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2020/05/20 第201回国会 参議院 第201回国会 参議院 本会議 第18号 令和2年5月20日
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2020/05/20 第201回国会 参議院

第201回国会 参議院 本会議 第18号 令和2年5月20日

#1
令和二年五月二十日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第十八号
  令和二年五月二十日
   午前十時開議
 第一 道路法等の一部を改正する法律案(内閣
  提出、衆議院送付)
 第二 地域における一般乗合旅客自動車運送事
  業及び銀行業に係る基盤的なサービスの提供
  の維持を図るための私的独占の禁止及び公正
  取引の確保に関する法律の特例に関する法律
  案(内閣提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、持続可能な運送サービスの提供の確保に資
  する取組を推進するための地域公共交通の活
  性化及び再生に関する法律等の一部を改正す
  る法律案(趣旨説明)
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────

#2
○議長(山東昭子君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 持続可能な運送サービスの提供の確保に資する取組を推進するための地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#3
○議長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。赤羽一嘉国土交通大臣。
   〔国務大臣赤羽一嘉君登壇、拍手〕

#4
○国務大臣(赤羽一嘉君) 持続可能な運送サービスの提供の確保に資する取組を推進するための地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 地方部を中心とした人口減少の本格化、運転者不足の深刻化等に伴って、公共交通サービスの維持確保が厳しさを増している中、高齢者の運転免許の返納が年々増加する等、地域の暮らしと産業を支える移動手段を確保することがますます重要になっております。加えて、交通ネットワークの充実等を図るために、地域経済社会の発展に資する交通インフラを着実に整備していくことも必要となっております。
 このような状況を踏まえ、全ての地域において持続可能な運送サービスの提供を確保するため、地方公共団体が、公共交通事業者等と連携し、最新技術等も活用しつつ、既存の公共交通サービスの改善充実に主体的に取り組むなど、地域の輸送資源を総動員する取組を推進する必要があります。
 このような趣旨から、この度この法律案を提案することとした次第です。
 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
 第一に、地方公共団体は、国が策定する基本方針に基づき、地域旅客運送サービスの持続可能な提供を確保するための計画を作成するよう努めなければならないこととしております。また、乗合バスの新規参入に係る地方公共団体への通知制度を創設し、地域公共交通サービスの維持確保に向けた議論を深めていただくこととしております。
 第二に、維持が困難となった旅客運送事業の路線等について、地域において多様な選択肢を検討、協議し、地方公共団体が公募により選定した者が地域に最適な旅客運送を実施する地域旅客運送サービス継続事業や、同一の車両を用いて旅客及び貨物の運送を併せて行う貨客運送効率化事業の制度を創設し、国の認定を受けたこれらの事業については、関係法律の特例措置等各種の支援措置を講ずることとしております。また、過疎地等で市町村等が行う自家用有償旅客運送について、地域住民のみならず観光客を含めた来訪者も対象として明確化するなど、その実施の円滑化を行うこととしております。
 第三に、利用者目線による路線、ダイヤの改善や運賃の設定などを促進するための地域公共交通利便増進事業の制度を創設することとしております。また、新たなモビリティーサービスである、いわゆるMaaSの全国への速やかな普及を促進するため、複数の公共交通事業者による運賃の設定に係る手続を簡素化する事業計画の認定制度や幅広い関係者で構成される協議会制度を創設することとしております。
 第四に、交通インフラに対する支援の充実を図るため、多様な関係者の連携による鉄道インフラや物流拠点の整備への資金の貸付けを行うことができることとしております。
 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────

#5
○議長(山東昭子君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。森屋隆さん。
   〔森屋隆君登壇、拍手〕

