くにさくロゴ
2020/06/01 第201回国会 参議院 第201回国会 参議院 政府開発援助等に関する特別委員会 第6号 令和2年6月1日
姉妹サイト
 
2020/06/01 第201回国会 参議院

第201回国会 参議院 政府開発援助等に関する特別委員会 第6号 令和2年6月1日

#1
令和二年六月一日(月曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十九日
    辞任         補欠選任
     大野 泰正君     有村 治子君
     高橋 克法君     太田 房江君
     藤井 基之君     堀井  巌君
     松山 政司君     足立 敏之君
     高橋 光男君     山本 博司君
     竹谷とし子君     若松 謙維君
     梅村  聡君     鈴木 宗男君
     井上 哲士君     岩渕  友君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         山本 順三君
    理 事
                こやり隆史君
                佐藤 正久君
                松川 るい君
                古賀 之士君
                難波 奨二君
                高瀬 弘美君
    委 員
                足立 敏之君
                朝日健太郎君
                有村 治子君
                岩井 茂樹君
                小川 克巳君
                太田 房江君
                中西  哲君
                堀井  巌君
                本田 顕子君
                山田 太郎君
                礒崎 哲史君
                大塚 耕平君
                岸 真紀子君
                熊谷 裕人君
                田島麻衣子君
                新妻 秀規君
                山本 博司君
                若松 謙維君
                清水 貴之君
                鈴木 宗男君
                伊藤  岳君
                岩渕  友君
   副大臣
       外務副大臣    鈴木 馨祐君
   事務局側
       第一特別調査室
       長        清野 和彦君
   政府参考人
       外務省国際協力
       局長       鈴木 秀生君
   参考人
       独立行政法人国
       際協力機構理事
       長        北岡 伸一君
       独立行政法人国
       際協力機構理事  本清 耕造君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○政府開発援助等に関する調査
 (参議院政府開発援助調査に関する件)
    ─────────────

#2
○委員長(山本順三君) ただいまから政府開発援助等に関する特別委員会を開会をいたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る五月二十九日、梅村聡君、竹谷とし子さん、高橋光男君、井上哲士君、大野泰正君、高橋克法君、藤井基之君及び松山政司君が委員を辞任され、その補欠として鈴木宗男君、若松謙維君、山本博司君、岩渕友さん、有村治子さん、太田房江さん、堀井巌君及び足立敏之君が選任されました。
    ─────────────

#3
○委員長(山本順三君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 政府開発援助等に関する調査のため、本日の委員会に外務省国際協力局長鈴木秀生君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#4
○委員長(山本順三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────

#5
○委員長(山本順三君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 政府開発援助等に関する調査のため、本日の委員会に独立行政法人国際協力機構理事長北岡伸一君及び同理事本清耕造君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#6
○委員長(山本順三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────

#7
○委員長(山本順三君) 政府開発援助等に関する調査のうち、参議院政府開発援助調査に関する件を議題といたします。
 本日は、令和元年度参議院政府開発援助調査派遣団参加議員の方々から各十分程度御意見を伺った後、六十分程度委員間の意見交換を行いたいと存じます。
 御意見を表明していただくのは、第一班のフィリピン共和国、インドネシア共和国については岩井茂樹君、第二班のブータン王国、タイ王国については有村治子さん、第三班のタンザニア連合共和国、ウガンダ共和国、エチオピア連邦民主共和国については太田房江さん、第四班のアルゼンチン共和国、ペルー共和国については堀井巌君です。
 なお、御意見を表明する際は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず、第一班の岩井茂樹君からお願いいたします。岩井茂樹君。

#8
○岩井茂樹君 ODA調査派遣第一班について御報告をいたします。
 当班は、本年の一月九日から一月十五日までの七日間、フィリピン共和国及びインドネシア共和国に派遣されました。
 派遣議員は、こやり隆史議員、古賀之士議員、若松謙維議員、そして団長を務めました私、岩井茂樹の四名でございます。
 今回訪問したフィリピンとインドネシアにつきましては、我が国が最大のODA供与国となっており、深い関わりがあります。また、極めて親日的な国であり、その背景には、ODAを始めとした協力関係の積み重ねがあるのです。ところが、近年、中国等の支援が拡大し、我が国のプレゼンスが低下の危機に直面していると指摘せざるを得ません。
 また、フィリピンとインドネシアは共に中進国入りを目前に控える状況となっており、いずれ中進国入りすれば、新規の借款に当たってSTEP条件の適用ができなくなります。両国の経済発展については、支援を継続してきた我が国としても祝福するべきでありますが、両国に対する我が国のODAにとって、中進国入りは大きな転換点になると言えます。
 歴史を遡れば、我が国のODAは、一九五四年十月六日のコロンボ・プランへの加盟でスタートラインに立ちました。当初はアジア諸国に対する賠償と、それに並行する経済協力として資金協力を行ってきましたが、これまでの長い歴史の中で、質の高い我が国のODAは高い評価を獲得してきました。他方、中国の支援は、安価な事業の実施という評価を受ける中で急拡大し、多くの問題が表面化しています。このような現実を直視し、この機を捉えて我が国のODAについて改めて検証を加えるべきだと考えます。
 今回の派遣では、このような問題意識の下、所管大臣等との意見交換、現地視察、最前線で支援に取り組む日本企業関係者やJICA関係者との意見交換等、様々な角度から調査を重ねてきました。この派遣を通じ、多くの所見が得られましたが、ここでは三点に絞って御報告いたします。
 まずは、我が国ODAのプレゼンスを高める必要性についてであります。
 今般の調査では、我が国のODAの質の高さを改めて実感しましたが、他方、例えばインドネシアでは、我が国に競り勝った中国が支援する新幹線建設において工期の遅れが発生しています。このような大きな事業で日本が支援の機会を逃したこと自体、プレゼンスの低下を如実に表すものでありますが、他国のプレゼンスが高まったことで施工の遅れや質の低下を招いているとすれば、支援を受ける国としても看過できないはずです。このため、我が国ODAのプレゼンスを高めることは被供与国の利益にもつながるものであり、我が国のODAが果たすべき役割は一層増大していると言えます。
 フィリピンで視察した首都圏鉄道三号線では、日本企業が担っていた維持管理業務が地場企業や韓国との合弁会社などに移され、粗悪な維持管理が続けられた結果、想定された速度を出せず、輸送力が著しく低下したことに加え、出火や脱線といった事故が引き起こしてしまいました。このような経緯で再び我が国が支援することとなった同線の改修事業は、日本の技術力が再評価された好事例であります。また、パッシグ・マリキナ川河川改修事業では、我が国の技術力を発揮したすばらしい施工を視察できた一方、日本企業の施工でない箇所では非常に心もとない護岸を見受けることができました。
 インドネシアで視察したプルイット排水機場では、中国製のポンプが連続運転できない一方、高性能な日本製ポンプは絶え間なく排水を続けられ、高い評価を得たとの説明を受けました。また、視察で乗車したジャカルタの鉄道は、インドネシア側が希望する期日を忠実に守って建設工事を完成させ、多大なる信頼を獲得したとのことであります。
 そのほか、中国漁船による違法操業が確認されたナツナでの離島開発は、中国による支援が想定されておらず、我が国が推進する事業となっています。インドネシアは国際海上交通の要衝であるマラッカ海峡の沿岸国でありますが、スルタン・ジョグジャカルタ特別州知事からは、南シナ海地域の安定にとって日本の協力は不可欠であるとの認識が示されました。
 このように、我が国の支援が評価される一方、他国が支援した事業については、施工技術の未熟さや進捗管理の問題など様々な課題が表面化しており、これまでに実施されたインフラ整備を総括する時期に来ていると言えます。そのためには、他国が実施した支援の問題点を調査するとともに、日本に対する高評価の事例を洗い出し、大使館やJICA、そして国会との間で情報を共有する必要があると考えます。その上で、こうした情報を積極的に活用して支援先の国々と協議することが、我が国のプレゼンスを高めるための解決策になるのではないでしょうか。
 歴史的な経過をたどって極めて親日的な国となった両国の事例に鑑みれば、これまでの事業を再評価し、日本の好事例と他国の問題点について十分な説明を行い、より適切な事業を提案するとともに、信頼関係を醸成してお互いの理解を深め、計画から施工、維持管理までをトータルで捉えるライフサイクルコストの重要性について、これまで以上に粘り強く説明することも必要であると考えます。
 次に、中進国入りという転換期に対処する必要性について申し上げます。
 インドネシアでは、今なお、税制、投資規制や行政による許可など、日系企業の活躍が阻害される要因が存在しています。意見交換でも話題になりましたが、税収の増加に目を奪われた財政当局の対応が公訴にまで発展するような状況を看過すれば、ODAに参画する日本企業を含めた関係者のインセンティブを阻害し、インドネシアの発展に支障を来してしまう可能性があるのです。レオナルド国家開発企画庁次長からは、このような問題に対応するため、複雑な投資規制を一つにまとめるオムニバス法の策定について言及がありましたが、法改正に伴う改善の度合いは現時点で確定したものではなく、様々な要因で経済の活力を奪ってしまうことが依然として懸念されます。
 このような背景の中、意見交換した関係者からは、被供与国が中進国入りすれば新規円借款事業への参画が非常に難しくなるとの懸念が示されました。そのような状況下においても企業のモチベーションを維持し、支援先の国のために働き続ける民間企業の気持ちに応えることが重要であり、日本政府として更なる対策を講じる必要があります。
 フィリピンでは外資による大規模な開発が行われていますが、ペルニャ国家経済開発庁長官からは、政府と民間が一体となって協力する新たな取組の必要性について言及がありました。高層ビルが建ち並ぶ両国に対しては、経済の発展に応じたODAの新たな姿を模索し、中進国入りという転換期にふさわしい対応策を講じる必要があると感じました。また、その前段階として、ペルニャ国家経済開発庁長官からは、中進国入りした後、STEP条件を受けられなくなるまでの間に新たな事業を始められるような協力を求められたところでもあります。
 インドネシアでは首都移転の議論が行われており、今後の展開に応じた関与が必要となるほか、ODA被供与国側の政権交代によってそれまでの事業が大きく転換する可能性があることも踏まえれば、マスタープランの策定などで積極的に関与し、STEP条件の適用に依存しないODAの姿を模索していくことが必要です。そのためには、参議院全体として問題意識を共有し、本委員会としても適切なフォローアップが必要であると考えます。
 最後に、ODA派遣の役割について申し上げます。
 今回、フィリピンとインドネシアを訪問し、両国に対するこれまでの支援が両国を極めて親日的な国家にする一因であったことを実感しました。他方、我が国のODAがプレゼンスの低下という問題に直面している現状を目の当たりにし、政府による現行の取組の限界を感じました。
 ODAの事業が相手国の政権交代といった政治の動きによって影響を受けることを考え合わせれば、我が国としても政治の立場からODAに関与することが必要であります。インドネシアの新幹線建設は、政権交代に伴って事業計画が一転したとされています。また、政権の存続期間中に一定の成果が求められ、工期を区切って非効率な事業の実施につながってしまう事例もあり、政治的な要因に基づくODAの課題が見受けられます。
 そのような問題意識を持ちつつ、今回の派遣では、両国要人との意見交換において我が国ODAが抱える諸課題の解決に向けた働きかけを行うとともに、インドネシアの首都移転に関する協力等についても言及しました。また、ODAの事業に携わる日本企業関係者など様々な方から問題の所在を伺い、その解決に向けた意見交換も要人との間で行いました。
 両国でのこのような対応は、国民の代表である国会議員にこそできるものであり、我が国ODAの発展に結び付く一助になったのではないかと自負しています。参議院のODA派遣は、各国の状況を調査するとともに、行政レベルでの解決が困難な事例に突破口を切り開く役割も果たすべきものと考えており、政府やJICAに当たっては、今後とも、国会議員による訪問の機会を活用し、相手国との協議を更に進めるよう取り組んでいただきたいと思います。
 最後になりますが、今回の調査に当たって多大な御協力をいただきました視察先の関係者、外務省及び在外公館、JICAを始め、JICAの専門家及び青年海外協力隊員、日本企業関係者の方々に改めて感謝を申し上げます。
 以上でございます。ありがとうございました。

