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2020/05/26 第201回国会 参議院 第201回国会 参議院 財政金融委員会 第13号 令和2年5月26日
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2020/05/26 第201回国会 参議院

第201回国会 参議院 財政金融委員会 第13号 令和2年5月26日

#1
令和二年五月二十六日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月十五日
    辞任         補欠選任
     中西  哲君     森 まさこ君
 五月二十日
    辞任         補欠選任
     勝部 賢志君     芝  博一君
     川合 孝典君     櫻井  充君
 五月二十一日
    辞任         補欠選任
     芝  博一君     勝部 賢志君
 五月二十五日
    辞任         補欠選任
     勝部 賢志君     白  眞勲君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         中西 祐介君
    理 事
                有村 治子君
                中西 健治君
                藤末 健三君
                那谷屋正義君
                熊野 正士君
    委 員
                大家 敏志君
                櫻井  充君
                長峯  誠君
                西田 昌司君
                林  芳正君
                藤川 政人君
                宮沢 洋一君
                宮島 喜文君
                大塚 耕平君
                熊谷 裕人君
                古賀 之士君
                白  眞勲君
                杉  久武君
                音喜多 駿君
                小池  晃君
                大門実紀史君
                浜田  聡君
                渡辺 喜美君
   副大臣
       内閣府副大臣   宮下 一郎君
       財務副大臣    藤川 政人君
   大臣政務官
       財務大臣政務官  宮島 喜文君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        前山 秀夫君
   政府参考人
       金融庁監督局長  栗田 照久君
       財務省大臣官房
       総括審議官    神田 眞人君
       財務省主計局次
       長        角田  隆君
       財務省理財局長  可部 哲生君
       経済産業省大臣
       官房商務・サー
       ビス審議官    藤木 俊光君
       中小企業庁事業
       環境部長     奈須野 太君
   参考人
       日本銀行総裁   黒田 東彦君
       日本銀行理事   衛藤 公洋君
       日本銀行理事   吉岡 伸泰君
       日本銀行理事   内田 眞一君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○財政及び金融等に関する調査
 (日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく
 通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件
 )
    ─────────────

#2
○委員長(中西祐介君) ただいまから財政金融委員会を開会をいたします。
 委員の異動について御報告をいたします。
 昨日までに、中西哲君、川合孝典君及び勝部賢志君が委員を辞任され、その補欠として森まさこ君、櫻井充君及び白眞勲君が選任されました。
    ─────────────

#3
○委員長(中西祐介君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、金融庁監督局長栗田照久君外五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#4
○委員長(中西祐介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────

#5
○委員長(中西祐介君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に日本銀行総裁黒田東彦君、同理事衛藤公洋君、同理事吉岡伸泰君及び同理事内田眞一君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#6
○委員長(中西祐介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────

#7
○委員長(中西祐介君) 財政及び金融等に関する調査のうち、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件を議題といたします。
 まず、日本銀行から説明を聴取いたします。黒田日本銀行総裁。

#8
○参考人(黒田東彦君) 日本銀行は、毎年六月と十二月に通貨及び金融の調節に関する報告書を国会に提出しております。本日、最近の経済金融情勢と日本銀行の金融政策運営について詳しく御説明申し上げる機会をいただき、厚く御礼申し上げます。
 まず、最近の経済金融情勢について御説明いたします。
 世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な大流行の影響により、急速に落ち込んでいます。各国・地域で、外出、出入国制限などの感染拡大防止策が取られている結果、グローバルに経済活動が大きく制約されています。IMFの最新の世界経済見通しでは、二〇二〇年の世界経済成長率はマイナス三・〇%と、リーマン・ショック時を超える大幅なマイナス成長が予想されています。
 我が国の景気も、内外における感染症拡大の影響から厳しさを増しており、先行きも、当面、厳しい状態が続くと見られます。物価も、当面、感染症の拡大や原油価格の下落などの影響を受けて弱含むと見られます。その後、内外で感染症拡大の影響が和らいでいけば、ペントアップ需要の顕在化や挽回生産が予想されることに加え、緩和的な金融環境や政府の経済対策にも支えられて、我が国経済は改善していくと考えられます。物価も徐々に上昇率を高めていくと見られます。もっとも、先行きの経済、物価の見通しは、感染症の拡大が収束する時期や内外経済に与える影響の大きさによって変わり得るため、不透明感が極めて強く、下振れリスクの方が大きいと考えています。
 この間、内外金融資本市場では、二月下旬以降、投資家のリスクセンチメントが悪化し、急速に不安定化しました。各国の政府、中央銀行が迅速かつ積極的な対応を取った結果、金融市場はひところの緊張が幾分緩和していますが、流動性は低下しており、引き続き神経質な状況にあります。また、我が国の金融システムは全体として安定性を維持しているものの、金融環境を見ると、企業の資金繰りが悪化するなど、企業金融面で緩和度合いが低下しています。
 次に、金融政策運営について御説明します。
 日本銀行では、こうした経済金融情勢の下、金融政策面では、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持が重要と考えており、そうした観点から、三月及び四月に金融緩和を強化しました。また、先週二十二日に開催した臨時の金融政策決定会合では、中小企業等の資金繰りを更に支援するための新たな資金供給手段の導入を決定しました。
 日本銀行は、三月以降に導入強化した、CP、社債等の買入れ、新型コロナ対応金融支援特別オペ、新たな資金供給手段を合わせた、総枠約七十五兆円の新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラムにより、政府とも連携しながら、企業等の資金繰りを積極的に支援していく方針です。加えて、日本銀行では、金融市場の安定を維持する観点から、国債買入れやドルオペなどによって、円貨及び外貨を上限を設けずに潤沢に供給しているほか、ETF等の積極的な買入れを実施しています。引き続き、これらの措置をしっかりと実施していくことにより、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に貢献していく方針です。
 日本銀行による強力な金融緩和措置は、感染症拡大への政府の各種対策や、各国の政府、中央銀行による様々な対応と相まって、金融経済活動の下支えに貢献するものと考えています。
 その上で、日本銀行としては、当面、感染症の影響を注視し、必要があれば、ちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じる考えです。
 ありがとうございました。

#9
○委員長(中西祐介君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#10
○西田昌司君 おはようございます。自民党の西田昌司でございます。
 まず、日銀の黒田総裁にお伺いしますが、四月の金融政策決定会合で、長期国債の買入れの上限八十兆円程度といったのを、これ撤廃されたわけです。今の報告にもありましたように、コロナショックで大変金融の支援を様々な形でやっていこうと。これで、どんどん金融機関に国債買入れすることによって資金を供給していくということで、大変大いに評価したいと思います。
 そこでお伺いしたいのは、要するに数値目標をなくして上限撤廃されたわけでございますから、同時に、国債を発行するのは、そもそも供給しているのは政府の方でありますから、政府の国債発行も、日銀が上限を設けずに買入れするということは、市場での要するに消化も十分できるわけでありますから、事実上、政府の国債発行も、その上限といいましょうか、無限という言い方は適当ではないかもしれないけれども、要するにかなり発行することが可能になるということになろうかと思うんですけれども、黒田総裁の御所見をお伺いしたいと思います。

#11
○参考人(黒田東彦君) 我が国の債券市場は流動性が低下している下で、御指摘のように、政府の緊急経済対策によって国債増発が見込まれております。
 こうした状況を踏まえまして、四月の金融政策決定会合では、債券市場の安定を維持し、イールドカーブ全体を低位で安定させるという観点から、当面、国債の更なる積極的な買入れを行うことが適当と判断いたしました。その際、金融市場調節方針を実現するために必要な金額の国債買入れを上限を設けずに行っていくということを明確にいたしました。
 このように、本措置はイールドカーブコントロールを実現するために必要なものとして実施していく所存でございます。

#12
○西田昌司君 それじゃ、同じ質問を財務省の方に聞きます。
 だから、日銀の方は上限を設けず出していくと。で、財務省に関することをあえて質問したんだけど答えられないので財務省にそのまま質問しますが、要するに、国債を日銀は金融拡大のためにどんどん買っていこうと。しかし、政府が国債を発行しなければ金融拡大できないわけですよ。ですから、買う方が上限設けずに買うと言っているんだから、供給する方も上限設けずにどんどん供給すればいいんですが、当然、国債を出すということは何かの予算を執行するために出すわけですから、それとセットになるんですけど、当然。
 その辺の、つまり、日銀がこういう状況で金融拡大している以上、政府も今回の第二次補正、これから決定されます、第三次補正も当然必要になっていくことがあろうと思いますけれども、要するに上限を設けずにどんどん国債発行して財政出動できるということになると思うんですが、政府側の御見解を伺いたい。

#13
○政府参考人(可部哲生君) お答えいたします。
 国債の発行に当たりましては、経済再生と財政健全化の両立を図り、必要な歳出を見極めつつ、税収の動向などを踏まえ、発行規模をまず決定をいたしております。市場参加者と緊密に対話しながら、そうした国債の発行についての発行計画を策定し、国債の安定消化に努めているところでございます。
 一方で、今委員からお尋ねがございました現在日銀が行っておられる国債買入れにつきましては、ただいま総裁からお話がございましたとおり、金融政策の目的を達成するために日銀自らの御判断で行っておられるものであり、黒田総裁も財政ファイナンスには当たらないとおっしゃっておられるものと承知をいたしております。
 したがいまして、今回、日銀が上限を設けずに必要な国債買入れを行うということを決定されたことによって、必ずしも国債発行額の増額がそれを当てにして可能になるということを意味するわけではないというふうに認識をいたしております。

#14
○西田昌司君 私が言いましたように、何も当てにして出すんじゃなくて、必要だから出すんです。だから、国債は、何も日銀のために出しているわけじゃなくて、必要に応じてどんどん出せると。しかし、日銀が今のように金融緩和をしていなかったら、確かに国債の消化はしにくい、そういう状況にありますよ。しかし、今は逆なんだから積極的に、それぞれ、与党側からも野党側からもいろんな要求ありますけれども、必要な予算出動、財政出動、特に真水ですね、いわゆる、それを是非出していただきたいということをまず初めに申し上げておきます。
 さて、日銀の今回の新たな資金供給手段の導入で、無利子無担保の融資を民間の金融機関が行うようにバックファイナンスしていくと、こういうことが発表されました。これ、非常に画期的な話で、日銀もよくぞここまでやってくれたと、私、大いに評価します。
 これ、具体的に、そういう融資を金融機関がしたら、その無担保無利子で出している金額に相当する日銀当座預金残高に〇・一%の利息を付ける、付利をするということですね。ということは、銀行側はですよ、銀行側はただで貸しているわけですよ。ところが、利息入ってこないんだけど日銀の方からその分の利息あげましょうと、こういうことですよね。これ、すごい仕組みですよね。大いに評価したいんですが。
 ところで、日銀はどうやってその利息を、供給するだけの財源はどこから持ってくるのか、これをちょっとお伺いしたいと思います。

#15
○参考人(黒田東彦君) 基本的には、日本銀行が保有する資産から生ずる利益、すなわち国債の利息収入あるいはETFの運用益などを財源に支払うということになると思います。

#16
○西田昌司君 今言われましたように、日銀は要するに通貨発行権を持っているわけです。ですから、いろんな資産、ただで買えるといったらあれですけど、要するに、日銀当座預金払ったらそれが代金で買えるわけですよね。まさにそれが通貨発行権。要するに、日銀の負債は日銀当座預金ですから、要するにどんどん負債は膨らみます。ところが、もう一方で、そういう資産を買うことによって利息とか金利とか入ってくる、これが日銀の大きな収益源になるわけですね。ですから、その分のお金でこの今回の付利の分も十分賄われるということなんです。
 ところが、問題は、そういうふうに貸して、金融機関がどんどん貸していってくれる、これはいいことなんですが、私は、その金融機関も、貸したお金、多くは、残念なことですけれども、貸倒れになる可能性が非常に高いと思っています。
 この問題については後で言いますが、貸倒れに当然なるんですよ。何でなるかというと、そもそも今運転資金がないから、取りあえず銀行から借りる、それから公的機関から借りると。しかし、その運転資金ないのは売上げがないから。コロナの自粛によって経済活動を止められているために売上げが立たない。しかし一方で、一方で人件費とか家賃とか、固定費は払い続けないけない。この払い続けてくれているおかげで、実は経済が下支えされているわけですよ。だから、その分のを援助しようというのでお金を取りあえず貸しているんだけれども、貸したお金は、この自粛期間の売上げというのは蒸発しているんですから、来期にその分が倍になって戻ってくるかと、それは戻ってこないんですよ、完全にそれは消えてしまうんですね。だから、そこは、必ずこれは、倒産の危機といいましょうか、貸倒れになるんですね。
 そうすると、それについてどうやっていくかということが今日の一番大きな問題なんですが、まず、銀行がそういうふうに、日銀がバックアップしてお金を出すよとやったんだけど、潰れた場合、貸倒れが出た場合、これは、その損失はどこがかぶることになってくるのかということ、日銀とか銀行の方に影響は出てこないのかということをまずお聞きしたい。

#17
○参考人(黒田東彦君) この新たな資金供給手段は、金融機関が政府の緊急経済対策における無利子無担保融資制度を利用して中小企業等に行う融資額の残高に応じて日本銀行は有利な条件でバックファイナンスを行うわけでありますが、この新たな資金供給手段の対象になります緊急経済対策における無利子無担保融資は信用保証協会による保証付きの融資でありますので、仮に融資先による返済が不能となった場合には、金融機関に対して保証に基づく代位弁済が行われるものというふうに認識しております。
 また、日本銀行から当該金融機関に対する貸付けに直接的な影響はないというふうに考えております。

#18
○西田昌司君 今、黒田総裁おっしゃられましたように、今回のそういう融資は信用保証協会の保証が付いているから、たとえ貸倒れになってもそちらの方から保証料払われ、代位弁済されると、ですから銀行にも日銀にも直接的な影響は受けないだろうと、こういうことなんですが、しかし、同時に、信用保証協会には巨額の損失が出ますよね。だから、それは誰が賄うのかというと、結局これは国家がその分お金を入れなきゃならないと思うんですが、そうじゃないですか。これは誰が答えてくれるかな。いないな、このメンバー。と思うんですよ。そうなっているんですよ。
 それで、同じケースをちょっと質問を変えて言いますが、今のは民間の銀行、日銀のバックファイナンスの場合のケースです。直接、日本政策金融公庫なり、先にもうやっております無担保無利子、そして五年間据置きという、これも非常に大事な制度だと思います。しかし、これも先ほど言いましたように、必ず先行き、倒産ということが出てくるわけなんですね。
 じゃ、その場合のその倒産の損失は、貸倒れの損失は公庫が負担するということになると思うんですが、最終的にはそれを国が補填するという形になろうかと思うんですが、御所見を伺いたい。

#19
○政府参考人(神田眞人君) お答え申し上げます。
 日本政策金融公庫におきましては、貸付債権の増加や貸付債権の状況の変化等を踏まえながら、財務基盤を強化するための国からの出資金を用いて貸倒引当金を積み増すことによって貸倒れの増加に備えることといたしております。
 西田先生御指摘のように、実際に貸倒れが発生した場合には、日本公庫においてこの貸倒引当金を取り崩すなど適切に対応するものと承知してございます。

#20
○西田昌司君 もう少し具体的に聞きますが、要するに、公庫等がお金を貸し出すための資金というのはどこから出ているかというと、これはいわゆる財投債でしょう、財投債という名前の国債ですよ。要するに、国債を発行して、国が集めた、調達したお金を公庫に貸して、それが第三者に貸し付けられているわけですね。当然、貸したものだから返ってきますと。返ってきますということだから、いわゆる赤字国債扱いにしていないんだけれども、市場に出たら財投債も赤字国債も建設国債も同じ国債ですよ、全部、これはね。ただ、その区分の振替をどういう形でやっているかという内部の話だけ。
 ところが、そこでですよ、そこで、要するに、お金が貸したけど返ってこなかったということが分かると、その分は当然財投債でなくなるわけですね。まさに赤字国債そのものになるわけですよ。つまり、ここで初めて、お金を貸したんじゃなくてお金をあげたことになるわけ。ということは、いわゆるこの真水の財政出動そのものが債務免除によって生じるわけです。貸倒れも同じことですけれども、債務免除、そのことによって財投債から国債に変わってなるということですが、そういう理解でいいですか。

#21
○政府参考人(神田眞人君) お答え申し上げます。
 日本政策金融公庫の貸付けに係る貸倒れの損失は、日本公庫の貸倒引当金を取り崩すなど日本公庫において適切に会計処理がなされるため、その損失が直接に国の負担となることはございません。けだし、日本公庫の貸付原資につきましては、財政融資等や自己調達によって賄われてございます。
 一般に、財政融資は、政策的必要性が高く償還確実性のある事業に対して長期、固定、低利の融資を行っており、その資金の運用財源に充てるために財投債を発行しているわけでございますが、この財投債の償還は、一般の国債のように税財源によって行われるものではなく、貸付けの回収金によって行われるものでございます。
 日本公庫は、先ほど申し上げましたとおり、国からの出資金を用いて貸倒れが発生した場合に備えて十分な貸倒引当金を計上しているため、日本公庫による財政融資の償還は確実になされ、それらをもって財投債の償還がなされるものと承知してございます。

#22
○西田昌司君 要するに準備金があるという話だけれども、それは一兆、二兆の話でしょう、そもそも、多分。私が想定しているのはそんな金額じゃないんですよ、そもそも。
 今回、四十五兆円の事業規模でたしか緊急融資出されたと思いますけれども、四十五兆円出されて返ってくるのがほとんどないと。半分は、半分はそれ返ってこないということだって十分考えられるんですよ。というよりも、私が申し上げたいのはそうすべきだということなんですよ。つまり、今緊急融資でお金を出されると。これは倒産防止のために絶対必要ですから、どんどん枠を広げてやっていただきたいんですよ。しかし、何度も言いますが、この自粛期間の間に失われた、蒸発した売上げ、付加価値というのは二度と戻りません。もちろん、回復したら、二年後に回復したら、そのときは今と同じ売上げが出たりするでしょう。ところが、この期間の、期間の損失はなくなっているんですよ、これは。次のときに二倍、三倍この分売れるかというと、売れない、これは。それが今、この実態として、コロナショックの一番大きな問題なんですね。
 そうすると、お金を貸してあげても結局は赤字がどんどんたまっております。そして、V字回復をしようと思っても、赤字を、繰越損失を持ち、それから五年後には返済が出てきて結局は会社が倒産してしまうということになりかねないわけですよ。そうしたときに、その分の、倒産してしまったら結局貸倒れになるんですよ、その分はね。それをするよりも、むしろ、むしろ先に、このコロナの終息が終わって決算を組んでいったら、いわゆる累積の赤字がどんと幾らか出ていますよね。その分は、それは先ほど言ったように、そもそも期間の失われた売上げに対して固定費が多かった分が損失になっているわけですからね。固定費を補填するという意味でその赤字分は免責する、債務免除にすると。
 そうすれば何が起こるかというと、当然のことながら、その企業は赤字消えちゃいます、返すべき負債もなくなります。そうすると、コロナ回復後、V字回復ができるんですよ。しかも、しかもですね、これ債務免除することによって累積赤字が消えちゃいますから、税金そのものが、コロナの回復した後の年度から税金を納税することもできるし、経営も返済が不要ですから非常に安定して、これから更に雇用とかを守っていけるということなんですね。ですから、同じように倒産してしまうんだったら、先に免責を決めてあげて事業の継続ができる仕組みをつくる方が、よっぽどこれ間違いなくいい制度だと思います。
 これをすべきだと思うんですけれども、今日は麻生財務大臣はおられないんです。で、藤川副大臣に来ていただいております。藤川大臣、今の話聞かれたら全く、分かるでしょう。ですから、しっかり大臣に代わって、藤川大臣、まず私の提案どう思われるか、答えてください。

#23
○副大臣(藤川政人君) 西田先生おっしゃる企業支援については、まさにその資金繰りについて、今、明日の二次補正等々の仕組みをつくっている最中でございますが、先生おっしゃるとおり、中小・小規模事業者の円滑な資金繰りを支援することは大変重要であります。政策金融公庫による実質無利子無担保の融資、特別貸付制度、民間金融機関における実質無利子無担保の融資制度を可能にする制度等、その措置を講じております。
 その中で、返済免除については、貸付金が補助金や助成金と異なり債務者から御返済いただくという性格があるというのは、これは我々が一貫して申し上げていることであり、返済免除等を行うことについては慎重な判断を行う必要があります。
 そうした中で、政府としては、このコロナウイルス感染症拡大、その緊急事態に対しましては、最大二百万円の持続化給付金や十万円の特別定額給付金に加え、昨日、総理の会見において店舗の家賃負担を軽減するための最大六百万円の給付金に言及するなど、様々な給付措置について実施、そして拡大、その検討を今も行っているところであります。
 こうした給付制度と融資の特別貸付制度を組み合わせながら、雇用の維持、事業の継続、生活の下支えに尽くしてまいりたいと思っております。

#24
○西田昌司君 それは財務省が書いてきた答弁書を読んでいるだけの話なんですね。そんなことは分かっているわけ。
 今言っていることはどういうことかというと、要するに、コロナショックというのは今までの常識の範囲を超えているわけです。売上げがないのに仕事を続けなきゃならない。いいかげんにしろですよ、これ、事業者にしたら、やめてくれですよ。補償もせずに、何で売上げ、続けなきゃならないのか。やめたいですよ、しかしやめられないからやっている。しかし、そのおかげで社会がもっているんですよ。だから、そのときに、先ほど言ったように、どのみち最後貸倒れになるんだったら先に免除の話をして、先行きがある話をしてあげる方がよっぽどいい。
 そして、この問題の本質は何かというと、藤川副大臣おっしゃったように、借りたものは返すというものですと。これ、常識です。また、それがモラルです。しかし、そのモラルを守っていたら、今回の事態はこれは対応できない。今回やらなきゃならないのは、普通はそうだけど普通じゃないんだから、だから、コロナショックのときに限り債務免除というのは当然有効な政策としてやるべきなんです。この問題はそのモラル問題をどう考えるかということだけなんです。
 ついでに言うと、財政問題、これ全く関係ありません。なぜならば、元々お金を財務省が、これ、財投債、この財投債によって出しているわけですが、出したお金が今度返ってこないということになるんだけれども、どのみち、赤字国債発行するか財投債発行するかで、市場には既に国債は出ているんですよ。新たな国債を増やして、やるかどうかという話じゃないんですよ。要するに、回収するかしないか。つまり、回収しないことによって国民にお金を渡したわけですよ。これだけの話なんですよ。
 そのことによって、問題は何かというと、要するに、今まで財務省は財政健全化だとかPB目標を定めて、とにかく国債を増やしちゃいけないと、こういう発想をしていたんだけれども、国債は幾ら出しても財政破綻しないと、自国債は。これは、黒田総裁もおっしゃっていたし財務省のホームページにも書いてあるんですよ。そうすると、それが事実でしょう。
 この事実かどうかだけ、じゃ、財務省答えてください。時間ないから一秒でいいよ。

#25
○政府参考人(角田隆君) 格付会社に出しました意見書の一部の記載に言及されているということだと思いますけれども、その記述そのものがあることは事実でございます。趣旨はまた別でございます。

#26
○西田昌司君 それで、これは事実、どこまで行っても破綻しないんですよ。
 問題は何かというと、たくさん国債を出す、つまり、それイコール財政出動がどんどん増えちゃうと、お金が世の中にたくさん回り過ぎてしまうとこれはインフレになる、こういうことです。ところが、今そんな状況ですか。デフレの崖っ縁に立って全産業が潰れてしまうかもしれないという時期ですよ。この時期にインフレの心配をするばか、どこにいるんですか。デフレの心配しなくちゃならないわけですよ。だから、今、財政出動しろと言っているわけ。
 しかし、財政出動しろと言っても、補償金で出すとか家賃補償で出すとか個別の話を幾らやっても、パッチワークなんですよ、これは。そうじゃなくて、まず金融で必要なお金はがばっと先出すと、取りあえず貸し付けておく。そして、コロナの終えんのときに、社会の状況はこれ決算に表れますから、その分出た固定費による赤字は債務免除という形にすればいいわけで、これを申し上げているのは、黒田総裁じゃなくて、ここにおられる林先生、宮沢先生に申し上げているんです、自民党の知恵袋でありますから。これから補正予算をやってもらうときに、是非これ三次補正でやってもらわなきゃならないので、そのことをお二人に申し上げて、終わりたいと思います。
 ありがとうございました。

#27
○大塚耕平君 国民民主党の大塚耕平です。共同会派として質問をさせていただきたいと思います。
 今、西田委員の質疑も拝聴しておりましたが、私も、一月下旬ぐらいから、今回は尋常な経済危機ではないので財源も上限を気にすることなく最大限のことをやるべきだということで、平時の主張とはスタンスを変えてここで意見を申し述べさせていただいておりました。また、日銀にも、まさしく平時ではないので最大限のことをやるべきだということを申し上げておりましたので、今回の措置については、私も、西田委員と同様、大分前進したなというふうには思います。さりながら、更にできることがあればそれはやはりやるべきだと思いますので、そういう観点で質問をさせていただきます。
 期せずして西田さんと同じように、今日は貸倒引当金のことをお伺いしようと思っているわけでありますけれども、その前段として、やはり、何度も西田さん西田さんと言って申し訳ないんですが、西田さんと同様に、これ平時とは違うというのは、不景気だからその不景気に合わせて景気対策をやるというのとはちょっと違って、まさしく経済そのものが消失しちゃったわけでありますので、その間の経営責任なり経営リスクを民間企業や民間金融機関に担わせるというのは、それはやはり論理的に無理があるのではないかということであります。
 同様の観点から、公租公課についても、支払猶予をしていただくことはいいんだけれども、例えば税金を一年後に二年分払えませんということもここでも申し上げていますし、そうすると、ずっと先送りしていけばそれはもつんですけれども、それは、取りも直さず今年一年分を免除するということに等しいわけなんですね。同様のことが貸出しについても起こり得る、ないしはそういうことを想定して財政当局も金融当局も政策を打っていかなくてはいけないという観点で説明をさせていただきます。
 今のやり取りの中で大分消化されておりましたけれども、私、今日一問目の質問はどういうことをお願いしていたかというと、日銀が決定した新たな枠組みによる供給資金を原資として貸出しを行い、その貸出しが回収不能となった場合に日銀はどのように対処するのかというのが一問目なんですよ。
 民間金融機関が貸し出したものがこれが焦げ付いた場合は、貸倒引当金や、保証協会であれば保証で面倒を見ると。しかし、じゃ、それでこの枠組みは終わりなのかというと、そうなった場合に日銀は今回の枠組みで供給した原資についてどういう処置をとるのかという意味でありますので、そういうふうに読み替えて、今、西田さんとのやり取りはもう繰り返し聞きませんので。民間金融機関が善かれと思ってコロナ対応融資をした、その融資が焦げ付いた、その原資を日銀が供給しているわけですから、その場合、日銀はどう対応するということを想定しておられるかということをお伺いしたいと思います。

#28
○参考人(黒田東彦君) この新たな資金供給手段は、いわゆる適格融資、つまり、コロナ感染症の影響を受けている中小企業等に対して金融機関が行う政府の緊急経済対策における資金繰り支援制度を利用した融資、さらには、条件面でこれに準ずるプロパー融資の残高を限度に日本銀行が有利な条件でバックファイナンスを行うわけであります。
 先ほど来申し上げたように、もちろん保証があるものについては保証協会が金融機関に代位弁済するわけですし、いずれにせよ、日本銀行から金融機関への貸付資金の返済原資というのは、その適格融資に限られることなく金融機関の全財産でありますし、また、金融機関は実は日本銀行に担保を差し入れておりますので。
 いずれにせよ、金融機関から中小企業等への融資が回収不能になっても、日本銀行の金融機関に対する貸付けに直接的な影響はないということでございます。

#29
○大塚耕平君 今の総裁の御答弁をちょっと解釈すると、もちろん政策に影響は出ないんですけれども、日銀としては貸し出した原資が焦げ付くことはないというような趣旨でおっしゃっておられるというふうに理解してよろしいですか。ちょっとそこだけよろしくお願いします。

#30
○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げたように、保証が、保証協会の保証がある場合は保証協会が金融機関に代位弁済しますので、その元で金融機関は日本銀行に対して返済できますし、それから、先ほど申し上げたように、プロパーでやっている分についても、プロパー融資についても金融機関は十分な資産を現状持っておりますし、また、そもそも日本銀行に担保を差し入れておりますので、日本銀行として、この新たな資金供給手段によって貸し付けたものが焦げ付くということは考えられないと思います。

#31
○大塚耕平君 平時であればその御答弁で、私も元中央銀行員として、中央銀行の財務の健全性の観点から結構なことでございますと申し上げたいところなんですが、今回は、日銀の財務の健全性を守るということが大前提になっていたら対応できない。
 なぜならば、繰り返しになりますけど、経済が消失しちゃったわけですから。その被害、損失をどこが被るかという、言わば、ちょっと表現が的確じゃないんですけど、ばば抜きみたいなことをやっているわけですよ。それを今回の危機には何の責任もない飲食店や中小の事業者の皆さんに負わせるわけにもいかないし、いわんや、それに向けて、金融機関の財務の健全性、元々低金利環境で大変厳しい経営状況にある中でやってくれと言っているわけですから、その損失を今度、じゃ、民間金融機関がかぶりなさいというのもおかしな話であって、こういうときは中央銀行がある程度損失を想定する。損失を想定するといっても、それは、結局、中央銀行としての準備金を積んで貸倒引当の場合の原資に充てることを想定するとか、あるいは国庫納付金が減るだけの話ですから、最終的に日銀の収益が悪くなれば。そういうところまで次は踏み込んだ検討をもう始めていただいていいんではないかなと思うんです。
 というのも、今総裁おっしゃいましたけれども、保証協会が付いている民間融資は保証でカバーされる、しかし、そうじゃないものも民間金融機関からは共通担保を取っているので、それが焦げ付いたときには日銀は大丈夫だと言うんですけれども、民間金融機関に無利子無担保の融資をしろと言っておいて、民間金融機関に原資を供給する日銀は民間金融機関の共通担保を押さえているから大丈夫ですというのは、ちょっとこの状況では何となく国民の感覚にそぐわないなという気がするということを一つ申し上げておきます。
 その上で、今日はちょっと金融庁に来ていただいたんですが、二問目は、これは財務省への質問の方がよかったかもしれませんが、恐縮ですが可能な範囲でお答えください。
 今回の対応として、日本のみならず他国の政府、中央銀行も同様の資金繰り支援策を打ち出しているんですけれども、こういう資金繰り支援策、中央銀行から民間金融機関への資金供給及びその先の民間金融機関から企業への貸出しがそれぞれ焦げ付いた場合にどういう対応をするかというのを、他国はどうなっているかという情報はありますでしょうか。

#32
○政府参考人(栗田照久君) 今委員御指摘のように、他の主要国におきましても、この新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた企業の資金繰り支援について、それぞれの国の事情を踏まえまして様々な措置を講じているものと承知しております。
 ただ、その制度の詳細を必ずしも十分に承知しているわけではございませんので確たることを申し上げることは難しいんですけれども、例えばアメリカにおきましては、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小企業や個人事業者を対象とした無担保低金利融資であります給与支払保護プログラム、いわゆるPPPが実施されているということでございまして、このプログラムに基づく融資への貸倒引当金などをどうするかということにつきましては、六月期決算がまだ公表されておりませんのでその具体的な取扱いは不明ではございますけれども、恐らく、貸し手である米国金融機関において、米国の会計基準等に基づいて、今後発生する損失に備えてそれぞれ適切な判断をされるものであると承知しております。

#33
○大塚耕平君 また財務省の方にもお願いしますけれども、金融庁、日銀も一緒になって、他国が今議論になった点についてどういうことになっているのか一度調べて、これはもちろん私も聞きたいですが、財金の委員の先生方に一度報告をしていただきたいと思うんです。
 というのも、私自身は、報道で見た限り、あとアメリカの関係者からも情報はもらいましたが、アメリカも、FRBから民間金融機関に原資を供給し、その民間金融機関が融資をしたものがこれ焦げ付いた場合には、従来と同じようにはこれを不良債権に分類しないという方針をもう明確に打ち出しているというふうに聞いていますので、本当かどうか分かりません、ちょっと是非調べて、横並びで教えてほしいと思います。
 というのも、今から申し上げることもこの委員会で申し上げてきていますし、公にも発言をしていますけれども、今回は、幾つか経済対策の原則があって、経済対策は感染症対策であるということ、それから融資では解決しないということ、今回の問題。したがって、もう一つの問題として、コロナ対応貸出しは不良債権に分類しないという原則を金融庁が民間金融機関に対して明確に指示をしないと、それは半年後、一年後に結局ボディーブローのように事業者に影響が出て景気が更に悪化するということを想定しているので、ずっとそういうことを申し上げているわけであります。
 リーマン・ショックの後、我々が政権をお預かりしているときに例の中小企業等金融円滑化法を作らせていただいて、その精神は法律廃止後も監督指針などの中に盛り込まれ、タイミングよく去年の年末で金融検査マニュアルは廃止されました。ということは、今、そういう今回のコロナ対応の融資を民間金融機関がしてくれたときに、それが返済が予定どおり得られないとか焦げ付いたときにどうするかということについては、ある意味金融機関の裁量に委ねられている、こういう状況だと理解をしております。
 したがって、そうはいっても、ここで今度日銀もまた関係してくるんですが、民間金融機関が収益が潤沢にある状況ならかなり余裕を持った対応をしてくれるわけですが、この低金利環境で収益も逼迫している、そして、先々、コロナ対応融資だといって融資はしてみたものの日銀から借りた原資は返さなきゃいけないと、しかも、それは決算のときにどういうふうに処理するかというのは平時と大して変わりがないということでは、結局、七十五兆円のファシリティーを用意しても、その先で民間金融機関が一生懸命対象企業に貸すかというと、私は相当ブレーキが掛かると思うんです。
 そこで、まず金融庁にお伺いしますが、ちょっと通告してある三番目とは違うんですが、今回のコロナ対応融資は、民間金融機関がこれはコロナ対応の融資なんだということをちゃんと資産管理上フラグを立てておいて、後でその部分は全く企業の融資先の財務状況の評価とは切り離して、それなかりせば健全ならば引き続きその企業は続けさせていくべきだし、全銀協も手形の不渡りの基準を変えたように、従来と同じ形で企業破綻ということをさせないということを工夫しなきゃならないと私は思っているんですが、その点、金融庁として現時点ではどのようにお考えですか。

#34
○政府参考人(栗田照久君) 委員今お話ありましたように、金融機関におきまして、お客様の様々な実情や将来見通しを踏まえて、それぞれに応じた多様な取組が進められるように、昨年十二月に金融検査マニュアルを廃止してございます。今般の新型コロナウイルスの感染症の影響拡大を踏まえた貸倒引当金の見積りなどの個別の資産査定につきましても、金融庁といたしまして、事業者の実情等を踏まえた金融機関の判断を尊重し、金融検査においてその判断の適切性を否定しないという方針を明確にしております。
 各金融機関におかれましては、それに従って、各金融機関の判断に応じて、これは回復可能性があるから正常債権であるということであれば、そういうふうに判断していただければ結構であるというふうに考えております。

#35
○大塚耕平君 これまだまだ続きますので、この影響が解消されるのに一年、二年掛かりますし、また、感染症の第二波、第三波ということになりますと更にいろんなことを考えていかなきゃいけないと思いますので、今おっしゃった線を踏まえながら議論を続けさせていただきたいと思いますが。
 なお、その民間金融機関の貸倒引当金の対応について、公認会計士協会はもう既に何か明確な変更方針を打ち出しているというふうに聞いていますが、金融庁はこの点はどういうふうに把握しておられますか。

#36
○政府参考人(栗田照久君) 今申し上げましたような考え方につきましては、金融機関に対する公認会計士、監査法人の監査においても留意していただくことが望ましいということから、公認会計士協会とも考え方を共有させていただいております。
 これを踏まえまして、公認会計士協会は、本年四月二十二日に、金融機関の自己査定及び償却、引き当てに関する監査上の留意事項といたしまして、金融機関が一定の仮定を置いて最善の見積りを行った結果が仮に事後的な結果と乖離したとしても会計上の誤りに当たらない、あるいは、金融庁が個別の貸出金の査定に関し金融機関の判断を尊重するとしていることに留意するというようなことを示した文書を公表されているというふうに承知しております。

#37
○大塚耕平君 それは結構なことでありまして、その延長線上の話として、これ金融庁にもお願いしておきますし、日銀も関係あると思うんですけれども、最近、不良債権問題の議論はこの委員会でもちょっと下火になってきていますが、自己資本比率規制という話もすっかり聞かなくなりましたが、バーゼル3は再来年スタートなんですね。
 バーゼル3は、貸出資産のリスクウエートの話も大分整理が付いて、いよいよあと、今の内容で再来年からということになっているんですが、今回のこのコロナ危機による貸出資産というのはどこの国でも多分相当抱え込むわけですから、バーゼル3、再来年スタートする前に、こういう事業者の自己責任とは全く関係のない事象、しかも景気や経済の循環とは関係のない事象で起きてしまった経済危機に伴う金融機関の貸出資産をどう評価するかというのは、バーゼル3の議論の中で当然想定していなかったわけですから、ちょっとバーゼル3スタート前にコロナ対応の融資は別枠にするとかという議論が世界全体で行われれば、日本も堂々とそれやればいいわけですし、その点は少し検討課題として持ち帰ってもらいたいと思いますが、金融庁、いかがですか。

#38
○政府参考人(栗田照久君) バーゼル3の取扱いにつきましては、中央銀行総裁・銀行監督当局長官グループにおきまして議論がなされまして、一年間この最終化を延期すると、当初、二〇二二年一月だったものを二〇二三年一月に変更するということが既に合意され、公表されているというふうに承知しております。

#39
○大塚耕平君 ということですので、その合意内容はいいんですけれども、合意された内容の中に今回のようなことは想定していないわけなので、ちょっとさらにアジェンダとして日本から問題提起をされてはいかがかということだけ申し上げておきます。
 その上で、もうあと四、五分ですので、総裁、大体お伝えしたい趣旨は伝わっていることを期待しますけれども、今回の政策そのものはそれでいいんですけれども、このままだと思ったほど民間金融機関はそのコロナ対応融資をやり切れないのではないかという気がしているので、これは、例えば飲食店とかもう本当に零細中小事業者の皆さんに融資をするときに、担保ありますかとか今後の事業計画はどうですかとか、そんなことを言っていたらもうあっという間に時間たっちゃいますし、さらには、じゃ、保証協会の保証付けてください、今回はかなり緩い基準で付けてくれますからといっても、保証協会も時間掛かっちゃうと、今そういう状況なんですよ。
 だから、できれば、本来は、日銀が今回のようなバックファイナンスをするというんだったら、日銀のバックファイナンスに基づいたコロナ禍対応融資については、万が一それが焦げ付いた場合でも日銀貸出しの回収を求めませんと言ってしまえば左から右に貸せるわけですよ。それをどこまでやるかというのはなかなか難しい問題だとは思いますが、そこまで踏み込んでもおかしくない状況だと私も思いますので、その点については、総裁、何か現時点でおっしゃれることがあればおっしゃってください。

#40
○参考人(黒田東彦君) 現時点で欧米の中央銀行の状況を見ますと、ECBとかイングランド銀行は企業の資金繰り支援のためにいろいろな措置を講じております。ただ、これらは全て担保を受け入れて行っておりまして、仮にその金融機関が企業、個人事業者等へ融資したものが焦げ付いたとしても、それが直ちにこの中央銀行たるECBとかイングランド銀行の貸付けに影響が出るというふうにはなっておりません。
 それから、FRBは、私どもの承知している限りでは、いわゆるメーンストリート貸出しプログラムというものは、政府が出資する特別目的事業体、これに政府が出資しておりまして、そこにFRBが貸して、そこで貸していますので、仮に焦げ付いた場合はその政府の出資金を食うという形になっています。それから、先ほど話がありました給与保護プログラム流動性ファシリティーにつきましては、政府がもう直接保証しているという形になっております。ですから、現時点で欧米の中央銀行も非常に幅広い資金繰り支援をしておりますけれども、いずれも貸倒れを受け入れるという形にはなっておりません。
 そういう意味で、中央銀行としてできる範囲というのは、そういう補助金というか、債務、債権を放棄しますという形でやるというのはなかなか難しいというかハードルは高いというふうに考えております。ただ、その上で、仮に必要になれば、現在のこの資金繰り支援の特別プログラムを様々な形で拡充するとか、あるいはそのイールドカーブコントロールの枠組みでの金利を見直すとか、その他の措置が考えられると思いますが、委員御指摘の点はなかなかハードルが高いのではないかというふうに考えております。

#41
○大塚耕平君 もうこの発言で終わりにしますけれども、また今後も議論させていただきますが、今日の概要説明拝見すると、前々回ぐらいにお願いをした、やっぱり金融機関の経営状況についてもどういう認識でいるか触れてほしいというふうに申し上げておりましたが、その後一回ちゃんと御記入いただいたようですが、今回は読むとちょっと抜けているような気もしますし、まさしくここから先、金融機関の経営、本当に大変な局面になってきますので、そのことも意識しながら、それも含めた報告を次回以降もしていただくようにお願いをして、終わりにしたいと思います。
 以上です。

#42
○白眞勲君 立憲・国民.新緑風会・社民の白眞勲でございます。質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
 まず、早速でございます、黒田総裁にお聞きしたいと思いますが、日銀はこの二十二日に開いた臨時の金融政策決定会合で、金融機関を通じて中小企業の資金繰りを助ける新たな資金供給策を正式に決めたわけですね。これについては、私は四月の二十九日の予算委員会で、黒田総裁も出席していただいた中で、とっても日銀にしてはいいことをやっているねということを私は評価したわけでございまして、また、聞くところによりますと、既に先週の段階でこの内容が、取引している金融機関からこの内容というのはもう企業に伝えられたということで、非常に企業の方々も喜んでおられるということであります。それだけの需要は実際あったとも言えるわけで、非常に私としても良かったというふうに思っているんですけれども。
 そこで、これからのポイントは、この導入した枠組みの活用を金融機関に促して、例えば、前にも私も申し上げたスイスの例なんかですと、三十分で融資されるわけですよね、書類で。私も、まあ三十分とは言わないまでも、実際に短時間に融資拡大まで結び付けられるかどうかが大きな課題であるというふうに思っているんですけれども、黒田総裁はこの件についてどのようにお考えでしょうか。

#43
○参考人(黒田東彦君) 御指摘のように、五月二十二日の臨時会合で決定いたしました新たな資金供給手段については、既に多くの金融機関からその利用を前提とした問合せを受けておりまして、日本銀行としても、昨日、金融機関に対して実務上の指針を送付して理解の浸透に努めておるところでございます。
 基本的には、この制度は、政府の緊急経済対策の中で設定されます無利子無担保融資を中心に、そういうことを行った場合に直ちに日本銀行として有利な条件でバックファイナンスするということでありますので、私どもとしては、そういう状況を把握して、できるだけ早期にお金が当該金融機関に行く、バックファイナンスがされるということにしたいと考えております。

#44
○白眞勲君 ありがとうございます。そのとおりなんですね。
 特に、これは黒田総裁も四月二十九日におっしゃったように、余り自分たちは今まで信用金庫とか信用組合とはお付き合いがなかったと。ですから、逆に言うと、それを周知するといっても、なかなか信用組合、信用金庫の皆さんが、えっ、日本銀行みたいな感じになっている部分というのは私はあると思うんですね。ですから、それはこれからも頑張ってもらいたいと思うんですけれども。
 もう一つ懸念しているのは、金融機関に対する周知に今もおっしゃったように比重が置かれていると。そうではなくて、事業主が、日銀こういうことを始めているんだよねということをやっぱり周知する必要性というのは私はあるんではないかなと。金融機関も融資をしてくれるということは理解してもらうんですけれども、日銀が一般国民に対してどういうアピールをするか、この辺についてはいかがお考えでしょうか。

#45
○参考人(黒田東彦君) もちろんホームページ等で紹介するのは当然なんですけれども、今後とも、全国の支店、事務所が日銀にございますので、そういうものも通じて、金融機関のみならず、企業に制度の趣旨や狙いがしっかりと伝わるようにしてまいりたいというふうに思っております。

#46
○白眞勲君 いや、その具体的な何かやり方というのは、もちろん支店からといってもなかなか、申し訳ないですけど、なかなか日本銀行というのは一般国民にとってみたら遠い遠い、先の遠い話でありまして、その辺りについてどういう形を取っていくのかというのは、日銀総裁としてはどういうふうにお考えですか。

#47
○参考人(黒田東彦君) 従来ですと、様々な機会に企業の団体とかそういうところと経済動向とか金融状況についてお話合いをし、それから金融政策についても説明するという機会は多いんですけれども、御承知のように、今はなかなかみんなに集まってもらってそういう会をやるというのがなかなか難しいものですから、できる限り、ウエブサイトとかその他を通じて、そういう企業の団体とか、まあ金融機関とは相当よく連絡は取っているんですけれども、確かに企業とはなかなか、先ほど申し上げたような、四半期に一回とかそういう、本店でも支店でも会合があって、企業の団体の方々と意見交換はしているんですけど、今はちょっとそういうことができないものですから、何らかのそういう、今流で言うとビデオコンファレンスというか、最近大学などでもズームとかチームズとかみんな使ってオンライン講義などされていますけれども、そういったこともできればなと思います。なかなかこれ、相手がいることですので、こちら側にその施設があっても相手の方にないとそれもちょっとできませんので。
 だから、いろんな形で工夫していきたいというふうに思っております。

#48
○白眞勲君 是非、こういう機会にやはり工夫することによって、一般の事業者の皆さんがどういうお考えを持っているのかというのを、支店を通じて、こういうきずなというのかな、こういったときにやはりどんどん私はしていくべきではないかなというふうに思っているんですけれども。
 そういう中で、一つ、中小企業、零細企業の事業主の方々って、黒田総裁にお聞きしたいんですけど、今、何に不安を抱き、何に困っていると考えているのか、この点についての認識についてお聞きしたいと思います。

#49
○参考人(黒田東彦君) 支店長会議なども物理的に集まらないでビデオコンファレンス方式でやっていますし、部内の会議とか様々な会議もほとんどスカイプとかそういうものでやっているんですけれども、そういうところで聞くので一番大きいのは、やはり不確実性というか、いつどのようにこのコロナウイルス感染症が収束するか、そこがはっきりしない。ただ、これは新しい感染症ですので、感染症の学者の方々もなかなか分からないわけですね。ですから、その不確実性というか不透明性というのを一番懸念しておられると。
 それと対になることなんですけれども、先ほど来委員の方々からも話が出ましたように、一方で、雇用とか企業体は維持していかなければならない。そうしますと、当然固定費が掛かるわけですし、他方で、売上げの方はどういうタイミングで戻ってくるのか、また、感染症が完全に収束したとしても、前と同じような形で戻ってくるのかといった、何というんですか、不確実性に伴って、将来戻ってきたときのビジネスの状況はどのくらいで、どういうふうになっているのかというのに非常に心配というか懸念を感じている。
 ただ、これは、先ほど申し上げたように、世界中同じ問題でして、ただ、私個人的には、他の感染症と同じく、これもいずれ収束するし、それから全世界で今、治療薬とワクチンの開発を進めていますね。この治療薬ができてワクチンができれば、そういったことの心配というのは相当低下すると思います。ただ、今の時点では、その不確実性と、それから戻ってきたときのビジネスの状況がどうなっているのかを気にしておられるということだと思います。

#50
○白眞勲君 おっしゃったとおりで、黒田総裁おっしゃったとおりで、やはりこの今の暗いトンネルがいつまで続くんだということが、やはり企業にとってみての、何というか、企業の経営者にとってみたら、じゃ、一体融資を幾らもらったらいいんだろうかとか、そういったところにも払ってくるし、これは貸す側にとってみても何かおっかなびっくりみたいなところになっているようなところというのは私はあると思うんですね。
 やっぱり今、コロナの影響で仕事が減っていると。今までの金融機関に対する返済についても苦労している方が私は多いと思うんですね。この辺についての黒田総裁の御認識はいかがでしょうか。

#51
○参考人(黒田東彦君) 既存の融資の条件変更なども実はこの様々な融資のスキームの中で取り上げておりまして、例えばこの新たな資金供給手段の場合も、金融機関が新型コロナウイルス感染症対応として金利の減免など中小企業向け既存の融資の条件を変更した場合も、その変更が適用される部分については新たな資金供給の対象にするといったことで、既存の融資の条件も金融機関で考慮してもらった場合には、その部分について日本銀行が有利な条件でバックファイナンスをするということにしております。ですから、今後そういったものも含めてかなり需要が出てくるのではないかと。
 ですから、こうした点も含めて、新たな資金供給手段の実務上の取扱いについて、金融機関の理解の浸透に努めると同時に、先ほど言われたように、企業にもよく理解してもらいたいと思っています。

#52
○白眞勲君 やっぱり資金繰りで融資を望むことに対して応えていく、今までも議論があったわけなんで、それは非常に重要です。でも、幾ら金利がゼロだとしても、いずれは返さなければいけない。これ以上借金するくらいなら、いっそもう会社を閉じるという決断に迫られている事業主も多いのではないかと思うんですね。特に真面目な事業主だったら私はなおさら、やっぱり借金というのは相当に、これ金利があろう、なかろう関係なく、相当にやっぱり負担に感じられるのが普通な私は神経の持ち主の方だと思うんですね。つまり、今ある借金をどうするか、今後どうしてあげるかが金融機関に求められているわけで、そういった中での、今の融資条件、現在融資している条件を有利な条件にしていくスキームをつくっていかなけりゃいかぬというのはそのとおりだと私は思うんですね。
 ここで副大臣、金融副大臣にお聞きしたいと思いますが、やっぱりゼロ金利であっても、融資となるとそれなりの審査が必要なわけですよね、今もその信用保証協会云々かんぬんがあったけれども、ましてや売上げの減少の証明など時間が掛かって。それよりも、私は思うんですけど、今融資している資金の、やっぱり何というんでしょう、今融資している資金をどうしていくかということを、もっと早く条件の変更ということをしていった方がよっぽど早くないかな、仕事が。今融資してくださいといったって、何か月後ですとなっちゃうわけですよ、これ、新しい融資の場合は。それよりも早くやれるのは、今やっている融資についてすぐにでも条件変更すれば、それこそ本当に三十分でできる話になる。私は、その辺について金融副大臣としてはどういうふうにお考えでしょうか。

#53
○副大臣(宮下一郎君) 議員御指摘のとおり、金融庁としましては、金融機関に対して、返済猶予等の条件変更につきまして迅速かつ柔軟に対応していただくように、これまで繰り返し要請をしてきたところであります。
 その取組状況については特別ヒアリングや銀行法等による報告徴求によって確認しているわけでありますけれども、今日、議員も配付資料でお配りいただいておりますけれども、金融機関の取組状況については、条件変更の実行率、これは条件変更を実行又は謝絶した中小企業者のうち実行した割合を実行率と言っていますが、三月末時点で銀行においては九九・七%、協同組織金融機関においては九九・八%、こういうことで積極的に条件変更にも対応していただいていると把握しています。
 また、特別ヒアリングを通じて様々な好事例についても把握することができました。
 例えば、受注が大幅に減少した事業者に対して、積極的な支援策として、まず一年間の元金据置き、期限延長を実施している事例とか、二年以内の元金据置きであれば案件問わずに支店長専決の権限として条件変更を実行している事例もあります。またさらに、条件変更中、事業再生中の事業者はなかなか新規融資難しいわけですけれども、従前からのメーン行としての事業性評価を基にして事業継続は可能と判断をして新規融資を実行した事例なども見られているところであります。総じて、こうした返済猶予も含めて企業のニーズに積極的に取り組んでいると認識しています。
 一方で、今も申し上げましたように、対応は様々でありますし、事業者の皆様のニーズも様々でありますので、一律に定型的な格好でこうしろというのはむしろ企業ニーズとのミスマッチも起こることもあり得るんではないかとは思っております。
 いずれにしても、議員御指摘のとおり、返済猶予などの条件変更が金融機関におきまして適切に実施されることは非常に重要であると考えておりますので、引き続き、事業者の資金繰りに支障が生じることのないように金融機関の取組を更に促してまいりたいと考えております。

#54
○白眞勲君 今、副大臣、非常に重要なことをおっしゃったんですけれども、ちょっとこれ質問通告していませんけれども、今、元金据置きの、一年間、二年間の据置きの事例もありますというふうにおっしゃいました。これ、何件ぐらいあるんですか。答えられる範囲内で。

#55
○政府参考人(栗田照久君) 今副大臣からお答え申し上げましたように、条件変更全体の実行率は九九・七とか九九・八%でありまして、その中にいろんな銀行がいろんな取組をしておりまして、その優良事例を我々は聞いております。
 でございますので、それが何件あるというところまで具体的に把握しておるわけでございませんけれども、そういう対応を小まめにやっていただいている銀行もあるということでございます。

#56
○白眞勲君 皆様のお手元の資料一が今の三月六日に出したやつで、資料二、三、四、五、六がこの今の条件の九九・八%の実行でございますと言っているんですけれども、そのやった、やっている感だけなんじゃないかなと私は疑っちゃうんですね。
 つまり、条件変更に応じる率は高いけれども、まずは審査中というのも結構いまだ多い。そして、その中身についてもよく分からないんです、今おっしゃったように。事例がありますと言っているだけ。この表ですと、タイトルからして「貸付条件の変更等の状況について」と、等が付いているわけでして、この内容ですと、例えば極端な話すれば、金利を〇・〇〇〇〇〇〇一%ぐらい下げても実行になっちゃうんですよ、これ。もしかしたら逆に事業者が不利な変更になってしまうのではないか、そういう問題だって生じる可能性だって私はあると思います。やっている感だけの銀行があるかもしれない。
 でも、それ仕方ない部分も私はあるので、なぜならば、今も議論がありました、銀行だって、資料六見てください、収益、大変現時点において落ちているわけで、そう簡単に債権をやっぱり自分たち、銀行にとってみて不利にはできない事情があるんだというふうに思うんですね。
 この辺り、金融庁はどういうふうなお考えですか。

#57
○政府参考人(栗田照久君) お答え申し上げます。
 まず、今御指摘がありました、我々公表している資料の中で条件変更の審査中が多いというお話でございますが、これにつきましては、今回の公表が三月十日から三月末までの二十日間という極めて短い期間の状況を集計したということがございます。
 それから、条件変更といいますのは、例えば約定弁済日においてそれを実行して約定弁済日を延長するというように決める場合が多いわけでございますけれども、でございますので、実際にはもう、じゃ、延長しましょうということは決まっていても実際の実行はその約定弁済日が来たときに実行という扱いになりますので、統計上は、例えばそれが四月の何日かだと三月末の統計では審査中と出てしまうということが影響しているということでございます。
 この点については、我々、実際のところどうなのかと金融機関には聞いておりまして、審査中になっている案件のうちにはもう四月中旬までに七割方は条件変更を実行した、あるいは債務者について応諾したということでございますので、条件変更自体は順調にやっていただいているというふうに感じております。
 それから、これは定量的な数字がなくて恐縮なんですけれども、条件変更の多くは期限の延長ということになっているというふうに我々ヒアリングベースでは承知しております。

#58
○白眞勲君 ですから、その期限の延長がどれぐらいあるかというのを調べるべきなんじゃないかと私思います。条件変更の中の特に重要な部分じゃないんでしょうか。
 やっぱりこういったことについても私は、一般の企業には周知されていないのも事実です。ただ、私、昨日かな、夜ホームページ見たら、金融庁はなかなか分かりやすい、ホームページに何かこんな、余り見せちゃあれなんですけれども、何か返済等でお困りの方々へということで、銀行においては迅速かつ柔軟に事業者、個人の皆様の支援に取り組んでおりますので、お取引の銀行等へ積極的に御相談くださいという、これも日本銀行さんと一緒かもしれませんが、金融庁さんにしては珍しく非常に漫画チックな分かりやすい資料を出してくれている。
 こういったものはあるんですけれども、やっぱりもっと、もっと、私は、銀行に対して、融資先に対して、全体にもう何か月かのモラトリアムを指示してください、要請ではなくて、もう。指示をすべきであって、そして、指示をして、もちろん、企業側にしてみれば、返せるところは、返せる実力があったら返しますよですよ。だけど、企業側から、返済ができないところもいっぱいあるわけですから、企業側からのお願いがあった場合に対応するというものを銀行側からやりますよという方向に変えていくことによって今回の危機を乗り切れるのではないんだろうか。
 よっぽど予算を、融資をやるよりも、返済期間を長くしてあげましょうというところで、その分の銀行に対する何らかのインセンティブを与えてあげるという方向性というのは、これ、副大臣、これ副大臣じゃないとなかなか言えないと思うんだけれども、そういった方向性に持っていかないと駄目だと思うんですよね。そっちの方に誘導する必要性、つまり、モラトリアムを、金融庁からしなさいよという要請じゃなくて、もう指示、これぐらいの強い言い方をする方が私はよっぽど国の予算使わないで済むんじゃないかなと、私はそう思うんですけど、その辺についてはどうでしょうか。

#59
○副大臣(宮下一郎君) 四回にわたって要請を行って、しかも、この特別ヒアリング等も行っておりますけれども、この特別ヒアリングは、かつての金融円滑化法のときのヒアリングのノウハウも生かしつつ、実質的に、モラトリアムも含めて、企業ニーズにきちっと対応しているかどうかをきちっと聞くと。逆に謝絶したような事例があるとすれば、その事情についてもきちっとチェックをするということで、これは、金融機関の皆様にとっては、しっかり対応しないとチェックを受けるなと、こういう体制になっておりまして、かつての金融円滑化法のときもそういった体制をすることによって大きな効果を上げたと、こういう経験もありまして、それを生かした、実質的にしっかりやってくださいという対応を今していると認識しています。

#60
○白眞勲君 いや、副大臣、そうじゃないんですよ。実質的にしっかりやってくださいといったって、銀行は収益が大変だから、その分損することは嫌がるんですよ。その部分について金融庁として何らかの措置をしますから延ばしてください、そこまで言わないと駄目なんだということなんです、私が申し上げているのは。
 そこで、日銀の黒田総裁に申し上げたいんですけれども、日銀としても、今さっき、融資についての条件変更について非常に頑張るということです。それと同時に、やれることは全てやると日銀総裁はおっしゃっているわけですから、やっぱりこれについてよく政府と相談をしていただいて、そこで日銀ができることは何でもやるということの意思表明をしていただきたいというふうに思いますが、どうでしょうか。

#61
○委員長(中西祐介君) 時間が参っておりますので、簡潔にお答えください。

#62
○参考人(黒田東彦君) もちろん、日本銀行として、この新型コロナウイルス感染症の状況、その経済、金融に与える影響を十分注視して、日本銀行としてできることは何でもやるというつもりであります。

#63
○白眞勲君 ありがとうございました。

#64
○杉久武君 公明党の杉久武でございます。
 私も、これまでの各委員から質問もございましたが、先週二十二日に開催されました日銀政策金融決定会合で決定されました中小企業等の資金繰りの支援のための新たな資金供給手段、これを中心に御質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 先週二十二日に開催されましたこの臨時の日銀金融政策決定会合の件についてでございますが、新型コロナウイルスの感染拡大によって中小企業の資金繰りが急速に悪化していることを踏まえまして、当初六月に予定されておりました会合を待たずに前倒しをして開催をされたものというふうに伺っております。
 この会合では、繰り返しになりますが、中小企業等の資金繰り支援のための新たな資金供給手段について検討されたものというふうに承知をしておりますが、まずは、この中身につきまして日銀に、今般決定されました新たな資金供給の手段と内容、そしてその効果についてお伺いをしたいというふうに思います。

#65
○参考人(内田眞一君) お答え申し上げます。
 新たな資金供給手段でございますが、新型コロナ感染症の影響を受けている中小企業等、まあ個人事業主も入りますが、これらに対しまして金融機関が行う融資、すなわち政府の緊急経済対策における資金繰り支援制度を利用した融資、それから条件面でこれに準ずるプロパー融資、これらの残高を見合いにいたしまして、日本銀行が有利な条件でバックファイナンスを行うというものでございます。
 具体的には、日本銀行から金融機関には利率ゼロ%で貸付けを行いますとともに、貸付残高に相当する金融機関の当座預金に〇・一%の付利をいたします。また、日本銀行の取引先ではない、例えばJAなどの系統会員金融機関に対しましても、系統中央機関を通じまして利用可能な制度としております。この対象となります融資の規模ですが、総枠約三十兆円ぐらいになるというふうに考えておりまして、実際には六月中には資金供給を開始する予定でございます。
 日本銀行といたしましては、金融機関がこの制度も積極的に利用しまして、中小企業等に対する金融仲介を一層発揮していただきたいというふうに思っております。
 以上でございます。

#66
○杉久武君 今御説明いただきましたが、この中小企業等への新たな資金供給手段の導入につきましては、政府の緊急経済対策で実質無利子無担保の融資を行う金融機関を対象といたしまして無利子など有利な条件で日銀が貸し出す仕組みであるということでございますけれども、六月を待たずに迅速にお取りまとめいただきましたことに、黒田総裁始め関係各位に心から感謝を申し上げたいと思います。
 他方、中小零細企業の現場でございますけれども、昨日全ての都道府県で緊急事態宣言の解除がなされました。私の地元大阪を始め京都、兵庫では幸いにも先週緊急事態宣言の解除を見たわけでございますけれども、解除されたからといって経済活動が元に戻るわけでもなく、先行きが楽観できる要素は残念ながら全くございません。経済活動の自粛が一か月半に及んだダメージが大変深刻であると、私も毎日のように資金繰りに関するお問合せをいただいておりまして、心底肌身で感じているところでございます。
 我が国の経済を体に例えますと、お金は血液でありまして、銀行は心臓というか、心臓として体の隅々まで血液を送り届ける役割を担っているというふうに言えると思いますが、この一月半の間、血液の流れそのものが停滞をしている、止まっているという状態でありますので、全ての臓器や細胞が瀕死の状態である、こういうふうに例えることができるのではないかというふうに思います。
 今般の日銀の政策決定を受けまして、更に迅速に血液を流すことが肝要であると思います。特に、コロナに苦しんでいる中小零細企業への融資については、現場のニーズをしっかりと踏まえながら、十分な下支えを行っていく必要があると思っております。
 そこでまず、財務省と金融庁にそれぞれお伺いをいたしますが、これまでの緊急融資の対応状況、そして実績について確認をするとともに、現在の中小零細企業のニーズをどのように分析し、対策を講じ、また、今回の日銀の決定を受けて金融庁として具体的にどのように取り組んでいくのか、財務省、金融庁の順番でお伺いをしたいと思います。

#67
○大臣政務官(宮島喜文君) 委員の御指摘のとおり、中小・小規模事業者の資金繰り、これは大変重要なことだと政府の方も取り組んでいるところでございます。
 日本政策金融公庫におきましては特別貸付制度を創設いたしまして、中小の小規模事業者に対する実質無利子無担保等の融資を、強力に資金繰りを支援しているというところでございます。五月二十一日現在でございますが、日本政策金融公庫の新型コロナウイルス感染症に対する融資決定件数でございますが、これが約三十一万件となっているところでございます。
 引き続きまして、これらのことは非常に重要でございますので、事業者の皆様の資金繰りに支障が出ないようにしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

#68
○政府参考人(栗田照久君) 民間金融機関によります実質無利子無担保融資につきましては、補正予算の成立を受けまして今月一日から受付を開始したところでございます。足下二十一日までに約十四・五万件の融資申込みを受け付けておりまして、約七・五万件、一兆三千億円強の融資が決定されているというふうに承知しています。
 それから、中小零細事業者のニーズにつきましては、その事業内容ですとか資金フローの状況などによっていろいろなものがあるということでございますけれども、典型的なものといたしましては、例えば家賃等の固定費の負担が大きいというもの、あるいは、金融機関には迅速な融資決定をお願いしたいというような声を伺っているところでございます。
 こうした事業者の声を踏まえまして、金融庁といたしましては、金融機関に対しまして、事業者の状況やニーズを丁寧にフォローアップしつつ新規融資や条件変更について迅速かつ柔軟に対応すること、あるいは、実質無利子無担保の融資制度について、金融機関がワンストップで対応を進めることで事業者に迅速な資金供給を図ること、家賃につきましては、テナントですとかオーナー等への資金繰り支援を徹底すること、それから制度融資や各種給付金の支給までのつなぎ融資を積極的に行うことなどを要請してきております。
 こうした要請を踏まえまして、金融機関におきましては、先ほど申しましたように条件変更の実行率が三月末で九九%を超えておると、それから、中小企業への新たな資金供給のため、例えば最短即日、最大でも三営業日以内で融資判断をするといった金融機関も現れてきているというふうに承知しております。
 それから、日本銀行におかれまして公表されました新たな資金供給手段につきましては、政府として今強力に進めている事業者の資金繰り支援を更に後押ししていただくものであるというふうに理解しておりまして、金融庁といたしましては、関係機関と緊密に連携しながら、金融機関等に対しまして事業者の資金繰り支援に万全を期すよう促してまいりたいというふうに考えております。

#69
○杉久武君 今、それぞれ、財務省、金融庁から現状についてお話をいただきましたが、金融庁には、日銀や金融機関とも十分連携をしていただきまして、資金繰り支援を徹底して後押ししていただきたいということを改めてお願いをしたいと思います。
 その上で、一点憂慮していることがございます。それは、資金繰り支援を現場で一手に引き受けている金融機関そのものについてであります。コロナ感染拡大で我が国経済が大きな痛手を被る中、金融機関には、血液を流す心臓の役割を十分に発揮し社会経済全体を支えていただくことが期待されております。また、コロナの終息後には、ダメージを受けた企業の経営改善や、景気、経済回復に向け更なる機動性が求められていると思います。
 しかしながら、我が国の心臓である金融機関そのものにも現在大変なストレスが掛かっているというふうに思います。コロナの感染拡大によって人々の活動が物理的に大きな制約を受けている実体経済ショックの状態、つまり血液が物理的に止まっている状態に対して、今まさに金融政策で大量の血液を作り出し、押し出そうとしているわけでございますが、血液を押し出す心臓は血圧を上げて押し出さなければならない、要は、信用コストの上昇で、金融機関はストレス、高血圧の状態とでもいいましょうか、そういう状況なようなイメージになっているのではないかというふうに思います。
 これら金融システムへのストレスにつきましては、日銀も一貫して指摘をしておられます。黒田総裁は、先週、五月の十四日の内外情勢調査会の講演の中で、我が国の金融システムに掛かるストレスは高まっており、一段と注意が必要だと指摘をされております。金融システムが機能不全に陥る可能性に警戒感を示されたと、従前から更に一歩踏み込んだ御発言であったんではないかというふうに認識をしております。
 そこで、総裁、黒田総裁にお伺いをいたしますが、感染拡大の今後の展開やそれに伴う実体経済への下押し圧力の強さ、そして感染拡大がいつまで続くのかという不確実性が非常に大きい中で、日銀総裁として、金融機関のストレスについて現状どのような認識をお持ちなのか、またストレス払拭のため何が必要であるかとお考えなのか、お伺いをできればと思います。

#70
○参考人(黒田東彦君) 御指摘のとおり、この新型コロナウイルス感染症の拡大が我が国の実体経済に大きな影響が及んでおりまして、売上げ、収益が減少した企業が、資金繰りで借入れの需要が増えていると。現在のところ、金融機関の貸出しは増加をしておりまして、金融機関はこれに積極的に応えていこうとしているというふうに見ております。
 また、現状、我が国の金融機関は、地域金融機関を含めて、資本、流動性の両面で相応に強いストレス耐性を備えているというふうに考えておりますが、ただ、今後、感染症拡大の影響が想定以上に長引いた場合には、信用コストが増加するなど、金融システムの安定に影響を及ぼすリスクには注意が必要であると思っております。
 現時点で、政府あるいは日本銀行による思い切った政策対応もありまして、地域金融機関を含めましてこうしたリスクは大きくないと判断はしておりますが、日本銀行としては、今後とも、感染症拡大が金融システムに与える影響を予断なく点検していくとともに、金融機関の活動をしっかりと支えていきたいというふうに考えております。

#71
○杉久武君 この金融機関へのストレスについてでございますけれども、特に地方の金融機関についてもう少し具体的に踏み込んでお伺いをしたいと思います。
 金融機関の中でも、地銀などの金融機関では、ふだんから地元の中小零細企業と密接につながりながら地域経済の下支えを担っておりますけれども、今般のコロナ対策でも、苦境にあえぐ地元企業の緊急融資等の窓口となって一手に引き受けていただいております。
 この言わば地域経済の柱とも言うべき地銀の三月決算について、先週、上場地銀の七割が今期の減収を見通していると、こういう報道がございました。その理由といたしましては、緊急事態宣言を受けて落ち込んだ地域経済がいつ回復するか見通しが利かないことから、融資先の業績悪化に備えまして、引当金として与信費用を計上した結果、収益予想を大きく押し下げたと、こういうふうにございます。また、私の地元の大阪の金融機関でも通常の六倍の与信費用を計上していると、こういう報道もございました。巨額の与信費用を積み増さなければならないほど経済悪化を想定しているということは大変ショッキングなことなんではないかというふうに思います。
 低金利の上に地方人口の減少や融資先企業の減少で地銀の経営が大変厳しい状況の中、緊急融資の担い手として全力で取り組んでいますが、緊急融資の信用リスクは大変重いものであります。経営難の中でリスクを承知で取り組んでいる地元金融機関は、もはや使命感で受けていると言っても過言ではないのではないかというふうにも感じます。こうした地元の金融機関は体力の弱い中小零細企業の命綱である以上、万が一にも金融機関に何かが起これば地元業者はひとたまりもありませんし、それどころか、地域経済が崩壊しかねないと、このように私自身も強い危惧を感じているところであります。
 そこで、金融庁にお伺いをいたします。地銀等の地方金融機関における現状と課題について伺うとともに、地方金融機関に対するセーフティーネットの整備や金融機関の体力強化に向けた金融庁の見解をお伺いをしたいと思います。

#72
○政府参考人(栗田照久君) 委員御指摘のとおり、金融機関をめぐる経営環境につきましては、この新型コロナウイルス感染症が拡大する以前から、人口減少などを背景に厳しい状況が続いております。
 ただ、現時点におきましては、地域金融機関の資本基盤は充実しておりますし、金融システムは総体として安定しているというふうに認識しております。
 今後、新型コロナウイルス感染症が金融システムに及ぼす影響につきましては、世界経済の動向、個人消費の動向、生産活動の動向など、様々な経済活動への影響が地域金融機関にどのように波及していくか注意深く見極めていく必要があるというふうに考えております。
 そうした中で、これも委員御指摘のとおり、地域金融機関は地域経済の中核として重要な役割を担っているということを踏まえまして、地域企業の資金ニーズに応えて地域経済の活性化を図る、そのことによって自らの経営基盤を逆に安定させていくということが重要であるというふうに考えております。
 金融庁としましては、地域金融機関がこの役割を十分に果たしていけるように、潜在的なリスクを早め早めに分析、特定した上で、金融機関の健全性を維持し、金融システムの安定を確保できるよう万全を期してまいりたいというふうに考えてございます。

#73
○杉久武君 是非しっかりと地域金融機関を金融庁主導して支えていただきたいというふうに思います。
 二〇二〇年の一月から三月期の実質国内総生産、GDPが前期比マイナス〇・九%、年率換算でマイナス三・四%との報道がございました。今後、雇用や所得環境への悪影響も懸念される中で、地域金融機関への期待と負荷はいや増して大きくなると思いますので、金融庁には引き続き適切な支援をお願いしたいというふうに思います。
 最後に、コロナ後についても考えていきたいわけでございますけれども、消費が元の水準に戻るには時間が必要であります。これまで我が国経済を牽引してきたインバウンド需要も当分戻らない可能性がございます。こうした中で、我が国経済の中長期的な対策についても、今から早急に検討していく必要があるというふうに思います。
 現在、政府では二次補正の準備を鋭意行っていただいておりますが、一次、二次補正とも企業の資金繰り支援や給付を中心としております。しかしながら、コロナ終息後を見据えますと、更なる補正予算の編成は不可欠ですし、その際には景気刺激策を中心としたメニューも検討していかなければなりませんが、この点については私どもも周到に準備を進めていく必要があるというふうに思います。
 その上で、最後、総裁にお伺いをいたしますが、総裁には、何でもやるとの力強い御発言をいただいているとおり、ETFや社債など金融資産の購入枠の拡大や金融機関への特別オペなど、中央銀行としてやれることは何でもちゅうちょなくやっていただいておりますけれども、今後の中長期的課題を見据えて、例えばマイナス金利政策の議論もございますけれども、何でもやるとの観点から見た我が国景気、経済の回復に向けた中央銀行としての中長期的な展望や課題につきまして、現時点における日銀総裁としてのお考えをお聞かせいただければと思います。

#74
○参考人(黒田東彦君) コロナウイルス感染症拡大、これは内外経済に深刻な影響を与えておりまして、当面、我が国の景気は厳しい状態が続くというふうに見ております。こうした下で、経済政策面で今大事なことは、感染症拡大が収束するまでの間、雇用、事業、国民の生活を守るということだと思います。そのためには、金融政策面では、企業などの資金繰りの円滑を確保することと金融市場の安定を維持する、この二つが特に重要だと。
 そうした観点から、三月以降、日本銀行としても金融緩和を強化してきたわけでありまして、先行きも、当面、感染症の影響を注視して、必要があれば、ちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じる考えでございまして、その場合、具体的にどういうことがあり得るかといえば、資金繰り支援の特別プログラムの拡充であるとか、イールドカーブコントロールの枠組みにおける長短金利の引下げであるとか、ETFなどの買入れの増額などが考えられると思いますし、また、新たな方策が必要になるかもしれません。
 日本銀行としては、このように緩和的な金融環境を維持して金融経済の安定を確保していくということが、まさに感染症拡大の影響が収束した後に我が国経済が再び確かな成長軌道へ回復するために必要だと思っておりまして、また、収束して回復軌道に乗った時点で、当然その時点で適切かつ必要な金融緩和措置を講じていくということになると思います。

#75
○杉久武君 ありがとうございます。しっかりとやっぱり日銀としても、このコロナの後を見据えてしっかりと金融政策に全力で取り組んでいただきたいと思います。今おっしゃっていただいたように、やっぱり雇用、事業、国民の生活を守る、本当にこれは政府としても、また我々としてもしっかりやり遂げないといけない大きな課題だというふうに思っておりますので、今後とも御尽力いただきたいことを申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

#76
○音喜多駿君 日本維新の会の音喜多駿です。
 初めに、日銀の今後の金融政策の方針について、私からも質問をさせていただきます。
 総裁は、先週、麻生大臣との共同談話という形で、新型コロナウイルス感染症への対応について発表をされました。その中で、日銀は、総枠七十五兆円の新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム、国債買入れ、ドルオペによる資金供給、ETFなどの積極的な買入れを行うことを明言されました。こうした対策は、政府が経済対策で国債を増発して金利が上がるのを抑えるためでもあると理解をしております。
 一方で、平時より続く黒田総裁の下でのゼロ金利、マイナス金利政策は、銀行の収益を悪化させるなどの影響を通じて金融引締めと同等の効果を発揮してしまうのではないかという指摘も同時にあるところです。
 感染症対策については、大阪では、吉村洋文知事がいわゆる出口戦略を具体的な数値目標を掲げて公表し、評価を得ています。これを金融政策にそのまま当てはめるというのはもちろん暴論ではありますが、手じまいの出口戦略を示しておかないと、一部の金融機関や事業者は、不安の中、経営を続けることになり、疲弊をしていきます。
 この点、どのような判断基準をもって各施策の終了を考えているのか、出口戦略の展望について総裁の見解を伺います。

#77
○参考人(黒田東彦君) 確かに、低金利環境が金融仲介機能に及ぼす影響には注意が必要でありますけれども、現状、我が国の金融システムが全体として安定性を維持する下で、銀行の貸出しは三%の伸びとなっておりまして、金融仲介機能は現時点では円滑に発揮されているというふうに見ております。こうした点を踏まえますと、日本銀行による強力な金融緩和は経済活動全体にプラスの影響を与えているのではないかというふうに考えております。
 日本銀行による強力な金融緩和は、足下では、感染症拡大の影響を踏まえまして、金融市場の安定を維持して、資金繰りの円滑を確保するためということでございますが、また、より長い目では、あくまでも日本銀行の使命である二%の物価安定の目標を実現するために行っているわけでございまして、当然のことながら、出口を含めた先行きの金融政策運営については、その時々の経済、物価、金融情勢をしっかり点検した上で、そうした政策目的を実現する観点から適切に判断していくということになると思います。
 ですから、足下のこのコロナウイルス感染症拡大の経済、金融に対する影響に対してやっていること、これはもちろん感染症が収束し、経済活動が回復に向かうということになれば、非常にこの異例の措置はだんだん収束されていくとは思いますけれども、二%の物価安定の目標は、現在の政策委員会のメンバーの見通しでも、二〇二二年度でも一%ぐらいというふうに見通しておりますので、金融緩和の状況、特にイールドカーブコントロールといったものは、コロナの影響が収束して経済が回復していく下でも、やはり二%の物価安定の目標が実現するという状況にならない限り、金融緩和といったものは続けていく必要があるというふうに考えております。

#78
○音喜多駿君 もちろん今は緊急事態でありますから、今回の日銀の積極的な金融緩和については私も高く評価をいたしております。こうした各施策については、市場にゆがみをもたらさないかどうか、つかさつかさで点検をしながら進めていただきたいと思います。
 次に、私からは中央デジタル通貨についてお伺いをしたいと思っております。
 今回の新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、デジタル通貨について再び世界的に注目が高まっております。政府の打ち出した持続化給付金や特別定額給付金の手続の遅れは多くの国民から指摘されるところであり、手元の資金がなく廃業に追い込まれている事業者も多くあると聞いております。もしデジタル通貨が安全に流通していれば救えたであろう事業者もあったと考えられます。
 また、衛生面を考えても、紙幣や硬貨よりもキャッシュレスのデジタル通貨の方が安心、安全です。昨年の本委員会でも中央デジタル通貨について各委員から質問がありましたが、事態は、またこのコロナで変わってきております。
 そこでまず、日銀が導入に向けてどのように取り組んでおりますのか、現状をお伺いいたします。

#79
○参考人(内田眞一君) お答え申し上げます。
 日本銀行は、現時点におきましては中銀デジタル通貨を発行するという計画はございませんが、世の中の技術革新のスピードは大変速いということですし、今後社会のニーズが急激に高まってくる可能性もあるというふうに考えられます。そうした事態に的確に対応できるよう、しっかりと準備を進めておく必要があるというふうに思っております。
 実際、これまでも日本銀行は、中銀デジタル通貨がもたらし得る決済の利便性あるいは効率性ということに関しまして高い関心を持って調査研究を行ってまいりました。また、今先生御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症の問題が発生する中で、様々な面でデジタル決済への関心が高まっているというふうに認識しております。
 一方で、中銀デジタル通貨に関しましては、例えばシステムの頑健性の問題ですとかセキュリティーの確保、プライバシー、マネロン対策、さらには金融システム安定性への影響等々、検討すべき課題が多いということもこれは事実でございます。
 そういった意味で、日本銀行といたしましては、今後とも、国内外の関係機関等とも意見交換等を行いながら、デジタル社会にふさわしい決済システムの在り方についてしっかりと検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

#80
○音喜多駿君 必要が出たときに対応できるように調査研究を進めておられるということなんですが、まさに今、この必要とされる局面が迫りつつあるわけであります。
 そこで、導入の足掛かりとするために、例えば、特区を用いて中央デジタル通貨の実証実験をするということも一案ではないかと考えております。るる今御指摘の懸念点というのは当然あるわけでありますけれども、結局のところ、こういうのというのはもう実証実験を繰り返していかなければ払拭することはできないわけであります。
 この点、こうした実証実験の方を国内で検討する余地はないか、政府へ要望することはできないか、こうした点の日銀の見解をお伺いいたします。

#81
○参考人(内田眞一君) 実際、日本銀行は、これまでも様々な実験を行ってきております。例えば、欧州中央銀行、ECBとの共同プロジェクトというのをやっておりまして、これを通じまして中銀デジタル通貨に応用し得る技術についての知見を蓄積してきたところでございます。
 多少具体的に申し上げますと、現行の国内の資金決済あるいは証券決済、あるいはクロスボーダーでの決済に、分散型台帳技術、いわゆるDLTですが、こういったものを用いることができないかとか、あるいはDLT環境の下で取引の匿名性を確保しながら必要な追跡を行う方法があるかとか、そういった実験を実際に行ってきております。
 今ほど申し上げましたとおり、一方で中銀デジタル通貨の機能あるいはシステムを設計していくという段階になってまいりますと、これは検討すべき課題もたくさんあるということでございますので、今後とも様々な形で実験等を行いながら検証していくことが重要、特区ということかどうかは別にしまして、実験ということは極めて重要なステップであるというふうに思っております。

#82
○音喜多駿君 もちろん、今行っているテスト、実験というのも是非前向きに進めていただきたいと。その一方で、やはり私が特区ということにこだわったというか提案したのは、やはり人々が実際に触ってみる、使ってみるというぐらいのレベルの実証実験を行わないと、なかなかこの懸念点というのは一個一個検証できないんだろうなというふうに思っております。
 今回、繰り返しになりますが、新型コロナの感染症の事態を受けまして中央デジタル通貨のニーズは高まって、次のステージに入りつつあると考えております。さらに、海外を見ますと、既に中国は、デジタル人民元、このテスト運用を始めたと言われており、国際取引の決済で人民元の利用拡大を狙っているということは、これはもう明らかです。
 国際戦略を考えても、中央デジタル通貨の発行について、導入の期限を、例えば目標期限を設けるなど、目に見える形で取り組むべきと考えます。ここは是非総裁にリーダーシップを取って前向きに進めていただきたいと考えますが、黒田総裁の見解をお伺いいたします。

#83
○参考人(黒田東彦君) 実は、BISの下で、主要中央銀行、日本銀行も加わってですけれども、国際研究グループができておりまして、ここでシステムの問題と、そのテクノロジーの問題と、それから金融その他、マネロンとかその他いろんなことに対する影響と両方の問題を審議をしております。そういう形で情報を共有しておりますし、日本銀行の中でも実は中銀デジタル通貨の研究チームを立ち上げておりまして、体制強化を図って取組を加速しております。今後も必要な取組をしっかり進めてまいりたいというふうに思っております。

#84
○音喜多駿君 是非取組を進めていただきたい。特に、やはり期限を設けないとなかなか、ずっと調査研究というところで止まってしまいかねませんので、例えば二〇二一年、二二年とか、私は目標を設けるということも是非御検討いただきたいなというふうに考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
 時間的に次が最後の質問になるかと思うんですが、デジタル通貨に関連して、キャッシュレスの促進についてちょっと伺いたいと思います。
 現状で先行している民間におけるキャッシュレス推進、これを政府は積極的に進めていくべきであり、具体的には、現在進行中のキャッシュレスポイント還元、この事業の延長を強く要望したいと思っております。財界からも延長が求められているところ、政府は今なおかたくなに六月末でこれは終わるんだということを言っております。
 しかしながら、梶山経産大臣は一月の参議院予算委員会で、夏はオリパラによるキャッシュレス事業の拡大が見込まれるから六月末に終わらせると、そういった要旨で説明をされておりました。ところが、このオリパラの延長が決まった現在、これが理由であれば来年の夏まで延長をするべきです。さらに、本事業は、実質上の減税、財政出動となり、コロナの経済対策にもなり得ます。
 本事業を延長しキャッシュレスを推進することの方が衛生面でも経済施策の面でも合理的と考えますが、これ経産省の見解をお伺いいたします。

#85
○政府参考人(藤木俊光君) 御指摘のポイント還元事業については、消費税率の引上げを円滑化するという中で、消費の平準化、それから税率引上げの影響を受けやすい中小店舗への支援、それからキャッシュレスの推進ということを目的として行っておりまして、一定の成果を上げていると考えておりますが、消費税対策、引上げ対策としては予定どおり今年六月末で終了する予定としております。
 その上で、現下、新型コロナウイルス感染症に対する経済対策としてこれをどうするのかということであろうと思いますが、一つは、中小店舗の支援という観点からは、まあキャッシュレスの場合五%還元という話ではなく、多くの中小店舗がまさに経営危機に置かれているという状況の中で、持続化給付金あるいは実質無利子無担保融資など、過去に前例のない思い切った経営支援策が求められている状況にあると考えております。また、消費者や家計への支援という観点からは、全国民に十万円の特別定額給付金が支給されるといったような、これもまたキャッシュレスとはレベルの違う支援が行われている状況にあるというふうに考えてございます。
 こうした、現下、私どもが直面している極めて深刻な経済状況に対する対応策ということでは、キャッシュレスかどうかということではなくて、より広範かつ強力な政策が必要であるというふうに考えておりまして、ポイント還元事業については延長をしないということで、その必要性は乏しいものというふうに考えています。
 一方で、このコロナ感染症、一定の終息を見せる段階においては、旅行関係、飲食等を対象とした需要喚起策というのを思い切って取っていくということは重要でございます。そのための予算も計上しているところでございますし、また、キャッシュレスについては、このポイント還元終了後もしっかりと普及に取り組むということで、地域の店舗、自治体への導入支援、災害時での対応、それから更なる手数料の低減といったようなものに向けた環境整備に取り組んでまいりたいと考えております。

#86
○音喜多駿君 ありがとうございます。終わります。

#87
○大門実紀史君 大門です。
 既にいろいろ質問がありましたので、私の方は一問だけ、少し大きな角度での質問をさせていただきます。コロナの経済危機の中でのマネーの動き、これ全体をどう見るかという点に絞ってお聞きしたいというふうに思います。
 資料をお配りしているかと思いますが、一枚目に日経新聞の記事を載せておきました。高リスク資産九百六十兆円、十年で倍増、備え不十分ということですが、これはIMFが二十二日に公表した国際金融安定性報告書というのがありますが、その中で、低格付、リスクの高い低格付の資産への投資がこの十年で倍増しているという記事でございます。
 この投資家というのは当局の監視が緩いファンドなどの資産運用業者が多く、損失への備えが不十分であると、新型コロナウイルスによる収益悪化が長引けば、これがかつてのリーマン・ショックのときのサブプライムのように、あのときはハイリスクのいかがわしい商品がきっかけになって金融システムが破綻したわけですが、そのリスクも大きくなるということをIMFの報告書が指摘していると、そういう記事でございます。
 要するに、リーマン・ショック後に、監視の緩い投資ファンドなどのマネーがハイリスク・ハイリターンの投資、投機に向かって、それはもちろん、世界的な低金利、緩和マネーをファンドが調達をして、利ざやを稼ぐためにこういうハイリスク・ハイリターンの危ないものにどんどん投資してきたと、それが今後のこのコロナ危機の後のリスクにつながるのではないかということを端的に示した記事でございます。
 このファンド等の規制については、日銀の政策委員会審議委員だった木内登英さんが先月出された時事論述の中で指摘をされております。要するに、あのリーマンの後、金融規制は強化されたんだけれども、こういう投資ファンドなどの資産運用会社は非常に抵抗して、規制させないということでやってきて、それがそのままになって規制が緩い中で放置されてきたということが指摘されております。
 その金融規制に反対してきた資産運用会社の筆頭に挙げられるのが、世界最大の資産運用会社のブラックロックであります。ブラックロックというのはもう有名ですけど、幾つもの投資ファンドを使って、今運用資産は今年の三月末で何と七百兆円もの運用をしているという途方もない資産運用会社でございます。例えば、日本のGPIFでは、日銀と並ぶ大株主になっているのはブラックロックということでございます。
 資料の二枚目ですけど、そのブラックロック含めて、資産運用会社と日本のメガバンクが、MアンドA、合併、買収を繰り返している姿をお示しした記事でございます。要するに、日本のメガバンクもこういうブラックロックなどの投資ファンドと一体になってマネーを運用しているということでございます。
 次の三枚目の資料が、そういうファンドマネーが、日本のメガバンクも一緒になったファンドマネーが、タックスヘイブン、この問題は度々取り上げてきましたが、ケイマンへの、タックスヘイブン、ケイマンへの証券投資残高の推移のグラフですけれども、どんどん増えていると、こういうマネーが結局税逃れでさんざん利ざやを稼いで、税逃れでケイマンに行っているというのがその資料でございます。
 四枚目が、日本の銀行ですけど、日本の銀行というふうな指標で取っても、ケイマンへの与信残高がどんどん増えているということであります。ケイマンというのは税逃れだけじゃなくて、非常に、シャドーバンキングといいますか、アンダーグラウンドな分からない投資ができるところでありますので、そこへの投資が日本の銀行としても増えているということでございます。
 こういう事態をどう見るかということなんですけど、このマネーには、当然、日本の銀行の貸出し、つまりは日銀の金融緩和による緩和マネー、あと世界の中央銀行がコロナ対策といって緩和マネーを出しておりますので、そういう世界中の緩和マネー、全部とは言いませんけどね、それがこのファンドの利ざや稼ぎに使用されて、しかも税逃れをしているという構図で、これは国の税収の損失でもあるという構図でございます。
 質問はたった一つなんですけれども、このブラックロックなど資産運用会社、投資ファンドが、金融規制を逃れて、先ほど言いました世界の中央銀行のコロナ対策を含めた緩和マネーも活用して荒稼ぎをしていると。これは、勝手に何かやっているんだなじゃなくて、このまま放置すると、最初の日経新聞の記事にありましたけれど、リーマン・ショックが、サブプライムローンという危ない商品、高リスク資産の破綻によって一気に顕在化したわけですけど、そういうことは先ほどのリスク資産にどんどんどんどんやっていますから、危ないものにですね。これ一旦そこで破綻すると、この金融緩和マネーの中、どんどんつぎ込んでいますから、同じような新たな金融危機を招く危険性があるというのが最初の記事に戻るわけですね。
 こういうふうな、今のコロナ対策と言いながら、マネーがそういうところにも流れているということに対してやっぱり危機感を持つべきだというふうに思うんですけれど、こういう面もきちっと見ておくべきだと思うんですが、黒田総裁のお考えはいかがですか。

#88
○参考人(黒田東彦君) まず、日本銀行が二〇一三年の量的・質的金融緩和を導入した以降、強力な金融緩和を続けております。さらに、御指摘のとおり、コロナ対策という形で更に金融緩和を強化しているということであります。
 そうした下で、確かに金融機関とか企業による海外向けの投融資あるいはMアンドAが増加しているというのは御指摘のとおりでありまして、ただ、こういった企業や金融機関の取組については、適切なリスク管理は必要ではありますけれども、グローバル需要の取り込みなどを通じて我が国の経済の成長力の強化にもつながっているというふうにも見ております。
 そこで、一方で、日本銀行がこういった強力な金融緩和を続ける、そうした下で、企業や家計の資金需要は高まっておりまして、銀行の国内貸出しですが、七年以上にわたって前年比二、三%の高い伸びを続けておりますので、日本銀行の金融緩和が一方で国内における貸出しの増加を通じて経済活動にプラスの影響を及ぼしているということもお考えいただきたいと。
 他方で、御指摘のようなリスクについては私どもも十分注視しておりまして、累次の考査等を通じて、また金融庁ともよく連絡を取りながら、特に金融機関のリスクという面についてはよく見ておりまして、今のところ、この配付された資料の一でも御覧になっていただけますように、このレバレッジド・ローンなんかの保有の割合は、邦銀の割合はまだ小さいと。それから、CLOを特定の金融機関がかなり所有していたんですけど、今は余り新たな投資をしていないようですけれども、ほとんど高い格付のものだけですので、リスクはそれなりに管理されているというふうには見ておりますが、このところ、確かにクロスボーダー融資の最大の金融機関は邦銀でありまして、BISの統計でもそうなっているわけですので、そういったものの広い意味でのリスクというものは十分私どもも注視しておりますし、金融機関、それから金融庁もよく見ていると。
 今のところ大きな問題になるというふうには見ていませんが、ただ、おっしゃるとおり、今、全世界の中央銀行が物すごい勢いで流動性を供給していますので、それがそういったものに流れていくという可能性は否定できない。ただ、今のところ、もう圧倒的に国内の企業、事業者の資金繰りの方に向かっているというふうに見ております。

#89
○大門実紀史君 ありがとうございました。
 黒田総裁への質問はこれだけでございますので、御退席いただいて少しでもお休みいただければというふうに思います。

#90
○委員長(中西祐介君) 黒田総裁、御退席いただいて結構でございます。

#91
○大門実紀史君 それで、今、当面の緊急課題になっている持続化給付金について伺います。
 これは十二日のこの委員会で、牧原副大臣にも来てもらって、いわゆる雑所得や給与所得などの方々が門前払いになっている話ですね、持続化給付金で。あのときに私、提案させてもらったのは、今の電子申請が事業所得だけになっていますけれど、それに加えて、それ以外の所得の方は申告書とともに事業の実態が分かる書類を添付してくださいというふうに変えればいいじゃないですかという提案をさせてもらったんですね。で、牧原副大臣は、選択肢の一つにしますというふうにそのときはお答えいただいたんだけれども、ところが、それから十日間、実は検討されたのは別の制度を検討されていたと。つまり、電子申請を変更するとシステムを止めたりいろいろしなきゃいけないので、そういうわけにはいかないので、別の制度で対応することを検討をされていたと。しかし、結局、結局今は、今の私が提案したような電子申請の中で、入口を、事業所得の入口はそのままにして、止めないようにして、もう一つ入口をつくって、雑所得や給与所得、フリーランスの方を救済しようということでお考えになっていると。
 まあ、言ってしまえば、この十日間何を検討してきたのかと。最初からやっていれば、この十日って大きいんですよね、現場の方にとっては。だから、もう今更ぐだぐだ言うつもりはありませんが、もうちょっと右往左往しないで検討していかないと、これ二度目はないですよ、本当に、この前も言ったけど。また検討のし直しとかね、またなんかないのでね。
 例えば、この十日間が大きいという意味は、その別の書類を何出してもらうかを検討するためにいろいろやっていらっしゃると思うんですけれど、それがまだ決まらない。それが決まったら、今度はそれに基づいて、さっき言ったシステムをもう一つルートをつくると。これをやっていると、確かにそうですね、やっと開始で、受付開始が六月の半ばぐらいになると、支給はまた七月とか八月になってしまうと。これもたないですよね、現場は。
 というようなこともありますので、急いで、もうこの方向で行くなら行くで、ぐだぐだ言いませんので、六月半ばと決めないで、できるだけ早く受付できるようにまず頑張っていただきたいと思いますが、いかがですか。

#92
○政府参考人(奈須野太君) お答え申し上げます。
 収入を税務上、雑所得とかそれから給与所得として計上しているフリーランスの方について、国会でも御指摘、先生からいただいております。二十二日に、通常の審査と比べて若干時間をいただくことになるとは思うんですけれども、一定の要件の下で持続化給付金の対象とするということで梶山大臣から発表させていただいております。
 こうした雑所得それから給与所得の中には、事業性のないものも含めて様々なものが入っています。雑所得については、ネットオークションの売上げとかあるいは株取引の収益とかあるわけでございます。
 そういった中で、事業の実態をしっかり把握することができる制度設計が必要だというふうに考えておりまして、そこが先生から見るともたもたしていたというお叱りを受けるところだと思いますが、我々としてはいろいろ努力をして、一番、正直申し上げると、当初は別の仕組みでと考えていたわけですが、給付金方式にした方が皆さんの利便性は良いだろうということで、あえて大きな軌道修正をして、給付金制度にのせるという決断をさせていただいたということでございます。
 今後でございますけれども、御指摘もございますので、ただ一方で、現在やっている給付金の作業にデータがなだれ込んだりしたりして、データが消えてしまったり、あるいは審査が滞ってしまうということはあってはいけませんので、具体的な制度設計であるとか、審査システムをしっかりするとか、あるいは既存のシステムと接続、こういったものを進めていきたいと思っております。
 このため、若干その準備に一定の時間が掛かる点は御理解いただきたいと思いますが、御指摘を踏まえて、最大限努力したいと思っております。

#93
○大門実紀史君 その別に出してもらう書類も、今のところ聞いているところによれば、支払調書とか源泉徴収票とか、あるいは請負契約書と。ただ、これは、仕事を頼む方にとっては別に義務になっているものではありませんので、場合によってはメールで頼んだり、いろいろなことがあるわけですね、現場では。電話一本でやる仕事もあるわけですね。
 だから、電子申請だからできるだけ、もちろん善意で早く給付するためにはもう定式化してぱっぱと判断できるようにする、これはもう頑張ってほしいんだけど、ただ、それは迅速化という観点であって、事業をやってきた人は、本当に売上げが減っている人はやっぱりちゃんと支給してあげなきゃいけないわけですね、支給しなきゃいけないわけですね。それを考えると、迅速化とともに、やっぱり、そういう書類も出せない人はまた何で認めてあげるかとか、そういう判断はどうしても必要になると思うんですね。
 結論から言いますと、電子申請というのは、先ほど言ったように、迅速化の点では否定いたしませんので、しかし、後になればなるほど、今もいろんな審査されていると思いますけれど、いろいろ形式的なものが出せない方が出てくる。そうすると、結局は、ほかの制度がそうですけれども、個別の窓口受付、窓口受付ということも視野に入れないと、もうコンピューターの画面では相談できないわけですね、コールセンターに掛けても細かいことは分かりませんって言われるわけですね。やっぱり、その窓口、窓口受付ということも視野に是非入れてほしいんですけれど、いかがですか。

#94
○政府参考人(奈須野太君) 電子申請で対応できないような方についてどうすべきかというお尋ねでございます。
 私ども、まず申請サポートセンターということで全国の五百か所に申請窓口のようなものをつくって、その場で助言をしながら入力をするということができるようにして、順次場所を開設しております。
 それからもう一つ、税理士であるとか、あるいは行政書士であるとか、商工会、商工会議所、そういったところにも経営指導員とか税理士とか、ある程度のノウハウを持った方がおられますので、そういう方の御指導を受けながらデータ入力ができるように、私どもからその各団体に対しては協力要請を行っておりますので、これも順次御対応いただけるものと思っております。
 もう一つ、今ちょっと触れた商工会、商工会議所も、本来、こういった仕事は商工会、商工会議所で窓口になっていただけることがよくて、今回たまたまほかの仕事で今は忙しいということで当てにしていなかったというか、十分に頼んでいなかったということはあるんですけれども、今後は人を増やすなどして、商工会、商工会議所の窓口対応ということも働きかけていきたいというふうに思っております。

#95
○大門実紀史君 是非そうしてほしいなという、もうそれが視野に入れてほしいなというふうに思うんですよね。
 もう一つは、これはちょっと個別に何件か来ている例なんですけど、事業承継の問題なんですけど、一月一日から四月一日の間ならば事業承継した方にこの持続化給付金は支給いたしますと、しかし、四月一日以降は駄目ですよとあるんですね。これは何かといいますと、一月から四月一日の間に、実はうちはもうお店閉めようと思っていた、もう辞めようと思っていたと、ところが百万円もらえるという話になったので、急に誰かに後を継がせて形として申請して、売上げも減っていることは事実だからというような、何といいますかね、そういうものを防ぐために、一月から四月一日の間だけの事業承継だけ認めますよという制度になっているわけですね。
 つまり、不正といいますか、そういうものを防ぐための制度なんですが、実際に四月に入って亡くなられた事業主の方って結構いらっしゃるんですよね。そうすると、不正でも何でもない、ちゃんと商売続けられてきたと、しかし売上げが減っていると、で、息子さんが後を継いだと、でも、その事業承継の期間が勝手に決められているので申請もできないというような事例があるんですが、これはもう当然、死亡届とかいろんな書類さえあれば当然特例として、特例と言うほどではないんだけど、柔軟な措置をしてあげるべきだと思うんですが、いかがですか。

#96
○政府参考人(奈須野太君) 御指摘のように、個人事業主の方が先代が亡くなられて事業承継をしたという場合においては、現時点のルールですと、今年の四月一日までに開業届を提出しているということをもって持続化給付金の対象としております。
 他方、こうしますと、四月一日以降に先代が亡くなられて、どうしましょうというケースにおいては、現在のルールでは対象とならないということでございますけれども、今先生御指摘になられたとおり、制度の趣旨に照らして支援すべき事業者の方がいらっしゃるということは十分承知しております。
 問題は、一体どのような書類を御提出いただくのが前の事業形態と新しい事業形態の同一性を担保することになるかと、持続化給付金が始まったから開業しようかなみたいなそういうのじゃなくて、真に必要な方に持続化給付金をお届けするにはどうしたらよいかということで、ちょっとどういう資料を要求したらいいかということは今検討中でございます。何というんですかね、本当にこういう、先代が亡くなられて本当にお忙しい中で死亡届出してくださいというのは本当にいいのかどうかとか、ちょっと我々もいろいろちゅうちょするところがあって、どのようなことをお願いしたらいいかということは悩んでいるところなんですけれども、何ができるか検討したいと思っております。

#97
○大門実紀史君 当然の対応ですので、お願いしたいと思います。
 最後に、この間、京都を中心に、企業組合の方々、企業組合の組合員の方々が給与という形でやってきたために、実際には事業を営んでおられるんですけれども、制度融資から除外されてきたと、いろんな問題があったんですけど、結局財務省は公庫で融資を受けますと、保証協会も融資は受けますと、それは事業をやっていらっしゃる実態があるからと、代わりに書類を出してもらえればオーケーということになってきたんですね。
 ところが、財務省は早かったね、決断。そういうことを投げかけて、二日で検討して、受け付けますと。中小企業庁、保証協会の方は四日掛かりましたけど、受け付けさせてもらいますというふうになってきたんですね。この方々は事業主として雇用調整助成金の申請もされていますから、実態として事業をやっていらっしゃるんですけどね。
 ところが、持続化給付金に関して言えば、もう二週間前に、これは当然、事業をやっているんだから支給の対象になると思うので検討をと言ったけど、いまだ検討中と。まあ認めてもらえる方向のようなんですけれど、まだ検討中ということなんですね。
 これは京都の本当に中心で、組合員の方には西田さんの支持者はいっぱいいらっしゃるんですよ、本当に、本当に。だから、そういうのだって、与党に行った方が仕事ができるという方もいらっしゃったわけですから頑張ってほしいなと思うんだけれども、党派を超えた、何党という話じゃないんですよね。ですから、これは現場で頑張っている事業者を救うという点ではこれ早く決断をしてほしいと思いますが、一言だけお願いします。

#98
○政府参考人(奈須野太君) 御指摘を踏まえて取り組んでまいりたいと思います。ありがとうございます。

#99
○大門実紀史君 終わります。

#100
○渡辺喜美君 みんなの党、渡辺喜美でございます。
 先ほど来御議論がございますように、実質的な非常事態宣言を日本銀行がされて、なおかつ総枠七十五兆円に及ぶ倒産隔離政策にまで踏み込んだ政策を取られておられますことは、私も非常に高く評価をするものでございます。問題は中身なんですね。言行一致で実が伴うかということであります。
 順不同になって恐縮でございますが、いつもお配りをしておりますこのグラフ、保有長期国債のおむすび山型のグラフですよ。
 四月二十七日の決定会合だったですか、無制限買取りをやりますという宣言をされたわけですね。ということは、この山、山のてっぺんの八十兆円、この枠も取っ払うんだと我々は理解しているわけでございますが、その後どうでしょうか。このグラフの一番右端ですかの、あれっ、余り上がってねえな、これ、ほとんど増えていないじゃないかと。まあ大体十四兆ぐらいですよ。去年の例えば五月二十日営業毎旬報告によりますと、長期国債保有残高が四百六十七兆円、今年は十四兆増えただけで四百八十一兆円なんですね。これ、どうなっちゃっているんでしょうかね。

#101
○参考人(黒田東彦君) 先ほど来申し上げていますとおり、我が国の債券市場は流動性が低下している下で、政府の緊急経済対策によって国債増発が見込まれております。
 こうした状況を踏まえまして、債券市場の安定を維持し、イールドカーブ全体を低位で安定させる観点から、当面、国債の更なる積極的な買入れを行うことが適当というふうに判断いたしました。その際、金融市場調節方針を実現するために必要な金額の国債買入れを上限を設けずに行っていくということを明確にしたわけでございます。
 日本銀行は、当面、長期国債、短期国債共に更に積極的な買入れを行う方針でございますけれども、実際の買入れ量は、ゼロ%程度という長期金利の操作目標を実現するために必要な買入れを実施した結果として決まってくるものであるということでありまして、上限は全く設けていないということはそのとおりであります。

#102
○渡辺喜美君 流動性が低下をしているというのは、ありていに言えば玉がないということですか。

#103
○参考人(黒田東彦君) 国債、債券市場の流動性の測り方はいろいろありますけれども、既発債の市場における取引量とか、それから価格の変動幅とか、それから出合いというか突き合いというか、それがどの程度出るかとか、様々な指標を見ておりますと、明らかに低下してきたということがあったものですから、それに加えて更に政府が国債を増発するということが見込まれますので、この際、イールドカーブコントロールで全体を低位に安定させるためには、上限を設けることなく、必要なだけ国債を市場で買おうということにしたわけであります。
 他方で、担保のためとか何かの国債のニーズというのは一方でありますが、それは国債の貸付けということもやっていますので、いろんな形で対応はしていますけれども、流動性が低下してきていたということは事実だと思います。

#104
○渡辺喜美君 真水が確かに足りない、国債発行量が非常に足りないということは毎度申し上げているとおりですよ。
 一方、少ないながらもこれから国債が増発されていくというときに無制限買取りという宣言をしているんですが、イールドカーブコントロール、YCCの下でというたがをはめてしまうと、無制限買取りというのが絵に描いた餅になりゃせぬかという心配しておりますが、いかがですか。

#105
○参考人(黒田東彦君) これは、先ほど来申し上げていますとおり、このイールドカーブコントロールという形で、一方でこのマイナス〇・一%の政策金利、そして十年物国債の操作目標としてのゼロ%程度、そういう形で適切なイールドカーブが形成されるということで始めてきて、その下で、比較的今スムースに経済活動を支援しつつ、金融活動も順調に伸びてきたというふうに見ております。
 ただ、コロナウイルスの感染症拡大で実体経済が急激に落ち込んだという下で様々な資金ニーズというのが出てきていますので、それに対応するために、一方で七十五兆円に達する資金繰りのためのプログラム、それから、ETFやJ―REITの買入れとともに、円及び外貨を、流動性を大量に供給するという観点から、このイールドカーブコントロールの下で、八十兆円というめどというか上限というか、そういうものはもう取っ払って必要なだけ買い入れるということを明らかにしたということでございます。

#106
○渡辺喜美君 要は、YCCというたががはめられていますと、長期金利のマイナスの深掘りというのはどうしてもやりにくいということなんじゃありませんか。

#107
○参考人(黒田東彦君) イールドカーブコントロールは、あくまでも短期の政策金利と十年物国債の二点を目標にして、一方で、マイナス〇・一%の金利を当座預金に付加するという一方で、長期国債を含めた国債の大量の買入れによってゼロ%程度の長期金利を維持するということでありまして、もちろん、今後、仮にそういったイールドカーブ全体を更に低位にする必要があるということになれば、またそういう目標を立てて、それに必要なだけの国債を買い入れるということになると思いますが、現時点で、この短期の政策金利マイナス〇・一%と十年物国債の操作目標ゼロ%程度というのは、経済にとって、あるいは金融にとって適切な水準であるというふうに考えております。

#108
○渡辺喜美君 そうすると、このおむすび山のグラフが、無制限買取り宣言にもかかわらず、これが八十兆円のピークをまた再び達成する、こういうことも非常に難しいなと、実質的には、そう思えてなりませんよ。
 麻生大臣が記者会見でこんなことをおっしゃっています。五月十二日、国の借金が増えたら金利も上がるのに何で下がるんだと、答えを言える人は日銀にもいない、こういう趣旨のことを言っておられますが、どう評価されるでしょうか。

#109
○参考人(黒田東彦君) 私、直接、麻生大臣の御発言についてコメントすることは差し控えたいと思いますが、長期金利について私の認識を申し上げますと、国債発行の増加というものは当然金利上昇圧力を生むということですが、現在のところ、日本銀行がこのイールドカーブコントロールということで安定的に長期金利が形成されているわけであります。
 ただ、これが実現できているというのも、バックグラウンドとしてやはり中長期的な財政健全化について市場の信認が維持されているということがあってそうなっていると思いますので、イールドカーブコントロールをやれば何でも、どんな金利でもできるということではないと思いますが、現状、そういう下で、イールドカーブコントロールによって国債の増発にもかかわらずゼロ%程度の十年物金利が維持されているということだと思います。

#110
○渡辺喜美君 麻生大臣御自身が、金利が上がるぞ上がるぞと言ってオオカミ少年みたいなことをやっているわけだよねという表現をしておられますけどね。日本銀行がきちんと二%の目標に向かって金融政策を続けていくと。で、先ほどもおっしゃっていましたけれども、二〇二二年でも中央値は一%にしか行かないというわけですね。
 コロナが終息をした後の経済、日本、世界、どうなんでしょうか。これだけ飛沫が飛び交う恐怖、接触の心配、こういうものが世界的に蔓延してしまうとなかなかこれ元に戻らないんじゃないかと。私が今一番心配しているのは、来年の生まれる子供の数ですよ。私の弟が産婦人科のドクターなんですけれども、そういう現場の話を聞くにつけ、これはちょっと、やっぱりコロナというのはゲームチェンジャーになったなという気がしてならないわけであります。
 コロナ終息後の日本及び世界経済はどうなるでしょうか。デフレですか、急速なインフレですか、バブルですか、スタグフレーションですか。いかがでしょうか。

#111
○参考人(黒田東彦君) これは、現在のコロナウイルス感染症がいつどのように収束されるかということにもよりますし、それはしかも、日本だけでなくてほかの国でどのように収束されるかということもこのグローバル化した世界では影響があると思いますので、なかなか断定的なことは言い難いわけですけれども。
 この感染症についても、既にアジアはほぼ収束に向かって、インドのように今感染者が急速に増えているところはありますけれども、東アジア、東南アジアの方は収束に向かっていますし、欧州も多くの国で収束に向かっていると。米国はまだ新規の感染者が高い水準で、減ってはいますけれども収束しているという感じではないと。更に言いますと、御承知のようにブラジルで爆発的に感染者が増えているということでありますので、なかなか難しいとは思いますが。
 従来の感染症の動向等がどの程度参考になるか分かりませんが、いずれその感染症が収束されるということになった暁でも、御案内のとおり、全く元の姿に人々の行動が戻るかというのはなかなか難しいところでありまして、一方で、世界経済、貿易の動向を注視しているエコノミストたちは、物の貿易は結構戻るだろうと、しかし、人の移動、特に観光とか移民とかそういうものはなかなか戻らないかもしれないと。そうすると、サービスはちょうど中間で、ITを使ったこちらのサービスはもっとむしろどんどん増えていくかもしれないけれども、対人サービスのようなものは、物のように国際的な対人サービスが戻るかというとなかなか戻らないかもしれないと。
 ですから、そういうことを踏まえますと、産業構造も変わるかもしれないし、人々のビヘイビアも変わるかもしれないと。そこは、確かにその点はよく今後注視していかなければならないと思いますし、様々な、既に、特にアメリカのエコノミストがもう膨大なものを書いて、書きまくって出していますので、そういったことも参考にしながら見ていかなければならないと思いますが、完全に元のように戻るというのは確かに難しいかもしれません。

#112
○渡辺喜美君 今回の歴史のゲームチェンジャーと思われるコロナ騒ぎを、歴史的な類似例を挙げるとすればどんな時代を想像されるでしょうか。

#113
○参考人(黒田東彦君) これも、私が特にそういうものをよく存じているというわけではないんですが、よく歴史家とか経済学者が言っておられるのは十四世紀のペスト、それから、最近では二十世紀の初めのスペイン・インフルエンザ、スパニッシュ・インフルエンザ、スペイン風邪ですね。このスペイン風邪は三波にわたって来て、日本でも多分五十万人ぐらい亡くなったんじゃないかと言われます。全世界で二千万人とも五千万人とも言われる方が亡くなったと言われているんですが。
 こういった事例はあるわけですけれども、それらから一定のことは学べると思いますけれども、今回の新型コロナウイルス感染症の大流行は三つの意味でちょっと違うのかなと。一つは、感染症拡大のペースが極めて急速で世界に広がったということであります。それから二番目には、これは経済が、世界全体がグローバル化が進展しているということもあって、各国で一斉にこの感染拡大防止策が取られたために、全世界で一斉に世界経済の活動が制約されてしまったと。三つ目には、他方で、各国や各地域の政策当局者がかなり大規模かつ迅速な経済対策を実施しているということは言えると思います。
 ということで、一番近い大きなパンデミックというと二十世紀初めのスペイン風邪なんですけれども、ごく最近でいいますとSARSとかMERSとか、それから様々な鳥インフルエンザとか豚インフルエンザとか、いろいろありますけれども、それらに比してももう規模が非常に大きいので、似たような例というとやっぱりスペイン風邪かなと。ただ、その状況もなかなか違いますので、一概に、何というんでしょうか、それからすぐ教訓が学べるということではないんですけれども。
 私はたまたま、アメリカの学者が引用していた、スペイン風邪に対してどうすべきかというアメリカの軍の衛生部隊の人が書いているのを見たんですけれども、それがもうほとんど今のコロナウイルス感染症に対する対応策と同じなんですね。要するに、対人関係で距離を取りなさい、マスクをしなさい、手洗いをしなさいというようなことでありますので、感染症対策という意味では何かその教訓があるかもしれませんが、ちょっと状況が違うので、経済とか社会の、そのまま適用できるのは難しいかなと思いますね。

#114
○渡辺喜美君 私が思うに、需要が飛んでしまったわけですね。ですから、これからの経済というのは、インフレでもスタグフレーションでもなく、私はデフレに向かって突き進んでいると、そう思います。
 麻生大臣がこの間私の問いに対して、ベースマネーを増やしてもマネーサプライが増えないのは需要がないからだと、こういうことをおっしゃっていました。自分で増税やっておいて、需要を飛ばしておいて、何言っているんだろうと思いましたけれども、需要が増えないのはどうしてだと思われますか。

#115
○参考人(黒田東彦君) この点は、御承知のように経済学者の間でもいろんな議論が行われていまして、今回の場合は、世界的な新型コロナ感染症の拡大に応じてロックダウンとかその他様々な経済活動を抑制するということが行われて、それ自体は供給を非常に減らすわけですね。他方で、しかし、そういうことで仕事がなくなるとか売上げがなくなるということで、所得が減ったということで需要も減ると。だから、供給も減って需要も減っているということで、どっちが勝つかというのはいろんな議論があるところです。
 ちなみに、日本銀行の政策委員の見通しですと、今年度はかなり大幅なマイナス成長になり、来年度は回復軌道に乗り、二二年度は中期的な一%程度の成長率に戻ると見通しているんですが、その一方で、物価上昇率については、今年はまあマイナスになるんですけれども、来年度はゼロぐらいで、そして前に申し上げた二二年度でも物価上昇率は一%ないしそれ以下という見通し。ですから、政策委員の見通しの大半は、経済はある程度戻るけれども、デフレに陥るというふうには見ていないんですけれども、インフレになっていくというふうには見ていないと、二二年度でも一%程度の物価上昇。
 ただ、これは、こういう、あれなんですけど、アメリカの経済学者の中でも、来年はアメリカはインフレで大変だという学者もいるんです。ですから、供給と需要と同時に落ちていて、それが供給と需要が同時に回復したときにどっちが勝つのか。だから、インフレになるのかデフレになるのかというのはまだ議論が収まっていませんが、IMFを含めて多くの、それから我々の政策委員の方々も、インフレになる、インフレの方に行くというふうには見ていないということです。ただ、持続的な物価下落という意味でデフレが続くというふうにも見ていないということであります。

#116
○渡辺喜美君 残念ながら、アベノミクスがなきものになろうとしているわけですね。去年の増税でもって十兆円なくなりました。コロナで一―三月、五兆円飛びました、GDP年率でね。
 四―六の見通し、どうお考えでしょうか。

#117
○参考人(黒田東彦君) これはまだ我々も、政策・審議委員も四半期別の見通しとかなんかは作っていませんので分かりませんが、私の個人的な見通しでは、一―三月のマイナスよりも大きくマイナスになる可能性が高いと。というのは、経済活動が非常に抑圧、抑制されたのは三月ぐらいですから、今度の四―六月は、まあ六月がどのぐらい戻ってくるかによるんですけれども、一―三月よりもやはりマイナス幅は大きくなる可能性がある。ただ、これは全く個人的なものでありまして、政策委員会の見通しでも何でもありません。

#118
○渡辺喜美君 とにかく、このおむすび山のグラフ、もうだらだらと行くのではなくて、このピークを飛ばすような、そういう金融政策を是非やってください。
 ありがとうございました。

#119
○委員長(中西祐介君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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