#6
○森屋隆君 立憲・国民.新緑風会・社民の森屋隆です。
 ただいま議題となりました地域公共交通活性化再生法改正法案について、会派を代表して質問をいたします。
 まずは、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになった多くの方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、現在闘病中の方々にお見舞いを申し上げます。感染症の終息に向けて、与野党一丸となって取り組んでいくことを申し上げる所存です。
 さて、まずは検察庁法改正案に、問題について触れざるを得ません。
 政府が準司法官である検察幹部人事に介入できる仕組みを国家公務員法改正案の中に潜り込ませる、いわゆる束ね法案で提出しました。政府のその手法もさることながら、検察幹部の定年延長基準すら示せない武田大臣、森大臣の答弁では到底納得ができません。三権分立を脅かすこの法案に対し、抗議、反対の声はツイッターにおいて各界の人が発信をし、一千万を超えました。
 国民の声に背を向けることができず、政府はついに検察庁法案の今国会での成立を断念されました。しかし、これがただの先送りでは意味がありません。時間が経過しても国民が忘れることはありません。私たち野党は、今後も特例延長の撤回まで、徹底的に闘い続けてまいります。
 そこで、安倍内閣の一員である赤羽国交大臣にあえてお伺いをいたします。
 与野党を問わずコロナ対策に集中すべきところ、無用で不急の法案で世論や国会を大混乱させた責任を、内閣の一員としてどうお感じになっているのでしょうか。誠実な御答弁をお聞かせください。
 法案の審議に当たり、冒頭に、公共交通機関の現場で働いてきた者として、まず二つの質問をいたします。
 一つ目は、二〇一三年に制定された交通政策基本法には、国、地方自治体の連携、協働による施策の推進が明記されているにもかかわらず、少子高齢化や過疎化という社会的構造変化の中で、不採算であっても全国の国民の足として継続してきた公共交通分野に対する政府の取組は、場当たり的であると言わざるを得ないということです。
 二〇一四年の地域公共交通活性化再生法改正において、政府は、地域の多様な主体の連携、協働によって地域公共交通を面的にネットワークとして維持していく方向に大きくかじを切ったはずです。それでも、二〇一八年までに路線バスは全路線の二%に当たる一万三千二百四十九キロが廃止され、地方鉄道は全国で八百七十九キロ、四十路線が廃止され、日本全国土の約三割が交通空白地帯です。人々の交通権を確保するための地域公共交通を、我が国の交通政策の中心に据えた施策の展開を求めたいと思いますが、国交大臣のお考えを伺います。
 二つ目は、公共交通部門で働く労働者の賃金の問題です。
 今回の緊急事態宣言下においても、公共交通労働者もその責務を果たすために厳しい状況の中で働き続けています。このような状況にかかわらず、自動車運転労働者は、長時間労働かつ低賃金であるという実態が長年にわたり続いています。
 例えば、バス運転者の年間所得は、二〇〇一年には全産業平均五百五十六万円より約十四万円少ない五百四十二万円でしたが、需給調整規制の撤廃後の二〇〇二年以降は一気に落ち込み、二〇〇四年から十五年以上も約百万円近くも落ち込んだまま推移しているのが実情であります。
 このような苦しみをもたらした需給規制の撤廃という過度な競争政策を是正し、少なくとも全産業平均並みの賃金に引き上げていくことが担い手不足を補うための最低条件と考えます。働き方改革が実施されたとはいえ、自動車運転労働者の労働規制の導入は四年も先のことです。
 このような現状がなぜ生まれたのかを踏まえ、自動車運転労働者の長時間労働の是正と賃金上昇に政府として今何が必要と考えているのか、国土交通大臣に御答弁をお願いします。
 次に、改正案の具体的な内容に入ります。
 国交大臣にお尋ねいたします。
 今回の改正では、地方公共団体による地域公共交通計画、いわゆるマスタープランの作成が努力義務化されることになっています。二〇一四年の地域公共交通活性化再生法改正時の政府のマスタープランの策定目標は、交通政策基本計画においてたったの百件という低さでした。現在、策定数は五百件を超えたものの、市町村全体の三分の一にも到達していません。その上、策定主体は単独市町村が圧倒的です。また、都道府県が策定団体となっている例は僅かであり、地域の公共交通のネットワークを広域的に連携させたとは言い難い状況です。
 市町村においては規模の小さな団体ほど交通分野の人材が著しく少ないか皆無のため、特に、都道府県の関与を求めることが重要であると思います。今後は、面的な広がりをつくり出せるよう、国が強力なリーダーシップを取って都道府県に働きかけるべきではないでしょうか。
 また、マスタープランの作成に当たっては、地方公共団体が地域のまちづくりと公共交通の確立を一体的に促進できるようになることも含めて、新たな担当部局の設置及び公共交通専任担当者の配置、育成のための支援を強化すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 さらに、地域の公共交通に関係する公共交通従事者の代表を地域公共交通の協議の場に加えることは不可欠と考えますが、政府の見解を伺います。
 今般、独占禁止法特例法案が国会に提出されており、カルテル規制の適用除外の創設の下、利用者の視点から地域公共交通利便増進事業が創設され、サービスの改善のための法改正がようやく一歩進んだように思えます。
 複数のバス会社がカルテルを結び、場合によっては事業者同士でいいとこ取りをするクリームスキミングを容認する場合もあるとのことですが、利用者の利便性を図ることと両立させるための制度的な担保はどのような仕組みとなっているのでしょうか。
 次に、政府が地域における輸送資源の総動員をうたっていることについてお尋ねします。
 地域における輸送資源とはどのようなものであるべきとお考えでしょうか。地域住民の移動手段として生活を支えてきた地域公共交通こそ、輸送資源の根幹に位置付けられるべきと思います。スクールバスや病院の送迎バスに頼らないで済むような交通政策が本来の姿であることから、引き続き、地域公共交通の根幹となるバス、タクシー、地域鉄道を支援していくことが基本にあるという理解でよろしいでしょうか。
 自家用有償旅客運送についてお尋ねします。
 今回の改正では、自家用有償旅客運送において、地域住民のみならず、観光客やその来訪者をことごとく運送の範囲に含むこととしております。さらに、交通事業者が協力して委託する仕組みも導入されますが、対価がタクシーの二分の一と低く、初期投資も安いことなどから、バスやタクシーの衰退に拍車を掛けるおそれはないのでしょうか。利用者の安全、安心を確保するため、利便性や効率性に偏重した安易な自家用車ライドシェアの導入を認めないことが明らかにされなければなりません。自家用有償旅客運送が無限に拡大されるものではないということを、この場で確認させていただきたいと思います。
 次に、新モビリティーサービスの創設についてお伺いいたします。
 MaaSは、モビリティー分野を超えて、圏域内の日常的なサービス、生活産業領域に拡大、深化していく可能性を有しています。特に、観光分野での貢献が期待できます。ユニバーサル社会の推進の観点からもMaaSに期待がなされています。もちろんMaaSを活用し、安心して安全に移動できることが前提となります。そのためにも、MaaSの初期投資や使用手数料に係る脆弱な地域交通機関への支援はもとより、移動の高付加価値化の在り方を検証するような事後チェックなどの的確な運用が求められていると思いますが、見解を伺います。
 また、地域公共交通を維持充実させることは、観光振興等の地域経済活性化につながるのみならず、さらには、まちづくり、健康、福祉、教育、環境等の様々な分野でも行政経費を削減できるクロスセクター効果がもたらすことが知られています。これを踏まえ、地方公共団体が相互にかつ広域的に連携し、そこに多様な主体が関わって利用者利便を増進し、かつ、新技術を活用したMaaSなどの新しい地域公共交通の取組が促進されることが重要であると考えています。
 特に、その取組を促進させるためには、地域公共交通利便増進事業又は新モビリティーサービス事業がそれぞれ発行する共通乗車船券に係る運賃、料金の割引原資に対する財政支援措置の制度化を検討する必要があるのではないでしょうか。
 また、持続可能な公共交通の維持のためには、従来の支援策では限界が見られつつあります。地域公共交通維持確保改善事業に加え、地方公共団体が地域公共交通に対して更なる取組が推進できるよう、普通交付税の基準財政需要額に地域公共交通の運行や維持を目的とした財政需要を位置付けるなど、根本的かつ恒久的な財政支援が必要であると思いますが、いかがでしょうか。
 ところで、人口減少が進み、中長期的な需要が減少する中、二〇〇二年に実施されたバス、タクシーにおける需給調整規制の撤廃は、全体的にはこの業界の需要喚起につながらず、経営環境や労働条件を悪化させました。それどころか、関越道高速ツアーバス事故や軽井沢スキーバス事故を始めとする多くの事故を発生させ、利用者の生命すら危険にさらす事態に至ったのです。
 原因はまさにここにあるにもかかわらず、政府は、需給調整規制の再導入については、時計の針は戻せないなどとこれを聖域化し、競争政策の根幹的な見直しを直視しようとしてきませんでした。安全対策の強化を始めとしてその代わりとなる制度は次々と導入されましたが、地域公共交通の衰退に歯止めを掛けることはできなかったのです。これは既に政府も御認識のことと存じます。そして今回、ついに本法案とともに利用者利益の確保をうたい、乗合バスを対象とした独占禁止法の特例を設けるまでの事態に至っているのです。
 結局、需給調整規制の行き着いた先がカルテルの解禁という、競争政策としては極めて矛盾に満ちた対応であり、まさにマッチポンプであると断ぜざるを得ません。もはやその意味を失っている需給調整規制の撤廃が長年影響し続けてきた弊害の大きさに対して、政府は改めてしっかりと向き合い、需給調整規制の再導入に向けた議論をすべきではないでしょうか。
 世界的なコロナ感染拡大の危機をきっかけに、政府は、このような非常事態においても国民が雇用や所得に不安を抱えぬよう、地域公共交通などの社会基盤を強化し、恒常的に地域と国民生活を守りながらも成り立っていくような経済政策を、競争とは別の観点から早急に再検討すべきであります。
 鉄道、バス、タクシーを始めとした交通事業やトラックなどの物流事業は、国民生活の生命線を握る社会基盤産業であります。これらの事業者が感染症により倒産し、サービスが途絶しないよう、必要があればさきの補正予算に更に追加して、政府としても万全の対策を講じていただくことについて国交大臣に御決意をお聞きし、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣赤羽一嘉君登壇、拍手〕

#7
○国務大臣(赤羽一嘉君) 森屋隆議員にお答えをいたします。
 まず、検察庁法改正案をめぐる問題についてお尋ねがありました。
 今般の検察庁法改正を含む国家公務員法等の一部を改正する法律案に関する国会での取扱いにつきましては、国会において御判断いただくことであり、かつ、これらの改正案について私の所管外でございますことから、国土交通大臣としてお答えすることは差し控えさせていただきます。
 なお、本日から地域公共交通活性化再生法の審議をお願いするわけでございますが、この法案とは別に、コロナ対策につきましては、国土交通大臣として、建設的な御意見については与野党問わずこれを支援策にしっかり反映させていただく考えでありますので、何とぞ御指導をよろしくお願いを申し上げます。
 次に、地域公共交通に関する施策の重要性についてお尋ねがございました。
 人口減少の本格化に伴う需要の縮小等により、公共交通サービスの維持確保が難しい状況となっておりますが、そうした中においても国民の皆様の日々の足を守ることが我が国の交通政策における重要な課題と認識をしております。そのため、本法案の新たな制度を活用しながら、地域公共交通に関する施策にしっかり取り組んでまいります。
 バス事業者等の自動車運転労働者の長時間労働の是正と賃金上昇についてお尋ねがございました。
 国土交通省といたしましては、地域の生活の足である乗合バスの担い手を将来になって確保していくためには、長時間労働の是正と賃金上昇によってバス運転手の待遇の改善を図ることが不可欠であり、労働生産性を向上させていく必要があると考えております。
 そのため、本法案及び独占禁止法特例法案に基づき、同一地域で複数の事業者が行う共同運行を促すほか、連節バス等の輸送力の高い車両を導入するなどの取組を支援することで労働生産性の向上を促してまいります。
 地域公共交通計画の作成における都道府県の関与についてお尋ねがございました。
 計画の策定主体につきましては、地域の移動ニーズにきめ細やかに対応できる市町村を基本的に想定をしておりますが、本改正案においては、複数の市町村が都道府県に対し、計画を共同で作成するよう要請することができる新たな制度を盛り込んだところでございます。
 地方公共団体の公共交通担当部局の新設等への支援についてお尋ねがございました。
 市町村の約八割では公共交通の専任担当者が不在であるとの調査結果も出ていることから、人的支援は重要であると考えております。このため、国土交通省では、地域公共交通計画作成のガイドラインの充実や、市町村職員等に対する地域公共交通に関する具体的な政策や取組事例の研修などにより、地方公共団体のノウハウ面や体制強化の支援の充実を図ってまいります。
 公共交通従事者が地域公共交通に係る協議の場へ参加することについてお尋ねがございました。
 現行の地域公共交通活性化再生法におきまして、地域の協議会には、サービスの現場を熟知しているなどの理由から、地方公共団体が必要と認めた公共交通従事者も参加できる制度となっており、改正後もこの制度は変わらずに維持されることになっております。
 次に、複数のバス会社間の公平な競争と利用者の利便性を両立させるための制度的な担保についてお尋ねがございました。
 今般の独占禁止法特例法案の目的は、複数のバス事業者間の等間隔運行などの共同経営を特例的に認め、将来にわたりバスを中心とする地域公共交通のサービスの維持を図ることにあります。これがいわゆるいいとこ取りにならないよう、計画の認可に際しましては、区域内においてサービスの維持を図ることや、利用者に不当な不利益とならないことを確認するとともに、こうした条件に適合しなくなった場合には適合命令等により担保することとしております。
 地域における輸送資源のあるべき姿についてお尋ねがございました。
 国土交通省におきましては、地域の公共交通の維持確保を図っていく上では、まずはバス、タクシー等の公共交通機関について労働力の確保とサービスの維持改善を図り、移動ニーズに対応することが最も重要だと考えております。
 しかしながら、過疎地など公共交通サービスだけでは移動ニーズに十分対応できない地域においては、自家用有償旅客運送やスクールバス車両等の地域の輸送資源を総動員することが必要であると考えております。
 自家用有償旅客運送制度の改正による運送事業への影響並びにライドシェア導入についてお尋ねがございました。
 自家用有償旅客運送は、地域における必要な輸送について、バス、タクシー事業者によることが困難である場合に、市町村等が運送責任を担い、自家用車を用いて有償で運送できることとする制度であり、本法案においてもこの要件は維持することとしております。
 なお、いわゆるライドシェアは、自家用有償旅客運送とは異なり、運行管理等について責任を負う主体を置かないままに、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態を前提としており、安全の確保等の問題があるため認めるわけにはいかないと考えており、この考えは従来から変わっておりません。
 MaaSの導入に際し、付加価値を高めていくための取組についてお尋ねがございました。
 MaaSの普及に当たりましては、公共交通サービスにとどまらず、観光や生活関連サービスを連携させることで、高齢者や障害をお持ちの方々、外国人旅行者を含めた幅広い利用者に対して利便性の高いサービスを提供することが重要な課題であると考えております。
 このため、国土交通省では、現在進めていますMaaSの実証実験についてこうした観点からも評価を行い、優れた取組につきましては横展開を行ってまいります。
 共通乗車船券に係る割引に対する財政支援措置の制度化についてお尋ねがございました。
 本法案では、地域公共交通利便増進事業及び新モビリティーサービス事業において、計画に基づいて、交通モードをまたぐ場合も含め、複数の交通事業者が定額制乗り放題運賃等の設定を行う場合には、運賃等の設定に係る手続をワンストップ化する特例を設けております。
 これらの事業に係る実証実験において初期投資の経費に補助を行っているところでありますが、実用化後の運賃の設定につきましては、各交通事業者の自主的な判断により行われるべきものと考えております。
 持続可能な地域公共交通を維持するための財政支援についてお尋ねがございました。
 国土交通省においては、地域における必要不可欠な移動手段を維持確保するため、過疎地域等における幹線バスやコミュニティーバスの運行の欠損等に対し国費による補助を行っており、あわせて、これに係る地方公共団体の負担に対しては地方交付税措置が講じられているところです。今後とも、地域の御要望や御提案を伺いながら、必要な予算の確保に最大限努めてまいります。
 需給調整規制の再導入の可能性についてお尋ねがございました。
 乗合バスや鉄道などにつきましては、平成十二年以降、いわゆる需給調整規制が廃止をされ、サービスの供給量やその水準は原則として交通事業者の経営判断により決められるようになっており、これによりまして利用者にとっての利便性の向上が図られてきたところであります。本法案において、このような基本的な考え方については変更はございません。
 一方で、特に地方部では人口減少の本格化に伴う需要の縮小や運転者不足の深刻化などにより、採算性の安定的な確保等が難しくなっているため、地域住民のニーズを熟知している地方公共団体が中心となって交通サービスを確保するための制度の充実を進めてきたところであり、これにより地域公共交通の維持改善を進めてまいります。
 交通事業や物流事業に対する新型コロナウイルス関係の追加対策についてお尋ねがございました。
 公共交通や物流につきましては、政府の基本的対処方針に基づきまして必要な機能を維持することが求められており、現場では感染のリスクや不安の中で業務に献身的に御尽力いただいております事業者やその従事者の皆様に改めて心から感謝を申し上げる次第でございます。
 一方で、外出自粛等により輸送需要が減少するなど、極めて厳しい経営環境に置かれていることから、社会にとってなくてはならない重要なインフラとして、これまで随時拡充されてきた政府の各種支援策を最大限に活用しながら、事業の継続と雇用の維持に全力で取り組んでまいります。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────

#8
○議長(山東昭子君) 室井邦彦さん。
   〔室井邦彦君登壇、拍手〕

#9
○室井邦彦君 日本維新の会、室井でございます。
 私は、会派を代表いたしまして、持続可能な運送サービスの提供の確保に資する取組を推進するための地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案について質問をいたします。
 まず、質問に先立ちまして、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになりました方々の御冥福をお祈り申し、そして、現在、感染症に苦しんでおられる方々へのお見舞いを申し上げますとともに、医療現場で闘っている医療従事者を始め全ての関係者の皆様方に最高の敬意を表する次第であります。
 我が国は、人口減少、少子高齢化といった社会の変化にあり、超スマート社会につながる新技術の活用を図りつつ、持続可能な地域公共交通を維持し、特に、高齢者の移動手段を確保することが喫緊の課題となっております。安心して暮らしていける社会の実現に向け、地域における関係者が連携、協働し、課題解決を図る取組が必要となっております。
 まず、持続可能な地域公共交通の考え方について質問をいたします。
 過疎化が進む我が国では、地方における公共交通の衰退が懸念されております。例えば、路線バスの輸送人員を見ると、地方部では二〇〇〇年以降二五%も減少し、地方における路線バスの八五%は赤字構造となるなど、路線廃止等が相次いでいる状況であります。また、高齢者の免許非保有者や免許返納の数は近年大幅に増加し、公共交通がなくなると生活ができなくなるのではないかという高齢者の声も大きくなってきております。
 地域における公共交通の置かれている状況は厳しさを増す一方、高齢者を始め地域住民の自立した日常生活を確保し、住民等の移動手段として不可欠な公共交通を適切に維持することが極めて重要な課題となっておりますが、持続可能な地域公共交通の考え方について赤羽国土交通大臣の御所見をお伺いをいたします。
 次に、まちづくり等の分野と連携した地域公共交通の再構築について質問いたします。
 地域公共交通は、コンパクトなまちづくりと連携、再構築を図ることが重要だと考えます。まちづくりと連携し、面的な公共交通ネットワークを再構築するため、地域公共交通網形成計画を法定計画といたしましたが、その策定状況は、三万人未満の小規模自治体での取組が弱く、まちづくりと連携した計画になると十万人未満の中小規模の自治体で取組が遅れている状況にあります。
 今回の法改正で、地域公共交通計画の作成について努力義務をすることとしておりますが、全ての地方公共団体がまちづくりと連携した地域公共交通計画を作成するため、その実効性をどう担保していくのか、大臣にお聞きをいたします。
 次に、自動運転技術の導入と実用化について質問をいたします。
 政府は、二〇二〇年めどとした高速道路におけるレベル3の自動運転の実現、二〇二〇年までの地域限定での無人自動運転移動サービスの実現を目標に掲げ、国連自動車基準調和世界フォーラムやG7交通大臣会合等の場を活用し、自動運転の実現に向けた環境整備の議論を主導していることは評価に値をいたします。
 自動運転技術の導入は、地方における交通課題の解決に重要な役割を果たし、物流分野においても、人手不足の解決のための生産性向上の観点から期待されているところであります。
 新型コロナウイルス感染症のパンデミックと第二波、第三波の感染拡大が懸念される中、自動車メーカー等における研究開発活動や実証実験、社会実装の取組が萎縮そして停滞しないように、政府を挙げて取組を強化することが、コロナ収束後の世界経済の牽引にもつながると考えます。コロナ感染の経済危機に直面し、自動運転技術の支援と完全自動運転の実用化に向けた取組をどう加速させていくのか、大臣にお聞きをいたします。
 次に、スーパーシティ構想との関係について質問をいたします。
 スーパーシティ構想では、国家戦略特区制度を利用し、自動走行や自動配送の実現を目指しています。この構想の推進において、今回の法改正で目指す地域公共交通の方向性と両立するものであるかどうか、大臣にお聞きをいたします。
 次に、新たなMaaSについて質問をいたします。
 日本版MaaSの早期実現が期待されております。コロナ感染の拡大が人の移動を激減させ、実証実験は事実上停止し、戦略の見直しを迫られているという新聞報道もありますが、異なる交通事業者等の連携やデータ連携の在り方等、MaaSの課題に対する関係者間の協議、連携、MaaSの円滑な普及促進に向け、今後どのように取り組んでいくのか、大臣にお聞きをいたします。
 次に、地域公共交通ネットワークの確保に関する公的負担について質問いたします。
 日常生活に必要不可欠な交通手段の確保は重要な課題ですが、地域公共交通の確保に関する特別交付税の自治体への交付額は毎年増加傾向にあり、平成二十一年からの九年間で約五〇%増加しているということであります。限られた予算の中で計画的な支援を実施していくことが今後は強く求められます。そのためには、地域公共交通計画の見直しを含む目標値の設定や事業評価の在り方が極めて重要となりますが、持続可能な公共交通ネットワークの再構築に向け、どう取り組んでいくのか、大臣にお聞きをいたします。
 最後に、自家用有償旅客輸送制度の導入について質問いたします。
 平成二十八年より国家戦略特区法に基づく自家用自動車の活用が認められ、兵庫県養父市では、NPO法人養父市マイカー運送ネットワークが実施主体となり、登録ドライバーが、運行管理者であるタクシー会社からの運行業務の依頼を受け運用されていると承知をしております。
 国家戦略特区法に基づく自家用車の活用を認める運送事業の導入に当たり、衆参の各国土交通委員会において、全国での実施とライドシェアの導入は認めないという附帯決議が付されておりました。今回の改正案では、自家用有償旅客運送制度が全国で実施されるようになります。国家戦略特区法に基づく自家用車の活用とほぼ同じ仕組み、運用と理解をしております。ライドシェアに関しても議論の余地があるのではないか、大臣の御所見をお聞きをいたします。
 我が党は、地域の自立、再生を掲げ、多極分散型の新しい国の形、目指しております。大阪都構想の実現は、文字どおり党の政策一丁目一番地であり、新型コロナウイルスの感染が一定水準以下であれば、予定どおり大阪都構想実現の是非を問う住民投票が行われます。
 今回の法改正では、市町村が主体となって幅広い関係者の参加による協議会を設置し、持続可能な地域公共交通の確保を目指すこととしております。そうしたまちづくりの取組を通じ、地域の自立、再生が高まり、統治機構改革に向けた機運の醸成へとつながることを願いつつ、私の質問といたします。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣赤羽一嘉君登壇、拍手〕

#10
○国務大臣(赤羽一嘉君) 室井邦彦議員にお答えをさせていただきます。
 まず、持続可能な地域公共交通の考え方についてお尋ねがございました。
 御指摘のように、現在、人口減少の本格化に伴う需要の縮小等により、公共交通サービスの維持確保が大変難しい状況となっております。
 国土交通省としては、このような状況に対し、まずバス、タクシーの労働力を確保しつつサービスの維持改善を図るとともに、過疎地などについては、スクールバスや福祉車両等の地域の輸送資源を総動員し移動ニーズに対応すること、そして、その際、MaaS、自動運転などの最新技術も最大限活用して生産性を向上しつつ、地域の高齢者はもとより、外国人旅行者なども含めた幅広い利用者に使いやすいサービスが提供されることなどが必要であると考えております。
 このため、本法案において、地域における移動ニーズに対しきめ細やかに対応できる立場にある市町村等が中心となってこうした取組を進めるよう促すとともに、国として財政面やノウハウ面でしっかり支援していきたいと考えております。
 まちづくりと連携した地域公共交通についてお尋ねがございました。
 国土交通省におきましては、これまで各地方公共団体に対して地域公共交通とまちづくりの連携を促してきたところであり、その結果、本年三月時点におきまして、地域公共交通網形成計画と立地適正化計画を併せて策定した地域は二百九地域となっております。引き続き、こうした取組が更に進むよう、国として両計画の策定経費に対する補助を行うとともに、計画連携のノウハウ面についても支援に努めてまいります。
 自動運転技術の支援と自動運転の実用化に向けた取組についてお尋ねがございました。
 自動運転につきましては、政府目標である官民ITS構想・ロードマップに従って実用化に向けた取組を進めることが重要であると考えておりますが、実証実験等の取組は、今般の感染拡大を受けて多くは中断を余儀なくされております。
 国土交通省といたしましては、事態が収束し次第、しっかりと感染拡大防止措置を講じながら取組が進展できるよう、事業者等との協議を加速してまいります。また、国連の会議体において日本の優れた自動運転技術を国際基準に反映すべく取り組んでおり、この状況下においてもウエブ会議の活用等により議論を継続しているところでございます。
 スーパーシティ構想と本法案との関係についてお尋ねがございました。
 スーパーシティ構想におきましては、交通の関係では、国家戦略特区制度を活用し、先端技術を取り入れ自動走行等の導入を目指しているものと承知をしており、これらは地域における移動手段の確保にも資することから、本法案とも目指す方向性を共有しているものと考えております。
 新型コロナウイルスの事態の下でのMaaSの取組についてお尋ねがございました。
 新型コロナウイルスの感染拡大により、現在、MaaSに参加する事業者間の連携や調整に一時的な支障が生じ、一部の実証実験のスケジュールが遅れるなどの影響が出ております。今後、感染状況が落ち着き次第、各事業者の状況にきめ細かく対応し、MaaSの普及に向けた取組を再び加速させていきたいと、こう考えております。
 次に、持続可能な公共交通ネットワークの再構築についてお尋ねがございました。
 各地方公共団体が、限られた財源の中で効率的に地域の移動手段を維持確保するため、本法案では地域公共交通計画について定量的な目標の設定や不断の検証を促すこととしており、これにより持続可能な公共交通サービスの確保、充実を進めてまいります。
 本法案による自家用有償旅客運送制度の改正とライドシェア導入についてお尋ねがございました。
 本法案におきましては、地域住民に加え観光客を含む来訪者につきましても自家用有償旅客運送の輸送の対象とすることなど、その実施の円滑化を図る措置を盛り込んでおりますが、法改正後の登録に必要な要件など、その実施の前提につきましては、これまでの自家用有償旅客運送制度と全く変更はございません。
 なお、いわゆるライドシェアは、運行管理等について責任を負う主体を置かないままに自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態を前提としており、安全の確保等の問題があると考えております。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────

#11
○議長(山東昭子君) 武田良介さん。
   〔武田良介君登壇、拍手〕

#12
○武田良介君 私は、日本共産党を代表し、地域公共交通活性化再生法等一部改正案について、赤羽国交大臣に質問いたします。
 冒頭、検察庁法改定案について述べます。
 政府・与党は、野党と国民の声に押され、検察庁法改定案の今国会成立を断念しました。これは、民主主義の底力を示した重要な一歩です。
 検察庁法改定案は、検察の政治的独立性、中立性を侵し、三権分立を踏みにじるものであり、断じて許されません。国民世論は沸騰し、ツイッターでの抗議の声は数百万を超える巨大なうねりとなりました。多数の弁護士、元検事総長など検察OB、特捜OBの方々も良識の意見を表明されました。これらの力が政治を動かしたのです。
 総理は、批判にしっかりと応えていくことが大切だと述べました。ならば、単なる先送りであってはなりません。内閣の一存で、検察幹部の定年、役職定年の延長を可能とする特例部分の撤回、そして黒川弘務東京高検検事長の定年延長の撤回を強く求めるものです。
 まず、新型コロナウイルス感染拡大による観光業への影響について、大臣に伺います。
 政府が呼びかけた外出自粛の影響から、多くの旅館や温泉施設、お土産物屋さんなど、多くの事業者が経営の危機に立たされています。大臣は、反転攻勢に向けて準備のときと言われますが、準備しているうちに潰れてしまうというのが現場の声です。大臣は、この声をどう受け止めますか。
 インバウンド観光客の落ち込みは大変な規模になっています。私は、各地の温泉街の方々から、インバウンドだけを当てにするのは危険、もっと国内旅行に目を向けるべきだとの声をお聞きしてきました。大臣、インバウンド頼みの観光政策は転換すべきではありませんか。
 新型コロナウイルス感染拡大の下、リニア中央新幹線の建設をこのまま続けていいのかが問われています。JR東海は、リニア中央新幹線の建設について、東海道新幹線が収益を上げる中で建設費用を賄うと想定してきました。しかし、政府が行った外出自粛の影響を受け、東海道新幹線を始め鉄道利用者は大きく減少しています。しかも、政府自身が長期戦を覚悟しなければなりませんと言っているとおり、影響は長引くことになります。新型コロナ感染拡大の下でリニア建設をそのまま進めるのは無謀ではありませんか。
 政府が国家的プロジェクトと位置付けているリニア新幹線には、既に鉄道建設・運輸施設整備支援機構を通じて三兆円もの財政投融資資金が投入されています。新型コロナの影響は、その返済計画を根底から揺るがすものです。リニア建設はきっぱりと断念すべきです。そんなお金があるなら地域公共交通の充実に予算を充てるべきと考えますが、大臣の認識を伺います。
 以下、法案について質問いたします。
 地域鉄道や路線バスの廃止、縮小が相次ぎ、地域住民の生活と地域経済基盤を支える地域公共交通の衰退は深刻な状況にあります。国、自治体が住民の移動する権利を保障する観点から、地域公共交通の活性化、再生は待ったなしの課題です。
 一方、地域公共交通の衰退は、地域住民の足となるべき鉄道やバス、タクシー事業に、もうけ優先の市場競争原理である規制緩和路線を持ち込むことによって加速されました。地域住民の移動を支えてきた路線バスはこの十年間で約一万三千キロが廃止され、地域鉄道は二〇〇〇年以降、全国で約八百九十五キロ、四十一路線が廃止されました。バスも鉄道もないいわゆる公共交通空白地は日本全体の三割にも及びます。大臣は、今日の地域公共交通衰退の要因に国が進めてきた規制緩和路線があるとの認識はありますか。答弁を求めます。
 現状では、バス路線の廃止は、六か月前に届け出ればそのまま廃止されてしまうことになっています。これに対し、本法案は、路線バス等の維持が困難と見込まれる段階で地方公共団体が関係者と協議してサービス継続のための実施方針を作成し、公募により新たなサービス提供事業者等を選定する地域旅客運送サービス継続事業を創設するとしています。
 また、乗合バスの新規参入による過当競争に対しても、現状は野方図に許可されているものの、本法案では、申請があれば国は地方公共団体に通知をし、通知を受けた地方公共団体は地域の協議会で議論した上で国に意見を提出することとなっています。
 大臣、乗合バスの廃止や新規参入に対して地方自治体の関与を強めている理由は何ですか。また、バス事業者間の共同経営などについて独禁法の適用除外とした理由は何ですか。これらの措置は規制緩和による地域公共交通のひずみを修正せざるを得なくなったからだと思いますけれども、大臣の答弁を求めます。
 自家用有償旅客運送についてお聞きいたします。
 自家用有償旅客運送は、バスやタクシーなどの公共交通がない地域で住民の移動を確保することを目的に、二〇〇六年の改正道路運送法によって例外的、限定的に導入されたものです。その際、この制度が第二種免許を持たない者が自家用車を使い料金を取って旅客を運ぶいわゆる白タク行為に当たることから、旅客対象や運送地域について厳しい制限が設けられたという経緯があります。白タク行為は法律上禁止された行為であり、だからこそ、自家用有償旅客運送はその対象を一の市町村の区域内の住民に限定しているのです。
 ところが、本法案は、観光旅客その他の当該地域を来訪する者として、事実上、限定をなくすことになります。なぜ限定をなくすのですか。法案は白タク行為を拡大することになるのではありませんか。
 さらに、法案は、事業者に運行管理などを委託する事業者協力型自家用有償旅客運送を明記しています。しかし、現行法の下でも既に八割以上の市町村が、事業者に委託して自家用有償旅客運送を行っています。現行法で可能な事業者への委託をなぜ法定する必要があるのですか。
 法案は、際限のない白タク行為の拡大に道を開くものであり、ライドシェア解禁の突破口になりかねないとの危惧が広がっています。昨年三月七日の未来投資会議で竹中平蔵氏は、金丸議員のペーパーで自家用有償旅客運送制度を改善する提言がなされているけれども、これは突破口として非常に重要なポイントになると思うと発言をされています。
 政府は、ライドシェアとは自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態を前提としていると矮小化をし、自家用有償旅客運送とは違うとあえて区別しています。しかし、第二種免許を持たない者が料金を取って旅客を運送するという点で、自家用有償旅客運送もライドシェアと同じ性質を有するものであり、ライドシェア解禁の突破口になるのではありませんか。大臣の答弁を求めます。
 地域公共交通は、誰もが行きたい場所に自由に移動できるよう、移動の権利が確保されることが必要ではないでしょうか。大臣は、移動の権利を交通政策基本法に明記すべきとの認識はありますか。
 新型コロナウイルス感染拡大という経験をし、今多くの方が日本社会の矛盾が一気に噴き出していると感じておられるのではないでしょうか。医療体制の脆弱さ、不安定雇用の拡大、高過ぎる学費、災害発生に対する不安など、多くの皆さんが今、日本が乗り越えるべき課題を認識されていると思います。ポストコロナの新しい社会を共に切り開く決意を申し上げ、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣赤羽一嘉君登壇、拍手〕

#13
○国務大臣(赤羽一嘉君) 武田良介議員にお答えをさせていただきます。
 まず、新型コロナウイルスの観光業への影響についてお尋ねがございました。
 観光関連産業は、新型コロナウイルス感染症発生直後より大変深刻なダメージを受けております。このため、全国の観光関連事業者の方々から直接御要望を伺い、感染症の早期収束、事業継続のための資金繰りと雇用の確保の支援、そして状況が落ち着いた後の強力な需要喚起策の実施、以上三本柱の支援策を実施しているところでございます。
 中でも、事業の継続と雇用の維持につきましては、持続化給付金の支給や実質無利子、無担保融資の制度拡充等による支援、また雇用調整助成金の助成率の引上げ等の支援策の大幅な拡充、そして先日五月十一日にはNHK受信料の免除も実現したところでございます。
 さらに、観光需要の喚起事業としてゴー・ツー・トラベル事業を補正予算に盛り込んでおります。観光関連事業者の方々からは本事業に対して大変大きな期待を寄せられており、感染症の状況が落ち着き次第本事業を開始するべく、今から粛々と実施準備を進めているところでございます。
 インバウンド政策についてお尋ねがございました。
 自公政権発足後七年間で、訪日外国人旅行者数は八百三十八万人から三千百八十八万人と約四倍の成長を遂げておりますが、日本人国内旅行は依然として観光消費額の約八割を占め、観光政策の重要な柱となっており、インバウンド頼みの観光政策との御指摘は当たりません。今後、新型コロナウイルスの感染状況が落ち着き次第、国内旅行とインバウンドの両輪により、観光立国を実現してまいります。
 リニア中央新幹線と地域公共交通についてお尋ねがございました。
 リニア中央新幹線の建設主体であるJR東海においては、新型コロナウイルス感染症の拡大により利用者が大幅に減少するなどの影響が出ているところでありますが、引き続き、リニア中央新幹線の建設を進めていく考えであると承知をしており、国土交通省といたしましても、JR東海において着実に整備を進めていただきたいと考えております。
 なお、鉄道・運輸機構を通じた三兆円の貸付けは、償還の見込まれる財政投融資資金を活用したものであり、地域公共交通の支援に充てている一般会計の支出とは全く異なるものでございます。
 地域公共交通については、地域の暮らしと産業を支える移動手段を確保することがますます重要になっていることから、そのために必要な予算の確保に努めてまいります。
 規制緩和に対する認識についてお尋ねがございました。
 特に、地方部の公共交通事業では採算性の安定的な確保等が難しくなってきており、路線の廃止等も生じておりますが、これは、一義的に人口減少の本格化に伴う需要の縮小や運転者不足の深刻化等によるものと考えております。
 乗合バスの参入、廃止に対する地方公共団体の関与についてお尋ねがございました。
 地域における移動ニーズにきめ細やかに対応できる立場にある地方公共団体が、地域の交通をめぐる最新の動向を常に把握し、その将来の在り方を関係者とともに適切に検討することが重要と考えております。
 このため、本法案においては、乗合バスの新規参入等について国が通知する制度を設けるとともに、維持が困難となった場合には、廃止の届出が行われる前の段階で代替するサービスについて協議できる制度を盛り込んでいます。
 バス事業者間の共同事業などを独禁法の適用除外とする理由についてお尋ねがございました。
 地方都市などのバス交通におきましては、地域内の事業者同士の連携によりサービスの改善などが期待できることから、そのような取組について独占禁止法の規制を適用除外とする特例を設けることにより、将来にわたりバスを中心とする地域公共交通のサービスの維持を図ることとするものであります。
 自家用有償旅客運送制度の輸送対象の拡大、白タク行為との関係、事業者協力型を法定する必要性、並びにライドシェアとの関係についてお尋ねがございました。
 本法案では、公共交通のみでは観光客の移動ニーズに対応することが困難になってきている地域の自治体等から御要望が寄せられること等を踏まえ、自家用有償旅客運送の輸送対象を観光旅客その他の当該地域を来訪する者にも広げるものでございます。
 この措置は、市町村等が運送責任を担う自家用有償旅客運送制度の枠組みの中で実施するものであり、白タク行為とは異なるものであります。
 また、本法案では、事業者協力型自家用有償旅客運送制度導入のためのインセンティブとして、通常の登録では有効期間が二年であるところ、本制度については五年に延長することとし、当該制度を法定するものでございます。
 自家用有償旅客運送は、市町村等が道路運送法による登録を受け、運行管理等の措置や事故の際の賠償等を行う体制を整備し、利用者の安全、安心を確保することとしているものであり、いわゆるライドシェアとは全く異なるものであると申し上げておきたいと思います。
 以上でございます。(拍手、発言する者あり)

#14
○議長(山東昭子君) 御静粛に、協議をいたしますので。
 答弁の補足がございます。赤羽国土交通大臣。
   〔国務大臣赤羽一嘉君登壇、拍手〕

#15
○国務大臣(赤羽一嘉君) 大変失礼をいたしました。
 移動の権利の交通政策基本法への明記についてお尋ねがございました。
 いわゆる移動権を法律上規定することにつきましては、平成二十五年に交通政策基本法が制定された際、関係審議会において議論が行われ、実定法上の権利として規定できるだけの国民のコンセンサスを得られているとは言えないとして、移動権を法定化することは時期尚早とされたところでございます。こうした状況は、現在においてもなお変わっていないと考えております。
 以上でございます。(拍手)

#16
○議長(山東昭子君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────

#17
○議長(山東昭子君) 日程第一 道路法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。国土交通委員長田名部匡代さん。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔田名部匡代君登壇、拍手〕

#18
○田名部匡代君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、安全、円滑な道路交通の確保及び道路の効果的利用の推進を図るための大型車両の通行に係る手続の合理化、特定車両停留施設及び自動運行補助施設の道路の附属物への追加、歩行者利便増進道路の指定制度の創設等のほか、頻発する自然災害への対応強化のための、地方管理道路の災害復旧等の国土交通大臣による権限代行制度の拡充の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、特殊車両通行制度の見直しの意義、特定車両停留施設の整備の在り方、歩行者利便増進道路による取組及び無電柱化の推進等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して武田良介理事より本法律案に反対する旨の意見が述べられました。
 次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────

#19
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#20
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。(拍手)
     ─────・─────

#21
○議長(山東昭子君) 日程第二 地域における一般乗合旅客自動車運送事業及び銀行業に係る基盤的なサービスの提供の維持を図るための私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の特例に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長水落敏栄さん。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔水落敏栄君登壇、拍手〕

#22
○水落敏栄君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、地域一般乗合旅客自動車運送事業者及び地域銀行が地域において提供する基盤的なサービスの重要性に鑑み、将来にわたって当該サービスの維持を図り、地域経済の活性化及び地域住民の生活の向上に資するため、これらの事業者に係る合併その他の行為について、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の特例を定めようとするものであります。
 委員会におきましては、競争政策の在り方と特例を必要とする理由、合併等及び共同経営の認可の基準、基盤的サービスを維持するための特定地域基盤企業への支援の在り方、特例期間経過後の本法律案の取扱い等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党の田村委員より反対の旨の意見が述べられました。
 次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────

#23
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#24
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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