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2020/05/28 第201回国会 参議院 第201回国会 参議院 環境委員会 第6号 令和2年5月28日
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2020/05/28 第201回国会 参議院

第201回国会 参議院 環境委員会 第6号 令和2年5月28日

#1
令和二年五月二十八日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十一日
    辞任         補欠選任
     須藤 元気君     芝  博一君
 五月二十八日
    辞任         補欠選任
     橋本 聖子君     中西  哲君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         牧山ひろえ君
    理 事
                滝沢  求君
                三木  亨君
                鉢呂 吉雄君
                片山 大介君
    委 員
                尾辻 秀久君
                佐藤 信秋君
                関口 昌一君
                中西  哲君
                松村 祥史君
                松山 政司君
                丸川 珠代君
                青木  愛君
                芝  博一君
                柳田  稔君
                浜田 昌良君
                横山 信一君
                山下 芳生君
                寺田  静君
                平山佐知子君
   国務大臣
       環境大臣     小泉進次郎君
   副大臣
       厚生労働副大臣  稲津  久君
       環境副大臣    佐藤ゆかり君
   大臣政務官
       環境大臣政務官  八木 哲也君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        星   明君
   政府参考人
       厚生労働省大臣
       官房生活衛生・
       食品安全審議官  浅沼 一成君
       厚生労働省大臣
       官房審議官    松本 貴久君
       厚生労働省労働
       基準局安全衛生
       部長       村山  誠君
       国土交通省大臣
       官房建設流通政
       策審議官     中原  淳君
       環境省水・大気
       環境局長     小野  洋君
       環境省自然環境
       局長       鳥居 敏男君
       環境省環境再生
       ・資源循環局長  山本 昌宏君
       環境省総合環境
       政策統括官    中井徳太郎君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○大気汚染防止法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ─────────────

#2
○委員長(牧山ひろえ君) ただいまから環境委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、須藤元気君が委員を辞任され、その補欠として芝博一君が選任されました。
    ─────────────

#3
○委員長(牧山ひろえ君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 大気汚染防止法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、環境省水・大気環境局長小野洋君外七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#4
○委員長(牧山ひろえ君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────

#5
○委員長(牧山ひろえ君) 大気汚染防止法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#6
○三木亨君 自由民主党の三木亨でございます。今日はよろしくお願いいたします。
 今回、コロナの感染症によって亡くなられた方にまず心からお悔やみ申し上げますとともに、現在も罹患されて病と闘っている方々に対してお見舞いを申し上げます。また、この御時世に、こういった状況の中で社会生活に必要な仕事を支えていただいているソーシャルワーカーの方々に心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。
 本日は、大気汚染防止法の一部を改正する法律案の質疑ということで、早速質問の方に入らせていただきます。
 大気汚染防止法は、言うまでもなく、石綿の飛散を防止して国民の健康を守るという目的の下に作られております。石綿は、熱や摩擦に強く、丈夫で変化しにくいという特性がございます。そして、安価であるために、高度経済成長期に特に、その多くがスレートあるいは建築材料として工場やビルから一般の住宅、そういったものにまで、様々な建築物、特に建材として利用されてきた経緯があるというふうに承知しております。
 私の子供のとき、小学校の理科室に必ずございまして、フラスコなんかを載せて熱するときに石綿を載せてやるんですが、そのときの、今でも覚えているんですが、理科のテストに、ほかの化学の実験道具と同じで、この実験道具の名前を書きなさいというのに石綿が載っていた記憶がございます。それぐらいメジャーで身近なものでございました。安価であって、耐火性、耐熱性、そして防音性に優れるものですから、いろんなところに使われたというのは、これは仕方がないことだと思っています。
 ただ、その後、中皮腫や肺がん等の重篤な健康被害を生じさせるおそれがあるというふうにILOなどの国際機関において判明しまして、こうした疾病の発症まで数十年の潜伏期間があるところから、皆さん御存じのように、サイレントキラーなどと呼ばれるようになりました。
 石綿の使用については、昭和五十年から順次規制され、現在では新たな使用は一切禁止されております。大気汚染防止法においては大気中への石綿の飛散による国民の健康被害を防止するための規制が定められており、今回の大気汚染防止法の改正は、建築物の解体工事に伴う石綿の飛散防止を一層強化するためのものというふうに承知しております。
 では、まず最初にお聞きしたいんですが、その前提として、我が国では大気汚染防止法においてこれまで石綿の飛散防止にどのように取り組んできたのか、そしてまた、今回の改正はどのような課題や具体的な事案を踏まえて行うのか、このことを政府にお伺いしたいと思います。

#7
○副大臣(佐藤ゆかり君) お答え申し上げます。
 これまでの石綿飛散防止に関する取組についてのまずお尋ねでございます。
 我が国では、関係省庁が連携をいたしまして、その時点での科学的知見に基づいて石綿の飛散防止に取り組んでまいったところでございます。
 そうした中で、旧環境庁時代では、まず、社会的な関心の高まりを受けまして、平成元年に大気汚染防止法の改正を行いまして、石綿製品等製造工場から排出される石綿について、施設の届出や敷地環境基準、敷地境界基準の遵守等の規制を導入したところでございます。
 そしてまた、阪神・淡路大震災によります建築物の解体の増加を機に、契機にいたしまして、平成八年には大気汚染防止法の改正を行って、建築物の改修、解体に伴う石綿飛散防止に向けて、作業の届出、作業基準の遵守等の規制を導入したところでございます。その後、平成十七年には、規制対象として石綿含有断熱材等、いわゆるレベル2建材でございますけれども、これを追加いたしまして、さらに、規制対象となります建築物の規模要件を撤廃する政令改正を、そしてさらに、平成十八年には工作物を規制対象に追加する法改正を行ったところでございます。そして加えて、前回の平成二十五年の法改正において、作業実施の届出義務者の元請業者から発注者への変更、そして事前調査の義務付け、そして立入検査の対象拡大等の規制強化を行ったところであります。
 今回の改正のきっかけとなりました課題でございますけれども、前回の二十五年の法改正から五年経過後のこの施行状況を点検しました結果、次のような課題が事案とともに明らかになったわけでございます。
 一つは、まず、これまで規制の対象ではなかった石綿含有成形板等、いわゆるレベル3建材ですけれども、これについても、不適切な除去を行いますと作業場所からの石綿が飛散することが明らかになったということ。そして、二つ目に、不適切な事前調査によりまして石綿含有建材が把握されずに、石綿の飛散防止措置なしに建築物等の解体工事が行われた事案があったこと。そして、三つ目に、除去作業時の不適切な作業によって作業終了後に石綿含有建材の取り残しが確認された事案があったこと、こうしたことを踏まえまして今回の法改正を行うものでございます。

#8
○三木亨君 ありがとうございます。
 では、次に改正事項についてお聞きしたいと思います。
 建築材料として使用された石綿の多くは、先ほども申しましたようにスレートに特に多く使われておりまして、今副大臣おっしゃっていただいたレベル3建材というやつだと思いますが、これが今般の改正によって新たに規制対象となる作業、これが格段に増えます。件数が推計で五倍からあるいは二十倍ぐらいになるんじゃないかというふうに言われているというふうにお聞きしております。こうしたレベル3建材の除去作業において、今回の調査の結果、例えば飛散防止措置をせずにバールなどで破砕するような不適切な除去の仕方によってはかなり飛散するというふうなおそれがあることが判明しておりまして、レベル3建材に規制対象を広げるということは石綿の飛散防止の強化の観点から大きな意義があると思います。
 このレベル3建材に係る規制は、電子システムを通じた事前調査結果の報告によって都道府県が幅広く解体工事現場を把握して、立入検査先を選定して、現場において飛散防止措置を確認、指導していくことにより確保していくものとされておりまして、事前調査の結果の報告における電子システムの活用というのは、このレベル3建材の実効的かつ効率的な規制の鍵になるんじゃないかと思っております。
 是非、類似の制度の創設を検討している厚生労働省としっかりと連携をして、ワンストップのシステムとして作業現場での飛散防止に一層の効果を発揮するものとしてほしいと思いますし、事業者の方や、あるいは都道府県が使いやすいシステムとなるように整備を進めていただきたいと思います。
 この電子システムを通じてどのように報告するかなど、システムの大枠について御説明いただきたいのと、またシステムはいつから活用可能となるのか、政府の見解をお伺いいたしたいと思います。

#9
○政府参考人(小野洋君) お答えいたします。
 事前調査結果の報告に係る委員御指摘の電子システムでございますけれども、事業者の負担を軽減させるために、インターネット環境があれば、タブレットやスマートフォンなど、可能な限り簡易な方法で電子的に報告できるよう、厚生労働省と連携して整備することといたしております。また、この報告でございますが、労働安全衛生法に基づく届出として厚生労働省において検討されている同様の電子システムと連携させ、併せて行えるようにすることにより更なる負担軽減を図ることといたしております。
 それから、いつからというお尋ねでございますけれども、この事前調査結果の報告の義務付けでございますが、電子システムの整備に必要な時間や周知期間を考慮いたしまして、公布の日から二年を超えない範囲で施行することといたしております。
 環境省としては、都道府県等の意見も十分に伺いながら、事前調査の報告規定の施行時点でこの電子システムの利用開始が可能となるよう整備を進めてまいります。

#10
○三木亨君 ありがとうございます。
 次に、事前調査についてお伺いしたいと思います。
 今回の事前調査では、一定の知見を有する者による調査を他の調査などとともに義務付けているというふうに承知しております。やはりこれ、実効性を持たすためには知見を持った方に調査させるというところが非常に大きな肝になるんじゃないかと思います。
 ただ、今この知見を持っている方というのは恐らく限定的になると思うので、これからどんどんどんどん現場に見合う数を育成していかなければいけないという課題があると思います。この人材の育成については衆議院の方でも議論があったというふうに聞いておりますけれども、こういった人たちをどのように育成していくのか改めてお伺いさせていただきたい。それとともに、施行の段階で十分な人数をこれ確保できるめどはあるのかどうか、この辺りを政府の見解をお聞かせいただきたいと思います。

#11
○大臣政務官(八木哲也君) ただいま三木先生の方から、施行の段階で十分な人数が確保できるかという御質問でございます。
 解体等の工事を行う前に実施する事前調査を担う一定の知見を有する者の育成は講習を通じてやっているところでありますけれども、御心配のように、今現在千四百四十人ということでありまして、今後発生される規模からすると相当少ないのではないかと、こういう御心配があろうかと、このように思います。
 これまでの講習の実施機関は二つしかございませんで、登録されておらず、講習の頻度及び会場が限られていたというようなことがありまして、講習制度を共管する厚生労働省などと連携して講習の実施体制を見直しして受講を促進していきたいと考えております。
 具体的には、厚生労働省の御協力の下、全国的な講習実施体制を有する団体等の協力を得て、全国くまなく数百か所での講習の機会を設けて利便性を高めるとともに、建築物等の解体工事に関わる事業者等への業界団体や環境省のホームページを通じた周知を行うことにより受講を促すことを考えておるわけでありますが、厚生労働省が所管する制度において実施している類似の講習では年間十万人を超える人数の講習を実施した実績もありまして、こうした実績を踏まえると、三年程度の期間で育成目標を達成することは可能であると考えております。
 加えまして、戸建て住宅等の場合は使用されている可能性のあるのは主に石綿含有成形板等レベル3建材でありますけれども、を考えられるため、戸建て住宅等の調査の講習の簡略化も検討していきたいと考えております。さらに、都道府県等とも連携し、様々な機会を捉えて制度改正や講習の実施について事業者等への周知を徹底してまいります。
 これらの取組によりまして、講習の受講促進を図り、十分な数の調査者を確実に確保してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

#12
○三木亨君 政務官、ありがとうございました。
 事前調査報告というのは、これ有効活用するため、先ほどお伺いさせていただいた電子システムと、そして今お答えいただいた人材の育成、これが非常に大きなポイントになるんじゃないかというふうに考えています。しっかりと取り組んでいただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、今回新たに創設する直接罰についてお聞きいたしたいと思います。
 今回新たに創設する直接罰は、隔離等の飛散防止措置をとらずに吹き付けの石綿の除去作業を行った者が対象とされております。短期間の作業ですと基準適合命令を掛ける前に除去作業はもう終わっちゃっているというような事態も考えられますし、また、命令発出もそれでは間に合いません。また、間接罰を適用しづらいというふうな課題もございますので、そういった問題を踏まえて、今般直接罰を創設するというふうに考えておられるんだと思います。
 作業時の石綿の飛散防止を徹底する観点からは、短期間の作業であっても飛散防止措置をしっかりとしていただくということが大事だと思います。直接罰の創設は、そういった意味でも大きな意義があると思います。
 この直接罰が石綿飛散防止の担保に十分な実効性があるとお考えなのか、政府の見解をお聞かせください。

#13
○副大臣(佐藤ゆかり君) 委員御指摘のとおりでございまして、今回の改正では、例えば、吹き付け石綿等、いわゆるレベル1、2の建材でございますけれども、これらを除去するときに十分な隔離が行われていないなど多量の石綿を飛散させるおそれが大きい違反行為に対して直接罰を設けることで、その防止を徹底していきたいという考えでございます。このことによりまして、短期間の工事についても悪質な違反行為を告発して処罰することができるようになるわけであります。
 この直接罰に加えまして、今般の改正によりまして事前調査結果の報告が都道府県になされるようになります。これによって都道府県が幅広くかつ着工前に解体工事を把握できるようになりますことから、これまで以上に立入検査による現場の確認や作業記録の確認により違反行為の確認を効率的に行って、告発することができるものと考えております。さらに、引き続き、他法令の届出に基づく解体等工事の情報を収集することによりまして、事前調査結果の報告漏れなども防ぎながら、違反事例の把握の徹底を図っていく所存であります。
 こうした取組によって、総合的に飛散防止措置はしっかりと担保されるものというふうに考えております。

#14
○三木亨君 ありがとうございます。
 続けて、もう端的にお伺いしますが、現場では下請の方が大体作業をやられることが多いと思います。今回、下請の業者にも作業基準遵守義務を課して、命令及び罰則の対象にすることにされております。これで過度に下請の人に負担が掛かるんじゃないかということを非常にちょっと懸念しておりますが、その点に関して政府の見解をお伺いいたしたいと思います。

#15
○政府参考人(小野洋君) 現在の制度でございますと作業基準の遵守義務は元請に掛かっているということでございますが、作業基準の遵守をより徹底するために、今回の改正では、作業基準の遵守義務を下請負人にも適用することとしております。
 ただ、元請業者が工事全体を管理する立場であるということは変わりはございませんで、今回の改正以前から引き続き元請業者も作業基準遵守義務を負っていると、負うということでございます。その上で、下請負人が作業基準を遵守して作業を適切に行えるよう、元請業者は、工事費や工期について作業基準の遵守を妨げるおそれのある条件を付さないように配慮しなければならない、施工の分担関係に応じて下請負人の指導に努めなければならないということを規定いたしております。
 委員の御指摘のような懸念が生じないように、今後、元請業者、下請負人の責任や義務、元請業者の下請負人に対して行う配慮や指導の内容について明確化いたしまして、地方公共団体や業界団体とも連携して周知徹底を図ってまいります。

#16
○三木亨君 ありがとうございます。
 最初に申し上げましたとおり、大気汚染防止法に基づく規制による石綿の飛散防止というのは、国民の健康を守るという非常に大きな使命が課されていると思います。今でも年間千五百人の方々が中皮腫により亡くなられているというふうな現状も踏まえますと、今般の規制強化を早期かつ着実に実行に移していただきたいと思います。
 これまでの議論を踏まえ、最後に大臣にお伺いします。今回の法改正によって大気汚染防止法による規制は十分なものになるとお考えかどうか、大臣のお考えをお聞かせください。

#17
○国務大臣(小泉進次郎君) おはようございます。改めて、本日の質疑、よろしくお願いします。
 三木先生からは、今回の法改正が十分なのかと、そういった御指摘をいただきました。
 今回、今副大臣等からも御答弁ありましたけれども、今までは含めていなかったレベル3と言われるこの石綿含有成形板などを含めて全ての石綿含有建材を規制対象とするとともに、事前調査から作業後までの一連の規制を強化することによって、石綿飛散防止のための規制は大きく進展すると考えています。
 今後、二〇二八年頃、令和十年頃をピークに、石綿含有建材を使った建築物の解体工事が年々増加していくと見込まれます。石綿飛散防止対策を速やかに強化する必要があります。
 環境省としては、本法案の審議をしっかりと受け止めて、法案が成立をした暁にはその施行を着実に行うとともに、運用面における技術的な課題の検討などに引き続き取り組むことで石綿飛散防止の徹底を図ってまいりたいと考えております。

#18
○三木亨君 よろしくお願いします。
 時間が参りましたので、終わります。

#19
○青木愛君 立憲・国民.新緑風会・社民の青木です。
 まず、冒頭ではございますが、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方々に哀悼の意を表しますとともに、病床にあられる皆様方に心からお見舞いを申し上げます。そして、医療の最前線で御尽力いただいている皆様方、また様々な現場で御尽力をいただいている全ての皆様方に敬意と感謝を申し上げます。
 それでは、法案の審査に入らせていただきますが、私も初めてこのアスベスト関連の質疑に立たせていただきましたけれども、本当に大きな問題を抱えているということを改めて認識をいたしたところであります。順次質問に入らせていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。
 まず、このアスベストは、安価で耐火性、また断熱性に優れているということで、かつては建設用資材など様々な製品に使われて、奇跡の鉱物とまで呼ばれていたそうです。しかし、アスベストを吸い込みますと、御承知のとおり、中皮腫、肺がん、石綿肺など、大変深刻な病気を引き起こすことが判明しており、しかもその潜伏期間が二十年から五十年と非常に長いために、今では静かな時限爆弾とも言われるほどに恐ろしいものでございます。
 資料に用意をさせていただきましたが、厚生労働省の統計によりますと、この中皮腫というのは、これは石綿特有でありますのでもう石綿原因ということが判明しているものでございますが、この中皮腫の患者が一九六〇年代に石綿輸入量が増加したその時期から平均しておよそ四十年を経た最近において急増しているという状況にございます。二〇一七年、中皮腫で死亡された方が一千五百五十五人、一九九五年の五百人から約三倍以上ということになっており、これまでの輸入の経過を見ますと、少なくともこれから十年はまだまだこういう状況が続くのではないかなと推察するところでございます。
 このアスベストの発がん性についてなんですが、次の資料にもありますが、一九七二年に国際機関でありますILO、またIARCから報告がありました。ヨーロッパではいち早く規制強化、また使用禁止に向かいました。資料にありますが、イギリスでは一九七三年をピークに大きく輸入を減らしております。ドイツも一九八一年から急激に輸入量を減らしました。
 一方、日本では、一九八八年、四度目のピークを迎えて、その後、輸入を減らしているという状況であります。日本の対応は欧米に比べて十年から十五年遅かったという指摘がございます。このように、日本の対策が不十分であったということは輸入量の変化から見ても明らかでありまして、アスベスト訴訟においても、裁判所は行政の規制の遅れを指摘をしております。
 当時におきましてヨーロッパ並みにいち早く強い規制を掛けておれば犠牲者はここまでにはならなかったと考えておりますが、なぜもっと早い時期に強い規制、輸入を禁止するというそうした強い規制を掛けられなかったのか、当時のことをまずお伺いをさせていただきたいと存じます。

#20
○政府参考人(村山誠君) お答え申し上げます。
 アスベストによる労働者の方々の健康障害を防止する観点からの規制につきましては、その時々における有害性に関する科学的知見等に基づきまして必要な規制の強化を図ってきたところでございます。
 委員御指摘の点についてでございますが、具体的に、アスベストの種類によって経過がやや異なりますので、それぞれについて、ただいま委員から資料の御紹介含めて御指摘のございましたイギリス、ドイツと対比してお答え申し上げたいと思います。
 まず、クロシドライト、青石綿に関してでございます。クロシドライトに関しましては、日本で法令上、この製造、輸入、使用等を禁止したのは一九九五年でございます。一方、御指摘のございましたイギリス、ドイツにおきましては一九八六年から段階的に禁止されてきたという経緯がございますが、一方で、我が国の実態を見ますと、代替化に向けた行政指導等によりまして一九八九年には既に使用の実態がなくなっていたことを確認しておりまして、実態面でイギリスやドイツに大きく後れを取ってはいなかったものというふうに理解をしております。
 また、アモサイト、茶石綿についてでございますが、例えば、御指摘のうちドイツにおきまして一九九三年に禁止をされておりまして、日本では法令上一九九五年ということで、こちらも大きな差はなかったということでございます。
 一方、先ほど委員御指摘の点と絡みますのが、クリソタイル、白石綿についてでございます。こちらに関しましては、ドイツでは一九九三年に、またイギリスでは一九九九年に段階的な禁止が始まっていたわけでございますが、日本における製造、輸入等が二〇〇六年まで継続していたというところが、先ほど委員から御指摘のございましたそのグラフの差のところに表れている一つの大きな要因かと存じます。
 その上で、日本においてクリソタイルの製造、輸入、使用等禁止の規制の時期が二〇〇六年となった理由といたしましては、その代替品でございます断熱性のグラスウールでございますとかロックウール等に発がん性の可能性があるということが当時のWHOの専門機関、委員からも御指摘のあったIARCの分類がございまして、安全に使用できる代替品が存在しなかったという判断の下に、クリソタイルについては使用を認めつつ、使用する際の管理規制を強化する方向で対応したものでございます。
 一方で、二〇〇一年にはWHOが断熱性グラスウール等の代替品の発がん性の評価を人に対するがん原性として分類され得ないと変更したことを受けまして、石綿製品の代替化の検討を行った上で、二〇〇四年から建材、摩擦材等の主要なアスベスト関係製品の製造、輸入、使用を原則禁止し、さらに、二〇〇六年からジョイントシート、シール材等も含めてアスベスト関係製品の製造、輸入、使用等を全面禁止した、こういう経緯でございます。
 以上でございます。

#21
○青木愛君 要は、厚労省とすると、当時のことでありますけれども、日本として欧米並みに、ヨーロッパ並みに規制の強化が図られていたという認識をされているんでしょうか。

#22
○政府参考人(村山誠君) お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたように、当時、予防的なアプローチが国際的に認知されていたという現状があったかどうかという点はあろうかと思いますが、生命、身体に関わります法令上の禁止措置につきましては、世界的な動向を見ながら実施するという考慮が十分されていたとは言えない面はあるかもしれませんが、不作為というところまでは至っていないんではないかというふうに私どもとしては考えているところでございます。
 以上でございます。

#23
○青木愛君 しかし、これは一九八六年でありますけれども、ILOの総会が開かれています。この頃、もうイギリス、ドイツは既に輸入量を大きく減らしている状況にありますが、このILOの総会で石綿の使用における安全に関する条約、これが採択されたんですね。その際、日本政府はアスベストの管理使用を支持、使用禁止に反対の立場を取っております。管理すれば使用をしていいと、アスベストの使用禁止に対して反対だという立場を取っております。
 この頃、日本のアスベスト業界が、やはり、適切に管理すれば安全に使用できると主張してアスベストの使用の禁止に強く反対をしている、この辺が背景なんではないかなと思うんですね。この規制が遅れた理由を先ほど伺ったんですが。
 そして、日本はこの石綿条約に批准したのがそれから十九年後です。十九年もたった後の二〇〇五年ということで、翌年の平成十八年、二〇〇六年まで実はアスベストが日本では使用されているんですね。
 大変な状況といいますか、日本の遅れはもう明らかだというふうに思いますし、ILOの総会での日本のこの判断、これはアスベスト業界のこうした状況の裏付けがあったんではないですか。

#24
○政府参考人(村山誠君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のILO等の議論におきましても、まず最も危険性が高いものとして使用の禁止が求められてきたクロシドライト、アモサイトにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、一定の時期に、具体的には、クロシドライトにつきましては、一九八九年までには行政指導等によって使用の実態がなくすところまで持っていった上で、一九九五年に製造、輸入、使用等を禁止した。また、アモサイトに関しましても、一九九五年に同様に製造、輸入、使用等を禁止したということでございます。
 その上で、ある意味その代替物として使われていましたクリソタイルにつきましては、先ほども申し上げましたように、一方で、それに対する代替品というものが本当に安全なのかという検証でございますとか様々な国際的な議論も踏まえながら、先ほど申し上げましたように、あるいは委員ただいま御指摘いただきましたように、全面禁止には二〇〇六年までの時間を要したというふうに理解をしております。
 以上でございます。

#25
○青木愛君 そこまでの時間を要したというところは認めていただいたと思います。言わば、人間の命や健康よりも、業界でのその代替品が見付からない、そちらを優先をしたという、それが事実でありまして、これは大変な問題だなというふうに改めて認識をしたところであります。
 ヨーロッパには予防原則という考え方があります。これは、化学物質あるいは遺伝子組換えなどの新技術に対して、人体や環境に重大かつ不可逆的な影響を及ぼすおそれがある場合、科学的に因果関係が十分証明されない状況でも規制措置を可能にするという考え方です。一九七〇年代のドイツ、スウェーデンなどで使われ始め、現在ではEU全体で採用されています。
 それに対して日本は、科学的な証明を重視する立場を取っております。そのため、食品の残留農薬あるいは遺伝子組換え食品に関しましても、EUより大変緩い基準となっているのが実態であります。言わば、新しい新技術ですね、化学物質や遺伝子組換え、こうした新技術、化学物質が人体や環境に害を与えるおそれがあると分かったけれども、分かってはいるんだけれども、その有毒性の因果関係を科学的に証明し切れていない、科学的に有毒性が証明できないのだからその間はその化学物質は使用してもいいんだというのが日本の立場です。
 一方、科学的にはまだ因果関係証明し切れていないけれども、有毒性、安全性に関してまだ不確実な部分が多いのでこの化学物質は予防的に規制しましょうというのがヨーロッパの予防原則です。
 私は、是非日本にはこのヨーロッパと同様の予防原則、何にしても予防原則、この立場に立っていただきたいと思うんですが、小泉環境大臣のお考えをお聞かせいただきたいと存じます。

#26
○国務大臣(小泉進次郎君) 青木先生から御指摘いただきましたこの予防原則、この予防原則についてのその定義、そして考え方、これは様々なものがあるというふうに承知をしています。
 ただ、環境政策を講じるに当たっては、科学的に不確実であることをもって対策を遅らせるという理由はありません。科学的知見の充実に努めながら予防的な対策を講じることとしていまして、環境省としては環境基本計画ではこの考え方を予防的な取組方法、そういうふうに呼んでいます。
 ただ、先生がおっしゃるような考え方とは同じような方向性を向いていると思います。大気汚染防止法においても、環境省の最も基本的かつ重要な役割である環境に由来する健康被害の未然防止のため、これまでその時点での科学的知見に基づいて石綿の飛散防止に取り組んでまいりました。
 今後、先ほど申し上げましたが、二〇二八年頃をピークに石綿含有建材を使った建築物の解体工事が年々増加していくことが見込まれます。このことを踏まえて、今回の改正で、石綿含有成形板、このレベル3建材を含む全てのものを規制の対象とするわけであります。
 この不適切な除去や事前調査における見落としなどもありましたことがこの法改正にもつながっているわけでありますから、明らかになった課題に的確に対応して、全ての建築物等の解体等工事における石綿飛散防止対策に万全を期してまいりたいと考えております。

#27
○青木愛君 済みません、小泉大臣の御答弁がちょっと中身がはっきりと落ちてこないんですけれども。
 先ほど申し上げたヨーロッパの予防原則という考え方ですね、危ないというふうに分かったものについては、まだ科学的な証明はなされていないけれども危ないというふうに見込まれているわけだから、科学的にはっきり証明されていない間はそれは使わないようにしようと。日本は逆で、科学的な証明がされていないのでその間は使ってもいいという、もう百八十度違う。国民の命、健康にとっては全く真逆の考え方でありまして、これは何にしてもそうなので、是非日本のこの根本的な立ち位置、考え方を変えていただきたいという、そういうお願いなんでありますけれども。

#28
○国務大臣(小泉進次郎君) 分かりにくかったかもしれませんが、改めて、この環境省の環境基本計画、このように書いてあります。「環境影響が懸念される問題については、科学的に不確実であることをもって対策を遅らせる理由とはせず、科学的知見の充実に努めながら、予防的な対策を講じるという「予防的な取組方法」の考え方に基づいて対策を講じていくべきである。」と。
 こういった考え方でおりますので、まさに、先ほど私も申し上げましたが、今回の大気汚染防止法、これにつきましては、環境省の最も基本的かつ重要な役割である環境に由来する健康被害の未然防止のために、これまでその時点での科学的知見に基づいて石綿の飛散防止に取り組んできたことでありますが、今までの法改正を重ねる中でも課題は見付かっていますので、今回その課題をクリアしていく、解決していくということで法改正を今皆さんに審議をお願いしていることであります。これが、結果、お認めいただいて改正された暁には、この石綿に対する規制、大きく進展すると考えております。

#29
○青木愛君 今大臣がおっしゃられたのはヨーロッパの予防原則とは全く違っていて、やはり科学的知見を重視しているということが分かりました。それが日本の立場だということは、そうなんですね、今までずっとそうなので。今はそうなんですけれども、やはりこういう石綿の問題を始めとしていろいろな、今化学物質であったりとか遺伝子組換え食品だとか残留農薬でいろんな問題があって、そこは日本は科学的な証明、知見を得られるまでは使ってしまおうというところなんですね。アスベストみたいに、こうやって三十年、四十年、五十年たってから被害が出てくる、こういう状況で、大臣、日本はよろしいんですかね。
 先ほど大臣がおっしゃった予防的対策というのは全く違うので、科学的知見を得ながら予防的対策を取るという、それは全く違っていて、もっと枝葉末節ではなくて根本の幹のところなんでありまして、是非このヨーロッパの予防原則、日本国民の命を守るためには予防原則、これを日本の指針としていただきたい、これは強く要望をさせていただきます。
 そして、続いてなんですけれども、これは現場の声でありますが、被害者補償基金制度の創設ということを現場から御要望を受けております。そういう国会議員の方も多いかと思いますけれども、それに関連して、ちょっと話はそれますけれども、ベビーパウダーなんですが、これはこれで大変問題なんですけれども、ここで取り上げる趣旨はそうではないんですが、ベビーパウダー、ファンデーションなどの原料であるタルクにアスベストが混入していたということで、今その危険性が指摘をされています。
 日本でも、時計用の宝石加工の作業中にベビーパウダーを打ち粉として使っていたということで、窓も開けずに閉め切った部屋で七、八人の方々がそういう作業をしていて、お一人の方が亡くなられたという大変残念な事例もあるんです、事故があるんですけれども。
 アメリカでは、今、二〇一九年ですから去年のことなんですけれども、このベビーパウダー約三万三千個、これを自主回収しているんですね。アメリカのFDAという機関がサンプル検査をして、オンラインで販売されている製品のボトルの一つから微量のアスベストが検出をされた、それを受けてのリコールということになりました。
 ジョンソン・エンド・ジョンソンでありますけれども、この会社のタルク製品によって疾病を発症した女性の方二十二人に対しまして、裁判所が四十七億ドル、約五千七十億円の賠償金を支払うように同社に命じたんですね。これ、一人当たりに換算しますと、その賠償金は二百億、日本円にして二百億であります。
 これを取り上げる趣旨は、EUでは予防原則に立っていち早く国民の健康と命を守る対策を打ちます。一方、アメリカは企業が一旦訴訟されると賠償金は桁違いに大きなものになるということであります。それに比べて、日本の場合は被害者が言わば泣き寝入り状態とでもいいましょうか、そういう状況でありまして、労働者に対して厚生労働省が管轄する労災保険給付や特別遺族給付金、その他の被害者は、環境省でも管轄しておりますが、石綿健康被害救済制度による救済給付はありますけれども、しかし、その補償額は十分ではないということを指摘をさせていただきます。
 この現場の被害者の方々は、建設工事を通じて、長年日本社会の屋台骨を支えてきた方々であります。原告以外にも被害者がたくさん全国におられまして、地域のそこそこで原告がその訴訟を起こさなくても、国がもっと前面に立ってこの救済制度、基金制度を創設することが求められているわけであります。
 是非、この被害者の立場に立った救済策を強化すべきだというこの点についての御見解をお聞かせください。

#30
○政府参考人(松本貴久君) 青木先生から建設アスベスト訴訟に関連しましての御質問を賜りました。
 建設アスベスト訴訟につきましては、現在、最高裁判所に係属中の五件を始めまして、合計十六件が係属中でございます。このため、係属中の案件でございますので、先生御指摘の基金創設等の具体的なことにつきましてのコメントはこの場で差し控えさせていただきたいと思います。
 厚生労働省といたしましては、先生御指摘のように、労災保険法による補償とか、あるいは石綿救済法に基づく特別遺族給付金による補償というものを従来行ってきているところでございます。まずは、こうした現行の制度に基づき、必要な補償にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

#31
○青木愛君 現場の方々は、国に謝ってほしいと、その姿勢を示してほしいと願っております。言わば慰謝料を求めているわけであります。
 いろいろな制度で生活の支援は、支援という制度としては理解をしますけれども、やはりその慰謝料としての基金制度の創設を今後の取組として進めていくべきだというふうに考えています。
 現場の方々は、今回、レベル3ということで成形板が規制の対象になったことは良かったと思いますけれども、その成形板を丸のこで現場ではこう切るわけですよね。そのときに飛散するわけです。まあ八、九割は暴露しているだろうと、現場の方々はそういうふうに認識しています。
 全員が全員発症するわけではないとは思いますけれども、やはり毎年行われる定期健診、暴露されている方々、発症していなくても、その定期健診に臨むその方々のやはり精神的苦痛というのは、御本人も、そして御家族も含めていかばかりかなというふうに本当に拝察するところでありまして、ましてや発症した方々に対しては、国のこれまでの先ほど申し上げた経過、経緯があるわけですから、そこはそれぞれに原告になって訴訟を起こす、そんなことではなくて、国が前面に立って救済してあげたらいいじゃないですか。これ裁判、勝訴が続いていますよね。それは当たり前だと思います。
 全国には原告になれずに被害を受けている方がたくさんいらっしゃるんです。それを国が救済してあげたらいかがでしょうか。

#32
○政府参考人(松本貴久君) 今ほどお答え申し上げましたとおり、現在、建設アスベスト訴訟につきましては十六件が裁判の係属中ということでございます。したがいまして、御指摘の点につきましてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
 なお、建設アスベスト訴訟につきましては、国はその時々の知見に応じて適時適切に措置を講じてきたというような点、また違法とされている争点、また国の違法期間につきまして裁判所の判断が分かれているということでございます。そういうことも踏まえまして、最高裁による統一的な判断を得る必要があるため、現在訴訟を係属しているという状況でございます。

#33
○青木愛君 これからも求めてまいりたいと考えます。
 次に、地震との関連で何点かお聞かせをいただきたいと思います。
 まず、一九九五年の阪神・淡路大震災、多くの建物が倒壊をいたしまして、建物倒壊とそして解体作業に伴って大量のアスベストが飛散をされました。二十五年を経た現在、当時復旧作業に従事した方々の中から死者あるいは疾患の被害が確認をされているところであります。二〇一一年の東日本大震災、また二〇一六年の熊本地震、二〇一八年の大阪北部地震、これらの地震でも倒壊した建物からアスベストが飛散をしております。
 この災害の復旧復興にはいろいろな方々が協力をしてくださっています。ボランティアの方々もそうです。きちんとした対策が取られていたんでしょうか。心配します。

#34
○政府参考人(小野洋君) 環境省におきましては、災害時における石綿飛散防止に係る取扱いマニュアルを策定いたしまして、自治体に対しまして平常時における準備及び災害発生時の応急対応として必要な取組を周知しております。このうち、先ほど委員からもございました災害時の住民やボランティアに向けた対応としては、住民やボランティアに配布するための防じんマスクの備蓄又は入手の確保を平常時から行う必要があることや、災害発生時に住民に対して周知するチラシの事例などもお示ししております。
 また、過去の災害発生時には、自治体からの協力要請等に基づきまして、環境省といたしましても、複数の企業の御協力を得て被災自治体へ防じんマスクを送付するとともに、ボランティア等の活動における防じんマスクの着用の徹底の周知をしております。また、解体等工事現場周辺等におけるアスベスト大気濃度測定の実施も行ってございます。
 引き続き、これらの自治体と連携した取組を実施することにより災害時の石綿暴露防止対策を推進してまいります。

#35
○青木愛君 昨年の台風被害でのちょっと事例を御紹介をさせていただきます。
 これ、鎌倉の事例と建設組合の方から伺ったんですけれども、昨年の台風被害で建物が損壊を受けました。で、修理をしようとしたところアスベストが見付かったために、やはりこの作業空間の隔離であったりとか、その減圧のための集じん・排気装置であったり作業者の安全防護など、また丁寧に取り除かなければなりませんから日数も掛かり人件費も重なるということで、その費用が発注者である所有者に大きく重くのしかかってきたということで、結局のところ、アスベストがあると分かっていながら除去することは諦めて、要は被覆という屋根を覆うという形だけにして、封じ込めにとどまったという例を伺いました。毎年これから自然災害あるいは地震も懸念されているこの日本において、こういう事例は増えるものというふうに思います。
 この法案はアスベストの飛散を防ぐという法律ではありますけれども、やはり最終的な最大の目的は、飛散を防止しながらも、この我々の生活環境、社会からこの危険なアスベストを除去する、根絶する、これが最大の目的でなければならないと思っております。途中で諦めることなく、きっちりその機会をせめて捉えてアスベストを除去する、そこまでのやはり支援がこれは必要だというふうに思います。
 この点、小泉大臣にお伺いします。いかがでしょうか。

#36
○国務大臣(小泉進次郎君) 青木先生からは、財政支援、そういったことも含む何らかの措置が今後やっぱり必要ではないかという御指摘だと思います。
 この石綿の除去費用については、従来から、建物の使用による便益を受けてきた所有者等が解体等工事の際の石綿除去費用を負担することとしています。なお、石綿の除去が円滑に行われるよう、日本政策金融公庫において石綿の除去等を行う際に中小企業等に対する低利融資制度が設けられておりまして、一定の負担軽減が図られています。
 今回の法改正で、レベル3建材、これにも拡大をする措置を講じておりますが、これによって費用負担が大きく増えることはないというふうに見込んでおりますので、新たに補助制度を創設する必要性は生じないものと考えています。
 環境省としては、過去に石綿含有建材を製造していた業者から提供いただいた情報の周知や、石綿飛散防止対策マニュアルの策定、講習会等の事業者向けの技術支援も行いながら、大気汚染防止法に基づく規制の遵守を図ってまいりたいと考えております。

#37
○青木愛君 大変残念な御答弁としか言わざるを得ません。
 地方自治体によっては財政的支援を行っているところもございます。また、国交省の方にもそういう支援制度があるようには伺っておりますが、それで十分かどうかというところもあり、環境省としては、融資制度もあるというふうに伺っていますけれども、やはり今、この法案改正でアスベスト飛散防止のためのいろいろな作業基準というものを設けてそれをしっかり守ろうというところにおいて、やはり減圧を掛けるその装置だとか、隔離にしなくちゃいけないとか、作業日数も掛かるとかということを考えれば、これは百万単位で、私もいいかげんなことは言えません、もっと掛かるかもしれませんが、想像するに大変な金額が掛かる。それを発注者が、アスベストがそこにあるということはその発注者の責任ではないわけでありまして、単なる修理ではないんですよね。修理費用なら発注者が持つということも理解できますけれども、そこにプラスアルファアスベストがあるがために、自分の原因ではないアスベストがあるためにプラスアルファの費用がかさむんですよ。
 そこは国として面倒を見ようという気持ちにはならないんでしょうか。もう一度御答弁お願いいたします。

#38
○国務大臣(小泉進次郎君) 青木先生の思いというのは共有をします。私も、今回、レベル3建材を含むということで現場にどのような負担が掛かるんだろうかと、そういったことも議論をしました。そういったことも調査、現場のことを聞きながらやったところ、今回のレベル3建材を規制の対象に拡大をするという、こういったことを講じた上で費用負担が大きく増えることはないだろうと、そういうふうに見込んでおりますので、新たに補助制度を創設する必要性は生じないものと考えていますが、先ほど申し上げたとおり、石綿の除去が円滑に行われることは間違いなく必要なことであります。それは青木先生と共有しています。
 そこにつきましては、日本政策金融公庫が低利融資制度、そういったこともありますので、そういったことも活用いただくとともに、環境省としてやらなければいけないこと、過去に石綿含有建材を製造していた業者から提供いただいた情報をしっかりと周知をすること、そして防止の、石綿飛散防止対策のマニュアルをしっかりと作っていくこと、また講習会など事業者向けの技術支援も行うこと、こういったことをやりながら石綿の飛散を少しでも防止をしていくこと、こういったことをやっていくことが我々環境省としては重要なことだと考えております。

#39
○青木愛君 除去が大事だということにおいて、是非環境省としても、財務省にでも是非掛け合っていただいて必要なものは財源を取ってくると、そういう覚悟を、是非大臣にはそういった姿勢で臨んでいただきたいという思いであります。
 最後の質問になりますけれども、今回の法案の中で、全ての建物と私は望みますけれども、建築物、あらゆる建築物にアスベストが使われているかどうかというその有無を調査をしてデータベース化をするというところが入っておりまして、これは非常に私は評価をするところなんですけれども、これがなされれば解体時の事前調査と二重のチェックができるのでより安全を確保できるのではないかと思っていて、大変なところもあるとお聞きしますが、このデータベースの構築、ここに私は、民家に至るまで、優先順位はあるかもしれませんけれども、やはり天井であったり床であったり壁であったり、あるいは壁紙であったり、そういうところに練り込まれていて、飛散する可能性は少ないとはいえ、台風があったり何だかんだというときは解体時と同じような状況になるわけですから、やはりそれぞれの個々人が自分が住んでいる家にアスベストが使われているのか使われていないのか、そこを注意喚起を促して、余り不安に思ってふだんの日常生活に支障があっても困りますけれども、やはり台風の季節をこれから迎えますし、地震がいつ起きるか分からないという、この災害が起きる前になるべく早くそういうアスベストの有無、全ての建物についてデータベース化、把握をするということを最大限の目標にしていただきたいと思うんですが……

#40
○委員長(牧山ひろえ君) 時間となりましたので、おまとめください。

#41
○青木愛君 最後にこの点だけお願いいたします。

#42
○国務大臣(小泉進次郎君) 時間も来ているということですから端的にお答えさせていただきますと、このデータベース作成については御評価いただきましてありがとうございます。
 まずはモデル事業をしっかりやっていきます。そして、数自治体でこのモデル事業をやって、そこで得られた知見、そして把握の手法、こういったことの検討を行いながら、得られたものを全国への展開することによって石綿含有建材の使用状況の把握を促進していきたいと思います。
 ありがとうございます。

#43
○青木愛君 ありがとうございました。

#44
○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。
 我が党として、今回の大気汚染防止法の改正による石綿の規制強化、賛成でございます。その背景には二点あると思っています。一つには、一九六〇年代の石綿の輸入急増した時期から平均約四十年とされる潜伏期間を経過いたしまして、石綿による患者さん、また中皮腫死亡者が急増しています。二〇一七年に千五百五十五名で、九五年の約三倍になっていると、こういう点が一点。もう一点は、今後、建築物の解体工事の増加が見込まれるということがございます。これは、二〇一三年では五万五千棟だったのが、二〇二八年、八年後でございますが、十万棟になるのではないかと言われています。
 こういうことから、まさにこの時点で規制強化が必要と考えておりますが、そこで小泉大臣にお聞きしたいと思います。今回の大防法の改正によりまして規制強化に臨む大臣の決意をまず最初にお聞きしたいと思います。

#45
○国務大臣(小泉進次郎君) 今回の法改正の目的は、環境省の最も基本的かつ重要な役割であります環境に由来する健康被害の未然防止のために、全ての建築物等の解体等工事について石綿の飛散防止を徹底することであります。
 浜田先生から今御指摘をいただきましたとおり、中皮腫による死亡者は年々増加しております。平成三十年の死亡者数は千五百十二名、平成七年の五百名の約三倍となっています。また、今後、令和十年、二〇二八年頃をピークに石綿含有建材を使った建築物の解体工事が年々増加していく見込みでもあります。これらを踏まえますと、今回の法改正、まさに石綿飛散防止を大きく進展させるものでありますから、必要なものだと考えております。
 今回の法改正では四つのポイントがあります。一つ目が、今申し上げましたとおり、全ての建材について規制を拡大をすること。そして二つ目が、事前調査結果の都道府県への報告の義務付けなどによる不適切な調査を防止すること。三つ目が、隔離等をせずに吹き付け石綿等の除去作業を行った場合の直接罰の創設。そして四つ目が、作業結果の発注者への報告の義務付け等による不適切な除去作業の防止等を行うこと。これによりまして、レベル3建材を含めた全ての石綿含有建材を規制対象とするとともに、事前調査から作業後までの一連の規制を強化することによって石綿飛散防止のための規制は大いに進展すると考えています。
 このことによって、国民の皆さんの命、そして健康をしっかりと守ってまいりたいと考えています。

#46
○浜田昌良君 それでは、具体的にお聞きしていきたいと思います。
 今大臣から、いわゆるレベル3建材ですね、従来はレベル1の吹き付け石綿とかレベル2の石綿含有断熱材等でありましたが、今回はいわゆる成形板まで入れると。そうしますと、今までこういう成形板、レベル3建材によって飛散した事例はどれぐらいあったんでしょうか。
 また、今回規制の対象に入れるんですが、届出対象の工事としなくてどのように規制の実効性を担保するのか。具体的には、今回、一定規模以上、床面積八十平米以上、これは解体の場合ですが、また改修の場合は請負金額百万円以上の工事について事前調査、報告をするとなっておりますが、これをレベル3建材の規制の実効性を担保するためどのように活用するのか、これにつきまして環境副大臣から答弁いただきたいと思います。

#47
○副大臣(佐藤ゆかり君) お答え申し上げます。
 御指摘のレベル3建材、石綿含有成形板等でございますけれども、これについて、前回の改正時には相対的に飛散性が低いとして規制対象とはしておりませんでした。ところが、環境省によります調査の結果、石綿含有成形板等レベル3建材につきましても、不適切な除去を行えば石綿が飛散することが明らかになっております。文献調査では、石綿含有成形板等、いわゆるレベル3建材の除去等作業現場三十八か所のうち、十五か所において作業現場近傍での石綿の飛散が確認をされております。
 そのため、石綿含有成形板等レベル3建材につきましても、作業時の石綿飛散防止を図るために新たに特定建築材料に追加をいたしまして、事前調査等の規制対象に追加することとしたものでございます。
 一方で、レベル3建材につきまして、まず原形で取り外せること、そしてまた、これが難しい場合でも、飛散性が相対的には低いことから、通常の解体等工事を行う事業者が対応可能な湿潤化等の措置を適切に実施することにより石綿の飛散を抑えられること、そして二つ目に、作業の件数がこれまでの大防法の規制対象の五倍から二十倍増加すると考えられておりまして、仮に作業の届出を義務化、義務付けいたしました場合には届出を受ける都道府県等の負担が更に大きくなってしまうということなどを踏まえまして、今般作業の届出は不要とさせていただいております。
 御指摘の規制の実効性の担保につきましては、新設いたします事前調査結果の都道府県等への報告制度によりまして、都道府県等が解体等工事現場を網羅的に把握をして、注意喚起や立入検査等によって確認、指導をしてまいります。さらに、規制を行う都道府県等が効率的に事務を行える制度設計や支援が必要と考えておりまして、具体的には、事前調査結果の報告について、行政に対する報告について電子システムを整備し、都道府県等が効率的に工事現場の把握や立入検査の対象の選定をできるようにしたいと考えております。
 また、加えまして、この作業後の発注者への報告ですとか作業に関する記録の保存の義務付け、こういったものによりまして、都道府県等の指導の実効性や事業者の適切な作業の担保を図りまして、これらの取組で総体的に、総合的に、効率的に規制の実効性を担保してまいりたいというふうに考えております。

#48
○浜田昌良君 次に、今の答弁にも言及がございました事前調査について質問をさせていただきたいと思います。
 これ、厚労省から答弁いただきたいと思いますが、一定規模以上の解体工事に対する事前調査結果の報告はどの程度の年間件数を想定しているのか。また、コロナ感染症を経験した今、電子報告が重要と考えますが、体制は間に合うんでしょうか。さらに、現場の労基署においてはどのような指導監督を行うのか、お答えいただきたいと思います。

#49
○政府参考人(村山誠君) お答え申し上げます。
 まず、委員御指摘の一点目でございますけれども、どれぐらいの件数が見込まれるかという点でございます。
 労働安全衛生法に基づく石綿障害予防規則を今般の大気汚染防止法の法改正と整合的な形で行う方針でございまして、その中で、御指摘の事前届出制度を新たに設ける予定としております。
 この制度におきましては、解体部分の床面積が八十平米以上の建築物の解体作業、あるいは請負金額が百万円以上の建築物の改修作業、それから請負金額が百万円以上の特定の工作物、これは石綿等を使用している可能性が高いものでございますが、その解体、改修作業を届出対象とする方針でございます。
 これらの作業につきまして、同じ規模の建築物の解体工事を対象としている建設リサイクル法に基づく届出件数でございますとか、あるいは国土交通省で行われております各種調査などから推計いたしますと、建築物につきましては年間二百数十万件程度と推計されます。一方で、現在、現行制度におけるレベル1、2の建材に関わります計画届出、作業届出の件数は年間約一万三千件程度でございますので、大幅に届出の対象が増える見込みでございます。これが一点目でございます。
 二点目でございますけれども、新型コロナウイルス等の広がりの中で、これについてきちんとした対応ができるのかという点についてでございます。
 この点につきましては、先ほど佐藤副大臣の御答弁にもございましたように、この新たな届出制度につきましては、私ども厚生労働省で行いました検討会におけます業界団体等の当事者の皆様からの御指摘も踏まえまして、事業者の過大な負担となることがないように、スマートフォンからでも届出可能な簡易な電子届出とすること、そして、届出事項につきましては改正後の大気汚染防止法と統一すること、また、厚生労働省と環境省さんの電子届出システムを連結して地方公共団体も含めて情報を共有化することで、事業者の皆様方には一度の届出で簡易に済む仕組みとする方針でございます。
 その上で、この届出システムにつきましては、制度の施行時に運用が可能になるように、今年度から構築を開始をいたしまして令和三年度中の完成を目指しているところでございますが、既に検討会の中でも、その具体の様式、A4一枚に必要な情報が、不可欠な情報が必要十分に収まるような様式等についてもコンセンサスをいただいているというようなこともございますので、こうした状況の中ではございますが、計画的に取組を進めてまいりたいというふうに考えております。
 それから、委員御指摘の三点目でございますが、労働基準監督署における対応についてでございます。
 このシステムにおきましては、先ほど佐藤副大臣の御答弁にございましたように、電子的なものでございますので、データを一定の条件の下で抽出するということが可能になってまいります。これによりまして、例えば、広く石綿が建材として使用されていた一九八〇年代に着工した建築物の解体工事であるにもかかわらず全く石綿を使用していませんというような届出になっているような工事を一斉に抽出すると、そういったことが従来の紙媒体の届出と比べまして非常に機械的に一斉にできるということがございます。
 こうした特定の条件を設定して指導対象とすべき事業者を効率的に絞り込むというようなことを行うことによりまして、労働基準監督署におけます効果的な指導につなげられるものと考えており、また、環境省さんともよく連携を図りながら、地方公共団体の皆さんと連携してしっかり取り組んでまいりたい、このように考えております。
 以上でございます。

#50
○浜田昌良君 今御答弁ございましたように、今までの届出一万三千件程度が二百数十万件と、約二百倍になると。このデータも、しかも電子データですから、分析によって疑わしい案件がある程度絞り込みができると、いかにその活用をしていくかが重要でございます。
 その際、やっぱりこの事前調査は誰が行うのかで、政府においては建築物石綿含有建材調査講習の修了者を活用しようとされていますが、現時点ではこの修了者は千五百三十九名程度なんですね。今後、調査対象として民間の建築物の合計が二百八十万棟に上り、必要となる三十万から四十万人、これを三年間で育成しようとされているんですよ。具体的にどのように育成されるのか、さらにそれから法規制、この事前調査の報告は法施行後、これ二年後ですから、三年を待たずに来ちゃうんですけれども、その不足する体制でどのように対応するのか、お答えいただきたいと思います。

#51
○政府参考人(村山誠君) お答え申し上げます。
 ただいま浜田委員から御指摘ございましたとおり、調査者の資格を取得する方々の必要数が全国で三十万人から四十万人程度と見積もられる一方で、現在求められる資格を有する方が千五百名余にとどまっているということで、全国的な講習実施体制の構築が急務であるというふうに考えております。
 このため、労働災害の防止を目的とし、労働安全衛生法に基づく様々な講習を既に全国的に実施しております労働災害防止団体等の協力を得て、計画的な育成、対応を進めていく方針でございます。具体的には、建設業労働災害防止協会や中央労働災害防止協会における都道府県単位、さらに地域レベルでの講習実施体制を活用し、全国数百か所で講習を実施することを想定しております。
 現実に過去の制度改正に伴う技能講習等の実績を見ましても、これらの団体等の協力によりまして年間十万人から二十万人程度の講習実施は可能というふうに考えてございまして、例えばでございますけれども、先ほども少しお話のございました平成十七年から十八年にかけてのアスベストの規制強化の際には、当時の特定化学物質等作業主任者技能講習につきまして年間で約十二万人の方々に受講していただいた等の事例もございます。施行に向けた育成期間として、御指摘の三年間あれば必要な人材の確保を図ることができるものというふうに考えております。
 なお、御指摘の二点目でございますけれども、施行時期の関係でございます。
 現在検討中の労働安全衛生法に基づく石綿障害予防規則の改正案におきましては、届出制度の施行は令和四年四月からを予定し、事前調査を有資格者に行わせる義務付けの方は、先ほど申しました人材育成に必要な期間を踏まえて令和五年十月からの施行を予定しているところでございます。この届出制度におきましては、事前調査者の氏名も届出対象となるわけでございますけれども、有資格者による事前調査が義務付けられる令和五年十月までの間は、これは有資格者以外の方が事前調査を行うことができる運用ということでしっかり対応してまいりたいというふうに考えています。
 なお、こうした点につきましては、建築物の解体、改修工事に関する有識者、関係事業者団体、さらには労働団体の方々の代表等により構成される検討会における議論とコンセンサスを踏まえた方針でございまして、十分実効性のある、実行可能性のあるものではないかというふうに考えています。
 以上でございます。

#52
○浜田昌良君 以前も化学物質の関係で約十万人の育成がされたという点と、今後のその育成と規制のうまくタイミングをしっかりと合わせながらお願いしたいと思います。
 次に、このように厚生労働省側でいろんなデータの分析ができる体制になりましたが、それをいかに環境行政に生かしていくか。特に、現場は都道府県が中心になりますが、その事前報告のチェック体制を、環境省としても都道府県の体制を強化していくことが必要と考えますが、環境副大臣にその方針をお答えいただきたいと思います。

#53
○副大臣(佐藤ゆかり君) お答え申し上げます。
 御指摘のとおりでございまして、事前調査の報告義務付けについては、その報告件数が二百三十万件に及ぶと想定されますことから、まず報告を行う事業者の負担軽減と同時に、この報告先となります都道府県において効率的に事務を行える制度設計や支援が必要というふうに考えております。
 具体的に、環境省としまして、厚生労働省と連携をいたしまして行政への事前調査の結果の報告についてこの電子システムを整備いたしまして、都道府県等が効率的に工事現場の把握や立入検査の対象の選定をできるようにするということでございます。その際に、労働安全衛生法に基づく届出として厚生労働省が検討しております同様の電子システム、これと連携をさせることによりまして都道府県等の更なる負担軽減を図ることといたしております。
 さらに、自治体向けでございますけれども、改正内容について都道府県等の職員向けの講習会等の開催ですとか、得られた情報を有効活用するための立入検査等の必要性を効率的に判断できるためのマニュアルの整備、こういったものへの支援を行いまして、都道府県等の職員が十分な知識を持って実効的に対応できるようにしてまいるということでございます。
 最後に加えまして、さらに、都道府県等に対して、事前調査、石綿漏えい監視、除去終了後の確認等に対する技術講習会も更に充実強化をしまして、効率的、効果的な立入検査に資するような体制整備を行ってまいります。

#54
○浜田昌良君 しっかりと環境省としても都道府県を支援するようにお願いしたいと思います。
 この事前調査、そういう意味では、本当にうまく回っていけば石綿規制に効果を発揮していくんですが、やはりこの事前調査の方法が不十分だと根元が崩れてしまうわけですね。これが従来はマニュアルによる方法しか規定されていなかったのが、今回は法定化されました。これによりどのような改善効果が期待できるのか、小泉大臣からお答えいただきたいと思います。

#55
○国務大臣(小泉進次郎君) 浜田先生御指摘のとおり、現在の事前調査の方法は法令上に規定されておりませんで、マニュアルにおいて示されています。そして、これまでの都道府県等による立入検査等では設計図書の確認が不足していたなど、マニュアルに沿わない不適切な方法で事前調査が行われ、石綿含有建材が見落とされていた事例が確認をされています。これは、マニュアルに基づく都道府県等の指導では強制力に一定の限界があるという課題も一因であったと考えています。
 そのため、今回の改正では、設計図書その他の書面による調査や目視による調査など、事前調査の方法の内容、範囲を明確に法定化するとともに、都道府県等への事前調査結果の報告を義務付け、虚偽の報告をした者や報告をしなかった者に対しては罰則を設けております。さらに、同時に事前調査結果記録の保存を義務付けることで、都道府県等が立入検査を通じて、適切な事前調査が実施された上で解体工事が実施されているかを事後的に確認することが可能となります。
 これらの改正によって不適切な事前調査の防止の徹底が期待できると考えております。

#56
○浜田昌良君 是非、この事前調査の制度がうまく回っていくように、大臣のリーダーシップを期待したいと思います。
 次に、今回新たに設けられました直接罰について質問を移りたいと思います。
 隔離などをせずに吹き付け石綿等の除去作業を行った場合などについて、今回直接罰を創設するとしておりますが、今までどのような悪質事案があったのか、まず環境省の政府参考人からお聞きしたいと思います。

#57
○政府参考人(小野洋君) お答え申し上げます。
 今、都道府県等が石綿の飛散防止措置が不十分であるなどの行為に対しては立入検査指導を行っておりますけれども、直近、平成三十年度には約五千六百件、全国で五千六百件の行政指導が行われておりますが、そのうち約千件が石綿の飛散の潜在的なリスクが高いと考えられる隔離、集じん・排気装置の使用等に係る指導であるという実績でございます。
 こうした事例に対して、現行法では作業基準適合命令を行って、命令違反の場合には更に罰則を適用できるということでございますけれども、これまで、工事が短期間で命令を行う前に工事が終了してしまう等々の事情もあり、罰則の適用に至ったようなケースは承知しておりません。今回の改正により、隔離を行わないなど多量の石綿を飛散させるおそれが大きい違反行為に対して直接罰を設けることで、悪質な違反行為の防止を徹底してまいります。

#58
○浜田昌良君 今ございましたように、行政指導五千六百件のうち約千件がいわゆる飛散のリスクの高いものであったということでございました。
 そういう意味では、直接罰の創設も必要だと思っておりますが、ただ、やはり罰則でございますので、基準が明確でないといけないと考えておりますが、この今回の法律の第十八条の十九、特定建築材料の除去について、今回直接罰を導入するに当たりまして、その基準、同条一号イ、ロ、ハ及び二号の方法をどのように明確化するんでしょうか。また、そもそもこの同条の適用の対象にならない、これら各号に定める方法によることが技術上著しく困難な場合とはどのように明確化するのか、参考人からお答えいただきたいと思います。

#59
○政府参考人(小野洋君) お答えいたします。
 委員御指摘ございました十八条の十九でございます。この法律本文におきましてもイ、ロ、ハで建材をそのまま取り外す方法でありますとか隔離及び集じん・排気装置を使用する方法等々、法律で一定明確に規定した上で、更に技術的な内容を環境省令で定めるということにされております。具体的には、集じん・排気装置の使用でございますとか、囲い込み、封じ込めの方法等につきましては、現在検討会で技術的な検討を行っておりまして、省令において具体的に規定してまいりたいと考えております。
 また、委員からございました飛散防止措置をとることが技術上著しく困難な場合というところでございますが、これは、例えば災害時に建築物が損壊いたしましてもう中に入れないと、あるいは作業をするときに危険な状態になるという極めて限定的なケースを想定しております。これは、基本的には都道府県が判断することになりますけれども、その判断が適切に行えるよう、法の施行までの間にその考え方、範囲等々について事業者や都道府県に対して周知をしてまいりたいと考えております。

#60
○浜田昌良君 是非、基準を今後明確にしていただいて、現場で混乱がないようにしていただきたいと思います。
 今の答弁にもありましたが、災害時等についてはこの基準が適用にならない場合があります。しかし、災害時にも、先ほど他の委員からも質問ございましたように、阪神大震災では警察官の方が瓦れき処理、亡くなったりとか、瓦れき処理した作業員が二十年余りを経て中皮腫を発症した事例とか、いろいろ報告されています。また、東日本大震災では、環境省のモニタリングの結果、被災地域における建築物の解体現場周辺で一リッター当たり二十本という基準を上回る濃度があったということも報告されています。
 これを受けまして、今回の法改正におきましては、十八条の二十四でこういう場合の国と都道府県の責務、つまり情報収集、整理、提供義務というのが設けられています。これをどのように実施していくのか。
 特に、平常時から石綿露出状況の把握というのが、従来からもこの二〇一七年に作られました災害時における石綿飛散防止に係る取扱いマニュアルというもので把握されるようにされていますが、主にレベル1建材だけなんですね。レベル2は望ましいというだけになっていまして、今回また新たにレベル3も対象となってくるわけでございますが、どのようにこれを改善していくのか。
 さらに、今後、地域の防災計画、ここには実はこの石綿含有の建築物があるんだということを事前に知っておくということはとても重要でありますし、また、災害廃棄物の処理計画とも連動させていかなければ実際のそういういろんな事例は起きてしまうわけでございますので、これについてどう進めていくのか、環境大臣から御答弁いただきたいと思います。

#61
○国務大臣(小泉進次郎君) 浜田先生から今まとめて幾つか御質問いただきましたので、お答えをまとめてさせていただきたいと思います。
 まず、災害時には石綿含有建材が使用された建築物等の損壊によって石綿飛散のおそれがあることから、その使用状況の把握を通常時から進めることが重要であります。このため、今回の改正では、国や地方公共団体に対して災害時の石綿飛散防止のために必要な施策を実施していく責務を設けることで、所有者等による通常時からの建築物等への石綿含有建材の使用状況の把握を後押しをしています。
 先ほど青木先生の御質問にもお答えをさせていただきましたが、環境省としては、今後データベース作成などのモデル事業、これをしっかりとやっていくことによって、地方公共団体における石綿含有建材の使用状況に係る情報の蓄積を促進してまいります。あわせて、災害対応に係るマニュアルを強化して平常時からの準備を進めることで、建築物等の所有者や地方公共団体が適切に災害時応急措置を行えるようにしてまいります。
 そして、先生からはレベル3建材まで含めた災害時の応急対応の確実な実施、改善についてもお尋ねをいただきました。
 この点につきましては、レベル3建材を含めた石綿含有建材を使用している建築物等の数は膨大になることが想定されます。このため、既存の情報も最大限活用しつつ、地域の実情に応じて、災害時に石綿飛散のおそれの大きい建築物等から優先的に把握を進めていきたいと思います。
 また、災害廃棄物として取り扱う場合は、都道府県に対して飛散防止措置や防じんマスクの着用などの安全措置を周知をしています。さらに、災害時の石綿含有廃棄物の取扱いにつきまして、仮置場での飛散防止措置などを盛り込んだ災害時の一般廃棄物処理に関する初動対応の手引きを作成をしています。
 そして、先生の御指摘のとおり、災害時の石綿飛散防止において、地域防災計画や災害廃棄物処理計画との連携は重要と考えていますから、現に地方公共団体がそのような計画を策定するに当たって参考としていただくべく策定をしている災害廃棄物対策指針においても、平時から石綿含有建材の使用状況に関する情報の収集に努めるように想定しているところであります。
 災害時にも石綿含有建材が適切に処理されることとなるように、都道府県等に対しては、引き続き関係部局が連携して情報共有することについてこれらの計画に記載するように促してまいります。
 このような通常時からの準備と災害時対応に至るまでの包括的な取組によって、災害時の……

#62
○委員長(牧山ひろえ君) 時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。

#63
○国務大臣(小泉進次郎君) 石綿飛散防止を推進してまいります。
 以上です。

#64
○浜田昌良君 終わります。

#65
○片山大介君 日本維新の会の片山大介です。
 私は、地元は実は兵庫なので、アスベストとはすごく関わりが深いところなんです。そもそも、解体工事でアスベストの規制が導入されたというのは、二十五年前の阪神・淡路大震災の解体工事に伴うのがきっかけだったんです。それから、二〇〇五年には、兵庫の尼崎というところで工場周辺の住民に多数の被害が発覚した、これ、クボタ・ショックと言われているんですけど、クボタ・ショックが起きて、その規制が対象が拡大になった。それで、前回の二〇一三年の前回改正で更に規制が強化されたと、こういう流れなんですけれども。
 それで、その前回の改正のことを少し言いますと、解体工事の実施届出の義務者、これ出す人、これがそれまでの受注者から発注者に変更して、事前調査も法定化されました。本来ならば、この事前調査というのがきちんと行われていたら実は今回の改正というのは余り必要なかったんですよね、半分ぐらいはね。
 ということは、その前回の改正の効果が思わしくないから今回改正をもっと強化せざるを得なかったということにもつながるんですけれども、まず、その前回の改正の評価、これどういうふうに考えているのか、聞かせていただけますか。

#66
○国務大臣(小泉進次郎君) まず、片山先生には、今回、質問の通告、そしてブリーフ、これをオンラインで環境省とやっていただきまして、職員の方も負担も軽くなりまして、本当にありがとうございます。まずはお礼を申し上げたいと思います。
 そして、先生から御指摘ありました前回の改正の効果、これにつきましては、我々は効果は十分にあったと、そういうふうに考えています。
 それの効果をどういうふうに測るかという我々の見方でありますが、その改正の結果、石綿含有建材が使われた解体等作業の件数、平成二十五年から五年間で倍増しましたが、一般環境中における石綿濃度を低い水準で維持できていますので、現場における石綿飛散防止の推進が着実に浸透してきたと言えると考えています。
 ただ、一方で、今回、改正から五年経過後の施行状況を点検した結果、新たな課題が明らかになったことも事実です。その課題につきましては、今日も答弁をさせていただきましたが、解体等工事前の石綿含有建材の調査時の見落としや、除去作業時の石綿含有建材の取り残しによって、工事に伴って石綿が飛散する事例があったこと、そして、これまでは規制の対象ではなかったレベル3建材についても、不適切な除去を行えば石綿が飛散することが明らかになったこと、こういった課題もありますので、これに加えまして、先ほども申し上げたとおり、これから令和十年頃をピークに年々解体が増えていくと、こういったことも見込んでいますから、今回の改正で更に規制を強化する、そういった必要性を感じているところであります。

#67
○片山大介君 まず、オンラインについては、私もやってみて良かったと思いますし、職員の皆さんが少し負担軽減になったのは良かったなというふうに思います。
 それで、今のその大臣の答弁なんですけど、それでもやっぱり前回の改正の効果が上がっていないところも、私たくさんあると思うんです。今回改正するとなったけど、やっぱり足りない点、これまでの今の質疑でも出てきている、たくさんあると思うんです。
 それを一個一個ちょっとひもといていきたいんですが、実は、私の兵庫の尼崎の隣の西宮市で去年、解体工事、アスベストの解体工事をめぐる裁判の判決というのがあったんです。その判決、その裁判は、今の制度の問題点、あと、大気汚染防止法がどうあれば飛散防止というのを図っていくことができるのか、これ示している、示すことができる非常に大切な裁判の判決だったと思うので、これも紹介しながら話をしていきたいんですが。
 この解体工事というのは、西宮のある大学の校舎の解体工事だった。それで、住民への事前説明会って行われたんですけれども、このときはアスベストは校舎の二か所しかないと、こういう説明を住民にしていたんですけれども、実際、裁判の中で明らかになったのは、このレベル1とレベル2だけで十九か所アスベストあったというんです。それでさらに、その業者側の虚偽の届出、虚偽の届出があった、そしてそれを市が見抜くことができなかった、これも明らかになった。それでその上で、その判決では、アスベストが飛散していたことは認定されたんです。でも、その直接の被害は立証されていないとして、その損害賠償請求は棄却されたと、こういうふうになっているんです。
 それで、今回のこの改正で、まず調査、これをきちんとやらなきゃいけないということで、これ、調査方法、法定化されました。それで、法定化の中で一定の知見を有する者による調査というのが求められるようになりました。だけど、これもやっぱり、知見のある者といったって、結局これ身内の調査なんですよね。そうすると、やっぱりアスベストを低く見積もろう、それから費用を浮かせよう、この懸念はやっぱりなかなか解消されないんじゃないかと思います。
 それじゃ、海外の事例を見てみると、第三者機関による事前調査や完了検査というのは、これ、アメリカ、イギリス、ドイツ、韓国で実施されている。日本ではこれ検討課題にもなったけどやっぱりやっていないんですけど、これはなぜでしょうか。教えていただけますか。

#68
○国務大臣(小泉進次郎君) これまでは事前調査を行う者の要件は定められていませんでしたが、今般の制度改正で、一定の知見を有する者として、石綿含有建材に係る専門的知識の講習を修了した者による事前調査の実施を義務付けることとしています。その結果、自社であっても第三者であっても、事前調査を的確に行うことができる能力を十分に有する者が調査を行うこととなり、不適切な事前調査の防止が進展すると考えています。
 加えて、今回元請業者に義務付ける都道府県等への事前調査結果の報告には、調査を行った者の氏名、そして調査方法、調査結果等も盛り込む方向で検討しておりまして、不適切な事前調査に対する都道府県等による抑止が働くものと考えています。さらに、発注者は、元請業者が実施した事前調査の結果を踏まえて、吹き付け石綿等レベル1、2の建材があった場合は都道府県等に届出する義務を負っています。今回、都道府県等に事前調査結果を報告することが義務付けられることで、発注者による届出についても都道府県等のチェックがしやすくなることから、発注者から元請業者への監督も働きやすくなると考えています。
 このように、元請業者が自ら一定の知見を有する者によって調査を行う場合であっても、都道府県等や発注者によって監視がなされることから、第三者による調査と比べて直ちに調査が甘くなるといった御懸念は当たらないものと考えています。
 なお、公害関係のほかの法令において、例えば特定工場における公害防止組織の整備に関する法律においては、設置する公害発生施設が一定の要件を満たす場合には、当該施設において、ばい煙や汚水等の濃度測定等の技術的事項を担う者として公害防止管理者を選任することを義務付けていますが、当該管理者は自社の者から選任されているという実態もあります。
 ちょっと御紹介までさせていただきます。

#69
○片山大介君 今大臣言われたんですけど、本当にそれがきちんとした抑止効果になるのか。なるんだったら、やっぱり前回の改正でもある程度できていたはずなんじゃないかと思います。やっぱりこれができていなかったということだと思う。
 それから、身内の一定の知見を有する者だって、先ほど浜田委員から言われたように、その人数だって実は少ないんですけれども、全くね。だから、第三者機関、これ、ある程度やっぱり考えていった方がいいと思いますけど、そこはどうですか。もう端的にでいいですけど。

#70
○国務大臣(小泉進次郎君) 第三者による事前調査は、より客観的に調査を行う観点からは有効との指摘もありますが、第三者による実施を義務付けるには、全国の工事に対して一定の知見を有する者を迅速に派遣できる体制整備が必要だというふうに考えています。
 現在、第三者機関の立場で事前調査を行っている日本アスベスト調査診断協会に登録された者は僅か百五十名にすぎず、全国の解体等工事に対応できないことから、現時点での義務付けはなかなか現実的ではないと考えています。また、第三者による実施を検討する場合には、事業者の負担増加にも配慮する必要があります。
 一方で、事前調査の結果の報告及び記録の保存を義務付けることで、都道府県等が客観的に立入検査によって適切な事前調査が実施された上で解体工事が実施されているかを確認することが可能であります。
 環境省としては、まずは関係省庁と連携して一定の知見を有する者の育成に全力で取り組むなど、改正法の着実な施行によって事前調査の適正化を徹底してまいりたいと考えています。先生から御指摘のありました第三者による調査制度の必要性については、当該制度の施行状況を踏まえた上で改めて検討するのが適当だというふうに考えています。

#71
○片山大介君 是非考えていっていただきたいと思います。
 それで、今後十年のうちに、そのアスベストの含まれた建築物の解体、ピークを迎えるというのであれば、今その人数の少なさもきちんと大臣が言われたとおりなので、そうすると、今のうちからこれ前向きにやっておかないとやっぱり間に合わなくなります。やっぱりそれは考えていただきたいと思います。
 それで、その次に、レベル3建材、今回新たな規制対象になったレベル3建材について聞きたいんですが、これまで不適切な除去でアスベスト飛散があったということは言っていらっしゃるんですが、ただ、その割には今回その解体工事の実施届出、求められていないんです。それから、実際の工事の際に隔離をしていなかっただとかといって、レベル1建材やレベル2建材であれば直接罰が導入されるけれども、このレベル3建材、これ直接罰導入されていない。
 それで、西宮のさっき言った裁判でいえば、レベル3建材というのは百三十七か所あったんです。やっぱり、こう考えると、仮にその含有率低かったとしてもやっぱりこれは大きな問題にはなると思うんですけれども、今回のこの対応だけでレベル3建材の飛散防止が本当に担保できるのかどうか、ここをどのようにお考えなのかを教えていただけますか。

#72
○国務大臣(小泉進次郎君) レベル3建材については、先生が今御指摘いただいたとおり、相対的に飛散性が低い。通常の解体等工事を行う事業者が対応可能な措置を適切に実施することで飛散が抑えられるということがあります。このため、届出を求めなくても、今回新設する事前調査結果の報告制度によって都道府県等が解体等工事現場を網羅的に把握して、注意喚起や立入検査等による確認、指導を行うことで、効率的、実効的な石綿飛散の未然防止を図ることができると考えています。
 今日何度か御答弁させていただきましたが、環境省としては、そのためにも行政への事前調査結果の報告について電子システムを整備をして、都道府県等が効率的に工事現場の把握や立入検査対象を選定できるようにしていきます。そして、マニュアルの整備なども支援を行って、都道府県の職員、そして事業者向けの講習会などの開催、こういったこともやっていきます。加えて、都道府県等では報告が行われない事案への対応として、他法令に基づく届出情報等の収集、活用による解体等工事の把握や、建設リサイクル法に係る全国一斉パトロールなどによる関係機関と連携した解体等工事現場への指導を行って規制の徹底を図っています。
 こういった取組をしまして、効率的に規制の実効性を担保していきたいと考えています。

#73
○片山大介君 是非これをやっていっていただきたい。
 それで、どうもその話聞いていると、その業者とかが性善説なのか性悪説なのか私どっちかよく分からないようなんですね、これ。どうも、その一個一個を聞いていると、どっちに傾いてこれを作っているのかがよく分からないんですけれども、いずれにしろ、このレベル3建材もきちんと担保するようにやっていただかなきゃ困るというふうに思います。
 それで、次に、これも前回の改正から引き続き課題になっているんですが、これ、大気濃度、アスベストの大気濃度の測定についてなんですけど、これ、二月に実は環境委員会の委員派遣で金沢の濃度測定する会社なんかにも行ったんですけれども、やっぱりそこでもちょっと言われたのが、国にきちんとした基準示してもらいたいという話だったんですね。それで、今は環境省のマニュアルに、漏えい監視の目安として一リットル当たり一本という数値が示されているだけだというんですね。それで、だから自治体とか事業者の取り方は様々なので、それ、現場からすればやっぱりきちんと何本以上なら危険というふうに示してもらった方がいいという話を言っていたんですよね。
 聞いてみたら、全国の自治体、政令市の中では条例で定めて義務付けている、定めているところがあるんだけど、それも、アスベストを一本としている自治体もあれば、アスベストを含む繊維が十本、アスベスト以外も含めて十本と言っているようなところもあって、結構まちまちらしくて、これ、やる事業者側にとっても一応困惑するんじゃないかと思っていて、だったらもう分かりやすい、マニュアルでそれ言っているんだったら分かりやすい数字示した方がいいんじゃないかと思いますが、そこら辺はどのようにお考えですか。教えていただけますか。

#74
○国務大臣(小泉進次郎君) まず、先生から御指摘があった大気濃度測定、これは、先生おっしゃる義務付けは今回見送ることになりましたが、建築物等の解体等工事の隔離場所周辺における石綿飛散状況を把握する上では将来必要な措置であると我々も考えています。
 その一方で、答申でも言及されているように、今回、測定の濃度制度化には困難な課題が残っているため、関係者が協力して課題解決に取り組んで、今後制度化について検討する必要があると認識をしています。
 諸外国、そして自治体の中には義務付けられている例があることも承知をしていますが、実際に全国一律の制度化を行うためには、測定の迅速化、そして評価の指標、指標の値、指標値を超過した場合の措置などの課題があって、迅速化に向けた計測装置の開発などに取り組む必要があると考えています。
 具体的には、石綿繊維数濃度の測定については、環境研究総合推進費を用いて、二〇一九年度から二〇二一年度までの三か年にわたって解体等工事の現場で連続して全自動測定ができる装置などの研究を行っておりまして、現在実用化に向けた取組を進めているところであります。
 また、石綿繊維数のみならずほかの繊維も含めた総繊維数の濃度測定については、民間検査機関における体制整備等を把握しつつ、測定結果の作業管理への活用や早期測定に向けた体制構築といった課題について検討を進めていますので、今回法改正が仮になされた暁には、必要に応じて中央環境審議会にも審議をお願いしたいというふうに考えております。

#75
○片山大介君 そうなんですよね。だから、やっぱり、今回の改正でも持ち越しになっているものが今言っただけでもいかに多いかということなんですよね。
 それで、やっぱり十年後にはそのアスベスト建築物の工事、解体工事、ピークを迎えるというのであれば、やはりそこは今のうちから、今回の改正が終わった後は動き出さないと本当に間に合わなくなるんじゃないかなというふうに思います。
 それで、まだまだ課題があって、次、自治体の役割って、これも聞きたいんですけど、先ほど自治体のことをきちんと監視とおっしゃっていましたが、自治体の監視が本当に行われているのかどうか。これ、ちょっとその裁判のケースでいいますと、この西宮の裁判では、まともな調査をしていなかった業者の届出を市が見破ることができなかったというふうに言っているんですね。
 これ、そもそも、今都道府県、都道府県の話になりますが、都道府県の立入検査、これどの程度充実して行われているかというのをちょっと環境省に尋ねたら、解体工事の届出、年間およそ二万件に対して立入検査はおよそ二万七千件行っていると。これ、数字上で見ると、全ての解体工事に対して一応監視の目が行き届いているようには思えるんですが、そこら辺どのように見ているのか、教えていただけますか。

#76
○国務大臣(小泉進次郎君) 今、片山先生から二万件と二万七千件という件数は述べていただいたので、そこは省かせていただきますが、石綿対策に係る行政指導が行われた作業場数は年々増加しています。
 平成三十年度は、同じく前回の法改正時に六百六十四事業だったのに対して五千六百五十八事業となりました。届出件数等が増大する中で、これに応じて都道府県等による行政指導の数も増大傾向にあるところ、アスベスト大気濃度調査の結果では一般環境における石綿濃度を低い水準で維持できています。このような状況を踏まえると、全国的に見れば、大気汚染防止法を所管する都道府県等において解体等工事の現場の適切な監視が行われていると環境省としては考えています。
 その上で、今回の法改正による、新設する事前調査結果の都道府県等への報告制度によって、都道府県等が解体等工事現場を網羅的に把握し、注意喚起や立入検査等がしやすくなります。
 加えて、環境省では、継続的に都道府県等の担当者向けに効果的、効率的な立入検査に資するための技術講習会を実施しておりまして、今回の改正を機に自治体職員が必要な知識等を備えられるように更に支援をしていきたいと考えております。

#77
○片山大介君 だから、その自治体が本当にきちんとできているのかどうかだと思うんですね。ここにいる委員の皆さんも、なかなかそれができていないんじゃないかなというふうにみんなは思っているし、分かっていると思います。
 だから、実際のところは、その各自治体とも、資格をきちんと持っている、それでアスベストの含有の有無をきちんと把握して調べることができるような、その職員も少ないし、人員体制やっぱり不十分ですよね。だから、実際のところ、届出を受け取っている、それから調査しているといっても、それを形式的に受け取っているだけで、アスベストが見逃されているケースというのはやっぱり多いんだと思います。それが今回の西宮の裁判のケースでもそうだったわけなんですね。
 この西宮の裁判の判決では行政の責任についてこういう法解釈をしているんです。届出を受けた自治体の長は、届出内容を超えて積極的に調査義務を行うと。その上で、規制権限や調査権限を適切に行使していれば防げた余地はある、市の対応は、大気汚染防止法及び環境保全条例の趣旨に十分即したものではないと、こういうふうに判断されたんですね。
 それで、今回の改正案では地方公共団体の施策というのが規定として追加されたんですよ。だけど、これ極めて抽象的である、どのような活用を想定しているのか、どのようなことを自治体には期待をしているのか、これ教えていただけますか。

#78
○国務大臣(小泉進次郎君) 今、片山先生からは改正法案第十八条の二十五、ここにおいて責務として今回盛り込まれた地方公共団体の施策、これについてお尋ねがありました。
 具体的には、改正法案第十八条の二十五の規定においては、地方公共団体に対して、平時から所有者等による建築物等への石綿含有建材の有無の把握を促進することを含め、災害や解体工事に伴う石綿飛散を抑制するよう必要な措置を講ずることに努めなければならないとしています。
 この当該責務を受けて、地方公共団体において、建築物等の所有者等に対する普及啓発や住民とのリスクコミュニケーションを一層推進していくことや、積極的な解体等工事現場への立入検査のため建設リサイクル法などの他法令に基づく届出等の情報を収集すること、そして建築物等への石綿含有建材の使用状況に係る情報を蓄積して災害時に適切な応急措置のため活用することなどを推進していただきたいと、そういうふうに考えております。

#79
○片山大介君 今言われたのは積極的な権限行使になると思うんですけれども、これ条文からだとそこまでは読めないんですけれども、それ、だから自治体の方できちんと把握できるかどうか、そういう認識で行ってもらえるように自治体に対してはどのように働きかけをしていくつもりなのか、教えていただけますか。

#80
○国務大臣(小泉進次郎君) まず、大気汚染防止における各種事務は都道府県等の自治事務に当たることから、国としては、都道府県等の自主性、自律性に配慮しつつ、関与は最小限度のものとするのがまずは基本であるというふうに考えております。このため、同法を所掌する環境省としては、都道府県等による権限行使への直接的な関与は避けつつも、その職員の育成や能力の向上に係る様々な支援等を通じて法律の適切な運用を図っているところです。
 例えば、事務を行う都道府県等の解体等工事の現場への効果的、効率的な立入検査等に資するため、事前調査、石綿漏えい監視、除去終了後の検査等に関する技術講習会を平成十五年の法改正以降の約六年間で合計三十回以上開催をして、都道府県等の担当者の知識の向上を図ってきました。加えて、平成二十五年の改正大気汚染防止法の施行以来、新たな規制への対応に、知見に対応するため、マニュアルを始め、各種マニュアル等の改訂を行って、周知を図ってきました。
 また、今回の法改正によって新設する事前調査の結果の都道府県等への報告制度、あっ、済みません、先ほど平成二十五年と申し上げましたが、平成十五年ですね、済みません、平成十五年と申し上げましたが、平成二十五年の誤りだそうです、済みません。
 こういう今回法改正によりまして新設する事前調査の結果の都道府県等への報告制度によって、解体等工事現場を網羅的に把握することを可能とするとともに、その効率的な事務執行のための電子システムの整備を推し進めることで、都道府県等による積極的な権限行使を促してまいります。

#81
○片山大介君 是非その積極的な権限行使、必要に応じて設計図書を見たり現場に入ったりだとかという、あと、体制を強化するだとかということを是非、環境省としてもその必要性の認識ということを伝えていただく、そういう機会をつくっていただきたい、そう思います。
 最後に、時間なくなってきたんですが、あと、住民の参加について聞きたいんです。
 それで、この西宮の裁判では、原告の人たちが言うには、実際にアスベストに暴露して、それで健康被害を被るのは我々なのに、その我々は実際のところ蚊帳の外に置かれていると、これを改めて実感したというんですよね。それで、住民がその設計図書を見たいだとか現場に入りたいとかといっても、現在それができない状況ではあると。
 それで、環境省は、先ほどちょっとリスクコミュニケーションのことを言われましたが、その石綿飛散防止対策に係るリスクコミュニケーションガイドラインというのを作成しているというんですね。これ、工事発注者や受注者、住民、自治体が正確に情報をお互いに共有して意見交換しながら工事を進めるということをここで推奨しているんですが、これはあくまでもガイドラインなので、法制化されているわけではないんですよね。一部の自治体ではそれを条例として盛り込んでいるところもあるんです。
 そうすると、この住民参加の必要性に対しては、それで環境省としてはどう考えているのか、今後これを自治体に推奨していく、条例を作るのでもいいし、推奨していく、そういうお考えはないのか、そこをどのようにお考えか教えていただけますか。

#82
○国務大臣(小泉進次郎君) 委員御指摘の住民への情報公開及び参加につきましては、法令に位置付けている例としては、例えば、環境影響評価法に基づく環境アセスメント、そして廃棄物処理法に基づく産業廃棄物処理施設の設置申請時の縦覧など、恒常的に設置される施設等に関しては情報公開等を義務付けている例があります。
 一方で、建築物等の解体等工事については、期間が一時的かつ短期間であって、また住民に参加の機会を提供するには一定の期間を要することを踏まえると、大気汚染防止法に住民への情報公開及び参加の保障のための制度を現行の枠組みに加えて更に追加することは難しいというふうに考えています。
 今後、先生御指摘いただいたガイドライン、これを法改正を踏まえて改訂をして、都道府県等及び事業者の一層の普及啓発に努めるなど、周辺住民への情報公開や参加を推進していきたいというふうに考えています。
 なお、現行の大気汚染防止法においては、周辺住民への情報公開のため、既に、元請業者に対し周辺住民が見やすいように石綿含有建材の有無にかかわらず事前調査結果を掲示すること、また、石綿があった場合には、石綿の除去作業の方法や現場責任者の氏名、連絡先等を掲示することを義務付けています。
 現在、その掲示のための掲示板については、更に見やすくなるように一定の大きさを法令上義務付けることを予定しているところであり、また、今回の法改正において、元請業者が周辺住民からの問合せ等に適切に対応できるように、解体等工事現場での事前調査に関する記録の備付けを義務付けることとしています。

#83
○片山大介君 済みません。じゃ、最後に、アスベストの被害は……

#84
○委員長(牧山ひろえ君) もう時間が過ぎておりますので。

#85
○片山大介君 十年後、二十年後に出てきますので、是非後悔しないようにしっかりやっていただきたいと思います。
 終わります。

#86
○委員長(牧山ひろえ君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十一分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会

#87
○委員長(牧山ひろえ君) ただいまから環境委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、大気汚染防止法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#88
○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。
 私の地元は大阪です。大阪南部の泉南地域は、かつて全国一のアスベスト産業の集積地で、最盛期は二百の工場がありました。その工場の元労働者やその家族、周辺住民が石綿肺や肺がん、中皮腫などを発症した責任は、国が早い時期にアスベストの危険性を認識しながら、適切な時期に製造、輸入、使用を中止しなかったことにあるとして、全国に先駆けて闘われたのが泉南アスベスト訴訟であります。
 私も、原告の皆さんから直接たくさんの声を聞きました。今日は、資料一に泉南アスベスト訴訟の原告の娘さんの訴えを載せておきました。読み上げます。
 私は、原告のHの娘です。母は七十八歳ですが、石綿肺と続発性気管支炎のため一日中ベッドで過ごしています。母は、四十歳のときから十五年間、石綿工場で働きながら五人の子供を育てました。男勝りの性格で、職場では、一人でリングやカードなどを二役も三役もこなし、Hさんには背中に目があると言われていました。そんな母が、ここ数年、病状が悪化し、数メートルしか歩けず、入浴はもとより、着替えもトイレも一人ではできません。あの勝ち気だった母が、ひどい息切れとせきの苦しみのため、もうこれ以上の辛抱はできないとか、死んで楽になりたいと訴えます。母は、耐え切れず、救急車を呼んで病院に搬送されたことが何度もあります。週に何度も救急車を呼んだときには、もう呼ばないでほしいとまで言われました。中略。
 母の職場は、石綿の粉じんが粉雪のように飛び散り、真っ白で前が見えないほどでした。私も高校生のときに訪ねたことがありますが、床一面に雪のように石綿が降り積もっていました。危ないとは誰も思わず、工場の二階には人が住んでいました。よく母と話すのですが、危険だと知っていれば石綿工場で働くことはありませんでした。泉南には、母のほかにも石綿の病気で苦しんでいる患者や家族の方がたくさんいます。工場周辺に住んでいたり、農作業をしていて石綿で病気になった方もいます。石綿が危険であると知らされていれば、被害のかなりは防げたと思います。
 国は、どうして、石綿が危険だと知っていたのに、そのことを知らせてくれなかったのでしょうか。後略。
 これは、二〇〇九年六月一日、当時の環境大臣に対する訴えであります。
 裁判は長く苦しい闘いでした。いっとき、地裁での勝利判決が高裁でひっくり返されて、私、そのときの判決文、今でも忘れませんけれども、産業、経済の発展のためには国民の生命、健康が犠牲になってもやむを得ないという驚くべき不当判決が下されたこともありました。あのときの原告の皆さんの落胆と怒りは、今も忘れることはできません。
 それでも、原告の皆さんは不屈に闘い続け、ついに最高裁の判決では、国は、労働者の生命、健康被害を防止するために、できる限り速やかに、適時にかつ適切に規制権限を行使しなければならない、国が産業発展を優先し、国民の生命、健康を犠牲にすることがあってはならないと明確に高裁不当判決を否定し、アスベストの危険性を知りながら適切な対策を怠った国の責任を認めたわけであります。
 小泉環境大臣、アスベスト健康被害を受けた労働者や周辺住民、その家族の皆さんたちの文字どおり血を吐くような闘いによって、産業の発展を労働者の命と健康よりも優先させる社会であってはならないとの到達点を一歩一歩勝ち取ってきた、その到達点に立脚して作られ、一歩一歩前進してきたのが大気汚染防止法を始めとするアスベスト規制立法だと思います。そのことを胸に深く刻んで行政に当たる必要が、私はとりわけ環境省には求められると思いますが、大臣の認識を伺いたいと思います。

#89
○国務大臣(小泉進次郎君) 山下先生おっしゃるとおり、産業、経済の発展のために国民の命や健康が脅かされる、ないがしろにされる、そんなことは決してあってはならないと、そういう思いでいます。
 今回、アスベストに関する大気汚染防止法の改正を御審議をいただいているわけですが、それ以外の環境行政全般においても、水俣病を原点とする環境省として、そしてまた気候変動を直面する我々として、これからコロナの後の経済社会の再開のときにおいても、決して経済社会の再開のために、国民の命や健康、そして気候危機、この対策がおろそかになってはならないと、その思いで進めていきたいと考えております。

#90
○山下芳生君 大事な認識なんですが、もうひとつ肉声が聞きたいんです、もうひとつ。
 私は、血を吐くような健康被害を受けた原告や家族、その皆さんの長年にわたる苦しみと闘いがあってこういう到達、今大臣がおっしゃった到達がつくられてきた、それを胸に刻む必要があると、そのことを問うたんですが、その点いかがでしょうか。

#91
○国務大臣(小泉進次郎君) まさに、環境行政というのは公害との闘いの歴史であると思います。今回の法改正に至るまで一歩一歩歩んできた中には、多くの闘い、そして様々な歴史があったことを踏まえて、前回の改正からあぶり出されてきた不十分なところ、課題、これを乗り越えるために、一歩前進をさせるためにもこの改正があると思いますので、よろしく御審議のほどお願いしたいと思います。

#92
○山下芳生君 泉南アスベスト訴訟に続いて、全国各地で建設アスベスト訴訟が提起されました。これまでに各地の地裁判決あるいは高裁判決において、国の責任が十一度、建材メーカーの責任が六度認められております。もう流れは決まっております。この流れの中で安全衛生法、石綿則あるいは大気汚染防止法のアスベスト規制が強化され、今回の改定案につながったと理解しております。
 それでは、今回の改定案は十分と言えるのかと。私が大きな問題だと考えているのは、石綿含有形成板など、いわゆるレベル3建材の規制が極めて不十分だという点であります。
 そこで、まず環境省に伺いますが、今回なぜレベル3建材を規制対象にしたのか、簡潔にお答えください。

#93
○政府参考人(小野洋君) お答えいたします。
 いわゆるレベル3建材でございますが、これまで相対的に飛散性が低いということで規制対象としていなかったわけでございますけれども、環境省による調査の結果、石綿含有成形板等についても不適切な除去を行えば石綿が飛散することが明らかになってまいりました。具体的には、文献調査によりますと、レベル3建材の除去等作業現場三十八か所のうち十五か所において作業現場近傍での石綿の飛散が確認されております。
 そのため、レベル3建材についても、レベル1、2に比べて相対的に飛散性は低いものの、作業時の石綿飛散防止を図るために新たに特定建築材料に追加し、事前調査等の規制対象、規制に追加することとしたものでございます。

#94
○山下芳生君 レベル1、2と比べて飛散性が相対的に低いという言葉がありました。確かにそういう面はあるでしょう。しかし、量はどうかと。これまで一千万トン輸入されたアスベストのうち七百万トンはレベル3建材として使用されてきました。私たちの身近に最も多量に存在するアスベストはレベル3建材として存在するわけですね。
 具体的に、レベル3建材がどのように存在しているのか、先日、私は大阪市西淀川区の千舟地域を視察してまいりました。
 資料の二枚目にこういう大阪市西淀川区千舟地域の典型的な風景写真を紹介してあります。古い工場建屋と新しいマンションが隣り合わせで混在している、そういう地域なんです。工場建屋の壁に見えているのがレベル3建材、波形スレートであります。この波形スレートが大量に工場建屋の壁とか屋根に使われているのが見えます。
 資料三は、この千舟地域にではどれほどレベル3建材を使った工場建屋が存在しているか、調査した結果を載せた地図であります。黄色く塗ったところがレベル3建材、スレート材の屋根若しくは壁が認められたところで、これ、大阪アスベストセンターの皆さんが空からの写真と現地を歩く実地調査を行って、一つ一つ調査して作った地図であります。千舟という狭い地域にレベル3建材の工場建屋が数多く存在しているということが分かると思います。
 実はこの地域は、駅が新設されてJR大阪駅へのアクセスが大変良くなったということもあって、このところ古い工場が次々解体されて新しいマンションが建設されています。当然マンションには若い世代や子供さんが多く入居し、人口も急増している地域なんです。したがって、心配なのは、こういう古い工場が解体されるときにアスベストが飛散する、それによって若い世帯や子供さんが暴露することであります。御存じのとおり、アスベストの疾患は潜伏期間が平均四十年と極めて長いですけれども、若い世代や子供さんにとっては、この長い潜伏期間を超えて、将来大変なダメージを残す危険性があると思います。
 今日、もう一つ持ってまいりましたのは、これなんですけれども、これは波形スレートの模型であります。(資料提示)この地域で、千舟でよく使われているレベル3建材、波形スレートなんですけれども、この波形スレートのアスベスト含有量は、重量に対して二〇%と言われております。これ大きさが三十センチ掛ける三十センチですので、重量、この一枚だけで一・四キロありますので、この一枚のスレート板にアスベストが二百八十グラム含まれているということになります。これがそうなんですけど、これはアスベスト、本物ではありません、小麦粉なんですけど。二百八十グラムってこんなもんですよ。すごいずっしりきますよ。ですから、この小さいスレート板一枚にこれだけのアスベストが含有されている。これが大量に住居、マンション等、隣り合わせで存在して、これから急速に解体作業を行われるという環境にあるわけですね。
 では、アスベストのレベル3建材を使った建物の解体作業の実態はどうなっているか。現場をよく知る複数の方から直接話を伺いました。
 今回の法案では、レベル3建材を壊さずにそのままの形状で手ばらしすることが基本になっていますけれども、実際はそんな手間の掛かるやり方ではなくて、この波形スレートというのは長いですから、何メートルもあるスレート材を小さく割って、そしてフレコンバッグに詰め込むという作業になっているそうなんですね。フレコンバッグの大きさは一・五メートル掛ける一・五メートル掛ける一・五メートルの立方体ですから、何メートルもあったら割らなければ片付けることができないんですね。中には、アスベストの危険性を知らないまま、外国人労働者の方なんかがどんどんどんどんこのスレート板を足で蹴って割ったりという光景が間々見られるということになっております。これが現場の実際の実態なんですね。
 地域の住民の皆さんに、そういうやり方で、こういう環境でアスベストが解体され破壊されたら、これは暴露の危険が当然出てくるわけですし、こういう工場地帯がどんどんマンションになっているところは全国各地にいっぱいあると思うんですね。
 小泉環境大臣、今回、レベル3建材については、レベル1、2と同様の規制は見送られました。しかし、今紹介したような実態に照らして考えるならば、たとえレベル3建材であっても、建物解体時にアスベストが飛散する可能性は極めて高いと。そうすると、暴露の危険性も出てくると。しかも、これからピークを迎えるわけですから、私は、大臣、レベル3建材であってもレベル1、2と同様に、作業実施の届出、それから隔離養生、集じん・排気装置の設置を義務付ける必要があると思いますが、いかがでしょうか。

#95
○国務大臣(小泉進次郎君) 大変分かりやすく物を示していただきながらの御説明、ありがとうございました。
 レベル1、2と今回の新たな規制対象であるレベル3、これを同じように扱うべきではないかということについては、同じような対象としては考えておりませんが、一方で、新設する事前調査結果の都道府県への報告制度の対象とはしています。
 この制度を通じて、解体等工事現場を網羅的に把握して、注意喚起、そして立入検査などによって実際に適正な石綿飛散防止措置が行われているか、確認、指導をしてまいります。
 さらに、作業後の発注者への報告や作業に関する記録の保存の義務付けによって、都道府県等の指導の実効性や事業者の適切な作業の担保を図っていくことで、行政命令もより積極的に行われるようになるものと考えておりますので、直接罰の対象とはならない行為についても間接罰によってしっかり担保されると考えております。

#96
○山下芳生君 大臣、本当よく考えてほしいんですよ。
 私は今、現場の実態を調査して提起いたしました。もうマンションの隣にこういうアスベスト、レベル3の建材がいっぱい使われて、隣り合わせて建っているわけです。住民の皆さんはそのことを知りません。そういう危険な状態にあることをほとんど知らないです。普通に暮らしています。しかし、だから、知らない間にどんどん解体されているんですね、実際は。
 報告させると言っていますけど、どうやって監視するんですか。監視できないですよ。数時間で解体終わりますからね。だったら、ちゃんと漏れないような措置をとらない限り、分からないうちに暴露しちゃうということが特に若い世代と子供たちに起こり得るということを、私は現場を見たらそういうことを感じましたよ。だから、事前の調査の対象にはなっているけど、それ以降隔離もされないという状況で、このレベル3、量は一番多いです。一番身近に存在するレベル3ですから、これ本当にそのままでいいのかと。
 先ほど大臣は、環境に由来する健康被害の未然防止が大事なんだとおっしゃったけど、私はこれ、未然防止しなきゃ、これから四十年、五十年先に今の子供たちや若い世代があのときの暴露で、あのときの解体でということになったら取り返し付かないですよ。そのことを真剣に考えるべきではないですか。

#97
○国務大臣(小泉進次郎君) まさに先生おっしゃるとおり、環境省の最も基本的かつ重要なことは未然防止、それは当然のことであります。そして、このレベル3建材については相対的に飛散性が低い、そして通常の解体で行われるような措置を講じていれば飛散は抑えられる、そういったことも確認をされております。
 そういった中で、今回、対象と今までならなかった全ての石綿含有建材を、この成形板含めてその中の範囲に入れると、対象にすると、そういったことによって間違いなく今までよりもこの規制は前進をすると、そういうふうに考えておりますので、もちろん課題は自治体の皆さんへの周知、そして事業者への周知、そういったことはありますが、そこをしっかり進めていく一歩であると考えております。

#98
○山下芳生君 非常に残念なんですよ。もう私は現場に行って、実際の解体工事のありようも見て、これは単に事前にあるかないかを調べるだけではとてもじゃないけどこのリスクをなくしていくことはできない、そう思ったんですね。やはり、泉南アスベストの一番の教訓は規制権限をちゃんと行使しなかったということですから、今それが問われているんだと思うんですね。
 次に行きたいと思います。
 大気濃度の測定が見送られたことについて厳しい意見が出ております。この作業現場の場内外で大気濃度の測定が義務付けられなければ、これは被害が発生したとしても原因を特定することができませんし、損害賠償の責任を問うことができません。これは、大防法第一条の目的、事業者の損害賠償の責任にも反するものだと思います。これも、環境省の今回の法改正に当たってのパブリックコメントでは、ちゃんとこの大気濃度の測定を義務付けるべきだという意見が三百五十六件に上っております。測定がちゃんと義務付けられれば迅速な体制も整備されると、測定の体制も整備されるという声もありました。
 大臣、大気濃度の測定は最も基本的な監視手法であります。技術も既に確定しておりまして、東京都、大阪府、横浜市、さいたま市などでは条例によって実施されております。発がん物質を危険な形で取り扱う作業現場で建設事業者の利益を優先させて濃度測定を実施しないということは、私は環境行政としてはあってはならないと思いますけど、濃度測定、いかがですか。

#99
○国務大臣(小泉進次郎君) 今日午前中の答弁でもさせていただきましたが、この大気濃度の測定について、先生御指摘のとおり、自治体の中でも、また諸外国でも義務付けという例があることも承知をしていますが、実際に全国一律でこれを制度化をするということのためにはやはり課題もあります。
 その中でも、迅速化に向けた計測装置の開発、こういったことは環境省としてもしっかり取り組んでいかなければいけないということで、全自動測定ができる、そういった装置の研究、これは三か年で支援を進めているところでもあります。
 そして、石綿の繊維数のみならずほかの繊維も含めた総繊維数の濃度測定については、民間検査機関における体制整備等を把握しつつ、測定結果の作業管理への活用や早期測定に向けた体制構築といった課題について検討を進めて、これらの取組に加えて情報収集もしっかり行って、この法律の改正が行われました暁には、必要があったときに中央環境審議会に審議もお願いをしていきたいと、そういうふうに考えております。

#100
○山下芳生君 私は、本来、今回の改正で義務付けたら、義務付けることによって測定あるいは分析の体制も進んでいくんだと、そう考えております。
 もう一つ、ちょっと一つ飛ばしまして、今回の改正案で不適切な除去等を行った者に対して直接罰が導入されることになりましたけど、余りにも量刑が軽過ぎて、大手元請建設業者なんかには何のブレーキにもならないと言われています。
 そこで、私一つ提案なんですが、建設業法二十八条の適用という手法があるんじゃないかと。建設業の許可を持つ業者が建設工事を各種法令に違反して施工した場合、二十八条によって指示、営業停止、建設業許可の取消しができるんですね。加えて、これは公共工事受注などに影響する経営審査事項の評点が下がるということにもなりますから、これは相当な抑止力になるかと思うんですが。
 国交省に伺いますけれども、大防法や安衛法、石綿則に違反して不適切な解体工事をした場合、例えば、衆議院の議論で我が党の田村貴昭議員が取り上げましたけれども、悪質だと政府も認めた鹿児島市のデパートの解体工事、お客さんや店員がいる状況の下で不適切な解体がされて、たくさんの方が暴露したと、こういう事例などにはもう建設業法二十八条適用すべきじゃありませんか。

#101
○政府参考人(中原淳君) お答え申し上げます。
 建設業者が建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたときや、建設業者の役員等がその業務に関して他の法令に違反し建設業者として不適当と認めるときは、御指摘のように、建設業法第二十八条に基づき監督処分を行うことができることとされております。建設工事現場におけるアスベストの取扱いについて規定する大気汚染防止法等についても、建設業法に規定するこの他の法令に含まれるものと考えているところでございます。
 国交省といたしましては、御指摘のような事案に対して、関連する他の法令の適用状況等も含めて個々の事案に係る調査を実施し、事案内容を精査した上で厳正に対処してまいりたいと考えております。

#102
○山下芳生君 是非やっていただきたいんですね。そういうことがあるぞというのが分かれば、それだけでも抑止効果に、不適正な工事のですね、になりますから、よろしくお願いしたいと思います。
 今回の改正案で、建物所有者、中小解体業者への負担が増えます。先ほどの議論もありました。そもそも、解体時に余分な費用が掛かることになった原因は、これはアスベスト建材の使用を推進してきた国に責任があります。ですから、これは是非補助制度をつくる必要があるんじゃないかという提案なんです。
 そうでなければ、届出の義務の対象が八十平米以上、あるいは解体工事費百万円以上なので、それを下回るように工事の規模を小さくしたりして回避する、届出をですね、ということが行われるんじゃないかと、脱法行為が多くなる危険性もあります。オランダ、ドイツ、韓国では補助金制度を実施している例もありますので、これ検討すべきじゃないかというのが一点。
 それから二点目に、同時に、今苦しんでいる人に対して、国と企業の拠出金による救済制度を検討することも当然必要ではないかと思いますが、二点、大臣、いかがでしょうか。

#103
○国務大臣(小泉進次郎君) 今、補助金制度、これの創設ということで山下先生から御指摘をいただきました。
 午前中も答弁させていただきましたが、今回のレベル3を対象にするということで費用負担が大きく増えるということはないというふうに見込んでいますので、新たな補助制度を創設する必要性は生じないと考えていますが、さっき申し上げたとおり、日本政策金融公庫においてはこの低利融資制度を設けています。そして、一定の負担軽減が図られています。
 また、環境省としては、今技術的な支援もやっています。その技術的な支援というのは、例えば防止対策マニュアル、そしてまた、建築物等の解体工事における石綿の飛散防止対策技術講習会、こういったことも開催をしながら、大気汚染防止法に基づいて規制の遵守が徹底されるようにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

#104
○副大臣(稲津久君) お答えさせていただきます。
 建設アスベスト訴訟がございまして、これは最高裁判所で係属中の訴訟五件を含めまして合計十六件が係属中でございます。お尋ねの国と企業のというお話がございましたが、基金等の創設について御指摘いただいていると思うんですが、早期救済等についてのコメントはこうしたことから差し控えさせていただきたいと思います。
 厚生労働省といたしましては、業務によりアスベストに被災された方々については、これまで労災保険法による補償、それから石綿救済法に基づく特別遺族給付金により救済を行ってきたところでございます。まずはこうした現行の制度に基づきまして、必要な補償、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

#105
○山下芳生君 終わります。

#106
○寺田静君 無所属の寺田静と申します。よろしくお願いいたします。
 私は、まず前回の質問のところから動物愛護のことに関して一点取り上げさせていただきたいと思います。
 悪質なブリーダーの規制に関して、今でもたくさんのお便り、御意見を毎日頂戴をしております。そして、前回、須藤先生が取り上げられて、ブリーダーの規制について、その後、私も、議連の申入れの内容であったり審議会の資料、また前回の議事録、大臣の御答弁等も再度確認をさせていただきました。
 大臣の御答弁ですけれども、自治体が明確に指導監督できるという観点から、ケージの大きさや従業員の数、繁殖年齢の上限など、数値化することが望ましい基準の数値化を検討していく、また、動物愛護の精神にもとることのないよう検討する、そして、規制をしようとすれば業界がそれを避けようと嫌がるけれども、それを判断のベースとすることはないなどと、かなり規制に関して前向きな御答弁をいただいたものというふうに思っております。
 その後もなぜこのように毎日御意見が届くのかということを考えてまいりましたけれども、恐らく、環境省や大臣宛てにもその比ではない数の御意見が恐らく届いていることと思います。なぜなんだろうと思うんですけれども、私も環境省のウエブサイトを改めて拝見をいたしまして、動物愛護というのは一番下に出てくるものなんですね。誤解を恐れずに言えばですけれども、この件に関して、しかも投票権もないその動物たちのことそのものを気に掛けて、何としても改善をしようという方が歴代大臣という立場にいらっしゃらなかったからではないかと思うんです。私もその一人ですけれども、全国の動物を愛する方たちが、御自身も愛犬家であって、しかも御家族が保護犬など動物愛護の活動をされている、この大臣のときに変えることができなければいつ変えることができるんだろうという思いで、一縷の望みを大臣に向けられているのだろうというふうに思っております。
 どうか、実効性のある規制を、動物を愛する人たちがブリーダーの元を訪ねて胸を痛めるということがなくなるような環境整備を是非お願いをしたいと思います。大臣、一言御答弁をお願いいたします。

#107
○国務大臣(小泉進次郎君) まず、御質問にお答えする前に、寺田先生におかれましても、午前中の片山先生と同じように、今回の質問につきましてオンラインでの環境省の職員との問取りとブリーフをやっていただいたこと、心から感謝したいと思います。
 質問につきましては、私が大臣になる前も、この部屋にも歴代の大臣の方もいらっしゃいますが、多くの方が積み上げてきたその基に今があると思っています。動物愛護の精神にもとることのないような、そういう対応をしていく、これは今までとこれからもしっかりと忘れてはならない、そういった大原則だと思います。
 先ほど、前回の私の質問での答弁を御紹介いただきましたが、そのとおりであります。しっかり数値化できるものはその検討をしていく、そしてまた、現場のこともしっかり把握をするためにも、業者寄りというふうな誤った見方をされては全くいいことありません。しっかりと現場のことを、様々な声を聞いて現場のことを把握して対応していかなければいけない、当然の対応だと考えております。

#108
○寺田静君 ありがとうございます。是非、大臣のうちに変えていただきたいと思っています。よろしくお願いいたします。
 アスベスト、大気汚染防止法についての質疑に移らせていただきます。午前中の先生方、また山下先生の御質問とかぶるところがありまして、私としては幾つか飛ばした上で質問させていただきたいというふうに思います。
 先ほど山下先生の御質問の中にもありましたけれども、大気濃度測定の義務付けを見送った理由というところについて簡潔にもう一度教えてください。

#109
○副大臣(佐藤ゆかり君) お答え申し上げます。
 環境省では、本年一月の中央環境審議会石綿飛散防止小委員会の答申で、大気濃度測定の義務付けの課題の一つとして、この大気濃度測定に要する期間の短縮というものが示されまして、これを受けて即時測定に関する研究開発事業を行っております。
 具体的には、石綿繊維数濃度の測定については、環境研究総合推進費を用いまして、二〇一九年度から二〇二一年度までの三年間にわたって解体等工事の現場で連続して全自動測定ができる装置等の研究を行っておりまして、現在、実用化に向けた取組を進めているところでございます。
 この研究に加えまして、石綿繊維数のみならずほかの繊維も含めたいわゆる総繊維数の濃度測定につきましても、民間検査機関における体制整備等を把握しつつ、測定結果の作業管理への活用ですとか早期測定に向けた体制構築といった課題について検討を進めております。
 これらの取組に加えまして、大気濃度測定の制度化についての情報収集も行っておりますが、課題解決に向けた検討を進める中で、その上で必要に応じて中央環境審議会に審議をお願いしたいというふうに考えております。
 一方、今般の法改正でございますけれども、今回の法改正によりまして、直接罰の創設、それから作業結果の発注者への報告の義務付け、行いますと同時に、隔離された作業所に設置する集じん・排気装置の正常な稼働確認の頻度の増加などの技術的な事項について省令やマニュアル等で整備をすることにしておりまして、こうしたことによって作業時の飛散防止というものを徹底していくというふうに考えております。

#110
○寺田静君 ありがとうございます。
 今回、アスベストのことに関しての質問をさせていただくに当たり、私もいろいろこれまでの歴史的経緯などを調べました。私も、アスベストという言葉を耳にしたのは、恐らく小学生のときに母からではなかったかと思うんです。小学校に石綿が使われているんじゃないかということを母が気にしておりましたので、その当時からその危険だという思い、恐らく何となくそういう空気があって、もう当然過去のものだろうというふうに私は思っていたんですけれども、今回その質問をするに当たって様々見ますと一九五〇年代から指摘があったもので、ただ、確たる科学的知見がないとして放置をされていたのではないかと。海外での裁判や国内での高濃度の漏えいなどがあって、また周辺住民の死亡例などがあって、それに対応するように、先ほど山下先生の御質問の中でもありますけれども、後追いで規制が強化されてきたという印象を私自身も持ちました。
 大臣の御所信でもありましたけれども、環境省の出発点は公害であると。本来は、危険かもしれないというものは、先回りをして万一のことがないようにするものだろうと。
 先ほど、青木先生の午前中の御質問の中でありましたけれども、ベビーパウダーに使われているタルクというもの、私も子供がいるので使っていたら、オーストラリアの友人からタルク使っちゃ駄目だよと、体に良くないからといってココナツパウダーの代替を使われて、親であれば、子供のことに関して危険かもしれないと思うものを避けるというのは常識だろうと思うんです。それを国民に対して国がやるというときに、担当なのは環境省だろうというふうに私は思っています。
 ただ、結果だけ見れば、もちろん現場の職員の皆さんの御尽力もあったものと思いますけれども、ただこの歴史的な経緯だけ見れば、環境省は率先をして国民の生命と財産を守ろうとしてきたというふうには私には感じられないんです。
 今回の法案も、そのレベル3のものに網を掛けるということに関しては前進があるものと思いますけれども、残念ですけれども、半歩前進にとどまるものではないかというふうに感じております。
 今、濃度測定に関して様々教えていただきましたけれども、今回見送った理由の一番のものは、事前のレクでも教えていただきましたが、リアルタイムでの測定ができないからということではなかったかと思います。このリアルタイムでの測定ができないということで、すぐに解体が終わってしまうからやってもそんなに意味がないんじゃないかということで今回義務付けが見送られているんだと思いますけれども、それでは、この課題が解決をされた後にはすぐに義務付けられるんでしょうか。

#111
○政府参考人(小野洋君) お答えいたします。
 検討課題につきましては、先ほど副大臣から御答弁申し上げたとおりでございまして、測定手法の問題、指標の問題、それをどう運用するかといった問題がございます。こういった検討課題が解決された暁には、必ずしも新たにその法改正をするということによらずとも、環境省令の作業基準等に位置付けて濃度測定を義務付けるということが可能かと考えておりますので、課題解決を急ぎまして、できるだけ早く制度化を進めてまいりたいと考えております。

#112
○寺田静君 ありがとうございます。
 私は、まさにそのことがお伺いしたかったことで、リアルタイム測定、この研究開発が進んで担保された後には、法改正、新たな法改正がなくとも義務付けができるのか、なすことができるのかというのをお伺いしたかったので、今まさにそこまで御答弁をいただいたので、本当に有り難いと思っております。是非今後、法改正を待たずに、もしこの課題が解決をされた後には、速やかに規制を義務付けていただきたいというふうに思います。
 私からもう一点お伺いをしたいんですけれども、一定の知見を有する者についてこの後どういうふうに養成をしていくのかと。三、四十万人に増やしていくんだというところがありましたけれども、事前のレクチャーの段階で、一戸建て、例えば大規模ではなくて一戸建てに関してはそれ用の資格を設ける、講習をするなどして迅速化を図っていくんだというふうなお話をお伺いをしました。そのところをもう少し詳しく教えていただきたいというふうに思います。

#113
○大臣政務官(八木哲也君) お答えいたします。
 今、このレベル3でありまして、一般建材になると、こういうふうに思います。そういうところへの審査といいますか、事前審査、また、御心配のそれを判定する人、検査する人、そういう人が非常に足りなくなっているんではないか、御指摘のとおりだと、こういうふうに思います。
 そういう中にあって、従来の戸建て住宅の調査に限定することで講習を簡略化して取りやすい環境をつくっていきたいと思っております。従来の講習は二日から五日程度要していたところでありまして、簡略化によって一日程度で修了可能となるような、そんな見込みを持っておるんですけれども。
 いずれにしましても、御指摘があると思いますけれども、年間三十万から四十万やっていかなければいけない。今まではレベル1、レベル2でございました。そのために講習を受けていただいた方が千四百四十人、御指摘のとおりでございますけれども、更に加速していかなければいけない。また、御心配の、懸念あると思いますけれども、少なくとも三年間で三、四十万人ぐらい増やしていかにゃいかぬ、それはレベル3の建材が加わったからであります。
 したがって、それを加速的に、毎年毎年のPDCAを回しながら、しっかりその確保に努めていきたいと、こういうふうに思っていますので、御理解を賜りたいと思います。

#114
○寺田静君 ありがとうございます。是非迅速に進めていただきたいというふうに思っております。
 私の親戚にも、その解体と現場直接ではないんですけれども、その周辺の関係の仕事をしている者がおりまして、今回のことに当たってちょっと話を聞いてみますと、解体の現場にいる人ってみんな顔色悪いんだよなと、でも、まあ何か体に悪いものを吸っているんだろうけど、昔からそういうものだからというふうなことを言っていたんです。恐ろしいことをさらっと言うものだなというふうに思ったんですけれども。
 現場にいらっしゃる方たち、もちろん危険だということが分かっている方、あるいは昔からそういうものだと思っている方も中にはいらっしゃるんだと思うんです。その一人親方のようなところでやっている方、その親方も、どうせ数時間で終わるようなもの、あるいは数日で終わるようなものにそんなことするのは面倒くさいという方も多くいらっしゃるんじゃないかなというふうにちらっと思うんです。
 ただ、それでもその一人親方をも含めて国は守る責任があると私は思いますけれども、少なくとも、そこの一人親方の下で働いているその労働者の皆さんを守る責任が私はあるだろうというふうに思っています。
 どうか、先ほどの大気濃度測定のところもありますけれども、この後、山下先生から示される修正案が恐らくはあるべき形なんだろうというふうに思っております、今課題があるところを解決をした後のあるべき姿だろうと思っておりますので、大気濃度測定のこと、そしてこの講習に関しても是非迅速に進めていただきたいというふうに思っております。
 アスベストの質問に関して、ほとんどほかの先生のところと内容が一緒のようなところがありまして、私からはアスベストの法案に関しては以上とさせていただきたいと思います。
 いずれにしましても、先ほど性善説、性悪説というようなお話も、片山先生からだったと思いますけれども、あったと思います。どうか、体に悪いんだから当然現場はそうやってやるんだろうという感じの性善説ではなくて、もしかしたら、数日で終わるからと適当にやるかもしれない、それを知らずにやるかもしれないという、その性悪説というか、分からないがゆえにやってしまうという方も守ることができるような法制度、そしてその運用をしていただけるようにお願いを申し上げたいと思います。
 アスベストに関して以上とさせていただきます。
 私からもう一点、新型コロナウイルスのことに関して、生物多様性の保全と感染症という見地から残りの時間質問させていただきたいというふうに思います。
 環境省の方でも勉強会をされたというふうにお伺いをいたしましたけれども、国立感染症研究所の、あっ、国立環境研究所の五箇先生のお話を私も三月か四月に拝見をいたしまして、開発による森林の伐採などですみかを奪われた野生動物が人里近くに来て、未知の感染症の発生につながるんだというようなことを五箇先生がおっしゃっていたかと思います。
 環境破壊が新たなウイルス出現に関わっているという認識がおありになるかどうか、お答えください。

#115
○国務大臣(小泉進次郎君) ストレートに答えると、もちろんあります。
 その上で、だからこそ、このコロナからの社会と経済の再開、このタイミングで、気候変動、そして生物多様性の保全、そして経済社会の復興、これを一体的に捉えて、今こそ社会経済を大きく変えるときだと。そういったことをしっかりと考えていかないと、また、コロナの前からあった気候変動というこの危機に対しても、なぜあのときから取り組まなかったのかと、そういったことを繰り返しては決してならないと思っています。
 先生から御指摘いただいたこの生物多様性も深いところで関わっている、こういったことを忘れずに取り組んでいきたいと思います。

#116
○寺田静君 ありがとうございます。
 森林破壊などだけでもなくて、その生態系中の種の喪失というものが結果的に病原体の増加につながるという知見もあるというふうに聞いております。病原体の拡大を防ぐ緩衝機能を果たしていた一つの種が絶滅することで、本来であればその種が捕食をするはずだった病原体を運ぶ宿主、媒介生物が生き残った結果、健康被害を助長するといったようなことがあるというふうな話を私も聞きました。
 先日、生物多様性の日のメッセージも拝見しましたけれども、大臣が生物多様性の大切さを実感されるようなエピソードというものがもしあれば教えていただきたいと思います。

#117
○国務大臣(小泉進次郎君) 私は、生まれたのが横須賀という自然豊かなところです。この環境で生まれ育っていると、自然と私が環境大臣になってから思いを持って生物多様性の保全とか気候変動の取組に取り組んでこれているのは、この生まれ育った環境が非常に大きいと思っています。
 そして、最近も、このコロナの緊急事態の中で、家にいますと、やはり、私の気のせいなのかもしれませんが、前よりも鳥の鳴き声が聞こえる。そして、今までよりも何かこう、自然の恵みというものを考え、これからの社会に対しての在り方をこのタイミングで好機と捉えて大きく変えていく、そういった危機感と必要性を認識するようになったのはきっと私だけではないのではないかなと、そういうふうに思います。
 なので、こういった自分の生まれ育った環境もすごく大事なことだと思うので、私は、これからの環境教育についても、是非、山、海、様々な体験を全ての子供たちにも提供できるような機会を後押しをしていきたいと、そんなことも考えています。

#118
○寺田静君 ありがとうございます。
 秋田県で生まれ育った私から考えると、横須賀は随分都会なんですけれども。私が子供のときには、ゲンゴロウという生き物が水たまりにもいたという記憶があるんですね。でも、ここ何十年かは目にもしたこともないと。
 この秋田県ですけれども、鳥海ダムというものが建設が予定をされておりまして、この鳥海ダムの予定地には、環境省が二〇〇〇年に準絶滅危惧種として指定をしたヒメギフチョウというのが生息しているということを今回教えていただきました。昆虫類に関するこのダムの直近のアセス現地調査は二〇一四年なんです。ダムの予定地の周辺域にも生息域が広がっているため対策は必要ないとされているんですけれども、これから着工するものに対して、二〇一四年、この調査で十分だと思われるでしょうか。

#119
○政府参考人(中井徳太郎君) お答え申し上げます。
 鳥海ダム建設に係る環境影響評価につきましては、事業者であります国土交通省東北地方整備局が実施しておりまして、この中で、ヒメギフチョウは重要な種の一つとして選定されております。
 環境省といたしましては、本環境影響評価におきまして、事業者によりヒメギフチョウに係る必要な調査、予測、評価が実施されていると認識してございます。
 以上です。

#120
○寺田静君 ありがとうございます。
 ここに、抜き刷りですけれども、秋田県の二〇二〇年度版のレッドデータブックを持ってまいりました。(資料提示)この中でですけれども、ヒメギフチョウのことに関しても書かれております。ここには、かつては生息地が多く個体数も少なくなかったが、最近十数年ほどの間にかつて多産した場所も含め姿を見なくなった産地が多くなった、急な変化であるが原因は明らかではないというふうに書かれております。
 先ほど御答弁いただいた部分、大臣の就任前のことなんですね。ですので、今この秋田県のレッドデータブックのこの内容を聞かれて、大臣、どのような御印象を持たれますか。

#121
○国務大臣(小泉進次郎君) 私も、先生からの御質問でヒメギフチョウ、勉強させていただきました。
 環境省が昨年十一月に公表した報告書においても、里地で調査したチョウ類の約四割の種で個体数が急速に減少しているという、そういったことが判明をしています。里地里山のような身近な自然環境では、人口減少や高齢化などが原因で農地や森林が放棄されるとその影響で生態系のバランスが崩れてしまうと。私たちは、生態系が損なわれたことを身近なチョウが見られなくなるといったことによって知ることになります。
 こういったことからも、身近な自然環境の生物多様性を保全するためには、守るだけではなくて、持続可能な形で自然環境を利用することが重要なことだということが分かります。五箇先生、先生からも御指摘いただきましたが、私も五箇先生とのこれから勉強会も重ねていく予定なんですが、生物多様性保全のために国民一人一人ができることは何だろうか、五箇先生の考え方は地産地消であると、私はすごく分かりやすいアプローチだと思います。
 まさにこの地産地消を今回考えている方も多いと思います。是非この機会に、地産地消、循環型の社会、そして自立分散型の社会、こういったことをしっかりと根付かせていって、生物多様性の保全、そして気候変動、そして経済の回復、これを全てにおいて同時達成できるように努めてまいりたいと思います。

#122
○寺田静君 ありがとうございます。
 このレッドデータブックのことに絡んでですけれども、二〇〇八年に制定をされた生物多様性基本法で、地方自治体に生物多様性戦略の策定というものを求めているということを知りました。環境省の方から事前のレクで、いまだに制定されていない県が全国に三つあると、秋田県もその一つだということを教えていただきました。
 県庁の方にもどうしてこの策定されていなかったんでしょうかというのを聞きましたけれども、この県のレッドデータブックを更新してから策定をしたかったからと。これに関しても、レッドデータブックも早く作りたかったけれども、予算もなく、頼るべき専門家も御高齢となり、一つ一つに時間を要したと。ほとんどこの昆虫類の目撃情報などは、情報を寄せてくださるアマチュアの皆さんが多いんだと。ただ、皆さんもまた御高齢となったり、人数が減ってきたりしていると。そのような中で、なかなか更新ができなかったんだと。
 大臣の御地元と違って、私の地元の秋田県、少子高齢化のトップなんです。予算もそうですけれども、人的資源も大変限られているという中で、このレッドデータブックにもなかなか更新が進まなかったということもありましたけれども、こうした予算の付かない、調査すら満足にできない地方だからこそ多様性に富む動植物がいるということもまた事実だろうと。だとすれば、予算すらなくて調査すらできない、このような中でどんどん人知れず絶滅をしていくんだろうということで、この先かなり見通しは暗いんじゃないかなということを思うんです。
 ですので、どうかこの部分、地方にこの部分でどうか予算を振り向けていただきたいということをお願いしまして、私の質問を終えたいと思います。ありがとうございます。

#123
○平山佐知子君 無所属の平山佐知子です。よろしくお願いいたします。
 最終バッターということで、これまでも様々な議論が行われてきましたけれども、私も少々振り返りながら質問に移らせていただきたいというふうに思います。
 片山委員のお話にもありましたけれども、平成十七年、いわゆるクボタ・ショックによりまして、アスベストの健康被害が日本中を揺るがす社会問題となって、この事件を契機として、翌年、石綿健康被害救済法が成立されたと認識をしています。そうしたことも踏まえて今は建築材料等でもアスベストを使うことはなくなりましたけれども、高度経済成長期には、安価であること、そして施工性の良さなどから多くの建築物に使われてきたということでございます。
 そして、このクボタ・ショックのクボタ旧神崎工場では、水道管等に使用する石綿セメント管それからアスベスト含有の住宅建材を製造されてきましたが、その中で、水道用石綿セメント管は、先ほども申し上げたように安価であること、それから施工性の良さから、昭和三十年代から四十年代を中心に全国で多く利用されてきたということです。
 しかし、この水道用石綿セメント管ですが、強度が弱くて破損率がほかの管種よりも高かったということもあって、徐々に使われなくなり、昭和六十年に製造が停止されたということも伺っております。
 今日は厚労省の方にお越しいただいていますけれども、伺わせていただきます。使用された水道用石綿セメント管の総延長ですが、八万二千四百八十五キロと伺っています。それ、現在はどのようになっているのか、教えてください。

#124
○政府参考人(浅沼一成君) お答えいたします。
 水道用石綿セメント管につきましては、製造が停止された一九八五年には議員御指摘のとおり総延長八万二千四百八十五キロメートルとなっておりましたが、耐震性能が特に低いため取替え等が進められてきた結果、平成二十九年度末時点で総延長四千四百一キロメートルまで減少しております。

#125
○平山佐知子君 四千四百キロ余りということで、これが今も使われているということに少々驚くところでございます。
 では、この水道用石綿セメント管を使用していること、これに対する健康の影響などは問題ないんでしょうか。

#126
○政府参考人(浅沼一成君) お答えいたします。
 石綿による健康障害は、石綿粉じんを吸い込むことにより発生するおそれがあるものとされております。
 二〇〇四年公表版のWHO飲料水水質ガイドラインによりますと、飲料水によるアスベストの摂取が健康に対して有害であるという一貫性のある証拠はなく、また、シャワーや加湿器を使用する際の給水栓水中から空中に飛散するアスベストへの暴露量は無視できるとのことから、石綿セメント管を通った水道水につきましては健康影響はないと認識しております。

#127
○平山佐知子君 健康に影響を及ぼすレベルではないというふうに教えていただきましたが、でも、実際に自分がもしこの石綿水道管、セメント管を通ってきた水を飲むとなると気持ちのいいものではありませんし、一方で、管路のどこかで万が一破損などがあった場合は相当量の石綿が水道水に混ざってしまうということも、おそれもありますので、是非早急な布設替えの指導もお願いをしたいというふうに思います。
 この水道用石綿セメント管の撤去作業では、当然ながら健康被害が発生しないような適切な対策が必要になってきます。その点、平成十七年に厚労省からは、水道用石綿セメント管の撤去作業等における石綿対策の手引きが示されています。
 本改正案において、規制対象が全ての石綿含有建材に拡大されて、また、現行法の下での不適切な事前調査による石綿含有建材の見落としをなくすため、調査方法を法定化して記録の作成、保存の義務付けをうたっています。
 先ほど教えていただきましたけれども、現在も四千四百キロ余りの水道用石綿セメント管が使われているということでございますが、この布設替えにおいてもこうした基準が適用されるのかどうか。また、現在使用されていない石綿セメント管がどこにどれだけが残存しているのか調査する必要があるというふうに思いますが、これについてはいかがでしょうか。
 環境省、厚労省、それぞれお答えをお願いいたします。

#128
○政府参考人(小野洋君) まず、前段についてお答えいたします。
 議員御指摘ございましたけれども、本改正では石綿含有成形板、いわゆるレベル3建材を含めて全ての石綿含有建材の除去等作業を規制の対象とするということでございまして、委員御指摘のとおり、水道用の石綿セメント管も含まれるということでございます。
 この改正によりまして、事前調査の方法、事前調査結果の記録の作成、保存及び報告、それから除去作業における作業基準の遵守、作業の記録の作成、保存、作業終了後の発注者への報告等について、改正後の大気汚染防止法の規制が適用されるということでございます。

#129
○政府参考人(浅沼一成君) お答えいたします。
 水道施設等の適切な資産管理を進めるという観点から平成三十年十月に水道法を改正いたしまして、水道施設につきましては、石綿セメント管も含めて、令和四年九月三十日までに水道事業者等は水道施設台帳を整備し、水道施設の管理を適切に行うよう義務付けたところでございます。
 なお、水道施設台帳の作成に当たりましては、竣工図等の過去の工事記録や認可申請書類、現地調査や過去に在籍していた職員への聞き取り調査などにより把握に努めるよう水道事業者等に求めているところでございます。

#130
○平山佐知子君 現在の上水道の布設替え工事では、元々あった水道管は撤去するのが今は一般的となっているんですけれども、以前はほとんど全てがそのまま、つまり古い管は地中にそのまま残したまま、別の空いているところに新しい管を布設して水道管の更新を行っていたという実態があります。かつて全国には八万二千キロ余りのこの石綿セメント管が使われていたわけですから、恐らく今も使用されていない水道用石綿セメント管が相当数地中にあるものというふうに想像ができます。
 改正案第十八条の二十四及び改正案第十八条の二十五には石綿が含まれる建材の把握に努めることなどが規定されていますが、先ほどもこういう議論ありましたけれども、表現が抽象的な印象も受け取れます。
 これらの規定が設けられたことで石綿セメント管の把握についてはどのように進展するというふうにお考えなのか。それから、布設替えで減少させていくのはもちろんなんですが、ロードマップのようなものが必要だというふうに考えますが、この点についてはいかがでしょうか。

#131
○政府参考人(小野洋君) お答えいたします。
 今回の改正、委員が御指摘になった部分でございますけれども、国や地方公共団体に対しまして、災害時等の石綿飛散防止のために必要な施策を平常時から実施していくということで、所有者等による通常時からの建築物等への石綿含有建材の使用状況の把握を後押ししております。
 具体的には、建築物等における石綿含有建材の使用状況に係るデータベースの作成等に係るモデル事業を実施することといたしておりまして、地方公共団体における石綿含有建材の使用状況に係る情報の蓄積を促進していくと。さらに、災害対応に係るマニュアルというのも現行設けておりますけれども、これを強化いたしまして平常時からの準備を進めるといったことで、建築物等の所有者や地方公共団体が適切に災害時応急措置を行えるようにしてまいりたいと考えております。
 委員御指摘の水道用の石綿セメント管についてもこの対象ということでございまして、この石綿セメント管を含めまして、石綿含有建材の使用実態の把握を進めてまいりたいと考えております。
 なお、先ほど来ございますように、石綿セメント管については耐震性が低いということで、厚生労働省におかれまして、進捗状況も把握しながら、できるだけ早期に適切な耐震性能を有する管種、継ぎ手への転換を進めるように要請をしてきておられるということを承知しております。

#132
○平山佐知子君 できるだけ早期にというふうに言っていただきましたけれども、これ、なぜ全てを調査すべきだというふうに申し上げているかというふうにいいますと、今、耐震化ですとか無電柱化などの工事に合わせて、全国各地で現在水道管の布設替えが行われているところなんですね。ですから、そのときに、布設替えをする管が石綿管でないとしても、例えば、新しく入れる管の管路に石綿管が例えば残っていたりしまして急遽撤去しなくてはならなくなることがあるというふうに聞いています。こうした場合も、当然、先ほど申し上げた厚労省の手引に従って撤去作業をするわけですから、そうしますと、本来予測していなかった工事が追加されることになって、現場では時間も手間も費用も相当なものになります。
 以前、国土交通委員会でも私似たようなことを質問したことがあるんですけれども、予期せずにこの石綿管を撤去しなければならなくなったときに、発注者、水道事業者、多くは市町村になりますけれども、発注者は受注者、工事事業者にどのような手だてをするように指導されているのか。元々の受注金額では石綿管の処理費用、これ含まれていませんから、その場合は当然ながら工事業者は赤字になってしまいます。その際、国としてどのような費用的な手だてを考えているのか、教えてください。

#133
○政府参考人(浅沼一成君) お答えいたします。
 水道用石綿セメント管の撤去に当たりましては、健康障害の発生を回避するための適切な対策が必要でありまして、厚生労働省では、議員御指摘の手引、水道用石綿セメント管の撤去作業等における石綿対策の手引きを作成し、発注者となる水道事業者等に対しまして適切な対策が実施されるよう求めております。
 この発注者は、当初の契約と異なり、予期せずに水道用石綿セメント管を工事事業者等の受注者に撤去させる必要性が生じた場合でも、この手引に基づいて、石綿障害予防規則及び関係諸法令を遵守した作業を行わせることとしております。
 なお、当初予定していない工事につきましては、石綿管の撤去作業にかかわらず、契約変更により追加工事に見合った費用を発注者が負担することと承知しております。

#134
○平山佐知子君 ありがとうございます。是非しっかりと費用を発注者が手だてをするということを指導していただきたいというふうに思います。
 先ほども少し出てきましたけれども、大気汚染防止法の第十八条の二十には、特定工事の発注者は、施工方法、それから工期、工事費等について作業基準の遵守を妨げるおそれのある条件を付さないように配慮しなければならないと規定をされています。今回の改正によって、特定工事の範囲も拡大して、レベル3建材の工事も特定工事ということになりますが、この石綿管の布設替え、取替えに関する工事においてはこの規定が今後どのように反映されていくのか、伺います。

#135
○副大臣(佐藤ゆかり君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、現行の大気汚染防止法第十八条の二十におきましては、特定工事の発注者は作業基準の遵守を妨げるおそれのある条件を付さないように配慮することといたしております。
 今回の改正後は、水道用石綿セメント管を含む石綿含有成形板等を解体、改造、補修する作業を伴う建設工事も特定工事に追加されまして、本規定が適用されるということでございます。具体的には、発注者は、作業が適切に遂行されるように、発注に当たっては除去等の方法を決定するための事前調査を含めた作業全般について、施工方法、工期、費用の面などで適切な配慮を行うことが求められております。
 また、レベル1、2に該当する石綿含有建材の解体等の作業に対しましては、従来からマニュアルで配慮義務の前提となります作業基準に基づく具体的な除去方法を示してまいりましたけれども、今回の改正で、レベル3に該当する水道用石綿セメントを含む建材の解体等作業もマニュアルに盛り込んで、発注者及び受注者に対して周知をしてまいる所存でございます。

#136
○平山佐知子君 やはり費用的な手だてがならなければ現場ではきちんとした処理につながらないというふうに考えます。あらかじめそこに石綿管が残っている可能性が分かれば、水道事業者も工事を発注する際にそのことをしっかり周知できますし、費用も増加することもできると考えます。一〇〇%全てを把握するというのは難しいのかもしれませんけれども、是非そういった取組の指導をすることをまたお願いを申し上げます。
 公共事業の工事では、よく企業努力でという言葉が使われます。これはいわゆる企業の純粋な努力でということではなくて、例えば、発注者である地方公共団体が予期せぬ石綿管を見付けた際に、その費用を市町村で賄うことなく受注業者に企業努力で頼みますよと言ってその負担を押し付けることも地方では実際にいまだ行われているということです。そうなりますと、当然民間業者は赤字になってしまっては困るわけですから、その石綿管をこっそりと不適切に処理をするということにもつながりかねません。
 大臣に伺わせていただきます。
 これはコロナ対策にも言えると思うんですが、政府や地方公共団体が出す要請は、やはりそれに対する補償、適切な補償がないとなかなか成り立たないと考えます。本改正を一つの契機として、不適切な石綿含有物の処理をなくすためにも、今申し上げたような、例えば現場でのその企業努力をさせないということ、また石綿による健康被害を根絶させることに対する思いもあれば伺わせていただきたいというふうに思います。

#137
○国務大臣(小泉進次郎君) 今、平山先生からお尋ねいただきました。まず平山先生にお礼を申し上げたいのは、この質問のブリーフもオンラインで対応していただいたこと、職員一同感謝を申し上げております。ありがとうございます。
 そして、今御指摘ありました、発注者が負担を押し付けるんじゃないかと、そういったことにつきましては、先ほど副大臣から答弁がありましたが、作業基準の遵守を妨げるおそれのある条件を付さないよう配慮する義務、これを規定していると。じゃ、これ具体的にはどういうことかというと、発注者が著しく短い工期、そして安価な費用などを受注者に求めてはならないと、そういったふうにされています。
 環境省としては、適切な契約に基づく作業を行うことが石綿の飛散防止につながると、そういった考えの下で、今回の法改正で規制対象となる工事が大きく広がることから、より一層このことが重要であるというふうに認識しています。
 環境省としては、受注者に負担を押し付けるような発注がされないように、とにかく徹底して周知に努めたいと思います。法改正を踏まえて整備するマニュアル、これは環境省自らが関係する業界団体や省庁、そして都道府県等が開催する講習会や説明会において徹底して周知したいと思います。そして、この際に、団体等に属さない個人の発注者に対しても受注者が事前調査結果の報告と併せて届ける仕組みをつくるなど、多様なルートで周知を図っていきます。
 そのことを踏まえて、今回、今まで対象じゃなかったレベル3の建材も対象となる、このことをしっかり法改正、今日御審議いただいていますが、仮に改正がなされた暁にしっかりとそれが飛散防止の徹底につながるように努めてまいりたいと思います。

#138
○平山佐知子君 ありがとうございます。
 是非、今おっしゃっていただいたように、現場の負担にならないように徹底した周知と指導をまた引き続きお願いをしたいというふうにお願いを申し上げます。
 最後に、まだ時間がありますので、今回の法改正とはちょっと関係はないんですが、私も動物愛護について一つ伺わせていただきたいと思います。
 寺田委員のお話にもありましたけれども、私のところにもこの動物愛護管理法のいわゆる数値規制等について、その基準が動物愛護の観点から問題のある基準に設定されようとしているのではないかというふうに危惧、心配する声がたくさん寄せられています。私も、超党派の議連のメンバーでもあり、保護猫を実際飼っている飼い主でもありますし、この問題に関しては並々ならぬ思いがあります。日頃から、地元静岡県内の愛護団体の方々とも現場見に行ったりとか、様々問題を共有しているところでもありますので、そういう立場として伺わせていただきたいと思います。
 改めて、まだちょっと分からない部分もありますので、細かいスケジュールの部分も含めて確認をさせていただきたいというふうに思います。今進められているこの検討会の状況ですとか今後のスケジュール感について環境省に教えていただきたいということと、あわせて、大臣には重ねてになりますけれども、この問題に対する思いをまたお願いをしたいというふうに思います。

#139
○政府参考人(鳥居敏男君) お答え申し上げます。
 動物取扱業の飼養管理基準の具体化に係る規定につきましては、昨年六月に公布されました改正動物愛護管理法において、公布から二年後、つまり来年の六月までに施行することとされておりまして、現在、動物の適正な飼養管理方法等に関する検討会において検討を進めているところでございます。
 三月に予定されていた検討会は新型コロナウイルス感染症の影響で延期となってしまいましたが、今年の夏頃までに検討会として基準案を取りまとめていただきたいというふうに考えてございます。その後、これは恐らく秋頃になると思いますけれども、中央環境審議会動物愛護部会の意見を聴取した上で、一か月間のパブリックコメントを行い、審議会の答申を得た後、環境省令等において基準を定める流れとなります。
 環境省といたしましては、来年六月までの本規定の施行に向け、動物の健康や安全を確保するという動物愛護の趣旨にのっとって検討を進めていく方針であり、動物のより良い状態の確保につながるよう必要な検討を着実に進めてまいります。

#140
○国務大臣(小泉進次郎君) 今、鳥居局長から御説明があったとおりでありますが、まず改めて申し上げたいと思いますが、動物のより良い状態の確保につながるための基準はどうあるべきか、この視点に立って検討を進めてまいります。
 これまでも申し上げてきたことでありますが、一般論として言えば、何か規制を講じようとすれば、それに関わる業界というのはそれを嫌がります。何とかそれを低くしたいと、そういった動きをするのはよくあることです。しかし、そういったことを判断のベースにはしません。我々としては、動物愛護の精神にもとることのないように検討を進めて、今日午前中にも申し上げましたが、数値化を検討できるところはする、そしてまた総合的な判断が必要なところはそのように考えていく、そういったことで進めていきます。
 四月の三日には、平山先生も所属をされている超党派の議連からも具体的な要望をいただきました。そして、今環境省では、事務局を務める有識者の検討会においても事業者の状況把握が行われたと報告を受けていますが、私からは、事業者の話を聞くだけじゃなくて、保護団体の状況そして御意見、しっかりと把握して検討を進めるようにと、そういう指示を出しているところであります。
 今、鳥居局長から話があったように、公布二年後、これは二〇二一年の六月までの本規定の施行に向けて、引き続き総合的な観点からしっかりと検討を進めてまいりたいと思います。

#141
○平山佐知子君 力強く言っていただきましてありがとうございます。
 こうした問題、私考えますと、やはりどうしても動物愛護団体対ブリーダーとか対環境省みたいな対立構図が生まれがちで、大変残念だなというふうに思います。対立からは何も生まれませんし、何よりも動物側に立って考えるということ、一番大切なのは、やはり人と動物が共に暮らせる、幸せに暮らせる社会であるかどうかということを視点に考えることが大切だと思いますので、引き続きどうかよろしくお願いいたします。
 以上です。ありがとうございました。
    ─────────────

#142
○委員長(牧山ひろえ君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、橋本聖子君が委員を辞任され、その補欠として中西哲君が選任されました。
    ─────────────

#143
○委員長(牧山ひろえ君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 本案の修正について山下君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。山下芳生君。

#144
○山下芳生君 ただいま議題となりました大気汚染防止法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、日本共産党を代表して、その趣旨を説明します。
 石綿を使用した建築物の解体工事はこれから二〇二八年頃にピークを迎えようとしています。レベル1、レベル2建材については、これまで規制対象だったにもかかわらず、全国で違法な工事が相次いでいます。また、これまで規制の対象外だったレベル3建材についても、不適切な除去により石綿が飛散する事例が見られます。そこで、今回の改正案では、レベル3も含め、解体工事における石綿の飛散防止対策を抜本的に強化する必要がありました。
 しかし、本法案の規制内容は余りにも不十分です。大気濃度測定の義務化を見送ったほか、レベル3建材は、事前調査の対象としただけで、作業実施届の義務付けや、隔離養生や集じん・排気装置の設置の義務付けを不要としました。刑事罰は法定刑の上限が低過ぎ、抑止効果が期待できません。
 よって、解体現場の労働者や周辺住民、子供たちのアスベスト暴露を何としても防ぐため、本修正案を提出するものです。
 以下、概要を御説明いたします。
 第一に、政府案でレベル1、2に限定している作業実施届と隔離養生及び集じん・排気装置の使用等について、レベル3建材を含めた全ての石綿含有建材を対象に義務化を図ります。
 第二に、大気濃度測定、第三者による事前調査及び完了検査の実施の義務付けなど具体的な飛散防止対策を行います。
 第三に、調査費用や飛散防止措置に係る費用などへの財政支援を事業者に限らず、対象者を広げて行います。
 第四に、故意犯だけでなく、過失に対しても罰則を科すなどの罰則強化の検討を行います。
 以上であります。
 委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

#145
○委員長(牧山ひろえ君) これより原案及び修正案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

#146
○山下芳生君 日本共産党を代表して、我が党提出の修正案には賛成、政府提出の原案には反対の討論を行います。
 二〇一八年の石綿による中皮腫や肺がんの死亡者数は四千六百五十人に上り、同年の交通事故の死亡者数三千五百三十二人を大きく上回りました。
 石綿は、二〇〇六年に全面使用禁止になるまでは、吹き付け建材や断熱材を始め、成形板や塗装、コンクリートの表面にも使用されており、石綿含有建築物の総数は三千三百万棟にも及びます。二〇二八年にはこれら石綿含有建築物の解体がピークを迎えます。抜本的な飛散防止対策がなければ、石綿暴露により、多くの労働者、市民、そして子供たちに甚大な健康被害が発生することになります。
 しかしながら、政府案は、環境省のパブリックコメントにおいて三百五十六件もの意見が要求する解体、リフォーム時の大気濃度測定の義務化を見送っています。大気濃度測定の義務化は石綿飛散暴露防止対策として最も重要であり、もし大気濃度測定がされていなければ石綿被害の原因を突き止めることが困難になり、損害賠償請求が難しくなります。
 また、今回新たな規制対象となるレベル3建材について、事前の調査の対象としただけで、都道府県への作業実施の届出の義務化や隔離養生や集じん・排気装置の設置の義務化を不要としています。しかしながら、レベル3建材を大量に使用した工場建屋が住居と隣接している場所で解体されるケースが多数あり、住民の暴露が心配されます。
 政府は、切断や破砕をせず解体するか散水等による湿潤化でレベル3建材の石綿の飛散性が低くなると言いますが、解体現場では形ばかりの散水しか行われず、多量の粉じんが舞うなど、飛散防止となっていないのが実情です。さらには、レベル3建材の中には飛散性が極めて高いケイ酸カルシウム板第一種などが含まれます。
 さらに、違反者に直接罰を科すとしましたが、過失は対象にせず、法定刑の上限も低く、抑止力は期待できません。
 悪性中皮腫の病状は筆舌に尽くし難いものです。進行すると激しい痛みが絶え間なく襲い続け、治癒法もなく、命が奪われることになります。このような残酷な疾患に労働者、市民、子供が罹患することは何としても防がなければなりません。
 泉南アスベスト訴訟や建設アスベスト訴訟では、石綿の危険性を知りながら適宜適切な規制を怠った国の責任が断罪されました。今回の不十分な政府案では石綿被害を防止できず、被害を発生、拡大させ、過去と同じ過ちを繰り返すことになります。それは決して許されることではありません。
 以上を理由に、原案に反対いたします。
 なお、本法案は国民の命と健康に重大な影響を与えるものであり、本来なら専門家を招き意見を聞く参考人質疑を行うべきでありました。我が党としては、コロナ禍の下でもリモート会議システム等を用いて参考人質疑を行うよう提案しましたが、協議が調わず実現に至らなかったことは残念です。
 充実した委員会審議ができるよう、引き続き努力することを表明して、反対討論を終わります。

#147
○委員長(牧山ひろえ君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより大気汚染防止法の一部を改正する法律案について採決に入ります。
 まず、山下君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

#148
○委員長(牧山ひろえ君) 少数と認めます。よって、山下君提出の修正案は否決されました。
 それでは、次に原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

#149
○委員長(牧山ひろえ君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、鉢呂君から発言を求められておりますので、これを許します。鉢呂吉雄君。

#150
○鉢呂吉雄君 立憲民主党の鉢呂吉雄です。
 私は、ただいま可決されました大気汚染防止法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲・国民.新緑風会・社民、公明党及び日本維新の会の各派並びに各派に属しない議員寺田静さん及び平山佐知子さんの共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    大気汚染防止法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
 一、石綿含有建材を使用した建築物等の解体等工事現場において隔離場所周辺の大気濃度測定が必要とされていることにかんがみ、石綿の濃度を迅速に測定するための方法や測定結果の評価に必要な管理基準値等について、現に義務化を実施している地方公共団体等の事例を参考にして調査・研究を行い、その制度化について速やかに検討すること。
 二、規制対象となる解体等工事が大幅に増加することが見込まれることにかんがみ、関係省庁や都道府県等が連携し、建築物石綿含有建材調査者講習等により専門性を有する十分な人材を確保するよう努めること。
 三、石綿に係る調査等の信頼性を担保するため、事前調査及び作業後の確認の施行の状況を踏まえ、第三者による事前調査及び作業後の確認の実施も含め、必要に応じて対策を検討すること。
 四、石綿に係る特定粉じん排出等作業において、被覆等の石綿の除去以外の方法による作業についても石綿の飛散の可能性がある場合には、除去の場合と同様に、隔離や集じん・排気装置の使用等必要な作業方法を法令上明確に定めるよう検討すること。
 五、石綿の除去等に関する作業の安全性と信頼性を向上させるため、特定粉じん排出等作業にあたる事業者に対し、本法の周知及び施行に係る技術的情報の提供に努めること。
 六、解体等工事の規制に関し、環境保全等の観点から、環境省、厚生労働省及び国土交通省等の関係省庁間の連携を強化し、より実効性のある石綿飛散防止対策を行うこと。
 七、国民の生活の安全・安心を確保するため、解体等工事における石綿の飛散の防止を図るとともに、石綿の除去を着実に推進することについて、関係省庁間及び地方公共団体との連携などの必要な措置を検討すること。
 八、石綿含有建材のデータベースの周知などにより、建築物等の所有者や解体等を行う事業者が石綿含有建材の使用状況を容易に把握できるようにするとともに、把握した情報を活用し、災害時の建築物の倒壊等による石綿飛散の防止に向けて万全を期すること。
 九、新たに石綿含有成形板等のレベル3建材が法規制の対象となり、また、都道府県の報告徴収及び立入検査の対象が下請業者に拡大されるなど、石綿の飛散防止のための都道府県の役割が大幅に拡大され、都道府県が規制権限及び調査権限を適時適切に、必要な場合は届出のあった現場以外の解体等工事の現場についても行使する責務を全うすることが周辺住民の生命及び身体の安全を確保することに不可欠であることから、国がマニュアルを整備することなどにより、都道府県の職員の専門知識や対応能力の向上に努めること。
 十、解体等工事において、石綿飛散の被害者となり得る周辺住民との間に情報共有や意見交換が行われることが安全な工事の実施のために重要となることから、解体等工事におけるリスクコミュニケーションが進むよう必要な措置の検討を行うこと。
 十一、作業基準違反等の事例の調査分析が、今後の規制の在り方の検討のために重要であることから、作業基準違反等の事例の把握に努めること。
 十二、石綿含有建材を使用した建築物等の解体等工事の増加により、石綿飛散の危険性が一層高まることから、石綿による健康被害救済制度の施行状況を把握するとともに、石綿関係の疾患等に係る最新の知見等を収集し、適切な救済の実施に向けた必要な見直しを行うこと。
 十三、本法附則第五条による施行後五年の見直し時期以前であっても、必要に応じて本法の規定の施行状況を踏まえ、必要があると認める場合には、適宜適切に所要の措置を講ずること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

#151
○委員長(牧山ひろえ君) ただいま鉢呂君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

#152
○委員長(牧山ひろえ君) 全会一致と認めます。よって、鉢呂君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、小泉環境大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。小泉環境大臣。

#153
○国務大臣(小泉進次郎君) ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、関係省庁とも連携を図りつつ努力してまいります。

#154
○委員長(牧山ひろえ君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#155
○委員長(牧山ひろえ君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時三十分散会
ソース: 国立国会図書館
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