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2020/05/27 第201回国会 参議院 第201回国会 参議院 資源エネルギーに関する調査会 第5号 令和2年5月27日
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2020/05/27 第201回国会 参議院

第201回国会 参議院 資源エネルギーに関する調査会 第5号 令和2年5月27日

#1
令和二年五月二十七日(水曜日)
   午後一時三十分開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十一日
    辞任         補欠選任
     岩本 剛人君     こやり隆史君
     清水 真人君     高野光二郎君
     三木  亨君     高階恵美子君
     山田 太郎君     高橋はるみ君
 五月二十六日
    辞任         補欠選任
     高階恵美子君     滝波 宏文君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         宮沢 洋一君
    理 事
                阿達 雅志君
                岩井 茂樹君
                森屋  宏君
                斎藤 嘉隆君
                平木 大作君
                梅村  聡君
                山添  拓君
    委 員
                こやり隆史君
                高野光二郎君
                高橋はるみ君
                滝波 宏文君
                長峯  誠君
                三浦  靖君
                宮崎 雅夫君
                岸 真紀子君
                古賀 之士君
                塩村あやか君
                浜野 喜史君
                矢田わか子君
                杉  久武君
                若松 謙維君
                音喜多 駿君
                市田 忠義君
                嘉田由紀子君
   大臣政務官
       内閣府大臣政務
       官        加藤 鮎子君
       経済産業大臣政
       務官       宮本 周司君
   政府特別補佐人
       原子力規制委員
       会委員長     更田 豊志君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        亀澤 宏徳君
   政府参考人
       内閣府大臣官房
       審議官      佐藤  暁君
       消防庁国民保護
       ・防災部長    小宮大一郎君
       外務省大臣官房
       審議官      加野 幸司君
       外務省大臣官房
       審議官      高杉 優弘君
       外務省大臣官房
       参事官      遠藤 和也君
       文部科学省大臣
       官房審議官    千原 由幸君
       厚生労働省大臣
       官房生活衛生・
       食品安全審議官  浅沼 一成君
       経済産業省大臣
       官房原子力事故
       災害対処審議官  新川 達也君
       経済産業省産業
       技術環境局長   飯田 祐二君
       資源エネルギー
       庁長官官房資源
       エネルギー政策
       統括調整官    覺道 崇文君
       環境省大臣官房
       審議官      上田 康治君
       環境省大臣官房
       環境保健部長   田原 克志君
       原子力規制委員
       会原子力規制庁
       次長       片山  啓君
       原子力規制委員
       会原子力規制庁
       長官官房審議官  大村 哲臣君
       原子力規制委員
       会原子力規制庁
       長官官房審議官  金子 修一君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○原子力等エネルギー・資源に関する調査
 (原子力問題に関する件)
    ─────────────

#2
○会長(宮沢洋一君) ただいまから資源エネルギーに関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、岩本剛人君、清水真人君、山田太郎君及び三木亨君が委員を辞任され、その補欠としてこやり隆史君、高野光二郎君、高橋はるみ君及び滝波宏文君が選任されました。
    ─────────────

#3
○会長(宮沢洋一君) 原子力等エネルギー・資源に関する調査を議題とし、原子力問題に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#4
○岩井茂樹君 自由民主党の岩井茂樹でございます。
 本日は、原子力問題に対してということで、更田委員長に質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 東京電力福島第一原子力発電所の事故から九年が経過をいたしました。現在も原子力への不信とか不安が根強い中で、本当に国民の信頼を回復させるためには、私は、科学的情報や客観的根拠に基づいた理解、これが大変重要だと思っております。また同時に、国民又は被規制側である事業者と規制当局との間のコミュニケーション、これが実はとても重要だと感じております。原子力政策を考える際に重要なポイントの一つが、まさに今お話をした科学的根拠に基づいた政策の判断を行うということだと思います。
 公共政策学が専門の早稲田大学の山田治徳教授は、政策立案に影響を与える主な三つの要素ということで、オピニオン、そしてエビデンス、そして資源・ニーズ、この三つを挙げていらっしゃいます。その一つ目のオピニオン、これは経験、前例、伝統、習慣、自己利益、価値観、イデオロギー、好み、感情、思い込み、このようなことがここに当たるということであります。そして、二つ目のエビデンス、これがまさに科学的根拠のある情報ということであります。山田教授は、これを踏まえ、これからの政策立案のあるべき姿に関して、これまでのオピニオンに基づく政策立案からエビデンスに基づく政策立案へ移行することが重要だと強く主張されております。
 さて、先日、資源エネルギーに関する調査会の質疑の中で、住宅メーカーの耐震強度よりも原発の耐震強度は脆弱で、一般のハウスメーカーの住宅と比べても原発の耐震強度は桁違いに耐震性が低いという、そんな御意見がございました。この意見のよりどころになっているのは、当時、福井地裁の大飯原発運転差止めを命じる判決を裁判長として出された樋口英明さんの言葉であったということで、私もその辺りの事実関係を確認をいたしましたが、確かに樋口さんは、雑誌に寄稿された中でも、一般住宅より脆弱な原発の耐震強度と記述をされております。
 そこで、この点について質問なんですが、一般住宅における地震動と原子炉施設における基準地震動を比較することの技術的意味合いについて、規制委員会の見解をお聞かせください。

#5
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えいたします。
 原子炉施設の審査において策定をしております基準地震動は、硬質地盤である解放基盤表面における地震動であります。一方、一般住宅における地震動は、それよりも軟らかい表層地盤の揺れの大きさを示すものであります。したがいまして、それぞれの定義が異なることから、両者は比較できるものではありません。

#6
○岩井茂樹君 まさにおっしゃるとおりだなと思います。私も当時そのときの質疑を聞いていて、実は個人的に、私も実は技術者でありまして、何となく違和感を覚えました。
 資料一を御覧ください。
 簡単にその違いを表している図なんですけれども、一般の建物が岩盤と比べるとさほど強くない表層地盤の上に立っているのに対して、原子力発電所の安全上重要な機器とか建物は、地震による揺れが小さい堅固な地盤、岩盤の上に固定されており、一般に、その堅固な地盤の上の地震による揺れの大きさというのは表層地盤の二分の一から三分の一だと、これはいろんな状況で変わってくると思うんですけど、そう言われております。
 その中で、確かに、そのときの質問の中で、同じガルと、こう言われると単純に比較したくなる気持ちは僕もよく分かるんですけど、ただ、このような専門的知識を把握していなければ正しい判断ができるはずがないとも思います。
 問題なのは、事実を誤認したまま、事実を把握しないまま判断を行うことだと思います。これでは正しい判断を下すことは難しいのではないでしょうか。正しい判断には事実の積み上げが必要です。原子力政策は我が国の行く末を左右する大切な政策です。ですから、さきにも触れたエビデンスを重要とする考え方、その判断を行う際には、価値観、イデオロギー、好み、感情ではなくて、エビデンス、科学的根拠のある情報の提供が私は必要だと思います。
 少なくとも、福井地裁の大飯原発運転差止めを命じる判決は、技術的な側面、科学的根拠に関する証左が足りなかったと感じています。この辺り、科学的、技術的知見のある規制委員会として、控訴の段階でも何らかの対応を図る、つまり、科学的根拠のある情報の提供を、どのような形でもいいですから、控訴段階でしっかり積極的に行うべきと考えますが、いかがでしょうか。

#7
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
 国が直接の当事者でない訴訟について、原子力規制委員会が何らかの裁判手続によって訴訟を追行することの可否及びその要否については、個別の事件ごとに裁判手続について定めた法律の規定などに照らし、関係省庁とも十分に調整の上で慎重に判断すべきものと考えております。一般的には、このような裁判手続により国の参加が認められる場合は非常に少ないものと認識しております。

#8
○岩井茂樹君 この答弁はぶれないでずっと同じ答弁なんですけれども、だから変わらないんです。少し考え方を変えるべきときであれば、それはしっかりと状況を判断して変えていただきたいと思います。
 これまで、政策立案は科学的根拠のある情報の下で行われることが重要だと言ってまいりました。大飯原発の判決において裁判所の判断と規制委員会の判断が異なっている、これでは、国民の信頼など受けること到底できないんじゃないでしょうか。信頼を取り戻すためにも、規制委員会が科学的根拠のある情報の提供を控訴段階でも積極的に行うべきだと私は思います。是非、今後、責任のある規制委員会の対応を心からよろしくお願いをいたします。
 ちょっと三番目に質問するのを一個飛ばしまして次の質問で、規制委員会が行うべき、あるべき規制について質問をさせていただきます。
 重要な視点は、原発の安全性を高めるために規制はどのような規制が求められるかということだと思います。
 原子力規制委員会設置法には「確立された国際的な基準を踏まえて原子力利用における安全の確保を図るため必要な施策を策定」と明記され、国際的な基準を参考に日本の規制も行うことになっております。それに沿うかのように、原子力規制委員会は、我が国のNRAの検査官の教育訓練についてはNRCへの派遣による米国検査制度の訓練を実施し、また、法整備、検査活動、人材育成、確保については米国NRCの専門家による助言もしっかりと受けています。先日、私が原子力規制庁から受けた説明の中でも、新しい規制基準はNRCを参考にしているという、そういうお話でした。
 その日本の原子力規制委員会、NRAの手本ともなっている米国の原子力規制委員会、NRCと日本の規制委員会との違いについて質問をいたします。
 日本が参考にしたNRCの規制プロセスの基本的な考え方は、良い規制の原理という文書の中に明確に示されています。ところが、NRAの活動原則には、NRCの五つの原則のうち、自律性、開放性に該当するものしか取り入れられておらず、効率性、明瞭性、予見性、まあ信頼性と言うかもしれませんけれども、の部分が明確には示されておりません。
 なぜあれだけ参考にしているNRCの知見をこの部分だけ排除しているのか、その理由をお聞かせください。

#9
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えします。
 原子力規制委員会が新たな原子力の規制組織として活動原則を作成する際にまず念頭に置いたのは、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓に学び、二度とあのような事故を起こさないためにどのような活動をするかということであります。そのような観点から、規制当局として最も重要と思われる要素として、独立した意思決定、実効ある行動、透明で開かれた組織、向上心と責任感、緊急時即応を挙げました。一方、効率性、明瞭性、予見性といった原則については、行政官庁として当然に考慮されるべきものと認識しております。
 原子力規制委員会としましても、限られたリソースの中で可能な限り効率的かつ明瞭で予見性のある審査などを進めてまいりたいと考えております。

#10
○岩井茂樹君 福島の教訓、これは本当に大きなものだと思います。ただ、アメリカもいろいろな教訓を今まで経験をしている、それをしっかり生かすことが私は必要だと言っております。
 特に、NRAの活動法則の今お話あった実効ある行動の部分について、私も読みました。読み上げますと、NRAの実効ある行動、形式主義を排し、現場主義、現場を重視する姿勢を貫き、真に実効ある規制を追求すると書かれています。その精神は本当にすばらしいと思うんです。ただし、具体的な内容がこれでは読み取れません。日本の原子力規制委員会、NRAは、独立性を意識し過ぎて重要なコミュニケーションが取れていないんではないでしょうか。独立と孤立は違います。
 一方、米国のNRCは、独立性を担保しつつも、パブリックコメント等をしっかり受けてNRCがどのように判断したかを説明しています。透明性と平等性を確保した上でコミュニケーションをしっかり取っていると私の目には映ります。米国NRCの良い規制の原則だけでなく、例えば英国の、リスク低減のためにどこまでも費用を掛けることが合理的ではないという考え方もあります。
 原子力規制委員会設置法の第一条には、「確立された国際的な基準を踏まえて原子力利用における安全の確保を図る」と明記されています。我が国は、原子力規制について諸外国の知見から多くのことを学ぶべきというのが基本のスタンスのはずです。是非、孤立せずに、諸外国の知見もしっかりと参考にしながら、より良い規制を目指していただきたいと思います。
 続きまして、バックフィットについて少し質問させていただきます。
 一般論として、新しい法律を過去に遡って適用する遡及適用は基本的に禁じられています。これは、国の技術基準が改正された場合、原子力施設に限らず、一般的に、法の不遡及の原則によって、過去に許可、認可されている施設に新しい基準が遡及して適用されることはないというものです。しかし、例外がありまして、原子力施設の場合は、安全性を重視する立場から、最新の技術、知見を反映させるために、国が行政指導により事業者に対して新しい基準を自主的に適用することを求めています。
 ただ、例外だからこそ、それを適用するには、幾らNRAの独立性があるにせよ、その適用範囲や条件について国会でしっかり議論すべきであるし、遡及適用に伴う不利益やコストはいずれ国民が負担しなければいけないものであるので、規制機関自らが、問題点は何か、それをどのように考え、どのような結論に至ったかを国民に説明すべきだと私は思います。
 この点に関して、国会で議論をすべきという話、そして国民への説明というその点に関して、規制委員会の見解を教えてください。

#11
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
 東京電力福島第一原子力発電所の事故における最も強い、反省の中でも最も重要なものの一つは、継続的な改善が欠けていたということであります。この視点に立って、国会によって、原子炉等規制法の改正に当たってバックフィットが新たに盛り込まれた制度であるというふうに認識をしております。
 御指摘のバックフィットに係るルール作りについては、明確なルールを定めることの重要性は、これは高いと認識している一方で、安全上の重要度や緊急性、事業者が対応に要する期間など様々な要素がありますので、極めて慎重な議論が必要であると考えております。
 原子力規制委員会としましては、令和二年度からの中期目標において、バックフィット制度について、円滑かつ効果的な制度が運用できるよう改善点を抽出し、制度の体系化を図る旨を掲げており、引き続き議論してまいりたいと考えております。

#12
○岩井茂樹君 非常に理性的な対応というか、しっかりと改善をしていくというそんなお答えで、大変有り難いと思います。
 私自身は、福島第一原子力発電所事故による社会的、経済的影響の甚大さを考えれば、不遡及の原則の例外として既設の原発に新規制基準をバックフィットし、厳重な事故防止対策を求めること、これは妥当な判断だと実は思っています。しかし、問題は、追加された法律の条文にバックフィットの適用範囲や条件が一切書かれていないこととか、国民に対して説明責任が少し果たされていないのではないかということだと思います。
 アメリカの上院には環境公共事業委員会、下院にはエネルギー商業委員会がNRCの監視権限を有しておりまして、過度な規制変更などを抑制する機能を果たしていると伺っています。
 過去に、アメリカ原発、IPECがニューヨーク市に近いという理由で運転停止を求められ、運転許可を得るためには、少なくとも認知されたリスクを軽減するために非常に高価なバックフィット設備を設けなければならなくなった事案に関して、確率論的リスク評価、PRAを実施することにより、多くの高価なバックフィットを行ってもリスク軽減の効果は僅かであることが明らかとなり、過大なバックフィット設備を設けなくてもよくなりました。結果、より実質的なリスク軽減の効果がある、経済的に妥当性を持った改造対策が特定され、結果的には、事業者は実質的に効果の薄い支出を節約するとともに、リスクが改善されたという事案もあるそうです。
 今御紹介したように、海外の原子力法制でバックフィットを導入している例は米国やドイツなどで見られ、米国の場合は、バックフィットを適用する範囲をコストベネフィット評価によって判断をし、場合によればその適用範囲を限定することもありますし、ドイツの場合は、バックフィットに要する費用は国が負担することとされているのが特徴だとも伺っています。
 独立性は守りながらも、孤立することなく、国際的な視点も考慮し、諸外国の事例も参考に我が国の制度設計を是非よろしくお願いいたします。
 さて、IRRSについて少し触れたいと思います。
 今少し触れましたけれども、日本の原子力委員会、NRAは、独立性の高い三条委員会であるがゆえに、国内でそれを監査する仕組みが少し希薄なのかなと個人的には思っています。
 その代わりの役目の一端を果たしたのが国際原子力機関、IAEAの総合的規制評価サービス、IRRSでした。原子力規制委員会においても、二〇一六年一月に、IRRSのミッションにより原子力及び放射線安全に係る日本の規制の枠組みがレビューされ、日本の規制の枠組みに対して今度は十三項目の勧告及び十三項目の提言がなされ、今年、つい最近ですけれども、二回目のミッションであるフォローアップミッションを受け入れられたと伺っています。
 そして、つい先日、IAEAによりこのミッションに関する最終報告書が提出されたと認識していますが、本日は、報告書提出前の今年の令和二年一月二十一日に行われた、IRRSのフォローアップミッションに関する記者会見の内容を踏まえて質問いたします。
 この記者会見の中では、このミッションのチームリーダーのラムジー・ジャマール氏は、NRAに対し、現在、産業界とコミュニケーションが非常に重要とされている中、NRAは豊富な交流ができているとは思えない、コミュニケーション不足だ、産業界で行われている様々な改善に関して規制当局はそれほど十分に理解していないことが多い、より実行力のある規制当局として規制活動をするためには、様々な産業界で行われている技術的な革新であるとか改善、それから知見に接していなければならない、このように言及をされております。
 今の話も踏まえて、IRRSが指摘している日本の原子力規制委員会と産業界のコミュニケーション不足について、その受け止めを教えてください。

#13
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
 御質問の中にありましたジャマールさんには、IRRSフォローアップミッションの代表を務めていただきました。大変貴重なコメントをいただいたと思っております。
 被規制者とのコミュニケーションですけれども、私たちも、経営責任者や原子力部門の責任者、それから審査を通じてのコミュニケーション等に努力を払っておりますけれども、何といってもコミュニケーションというのは双方向のものでありますので、私たちの努力だけではどうにもならないところがございます。規制側、それから被規制者、双方が努力してコミュニケーションの改善を図ってまいりたいというふうに考えております。

#14
○岩井茂樹君 物事は一方が一方的に悪いという話じゃないと思うんですけれども、やはり規制側としてもう少し認識を、もう少し強く受け止めていただきたいと思います。
 今年の三月二十四日に自民党本部で開催された原子力規制に関する特別委員会の中で、私も参加していたんですけれども、多くの議員から指摘のありましたコミュニケーションの不足に対して、原子力規制庁の方から、これまでの原子力規制委員会におけるコミュニケーションに失敗があったという、そんな話もそのとき聞きました。まあ、そこは認めていると思うんです。
 先日の五月の二十一日、原子力規制委員会は、私、静岡なんですけど、中部電力の浜岡原子力発電所三、四号機の審査会合をテレビ会議で開催をしたという記事を地元の新聞で目にしました。
 これ読むと、中部電力からは、火山現象や地すべりなどの地震以外の要因による基準津波策定に関して、この議題の事前の資料の論点整理であるヒアリングを今年の二月二十五日に受けたのを最後に、今日まで三か月間、審査会合が設定されなかった、今日の委員からのコメントを四月上旬にいただいていれば、大型連休を挟む二か月ほどで審査を進められたと不満が訴えられたと書かれていました。
 一方で、規制委員会からも言いたいことがありまして、浜岡の基準津波策定に当たって最大の論点となっているプレート間地震の津波評価に関し、中部電力側により厳しい条件での津波高の策定を求めてから一年が経過しても、中部電力からはなかなかその反応がなかったというような内容も書かれていました。
 お互いの主張は分かるんです。ただ、この報道を見る限り、ここにどうして原子力規制委員会と産業界のコミュニケーションが成立をしているのか、IRRSが指摘したそのままじゃないでしょうか。IRRSの指摘を今年の一月に受けながら今御紹介したような状況で今もあるということは、誠に残念でなりません。
 原子力安全・保安院時代でありますが、二〇〇七年、最初にIRRSから指摘を受けたのに十分な改善をしなかったために発生した福島第一原発の事故、その反省に立って設置されたのが原子力規制庁であり、原子力規制委員会であるはずです。是非、この度、IRRSからも指摘のあった産業界とのコミュニケーション、どっちが悪いという話ではないんですが、しっかりと図っていただきたいと思います。
 それでは、安全に対する考え方について少し話をしたいと思います。
 安全神話、リスクがゼロだと思い込んでしまうということ、この間違った考え方が福島第一原発の大きな事故につながったと、大きな原因の一つだと思います。このことを反省しなくてはなりません。そして、リスクはゼロにならない、このことを肝に銘じて、私たちはこれから対応を図らなければいけないとも思います。
 でも、どうでしょう。東日本大震災以来、日本では、不安を取り除くためにはリスクをゼロにすると議論されているように私には思えます。これでは、リスクをゼロだと思い込むという安全神話から結局は脱却できていないように思います。
 リスクマネジメントが専門の東京工業大学の中村昌允教授は、欧米は、全てのリスクに対応することは無限の費用を要することになり、現実には実行できることではない、リスクゼロがあり得ないとすれば、現実的にはどこまでのリスクを許容するかになり、その許容レベルに対する社会の合意が必要になると述べられております。
 資料二を御覧ください。
 これは安全に対する考え方を示したもので、ここで示されているのは安全か安全でないかの二者択一の区分ではなくて、広く受容される領域、我慢できる領域、受容されない領域の三つの領域で安全を考えており、この概念をALARP、実行可能な最低の水準といい、英国の原子力規制体制の基本となる考え方です。
 この図を見ますと二つの基準があり、ここで示す基準値Aが日本でいう恐らく安全目標、基準値Bが新規制基準に相当すると思います。二つの基準の間がALARPの領域と言われているところで、まさにここが残存リスクを示していると思うんですが、この残存リスクに関しては、事業者がたゆまぬ努力で安全向上を図っていかなくてはいけない部分ですが、問題なのは、この基準値Bの新規制基準のラインです。
 冒頭、科学的根拠や客観的根拠の重要性について述べましたが、現状、この新規制基準に関しては、絶対的な要求、とにかく絶対に守れという考えでこの基準が設けられていて、その基準に対して科学的根拠が明確に示せていないことが様々な混乱の要因になっているのではないかと私は思います。
 今の新規制基準の科学的根拠が十分でないとするならば、その足りない科学的根拠をしっかりとその部分に吹き込んでいくための技術というのが、恐らくこれは唯一の方法かもしれませんが、先ほども少し触れましたけれども、確率論的リスク評価、PRAだと私は考えています。
 そこで、質問ですけれども、我が国における確率論的リスク評価、PRAに対する評価と、PRAの活用に向けたモデル化を含む研究開発の状況、そして今後の活用の可能性について見解をお聞かせください。

#15
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
 確率論的リスク評価、PRAは、リスクは決してゼロにならないということを定量的に示すということと同時に、そのリスクを求める過程において、個々の機器や個々の動作、操作といったものの相対的な重要度を定量的に示すといったような優れた効果を持っています。したがいまして、現時点でも、新規制基準の適合性審査においては、重大事故対策の有効性を確認するためのシナリオの抽出にこの確率論的リスク評価を活用しております。
 また、本年度から施行をしております新しい検査制度、原子力規制検査でも、確率論的リスク評価から得られるリスク情報を活用して検査対象の選定であるとか検査指摘事項の重要度評価を行っており、この活用に向けた研究を継続をしております。
 一方で、確率論的リスク評価には、例えば自然現象の発生確率でありますとかそういった強度であるとか、更に言えば人的過誤、人間のミスに関わるもの、こういったところにまだまだ研究要素がありますので、これは事業者の努力ももちろん重要ですし、私たち自身としても力を入れて研究を進めてまいりたいというふうに考えております。

#16
○岩井茂樹君 前半は多分、内部要因についてはある程度今の現状の技術でも対応ができるという話で、恐らく後半部分については、外部要因、つまり自然的なその予想を超えたものに対してはなかなか今、モデル化がまだ進んでいないということだと思います。確かにそうだと思います。
 ただ、この部分については、技術大国日本ですから、しっかりとそこのハードルを技術で乗り越えていただきたいと思いますし、そのためには、やっぱり規制側だけじゃなくて被規制側の事業者ともしっかりと連携を取る、そしてそれをしっかりと国民に明確に提示しながら意識を醸成していくということだと私は思います。
 もう時間がないので少しだけコメントして終わりますけれども、一九九五年に、米国の原子力規制委員会、NRCが確率論的安全評価、これPSAと言うんですけど、政策声明書を公表して、規制の効率を向上させるために確率論的安全評価、PSAですね、を活用していく方針を示しました。この結果、規制活動において、バックフィット判断のためのコスト便益分析への活用や、テックスペック、まあ日本でいうと保安規定ですか、で定められている運転制限の変更などが行われました。
 政策立案には科学的根拠が必要であること、もうこれずっと言っております。また、政策の策定に当たっては、国際的な基準も踏まえて、孤立に陥ることなく、我が国の原子力利用における安全の確保、これをしっかりと図っていただきたいと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。

#17
○浜野喜史君 国民民主党共同会派の浜野喜史です。御質問をさせていただきます。
 先ほども岩井理事が触れられましたバックフィットの経過措置について、まずお伺いをしたいと思います。
 震源を特定せず策定する地震動に関する規制についてお伺いいたします。
 本年三月四日の原子力規制委員会におきまして、震源を特定せず策定する地震動に関する経過措置につきまして、設置変更許可と工事計画認可、使用前検査の経過措置を分けて規定し、工事計画認可及び使用前検査の猶予期間は、基準改正時点では、原子力規制委員会が別に定める日までの経過措置を設けるにとどめ、改正後の基準に基づく設置変更許可の審査が進み、各施設への影響の詳細や工事の規模、見通し等が明らかになった時点で、全施設一律の終期、確定日を定めるという方針が示されております。
 そのような方針を示された議論の経過、背景についてお伺いをしたいと思います。

#18
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
 まず、震源を特定せず策定する地震動、ここで定めている標準応答スペクトルと、これまでも審査で、審査の対象としておりました留萌地震の応答スペクトルとの間には大きな差はございません。これを踏まえて、この震源を特定せず策定する地震動の経過措置について、昨年九月十一日の規制委員会で、事務局に対し事業者の意見を聴取するよう指示をしたところであります。
 その後、今年三月四日の委員会で事務局から、事業者の意見聴取結果も踏まえた経過措置の方針として、設置変更許可については、申請期限ではなく許可までの期限を設けること、工事計画認可、使用前検査の対応期間については、施設への影響の詳細や工事の規模、見直しなどが設置変更許可申請に係る審査において明らかになるという性質があり、これを踏まえた経過措置を定める必要があることという提案があり、三月二十三日の委員会でも、継続して議論を行った上で事務局の方針を了承したものであります。

#19
○浜野喜史君 ありがとうございます。今日までの審査の実績などを踏まえて打ち出された方針であろうというふうに理解をしております。
 その上でお伺いするんですけれども、今回のような経過措置であったり基準を決定するということ、また基準に基づく審査を行うということにつきましては、適切な段階段階で被規制側ともコミュニケーションが図られ、その上で厳正な対応が行われていくものというふうに私は理解しておるんですけれども、更田委員長の御見解をお伺いしたいと思います。

#20
○政府特別補佐人(更田豊志君) 原子力規制委員会が判断を行うに当たって、現場を持っている事業者の意見を聞くことの重要性というのは私たちも認識をしているところであります。
 したがいまして、先ほどのバックフィットに係る経過期間等の策定においても、判断においても、その都度事業者の意見を努めて聞くようにしているところであります。

#21
○浜野喜史君 今後とも、しっかり被規制側ともコミュニケーションを取っていただいた上で、そして、その上に立って厳正に御判断をいただくということだと思っております。
 次に質問をさせていただきますのは、平成二十七年五月に原子力規制庁から示していただいた資料に基づいて御質問をさせていただきたいと思います。
 配付をいたしております資料でございます。平成二十七年ですから、二〇一五年ということになります。五年前の五月に示していただいた資料がこの資料でございます。少し読み上げさせていただきます。
 参復興原子力特委、浜野喜史議員の要求に対する提出資料。要求内容、原子力規制委員会設置法案の審議の中で、提案者が四十年運転制限は新たな組織における検討事項だということを明確にしている。立法者の意思を踏まえて、原子力規制委員会の立場で、四十年という数字を科学的、技術的見地で検討すべきではないか。これが要求内容でございます。
 規制委員会としての対応、このように資料を提出をいただきました。
 原子力規制委員会設置法附則第九十七条では、同附則第十七条等による改正後の原子炉等規制法の規定を対象として、その施行の状況を勘案して速やかに検討が加えられ、必要な場合はその検討結果に基づき所要の措置が講じられるものと規定されており、原子力規制委員会としても、これに基づき、所要の対応をしていく。
 参考も読み上げさせていただきます。
 参考、原子力規制委員会設置法附則。第九十七条、附則第十七条及び第十八条の規定による改正後の規定については、その施行状況を勘案して速やかに検討が加えられ、必要があると認められるときは、その結果に基づいて所要の措置が講ぜられるものとする。
 この資料を五年前に提出をいただいたところでございますが、私が要求をさせていただいたことに関する原子力規制委員会としてのお考えは今も変わらないということでよろしいかどうか、お考えをお伺いしたいと思います。

#22
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えします。
 原子力規制委員会としても、この附則の規定に基づき所要の対応をしていくという考えに変更はございません。

#23
○浜野喜史君 そのようにお答えをいただきましたが、ということは、この規制基準の中にあります四十年運転制限、一回だけ延長が認められて上限は六十年というこの基準は、原子力規制委員会の検討課題であるというふうに理解をさせていただいてよろしいでしょうか。これも更田委員長の見解を伺います。

#24
○政府特別補佐人(更田豊志君) 原子炉等規制法が定めている運転期間四十年というのは、この立法時の国会審議において、技術的見地のみならず、幅広い観点から議論が重ねられた上で法制化されたものと認識しておりまして、この法律の定める年限並びにそのカウントの仕方そのものに関しましては、原子力規制委員会において議論できる範囲は限られているものと認識をしております。

#25
○浜野喜史君 限られているかもしれないけれども、検討課題ではあるという御認識なんでしょうか、お答えください。

#26
○政府特別補佐人(更田豊志君) 原子力規制委員会としましても、特に事業者の求め等がある場合において、科学的、技術的な範囲に限って議論をすること、これは安全を守る、確保するという上で意味のあることだと考えておりますので、経年劣化という範囲について、現在も事業者との間の意見交換、技術的な議論を進めておりますので、この努力を続けていきたいというふうに考えております。

#27
○浜野喜史君 もう少しこの部分は御質問させていただきたいと思うんですけれども。
 ほぼ同時期の五年前の二〇一五年七月の八日、復興原子力特別委員会において、私が端的に、この四十年運転制限規定は規制委員会の検討事項であるというふうに理解していいかどうかということを当時の田中委員長にお伺いしましたところ、このようにお答えになられました。「いわゆる運転期間延長の制度については、我々、規制委員会の発足時の国会での議論の中で、規制委員会が発足したらそこで議論をするというふうな、そういう議事録は拝見しておりますので、私どもは、それは私どもの一つの今後の課題であろうというふうには思っております。」と。正確に読み上げさせていただきました。
 この当時の田中委員長の御見解は、基本的に更田委員長も同じ認識を持っておられるという理解でよろしいでしょうか。

#28
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
 年数の経過に伴って起こる変化、経年劣化、経年変化というものは、これは、運転期間を考えるだけではなくて、安全に原子力施設を運用していく上で重要な現象でありますので、当然のことながら私たちとしてもこれについての検討は進めていくと。その意味におきまして、田中委員長が差し上げた答弁と変更はないというふうに考えております。

#29
○浜野喜史君 ありがとうございます。
 私、経年劣化とか具体的にその内容を問うているというわけでは決してなくて、この四十年運転制限というこのルールについて検討課題だというふうにお答えいただきましたので、それについては検討課題だというふうにお答えいただいたというふうに理解をさせていただきます。
 その上で、五年前の時点においても田中委員長は検討課題であるということをおっしゃったわけですけれども、その後も含めて、こういう検討課題であるという認識の上に立って、少しこのルールについて議論をしてみようじゃないかということで議論を原子力規制委員会でいただいたことがあるのかどうか、お答えをいただければと思います。

#30
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
 ルールそのものについて議論をしたことはございません。

#31
○浜野喜史君 これは是非議論をいただきたいというふうに思うんですけれども、そして、議論をいただいた内容をまた公開していただければ、それについて我々、様々な角度からまた御意見も申し上げられるということだと思うんですけれども、一度是非議論をしていただいたらどうかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

#32
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えします。
 繰り返しになりますが、原子炉等規制法が定めている運転期間四十年というのは、立法時の国会審議において、技術的見地だけではなくて、幅広い観点から議論が重ねられた上で法制化されたものと認識しております。このため、同法の定める年数並びにそのカウントの仕方そのものに関して原子力規制委員会が議論をできる範囲というのは極めて限られているというふうに認識をしております。

#33
○浜野喜史君 ちょっとこれは少し議論をさせていただきたいと思うんですけれども、更田委員長は記者会見において同様のことを記者から問われて、四十年、六十年ルールというのはもう基準なんだと、その基準に沿って審査をするのが我々の役割であって、その基準そのものについてどうこう言うという立場にないんだということを幾たびか記者の問いに対してお答えになっておられます。
 それはそれで一面事実というか、正しい御認識の部分、私あると思います。基準に沿って厳正に審査をするというお立場であるわけです。ただ、もう一方で、このルールについては検討課題であると、国会審議でそういうことになったわけですから、そのルールに従って審査をしておいたらそれでいいんだという立場は、この部分については取れないということだと私は思います。
 検討課題だという御認識の上に立って一度是非御議論をいただいて、私は、これを延ばせとか短くせよとかいうような意見提起をさせていただいているわけでは決してありません。検討課題であるというふうに前委員長もおっしゃり、そして更田委員長もそのような御認識をお持ちなわけですから、一度、その認識の上に立って、そういう検討課題であるという認識の上に立ってどうなんだということを少なくとも御議論をいただければというふうに思います。
 もう一度お答えいただければと思います。

#34
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
 原子力規制委員会は、四十年に達した原子力発電施設に対して、申請があった場合にその延長に係る審査を行います。一回限りにおいて、二十年を最大としてその延長に係る審査をします。
 こういった技術的審査を行う以上は、当然、この経年劣化であるとか、こういった期間、二十年が妥当か、ないしは十年なのか、これは技術的な課題ですので、当然、こういった年数に関するものは私たちは技術的課題として捉えています。
 一方で、四十年プラス最大二十年というこの原則そのものは、私たちが議論できる余地のあるものであるというふうには考えておりません。

#35
○浜野喜史君 今日のところはもうこれ以上やめておきますけれども、認識が私が申し上げていることと一致している部分もあるし、やや私は一致していない部分もあるのかなというふうに思います。
 いずれにせよ、検討課題であるということを国会の場においても明言をいただいているわけですから、その御認識の上に立って御議論をいただければというふうにお願いを申し上げておきたいと思います。
 次に、これまた岩井理事が先ほど取り上げられましたIAEAによる総合規制評価サービス、IRRSについてお伺いいたします。
 二〇一六年に、国際原子力機関、IAEAの総合規制評価サービス、IRRSイニシャルミッションが実施されまして、本年一月にフォローアップミッションが実施をされました。そして、原子力規制委員会はIAEAによる報告書を三月に受領いたしております。
 改めてですけれども、このIRRSというのはどういう制度なのか、御説明をいただければというふうに思います。

#36
○政府参考人(片山啓君) お答えいたします。
 IRRSとは、国際原子力機関、IAEAが加盟国からの要請に基づき、原子力や放射線利用の安全に係る各国の規制の状況を確認して、その強化、向上を促すものであるというふうに承知をしております。
 IRRSでは、各国の規制機関の専門家等から構成される評価チームが、受入れ国の安全規制につきましてIAEAの安全基準との整合性を評価した上で、改善のための勧告、提言などを含む報告書を取りまとめるものとなっております。

#37
○浜野喜史君 ありがとうございます。
 その上でお伺いしますけれども、今般実施されましたフォローアップミッションのIAEAからの報告書におきまして、未了案件といたしまして、新たな統合マネジメントシステムというものが挙げられております。この新たな統合マネジメントシステムというのは一体どのようなものなのか、御説明をいただければと思います。

#38
○政府参考人(片山啓君) お答えいたします。
 まず、統合マネジメントシステムとは、安全でございますとか品質、環境など様々な観点からの組織の運営管理を、原子力安全を損なわないように統合的に行うためのマネジメントシステムを指します。
 平成二十八年度に受けましたIRRSミッションでは、原子力規制委員会の統合マネジメントシステムを構築、実施するために、全ての業務プロセスを文書化すること、マネジメントシステムを階層構造にすること、各プロセスの文書を統一された形式で作成することなどが指摘をされたところでございます。これを受けまして、原子力規制委員会では、現存するマネジメントシステム関連文書の分類、整理を進めまして階層構造化を行うとともに、業務マニュアルの標準フォーマットの策定などの改善を進めてまいりました。
 本年受け入れましたフォローアップミッションでは、これまでの取組に加えて今後の計画といたしまして、全ての業務プロセスの文書化や業務マニュアルの標準フォーマット化などを行う方針を説明をいたしました。このフォローアップミッションの報告書では、原子力規制委員会が目指しております更に改善が進んだマネジメントシステムのことを新たな統合マネジメントシステムと表現しているものと承知をしております。

#39
○浜野喜史君 ありがとうございます。
 実は、過去も国会において、この統合マネジメントシステムというものがどういうものなのかということについて御説明をいただきまして、ほぼ同様の御説明もいただいてまいりました。また、様々な機会に規制庁からも御説明をいただいたところなんですけれども、私の理解力がないからだとは思いますけれども、これ一体何なのかということがよく分からないんです。
 その上で、常日頃、更田委員長、こういう難しい事柄をかみ砕いて説明いただく能力に、私、更田委員長、たけておられるのかなというふうに思いますので、この統合マネジメントシステムというのはそもそもどういうものなのかということを更田委員長のお言葉で、少しかみ砕いて御説明いただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。

#40
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
 まず、その分かりにくさを生んでいるのは統合という言葉にあろうかと思います。インテグレーテッドと頭に付けられておりますけど、これ、何と何を統合するか。端的な例でいいますと、安全とセキュリティー、こういった問題ですと、安全上の利得とそれからセキュリティー上の利得がバッティングするケースもあります。ですから、安全ですとかセキュリティーであるとか、それから環境影響であるとか、それから効率、組織としての効率ですね、こういった全てのマネジメントを一体化して統合した上でのマネジメントシステムをつくろう、つくれというのがIAEAの指摘するところだというふうに受け止めております。

#41
○浜野喜史君 急に振りましたのに御丁寧にお答えいただきまして、ありがとうございました。
 その上でお伺いいたしますけれども、この統合マネジメントシステムということに関して、IAEAにどういう報告書を出していくかということを議論された場がありました。昨年九月九日の核燃料安全専門審査会においてそのような議論が行われました。
 その中で、米岡さんという委員が、この方は公益財団法人日本適合性認定協会事務局長というお立場の方でありますけれども、この米岡委員が次のとおり述べておられます。読み上げます。
 私がやっぱり懸念していますのは、マネジメントシステムをひょっとしたら、文書の整理とその文書化が肝腎なところだというふうに思われていらっしゃるのかなと。それは、リソースをつぎ込むというか、作業としては非常に大きなポーションを持っていると思いますけれども、やっぱり重要なことは、規制庁、規制委員会を含めて、どのような組織としての目標を持ち、その目標を持ったときに、どういう部門にどのような人を張り付け、どういう組織をつくり、それの組織をつくった上で、プロセスを考え、そのプロセスを実行するために初めていろいろな作業指示文書等の文書が出てくるということだと思うのですよねと。このような意見を表明されております。
 この御意見について、これはどういう御意見だというふうに捉えておられるのか。これは通告しておりますので、更田委員長にお願いしたいと思います。

#42
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
 米岡先生、品質保証の第一人者であられますけれども、その文書の作成自体が目的ではないという点は、これは御指摘のとおりだと考えております。原子力規制委員会としても、もう業務の目標管理や必要な資源の配分を適切に行うことにより、文書の作成に関する取組も含めまして、引き続き、マネジメントシステムの定着とそして改善を図ってまいりたいというふうに考えております。

#43
○浜野喜史君 このことも少しだけ質疑をさせていただきたいと思うんですけれども、この昨年九月九日の会議の一か月後の十月九日の原子力規制委員会の会議において、この米岡委員が表明されたコメントが記された資料を御覧になって、田中委員がこういうことをおっしゃっているんです。
 勧告の中にこのようなことも指摘されているのかどうか、あるいはそれと違っても、もっとバックにある重要なことを炉安審、燃安審の人たちがコメントをしたのかということを聞きたいと、いかがですかという問いかけをされて、それに対して櫻田規制技監が、これはIRRS絡みではなくしてあくまで一般論をお述べになられたことだということで、整理をあっさりされてしまっておるんですけれども。
 ここからは私の少し推測も入るんですけれども、米岡委員は様々な議論に参画されている中で、やはり重要なこと、規制庁、規制委員会を含めてどのような組織を、組織としての目標を持ち、その目標を持ったときにどういう部門にどういう人を張り付けてというような、こういう大きな方針が原子力規制委員会においては欠けているのではないかと、こういう問題意識を表明されたのではないのかなと。そして、そういうことに反応されて、原子力規制委員会のお一人でもあられます田中委員がそのことに言及されたのではないのかなというふうに私、推察するんですけれども、そういう私の考えについてどのようにお考えか、お願いいたします。

#44
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
 組織の運用に当たって、特に原子力の安全に関わる規制当局などにおいて最も犯してはならない過ちの一つが優先順位を見誤ることであろうというふうに思います。したがって、その優先順位について常に再検討、検討を加え続けて、的確な優先順位に沿って資源の配分をしていくということがこれは最も重要な点で、一般論として、米岡先生のおっしゃったコメントも、その脈絡の中にあるように考えております。

#45
○浜野喜史君 以上の質疑で終わらせていただきますけれども、もし、こういう大方針がもしも欠けておられるとすれば、そういう方針についても是非御議論をいただいて確立をしていただくことをお願いを申し上げたいと思います。
 最後に、残り時間で、審査に要している期間、そして審査体制等についてお伺いいたしたいと思います。
 昨年十一月二十七日の記者会見の中で、女川二号機の審査に約六年掛かったということについて、更田委員長はおおむね妥当というふうにおっしゃっておられます。現状、例えば北海道の泊であれば六年十か月、それから中国電力の島根原子力は六年五か月とか、この六年超えとか五年超えというような審査中のプラントが、BWRを中心に存在をいたしております。
 現状の審査に要している期間について、更田委員長がどのように御認識なのかということをお伺いしたいと思います。

#46
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えします。
 審査は、大前提である安全について判断を行う場であるからこそ、実際に現場で直接安全の確保に当たる申請者との間で十分な議論を行いまして、共通理解を得るべく納得のいくまで議論をして結論を得ることが重要であると認識をしています。
 御指摘の審査期間に関しましては、現在、審査に時間を要しているプラントについては、地震規模の想定や敷地内断層の選定などの審査過程において申請者の追加調査、追加検討が必要になり、それら調査検討に時間を要しているものであり、これらについては事業者の対応によるところが大きいと考えております。
 その上で、審査に要する時間は、申請者にとってだけではなく、原子力規制委員会にとってもより効果的、効率的に進むことが望ましいと考えており、引き続き申請者に的確な対応を求めつつ、原子力規制委員会としても、審査の予見性の確保のための取組や審査体制の強化などによってその効率化を図っていきたいというふうに考えております。

#47
○浜野喜史君 引き続き御努力のほどお願い申し上げます。
 これで最後の質問にさせていただきます。
 これまた同じ記者会見の中で更田委員長はこうおっしゃっています。今の審査に掛かる時間というのは、規制当局側の問題とそれから事業者側の問題が重なって生じている状態なので、私たちの方だけの努力では決して改善されないと思っています。その上で、私たちだってできるだけ早く、できるだけ効率的な仕事をしたいと思っているので、既にいる要員のレベルアップと採用の難しさに何とかチャレンジをしていかなければならないというようなこともおっしゃっています。
 この人材育成に、人材の確保と育成に御努力をいただいているということかと思いますけれども、現状の状況、それから今後の取組について最後にお伺いをいたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

#48
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
 二つのことを具体的な例としてお答えをしたいと思います。
 一つは、様々な任用資格制度を導入して、規制庁の職員に対して高度の専門的な知識や経験、こういったものに照らして資格を与える制度、さらには、新入職員には、教育訓練課程を整備をして研修を集中的に受講させるなどしております。
 もう一つは、これはIRRSフォローアップミッションの中で、これは参加された、IAEAから参加された側との間のディスカッションで出た話でありますが、私たち原子力規制委員会は何といっても現場を持っておりません。そこで、現場経験を得るための工夫というのについてこちらからお尋ねをしたところ戻ってきた答えが、これこそ、事業者と利益相反であるとか様々な疑いが掛からないような工夫をした上で、事業者の現場を使って私たちの検査官であるとか審査官の研修を考えたらどうかというコメントをいただきました。
 これは、透明性を確保しつつ、さらに利益相反の疑い等が掛けられないように、非常に慎重な検討は必要でありますけれども、今後とも事業者と協議を続けて、私としてはできれば実現させたいというふうに考えております。

#49
○浜野喜史君 ありがとうございました。
 終わります。

#50
○岸真紀子君 立憲・国民.新緑風会・社民の岸真紀子です。
 本日午前中の本会議の中でも、福島の復興について議題とされていました。日本のエネルギー政策、特にこの原子力エネルギーについては、やっぱりこの二〇一一年三月の東京電力福島第一原発の事故を議論から外すことはできないものと考えます。
 そこで、最初に、事故から九年が経過し、更田委員長の方から、現況と今後の見通しについてお伺いいたします。

#51
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
 東京電力福島第一原子力発電所事故に対する反省と事故から得られた教訓は、原子力規制委員会、原子力規制庁にとって原点であります。私たちに高い緊張感と初心を与えてくれたものでもあります。私たちにとっては、初心を忘れないということがいかに重要であるかということは論をまたないというふうに考えております。
 東京電力福島第一原子力発電所の廃炉につきましては、原子力規制委員会は発足時から、安全な廃炉や汚染水対策の実施に向け、規制当局としての立場から積極的な監視を行っており、安全かつ着実に廃炉作業が進むよう、実施計画の審査などに当たっているところであります。
 引き続き、処理した水の処分や使用済燃料プールからの燃料の取り出しなどの対策が行われるよう、監視、指導を行ってまいりたいというふうに考えております。

#52
○岸真紀子君 是非、引き続き監視の方を、指導もお願いいたします。
 先ほど資料の方を配付しましたが、二月十八日の河北新報とか読売新聞にも掲載されていますが、現在、この福島第一原発の廃炉作業の防護服の関係で、新型コロナウイルスのこのサプライチェーンの影響が出ておりまして、不足しているというようなことが書かれています。再利用したり、防水スーツを市販の雨がっぱで代用して節約というのが掲載されていましたが、これ本当に作業員の安全というものは守られるのかどうかというのと、雨がっぱですと、本来の目的で作られていませんので通気性が悪いです。これから、今日もちょっと暑いですが、だんだん夏が本格するに当たって、熱中症対策とかが大丈夫なのかどうかです。
 廃炉作業に当たっての重要なことなので、東電任せではなくて国としても責任があると思うんですが、その辺り、どうお考えでしょうか。

#53
○政府参考人(新川達也君) お答え申し上げます。
 東京電力は、本年二月、新型コロナウイルスの影響の長期化も想定し、福島第一原発の廃炉作業に万全を期すため、装備品の柔軟な取扱いを図ることとし、実際に現場でもその運用を行ったところでございます。防護服の確保につきまして安定的な調達先や代替品を確保しており、現在、供給が不足する懸念は生じていないと承知をしております。代替品の選定に当たっては、従来品と同様の機能を持つものを選定したというふうに聞いております。
 ただいま熱中症に関する御質問もいただきました。熱中症を含む作業員の安全確保につきましては、現場作業におきまして大変重要なものであるというふうに認識しておりまして、これまでも経済産業省として指導を行ってきたところでございます。とりわけ熱中症につきまして、これまで講じてきましたクールベストの着用や暑さ指数を取り入れた作業の管理、時差作業の導入といった対策を更に強化、拡充していくと聞いております。
 引き続き、安全確保を最優先に廃炉汚染水対策を進めていくよう指導してまいります。

#54
○岸真紀子君 是非、これから夏に当たって、引き続き、きちんと廃炉に当たっている作業員の方の安全を守っていただきたいと思います。
 それと、原発の防護服について、経産省の要請を受けて、電気事業連合会の方なんですが、四月二十七日に、各電力が原発で備蓄している防護服約十万枚を全国の医療機関などに提供する準備を進めるという報道がありました。
 今、医療現場等で、医療現場だけではないと思うんですが、必要とするところへ予備分を送るというのは必要なことだとは思います。でも、一方で、いつ地震が起こるか分からないとか原子力災害もいつ起こるか分からないという中では、その後の補充、きちんとできているのかどうか、その辺を伺いたいと思います。

#55
○政府参考人(覺道崇文君) お答えを申し上げます。
 今委員から御指摘のありました今回の電力業界による防護服の提供につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大を防止することが最優先の課題となる中、経済産業省から電力業界に対しまして防護服を供出することは可能かとお尋ねをしましたところ、電力業界全体で約十万枚の防護服の提供が可能であると、こうした申出があったものでございます。
 その上で、各電力会社におきましては、各原子力発電所における今後の防護服の消費見込みや調達の状況も勘案をし、必要な量を確保した上で、さらに災害時への備えとして保有すべき数量も確保をした上で、可能な範囲で御協力をいただいたものと認識をしてございます。
 引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大の状況や、それによる防護服の調達への影響等の動向を注視をしまして、原子力発電所の安全な作業等に影響が生じないよう、電力会社にも適切な対応を求めてまいりたいと考えております。

#56
○岸真紀子君 ありがとうございます。
 次に、福島第一原発事故から九年、廃炉は決まったものの、使用済燃料、使用済みの核燃料の取り出しすら困難な状況で、完全廃炉がいつになるのか予想が付かない状況にあります。
 今年の「原発のない福島を」県民大集会というのは、コロナの影響で集会はできなかったんですが、実行委員長の挨拶が発表されています。その中身を少し読み上げさせていただきます。
 被災した自治体はふるさとの復興を進めてきました。道路や建築物など、見た目には復興は進んでいますが、そこにはまだまだ人々の生活は戻ってはいません。今も約四万一千人の人たちが避難生活を強いられています。この三月にも一部帰還困難区域の避難指示が解除されました。形だけは進んでいきますが、そこには生命が宿っていません。むしろ、被災した人たちが取り残されていく現実もあります。このように発信されています。
 私は、原発の事故によって取り返しの付かない傷痕を地域に残している、このことは重く受け止めなければならないと考えます。
 そして、この集会の中でも問題として取り上げているのが多核種除去設備等の処理水の問題です。新聞の方にも、配付、二枚目の方にしておりますが、約一千基のタンクに百二十万トンの処理水が二〇二二年夏には満杯になるという見込みにあります。
 経産省の有識者による検討会は、海洋放出と水蒸気放出の、大気に出す、この二つの案を報告書としてまとめて、更田委員長も海洋放水が最も合理的というふうにおっしゃっておられます。
 しかし、地元の方からは非常に心配の声が多いのも実態です。増え続けているので、処理の必要性はあります。だけど、何を海へ出そうとしているのか、希釈すれば本当に問題がないのか。説明が足りないというわけではないんですが、やっぱり分かりにくいので、再度説明をお願いします。

#57
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
 多核種除去装置、いわゆるALPSですが、ALPS処理済水の取扱いについては、ALPS小委員会において検討が進められ、今年の二月に報告書が公表されたところであり、報告書の内容を踏まえて政府として方針を決定し、最終的には実施主体である東京電力が具体的な計画を策定するものというふうに考えております。
 原子力規制委員会としては、これは繰り返しになりますが、規制基準を満足する形で十分な希釈を行った上で、ないしは必要であれば再処理を行った上で処理済水を環境中、海洋中に放出するのであれば、科学的、技術的な観点から、人の健康や環境、さらにはその環境中における産品に対しても影響は考えられないというふうに認識をしております。
 今後、東京電力が処理済水の具体的な処分方法を示した場合には、規制当局として審査などにおいてその安全性について厳正に確認をしてまいりたいというふうに考えております。

#58
○岸真紀子君 やっぱり本当に、毎回毎回説明を受けているんですが、なかなか分かりにくいので、引き続き分かりやすい説明の方をお願いしたいと思います。
 あと、経産省の方にお伺いしますが、処理水の取扱いは福島だけではないんですね。先日、私の地元の北海道からも、道産の農林水産物とか、これを原料としている加工品の買い控えとか価格の低迷とかを心配している要請書をいただきました。また、海外からの輸入規制なども心配する声もあります。
 安全性の確保を大前提に、広く国民の理解が得られるように慎重かつ十分な検討を行うとともに、丁寧で分かりやすい説明、海外に向けても行っていただきたいんですが、このことについてお願いします。

#59
○政府参考人(新川達也君) お答え申し上げます。
 多核種除去設備、ALPSの処理済水の取扱いにつきましては、御指摘のとおり、地元の皆様の不安を払拭するとともに、国内外の理解を得られるよう情報発信や説明を重ねることが重要であると認識をしております。
 このため、政府としましては、地元市町村議会や地元関係者に対するALPS小委員会の報告書の説明を行うとともに、ALPS処理水に関する解説記事や廃炉の進捗に関する動画をSNSやホームページを活用して発信、またパンフレットを通じた情報発信を行い、地元のみならず、広く国民に対して分かりやすい情報発信に努めてきているところでございます。
 また、国際社会に対しましても、風評被害を払拭すべく、外務省や農林水産省など関係省庁と連携して、各国の在京大使館や海外プレス向けの説明会、国際原子力機関、IAEAその他の国際会議での説明の実施、経済産業省のホームページや動画、パンフレット等、英語を始めとした多言語の媒体による情報発信、諸外国の輸入規制の撤廃に向けた働きかけなどを行っております。
 今後とも、国内外への情報を質、量共に充実させて発信していくとともに、様々な機会を捉えて、地元のみならず、広く全国、そして海外の関係者の方々へ御説明を行っていく所存でございます。

#60
○岸真紀子君 引き続き、もっともっと分かりやすいように説明の方をお願いしたいと思います。
 次に、六ケ所村にある核燃料サイクル施設について、規制委員会の方では再処理工場の審査書案を了承となりましたが、現状と今後の見通しについてお伺いいたします。

#61
○政府参考人(覺道崇文君) お答えを申し上げます。
 六ケ所再処理工場につきましては、今先生の方から御指摘ございましたように、五月十三日の原子力規制委員会で事業変更許可に係る審査書案が了承されまして、現在、六月十二日までパブリックコメントの募集等の手続が行われているものと承知をしてございます。
 六ケ所再処理工場の稼働時期の見通しにつきましては、原子力規制委員会による審査の動向に関わりますことから、経産省としては答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
 なお、日本原燃は、六ケ所再処理工場の竣工目標時期を二〇二一年度の上期といたしておりまして、地元での説明のプロセスを経て操業を開始することとしていると、このように承知をしてございます。

#62
○岸真紀子君 今説明あったとおり、日本原燃の方は二〇二一年度の上期の稼働を目指すというふうにしていますが、そもそもこの核燃料サイクルの政策、見直すことが必要ではないかと思います。
 今日は、宮本政務官の方にもお越しいただきました。
 造ったから使おうという考えのようですが、処理するところがないのに使うのはそもそも無理なのではないでしょうか。再処理で出るプルトニウムを使える原子炉は、当初の計画では十六基から十八基というふうになっていましたが、結果、今四基しかございません。これで再処理しても使えないんです。頼りにしていた「もんじゅ」も度重なる事故で結局廃炉となりました。言わば計画が破綻している状態と言ってもいいと考えます。
 これ、計画を見直すべきではないでしょうか。

#63
○大臣政務官(宮本周司君) ただいま岸委員の方から御指摘をいただきました。
 まず、プルトニウムに関しましては、エネルギー基本計画におきまして、利用目的のないプルトニウムは持たないとの原則を引き続き堅持をして、その上でプルトニウムの保有量の削減に取り組むこととしております。
 先ほど御指摘をいただきました六ケ所の再処理工場に関しましては、今後、稼働して回収されるプルトニウム、これも含めまして、電気事業者が保有するプルトニウムに関しましては、プルサーマルをしっかりと推進をしていくことでその量を削減していくと。ただ、一方で、先ほどこちらの方も言及いただきましたが、当初想定していましたプルサーマルを行う計画の原発十六から十八基のうち、現在は四基が稼働しております。そして、一方で、今、原子力規制委員会の方で六基が審査を受けているものと承知をしておりますので、今後この審査が進めばプルサーマルを実施する原発の再稼働も増えていく、そしてプルトニウムの消費も進んでいくものと見込んでおります。
 その上で、この使用済燃料の再処理といいますのは、使用済燃料再処理機構が策定をいたします具体的な使用済燃料の再処理等の計画を定めた実施中期計画、これに基づきまして日本原燃が実施をすることとなっております。そして、この実施中期計画そのものは、プルサーマルの着実な実施に必要な量だけ使用済燃料の再処理が実施されるように経済産業大臣が毎年認可を行うこととしております。
 これらの取組を通じまして、プルトニウムの適切な管理と利用を行いながら、エネルギー基本計画に基づいたこの核燃料サイクルを着実に推進をしていきたいと思っております。

#64
○岸真紀子君 前回聞けなかったので聞きますが、高浜と伊方で、資料の方にも配っていますが、使用済MOX燃料が取り出されました。プルトニウムが含まれた燃料は初めてとなるんですが、今後どのようにしていくのか、お伺いいたします。

#65
○政府参考人(覺道崇文君) お答えを申し上げます。
 使用済燃料につきましては、使用済MOX燃料も含めて再処理をすると、これが我が国の基本的な方針でございます。
 使用済MOX燃料につきましては、これまでの研究開発によりまして技術的課題や解決策についての検討は進んでおりまして、また国内外の既存施設で試験的に再処理を行った実績もあることから、再処理は技術的に十分可能であることも分かってございます。
 その上で、使用済MOX燃料の再処理の方策につきましては、使用済MOX燃料の発生状況とその保管状況、また再処理技術の動向、関係自治体の意向などを踏まえながら、引き続き、研究開発に取り組みつつ検討を進めてまいりたいと考えてございます。

#66
○岸真紀子君 結局、この日経新聞、五月二十七日のやつにも付けましたが、取り出しても、使用済MOX燃料を取り出しても、第二再処理工場が一体いつどこにできるのかも決まっていないし、いつ稼働するのかも全く決まっていない中です。言わば、先ほどの核燃料サイクルの見直し、プルサーマル計画あるからというふうに言いますが、もう既に壊れてしまっていると私は考えます。
 しかも、しかもですよ、プルトニウムに当たっては、日米原子力協定延長するときにも問題視されていますよね。されていますよね。原子力委員会としても、二〇一八年の七月三十一日には、基本的な考え方で、減少させるというふうに言っています。
 破綻しているんです。本当にこれ、転換しないんでしょうか。もう一度、政務官、お答えを願います。

#67
○大臣政務官(宮本周司君) 委員からは再度御指摘もいただいたところでございます。
 我々は、このエネルギーの基本計画に基づきまして、当然、エネルギーのベストミックスも含めてこれまでの計画、そして何よりも先ほどから御懸念のこの原子力発電に関わる部分に関しましては、世界最高基準の安全性を担保した上でしっかりと着実に進めてまいる所存でございますので、引き続きこれまでの計画を確実に前に進めていけるように努めていきたいと思っております。

#68
○岸真紀子君 技術的にはということで、技術的には可能だという絵なんだと思います。
 でも、実際に、その再処理工場の受入先、もっと言えば核のごみをどこに出すかというのも決まっていない、受入先も決まっていないというような実態で本当にこの計画がうまくいくのかどうかということで、きちんとやっぱり政策、考え直すことが必要なのではないかということを申し述べさせていただきます。
 最後のまとめに入らさせてもらいますが、脱原発社会ということを正式に決定していなくても、廃炉への道筋であったり核のごみ問題については、後世には先送りすることなく、していくことが重要だと考えます。エネルギー基本計画の見直しと再エネルギーへの予算拡充を考えるべきではないかと思います。
 先週の調査会の中でも紹介されたCHIBAむつざわエナジーのように、災害が多い中でも地域分散型にしていくことがやっぱり大事だということを述べて、質問を終わります。

#69
○平木大作君 公明党の平木大作でございます。
 私の方からも、まずは、福島第一原発の汚染水処理の問題に触れていきたいと思います。
 今日の本会議でも、またこの調査会でも度々出てきておりますが、トリチウムを含むALPS処理水、これ今タンク千基分、百二十万トンに達しようとしているということで、あと二年ほどで満杯になってしまう、度々取り上げられているとおりでございます。
 まず、ちょっと議論の前提としてお伺いを是非しておきたいと思うんですが、経産省の小委員会の中で、海洋放出ということと、それから大気放出という二案が現実的な選択肢ということで提示をされたわけであります。実際は、二案というか、両方やるというのも含めて三案なんでしょうか、提示があったわけであります。
 この二案については、IAEAの方からも実現可能なんじゃないか、こんな見解も表明されたところでありまして、その後、三月下旬ですけれども、東電、処分方式の具体的な手順についても公表を行っております。トリチウム以外の放射性物質をALPSで除去し、そしてトリチウムが残った処理済水については水を加えて五百倍から六百倍ぐらいに薄めて例えば海洋に流すと、これは海洋放出のやり方ですけれども、こういう形で、具体的な何をするのかということも含めて一応姿が見えてきたわけであります。
 更田委員長にお伺いしたいんですが、これ、純粋に技術的な観点から、海洋放出とそれから大気放出ということの実現可能性について、あるいはどちらがどうということについて、コメントありましたら是非お願いをいたします。

#70
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
 原子力規制委員会としましては、これまでの実績等も踏まえまして、海洋放出が最も現実的な選択肢であるというふうに考えております。この際、規制基準を満足した形での海洋放出であれば、人の健康であるとか環境への影響はないというふうに認識をしているものであります。
 一方の大気放出ですが、これは米国のスリーマイルアイランドの事故の際にやはり処理後の水の処分策として取られたものでありますが、これは、この発電所が希釈効果の制約が考えられる川岸に立地をしていたということ、さらに大気放出を行うための設備に十分な敷地を有していたことなどがその理由であったというふうに認識をしております。

#71
○平木大作君 簡潔に御説明いただきました。
 海洋放出については基本的に一般的に取られている方法であるということ、それから大気放出については、架空の案というよりはスリーマイル島の事故等でも実際に行われたというところも含めてこれから検討の俎上に上るんだろうというふうに思っております。
 その上で、改めてこれ、経産省、この処分方法について、四月六日、十三日の両日は福島県内で、また五月十一日には都内で意見聴取会を開催されております。まず、この意見聴取会でどのような声が寄せられて、また政府としてどう受け止めたのかということ、それから今後こういった取組も含めてどのような予定があるのか、お答えをいただきたいと思います。

#72
○政府参考人(新川達也君) お答え申し上げます。
 これまでに実施しました三回の御意見を伺う場に御参加いただきました関係者の皆様からは、それぞれの立場から今後の検討に向けて貴重な御示唆をいただいたと認識をしております。
 例えば、処分方法について、海洋放出には反対であるという御意見や、海洋放出については、風評被害の対策が十分に講じられることを前提として選択し得る現実的な一つの対応方法であるという御意見などをいただいているところでございます。また、処分の安全性に係る理解促進を図るため分かりやすく正確な情報発信を繰り返し行うこと、風評被害が発生することを想定し十分に対策を行うこと、関係者の意見を聞いた上で国が責任持って決断をすることといった御意見もいただいております。
 引き続き、様々な関係者から御意見を伺った上で、ALPS処理水の取扱いについて、風評被害対策も含めて、政府として責任を持って結論を出してまいります。

#73
○平木大作君 済みません、もうちょっと詳しく本当だったらお伺いしたかったんですが、特にこの先のところですね、これまで三回やってきていますけれども、これで終わりということなのか。そういったところも含めて、もし方針ありましたらお願いいたします。

#74
○政府参考人(新川達也君) お答え申し上げます。
 ALPS処理水の取扱いにつきまして御意見を伺う場を開催しておりますけれども、御指摘のように、これまで三回開催をさせていただいております。四月の六日それから十三日に福島で、それから五月の十一日には、東京ではございますがウエブでの開催といった形でさせていただいております。新型コロナの緊急事態宣言出ておりますけれども、できるだけ広く関係者の御意見を伺うという意味で、あらかじめお願いをし、そしてウエブでの参加も可能といった方々に限り第三回を開催をさせていただいたところでございます。
 今後でございますけれども、まだ広く関係者の御意見を伺っていく必要があるというふうに考えておりまして、しっかりと関係者の御意見を伺った上で政府として判断をしてまいりたいというふうに思っております。

#75
○平木大作君 改めて更田委員長に戻りたいんですが、委員長、これまで、このトリチウムを環境に放出することに関しましては、関係各者が考えを発信し、また地元の意見を伺うことの重要性ということを度々言及されております。ここまでの例えば政府あるいは電力事業者のコミュニケーションを御覧になっていて、何かもしコメントがあったらいただきたいということ。
 それから、地元理解といったときに、結構これ難しいんですね。要は、漁業関係者、まあダイレクトにこの影響を受けそうなところとか、あるいは地元住民というくくりもあれば、国内あるいは海外というところもあるわけでありまして、この幅広く関係者にといったときに、まさにどこまで一体対処していったらいいのかということは大変悩みのあるところかなというふうに思っております。この点も、何かお考えもしあったらお聞かせをいただきたいと思います。

#76
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
 処理済水の処分方法については、政府全体として決定された上で、具体的な手順を実施主体である東京電力が計画するものと認識をしております。
 その上で、この処理済水の処分については一義的に東京電力がその説明責任を果たすべきであると考えており、東京電力には、国の背後に隠れることなく、主体的に自らの言葉できちんと関係する方々へ情報を発信し、責任を果たしてもらいたいというふうに考えております。
 それから、説明の対象ですけれども、やはり大きく懸念をされておりますのは、これは原子力規制委員会の関わるところではないかもしれませんが、風評被害に対する懸念というのは非常に大きな問題と認識しております。
 事が風評被害ですので、基本的には市場の、消費者の反応に対する懸念でありますので、そういった意味でこの説明は、一部の方に対して、特定の方々に対する説明では不十分であって、やはり国内外への広くに向けた情報の発信が重要であるというふうに考えております。

#77
○平木大作君 ありがとうございます。
 この意見聴取会ですけれども、私も、福島会場参加された方からちょっとお伺いをしました。その方の印象ということでありますけれども、十分に薄めたトリチウムを海洋放出することそのものを否定する声というのはそんなに多くなかったんじゃないかという御指摘をされていました。
 つまり、何をおっしゃっているかというと、地元の皆さんがこの科学的な理解がいわゆる不足をしているということではない、やはり最大の懸念は、今、更田委員長の方からもありましたけれども、新たな風評被害の発生、ここをしっかりと止めるような形でのコミュニケーションを取っていただきたいということだったんだろうというふうに思っています。
 そういう意味では、この風評というのは、そういう意味でいくと、当然まず地元の御理解を得なければいけないわけでありますけれども、やはり福島県内の皆様の声を聞くということだけで収まるものではない。当然、県外にいらっしゃる消費者の方たちにちゃんと、環境放出というのがどういうものでどういうリスクがあってということをしっかり認識していただき、また、どう受け止めるのかというところまで確認をしていただくというところが何よりも大事だろうというふうに思っておりますので。
 三回までは取りあえずやって今後はその状況次第というようなお話もありましたけれども、これ、実施時期について、コロナの大変なときにみたいな声もちょっとあったというふうに私も聞いていますが、一方で、都内のウエブの、ウエブ会議の形でもやっていただいたというのはとてもいい試みだというふうに思っています。幅広く、ある意味、どうしても時間と場所を指定した形で声を聞くとなりますと、そこに集っていただける方からしか声が吸い上げられないわけでありますけれども、ある意味、遠隔地の方も含めて、あるいは時間の制限というのも、より緩やかな形で声を聞かせていただくということでありますから、これしっかりやっていただきたいというふうに思っています。
 そして、改めてこれは強調させていただきたいんですけれども、これはなかなか言葉にしづらい部分だろうなとは思うんですが、この地元の皆様、やっぱり科学的に安全だということを一生懸命強調される一方で、じゃ、その安全な水を、でもほかの地域の皆さんは負担してくれないのかという思いをやっぱり抱えていらっしゃっています。結局最後は福島県内で処理しろということなんだろうという思いを、複雑な思いでまさに聞いているというか、安全だと言われれば言われるほど何か、といいながら押し付けるんでしょうという受け止めになってしまっていまして、ここについてもよくよく御検討いただきたいということをお願いしたいと思います。
 続いて、核燃料サイクル政策について私からもお伺いをしておきたいと思います。
 五月十三日、日本原燃六ケ所村の使用済核燃料再処理工場の安全対策、新規制基準に適合するという判断が下りました。私も、五年前、二〇一五年の十月に現地を訪れていろいろ拝見させていただきました。そのときも、この規制基準への適合審査、いつぐらいに結果が来るかなみたいな話をたしか聞いて帰ってきているんですけれども、結果として六年掛けて行われたわけであります。
 先ほどもありましたいわゆる原子炉の審査とはまたちょっと違うんだろうというふうに思っています。この六年掛けてどのような検証が、あるいは是正措置が行われたのか。また、そのいわゆる原子力発電所の炉の基準審査との違いなども含めて、是非分かりやすくお示しいただけたらと思います。

#78
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えいたします。
 日本原燃株式会社再処理施設の新規制基準適合性に係る事業変更許可申請につきましては、平成二十六年一月の申請以降、審査会合を百十三回、現地調査を五回実施するとともに、航空機落下確率評価や重大事故等対策等の主要な論点については、原子力規制委員会で議論をしつつ、六年四か月にわたって慎重に審査を進めてきたところであります。その結果としまして、五月十三日の原子力規制委員会において審査書案を取りまとめました。
 平成二十五年十二月に施行された再処理施設の新規制基準では、原子力発電所と同様に重大事故対策が追加されるとともに、地震、津波などを始めとする自然現象や火災に対する要求等が強化されたところであります。
 再処理施設は、原子力発電所のように防護すべき対象が炉心に集中しているものと異なり広く面的に広がっていますので、審査の対象となる機器が多く、それらを注意深く確認する必要がございました。また、再処理施設は、原子力発電所のように海外を含めても数多くの事例があるものではないことから、重大事故対策を始め審査をする側、そして審査を受ける側の双方に共通理解を図るため、十分な議論を重ねて審査を進めてきたところであります。

#79
○平木大作君 ありがとうございます。
 特に、国内では初めて、そして海外でもそれほど多くの事例がないという中で、様々なリスクを想定されながら検証を進められて、丁寧に審査をしていただいたんだろうというふうに思っております。
 こうなると、いよいよ稼働というところが視野に入るわけでありますが、先ほどもありました、日本原燃、二〇二二年の一月の稼働を目指すとしております。見通しについては先ほども問いがありましたが、この見通しと併せて、そんなに簡単に稼働にまで行けるものでは一方でないのかなというふうにも思っておりまして、主な課題としてどのようなものが想定されるのかも含めてお答えいただきたいと思います。

#80
○政府参考人(覺道崇文君) お答えを申し上げます。
 六ケ所の再処理工場の稼働時期の見通しにつきましては、今先生からも御指摘ございましたけれども、原子力規制委員会による審査の動向に関わりますことから、御答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
 繰り返しになりますけれども、日本原燃は、竣工時期を二〇二一年度上期として、地元での説明のプロセスを経て操業を開始することとしていると、このように承知をしてございます。
 また、お尋ねをいただきました竣工に向けた課題でございますけれども、課題につきましては、安全、品質の向上や運転員の技術力の向上、こうしたことが挙げられるというふうに認識をしております。
 これに対しまして、こうした課題に対しまして日本原燃では、例えば夜間あるいは厳冬期における電源喪失時の訓練などに取り組んでいるほか、今後、フランスのラアーグ再処理工場へ運転員を派遣して訓練を実施をしたり、過去のアクティブ試験経験者を招聘をして講習を行うことを予定しているなど、課題の克服に向けた取組を一つ一つ進めているものと承知をしております。
 日本原燃においては、引き続き、原子力規制委員会の指導の下で安全確保に万全を期すとともに、六ケ所再処理工場の竣工に向けてしっかりと取り組んでいただきたいと、このように考えております。

#81
○平木大作君 ちょっと確認をさせていただきたいんですけれども、二〇二一年上期の竣工を目指すと、この数字自体は二〇一七年十二月公表ということかと思います。そういう意味でいくと、ある意味、二〇一七年以降この工事自体は順調に進んでいると、そういう認識なんでしょうか。

#82
○政府参考人(覺道崇文君) 今御指摘のございました二〇二二年の一月にも稼働したいというところにつきましては、日本原燃は、原子炉等規制法に基づきまして毎年度原子力規制委員会に届出が求められております再処理施設の使用計画というのがございまして、これにおきまして、二〇二一年度の再処理量を算定するに当たりまして稼働時期を二〇二二年一月と、このように仮定しているものでございまして、二〇二二年の一月の稼働を目指しているものではないというふうに聞いてございます。
 それで、二〇二一年度の再処理量を算定することになっているというのは、先ほど言いましたように、竣工時期を二〇二一年度の上期というふうにこれは公表、日本原燃としてこういう目標を公表してございまして、したがいまして、二〇二一年度中の再処理量はどうなるのかという再処理量の計算が必要になりますので、その計算のための一つの仮定として二〇二二年一月の稼働という前提を置いていると、こういうことでございます。

#83
○平木大作君 今お伺いしたのはこの竣工の部分でありますけれども、これまで結局着工からもう二十七年掛かっているということで、なかなかここまでも大変な道のりだったんじゃないかなということは想像するわけでありますが。
 改めてこれもちょっと御確認しておきたいんですけれども、従来、日本は、例えば英国ですとかフランスに委託をする形で使用済核燃料の再処理というのを行ってきたわけであります。二十七年掛けて、大体三兆円ぐらい掛けてどうにか今回の六ケ所村については竣工が見えてきたということかとは思うんですけれども、経済性の観点から見て、これまでどおりこの海外の再処理工場を活用する場合と自前で再処理工場を稼働させる場合、どちらがどの程度優位なのか、具体的にお示しいただけたらと思います。

#84
○政府参考人(覺道崇文君) 我が国では、自給率の向上を含めました長期的なエネルギーの安定供給を目指す観点から、原子力発電所で利用した使用済燃料を国内において再処理し、回収したウランやプルトニウムを核燃料に加工して利用する核燃料サイクル政策を基本方針としてきてございます。その上で、今お尋ねがございました海外への再処理の委託につきましては、六ケ所再処理工場の運転開始までの措置として一時的に行われてきたものであると、このように承知をしてございます。
 また、海外への再処理委託に係る経済性についてのお尋ねでございますけれども、その具体的な費用といいますのは各電力会社と海外の再処理事業者等との契約において定められておりまして、政府としてお答えは差し控えたいというふうに存じます。
 ただ、一般論として申し上げますと、再処理を海外に委託しました場合、使用済燃料を海外に輸送する輸送費用、それから海外で再処理した後の放射性廃棄物を今度は日本に持ち帰るための輸送費用、それから海外で製造されたMOX燃料を日本に移送する費用、またその際には非常に、プルトニウムを含みますので非常に厳重な警備が必要になりますが、それに要する費用など、追加的なコストが掛かることが想定をされます。

#85
○平木大作君 それでは、核燃料サイクル政策といえば、もう一つの柱がいわゆる次世代炉の開発というところになるかと思っています。
 ここについてはなかなか先の見通しがない今状況にありまして、二〇一六年、高速増殖炉の原型炉である「もんじゅ」が、技術的なトラブルが相次いだということで廃炉が決まりました。
 当時、ちょっと私の記憶で恐縮なんですけれども、基本的に指摘をされたのは、この運営主体である日本原子力研究開発機構のまさに運営能力ですとかあるいは組織的な問題というところが主に指摘をされたというふうに思っているんですが、これ、技術的な側面から具体的にどのような評価をしていたのかについて確認をさせていただきたいと思います。

#86
○政府参考人(金子修一君) お答え申し上げます。
 「もんじゅ」につきましては、平成二十四年以降、保守管理等の不備に係る種々の問題が次々と発覚いたしました。日本原子力研究開発機構に対しましてその都度所要の規制上の措置を講ずるとともに、同機構を所管する文部科学省に対しても適切な監督を行うよう二度にわたって要請をいたしましたけれども、十分な改善が見られなかったという経緯がまずございます。
 こうした状況を踏まえまして、原子力規制委員会としては、日本原子力研究開発機構が「もんじゅ」の保安上の措置を適確に行う技術的能力に重大な懸念があり、安全確保の観点から必要な資質を有していないことを認識いたしまして、平成二十七年十一月に文部科学大臣に対して勧告を行うに至ったものでございます。

#87
○平木大作君 なかなか技術そのものについての今御評価は聞けなかったのかもしれませんが。
 ちょっと、じゃ、視点を変えて金子審議官に是非お伺いしたいんですけれども、この高速増殖炉の安全性基準に基づく審査といわゆる一般の軽水炉の審査ってどの程度違うものなんでしょうか。ちょっと我々素人にも分かりやすく、もし何かお示ししていただけると有り難いんですけれども。

#88
○政府参考人(金子修一君) 原子力発電という視点で申し上げれば類似のところがかなり多くございますけれども、一方で、御存じのように、「もんじゅ」はナトリウムを冷却の媒体として使用するということで、その管理に非常に気を遣わなければならない。したがって、それにハードの面でも大きな差がございますけれども、ソフト面でもしっかりとした管理をしなきゃいけない、そういった点が非常に大きな点で、その管理を技術的にしっかりできるかどうかというところが大きなポイントだというふうに認識しております。

#89
○平木大作君 この管理、ソフト面のところが大変特に大きな問題なんだという今お話をいただきました。
 それで、そういった意味で、ちょっと改めてこれ、文科省、経産省それぞれにお答えをいただきたいんですけれども、高速増殖炉というと我々も、大変扱いが難しいナトリウムを使うんだろうというぐらいのことは分かっているんですけれども、それ以上のことがなかなかちょっと実は理解をし切れていないところがございます。
 そもそも、この高速増殖炉だけじゃないわけですけれども、それを含む次世代炉、第四世代原子炉と言われるものというのは安全性に関してどのような特徴を持つものなのか。また、今世界でも次世代炉の開発ですとか実用化に向けた動きというのがあるかと思うんですけれども、そういったものを紹介していただいた上で、日本もここを目指して、「常陽」以来、実験炉を造ったり原型炉を造ったりしながら様々な技術は培ってきたんじゃないかというふうに思っているんですが、現時点で、この世界的な開発競争の中、日本の今技術力ってどの辺りにあると言えるのか、それぞれにちょっとお答えをいただけたらと思います。

#90
○政府参考人(千原由幸君) お答え申し上げます。
 文部科学省の方からは、先ほど御質問ございました「もんじゅ」の関係の技術的成果についてお答えをさせていただきたいと思います。
 「もんじゅ」の技術的成果につきましては、平成二十八年十二月の原子力関係閣僚会議で取りまとめられました「もんじゅ」の取扱いに関する政府方針において明記をされてございます。
 その中では、性能試験開始前の設計、建設、また性能試験開始後の四〇%出力までの運転を通じまして、炉心燃料、安全評価、ナトリウムの取扱い技術などの高速炉開発に関する様々な技術的成果を獲得いたしまして、また研究人材の育成などにも貢献するなど、多岐にわたる成果が得られたとされております。これらは今後の高速炉開発につながるものと考えております。

#91
○政府参考人(覺道崇文君) 委員から御指摘ございました第四世代炉につきましては、主要な原子力開発国が参加をいたします第四世代原子力システムに関する国際フォーラムというのがございまして、それにおきまして、ナトリウム冷却高速炉や超高温ガス炉などの六つの炉型が示されておりまして、各国で研究開発が進められているものと承知をしております。
 こうした第四世代炉はそれぞれに安全性に関する特徴を有してございますが、特にナトリウム冷却高速炉について申し上げますと、先ほどお話のあった、高速炉開発の戦略ロードマップの策定に向けた技術検討を行うために設置をされました戦略ワーキンググループにおきまして、熱を伝えやすいというナトリウムの性質により自然循環で崩壊熱を除去することができる、またナトリウムが沸騰するまで長い時間的な余裕がある、ナトリウムが低圧で保持されており、配管が破断した場合も外部からの冷却材の注入が不要であると、このような固有の安全性を持つものと、こうした評価がなされているものと認識をしております。
 その上で、そのナトリウム冷却の高速炉に関する世界の開発の動向としましては、フランスは、実証炉スーパーフェニックスの運転経験を有しておりまして、ASTRID計画を経て今後もシミュレーションや実験を中心とした開発を進めていく方針を示してございます。また、米国は、これまで複数の実験炉の運転経験を有しておりまして、二〇二六年以降の建設を目指して、試験炉であるVTRの開発を進めてございます。このほか、ロシアや中国も実証炉や実験炉を既に建設、運転をしていると、こういう情報がございます。このように、各国において開発が進められている状況と承知をしてございます。
 こうした中で、我が国でも、高速実験炉の「常陽」や高速増殖原型炉の「もんじゅ」の設計、建設、運転、保守を通じて高速炉の炉心燃料、安全評価、ナトリウムの取扱いに関する重要な技術的成果など、今後の高速炉開発に資する様々な知見を獲得したものと、このように承知をしてございます。

#92
○平木大作君 この次世代炉、特に高速増殖炉については、この自然循環を使った冷却ができるというところが一つの特徴なんだというお話をいただきました。
 これ、例えば識者の方、発言によっては、この技術というのは、結局、例えば福島第一原発みたいに仮に電源が全喪失したとしても、ある意味炉心の損傷が起きにくい、要は循環で冷却されるということですから、ある意味軽水炉よりも安全な技術なんだということをおっしゃる方もいらっしゃるわけですが、この認識というのは、覺道調整官もそのとおりなんでしょうか。

#93
○政府参考人(覺道崇文君) 今御指摘のありました、先ほど御説明をさせていただきました諸点については、特に安全性、固有の安全性を有しているということでございまして、一方で、先ほどもお話ございましたように、冷却材としてナトリウムを使っているということですとか、そうした別の技術的な論点もあるというふうに考えてございます。

#94
○平木大作君 残り時間ちょっと少なくなってきましたので最後の問いにしたいと思うんですが、こういった、今、様々、日本としても高速炉も含めて研究の開発を続けているということでありますが、この開発は何によっているかというと、基本的には、二〇一八年十二月に政府として策定をされました戦略ロードマップ、これに基づいているんだろうというふうに思っています。
 「もんじゅ」の廃炉が決まってからなかなか実はその先が一般の方には見えていない、もうやめたのかなぐらいに思っている方も多いわけでありますが、今後のこの見通しについて、最後お伺いをしたいと思います。

#95
○政府参考人(覺道崇文君) お答えを申し上げます。
 先ほど来申し上げてございますように、政府としては、高速炉開発を含めた核燃料サイクルの推進を基本方針としてございます。
 高速炉開発につきましては、二〇一六年十二月の原子力関係閣僚会議におきまして「もんじゅ」の廃止措置と同時に高速炉開発の方針を決定をしたところでございまして、この方針に基づいて、将来を見据えた一貫性のある継続した取組を進める観点から、二〇一八年十二月に戦略ロードマップを決定をしたところでございます。この戦略ロードマップに基づきまして、これまでに培った技術、人材を最大限活用しながら多様な高速炉技術の開発を推進し、技術を絞り込み重点化した上で工程を具体化していくと、このようにしてございます。
 また、フランスや米国等との二国間及び多国間でのネットワークを活用した国際協力によりまして、研究基盤や規制に関する知見などを共有しつつ、実用化のための技術基盤の確立とイノベーションの促進に取り組んでいくこととしてございます。
 こうした方針の下、二〇一九年の六月にはフランス、アメリカのそれぞれと高速炉開発協力に関する文書に署名をしたところでございまして、これらの国際協力を進めながら高速炉開発を着実に進めてまいりたいと考えてございます。

#96
○平木大作君 ありがとうございました。
 時間になりましたので終わりたいと思いますが、日本のエネルギー政策、最大の欠点は、発信がやっぱりちょっと少ないんじゃないかなというふうに思っております。先ほどの汚染水処理のところでは、コミュニケーション、大変努力をいただいているのは分かったんですけれども、エネルギー政策、もっと今取り組んでいることも含めてしっかりと国民の皆様に発信していただけるようにお願いして、終わりたいと思います。
 ありがとうございました。

#97
○音喜多駿君 日本維新の会の音喜多駿です。
 私からもまず、ちょっと通告と順番を変えまして、福島第一原子力発電所の処理水について、こちらから伺っていきたいと思います。
 日本維新の会は、昨年、緊急提言の方を提出いたしまして、この処理水については早期に海洋放出、こちらを決断し、実行するべきだということを強く訴えかけてまいりました。資源エネルギー問題や福島の復興において避けて通れないこの処理水への対応について、新型コロナウイルス感染拡大の影響により対応スケジュールにも影響が出ないか、不安視をする声が上がっています。残念ながら五輪も延長となった中で、本件の意思決定が先送りにまたされてしまうことを私も懸念をしております。
 そこで、改めて、今回の新型コロナウイルス感染症の影響により処理水のスケジュールに影響が出ないのかどうか、この点、政府の対応を伺います。

#98
○政府参考人(新川達也君) お答え申し上げます。
 多核種除去設備、いわゆるALPS等で浄化処理した水の取扱いにつきましてはしっかりと検討を進めていくべきと考えておりまして、現在、政府として、ALPS小委員会の報告書を踏まえ、幅広い関係者の御意見を丁寧にお伺いしているところでございます。
 新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言が発令されていた中でも丁寧に関係者の御意見をお伺いすべく、既に参加が予定され、かつウエブ会議での参加も可能と回答いただいた方に御意見を伺う場に参加をいただき、御意見を表明をいただいたところでございます。
 引き続き、様々な関係者から御意見を伺いつつ、しっかりと検討を進め、国として責任を持ってALPS処理水の取扱いについて結論を出してまいりたいと考えております。

#99
○音喜多駿君 直接的には影響はないということだと思います。
 今、インターネット等ウエブで行っている意見交換、議論の聴取などもこれはすばらしいことだと思いますし、是非これはやっていただきたいんですけれども、ただ、一方で、議論が足りないという声もありますが、やはりこれは議論を続けても、百点満点、全員が納得するということはこれは現実的には難しいわけで、どこかのタイミングでこれは政府が、国が、あるいは政治家が責任を持って決断をしなければならないわけであります。
 一方で、先ほど平木委員の方からも御指摘があったように、何で福島だけがという思いがあることも事実でございますので、我々は、大阪の市長の松井一郎市長が大阪で受け入れることも検討するというようなことも申しておりますので、是非こういった点も、もちろん遠方に運べばその分コストは掛かりますが、こうした全員が納得感を得て前に進める方法というのも含めて是非政府には検討いただいて、この処理水への対応、この意思決定を早期に進めていただきたいというふうに思います。
 一方で、風評被害への対応、こちらは避けて通れません。原発事故から九年がたった今なお、県外や国外においては特に汚染被害や健康への悪影響について誤解が消えておらず、これが復興の足かせとなっております。とりわけこの処理水に関しての風評被害については、県民の皆様の不利益を取り除くためにも極めて重要な課題であります。
 二月にも当調査会で取り上げましたが、政府からも、海洋放出が現実的であること、規制基準を満たす形での海洋放出は環境にも何ら問題ないとの答弁がございました。国も処理水に関する安全性について国内外に周知活動をしておりますが、例えば、輸入規制国数が減少した数などKPIを示した上で、対外的広報に重点を置いた効果的な情報発信を行うべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

#100
○政府参考人(新川達也君) お答え申し上げます。
 ALPS処理水の取扱いにつきまして、地元の皆様の不安を払拭するとともに国内外での理解を得られるよう、情報発信や説明を重ねることが重要と考えております。
 このため、政府としましては、地元市町村議会や地元関係者に対するALPS小委員会の報告書の説明を行うとともに、ALPS処理水に関する解説記事や廃炉の進捗に関する動画をSNSやホームページを活用して発信、またパンフレットを通じた情報発信を行い、地元のみならず、広く国民に対して分かりやすい情報発信に努めております。
 また、国際社会に対しても風評被害を払拭すべく、外務省や農林水産省など関係省庁と連携して、各国の在京大使館や海外プレス向けの説明会や、国際原子力機関その他の国際会議での説明の実施、経済産業省のホームページや動画パンフレット等、英語を始めとした多言語の媒体による情報発信、諸外国の輸入規制の撤廃に向けた働きかけなどを行っております。
 これまで、外務省や農林水産省など関係省庁と連携した働きかけによりまして、輸入規制につきましては、例えば、昨年十一月にEUが福島県産の大豆等について放射性物質検査証明書の添付義務を解除する、今年一月以降、フィリピンが全ての輸入規制を撤廃するなど、全体で輸入を規制した五十四か国・地域のうち三十四か国・地域が規制を撤廃をしております。
 今後とも、一つでも多くの国の輸入規制の緩和、撤廃が進むよう、関係省庁と連携して粘り強く働きかけてまいりますし、情報発信に関しましても、国内外に情報の質、量共に充実させて発信させていきたいと考えております。

#101
○音喜多駿君 この直近だけで見ても、この輸入規制している国というのはもう順調に減っているわけですね。一部の海外メディアや団体が声を大きくして騒ぐと、また海外から不安の声がということばかりがあおられてしまうんですが、こうしたしっかりした事実に基づいて、数値に基づいてしっかり主張していけばこの風評被害というのは払拭できていくと思いますので、是非一層の広報活動の強化ということをお願いしたいと思います。
 次に、関連して、福島県の県民健康調査における甲状腺検査、このがんの検診について質問させていただきたいと思います。
 本委員会で二月に質問させていただいた際、環境省も、過剰診断の問題、すなわち、受診者が元々持っていたけれども、生命に関わったり症状をもたらしたりしないようながんまでも診断してしまうと、こうしたデメリットを認識しており、正しい知識の発信、普及をしていくというような御答弁をいただきました。
 この甲状腺検査における過剰診断は、本来必要なかった無駄な手術を受けることにつながり、その後の生活に影響を与えることになりかねません。また、近いうちからがん患者のレッテルを貼られることで、社会生活上も問題が生じています。
 甲状腺検査につきましては終了を決断すべきだと考えております。この点、二月にも本委員会で要望をさせていただきましたが、その後どのような進捗があったか、とりわけコロナの影響により福島県で行われている甲状腺検査の現状はどうなっているのか、環境省にお伺いいたします。

#102
○政府参考人(田原克志君) お答えいたします。
 福島県が実施をしております甲状腺検査のうち、小中学校それから高等学校において実施をしている検査につきましては、令和二年度一学期の予定分について、現在実施を見合わせているという状況です。これにつきましては、今後の状況を見極めた上で改めて日程を調整し、九月以降に検査を実施する予定と承知しております。
 また、医療機関等におきまして実施をしている検査につきましては、新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態宣言が解除されたことを踏まえまして、適切な感染症対策を取った上で検査が実施されるものと承知をしております。

#103
○音喜多駿君 これ、コロナによって学校で行われている分は少なくとも中断しているということでございます。私としては、中断できるのであれば、ここは終了に踏み切るこれはいいきっかけではないかというふうに思っております。
 福島県内では、前回の私の質疑以後、検査実務や有識者会議に関わって甲状腺過剰診断を指摘をしてきた医師らによって、甲状腺過剰診断の情報発信などを行う団体が新たに二つ立ち上がりました。福島県議会でもこの問題について与党自民党の議員が取り上げられています。そして、コロナによって中断しているという事情もございます。
 加えて、一昨日の県民健康調査検討委員会では妊産婦への検査終了が決められ、甲状腺検査についても継続する理由は特に見当たりません。甲状腺がんに早期発見、早期治療が有効というエビデンスはなく、無症状者への検査が多くの過剰診断を生むことは、今や世界の医学常識となっています。
 中断しているという状況ですから、これを機に、甲状腺検査については、過剰診断を引き起こすこと及び新型コロナ感染症拡大防止の観点からも終了の決断を後押しすべきと考えますが、政府の見解をお伺いいたします。

#104
○政府参考人(田原克志君) お答えいたします。
 福島県の原発事故に係る住民の健康管理は、医学等の専門家の御意見を十分に尊重した上で、コンセンサスが得られた科学的知見に基づいて進めることが何よりも重要だと考えております。今後の甲状腺検査の在り方につきましては、福島県の県民健康調査検討委員会で議論されているものと承知をしております。
 環境省といたしましては、適切な感染症対策を取りつつ、検査を希望する人が検査のメリット、デメリット等について十分な説明を受けた上で受診できることが重要という観点から、検討委員会の議論を注視してまいりたいと考えております。

#105
○音喜多駿君 これ、主体がやはり県でございますので、国が最終決定できないということは存じておりますけれども、まさに科学的に果たして本当に正しいのかどうかというところも含めてしっかり国の方からも発信をして、最後は県の政治が責任を取るということを後押ししていただきたいということを改めて申し上げておきたいと思いますし、この問題は継続してまた取り上げてまいりたいと考えております。
 次に、話は変わりまして、台湾の国際機関への参加状況について質問させていただきます。
 本委員会のテーマであります原子力、これを扱う機関は国際機関IAEAなわけでありますが、台湾のIAEAへの参加状況、会議へのオブザーバー参加などはされているのかどうかについて、外務省に現状をお伺いいたします。

#106
○政府参考人(加野幸司君) お答え申し上げます。
 お尋ねの台湾でございますけれども、現在、IAEAの加盟国ではなく、台湾の代表者は、IAEA総会等IAEAの意思決定に係る会議にはオブザーバーとしても参加をしていないというふうに承知をしております。
 なお、御参考までに申し上げますと、台湾はIAEAとの間で保障措置協定を締結し、台湾の原子力活動に対する保障措置の適用を受けているところでございます。また、IAEAのセミナー等に参加するなど、IAEAとの一定の連携が存在しているというふうに承知をしております。

#107
○音喜多駿君 台湾は現在参加していないということで、参加の希望というのも出ていないというようなことを仄聞しているんですが、台湾の方にも原子力発電がございますし、今後、国に準ずる者として参加が求められる場面も出てくることかと思いますので、その際には積極的に日本は後押しをしていただきたいと考えております。
 そして、台湾の国際機関への参加といえば、台湾は、今回のコロナで当事者となっており、参加を希望しているにもかかわらずWHOの会議にオブザーバー参加ができていないという問題が解決をしておりません。私も一月の予算委員会で総理に直接質問させていただいたのですが、依然として事態は動いていないというところでございます。
 この問題については、日本も有志国として、台湾のような公衆衛生上の成果を上げた地域を参考にすべきだという指摘もあるという台湾のオブザーバー参加について肯定的な発言をしたとのことでありますが、より一層の踏み込んだ発言や関係国との交渉をしていただきたいと考えております。
 台湾について、少なくとも希望を出している各種国際機関へのオブザーバー参加、とりわけWHOへのオブザーバー参加について政府として更なる後押しをするべきと考えますが、外務省の見解をお伺いいたします。

#108
○政府参考人(高杉優弘君) お答え申し上げます。
 今委員から御指摘ございました台湾のWHOへのオブザーバー参加でございますけれども、我が国は、従来より、国際保健問題への対応に当たっては地理的空白を生じさせるべきではないと考えております。また、今回の新型コロナウイルスのような全世界に甚大な影響を与える感染症に対しては、自由、透明、迅速な形で、台湾のような公衆衛生上の成果を上げた地域を含め、各国及び地域の情報や知見が広く共有されることが重要だと認識しております。
 そうした観点から、我が国としましては、台湾のWHO総会へのオブザーバー参加をこれまで一貫して支持してきております。また、今般のWHO総会に当たっても、事前にそのような働きかけを行ってまいりました。引き続き、あらゆる機会を捉えて我が国の立場をしっかり主張してまいりたいと考えております。

#109
○音喜多駿君 是非これ、引き続き、結果を出すために強く続けていただきたいと思います。
 加えて、このコロナ禍における国際的関心の集まりの低さに乗じて中国は、香港に対しても統制を強化する国家安全法、これを導入する構えを見せており、先週末には香港で多数の逮捕者やけが人が出るなど、緊迫した事態が続いております。中国が同法を直接制定すれば、一九九七年の返還から保障されてきた香港の高度な自治と一国二制度は崩壊します。
 自由と民主主義の普遍的な価値を守るためにもこの動きには強く反対するべきであり、国際社会に反対声明を出す、中国政府に対して自制を求めるなど、香港の民主制を守り、一国二制度を堅持するよう政府として働きかけるべきと考えますが、こちらも外務省の見解を伺います。

#110
○政府参考人(遠藤和也君) お答え申し上げます。
 香港は、我が国にとって緊密な経済関係、人的交流を有する極めて重要なパートナーでございます。一国二制度の下、従来の自由で開かれた体制が維持され、民主的、安定的に発展していくということが重要でございます。こうした観点から、御指摘の審議をめぐる状況や香港の情勢、強く懸念しておりまして、我が国の懸念は既に中国側にも伝えておるというところでございます。
 我が国としては、引き続き、関係国の動向を含めた情報収集を行いつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。

#111
○音喜多駿君 これは本当にゆゆしき問題で、資源エネルギーの件とは少し離れているかに思えますけれども、やはり国際関係をしっかりと継続していく、安定させていくということはこのエネルギーについても重要なことでありますし、我が党は昨年もいち早く公党として香港に対する憂慮を表明する声明を出しましたし、今回もまた強く声明を発表しようと思っております。昨年は、我々、決議案というのも提案したんですが、残念ながら国会では合意が得られず、決議案は成立しなかったんですが、是非各党からもこの香港問題については何とか中国に自制を求めるために声を上げていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
 さて次に、話を資源エネルギー本体に戻しまして、原油の関連についてお伺いいたします。
 新型コロナの感染拡大で石油の需要が激減し、今世界では、石油の価格が大幅に下がったり、不安定な状況になっております。仮に、今後、世界的にも経済的活動が再び息を吹き返したとしても、需要が不透明なことに加えて、減産調整が国家間で必ずしもうまくいっていない昨今の複雑な国際情勢から、原油価格は回復をしない、不安定化が続くことも考えられます。
 そこで、今回の原油価格の下落を受けて、国家石油備蓄の計画等への影響や戦略変更はあるのかどうか、資源エネルギー庁に伺います。

#112
○政府参考人(覺道崇文君) お答えを申し上げます。
 石油のほとんどを海外輸入に依存している我が国にとりまして、石油の供給途絶リスクに備えることが必要でございます。現在、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による経済活動の停滞によりまして原油価格が低迷していると認識してございますが、現在の石油備蓄量は国内消費量の二百日分を超える十分な量を確保していることから、今のところ石油備蓄の方針を大きく変更する必要はないと、このように考えてございます。
 引き続き、我が国へのエネルギー調達に支障が生じる可能性が出た場合には、石油備蓄の活用も含め、石油の安定供給の確保に万全を期してまいりたいと考えております。

#113
○音喜多駿君 確かに、備蓄の設備というのはすぐに拡張できません。ただ、一方で、せっかくの原油安の機会ですから、この備蓄を一旦開放すれば、少なくとも直近のガソリン価格は大幅に下げられて、経済対策にもなり得ます。入れ替えるということですね。中国は八十四隻のタンカーをこの時期にペルシャ湾に送って石油を爆買いしているということも伝えられております。日本も柔軟な対応ができるような体制というのを検討していただきたいと思います。
 関連して、電気料金についてもお伺いをいたします。
 コロナ禍により、家賃だけでなく公共料金である電気料金の支払に追われる事業者も多くおります。現状、政府は支払期限の猶予を電力会社に要請し、おおむね了承されていると伺っております。しかしながら、まだその存在を知らない事業者も多いようであります。また、そもそも、電気料金につき、猶予だけでなく支払の減免を求めていただきたいということは我が党がかねてから要望をしてきたところでございます。
 現状の取組である支払期限の猶予の周知を図るとともに、支払減免の要請を各電気事業者に出すのも一案と考えますが、政府の見解をお伺いいたします。

#114
○政府参考人(覺道崇文君) 今御指摘ございましたように、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、中小事業者を始めとする多くの事業者の方々が影響を受けている深刻な状況を踏まえまして、政府としても、電気事業者に対しまして、電気料金支払に困難な事情がある方について、その置かれた状況に配慮し、未払による供給停止の猶予など、支払の猶予について柔軟な対応を行っていただくよう要請を行っているところでございます。こうした要請を受けまして、各電気事業者において、需要家の置かれた状況等に配慮しつつ支払の猶予などの柔軟な対応を行っているものと認識をしてございます。
 その上で、料金の減免などにつきましては、電気事業は自治体等の実施する公営事業とは異なり、民間企業によるビジネスとして実施されていること、したがって、特定の方の料金を減免した場合にはほかの需要家の方々の負担が増加することになること、また、電気の小売事業者の八割が中小事業者であるなど多くの電気事業者も中小事業者であること、こうしたことに留意が必要であるというふうに考えております。
 こうしたことを踏まえますと、まずは、現在要請をさせていただいております料金支払に困難な事情がある方に対する支払の猶予などの取組について、政府としてもパンフレットやホームページを通じて情報発信し、一人でも多くの方に知っていただくことにより、料金の支払が困難な方々の負担軽減につなげていきたいと、このように考えてございます。
 また、政府としましては、こうした電気料金の支払猶予などの取組と併せまして、実質無利子無担保かつ最大五年間元本返済据置きの融資等の強力な資金繰り支援や、売上げが大きく減少した事業者に対する最大二百万円の現金給付といった支援策等を通じまして、御指摘のような電気料金の支払に追われていらっしゃる方々を最大限支援していくこととしたいと考えてございます。

#115
○音喜多駿君 今はやはり平時じゃなくて緊急時でございますから、旧来の発想にはとらわれない検討というのをお願いしたいというふうに思います。
 最後に、カーボンプライシングについて、最後のテーマ、伺っていきたいと思います。
 我が国におけるカーボンプライシングの導入、こちらに私は個人的には慎重な立場でありまして、今回はそこにコロナという情勢下でありますので、なおさら今慎重な検討が求められると考えております。
 そもそも我が国は既に石油石炭税、地球温暖化対策税があり、日本の化石燃料に賦課されている炭素税をCO2排出トン当たりで計算すると、EUと比べても遜色ない水準という指摘もあります。この点、環境省はどう評価しているのか、伺います。

#116
○政府参考人(上田康治君) お答えいたします。
 日本では、二〇一二年から、CO2排出量に着目して、石炭、石油、天然ガスに課税する地球温暖化対策のための税が導入されております。環境省としては、この地球温暖化対策のための税に限っていえば、その水準は諸外国の炭素税に比べて低いものと認識しております。
 一方、エネルギー関係諸税としては委員御指摘のとおり石油石炭税などがあり、これらも暗示的炭素価格であるという見方があることも承知しておりますが、これらについては国によってそれぞれ仕組みが異なるので、一概に水準を比較することは難しいものと認識しております。

#117
○音喜多駿君 御答弁のとおり、実効炭素価格税率については諸外国と比較しても低いと。しかしながら、欧州の場合、産業部門、電力部門はEUETSの下に置かれ、排出権価格がカウントされる一方で、日本では、当該部門は、経団連環境自主行動計画、経団連低炭素社会実行計画で削減努力が既に行われており、それに伴うコストが考慮されておらず、公平な比較ではないという声も上がっております。
 こうした経済界の取組努力についてはどのように評価をしているのか、政府の見解をお伺いいたします。

#118
○政府参考人(飯田祐二君) 経団連におきましては、一九九七年から経団連環境自主行動計画、二〇一三年からは低炭素社会実行計画で、温室効果ガスの削減に向けて各業種、企業における主体的かつ積極的な取組を推進されてきております。経団連ほか百十五の業界団体が参画し、産業部門、エネルギー転換部門のカバー率は八五%になっておりまして、経団連のフォローアップによれば、二〇一三年度から二〇一八年度の五年間で全部門合計で約一〇・五%削減を実現し、着実に実績を上げております。
 政府としても、地球温暖化対策計画において低炭素社会実行計画を産業界における対策の中心的役割と位置付け、評価、検証を実施し、フォローアップをしてきているところでございます。こうした産業界による自主的な取組を推進し、地球温暖化対策を着実に進めてまいりたいと考えております。

#119
○音喜多駿君 日本の産業界の自主的な取組については、経産省もサポートし、高い評価をしているということだと思います。
 一方で、先ほど来申し上げておりますように、国際的には、国内でも残念ながらなかなか評価されていないという現状があるわけですから、こうした産業界の自主的な取組による貢献について、多言語での発信も含め国際社会に積極的にアピールしていくべきと考えますが、この点、政府の今後の取組についてお伺いいたします。

#120
○政府参考人(飯田祐二君) そうした努力は大事だと思っておりまして、経産省におきましては、低炭素社会実行計画に関する英文パンフレットの作成ですとか、同計画に基づく削減状況を紹介する英語のウエブサイトを立ち上げまして、国際的な発信に努めてまいっているところでございます。
 それから、経団連御自身もCOPにも参加いたしまして、例えばグローバルバリューチェーンを通じて世界のCO2削減に貢献できているようなことをCOPの場でPRするなど、COPの場を通じて政府、産業界一体でPRをしてきているところでございます。
 本年は、低炭素社会実行計画の二つのフェーズのうち二〇二〇年を目標とするフェーズ1が終了する区切りの年でございまして、この成果の総括も含めまして、積極的に国際的なPRを進めてまいりたいと考えております。

#121
○音喜多駿君 是非、速報性、随時性を持たせてどんどん発信をしていただきたいと要望いたします。
 最後に、今まで見てきたように、現状の税制と産業界の取組に照らせば、既に国際的に高い水準で日本は削減努力をしており、かつ、こうしたコロナ禍の状況において、現状でこれ以上、カーボンプライシング、炭素税導入などについては慎重に検討を進めていくべきと考えますが、政府の見解をお伺いいたします。

#122
○政府参考人(上田康治君) お答えいたします。
 環境省としては、カーボンプライシングについて、脱炭素社会の構築に向けて経済全体での取組を進めるための手法の一つとして検討しており、現在、中央環境審議会において、専門的、技術的な御審議をいただいているところでございます。
 環境省としても、産業界が様々な削減努力を講じていること、またカーボンプライシングの導入に慎重な意見があることは承知しておりますが、カーボンプライシングは、脱炭素社会づくりと新たな経済成長を目指し、社会を変革するための歯車を回していくためのドライバーとして有力な政策ツールの一つと考えており、その可能性を追求するという姿勢は変わらないところでございます。
 他方、新型コロナウイルスが経済社会に大きな影響を与えていること、これは重く受け止める必要があり、今一番大切なことは、感染拡大リスクを下げながら経済社会の回復をいち早く目指していくことと認識しております。
 その際に、環境への対応がおろそかになってはいけないことは言うまでもないことでありまして、カーボンプライシングの導入については、こうした経済の状況をよく見極めつつ、また慎重な御意見とも真摯に向き合い、各方面との対話を重ねながら、引き続き丁寧に議論を進めていきたいと考えております。

#123
○音喜多駿君 時間が参りました。
 やはり今この景気が後退局面に明らかに入っているという中で、これはもちろん国際貢献は重要ではありますけれども、これはもう増税の一種になりますから、この点はほかの方法でしっかり国際協調を考えていきながらも、増税というのは慎重であるべきということを申し上げまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

#124
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
 関西電力高浜、大飯、美浜の三原発の火山灰対策について伺います。
 想定を超える火山灰が降りますと、非常用発電機の吸気フィルターが目詰まりを起こすなど、深刻な事態が生じます。施設の設計上重要な問題かと思います。
 規制委員会は、二〇一八年十一月、鳥取県の大山の八万年前の噴火規模が従来の評価の十倍という知見を踏まえて、三つの原発で火山灰が堆積する厚さの再評価を求めることとしました。これ、大山からは約二百キロ、関電は厚さは十センチと想定しておりましたが、同じ距離にある京都市左京区越畑で三十センチの火山灰層厚が確認されたことを受けてのものです。
 関電が再評価を経て昨年九月に行った設置変更許可申請では、資料一ページにありますが、美浜で十五センチ、高浜で二十五センチ、大飯で二十二センチとされました。その後、審査はどうなっているでしょうか。

#125
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
 今御質問にありました大山生竹テフラの噴出規模見直しに伴う火山灰の影響評価につきましては、これまで四回の審査会合を開催したところであります。これまでの審査では、まず、原子力規制委員会が指示したDNPの噴出規模が十一立方キロメートルと見込まれることを前提に、関西電力が行った火山灰シミュレーション結果の妥当性について審議したところであります。
 現在、このシミュレーション結果及び越畑地点での最大層厚二十五センチという現地調査結果に基づき、関西電力が示した各発電所における最大層厚の妥当性について審査をしているところでございます。

#126
○山添拓君 まだその妥当性が確認されていないということであります。関電の想定より実際にはもっと多かったのではないかと、こういうことも含めて懸念をされている。
 資料二枚目を御覧ください。
 対策を求めるに当たって、更田委員長らが、委員会に先立つ非公開の会議で意思決定していたことが毎日新聞で報じられました。
 二〇一八年十二月六日に開かれた会議に、更田委員長や石渡委員、規制庁長官ら十一名が出席をし、その際、丸数字で書かれていますが、①文書指導で設置変更許可申請を促す文書指導案と、②規制委員会としての判断を先送りし、関電に火山灰想定の再評価を命じる再評価命令案、その二案併記の資料が配られ、委員長の主導で②案に決まったとされています。不透明な意思決定は、それ自体、私も問題だと思います。
 今日伺いますのは、委員長はこの時点で、基準不適合、設計変更の許可申請は避けられないと、こういう認識だったんでしょうか。

#127
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
 大山生竹テフラの噴出規模の見直しに伴う規制上の対応を行うに当たっては、まず、噴出規模の見直しに伴う関西電力の各原子力発電所への影響を評価することが不可欠でありました。で、この時点では、DNPの噴出規模が大きくなると見込まれても、若狭湾の各サイトへの影響はそれぞれの降灰量を評価しなければ分からないため、その時点では設置変更許可申請を命じることはできませんでした。

#128
○山添拓君 ただし、噴出量が大幅に大きくなる、そのために設置変更許可の前提条件に有意な変更を生ずる可能性がある、こう考えていたのは事実ですね。

#129
○政府特別補佐人(更田豊志君) これは、平成三十年の十一月二十一日の規制委員会並びにその会見で申し上げたことですけれども、噴出規模が変わるのであれば、当然のことながら、層厚は変化する、有意な変化が起こるであろうということの認識は持っておりました。

#130
○山添拓君 ですから、変化し得るだろうと、そういう判断に、認識に立たれていたわけですが、その後、既に一年半にわたって基準に適合しない原発が稼働を続けているということになるわけです。
 公表されている音声によれば、委員長は、①の方がすっきりするが、法務上難しいのは私にも分かる、こう述べています。法務上難しいというのはどういう意味ですか。

#131
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
 先ほど御答弁しましたけれども、その時点では、まだ層厚や各発電所における降灰量の評価はなされていないわけです。その状態で基準に適合していないという認定をするというのは、事実、その評価結果が出ていない時点で基準に適合していないという認定は、規制委員会としては、規制委員会としてそういった判断をすることは難しいという意味で述べたのであろうと思います。

#132
○山添拓君 単なる法律の適用問題だけではなくて、更に続けて、差止め訴訟なんかだと基準に不適合という論理を生みやすいんだろうな、こういうふうにも述べられて、これを避けるために②案を選んでおられます。これは事業者の立場をおもんぱかったものと捉えられても仕方ない発言だと思うんですね。
 これ、なぜ規制委員会がこんなことを考慮するんですか。

#133
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
 差止め訴訟、取消し訴訟、私は技術屋ですので、そういった用語の使い方に関して不適切な部分があったのでは、あろうとは思いますけれども、ただ、そもそもこの大山生竹テフラの調査を行って噴出量の規模想定を見直そうとしたのは原子力規制委員会で、原子力規制委員会が始めたことであります。
 したがいまして、このこと、この噴出量の見直しに伴う降灰量の変化に関する規制強化に関して原子力規制委員会が事業者の立場をおもんばかるということは全くございません。

#134
○山添拓君 ところが、音声データでは、複数回、差止めと言っています。文脈からしても、これは住民からの民事の差止めを言っているのは明らかだと思うんです。そうであれば、規制行政としてはあるまじきことだと指摘しなければなりません。
 現在、関電も設置変更許可が必要だとしてその申請をし、むしろその関電の想定が甘いかもしれない、こういう状況かと思います。基準不適合であることは明らかです。
 ところが、大山は活火山ではないから止めなくてもよい、こういう判断をされています。それはなぜですか。

#135
○政府特別補佐人(更田豊志君) まず、その火山の噴出規模の見直しが、これが科学的に妥当であろう、規制に参酌すべき情報であろうという認定があります。その認定の上に立って今度は、噴出量を変えたシミュレーションによって今度は層厚を評価をしていきます。
 しかしながら、大山火山が活火山ではないということは気象庁や火山噴火予知連絡会において既に公にされており、さらに現在の許可、これまでに行った許可においても層厚の想定の際に非常に大きな余裕を見込んでいることから、この件に関しては即座に原子炉の停止を求めるというような事案ではないというふうに判断をいたしました。

#136
○山添拓君 規制委員会の火山に対する安全性評価を定めた火山ガイドでは、活火山でなくても将来活動可能性があるような火山は対策するように求めているんじゃないですか。

#137
○政府特別補佐人(更田豊志君) そのとおりです。

#138
○山添拓君 ですから、活火山かどうかということは、安全設計上は区別がないわけです。
 ところが、活火山でないということで、大山は活火山じゃないから関電は止めなくてよい、これは矛盾しているんじゃないでしょうか。

#139
○政府特別補佐人(更田豊志君) 活火山じゃないということは、対策を求めないということにつながらない、直接つながるものではないと……(発言する者あり)そのとおりです。
 ですからこそ、一定の火山活動を想定して、火山降灰に対する対策を各原子力発電所に対して求めています。そして、それに対して変化を必要とするような知見が求めるときには更に規制を強化をしていきます。しかしながら、その強化に当たっては、一定の対処するための期間を設けるというのが原子力規制委員会の考え方であります。

#140
○山添拓君 一定の猶予を与えるということでありました。
 関電は、層厚の想定が変わっても追加対策は不要だと、こう判断をして、今も稼働を続けているわけです。新たな知見、火山灰の規模が、火山の噴火規模がより大きく、層厚がより厚くなるという新たな知見によって、安全基準を満たしていないと分かっていても止めないと。
 先ほど来お話ありますように、福島第一事故後にせっかく導入されたバックフィットが、これでは機能不全だと言われても仕方ないんじゃありませんか。

#141
○政府特別補佐人(更田豊志君) これは全て国会でもお答えをしていることですけれども、規制の強化が必要だという新たな情報が得られた際に、強化が必要だとなった時点で原子炉の停止を命ずるというような、小さな変化、大きな変化にかかわらず一律に停止を求めるというような判断というのは、継続的な改善をかえって阻害するものだというふうに考えております。

#142
○山添拓君 では、この関西電力に対して、いつまでにその対策を終えるように求めていますか。

#143
○政府特別補佐人(更田豊志君) これは現在審査をしているところでありますけれども、層厚の変化、十センチから二十五センチという変化の影響等を考えた上でその対策を、対策期間を設けていくということになるというふうに考えております。

#144
○山添拓君 つまり、それは期限を切って対策を求めるということではないと。今、設置変更許可の申請が来ていますから、その審査を行い、再評価を場合によっては求めて、そして審査の結果を踏まえて対策は取られるかもしれないけれども、少なくともその間は稼働を続けてよいと、こういうことになっているわけですね。
 それでは、いつになったら安全基準を満たしたものになるのか全く不明確ということではないですか。

#145
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
 これは、特定重大事故等対処施設の設置を求めたときの期限の厳守を求めたのと同様に、期限を設けずにずるずるとということにはいかないだろうというふうには原子力規制委員会としても考えております。
 したがいまして、いずれかの時点において一定の期限というものを関西電力に対して示すということは必要であろうと思っていますし、また、いたずらにその期間が長くてよいというものではないというふうに考えております。

#146
○山添拓君 いたずらにということではないとお話ありましたけれども、新たな知見が得られてから既に一年半が経過しているわけです。これは、どうせすぐには噴火しないだろう、そういう、私は、これは新たな安全神話に陥っていると指摘したいと思うんです。大津波は想定しないと決め込んでいたあの福島第一と同様の事態をこれは招きかねない問題です。
 次に、五月十三日に新基準に適合していると認めた六ケ所村の核燃料再処理施設について伺います。
 再処理の工程では、使用済核燃料を解体し、化学的に処理し、プルトニウムとウランを取り出し、高レベル廃棄物が生じます。プルトニウムをMOX燃料にして再び使うプルサーマルですが、さらに高次化プルトニウムという使用済燃料問題が生じます。規制委員会は、今回、エネルギー基本計画との整合性について、経産大臣への意見照会を行っています。エネルギー基本計画には、高レベル放射性廃棄物の減容化、有害度低減等の観点から、使用済燃料を再処理し、核燃サイクルを推進する、このように記されております。
 そこで、経産省に伺いますけれども、高レベル放射性廃棄物や使用済MOX燃料は、今原発から発生する使用済核燃料より有害度が低いんですか。

#147
○政府参考人(覺道崇文君) お答えを申し上げます。
 今御指摘のあったエネルギー基本計画では、高レベル放射性廃棄物の減容、まあ量の減少、あるいは放射能レベルの低減、資源の有効利用の観点から核燃料サイクルを推進するとしております。
 それで、核燃料サイクルを推進するメリットの一つとして今申し上げた点があるわけですけれども、これは一般の軽水炉から使用済燃料が出ますけれども、そのままの状態で全て高レベル廃棄物として処理するよりは、再処理をしてガラス固化体に、本当のそのガラス固化体だけ高レベル廃棄物としてまたその再利用できるウラン、プルトニウムを回収する方が今申し上げたようなメリットが得られるということに基づいて核燃料サイクルを推進しているということでございます。

#148
○山添拓君 より安全になるかのような発言は、私はちょっと信じ難いような気がいたします。
 よく、原発の安全性について、五重の防護ということが言われると思います。その最終段階は、燃料棒の被覆管やあるいはペレット、こういうもので囲まれているから安全だというわけですが、再処理施設の場合には、工場に入るなり燃料棒の被覆管というのは切断されるわけです。ペレットは硝酸で溶解されてしまうわけです。裸の放射能が工場内を流れるわけです。そのために容器や配管は硝酸でしばしば腐食をしたり漏えいしたりする、異質の危険を持っているのが再処理施設だと。ところが、その方がむしろ有害度が軽減されると。これはちょっと信じ難いと思います。
 規制庁に伺いますが、現在、六ケ所では使用済核燃料と高レベル廃棄物、どのぐらい保管していますか。

#149
○政府参考人(金子修一君) お答え申し上げます。
 六ケ所の再処理施設に保管されているまず使用済燃料でございますけれども、令和元年度末現在で一万二千六十九体、貯蔵容量が一万二千二百二十八体となってございます。ガラス固化体貯蔵設備に保管されているガラス固化体は、現在三百四十六本、貯蔵容量が三千百九十五本でございます。また、海外から返還されたガラス固化体もございます。これが貯蔵量が現在千八百三十本、貯蔵容量は二千八百八十本であると承知しております。

#150
○山添拓君 今、後半におっしゃった高レベル廃棄物というのは、これは人が近づけば二十秒で死ぬと言われて、十万年たたないと安全な状態にならない極めて危険なものです。
 伺いますけど、最終処分先は決まっていませんね。

#151
○政府参考人(覺道崇文君) 高レベル放射性廃棄物の最終処分先については、現在決まっているものではございませんで、まさにその処分地を決めるべく、政府としても取り組んでいるところでございます。

#152
○山添拓君 六ケ所で中間貯蔵を続けるということになるわけです。
 この六ケ所に影響し得る火山に十和田カルデラがあります。資料の四ページです。約三万五千年前の大不動火砕流は、下線を引いておりますが、敷地に到達した可能性が高いと。
 資料の五ページ、一万五千五百年前の八戸火砕流は敷地に到達したと判断されるとしています。これは原燃の資料です。現に敷地まで火砕流が到達したことが過去あるわけです。ところが、規制委員会は、こうした巨大噴火は差し迫った状態ではない、施設の運用期間中に巨大噴火の可能性を示す具体的な根拠はないとしています。
 まず、規制庁に伺いますけど、ここで言っている施設の運用期間というのは何年ですか。

#153
○政府特別補佐人(更田豊志君) 原子力発電所でも同様かもしれませんけど、一概に再処理施設の運用期間というものを明確にしているわけではないというふうに理解をしておりますけれども、日本原燃の示しているところによりますと、再処理施設は操業から廃止措置まで約八十年というふうに聞いております。

#154
○山添拓君 資料の六ページにお示ししています。実に八十年なんですね。
 今委員長、ちらっとおっしゃいましたけれども、政府としてはその運用期間を定めているわけではないということですね。

#155
○政府参考人(覺道崇文君) あくまで日本原燃が提示をしているということになります。

#156
○山添拓君 政府としての運用期間の定めはないということですね。

#157
○政府参考人(覺道崇文君) ございません。

#158
○山添拓君 原発は、四十年だとか二十年延長だとかそういう話がありましたけれども、再処理施設は、いつまで残すかということについて定めもないわけです。
 日本原燃は、現在は巨大噴火が可能なマグマだまりが存在する可能性が小さく、マグマの移動、上昇を示す兆候はない、だから現時点では差し迫っていないとしています。しかし、いつどのようにカルデラが形成に向かうか、大規模噴火に至るか、これは学者も説明できないと言っています。にもかかわらず、操業から八十年にわたって巨大噴火が発生することはない。
 委員長、これ、どうしてそう言えるんですか。

#159
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えします。
 この十和田の巨大噴火の可能性評価については、火山学の知見に照らした調査を尽くした上で、十和田における巨大噴火の活動間隔、最後の巨大噴火からの経過時間、現在のマグマだまりの状況、そして地殻変動の観測データなどから総合的な評価を行いました。
 具体的には、今先生おっしゃった地球物理学的調査、それからマグマの移動、活動等に関する兆候等を確認し、巨大噴火の可能性は十分に小さいと判断をしたものであります。

#160
○山添拓君 今委員長がおっしゃったのは、現在差し迫った兆候が見られない、そうした科学的な根拠はないと、そういう指摘だと思うんです。
 現在差し迫った危険がないということはそうかもしれない。しかし、だからといって、百年近く先までその可能性はないんだと、こう判断できるのでしょうか。これは昨年末に改定をされた火山ガイド自体に問題があると思います。現在の知見に照らして現在の火山の状態を評価するとしています。これでなぜ将来にわたって、将来の運用期間中にわたって大丈夫だと言えるのか。
 なぜ大丈夫だと言えるんですか。

#161
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
 いわゆる火山学における差し迫ったという期間とそれから運用期間の考え方ですが、運用期間もオーダーとして百年のオーダー、数十年のオーダーであります。一方、火山学における差し迫った兆候云々というのはもっと大きなオーダーのものであるというふうに理解をしています。

#162
○山添拓君 つまり、この先四十年、六十年、あるいは八十年、再処理施設の場合の八十年、こういう期間については、今差し迫っていなければ運用期間中起こることはないのだと、こういう知見があるということなんですね。
 今差し迫った状況でないと確認されれば百年間起こることはない、これが得られている知見だと、こういう説明ですか。

#163
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えいたします。
 繰り返しになりますけれども、審査においては、火山学の知見に照らした調査を尽くした上で、検討対象火山、この場合は十和田ですが、巨大噴火の活動間隔、巨大噴火からの経過期間、マグマだまりの状況、地殻変動の観測データ等から総合的に、運用期間中に巨大噴火の発生の可能性は十分に低いという判断をしたものであります。

#164
○山添拓君 そのような科学的な知見がどこかにあるわけですか。火山学の知見から今差し迫っていないと言えれば、将来、施設の運用期間にわたってそのような噴火が起こることはない、こういうことが示されているんですか。そのような火山学の知見は現在示されていないんじゃありませんか。

#165
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
 巨大噴火が差し迫った状態であるというふうに判断をしたのであれば、許可をするような、まあまだ再処理施設については許可に至っているわけではありませんけれども、差し迫った状態であるという科学的な判断をしたのであれば、許可はいたしません。

#166
○山添拓君 ちょっと私の聞いたことと違うことをお答えになっていますが。
 では、別の角度で伺います。
 火山による影響評価というのは、検討対象の火山の過去最大の噴火規模を前提として行うべきだとされています。ところが、巨大噴火については知見がないので、差し迫っているというふうには認めないわけです。そういう例はないわけです。
 火山ガイドは、その巨大噴火の場合に、巨大噴火については差し迫っていないので評価しなくてよい、その代わりに最後の巨大噴火以降の最大の噴火規模でよいのだというふうに規定しています。すると、巨大噴火の後の最後の最大噴火ということになりますと、極端に小さい噴火となることもあるわけです。巨大噴火と最後の噴火と、なぜその中間が起こり得ないと言い切れるのか。火山には不明な知見が多いわけです。
 巨大噴火後の既往最大だけを対象とすればよいとしているその理由は何ですか。

#167
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
 噴火を想定してその降灰であるとかそういった影響評価を求めているのは、巨大噴火後の既往最大というのはそのとおりです。
 したがって、しかしながら、火山学には残念ながら不確かさも存在することは事実ですので、その想定された層厚であるとか密度に対して十分な保守性を加えた上での設計というものを認可ないし許可をしております。

#168
○山添拓君 保守性を加えたといいつつも、しかし、巨大噴火の後の既往最大を考慮するだけで構わない、巨大噴火の可能性については無視してよいと。そうなりますと、この立地評価というのは、つまり立地できるかどうか、その評価はもうほとんど機能しない、このガイドで立地不適だとなるようなケースはほとんど想定し得ないということになってしまうと思います。
 原燃は、火山活動のモニタリングをすると言っています。モニタリングで巨大噴火の兆候が確認されればどうすると言っていますか。保管している使用済核燃料やガラス固化体、高レベル廃棄物をどこへどうやって運び出すと言っていますか。

#169
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えいたします。
 現時点までにおきまして、巨大噴火が差し迫った、そして原子力発電所における停止に相当するような措置をとらなければならなくなったときに、使用済燃料を、保管している使用済燃料ないしはガラス固化体を運び出すという話は、日本原燃からこれまでのところ聞いておりません。

#170
○山添拓君 つまり、決められていないということなんですよ。
 何か起こった場合に備えてモニタリングをしているという、今はそれは兆候が見られないので許可を与えるとしても、モニタリングをして何か兆候が出てきたら対策を取るということに火山ガイド上も日本原燃の申請上もなっているはずなんですけれども、そのとき何をするかということは決められていないわけです。いや、搬出する方法もその行き場もありません。使用済核燃料を搬送できる船というのは日本に二隻しかないと言われています。ガラス固化体の輸送船は日本に一つもありません。高レベル廃棄物に至っては、そもそも運び出すことが想定もされていない代物であります。
 時間ですので終わりますけれども、六ケ所再処理施設は、九七年に完成予定だったものが二十四回延期をされ、建設費と追加安全対策費、合計二兆九千億円、当初の四倍に上って、いまだに見通しが立っていません。これはもうやめるべきだと、核燃サイクルにしがみつく政治は変えるべきだということを指摘をして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

#171
○嘉田由紀子君 碧水会の嘉田でございます。少数会派にも時間をお分けいただきまして、ありがとうございます。
 まず、岩井議員にお礼を申し上げたいんですけれども、先回、私が大飯原発の樋口裁判長のこの地震に対する耐震の数値を比較させていただきました。そのときに、一般の建物と原子力発電所では比較にならないんだと、比較する対象が異なるということを更田委員長がお答えいただいたんですけど、今日、岩井議員が見事な図にしていただいたので、これの方が分かりやすいと思います。私も、地震の中身について、その分野の専門家ではありませんので、この図は大変分かりやすい。
 それから、もう一点。ゼロリスクはないんだと、確率論的なリスクアセスメント、NRCが言っている、これも私は大変大事な視点だと思っております。私自身も科学者の端くれですので、このゼロリスクはないと、確率論的なリスクアセスメント、そういう立場で、実はこの原発問題にも地元の知事として立ち向かってまいりました。
 ということで、今日またこの議論を、今日、更田委員長いてくださいますので、一般の皆さんに。では、原発の施設というのは全てしっかりと岩盤の上に建っているのか。大飯の三、四号機のときに議論したんですけれども、昭和四十年代に大飯原発を造ったときに、果たしてここまできちんと規制があったのか。
 これは質問通告していませんので今日お答えいただかなくて結構ですけど、私が当時、昭和四十年代の大飯の原発立地の調査を遡ってやったときにこの岩盤規制のことはほとんど出てこなかったので、当時も申し上げましたけれども、農業が、米が余ってきて、そして大飯町としてはどういうふうに産業を、生業を成り立たせるかというときに原発誘致しようと、隠れ田というところに原発を誘致しようというようなことを地元でも伺っておりましたので、果たして大飯原発が昭和四十年代、そこまで、岩盤までしっかり届くような建物になっているのか。これはまた後ほど教えていただけたら結構です。今日は通達をしておりませんので。
 今日通達しておりますのは、まさに岩井議員がおっしゃっておられたPRAですね、ゼロリスクはないんだということで、そして今日のこの資料の中で、安全目標の考え方、守るべき対象は何かと。もちろん機器そのものが安全に建築されなければいけない、それは当然なんですけれども。私は、あの三・一一の事故の後、当時、滋賀県知事現職でありまして、プラントの安全性の議論がたくさんなされるんですけど、じゃ、それが万一、放射性物質が大気に出て、それが地域に、水に、生き物に到達したときに、私たちの人命や健康や環境や社会活動、どうなるのかと。これをきちんと把握するのが言わば知事の、地元の責任者だろうということで、アセスメントをさせていただきました。
 今日、資料をまず出させていただいておりますけれども、一として、これはシミュレーションの元々の精緻なところを書かせていただいていないんですけれども、また、出典を嘉田事務所にて作成とありますけど、これ、滋賀県で行ったシミュレーションの結果をこちらに持ってきたものです。ですから、滋賀県資料を基に嘉田事務所で作成ということですけど。
 まずは、二〇一一年の福島の事故の後、万一、若狭湾岸で福島並みの事故が起きたらどうなるのかということを、当時はUPZ三十キロとコンパスで引いて決められていたんですけど、大気や流れ方というのは、風の方向やあるいは地形によっても変わります。そういうふうな形で、風やあるいは地形の条件を加味した形で福島並みの事故が起きたときに、滋賀県にあるいは琵琶湖にどういう影響があるかということをシミュレーションいたしました。
 これは本来、国にやってほしいということで、SPEEDIのデータがありますので国の方にお願いしたんですけれども、立地地元は福井県です。滋賀は、たった十数キロなんですけれども、地元ではないのでこういうデータは出せないと言われたので、滋賀県が環境科学研究センターという研究所を持っておりましたので、そこを中心にしながら、県独自で放射性物質の拡散予測シミュレーションをさせていただきました。その結果、三十キロという単なる地理的な距離ではなく、例えば敦賀からは四十三キロ、美浜から四十二キロ、大飯から三十二キロという範囲のところが避難をしなければいけないという基準の対象になってまいりました。
 それで、今日まず最初の質問ですけれども、避難体制をどう取るかということで、二〇一一年から内閣府さん、皆さんと一緒に滋賀県もやってきたんですけど、まず、万一のときのゼロリスクではないそのときに、守るべき人の命やあるいは暮らし、どうするかということで、避難訓練もやってまいりましたけれども、四点、かなり技術的なことなんですけれども、内閣府さんの方にお伺いしたいと思います。
 まず一点目は、情報共有です。いざ事故が起きたときに、SPEEDIデータは使わず、計測データによる避難指示をするということですが、これが本当に住民の人たちに徹底できるかという点。
 二点目は、避難計画の交通上の実効性でございます。地震だけではなく、それこそ大雪だったり、いろいろございます。特に、一番近いところ、高島市というところは山の中で、奥の方は道路が一本しかありません。去年の実は台風のときでもその道路が一本切れて、それで一週間ほど孤立するということもございました。ですから、この避難計画の交通上の実効性を内閣府さんの方にお伺いしたいと。
 それから三点目は、ヨウ素剤の配布でございます。先ほど来、放射性ヨウ素の話出ていますけれども、配布と服用手順がどうなっているか。地元では、ふだんから置いておいてほしいと、自分の家に置いて、そして、特に子供さんの場合にはそこで服用できるようにしたいという住民の方もおられれば、いや、それはよく分からないから、お医者さんや薬剤師さんに聞いてからということで、市役所でキープしてほしいと、いろいろな意見がございますけれども、ここについてはどういう方針をお持ちか。
 そして四点目ですけれども、重大事故のときの指揮系統の問題です。原子力災害対策特別措置法では、国の対策本部が地元市町村に対して指示をするということになっております。福島原発事故のときには菅総理大臣が直接指示をしておられました。一方、災害対策基本法では、国の指示ではなく市町村の指示、判断ということになっております。この点について、どうこの指揮系統の混乱を防ぐのかと。
 この四点について伺えたらと思います。よろしくお願いします。

#172
○大臣政務官(加藤鮎子君) 今御質問いただきました四点についてお答えをさせていただきます。
 原子力規制委員会では、福島第一原子力発電所事故等の教訓等から、放射性物質の放出時期や放出量を事故発生時に予測することはできないため、SPEEDIのような拡散計算による予測結果には信頼性がないとしております。
 そのため、原子力規制委員会が定める原子力災害対策指針におきましては、放射性物質の放出前には、原発からおおむね五キロメートル圏内では予防的に避難をすること、おおむね五キロから三十キロ圏内では放出に備えて屋内退避をすること、そして、放出後には、モニタリングの実測値に基づき、基準値を超えるような区域については一時移転等を行うことが最も合理的な防護策としております。
 こうした防護策を確実に実施するためには、住民の方々の理解と協力が必要不可欠であります。実際にいつ放射性物質が放出するか分からない中でいたずらに屋外へ出て避難を開始してしまうと、例えば渋滞により身動きが取れなくなり、かえって被曝するおそれがあります。また、無理に避難することで健康リスクが高まるおそれもございます。
 このため、引き続き、関係自治体と一体となって、説明会の開催等の普及啓発や地域の防災計画に基づく訓練を行い、屋内退避の考え方や適切な避難の方法等の定着を図ってまいります。
 二点目の御質問でありますが、交通上の実効性についてでございます。
 滋賀県の高島市の朽木地区では、大飯原発、大飯発電所からおおむね五キロから三十キロ圏内、いわゆるUPZの区域の中に位置しております。大飯原発で事故が発生し、放射性物質が放出する前の全面緊急事態となった場合は、まず屋内退避を行うとしております。その後、放射性物質が放出され、モニタリングの実施値が基準値を超えたため住民避難等の指示が出た場合には、一時移転等を実施することといたしております。
 議員の御指摘のとおりに、交通上の実効性が心配される例えば朽木地区は山間地でありまして、自然災害の発生等によって孤立するおそれがある地域ではあります。
 そのため、二〇一七年に取りまとめました地域全体の避難計画も含む大飯地域の緊急時対応においても、当該地区において孤立した場合にはどの避難経路を重点的に復旧するのか、どのヘリポートを使って空路避難をするのかといった、孤立した場合の対応をあらかじめ定めております。また、二〇一八年八月に実施した原子力総合防災訓練におきましても、当該地区が孤立する想定でヘリコプターによる空路避難の訓練などを実施し、計画の実効性の確認を行ったところであります。
 原子力防災、原子力災害への備えに終わりや完璧はないということから、引き続き、関係自治体と一体となって更なる改善を継続的に取り組んでまいります。
 また、三点目の御質問であります。
 安定ヨウ素剤についてであります。
 原子力規制委員会の定める原子力災害対策指針では、原発からおおむね五キロ圏内においては安定ヨウ素剤の事前配布を行うことと、そういうふうにしておりますけれども、必ずしもこの地域に限定するものではありません。例えば、原発からおおむね五キロから三十キロ圏内、UPZ内においても、緊急配布の受取の負担を考慮した場合に、事前配布によって一時移転等が一層円滑になることが想定される地域では、住民に対する事前配布は可能でございます。これについては、今年二月、関係道府県に改めて周知をさせていただいたところであります。
 今後、国としても、今申し上げたような地域におきましては、当該自治体が事前配布を必要とすると判断する場合には必要な支援をしてまいる所存でございます。
 最後、四点目でございますけれども、原子力災害対策本部や非常災害対策本部の連携についてでございます。
 複合災害時は、原子力災害の担当部局と自然災害の担当部局が連携をし、役割分担を行い対応することが政府の防災基本計画に位置付けられているところであります。
 例えば、情報共有や意思決定の一元化を図るため、原子力災害対策本部と非常災害対策本部との合同会議を開催することとなっております。また、原子力災害対策本部事務局の実動対処を担当する要員は非常災害対策本部事務局の要員と併任となり、非常災害対策本部事務局内において関係省庁との連絡調整を一体的に行うなど、合同でオペレーションを行うこととなります。さらに、現地におきましては、双方の現地対策本部の情報共有や連携を円滑に行うために相互に情報連絡要員を派遣をいたします。このように、中央だけでなく、現地レベルでも両本部での連携を図りながら地方自治体への指示等を行うこととしてございます。
 今後とも、訓練等を通じて、こうした対応の運用改善を行い、自然災害の担当部局との連携を強化してまいりたいと思います。
 以上です。

#173
○嘉田由紀子君 政務官、御丁寧にありがとうございます。
 実は、三・一一以前は原発事故はないものと思われていたので、避難訓練どころか情報さえ滋賀県には来なかったんです。そういう意味で、ゼロリスクを前提にしていたということで、福島では周辺の人たちもそれで大変被害が拡大したということがございますので、私どもは常に備えるということが大事だと思います。
 それから、もう一点は、事前にやっていないことは、いざ事故が起きたときにできません。事前に十やっていても、いざ事故が起きたときに五とか四とか三、それはもう皆さん行政の現場で御経験済みだと思いますけれども、ここは、私、同じ立場でおられた高橋知事、北海道で、本当に知事というのは全部のところを目配りしなきゃいけないので、もう念には念を入れて避難体制というのはふだんから検討しと。そして、地元の住民の皆さんと訓練をしていくということが大事だと思います。この間、ヘリコプターで朽木から避難をしていただいた。あれ、地元の人もとても喜んでいました。あそこまでちゃんと避難体制をつくってくれる、それをこれからも是非お願いをしたいと思います。
 それから、二点目ですけれども、原子力災害時の飲料水の確保でございます。
 これについては、今日、資料をお出ししておりますけれども、二、三、四と出しておりますが、まず二のところで、このシミュレーションをしたときに、福島並みの事故が起きたときに琵琶湖水質への影響予測、これはシミュレーションですから、パラメーターが変わると変わります。こういうふうになるおそれがあるというまさに確率、プロバビリティーでございます。そして、これで見ていただきますと、放射性ヨウ素の変化、セシウムの変化、特に放射性ヨウ素が百から百五十に高まっているのが七日から十日ぐらいでございます。
 実は、琵琶湖は、四ページ目に図を出しておりますけれども、琵琶湖水が配られている地域は、大阪の最南端、岬町まで。それから、神戸には、神戸市の北区、有馬温泉の蛇口をひねっても、まあそのときによって違うんですけど、二割から三割は琵琶湖の水です。そして、京都から滋賀県内、一千四百五十万人に日常的に水道水源、原水を供給をしております。
 私自身は四十年近く琵琶湖の水を研究してきて、何としてもこの赤潮問題から、生態系破壊から、そして水質をキープしたいと、皆さんで、滋賀挙げて研究をしてきて、実践もしてきたんですけど、この原発事故が起きるとあっという間にこの水源が汚染されてしまうということで、滋賀県の方、皆心配をしております。
 そして、次のページにありますように、水道水の管理目標値がありますが、特にセシウムは、水道の処理水、処理場でそれなりに取れるんです。八割とか九割、セシウムは吸着するんです。問題は放射性ヨウ素です。ヨウ素は、水溶性でなかなか吸着できないんです、処理場で。ということで、実は、思い出していただくと、例のあの二〇一一年の三月に放射性ヨウ素が東京都の金町浄水場から出たということで、かなりパニックになりました。あれもほんの一部です。それでもパニックになるくらいですから、かなり、万一、琵琶湖が汚染されたら大変だということで。
 水量を計算をしましたら、今、一千四百五十万人、プラス通勤通学で使っている人を入れると千七百万人。で、一日二リットル使うとして三千四百万リットル。あるいは、住民の人はうがいとか歯磨きなどでも使う。そうすると、これを五リットルと想定すると七千五百万リットル。両方で一億九百万リットルが一日に必要です。
 これは、今、日本中で供給されているボトル水が一年間で三百万キロリットルなんですけれども、計算をすると、単純に一年分のボトル水を全て集めても三十日弱しか供給できないということで、ここは厚労省さんに、あらかじめの備えとしてどういうふうな形で近畿圏における災害向けの飲料水が備蓄されているか、そして、万一その備蓄水が不足したときのサプライチェーンはどうなっているかということを、消防庁さんと厚労省さん、ちょっと時間がないんですが、まず前半消防庁さんに、後半厚労省さんにお願いをします。

#174
○会長(宮沢洋一君) 時間が来ておりますので、極めて短くお願いします。

#175
○政府参考人(小宮大一郎君) 消防庁が行っております調査で、昨年四月一日現在の滋賀、京都、大阪、兵庫の二府二県の府県及び市町村合計で、合わせて四百六十六万リットルとなっております。

#176
○政府参考人(浅沼一成君) お答えいたします。
 御指摘の水供給の課題につきましては、公益社団法人日本水道協会の平成二十九年度水道統計によりますと、周辺地域の水道事業者における地下水の取水実績は一日当たり十一億八千万リットルでございまして、飲用水等のみの水量としては十分であるというふうに認識しております。
 また、飲用水の供給方法につきましては、各水道事業者が日本水道協会等の関係団体と連携し、給水車等により実施することとなりますが、具体の給水方法につきましては、浄水場等から給水拠点までの距離や各箇所での必要水量の把握が必要となるため、避難計画が作成された段階で各水道事業者が具体的な検討を進めていくことになると承知しております。

#177
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
 ボトル水のストックが四百六十六万というと、一日で三千四百万ですから……

#178
○会長(宮沢洋一君) 嘉田由紀子君に申し上げます。時間が来ておりますので。

#179
○嘉田由紀子君 一割供給できないということで、またこの続きは是非具体的な計画にしていただけたらと思います。
 済みません、時間が過ぎてしまいました。
 以上で終わります。ありがとうございました。

#180
○会長(宮沢洋一君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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