くにさくロゴ
2020/01/24 第201回国会 参議院 第201回国会 参議院 本会議 第3号 令和2年1月24日
姉妹サイト
 
2020/01/24 第201回国会 参議院

第201回国会 参議院 本会議 第3号 令和2年1月24日

#1
令和二年一月二十四日(金曜日)
   午前十時十六分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第三号
  令和二年一月二十四日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────

#2
○議長(山東昭子君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。山口那津男さん。
   〔山口那津男君登壇、拍手〕

#3
○山口那津男君 公明党の山口那津男です。
 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました施政方針演説等に対し、安倍総理並びに関係大臣に質問いたします。
 二〇二〇年代の幕開けとなる本年は、日本の未来を開く重要な一年のスタートとなります。
 今国会では、まず、日本が直面する重要課題である防災・減災、復興や全世代型社会保障制度の構築、新たな経済成長の基盤強化を大きく前に進めるため、これらが盛り込まれた一九年度補正予算案と二〇年度予算案の早期成立に全力を挙げてまいりたい。これこそが最大の経済対策となります。
 そして、これらの課題は、二〇二〇年だけにとどまらず、これからの日本を展望する上でも重要な取組の柱であり、この十年間が日本の将来を決定付けると言っても過言ではありません。
 また、これらの課題を包含した国連の持続可能な開発目標、いわゆるSDGsや地球温暖化対策の国際的な枠組みであるパリ協定の目標達成年次は十年後の二〇三〇年となっており、その初年度に当たる本年の取組が正念場となります。
 加えて、本年は、五十六年ぶりの東京五輪・パラリンピックが控えています。世界の注目が日本に集まる中、多様性を尊重する共生社会の実現など、今大会の成功に向けた取組と相まって、活力と希望あふれる日本社会の構築に向けた本格的な取組を加速させなければなりません。
 特に、復興五輪と位置付けられる今大会では、被災地での競技開催などを通じて災害復興を力強く進める姿を内外に発信し、勇気と希望を送る大会にしてまいりたいと思います。
 緊張感が高まる国際情勢にあっては、多国間協調の枠組みや国際ルールの遵守を日本が主導しつつ、SDGsや地球温暖化対策など、持続可能な社会モデルの構築を日本がリードする役割を果たしていくべきです。
 初めに、二〇三〇年に向けて、本年から行動の十年がスタートするSDGsについて伺います。
 昨年末に改定された日本の実施指針には、ビジネスとイノベーション、地方創生、次世代・女性のエンパワーメントの三本柱を中核とする日本のSDGsモデル展開の加速化が掲げられています。
 そして、地方自治体や民間企業など多様な担い手が一体となったオールジャパンでの取組が必須であるとして、公共と民間の垣根を越えた連携の推進が重要と指摘されています。
 これまでSDGs推進に向けて民間団体などと交流を重ねてきた公明党も同様に考えますが、こうした連携の推進を含め、SDGsの取組を進める総理の御決意を伺います。
 以下、当面する諸課題について質問いたします。
 人生百年時代に対応し、誰もが安心して暮らすことのできる全世代型社会保障制度の構築に向け、年金、医療、介護などの制度改革を着実に進める必要があります。今国会では年金、介護、雇用などの法案提出が予定されていますが、順次改革を進め、若者から高齢者までお一人お一人の活躍を最大限に後押ししていくべきです。
 とりわけ、少子高齢化と人口減少が同時に進む日本では、子育て世代への支援は最優先の課題です。
 少子化の問題は、教育費など経済的な負担や、仕事と子育ての両立の難しさ、子育て中の孤立感や負担感、出会いの機会の減少、年齢や健康上の理由など、様々な要因が挙げられます。重要なことは、こうした要因を着実に解決して、希望する女性や若い世代が安心して子供を産み育てられる社会をつくることです。
 政府が夏までにまとめる全世代型社会保障の最終報告では、少子化対策を柱としてしっかりと位置付け、抜本的な強化に取り組むべきと考えますが、総理の御決意を伺います。
 少子化が進む様々な要因がある中で、多くの方が教育費の負担軽減を望んでいます。
 昨年十月から幼児教育、保育の無償化が始まり、喜びの声が多数寄せられる一方、保育の質や保育士不足などの課題も指摘されました。そこで、我が党は、昨年末までに、幼児教育・保育の無償化に関する実態調査を行いました。
 この調査の中間報告では、利用者の約九割が無償化を評価し、今後取り組んでほしい一番の政策について、約五割の方が保育の質の向上を挙げています。また、保育の質を高めるために処遇改善が必要だと答えた事業者が約八割に上りました。
 この結果を踏まえ、政府においては、保育士等の処遇改善や職員配置の改善に必要な安定的な財源確保などに取り組んでいただきたい。
 さらに、共働き世帯が増える中、夜間の保育ニーズが高いことも分かりました。夜間保育所に加え、小学校に上がってからも預け先が確保できるよう、受皿整備を進めていくべきです。
 幼児教育に加え、本年四月からは、我が党が推進した私立高校授業料の実質無償化、高等教育の無償化も実現します。これまで自治体独自で実施してきた私立高校授業料の支援は、国からの補助が加わることで、自治体における更なる拡充に向けた環境が整います。例えば、東京都のように、子供三人以上の世帯は収入に関係なく授業料の負担軽減を行うなど、多子世帯への支援も期待できます。
 高等教育無償化についても、多子世帯や中間所得世帯の負担に配慮した取組が求められています。
 あわせて、高校等の専攻科についても、四月から教育の負担軽減が実施されますが、今後更なる拡充を検討していくべきです。
 保育の質の向上と処遇改善、夜間保育所等への支援とともに、教育費の負担軽減への取組について、総理の答弁を求めます。
 昨年は台風災害が相次ぎ、各地で甚大な被害をもたらしました。
 お亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の意を表すとともに、被害に遭われた方々に対し心よりお見舞いを申し上げます。
 被災地では、今も損壊したままの自宅や仮設住宅で暮らす方々が数多くいらっしゃいます。農林漁業者や中小事業者の方々は、厳しい状況の中、将来不安を抱えながら奮闘されています。また、一昨年発生した豪雨、地震被害などの被災地もいまだ復興途上にあります。被災現場のニーズや課題は常に変化し多様化しており、こうした状況にきめ細かく対応しながら、被災者が希望を持って安心した生活を取り戻せるよう全力を挙げるべきです。
 昨年の台風災害において、公明党の議員は、被災現場を奔走し、そこで寄せられた数多くの声を国と地方の議員ネットワークを生かして直接政府に届けてきました。こうした現場の声を踏まえ、被災地の早期復旧復興や次の台風襲来に備えた風水害対策を促進するための施策が、今年度補正予算案と来年度予算案に盛り込まれています。両予算案の早期成立と円滑な執行が重要です。
 また、首都直下地震や南海トラフ地震など大規模地震による広域災害も常に懸念されており、様々な緊急事態を想定した万全な危機管理体制の構築とともに、防災・減災、インフラ老朽化対策を強力に進めなければなりません。
 災害からの復旧復興、風水害対策の強化などについて、総理に伺います。
 被災自治体のこれまでの災害対応の経験や教訓を被災経験の少ない自治体など全国の自治体等と共有し、今後の防災対策に生かすことが重要です。例えば、ハザードマップの住民への周知と避難につながる活用、避難情報の発令と伝達、避難所等の適正配置、災害弱者等の個別避難計画の策定など、災害対応力の強化に向け、徹底した検証と対策を進めなければなりません。
 私は、昨年、台風十九号の被災地に女性議員とともに行った際、一人の女性被災者から、避難所に女性スタッフがおらず、女性ならではの相談がしにくいとの声を聞きました。すぐさまその声を市長に届け、速やかに市内全ての避難所に女性スタッフが配置されました。
 防災対策に女性の視点を生かすことは、子供や高齢者、障害者など災害弱者の視点を生かすことにもつながります。防災計画等への反映とともに、避難所等における現場でも着実に実行すべきです。
 女性の視点を生かした防災対策の充実と現場での運用を含め、災害対応力の強化について、総理に伺います。
 災害に強い社会を構築する上で、産業界や学術研究機関等との連携も重要です。近年、防災・減災に役立つ技術や製品の開発が活発化しています。防災関連産業や研究開発等の振興は、国民の防災意識を啓発し、自助、共助を促し、発災時には国民の命と暮らしを守るとともに、早期の復旧復興にもつながります。
 災害から命を守るために最も重要な視点は、防災・減災、復興を社会の主流に押し上げ、災害を我が事として捉える当事者意識を国民一人一人が持つことです。それは、災害に強い社会の構築に向けた大きな土台となります。
 そのためには、防災教育を始め、住民の避難行動につながるマイタイムラインや災害・避難カード等の活用、地域における自主防災組織、地区防災計画などの自助、共助の取組を全国各地で促進すべきです。
 自助、共助、公助の力を結集し、産学官民が一体となって取組を進める防災大国日本の構築について、総理の答弁を求めます。
 近年、頻発する災害や将来起こり得る大規模地震を想定した場合、ドクターヘリの重要性はますます高まっています。
 公明党は、二〇〇三年の衆院選公約にドクターヘリの全国配備を盛り込むなど、生命尊厳の観点から一貫して取り組んできました。二〇〇七年には、公明党の主導でドクターヘリ特別措置法が成立したことにより、全国配備が飛躍的に進みました。
 現在、全国で五十三機が導入されましたが、まだ配備されていない地域の一つである東京都においても、導入に向けた取組が始まりました。空白地域が解消され、実質的な全国配備が進むことを見据え、広域連携や災害時の効果的な活用ができるネットワークづくりと、それらの財政的な支援を含め、最大限のバックアップをお願いしたい。
 ドクターヘリの効果的な活用の在り方と、それに向けた国の支援について、総理に伺います。
 今や日本は地球温暖化の被害国です。災害のレベルが上昇している現状を深刻に受け止め、日本が地球温暖化の防止に本気で取り組み、世界をリードしていかなくてはなりません。
 そのため、我が国は二〇五〇年を視野にCO2の排出を実質なくすことを目指すべきです。石炭火力発電については新増設を認めないなど、大胆な対策に取り組むときです。
 二〇五〇年までにCO2排出実質ゼロを表明する自治体も増え、その数は五十一自治体、人口で約四千九百万人にも上ります。こうした自治体の行動も日本全体のCO2実質ゼロ達成に向けた大きな力となります。
 本年、パリ協定が本格始動しましたが、世界全体のCO2削減に貢献できる市場メカニズムのルール決定は、次のCOP26へ先送りとなりました。政府は公平なルール作りに力を尽くすべきです。
 あわせて、森林吸収源対策も重要です。森林環境譲与税なども活用しつつ、間伐、再造林など、適切な森林整備を行うべきです。
 地球温暖化対策の取組について、総理の答弁を求めます。
 再生可能エネルギーの主力電源化は、電力の安定供給を支え、温暖化対策を進める重要な取組の一環ですが、普及促進に向けては送電網の空き容量不足などの課題も指摘されています。
 こうした中、昨年ノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏は、発電量が不安定な再生可能エネルギーには蓄電システムが必要不可欠であり、リチウムイオン電池や同電池を搭載した電気自動車の普及がその切り札になるとの認識を示されています。
 現在、産学官連携の下、リチウムイオン電池の性能を大幅に向上させる全固体電池等の革新的な研究開発が進められていますが、こうした取組を更に加速させ、車載用としても活用できる耐久性に優れた蓄電池の普及促進に取り組むべきです。
 あわせて、既存の送電網を最大限に活用しつつ、更なる増強を行うなど、再生可能エネルギーで発電された電気を最大限融通できる環境整備を進める必要があります。
 再生可能エネルギーの主力電源化を進める取組について、総理の答弁を求めます。
 今月十九日、日米安全保障条約は改定から六十年の節目を迎えました。これまで日米同盟がアジア太平洋地域の平和と繁栄に果たしてきた役割は極めて大きく、北朝鮮問題など日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中にあって、その重要性はより一層高まっています。
 昨年末、金正恩朝鮮労働党委員長が核実験やICBMの発射の再開を示唆したことで朝鮮半島情勢の緊張が再燃しつつありますが、こうした北朝鮮をめぐる諸課題を前に進める上でも日米の緊密な連携と同盟の深化が重要です。政府には、米朝協議を後押ししながら、北朝鮮の完全な非核化に向けた取組を粘り強く進めていただきたい。
 日米同盟の意義について改めて確認するとともに、拉致問題の解決を含め北朝鮮問題に今後どのように対処していくのか、総理の答弁を求めます。
 日中両国は、今や、アジアそして世界の平和と繁栄に欠かせない大きな責任と役割を共有しています。両国が共にその責任と役割を果たしていくことが、国際社会から強く求められているところです。
 現在、中国では新型コロナウイルスが原因と見られる感染症が拡大していますが、こうしたときだからこそ、日中が情報の共有や連携を強化し、感染拡大防止に向けて協力すべきです。春節の連休期間にも入り、訪日客の増加も予想される中、WHO、世界保健機関の動きや提言を注視しながら、政府としても万全の対策をお願いしたい。
 今春には習近平国家主席の国賓としての訪日が予定されており、対抗や競争ではなく、協調と協力への日中新時代を構築していくため、その環境を双方の努力で整えていくことが重要です。
 総理は、先月、韓国の文在寅大統領と約一年三か月ぶりとなる首脳会談を行いました。旧朝鮮半島出身労働者問題などで厳しい関係が続く中、率直な話合いができたことは、関係改善に向け、前進であったと評価します。総理が述べているとおり、韓国は元来、基本的価値と戦略的利益を共有する最も重要な隣国です。関係改善に向けて日韓双方が努力していくことを切に望みます。
 日中、日韓関係について、総理の御見解を伺います。
 先月、私は、党として初めて公式にミャンマーを訪問しました。アウン・サン・スー・チー国家最高顧問との会談では、ラカイン州情勢をめぐる人権侵害疑惑に対する適切な措置と避難民帰還のための環境整備が極めて重要であることや、ミャンマー政府が設置した独立調査団がまとめた最終報告書を真摯に受け止め、その勧告を踏まえた法的措置を速やかにとることが必要だと指摘いたしました。
 ミャンマー政府は、この報告書を踏まえ、問題の捜査、訴追を進めるとしており、ミャンマー自身による責任追及に向けた重要な進展と考えます。この度示された国際司法裁判所の仮保全措置を踏まえ、日本としても、ラカイン州の状況改善のため、公平で客観的な姿勢でミャンマーの取組を支えていただきたい。スー・チー国家顧問からは、これまでのインフラ整備や教育などに対する日本の支援に大変に感謝するとの言葉が寄せられ、日本への信頼と期待は極めて大きいと感じました。
 ミャンマーの安定と発展のための民主的な国づくり支援について、総理の御見解を求めます。
 東京五輪に向けて訪日外国人の更なる増加が見込まれる中、観光先進国の実現は、内外の需要喚起や消費活性化を図る上で重要な取組となります。
 我が国の訪日外国人旅行者数は既に年間三千万人を突破し、訪日外国人の旅行消費額は四兆円を超えました。欧米など幅広い国への更なる訪日プロモーションや受入れ環境整備、地方誘客の取組とともに、観光収入の拡大に向けた訪日外国人一人当たりの旅行支出を上げるため、新たな観光コンテンツを広げることも重要です。また、オーバーツーリズムや災害時の外国人支援などの対策強化も一層進めるべきです。
 訪日外国人旅行者数六千万人の実現を目指し、まずは四千万人の着実な目標達成とともに、地方への誘客や消費額の更なる拡大に向けた取組について、赤羽国土交通大臣に伺います。
 近年、日本の研究力の相対的な低迷が指摘される中、我が国の中長期的な成長を考えると、世界トップレベルの研究力を維持し、新たなイノベーションの創出を後押しする環境整備が重要です。二〇二一年度から始まる第六期科学技術基本計画の策定に向け、積極的に準備を進めていただきたい。
 中でも、若手研究者への支援は喫緊の課題です。昨年ノーベル賞を受賞した吉野氏は、公明党の会議で、基礎研究の重要性とともに、歴代ノーベル賞受賞者がその研究を始めた平均年齢が三十歳代半ばであることに触れ、若手研究者への支援の重要性を訴えられました。科学技術の振興は未来への投資です。未来を担う若手研究者が、安定と自立を確保し、腰を据えて研究に専念できる環境整備を急ぐべきです。
 昨年は、沖縄首里城の主要な建物が火災で焼失しました。これを受け、政府は、世界遺産や国宝など文化財建造物の防火対策強化に向けた五か年計画を策定しました。
 文化財は、日本の宝であるとともに、日本の魅力を発信し、インバウンドの更なる取り込みに向けた重要なツールでもあります。現在、五輪開催に伴う文化プログラムとして全国各地で日本文化を紹介する日本博も行われていますが、その宝を後世に継承できるよう対策に万全を期すべきです。
 科学技術立国、文化芸術立国の実現に向けた総理の御見解を伺います。
 共生社会の実現に向けた取組も大きく進めなければなりません。
 一昨日、私は、障害者団体の方々とお会いした際、皆様から近年のバリアフリー政策に評価をいただく一方で、まだ多くの課題が存在することを伺いました。
 例えば、災害時に避難所となる学校施設、新幹線や小規模店舗などハード面のバリアフリー化に加え、鉄道、バス、タクシーなど公共交通事業者における声掛けや見守り、車椅子の乗車方法に関する事業者の習熟など、ソフト面のバリアフリーの課題も浮き彫りとなりました。
 あわせて、視覚や聴覚などに障害のある人のコミュニケーション手段の確保もソフト面の課題です。自治体レベルでは、障害者の情報取得や多様なコミュニケーション手段を利用しやすい環境整備に向けた条例の制定も進んでおり、国においても、言語や情報伝達手段の法的位置付けを始め必要な体制整備などを盛り込んだ法整備の検討を進めるべきと考えます。
 先日お会いした日本パラリンピック委員長の河合純一さんは次のように述べています。
 オリンピックが平和の祭典とよく言われますが、パラリンピックは人間の可能性の祭典だと思います。また、英語のimpossibleは不可能との意味ですが、iとmの間にアポストロフィーを入れるとI'm possible私はできるに変わります。できないができるに変わる、パラリンピックはそれを示す舞台ですと。
 東京五輪・パラリンピック大会は、真の共生社会を広げる大きな契機となるはずです。心のバリアフリーを進め、誰もが利用しやすい社会インフラを整備することは、未来に受け継ぐべき大会のレガシーとして極めて重要です。
 共生社会の実現に向けたバリアフリーの整備について、総理の答弁を求めます。
 多様な人材の活躍が社会の活力の源泉です。公明党は、いわゆる就職氷河期世代の支援に一貫して取り組んできました。雇用状況の改善も相まって同世代のフリーター数は十年間で約三十六万人減少しましたが、現在もなお約五十万人の方が不本意に非正規雇用で働いており、約四十万人は無業です。
 こうした方々が長期間厳しい現実に直面しながら奮闘されてきたことを重く受け止め、これまでの経験や能力を生かして活躍できるよう、人生百年時代を展望したキャリアアップ支援を更に進めるべきです。
 政府は、昨年、同世代の正規雇用を三年間で三十万人拡大するなどの支援プログラムを策定しましたが、その実効性を高め、着実に取り組んでいただきたい。本年四月からは、大企業における正社員と非正規雇用の不合理な待遇差が禁止されます。就職氷河期世代を含め、非正規雇用の待遇改善につながるよう、円滑な施行に万全を期すべきです。
 就職氷河期世代の支援と非正規雇用の待遇改善について、総理の答弁を求めます。
 本年から地方創生第二期がスタートします。これまでの第一期では、地方の若者の就業率や農林水産物等の輸出額が増加するなど、仕事の創生については一定の成果が出ています。更なる地方の課題解決に向けては、これまでの実績を踏まえた実効性ある取組が重要です。
 地方公共団体の主体的な取組を支援する地方創生推進交付金については、地方での就業、起業を更に進めるため、地方公共団体がより活用しやすい制度に改善すべきです。また、地方に一定期間移住し、地域事業に従事する地域おこし協力隊は、任期終了後の定住、定着支援の強化が必要です。
 加えて、地方創生の新たな潮流となるソサエティー五・〇の推進、中でも地域の課題解決策として期待されるローカル5Gについては、積極的に取り組む地方への支援を強化すべきです。
 地方創生第二期の取組について、総理に伺います。
 以上、当面する重要政治課題を中心に質問をいたしました。
 前回の東京オリンピック・パラリンピックが開催された一九六四年は、公明党が結成された年でありました。これからも立党の原点を忘れず、小さな声にも真摯に耳を傾け、国民の多様なニーズを政策として実現する取組を深化させながら、新たな十年を開く日本の改革に全力で取り組んでいくことをお誓いし、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

#4
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 山口那津男議員にお答えいたします。
 SDGsについてお尋ねがありました。
 SDGsが目指す誰一人取り残さない社会を実現するためには、地方自治体、民間企業、NGOといった様々な担い手が、それぞれの地域や立場において、官民の垣根を越えて連携して取組を進めていくことが必要不可欠です。政府としても、SDGsの実現に向けた優れた取組をジャパンSDGsアワードとして毎年表彰し、このような官民の垣根を越えた連携の取組が全国津々浦々に広がっていくことを促進しています。
 行動の十年のスタートに当たり、昨年末に改定したSDGs実施指針に基づき、ビジネスとイノベーション、地方創生、次世代・女性のエンパワーメントの三本柱を中核とする日本のSDGsモデル展開の加速化を力強く推進してまいります。
 少子化対策についてお尋ねがありました。
 全世代型社会保障改革は、人生百年時代の到来を見据えながら、働き方の変化を中心に据えて年金、医療、介護、社会保障全般にわたる改革を進めるものです。これにより、現役世代の負担上昇を抑えながら、全ての世代が安心できる社会保障制度の実現を目指します。
 その大きな第一歩として、安倍内閣では、公明党との強固な連立政権の下、昨年十月から、幼児教育、保育の無償化という、小学校、中学校九年間の普通教育無償化以来、七十年ぶりの大改革を実現しました。さらに、この四月からは、真に支援が必要な子供たちの高等教育の無償化を実現します。
 今後とも、希望出生率一・八の実現を目指し、今年度内に策定を予定している新たな少子化社会対策大綱において目標実現に向けた道筋を示し、全世代型社会保障検討会議の最終報告でも柱として位置付け、御党の御意見もよくお伺いしながら、しっかりと議論してまいります。
 保育の質の向上や処遇改善、教育費の負担軽減等についてお尋ねがありました。
 保育の質の向上や保育士等の処遇改善を図るため、三歳児に対する保育士の配置の改善等を実施するとともに、保育士等について月額最大で八万一千円の処遇改善を実施してきました。
 また、来年度予算案において栄養管理加算の拡充を盛り込むなど、各年度の予算編成過程において、更なる質の向上を図るための安定的な財源確保に努めてまいります。
 また、夜間保育所については、その公定価格を引き上げるための経費を来年度予算案に盛り込んでいます。
 昨年、幼児教育、保育の無償化が実現しました。また、御党から御提案いただいた私立高校授業料の実質無償化に加え、高校等の専攻科の修学支援についても、この四月からの着実な実施に向け、しっかりと取り組んでまいります。
 さらに、真に支援が必要な子供たちの高等教育の無償化を着実に実施できるよう万全の準備を進めています。その際、支援対象の基準として扶養する子供の数が反映される課税所得を用いるなど多子世帯への配慮を行うとともに、中間所得層におけるアクセスの機会均等について引き続き注視、検討していきます。
 こうした取組により、子供たちの未来に大胆に投資し、子供たちの誰もが家庭の経済事情にかかわらず夢に向かって頑張ることができる社会をつくり上げてまいります。
 災害からの復旧復興、風水害対策の強化等についてお尋ねがありました。
 昨年の台風第十五号、第十九号等によりもたらされた甚大な被害に対し、政府としては、昨年取りまとめた対策パッケージに基づき、被災地の復旧復興に向けた取組を全力で進めているところです。
 また、集中豪雨、地震、激しい暴風、異常な猛暑など、異次元の災害が相次いでいる状況を踏まえ、平成三十年に三か年緊急対策を策定するなど、国土強靱化の取組を抜本的に強化し、災害に屈しない国土づくりを進めてきております。
 その上で、令和元年度補正予算案では、災害からの復旧復興と安全、安心の確保として約二兆三千億円を確保し、復旧復興の加速化のほか、昨年の台風被害等を踏まえ、河道掘削や堤防強化などの水害対策を中心に、更に国土強靱化の取組をパワーアップさせております。
 これらの予算を活用するとともに、防災・減災をソフト面から進めるための法案を今国会に提出するなど、ハード、ソフトを組み合わせた対策を総動員できる体制を整えます。
 引き続き、被災者の生活となりわいを一日も早く取り戻すことができるよう、被災地の復旧復興に全力を尽くしてまいります。
 加えて、災害対策を不断に見直し、万全の危機管理体制の確保に努めるとともに、必要な予算を確保し、オールジャパンでインフラ老朽化対策を含む防災・減災、国土強靱化を進め、災害に強いふるさとをつくり上げてまいります。
 女性の視点を生かした防災対策の充実等についてお尋ねがありました。
 政府においては、現在、平成二十五年に策定した男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針を踏まえ、防災計画等の策定に女性が参画することや、避難所の管理運営に女性の視点を取り入れることなどを促してまいりました。
 近年の大規模災害における課題や教訓を踏まえ、現在、取組指針の改正に向けて有識者で構成された検討会での議論を行っているところであり、女性の視点を生かした防災対策が更に充実するよう取り組む考えです。
 また、昨年の一連の災害を踏まえ、現在、中央防災会議の下に設置した避難に関するワーキンググループにおいて、ハザードマップのより一層の周知、避難勧告、避難指示の改善、避難先の量的確保、個別計画の促進等の施策について検討を行っているところです。
 今後も、引き続き、女性を始めとした幅広い視点から防災対策を不断に見直すとともに、現場での運用実績を積み上げつつ、災害対応力の強化に努めてまいります。
 防災・減災、復興についてお尋ねがありました。
 近年、災害が頻発化、激甚化する中、大切なことは、行政による公助はもとより、国民一人一人が自ら取り組む自助、そして、地域、企業、学校、ボランティアなどが互いに助け合う共助を組み合わせ、地域全体で防災意識を高め、あらゆる自然災害に備える防災意識社会を構築していくことです。
 私は、中央防災会議会長として、平成二十七年に、経済界、労働組合、地方六団体、教育・学術界、医療・福祉関係団体など広く各界各層が連携をし、国民の防災意識の向上を図るため、防災推進国民会議を立ち上げ、以来、毎年の会議や大会を通じて防災のための産学官民の協力等を推進しています。
 昨年十月に名古屋で開催された防災推進国民大会では、国民の皆様が多数参加の下、国、地方公共団体、研究機関、民間企業、NPOなど、防災に取り組む二百を超える団体が、防災技術、防災教育、自主防災、地区防災計画等に関し、知識、経験、技術などの情報発信や情報交換を行いました。政府としては、こうした各界各層が一体となって自助、共助の推進を図る取組を引き続き後押しすることで、我が国の防災・減災を更に強力に進めてまいります。
 ドクターヘリについてお尋ねがありました。
 多様な医療アクセスの手段を確保し、必要な救急医療を受けられる体制を構築するため、ドクターヘリは欠かせないものです。議員御指摘のその効果的な活用という観点からは、都道府県間で連携し、共同運用や相互に応援する仕組みを構築した上で、災害時等にこの仕組みを運用していくことが重要と考えております。
 このため、国においても、都道府県に対し、県境を越えたドクターヘリの運航事例等の必要なデータの提供や運航経費の補助などを行い、広域連携を含めたドクターヘリの導入支援を進めてまいります。
 地球温暖化対策についてお尋ねがありました。
 地球規模での気候変動問題への対応は喫緊の課題であると認識しています。
 我が国は五年連続で温室効果ガスの排出量を削減しています。これは、G20の中で日本と英国のみであります。合計で一一%を超える削減はG7の中で英国に次ぐ大きさであり、パリ協定に基づく削減目標の実現に向けて、日本は世界の中で積極的に取り組んでいます。
 今後とも、山口代表御指摘のとおり、自治体を始めあらゆるステークホルダーと連携しながら、再エネの主力電源化や徹底した省エネ、間伐などの森林吸収源対策など、あらゆる対策を尽くして温暖化防止に万全を期す所存です。
 加えて、パリ協定の市場メカニズムに関するルール作りなど、国際的な場においても引き続き主導的な役割を果たしていく考えです。
 さらに、パリ協定が掲げる今世紀後半のカーボンニュートラル実現との目標達成に向けて、長期戦略に掲げた脱炭素社会を早期に実現するには非連続なイノベーションが不可欠です。このため、米国、EUなどG20の研究機関、世界の英知を結集し、人工光合成を始めとした革新的イノベーションによるビヨンド・ゼロにも挑戦していく考えであります。
 再生可能エネルギーの主力電源化を進める取組についてお尋ねがありました。
 山口代表御指摘のとおり、導入拡大に向けた最大の鍵は蓄電システムの整備です。先般、吉野先生がリチウムイオン電池の開発でノーベル化学賞を受賞されましたが、まさに日本のお家芸とも呼ぶべき蓄電池技術について、その導入促進のみならず、更なる性能の向上やコストダウンに向けて、革新的電池の研究開発を一層進めてまいります。
 再生可能エネルギーの円滑な接続に向けても、一昨年、送電線の運用ルールを抜本的に見直し、既存の送電網の最大限の活用を進めています。さらに、今後、計画的な送電網の増強が行われるよう、新たな仕組みづくりを進めていく考えです。
 あらゆる政策を総動員して、再生可能エネルギーの最大限の導入、その主力電源化に取り組む考えであります。
 日米同盟及び北朝鮮問題への対応についてお尋ねがありました。
 先日、日米安全保障条約は改定から六十年の節目を迎えました。日米同盟は、この間、一貫して我が国の安全を守り、インド太平洋地域の平和と繁栄の礎となってきました。
 平和安全法制の制定により、日米同盟は守り合うことのできる同盟となり、そのきずなを一層揺るぎないものとしました。北朝鮮の弾道ミサイル発射や核実験に日米で緊密に連携して対応していく上で欠くべからざる基盤となっています。
 北朝鮮については、我が国として、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して国交正常化を目指す考えであり、この方針に変わりはありません。
 核・ミサイル問題については、米朝プロセスを後押しするとともに、安保理決議の完全な履行により、北朝鮮の完全な非核化を粘り強く実現してまいります。
 最も重要な拉致問題の解決に向けては、我が国自身が主体的に取り組むことが重要です。私自身、条件を付けずに金正恩委員長と直接向き合う決意です。御家族も御高齢となる中、拉致問題の一日も早い解決に向け、引き続き米国等と緊密に連携しながら、あらゆるチャンスを逃すことなく、果断に行動してまいります。
 日中、日韓についてお尋ねがありました。
 中国の武漢市を中心に発生している新型コロナウイルスの拡大については、中国政府及び関係機関と情報の共有や連携を強化するとともに、春節の期間に入り、訪日客の増加が予想される中、WHOの判断も踏まえつつ、万全の対策を取ってまいります。
 日本と中国は、地域や世界の平和と繁栄に共に大きな責任を有しています。日中両国がこうした責任を果たしていくことが、現在のアジアの状況において、そして国際社会からも強く求められています。習近平国家主席の国賓訪問を、その責任をしっかり果たすとの意思を内外に明確に示していく機会としたいと考えています。
 韓国は、元来、基本的価値と戦略的利益を共有する最も重要な隣国です。昨年十二月の日韓首脳会談では、目下の日韓関係の最大の課題である旧朝鮮半島出身労働者問題につき、韓国側の責任で解決策を示すよう強く求めました。韓国側には、国と国との約束を守り、未来志向の両国関係を築き上げることを切に期待しています。
 ミャンマーへの支援についてお尋ねがありました。
 ミャンマーの安定は地域全体の安定と繁栄に直結するとの認識に立ち、我が国は、ミャンマーの民主的国づくりを官民挙げて全面的に支援してきています。
 避難民帰還の促進や人権問題を含むラカイン州情勢の改善に向けた取組、少数民族との和平のための対話促進や復興開発支援、社会の持続可能な発展やミャンマーへの民間投資の促進等を後押しすべく、今後とも、ミャンマーの安定と発展に向けた取組を官民挙げて力強く支援してまいります。
 科学技術立国、文化芸術立国の実現についてお尋ねがありました。
 科学技術立国日本の未来は、これからの若い力に懸かっていると言っても過言ではありません。そうした観点から、政府として、昨日、若手研究者に対する新しい支援パッケージを決定いたしました。
 具体的には、二〇二五年度までに若手研究者向けの安定的なポストを五千人分以上増やします。博士を目指す全ての学生が生活面での心配をすることなく研究に打ち込めるよう、多様な財源を活用し、奨学金などの支援も大幅に拡充していきます。さらに、若手研究者を煩雑なペーパーワークから解放し、最長十年間、腰を据えて自由な発想で挑戦的な研究に取り組める新しい研究制度も創設します。
 こうした取組を通じて、次の時代を担う若い皆さんが将来に夢や希望を持って研究の道に飛び込むことができる環境づくりを進めてまいります。
 また、我が国には、悠久の歴史の中で紡いできた世界に誇る豊かな芸術や伝統文化があります。これらは、国民の心を豊かにするとともに、地域活性化や観光振興の面からも高い付加価値を生み出す源泉です。
 政府としては、我が国の芸術や伝統文化の振興を図るとともに、文化財の防火対策を始めとする後世への確実な継承や日本博による日本文化の国内外への発信などに取り組んでまいります。
 半世紀ぶりに我が国でオリンピック・パラリンピックが開催される本年、新しい時代をしっかりと見据えながら、世界に誇る科学技術立国、文化芸術立国の更なる発展に向けて取組を進めてまいります。
 共生社会の実現に向けたバリアフリーの整備についてお尋ねがありました。
 本年のオリンピック・パラリンピック東京大会は、共生社会の実現に向けてギアをシフトアップするための絶好の機会となるものと確信しています。
 この機会を生かし、障害の有無にかかわらず、誰もが生き生きとした人生を享受することができるよう、学校施設などハード面のバリアフリー化を強化するとともに、公共交通事業者等のソフト面の取組強化や、バリアフリーに関する国民の理解と協力、いわゆる心のバリアフリーを進めるための法案の準備を進めているところです。
 今後とも、共生社会の実現が東京大会のレガシーとなるよう、障害者の方々の情報アクセシビリティーや意思疎通支援の充実も図るなど、ハードに加えソフトのバリアフリー施策も積極的に推進することで、障害者の方々が世界で最も生き生きと生活できる国、日本をつくり上げてまいります。
 就職氷河期世代の支援と非正規雇用労働者の待遇改善についてお尋ねがありました。
 就職氷河期世代の方々への支援については、その意識、経験、能力を生かせるチャンスを広げるため、三年間の集中プログラムに基づき、きめ細かな伴走型の就職相談体制の確立や、受けやすく即効性のあるリカレント教育の確立など、あらゆる支援策を講じ、就業を促進してまいります。さらに、社会参加への支援が特に必要な方々には、相談支援機関のアウトリーチ機能を強化するなどして、息長く寄り添った支援を行ってまいります。
 また、非正規雇用労働者の待遇改善については、同一労働同一賃金の施行に向けて、全都道府県に設置した働き方改革推進支援センターにおいて事業主向けのセミナーや個別相談等の支援を行っているところです。
 地方創生第二期の取組についてお尋ねがありました。
 地方創生は安倍内閣の最重要課題です。全国各地、それぞれの地方ならではの強みを生かした地方独自の創意工夫をこれまで全力で後押ししてまいりました。四月から第二期という新たなステージに入りますが、こうした第一期の取組結果も十分に踏まえながら、地方の課題解決を目指し、これまで以上に強力かつきめ細かく対応してまいります。
 特に、地方にこそチャンスがあると考える若者たちの背中を力強く後押しするため、東京から地方へ移住し起業、就業する場合に、地方創生交付金を活用し、最大三百万円支給する制度を更に使いやすくいたします。地域おこし協力隊について、八千人規模へ更に拡充するとともに、起業、事業承継への支援等を行うなど、地方への定住、定着を促進します。さらに、都市に住む皆さんの地方での兼業、副業を促すため、人材のマッチングや移動費の支援を行う新たな制度を創設します。関係人口を拡大することで将来的な移住につなげ、転出入均衡目標の実現を目指します。
 5Gは、自動運転や遠隔医療などを可能とすることを通じて、人材不足や高齢化など地域が直面する社会課題の解決に大きく寄与するものです。まさに地方創生の切り札であり、大胆な税制措置などにより速やかに全国展開を図ります。地方における様々な利活用に向けたチャレンジも支援してまいります。
 こうした取組によって、全国津々浦々、魅力と活力があふれる地方を目指し、地方創生の新しい時代をつくり上げていく決意であります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁します。(拍手)
   〔国務大臣赤羽一嘉君登壇、拍手〕

#5
○国務大臣(赤羽一嘉君) お尋ねがございました観光先進国の実現に向けた取組についてお答えさせていただきます。
 本年は、訪日外国人旅行者数四千万人の目標年であるとともに、二〇三〇年六千万人の目標の実現に向けたスタートの年でもございます。さらに、いよいよこの夏、東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催され、我が国への関心がかつてないほど高まることが予想されます。
 この絶好の機会を活用し、日本博との連携も進めつつ、我が国、そして各地域が有する多様な魅力を世界中に発信するキャンペーンを強力に展開してまいります。
 他方、御指摘のとおり、地方への誘客を進め、東京、京都など一部の観光地に集中している旅行者を広く全国各地に呼び込むとともに、消費機会を創出することによって消費額の更なる拡大を図っていくことが、目標達成のため、そしてオーバーツーリズム解消のために今後の大きな課題であると考えております。
 我が国の各地方には、伝統文化、芸術、歴史、風俗習慣など、まだまだ多くの魅力ある観光資源が眠っております。これらを磨き上げ、開花させていくことは、地方への誘客や消費拡大につながるだけでなく、それによって地域住民が自らの地域の価値を見詰め直し、誇りと希望を持ち、主体者として地方創生を進めていくことになると考えております。こうした観光が本来有する真の価値を体現していけるよう、地域の意欲ある取組に寄り添いながら、しっかりと支援してまいります。
 さらに、東京大会には、障害を持たれた外国人選手、観客の御来訪も数多く見込まれております。障害の有無にかかわらず、全ての人が共生できる真の共生社会の実現を本大会のレガシーとすべく、多言語での情報発信の強化などの外国人旅行者の受入れ環境整備と併せて、全ての人が旅する喜びを享受できるよう、交通、宿泊、飲食、小売等の各分野でハード、ソフトのバリアフリー化の取組を加速させてまいります。
 また、四千万人、六千万人といった目標の達成には、近隣諸国との観光交流の活性化が不可欠です。本年、日本がホスト国となる日中韓観光大臣会合を兵庫県淡路島で開催するよう準備を進めているところであり、私自身先頭に立ち、中国、韓国との観光交流の拡大に取り組んでまいります。
 観光は、地方創生の切り札です。地域が有する豊かな自然を磨いて力強く発信し、世界中から外国人旅行者を呼び込むことで、厳しい人口減少、少子高齢化に直面する地域にもいま一度にぎわいと活気をもたらすことができます。
 地方への誘客と消費額の拡大を共に達成し、真の観光先進国を実現するべく、政府一丸、官民一体となって取り組んでまいります。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────

#6
○議長(山東昭子君) 片山虎之助さん。
   〔片山虎之助君登壇、拍手〕

#7
○片山虎之助君 日本維新の会の片山虎之助です。
 私は、我が党を代表して、安倍総理に質問いたします。
 我が党は、結党以来、健全な第三極を目指し、是々非々路線に立つ提案型野党として国会における合意形成に努力し、与党との間でも多くの法案の修正協議をまとめてまいりました。また、現在、身を切る改革として我が党独自で、歳費の手取り額の二割相当額である十八万円を毎月拠出し、被災自治体等へ寄附する、企業・団体献金は受け取らない等を実行しています。
 昨年の通常国会において、参議院議員定数が六増されたことに対する歳出削減ということで、三年間歳費を月七万七千円を目安に自主返納できる制度が成立しました。我が党は、参院のみでなく衆院も削減すべきであり、また三年間に限るべきでないと反対しましたが、法案は成立し、趣旨には賛成ですから、我が党は全員が自主返納しております。しかし、法案に賛成した会派に自主返納しない議員が多く、これはちょっとびっくりしております。
 政治は、信なくば立たずです。国民の代表である国会議員がまず身を切る改革を身をもって示すことが、国民の信頼をつなげると私は愚直に信じています。総理の御所見をお伺いします。
 我が党は、三年半前に、三項目の憲法改正案をまとめ、公表しました。しかし、衆参の憲法審査会では一度も審議されていません。そもそも、現憲法は、今日まで七十年以上も最終決定権者である国民が参画せず、国民投票も行われておりません。これは致命的な欠陥です。そして、現状は、憲法審査会の審議が衆院では開かれたのは二年ぶり、参院では依然として開かれずであります。現在の国民は憲法改正に関心がないから国会で審議する必要はないなど、憲法と国民を共に愚弄した意見が堂々とまかり通っています。憲法審査会の運営は、全会派、特に日程は野党第一会派の同意を要する慣例ですが、政局から切り離す意図で行われたこのことが、現状では逆に作用しております。
 まず行うべきことは、憲法審査会では、現在五国会連続で継続審査の国民投票法改正案を早急に成立させ、引き続いて憲法と各会派の改正案の徹底した議論を始めることです。私は、決定権者である国民に憲法やその改正案について十分な情報と知識を提供することは、発議とともに国会の重要な役割だと考えていますが、間違いでしょうか。
 そして、現状の硬直した事態を打開するためには、最終的には国民の本心を聞いてみる選択しか残されていないのではないかと考えます。自民党総裁としての総理の御所見をお伺いしたい。
 昨年も災害が相次ぎました。自然災害が日常化してきた感があり、人口減少と並ぶ国難だと言う人さえいます。わけても、台風十五号は観測史上最も強い暴風を記録し、台風十九号は記録的な大雨をもたらし、いずれも東日本を中心に、河川の氾濫や浸水、土砂崩れなどにより百名以上の尊い人命が失われました。損壊や浸水などの住宅被害は十六万棟を超え、今なお多くの方々が不自由な生活を余儀なくされています。
 火災も、沖縄首里城や放火の京都アニメーションが燃え、世間に衝撃を与えました。
 我が党は、これらに鑑み、党内に防災PTを立ち上げ、災害から国民の命を守るための対策をまとめて公表し、政府にも申し入れました。改めて、重点的な何項目かを総理にお尋ねします。
 一、避難情報の抜本的な改善。レベル基準を更に統一し、表現を改めること。避難指示・命令に実効性を持たせること。二、全壊、半壊の被害基準を見直すとともに、地震、水害、風害と災害状況に合わせた基準を構築すること。停電ゼロ、二十四時間以内に復旧することを意味しますが、の実現に努めること。三、災害廃棄物処理に総合力を結集。特に、民間事業者も協定で参加できるようにすること。四、避難所におけるプライバシーが尊重され、常時温かい食事やトイレの質、量の確保がなされること。五、災害時に外国人の情報提供と支援を行うことであります。
 桜を見る会は、各界で功績や功労のあった方たちを慰労する内閣の公的行事のはずです。ところが、現在、公私混同、私物化などの強い批判を浴びています。桜を見る会の参加者は、二〇一九年には一万八千人余とのことですが、二〇一五年から二〇一九年の予算を見れば、八千人を前提に毎年千七百六十六万円を計上しています。国会審議はこの過小に見積もられた予算案で何度も行われてきたわけで、私は、これは国会軽視だと思います。しかも、それが恒常化しています。幸い来年度はありませんが、このことについての政府は反省はありますか。
 菅官房長官は十日の会合で、桜関係の名簿の廃棄等について、公文書管理法に違反する対応だったと認めました。この違法な文書廃棄により、行政の説明責任を果たさないだけでなく、国民の知る権利も侵害しています。国会と国民への説明責任を果たすためには、公文書管理及び情報公開の徹底は欠かせません。
 我が党は、既に議員立法として公文書管理法改正案を国会に何度も提出しております。これを早急に成立させたいと考えますが、自民党総裁としての総理の御協力をお願いいたします。
 IR問題については、既に衆院議員が逮捕され、我が党の議員も献金を受けていました。誠に遺憾であります。しかし、献金問題と統合型リゾート整備は別次元の話で、分けて考えなければなりません。統合型リゾートが二〇一〇年にオープンしたシンガポールのリー・シェンロン首相もNot a Casino,but an IRと言っており、統合型リゾートはカジノだけでなく大人や子供も楽しめる国際競争力の高い滞在型の観光施設であり、外国人観光客誘致や地域振興などを強力に後押しするもので、これまでも様々な議論や検討を経て我が国でも関係法令が制定されています。
 確かに、全力を挙げても、依存症をどこまで抑止できるか、暴力団など反社会的勢力をどこまで排除できるか等の懸念や、法律上も本人、家族の申出による利用制限措置などの手当ても可能ですが、こちらも懸念を完全にゼロにすることはなかなか難しい。しかし、最後は、実施自治体が住民の同意を基に決断をし、やりたいというなら任せるのが地方自治だと私は思います。
 現在、大阪府などで行われているIR事業者への対処方針は大変に厳重なものです。政府は政府として万般の対応をし、実施自治体は大阪府などのように独自の取組を加え万全の措置で臨む、仮にそれがうまくいかなければ責任を取る、それで十分ではないかと私は思いますが、いかがですか。
 本年は安保改定六十周年という節目の年です。当時、学生中心の反対運動で大騒動となりましたが、安保改定によって我が国の外交・安全保障の基軸が定まり、我が国は安心して軽武装、加工貿易立国を目指す経済成長優先の政策にかじを切り、世界第二位、今は第三位ですが、の経済大国となりました。
 その安保も、非対称的双務性からトランプ大統領が不平等だと言及し、多くの米国世論も批判的です。しかし、日本に米国基地があり在日米軍がいることで米国の世界戦略に不可欠な前方展開が可能となり、必要なら中東にも出かけることができます。私は、このメリットは米国も十分理解していると考えますが、いかがですか。
 一方、それならば、日米地位協定に代表される我が国に対する逆の不平等な扱いはなぜこれまで是正されないままなのか、私には疑問です。日本側が強く主張してこなかったからですか。例えば、駐留米軍は国内法が原則不適用なこと、基地への立入り権が実質上ないこと、訓練、演習に関する詳細な情報提供がなされていないこと、東京を含め日本の上空の相当部分の管理権が米国にあること等はどうなっているのでしょうか。
 日米関係の今後を考えるとき、私は、日米安保の非対称性を薄めなければならないと考えます。基本は、我が国が自立を強めながら守備範囲を広げ共同防衛に移行していくこと、すなわち、日米同盟は堅持しつつ、国民の同意の下になだらかに自主・共同防衛の道を模索していくことであります。そのためには防衛費をGDPの一%以内にするというこれまでの方針や、専守防衛だから敵基地攻撃能力は持たなくてもいい等の考え方は改めた方がよいと私は考えますが、いかがですか。
 中国とは粘り強く戦略的な互恵関係を積み上げていくこと、韓国とは日米韓三か国同盟を維持することを基幹としながら、その外側のインドやオーストラリア、ASEAN等の国々と関係を強化していく重層的な発想が今後重要だと考えますが、どうでしょうか。
 二〇二〇年一月一日、日米貿易協定が発効しました。これまで安倍総理は、日米双方にとってウイン・ウインでバランスの取れた結論を得ることができたと再三強調されていますが、日本にとってウインの協定としていくためには、先送りされた自動車、自動車部品の関税撤廃の実現が大前提です。大統領選挙を控えるトランプ大統領との交渉は難航が予想されるほか、中国やEUとの貿易交渉を抱えたトランプ政権の対日交渉の優先順位は必ずしも高いとは思いませんけれども、このような状況をどのように変え、自動車、同部品の関税撤廃を実現するお考えでしょうか。
 香港における民主化を求めるデモが続き、これに対し香港政府は過剰なほどの警察力を導入しています。
 我が党は、この香港の事態に対し日本の国会として意見表明することが必要だと考え、そのため、香港が一国二制度の下、自由で開かれた社会を維持すること、香港市民の民意を尊重した対話と自制による平和的な話合いを通した解決を図ることを求める決議案を参議院に提出しました。しかし、残念ながら採決には至りませんでした。この決議案提出について、御所見があればお伺いします。
 また、習近平中華人民共和国国家主席を国賓として迎えることは、国民の間でも国際社会からも中国政府の香港やウイグルに対する行為を日本政府が認知することになるという心配論があります。御所見をお伺いします。
 日韓関係の悪化は、韓国からの来日観光客の大幅減少や韓国における日本製品の不買運動等、経済にも大きな悪影響を及ぼしているほか、各自治体と韓国とのイベントの中止、延期等、地方レベルや草の根レベルの交流に強い影響が出ています。筋は曲げられないとしても、当面、これらを修復することは将来の日韓関係再構築のためには必要です。どのようにお考えか、お伺いします。
 現状の景気の課題は、消費と輸出です。政府が今月十日に公表した家計調査報告では、二人以上世帯の消費支出が、消費増税のあった十月はマイナス五・一%、十一月はマイナス二・〇%と二か月連続で減少です。消費がこのまま力強さを取り戻さない場合は、消費税率の引下げを含め対応を検討する御意向がありますか。軽減税率についてはいかがですか。
 賃金が上がらないのは日本の労働生産性が低いことが大きな原因であり、生産性や付加価値の高い部門への労働力を移動していくことが必要です。企業内外の成長部門への転職、配置転換が円滑に進むよう、中途採用の促進、年齢や勤務年数と切り離した賃金の普及、在職者が受けやすいリカレント教育、解雇の金銭解決ルールの明確化などを思い切って進めるべきと考えますが、いかがですか。
 第二の課題である輸出の振興のためには、先般、米中の貿易戦争が一時休止となりましたが、それが持続されて世界の貿易状況が安定することが要件となります。TPP11が平成三十年末に、EUとのEPAが平成三十一年二月に発効していますので、次はインド等との貿易が促進できるRCEPの妥結が目標です。これらの見通しはどうですか。
 一般の心配は、これまで東京オリンピック・パラリンピックによって需要を維持できたけれども、それは今年の夏までのことで、次の大イベントである大阪・関西万博は二〇二五年と先の話で、その間の需要の維持のために政策として何を考えているのか、総理にお答え願います。
 人生百年時代を迎え、働く意欲と能力を持つ全ての高齢者が働くことのできる社会を創設すべきで、七十歳までの就業機会確保につき事業者に協力を求めることには賛成です。しかし、今回はそれは努力義務にとどまっていますし、年金の繰下げも利用率は一%程度であるなど、生涯現役社会の実現は相当に遠い。六十五歳になってから他社に再就職とか自分で起業だとか言われても、簡単にはいきません。現役時代から兼業や副業の働き方を認める、在職者がリカレント教育を受け、現役時代からキャリアアップが図られ、転職ができるように雇用慣行が見直されることが必要です。いかがでしょうか。
 現代の社会を覆っている閉塞感を打破するためにも、全世代型社会保障を目指すことには賛成です。しかし、その負担については、年齢でなく、全ての世代がその能力に応じて支え合う、一定以上の所得や資産を保有する人は、その負担能力に見合う医療費等を自己負担ないし税負担すべきということを昨年も私は代表質問で申し上げました。今回、一定の所得以上の方を二割負担とされることは一歩前進だと評価します。将来的には、所得でなく資産まで含めるよう提案いたします。
 総理が、昨年、記者会見で今後十年ぐらいは消費税を引き上げる必要はないと思うと発言され、これについても私は代表質問で真意を問いましたが、今後の人口減少や少子高齢化を考えれば、負担と給付の議論は休まずにし続けるべきだと考えますが、間違いでしょうか。
 昨年四月から改正出入国管理法は施行されました。我が党は、この法案に対し、在留者管理、雇用環境、社会保険制度における在留者カードについての利用の在り方を検討する旨の修正を加えた上で賛成いたしました。在留者の管理体制の改善を期待してのことであります。管理方法としては、出入国在留管理庁が発行している在留カードではなく、利便性の高いマイナンバーカードを利用すべきと考えます。そのことについて、どのような検討がなされ、どのような結論になっているのか、お答え願います。
 我が党は、現在、国民に蔓延しつつある政治不信、政治家不信を払拭し、令和の御代にふさわしい維新改革を成し遂げるために引き続き全力で邁進することをお約束し、私の代表質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

#8
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 片山虎之助議員にお答えをいたします。
 身を切る改革についてお尋ねがありました。
 我々政治家は、政策を実現するため、真摯に努力を続け、国民の負託に応えていかなければなりません。また、常に自らを省みる必要があることは当然です。日本維新の会が率先垂範して身を切る改革を続けていかれることについては、敬意を表したいと思います。
 その上で、政治に要する費用の問題は、議会政治や議員活動の在り方、すなわち民主主義の根幹に関わる重要な課題であることから、国会において国民の代表たる国会議員が真摯な議論を通じて合意を得る努力を重ねていかなければならない問題であると考えております。
 なお、安倍内閣においては、行財政改革を引き続き着実に推進する観点から、内閣総理大臣にあっては月額給与及び期末手当の三割、閣僚や副大臣は同二割、政務官は同一割を国庫に返納しているところです。また、自由民主党参議院議員全員が改正国会議員歳費法で目安とされた額を自主返納していると承知しています。
 憲法改正についてお尋ねがありました。
 日本維新の会が憲法改正について具体的な考え方を示し、憲法審査会において建設的な議論を呼びかけておられることに、まずもって敬意を表したいと思います。
 憲法審査会の運営については、国会でお決めいただくことであり、内閣総理大臣としてお答えすることは差し控えさせていただきます。
 その上で、お尋ねですのであえて申し上げれば、憲法改正は国会が発議し、最終的には主権者である国民の皆様が国民投票で決めるものです。それゆえ、憲法審査会において憲法改正についての議論を重ね、国民の皆様の理解を深めていくことが私たち国会議員の責任ではないかと考えています。
 さきの参議院選挙や最近の世論調査を通じて示された憲法改正に対する国民的意識の高まりをしっかりと受け止めていただき、新たな時代を迎えた今こそ、憲法審査会の場において、国民投票法の改正はもとより、憲法改正の中身について与野党の枠を超えた活発な議論が展開されることを強く期待しております。
 なお、これまで二度衆議院を解散し、国民に信を問うことで、幼児教育、保育の無償化など大きな改革を実現してまいりました。現時点では解散は頭の片隅にもありませんが、今後も政治を前に進めていく上で信を問うべきときが来たと考えれば、解散・総選挙を断行することにちゅうちょはありません。
 災害対策についてお尋ねがありました。
 政府としては、現在、昨年の台風第十五号、第十九号を始めとした一連の災害の対応について、官房副長官を座長とする検証チームにおいて検証をしっかり行っております。
 同検証チームが先日整理した中間取りまとめにおいては、御党の緊急提言に関連して、原則二十四時間以内、大規模災害時でも四十八時間以内に停電の状況を把握する体制の構築や、大規模災害時においては、早期の停電解消を最優先する仮復旧の早期実施、段ボールベッドやパーテーション等の避難所における生活環境改善のために必要な物資をプッシュ型で支援するための備蓄の実施等が盛り込まれ、今後、これらの措置が実行に移されることとなります。
 また、避難の実効性を確保するため、現在、中央防災会議の下に避難に関するワーキンググループを設置し、分かりやすい防災情報の提供を含め、避難対策の強化について検討を行っているところです。
 今後も、引き続き、御党からの提言も踏まえつつ、防災対策の不断の見直しに努めるとともに、防災・減災、国土強靱化を更にパワーアップしてまいります。
 桜を見る会の予算と公文書管理についてお尋ねがありました。
 桜を見る会については、その準備、設営、最低限必要となる経費を前提に、平成二十六年度以降、予算積算上の見積額を同額としてきたところであります。
 桜を見る会は、長年の慣行の中で行われてきたところではありますが、招待基準が曖昧であり、結果として招待者の人数が膨れ上がった実態があったと認識しております。私自身は支出等の詳細については承知しておりませんでしたが、結果的には望ましいものではなかったと認識しております。
 なお、契約額は予算積算上の見積額を上回ってはいるものの、国会で決議をいただいた内閣府の共通経費の範囲内で執行されたものと承知しています。
 いずれにしても、桜を見る会のこれまでの運用については大いに反省すべきであり、今後、私自身の責任において招待基準の明確化や招待プロセスの透明化を検討するとともに、予算や招待人数も含めて全般的な見直しを幅広く意見を聞きながら行ってまいります。
 公文書管理については、政府として、平成三十年七月に公文書管理の適正化に係る総合的な施策を決定し、決定した全ての施策についてこれまで着実に実行に移しているところです。
 他方、今般発覚した行政文書の保管や廃棄における不適切な取扱いも踏まえ、独立公文書管理監を中心とした各府省におけるチェックの強化など、政府を挙げて公文書管理監の更なる徹底方策について検討していく予定です。
 与党が提出されている法案の取扱いについては、国会において御議論をいただくべきものと考えております。
 IRについてお尋ねがありました。
 IRは、カジノだけではなく、国際会議場、展示場や大規模な宿泊施設を併設し、家族で楽しめるエンターテインメント施設として観光先進国の実現を後押しするものと考えています。また、IR整備の具体化に必要な実施方針や区域整備計画の策定は地方自治体が行うこととなっており、住民自治の原則が働く仕組みになっています。
 もとより、IRの推進に当たっては国民的な理解が大変重要であり、今月発足した高い独立性を有するカジノ管理委員会や国会での御議論も十分に踏まえて、丁寧に進めてまいりたいと考えています。
 日米安保条約及び地位協定についてお尋ねがありました。
 日米安保条約は、第五条において、我が国への武力攻撃に対して日米が共同で対処することを定め、第六条において、米国に対し、我が国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和と安全の維持に寄与するために、我が国の施設・区域を使用することを認めています。
 日米両国の義務は同一ではないものの、全体として日米双方にとってバランスの取れたものであります。
 我が国に駐留する在日米軍は、極東のみならず、米軍の地域展開を支えています。このように前方展開する米軍のプレゼンスは、地域全体における米国の利益確保に貢献しています。
 こうした点は米国政府にも理解されており、例えば、昨年四月の日米2プラス2の共同発表では、日米安全保障体制の地域における米軍の一層のプレゼンスを促進する上での極めて重要な役割を認識したと明確に述べています。
 日米地位協定は大きな法的枠組みであり、政府として、米国との間で日頃から様々なやり取りを行いつつ、事案に応じて最も適切な取組を通じ、具体的な問題に対応してきています。
 安倍政権の下では、環境及び軍属に関する二つの補足協定の策定が実現しました。国際約束の形式で得たこの成果は、日米地位協定の締結から半世紀を経て初めてのものです。
 日米地位協定については、御指摘の諸点も含め様々な意見があることは承知していますが、政府としては、今後とも、このような目に見える取組を一つ一つ積み上げていくことにより、日米地位協定のあるべき姿を不断に追求してまいります。
 日米同盟と我が国の防衛力の在り方についてお尋ねがありました。
 政府の最も重大な責務は、国民の命と平和な暮らしを守り抜くことです。これは独立国家として第一義的に果たすべき責任であり、自らの主体的、自主的な努力によってその責任を果たしていくことが安全保障の根幹です。
 現在の安全保障環境の中にあって必要なことは、我が国として自らを守る体制を主体的な自主的な努力によって抜本的に強化し、自らが果たし得る役割の拡大を図っていくことです。同時に、これこそが、日米同盟の下での我が国の役割を十全に果たし、その抑止力と対処力を一層強化していく道であると考えています。
 防衛費については、GDP一%以内に抑えるという考え方はなく、防衛力の質、量を十分に確保するために必要な経費を確保することとしており、実際、八年連続で増額となっているところです。
 また、いわゆる敵基地攻撃については、日米の役割分担の中で米国に依存しており、今後とも日米間の基本的な役割分担を変更することは考えていません。
 その上で、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しくなる中、国民の命と平和な暮らしを守るため何をすべきか、我々には常に現実を踏まえて様々な検討を行っていく責任があると考えています。
 もとより、今後とも専守防衛の考え方にはいささかも変更はありません。
 中国、韓国、インド太平洋諸国との関係においてお尋ねがありました。
 日米安保条約は日本の外交・安全保障の基軸であり、その上に中国や韓国、そしてインド太平洋諸国との関係を、地球儀を俯瞰する観点に立って重層的に発展させていくことが重要と考えます。
 中国とは、戦略的互恵関係の考え方の下、隣国ゆえに存在する様々な課題をマネージしつつ、大局的な観点からあらゆる分野で協力や交流を推し進めます。
 韓国とは、北朝鮮問題への対応に関し、日韓、日米韓で緊密に連携してまいります。同時に、インド、オーストラリア、ASEANなど基本的価値を共有する諸国と、自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、協力関係を発展させてまいります。
 日米貿易協定についてお尋ねがありました。
 自動車、自動車部品については、既に日米貿易協定において、単なる交渉の継続ではなく、更なる交渉による関税撤廃が明記されています。そのため、今後は、関税撤廃がなされることを前提に具体的な撤廃時期等について交渉が行われることとなりますが、その進め方や戦略については、今後の交渉にも影響を与えかねないことから、現時点で申し上げることは差し控えます。
 香港情勢及び習近平国家主席の訪日についてお尋ねがありました。
 香港情勢について参議院に提出された決議案の扱いに関しては、国会がお決めになることなのでコメントは控えますが、政府としても、現在の香港情勢を大変憂慮しています。
 一国二制度の下、自由で開かれた香港が引き続き繁栄していくことが重要であり、自制と平和的な話合いを通じた解決を関係者に求めるとともに、事態が早期に収束、収拾され、香港の安定が保たれることを強く期待しています。
 日本と中国は、地域や世界の平和と繁栄に共に大きな責任を有しています。日中両国がこうした責任を果たしていくことが、現在のアジアの状況において、そして国際社会からも強く求められています。習近平国家主席の国賓訪問を、その責任をしっかり果たすとの意思を内外に明確に示していく機会としたいと考えております。
 同時に、中国との間には、御指摘のものも含め様々な懸案が存在しています。こうした懸案については、これまでも私から首脳会談等の際に中国側に累次にわたり提起してきています。引き続き、主張すべきはしっかりと主張し、中国側の前向きな対応を強く求めてまいります。
 日韓関係についてお尋ねがありました。
 日韓関係は引き続き厳しい状況にありますが、このように困難な状況にあるときだからこそ、地方レベルや草の根レベルの交流を始め様々な交流をしっかり継続していくことが重要だと考えます。
 昨年十二月の日韓首脳会談においても、様々なレベルでの交流が重要である点について文在寅大統領と一致したところであり、政府としても、日韓の間で様々な交流が今後とも続いていくよう後押ししてまいります。
 消費税率の引下げ等についてお尋ねがありました。
 今回の消費税率の引上げは、全ての世代が安心できる全世代型社会保障制度へと大きく転換していくためにどうしても必要なものです。
 他方、景気については、事業規模二十六兆円の総合経済対策を取りまとめ、相次いだ災害からの復旧復興や海外発の下方リスクに対し、万全の対応を取ったところです。
 軽減税率については、引き続き、制度が十分に理解され円滑に実施されるよう、周知、広報を含め取り組んでまいります。
 また、人口減少社会において労働生産性を向上させていくためにも、年齢にかかわらず能力や成果に応じてキャリアアップできる多様なルートを構築していくことが重要です。このため、リカレント教育の充実を図ることに加え、企業の採用、報酬制度の見直しを促すとともに、大企業に中途採用比率の開示を求めるなどの対応により、中途採用に関する環境整備に取り組んでまいります。
 なお、解雇無効時の金銭救済制度について、金銭を支払えば自由に解雇できるとの事前型の制度を導入しないことを前提に、労働者の保護等の観点から検討を進めています。
 米中貿易摩擦及びRCEP交渉の見通しについてお尋ねがありました。
 米国と中国は世界第一位と第二位の経済大国であり、米中間で安定的な経済関係が構築されることは、日本のみならず世界全体の持続的な経済成長に直結します。
 米中双方は、先般、第一段階の合意文書の署名に至ったと承知しておりますが、我が国への影響を含め、引き続き高い関心を持って注視していきます。
 RCEPについては、昨年十一月、バンコクで開催された首脳会議で共同首脳声明を採択し、インドも含めた十六か国で交渉を継続することに合意しました。
 RCEPは、関税の引下げに加え、電子商取引や知的財産など新しい時代の経済ルールを含めた野心的な協定を目指して交渉を進めており、そうした中で、現時点において、インドについては、重要な課題が幾つか未解決のまま残されていることは事実です。
 他方、昨年十一月の首脳会議では、全てのRCEP参加国がインドが直面する課題の解決のために作業していくことで合意したところであり、日本を含めた交渉参加国は今まさにそのための真剣な努力を行っているところです。
 いずれにせよ、今後とも、日本は、自由貿易の旗手として、太平洋からインド洋へと至る広大な地域に自由で公正なルールに基づいた経済圏を構築するため、主導的な役割を果たしていく決意です。
 東京オリンピック・パラリンピック後の経済政策についてお尋ねがありました。
 先般取りまとめた事業規模二十六兆円に及ぶ総合経済対策は、自然災害から復旧復興や海外発の下方リスクへの万全の備えに加え、我が国経済が東京オリンピック・パラリンピック後も民需主導の力強い成長を実現していくためのものです。
 東京オリンピック・パラリンピック後も見据え、先手先手で切れ目なく政策を実行していくとともに、第四次産業革命の実現に向けた取組を加速し、二〇二五年の大阪・関西万博の開催も視野に、中長期の経済活力の維持向上を実現し、デフレ脱却と経済再生への道筋を確かなものとしてまいります。
 雇用慣行の見直しと給付と負担の議論についてお尋ねがありました。
 人生百年時代の到来を迎え、高齢者を始めとする意欲ある皆さんに就業の機会を確保し、支え手を増やしていくことは、社会保障制度の安定のための重要な柱です。
 このため、雇用の期間を縦に延ばすとともに、現役の間から多様で柔軟な働き方を広げることで雇用の選択肢を横にも広げていくことが重要です。七十歳までの就業機会の確保に加え、兼業、副業など多様で柔軟な働き方の推進や、学び直しに対する支援の強化、大企業に中途採用・経験者採用比率の開示を求める等の取組を進めてまいります。
 また、二〇二二年にはいわゆる団塊の世代が七十五歳以上の高齢者となる中で、現役世代の負担上昇に歯止めを掛けることは待ったなしの課題であり、年齢ではなく能力に応じた負担へと見直しを進めてまいります。
 そのため、医療については、全世代型社会保障検討会議の中間報告において、七十五歳以上の高齢者であっても一定所得以上の方については新たに窓口負担割合を二割とし、高齢者の疾病、生活状況等の実態を踏まえて、具体的な所得基準等について検討を行うこととしています。
 少しでも多くの方に支える側として活躍していただくことで、支える側と支えられる側のバランスを見直し、現役世代の負担を抑えながら、全ての世代が安心できる制度を構築し、また、将来的課題として、所得のみならず資産の状況についても勘案できるよう検討を進めてまいります。
 外国人の在留管理の方法として、マイナンバーカードの利用についてお尋ねがありました。
 外国人の在留管理におけるマイナンバーカードの利用については、常時携帯義務のある在留カードが在留管理を行う上で有用であることなど様々な要素を考慮しつつ、それぞれの制度、運用の在り方について幅広い検討を行うことが必要であると認識しております。
 政府としては、きめ細かい在留管理の実現のため、在留カードその他の番号の利用の在り方について検討することとした改正入管法の附則の規定も踏まえつつ、来年度の半ばまでに方針を決定し、具体的な措置が必要となる場合には令和三年度中に結論を出すことができるよう検討を進めております。(拍手)

#9
○議長(山東昭子君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十四分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開議

#10
○副議長(小川敏夫君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。山下芳生君。
   〔山下芳生君登壇、拍手〕

#11
○山下芳生君 私は、日本共産党を代表して、安倍総理に質問します。
 まず、桜を見る会について聞きます。
 どの世論調査でも、七、八割の国民が総理の説明に納得できないと答えています。ところが、総理は、施政方針演説でこの問題に一言も触れませんでした。余りに無自覚、無反省と言わねばなりません。
 以下、端的に聞きます。
 一つ。総理は、長年の慣行の中で、招待者の基準が曖昧であった結果として招待者の数が膨れ上がってしまったとの答弁を繰り返していますが、問われているのは長年の慣行ではありません。第二次安倍政権で総理自身が行った桜を見る会の私物化です。その認識はないのですか。
 二つ。下関市の安倍晋三事務所が、桜を見る会の参加者を募り、安倍事務所主催のツアー旅行に利用した、総理はこのことを認めますか。これが桜を見る会の適切な招待だという認識ですか。
 三つ。総理は、昨日、安倍事務所が推薦したもので招待されなかった例もあったと答弁しましたが、その根拠は何ですか。
 四つ。二〇一八年には、自民党の都道府県会議員の研修会の参加者に、希望者には翌日開催される桜を見る会の招待状を渡していたとの報道があります。これは事実ですか。内閣府が提出した資料でも、二〇一八年は総理等の招待者が最も多い九千四百九十四人に達しています。これは、同年行われた総裁選挙で地方票を獲得するために、自民党地方議員を多数招待したからではないですか。
 以上、明確な答弁を求めます。
 次に、カジノ汚職について質問します。
 安倍総理が成長戦略の目玉になると推進してきたカジノ事業をめぐり、現職国会議員が中国のカジノ企業からの収賄容疑で逮捕されるという重大事件が起こりました。総理、重く受け止めるというのなら、このままカジノを実施するわけにはいかないのではありませんか。
 元々、カジノは、刑法で禁じられた賭博であるにもかかわらず、国民多数の反対を押し切って解禁されました。逮捕された自民党のあきもと司議員は、カジノ推進法を強行採決したときの衆議院内閣委員長、カジノ実施法を提案したときの内閣府IR担当副大臣と、カジノ解禁に道を付けるど真ん中を歩いてきた人物です。その人物に贈賄側のカジノ企業からどのような要請があり、カジノ解禁の制度づくりにどのような影響があったのか、カジノ推進法、実施法の策定過程を政府として検証すべきではありませんか。
 カジノ解禁をめぐる政治家への資金提供は中国企業にとどまりません。二〇一四年から三年間、アメリカの大手カジノ企業シーザース・エンターテインメントから、カジノ推進法の提案者だった自民党など十五人の議員にパーティー券購入の形で資金が渡っていたと報じられ、西村康稔経済再生担当大臣は、一八年七月、参議院内閣委員会でその事実を認めました。カジノ面積の上限規制が米国カジノ企業の要求により緩和されたという経緯もあります。カジノマネーが日本の政界を汚染し、カジノ企業に都合の良い制度となったのではないかとの疑惑はいよいよ深まりました。
 総理、疑惑の全容解明とともに、カジノの実施は中止すべきです。野党は共同してカジノ廃止法案を提出しましたが、この法案にどういう態度を取るつもりか、答弁を求めます。
 歴代最長となった安倍政権は、どの政権もやったことがない二度にわたる消費税増税を強行しました。しかし、消費税導入後の三十二年間、消費税収は国、地方合わせて四百二十四兆円にも達しますが、同じ時期に法人三税の税収は三百六兆円減り、所得税、住民税の税収も二百八十兆円減りました。消費税の目的は、社会保障のためでも財政再建のためでもない。弱者から吸い上げ、大企業や富裕層を潤す、これこそが消費税の正体だということがすっかり明らかとなりました。
 政府は、今回の補正予算で、経済対策のために二・二兆円、景気悪化による税収不足の穴埋めに二・二兆円、合わせて四・四兆円もの国債を追加発行しようとしています。消費税一〇%への増税分が全て消し飛んでしまう規模です。消費税増税で景気を悪化させてはそのたびに経済対策を組む、この悪循環からいいかげんに抜け出すべきです。
 日本共産党は、格差を拡大し景気悪化を招いた消費税を五%に減税すること、社会保障と暮らし応援の財源は大企業、富裕層に応分の負担を求めてつくることを提案していますが、総理の見解を求めます。
 次に、雇用について聞きます。
 総理は施政方針演説で、多様で柔軟な働き方を可能にすると述べました。かつて、経済産業大臣は、フリーランサーのような契約にとらわれない柔軟な働き方は働き方改革の鍵となると発言しています。
 内閣府の調査では、自営業主の形で働くフリーランスは既に三百万人に上り、全就業者の五%になっています。この調査では、特定の発注者に依存する雇用的自営業者が増加傾向にあり、最近の労働市場の変化の特徴の一つとしています。特定の企業に依存しながら、雇用関係がないために、労働者としての権利は全く保障されない。最低賃金も適用されず、労働保険もなく、仕事中の事故も自己責任。契約の打切りによる解雇も企業の自由勝手。まさに、労働者の権利ゼロ、企業にとっては雇用責任が一切問われない、究極の使い捨て労働が、日本でもアマゾンやウーバーイーツの宅配代行業務などで広がっています。
 総理は非正規という言葉をこの国から一掃すると言いますが、安倍政権がやろうとしているのは、実態は、労働者でありながら雇用関係がない自営業者として働かせる、つまり非正規雇用ですらない労働者を増やすことなのではありませんか。
 人間らしい労働、ディーセントワークの実現は、ILOを始め世界の大きな流れです。働き方改革と言いながら、それに真っ向から反する働かせ方を増やすことなどあってはなりません。
 日本共産党は、中小企業の支援を強化しながら、最低賃金を直ちに時給千円、速やかに千五百円に引き上げること、労働者派遣法を抜本改正し、雇用は正社員が当たり前のルールを作ること、そして、残業代ゼロ制度を廃止し、長時間労働を是正することを提案していますが、総理の見解を求めます。
 次に、対米関係について聞きます。
 トランプ大統領の指示で行われた米軍によるイラン司令官殺害をきっかけに中東の緊張が激化し、軍事的衝突から戦争に発展する危険が続いています。
 総理は衆議院で、我が党の志位委員長から、米国による国連憲章に違反した無法な先制攻撃を是とするのか非とするのかと問われましたが、答弁を避けました。
 あからさまな国連憲章違反を批判すらできないとは、対米従属外交極まると言わなければなりません。緊張の激化につながる中東沖への自衛隊派兵はやめるべきです。
 対米外交に関わって二点聞きます。
 第一に、在日米軍駐留経費の問題です。
 トランプ大統領は、十二月三日、シンゾウには、君たちは我々を助けないといけない、我々は多くの金を払っているんだ、君たちは裕福な国なんだろうと伝えたと、米軍駐留経費の負担増を安倍総理に要求したことを明らかにしました。総理、これは事実ですか。一体何を言われ、どう答えたのですか。
 そもそも、日米地位協定は、日本国に合衆国軍隊を維持することに伴う全ての経費は、日本国に負担を掛けないで合衆国が負担すると明記しています。にもかかわらず、思いやりなどといって在日米軍駐留経費を負担することは、安保条約、日米地位協定にさえ反するものです。思いやり予算、米軍再編関連経費、SACO経費を合わせた日本が負担する米軍駐留経費の総額は、一九七八年以降の四十三年間で実に十兆円に上り、他の全ての同盟国の負担額の合計を上回っています。極めて異常だと言わなければなりません。
 総理、トランプ大統領からの米軍経費負担の不当な増額要求は、はっきり拒否すべきではありませんか。
 第二は、沖縄での米軍新基地建設の問題です。
 政府は、昨年末、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設について、これまでの計画を見直し、完成までの期間を約十二年、総工費を約九千三百億円とする試算を示しました。辺野古東側にある大浦湾の埋立予定海域に超軟弱地盤が広がり、当初の計画になかった大規模な地盤改良工事が必要になったためです。工期も費用も大幅に膨張することになりますが、これで済む保証は全くありません。
 地盤改良のための設計変更には、玉城デニー沖縄県知事の承認が必要ですが、知事は絶対に基地を造らせないと明言しています。総理、やみくもに土砂を投入しても、新基地を完成させる展望などないのではありませんか。
 沖縄県民の圧倒的な民意を踏みにじり、新基地建設を強行することは、政治的にも技術的にも完全に行き詰まっています。
 政府は、普天間基地の一日も早い返還という口実で新基地建設を強行してきましたが、日米両政府が一九九六年に普天間基地の返還を合意して既に四半世紀になります。返還が実現しないのは、代替の基地をあくまで沖縄県内に求め、普天間と辺野古をリンクさせてきたからにほかなりません。今度の見直しで普天間返還は更に大幅にずれ込みます。世界一危険と言われる基地をいつまで県民に押し付けるのですか。総理、普天間基地は即時閉鎖、撤去し、辺野古基地建設は断念すべきです。答弁を求めます。
 次に、対中外交に関わる二つの問題について聞きます。
 一つは、東シナ海における中国の覇権主義的な行動がエスカレートしている問題です。
 二〇一九年の一年間で、中国公船による尖閣諸島周辺の領海侵犯を含む接続水域への入域は、延べ一千九十七隻を超え、前年の一・八倍、過去最多に達しました。二〇一八年に日中両国関係について正常な発展の軌道に戻すことができたと喧伝しながら、その翌年の二〇一九年に領海侵犯などを激増させ、常態化させることは、極めて不誠実な態度と言わなければなりません。
 中国側にどんな言い分があろうとも、日本が実効支配している地域に対して、力によって現状変更を迫る行動を常態化させ、実効支配を弱め、自国領と認めさせようという行動は、国連憲章などが義務付けた紛争の平和的解決の諸原則に反する覇権主義的な行動だと言わなければなりません。日本共産党は、中国のこうした行動に強く抗議し、その是正を求めるものであります。
 いま一つは、香港における人権侵害の深刻化です。
 自由と民主主義を求める香港市民の活動に対する香港警察による弾圧が強まる下で、日本共産党は、昨年十一月、弾圧の即時中止を求める声明を発表し、中国政府に伝達しました。
 この問題について、香港警察の暴力もひどいが、デモ参加者の暴力もひどい、どっちもどっちだという議論がありますが、我が党はそうした立場には立ちません。
 我が党も、デモ参加者が暴力を自制し、平和的な方法で意思を表明することが大切だと主張してきました。同時に、殺傷性の高い銃器を使用した香港警察の弾圧はそれとは次元を異にするものであり、事態の推移と事実に照らすなら、深刻な事態を招いた責任が香港政府及び中国政府の側にあることは明瞭であります。特に、弾圧が中国の最高指導部の承認と指示の下に行われていることは、極めて重大と言わなければなりません。
 中国は、この問題についての国際的な批判を内政干渉として一顧だにしない姿勢を取っています。しかし、今日の世界においては、様々な国際的な人権保障の基準が作られ、人権を擁護し発展させることは国際的な課題となっています。
 そこで、聞きます。
 総理は、昨年十二月に訪中し、習近平国家主席、李克強国務院総理とそれぞれ首脳会談を行いました。その際、尖閣と香港の二つの問題について、先方にどのような意見を述べたのですか。外務省の会談概要を見ると、総理は、ただ憂慮すると述べただけで、抗議の表明も是正や中止を求めることもしていません。重大な領海侵犯、重大な人権侵害が行われているのに、抗議一つしない情けない外交でいいのですか。しかとお答えください。
 最後に、地球規模の気候変動について聞きます。
 猛威を振るう風水害、熱波、多発する山火事など、国連のグテーレス事務総長が気候危機と表明しているように、一刻も早い対応が迫られる状況に人類は直面しています。
 ところが、昨年十二月のCOP25で、日本政府は、地球温暖化対策に前向きと言えない国に対してNGOが贈る化石賞を二度も受賞するという不名誉な事態となりました。
 そこで、聞きます。
 第一に、グテーレス事務総長が石炭火力発電所について二〇二〇年以降の新規建設中止を訴えるなど、石炭火力からの脱却は世界の流れとなっています。ところが、日本は国内で建設中、計画中の石炭火力が二十二か所もあります。向こう三十年ないし四十年も二酸化炭素を出し続ける施設を新たに多数造ろうというのです。
 国連環境計画は、日本に、石炭火力発電所の建設をやめ、既存の火力発電所を停止する日程表を作るよう勧告しています。
 総理は、こうした訴えや勧告に正面から向き合う考えはないのですか。石炭火力の建設中止を決断しないのですか。お答えください。
 安倍政権が石炭火力発電所の輸出を成長戦略と位置付けて推進していることも世界で大問題となっています。地球環境を壊し、世界の持続可能な発展を阻害する、そんな成長戦略などあり得ません。石炭火力の輸出は中止すべきではありませんか。
 第二に、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするための戦略を今年中にまとめるとしている国は七十五か国に上ります。ところが、日本は二〇五〇年度までに八〇%削減のままとなっています。これでは環境後進国と言われても仕方ありません。
 総理、国連の要請に応え、二〇五〇年までに実質ゼロを目指す、その実現のために二〇三〇年の削減目標を引き上げる、こうしたゼロ戦略の立案に直ちに取り組むべきではありませんか。答弁を求めます。
 世界の流れに立ち、国民に希望が湧いてくる新しい政治を市民と野党の共闘で切り開く決意を述べて、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

#12
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 山下芳生議員にお答えいたします。
 桜を見る会についてお尋ねがありました。
 桜を見る会については、昭和二十七年以来、内閣総理大臣が、各省庁からの意見等を踏まえ、各界において功績、功労のあった方々などを幅広く招待し、日頃の御労苦を慰労するとともに、親しく懇談する内閣の公的行事として開催しているものです。
 同会の招待者については、提出された推薦者につき、最終的に内閣官房及び内閣府において取りまとめを行っているところですが、当該プロセスに私は一切関与しておりません。
 他方、桜を見る会については、長年の慣行の中で行われてきたところでありますが、招待者の基準が曖昧であり、結果として招待者の数が膨れ上がってしまった実態があると認識しています。
 こうした運用を大いに反省するとともに、国民の皆様からの様々な御批判を踏まえ、来年度の開催を中止にするほか、今後、私自身の責任において全般的な見直しを幅広く意見を聞きながら行ってまいる所存です。
 桜を見る会の推薦等についてお尋ねがありました。
 私の事務所においては、後援会の関係者を含め、地域で活躍されているなど、桜を見る会への参加にふさわしいと思われる方を始めとして、幅広く参加希望者を募ってきたところです。
 他方で、御指摘の都内観光ツアーについては、私の事務所によれば、希望する方に対して旅行会社の紹介等を行っていたとのことですが、ツアー自体の主催、企画はあくまで旅行会社であったとのことであります。
 次に、私の事務所から推薦を行った者で招待されなかった例もあったものと承知しておりますが、これは内閣官房が確認した結果であると聞いております。
 なお、長年の慣行で与党にも推薦依頼を行っているところですが、自民党内の推薦の経緯等については政府として掌握はしておりません。
 IRについてお尋ねがありました。
 副大臣も務めた現職の国会議員が逮捕、起訴されたことは誠に遺憾です。かつて副大臣に任命した者として事態を重く受け止めておりますが、御指摘の事案については、捜査中の刑事事件に関わる事柄であることから、詳細なコメントは差し控えます。
 IR推進法及びIR整備法は国会審議で議論が積み重ねられた上で成立したものであり、政府としては、これらの法律に基づき、必要な準備を進めるのが基本的な立場です。
 議員提出された法律案の取扱いについては、国会においてお決めになるべき事柄と承知しておりますが、IRは、カジノだけではなく、国際会議場、展示場や大規模な宿泊施設を併設し、家族で楽しめるエンターテインメント施設として観光先進国の実現を後押しするものと考えております。
 もとより、IRの推進に当たっては、国民的な理解が大変重要であり、今月発足した高い独立性を有するカジノ管理委員会や国会での御議論も十分に踏まえて、丁寧に進めてまいりたいと考えております。
 消費税の減税等についてお尋ねがありました。
 各税目の税収は時々の経済社会の変化を踏まえつつ改正を行ってきた結果を反映したものですが、所得税や法人税の税収が減少した背景には、制度改正要因に加え、バブル期以降の資産価格の下落等、経済情勢の要因もあることに留意が必要です。
 昨年十月の消費税率の引上げに当たっては、低所得者への配慮として軽減税率制度を実施することとしたほか、幼児教育、保育の無償化や年間最大六万円の年金生活支援給付金等の社会保障の充実を行っており、消費税が、弱者から吸い上げ、大企業と富裕層を潤すとの御指摘は当たりません。
 今回の消費税率の引上げは、全ての世代が安心できる全世代型社会保障制度へと大きく転換していくためにどうしても必要なものです。他方、御指摘の総合経済対策は、相次いだ災害からの復旧復興や海外発の下方リスクに対し万全の対応を取るためのものであり、また、税収についても、海外経済の減速等を要因とした減額補正となったものです。
 なお、法人税や所得税については、これまで、法人税の課税ベースの拡大による財源確保、所得税の最高税率の引上げ、金融所得課税について税率を一〇%から二〇%に倍増するなどの施策を既に講じてきたところであり、今後の税制の在り方については、これまでの改正の効果を見極めるとともに、経済社会の情勢の変化等も踏まえつつ検討する必要があると考えています。
 雇用についてお尋ねがありました。
 いわゆるフリーランスなど雇用によらない働き方の保護の在り方については、内閣官房において関係省庁と連携し、一元的に実態を把握、整理した上で、全世代型社会保障検討会議の最終報告に向けて検討を進めます。
 最低賃金については、政権発足以降の七年間で全国加重平均で百五十二円引き上げました。今年度は現行方式で過去最高の上げ幅となっています。
 引き続き、中小企業・小規模事業者が賃上げしやすい環境を整備することと相まって、地域間格差にも配慮しながら、より早期に全国加重平均千円を目指して引上げを図ってまいります。
 派遣労働については、正社員を希望する方にはその道が開けるようにするとともに、派遣という働き方を積極的に選択する方については、正社員との不合理な待遇差を解消し、どのような雇用形態であっても納得できる待遇を受けられるよう、同一労働同一賃金の実現に向けた取組を進めてまいります。
 また、議員が残業代ゼロ制度として言及されました高度プロフェッショナル制度は、時間ではなく成果で評価される働き方を自ら選択できる、高い交渉力を有する高度専門職に限って自律的な働き方を可能とする制度であり、その前提として、健康をしっかりと確保するための措置を使用者に義務付けています。
 引き続き、制度の運用に万全を期すとともに、事業場への監督指導などを通じ、長時間労働が是正されるよう努めてまいります。
 我が国の外交及び自衛隊の中東派遣についてお尋ねがありました。
 昨日の衆議院本会議にて志位議員に対してお答えしたとおり、ソレイマニ司令官の殺害に関しては、我が国は直接の当事者ではなく、詳細な事実関係を十分把握する立場にないことから、法的評価について確定的なことを申し上げることは差し控えます。
 その上で申し上げれば、現時点において、米国、イラン双方とも、これ以上のエスカレーションを回避したい意向を明確にしており、米・イラン間で武力の行使が行われている状況ではないと認識しています。
 こうした中、中東に対する日本の外交的関与は、イランからも、先般訪問したサウジアラビア、UAE、オマーンからも高く評価されており、対米従属外交との指摘は全く当たりません。
 政府としては、中東地域の緊張の高まりを踏まえ、日本関係船舶の安全確保に必要な情報収集態勢を強化することが一層必要と考えます。
 地域の緊張緩和と情勢の安定化に向けた粘り強い外交努力とともに、自衛隊による情報収集態勢を強化し、日本関係船舶の安全をしっかりと確保していくとの方針に変更はありません。
 在日米軍駐留経費についてお尋ねがありました。
 トランプ大統領とは様々な課題について率直な意見交換を行っていますが、外交上のやり取りであり、この場でその内容を明らかにすることは差し控えます。
 現行の在日米軍駐留経費負担特別協定は二〇二一年三月末まで有効であり、新たな特別協定に関する交渉は始まっておらず、結果を予断することは差し控えます。
 いずれにせよ、政府としては、現在、在日駐留経費は日米両政府の合意に基づき適切に分担されていると考えています。
 普天間飛行場の辺野古移設についてお尋ねがありました。
 住宅や学校で囲まれ、世界で最も危険と言われる普天間飛行場が固定化され、危険なまま置き去りにされることは絶対に避けなければなりません。これは地元の皆様との共通認識であると思います。
 日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険性の除去を考え合わせ、検討を重ねた結果、現在の辺野古に移設するという方針であります。
 先般、御指摘の工期等についての検討結果が出ましたが、辺野古移設に向けて着実に工事を進めていくことこそが普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去することにつながるものです。これからも地元の皆様と対話を積み重ね、御理解を得る努力を続けてまいります。
 尖閣諸島及び香港情勢についてお尋ねがありました。
 昨年十二月の習近平国家主席及び李克強総理との首脳会談では、これらの問題についてしっかりと提起しました。
 尖閣諸島については、東シナ海の安定なくして真の日中関係の改善なしとの考えに基づき、中国側の対応を強く求めました。尖閣諸島周辺海域を含む東シナ海における一方的な現状変更の試みについては、これまでも累次の機会に日本の強い懸念を伝えてきており、引き続き冷静かつ毅然と対応してまいります。
 香港情勢については、大変憂慮しており、国際社会も関心を持って注視している旨指摘しつつ、全ての関係者による自制した対応と事態の早期収拾を求めるとともに、一国二制度の下、自由で開かれた香港が引き続き繁栄していくことが重要である旨強調しました。今後とも、高い関心を持って情勢をフォローしていきます。
 石炭火力についてお尋ねがありました。
 我が国は、再生可能エネルギーや水素など、二酸化炭素の排出削減に資するあらゆる選択肢を用いて世界の脱炭素化を牽引していきます。
 こうした中で、新興国を中心に効率の低い石炭火力発電所がいまだ数多く稼働している状況下で、我が国の高効率の石炭火力発電に対するニーズがあれば、その導入を支援することで世界の二酸化炭素の実効的な排出削減に貢献していく考えです。
 国内の石炭火力発電については、高効率化、次世代化を推進しながら、よりクリーンなガス利用へのシフトと非効率石炭のフェードアウトに取り組んでまいります。
 温室効果ガスの削減目標についてお尋ねがありました。
 我が国は、五年連続で温室効果ガスの排出量を削減しています。これはG20の中で日本と英国のみであり、合計で一一%を超える削減は、G7の中で英国に次ぐ大きさです。引き続き、パリ協定に基づく二〇三〇年度削減目標の確実な達成に向けて積極的に取り組んでいきます。
 二〇三〇年以降の長期の取組については、我が国は、パリ協定が掲げる今世紀後半のカーボンニュートラル実現との野心的な目標の達成に貢献するため、昨年六月に、今世紀後半のできるだけ早期に脱炭素社会の実現を目指すとした長期戦略を策定し、国連に提出いたしました。国連提出の長期戦略でカーボンニュートラルを目指すことを宣言しているのは、G7の中では唯一日本だけであります。
 また、昨年のCOP25において、二〇五〇年までのカーボンニュートラルを宣言した百二十の国と一地域のうち、現時点で長期戦略を国連に提出しているのは十一か国のみであります。
 どんな野心的な目標を掲げても、掲げるだけでは意味はなく、重要なことは、目標の実現を裏打ちする具体的な政策を示し、行動を起こすことです。長期戦略に掲げた脱炭素社会の早期の実現には非連続なイノベーションが不可欠であることから、今月、米国、EUなどG20の研究機関を集めた国際共同研究拠点を我が国に設置いたします。
 ゼロエミッションにとどまることなく、産業革命以来増加を続けてきたCO2を減少へと転じさせるビヨンド・ゼロを目指し、人工光合成を始め革新的イノベーションを実現するため、我が国が主導して世界の英知を結集していく考えであります。(拍手)
    ─────────────

#13
○副議長(小川敏夫君) 大塚耕平君。
   〔大塚耕平君登壇、拍手〕

#14
○大塚耕平君 国民民主党・新緑風会の大塚耕平です。
 共同会派、立憲・国民.新緑風会・社民を代表して、政府四演説に関連して総理に質問させていただきます。
 先週金曜日は阪神・淡路大震災から二十五年目でした。東日本大震災から間もなく丸九年がたちます。昨年来の台風、洪水等も含め、多くの自然災害で被害に遭われた皆様に改めてお見舞い申し上げます。
 地球温暖化に起因する自然災害抑止のために米国にパリ協定復帰を促すことが、強固な日米関係を自負する総理の責務であることを申し上げ、質問に入ります。
 初めに、新型肺炎について伺います。
 発症元である中国の状況、日本を含むその他の国の状況、感染拡大防止のための対策について、できる限り詳しい情報の説明を求めます。
 昨年、令和元年、二〇一九年は、メディア等において平成元年、一九八九年との比較で様々な回顧が行われました。以下、その対比と、現在の課題を踏まえて質問いたします。
 一九八九年の世界の企業の株式時価総額ベストテンに占める日本企業は七社でしたが、二〇一九年は皆無。二〇一九年のベストテンのうち五社は、一九八九年以降に創業した米中のIT企業です。
 日本は重要な産業技術分野において競合国の後塵を拝するようになっていることを踏まえ、施政方針の成長戦略の項で、未来を担う若手研究者に大胆に投資します、自由な発想で挑戦的な研究に打ち込めるよう資金配分を若手に思い切って重点化しますと述べたことは、適切な方向性だと思います。
 具体的に、どのように若手研究者への配分を重点化し、どのぐらいの規模なのか、総理に伺います。
 施政方針における、第四次産業革命がもたらすインパクトはあらゆる分野に大きな影響を及ぼします、国家戦略としての取組が必要ですとの認識も共有します。
 その中でも、核となる技術及び素材は、通信、コンピューター、半導体です。この三つが融合し、様々な製品やサービスが生み出されています。
 第一に、施政方針の中で、5G、ポスト5Gに言及しています。1Gから4Gまで、日本は常にアジアで最初に商用サービスを始めましたが、5Gは、昨年、中国、韓国が商用サービスを開始し、日本は後塵を拝しました。
 日本が5Gで後れを取った理由及びポスト5Gでの巻き返しに向けた戦略について、総理の認識を伺います。
 第二のコンピューターに関し、施政方針で量子技術に言及したのも当然のことと思います。昨年、グーグルが量子コンピューターの実証実験に成功し、日本は実用化に向けて追う立場です。ところが、日本企業は約二十年前に同様の実証実験に成功していました。
 先行していた量子コンピューター開発が停滞した理由及び今後の巻き返しに向けた戦略について、総理の認識を伺います。
 第三の集積回路の素材である半導体については、施政方針で言及がありませんでしたので、昨年六月十日の決算委員会で総理に申し上げた内容を再度お伝えします。
 集積回路製造の上流工程であるウエハー、シリコンインゴット、多結晶シリコンの分野では、日本は依然として世界的に優位な立場を維持しています。
 しかし、最上流のケイ石採掘、高純度シリコン精錬工程は、電力コストの安い中国等の寡占状態です。決算委員会では、最上流分野を日本でも構築するか、ケイ石、すなわちシリコンに代わる半導体材料を日本が世界に先駆けて実用化することの重要性を訴えました。
 代替素材として有力視されているのがカーボンナノチューブです。米中が開発を加速させていますが、約三十年前、カーボンナノチューブ実用化に向けた研究に先鞭を着けたのは日本の科学者です。当時はNECの技術者であった飯島澄男名城大学終身教授です。
 先行していたカーボンナノチューブ研究が停滞した理由及び今後の巻き返しに向けた戦略について、総理の認識を伺います。
 第五期科学技術基本計画は来年度が最終年度です。再来年度からの第六期計画をにらみ、今国会での科学技術基本法改正をどのような内容とするのか、伺います。
 文科省の科学技術・学術政策研究所が公表している科学技術指標において、日本人の修士課程学生の博士課程への進学率低下、博士課程学生数及び博士号取得者の減少、米国における日米共同論文のシェア低下、米中共同論文の激増等、日本を取り巻く環境の深刻さがよく整理されています。
 この状況をどう打開し、政策や予算の中でどのような工夫をしていくのか、伺います。
 次に、社会保障です。
 一九八九年は、消費税が導入され、少子高齢化が大きな課題として立ちはだかっていました。三十年たち、事態は深刻化しています。
 施政方針では、一億総活躍の項で、全ての世代が安心できる全世代型社会保障制度を目指し、本年、改革を実行してまいりますと述べています。今国会に提出される医療、介護、年金、雇用関連の法案に含まれている全ての世代が安心できる改革の内容は何でしょうか、伺います。
 以下、総理が議長を務める全世代型社会保障検討会議のことは検討会議と申し上げます。
 検討会議中間報告及び施政方針では、一定所得以上の後期高齢者の医療費窓口負担を二割とすることが示されました。一定所得とはどの程度を想定しているのか、伺います。
 また、三割負担となる現役並み所得の水準見直しも検討していると聞きます。どのように見直すのか、伺います。
 介護、看護離職者の数は依然高水準です。介護休業は、対象家族一人につき通算九十三日までですが、実際の平均介護期間は四年七か月です。実態に即して介護休業期間を延長すべきと考えますが、総理の認識を伺います。
 施政方針では、正規と非正規の壁がなくなる中で、パートの皆さんへの厚生年金の適用を更に広げてまいりますと述べていますが、検討会議中間報告で示された適用拡大案は、企業規模要件の五十人超への引下げ、勤務期間要件の見直しにとどまっており、賃金や労働時間に関する要件は現状維持です。
 五十人以下の企業の短時間労働者、週労働時間二十時間未満、月額賃金八・八万円未満である労働者については、厚生年金が適用されない非正規のままです。この点の見直しについて総理の考えを伺います。
 施政方針で、来年春までに子育て世代包括支援センターを全市町村に設置すると述べました。私は、フィンランドの子育て支援組織であるネウボラを視察してきました。妊娠判明時から出産、育児を経て、子供が中学生になるまで、原則として同じ保健師、看護師等が子育てを支援する仕組みであり、同国建国以来、百年の歴史があります。
 フィンランド等の事例を参考にしつつ、単に役所に窓口を設ける支援センターではなく、女性、子供及びその家族のアドバイザーの役割を果たせるよう、人的、予算的に十分な手当てを行うべきと考えます。総理の認識を伺います。
 社会保障制度の新たな課題として浮上しているのが、外国人在留者、外国人労働者の急増です。施政方針ではこのことに全く触れていません。外国人急増が社会保障制度に与える影響について、総理の認識を伺います。
 昨年、臨時国会の代表質問で社会保険加入者における外国人比率等をただしたところ、総理は、在留外国人の加入者数及び全体に占める割合は把握していません、今後どのような年齢層の方がどのぐらいの期間在留するのか等が不透明なことから、社会保険財政に対する今後の影響をお示しすることは困難ですと答弁しました。
 総理の問題意識の希薄さを映じてか、昨年十一月に外務省、入管庁に諸外国の外国人比率を質問したところ、把握していませんとの答えでした。
 社会保険は、長期加入が前提です。医療の場合、平均的国民は数百万円から一千万円超の生涯負担超過になっており、言わばこの多額の掛け捨てがあってこそ成り立つ仕組みです。外国人が短期加入となり、負担よりも給付が多くなれば制度維持にはマイナスです。公平で合理的な仕組み、日本人も外国人も納得できる制度設計が必要です。
 外国人労働者を重要なマンパワーとして国の運営を考える以上、他国の外国人比率、そこで起きている現象や問題等々により関心を払い、適切な対応を図るべきです。
 年末に、外務省が在外公館を通じてG20諸国の外国人比率を調査してくれました。基準や定義が同一ではないため単純比較はできませんが、日本は既にEU並みとの印象です。
 日本と同様に医療財政が逼迫する英国では、外国人の医療に関してヘルスサーチャージ制度を導入しました。外国人に年間二百ポンド、約三万円の支払を義務付けています。外国人に起因する財政負担等も、ブレグジットをめぐる英国世論に影響していると聞きます。日本でも、今後の円滑な国の運営を考えれば、諸外国の外国人比率や社会保障制度への影響に関心を持つべきです。
 そこで、総理に要請します。今国会中を目途に、諸外国の外国人比率、社会保障制度に生じている影響、それへの対応等々に関し調査、取りまとめを行うことを求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
 臨時国会で一点だけ答弁があったのは、国保における外国人被保険者数が九十九万人、全体の三・四%というデータでした。全国平均で三・四%ですから、都市部では一〇%を超えているでしょう。
 国保被保険者の年齢別外国人比率は、六十五歳以上は〇・四%、四十歳から六十四歳は二・八%でしたが、ゼロ歳から十九歳は四・三%、外国人労働者の中心年齢層である二十歳から三十九歳は既に一一・八%に達しています。都市部の当該年齢層の外国人比率は二〇%近くになっているかもしれません。今後、在留外国人が増加、高齢化すれば、全体でも一割を超える可能性があります。外国人急増に伴う社会保障制度への影響予測と対策が急務です。一例を挙げると、外国人が急増している葛飾区では、既に区発行保険証保有者の一割超が外国人と聞きます。
 こうした中で、他人の保険証を使う成り済まし等の問題も起きています。顔写真のない現在の保険証は、成り済ましや不正使用を助長します。保険証を顔写真付きとしてはどうでしょうか。
 不正防止のため、保険証と外国人在留カード等の記載方法統一も課題です。漢字表記、ローマ字表記がまちまちであったり、スペリングが異なったり、是正を要する点が多々あります。総理の所見を伺います。
 施政方針では、マイナンバーカードの取得を促し、来年度中に健康保険証として利用を開始しますと述べていますが、こうした対応を外国人が日本の社会保障制度を適切に利用するための基盤として活用すべきです。総理の所見を伺います。
 年金も課題を抱えています。日本の年金受給資格発生加入期間は十年となりました。技能実習生や特定技能外国人が十年未満で帰国する場合は、保険料の払い損になります。
 そこで、帰国外国人には資格喪失対価として脱退一時金を支給しますが、その金額の加算が検討されています。個人型確定拠出年金、iDeCoの引き出し可能年齢も、外国人に有利な見直しが行われるようです。
 外国人にとって不当に不利益な制度の見直しは当然ですが、一方、社会保険が内外無差別の扱いを原則とするならば、脱退ができない日本人、iDeCoの引き出し年齢が外国人よりも遅くなる日本人との公平性はどのように担保するのでしょうか。
 今後の社会保障制度における日本人と外国人の公平性の考え方、現在把握している問題、課題について、総理の説明を求めます。
 次に、経済です。
 一九八九年は、消費税導入の年、バブルピークで年末に株価は過去最高値を付けました。翌一九九〇年には税収も過去最高の六十・一兆円となりました。バブル崩壊、不良債権処理、リーマン・ショックを経て税収は、二〇〇九年の三十八・七兆円まで減りましたが、以後は漸増。二〇二〇年度は六十三・五兆円を見込んでいますが、三十年前と比べると税収構造は激変しています。
 消費税を除くベースで見ると、一九九〇年の五十五・五兆円に対して、来年度は四十一・八兆円にとどまり、十三・七兆円も減少しています。
 来年度、主要税目の中で初めて消費税が最大となります。来年度の所得税は一九九〇年度比六・五兆円少ない十九・五兆円、法人税は六・三兆円少ない十二・一兆円です。
 所得税や法人税が減少し、このような税収構造になった理由及び今後それをどのように改革していくのか、総理の方針を伺います。
 臨時国会の所信で足下の景気について言及がなかったのに続き、今回の施政方針でも言及がありません。驚きました。
 景気ウオッチャー調査の現状判断DIは横ばいを示す五〇の水準を二十四か月連続で下回り、景気動向一致指数も昨年十一月は九五・一と低迷が続き、景気基調判断は四か月連続で悪化となりました。
 厚労省毎勤統計によれば、二〇一二年に一〇四・五であった実質賃金指数は二〇一八年に一〇〇・八となり、今月発表された二〇一九年十一月の指数も前年比〇・九%低下しました。
 補正予算案、本予算案の前提となっている景気、賃金等の現状認識について伺います。
 こうした景気情勢の下、昨年十月に行われた消費増税から四か月が経過しました。駆け込み消費の有無、その後の影響及び今後の影響について、事実関係と総理の認識を伺います。
 現在、確定申告準備の佳境ですが、事業者、税理士の声は総理に届いているでしょうか。軽減税率導入が確定申告事務の煩瑣を招くという懸念は現実のものとなり、全国の税理士が苦労しています。
 まずは、現場の事業者、税理士の協力、苦労に対して、この場を通してコメントをいただきたいと思います。
 旧税率と軽減税率は共に八%のため、税理士は旧税率と軽減税率の区別に苦労しています。同じ八%であっても、国税分と地方税分の割合が異なるからです。
 現場の事務の煩瑣を解消するための工夫、あるいは現場の負担に対する配慮について今後どのように対応するのか、総理の考えを伺います。
 次に、通商外交です。
 一九八九年の世界貿易に占める日本の割合は輸出九・四%、輸入七・一%でしたが、二〇一七年は輸出四%、輸入三・八%まで落ち込んでいます。
 施政方針では、自由貿易の旗手として、二十一世紀の経済秩序を世界へと広げてまいりますと述べていますが、輸出入ともシェア五%未満の現状において、総理が考える自由貿易の旗手とはどういう意味でしょうか。また、二十一世紀の経済秩序とは何のことでしょうか、お伺いします。
 総理の施政方針を聞いていると、三十年前の貿易立国、貿易大国という固定観念にとらわれているような気がします。今や日本経済は内需を喚起しないと成長しない構造です。だからこそ、国民民主党は家計第一と主張しているのです。
 総理は、我が国にとって貿易、内需がそれぞれどのような意味を持ち、それをどうしようと考えているのか、伺います。
 日米貿易協定附属文書において、自動車、自動車部品の関税について、更なる交渉で撤廃と書き込んだことをもって、政府は関税撤廃は日米合意と強弁しています。昨年、臨時国会での代表質問に際し、総理は、日本の自動車、自動車部品に対して、二百三十二条に基づく追加関税は課されないことを直接トランプ大統領から確認しましたと答弁しました。
 将来の関税撤廃が日米合意であること、その間に追加関税は課されないことを改めて総理に明言を求めます。
 なお、セカンドラウンド交渉前に米国が農産物や金融サービス分野等で更なるバーター条件を提示してくる可能性がありますが、応じるべきではありません。
 本年四月の習近平主席来日に際し、尖閣諸島周辺への公船侵入、南シナ海での覇権主義、香港、台湾、ウイグル自治区への対応等、これらの問題に関し、総理はどのような主張をするつもりか、伺います。
 中国に関してもう一点伺います。
 東京五輪開催前にデジタル人民元が中国国内で使用開始されると聞きます。中国人観光客がデジタル人民元を日本で使おうとする可能性があり、日本の事業者がそれを受け入れ、受領したデジタル人民元を中国の銀行の東京支店等で円に交換すると、事実上、デジタル人民元が流通することになります。通貨主権という国家の根幹に関わる事態です。
 これらに関して、どのような情報を把握しており、また、どのように対処しようとしているのか、伺います。
 日本は外交青書から北方四島は日本に帰属するという表現を削除しました。また、総理は、北方四島を固有の領土と表現しなくなりました。
 ロシアと何を約束したのか、なぜ固有の領土と言わなくなったのか、今後の北方領土返還交渉の方針とともに改めてお伺いします。
 北朝鮮は短距離ミサイルを断続的に発射しています。ところが、同盟国米国のトランプ大統領は、ミサイルがICBM、大陸間弾道ミサイルではないこと、核実験を行っていないことをもって、金正恩委員長は約束を守っていると発言しています。北朝鮮ミサイル問題に対する米国の立場について、米国からどのような説明を受けているのか、お伺いします。
 レーダー照射事件に始まり、慰安婦問題、徴用工問題、東京五輪への対応等々、韓国の日本に対する姿勢には憂慮すべきものがあります。今後の韓国との向き合い方について、総理の考えを伺います。
 日本は、輸出管理厳格化等の観点から、重要な半導体材料であるEUVレジスト、極端紫外線露光に用いる塗布液の輸出を留保しています。日本の産業競争力、米中貿易戦争にも関係する重要な材料であることから、この扱いに関する総理の今後の方針を伺います。
 防衛省設置法における調査研究業務の一環として、自衛隊の中東派遣が決定されました。制約された武器使用権限の下で自衛隊を中東に派遣することは、自衛官の安全確保等の面から適切な判断とは思えません。総理の認識を伺います。
 昨年十二月十八日、経済同友会主催の将来世代の利益を考えるシンポジウムに自民党世耕弘成参議院幹事長共々招請され、参議院に経済予測等を行う独立財政機関設置を目指す経済同友会の提案について議論しました。
 経済同友会の提案に賛同します。かつて、財政金融委員会の下に同様の趣旨の財政小委員会を設置しようとし、当時の与党筆頭理事であった愛知治郎議員との間ではほぼ合意に達したものの、与党国対又は官邸の了解が得られず、成就しなかったことがあります。
 参議院に独立財政機関を設け、経済予測や財政見通し等を策定し、政府はその予測や見通しを基に予算編成や年金財政計算を行うという考え方について、総理の所見を伺います。実現すれば、経済前提をめぐる不毛の議論はなくなります。
 シンポジウムでも述べましたが、独立財政機関の信頼性を高めるために、過去の検証から始めるのが望ましいと思います。
 一九六〇年から二〇一五年までの公的資本形成の対GDP比は、日本の七・七%に対して、G7の他の先進六か国は三・九%にとどまっています。日本が仮に他の先進国並みであったなら、実額で六百八十五兆円、割引現在価値で一千兆円超の予算が他の分野、例えば科学技術や教育に充てられたことになります。こうした検証は、今後の日本の運営を検討する上で有意な材料になると思います。
 シンポジウム直後の十二月二十七日、日本経済新聞が一面トップで「人口減時代に居住地拡大 増加面積、十年で大阪府の規模 街の集約進まず」と報道しました。人口が減少しても、農地等を転用した郊外宅地開発が止まらず、インフラ整備等の財政負担が増していること、都心部や中心市街地の空き家増加等を憂慮した報道でした。
 人口減少時代に対応し、市街地開発、宅地造成をめぐる規制等にどのように臨むのか、総理の考えをお伺いします。
 施政方針の地方創生の項で、外国人観光客増加に対応して世界に冠たる観光インフラを整えると述べ、官房長官も記者会見等で世界レベルのホテルを五十か所程度新設する方針を示しました。既に財政投融資計画において予算化されており、今後の財政に影響を与えるでしょう。
 世界に冠たる、世界レベルのホテルの定義、五十か所程度が適切と考える根拠、及び建設主体として官民、外資等、どこを想定しているのか、お伺いします。
 財政的見地から冷静な判断が必要なことは、防衛予算も例外ではありません。現下の国際情勢を考えると、防衛力強化の必要性については認識を共有します。だからといって、予算を無尽蔵に使えるわけでもありません。
 令和二年度の防衛関係費は、米軍再編経費等も含め五兆三千百億円、過去最高です。米国からの武器等購入額は、二〇一二年度の千三百六十五億円から二〇一九年度の七千十三億円と五倍以上に膨らんでいます。
 購入済み装備品の後年度負担も過去最高の五兆二千百六億円、防衛予算一年分に匹敵する規模です。また、米国の言い値で装備を購入するFMS、対外有償軍事援助への依存は、過度の財政負担と防衛産業の脆弱化を招いています。
 FMS依存を改革する意思、防衛装備を自主開発する意思があるか否か、総理の考えをお伺いします。
 最後に、政権の体質について付言します。
 施政方針において、森友、加計学園、桜を見る会、閣僚辞任、IR事件等に一切触れなかったことには驚きました。数々の不祥事について、国民の皆様並びに国会に対して何か御発言があればお伺いします。
 総理は、IRを経済活性化の目玉政策として推進してきました。しかし、今回の事件を契機に、世論調査ではカジノ設置に反対する国民が増えています。
 一昨年七月のIR法案採決に際し、国民民主党の矢田わか子議員が提案した三十一項目にわたる附帯決議の内容は、今日の事態を予見した、まさしく炯眼であったと思います。
 七項で「国、都道府県等は、海外のカジノ事業者が民間事業者に選定されることを目指した働きかけに対し、収賄等の不正行為を防止し、選定の公正性・透明性を確保すること。」と記されたほか、二十八項ではカジノ管理委員会における審議の透明性確保、三十項で国会及び国民に対する政府の説明責任に言及しています。
 しかし、昨今の政権、霞が関の隠蔽体質を鑑みると、附帯決議二十八項と三十項の実効性を確保することは極めて難しい状況です。だからこそ、野党が提出しているIR廃止法案を審議し、成立させるべきと考えますが、総理の認識を伺います。
 公文書や役所の資料が平気で隠蔽、改ざん、廃棄される不祥事が続発しており、こうした不正を強要、看過する今の政権には背筋が寒くなる思いです。
 国民の知る権利を守り、公文書管理の適正、厳正化を図り、不正を防止するために、野党提出の公文書管理法改正案等を成立させるべきと考えますが、総理の認識を伺います。
 国民民主党は、正直な政治、偏らない政治、現実的な政治を追求しています。日本の政治にその三つが足りないと実感しているゆえであります。
 施政方針の冒頭、総理は就任時に、日本はもう成長できないという諦めの壁があったと述べました。私はそうは思いませんが、諦めの壁があるとすれば、それは日本の民主主義や政権の現状に対する諦めの壁ではないでしょうか。
 施政方針の最後で、世界の真ん中で輝く日本、希望にあふれ誇りある日本をつくり上げる、この七年間、全力を尽くしてきました、夢を夢のままで終わらせてはいけないと述べた総理ですが、ということは、総理は、今の日本は、世界の真ん中で輝かず、希望にあふれず、誇りがないと認識しているということでしょうか。私はそうは思いませんが、もしそうだとすれば、それは正直な政治、偏らない政治、現実的な政治が行われていないからでしょう。
 施政方針の最後のくだりを活用させていただいて、終わりの言葉とさせていただきます。
 新しい時代の日本をつくるために、今日、これから、まずは総理自身が、正直で、偏らず、現実的な政治のスタートを切ろうではありませんか。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

#15
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 大塚耕平議員にお答えをいたします。
 大塚議員からは多岐にわたり相当多数の御質問をいただきましたが、答弁漏れのないように丁寧に答弁させていただきたいと思いますが、少しお時間をいただくことになると思います。
 新型コロナウイルスの感染拡大の防止に向けた対策についてお尋ねがありました。
 まず、今般の中国武漢市における新型コロナウイルスに関連した感染症については、一月二十三日の時点で中国において五百七十一名の患者が確認されており、そのうち十七名が亡くなっているほか、日本のほかにタイ、韓国、台湾、アメリカでも武漢市に滞在歴のある患者が確認されていると承知しております。我が国においては、本日、新たに中国からの旅行者一名が当該感染症の患者であることが確認されました。
 このような状況の中で、まずは一月二十一日に関係閣僚会議を開催し、私から、検疫における水際対策の一層の徹底、感染症の発生状況等の情報収集の徹底、国民に対する迅速かつ的確な情報提供などについて指示を出しました。
 その後、中国において患者が更に拡大していることを踏まえ、昨日には、武漢市に対する感染症危険情報レベルを二に引き上げ、不要不急の渡航はやめるよう促すとともに、中国からの全ての航空便において機内アナウンスによる呼びかけや健康カードの配布を行うよう各航空会社に要請すること、全国で患者の検査を可能とする体制を整備することなど、検疫における水際対策や国内における検査体制の更なる強化を図ることとしました。
 また、昨日から本日にかけて、世界保健機構、WHOは、今般の新型コロナウイルスに関して緊急委員会を開催し、現状について、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態を宣言する状況にはないが、人から人への感染症は認められると発表しました。また、中国以外の国に対し、感染の拡大を防止するため、積極的なサーベイランス等が重要である旨の助言を行いました。
 本日、このような発表を受け、改めて関係閣僚会議を開催し、水際対策の一層の徹底、サーベイランス強化のための検査体制の整備、日本人渡航者、滞在者の安全確保など、万全の対応を講じるよう指示を行ったところです。
 引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大の防止に向けて、全力を挙げてまいります。
 若手研究者への資金配分の重点化についてお尋ねがありました。
 科学技術立国日本の未来は、これからの若い力に懸かっていると言っても過言ではありません。そうした観点から、政府として、昨日、若手研究者に対する新しい支援パッケージを決定し、産業界やアカデミアと一体となって若手研究者の支援を強化していきます。
 予算規模は、それぞれの年度における予算編成の中で決まるものであるため、現時点で一概に申し上げることはできませんが、二〇二五年度までに若手研究者向けの安定的なポストを五千人分以上増やします。博士を目指す全ての学生が生活面での心配をすることなく研究に打ち込めるよう、多様な財源を活用し、奨学金などの支援も大幅に拡充していきます。さらに、若手研究者を煩雑なペーパーワークから解放し、最長十年間、腰を据えて自由な発想で挑戦的な研究に取り組める新しい研究制度も創設します。
 科学技術関係予算をこうした形で若手研究者に重点的に配分していくことで、若い皆さんが将来に夢や希望を持って研究の道に飛び込むことができる環境づくりを進めてまいります。
 5Gについてお尋ねがありました。
 イノベーションをめぐる国際競争が激しさを増す中で、5G分野では、これまで研究開発においても、またインフラ整備の面でも、米国や中国などにおける積極的な投資が先行する形となったことは事実です。
 しかし、5Gがもたらす変革は経済のみにとどまらず、安全保障を始め社会のあらゆる分野に大きな影響を及ぼすとの認識の下、今後、国家戦略として取り組んでいく考えです。
 5G、ポスト5G、更にその先を見据えながら、大胆な税制措置と予算により研究開発とインフラ整備への大胆な投資を促し、イノベーションを力強く後押ししてまいります。安全で安心なインフラがこれからも安定的に供給されるよう、グローバルな連携の下、競争力強化に戦略的に取り組んでいく決意であります。
 量子技術についてお尋ねがありました。
 我が国は、これまで、量子コンピューターの要素技術や基礎理論を生み出してきましたが、その事業化に向けてイノベーションの更なる加速、民間資金も活用した研究開発投資の拡大といった面で対応が必ずしも十分でなかったと考えます。しかし、量子技術は、次世代暗号などの基盤であり、産業や安全保障上の重要技術であることから、今後、国家戦略として取り組んでいく考えです。
 トップクラスの研究者や民間企業を国内外から集め、事業化までを視野に入れた一大研究拠点を国内に整備していきます。オープンな環境の下でイノベーションを加速するとともに、民間も含めた投資を大きく拡充することで、量子技術分野での世界トップを目指してまいります。
 カーボンナノチューブについてお尋ねがありました。
 御指摘のあった半導体材料などへの活用が注目されているのは、いわゆる単層のカーボンナノチューブでありますが、これについては、均質にチューブを並べる極めて高い製造技術が求められ、五年前、日本企業が世界で初めて量産に成功いたしました。そして、今なお、中国や米国は量産に成功していないと承知しています。
 このカーボンナノチューブについては、鋼の二十倍という強度を持ちながら極めて優れた電気や熱の伝導性を持つことから、航空機のエンジン部材、スーパーコンピューターの放射熱など、高付加価値素材として活用が広がりつつあります。今後、御指摘の半導体材料も含め、更なる用途拡大を支援することで、素材分野における日本の競争力強化につなげていく考えであります。
 科学技術基本法の改正と日本を取り巻く研究環境についてお尋ねがありました。
 AIやIoTなどのイノベーションは、加速度的な進歩を遂げると同時に、経済社会の全体にわたって革新的な変化をもたらします。そうした意味で、科学技術の発展は、今や法律や倫理など社会との関係が密接不可分となっています。そのため、イノベーションの創出のほか、人文科学を振興対象に加えることなどを内容とする科学技術基本法改正案について、今国会への提出を検討しています。
 日本を取り巻く研究環境については、御指摘のとおり、基礎研究力の相対的な地位の低下が懸念されています。だからこそ、先ほども申し上げたとおり、次の世代を担う若い皆さんが将来に夢や希望を持って研究の道に飛び込むことができる環境づくりを進めていくことが重要であると考えます。
 とりわけ、グローバル化が進む時代にあって、海外で研さんをする機会を大胆に充実していくほか、世界中から優秀な人材を集めるため、産業界とアカデミアの連携を強化する中で、これまでのしがらみにとらわれることなく、世界水準の待遇を得られるようにするなどの取組を進めてまいります。
 全世代型社会保障制度改革の内容についてお尋ねがありました。
 全世代型社会保障は、人生百年時代の到来を見据えながら、働き方の変化を中心に据えて、年金、医療、介護、社会保障全般にわたる改革を進めるものです。したがって、各分野がばらばらではなく全体が一体となって全ての世代が安心できる改革となるものです。
 以下、具体的に申し述べます。
 年金については、多様な就労に対応し、高齢期の経済基盤の充実を図ることができるための環境整備を進めるため、厚生年金の適用について従業員五十人を超える企業までの段階的拡大、年金受給開始時期の上限の七十五歳への引上げ、在職老齢年金の見直し等を行ってまいります。
 雇用に関しては、働く意欲のある高齢者が年齢にかかわらず働くことができる環境を整えるために七十歳までの就業機会の確保を図り、労働施策総合推進法を拡大して大企業に中途採用・経験者採用比率の開示を求め、多様で柔軟な働き方が可能となるような見直しを行い、兼業や副業で働く方についてはセーフティーネットを構築するための法制化を進めます。
 さらに、介護については、地域共生社会の実現に向けて、制度の持続可能性を確保しながら、介護予防、健康づくりの推進、地域の実情に応じた介護基盤の整備、介護人材の確保等を柱として改革を進めてまいります。
 なお、医療については、全世代型社会保障検討会議の中間報告に示された方向性に基づき、七十五歳以上の高齢者であっても一定所得以上の方について新たに窓口負担割合を二割とすることや、かかりつけ医機能の強化等を図るため、大病院の受診に定額負担を求める仕組みの拡大について具体的な検討を進め、夏までに成案を取りまとめてまいります。
 高齢者の医療費の窓口負担と介護離職についてお尋ねがありました。
 高齢者医療で新たに二割負担の対象となる方の基準については、高齢者の疾病、生活状況等の実態を踏まえて具体的な所得基準等について検討を行ってまいります。
 現役並み所得の基準については、新経済・財政再生計画改革工程表に沿って、現役との均衡の観点から検討を行ってまいります。
 また、介護離職については、政府としてこれをゼロにするという目標を掲げ、二〇二〇年代初頭までに五十万人分の介護の受皿の整備、介護職員の処遇改善を含む介護人材確保対策、仕事と介護の両立支援などを総合的に進めているところです。
 介護休業については、平成二十八年に、三回まで分割して取得可能とするとともに、介護のための所定労働時間の短縮措置を設けるなどの見直しをしたほか、来年から介護休暇を時間単位で取得可能とするなど、多様なメニューを柔軟に利用できるようにし、周知啓発に取り組んでいるところです。
 厚生年金の適用拡大についてお尋ねがありました。
 パートの皆さんへの厚生年金の適用については、今回の改正において、中小企業への生産性向上支援、社会保険手続の負担軽減を行いながら、従業員五十人を超える中小企業まで段階的に拡大をすることとしております。
 今回は、中小企業の負担に配慮し、段階的に適用範囲を拡大していくこととしたものであり、まずは五十人超の中小企業までの適用拡大を進めてまいります。
 子育て世代包括支援センターについてお尋ねがありました。
 子育て世代包括支援センターは、全ての妊産婦、乳幼児等を対象として、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を提供するものであり、来年春までに全ての市町村に設置することとしています。
 このため、令和二年度予算案において、センターの体制整備のために必要な運営費の補助を拡充しているところであり、引き続きその充実を図ってまいります。
 外国人の増加による社会保障制度への影響についてお尋ねがありました。
 外国人に対する我が国の社会保障制度の取扱いについては、日本人に準じて対応してきたところです。昨年の臨時国会でもお答えしたとおり、今後どのような年齢層の方がどれくらいの期間在留するのか等が不明なことから、その影響を定量的にお示しすることは困難です。
 一方、外国人の医療問題など、制度創設時には必ずしも想定されていなかった制度の適用やサービスへのアクセス等の課題に対しては、それぞれの制度において必要に応じて諸外国の状況や対応等も調査し、その結果も踏まえながら必要な対策を講じてきているところです。
 保険証の在り方についてお尋ねがありました。
 来年三月からはマイナンバーカードの健康保険証としての利用を開始いたします。これにより、本人確認の精度が向上し、いわゆる成り済まし受診の防止につながるものと考えております。また、住民票を有する外国人についてはマイナンバーカードの取得が可能となっていることから、その普及により、外国人も含めた医療保険制度の適切な運用が強化されるものと考えています。
 年金制度における日本人と外国人の公平性の考え方についてお尋ねがありました。
 公的年金に上乗せするiDeCoについては、公的年金に加入することができない方で一定の要件を満たす場合に引き出すことができるよう見直しを検討しています。これは、公的年金に加入できないことを要件とするものであり、他の社会保障制度と同様、日本人と外国人で国籍によって差を設けるものではありません。
 税収構造についてお尋ねがありました。
 各税目の税収は、時々の経済社会の変化を踏まえつつ改正を行ってきた結果を反映したものですが、所得税や法人税の税収が減少した背景には、制度改正要因を加え、バブル期以降の資産価格の下落等、経済情勢の要因もあることに留意が必要です。
 消費税については、急速な高齢化等を背景に社会保障給付費が大きく増加する中で、国民が広く受益する社会保障の費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点で、社会保障の財源と位置付けています。その上で、全世代型社会保障へと転換するための安定財源として税率一〇%への引上げを行ったところです。
 少子高齢社会における国の財源調達においては、所得税、法人税、消費税のいわゆる基幹三税の中でも、税収が景気や人口構成の変化に左右されにくく安定している、働く世代など特定の層に負担が集中することなく、経済活動に中立的等の特徴を有する消費税の役割が一層重要になっていることは確かですが、いずれにせよ、今後の税制の在り方については、公平、中立、簡素の三原則を踏まえつつ、不断の検討を行ってまいります。
 景気や賃金の現状認識についてお尋ねがありました。
 我が国経済は、七年間にわたるアベノミクスの取組の結果、力強い成長を続けてきました。賃上げについても、連合の調査によれば、六年連続で今世紀に入って最も高い水準の賃上げが実現しており、雇用の大幅な増加と相まって、国民みんなの稼ぎである総雇用者所得は名目でも実質でも増加が続くなど、雇用・所得環境は着実に改善しています。こうした状況を反映し、現状においても、海外経済の減速等を背景に外需が弱いものの、内需を中心に緩やかに回復していると認識しています。
 その上で、事業規模二十六兆円の総合経済対策により、相次いだ災害からの復旧復興や海外発の下方リスクに対し万全の対応を行うことで、民需主導の力強い成長を果たすとともに、より幅広く賃上げの波が行き渡るよう全力を尽くしてまいります。
 消費税率引上げの影響についてお尋ねがありました。
 消費税率引上げ前の駆け込み需要やその後の落ち込みは、十月には台風の影響も見られるものの、現時点では全体として前回ほどではないと見られます。引き続き、引上げによる影響に十分注意してまいります。
 軽減税率制度による申告事務の負担についてお尋ねがありました。
 多くの事業者の方が軽減税率制度が実施されて初めての確定申告を迎える中、事業者の方が戸惑うことなく申告を行うことができるよう、税率ごとの区分経理の方法や申告への対応に重点を置いた説明会の開催などを実施しているところです。
 今後とも、税理士の方や事業者の方の実務現場の状況をきめ細やかに把握をし、現場に寄り添った丁寧な対応を行ってまいります。
 自由貿易の旗手や二十一世紀の経済秩序の意味、我が国にとって貿易と内需が持つ意味と展開についてお尋ねがございましたので、丁寧に分かりやすく説明をさせていただきたいと思います。
 我が国経済の大宗を占めるのは内需であり、とりわけ消費や投資など民需主導の経済成長を実現することが重要であることは、これは言うまでもありません。同時に、国内において急速に少子高齢化が進む中で、貿易を通じて海外の需要をしっかりと取り込んでいくことも、我が国経済の持続的な成長のために欠かせないものであると考えています。
 そのため、世界で保護主義への懸念が高まる中で、我が国は自由で公正なルールに基づく貿易の重要性を一貫して主張してまいりました。そして、TPP11、欧州とのEPA、日米貿易協定の成立を主導し、三つを合わせれば世界経済の六割に及ぶ自由貿易圏の中心にあって、日本は自由貿易の旗手として取り組んできたと考えております。
 その際、成長著しい新興国などとの競争環境を確保する観点からも、知的財産の保護、環境・労働規制、国有企業の規律など、幅広い分野にわたる公正なルールの整備を重視してまいりました。これらは、いずれも関税の引下げが中心であったかつての自由貿易協定には含まれなかったようなルールであり、まさに二十一世紀型の経済秩序であると考えております。
 日米貿易協定についてお尋ねがありました。
 自動車、自動車部品については、既に日米貿易協定において、単なる交渉の継続ではなく、更なる交渉による関税撤廃を明記しています。今後、関税撤廃がなされることを前提に、具体的な撤廃時期等について交渉を行うこととなります。
 また、昨年九月の日米共同声明には、協定が確実に履行されている間、両協定及び本共同声明の精神に反する行動を取らないとの記載があります。この意味については、日米首脳会談において、日本の自動車、自動車部品に対して二三二条に基づく追加関税は課されないという趣旨であることを、私から直接トランプ大統領に確認しております。
 習近平国家主席の来日についてお尋ねがありました。
 日本と中国は、地域や世界の平和と繁栄に共に大きな責任を有しています。日中両国がこうした責任を果たしていくことが、現在のアジアの状況において、そして国際社会からも強く求められています。習近平国家主席の国賓訪問を、その責任をしっかり果たすとの意思を内外に明確にしていく機会としたいと考えています。
 同時に、中国との間には、御指摘のものも含め様々な懸案が存在をしています。こうした懸案については、これまでも私から首脳会談の際に中国側に累次にわたり提起してきています。引き続き、主張すべきはしっかりと主張し、中国側の前向きな対応を強く求めていきます。
 デジタル人民元についてお尋ねがありました。
 デジタル人民元については、現時点では中国国内の決済用として発行を計画しているものと承知しており、日本において、信用と利便性の高い円に代わる決済手段として直ちに広く普及するとは考えておりません。
 なお、このようなデジタル通貨については、金融技術革新による決済の効率化等の潜在的なメリットがあり得る一方、マネーロンダリング等のリスクについて、発行前に適切に対処される必要があることを、昨年、麻生財務大臣のリーダーシップの下、中国を含むG20として合意したところです。
 今後、我が国として、国際的な議論の動向も踏まえ、日本銀行とも緊密に連携しながら、デジタル通貨について調査研究を進めるとともに、引き続き、日本円の信用の維持、決済の利便性の向上に取り組んでまいります。
 北方領土問題についてお尋ねがありました。
 北方領土は我が国が主権を有する島々です。政府としてこの立場に変わりはなく、平和条約交渉の対象は四島の帰属の問題であるというのが日本側の一貫した立場です。この立場に全く揺らぎはありません。
 その上で、交渉がうまくいくかは、静かに交渉できるかに懸かっています。表現は異なりますが、北方領土が置かれた状況についての法的評価は一貫しています。
 一九五六年の共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速させ、領土問題を解決して平和条約を締結するとの方針の下、引き続き粘り強く交渉を進めていきます。
 北朝鮮のミサイル問題に対する米国の立場についてお尋ねがありました。
 北朝鮮による弾道ミサイルの発射が安保理決議違反であることは明白であり、こうした立場について、例えば昨年のG7の際に行った日米首脳会談で、私から北朝鮮の短距離弾道ミサイルの発射は安保理決議違反であり極めて遺憾である旨述べ、トランプ大統領から完全に理解する旨の発言があるなど、米国との間で累次の機会に確認をしてきているところです。先月の国連安保理の公開会合においても、米国から、北朝鮮による弾道ミサイルの発射は、その射程にかかわらず、地域の安全と安定を損ね、安保理決議の明白な違反であるとの立場を明確に表明しています。
 日韓関係についてお尋ねがありました。
 韓国は、元来、基本的価値と戦略的利益を共有する重要な隣国です。昨年十二月の日韓首脳会談では、目下の日韓関係の最大の課題である旧朝鮮半島出身労働者問題につき、韓国側で解決策を示すよう強く求めました。韓国側には、国と国との約束を守り、未来志向の両国関係を築き上げることを切に期待します。
 なお、韓国を仕向地とするレジストについて、輸出を留保しているという事実はありません。昨年七月四日以降、個別の輸出許可申請を求めることとしていますが、安全保障上懸念のない民間取引であれば輸出を許可しています。我が国として、引き続き、国際レジームの下で厳格に輸出管理の運用に努めてまいります。
 自衛隊の中東派遣についてお尋ねがありました。
 エネルギー資源の多くを中東に依存する我が国としては、地域における緊張の高まりを深く憂慮しています。中東地域における日本関係船舶の安全の確保のため、我が国独自の取組として、更なる外交努力、航行安全対策の徹底と併せて、自衛隊による情報収集態勢の強化を実施します。
 この自衛隊による情報収集活動は、防衛省設置法の調査研究の規定に基づき実施するものであり、また、不測の事態の発生など状況が変化する場合の対応として、自衛隊による更なる措置が必要と認められる場合には、自衛隊法の規定に基づき海上警備行動を発令して対応することとなります。
 これらの活動において自衛隊がとる措置は、国内法上及び国際法上許容されるものとして実施する必要があります。特に、日本関係船舶の防護のための措置は、国際法上の旗国主義の原則を踏まえ対処することが基本となります。
 なお、この旗国主義を踏まえた対応は国内法で変更できるものではありません。
 その上で、自衛隊員の使命は国民のリスクを下げることであり、このため自衛隊員の任務は常にリスクを伴うものですが、今般の活動においても、きめ細やかな準備や安全確保対策により、対応に万全を尽くしてまいります。
 独立財政機関についてお尋ねがありました。
 院内における機関の設置については、国会において御議論をいただくべき事柄であり、政府としてお答えすることは差し控えさせていただきます。
 その上で、政府としては、経済財政諮問会議において、専門的、中立的な知見を有する学識経験者なども参画する下で、経済財政運営について議論を行っています。
 御指摘の経済や財政の見通しについては、内閣府において、経済財政諮問会議の議論を踏まえた上で、過去の実績や足下の経済状況に基づく現実的な想定の下で作成しているところです。
 人口減少時代に対応した市街地開発、宅地造成をめぐる規制等についてお尋ねがありました。
 地方においては、人口の増加に伴い市街地が郊外へ拡散してきましたが、今後は、人口減少により拡散した市街地で居住の低密度化が進み、生活・行政サービスの維持が困難になる可能性があります。
 このような状況を踏まえ、経済や生活に必要な機能をコンパクトに集約し、公共交通等のネットワークで結ぶコンパクトシティーを促進しております。現在、病院や店舗などの日常生活を支える施設を中心部に誘導するとともに、災害ハザードエリアにおける開発規制を強化するため、所要の法改正の準備を進めているところであり、より安全でコンパクトな町づくりを加速させてまいります。
 世界レベルのホテルについてお尋ねがありました。
 外国人観光客が急増する中で、観光客の長期滞在が見込まれ、地域経済への波及が大きいと考えられる世界レベルの宿泊施設の整備の促進は、二〇三〇年の訪日外国人旅行者数六千万人、訪日外国人旅行消費額十五兆円の実現を図る上で重要な課題だと考えております。
 世界に冠たる、世界レベルのホテルについては、外国人観光客に対して大きな魅力を有し、世界各国から地域に観光客を呼び込める高い品質を備えた宿泊施設を念頭に置いたものであります。整備を目指す施設数を五十程度としているのは、現在、国内における整備計画、構想の状況等を勘案したものです。また、今回の支援策は、内資、外資を問わず民間事業者を対象とするものであります。
 FMS調達と防衛装備の自主開発についてお尋ねがありました。
 厳しい安全保障環境を受け、高性能な装備品について早期導入が求められる傾向にあり、結果としてFMS調達が増加していますが、これは、我が国を守るために必要不可欠な装備品の中にはFMSでしか調達することができないものがあるためであります。
 一方で、国産装備品についても、我が国の防衛に必要な能力を満たした装備品を調達しており、今中期防においても国産装備品の整備を計画しています。引き続き、必要な国産装備品について着実に調達を進めていく考えであります。
 さらに、今後必要となる優れた装備品を我が国の防衛産業がしっかりと開発することができるよう、重要技術に重点的に投資を行うとともに、国内防衛産業の競争力の強化を進めてまいります。
 政権の体質についてお尋ねがありました。
 施政方針演説には、本年度予算に盛り込んだ政策など、本年一年間で実施する主要政策を盛り込んでいます。国会審議において、御指摘のようなテーマに議論が集中し、大切な審議時間が政策論争以外に多く割かれてしまっている状況については、国民の皆様、納税者の皆様に大変申し訳なく思っております。
 大塚議員御指摘のテーマに関しては、同じ会派の枝野代表や福山議員から既に御質問をいただいており、丁寧にお答えをさせていただいてまいりましたが、今後とも、国会における御指摘には当然誠実に対応させていただく所存であります。
 IR整備法等廃止法案についてお尋ねがありました。
 法律案の取扱いについては、国会においてお決めになるべき事柄と承知しておりますが、IRは、カジノだけではなく、国際会議場、展示場や大規模な宿泊施設を併設し、家族で楽しめるエンターテインメント施設として観光先進国の実現を後押しするものと考えています。
 もとより、IRの推進に当たっては国民的な理解が大変重要であり、事業者選定の公平性、透明性の確保等についても、今月発足した高い独立性を有するカジノ管理委員会や国会での御議論も十分に踏まえて、丁寧に進めてまいりたいと考えております。
 公文書管理についてお尋ねがありました。
 政府としては、平成三十年七月に公文書管理の適正化に係る総合的な施策を決定し、決定した全ての施策について、これまで着実に実行に移しているところです。
 他方、今般発覚した行政文書の保管や廃棄における不適切な取扱いも踏まえ、独立公文書管理監を中心とした各府省におけるチェックの強化など、政府を挙げて公文書管理監の更なる徹底方策について検討していく予定です。
 なお、野党が提出されている法案の取扱いについては、国会において御議論いただくべきものと考えております。
 大塚議員からは、七年間の自公連立政権の成果として、日本が世界の真ん中で輝く国となったと評価いただいたことに対して御礼を申し上げ、更に全力を尽くしていくことをお誓い申し上げる次第であります。(拍手)
    ─────────────

#16
○副議長(小川敏夫君) 野上浩太郎君。
   〔野上浩太郎君登壇、拍手〕

#17
○野上浩太郎君 自由民主党の野上浩太郎です。
 私は、自由民主党・国民の声を代表して、安倍内閣総理大臣の施政方針演説について質問いたします。
 今から十三世紀ほど前、天平十八年、大伴家持が国守として越中富山の地に赴任しました。そして、美しい自然の中で家持は数多くの優れた歌を詠み、万葉集に残しました。
 元号令和は、この日本最古の歌集である万葉集から引用されたものであります。新元号の発表は、幅広い階層の人々が詠んだ歌が収められ、豊かな国民文化と長い伝統を象徴する国書万葉集のすばらしさを再認識する機会ともなりました。
 令和という元号には、厳しい寒さの後に春の訪れを告げ、見事に咲き誇る梅の花のように、一人一人の日本人が明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる、そうした日本でありたいという願いが込められております。
 この新しい時代の入口に立ち、我々参議院自民党は、国民一人一人が感じている漠然とした不安や懸念を拾い上げ、寄り添い、向き合っていく、この決意の下、昨年十月から、不安に寄り添う政治のあり方勉強会を立ち上げて、まずは地域の医師不足、独居高齢者・孤独死、地域の消滅・崩壊という三つの不安を中心に、有識者や現場の第一線で努力しておられる方々の話を伺ってきました。
 自分の身の回りに医者がいない、このまま一人で生きていかざるを得なくなるのではないか、住み慣れた地域で生活できなくなるのではないか、ヒアリングや現場の視察を通じて、厳しい状況に対して懸命に取り組む方々の姿を目の当たりにし、大きな勇気をいただいた反面、漠然とした、しかし深く広がる不安の声が、中央の政策中枢、特に中央省庁の政策立案、執行に伝わりづらくなっているのではないかとも感じました。
 昨年末、政府が取りまとめた全世代型社会保障改革の中間報告では、この問題意識が取り上げられ、さらに、世論調査等を通じて国民の持つ不安の実態把握に努めるとされています。我々の思いをしっかりと受け止めていただいたところであります。
 その上で、政治が自らの姿勢で主導し、行政がその組織の力をフルに生かして現場に赴き、不安を抱える人の声に耳を傾け、新たな政策づくりの礎とするといった地道で真摯な姿勢こそが今最も求められていると考えています。それはすなわち、政治の原点でもあります。
 全ての政策に、地域の声を。この信念の下、所属全議員の力を結集して、地元の山奥に分け入り、津々浦々に足を運び、不安の声を自分自身の目や耳で集め続けてまいります。同時に、政府においても地方や現場の不安の声が政策に十分に反映される仕組みの再構築が必要だと考えています。この点について、安倍総理の御見解をお尋ねいたしたいと思います。
 次に、まず、危機管理に関する質問として、新型肺炎について伺います。
 中国武漢で確認された新型コロナウイルスによる肺炎の感染者が増加し、死者も出ています。人から人への感染も確認されています。新型肺炎の感染拡大を防ぐために政府を挙げて万全を期すべきですが、総理の方針をお聞かせください。
 さて、本年は、待ちに待ったオリンピック・パラリンピックイヤーです。全国各地で育ち、力を付けてきた日本代表選手が大活躍し、昨年のラグビーワールドカップ同様、それぞれの地方に元気と勇気、そして誇りを与えてくれるものと期待しています。例えば、バスケットボールの八村塁選手や馬場雄大選手を通じて、彼らの出身地である富山県も内外のマスコミ等での報道で注目を浴びることが多くなりました。
 世界中からたくさんの選手、観光客がやってきます。今年の訪日外国人客数の目標は四千万人。これだけの方々が、我が国の魅力や地方の文化、景観、食材などを直接目にし、味わい、すばらしさを世界に発信します。地方創生にとって絶好のチャンスであります。
 このような視点を持って、「日本の美」総合プロジェクト懇談会の座長、津川雅彦さんから構想をいただいた日本博。世界の関心が集まる東京オリンピック・パラリンピック、二〇二〇年に全国各地で日本の美を体感できる日本博を是非開催したいと津川さんは繰り返し熱くおっしゃっておられました。
 総理は、この構想を受け、推進会議議長として具体化に邁進され、私も補佐役として取組を進めました。外国人観光客の拡大等も見据えて、日本の文化芸術の振興を図り、多様かつ普遍的な魅力を発信する史上最大規模のプロジェクト、日本博を通じて、日本各地の文化のすばらしさを再認識し、世界に発信することにより、地方創生に大きな効果がもたらされます。
 先般、津川さんと親交が深かった黒柳徹子さんが広報大使に任命されましたが、政府にはこれまで以上に日本博の広報戦略に力を入れていただきたいと思います。
   〔副議長退席、議長着席〕
 また、オリンピック・パラリンピックに参加する国や地域との人的、経済的、文化的な相互交流を図るホストタウンもどんどん盛り上がってきています。昨年末で登録している自治体数は五百に迫る勢いです。選手や関係者との交流を通じて、二〇二〇年を超えた末永いつながりを固める絶好の機会となります。
 そこで、日本博やホストタウンなど、オリンピック・パラリンピックの開催が、外国人観光客の増加と地方への来訪といった観光の拡大を通じて、地方創生の力強いエンジンとなるような取組を一層強力に進めていくべきと考えています。この点について、総理の御所見はいかがでしょうか、お聞かせください。
 オリンピック・パラリンピックの開催に関連して、もう一点伺います。
 これまでも、選手村で提供される食事等について、農業生産の環境的、経済的及び社会的な持続性に向けた取組や、その基準である農業生産工程管理、GAP認証に向けた対応が進められてきました。大会に十分に供給できる出荷量が確保される見通しです。
 復興五輪という観点からも、被災地の安全でおいしい多くの食材が使われることで農林水産品への風評被害払拭に向けた大きなメッセージになります。同時に、我が国を訪れる選手やお客様に向けた日本の農林水産物をいかに売り込んでいくかという戦略的な実行が大切です。
 一昨年十二月にはTPP、昨年二月から日EU・EPA、そして本年一月一日から日米貿易協定が発効し、我が国の農林水産品輸出の環境は大きく改善されます。そこで、このチャンスを最大限に生かして、復興五輪という位置付けの下、風評被害の払拭とともに、日本の農林水産物や食品の輸出、さらには和食文化のすばらしさについての発信をどのように進めていくのか、その方針を総理に伺います。
 デジタル革新やイノベーションが最大限に活用される第五の新たな社会、ソサエティー五・〇では、地域が直面する課題や不安の解消に資するという期待がありますが、この前提となる技術の基盤の一つが5Gです。
 しかし、米国や中国などでは既に5Gの商用サービスが開始され、日本は大きく後塵を拝しており、安全保障上の観点からも、また我が国の国際競争力の確保の上からも深刻な問題です。5G基地局やローカル5Gの整備、5G対応の関連機器開発といった5G情報通信インフラの構築や技術強化を急がなければなりません。
 また、5Gを活用したサービスをどのように普及、展開させていくかという視点も重要です。オンライン診療や遠隔医療、独居老人の状況を遠隔で把握し、必要な介護を迅速に提供するサービス、公共交通機関の利便性に不安を抱える地域での自動運転、加えて、生徒一人に一台のIT端末をそろえることにより、どこでも能力に応じた遠隔授業なども可能となります。また、ローカル5Gにより、スマート農業やスマートファクトリー、建設機器の遠隔操作やドローンを使ったインフラ管理など、様々な分野で今、地域で直面している人手不足や高齢化などの課題が解決される可能性が高まります。5Gのサービス開始時期では海外に先行されましたが、5Gを活用する段階では、競争力のある新たなサービスや産業の強化で日本の強みを発揮できる可能性があります。
 そこで、5Gにおいて世界に後れを取っている要因をどのように分析し、5G情報通信インフラの構築や技術強化の巻き返しを図るのか。さらには、5Gのその先にあるポスト5Gに向けた開発競争への対応を進めていくお考えでしょうか。あわせて、地域課題の解消や産業用途への5G活用の先導的な事業を集中的、重点的に行い、成果を幅広く横展開させる仕組みなどを通じた5Gの活用の拡大をどのように加速させるべきとお考えでしょうか。総理の御見解をお伺いいたします。
 さて、本年四月から中小企業にも残業時間の罰則付き上限規制が、来年四月からは同一労働同一賃金の原則が適用されます。いよいよ中小企業においても働き方改革が本格的に始動します。人手不足が厳しい状況の中で働き方改革を根付かせるためにも、生産性向上を含めた様々な課題を解決していかなければなりません。
 そこで、私は官房副長官在任中、中小企業・小規模事業者の活力向上のための施策について官邸で関係省庁を横断的に取りまとめる会議を主宰し、取引条件の改善、最低賃金引上げへの対応、生産性向上、長時間労働の是正、人手不足等、中小企業・小規模事業者が抱える諸課題の実態の把握と対応策の検討を進めてきました。また、大企業の残業削減のしわ寄せが下請企業の長時間労働につながっているという指摘等を受けて、大企業・親事業者の働き方改革に伴う下請等中小事業者への「しわ寄せ」防止のための総合対策が策定されました。今回、国会に提出された補正予算では、中小企業の生産性を継続的に支援するために、複数年で使える中小企業生産性革命推進事業を進めることになっています。
 環境の変化が本年四月に迫り、まさにこれからが本番となります。中小企業経営者が不安を感じることなく生産性向上などに前向きに取り組むことができるよう、関係各省においては、足を現地に運び、現地の事情をしっかりとつかんで、中小企業・小規模事業者の皆様の声に真正面から応える形で、各省一体となって引き続き全力で対応していくことが不可欠と考えますが、総理の御見解をお聞かせください。
 一昨年の西日本豪雨等を踏まえ、政府においては、平成三十年度からの約三年間でおおむね事業規模七兆円を目途とする防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策を取りまとめ、政府・与党は一体となって強力に推進し、成果を上げてきました。
 しかし、地球温暖化に伴う気候変動の影響等により、自然災害は過去に例を見ない強さやパターンで我が国を襲い、被害の規模は拡大しています。自然災害の脅威が新たな段階に入ってきた今、治山治水対策による災害リスクの軽減、道路や送電線、給水管、通信網等、ライフライン確保のために抜本的な防災・減災対策を更に強力に進めていく必要があります。
 これに加え、昨年夏に公表された国土交通省や地方自治体等によるインフラ老朽化点検では、全国では橋梁約六万九千か所、トンネル約四千四百か所など、計八万か所近くが五年以内の修繕が必要と判定されており、この対策も待ったなしであります。
 激甚化、頻発化する自然災害から国民の命と生活を守り、誰もが安心して暮らすことができるふるさとをつくり上げる、この決意の下、三か年緊急対策が終了する令和三年度以降も、中長期的な視点を持って対策をしっかりと進めていくことが不可欠です。また、民間企業も、中長期的な見通しがあって初めて人材を雇用し、生産性向上のために設備投資計画を実施することができます。
 そこで、新たな自然災害の脅威に備えるため、治水治山や水道、電力、通信などのライフライン確保、インフラ老朽化対策などを含めた抜本的かつ総合的な対策として、複数年度にわたり集中的かつ安定的な財政措置を盛り込んだ中長期的な投資財政計画を策定する必要があると考えますが、総理の御見解をお聞かせください。
 昨年十月、台風十九号により千曲川の堤防が決壊し、新幹線車両センターが浸水しました。百二十両の新幹線車両が水没し、全て廃車となり、大きな損害となりました。
 不通となった北陸新幹線で直通運転が再開されるには二週間弱の時間を要し、北陸や信州の観光や産業、経済活動は大きな影響を受けました。航空会社は臨時便や機材の大型化で対応しましたが、新幹線の輸送力をカバーするには限界があります。北陸新幹線が関西まで全線開業していれば代替交通路が確保でき、これほど大きな影響をもたらすことはありませんでした。
 自然災害が激甚化、頻発化する傾向にある中、北陸新幹線を始めとして全国の整備新幹線についてリダンダンシー、多重化の視点を持って早期に整備を進めていくべきと考えます。この点について、総理の御見解をお聞かせください。
 保護主義が台頭し、対立が強調される世界の状況において、日本が主導し、粘り強く一致点を見出していく外交。そのベースにあるのは、総理が個性豊かな各国首脳と強い信頼関係を築いていることにあると、官房副長官として身近に見ていたからこそ断言できます。
 G20大阪サミットで非常に印象的なシーンがあります。首脳宣言の取りまとめで、気候変動の問題で各国間の対立が埋まらず、事務方が徹夜で調整しても進展しなかったという状況になりました。焦りと諦めが会議場に漂う中、安倍総理は、トランプ米国大統領の隣の席に行ってさしで話し込むなど、各国首脳を回って調整し、ようやく取りまとめることができました。どの首脳とも本音で話ができる安倍首相ならではの場面であると思います。
 中東情勢においても、この外交力が発揮されることが期待されています。
 昨年六月には、安倍総理は、福田赳夫総理以来四十一年ぶりにイランを訪問し、ハメネイ最高指導者、ローハニ大統領と会談しました。友好的な雰囲気の中にも緊張感を感じる会談でしたが、ハメネイ最高指導者からは、核兵器を製造も、保有も、使用もしない、その意図はない、するべきではない、ローハニ大統領からは、緊張緩和に向けた日本の取組を歓迎するとともに、イランとしても紛争は望んでいないとの発言があり、昨年十二月にはローハニ大統領が訪日し、相互訪問が実現しました。
 その後、年を越え、米国とイランの間は更に緊張感が高まっており、予断を許しませんが、日本はこの両国とも強い友好関係を持ち、信頼関係を深めてきた数少ない国です。
 また、日本関係船舶の安全確保に不可欠な情報収集のための中東地域への海上自衛隊の派遣は極めて重要です。
 今回の総理の中東訪問は、この派遣への理解や支援表明を得、また、まさに緊張感高まる中、情勢の安定化に向けた連携を確認した時宜を得たものであったと考えております。
 そこで、今回の中東訪問の成果も踏まえて、我が国は、どのような形で米国とイランの関係改善、ひいては中東情勢の安定に向けて努力していくべきとお考えでしょうか、総理にお伺いいたします。
 もう一問、外交に関して伺います。
 安倍総理は、これまでプーチン・ロシア大統領と二十七回の会談を重ね、このうち、私も三年強の間、十四回開催された日ロ首脳会談全てに同席いたしました。
 平成二十八年十二月、山口県長門市で開催された日ロ首脳会談において、両首脳の深い信頼関係の下、平和条約問題を解決するという真摯な決意の表明とともに、北方四島において共同経済活動を行うための特別な制度に関する協議の開始に合意し、未来志向の新しいアプローチが示されました。
 そして、平成三十年十一月、シンガポールにおいて、両首脳は一九五六年宣言を基礎として平和条約交渉を加速させることで合意し、精力的に交渉が行われています。
 総理が提案した医療や都市開発などの八項目の協力プランは、プーチン大統領が進める十二の国家プロジェクトのソリューションとして互いに結び付き、進化しています。既に二百を超える民間のプロジェクトも生み出されました。
 平成三十年からは日ロ交流年、今年からは日ロ地域交流年です。近年、日ロ間ではビザが緩和されてきており、両国間の来訪客も増加傾向にあります。
 北方四島での共同経済活動では、昨年十月に観光パイロットツアーが実施され、日本人観光客の方々が初めて北方四島を訪問いたしました。雄大な自然を持つ四島だけに、観光の可能性が大きいことが確認されています。御高齢になられている元島民の方々のための人道措置についても、三年連続で航空機による墓参が実現しました。確実に広い分野で成果が積み重ねられ、未来志向の両国関係は深まっています。
 このような状況を踏まえれば、引き続き、長門会談、シンガポール会談で示された方向性を原点として、そして静かな環境の中で平和条約交渉を進めていくことが重要であると考えます。
 また、ロシアでは、憲法改正に向けた動きや内閣総辞職を受けたミシュスチン新首相の就任といった内政上の大きな動きもあるようですが、いずれにせよ、対ロ関係を進展させていくことは、地域の安定と繁栄にとっても極めて重要であります。
 これらの情勢の中、今後、総理は、日ロ平和条約交渉を含む対ロ関係をどのような方針で進めていくつもりでしょうか、お聞かせください。
 昨年夏の参議院選挙の投票率は四八・八%、参議院としては二番目に低い数字になりました。特に投票率低下が顕著なのは、自らの県から参議院選挙区選出議員を選ぶことができない、いわゆる二県合区対象県でした。
 最も投票率が低かったのは徳島・高知選挙区の徳島県で四〇%を下回り、高知県も全国で三十四位という低い投票率でした。島根県、鳥取県の投票率も合区導入前はそれぞれ全国一位、全国三位でしたが、合区導入後は共に順位を下げています。徳島県の無効票の中には、合区反対などと書かれた票が投じられたとの報道もあります。
 全国知事会など地方六団体は合区解消に向けた意見書を出しています。特に、全国知事会は憲法改正による合区解消を訴えています。新聞社説も、合区対象県で地方の声が国政に届きにくくなったと不満が強いのは理解できるといった論調が多くなっています。世論調査でも、合区を解消すべきという声が多いという結果が出ています。
 政治的な意思の集約機能を長年にわたって担い、経済的、社会的、文化的にも一体的な広域地方自治体である都道府県という単位を参議院選挙区選挙において崩していくべきではないという声が広がってきているのだと考えています。
 そこで、人口比例原則のみが追求をされることで地方の切実な声が直接国政に届きにくくなるという問題が明らかになっている今、これまで国民の間でなじんできた都道府県の意義や役割を踏まえた上で、東京への一極集中と地方の人口減少に歯止めを掛けるために、それぞれが花を大きく咲かせることができる日本でありたいという願いが込められた令和の時代にふさわしい国の形、地方の在り方はどうあるべきとお考えでしょうか。総理の御所見をお聞かせください。
 今、我々自民党は、憲法改正の条文イメージとして、この観点を踏まえた合区解消・地方公共団体、自衛隊の明記、緊急事態対応、教育充実の四項目を示しています。各会派、各議員の考えは様々でありますが、最終的に憲法改正をするかしないのか決める国民の皆様に対して、案を示す責任を持つのは国会だけであります。その責任を果たすよう、それぞれの考えを持ち寄って憲法審査会で十分な議論を行っていきたいと考えています。そのことを最後に申し上げて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

#18
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 野上浩太郎議員にお答えをいたします。
 国民の不安への寄り添いについてお尋ねがありました。
 国民の声に耳を傾け、新たな政策に反映していくことは政治の原点であり、全ての政策に地域の声をとの信念の下、所属全議員の力を結集した参議院自民党の活動に敬意を表します。
 政府が最大の政策課題と位置付ける全世代型社会保障の検討に当たっても、検討会議の場において、若者、女性、医療、中小企業、労働など、幅広い関係者からお話を伺いました。また、私自身も、一般の方々との車座に参加し、高校生から七十代の高齢者の方まで、様々なバックグラウンドをお持ちの方からお話を伺いました。
 全世代型社会保障への改革を完遂していくためには、常に国民の不安に寄り添っていくことが重要と考えます。今後とも、社会保障を始め様々な政策の企画立案に際し、地方や現場の声にしっかりと耳を傾けてまいります。
 新型肺炎の感染拡大の防止に向けた対策についてお尋ねがありました。
 まず、今般の中国武漢市における新型コロナウイルスに関連した感染症については、現在、患者数が増加しております。我が国においては、本日、新たに中国からの旅行者一名が当該感染症の患者であることが確認されました。
 これを受け、まずは一月二十一日に関係閣僚会議を開催し、私から、検疫における水際対策の一層の徹底、感染症の発生状況等の情報収集の徹底、国民に対する迅速かつ的確な情報提供などについて指示を出しました。
 その後、中国において患者が更に拡大していることを踏まえ、昨日には、武漢市に対する感染症危険情報レベルを二に引き上げ、不要不急の渡航はやめるよう促すとともに、中国からの全ての航空便において、機内アナウンスによる呼びかけや健康カードの配布を行うよう各航空会社に要請すること、全国で患者の検査を可能とする体制を整備することなど、検疫における水際対策や国内における検査体制の更なる強化を図ることといたしました。
 また、昨日から本日にかけてWHOは今般の新型コロナウイルスに関して緊急委員会を開催し、現状について、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態を宣言する状況にはないが、人から人への感染は認められると発表しました。また、中国以外の国に対し、感染の拡大を防止するため、積極的なサーベイランス等が重要である旨の助言を行いました。
 本日、このような発表を受けて改めて関係閣僚会議を開催し、水際対策の一層の徹底、サーベイランス強化のための検査体制の整備、日本人渡航者、滞在者の安全確保など、万全の対策を講じるよう指示を行ったところです。
 引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大の防止に向けて全力を挙げてまいります。
 東京オリンピック・パラリンピック競技大会についてお尋ねがありました。
 世界の注目が集まるオリンピック・パラリンピックの開催は、日本文化や全国の地域の魅力を世界にアピールし、地方創生、地域活性化等につなげる絶好の機会です。
 このため、私もかねてより親交のあった津川雅彦氏が提唱された日本人と自然を総合テーマとする日本博では、本年三月、東京で開催されるオープニングセレモニーを皮切りに、全国各地で、アイヌの伝統音楽や食文化、琉球舞踊など、我が国が誇る縄文時代から現代まで続く日本の美に触れていただく機会を本格的に設け、地域文化の活性化に取り組んでまいります。
 また、国の文化財の積極的な活用を始め地域の文化資源を生かした文化観光を強力に推進してまいります。
 そして、東京大会では、参加国・地域と自治体との相互交流を図るホストタウンの取組等を通じて、開催地のみならず、地域性豊かな日本各地の魅力を世界に発信し、地方創生、地域活性化につなげてまいります。
 政府としては、地方の強みや魅力を最大限に引き出すため、今後とも、地方の皆様の情熱、独自の創意工夫を後押ししてまいります。
 オリンピック・パラリンピックにおける和食文化の発信や輸出促進についてお尋ねがありました。
 本年のオリンピック・パラリンピックは、和食や我が国の高品質な食材を提供し、世界にアピールする絶好の機会です。
 選手村では、各地の地域特産物を活用した食事を提供します。特に、被災三県産の食材については全大会期間を通じてメニューに取り入れることとしています。オリンピック・パラリンピック史上初となる産地表示を併せて行うことで、風評被害払拭に向けた大きなメッセージになるとともに、日本の豊かな食の発信にもつながるものと考えています。
 外国人観光客に対しては、単に食事として日本食を楽しんでもらうだけではなく、日本の自然や歴史など、食と異分野を組み合わせた体験を提供することで日本食への関心を高めることとしています。また、飛行機内、空港内、ホテル内などあらゆる機会を活用して和食文化や日本産食材の魅力を発信し、帰国後の購買行動につなげていきます。
 農林水産物の輸出は六年連続で過去最高を更新しました。オリンピック・パラリンピックを起爆剤として、更なる輸出拡大に向け、政府一丸となって取り組んでいきます。
 イノベーションをめぐる国際競争が激しさを増す中で、5G分野では、これまで研究開発においても、またインフラ整備の面でも、米国や中国などにおける積極的な投資が先行する形となったことは事実です。
 しかし、5Gがもたらす変革は経済のみにとどまらず、安全保障を始め社会のあらゆる分野に大きな影響を及ぼすとの認識の下、今後、国家戦略として取り組んでいく考えです。
 5G、ポスト5G、さらにその先を見据えながら、大胆な税制措置と予算により研究開発とインフラ整備への大胆な投資を促し、イノベーションを力強く後押ししてまいります。安全で安心なインフラがこれからも安定的に供給されるよう、グローバルな連携の下、競争力強化に戦略的に取り組んでいく決意であります。
 野上議員御指摘のとおり、5Gは、自動運転や遠隔医療などを可能とすることを通じて、人手不足や高齢化など地域が直面する社会課題の解決に大きく寄与するものです。まさに地方創生の切り札であり、速やかに全国展開を進めることが重要です。
 そうした観点から、今般、周波数割当てに当たっても、地方も含めたサービス展開が行われるよう条件を付したところです。また、農業、工場、建設現場などで活用実績を積み上げ、その横展開を図ることで早期の普及を図ってまいります。
 中小・小規模事業者における働き方改革についてお尋ねがありました。
 働き方改革は現場に大きな影響をもたらすことから、その定着に向けては、野上議員御指摘のとおり、中小・小規模事業者の皆さんの現場の声にしっかりと耳を傾けながらきめ細やかな支援を行っていく必要があると考えます。
 まず、四十七都道府県に設置した働き方改革推進支援センターや全国各地の労働局を中心に、事業者の皆さんからの相談に対応する体制を整えるとともに、良い取組事例について情報提供などを積極的に行ってまいります。
 生産性の向上も極めて重要です。三千億円を上回るものづくり補助金、IT補助金、持続化補助金で力強く応援していきます。商工会、商工会議所のお力も借りて、幅広い周知徹底を図りながら、全国津々浦々に至るまでその積極的な活用を促してまいります。
 同時に、社会保険手続の電子化によって、中小・小規模事業者の皆さんの手続負担の軽減にも取り組みます。
 大企業の残業削減のしわ寄せが下請事業者の皆さんの働き方改革を妨げるようなことはあってはなりません。関係省庁が連携し、労基署などに寄せられたしわ寄せ事案の情報を共有するなどを通じて、監視、取締りを強化し、関係法令の遵守を大企業に徹底します。
 野上議員にも官房副長官時代御尽力をいただいた官邸の対策会議の枠組みを活用しながら、省庁の縦割りを打破し、現場主義を徹底することにより、中小・小規模事業者の皆さんが働き方改革に前向きに取り組んでいけるよう、全力で取り組んでまいります。
 国土強靱化の中長期的な取組についてお尋ねがありました。
 近年の災害の激甚化を考慮すると、国土強靱化を中長期的観点から進めるべきという御指摘は、まさにそのとおりであります。このため、一昨年末に、近年の災害から得られた教訓や社会経済情勢の変化等を踏まえ、国土強靱化基本計画を見直し、インフラ老朽化対策を含め中長期的な目標や施策分野ごとのハード、ソフトにわたる推進方針を明らかにしたところであります。今後とも、必要に応じて国土強靱化基本計画を充実させながら、オールジャパンで防災・減災、国土強靱化を進め、災害に強いふるさとをつくり上げてまいります。
 整備新幹線の早期整備に関しお尋ねがありました。
 新幹線ネットワークの整備は、地域相互の交流を促進し、観光振興や企業立地など地方創生に重要な役割を果たすものであるとともに、災害時における代替輸送ルートの確保など、国土強靱化の観点からも重要な意義を有します。このため、利便性の高い新幹線ネットワークを早期に構築していくことにより、その効果を最大限発揮させていくことが必要であります。
 整備新幹線については、平成二十七年一月の政府・与党申合せにおける完成・開業目標時期に合わせ、現在整備中の三区間を確実に開業させるよう財源を確保し、着実に工事を進めるとともに、北陸新幹線敦賀―新大阪間についても、環境影響評価を着実に実施し、財源の確保を行うことで整備計画路線の確実な整備にめどを立ててまいります。
 新幹線の全国ネットワークを構築し、災害に強い国づくり、国土強靱化を進めてまいります。
 中東外交についてお尋ねがありました。
 我が国は、米国と同盟関係にあり、同時にイランと長年にわたり友好関係を維持するなど、中東各国と良好な関係を築いています。
 イランとの間では、中東地域の緊迫の度が高まったことを受け、外交ルートを通じ、イランに対し抑制的な対応を働きかけました。
 米国との間では、事態の更なるエスカレーションは回避しなければならない、中東地域の緊張緩和と情勢の安定化に向け外交努力を尽くしていくことが重要であるとの点を含め、真剣な協議を行いました。
 先般の中東訪問でも、サウジアラビア、UAE及びオマーン各国の首脳との間で、全ての関係者が自制的に対応し、あらゆる外交努力を尽くすべきとの点で完全に一致しました。
 今後とも、トランプ大統領やローハニ大統領を始め、中東諸国の首脳との個人的な信頼関係を活用しつつ、中東における緊張緩和及び情勢の安定化に向け、粘り強い平和外交を展開してまいります。
 ロシアとの関係についてお尋ねがありました。
 北方四島においては、過去一年の間に、長門合意に基づき、かつてない日ロの協力が実現しています。具体的には、共同経済活動について、昨年初めて北方四島への観光パイロットツアーを始めとするパイロットプロジェクトを実施しました。航空機による元島民の方々のお墓参りについても、昨年は、泊、留別、ポンヤリといった、これまで何年も訪問できなかった場所に訪れることができました。
 野上議員御指摘のとおり、静かな環境の中で交渉を進めていくことが重要であり、一九五六年の共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速させ、領土問題を解決して平和条約を締結するとの方針の下、引き続き粘り強く交渉を進めてまいります。
 同時に、日ロ関係を発展させていくことは地域の安定と繁栄にとっても重要であり、先般、ロシアで新内閣が発足したことも踏まえつつ、八項目の協力プランや日ロ地域交流年も活用しながら、政治、経済、文化を始め幅広い分野で日ロ関係全体を国益に資するよう発展させてまいります。
 いずれにせよ、プーチン大統領とは、領土問題を次の世代に先送りすることなく、自らの手で必ずや終止符を打つとの強い意思を共有しており、私と大統領の手でこれを成し遂げる決意であります。
 地方の在り方についてお尋ねがありました。
 我が国は、今後、急速な少子高齢化、深刻な人口減少により、二〇四〇年頃には六十五歳以上の人口がピークを迎えるなど、歴史上経験したことのない事態に直面することになります。
 都道府県は、広域の地方公共団体として、広域事務、連絡調整事務及び補完事務を処理し、住民福祉の増進を図るため相当の機能を担っていますが、今後、行政サービスを安定的、持続的、効率的かつ効果的に提供する観点から、市町村間の広域連携が困難な地域で補完機能を発揮するなど、都道府県が果たすべき役割の重要性は増していくことになるものと考えています。
 現在、地方制度調査会において、都道府県による市町村の補完など、人口減少に対応するために必要な地方行政体制の在り方について調査審議が進められていると承知しており、同調査会において建設的な議論がなされることを期待しています。(拍手)

#19
○議長(山東昭子君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト