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2020/04/07 第201回国会 参議院 第201回国会 参議院 法務委員会 第5号 令和2年4月7日
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2020/04/07 第201回国会 参議院

第201回国会 参議院 法務委員会 第5号 令和2年4月7日

#1
令和二年四月七日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月六日
    辞任         補欠選任
     山崎 正昭君     山田  宏君
     渡辺 猛之君     滝波 宏文君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         竹谷とし子君
    理 事
                高橋 克法君
                元榮太一郎君
                有田 芳生君
                矢倉 克夫君
                柴田  巧君
    委 員
                磯崎 仁彦君
                小野田紀美君
                滝波 宏文君
                中川 雅治君
                福岡 資麿君
                山下 雄平君
                山田  宏君
                櫻井  充君
                真山 勇一君
                安江 伸夫君
                山添  拓君
                高良 鉄美君
                嘉田由紀子君
   国務大臣
       法務大臣     森 まさこ君
   副大臣
       法務副大臣    義家 弘介君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  宮崎 政久君
       財務大臣政務官  宮島 喜文君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局人事局長   堀田 眞哉君
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   手嶋あさみ君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        青木勢津子君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官       能登  靖君
       内閣府大臣官房
       政府広報室長   田中愛智朗君
       金融庁総合政策
       局参事官     石田 晋也君
       法務省大臣官房
       審議官      山内 由光君
       法務省大臣官房
       司法法制部長   金子  修君
       法務省民事局長  小出 邦夫君
       法務省刑事局長  川原 隆司君
       文部科学省大臣
       官房審議官    森  晃憲君
       スポーツ庁スポ
       ーツ総括官    豊岡 宏規君
       厚生労働省大臣
       官房高齢・障害
       者雇用開発審議
       官        達谷窟庸野君
       厚生労働省大臣
       官房審議官    迫井 正深君
       厚生労働省大臣
       官房審議官    吉永 和生君
       経済産業省大臣
       官房審議官    渡邉 洋一君
       中小企業庁事業
       環境部長     奈須野 太君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特
 別措置法の一部を改正する法律案(第二百回国
 会内閣提出、衆議院送付)(継続案件)
    ─────────────

#2
○委員長(竹谷とし子君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、山崎正昭君及び渡辺猛之君が委員を辞任され、その補欠として山田宏君及び滝波宏文君が選任されました。
    ─────────────

#3
○委員長(竹谷とし子君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省大臣官房司法法制部長金子修君外十三名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#4
○委員長(竹谷とし子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────

#5
○委員長(竹谷とし子君) 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#6
○元榮太一郎君 おはようございます。自由民主党の元榮太一郎でございます。
 森大臣は、所信において、司法外交の積極的な推進の一つとして国際仲裁の活性化を掲げておられます。外弁法は、この外弁法の改正はその一環であるというふうに理解しておりますけれども、まず、我が国と諸外国の国際比較について伺いたいと思います。
 国際仲裁は、紛争解決手段として世界的に活用されておりまして、今や国際的なビジネス紛争解決のグローバルスタンダードだと言われております。この国際仲裁活性化の一環として、今回の改正では国際仲裁事件の範囲を拡大するということとしておりまして、具体的には、当事者の本店等の所在地、実体準拠法又は仲裁地のいずれかについて外国と一定の関連性がある場合に国際仲裁事件と扱うこととしております。これによって外国法事務弁護士等の代理が可能となりまして、国内外の企業が我が国の国際仲裁を使いやすくなるということであります。
 そこで、配付資料の一を御覧いただきたいと思うんですが、国際仲裁の主な機関には、イギリスのLCIA、香港のHKIAC、シンガポールのSIACなどがあります。この特にシンガポールについては、私も視察に行ったことがあるんですが、国の強力なバックアップがありまして、近年急速に件数を伸ばしております。
 この上の仲裁件数、資料一の上の仲裁件数のところでありますけれども、二〇一八年の実績では、例えば日本商事仲裁協会、JCAAの取扱件数が九件となっておりますけれども、シンガポールでは四百件以上の取扱いがあるということです。
 そこでお伺いしますけれども、日本商事仲裁協会の二〇一九年度における取扱件数の速報値について伺います。あわせまして、取扱事件数の多い外国の国際仲裁機関と我が国の仲裁機関の差はどこにあると分析しているのか。特に、シンガポールでは四百件もの取扱事件数があるのか、これはなぜなのかについて法務省に伺います。

#7
○政府参考人(山内由光君) まず、お尋ねの日本商事仲裁協会の二〇一九年度における取扱事件数の速報値についてでございますが、十一件の事件を取り扱ったと承知しております。
 続きまして、シンガポールなどの外国の仲裁機関の取扱事件数が多い理由についてでございますが、何分、外国機関であるため取組の詳細は必ずしも承知しているわけではございませんが、シンガポールなどでは、やっぱり先端的な仲裁専門施設を備えまして、官民が連携して国際仲裁の活性化に取り組んでおりまして、そのため一定の成果を上げているものだと承知しております。
 逆に、我が国において国際仲裁が低調である理由あるいはその原因につきましては、内閣官房に設置されました国際仲裁の活性化に向けた関係府省連絡会議が平成三十年四月に公表した中間取りまとめ、これによりますと、まず企業などにおいて国際仲裁の有用性などに関する理解が十分でない、あるいは国際仲裁に精通した人材が不足している、そして世界的に著名な仲裁機関や仲裁専門施設が存在しない、こういった点が挙げられているということでございます。

#8
○元榮太一郎君 いろいろと低調である原因というのがあると思いますけれども、私としては、やはりこの海外と日本における国際仲裁で取り扱われる事件についてもっと具体的に分析する必要があるかなと思っております。大体のそのボリュームゾーンの分野があるかと思いますので、そういった分野についてしっかり日本に呼び込めるように企業に周知そして啓発をしていくと、こういうようなことだと思います。
 そして、この配付資料二を御覧いただきたいと思うんですが、この仲裁の活性化のためには、やはり仲裁人材が必要ですし、そして施設が必要ですし、そして案件が必要だと思うんですけど、まず、この施設に関しては、今年の三月三十日、日本国際紛争解決センターというところが虎ノ門に審問施設を開設しております。本センターは、世界トップレベルの国際仲裁、ADR専門審問施設ということでありまして、審問手続や各種セミナー、シンポジウムに必要な機器が全てそろっているということであります。
 これらの点や現在分かっている課題を踏まえまして、法務省として、この国際仲裁の活性化、どのように進めるのでしょうか。

#9
○政府参考人(山内由光君) 法務省といたしましては、国際仲裁の活性化に向けまして、昨年度から、一般社団法人日本国際紛争解決センター、JIDRCといいますが、これに委託いたしまして、施設、審問施設の確保のほか、人材育成、広報、意識啓発などの施策を総合的に実施させているところでございます。
 具体的には、先ほど委員御指摘のとおり、まず、東京の虎ノ門に国際仲裁の専用施設を確保いたしまして、この施設が先月の三十日にオープンしたところでございます。
 また、広報、意識啓発の観点からは、まず、国際仲裁のユーザーである国内外の企業を始めとする企業関係者、これらに向けて研修やセミナーなどを積極的に実施しておりまして、その中に、やはり日本を仲裁地とすることの重要性、これについての説明も行っているところでございます。
 さらに、人材育成の観点からは、各種研修を実施しているほかに、若手の弁護士やロースクールの学生などをシンガポール、香港、ロンドンなどの著名な仲裁実施機関に派遣すること、これも検討しているところでございます。
 今後、委員御指摘のような国際仲裁で取り扱われることが多い案件の類型、この分析を調査委託事業の中で分析し、これを国内外の企業関係者に対する広報や意識啓発に反映させるなどして、引き続き国際仲裁活性化に向けての取組を進めてまいりたいと思っております。

#10
○元榮太一郎君 企業は経済合理性を大事にしますけれども、時間も短く、そして費用も安く収まり、そして非公開である、これらの点をしっかり伝えれば必ず活性化に向かっていくと思いますので、是非とも取組をお願いしたいと思います。
 施設、そして人材、そして、そういうようなものが、あと案件ですね、が大事だという話をしましたけれども、この施設を運営するその運営機関、この強化というのも非常に大事だというふうに思っておりまして、我が国では、主たる国際仲裁運営機関としてはJCAA、先ほどの日本商事仲裁協会があります。この運営の在り方について、こんな意見を聞いております。
 JCAAの平成三十年度の決算報告書によれば、仲裁、調停の収益というのは合わせて九千二百万円である一方、もう一個、実はこのJCAAは事業を行っておりまして、カルネという、外国に一時的に商品見本や仕事道具を簡便な手続により免税で持ち込める一時免税通関書類というものの発給事業というものを、これを日本商工会議所からの委託に基づいて行っているのであります。こちらのカルネの収益というのは二億六千四百万円ということでございまして、カルネの収益は仲裁、調停の収益のおよそ二・八倍となっているために、JCAAの経営はカルネに偏っているのではないか、業務を一本化するなどJCAAが仲裁、調停に集中できるようにするべきではないかというものであります。
 そこで、配付資料の三でありますけれども、これはJCAAの役員名簿でありまして、三人目の方が、特定業務執行理事の道垣内さんを始めとしまして、私が見る限りにおいては、仲裁の専門家が理事としてそろっておりまして、しっかり力を入れているのではないかなと思っておりますが、法務省にこれらの意見に対する見解を伺いたいと思います。
 そしてまた、JCAAにカルネ発給事業を委託している日本商工会議所は経産省の所管の法人でありますので、経産省からも見解を伺います。

#11
○政府参考人(山内由光君) 国際仲裁の活性化に向けた関係府省連絡会議、先ほど申し上げた連絡会議でございますが、これには先ほど委員御指摘のJCAAを含む国内の仲裁機関などもオブザーバーとして参加してございまして、会議の場における情報共有などを通じて連携を図っているところでございます。
 委員御提案の内容についてでございますが、何分、一般社団法人の業務内容に関するものであるため法務省といたしてはお答えする立場にはありませんが、我が国における国際仲裁の活性化に向けて、そのJCAAというものや国内仲裁機関の充実強化、これを図ることが重要であることは御指摘のとおりであるというふうに認識しております。
 法務省といたしましては、JCAAを含む関係機関と連携の上、その人材育成や、あるいはJCAAなどの国際仲裁機関の紹介を含むような広報、意識啓発などに引き続き取り組んでまいりたいと思います。

#12
○政府参考人(渡邉洋一君) 経済産業省からもお答えをいたします。
 日本商事仲裁協会につきましては一般社団法人でございまして、当省が所管する立場になく、また、当該法人の経営方針に我が省として意見を言う立場にもございませんが、その上で申し上げますれば、日本商事仲裁協会は、最新の実務の現状を踏まえまして二〇一九年一月に仲裁規則を改正するなど、それから、中堅・中小企業、弁護士、外国企業等に向けて国内外三十一件の説明会を実施するなど、国際仲裁が活性化するよう積極的に取り組んでいると認識をしております。
 また、これらの事業を実施するために、理事の構成につきましては、仲裁に専門的な知見を有する弁護士さんや企業の法務部長さんで構成をされておりまして、さらに二〇一八年度には仲裁専門家を業務執行理事に迎えておりますし、また、職員の構成につきましても、仲裁事業とカルネ事業は同程度の人数構成としております。さらにまた、新たに外国人を含む法律専門家を仲裁ADR広報担当に任命するといった形で充実させてきているものと承知をしております。
 なお、収支面につきましては、仲裁事業では、平成二十八年度は六千四百万円の赤字、二十九年度は三千百万円の赤字、平成三十年度につきましては三百万円の黒字と収益が不安定でございますところ、カルネ事業では、二十八年度は一億五千万円の黒字、二十九年度は一億六千七百万円の黒字、三十年度は一億六千八百万円の黒字と安定的な収入につながってきております。
 以上のことから、日本商事仲裁協会は、カルネ事業を実施しながら仲裁業務にもしっかりと資源を投入しているものと考えております。

#13
○元榮太一郎君 平成二十八年と平成二十九年度は仲裁事業が赤字のところ、カルネ事業の利益で支えているということでありますので、仲裁事業にしっかりと注力しているということと認識しております。いずれにしましても、この国際仲裁の司令塔としてこのJCAAは非常に重要な役割を担うと思いますので、引き続き、法務省、経産省共に適切な支援をお願いしたいというふうに思います。
 そして、この国際仲裁の活性化のためにはやはり国のしっかりとしたバックアップが必要だということで、これは予算措置だと思います。法務省は、令和元年度から令和五年度までの五年間、JIDRCを受託者として、我が国における国際仲裁の活性化に向けた調査等業務を実施しております。
 現在、日本での仲裁がほとんど利用されていない現状を見ますと、この調査委託事業だけに限らず、もっともっとより強力なバックアップをする必要があるのではないかなというふうに思います。当然、その国際仲裁というのは民間主体であるんですけれども、外国の運営機関も、特に立ち上げ等の初期の時期は政府が強力にバックアップした事例があるというふうに聞いています。
 そこで法務省に伺いますが、国際仲裁の運営機関に対する支援や予算措置はどのようになっているのでしょうか。また、今後どのような予算措置、支援をしていくつもりでしょうか。

#14
○政府参考人(山内由光君) 昨年度から、日本国際紛争解決センター、JIDRC、これを受託者といたします五年間にわたる調査委託業務を開始し、審問施設の確保のほか、人材育成、広報、意識啓発などの施策を総合的に実施し、有効な施策の在り方を調査検討することとしております。この本業務に係る予算につきましては、五年間の国庫債務負担行為として合計約七億八千万円が計上されております。
 法務省といたしましては、この調査委託業務を通じて国際仲裁の活性化に取り組むとともに、関係機関と連携してセミナー、シンポジウムを開催するなどしているところでございますが、それ以外にも、外国政府などとの連携強化や仲裁法の見直しなどの基盤整備などについても取り組んでおりまして、引き続き国際仲裁の活性化に向けて積極的に取り組んでまいりたいと思います。

#15
○元榮太一郎君 五年間で約七・八億円ということでありますので、一年間で約一・五億円ということですが、例えばシンガポールのSIACが入るマックスウェルチェンバースという施設の拡張事業プロジェクトでは、シンガポール政府が二〇一五年から一九年の五年間において三千五百十万シンガポール・ドル、約二十八億円のプロジェクトを組んだそうです。
 我が国も国際仲裁の活性化のためにもっと大胆な支援、財政的な措置が必要かと思いますが、法務大臣、御見解をお聞かせください。

#16
○国務大臣(森まさこ君) 先ほど審議官から答弁したとおり、昨年度から五年間、予算を手当てしているところでございますが、この調査委託事業の中で、審問施設確保したり、人材育成、広報、意識啓発の施策を総合的に実施することとしておりますが、委員の御質問もありましたので、今後、このJIDRC以外にも関係府省や様々な機関と連携して、国際仲裁の活性化、取り組んでまいりたいと思います。

#17
○元榮太一郎君 森大臣、ありがとうございます。
 この国際仲裁の活性化というのは、足が長い、粘り強い取組が求められるかと思いますので、積極的な財政支援、継続的にお願いしたいというふうに思います。
 今までは国際仲裁ということでございますけれども、国際調停というものの活性化も重要かと思っております。
 私は、シンガポールに行ったときに、シンガポールの司法副長官が、訴訟と仲裁と調停のこの三つがそろってワンストップリーガルだと、これがシンガポールの司法の強さなんだとおっしゃっていて、私もなるほどなと思ったわけでありますけれども、この日本における国際調停の活性化も重要で、その執行力に関して更に整備すべき点があると思います。
 国際仲裁には既にニューヨーク条約というものがありまして、これは日本を含む締約主体百六十二か国・地域に効力が及びます。つまり、この仲裁で執行力がこの百六十二か国・地域に及ぶことができると、及ばすことができるということですが、国際調停はこれまで条約がなく、その執行力をどう担保するのかというのが課題になっていたところ、昨年、令和元年の八月、アメリカや中国など四十六か国により、シンガポールで国際調停に関する国連条約、シンガポール調停条約が結ばれました。これにより国際調停の合意内容に強制力が付与されることになります。しかし、我が国はこの条約にまだ署名をしておりません。
 本法律案で国際調停に関する規定を整備したのですから、やはりこの執行力を担保するべきだと思っておりまして、そこで法務省にお伺いしますが、このシンガポール調停条約を署名していない理由は何なのか、今後は署名するべきではないのか、その点について伺います。

#18
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 委員御指摘の国際調停に関するシンガポール条約、この締結に当たりましては、前提として、裁判外における当事者間の和解合意に執行力を付与することの妥当性などについて、国内法制との整合性の観点から検討する必要があるものと考えているところでございます。
 また、現時点ではこの条約に合計五十二か国が署名しておりますが、実際に批准した国は三か国にとどまっているものと承知しておりまして、法務省といたしましては、外務省等の関係省庁とも連携し、このシンガポール条約の諸外国の締結状況も注視しつつ、その内容や国内法制との整合性等の課題について引き続き検討してまいりたいと考えております。

#19
○元榮太一郎君 ありがとうございます。
 国内手続との整合性というところは確かにそうなんですが、この国内についても、やはり認証ADR機関に執行力を付与するなど、やはりこれも実効性を担保するために制度改正する必要もあるかと思いますので、前向きに御検討いただきたいなというふうに思います。
 いずれにしましても、新型コロナウイルスのこの感染症の件でも国際的な紛争というのは増えると思いまして、そのときのこの国際仲裁、国際調停の重要性というのは非常に重要になってくるかと思いますので、政府におかれましては強力に推進することを強くお願い申し上げまして、私の質問といたします。
 ありがとうございました。

#20
○櫻井充君 おはようございます。
 今日は法案審査ですが、こういう時期なので、済みませんけれども、コロナウイルスの関連について質問させていただきたいと、そう思います。
 今日、緊急事態宣言が出されるということで、ほっとしています。世界の、アメリカとかイタリアのようになってから出すのではかなり遅かったと思っていて、今であれば一か月程度の、皆さんで自粛していただければ収まってくるんじゃないかなと思っていて、ぎりぎりのタイミングで出していただいたことに改めて感謝申し上げたいと、そう思います。
 ただ一方で、補償が十分なのかというと、必ずしも補償が十分じゃないんじゃないかという声がありますので、まずその点について質問させていただきたいと、そう思います。
 予算が成立してからじゃないと現金などの給付ができないんだろうと思いますが、その前に簡単にできることは、今企業が抱えている借金があります。これは民間金融機関に限ったことではなくて、公的金融機関にもお金を借りて、これから返済しなきゃいけないということになっていますが、東日本大震災のときには、半年間の支払猶予の制度が、制度といいますか、あの当時、亀井大臣の下でモラトリアム法案だと言われましたが、ですが、あれは返済猶予をしても不良債権にならないというルールになってきていて、今回も半年程度の支払猶予をした方が、積極的にした方が、企業としては資金繰り支援として私はすごく有効じゃないかと思うんですが、この点についていかがでしょうか。

#21
○政府参考人(石田晋也君) お答え申し上げます。
 金融庁におきましては、三月六日に金融機関に対しまして麻生大臣名で要請を行っておりまして、その内容といたしましては、金融機関に対しまして、既往債務について返済猶予等の条件変更に迅速かつ柔軟に対応すること、新規融資についても事業者ニーズに迅速かつ適切に対応することを要請するとともに、今先生からお話ございましたけれども、金融庁は、銀行法第二十四条等によりまして金融機関による条件変更等の取組の状況の報告を求め、その状況を公表するということとしてございます。
 これは、今回のこの要請、それから報告徴求を取るというこういうことは、事業者の資金繰り、条件変更を支援するという観点で、今御指摘ございましたような中小企業金融円滑化法と同様の対応を取っているところでございます。
 現在、金融庁におきましては、事業者の資金繰り支援の促進を当面の検査監督の最重点事項と位置付けておりまして、今回のこの要請が実効性のあるものになるよう、しっかりと引き続き対応してまいりたいというふうに考えてございます。

#22
○櫻井充君 ありがとうございます。
 やっていただいているということを今日初めて知りました。というのは、地元の中小企業の方々と話をしていると、こういうことができるということを知らない方が大半なんですよ。
 だとすると、これについてどういう広報活動を行っていくんでしょうか。

#23
○政府参考人(石田晋也君) お答え申し上げます。
 現在、私どもの方では、リーフレット等を作りまして、商工会、商工団体、金融機関、そういったところにお届けして、説明会などもやってございますほか、金融庁のホームページ等にも載せてございます。いろんな手段を尽くして、更に周知、広報の方に引き続き徹底して取り組んでまいりたいと思います。

#24
○櫻井充君 従来のやり方だとこうやって伝わっていないので。
 今度、布マスクを配布するそうです、全国、全戸に。そのときに、例えば今のような政策についても一緒に文書にして送ってあげたらいいと思うんですよ。そうすると、取りあえずのところはみんな見ることになります。せっかく全戸配布するのであれば、これは布マスクの是非はもう今日は議論しませんけれど、こういうところで、例えば経済対策はこういうものがありますよとか、それから、後で質問しますけれど、いろんな中小企業に対する政策はこういうものがありますよとか、そういうことをやっていくべきだと思いますし、それから、コロナウイルス関連で、こういうふうになったら例えば病院に行ってくださいねとか検査を受けてくださいとか、その辺のことを布マスク配るものに対して一緒に文書を付けて出したらいいんじゃないかと思いますので、これ御検討いただきたいと思います。
 その上でもう一つ提案しておきたいのは、こういうときだからこそ、テレビとかで政府のコマーシャルをやったらいいんじゃないかと思いますが、この点についていかがでしょうか。

#25
○政府参考人(田中愛智朗君) お答えいたします。
 新型コロナウイルス感染症に関する政府広報につきましては、これまでも、テレビCMやインターネット広告、新聞広告など様々な広報媒体を用いて実施しているところでございまして、例えばテレビCMにつきましては二月中旬から継続して行っているところでございまして、緊急対応策などの周知を図ってきたところでございます。
 今後とも、担当省庁とも相談しまして、テレビCMを積極的に用いまして、感染症に関する政府広報を最優先かつ重点的に行ってまいりたいというふうに考えてございます。

#26
○櫻井充君 済みません、ワイドショーとかよく見ているんですけど、そのときのコマーシャルで、政府の、何と言うんですか、政府広報を見たことがないんですけど、どういうときに実はそのコマーシャルを流しているんでしょうか。

#27
○政府参考人(田中愛智朗君) 政府広報の放送時間帯については、それぞれの放送局ごとにでございますので区々ではございますけれども、おおむね朝、昼、夕の三時間帯に流しているというところでございます。

#28
○櫻井充君 済みません、どういう内容を流しているのか見たことがないので、後で結構でございますので、どういう内容のものを流しているのか資料を出していただきたいと、そう思いますので、委員長、取り計らいよろしくお願いします。

#29
○委員長(竹谷とし子君) 後刻理事会で協議いたします。

#30
○櫻井充君 それから、飲食店などの人たちは、百万、二百万のこれお金入れていただけることは有り難いことなんですが、それだけでは不十分だという声があります。それから、飲食店にとってみればそういう額で十分のところもあるのかもしれませんが、例えばバス会社とか、それからある程度大きなカラオケ店などは、そのお金ではとても足りないわけです。
 そういう点でいうと、大企業に対しては資本注入するそうですが、ある程度規模の大きなところも含めて、中小企業のですね、こういったところに対しても資本注入すべきではないかと思いますが、この点についていかがでしょうか。

#31
○政府参考人(奈須野太君) お答え申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症の影響により財務状況が悪化した事業者に対しては、日本政策金融公庫による資本性の劣後ローン、それから中小機構などの出資する中小企業再生ファンドによる株式の取得、それから債権の買取りを通じた資本性の資金の供給や債務の圧縮を行って財務状況を改善していくことが可能になると考えております。

#32
○櫻井充君 これは劣後ローンで入れていただけることになるんですか。それから、これの要件というのは、どういう要件で入れていただけるんでしょうか。

#33
○政府参考人(奈須野太君) お答え申し上げます。
 資本性ローンの概要でございますけれども、日本政策金融公庫から無担保無保証で事業再生や新規事業に安定的に取り組むというようなことで、それぞれ個別に検討して対応するということになろうかと思います。

#34
○櫻井充君 そうすると、それは融資ではなくて劣後ローンで資本の中に注入することも可能なんだという理解でよろしいんでしょうか。

#35
○政府参考人(奈須野太君) 財務上は資本性のローンということになります。また、株式の取得ということであれば、別途再生ファンドなどから株式を取得することも可能になります。

#36
○櫻井充君 このことってどの程度周知されているんでしょうか。これを決定したのはいつですか。

#37
○政府参考人(奈須野太君) お答え申し上げます。
 この仕組み自身は従来からあるものでございますので、先生御指摘のとおり、十分な広報がないということは御指摘のとおりでございますので、周知、普及に努めてまいりたいと思います。

#38
○櫻井充君 ありがとうございます。
 せっかくこういう制度がありながら、私のところに、こういう制度をつくったらどうですかという意見をいただいているものですから、この辺のことについてきちんとなるべく早く周知していただきたいと、そう思います。
 繰り返しで恐縮ですが、補正予算が通らないと支援金の支給などはできないんだろうと思いますが、この手のものは、今やっているんだとすると、なるべく早くに言っていただければ、現場の、現場というか中小企業の皆さんたちが苦労されていますので、こういった状況を踏まえた上での対応をお願いしたいと、そう思います。
 この上で、うちの中小企業の社長さんたちに、例えば働いている方々に対してこういう手当てがありますよとか、そういう広報をしたんですけれど、ところが現場に行ってみると、十分に対応されなかったと、そういう声が今度上がってきているんです。
 今、政策金融公庫も含めてパニック状態になっていることは分かっていますが、現場に対して今どのような政策で対応しようとお考えでしょうか。

#39
○政府参考人(奈須野太君) お答え申し上げます。
 私どもでは、ホームページなどで中小企業の支援策の概要を取りまとめたパンフレットを今作成しておりまして、それを商工団体、それからいろんな支援機関を通じて配布しております。
 また、特定の事業者、こういう業界の人についてはどういう支援策が活用が可能かということについても現在取りまとめ中でございまして、こういったことも業界団体などを通じて配布していきたいと思っております。

#40
○櫻井充君 いや、そうではなくて、実際の事務に当たる方々に対してそういう政策はちゃんと行き届いているんでしょうか。それを理解、本当にされているんでしょうか。

#41
○政府参考人(奈須野太君) そういう面で申しますと、それぞれのつかさつかさ、日本政策金融公庫であるとかあるいは信用保証協会であろうとか、そういうところについてはそれぞれの持っている施策については周知されているという認識でおりますが、ただ一方で、現場の中では必ずしもそういう対応がないという場合も時々聞かれますので、こちらについては、先生の御指摘のとおり徹底してまいりたいと考えております。

#42
○櫻井充君 ありがとうございます。
 政策がどんどんどんどん今変わってきていて、その変わっているものに対して十分な対応をなされていないようなことがあるんです。
 例えば、金利は、昔の中小企業金融公庫だと〇・二一%に金利がなったというふうに聞いています。旧の国金であると〇・四二%で、ここまで金利が下がっているということを実は現場では、いつだったかな、二週間ぐらい前の説明のときにはそういう説明ではなかったらしいんですよ。
 ですから、そういう意味合いでは是非徹底していただきたいと思いますし、これは政策金融公庫だけではなくて労働局に行っても同じようなことが起こっているので、是非、現場に対して、どんどんどんどん新しい政策ができ上がっていますから、このことについて周知徹底していただきたいと。そうじゃないと、本当に混乱してきているので、この点についてはきちんと対応するようにお願いしておきたいと思います。
 それから、医療についてこれからお伺いしていきたいと思いますが、病院が本当にもう破綻しているんだろうと思います。相当現場では御苦労されてきています。一番恐れていたことですが、病院で院内感染がどんどん進んでいって、ここが感染爆発のところの元凶になってきているような場面も見られてまいります。
 こういったその院内感染について、どのように防止していこうとお考えでしょうか。

#43
○政府参考人(吉永和生君) お答え申し上げます。
 院内感染を防止するためには、国立感染症研究所等におきまして、新型コロナウイルス感染症について医療機関内の感染防止対策の考え方を取りまとめ、一月以降、逐次改定、公開を行ってきておるところでございます。また、厚生労働省としても、これを自治体に通知するなど、医療施設における院内感染防止のための方策について、事務連絡の発出、ホームページでの公表、感染症部会においてお示しするなど、様々な手段により随時周知を行ったところでございます。
 しかしながら、委員御指摘のとおり、今般、院内感染が散発している状況でございます。院内感染につきましては、医療関係者は感染者に暴露する機会が多いだけではなく、一旦感染いたしますと御自身が院内感染の原因となり得るということが指摘されているところでございまして、医師や看護師などの医療従事者が感染又は濃厚接触者となってしまいました場合には、医療に従事できなくなって人が足りなくなるというだけではなくて、診療そのものができなくなるというようなことで、医療提供体制にも支障を来すということでございます。こうしたことを踏まえまして、現在、医療機関内への感染防止対策の考え方につきまして改定を行っているところでございまして、これにつきまして今後周知を図っていきたいというふうに思っております。
 また、感染防止について必要となりますマスク等の医療資材につきまして、医療機関の需要が増加する中で、輸入の停滞等により需給が逼迫している状況がございます。厚生労働省といたしましては、経産省とも協力をいただきながらメーカーに増産や輸入拡大をお願いするなど、供給量の増加に努めるとともに、例えばマスクにつきましては医療機関等への優先供給のスキームを構築して運用するなど、必要性の高いところに医療資材が届くように取り組んでいるところでございます。
 いずれにいたしましても、今後とも医療機関の院内感染の防止に対しまして必要な措置、支援をしてまいりたいと考えているところでございます。

#44
○櫻井充君 これは院内感染を防ぐためにもうマニュアルはでき上がってきていて、これのとおりに実はやれているんでしょうか。やっているけれど、やはりこうやって院内感染が起こってきているんでしょうか。これは、できるできないのところに関して言うと、マスクの問題だけではなくて、ガウンとかフェースガードとかいろいろあると思いますが、この手のものが十分にないから感染していることになっているんでしょうか。その辺の原因について御説明いただきたいと思います。

#45
○政府参考人(吉永和生君) 感染研などが作っております感染防止の考え方につきましては、それが確実に実施されていれば、ある程度感染症の拡大につきましては、感染につきましては防止できるものと考えておりますが、ただ、先ほど委員御指摘のとおり、マスクでありますとかガウンでありますとか、そういうものの需給が逼迫している状況の中でそれが適切に実施されているのか、そういう辺りを検証しながら、現在そのガイドラインにつきまして見直しの検討を進めているところでございます。
 そういうことを通じまして、医療機関内におきます感染の拡大が起きないような形で対応してまいりたいと考えてございます。

#46
○櫻井充君 なるべく早くに作って、徹底していただきたいと思います。
 その上で、聖マリアンナ医科大学などは発熱外来を、実は病院の外にコンテナで外来をつくって、そうやって動線を確保、何というんでしょうか、院内に動線を確保してくれと、こういう疑いのある患者さんとそうでない人たちといっても区分けしても大変なので、外にこういう外来をつくってきていて、現場の先生方と話をしてみると非常にうまくいっているという話なんです。
 こういう工夫していて成功している例が随分ありますから、こういったことを全国の医療機関に対して周知徹底していくということがすごく大事じゃないかと思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。

#47
○政府参考人(吉永和生君) 委員御指摘のとおり、感染者と非感染者の動線を分けること等により両者の接触の機会を減らすことで感染を防止することは大変重要だというふうに考えてございます。
 このため、三月十九日付けの事務連絡におきまして、感染者と非感染者の接触の機会を減らすことに関しまして、帰国者・接触者外来を設置する際の留意事項として、疑い例が新型コロナウイルス感染症以外の疾患の患者と接触しないよう可能な限り動線を分けることをお示ししているところでございます。
 また、三月二十八日の基本的対処方針におきましても、外来での感染を防ぐために、医療機関の外来におきまして、一般の患者も含め混雑を生じさせないよう、予約による診療や動線の適切に確保された休日夜間急患センターの施設の活用などを推奨しているところでございます。
 今後とも、委員の御紹介いただいたような事例も含めまして、感染者と非感染者の動線を分けること等によりまして両者の接触の機会を減らす措置につきまして周知徹底を図ってまいりたいと考えております。

#48
○櫻井充君 ありがとうございます。
 こうやって成功している例をどんどんどんどん周知していくというのはすごく大事なことだと思っていますし、これは院内感染だけではなくて、治療においてもそうなんだろうと思うんです。
 先日、昨日、おとといかな、ワイドショーを見ていましたら、せきがずっと続いていて、これは自然治癒しかないんだみたいな話をされていましたが、せきなどに対しては吸入ステロイドの中でもオルベスコというのが有効ではないのかというふうに出ていて、言われてきていて、こういった治療の在り方についてもきちんとしたガイドラインを作って、これは副作用はほとんどありませんので、積極的にこの手の薬を使っていくようなことをやっていった方がいいんじゃないかと思いますが、この点についていかがでしょう。

#49
○政府参考人(吉永和生君) 治療薬の開発に関しまして、これまでも必要な予算の確保に努めるとともに、国内で既に患者等に投与経験のある抗ウイルス薬の有効性等を確認するため、国立国際医療研究センター等を中心に、多数の医療機関で観察研究を、観察研究等において同意された患者に対する投与が既に開始されているところでございます。
 具体的な例といたしましては、委員の御指摘にありましたオルベスコも含めまして、レムデシビル、アビガン、カレトラ、フサンにつきましては既に観察研究を実施しているところでございます。また、アビガン、オルベスコにつきましては臨床研究も開始しているところでございます。
 こうした状況でございますので、いずれも新型コロナウイルス等を用いた基礎研究では既に一定の有効性が認められており、現在研究を進めておるところでございますが、委員御指摘のように、治療薬投与の際のマニュアルの作成等につきまして、これらの治療薬の研究成果の動向を踏まえて検討していく必要があると考えてございますが、いずれにいたしましても、引き続き早期の治療薬開発に向けた支援を行ってまいりたいと考えております。

#50
○櫻井充君 院内感染にしても、こういう治療にしても、いろんなところでこういうことが有効ですよというのが随分出てきていますから、その意味では、こういう情報をどんどんどんどん提供していって、病院による格差、治療なら治療とか、院内感染なら院内感染防止の格差が出ないようにしていただければ有り難いと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それから、日本は検査が遅いと随分言われてきていて、抗体の検査なども含めてもう少し、簡単にできるものがありますから、これを一緒にやっていった方がいいんじゃないかと思いますが、この点についていかがでしょうか。

#51
○政府参考人(吉永和生君) お答え申し上げます。
 抗体検査につきましては、委員御案内のとおりでございますけれども、ウイルス感染後に生体内で産出される抗体を測定する検査方法でございます。PCR検査と同時に活用することによりまして、より精度の高い診断を行うことが可能となるなど、検査方法としては有用なものというふうに考えているところでございます。
 現在では、現在の段階では、医療現場では広く使えるための方法も含めまして、その有用性や使用方法等を専門家と検討を行っている段階でございますが、これも実用化に向けて、厚生労働省として引き続き支援を行ってまいりたいと考えております。

#52
○櫻井充君 韓国ではドライブスルーみたいな形で検査をやっていて、最初は何だこれと思っていましたが、考えてみれば、車で行かれてそこで全部検査をして、あれは多分抗体検査ですよね、違うのかな、あれPCRですか。PCRですか、あれは。いずれにしても、ああいう場面でやっていけているわけですよ。そうすると、何がいいかというと、病院に来ていただかなくていいので、疑いのある人たち、感染しているかもしれないような人たちを別な場所できちんとした形で検査をすることができるということになってくると、ああいうことも考えてやっていった方が本当はいいんじゃないかと思うんですよ。
 繰り返しになりますが、患者さんが病院の中に入っていってしまうと、それだけで院内感染の原因になってくるので、別建てで検査を行うような場所を逆に言うとつくってくるようなことも大事なことではないのかと、そう思います。
 それから、PCRの検査に関しては、やはり現場でなかなか数をこなせないとか、それから、お話をお伺いしたときになるほどと思ったのは、百件ぐらいやれるようなキャパがあったとしても、ばらばらばらばら来るので、十件とか二十件の段階で機械を動かしてしまうと、結局、百件そのまんまフル稼働できないんだという話がありました。ですから、その現場現場のことを考えてくると、そのPCRの検査だけでやっていくということは必ずしも十分ではないと思っています。
 それから、イギリスなどでは、なるほどと思ったんですけど、もうこれでIgGの抗体ができ上がってきていれば感染はしないんでしょうということになっていますから、こういう人たちは別にもう自粛している必要性がなくて、積極的に外に出ていけるでしょうという判断材料になるんだと。そういうこともイギリスではこれから取り組んでいこうとしていることであって、そういう意味合いでも、抗体検査をきちんとやるということはメリットがあるんじゃないかと思いますが、改めていかがでしょうか。

#53
○政府参考人(吉永和生君) 抗体検査につきましては、検査が迅速にできるというようなメリットもあるところでございます。一方で、どういう形で精度を保っていくのかという形、諸外国では既に承認された例もございますが、我が国ではまだ日本国内で人に対する有効性が確認されているという状況には至ってございません。そういう意味で、専門家と検討を行っておる段階でございまして、実用化に向けて引き続き支援を行ってまいりたいと考えております。

#54
○櫻井充君 とにかく検査がされないと、なかなか遅いんだと、森三中の方も何回もお願いして、やっと何回目かで検査をしてもらって陽性だったということが分かっているので、もう少し検査が十分にできるように体制を整えていただきたいと思います。
 最後に、感染が分かっている人が集会やそれから例えば飲食店なんかに行った場合には、これ殺傷罪に問える、問うことができるんでしょうか。

#55
○政府参考人(川原隆司君) お答えを申し上げます。
 犯罪の成否は捜査機関により収集された証拠に基づき個別に判断される事柄でありますので、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。
 なお、あくまで一般論として申し上げれば、傷害罪は、人の身体に対する有形力の行使その他の作為又は不作為により人の身体を傷害した場合、すなわち他人の身体の生理的機能を毀損した場合に成立するものと承知しております。
 以上でございます。

#56
○櫻井充君 ちょっとお亡くなりになりましたが、蒲郡のような件の場合には、これは具体的に言えないのかもしれませんが、一般論として、こういう人たちをちゃんと取り締まっていかないと結局感染はどんどんどんどん拡大していくわけであって、そういう意味合いではきちんと対応すべきだと思いますが、いかがなんでしょうか。

#57
○政府参考人(川原隆司君) お答えを申し上げます。
 お尋ねは捜査機関の活動内容に関わる事柄でございますので、お答えを差し控えさせていただきたいと存じます。
 その上で、あくまで一般論として申し上げれば、刑罰法令に触れるような事実があると認められる場合には、第一次捜査機関である警察当局において適切に対処するものと思いますが、検察当局におきましても、第一次捜査機関である警察当局とも連携しつつ、法と証拠に基づき、個々の事案に応じて適切に対処するものと承知しております。
 以上でございます。

#58
○櫻井充君 最後にですけれど、緊急事態宣言が今日出されるんだろうと思います。でも、これ、宣言を出したとしても、あとは国民の皆さんに協力をしていただかないと何ともならないことなんだろうと。
 多くの方々は自粛してくださっているんですが、一部の方々が、例えば福島で出た例などを見ると、わざわざこの時期に東京のライブハウスに行って、感染して帰ってきているんですよ。こういう人たちをちゃんと取り締まっていかないと、感染爆発がどんどん広がってきてしまうと。多くの方々はきちんとやっています。そして、この多くの方々、きちんとやっている方々に対して補償をしていかないと、生活が成り立たなくなって、感染が落ち着いたときに倒産している企業がいっぱいいる、失業している人たちがいっぱいいるような社会にならないように、経済対策も手厚くやっていただきたいと、そのことをお願い申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

#59
○安江伸夫君 公明党の安江伸夫です。限られた時間でございますので、早速本改正法について質問させていただきたいと思います。
 まず、基本的なところになりますが、国際仲裁、国際調停、これ一体何なのかということで、簡潔に御説明をお願いします。

#60
○政府参考人(金子修君) お答え申し上げます。
 現行法においては、国際仲裁事件については、「国内を仲裁地とする民事に関する仲裁事件であつて、当事者の全部又は一部が外国に住所又は主たる事務所若しくは本店を有する者であるものをいう。」としていたところでございます。
 今回の改正では、この国際仲裁の範囲を拡大しまして、全部又は一部の当事者の親会社が外国に本店を有する等の場合、当事者が合意で定めた準拠法が日本法以外の法である場合、外国を仲裁地とする事件で日本でその証人尋問等の審理手続が行われる場合、これらにつきましても国際仲裁事件と扱うこととしております。
 それから、国際調停事件の方ですが、これまでは外弁法には規定がなかったんですが、今回の改正において、外国法事務弁護士等が代理することができる国際調停事件の規定を新設しました。その内容については、民事上の契約取引のうち、その当事者の全部が法人等の事業者である紛争に係る調停等の事件を対象とするものとし、かつ、その国際性の基準については、国際仲裁事件における基準と基本的に同様のものとすることとしております。

#61
○安江伸夫君 ありがとうございます。
 今、今回の改正のことを御説明いただきましたが、この趣旨について改めて確認をさせてください。特に、我が国、またその利用する当事者にとってどういったメリットがあるのかということを御説明ください。

#62
○政府参考人(金子修君) お答えいたします。
 国際仲裁は、企業間の国際紛争解決の手段として重要性が指摘されておりますところ、国際紛争解決の手段として重要なものであるとの指摘がされていますところ、現行法上、外国法事務弁護士等が手続を代理することができる国際仲裁事件は、当事者の全部又は一部が外国に本店を有する場合等に限られております。このため、当事者全部が国内に本店等を有する場合は、たとえその当事者の中に外国企業の子会社が含まれている場合など当事者等について外国との一定の関係、関連性が認められる場合であったとしても、国際仲裁事件と扱われないため、外国法事務弁護士等が代理することができず、不都合を生じているとの指摘がございました。
 そこで、今回の改正は、国際仲裁活性化の一環としまして、国内外の企業が我が国の国際仲裁を利用しやすいものとするため、国際仲裁事件の範囲を拡大するものでございます。
 また、現行法においては、外国法事務弁護士等による国際調停事件の手続の代理を認める規定がございません。国際調停は、時間及び費用の点で国際仲裁より低コストで紛争解決を実現できるというメリットがあるとされており、昨今、企業間の国際紛争解決の手段としてその利用活性化に向けた取組が国内外で進められ、国内でも専門の国際調停機関が設立されるなど、取組が活発化しているものと承知しているところでございます。
 そこで、今回の法案では、国際仲裁事件の手続の代理と並び、事業者間の取引紛争等を対象とする国際調停事件の規定を設けるなど、外国法事務弁護士等による調停手続の代理による規定を整備することとしたものでございます。

#63
○安江伸夫君 ありがとうございました。
 特に、やはり今御説明の中にもありましたが、コストまた時間、これを短縮できる。これADR一般にも言えることでもありますが、そうしたことが国際的な企業間の紛争等の解決に資するということも重要な点かと思います。
 また、シンガポール調停条約、先ほど元榮委員の方からも御指摘がありましたので、私からも改めて、この署名、批准、早期にしていただきたいということを要望にとどめさせていただきたいと思います。
 続いて、外国法事務弁護士職務要件の緩和がなされた点について確認をさせてください。
 そもそも本法におきましては、三年間、三年以上の職務要件、実務経験を求めております。その趣旨は何でしょうか。

#64
○政府参考人(金子修君) 委員御指摘の職務経験期間としての三年以上必要としているその趣旨でございますが、外国法事務弁護士の承認申請者が原資格法等に関する法律実務を取り扱うに足りる十分な能力、資質を有し、かつ、適切な監督の下で倫理的にも外国弁護士として欠けるところがなかったことを制度的に担保するという点にございます。

#65
○安江伸夫君 また、我が国での労務提供期間が二年算入できるということになりました。その反射効果として、外国実務経験が最短でも一年でも足りるということになります。この改正の趣旨について確認をさせてください。

#66
○政府参考人(金子修君) 現行の職務経験要件につきましては、日本でキャリアを始めた外国弁護士が、現行の要件の下では、外国法事務弁護士の承認を得るために長期間日本を離れなければならず、意欲に富んだ若い外国弁護士が早くから日本でキャリアを積むことをちゅうちょさせる要因となっているとの指摘等がされているところでございます。
 他方、職務経験要件につきましては、これまでに複数回にわたり改正がされ、緩和されてきたという流れがございますが、外国法事務弁護士が外国法に関する法律実務を取り扱うに足りる十分な能力、資力等に問題が生じているとの指摘はなかったところでございます。
 以上のようなことを踏まえまして、今回の改正におきましては、法案におきましては、社会経済の国際に伴う外国法サービスへのニーズにより適切に対応するという観点から、職務経験要件の見直しを行うこととしたものでございます。

#67
○安江伸夫君 ありがとうございます。
 年数だけ見ると、外国実務が一年で足りるのかという指摘や議論もこれまでもあったかと思いますが、従前の中でそれの弊害が基本的には問題なかったという議論がなされたというふうに今承知をいたしました。
 続いて、済みません、一問飛ばしまして、外国法事務弁護士が我が国で活動するに当たって、やはり外国人の方も中には含まれることもあります。我が国に適合した相当な倫理観をしっかりと担保していくということも必要であります。その点についての法務省の御所見をお伺いします。

#68
○政府参考人(金子修君) 日本で活動する外国法事務弁護士は、法律知識のみならず高度な倫理観を備えていることが重要であるというふうに認識しております。こうしたことから、外国法事務弁護士が倫理的にも高度な資質を備えていることを担保するため、次のような措置がとられているところでございます。
 まず、外国法事務弁護士となろうとする者につきましては、日本の弁護士法における弁護士の欠格事由と同様の欠格事由が定められております。このほか、外国法事務弁護士となるためには法務大臣による承認を受ける必要がございますが、その要件としていわゆる職務経験要件が設けられておりまして、外国法事務弁護士の承認申請者が原資格国法等に関する法律実務を取り扱うに足りる十分な能力、資質のほか、適切な監督の下で倫理的にも外国弁護士として欠けるところがなかったということが制度的に担保されております。
 また、外国法事務弁護士は弁護士会及び日本弁護士連合会に入会するものとされ、外国法事務弁護士として活動する際にも、法律上、弁護士と同様に基本的人権を擁護し、社会正義の実現を使命とし、誠実にその職務を行わなければならないとされているほか、日本弁護士連合会においては、外国法事務弁護士についての基本倫理等を定めた各種会則、会規を定めており、また、外国法事務弁護士は所属弁護士会及び日本弁護士連合会の会則中、外国法事務弁護士に関する規定を守らなければならないことが法律上定められているところでございます。
 その上で、これらの規定に違反があった場合、又は職務の内容を問わずその品位を失うべき非行が認められた場合には、日本弁護士連合会による懲戒処分の対象となり得るところでございまして、日本弁護士連合会において外国法事務弁護士に対する適切な監督がされるものと承知しているところでございます。

#69
○安江伸夫君 ありがとうございました。しっかりとした倫理観の担保というところも引き続き注視をしていただきたいというふうに思います。
 続いて、共同法人に関連して質問させていただきます。
 本改正によって、弁護士と外国法事務弁護士が社員となる共同法人の制度化が可能となったわけであります。ただ、従前にも共同事業という方法はありまして、今回共同法人という形にした理由についてお答えください。

#70
○政府参考人(金子修君) 現行法でも弁護士と外国法事務弁護士が共同事業という方法を取ることが可能なんですが、これと共同法人により事業を営む場合を比較しますと、共通点もございます。業務範囲が法律事務一般とされていることから、共同事業あるいは共同法人として行うことができる法律事務の範囲に制限はないということ、また、弁護士が弁護士以外の者との間で報酬を分配することは一般に禁止されている一方で、弁護士と外国法事務弁護士との間では報酬分配が認められており、外国法共同事業それから共同法人、いずれについても収益分配が認められる、以上が共通点ではございます。
 ただ、相違点がございまして、共同法人は外国法共同事業とは異なり、それ自体として法人格を有するものでございますので、法令等により組織的規律が明確に定められていることに加え、定款や登記によって組織に関する基本的事項が定められるなど、組織ガバナンスに関する規律がより強化されていると言えます。
 また、弁護士と外国法事務弁護士が営む外国法共同事業においては、法律事務を行う際の主体はあくまで個々の弁護士あるいは外国法事務弁護士であるのに対し、共同法人は法人が当該法律事務の主体となることから、個々の弁護士や外国法事務弁護士に支障が生じても業務の継続性が図られます。
 また、弁護士及び外国法事務弁護士は、法律上複数の事務所を設けることは認められておらず、外国法共同事業は組合契約等を基礎とするものであって法人格を有しませんので、従たる事務所の設置は認められませんが、共同法人であれば法人格を有しますので、従たる事務所の設置が認められる、このような違いがあり、共同法人には共同事業にはないメリットがあるというふうに承知しているところでございます。

#71
○安江伸夫君 また、今回の改正を受けて、弁護士法人が外国法事務弁護士を加えて共同法人になろうとする場合があろうかと思います。この場合、一度解散をして共同法人を設立するのは使いにくく、法人格の同一性も失われてしまいます。既存の法人を活用して、法人格の同一性を維持したままで共同法人となる仕組みが必要ではないかと思いますが、この点いかがでしょうか。

#72
○政府参考人(金子修君) お答え申し上げます。
 特定の弁護士法人が外国法事務弁護士を社員として迎えて共同法人になろうとする場合、あるいは特定の外国法事務弁護士法人が弁護士を社員として迎えて共同法人になろうとする場合、このような場合が想定されます。一般には、特段の規定がなければ既存法人を解散して新たに共同法人を設立するということになると考えられます。しかし、これでは手続的に煩雑であることに加え、既存法人をあえて解散させるということは社会的な損失でもあります。
 そこで、この改正案では、弁護士法人に外国法事務弁護士である社員を加入させる定款変更することにより、又は外国法事務弁護士法人に弁護士である社員を加入させる定款変更することにより、いずれも既存法人の解散という手続を経ることなく、法人格の同一性を維持したまま共同法人になることができるということにしております。

#73
○安江伸夫君 ありがとうございます。
 時間が来ましたので、最後に法務大臣に一問お願いいたします。
 この改正法につきましては、衆議院の法務委員会では附帯決議が付されております。その中の一及び二につき、現状における我が国の取組と今後の展望、また決意をお願いいたします。

#74
○国務大臣(森まさこ君) まず、附帯決議一に関しては、国際的な法務人材の育成として、学生による英語での国際模擬裁判や模擬仲裁のイベントに対する支援や、国際的に活躍する弁護士からのヒアリングを通じ、企業の海外展開支援や国際紛争解決などの実際の業務内容などを関係省庁から成る会議体において情報共有することなどの取組を進めているところでございます。
 次に、附帯決議二に関しては、国際ビジネスの活性化に向けた環境整備のため、法令外国語訳整備プロジェクトとして、関係府省庁の協力を得て、専用のホームページにおいて約七百五十の日本法令の英語訳を公開するなど、日本法令の国際発信に努めているほか、毎年、日本の法曹有資格者に委託し、東南アジア諸国の法律の運用や実情等に関する調査を行い、その結果を広く法務省ホームページを通じて公表しているところでございます。
 法務省としては、国際分野で幅広く活躍することができる法務人材の育成や国際ビジネスの活性化に向けた環境整備について、関係機関とも連携して必要な取組をしっかり進めてまいります。

#75
○安江伸夫君 ありがとうございます。
 しっかりとお願いを申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。

#76
○柴田巧君 日本維新の会の柴田巧です。
 このいわゆる外弁法の改正案、先ほどからも議論がなされておりますように、国際化が一段と進んでいく中で、日本企業のグローバル対応を強化しようということでありますので評価をしたいと思いますが、その上で、確認の意味を込めて幾つか法案の中身についてお聞きをしたいと思います。
 この本法律案が提出されるに当たっては、法務省と日弁連で外国法事務弁護士制度に係る検討会というものが設置をされて、そこでいろいろ議論もされ、報告書がまとまっておるわけですが、その中では、職務経験期間について、現行の三年を維持し、労務提供期間を二年まで算入し得るとする案と、この職務経験期間自体を二年間として労務提供期間を一年まで算入し得るとする案の二つが示されたわけであります。
 この本法律案では前者の案が選択をされているわけですが、先ほども関連した質問ございましたが、私の方からも改めてその理由は何なのか、お聞きをしておきたいと思います。

#77
○政府参考人(金子修君) お答え申し上げます。
 委員御指摘の労務提供期間の算入上限を拡大する案、それから職務経験要件を短縮する案、この二つの案、いずれも外国において必要とされる実務経験期間を最低一年で足りるものとする点で共通しております。職務経験要件の緩和のニーズに応えるという意味では、共通性を有しております。
 その上で、職務経験期間として外国における一定期間の実務経験を要件として課すことは、外国法事務弁護士となるための能力、資質等を制度的に担保する手段としてなお重要であると考えられるところ、職務経験要件と類似の制度を設けている外国法制におきましては、職務経験期間に相当する期間はおおむね三年又はそれ以上の年数を定めている国が比較的多いと見られることを踏まえますと、現行の三年以上という職務経験期間は現在でもなお相当なものであると考えられることから、これを短縮するのではなく、労務提供期間の算入上限を拡大する案を採用することが適当と考えられ、今回の改正案に至っているものでございます。

#78
○柴田巧君 ありがとうございます。
 それともう一つ、かねてから、先ほども共同法人の話が出ておりましたが、この共同法人の設立を認めると、外国法事務弁護士である社員が社員又は使用人である弁護士を介して日本法に関する法律事務を取り扱うおそれがあるのではないかという指摘がありました。また、この法人内部においては、個々の法律事務の処理に関する意思決定を誰が行っているのか外部から見えにくいために、外国法事務弁護士による権限外の法律事務の取扱いを確認することが難しいのではないかという意見もありましたが、この本法律案ではこれらの懸念に対してどのような対策を打っているのか、確認をしておきたいと思います。

#79
○政府参考人(金子修君) まず前提として、共同法人制度においては、外国法事務弁護士である社員は外国法に関する法律事務等に限りその業務を執行することができるものとしており、日本法に関する法律事務等を行うことは認められておりません。また、外国法事務弁護士である社員自らが法律事務を行う場合でなくても、同じ共同法人に所属する弁護士である社員等が行う日本法に関する法律事務等の取扱いに不当に関与するとすれば、実質的には外国法事務弁護士である社員が日本法に関する法律事務を取り扱うことと同視し得ることから、これについても防止する必要があると考えられるところでございます。
 そこで、今回の法案におきましては、外国法事務弁護士である社員に対し、外国法事務弁護士である社員が業務を執行する場合には資格や原資格国を表示しなければならないとした上で、自己の権限外法律事務の取扱いについて、使用人である弁護士や外国法事務弁護士に対する業務上の命令を禁止し、かつ、弁護士である社員等が自ら行う法律事務であって当該外国法事務弁護士である社員の権限外法律事務に当たるものの取扱いについての不当な関与を禁止する旨の明文の規定を設けているところでございます。
 これに加えまして、日本弁護士連合会及び弁護士会においても、実効的な監督を確保するため、業務上の命令の禁止や不当関与の禁止の規定に違反しているという疑いがある場合には、これらの機関に調査権限を与え、かつ、この調査に対する共同法人の協力義務を課す等を内容とする会則、会規の整備が行われるものと承知しております。
 これらの措置によって、不当関与に関する実効的な監督がされるものと考えております。

#80
○柴田巧君 ありがとうございました。
 さて、この法律案、本法律案では、先ほどからも出ておりますように、国際仲裁代理の範囲の拡大を図ろうとしているところでもあります。先ほども御指摘がありましたように、この国際仲裁、大変我が国は出遅れてまいりましたが、専門の審問施設が先般できた、また、この外弁法の改正案が成立することを追い風に、起爆剤にですね、いろいろと進めていかなければ、活性化を目指していかなければならないと思います。
 ましてや、その整備、あるいは人材育成、広報、意識の啓発、そして関係法制度の整備ももちろん重要ですが、実際に利用するユーザーというか、民間企業の皆さんのいろんな理解、協力、連携が不可欠だと思っております。特に、企業の法務担当者にこの国際仲裁の知識を習得してもらう、あるいは経験を積んでもらうということが大事なんだと思いますが、そういう意味では、そのサポートというのも極めて重要なことだと思っております。
 そこで、この企業の法務担当者等の国際仲裁に関与する人材の育成支援にどのように取り組んでいくのか、お尋ねをしたいと思います。

#81
○政府参考人(山内由光君) 委員御指摘のとおり、国際仲裁を活性化する上では、やはり主要なユーザーであります日本国内の企業との連携協力、不可欠でございます。やっぱりそういう意味では、企業の法務担当者を始めとする国際仲裁に関与する人材の育成を支援すること、これも重要であるというふうに考えております。
 そこで、法務省は、昨年度から一般社団法人日本国際紛争解決センターに委託いたしまして、日本企業を始めとする国内関係者に向けて国際仲裁のメリットを御理解いただくような研修やセミナーなどを実施させておりますが、このように、引き続き関係府省や日本国際紛争解決センターと連携しつつ、日本各地において同様の研修やセミナーなどを開催するなどして、この企業法務担当者を始めとする国際仲裁に関与する人材の育成支援に取り組んでまいりたいと思います。

#82
○柴田巧君 是非、この国際ビジネスが広がれば広がるほど、日本企業がいろんな紛争に直面するということは極めてこれから可能性は高くなると思いますので、バックアップのほどお願いをしておきたいと思います。
 それから、この国際仲裁を活性化していく上では、かねてから指摘というかありますが、特に中小企業などからそうですが、この仲裁人、代理人の報酬が高額でなかなか利用しにくいという点があります。確かに仲裁は訴訟に比べて費用がかさむ部分もあったりして、海外では高額な弁護士費用などを肩代わりする専門サービスがしたがって広がりつつあります。
 サードパーティーファンディング、TPFと呼ばれておりますが、民間での仲裁費用補助の方策なわけですけれども、この仲裁手続の費用を第三者が支出をするものでありますが、このTPF事業者は、弁護士費用を肩代わりをして賠償金の何割かを報酬として受け取るというものですけれども、二〇一〇年頃からアメリカ、イギリスで広まってきまして、昨今ではアジアでも着実に広がりを見せつつあります。香港やあるいはシンガポールなどは、このTPFを認める仲裁法の改正もしたと聞いております。日本では残念ながら議論が進んでおりませんが、ルール整備を急ぐべきだと思いますが。
 そこで、この国際仲裁のコスト負担の軽減を図るためにTPFなどの方策を検討すべきときに来ているのではないかと思いますが、見解をお聞きしておきたいと思います。

#83
○政府参考人(金子修君) サードパーティーファンディングですが、このサードパーティーファンディングとは、民間での仲裁費用補助の方策として、仲裁手続費用を第三者が支出する仕組みをいうものというふうに承知しております。
 その具体的な仕組みとしては様々な形態が考えられるところで、その導入の可否につきましては、海外における運用状況を調査研究するなどした上で、日本国内における法制度との整合性をも含めて慎重に検討する必要があるものと考えております。
 もっとも、国際仲裁の活性化に向けた基盤整備を行うことは非常に重要であると考えられているところ、法務省としましても、国際仲裁の活性化に向けて必要な取組を積極的に推進してまいりたいと考えているところでございます。

#84
○柴田巧君 いろいろな難しさ、問題点、課題もあろうかと思いますが、是非その負担軽減策についても真剣に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、専門仲裁でありますスポーツ仲裁についてもちょっとお聞きをしたいと思います。
 オリンピックなどの国際大会の開催中に、よく競技結果をめぐるトラブルや、あるいは代表選手のドーピング疑惑が浮上することがありますが、この際、代理人として選手をサポートするのがその開催都市の弁護士たちでありまして、この二〇二〇年の東京大会、まあ一年延びますが、そこでも活躍が期待をされております。その中心的な役割を担うのが国際的な紛争を解決するスポーツ仲裁裁判所、CASでありますが、このCASは国際大会時に紛争の申立てから原則二十四時間以内の解決を目指して臨時仲裁廷というのを開催都市につくります。したがって、この東京大会で代理人として経験を積む機会出てくるわけですが、それを生かして仲裁の、スポーツ仲裁のプロが増えていけばいいと思っておりますが、なかなか今のところ、その知見のある弁護士さんが多いというわけでもありませんし、CASの仲裁人を務めた経験がある人もたくさんいるというわけではありませんので、東京大会で臨時仲裁廷が東京に設置されることを見据えて、この国際スポーツ仲裁機関と協力連携しつつ、日本のスポーツ仲裁の活性化を図っていく必要があると思いますが、どのような取組をされるか、これはスポーツ庁にお聞きをしたいと思います。

#85
○政府参考人(豊岡宏規君) お答え申し上げます。
 スポーツ仲裁は、選手の選考、懲罰処分等のスポーツに関する紛争を迅速かつ適正に解決するための機能を有するものでございまして、選手の権利保護等を図る観点から極めて有用なものと認識してございます。
 委員御指摘のとおり、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に当たりましては、大会開催中に生じる紛争の迅速な解決のために、国際的な仲裁機関でございますスポーツ仲裁裁判所の臨時の仲裁部が都内に置かれる予定でございます。
 これに併せまして、大会期間中の仲裁手続を支援いたしますために日本国内の弁護士等がボランティアの手続代理サービスを提供する予定でございまして、その事務局を務めます公立財団法人日本スポーツ仲裁機構等におきまして、国内の弁護士に対して、スポーツ仲裁裁判所の協力も得ながら、国際スポーツ仲裁の手続等に関する研修が実施されているというふうに承知しております。
 また、スポーツ庁といたしましても、スポーツ仲裁活動の中核的な人材を育成するために、スポーツ法に造詣のある弁護士等をスポーツ仲裁裁判所を始めとする海外の仲裁機関、大学等に派遣するなどの事業を実施しておりますとともに、スポーツ団体が遵守すべき原則、規範を定めるものとして昨年策定をいたしましたスポーツ団体ガバナンスコードにおきまして、中央競技団体に対し、日本スポーツ仲裁機構によるスポーツ仲裁の自動応諾条項を原則義務付けてございます。
 このような取組を通じまして、我が国においてスポーツ仲裁に精通した人材が増加し、より質の高いスポーツ仲裁の利用がより拡大するよう促してまいりたいと考えております。

