くにさくロゴ
2020/03/06 第201回国会 参議院 第201回国会 参議院 本会議 第6号 令和2年3月6日
姉妹サイト
 
2020/03/06 第201回国会 参議院

第201回国会 参議院 本会議 第6号 令和2年3月6日

#1
令和二年三月六日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第六号
    ─────────────
  令和二年三月六日
   午前十時 本会議
    ─────────────
 第一 所得税法等の一部を改正する法律案(趣
  旨説明)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、元内閣総理大臣中曽根康弘君逝去につき哀
  悼の件
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────

#2
○議長(山東昭子君) これより会議を開きます。
 元内閣総理大臣中曽根康弘さんは、昨年十一月二十九日逝去されました。誠に痛惜の極みであり、哀悼の念に堪えません。
 つきましては、この際、院議をもって元内閣総理大臣中曽根康弘さんに対し弔詞をささげることにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#3
○議長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。
 弔詞を朗読いたします。
   〔総員起立〕
 参議院は 五十有余年の永きにわたり 衆議院議員として わが国 民主政治発展のため力を尽くされました 元内閣総理大臣従一位大勲位中曽根康弘君の長逝に対し つつしんで哀悼の意を表し うやうやしく弔詞をささげます
     ─────・─────

#4
○議長(山東昭子君) 日程第一 所得税法等の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 本案について提出者の趣旨説明を求めます。麻生太郎財務大臣。
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕

#5
○国務大臣(麻生太郎君) ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案の趣旨を御説明させていただきます。
 本法律案は、持続的な経済成長の実現、経済社会の構造変化への対応等の観点から、国税に関し、所要の改正を一体として行うものであります。
 以下、その大要を御説明申し上げます。
 第一に、持続的な経済成長の実現に向け、オープンイノベーションの促進に係る税制の創設、投資及び賃金の引上げを促すための税制の要件の見直し、連結納税制度の見直し等を行うことといたしております。
 第二に、経済社会の構造変化を踏まえ、未婚の一人親に対する税制上の措置及び寡婦控除の見直し、NISA制度の見直し等を行うことといたしております。
 このほか、消費税の申告期限を延長する特例の創設等を行うとともに、住宅用家屋の所有権の保存登記等に対する登録免許税の特例等について、その適用期限の延長や整理合理化等を行うことといたしております。
 以上、所得税法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げさせていただいた次第であります。(拍手)
    ─────────────

#6
○議長(山東昭子君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。長峯誠さん。
   〔長峯誠君登壇、拍手〕

#7
○長峯誠君 自由民主党の長峯誠です。
 まず、中国武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎などにより亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げます。
 この新型コロナウイルスについては、急速な拡大に進むか、収束できるのかの瀬戸際となるという先日、二十四日の専門家会議の見解を受けて、翌二十五日、政府において基本方針が決定されました。その直後の二十七日には、子供たちの集団感染、さらには子供たちから家庭への感染を防ぐために一斉休校の要請がなされました。そして、昨日も新たな対策が公表されました。感染の流行を抑制し、国民の健康被害を最低限に抑えるための重要な時期だけに、必要に応じあらゆる手を尽くすべきです。
 また、学校休業に伴い、関係する皆様にお掛けする負担、特に保護者の方々の休職に伴う所得の減少への手当て、そして、観光客の減少、サプライチェーンの混乱などにより影響を受けている地域経済への支援、とりわけ中小・小規模事業者への更に強力な資金繰り対策などを講じていただかなければなりません。
 政府には、引き続き、感染状況に応じた適切な対応をちゅうちょなく打っていただき、新型コロナウイルスの封じ込めと経済へのダメージの可能な限りの軽減を図って、国民の皆様の不安を払拭していただきたいと思います。
 それでは、自民、公明を代表し、ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案について質問いたします。
 国の財政運営を考えるに当たっては、お金の出口に当たる予算とともに、入口に当たる税制についても、経済の再生、そして財政の健全化を考えなければなりません。
 令和二年度予算案では、歳出改革を続けつつ、経済を切れ目なく下支えする施策が盛り込まれています。一方、今回の所得税法等改正案には、経済再生と財政健全化のためにどのような考え方が貫かれているのでしょうか。安倍総理にお伺いいたします。
 次に、未婚の一人親に対する税制上の措置について伺います。
 これまで、未婚の一人親の場合は、寡婦控除の要件に該当しないために、同じ一人親世帯で同じ所得であっても、婚姻歴のあるなしで所得控除額に差がありました。また、所得制限額にも男女間で差がありました。さらに、子育てや福祉などのサービスでも寡婦控除の適用の有無で利用料に差が出ることがありました。
 そこで、昨年末、与党内で、婚姻歴の有無や性別にかかわらず、生計を一にする子を有する単身者については、同一の一人親控除の適用や男女差の解消を行うことで合意し、実現に至りましたが、この未婚の一人親に対する税制上の措置の見直しの意義がどこにあるのか、麻生財務大臣にお尋ねします。
 続いて、NISA制度の見直しについて伺います。
 人生百年時代と言われる中、老後生活の土台となる公的年金の上に、高齢者の就労拡大や多様化する老後のライフスタイルに柔軟に対応できる仕組みが必要です。
 そのため、今回のNISA制度の見直しでは、つみたてNISAについて、口座開設期間が五年延長されます。また、一般NISAも、令和六年以降、つみたてNISAと同様、長期・積立・分散投資に資する投資信託に対象を絞った最大年二十万円の積立枠と、株式投資が可能な最大年百二万円の成長枠をつくる二階建ての新NISAに移行された上で、実質的に五年延長されます。
 そこで、今回のNISA制度の改正は、人生百年時代においてどのような役割を果たすものとお考えでしょうか。財務大臣にお伺いいたします。
 次に、オープンイノベーション促進税制について伺います。
 IoTや人工知能が中心となる第四次産業革命では、競争優位性を確保するための技術開発等に加えて、社外のベンチャー企業とともに新たな価値を創造していくオープンイノベーションが不可欠です。
 いわゆるGAFAは、先進技術の開発や革新的な発想を持つベンチャー企業への資金提供や買収により、新たな収益源を育てて事業を拡大しています。ベンチャー企業も、大企業からの資金支援により、新技術の製品化などが可能となるというメリットがあります。日本にも画期的なアイデアを持ち、技術力も優れたベンチャー企業は数多くあります。同時に、ベンチャー企業への投資は、企業の五百兆円近い内部留保の一部である現金や預金を生きた投資へ回すことにもなります。
 そこで、企業の投資マインドを喚起させるとともに、革新性の高いベンチャー企業との連携を促進させていく税制上の工夫がオープンイノベーション促進税制であると理解していますが、財務大臣に、この税制の趣旨と期待する成果についてお伺いいたします。
 次に、5G導入促進税制について伺います。
 異次元の高速通信スピード、さらにタイムラグが極めて少なく、同時にたくさんの端末と接続できるという特徴がある5Gは、医療診断や介護ロボット、自動運転などが社会の隅々まで普及するソサエティー五・〇を支える基盤です。製造業等の産業分野だけでなく、人口減少に直面する地方もその発展に大いに期待しています。
 しかし、もし、5Gネットワークの整備に手間取り、自動運転車など5Gと密接に結び付く製品の開発や社会への普及が遅れれば、日本の産業力も一気に低下しかねず、また、地方創生の歩みも進みません。残念ながら、日本ではまだ5Gの商用サービスは準備中であり、このままでは既にサービス提供をしている中国に後れを取ってしまいかねません。
 そこで、5Gの展開については、単なる携帯電話網の整備促進ではなく、世界がしのぎを削る中、官民挙げて進めていくべきだと考えますが、5G整備のための減税の趣旨と施策の内容について、財務大臣に伺います。
 最後に、研究開発税制等の適用要件の見直し等について伺います。
 大企業向けの研究開発税制等の適用要件のうち、国内設備投資額が当期の減価償却費の一割から三割に引き上げられます。また、給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の税額控除制度、いわゆる所得拡大促進税制では、これまで国内設備投資額が当期償却費総額の九〇%以上という要件が九五%以上とされます。
 この見直しには、研究開発や給与等の引上げ、設備投資の拡大といった好循環を更に大きくしていくという趣旨があるものと理解していますが、これまでの制度と比較して、どのように設備投資の上積みが図られるものと期待しているのかという点について財務大臣にお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

#8
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 長峯誠議員にお答えをいたします。
 令和二年度税制改正法案についてお尋ねがありました。
 令和二年度税制改正法案におきましては、持続的な経済成長の実現に向け、しっかりと財源を確保しつつ、オープンイノベーションの促進に係る税制上の措置や5G導入促進税制の創設などを行うこととしています。
 引き続き、経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針の下、デフレ脱却と経済再生を確かなものとすると同時に、歳出と歳入両面の改革を続け、財政健全化を図ってまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕

#9
○国務大臣(麻生太郎君) 長峯議員から、未婚の一人親に対する税制の改正内容、NISA制度、オープンイノベーション税制、5G導入促進税制、研究開発税制等の適用案件の見直しについて、計五問お尋ねがあっております。
 まず、未婚の一人親に対する税制についてお尋ねがありました。
 未婚の一人親に対する税制上の対応につきましては、これまで家族観や子供の貧困への対応といった様々な議論があったところであります。今般の改正は、子供の生まれた環境にかかわらず、全ての一人親に対して公平な税制を実現するという観点から、婚姻歴のありなしによる不公平、男性の一人親と女性の一人親の間の不公平とを同時に解消し、同一の一人親控除を適用することといたしております。
 税制改正法案の早期成立を実現し、着実に実施してまいりたいと考えております。
 次に、NISA制度の改正についてのお尋ねがありました。
 今般のNISA制度の改正は、経済成長に必要な成長資金の供給を促すとともに、人生百年時代にふさわしい家計の安定的な資産形成を支援していくという観点から行うものであります。
 具体的には、つみたてNISAにつきましては、制度期間を二〇三七年から二〇四二年まで五年延長、一般NISAにつきましては、より多くの国民に積立・分散投資による安定的な資産形成を促す観点から制度を見直した上で、二〇二四年から五年間の制度として措置することといたしております。これらの改正を通じて、少額から積立・分散投資を更に促進してまいりたいものだと考えております。
 次に、オープンイノベーションの促進に係る税制の創設についてお尋ねがありました。
 事業会社が新たな分野に投資するなど、閉鎖的な自前主義からの発想の転換を図り自ら事業革新を進めるため、オープンイノベーションにつながる出資を促すことは極めて重要だと考えております。税制面でもこれらを促すため、イノベーションの担い手となるベンチャー企業に対する一定の出資に対し所得控除を認める措置を設けることといたしております。
 今般の改正により、企業の前向きな投資が促進され、企業の生産性向上につながるいわゆる事業革新が広がっていくことを期待しているところであります。
 次に、5G導入促進税制についてお尋ねがありました。
 5Gは、ソサエティー五・〇の実現に不可欠な社会基盤であります。そのため、安全性、信頼性、供給安定性、オープン性等が確保されたシステムが構築される必要があります。
 こうした認識の下、さきに国会提出した新法の枠組みの下、5Gを早期に国民に普及させるという観点から、超高速・大容量通信等を実現する全国基地局の前倒し整備を支援するとともに、地域活性化や地域の課題解決を促進する観点から、地域の企業等が自ら構築するローカル5Gの整備を支援することといたしております。具体的には、5G設備に係る一定の投資に対し、期間を限定した上で税額控除などを認める措置を設けることといたしております。
 これにより、安全性、信頼性、供給安定性、オープン性が保証された5Gシステムの構築及び早期の普及が図られるものと考えておるところです。
 最後に、研究開発税制等の適用案件の見直し等についてのお尋ねがありました。
 企業収益が高水準で推移する中、果断な経営判断を促し、企業が設備投資や賃金引上げ等に積極的に取り組むことが重要であります。こうした観点から、今般の令和二年度税制改正において、委員御指摘のありましたとおり、研究開発税制等租税特別措置の適用要件や賃金引上げ及び投資の促進に係る税制等について、設備投資要件を厳格化することといたしております。
 今般の改正により、企業の経営者の攻めの経営に向けた意識改革がなされ、これまで以上に企業が設備投資等に積極的に取り組み、経済の好循環が実現されることを強く期待をしております。(拍手)
    ─────────────

#10
○議長(山東昭子君) 宮沢由佳さん。
   〔宮沢由佳君登壇、拍手〕

#11
○宮沢由佳君 立憲・国民.新緑風会・社民の宮沢由佳です。
 私は、共同会派を代表して、ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案について質問いたします。
 冒頭、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、感染され療養されておられる方々にお見舞いを申し上げます。
 また、感染拡大防止や感染者の治療のために日夜御尽力されておられる全ての方々に心より感謝と敬意を表します。
 さらに、子供を預かっていただいている各家庭、保育所や学童保育所、並びに高齢者施設においてウイルス感染症予防のために最大限の注意を払っていただいていることにも心より感謝と敬意を表します。
 改正案の各論に入る前に、税の使い道に関連して、新型コロナウイルス感染症対策についてお伺いします。
 来週にも新型コロナウイルス感染症に関する政府の緊急対策が発表されると伺っていますが、総理がおっしゃるように二千七百億円超の今年度の予備費活用だけで済むのでしょうか。韓国では一兆円超規模の補正予算を組むとの報道もあります。感染症対策や日本経済への影響などをどのように見込んでいるのでしょうか。甘い見通しではありませんか。総理の見解を伺います。
 先日、このような現状でカジノをつくる準備をしている場合なのか、カジノの予算があったら、そのお金を新型肺炎対策に使ったらどうだとの御意見をいただきました。私から、立憲民主党など野党共同会派と日本共産党は、新型コロナウイルス感染症対策としてそのようにできるよう衆議院でお願いしましたが、与党ほかの反対でできなかったとお答えしました。総理、この意見はもっともだと思われませんか。御見解をお答えください。
 カジノに関して、安倍内閣が適正に税金を使えるのか疑念を生じる報道がございました。看過できない記事です。
 萩生田大臣、あなたは、カジノから途中撤退した自治体に訴訟リスクがあるなど、カジノ擁護とも思われる趣旨の発言を多くされています。どうしてもカジノをつくりたい萩生田大臣に伺います。
 IR法成立後、海外でカジノ事業関係者とお会いされたり会話をされた事実はありますか。事実なら、以下、お答えください。
 そのとき、誰と話されましたか。目的は何ですか。宿泊したホテルにカジノはありましたか。旅行の費用、飲食、ホテルまでの往復や現地での移動費その他の費用は誰が支払ったのですか。お答えください。大臣自身が支払ったのなら、総理のまねをせずに、正々堂々、領収書を是非公開してください。大臣の御答弁をお願いします。
 政府は、小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援を公表しました。子供の面倒を見るために親が仕事を休んだ場合など、令和二年二月二十七日から三月三十一日の間において、日額上限八千三百三十円の助成を企業に行うものです。
 まず、この助成措置によって、総額幾らの財源が必要になると見込んでいるのでしょうか。一般会計及び労働保険特会に関して、それぞれ見込み総額をお答えください。また、その財源はどこから調達するのでしょうか。総理、お答えください。
 次に、この助成に関して対象となる子供について総理に伺います。
 なぜ特定支援学校を除いた中学生以上を除外しているのでしょうか。中学生以上だからといって、風邪症状を呈している新型コロナウイルスに感染したかもしれない子供を残して仕事に出る親の気持ちを想像してみてください。余りにも親の気持ちをないがしろにした冷たい政策です。中学生以上も対象となる子供に加えてください。
 また、幼児保育教育無償化の適用外施設に通う子供は対象となる子供ですか。お答えください。
 この助成によって対象となる全ての親の賃金が補償されるのでしょうか。日額上限八千三百三十円を超える賃金の場合、差額は事業者負担になると聞いています。そうであれば、事業者がこの助成の利用に消極的になる場合も考えられます。この場合、助成の対象者であるにもかかわらず、賃金補償が受けられないという事態が生じかねません。この助成の利用を促進するために政府はどのように取り組みますか。総理、お答えください。
 自営業やフリーランスの親は、今回の助成の対象ではなく、貸付けを行うと伺いました。貸付けは、お金を返さなければなりません。なぜ親の職業で、一方は賃金補償される親、他方はお金を返却しなければいけない親と、収入補償で差を設けるのでしょうか。理由は何でしょうか。お子さんを持つ親の気持ちは仕事で変わるわけがありません。総理、お答えください。
 次に、中小企業・小規模事業者への支援について伺います。
 雇用調整助成金を最大限活用することはもちろんですが、政府の要請に従った場合のキャンセル料や営業損などに関しても、全額は無理かもしれませんが、何らかの補償をすべきと思いますが、経済産業大臣、いかがでしょうか。御答弁をお願いします。
 学校の一斉休校要請の影響で、給食に使われるはずの野菜や牛乳が余っていると伺いました。生産農家の皆さんの不安を一日も早く払拭していただきたいと思います。政府の対応について農林水産大臣に伺います。
 あわせて、感染症に関して、外国産野菜の輸入等の影響も含め、農産物の輸出入に関する対応策について大臣に具体的に伺います。
 また、新型コロナウイルス感染に関して、国民の不安に付け込んだ詐欺や詐欺まがい行為、品薄の物品を転売目的で買い占める行為、国民を混乱に陥れる目的を持って根拠の全くないデマを流布する行為など、絶対に許すことのできない行為が現に行われているか、行われる可能性があります。政府として、このような行為にどのように対処するのか、また、このような行為を防止するために何を行うのか。総理、御答弁ください。
 次に、東京オリンピック・パラリンピックの開催に関して伺います。
 新型コロナウイルス感染拡大によって、東京オリンピック・パラリンピックが予定どおり開催されるのか不安に思っておられる方も多いと思います。税金などを財源とした開催費用なども多額に及んでいます。開催が予定どおりの場合、又は延期される場合、中止の場合など、政府は経済へ与える影響などをそれぞれ検討しているのでしょうか。総理の答弁を求めます。
 それでは、所得税法等の一部を改正する法律案の各論について伺ってまいります。
 まず、個人所得税に関して財務大臣に伺います。
 今回、未婚の一人親について、従来の寡婦控除と同等の負担軽減措置が導入されていることは一歩前進だと思います。しかし、扶養する子供の人数を控除額に反映しないのはなぜでしょうか。財務大臣は、衆議院本会議において、扶養控除や児童手当についても言及されながら、子を扶養する方自身に生ずる追加的経費への配慮として設けるものでありますと答弁されています。扶養する者自身に生ずる追加的な経費は扶養する子供の数によって違うと思います。なぜ子供の数を考慮しないのですか。大臣の御答弁では、扶養控除や児童手当の制度趣旨が違うので理由にならないと思うのですが、財務大臣、お答えください。
 次に、NISA改正について伺います。
 今回、二階建ての新NISAを創設して、積立部分を一階とし、従来の一般NISAを二階として、積立・分散投資を促進するとしています。また、従来のつみたてNISAの期間を更に五年延長しています。経済社会の構造変化を踏まえた措置とのことですが、背景に若者の利用を促進する狙いがあると伺っています。
 仮に、つみたてNISAを利用した場合、非課税期間二十年で年上限四十万円までとのことですが、二十年掛ける四十万円で八百万円です。金融庁が報告し撤回した二千万円までに届きません。これからの若い世代は老後にもっと個人貯蓄が必要との声もあります。
 財務大臣、つみたてNISAを利用しても、不足分一千二百万円です。国民、そしてこれからNISAを利用する若者は、一千二百万円、不足分をどうしたらよいのですか。お答えください。
 法人課税、新たに創設されるオープンイノベーション促進税制について伺います。
 この税制ですが、ベンチャーに投資したら株式の取得価額の二五%を所得控除するものです。通常、利益が出たら減税措置がとられる手順だと思いますが、この税制は投資したらすぐに減税となり、かなり特殊な制度です。なぜこのような特殊な減税制度にしたのですか。ベンチャーに多額を投資して多額の減税の恩恵を受けることができるのは大企業だけじゃないでしょうか。
 ベンチャー育成には反対しませんが、国民には消費税率引上げをお願いしておいて、大企業への優遇税制を更に導入をするのはいかがなものでしょうか。財務大臣、御答弁をお願いします。
 今、更にと申し上げたのは、金融所得の多くが分離課税の対象になったままであり、政府は富裕層優遇税制を全く是正していないからです。政府は、金融所得の税率を一〇%から二〇%にしたとアリバイづくりをしていますが、金融資産の多い富裕層ほど所得税の実質負担が少ないという逆進性は全く改善されていません。
 税の再分配機能強化を図るためにも、金融所得の総合課税化や税率引上げなどを導入すべきと考えますが、財務大臣より政府の見解を求めます。
 次に、子育て支援税制について伺います。
 今回、認可外保育施設の乳幼児五人以下の施設とベビーシッター利用料に関して消費税を非課税にする措置が盛り込まれています。
 もう一歩前進、もう一歩進めて、やむを得ず公費の支援のない認可外保育所施設やベビーシッターなどを利用する場合、費用の一部を控除対象とすべきだと思いますが、なぜ消費税を非課税にして控除を認めないのでしょうか。財務大臣の答弁を求めます。
 消費税について伺います。
 軽減税率について、キャッシュレスポイント還元制度と相まって現場は大変混乱しています。軽減税率が消費税の逆進性対策に全く意味がないことは、現状を鑑みると明白です。軽減税率制度について、早期に抜本的見直しを行うつもりはありますか。財務大臣の御答弁を求めます。
 逆進性対策として、軽減税率の代わりに給付付き税額控除を検討してはいかがですか。併せて財務大臣に伺います。
 二〇二三年十月に導入されるインボイス制度について伺います。
 インボイス制度により、免税事業者が取引できなくなるおそれがある、また、事業者の事務手続の負担が大きいなどの問題点があります。
 幾ら準備期間や移行期間を設けていても、結局はインボイス制度によってこれまでのような取引ができない事業者が出るリスクがある以上、まずは導入を中止し、事業が継続されるために必要な取組を事業者の意見を反映しながら議論すべきと思いますが、いかがでしょうか。事業者は不安なのです。財務大臣の御見解を伺いたいと思います。
 結びに、今回の改正案について申し上げたいことがございます。
 改正案は、一歩前進として中には評価できるものもありますが、前進といっても進み具合は全く小さいものです。また、相変わらず富裕層、大企業優遇税制に関しては促進する内容になっています。
 アベノミクスにより、所得格差、資産格差がますます拡大している現状を考えると、格差是正を踏まえた税制にかじを切る必要があります。また、今、まさに多様性を認め合う社会への転換を図るため、大切な時期です。そのための税制にシフトしなければならない時期です。
 それにもかかわらず、今回の改正案は、今の時代に求められる税制の在り方についての視点が欠如しています。金融所得課税や法人課税を始めとする不平等な税制の見直し、消費課税の在り方、所得再分配機能の強化やジェンダー平等推進の観点からの控除全体の見直しなど、税制の全体像を見据えた抜本的な改革からは程遠い、小手先の改正内容です。
 私たち大人のツケを回すことなく、格差のない多様性を認め合う未来を子供たちに引き継いでもらえるように、これからの税制を改正すべきです。総理の御所見をお伺いして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

#12
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 宮沢由佳議員にお答えをいたします。
 新型コロナウイルス感染症に関する緊急対策についてお尋ねがありました。
 今般の新型コロナウイルス感染症については、先般取りまとめた第一弾の緊急対応策に基づき、感染拡大の防止に加え、事業者の皆さんに対する五千億円の資金繰り支援や雇用調整助成金を活用した雇用対策など、必要な対策を直ちに実行しております。
 また、来週取りまとめる第二弾となる緊急対応策においては、今回の臨時休校により職場を休まざるを得なくなった保護者の皆さんへの新たな助成金の創設や、医療提供体制の構築、中小・小規模事業者などに対する強力な資金繰り支援など、必要な対応策を速やかに具体化させます。
 今般の新型コロナウイルス感染症が景気全体に与える影響に対しては、二十六兆円の総合経済対策を着実に実行していくとともに、世界経済の動向も十分注視しながら、そのインパクトに見合うだけの必要かつ十分な経済財政政策を行ってまいります。
 臨時休校に伴う保護者の休暇取得支援の財源についてお尋ねがありました。
 今回の休校に伴って生じる様々な課題に対しては、政府として責任を持って対応することとしており、仕事を休まざるを得なくなった保護者の皆さんについては、新たな助成金制度を創設することで、正規、非正規を問わず、休暇期間中の所得減少に対する手当てを行うこととしています。
 お尋ねの財源の規模等については、来週取りまとめる第二弾となる緊急対応策に向け、現在調整を行っているところです。
 臨時休校に伴う保護者の休暇取得支援についてお尋ねがありました。
 新しい助成金制度については、政府として臨時休業の要請を行った施設を対象に、休校に伴い保護者が世話をする必要性が高いと考えられる小学校等の子を対象とし、その保護者に対して有給の休暇を取得させる事業主に対して、支払った賃金相当額の金額を助成するものです。
 助成額には、雇用保険における失業給付との均衡を図るため、一定の上限がありますが、政府としては、制度の詳細についてなるべく早くお示しした上で、利用の促進に向けてあらゆる機会を捉えて周知を図ってまいります。
 また、自営業者やフリーランスなどの小規模事業者については様々な形態があり、一概に論じることは困難ですが、新型コロナウイルスの影響については、現在、全国で千か所を超える経営相談窓口において、各地の中小企業・小規模事業者の皆さんから大変厳しい状況にあるとの声をたくさんいただいています。
 様々な民間事業者の方の個別の損失を国が補償することは困難であると考えておりますが、多くの事業者の方々から資金繰りについての相談を受けており、しっかりと事業を継続していただけるよう、第一弾の緊急対応策により五千億円の資金繰り支援を行っています。
 また、来週取りまとめる予定の第二弾となる緊急対応策についても、強力な資金繰り支援を始め、御指摘のあった方々も含めて、中小・小規模事業者の皆さんに対する実効的な支援策を講じてまいります。
 国民の不安に付け込んだ詐欺行為等への対処等についてお尋ねがありました。
 新型コロナウイルス感染症に対する国民の不安に付け込んだ詐欺行為等やデマの流布は、決して看過することはできません。
 政府としては、現在、国民の皆様が事実をしっかりと把握し、冷静に行動することができるよう、正確な情報を記者会見やホームページ、SNS等を通じて迅速に発信することに努めているところです。
 また、厚生労働省においては、誤った情報が拡散することのないよう、仮にウイルスや感染予防策等の誤った情報が広がっていれば、正しい情報を積極的に発信しております。
 その上で、例えば、マスクについては、インターネットにおいて高額で取引されている事例があり、このことが品薄状態に拍車を掛けていると指摘されていることを踏まえ、昨日の対策本部において、私から、国民生活安定緊急措置法を適用し、マスクの転売行為を禁止するための手続を進めるよう指示をしたところです。
 また、もとより、詐欺を始めとする違法行為は決して看過せず、厳正な取締りを行ってまいります。
 今後とも、国民の皆様の安全、安心を確保するため、全力で対応に当たってまいります。
 東京オリンピック・パラリンピック大会についてお尋ねがありました。
 東京大会については、今月三日にIOC理事会が公表した声明において、二〇二〇年七月二十四日から八月九日まで開催される東京オリンピックの成功に全力を尽くすこと、また、全てのアスリートが二〇二〇年東京オリンピック大会に向けて準備を続けることを奨励することとされているものと承知しております。
 このため、政府としては、予定どおりの大会開催に向けて準備を進めているところであり、延期や中止を前提とした影響等についての検討は行っておりません。
 令和二年度税制改正法案についてお尋ねがありました。
 持続的な経済成長の実現に向け、大企業向けを中心とした租税特別措置の廃止、縮減等により、しっかりと財源を確保しつつ、オープンイノベーションの促進に係る税制上の措置や5G導入促進税制の創設などを行うこととしております。
 また、経済社会の構造変化を踏まえ、子供たちの生まれた環境にかかわらず、全ての一人親家庭に対して公平な税制を実現する観点から、婚姻歴の有無や性別によらず全ての一人親家庭に対して同一の一人親控除を適用するなどの改正を行うこととしております。
 なお、これまで、所得再分配機能の回復を図るため、所得税の最高税率の引上げや、金融所得課税の見直しにより税率を一〇%から二〇%に倍増するなどの施策を既に講じてきたところです。
 今後の税制の在り方については、これまでの改正の効果を見極めるとともに、経済社会の情勢の変化等も踏まえつつ検討する必要があると考えています。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕

#13
○国務大臣(麻生太郎君) 宮沢議員から、未婚の一人親に対する税制、NISA制度、オープンイノベーションの促進に係る税制の創設、金融所得課税の在り方、子育て支援に係る税制上の措置、軽減税率制度と給付付き税額控除、インボイス制度等について、計七問お尋ねがあったと存じます。
 まず、未婚の一人親に対する税制についてお尋ねがあっております。
 今般の一人親控除は、単身で子を扶養しながら働く場合、両親が共にいる家庭に比べて選択できる職業や働き方に制約があるなど、所得を得る上での御本人に対する特別な事情に配慮して設けるものであり、単身者本人への配慮でありますため、子の人数にかかわらず一律の額とさせていただいたところであります。
 なお、子供の扶養に関して生じる実際の出費について、子供の人数が増えればその分明確に増えることへの配慮としては、御存じのように扶養控除や児童手当などの制度があり、これらは子の人数に応じた仕組みとなっておりますのは御存じのとおりであります。
 次に、宮沢議員から、NISA制度についてのお尋ねがありました。
 御指摘の報告書につきましては、これまでも国会等の場で御説明をさせていただいておりますとおり、老後の資金について国民に著しい誤解や不安を与えるものであったため、正式な報告書としては受け取っておらず、この報告書の数字をベースに不足分について議論することは適切ではないと考えております。
 その上で、資産形成は個々人がそのニーズに応じて行うものでありますが、政府としても、個々人がより有効な運用を行えるような環境を整えていくことが重要だと考えております。そうした観点から、NISAやつみたてNISAの導入、拡充などに取り組んできました。
 つみたてNISAにつきましては、今回、期限が二〇三七年から二〇四二年まで五年間延長するということにいたしておりますが、こうした改正により、これからNISAを利用しようとされる若い方を始め利用者がより安心して資産形成を行うことができるようになるものだと考えております。
 引き続き、NISA制度の導入やまた普及、また金融経済教育の推進等を通じて、家計の安定的な資産形成を支援してまいりたいと考えております。
 次に、オープンイノベーションの促進に係る税制の創設についてお尋ねがありました。
 本税制につきましては、企業が保有する内部資金や技術を有効に活用し、事業革新につながるオープンイノベーションを促進する観点から創設することとしたものであります。この税制は、イノベーションの担い手となりますベンチャー企業に対する出資を促す観点から、こうした出資を行った際に所得控除を認めるとした上で、新事業開拓や、新しい事業開拓や事業革新性などのオープンイノベーション性を満たさなくなった場合、五年以内に株式を譲渡した場合等々には取戻しを行う仕組みを設けることとしております。
 本税制は中小企業も対象にいたしておりますことに加え、今回の法改正では、大企業向けを中心とした租税特別措置の廃止、縮減等により法人課税全体で税収中立というもので行ったものであり、大企業を優遇しているとの御指摘は当たらないと考えております。
 次に、金融所得課税の在り方についてお尋ねがありました。
 損益の発生時期の操作が比較的容易とされる金融所得につきましては、単一税率の分離課税とすることで、恣意的な損益操作による課税の不公平を抑制する仕組みといたしております。
 その上で、平成二十六年から上場株式の譲渡益等に係る税率を一〇%から二〇%に引き上げさせていただいたところです。これにより、高所得者ほど所得税の負担率が上昇する傾向が見られ、所得再配分機能の回復に一定の効果があったのではないかと考えております。
 さらに、金融所得課税の見直しにつきましては、令和二年度の与党税制改正大綱において、税負担の垂直的な公平性等を確保する観点から検討するということとさせていただいておりますほか、経済への影響をどう考えるかといった論点もあり、総合的によく検討していくべきだと考えておるところであります。
 次に、子育て支援に係る税制上の措置についてのお尋ねがありました。
 御指摘の消費税の非課税化につきましては、五人以下の認可外保育施設について指導監督基準の見直しがなされたことを踏まえて実施するものであります。
 また、子育て支援につきましては、幼児教育や保育の無償化に伴い、三歳から五歳児のいる全ての世帯、ゼロ歳から二歳児のおられる住民税非課税の世帯について、保育所等の利用料が原則無料、認可外保育施設やベビーシッターについては一定額まで無償といった支援を行っております。
 その上で、認可外保育施設やベビーシッターなどの費用の一部を控除すべきという御指摘については、こうした予算上の措置に加えて更に支援を行うことの必要性、さらに、仮に税制で対応する場合は低所得者ほど効果が小さくなります。そういった点も踏まえて慎重に検討する必要があるのではないかと考えておるところであります。
 次に、軽減税率制度と給付付き税額控除についてのお尋ねがありました。
 軽減税率制度は、消費税の逆進性を緩和しつつ、買物の都度、痛税感の緩和を実感できるといった利点があることから、消費税率引上げに伴う低所得者への配慮として実施されているものであり、いわゆる見直すということを考えてはおりません。
 また、給付付き税額控除につきましては、所得が低い方に焦点を絞って支援ができるといった利点はありますが、消費税そのものの負担が直接軽減されるものではありません。消費者にとって痛税感の緩和の実感にはつながらないといった問題、また所得、また資産、そういったものは把握といったものが難しいといった問題などがあると承知をいたしております。
 こうしたことから、給付付き税額控除を消費税率引上げに伴う低所得者対策として軽減税率制度の代わりに実施するということを考えてはおりません。
 次に、インボイス制度についてのお尋ねがあっておりました。
 インボイス制度は、複数税率の下で適正な課税を行うために必要なものであります。また、インボイスにおいて税額が明確になることから、中小企業者にとっては価格転嫁が行いやすくなるといったメリットも期待されているところであります。
 このため、制度の円滑な導入を図る観点から、導入までに四年間の準備期間を設けるとともに、それから更に六年間、免税事業者からの仕入れについて一定の仕入れ税額控除を認めるなど、事業者の準備や設備導入のための十分な期間を設けているところでもあります。
 今後とも、事業者に与える影響等を踏まえながら、制度の円滑な導入に向けて、周知、広報を始めとして、必要な取組を更に進めてまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣萩生田光一君登壇、拍手〕

#14
○国務大臣(萩生田光一君) 宮沢議員にお答えします。
 海外でのカジノ事業関係者との面会の有無等についてお尋ねがありました。
 IR法成立後、海外訪問をした際、多くの参加者がいる席でIR事業関係者が同席していたということはあるかもしれませんが、IR事業関係者との面会等を目的として訪問をしたことはございません。
 平成三十年八月七日からの旅行の目的については、夏休みの家族旅行で、あくまでプライベートなものでした。
 当該旅行中、結果的にはIR事業関係者と会話をしましたが、それはあくまでも宿泊したホテル関係者として接遇を受けたものであり、いずれも儀礼的、一般的なものでありました。また、ホテルで出迎えている人物の一人については、IR事業関係者であると認識しておりませんでした。
 宿泊したホテルにカジノはありませんでしたが、ホテルが含まれる一体のエリアにはございました。
 旅行に係る費用については、全て私費で支払っております。
 なお、領収書の公開については、私費で支払っていることから必ずしも全ての領収書を保管しているわけではありませんが、クレジットカードの利用明細等で確認の取れた金額は既に公開をしております。(拍手)
   〔国務大臣梶山弘志君登壇、拍手〕

