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2019/11/14 第200回国会 衆議院 第200回国会 衆議院 憲法審査会 第3号 令和元年11月14日
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2019/11/14 第200回国会 衆議院

第200回国会 衆議院 憲法審査会 第3号 令和元年11月14日

#1
令和元年十一月十四日(木曜日)
    午前十時一分開議
 出席委員
   会長 佐藤  勉君
   幹事 岩屋  毅君 幹事 小林 鷹之君
   幹事 齋藤  健君 幹事 柴山 昌彦君
   幹事 新藤 義孝君 幹事 山下 貴司君
   幹事 奥野総一郎君 幹事 山花 郁夫君
   幹事 北側 一雄君
      石破  茂君    稲田 朋美君
      衛藤征士郎君    越智 隆雄君
      大串 正樹君    鬼木  誠君
      上川 陽子君    神山 佐市君
      城内  実君    後藤田正純君
      田所 嘉徳君    中山 泰秀君
      長島 昭久君    丹羽 秀樹君
      野田  毅君    平沢 勝栄君
      福井  照君    藤井比早之君
      船田  元君    務台 俊介君
      森  英介君    青山 大人君
      逢坂 誠二君    源馬謙太郎君
      近藤 昭一君    階   猛君
      玉木雄一郎君    辻元 清美君
      照屋 寛徳君    中川 正春君
      古川 元久君    道下 大樹君
      山尾志桜里君    國重  徹君
      浜地 雅一君    赤嶺 政賢君
      本村 伸子君    馬場 伸幸君
      井上 一徳君
    …………………………………
   衆議院憲法審査会事務局長 加藤 祐一君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月十四日
 辞任         補欠選任
  黄川田仁志君     神山 佐市君
  前原 誠司君     青山 大人君
同日
 辞任         補欠選任
  神山 佐市君     黄川田仁志君
  青山 大人君     前原 誠司君
    ―――――――――――――
十一月十二日
 憲法審査会における改正内容の審議促進に関する請願(足立康史君紹介)(第二〇号)
 同(上杉謙太郎君紹介)(第四四号)
 同(小野寺五典君紹介)(第四五号)
 同(宮腰光寛君紹介)(第四六号)
 同(石田真敏君紹介)(第五八号)
 同(鴨下一郎君紹介)(第七二号)
 同(根本匠君紹介)(第七三号)
 同(岸田文雄君紹介)(第七六号)
 同(辻清人君紹介)(第八〇号)
 同(平口洋君紹介)(第八一号)
 同(長尾敬君紹介)(第八四号)
 同(鴨下一郎君紹介)(第一一七号)
 同(鈴木淳司君紹介)(第一一八号)
 同(村井英樹君紹介)(第一一九号)
 憲法九条を変えず、憲法の平和、人権、民主主義を生かす政治の実現を求めることに関する請願(畑野君枝君紹介)(第六七号)
 立憲主義の原則を堅持し、憲法九条を守り、生かすことに関する請願(志位和夫君紹介)(第一六八号)
は本憲法審査会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件(衆議院欧州各国憲法及び国民投票制度調査議員団の調査の概要)
     ――――◇―――――
#2
○佐藤会長 これより会議を開きます。
 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件について調査を進めます。
 この際、令和元年衆議院欧州各国憲法及び国民投票制度調査議員団の調査報告について、前回に引き続き自由討議を行います。
 本日の議事の進め方でありますが、まず、各会派一名ずつ大会派順に発言していただき、その後、順序を定めず発言していただきたいと存じます。
 この際、委員各位に申し上げます。
 発言を希望される委員は、お手元にあるネームプレートをお立ていただき、会長の指名を受けた後、御発言ください。発言が終わりましたら、ネームプレートは戻していただくようにお願いをいたします。
 発言は自席から着席のままで結構でございます。また、発言の際には、所属会派及び氏名をお述べいただくようお願いをいたします。
 なお、幹事会の協議により、一回当たりの発言時間は五分以内といたします。委員各位の御協力をお願いをいたします。
 発言時間の経過につきましては、終了時にブザーを鳴らしてお知らせをいたします。
 それでは、船田元君。
#3
○船田委員 自由民主党の船田元でございます。
 発言の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。
 この臨時国会、始まりまして、きょうで二回目の審査会での実質審議でございます。議論するということはとてもよいことでありまして、憲法審査会は極力政局の影響を受けないようにというのが中山太郎調査会長以来の伝統でもありますし、また理想でもあります。この理想をやはり現実のものとしていくのは我々与野党の責任であると思っておりますので、今後ともよろしくお願いをしたいと思います。
 先般の欧州調査団の報告がございましたが、森団長を始め、大変お疲れさまでございました。
 若干の感想を三点ほど申し上げたいと思います。
 一つは、ドイツでありますが、我が国と同じ第二次大戦の敗戦国にもかかわらず、六十三回も基本法の改正を行っております。これは実はドイツらしいことでありまして、ドイツ基本法というのは規律密度が非常に高い、そのために、連邦と州との関係を見直しをするということをしょっちゅうやらなければいけない、そういう必要に迫られた基本法の改正であるということは理解することができました。
 しかし、また一方で、調査団の報告によりますと、過去において、これは一九六八年と言われておりますが、当時与党でありましたCDUそれからCSUが緊急事態条項をこの基本法に入れたい、また一方で、野党の当時のSPDが人権救済を図るということを充実したい、この二つの案件があって、この二つを取り入れることで大胆な妥協をしたということが報告にありました。これは、我が国の憲法議論におきましても十分に参考になることではないかということで、大変感心をしたところでございます。
 二つ目には、欧州各国では憲法裁判所が非常に有効に機能しているということであります。
 一つの理想だと思っておりますけれども、その憲法裁判所が成り立つ要件としては、やはり国民から見て憲法裁判所が政治的に中立であるということで、国民の信頼をかち得ることが非常に大切なポイントだというふうに思っております。
 そのためにどういう工夫がなされているか。これについてはいろいろな議論がありますけれども、私は、やはり憲法裁判所の裁判官の人事あるいは人選というところでそのバランスをうまくとっているんじゃないか、このように思っております。
 我が国では、政治的な中立ということをいいますと、結局何もやらない、こういう傾向があります。
 しかし、ドイツにおきましては、特に主権者教育の部分でボイテルスバッハ・コンセンサスということがありまして、これは、ドイツにおける、学校で主権者教育をやるときに、連邦政治教育センターというのが、きちんとボイテルスバッハ・コンセンサスをもとにして、教員は自分の見解とか一つの見解を生徒に押しつけてはいけないということ、それから、多様な意見があって、それを尊重しなければいけないということ、あるいは、生徒自身が問題を見つけ、それを解決することが大事である、この三つをボイテルスバッハ・コンセンサスということで挙げました。
 やはり、さまざまな意見があって、それをうまくコントロールする、あるいはバランスをとるということで政治的な中立を確保している、こういうドイツの方式というのは大変重要なことかと思います。
 このあたりにつきまして、新藤筆頭幹事に質問を申し上げたいと思います。後ほどお答えいただきたいと思います。
 最後、三つ目でございます。
 ドイツを除きまして、ヨーロッパの多くでは国民投票制度が完備をされております。場合によっては、イニシアチブ、あるいはレファレンダム、あるいは、日本語で言うと、半、半分の直接民主制、こういうふうにも言われております。選挙以外の方法で民意をすくい上げる方法としては有力な方法であると思っております。
 しかし、我が国におきましては、現状では憲法改正に限った国民投票制度ということで、現在、それが待ち構えている状況にあります。
 ただ、私ども、これまで憲法審査会あるいは憲法調査特別委員会で議論した中におきましては、憲法と密接に関連をする、あるいは国政に関する重要事項について国民投票にかける、言葉で言えば、憲法の予備的国民投票とか、あるいは一般的国民投票、そういうあり方についても過去に議論したことがあります。
 そして、私が当時筆頭をやっておりましたときに、与野党間の間で、この憲法審査をする上で、五回に一回は、憲法に関する、あるいは憲法に関連をする予備的国民投票、一般的国民投票について議論をしてもいいではないか、こういった合意があったことも過去の事実でございます。
 今後の議論の進みぐあいによっては、この一般的国民投票についてもぜひ議論を進めていただきたい、このように思っておりますので、よろしくお願いします。
 以上です。
#4
○新藤委員 ありがとうございました。
 それぞれ分析をいただきながら、また、船田委員にはこの憲法審の筆頭幹事として御指導いただいたこと、また、私どももその精神を受け継いで、今、船田委員がおっしゃいましたように、まず、この憲法審査会は、国民のための憲法論議を深めていく、政局から離れて静かな状況をつくりながら国民のための議論を深める、このことはしっかりと受け継いで、また、野党の皆さんそして委員の皆さんと共通理解を持ってぜひ運営していきたいものだと改めて思っている次第でございます。
 その上で、憲法裁判所の中立性をどのように担保しているかということで、今般の海外視察の中で、それぞれの国が、この人事や任期というものについて工夫しながら、中立性を担保する努力をされているということがわかったと思います。
 まず、ドイツにおきましては、これは連邦議会と連邦参議院が、要するに、連邦政府と州政府が八名ずつ出すということでございます。それから、議会に圧倒的多数を占める政党がドイツには存在しておりませんので、与野党がそれぞれ推薦した候補者を選出する慣行があり、憲法裁判所の長官は連邦議会と連邦参議院が交互に任命する、こういう仕組みになっているようでございます。
 ウクライナにおいても、大統領府、最高会議、裁判官会議がそれぞれ六名ずつ任命する。
 そして、リトアニアにおいても、大統領府、国会議長、最高裁長官が三名ずつの推薦をするとか、それぞれ工夫をされています。
 さらに、任期や再任の可否につきましては、ドイツ、ウクライナ、リトアニア、いずれの国も再任は不可ということになっております。そして、ドイツが十二年、ウクライナが九年、リトアニアも九年でございますが、兼職禁止というような中で、任命権者におもねられないような工夫がある、そういう中で憲法裁判所が機能している、こういうことを調査してまいった次第でございます。
#5
○佐藤会長 次に、照屋寛徳君。
#6
○照屋委員 社民党の照屋寛徳です。
 去る十一月七日の憲法審査会で、森団長ら欧州各国憲法及び国民投票制度調査団員の視察報告をお聞きしました。視察団の皆さん、御苦労さまでした。
 森団長は、視察報告の中で、ドイツでは日本の憲法に当たる基本法が六十三回も改正されていることに触れ、六十三回という改正回数に目を奪われがちですが、表面的な数字にのみとらわれることなく、その国の憲法をめぐる政治文化や背景も考慮をしなければならないことに気づかされたところですと、率直に語っております。
 手元に、自民党が発行した「マンガでよく分かる ~憲法のおはなし~」があります。この政策パンフレットには、主要国における第二次世界大戦後の憲法改正の回数が棒グラフで図示され、憲法制定後七十年以上も改正していない日本は異常だと言わんばかりに、世界におくれているかのような印象操作をしております。同種の発言をする自民党幹部や閣僚経験者もたくさんおります。まことに残念至極です。
 次に、ドイツには日本のような国民投票の制度がないのは、ナチスが国民投票を濫用して政権基盤を強化したことへの反省が理由とされ、政権政党の暴走、ゆがめられた民意の熱狂の恐ろしさを知りました。
 森団長からはリトアニアにおける国民投票の報告もあり、同国の国民投票では最低投票率及び絶対得票率の二重の縛りがきいていることがわかりました。改めて、我が国の憲法改正国民投票法が、最低投票率、絶対得票率の定めもなく、CM規制などを含めて、欠陥法になっていることを知りました。
 最後に、憲法第九十九条の憲法尊重擁護義務に違反し、安倍総理がみずからの任期中に改憲を実現したいとの言動を繰り返すこと、自民党改憲四項目の発議を目指す衆参憲法審査会の早急な始動は国民多数の民意に反するものであり、社民党として反対の立場を表明いたします。
 私が住む沖縄は、あのありったけの地獄を集めた沖縄戦が終結した後、アメリカの直接軍事支配下に置かれ、無憲法下の日常を強いられました。一九七二年五月の日本復帰により憲法が適用されるようになりましたが、同時に日米安保条約や日米地位協定も適用され、憲法法体系より安保法体系が優先する反憲法下の日常を今日まで強いられております。
 百四十五万沖縄県民は、日本国憲法の基本原理である平和主義、主権在民、基本的人権の尊重を強く望み、平和のうちに生存したいと願っております。我が国の憲法論議が、憲法を求める沖縄、捨てる日本にならないよう渇望し、終わります。
#7
○佐藤会長 次に、浜地雅一君。
#8
○浜地委員 会長、御指名ありがとうございます。公明党の浜地雅一でございます。
 私からは、先週、複数の委員の先生方から言及がございました憲法裁判所について、私の意見を申し述べたいと思っております。
 先週の視察報告では、リトアニアでは、憲法裁判所が憲法保障機能として憲法の安定性に寄与している、そのように視察団の皆様方が伺ったと御発言がございました。また、ドイツのメラース教授から、憲法裁判所に対する強い信頼がうかがわれるとの発言があったことも御紹介をいただきまして、大変参考になりました。欧州各国では、憲法裁判所が憲法保障機能として定着しているということを実感をいたしました。
 一方で、エストニアには憲法裁判所はなく、最高裁の中の憲法審査部が、特定の事件を契機とせずに一般的な憲法判断をするとの御紹介もいただきました。
 当然でございますけれども、違憲審査制のあり方も、国の成り立ちや伝統によって異なることも改めて認識したところでございます。
 翻って、我が国においては、御承知のとおり、日本国憲法が採用する付随的違憲審査制に加えまして、司法消極主義、すなわち、裁判所が立法府の決定を過度に尊重し、違憲性が明白でない限り違憲判断を行わないという態度が基本原理となっておりますけれども、やはり、より国民の人権保障を強化ならしめるために、憲法裁判所の創設も一考に値するものと思います。
 しかし、憲法裁判所の創設を検討する際には、御案内のとおり、さまざまな論点がございます。
 その代表的なものは、裁判の政治化、つまり、国会での政争が裁判所に持ち込まれるのではないかというのがその代表例でございます。これは、司法権の独立との関係でも大変難しい問題があると思っています。
 また、先ほどもございましたが、人材の確保についても検討が必要です。
 周知のとおり、日本の最高裁は、民事、刑事の上告審としての機能が大部分であり、最高裁判事の多くは職業裁判官であります。
 これに対して、憲法裁判所を創設するとすれば、この裁判官には、法律的素養のみならず、大所高所から国家のあり方や行く末を見据えて判断できる素養が求められるわけでございますが、そのような人材をいかにして確保するのかは大きな問題です。
 さらに、先日の奥野幹事からもございましたが、人事の中立性の確保、これも鍵でございます。
 先ほど新藤筆頭幹事から御紹介ございましたが、ドイツでは、連邦議会と連邦参議院が八名ずつ、かつ特別多数で裁判官を選出するなど、各国で工夫があるようです。
 他方、現在の我が国がとる付随的違憲審査制を維持しつつその改善を図る方策も、さまざまな方面から提案されております。この考えは、非常に私個人としては参考になると思っております。
 例えば、以前、当時の憲法調査会に参考人として出席されました畑尻教授は、最高裁の中に憲法裁判を専門に扱う憲法部を創設するという案を提唱されました。これは、先般、視察団から御紹介のありましたエストニアの最高裁の憲法審査部と通ずる面もあると思います。
 また、当審査会に参考人として出席をされました笹田栄司教授は、特別高裁を創設しまして、最高裁の上告審機能をこの特別高裁に委ね、最高裁は違憲審査に集中するという案も提唱されております。また、さらに、笹田教授は、付随的違憲審査制のもとで、最高裁判所が連邦政府からの諮問、照会に対して憲法解釈等を審理し勧告的意見を出すという、カナダの参考意見制度も検討の余地があると述べられました。
 私は、これらは、現在の我が国の付随的審査制を前提に司法消極主義を修正するものとして、更に研究、検討すべき論点だと思っております。
 ただ、いずれにいたしましても、我が国の違憲審査制につきましては、現状の認識やその改善策についてさまざまな立場がございます。改善策の一つとして提唱されております憲法裁判所や憲法審査部の設置については、多岐にわたる論点、検討すべき課題がございますので、これからもこれらの点について皆様方と議論を深めてまいりたい、そのように思っております。
 以上でございます。
#9
○佐藤会長 次に、本村伸子君。
#10
○本村委員 日本共産党の本村伸子です。
 先週の調査団の皆様方の御報告の中で、憲法の体系を崩すことがないように十分注意すべきと言われたことが印象的でした。
 改めて日本国憲法の体系とは何かを考えてみますと、日本国憲法の前文は、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」としています。これは、さきの侵略戦争において、アジア太平洋で二千万人、日本国民三百十万人以上もの犠牲を出したこと、広島、長崎への原爆で、その年のうちに二十一万人以上のとうとい命が奪われた歴史を踏まえたものです。
 侵略戦争の反省に立った憲法九条の非軍事、平和主義こそ、日本国憲法の体系の根幹です。この体系を崩してはならないと考えます。
 こうした戦争と戦争に至った過程への反省が込められた日本国憲法二十一条、表現の自由について述べたいと思います。
 戦前の明治憲法は、言論、著作、印行、集会及び結社の自由を法律の範囲内でのみ認めていました。そのため、日本政府は、出版法や新聞紙法などによる出版物の検閲、治安警察法や治安維持法による集会、結社の制限、軍機保護法や国防保安法による軍事機密の秘匿、こうしたことにより弾圧とそして思想統制を行い、侵略戦争へと突き進んでいったのです。
 この歴史への反省から、日本国憲法二十一条一項で、集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由を保障し、二項で検閲を禁止しているのです。
 この表現の自由が今脅かされていることこそが問題です。
 あいちトリエンナーレ、「表現の不自由展・その後」をめぐる政治介入。文化庁の補助金が一旦採択されていたにもかかわらず、菅義偉官房長官が、審査時点では具体的な展示内容の記載はなかったことから、補助金交付の決定に当たっては、事実関係を確認、精査して適切に対応したいと述べ、文部科学大臣も同じような発言をし、結局、補助金の全額不交付が決定をされました。まさに表現の自由への政治介入であり、憲法にかかわる重大問題です。
 また、国民主権、民主主義の土台である、知る権利が脅かされていることも重大です。
 安倍政権が引き起こした森友問題、加計問題を始め、政府による公文書の改ざん、自衛隊の日報の隠蔽、厚生労働省のデータの捏造などは、民主主義の土台を根底から壊すものです。
 今大問題になっている、安倍首相主催の内閣の公的行事である桜を見る会の私物化問題では、各界における功績、功労のあった方々という招待基準のもとで、八百五十人とも言われる安倍首相の後援会の方々を招待したこととの矛盾、これには一切答えず、招待者の名簿は破棄したと答弁したまま、昨日、来年度の実施中止を表明しました。中止で済まされるものではありません。安倍首相自身の説明責任が問われています。これは、国民の知る権利、民主主義、国民主権の土台を崩すものとして、極めて重大です。
 こうした問題を含め、憲法が踏みにじられている現実について、予算委員会を開き、そして、各常任委員会でも徹底した議論が必要だと思います。
 憲法改正原案の発議を任務とする憲法審査会は動かすべきではないということを申し述べ、発言といたします。
#11
○佐藤会長 次に、馬場伸幸君。
#12
○馬場委員 日本維新の会、馬場伸幸でございます。
 私は、先週の憲法審査会で、皆様方が御苦労いただきました海外視察についての見解を述べさせていただきました。本日は、その私が申し上げた思いについて、野党である立憲民主党の山花会長代理、また国民民主党の奥野幹事、お二人とも海外視察に行かれておられます、私の思いについて、感想並びに見解をお答えいただきたいと思います。
 もう一度先週の発言について簡潔に申し上げますが、七年前、当時の旧民主党、自民党、公明党、三党による税と社会保障の一体改革、これによりまして消費税の増税が決定をいたしました。その際の党首討論で、野田総理と安倍総裁が、国会議員の大幅な削減をしましょうという合意がなされました。しかし、実際には、大幅な削減というものは今もって全く行われていません。
 それどころか、さきの通常国会では、参議院議員の定数を六ふやすという、私から申し上げれば暴挙に出たわけでございます。また、その際参議院で確認をされました議員の歳費の自主返納、これは、さきの我が党の東徹参議院議員の質問によりまして、立憲民主党、国民民主党の参議院議員は全く自主返納をやっていないということが明確になりました。
 こういった問題を始め、国会改革が全く進まない状況で、今回の、一人当たり二百万円以上の税金を使って海外視察に行くことについての見解をまずお聞きをいたしたいと思います。
 二点目は、この憲法審査会の場で全く審議を、二年六カ月、されませんでした。中山方式ということを使う不快感、何度も私からも申し上げております。仕事をしないのに海外視察へ行くということについて、国民からは多くの怒りの声が私のもとに届いています。この件についても、お二人、山花さん、奥野さん、どういうふうにお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
 また、この憲法審査会は国会法第百二条の六に基づいて設置をされていますが、この百二条の六には、憲法改正項目を審査するということが明記されています。立憲民主党、国民民主党として、この憲法審査会に改憲項目を提出する、その思いがあるのか、その決意があるのか、お聞かせいただきたいと思います。
 そして最後に、山尾委員、山花会長代理、お二人にお聞きをいたします。
 先週のこの憲法審査会の場で、山尾委員の発言によりますと、ちょっと重要ですので読み上げさせていただきます。
 この視察の討議が終わった後なんですけれども、恐らくCM規制、手続規制の議論に入っていくんでしょうし、私は入っていくべきだと思います。
 また、私が申し上げたいのは、もう一つ、このCM、手続規制の議論とあわせて、憲法の中身についての自由討議を行うべきだということです。
 一方で、手続の議論が終わらない限り、一切中身に入れないというのもおかしいと思います。
 まず、委員一人一人が、その背中にしょっている選挙とか、あるいは政党の空気や圧力を意識的に自分で取り外して、全国民の代表者、一人の国会議員として矜持を持ってこの場で自由に発言していく、そういうスタートをしたいというふうに思います。
 山尾委員は、現在、立憲民主党所属だと思いますが、立憲民主党所属の議員としてこういうことをおっしゃっています。自由討議といえども、党の看板を背負っての発言ではなかろうかと私は解しておりますので、御本人の見解と、所属する立憲民主党の山花会長代理の御見解をお聞きいたしたいと思います。
 私からは以上です。
#13
○山花委員 今回の視察について、何点か御質問をいただきました。
 前回、私も馬場委員の御発言でちょっと違和感があったのが、二年前は維新の党も一緒に行かれていたものと承知をいたしておりますが。
 今回の調査で、まあお金はかかっているかもしれませんけれども、先日私が御報告申し上げましたように、こちらで入手できる情報であるとか著作などではよく情報として取得し得ないことについて情報を取得ができたのかなというのは、先般、ドイツの少数者調査権のことを中心に御報告を申し上げました。
 審査会について、臨むに当たりましてということですが、国会法、先般、馬場委員も読み上げられたと思いますけれども、憲法審査会というのは、発議も一つの仕事ですけれども、「日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査を行い、」と書かれてございますので、その調査について、私どもも、今委員からございました、現時点では表現の自由について審査をすべきではないかということを申し上げておりますし、この間も、文民統制についてであるとか通信の秘密、あるいは先ほど挙げました少数調査権について審査をすべきということで申し上げてまいったところでございまして、議論する気がないのかと言われれば、議論は大いにすべきだということで主張しておりますが、筆頭間でテーマが折り合っていないということだと認識をいたしております。
 改憲項目について、政党として提示をする気があるのかという御質問がございました。
 これまでの憲法調査会以来の与野党の積み上げの形からすると、そもそも、政党として、どこの党の案という形で改憲案を出すべきではないというのがこれまでの積み上げでございました。
 つまり、国民投票を行ったときに、どの党の案がベースになっているということが色がついてしまいますと、今回の海外調査ではなくて、二年前に御党も行かれましたときに報告がございましたけれども、レンツィの国民投票あるいはEU離脱の国民投票のように色がついてしまうのでということで、そういった議論もあったはずでありますので、私どもとしては、テーマとしてテーマ出しはいたしますけれども、案の形で出すつもりはございません。
 また、先般の山尾委員の発言については、これも、中山会長時代のことについて先ほど御発言があった委員もございましたけれども、党の立場を離れて、それぞれ自由闊達な意見をというのがこの場だと承知をいたしております。
 先般の山尾委員の発言につきましては、議員個人としての、御本人の発言の中にもあったと思いますけれども、それを離れて発言というのがあっていいのではないかという文脈の中で、個人としての発言であったと認識をいたしております。
#14
○奥野(総)委員 国民民主党の奥野でございます。
 まず一点目ですが、議員定数の削減については、我が党はずっと言っていますし、私も昨年の予算委員会で安倍総理に直接お話をしたこともありますし、また、特定枠についても強く反対をしてきたということで、我々はずっと言い続けている。そもそも言い出したのは当時の野田総理であり、我々でありますから、それは言い続けているということをまず申し上げて、旗はおろしていないということは申し上げておきたいと思います。むしろ与党の側がこれに応じないということですね。
 そして、海外に行くのは無駄遣いじゃないかとおっしゃいますが、現にこうやって調査報告を開かれているわけですよね。そして、私は先週、憲法裁判所の話を申し上げましたけれども、これは、こうやって議論が沸き起こってきているわけですよ。行ったことで、こうやって議論が進む面もあるわけですね。そしてまた、後ほど申し上げたいんだけれども、緊急事態条項なんというのは弊害もウクライナというのは非常にありましたし、見てくることによってさまざまなことがわかる、そしてこういった場で議論ができるということで、決して無駄遣いではないと私は思います。
 それから、仕事をしていないのにという話がありますが、ことしは五月にも開かれましたし、今回二回目ということで、議論を必ずしもしていないということはないと思いますし、むしろ、与党側の不規則発言があってとまっているという面があると思うんですね。
 我々は、国民投票法の対案も出しています。これは、ちゃんと海外の例なんかも調べて国民民主党の中でつくって、それを提出して、その審議もずっと求め続けているんですね。並行審議を求めてきている。それに応じないのはむしろ与党側ではないか。仕事をしていないというのは、これは全くいわれのない誹謗中傷じゃないかと思います。しっかり反論しておきたいと思います。
 それから、改憲案を出す気があるのかということなんですが、そもそも、急いで改憲案をつくる必要があるんですかということですね。
 世論調査を見ても、改憲に対する機運は必ずしも高まっていません。それを、二〇二〇年までにと総理がおっしゃるから、おかしなことになるんですよ。ゆっくり議論をして、何が本当に国民にとって必要か、我が国の制度にとって必要かという議論を一つ一つ積み上げていけばいいじゃないですか。いきなり四項目、いきなり緊急事態などと言い出すから、議論がかえって進まないんですね。
 一つ一つ積み上げの議論をこの場でゆっくりやっていけばいいじゃないですか。そういうことになれば、四項目を前提としない、一から積み上げの議論をするんであれば、以前やりましたよね、おととし、やっていますよね、ああいう議論だったら我々だって応じることはできると思うんですね。
 以上です。
#15
○山尾委員 立国社の山尾です。
 馬場さん、ありがとうございます。
 憲法審査会の場では、一方的な演説とかいうよりは、こうやって質疑のやりとりの中で対話を国民に見せていくのが大事だと思いますし、建設的だと思います。
 まず、私は、議論をしようと言い続けていますし、自由に議論をしようというふうに言い続けています。この前者と後者は少し意味合いが違います。
 議論しようと言っているのは、ごく普通のことですけれども、国民に憲法の議論を見せて、課題や論点を知らせて、考えてもらう材料を提供して考えてもらう、その役割は議員にあるというふうに思っています。国民は愚かじゃないですし、少なくとも議員より愚かだということはありませんよね。きちっと議論を見せれば、国民的な議論も広がるということだと思います。その憲法の議論の土台をつくる仕事というのは、議員がやらなきゃいけない。
 議員なんて、国民より賢くもないですし、むしろ、選挙や政党に縛られて、国民より正論が言えないこともたくさんあるんですけれども、それでも唯一、国民と違って、政治だけやって歳費をもらって生きていけるわけです。国民は、生きていくために働いて、家のことをやったりして、政治家からももっと政治にも関心を持ってくれと言われて、大変ですよね。
 だから、せめて政治家は、議論をして、課題を広げて、この場に、論点にちゃんと変換して、選択肢をつくって、その選択肢のメリットとデメリットを正直に国民に知らせて、それで意見を下さいと、ここから一緒に考えましょうと、多くの国民がなるほどと思える回答を見つけましょうと、それくらいの仕事はここでやりましょうよということを私は申し上げているわけです。
 もう一つ、自由に議論しようというのは、言葉そのものなんですけれども、何物にも縛られず、自分の考えを矜持を持って述べることが大事だということです。
 野党は野党で、それは、議論をしようと言うと、なかなか難しい空気感はあります。一方で、与党、特に自民党の皆さんも、二十四年の改憲案が撤回されていないのにもかかわらず、にわかに出てきた四項目に事実上発言が制限されているように見えることも間々あります。つまり、政党とか支持者とか選挙に縛られると、議論がしにくかったり、すごく小さい議論しかできなくなる。それは、歴史ある自民党ですら、どれが自民党の手続を経た公的見解なのか、国民にもわかりにくくなっていることにもあらわれている。
 そもそも、改憲についての意見集約の機能を政党に委ねていいのかという話もある。そこまで成熟した議論ができている政党がこの中にあるんですかということも思う。ワンイシュー政党だってできているし、政党や会派に所属しない議員だっていい意見を持っている人、いると思います。
 何より、現状、政党をしょっていたら、国民の求めている議論を展開するのはとても難しい。ただの護憲でもただの改憲でもない議論ですね。自衛隊書くだけで終わらない議論。戦後の憲法解釈でしのいできた自衛権の存在と戦力不保持の関係とか、それと密接不可分の日米再構築という問題とか。
 憲法裁判所もそうだと思います。きょう、たくさんの意見が先日とあわせて出てきていて、すばらしいことだと思っていますけれども、これは、砂川事件で在日アメリカ大使から最高裁長官にかかった圧力、これを契機に、統治行為でみずからの逃げ道をつくって、憲法の番人という役割を半分放棄してきた司法をよみがえらせる、こういう議論をやっぱりしなきゃいけないと思います。
#16
○佐藤会長 各委員の持ち時間について、応答も含めたものでございますので、御理解をいただきたいと思います。
#17
○山尾委員 はい、もう終わります。
 この前、國重さんのデジタル社会と人権という議論もすばらしかったですし、やはりほかの委員からもすばらしい意見がたくさん出ておりますので、私自身は、きょうも、今この場もそうですけれども、党の代表する意見を言う場ではありません、まさに自由討議でありますし、我が立憲民主党も他の政党も、よほど党の公的見解と全く違うことを言うならともかくも、きちっと一定の幅の範囲で正しいことを言う限りはそういった権利を保障するということだと思いますので、自由に発言をさせていただいております。
 馬場さん、ありがとうございました。
#18
○佐藤会長 次に、井上一徳君。
#19
○井上(一)委員 希望の党の井上一徳です。
 きょうは貴重な発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 先週の自由討議では、調査議員団の報告を受けまして、私の方から、首都直下大地震それから南海トラフ大地震、こういうことが生起する可能性があるということで、やはり憲法で規定されている国会議員の任期や選挙期日、この特例を設けることができるように憲法の規定を整備しておく必要があるのではないかということを申し上げました。
 この調査議員団の報告ではまた、ウクライナにおいては、緊急事態が宣言されると、緊急事態においても保障されるべき人権を制約しない範囲内で、さまざまな緊急措置が講じられる、こういう御指摘もありました。この点についても、非常に重要な指摘だというふうに思っております。
 希望の党では、この点に関し、著しく異常かつ激甚な非常災害等の緊急事態が発生した場合において、通常の統治機構の運用によってはこの緊急事態を収拾することが極めて難しいとき、こういう場合には、国民の生命、身体及び財産の保護のために真に緊急な必要な場合、三つのことができる。内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができること、そして二つ目、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分ができること、三つ、内閣総理大臣は地方自治体の長に対する必要な指示をすることができること、こういうことを定めた条文案をつくっております。
 そして、希望の党では、このような緊急事態条項のほかにも、憲法第九条に関する規定、それから、プライバシー権、国民の知る権利といった新たな権利に関する規定、地方自治に関する規定、これらの四項目について改正の条文案をまとめております。
 先週の自由討議、そして、きょうも馬場委員から指摘されておりましたように、憲法審査会の設置根拠は、国会法第百二条の六において、「日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査を行い、憲法改正原案、日本国憲法に係る改正の発議又は国民投票に関する法律案等を審査するため、各議院に憲法審査会を設ける。」というふうになっております。
 私としては、令和という新しい時代を迎え、各党各会派がそれぞれの改正案を持ち寄って議論をすべき時期に来ているというふうに考えております。
 憲法改正の発議権を与えられた国会議員が憲法審査会という公の場で議論することにより、主権者である国民の皆さんに対して、憲法についての関心と理解を深めていただき、そして、日本の未来を考える上での非常に貴重な情報を提供することができるというふうに考えております。
 また、国民投票改正案についても一言申し述べたいと思います。
 七項目に関し、投票環境向上のためということで公職選挙法改正がなされ、それに合った形の改正案となっております。まずはこの改正案について早期に成立させることが適切ではないかというふうに思っております。その上で、国民投票にCM規制が必要かどうかについて更に議論を深めていくということが望ましいのではないかというふうに思っております。
 最後になりますが、今後とも憲法審査会において、先週、今週のように、真摯で実りのある議論を続けていきたいというふうに思っております。
 以上です。
#20
○佐藤会長 それでは、発言を希望される委員は、ネームプレートをお立ていただきたいと思います。
#21
○山下委員 自由民主党の山下貴司です。
 発言の機会をありがとうございます。
 先週、議員団の報告として、森団長からは、確かに照屋委員御指摘のように、改正回数という表面的な数字のみにとらわれずということは御指摘がありましたが、一方で、その国の憲法をめぐる政治的文化や背景も考慮しなければならないとの所感が述べられ、また、新藤筆頭幹事からは、時代や社会情勢の変化に鑑み、我が国の実情を踏まえた憲法改正の議論をしていくことの重要性を改めて痛感した旨の所感がそれぞれ述べられました。
 これらの発言から、憲法にとって重要なのは、時代や社会のあり方が大きく変化すれば、その変化に応じて変わらなくてはならない可能性があるということがうかがわれることであります。
 また、北側先生からは、ドイツ基本法、ウクライナ憲法ともに緊急事態条項が規定されており、ドイツ基本法の防衛事態やウクライナ憲法における戒厳、非常事態の際には議員任期延長が定められているとの言及がありました。
 この発言からは、いかなる事態が発生しようとも、国民の生命、自由、幸福追求を守るために国家が存在するのであり、そのための備えが憲法上求められていることがうかがわれます。
 これらの発言を聞いていて、派遣委員の先生方は、今回の海外調査を通じて、各国の憲法が、それぞれの国の成り立ちや今日に至るまでの歴史、その国が置かれている国際環境などと濃厚にかかわり合っているという生の現実に触れてこられたのではないかと思いました。
 そこで、新藤委員に改めてお聞きしたいのですが、訪問国が持つそれぞれの憲法と、それぞれの国の憲法が背後に背負っている国のありようについて、どのような感想をお持ちになったでしょうか。新藤先生に伺いたいと考えます。
#22
○新藤委員 御質問ありがとうございます。
 先ほど馬場委員から御発言がありました。この憲法審査会の海外視察についてそういう国民の声がある、これは我々は重く受けとめなければいけないと思います。その上で、やはりきちんと憲法審査会、仕事をしているな、このように、そういう御評価をいただけるような努力をしていかなければいけないし、その意味において今回の海外視察は極めて有意義だった、このように思っております。
 やはり、それぞれ文献的な調査をした上で出かけましたけれども、現場に行って直接話を聞き、また、その国の歴史をつくってきた人たちと直接話を聞くというのが極めて重要であるということを改めて感じた次第です。
 その上で、今、山下委員から御質問がございました。まさに憲法は国家の基本法であるということを言われておりますし、それは国の成り立ちと密接につながっている、密接不可分であるということであります。
 先ほどから御発言が出ていますけれども、ドイツの基本法はナチスの反省の上に成り立っている。それからウクライナは、旧ソ連からの独立と、そしてそれに続くロシアからの自立、民主国家建設に本当に必死の努力をしながら、新たな国家建設のために、憲法を安定させつつ動かしていこう、こういうことが極めてわかりました。
 それから、リトアニアとエストニアは、これも中世には繁栄していた国だったんですね。だけれども、やはり、モロトフ・リッペントロップ秘密議定書に象徴されるように、ロシアとドイツの二大国の間で翻弄されたあげくにソ連邦の中に組み込まれた歴史、そしてそこからソ連崩壊時に独立を果たす、そして民主国家をつくりたい、こういう非常に強い思いがございました。ですから、結果的に、そういう国に、自分たちの国を守る、こういう規定があって、そしてそういう緊急事態が起きたときにどうしようかということを、これを憲法に定めるのは当然の帰結だったわけであります。
 私どもは今回四カ国を見ましたけれども、例えば防衛に関する規定は、ドイツ、ウクライナ、リトアニア、エストニア、明記されています。我が国にはどうなんでしょうか。緊急事態条項につきましても、ドイツ、ウクライナ、リトアニア、エストニア、これは明確に規定されています。我が国においてはどうなんでしょうか。
 そして、例えば教育においても、ドイツでは、教育のデジタル化ということをコンセプトにして、連邦政府と州政府とのとり合いについての技術的な改正をやろう。でも、そのもとにあるのは、子供たちにどういう教育を施していこうかという理念をきちんと積み上げていくということです。我が国の憲法においては、これは、教育を受ける権利、無償の義務教育というのは規定されていますけれども、では、その教育は何のために行うのかという理念はどこかに書かれているのか。
 やはり、そういうことを考えると、国が成り立ちの中で密接に関連しているものについては憲法に規定されている。私たちの国の憲法に必要なものは何なのか、そういったことをきちんとこの審査会で議論しなきゃいけない、改めてそのことを強く感じ入った視察でありましたし、これはその国に出かけていかないと伝わらないものがあります。命をかけて国を守ろうとした、そういう国民の皆さんの活動を目の前に見れたことがとても重要だった、このように思っています。
#23
○辻元委員 立国社の辻元清美です。
 私は、この調査団の報告をお聞きするに当たり、今までの憲法調査会それから特別委員会、審査会での報告を全部読みました。私は、この海外での調査というのは非常に意味があるものだと考えております。
 今回の報告については、三点、意見と質問があるんですが、一点目は、一回目の憲法調査会、十九年前ですが、その第一回に私は参加をいたしました。このときもドイツに参りました。ドイツに行ったときに、今回の森団長の報告にもありますように、国民投票の制度はないという、そして過去の歴史からそういう経過であるということ、当時は、民主主義は多数決だけに頼らないと、十九年前にドイツを訪問したときはお聞きをいたしました。
 そんな中で、私たちも戦争の歴史を持っていますので、ドイツは国民投票をとらない国になった、私たちはとる国になりましたので、やはり国民投票というものに臨むに当たっては非常に慎重に臨まなければいけないなと、当時も共通認識として帰ってきたところであります。また今回もそういう話を聞いている。
 この十九年間の報告書を見まして初めて出てきているのが、SNSという言葉なんです。各国どこも、フェークニュースであったり、それからネットによって正しい情報が曲げられることが、例えば去年の報告書では、イギリスの国民投票におけるさまざまな懸念点が紹介されておりました。これもやはり、少なからずSNSの影響があったのではないかと私は考えます。特にこのイギリスの国民投票は、時の首相が自分の権力基盤を強くするためにしたという、報告書にも出ておりますけれども、側面が強く、現在もイギリスは国内が混乱しております。
 ですから、いつどんな形で議論をし、そしてそれを公平公正に国民にどう伝え、そして何を変える、変えないということを立法府が決断するのかというのは、極めて政治的、そして慎重であるべきだと私は思っております。議論のための議論をしても仕方がない、政治ですから。そこは心得なければいけないのではないかと思います。
 それと同時に、もう一点は、今回のドイツで、前回聞かなかったことで、政治的妥協という言葉が出てまいりました。
 この中で、政治的な妥協ができる状況というのは、三つ条件があると思います。一つは、報告書にあるように、森会長の報告、それから北側委員の報告にもありましたように、自分たちがつくり上げてきた基本法という共通認識があるということなんです。日本は、私はこの審査会でも何回か発言していますが、共通認識がこの憲法にあるのかということなんです。これはずっと日本の憲法論議の不幸だったんじゃないかと思います。
 あえて申し上げますが、安倍総理がこの間御発言をされております。過去からも発言をされております。その中で、占領中にできた、ハーグ条約等に違反しているとか、それから、日本人にとって、心理的に大きな、精神的に悪い影響を及ぼしているんだろう、私はこのように思う、だから、今度こそ私たちの手で新しい憲法をつくろうという発言を時の首相がされているというような状況にあるわけです。
 これはずうっと議論をしてきました。共通の認識というのは、今の現行憲法に対して、どういう評価でどういうふうに認識をしているか。この議論を積み重ねてきて、一つは、前回、自民党の中で、これは上川議員が党を代表して発言されていますけれども……
#24
○佐藤会長 時間を守っていただきたいと思います。(辻元委員「えっ、プーと鳴っていない」と呼ぶ)もう五分が過ぎておりますので。
#25
○辻元委員 五分来てますか。
 その共通認識なんですよ。それをさんざん議論してきて、前回、自民党も、占領時代の憲法から脱却するという発言がやっと出てきたんです。そういう共通の土台をここでつくって、さてどうするかという話だと私は思っております。
 これは、国対委員長として、憲法審査会の運営に非常に苦慮してきました。不規則発言も出ました。それで与野党の信頼関係がつくれるのか。そして、国民と政治の信頼関係がつくれるのか。その土台にあってこの場で議論ができるというように思いますので、私は、それは全員が心して今後臨むべきだと思っております。
 以上です。
 鳴らしてくださいね、プーを、わからないので。
#26
○佐藤会長 はい、失礼しました。
 時間を、ちょっと御協力をいただきたいと思います。
#27
○近藤(昭)委員 では、ごく短く。
 立国社の近藤昭一でございます。
 視察団の皆さん、御苦労さまでございました。
 私は、ここでも何回も言われておりますが、我々国会議員は、憲法九十九条で憲法擁護義務というのがあるわけであります。しかし、よく、日本の憲法は変えられていない、古い、こういう言い方、そして、これも何回も言われていますが、ドイツの例が挙げられるわけであります。
 ただ、改めて、視察団の報告から、ドイツの基本法のあり方、そして、その中で行われてきたのは技術的な改正が多かったということ、そして、そういう中で憲法の安定性に時に危惧をされる意見がある、こういうことも報告されたと思っています。
 私は、議論という一般論でいうと、これは非常に重要だと思います、議論ということ。ただ、この憲法のことについては、いささか私は慎重であるべきだと思っているんです。
 特に、憲法で国の形のことについて議論をすべきだ、こういう意見が時に出ます。しかし、私は、日本の憲法の背景でいうと、やはりあのさきの大戦への反省があったんだと思うんですね。あの反省の中から、いわゆる当時の権力が暴走していく、こういうことがあった、そういう中で、やはり、この今の日本国憲法は、九十九条でもしっかりと改めて憲法の擁護義務は国会議員にあるんだ、こういうことを規定しているんだと思います。
 そういう意味で、そういう中で、主権者は国民であるわけでありますから、これも何回も言われていますが、国民の中から、憲法を変えていこう、こういう機運が私はあるとは思えないわけであります。
 こういう中で、逆に言うと、国の形というかそういうものも含めて、まだ縛られている国会議員がそうした議論をリードしていくというか率先して進めていくというのは、私は非常に危うさがあるというふうに思います。
 更にいろいろと申し上げたいですが、これぐらいで、きょうは。
#28
○佐藤会長 御協力ありがとうございました。
#29
○衛藤委員 森団長以下欧州視察団の皆さん、御苦労さまでありました。報告をいただきまして、極めて参考になりました。
 調べてみますと、憲法調査会、特別委員会、審査会のもとで十一回海外視察が行われておりまして、四十三カ国にわたりましてそれぞれの調査が行われました。
 考えてみますと、個々に委員がいらっしゃいますが、各党の憲法審査会の各委員は、憲法について極めて高い御見識をお持ちの方々ばかりであります。また、御案内のとおりでありますが、既に、各党の憲法改正についての、あるいは憲法についての見解というのは十分過ぎるほど我々は拝聴してまいりました。そして、海外視察四十三カ国、十一回。
 これを踏まえまして、今私どもの憲法審査会に求められているものは、国民の声、真摯な国民の声を聞く、そういうことではないかと思います。そういう意味では、この憲法審査会で地方公聴会を開催してほしい、私はこのように思いますし、また、地方公聴会を開催して、その後に各党の憲法改正案、条文案を提出して、大いに審査、議論をいたしましょう。
 時間がないということですから、提言だけいたします。終わります。
#30
○佐藤会長 御協力ありがとうございました。
#31
○道下委員 立国社の道下大樹でございます。
 時間をいただきまして恐縮でございます。ありがとうございます。
 森団長ほか参加された皆様、本当にありがとうございます。
 私は、この海外調査に関しては非常に有意義なものだったというふうに思っております。その中で、ドイツのベルリン、フンボルト大学のクリストフ・メラース教授が、今回、ドイツが六十三回も憲法を改正しているということで、日本との比較について質問を参加者の方がされたときには、ドイツの改正のあり方は本来であれば余りよくない、基本法の改正が簡単過ぎて、法律でできるものも基本法に入ってきている、基本法は本来、ルールのボトムを書くべきものだが、規範力が低下している、細かなことまで憲法に入れ過ぎて、これを改めるために改憲手続が必要になるということでありまして、やはり森団長も指摘をされているとおり、回数ではない。
 さらに、他の国々の憲法改正の回数と、日本は一回もやっていないということで、だから改正しなきゃいけないんだ、憲法は古いんだというような論調で、国民に、憲法に関して、また改憲についてのお話を主張するというようなことがこれはやはりあってはいけない、不適切であるというふうに改めて確信したところでございます。
 また、今回の調査において、先ほども辻元委員もお話しされましたけれども、今のこのインターネット社会において、さまざまな情報が流れ、また、ほかの国々ではCMについて文化がないというところもあって、逆に日本においては、例えば広告料が、今、テレビとインターネット広告が同じ約一兆八千億円程度になっているという現状を鑑みて、やはり森団長が最後の所見で述べられたとおり、この国民投票運動等の際のCM規制については、各国ともまだ十分な検討が行われていないと感じました、したがって、我が国は、我が国の法制度のもとで現在の議論を深めていくことが望ましいというふうにおっしゃられて、私は、この点に関すると、まだまだというか、これは大分しばらく、このCM規制というものも含めて議論の時間がかかるというふうに実感した次第でございます。
 私からの感想は以上です。ありがとうございます。
#32
○佐藤会長 予定の時間が過ぎておりまして、大変恐縮でございますが、このあたりにさせていただきたいと思います。
 これにて自由討議は終了いたしました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時四分散会
ソース: 国立国会図書館
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