#9
○委員長(山本順三君) ありがとうございました。
 次に、第二班の有村治子さんにお願いいたします。有村治子さん。

#10
○有村治子君 ODA調査派遣第二班について御報告を申し上げます。
 当班は、本年一月五日から一月十一日までの七日間、ブータン王国及びタイ王国に派遣されました。
 派遣議員は、本日の委員会に御出席の中西哲議員、山本博司議員、木戸口英司議員、宮沢由佳議員、そして団長を仰せ付かりました私、有村治子の五名です。
 ODA調査のための派遣団としては、ブータンが二〇一三年九月以来二回目、タイは二〇一二年一月以来八年ぶりの訪問でした。
 ブータンは後発発展途上国から低中所得国になることを目指している一方、タイは中進国として援助を受ける側からASEAN諸国等に援助をする側に移行しつつあります。このように、今回の調査においては、経済社会開発の段階が大きく異なる両国を視察することによって、それぞれの開発段階におけるODAの意義、在り方を調査することができました。例えば、日本、ブータン、タイは少子高齢化という共通した課題を抱えていますが、ブータンとタイでは経済社会の状況が異なるため、それに対する支援の在り方も同一のものではあり得ません。我が国の協力はそれぞれの国の発展、開発段階に合った支援を行うことが可能だと実感したところです。
 当派遣団は、ブータン及びタイにおいて、ODA案件の視察のほか、ブータンのワンチュク国王陛下始め政府要人五人、議会要人十三人、在外公館職員十一人、JICA事務所職員十三人、JICAボランティア十一人、JICA専門家四人、ODA事業に関係する日本企業関係者五人、その他の国際機関やNGOと関係する現地邦人八人という実に多くの方々から貴重な意見を聞く機会を得ました。
 今回の調査に当たって多大な御協力をいただきました皆様方に、この場を借りて改めて感謝の意を示したいと思います。
 ブータンにおいては、農業分野、医療分野における支援の現状を視察するとともに、ワンチュク国王陛下に拝謁し、ツェリン首相、ドルジ外務大臣、ドルジ上院議長等と意見交換を行いました。
 ブータン政府は、後発開発途上国からの卒業という目標を実現するため、様々な分野における発展を目指しています。新たな分野における発展の基礎となるのが人材育成で、新たな組織や制度をつくって人材育成に努めておられます。このブータンの取組に対して、我が国からの支援が期待されています。ブータンから日本への技能実習生受入れについての合意がなされており、今後速やかに技能実習生の受入れが実現するように期待しています。
 また、ナムギャル国民総幸福量委員会次官から、ブータンにおける国づくりの基本的理念である国民総幸福量、GNH、グロス・ナショナル・ハピネスについて御説明いただき、GNHの概念をより深く理解する貴重な機会を得ました。ブータンでは、GNHの理念が推進できるかどうかという基準が政府の進める主要政策の採否基準となっています。我が国のブータンODAの実施に当たっても、ブータンのGNH増進に資するものとなるように配慮することが重要です。本調査では、ブータンの発展、支援の方向性をその理念に基づき確認すべきと実感したところですが、同時に、日本がGNHの理念から学ぶことがあると強く感じ入りました。
 タイにおいては、チャオプラヤ川に架かる橋梁、バンコク大量輸送網である鉄道事業、日本の高専、高等専門学校を導入している教育現場、障害者が就労しているベーカリーショップ、高齢者介護を行っている施設を視察するとともに、ウィチャーワット外務大臣政務官等と意見交換を行いました。
 今回視察させていただいた橋梁や鉄道などの公共交通機関は地域住民にとって重要な移動手段であり、我が国の支援によって市民生活の利便性が向上していることを確認しました。橋梁や鉄道といったインフラ整備は、これまでの我が国からの支援もあり、技術的にも資金的にもタイ独自で整備することが可能になってきています。その一方で、鉄道のメンテナンスについては日本の技術が活用されており、こうした分野における支援は引き続き両国のウイン・ウインの関係に資すると思われます。
 また、交通渋滞緩和のためのシステム等の開発に関する協力はタイ側からも期待されているところです。インフラ整備以外の分野においても我が国が支援可能な分野はあり、今後もタイの発展に寄与できると考えます。
 また、今回、バンコク最大のスラム街であるクロントイ・スラムを視察する機会を得ました。
 タイは中進国となり、経済成長も著しく、メコン地域におけるリーダー的な役割を果たしています。その首都であるバンコクにおいては高層ビルが建ち並ぶ地区もあり、この地にスラム街があることなど、にわかには想像できません。しかし、実際にスラム街に身を置いたときには様々なことを考えさせられました。政治とは何をするべきか、政治家とはどんな現実を見るべきか、派遣団の議員にとっても示唆に富む大事な経験になったものと思います。
 ODAの意義や在り方については長年議論をされてきました。相手国に真に感謝されるためにいかなる支援が的確なのか、友好関係を保った上でいかなる国益を狙えるのか、国民の血税を原資とする限られた予算の中でどのような優先順位を付けることが妥当なのか、などです。
 今回訪問したブータンにおいてもタイにおいても、農業機械や医療機材又は橋梁や駅に我が国の支援によることを示す日の丸の表示とともに、フロム・ザ・ピープル・オブ・ジャパンと描かれたプレートが掲げられていました。こうしたプレートにより、相手国の国民の皆さんは、我が国からの支援であることを知ることになります。ODA予算も国民からの税金が財源となっている以上、相手国が主体的な意思で日本に感謝の思いを具体的に表してくださっていることを、この報告の機会などを通じて主権者たる国民の皆様にも御報告いたします。さらには、こうした先方の主体的な意思として掲げられたプレートの存在が我が国としても有り難いものであることを相手国に明確に伝えることも重要であると考えます。プレートの掲示は、我が国の支援への認識を相互に深めることになり、今後の友好関係のきずなを強める礎になると思われます。
 ブータン及びタイは、長年、我が国との交流が活発な親日国であり、特に両国とも皇室、王室間の親密な関係が友好関係を築く上でも大変重要な役割を果たしてきたことを実感しました。
 ODAによって、相手国との友好関係を強め、信頼関係をより強固にすることで、日本が周辺地域の安定と安全に寄与し、諸外国に対する我が国の信頼性を高めることが、結果として国際社会における日本の発信力強化や我が国の国際的地位を高めることになると考えます。
 今回の調査を踏まえ、派遣議員の中からODAに終わりはないとの意見が出されました。各国の経済社会の開発状況は様々ですが、各段階において我が国ができる支援はあり、しかも、支援対象国が次の開発段階になった際には新たな役割や関係性が求められることになります。国際関係に終えんがないように、ODAにおいても、開発段階で関係が切れるということではなく、その国の発展段階に合った支援を行うことが可能です。
 しかも、こうした相互敬意に基づく支援は、援助対象国のみならず、我が国にとっても得るものも多く、様々な形で世界の各地域、エリアをより安定した持続可能で豊かな社会にしていくというウイン・ウインの関係構築を実現すべきだという感覚を強くして帰国いたしました。
 今回の調査において得られた成果を今後の我が国ODA政策の発展に寄与できるよう、国政の議論において生かしてまいりたいと思います。
 結びに、団長を仰せ付かりました者としてODA視察後の考察としての意見を述べさせていただくことをお許しいただきたいと存じます。
 一月前半に派遣されたODA調査の帰国からたった二週間後、あっという間に中国武漢発のコロナウイルスが各大陸に拡散、蔓延し、世界の景色が一変しました。四か月たった今でも世界中で通常の経済社会活動が制約を受ける中、WHO、世界保健機構の運営が世界的な関心事となり、トップである事務局長人事の重要性が改めて脚光を浴びています。国連システムにおいては、WHOを始めとして、世界銀行、ワールド・バンク・グループ、ILO、国際労働機関、IMF、国際通貨基金、ユネスコ、国連教育科学文化機関など十五の専門機関があります。加えて、日本とも関連の深い関連機関が、IAEA、国際原子力機関、WTO、世界貿易機関など八つあります。
 日本は、WHO、ITU、ユネスコ、IMOなどの過去四機関のトップを輩した経験がありますが、二〇一五年以降の組織トップの人事実績は皆無、ゼロになっています。国連や国際機関への拠出金に見合った人員の輩出、存在感、リーダーシップが求められている中で、日本から発信力のある優秀な国際人材を計画性を持って養成し、輩出できるよう、日本政府、外務省には引き続き努力を続けていただきたいと考えます。
 同時に、日本が外交基軸にしてきた国際協調主義を尊び、国際機関の公正性、透明性、中立性、民主的運営を実現するため、国連専門機関の事務局長を始めとする幹部人事に、日本を始めとするこのような価値を重視する国々の人を輩出していることの重要性を、コロナウイルス禍と向き合っている今だからこそ強調したいと考えます。
 国際専門機関トップ、幹部ポストの人事は、参加国による合意形成、選挙によって決定されます。この点において、国民の貴重な血税で成り立つODAも、各国との友好親善を深める非常に重要な手段であるだけでなく、国際機関のトップ人事を見据え、民主的な国際秩序を支持する友好国を増やす戦略性も磨いていくべきだと考えます。
 トップの人事を担う各国候補には、語学力、各国代表と渡り合う交渉能力、世界組織を動かすマネジメント力に加えて極めて高い専門性が求められ、事実上、閣僚経験者であることが審査の基準になっている専門機関もあります。トップを輩出した国々の履歴、地域バランスを考えた公平性も重視されるので、その全てを満たす人材の発掘、養成、そして選挙の勝利は容易なことではありません。
 今年行われる万国郵便連合、UPU選挙を始め、世界を牽引する専門機関のトップ人事を狙える日本人の養成、国連システムのミドル、ジュニアマネジメントも含めたその層を支える国際人を安定的に輩出し、その層を厚くする外交戦略を見据え、ODAとの連携を強めていただきたいと切に願います。
 以上で第二班の報告といたします。ありがとうございました。

#11
○委員長(山本順三君) ありがとうございました。
 次に、第三班の太田房江さんにお願いいたします。太田房江さん。

#12
○太田房江君 ODA調査派遣第三班について御報告申し上げます。
 当班は、本年一月十日から十八日までの九日間、タンザニア連合共和国、ウガンダ共和国及びエチオピア連邦民主共和国に派遣されました。
 派遣議員は、団長の宇都隆史議員、今日も委員としておられます鈴木宗男議員、そして私、太田房江の三名でございます。
 さて、今般訪問いたしましたアフリカ諸国への支援につきましては、二〇一九年八月に日本で開催をされました第七回アフリカ開発会議、TICAD7の横浜宣言で、経済、社会、平和と安定と三つの柱が掲げられました。調査に当たりましては、このことを踏まえまして、質の高いインフラ、連結性強化に係る支援、産業人材育成支援といった経済分野、さらに、保健分野や教育関係への支援といった社会分野に着目して視察するとともに、各国で意見交換をしてまいりました。
 まず、タンザニアについて申し上げます。
 タンザニアでは、スポーツを通じた国際協力としての野球グラウンド整備事業を、質の高いインフラ、連結性強化としての市内交通網の整備事業を、社会分野としての病院及び学校への支援事業を、それぞれ視察いたしました。
 まず、ダルエスサラーム市では、草の根文化無償資金協力による野球グラウンドの整備事業としてアザニア中学校を視察いたしました。タンザニアでは、スポーツは経済発展にとって不要というような軽視がされてきましたけれども、本整備を契機に、様々な社会的課題の解決法としてスポーツが見直されつつある実態に触れることができました。
 また、無償資金協力によるダルエスサラーム市内の交通網整備支援事業としてゲレザニ交差点を視察いたしました。同事業は、交通網の改善に大いに寄与すると高い評価を受けております。また、日本のマネジメント手法であるカイゼンに取り組むことで無事故の施工が続いているとのことでした。さらに、シニア海外協力隊が活動するムヒンビリ国立病院を視察いたしました。同病院は、カイゼンの導入によって医療ミスの減少、作業の効率化が図られ、大勢の患者に対し適切な医療を提供できるようになったということでした。
 次に、タンザニア北部のアルーシャ市へ移動し、草の根無償資金協力等で支援をいたしましたさくら女子中学校とキマンドル中学校をそれぞれ視察しました。両中学校とも優秀な教員の確保や実験資材の更新といった共通する課題を抱えるとともに、劣悪な道路事情のため緊急車両が入ってこられず、生徒の安全確保に支障を来していたり、あるいは、通学時に女子生徒が暴行を受ける事件が多発しているため、早急な女子寮の整備が求められているといった課題も伺いました。
 次に、ウガンダ共和国についてです。
 ウガンダでは、質の高いインフラ、連結性強化としての送電所の改修事業と橋梁の整備事業、米の生産性と品質向上に向けた農業研究の支援事業、保健分野としての病院マネジメント改善の支援事業をそれぞれ視察いたしました。また、ウガンダ国民議会議長及びウガンダ大統領と日本のODAについて意見交換を行いました。
 まず、無償資金協力で支援した首都カンパラ市内のクイーンズウェイ変電所、円借款で支援した北部回廊上のナイル川源流橋、そして、技術協力で米の品質改良や生産性向上に向けた研究を支援している国立作物資源研究所を視察しました。変電所整備や橋梁整備といった支援は、同国労働者への技能、知識移転の重要性からも高く評価されておりました。また、米の品質改良や生産性向上のための技術支援は、農家の所得向上につながる重要な取組として定着しており、私たちの視察中も地方から多くの研修生が実技講習を受けており、皆熱心に参加している姿に感銘を受けました。さらに、エンテベ地域中核病院を視察しました。カイゼンの導入によって効率的な医療体制が実現され、患者の待ち時間の短縮を始め様々な面で効果が見られているということでした。
 次に、カダガ国民議会議長及びムセベニ大統領と日本のODAについて意見交換をいたしました。カダガ議長からは、草の根無償資金協力を始め日本の様々な支援に感謝をするとともに、国民議会は日本とウガンダの協力関係を積極的に支持するとの発言がありました。ムセベニ大統領には二時間半待たされましたけれども、日本の支援に感謝するとの発言をいただきました。ただし、中国は、ウガンダに来て日が浅いにもかかわらず投資額が非常に大きい、古くからの関係がある日本には更なる市場開放と投資を要望するといった発言もございました。これについては、安倍総理のTICADにおける発言を引用するなど、日本の考えと正確な情報をお伝えしてまいりました。
 次に、エチオピア連邦民主共和国についてであります。
 エチオピアでは、民間投資、産業人材育成支援としての女性起業家支援事業、カイゼン実施促進能力向上支援事業をそれぞれ視察いたしました。また、エチオピアの財務国務大臣と意見交換を行いました。
 まず、円借款で女性起業家を支援している印刷会社を訪問し、女性経営者からは、資金集めや一定水準の労働者を雇用し続けることの難しさ等、経営上の課題を伺いました。また、技術支援を行っている靴製造企業では、カイゼンの導入により生産性や品質を高め海外へ進出したい、輸出したいといった積極的な姿勢を伺い、支援の取組の効果を目の当たりにできました。
 次に、アドマス財務国務大臣とODAの在り方等について意見交換を行いました。アドマス大臣からは、これまでの有償、無償資金協力への感謝が示されたとともに、農業主体の同国経済構造を工業化にシフトすべく取り組んでおり、送配電網整備や地熱発電事業への支援、カイゼンの取組や知識、技術移転等への更なる支援が必要であるとの要望等が示されました。
 また、今般訪問した三か国では、JICA海外協力隊、JICA専門家、国際機関や企業等、現地で活躍する邦人の方々と非常に有益な意見交換の機会を得ることができました。青年海外協力隊を始めとする方々の生活上の御苦労や帰国後の就職の不安といったことのほか、国際機関邦人職員との意見交換では、現地では、難民への支援があるのに周辺地域住民への支援がないといった不満等、日本にいてはなかなか気付きにくい課題等も伺うことができ、有意義な派遣であったと思います。
 なお、至る所で中国の存在感を目の当たりにしました。大規模な資本により目立つ建造物等を整備する中国流の支援の方法は一般市民の目にも分かりやすい一方で、日本の支援は、質は高いものの小規模であったり、電力や経営サポートのような目に見えない支援も多く、より相手国市民に宣伝をしていく必要もあると思いました。
 ODA調査派遣第三班は、以上の調査を踏まえ、今後の効果的なODAの実施に向け、以下の八項目の提言を取りまとめました。政府及び関係者の皆様方におかれましては、その趣旨を十分に理解され、これらの実現に努められるよう要請します。
 一、連結性の高い案件に積極的かつ戦略的に取り組む必要性。
 今般視察しましたナイル架橋整備事業といった回廊開発に係る支援は、TICAD7の連結性強化に向けた質の高いインフラ投資として、地域の力を引き出し、地域の経済成長を促進し、高い裨益効果が期待できるため、積極的かつ戦略的に取り組む必要があります。なお、回廊開発といった地域横断的な事業への支援に当たっては、東アフリカ共同体、EACといった場を活用することも重要と考えます。
 二、マスタープランの策定に参画する必要性。
 ODAは先方の要請に基づいて実施することが基本です。しかし、支援がパッチワーク的に行われては十分な事業効果が望めません。そこで、質の高い支援を効果的に行うため、引き続き、マスタープランの策定からの積極的な参画が重要です。
 三、インフラ支援に付随した技術協力の重要性。
 インフラ支援を契機として、日本の安全意識が根付いたことや、現地企業がODA受託企業に研修機会を要望するといった実態に触れることができました。ODAにより被支援国の自立を促すことは重要であり、こうした人材育成の取組は、ODA受託企業任せにせず、政府も一緒になって進める必要があります。
 四、カイゼン導入支援を拡充する必要性。
 カイゼンの取組は建設現場、学校、病院、役所等、各国の様々なところで導入されていました。カイゼンは地味ですが、導入の結果、生産性が向上することで、取り組んだ事業体だけではなく、その国の経済発展の礎にもなるため、今後も積極的に支援するとともに、成功例を他の地域へ広めて、導入の拡充を図ることが必要です。
 五、質の高い教育支援を日本とのつながりを踏まえて継続する必要性。
 質の高い教育支援は、継続性に留意しなければなりません。そのためには、優秀な教員の確保、教育器材の更新はもちろんのこと、生徒の通学、就業環境の改善に目を向けていく必要があります。また、日本語教師を派遣する等、日本へ留学したり、日本に関係する企業に就職したりする可能性を考慮した支援が大切です。
 六、最低限の学習環境を整備するための支援の必要性。
 通学路における危険から学校に通わせてもらえない女子学生がおり、女子寮の建設が急務との要望がありましたので、早急に対応いただきたいと思います。また、最低限の学習環境の整備への支援は直ちに実施し、中長期的な課題には、被支援国側と解決策を探るといった姿勢が求められます。
 七、青年海外協力隊等への支援を充実する必要性。
 青年海外協力隊の帰国後の就労支援の重要性は、参議院ODA派遣報告で累次取り上げられてきておりますが、今般も、その充実を求める声をいただきました。適切な就労支援がなければ、志願者の減少にもつながります。帰国後のビジョンを描けないままにしておかず、派遣任期中からの進路相談等を行い、任期終了前には新たな就労先について方向性が見えるようにする等の具体的な対応を求めます。
 八、日本の広報活動に本腰を入れて取り組む必要性。
 日本の支援は、高い品質、高い安全性を重視しておりますが、質や安全性は目に見えづらく、被支援国の市民に対して伝わりにくい面があります。訪問した国では、テレビをつけると中国の放送が流れ、現地語版に訳されたテレビ番組までございました。日本のプレゼンスを確保するため、そして日本の支援の良さを理解してもらうために、マスコミ等も含めた広報活動に本腰を入れて取り組まなくてはなりません。
 終わりに、今回の調査に当たり、多大な御協力をいただきました視察先の関係者、外務本省、在外公館、各国のJICA関係者、国際機関職員の方々、そして日本企業関係者の方々に改めて感謝を申し上げます。
 以上です。ありがとうございました。

