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2020/03/30 第201回国会 参議院 第201回国会 参議院 厚生労働委員会 第7号 令和2年3月30日
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2020/03/30 第201回国会 参議院

第201回国会 参議院 厚生労働委員会 第7号 令和2年3月30日

#1
令和二年三月三十日(月曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         そのだ修光君
    理 事
                石田 昌宏君
                小川 克巳君
                足立 信也君
                石橋 通宏君
                山本 香苗君
    委 員
                片山さつき君
                自見はなこ君
                島村  大君
                高階恵美子君
                羽生田 俊君
                馬場 成志君
                藤井 基之君
                古川 俊治君
                本田 顕子君
                川田 龍平君
                田島麻衣子君
                田村 まみ君
                芳賀 道也君
                福島みずほ君
                下野 六太君
                平木 大作君
                東   徹君
                梅村  聡君
                倉林 明子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉岡 成子君
   参考人
       日本商工会議所
       産業政策第二部
       長        湊元 良明君
       東京大学社会科
       学研究所教授   玄田 有史君
       日本労働組合総
       連合会副事務局
       長        石田 昭浩君
       日本労働弁護団
       幹事長      水野 英樹君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
    ─────────────

#2
○委員長(そのだ修光君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 雇用保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案の審査のため、四名の参考人から御意見を伺います。
 御出席いただいております参考人は、日本商工会議所産業政策第二部長湊元良明君、東京大学社会科学研究所教授玄田有史君、日本労働組合総連合会副事務局長石田昭浩君及び日本労働弁護団幹事長水野英樹君でございます。
 この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
 皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。
 次に、議事の進め方について申し上げます。
 まず、湊元参考人、玄田参考人、石田参考人、水野参考人の順にお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず湊元参考人からお願いをいたします。湊元参考人。

#3
○参考人(湊元良明君) 日本商工会議所の湊元でございます。
 雇用保険法等の一部を改正する法律案について、日本商工会議所としての意見を述べさせていただきます。
 社会保障、労働分野において中小企業が対応すべき課題は働き方改革への対応を始め多種多様であり、まさに懸命に取り組んでいるところであります。
 今回、雇用保険法等の一部を改正する法律案については、日本商工会議所からも労働政策審議会に参加し議論を行ってきたものです。改正内容について評価する点を述べつつ、中小企業の視点から意見を申し上げます。
 まず、高年齢者雇用安定法の改正について申し上げます。
 日本商工会議所では、政府において七十歳までの就業機会の確保というテーマについて議論が始められたことを受け、二〇一八年十月から十二月にかけて高齢者雇用の拡大に関する調査を実施いたしました。全国二千強の中小企業から回答を得た生の声も踏まえて、二〇一九年四月には高齢者の活躍推進に向けた意見を取りまとめました。人手不足が深刻化する中で、元気で意欲のある高齢者の就業機会を拡大し、更に活躍を推進していくことは極めて重要であります。
 他方、企業にとって高齢者の雇用は、体力や意欲等の面で個人差が大きいことや、若年層の採用の阻害になるなど組織の若返りの面での課題が指摘されております。
 したがって、高齢者の雇用は柔軟かつ自由度がある方法で進めていくことが必要であります。こうした考えに立ちまして、これまでの労働政策審議会における議論でも意見を述べてまいりました。そうした観点から二点申し上げます。
 一点目は、全体として各企業の実情に応じて柔軟に対応していくことが可能な仕組みとなっていることは十分に評価できると考えます。
 具体的には、六十五歳までの雇用確保に関するこれまでの制度改正の経過も踏まえて、まずは努力義務によることとした点、六十五歳までとは異なる多様な選択肢を加えた点、措置の対象者について基準を設けることも可能とした点、特に、雇用によらない措置である創業支援等措置については、労使双方が納得して制度を導入することを担保する仕組みとして労使で同意を得ることとした点について、現実的でバランスの取れた案になっていると考えます。
 今後、高年齢者就業確保措置の実施及び運用に関して国が指針等を示していくことになると理解しておりますが、労使での話合いや企業の実務が円滑に行うことができるよう、企業の実態に即したものとなることが重要であると考えております。
 二点目としては、法案が成立した場合に、実際に各企業が積極的に取組を進めていくために国としてしっかりと支援していただくことが重要であると考えております。
 新たな仕組みに対応する中小企業の現場に配慮いただき、まずは令和三年四月一日とされている施行までの間に幅広く丁寧に周知を行っていただきたいと思います。また、高齢者雇用に関する相談支援体制の強化や好事例の把握、横展開なども進め、各企業が具体的なイメージを持って対応できるように支援していただきたいと思います。
 雇用保険制度については、財政面での改正内容について二点申し上げます。
 まず、育児休業給付の位置付けの見直しと経理の区分について、今回の改正が失業者への給付と育児休業給付のどちらも安定的な給付を行うための改正であることは評価するものであります。
 一方、育児休業給付が雇用継続を支援するための給付として雇用保険制度の中に設けられたものでありながら、国の少子化対策のための役割も背負うこととなり、そうした観点で給付率の拡充が行われてきたことも事実です。育児休業を取られる労働者が増え、仕事と生活の両立が進むことは企業としても支援していきたいと考えていますが、少子化対策は本来は国が責任を持って実施していくべきものであります。したがいまして、育児休業給付については、その財源も含めて中長期的に在り方を検討していくべきであることを申し上げたいと思います。
 また、今回の法律案では雇用保険料について〇・二%引き下げる措置を二年間講じることが盛り込まれています。
 さきに申し上げたとおり、中小企業は社会保障、労働分野の様々な課題に対応しつつ経営を行っており、支援策を求める企業からの声を耳にしております。そうしたことから、予期せぬ経営環境の悪化にも対応できる積立金残高を確保することにも留意しつつ、雇用保険の失業等給付の保険料率の引下げが二年間延長されることは、今般の新型コロナウイルス感染症への対応に日々苦闘している中小企業の立場からも評価しております。
 一方で、国庫負担については、保険料の引下げとともに負担割合を引き続き引き下げることは、雇用保険部会報告書で苦渋の選択とまとめられているとおり、やむを得ないものとしましたが、国庫負担の本則に戻すためのロードマップを早急に定め取り組んでいただきたいと考えております。
 現在は新型コロナウイルス感染症の対応に国を挙げて取り組まれていますし、中小企業も企業活動の維持、雇用維持にまさに歯を食いしばって全力を尽くしております。今後の経済や雇用の状況を注意深く見ていきながら、引き続き的確な対応をお願いしたいと思います。
 日本商工会議所からの意見は以上となります。どうもありがとうございました。

#4
○委員長(そのだ修光君) ありがとうございました。
 次に、玄田参考人にお願いいたします。玄田参考人。

#5
○参考人(玄田有史君) 本日は、国会に提出されている雇用保険等の改正法案に関しまして、私の意見を述べさせていただきます。
 雇用保険法等の一部を改正する法律案については、法案の検討において労働政策審議会で公労使の参画の下に議論が行われ、議論の成果を反映したものとなっていることをまず申し上げたいと思います。
 今回の法律案の主な内容については、高齢者の就業機会の確保、中途採用を希望する人に向けての支援、雇用保険の財政基盤の整備の三点がありますが、順に意見を述べさせていただきます。
 まず、高齢者の就業機会の確保について申し上げます。
 今般、七十歳までの就業機会を確保するための法制度の整備として、新たに高年齢者就業確保措置を企業の努力義務とする改正内容を盛り込んでおります。
 背景には、今後の少子高齢化、人口減少の更なる進展が見通される中で、六十五歳以降も働き続ける意欲のある高齢者が活躍できる環境を整備することの必要性がございます。さらに、六十五歳までの雇用確保について、企業への義務付けにより着実に取組が進んできていることも踏まえた内容であると理解しております。
 一方で、現在までのところ、六十五歳以降の高齢者の雇用就業機会の確保については法制度による対応は設けられておりません。
 今般の改正内容により、これを一歩前に進めることは、今後の労働市場全体の状況を見据えた対応であると同時に、働きたい方の希望を実現するという二つの観点から重要なものと思います。その意味でも、今回、改正案を着実に実行へと移していくべきと考えます。
 改正内容の中で労働政策審議会における議論においてもポイントになった点は、従来からの雇用継続以外に雇用以外の就業形態による措置を選択肢として盛り込んだ点です。
 高齢者の働き方の中には、それまでと仕事の内容や時間、日数なども同じように働き続けたいと希望する方もいらっしゃいます。若手の育成や技能の継承といったことにもっと取り組みたい方や、時間や日数を減らして仕事以外の活動にも力を入れたい方もいらっしゃるでしょう。勤め先を変えて、あるいは個人で独立するなどして、これまでとは違った形で働きたいということもあるかもしれません。
 このように、働き方を七十歳まで広げて考えると、就労に対する希望や考え方も一層多様になるものと思われます。さらには、高齢者の体力や健康状態などには個人差も小さくないことから、年齢とともに、そうした個々人の希望や特性に応じた働き方に対するニーズも高まるものと考えます。
 こうした観点から、六十五歳以降の雇用就業機会の確保については、企業の努力義務に対する選択肢の幅を広げるというのが今回の改正の主な内容となります。その際、労使が十分に話合いを行った上で適切に措置を講じることで、意欲のある方が七十歳まで活躍し続けることができる環境をより幅広に整備されていくことにつながるものと考えます。
 なお、雇用以外の措置についてはこれまでと異なる新たな内容です。そのため、労使において適切に活用が図られるよう、具体的な運用に当たって必要となる手続や内容などの事項について、今後、国が指針などによってしっかり周知を行うことが重要と考えます。
 二点目として、中途採用を希望する人に向けての支援について、大企業の中途採用比率の公表に関して申し上げます。
 今般の改正は、人生百年時代において職業生活の長期化が見込まれる中、企業が安定雇用の機会を中途採用者にも提供している状況をより見える化することで、中途採用を希望する労働者と企業のマッチングを促進していくものです。
 日本の場合、特に大企業などでは良好な雇用機会の入口が新卒採用にかなり限られてきたという問題があります。新卒採用からの長期雇用の仕組みは、若年失業の抑制や長期的な視点からの人材育成を可能にするというメリットがありますが、反面、その仕組みに入ることができなかった人への配慮が十分でないと、雇用や賃金に関する持続的な格差を生み出すおそれもあります。
 さらには、技術革新などが進む中、専門的な技能や知識を有する中途採用者を正規雇用者として処遇することで多様な人材活用による発展を目指そうとする企業も少なくないと思われます。
 今回の案は、主体的なキャリア形成による職業生活の更なる充実や、就職氷河期世代を始めとする再チャレンジを目指す方々が中途採用に関する様々な情報を得られる環境の整備を図る上で効果的な取組だと考えております。その取組は、新卒採用と中途採用のいずれの場合であっても、その後の長期的、安定的な職業生活を誰もが実現可能となるための環境整備に向けた重要な第一歩になるものと考えています。
 三点目として、雇用保険の財政基盤整備について、二つの改正内容を紹介しつつ、意見を申し上げたいと思います。
 まず、育児休業給付の位置付けの見直しとして経理の区分を行っている点についてです。
 雇用保険に従来から設けられていた育児休業給付は雇用継続を支援するための給付です。仕事と生活の両立が進み、育児休業を取得される方が増加するなど、社会としては望ましい方向に進んでいます。その一方で、育児休業給付の給付総額は景気にかかわらず一貫して増加しており、現在の給付水準は雇用保険の最も根幹の給付である失業者向けの基本手当に匹敵する水準になっております。
 今回の見直しにより、育児休業給付に充てる保険料を独立して設定することで、仮に雇用情勢が悪化して失業者向けの給付が増加することになっても、失業者向けの給付と育児休業給付のそれぞれについて安定的に給付することができるようになったと理解しております。それによって、雇用保険の機能も今後も十分に機能していくための重要な改正になっていると考えます。
 また、雇用保険料と国庫負担の引下げ措置については、前回の法案で措置された三年間の暫定措置の期限を迎えるに当たり、その取扱いが労働政策審議会で議論されました。さきに申し上げた育児休業給付の区分経理などを含め、財政上の措置を講じた上での今後の財政見通しなどの議論がなされた上で、雇用保険料と国庫負担の引下げをもう二年間だけ実施することになりました。
 特に、国庫負担については、前回の雇用保険法改正法案の際に参議院厚生労働委員会において附帯決議が出されており、その決議を念頭に、今回の労働政策審議会でも公労使で様々な議論があったと聞いております。その結果、最終的に、職業安定分科会雇用保険部会の報告書において、この措置は現在の雇用保険の財政状況等を総合的に鑑みた苦渋の決断としてまとめられたものと理解しております。
 最後に、現在の雇用情勢に関連して一言申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症の影響への対応は世界各国で大きな課題になっております。日本でも、新型コロナウイルス感染症の影響により休業などの事業活動の縮小が見られております。そこで、雇用保険二事業による雇用調整助成金について特例措置を含む柔軟かつ積極的な活用がなされるなど、雇用維持に向けた対応に政府も本格的に取り組んでいると承知しております。
 現下及び今後の経済や雇用の状況は更に注意深く見ていくべきものであると考えておりますが、そうした状況に対して、失業時の給付だけでなく、その手前で取り組むべき雇用維持施策を含め、雇用政策全体で万全の対応を実施していくべきと思います。
 その上で、先ほど申し上げた雇用保険の保険料の引下げについては、雇用保険部会において財政状況を下に今後の見通しについても慎重に議論を行った上でまとめられたものと理解しております。雇用保険の失業等給付には積立金が設けられており、支出が急激に増加した場合にも一定程度対応できるよう原資が確保されております。
 なお、先ほど申し上げた雇用維持施策についても、機動的な対応ができるよう、雇用安定資金が十分確保されているものと理解しております。
 引き続き、雇用政策の様々な手段を動員して、今後の経済雇用情勢に機動的かつ適切な対応を取りこぼしなくお願いしたいと考えております。
 私からの意見は以上となります。どうもありがとうございました。

#6
○委員長(そのだ修光君) ありがとうございました。
 次に、石田参考人にお願いいたします。石田参考人。

#7
○参考人(石田昭浩君) 連合の石田でございます。
 本日は、御意見を申し上げる機会をつくっていただき、ありがとうございます。
 この場におきましては、雇用保険法等改正案のうち、特に高齢法と労災保険法につきまして御意見を申し述べさせていただきたいと思います。
 また、お手元に資料を配付をさせていただきました。後ほど中身にも触れますので、御覧いただきながら対応をお願いをさせてもらいたいというふうに思います。
 まず、高齢法改正案についてでございます。
 連合といたしましては、年齢に関わりなく、あるいは加齢による若干の身体的な衰えがあったとしても、働きたいと希望する高齢者の方が安全に働き続けることのできる環境の整備が非常に重要だというふうに考えております。現在は本人が希望すれば六十五歳以降も働けるという法的な枠組みがないことを踏まえれば、今回の論議については前向きに受け止めをさせてもらいたいというふうに考えてございます。
 なお、昨年の成長戦略実行計画におきまして公的年金の支給開始年齢の引上げを行わないということが明記をされておりますが、支給開始年齢を引き上げないことが今回の改正の前提であるということを改めて申し述べておきたいというふうに思っております。
 まず、資料の一ページ目を御覧いただきたいと思います。
 六十五歳以上となれば、個人差はございますが、加齢による体力や健康の心配をする声が多く上がってございます。また、全ての労働者が七十歳まで生活できる賃金を得られる程度に就労できるとは限らないため、公的年金の引上げ、充実は大変重要なことと考えてございます。
 また、今回の改正案においても、一つの例ということでございますが、雇用によらない措置が問題とされておりますけれども、一方で、雇用による措置につきましても、これはまさに例でございますけれども、ほかの事業主への再就職を選択する場合、それまでの有給休暇の残日数がリセットをされてしまうということ、また、有給休暇の付与条件を新たに満たさなければ有給休暇が付与されないという課題が全くないわけでもないということも申し添えておきたいというふうに考えております。
 他方、今回の七十歳までの就業機会確保に向けた選択肢には抽象度合いが高く、特に労働者保護の観点から一定の疑問が残ります非雇用の選択肢も盛り込まれております。
 その観点から、三点ほど御意見を申し述べたいと思います。資料の二ページ目になりますので御参照いただきたいと思います。
 まず一つ目ですけれども、労働基準法や最低賃金法だけでなく、労働安全衛生法や労災保険法など、いわゆる労働法規による保護が及ばない非雇用の働き方の更なる拡大につながるという懸念でございます。
 今回の高齢法の改正法案では創業支援等措置という新たな選択肢が示されております。六十五歳以上の者に限定されているとはいえ、高齢者雇用安定法という雇用と明記されている法律に雇用でない措置を書き込むことになります。そのため、将来的に雇用でない措置が六十五歳以下の労働者にもなし崩し的に広がる懸念も拭い切れてございません。本来、雇用という、雇用であるとあるべきところを、事業主の責任を回避するために委託契約に変更をするというようなことはあってはならないというふうに考えております。
 二点目は、創業支援等措置を選択する者の保護に向けた具体的な対応についてでございます。
 今回の制度では、これまで労働者であった者が業務委託契約を結ぶことも想定をされています。しかしながら、労働基準法や最低賃金法も適用にならない中で、あるべき報酬金額や稼働日数、契約の有効期間、あるいは解除要件、発注の頻度についてどう合意をしていくべきか、実は水準もございません。従来こうした委託契約の締結を経験していない事業場において労使で合意を目指すということになるわけですけれども、両者が納得できる内容に至るには相当な時間が必要なのでないでしょうか。当然ながら、業務上災害の発生状況もつぶさに把握するということも大変重要になってまいります。
 また、仮に労使で合意に至り就業を開始した際にトラブルが発生した場合においても、労働者でないため、現時点では、都道府県労働局を始めとして、この制度で就業することとなる六十五歳以上の者が相談できる公的な相談窓口すらないということも問題でございます。
 こうしたことを回避するためにも、報酬の在り方や年間を通した仕事の発注、途中解除の要件等について指針に明記をするとともに、相談窓口の設置や施行後の調査や適正な指導も不可欠というふうに考えてございます。トラブルを未然に防ぐためにも、例えば労使合意に必要な内容を指針で明確にした上で、その合意内容を労働局や労働基準監督署に提出するなどの対策も必要であるというふうに考えてございます。
 また、創業支援等措置により新たな業務を行う者への研修についても求められているというふうに受け止めてございます。定年や六十五歳以降の働き方について、それまで就労していた業務と異なる業務に従事することもあり得ます。とりわけ、今回の法改正により選択が増えたことから、今後更に従来とは異なる業務に従事する者が増加することが想定をされます。労働者からすれば、慣れない業務に従事するに当たり、当然ながらその業務に関する研修など事前に実施することが重要であり、これについても指針において事業主による事前の研修の実施について規定をしていくことが必要と考えております。
 同時に、創業支援等措置を行う際の契約に関するトラブルを未然に防止するための研修等も必要であると考えております。先ほど御説明をしましたとおりに、現在のところ、労使合意の内容について特段の定めがございません。しかし、実際に労使で合意するに当たり、例えば、委託契約であれば指揮命令ができないことなどを含めて、必要に応じ、当該労使に対して一定の研修を実施する必要がございます。これは、契約上は委託契約としながらも、実態は雇用労働者と同等の働き方をする一種の偽装請負を防止する観点からも必要というふうに考えてございます。
 三点目は、労使合意の枠組みについてでございます。
 創業支援等措置と雇用による措置の組合せを行った場合、法律上は労使合意が不要となる点について、衆議院の厚生労働委員会でも、その場合において、過半数労働組合等との同意を得ることが望ましい旨の附帯決議がなされたと伺っておりますが、労働組合がない職場での話合いを含め、実効性ある制度を労使でつくり上げていくための枠組みを指針においてどう定めていくのか、今後の大きな課題であると認識をしてございます。
 次に、三ページ目の資料を御覧いただきたいと思います。労災保険法について申し述べさせていただきたいと思います。
 今回の労災保険法の改正内容ではございませんが、労災保険法には、いわゆる一人親方という委託、請負契約で就業する者が加入することができる特別加入制度がございます。この制度につきましては、中小企業の事業主の方も被保険者となれるというものですが、昭和の時代から更新されておらず、衆議院厚生労働委員会での附帯決議において、社会経済情勢の変化を踏まえ、その対象範囲や運用方法等について、適切かつ現代に見合ったものとなるよう必要な見直しを行うこととされてございます。
 特に、先ほど説明させていただいた高齢法の改正によりまして、新たに委託契約で就業する六十五歳以降の者については加齢による心身の衰えも想定がされるわけです。スライドの表にございますとおりに、年齢とともに労働災害の発生率が高くなるということ、経験期間の短い労働者の方が労働発生率が高いということ、そして年齢が上がるにつれて休業見込み期間が長くなるということを踏まえれば、特別加入であっても労災保険制度に加入する必要があるというふうに考えております。
 もちろん、業種によりましては現在の特別加入制度のままで加入することも可能ですが、個人タクシーや建設業の一人親方などの一部に限られてございます。そのため、今回の高齢法の改正を契機に、労働者を使用しないで作業を行う者については労働保険制度の一人親方等の特別加入の対象にすることについて検討を行う必要があるというふうに考えております。
 以上、私どもの課題認識を申し述べさせていただきました。今後の審議におきまして、是非とも御論議を深めていただければ幸甚に存じます。
 御清聴ありがとうございました。

#8
○委員長(そのだ修光君) ありがとうございました。
 次に、水野参考人にお願いいたします。水野参考人。

#9
○参考人(水野英樹君) 意見を述べる機会を与えていただき、ありがとうございます。
 私は、一九九〇年から日本労働弁護団に加入し、労働者、労働組合側で弁護士活動をしてきました。日本労働弁護団は、労働者、労働組合の権利擁護のために活動する団体で、現在約千七百名の弁護士で組織されています。
 私は、高齢者等の雇用の安定等に関する法律の改正案に限定して意見を述べます。
 定年廃止、定年延長、継続雇用制度の導入という現行の高年齢者雇用確保措置を六十五歳以上七十歳までの者についても雇用確保措置として努力義務を課すことには賛成です。しかし、雇用とは異なるフリーランスや企業による支援措置、社会貢献活動への従事に関する支援措置、すなわち創業支援等措置をも努力義務の選択肢として設けることには反対です。
 反対の理由は四点あります。一、労働者として労働関係法令の保護を受けられない。二、就業の機会を確保することにつながらない。三、労使合意は歯止めにならない。四、高年齢者に配慮した働き方、企業の負担への配慮は雇用を維持してもできる。
 理由について説明していきたいと思います。
 まず一点目、労働関係法令の保護を受けられないという点です。幾つかの例を挙げたいと思います。
 まず、賃金関連ですが、労働者であれば最低賃金法の適用があります。労働者でなければそういう規制はありません。賃金の不払があった場合、労働者であれば労基署による支援が受けられます。労働者でなければ受けることはできません。賃金との相殺は労働基準法により禁止されています。しかし、労働者でなければ相殺は可能ということになります。
 損害賠償の予定について、労働者であれば労基法により無効ということで保護されています。しかし、労働者でなければそういう保護は受けません。使用者に対する損害賠償責任につきましても、労働者であれば責任を負う場合は限定されていますし、責任を負うにしても、その額については四分の一などというふうに解釈されて保護されています。
 経費につきましても、労働契約であれば使用者が負担するものというふうに解釈されていますが、労働法でなければそういう規制はありません。創業支援等措置を導入する場合、成果型報酬を採用することとなる事例も多数あると見込まれますが、その場合、働いても成果がなければ報酬ゼロ、経費負担だけが残ってしまう。結局、マイナスになってしまうということも想定されます。ワーキングプアを生み出す温床の一つになりかねません。
 二番目、労災制度の適用外ということです。高齢者の転倒などによる労災事故の発生率は高いです。厚生労働省の平成三十年労働災害発生状況の分析等でも、転倒については六十歳以上が約四割を占めています。休業期間も長期化しやすいという報告があります。保護、救済の必要性が高まるにもかかわらず、対象外とされてしまうのは問題と考えます。事故によって収入を失うばかりではなく、治療費の負担も発生します。
 三点目、解約あるいは解雇について規制がないということです。労働者であれば、労働契約法十六条や十九条が合理的理由のない解雇や雇い止めを無効として働く者を保護しています。労働者でなければこれらの保護を受けることはありません。民法上、委任契約などいつでも解約できると定められています。今回の新型コロナウイルスの問題でも、いわゆるフリーランスの人たちがキャンセルが続いて報酬を受けられず困っているというのは皆さん御存じのとおりだと思います。
 理由の二点目、就業の機会を確保することにつながらないという点です。
 多くの企業は、この創業支援等措置だけとすることを希望すると思われます。今説明しましたように、使用者としての様々な責任を免れるからです。社会保険料の負担を免れることができますし、固定的な賃金の支払も不要です。経費の負担も就業者に求めることができます。解雇に比較して容易に解約できます。労災事故についても雇用主としての責任は負いません。企業にとって有利なことばかりですから、創業支援等措置だけとすることを希望すると考えられます。
 他方、そういうことを理解している労働者は希望しないということが考えられます。魅力がない働き方ではないでしょうか。
 現行高年法下で起きている問題事例を紹介いたします。
 八割程度の企業は継続雇用制度を採用しています。その場合、基本的に賃金は六十歳よりも低下傾向にあると報告されています。そして、中には到底受け入れ難い労働条件を提示する企業があります。
 これは平成二十九年九月に福岡高等裁判所で判決の出た事例ですが、六十歳まで事務職の方が月給三十三万五千円で働いていました。継続雇用制度ということで、週三日から四日の勤務、一日六時間勤務、時給九百円という条件を提示されました。これですと、一か月の賃金は十万円程度になります。判例は、到底受け入れ難いような労働条件を提示する行為は、継続雇用制度の導入の趣旨に違反した違法性を有するものであるというふうに判示しました。
 こういう事案ばかりではないというふうには思いますけれども、現行の雇用を継続するという制度でも受け入れ難い労働条件が提案される事例は珍しくありません。創業支援等措置となれば、このような現状を更に悪化させるものになるおそれがあります。結局、労働者に選ばれないというふうに考えます。
 今述べた視点と異なる視点の指摘となりますが、フリーランスの契約では、六十五歳までの仕事の経験を生かせる就業の場を機会することにならないと考えます。
 労働契約は使用者の指揮命令下で労務を提供するものをいいます。フリーランスとしての就業者としての契約は委任や委託や請負ということだと思いますが、これらはいずれも指揮命令を受けないということが前提です。そうすると、六十五歳まで指揮命令下でしてきた仕事についてフリーランス契約とした場合には、それまでと同じスタイルでは仕事ができないということです。
 形式的な契約の名称が委任や委託となっていても、実質的に指揮命令下で労務を提供していると評価される場合には、それは実態に即して労働契約と法的に解釈されます。実態として指揮命令を受けての労務の提供ではないと解釈されるようにするためには、仕事のスタイルを独立性が認められるものにがらっと変えなければならないということになります。これが本当にできるのかというのが疑問です。
 仕事のスタイルは従前どおりで、契約だけフリーランスというのは駄目なんです。仕事のスタイルをがらっと変えて独立性が認められるものにしなければならないわけですから、そうすると、これまでの経験を生かした就業の場とするのは難しいと考えます。どんなものであっても、とにかく就業の場を確保すればよいということではないはずです。報告書にも、活躍の場とあります。これは、それまでの経験などを生かして、自己実現も果たされる、働きがいのあるものであるはずです。これまでの経験を生かした高年齢者の活躍の場を提供するというのであれば、雇用を維持するのが最適と考えます。
 理由の三点目、労使合意は歯止めにならないという点です。
 これまで心配した点は、導入には労使合意という歯止めがあるという指摘が予想されます。しかし、十分な歯止めにはならないと考えます。
 まず、労働組合がない職場が多数です。多くの職場は過半数代表が選出された上での労使合意ということになろうと思います。その労働者代表が民主的に選出されていない職場が多数です。
 時間外労働を可能にするためのいわゆる三六協定の締結が過半数代表が選出される典型例と思われますが、私は残業代請求事件を多数担ってきましたが、当該労働者が三六協定締結のための過半数代表を選出した記憶がない事例がほとんどです。恐らく、使用者が指名して選出したという形を取っていると推測されます。このような職場の実態ですから、労使合意は歯止めにならないと考えます。
 四点目、高年齢者の配慮した働き方、企業の負担への配慮は雇用を維持してもできるという点です。
 恐らく、創業支援等措置の導入は、体力や健康状態その他の本人を取り巻く状況などが六十五歳以前のものと比べて個人差が大きく、より多様なものとなるということへの配慮や、企業の費用負担に対する配慮であると思われます。しかし、そのことは、創業支援等措置を導入せず、雇用という働き方でも十分確保できると考えます。勤務日数を減らす、勤務時間を短くする、責任を軽減した職務を担当してもらう、こういうことで対応可能と考えます。
 最後にですが、法律の名称こそ雇用の安定等に関する法律のままですが、改正案は雇用とは異質の就業なる働き方への転換を正面から認めるものとなっています。雇用からの転換を正面から認めるということは、今後、年齢を問わず、雇用から就業への転換を大きく認める一歩となりかねません。
 労働法が歴史的に労働者の保護を推し進めてきた理由は、労働者が社会の重要な構成員であり、労働者及びその家族が豊かで幸せな生活なくして豊かで幸せな社会を構築することはできないということを踏まえたものというふうに思います。働く者を労働者ではないとしてその保護を後退させることは、より良い社会をつくり上げていくことにはならないと考えます。六十五歳以上の高年齢者を労働関係法令の保護の下に置き、魅力的な働きがいのある制度とすることが求められていると考えます。
 以上です。

#10
○委員長(そのだ修光君) ありがとうございました。
 以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#11
○高階恵美子君 自民党の高階恵美子でございます。
 本日は、お忙しい中、貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございました。
 今般の法改正で実施されます育児休業給付の区分整理は、より安定的な給付を実現する措置として時宜を得た判断と考えています。景気動向の予測も踏まえた保険料引下げも実施されるわけですから、絶妙のバランスと言えます。
 初めに、玄田参考人にお伺いしますが、雇用保険における国庫負担についてです。
 先ほど、湊元委員ほか参考人の皆様にも触れていただきましたけれども、今回は暫定的な負担率の引下げが行われます。将来的には、各給付の性質も念頭に入れて、給付負担率をどのようにすべきか議論を継続していくべきと考えています。例えば、育児休業給付、これは、雇用維持と同時に、休業中の子育て家庭をダイレクトに支える経済措置としても極めて重要な役割を有しています。
 そうした観点に立って、この度の育児休業給付の区分整理がどういった意義を有しており、そして、この国庫負担率についてはどのような展望を持つべきとお考えか、御意見を伺います。

#12
○参考人(玄田有史君) お答え申し上げます。
 雇用保険部会の議論におきましては、育児休業給付の取扱いについて、育児休業給付が景気状況にかかわらず一貫して伸びていることなどを踏まえ、育児休業給付と求職者給付などについて一体的な財政運営を続けた場合に、景気状況いかんでは双方に影響を及ぼすことを懸念されております。そのため、育児休業給付を失業給付とは異なる体系に位置付けるとともに、収支を失業給付等と区分したものと承知しております。
 この議論の中で、当面の育児休業給付の保険料率を設定しているわけですが、雇用保険部会の報告では、育児休業給付の在り方について中長期的な観点で議論していくべきとまとめられております。これは、収支のバランスという点だけではなく、育児休業給付が次世代育成支援の観点からも拡充が行われてきていることなどを踏まえた、国の責任の在り方も含めて議論が必要であるという趣旨と理解しております。
 この点についても、今後とも考えていくべきと思われます。

#13
○高階恵美子君 累次に及ぶ改正を経まして、高齢者の雇用情勢は劇的に変化してきたと実感しています。寿命が延びた時間をより充実して幸せに暮らしていただくための政策づくりには、私自身、とても関心を持っています。
 五年前に、当時の政務官会合におきまして、幸齢社会への挑戦と題する政策を提言させていただいたことがあります。これは、高齢者が培った経験と人脈を生かして、六十五歳からの人生をより豊かに過ごせる、幸せに年を重ねるという意味での幸齢社会を目指すという政策文でした。その柱の一つに、就業を希望する方には安全かつ公正に活躍の機会が得られるよう社会環境を整えることを位置付けさせていただきました。
 いよいよ今回は、七十歳までの就業機会の確保について企業の努力義務を求めることとなります。これまでにも、まだ十分働けるのに、再雇用になりますと一気に減収となって働く意欲が低下するとの声がある一方で、定年延長等による組織の硬直化、あるいは昇進機会の逸失を懸念する向きもありました。
 日本社会がこれからも士気高く労働生産性を上げていくには、きめ細かな運用上の工夫が是非とも必要と考えます。高齢者の活躍に有効な働き方改革のアイデアと言うべきかもしれません。労使双方にとって満足度の高い雇用を可能にしていくためにどういった取組が必要か、どういった取組支援が必要か、湊元参考人のお考えをお伺いします。

#14
○参考人(湊元良明君) お答えいたします。
 高齢者のニーズは、いろいろ聞きますと、自分の都合のいい時間に働きたいという、この自由度を求めるというような意見もあります。また、必ずしも報酬ではなくて、自分の培ったスキル、こうしたものを生かして社会の役に立ちたいと、こういうところにモチベーションを感じている高齢者もいるというふうに、強く思っている高齢者もいるというふうに思っております。
 そういう意味で、今回の改正は、多様な選択肢があるということで、用意されているということでは評価しているところであります。また、この中で、NPO法人というようなところのNPOの活動も入っていると思いますが、そういうことで地域に貢献するとか、こういう選択肢もあるということは、これは高齢者のモチベーションの高まりにもつながるというふうに思います。
 また、生涯学習という観点から、高齢者も自分の能力を高めていくということも大事だと思いますので、支援策としてはこういったリカレント教育を推進していくことなども大事だというふうに思っております。

#15
○高階恵美子君 先ほど紹介した幸齢社会への挑戦という戦略なんです、余り有名じゃないんですけれども、人生の早い段階から六十五歳以降の暮らしに関心を持って備えるという取組も大事な柱の一つに掲げさせていただきました。それを具体的に進める軸として、ハッピープラチナ運動と称するいろんな具体策を提案しました。幸齢期のライフデザインに資する情報提供や、住み替え、あるいは消費者トラブルを防ぐ社会環境の醸成などについても提唱させていただいたところです。
 企業はもとより、社会全体がこうした意識改革に取り組むことが重要だと考えますが、石田参考人、そして玄田参考人にこの辺のところをお伺いします。

#16
○参考人(石田昭浩君) 石田でございます。
 今御指摘いただきましたとおりに、高齢者の雇用の問題は、高齢者に限った問題ではなくて、そこから続いてくる次世代の皆さん、あるいは社会全体の課題であるということを早い時期に皆さんで意識をして、どうやって備えていくか、どういう働き方が、高齢者を含めた企業全体、もちろん若い方も壮健の皆さんも含めた方、全ての方にどういう働き方をルール化していくことがいいかということをやっぱり議論する機会をたくさんつくっていただくことが極めて重要だというふうに考えております。
 私も職場で組合の役員をやっていたときに、前回の高齢者雇用安定法の議論のときに、やっぱり職場の若い方はすごく関心が薄かったというのが率直の感想でございます。そういった意味で、年配層の方だけが議論すればいいということではなくて、いずれ自分の世代あるいは自分の子供たちの世代、全ての皆さんがそういう世代に直面をするわけですから、そういった意味では、早く意識を持って、そして社会全体やあるいは企業全体の課題として捉えて議論をしていくという風土をきちんとつくっていくことが極めて重要だというふうに考えております。

#17
○参考人(玄田有史君) お答え申し上げます。
 今回、高齢者就業機会の確保を拡大するということで多様な措置が提示されている点については、現在の高齢者のみならず、これからの高齢者と申しますか、幅広い世代にとっての就業における受皿を拡大するために極めて有効なものであるというふうに考えております。その意味でも、今回のポイントであります過半数の組合代表者としっかり議論し、同意をいただくということが極めて重要なものになるというふうに考えております。
 その際、同意を得るための必要な手続や内容について、今後労働政策審議会で公労使でしっかりと議論していただき、国において指針などを示していただき、しっかり周知を行っていただくことも大切になると思いますが、その周知というのは、一部の高齢者ですとか人事関係の方だけではなく、五十代の方々、さらには就職氷河期世代を含めた幅広い方々にとっての周知になることが極めて重要であるというふうに考えております。
 以上となります。

#18
○高階恵美子君 ありがとうございます。
 続いて玄田参考人にお伺いしたいんですけれども、私は看護職でして、これまで病院、保健所、精神保健センター、それから大学、研究機関、国際医療NGO、厚生労働省、そういったところで多様な働き方をさせていただいてきました。人生の各段階で様々にキャリアチェンジするのは当たり前という感覚なんですけれども、こうやって仕事場を変わっていく、キャリアを変えるというのは実はロスも大きくて、個人的に見ると大きな代償を払うということもまた現実であります。
 今改正では、中途採用に関する情報の公表というのが位置付けられてまいりますけれども、先ほど本人にとっての再チャレの第一歩という指摘もあったかと思いますが、人生の各段階で働き方を変えるということが労使にとって利益になっていくという新たなメッセージも含んでいるのではないかなと期待をしているところです。
 中途採用比率に加えまして、企業に対して自主的な公表を求める指標に盛り込むべき項目、何か思い当たることがあるでしょうか。これというものがあったらお聞きしたいと思います。

#19
○参考人(玄田有史君) お答え申し上げます。
 今回の中途採用比率等々の公表に関してですが、大事なことは、社会全体としては求職者と求人側のミスマッチを少なくしていくということがポイントだと思いますが、いざ求職者の立場に立っていきますと、やっぱり中途採用をすることを通じて自身がその企業で働くことのイメージが具体的に喚起されるということが重要であって、そのために必要な職場情報の把握ができるということがポイントだと思っております。
 そういう意味では、具体的に想定いたしますと、やはりこれ、中途採用者の採用比率だけではなく、定着率ですとか、また管理職として中途採用で働いている人がどのぐらいあるかとか、中高年者や氷河期世代の方々が中途採用をどれだけされているかといった定量的な情報、さらには中途採用後のキャリアパスや人材育成や処遇などといったものを企業がどう考えているのかということを、具体的な分かりやすい形の情報としてこの定性的な情報と両面で示していくことなどが考えられるのではないかと思います。
 以上です。

#20
○高階恵美子君 先ほど、水野参考人、石田参考人にも触れていただきましたけれども、労災保険の適用のところについては私も関心を持っております。
 今回の改正では、複数事業所で雇用される労働者が守られる環境が少し整ってくるということになります。関連してですが、今後、いわゆるフリーランスなど雇用によらない働き方で収入を得ている方々の救済について、別途検討を加速していく必要があるのではないかなと思います。ざっくり言いますと、一人親方など職種を限定して現在進められている特別加入制度、これを見直して、現下の多様な働き方に即した構成に改めていくという、加入要件の見直しを進めてはどうかということであります。
 ざっくり、この辺についてどうでしょうか。水野参考人と玄田参考人に一言ずつでもお伺いできればと思います。

#21
○参考人(水野英樹君) 水野です。御質問ありがとうございます。
 まさにその必要性をとても感じています。良くも悪くも雇用によらない働き方が広がっています。今後も広がると想定されます。その人たちを保護する必要性が高いということは、今回のコロナウイルスの感染の問題で明らかになったところです。
 そうすると、今のこの雇用保険制度を拡充していくのがいいのか、それとは別に、新たないわゆるフリーランスの人たち用の公的な保険をつくった方がいいのかまで、ちょっとまだ検討ができていないんですが、どちらかはした方がいいというのが意見です。

#22
○参考人(玄田有史君) 私も、議員御指摘の必要性については大変強く感じているところでございます。
 フリーランス等の特別加入制度の在り方につきましては、先ほど石田参考人からもお話がありましたけれども、昨年十二月二十三日に労働政策審議会における建議において、社会経済情勢の変化も踏まえ、特別加入の対象範囲や運用方法などについて、適切かつ現代に合った制度運用となるよう見直しを行う必要があるとされていることを承知しております。今後は、厚生労働省においてこの建議を踏まえつつ適切に対応がなされるのではないかというふうに考えております。
 以上となります。

#23
○高階恵美子君 ありがとうございます。しっかりと見直しを進めてまいります。

#24
○石橋通宏君 立憲・国民.新緑風会・社民共同会派、石橋通宏でございます。
 まず、今日は、四名の参考人の皆さん、本当にお忙しい中、貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。
 早速ですが、今日は主に高年齢法に関する様々な課題について皆様の御意見伺ってまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 初めに、玄田参考人に伺いたいと思います。
 今回、六十五歳超えの就業確保云々の議論ですが、やはりその前提になるのは、前回改正以降の六十五歳までの雇用確保が実際本当にできているのか、それが本当に高齢者の皆さんの就業環境、雇用の安定、安心につながっているのかというのが大きな課題になると思いますが、ただ、残念ながら、現行でもほとんどの企業の皆さんが退職再雇用制度を採用され、そして多くの企業で給料が大幅にカットされているというのが実態だろうと思います。厚生労働省に確認しても、その実態をつかんでおりません。一体それが合理的な賃金カットなのか、そうではないのか、既に長澤運輸事件等の最高裁判決もありますが、この点について労政審でどう公益の皆さんも含めてきちんとしたデータなり実態に基づいた議論がなされたのか、どうちゃんとした合理的な、不合理ではない正当、真っ当な処遇、賃金の確保をこれから実現していくのか、まずその点について議論があったのかどうかも含めて御意見いただければ有り難く思います。

#25
○参考人(玄田有史君) お答え申し上げます。
 私自身は職業安定分科会に参加している者ですが、特にその高齢者雇用継続給付の引下げを中心として議員御指摘のような議論というのがあったのではないかというふうに理解しております。
 特に、雇用保険部会の議論におきましては、二〇二五年、令和七年度に、高年齢者等の雇用の安定に関する法律に基づく、六十歳以上六十五歳未満の労働者は希望者全員が継続雇用制度の対象となることや、今後の高年齢者労働者も含め雇用形態に関わらない公正な待遇の確保が求められていくことなどを踏まえ、高年齢者雇用継続給付について段階的に縮小することが適当であるというふうにされております。この議論の中で、現在のその六十代前半の働き方について様々なデータに基づく議論があったというふうに理解しております。
 その上で、部会における労使の委員からの意見も踏まえて、高年齢者雇用継続給付が六十歳以上の労働者の継続雇用時の処遇決定にやっぱり実際に影響を与えているという実情を鑑みて、その周知を十分な時間の余裕を持ってもらうとともに、雇用形態に関わらない公正な待遇の確保の観点から事業主に対する支援などを講じていくべきものとまとめられたものと承知しております。
 これらを踏まえて、法律改正による制度見直しだけではなく、実際の実態について周知や事業主の支援を含めた総合的な対策を行うというふうな結論に至ったというふうに理解しております。

#26
○石橋通宏君 なかなか残念ながらデータに基づく議論が行われていないのではないかというのが我々の懸念、心配でございまして、この点について湊元参考人に、もし実態がお分かりになれば、現状、とりわけ商工会議所加盟の企業さんたちの中でこの退職再雇用制度を多くが採用され、そして実態として賃金、処遇がかなりカットされている実態おありだろうと思いますけれども、果たしてそれが合理的な中身になっているんだろうか。そういったことも含めて、これをきちんと、そのまず六十五歳年金接続までの高齢期の就労安定、もちろん生活の安定含めて、そこが非常に重要な要素だと思いますが、もしお考えがあればお聞かせください。

#27
○参考人(湊元良明君) お答えいたします。
 六十歳以上の継続の雇用のところで、やはり多くの企業では嘱託再雇用というような形が取られているんじゃないかなというふうに思います。その中で、やはり継続雇用の給付金、これを利用している企業もかなりあるというふうに思っております。
 ただし、これからやはり同一労働同一賃金というような改正が中小企業にも来年度以降求められてくるというところでございますので、こうした中での対応をやはり迫られてくるというふうに思っております。

#28
○石橋通宏君 まずはそこの、やっぱり正当、真っ当な処遇、賃金の確保、これを実現していかないと、だからこそ、六十五歳超えの今回提案のある中で、雇用継続措置でもそれが担保されないのに就業確保でそれが担保され得るのだろうかというのがやっぱり大きな疑問なんだというふうに思います。
 玄田参考人、その意味でもう一点、今回選択肢を広げるんだという御意見陳述が先ほどございましたが、これ、正直申し上げて、企業側の選択肢の拡大であって、労働者側の選択肢の拡大ではないのではないかということを前回先週のこの委員会でも議論いたしました。
 つまり、企業側が何を選択するかであって、労働側が希望する就労形態が、これ、雇用継続を望むんだといっても、それが保障されなければそうならないというのは、この高年法の趣旨からいって間違っていませんでしょうか。

#29
○参考人(玄田有史君) お答え申し上げます。
 私自身の理解ということになろうかと思いますが、今回こういう幅広いメニューを準備するということで、まさに受皿をつくるということが今回のまずは一つのポイントだろうというふうに思っております。これも個人的な感覚というふうなことになってしまうかと思いますが、恐らく、今後努力義務をして実際に六十五歳以上が継続給付になった場合には、やはり全体としては、まだ雇われて働く形というのが労使のかなり希望される部分としては少なくないのではないかと思っております。
 ただ一方で、その一方で、やはり今後、六十五歳以上について、自分で事業をしたいとか、もっと社会に貢献する働き方をしたいという人が登場してもおかしくないような状況であるということで、それに先立って、状況を、ちゃんとした受皿をつくっていこうということでなると思いますので、もちろんその中で様々なトラブルがないようにしっかりと厚生労働省としては状況把握を更に進めていくべきだと思いますが、今、労使の比較的合意のあるところは、やはり六十五歳以上もちゃんと従来どおりの安定した働き方が実現する、その基盤をしっかりとつくるということがまずは重要になるのではないかというふうに考えております。

#30
○石橋通宏君 おっしゃられた意味でいけば、やはり我々は、であれば基本的には雇用継続が実現されるべきではないかなと思うんですが、その意味で、石田参考人に是非伺いたいんですけれども、先ほど意見陳述ございましたとおり、今回の就業確保という観点でいけば、やはり雇用によらない選択肢があり得ると、それが労働者保護法令が一切適用されなくなってしまうというのがやはり大問題だろうと僕らも認識をしているわけですが、それによって現場でどのような問題が発生し得るとお考えなのか。じゃ、それをどうその問題が発生しないように、若しくは発生した場合に対処できるように、労働法令の方が及ばないので、どうすりゃいいのかというのが重大な問題だと思いますが、その点について連合のお考えを是非お聞かせください。

#31
○参考人(石田昭浩君) それではお答えをいたします。
 少しこのコロナの状況が入る前は、連合側といたしましても、やっぱり多様な働き方を選択できるということだけに着目すれば、決して全否定をするものではないというふうな判断をし、選択肢が多ければ多いほどその時々の働き方を選択できることについては是としていたわけですけれども、ただ、今回の情勢が大きく変わった中で見ると、やはり雇用によらない働き方というのは、非常にその情勢によっては厳しいかなということは改めて認識をして、脆弱性といいましょうか、非常に厳しい状況になっているということも改めて認識をさせてもらっているところでございます。
 そういった意味で、雇用によらない働き方になったときに、やはり労働の調整弁という形で、雇用の調整弁という形で、まあ言葉は悪いですけれども、都合のいいように使われてしまうということは非常に懸念をするところであります。
 したがって、この雇用によらない働き方を導入するに当たっては、やはり労使合意をしっかりしなきゃいけないということは大前提なんですけれども、御案内のとおりに、労働組合の組織率が、じゃ、この労働界でどれだけあるかというと、まあ連合もしっかりしなきゃいけないんですけれども、まだまだ多くの方が集団的労使交渉ができないという中でこの労使合意を結ばなきゃいけないということは、相当懸念をされる部分としては、使用者の思いのとおりになってしまうということは決して否めないんだというふうに思っています。そういった意味では、指針等を含めて、やっぱりどういうことを決めなきゃいけないのかということを明らかにすることが重要だというふうに思っています。
 先ほど御指摘があったとおりに、何で継続雇用じゃなくて、何でこれが委託契約なのかということもしっかりと理由が出ていないと、都合のいいように、同じ業務なのに委託だということになる場合と継続だということになった場合では全くその保護の領域が違うわけですから、そこのところはしっかりと明らかにしていくべきだというふうには考えております。

#32
○石橋通宏君 類似の質問を水野参考人にお願いしたいんですが、もう先ほどの意見陳述で、この点明確に反対であるという意見を述べられて、その理由も四点にわたって述べていただきました。
 その上で、じゃ、もし仮にこのままこの法律が、制度ができてしまったときに、何らか保護をするのはもうどうしたって不可能なのか、いや、でもせめてこれだけ確保すれば、少しでもその労働者の保護が雇用によらない措置においても確保し得るのではないか。もし具体的な御提起があればお願いできないでしょうか。

#33
○参考人(水野英樹君) 私の考えを述べさせていただきます。
 もし導入をされてしまった場合にはということになりますが、まず、この創業等支援措置を導入するまでの労使の話合い、これをしっかりするという仕組みをつくっていただくことが肝要かと思います。
 その中においては、私が指摘されていただいたような、要は労働関係法令の適用が受けない形になるんだよということを使用者の方が労側の方にしっかり説明をする、その必要性もしっかり説明するということが必要かと思います。
 また、できればこの創業支援等措置だけではなくて、雇用の、例えば継続雇用制度とこの創業支援等措置と労働者が選択できるようなことを推奨するということを政府として是非指導していただきたいというふうに思います。
 また、ルール作りですね、契約する場合のルール作りについても、政府、厚生労働省の方でその報酬の定め方、経費の負担の仕方、解約についての規制、あと労災が起きた場合などについて、きっちり定めるようにという指導が必要かと思います。
 また、先ほど御質問もいただきましたように、労災についての救済、これを、もし仮に雇用保険制度で救済できないのであれば、民間の保険会社の保険制度を利用するなどしてきっちり手当てをするということが求められるという指導などもしていただきたいと思います。

#34
○石橋通宏君 ありがとうございます。
 御指摘は、石田参考人からも水野参考人からも労使の合意の重要性、御指摘がありました。
 湊元参考人、是非その点についてのお考えをお聞かせいただきたいんですが、参考人も陳述の中で労使の合意を得ることとしたということについては評価をされておられました。
 ただ、実態としては、労働組合の組織率一六%台にとどまっている。現状、多くの残念ながら企業さんで従業員代表制度が、我々、実態として機能していないと、残念ながらですね、そういう御意見もありました。
 どうやってこの労使合意を実効性あるものに担保ができるんでしょうか。その点について、もし、とりわけ中小企業の現場では組合がないところが圧倒的多数ですので、これが機能しなかったら絵に描いた餅に終わります。それを本当に担保できるのかということも含めて御意見いただければと思います。

#35
○参考人(湊元良明君) お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、我々としましては、労使で合意すると、同意するということを非常に評価しているところであります。
 ただし、御指摘がありましたように、民主的に選ばれていないようなところも多いというような話を聞きましたが、これはしっかりそうした民主的な形で選ばれるような形で進めていっていただきたいというふうに思いますし、労使の同意をしっかり取っていただく。それで、その内容をどうやって手続進めていくか、こうしたものは、先ほどからありますように、厚生労働省の指針等で示していただきたい。それをまた我々としても会員企業にしっかり周知していって、しっかり議論ができて同意ができるようなことを我々としても支援していきたいというふうに思っております。

#36
○石橋通宏君 もう一点、湊元参考人に。もし仮に個人請負、有償ボランティア、これは本当に七十歳までの契約の継続、これ担保され得るんでしょうか。

#37
○参考人(湊元良明君) 創業等支援措置というところ、これについては先ほど来申し上げているとおり、過半数組合、それから代表者の同意が必要であるということでありますので、よくこの同意を取る。それから、中小企業、人数、従業員少ないところもありますので、これはよく社内でコミュニケーション、経営者と従業員取っていただいて進めていただければというふうに思っております。

#38
○石橋通宏君 時間参りましたので、以上、終わりにさせていただきます。
 今日は本当にありがとうございました。

#39
○下野六太君 公明党の下野でございます。
 本日は、四人の参考人の皆様、大変お忙しい中に足を運んでいただきまして、また勉強の機会を与えていただき、心より感謝申し上げます。
   〔委員長退席、理事石田昌宏君着席〕
 それでは、まず、七十歳までの就業を確保をする高年齢者就業確保措置の導入に当たっては、湊元参考人のお話どおり、労使で十分に話し合う仕組みが最重要だと私も思っております。しかし、先ほども石橋議員からもお話があったように、労働組合の推定組織率が二〇一九年では一六・七%と低迷をしているような現状の中で、企業によってはまた、労働組合がない、さらには労働者同士の横のつながりが薄い、高年齢者就業確保措置の導入を話し合う機会も少ない、また、ない場合もあるのではないだろうかというふうにも思います。
 企業と労働者が協議のテーブルに着けるような後押しを国がしっかりやっていく必要性があるのではないかと考えておりますが、この点について、湊元参考人の御意見をもう一度お伺いしたいと思います。

#40
○参考人(湊元良明君) お答え申し上げます。
 先ほど来申し上げているとおり、これは、こういった措置の導入に当たりましては、やはり使用者とそれから労働者側、これしっかり意見を交換して、納得できる制度を導入していくということが非常に大事であると思います。中小企業、小規模企業にとりましては、そうした中での組合がないところもあると思いますが、それは、逆に言えば、中小・小規模企業は社員数も少のうございますので、労使でしっかりコミュニケーション取っていただいて、使用者の側も労働者にしっかり耳を傾けて決めていくということが大事かと思いますので、そうした面での我々も周知、それから支援もしていきたいというふうに思っております。

#41
○下野六太君 ありがとうございます。
 また、努力義務の段階ですと、労使協議に参加した労働者以外は、労働者の側から、自分の企業が措置を講じているのか、講じているとしてもどの程度のものなのかというのが分かりづらいということも想定をされるのではないかと考えています。
 制度の導入に当たっては、企業が積極的に自社の労働者に自社がとっている措置を説明し利用を促していくよう、国が何らかの働きかけを企業にしていくべきではないかと考えておりますが、この点についても御意見を湊元参考人にお伺いしたいと思います。

#42
○参考人(湊元良明君) お答え申し上げます。
 周知の点につきましては、やはりこれも、使用者といたしましても、説明責任といいますか、しっかりと社内に周知していくことが大事。皆さんがしっかり納得いただいて、それで選んでいただいて、選んでいただいて、それで働き方の中でやっていくことが企業の活力にもつながりますので、こうした周知の方法、具体的にどうやっていくかということは、今後、国の指針等でもいろいろ議論していくことであると思いますので、そうしたものがまた固まっていく中で、我々としても意見、それから周知にも協力していきたいというふうに思っております。

#43
○下野六太君 ありがとうございます。
 続いて、中途採用に関する情報公開について玄田参考人にお伺いをしたいと思います。
 一昔前までは、学校を卒業すれば新卒で就職をして定年まで勤め上げ、その後は余生を送るということが一般的でありました。しかし、現在では、定年まで勤め上げる働き方以外に、複数の企業を渡り歩く働き方を選択する人が増えてきております。二〇一八年では、新卒者が百二十二万人に対して転職入職者は四百九十六万人と約四倍もおります。また、転職をしたいと考えている人たちも二〇一七年では六百四十三万人もおり、中途採用をしやすくすることは、本人のステップアップや、企業にとってもニーズに合った人材を獲得しやすくなり、双方にとってウイン・ウインになると考えております。
 そういった状況の中で、今回の法案では、内容が大企業への中途採用情報の開示の義務化のみというのは若干物足りない気がしております。大企業の方が中小企業よりも中途採用の割合が低いというデータ等に基づき、中途採用情報の公表の義務化の対象を大企業のみとしたわけでありますが、中小企業についても同様の措置が必要かと考えております。規模が小さな企業ほど、そもそも企業のホームページがない場合や、中途採用情報についても、つてのない人や遠方の人にとっては入手しにくい場合もあるのではないかと考えております。
   〔理事石田昌宏君退席、委員長着席〕
 法律上の義務を負わない中小企業についても、情報公開を進めていくことが企業としても全国から広く人材を募集でき、転職希望者にとっても転職先候補が広がると考えておりますが、この点について玄田参考人のお考えをお聞かせいただけたらと思います。

#44
○参考人(玄田有史君) お答え申し上げます。
 議員御指摘のとおり、今回の措置としては三百一人以上の大企業ということが対象になっているわけですが、もちろん、職場情報の提供を中途採用者にあまねく行っていくということは、大企業だけに限られた問題ではなく、中小企業を含めた重要な観点、問題であろうというふうに思っております。
 一方で、同時に、御指摘のように、もう既に中途採用を重要な長期的な人材として活用が現実に迫られているのは中小企業としては実際であって、それについて今新たに何かの措置をしてということについては、これまでの様々な法整備の中で、やはり企業として特に規模の小さい企業ほどそういう負担が大きいというふうなことに配慮があったことも否めない事実だと思っております。
 ただ、今回のこの法改正によって、そういう大企業もこれから情報公開を積極的にしていくんだということがやはり中小企業にも広がっていき、情報公開をしていくことが、さっき議員御指摘のように、ミスマッチを少なくしていったりとか、より良い企業の考えを伝えて望む人材を採用できるようになるといったことのやはり好事例が積み重ねていくということが極めて重要だろうと思っておりますし、先ほど石橋委員の御指摘もあったように、要は、そういうことが実は事実なんだと、情報公開をすることが企業の生産性を上げ、ミスマッチを少なくしていくんだということの事実を広く中小企業を含めて提示していくことで、自主的に情報公開を広げていくような環境を整備することが今後社会的にも重要であろうというふうに考えております。
 以上になります。

#45
○下野六太君 続けて、もう一点お聞きしたいと思います。
 この中途採用の促進としては、正直、まだまだ始まったばかりという印象を持っておりますが、雇用の在り方については、中途採用の促進以外にも、従来の新卒一括採用や終身雇用等も一緒に考えていくことが必要だというふうに考えております。
 そういった点も含めて、今後の雇用の在り方に対する考えをお聞かせ願いたいと思います。玄田さん。

#46
○参考人(玄田有史君) お答え申し上げます。
 今御指摘のとおり、中途採用をより積極的に活用していく職場、そして同時に、これまでの従来型のいわゆる日本的雇用慣行を大事にしていく職場、企業、多分様々な形が今後は同時並行して存在していくんではないかというふうに思っております。そういう意味では、企業にとっても労働者にとっても、自分たちにとって一番望ましいのはどういう形であるかということをやっぱりちゃんと認識できる、選択できる環境というのが重要であると思っております。
 そうなりますと、先ほど、ちょっと若干次元は違いますが、高齢者就業給付の話もあったように、やはり話合いをするといいますか、その前提として、何というんでしょう、お任せにしないという、かつて、悪いようにはしないからとか、悪いようにはしないというふうな言葉で何となくいろんなことが決まっていくというふうな環境が今はやはりなかなか支持できない状況になっているんだろうと。
 昔、ドラマで、悪いようにはしないからというのは悪い人の言うせりふだよねというドラマのせりふがありましたけれども、やはり一人一人がちゃんと選べるような環境にしていく。そういう意味では、ちゃんと法律にあるような雇用契約についてのルールですとかそういうことがしっかりと守られるような環境をつくっていくことがどういう形の職場であれ重要になってくる。お任せにしないというふうなことを労使が自ら主体的に考えられるような働き方をしていくことが全ての根本になるんではないかというふうに考えております。
 以上となります。

#47
○下野六太君 非常に勉強になります。ありがとうございます。
 続けて、石田参考人に、七十歳までの就業確保と高齢者の賃金低下についてお聞きしたいと思います。
 働く高齢者の側の視点から、定年を迎えた高齢者の継続雇用における賃金の在り方についてもお考えをお聞きしたいと思いますが、今回の法案が成立をすれば、例えば定年が六十歳の場合、七十歳まで実に十年も継続雇用として過ごすということも考えられます。
 現在の義務とされている六十五歳までの雇用確保措置の一つである継続雇用については、六十歳の定年を機に継続雇用になると、定年前と同じ仕事内容にもかかわらず賃金が減額になる傾向があります。この原因の一つに、企業側が高年齢雇用継続給付が現役時代の給与の減少を補填することを織り込んで継続雇用の賃金を低く設定してきたとも言われております。
 六十五歳といえば年金の受給開始年齢でもありますが、今回、七十歳までの就業等確保措置が導入された場合、企業が六十五歳以上の労働者は年金をもらえる年齢なのだから賃金をもっと低くしても大丈夫だろうといって、六十五歳を境に更に賃金を引き下げるといった懸念は生じないでしょうか。また、そうした懸念が生じ得る場合、国は何か策を講じるべきなのではないかというふうに考えておりますが、お考えをお伺いしたいと思います。

#48
○参考人(石田昭浩君) お答えをさせてもらいたいと思います。
 冒頭の説明のときにも触れましたが、お手元の資料に、高齢になったときにやっぱりどういうものにお金が掛かるのかということを記載をさせてもらいました。いわゆる働き盛りの頃に必要な教育費だとかいろんなローンというのは返済は終わっているにもかかわらず、やはり介護の問題だとかいろんなことでいわゆる若い頃とは違う出費がやっぱり起きるということですから、当然、一定の生活を維持する、あるいはそういう介護や育児も含めていろんなことに対応するお金というのは必要だというふうに思っていますから、そういった意味では一定のレベルの、水準の賃金確保は当然必要だというふうに思っています。
 そして、これも私の経験から、これまでの労使交渉の中で、やはり、継続雇用された場合、賃金カーブって皆さん御存じだと思いますけれども、それがどうあるべきかという議論というものもやっぱり同時並行的にやっていかなきゃいけない。雇用だけの確保だけではなくて、賃金カーブをどういうふうに描いていくかということをやっぱり考えなきゃいけない。そして、高齢者の皆さんが、どういう今までの技術、技能を発揮できる職場を用意をして、そしてその賃金にふさわしい、付加価値にふさわしいやっぱり就労形態と賃金制度をつくっていかなきゃいけないということは労使の中でしっかりやっていかなきゃいけないんだというふうに思っています。
 一方、いろんなその決め事の中で、やっぱり同一労働同一賃金というワードがありますので、年齢にかかわらず同じ付加価値を持つ成果を出せば、そこのところはしっかりとこれからのルールに沿った形で賃金をしっかりと支給しなきゃいけない、払わなきゃいけないということもごく当たり前のことだと思いますので、それも併せて実施をされなきゃいけないんだというふうに思います。
 継続給付の関係は維持の立場という、維持の方向という立場を取っておりますけれども、これから財源の問題も含めれば、そっちを、維持を最優先にするんじゃなくて、同一労働同一賃金をまず、まずしっかりと労使で話をして、この四月に施行される内容にふさわしいものに労使で話合いをしていく、そこをまず最初にやって、そして賃金カーブの在り方をしっかりと論議をして、どういう働き方でどういう成果に見合ったお金を払うのかということもしっかり労使で協議をして合意をする、その上に立って、その背景としてどういうお金の支出が必要なんだろうということも併せながら議論をしていく、そういうことをパッケージにしてしっかりやっていくことが極めて重要だというふうに考えております。

#49
○下野六太君 済みません、大変勉強になりまして、時間が来ましたので、水野参考人、ちょっと時間で質問することできなかったんですが、申し訳ありません。
 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

#50
○梅村聡君 日本維新の会の梅村聡です。
 今日は、四名の参考人の皆様方から貴重なお話を聞かせていただきまして、ありがとうございます。
 今日はお一人ずつに質問させていただきたいと思いますが、最初に玄田参考人にお願いしたいと思います。
 今回、七十歳までの就業機会を確保していくということについては、これは私たちも必要だと、どういうふうに担保していくかということが大事だという認識をしておるんですが、一方で、我々の党の中でのいろんな議論の中ででも、じゃ、七十歳までこの機会を確保したときに、現役世代あるいは若い世代に雇用環境としてどれぐらいの影響が出るのかという議論が実はありまして、これは、学術的には私たち専門ではありませんので、まあいろんなヒアリングもさせていただいたんですが、ちょうど六十歳から六十五歳にその雇用機会を引き上げたときが昭和六十一年なんですね。ここが努力義務でスタートしたということで、何十年も掛けてやってきたという面が一つあったと思います。
 それから、やっぱりこういうモデルというのはなかなか定量的に測るのが難しいということで、実際、どれぐらい若い世代の雇用に今度は跳ねてくるのかということが、学術的にもし知見がありましたら、玄田参考人からお伺いしたいと思うんですが。

#51
○参考人(玄田有史君) 御質問ありがとうございます。お答えできる範囲で回答させていただきます。
 高齢者の雇用を守るということは、結果的にその高齢者以外の、特に若年の採用に影響を与えるのではないかということにつきましては、私自身も以前そういう研究をした経験がございます。特に、いわゆる氷河期世代が非常に就職が難しかった九〇年代後半から二〇〇〇年代初頭の時期については、私自身の研究ですと、例えば、四十五歳以上といえば、当時、雇用の過剰感が強くて希望退職の対象になるような、そういう労働者が非常に多い職場というのは、結果的にそういう方を解雇するよりは、まずイの一に新卒採用を抑制するといったような、そういう面でも中高年の負担感というのが若年採用に影響を与えてきたというふうな時代は特に氷河期世代の頃には強くあったように理解しております。
 一方で、現在の、例えば六十歳以上が増やしたことによって若年の採用に影響があるかということに関しては、私の理解する限り、必ずしも研究の中で合意が、一定の合意ができているというわけではないように思います。といいますのも、それは恐らく企業によってケースが大分違ってきているわけで、先ほど石田参考人もお答えになったと思いますが、例えば雇用を仮に守りながらも、一方でその人件費負担がどのくらい大きくなるかということは、その全体的な賃金体系など、人件費をどういうふうに柔軟に調整できる余地があるのか。賃金体系は硬直的に守る、そして雇用も高齢者を増やすというだけですと、やはりどこかにしわ寄せがある可能性はありますが、先ほど、いろんな合意をする中で、雇用は守る一方で、人件費については柔軟に調整できるというふうになってきますと、やはり当然それだけ若い人への影響というのは軽微になってきますので、そういう雇用を維持するということと併せてどういうふうな調整がなされているかということが、恐らく個々の企業レベルでは若年採用ですとか中途採用に与える影響とかの違いを生み出してくるのではないかというふうに考えております。
 以上となります。

#52
○梅村聡君 ありがとうございます。
 学術的には、見える面と、それからモデルとしては難しい面がいろいろおありだと思うんですが。
 それでは次に、湊元参考人に同じお話をさせていただきたいと思うんですが、中小企業の立場から見ますと、じゃ、人を雇用するときに、単年度の人の多い少ないで見るんではなくて、やっぱりある程度経年的に、この方が何歳になって退職されてということをトータルで、十年、二十年単位で見ながら採用していくということにはなると思うんです。そういう面から見ますと、今度これが七十歳までの少し多様な雇い方あるいは働き方ありますけれども、それによって、今度は若い世代の採用計画、これはどのように想定されているのか、どういうふうな議論があるのか、教えていただきたいと思います。

#53
○参考人(湊元良明君) お答えいたします。
 特に中小企業の立場から、今、若い人が採りたくても採れないというのが、実際のところは、この人手不足の中ではそういう状況だと思います。新卒採用も大企業が終わってからの採用ということなんですが、なかなかこれも入ってくれる人がいなくて大変だとなると、じゃ、どこでということになりますと、やはり高齢者あるいは外国人、またさらに女性を活躍して、活躍してもらうということになると思いますが、一番やはり高齢者のところで延長してやってもらっているという、まあ実態はそういうところが非常に多いというふうに思っております。
 ただ、若者もやっぱり採用して企業の活力を高めていきたいというふうに思っております。なかなか計画的にできないところが悩みであると思いますが、この中途採用に関しても、中小企業から大企業に行く方が実態的には多いということですので、今後、こうした中途採用も大企業から中小企業に来るような、こうした我々としても支援といいますか、に持っていきたいというふうに思っております。

#54
○梅村聡君 そうすると、七十歳までの方もやっぱり本格的な戦力として中小企業で働いていただくということになるかと思うんですが、ちょっとこの今回の法律とは外れるんですけれども、湊元参考人、在職老齢年金の問題があると思います。やっぱりこれが高齢者の方の働く意欲をそぐことになるんじゃないかという、そういう御主張もずっとされているかと思うんですが、これ、今の基準額ありますですよね、これはまた年金法の方で議論になるんですけれども、この金額の適正な水準というか、あるいは減額幅、これ、もちろん金額を上げて減額幅も少なくした方がいいかとは思うんですが、これに関しては、全面的に撤廃する方が皆さんにとっては非常によいのか、あるいはこれ段階的に、いろんな議論があると思いますが、ちょっとその点の立場をお話しいただければと思います。

#55
○参考人(湊元良明君) 我々の調査によりましても、その点が非常に高齢者の就業を進めていく上でのネックになっているという声は聞いております。
 我々の意見といたしましては、これはやはり縮小の方向で見直してくれということを、我々、まあ幾らというのはあれなんですが、ということを意見として述べさせていただいております。しかし、財源がこれあるというふうに思いますので、代替財源を確保した上でこうした措置を進めてくれというのが我々の主張であります。

#56
○梅村聡君 どれだけ高齢の方にしっかり働いていただく環境をつくるかということが大事かなと思っております。
 それでは、石田参考人と、そして水野参考人にお話をお伺いしたいと思いますが、今回、法案の中で労災保険法の改正も含まれております。この中で、特に今日取り上げたいのは副業と兼業の問題なんですけれども、今回、労災認定はこれ複数の事業所をトータルで見ていくと、だから給付額に関してもそれをきちっと案分をして認めるということで、私は一歩前進だと考えています。
 ただ、不十分な点は、これは事故が起こった後の話なんですね。事故が起こる前については、現時点ではまだまだ副業、兼業の方々は、例えば安全配慮義務にしても健康確保措置についても私は非常に不十分ではないかなと考えております。
 このことも前回のこの厚生労働委員会で質疑をしたんですけれども、労政審始め、もう一つ、こう対応すればそこをきちっとカバーできる、私、元々内科医をしておりますので、やっぱり長時間労働された方にはきちっと面談をしてほしいし、定期健診はきちんと受けてもらって、その結果というものをきちんとフォローできるような体制をしたいんですけれども、やっぱり副業、兼業の方々への対応というのは、これなかなかいい案もなくて、でも、一歩でも二歩でもやっぱり進めていくことが大事だと考えているんですが、石田参考人のお立場から、まず、どういう対応が考えられるのかということを教えていただきたいと思います。

#57
○参考人(石田昭浩君) それでは、大変難しい問題ですけれども、少し考え方を申し述べさせていただきたいと思います。
 いずれにしても、兼業、副業、いわゆる労働時間の通算という意味では、主と従という関係も含めて、通算されてどれぐらいやっぱり一日の労働時間はしているんだということはまずしっかりと押さえなきゃいけないんだというふうに思っています。
 そういった意味で、仮に、万が一事故が起きたときに、どこに起因するのかということも、いろんな見方があるんだというふうに思いますけれども、いずれにしても、事故に遭った労働者の方が、不利益といいましょうか、つらい思いをするということは、これは避けなきゃいけないんだというふうに思っています。
 したがって、兼業、副業をするということであれば、それぞれ兼業、副業をしてもらう企業側にもそのことをしっかりと分かっていただかなきゃいけないということがもう入口のところで非常に大事だというふうに思っているんです。
 そこのところをどうやって具現化をしていくかということでありますので、明確なお答えはなかなか難しいんですけれども、そのことをしっかりと念頭に置きながら、これからはどんどんルールを積み上げていく、そのことが大事だというふうに思っておりますので、今、私の立場で言えるのは、給付とかいろんなことも大事ですけれども、やっぱり事故に遭った方の立場に立ってどういうふうにルールをつくっていくかということだけはしっかりと議論をお願いさせてもらいたいなと、そんなふうに思っています。

#58
○梅村聡君 ちょっと同じ質問になりますけど、水野参考人からお願いいたします。

#59
○参考人(水野英樹君) あくまでも私の個人的な考え方ですが、労働者の申告を通して使用者に労働時間等を把握していただくほかないのかなというふうに今のところ考えています。
 労働者の方に、申告、まあ義務を課すのがいいのかどうか微妙なんですが、して、少なくとも申告があれば、使用者の方はその申告に基づいて他の事業所の労働時間なんかも把握する義務を課すと。で、その労働者の申告がなされたことによる使用者側の不利益な措置は条文で明確に禁止をするというようなことによって、双方の事業所が他方の事業所における就労実態をそれぞれ把握するということによって労働者の健康を守っていくという方法ぐらいしかちょっと今のところ思い浮かんでおりません。
 以上です。

#60
○梅村聡君 済みません、じゃ、もう一つなんですけど、水野参考人に。
 じゃ、今度、そのことを事業主側に何か、まあ義務じゃないですけど、課すということは考え得るんでしょうか。

#61
○参考人(水野英樹君) 済みません。今申し上げたところしか限度として考えていませんで、使用者の方から労働者の申告がないにもかかわらず把握する、追求するというのはちょっとなかなか難しいかなと思っています。あくまでも労働者がほかでも働いていますよというところまではちょっと言わざるを得ないのかな。ただ、それを言ったら、じゃ、どこで働いていて、何時間働いていてということで、その後は、申告を受けたら、その後は、調査義務といいますか、労働者を通してということになると思いますが、把握義務は課していいのかなというふうに思っています。

#62
○梅村聡君 一昔前は、なかなかアルバイトというか兼業をするということがちょっと後ろめたい状況があって、そしてプライバシーもあるというようなことが中心だったんですけれども、今、どちらかというと、政府も、副業、兼業で自らのキャリアアップをつくっていくと、それから企業側も、情報漏えいのおそれとかはありながらも、そういうものを認めていくという方向になってきておりますので、ちょっと今日はいろいろ意見もいただいて、これをしっかり参考にしながら、新しいその働き方の未来づくりを我々としてもやっていきたいなと、そのように思っております。
 今日は、四人の方に御意見をお聞かせいただきまして、ありがとうございました。終わります。

#63
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 今日は、お忙しい中、そしてまた新型コロナで大変な対応の中、こうして御出席いただきまして、ありがとうございます。
 初めに、七十歳までに就業確保措置をとるということ、就業機会を確保するということで、雇用によらない、以外の措置が盛り込まれたということは非常に大きな問題だというふうに思っておりまして、これが六十五歳以上の働き方で盛り込まれたことをきっかけというか突破口にしまして、雇用によらない働き方を他の世代にも広げることになるんじゃないかという強い問題意識と重大な懸念を持っております。
 そこで、水野参考人にまずちょっと伺いたい、細かいところなんですけれども、教えていただきたいと思いますのは、今回、新たに七十歳までのところで、雇用以外のところではなくて雇用の中身のところで、他の事業主によるものも含むということで、これまでは系列とか子会社とかの範囲だったものが拡大されることになると。こうなりますと、派遣事業者での雇用もこれ可能になるという理解なんですけれども、それをまた雇用、派遣元から元々雇用していた企業に派遣される、そういうことも可能、法律の立て付けからすると可能になるのではないかと思って、問題提起なんですね。
 これ、もう間接雇用もこれ可能になっちゃうんじゃないかという指摘があるんですけれども、これ法の趣旨からいってもおかしいんじゃないかと思うんですが、御意見をお聞きしたいと思います。

#64
○参考人(水野英樹君) 重要な御指摘ありがとうございます。
 申し訳ありません、そういう活用といいますか、の仕方までちょっと考えておりませんでした。今ぱっと思った、印象程度ですけど、もしかすると法的に可能になってしまうのかもしれません。
 しかし、基本的に、この高年法の趣旨は、それまで雇用していた企業が七十歳まで支援する、雇用なのかどうかは別としてということですので、間接雇用にするというのは、まさに直接雇用すればいいだけの話ですので、ちょっと制度の少なくとも濫用的な使い方かなというふうに思います。

#65
○倉林明子君 ありがとうございます。そういうことも可能である法律だと言えるのかどうか、よく研究したいと思います。
 そこで、今日は、新型コロナの影響が非常に雇用や経済にもあらゆるところに及んできているというのが実態かと思うんですね。
 そこで、湊元参考人にお聞きしたいと思うんです。
 新型コロナウイルスで、今相談件数も非常に増えているのは雇用調整助成金ですよね。要望書も出されているということで見せていただきましたが、これ条件、受給要件大変厳しいということで、これ緩和、政府の方も緩和していくという方針も出されているんですけれども、私もいろいろお話伺っていると、この受給要件の緩和をしないと、手続により時間が掛かって給付が何か月も先になると、全く間尺に合わないんじゃないかと思っているんです。
 具体的に、緩和すべき受給要件ということについて、参考になる御意見等がありましたら教えていただきたいと思います。

#66
○参考人(湊元良明君) お答えいたします。
 雇用調整助成金に関しましては、こうした厳しい状況の中、中小企業、特に小規模企業の雇用を支えるという意味では大変大きな役割があるというふうに思っております。
 我々も、当初は中国関係のが激減したときに適用するということ、これ我々も要望して、その中国要件を外してくれということ、これは政府の方でやっていただいて評価しております。あるいは、売上高が減少している要件とかありますので、そうしたところも柔軟にやっていただきたいというふうに思います。
 あと、助成の率ですね。率も、今般、総理からの表明もありましたように、中小企業九〇%ですか、それから大企業でも七五%、こうしたことに拡充していただいていると。これは非常に大事なことであるというふうに思っております。
 また、今お話ありました、実際には、やはりこの制度を使って中小企業、小規模企業のところに届くことが大事だということだと思っておりますので、今非常に時間が掛かっていると、現場では、という話も聞いておりますので、この辺は、我々としても、これがスピーディーにいくようにということを思っておりますし、手続も書類もなるべく簡素化して、これがスムーズに通せるように我々としては要望していきたいというふうに思っております。

#67
○倉林明子君 受給要件の撤廃までおっしゃっていたか、申入れの中ではされているかと思うんですけれども、そのぐらいやっぱり思い切ったことをやっていかないと、雇用を守るという中小企業の努力支えられないと思っております。大企業に七五%本当に要るのかというのはちょっと疑問なんですけれども、それは意見だけです。
 そこで、次に湊元参考人と水野参考人に同じ質問したいと思うんです。
 やっぱり、このコロナの影響に関わってですけれども、フリーランスや自営業者に対しても融資や給付金にとどまらない十分な損失補填が求められると思うんですね。感染防止、これ今、外出規制等々出ております、イベント中止等出ております、夜のところに行くなというようなことで出ているわけですけれども、これ、ほんまに実効性を上げていこうと思いましたら、損失補償とセットでやるという考え方が大事になってきているんじゃないかというふうに思います。この点についての御意見をそれぞれ伺いたいと思います。

#68
○参考人(湊元良明君) お答えいたします。
 御指摘ありましたとおり、この外出自粛といいますか自粛のものによりまして、特に飲食店等、非常に大きな影響が出ているというふうに思っております。また、フリーランスとかそういう働き方、多様な働き方の中でも大きな影響が出ているんではないかなというふうに思います。特に飲食店等に関しましても、政府の方で無利子融資とか小口現金の給付とか、あるいはこれから現金給付も検討するということであると思いますので、そうしたもの、しっかり期待して見守っていきたいというふうに思っております。

#69
○参考人(水野英樹君) イベントの自粛の関係で、イベントを支えてきたフリーランスの人たちの悲鳴が聞こえてきております。融資とか支払の繰延べということになりますと、いずれは払わないといけない、返さないといけないということになりますが、彼らが断たれているのは収入ですので、その収入をどうやって補填するのかって、国の制度としてやる場合には難しいんですが、完全なものでなくても、そこを補填していかないと結局彼らを救えないというふうに思いますので、やはりセットでする必要が高いと思います。

#70
○倉林明子君 給付金への期待ということでおっしゃっていただきましたし、損失補填ということで確保していくことも大事だという御指摘かと思います。やっぱり、この感染防止策をしっかり取ってこそ、次の経済再生といいますか次の一歩につながっていくものだと思いますので、その点では、給付金にとどめず、損失補填をしっかり求めていきたいというふうに思っております。
 続いて、水野参考人にお伺いしたいと思います。
 三月十一日に、これは労働弁護団だったかと思うんですけれども、新型コロナウイルスに関する労働問題についての緊急声明出されていますよね。これの中で、使用者の判断ないし責任によって労働者が休むことを余儀なくされた場合には、使用者は休んでいる期間に対応する賃金の十割を支払うべきである、こういう指摘があるんですね。おっ、そうや、元々十割ですよねと、私もこの声明見せていただいて改めて気付かせていただいたんですけれども、この十割を支払うべきであるということを記載されている法的な根拠について御説明いただければ有り難いと思うんです。

#71
○参考人(水野英樹君) それは、民法に基づく契約責任ということになります。(発言する者あり)はい、改正民法でも旧民法でも同じでございます。
 厚生労働省さんのQアンドAの方では、休業補償ということで労働基準法による説明をしています。もちろん、その説明は正しいわけですが、労働基準法による責任の前に、使用者は労働契約に基づいて民法上の使用者としての契約責任を負っております。それに基づいて、契約の中身、職場の実情、その休業をするに至った理由や経緯、これらの事情によっては十割を払わなければいけないケースもあるだろうということで、こういう指摘をさせていただきました。

#72
○倉林明子君 確かに、使用者だけの責任で十割補填はできないという場合は当然あるだろうと、そこはやっぱり国がしっかり支援していくということで、十割給付を支えるという考え方、とても大事だなと思いましたので、参考にさせていただきたいなと思います。
 ちょっと時間が来てしまいまして、石田参考人に、高年齢者のアンケートなんかされているのでそこら辺実態聞きたかったのと、玄田参考人には、ジェンダー平等の視点から雇用政策についての御提案もあったのでそこら辺聞けたらと思ったんですが、残念です。聞けずに申し訳ありませんで……(発言する者あり)済みません、時間がありました。ありがとうございました。
 それでは、仕切り直して、もう時々やるんで、済みません、時間がありましたので質問します。
 石田参考人のところで、私、これは面白い調査だなと思いましたのが、六十歳以降の方々に、適切な働き方ということで、それ聞いているんですよね。労働時間や労働日数、賃金ということで具体的に平均も出されていると。これらについて是非御紹介もいただいて、やっぱり労働者、働いている人たちの要求水準というのはどういうところなのかということを共有できればと思います。お願いします。

#73
○参考人(石田昭浩君) 適切ないわゆる七十歳以降、七十歳以前の働き方ということなんですけれども、労働日数についても、やっぱり高齢者という意味では、フルタイムがいいのか、あるいは日程を一定的に切った方がいいのかという、それぞれの体力も含めていろんな環境があるんだというふうに思っています。総じて申し上げれば、それに適応した適切な働き方というメニューについてはやっぱりつくっていくべきだというふうに思ってはいます。
 やっぱり、雇用の維持という意味で、先ほどから申し上げておりますけれども、安全、健康面、そしてどうしても介護の問題と、こう含めれば、働きやすい環境という意味で、全てフルタイムということではなくて、やっぱり適切な日数、あるいは適切な賃金水準、まずそういうものをしっかりと、いろんな方に聞いてそういうものをしっかりつくり上げていくことが大事だというふうに考えています。

#74
○倉林明子君 やっぱり、働きやすさの選択というか、そういう環境も、高齢者になっても働き続けるためにとても大事な調査だなと思いましたし、そういう意味での選択の幅が広がり、賃金も担保されるというところを進めていくべきだなということを改めて思いました。
 それでは最後に、済みません、玄田参考人にお聞きしたいと思うんです。
 いろいろ読ませていただく中で、氷河期世代のところに焦点を当てた御意見ではありましたけれども、私はやっぱり、ジェンダー平等の視点から今の日本の働き方を変えていくという考え方、非常に共感して読ませていただいたんですね。変えていく方向としてというよりも、今働く現場でそのジェンダー平等でないという環境、確かにあるというふうに思っているんですね。それはやっぱり乗り越えるべきものだというふうにお考えなんだなと思ってお読みしたんですが、その考え方、紹介いただければと思います。

#75
○参考人(玄田有史君) 御質問ありがとうございました。
 私自身は研究を始めたのがもう三十年以上前ですけれども、その当時と比べると、大分いろんなジェンダーに関する問題は変わってきた面もあるなと思う反面、そうじゃない面もあるということもつくづく感じております。非正規雇用問題というふうなことが浮かび上がったものの大部分は実はジェンダーの問題にも関係しているということで、非正規問題を解決していくということはジェンダーの問題の解決でもありますし、あと、やっぱりこれも問題解決には、草の根的な職場全体での盛り上がりと、あとトップの決断ということの両方がないと問題解決していかないというふうなこともやっぱりこれは変わらない面だと思っております。
 あとは、やはり先ほどの問題も関係して、いろんな問題を変えていこうとすると、いい面が出る反面、いろいろトラブルが起こるというのは今回の高齢者も含めて当然でありまして、やっぱり、例えば総合労働相談コーナーのようなところに問題があったときにすぐ相談に行ける、今やっぱりハラスメントが非常に大きな問題になっておりますから、そこにジェンダーの面もなきにしもあらずなので、それこそ性別問わずに、何かあったらちゃんと相談に行ける、何かおかしいんじゃないかというふうに感じたら相談に行ける体制を、やっぱり性別にかかわらずまずはつくっていくということがこれからの働き方にとっては重要だと思っておりますし、そういう意味では、ジェンダーの取組というのがこれからの日本の社会の働き方を考える上での重要な参考になるのではないかというふうに思っております。
 以上となります。

#76
○倉林明子君 本当に終わります。ありがとうございました。

#77
○委員長(そのだ修光君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。
 参考人の皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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