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2020/04/14 第201回国会 参議院 第201回国会 参議院 農林水産委員会 第10号 令和2年4月14日
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2020/04/14 第201回国会 参議院

第201回国会 参議院 農林水産委員会 第10号 令和2年4月14日

#1
令和二年四月十四日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十四日
    辞任         補欠選任
     高野光二郎君     加田 裕之君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         江島  潔君
    理 事
                堂故  茂君
                舞立 昇治君
                徳永 エリ君
                宮沢 由佳君
    委 員
                岩井 茂樹君
                加田 裕之君
                野村 哲郎君
                藤木 眞也君
                宮崎 雅夫君
                山田 修路君
                山田 俊男君
                石垣のりこ君
                打越さく良君
                郡司  彰君
                森 ゆうこ君
                河野 義博君
                塩田 博昭君
                谷合 正明君
                石井 苗子君
                紙  智子君
   国務大臣
       農林水産大臣   江藤  拓君
   副大臣
       農林水産副大臣  加藤 寛治君
   大臣政務官
       農林水産大臣政
       務官       藤木 眞也君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大川 昭隆君
   政府参考人
       農林水産省大臣
       官房長      枝元 真徹君
       農林水産省大臣
       官房総括審議官  浅川 京子君
       農林水産省消費
       ・安全局長    新井ゆたか君
       農林水産省生産
       局長       水田 正和君
       農林水産省経営
       局長       横山  紳君
       農林水産省政策
       統括官      天羽  隆君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○家畜改良増殖法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────

#2
○委員長(江島潔君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
 家畜改良増殖法の一部を改正する法律案及び家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、農林水産省大臣官房長枝元真徹君外五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#3
○委員長(江島潔君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────

#4
○委員長(江島潔君) 家畜改良増殖法の一部を改正する法律案及び家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 両案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#5
○山田修路君 ありがとうございます。自由民主党の山田修路です。
 今日は、家畜改良増殖法等の二法案についての質疑でございます。
 まず、この二つの法案についての趣旨、概要について、大臣からお伺いしたいと思います。

#6
○国務大臣(江藤拓君) 家畜資源は、もう先人が大変な御努力をされて、役牛でしかなかった牛を本当に世界で称賛されるようなすばらしい財産に育てていただいた、まさに創造的なものであって、知的財産であることはもう言うまでもないということでございます。
 それが、平成三十年の六月に、中国に向かって和牛の精液、それから受精卵、これを不正に輸出未遂事件が発生をいたしました。このとき、やはりこれはいかぬだろうという意識が生産者の間にも国民の皆様方の間にも大変高まって、我が党自民党の中でも、各党においてもそうですが、いろんなPTが立ち上がって、自民党では赤澤座長の下で平成三十一年の三月には設立をされて、七回にわたって協議を進めた上で提言をまとめていただきました。そして、当時の吉川農林水産大臣に、私もPTのメンバーだったので提言をさせていただきました。そして、農林水産省においても、和牛遺伝資源の流通管理に関する検討会を平成三十一年の二月に設定をいたしていただいて、昨年の七月に中間取りまとめに至ったところでございます。
 自民党PT等いろんなところの議論では、精液や受精卵が家畜授精所以外のところで売買されている。例えば、競り場とかそういうところで、俺これ持っているけど要らないとか、そういう横の売買も行われていたという事例も確認されたことや、それから流通の記録がないと、そして、いわゆるストローなんかに対する表示もほぼほぼないというようなことが不十分ではないか、これでは和牛の知的財産価値を守るには不十分ではないかという御指摘をいただいたことを踏まえて、これらの知的財産とも言えるこの家畜遺伝資源を守るために、適正な流通、生産、利用を確保するための法案と知的財産としての価値を保護するための法案、この二法を国会に提出させていただき、これから御審議いただくということでございます。

#7
○山田修路君 今御説明がありましたとおり、この二法案、大変畜産業の発展にとって大事な法案だと思っております。
 二法案についての具体的な内容は後ほど質問させていただくこととして、その前提となる畜産業の状況について、特にコロナウイルス感染症との関係で質問をしたいというふうに思います。
 四月二日の農林水産委員会では、この委員会で、野村委員やあるいは徳永委員からも質問がありました。牛肉では外食や観光業の需要が減少していて、和牛の枝肉の価格は過去五年間の間で最低の水準になっている。この現在出荷している牛は、子牛を購入したときは八十万円ぐらいで購入しているというものも多いわけであります。肥育農家の経営、大変厳しいものがあります。また、子牛の価格も下がってきているということでありまして、出荷を見合わせるという産地も出てきている。牛乳については、学校給食用の牛乳のキャンセルなどがあったりして、他用途で処理をせざるを得ない状況にもある。
 政府としては、畜産農家の経営悪化に対して、実質無利子無担保の資金繰り支援の実施などを緊急の経営対策として行っております。これがどのような実施状況になっているのか、農家の不安を払拭し、ニーズに応えられているのか、この点についてお伺いをしたいと思います。また、あわせて、七日に発表された緊急経済対策においては、畜産農家の経営安定のためにどのような対策を行うということとされているのか、加藤副大臣にお伺いします。

#8
○副大臣(加藤寛治君) お答えいたします。
 三月の十日に緊急対応策第二弾で措置しました農林漁業セーフティネット資金等の貸付け当初五年間実質無利子無担保貸付けにつきましては、日本政策金融公庫によれば、四月九日現在で百四十六畜産農家に対しまして融資をいたしておるところでございます。
 また、四月七日に発表されました緊急経済対策につきましては、この貸付け当初五年間実質無利子無担保融資枠を大幅に増額をするとともに、肉用牛肥育農家の資金繰り支援のための牛マルキンの生産者負担金の納付猶予、そして、需要減退対応をするためにやむを得ず計画的に出荷時期を調整したい場合におきまして追加費用に相当する額の支援を行うとか、また加えて、肥育農家が体質強化に資する取組を行った場合に出荷頭数に応じた交付金の納付を行うなど、そしてまた、在庫が著しく増加している脱脂粉乳につきましては、業務用から飼料用等へ仕向け先を変更する取組に対する支援を行うなど、畜産農家の経営安定のための支援を打ち出したところでございます。
 そうしたこれらの対策によりまして、畜産農家の皆様の不安を払拭をしまして、今後ともに意欲を持って経営を継続していただけるようにしっかりと支援をしてまいりたいと考えておるところでございます。

#9
○山田修路君 ありがとうございました。
 やはり農家の方々、大変不安に思っておられると思いますので、しっかりとそういった対策をPRしていただいて、是非対応をよろしくお願いします。
 そして、和牛やメロンといった高級食材、そして花ですね、生花について、これもこの委員会で質問がありました。在庫が積み上がっている、あるいは廃棄処分にせざるを得ない状況になってきております。国内外の需要喚起も重要な課題であります。
 七日に公表された緊急経済対策では、和牛を学校給食に活用するといったことも含まれているとお聞きをしております。どのような内容なのかということを大臣にお伺いしたいと思いますし、また、この学校給食に加えて、中長期的にこの和牛や乳製品等の国内外での需要喚起、これが、将来経済がV字回復をしていくそのときに合わせて畜産業も上がっていくという点では大事だと思います。中長期的に見てどのような対応を考えておられるのか、江藤大臣にお伺いしたいと思います。

#10
○国務大臣(江藤拓君) 今先生がおっしゃったように、学校給食の方にもお願いをしようと思っております。
 しかし、これは決して押し付けるということではなくて、在庫が積み上がっているから学校給食で使ってくれということではなくて、あくまでもこの設置者は市町村ですから、市町村の方々が、設置者の責任者の方々が是非この機会に地域の牛肉とか、それとか魚もあると思います。例えば宮崎だったらブリなんかも有名ですし、ヒラメが有名なところもあれば、いろんな海の食材もあります。それから、今お話があった北海道なんかで価格が大変落ちて、大体三割ぐらい落ちてしまっているメロンなんかを学校給食でということであれば、その分の掛かり増し経費について、一般会計で一千四百億、それからALICでも五百億を確保、一千九百億ありますから、これをしっかり利用していただければ生産者の方々の出口政策にもなりますし、この際は、学校にも例えば和牛の生産者の方も食育の一環として行っていただこうと思います。ただ和牛ですよと食べてもらうだけではなくて、これを作った江藤さんです、ここの人がこうやって育てたおいしい牛肉ですから皆さんおいしく食べましょうねというような食育をしたり、それから、そういうことをコーディネートするような食の専門家ということも派遣することもいいのではないかということも文科省と今話を進めております。
 そして、今後、V字回復のお話も併せていただきましたけれども、やはり体力が弱ってしまうとV字回復はないんだろうと思います。この苦しい時期を何とか耐えしのいで、そして世界の経済が通常の状況に戻っていったときに、大事なことは、今随分外国に対する和牛の輸出も伸びてまいりましたけれども、このままでは商流が切れてしまう可能性があります。商流が切れてしまうと回復するまでまた大変ですので、ですから、今輸出拡大ということは正直難しい、ほぼほぼ不可能に近いかもしれませんが、しかし、その商流をしっかりと保って、そのチャンネルを保ちながら、それでそのときが来たらしっかりまたイベントとかいろんなことに対する支援を行う予算も今回の補正では要求しておりますので、そういうものを使ってV字回復に資するようなことをやっていきたいというふうに考えております。

#11
○山田修路君 ありがとうございました。
 今、補正予算等も含めてお話がありました。補正予算については、早期に提出をしていただいて速やかに実施をしていくということが大事でありますけれども、やはりそれでも一定の時間は掛かるわけであります。補正予算が成立しない間にやれることもあるのではないかというふうにも思います。和牛の、牛肉の在庫が積み上がっているとか、あるいは、このような事態も切迫していて、この程度もだんだんひどくなると思います。
 補正予算の実施を待たずにできることについて、特にそういうことについて、あれば大臣からお話をいただきたいと思います。

#12
○国務大臣(江藤拓君) 大変大事な御指摘をいただいたと思いますが。
 私の地元も食肉処理場が新しくなったんですけれども、報告を受けているところによりますと、四月の中ぐらいには大体倉庫がもうほぼほぼ空きスペースがないというところまで上がってしまう、そこまで行くともう屠場として牛を引き受けられない、牛を割っても保管する場所がないということであれば当然その屠場としての機能が止まってしまう、出荷制限となってしまうとなると、和牛生産に限らず、F1もそれから乳雄も全部そういう状況になってしまいますので、この補正予算が通るまでまだ少し時間が掛かりますので、その間はALICの予算を使わせていただきたいと思っております。
 具体的には、この空きスペース対策、なるべく売っていただきたいということでありますので、まず販売促進計画を作ってもらって、それをやっていただいた業者さんに対しては、今年の二月に遡って、今からということではなくて、二月に遡って在庫の保管費なんかを支援させていただきたいと思っております。そして、この計画に基づいて販売した場合、実際にですね、その場合は販売奨励金もしっかり出させていただいて、チルドからフローズンに行って三〇%価格が落ちる手前にこの奨励金を使って、地域、またネットとかいろんなものを使って販売促進をすることによって、積み上がった在庫を、この処分するという言い方は私は嫌いなので、消費者の方々に是非おいしく食べていただくような事業をこのお金を使って展開していきたいと考えております。

#13
○山田修路君 ありがとうございました。
 大変重要な対策というふうに思います。二月に遡って在庫の保管料あるいは販売奨励金を出すということですので、これを是非また、農家の方にも安心をしていただきたいというふうに思います。
 そして、先ほど大臣からお話がありました輸出ですが、これはすぐにということではありませんが、やはり将来的にも重要なことであると思います。食料・農業・農村基本計画がまとまりました。これ、十年後の農林水産物や食品の輸出目標、五兆円ということを定めております。畜産でいえば、例えば牛肉では三千六百億円と見込んでおります。現状の輸出は約三百億円ということでございますので、十年間という先ではありますけれども、十二倍という大変意欲的な目標になっている。これは大変重要なことでありますけれども、絵に描いた餅にならないようにしっかりと進めていく必要があると思いますが、藤木大臣政務官にお伺いします。

#14
○大臣政務官(藤木眞也君) お答えいたします。
 牛肉輸出は、二〇一九年には二百九十七億円となり、目標額の二百五十億円を達成したところでございます。加えて、日米貿易協定による低関税率枠拡大や年間百六十六万トンもの牛肉を輸入する中国との解禁協議の前進を踏まえれば、更なる輸出需要の増加が見込まれることから、牛肉については二〇三〇年の輸出目標を三千六百億円としたところでございます。
 一方で、我が国の牛肉消費量は近年増加傾向で推移している中、和牛肉生産量は十四・九万トンにすぎません。牛肉の国内需要の増加に対応しつつ輸出目標を達成するためには、和牛の増頭、増産をすることが必要であると考えております。そのため、昨年十二月に策定した農業生産基盤強化プログラムでは、増頭奨励金の交付、和牛受精卵移植等により和牛肉生産量を二〇一八年度の十四・九万トンから二〇三五年度には三十万トンに増加させ、国内供給を維持しつつ増産分を輸出に向けることとしているところでございます。
 また、増頭、増産に加え、輸出環境の整備として、輸出先国の求める衛生基準に適合した食肉処理施設の整備、認定迅速化を進めるとともに、現地の外食産業や小売業者への売り込みの強化、中国などとの輸出解禁に向けた協議の推進などを、取組を総合的に推進することにより、輸出目標額三千六百億円の達成を図ってまいりたいと考えております。

#15
○山田修路君 ありがとうございました。
 もう一つ、コロナウイルスとの関係で、働き手、働く方の問題があります。
 これも七日の農林水産委員会でも出ていましたが、農家や畜産の分野での技能実習生が、来日の見込みのない方が千七百人に上っているという答弁が七日にありました。改めて、その確保の状況、あるいは代替要員の確保についてどういう対応を取っているのか、経営局長にお伺いしたいと思います。

#16
○政府参考人(横山紳君) お答え申し上げます。
 外国人技能実習生の状況でございます。新型コロナウイルスの感染症拡大ということでございまして、中国や東南アジア七か国が入国拒否の対象になっておりますし、その他の国からもビザの効力の停止というようなことで、なかなか入国が難しい状況になってございます。
 今委員から御紹介ございましたように、四月一日時点で千七百名ということでございましたが、先週時点で改めて各都道府県から集計いたしましたところ、四月九日時点で千九百名程度について受入れの見通しが立たないというふうに聞いているところでございます。
 こうした中での対応ということでございますけれども、まずは、今もおられる実習生の方々がこれ帰れないといった、そういった事情がある方もおられます。そういう場合には、例えば三か月就労可能な特定活動への変更ということができますし、あるいは特定技能に変えるということであれば、更に四か月特定活動ということができるということもございますので、そういったことを検討されるところも出てきてございます。
 また、予算面、補正予算面の対応ということでございますけれども、農作業の経験のある即戦力人材に加えまして、他産業からの人材も受け入れ、農作業に従事していただけますよう、農業労働力確保緊急支援事業、これを盛り込ませていただいているところでございます。
 その中では、地域のJAや農業経営体が人材を集めるための費用ですとか、実際就農するに当たりまして必要となる交通費、宿泊費、保険料、研修費といったもの、さらに人材確保のために必要な掛かり増しの労賃、又はそれに加えまして研修機関に対する研修用の機械、設備の導入への支援、こうしたことを実施することとしてございます。
 こうしたことを通じて、各地での労働力確保の取組を後押しするなど、人材不足の解消につなげてまいりたいと考えてございます。

#17
○山田修路君 ありがとうございました。
 労働力、働き手の確保も大事な課題でありますんで、是非しっかりやっていただきたいと思います。
 もう一つ、畜産関係ではないんですが、コロナウイルス関係で気になる新聞記事がありましたので、質問したいと思います。
 この緊急経済対策の中に、高収益作物次期作支援交付金という事業が検討されているということであります。野菜、花、花卉ですね、お茶などについて、次期作、次の作付けに取り組む農業者に対して十アール当たり五万円を支給するという内容でございますけれども、この新型コロナウイルス感染症の影響で売り先がない、次の作付けをどうしようか困っておられる農業者の方々には大変効果的な施策だと思います。
 報道によりますと、この支援を受けるには収入保険の加入を要件とする、義務付けをするというようなことが検討されているようにお聞きをしますけれども、農家の方々にとって、収入保険の掛金を払ってまたこの支援金を受け取る、受け取ろうというふうに取り組もうというのは、なかなかやはり余裕がないということもあるんではないかと思います。
 柔軟な対応、柔軟な要件を検討すべきではないかと思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

#18
○国務大臣(江藤拓君) 委員のおっしゃるとおりだと思っております。
 昨年から大変な大雨、台風災害でまだ営農が十分に再開しておられない方々もたくさんおられる中での今回のコロナでありますので、五万円、それから中山間地域については五・五万円、それで販売促進したら更に二万円、中山間地域では二万二千円。メニューとしてはいいんですけれども、これに収入保険に加入することを義務付けると、ただでさえ営農が厳しくて来年の作付け迷っている方々は手が挙がらないというふうに思っております。
 ですから、私としましては、加入促進はすべきだということの旗を下ろすつもりはもちろんありませんが、しかし、今すぐ入らなきゃいけないということではなくて、将来的に経営が安定したら、収入保険なり、それから共済なり、それから野菜価格安定制度なり、そういった保険制度に加入するというその意思をですね、今すぐ入るということではなくて、加入を検討するということを言っていただければこの苦しい状況では十分だと思っておりますので、義務付けにするということは今回はやめておこうというふうに考えております。

#19
○山田修路君 ありがとうございました。是非そのような方向でお願いをしたいと思います。
 時間も大分迫ってきましたので、食料・農業・農村基本計画について事務方にも少しお伺いをしようと思ったんですが、時間も余りないので、大臣に二つ、二点だけお伺いをしたいと思います。
 一つは、食料国産率の話です。
 これは、もちろん食料国産率、餌が国産か輸入かを問わないということは一つの指標として分かるんですけれども、やはり自給率を目標とするということは、基本的には、やはり国際紛争が生じたり、いざ今回のような感染症が長期化したりして国内に物が入ってこないときにどれだけの、国民の食料安全保障としてカロリーとして提供できるのかというのが元々基本だと思います。そういう意味では、金額ベースの自給率もありますし、あるいは今回のように餌を除いた自給率というのもありますけれども、政策の目標としてあくまで、安全保障という観点からすれば、カロリーの自給率が基本であると思います。
 そういう意味で、今回こういった新しい概念を入れるのはいいんですけれども、そのことによって本来の政策の目標が見失われることがないように、やはりカロリーベースの自給率を上げていくんだということをしっかり意識をして取り組んでいただきたいというのが一つです。
 もう一つは、飼料用米でございます。
 これは、飼料用米については、基本計画の中で生産努力目標、これまで百十万トンだったものが七十万トンに下がっているんですが、飼料米はやはり水田の有効活用、あるいは米農家にとってセーフティーネットの役割も果たしているわけですから、この新しい基本計画で目標数量下げたからといって、飼料米の取組、このことについてしっかりと制度を維持して取り組んでいくと、このことも是非お聞きしたいと思います。
 大臣、二つお願いします。

#20
○国務大臣(江藤拓君) 何度も答弁させていただきましたが、やはり国民の生命、財産を守るのはカロリーでありますから、カロリーベースであるということは全く変わりがない。
 そして、今まさに一部の国では、例えばロシアが、七百二十万トン輸出実績のところを、二十万トン減ではありますが、七百万トンという枠をはめたということはやはり衝撃的なことだと思います。自国での食料を確保することをまず大前提にして、それを超えるものについてだけ輸出するという意思表示でありますから、やはり今後こういう動きが広がることも全くゼロだということは残念ながら否定できない。これ以上コロナが広がれば、フランスでも二十万人の農業労働者を確保するために応募をしたとか、いろいろ報道もありますので。
 やはり今こそカロリーベースというものをもっと我々は意識して政策をやらなければなりませんし、この農地面積、それから基幹的農業就業者の数も増やしていく努力をしなきゃならないんだろうと思っております。それはもう先生と全く同意見で、これを基本とさせていただきながら、その他の指標につきましては、生産額ベースはまあいいとしましても、国産の自給率については参考としていただいて、畜産農家の御努力も数字の中には入れさせていただくということで御理解をいただければというふうに思います。
 それから、飼料用米につきましては、農家の方々の自由なこれは作付けに任せるということでありますから、我々の方で無理やりはできませんが、しかし、政策誘導的に例えば五万五千円の単価を下げるとか、そういうことはやっぱりしちゃいかぬのだろうと思っています。そして、水田フル活用ということであれば、排水暗渠等の設備も整備した上で、戦略作物である麦、大豆等の作付けもやはり同時に推進していく。そして、その上で、子実トウモロコシであるとか、例えば草地につきましても、いろんな品種を植えて、一種類の作物に、牧草に偏らないような作付けの仕方とかいろんなことをしながら、濃厚飼料の自給率が一二%しかない、粗飼料も七六%ということでありますから、これを、全体で二五しかありませんので、飼料自給率も食料自給率と同時に上げていく努力をしないと生産基盤を守るのが難しくなることもやはり危惧しなければならないことも起こり得るというふうに問題意識を持っております。

#21
○山田修路君 自給率の向上、これは大変大事なことですので、是非しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 時間もなくなりましたが、法案について一つお伺いをしたいと思います。
 今度の法案、植物の方は、植物新品種の保護ということで種苗法で知的財産として保護するということになっておりますが、和牛遺伝子はこの不正競争の防止ということになっている。この不正競争の防止という仕組みで保護するのはなぜなのか、どういう差があるのかということについてお伺いをしたいと思います。

#22
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 和牛などの家畜につきましては、その育成者権が認められております植物のように均一性、安定性などの特徴がないというのがございます。均一性と申しますのは同一世代でその特徴が十分均一であることとか、安定性と申しますのは何代増殖しても特性が安定していることということでございます。こういった特性がないという点でございまして、知的財産権を構成することは困難であるということでございます。
 また、種苗の育成者権のように知的財産権を設定する仕組みにおいては、外国における権利の保護は、国際条約、例えば種苗の場合はUPOV条約がございます。こういったものによりまして当該外国政府が負うことになるわけでございますが、家畜遺伝資源についてはそのような国際条約はございませんので、外国において実効性のある保護が得られないということがございます。このため、家畜につきましては、種苗法の育成者権のような形で知的財産権の保護を行う仕組み、これを構築することが困難でございました。
 この度、不正競争防止法を参考に知的財産としての価値の保護を強化するということとしたところでございます。このため、この新法におきましては、種苗法のような出願とか登録とかの手続あるいは育成者権といった知的財産権の付与と、こういったものはございませんけれども、差止めですとか損害賠償などの民事上の請求あるいは刑事罰につきまして種苗法とほぼ同等のものが措置されておりまして、不正行為に対する抑止力として十分なものを確保しているというふうに考えております。

#23
○山田修路君 時間が参りました。今日質問した畜産をめぐる状況、厳しいものがありますので、是非この二法案も含めてしっかりと畜産農家の経営を守っていただきたい、このことをお願いをいたしまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

#24
○石垣のりこ君 立憲・国民.新緑風会・社民の石垣のりこでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まずは、本日審議されております家畜改良増殖法の一部を改正する法律案と家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律案のこの二法案、審議のきっかけとなった事件、お手元の資料の一枚目にありますけれども、詳細はこちらを御覧いただきたいと思いますが、日本の検疫を通さずに海外に持ち出された家伝法違反事件です。どんな課題があると捉えていらっしゃるでしょうか。

#25
○国務大臣(江藤拓君) なかなか難しいと思います。今回、二法案を審議していただいておりますけれども、この法律案が通ったから一〇〇%、じゃ、これを止められるのかという話になると、正直なところ苦しい部分があります。
 特に、船で今回持ち出されようとしましたこのキャニスターというの、入れ物ですけれども、高さは五十センチぐらいしかない、これぐらいですね。底辺が大体二十五センチか三十センチぐらいしかないものですから、簡単にボストンバッグの中に入る。飛行機だとエックス線でちゃんと見ていますけど、船の場合はもう、まあ検疫官はおりますが、そこまで厳密に見ていないということも現実にはあります。この問題も、やはり関係省庁と連絡を取って、この法案通った後、更に議論をしなきゃいけない課題ではないかと、私はそう思っております。
 その上で、やはりこの三十年の六月に出た事件は衝撃的でした。自分たちの強みを他国に、まあ目先のお金という言い方が正確かどうか分かりませんが、お金に釣られて出してしまう、そして仲間にも迷惑を掛けてしまう、先人の努力にも泥を塗ってしまうようなことを生産者の一員である方がされてしまったということは大変残念であります。
 ですから、今回の法案によって、やはりこれは我々の意識だけではなくて、生産現場の方々も、何とか法の世界でこれを防止する工夫はないのかという声を受けて、知恵を出し合っていただいて国会提出にこぎ着けた二法でありますので、これにもしっかり効果を、今局長にいろいろ答弁もしていただきましたが、発揮をさせていただきながら、やはり生産農家の方々の、現場の方々の意識の向上というものも同時に図っていく必要があるというふうに今思っております。

#26
○石垣のりこ君 現場の方々の意識の向上はもちろんなんですけれども、実際に持ち出すという方がいらっしゃったという事件なわけですが。
 この事件後、検疫、そして税関ではどのような再発防止策を講じていらっしゃるのか、また今後講じようとしているんでしょうか。

#27
○国務大臣(江藤拓君) 法律上は、家伝法の四十五条でもうこれは規定されております輸出検疫を受けなければならない、これはもう法律で決まっておりますので、これはしっかりやってもらうということを周知徹底することはもちろんですが、先ほど申し上げましたように、悪意を持ってやるということであれば元々これは違反だということを、まあ麻薬の輸出なんかと同じようにですね。ですから、今回家伝法の改正もしていただきましたので、検疫官の権限は大幅に強化されておりますから、検疫官の方々と税関とタッグを組んでやはりやっていただくことになると思います。
 それから、我々がやっていることで不十分だという御指摘もあるかもしれませんが、随分ポスターとかそういうものも作らせていただきました、もうかなり強烈なインパクトのあるやつをですね、犯罪ですと、有罪とかですね。そういうものをやはり競り場とか畜舎とか空港とかいろいろなところにやることも私は有効ではないかなというふうに思っております。
 ですから、権限が強化されて罰則も強化されておりますから、せんだって可決していただいた法案によってですね、これも一緒に今回の二法と合わせ技で何とか効果を発揮するように努力をしていきたいというふうに考えております。

#28
○石垣のりこ君 どんな法案も基本同じだと思いますけれども、特に本法案は有効に機能していくためには、罰則だけではなく、農家の方ですとか関係者全体のコンプライアンスの意識向上というのが非常に大事になってくると思います。より具体的な対策を講じていただいて、この二〇一八年六月の大阪の事例というのは実は氷山の一角だというようにも報じられておりますので、是非その部分でもしっかりと具体的に対応していただければと思います。
 そして、二〇一九年、昨年の八月二十八日付けの日本農業新聞の記事なんですが、家畜人工授精所、登録の二、三割が廃業しているという実態が報道されています。
 運営実態の把握が求められているわけですが、農水省は、農林水産省畜産部畜産振興課長通知、和牛精液等の適正管理に関する指導の徹底についての中で、家畜人工授精所の稼働状況を正確に把握するよう都道府県に報告を求めています。
 二〇二〇年、今年に入って、全国の家畜人工授精所の数を教えてください。

#29
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 各都道府県を通じて調査をした結果でございますが、今年の一月末時点で稼働している家畜人工授精所の総数は二千百十二でございます。

#30
○石垣のりこ君 ありがとうございます。
 昨年三月の農水省の資料では、実質的に稼働している家畜人工授精所、千百七十七か所という資料があります。これ、一年弱でどうして八百か所も急に増えたんでしょうか。

#31
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 平成三十年度に実施したアンケート調査によりまして、先ほど委員御指摘の稼働している人工授精所の数、千百七十七か所であることを確認したところでございます。
 それから、今回の法改正を行うということによりまして、家畜人工授精所以外で保管された精液等の譲渡禁止を明文化をすることとしております。違反者に対しましても百万円以下の罰金が科せられるということとしているところでございまして、精液などを他の畜産経営に譲渡しているような方はこの家畜人工授精所の開設許可を得ない限り明示的に違法になるということになったということでございまして、このため、こうした方々が家畜人工授精所の開設許可申請を行っているということは考えられるところでございまして、千百七十七か所から昨年の九月末には一千五百七十七か所に増えてございます。で、今年の一月末に先ほど申し上げました二千百十二か所ということで、順次件数が増加していると、そういう状況でございます。

#32
○石垣のりこ君 先ほど、私、八百か所増えていると申し上げましたが、およそ九百か所ということで、より増えた数字を御報告いただきましたので訂正させていただきますが、それまで自分たちでやり取りをしていた畜産農家がコンプライアンスにのっとって資格を取ろうと努力していらっしゃるという様子もこの数字の増え方からもうかがえます。
 そこで、続いては、家畜改良増殖法の一部を改正する法律案の法文、法案の条文の文言について確認したいと思います。
 法案では、和牛遺伝資源ではなくて家畜遺伝資源と書かれております。現在、和牛四種以外に具体的に想定されている特定家畜はありますか。

#33
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 委員御指摘の特定家畜人工授精用精液等でございますけれども、これにつきましては現時点では和牛の四種類、これの精液と受精卵のみを指定することを想定しております。

#34
○石垣のりこ君 今のところは和牛のみということですが、家畜改良増殖法改正案では、三十二条の二、特定家畜人工授精用精液等の指定を新設し、適正な流通を確保すると規定していますが、特定が付く際の基準の一つに高い経済的価値を有することとございます。この高い経済的価値というのは具体的にどのようなことでしょうか。

#35
○国務大臣(江藤拓君) 御指摘のあった改正法の三十二条の二の第一項にあるところでありますけど、これ、基本的に私が判断するということになります。
 海外を見ても、WAGYUとかそういったものが流通しているということは、この名前を付けるということによって商品価値が上がり、市場で高く売れるということでありますから、客観的に高い経済性があるということはこれは明らかだというふうに思いますが、法律上、私が判断するということにもちろんなっておりますけれども、それは独善的になってはいけませんので、やはり専門家の学識経験者の方々からも意見を聞きながらやらせていただきます。
 先ほどお話がありましたように、和牛四種、黒、赤、短角、無角、四種類ありますので、それぞれ固有種で非常に経済性も高く、最近は、例えば褐毛なんか、赤牛なんかは、脂が少なくて、従来の和牛なんかよりも逆に外国の方に人気があったりするようなこともありますので、こういったものについては、高い経済性があって、知的財産としての価値が非常に高いというふうに判断させていただくということでございます。

#36
○石垣のりこ君 今回、二法案が高い経済的価値のある和牛の遺伝子を守るという視点から出されたということは、今の大臣の答弁からももちろん理解をいたしますけれども、この高い経済価値のある和牛遺伝子に関連するということで、次に乳用牛についても伺いたいんですけれども、農業の専門家から、乳用牛の借り腹で肉用牛を産ませるという技術調整により乳用牛が減るという問題点があると伺いました。価値のある和牛の生産のための技術とも言えると思うんですが、しかしながら、当然、牛乳の生産、出荷も重要であり、必要なことです。
 この乳用牛の借り腹で肉用牛を産ませて牛肉生産を向上させるという生産形態について伺いますが、この借り腹での肉用牛の生産は、乳用牛のどのぐらいの割合で行われているんでしょうか。また、乳用牛が生産する子牛に占める割合はどのくらいでしょうか。

#37
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 乳用牛の借り腹で和牛を生産している頭数と割合ということでございますと、今、乳用牛の借り腹で和牛の受精卵移植により生産された和子牛の数でございますが、約四万頭でございます。和牛の子牛の生産頭数、これは五十三万七千頭、全体がですね、七千頭でございますので、そのうちの七%が借り腹で生まれているというふうに承知しております。

#38
○石垣のりこ君 これは、乳用牛が生産する子牛に占める割合は、今御回答いただきましたでしょうか。

#39
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 乳用種から生まれた子牛の頭数と、その中での黒毛の比率ということでございますですかね。先ほど申し上げましたように、子牛の頭数、約四万頭でございますが、乳用種全体から生まれております子牛の頭数の中にそれが占める割合でございますが、四・九%でございます。

#40
○石垣のりこ君 今、パーセンテージは一〇%未満ということのお答えでしたけれども、牛の一生においておよそ三回あるという妊娠機会のうち、肉用牛の借り腹がおよそ一回であるという話をレクでも伺ったんですけれども、肉用牛の子牛を売るともうかるということになりますと、経済的効果の面から肉用牛の生産に偏重して、乳用牛、そして牛乳の生産にしわ寄せが来ないとも限らないと、そのような懸念もございます。価値のある牛が輸出で高く売れる和牛の側面のみに偏重してしまう可能性はないでしょうか。肉用牛の借り腹での和牛生産という技術調整について、農水省のお考えをお示しください。

#41
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、乳用牛の借り腹をする場合に当たっては、生乳生産に影響が出ないように、その生乳の生産と和牛の受精卵を活用した和牛の生産、これを両立させていくということが必要であると考えております。
 このため、農林水産省といたしましては、性判別精液を活用して効率的に乳用後継牛を確保すると、つまり、雌が生まれるような形での性判別精液、これを活用いたしまして、乳用牛のいわゆる後継牛、そちらを確保いたしまして、そして、乳用後継牛を生産しない搾乳牛についてその借り腹として和牛の受精卵を移植するということを取り組んでいるところでございまして、こうした取組を通じまして、酪農経営におきまして需要に応じた生乳生産を確保した上で和牛の生産というものも進めてまいりたいと考えております。

#42
○石垣のりこ君 現在のところ、その生産調整というのはうまくいっているんでしょうか。

#43
○政府参考人(水田正和君) 先ほど申し上げましたとおり、生乳生産に影響が出ないよう両立させると、その二つをですね、生乳生産と和牛受精卵の、済みません、今の実態を申し上げますと、乳用後継牛も非常に今価格が高くなっているところでございまして、そういう意味で初妊牛を販売するというような取組も北海道の酪農家とかがやっているところでございますので、そういう意味で、そちらの方のインセンティブもかなりあるのではないかと思っておるところでございます。必ずしも和牛ばっかり作るということにはならないというふうに考えております。
 需要に応じた生乳生産と和牛の生産、こういったものを両立できるようにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

#44
○委員長(江島潔君) 大臣にもお答え求められますか。

#45
○石垣のりこ君 もし補足というか、お話あればお願いします。

#46
○国務大臣(江藤拓君) 今局長がお話ししたとおりですけれども、北海道の家族経営の方々に都府県の酪農家は非常に初妊牛等は頼っておりまして、現状、北海道の、徳永先生に別に文句を言うわけではないんですが、非常に値段が高くて、もうちょっと安くならぬかなと西日本の酪農家は言っているぐらいでありますので、どちらのインセンティブも十分にあると思います。
 ただ、黒を付けると、ホルスよりも小さいというのがあってお産が軽いとか、妊娠すればおっぱいは出ますので、お乳は出ますので、それは酪農家の方々の御判断によって黒を大きく付ける方もおられれば、やっぱり全体のバランスを考えて後継牛を作ってくれている方もおられますので、今のところ、お話ありましたように、性判別精液でなるべく雌が生まれるような支援もさせていただいております。一回だけじゃなくて二回、三回と種付けもさせていただくように支援をしておりますので、先生が御心配されるような状況には、なるというような見通しは今のところはないというふうに思っております。

#47
○石垣のりこ君 ただ、高い価値を有する和牛ということでやはり乳用牛よりも和牛の方がお金になるんだということで、その辺の、具体的に法での規制があるというよりかは勧告というのか、皆さんにこうしていただきたいというような要請の形式であることには変わらないと思いますので、その辺は肉用牛、今回のこの和牛四種のみならず、やはり畜産農家の酪農家の皆さんへの御配慮といいますか、そのバランスが欠くことがないように今後も継続しての取組をお願いしたいと思います。
 続いてなんですけれども、和牛の輸出政策に関してなんですが、現在の和牛の主な輸出先というのはどこになりますでしょうか。

#48
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 牛肉の主な輸出先ということでございますが、二〇一九年の国産牛肉の輸出実績は四千三百三十九トンとなっておるところでございまして、主な輸出先でございますが、一番がカンボジアでございまして千百五十八トン、二番目が香港でございます、八百七十八トン、三番目が台湾でございまして六百三十三トン、四番目、アメリカでございます、三百九十八トン、こういった順番になっております。

#49
○石垣のりこ君 今、主な輸出先を挙げていただきました。アジア圏に偏っていると思うんですが、今後開拓しようとしている国や地域はどこでしょうか。また、そこを選定している理由は何でしょうか。

#50
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 今年の四月三日でございますけれども、農林水産物・食品の輸出本部、この四月からできました本部でございます。そこで農林水産物及び食品の輸出の促進に関する実行計画といったものを作っておりまして、ここにおきましては、新たにやっぱり輸出の解禁協議をしていく国といたしまして、一つは、牛肉につきまして世界の牛肉輸出量の約二割が仕向けられております中国でございます。それから、二番目といたしましては韓国でございまして、名目GDP、これが香港の約四倍でございますので、そういったことをにらんで韓国でございます。それから、三番目といたしまして一定数の富裕層が存在するサウジアラビアと、こういったものを位置付けたというところでございます。

#51
○石垣のりこ君 今、販売拡大のハードルになっているとお考えになっているところはどんなことがあるでしょうか。

#52
○国務大臣(江藤拓君) 中国とも鋭意ずっと一生懸命やってまいりましたけれども、やはりあちらの国はあちらの飼養衛生管理基準、衛生管理基準がありますので、それをやはり我々はクリアしなければなりません。基本的にはHACCPの基準を満たすということが大事になります。
 ですから、食肉処理場の認定、これは日本でもかつて完成から二年掛かったというような事例も関西でありましたので、こういうことがないように、食肉処理場のいわゆる建設の初期の段階からHACCP対応ができるような設計、それから施工についても並行的に横で見ていくことによって、施設が完成してできるだけ早い期間で検査にも来ていただいて、視察にも来ていただいて、門戸が開くような努力をさせていただくことが大事だろうと思っております。
 それから、やはり輸出先国の輸入規制の緩和、例えばまだ東日本大震災の影響が残っておりますので、そういったところの二十か国に対するアプローチも引き続き大変大事になってくるだろうと思っています。
 そして、かつて私も総理と中東に行かせていただいたことがあったんですけど、そのときに和牛を持っていきました。最初、持っていったときには、脂が乗っている肉を見るのは中東の方々、UAEの方々も初めてで、最初はちょっと気味悪そうな顔をされている方がおられたんですけど、一口食べたら、あれっ、うまいねと、あっという間に持っていった量がきれいになくなってしまいまして、実は我々が知らないマーケットが世界中にはまだたくさんあると思います。
 ですから、サウジアラビアというふうに先ほども局長が答えておりましたけれども、中東全般、UAEとかドバイとか、そういうところも有力な市場にもなり得ると思いますし、そして、先ほどカンボジアに一番輸出しているという話をいたしましたが、どうもこれまだ証拠がないので確定的なことは申し上げませんけれども、カンボジアに出した肉が中国に実は行っているのではないかというのが、都市伝説なのか本当なのか、確定的なことは言いませんが、中国の方はカンボジア経由で三倍の値段になっても欲しいというようなことをおっしゃっているようです。
 ということであれば、直接門戸が開けばそんな高い値段で中国の方々も買わずに済むわけですから、いろんなハードルは外交努力も必要ですし、日本の安全性ということを主張することも大事ですし、プロモーションも大事ですし、越えなきゃいけないハードルはたくさんありますけれども、四月一日から、ちょっと華々しくはスタートできませんでしたけど、輸出対策本部も農林省に立ち上がりましたので、このコロナの問題が終息いたしましたら、しっかりこのことについては力を入れてやっていきたいというふうに考えております。

#53
○石垣のりこ君 先ほど大臣の御答弁にもありましたけれども、このWAGYUの、既に世界各地で出回っている、日本の和牛よりもより有名になってしまっているこのローマ字のWAGYUへの対策というか、差別化に関してはいかがですか。

#54
○国務大臣(江藤拓君) これもう数年前になりますけれども、国産の和牛についてはステッカーを貼って輸出していただくようにしておりました。そのステッカーに我々もWAGYUと書いておりまして、これでは差別化ができないじゃないかということで、ジャパニーズビーフというふうにステッカーも変えさせていただきました。まあステッカー変えたから何なんだと言われれば、そうかもしれませんが。しかし、少なくとも同じではないということはとても大事なことだろうと思います。
 そして、やはり本物の良さを、物を送るだけじゃなくて説明する。やっぱり物にはストーリーが必要だろうと思います。どのような人がどのような手間を掛けて作って、これはほかの例えばオーストラリアのものとはピュアブラッドでどこがどう違うか、そういうストーリーテラーのような人もやはりそういう販売促進のようなことを海外でやれるときにはしっかり派遣をして、分かっていただくことも必要ではないかと。いろんなことをやらせていただきたいと思っております。

#55
○石垣のりこ君 ありがとうございます。
 日本の牛肉消費量に占めるちょっと割合について伺いたいと思うんですけれども、大きく三つに分けて、和牛、和牛以外の牛肉、そして輸入牛肉の割合を教えてください。

#56
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 平成三十年度におきます牛肉の需要量でございます。これは九十五万三千トンでございます。このうち輸入牛肉が六十二万トンでございます、約六五%でございます。和牛肉でございますが、十四万九千トンでございまして約一六%。それ以外の主なものは交雑種、F1と乳用種の牛肉でございますが、交雑種の方が八万九千トンで約九%でございます。乳用種の牛肉でございますが、九万一千トンで約一〇%ということでございます。

#57
○石垣のりこ君 つまり、今のお話ですと、日本で消費されている牛肉、日本人が食べている牛肉のうち六五%、半分以上が輸入された牛肉ということになります。
 和牛の国産生産量が平成三十年、二〇一八年で十四・九万トンということですけれども、農林水産省が二〇三五年までにこれを倍の三十万トンまで伸ばす計画を示しています。増産した分は輸出に回す計画があるという話も伺っております。
 和牛の畜産農家、つまり肥育農家、繁殖農家が年々減っている状況にありますが、例えば十年前と比較してどのぐらい減っていますでしょうか。

#58
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 畜産統計によりますと、子取り用の雌牛を飼養する農家の戸数でございますが、平成二十一年の六万七千戸から平成三十一年には四万戸になっております。それから、乳用種も含めた肥育牛、肥育の方でございます、こちらにつきましては、農家の戸数が平成二十一年の一万七千戸から平成三十一年には一万戸になっている、そういう状況でございます。

#59
○石垣のりこ君 がくんと数字は十年で減ったということが分かります。
 生産を増やすという計画でしたら、畜産農家が減った分、一農家当たりの飼育頭数を増やすしかない、全体の生産減を可能な限り食い止めるという方法を取らざるを得ないと思います。二〇三五年に倍増の三十万トンに伸ばすためにどのような計画、シミュレーションがありますか。

#60
○国務大臣(江藤拓君) やはり雌牛がいないと基本的には増えないというのが現実でございます。やはりどうも肉は雌の方がうまいというのがありまして、今、七割は出産という経験をすることなく肉用に回っております。ですから、私は、基本的には、やっぱり雌をどれだけいわゆる子取りができる繁殖雌牛として残せるかということが肝だと思っております。
 ですから、今回の二十四万六千円の増頭対策についても、優良な雌を増頭していただきたいと。そして、先ほどから一部議論でありました借り腹もさせていただいて、酪農家の方々の所得向上につなげながら、そして、性判別ができれば雌を産んでいただくことも、黒の雌を産んでいただくこともこれ可能になるわけですから、いかに雌を残していくかということが大事だろうと思っています。
 ですから、確かに繁殖農家は減りました。私の地元でも、農家も、例えば二頭しか飼っていないとか、三頭しか飼っていないとか、そういうところはやっぱりやめてしまいます、正直、お年を取ると。八十ぐらいまでは、JAの方が牛を引いてくれて競り場まで持っていってくれて何とかやっていたけれども、さすがにもう八十五ぐらいになると、子供たちがもうやめないと危ないがという話もあって、もうやめてしまう。これはもう自然減の部分がありますので、経営が厳しくてやめたというよりも、やはり様々な御家庭の事情とかそういうものもあると思います。
 ですから、今回、政府と我々農林省としてやらせていただきたいのは、小規模、中規模の人たちが、今はとても、これだけ値段が下がると、増頭といってもぴんとこないとは思いますが、中規模、小規模の人がもう一歩、十頭飼いの人が二十頭飼いに、三十頭飼いの人が五十頭飼いになることによって必ず経営は安定しますので、そういうことによって全体として増やしていって、最終的な十四万九千トンを三十万トンに増やす目標を達成していきたいと、そういうロードマップを、シミュレーションを描いているところでございます。

#61
○石垣のりこ君 ありがとうございます。
 おおよそのそのイメージというのは今の大臣の御答弁からも分かりますけれども、これ具体的に、でもやっぱり三十万トンにしていくということで、何割の、現在の肥育農家のうち、ここまでを増やしていくというような更に具体的な数字というのは現段階ではあるんでしょうか。

#62
○国務大臣(江藤拓君) そこまで具体的にあるかと言われると、なかなか今すぐお答えするのは難しいですが、例えば、私の地元の話をして申し訳ないんですけれども、結構異業種から和牛に入っていく人は宮崎では多いです。例えば、ちょっとお金を持っている私のお金持ちの友人がいるんですけど、いきなり何百頭雌を買ってですね、牛を飼った経験が全くないのに、俺は繁殖をやるんだと言って今もうばりばり繁殖をやって、それなりに経営も初年度から黒字を出している人もいますし、私の山の方の友人でも、建設業をやっている夫婦でしたけれども、これからはやっぱり牛だと言って五年ぐらい前に始めて、年々年々飼養頭数を増やして経営もかなり安定している人もいます。
 ですから、なかなか、畜産は初期投資に金が掛かる。一頭導入するのでも、安くても七十万、八十万掛かる。そして、畜舎も造らなければいけないし、堆肥舎も造らなきゃいけない。そういったハードルがありますので、ですから、今回我々がいろいろやらせていただいているのは、事業を承継するに当たって、第三者に対しても畜舎ごときれいにした後で継承できるような形とか、その間にJAが入って事業継承を助ける仕組みとか、それか、キャトルセンターで預ける仕組みとか、キャトルセンターから逆に牛を借りる仕組みとか、いろんな仕組みを複合的につくって、できるだけ新規参入の方々もこの世界に入ってこれるような工夫をこれからやっていくことが必要になっていくだろうというふうに思っております。

#63
○石垣のりこ君 増産体制に関しての今後の方向性について、大臣にお話を伺いました。
 その高い価値を、経済的価値を有する和牛四種なわけですけれども、その和牛を含めて牛の餌である飼料の主な品目とそれぞれの自給率についてお答えいただきたいと思います。

#64
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 委員御指摘の家畜の飼料、餌でございますけれども、餌の中には大きく二種類のものがございまして、牧草とか青刈りトウモロコシなどの粗飼料でございます。それともう一つは、トウモロコシを主原料といたします配合飼料、こういったものでございまして、これ濃厚飼料というふうに言っております。(発言する者あり)失礼しました。
 粗飼料の自給率につきましては七六%となっております。それから、濃厚飼料の自給率は一二%でございまして、合わせまして、飼料全体での自給率という意味では二五%ということでございます。これは平成三十年度概算の数値でございます。

#65
○石垣のりこ君 自給率、粗飼料に関しては七六%、配合飼料が一二%で、平均すると二五%という御回答をいただきましたが、牛が食べる餌としては、この粗飼料と配合飼料の割合というのはどのくらいでしょうか。
 済みません、今ちょっと質問通告はしていなかったんですけれども、お話の中から、ここが分からないとどうしようもないなということでちょっと質問をさせていただきます。もし今すぐ分からなければ、後ほどでも結構です。

#66
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 肉用牛の場合、繁殖の場合と肥育の場合で若干違いがございまして、繁殖の場合は粗飼料の割合が五八%、五八・一%でございます。肥育の場合も若干それぞれによって違いますが、肉専用種、和牛の場合の肥育につきましては粗飼料の割合が一〇・九%ということになっております。

#67
○石垣のりこ君 飼い方、その目的によって随分粗飼料の割合も差があるんだということが今御答弁いただいたことからも分かるんですけれども、日本ブランドの和牛、つまり漢字の和牛を本当に大事に育てていくという畜産の肥育農家の皆さん、本当に思いは熱いものがあると思うんですが、実際には、畜産農家は減っていて、日本ブランドをうたっていても牛が食べているもののほとんどは外国産濃厚飼料ということになりますと、非常に今後和牛を世界各地に向けて輸出をしていくというその内実、名実共に日本産だと胸を張って言い切れないという現実があるのではないかと思います。
 食料自給率三七%の日本で作られている牛肉なのに、さらには、日本人が自ら食べるメーンの牛肉は外国産だと、日本で作られる和牛の増産分は今後輸出に回していくと、そのようなことが今のお話からも分かるわけですけれども、国産、自給率を増やしていきたい、地産地消を訴えていきたい、日本で育てて海外にそのブランドを売っていきたい、しかし、飼料は、食べているものは外国産。こういう様々な矛盾があることについて、大臣の御見解を伺いたいと思います。

#68
○国務大臣(江藤拓君) 私は日本人ですけれども、一〇〇%日本の食材を食べておりませんけれども、もうばりばり日本人なので、牛と私は一緒にはなりませんけれども。ただ、確かに、そのマーケティングをするときに、外国の粗飼料それから濃厚飼料に多くを頼っているということは、決してブランドとしていいことではないというふうに自分も思っております。
 そして、日本ではなかなか耕地面積の限界もあり、九万二千ヘクタールの荒廃農地ありますけれども、それを復活させたとしてもなかなか飼料自給率を一〇〇%は難しいかもしれませんが、しかし、それをもう到達させなきゃいけない。
 まずは、粗飼料の飼料自給率を一〇〇にする。それから、濃厚飼料については、子実トウモロコシというものがありますので、これは随分議論されてきたものです、これについては支援をこれから厚くしていきたいというふうに考えています。それから、農場の残渣等もありますので、そういった未利用資源の利用。それから、草地につきましても、先ほどちょっと言いましたけれども、一種類の例えばテテップとか、そういう一種類を植えるだけじゃなくて、イタリアングラスとかいろんなものを複合的に作ることによってリスクを向上させて生産性を上げるということも私は必要だろうと思っておりますが。
 北海道なんかでは進んでおりますけど、やはりコントラクターとかTMRセンターとか、そういったものの整備も必要ですし、そういうことをやるに当たっては、ICTとか、そういった先端技術も当然利用していくということも必要だと思います。
 私の地元では一部始まっておりますけれども、若干サシは落ちますけれども、放牧を棚田等でさせて、棚田放牧をしてやることによって運動を毎日しっかりさせることによって、かめばかむほどうまい赤肉を作るというような、そういうまた違う方向性の牛の作り方、サシが入ればいいのだというような方向だけではない、そういったマーケティング、作り方も今成功しておりますから、そういったことも応援させていただきたいと、そういうようなことで何とかやらせていただければというふうに考えております。

#69
○石垣のりこ君 今お話を伺って、放牧もして、サシが入っているものだけではない、赤身の多い和牛の生産も今後進めていきたいというようなお話を伺って、少し、前回の農林水産委員会で藤木政務官でしたでしょうか、和牛の出荷が少しずつ遅れることによって、早くて数日以内に体中にうみがたまってしまったり、牛の目が見えなくなったり、自分の体重を支えられなくなってしまうということが二週間以内ぐらいに起きるというようなちょっとお話を耳にしまして、私たちが食べているものというのは必ずしも物すごく健康的な環境の中で作られたものではないということはもちろんあり得ることは知っているんですけれども、じかに牛を飼っている方からそういうお話をやっぱり聞くと、もっと健康的な育て方で、かつ、おいしいものを作ることができるのではないだろうかというような思いすらちょっと抱くようなお話もありましたので、和牛ブランドということを考えていくときに、単にそのサシが入ったものが最上とするということだけではなく、もっと違う観点で、日本のブランドの良さということを今大臣のお話からも可能性として感じましたので、今後、そのようなことも含めて、より日本のおいしいものを召し上がっていただける機会となるための法律になることを私自身も願っております。
 そのためにも、以前から指摘していますように、食料自給率、家畜の餌も含めて厳格に自給率計算をやはりしていく。危機管理にも対応できるようにする。やはり、一旦このように世界的な危機に陥ると、食料の安全保障の面でも、やはり餌の供給がストップしてしまっては元も子もない状況というのは、これはやはりゆゆしき問題だと思います。
 輸出偏重の農業政策には改めて警鐘を鳴らしつつ、でも、やはり日本のおいしいものを世界の皆さんにも召し上がっていただきたいという思いもありますので、今後とも、皆様の取組、是非積極的にお願いを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

#70
○徳永エリ君 お疲れさまでございます。共同会派、国民民主党の徳永エリでございます。
 実は昨日、北海道の有機農家の方とメールでやり取りをさせていただきました。大臣には通告していないんですけれども、お願いベースでまずお話をさせていただきたいんですけれども、物流の問題なんです。
 北海道では、農産物の物流、JAホクレンに出荷している農家は、鉄道、貨物、あるいはコンテナ輸送、ほくれん丸、船での輸送、今のところは問題がないということなんですが、しかし、有機農家の方々は道外に出荷できなくて困っているんですよ。で、出荷できない野菜を近隣の方々に安い値段で売ったりとか、インターネットでセットにして、これも安い値段で売ったりして、収入も非常に減っているということなんです。場合によっては、売れ残ったものは廃棄せざるを得ないケースもあるということなんですね。
 四月の八日付けで日本郵便株式会社から、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴い国内航空便が欠航等になることから、定形外などの大型郵便物及びゆうパックについて一部の地域宛てに大幅な遅延が生じる場合があると、そういった文書が発出されています。航空便を利用する地域宛ての大型郵便物及びゆうパックについては二日から四日程度の遅延が見込まれているということなんです。これ、東京まで、本州まで、北海道からですね、二日から四日遅れるということになると、鮮度、品質の問題も影響が出ます。また、収入が減っても、有機農家の方は収入保険に入っていない方も結構おられるそうなんですよね。ここをどうするのかという問題。
 それから、有機農家の方々の農業やあるいは食の安全、安心に関する考え方、それからその方の生き方そのものに共感をして、いろんなところから播種とか収穫の時期にボランティアで手伝いに来る方、こういう方が大変に大きな力になっているんです。私が昨日話した農家の方は、海外から年間三十人ぐらいの方々が人手が足りないときに手伝いに来てくれた、ボランティアでということなんですが、こういう方々の人手が全く見込まれなくなってしまっているわけです。かといって、例えば派遣とかお願いして働いてもらう、その経費もなかなか出ないということで、そういったところもしっかり支援していただかないと、ましてや、その家族経営でやっている有機農家に万が一新型コロナウイルスの感染者が出た場合には、もう本当に農作業も立ち行かなくなるという状況であります。
 いろんな農業団体に関わっている方々はいろんなところで声を上げる機会があると思いますけれども、こういった個々に有機農業などをやっている方々はなかなかその声が届かないという状況がありますので、是非調査をしていただいて、有機農業に関わっている方々が農業をやめなくてもいいように、ちゃんと経営を継続していくことができるようにしっかりと支えていただきたいということを、大臣、お願い申し上げますが、いかがでしょうか。

#71
○国務大臣(江藤拓君) それはもう当然やらせていただかなければいけないと思います。北海道農政事務所にすぐ話をさせていただきますが。
 外国人研修生じゃなくてボランティアで来てもらえるということはかなり相当な意識を持ってやっておられる方ですし、これからは食育の観点でも、有機ということについては我々は真剣に取り組まなきゃいけない時代になっておりますので。
 しかし、この日本郵便の話は、ちょっとなかなかこれは、飛行機ももう減便ですから、これもちろん国交大臣にも話はすぐさせていただきますが、これはちょっと宿題というか持って帰らせていただきますけれども。
 この声が届かないということは、これは決してあってはいけないことでありますので、人間の融通のことについても、とにかく私が申し上げているのは、どこでどれだけの人数が不足して、どの時期で足りないのか、それをはっきりまず把握をしないと、はめようがないと。こっちで人数がプールできたとしても、どこに行っていただいたらいいのか、そしてまた適性も多少はあると思いますのでですね。
 ですから、この有機農家の方は一軒じゃないですよね、という方々については北海道農政事務所の方からすぐ連絡を取らせて、できることについて相談に乗らせていただきたいと思います。

#72
○徳永エリ君 今日、多分インターネットで御覧になっていると思いますので、大臣のお言葉、心強く感じていると思いますので、是非ともよろしくお願い申し上げたいと思います。
 さて、本日は畜産二法について御質問させていただきますけれども、その前に、四月七日に閣議決定されました令和二年度農林水産関係補正予算、新型コロナウイルス感染症に伴う経済対策について、特に、これまでもお話ございましたけれども、外食産業との関係で需要が著しく減退している、影響の大きい畜産、酪農の事業の継続の確保のための具体的な支援内容について、大臣から御説明をまずはいただきたいと思います。

#73
○国務大臣(江藤拓君) まず、先生の御地元で一番関係が深いようなもの、脱粉のお話ですけれども、これについてはもうしっかりやらせていただきます。この脱粉が飼料用に向いていくように五十億、もちろん閣議決定しただけでまだ通っておりませんから、まだ数字でありますが、五十億確保しておりますので、これで御心配は要らない状態に持っていけるというふうに、今の状況であればですね、思っております。これが長期化すれば、また考えなければならない場面が出てくるかもしれません。
 それから、積み上がった肉については、先ほどから御説明させていただきましたが、まず五百億、ALIC事業ありますので、販促をやる。それから、二月に遡って保管費等の支援もさせていただく。そして、これから販売促進をしていただくことであればその分について奨励金を出していただいて、地域の方なり、それからインターネットで日本全国、もしかしたら海外にも売れるかもしれませんけれども、いろんなところで販売をしていただくようにしていただきたいと思います。
 ですから、流通について一千四百億、ALICで五百億ありますから一千九百億ありますのでかなり思い切ったことができると思っておりますので、肉とか脱粉に限らず、先ほどちょっと話に出ましたメロンとか魚とかいろんなものについて、流通が滞留しないように、現場の声を聞きながら対応していきたいというふうに考えております。

#74
○徳永エリ君 大変に現場は厳しい状況だと思いますし、これから先の見通しも付かないという中でありますから、とにかく今やるべきことは事業の継続、しっかりと事業を続けることができるように支援をしていただくことだと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 現場の人手不足という問題も深刻になっております。そこで、この補正予算の中の農業労働力確保緊急支援事業についてお伺いをしたいと思います。

#75
○政府参考人(横山紳君) お答え申し上げます。
 農業労働力確保緊急支援事業でございますけれども、この事業につきましては、外国人技能実習生等、これが受け入れることが難しくなっているという状況の中で、実際人手が足らない、したがって代替要員を何らかの形で確保しなきゃいけない。その際には、何といいましょうか、交通費、移動して来てもらって実際働いていただく、あるいは宿泊費が要る、そういったような事情もあるかと思います。さらには、なかなか労賃的にも多少上乗せしないと来てもらえない、そんなこともあろうかと思いますので、そういった掛かり増し経費全般を支援するものでございますし、また、いきなりなかなか就農することは難しいということで、研修に係る費用ですとか、あるいは研修のための機械、設備の整備、そういったものについても支援をしてまいりたいと、このように考えてございます。

#76
○徳永エリ君 先ほど大臣からもお話ございましたけれども、技能実習生千七百人ですか、日本に来る見込みがない、それが更に千九百人まで増えたということでございますけれども、本当にそれだけのやっぱり人材を確保できないとなかなか現場は厳しいなと思いますので、この支援事業は本当に大事な事業だというふうに思っております。
 ただ、これ見せていただきますと、最初は、農業経験を有する人材が即戦力として現場で働くと、次は、多様な人材による援農・就農支援ということで、他産業の従事者、今回のこの新型コロナウイルスの影響で仕事を失ってしまった方々とか、自宅待機状態にあるアルバイトとかパートの方々とか、こういう方々も是非、農業の現場で働く人材として援農、就農する際の活動費、これを支援するというものでありますけれども。三つ目のところに国内人材の呼び込みというのがありまして、地域のJAや農業経営体等が、一及び二の人材を集めるため、民間の人材派遣サービス等を活用したマッチングの実施や情報発信を支援します、ここ、私すごく気になるんですよね。
 恐らく、今の時期ですから、例えば一時間千円で働いたところを千五百円というふうに言ってくるわけですよ。そうなったとき、その五百円分の掛かり増しを支援するということですよね。そうなると、どこまで上がってくるかも分からないですし、それから、その上がった分が現場で働く人のところに行けばいいですよ。でも、人材派遣会社のもうけになって現場で働く人たちの手取りが増えないということになれば、これは大問題だと思うんですね。
 いろいろ現場に聞いてみると、人材派遣会社によって一時間幾らというその賃料というんですか、労賃ですか、これもう全然違うというんですよ。だから、基本的な基準、なかなか民間の企業なので難しいとは思いますけれども、余りそんな派遣会社によって差があるのも問題だと思いますし、また、この状況に乗じて法外な労賃を言ってくるなんということがあったら大変で、それを国が見るなんというのもこれもおかしな話ですので、ここは何かきちっとガイドラインというんでしょうかね、何か適正なルールみたいなものがあった方がいいんじゃないかなというふうに思うんです。
 それと、今回の新型コロナウイルスの感染の影響で人手が足りないから派遣から人材を確保するというだけではなくて、これまでも派遣から人材を確保して作業を手伝ってもらっていた農家があるわけです。恐らくこういうところも労賃を上げてくると思うんですよ。そういう方々の上がった分の労賃のこの掛かり増し分を、ここも補填できるのかどうかというところなんですが、大臣、いかがでしょうか。

#77
○国務大臣(江藤拓君) 大変勉強になりました。
 確かに、この人材派遣についてはいろいろ社会的にも問題がある業者もいるということは自分も承知いたしております。ですから、しかし、何万人の世界ではなくて、今のところですけど、千九百人という世界で、これは全国にばらけているわけでありまして、地域の目もかなり厳しく光っている部分もあると思いますので、そこはやはり、我々でできる範囲、しっかり不公平感のないようにしたいと思います。
 特に、先生今おっしゃった、先に派遣されている人が例えば千円で来ていて、後から来た人が時給千五百円だということになると、自分の方がスキルが上なのに、何で後から突然来たやつの方が時給が高いんだという話になると、何か職場がぎくしゃくしそうな感じがしますので、そこがどういう工夫ができるのか、今ちょっとすぐお答えできない、申し訳ないんですが、検討を要する御指摘だというふうに受け止めさせていただきます。

#78
○徳永エリ君 恐らく、こういう事業が出てくると、業者の方々は、掛かり増し分が国から出るんであれば少し労賃上げようという動きが絶対出てくるんですよ。そのところをちょっと意識をしていただいて御検討いただきたいというふうに思います。派遣会社がもうけちゃいけないとは言いません、みんな苦しいんですから。だけど、やっぱりおかしなことが起きないように是非とも御検討をお願い申し上げたいと思います。
 それから、今のこの資料の二番目のところで、援農、就農の前後に研修機関や農業経営体等において研修を受ける際の活動費を支援しますということなんですけれども、畑作、稲作辺りは余り経験がなかったり、短い間、短期の研修でも手伝えるかもしれませんけれども、これ、畜産とか酪農とかとなると、やっぱり動物の命を扱う仕事でありますから、短期間の研修、経験がない方々はなかなか難しいと思うんですね。
 今やっぱり北海道から多く聞こえてくるのは、酪農の現場、技能実習生がなかなか来ないということで、酪農の現場の人手が足りないという声をすごく聞くんですよ。ここの人材の確保は大変に難しいと思いますけれども、大臣、どうお考えになりますか。

#79
○国務大臣(江藤拓君) そのような声が直接届いております。技能実習生の方に、大変家族ぐるみでかわいがって、その学生をですね、その子のおかげでこのきつい酪農の朝夕の搾乳も進んでいたけれども、この子たちいなかったら、家族経営であればあるほどまだ機械化が進んでいないという現実もあって、厳しいということであります。
 ということであれば、やはり生産者団体の方々、いろいろ昨年も法律もいじったりもいたしましたけど、生産者団体の方々との話合いがとても大事だと思います。こういうときこそやはり地域で助け合うということだと思います。
 酪農ヘルパーも、先生おっしゃるように、お金を積んだからといってすぐに技能者が生まれるわけではありませんし、この酪農の世界は入ったら中にはもう三日でやめてしまうような子もいるほどの世界でもありますので、まずは、こういうところでコロナに罹患することがないように、ガイドラインも作らせていただきましたので、手洗いとかそういうこともしっかりやっていただいて、もし発生したときには北海道農政事務所も各地方農政局も中心となって、生産者団体の方々とも横の連携を取りながら何とか、とにかくおっぱいが出ますから、ほっておいても、餌を食べさせれば。搾乳ができないような事態に陥らないようにできるだけの話合いはしているつもりですけれども、引き続きその努力をやらせていただきたいというふうに思います。
 なかなか正確なお答えができなくて、申し訳ないです。

#80
○徳永エリ君 なかなかこれ、人材確保難しいと思いますけれども、いろいろとお考えいただいて、お取組をお願いを申し上げたいというふうに思います。
 続きまして、二枚目の資料でございますけれども、新型コロナウイルス感染症の発生畜産農場等における経営継続対策事業、これについて御説明をいただきたいと思います。

#81
○大臣政務官(藤木眞也君) お答えいたします。
 農林水産省としましては、新型コロナ感染症が畜産、酪農家で発生した場合に備え、委員も御存じだと思います、三月十三日に、畜産事業者に新型コロナウイルス感染症が発生したときの対応及び事業継続に関する基本的なガイドラインを公表したところでございます。特に、畜産、酪農においては家畜の飼養管理や搾乳などを日々欠かすことができないことから、あらかじめ業務継続のための体制について検討、構築していただくことをお示ししております。
 委員御地元の北海道においては、北海道庁が可能な限り道内のJAに直接出向き、説明を行うなど、ガイドラインの周知に御協力をいただいているところでございます。各地域で検討をいただいておりますが、それを踏まえて、釧路管内においては、市や農協などの関係団体が連携し、消毒の資材の手配や手法の確認、また、JAが窓口となり、酪農ヘルパー利用組合の活用など作業要員の確保体制の構築、また発生時の初動連絡体制の構築などの支援体制を事前に構築していると聞いております。
 今般、新型コロナウイルス感染症に伴う経済対策として、発生農場の事業継続のため、畜産における代替要員の派遣費用などを支援することとしており、本事業の活用も検討しつつ、地域の関係者が一体となって業務継続のため体制を検討していただきたいと考えているところでございます。

#82
○徳永エリ君 ガイドラインは二ページ目、三ページ目の資料になりますけれども、現場の皆さんとこの件について少しお話をしてみました。
 まず、その農場で新型コロナウイルス感染が発生した場合に、代替要員としてその農場に行きたがる人がいるかどうかという問題があります。それから、ヘルパーさんも、元々ヘルパーさんが足りなくて今悲鳴を上げているんです。そういう中で、さらにこういった問題がある中で、果たしてヘルパーさんがそこに行くのかどうか。
 このガイドラインには、業務の継続というところで、畜産農家の体制又は生産者団体等による支援体制の整備、感染者等の把握と情報共有、生産現場の速やかな消毒、業務継続のための支援、代替要員の確保、代替要員が確保できない場合の措置、生産者団体等による管内への注意喚起の発出、検討事項として書かれているわけでありますけれども、これは、発生する前に、発生したらすぐ対応できるように準備しておく必要があるんだと思うんですね。その準備をきちんとそれぞれの農場にさせていただくように、地域の農協等に私は指示をした方がいいと思います。
 いつも何か起きてから対応して、結局こういった業務の継続のための検討事項、せっかくこういったガイドラインを作っているのに、そのガイドラインが機能しないということがよくありますよね、この国会の中でも。せっかく作ったんですから、しっかり機能するように、そこをもう今から対応していくべきなんじゃないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

#83
○国務大臣(江藤拓君) これは難しい話です、本当に。
 もう特に、酪農家のところにはステンレスが多いんで、ああいうつるつるした面ではこのコロナウイルスが二日、三日生き残るというような報道も連日されています。ですから、ヘルパーさんは、例えばその発生農場だけに行ってそこに専従になるというわけではなくてほかの農場も回らなければなりませんので、じゃ、その行った人がいろんなところ、手袋はもちろん皆さんゴム手袋しますけど、果たしてあそこの農場に行ったヘルパーさん、うちに呼ぼうかという話になると、ちょっと怖いねという話にもなりかねないと思うんですね。
 ですから、その農場の規模にもよると思うんですよ。飼養頭数五十頭とかそれぐらいなら、今作って、先ほど政務官からもお話しさせていただいたように、発生時の初動連絡体制、これはもう構築させていただいていますから、これで何とか対応できるとは思いますけれども、それなりの飼養頭数のあるところで出たときには相当腰を入れたことを考えないとまずいんだろうと思います。
 ですから、ヘルパーだけではなくて、たとえ不器用でも、例えば北海道農政事務所の人間が使えるかどうかは分かりませんけれども、あらゆることを考えなければならないと私も思っています。
 しかし、マニュアルは一応作らせていただいていて、これはかなり精査して作りましたので、これはこれで有効だと思っておりますけれども、しかし、先ほどと同じ答弁になって恐縮ですが、とにかく、とにかくこのコロナが、今のところ余り農業の生産現場では、漁業も含めて大体三十名ぐらいです、全て入れて、全国で。ですから、それほどたくさんは発生していない状況ではありますけれども、もし出たときには規模によって対応も変わってきますし、このマニュアルが、じゃ一〇〇%ワークするのかと言われれば難しいと思います。
 ですから、ちょっとでっかいところでちょっとシミュレーションしてみたいと思います。仮にA農場で起こったらどこからどれだけの対応が可能なのか、中規模だったらどうなのか、家族経営だったらどうなのか、地域性もありますけれども、少し勉強させていただきたいと思います。

#84
○徳永エリ君 よろしくお願いいたします。事が起きて対応できなかったら本当に現場は大変に混乱いたしますので、もしシミュレーションできるものならしていただいてお答えをいただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 この二枚目の資料の一番下、四番目に、出荷できない生乳に対する支援、乳業工場の処理能力の低下等により出荷できなくなった生乳に対して支援しますとなっておりますけれども、畜産、酪農の現場の方が心配しておられるのは、そもそもその農場から生乳が出荷できるのか、あるいは牛肉なりが出荷できるのか、風評被害的なものを大変心配しているんです。それも、起きてからではなくて、何らかの対応を今から考えておくべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

#85
○国務大臣(江藤拓君) 先生の御指摘は、搾乳してバルクで運べなかった……(発言する者あり)風評被害ですか。ああ、なるほどですね。
 しかし、これは、ちょっと考えていなかったんですが、今回の豚熱の経験則から考えますと、正直、ワクチンを打ったら豚の枝肉価格が下がるのではないかということを非常に恐れておりました。実際、消費者の方々は極めて冷静な判断をしていただいて、そういうような事案は起こりませんでしたので、もしそのような事態が起こったら、まず食べ物から伝播することはない、その農場から出た牛乳であっても安心して消費者の方々が食していただける、そういった正確な情報発信をしっかりやらせていただきたいと思います。

#86
○徳永エリ君 どのタイミングで、正確な情報をどういう形でどれだけ出すかということがすごく重要なんだと思うんです。起きてからではやっぱりこれも遅いと思うので、ここも備えて、御検討いただきたいというふうに思います。
 ちょっと補正予算について苦言を呈させていただきたいと思います。
 緊要性の高いもの、これが補正予算だと思います。今回の補正予算を見ておりますと、新型コロナウイルス感染症対策として本当にこれが緊要性の高いものなんだろうかと思われるものもあります。これから、まあ残念ながらもう既に出ておりますけれども、もしかすると倒産や廃業に追い込まれる事業者が出てくるのではないかと、増えるのではないかと言われている中で、感染が終息した後の回復期の対応、これが補正予算に盛り込まれているところが私は納得できません。
 例えば、ゴー・ツー・キャンペーンによる需要喚起、新型コロナウイルス感染症の終息後六か月程度の間、政府一体の取組の一環として、オンライン予約でのクーポン付与、割引食事券の発行等の需要喚起策の実施など。これ、今出されても、今飲食店経営者の方はどんな心境でいるか分かりますか、大臣。私も飲食店を二軒経営しておりました。もう手に取るように気持ちが分かります。毎日毎日お客さんが来ない、請求書だけがどんどん届く、支払ができない、いつまでもつんだろうか、いつまで続くんだろうか。そんな中で、このオンライン予約でのクーポン券付与、割引食事券、これ全く感覚がずれていると思うんです。
 今は、とにかくいかにして事業を継続するか、いかにして暮らしを支えていくのか、ここに集中するべきだと私は思います。大臣、いかがでしょうか。

#87
○国務大臣(江藤拓君) 耳の痛い部分があることは認めた上で申し上げますが、今に対応する部分については、少なくとも農林水産関係の補正予算についてはかなり盛り込ませていただいたつもりです。例えば、次期作に向かって五万円、先ほど山田委員の御質問にお答えいたしましたけれども、収入保険に今すぐ入らなくてもいいですよというようなこともやらせていただきますし、肉についても、それから高級食材についても、滞留しているものについて流通促進のための予算も確保させていただきました。
 確かに、輸出関連で百五十七億要求いたしております。しかし、これは、緊要性はないという御指摘はそのとおりなんですが、これ令和の四年の三月まで使えるということになりますので、補正であってもですね。ということは、これから一年半ぐらいの長いスパンでありますから、確保しておいて悪くはない。やはり今は、先ほど申し上げましたように商流を止めないということはとても大事なことなので。ゴー・ツー・イートとかゴー・ツー・トラベルでしたかね、のことについては私はちょっとコメントは避けさせていただきますが、百五十七億の輸出促進策については、やはり将来への希望もつながなければなりませんので、これは、私としては、一応、大波を一度みんなで耐えた後にその先の明るい未来を開くために、これだけの予算を確保しておくことはよいのではないかというふうに考えております。

#88
○徳永エリ君 お話は分かりますけど、でも、今じゃないでしょうと。補正だって、これから何回かまた組まなきゃいけないことになるかもしれない。終息の見通しが立たないので、あえて、申し訳ないですけれども、苦言を呈させていただきました。
 それでは、家畜二法案についてお伺いしたいと思います。
 和牛は、成果が出るまで十年を超える期間、多額の経費を掛け、生産者の努力の積み重ねによって改良された我が国固有の肉専用種であり、その家畜遺伝資源は知的財産として守っていかなければなりません。しかし、和牛遺伝資源の知的財産的価値の保護強化に関する専門部会が一月にまとめた中間報告では、優良な家畜の遺伝資源は知的財産としての価値を有している、価値を有しているとしています。
 そこで、お伺いいたしますが、なぜ家畜遺伝資源、和牛の遺伝資源は知的財産権として法的に位置付け、守ることがこれまでもできなかったのか、そして、これまでこの問題に関して議論になったことがあるのか、なったのであればどういう議論だったのか、お伺いしたいと思います。

#89
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 家畜の遺伝資源の保護につきましては、かつて平成十八年にも議論がございました。そのときも、家畜の遺伝資源の保護に関する検討会を農水省として立ち上げ、和牛を始めとする家畜につきまして、知的財産制度の活用も含めて、その保護に係る問題点、こういったものを明らかにするという検討を行ったところでございます。
 その際にも整理をされたわけでございますけれども、和牛などの家畜につきましては、育成者権が認められている植物のように均一性、安定性などの特性がないと。均一性と申しますのは同一世代でその特徴が十分均一であること、それから、安定性というのは何代増殖してもその特性が安定しているということでございます。こういった点で、知的財産権という権利を構成することは困難だという整理になったところでございます。
 また、種苗の育成者権のように、知的財産権を設定する仕組みにおきましては、外国における権利の保護が国際条約により当該外国が、外国政府が負うことになるわけでございますが、家畜遺伝資源につきましてはそのような国際条約がないため、実効性のある保護が得られないということもございました。
 このため、家畜につきましては、その種苗法の育成者権のような形で知的財産権の保護を行う仕組みを構築することが困難ということでございまして、今般もそういった考え方の下に、不正競争防止法の方を参考に、行為を規制するという形で知的財産としての価値の保護を強化するということとしたところでございます。

#90
○徳永エリ君 知的財産権として守るのは困難という中で、家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律案、平成三十年に改正された不正防止法の限定提供データの不正取得などに関する規定を参考に不正競争行為を類型化して規制するとしたことで、何とか家畜の遺伝資源を守らなければならないと、まさに苦肉の策だったんだというふうに思います。
 ただ、新法によって家畜の遺伝資源が知的財産的価値として保護され、不正流通への抑止力を高めるためには、家畜遺伝資源生産事業者と家畜人工授精所、畜産農家との契約、利用許諾契約の普及が大前提になるんだと思います。しかし、現行では利用許諾契約は義務ではありませんよね。今後、どのようにして関係者へ周知を図り、この新法をしっかり機能させていくのか、お伺いしたいと思います。

#91
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 契約の普及ということでございますけれども、契約につきましては法律上の義務ではございません。自主的に取り組んでいただくということでございますけれども、ひな形などを示して推奨させていただいているところでございます。
 都道府県で種雄牛を持っているところなど、十七県におきましてはもう既に何らかの契約を結んでしっかりとやっているところでございますし、あと、大きなところで申し上げますと、家畜改良事業団などの民間の種雄牛の造成をしているところが三つございますけれども、そちらにつきましても、この四月に入りましてから約款というような形で契約を結ぶという取組が進められてきているところでございます。
 こういった取組を普及をさせていただく、指導させていただくことによりまして、しっかりと契約の普及、図ってまいりたいと考えております。

#92
○徳永エリ君 利用許諾契約は大前提でありますので、しっかりお取組をお願い申し上げたいと思います。
 そもそも今回この法改正が行われることになったのは、一昨年、和牛の精液や受精卵が中国に持ち込まれそうになった事件、中国で摘発されたこの事件が今回のこの法案提出につながったというわけでありますけれども、この事件の背景にあった問題、改めてどういう問題があったというふうに受け止めておられますでしょうか。

#93
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 ちょっと御質問の趣旨があれでございますけれども、背景ということで申し上げると、今回、家畜改良増殖法を法改正をさせていただいたわけですが、これまでの家畜改良増殖法の中では、家畜人工授精所以外で保存した精液ですね、保存してはいけないという規定がございませんでした。家畜人工授精所以外で処理してはいけないという規定がございましたので、この処理の中に保存も含むんだという運用をさせてきていただいたところですが、そこが明文化されていなかったということで、はっきりしなかったということでございます。それから、あと、今回はそういった譲渡禁止とか保存禁止に反した場合の回収、廃棄命令とかも措置させていただきましたが、そういったものもなかったということでございます。あとは、和牛につきましては、その精液、受精卵の容器に種雄牛名を表示するとか、そういったことについてもこれまでなかったということでございますので、そういった点で不十分な点があったのではなかろうかというふうに考えております。

#94
○徳永エリ君 そして、先ほども石垣委員から質問がありましたけれども、どうしてこの液体窒素の入った運搬専用の容器に受精卵とそれから精液が入ったものが輸出検疫、輸出検査なしに持ち出すことができたのかということでありましたけれども、この理由と対策についてはお伺いをいたしましたので、別のことをちょっとお伺いしたいと思うんですけれども。
 容疑者が過去に何回も受精卵等を実は中国に持ち込んだんだということを供述しております。五回やったというような供述があったとも聞いておりますけれども、この容疑者だけではなくて、ほかにももしかしたら持ち込んだ人が過去にいるかもしれない、今回の問題は氷山の一角だというふうにも言われているわけですけれども、もし精液や受精卵が中国に流出していたら大量の和牛の生産が可能になるというわけでありますけれども、既に中国で和牛が肥育されているのかどうかというところは実際に調査というのは行われているんでしょうか。

#95
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 今回の中国への持ち出し未遂事案の大阪地裁の判決におきまして、確かに、被告人らは以前から同様の不正輸出を繰り返す中で本件に及んだものであって常習性が認められると、こういうふうにされているところもございますが、この中でも、過去の持ち出しの時期とか相手先などに関して、捜査を経て行われた公判においても事実認定とか行われておりませんことも考えますと、農水省が調査をいたすということについて、その過去の事例の検証あるいはそういったものについては現実的には難しいものというふうに考えているところでございます。

#96
○徳永エリ君 何で難しいのか、教えていただいてもよろしいですか。

#97
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 裁判という、裁判の中でもなかなか明らかにならなかったそういったものにつきまして、強制力のない農水省の調査でなかなか明らかにすることは難しいのではないかというふうに考えているところでございます。

#98
○徳永エリ君 今回の件と言っているわけではなくて、いろんなうわさがあるわけですよ、氷山の一角と言われていることもありまして。そういう意味で、中国にこの和牛の精液や受精卵が持ち込まれて中国で和牛が肥育されているのか飼育されているのかというところを調査しようと思えばできないことはないと思うんですけれども、もう一回、いかがでしょうか。

#99
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 中国での調査ということでございます。これまでのところしておりませんが、いろいろな情報ルートを通じまして調査をしてまいりたいと考えております。今後してまいりたいと考えております。

#100
○徳永エリ君 今後していただけるということなので、中国産WAGYUが出てこないように、しっかり調査を、実態調査をしていただきたいというふうにお願い申し上げたいと思います。
 一九七六年から一九九八年頃までは、日米の合意に基づいて、我が国から米国に生体二百四十七頭、精液一万三千本が合法的に輸出されていました。その後、米国で和牛の遺伝資源が増殖されてオーストラリアへ輸出され、和牛をルーツに持つローマ字というかアルファベットのWAGYUが誕生したということであります。今やオーストラリアや米国で生産者団体を設立するなど、本格的に飼養、生産を行っておりまして、その飼養頭数は米国で約十万頭、オーストラリアでは約四十四万頭と言われています。また、オーストラリアから受精卵や精液がヨーロッパに渡って、国境を越えてヨーロッパ各国、中東にまで輸出されているんではないかという話もあります。
 和牛精液の輸出の解禁について、当時、生産者団体から影響を懸念する声があったそうですが、解禁に至るまでどのような議論があって、当時、農林水産省としてはこの和牛の受精卵や精液の輸出に関してどのような見解を示していたのか、お伺いします。

#101
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 牛の生体及び精液の輸出につきましての衛生条件、委員御指摘のとおり、米国との間で平成三年九月に締結をされております。当時、生産者団体は、この和牛遺伝資源のうち育種改良上必要なものは国内で留保するという意向であるということでございました。
 そういった意向もございましたので、農林水産省といたしましては、我が国から輸出された和牛の精液を用いて海外で和牛肉が生産されても、我が国に輸出されて国内生産を脅かすおそれは少なく、影響はそれほど大きくないと見込んでいた模様でございます。
 ただ、現在、国として和牛肉の輸出に積極的に取り組み、我が国から相当な量の和牛肉を輸出するように今なっております。現在から見れば、当時、海外市場での競合という視点が欠けていたという点については残念であると言わざるを得ないと考えております。
 今となっては、今現在御審議いただいているこの二法案によりまして、我が国の優秀な和牛遺伝資源が海外に流出しないよう全力を挙げてまいりたいというふうに考えております。

#102
○徳永エリ君 優秀な和牛の精液を国内優先の体制にあって、国内生産を脅かすことはないというような御見解だったということであります。しかし、結果的には、今我が国の和牛の前に大きな壁として立ちはだかるのがこのアルファベット、ローマ字のWAGYUでありまして、最大のライバルとなってしまったわけであります。
 そこで、この和牛のシェアを本家本元の我が国の和牛が奪い返さなければならない。政府の牛肉の輸出額の目標は、二〇一九年は二百五十億円、実績は二〇一九年でそれを上回る二百九十七億円でした。二〇二五年の輸出額の目標は千六百億円、二〇三〇年は三千六百億円。国内飼養頭数も、平成三十年の六十一万頭から令和十二年には八十万頭にまで増やすという、かなり高い目標を立てておられます。
 この高い目標の根拠と、具体的にいかにしてこの目標を実現していくのか、戦略について大臣にお伺いいたします。

#103
○国務大臣(江藤拓君) 相手がマーケットでございますので、確実にマーケットを予見することはなかなか困難ではあると思いますけれども、しかし、事実として、世界の、よく言われることですけど、二〇一五年に八百九十兆円であった食品のマーケットが、人口の急増等を踏まえて、二〇三〇年には八百九十兆円から一千三百六十兆円に膨らむと。そして、特にアジア圏では、非常に経済成長が急なところについては、淡水魚からやっぱり海水の魚が食べたくなる、そして、鳥肉から豚肉、豚肉から牛肉を食べたくなる、経済成長とともにやはり食の嗜好が変わっていくということもありますので。
 そして、先ほど、カンボジアからぐるっと回って中国に行っているという定説があるというお話もいたしましたけれども、百六十万トンも輸入をしておりますので、日本が十四万九千トンしか和牛を今生産していないということであれば、六万五千五トンというアメリカの枠も低関税枠を確保しましたから、チャンスは十二分にあると思っております。しかし、金額につきましては量と価格の掛け算ですから、この数字も三百六十億円から上に上振れすることもまた一方では可能だろうと思います。
 そして、私、確かにピュアブラッドといって英語文字のやつをオーストラリアまで行って食べてきました。自分でスーパーに行って一番高いのを買って、大使館に持っていって焼いてもらって食べましたが、まあ、失礼なので、これは議事録残りますから言いませんけれども、まあ相手にならぬなと思いました、正直なところ。それで、高いんですよ、百グラム千八百円とか二千円とか。そこの牧場主がやっていらっしゃるレストランがあって、私がその話をしたら、じゃ、俺のレストランに来いと言って、食べさせられました。それはうまかったですよ。これ、グラム幾らなんだと言ったら、最後まで言いませんでした。ということは、とんでもなく高いんだろうと思いますが。
 ですから、日本は、やはりそんなに値段をつり上げるということではなくて、先ほどちょっと若干申し上げましたけれども、外国人の嗜好にも合わせる必要があると思います。余り脂っこいものを好まないという欧米の嗜好もありますので、A4、A5を作ることだけが正しい生産の方向ではなくて、マーケットインという考え方もやりながら、飼養期間も短くすることもあるかもしれませんし、餌のやり方の工夫もあるかもしれません。いろんなことを実現する、工夫する中で、この大きくなっていく世界の食のマーケットに切り込んでいきたいというふうに考えております。

#104
○徳永エリ君 今、カンボジアから中国に行っているという話もありましたけれども、二〇〇一年のBSEや口蹄疫が発生して以降、人口十四億人という巨大マーケットである中国に輸出ができないという状況が続いています。
 昨年の十一月に、我が国と中国との間で動物衛生検疫協定に署名をしています。そして、十二月には、中国政府は我が国からの牛肉の一部について輸入の解禁を公告したということですけれども、その後、中国への牛肉の輸出再開に向けて、この新型コロナウイルスの問題がありますから、大変厳しいと思いますけれども、現状がどうなっているか、お伺いをしたいと思います。

#105
○政府参考人(新井ゆたか君) お答え申し上げます。
 中国への輸出につきましては、委員からお話がありましたとおり、二〇〇一年の九月にBSEに係る輸入禁止令、それから二〇一〇年の四月に口蹄疫に係る輸入禁止令が発出されておりまして、輸入禁止が継続されているところでございます。
 これに対しまして、継続的な協議の結果、昨年十二月に、中国政府によりまして、BSE及び口蹄疫についての解禁令の公告が発出されたということでございます。その後、各種の協議を経まして、現在、中国側におきまして、次のステップでございます我が国の食品安全システムの評価が行われているところでございます。
 今後のステップといたしましては、具体的な検疫衛生条件の設定や、それから輸出施設の認定と登録ということでございます。なかなか行き来が難しい状況でございますけれども、いろいろな手段を使いながら技術的な協議を進めているところでございます。

#106
○国務大臣(江藤拓君) 役所的にはああいう答弁になるんですが、相当いいところまで来ております、相当いいところまで。今回のコロナのこの件がなければ、もしかしたらもう行けていたかもしれないと思うぐらいいいところまで来ておりまして、中国政府も、是非とも、孔大使という方が今東京におられますけれども、一日も早く中国の消費者の皆様方に日本のおいしい牛肉を届けたいんだということをメディアの前でおっしゃいましたので、かなりいい線まで行っている。それで、二歩下がったわけではなくて、そこで止まっていますので、このコロナが収まればしゃにむに進めさせていただきたい、相手のあることですからあれですけれども、アクセルを思い切り踏ませていただきたいというふうに思っております。

#107
○徳永エリ君 幾つかちょっと大臣とやり取りしたいことがあったんですけど、時間が参りましたので、今日はこの辺にしておきたいと思います。
 ありがとうございました。

#108
○委員長(江島潔君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   正午休憩
     ─────・─────
   午後一時開会

#109
○委員長(江島潔君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、家畜改良増殖法の一部を改正する法律案及び家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#110
○谷合正明君 公明党の谷合です。
 和牛関連二法案について質問をさせていただきます。
 まず、法案の中身に入る前に、今、新型コロナウイルス感染症の影響について、本当にどの分野においても今影響が出ているということでありまして、長期化、また広域化、深刻化、様々な課題に直面しているわけであります。
 和牛関連二法ということでありますので、特に畜産、和牛関係ですね、やはり今外食、そしてインバウンド、この二つの本当に大きなこれまでの追い風というものが今急激に一変して減退しているということでありまして、販売が落ち込んでもう、いろいろ質疑のやり取りさせていただいておりますけれども、今在庫が積み上がっているという状況であります。大臣からも、過去の答弁のやり取りの中でも、しっかりそうしたことを踏まえて対策を講じていきたいというお話でございました。
 先般、緊急経済対策が取りまとめられたところであります。この在庫が積み上がった状況を放置しておけば適齢期になった成牛の屠畜ができずに農家の経営に大変な影響を及ぼすということになりますので、まず何よりも早急にこの問題を解消していく必要があると考えます。どのような対策を講じるのか、農林水産省の答弁をお願いしたいと思います。

#111
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、新型コロナウイルスの影響によりまして、和牛の肉の在庫が積み上がる一方で、畜産物や水産物、冷凍食品などによりまして倉庫の空きスペースが不足している状況下で、滞留している和牛肉の在庫を早急に解消することが何より重要でございます。このため、今般の緊急経済対策におきまして、ALIC事業といたしまして和牛肉保管在庫支援緊急対策を措置いたしたところでございます。
 この対策は、和牛肉の販売促進計画を作成した食肉の卸売業者に対しまして、新型コロナウイルスの影響が生じた時点、二月から、二月に遡ってですね、在庫の保管料を支援する、さらには、この販売促進計画に基づき実際に販売した場合には、その実績に応じて奨励金を交付するといった事業になっております。
 この対策によりまして、生産から流通、消費の流れを、この牛肉の流れをですね、和牛肉の流れを滞らせないようにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

#112
○谷合正明君 ALIC事業ということであります。まず、補正予算とはまた別途、別のこのALIC事業ということの手だてだと思います。しっかり現場に対する周知を徹底をお願いしたいと思いますし、私たちもこの国内農家をしっかりと支えていこうと、そういう、困っているときはお互いさまということであります、やっていきたいというふうに思っております。
 その上で、和牛の生産基盤につきましては中小規模の繁殖農家が支えております。このような中小規模の農家が元気にならなければ、生産基盤強化は望めません。しかし、和牛につきましては、元々、主に農耕用の牛として農家が飼養してきた経緯があります。また、十分な粗飼料基盤の確保が難しいこと、また、交配時期の見極めや出産、哺育等デリケートな技術が求められていることなどから、技術的にも難しい面があると言われてきておりました。
 令和元年度の補正予算につきまして、農林水産省の対策として、思い切った和牛の増頭を進めるとされました。その中で、特に中小の肉用牛農家への支援をどのように進めていくのか、この点について確認させていただきたいと思います。

#113
○副大臣(加藤寛治君) お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、和牛の増頭を進めるためには、肉用牛経営の大宗を占める中小規模家族経営の生産基盤強化を図ることが重要であると考えておるところでございます。
 このため、令和元年度補正予算では、中小規模家族経営を支援する観点から、畜産クラスター事業の規模拡大要件を緩和をしたほか、繁殖経営に対する増頭奨励金におきまして飼養頭数規模が五十頭未満農家に対する奨励金単価を高く設定をするとともに、後継者不在の家族経営に対しましても、経営継承を条件に、規模拡大を伴わなくても施設整備が行える新たな支援策を創設をしたところでございます。さらには、中小経営、家族経営の労働負担を軽減するため、キャトルステーションやTMRセンター等の外部支援組織の施設整備や機械導入についても支援をしておるところでございます。
 今後とも、これらの対策により、和牛の増頭に向けて中小規模家族経営の基盤強化を確実に図ってまいりたいと、このように考えておるところでございます。

#114
○谷合正明君 ありがとうございます。
 それで、和牛の増頭につきましては、諸外国への輸出増加を織り込んで計画していると聞いております。先ほど中国への日本産牛肉の輸出について既に答弁がありましたので、質問は割愛させていただきますけれども、いずれにしましても、今般の新型コロナウイルスの影響によって人の行き来にも制限が出ているという状況でございます。その中で、しっかり、この輸出の戦略についてもしっかりと戦略を持ってやっていただきたいというふうに思います。
 法案の方も入っていきますけれども、私の地元の岡山は中四国一の農業生産高であります。果物王国として知られておりますけれども、一方では、この畜産についても、農業生産高を引き上げている一つの大きな柱になっております。
 実は、今から二百年ほど前、岡山県の県北の新見というところに竹の谷蔓という優秀な系統から千屋牛が作られました。その後、この地域に住む太田辰五郎という方が、製鉄業で財を成すとともに、後世まで長く地域の発展につなげようと和牛振興に力を注ぎまして、今日の千屋牛発展の礎を築いたところでございます。和牛の中の和牛というふうに言われておりまして、日本最古のつる牛の系統を持っているということであります。
 また、和牛のオリンピックとも言われております五年に一度の共進会、実は第一回が昭和四十一年に岡山県で開催されておりまして、そのときのテーマは、和牛は肉用牛たり得るかというテーマでやってきております。
 まさに、時代を見てみますと、この和牛の歴史そのものは、特に黒毛和牛に入ってくると百年余りの短い歴史とも言えるという中でありまして、それにもかかわらずこの霜降りで世界中で有名になったというのは、まさに大臣が午前中の答弁言われたとおり、農家や関係者の皆様が育種改良に一方ならぬ努力をされてきた結果でありますし、海外から入ってくる牛肉とのすみ分けということでしっかりそうしたブランドをつくってこられたということだと思います。
 そうした中、一昨年、精液や受精卵を不正に中国に持ち出そうとした事件が起きました。一生懸命育種改良した和牛の遺伝資源が海外に流出し、霜降り肉が生産され、海外のマーケットで競合したり、日本に逆輸入されたりするのではないかとの懸念が広がったわけであります。
 そこで、この度の和牛二法案であります。特に家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律におきましては、和牛の遺伝資源の知的財産的な価値を守るという考え方で海外流出を阻止する抑止力を大幅に高めるものと理解しております。
 まず、確認させていただきますけれども、今回、和牛遺伝資源に権利を設定しない方法で、新法により知的財産的価値を保護することとしましたけれども、和牛遺伝資源はなぜ知的財産的価値があると言えるのか、説明をお願いしたいと思います。

#115
○大臣政務官(藤木眞也君) お答えをいたします。
 家畜の改良は、遺伝的能力評価に基づき、優秀な形質を発現する遺伝資源を有する個体の選抜、増殖を繰り返すことにより、有用な遺伝情報を集積させた個体を生産していくプロセスであります。同じ家畜の種類であっても肉質等の品質の差別化を図ることができるという点で、家畜の改良は畜産関係者などによる創造的な活動であることから、このプロセスを通じて生み出された和牛遺伝資源は知的財産としての価値を有していると考えております。

#116
○谷合正明君 畜産関係者によります創造的な活動、そのプロセスを通じて生み出されたものだということでありまして、まさにそのような試行錯誤の上で生み出されたものだということで知的財産としての価値があるということで理解をいたしました。
 午前中も、この和牛遺伝資源が例えば種苗の育成者権のような知的財産権として保護することは難しいとされてきたその理由をいろいろとやり取りされました。これ大事なことは、今回新法を作ったと、不正競争防止法、平成三十年のこの仕組みを参考にしたということなんですけれども、この新法やもう一つの法案であります家畜改良増殖法の改正案で、具体的にどのようにこの和牛の遺伝資源を守っていくのか、この法案の根本的なところでございますけれども、答弁をお願いしたいと思います。

#117
○大臣政務官(藤木眞也君) お答えをいたします。
 今回の家畜改良増殖法の改正により、一つは、家畜人工授精所以外で保存した精液等の譲渡禁止を明文化した上で、これに反した場合の回収、廃棄命令を措置することによりブローカーなどの手に渡らないようにするとともに、精液、受精卵の容器への表示や家畜人工授精所による業務状況報告を義務付け、トレーサビリティーの確保を図ることとしたところでございます。さらに、精液等の利用を日本国内に限定する旨を明示した契約を全国的に普及した上で、新法において、家畜遺伝資源の生産事業者との契約に違反して譲渡し、譲受けを行った農家やブローカーに対して差止め請求を可能とすることとしたところでございます。
 このため、今回の二法案を整備することにより、和牛の遺伝資源がブローカー等の手に渡らず、差止め請求により輸出そのものを止めることが可能となるほか、刑事罰が措置されることとなっております。これらにより不正行為に対する抑止力を大幅に高めることができると考えており、二法案により和牛の遺伝資源の流出防止に全力を挙げてまいりたいと考えております。

#118
○谷合正明君 これまでは、和牛の精液や受精卵につきまして、国内利用に限るという契約を講じたとしても、契約の効力はあくまでも当事者間という限界があったということでありまして、この新法によりまして、知的財産的価値を守るために、契約当事者ではない第三者にも効力が及ぶような制度的仕組みを創設したという、言わば新しい仕組みであるということであります。このような手法による輸出抑止であれば、自由貿易に関する国際条約とも調和するという形で、和牛のような国際競争力のある改良成果を保護することが可能になると考えられます。
 しかし、先ほど政務官からも話がありました抑止力という話なんですけれども、この契約違反による不正競争が生じたときに実効性のある救済措置がとられていることが重要でありまして、悪質なものには刑事罰との御説明でしたけれども、罰則が抑止力として十分なのでしょうか。この点についてお答えいただきたいと思います。

#119
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律案におきましては、差止め請求や損害賠償などの仕組みのほか、悪質な場合には刑事罰を措置することといたしております。
 その場合の罰金の額についてでございますが、和牛遺伝資源などの不正利用は被害が甚大になり得ることから、特許法や種苗法などの高額の罰金が科せられている類似の法制度を参考にいたしまして、個人には十年以下の懲役又は一千万円以下の罰金又はその併科、法人には三億円以下の罰金としたところでございます。
 和牛の精液の配布価格を見ますと千円から一万円程度、受精卵については一万円から十万円程度であることを踏まえれば、本法案による罰金により十分な抑止効果が期待できるものと考えております。

#120
○谷合正明君 さらに、悪質でない事例についても救済措置に実効性があるのかということについてお尋ねしたいと思います。
 先ほど、十年以下の懲役、一千万円以下の罰金又は併科というような話もありましたけれども、もし差止め請求に従わなかったらどのようになるのか、説明をお願いしたいと思います。

#121
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 新法におきまして、不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある家畜遺伝資源の生産事業者が、裁判所に対して、その侵害の停止又は予防を請求できるほか、侵害の行為を組成した家畜の廃棄その他の侵害の停止又は予防に必要な行為と、こういったものを請求できることとなっております。差止め請求でございます。
 裁判所によりその請求を認める決定がされまして、その決定にその者が、侵害者が従わない場合ですが、裁判所による強制執行の対象となるということでございます。

#122
○谷合正明君 強制執行になるということでありまして、さらに従わなければ強制執行妨害罪というような展開になっていくんだというふうに思います。
 その上で、制度を実効性のあるものにするためには、和牛の精液や受精卵を作っておられる家畜人工授精所で契約が普及することが前提でありますし、最重要であります。
 確認のために、この家畜人工授精所は幾つ我が国にはあるんでしょうか、そのうち精液や受精卵を製造しているものは幾つあるのでしょうか、御答弁をお願いします。

#123
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 今年の一月末の時点でございますが、家畜人工授精所の総数は二千百十二でございまして、そのうち精液と受精卵の両方を製造している施設は二十二でございます。それから、精液だけを製造している施設が三十九、それから受精卵だけを製造している施設は二百四十七ということでございまして、精液又は受精卵を製造している施設は合わせまして三百八ということになります。

#124
○谷合正明君 それで、精液や受精卵を製造している家畜人工授精所での契約の普及の状況はどうなっているのでしょうか。法律上契約が義務付けられていないのでありますと、実際に全ての畜産農家に契約を結んでいただくのは難しいと考えられますけれども、どう対応していくのか、説明をお願いしたいと思います。

#125
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 契約の普及の状況ということでございますが、まず、宮崎県とか鹿児島県とか鳥取県など十七県におきましては、県有牛の精液等の売買に関してもう既に契約が交わされておるということでございます。それから、全国に精液などを販売しております家畜改良事業団、これを含みます民間の三者におきましても、定型約款というような方式によりまして、精液の契約、本年四月に入って既に開始をしたというところでございます。これによりまして、家畜人工授精用精液の流通量のベースで見れば、契約を行っている家畜人工授精所のシェアは約七割になったところでございます。
 一方、受精卵の方は、小規模な家畜人工授精所が多いところもございまして、まだ契約を行っていないところもございますが、今後重点的に契約の普及を図ってまいりたいと考えております。
 委員御指摘のとおり、契約につきましては、この和牛の遺伝資源の知的財産としての価値を保護する上で非常に重要な取組でございます。引き続き、できるだけ早く契約の締結に至ることができるように、契約のひな形をお示ししたり、あるいは全国のユーザーと契約を円滑に行うための定型約款というものを用いた契約手法の推進につきまして、都道府県を通じて、また、受精卵移植に関わる獣医師の団体もございます、獣医師会がございますので、そういった団体を通じて働きかけを行うことなどによりまして、事業者の方、畜産農家の方、こういった方の負担軽減にも配慮しつつ、契約締結に向けました取組を更に進めてまいりたいと考えております。

#126
○谷合正明君 改良事業者、また和牛農家の大多数が願っている国内利用に限るという制限が付いた契約を結んでもらえることがこの新法のキーポイントになります。特に受精卵については、契約を結んでいる数が、正確な数、今答弁なかったですけれども、精液七割で、受精卵の方もまあ少ないんだというふうに認識します。その中で、今御答弁ありましたひな形でありますとか定型約款、こうしたことの周知をやっていただきたいと、普及啓発をしっかりと進めていただきたいというふうに改めて主張をさせていただきたいと思います。
 一方、和牛の改良の現場に目を向けますと、しっかりと霜降りの入る改良の進んだ種雄牛が多く輩出されている一方、和牛全体で血縁が濃くなり、繁殖性が低下することが懸念されております。和牛は我が国固有の品種であり、血縁が濃くなっても豚や乳牛のように海外の家畜と掛け合わせることができません。この血縁の問題について、今後どのように対応をするのか、伺いたいと思います。

#127
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 血縁の濃さでございますが、これを示す指標として近交係数というものがございます。この和牛の近交係数でございますが、現状約八%というふうに推計をされているところでございまして、いわゆるいとこ同士、これが六・二五%でございますので、それよりも高いといった状況になっているところでございます。
 委員が御指摘されたとおり、近交係数、上昇しますといろいろな問題が生じてまいります。受胎率の低下ですとか不妊、あるいは死産の増加と、繁殖性の低下、こういったものも懸念をされるというところになりますので、これを抑制するためにも、その遺伝的な多様性に配慮した種畜、種雄牛の選抜、利用を推進していくことが重要であると考えております。
 このため、農林水産省といたしましては、まず希少な系統の種雄牛の、これを共同利用しようという取組をしておりまして、今十九県が参加をしているところでございます。それから、近交係数の上昇を避けるために、そういった交配を可能とする遺伝子解析、これを推進してまいりたいと考えております。
 また、独立行政法人農畜産業機構、ALICでございます、この事業によりまして、遺伝的多様性に配慮した繁殖雌牛の導入に対する支援ということで、一頭当たり六万円ですとか、あるいは希少系統を入れた場合には一頭当たり九万円ですとか、こういった支援もさせていただいているところでございます。
 また、独立行政法人家畜改良センターにおきましては、この近交係数が上がりにくい種雄牛の造成を実施をさせていただいているということでございまして、今後とも、引き続き遺伝的多様性に配慮しつつ、和牛改良が推進されるように取り組んでまいりたいと考えております。

#128
○谷合正明君 和牛は日本の畜産の宝であります。血統が途絶えることのないよう、しっかりと長期的な視点で計画的に改良を進めていただきたいと思います。
 今般、食料・農業・農村基本計画と並行いたしまして、家畜改良増殖目標も改定されたところであります。この和牛の改良につきまして、今後どのように畜産振興を図るのか、この点について答弁をお願いしたいと思います。

#129
○国務大臣(江藤拓君) 御指摘のとおり、三月三十一日に家畜改良増殖目標を定めました。今局長の方から近交係数の話とか、たくさんさせていただきました。全共なんかで競い合って県間競争をやることはとても大事なことですし、それによって、例えば今までは余り良くなかった長崎とかが賞を取ったり、随分全国のレベルも上がってきました。しかし、宮崎辺りは、自分のところで繁殖それから肥育を進めるというよりも、やはり、優良な素牛を全国に配給するという役割をやはり果たしていくことが求められていることだろうと思います。
 先ほど局長からも説明させていただいたように、この遺伝的に多様性に配慮した雌牛の導入に対する支援とか、こういうことをやっていかないと、だんだん、重ねてで恐縮ですけれども、増殖目標は定めたものの、牛は小さくなっていく、それから死産の率は上がっていく。一番影響が大きいのは受胎率が大きく下がっていく。ですから、血が余り濃くなるということはよくない。しかし、昔、役牛たらんと、これは役牛だったものが、先生何とおっしゃいましたっけ、肉牛たるかでしたっけ、でしたよね。(発言する者あり)肉用牛たり得るか。このときはアンガスとか外国からの血を様々入れて改良の歴史を重ねてきたわけでありますけれども、今これは決してやってはならないことでして、できませんので。ですから、この国内の中でやはりゲノムとかいろんな技術が今あります。いろんな遺伝子情報もしっかりと解析して、データも蓄積しながら、そのエビデンスに基づいて増殖の計画を達成していくように努力をしてまいりたいというふうに考えております。

#130
○谷合正明君 ありがとうございます。
 今後、食料・農業・農村基本計画でも今後十年間というスパンで計画を立てたわけでありますけれども、特に人口減少と高齢化と、この問題に直面しているというところが今回の基本計画改定の一つの大きな、何ですか、大きな課題であるわけでありまして、その中で、特に今のこの和牛の話で申し上げれば、生物学的な改良技術、あるいは情報通信技術、こうしたものを結集いたしまして、日本国内の関係者が一丸となって今後和牛振興を進める必要があります。
 今回の二法案につきましては、そのような未来をつくるために和牛を守るという基礎固めだとも言えます。しっかりと対応していただくことを改めて農水省また大臣の方に要求させていただきまして、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございます。

#131
○石井苗子君 日本維新の会の石井苗子です。
 午前中から和牛の受精卵の中国の持ち出しの件について質問が出ておりますけれども、別件の国内報道の中で、沖縄や山口で牛の血統不一致という事例が発見されております。三月十三日の新聞報道を見付けたんですが、こういう内容です。人工授精師が授精を行ったが、うまくいかなかった、なので、再度種付けをしたところ、違う牛の精子を使ってしまったと、あるいは授精情報の記帳を間違ってしていたということで、血統の不一致が発覚したそうです。
 基本的な質問で恐縮なんですけど、先ほど全国で二千百十二か所というところで人工授精を行っているというお話が出ておりますけれども、私の質問は、この人工授精というのはどこでどのような人たちが行っているのか、人工授精師という方はどのような資格を持っている人なのか、この二点、御説明をお願いします。

#132
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 家畜人工授精とは、家畜改良増殖法の第三条第二項におきまして、「牛、馬、めん羊、山羊又は豚の雄から精液を採取し、処理し、及び雌に注入することをいう。」というふうに定義されておりまして、家畜人工授精師と、それから獣医師もこの業務ができることになっているところでございます。
 資格は、家畜人工授精師は、その家畜改良増殖法の第十六条第二項に基づく都道府県知事の免許によりまして、家畜人工授精又は受精卵移植の業務を行うことができるという資格でございます。

#133
○石井苗子君 その専門的な技術の業務を行うということですけれども、ライセンスを取るまでにどのくらいの講義をしたりと、そういうことなんですけれども、そこを教えてください。

#134
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 家畜人工授精師の免許は、先ほどの法律の第十六条第二項及び第三項に基づきまして、大学など農林水産大臣が指定する者又は都道府県が家畜の種類ごとに、種類別に行う講習会の課程を修了してその修了試験に合格した者に対して与えるとなっておりまして……(発言する者あり)時間はちょっと確認、今させていただければと思いますが。
 種類といたしまして、家畜人工授精に関する講習会というのが一つございます。それから、家畜人工授精及び家畜体内受精卵移植に関する講習会、それから三つ目は、家畜人工授精と体内受精卵移植と体外受精卵移植、この三つを講習する講習会というのがございまして、それぞれに合格した修了試験に係る家畜の種類及びその内容に応じて業務を行うことができるということになっております。
 ちょっと時間については確認させていただければと思います。

#135
○石井苗子君 私も勉強すれば取れるような感じだったんですよね。
 その不一致だった牛の繁殖に三人の人工授精師が関わっておりました。そのうち一人が確かに異なる牛から私がやりましたと認めているそうでございまして、その中の二人は記載ミスを私がしましたと認めているということなんですけれども。
 農水省は、全国の血統の不一致について現状の把握をする必要性があると判断されました。全国の農政局に報告を上げるように指示したと書いてありますが、全国で起こったこういう事例について、どのくらいあったのか、御説明をください。

#136
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 まず、昨年四月に宮城県で起きております。それから、本年三月には沖縄県、山口県からこういう血統矛盾の事案があったという報告がございました。大変この複数の県で相次いで発見されたのは遺憾でございます。
 このような報告を受けまして、農林水産省としては、全国の都道府県に対しまして、疑わしい事例あった場合には農林水産省への迅速な報告、立入検査など適切な対応というものを依頼しているところでございます。
 なお、先ほど御質問ございました家畜人工授精に関する講習会でございますけれども、畜産概論とか家畜の栄養とか飼養管理、育種その他いろいろございまして、合わせまして七十時間の講義が必要ということになっております。
 それと、済みません、それで各農政局を通じまして都道府県に確認をしておりますが、今のところそれ以外に報告は上がってきておりません。

#137
○石井苗子君 人工授精師になるまでに七十時間ということで。
 宮城、山口、沖縄、沖縄久米島で十一頭の繁殖、雄牛に血統矛盾が見付かったという報告もありますし、血統牛を含む六十九頭のDNA鑑定を始めているという報告も上がっています。しかしながら、JAは、月齢が若くて、経産、子供を産んでいるということだと思いますけれども、子牛を産んでいる牛でない可能性は低いということを指摘しているということで、二日の時点でもう既に六十九頭のうちの二頭が血統矛盾があるということが見付かっていると。ケアレスミスにしてはちょっと多過ぎるなという感じがするんです、私は。
 もう本当に血統の不一致が事例に出てきているということで、これ、大臣、御感想もあると思いますし、血統矛盾が生じないようにこの法改正でなるのかどうかというのがちょっと私、気になりまして、どのような再発防止策を取っていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。

#138
○国務大臣(江藤拓君) 基本的に、記者会見のときには、農家の方々に対してはきつい言葉は使わないようにしておりますのですが、このことに関しましてはかなり激しい口調で、私会見をさせていただきました。
 このようなことを人工授精師たる者が、一番農家に近い、畜産農家に近い、時には相談相手にもなる、獣医師よりも更に近くにいるはずの人工授精師がこういうことを平気でやるというのは、まさにもうけしからぬの極みだと思っております。ですから、宮城県はもう刑事告発をいたしました。これはもう送検もされておりますのでもう確定をいたしておりますけれども、沖縄、山口についても、どうなるかは予断を持って申し上げられませんが、しかるべき証拠が挙がった場合は、これは刑事告発も含めてしっかりやってほしいということでございます。
 今回の法改正において、家畜改良増殖法においてストローへの表示の義務化とか、業務報告の義務化とか、これをやらせていただくのに加えて、こういうことをやった場合は十七条及び十九条のところで欠格と、資格の剥奪ということではありませんが、欠格する条項も設けさせていただきました。二年以上の判決が出た場合、一応、条文上は二年後にはまた資格が元に戻るということになっておりますが、しかし、先ほど局長から申し上げましたように、この資格は都道府県知事の与えるものでありますから、非常にたちの悪いと言ったら言い過ぎかもしれませんけれども、獣医師としての自覚のない方については二年以上たってもこの欠格の状況が更に続くということもあり得るというような法令の縛りにはさせていただいております。
 そして、全国的にも、今、和牛登録協会にお願いをして、血統矛盾に関する遺伝子のモニタリング、抜き打ち検査をやるということを今お願いしておりますので、抜き打ちでやれば出てくるかもしれませんが、まあ出てこないことを望んでおりますけれども、しかし、時々このモニタリング、抜き打ちの検査を不定期にやることによって、こういった法律と併せて、こういうような事案が発生することを防いでまいりたいというふうに考えております。

#139
○石井苗子君 是非、厳格にやっていただきたいと思います。
 血統牛ということで、三十五頭、出品される競りの中で鑑定中の牛がいる、三十五頭も鑑定中の牛が出ているということで、JAが十二日付けで購買者に経緯を説明する文書を送るだの対応を取っているということなんですが、私は、関連で、その人工授精に関する労働人口についてちょっとお聞きしたいと思うんです。
 人工授精は、獣医師も行います。しかし、今、産業動物診療分野という分野があるんですが、この獣医師が不足しています。現在、どのくらいの獣医師がこの産業動物診療分野というところで働いていますか、今後不足する状況なんでしょうか、ちょっとお伺いします。

#140
○政府参考人(新井ゆたか君) お答え申し上げます。
 獣医師につきましては、獣医師法第二十二条に基づきまして、二年ごとにそれぞれ従事する職業につきまして届出を行うということが義務付けられておりまして、この情報を公表しているところでございます。
 今お尋ねがありました産業動物診療分野ということに関しますと、農業共済やあるいは農協におきます家畜診療所、それから個人の開業している診療施設、それから競馬関係に所属して診療を行う人というものを統計で含めているところでございますが、その人数を合計いたしますと約四千三百人ということでございます。これは獣医師全体の約一一%ということで、近年の推移を見ますとほぼ横ばいということでございます。これらにつきましては地域的に確保が困難なところもあるというふうに聞いておりまして、それらにつきまして認識しているところであります。
 また、この外枠ということでございますが、公務員の獣医というのはこの外枠ということで、家畜衛生保健所とかそういうところに勤めております公務員分野の獣医というものはこの外枠でございまして、それらにつきましては約三千四百人ということで全体の九%でございます。これにつきましても、ほぼ横ばいで推移しているところでございます。

#141
○石井苗子君 この産業動物診療分野の獣医師を私は増やしていって、先ほどのような問題が起こらないようにしていった方がいいと思うんですが、今後、大臣、どのような方針を取っているかというのはございますか。

#142
○国務大臣(江藤拓君) 我が家もトイプードルを飼っておりますが、やはりわんちゃんも大変かわいいので、いわゆるそういうペットのお医者さんも必要ということも片や認めなければなりませんが、やはり我々の立場でいうと、産業動物にできるだけ生徒さんを誘導したいという気持ちを強く持っております。
 ですから、現在、奨学金制度はあります。奨学金制度はありますが、国立大学ですと六年間で七百万円をお渡しをして、大体これぐらいですけれども、一定期間就業していただければ、産業動物医としてですよ、六年間ですから、九年間働いていただければこの七百万円は返さなくてもよろしいと。私立大学の場合は、まあ高いですから一千四百万円程度を貸与して、十年間勤めてくださいと、そうするとこの奨学金については返さなくていいですよという制度はありますけれども、全国の獣医系の大学の入学者数が直近でいいますと大体六千四百名ぐらいですから、これに対して、今の予算規模でいうと四十人に一人ぐらいしか奨学金をもらえておりません。ですから、大動物にもっと誘導するということであれば、四十人に一人というこの奨学金のこの体制をもうちょっと強化していく必要が、もうちょっとではなくて思い切って強化していく必要があると思っています。
 というのは、これから増頭奨励事業とか輸出の拡大とかいろんな、食料・農業・農村基本計画に基づいて我々は規模の拡大ということを目標として掲げているわけでありますから、ということであれば、畜舎であったり、それから堆肥舎であったり、それから獣医師であったり人工授精師であったり、そういった周りのインフラも、人的なインフラ、それからストラクチャーのようなハードの面のインフラの整備も同時にやっていかないと目標が達成できないと思われておりますので、この獣医師の問題の、この奨学金が全てではないかもしれませんが、しっかり取り組ませていただきたいという意識を今強く持っております。

#143
○石井苗子君 やっぱり、加計学園のときもそうだったんですけれども、獣医師というのはもう必要ないという見方があったんですけど、私はそう思わないんですね。ウイルスとの闘いと同じように、これから何が起こるか分からない、未経験のことが多いという中でこれだけグローバル化すると、こういった専門的な考え方をいち早く出させることができるような人材育てていかなきゃいけないと思うんですよ。輸出の拡大もそうですし、アフリカ豚熱もそうですけれども。
 この獣医師とかこの産業分野、ごめんなさい、産業動物診療分野というんですか、そこで働く獣医師の認知度と地位の向上と、それからやっぱりサラリー、給料の安定化というのをきちっと国で決めていく必要が今後出てくると思うということを申し上げて、次の質問に入ります。
 改正案について質問しますけれども、家畜改良増進法改正案二条の二項、ここに民間人に協力をお願いしている文章があります、民間の方に。内容は、種畜の飼養者、家畜人工授精所の開設者、獣医師、家畜人工授精師その他の関係者たちは、国及び都道府県が行う家畜改良増殖の促進に必要な施策に協力しなければならない。
 協力しなければならないというところの家畜改良増殖に必要な施策とはどのような施策を想定すればいいでしょうか、教えていただきたいんですが。

#144
○副大臣(加藤寛治君) お答えいたします。
 今回の家畜改良増殖法の改正案における第二条第二項の規定につきましては、種畜の飼養者や家畜人工授精所の開設者、また家畜人工授精師などの関係者の皆さんは我が国の家畜改良増殖に重要な役割を担っていることを明らかにするとともに、その役割に伴う重要な責務を示すものでございます。
 家畜改良増殖法では、都道府県は、国が定める家畜改良増殖目標に即して家畜改良増殖計画を定めることができることとされており、県が行う施策への関係者の協力としては、例えば、県が県計画に沿った家畜改良を進めるために行う枝肉データの収集に対してデータを提出することに協力すること等が想定されます。

#145
○石井苗子君 施策は決まっていないような、施策はないように聞こえるんですけれども、この書き方は専門家にしか分からない言葉遣いですね。私も聞いたんですが、分かりにくいです、一般の方が読んでいても。協力しなければならないとあっても、今の施策は、これといったものに協力しなければならないというのはなくて努力義務、こういったことをデータを出しなさいとか、努力義務ということで、業者の相手は努力義務であっていいということで、これは協力しなければならないという義務ではない、法律では何らかの義務に課すということではないということですよね。
 例えば、民間の方々が家畜改良増進促進に必要な施策に協力しなかった場合というようなことがはっきりするのか、あるいは公表されるのか、何らかの不利益を課せられるのかということについてはどうでしょうか。

#146
○副大臣(加藤寛治君) お答えいたします。
 今回の家畜改良増殖法の改正案における第二条第二項の規定は、条文上、国及び都道府県が行う家畜改良増殖の促進に必要な施策に協力をしなければならないとされておりますが、これはいわゆる努力規定でございまして、命令や勧告などの強制力のある規定とはしておりませんので、協力しないことに対する罰則も設けていないというのが実態でございます。

#147
○石井苗子君 罰則はなしと、分かりました。
 それでは、午前中にも質問がありましたところの種苗法ですけれども、これでは、ここのところでは、新たに植物品種を育成した者に育成者権という知的財産権を取得すると書いてあると、これ確認できました。家畜遺伝資源に関しては種苗法のような権利として構成していない理由として、同じものを牛は再生できるとは限らないので、権利構成とはせず行為規制としているというふうに理解したんですが、例えばイチゴはイチゴで同じものはできるけど、牛は同じものができないと、こうおっしゃっているのかなと思うんですね。
 精子を知的財産権とするのが難しいということなんでしょうか。保護の度合いが違うと、知的財産権とそうでないものと、種苗法の育成者権というものと。もうちょっと分からないんですが、財産権としては、私は、知的財産権というのはより強いものだと思うんですね。だから、保護の度合いが違うのかなというふうに理解をしたんですが、午前中。保護の度合いが違うから不正が起こったというようなことはないでしょうか。どなたかお答えできますか。

#148
○国務大臣(江藤拓君) 今回、不当競争防止法を参考にさせていただいたということは、先生も御存じのことだと思います。何とか、何とかしてこの日本の強みとも言える黒毛の、それから短角、赤毛、無角、こういった四種の優位性を失わないようにしようという努力の成果がこの二法でございます。ですから、今回、先ほども答弁でありましたけれども、いわゆる種苗の場合は、UPOVに入っていれば、そのUPOVの条約に入っている国の中ではお互いに相互保護はできますけれども、まず国際条約自体が、そのものがまずない。そして、生き物の場合は、例えば、私のところでもそうですけれども、同じ血統の母に同じ種牛を、種を付けた、例えば安平を付けた、同じ安平を付けても、全く同じBSE交配率のサシの入り方の牛はできませんし、増体率もばらばらですし、下手をするとお尻の高さが全然違うということもあります。これがいわゆる、これまで午前中答弁させていただいた均一性と安定性がないということでありますから、これについてはなかなか難しいということで、先生がおっしゃった権利というところに帰属するのかというふうに思います。
 かつて私も、当選回数が若いときに、この種苗法の枠の中でこの和牛の遺伝子を何とか保護できないかという議論は随分農林水産委員会で実はさせていただいた記憶があります。もう十年以上前なので、もう忘れてしまいましたけれどもですね。そのときに言われたのが、どうしても無理ですと。このUPOVの話もありました。さらには、何かウナギはできるような話があったような話がありますが、なぜウナギができて、何で牛肉ができないんだと随分かなり怒ったような記憶がありますけれどもですね。
 しかし、やはりその国際条約上の保護の規定がなくて、いろんな知恵を出した結果、不当競争防止法をやるしかほかに手がなかったということで、苦肉の策だという御指摘も午前中ありましたけれども、その点についてはやはり認めなきゃならないと思います。
 しかし、これをやることによって海外への流出、日本の強みを失うというリスクはかなり抑制的に働くことができるのではないかというふうに考えております。

#149
○石井苗子君 ありがとうございます。
 それでは、ちょっと質問を選ばせていただきまして、平成三年に和牛精液の輸出が解禁されています。平成十一年に輸出できない、輸出されなくなるまで、これ八年間なんですが、和牛の生体二百四十七頭、精液一万三千本と、調べるとそう出てくるんですね、アメリカに輸出されてしまった。これは、国内の畜産業に与えた影響というのはどのくらいあったか、どなたか分かりますか。

#150
○国務大臣(江藤拓君) 定量的に申し上げることは難しいと思います。ですけれども、実際にニューヨーク等に行って見分けが付かないという購買者がたくさんおられます、アメリカにもですね。そういう方がおられるということは、我々が本来この時点でこのようなことに至っていなければ得られた利益があったのではないかということは容易に想像されるところでございます。
 平成十一年まででございますけれども、平成十一年に協議会ができて、これで協議会の、協議会というのは協議会ですから国の組織ではありませんので、生産者の方々がみんなで団結して、これ以上はもうやめようと。それ以降はしっかり守られてきたわけでありますから、その平成十一年から今日までの生産者の方々の御努力には大変頭が下がる思いでありますけど、その後、口蹄疫があって、平成十二年ですけど、口蹄疫でいろいろまた状況が変わるんですけど、しかし、今回この二法を通すことによって、この平成十一年、協議会をつくっていただいた、そして口蹄疫からBSEといろんなことが起こった、その一連の流れの中の、これから先、輸出の一つの強みの大きな玉としてこの和牛、それからF1、まあホルスも可能だろうと思いますけれども、そういったものを育てていく上で有効に働く法律を今御議論いただいているというふうに考えております。

#151
○石井苗子君 アメリカへの輸出解禁に妥当性があったかどうかという議論もありますけれども、当時は和牛の輸出にそれほど力を入れていなかったが、今は促進をしているということで、気になっている点をちょっと確認させていただきますが、現在ですけど、家畜伝染病予防法で、和牛遺伝資源、和牛遺伝資源が輸出できない状況です。今後、輸出される可能性というのはありますか。

#152
○国務大臣(江藤拓君) これはかなりセンシティブなお話になりますけれども、やはりそのようなもしお話があった場合は、契約に基づいて国内利用、国内利用に限ってやってくださいと。契約率が今七割しかないということが一部御指摘もありましたけど、この契約率を上げていく努力もこれからしてまいりますので、契約に基づいて国内利用に限るということで精液、受精卵の流通をさせていただくということでございます。この契約に反したら、第三者に渡った場合も含めて、廃棄を含めた措置をとることができるようになるわけでありますから、その前提の下でやらせていただくということであります。
 ということであれば、なかなかそのような契約を結んだ上で海外に、かつてあったように大きなロットで精液が流れていくようなことは、かなりの確率で防げるのではないかというふうに考えております。

#153
○石井苗子君 よく分かりました。
 時間がないので、法律の文章を読んでいて私が理解できなかったことを一点、二点。
 同じ法律の二条一項ですけれども、家畜遺伝資源に係る不正競争防止に関する法律の二条一項です。不正取得行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないで、この知って、知らないでのところなんですが、家畜遺伝資源を取得し、又はその取得した家畜遺伝資源を利用し、譲渡し、引き渡し、若しくは輸出する行為が不正競争に当たると、このように書かれているんですが、重大な過失により知らないでというところがよく分からないんです。この知らないでという、重大な過失がないというのはどのような場合のことを指していうのですか。

#154
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 重大な過失がない場合ということでございますけれども、まず、委員御指摘のように、悪いことを行っていたということを知っていた場合は問題になるわけでございます。その方に差止め請求することができるわけでございますが、知らない場合であっても重大な過失によって知らなかったという場合には知っていた場合と同様に差止め請求ができるというふうにこの法律上なっているわけでございます。
 それで、重大な過失ということでございますが、これは僅かの注意さえしていればよかったのにそれをしなかったということでございまして、一般的には甚だしく注意を欠いているということでございます。業界関係者として当然果たすべき義務を怠っているという状態でございます。
 例えば、一部の県の持っております県有牛につきましては、その精液などの使用範囲が県域内に制限されているということがこの県のホームページとかを見ればすぐ分かるわけでございまして、血統情報などと併せて当該制約についても把握できるというものでございます。こういった精液については、そのストローに種畜の名称が付いていれば、そこを確認すれば使用範囲の制限が容易に分かるわけでございまして、そのような確認を怠って、不正な経緯を知らずにこういう精液を入手するというものが重大な過失に該当するという場合でございます。
 もっと、更に申し上げますと、和牛の精液について輸出が許されているということではないということについては業界関係者は広く認識しているところでございまして、輸出してはならないことを知らなかったというのは、これは重大な過失に該当するということは免れないというふうに考えております。

#155
○委員長(江島潔君) 時間が来ていますので、まとめてください。

#156
○石井苗子君 プロの方はそのくらいのことはよく分かるんだと思いますが、容易に想定し難い例だということですよね。登録を見ていながら知らなかったなんというのはあり得ないということなんですが。
 最後に一個だけ。不正競争防止法の第七条ですけれども、侵害訴訟、侵害訴訟のところです。否認する相手方は自己の行為の具体的様態を明らかにしなければならないと書いてありますけれども、相当の理由がないと明らかにすることができないものがあるという、その相当の理由というところなんですけれども、これはやっぱり裁判ですから非常に大事なところなんですが、相当の理由があるときはこの限りでないというの、その相当の理由を教えてください。

#157
○委員長(江島潔君) 時間が来ていますので、簡潔にお願いします。

#158
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 この相当の理由ということでございますけれども、侵害者が具体的な態様を公開の場で裁判において明らかにすることを拒むことができるのがこの相当な理由がある場合ということでございまして、これは具体的には、その侵害行為の具体的な態様の内容に営業秘密のようなものが含まれている場合とか、あるいは、その被侵害者ですね、侵害を受けた方の主張が明らかにおかしい、根拠を欠いていると、こういった場合においてはこの規定における例外を適用するということでございます。

#159
○石井苗子君 営業秘密とか国家機密だろうかなと思うんですけれども、時間が来ましたので、また次のときにさせていただきます。
 ありがとうございました。

#160
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 まず初めに、新型コロナウイルスの感染症対策についてお聞きします。
 政府は、四月七日に緊急事態宣言を発するとともに、経済対策を公表しました。農林水産省も補正予算の概要を公表しました。そこで、その中で肉用牛の対策についてお聞きします。
 現在、和牛枝肉価格が低下しています。例えば宮城県では、和牛枝肉価格は加重平均で前月比で約一〇%下がりました。子牛一頭の価格も約十万円落ちています。出荷時期を迎えた牛は、牛舎に残せば肉質も低下すると。畜産業、地域経済への影響はもちろん、生産者の経営に大きな打撃が出ています。インバウンドの減少で需要が減っているというので、在庫が一万四千トンに積み上がっているというふうにも聞いています。そこで、どう支援するかと。
 需要を喚起するということは大事だというふうに思うんですけれども、すぐにこの需要が増えるという状況にもないという中で、在庫という言い方ではなくて、前向きな言い方で言うと調整保管とか一時保管とか、こういう考え方に立って保管料を支援するということも大事じゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

#161
○国務大臣(江藤拓君) この度の補正に至るまでの段階で、ALICのお金を五百億使わせていただくことによって、保管料を二月に遡って支援することにいたしました。
 それで、チルドのものはチルドで売った方が商品価値は高いんですけれども、三か月を迎えるともうチルドじゃなくてフローズンにしなければなりませんので、そのときの凍結料、そういったものについてもこのALICの予算で見させていただく、その期間に係る金利等も見させていただくということにしました。
 調整保管という手段は否定はいたしません。否定はいたしませんが、それはいずれ在庫として残りますし、倉庫が空きません。倉庫が空かないと屠畜場を今までどおり回すことができませんので、調整保管ということも一つの手段だということで選択肢の中には入っておりますが、今、最初に先生が御指摘されました、やはり在庫をいかに流通させるかということについて力を入れていきたいと考えておりますので、販売促進計画を作っていただいて、それに即して販売していただく場合にはその実績に応じてこのALICの五百億を使って奨励金を出させていただくという支援で、何とか倉庫の隙間を、スペースをまずつくることから始めさせていただいているところでございます。

#162
○紙智子君 もう一つ、川上から川下への流通の流れを維持しながらこの牛肉の供給量が国内で過剰にならないようにするというのが大事なわけですけれども、三月の輸入量について、政府参考人に三月の輸入量をお聞きしたいと思います。

#163
○政府参考人(水田正和君) 済みません、今、三月の輸入量というお尋ねでございますけれども、済みません、今手元に、昨年の四月から本年二月までの牛肉の輸入量につきましては手元にちょっとございますので御説明させていただきますと、二〇一九年度の四月から二月までの牛肉輸入量でございますが、五十七万トンでございまして、二〇一八年度の同時期に比べまして一%減少しているという状況でございます。

#164
○紙智子君 これ、ちょっと古いやつなんですよね、だから。
 それで、四月八日付けの日本農業新聞で、TPP参加国とアメリカから合わせた三月の牛肉の輸入量が前年同月を一九%上回る四万六千六百八十三トンだということが、これ財務省のまとめで分かったというふうに報じているわけです。
 三月は、既に新型コロナウイルスの感染症が広がっていて、食材に影響が出ていた時期なわけです。国産牛の在庫は積み上がって過剰になっているのに、一方でこの輸入が増えていると。これ、日本農業新聞は、大手の輸入業者によると、二十三日の週に為替が下がって、だから駆け込みで通関を切る動きがあったというふうに報じているわけです。
 需要が減って国産牛は過剰になっているのに、輸入が増えているって、これ、大臣、どのように思われますか。ちょっとこれってひどくないかなと思うんですけど、どうですか。

#165
○国務大臣(江藤拓君) どう思われますかと言われましても、なかなかお答えするのが難しいんですけれども。
 なかなか、業者さんの立場に立ってみると、三月三十一日は年度末でありますから、これまでに今の税率で入れたい、それから為替も大きく影響したと思います。しかし、セーフガードのラインを超えて輸入が、例えばアメリカですけれども、行われた場合は三八・五に税率戻ってしまいますので、非常にセンシティブな輸入行動を商社の方々はされたんだろうと思います。
 ですから、今後、そのときにこれだけ外食が傷んでいる状況の中で輸入牛肉が増えたということは、なかなかちょっと理解し難い部分もありますが、ただ、今でも吉野家とかそれとか松屋さんとか、そういったところについては非常に業績が今は逆に良くなっている。そして、スーパーでも、豚肉なんかは逆に価格が上がっている、鳥肉なんかも非常に引き合いが強いということであれば、価格帯の比較的低い輸入牛肉に対する引き合いがあるのではないかという判断を買手筋はされたのではないかというふうに、これは推測の域を出ませんけれども、そういうふうに考えます。

#166
○紙智子君 需要がすぐに増える見込みがないのにもかかわらず輸入が増えているって、これ生産者側から見ると、国産でしっかり自分たち作っているものについてはたまっているわけで、そういうときに外から入ってくるというのは、生産者側から見たら、何だこれはというふうに思うわけですよね。
 それで、新型コロナ対策として、国内では営業自粛を各方面に求めているわけです。この際、やっぱり商社の方に対してもそこは考えてもらう必要があるんじゃないかと、自粛したらどうかということを求めてはどうかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

#167
○国務大臣(江藤拓君) 商行為について自粛を求めるというのはなかなか難しいと思いますけれども、ただ、何回かあった、いわゆる外食系の例えばファミリーレストランの経営者の方とか、そういう方々と懇談する機会はありました。そのときには、私の方から、おたくのレストランに行くとグラスフェッドのお肉のステーキが出ておりますけれども、この機会に是非グラスフェッドからグレーンフェッドの和牛に変えていただけませんかと、これはお願いベースしかできません。オブリゲーションというわけにはまいりませんけれども、そういったお願いは二月ぐらいの段階から機会をつかまえてさせていただいてきたところでございます。

#168
○紙智子君 いろんな営業やっている方に対して今自粛を要請しているわけですから、そういう、ここだけはというのも何か難しいんじゃないのかなと思うわけです。やっぱり政府は国難と言っているわけで、平時のときじゃないわけですよね。ですから、それにふさわしく輸入はやっぱり自粛してもらうと。輸入を国産に切り替えると、国産を使ってもらうという支援が必要だというふうに思います。
 それから、和牛生産者を支援するために、牛マルキンの生産者の負担金、この負担金は、納付猶予ということではなくて免除してはどうかということなんですけど、これについてはどうでしょうか。

#169
○国務大臣(江藤拓君) これは一対三ということで、今までは、これ制度ですから、生産者の方から拠出金をいただかなければ国から拠出している分も発動しないというのがルールでございます。ですから、国からの支出分だけは生産者の方々が拠出金を払わなくても出るというのは、生産者の方々とも意見交換をさせていただきましたけれども、それは大変有り難いという評価をいただいております。
 これをもし払ったとみなすということにすると、金額がどうのこうのということではなくて、ほかにも、例えば共済とか様々な制度がたくさんあります。例えば漁業でいえば積立ぷらすとか、いろんなものがたくさんありますけれども、それも全部払ったとみなして満額給付ということになると、なかなか今回、制度設計が難しいということであって、今回は四分の三ということで御説明をさせていただいて、払わなくても国が支出した分については払ってもらえるということであれば、それはそれで有り難いという評価がいただけているので、今回はこれでやらせていただければというふうに思っております。

#170
○紙智子君 実質的にはそういう四分の一の分も、何というんですか、考えられるということではあるんですよね、実質的には。

#171
○国務大臣(江藤拓君) 実質的にその分を埋めるということを具体的に申し上げているわけではありませんが、今回、別途ALIC事業で市場に出荷した場合に、幾つかの取組はしていただくことになっておりますが、非常に取り組みやすい内容になっておりますので、一頭当たり二万円をこれ出させていただくというのも別メニューで用意しておりますので、そちらも併せて御利用いただくと肥育農家の方々の御理解は得やすくなるのではないかと思っております。

#172
○紙智子君 すぱっと免除すると言うといいと思うんですけど、ここまでにしておきます。
 それから、飼養農家、生産者が新型コロナウイルスに感染した場合、先ほどもちょっとありましたけれども、餌やりが、生きているものなので、飼育する人のめどが立っていないというふうに聞いています。これも支援策が必要じゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

#173
○国務大臣(江藤拓君) 先ほどお答えしたように、非常に規模によっても全然違ってくると思います。家族経営であるのか、中規模であるのか、それとも大きな農場で複数罹患者の方が出た場合と、いろんなケースが考えられると思いますが、ガイドラインは作らせていただきました、三月十三日にですね。
 これで全てだとは思っておりませんが、業務の継続につきましてはやはり生産者団体の皆様方に御協力をいただかないと、先ほども、午前中の質疑でもさせていただいたように、私がいきなり行っても、とても搾乳もできませんし、餌やりもできませんし、現場のことが分かっている人間でないとできませんので。かといって、ヘルパーの方がいきなり育成できるわけじゃない、高い給料を払ったからってヘルパーがいきなり生まれるわけではありませんので、こういう場合は、地域の方々がやはりもしもの場合は考える必要があるんだろうと思っております。ですから、酪農ヘルパーについては、代替要員の確保については定額一万五千円、これ一応考えさせていただいております、経済対策でですね。
 公共牧場に家畜を預けるという場合も出てくるんじゃないかと思っております。その場合の輸送費とか委託管理費、こういったものも一頭当たり七千円出させていただこうと思っております。それから、農場の洗浄とか清浄化、それから感染拡大防止に係る消毒等の経費についても、一農場当たり八万円の定額ではありますけれども、これを支援させていただくというようなことも今回の経済対策には盛り込ませていただいておりますので。
 しかし、こういったことをやっても、じゃ、本当に搾乳や給餌についてマンパワーが確保できるのかと言われれば、できますとはなかなか言い切れないので、徳永先生から御質問いただいた内容にかぶりますけれども、いろんなケースで、もしここでこういうことが起こったらどういう対応をしなければならないかということについては、シミュレーションのようなものをさせていただきたいというふうに考えております。

#174
○紙智子君 酪農ほど肉牛のヘルパーさんの形って整っていないというふうにも聞いていますので、単価がどうなるかということも気になるところですけれども、是非、緊急事態宣言によってインバウンドの減少に加えてこの業務用需要が大きく減少している中で、前例にとらわれないで、やっぱり生産者の経営守っていくと、そういう支援を求めておきたいと思います。
 続きまして、家畜改良増殖法改正案についてお聞きします。
 獣医さんには結構知り合いもいて意見聞くことも多いんですけれども、人工授精師のお仕事とか役割については余り私も深く知りませんでした。それで、今回、この機会に調べたりお話を伺って、改めてこれ大事な仕事だなということを学ばせられました。
 ある家畜診療所の女性の授精師さんは、この仕事の一番のやりがいは何かというと、命を授ける仕事なんだというふうにおっしゃっています。農家さんに、授精した牛留まったよと、うちで受胎率がいいんだよというふうに言われたときが一番うれしいと。初めての分娩で無事に牛が生まれたときの感動もあると。いろいろな精液から自分が選んだものを農家さんに選んで指定してもらううれしさもあると。農家さんとの関わりで、知らないことをたくさん教えてもらう喜びもあると。だから、牛とも人とも向き合う仕事にやりがいを感じると、これ女性の人なんですけど、言っているわけですね。
 それから、またある男性の授精師さんは、自分の努力で生み出した精液を使って肥育農家がほかの牛と交配して品質のいい牛を作り出すことができて、ずっと苦境に立たされていた経営が改善されて、それに貢献できたということで喜び合ったとかですね、技術的なそういう努力というか苦労もあるんですけれども、そういう中で果たしている役割というのは非常に大きいんだなということを思ったんですね。
 ちょっと大臣に、やっぱりこういう人工授精師の役割とか大切さをどのように思われているかということを伺いたいと思います。

#175
○国務大臣(江藤拓君) 大変すばらしい仕事だと思っています。
 出産は獣医師さんの方にお願いすることになりますけれども、今先生がおっしゃったように、まず発情しているかどうかをしっかり見極めなければなりません。タイミングを間違えば、幾ら一生懸命いい種を入れてもそれは着床しませんので、それはやっぱり腕が相当差が出ます。やっぱりいい人工授精師は、まず繁殖雌牛に負担を掛けません。非常に雌にも負担を掛けずに高い受胎率を実現するということは、やはり畜産農家にとっては一年一産を実現することが経営を安定させる一番の基でもありますし、それによってどの雌とどの種雄牛のいわゆるストローの種を交配するかということも、これも技術のうちに入ってくると思います。
 獣医さんはやっぱり非常に遠い存在である場合もたまにはあります、偉い先生ですから。しかし、人工授精師さんは、例えば御自身が、お父さんが牧場主で息子が人工授精師の資格を持っているという場合も多分にあって、親子で同じ経営をしながら、周りの農家も助けながら、自分の農家の種付けは全部うちの息子がやっている。
 そして、御指摘のように、最近大変女性が増えておりまして、あなたの腕の長さで届くんですかというぐらい大変そうな小柄な子も宮崎にはいますけれども、その彼女も極めて評判が良くて、御指名が入るような子がおります。
 ですから、この人工授精師という仕事も大変な仕事でありますけれども、やはりこれからは社会的地位もみんなで認知して、そして彼らの活躍の場を、これを増やしていきたいというふうに思っております。

#176
○紙智子君 やっぱり人工授精師さんが誇りを持って仕事をできるように応援すべきだというふうに思うんですね。
 そこで、現行法の第三条の三項で、都道府県知事が、当該都道府県において家畜の改良を促進していく上での指針というのは、国の改良増殖目標に即して自主的に家畜改良増殖計画を定めることができるというふうにされているんですけれども、一方で、これは農家の活動を規制するものではないというふうに承知していますけれども、そういう理解でよろしいでしょうか。参考人にお聞きします。

#177
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 家畜改良増殖法第三条の三でございますが、都道府県は、国が定める家畜改良増殖目標に即し、都道府県における改良増殖に関する計画である家畜改良増殖目標を定めることができるとされております。この計画、あくまで計画でございますので、法的な拘束力を伴うものではなく、畜産農家における家畜改良に関する事業活動を規制するものではございません。

#178
○紙智子君 それで、今度の改正案ですね、改正案の第二条二項の規定ですけれども、国や都道府県が行う改良増殖の促進に必要な施策に協力しなければならないの意味について、衆議院での我が党の田村議員の答弁で、家畜改良増殖目標の実現に向けた家畜の遺伝的能力評価を始めとする施策や遺伝的多様性の確保など御協力いただくことを念頭に入れており、これによって民間の家畜改良事業者の自由な改良の権利を害するようなことを考えているわけではないと答弁をされていますよね。
 改めて確認をしますが、不正流通をしないように協力するのは当然と、ですけれども、農家の増殖活動まで規制するものではないということですよね。確認をしておきたいと思います。

#179
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 今回の家畜改良増殖法の改正案における第二条第二項の規定でございますが、先ほども加藤副大臣から答弁いたしましたとおり、努力規定でございます。強制力のあるものでもなく、罰則もないということで、協力するよう努めなければならないという規定と法律上意味する内容が異なるものではございません。
 したがいまして、本法における他の条とかあるいは他法令の規定に抵触しない限りは、改正法第二条第二項の規定によりまして、その民間の改良事業者の種雄牛造成などの活動の自由が妨げられるといったものではございません。

#180
○紙智子君 協力しなければならないというふうにあるものですから、拘束されるんじゃないかという不安もあったので、今確認をしました。
 規模が小さくても、個人でも自由な取組によって質の良い種雄牛の造成につながるということもあるわけですから、不正流通しないように協力するのは当然としながらも、この民間の家畜改良、農家の増殖活動が規制されないように改めて申し上げておきたいと思います。
 そこでなんですけど、小規模なこの人工授精師をどう応援するかというふうに思うと、年間数千頭授精する家畜人工授精師や家畜関係者もいますけれども、小規模でも情熱を持って農家の皆さんを支えて、年間数十頭ぐらいの家畜人工授精を行っている授精師も存在しています。こうした人工授精師も県の許可を取って業を行っているわけです。
 今回の改正で家畜人工授精所を開設することになると、申請とか手数料とか事務量が大きく増えちゃうとか、こういうことはないのでしょうか。

#181
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 今回、法改正をするということでございまして、その家畜人工授精所以外で保管された精液等の譲渡禁止を明文化いたします。
 精液などをほかの畜産経営に譲渡している方は、適正にこの譲渡を行うためには、家畜人工授精所の開設許可申請、これ行っていただいて許可を取っていただくということになるわけでございます。したがいまして、その数が、家畜人工授精所の数が増えているという状況にもございます。
 これに伴いまして開設許可のための申請手数料や事務負担というものは一定程度生ずるということでございますけれども、これ、法の改正前も、この保管している精液等を譲渡する場合には家畜人工授精所の許可を取るよう運用で指導してきたところでございますし、また、これ、和牛につきましては日本の宝でございます。この遺伝資源の保護の重要性に鑑み、御理解、御協力をいただきたいと考えておるところでございます。

#182
○紙智子君 一定掛かる、一定は必要になるということだと思うんですけど、検討会で、関係者の理解を得つつ過度な負担とならないように配慮するというふうに言っています。負担にならないように是非求めたいと思います。
 精液の流通管理をどうするかということが大事になるわけですけれども、現行法の第三条の二項で、家畜人工授精とは、先ほどちょっと紹介ありましたけど、雄から精液を採取し、処理し、及び雌に注入するというふうに定義しています。人工授精という行為は、採取、処理、注入ということなわけですよね。一方、改正案には保存という言葉が出てきます。家畜人工授精所以外の保存を禁止する、授精所でないと保存してはいけないとなっているわけです。そうすると、保存は、精液が流通する工程から考えると人工授精という行為の中にはありませんから、これ、どの段階をいうのか。人工授精師は人工授精所に保存だけ頼むのか。それでは手間も時間も、まあどの段階をいうのかですね、手間も時間も掛かるので分かりにくいという意見も出ています。保存とはどういう行為なのか。流通の中でいうと、どの段階を指して、誰が行うのか。新たな負担が増えない形で分かりやすく整理するように、これはちょっと要望だけしておきたいと思います。
 それと、次に家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関わる法律案についてお聞きします。
 今回の法改正は、日本人が和牛の精液や受精卵を中国に不正に持ち出そうとした事案を契機としたものです。それで、新聞報道で、先ほど来ありますけれども、過去に四回も、まあ五回という話もさっきありましたけど、中国に受精卵などを密輸していたことも判明したと。
 それで、現在、和牛の精液は海外に輸出できないことになっていますけれども、その理由は何でしょうか。

#183
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 家畜の、動物の精液ですね、これを海外に輸出する場合には、家畜伝染病予防法におきまして、輸出前検査を受けた上で輸出検査証明書を添えて税関に輸出申告を行うことが義務付けられておりますが、牛の精液については二国間でその家畜の衛生条件というものが結ばれていません。そういう国がございませんので、輸出検査証明書を発行することができませんので事実上輸出できないということになっておるところでございます。

#184
○紙智子君 手続上は、これ本当は輸出できることになっているんですよね、多分。しかし、家畜衛生条件で合意する国がないということで止まっているということだというふうに理解しているんですけれども。
 それで、いろいろ報道があるんですけれども、例えば群馬県の畜産農家の元に華僑やシンガポール人を名のる人から和牛の精液を販売してほしいと電話やメールが寄せられているけれども、断っていると。それから、数年前も熊本県の日本の赤牛の登録協会にも、アメリカの畜産会社から和牛の遺伝資源などを譲ってほしいというメールが届いたと。協会の担当者も危機感を募らせているわけですけれども、農水省はこういった外国関係者の動きを把握しているのか、また、どう対応しているんでしょうか。

#185
○国務大臣(江藤拓君) 昨年の四月の日経新聞の記事でこれは出たわけでありまして、これ、新聞から知ったということ自体が私は問題だというふうに思っております。このような事案があれば、そのような申出をもらったところはすぐ県なりそういった身近な団体に報告をいただいて、そういった報告を生産者なりからもらった者はすぐ国に報告するようなシステムをすぐにつくるようにということで今進めさせていただいております。
 しかし、流出はしていないということで、カリフォルニアの農家から話が四、五年前あったということでありますけど、これも一応断ったということで、断ってくれたからよかったということでありますので、こういう話があった時点で我々はこういったことを把握する努力をしなきゃいけないというふうに思っております。
 やはり農家の方々が、これから先、畜産というものが日本の農業生産の柱となっていくためには、こういったものを出すことが結局自分たちにとって極めて不利益で、逸失利益を生んでしまうんだということの意識の啓蒙啓発というものをしっかりやらせていただくことも同時に進めていきたいというふうに思っております。

#186
○紙智子君 実際上は家畜伝染予防法の中で止まっているということの中で、これ自身も不正な流通につながる可能性があるわけです。生産者に接触する怪しい事業者がいれば、農水省の地方局が業者と連絡を取るということです。これからも国外流出を防いで日本の和牛ブランドを守るべきという趣旨は、これ、多数の関係者が賛同していることだと思いますので、是非、不正な流通を防ぐように求めておきたいと思います。
 次に、家畜遺伝資源に係る不正競争防止に関する法律の定義の第二条、これは、「当該家畜遺伝資源生産事業者が契約その他農林水産省令で定める行為によりその使用する者の範囲又はその使用の目的に関する制限を明示したものをいう。」としています。この契約というのは、契約自由の原則の下で当事者の判断によって決定されるものであり、契約当事者間で合意される自主的なものだというふうに思っていますけれども、そういうことですよね。確認したいと思います。

#187
○委員長(江島潔君) 残り僅かですので、簡潔にお願いします。

#188
○政府参考人(水田正和君) 契約の一般原則を定める民法におきまして、「契約の当事者は、法令の制限内において、契約の内容を自由に決定することができる。」とされているところでございます。
 新法は、契約の内容を法令で制限するものではなく、第二条第一項で定義しているとおり、契約により使用する者の範囲や使用の目的の制限を明示した場合において契約の内容を保護できると、保護するということとしているものでございます。したがいまして、法令に違反しない限りは、家畜遺伝資源生産者と取引の相手方が合意すれば、使用者の範囲についても契約により自由に設定することができることになります。

#189
○紙智子君 時間というふうになってしまって途中になるんですけれども、要するに、農水省が去年十一月から北海道や仙台や名古屋や熊本や五か所を回って県や獣医師やその関係者を集めて説明会を開いたときに、その契約書のひな形を出しているということなんですよね。
 留意点として、ひな形は拘束されるものでないとされていて、標準的な規定の例を示しただけだって書かれているんだけれども、そう言いつつも、第二条の国外利用及び目的外利用の禁止だとか第四条の第三者への譲渡の目標、その項目は入れてほしいというふうに言われたということなんですけど、こうなりますと、自由ですといいながら止めていることになるんじゃないかと、これ誤解を与えるんじゃないかと思いますけど、それだけ最後お聞きしたいと思います。

#190
○委員長(江島潔君) 時間が過ぎていますので、簡潔にお願いします。

#191
○政府参考人(水田正和君) 今回の新法におきまして、家畜遺伝資源不正競争の対象とするためには、この契約等で使用する者の範囲とか使用の目的とかを縛っておかなければいけないということでございますけれども、不正な海外流出を防止するという観点を考えますと、海外では使わないという契約を結んでいただくことが必要でございますし、それをまた第三者に譲渡した場合にも同じような契約を結んでいただくということ、ここは必須でございますので、こういった契約を結んでいただかないと幾らこの法律ができましても海外への不正流出が防止できないということになりますので、この点については、今回の場合は必須でやっていただきたいということでございます。

#192
○紙智子君 今の答弁ですと、海外に流出はもうとにかくやらないと、それは必須ということで、その範囲においては抑えるというか押し付けるものじゃないということでいいんですよね。返事だけ、では。(発言する者あり)

#193
○委員長(江島潔君) そのとおりだそうです。

#194
○紙智子君 はい。
 じゃ、終わります。ありがとうございました。
    ─────────────

#195
○委員長(江島潔君) この際、委員の異動について御報告をいたします。
 本日、高野光二郎君が委員を辞任され、その補欠として加田裕之君が選任されました。
    ─────────────

#196
○委員長(江島潔君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより両案について討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 まず、家畜改良増殖法の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕

#197
○委員長(江島潔君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕

#198
○委員長(江島潔君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、徳永君から発言を求められておりますので、これを許します。徳永エリ君。

#199
○徳永エリ君 私は、ただいま可決されました家畜改良増殖法の一部を改正する法律案及び家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲・国民.新緑風会・社民、公明党、日本維新の会及び日本共産党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    家畜改良増殖法の一部を改正する法律案及び家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律案に対する附帯決議(案)
  和牛を始めとする我が国の畜産物は世界的にも評価が高まっており、その安定的な生産のために必要となる家畜人工授精用精液・受精卵は長年にわたる改良の成果である付加価値の向上により知的財産としての価値を有し、我が国畜産業における競争力の源泉の一つとされている。これが不正に流通することのないよう、その管理保護を強化することは、我が国畜産の振興を図る上で極めて重要な課題である。
  よって、政府は、両法の施行に当たり、次の事項の実現に万全を期すべきである。
 一 国内における不正流通のリスクを低減するため、各地域での実情に応じた家畜人工授精用精液・受精卵の流通管理の仕組みを構築することが肝要である。そのため、国が適切な流通管理のための方針を示すなど主導的にその構築を推進すること。
 二 家畜人工授精用精液・受精卵の不正な海外持ち出し等の防止を徹底するため、畜産関係者はもとより、動物検疫所、税関、空海港管理組織、運輸業者、液体窒素の供給事業者等の協力・連携体制を構築・強化すること。
 三 家畜人工授精用精液・受精卵の流通管理において重要な役割を果たしている家畜人工授精師が不断に技術や知識を磨くための機会の確保に努めること。
 四 家畜人工授精用精液・受精卵の流通規制の強化等に当たっては、現場が混乱することのないよう、その周知徹底を図り、確実な実施を担保するとともに、現場の負担を極力軽減するよう十分配慮すること。
 五 家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に係る新たな制度については、家畜遺伝資源の知的財産としての価値を強力に保護するため、その趣旨及び内容を幅広く関係者に周知し、不正競争の未然防止に努めること。
 六 和牛の遺伝的多様性を確保するためにも、国や県の施策によって、個人や民間における多様な種雄牛の造成が妨げられることがないようにすること。
 七 外国産WAGYUが国外で流通している実態を踏まえ、国内外の市場における我が国の和牛ブランドの確立・浸透の取組を一層強化すること。
 八 国内外における我が国畜産物の需要増に対応するため、中小規模の家族経営も含めた生産基盤の強化による増産への取組を支援すること。
 九 新型コロナウイルス感染症の影響により、和牛の需要が減少し、在庫が大幅に増加している状況を踏まえ、生産基盤を維持するとともに、生産・流通・消費が円滑に進むための措置を講ずること。
 十 我が国畜産振興に影響を及ぼすアフリカ豚熱の侵入脅威に対処するため、輸入禁止畜産物を所持した者の入国を阻止するための制度について早急に検討すること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

#200
○委員長(江島潔君) ただいま徳永君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕

#201
○委員長(江島潔君) 全会一致と認めます。よって、徳永君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、江藤農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。江藤農林水産大臣。

#202
○国務大臣(江藤拓君) ただいまは法案を御可決いただき、ありがとうございました。
 附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

#203
○委員長(江島潔君) なお、両案の審査報告書の作成については、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#204
○委員長(江島潔君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時三十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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