#13
○委員長(山本順三君) ありがとうございました。
 次に、第四班の堀井巌君にお願いいたします。堀井巌君。

#14
○堀井巌君 ODA調査派遣第四班について御報告いたします。
 当班は、本年一月七日から一月十六日までの十日間、アルゼンチン共和国及びペルー共和国に派遣されました。
 派遣議員は、松山政司議員、岩渕友議員、団長を務めました私、堀井巌の三名でございます。
 本日は、今回の調査を通じて得られました所見を中心に申し述べます。
 アルゼンチンは、ブラジルに次ぐ南米の大国で、一人当たり国民総所得、GNIが一万ドルを大きく超え、ODA対象国としては比較的高い経済水準を有しております。足下のODA実績は技術支援が中心で、二〇一六年の実績では主要援助国中、日本は第三位となっております。また、穀物の生産及び輸出で大きなプレゼンスを有しており、日本の食料安全保障を考える上で重要な位置を占めていることも特徴となります。
 ペルーは、自由開放的な政策を一貫して採用しており、日本とは中南米で最も長い外交関係を有する国でもあります。一人当たりGNIは六千ドル台半ばと発展途上国で中位となっており、足下のODA実績は技術支援が中心であります。国内経済は沿岸部と内陸部で所得格差が大きく、地震や洪水など自然災害が多い点も特筆されます。二〇一六年の実績では主要援助国中、日本は第三位となっております。
 今回、我々は両国において、現地視察、要人との意見交換、さらには海外協力隊員などとの懇談を通じ、多くの新たな知見を得ることができました。それらを踏まえた所見は以下の五点となります。
 第一に、顔の見える支援の徹底であります。
 ODAにおいて日本が供与する機材や技術等は高い評価を受けており、そのことは今回の視察においても明確に感じられました。
 関係者からの評価は大変有り難いことですが、一方で、各案件が日本の援助によるものであることにつき、周知が不十分な例も散見をされました。一例を挙げると、アルゼンチンで視察した紫外線信号機にはJICAのステッカーが貼られていましたが、そのデザインは援助関係者でなければ日本に由来することが分からないもので、これでは、いかに紫外線信号機が地元の方に活用されても、日本の支援と結び付けて理解されることはないでしょう。
 今回は在アルゼンチン大使館の迅速な対応によって、日章旗のステッカーが貼付され、誰もが日本の支援と認識できる状況となりました。そのことには感謝いたしますが、あらゆる事業において当初からこうした視点での取組が徹底されるべきです。誰にでも日本の支援と分かる周知策を幅広く展開していくことは喫緊の課題と言えます。
 第二に、地政学的情勢等を見極めた柔軟な援助であります。
 今回訪問したアルゼンチンでは、新規の円借款や一般の無償資金協力は既に実施されておりません。しかし、国内の経済格差が大きく、インフラ整備も道半ばという国内事情からすれば、そうした支援に対する潜在的ニーズはまだ存在するはずです。
 アルゼンチンは世界有数の穀物輸出国であるとともに、豊かな天然資源も有しており、その地政学的重要性は非常に高いと言えます。この点、現地での概況説明によれば、中国によるアルゼンチンへの進出が強まっており、フェルナンデス新大統領の就任に当たって、二者会談を行ったのは中国を含む数か国のみだったとのことです。日本のODAも、このような実情を踏まえて、更なる関係強化に資するものとしていかなければなりません。
 幸いなことに、かつて丸ノ内線で使用していた鉄道車両をブエノスアイレス地下鉄に譲渡したことがあり、日本に対する好意的評価につながっています。その車両は既に引退時期にあるようですが、例えば、こうしたレガシーを活用し、円借款などと組み合わせて再び中古車両を譲渡するといった取組ができないでしょうか。
 また、アルゼンチンでは、大気環境や保健医療などの分野でも日本の貢献に対する期待が高いと感じました。そこで、是非、今後の支援はそのような先方の思いも踏まえた上で、地政学的情勢も加味して積極的に実施していくことを期待します。もちろん、アルゼンチンが複数回デフォルトに陥っていることに留意は必要ですが、日本に対する良好なイメージを生かすことで、両国関係をより緊密にしていくことが可能になると考えます。地下鉄車両はあくまでも一例ですが、機械的な基準で判断するのではない柔軟な援助スキームこそ求められているのではないでしょうか。
 第三に、支援実施に際する受入れ側との信頼醸成であります。
 ペルーでは、人類共通の財産である文化遺産保護に対する支援ニーズが高く、先方の期待に沿った援助を行うことは、両国関係の発展のみならず、人類全体への貢献につながります。
 こうした実情を踏まえ、今回は、民間連携事業であるマチュピチュ地区での3D測量技術による文化遺産の保全と活用のための基礎調査を視察しました。民間連携事業は、日本企業が持つ技術等によって途上国の支援ニーズを満たすことができるか企業自らによる調査を支援する枠組みで、日本企業の海外進出を促進する意味でも重要な事業であり、これまで多くの成果を上げています。
 今までペルー政府が遺跡の保存に関して外国企業と連携した例はありませんが、それだけに、ペルー側のニーズに寄り添い、先方から支援を受けたいと主体的に表明してもらえば、大きな一歩になるでしょう。そのためには、ペルー政府の要路のみならず現場担当者レベルまで、日本の援助への信頼醸成に取り組んでいくことが重要です。
 今回の基礎調査には、日本の大学関係者も参画を予定しており、ペルー側にとって有益な支援となる可能性は十分にあります。支援実施という成果が実ることを大いに期待しています。
 第四に、青年海外協力隊員やシニア海外協力隊員に対する支援の充実であります。
 今回の視察先では、多くの青年海外協力隊員やシニア海外協力隊員、いわゆるJOCVの方々が活躍されていました。恵まれた環境とは言えない途上国で支援活動に従事するJOCVの方々は、先述した顔の見える支援という意味でも非常に大きな役割を果たしております。
 例えば、クスコで視察した日本語学校では、学生から、いつか日本に行きたい、日本で生活してみたいとの声を聞くことができ、深い感銘を受けました。こうしたことも、支援に携わるJOCVの方々の真摯な活動なくしては実現しなかったと思います。
 しかし、活動の重要性にもかかわらず、昨今JOCVへの応募人数は減少を続けているのが実情です。こうした状況を打開するには、活動終了後の支援を一層充実することが有効ではないでしょうか。例えば、経験を生かせる企業への就職に対し十分なサポートを行うほか、海外の教育機関への進学についても積極的な後押しをすべきです。
 こうした取組は、JOCVへの応募増加を図るという意義に加え、国内企業への優秀な人材の供給や、国際機関で働く日本人の増加などにもつながる効果を持ちます。このような観点を踏まえ、JOCVに対する支援の充実に万全の対応を要望するところです。
 第五に、保健医療分野における積極的な支援実施の重要性であります。
 現在、新型コロナウイルスが南米で猛威を振るっている状況を見ても、保健医療分野での支援拡大は急務であります。
 今回、ペルーでは、国立障害者リハビリテーションセンターや日系人協会百周年記念病院を視察し、日本の援助が現地の福祉、医療水準の向上に寄与してきたことを目の当たりにしました。現地での説明では、機材供与だけでなく技術面での支援にも謝意が示されたほか、多くの現地の方が施設を来訪してリハビリや療養をされている実情にも触れ、この分野での援助はあまねく人々の生活改善に貢献すると思いを強くした次第です。もちろん、ペルーのみならずアルゼンチンにおいても、先述のように保健医療分野での日本の援助に対する期待は大きなものがあります。
 言うまでもなく、こうした分野における日本の技術水準は世界に誇るべきもので、途上国に対する貢献を通じ人類共通の課題解決へ取り組むことが日本に求められていると考えます。現下の情勢で、日本の支援が多くの人々の健康確保に役立っていることを期待するとともに、今後も保健医療分野での貢献を力強く進めていくことを求めます。
 最後になりますが、今回の両国への派遣に当たっては、外務省、JICA、JOCV、現地の日系社会関係者、アルゼンチン、ペルー両国政府並びに視察先の関係者の方々に多大なる御協力と御尽力をいただきました。改めて心より感謝いたします。
 今回の視察を通じて、我々は日本外交における中南米の戦略的重要性を再確認することができました。今後、本日申し述べた観点で支援を実施するとともに、中南米におけるODAの更なる充実を期待し、第四班の報告といたします。
 ありがとうございました。

#15
○委員長(山本順三君) ありがとうございました。
 以上で意見の聴取は終わりました。
 これより意見交換に入ります。
 本日は、外務省から鈴木外務副大臣及び鈴木国際協力局長に、また独立行政法人国際協力機構から北岡理事長及び本清理事に、それぞれ御同席をいただいております。
 発言を希望される方は、挙手の上、委員長の指名を受けてから起立して御発言ください。
 発言者は、意見表明者、派遣団に参加された委員のほか、外務省、JICAに対し回答をお求めいただいても結構でございます。
 また、回答をされる方も、挙手の上、委員長の指名を受けてから起立して御発言をお願いいたします。
 まずは、大会派順に各会派一名ずつ指名させていただき、その後は、会派にかかわらず御発言をいただきたいというふうに存じます。
 それでは、発言を希望される方は挙手をお願いします。
 こやり隆史君。

#16
○こやり隆史君 自民党のこやり隆史でございます。
 岩井団長の御指導の下、私も団の一員としてインドネシア及びフィリピンに訪問をさせていただきました。
 先ほど来の御報告の共通的な要素の一つであったのが、中国の台頭、そして日本のその支援における相対的地位の低下が一つあったと思います。そして、我々が訪問した二か国については、それに加えて、両国が途上国から中進国に仲間入りするその手前であるという、支援の転換期を迎えているということであったかというふうに思います。
 御承知のとおり、インドネシアは人口が二億人、フィリピンは人口が一億人、インドネシアはG20のASEANの唯一のメンバーでもあります。そして、両国は島嶼国であり、海洋安全保障上極めて重要、したがいまして、日本の開かれたインド太平洋地域の戦略を進めていく上で極めて大事な二国であるというふうに認識をしています。
 我々、二か国訪問させていただきましたけれども、国に着くと、もう九十何%日本車であふれておりました。日本よりも日本車の割合が多いんではないかと思うほど、この両国は親日国であるなということを実感をさせていただきました。こうした感情は、まさに日本のODA実績一位あるいは四位の両国、このODAの果たしてきた役割というのは極めて大きいというふうに思います。
 そして、各班から御指摘ありました、やはりその経済面においても中国資本の進出というのが加速度的に進んでおり、そして支援の面でも、まさにインフラ、特にインフラ整備における中国支援の相対的地位の上昇、これが実感するというような訪問でございました。
 そうした状況の中で、今まさに日本、STEP条件国から外れていく、これからインフラ整備を支援する上でも、とてもこの日本にとって厳しい状況がこれから目に見える形で進んでいくという状況にあると思います。せっかくここまで日本が築いてきた両国との関係、これをこのまま放置していくと、必ず中国を始めとする地域に取って代わられるということは目に見えておりますので、このまま放置をしていくということは絶対にあってはならないというふうに思います。
 そうした中で、前回の所信の質疑にもございました。私は、二つ早急にやっぱり検討していかないといけないというふうに思っています。
 一つは、支援の国際ルールをやっぱりしっかり作っていくということかと思います。OECDルールに縛られる先進国と、そうしたルールに縛られない中国における爆発的な支援の増加、こうしたことについて、やっぱりルールをしっかりと早急に整備をしていくというのが一つ。そしてまた、もう一つは、やっぱり支援の中身をハード中心からソフト中心に変えていく。いろんな知恵とか工夫が必要になってきますけれども、やっぱりその過渡期に応じた形でこの支援の在り方、中身もですね、今までも取り組んできていただきましたけれども、これからますます素早く対応していく必要があるかというふうに思います。
 そうした中で、まさに政府側として、あるいは実施機関としてのJICAさんとしてどういう、この二点についてどういうお考えがあるか、お聞かせいただきたいというふうに思います。

#17
○副大臣(鈴木馨祐君) 大変大事な御指摘だろうと思います。
 二点いただきました。まず、支援のルール、国際ルールを特にどう整備をするのかというところ、もう一つは、ちょうどSTEPの、そういった意味ではタイドということができない、そういった環境になってきますので、その中身をよりソフトとかほかのものに移していくべきではないか、そういった二つの御指摘をいただいたと思います。
 支援の国際ルールということでいうと、確かに中国等々、OECDに幾ら言っても加盟しないような、そういった国があるのは事実であります。特に最近、これはG20の枠組みの中で債権放棄のそういった枠組みも議論されています、今回、コロナについて。確かにそのときも、どうそういった問題対処をするのか、あるいはどのようにして、その公的な債務と民間債務はかなりそこグレーになってしまうところがありますので、そこをどのようにして実質的に彼らにも責任をしっかりと負ってもらうことができるのか、そういったことの努力を進めているところではあります。
 ただ、同時に、やはり今委員御指摘のように、国際的にある程度コンセンサスになるような、そういったルールが必要なのもまた事実であります。これはOECDもそうですし、あるいはG7、G20等々様々な枠組みがある中でありますから、そういったことに向けてしっかり我が国としても努力をしていかなくてはいけないと思いますし、やはり義務、責任というものもしっかりとそれぞれの国が果たしていく、これが大前提であろうと思います。
 特にこの数年間、私どもとしても質の高いインフラということを掲げてまいりました。その一つのポイントというのは、やはり債務の持続性であったり、あるいは様々な情報の公開、開示というものを、お互いにそれをしっかりとしていかなくてはいけない、あるいは国際社会に対してもきちんとしていくということがその国のためになる支援の大前提という認識がございますので、この点はしっかりと今後とも追求をしてまいりたい、そのように考えております。
 そして、ハードからソフト等々ということを御指摘もありました。まさに御指摘のとおりでありまして、やはりそれぞれの経済発展においても、例えば法の予見可能性であったり、あるいはその迅速な公のプロセスの執行に向けた人材の育成、特に政府サイドの人材の育成等も非常に重要になっております。こうしたところで、そうした人材の育成に寄与するような、そういったプログラムというものを私どもとしても提供し始めているところでもありますし、特に、これまでの途上国からその次のステップにということになると、それぞれの国が求める、あるいはその地域社会、市民が求めるニーズというものも変わってまいります。
 確かに、今、中国が非常に大きなボリュームでやってきている、あるいはほかの国についてもそうした大きなボリュームでやってきている中で、日本としてどうやってその国にきちんとした意味でプレゼンスを高めていくことができるのか、そのことが一番の眼目でありますので、そうした今の御指摘に沿って、しっかりとそういったあるべきメニューというものについてもきちんと検討してまいりたいと思います。

#18
○参考人(北岡伸一君) 御質問ありがとうございます。
 国際ルールに一定中国を取り込んでいきたいというのは私も全く同感でございまして、既に副大臣からお答えあったところでございます。私自身も二年以上前からいろんな国際機関に働きかけて、そういう枠組みに中国を取り込もうという動きをやっていきました。
 以上、お答えは既にございましたので、二つ目の方を。じゃ、今後どういう支援をするかということでございます。
 一つは、例えば都市の開発というのは非常に重要でございます。多くの国の今抱えている大きな問題は都市問題に集約されることが多うございまして、この点、我々、地下鉄とかそういうものに援助をして、これは直接国民に裨益するものであります。国民の声をこうして、心をつかんでいきたいというのは大変大事なことでございます。
 また、この二つは、言うまでもなく日本にとって地政学上も最も重要な国の二つでございます。彼らとの我々の共通点の一つは、災害の多い国ということでございます。我々は防災協力において力を入れていく。スラウェシで二年前に地震がありましたときも、最初の緊急援助は世界中から来ました。しかし、その後、じゃ、どういうふうにこれを復興させていくかというときは日本だけにお願いすると。いろいろ船頭が多くても混乱するおそれがあるから、日本だけ、JICAだけに来てほしいと言われました。それほど我々の防災協力というのは確立した根を張っていると思っております。
 さらに、我々は、これは一つ、二つは我々とともに島国でございます。しかし、もう巨大な数、七千あるいは一万二、三千という島があります。しかし、我が国が持っているような海上保安システムを十分持っておりません。我々、最近力入れており、また両国から非常に強く受け入れられておりますのは、日本でいいますと海上保安庁のようなものをつくると。我々は資材を供給し、また人を受け入れて日本で教育するというのをやっておりまして、これも大変好評でございます。
 これ言い換えれば、この二つはいずれも主権国家であります。当然です。そして、民主主義国家であります。この国、二つの国は、発展してきたのみならず、自由で民主主義的な国として発展してきたということは我々が大変誇るべき成果ではないかと思っております。いかなる国も他国に従属したいとは思いません。これらの国が自分でやっていくんだ、自立してやっていくんだというふうに思って頑張ってくれることが我々との即友好関係だと思っております。その意味で、この海上保安庁支援というのも我々の重要なツールでございます。
 もう一つだけ。結局のところ、国と国の親しさというのは、国民とどういう関係を取り結ぶかということでございます。人と人との関係、日本はいい国だと思われるということがとても大事だと思っております。かつて我々は、インドネシア、そしてフィリピン、協力隊もあり、いろんなことをやっていました。留学生も大勢呼んでいました。これを更に強化して、日本により多くの人に留学してもらおうというふうに考えております。
 ちょうど二年前に、明治維新百五十年を記念しましてJICA開発大学院連携というプロジェクトを始めました。安倍総理にも大変御支援いただきました。それは、日本は非西洋から発展した最初の、まあ厳密に言うと、もうほとんど唯一の国だと。で、どうやって非西洋から発展できたか日本に来て是非勉強してほしい、そして我々の苦労や、まあ間違いもしました、それを学んでほしい、それはきっとあなたの国の役に立ちますよといって、こういうコンセプトでJICA開発大学院連携というのをやっております。
 こういう格好で、東南アジアからまた大勢受け入れて一緒に近代化を考えようということをやっておりまして、こういうところで彼らが自立していく、自由民主主義として発展していくこと自体が我々の大きな貢献になる、そしてまた我々の国益になるというふうに理解しております。

#19
○委員長(山本順三君) 続いて、岸真紀子さん。

#20
○岸真紀子君 立憲・国民.新緑風会・社民の岸真紀子です。
 四人の団長の皆様から御報告をいただきまして、大変ためになりました。ありがとうございます。
 そこで、幾つか報告の中でもあったことで、ちょっと細かいことになるかもしれませんが、お聞きをしたいことがあります。
 まず一点目ですが、第三班について、ジェンダーの視点についてです。
 ほかの先生方というか、ほかの派遣団でも様々な取組を現地で見てきていると思うんですが、第三班においては、タンザニアのさくら女子中学校とキマンドル中学校をそれぞれ視察したというふうに伺いました。報告の中でもいただいてはいるんですが、具体的に女性がどのような環境に置かれていたか、もう少し深くお聞きできればと思います。
 やはり世界においてはこの女性が学校に通いたくても通えない実情があったり、そのことをどうやってこれからこのODAで解決をしていけばいいか、御意見がありましたらお聞かせ願います。

#21
○太田房江君 御質問ありがとうございます。
 私が参りましたこのさくら中学校と申しますのは、元々慶応大学の教授でいらっしゃいました岩男壽美子教授が始められまして、そして女子寮を造られたわけです。
 行ってみればすぐ分かるんですけれども、市街地からその中学校に行く道は、もう劣悪どころではなく、バスに乗っておりましてもこちらが気分が悪くなるぐらい、凸凹道よりももっとすごい状況でございました。雨が降ればそこが川になって、とても人の通行ができないというようなところに学校があるわけです。当然通うのは無理ですし、通学するためにそこを通りますと性被害に遭うというようなことが多発をしているそうです。岩男壽美子教授の御厚意によって造られた女子寮によって、その地域の女子学生の教育の権利というのが守られることになったんですけれども、まだ本当に一部地域に限られているということ、そしてそれがアフリカ全域の大きな問題であるということ、私も、不勉強でしたけれども、こういった実態がまだアフリカには多く残っているんだということ、承知をしておりませんでした。
 先ほどから経済協力のハードからソフトへということが指摘されておりますけれども、ソフトをつくり上げるにもハードの基盤が必要です。この女子寮というのは、恐らくアフリカ中の中学校、高校の女子学生が待ち望んでいる施設だと思います。しかも、それほど大きなお金が掛かるということではございません。アフリカは日本と異なりましてと言うと語弊がありますけれども、ジェンダー指数は大変高うございます。政府においても、例えばウガンダでは議長さんが女性でしたし、そして今三割が、三割の国会議員が女性であると、これを五割に引き上げたいということでございましたけれども、それにつけても教育の基盤が必要であり、また、理科教育に対して、女性、これからどんどん力を入れたいということでございました。
 国の成長を担うために女子、女性が活躍をしていくということはどの国においても重要ですけれども、特にアフリカのように全ての能力をしっかり生かしていくという観点からは、今申し上げたような、最も基礎的なインフラである女子寮というのをアフリカ中に広めていくということをやれば、私は日本のODAに対する評価は大変高まっていくという確信を得たところでございます。
 ありがとうございます。

#22
○委員長(山本順三君) できれば、まとめて質問をお願いします。

#23
○岸真紀子君 分かりました。済みません。
 本当に大変ためになるお話をいただきまして、ありがとうございます。
 もう一つ聞きたいのは、二班の方のバンコクと福岡との関係で、長期の介護予防の協力が行われるというふうに報告にあるんですが、これ、自治体の福岡県のメリットについて教えていただければと思います。

#24
○有村治子君 突然の御質問にどれだけ答えられるかというのはちょっと悩むところでございますけれども。
 少子高齢化というのは両国に共通するところでございまして、まさに日本がたどったように、単に高齢者の方が増えるというだけではなくて、この健康寿命をどう高くしていくかという日本のプロセスが非常にタイにおかれても実践をされています。
 そして、医療者、私、医療を受ける人、そして施される人というのではなくて、本当に日本が今までやってきたように、できるだけ自らの主体的な意思によって健康やあるいはコミュニティーにおける自分の存在意義をどう高めるかということで、皆さんが、スポーツクラブとかそんな華やかなものではなくて、地域の公民館で自分の身体検査をやったり、あるいは体操だったり、あるいはストレッチということを知るという、そういうこと自体をODAのJICAの方々が、保健とかお医者さんの経験のある方の知見を生かしてトランスファーをしているというのは、こんなきめ細やかなJICA、ODAはすごいなというふうに思ったところでございまして、そういう意味では、世界の中で少子高齢化の最先端を良くも悪くも行く日本が、同じような傾向を抱える、社会の開発段階は違いますけれども、同じトレンドを追っていく、そういう国々に対してソフトパワーで、しかも、この分野はそうお金が掛かるところではないというところでございますので、この分野の新しいアプローチとしてはありだというふうに思いました。
 先ほど先生がおっしゃったようなジェンダーという意味でも、地域の保健とかあるいは公衆衛生というのは女性が入りやすい分野でもありまして、そういう意味では、保健師の方々が、非常に女性の方々が生き生きとやっておられるというところも私も初代女性活躍担当大臣としてうれしいというふうに申し上げたら、先方も非常に喜んでおられましたので、そういう意味では、この分野においても、ジェンダーの視点、また少子高齢化の日本のノウハウというのが比較的廉価でつなげていける分野だというふうに認識を強めました。
 以上です。

#25
○岸真紀子君 ありがとうございました。

#26
○委員長(山本順三君) 山本博司君。

#27
○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 意見表明いただきました四つの班の委員の皆様、貴重な報告、大変にありがとうございました。
 私は、ODAの調査班の第二班ということで、有村団長とともにブータン王国、またタイ王国に参加をさせていただきました。その二国を訪問して共通して実感をしましたのは、どの地でも懸命になって取り組む海外青年協力隊員やシニア協力隊員の皆様の本当に姿でございました。先ほども報告にもあったとおり、皆さんは、高い志を持って医療や介護や教育や農業やインフラの整備などの各分野で草の根の外交の象徴として活躍をされておりました。世界と日本の友好と信頼醸成に多大な貢献をされている皆さん、本当に我が国の大きな財産だと痛感をしたわけでございます。
 ブータンで国初めて障害者施設、就労施設で働くシニアの海外協力隊員の方からメールがよく届きます。その最後のメールが、新型コロナの感染症の影響で全員一時帰国をいたします、支援の途中ですけれども、日本に帰りますということでございました。今、七十六か国に派遣されている方々いらっしゃるということで、初めにJICAの北岡理事長にお聞きしたいと思います。
 戻られた方、さらには、試験合格後、延期をされている二〇一九年、二〇年組を含めて、二千三百名の方が今待機されているということでございます。そういう意味では、国から、六億円の補正等を含めて、待機手当であるとか、もし派遣を断念せざるを得ない隊員等に関しては教育手当ということがあるわけでございますけれども、今のそうした状況はどのようになっていて、その支援のそうした部分に関して何かこういうことをやってほしいということがありましたら、お聞きをしたいと思っております。それが最初の質問でございます。
 次に、外務省の副大臣にお聞きをしたいと思います。
 タイのバンコクに行きましたときに、大量輸送網でありますパープルラインを視察いたしました。先ほどの有村団長からの報告もありましたとおり、鉄道のメンテナンスとか交通渋滞のためのシステム開発の協力ということで大変タイの方々からも喜ばれておられましたけれども、円借款では土木と軌道工事部分だけでしたけれども、結果的には人材育成を通じて日本の車両が導入をされて、日本企業によるメンテナンスも行われているということでございまして、こうしたインフラ整備以外の支援の広がりというのは日本の技術力を示す意味ではODAの在り方としては大変いいのではないかと思っておりまして、その意味で、二つの国、農業もそうでございますし、また保健や教育、平和、こういう人間の安全保障の分野においても、日本の特色を生かしたこうした人材育成を通じた支援の在り方が進んでいるということを痛感しました。
 その意味では、中国と比較をしまして、日本の支援の在り方、日本の強みを生かす支援の在り方はどのように考えていらっしゃるのかということをお聞きをしたいと思います。
 以上でございます。

#28
○参考人(北岡伸一君) 御質問ありがとうございます。
 JICAの在外の協力隊は、シニアボランティアには随伴家族も一部おられますけれども、合計およそ二千名おられまして、全員引き揚げました。この最後の引揚げ作業、結構一部の国で交通事情で大変でございましたが、無事帰りまして、二次感染もなし、全員無事でございます。
 そのうち、ほぼもう任期満了に近い人はこれで打切りといたしました。それ以外の方は、状況が改善すれば再派遣するという予定でございます。その第一陣に当たる人たちにアンケートを取って聞いてみたところ、三百六人の方に聞いたら、三百人は是非戻りたいと、続けたいと言っておるので、大変頼もしく思っているところでございます。ただし、後ろの方は、二〇二〇年春募集は中止いたしました。
 今後、こうした待機中、あるいはもうすぐ、一番新しい方がまだ訓練が始まっていない、訓練これからという方もいらっしゃるんですけれども、そうした我々と約束できている方々をどうするかという点でございます。
 一時帰国した方については、この一時帰国という場合には手当を出すことができます。百二十日を限度といたしまして、一日大体三千円ぐらいを出すことができます。そうすると、ですから月に約九万円です。それとまた、それ以外にうちがない人についてはまた別途住居手当というのを出すことが可能です。これは、ただ、百二十日なので、これが更に延びたらどうなるかなと、これはまたいろんな工夫を政府にお願いせざるを得ないかなというふうに考えているところでございます。事態の好転を願っております。
 さて、それ以外に今どうするかという点で、彼らは利他、ほかの人のために働いて日本のために頑張ろうという人たちです。気力も体力もあります。こういう人たちを一体どうしようかというので、幾つか考えております。みんな、皆さん御自分で判断していただくんですけど、我々はいろんなチャンスを紹介しようとしています。
 例えば、今、一方で外国人労働者の流入が止まって人手不足で困っているところがございます。例えば一部の農村とか、そういうところに例えば援農に行ってみませんか、決して強制はしませんというようなことをお願いしたり、それから、何かその他のボランティア活動をしませんかというのを御紹介ベースで幾つかやっております。
 第二に、これはまだ計画段階でありますが、せっかくなので更にその彼らの語学や専門をパワーアップするために一時大学院に行って勉強することをしませんかと。これまた若干の追加の予算が必要になるかもしれないんですけれども、そういうことも考えております。
 第三に、遠隔でもできる協力はあるでしょうと。例えば日本語教育とか、そういうことにやってもらおうということもやっておりまして、徐々に、少しずつですけれども、こういうことは広がっております。
 とにかく、皆やりたいというふうに思っておりますので、是非再度行っていただけるように努力したいと思っております。

#29
○副大臣(鈴木馨祐君) 大変大事な御指摘をいただき、ありがとうございます。
 実際、交通システムであったりとか、あるいは農業等々を例に引かれていましたけれども、やはり今ほかの国の非常に大きなプレッシャーもあったりとか、あるいは日本国から出せるある意味規模というものも、これやっぱり制約がある状況であります。その中でどうインパクトを最大化するのかということを考えたときに、やはりシステムであったり、あるいはメンテナンス、オペレーション、さらには人材の育成、これが一番そのインパクトを大きくできる一つの大事な手法だろうというふうに考えております。
 特に、これはよくライフサイクルコストということを我々申し上げますけれども、例えばその運用、オペレーションも含めて、あるいはそのトータルのところでのコストというものを比べたときどうなのか、そういった打ち出しができる。あるいは、さらには例えば納期を守るといったこともそうですし、あるいは、先ほど御報告の中にもありましたけれども、他国のいろいろ供与したものの中には実際に使ってみるとなかなか使い勝手が悪かったり連続して運転できなかったりとか、そういった事例があるのも事実であります。そういった中で、やはり我々として、顔の見えるということもそうですし、インパクトを最大化するためには、御指摘のようにオペレーションであったりあるいはメンテナンス、こういったところで末永くきちんとお付き合いをするということを一つ主眼に置いていく。そして、そのことはまさに日本の、あるいは日本企業の強みというものを引き出す一番ベストな手法の一つだろうと思いますので、そこはきちんと我々としてもそこの点に主眼を置きながら進めていきたいというふうに思っております。
 どうもありがとうございます。

#30
○委員長(山本順三君) 続いて、清水貴之君。

#31
○清水貴之君 日本維新の会の清水貴之と申します。
 派遣団の皆様、大変示唆に富む派遣報告をありがとうございました。
 私は、二点お聞きをしたいと思います。
 まず初めに、このODAの世界的な戦略というようなことについてお伺いをしたいと思います。外務省かJICAの方からお答えいただけたらというふうに思うんですけれども。
 今回視察に行かれた東南アジアの地域、南米、アフリカ大陸も大変重要な、どこも重要な地域でありますし、ほかにも日本との関係がどんどんどんどん深くなっている地域、支援を必要としている国々というのもまだまだあると思います。そういった中で、限られた予算で、そして派遣報告にもありましたとおり、中国がかなりのやはり量で攻めてきているときに、日本の存在感をどうやって高めていくかというのは大変重要な要素ではないかというふうに思っております。
 行かれた東南アジアの諸国などはやっぱり中進国にどんどんなっていっていて、支援が今後も必要なのかどうか、この辺りも見ていかなければいけないと思いますし、どの地域にどうやってこの限られた予算を効率的に効果的に使っていくのか、こういった将来的なめどであったり戦略であったり、こういったことをまずはお聞かせいただきたいと思います。
 もう一点が、これも第三班、第四班からの報告にありましたが、顔の見える支援の話ですね、日本のプレゼンスをどう高めていくかということだと思います。
 ちょっと偽善的に言いますと、まあ支援ですから余りアピールするのもなともちょっと思ったりもするんですが、とはいえ、やはりこれだけの労力とお金と使ってやっていることですから、やはり日本というのはこういう国なんですよという、知ってもらう本当にいい機会、そして関係を深めるいいチャンスだというふうにも思いますので、最大限に有効活用していただきたいというふうに思います。
 私、WFP、国連機関の議連に入っている関係で、おととしの夏にバングラデシュとミャンマー、ロヒンギャ難民のキャンプに視察に行きまして、WFPですから食糧支援なんですけれども、お米の支援をしておりまして、そこに日本からのお米で白い袋にもう日の丸がどんと貼ってありまして、非常に分かりやすかったんですね。日本からの支援だということが本当に伝わるような仕組みだったんですね。
 こういうやっぱり日本がやっているんだというのが地元の方々に伝わるというのはいいなと思ったと同時に、やっぱりお米だけじゃなくて、日本にはいろんな食料品の企業というのもあります。ほかのこのODAの事業でしたら医薬品の企業もそうですし、インフラ関係もいっぱい企業がある中で、そういった企業をどう活用していくか、ウイン・ウインの関係をつくっていくかというのも大変大事な要素ではないかというふうに思っております。
 我々のこの二月の視察で尼崎の、兵庫県の音羽電機行かせていただきましたけれども、雷の専門企業ですね、アフリカで今活躍されていると。やっぱりそういった企業もなかなか中小企業では世界の情報が集まらない中で、外務省若しくはJICAのような国際機関が持っている情報を日本企業とつなげていく、そして日本企業にも、日本で働いている人々にもメリットがもたらされる、こういった仕組みづくりというのも大変重要ではないかなというふうに考えております。
 この辺りについての見解、聞かせていただけたらと思います。

#32
○副大臣(鈴木馨祐君) どうもありがとうございます。
 今、二つ御指摘をいただきました。一つは、日本のODAの戦略ということ、そしてもう一つは、それがしっかり顔が見える形になるためにどういった手法をこれからしていくべきなのか、そういった二点というふうに存じております。
 まず、ODAの戦略ということで申し上げますと、やはり今、中身ということで申し上げれば、コンセプトとしては三つ。自由で開かれたインド太平洋の具体化をしていくということが一つ。そして二つ目には、グローバルな課題、これSDGs等々でも指摘をされますけれども、様々な課題があります、その課題への対処ということ。そして、これは三つ目になりますけれども、同時に日本経済というものを後押しをする、そういった外交努力。これは、外国のためということで支援をして、そのことが返ってくるということもそうですし、あるいは、実際、日本企業という側面もあろうと思います。その三つがひとつ大きな戦略的な目標であります。
 そして、それに加えて、やはりその時々で重視するべき国であったりとか、あるいはその地域というものも変わってきます。これ、ODAの場合は特に案件形成に非常に長い時間掛かりますので、すぐに機動的に動ける部分と動けない部分がありますので、そこは有償、技協、無償というところで、きちんとそこのそれぞれのスタイル、タイプによってその使い分けをしていくということが一つ大事なことであろうと思っております。
 そして同時に、先ほど来御質問あるいは御報告の中にもありますけれども、やはり日本のある意味アセットは限られている中で、どうそれを最大化をしていくのかということを考えていかなくてはいけません。そうすると、先ほど来お話がありますように、オペレーションであったりとか、あるいはメンテナンスであったりとか、あるいは人材育成といった息の長いそういった関わりというものもあると思いますし、同時に、やはり最終的な目的としては日本のプレゼンスということがありますから、そのことで考えると、ODAはある意味一つの呼び水という役割もあるんだろうと思います。どのようにして、例えば民間の資金というもの、あるいは民間の企業というものに進出をしてもらえるのか、さらには、現地のこれは企業であったり、あるいはNGOであったり、そういったところをいかに巻き込んでいくことができるのか、そういったことも同時に考えていかなくてはいけないというふうに思っております。
 そして、二番目のポイントでありますけれども、御指摘のように、やはり日の丸がしっかり見える、これは政府間だけではなくて現地の方々にしっかり見えるということが非常に大事だろうと思っています。ODAの案件等々でも、やはり、幾ら政府がよくても地元の住民の方が反感を持ってしまえばそれは意味がありませんので、そのところをしっかり現地の一般の方々に見えるような形を作っていくということが非常に大事であります。
 その中で、例えば日の丸を見えるようにする、あるいは現地のメディアのプレスツアー等実施をしたり、あるいは在外公館というものをその発信拠点として現地の社会にきちんと伝わるような、そういった広報戦略というものも行っているところでありますし、さらには、例えばこれはもっと具体的な話になりますけれども、いろいろそういった引渡式であったり、あるいは着工式、起工式、そういったところで、現地のやはりハイレベルの方に出席をしてもらうということが一つプレゼンスということになりますので、そういったことを総合的に勘案しながらしっかり目に見える形でプレゼンスを発揮してまいりたい、そのように努力をしてまいりたいと思います。

#33
○参考人(北岡伸一君) ありがとうございます。
 戦略でございます。順不同で幾つかございます。
 例えば、一つは本当に困っている国を支援すること。これはしなければ日本の評判がすごく下がります。これは必要だと思います。
 それから、自由で開かれたインド太平洋。これはもちろん大変重要でございます。このFOIPの流れに沿ってこれは重点的に見ていく、これが二つ目でございます。
 それから三つ目にですが、その一部でもありますが、太平洋島嶼国。これは一つ一つは小さいんですけれども、また経済水準だけで見ますと割合レベル高いんですが、この国が抱えている地政学的な位置及び海の広さを考えますと、ここが非常に重要だというふうに考えております。
 四つ目に、国際社会のパートナーとして協働してやっていける国々であります。先ほど御紹介ありましたアルゼンチンのような、G20のような国々、民主主義にコミットしている、環境問題にコミットしている、そういう国々はやっぱり大事ではなかろうかというふうに思っております。
 その一部ではありますが、日系人の方が行って活躍してとても尊敬されていると、そういう国はせっかく良い関係があるんだからそれをもっと利用しない手はないというので、こういう国ということで、順不同、重複を含めて五点でございます。
 二番目に、我々の支援を知ってもらう方法なんですけれども、副大臣言われたことは大前提だといたしまして、さっきもちょっと申し上げました、私ども留学は非常に重要だと思っているんですね。向こうから来ていただいて、我々若手の官僚と思っているんですけれども、こういう人が日本に来て日本で勉強して、そして親日になって出世してくれれば、この人の影響力は三十年もつんですよね、三十年、四十年。こんな効果的なものはないと思っています。
 また、これは我々の開発大学院連携の考え方なんですけれども、これを同時に海外でもやろうと思っているんです。開発大学院連携というのは基本的に英語の授業で日本で勉強してもらおうということなんですが、難点は、日本の近代化について英語でしゃべる先生の数は多くないということなんですよね。その結果、我々は一計を案じて、放送大学と提携してビデオを作っています。このビデオを海外でも放送しようと。例えば、ルワンダとかでもう始まっています。それぞれの国の一流大学で日本についてのビデオを流して、日本はこんなふうに発展してきたんだということを知ってもらうと。それを背景にいろんな援助を見てもらえば大変効果があるんではないかというふうに考えております。

#34
○委員長(山本順三君) それでは、続きまして岩渕友さん。

#35
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
 私は、第四班の一員として、堀井委員、松山委員とともに、アルゼンチン共和国、そしてペルー共和国に派遣をしていただきました。今日は、派遣を通じて感じたこと、そして意見を述べるとともに、鈴木副大臣に三点お聞きしたいと思います。
 国際社会が持続可能な開発目標、SDGsを掲げる中で、日本のODAは、基本的人権の保障、貧困の解消、格差の是正、男女平等、社会的に立場の弱い人々の保護、環境の保全といった課題に優先的に取り組むこと、途上国の自主的、自立的発展と世界の平和に寄与するものであることが求められていると考えます。
 環境の保全に関わって、アルゼンチンでは、大気観測に関わるプロジェクトについて観測所にも伺って、関係者の方々にお話をお聞きしました。オゾン層の破壊、温暖化、都市の大気汚染など、大気環境の変化は、生態系や人類への影響、深刻な環境問題となっています。世界的に見てこの南米地域は大気観測の空白地域となっていたんですけれども、十五年前に観測所が立ち上げられて、日本の研究者とも協力をしながら観測が進められてきました。観測所はアルゼンチンの南端にあるんですけれども、南極に近い地点だということで、オゾン層を継続的に観察できることの意義は大きいと、大気への理解を深めていくためにも重要だということでした。
 また、突然の交通事情で行くことはできなかったんですけれども、ペルーでは太陽光発電の視察も予定をされていました。
 世界的に気候危機と言われる事態への対策が喫緊の課題となるその一方で、インフラシステム輸出戦略の下で人権侵害や環境破壊が現地から訴えられる石炭火力発電の建設にJICAが関わっています。これ、環境保全とともに、気候変動への対策に寄与するためにも、再生可能エネルギーへの支援が重要ではないでしょうかということが一点目です。
 次に、ペルーでは、施設の建設や医療機材の整備などを行った医療機関を二つ訪問をしました。アルゼンチンでも、先ほど団長から話が、報告があったように、保健医療分野での日本の支援に対する期待は大きいものがあります。
 グローバル化が進む中で、国際社会全体が協力して取り組むべき課題の一つに感染症の問題があります。今回、新型コロナウイルスの感染が世界中に広がったことは、その重要性を示すものとなったと思います。こうしたことから考えて、医療分野などへの支援を強める必要があるのではないでしょうか。これが二点目です。
 最後に、アルゼンチンでは昨年十二月に新政権が発足をしました。その下で女性・ジェンダー・多様性省というものが新設をされて、政府が女性の権利を守る運動と協力をしながらジェンダー平等を重視する、こういった姿勢を見せています。
 ジェンダー平等について、先ほどもありましたけれども、このジェンダー平等が日本にとっても非常に重要な課題になっていますけれども、ODAにおけるジェンダー平等の重要性についてどのように考えるでしょうか。
 以上、三点について伺いたいと思います。

#36
○副大臣(鈴木馨祐君) どうも御指摘をありがとうございます。
 三点、石炭の問題、そして医療、特に感染症の問題、そしてジェンダーの問題ということで今御質問いただいたところであります。
 まず、石炭ということでありますけれども、今ちょうど次期のインフラシステム輸出戦略の骨子の策定に向けて各省庁で議論をしているところであります。この議論につきましては、今年現在、今現在の議論ということなので、今現在のエネルギー基本計画の下でどのような展開ができるのか、あるいはするべきではないのか、そういった議論を進めているところであります。
 日本として、基本的な方針としては、やはり日本として、こうした地球環境の問題、特に気候変動の問題については、長期的な脱炭素化に向けてきちんと取組を進めていくということがまず大前提であります。
 そして、当然、それはインフラの輸出においても、基本的には再生可能エネルギーであったり、あるいはそうした環境の負荷がなるべく少ないものを、そういったものを軸にしていくということであります。ただ、その一方で、どうしてもほかにオプションがないというケース、そのケースについては、従来であれば石炭のそういった高効率のものについての輸出ということを行ってきたところであります。
 ただ、当然、これはいろんな様々な論点が問題であって、当然、世の中の状況というものあるいは国際世論というものも常々変化をしているところでありますので、今回のこの策定に向けた各省の協議においても、そういったあるべき方向にしっかり進んでいくことができるように適切な議論を進めてまいりたいと思っております。
 そして、医療についてでありますけれども、感染症、特にこれ今回の新型コロナということで申し上げれば、確かにアフリカ等々の地域ではまだ感染が広がりつつありますけれども、例えばヨーロッパであったりあるいはアメリカに比べてまだという状況でありますが、しかし同時に、ほかの感染症の医療のアクセスというものができていない等々の問題もあります。
 特に、脆弱な方々がしっかりそうした感染症対策にアクセスをできるということ、これは薬であったり、あるいはワクチンであったり、あるいは医療機器であったり、そういった様々な、それぞれのレベルに応じた支援というものをきちんとしていくということが一つ日本の今目指しているところでもありますし、同時に、これUHCということで、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジということでこれまでも日本が主体的に進めてきた動きがあります。
 それは、やはりこうした当面の医療のアクセスということに加えて、それぞれの国においてどう医療システムというものをしっかりとつくっていくことができるのか。そういった長期、そして中期、短期と、それぞれを見据えた支援というものを体系立ててやっていこうということで、今G7であったりあるいはG20でもしっかりそういった方向というものがシェアをされている状況ですので、これは国際的にも連携をしながら日本がしっかりと旗を振って進めてまいりたいと思っております。
 そして、ジェンダー、女性でありますけれども、これ大変大きな問題であろうと思います。特に、その国の経済発展ということを考えたときには、やはり女性の参画というもの、これが非常に鍵を握っている、そしてその状況に届いていない国が多々あるというのもまた事実だと思います。
 そうした中でありますから、こうしたジェンダーについても、どのようにそこを積極的に進めていくことができるのか。先ほどアフリカの例もありましたけれども、具体的な支援としてそういったところについても大きな柱の一つとして進めていきたいと考えております。
 以上です。

#37
○委員長(山本順三君) 以上で各会派一巡をいたしました。
 本日、筆頭間協議で四十分までということでございます。ほぼほぼ時間は来ておりますけれども、何としても発言をしたいという方がいらっしゃったら、どうぞ。端的にお願いいたします。

#38
○中西哲君 自民党の中西哲でございます。
 二班で有村団長の下、ブータンとタイを視察させていただきました。
 我々が出発する直前だったんですが、マスコミ報道で、日本のODAは援助される国とミスマッチがあるんじゃないかという報道が流れておりまして、それは、機械を贈ったんだけど、それが故障したら、そのまま修理できなくて放置されているという事例でございました。
 ブータンに行って、私はその問題意識を持っていったんですが、ブータンの農業機械化の支援が一九八三年より行われております。山岳地帯のブータンにおいては、大型機械が入りませんので耕運機が贈られておりまして、累計で三千三百八十七台贈られているということでございました。
 このODAで贈られた耕運機、三ページにある資料の中にあるんですが、エンジンカバーの横っちょに、日の丸と日本のODAで贈られたという説明書きが全部に付いております。そしてまた、自己完結型、つまり故障すれば直すということで、ブータンの方をつくばの研修所に派遣して、修理技術を学ばせて、帰って、そして、耕運機の下、後ろに付いているくわ、すきですね、ああいうものは全部現地で作るということがもう既にできております。そして、消耗品の部品管理もきっちりとしたところでその耕運機の部品がいつでも供給できると、こういう体制ができておりました。
 今後、機械なんかの援助をやる場合には、こういうブータンの事例、現地で全部完結できると、こういうことを、いい事例があるんですから、これを参考にしてやっていただきたいと思います。
 以上です。

#39
○委員長(山本順三君) 要望ではありますが、コメントがありましたら、これも極めて端的に発言をお願いいたします。

#40
○副大臣(鈴木馨祐君) 先生の御指摘をきちんと受け止めて、本当に意味がある、意義がある支援ができるようにこれからも努めてまいりたいと思います。

#41
○委員長(山本順三君) そのほか、よろしいでございますか。
 それでは、時間も参っておりますので、これをもちまして意見交換を終了いたしたいと思います。
 本日は、限られた時間でございましたが、派遣団に参加された方々から貴重な御意見をいただくとともに、本委員会として大変有意義な意見交換を行っていただき、誠にありがとうございました。
 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後二時四十一分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト