現です。
 五年連続の温室効果ガス削減の実現という表現も極めて怪しい。基準年二〇一三年というのは最も排出量が多い年であり、京都議定書の基準年である一九九〇年比では大きな削減にはなっていません。日本は、二〇一八年にやっと一九九〇年の排出量をやや下回りました。英国では、一九九〇年比で二〇一八年までに何と四三・五%の排出削減を実現しています。決して現在の排出削減が国際的に胸を張れるようなものでないことは明らかです。
 一事が万事、安倍政権は真実を国民に語ろうとはしません。一昨年は、森友学園の文書改ざん、国会での虚偽答弁、加計学園、働き方関連法のデータ不備、防衛省の日報隠しが続きました。昨年も、桜を見る会について、総理は予算委員会から逃げまくり、招待者名簿の公開を拒否し、何と昨年分の名簿は国会で資料請求された一時間後にシュレッダーに掛けられました。電子データについて、調査も開示もしないの一点張りでございます。
 安倍総理、私は昨年も否認という言葉を使って同じことをこの本会議で言いました。自らに向けられた批判をひたすら否認するばかりで積極的に検証を進めるそぶりすら見せない、安倍内閣の姿勢は悪い意味で一貫しています。否認とは、精神分析用語で、不快な事実に直面した際に、圧倒的な証拠があるにもかかわらず、それが真実だと認めず拒否することを言います。安倍内閣の姿勢は否認そのものです。残念ながら、反省の色もありません。相変わらず誰も責任を取らず、丁寧に説明するとうそぶくばかりです。
 菅原前経産大臣や河井前法務大臣夫妻は、十月下旬にメディアの前で説明責任を果たしていきたいとコメントしました。しかし、三人とも、その後の二か月半、雲隠れです。総理は国会で、今後とも自ら説明責任を果たしていかれるものと考えておりますと答弁をされていましたが、三人が説明責任を果たしてきたと総理は考えておられますか。お答えください。
 加えて、第二次安倍政権発足以降の大臣、副大臣、政務官の辞任若しくは暴言はとどまるところを知りません。辞任したのは、大臣十人、副大臣四人、政務官五人に上ります。自民党は一体どうなっているのでしょうか。任命権者である総理として、自民党総裁として、この事態をどのように国民に説明されますか。お答えください。
 また、本日の週刊誌報道によれば、公職選挙法違反の疑いで家宅捜索をされている河井あんり議員の総支部に、参院選前僅か三か月間で約一億五千万円ものお金が自民党から入金されていたとのことです。考えられない金額です。自民党総裁として事実かどうかお答えください。安倍総理の秘書が少なくとも四人、広島の選挙に手伝いに入っていたという報道もあります。これも事実でしょうか。
 次に、桜を見る会について質問します。
 野党は桜などのつまらない問題ばかりやるなと指摘を受けることがあります。しかしながら、議院内閣制の我が国において、与党と内閣が一体化しているからこそ、国会の行政監視機能の中で野党の果たす役割がとても重要だと考えています。
 特に、この桜の問題は、予算が年々膨張しているにもかかわらず、その事実を隠し、毎年の予算は同額を計上し、限定性の原則として不適切であったこと、招待者名簿の扱いを含め、文書管理に違法な手続、処理が行われ、不可解な保存期間の設定や招待者名簿をシュレッダーに掛けた等が顕在化しています。また、安倍総理が大幅に招待客を増やしたことによる公的行事の私物化、前夜祭における公職選挙法違反や買収罪の懸念、政治資金規正法違反の疑いなど、総理自身に違法行為の疑いが掛けられています。
 昨日も総理は違法ではない旨を述べておられますが、全く根拠もなく説得力もありません。この構造は森友、加計学園と同様のものであり、決して小さい問題ではありません。野党が全容解明に全力を尽くさなければ、日本の議会制民主主義や文書管理、国会の行政監視機能の回復に役割を果たしたことにはならないと考えています。
 以下、安倍総理には明快に答弁をいただきたいと考えます。
 まず、前夜祭についてです。
 昨日の質疑において、ホテル側の見積書並びに明細書の国会への提出について、営業の秘密に関わると答弁がありましたが、それでは国会の秘密会で事実を明らかにしてはどうでしょうか。ホテルに迷惑を掛けません。お答えください。
 安倍総理の説明では五千円の領収書をホテル側から渡したということですが、いまだにその領収書は現認されていません。この領収書の相当数を安倍事務所が後援会から回収をして国会に提出することを求めたいと思います。明細書も領収書も総理の潔白を証明するものです。
 新宿御苑に安倍後援会は時間を早めてバスで入苑したと聞いていますが、参加者は手荷物検査を受けたのでしょうか。また、本当に入苑時間を早めたのでしょうか。事実関係をお答えください。
 手荷物検査を受けず早く入苑することは、誰の判断で、どのようなプロセスで決定されたのでしょうか。明確にお答えください。
 桜を見る会の公文書管理について質問します。
 桜を見る会の名簿には推薦者名簿と招待者名簿がありますが、これらの名簿の保存期間を一年未満にしているのは内閣官房と内閣府だけであり、各省庁はそれぞれ三年から十年としています。なぜ一年未満で廃棄することを決めたのでしょうか。明確な理由をお答えください。
 昨年四月の内閣府公文書監察室の調査報告書に、保存期間を一年未満とすることについて十分な検討が必要なものとして式典の招待状が含まれています。招待者名簿は招待状の基となるものであり、当然保存期間は一年以上と考えられます。
 この報告書を無視して保存期間を一年未満とし、シュレッダーで廃棄をしたとすれば、公文書廃棄の最終同意権限を有する内閣総理大臣の責任は重たいと考えます。なぜこの報告書を無視したのでしょうか。総理の責任をどう考えるのでしょうか。明確に御答弁ください。
 さらには、公文書の違法な管理をめぐって歴代の人事課長が厳重注意の処分を受けました。なぜ官僚だけが処分を受けるのでしょうか。
 安倍政権では、不祥事が起こると官邸ではなく官僚に責任をなすりつけることが常態化をしています。これでは官僚の士気にも影響します。なぜ責任者である菅官房長官や総理自身が責任を取られないのでしょうか。理由をお答えください。
 次に、オーナー商法で二〇一四年に行政指導を受けたジャパンライフの元会長が桜を見る会に招待をされた件についてお伺いします。
 なぜ招待をされたのでしょうか。誰が推薦者だったのでしょうか。お答えください。
 いわゆる総理の招待区分としての六十についてもお伺いします。
 私も、少し古いものですが、平成四年の宮澤喜一総理からの招待状を我が党の水岡俊一参議院議員を通じて入手をしました。この招待状の区分数字も間違いなく六十となっています。総理、もうごまかしようがありません。六十の招待区分は総理枠と認めるべきです。そして、ジャパンライフの被害者に謝罪するとともに、反社会勢力の参加についても明確に認めるべきと考えます。総理、いかがでしょうか。
 桜を見る会の問題は、総理が前夜祭の内容、招待者名簿を包み隠さず開示することによって、すぐにでも全容解明が可能になり、このような国会審議をする必要がなくなります。
 全ての混乱の責任は安倍総理にあります。総理は、これ以上の隠し立てや虚偽の答弁を繰り返すことなく、総理として全容解明の責任を果たした上でお辞めになることが潔い身の処し方と考えますが、いかがでしょうか。
 カジノを含むIRに関しては、その整備法の検討、国会審議、成立時のIR担当副大臣があきもと議員です。そのあきもと氏が本件で逮捕されていることに対する安倍総理の任命責任をどのように考えるのか、見解を伺います。
 IRの整備については、少なくとも捜査の状況がはっきりするまで、一旦立ち止まって白紙にするべきです。特に、今月中の基本方針の策定などはあり得ません。先送りとの報道が見受けられますが、総理の所見を伺います。
 日本にカジノは必要ありません。野党は共同で二十日にカジノ推進法・整備法廃止法案を提出しました。速やかに審議し、成立させるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 関西電力幹部が福井県高浜町の元助役から三億二千万円という多額の金品を受け取っていたことが明らかになりました。
 ところが、政府は、昨年九月に関西電力に対して電気事業法に基づく報告聴取命令を発したものの、その後は主体的な事実関係の解明を行うこともなく、関西電力の調査をただ待つだけの状況が続いています。政府が実態解明に取り組む姿勢はみじんも感じられません。時が過ぎ、ほとぼりが冷めるのをただ待つという安倍政権の体質が如実に表れています。
 報告書はいつ出るのでしょうか。原発をめぐる資金還流の問題を放置して、今国会で電気事業の在り方にも関わる電気事業法、FIT法改正の問題を議論することは到底認められません。FIT法改正の議論の前に関西電力に報告させ、国会にも示すことを約束するよう求めます。総理、お約束ください。
 昨年十月、私たちの強い反対を押し切って消費税を一〇%へ引き上げました。実質可処分所得等が低迷する中で、消費が冷え込み、国民生活はより厳しくなっています。
 令和元年度の国税収入は、当初予算における見積りに対し、一般会計で約二・三兆円の減収見込みとなりました。税収見積りは極めて楽観的であったと言わざるを得ません。この理由と責任をどう考えられていますか。お答えください。
 消費増税対策として昨年十月に導入されたキャッシュレスポイント還元制度には、令和元年度補正予算で約一千五百億円の予算が追加され、合計七千億円もの税金が使われます。ポイント還元制度は、低所得者よりも中高所得者に還元額が多くもたらされることをずっと我々は指摘してきましたが、実際に決済の約六割はクレジットカードとの指摘もあるなど、懸念が現実となっています。
 このように、ポイント還元制度に巨額の税金を投入することは、消費税の逆進性問題を更に助長することになるのではないでしょうか。お答えください。
 昨年、我が国は記録的な台風や豪雨災害に見舞われました。世界各地でも、南米の広い範囲での大洪水、パリで観測史上最高の四十二・六度を記録するなど、ヨーロッパ各地での熱波の発生、今なお続くオーストラリアの森林火災、気候非常事態や気候危機と言える状況が顕著になっています。
 二〇一八年には、気候災害被害の大きさで日本が世界一位となりました。気候変動問題と気候災害の関連性にもっと警鐘を鳴らさなければいけません。日本も気候非常事態宣言をするべきだと考えますが、総理の見解を伺います。
 昨年初頭から、グテーレス国連事務総長は、気温上昇を一・五度に抑制するために、二〇三〇年四五から五〇%削減、二〇五〇年にカーボンニュートラル、また、二〇二〇年には新規の石炭火力発電をゼロにするよう各国に呼びかけています。
 これを受け、目標の引上げを決定した国は百三か国、二〇五〇年までにカーボンニュートラルを宣言した国・地域は百二十か国とEUで、さらに十一か国が国内での検討プロセスを開始しました。
 しかしながら、日本政府は、昨年九月の国連気候行動サミットでも、十二月のCOP25でも、この要請に全く応えませんでした。なぜでしょうか。認識を伺います。
 今年十一月のCOP26に向けて、いよいよ日本も自国で決める削減目標、いわゆるNDCの提出が求められます。直ちに目標引上げに向けた議論を開始すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 政府は、いつNDCを提出するつもりでしょうか。その際には、今年の地球温暖化対策計画の見直しと併せて、二〇三〇年の目標の引上げを含めて検討することが必要です。どのようにお考えですか。
 あわせて、施政方針演説で触れられたビヨンド・ゼロは具体的にどういうことで、どのような施策で達成しようとするのか、明確にお示しください。
 次に、我が国の石炭火力発電に関する政策について伺います。
 ドイツの二〇三八年全廃目標に見られるように、先進国においては明確に脱炭素化へ流れが強まっています。先進国の中で、我が国だけが石炭火力発電所の新設が続いています。現在もベトナム、インドネシアでの案件があり、国内でも何と十五基が建設中、七基がアセス中、計画中で、既存の設備を減らす計画など全く作られていません。まさに日本は、クールジャパンではなく、世界の潮流と逆行するコールジャパンです。
 一方、ビジネスの世界は驚くべき速さで変化しています。昨年九月には、五百を超える世界の主要機関投資家が各国政府に対してNDCの引上げや石炭火力発電の段階的全廃等を要求。銀行融資の環境等への影響を自主的に公表する国連責任銀行原則が発足し、世界百三十一の銀行が自主的に署名。こういった動きに呼応するように、技術開発、イノベーションが世界中で起こっています。
 未来に対して責任を果たすために、一日も早く脱石炭にかじを切るべきだと考えますが、総理の見解を求めます。
 エネルギー政策について伺います。
 再生可能エネルギーの拡大による原発ゼロは、まさに世界ではリアリズムです。ドイツでは、二〇一八年には自然エネルギーの割合が何と四〇%を超えました。近い将来、原発も石炭火力発電も座礁資産となり、日本の競争力を確実に低下させると考えます。
 立憲民主党は、一日も早い原発ゼロを目指して原発ゼロ基本法を衆議院に提出しておりますが、いまだに審議がなされていません。一刻も早い審議と速やかな成立を求めます。総理の見解を伺います。
 自衛隊の中東派遣についてお伺いします。
 今回の派遣区域から、ホルムズ海峡やペルシャ湾の地域が外れています。当該地域での調査研究は不要であるとした理由は何でしょうか。お答えください。
 今回のアメリカ・イラン関係緊張の直接のきっかけとなったイラン革命防衛隊のスレイマニ司令官が殺害された件について、米国側から事前に何らかの通告はなされたのでしょうか。事後に米国側からの報告や日米間の協議はあったのでしょうか。今回の米・イラン関係の緊張状態の緩和に向けて、イラン側とはこの間、いかなる協議を行ったのでしょうか。米国側にも自制を求める旨の協議を行った事実はあるのでしょうか。総理にお尋ねします。
 来年度予算案には、設置場所も全く決定していないイージス・アショアに百二十九億円が計上されています。
 イージス・アショアの配備について、居眠りなど防衛省のずさん極まる対応もあり、秋田県では、佐竹知事が新屋は無理という確信を持っていると発言し、県内の与党議員も含め、地元の理解が得られているとは全く言えません。総理の地元である山口県でも、阿武町長の配備計画に反対との発言もありました。こうして地元の理解が得られていない中で配備を進めることは難しいと考えますが、総理の認識を伺います。
 米海兵隊普天間飛行場の辺野古移転について、軟弱地盤の改良工事が必要となったことを踏まえ、基地の運用開始まで十二年掛かる見通しであることが明らかになりました。沖縄県から設計変更承認を得るために更に相当の時間を要することを考えれば、それ以上の工期が必要です。SACO合意からそれでは三十年以上も経過してしまいます。
 政府は、沖縄県の民意を無視した土砂投入を中止し、米国と辺野古見直しについて協議するべきではありませんか。お答えください。
 北方領土問題に関しては、安倍総理がロシアのプーチン大統領と二十七回もの首脳会談を重ねているにもかかわらず、進展が見られていません。残念です。
 安倍内閣がロシア側に誤ったメッセージを伝えているのではないかと危惧しています。二〇一九年版外交青書から日本に帰属するとの記述が削除され、首相や外相が日本固有の領土との発言を控えています。特に、一九五六年の日ソ共同宣言を基礎に歯舞、色丹の二島返還を出発点としたことで、国後、択捉の二島を放棄したかのようなメッセージを与える可能性は否定できません。昨年八月のメドベージェフ首相による北方領土訪問は極めて遺憾です。その際、政府は、外務省欧州局長から在京ロシア臨時代理大使へ文書で抗議したにすぎません。余りにも弱腰ではありませんか。
 領土交渉が簡単でないことは百も承知ですが、四島返還を求めてきた先人たちの戦後日本外交の成果が壊されているのではありませんか。総理の見解を求めます。
 北朝鮮問題についても伺います。
 総理は、施政方針演説でまたも私自身が金正恩委員長と向き合う決意と述べられましたが、いつになったら首脳会談は実現するのですか。決意はもう結構です。日朝関係の現状について国民に対して真摯に説明ください。
 厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会においては、介護施設を利用する際の食費や居住費を軽減するいわゆる補足給付を減らし、一部の低所得高齢者の自己負担を月額二万二千円増やす方向でおおむね意見が一致しました。
 消費税率が引き上げられ、生活が更に苦しくなる中、一層の支援が必要な低所得者にとっては負担増になります。これでは何のための消費増税だったのかという声が上がっても仕方がありません。総理の見解を求めます。
 産業界全体で人手不足となる中、とりわけ介護職員の人手不足が深刻です。介護施設を新設しても介護職員が確保できず空床となるケースもあるなど、介護人材の確保が本当に難航しています。
 更なる処遇改善に加えて、介護人材の確保を更に進めていく方策が必要であると考えますが、総理の見解を求めます。
 子ども・子育て支援施策について伺います。
 昨年十月から幼児教育、保育の無償化がスタートしましたが、延長保育を利用する家庭が大幅に増加するなど、保育士が不足する中で保育の現場からは悲鳴が聞こえてきます。やはり、私たちがこれまで主張してきたように、まずは待機児童の解消と保育の質の向上に取り組むべきです。総理の見解を伺います。
 幼児教育、保育の無償化の実施に伴い、一部の幼稚園や認可外保育施設において、いわゆる便乗値上げが行われています。今後どのようにしてこの便乗値上げに対処していくのか、見解を求めます。
 立憲民主党は、保育士等処遇改善法案や介護人材確保法案など、子育てや介護支援体制の充実強化を図る法案の成立を目指しています。どうか与党の皆さんにおかれましても、この実態を理解をしていただいて、是非審議に入っていただければと思います。
 高等教育無償化が始まる本年四月以降、授業料減免を受けてきた国立大の学部生のうち、約一万九千人への支援が減額又はゼロになる見通しであることが文科省の試算で明らかになりました。前通常国会で立憲民主党や野党が再三指摘した問題が表面化しています。これも制度設計が余りにもずさん過ぎます。
 十二月二十三日、萩生田文科大臣は会見において、これは制度の端境期なので是非御理解いただいてと発言されました。身の丈発言の反省が全く感じられません。約一万九千人の学生を端境期といって切り捨てるのでしょうか。それぞれの学生、子供たちの生活に対する想像力が欠如し過ぎです。
 萩生田大臣は文科大臣の資質に欠けます。失礼ながら、辞任すべきです。やっとのことで止めることのできた英語民間試験の導入や共通テストの記述式も含めて、この大臣を替えて、信頼を失った文科行政は一から出直すべきだと考えますが、総理の認識を求めます。
 昨年四月、外国人の新たな在留資格である特定技能が創設されました。それから九か月余り、特定技能外国人の受入れは政府の想定に比べ大幅に少なくなっています。昨年十一月末時点で僅か千十九人であり、政府の想定の二%にすぎません。
 そもそも、一昨年の入管法改正の検討が不十分であったことは認めますか。この法改正も強行採決でした。政府は、今後、生じている様々な問題にどのように対処していくつもりなのでしょうか。総理の見解を伺います。
 公立・公的病院の再編、統廃合について伺います。
 昨年九月、厚生労働省から四百二十四病院のリストが突然公表されました。さらに、今月、七医療機関の除外と新たに二十病院を追加した約四百四十病院が通知されました。その中には、過疎地域など代替不可能な医療機関が数多く含まれています。
 今後出される医療機関データ等を用いて開催される会議については、確定するまで何と非公開とされています。安倍政権の得意技です。この病院は閉鎖されるのかといった地域住民や医療従事者の不安は高まっています。そうした中での非公開は、更に不安を高め、不信感すら抱かせるものと考えます。
 安易な医療機関の統廃合や病床削減ではなく、地域医療の確保と充実のため、オープンな議論をまずは求めたいと考えますが、総理の認識を伺います。
 公共交通についても伺います。
 公的交通機関のない交通空白地域は全国各地に散見されます。もはや地域公共交通の衰退は、地域に住み続けるかどうかという住民にとっての究極の問題と言われています。地域は今、路線バスに加えて、コミュニティーバスや乗り合いタクシー、デマンド型交通など様々な工夫を凝らしています。そこに必要なのは、ライドシェアの導入を始めとする利便性や効率性の追求による安易な規制緩和ではありません。
 地域公共交通は社会的インフラです。広く地域住民の参画や民間の協力を求め、さらに、自治体に交通施策を担当する部局を設置することを進めるべきであると考えますが、総理の見解を伺います。
 次に、地域の防災体制の在り方について伺います。
 昨年十月の予算委員会において、私は内閣府防災の体制強化を求めました。その際には総理から前向きな答弁をいただけませんでしたが、結果として、来年度において内閣府防災部門の定員増を決めていただきました。提案を受け入れていただいたことには率直に感謝を申し上げます。
 一方で、総務省の地方公共団体定員管理調査によると、防災業務に専従する職員がいない自治体は全国で約五百にも上ります。職員不足にあえいでいます。実効性ある防災や避難計画を立て、しっかりとした避難をしていくために人手が足りていません。
 地域防災体制の在り方の検討も国としてしっかり展開していくべきと考えますが、総理の見解を求めます。
 自然災害が相次ぐ中、最も困難を伴うのは高齢者や障害者の皆さんです。
 昨年の台風十九号の際には、高齢者や障害者を受け入れる福祉避難所が開設されましたが、開設そのものを広報しなかった避難所が半数に及びました。災害弱者のために自治体が定める個別支援計画は、昨年六月時点で僅か一二・一%しか策定されておらず、約四割では全く策定も何もされていません。
 こうした状況をどう改善しようとしているのか、総理にお尋ねします。
 野党が共同提案している手話言語法案及び情報コミュニケーション法案について、さらにはLGBT差別解消法案についても、一日も早く審議を求めたいと考えます。総理の見解を伺います。
 会計年度任用職員の適切な任用について、本年四月一日の法律施行に向け、地方公共団体における対応状況、特に条例等の制定状況はどうなっているのでしょうか。
 会計年度任用職員に対する期末手当の支給等に係る経費約一千七百億円が一般行政経費等に計上されていますが、この財源で本当に制度の導入ができるのでしょうか。お伺いします。
 農地面積の減少が農水省の想定を大きく上回って進んでいます。五年間での減少面積は十二万一千ヘクタール、東京ドーム約二万六千個分の農地が減少しています。
 現行の対策では全く不十分です。農業を輸出すると浮かれて言っているばかりでは駄目です。日本の農業が直面するこうした状況に適切に対応するため、私たちが提出している農業者戸別所得補償法案を成立させていただきたいと考えています。総理の見解を伺います。
 結びに、安倍政権を長期政権たらしめた大きな要因はアベノミクスであったことは間違いありません。
 しかし、政権がもう既に七年が経過しました。アベノミクスの限界はもはや明らかです。アベノミクスは、実質賃金と実質家計支出の低下、少子高齢化の加速、所得格差や貧困問題の拡大、地方創生とは名ばかりの地域格差の拡大、銀行経営の圧迫、日本銀行の機能不全、国債、ETFによる株価維持等という深刻な副作用を生んできました。これは、昭和、平成の自民党の政権運営スキームがもはや時代と合わなくなっている証左です。財政金融機能を回復し、正常化するには、恐らく相当の時間を要し、困難な道程が待っています。
 また、立憲主義を回復し、公正で透明なルールを社会に取り戻すため、公文書管理の徹底、公文書記録管理院の設置、権力の濫用に結び付かない内閣人事局制度の改変、特定秘密保護法や共謀罪の見直し、税の再分配機能の強化、メディアへの政治介入を防ぐための放送法の改正、統計指標を適正に運用するための環境整備等、安倍政権が壊してきた数々の民主主義の装置を立て直していかなければなりません。
 立憲民主党は、こういった脱安倍政権を一つ一つ粘り強く実行する中で、令和の新しい社会の在り方を模索し、誰もが個人として尊重される多様性ある社会を創造し、未来に責任を果たす役割を担わせていただきたいと考えています。
 この国会こそ真っ当な政治を再創造する歴史的なスタートとなるよう、国民並びに野党と連携して、全力を尽くすことをお誓いし、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

#4
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 福山哲郎議員にお答えをいたします。
 施政方針演説で言及しなかった事項についてお尋ねがありました。
 捜査に関する事柄に関しては、内閣として言及することが個別の事案の捜査に影響を与える可能性があることから記載しなかったものです。
 桜を見る会については、本年は開催せず、今国会に提出した百兆円を超える来年度予算には関係予算を全く計上していないことから、本年実施する政策に関する施政方針を述べる演説には盛り込まなかったものです。
 なお、これらについては昨日も御党の枝野代表から御質問をいただきましたが、私の演説内容のいかんにかかわらず、国会における御指摘があることはもとより承知しているところであり、こうした御指摘には当然、誠実に対応させていただく所存であります。
 演説で紹介した移住者についてお尋ねがありました。
 御指摘の方は、江津市の支援を受けて二〇一六年七月に移住し、起業するとともに、三年以上にわたって居住しており、江津市の起業支援の成功例として演説で紹介したものであります。
 こうした演説内容については御本人に確認した上で盛り込んだものでありますが、演説に記載した内容以外の事柄については、個人的な御事情などプライバシーに係るものであることから、お答えは差し控えさせていただきます。
 施政方針演説における来年度予算の税収についてお尋ねがありました。
 来年度予算の税収は適切な見積りの下に六十三・五兆円を計上しており、これは過去の税収実績と比較して最高となっております。したがって、施政方針演説における表現に問題があるとは考えておりません。
 辞任した閣僚らの説明責任及び第二次政権発足以降七年間の閣僚等の辞任についてお尋ねがありました。
 政治活動について、内閣、与党、野党にかかわらず、一人一人の政治家が自ら襟を正すべきであり、今後とも、指摘に対しては可能な限り説明を尽くしていかれるものと考えております。
 この七年の間に御指摘のように閣僚等が辞任したことについては、国民の皆様には大変申し訳なく、任命した者としてその責任を痛感しております。
 とりわけ、政府には国民の厳しいまなざしが注がれていることを常に意識すべきであり、いかなる事態にあっても、国民の負託に応え、政策を遅滞なく前に進める大きな責任があります。そのことは、菅直人政権で一年余りの間、官房副長官を経験された福山議員もよく御存じのことと存じます。
 様々な御批判があることを真摯に受け止めながら、今後、内閣として一層の緊張感を持って政権運営に当たってまいりたいと考えております。
 桜を見る会の前日に開催された夕食会についてお尋ねがありました。
 夕食会の価格設定については、出席者の大多数が当該ホテルの宿泊者であるという事情等を踏まえ、会場費も含めて八百人規模、一人当たり五千円とすることでホテル側が設定したものであります。
 明細書等について私の事務所に確認を行ったところ、ホテル側としては営業の秘密に関わることから公開を前提とした資料提供に応じかねるとのことであったと報告を受けており、どのような形であれ第三者への公開を希望しないというホテル側の意向を尊重すべきものと考えております。
 また、夕食会の費用については、ホテル側との合意に基づき、会場入口の受付において、ホテル側職員の立会いの下、私の事務所の職員が一人五千円を集金し、ホテル側名義の領収書をその場で手交し、受付終了後に集金した全ての現金をその場でホテル側に渡すという形で参加者からホテル側への支払がなされたものと承知しております。このため、ホテル側が参加者個人に対して発行した領収書について、安倍晋三後援会が改めて回収することは困難であると考えております。
 新宿御苑への入苑についてお尋ねがありました。
 内閣府によれば、新宿御苑への入苑に際し、団体等でまとまって来ていただくことが受付等の効率化の観点から適当である場合には、私の後援会関係者も含め、バスによる入苑を認めるケースがあり、その場合には、事前に団体側に対して、参加者の手荷物を最小限にし、危険物の持込みは一切認められない旨指導するなど必要な対応をお願いすることで、手荷物検査を免除する場合があるとのことであります。
 また、開苑時間については、会場周辺の混雑状況により、内閣府の判断で予定より早い時間に開門しているとのことであります。
 桜を見る会の招待者名簿及び推薦者名簿の保存期間等についてお尋ねがありました。
 行政文書の保存期間については、公文書管理法等のルールに基づき、各行政機関において、行政文書の具体的な性質、内容等に照らして設定することとされています。
 内閣官房、内閣府が取りまとめる名簿については、桜を見る会の終了をもって使用目的を終えるほか、個人情報を含んだ膨大な量の文書を適切に管理するなどの必要が生じるため、公文書管理法等のルールに基づき、保存期間一年未満文書として、会の終了後、遅滞なく廃棄することとしております。
 また、御指摘の内閣府公文書監察室の報告書においては、式典の招待状が保存期間を一年未満とすることについて十分な検討が必要なものとされたものではありません。当該招待状が、保存期間表において分類されている類型の記載について分かりやすさの観点から更なる具体化が必要とされたものであって、保存期間を一年未満とすることに不合理な点はなかったとされたものであります。そのため、桜を見る会の招待者名簿に関して、この報告書を無視したとの御指摘は当たりません。
 なお、民主党政権時代、菅内閣、野田内閣の平成二十三年、二十四年を含めて、二十三年から二十九年の間の招待者名簿の取扱いについては、あくまで事務的なミスであったことから、当時の文書管理者である担当課長を厳正に処分するとともに、官房長官から内閣府に対し、改めて文書管理のルールの徹底を指示したところと承知しております。
 桜を見る会の招待者についてお尋ねがありました。
 御指摘の番号については、招待状の発送を効率的に行うために便宜的に付しているものであり、会の終了をもって使用目的を終え、また招待者名簿についても廃棄していることから、その意味については定かではないとの報告を受けております。
 その上で、桜を見る会の個々の招待者やその推薦元については、個人に関する情報であるため、招待されたかどうかも含めて従来から回答を差し控えさせていただいているところです。
 一方、一般論として申し上げれば、桜を見る会が企業や個人の違法、不当な活動に利用されることは決して容認できません。
 桜を見る会等に関する私の責任についてお尋ねがありました。
 まず、桜を見る会及びその前日に開かれた夕食会の内容については、国会等の場で繰り返し可能な限り説明を行ってきており、隠し立てや虚偽の答弁を行っているとの御指摘は当たりません。
 他方、桜を見る会については、長年の慣行の中で行われてきたところではありますが、様々な御批判を国民の皆様からいただいているところであり、真摯な反省の上に、今後、私自身の責任において、全般的な見直しを幅広く意見を聞きながら行ってまいる所存です。
 IRについてお尋ねがありました。
 副大臣も務めた現職の国会議員が逮捕、起訴されたことは誠に遺憾です。かつて副大臣に任命した者として事態を重く受け止めておりますが、御指摘の事案については、捜査中の刑事事件に関わる事柄であることから、詳細なコメントは差し控えます。
 また、法律案の取扱いについては国会においてお決めになるべき事柄と承知しておりますが、IRは、カジノだけではなくて、国際会議場、展示場や大規模な宿泊施設を併設し、家族で楽しめるエンターテインメント施設として観光先進国の実現を後押しするものと考えております。
 IRの推進に当たっては国民的な理解が大変重要であり、議員御指摘の基本方針についても、現在、国土交通省において、関係省庁との協議に加え、今月発足した高い独立性を有するカジノ管理委員会や国会での御議論も踏まえつつ、丁寧に策定作業を進めているところです。
 関西電力の調査報告とFIT法改正についてお尋ねがありました。
 御指摘のFIT法改正は、国民負担を可能な限り抑制しつつ再エネを最大限導入し、主力電源化していくという観点から検討しているものであり、今国会に関連法案を提出することとしております。
 他方、関西電力の第三者委員会による調査報告については、同委員会の但木委員長が、調査すべきものは調査して、これが最終結論だと自信を持ったものを出したいと説明していると承知しています。
 政府として、できる限り速やかな報告を求める考えではありますが、期限ありきではなく、独立した第三者の目で徹底的に調査を尽くすことが大事であると考えております。その上で、この調査結果を踏まえて、再発防止等に必要な措置があれば、別途改めて検討し、実施する考えであります。
 令和元年度の税収見積りについてお尋ねがありました。
 令和元年度の税収については、雇用・所得環境の改善等を受け、給与税収は堅調に推移しているものの、大口の還付の発生といった一時的な要因による所得税収の減、企業収益は引き続き高い水準にあるものの、海外経済の減速等を背景に外需落ち込みの影響を受ける製造業を中心とした法人税収の減などの要因により、当初予算から二・三兆円の減額補正を行いました。こうした補正は当初予算の編成時には想定していなかった事情によるものであり、当初の見積りが過度に楽観的だったとは考えていませんが、今後とも適切な見積りに努めてまいります。
 ポイント還元事業についてお尋ねがありました。
 ポイント還元の対象となった全ての決済のうち、その六割が決済額千円未満であります。全体の平均でも一件当たり二千円余りとなっており、主として日常的な買物に使用されていると考えられることから、本事業に逆進性があるとの御指摘は当たらないものと考えます。
 また、参加店舗に対するアンケート調査では、約四割の中小事業者がポイント還元は売上げに効果があったと回答しており、消費税引上げ対策として一定の効果が出ていると考えております。本年六月末まで本事業を継続することで、消費税率が一〇%となった中でも景気に万全を期してまいります。
 気候変動と自然災害についてお尋ねがありました。
 近年、世界的に大雨や強い台風の発生頻度の増加、自然災害の更なる大規模化が懸念されている中で、気候変動問題への対応は待ったなしの課題であると認識しています。
 他方で、重要なことは、言葉ではなく実行であると考えます。
 我が国は、再エネや省エネの最大限の導入に取り組んできた結果、五年連続で温室効果ガスの排出量を削減しています。これはG20の中で日本と英国のみであります。合計で一一%を超える削減はG7の中で英国に次ぐ大きさであり、パリ協定に基づく削減目標の実現に向けて、日本は世界の中で積極的に取り組んでまいります。
 さらには、長期戦略に掲げた脱炭素社会を早期に達成するための非連続のイノベーションにも取り組み、世界における気候変動問題への対応をリードしていく考えであります。
 気候変動対策の各種目標についてお尋ねがありました。
 二〇三〇年の削減目標を含む、いわゆるNDCについては、今後国連に提出する考えでありますが、現在関係省庁で検討しているところであり、提出のタイミングやその中身について予断を持って申し上げることは差し控えます。
 二〇三〇年以降の長期の取組については、我が国は、パリ協定が掲げる今世紀後半のカーボンニュートラル実現との野心的な目標の達成に貢献するため、昨年六月に、今世紀後半のできるだけ早期に脱炭素社会の実現を目指すとした長期戦略を策定し、国連に提出いたしました。国連提出の長期戦略でカーボンニュートラルを目指すことを宣言しているのは、G7の中では唯一日本だけであります。
 また、昨年のCOP25において、二〇五〇年までのカーボンニュートラルを宣言した百二十の国と一地域のうち、現時点で長期戦略を国連に提出しているのは十一か国のみであります。
 どんな野心的な目標も掲げるだけでは意味はなく、重要なことは、目標の実現を裏打ちする具体的な政策を示し、行動を起こすことであります。長期戦略に掲げた脱炭素社会の早期の実現には非連続なイノベーションが不可欠であることから、今月、米国、EUなどG20の研究機関を集めた国際共同研究拠点を我が国に設置いたします。
 ゼロエミッションにとどまることなく、産業革命以来増加を続けてきたCO2を減少へと転じさせるビヨンド・ゼロを目指し、人工光合成を始め革新的イノベーションを実現するため、我が国が主導して世界の英知を結集していく考えであります。
 石炭火力についてお尋ねがありました。
 我が国は、再生可能エネルギーや水素など、二酸化炭素の排出削減に資するあらゆる選択肢を用いて世界の脱炭素化を牽引しています。
 こうした中で、新興国を中心に、効率の低い石炭火力発電所がいまだ数多く稼働している状況下で、我が国の高効率の石炭火力発電に対するニーズがあれば、その導入を支援することで、世界の二酸化炭素の実効的な排出削減に貢献していく考えであります。
 国内の石炭火力発電については、高効率化、次世代化を推進しながら、よりクリーンなガス利用へのシフトと非効率石炭のフェードアウトに取り組んでまいります。
 原発ゼロ法案についてお尋ねがありました。
 議員提出法案の扱いについては国会がお決めになることでありまして、内閣総理大臣としてお答えをする立場にはありません。
 その上で申し上げれば、東日本大震災以降、多くの原発が停止する中で、震災前と比べて電気料金が家庭用で約二三%アップし、国民の皆さんに経済的に大きな御負担をいただいている現実があります。
 資源に乏しい我が国にとって、さらに気候変動問題への対応やエネルギーの海外依存度を考えれば、原発ゼロは責任あるエネルギー政策とは言えないと考えています。
 中東地域での自衛隊の情報収集活動の地理的範囲についてお尋ねがありました。
 我が国は、米国と同盟関係にあり、同時にイランと長年良好な関係を維持するなど、中東の安定に関係する各国と良好な関係を築いています。これを生かし、中東の緊張緩和と情勢の安定化に向け、更なる外交努力を行うこととしています。自衛隊による情報収集活動については、外交努力と調和を図りながら取り組む必要があります。
 また、いずれの国も、広大な海域を自国のアセットのみによりカバーすることは困難です。自衛隊による情報収集活動についても、船舶の通航量や関係国の取組の状況等を踏まえて効率的に実施することが必要です。
 このような基本的な考え方の下、自衛隊の情報収集活動の地理的範囲について政府として検討を行った結果、ホルムズ海峡からペルシャ湾に至る海域において、日本関係船舶の航行が集中する分離航路帯は主にイラン、オマーンを含む沿岸国の領海内であること、もとより領海における船舶の安全な航行の確保には領海に主権を有する沿岸国が大きな役割を有していること、また、領海内における情報収集活動は沿岸国から無害通航に該当しないと主張され得ること、ペルシャ湾及びホルムズ海峡の情報については米国や沿岸国を含む関係各国との連携を通じて一定の情報収集が可能であると見られることを総合的に勘案し、ペルシャ湾、ホルムズ海峡においては自衛隊の情報収集を行わないこととしたものであります。
 イランの司令官殺害についてお尋ねがありました。
 ソレイマニ司令官の殺害に関しては、米国からの事前通告はありませんでした。ソレイマニ司令官の殺害を受け、米国から様々なチャンネルを通じ、連絡や協議がありました。
 イランとの間では、中東地域の緊迫の度が高まったことを受け、外交ルートを通じ、イランに対し抑制的な対応を果たしてきました。米国との間では、事態の更なるエスカレーションは回避しなければならない、中東地域の緊張緩和と情勢の安定化に向けて外交努力を尽くしていくことが重要であるとの点を含め、真剣な協議を行いました。
 今後とも、トランプ大統領やローハニ大統領との個人的な信頼関係を活用しつつ、中東における緊張緩和及び情勢の安定化に向け、粘り強い平和外交を展開してまいります。
 イージス・アショアの配備についてお尋ねがありました。
 厳しい安全保障環境の中で、弾道ミサイルの脅威から我が国全域を二十四時間三百六十五日、長期間にわたり切れ目なく防護することを可能とし、国民の命を守り抜くため、イージス・アショア二基の導入はどうしても必要です。
 こうした安全保障政策については、国民の皆様や地元の方々の御理解がなければ進めていくことはできないところでありまして、イージス・アショアについて、説明資料の誤りや緊張感に欠けた不適切な対応があったことは極めて遺憾です。
 イージス・アショアの配備の決定に当たっては、あくまでも正確なデータに基づく客観的な検討が前提です。調査の外部委託や専門家による検証など、不適切な調査を徹底的にやり直すことを通じて住民の皆様の不安が解消されるよう、正確で丁寧な説明を行うべく、全力で取り組んでまいります。
 普天間飛行場の辺野古移設についてお尋ねがありました。
 住宅や学校で囲まれ、世界で最も危険と言われる普天間飛行場が、固定化され、危険なまま置き去りにされることは絶対に避けなければなりません。これは、地元の皆様との共通認識であると思います。
 日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険性の除去を考え合わせ、検討を重ねた結果が現在の辺野古に移設するという方針であります。
 民主党政権では最低でも県外という公約を掲げましたが、結局、辺野古に移設することを米国政府と再確認した上で閣議決定したことについては、当時外務副大臣だった福山議員はよく御存じのことと思います。
 先般、御指摘の工期についての検討結果が出ましたが、辺野古移設に向けて着実に工事を進めていくことこそが、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去することにつながるものと考えます。これからも、地元の皆様と対話を積み重ね、御理解を得る努力を続けてまいります。
 日ロ平和条約交渉についてお尋ねがありました。
 北方四島においては、過去一年の間に、長門合意に基づき、かつてない日ロの協力が実現しています。具体的には、共同経済活動において、昨年初めて北方四島への観光パイロットツアーを始めとするパイロットプロジェクトを実施しました。航空機による元島民の方々のお墓参りについても、昨年は、泊、留別、ポンヤリといった、これまで何年も訪問できなかった場所に訪れることができました。
 このように、一つ一つ成果は生まれており、領土交渉に進展が見られないとの指摘は全く当たりません。
 北方領土は我が国が主権を有する島々です。政府としてこの立場に変わりはなく、平和条約交渉の対象は四島の帰属の問題であるというのが日本側の一貫した立場です。この立場に全く揺らぎはありません。先人たちの戦後日本外交の成果が壊されているとの指摘も全く当たりません。
 昨年八月のメドベージェフ首相による択捉島訪問は、北方領土に関する我が国の立場と相入れず、日本国民の感情を傷つけるものであり、極めて遺憾です。このため、直ちに正木外務省欧州局長から在京ロシア臨時代理大使に対し、文書によってではなく直接日本側の立場を申し入れ、強く抗議するとともに、その旨の外務大臣談話を発出しました。
 さらに、昨年九月のウラジオストクでの日ロ首脳会談では、私からプーチン大統領に対して我が国の立場を伝えました。プーチン大統領とは、領土問題を次の世代に先送りすることなく、自らの手で必ずや終止符を打つとの強い決意を共有しており、私と大統領の手でこれを成し遂げる決意であります。
 日朝関係についてお尋ねがありました。
 私は、条件を付けずに金正恩委員長と向き合う決意であり、これまで外交上あらゆる手だてを尽くしてきています。
 例えば、米国については、一昨年六月の第一回米朝首脳会談において、トランプ大統領から金正恩委員長に対して拉致問題を取り上げていただきました。また、昨年二月の第二回米朝首脳会談においては、初日の最初のいわゆるテタテの会談でトランプ大統領から金正恩委員長に私の考え方を明確に伝え、その後の少人数夕食会でも提起していただいたことは大変有意義だったと考えています。
 中国については、昨年六月の中朝首脳会談で、日朝関係に関する私の考えを習近平国家主席から金正恩委員長に伝えていただきました。その上で、習主席からは、拉致問題を含め、日朝関係改善への強い支持を得ています。
 韓国については、昨年十二月の日韓首脳会談において、文在寅大統領から、拉致問題の重要性について日本側の立場に理解を示した上で、韓国として北朝鮮に対し拉致問題を繰り返し取り上げている旨の説明を得ています。
 北朝鮮に対してもこれまで働きかけを行ってきていますが、詳細は、今後のやり取りに影響を及ぼすおそれがあるため、この場では差し控えさせていただきます。
 日朝首脳会談については、残念ながら現時点で決まっていませんが、御家族も御高齢となる中、拉致問題の一日も早い解決に向け、引き続き、米国、中国、韓国など関係国と緊密に連携しながら、あらゆるチャンスを逃すことなく、果断に行動してまいります。
 介護施設に入所する方の負担の在り方と介護人材の確保についてお尋ねがありました。
 介護保険制度においては、平成十七年より施設における食費や居住費について、在宅で介護を受ける方との公平性の観点から御自身で負担していただくことを原則とし、低所得の方に対しては年金収入等に応じて一定の助成をしています。
 現行の助成制度については、年金収入の水準いかんによっては助成額に大きな差異が生ずる場合もあり、社会保障審議会において、こうした年金収入段階ごとの助成額の差をなだらかにする見直し案が検討されているものと承知しています。引き続き厚生労働省において検討を進め、二〇二一年度からの次期介護保険計画期間が始まるまでの間に成案を得ることとしております。
 なお、低所得者への対応としては、昨年の消費税率引上げに合わせて介護保険料の負担軽減を実施しているところです。
 また、国民一人一人の方が必要な介護サービスを安心して受けられるように、サービスを提供する人材を確保、育成していくことは喫緊の課題です。このため、これまでの処遇改善に加え、昨年十月からの月額最大八万円の更なる処遇改善、元気で意欲ある高齢者の方々に介護分野へ参画していただく取組、ICTや介護ロボットの活用による現場の負担軽減や職場環境の改善などにより、介護人材の確保に全力を尽くしてまいります。
 待機児童の解消や保育の質の向上等についてお尋ねがありました。
 今般の幼児教育、保育の無償化は、小学校、中学校九年間、普通教育無償化以来、実に七十年ぶりの大改革となっております。そして、その大改革として、生涯にわたる人格形成の基礎やその後の義務教育の基礎を培う幼児教育の重要性と、子育てや教育に係る費用負担の軽減を図るという少子化対策の必要性に鑑み行ったものであります。
 同時に、待機児童の解消と保育の質の向上も重要と認識しており、待機児童の解消については、政権交代後、約六十五万人分の保育の受皿を整備するなど、これまで最優先で取り組んできた結果、待機児童数は昨年四月には調査開始以来最少となる一万六千七百七十二人まで減少しました。また、保育の質の向上の観点からは、安定的な財源を確保しながら、保育士等について月額最大八万一千円の処遇改善を実施してきました。
 引き続き、待機児童解消に向けて、二〇二〇年度末までの三十二万人の受皿整備に全力で取り組むとともに、保育の質の向上に向けて総合的な支援をしっかりと進めてまいります。また、無償化に便乗して質の向上を伴わない理由なき利用料の値上げが行われることのないよう、引き続き指導を強化してまいります。
 高等教育の無償化及び大学入試改革についてお尋ねがありました。
 高等教育の修学支援新制度の導入に際しては、真に支援が必要と考えられる低所得世帯の子供に支援の手が確実に行き渡るよう制度を整備し、この結果、支援対象となる学生数、金額が大幅に拡充されるとともに、個々の学生の支援も手厚く行われることとなります。
 他方で、この新制度以外に、各国立大学がこれまで独自に行ってきた授業料免除については、従来から各大学が自己財源を活用しながら各々の方針に基づいて実施してきており、引き続き各大学においてその取扱いを検討していただくことが基本となりますが、令和二年度予算案においては、各大学の自主的な授業料免除に活用できる国立大学法人運営費交付金の増額を行ったところです。
 各大学において、これにより新たに活用可能となる自己財源も用いながら、学生の状況を踏まえ、学業の継続などに支障を来さないよう適切に対応していくことを促してまいります。
 また、大学入試の在り方については、これまで指摘された課題を克服できるよう萩生田大臣の下でしっかりと検討し、受験生や国民の皆様から納得していただけるものを目指してまいります。
 今後とも、萩生田大臣には、高等教育の無償化の着実な実施、大学入試改革などを始めとする教育再生に全力で取り組んでもらいたいと考えています。
 特定技能制度の運用状況についてお尋ねがありました。
 昨年十一月末現在、特定技能外国人材として我が国に在留する外国人は千十九人であります。一方、本年一月十七日時点の速報値では、特定技能の許可を受けた外国人は二千六百三十九人であり、また、許可に必要な技能水準を測る技能試験の合格者数は約六千人であります。
 昨年十一月末現在の受入れ数は初年度の受入れ見込みを大きく下回っておりますが、年度内に新たに一万人以上が技能試験を受験することが予定されているほか、来年度以降も引き続き十四分野全てで試験を実施するとともに、海外での試験実施国を更に拡大する予定です。このようなことから、特定技能の許可を受ける外国人は着実に増加するものと考えています。
 依然として中小・小規模事業者を始めとした人手不足は深刻であり、即戦力となる外国人材を受け入れるため、政府においては、試験実施のための各国との交渉の促進や制度のきめ細やかな周知等に努めることで、しっかりと特定技能制度を運用してまいります。
 公立・公的病院の再編についてお尋ねがありました。
 政府は、高齢化が急速に進む中、地域の医療ニーズの変化に合わせた地域医療体制を確保するため、地域医療構想の実現に向けた取組を進めています。
 お尋ねのリストは、それぞれの地域において構想の実現のために医療機関や地方自治体が自ら医療機能の在り方を考える際の材料としてお示ししたものであり、病院から将来担うべき役割や在り方を機械的に決めるものではありません。
 現在、この医療機関リストについては都道府県に対してその内容の確認を行っているところですが、確認が完了した後には都道府県の判断において公表することは差し支えないものと考えております。それぞれの地域においては、この医療機関リストも一つの材料として、医療機関の、地方自治体、学識経験者など幅広い関係者にも参画いただきつつ、地域住民の不安にも配慮いただきながら、できるだけ開かれた議論を進めていただきたいと考えております。
 地域公共交通についてお尋ねがありました。
 地域の暮らしと産業を支える公共交通を取り巻く環境は、人口減少の本格化等によって厳しさを増しています。公共交通を確保、充実するために、地方公共団体が中心となり、地域住民や事業者が一体となって地域の実情に応じた取組を強化する必要があります。
 一方で、約八割の市町村では公共交通の責任担当者が不在です。地方公共団体が限られた組織体制の下で地域ごとの課題に対応していくため、国においても地域の交通計画の作成や人材育成に対する財政面、ノウハウ面の支援を着実に行ってまいります。さらに、地方におけるバス路線の維持への支援や自家用車による有償の運送サービス制度の規制緩和を行い、地方公共団体の積極的関与の下に地域における公共交通の確保、充実を図ってまいります。
 地域防災体制の在り方についてお尋ねがありました。
 大規模な災害が全国各地で毎年のように発生している今日、地方自治体の災害対応力の強化充実を図っていくことは重要な課題であると認識しております。
 各自治体とも地域防災計画に基づき災害対応の準備を進めており、東日本大震災以降、市町村の防災責任職員も大幅に増加していると認識しておりますが、一方で、小規模団体を中心に十分な防災担当職員を配置することが困難な実態もあると承知しています。
 政府としては、これまでも自治体に対する職員研修や自治体との共同訓練を実施するとともに、発災時には専門的な知識を有する職員を自治体に派遣するなど必要な支援を行っていますが、今後も、小規模自治体向けの訓練や手引の作成を行うなど、自治体の災害対応体制の強化に向けた取組を行ってまいります。
 高齢者や障害者の方々の避難対策と野党共同提出法案についてお尋ねがありました。
 災害時における高齢者や障害者の方々の避難の実効性の確保については、御指摘の福祉避難所の周知の在り方など、昨年の一連の災害において課題があったものと認識しています。現在、中央防災会議の下に設置した避難に関するワーキンググループにおいて、個別計画の促進を含め、高齢者等の避難の実効性の確保を図るため、施策について検討を行っているところです。
 野党が提案されている三つの法案については、その取扱いも含め、国会において御議論いただくべきものと考えております。
 なお、政府として、障害者基本計画に基づき、手話通訳者の派遣や点訳等による支援を行うとともに、それらを担う人材を育成、確保するなど、障害者の方々の情報アクセシビリティー、そして意思疎通支援の充実に向けた取組を進めてまいります。
 また、LGBTと言われる性的少数者に対する不当な差別や偏見はあってはならないことと考えており、政府として、多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる共生社会の実現にしっかりと取り組んでまいります。
 会計年度任用職員制度についてお尋ねがありました。
 本年四月に施行される会計年度任用職員制度については、各地方公共団体で制度移行に向けた準備が進められており、昨年末までに大多数の都道府県、市区町村で関係条例が制定されています。
 また、会計年度任用職員に対する期末手当の支給等に要する経費については、来年度の地方財政計画において地方公共団体の所要額を適切に計上することとしており、新制度への円滑な移行に必要な財源を確保していると認識しています。
 農業者戸別所得補償法案についてお尋ねがありました。
 旧戸別所得補償制度は、全ての販売農家を対象に交付金を支払うため、担い手への農地の集積ペースを遅らせる面があったと考えています。
 また、旧戸別所得補償制度のように米への助成を基本にするのであれば、米の需要が年々減少する中で過剰作付けを招き、農家の所得向上にはつながりません。
 このため、安倍内閣では、旧戸別所得補償制度は廃止し、麦、大豆などの需要のある作物の生産振興を図っています。また、農地バンクによる農地集積や輸出促進などの政策を強化してきました。これにより、農林水産品の輸出は六年連続で過去最高を更新し、担い手への農地集積は上昇に転じています。
 こうした新しい農業を切り開くための政策を更に力強く展開し、農家の所得向上を実現してまいります。(拍手)
    ─────────────

#5
○議長(山東昭子君) 岡田広さん。
   〔岡田広君登壇、拍手〕

#6
○岡田広君 自由民主党の岡田広です。
 私は、自由民主党・国民の声を代表して、安倍内閣総理大臣の施政方針演説について質問をいたします。
 私は、地方の夢を国政に届けるとの思いで、これまで国民、住民の皆様の声を伺ってまいりました。その中で、常に政治や行政において大切なことは、不を取り除くことだと感じてきました。
 世耕幹事長の肝煎りで立ち上げた参議院自民党不安に寄り添う政治のあり方勉強会でも、国民一人一人が感じている漠然とした不安や懸念を拾い上げるべく様々な方々からお話を伺っておりますが、そこでも、国民、住民の方々が不安、不満、不便、不信といった様々な不を抱えていることが伝わってまいります。
 今の生活や将来への不安を安心に変える。行政への不満を満足に変える。地域の不便を便利に変える。政治への不信を信頼に変えていく。特に、私たち政治家は、国民から不信を持たれぬようにしっかりと襟を正さなければなりません。国民から信頼を得るに足る行政が行われているか、目を光らせていく必要もあります。
 国民の皆様が不安を覚え、不満を感じ、不便に悩んでいることについて、つぶさに光を当てて、政策を前に進めるためにしっかりと審議をし、政治への信頼を高めていかなければならないと申し上げ、質問に入ります。
 令和最初の新年早々、米国とイランとの緊張激化につながるニュースが飛び込みました。世界各地で対立と分断が深まる中、日本の平和と繁栄を確固たるものにしていくためには、安全保障の基盤を強化するとともに、平和外交をより一層力強く推進していかなければなりません。
 新年早々、総理は、中東地域に大きな影響力を持つサウジアラビア、UAE、オマーンを訪問し、話合いによる対話、自制的な対応を促しました。地球儀を俯瞰する外交として、これまでの総理では例を見ないほど数多くの国を訪問し、グローバルな規模で相互理解や信頼関係を深めてきたことが大きな外交力となっています。
 戦略的な対話なくして外交課題は解決しません。旧朝鮮半島出身労働者の訴訟問題等がある韓国とは、昨年末、ようやく実現した首脳会談で両国関係改善に向けた意思が互いに示されました。韓国側には、国際法違反の解消に向けて動いてほしいと思います。公船による領海侵入や国内での人権問題等がある中国とは、本年春、二〇〇八年以来となる国家主席の公式訪問があります。北朝鮮の挑発的行為等が強まる中、弾道ミサイル、核開発の放棄と拉致問題の解決に向けて、各国との連携を強化する一方、総理自身もあらゆるチャンスを逃さないとの決意を示しています。
 同時に、日本の平和と繁栄を確固たるものにするには、対話のみならず行動も必要です。過日、防衛省設置法の調査研究による活動として、海上自衛隊の中東派遣の決定がありました。石油の八割以上を中東諸国からの輸入に頼り、日本に向かうタンカーがこの地域の海域を往来しています。その我が国が、情報の収集、共有の強化を通じて中東地域における平和と安定、船舶の安全の確保を図ることは、国際社会の一員として当然であり、各国からも支持や理解が示されております。
 対話と行動が相まってこそ、日本の平和を現実的に支えていくことができると考えます。令和最初の新年を迎えても国際情勢は厳しさを増し、予断を許しません。総理は、国際社会の平和の維持と回復に向けて対話と行動を軸に据えながら、どのように平和外交を展開されるのか、お伺いいたします。
 グローバル化した国際社会・経済の中で、日本だけがよくなることはありません。安全保障環境同様、世界経済の変調は我が国に影響を及ぼします。
 世界経済の大きな懸念の一つは、二〇一八年から続く米中の貿易摩擦です。先日、米国と中国の貿易協議において第一段階の合意文書が署名されましたが、引き続き二国間の動向には注意が必要です。
 そのような中、我が国は、日EU・EPAやTPP11、日米貿易協定の発効など、グローバル経済の自由貿易圏形成の旗手、保護主義の防波堤役としての存在感を高めています。
 東アジア地域包括的経済連携、RCEPについては、インドが関税撤廃に慎重姿勢を示したことで昨年内の合意は見送られましたが、ゴールまであと一歩です。インドの参加は、自由で開かれたインド太平洋の実現のためにも大きな意義があります。インドを加えた形でのRCEP締結を進めていくべきです。
 また、EU離脱に向けて動いている英国、そしてタイもTPPへの参加に関心を示しており、我が国に橋渡しの期待を寄せています。
 このような状況を見れば、保護主義への回帰など懸念はあるものの、世界の自由貿易経済圏拡大に向けた機運は広がっていると考えます。
 総理は、我が国の成長の基盤となる自由で公正な共通ルールをどのように世界に広げていくお考えか、見解を伺います。
 一方、経済連携協定等により、我が国の農林水産業の活力が失われてはなりません。農林水産業の元気なくして地方の活性化はありません。農林水産業が衰えてしまえば、国の存立そのものが危うくなります。
 我が国の食料自給率は、平成三十年度、カロリーベースで三七%と過去最低となり、生産額ベースでも六六%と横ばいにあります。
 気候変動関係の国際会議では、今後、干ばつなど気候変動の激化で穀物価格が大きく上がるおそれがあり、食料不足や飢餓のリスクが高まるとの強い警告を発しています。我が国は人口減少社会ですが、途上国を中心とした人口の増加と所得増大により、世界的には食料需要はますます高まります。
 スイスにおいては、平成二十九年に国民投票が行われて、農業生産基盤の確保や市場志向型の農業の実現による食料安全保障が憲法に明記されました。先週、ベルリンで開催された世界農相会合においても、食料安全保障の確立に向けて、農業生産基盤の強化、小規模農家の支援などを盛り込んだ共同宣言が採択されました。
 安倍政権による改革等により、若手新規就農者数や農林水産物・食品の輸出額、生産農業所得は増加しており、成果は着実に現れ始めています。しかし、肝腎の食料自給率がこのような状況では心もとないところです。
 林業新時代を加速させる森林環境税等の創設、資源管理と成長産業化に向けた七十年ぶりの漁業法改正等に続き、新たな食料・農業・農村基本計画の策定のための審議が重ねられています。新計画では、是非とも食料安全保障が基本に据えられるべきです。
 総理は、我が国の食の安全や環境資源を守り、食料自給率の向上を図っていくために、足腰の強い農業、林業、水産業をどのようにつくっていくお考えか、御所見を伺います。
 安倍政権最大の成果の一つは、間違いなく雇用の回復です。統計を取り始めて初めて四十七都道府県全てで有効求人倍率が一を超えています。数字の上では、親元で職を得ようと思えばそれができる、職を得るために東京へ出る必要がないという状況です。
 しかし、地方から東京圏への大幅な転出超過による人口集中は続いており、その半分以上が十五歳から二十九歳までの若い世代となっています。大学進学ないし大学卒業後就職時の転入が大きなきっかけと考えられます。
 かつては、東京圏の大学に進学しても、就職時には地元に帰る動きがありましたが、近年では、Uターンは減少している上に、地方大学の卒業生が東京圏へ移動する傾向が強まっています。片や、平成三十年度に東京在住者に対して行われた意向調査を見ると、約四割が移住する予定又は今後検討したいと答えており、特に十代や二十代の若い世代で高い割合となっています。現実と希望の間に生じている差を埋める必要があります。
 地方が元気でなければ日本は元気になりません。どのように仕事も学びの場もコミュニティーもそろった持続可能な地方経済活性化を進めていくのか、総理の御見解を伺います。
 昨年十一月、十二月と、大学入学共通テストにおける英語民間試験の活用及び記述式問題の導入について方針が転換されました。試験に向けて努力を積み重ねてきた高校生や保護者の皆様には申し訳なく思います。
 読む、聞く、話す、書くの四技能のバランスが取れた英語能力や日本語による思考力、判断力、表現力を身に付けさせたいという目的は分かりますが、受験生の不安を払拭し、安心して入試に臨めるようにすることが何よりも大切なことです。
 大学入試改革に当たっては、受験生を第一に考えた上で、公平性を確保し、万全の体制と十分な準備時間を整えてから進めるべきと考えますが、総理の御見解を伺います。
 五十六年ぶりとなる二〇二〇東京オリンピック・パラリンピック。開会の日が近づくにつれて、わくわくしてきます。日本に、そして世界に、多くの勇気と感動を与えてくれることは間違いありません。
 片や、オリンピック・パラリンピックなどの大イベントは、テロリズムとの闘いでもあります。東京大会の成功は、テロ対策の成否が前提です。都、国を挙げてテロを防ぎ抜かなければなりません。
 しかし、昨年末、一抹の不安を覚える事件がありました。会社法違反などで起訴され保釈中であった日産自動車前会長カルロス・ゴーン被告が、プライベートジェットで違法に出国し、レバノンへ逃亡しました。政府は、被告の身柄を我が国に引き渡すよう、全力で対処しなければなりません。
 そして、今回の違法出国では、テロ対策、特に水際対策は大丈夫なのかという不安も覚えます。
 今回のような事態を招いたのはどのような要因があるのかを徹底的に分析し、水も漏らさぬ、さらには、さすがは日本と評価されるようなスムーズな出入国管理や税関検査等を実現しなければならないと考えます。総理の御見解を伺います。
 前回の一九六四年東京大会では、東海道新幹線や高速道路など、我が国の経済産業活動の基盤となったインフラが次々と整備され、その後の高度経済成長を支えることとなりました。しかし、大会終了直後は、反動により景気後退が見られ、当時、倒産企業数は大会前後で三倍に急増しています。
 当時と比べると我が国全体の経済規模と大会のための予算総額の割合は全く異なることから、当時と同様の経済状態になるとは考えられませんが、米中貿易摩擦など世界経済を覆う不透明感もあります。二〇二〇年大会の後の経済が腰折れとならぬよう、先手先手で万全の策を講ずるべきです。
 このような観点から、参議院自民党では、大会終了後の景気減速への不安、世界経済への懸念等に十分対処すべきと政府に申し上げてきました。今国会に提出された令和元年度補正予算案と令和二年度予算案が東京大会終了後の不安を払拭するための先んじた経済対策ともなっているのかを、総理から国民の皆様に御説明をお願いいたします。
 二〇一九年の日本人の国内出生数は、一八九九年の統計開始以来、初めて九十万人を割り込む見込みです。国難とも言える少子化の加速への対応は待ったなしです。昨年十月からは幼児教育、保育の無償化などが始まり、子育て世代の家計負担の軽減が図られました。統計によれば、理想の子供の数を持たない理由として最も多く挙げられているのが、子育てや教育にお金が掛かり過ぎるからということです。三十五歳未満に限ってみれば八割が理由に挙げています。無償化は助かるという子育て世代の声も数多く伺います。
 一方、待機児童の解消には保育士の確保が不可欠ですが、地域レベルで見るとそう簡単ではありません。
 抜本的には、保育士の処遇を更に改善しなければなりません。子ども・子育て支援のために、消費税財源以外の追加で必要となる〇・三兆円超の財源を確保して、処遇の向上など質の向上に充てることとなっていますが、子育て中の方々の声や要望に耳を傾けながら、少子化対策、子育て支援対策として、さらには、成長戦略の一環として更なる幼児教育、保育の無償化と充実を図るべきと考えます。総理の御見解を伺います。
 平均寿命は、平成三十年には男性八十一歳、女性八十七歳となり、昭和三十五年との比較で、男性で十六歳、女性で十七歳ほど延びています。また、今の七十歳はかつての六十歳と歩く速度が同程度で、体力や運動能力の上で若返っていると言われています。ライフスタイルも多様です。世論調査では、七十歳を超えても働きたいという意向が多くなっています。
 日本では六十五歳以上を高齢者とするWHOの定義が今でも使われていますが、寿命も体力も意欲も変わった今、年齢だけで年金や医療、介護などの社会保障制度を考えることはできません。
 昨年公表された年金の財政検証は、少子高齢化、人口減少が進む中、厳しい結果を予想した方が多かったと思われます。しかし、実際には、アベノミクスによって支え手が約五百万人増えた結果、将来の年金給付に係る所得代替率は改善しました。このことは、国民年金や厚生年金の在り方なども含めて、今後の年金制度を考えるに当たり、経済成長の確保と働き方の多様化なども一体とした発想が必要であることを示しています。
 全ての世代が安心できる全世代型社会保障制度を目指し、生涯現役、多様な選択など、経済社会の変化を踏まえた政策を一体的に推進することにより、令和の時代の年金制度を考えていくべきと思います。総理の御所見を伺います。
 同時に、誰もが安心して医療や介護を受けられる制度を将来にわたって維持していくためには、社会や人口構成などの変化に合わせて、所得に応じた負担を高齢者の方々にもお願いしながら、現役世代への過重な負担を抑えていかなければなりません。一くくりに年齢で高齢者、支えられる側としてしまうのは実態に合っていないのではないでしょうか。
 さらには、日頃から健康づくり、体力づくりに取り組んでいるところやコミュニティーでの相互支援に熱心なところは、健康も維持され、かつ医療や介護に係る経費が抑えられるとも言われており、予防的な発想も大切です。
 医師の偏在や介護現場の人手不足という状況もある中、医療や介護分野のサービスの提供と負担の在り方をどのように考えていくのか、総理の御所見を伺います。
 第二次安倍政権がスタートしてから八年目。この間、政権は、経済再生なくして財政健全化なしとの思いでアベノミクスを強力に推し進めてきました。その結果、GDPは名目、実質共に過去最大規模となり、内需を中心に景気も緩やかな回復基調を続けています。六年連続で今世紀最高水準の賃上げ、さらには景況感の地域間のばらつきも小さくなっています。税収は過去最高の水準が続き、安倍内閣発足以来、国債発行額は八年連続で減額され、公債依存度も改善傾向にあります。経済再生を最優先に考えた政策こそが財政再建に向けて進むべき道であったことは明らかです。
 他方、社会保障給付費は、高齢化に伴って急激な増加が見込まれます。団塊の世代全員が七十五歳以上となる二〇二五年、二十歳から六十四歳の現役世代が大幅に減少する二〇四〇年に向けて、特に医療・介護分野の給付はGDPの伸びを大きく上回って増加していきます。
 このような状況が予想される中、今後、どのようにして経済再生と財政再建を両立していくお考えか、総理の御所見を伺います。
 昨年も自然災害により全国各地で大きな被害が発生しました。改めて、度重なる自然災害によって亡くなられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げ、被災された方々にお見舞い申し上げます。
 我が国は、台風ルートや大陸地殻の境界付近に位置しており、常に台風や南海トラフ地震などの大地震に見舞われる環境にあります。これまで蓄積した経験やデータでは対応できない強さやパターンで我が国を襲う自然災害にも耐え得るようにしなければ、尊い命や日々の生活を守ることはできません。
 災害復旧も考え方を変えるべきです。堤防の決壊や道路路肩の崩壊などの場合、原形復旧だけでは同じ程度の災害を防止できないおそれがあるときには、改良復旧として今まで以上に災害に強い施設を造ることができます。しかし、昨年、台風により茨城県やほかの県にもビニールハウス等々の損壊などが多発しましたが、このような農業用施設は原状復旧が原則です。これでは、同レベルの自然災害が起これば、また被害を受けてしまいます。
 これまでにないレベルやパターンの台風や地震等が続く時代となった今、更に強い自然災害でも耐えるインフラや施設、町づくりなど、これまでとは違う考え方で国土強靱化や災害復旧復興を進めるべきと考えますが、総理の御所見を伺います。
 地球温暖化を食い止めるためのエネルギー政策に関して伺います。
 昨年十二月、マドリードでの気候変動に関する会議、COP25の開幕が迫る中、国連事務総長は、気候変動ではなく、もはや気候危機に直面していると訴えました。昨年は、台風十五号や十九号などの一連の自然災害のほか、COP25では、十六歳の環境活動家グレタ・トゥンベリさんの発言や環境団体による日本への化石賞など、温暖化対策の実行に加えて、対外発信力の大切さも注目された年でもあります。平和外交を訴え、さらに温暖化防止に貢献できる科学技術力を持つ我が国だからこそ、より一層CO2対策に取り組み、世界に存在感を示さなければなりません。
 その前提として、パリ協定の目的達成のために掲げた二〇三〇年度の温室効果ガスの排出を二〇一三年度の水準から二六%削減するという中期目標をクリアしなければなりません。
 あわせて、電力等の安定的な供給も重要です。一昨年の北海道胆振東部地震によるブラックアウト、昨年の台風十五号や十九号による千葉県での大規模停電、電力の途絶は生活や産業に大きな影響を与えました。
 そこで、原発の安全性の確保を大前提にしつつ、経済や生活への影響も考慮しながら、超超臨界圧発電や再生可能エネルギーの活用など、エネルギーのベストミックスを実行していくことで地球温暖化対策を進めていかなければならないと考えますが、梶山経済産業大臣の御所見を伺います。
 日本最初の成文法である聖徳太子の十七条の憲法第一条は、和をもって貴しとなすです。日本の文化、風土の中で、令和の和、平和の和である和がいかに大切に考えられてきたかということだろうと思います。憲法についても、それぞれが思うところを持ち寄って、令和の時代にふさわしい、さすがは参議院と言われるような議論をすべきだと考えます。
 既に戦後七十年以上となり、社会も経済も国際情勢も大きく変わっています。今の憲法が制定された時代には、携帯やスマホもなく、セクシュアルハラスメントという言葉も社会的には認知されていませんでした。東京圏への人口の集中はなく、環境問題も意識されていませんでした。
 世界各国、時代が変われば、それに応じた憲法に改正しています。第二次世界大戦後、ドイツは六十三回、フランス二十七回、イタリア十五回、中国十回、韓国九回、米国六回などです。日本はゼロ回です。
 一度も改正されていないから改正するというわけではありません。本当に今の時代に合っている憲法なのかどうかも議論しないというのは、正しい国会の在り方でしょうか。今の時代に鑑みて、どこを改正すればいいのか、削除する項目はないのか、新しく加える項目はないのか、いろいろな考えがあるはずです。それをそれぞれが持ち寄り、憲法審査会で議論し、憲法改正の判断を下す国民の皆様の前に議論の過程を明らかにしていくことが重要です。
 昨今の世論調査を見ても、国民の憲法改正の議論への関心は高く、今すぐに議論を前に進めるべきときであると考えます。
 安倍総理に、憲法改正の議論について参議院に期待するところをお伺いして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

#7
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 岡田広議員にお答えをいたします。
 平和外交の展開についてお尋ねがありました。
 外交課題を解決するに当たって、対話が重要なことは言うまでもありません。韓国、中国、北朝鮮との間には御指摘のような様々な課題がありますが、だからこそ対話を行うことが必要だと考えています。
 中東の緊張緩和と情勢の安定化に向けて、米国、イランとの対話を重ねるとともに、先般、サウジアラビア、UAE、オマーンを訪問したのも、このような外交努力の一環です。
 様々な課題を解決するに当たり、行動が重要なことも議員御指摘のとおりです。今般の自衛隊の中東派遣は、中東に多くのエネルギー資源を依存する我が国が、船舶の安全確保を図る上で、外交努力と相まって取った行動の一例です。
 今後も、各国首脳と築いてきた信頼関係を活用し、積極的平和主義の下、地球儀を俯瞰する観点に立って、平和外交を力強く展開してまいります。
 自由で公正なルールを世界に広げていく戦略についてお尋ねがありました。
 世界で保護主義への懸念が高まっている今こそ、我が国が自由貿易の旗を高く掲げ、二十一世紀の経済秩序を世界へと広げていくことが重要であると考えています。
 一昨年末にはTPP11、昨年二月には日EU・EPA、本年一月一日には日米貿易協定が発効しました。我が国が主導して、人口十三億人、世界経済の六割を占める巨大な自由貿易圏が誕生したことは、我が国の新しい時代の成長の基盤となるものです。
 今後も、TPPの更なる拡大や、インドを含めたRCEP交渉を主導してまいります。また、EUから離脱する英国とも速やかに通商交渉を開始します。
 さらに、WTO改革に向けた議論に引き続き積極的に貢献していくとともに、データ流通の新たな国際ルール作りを大阪トラックでリードしてまいります。
 我が国は、これからも自由貿易の旗手として、自由で開かれた公正なルールに基づく経済圏を世界へと広めていく、その先頭に立つ決意であります。
 足腰の強い農林水産業の構築についてお尋ねがありました。
 食料の安定供給を将来にわたって確保していくことは、国家の国民に対する最も基本的な責務の一つです。この責務を果たしていくためには、国際競争や災害にも負けない足腰の強い農林水産業を構築していく必要があります。
 このため、安倍内閣においては、農林水産業を成長産業とすべく、農業については、米の生産調整の見直し、農地バンクによる農地集積や輸出促進、林業については、森林バンクや森林環境譲与税の創設、水産業については、水産資源の適正管理と生産性向上を図るための水産政策改革といった農林水産政策全般にわたる抜本的な改革を進めてきました。こうした施策を着実に進めていくことで、食料自給率や食料自給力の向上を図ってまいります。
 また、本年の食料・農業・農村基本計画の見直しに当たっては、食料安全保障について、国内農業生産の増大を図ることを基本とします現行計画の考え方に沿って検討を進めてまいります。
 持続可能な地方経済活性化についてお尋ねがありました。
 東京一極集中の是正は大きな課題です。転入超過の大半を十代後半、二十代の若者が占めていることを考えれば、就学や就職が東京圏への移動の大きなきっかけとなっています。若者たちを引き付けるような学びの場や働く場を地方に整えることで、地方への若者の流れをつくり上げることが重要です。
 魅力ある学びの場としての地方大学のチャレンジを支援します。先端科学、観光、農業など、地域の特性を生かした分野で世界レベルの研究を行い、日本全国から学生が集まるような、きらりと光る大学づくりを進めます。
 企業版ふるさと納税を拡充し、地方における魅力ある仕事づくりを一層強化します。東京から地方へ移住し、起業、就業する場合には最大三百万円を支給する制度で、地方にこそチャンスがあると考える若者たちの背中を力強く後押ししてまいります。
 さらには、特色ある農林水産物、観光資源、地場企業など、それぞれの地方ならではの強みを生かし、地方独自の創意工夫を一千億円規模の地方創生交付金などにより全力で応援することで、魅力と活力があふれる持続可能な地方をつくり上げていく考えであります。
 大学入試改革についてお尋ねがありました。
 来年度実施予定であった英語民間試験の活用及び大学入学共通テストにおける記述式問題については、昨年、萩生田大臣の判断により、受験生が安心して試験を受けられるような配慮などの準備状況が十分ではないことから、その導入を見送ることになったものであります。
 大学入試は、受験生にとって人生における大きな出来事であり、その後の進路に影響を与える重要なものです。このため、その制度の在り方については、公正性の確保を含め、これまで指摘された課題を克服できるよう萩生田大臣の下でしっかりと検討し、受験生や国民の皆様から納得してもらえるものを目指してまいります。
 水際対策を始めとするテロ対策等の徹底についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、昨年末にカルロス・ゴーン被告人が不法に出国をした事態は誠に遺憾であり、政府としては、今般の経緯をしっかりと解明するとともに、今後同様の事態を招くことがないよう、関係省庁が連携して出国時の手続のより一層の厳格化を図っているところであります。
 また、東京オリンピック・パラリンピックを半年後に控え、更なる外国人旅行者数の増加が見込まれる中、テロ対策の重要性は今後ますます高まってまいります。
 政府においては、出入国管理や税関検査等を高度な次元で円滑かつ厳格に実施するため、人的、物的な備えを確実に行うとともに、関係機関間の連携をより一層強化することで、東京オリンピック・パラリンピックが安全かつスムーズに開催されるよう、対策に万全を期してまいります。
 経済対策についてお尋ねがありました。
 先般取りまとめた事業規模二十六兆円に及ぶ総合経済対策は、自然災害からの復旧復興や海外発の下方リスクへの万全の備えに加え、我が国経済が東京オリンピック・パラリンピック後も民需主導の力強い成長を実現していくためのものです。安心と成長の未来を切り開く力強い政策パッケージを取りまとめることができたと考えております。その実行のため、十五か月予算の考え方の下、本年度補正予算と来年度予算の臨時特別の措置等を適切に組み合わせることにより、十三兆円規模の思い切った財政支出を講じております。
 東京オリンピック・パラリンピック後も見据え、先手先手で切れ目なく政策を実行していくことで、デフレ脱却と経済再生への道筋を確かなものとしてまいります。
 子育て支援の充実についてお尋ねがありました。
 子供を産み育てたいという希望に対し、子育てや教育に係る費用負担が大きな制約であったことを踏まえ、昨年、幼児教育、保育の無償化という、小学校、中学校九年間の普通教育無償化以来七十年ぶりの大改革を行いました。
 同時に、保育士等の人材確保にも着実に取り組んできたところであり、政権交代以降、月額最大八万一千円の処遇改善を実施してきました。こうした処遇改善に併せて、資格の取得促進、就業継続のための環境づくりなど、保育士確保に向けた総合的な支援をしっかりと進めます。
 また、御指摘の子ども・子育て支援の更なる質の向上を図るため、〇・三兆円超のメニューについては、これまで実施してきた保育士等の処遇改善のほか、令和二年度予算案に新たに栄養士の配置や一時預かり事業の充実を図るために必要な経費を盛り込んでいます。
 今後も、各年度の予算編成過程において、引き続き安定的な財源の確保に努めてまいります。
 年金制度の在り方についてお尋ねがありました。
 全世代型社会保障は、人生百年時代の到来を見据えながら、働き方の変化を中心に据えて、年金、医療、介護、社会保障全般にわたる改革を進めるものです。その中で、年金制度においても、多様な就労への対応、より長期にわたって働くことへの支援、自らの選択によって高齢期の経済基盤の充実を図ることができるための環境整備を進めることが必要です。
 このため、年金制度について、パートの皆さんへの厚生年金の適用を、中小企業への生産性向上支援、社会保険手続の負担軽減を行いながら、従業員五十人を超える企業まで段階的に拡大し、自分で選択可能となっている年金受給開始時期の上限について七十五歳に引き上げ、在職老齢年金については、働くインセンティブを失わせることのないような見直しを行うこととしています。
 こうした改革を通じ、支え手を増やしながら令和の時代にふさわしい年金制度を構築してまいります。
 医療と介護のサービスの提供と負担の在り方についてお尋ねがありました。
 人生百年時代の安心の基盤は健康であります。このため、医療や介護について、病気になってからの対応だけでなく、社会全体で予防、健康づくりへの支援を強化し、いつまでも健康で活躍できる社会づくりを行います。
 一方で、二〇二二年にはいわゆる団塊の世代が七十五歳以上の高齢者となる中で、現役世代の負担上昇に歯止めを掛けることは待ったなしの課題です。このため、年齢ではなく、能力に応じた負担へと見直しを進め、現役世代の負担上昇を抑える観点から、全世代型社会保障検討会議の中間報告の方向性に基づき、具体的な検討を進めてまいります。
 また、高齢化による医療や介護需要に対応する基盤を整備していくことも重要です。
 医療については、医療人材の確保や医師の働き方改革に取り組みつつ、疾病予防や早期対応から、病気を抱えた後もその生活を支える医療として、かかりつけ医機能の強化等にも取り組んでまいります。
 介護についても、地域共生社会の実現に向けて、制度の持続可能性を確保しながら、介護予防、健康づくりの推進、地域の実情に応じた介護基盤の整備、介護人材の確保等を柱として改革を進めてまいります。
 経済再生と財政健全化についてお尋ねがありました。
 安倍内閣では、経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針の下、財政健全化に大きな道筋を付けてまいりました。
 日本経済はこの七年間で一三%成長し、来年度当初予算において、税収は過去最高、公債発行は政権交代以降八年連続で減額となっています。
 今後は、東京オリンピック・パラリンピック後も見据え、切れ目なく政策を実行することでデフレ脱却と経済再生への道筋を確かなものとすると同時に、社会保障を含めた歳出と歳入両面の改革を続け、二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化、債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指してまいります。
 国土強靱化や災害復旧復興についてお尋ねがありました。
 集中豪雨、地震、激しい暴風、そして異常な猛暑など、異次元の災害が相次いでいる現状を踏まえ、三か年緊急対策を策定するなど、国土強靱化の取組を抜本的に強化し、災害に屈しない国土づくりを進めてまいります。
 それに加え、昨年の台風第十五号、第十九号などの被害を踏まえ、自然災害からの復旧復興や、河道掘削や堤防強化などの水害対策を中心に、更に国土強靱化の取組をパワーアップさせるための予算を確保しています。
 また、御指摘の農業用ハウスについては、補強を伴う改良復旧や風雪に強い耐候性ハウスの整備に対して支援を行うなど、災害に強い産地づくりを進めています。
 さらに、町づくりについても、防災・減災をソフト面から進めるための法案を今国会に提出するなど、ハード、ソフトを組み合わせた対策を強化します。
 その上で、令和三年度以降も必要な予算を確保し、オールジャパンで防災・減災、国土強靱化を進め、災害に強いふるさとをつくり上げてまいります。
 憲法改正についてお尋ねがありました。
 憲法審査会の運営を始め参議院での憲法改正議論の在り方については、国会でお決めをいただくことであり、内閣総理大臣としてお答えすることは差し控えさせていただきます。
 その上で、お尋ねですのであえて申し上げれば、憲法改正は国会が発議し、最終的には、主権者である国民の皆様が国民投票で決めるものです。それゆえ、憲法審査会において憲法改正についての議論を重ね、国民の皆様の理解を深めていくことが私たち国会議員の責任ではないかと考えています。
 自民党は、既に憲法改正のたたき台を提示しています。野党各党においても、さきの参議院選挙や最近の世論調査を通じて示された憲法改正に対する国民的意識の高まりをしっかりと受け止めていただき、良識の府たる参議院の憲法審査会の場において、それぞれの案を持ち寄り、与野党の枠を超えた活発な議論を行っていただきたいと思います。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣梶山弘志君登壇、拍手〕

#8
○国務大臣(梶山弘志君) 岡田議員からエネルギーミックスと地球温暖化対策についてお尋ねがありました。
 我が国の温室効果ガスの排出量の約九割は企業や家庭におけるあらゆるエネルギー消費に由来するCO2であり、御指摘のとおり、二〇三〇年度に二〇一三年度比で温室効果ガス排出量を二六%削減するという目標の達成に向け、エネルギーミックスの実現は地球温暖化対策としても極めて重要であると考えております。
 再エネの導入拡大等、エネルギーミックスの実現に向けた取組を着実に進める中で、我が国は、二〇一四年度以降五年連続で温室効果ガス排出削減を達成をし、削減量も合計で一一%を超えております。これは、G7諸国の中で英国に次いで高い水準であります。実効性のある削減策が大変重要であると考えております。
 今後とも、エネルギーミックスの実現に向け、エネルギー源ごとの施策の強化に取り組んでまいります。具体的には、再エネは主力電源化していくため、コスト低減の取組強化、再エネの大量導入を支えるネットワークの整備などに取り組んでまいります。また、原子力は、安全最優先で、地元の理解を得ながら再稼働を進めてまいります。さらに、化石燃料は、火力発電の高効率化を進めるとともに、燃料供給の強靱化やバックアップとしての活用等、災害リスクへの対応強化を進めてまいります。(拍手)

#9
○議長(山東昭子君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#10
○議長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三分散会
ソース: 国立国会図書館
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