#86
○柴田巧君 是非、東京大会を機にスポーツの仲裁の活性化にもしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、大臣にお聞きをしたいと思います。
 この国際仲裁、我が国の国際仲裁を活性化するには、他国との連携協力も非常に重要だと思っています。昨年、香港法務庁との間でこの国際仲裁及び国際調停に関するいわゆる協力覚書が交換されたと思っておりますが、今のところこれ香港だけのようでありますけれども、やはり、香港以外にもやっぱり広げていく、そのことが仲裁の活性化につながるし、また、いろんなところにいろんな人材を、我が国の人材を送るきっかけにもなると思っておりますが、そういうふうに積極的に取り組むべきではないかと思いますが、大臣にお聞きをして、最後にしたいと思います。

#87
○国務大臣(森まさこ君) 委員御指摘のとおりでございます。
 法務省は、平成三十一年一月、香港特別行政区法務庁との間で国際仲裁等について協力を強化すること等を内容とした協力覚書を交換したところでございます。
 法務省においては、司法外交を推進するため、各国等の間で法務、司法分野における包括的な協力関係についての覚書の交換を推進しています。私自身、昨年十二月にタイを訪問し、ソムサック法務大臣と包括的な協力覚書の署名、交換も行いました。
 我が国における国際仲裁の活性化のためには、国際仲裁分野で十分な実績を有する国等の間で連携を強化していくことが重要と認識しています。今後とも、国際仲裁分野も含め、法務、司法分野における諸外国との連携を包括的に強化していくため、それぞれの国等との関係に応じて協力覚書の交換を推進してまいります。

#88
○柴田巧君 終わります。ありがとうございました。

#89
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
 法案について伺います。
 外国法事務弁護士とは、外国で弁護士資格を得て、日本で外国法に関する法律事務を行う者のことをいいます。法務大臣の承認と日弁連の名簿への登録が必要とされております。
 大臣に伺いますが、外国で法曹資格があるにもかかわらず、日本での活動が制限されるその趣旨は何でしょうか。

#90
○国務大臣(森まさこ君) 弁護士法第七十二条は、別段の定めがある場合を除き、我が国の弁護士又は弁護士法人でない者が報酬を得る目的で法律事務を取り扱うことを禁止をしています。その趣旨は、法律事務は他人の権利義務に重大な影響を与えるものであるため、法律に精通し、かつ厳しい職業的規律に服する弁護士等のみにその取扱いを許し、もって社会秩序の維持を図ることとしたものです。
 外国法事務弁護士制度は、この弁護士法第七十二条の例外として、外国弁護士が職務経験要件等の一定の要件を満たした場合に、法務大臣の承認を得て、外国法事務弁護士として日本弁護士連合会の名簿に登録することにより初めて外国法に関する法律事務を取り扱うことができるとしているものでございます。

#91
○山添拓君 弁護士法一条には、基本的人権の擁護と社会正義の実現を弁護士は使命とすると、こういう規定もありますが、日本の法律とその実務を知らない者が日本で弁護士活動を行うというのは権利の擁護と正義に反するおそれがあると、こういうところに趣旨があるのだろうと思います。
 前回の法改正は二〇一四年の四月でした。翌年三月に本法案の基となりました検討会が設立をされて、一六年七月には早くも報告書がまとめられております。
 前回の改正で、いわゆるA法人、外国法事務弁護士が外国法に関する事務のみを扱う法人の設立が認められて、これは一六年三月に施行されたばかりです。直ちに、B法人、日本の弁護士と外国法事務弁護士が社員となり、日本法を含めた法律事務を行う法人を認めるべきだという結論に至っております。資料をお配りしておりますが、そのきっかけは一四年六月の規制改革実施計画です。
 法務省、伺いますが、これは誰の要望に基づくものでしたか。

#92
○政府参考人(金子修君) 委員御指摘の規制改革実施計画には、増加する国際的な法的需要等を踏まえ、外国法事務弁護士制度に関し、諸外国の制度の状況を勘案しつつ、承認についての職務経験要件の基準等について、外国法事務弁護士の参画を得て、外国法事務弁護士制度に係る検討会を設置するとの記載がされておりますが、このような記載は、規制改革ホットラインにおきまして、民間団体から、民間団体からですね、現行の外弁法の規定に関し、この規則は日本人弁護士に適用される規則とは際立った対照を成している、日本人弁護士は弁護士として認定される前に弁護士資格取得後の経験を問われることはない、この慣行は差別的であるばかりでなく資格を取得した法域で既に弁護士として認められているのであるからほとんど意味を成さない、そうした規則を設けるのであれば外国法に基づく実務経験をどの程度積んできたのかといった点を重視すべきであり、場所にこだわる必要がないはずであるといった旨の意見が規制改革推進会議に提出されたことを踏まえてきたものと承知しております。
 この民間団体が、これは民間団体の指摘なのですが、この民間団体がどのような団体なのかということにつきましては、匿名であったこともあり、法務省としては承認していないところでございます。

#93
○委員長(竹谷とし子君) 答弁者は質疑の、質問の趣旨を踏まえて答弁願います。

#94
○山添拓君 これ、誰かということは公にされていますよ。確認してください。
 そして、委員長、これは速記止めてください。

#95
○委員長(竹谷とし子君) 金子部長、答弁可能ですか。

#96
○政府参考人(金子修君) 法務省として承知しておりますのは、規制改革ホットラインにおいて民間団体からの御意見だということで、承知しておりません。

#97
○山添拓君 二〇一三年十月二十九日第三回貿易・投資等ワーキング・グループ議事概要に出ております。確認してください。
 速記止めてください。

#98
○委員長(竹谷とし子君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕

#99
○委員長(竹谷とし子君) 速記を起こしてください。

#100
○政府参考人(金子修君) 先ほど申し上げたところの個別の団体名称は承知していないんですが、同種の要望が外国法事務弁護士制度に係る検討会において欧州ビジネス協会法律サービス委員会等から提出されているものと承知しております。

#101
○山添拓君 委員長、速記を止めてください。これ確認してもらわないと。

#102
○委員長(竹谷とし子君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕

#103
○委員長(竹谷とし子君) 速記を起こしてください。

#104
○政府参考人(金子修君) この第三回貿易・投資等ワーキング・グループでの発言ということであれば、その議事概要によって確認することが可能でございます。

#105
○山添拓君 それで、具体的には御説明いただけないのですか。

#106
○政府参考人(金子修君) これは団体ということではございませんが、乘越秀夫外国法事務弁護士、崎村令子外国法事務弁護士が出席されて発言されているものと承知しております。

#107
○山添拓君 今の乘越弁護士というのはベーカー・マッケンジー法律事務所ですが、外資系の大手の事務所ですね。
 規制改革ホットラインへの提案というのは、職務経験要件を廃止せよというものでありました。法務省はこれに対して対応不可だと回答していたんですね。ところが、翌年の実施計画では、検討会を設置し、見直しが方向付けられております。この日の僅か一時間程度の議論でこれ結論出されているんですね。その背景には、米国通商代表部が更なる自由化を求めていることにも端的に現れておりますが、日本市場への参入を狙う米国あるいはその企業などの要望に沿うものだと言えます。
 現行法では、三年以上の職務経験、そのうち一年まで日本での労務提供期間を算入できると。法案は、その労務提供期間を二年まで算入可能とするものです。
 先ほども議論ありましたが、職務経験要件というのは、外国法事務弁護士の能力、資質、倫理を制度的に担保する、依頼者保護と我が国の法秩序を維持するためのものです。したがって、それは単なる労務提供ではなく、弁護士としての職務経験であることに意味があると思うんですね。一九八七年の法施行時に法資格を取得した国で五年とされていたのが、改正のたびに緩和をされてきました。
 大臣、伺いますけれども、これ、職務経験要件というものをちょっと軽視し過ぎなんじゃないでしょうか。

#108
○政府参考人(金子修君) 職務経験要件について軽視し過ぎだという御意見がございました。
 もちろん、正式な資格に基づいて活動するのと労務提供とは質が異なります。しかし、現行法における職務経験要件トータルで三年というのを維持しているということで、職務経験要件を軽視しているというわけではございませんし、それから、我が国における労務提供期間につきましても、これは、若手が日本において言わばサポートをするあるいは外国法の実務についていろんな調査をするというような形で経験を積むということでも十分それは目的を達するんではないかというふうに考えております。

#109
○山添拓君 私は、この職務経験要件というのは、単に職務をすればよいということではなく、やっぱり弁護士としての職務だと思うんですね。いろんな知識に基づいて法的なアドバイスをするとか調査をするとかそういうことだけにとどまらず、そこには依頼者との関係やあるいは交渉技術やそうしたことも含まれると思うんですよ。ですから、これを重視しなければならないし、軽視してはならない。
 資料の二ページを御覧ください。例えばアメリカです。アメリカはそもそも二十二州では受入れ制度自体がありません。制度のある二十八州のうち、ニューヨーク州などでは直前の五年中三年、カリフォルニア州などでは直前六年中四年、フロリダ州などは直前七年中五年、ルイジアナ州などは直前五年中五年、職務経験要件があります。期間自体日本より長いですし、労務提供期間の算入を不可だとしている州も多いわけです。
 報告書は、現行法の職務経験要件を維持することに合理性があるとする意見と緩和すべきだという意見を併記した上で、理由を付すことなく、何らかの形で緩和する可能性を検討するとしております。これは緩和ありきだと思います。
 法務省、伺いますが、労務提供期間について日弁連は検討会でどのような懸念を指摘しておりましたか。

#110
○政府参考人(金子修君) 第三回外国法事務弁護士制度に係る検討会におきまして、労務提供期間の在り方について、日本弁護士連合会から概要、次の二点のような意見が出されております。
 一つ目は、現行外弁法は、日本における労務提供と原資格国における法律実務の提供とは質が異なることを前提に、職務経験要件の例外として日本における労務提供期間を算入できるとしていると理解すべきであり、これを同質に捉えて議論することは、このような現行法の基本的な制度設計に反する。職務経験要件に一定の合理性が認められるのは、これにより、資質のみならず、弁護士としての倫理にも欠けることがなく一定の期間を過ごしたことを証明するものであることからすると、これを労務提供で全てを置き換えてよいということにはならないという意見が示されたと承知しております。

#111
○山添拓君 私は、この懸念に対して答えを出すことなく今回の法案は結論付けられていると指摘しなければならないと思います。
 次に、いわゆるB法人の問題です。
 これは従来から二つの懸念が指摘されており、先ほども議論がありました。外国法事務弁護士が共同経営者や従業員である日本の弁護士を介して、本来は認められない日本法に関する法律事務を扱うことにならないか、また、個々の法律事務処理の意思決定を誰が行っているのかが外部からは見えにくい、権限外の行為を行っているかどうかを確認しにくいという点であります。
 検討会の報告書は、これらの懸念について、B法人という業態を取ることでその危険性が高まるとは考えられないとしておりますが、その理由が述べられていないんですね。
 弁理士会からは、やはり懸念はあるんだと。さらに、今回、B法人の導入と職務経験要件の緩和によって経験の浅い外国法事務弁護士が日本に大量参入することが容易になると、そのために不当介入や意図せぬ技術情報流出の懸念が桁違いに増加すると予想される、こういう懸念が表明されました。
 資料の四ページには、全国青年税理士連盟からの要望が出されておりますが、これ、外国法事務弁護士には認められない税理士業務をB法人としては行い得ることになる、これは税理士制度を根本から覆しかねない、こういう懸念も指摘されております。
 大臣、これらの懸念を払拭できるという根拠はあるんでしょうか。

#112
○国務大臣(森まさこ君) 共同法人の社員である外国法事務弁護士が取り扱うことのできる業務は外国法に関する法律事務等に限られており、日本法に関する法律事務等を取り扱うことは認めておりません。
 もっとも、外国法事務弁護士が同じ共同法人に所属する弁護士が行う日本法に関する法律事務などの取扱いに不当に関与するとなれば、実質的には外国法事務弁護士が日本法に関する法律事務を取り扱うことと同視し得るため、御指摘のような不当関与の懸念についても防止する必要があると考えます。
 そこで、本法案においては、外国法事務弁護士が自身の権限外の法律事務に関し、弁護士等に業務上の命令をすることや弁護士等の行う法律事務に不当に関与することを禁止する旨の明文規定を設けることとしております。そして、この規定に違反した場合には、日本弁護士連合会等による懲戒処分の対象となります。このような措置により、不当関与の懸念に手当てをされているものと考えております。

#113
○山添拓君 今の禁止規定だけでは懸念が拭えないから一四年の改正では見送られたはずです。ところが検討会は、これ僅か六ページの報告書なんですね、こうした懸念は杞憂にすぎないと、こう言わんばかりです。この点でも、私はまともな検討がされたとは言い難いのではないかと指摘をさせていただきたい。
 さらに、今、TPP協定の附属書十のAには、弁護士の懲戒基準の緩和、あるいは現行法にある在留基準の撤廃、さらには一定の期間内なら国内で登録されていなくとも外国法事務を認める規制緩和を促す、こういう内容まで含まれております。
 外圧ですとか規制改革会議などで決まれば、それに従って緩和を進める、こういうやり方は改めるべきだということも指摘をいたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

#114
○高良鉄美君 沖縄の風の高良鉄美でございます。
 外弁法改正における国際的な法務人材育成の必要性についてお伺いいたします。
 今回の外弁法改正案では、外国法事務弁護士等による国際仲裁事件及び国際調停事件の手続代理の充実が図られています。先ほども言及がありましたけれども、二〇二〇年三月には東京虎ノ門に日本国際紛争解決センターが開設され、今回の法改正と併せて、国際仲裁、国際調停の活性化のための環境整備は着実に前進するものと思われます。
 一方、この国際仲裁、国際調停の活性化のためには、国内における法務人材の育成も必要不可欠です。国際紛争解決センターは、法務省から国際仲裁活性化基盤整備調査も委託されていると承知していますが、先ほどもありましたけれども、人材育成、特に英語力を前提とした法務人材育成は、遅くとも大学やロースクールの段階で留学、インターン、国際法務プログラムの履修、国際模擬法廷への参加などの経験を積ませながら進めていく必要があり、国等の積極的関与が必要だと思います。これについては、先ほど安江委員の方からの質問の中で衆議院の附帯決議にありましたけれども。
 そこで、国際仲裁、調停の担い手となり得る法務人材について、大学やロースクールの段階における育成の現状及び検討状況についてお伺いします。よろしくお願いします。

#115
○政府参考人(森晃憲君) 御指摘の国際仲裁、調停の担い手となり得る法務人材を始め、多様化する社会の法的需要に応えて様々な分野で活躍できる法曹の養成は重要な課題でございまして、各法科大学院では先端的な法領域に関するカリキュラムの充実が図られているところでございます。
 その中で、例えば、神戸大学法科大学院における海外の法律事務所でのインターンシップへの派遣や英語による調停ワークショップへの派遣、また、上智大学法科大学院におきます英文契約書を含む国際的なビジネス紛争を題材に模擬仲裁を実施する国際ADRワークショップなどの例があると承知をしております。
 文部科学省といたしましては、各法科大学院が国際仲裁、調停の担い手となり得る法務人材を始め有為な人材を育成、輩出できるように、本年四月から施行される改正法を踏まえながら、めり張りある予算配分や好事例の普及などを通じまして、法科大学院教育の改善充実に取り組んでまいりたいと考えております。

#116
○高良鉄美君 今ありましたけれども、そもそも法科大学院の設置基準の中に国際化というのが入っていて、このような問題というのはスタートのときから意識をしてやるべき問題だっただろうと思います。そして現在、あったように、幾つかの法科大学院ではもうそういうものを既に行っているということですけれども、琉球大学においても、二〇〇四年のスタートのときから日本では一番早くハワイ大学とのプログラムを、交流プログラムを策定して実施をしました。その中で、この国際調停、仲裁の問題、こういったことをいろいろそこではもう広く開かれておりました。そういったことを踏まえると、かなり遅いんじゃないかと私はむしろ思います。
 次の質問に移りますが、中小企業に対する配慮の必要性についてお伺いします。
 二〇一八年一月、国際仲裁の活性化に向けた関係府省連絡会議幹事会の決定に基づき、法務省と経済産業省において国際仲裁の活性化に関するヒアリングが実施され、仲裁実施機関、経済団体、民間企業等から様々な措置、指摘がされたと承知しております。
 経済団体からは、中小企業については、海外での仲裁に堪え得る人材がいないため、日本で仲裁を行うことができれば負担が軽くなるという指摘がされています。また、仲裁機関からは、中小企業向けのセミナーにおいて国際仲裁のメリットを紹介した際の中小企業の反応を踏まえると、日本を仲裁地とすることへのニーズが大きいと指摘されています。中小企業については、仲裁に関する費用の負担感が大きく、手続費用の一部を政府が助成する措置を求める意見が経済団体及び仲裁実施機関から述べられたと承知しております。中小企業では紛争解決条項の重要性や仲裁制度への理解が必ずしも進んでいないことから、国際仲裁の活性化に向けたニーズを発掘する上でも意識啓発が必要であると指摘されたようです。
 利用者である企業、特に中小企業に対して国際仲裁等の利用を促すための方策は検討されているんでしょうか、経産省の見解を伺いたいと思います。

#117
○政府参考人(渡邉洋一君) お答えいたします。
 国際仲裁は、一般的に、裁判の手続と比較いたしまして、一審で終了するという迅速性、また紛争処理の内容が公表されないという非公開性などの点でメリットもあるというふうに理解をしておりまして、外国企業と取引をする上で紛争解決の重要な手段の一つであると認識をいたしております。既に国際仲裁を活用している日本企業もある一方で、やはり、特に中小企業におきましては、国際仲裁の意義や有用性などに関する理解が十分ではないという指摘もされていると承知をしております。
 経済産業省といたしましては、海外に展開するあるいは海外への展開を検討する中小企業などの皆さんに対して、ジェトロが主催するようなセミナーなどで国際仲裁に関するセッションを設けるなどいたしまして、国際仲裁に関する普及啓発に力を入れているところでございまして、引き続き、法務省や関係機関と連携してこうした活動をしっかり行っていきたいというふうに考えております。

#118
○高良鉄美君 中小企業、特に日本の産業を支えているという、下支えをしているということがありますので、大企業ももちろんそうですけれども、中小企業も今のように啓発のプログラムを含めて是非前進させていただけたらと思います。
 それでは、ちょっと外国人弁護士ということについて。外国人で日本国籍を持たずに日本の法曹資格を持っている弁護士がいます。先ほどの、本来のこの提案されている改正案の外国人弁護士とちょっと違うんですけれども、ちょっとこの関連の質問をしたいと思います。
 そして、調停というのも、日本の民事調停あるいは家事調停というのが既にありますけれども、国際仲裁、国際調停というものとはちょっと違って、日本の法律の下でやっているものですけれども、民事調停委員あるいは家事調停委員の任命に関して外国籍の者を排除しているという問題について伺います。これは、外国籍であるけれども日本の司法試験を通って日本で弁護士として活躍している方ですね。
 現在、多くの弁護士が弁護士会から推薦されて調停委員、司法委員、参与員などとして活躍されています。しかし、外国籍の弁護士は法律上の要件を満たしていてもこの委員に採用されることはありません。外国籍であるというだけで排除されています。
 そこで最高裁に伺いますが、外国籍の者を排除している法的根拠をお示しください。

#119
○最高裁判所長官代理者(堀田眞哉君) お答え申し上げます。
 調停委員も非常勤の裁判所職員として公務員に当たるわけでございますが、公権力の行使又は国家意思の形成への参画に携わる公務員となるためには日本国籍を必要とするのが公務員全般に関する当然の法理であると解されておりまして、公務員の国籍要件の規定の在り方については、公務員に関する法体系全体のバランス等を踏まえた公務員全般の問題として検討される必要があると考えているところでございます。
 民事調停委員、家事調停委員の法令上の権限、職務内容等といたしましては、裁判官とともに調停委員会を構成いたしまして、通常、裁判官一人、調停委員二人というものが多いわけでございますが、そういった形で調停委員会を構成いたしまして、調停の成立に向けて活動を行い、調停委員会の決議はその過半数の意見によるとされておりますこと、調停が成立した場合の調停調書の記載は確定判決と同一の効力を有すること、調停委員会の呼出し、命令、措置には過料、過ち料の制裁があること、調停委員会は事実の調査及び必要と認める証拠調べを行う権限を有していること等がございまして、これらによりますと、調停委員は公権力の行使又は国家意思の形成への参画に携わる公務員に該当し、その就任には日本国籍を必要とすると考えているところでございます。

#120
○高良鉄美君 今、久しぶりに当然の法理というのを聞きましたけれども、法教育にもう携わって長いんですが、当然の法理というのはもう死語じゃないかと私は思っていたんです。
 これは一九五三年の内閣法制局の解釈なんですよね。法律上はどこにも、この民事調停委員に関する、法律あるいはそういった規則等にもそれは入っていないんですね。だから、法的根拠としては当然であるということについて、これ解釈があったんでしょうけれども、それが法の支配とか、あるいはもう憲法の規定、平等の問題とか、そういったことからするとどうなのかなというのを、大いに疑問があります。
 そして、公権力の行使とおっしゃいましたけれども、過去に外国籍の者が任命されて十四年間調停委員として任務を遂行して何ら問題がなかったと。国際化、グローバル化ということに伴って、外国人就労の促進からすると、外国籍を持つ者が調停委員として参画することは、多様な当事者の実情に即した紛争解決という観点において調停制度を充実させることに役立つんじゃないかと、多文化共生社会の実現にも資するのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

#121
○最高裁判所長官代理者(堀田眞哉君) 調停委員の任用に当たりましては、法律の専門家ばかりでなく、豊富な社会経験、人生経験を持つ良識豊かな方や、法律以外の分野での専門的な知識、経験を備えた方を迎える必要があると認識しておりまして、現在も社会の多様な分野で活躍されている方々、例えば弁護士、医師、大学教授、農林水産業、商業、製造業、宗教家等、多様な分野の方が調停委員として任命されているところでございます。
 今後も、国際化の進展等の社会の変化に応じまして、当事者が様々なバックグラウンドを持っていることも踏まえて、そのニーズに応えることができるよう多様な人材を確保していく必要があると考えているところでございますが、先ほど御説明申し上げたような理由から日本国籍を有しない方を調停委員に任命することは難しいと考えているところでございます。

#122
○高良鉄美君 調停委員の委員会の構成を今おっしゃいました、裁判官とお二人の調停委員であると、民事調停委員ですね。その中でお一人が弁護士会から推薦をされている。それなのに、そして多数決をしたところで、これは別にこの外国籍の弁護士の方の意見が直接反映されるわけじゃないですよね、多数決をしてしまえば。そういう中でどうしてなのかということが分からないわけですね。
 この時代、その当時、当時というか一九五三年の内閣法制局の解釈をした時期と現在とは全く違うから、この外弁法の改正だってあるんじゃないですか。そういった点を考えると非常に、もう七十年ぐらい前なんですよ、そういったところをまだ使っているというのが非常に私は疑問があります。
 そして今、国際的なと言いましたけれども、外国籍の者を排除しているという点において、国連人種差別撤廃委員会から二〇一〇年、二〇一四年、一八年と三回勧告を受けています。度重なる厳しい勧告をどのように受け止めていらっしゃいますかということと、それから、このような形でやっていると憲法の平等の問題やらありますけれども、この国際条約ですね、人種差別撤廃条約、これ憲法の九十八条で、日本が締結した条約及び確立された国際法規はこれを誠実に遵守することを必要とすると言って、この勧告というのはその手続の中なんですね、条約実施をする。どうしてそれを、わざわざ最高裁が進んで憲法違反を言っているようなもので、実施しているようなもので、だから、こういうことからするとどうなんですかということで、どのように、その勧告をどのように受け止めますかということについてお伺いしたいと思います。

#123
○委員長(竹谷とし子君) 堀田人事局長、お時間が過ぎておりますので、簡潔に御答弁お願いします。

#124
○最高裁判所長官代理者(堀田眞哉君) 御指摘のような勧告を受けていることはもちろん承知しているところでございますが、先ほど御説明したような理由から、日本国籍を有しない方を調停委員に任命することは難しいと考えているところでございます。

#125
○委員長(竹谷とし子君) 高良鉄美君、おまとめください。

#126
○高良鉄美君 はい。
 是非、当時の状況とは違っているということをお話をして、この外弁法の改正の趣旨にも合うように是非前向きに検討していただければと思います。
 ということで、質問を終わりたいと思います。

#127
○嘉田由紀子君 碧水会の嘉田由紀子でございます。
 本日のテーマであります外弁法関連の質問に入ります前に、前回、時間切れで二問の質問をできませんでした。待機していただいた皆様にはおわび申し上げます。
 まず最初に、前回のやり残しでございますけれども、子供の養育費の問題についてずっと継続的に話題提供させていただいております。離婚後の子供の言わば幸せづくりのためにというところで、一貫して質問させていただいております。
 この法務委員会でも、小野田議員が養育費支払の重要性を強調しておられました。同時に、小野田議員は、会わなくても死にはしないけどと言っておられました。法務大臣も積極的に養育費に対応なさっておられます。
 もちろん望ましいことでありますが、今年の一月二十七日に、しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長の赤石千衣子さんやNPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹さんたちが養育費の取立て確保に関する要望書を森法務大臣に提出しておられます。資料一としてお配りいたしました。この要望書には、養育費の立替払制度の導入の要望項目に追加して、共同親権問題など親権の在り方とはリンクさせないことという項目があります。このことについて、森法務大臣、どう受け止めておられるでしょうか。
 子供の最善の利益を考える上で、金銭的側面のみならず、精神的、社会的側面は重要であります。養育費と面会交流は車の両輪と考えますが、なぜ一方の養育費にのみ、法務大臣、積極的に対応なさるんでしょうか。認識をお願いいたします。

#128
○国務大臣(森まさこ君) 離婚後の共同親権制度を含む父母の離婚後の養育の在り方については様々な御意見があるところでございますが、委員が今おっしゃった離婚後の子供の幸せづくりというところについては私も同意するところでございます。やはり何事も、やはり子供の幸せ、子供の利益を第一に考えて進めるべきであるというふうに考えております。
 その中で、養育費の支払の問題も面会交流の問題も、どちらもとても大切な問題だというふうに思っておりますが、両者がリンクするかしないかということについては様々な御意見があるというふうに承知をしております。
 私としては、養育費の支払確保の方策と離婚後の共同親権制度の導入の当否の問題は必ずしもリンクするものではないと認識しておりますけれども、先ほどの面会交流の問題も含め、いずれも子の利益に関わる重要な課題であるというふうに考えております。
 実際にも、離婚後共同親権制度の導入の当否については、その重要性に鑑み、家族法研究会の担当者に対し、実際に離婚を経験した当事者や心理学等の研究者の声も聞きながら検討を進め、その際には、離婚後の共同親権制度の導入に積極的な立場、慎重な立場の双方から意見を聞くことが必要であるというふうに指示をしているところでございます。今後も家族法研究会における議論の推移を注視してまいります。

#129
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
 家族法研究会での双方の立場からの意見ということでございますので、そこは現状を見ながら、また未来に向けてということで議論していただきたいと思います。
 以下は私の感想でございますけれども、一人親家庭の孤立、あるいは一人親家庭の貧困というのが大変問題でございまして、そこについて、赤石千衣子さんたちしんぐるまざあず・ふぉーらむは、かなり熱心に研究もし、また実践活動しておられます。ロビーイングもなさっておられます。もちろん、そういう方たちが様々な懸念を持っているのは理解をするところですが、そもそも片親親権であることが孤立やあるいは貧困につながっているのではないかと、私、常々これまでも申し上げておりますので、その辺りのところをきっちりと法的な、構造的な問題を今後詰めていただきたいと思います。是非、研究会の方でもその法的、構造的な連携について議論していただきたいと思います。
 さて、その面会交流の必要性ですけれども、「子ども中心の面会交流」という著書があります。ここでは、弁護士、法学者、家裁の元判事など、十数名の専門家の方が面会交流の基本的考え方、運用状況について議論をしておられます。全体としては面会交流には後ろ向きとも読める書物ですが、その中に「かっこいいお父さん」という記述があります。
 具体的に引用させていただきますと、親子の交流は一生継続するものである、子供が小さいときに会えないからといって、親子関係が一生損なわれたりするものではない、思うに、面会できないとしても、別居している子供が経済的に困らないように今以上に精力的に働いて養育費を送信してあげるようなかっこいいお父さんであれば、成人になってからも必ず頼られる存在となるとS弁護士が記述をしておられます。
 この中身については資料二として添付しておられます。ここでは、非監護親、多くの場合は父親ですけれども、養育費さえ払えば面会交流はそれほど必要ないとおっしゃっているように聞こえます。
 私の知り合いの具体的な例ですけれども、十年前に子供をある日突然元妻に連れ去られ、DVを冤罪としてつくり上げられ、子供に会えない中で、あなたはATM、つまりお金だけ払う存在と言われ続け、それでも毎月何万円も払い続けてきているという例があります。いまだに子供には面会できておりません。父親は単なるATM、現金自動支払機なのか。
 そこで、最高裁判所さんにお聞きします。
 家庭裁判所調査官の中には児童心理学の専門家もいらっしゃいますが、非監護親による面会交流の必要性について、理念上、また実務上、どのような認識をなさっておられるでしょうか。お願いいたします。

#130
○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。
 実務上、個々の事案につきましては、それぞれの事案における個別具体的な事情を踏まえた個々の裁判体の判断となるところでございます。その上でのあくまで一般論となるところでございますが、面会交流の適切な実施等を通じて父母の双方が適切な形で子の養育に関わることは子供の利益という観点から重要であると考えられるところでございます。

#131
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。父母の双方が適切に関わることが子供の利益になるという御判断でございます。
 法務大臣はこの問題についてどうお考えになりますか。

#132
○国務大臣(森まさこ君) 私いつも申し上げましているとおり、父母が離婚した後であっても、父母のいずれもが親であることは、子供にとっていずれもが親であることは変わりないわけでございます。したがって、一般論としては、父母の離婚後も適切な形で面会交流が実施されることは、子の利益にかなうのであれば、子の利益の観点から非常に重要であると認識しております。
 個々の事例は様々なものであるというふうに承知をしておりますが、先ほど申し上げた家族法研究会では、父母の離婚後の子の教育の在り方として面会交流を促進する方策もまたこれも検討されていると承知をしております。私からは、担当者に対し、家族法研究会に積極的に議論に関与するようにというふうに指示をしているところでございます。あっ、子供の養育の在り方のところを教育というふうに言ってしまいまして、申し訳ございません、訂正いたします。父母の離婚後の子の養育の在り方であります。
 子供の利益に関する問題であることを踏まえて、早期に充実した取りまとめができるように、法務省としてもしっかり検討を進めてまいります。

#133
○嘉田由紀子君 これは理念というか、家族とは何か、人間とは何かという問題に関わるんですけれども、子供の連れ去りに関わって多くの父親たちがかなり人間性を無視され、今のように、あなたはATMと、現金自動支払機と言われるようなことが、ある意味で法曹界の方たちが教唆をするような形で動いているという実態も見ております。
 ここで、あなたはATMというので逆に思い出すんですが、二〇〇七年だったと思いますが、第一次安倍内閣のときに当時の柳澤伯夫厚労大臣が少子化問題を論じる中で、女性は子供を産む機械、装置という発言をなさいました。まあ御本人もそこは反省をなさり、訂正なさり、そして安倍総理の厳重注意で退任まではいきませんでしたけれども、このような、まさに女は子供を産む機械、装置と、明治民法以来の女の腹は借り物という思想でございますけれども、女性は子供を産む機械、まさに手段とされる、男性は経済、お金、現金自動支払機、こういう思想そのものが今大きく問われている。まさに法の下の男女平等というところでは、男性も女性も子育てに関わりながら家族を育てるという法の下の男女平等を考えると、共同で離婚の後も子育てに関わるというのが今の時代の新しい流れであると私自身は考えております。
 これは答弁を求めませんが、そういう中で、男は単なる経済的働き手、女は単なる子供の産み手という二極分化した男女役割の発想、これを超えるのが共同養育、共同親権の思想だと思います。それだけに、全世界で、先進国の中で日本だけがこの単独親権、取り残されているということも大きく国際的な中で見るべきだろうと、意見を述べさせていただきます。
 三点目、外弁法関連ですけれども、まさに今の法の下の平等というところで、国際ビジネスと人権に関する指導原則についてお伺いしたいと思います。
 時間がありませんので端的に申し上げますが、今回のこの特措法の改正についても、ビジネスと人権に関する行動計画がどこまできちんと埋め込まれているのか、障害者や女性、LGBT、外国人等を含めた法の下の平等の論点も大変大事だろうと思っております。
 そういうところで法務大臣にお聞きしますが、法務省としての行動計画策定に当たっての課題、日本におけるビジネス上の人権状況の改善に向け、期待する効果はどのようなものがございますでしょうか。端的で結構ですので、お願いいたします。

#134
○国務大臣(森まさこ君) 企業の活動が人権に与える影響については国際的な関心が高まっており、企業活動における人権の尊重は新たなグローバルスタンダードになりつつあると認識をしております。
 日本としては、国連のビジネスと人権に関する指導原則を支持しており、これを着実に履行するため、現在、外務省が事務局を務めるビジネスと人権に関する行動計画に係る関係府省庁連絡会議において我が国の行動計画の策定が進められております。
 法務省としては、引き続きこの行動計画の策定作業に必要な協力を行ってまいりたいというふうに考えております。

#135
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
 時間が来ました。これで終わります。失礼します。

#136
○委員長(竹谷とし子君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

#137
○山添拓君 日本共産党を代表し、外弁法改定案に反対の討論を行います。
 本法案のうち、国際仲裁、国際調停の代理範囲を拡大する規定の整備については、国際私法事件の解決手段として国際仲裁が主流となりつつあることから、必要性が認められ、反対するものではありません。
 反対理由の第一は、共同法人制度の導入により、日本の弁護士にのみ職務権限が認められる法律事務について、外国法事務弁護士が介入する懸念が払拭できない点です。
 法律事務を特定して行われる外国法共同事業と比較して、個々の法律事務の処理に関する意思決定を誰が行っているのか外部からは見えにくく、権限外の法律事務の取扱いを外部から監視することは困難です。不当関与禁止規定があるとしても、外国法事務弁護士が日本法を扱う道を開くことになりかねません。
 反対理由の第二は、外国法事務弁護士の職務経験要件の更なる緩和に合理性がない点です。
 職務経験要件は、外国法事務弁護士の能力、資質、倫理の水準を制度的に担保することにより、依頼者の権利を擁護し、日本の法秩序を維持することを目的とするものです。司法制度の在り方、弁護士の職責と倫理に深く関わる問題であり、国際経済や規制緩和といった要請を優先して安易に扱われるべきではありません。原資格国における法曹資格に基づく職務と日本における資格に基づかない労務提供とは質的に異なります。日本における労務提供期間一年の算入はあくまで例外であり、これを延長し、三年の職務経験のうち二年までを法曹資格に基づかない労務提供でよしとするのは、制度趣旨に反するというべきです。
 外弁法は、米国通商代表部を始め、外国弁護士の自由化を求める外圧を受け、累次にわたり改定されてきました。本法案は、規制改革会議での短時間の審議で方向付けられ、検討会で十分な議論を経ることもなく結論付けられています。事は日本の司法制度と権利擁護に関わる問題であり、なし崩しの規制緩和を認めるべきではないことを指摘し、反対討論とします。

#138
○委員長(竹谷とし子君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

#139
○委員長(竹谷とし子君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、有田君から発言を求められておりますので、これを許します。有田芳生君。

#140
○有田芳生君 私は、ただいま可決されました外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲・国民.新緑風会・社民、公明党、日本維新の会、沖縄の風及び碧水会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
 一 企業の国際取引の増加等に伴い需要が拡大している外国法サービスや、本法の施行により我が国でも活性化が期待される国際仲裁及び国際調停の担い手となり得る日本の弁護士その他の法務人材の養成に向けて、人材育成その他の必要な取組を行うこと。
 二 日本法令の外国語訳を迅速に提供するなど、我が国における国際仲裁及び国際調停、ひいては国際ビジネスの活性化に向けた環境整備に取り組むこと。
 三 弁護士・外国法事務弁護士共同法人制度について、本制度を利用した外国法事務弁護士による権限外の業務に対する不当関与等の懸念が示されていることを踏まえ、本制度の運用状況を注視し、必要に応じて更なる措置を講ずること。
 四 弁護士・外国法事務弁護士共同法人制度における外国法事務弁護士が執行できる業務の範囲及び権限外の業務に対する不当関与の禁止の規定等について、企業を含む関係者に対し、十分な周知・説明を行うこと。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

#141
○委員長(竹谷とし子君) ただいま有田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

#142
○委員長(竹谷とし子君) 多数と認めます。よって、有田君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、森法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。森法務大臣。

#143
○国務大臣(森まさこ君) ただいま可決されました外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと思います。

#144
○委員長(竹谷とし子君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#145
○委員長(竹谷とし子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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