#15
○国務大臣(梶山弘志君) 宮沢議員からの御質問にお答えいたします。
 中小企業・小規模事業者が政府の要請を受けて、イベント等について中止等を行った場合のキャンセル料や営業損などに関する補償についてお尋ねがありました。
 損害への補償については、新型インフルエンザ等対策特別措置法においても、法的強制力のある措置のうち、臨時の医療施設の建設のための土地の収用といった極めて例外的な場合のみに認められており、また、今回の感染拡大への企業の対応は千差万別であり、これを政府が一律に補償することの公平性に課題があることを踏まえれば、慎重な判断が必要となります。
 もちろん、イベントや営業等を自粛した中小企業・小規模事業者に対しては、全国千五十か所に設置をしました経営相談窓口を通じて、それぞれが直面する課題について様々な声が寄せられており、丁寧な状況把握に努めてまいります。
 また、事業者をしっかりと支援するために、緊急対応策において約五千億円の融資・保証枠を確保し、影響を受ける幅広い業種への資金繰り支援を実行しているところであります。
 今後も、事業者に寄り添った対策を講じてまいります。(拍手)
   〔国務大臣江藤拓君登壇、拍手〕

#16
○国務大臣(江藤拓君) 宮沢議員の御質問にお答えをいたします。
 新型コロナウイルスの感染症の農業並びに輸出入への影響に対するお尋ねがございました。
 新型コロナウイルス感染症の拡大防止のために行われている学校の休校により、給食の食材のキャンセルが発生いたしております。学校給食用の牛乳、野菜等について、突然仕向け先を失うなど重大な事態が生じていると受け止めています。学校給食に納入していた生産農家の方の不安をできるだけ早く取り除くために全力を挙げてまいります。
 学校給食用の牛乳に関しましては、行き場を失う牛乳をバターや脱脂粉乳等の加工用に用途変更していただくことといたしましたが、生乳と加工原料乳との価格の差があり、収入の減少が生じることとなりますので、何らかの支援をすべく、しっかりと検討をしてまいります。野菜などについても、消費拡大に向けた取組を始めとして、農家を始めとする皆様の不安を取り除くための対応をしてまいります。
 野菜の輸入については、中国国内の物流や加工の停滞による影響が出ております。このような中、一部の外食事業者、中食事業者においては、輸入農産物から国産農産物に切り替える動きもあることから、このような動きに対応して、国内の一次加工施設等の生産基盤の整備なども進めていきたいと考えております。
 農産物の輸出についても、米、切り花、ホタテ等に影響が出ております。このような輸出業者に対して、輸出の停滞による影響を緩和するため、資金繰りの支援、債務保証等の支援策について、個々の事業者の方々の事情も伺いながらきめ細やかに対応してまいります。
 農林水産省は、国内の生産基盤を守り、国民の皆様に安全で安心な食料を安定的に供給する責務を負っております。
 現在生じている様々な影響に対して適切に対応していくため、農林水産省において、一月三十日に、私を本部長とする新型コロナウイルスに関する対策本部を立ち上げました。国民生活、農林水産業への影響について、地方農政局を含め全省を挙げて、価格の動向、需給の状況をリアルタイムに把握し、必要な対策を果断に実行してまいります。(拍手)
    ─────────────

#17
○議長(山東昭子君) 音喜多駿さん。
   〔音喜多駿君登壇、拍手〕

#18
○音喜多駿君 日本維新の会の音喜多駿です。
 所得税法等の一部を改正する法律案について、我が党を代表して質問をいたします。
 冒頭、今般の新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々に心よりお悔やみを申し上げます。
 初めに、税制に関連して、新型感染症に係る経済対策についてお伺いをいたします。
 昨年十月に強行された消費税の増税以降、景気の落ち込みが顕在化しています。二月十七日に内閣府が発表した昨年十月から十二月の国内総生産の速報値は、実質で前期比一・六%減、年率換算では六・三%の減でした。この結果は到底、暖冬や災害の影響だけであるとは考えられません。さらに、今回の新型コロナウイルスの発生は、景気に更なる悪影響を及ぼすことは確実です。
 三月二日時点において政府が示している新型感染症に係る経済対策の予算規模は二千七百億円であり、諸外国とは比較にならないほど小規模なものにとどまります。香港は一兆七千億円、シンガポールは五千億円といった予算額が示されており、対GDP比でいうとそれぞれ一%を超える規模のものとなっています。日本政府は休業補償など散発的な政策を打ち出しているものの、市場に対するメッセージとしては極めて脆弱であり、このままでは更なる景気の後退を避けることができません。
 そこで、我々は、軽減税率を全品目に適用し、消費税を実質八%に戻す減税政策を提案いたします。昨年の消費税の増税は明確な失敗でした。しかし、過ちては改むるにはばかることなかれ、軽減税率という複雑で不合理な仕組みを是正し、消費税の減税を景気対策における最大の意思表示とするべきと考えますが、安倍総理の御決断を求めます。
 また、一斉の臨時休校に伴う休業補償については、既にフリーランス等が対象に含まれないとの指摘があり、十分なものとは言えません。組織所属の有無にかかわらず、漏れなく機動的に直接給付できるスキームを早期に講じ、発表すべきと考えますが、安倍総理の見解をお伺いいたします。
 あわせて、こうした減税や補償などの大胆な財政出動を行うに際して、十兆円規模の早急な補正予算の編成を視野に入れるべきと考えますが、安倍総理の見解をお伺いいたします。
 次に、5G投資促進税制に関連して、ICT活用についてお伺いいたします。
 我が国の医療・教育現場におけるICT活用は極めて不十分であり、とりわけ今回の感染症対応については改善点が幾つも散見されます。
 医療については、何よりオンライン診療の活用が急務です。今すべきことの一つは、軽症あるいは感染症の疑いの低い方については、感染拡大防止のため、病院での受診も含めて外出を控えていただくことです。そのためにも既存のオンライン診療等を活用するべきですが、課題が山積みとなっています。
 先日の予算委員会でも、我が党所属で医師でもある梅村聡議員が、特定の管理料の算出対象となる患者、すなわち病名でオンライン診療の対象が絞られている問題点を指摘し、大臣は、安全、安心の観点から病名で制限、区分していることを答弁されました。
 しかしながら、病名でオンライン診療を絞ることにより、例えば、一過性脳虚血の発作の患者もオンライン診療可能となっています。この発作は、早い時期に脳梗塞に移行する病気であり、対面が必須、入院も検討されるものです。これは、安全、安心確保の観点から矛盾していると考えますが、政府の見解を伺います。
 また、こうした例もあることから、病名でオンライン診療の対象を絞ることは合理的ではなく、かつオンライン診療普及の妨げになっており、改善が必要と考えますが、総理の見解を伺います。
 そして、今般の感染症の危機は、何よりオンライン診療普及の契機でもあります。新型コロナウイルスの感染症治療においては、軽症であればオンライン診療を活用できる、あるいはオンライン受診勧奨を保険適用できるなどして、移動や受診における感染が広がらないよう、柔軟かつ機動的な診療体制を構築するべきと考えますが、総理の見解をお伺いいたします。
 次に、一斉休校に密接に関わるオンライン授業の推進についてです。
 教育現場におけるICT活用についても、我が国は心もとないのが現状です。今般の感染症拡大により、中国や台湾では遠隔教育のための環境整備が進められています。我が国においても、この一斉休校を機に、児童生徒の学習が滞ることがないよう、十分に配慮する必要があります。
 既に、文部科学省は臨時休業期間における学習支援コンテンツを公式サイト上で公表し、民間でも無料でオンライン授業を提供する事業者が出てきています。このような民間企業とも連携し、国は遠隔授業を積極的に推進するべきと考えますが、政府の見解をお伺いいたします。
 一方で、そもそもの教育のオンライン化には、まず教員や学校そのもののICTスキルを高めることが必要です。残念ながら、我が国の教育現場におけるICT活用の意識は極めて低く、授業のオンライン化、ICT機器の活用以前の問題になっています。
 例えば、今回の一斉休校に際して、その説明を行うために全校保護者会を開催した学校があります。これは、感染を防ぐためには全く逆の対応です。いまだに日本の学校は、人を集める、プリントや連絡帳を渡すというアナログな情報伝達手段が主流であり、私の娘の小学校でも、欠席するときはお友達に連絡ノートを預けに行きます。こうした対応が常態化している社会では、人から人へ感染症が爆発的に広まることは容易に想像できます。
 今回の一斉休校を契機に、学校と保護者の伝達は原則オンラインで行うなど、文部科学省は明確なガイドラインを早急に策定し、自治体に通知すべきと考えますが、政府の見解を伺います。
 また、現在政府が進めるGIGAスクール構想において、児童生徒一人一台の学習PC、タブレットを配付することが推進されています。家庭で利用できる環境が重要であり、自宅への持ち帰りを推奨すべきと考えますが、政府の見解を伺います。
 そして、5G社会でこうした教育のICT化、遠隔授業導入を進めるに当たっては、自宅でのネット環境は言うまでもなく重要です。
 他方、現在、香川県では子供たちのネット、ゲーム利用を一日一時間に制限する条例を定める動きがあり、時代に逆行していることを懸念しています。ネットやゲームを時間制限することに対しては、依存症防止に資するという科学的根拠が乏しく、慎重な対応が必要と考えますが、総理の見解をお伺いいたします。
 次に、一人親家庭への支援について伺います。
 今回の所得税法の改正において、寡婦控除の対象拡大や所得制限に関する男女間の格差が撤廃されることを評価し、賛同いたします。
 しかしながら、これはやはり小さな一歩にすぎません。厚生労働省の国民生活基礎調査によりますと、一人親家庭の相対的貧困率は過去二十年間ほとんど改善しておりません。私の妻は元シングルマザーです。まさに政治の不作為によって長きにわたって困窮しているこの問題の当事者たちから、切実な思いを長く聞いてまいりました。
 令和元年度における厚生労働省の一人親家庭等自立支援関係の予算は約四千三百億円となっているものの、状況が長期間にわたって全く改善しない以上、そもそもこの施策に費やす予算額が絶対的に不足しているのではないでしょうか。
 予算を策定するに当たり、各種統計などを参考にしていると思われますが、一人親支援に関して諸外国と比較した適正な予算規模の検証を行っているのか、そもそもそうした比較調査のデータを持っているのかどうか、政府に現状を伺います。
 大阪市では、一人親家庭に対して、全国の市区町村、国に先駆けて養育費の受取保証を打ち出すなど、総合的な支援を行ってまいりました。国は、長年の課題でありながら進展が見られなかった一人親世帯の貧困解決のために、その支援に資する予算支出の大胆な拡充を検討し、貧困率の抜本的な解決に乗り出すべきと考えますが、総理の見解をお伺いいたします。
 最後に、関連して、選択的夫婦別姓についてお伺いいたします。
 離婚後の一人親の負担軽減のためにも、選択的夫婦別姓の導入は重要です。再婚家庭、ステップファミリーである我が家の長女は、二度、名字を変えています。私との間に血のつながりはありません。選択的夫婦別姓に難色を示す人の中には、子供との関係を反対理由とし、親と名字が異なる子供がかわいそう、家族の一体感が保てないと主張される方がいます。親と子で何かが異なれば、家族の一体感は保つことができないのでしょうか。自信を持って申し上げます。家族のきずなに、人間関係のきずなに、名字の同一性や血のつながりは全く関係がありません。
 かねてから我が党が指摘してきたとおり、選択的夫婦別姓といっても、戸籍筆頭者の氏を用いるのか、出生時に子供の氏を決定するのか、様々なバリエーションが存在します。選択的夫婦別姓を実現させるためには、抽象的な賛否だけではなく、現時点で不利益を被る方の立場に立ち、子の氏や民法、戸籍法に係る制度設計レベルの議論を始めるべきだと考えますが、総理の見解を伺います。
 また、裁判官が旧姓で判決文を書くことが可能であることを踏まえると、公的にも別姓を用いることには既に何ら弊害はないと考えますが、総理の見解をお伺いいたします。
 日本維新の会は、一月の段階で新型コロナウイルス関連肺炎対策本部を設置し、二月三日にはいち早く提言を取りまとめ、提出いたしました。この未曽有の国難に対しては、批判すべきは指摘しながらも、政府・与党に建設的な政策提案を行っていくことをお誓いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

#19
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 音喜多駿議員にお答えをいたします。
 消費税の減税についてお尋ねがありました。
 先般公表された昨年十―十二月期のGDPは、主に個人消費が消費税率引上げに伴う一定程度の反動減や、台風や暖冬の影響を受けたことから、前期比マイナスに転じたところでありますが、引上げそのものによる反動減の大きさは前回引上げ時ほどではないものと認識しております。
 今回の消費税率の引上げは、少子高齢化という国難に正面から取り組むに当たり、お年寄りも若者も安心できる全世代型社会保障制度へと大きく転換していくためにどうしても必要なものです。
 引き続き、消費税率引上げによる影響について注視するとともに、今般の新型コロナウイルス感染症が景気全体に与える影響に対して、今般、経済の下押しリスクに備えて策定した二十六兆円の総合経済対策を着実に実行することで、適切に対応してまいります。
 フリーランスの方々への対応等についてお尋ねがありました。
 今回の臨時休業、臨時休校によって仕事を休まざるを得なくなった保護者の皆さんについては、新たな助成金制度を創設することで、正規、非正規を問わず、休暇期間中の所得減少に対する手当てを行うこととしております。
 自営業者やフリーランスなどの小規模事業者については様々な形態があり、一概に論じることは困難ですが、新型コロナウイルスの影響については、現在、全国で千か所を超える経営相談窓口において、各地の中小企業・小規模事業者の皆さんから大変厳しい状況にあるとの声をたくさんいただいております。
 様々な民間事業者の方の個別の損失を国が補償することは困難であると考えておりますが、多くの事業者の方々から資金繰りについての相談を受けており、しっかりと事業を継続していただけるよう、第一弾の緊急対応策により五千億円の資金繰り支援を行っています。
 また、先週取りまとめる予定の第二弾となる緊急対応策についても、強力な資金繰り支援を始め、御指摘のあった方々も含めて、中小・小規模事業者の皆さんに対する実効的な支援策を講じてまいります。
 財政出動についてお尋ねがありました。
 今般の新型コロナウイルス感染症については、先般取りまとめた第一弾の緊急対応策に基づき、感染拡大の防止に加え、事業者の皆さんに対する五千億円の資金繰り支援や雇用調整助成金を活用した雇用対策など、必要な対策を直ちに実行しています。
 また、来週取りまとめる第二弾となる緊急対応策においては、今回の臨時休校により職場を休まざるを得なくなった保護者の皆さんへの新たな助成金の創設や、医療提供体制の構築、中小・小規模事業者などに対する強力な資金繰り支援など、必要な対応策を速やかに具体化させます。
 景気全体に与える影響に対しては、二十六兆円の総合経済対策を着実に実行していくとともに、世界経済の動向も十分注視しながら、そのインパクトに見合うだけの必要かつ十分な経済財政政策を行ってまいります。
 オンライン診療の対象についてお尋ねがありました。
 オンライン診療では、得られる情報が視覚及び聴覚に限定されているため、安全性、有効性の観点から、長期の医学管理が必要で病態が安定しているような疾患をそれぞれ個別に対象としています。
 議員御指摘の一過性脳虚血発作については、高血圧など当該疾患の原因となる生活習慣病とともに、日常的に管理されるべき疾患としてオンライン診療の対象としており、したがって、仮に発作が起きた際には、オンライン診療ではなく、緊急に受診するなどの対応が行われることとなります。
 オンライン診療については、安全性に配慮しつつ、適切な普及を図っていくことが重要と考えており、エビデンスの収集状況等を踏まえながら、引き続き、必要な見直しを行ってまいります。
 新型コロナウイルスの感染症治療におけるオンライン診療についてお尋ねがありました。
 今般、新型コロナウイルスの感染拡大を防止する観点から、慢性疾患等に係る継続的な診療や服薬について、医師の判断で電話等による診療や処方ができることとし、その場合も保険適用できることとしております。
 また、電話やオンラインによる受診相談についても感染防止の観点から重要と考えており、広く周知を図ってまいります。
 オンライン授業の推進についてお尋ねがありました。
 今回の新型コロナウイルス感染症対策を契機として、感染拡大防止の観点から、IT技術を活用しながら、遠隔授業を含めて社会のあらゆる分野で遠隔対応を進め、未来を先取りする変革に取り組んでまいります。
 具体的には、政府としては、今後四年間で全ての小学校、中学生に一人一台のIT端末をそろえるなど、学校におけるICT環境の抜本的強化に取り組むこととしており、これらの整備と併せて学校や地方自治体に対し、民間企業等が提供する教育用コンテンツの活用を促すとともに、自宅への持ち帰りを含むIT端末の具体的な利用方法を示すことや、学校や保護者への連絡伝達など、学習以外の場面でも積極的にICTを活用することなどの取組を進めてまいります。
 また、一部の地方自治体においては、ネットやゲームの依存症対策に関する条例制定に向けた議論が行われているものと承知していますが、政府においては、実態調査を踏まえつつ、正しい知識の普及や相談支援体制の整備に取り組むとともに、関係省庁やゲームの供給を行っている企業を含む関係団体との協議の場を設けることで、ゲーム依存症への対策を推進してまいります。
 一人親家庭への支援についてお尋ねがありました。
 一人親家庭の支援に係る政策は国によって様々であって、その予算規模について国際比較を行うことは容易ではありませんが、我が国においては、就業支援を基本としつつ、子育て・生活支援や経済的支援などの施策を総合的に進めており、児童扶養手当制度について、近年、多子加算額の倍増や所得制限限度額の引上げ等、拡充を図ってきたほか、今般の寡婦控除の見直しや児童扶養手当と障害年金の併給要件の緩和について所要の法案を今国会に提出しています。
 今後とも、新たに策定した子供の貧困対策に関する大綱に基づき、一人親家庭の所得状況や生活実態、経済状況の変化等を踏まえつつ、必要な支援の充実を図っていきたいと考えています。
 選択的夫婦別氏制度についてお尋ねがありました。
 夫婦の別氏に関わる問題については、我が国の家族の在り方に深く関わる事柄であり、国民の間に様々な意見があることから、引き続き、国民各層の意見を幅広く聞くとともに、国会における議論の動向を注視しながら、慎重に対応を検討してまいります。
 なお、御指摘のとおり、司法においては、裁判所職員が判決を含む裁判関係文書等において旧姓を使用することができるものと承知しておりますが、政府においても、婚姻によって民法上の旧姓を使用することができるよう、旧姓の通称使用の拡大に向けて取り組んできたところであり、今後もこのような取組を続けてまいります。(拍手)
    ─────────────

#20
○議長(山東昭子君) 大門実紀史さん。
   〔大門実紀史君登壇、拍手〕

#21
○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史です。会派を代表して質問します。
 まず、新型コロナウイルスと経済対策について聞きます。
 新型コロナウイルスが日本経済を直撃し、国民の暮らしにも大きな悪影響を及ぼしています。加えて、先月末、総理が科学的根拠もなく突如打ち出した全国一律の学校への休校要請が混乱を拡大しています。
 一方、独自の判断で取組を進めている自治体もあります。今大事なことは、地域の実情を最も把握している各自治体の取組を尊重し、国が制度的にも財政的にも万全の支援をすることではないでしょうか。総理の認識を伺います。
 この間、新型コロナウイルスの影響を受けたアジア各国は、かつてない規模の経済対策を次々と打ち出しています。例えば、韓国は、中小企業への減税や金融支援など日本円にして総額一兆四千三百億円規模の対策を実施すると発表しました。香港は、十八歳以上の永住権を持つ住民七百万人に一人当たり約十四万円を支給するなど一兆円規模の対策を打ち出しました。シンガポールも、企業減税など五千億円規模の対策を発表しました。
 日本より人口も少なく国家予算も小さい国々ですが、それぞれの実情に応じた対策を大胆な財政措置で実行しようとしています。
 日本政府も、既存の制度の延長線上ではなく、また、小出しの対策でもなく、中身も財政措置も従来の枠を超えた大規模な対策を一気に打ち出す必要があります。それが国民に安心感を与え、明日への希望につながるのではないでしょうか。総理の認識を伺います。
 例えば、中小事業者に対する支援も、融資の拡充だけにとどまらず、無利子貸付けや既存債務の返済凍結、社会保険料の免除、さらに営業損失補填金や減税などの直接補助を思い切って実施すべきではありませんか。働く方々の休業補償も、フリーランスや個人事業主にも直接支払われる給付金のような制度を創設すべきではありませんか。
 政府は、三月十日までに第二弾の緊急対応策を打ち出すとしています。方針や内容を決める前に、各党各派の具体的提案を聞いて、それを反映させる努力を是非していただきたい。総理の答弁を求めます。
 次に、不況打開策について質問します。
 昨年十―十二月期のGDPは、年率換算でマイナス六・三%、家計消費もマイナス一一・五%の大幅減となりました。この時期はまだ新型コロナウイルスの影響が深刻化する前でした。総理は、この時期の景気の落ち込みの原因はどこにあるとお考えでしょうか。
 十月一日からの消費税の一〇%への増税がその原因であることは明らかです。そもそも二〇一四年の消費税八%への増税以来、家計消費の低迷は続いていました。そこに米中貿易摩擦などの影響を受け、昨年夏以降の日本経済は明らかに下降局面にありました。そんなときに消費税の増税を強行すれば景気がひどく落ち込むのは当たり前です。総理、消費税の増税は大失敗だったと率直に認めるべきではありませんか。
 内閣府の景気動向指数の基調判断も昨年八月以来五か月連続して悪化となっています。ところが、政府が発表した二月の月例経済報告では、いまだ緩やかに回復という表現に固執しています。今や月例経済報告は、経済報告というよりただの作文です。
 景気の悪化に新型コロナウイルスが追い打ちを掛け、日本経済と国民の暮らしは危機に直面しています。国民の負担を軽減し、内需、家計応援型の経済に転換することで不況を打開すべきです。とりわけ、今の不況をつくった大本である消費税を五%に戻すことは、実質的な負担軽減だけでなく、家計応援の強力なメッセージとなり、景気回復の起爆剤になることは間違いありません。総理、今こそ思い切って、消費税の減税を決断すべきではありませんか。
 こういうときにもかかわらず、今回の税制改正案には、家計を応援するどころか、巨額の内部留保をため込んでいる大企業にわざわざ補助金を与えるようなオープンイノベーション促進税制や5G導入促進税制が含まれています。体力のある大企業を優遇するお金があるのなら、暮らしや中小企業向けの予算に回すべきではありませんか。
 また、我が党が富裕層優遇であると再三批判してきた株の譲渡などの金融所得課税の税率も、そろそろ引上げに踏み切るべきではありませんか。麻生大臣の答弁を求めます。
 次に、ジェンダー平等と経済との関係について質問します。
 世界経済フォーラムが発表した二〇一九年の日本のジェンダーギャップ指数は、百五十三か国中百二十一位で過去最低となりました。安倍政権発足時の百一位から更に大きく後退しています。総理が掲げる女性活躍推進が進んでいないどころか、逆に男女格差は開いているのです。その原因がどこにあると総理はお考えですか。
 日本が順位を下げているのは、特に政治と経済の分野における男女格差の是正が進んでいないからです。世界経済フォーラムは、日本は、女性の閣僚と国会議員の比率が余りにも低いこと、経済においても男女の所得格差が著しく、企業の管理職や役員に女性が少ないことを指摘しています。
 ジェンダーギャップは人権の問題であるだけでなく、経済そのものにもマイナスの影響を与えます。IMF、国際通貨基金も、男女格差の是正が経済成長の推進力になるというリポートを発表しています。ゴールドマン・サックス証券のリポートでも、男女格差が解消されれば日本のGDPは一〇%押し上げられると試算しています。事実、北欧諸国などジェンダー平等の進んだ国ほど一人当たりのGDPは高くなっています。ジェンダー平等の推進は経済にもプラスになると考えますが、総理の見解を伺います。
 今や欧米の先進国では、男女格差の是正に努める企業ほど将来性と競争力があると判断され、企業価値も上がる時代になっています。日本でも、二〇一四年に有価証券報告書に女性役員の人数を開示するよう義務付ける改正が行われました。女性が活躍しているかどうかも企業価値を判断する際の基準にすべきだという前向きな改正が麻生大臣の下で行われたのです。
 ところが、男女の賃金格差については、日本企業は実態を公表せず、いまだに格差是正に消極的です。こんなことでは、ますます世界から取り残されてしまいます。
 先日の予算委員会で我が党の小池晃議員が提案したように、せめて企業が男女の賃金格差を把握し公表する仕組みをつくり、格差是正への努力を促すべきではないでしょうか。総理の答弁を求めます。
 麻生大臣、有価証券報告書も、せっかく女性役員数の開示まで義務付けたのですから、更に進んで、給与、待遇を含めた男女格差の是正状況が分かる情報も開示させるよう検討すべきではありませんか。
 これらのことを含め、男女の賃金格差の是正に国を挙げて本気で踏み出そうではありませんか。
 以上、現下の経済情勢と時代の変化に対応した政策への抜本的転換を求め、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

#22
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 大門実紀史議員にお答えをいたします。
 自治体の取組への支援についてお尋ねがありました。
 この度、学校における臨時休業要請については、ここ一、二週間が瀬戸際とされる状況の中で、子供たちの安全と健康を守るために、時間を掛けるいとまがない中での判断であったことから、保護者を始め自治体や教育関係者の皆さんにも大きな負担をお掛けしています。
 このため、政府としては、できる限りの対策を講じ、学童保育の実施や各自治体における独自の取組も尊重しながら、国として財政面も含めて全力で応援することとしています。
 今後も、自治体の御意見も踏まえながら、国内の感染拡大防止に向けてあらゆる手を尽くしてまいります。
 新型コロナウイルス感染症に関する緊急対策についてお尋ねがありました。
 今般の新型コロナウイルス感染症については、先般取りまとめた第一弾の緊急対応策に基づき、感染拡大の防止に加え、事業者の皆さんに対する五千億円の資金繰り支援や緊急雇用助成金を活用した雇用対策など、必要な対策を直ちに実行しております。
 また、来週取りまとめる第二弾となる緊急対応策においては、今回の臨時休校により職場を休まざるを得なくなった保護者の皆さんへの新たな助成金の創設や、医療提供体制の構築、中小・小規模事業者などに対する強力な資金繰り支援など、必要な対応策を速やかに具体化させます。
 今般の新型コロナウイルス感染症が景気全体に与える影響に対しては、二十六兆円の総合経済対策を着実に実行していくとともに、世界経済の動向も十分に注意しながら、そのインパクトに見合うだけの必要かつ十分な経済財政政策を行ってまいります。
 中小企業支援についてお尋ねがありました。
 新型コロナウイルスの影響については、現在、全国で千か所を超える経営相談窓口を設け、各地の中小企業・小規模事業者の皆さんから大変厳しい状況にあるとの声をたくさんいただいています。
 全ての中小・小規模事業者の方々の個別の損失を国が補償することは困難であると考えますが、他方で、多くの事業者の方々から資金繰りについての相談を受けており、しっかりと事業を継承していただけるよう、第一弾の緊急対応策により五千億円の資金繰り支援を行っています。
 加えて、これまでも関係省庁が連携して、官民の金融機関等に対して、返済負担緩和のための条件変更への柔軟な対応や、年度末の金融繁忙期を控え迅速な貸出しの実行など、個別企業の実情に十分配慮するよう要請してきたところです。社会保険料についても、納付を猶予する仕組みを活用し、柔軟な対応を行っています。
 来週取りまとめる予定の第二弾となる緊急対応策においても、強力な資金繰り支援を始め、中小・小規模事業者の皆さんの声を踏まえた実効的な支援策を講じてまいります。
 フリーランスや個別事業主の方への休業補償についてお尋ねがありました。
 今回の臨時休校に伴って生じる様々な課題に対しては、政府として責任を持った対応をすることとしており、仕事を休まざるを得なくなった保護者の皆さんについては、新たな助成金制度を創設することで、正規、非正規を問わず、休暇期間中の所得減少に対する手当てを行うこととしております。
 自営業者やフリーランスなどの小規模事業者については様々な形態があり、一概に論じることは困難ですが、新型コロナウイルスの影響については、現在、全国で千か所を超える経営相談窓口において、各地の中小企業・小規模事業者の皆さんから大変厳しい状況にあるとの声をたくさんいただいております。
 様々な民間事業者の方々の個別の損失を国が補償することは困難であると考えておりますが、多くの事業者の方々から資金繰りについての相談を受けており、しっかりと事業を継続していただけるよう、第一弾の緊急対応策により五千億円の資金繰り支援を行っています。
 また、来週取りまとめる予定の第二弾となる緊急対応策においても、強力な資金繰り支援を始め、御指摘のあった方々も含めて、中小・小規模事業者の皆さんに対する実効的な支援策を講じてまいります。
 第二弾の緊急対応策についてお尋ねがありました。
 来週取りまとめ予定の第二弾となる緊急対応策の策定に当たっては、国会での御意見や、先般、各党の党首の方々と面会した際にいただいた御意見、各党各会派の御提案も十分踏まえてまいります。新型コロナウイルス感染症対策に当たっては、野党の皆様ともお互いに協力をして乗り越えていきたいと思います。
 景気や消費税の減税等についてお尋ねがありました。
 先般公表された昨年十―十二月期のGDPは、主に個人消費が、消費税率引上げに伴う一定程度の反動減や、台風や暖冬の影響を受けたことから、前期比マイナスに転じたところでありますが、我が国経済は、引き続き、雇用・所得環境の改善を背景に緩やかに回復していると認識しています。
 今回の消費税率の引上げは、少子高齢化という国難に正面から取り組むに当たり、お年寄りも若者も安心できる全世代型社会保障制度へと大きく転換していくためにどうしても必要なものです。
 他方で、経済財政運営については、引き続き消費税率引上げによる影響について注視するとともに、今般の新型コロナウイルス感染症が景気全体に与える影響に対しては、二十六兆円の総合経済対策を着実に実行し、世界経済の動向も十分注視しながら、そのインパクトに見合うだけの必要かつ十分な経済財政政策を行ってまいります。
 ジェンダーギャップ指数についてお尋ねがありました。
 我が国のジェンダーギャップ指数が国際的に低いことについては、経済分野における女性管理職の割合が低いことなどが主な要因でありますが、これらについては、一つ一つの課題にしっかりと取り組んでいくことが必要と認識しています。
 安倍内閣の下で女性活躍推進法の制定などに取り組んだ結果、女性の就業者は三百三十万人以上増えました。保育の受皿整備を進めることなどにより、M字カーブも確実に解消に向かっています。出産や育児に関係なく女性が働き続けられる環境を整えることは、確実に将来、指導的地位に就く女性の増加に資するものと考えます。
 また、有価証券報告書に女性役員数の記載を義務付けたほか、取締役のうち少なくとも一人は女性が含まれるようコーポレートガバナンス改革にも取り組んだ結果、この七年間で上場企業の女性役員は三倍以上に増えています。
 今後とも、政治分野も含めて女性の活躍を促す政策を推し進めることで、ジェンダーギャップの解消に取り組んでまいります。
 ジェンダー平等と経済成長の関係についてお尋ねがありました。
 ダイバーシティーを重視する経営は今や世界の常識です。女性の目線、女性の力を生かせない企業は、もはやマーケットから評価されない時代となっています。ジェンダー平等なくして、まさに二十一世紀の未来を切り開くことはできないと考えています。
 こうした観点から、安倍内閣は、発足以来、女性活躍を成長戦略の重要な柱に位置付け、女性の就業促進、コーポレートガバナンス改革などに取り組んできました。日本の持続的な成長軌道を確かなものとするためにも、今後とも、政府一丸となって全ての女性が活躍できる社会づくりを進めてまいります。
 男女間の賃金格差についてお尋ねがありました。
 我が国の男女の賃金格差の要因は、管理職比率や勤続年数の差異を始め様々なものがあると承知しています。こうした複合的な要因がある中で、一律に男女の賃金格差の公表を行うことについては求職者の誤解や混乱を招くおそれもあるとの指摘等もあり、女性活躍推進法に基づく情報公表の対象とはしていないところです。
 政府としては、昨年五月に成立をした改正女性活躍推進法において、管理職比率の目標など、自社の課題に基づいた目標を設定し取り組むための事業主行動計画の策定義務の対象拡大を図るとともに、出産や育児に関係なく女性が働き続けられる環境等のために保育の受皿の整備等の両立支援体制の整備も推進しているところであり、こうした様々な取組を総合的に進めていくことにより、男女間の賃金格差の解消に努めてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕

#23
○国務大臣(麻生太郎君) 大門先生から法人課税や金融所得課税、有価証券報告書の開示について、計二問お尋ねがあっております。
 まず、法人課税や金融所得課税にお尋ねがあっておりますが、令和二年度の税制改正において、持続的な経済成長の実現に向け、オープンイノベーションの促進に係る税制上の措置や5G導入税制の創設などを行うことといたしております。
 今回の改正は、大企業向けを中心とした租税特別措置の廃止、縮減等により法人課税全体で税制中立で行うものであり、大企業優遇との御指摘は当たらぬと思っております。
 金融所得課税につきましては、平成二十六年度から上場株式の譲渡益に係る税率を一〇%から二〇%に引き上げたのは御存じのとおりです。これによりまして高所得者など所得税の負担率が上昇する傾向が見られ、所得再配分機能の回復に一定の効果があったと、そのように考えております。
 更なる金融所得課税の見直しが必要ではないかという御意見なんだと存じますが、令和二年度の与党税制改正大綱において、税負担の垂直的な公平性を確保する観点から検討するということとされておりますのは御存じのとおりですが、経済への影響をどう考えるかといった論点もありますので、総合的によく検討していくべきものだと考えております。
 なお、令和二年度の予算におきまして、中小企業の生産性向上といった現下の中小企業を取り巻く重要課題に対応していくために必要な予算ということにつきましてはしっかり確保しており、十分な中小企業支援が可能なものだと考えております。
 また、所得の低い方々に配慮して、真に支援を必要とする低所得世帯の子供を対象とした高等教育の無償化、月額最大五千円の年金生活者支援給付金の支給などの措置も講じているということも御存じのとおりであります。
 最後に、男女格差の是正等についての開示についてのお尋ねがあります。
 これまで金融庁は、有価証券報告書に男女別の役員数と役員の女性比率の記載を義務付けておりましたほか、コーポレートガバナンス・コードを改訂して、取締役会の構成についてジェンダーを含む多様性を確保するように促してきたところであります。
 女性活躍などの観点も含めて、中長期的な企業価値の向上について投資家と企業との対話を充実させるということは、これは大変重要なことであり、その方策を引き続き検討してまいりたいと考えております。(拍手)

#24
○議長(山東昭子君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時四十二分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト