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2020/05/26 第201回国会 参議院 第201回国会 参議院 厚生労働委員会 第14号 令和2年5月26日
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2020/05/26 第201回国会 参議院

第201回国会 参議院 厚生労働委員会 第14号 令和2年5月26日

#1
令和二年五月二十六日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十五日
    辞任         補欠選任
     高階恵美子君     磯崎 仁彦君
 五月二十六日
    辞任         補欠選任
     磯崎 仁彦君     高階恵美子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         そのだ修光君
    理 事
                石田 昌宏君
                小川 克巳君
                足立 信也君
                石橋 通宏君
                山本 香苗君
    委 員
                磯崎 仁彦君
                片山さつき君
                自見はなこ君
                島村  大君
                高階恵美子君
                羽生田 俊君
                馬場 成志君
                藤井 基之君
                古川 俊治君
                本田 顕子君
                川田 龍平君
                田島麻衣子君
                田村 まみ君
                芳賀 道也君
                福島みずほ君
                下野 六太君
                平木 大作君
                東   徹君
                梅村  聡君
                倉林 明子君
   国務大臣
       内閣総理大臣   安倍 晋三君
       厚生労働大臣   加藤 勝信君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉岡 成子君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官       安居  徹君
       内閣府大臣官房
       審議官      林  幸宏君
       内閣府地方創生
       推進室次長    村上 敬亮君
       総務省総合通信
       基盤局電気通信
       事業部長     竹村 晃一君
       文部科学省大臣
       官房審議官    森  晃憲君
       厚生労働省大臣
       官房総括審議官  田中 誠二君
       厚生労働省大臣
       官房高齢・障害
       者雇用開発審議
       官        達谷窟庸野君
       厚生労働省大臣
       官房年金管理審
       議官       日原 知己君
       厚生労働省健康
       局長       宮嵜 雅則君
       厚生労働省雇用
       環境・均等局長  藤澤 勝博君
       厚生労働省子ど
       も家庭局長    渡辺由美子君
       厚生労働省社会
       ・援護局長    谷内  繁君
       厚生労働省保険
       局長       浜谷 浩樹君
       厚生労働省年金
       局長       高橋 俊之君
   参考人
       日本社会事業大
       学学長
       東京大学名誉教
       授        神野 直彦君
       一般社団法人日
       本経済団体連合
       会常務理事    井上  隆君
       株式会社日本総
       合研究所調査部
       主席研究員    西沢 和彦君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○年金制度の機能強化のための国民年金法等の一
 部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○政府参考人の出席要求に関する件
    ─────────────

#2
○委員長(そのだ修光君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、高階恵美子君が委員を辞任され、その補欠として磯崎仁彦君が選任されました。
    ─────────────

#3
○委員長(そのだ修光君) 年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案の審査のため、三名の参考人から御意見をお伺いいたします。
 御出席いただいております参考人は、日本社会事業大学学長・東京大学名誉教授神野直彦君、一般社団法人日本経済団体連合会常務理事井上隆君及び株式会社日本総合研究所調査部主席研究員西沢和彦君でございます。
 この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
 皆様から忌憚のない御意見を賜り、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。
 次に、議事の進め方について申し上げます。
 まず、神野参考人、井上参考人、西沢参考人の順にお一人十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず神野参考人からお願いいたします。神野参考人。

#4
○参考人(神野直彦君) 社会保障審議会の年金部会長を仰せ付かっております神野でございます。
 私、網膜剥離で視覚障害を起こしております。したがいまして、欠礼があるかもしれません。御寛容いただければと存じます。
 私は、本日、年金部会での議論を念頭に置きながら、私の責任において、今回の制度改正を年金改革の流れの中に位置付け、その意義と概要、さらに今後の課題について意見を陳述させていただきたいと考えております。
 お手元にメモを準備させていただいておりますので、御参照いただければ幸いでございます。
 私、先進国の年金制度が共通して直面している課題が三つあると考えております。一つは賃金、言い換えれば経済成長が停滞していること、第二に、少子高齢化と言われているように、人口構造が大きく変化したこと、第三に、年金制度は、家族内の世代間連帯という人間の命をつないでいく鎖、これが、家族機能が小さくなったので社会化したものだと考えられるわけですけれども、年金を支える心ともいうべき世代間の連帯の意識が弱まっていることです。
 これらの課題に応えるために、日本では二〇〇四年に年金制度の抜本改革を実施しました。それまでの高度成長期に形成された年金制度は給付を先に決めてから保険料を設定する仕組みでしたが、給付の見直しと保険料の引上げが繰り返され、年金制度への不満が高まっておりました。そこで、二〇〇四年の抜本改正では、将来の保険料の上限を固定し、収入の範囲内でおおむね百年間で財政均衡するようにマクロ経済スライドを導入して給付水準を自動的に調整するようにした、改めたわけでございます。つまり、入りを量って出るを制するという仕組みの方に発想を転換して将来不安の解消を図ったわけでございます。この二〇〇四年の抜本改正の財政フレームは、二〇一二年の社会保障・税一体改革で基礎年金の国庫負担二分の一の恒久化などの改正によって完成を見ることになります。
 改革には、制度の枠組みを抜本的に改めるビジョン型の改革と、現実ただいま生じている問題に対処する問題解決型の改革がございます。二〇〇四年の抜本改革はビジョン型改革なのに対して、五年ごとに財政検証を行い実施される年金改革は問題解決型改革だと言っていいかと思っております。
 二〇一三年八月に、社会保障制度改革国民会議の報告書で今後の年金制度の課題として四項目を設定いたしております。この四項目は、完成を見た二〇〇四年の抜本改革の財政フレームの下で、長期的持続可能性を強固にしてセーフティーネット機能を強化するという観点から、問題解決型改革として取り組むべき課題を設定したものというふうに考えてよいと思います。
 さらに、この四項目は二〇一三年十二月の社会保障制度改革プログラム法にも規定されることになります。これ、メモにお示ししておりますが、この四つの課題のうち、第一のマクロ経済スライドの見直しについては二〇一六年の制度改正でキャリーオーバー制の導入として対応しておりますが、今回の制度改正の意義は、初めてプログラム法の課題全般に向き合った改革であると位置付けられると思っております。
 こうした意義を持つ今回の制度改正の基本的な考え方についてですが、まず、年金部会では、二〇一九年、令和元年の財政検証の結果から、二〇〇四年の財政フレームが現在も機能しているということを確認いたしております。これは、次の財政検証までに所得代替率五〇%の給付水準を下回ることがないということ、さらに、経済成長と労働参加が進むケースでは、引き続き所得代替率五〇%を今後おおむね百年間にわたって確保できるということになっているからでございます。
 二〇一九年の財政検証では、前回二〇一四年の財政検証に続いて、現行制度に基づく本体試算に加えて、プログラム法の四つの課題を検討するために、一定の制度改正を仮定したオプション試算を実施しております。このオプション試算からは、被用者保険の更なる拡大や、就労期間、加入期間を延長すること、それから繰下げ受給を選択することは年金の水準確保に効果が大きいということが明らかになっていると思います。
 こうした財政検証を踏まえて、働き方の多様化、それから高齢期の長期化という社会経済の変化を見据えながら、多様な就労を年金制度に反映すること、それから就労期間の延伸による年金の確保や充実、これを二本柱にして年金部会では具体的な制度設計をいたしました。
 この年金改革の議論の結果を尊重していただいて、今回の法案の概要はメモの方にお示ししたようなことになっているのではないかというふうに思っております。
 時間の関係で説明は省略させていただきますけれども、プログラム法の短時間労働者に対する被用者保険の拡大という第二の課題への対応として、多様な就労を年金制度に反映させるという意図の下に、被用者保険の適用拡大が盛り込まれております。
 さらに、高齢期の就労と年金受給の在り方というプログラム法の第二の課題に対しましても、就労期間の延伸による年金の確保、充実のためという意図の下に、在職老齢年金制度の見直し、在職定時改定の導入、それから年金受給開始時期の選択肢の拡大などを図っております。私的年金につきましても、確定拠出年金の加入可能年齢の引上げと受給開始時期の選択肢の拡大などの見直しを提起しています。
 過去、現在、未来にわたる継続性が要求される年金制度では、制度の枠組みを抜本的に改めるビジョン型改革はそう頻繁にはできません。枠組みが有効に機能している以上、問題解決型の改革を積み重ね、より精緻な制度にしていく取組が重要だと思います。
 今回の法案は、二〇〇四年の抜本改革の財政フレームが機能しているということを確認した上で、多くの国民の理解の下に現在できることを全て盛り込んでいる改正というふうに評価できるかと思っております。仮に抜本改革が必要となる時期が到来しても、それは、抜本改革だと、例えば三十年掛けて三十分の一ずつ改めていく必要があるんですね、連続性保つためには。そうなってくると、現行制度を充実させていくということは、それを考えたとしても矛盾しないということを指摘しておかなければならないと思っております。
 今後の課題としては、まず、厚生年金制度が適用されていない短時間労働者、それから非適用業種の労働者、フリーランスやギグワークといった方々に対して年金制度による生活保障の網を掛けていく、広げていく必要があると考えます。
 それから第二、次いでですが、入るを量って出を制するという仕組みである以上やむを得ない面があるんですが、基礎年金のマクロスライドによる調整期間が厚生年金よりも長期化し、その水準が低下していくという課題がございます。
 今回の法案の附則、検討規定に、被用者保険の適用範囲に加えて公的年金の所得再分配機能の強化についても盛り込まれておりますけれども、こうした検討は、衆議院において、財政検証で基礎年金の水準が低下が示されていることを踏まえて行うという旨の規定が追加されたものと了解をいたしております。私も同じ認識であり、難しい問題ではございますが、引き続き取組を進めていく必要があると考えます。
 現在、世界は新型コロナウイルス感染症という未知の病に襲われ、危機の時代になっております。年金を含む社会保障は国民の生活のセーフティーネットなんですね。国民の生活の安定が損なわれかねない危機の時代にこそ、社会的セーフティーネットというのは網の目を細かくし、強固にしていくという必要があるかというふうに考えております。
 年金部会長という立場からいたしますと、今回の法案は年金部会の議論を尊重していただいて反映していただいておりますので、国会におかれましても生産的な御議論、御審議をしていただいた上に成立させていただくということを願い、結びとさせていただきます。
 どうもありがとうございました。

#5
○委員長(そのだ修光君) ありがとうございました。
 次に、井上参考人にお願いいたします。井上参考人。

#6
○参考人(井上隆君) 経団連で常務理事を務めております井上と申します。
 厚生労働委員会の先生方におかれましては、日頃より私どもの活動に対しまして御理解、御支援を賜り、この場をお借りしまして厚く御礼を申し上げます。
 本題に入ります前に、一言、新型コロナウイルスの感染症への対応につきまして申し上げます。
 昨日、二か月弱に及ぶ緊急事態宣言が解除をされました。現場の医療関係者を始め、国民が一丸となって取り組んだ結果、直面する危機から逃れることができました。しかし、この間、人や物の動きは停滞し、経済活動が国内外で大きく縮小、我が国企業も幅広い業種で規模を問わず甚大な影響を受けております。また、国内の感染拡大は逃れたものの、世界では毎日十万人規模の拡大が続いていることを踏まえれば、日本経済の正常化には長い時間が掛かると思われます。
 経団連といたしましては、これまでも医療物資の提供、出勤の削減等々、感染拡大防止策の徹底を行ってまいりましたが、今後も、業種別のガイドラインなどを用いて、新型コロナウイルスの存在を前提とした経済活動の再開に向けた取組を進めてまいります。同時に、様々な支援策を活用しながら、全力を挙げて事業の継続と雇用の維持を図る所存でございます。
 先生方には、引き続き経済の最新動向を踏まえまして機動的な御対応をいただきたく、改めてお願いを申し上げます。
 さて、本日は、年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律案の審議に際しまして意見を申し述べる機会を頂戴し、誠にありがとうございます。
 本法案は、厚生労働省の社会保障審議会における検討の結果を踏まえた内容と理解しております。審議会の検討段階でも私どもから種々御意見を申し上げたところでございまして、本日は本法案に賛成の立場から意見を申し述べます。
 まず、私どもといたしましては、国民の将来の安心を支える公的年金制度につきまして、長期的な財政均衡を図るというフレームワークを維持し、制度の持続可能性、将来世代の給付水準の確保を図ることが極めて重要であるというふうに考えております。その基本の中で、近年の高齢者や女性の就業率の上昇、あるいは働き方の多様化といった社会の変化に対応して見直しを図ることが必要であるというふうに考えております。
 今回の改正法案では、就労期間の延長、働き手にとって就労調整を意識せずに働ける環境を整えるために必要な事項が盛り込まれております。いずれも社会の変化にかなった改正でございまして、是非とも早期の成立をお願いをする次第でございます。
 それでは、各論につきまして何点か意見を申し上げます。
 まず、審議会などの議論でも焦点となりました被用者保険の適用拡大についてでございます。
 働き方の多様化に対応いたしまして被用者保険の適用拡大を図るという大きな方向性に私どもは賛同をしております。
 中でも、短時間労働者に対する適用拡大では、企業規模要件の見直しが重要な論点となっております。
 この点につきまして、私どもといたしましては、短時間労働者の就業調整、あるいは雇用の動向、企業経営への影響などを十分検証することが必要であり、適用拡大を進める際には、負担増となってしまう対象企業への生産性向上に向けた支援策なども求めてまいったところでございます。
 審議会での最終的な整理といたしましては、具体的な適用拡大は、人手不足や社会保険料負担を通じた企業経営への影響等に留意しつつ、丁寧に進める必要があるとされたところでございます。
 これらを踏まえた形で、今回の改正法案では、段階的に現行の五百人超から五十人超まで引き下げるということになっております。その結果といたしまして、企業経営への影響にも配慮いただき、一定の経過措置を講じながら適用拡大を進めるものとなっておりまして、適切な措置であり、評価をいたしております。
 また、適用事業所の範囲につきましては、フルタイムの労働者であるにもかかわらず適用が任意となっている業種などにも適用拡大すべきと主張をしてまいったところでございます。改正法案では、五人以上の個人事業所に係る適用業種を広げるという手当てがなされており、この点も賛同をいたしておるところでございます。
 次に、就労期間の長期化への年金制度としての対応につきまして申し上げたいというふうに思います。
 経団連では、毎年、労使交渉の経営側の指針となります経営労働委員会報告、略して経労委報告を取りまとめておりますけれども、その中におきましても、意欲と能力のある高齢者が、専門能力の発揮、技能の伝承、若手の育成などを通じまして企業内外の様々な場で活躍できることが重要であり、社会全体で高齢者の就労環境を整えていくべきと表明をしたところでございます。その方策の一環といたしまして、将来世代の年金の給付水準が低下しないよう、年金財政への影響を中立的にするということを前提に、社会全体で高齢者の就労環境を整えるための年金制度の見直しを行うべきというふうに主張をしてきたところでございます。
 今回の改正法案では、国民年金や厚生年金の受給開始時期の選択肢を六十歳から七十五歳まで拡大すること、また、その際の年金の繰下げ増額率や繰上げ減額率は数理的に年金財政上中立を基本に見直すなどの措置が盛り込まれております。これらの見直しはいずれも妥当なものであり、賛同をいたします。
 また、公的年金に加えまして私的年金の見直しといたしまして、確定拠出年金に加入できる年齢を五歳引き上げること、確定拠出年金や確定給付企業年金での受給開始年齢の選択肢を広げることも講じられております。これらの改正も、高齢者の就労拡大への対応、また、企業における高齢者雇用の状況に合わせた柔軟な制度設計の構築に資するものであるというふうに考えております。
 このほか、今回の法案では、在職をしている高齢者の年金受給の在り方の見直し、確定拠出年金における中小企業向けの制度の対象範囲の拡大などの制度面、手続面の改善、短期滞在の外国人に対する脱退一時金制度の支給上限年数の引上げなども盛り込まれております。いずれも、高齢者あるいは外国人を始めとする多様な人材が活躍できる環境整備、中小企業におけます企業年金の更なる普及拡大を促進するものであり、適切かつ有用な措置と考えております。
 以上、簡単ではございますが、今回の改正法案につきまして私どもの意見を申し上げてまいりました。改めまして、本法案の早期成立をお願い申し上げ、私からの意見を終わります。
 ありがとうございました。

#7
○委員長(そのだ修光君) ありがとうございました。
 次に、西沢参考人にお願いいたします。西沢参考人。

#8
○参考人(西沢和彦君) 日本総合研究所の西沢和彦です。
 本日は、このような意見を述べる機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
 私は、資料はございませんので、口頭でお話をさせていただきたいと思います。
 まず、総論としまして、こういった法案を見る際のポイントと申しますか、私は、書いてないことが何かを探すことが重要だと思うんですね、法案に。この法案の中をいじくっていくということも、後で申し上げますけれども、書いてない重要なことは、やはり年金財政の健全化の話であると思います。
 前回、二〇一六年十二月にこの場に出させていただき、そのときの法案では、法律では、マクロ経済スライドにキャリーオーバーという仕組みが導入され、それは結構なことであったと思うんですが、やはり、そのときにも申し上げましたけれども、名目下限措置を外すということをやっておかないと、このコロナのあった後にインフレになるのかデフレになるのか分からないですけれども、デフレが仮に続いたとしたときに、名目下限措置があることがネックになってくると思います。
 やはりこれは外しておくべきであって、二〇一四年財政検証のときには一旦その名目下限措置を外すということに行政の方もチャレンジしたと思うんですけれども、結局法案化に至らずに、その後提出になってしまいました。今回、その問題提起がなかなか見えなかったわけですけれども、今回の法案成立後の議論かもしれませんが、それが大きな議論になってくると思います。
 と申し上げて、それと今度矛盾するような問題提起ですけれども、神野先生がおっしゃったように、マクロ経済スライドが二〇〇九年財政検証以来かなり変質しているわけですよね。厚生年金にはほとんど掛からずに、基礎年金だけに延々とマクロ経済が掛かる仕組みに変質してしまっているわけです。ですので、このジレンマに悩まないといけないわけです。
 ですから、給付抑制を急いでせよと言いつつ、一方で基礎年金の給付水準の低下を食い止めろという矛盾したことを申し上げているようですけれども、これは本来、ビジョン型と申しますか、法案の中に余り入っていないですけれども、議論していかなければいけないところだと思っております。
 そういった議論は今後続いていくものと期待しておりますので、この法案について、各論として四点ほど申し上げていきたいと思います。
 一つが被用者保険の適用拡大であり、これは是非とも進めていただきたいと思っておりますし、従業員規模についても、今五十人で止まっていますが、これは企業負担、雇用の情勢を見極めながら順次引き下げていく、最終的にはゼロにすべきであると私は考えております。
 改善すべき点としては、一旦百人、五十人になったときに、執行面の問題ですね。例えば法人分割をしてしまうと、二百人のところが例えば九十九人と百一みたいになってしまうと、法人分割が抜け道になってしまうと思うんです。ですから、本当は従業員規模という外形基準でなくて実質基準として従業員規模を見ていかないといけないと思いますし、提案としては、被用者保険の適用拡大というテーマはいいんですが、実際の働き方とか就労形態は社会保険制度の想定を何歩先も進んでいると思います。
 健康機器メーカーでは、最近新聞でもさらば正社員というテーマで連載がありますけれども、正社員って一体何なんだというような課題が訪れているわけですね。副業、兼業も働き方改革の中で推奨されているわけです。ですので、複数のところから給与をもらうといった働き方が常態化してくる中で、今の社会保険制度の仕組みは、一つの事業所に正社員として勤めて朝晩働き、週五日通うというモデルが基本になっていますので、そうではなくて、複数の事業所から賃金をもらうといった働き方に対応させるべきであると思います。
 そうしますと、今の年金制度の執行状態というのは名寄せがうまくできていないですから、名寄せをして、複数のところで働いていてもきちんと被用者保険が適用されるという仕組みに転換していくべきであると思います。これが一点です。
 二点目は在老です。高齢者就労を促すという観点から、そのネックとなっている在老の見直しという方向性には私は賛成いたします。
 ただ、財源ですね。年間千億円ちょっと。小さいという説明もなされていますけれども、私は小さくないと思いますね。やはり代替財源の確保あってこその在職老齢年金見直しですので、ここは本来であれば、よく言われていますように、公的年金等控除の見直しによる財源確保なども併せながら在老の見直しをしていくべきであると思います。ですので、税の話とセットであろうかと思います。
 高在老についても今後議論が行われると思いますが、高在老につきましても、やはり税制とセットで、財源を確保しながらやっていくべきであると思います。
 三番目に、受給開始時期を、七十歳、今上限ですけれども、七十五歳にするという話。これについては、選択肢の拡大という肯定的な評価の反面、改善すべき点もあると思います。
 一つは、管理の難しさですね。年金機構の立場からしてみますと、六十八歳、六十九歳の方でまだ申請が来ていないと、いや、忘れているのかなと、あるいは繰延べしているのかなと気になるわけです。ほっておくと時効来てしまいますから、年金機構としても七十歳前の管理は難しいと思います。どうしても高齢になりますと認知機能も低下してくるというわけであって、忘れちゃうかもしれないんです。ですから、管理の難しさということが非常にある。
 これをクリアしていくのが今後の課題の一つであり、また、今、後期高齢者の医療保険の窓口自己負担、これを一割から二割に上げようと、で、所得水準をどこにするかという話がありましたけれども、これと関連してくるのではないかと思います。衆議院の附帯決議で、税、社会保険料が年金上がると上がってしまうよねという話がありましたが、窓口負担にも影響してくると思いますので。高齢期になると、慢性疾患抱えて毎月医療費が掛かるという方がおられると思います。そうしたときに、一割が仮にその年金が上がったことによって二割になってしまうと医療費が倍になりますので、ここを整合的に設計していかないと、税金、社会保険料負担の増加、医療機関の窓口負担の増加といった話を整合的に設計していかないといけないかなと思います。
 最後に、四つ目に、基礎年金の話です。ここはもう神野先生おっしゃったように、この給付水準の低下を何としても食い止めなければいけないと思います。思いますが、基礎年金は御案内のとおり半分税金ですので、税の話と一体でないとにっちもさっちもいきません。やはり、拠出期間延長の四十五年を提案しながらすぐにそれが後退してしまうのもやっぱり国庫負担が膨らむからであって、税金というととかく嫌われがちなんですけれども、社会保険料よりも税金の方が私は低所得者に優しいと思うんですね。所得税には課税最低限もありますし、消費税も的確な所得捕捉を行うことによって、例えばカナダ型のGSTクレジットのような形で逆進性対策を取ることもできます。
 ですので、近年、税の話が低調ですけれども、税も併せて議論しませんと、やはり社会保険というのは負担と給付が連動した財源調達手段ですので、税も併せて議論していかないとなかなか低所得者対策というのは難しいかなと思います。
 私の方からは以上です。御清聴ありがとうございました。

#9
○委員長(そのだ修光君) ありがとうございました。
 以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#10
○小川克巳君 自民党の小川克巳でございます。
 三人の参考人の方々、貴重な御意見頂戴しましてありがとうございました。
 それぞれの立場から思うところをおっしゃっていただいたわけですけれども、ちょっとお尋ねしたいのは、今回、被用者保険の適用拡大の中で企業規模要件についてのプログラムが明示されました。これによりますと、二〇二二年、それから二〇二四年というふうなことで、現行五百人超を最終的に二四年には五十人超にまでするということでございますけれども、この改正は、基本的に年金に関する部会については昨年内に開催されたというふうに理解しておりますけれども、そういう意味でいうならば、いわゆる今回のコロナショックを想定しない中でのお話であったのかなというふうに思ったりしております。
 そういう中で、今回のコロナショックを踏まえて、経済が非常に不安定になっている状況の中で、この二二年、二四年というステップが果たしてどうなのかということについて御意見を、神野参考人、それから井上参考人にお伺いしたいと思います。特に、あわせて、従業員のカウント、これが問題になると思うんですけれども、この辺りについても少しお話し願えればと思います。

#11
○参考人(神野直彦君) どうもありがとうございました。
 それで、私どもがというか、年金部会の結論として一応五十人ということを目指すということにした理由は、既に御案内かと思いますけれども、本来、企業規模について言えば、いかなる企業であろうとも雇用する主体としての責任としてやるべきなんだけれども、今様々な、特に規模の小さい企業ではいろいろな問題があるので、それを、この両方の要請を和解させるような形で、今現実には五十人という目標を設定いたしております。
 もちろん、コロナ危機のようなパンデミックが生じないということを想定しているわけではありませんが、ただ、私は、先ほども申し上げましたように、セーフティーネットはむしろきめ細かにやっていくということが重要なので、こういうパンデミックみたいなときにこそですね。本来、これは当然のことですけれども、セーフティーネット機能を強めるということからいっても、それからこの制度を持続可能にしていくという面からいっても、両方の面からいって必要なことなので、これは着実に実行していくべきものではないかと思います。
 年金の改革も、そもそも年金制度ができたのが、日本でいえば一九四一年、戦争中ですし、それからベバリッジ報告が出たのも戦争中です。全て危機のときに国民のための生活のセーフティーネットをつくるために行われていることですので、これは、先ほど申し上げましたけれども、なるべく網の目を小さくして、そしてセーフティーネットを大きく範囲を広げていくという努力を着実に続けていくべきではないかと思いますので、私としては、私の意見といいましょうか、コロナウイルスを想定して財政部会は議論しておりませんので私の個人的な見解になりますが、むしろ着実にやっていくということが国民を安心させることではないかというふうに思っております。

#12
○参考人(井上隆君) ありがとうございます。
 コロナショックの対応につきましては、別途、既に第一次補正、第二次補正の議論も今進んでいるというふうに認識をしております。コロナの状況がこれから経済にどのような影響を与えるかというのは、多分誰も予想し得ない状況であると思います。
 確かに、この審議会の議論の中では、今、神野先生、参考人からありましたとおり、コロナを前提とした議論ではございませんけれども、やはり年金制度の改革というのは着実にやはりこれは前に進める、それと同時にコロナに対してもちゃんとした対策を取っていくと、これを並行して進めていくべきだと思いますので、今回のこの適用の拡大は妥当なものだというふうに考えております。

#13
○小川克巳君 ありがとうございます。
 おっしゃるとおりかと思いますが、被用者保険、いろいろ要件付けるべきではない、基本的にはですね、付けるべきではなくて、被用者は全て被用者保険に加入できるという形が一番いいんだろうというふうに思っているわけですけれども、今回その企業規模要件を付けられて、これがいずれ最終的にやっぱり今申し上げましたように要件を撤廃していくという方向性になるとしたらば、小規模事業者あるいは個人事業者、こういった方々に対する保険料負担というのはかなりのものになるのかなというふうにも思いますが、この負担を軽減するための方策として何か考えられていることというのはあるんでしょうか、神野参考人。

#14
○参考人(神野直彦君) コロナ対策としては別途、ちょっと私、全部承知しておりませんが、税なり、それから社会保険料なりの猶予とか、そういう政策は打たれるだろうというふうに思っておりますが……

#15
○小川克巳君 済みません、コロナにかかわらずということです。

#16
○参考人(神野直彦君) かかわらずということですね。ということであれば、様々なサポートということについては行うべき、中小企業等々への対策等々を行うべきことは盛り込んでございます。盛り込んでございますというか、我々の方としては要請して、それとセットになって、先ほども言いましたように、本来やるべきこととそうした支援との両方を和解させるという意味で五十人にし、かつ、そのためになるべく進めるような形でサポートもしていきましょうということを提案をいたしております。

#17
○小川克巳君 ありがとうございます。
 今回の改定、その勤務期間要件を除いて、労働時間の要件、賃金要件、学生除外要件等、現状維持ということにされています。このことについて御説明いただけますでしょうか。

#18
○参考人(神野直彦君) それぞれちょっと事情ございますけれども、時間ですね、時間について言うと、これまでと変わらないことで前提にしてやるべきだということと、それから、賃金についてはこのままでいいんじゃないかと。これは、賃金要件について言えば、最賃等々の動きも見据えながら、これ以上引き下げるということについて言えば、逆に不公平が生じる可能性もあるということなどを考えて、この要件はそのまま据え置くということにしながら企業規模要件で改正を提案しているということでございます。

#19
○小川克巳君 では、西沢参考人にお伺いします。
 西沢参考人の、手元にある資料ですけれども、これ、ファイナンシャル・アドバイザーという二〇二〇年の雑誌でインタビューを受けられておられまして、その文面を拝見しますと、今回、先ほどもちょっと触れられましたけれども、いわゆる年金財政の健全化ということが抜けているんじゃないかというふうなことを強く指摘をされておられます。
 この健全化をしていくためにマクロ経済スライドをしっかりと働かせることが必要だというふうな御指摘でございますけれども、そのために、今回といいますか、名目下限措置をそのまま残したということが問題だというふうに御指摘をいただいています。この辺り、ちょっともう少し、簡単に説明していただけますでしょうか。

#20
○参考人(西沢和彦君) ありがとうございます。
 二〇〇四年改正でマクロ経済スライドが導入され、そのときの想定では、当時、所得代替率は五九・三%であったものを二〇二三年度まで掛けて五〇・二まで引き下げるという想定でした。ですから、今二〇二〇年ですので、当初の想定ですと、もう五〇%強ぐらいにまで本当は所得代替率は下がっているはずだったわけです。ところが、今足下では六一・七ということだと思いますが、一〇%ポイント程度上振れしてしまっています。これは、積立金の前倒しでの取崩しによって給付を行っていることに等しくなっております。
 ですので、今回の財政検証のケース六では、二〇〇〇年代半ばには積立金が枯渇し完全な賦課方式に移行するというシナリオも出ています。それは決して必ずしも極度に悲観的なシナリオではなくて、当然あり得べき、可能性として高いものだと思われます。したがいまして、それを避けるためにも名目下限措置を外しておくべきだというふうにお話しした次第です。

#21
○小川克巳君 それと併せて、基礎年金額、先ほどもほかの参考人からもお話出ましたけれども、この基礎年金額の低下が余儀なくされるということがありまして、そうなってくるといわゆる貧困に直結するというふうな御指摘もされておられます。特に貧困、高齢女性の貧困化がシビアになるんじゃないかというふうなことでもございますけれども、そうした方々が増えるということの予想に対して、それを防ぐ、あるいはその支援をしていくという具体的なその対応策といったもの、まあこれは政治家が考えるべきだと言われればもうそこはそうなんだと思いますけれども、何か御提案等がありましたら。

#22
○参考人(西沢和彦君) これは、神野先生のおっしゃったビジョン型と問題提起型の二つに分けますと、まず問題提起型からいいますと、今回この衆議院の附帯決議にもある加入期間延長というのは一つの手かなと思います。また、マクロ経済スライドについては悩ましいんですが、私は、本来、二階の厚生年金の方をより大きくカットして、基礎年金については極力維持していくと。で、新規裁定、既裁定、両方とも手厚くするのが無理であれば、例えば既裁定だけでもマクロ経済スライドを外せないか。やはり、年金もらい始めてから物価の伸びに追い付いていくのは非常に苦しいと思うんですね。そこを確実な税の、税による財源の確保とセットで悩んでいくということかと思います。
 ビジョン型に関しましては、私は、税で賄った方が再分配効果が強く効きますので、できれば税で賄っていった方がいいかなと思っております。

#23
○小川克巳君 ちょっと時間がもうないんですけれども、西沢参考人ですね。
 老齢年金というのは高齢者に支給するものだから、代替財源としてはやはり高齢者に求めるということで、年金課税の強化をしろというふうなことをおっしゃっているわけですけれども、この辺りは今御説明いただいたこととリンクするという考え方でよろしいんでしょうか。

#24
○参考人(西沢和彦君) 今回、低在老に限ってではありますが、給付財源は積立金なんですね。積立金は、本来、将来世代の利益のために残しておくべきものであって、今の年金受給者に年金を給付する財源はやっぱり今の年金受給者層から頂戴をしたいと。とすれば、公的年金等控除の見直しによる税収確保が私はふさわしいのかなと思っております。

#25
○小川克巳君 時間です。終わります。ありがとうございました。

#26
○足立信也君 お三方、どうもありがとうございます。
 国民民主党の足立信也です。共同会派に属しております。
 特に、神野先生、西沢さんには常日頃から大変お世話になっています。ありがとうございます。
 前回の委員会で、私も今までの議論の流れということの整理からスタートしたんですが、二〇〇四年の改正以降、二〇〇七年の福田内閣の社会保障国民会議、それから二〇一二年、野田内閣の社会保障制度改革国民会議、これにはお二方が参加されています。で、この会議だけ報告書が作られております。で、二〇一四年の安倍内閣の社会保障制度改革推進会議、これも神野先生入られていますが、その中で、お二方が社会保障制度改革国民会議に属されていたということで、まずお二方に質問したいと思います。
 先ほど、財政検証は機能していると、神野先生にまずお伺いしたいんですが、機能している。それに基づいて、改革国民会議の報告書からプログラム法ができた中で、残された課題、基礎年金については一旦二〇一六年にけりが付いた、残された課題、その中で二つの大きな柱という話がさっきあったわけですが、その前提である財政検証についてなんですけど、二〇一九年、昨年の段階で、私質問したときも、これ軸にしている全要素生産性、TFPの上昇率〇・五%、二〇一八年はという話だったんですが、前回質問で二〇一八年度は〇・三%だったと。これは財政検証のケース六ですね。〇・五%であればケース五と六の間なのでまだいいかなと私は思っていたんですけれども、〇・三だったということは、二〇一九年、二〇年度、更に低い、いや、ひょっとしてマイナスかなと、そこにコロナが加わるわけで。
 神野先生にまずお聞きしたいのは、この財政検証ですね、この前の質問でも五年間はやらないような話に近かったんですが、この状況下で財政検証を五年待たずに前倒しの必要性ということについてはどのように考えられますか。

#27
○参考人(神野直彦君) まず、誤解があるかもしれませんのでちょっと繰り返しておくと、財政検証をやった結果二〇〇四年の財政のフレームワークが機能しているということを申し上げたので、その財政検証のやり方云々とかということを言ったのではなく、検証したらば、テストを掛けてみたらばちゃんと機能しているということができたので、それを前提に、より精緻なものにする改革を進めていますというお話をしたということでございます。
 財政検証をやる場合に、先ほど申し上げましたけれども、百年間の予測等々を含めて質的な問題というのは入れていないというふうに理解しております。当然のことながら、百年たてば大きく変わることは間違いないわけですね。なんだけれども、それは一応、そういうことは腹に含んでおきながら、当面この制度が同じような状況でもって動くかどうか、前提でもって動くかどうかということを財政検証はやっているんだと思います。
 それで、確かにおっしゃるとおり、これよく分かりませんけれど、私も、多分、このコロナウイルスという未知の病による感染症によって世界の構造も日本の構造も大きく変化をするということになるのかもしれません。ただ、大きければ大きいほど、それで次にどういう構造ができ上がっていくのかということを見通すのに、私は少なくとも二、三年待たないと無理だろうというふうに考えています。
 私は失明を回避するために毎回毎回手術をするんですが、手術をした後は、半年間は眼鏡を作るのをやめてくださいと言われるんです。それは、視力がどういう形で落ち着いてくるかというのを見るのに時間が掛かるからですね。
 私は、今、どういう構造変化が起きるのか分からない状況の下でもって財政検証を頻繁にというか、やり直してみたところで、余り意味がないんじゃないかと。もう少しこのコロナウイルスに伴う、あるいはもっとその前からあった見通しが立たないような状況にあったものが一応の落ち着きを見せるというときまで待つべきで、少なくとも二、三年。したがって、財政検証で検討するのであれば、次の財政検証のときまで待っても大丈夫なんじゃないかというふうに考えています。

#28
○足立信也君 神野先生は、二十世紀の最終盤、あるいは二十一世紀になって格差と貧困が大きな問題だというふうに捉えられていまして、先ほども社会間の連帯意識の低下ということをおっしゃられました。先生はファミレス社会と、ファミリーレスだということをおっしゃっていますが。
 そんな中で、もう一旦二〇一六年に解決したと思われるその基礎年金部分の話ですが、これは生活の基礎的な部分を保障する機能とともに、所得再分配機能、これが大きいということです。それは、格差と貧困が広がる中で、この基礎年金、今回はこの法案のところには入っておりませんが、これ、手段としては、マクロ経済スライド調整を早く終わらせるか、あるいは基礎年金部分を底上げするかという話になってくるんですが、この格差と貧困の解決策としての基礎年金の今後の必要な改革というものは、特に所得再分配機能を考えた場合にどのようにお考えでしょうか。

#29
○参考人(神野直彦君) 基礎年金の問題については、年金部会の方で検討したときもいろいろな考え方があって、言わばまとまっていないと。これは、先ほども西沢さんからお話がありましたけれども、税の問題とかそういうような含めてどういう改革をやっていくのかと、私の言葉を使えば、もうビジョン型改革に踏み込まないと駄目なのかどうか含めて、いろんな意見があるかと思います。ビジョン型改革といっても、それはいろんなプランがありますので、いろんなプランがあるかというふうに思っております。
 ただ、現在の日本の基礎年金というのは、一つは所得再分配効果を持つ、被用者保険の中ではそういう効果を持ちますが、同時に、この年金制度ではラストリゾートなんですね。だから強めておかなくちゃいけないというふうに私は考えています。
 それで、年金には御案内のとおり二つの考え方があって、一つはビスマルク型年金ですね。これは、負担の方は大体全ての国で所得比例ですから、所得比例で負担を集めておいて所得比例で配りますよ。この意味は何かというと、年金の意味が、リタイアした後、つまり賃金を正当な理由で失ったときに、現役世代のときとリタイアしたときの生活水準をなるべく変わらないようにしましょう、あるいは一定の程度で抑えましょうという観点から議論している、つくられていると思います。それに対して、ベバレッジ報告のベバレッジ年金と言われているのは、所得比例で集めておいて定額にしかやりません。したがって、所得再分配機能が最も強いというか、強く働くわけですね。
 日本の被用者年金の方について言えば、これはハイブリッドで、合わさっているんです。したがって、国民が一体どういう、つまり、先ほど言いましたように、再分配効果をどの程度重視するか、それから現役のときとの生活水準の差異をどの程度を考えるか。つまり、私は、いずれにしても、この制度を維持しようとする限りは、基礎年金とそれから厚生年金とのバランスをまずどう考えるか、つまり、ベバレッジ型とそれからビスマルク型の年金のそれぞれのいいところをなるべく生かしながらやっていくという、その和解のさせ方がポイントではないかというふうに考えています。

#30
○足立信也君 次は、西沢さんにお伺いします。
 先ほどの御説明の中で、各論の四点目、五点目、窓口負担割合と受給開始年齢、それから基礎年金は税も併せて議論すべき、これは極めて大事な指摘だったと、そう思っています。
 今の神野先生にお伺いした後半部分と重なるんですが、被用者保険の適用拡大と基礎年金のことです。
 本来、これは経過措置であって、企業規模要件は本来ないわけです。オプション試算でも百人とか五十人のオプション試算はなかったわけです、今回。そこで、説明として、被用者保険の適用拡大、これが基礎年金に及ぼす効果、これをどのように御説明されますか。お願いします。

#31
○参考人(西沢和彦君) テクニカルですけれども、国民年金の加入者が厚生年金に入ることによって、国民年金に積立金を残したまま、お土産に残したまま厚生年金に移りますから、国民年金の財政状況は好転する、それをもって基礎年金の給付水準が上がるというテクニカルな説明だと思います。
 それでよろしいでしょうか。

#32
○足立信也君 じゃ、最後に井上参考人にお伺いしますが、今、資金運用部会の委員で、部会長は神野先生ですけれども、ちょっと答えにくい質問かもしれませんけれども、運用、当然、今回の見直しも少しありましたし、コロナ禍ですね、このコロナ禍の見通しは非常に難しいとは思いますが、ポストコロナも含めて運用の在り方というものはどういう視点から、難しいですね、何を考えるべきか。いかがでしょう、部会長の前でお答えにくいかもしれませんが。

#33
○参考人(井上隆君) もとより年金の運用はもう超長期でございますので、もしかするとコロナというのは、運用の中でいえばまだ短期の部類に入るんではないかと。もうまさに百年の運用を考えるということでありますので、当然のことながら、一番重要なのは被用者のためにリスク分散をしていくということしかないというふうに思います。

#34
○足立信也君 かなり難しい話だったと思いますが、じゃ、あともう一分になりましたので、西沢さんにですね。
 部会のメンバーではない中で、外部から見て先ほど足りないところという話がありました、今回の議論ではですね。それがビジョンではないということで前提なんですが、今議論してほしかったなと西沢さんがお考えになっているところはやっぱりどこですか。

#35
○参考人(西沢和彦君) 二つ。一つは、やはり基礎年金は半分税ですので、税の話ですね、税がなければやはり安定しないということと、あと、先ほど小川先生からお話ありましたけれども、人生百年時代でやはり高齢貧困女性が増えていく中で、延々とマクロ経済スライドが基礎年金に掛かるのはやはり厳しいと思いますから、そこにこの問題提起型だけではないビジョン型の議論をやっていただければ良かったかなとは思います。

#36
○足立信也君 ありがとうございました。

#37
○平木大作君 公明党の平木大作でございます。
 本日は、三人の参考人の皆様、大変貴重なお話を聞かせていただきましてありがとうございます。
 早速質問に移らせていただきたいと思います。
 今回の国民年金法の改正案の審議におきましても、二〇〇四年からのこれまでの改革の積み上げですとか、あるいは前回の改正からの変更点、進捗点、そういったところを確認しながら議論が進んできたというふうに思っております。
 一番近いところ、前回のこの年金改革法のところからの差分ということでいきますと、やっぱり一番大きかったのはこの被用者年金の適用拡大、ここが、五百人以下のいわゆるところまで規模要件上げることによってどうなるのかと、実際に働いている方たちはどんな選択をするのかということを我々も固唾をのんで見守っていたわけでありますが、結果としては、特にこの第三号被保険者の皆様のうち、労働時間を短縮した人よりはむしろ延ばして保険加入選択した人の方が多かったというのは非常に肯定的に捉えるべきやっぱり結果だったんだろうというふうに思っています。
 そういうことも、今回、では次のステップということで進んできたわけでありますが、では、改めてちょっとこれは是非三人の参考人の皆様からお伺いしたいんですが、仮に今審議しているこの国民年金法の改正案、成立をして施行されたとして、次の改正のタイミング、次のステップですね、あるいは次の財政検証、二〇二四年になりますか、この次のタイミングでここを是非注目しているんだと、あるいは注目しておいてほしい、ここを見ておいてほしいというポイント、当然この適用拡大のところもあるかと思うんですけれども、ここも含めて何かほかの点も、ここを実は今一番注目していますというものがありましたら教えていただけたらと思います。神野参考人から順にお願いできればと思います。

#38
○参考人(神野直彦君) これは繰り返しになるかもしれませんが、先ほど私が課題として残したところ、二点ございます。
 様々な現実を和解させるために今できることを今やったつもりなんですけれども、まだ引き続き努力しなくてはいけないところとして、先ほど指摘させていただきましたように、適用拡大というよりも、なるべく被用者には、被用されている人は全てのセーフティーネットが掛かるように広げていくということと、それからもう一つは、先ほど来ちょっと議論になっている基礎年金問題ですね。これ、どういうふうに、再分配とかいろんなその基礎年金の持っているレゾンデートルを考えながらどういう改正をしていくのかということが、今現時点で次なりなんなりの重要な課題になるのではないかというふうに考えています。

#39
○参考人(井上隆君) ありがとうございます。
 公的年金につきましては、やはり長期的な財政均衡を図るということが一番重要だと思います。それで持続可能性を高めていくということが重要だと思います。
 そういう面で、これまで負担面の改革というのは着実に進んでいったわけですけれども、マクロ経済スライドも含めて給付面の対応というのはちょっと今、いま一つ進んでいない面もあるというところは一つの課題かなというふうに考えております。
 それから、適用拡大につきましては、まさにこれは最終的には従業員の数ということではなくて、どなたでもという形に持っていくべきだというふうに思います。
 もう一つは、社会保障の年金制度から出ますけれども、やはり税制面の手当てというものが重要な課題になってくるのではないかなというふうに思います。
 以上でございます。

#40
○参考人(西沢和彦君) 次のステップに向けましては、一つ、私、目標設定を変えることが重要だと思います。今はモデル世帯の所得代替率五〇%超が目標になっていますが、御案内のとおり、分母が男性の給与一人分で分子が夫婦世帯の基礎年金入ったもので、かなりずれてきていますし、五〇って一体何なんだと、四九じゃいけないのかという、五〇がシンボリックになり過ぎていますので、むしろその基礎年金の絶対額ですとか貧困率の改善といった目標設定を見直してからやるべきかなと思っております。それが一つ。
 二つ目は、日本年金機構の運営の更なる改善です。今回も、未適用事業所にも捜査入れるように法律入っていて非常にすばらしいことだと思いますが、更にこれを発展させていって、先ほど申し上げた名寄せですね。今は、事業所から被用者保険適用届を出してもらうと、資格取得届出してもらわないと被保険者になれないですから、そうではなくて、いや、自分がもう被用者だと思ったらその人本人にその被用者保険の資格取得の権利を与えてもいいと思うんですね。で、複数事業所で働いてもきちんと適用できるように名寄せを使う、マイナンバーや基礎年金番号使って。そういった執行機関の見直しをどんどんやってもらったらいいと思います。
 最後に、三つ目ですけれども、やはり、経済前提の話が出ましたが、私もコロナについては少し様子を見る必要があると思います。これまでも、二〇〇八年にリーマンがあって、二〇一一年に東日本があって、かなりショックと言われるものがかなり重なってきています。ですので、もう少し経済に与える影響を見ながら、財政検証については次に向けてもう少し私は控えめにやってもいいと思いますので、控えめにやっていったらいいと思います。
 以上です。

#41
○平木大作君 ありがとうございました。
 その上で、まずは神野先生にお伺いしたいんですが、一番最初にこれまでの改革の経緯も含めて整理をしていただきました。
 基本的には、今のこの年金の見直しの在り方というのは、漸進的なアプローチというんでしょうか、少しずついわゆる今できること、やるべきことを積み上げていくんだというお話をいただいて、長時間を費やしてやっていかなきゃいけないものであるというお話もいただいて、私もそのとおりだなと思う反面、一個だけ、やっぱりこれジレンマの部分もあるかなと思っていまして、このいわゆる年金を給付を受ける人たちの方を見回したときに、やはり明らかに心配な方たちがいらっしゃる。
 例えば、年金部会の議論の論点整理の中にも書いてありますけど、単身世帯ですとか就職氷河期の皆さん、こういった方たちというのはやっぱり将来の無年金、低年金というのが心配されるんだということで特出しで書いてあるわけでありますが、特にこの就職氷河期の皆さんとかって、ちょうど私同世代なので身につまされるところがありまして、大体今三十代後半から四十代半ば。そういう意味でいくと、余り時間を掛けていられないかなというふうにも一方で思うわけであります。
 この方たち、今少しずつ正社員化とか様々な取組をやっているところでありますけれども、事年金というところに関して言うと待ったなしだなという中にあって、何かもし具体的な御提言ありましたらお聞かせいただけたらと思うんですが、いかがでしょうか。

#42
○参考人(神野直彦君) 特に新しいというわけじゃないんですけれども、一番重要なのは、そういう問題意識からいって、適用拡大というのが一番重要なのではないかと思っております。そもそも、被用者といいましょうか、労働市場で働いているにもかかわらず被用者保険の方に入れない人たちをなるべく網の目の中に入っていく、抱えていくということが重要だと思います。
 ちょっとこれ、私の個人的な意見なんですけれども、確かに、日本の貧困だと言われていたことについて言えば、これまで女性の貧困だと言われていたのは、高齢者のうち女性で単身者と言うと怒られちゃいますが、一人家族という方が大体四〇%ぐらいで、あっ、高齢者の中の話ですよ。その方々が、言わば社会保険といいましょうか、セーフティーネットに入れないという状態の場合が多かったので、あっ、これ離婚をした場合です、死別じゃなくてですね。
 ところが、現在ちょっと変わってきているのは男性の方なんですね。単身世帯でお暮らしになっている高齢者の六割が、これが一回も、こう言っちゃあれ、結婚されていない方なんですね。つまり、日本のような社会ではこれまでずっとジェンダーバイアスありましたので、女性を扶養できない人々は、つまり、その人たちは自分でも社会保険入っていないのでどうするかという問題が出てきておりますので、とにかく社会保険のネットの中にそういう人たちを積み込んでいくというのが一番重要だというふうに考えています。
 あとは、私、七十一を過ぎまして、平均健康寿命を突破しているわけですね。そうすると、生まれて初めての経験ですから非常に戸惑うことばかりなんですけれども、前から主張していたんですが、むしろ社会保険国家からこれから社会サービス国家に移行していく必要があるんじゃないかという提唱をしていたんですが、高齢者になって分かることは、お金をもらうということよりもと言っては変ですけど、やっぱりサービスを充実させてもらうというのがポイントだというふうに思っていますので、年金制度の周りの社会保障制度ですね、様々なサービス給付というようなことを含めて、環境づくりというか、それがどの程度あるかということによっても年金額決まってきますので、そこを考えることが重要だと思います。
 私の父は今百二歳、母は九十五歳です。そうすると、老老介護になっていったときに何が大変かというと、サービスなんですよ。徘回しちゃうとか、どうやって止めるかといってひもを付けておくわけにいかないわけで、どうしてもやっぱりサービス給付を充実させてもらう、で、それとセットで、年金みたいな現金給付とサービス給付とをセットで高齢者の生活を支えるということが重要なのではないかというふうに思っています。

#43
○平木大作君 次に、井上参考人にお伺いしたいと思います。
 今日、せっかく経済界を代表して来ていただいていますので、改めてちょっとこの年金、本題とはずれるかもしれないんですが、この法案の審査の中でも、いわゆる高齢者の就業機会の確保ということについて年金制度の面から議論をしたわけでありますが、年金とか賃金以外にも実は、この就労意欲のある高齢者の皆さん、シニア世代の皆さんの後押しをしてあげられるようなことってもっと実はあるんじゃないかという問題意識を持っております。
   〔委員長退席、理事石田昌宏君着席〕
 実際に、これレポートの中にも書いていただいていたと思うんですが、六十五歳以上の方、非正規として働く六十五歳以上の方の声として一番多いのがやっぱり自分の都合のいい時間に働きたいということだそうですから、そういう意味でいくと、そもそもの勤務シフトみたいなものが合わないから出てこないという方もいらっしゃるわけでありまして、こういった点、何かもし、例えばこんなことをやると増えるんじゃないか、御提言がありましたらお聞かせいただきたいと思います。

#44
○参考人(井上隆君) 今回のコロナウイルスの一連の動きで、働き方の改革というのがまた一段とスピードを上げて進むというふうに思います。テレワーク始め時差出勤、あるいは勤務の交代制で出勤をするとか、あるいは週休三日を考えるとか、そういうことをもう実際にこの緊急事態宣言の下で進めた企業もありますし、これは、考えようによってはもう全くこれまでと違った、高齢者にとってもプラスになる改革というのが進む可能性があると思います。
 今回のコロナウイルスのあれをきっかけとして、デジタル化についてはこれはやっぱり高齢者の方にはそのリカレント教育のようなものも必要になってきますけれども、やはり働き方の面で、日本のこれまでの働き方というのを大きく変えていくというとてもいいきっかけとなっているので、そこを一つの奇貨として高齢者の就労も促進をしていくということは考えられると思います。

#45
○平木大作君 ありがとうございました。
 済みません、西沢参考人にもお伺いしたかったんですが、ちょっと時間が参りましたので、ここで終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

#46
○梅村聡君 日本維新の会の梅村聡です。
 今日は、三人の参考人の皆様から貴重なお話を聞かせていただきましてありがとうございます。
 今回、順番にお聞きさせていただきたいと思いますが、最初、神野参考人にお伺いをしたいと思います。
 今回一番大きな改正は被用者保険の適用拡大だということになりますが、それでも、これ百人超規模まで拡大しても二号者保険に入る方は四十五万人だと、それから五十人超まで二〇二四年に拡大しても六十五万人ということで、逆に言うと、圧倒的な短時間労働の方、例えば週二十時間未満の方とか、あるいは企業規模が小さい方々は引き続き一号被保険者あるいは三号被保険者にとどまっていくと。今回その拡大することは非常にセーフティーネットからは大事なことだというふうにおっしゃっておられますけど、逆に言うと、まだまだそこのセーフティーネットに入っておられない方、この方がまだまだたくさん残っておられると。残っているというか、その方々のセーフティーネットもしっかり考えていかないといけないということだと思っております。
 現時点でも、ちょっと分けてお話をしたいと思うんですけど、第一号被保険者の方は千四百万人おられまして、この方々は、昔は厚生年金に入っていたけれども今は国民年金だとか、いろんなパターンがあるかと思いますけれども、現実的にこの方々、将来に向けて基礎年金以外の手だてとすれば、例えば国民年金基金に入るという方法もありますし、それからiDeCoもありますけれども、結局これも、国民年金基金に入っておられる方が三十六万人、iDeCoに加入の方が十七万人ということで、やっぱりほとんどの方が新たな積み上げの部分というのもない状況であるということが数字的には明らかになってきています。
   〔理事石田昌宏君退席、委員長着席〕
 ちょっとこれ、海外の事例なんかも是非知見があれば教えていただきたいんですが、ちょっと分けて考えますと、一つは、一号被保険者というのは自営業、まあフリーランスの方おられます、このパターンの方と、それから短時間労働者の方の一号被保険者という方がおられると思うんですが、こういう方々へのセーフティーネットというのは例えば海外なんかではどういう形で保障する、どういう形のシステムがあるのかということをちょっと知見があれば教えていただきたいと思います。

#47
○参考人(神野直彦君) これはなかなか難しいというか、比較の仕方はなかなか難しいんですが、被用者の方は被用者保険に入るとして、被用者でない方ですね、自営業で農業をやられているとか商工業をおやりになられているという方を年金のネットの中にどうやって組み込んでいくのかというのは各国とも悩んでいるというふうに言っていいだろうと思います。言い古された言葉で言うと、よく赤、つまり労働者と緑、つまり農民、自営業者の方が年金制度を連帯するということはなかなか難しいと言われていて、それを成功してやったと言われているのは、北欧型と言われているスウェーデンのあのパターンみたいなものが多分、唯一とは言いませんが、だろうと思っています。ほかの国はどうしても取り込み方が非常に難しくて苦労しているというのが実態ではないかと思います。
 年金の保険料の取り方とかなんとかも、日本のように定額で国民年金の場合は取るわけですけれども、基本的にはですね。そうじゃないやり方で取ると、フランスなんかはそうなんですが、組み込みやすそうに見えるんですが、ここもなかなか結構大変なんですね、実際には。なので、私の知る限りは、ここはなかなか難しいかなというふうに思っています。

#48
○梅村聡君 ありがとうございます。
 結局、そこのところが、やっぱりどう解決していくかということが将来的な高齢者の貧困対策を考える意味でも物すごく大切な論点だと思います。
 今おっしゃっていただいた北欧型というのは、恐らく税部分で最低をどうしていくかとかいう、そういう議論もあるんだと思うんですけれども、今度は、じゃ、逆にこの三号被保険者の問題で、今回の審議の中でも、三号被保険者の方でも、労働時間を調整するんじゃなくてもう延ばして社会保険に入っていこうという方が多いというふうに言われていますけれども、神野参考人としては、この第三号被保険者、これは、これからの中長期的に見ればどうしていくべきかとお考えか、これもお聞かせください。

#49
○参考人(神野直彦君) これも個人的な意見になるかと思いますが、私の場合には、年金の権利ですね、年金権、これは全ての人間に割り当てるべきだというふうに考えています。そのことは、先ほども最初に申し上げましたけれども、これまでは家族でお互いに助け合おう、高齢者やなんか助け合おうねとやっていたのがうまくいかなくなっているわけですから、世帯単位でやってもしようがないわけですね。つまり、そもそもの家族というのがセーフティーネット機能を果たせなくなっているという現状の下に年金というのをつくるわけですから、個人個人に年金を割り当てていく、この個人個人の年金を割り当てていくという観点から三号被保険者問題は大きな意味で考えていくべきだろうというふうに思っております。
 幾つかの提言はしておりますが、私の方はしておりますけれども、ちょっとこれは私の個人的な意見なので、考え方としては、全ての国民に権限を当てはめるということを基礎に考えていくということが重要かなと思っています。

#50
○梅村聡君 社会との関わりという形でまた決まっていくんだということだと思います。ありがとうございました。
 それでは、井上参考人からもお伺いをしたいと思いますが、今回の被用者保険の適用拡大に関しては賛成であるという意見表明をされましたが、一方で、やっぱり事業主側から見れば、年金もそうですし、それから今回健康保険も、これは保険料の負担が事業主側からいえば増えるということになると思いますが、これ将来的に、じゃ、この規模要件ですね、五十人超規模まで広げることを更に拡大していくとなれば、これ相当、事業主側から見れば、事業計画も含めて、人繰りも含めて変わっていくんじゃないかなと、そういう意見も出てくるかと思いますが、この辺りの御見解をお伺いしたいと思います。

#51
○参考人(井上隆君) ありがとうございます。
 経団連といたしましては、働き方の多様化に備えて、最終的には全ての被用者に対して保険を適用すべきだというふうに考えておりますけれども、やはり特に中小企業に対するその負担というのが非常にやはり、先生今おっしゃられたように大きいものになります。
 今回、そういうことも踏まえてこういう段階的にということになっているわけですけれども、やはり中小企業の生産性を上げていくと、抜本的に上げていくということとセットでやらないと、やはり単に拡大をしていって単に一方的にその中小だけの負担が増えてしまうということになっては、かえって雇用の面とか様々な経営の中長期的な在り方について影響が出てきますので、そこは必ずセットで考えていくべきだというふうに思います。

#52
○梅村聡君 そのことがやっぱり日本経済全体の活力を考えれば非常に重要な観点だと思いますので、我々も留意していきたいと思っております。
 それでは、最後に西沢参考人にお伺いしたいと思いますが、今回、在職老齢年金が六十歳から六十四歳の基準額を上げるということで、これは一つ、六十五歳以上と合わさったということになるかと思いますが、確認なんですが、まず、その財源問題がクリアできれば基本的にはこの在職老齢年金は廃止をしていくべきだということでよろしいですか。

#53
○参考人(西沢和彦君) 財源が確保できれば廃止してもいいと、廃止したらいいと思います。

#54
○梅村聡君 その場合も、これも確認になるんですが、高齢者の方ですね、今は賃金と年金額の合計でこれ以上だったら年金を支給しようという形になると思いますが、これ、実は考え方としたら高齢者の方のフローを見ているわけですよね。その人が、どういうんですか、裕福かどうか、生活に余裕があるかどうかというのは、フローだけではなくてストックも含めてどう考えるかだと思うんですが、現時点ではそこは目が付いていないというか、そこはチェックされていないんですけれども、こういう問題に関しては、やっぱりマイナンバー等を使ってそこの調整も必要だというふうにお考えですかね。

#55
○参考人(西沢和彦君) おっしゃるとおりだと思います。今の在老はフローの賃金と年金だけで判定していますので、税制であれば資産にも課税されます。ところが、今はストックについては、銀行口座にはマイナンバー付番が義務付けられていませんし、また、固定資産については所有者不明土地も言われるぐらいで、そこもひも付いていません。ですので、本来はマイナンバーを固定資産、金融資産にひも付けしてストックの課税を強化していくべきだと思います。

#56
○梅村聡君 我々維新の会も、実はそのマイナンバーをもっと活用して、本当にそのフローだけに注目する今までのやり方というのを変えていこうということを実は提案をしております。
 その中で、もう一点あるんですが、実は歳入庁というもの、これも過去にいろいろ議論をされてきたんですが、先生のお考えでこの歳入庁、これは要するに、今国税が徴収業務をしていることと、それから日本年金機構なんかが徴収、それからさらには記録等も含まれているもの、これを一体化していこうということについては先生のお考えはいかがでしょうか。

#57
○参考人(西沢和彦君) 私は、行政機関の一元化ではなくて機能の一元化をしたらいいと思うんですね。この行政機能の一元化というと、全く進まなくて、機能については一元化していくべきであると。住民税の特別徴収と所得税の源泉徴収は一体化した方がいいと思いますし、また、コロナの給付金でも明らかになりましたが、リアルタイムで収入が減った人を捕捉できないと。
 今の国税の機能というのは税金を取るに値する人の所得情報を把握する機関でしかないから、課税最低限以下の人の把握していないですね。市町村は、前年の所得を翌年になって初めて報告を受ける。日本年金機構は、標準報酬、標準賞与という仕組みを使ってラフな形での収入捕捉でしかない。ですから、課税最低限を下回るような人たちの所得を、税金取れないんですけど、リアルタイムで捕捉していくという機能の一元化、そうしないと多分、歳入庁という組織の一元化から入ると私進まないと思っています。

#58
○梅村聡君 過去の政府の答弁も実はそうで、公務員型と非公務員型を合体させると、これは要するに今の改革に逆行するとかそっちの方の話が出てくるんですけれども、そうではなくて、しっかり一元化した機能を持っていくことが大事だと思いますし、それから、今回も実は、年金機構の立入検査も要するに国税のデータをもらってやっているわけですから、一緒にやっていった方が効率がいいんじゃないかなというふうなこと、こういうことを維新の会としても今提案をしておりますので、また今後御教示を様々いただければと思います。
 本日は、貴重なお話を聞かせていただきましてありがとうございました。

#59
○倉林明子君 日本共産党の倉林でございます。
 緊急事態は解除されたというものの、感染のリスクもある中、本当に貴重な時間をいただきましてありがとうございます。御意見聞かせていただきました。
 私の方から、まず、こうしたコロナで、見通しという点では今はっきりしたもの持てないわけですけれども、相当長期化して雇用に対して大きな影響が出るだろうという状況はもうちょっと確実になってきたなというふうに思っているんですね。
 財政検証をどうするかという問題とは別に、今のコロナの影響が雇用にも大きく影響しているし、短期的な影響をどう見るかということ、年金に対してですね、短期的にどういう影響が出るかということと、あわせて、先ほど少しありましたけれども、就職氷河期世代というのは雇用が不安定ということが、将来的には低年金を拡大する、こういうリスク伴うものだと思うんですね。今回のコロナによる雇用調整がどんどん進むということになりますと、新たな低年金、低年金世代といいますか、そういう状況も長期的にも出てくるんじゃないかという懸念持っているんですね。
 そこら辺で、お三方にそれぞれ、神野先生からで、影響について御教示いただければと思います。

#60
○参考人(神野直彦君) 今のところ、ちょっと私は読みができませんが、おっしゃっているのはこういうふうに理解させていただくと、現在起きている様々な雇用問題が将来の年金問題なり、その人がもらうときのですね、影響するんじゃないかというふうに理解させていただくというふうにさせていただければ、それは、先ほど来言っているような問題を、つまりセーフティーネットの網を広げたり網の目を細かくしていくという一般的な充実していくという政策を取ること、これが重要であろうかと思います。一旦そのときだけ何か政策を打つというのは将来に効きませんので、年金制度ということに関して言えばですね。それはむしろ、今、繰り返すようですけれども、今やろうとしていることを確実にやっていくということが重要ではないかというふうに思っております。
 先ほど井上さんからもお話がありましたが、今回のこれは、雇用状況、もうどうなるかというのはよく分からないんですね。雇用形態も恐らくかなり変わってくるでしょうし、産業構造そのものがどういう方向に変わるか分からないと。
 ただ、私は、二つの切り抜け方があって、それまでも、一つは、自分さえ良ければという、アメリカン・ファーストとかそういうようなことの風潮が一方であると同時に、そうではない、年金というのは高齢者をどうやって支えていくのかという社会の共同事業なんですね。なので、このコロナを乗り越えることによって、国民の間に、やはりお互いに助け合って生きていくことが重要なんじゃないかという行動変容で乗り越えるのか、そうではない方法で乗り越えるのか、つまり乗り越え方。これは社会学習といって、必ずそれは履歴効果として次の時代に残っていきます。
 どういう乗り越え方で乗り越えていくのか。つまり、社会の構成員全体でもって社会的なセーフティーネットという共同事業を強めていこうという形で乗り越えるのか、そっちが重要ではないかというふうに個人的には思っております。

#61
○参考人(井上隆君) ありがとうございます。
 経団連の中で企業のトップの方々とこのコロナの件につきましていろいろな御意見を伺う機会がございますけれども、やはり予想付かないというのが正直なところではございますが、まだ、私先ほども意見申し上げましたけれども、海外の拡大状況というのは一向に収まる状況にありません。あと、コロナが明けた後も、国際関係がどうなっていくのかというのも全く見通しが付きません。したがいまして、企業にとって本当に先が見通せない状況ではございます。しかも、それはある一定程度長期化してしまうだろうというのが今のところの見方でございます。
 ただ一方で、私どもといたしましては、とにかく雇用の維持と事業の継続を最優先というふうに考えておりまして、既に連合さんとか、あるいは就職に関しては大学側とか学生に不安を与えないようにするにはどうしたらいいか、来年の就職をどうしたらいいかということについても直接トップ同士で話し合うようなことで、雇用の維持とともに第二の就職氷河期を絶対につくらないというような必死の取組をしているわけでございます。
 ただ、そうはいっても、自然災害とも言えるような大きな事象でございますので、一つの企業だけでは到底対応できないような状況もございますので、そこは政府に、国あるいは自治体に適切な支援を、政策対応をお願いをするということで何とか切り抜けていきたいというふうに考えております。

#62
○参考人(西沢和彦君) 雇用を失う、雇用の質が悪化しますと、やはり社会保険というのは所得を前提としているので、非常に苦しくなると思います。
 年金と医療保険に分けますと、医療保険については前年所得で今年の国民健康保険料決まっていますから、前年所得があっても今収入を失うと、かなりきつい状況に置かれている人いると思うんですね。ですから、年金は減免を年金機構に申請したとしても、国民健康保険については今対処すべきことはすべきだと思いますし、もう一つ、コロナで、社会保険はただ限界があると思うんですね、どうしても。払ってもらうという仕組みですし、年金も今払って将来年金をもらう仕組みですから。
 やはりスピーディーに対応できるのは税制であって、東日本大震災のときは復興税のようなスキームができましたけれども、コロナも私は復興税のようなスキームでお金を配っておけば財政の悪化も防げてよかったと思いますし、また、定額給付金も課税所得にしておけば、お金持ちがもらっても来年所得税払えば国にちょっと召し上げられますので、何かそうした形でスピーディーな対応をするには税制改正を使っていった方がいいかなと思います。

#63
○倉林明子君 年金がマクロ経済スライドの下でやっぱり水準が下がっていく、調整されていくということと併せまして、社会保障の負担の方はやっぱり増えてきていると、給付と負担のバランス見直しということもあって。で、実際に、その受け取れる年金というものに対して、やっぱり生活本当に苦しいということから、就労も、もう働かざるを得ないという方々少なくないと思うんですね。
 で、お聞きするのは神野参考人と西沢参考人にお聞きしたいんですけれども、社会保障としてそのセーフティーネットを、網の目をというお話よく分かるんですけれども、じゃ、そもそも今の年金水準というのはセーフティーネットとしての機能が正直言って劣化しているんじゃないかと思っているんですね。とりわけ基礎年金の部分のところが水準としてやっぱりどうあるべきなのかという議論が必要じゃないかと思っているんですけれども、御意見をお聞かせいただきたいと思います。

#64
○参考人(神野直彦君) これちょっと繰り返しになりますが、年金に対しての考え方二つあって、ベバリッジ型とビスマルク型と二つあるというお話をいたしました。これは全ての人が、社会保険というのは、そもそも正当な理由で、失業とかそういう正当な理由で賃金を失ったときに、それに代替するものを政府が市場の外側で給付するという性格のものですので、現役世代と退役したときの生活水準が余りにも大きく下がってしまうということを調整するんだという考え方と、先ほども言いましたように、ベバリッジ報告のように定額でもう全部配ってやりましょうかという二つの考え方があって、日本の被用者保険はそこがドッキングしているので、そのバランスは国民がやはり基本的には判断して、どちらを重視するのかということになるかと思います。それで最低水準とかを維持するということであれば、ほかにいろんな制度もあるわけですね、例えば生活保護とどう組み合わせるか。なので、社会保障全体として組み合わせていくことが重要だと思っています。
 御存じのとおり、今、非常にドラスチックな提案でいけば、私は反対なんですね。生活が困窮していくというのは様々な事情で、高齢とかもありますけれども、障害とか心の病とか様々な理由で生活困窮というのは起きているので、それぞれに対応した方がいいという考え方を持っているんですが、御存じのとおり、ベーシックインカムという考え方が非常に強くなって、もうやめてしまえと、全部同じ金額だけ配ればいいじゃないかという考え方が出てきているわけですね。そこは国民的な合意を取り付ける必要があるかと思いますが、私は、今の制度の下でバランスを考えていくというのが一番ベターなんじゃないかというふうに思って、ベストなんじゃないかと思っています。

#65
○参考人(西沢和彦君) 私はおっしゃるとおりだと思います。
 元々、昭和六十年に国民年金法を改正する形で基礎年金を入れているわけですけれども、本来であれば基礎年金法のような法律があって、その一番目に基礎年金の目的が書き込まれるような議論があったらいいと思うんですね。二〇〇四年改正でマクロ経済スライドが基礎年金にも、新規裁定、既裁定に適用されることによって、今この目の前にある金額が一体何の金額なのか分からなくなってきてしまっています。
 一方で、国民は、基礎年金にはその名のとおり基礎的な老後生活の礎を期待していると思うんですね。ですので、我々の、国民の期待と、あと年金財政を預かる立場とのそごが、非常にずれてきていると思いますので、これはビジョン型として議論をしていくべきだと思います。

#66
○倉林明子君 ありがとうございます。
 コロナの影響に戻るんですけれども、働き方も大きく変わっていくんじゃないかと、私も本当にそう思っていまして、特に、とりわけ高齢者の感染リスクが高いということありますので、これまでのように、元気だったら積極的に就労来てもらおうということとは変わっていく、いかざるを得ないと思うんですね。
 七十五歳までの延長措置ということになったんですけれども、この質問は井上参考人にお願いしようと思うんですけれど、もちろん人手不足という環境もこれ大きくまたコロナによって変わっていくだろうと。で、感染症に対応するということでいうと、高齢者の感染リスクをどう防いでいくかという働き方をしてもらう必要があると。
 七十五歳まで、今回選択肢を延ばすということで働いてもらおうということになるわけですけれども、企業側から見て、コロナと共存していく、そしてコロナ後、新たな感染症が来るかもしれないということも備えた雇用を考えていく必要があるんじゃないかというふうに思うんですが、今検討されているようなことがありましたら是非教えていただきたい。

#67
○参考人(井上隆君) ありがとうございます。
 昨日、緊急事態宣言が解除されまして、経団連といたしましても、業種別のガイドラインというのを作って、それを基に新しい働き方、職場の在り方というものを徹底をしていくということが始まったわけでございます。各自治体からも様々な対応策が出ておりますので、これ高齢者に限ってということではないですけれども、ただ、やはり高齢者の方のリスクが高いというのはおっしゃるとおりでございますので、そこも十分に配慮をしながら、各企業で順次その状況を見ながら、そのガイドラインの位置付けも見直しながら丁寧に対応していくということになろうかと思います。

#68
○倉林明子君 以上で質問は終わります。
 今日はありがとうございました。

#69
○委員長(そのだ修光君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。
 参考人の皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。(拍手)
 午後一時三十分に再開することとして、休憩いたします。
   午前十一時四十五分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十分開会

#70
○委員長(そのだ修光君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、磯崎仁彦君が委員を辞任され、その補欠として高階恵美子君が選任されました。
    ─────────────

#71
○委員長(そのだ修光君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省年金局長高橋俊之君外十三名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#72
○委員長(そのだ修光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────

#73
○委員長(そのだ修光君) 休憩前に引き続き、年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#74
○田島麻衣子君 ありがとうございます。立憲・国民.新緑風会・社民の田島麻衣子です。本日は、質問の機会いただけたこと、非常に感謝しております。
 初めに、短くコロナのことについて聞かせてください。
 緊急事態宣言解除になりましたが、経済のダメージ、また人々の心のダメージというものが終わったわけではありません。
 今お配りしています資料の二を見ていただきたいんですが、京都大学、これの研究室が自殺者の累計の推計を出しております。GDPも下がる、失業率も上がる、そして累計自殺者数は十四万人から二十七万人増加という警告を出しております。
 私、厚生労働省さんのホームページ見てまいりましたが、資料一、これがそのものになるんですが、重要なお知らせとしまして、現在、新型コロナウイルスの感染防止のため、相談受付を休止している場合がありますと書かれています。
 こうしたコロナで一番大事な時期に窓口が閉まっているというのは非常にゆゆしき事態だというふうに考えております。これについて、厚生労働大臣の立場、御見解を伺いたいと思います。

#75
○国務大臣(加藤勝信君) 今委員からお話がありましたように、こうした経済状況がまた様々、あるいは雇用の情勢がそれぞれの心理的な様々な影響を及ぼすということで、我々も三月十八日に新型コロナ感染症関連の心の相談としてのSNS相談の拡充などを行うとともに、都道府県に対してもそうした相談の積極的な実施を要請をしてきたところであります。また、一次補正予算においてもそうした対応を取らさせていただきました。
 ただ、実際、それぞれNGO、NPO等々で活動しておられる中においては、通常よりも活動を制限をされている、あるいは休止をされている、そういったところもございます。ただ、ここに来て幾つかの事業所では相談を再開をしている、あるいはむしろ相談体制の拡充に踏み切っていただいているところもあります。そうした取組を我々もしっかり支援をすることによって、まさに緊急事態宣言が解除されましたけれども、この間新聞を見ておりましたら荷降ろし症候群という言い方をしておりまして、要するに、物が過ぎた後の方がそういった様々な自殺等の課題が大きくなるということもあります。そうしたこともしっかり踏まえながら対応させていただきたいと思います。

#76
○田島麻衣子君 ありがとうございます。
 人の命が関わっているところですので、こういったところには非常にたくさんの投資や注意を向けていただきたいと思います。
 次に、木村花さんというプロレスラーの方がお亡くなりになって、それとSNS上の誹謗中傷との関連性が非常に強く指摘されております。
 政府の方にお聞きします。
 匿名アカウントの誹謗中傷を撲滅するために、プロバイダー責任制限法の改正や発信者の刑事厳罰化を求めるといった署名活動ページが立ち上がっております。これについての御見解を伺いたいと思います。

#77
○政府参考人(竹村晃一君) お答え申し上げます。
 ネット上の権利侵害情報の削除や匿名の発信者の情報開示手続は、プロバイダー責任制限法において規定されております。ネット上の誹謗中傷を抑止し、被害救済を適切に図るためには、発信者の表現の自由とのバランスに配慮しながら、発信者の情報開示手続について適切に運用されることが必要と考えております。
 総務省においては、発信者情報の開示の在り方について検討を行うため、本年四月に有識者会議を立ち上げたところでございます。本有識者会議において、発信者情報の開示対象に電話番号を加えることや開示手続の円滑化など、被害を受けた方が発信者の特定を容易にするための方策の検討を行っているところでございます。今後、総務省としては、有識者会議の提言を踏まえて必要な措置を講じてまいりたいと考えております。
 なお、お尋ねのあった刑事罰についてでございますけれども、匿名アカウントによる誹謗中傷などの行為は刑法の名誉毀損罪などに当たり得ると考えておりますが、刑事罰の運用については、総務省の立場からはお答えすることは控えさせていただきたいと考えております。

#78
○田島麻衣子君 ありがとうございます。
 この問題、今は本当に被害者が泣き寝入りするという形が非常に多いと思っておりますので、スピード感ある対応を本当にお願いしたいと思います。
 次です。児童虐待について、最後質問させてください。
 今、厚生労働省さんが児童虐待相談件数の動向について、三月まで件数を出していらっしゃいます。三月は二万二千五百三件で、去年の三月に比べてやはり一割強増えています。
 これに対する対策として、今資料で付けております三番ですね、子ども見守り強化アクションプランというのを厚生労働省さん発表されておりますが、これ、新しく確認されている児童虐待のケースや電話件数の確認といったことも、このアクションプラン、一か月たっていますけれども、されていらっしゃるんでしょうか。
 この経過と、どのようにこのアクションをしているのかというところを教えていただきたいと思います。

#79
○政府参考人(渡辺由美子君) 御指摘のございましたこのアクションプランにつきましては、市町村の要対協が中心となりまして、支援対象児童等の状況を電話等によって定期的に確認し、その際に、できるだけ民間団体等にも幅広く協力を求めて、地域ネットワークを総動員していこうということでございます。
 まず、このアクションプラン自体のフォローアップでございますけれども、幾つか自治体の方で具体的にどういう取組を進めているかということをお聞きする中で、例えば、なかなか今対面でということが難しい中で、ICT等を活用した安全確認ですとか、あるいは民間団体との協力という点では、子供食堂自体は閉じているところもあるんですが、そこが例えば宅配などをする中で、その機会に子供の見守りをするとか、そういった幾つかの取組も出ております。
 ただ、まだまだ自治体によってはどういったことをしていいのか悩んでいるというところもございますので、こういった先進的な取組を横展開していくとともに、やはり費用面でかなり苦労しているというような課題も上がってきておりますので、具体的には今申し上げたICT等の活用ですとかあるいは民間団体等の取組への支援につきまして、この二次補正予算に盛り込むべく、今、最終調整をしているところでございます。
 また、その取組と併せて、御指摘のございました虐待の通報件数とかそういった辺りについても、月単位でございますけれども、フォローアップをしていきたいというふうに思っております。

#80
○田島麻衣子君 始めてから一か月が過ぎておりますので、しっかりとこの確認されたケース、それからフォローアップ、電話の件数等の確認をよろしくお願いしたいと思います。
 次に、年金法案の質疑に移りたいと思います。
 今回の法案の大きなテーマの一つは被用者保険適用の拡大になっております。これについて、女性の労働参加について私はお聞きしたいと思います。
 二〇一九年の財政検証におきまして、大臣はよく、衆議院の厚生労働委員会の質疑を見ていましても、現行制度において、経済成長と労働参加が進むケースではと前置きをされているんですね。この労働参加が本当に進んでいるのかどうか、これについて、女性という立場において質問したいと思います。
 資料の四番を開けていただきたいと思います。この四番のうちの右側に付いているものというのは、二〇一九年の財政検証の前提となった就業率の将来推計ですね。ブルーの線、青の線というのは進む場合になっています、女性で。そして、緑の点線というのは経済成長と労働参加が一定程度進むケース、赤というのは進まないケースです。緑はケース一から三になっています。あっ、青が一から三、緑が四から五、赤が六になっています。
 そして、この資料四の左側というのは、実際に一九七八年から二〇一八年までどのように女性の就業率が変わってきたかという表がまとめてあります。これ見てみますと、平成三十年になってもやはりこのM字型というのは直っていないですね。三十五歳から三十九歳というのは七四・八%の女性しか就業していません。
 この現実をしっかりとこの将来推計、財政検証の前提とされている表に反映されているのかどうか、これは私、非常に疑問があります。この財政検証、前回も、所得代替率の計算方式や経済前提の甘さ、また全生産要素の見通しの甘さということが石橋議員や足立議員から指摘されております。私は、この女性の就業率の将来推計というのもかなり甘いのではないか、このように感じております。
 この将来推計についてお聞きします。これは非常に見通し甘くないでしょうか。

#81
○政府参考人(高橋俊之君) 今御指摘いただいた昨年の財政検証の就業率の前提でございますけれども、これは二〇一九年三月に公表されました労働力需給の推計を用いてございます。
 この労働力需給の推計は、労働政策研究・研修機構、JILPTが、未来投資戦略の政府目標などを踏まえまして一定のシナリオに基づきましてシミュレーションを行ったものと承知してございます。
 近年は、女性や高齢者が就業しやすい環境整備の取組等によりまして、人口減少や高齢化に直面する中にありましても就業者数増加してございまして、こういった状況を踏まえた推計として、様々な取組を盛り込んだものとしての推計になっているものと承知してございます。

#82
○田島麻衣子君 私の友人も、かなりの女性たち辞めています、仕事を。厚生労働省で働いている女性職員の方にも本当にお聞きしたいんですけれども、皆さん、つらいな、本当に仕事を続けられるのかなと思いながらお仕事されているのが現状ではないでしょうか。三十五歳から三十九歳、四十歳から四十九歳、八割の女性しか、以下の女性しか仕事ができないというふうに考えている中で、これを九〇%、八〇%後半まで持ってくるための政策、これはやっぱり必ず付いてこなければならないというふうに思っております。
 どのようにこうした女性のM字カーブをなだらかにしていくのか、女性の就業率を上げるのか、お聞きしたいと思います。

#83
○政府参考人(藤澤勝博君) おっしゃいましたように、女性がその個性と能力を十分発揮をされて職業生活において活躍できる環境整備をし、女性の労働参加を進めていくということは大変重要な課題であるというふうに認識をしております。
 幾つか申し上げますと、昨年の五月に成立をしました改正女性活躍推進法において、女性活躍に関する事業主行動計画の策定義務の対象範囲の拡大などを図りますとともに、出産や育児に関係なく女性が働き続けられるよう、保育の受皿整備であったりといったようなその両立支援体制の整備を行うほか、またマザーズハローワークなどの場において再就職の支援など、様々な取組を現在総合的に推進をしているところでございます。
 現実に、例えば女性の就業者数はこの七年間で三百三十万人以上増加をしておりますし、女性の正規雇用労働者数も百十万人以上増加をしております。また、二十五歳から四十四歳の子育て期の女性の就業率も同じ七年間で一〇ポイント上昇するといったように、M字カーブの状況は着実に前進をしてきていると、そういう状況だと認識をしております。

#84
○田島麻衣子君 資料六番を見ていただきたいんですが、これは男女雇用機会均等法に関しまして寄せられた相談なんです。これ、セクハラが一番多くなっているんです。働いている女性の方々は、本当にセクハラで困っていらっしゃる方たくさんいると思うんですよね。いつになったら結婚するのかとか結婚したら子供はいつかということを延々と毎日聞かされて本当にうんざりしている方たくさんいらっしゃると思うんですが、今の政策の中でセクハラという言葉が出てこなかったことに私はちょっと驚いたんですが、これは是非ともしっかりセクハラも対応していただけないでしょうか。

#85
○政府参考人(藤澤勝博君) 済みません、申し訳ございませんでした。
 今ほど申し上げました昨年の五月末に成立をいたしました女性活躍推進法の改正法の中でも、セクハラの防止対策の強化も図っております。そういったことについてこれからも十分周知をし、また施行していきたいと考えております。

#86
○田島麻衣子君 次に、第三号被保険者制度についてお聞きします。
 今回の法改正の中で第三号被保険者制度、これについての言及がなされていないです。
 厚生労働大臣にお聞きします。
 この百三十万円の壁というのは、主婦の方々が仕事をする壁、障壁になっていることは事実であると思います。今後、この第三号被保険者制度、これをどのように運営、維持、また改善していこうと思っていらっしゃるのか、その見解をお聞かせいただきたいと思います。

#87
○国務大臣(加藤勝信君) 第三号の被保険者制度については、社会保障制度審議会年金部会においても、第三号被保険者を将来的に縮小していく方向性、単に専業主婦を優遇しているとの捉え方ではなく、多様な属性を持つ者が混在をしていることを踏まえた検討の必要性、また、まずはそうした中で、まずは被用者保険の適用拡大を進めることで対応し、制度見直しのステップを踏んでいく必要性が指摘をされております。
 実際、第三号被保険者の推移を見ますと、ピーク時一九九五年度には千二百二十万人に達していますが、以降、一貫して減少しておりまして、二〇一八年度には八百四十七万人ということになっております。また、中でも三十代以下においての減少傾向は著しいものがあります。二〇〇八年に二十歳からこれ三十九歳の第三号被保険者は四百二十七万人であったのに対して、二〇一八年度、十年後には二百六十七万人と四割も減少しているところでありまして、こうしたことは女性の就労の進展等の時代の変化を反映した趨勢というふうに考えております。
 こうした女性の就労状況の変化、また審議会の指摘を踏まえつつ、先ほど申し上げたまずは被用者保険の適用拡大をしっかりと進めるとともに、今後更に検討規定を踏まえてこの適用範囲についても議論を進めさせていただきたいというふうに思っております。

#88
○田島麻衣子君 ありがとうございます。
 これは、三号被保険者に当たる方でも、今会社で月八万八千円以上の給料を取っていらっしゃる方、規模はありますけれども、この方々というのは第二号に当たるというふうに私理解しているんですが、これがきちんと今、日本年金機構さんの定義の中に書かれていないと思うんですね。ですので、これ読んでしまうと、年収が百三十万円未満だと月八万八千円以上を収入を得ている方でも三号被保険者になってしまうんだというふうに誤解される方たくさんいらっしゃると思うので、こうした記述もしっかり変えていただきたいというふうに思います。
 次です。基礎年金の水準低下と基礎年金の拡大について伺いたいと思います。
 今朝の参考人質疑の中でも、このマクロ経済スライドの長期化に伴って基礎年金の水準低下、これが懸念されるという声が相次ぎました。そして同時に、この基礎年金というのは半分を国費で賄われるわけですから、税の議論、これも決して避けて通れないものだということを参考人の方々から伺いました。ですので、今回は消費税という部分にも併せて、この基礎年金低下水準の問題について伺いたいと思います。
 まず、厚生労働大臣、よく答弁の中で低年金者への対策に関しまして、年金生活者支援給付金というものを給付しているから大丈夫であるということをおっしゃっています。これ、基準額五千三十円なんですね。ここから納付の月数や全額免除月数を案分して減っていく形になりますので、これ本当に五千三十円が上限でいいんでしょうか。この基準額について伺いたいと思います。

#89
○国務大臣(加藤勝信君) 年金生活者支援給付金については、消費税財源を使って年金の充実を図っていこうということで、当時三党で合意をされて設立をしたと、こういう経緯があります。私もそのときの議論に参加をさせていただきました。
 そうした中で、全体の財源額から五千円ということでありますけれども、例えば、今お話がありました免除されている方については、その免除期間を含めて多分倍ぐらいの金額になるという、計算上ですね、なるということにもなるわけでありますので、そういった一定の配慮がなされているということであります。
 もちろんこれで全てが賄い得るということではありませんけれども、これまでもそうした低年金の方々に対するそうした施策、あるいは様々な介護あるいは医療保険の負担軽減等々についてこれまでも実施してきているということであります。

#90
○田島麻衣子君 基礎年金を拡充するためには、やはりその給付期間、支払の期間というのを長くするということが大事だと思うんですが、やはり財源の問題は避けては通れないということを伺っております。一年間延ばすのに約一兆円又は一・二兆円は掛かるというふうに伺っています。
 今回、消費税の議論を思い返してみますと、軽減税率の導入で税収分が一兆円下がっているんですね。これもまた一兆円なんです。これをどうしたかというふうにいいますと、個人所得税の見直し、またたばこ税の見直し等を通じまして一兆一千億円の財源を確保されているんです。ですので、一兆円の確保というのは、これはやはり政治的な意思判断だと思うんですね。できるかできないかというのは何を優先順位に考えていくか、これに尽きるのではないのかなというふうに思います。
 この基礎年金というのは、やはり所得再分配機能が非常に強いんです。大臣も厚生労働委員会で御自身でも発言されていますが、所得分配機能が非常に強いんです。今後、これからコロナの影響を受けて低年金者が増える中できちんと年金を拡充していく、基礎年金というものをしっかりとつくっていく、一兆円、これを探していく、こういったことを是非大臣の口から聞きたいんですが、いかがでしょうか。

#91
○国務大臣(加藤勝信君) 昨年の財政検証オプション試算でも、基礎年金拠出金の延長を行えば年金水準を充実させることができるということは、この試算からも明らかになっております。
 ただ、最大の課題は、基礎年金拠出期間の延長について、延長分に係る基礎年金二分の一の国庫負担に対する安定的な財源を確保する必要もあります。また、六十から六十五歳の間に例えば厚生年金に加入されていない、通常の国民年金に入っている方は、その分拠出を更にお願いをするということもあるわけであります。したがって、今回はまず適用拡大を先に進めるということで、今回の法案の中に盛り込ませていただいたところでありますが。
 ただ、いずれにしても、財源確保の在り方を含め、就労期間の延長化などの高齢者の雇用実態も踏まえながら、こうした被用者保険期間の延長について引き続き検討を行っていく課題でもあると思いますし、当然、そういう中においては、委員御指摘のような財源の確保をどうしていくのかということも併せて議論していく必要があると、こういうふうに思います。

#92
○田島麻衣子君 考えていく、検討されるということで、非常にうれしく思います。
 次に、無年金者の数について伺いたいと思います。これ、何人いて、これに対してどういった対策を行っているのか、教えていただきたいと思います。

#93
○政府参考人(日原知己君) 無年金者数の全数を調査した統計調査というものはございませんで、また悉皆的に把握する方法というのもございませんことから、その無年金者数について一概にお示しするということはこれは困難ということでございます。
 なお、平成二十八年に日本年金機構が行いました調査によりますと、七十歳までに任意加入をされたとしても十年の受給資格期間を満たすことができないという方につきましては約二十六万人というふうに見込まれてございます。
 無年金の防止という観点からは、年金制度に適切に加入いただいて保険料を納付いただくということが重要であると考えておりまして、厚生年金について申し上げれば、加入すべきであるにもかかわらず加入していない事業所への適用促進、また、国民年金という点では納付率の更なる向上ということで、被保険者の方の状況に応じたきめ細かい収納対策に取り組んでおりますほか、強制加入期間内だけでは受給資格期間を満たせないという方に対しましては国民年金の任意加入制度の勧奨にも力を入れていきたいというふうに考えておりまして、こうした取組をしっかり行ってまいりたいというふうに考えてございます。

#94
○田島麻衣子君 ありがとうございます。
 このコロナで本当に国民年金保険料が払えない方というのは特別免除申請というのも受け付けていらっしゃるというふうに理解していますが、この低年金者は今後ともすごく増えていくというふうに思うんですね。
 今後、公的年金の最低保障機能について議論される予定があるのかどうか、この方向性について厚生労働大臣に伺いたいと思います。

#95
○国務大臣(加藤勝信君) 最低保障年金制度という言葉は、前も国会の中で議論させていただいた、あるいはそういったことを前提に議論したことがあったというふうに思います。むしろ、私どもがというよりも、私どもはそれに対してどうなのかという問題で、当時私は野党でありましたから議論させていただいたようにも記憶をしているところでありますが。
 いずれにしても、年金制度というのは、財源、保険料、これによって賄って持続可能なものにしていかなきゃならないわけであります。そしてまた、特に公的年金制度というのは高齢者にとっての老後における大事な収入源の一つでもあります。そうした認識の中に立って、どういった年金制度にしていくべきなのか、先ほどの適用拡大等々も含めて、これは不断に議論していくべきものだというふうに思います。

#96
○田島麻衣子君 ありがとうございます。不断に議論をしていくという答弁いただきました。
 最後の五分間で、GPIFについて伺いたいと思います。
 令和二年で退職された方の退職金、これは業績勘案率を勘案する必要があって来年にならないと分からないというふうにおっしゃったので、私、今一番出ている最新の財務諸表見てまいりました。国連の前は監査法人で監査やっていたのでこういう財務諸表は随分見てきたんですが、その中で、退職金の支払額が一年間に八千八百三十六万円出ているんですね。
 この人数についてお聞かせいただくことは可能でしょうか。

#97
○政府参考人(高橋俊之君) GPIFの平成三十年事業年度財務諸表に出ております数字でございます。
 平成三十年度に退職した職員に対する退職手当の支給額、約八千八百万円と掲載されておりますけれども、これは九名の退職した職員に対して支給されたものでございます。

#98
○田島麻衣子君 ありがとうございます。
 これは役員の方ではない普通の職員の方という理解で正しいですか。

#99
○政府参考人(高橋俊之君) これは、三十年度は役員の退職はございませんので、通常の職員、運用の専門的な職員から普通の一般職員まで含めたものでございます。

#100
○田島麻衣子君 ありがとうございます。
 そして、このGPIFの株式の運用で、民間ですけれども、十七兆円、これの赤字が発生しているということが報道に出ております。これに対する答弁で、評価損が発生しても年金給付に影響は全く、全くないとおっしゃっているんですが、これに対する根拠というのをもう少し詳しく教えていただけますでしょうか。

#101
○政府参考人(高橋俊之君) 年金の積立金の運用でございますけれども、長期的な観点から行うものでございます。株式市場あるいは為替を含めまして、市場の一時的な変動に過度にとらわれるべきものではないと考えてございます。
 また、財政検証におけます年金積立金の将来見通しでありますと、ケースによって積立金の規模や推移の状況って変わってくるんですけれども、平均的に見ればおおむね五十年ぐらいまでは、今後五十年間ぐらいは積立金額が増加をしていくと、こういったことになっております。そういう意味で、非常に長期の運用であります。当面の間、積立金の取崩しが生じる状況にない中で、短期的に上がったり下がったりしながら長期的にリターンを稼いでいくと、こういった運用でございます。
 これまでのことを振り返りますと、自主運用を開始以降の平成十三年度から令和元年度第三・四半期、去年の十二月までの収益額の累積が約七十五・二兆円となってございます。この半分程度の三十六・五兆円は、株価下落時でも着実に収益として確保される利子や配当収入等のインカムゲインでございます。これは安定的に入ってまいります。それ以外の三十八・七兆円、これは評価損益などのキャピタルゲインでございますので、これは時価の変動により上下、上がったり下がったりするという性質のものでございます。
 このため、昨年度の第四・四半期、コロナウイルスの関係で大きな影響を受けましたけれども、これはそのキャピタルゲインの部分が時価の変動により上下動しているその中の一つでございまして、市場の動向による一時的な評価損が生じましても直ちに年金財政上の問題は生じずに、年金給付に影響するものではないといったものでございます。

#102
○田島麻衣子君 こういったところで働かれている方々は投資銀行に勤めれば何千万円というお給料をもらえるという方々ばかりだと思うんですが、実際にこの運用されている年金を納めていらっしゃる方々は、一杯三百円のコーヒー、モーニングで、卵が付いたりパンが付いたりするモーニングを使うかどうか、それとも二百七十円の十枚券を使うかどうかで物すごく悩まれているような方々がたくさんいらっしゃるんですよ。そういった方々の国民感情にもうちょっと配慮していただく、こういったことをしていただいてもいいのかなとすごく思います。
 株式にたくさん投資をして、それが十七兆円ぱっと消えてしまって、何千万円という退職金をもらうというのは、国民感情はやはり納得できないと思います。そういったところにもしっかりと配慮をしてこのGPIFの運用をしていただきたいと思います。
 以上で質疑終わります。ありがとうございました。

#103
○石橋通宏君 立憲・国民.新緑風会・社民共同会派、立憲民主党の石橋通宏です。
 先週の質疑に続きまして質問させていただきますが、私からも一点だけ、冒頭、新型コロナ感染症についてお手元の資料の一を配付させていただいています。
 この間もずっと雇調金の拡充についての議論、窓口の強化体制含めて様々大臣やり取りをさせていただきました。明日、第二次補正云々の中で上限の引上げ等々も具体的な策が出るんだろうと思って、私たちの提案がどこまで受け入れていただいているのか含めてしっかりまた中身見させていただきたいと思っておりますが。
 ただ、大臣、もう大臣のところにも伝わっているんだと思いますが、残念ながら、この間ずっと現場にも頑張っていただいて様々な拡充策を取っていただいているんだけれども、それが現場に伝わっていないで、結局申請に行って断られると。ちょっとこれ、相当残念ですね。ハローワークで断り続出、この続出というのが結構ちょっとセンセーショナルな書き方なのかもしれませんが、断る例が様々に現場であちこちで出ているという報道、まあこれだけではありません。
 特に、ここに記載の例えば一例ですけれども、派遣会社の方々がいわゆるみなしの手法で助成金申請されようとしていた、それがハローワークで、指示は本省から来ておらず、承認は困難と。いや、これでは、せっかくいろんな策打っていただいても意味がありませんし、だから、累次小出し小出しにされると現場でこういう混乱が起こるのではないかということは最初から申し上げているわけです。
 大臣、これについて改めてどういう問題意識をお持ちなのか、どういう対策を改めて講じていただいているのか、是非改めてこの場で御答弁ください。

#104
○国務大臣(加藤勝信君) 私も、この新聞記事も読ませていただきました。
 固めて制度改正をすればいいという御指摘はそのとおりだと思いますけれども、しかし、ケースによっては、いろいろ御指摘をいただいて逐次また現場に対して指示をする必要性も出てきている、そうしたことが積み重なる中で、現場の皆さんもこんな申請の受付をさせていただいたり、あるいはその処理に大変な毎日毎日没頭されているわけで、なかなか本省からの指示あるいはメール等々について逐一目を通しているわけでもないんだろうというふうに思います。
 そうしたことを踏まえて、やはりこちらから出すに当たっても、逐次出すにしても、どこかまとめて見れば分かるようにしていくとか、やはり現場の方々の作業に当たってよりこうした変更がすぐに反映し得るようなこういった仕組みをということで今指示もさせていただいているところであります。
 例えば、これは作業手順、それぞれの職員が作業をするに当たってのQアンドAとか、そういったものをまとめて整理をし、そして変更があれば逐次それを変えながら、また、特にどこが変わったか等が分かるような、例えば赤で点滅するとか、そういった細かい配慮をした指示をしっかりしていく。まあ指示をすればできるというのではなくて、できるような形で指示をしていくという、そうした発想にのっとって今後とも対応させていただいて、こうしていろいろ改善をし、より使い勝手のいいものにしていこうとしているわけでありますから、それがしっかり現場を通じて利用者の方に届けるように更に努力をしていきたいと思います。

#105
○石橋通宏君 大臣、大事なところも今大臣自ら答弁いただきました。
 これ、雇調金、厚生労働省にかかわらず、ほかの中小企業庁、持続化給付金などもそうなんですが、様々な施策が追加追加でいったときに、一体何が追加になったのか分からない、どこがどう改善されたのかが分からないので、役所も分からないし申請する側も分からないので、どう拡充したのか分からないから、自分はこれまで適用外だったのが、これによって、じゃ、適用になったのかすら分からないというのが幾つかもういろんな施策で問題になっていますので、大臣、そこは是非、厚生労働省の施策については何が変わったのか、新たに誰が対象になったのか、どう申請、それを是非分かりやすく、申請する側も、そして受け付ける側もちゃんと理解をいただいて、間違いなく受け付けていただいて、そして速やかに支給ができるように、大臣、いま一度大臣の指導の下にしっかりやっていただきたい、重ねてお願いしておきたいと思います。
 今日は質疑しませんが、今日理事会で、ダウンしてしまいました雇調金のオンラインシステム、残念ながら、現時点では復旧がいつになるか分からないということです。これも今御努力もいただいているんだと思いますが、鳴り物入りで始めた初日にダウンしてしまった。何としても迅速な、受付も含めていち早くオンラインシステム復旧していただけるように、これも大臣、引き続き努力いただくように要請だけさせていただきたいと思います。
 以上申し上げて、年金法案の質疑に入らせていただきます。
 前回の質疑で、適用拡大が不十分なのではないか、企業要件なぜ撤廃できなかったのか等々の話を大臣とさせていただきました。
 ただ、もちろん、適用対象になったとしても、強制適用事業所、これで適用なのに適用されない労働者がたくさんおられては、これからも適用対象になったとしても事業主がちゃんと適用してくれなければ意味がないわけでありまして、まずそこの点について、現時点で厚生年金適用できるのに、されるべきなのに適用されずに取り残されてしまっている方々、一体何事業所、何人おられるんでしょうか。

#106
○政府参考人(日原知己君) 国民年金の第一号被保険者に対する実態調査におきまして、一定の前提の下に粗く機械的に厚生年金保険の適用の可能性がある方として推計されたものといたしましては、まず平成二十九年三月末時点で約百五十六万人程度となっております。
 それから、事業所数についても今お尋ねをいただきまして、厚生年金保険等の適用要件を満たした事業所の事業主の方は厚生年金保険等に加入する届出を行うことが義務付けられているわけでございますけれども、これと併せまして、国税庁から従業員を雇って給与を支払っている法人事業所の情報の提供を受けて適用の可能性がある事業所を把握して、これを加入指導しているところでございますけれども、このような形で把握しました中で、届出はされていないけれども厚生年金保険の適用の可能性がある法人事業所、こちらにつきましては、令和元年九月末時点で約三十四万件というふうに把握してございます。

#107
○石橋通宏君 事業所三十四万で、百五十六万人もの労働者の方々です。
 ただ、気になるのは、先ほど百五十六万人、これ二〇一七年三月末の推計だとおっしゃった。分からないんですか、適用事業所で適用されているのかいないのか。これ、厚労省ないしは年金機構で確実、着実に把握をして徹底的に指導する、それが必要なんじゃないんですか。何で推計しか分からないんですか。

#108
○政府参考人(日原知己君) 届出をすべきであるにもかかわらず届出をされていない事業所につきましては、今、国税庁からの法人情報の活用によりまして把握しているという点を申し上げましたけれども、この点につきましては、今年度からは雇用保険の具体的な被保険者情報の活用などによりましてよりきめ細かな対象事業所の把握を行ってまいりたいというふうに考えてございます。
 それから、今お話ございましたように、適用すべき、されるべき事業所が適用されていないという点もそうでございますけれども、もう一つ、適用事業所に対して調査を行いまして、未適用となっている従業員の方に対して被保険者資格取得届の届出を行うように指導すると、この点についてもしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

#109
○石橋通宏君 一部、例えば従業員には適用しているけれども、非正規雇用の方々で本来適用になるのに適用していない事業所、そういうところも多数あるんだと思います。そういったことも含めて、必ず適用されるべき方々にちゃんと適用されるようにこれ強化していかないと、本当に適用拡大、適用拡大なんて言ったって、結局は適用されずにずっと長年苦しまれる方々が出てくるわけです。それは併せて徹底的にやっていただきたい。
 今回の法案で、日本年金機構の調査権限の強化が提案されております。問題は、果たしてこれでどれだけ、例えば今おっしゃられた三十四万事業所若しくは百五十六万人もの方々、本当はもっとおられるのかもしれませんが、そういった方々への適用がこれによって進むのか。目標設定されていますか。断固全員適用するんだ、そういう決意でこの法案出されているんでしょうか。

#110
○政府参考人(日原知己君) まず、今回の日本年金機構の調査権限の強化についてまずちょっと簡単に御説明させてもらいたいと思いますけれども、まずこの改正の効果でございますけれども、一つは、まず厚生年金保険の適用事業所であることを確定させる上で必要な帳簿などの検査が可能となるということで、加入指導や調査を忌避されるといったような事業所、残念ながらあるわけでございますけれども、そういった事業所に対しても適切に対応できるようになるということ、それから、加えて、法的な立入検査などに至る前に牽制的な効果によりまして自主的な適用の届出や加入指導などの受入れの円滑化などが期待できるということで、適用促進を図る上で大きな意味があるというふうに考えております。
 それから、未適用事業所の適用促進につきましては今年度からの四年間で集中的に取り組みたいというふうに考えておりまして、具体的な計画で申し上げますと、令和元年九月末時点におきまして把握しております五人以上又は家族以外の従業員を雇用されている法人事業所については、これは全て適用を目指すということで取り組んでまいりたいと考えております。
 また、大きな課題になっておりますのが、加入勧奨によりましても事業主から応答がないなど実態確認が必要な法人事業所というのも、これも約二十七万件ございまして、大きい課題となっております。こちらにつきましては、令和三年度末までに訪問などによる実態確認を行うといったことで、こういった具体的な目標を掲げまして取り組んでまいりたいというふうに考えております。

#111
○石橋通宏君 これ、先ほど五人以上云々、全ての事業所、これは何としても早急に、期限区切って達成できるようにしていただきたいと思いますが、そのためには、併せて日本年金機構の体制改革、必要だと思います。
 これも、大臣も大臣時代に様々年金機構の問題が発生をしてきました。我々もさんざんこの厚生労働委員会で、年金情報漏えい問題、SAY企画の問題、その他にも発送ミス、いろんな問題が出てきました。その都度、年金機構の体制の問題、基本計画に基づく外注化の促進の問題、非常勤の職員の方々の増加の問題、これやっぱり専門性ある、しっかりやっていただかなきゃいけない、大切な国民の年金の問題ですから、体制をちゃんとやってくださいということで、この間いろんなプランも作ってやってきていただいたと思います。
 今日、細かいことは要りません。ちゃんと体制の強化、質的な強化、基本計画の見直しも含めて、今おっしゃられたような適用すべき事業所にちゃんと適用させるんだ、これができる体制になっているのか、そこも含めてこれから併せてやっていくのか、そこだけ確認の答弁をお願いします。

#112
○政府参考人(日原知己君) 今、基本計画について御指摘ございましたけれども、制度改正等でありまして、その基本計画の策定時には想定されていなかった新たな業務への対応を図るために必要な人員、こちらにつきましては毎年度の予算に計上しているというところでございます。
 それで、最近の例で具体的に申し上げますと、外部委託については、大変国民の皆様に御迷惑をお掛けする扶養親族等申告書の事案があったわけでございますけれども、調達業務につきましては、これは外部委託事業の適正な実施を管理する部署の新設などの体制強化を行っております。また、昨年施行されました年金生活者支援給付金業務、これにつきましては、請求書の受付ですとか審査などのための体制強化を行っておりまして、こうした必要な整備を図ってきたところでございます。
 御指摘を先ほどいただきました調査権限の強化など今回の法改正の施行に当たりましても、日本年金機構におきまして必要な体制整備、これを図っていく必要があるというふうに考えておりまして、予算要求におきまして必要な対応を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

#113
○石橋通宏君 今回、一部データ出していただきましたが、外注化の傾向は変わっておりません。むしろ、四年前と比較しても外注の数は増えています、外注事業の数は。ということは、あれだけ外注化の問題について議論したんだけれども数が増えている、じゃ、その発注業務の発注のやり方、そういったこと、ちゃんと改善、改革をしてくれているのだろうかという疑問を禁じ得ません。
 今日、この場ではこれ以上突っ込みませんが、改めてこの日本年金機構の現在の体制、質的な問題、これちゃんとやっていかないといけないということを指摘して、今後もフォローしていきたいと思います。
 その上で、今日、企業年金、個人年金について幾つか確認も含めて質疑させていただきたいと思います。
 まず、大臣、確認ですが、これ、政府はやっぱりこれ、企業年金、それから個人年金、行け行けどんどん、どんどん促進していくという立場でこの法案出されているんでしょうか。

#114
○国務大臣(加藤勝信君) 行け行けどんどんという趣旨はあれですけれども、国民の老後生活について多様なニーズがあります。公的年金が老後生活を支える大きな柱であることは間違いありませんが、その公的年金で全てを賄い得るというものではなく、公的年金を基本としながら、その上乗せとして企業、個人が行う自主的な取組、これを税制面でも支援することでこうした老後生活における多様なニーズに対応していくということであります。
 公的年金は、もう御承知のとおり共助ということが中心にあり、また、現段階では、保険料水準を固定し、その範囲内でマクロ経済スライドによる給付水準を調整するという一連の仕組みの中で、現役世代と高齢世代のバランスを確保しつつ一定の給付水準を確保することを前提に制度を運営し、あと常に持続可能性をチェックしているわけであります。
 他方で、この上乗せとして老後生活の多様なニーズに応える企業年金、個人年金があるわけでありまして、特に高齢期の就労の拡大など社会の変化を制度に反映するとともに、より多くの企業や国民の皆さんが活用していただける必要があるということで、今回、公的年金の見直しに併せて確定拠出年金の加入可能年齢の引上げ等の措置も盛り込ませていただいたと、こういうことであります。

#115
○石橋通宏君 大臣、今上乗せだ、そういうこともおっしゃられましたが、重ねて前回からの議論もあるように、この法案を含めて今の年金制度の我々の問題意識は、最低保障機能がどんどん劣化をしていく、基礎年金部分が長い長い調整によって、先ほど田島委員からも指摘を改めてしていただきましたが、それこそが問題で、無年金、そして低年金者、これからますます、とりわけ前回も申し上げましたが単身の高齢者世帯、とりわけ単身の女性高齢者世帯、これは小川先生も指摘をされました、これをどうしていくのかという議論なのに、ここに税制優遇措置更に投入をして上乗せ分をということが本当に今の時代的要請、問題、課題解決としてどうなのかという疑問は議論しなければいけないと思います。
 今の企業年金、これ個人年金、加入者の状況、どうなんでしょう。結局は、やっぱり比較すれば、大企業の皆さん、それから正社員の皆さんが加入の中心であって、中小、とりわけ零細企業、それから非正規雇用の方々入れていない、そもそも企業側が提供していない、なので圧倒的に加入は少ないのではないですか。
 資料の二だけ今日配付しておりますが、公的な資料ですけれども、企業年金に限っていけば、やはり圧倒的、決定的に非正規雇用形態の方々の加入が限定的です。これこそが問題なのに、これを奨励して税金投入していけばますます老後の格差拡大になってしまうんじゃないでしょうか。そういう問題意識は、大臣、おありなんでしょうか。

#116
○政府参考人(高橋俊之君) 企業年金、個人年金、これ、企業年金や個人年金自体は、今まであるような所得再分配機能を持たないわけでございます。その部分は専ら公的年金である基礎年金の役割でございます。そういう意味で、公的年金は老後生活の基本を支えるものでございますので、引き続きその役割を果たすことができるよう、まずは公的年金の機能を強化を図るということが何よりも重要だと思っています。
 その中で、とりわけ基礎年金、これは所得の多寡にかかわらず一定の年金額を保障する所得再分配機能を有する給付でございますので、この機能を将来にわたって維持することが非常に重要だと思っております。このため、今回、基礎年金の底上げに役立つ被用者保険の更なる拡大を行うわけでございますが、今後、引き続き、今回の改正法でも所得再分配機能の強化という検討規定も置いていただいていますので、これについてどのような方策が可能か、しっかりやっていくというものでございます。
 その上で、企業年金、個人年金でございますけれども、これは、老後の備えの選択肢の一つとして多くの企業や国民の皆様が活用していただける、人々の生活、様々多様でございますから、その多様な生活あるいはライフプランに応じてそのようなものを選択していただけるよう、充実、普及を図ると、こういったことは大事だと思っております。特に、先生御指摘のように、働き方や勤め先の企業にかかわらず、できる限り公平であるべきと、これは私どもも思っておりまして、こういったことがより進むような取組を進めてまいりたいと考えてございます。

#117
○石橋通宏君 いや、答弁いただいていないんですが。
 このまま企業年金、私的年金、それの税制も投入して優遇もして更にそこを強化、拡大していけば、老後の格差拡大にかえってつながりませんかと。むしろ大事なのは、低年金、無年金、これから先々老後の不安を抱えておられる方々、局長今言われた公的年金の最低保障機能、そこが大事なんだ。大事なんですよ。なぜそこにもっときちんとした制度設計せずに上乗せ部分をこうやって税金投入して優遇していくのか、それが問題ではないですかと労働の現場からも声が上がっているわけです。聞いているはずです。だから指摘をしているんです。そこは是非これ改めてちゃんと議論していただかないと。
 重ねてですが、既に恩恵を受けている方々、受けられている方々が更に恩恵を受けていただくことになるのかもしれません。むしろ、恩恵を受けていただいていない方々、その方々にどう老後の安心をつくっていくのか、それこそしっかり我々議論すべきだということは重ねて申し上げておきたいと思います。
 同一労働同一賃金、四月一日から施行されたわけです。先ほど、これ、企業年金でいけば圧倒的に非正規雇用の方々、適用が少ないと。これ、例えば、同一企業でもこれまで正社員は企業年金入れるんだけれども非正規雇用の方々は入れないというようなことがあったとすれば、これ、同一労働同一賃金の基準の下に、当然均等・均衡待遇の考えの下でいけばそういうことは今後許されないと、企業年金は非正規雇用、雇用形態に関係なくきちんと適用されなければならない、そういう整理になるということでよろしいですよね。

#118
○政府参考人(高橋俊之君) 厚生年金に上乗せして企業が実施する退職給付でございます確定給付企業年金、DBでございますとか、それから企業型の確定拠出年金、企業型DCにつきまして、厚生年金被保険者を加入者とするが、加入者について一定の資格を設けることが認められております。法律上はそうなっております。
 しかしながら、この資格を定めるに当たりましては、確定給付企業年金法や確定拠出企業年金法におきまして、特定の者について不当に差別的であってはならないということが明記されてございます。今の正規、非正規の問題も同じでございまして、労使間での合意が必要となってございます。
 そのほか、企業年金は退職給付の制度の一環でもございますので、退職金同様、本年四月から順次施行されている同一労働同一賃金によりまして、正社員と非正規雇用労働者との不合理な待遇差が禁止されることとなっております。
 そういった意味で、この企業年金におきまして加入者の規定を作るに当たりましては、こうしたルールにのっとりまして労使間で十分に議論し、合意していただくことが重要だと考えてございまして、こういったことをよくしっかりと周知してまいりたいと考えてございます。

#119
○石橋通宏君 同一労働同一賃金、これしっかり徹底していただくためには、こういったところも含めて均等・均衡待遇確保していただかなければいけないということだと思いますが、企業年金については、一定の加入の要件を定めることはこれ認められているという理解です。それに基づいて、結果として非正規雇用の方々が加入できないようなそういう線引きをするのは、これは当然指導の対象にしていただかなければならないと思いますので、そこも含めて、今後、しっかりそれをやっていただいているのかどうかも含めて確認したいと思いますし、今後も重ねて、もう施行されている制度の話ですから、対象に含めて指導いただきたいということは併せてお願いしておきたいと思います。
 残りの時間で、iDeCo+についても確認しておきます。
 今回、iDeCo+についても普及促進ということなんだと思いますが、これ、iDeCo+についてはこれあくまでも個人型DCに事業主が掛金を上乗せするというものだと理解しますので、そうするとこれは企業年金ではないという制度的整理でいいということでよろしいですよね。

#120
○政府参考人(高橋俊之君) 御指摘のとおりでございまして、iDeCo+は、iDeCoとして従業員個人が資産形成を行う際に従業員の掛金に追加的に事業主掛金を拠出すると、これで従業員の自助努力を事業主がサポートするという仕組みでありまして、企業年金とは異なるものという整理でございます。

#121
○石橋通宏君 明確に答弁いただきましたが、ということは、企業年金ではないということですので、仮に現在企業年金制度、DBやDCだと思いますが、をお持ちの企業が、これ例えば一方的にそれをやめてiDeCo+に置き換えるようなそういったことをされると、それは不利益変更に当たると、だから認められない、一方的な変更は認められないという理解でこれもよろしいですね。

#122
○政府参考人(高橋俊之君) 企業年金からiDeCo+に変更する場合は、これは、iDeCo+は企業年金ではございませんので、まず今やっている企業年金の終了ということと、それからiDeCo+を新たに行うという、この二つの手続が必要になります。いずれも労使間の合意が必要でございます。
 そういう意味で、一方的に勝手に行うということはできない仕組みでございます。

#123
○石橋通宏君 一方的に勝手にはできないということですが、ただ、何度もこれ労使合意が必要だとか言いますが、結局、残念ながら、労働組合がないところとか従業員代表でいいかげんにやられているところで、何かいつの間にかというのがないとも限らないです。いや、現実的にはそういったこともあるのではないかという御指摘です。
 なので、これ徹底的にちゃんと指導していただきたいということ、あわせて、普及促進をされるような、制度的に促進されるのであれば、そういったことが絶対起きないような指導はこれしていただきたいということもお願いしておきます。
 もう一点、iDeCoの手数料問題です。
 手数料が当然様々に掛かって、私も改めて聞いて、結構手数料取られるなということなんですが、今は超低金利が続いております。現下のコロナの影響もあって、株価も非常に不安定な状況もあります。そうすると、手数料が大きいと、それによって掛金の水準によっては元本割れが生じてしまうというケースが発生するリスクは高いのではないかと思いますが、これ、もし手数料が高過ぎて元本割れが続出するようなことになったら、そもそも何のための企業年金等の推進かということにもなります。
 これ、本当にこんな状況で推進していいんですか。誰のための推進なんですか。これ、どういう問題意識を厚労省持っているんですか。

#124
○政府参考人(高橋俊之君) iDeCoは個人型の確定拠出年金でございますけれども、加入者が自ら投資信託ですとか、あるいは元本確保型の運用商品もございます、これらを選択した上で掛金を運用して、その運用結果に基づく給付を老後に受け取るというものでございます。
 iDeCoは手数料を加入者自身が負担するわけでありまして、今御指摘いただいたように、金利が低い中で、手数料を上回る運用利益、利回りを得られないではないかという御指摘もあるわけでございますけれども、これは個々人について言えば、掛金の額ですとか、あるいは運用商品どういうものを選ばれるか、それから受給の回数ですね、これ受給の回数一回当たりという手数料もございますので、一括して受け取るのか、年に一回なのか、年に何回かなのか、これによってもまた変わってまいります。それから、これ、拠出時と給付時の税制優遇もございます。そういう意味では、手数料と利回りだけの関係ではなくて、かなり税制優遇のところでのメリットも大きいわけでございます。
 そういったことで、一概に申し上げることはできないのですけれども、そういう意味で、拠出時の税制優遇も含めるとトータルでは利益があると、また、長い意味での安心につながるということで、推進をしてまいりたいと考えてございます。

#125
○石橋通宏君 今日、今回お聞きしたら、運用状況がマイナスの方も六%ぐらいおられるという話がありました。重ねて、それでは意味がありませんので、最後に、そういう意味ではやはり改めて投資教育がすごく重要だと思います。
 数字いただきましたが、数字見て中身がよく分からないんですね。電話でお話ししたとか郵便を送りましたとか、それで投資教育が九〇%です、六〇%ですと言って。これ、投資教育じゃないですね。案内ですね、あくまで。これ、継続的、持続的にちゃんと投資教育、金融教育を提供していただいて、これ義務付けられているわけですから、単に形だけではなくて中身のある投資運用教育というものを継続的、持続的にしっかりやっていただかないと、全てマイナスでもう全部失っちゃって何にも得られなかった、むしろマイナスだ、こういうことになるわけです。
 そういう先ほど来の局長の答弁があるだけに、ちゃんとした投資教育を中身ある形で進めていかなければなりません。この点について、最後に、どういう方針でこれ中身の徹底していただけるのか、答弁をお願いします。

#126
○政府参考人(高橋俊之君) 御指摘のように、個人が選ぶものでございますから、そこのところの投資教育が重要でございまして、企業型DCにつきましてはそこのところの投資教育の責任を事業主に課し、また、iDeCoにつきましても国民年金基金連合会が行っているわけでございます。
 実施率は確かに高い、その中身が問題だと。御指摘のとおりだと思います。確定拠出年金制度の、制度のまず内容ですとか、それから金融商品の仕組みや特徴ですとか、資産の運用の基礎知識ですとか、そういったことを、最初のときとそれから継続投資教育、これが極めて重要でございます。
 そういったところをより深めていくために、企業年金連合会等々で事業主向けのハンドブックを作ったり事例集を作ったり、あるいは事業主からの委託を受けて団体の方が継続投資教育を行うとか、こういったことも推進してまいります。
 そういった中で、どういうような実施状況が、実態があるのか、また、そこを含めてより強化するためにどういう材料を提供したりどういうふうに推進すればいいのか、これはしっかりと進めてまいりたいと考えてございます。

#127
○石橋通宏君 終わります。

#128
○東徹君 日本維新の会の東徹でございます。
 今日も、年金法の改正について質疑する前にちょっとだけ、コロナの感染拡大の防止のことについて少し質問をさせていただきたいと思います。
   〔委員長退席、理事石田昌宏君着席〕
 まず、PCR検査についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 厚生労働省の方では、三十七・五度以上の発熱が四日以上続くという受診相談の基準、これがありましたけれども、これを、三十七・五度というのを削除いたしました。これは五月八日に加藤厚生労働大臣の方が見直したということであります。
 実際にその後も、ある保健所では電話での相談に対し、当時ですけれども、電話での相談に対して、実際に三十七・五度以上の発熱が四日以上続いていなければPCR検査が受けられないという回答を実際にしておったということも過去事実であったというふうに聞いております。
 見直してからなんですけれども、その後の見直しをしてからなんですけれども、これ、五月八日にこれを見直ししたわけでありますが、今日ちょっとお手元の資料の方に配付させていただいておりますけれども、その後、じゃ、PCR検査の数が増えているのかというと、決して増えていないんですね。
 当然、直近であれば、これ収まってきていますから減るのは当然なんですけれども、例えば五月八日が九千三百七十三件で一番ピークだったんです。その後で見ますと、五月の十二日ですね、五月の十二日が八千八百八十一件ということで、増えていないわけなんですね。その後ずっと減っていくわけでありますが、これ、変更してもPCR検査数が増えない、この理由についてお伺いをしたいと思います。

#129
○政府参考人(宮嵜雅則君) お答え申し上げます。
 相談・受診の目安につきましては、目安それ自体がPCR検査の実施基準ではなくて、お医者さんが必要と判断した方が確実に検査を受けられるようにということで、重要ということで考えております。
 これについて、私どもの方の国民の皆さんへの周知というか丁寧な説明が足りなかったのかなというところもございますが、その相談・受診の目安につきましては、季節の変化によりインフルエンザなど他の風邪のような症状がある疾患が減少してきたことから、相談の目安の中で他の疾患による症状との違いを念頭に置く必要が減じてきたこととか、目安に該当しない場合についても相談が可能であることをより明確にする必要性なども踏まえて、専門家の御意見も聞きながら五月八日に見直しを行ったところでございます。
 これは、あくまでもPCR検査をお医者さんが必要と判断した人が確実に検査を受けられるようにということで、直接のお答えになっているかはあれですけれども、検査数は今委員御指摘のように増えていませんというか、少し減っております。これは、この時期からもう感染者数が全国的にも相対的に減ってきたという傾向がありますが、それ以上に、PCR検査の結果陽性の人も減少してきているというようなことから、そういう意味でも、かなり医師が必要と認める者に対して適切な検査が行われてきているんじゃないかなというふうに考えているところでございます。

#130
○東徹君 その当初のときから医師が必要と判断するというふうなことをおっしゃるわけですけれども、その基準がやっぱり余りにも高くて、やっぱり本人にとってやっぱり不安だと、ちょっとやっぱり疑いがあるんじゃないかと本人はそう思ってもなかなか受けられないと、でも医者の判断だというふうなことでありますけれども、やっぱりもうちょっと本人の訴えなんかをもうちょっと聞いてあげて、受けやすいような体制を取っていくべきだと思うんですが、その点についてはいかがですか。

#131
○政府参考人(宮嵜雅則君) お答え申し上げます。
 まさに委員御指摘のとおりで、キャパシティー自体を増やしていくということと同時に、受けやすくというか検査の流れを良くしていくということも重要ということで、例えば特に都市部、大都市部なんかにおいては実施件数が伸びていなかったというようなことについても専門家会議から提言を受けておりましたので、例えば相談センターを担っている保健所が業務過多とか、あるいは地衛研も限られたリソースの中で検査業務を並行してやっているとか、そういうようなことも指摘されておりましたので、これらを解決するためにもっと効率的にできる必要がないかということで、例えばPCR検査センターというものの設置とか、それを医師会に委託できるようにというふうなことなどもお示しさせていただきまして、今、二十四日時点ですけど、全国で九十四か所、東京でも三十一か所できているとか、あるいは、実際、人の手配も必要だということで、例えば歯医者さんにもお手伝いいただくというような、そういうような仕組みにもさせていただいておりまして、まさに、受けたいというだけじゃなくて、その受けたいという人がさらにお医者さんが診断して必要だと、診ることが大事ですけれども、なるべく流れが良くなるようにというような取組もさせていただいているところでございます。

#132
○東徹君 今までみたいなことのないように是非これしていかないといけないというふうに思います。なかなかPCR検査まで行かない、たどり着かないというような状況がやっぱりあったというふうに思いますので、そういったことのないように是非やっぱり見ていっていただきたいと思います。
 あと、大学でのPCR検査を、是非大学でのPCR検査をやっぱりどんどんとやっぱり拡大していく、活用していく、そういったことをやるべきだということもかねがね申し上げてきました。今、文科省の方においてもこれ調査していると思うんですが、今いかがでしょうか。
   〔理事石田昌宏君退席、委員長着席〕

#133
○政府参考人(森晃憲君) 文科省においても、厚生労働省と情報交換を行いつつ、大学におけるPCR検査体制の拡大に向けて協力をしてまいりました。
 まず、大学病院においては、現時点において、当省の調査では一日最大千四百四件の検査を実施できる体制を構築しておりまして、これは、二月末時点と比べると千件程度検査能力を増強したことになります。
 その上で、大学等の個々の研究室が保有しているPCR機器については、今年十一月に全大学等に対して調査を行い、新型コロナウイルスの検査に活用できる機器数や感染防止に必要な施設等の数の把握に向けて現在精査を行っているところでございますが、約九割の大学から回答をいただきまして、既に検査に協力している大学は八大学、また、今後検査への協力が可能だと見込まれる大学は四十五大学との報告を受けているところでございます。
 各大学の回答を見ますと、検査を実施する際の課題として、授業や研究での使用との兼ね合い、また、新型コロナウイルス検査用の安全キャビネット等の不足などが主に挙げられているため、厚生労働省の一括交付金の仕組みを大学等に周知することを現在検討しているところでございます。
 今回の集計結果については既に厚生労働省と共有してございますけれども、引き続き、更に回答内容の精査を行いつつ、文部科学省として実際に検査を引き受ける体制構築に向けまして最大限努力してまいりたいと考えております。

#134
○東徹君 是非今後も、検討するというところが四十五大学あるということですから、更にやっぱり拡大していただいて、そして第二波とか来たときにも備えて検査ができるような体制を是非取っていただきたいと思います。
 では、年金の方に入らせていただきます。ちょっと順番を変えさせていただきまして、ちょっと財政検証のことについてお伺いをさせていただきたいと思います。
 まず、内閣府の方で中長期の経済財政に関する試算というのを出しておられます。これ、経済財政諮問会議の審議のための参考としてこれ内閣府が作成して提出をしている試算でありますが、内閣府のこの試算の想定では、経済成長率とそれから国債金利、名目金利の関係について、これどのように考えているのか、お伺いをしたいと思います。

#135
○政府参考人(林幸宏君) お答えいたします。
 本年一月に公表させていただきました内閣府の中長期試算におきましては、これまで同様、成長実現ケースにおきまして、消費者物価上昇率が二%程度に達するまでの当面の間、日本銀行による金融緩和策が継続されるとの想定を置いております。この結果、二〇二二年度まで足下のゼロ金利が続くというふうな見通しとなってございます。その後の金利動向につきましては、内閣府のマクロ計量モデルを用いまして、足下の金利動向を土台としまして、将来の経済成長率や物価上昇率の見通しなどと整合的となるような推計を行ってございます。
 この結果、長期金利に関しましては、二〇二三年度以降、足下のゼロ%程度から徐々に上昇いたしまして、二〇二九年度には、成長実現ケースでは名目GDP成長率と同率の三・二%、ベースラインケースでは名目GDP成長率を上回る一・六%まで上昇するというふうな試算結果となってございます。

#136
○東徹君 内閣府で出している試算では、経済成長率が国債金利をこれは上回るものとしてやっぱり試算されているということで間違いないですか。

#137
○政府参考人(林幸宏君) 御案内のとおり、今、足下、成長率を下回る金利になっていて、直近ではゼロで固定されております。今、成長率がマイナスになっているのかもしれませんが、そのプラスの期間でもゼロ%だったということでございます。御案内のとおり、日銀が二%の物価安定目標というのを持っておりますので、それが実現が見通せるまでの間はゼロ%が続くだろうというふうな想定を置かせていただいております。
 二%が見えてきた後につきましてはモデルに従って金利が上昇していくというふうな形になっておりますけれども、最終的なところは、成長率と同等とか、それを若干上回るようなところに落ち着いていくような見通しとなってございます。

#138
○東徹君 ずっと見させていただくと、二〇二八年、二〇二九年、大体名目金利の方を成長率の方が上回っているというような試算で出していただいているんだというふうに思っております。
 国債金利というのは、長期的に見ますとこれ運用利回りとほとんど乖離しないというふうに考えられますけれども、年金の財政検証では運用利回りが経済成長率を上回るものとしてこれ試算されています。ということは、これ、同じ政府内におきまして経済の想定がこれ逆さまになっているというふうに思いますが、これ、なぜそうなっているのか、お伺いしたいと思います。

#139
○政府参考人(高橋俊之君) これは年金の積立金の運用でございますので、年金の積立金は、外国株式、国内株式、外国債券、国内債券を含めた分散投資をしてございます。
 一般的に、国内の長期国債の利回りは国内の長期金利とおおむね同等ということだろうと思っておりますけれども、そういった意味で、より国内の債券よりも金利の高い外国債券、あるいはより利回りの高い内外の株式に分散投資していると、こういったことから、GPIFの実績を見ましても、平均的に長期金利よりも高い運用利回りが実績としてございます。
 財政検証の経済前提はその経済前提のための専門委員会で議論されて設定しておりますけれども、こういったGPIFの実際の運用状況等を踏まえて、この長期金利よりも高い運用利回りを設定して財政検証を行っているところでございます。

#140
○東徹君 確かに外国の方の投資もあると、それは当然のことだと思いますけれども、ちょっと余りにも運用利回りが良過ぎるのではないかというふうに思いますね。
 年金の財政検証では、運用利回りが実質で三・〇%程度、高くこれ想定されているわけであります。国債金利というのは、これ長期的に見ると運用利回りとほとんど乖離しないと、こういうふうに言われておりますけれども、このように高い国債金利だと、借金の多い我が国だと税収で金利の支払がこれできなくなるのではというふうに考えますが、いかがでしょうか。

#141
○政府参考人(高橋俊之君) これも、税収とその支払金利、そしてまたGPIFの運用利回り、これとの関係によるわけでございまして、そういう意味で、今回の財政検証の設定では、短期的なものと、短期の十年間と、今後の、その後の長い長期の分で設定の仕方変えております。
 短期の足下十年の方につきましては内閣府の試算をベースとした経済前提をしておりますけれども、この運用利回りのところは、内閣府試算における名目長期金利に内外の株式等による分散投資の効果を加味して保守的に運用利回りを設定しているところでございますし、一方で、それ以降のものにつきましては、これは内閣府の試算を使わずに、そもそも運用の収益の源泉が資本に分配される利潤であるということ、また、利潤率は上場企業の収益率と深い関係があると、こういったことを踏まえまして、経済モデルから推計される利潤率に基づきまして直接実質運用利回りを推計してございまして、そういった意味で、御指摘のような関係ではなく設定しているというものでございます。

#142
○東徹君 要するに、十年程度の経済想定は内閣府のものを使っておって、それ以降は厚労省の方で独自に試算しているというふうなことだと思うんですけれども、それでも、国債金利をどう捉えているのかというところがやっぱりいまいち分からないところもあります。
 是非、財政検証、今日も参考人質疑のところで来られた方も言っておられました、もう少し控えめに財政検証をやるべきだというふうな御指摘もありましたので、是非やっぱりしっかりとした、足下を見た財政検証を是非次回はしていただきたいと思います。
 続きまして、第三号被保険者についてお伺いいたします。
 第三号被保険者、御存じのとおり、会社員とか公務員の配偶者の方たちになるわけでありますが、年金制度の課題として、以前からこれ、第三号被保険者の取扱いというものがこれ議論されてきたというのも事実であります。
 この仕組みというのは一九八五年に創設されましたけれども、夫が働いて妻が家庭を守るという考え方、一般的であった時代というのが、専業主婦の年金の確保というのが目的であったというふうにそれは思います。それから三十五年がたって、働く女性がやっぱり増えてきたし、やっぱりそういう時代になってきたというところで、今の時代に合わないのではないかというふうなことも言われてきていると思います。
 これ、仕組み自体がもう時代に合わなくなってきているんだというふうに思うわけでありますが、これ制度化する社会的事実がこれなくなってきているのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

#143
○政府参考人(高橋俊之君) 御指摘の国民年金の第三号被保険者でございますけれども、基礎年金制度を創設した際に、それまで任意加入となっていた被扶養配偶者につきましても自分名義の基礎年金を確保して女性の年金権を確立すると、こういう趣旨で設けられたものでございます。
 人数で見ますと、最新二〇一八年度時点では八百四十七万人でございまして、ピーク時一九九五年に千二百二十万人おりましたものに比べまして一貫して減ってきているところでございます。特に三十歳代以下でも減少が著しいわけでございまして、女性の就労の進展の時代の変化を反映した趨勢だと考えてございます。
 こういった時代の変化を踏まえますと、三号被保険者、引き続き減少していくと見込んでおります。一方で、人生の一時期に家族の関係で仕事から離れなければならないケース等もございます。そういったことを踏まえますと、将来においても、男女に関わりなく第三号被保険者である方は一定数はいらっしゃるものだろうと考えてございます。
 社会保障審議会の年金部会におきましてもこういった議論がありまして、三号被保険者は将来的には縮小していく方向性でありますけれども、単に専業主婦を優遇しているという捉え方ではなくて、多様な属性を持つ方が混在しているということを踏まえた検討が必要であること、また、まずは被用者保険の適用拡大を進めてこの三号被保険者を減らしていくということは対応すると、こういったような議論が指摘されているところでございまして、こういった点で取組を進めてまいりたいと考えてございます。

#144
○東徹君 一つは、やっぱり不公平感というものが例えば自営業者の方たちにとってみればやっぱりあると思うんですね。自営業者の人たちにとっては、専業主婦の方が国民年金に全然掛けずに入れているという、そんなところがあったりとか、また、今働く女性がやっぱり増えてきているというふうなことになって、片や働かなくても国民年金には入れているというふうな形になって不公平感も出てきていると思います。
 今御答弁にもあったように、確かに、例えば子供の保育であったりとか、それからまた親の介護であったりとか、働けないというふうな状況もあるかと思います。ただ、やっぱりこの辺の課題というか問題もやっぱりしっかりとこれ議論していって解決していくべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

#145
○政府参考人(高橋俊之君) 今御指摘いただいたように、家族様々でございます。家庭で子供の保育ですとか親の介護ですとか、様々な場面でそういった生活に対応できるような制度、必要だと考えてございます。
 そういった中で、審議会でも議論しておりますのは、まずは被用者保険の適用拡大を行いまして三号被保険者となる方をできるだけ縮小していく、そういった中で、残った部分が果たしている役割ですね、そういったことと年金制度との関係をどう考えていくのかと、そういったことを多角的に検討していきたいと考えてございます。

#146
○東徹君 是非、この辺の課題もやっぱり議論をしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 せっかく来ていただいて質問できなかった方には大変申し訳ございません。ありがとうございました。失礼いたします。

#147
○倉林明子君 日本共産党の倉林でございます。
 まず、年金の給付水準について質問をさせてください。
 この水準については、総理も、単身では年金だけじゃ足りないと、これもうお認めになっていると思うんです。それでは、所得代替率五〇%、これは暮らせる水準になっているのか。どうでしょうか。

#148
○政府参考人(高橋俊之君) この少子高齢化が進む中で、将来世代の負担が過重なものとなることを避けるために、二〇〇四年の改正におきまして、保険料の上限固定あるいはマクロ経済スライド等によりまして、長期的な給付と負担のバランスを取りながら将来にわたって年金の給付水準を確保すると、こういったところの中で所得代替率五〇%というものが出てきた経緯なわけでございます。
 これは、モデル年金で見て、将来にわたって所得代替率を維持すると。生活、人々の生活、それぞれ様々でございますので、個々の生活で、現役時代の生活状況ですとか、高齢期の収入ですとか資産の状況ですとか、それぞれ望ましいと考えられる生活水準も様々でございますので、一律にこれで足りる、足りないといったものではないと思っておりますけれども、公的年金が老後生活の基本を支えると、こういった役割のための目標としてしっかりと対応してまいりたいと考えてございます。

#149
○倉林明子君 分かりやすく問いには答えていただけたら有り難いと、希望したいと。結局の話、今の説明でいえば、足りる人もいるかもしらぬけれども、やっぱり足りない人も出てくるということやったと思うんですね。
 安定した賃金が、このモデル世帯というのはですね、安定した賃金が四十年間もらえたことが前提になるわけですよね。で、マクロ経済スライドによって、これ長期的には所得代替率下がるということになりますよね。で、五〇%というのは、目標にしている五〇%というのはどういう水準かというと、その受給時、開始時ですね、そのときの到達目標になっているんだけれども、これ給付水準というのは長期的に下がり続けますから、長生きするほど実は暮らせないという年金になっているというのが実態だと思うんです。
 これ、OECDの議論、もう何度かさせていただいていて、これ物差しが違うんだという議論もありました。しかし、改めて公的年金の水準ということでいうと、国際比較でいえばやっぱりOECDになっていくんだろうと思うんです。国際的に見てこのOECD加盟国の所得代替率比較、これ、前回議論したときの二〇一四年の国際比較、そして二〇一八年、直近の比較を一枚目、二枚目に付けているわけです。
 二〇一四年は所得代替率が日本は三五・一%、二〇一八年三二%ということで、加盟国の中では下位に、下の方にいるんですね、位置していると。さらに、これ代替率が、他の国もそういう傾向あるんですけれども、日本も代替率がこれ下がっているんですね。
 財政検証におけるこの所得代替率というのは、OECDは三五・一から三二%ということになっていますが、財政検証における所得代替率が二〇一四年、二〇一八年、それぞれ何%になっていたか、そしてOECDの所得代替率と何でこんなに違うのか、説明をお願いします。

#150
○政府参考人(高橋俊之君) 先生に二つ資料を出していただきました。OECDのペンション・アット・ア・グランスの二〇一四年と二〇一八で、日本の数字が二〇一四年は三五・一%、二〇一八年が三二・〇。これ、下がったように見えますけど、これ下がったんではなくて定義が違うというものでございます。二〇一四年のOECDのレポートはこれ四十五年加入の数字になっています。それから、二〇一八年レポートはこれ四十三年加入でございまして、その違いでございます。それから、これ現在の所得代替率ではなくて、それぞれの国におけます将来の数字でございます。そういう意味で、日本でいえばマクロ経済スライドが進んだ後の数字でございます。
 ただ、この数字が三二%という、低く見えますのは、これ基礎年金一人分と報酬比例一人分を足した単身世帯の数字でございます。OECDのこの調査でも二人世帯の数字も出しておりまして、それにおきます日本は四二・五%となってございます。この四二・五%も、日本の財政検証のケース三のマクロ経済スライド終了時五〇・八と違うわけでございますけれども、これもまた設定が違いまして、OECDの方は分母が、分母の賃金が異なっていて、OECDの方は税、社会保険料控除前になっていて、財政検証は控除後になっているとか、それから就労期間とか平均賃金の違い等々も異なってきている。そういう意味で、単純比較はできないものでございます。

#151
○倉林明子君 単純比較、日本の五〇%というか、目標にしている分と単純比較はできないんだけれども、随分開きがあるんですよね、将来の数字だけど。
 今の説明にあったとおり、日本の場合というのは所得代替率の分子はどうなっているかというと、妻の基礎年金も入っているということになっています。年金額も税引き前なんですよ、分子は。ところが、分母はどうなっているかというと、現役時代の平均賃金は税引き後なんですよね。つまり、分母が高く出る仕組み、制度的にそうなっているんです。これが大きく差につながって出ていると思うんですね。世界的にも、条件をそろえたらやっぱり低いと、これは明らかだと思うんですね。
 二〇一九年の財政検証の前身であります経済成長、労働参加、これ、コロナで激変しております。このままでは所得代替率の確保、大変困難になるんじゃないかと。給付水準確保する、この観点からもマクロ経済スライドの凍結。そして、加えて賃金スライド、これも始まります、二〇二一年四月から。ということになりますと、これ、コロナの下で解雇や倒産が急増しております。物価は上がると、賃金は下がると、こういう傾向になると思うんですね。こうなったら更に手取りが減って年金が下がっていくという流れになりますので、私、マクロ経済スライドも、直近に発動が決まっているこの賃金マイナススライド、これやめるべきだと。大臣、いかがでしょうか。

#152
○国務大臣(加藤勝信君) マクロ経済スライドは平成十六年の年金制度改正で組み込まれたわけでありますが、当時は、保険料水準がどんどんどんどん上昇していく中で、やっぱり若い人の負担という観点から、将来の保険料水準を固定した上でこのマクロ経済スライドによって現役世代と高齢世代のバランスを確保して一定の給付の水準を確保するという形で組み込まれた仕組みであります。将来世代の負担というのが当然ありますから、それを過重なものにせず年金財政の均衡を図るために、基礎年金に対してもマクロ経済スライドによる給付水準の調整がこれは必要であるというふうに考えております。
 今回の新型コロナウイルス感染症の年金財政に与える影響、これ、数十年単位で見た場合、直ちに影響を与えるものではないと考えます。もちろん、これによって日本の経済構造、社会構造が変われば当然それは一定程度反映されることはあるんだろうとは思いますけれども。
 また、基礎年金は、所得の多寡にかかわらず一定の年金額を保障する所得再配分機能を有している給付でありますから、これまでも申し上げているように、この機能は維持することは必要であり、そうした検討はしっかり進めていくべきだと思っております。
 また、賃金マイナススライドの発動についても、二〇〇四年以降、デフレ経済が続き、賃金上昇率が物価上昇率を下回った中でマクロ経済スライドを発動できない状態が続き、特に報酬比例年金のように給付が賃金に連動していない定額の基礎年金への影響が大きくなっていったということを踏まえて、二〇一六年改正で、賃金変動が物価変動を下回る場合に賃金変動に合わせて年金額を改定する考え方を徹底し、将来世代の給付水準を確保しようとするための見直しであります。
 なお、年金額の改定に当たっては、不測の事態、一時的な事態に過度に影響されないようにするため、三年間の平均の賃金変動率を用いて、これによって年度による経済状況の変化の平準化を図るということであります。
 いずれにしても、財政検証をしっかりしながら持続可能な年金制度の維持に引き続き努力をしていくとともに、今回の法案に申し上げておりますように、適用範囲始め検討すべきものについてはしっかり検討させていただきたいと思います。

#153
○倉林明子君 いや、こんなときに年金が下がり続けるって、これが国民にどんな不安を与えるかと、だからこそ今できることをしっかり措置すべきだと求めておりますので、御検討いただきたいと思います。
 終わります。

#154
○委員長(そのだ修光君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕

#155
○委員長(そのだ修光君) 速記を起こしてください。
 これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#156
○片山さつき君 自民党の片山さつきです。
 まず冒頭、今般のコロナ肺炎で亡くなられた方に心から御冥福をお祈り申し上げます。
 年金機能強化法でございますが、今回の法案で最も重要な点は被用者保険の適用拡大でございます。
 るる議論が今日もございましたように、年金は、支え合い、共助で人生百年時代の大切なセーフティーネットでございますが、今般の新型コロナウイルス不況と戦う上でも、やはり真っ先に大きな影響を受けるこの非正規就労の方々、こういう方々にセーフティーネットを可能な限り広げていくことの努力がいかに危機のときだからこそ望まれるかということが実感されるわけですが、これまでの審議の中で適用拡大の範囲につきましては不十分というお叱りも多々あったんですが、顧みてみれば、そもそもの社会保障・税の一体改革時の適用拡大は、さんざんすごい議論がございましたが、当時の推計で二十五万人だったんですね、実績四十万人程度で。今回の適用拡大が成れば、新たに被保険者資格を得る方が推計で六十五万人に達しますと百万人を大きく上回るという本格的な適用拡大になるものと私どもは評価できるのではないかというふうに考えているわけでございます。
 全世代型社会保障実現という大きな改革の流れの中で、総理は常々非正規という言葉はなくしていこうと呼びかけておられますが、今回の被用者保険の適用拡大の持つ意義についてまずお尋ねをいたします。

#157
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 安倍内閣においては、人生百年時代の到来を見据えて、子供からお年寄りまで全ての世代が安心できる社会保障制度を構築をしていくため、働き方の変化をこれは中心に据えまして、年金、医療、介護、社会保障全般にわたる改革を進めております。
 その中で、今回の年金制度改革は、この働き方の変化を捉え、今後、より多くの人がこれまでよりも長期間にわたり多様な形で働くようになることを年金制度にも反映し、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図るものであります。
 その上で、今般の被用者保険の適用拡大は、年金給付がより手厚くなることによる安心を働く方に実感をしていただきながら、これまで扶養の範囲を気にしてきた方にはこれを気にせず、希望に応じた働き方を選択し、その能力を発揮していただけるようになり、また、年金制度全体にとっても基礎年金の給付水準も向上させる効果を持つことから、将来の年金受給者全体にもメリットがある改革であると考えております。

#158
○片山さつき君 ありがとうございます。
 配付させていただいた「コロナ対策 個人への給付・免除支援」は、働き方のステータスごとに人口を分けまして、黄色の部分が一次補正で拡充した部分、赤が予備費と今回の補正予算案の見込みでございますが、できるだけ弱い立場の方にセーフティーネットを広げていく方針で苦労して次から次へと、多少逐次拡大という御批判もありますが、できるだけ漏れがないような形でここまで広げてきたという努力の跡の図なのでございますけれども。
 今回、私どもも、朝、予算案の対応を聞かせていただいたんですが、雇用関係があればパート、アルバイトも雇用調整助成金の対象に、しかも一万五千円という世界水準に上げていくことに加えまして、新型コロナ対応休業支援金の給付も同じく月額三十三万円レベルになるように上げていく、また、休業の必要な働く妊婦さんへの助成金等、できる限りの拡大をしながらコロナとみんなで闘っていくと、こういうことで、恐らくこの委員会のみんなの共通の大変な重大関心事であります今回の第二次補正における厚労省の一般会計は、二兆円を超える大きな交付金も含めて大変な規模なものになると思われておりますが、総理の御方針というか心意気をお聞かせいただきたいと思います。

#159
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 昨日、国民の皆様の大変な御協力をいただき、緊急事態宣言を全国で解除することができました。
 かねてより申し上げているように、このウイルスとの闘いは長い道のりを覚悟する必要があると認識をしています。このため、この険しい道のりの中で事業と雇用を何としても守り抜き、同時に、感染状況が落ち着いてきたこの機を生かし、医療提供体制や検査体制の整備など、次なる感染に向けて万全の備えを固めていく考えであります。
 そのため、明日決定予定の第二次補正予算においては雇用調整助成金制度の抜本的拡充を行うことといたしまして、日額上限を世界で最も手厚いレベルの一万五千円まで引き上げ、また、雇用されている方が直接お金を受け取れる新たな制度を創設します。
 さらに、二兆円を超える規模の予算を積み増し、自治体と連携しながら医療提供体制や検査体制の拡充を行い、緊急包括支援交付金についても、全額国費負担で事業実施を可能とします。
 あわせて、ウイルスとの闘いの最前線で奮闘してくださっている医療従事者、病院スタッフの皆さん、また介護事業所の皆さんに最大二十万円の慰労金を支給いたします。
 ワクチン、治療薬の開発も、国内外の英知を結集して更に推し進めていくこととしております。
 これらの強力な支援を講ずることで、国民の皆様とともに感染拡大を予防しながら新たな日常をつくり上げるチャレンジに全力を尽くしてまいりたいと考えております。

#160
○片山さつき君 今日は株も五百円以上上がっておりまして、本日から一都三県、北海道も含めて全国で緊急事態解除、いよいよ国民全体がコロナ対策と経済再起動を両立させる新しい日常生活、ニューノーマルを心掛けていくことになりますが、やはりニューノーマルに対するいろいろな設備投資等、当然投資が要ります。
 その中に、やはり、かねてからお願いしておりまして、また、昨日の総理の御発表で二兆円の積み増しということになりました新型コロナ対応地方創生臨時交付金が柱としてあるのではないかと考えている次第でございます。
 各省の交付金ではカバーし切れない保育とか学童保育とか、緊急事態の間も開けていた、開けていてリスクも負った、かつ売行きは下がった、なかなか大変。実は、全く患者が出ていない地方の県の県庁所在地でも、数十軒の飲食店、飲み屋さんが倒産しております。総理の御地元でも、このゴー・ツー・キャンペーンを待つ前に、老舗の旅館が一軒また一軒と閉じているという現実があって、何としても地方景気を底から支えると、働く人を守る、事業を守るためには、やはりこの地方創生臨時交付金を柔軟な形で使いやすく発動していく、そのために新たに新しい生活様式に対応する枠というのを取っていただくということになったと承知をしているんですが、感染者の数に合わせて配分することも重要です。私は東京都連でも役をやっているものですから、公明党さんのお話もよく伺って、前回百億円しか来なかったと大変東京都はショックを受けておりますので。
 ただ、やはり弱いところに取り付くのがこのウイルスでございまして、経済もまた同じなので、やはり地方創生臨時交付金におきましては、新しい生活様式に対応できるハードにも使える部分を、やはりそういった部分に配慮しながらも使える、そういうことも是非お願いしたいと思うんですが、もう時間がないのでこれが最後の一問です。よろしくお願いします。

#161
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 緊急事態宣言を全面的に解除いたしまして、全国で解除いたしまして、これからは、感染の拡大を防止しながら、同時に社会経済活動を進めていくという大変難しい対応が求められるチャレンジであると言ってもいいと思います。
 そうした中でも、事業と雇用を守り抜くために二次補正予算を編成し、資本性の資金供給を含む大胆な資金繰り支援、世界で最も手厚いレベルの人件費への助成、家賃負担を軽減するための新たな給付金の創設などの対策を国として講じる考えであります。
 その上で、地方六団体の要望も踏まえまして、二次補正予算では、地方創生臨時交付金についても更に二兆円増額をいたしまして、一次補正予算と合わせて総額三兆円を措置したいと考えております。
 地域の実情に応じた事業者や生活者へのきめ細やかな支援に是非各地域で御活用いただきたいと、こう考えております。

#162
○片山さつき君 終わります。

#163
○石橋通宏君 立憲・国民.新緑風会・社民共同会派、立憲民主党の石橋通宏です。
 まずは、安倍総理、今日は御多用中の中で時間調整いただいて、参議院厚生労働委員会、御出席いただいてありがとうございます。まずは感謝申し上げておきたいと思います。
 今日、大変貴重な機会で、大事な年金法案の議論、総理としっかりとやり取りをさせていただきたいと思って準備をしておりましたが、しかしながら、ちょっと重大な問題が発生をし、黒川前東京高検検事長の賭けマージャン、そして訓告処分問題について、先週金曜日の衆議院厚生労働委員会での安倍総理の答弁が虚偽答弁ではないのか、若しくは重大なごまかしの答弁ではないかという国民的な疑念が湧いております。この疑念をたださずして大事な法案審議できませんので、今日はまずこの点について、総理、しっかり御説明をいただきたいと思います。
 総理、金曜日の質疑で、黒川氏の訓告という、多くの国民の皆さんが甘過ぎるという処分について、これは検事総長が処分を決めたんだという答弁をされて、内閣の関与には一切触れられておりません。
 ところが、同じ金曜日、森法務大臣は、法務省が内閣と協議する中で、任命権者である内閣が懲戒にしないと決めて、その決定を森大臣が検事総長に伝達をし、その結果、法務省の内規に基づく訓告処分が決まって内閣に報告されたと明確に説明されております。
 総理、どちらが本当で、どちらがうそなんですか。

#164
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 黒川氏の処分については、先週二十一日、法務省から検事総長に対し、調査結果に基づき訓告が相当と考える旨を伝え、検事総長においても訓告が相当であると判断して処分したものと承知をしております。
 私自身は、森法務大臣から、事実関係の調査結果を踏まえて処分を行ったこと、その上で、黒川氏本人より辞意の表明があったのでこれを認めることとしたいとの報告があり、法務省の対応を了承したものであります。
 なお、黒川氏本人、黒川氏を検事長に任命したこと等については、法務省、検察庁の人事案を最終的に内閣として認めたものであり、その責任については私にあるわけでありまして、御批判は真摯に受け止めなければいけないと、こう考えております。

#165
○石橋通宏君 総理、昨日の参議院決算委員会でも、森法務大臣は重ねて黒川氏の処分について、法務省において調査検討する過程において、当然、内閣にその旨を報告をし、協議をしたと答弁を繰り返されております。任命権者は内閣なので、当然内閣に報告しておりましたと重ねて森法務大臣が決算委員会で答弁されております。
 総理、先ほど総理は総理自身はというような表現ぶりも使われましたが、これ、内閣、そして官邸、そして安倍総理大臣御本人、これ、森法務大臣の国会における答弁をそのまま理解をすれば、その過程において、当然報告をし、協議をしていましたという答弁です。
 総理、報告を受け、逐次、そして結果についてこれ協議をしていた、違うんですか。

#166
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 官房長官も委員会で答弁をさせていただいていると思うのでございますが、先ほど申し上げましたように、黒川氏の処分については、先週の二十一日に、法務省が検事総長に対して、調査を行ったこの結果について訓告が相当と考える旨を伝えて、検事総長においても訓告が相当であると判断して処分したものと承知をしています。
 そしてまた、繰り返しになるんですが、先ほど答弁をさせていただきましたように、私自身は法務大臣から、法務大臣が官邸に来られまして、事実関係の調査結果を踏まえて処分を行ったこと、その上で、黒川氏本人より辞意の表明があったのでこれを認めることとしたいとの報告があり、法務省の対応を、この法務省の対応を私として了承したわけでございます。
 もちろん、私が了承をしている、最終的には了承しているわけでございますから、私もこの処分にもちろん責任を負っているということでございます。

#167
○石橋通宏君 そうすると、安倍総理、森法務大臣の昨日の決算委員会での御答弁含めて、そちらが虚偽だったということですか。
 総理、お答えいただかないんですが、最後の決定をして云々の部分は、それ、総理が言われることは事実なんでしょう。我々がただしているのは、その以前、それに至るプロセスの中で、森法務大臣は明確に官邸、これは内閣ですが、まあ官邸なんでしょう、ちゃんと逐次報告をして、調査の途中でですよ、報告をして協議をしておりましたと、そういう答弁を国会でされているわけです。そのことは、安倍総理、お認めになるんですか。

#168
○内閣総理大臣(安倍晋三君) そのことにつきましては、これは既に、他の委員会でございますが、官房長官から、報告を受けているという話については、これは官邸として報告を受けているということについては、これはそのとおりであるという趣旨の答弁をしておられるというふうに私は承知をしているわけでございますが、私が今申し上げておりますのは私が報告を受けていることにつきましてお話をさせていただいているところでございまして、これはまさに、何度も同じ答弁になってしまうのでございますが、訓告が相当と考える旨を法務省から検事総長に伝えて、検事総長においても訓告が相当であると判断して処分をしたと、その上で、先ほど申し上げたとおり、森法務大臣からこうしたことについて報告があり、そして法務省の対応を了承したものであると、こういうことでございます。

#169
○石橋通宏君 総理、そこはっきりしてください。先ほど、私がと言われる、でも、これ森大臣は内閣と言われる。これ、決定権者、判断権者は内閣。ただ、その総責任者は安倍総理御自身ですね、当然ですが。これ任命権者は安倍総理ですから、これ懲戒の判断をする云々は法務省にはできない話ですね。内閣しかできません。
 内閣しかできないということは、内閣が今回懲戒にしないという判断をどこかでされないと、法務省は、じゃ、監督者としての訓告で済まそうという決定はできないわけですから、だからこそ、プロセスにおいて内閣と逐次報告をし協議があって、まず最初に内閣が懲戒にしないという判断がなければ、その次の法務省の決定プロセスには進めないのではないですか。

#170
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、この懲戒につきましても、これは閣議請議が、法務省としての閣議の請議が必要でございますから、これは当然、まず法務省が判断して、これは懲戒処分ということにするのであれば閣議請議をするという判断になるわけでございます。訓告以下の場合は、これはまさに検事総長が行う処分でございますから、これは法務省において判断をするということでございまして、その段階でそういう処分をどこにするかということについては、法務省としては、先ほど申し上げましたように判断をしたわけでございまして、その判断の上に、その判断の上にこの了承を求めてきたわけでございます。
 ですから、もちろん了承を求めてきて私は了承をしているという判断はしているわけでございますが、その前の段階で、訓告という処分については、これはもうまさに法務省として、先ほど申し上げましたように、調査結果に基づいて訓告が相当と考える旨を、検事総長においても訓告が相当であると、言わば法務省、法務省において調査をした、調査をしたのはあくまでもこれは法務省でありますから、内閣官房が調査をしているのではありません。法務省が調査をした上において、法務省の判断として検事総長に対して、調査結果に基づいて訓告が相当と考える旨を伝えて、検事総長においても訓告が相当であると判断して処分したものでございまして、その上において森法務大臣から、先ほど申し上げましたとおり、事実関係の調査結果を踏まえて処分を行ったこと、その上で、黒川氏本人より辞意の表明があったのでこれを認めることとしたいとの報告があって、法務省のこの対応を私として了承したということでございます。

#171
○石橋通宏君 重ねて、総理、法務省、検察における判断云々、それは累次御説明をされております。重ねて、任命権者としての内閣の判断が必ずどこかであったはずだ、それについてお聞きしているのに、そこについては全然お答えをいただけません。
 総理、任命権者として、今回の件、徹底的に調査をして、過去に遡って、実際にどのような常習性あったのか、そういったことも含めて改めてしっかり調査をせよと、それが任命権者としての責任ではないんですか。それをしなかった、しないという判断をしたのは、まさに任命権者たる安倍総理、あなたの判断だったのではないですか。そのことについて、国会、国民に対して全く説明をされようとしておりません。
 総理、内閣の任命権者として、総理、今回は懲戒にしないという判断を総理がされた。違うんですか。

#172
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これもあくまでも、最初に申し上げましたように、懲戒をする上においても、これ閣議請議をするわけでありますから、懲戒をするということで法務省として判断をするわけであります。そして、訓告以下につきましては、これ検事総長がそれは処分ができるという判断をする。
 どういう判断をするかということにつきましては、まさに調査を行った当事者である法務省としてその調査結果を踏まえてこの判断をし、そして、それを検事総長に、その先ほど申し上げました形でその調査結果について訓告が相当と考える旨を伝えたわけでありまして、検事総長においても訓告が相当であると判断して処分を行ったということを申し上げているわけでございまして、まさにその結果について森法務大臣は私のところに報告をしたわけでございます。そして、この法務省のこの対応をまさに私は了承しているわけでありますから、そこでもちろん、これはそういう処分が、適切に処分、調査を行い処分がなされたものと私は了承をしたという判断をしているところであります。

#173
○石橋通宏君 総理はこの間、全て法務省に責任をなすりつけているようにしか思えません。
 閣議請議云々、それは手続はそうです。しかし、総理が、任命権者、判断権者、内閣総理大臣として判断されているはずです。それに基づいて法務省が手続的に閣議請議を行う。そうじゃありませんか。にもかかわらず、総理は、全部これまで、あたかも法務省が全て決定し、全く総理には責任がないようなそういう答弁をされるから、国民の皆さんの不信が今渦巻いているのではないんですか。
 総理、賭けマージャン、これ賭博罪に当たりますね。

#174
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 金銭を賭けてこのマージャンをするということにつきまして、その言わばどういう罪に当たるかということにつきましては、これは法務省に質問していただきたいと、このように思うわけでございまして、私は答弁を控えさせていただきたいと、このように思います。

#175
○石橋通宏君 これ、改めてお聞きしているのは、第一次安倍政権時、二〇〇六年十二月、賭けマージャンは賭博罪に当たるとの閣議決定をされております。これは、質問主意書に対する答弁書としての閣議決定をされております。その閣議決定では、賭けマージャンは賭博罪に当たる、そして、その中では金額についての言及はありません。つまり、賭けマージャンは賭博罪に当たるという閣議決定をされているはずです。
 総理、これ、第一次安倍政権時、総理が総理大臣のときに閣議決定をされた。そして、今回の件は、過去に遡って、少なくとも三年遡って常習的に賭けマージャンをされていた。そのことが既に明らかになって、今回の関係者の方々もそれについてはお認めになっております。賭博罪に当たる行為、しかも常習賭博です。
 黒川氏は天皇の認証官ですね。検察という刑事事件の起訴権限を持つ組織のナンバーツーという立場です。それが、何年もの間、常習としての賭博行為、賭けマージャンを行っていた、これが明らかになっている。東京高検が自ら非違行為等防止対策委員会で定めているように、これ重大な信用失墜行為に当たる。当然懲戒処分の対象になるとそこにも書かれております。
 総理、改めて、任命権者として、責任ある立場で、この黒川氏、過去に遡ってこの常習性の問題、過去もずっと点ピンレートだったのか、いや、でも、点ピンレート、レート関係ないと閣議決定もある。そのことも踏まえて、しっかり責任持って、改めての調査を命じて厳正な処分を命じるべきではないですか。

#176
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 賭博罪に当たるかどうかということについては、まさに当局であるこれは検察庁がこれは判断するものでございまして、今私がここにおいてそれを確定的に答弁することは当然できない、できないわけでございます。
 その上で、先ほど石橋委員から、私が法務省に全て責任を押し付けているかのごときの御指摘がございましたが、それは全くそういうことではなくて、まさに手順としてどういう手順で最終的な判断が下されたかということを御説明をさせていただいているところでございまして、まさにこれは、調査を行ったのはこれ法務省が調査を行い、適切な調査を行ったものと私は承知をしております。その調査の上に法務省として訓告が相当であると判断をしたのでありまして、そしてそれを、その調査結果を検事総長に報告をし、そして、その後に検事総長においても訓告が相当であると判断して処分をしたものでございます。
 もちろん、そして、その報告に対しまして私として了承をしているわけでありますから、私もこの判断について当然最終的に了承しているというのは、私の責任の下に了承したということは先ほど申し上げているとおりでございます。

#177
○石橋通宏君 では、総理、是非その調査結果なるものを公表していただきたい。いかなる調査結果をもってそれが適正だと任命権者たる安倍総理が判断をされたのか、それを国民の皆さんに分かる形で是非公表、公開してください。総理、よろしいですね。

#178
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 既に法務省として調査結果を報告しているものと私は承知をしております。

#179
○石橋通宏君 その調査結果、これまで公表されている分、甚だ全く不十分だからこそ、総理がいかなる根拠をもって判断をされたのか、それをちゃんと国民の皆さんに分かる形で示してくださいとお願いをしておるわけです。それができないとなると、本当に総理、国民の皆さんのこの不信感、この払拭なんかできませんよ。
 総理、もう一つ重ねて確認させてください。
 黒川氏が不在となりました。今、いかなる公務の運営に著しい支障生じているんでしょうか、教えてください。

#180
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 黒川東京高検検事長が辞職をされたのでございまして、その後任については既に、その後任につきましては林名古屋高検検事長がこの後、後任としてその職に、職に就くということが決定をしておりますので、そうした意味におきましては、この黒川氏が退任後もしっかりとその職責を果たしていただけるものと考えているところでございます。

#181
○石橋通宏君 総理、その説明はおかしいですね。一月三十一日の閣議決定に当たって、総理、政府はどう説明されたんですか。余人をもって代え難い、公務の運営に著しい支障が生じると、それを理由に国公法第八十一条三、その法解釈をねじ曲げてまで、総理、閣議決定をやられたんじゃないんですか。となると、今、重大な公務の運営に支障が生じている、余人をもって代え難い方がいなくなったわけですね。
 総理、それを国民の皆さんにちゃんと説明をしていただかないと、一月三十一日の閣議決定、成り立たないんじゃないですか。

#182
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 黒川氏につきましては、検察庁の業務遂行上の必要性に基づきまして、検察庁を所管する法務大臣から閣議請議により閣議決定されるといった適正なプロセスを経て引き続き勤務させることとしたものでございまして、この勤務延長自体には問題はなかったと、このように考えているところでございます。

#183
○石橋通宏君 いや、総理、全く説明をいただいておりません。内閣の責任において、安倍総理の責任において、余人をもって代え難い、公務の運営に著しい支障が生じる、それを理由にあの閣議決定をやられたわけです。であれば、今、黒川氏が不在になった、いかなる支障が生じているのか、それをやっぱり説明していただかないと、あの閣議決定自体が事実のない虚偽の閣議決定だった、そうなるじゃありませんか。
 総理、国民の皆さんへの説明です。ちゃんと説明してください。

#184
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、石橋委員が挙げられた点については、これは閣議請議をしたという責任者として森大臣が国会においてそういう答弁をされたというふうに承知をしているところでございますが、そういう、まさにそのような考え方の下に黒川氏のこの勤務延長について請議がなされたわけでございまして、それを閣議決定をしたところでございます。
 ただ、残念ながら、今回こういう事態になったわけでございまして、処分を受けたことによって辞職をされたということでございまして、その後、適切な後任者として我々は林氏をこの後任に充てたということでございまして、このまさに行政上遅滞のなきようにしっかりと職責を果たしてもらいたいと、こう考えているところでございます。

#185
○石橋通宏君 いや、今の総理の御答弁聞いて誰が納得しますかね。全くお答えいただいておりません。もし説明できないのであれば、重ねて、一月三十一日の閣議決定、それ自体が根拠も前提条件も全て失います。直ちにあの閣議決定、撤回をいただいて、そして安倍総理、その混乱を招いた責任をちゃんとしっかり取ってください。それを要求します。総理、お願いします。

#186
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 閣議決定につきましては、先ほど答弁させていただきましたように、適切なプロセスを経たものであります。他方、黒川氏の辞職については、黒川氏が緊急事態宣言のさなかに金銭を賭けてマージャンを行っていた事実が判明したことを契機に、本人から辞職の申出を承認し辞職させることとしたものでありまして、勤務延長の判断とは直接関係をしないということでございます。
 いずれにいたしましても、いずれにいたしましても、任命した責任は私にあるわけでございまして、言わば御批判は真摯に受け止めなければならないと、このように考えております。

#187
○石橋通宏君 私の持ち時間は終わりましたのでこれでやめにしますが、総理、重ねて、今のような説明では到底国民の皆さん納得されないと思います。今最も政治への信頼が必要なときに、総理のその姿勢、態度では到底駄目だということを申し上げて、我々、予算委員会の開催等もお願いをしておりますので、そのことも改めて要求して、私の質問終わりにします。
 ありがとうございました。

#188
○田村まみ君 共同会派、国民民主党の田村まみです。
 法案に入る前に一問だけ、新型コロナ感染拡大の影響の視点で年金に関する社会保険料の負担について御質問、提案させていただきたいと思います。
 昨日、緊急事態宣言が全面解除されましたが、新型コロナの感染の影響が残した爪痕は本当に非常に大きい状態で、今日からあしたから本当に二月以前と同じ生活というわけにはいかないということは、国民の皆さん本当に今しみじみ感じながら自分のできることを頑張っていらっしゃいます。
 その中で、事業活動の縮小や外出自粛の影響で倒産した企業は今月の二十一日までに百七十社を超えたことが民間の信用調査会社の調べで判明したというような報道もあります。その上、これには大企業も含まれるということから、今後連鎖倒産もあり得るんじゃないかという見通しまで出ております。また、直近でいくと、ファミリーレストランや居酒屋のチェーンなど、人手不足といって本当に苦しんでいたような業種で、まだまだ店舗数増やそうというような業種、そういう業種も、不採算店舗の大量閉店などを行いながら何とか事業をつなごうと、もう本当に非常に厳しい状態が続いています。
 多くの企業が雇用の維持、事業継続が目前の重要課題となっている現状です。しかも、リーマン・ショックのときと傾向が違うというふうに、最近ようやくそういう認識になってきたと思います。私は、企業規模の要件以上に、やはり業種に今回は本当に偏りがあるというふうに思います。
 そこで提案なんですが、この雇用を維持するという視点で、あくまで今回のコロナ対策の期間限定で特例措置として、企業規模要件なしで業績を指標に、休業中の労働者をきちっと雇用を守っていくという視点で、企業側、労働者側共に社会保険料の負担、これを減免措置すべきではないでしょうか、総理。

#189
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この百年に一度と言われるこの危機において、まさに事業規模にかかわらず、多くの企業の皆さんが大変な困難の中にあるわけでございます。また、御指摘のように、例えば大企業であったとしても、もしこの大企業が倒産ということになれば、同時に中小企業やあるいは小規模事業者の皆様にも大きな影響も及んでくるということもあるわけでございまして、大切なことは事業を継続していただくことなんだろうと、こう思います。
 御指摘の社会保険料については、資金繰り対策の一環として、企業規模にかかわらず、企業側、労働者側共に延滞金はゼロとした上で、一年間の猶予を行うこととしたところであります。
 これに加えまして、雇用維持、事業継続の観点から、中小企業はもちろんのこと、大企業であっても危機対応融資による資金繰り支援を行うとともに、明日決定予定の第二次補正予算では、劣後ローンや出資など資本性の資金を供給することで事業の継続を強力に後押しすることにしております。また、雇用面においても、雇用調整助成金について、大企業の日額上限も一万五千円に引き上げることで雇用の維持を強力に促すこととしております。
 こうした施策によって、休業中の労働者に係る人件費の負担を大幅に軽減することが可能となると考えております。

#190
○田村まみ君 猶予という名前から出ていて、今回私が申し上げたのは、あえて減免です。本当に中長期的にこれから話す年金制度の話を持続可能なものにしようと思ったときには、やはり雇用を確保していかなければいけませんし、そのためには企業を守って事業継続をしていかなきゃいけないというところで、この猶予では結局やはり借金と同じなんじゃないかと、延滞金無料と言いながらもやっぱり払わなきゃいけない。だから減免をお願いするという話をしているんです。
 まだこの二次補正予算だけで終わるというふうに誰も思っていません。今からでも、すぐにでもこの御決断をしていって、これから御質問させていただきます年金制度の機能、これ維持していく、その視点で減免できませんでしょうか。

#191
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今後の、昨日、緊急事態宣言を解除させていただき、今、終息、完全な終息に向かって大きく踏み出すことができたと、こう考えているところでございますが、その中でどこまでこの今の経済状況が続いていくかということから見れば、国際的に終息するにはまだまだ時間が掛かっていくわけでございまして、経済において相当厳しい状況は続いていくということを鑑みれば、今後、その時々においてしっかりと企業の継続雇用を守っていくためには大きな判断も必要になってくると、こう思っている次第でございます。
 そして同時に、この社会保険料というのはまさに、大切なことは、みんなで共助としてお互いの助け合いの中で成り立っている中において、それをどう考えていくかということもあるわけでございますが、もしですね、もしこれからずっと長引いていく中において、これは、様々な大きな課題が出てくる、立ち行かないといった課題が出てくるようであればしっかりと判断をしていきたいと、こう思っております。

#192
○田村まみ君 今後判断というふうなお言葉ありましたけれども、引き合いに出すというか比べるときに、今、リーマン・ショックという話、必ず出てきます。私、資料で、平成二十四年の五月二十五日に厚生労働省が出されたリーマン・ショック後の雇用対策の効果検証の数値を、今日皆さんにはお配りしていないんですけれども、持っています。
 そこで、本当に失われた雇用をどう回復していくかというところで、予算としては本当に六千億、七千億を超える予算が、もう本当に一兆円を超えるような予算が本当に三年、四年、五年と続いて、ずっと積み上げてやっとここまで雇用を回復したという現状、この認識があったときに、今もう見通しが出始めているとき、今思い切った対策をすることが、長引く不況、そして長引く経済の落ち込みというところだったり雇用を守るというところの先んじて手を打つことになると思います。
 もう、さきの教訓があるわけです。先に思い切ってもっと大胆にやるべきじゃないでしょうか。これから話す年金制度も複雑で継ぎはぎで分かりにくい。じゃなくて、今、今回の本当に苦しんでいる人たちに、分かりやすく一回で済むように、この減免やれないでしょうか。

#193
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 言わば雇用対策としては、今社会保険料の減免のお話をさせていただきましたが、言わば雇用を継続をしていくために、事業の継続ということにおきましては百三十九兆円の、第一次補正、第二次補正これ合わせますと、言わば企業の支援を行っていくこととしているわけでございます。今回の補正におきましても相当規模、九十兆円規模の支援をしていくということになっていくわけでございます。また、一次補正、二次補正を合わせれば二百兆円という、GDPの四割、まさにこれは過去最大規模でありまして、国際的にも最大級の経済対策を行いながら、しっかりと事業の継続、そして雇用を守り抜いていきたいと、こう考えております。

#194
○田村まみ君 予算の閣議決定前ということもあって、大きな変更を今すぐとはいかないと思いますが、是非、先ほど前向きに、もし何かこれ以上ということがあればという中では是非御検討いただきたいというふうに思います。
 そして、次の質問ですけれども、この不安なコロナ禍で目の前の生活で手いっぱいな今、社会保険制度が担っている所得再分配機能についてどう考えるかというのはこの委員会の中でも何度も御議論の今俎上に上がっておりました。
 今日お配りした資料の一は大和総研の調査の中での出てきた数字でございます。二人以上の勤労者世帯、この数字自体がモデルということがいいのかどうなのかは別としても、この数字使わせていただいて、これ、負担する税、社会保険料の賃金に占める割合というのがこれ増え続けているということが分かりやすく示されているグラフだというふうに思います。
 平成の三十年間で五・一%上昇していて、うち、この四・二%は直近の十年間で上昇した、これもグラフの右端だけ見ていただければ分かる表になっていると思います。この増加していっている社会保障の部分でいくと、直接のその税というのは横ばいなんだけれども、社会保険料は増加したという試算もこの資料の別のページにありました。この増加した社会保障の給付を補えていなくて財政赤字が拡大しているんではないかというふうに私は読んでおります。
 今後、コロナで傷んだ日本経済の経済成長を行う上でも、所得の再分配機能の強化というのを議論しなければいけないというふうに思っております。税とセットで考える必要性は認識していますけれども、今回、年金ですけど、最低保障である基礎年金が低下しているということをよく議論に上がっていますけれども、このことについての総理の認識、社会保障制度が担っている再分配機能について、これが低下しているかどうか、この認識について総理にお伺いしたいと思います。

#195
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 所得再分配の状況は、保険料負担だけではなくて給付の面も含めて見る必要があるんだろうと、こう思っております。
 こうした面も踏まえた所得再分配調査の結果を見ますと、高齢化が進む中にあっても、年金等の社会保障や税による再分配効果によってジニ係数はほぼ横ばいで推移しております。また、その度合いもですね、税と比べ社会保障による効果が大きくなっているわけでございます。今申し上げましたように、分配においてはそのようになっているということでございます。
 その中で、公的年金制度については、将来世代の負担が過重にならないという観点から二〇〇四年改正で導入されたマクロ経済スライドにより、現役世代と高齢世代のバランスを確保しつつ一定の給付水準を確保することを前提に制度を持続可能なものとしています。
 さらに、今回の年金制度改革では、一定額の給付を行うことにより所得再分配効果を持つ基礎年金水準の向上につながる被用者保険の適用拡大を盛り込んでおりまして、パートの皆さんへの適用拡大をしっかりと進めていくことで基礎年金水準の向上を図っていきたいと考えています。
 また、検討規定において、被用者保険の適用範囲に加えて公的年金制度の所得再分配機能の強化についても盛り込んでいるところでございまして、基礎年金の所得再分配機能の維持に向けてどのような方策が可能か、引き続き検討を進めていく考えでございます。

#196
○田村まみ君 お答えの中に、やはり基礎年金の低下という話の中での対策ということもありました。しかし、その対策の適用拡大範囲だったりとか拠出期間の問題とかは大きく踏み込んだ法律案というふうには私たちは言い難いというふうに今思ってこの審議に臨んでおります。
 そんな中で、今回のこの適用拡大の人数要件なんですけれども、そもそもオプション試算にもない二〇二四年、最初は、二〇二四年の十月から従業員五十一人以上への事業者への適用拡大ということで段階的に進めるというふうなことが示されていますけれども、そもそも中小企業基本法における中小企業の定義の人数規模とも異なりますし、先ほど来何を基準にしているかよく分からなくて、そこの捕捉というのを本当にしづらいわざわざ人数要件を入れてまでこの段階的な適用拡大やっています。
 なので、是非、最初に問題提起しましたこのコロナ禍での本当に社会保険料の大変さというのは最初に申し上げたとおりですけれども、皆さんも懸念されている中小企業の今後の負担ということを考えたときに、ここで法案提出されたときとは状況が違うわけです。コロナ禍において、この二〇二四年の十月までの適用拡大、ここのスケジュールはフィックスさせたまま、人数要件、厚生労働省や諮問委員会の中でもいろいろ出ていましたけれども、原則は全員だというところなんです。そこの原則全員というところの人数要件なしで一気に二〇二四年まで猶予して、そこで全員適用する、それぐらい思い切った法案の修正、必要じゃないでしょうか。コロナ禍とは今違うと思います。どうでしょうか。

#197
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 社会保険料については、先ほど答弁をさせていただいたように、資金繰り対策の一環として、企業規模にかかわらず、企業側、労働者側共に延滞金はゼロとした上で一年間の猶予を行うこととしたところであります。
 その上で、被用者である方には被用者保険である厚生年金を適用することが原則であり、企業規模要件も最終的には撤廃を目指すべきものであると考えております。
 他方、厚生年金の適用拡大は特に中小企業への影響も大きいことから、全世代型社会保障検討会議等の場で関係者の意見を丁寧にお伺いした上で、今回は五十人超の中小企業まで段階的に適用範囲を拡大していくこととしたものであります。
 まずは、中小企業への生産性向上支援、社会保険手続の負担軽減も図りながら五十人超の中小企業までの適用拡大を着実に進め、その上で、次期財政検証の結果も踏まえて適用範囲の検討を加えることとしております。その旨、法案の附則に規定をしているところでございます。

#198
○田村まみ君 適用拡大で、ちょっともう一つ質問させていただきます。
 三号から二号へ移行する人たちの課題も幾つか論点として出ております。ここの中で、特にパートタイマーで働いている主婦の方たち、私も流通業で働いていたので、まさしく一回目の適用拡大のときには自分も説明する側で、本当に苦労しながら説明しました。
 一番は、いろんな区切りがあり過ぎて分かりづらいというのが一番の課題だというふうに思っているんですけれども、この中でどういう動きを皆さんがされたかというのは今日お配りした資料の二と三の方のグラフを見ていただければいいと思いますし、皆さんもうよく御覧になっていると思いますが、一番私がやはり気にしているのは、資料三の右下の被用保険に加入しなかった理由のところに、配偶者控除を受けられなくなるから、健康保険の扶養から外れるから、配偶者の会社から手当が支給されなくなるおそれがあるからというふうに、やはりこの三号被保険者のくくりの課題ということ自体が大きく影響しているということは事実として出ているというふうに思います。
 平成十三年から、女性と年金検討会の報告書や年金改革の骨格に関する方向性の論点などで、四つの改革案を軸にして長年にわたって議論が行われてきています。今回、この議論について大きくなされていないんですけれども、この第三号被保険者の制度の見直しについて総理の見解を伺いたいと思います。

#199
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 第三号被保険者制度については、これはもう御承知のように、関係審議会等において様々な議論が積み重ねられてきているところでありますが、まずは被用者保険の適用拡大を進めることで制度見直しのステップを踏んでいくべきことが指摘をされており、本法案に沿って五十人超までの適用に向けて着実に執行していくとともに、更に検討規定を踏まえた適用範囲の検討を続けてまいりたいと考えています。
 なお、御指摘のパートの方々の就業調整については、前回の適用拡大の際の経験では、今、田村先生自体がいろいろな御説明に御苦労されたという話を伺いましたが、事業主が従業員に被用者保険加入のメリットを丁寧に説明することが効果的であったというふうに認識をしているところであります。
 適用拡大によって被用者保険の加入となれば、本人にとって、保険料は事業主と折半での負担となる、そして基礎年金に加えて二階部分になります報酬比例部分の年金が手厚くなる、そして健康保険においても傷病手当等の、傷病手当金等の被用者にふさわしい補償を受けられるようになる、働き方の面においても、被用者保険適用後は扶養の範囲を気にすることなく、給付増というメリットを感じながら希望に応じた働き方を選択できるといったメリットがあります。
 このような様々なメリットについて適用拡大の対象となる中小企業の事業主が従業員に丁寧に説明できるように、国としても周知を、広く周知するなど、支援に努めてまいりたいと思います。

#200
○田村まみ君 今総理がおっしゃっていただいたとおり、まさしくその周知と説明が重要だというんですけど、今回、適用拡大をこれからやっていこうという中小、そこが一番難しいということで苦労されているわけです。
 もう一つ、資料の二の方に、労使合意に基づく適用拡大の利用状況の中で、やはり制度を利用しない、申請しない理由の中で一番多いのが、六〇%近くが、短時間の労働者、自分自身が希望しない、これはまさしく先ほどの三号の被保険者の人たちの多くの回答だというふうに思います。その二つ下の任意だから、義務ではないからというところ、ここ五〇%近くあります。これ、やはり裏を返せば、任意、義務になればやらなければいけないという認識があるというふうなことだというふうに私は思っております。
 全員の被用者の適用について、業種が違ったり企業規模が違ったりということだけで適用になるならない、これは職業に対しての差別になるというふうにも私は当たると思いますので、改めてこの適用の拡大についてのこのスケジュール、人数要件ということを御検討するということはないでしょうか。

#201
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 適用につきましては先ほど申し上げたとおりでございまして、適用拡大をしていくというのが基本的な考え方でございます。
 その上において、言わばこの法案を提出をしたときと今の状況が異なるのではないかという御指摘もいただきましたが、先ほど申し上げましたように、社会保険料の納付につきましてもこれは延滞料なしで猶予させていただいているところでございまして、そういうことも踏まえまして、我々としては是非、既に、この人生百年時代における中においてこの適用拡大を進めていきたいと、このように考えております。

#202
○田村まみ君 もう一つ、ちょっと別の質問、どうしてもしたいものがあったので、ちょっと質問を別の方に移しますけれども、今回の法改正で、中小企業向けと言いながらあくまで中小企業に雇用されている個人向けの制度の中小事業主掛金納付制度、iDeCo+の件です。
 実施可能な事業所規模を百人から三百人に拡大されたということで、拡充がされたというふうに見えますけれども、これ、まさしく最初の問題の指摘の基礎年金の低下を容認して、要は個人で自助努力で何とかしてくださいという制度を広げたという方針の表れの一つというふうにも捉えられると思います。
 これ、人数の根拠もという問題もあるんですけれども、私は、まさしく国民を守る、そして中小企業が適用拡大が本当に難しいという以前の問題として、ここの中小企業に対しては中小企業退職金制度という本当に充実した制度があるわけです。ここにもっと皆さんが加入できるように、事業主、働く人それぞれにメリットがあるこの中小企業退職金制度、これをもっと拡充していくという方に力、予算を傾けるべきじゃないでしょうか。

#203
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今回の年金制度改革では、iDeCoに加入する従業員の掛金に事業主が追加的に拠出するiDeCo+について対象となる企業を拡大することとしておりまして、この制度を活用していただくことで、より多くの企業に従業員の老後の所得確保に向けた支援を行うよう促すこととしております。
 他方、中小企業退職金共済制度の拡充については、制度の利用状況等も踏まえつつ、中小企業政策全体の在り方の中で検討していくことが必要な課題であると認識をしております。

#204
○田村まみ君 時間になりましたので質問終わりますけど、最後に中小企業の政策全体をというふうにおっしゃったのであれば、是非、今日厚労委員会なので言わなかったですけど、中小企業の企業規模要件、これについては、本当に多角的な事業をされている事業主も増えていますので、ここも改めて検討していただきたいということをお願いして、質問とさせていただきます。
 以上です。

#205
○平木大作君 公明党の平木大作でございます。
 本日、安倍総理にも委員会審議入っていただきましたので、この国民年金法の改正案ということでありますけれども、少し大きな視点から、そして先ほどからも総理度々言及されておりますけれども、人生百年時代というところから少し議論を進めさせていただきたいと思っております。
 この言葉、ロンドン・ビジネススクールのリンダ・グラットン教授が提唱されて、今世界中でよく知られている概念なわけであります。安倍総理も、人生百年時代構想会議設立をされまして、グラットン教授も実際に招かれて様々議論されたというふうにお伺いしておりますが、この人生百年時代、すごく分かりやすく簡単に言ってしまえば、長寿命化というものを、この世界的なトレンドを言い表したコンセプトであります。
 端的に言えば、かつては二十歳ぐらいで働き始めて六十歳で引退をして、この四十年間働いて、その後の老後の期間が大体十五年から二十年見ていればよかったと、こういう時代が長く続いたわけでありますけれども、これが今や人生百年ということでありますから、仮に同じように六十歳で引退をするとすると、働いている期間は同じ四十年間なんだけれども、その後の人生もまた四十年あるということで、これ、どう考えても釣合いが取れなくなる、こういう大きな問題提起をされたものだというふうに思っております。
 こういうそもそもの前提条件が動いていく、変わってくる中にあって、まさにこの老後の生活を支える柱としての機能をこれからもきちっと維持をしていかなければいけないという中で、今、年金改革というのは国内においても行われているんだろうというふうに思っておりますし、これ当然、喫緊の課題、今すぐ取り組まなければいけないものを今取り組んでいるというわけであります。
 同時に、やはりこの百年時代というところから見たときに、老後の暮らしをやっぱり考えるということは、改めて、いつまで、どうやって、どのようにして働いていくのかというこの現役世代の働き方というものとやっぱり裏表の関係にあるわけでありますから、この年金の問題ばっかり実はやっていればいいかというとそうではなくて、雇用とか働き方、ここと一体となってやっぱり改革を進めていかなければいけないものなんだろうというふうに思っております。
 事年金制度について今皆さんの声を聞くと、これ若い世代の皆様ほど不安に思っているというようなアンケート結果も出てくるわけでありまして、こういった今働いている現役世代の皆さんの十分な理解なくしてはやっぱり進めることはできないんだろうというふうに思っております。
 こういう中にあって、今総理がまさに政権を挙げて取り組まれているこの改革、年金制度の改革と同時並行で今様々進んでおります。例えば同一労働同一賃金ですとか、あるいは非正規雇用の拡大、こういったものが、これ結局トータルで見たときに、将来の年金水準を大きく向上させ、そして将来に対する不安というものを払拭していくための大きなこれ取組なんだろうというふうに思っておりますけれども、総理の見解をお伺いしたいと思います。

#206
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさに今回の社会保障制度改革は、委員が、平木委員が御指摘になったように、人生百年時代ということを前提に考えているわけでございまして、この働き方改革を通じて高齢者や女性を始めとする意欲ある皆さんに就業の機会を確保して、そして、支え手を増やしていくことは社会保障制度の安定のために重要な柱であると考えています。
 また、全世代型社会保障の実現のため、年金制度においてもこうした働き方改革や働き方の変化を踏まえた改革を進めることが必要であると考えています。通常、社会保障改革といえば、年金、医療、介護ということになるのでございますが、今回、働き方改革を中心に改革を進めていくということになるわけでありますが、公的年金の給付は現役時代に納付した保険料の水準に応じて、また働いた期間に応じて増えていくわけでありまして、このため、同一労働同一賃金の実現や正規雇用の拡大を通じた待遇の改善を図ることが将来の年金給付水準の向上に資することは、これは委員の御指摘のとおりでもあります。
 また、今回の年金制度改革においては、さらに、被用者保険の適用拡大など将来世代の年金をより手厚くするための改革を行うこととしておりまして、働き方改革と両輪で進めていくことで若い方々の将来の年金に対する不安も解消していきたいと、このように考えております。

#207
○平木大作君 今、総理からも具体的に被用者年金の適用拡大にも触れていただきました。前回の適用拡大によって厚生年金に加入となった方たち、このうちのおよそ四割が国民年金の第一号被保険者であったそうでありまして、その半数というのは保険料を免除又は未納の状態であったそうでございます。
 そういう意味でいくと、まさにこのまま行くと例えば低年金とか年金がないという状況に苦しまなければいけなかった方たちに大きく門戸が開かれて、ある意味、被用者である方たちが被用者年金に入るという、ある意味あるべき姿に大きく近づく取組を今されているんだろうというふうに思っております。
 そして同時に、総理今おっしゃったように、一方で雇用の改革を進めていただく、働き方改革進めていただくことで、正規、非正規とかそういうことではなくて、職務内容に応じてきちっと賃金を支払っていく、賃金を上げていく、こういう取組が、年金の二階部分の充実も含めて、現役世代のときに当然それは賃金が上がれば収入の安定につながるわけでありますが、将来にわたって大変これは効果のある施策を今取り組んでいただいているということだろうというふうに思っております。
 若者の話ばかりしてもいけませんので、シニアについても一点お伺いしておきたいと思います。
 法案審議におきましては、在職老齢年金制度を始めとして、年金制度が高齢者の就労に与える影響というものが一つの論点となりました。今後も当然、これは働く意欲のある高齢世代を後押ししていくために様々な制度の改革取り組まなきゃいけないというふうに思っておりますが、加えて、高齢者の皆さんが働きやすい職場環境を整備していく、これも本当に大事なことなんじゃないかなというふうに思っています。
 先ほど、総理のつくられた人生百年時代構想会議について少し触れさせていただきましたが、私も経産省の政務官やらせていただいたときに何回か同席をさせていただいて、出席させていただきました。大変いい議論が行われているなと思っておりまして、そのときに大変印象に残ったのが、これ、委員として参加をされていた若宮正子さんの発言なんですね。
 世界最高齢のiOSアプリの開発者ということで、八十代で現役で今プログラミングをされているという方でございますが、この方が高齢者の就労をためらわせる要因として発言されていたのが高齢者に優しくないオフィス環境ということで、具体的に、例えば電話を取っても聞きづらい、聞き取りづらいんで、ただ、何度も聞き返していくうちにちょっとおっくうになってしまうというようなことですとか、あるいは腰痛で長時間同じところにやっぱり座り続けるのがつらいという御指摘でありまして、一見すると、何だ、聞きづらかったら何度でも聞き返してくださいということで済ませてしまいがちなんですけれども、やっぱりこれが毎日のこと、電話が鳴るたびに、これ嫌だな、取りたくないと思ったら、やっぱりこれ、オフィスで働こうという気が失われてしまうわけであります。
 ある意味、当事者でないと分からない重要な御指摘だなというふうに思っておりまして、こうした高齢者の皆さんにとって働きやすい職場づくり、政府としても全力で取り組んでいただきたいんですが、いかがでしょうか。

#208
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 人生百年時代においては、高齢者の皆さん、働きたいと思う皆さんにそういう機会があるということは極めて重要なんだろうと思います。それは同時に、高齢者の皆さんも支え手側として人生を生きることになるわけでありまして、自助、公助、共助という考え方がございますが、言わば、まさにその中において支え手となっていく、自助、公助、共助という考え方の中でそれぞれ自らも支えていくということにもなるということなんだろうと思いますが、このため、今国会において、働く意欲ある皆さんに七十歳までの就業機会を確保するための措置等を盛り込んだ法改正を、改正法を制定したところでありまして、他方で、働く意欲のある高齢者がその能力を十分に発揮して活躍するためには、こうした就業機会を確保するための仕組みづくりに加えて、御指摘のように、高齢者の皆さんが働きやすい職場環境の整備も大変重要であると認識をしています。
 こうした観点から、高齢者が働きやすい職場環境を整備するための助成制度の創設や、そのような職場環境への改善に向けた事業主への相談支援の実施、高齢者が安全に就労できるよう労使が取り組むべき内容をまとめたガイドラインの策定や周知などの取組を進めているところでありまして、引き続き高齢者の立場に立って取組を進めてまいります。

#209
○平木大作君 ありがとうございます。
 細かい文字が読みづらいとか、例えばこういう方はたくさんいらっしゃいます。でも、実はこれまでも、例えば障害者、障害をお持ちの方を支援する目的で開発された機器、様々あるんですね。実際にPCのスクリーン上にあるものを大きく拡大するですとか読み上げてくれるようなものもある。でも、残念ながら、値段が高かったり、あるいは現行の助成制度というのはどうしても障害者手帳を持っていることが条件であったりするというわけでありまして、是非ともこういったものも広げていただいて、高齢者あるいは障害を持った方、オフィスで、職場で思う存分力発揮できるようなそういう施策、更に取り組んでいただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

#210
○梅村聡君 日本維新の会の梅村聡です。
 総理、今日はお忙しい中、厚労委員会にお越し、ありがとうございます。
 それでは、本日は国民年金法等の一部を改正する法律案の質問ですが、一問、新型コロナウイルス対策についてお伺いをしたいと思います。
 昨日、総理の記者会見も拝見をいたしまして、新規の感染者数というのが一つ収まりを見せてきているということについては非常に良いことだと思っておりますが、この期間を通じて次の波に備える体制づくりをどのように行っていくかということが非常に大事なことだと思っています。特に、やはり医療現場が次の波にきっちり耐えることができるか、医療崩壊を起こさないようにするためにはどうするのか、このことが非常に大事なことだと思っております。
 そんな中で、これ病院団体の調査によりますと、今回、新型コロナウイルス感染症の患者さんを受け入れた病院ほど、実は四月の赤字幅が非常に大きいというデータがこれ公表されました。具体的には四月の平均利益率が一〇%を超える赤字に陥っていると、そういう報道もなされております。
 安倍総理は、予算委員会等でも発言をされていますが、四月以降、特に重症の患者さんのICUの診療報酬、これを四月十八日から二倍にしていると。これから五月から更に三倍にしていくというような報道もされております。あるいは、重症患者さん以外の受け入れたところの診療報酬も、これも増額をしていくということをされておりまして、これはもちろんいいことではあるんですけれども、今、新規感染者数、それから新規の入院者数、これが少し落ち着きを見せておりますから、診療報酬そのものを増額していく効果はだんだん薄くなってきていると思います。
 そういった中で、この診療報酬で手当てをするのではなくて、様々な予算、例えば前回の補正予算では緊急包括支援交付金で空いているベッドを金銭を補填して空床補償をするというようなこともされておりますし、それから福祉医療機構の無利子無担保の借入金の枠も増設している。
 こういうこともされていますけど、根本的には赤字幅をどう、頑張っている医療機関ほどしっかり手当てをしていくか、ここが大事だと思いますので、この診療報酬を増額していくという方針は少し見直されて、別の補填方法も考えられたらいかがかと思いますが、どうでしょうか。

#211
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 現在、医療機関におきまして多くの職員の皆さんが、感染予防に細心の注意を払いながら医療サービスを必要とされている方のために業務を続けてくださっていると認識をしておりまして、大変敬意を払いたいと、敬意を表する次第であります。
 そのような中で、事業の継続に支障が出ている医療機関に対しては国としてしっかりとした支援を行っていくことが必要だと思います。私も、病院関係者の皆様から大変厳しい状況であるというお話は直接伺っております。
 これまで、常に感染リスクに向き合う医療従事者の処遇改善に資するため、重症者治療への診療報酬を御指摘があったように倍増をしたところでありまして、今般、新型コロナウイルス感染症患者の診療における受入れの実態がより明らかになってきたことを踏まえまして、重症者治療への診療報酬を三倍に引き上げるなど追加的に特例的な評価を行い、本日から適用しているところでありますが、他方で、医療機関の実態に応じたきめ細かな支援を行っていくためには、診療報酬、今、梅村委員が御指摘のように、診療報酬以外の対応も重要であると考えています。
 このために、現在、空きベッドの確保の支援について、病床を空けておくための経費として一床当たりの定額補助を実施をしているほか、経営が厳しい医療法人や個人診療所については持続化給付金による現金給付を行うとともに、無利子無担保を内容とする経営資金融資による支援を実施をしているところでありますが、こうした取組に加えまして、次なる感染に向けて万全の備えを固めるため、明日決定予定の第二次補正予算において二兆円を超える予算を積み増していく、積み増した上で、十分な専用病床をしっかりと確保していく方針でございます。

#212
○梅村聡君 ちょっとこれ参考までに聞いていただきたいと思うんですけど、実はドイツはちょうど感染者数が日本の十倍ぐらいになるんですね、大体十八万人ぐらいの感染者で。亡くなった方が八千二百人余りで、これも日本の十倍ぐらいに当たるんですね。だから、十倍の規模がありながら、もちろん亡くなる方が少ない方がいいんですけれども、日本と同じ割合の致死率に抑え込めたという、医療崩壊が免れた国として言われているんですね。
 この国は、実はCOVID―19病院負担軽減法という法律ができまして、今おっしゃっていただいたように、空きベッド、通常の手術とかをやめて空けたところに対しては一日当たり五百六十ユーロ、そして、実際にICUを設置するのは一床当たり五万ユーロというものを、これはもう公費で確実に付けていこうという法整備もやっておるわけなんです。ですから、これも参考にされて、どういう形が一番医療崩壊を防ぐことができるのか、これを是非考えていただければなというふうに思います。
 それでは、年金の質問の方に参らせていただきたいと思いますが、今回、事業主に対する社会保険料の支払猶予措置が一年間設けられました。これは中小企業にとっても非常に大事なことだと思いますけれども、これ、一年猶予した後に、じゃ、これ二年目に入ると、普通に考えれば猶予分というものを一年後に返していくことになるわけですから、そうすると、普通に考えたら来年度は、一年で返すとなれば二年分これ返していかなければならないことになるんですよね。これは、もう通常の状態であっても非常に厳しい状態だと思っております。そうしますと、一年よりも長く期間を設けて、じゃ、払ってもらうことにするのか。これも、やはり今の経済状況を考えると非常に厳しいというふうに思います。
 そうしますと、先ほど田村委員からもお話がありましたように、一部なのか全部なのか、これはいろいろと状況にもよりますけれども、減免というものを一つ考えていかないとこれはもう立ち行かなくなるんじゃないかなと思いますが、この猶予した一年分に関して今後どういうふうな方法を考えておられるのか、お願いしたいと思います。

#213
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この百年に一度と言われるこの危機の中において、企業規模にかかわらず、多くの事業者の皆さんが厳しい状況にあるというふうに考えています。
 何としても事業を継続していただくため、あらゆる手だてを講じて徹底的に下支えをしていく、これが我々の基本方針でございますが、御指摘の社会保険料については、資金繰り対策の一環として、延滞金をゼロとした上で一年間の猶予を行うこととしたところでありますが、この猶予を御活用いただいた上でなお猶予期間中にその社会保険料の支払が困難な場合には、更にこれまでの猶予制度を活用いただきながら分割納付をしていただくなど適切に対応してまいりたいと、このように思います。
 この社会保険料というのは、先ほども答弁で申し上げましたが、これはみんなでまさに助け合っていくものでございまして、共助ということになるんだろうと思いますが、その考え方の中において、しかし事業を継続していくためにできるだけ柔軟に対応していかなければならないと、このように考えております。

#214
○梅村聡君 どこかで減免ということもこれは考えていかざるを得ないと思いますので、またそこは柔軟に判断をいただければと思います。
 今回、被用者保険の適用拡大の中で年金が注目をされていますけど、これ、健康保険料も同じように適用拡大当たってまいります。
 今回、今質問した一年間の社会保険料の猶予措置、これ、年金の財源に、財政にとっても非常に大変なことではありますけれども、健康保険はこれ一年間ごとの決算になるわけですよね。一年間保険料が入ってきて、そして医療のサービスを提供する、これ一年間で完結をしていきますから。そう考えていきますと、これ非常に影響が大きいんだと思います。特に今猶予されているのが、中小企業が猶予されることが非常に多いわけですから、同種の中小企業により構成される総合型の健康保険組合は、これ、より影響が大きいと思うんです。
 そういった意味からいえば、今回この猶予措置に伴う健康保険組合、こちらへの財政支援というのは現時点では全く何も考えておられないのでしょうか、教えてください。

#215
○国務大臣(加藤勝信君) 健康保険組合、公的医療保険制度の重要な担い手でありますし、また、今委員御指摘のように、健康保険組合の財政状況というのはしっかり見ていく必要があるわけであります。
 厚労省において今般の新型コロナウイルス感染拡大に伴う健康保険料の納付猶予状況について健保組合に対して調査を行ったところ、三月支払分保険料の猶予を実施したのは七組合で猶予総額は約八千万円、四月については三十一組合で七・九億円という状況にあります。
 一方、健保組合は、保険料の一時的な減収や流行性感冒等による医療費の変動リスクに対応するための準備金等を保有をしているわけでありまして、例えば、健保組合全体でいえば合計四・七兆円、協会けんぽでいえば準備金として二・九兆円の水準もあります。ただ、全体としてそれだけあったとしても、個々の健保組合となるとまた別、今委員御指摘のように、別の話になります。
 したがって、今回の保険料の納付猶予の状況を把握するとともに、健保組合財政個々の状況についてしっかり見極め、必要があればそれに対する対応を考えていきたいというふうに思っております。

#216
○梅村聡君 影響が出てくるのはこれからだと思いますので、そこは注意深くしっかり見ていただきたいと思っております。
 では、もう一つ健康保険組合についてお伺いしますけど、今回、適用拡大によりまして短時間労働者の比較的報酬が低い方が健康保険組合に入ってこられます。これは、五月十五日の参議院の本会議質問でも、私、業種によって非常に今回新しく加入してくる方の割合が違うということを指摘させていただきましたが、これ、健保組合側から見れば、医療支出に関しては年金と違って変わらないわけですね、一人当たりは平均的に。報酬の低い方が医療費が安いわけではありませんから、同じような金額で出ていくと。だけど、保険の収入に関しては、組合側から見れば、これ、保険料というのはなかなか上がってこないわけですから、短時間労働者の方がどれぐらいの割合で入ってくるかによって、健康保険組合にも激変緩和措置が私は必要なんじゃないかなと思っております。
 二〇一六年十月にも、この適用拡大されたときには激変緩和措置されたと思うんですけれども、今回もそういった激変緩和措置是非やっていただきたいと思うんですが、現時点での検討状況はいかがでしょうか。

#217
○国務大臣(加藤勝信君) 今回の適用拡大で、企業規模要件、段階的に引き下げられます。今委員御指摘のように、国民健康保険の被保険者が新たに健康保険の被保険者になる、また、健康保険の被扶養者の方が被扶養者から外れて新たに健康保険の被用者になるという、こうした適用関係の変動が生じております。
 健康保険組合で見たときですが、全体で見ると、企業規模要件を五十人超まで拡大した場合には約四十億円の財政負担がプラスになるのではないかというふうに見込んでいるところであります。ただ、個別の健康保険組合単位の財政影響については、それぞれ適用がどう変わっていくかによってその部分が変わってくるわけであります。
 したがって、まず、今回の適用拡大に当たって、企業規模要件百人超となる令和四年十月に向けて各健康保険組合に生じる財政影響について丁寧に把握をして、前回、今御指摘のように、前回の適用拡大のときにも個々に財政措置を講じているわけでありますから、そうした対応をしっかりと、まず影響を把握をして必要な対応を取っていきたいというふうに思っています。

#218
○梅村聡君 被用者保険の適用拡大というのはこれはもう必要なことだと我々も考えておりますけれども、年金の場合には説明がしやすいんですね。できるだけ被用者保険に入っていただいて、将来の高齢期の財政経済基盤をしっかりつくりましょうと、こう言いやすいんですが、健康保険に関しては保険料と医療給付ですから、被用者保険に入ったからといって、何か、じゃ、どういうことがいいことがあるのかというのは、これはなかなか説明が付きにくいんですよね。
 だから、そこのところをしっかり国民に説明できるためにも、そういったいろんな影響ができるだけ緩和できるように措置をしていただきたいと思いますので、そのことを申し上げまして、私からの質問とさせていただきます。

#219
○倉林明子君 日本共産党の倉林でございます。
 さっきの石橋さんの質疑を聞いていまして、私からも東京高検の黒川元検事長の処分の問題について質問したいと思うんです。
 これ、退職金が、自己都合分で減額される分はあるというものの、大方六千万円余りが入ると、支払われると。これが訓告ですよね。で、納得できないという抗議の声が国民の中に広がっているわけですよね。
 今、総理は任命責任があるんだということを繰り返しお認めになるんだけれども、国民が注目しているのは総理がどう責任を果たすのかと、総理の姿勢、注目していると思うんですよね。
 そこで、先ほど来の議論でもありました。総理はなぜですよ、なぜ懲戒は不要だと判断したのか、その根拠。そして、調査についてももう要らない、もう法務省がしたのでいいということでしたけれども、この調査は五月前に黒川元検事長がマージャンしていたのかどうかという調査はやっていないんですよね。なぜ調査もっと必要だという判断に至らないのか、総理自身の判断どうなのか、お聞かせください。

#220
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 黒川氏の処分については、先日二十一日に法務省から検事総長に対し、調査結果に基づき訓告が相当であると考える旨を、検事総長においても、旨を伝え、検事総長においても訓告が相当であると判断して処分したものと承知をしております。
 そして、私自身は、森法務大臣から、事実関係の調査結果を踏まえて処分を行ったこと、その上で、黒川氏本人より辞意の表明があったのでこれを認めることとしたいと、この報告がありまして、法務省の対応を了承したものでございます。
 そして、その上において、今御質問がございましたが、この訓告という処分については、検事総長が事案の内容等諸般の事情を考慮し、適正に処分を行ったものと承知をしています。
 処分量定等の詳細については、もし国会のお求めがあれば、法務大臣を始め法務省において適正に説明を行うものと考えております。

#221
○倉林明子君 いや、それじゃやっぱり国民は納得しないと。先送りしたからって国民は忘れませんよ。やっぱり、検察庁法、これを、人事の介入が可能になると、これ大問題になったわけですよ。これ、やっぱりきっぱり廃案にするということと、定年延長、黒川さんの定年延長を決めた一月三十一日の閣議決定、この撤回を強く求めておきたいと思います。
 年金です。
 一問目飛ばしまして、今コロナで、感染リスクから、解雇そして雇い止め、高齢者にすごく影響やっぱり出ています。そこで、総理は、基礎年金について、所得の多寡にかかわらず一定の年金額を保障する所得再配分機能を有する給付で、将来にわたって維持していくこと必要だと、こういう判断示されております。そうであるなら、今こそ低年金の底上げ、直ちにやるべきじゃないでしょうか。

#222
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 公的年金制度では、基礎年金が所得の多寡にかかわらず一定の年金額を保障するといった所得再分配機能を有する給付でありまして、この機能を将来にわたって維持することが重要であると考えていますが、今般の法案に盛り込まれている被用者保険の適用拡大は、厚生年金のみならず基礎年金の水準を確保する上においてもプラスの効果を持つことも確認されているところであります。まずはパートの皆さんへの適用拡大をしっかりと進めていくことで、基礎年金の水準の向上も図っていきたいと考えています。
 また、委員が御指摘になった低所得や無年金、そして低年金の高齢者の方々には、年金受給資格期間の二十五年から十年への短縮、そして年金生活者支援給付金の支給、また年金給付から天引きされる医療、介護の保険料軽減を実施をしているところであります。
 今後とも、年金水準を確保するための見直しを行っていくとともに、低年金、低所得の方々には社会保障全体で総合的に支援をしていく方針でございます。

#223
○倉林明子君 今、年金でできることということで考えるべきだと思うんですね。年額百万円未満の年金受給者、女性で六割になります。全体でも四割強ということになっていますね。いろいろやってもらっているんだけれども、更なる取組が必要だと。
 で、一番大事だと思っているのは、減る、減り続ける年金になっているマクロ経済スライドだと思っているんです。このマクロ経済スライドをやめるために、やっぱり積立金、これからもため続けていくという積立金、今使うべきじゃないでしょうか。どうでしょう。

#224
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 我が国のこの公的年金制度は、平成十六年の改革によって、現役世代と高齢世代のバランスを確保しつつ年金制度の持続可能性を確保するために、将来の保険料水準を固定し、そして、積立金を活用しつつその収入の範囲内で給付水準を調整するマクロ経済スライドを導入をいたしました。そして、このマクロ経済スライドを導入することによって、おおむね百年間の給付と負担を均衡させる仕組みを構築をしているところでございます。年金というのは相当先までしっかりと保障されているものだということを国民の皆様に御理解をいただきながら、年金の、若い皆さんにも年金保険料を、この負担をしていただくということが大切なんだろうと思います。
 このように、年金のマクロ経済スライドについては、将来世代の給付水準の確保のために不可欠な仕組みであることから、政府としてはもちろん凍結することは考えておりませんし、今この積立金を取り崩して現在の給付に充当するということについては、まさに長期的な給付と負担の、負担をバランスできる水準を超えて、今申し上げましたように、積立金を今使ってしまうというのは、現在の給付に充当してしまうということは、責任ある対応とは我々は考えていないところでございます。

#225
○倉林明子君 全部使えという提案ではございませんので、一部を取り崩して今の緊急時の対応として求めているということです。
 その上で、受け取れる年金が年々減らしているという、受け取れる年金が減るという要因に、やっぱり増え続ける負担というものがあります。七十五歳以上の高齢者の医療費窓口負担二割という検討がずっと宿題ということで言われて検討されてきたわけです。
 私、到底認められない、コロナ禍で高齢者の負担増などはやるべきではない。いかがでしょうか。

#226
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 二〇二〇年にはいわゆる団塊の世代が七十五歳以上の高齢者となる中において、現役世代の負担上昇に歯止めを掛けることは引き続き重要な課題であります。
 そのため、昨年取りまとめた全世代型社会保障検討会議の中間報告において、七十五歳以上の高齢者であっても、これは一定所得以上の方については新たな窓口負担割合を二割とすることとし、本年夏までに成案を得ることとしていたものであります。しかしながら、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴いまして、全世代型社会保障検討会議の最終報告は本年末に行うこととしたところであります。
 引き続きまして、高齢者の疾病、そして生活状況等の実態をこれ踏まえる必要がもちろんあります。そうした実態を踏まえて、全世代型社会保障検討会議や関係審議会等において丁寧に検討を行っていきたいと考えております。

#227
○倉林明子君 社会保障検討会議の話ありました。先送りということです。介護保険の負担増、これも計画されておりますので、その撤回も求めておきたい。
 国家公務員の定年延長はこれコロナで状況変わったから提案しない、こう言うんだったら、年金法も撤回した方がいいと強く求めて、終わります。

#228
○委員長(そのだ修光君) 以上で内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。
 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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