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2019/11/28 第200回国会 参議院 参議院会議録情報 第200回国会 外交防衛委員会、農林水産委員会、経済産業委員会連合審査会 第1号
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2019/11/28 第200回国会 参議院

参議院会議録情報 第200回国会 外交防衛委員会、農林水産委員会、経済産業委員会連合審査会 第1号

#1
第200回国会 外交防衛委員会、農林水産委員会、経済産業委員会連合審査会 第1号
令和元年十一月二十八日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
   外交防衛委員会
    委員長         北村 経夫君
    理 事
                宇都 隆史君
                中西  哲君
                羽田雄一郎君
                秋野 公造君
                井上 哲士君
    委 員
                猪口 邦子君
                佐藤 正久君
                武見 敬三君
                松川 るい君
                三宅 伸吾君
                山田  宏君
                山谷えり子君
                小西 洋之君
                榛葉賀津也君
                白  眞勲君
                福山 哲郎君
                浅田  均君
                伊波 洋一君
   農林水産委員会
    委員長         江島  潔君
    理 事
                高野光二郎君
                堂故  茂君
                舞立 昇治君
                徳永 エリ君
                宮沢 由佳君
    委 員
                岩井 茂樹君
                野村 哲郎君
                藤木 眞也君
                宮崎 雅夫君
                山田 修路君
                山田 俊男君
                石垣のりこ君
                郡司  彰君
                塩村あやか君
                森 ゆうこ君
                河野 義博君
                塩田 博昭君
                谷合 正明君
                石井 苗子君
                紙  智子君
   経済産業委員会
    委員長         礒崎 哲史君
    理 事
                阿達 雅志君
                大野 泰正君
                太田 房江君
                浜野 喜史君
                石井  章君
    委 員
                青山 繁晴君
                加田 裕之君
                高橋はるみ君
                牧野たかお君
                三木  亨君
                宮本 周司君
                小沼  巧君
                斎藤 嘉隆君
                須藤 元気君
                竹内 真二君
                新妻 秀規君
                三浦 信祐君
                岩渕  友君
                ながえ孝子君
                安達  澄君
   国務大臣
       外務大臣     茂木 敏充君
       農林水産大臣   江藤  拓君
       経済産業大臣   梶山 弘志君
   副大臣
       財務副大臣    藤川 政人君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        神田  茂君
       常任委員会専門
       員        大川 昭隆君
       常任委員会専門
       員        山口 秀樹君
   政府参考人
       内閣官房TPP
       等政府対策本部
       政策調整統括官  澁谷 和久君
       総務省大臣官房
       審議官      二宮 清治君
       外務省大臣官房
       参事官      御巫 智洋君
       外務省経済局長  山上 信吾君
       厚生労働省大臣
       官房生活衛生・
       食品安全審議官  浅沼 一成君
       農林水産省大臣
       官房総括審議官  浅川 京子君
       農林水産省大臣
       官房総括審議官  光吉  一君
       農林水産省生産
       局長       水田 正和君
       農林水産省政策
       統括官      天羽  隆君
       防衛省地方協力
       局長       中村 吉利君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○日本国とアメリカ合衆国との間の貿易協定の締
 結について承認を求めるの件(内閣提出、衆議
 院送付)
○デジタル貿易に関する日本国とアメリカ合衆国
 との間の協定の締結について承認を求めるの件
 (内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
   〔外交防衛委員長北村経夫君委員長席に着く〕
#2
○委員長(北村経夫君) これより外交防衛委員会、農林水産委員会、経済産業委員会連合審査会を開会いたします。
 先例によりまして、私が連合審査会の会議を主宰いたします。
 日本国とアメリカ合衆国との間の貿易協定の締結について承認を求めるの件及びデジタル貿易に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件の両件を一括して議題といたします。
 両件の趣旨説明は、お手元に配付いたしました資料により御了承願い、その聴取は省略いたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○徳永エリ君 皆さん、おはようございます。共同会派、国民民主党の徳永エリでございます。
 野党から、日米貿易協定の議論を深めるために再三再四資料を要求させていただきました。しかし、結局、資料は出てきませんでした。十分に議論を深めることができぬまま衆議院で可決したこと、大変に残念に思っているということを冒頭申し上げたいと思います。
 さて、まず、茂木大臣にお伺いをしたいと思います。
 大臣は、日米貿易協定は経済連携協定であると御答弁されましたが、日米のFTAであるとはついぞお認めになりませんでした。しかし、東大の鈴木教授も、元農林水産省のTPPの交渉官であった明治大学の作山教授も、自由貿易の研究者、専門家ですよね、日米貿易協定は日米FTAだとおっしゃっていて、令和の不平等条約、又は失うだけの日米交渉だったとおっしゃっています。そして、これまでの議論にもあったように、FTAはWTO違反、国際ルール違反であると厳しく指摘をされております。
 この指摘を受けまして、改めて茂木大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
#4
○国務大臣(茂木敏充君) 今御指摘のありましたFTA、フリー・トレード・アグリーメント及びEPA、エコノミック・パートナーシップ・アグリーメント、経済連携協定と一般的に呼ばれますが、これについて、国際的に確立された定義はない、いろんな専門家の方がそれぞれの専門家の方の御見解でおっしゃる解釈というのはあると思いますが、国際的に確立された定義はないということは間違いないと思っております。
 その上で、我が国ではこれまで、特定の国や地域との間で物品貿易やサービス貿易全般の自由化を目的とする協定という意味でFTA、フリー・トレード・アグリーメントという用語を用いてまいりました。さらに、これに加えて、投資、知的財産の保護など幅広いルール作りを盛り込んだ包括的なFTAについては、我が国においては一般的にEPAと、エコノミック・パートナーシップ・アグリーメント、このように呼んでおります。
 日米貿易協定、これ御案内のとおり農産品そして工業品、こういった物品の関税を対象としたものでありまして、サービス分野の自由化であったりとか幅広いルールまで盛り込まれておらず、その意味では、これまで我が国が締結してきた包括的なFTA、別の言い方をしますと、先ほど申し上げましたように我が国において呼んでいるEPA、エコノミック・パートナーシップ・アグリーメントとは異なるものであると、このように考えております。
#5
○徳永エリ君 今のような御答弁を繰り返しされてきたわけでありますけれども、国会でTPPの議論の際に、安倍政権は、我が国は日米の二国間のFTAはやらないんだと、バイではなくてマルチなんだということをずっと言ってきたわけでありますから、今更、研究者や専門家に指摘されても、FTAだとはなかなか言いづらいということもあるのではないかというふうに思うわけであります。
 私は、農林水産委員会の中で、やっぱりバイの交渉は駄目だということをずっと言ってまいりました。それは、これまでの日本とアメリカの関係であります。年次改革要望書もそうですけれども、我が国はアメリカから要望されたもの、要求されたものを次々と今までのんでまいりました。対等な交渉がバイではできない、だから他の国と一緒にマルチの交渉をするべきだということを申し上げたわけであります。
 皆様にお配りしたお手元の資料の一ページ目を御覧いただきたいと思います。
 皆さん御案内のように、昨年、米国は、カナダ、メキシコ、EUに対して鉄鋼、そしてアルミニウムの追加関税を発動いたしました。そして、自動車への追加関税を検討するということも言い出したわけであります。
 これに対するEUの対応でありますが、WTO、世界貿易機関へ提訴いたしました。そして、アメリカ製品、この関税を課す報復リストを作成してWTOに対して通告をしたわけであります。TTIP交渉は停滞しているという状況であります。そして、やはりこの貿易交渉というのは相互主義の原則を守るべきだと、WTOルールの尊重をするべきだと、そして貿易戦争を回避しなければいけない。欧州委員会のユンケル委員長は、EU原産の鉄鋼、アルミニウムに対する米国の追加関税の恒久的適用除外だと、米国の脅しに屈して通商協議に戻る考えはないと強い姿勢で臨んでおられます。
 しかし、日本はどうでしょうか。自動車への追加関税を検討しますと言われた途端に、交渉開始から僅か五か月でFTA交渉が、日米貿易協定が妥結したわけであります。そして、私たちは何も取ることができなかった。農産品を譲歩してしまったわけであります。一月にもこの日米貿易協定、FTAが発効かという状況であります。この交渉は、アメリカン・ファースト、一国主義であり、WTOルール違反、そして米国の脅しに屈した、決して安倍政権がおっしゃるようなウイン・ウインではないと思っております。
 そして、トランプ氏は、五月十七日に、追加関税をめぐる判断を百八十日先送りし、我が国とEUと貿易交渉を進めて解決策を得るように指示をいたしました。日本との交渉はもう既に妥結していますが、百八十日の判断の期限が恐らく十一月の十七日か十八日だったと思います。EUは米国に追加関税を課せられていますでしょうか。
#6
○国務大臣(茂木敏充君) まず申し上げたいのは、例えばTPPでもそうでありましたが、物品の関税、これは全体でやるわけじゃありません。個々の国同士、マルチであってもこの関税の交渉というのはバイでやると、これは是非御理解いただきたい、そんなふうに思っているところであります。
 さらに、各国それぞれ交渉して、妥結をしている国もありますし妥結をしていない国もありますけれど、私も先週も、G20の議長国としての締めくくりになります愛知・名古屋G20外相会談に出席をして、バイの会談も十数か国とやりましたけれど、海外の外相の方、よく日本はまとめたなと。本当です、これは。
 例えば、USMCA、USMCA、御案内のとおり、非常に高い原産地規則が掛かっています。そして、韓国との間の新KORUS、これもそのような状態になっておりまして、こうなると、例えば、自動車メーカーにとっては今まで築いてきたグローバルなサプライチェーンを変えざるを得ない、こういう非常に難しい状況に陥っているわけでありまして、そういったことは今回の日米貿易協定において日本には課されておりません。
 それから、今回の協定によりまして、日本は自動車、自動車部品について追加関税、二三二条の追加関税は課されない、このことは明確に確認をしておりますが、御案内のとおり、TTIP、交渉もまだ始まっておりません。非常に不透明な状況でありまして、今後、アメリカが二三二条の発動をする、発動を行う可能性は残っていると考えております。
#7
○徳永エリ君 いや、TTIPの交渉が進んでいないのは、やはりEUが強い姿勢で臨んでいるからだと思います。
 これ、追加関税は百八十日、判断の期限は百八十日と言われているのに、いまだ追加関税を課されていないわけで、これはアメリカの脅しだったんじゃないんですか。実際にやる気があったかどうかは分かりません。しかし、我が国はこのアメリカの脅しにあっさり屈したと、私はそのように考えております。
 それから、今、自動車のお話をされましたけれども、それはこの交渉の中で私たちが分からないようなメリットも確かにあったかもしれません。でも、私は、農林水産委員として日本の農業、農村を守る、その立場におりますので、どう考えてもこの農産品に関しては、この交渉内容、妥結の内容には納得はできないと、農業を譲ったということは間違いなんだということは申し上げておきたいというふうに思います。
 そして、資料の二ページ目を御覧いただきたいと思います。
 政府は、日米貿易協定の成果として、この農産品の成果ですね、米を除外したんだと、それから、米国へ輸出する牛肉、現在二百トンの低関税枠を複数国枠の六万五千五トンのアクセスを確保したんだというふうにおっしゃっております。
 そこで、政府に伺いますけれども、日本から米国への牛肉の輸出量はどのくらいでしょうか。
#8
○国務大臣(江藤拓君) 約八百トンでございます。(発言する者あり)日本からですよね、日本から米国向けですよね。約八百トンでございます。
#9
○徳永エリ君 私が聞いておりますのは、二〇一八年は四百四十九トンと聞いております。
 確かに、今までは二百トンという枠しかありませんでしたけれども、TPPでは、米国への牛肉の輸出は、低関税枠の拡大、二百トンから六千二百五十トンへ、その上、枠外関税二六・四%も十五年目には撤廃されるという内容でした。
 これ、資料を見ていただいたら分かりますけれども、今回の日米貿易協定の内容は、六万五千五トン、複数国枠へのアクセスは確保いたしました。しかし、枠内関税も枠外関税も現行のままということなんですね。この六万五千五トンにアクセスしたからといって、今その四百四十九トンが一気に何千トンにもなるとは考えづらいと思います。
 そう考えると、この複数枠にアクセスすることができるようになったことよりも、むしろTPPで合意した枠外関税撤廃の方が我が国としてはメリットが大きかったのではないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
#10
○国務大臣(江藤拓君) まず、答弁の修正をさせていただきます。四百二十一トンでございました。大変御無礼をいたしました、済みません。
 今の六万五千五トンに対するアクセスについてでございますが、まず、TPP12のときは、無関税枠三千トンから始まりまして十四年目で六千二百五十トンということになっている、こちらの表にも載っておりますが、そして無関税になるのは十五年目ということでございますが。
 六万五千五トンの枠は、WTO枠でありますけれども、現在ニカラグアがほぼほぼ八割以上消化しておりまして、ニカラグアは米国とのFTAが来年、二〇二一年にはこれ発効いたします。そうなると、関税は、関税ゼロになりますが、四・四セント、まあ日本円で五円ですけれども、これもゼロよりも、ない方が有利なので、当然ニカラグアはそちらに移行することが予見されますが、そうなりますと、ほかの国をちょっと調べてみたんですが、ニカラグアに取って代わってひき肉用の肉を米国に輸出するであろうような国はなかなか見付かりません。
 ということであれば、確実に日本の肉がそのマーケットを全部取るとは、それは申し上げませんが、しかし、ただ、国産牛は今三十三万トンしか生産規模がありませんし、和牛については十四万九千トンしかありませんので、こうやって開いたマーケットに対して、マーケットに対応できるような生産基盤を強化すれば、これは非常に有効な合意内容ではないかというふうに評価しております。
#11
○徳永エリ君 不断の努力をすれば今大臣がおっしゃっていたような結果も出るかもしれませんけれども、大臣、この枠外関税そして枠内関税が現行のままであると、このことに関してはどうお感じになりますか。
#12
○国務大臣(江藤拓君) 確かに、枠内関税につきましては、現行と、それから即時と十年目と、現行のままというふうになっておりますが、繰り返して恐縮ですけど、四・四セント、日本円で五円、しかもキロ当たりですから、というものであれば、確かにゼロよりも五円は金額が実数としてありますので、どちらが有利かと言われればゼロの方がそうかもしれませんが、しかし、十五年という時間の流れを考えたりすると、今回の合意内容は我が国の畜産業にとって大変有利なものになったというふうに評価しております。
#13
○徳永エリ君 私はそう思いません。むしろ、TPPの合意内容の方が現実的だったんではないかと、そして我が国にとって良かったんではないかというふうに思っております。
 そして、農産品への影響試算、これも極めて信頼できないものだと私は今つくづく思っております。
 先日、東京新聞の一面に、影響額よりも対策予算の方がはるかに大きいというような記事が載りました。二〇一五年、TPP12、影響試算は約一千二百七十一億円から二千八十二億円。そして、二〇一五年度の対策予算は三千百二十二億円。二〇一六年度の対策予算は三千四百五十三億円ですよ。そして、二〇一七年、TPP11、約、影響試算は九百五億円から一千四百六十九億円、日EU・EPAは約六百二十六億円から約一千百四十三億円。二〇一七年は対策予算三千百七十億円。二〇一八年は三千百八十八億円であります。
 これ、影響試算をはるかに超えていますが、これに関してはどう理解したらいいんでしょうか。
#14
○国務大臣(江藤拓君) 一度合意したところがスタートでございまして、年次によって、例えば牛肉であれば最終的には九%まで関税が下がるということが将来的に変化する、経営環境が変化するわけでありますから、その瞬間に対して対応することも突然、当然大切ではありますが、将来の畜産業その他の産業に対する、農産業に対する影響を予見してしっかりした金額を積み上げるということは極めて有効だと考えております。
#15
○徳永エリ君 今そういった御説明をいただきましたけれども、影響試算、これ極めて重要だと思います。
 政府は、これまでにTPP11と日米FTAを合わせた影響試算は公表いたしました。でも、私たちは、TPP11と日EU・EPAが発効している中で、そこに日米貿易協定、これをプラスした影響試算を出してほしいということを政府にさんざん求めてまいりました。政府がどうして出さないのかという御答弁に関しては、その日米の貿易協定と、それからTPP11、これを足したものがTPP12を超えるんじゃないかと、そういう御指摘があるので、その指摘に答えるためにこの試算を出したと言うんですけれども、そんなものは現場の農業関係者は求めていないんですよ。それは、うそを言っているか本当のことを言っているか、証拠出した、本当のことを言っているだろうというだけの話なんですよ。農家の人たちは、正しい影響試算を出していただいて、それに対して具体的にどんな対応をしてくれるのか、どれだけの予算を付けてくれるのか、その方が重要なんですよ。
 だから、やっぱりこの三つの、複数の貿易協定をプラスした影響試算をしっかり出していただくことがまず第一段階の安心につながると思いますが、江藤大臣、いかがでしょうか。
#16
○国務大臣(江藤拓君) 先生とは大分この件についての議論させていただいたんでお気持ちはよく分かるんですが、しかし、これまでの経済連携協定の中で一兆三千億円近い国内対策を行ってまいりました。そして、私の地元でいうと、四十万円程度だった子牛の値段も、今八十万、七十万台が当たり前の時代になってまいりました。枝肉の値段も、若干子牛の値段に比べては高いとはいえ、高値で安定いたしております。
 御党、先生の御地元の北海道も、畜産クラスター事業等を入れたところは平均で六%ぐらいは乳量が増えるというような効果も現れておりますが、ですから、非常にこのTPP関連対策によって強くなったということは事実だと思います。
 なぜEUを入れないのかという説明も、先生がおっしゃいましたからもうしませんが、しかし、そのほかの二国間のものも全て入れると、ほかにも十五ほどあります。それに加えて、例えば日米以外であれば日EUとか日豪とか、それも全部ありますので、そうなりますと、どこまで遡って影響試算を出すのかというのは、なかなかこれ技術的にも、まあ不可能かと言われればできるかもしれませんが、事務方に聞かなきゃ分かりませんけれども、今回の議論は、先生おっしゃったように、日米の交渉内容と11との、を足したときにTPP12を超えるか超えないかが、それが国会の一番の議論の中心でしたので、この二つを足した数字を出させていただいたということでございます。
#17
○徳永エリ君 三つの貿易協定を足した試算は簡単にできるということは、衆議院段階で国民民主党の後藤祐一衆議院議員が御指摘をさせていただいております。
 これ、試算していないって考えづらいんですよね。本当に試算をしていないのか、それとも公表していないだけなのか。試算、本当にしていないんですか。
#18
○国務大臣(江藤拓君) していないようでございます。
#19
○徳永エリ君 もう、していないのはおかしいと思いますよ。やっぱり、経済圏というか、影響力がどれだけあるかって考えると、バイの協定もいろいろあるかもしれませんけれども、やはりこのTPP11、そして日米の貿易協定、そして日EU・EPA、これをしっかりとプラスしていただいて試算を出していただきたいということを改めてお願いを申し上げておきたいと思います。
 そして、資料の四ページを御覧いただきたいと思います。
 政府は、生産額は減少しても生産量、数量は変わらないとしています。試算自体は対策後の試算であり、農家コストを削減して所得を確保することで国内生産は維持されるが、安価な外国産が入ってくることで価格は下がると説明されています。
 これ、農家コスト下げることができなかったらどうなるんでしょうか。逆に、コストが上がって価格が下がったら、農家は再生産ができなくなってしまいます。この点の御見解、いかがでしょうか。
#20
○国務大臣(江藤拓君) 先生の御指摘は外れていないと思いますが、そういうような事態が起これば、そういうようなことは現場では起こると思っております。
 繰り返しになって恐縮ですけれども、これまで行ってきました一兆三千億弱のTPP等関連対策大綱に基づくこの畜産クラスター、産地パワーアップその他の事業は確実に現場で効果を発揮しております。乳量が増えた話は先ほどいたしました。それから、私の地元でも、繁殖雌牛の頭数も上昇傾向になって、非常に畜産農家も意欲、若い人たちも繁殖に進んでいこうという方々も増えてまいりました。
 ですから、これから、豚マルキンも八割、九割ありますし、加工原料乳補給金制度も経営安定対策で極めて有効にワークしておりますので、その結果、先生がおっしゃったようなことは起こっておりませんで、生産コストは逆に下がっております、これは間違いなくですね、まあ物価の部分はあるかもしれませんが。そしてまた、その生産量も増えておりますので、先生が御懸念されるようなことが起こらないように、今後のTPP関連対策大綱も含めて、しっかりとしたものを組んでいきたいと考えております。
#21
○徳永エリ君 大臣から御答弁ございましたけれども、酪農家は北海道では三%、本州では四%、トータルで五%、毎年離農が進んでいるということでありますし、規模の大きなところはいいかもしれませんけれども、規模の小さなところは大変に苦しいです。
 これ、資料を御覧になっていただけると分かると思いますけれども、これ、生産費下がっていますか。生産費上がっているんですよ。これ、牛の素畜費は今高いのは分かるんですけど、飼料費も、それからその他の経費も上がっています。特に現場から言われるのは、人件費が非常に上がっているということと、それから機械、これ、農業競争力強化支援法でもう機械のコストを下げていくと言っていたはずなんです。でも、現場の声は、下がるどころかどんどん上がっていると。一年落ち、二年落ちの機械も今高くて大変なんだと。大臣もお聞きになっていると思いますけれども、もう新品じゃなくていい、中古でいいから補助してもらいたいという声が多く上がっているぐらいに機械費はどんどん上がっているんですね。
 これ、生産コスト、下がっていないじゃないですか、大臣。
#22
○国務大臣(江藤拓君) いや、確かに数字を見ればそういうふうになっておりますが、例えば畜産クラスター事業等を話をしますと、最初のその仕組みをつくったときには新品の機械を買ってくださいということで縛りを掛けておりましたが、今は中古のものでも対象としますというように要件の緩和をいたしました。そして、先ほどの御紹介いただいたものにつきましても、JA等にも御協力をいただいて、できるだけ、単独の農家で購入交渉をするのではなくて、JA単位とかその地域の皆さん方が束になってメーカーと交渉して、一括購入することによってコストを下げる。そして、メーカーに対しても、要らない機能については外すと、安全に関わるような部分については外してはなりませんが、そういうようなこともしっかり指導しているところでございます。
#23
○徳永エリ君 良くなったところだけ挙げていただいて、そしてこれからいろんなことをやっていくという状況ですけれども、もう間もなく、一月になったら日米貿易協定発効するんですよ。もうどんな影響が出るか本当に分からないので、しっかり急いでいただいて、そして調査も掛けていただいて、生産費の中で何がどのくらい下がっているのか、そういったこともきちんと数字でお示しいただきたいということもお願い申し上げておきたいと思います。
 先ほど、マルキンの話がありましたけれども、麦のマークアップ、それから牛肉の関税の削減や撤廃によって関税収入が減少いたします。例えば、日米貿易協定では、牛肉、初年度百九十億円から、十六年後でしたか、最終年度には五百億円、TPP11では初年度二百億円、最終年度は六百八十億円ですから、合わせると最終年度には関税収入は一千二百億円も減少することになります。
 このことによって、対策費、財源が減少していく中で、例えばALIC、家畜産業振興機構の財源が減っていって、畜産農家の経営が悪化した場合のこの補填、これからもしっかりできるんでしょうか。それを担保されるものはどこにあるんでしょうか。
#24
○国務大臣(江藤拓君) 牛関税はALICの大事な収入でありますし、小麦等のマークアップ等につきましても国内の対策に使っておりますので、これに支障が来すことは大変な問題だというふうに認識をいたしております。
 その上で申し上げますが、将来の牛関税等の減少の対応につきましては、総合的なTPP等関連対策大綱におきまして、農林水産分野の対策の財源につきましては、TPP等が発効し関税削減プロセスが実施されていく中で将来的に麦のマークアップや牛肉の関税が減少することも鑑み、既存の農林水産予算に支障を来さないよう政府全体で責任を持って毎年の予算編成過程で確保するということは明記しておりますので、しっかりこれを担保としてやらせていただきたいと考えております。
#25
○徳永エリ君 関税収入はこれまで確実に入ってきたわけであります。今御説明いただいたのは総合的なTPP等関連対策大綱の中にも書かれておりますけれども、毎年の予算編成過程で責任を持って確保していくと。しっかりと確保していただかなければ、本当に畜産農家の経営が厳しくなったときに補填する財源がない、これは深刻な問題になりますので、大臣、是非ともよろしくお願い申し上げたいと思います。
 言葉で言うのは簡単ですけれども、責任を持って毎年の予算編成過程で確保する、これ確実性は何もないわけでありますから、しっかりと頑張っていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 時間がなくなってまいりましたが、政府は、新たな交渉について、どの分野を交渉対象にするかを協議し、日米間で合意した部分の交渉が始まるとしています。自動車それから自動車部品の関税撤廃を想定しており、農業等は想定しないと茂木大臣の御答弁もありましたが、日米貿易協定の附属書のT、アメリカ合衆国は、将来の交渉において、農業に関する特恵的な待遇を追求すると、これは日米で合意した部分に当たるんだと思います。想定しないではなくて、例えば米、それから乳製品、砂糖など、今後農産品が交渉の対象になるということも想定しながら、我が国はもし求められたときにどう対応していくのかということをしっかり考えていかなければいけないと思います。
 というよりは、EUのようにやっぱり毅然としていただいて、脅しには屈しないぞと、農産品は絶対守るぞと、そういう姿勢を示していただきたいと思いますけれども、これ恐らく、自動車それから部品の交渉ということになったら、やはりカードは農産品になるんだと思いますけど、大臣、何で想定ができないのかよく分からないんですが、御説明いただけませんか。
#26
○国務大臣(茂木敏充君) 今回の九月の二十五日の共同声明におきましては、今後どの分野を交渉するのか、その対象をまず協議、コンサルテーションですね、するということにしておりまして、今後の交渉の内容につきましてはこの協議の中で決まっていくことになると考えております。
 このうち、関税に関する事項につきましては、更なる交渉による関税撤廃で合意をしております自動車、自動車部品を想定しておりまして、農産品その他工業品を含め、それ以外は想定をしておりません。そして、今後の交渉においては、日米で合意したもののみが交渉の対象となるわけであります。
 そして、御指摘のありました附属書Tの第二、第B節第一款五の規定、これ、将来の交渉において農産品を対象にすることを合意したものではないわけでありまして、この規定、よく御覧いただきますと、将来の交渉においてアメリカにそのような意図があるということについての認識が書かれているわけでありまして、日本について何らかの具体的な……(発言する者あり)よく聞いてください。日本について何らかの具体的な行動を取ることを義務付けたものではないことは表現を御覧いただければよくお分かりいただけるのではないかなと思います。
#27
○徳永エリ君 米国は、自国の産業と雇用を守るということを強く主張しています。その自動車あるいは部品、この関税撤廃も、約束がどこにされているのか全く私たちは分かりませんが、でも、この自動車や部品の関税撤廃の交渉が始まれば、カードは農産品になるんだということはみんな分かっているんですよ。
 大臣、お願いですから、これ以上農産品はアメリカには譲らないと、想定しないではなくて譲らない姿勢で交渉に臨むとはっきりおっしゃっていただけませんか。
#28
○国務大臣(江藤拓君) そのような姿勢で臨みます。
#29
○徳永エリ君 茂木大臣、いかがですか。
#30
○国務大臣(茂木敏充君) どの分野を交渉するかと、それは今後の協議によって決まってまいります。そして、どの分野を……(発言する者あり)矛盾していません。どの分野を交渉するにせよ、国益に反するような合意を行うつもりはございません。
#31
○徳永エリ君 発効から四か月以内に新たな交渉が始まるということでありますけれども、これまでも御説明してまいりましたけれども、EUと比べると、我が国は脅しに屈して譲りっ放しという状況は誰もが分かるわけです。お願いですから、国内産業をしっかり守る、あとは農業、農村をしっかり守るという姿勢で、特に江藤大臣、江藤大臣は農業、農村の立場に立つ農林水産大臣でありますので、もう茂木大臣に言ってくださいよ、もうしっかり交渉してくださいと。
 農産品を守っていただきたいということを重ねてお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございます。
#32
○谷合正明君 公明党の谷合でございます。農林水産委員会に所属しておりますので、農林水産分野を中心に質問したいと思います。
 まず、日米貿易協定締結の意義について、茂木外務大臣に冒頭伺いたいと思います。
 これまで、国会答弁で、世界的に保護主義への懸念が高まっている今こそ、日本が自由貿易の旗手として、自由で公正なルールに基づく経済圏を世界へと広げていくことが重要ということで答弁をいただいているところではございます。そうした文脈の中で捉えていきますと、この度の日米貿易協定の合意というものは意義があるものと私どもも共有しているわけであります。
 SDGs、これは持続可能な開発目標でございますけれども、このSDGsは、世界全体の経済、社会及び環境の三つの側面を不可分のものとして調和させ、持続可能な社会、持続可能な世界を実現するための統合的な取組でありまして、国際社会全体の普遍的な目標でもございます。言わば、このSDGsの考えとこれまで政府の方で答弁されているものというのは、私は一致するものではないかというふうに思っておるところであります。逆に、日米貿易協定の合意内容を実施することでSDGsが後退することがあってはならないと思っております。
 改めて、この日米貿易協定の意義、また役割等について、外務大臣に伺いたいと思います。
#33
○国務大臣(茂木敏充君) 谷合委員には、公明党のTPP等経済協定対策本部の本部長として日米貿易協定等に関し御指導いただくとともに、それ以前からも長年にわたりまして経済連携協定等々御指導いただいておりまして、改めてこの席を借りて感謝を申し上げたいと思っております。
 世界のGDPの約三割を占める日米の貿易協定によりまして、既に発効しておりますTPP11、更には日EU・EPAを加えますと世界経済全体の六割をカバーする自由な経済圏が日本を中心にして誕生することになる、これ自体大きな成果であります。
 また、委員御指摘のサステーナブル・ディベロップメント・ゴールズと、SDGs、十七の目標があるわけでありますが、特にそこの中の八つ目の項目、これが成長と雇用の項目でありまして、間違いなくこういった項目に資する合意になっていると、このように考えておりまして、そういった意味でも、SDGs、今世界で、全体で進めようとしておりますが、それと整合的なものになっていると、そのように考えているところであります。
 そして、日米貿易協定、農業分野においても工業分野においても、日米双方にとってウイン・ウインかつバランスの取れたもの、そして日米、同盟国であります日米の経済関係を更に強固にする、それが日米関係全体また世界経済の発展、こういったものにもつながっていく協定になると、このように考えております。
#34
○谷合正明君 日米貿易協定の合意内容等を踏まえまして、今、総合的なTPP等関連政策大綱の二年ぶりの見直し、この改訂作業が進んでいるところでございます。これは単に延長すればいいという話じゃなくて、これまでの四年間にわたってのこの大綱の実施、この効果をしっかりと検証していくということが必要でありまして、この上でこの改訂作業というものは進めていかなきゃならないと思っております。
 そこで、この関連政策大綱、これまでの実施の効果についてはどのように検証されているのか。そして、この度、改訂作業を進めていくわけでありますけれども、見直しの重要な点というものはどのように政府として認識をしているのかと。この点について伺いたいと思います。
#35
○政府参考人(澁谷和久君) お答え申し上げます。
 四年前に、TPP12が合意をしたということをもちまして総合的なTPP関連政策大綱を策定したところでございます。また、二年前、TPP11、それから日EU・EPAがまとまったということで、等を付けまして総合的なTPP等関連政策大綱という形で改訂を行いまして、これまで、特に中堅・中小企業等の海外展開の後押し、それから、インバウンドの投資と言っておりますけれども、国内の産業に対して海外からの投資の促進でありますとか、あるいは、農林水産省を中心にやっておりますが、強い農林水産業を構築するための体質強化策、こうしたものに政府として、政府を挙げて取り組んできたところでございます。
 これまで、例えば中堅・中小企業等の海外展開を後押しする新輸出大国コンソーシアムというワンストップのサービス提供しておりますが、既に支援対象が八千六百社以上になっております。また、農水省におきまして、収益力の高い産地づくりのための施設整備あるいは機械導入などを支援する産地パワーアップ事業、既に千六百件の計画を承認するなど、事業を着実に実施してきたところでございます。
 その結果でございますが、中堅・中小企業等の輸出額、さらには現地法人の売上高の合計額は二十三・四兆円まで増加しておりますし、農林水産物・食品の輸出額は九千億円以上まで増加する、そうした成果が現れてきていると考えているところでございます。
 今回、日米貿易協定がまとまったということを踏まえまして、また、前回のTPP11、日EUの発効後の動向も踏まえまして、二年前に策定をした、改訂をした政策大綱の再改訂を行うということでございまして、十月一日、基本方針を決定したところでございます。
 大綱の改訂に当たりましては、特に三つのポイント、中小企業の海外展開支援などを通じた日本企業、日本産品等の新たな市場の開拓、二つ目に、国内企業と外国企業からの投資のマッチング等を通じた国内産業の競争力の強化、三つ目に、生産基盤の強化等を通じた強い農林水産業、農山漁村の構築、こうしたポイントにしっかりと取り組むことで我が国経済の更なる成長につなげていく、そういう大綱の改訂を、今作業を行っているところでございます。
#36
○谷合正明君 見直しのポイントの三つ目に、強い農林水産業という話がございました。
 農林水産業の生産基盤の強化に向けまして、この体質強化の策の充実ということなんですけれども、農林水産業の憲法とも言われます食料・農業・農村基本計画というものがございます。この基本計画にしっかりと整合していくと。また、この体質強化策についても、一度きりという話じゃなくて、安定的にしっかりと対策を講じていくということが大事だと思っております。
 基本計画には、そもそも食料自給率四五%という目標を掲げてやってきているわけであります。そして、それをしっかり裏付けしていく予算ということになってきますと、大綱には、先ほどの質疑のやり取りも、中でも紹介されたところでありますけれども、政府全体で責任を持って毎年の予算編成過程で確保するということが既に入っているわけであります。
 そこで、この大綱の改訂に際しまして、次は補正予算の編成という話になっているんだと思いますけれども、是非、江藤農林水産大臣におかれましては、十分な予算を獲得していくと、従来を上回る、質、量を上回る予算をしっかりと計上していくということの決意を持って臨んでいただきたいと、それが農林水産大臣の使命と責任じゃないかと思っているわけでありますけれども、大臣の答弁を求めたいと思います。
#37
○国務大臣(江藤拓君) 御期待に応えられるように、御党の御協力もいただいて、元副大臣でもいらっしゃいますし、是非よろしくお願い申し上げます。
 金額も大切ですが、内容の精査を進めております。畜産クラスターも産地パワーアップもその他の施策についても、一度全てテーブルの上にのせて、どこが問題なのか、さらに、現場の要望に応えやすく、使いやすくすることそのものだけではなくて、やはり税金を使う以上は一定のガバナンスが必要ですが、しかし現場のニーズに合った見直しを全てやらなければならないということで、総額の積み上げも大切ですが、その内容についてしっかりやらせていただきたいと思っております。
 自給力の向上、自給率の向上につきましては、来年大変な節目を迎えます。これは、国民の食料安全保障、国家の基盤に関わることでありますから、目標の設定をどうするのか、それに対する裏付けの予算、それから施策をどうするのか、是非、委員会の場でも御議論いただいて、知恵を絞ってまいりたいと考えております。
#38
○谷合正明君 日本の農家の九八%は家族経営であると、そして、日本の国土面積の七割は中山間地域であり、全耕地面積の四割が中山間地で、総農家の四割がこの中山間地域で営農されているということでございまして、やはり、大綱の見直しに際しましては、これまでも中小規模家族経営農家あるいは中山地域の農家への支援というものは当然意識してやってきたわけではあるんですけれども、私は、改めて、この中小規模家族経営農家、そして中山間地域の農家への支援ということをしっかりと大綱の見直しについても書き込んでいくと、盛り込んでいくと、そういうメッセージを発信していくということが大事ではないかというふうに思っております。
 改めて江藤農林水産大臣に伺いたいと思います。
#39
○国務大臣(江藤拓君) 私は田舎の人間でありますので、全く先生と同意でございます。
 強い者はある程度体力を付ければ自分の力で資金調達もできますし、上を目指すことが私は可能なのではないかと思っています。しかし、一生懸命頑張って、これからもうワンステップ上のステージに行きたいけれども、やっぱり資金的に足りない、国の支援が当てはまらないというような要件は私の地元でもたくさん見られます。
 ですから、規模の小さいところ、中小のところに少し焦点を当てた、少しではなくてしっかり焦点を当てた大綱の取りまとめをやらせていただきたいと思っておりますが、是非、御党でも建設的な御提案をいただければ是非参考にさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
#40
○谷合正明君 今大臣の方からも、中小に対してしっかりと焦点を当てていきたいという話がございました。その実現に向けて取り組んでいただきたいと思っております。
 さて、肉用牛、酪農経営の増頭、増産に関して質問したいと思います。
 今、和牛に関しまして国内需要というものが伸びております。また、世界に目を向けましても、この度の日米貿易協定でも米国向けへのこの枠というものが拡大しているということもあります。また、中国、隣の中国向けの和牛輸出の再開というニュースも飛び込んでまいりました。国内外の需要にしっかりと応えていくということが極めて重要であります。
 そこで、肉用牛の、また酪農経営における増頭、増産に向けて、現状、課題というものがどのようになっているかという認識を示していただいた上で、従来、この支援対象にならなかったような、この増頭、増産のこの支援の対象にならなかったような、そういうような畜産農家にも光が当たるような取組というものが今ちょっと求められているんじゃないかと、この増頭、増産に関して言いますと、そういうふうに考えております。
 改めて、この増頭、増産に向けた対策強化、江藤農林水産大臣の答弁を求めたいと思います。
#41
○国務大臣(江藤拓君) やはり大きなチャンスが目の前に来ていると思っています。私の地元でもEUに対する輸出が始まりました。今度は中国のマーケットが開くということになると、何といっても市場規模が違いますので、そこに向けてしっかり取り組みたいという機運は物すごく高まっております。
 しかし、振り返りますと、和牛で十四万九千トンしかない、国内の牛肉のF1とホルスを合わせても三十三万トンしかないというのが日本の畜産の、肉牛の生産基盤の実態ですから、じゃ、六万五千五トンの米国枠を全部取ったらもう半分近く行っちゃうわけでありまして、ですから、そのチャンスをつかむためには基盤の強化をしなきゃなりません。
 しかし、繁殖というのは大変手が掛かり、日々目くばせをしなきゃなりませんから、やはり余り大規模でやるよりも中小規模の人がしっかり目くばせをしながらやることが必要ですから、例えば、三頭飼い、五頭飼いの人が十頭飼いになる、十頭飼いの人が二十頭飼いになれるよう支援ができないかということで、これ、まだ内容については、これから補正の編成に入るまだ前段階ですから具体的なことは申し上げられませんが、先生の御意向、御趣旨に沿ったような対策が完成できるように努力をさせていただきたいと思っております。
#42
○谷合正明君 大臣の方からも、大規模のみならず中小の畜産農家というところに焦点を当てていただいた答弁だったと思っております。本当、大事な視点であるというふうに思っております。
 そこで、セーフガードの基準の見直しについてはちょっと一回飛ばさせていただきまして、先に輸出促進について質問したいと思います。
 農林水産業の地域活力創造プランというものがございまして、そこには、農業、農村の所得倍増を目指すということが明記をされております。これは二〇一三年を発射台といたしまして、二〇二五年に目標を決めているわけでありまして、農業所得と農村の関連所得と、この二つに構成されております。農業所得は既にこの二〇二五年の目標三・五兆円を既に超えております。一方、農村地域の関連所得というのは、着実に増えているんですけれども、目標の四・五兆円の半分にまだ満たないというような状況であります。
 この農村地域の関連所得の中に実はこの輸出というものが入ってくるわけでございます。やはりどうしても、農業、農村所得倍増を目指すという大きなこの目標をやっていく上で、農林水産物・食品の輸出にこれ一層取り組んでいくという必要もあると。先般、輸出促進法も成立をいたしました。また、日本産農林水産品の輸出目標というのを一兆円ということで決めてやっているわけでありますけれども、もう既にこのポスト一兆円目標ということを見据えて取り組んでいかなきゃならないと思っております。
 では、具体的にどう取り組んでいくのかということで、今回のこの日米貿易協定の内容を踏まえて、米国向け、また国際的な戦略、この点について大臣に答弁を求めたいと思います。
#43
○国務大臣(江藤拓君) 先生の御指摘のとおり、農業所得については目標を達成しておりますが、関連所得についてはまだ目標の半分しか到達していないということは大変重い問題意識を持っております。ですから、先生がおっしゃったように、輸出について頑張っていかなければなりません。
 国内は、残念ながら、人口減少、止めなきゃなりませんが、高齢化もありますので、マーケットとしてはやはり縮小傾向にあることは認めざるを得ないと思っていますが、一方、世界の人口の方を見ますと、例えばマーケットで見ますと、今、二〇一五年の数字ですが八百九十億、これが二〇三〇年には一千三百六十兆円、八百九十兆円から一千三百六十兆円に膨らむ、そして人口も七十四億人から二〇五〇年には九十八億人まで膨らむであろうという推計が出ておりますので、どんなものでもそうですけど、出口をちゃんとつくらないと、いい物を作っても売れない。求めている人がいれば、そこにちゃんとコールドチェーンも含めたアクセスの仕方をしっかり考えていかなければならない。やらなければいけないことはありますけれども、この地域の活力創造プランに掲げた目標がしっかり達成されて、そして農業所得が向上し、そして地域全体で盛り上がっていけるような施策を目指して頑張ってまいりたいと考えております。
#44
○谷合正明君 私自身も、農水副大臣のときに海外出張させていただいて、日本産食品のこのプロモーションの仕事もさせていただきましたけれども、やはり和牛また日本酒に対する関心の度合いというのは非常に強いなと、私が想像していた以上に強いなということは実感したところでございます。
 特に日本産の酒類、日本酒のみならず日本産のワインも今大変評価高まっているわけでありますけれども、今日は藤川財務副大臣にお越しいただいております。日本産の酒類の輸出促進ということも、これ国税庁中心にやっているのかもしれませんけれども、しっかりやっていただきたいというふうに思っております。日本産酒類の競争力を高めて、また海外展開の支援と。関心が高いんですけれども、しかし、それが実現できるかどうかというのは、やりやすい方へできるかどうかというのはまたこれ別の問題でございまして、やはりそこは政府としてしっかりと後押しをしていただきたいと思っております。
 改めて、この度の日米貿易協定、合意内容を踏まえて、米国向けにどうしていくのか、また国際的にこの日本産酒類の輸出促進についてどうしていくのか、この点について答弁を求めたいと思います。
#45
○副大臣(藤川政人君) お答えいたします。
 国税庁におきましては、酒類業の振興の一環として、米国を始めとした世界全体への日本産酒類の輸出拡大に向けて積極的に取り組んでいるところであり、具体的には、ジャパン・ハウス等を活用した日本産酒類のプロモーション、国際的な展示会への出展支援、地理的表示、いわゆるGIの活用促進等によるブランド化の取組の支援、酒類総合研究所と連携した酒類製造者への技術支援等を実施しているところであります。また、輸出促進の取組を一層強化するため、令和二年度予算概算要求におきましても、日本産酒類の競争力強化に係る予算を大幅に増額要求しているところであります。
 国税庁といたしまして、引き続き、関係省庁、機関とも連携し、日本産酒類の競争力強化、輸出促進に向けてしっかりと取り組んでまいる所存でございます。
#46
○谷合正明君 是非、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 それでは、質問をセーフガード基準の見直しに戻しまして、先ほど畜産の話もございました。
 やはり、この度の日米貿易協定の中で一つ現場から不安の声が上がっているとすれば、このセーフガード基準になってくるんだと思います。米国産の輸入牛肉のセーフガードにつきましては、協定発効時は二十四万二千トン。この数字自体は一七年度と一八年度の輸入実績の平均値ということでありますから、それを考えてみますと、通常、セーフガードはその実績値より高めに設定されるという傾向があるということを考えれば、この数字でとどめたということは非常に私評価したいと思います。
 ただ一方で、よく、もう委員会の場で指摘されておりますけれども、TPP11協定におけるセーフガード基準は米国産牛肉の輸入量込みで換算して設定されているという今状況でございまして、この点について、やはりこの畜産農家、現場、また地方自治体からも心配する声というのがやまないわけでございます。
 そこで、TPP11協定の牛肉におけるセーフガード発動基準の見直しに向けたTPP参加国との交渉について、澁谷参考人、また江藤農林水産大臣に答弁求めたいと思っています。まず参考人から、じゃ、お願いします。
#47
○政府参考人(澁谷和久君) お答え申し上げます。
 TPP11協定とのその牛肉のセーフガードの調整につきましては、御指摘のように、委員会でも御指摘をいただいているところでございますし、また都道府県などからも御意見を寄せられているところでございます。
 本件につきましては、いずれかの時点でTPP関係国と協議を開始する必要があるというふうに考えておりますが、御存じのとおり、TPP11、まだ発効から間もなくて、まだ十一か国そろっていないということもございます。また、日米貿易協定の発効後の実際の輸入状況などを見極めた上で、適切なタイミングで関係国と相談を行うということとしたいと考えておりまして、既にTPP国、TPP関係国にはその旨お伝えしておりますし、特にオーストラリアのバーミンガム貿易大臣に対しては担当の西村大臣から同様の趣旨をお伝えしているところでございます。
#48
○谷合正明君 今、オーストラリアの交渉というか、その話も聞きましたけれども、やはり畜産農家の現場をよく知っていらっしゃる、また、農水大臣としてここはしっかりとやっていくということで、やはり農水大臣から改めて答弁をいただきたいというところでございます。
 よろしくお願いいたします。
#49
○国務大臣(江藤拓君) まず、二十四・二という数字は大変、茂木大臣が本当に頑張っていただいた数字だと思います。大国米国ですから、まあ最大の過去の実績を基準にして言ってくるのはこれはもうほぼほぼ当たり前の話で、そしてSGの効果についてはもう先生には説明が必要ないとは思いますけれども、SGのラインを引けば必ず、その数字に近づけば、これを超えてしまうとまた三八・五まで戻っちゃうということが完全に予見されるわけでありますから、必ず輸入のスピードにはブレーキが掛かるというふうに思います。それは商売の話ですから、もう、あと例えば半月待てば安い関税で買えるということであれば当然輸入に対してはブレーキ掛かりますので、この二十四・二という数字になったことについては非常に効果があると思います。
 そして、加えて申し上げれば、TPP11の過去の輸入実績について申し上げると、例えば11が、二六%台に関税、今落ちておりますが、じゃ、急激に輸入量が増えたかというと、発効前の三年間の平均に比べて、ちょっと手元に資料がありませんので正確じゃないかもしれませんが、五月から十月の推計、通年じゃありませんけれども、伸び率は二%ぐらい逆に落ちています、関税が下がったにもかかわらず。
 ですから、関税が下がったことイコール輸入量の急増につながるというものでもなかなかないのかな。これはもう市場が決めることですから断定的なことを申し上げられませんが、そういうことも起こっているということでございます。
#50
○谷合正明君 しっかりと対応していただきたいと思っております。そもそもは、この畜産農家、先ほども畜産クラスター事業の話もございました。増頭、増産の話もございました。この度の大綱の見直しに際しましては十分、十分配慮していただきたいというふうに思っております。
 その上で、生産、この農林水産の現場にまだこの不安が残っている。その不安、また国民、消費者に対して、しっかりこの度の合意内容、正確かつ丁寧な説明、情報発信にこれからも是非政府においては努めていただきたいと、そのことを申し上げまして、私の質問といたします。
 ありがとうございます。
#51
○石井苗子君 日本維新の会の石井苗子です。
 今日は連合審査ということなので、まず、外交交渉について、アメリカのTPP復帰について質問させていただきます。
 日本政府は、アメリカがTPPに参加できるように主導的な役割を果たすとおっしゃっています。日本維新の会は、これは是非頑張っていただきたいと思っているところなんです。
 しかし、一方では、この日米貿易協定が締結したことによって、アメリカがTPPに戻るインセンティブが低くなったのではないかという批判が一方でございます。それに対して、西村大臣が、物品貿易協定である今回の日米貿易協定には含まれていない品目があり、また、投資、サービス、ルール等については合意には含まれていないので、アメリカがTPPに戻るインセンティブがなくなったのではないという、こういう御説明をしております。
 十一月二十日の本会議でも、総理が、今回の協定では、デジタル貿易のルールを除き、TPP協定にある投資やサービス、ルール等の内容が含まれていないことから、アメリカがTPPに戻るインセンティブがなくなったわけではないと考えておりますと答弁されているんですが、問題は、アメリカがそう言っていないというふうに読めることです。
 九月二十五日の日米共同声明で、来年一月に日米貿易協定が発効後四か月、四か月後、四か月の後です、四か月以降に、アメリカは、関税やほかの貿易上の制約、サービス貿易や投資に係る障壁、そのほかの課題について二国間で交渉を開始すると書かれてあります。
 ですから、残っているものが多いので、日本はそれをアメリカを材料にして説得していくとおっしゃっているんですが、これは、日米の二国間でアメリカがこれらの交渉を開始すると言えば、アメリカがTPPに戻るインセンティブが低くなるのではないですか。外務大臣、いかがでしょう。
#52
○国務大臣(茂木敏充君) アメリカとの交渉、話合い、昨年四月、マーラ・ラゴ以降、私とライトハイザー通商代表との間で、まず日米の貿易交渉に入る前に、いわゆるFFRと、フリー・フェア・アンド・レシプロカル、この頭文字を取ってFFRと、この話を行いまして、また、昨年九月の日米共同声明に沿って今年の四月から開始をしました日米貿易交渉、相当な数の交渉、話合いをライトハイザー代表、そしてアメリカ側とやってきておりますが、日本として、米国にとってもTPPに復帰することが最善であるということは米側に再三説明をしてきております。
 その上で、今回の日米貿易協定におきましては、日本の農林水産品については、米であったり林産品、水産品、さらにはTPPワイド関税割当て対象の三十三品目など、多くの品目で全く譲許をしておりません。
 また、投資、サービス、ルール等については、デジタル貿易ルール、これは合意しておりますが、それ以外は今回の合意には全く含まれていないわけでありまして、米国にとってみますと、TPP12の際に得られていた内容で本協定では得られていないものが残っているのは明らかでありまして、この意味で、米国がTPPに戻るインセンティブ、これは残っていると考えております。
#53
○石井苗子君 それをまさしく私が申し上げた話なんです。だけれども、ここの英語を見ますと、エンター・イントゥー・ネゴシエーションズ・ゼアアフターと、そこから改めてエリア、こういったエリアのものに関して話をしていくというふうに英文に書かれておりまして、もう一つ、今日資料でお配りしたものがあります。
 これは、やはり同日、九月の二十五日ですね、アメリカの通商代表が発表したものです、USTRという。ファクトシート、実際にあったことの記録というところを見ていただきますと、ここに書いてありますのが、ザ ユナイテッド ステーツ ルックス フォワード ツー ファーザー ネゴシエーションズ ウイズ ジャパン フォー ア コンプリヘンシブ アグリーメント ザット アドレシーズ リメーニング タリフ アンド ノンタリフ バリア アンド アチーブス フェアラー モア バランス トレードということで、これは更にアメリカは非常に強くこのファクトシートに書いてあるんですね。
 この、コンプリヘンシブ、包括的なアグリーメント、コンプリヘンシブアグリーメントと書いてあります。日本に向けて更に包括的な交渉をすることを期待していると英語ではっきり言っているんですが、このコンプリヘンシブアグリーメントというのはどのような意味に捉えていますでしょうか。外務大臣、お答えください。
#54
○国務大臣(茂木敏充君) 米側がコンプリヘンシブアグリーメントで何を指すのかと、それについては定かでない部分ありますのでコメントは控えたいと思いますが、今回の共同声明におきましては、今後、どの分野を交渉するのか、まずその対象、協議をすると、コンサルテーションとしておりまして、今後の交渉の内容はこの協議の中で決まっていくということでありまして、決して全ての分野、記述をされている全ての分野について交渉を開始するということではありません。しかも、そこで使っている言葉、インテンド・ツーという言葉でありまして、そういう意図があるということであります。
 いずれにしましても、次の段階の交渉も日米双方にとってウイン・ウインなものとなるようにまずしっかりと協議を行う考えでありまして、また、どの分野を交渉するにしても、我が国の国益に反するような合意を行うつもりはございません。
#55
○石井苗子君 意志強固であるお気持ちはよく分かるんですけれども、この共同声明のところの英文を見ますと、前半の一月からの四か月以内の、そのコンサルテーションということは、その細かいこと、今のその日米貿易協定の細かいことを詰めていきますと、そして、アンドでつながって、以降、四か月以降に関しましてはこれこれのことに関して二国間で、二国間でです、決めていく意図があると、インテンド・ツーというのはそういう意味ですね。
 非常に強い性格を表している文章でありまして、このファクトシートは物すごく細かく後にも書いてあるんですけれども、とにかく、アメリカは日本に対して一つの包括的な協定として関税や非関税について残された問題に注意を向けさせ、そしてより公平でバランスの取れた貿易に向けて達成していくという、すごく強く書いてあるので、私、最初に、冒頭に申し上げましたように、我々の党はこれTPPに戻ってきてもらいたいと思うわけです。
 そうすると、アメリカはこれだけの交渉材料がまだ残っている、先ほど大臣がおっしゃっていたように、三十二品目もそうですけれども、これほどの、インセンティブズというのは外的刺激の材料ですよね、残っているから、アメリカさん、どうかもうちょっと合理的に考えて、TPPに戻ってきた方がより良い交渉が簡単にできるじゃ、やりやすくなるじゃないですかというようなふうに説得をして、頑張っていただきたいと思います。
 今の感じだと、このアメリカの強硬な、二国間でやっていくんだ、二国間でというのを打破して、ブレークスルーしていけないような感じがあるので、頑張っていただきたいと思います。
 牛肉の輸入セーフガードについて、資料の二、配付いたしましたので、御覧いただきながら質問させていただきます。
 牛肉の輸入セーフガードについては、TPPとアメリカの発効基準が、このグラフを見ますとよく分かるように、併存しております。日米貿易協定発効後もこの二つ合わせた大きな低関税の牛肉輸入枠が存続するということは、グラフを見れば分かると思います。これに対して、TPPの枠内に収まったものと考えておりますという答弁が続いたわけなんですけれども、私もそれ、そう言えるのかどうかについて前回の農水委員会でも質問させていただきましたが、再度確認をさせていただきます。
 二〇二〇年の牛肉輸入セーフガード、発動基準は、TPPが六十一万四千トン、アメリカが二十四万二千トンです。例えば、TPP11からの輸入が六十万トンになり、アメリカからの輸入が二十四万トンであった場合、足しますと八十四万トンです。セーフガード発動されますか。農水大臣、お答えください。
#56
○政府参考人(光吉一君) お答えいたします。
 仮定のお話ということでございますけれども、二〇二〇年の輸入量につきまして、TPP11からが六十万トン、アメリカからが、米国からが二十四万トンとすれば、それぞれにつきましてセーフガードを発動する水準に達していないということになります。
 ただ、御案内のとおり、TPP11からの牛肉の輸入量につきましては、過去五年で最も大きかった二〇一八年でも三十六・四万トンでございます。また、TPP11からの輸入量、これの八割は、八割超は豪州が占めておりますけれども、この豪州につきましては、牛肉需要が高まっております中国に対して輸出を増加させているという状況がございます。この中で、本年一月から九月までの豪州から日本の輸入量というものは、対前年同期比で九四%というふうに減少しております。
 このため、六十万トンという数字は、仮定の話ではございますけれども、なかなか現実としては想定しにくい水準かと思われます。
#57
○石井苗子君 そのとおりなんです。
 私は、説明の仕方がおかしいというふうに農水の委員会で指摘させていただきました。TPPの発動基準である六十一万四千トンを超えてもセーフガードが発動しないとしたら、実際にそういうことが今御説明があったように起こるか起こらないかは別として、交渉の結果としてTPPの範囲内とすることができたと言えないのではないですかと申し上げたんです。
 したがって、セーフガードの発動基準については、今は一旦TPPの範囲内に抑えられなかったかもしれませんが、皆さんと、この日本の国の畜産の皆さんに対して、事業者の皆さんに対して、実際にはTPPの発動基準以上に輸入されることはないので安心してくださいと。先ほどから、いろいろ不安とかどうなるのかという心配をされている人たちがいると言っているじゃないですか。
 ですから、大臣としては、実際には、TPP発動後の今年の一月から八月です、九月じゃなくて八月までのオーストラリアからの輸入ですね、牛肉の輸入は前年度の九四%に止まっているし、今、中国の輸入ということで向こうの需要が多いので、セーフガード発動基準が高くても輸入が増えることはないと思っていますので、そう安心してくださいという言い方、そういう言い方にはなりませんか。
#58
○国務大臣(江藤拓君) それは、まさに丁寧な説明をしろということに尽きるんだろうと思います。
 先生のおっしゃることは間違ってはおりません。しかし、私は、やっぱり現場で何が起こるかということが一番問題でありまして、もう再三申し上げて恐縮ですけど、なかなか、少子化も進み、高齢化も進むと、私もだんだん肉よりも魚の方が最近よくなってきておりまして、そんなに肉の消費が国内で爆発的に増えるとは余り思えない。しかし、一方、世界では、人口も、それから食料のいわゆる需給に対しても非常に逼迫した状況が予見されているわけでありますから、やっぱり、私もオーストラリア行ったことありますけど、やっぱり高く売ってくれるところに売る、そして持っていきやすいところに売る。例えばハラル対応もしているような食肉処理場ありますので、オーストラリアは。ですから、その説明の、今全国回って説明をさせておりますから、そういうような説明の仕方もやはりするべきかなというふうには考えました。
#59
○石井苗子君 ありがとうございます。
 修正協議も進めていくということですので、状態を見ながらやっていただきたいと思います。
 最後の時間を使いまして、日米デジタル貿易協定について質問させていただきます。
 十八条に、日本のプロバイダー責任制限法、これがこの協定に反しないというふうに書かれてありまして、これが確認されました。一般的に、アメリカの方が情報コンテンツプロバイダーの免責を認める範囲が広いと私は認識しているんですけれども、だとしたら、この条項は現状を追認しているだけのように思われるんですけれども、この条項の意義はどこにあるのかということを内閣官房の方、ちょっと教えてください。
#60
○政府参考人(澁谷和久君) お答え申し上げます。
 日米デジタル貿易協定、御指摘の第十八条でございますが、コンピューターを利用した双方向サービス、いわゆるSNS等を、これをデジタル貿易を増進させるために不可欠なものとして促進することの重要性、これを認識した上で、インターネット上の書き込みについて、SNS等のコンピューターを利用した双方向サービス提供者等が削除した場合、あるいは削除しなかった場合の民事上の責任をそれぞれ一定の限度で制限する、そうしたことを規定しているものでございます。
 この規定は、日米で同じような目的を持っておるわけでございますが、インターネット上の権利侵害情報の流通に対するプロバイダーの責任を一定範囲に制限することによって、被害者の権利保護、それからインターネット上の自由な情報流通の確保のバランスを確保すると。
 日米デジタル貿易協定というのは、日米間で何か問題があってそれを解決するというよりは、日米間で一種のルールを決めるということに意義があるというふうに考えております。まさに、日米間の法的基盤を確立することによって、両国間のデジタル貿易を促進するということだけではなくて、世界に向けて日米が主導してルール作りをしていくということの意義があるというふうに考えております。
#61
○石井苗子君 ありがとうございます。
 SNSによる名誉毀損だったりプライバシーの侵害というのがこの頃すごく多く発生している状況から見ますと、その自由なデジタル貿易を促進するというそのバランスで、そっちをする一方で、やはり免責を安易に認めるべきではないと私は思うんですけれども、アメリカ側の規制を強化する方向というような議論というのはされていたのかということが一つと、それから、今後世界的に情報が自由に流通して簡単に外国のサーバーにアクセスができるということになりますと、ネット上で個人の名誉毀損やプライバシーの侵害、こういうものを守るために政府としてどのような対策を立てているのか、この二つをお答えいただきます。
#62
○政府参考人(澁谷和久君) 前半の部分は私の方からお答えいたしますけれども、この第十八条に関して、日米のそれぞれの制度、運用状況等について専門家同士でかなり長時間議論いたしました。結果として、日米間で大きなそごがないということを確認した上で十八条の規定をすることで合意したものでございます。
#63
○政府参考人(二宮清治君) 後半の部分のお尋ねにつきましてお答え申し上げます。
 総務省では、名誉毀損やプライバシー侵害といったインターネット上の違法・有害情報への対応につきましては、プロバイダー責任制限法によりまして、プロバイダーが削除を行った場合の免責の要件等を規定することによりましてプロバイダーの自主的な削除等の取組を促進をしているところでございます。また、同法の具体的な運用に係るガイドラインや、違法・有害情報への対応等に関する契約約款モデル条項を事業者団体が策定をいたしておりまして、その策定及び改定について支援を行っているところでございます。
 総務省といたしましては、引き続きインターネット上の名誉毀損やプライバシー侵害に対しまして適切に対応してまいりたいと考えております。
#64
○石井苗子君 是非頑張ってください。
 本当に、プライバシーの侵害だったりそういうことで商売をする人がすごく増えてくると思いますので、しっかりやっていただきたいと思います。
 ありがとうございました。質問を終わります。
#65
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 日米貿易協定は、TPPから離脱したアメリカのために安倍政権がTPP以上におもてなしをする協定で、日本の農業からいえば、これ食料主権、そして日本の経済主権をも脅かす屈辱的な協定だと思います。
 第一に、農産物においてアメリカに特恵的な待遇を追求するという権限を与え、第二に、牛肉のセーフガードにおいても名前だけ残して事実上はこれ無力化すると、第三に、アメリカにTPP参加国に後れを取らないように五百八十七項目もの農産品を譲り渡すと。林産物は除外したというようなことを言っていますけれども、輸入実績のあるキノコ、ハラタケ、マツタケなどは関税率は即時撤廃だと。関税率一〇・五%を超えているものを即時撤廃する品目だってあるわけです。
 なぜそこまでアメリカを特別扱いするのでしょうか。外務大臣。
#66
○国務大臣(茂木敏充君) 日米貿易交渉、これ、まさに国益と国益がぶつかり合う、おもてなしという言葉は全く想定できないような非常に厳しい交渉でありましたが、TPP11そして日EU・EPAが既に発効していると、TPP11が昨年の十二月の三十日、恐らく誰の想定よりも早く発効して、今年の二月の一日には日EU・EPAが発効する、こういった中で、米国、他国に劣後しない状況を早期に実現したい、こういう米国の立場と、農林水産品については過去の経済連携協定の内容が最大限とする日本の立場、この中で最終的な一致点が今回の合意となったと考えております。日米双方にとってウイン・ウインの結果だと考えております。
 そこの中で、御指摘の農産品に関する特恵的な待遇を追求する旨の規定は、将来の交渉において米国にそのような意図があるということを単に記載したものでありまして、日本側の義務というのは規定をされてございません。また、牛肉等のセーフガード措置がとられた場合に協議を行うこととされておりますが、これはもちろん協議の結果を予断するものではありません。
 さらに、関税率については、TPP協定では、当初の発効に遅れて締約国となった原署名国、今入っている十一か国ですね、や新規加盟国に対して、締結時点で当初の締約国と同じ関税率を適用すること、このようになっておりまして、今回の米国への対応と、まさにこのような対応、TPPと同様の対応でありまして、TPPを超えるものではなく、米国を特別扱いしていると、こういう御指摘は当たらない、このように考えているところであります。
#67
○紙智子君 幾らそういうふうに言っても、多くの国民の皆さんはそう思っていないですよ。また今回もアメリカの圧力に屈したのかなというのが多くの声ですよ。
 さらに、国会手続も従来の協定とは違うんですよね。TPPのときは、TPPの合意の後にTPP等関連政策大綱を作って国内対策を織り込み済みの影響試算という形で公表した。今回は、大綱の改訂も行わないまま影響試算を出しました。ですから、暫定という名のとおり、机上の計算でしかないわけです。国内対策を取るから大丈夫だ、そういう理屈も投げ捨てているわけですよ。
 私のふるさとの北海道で見ると、これはすさまじい影響だと思います。北海道の牛肉の産出額は一千二億円ですけれども、日米貿易協定プラスTPP11、そして日欧EPA、この生産減少額でいうと、合わせると一千六十一億円ですから、北海道の産出額がそのまま飛んでしまうというような中身なわけですよ。
 なぜ、これ政策大綱の改訂もやらずにこの協定の審議を始めたのかと。それは、来年一月に発効させたいというアメリカに合わせて国会審議を急いでいるということじゃないんですか。農水大臣、短く答えてください。
#68
○国務大臣(江藤拓君) 私は交渉の場にいたわけではありませんが、極めて厳しい交渉であったことは、私も役所に泊まり込みで連絡を取り合っていましたのでよく知っております。しかし、交渉を妥結するのには、潮目とかタイミングというものがあって、一番有利な条件、こちらにとって有利な条件のタイミングをつかまえて合意に達することがベストだと思いますが、そのタイミングを茂木大臣は正確に捉えられた結果だと思います。
#69
○紙智子君 アメリカを優遇する態度というのは、日米関係の特徴だと思うんですよ。
 一九九一年には、牛肉、オレンジの自由化がありました。牛肉は自由化されて、その後は、ガット・ウルグアイ・ラウンドを受けて関税を自主的に引き下げてきた。オレンジの自由化で、当時約十三万戸あったミカン農家は五万戸まで激減したわけですよ。義務でもないのに米を七十七万トン輸入している。そのうちの約三十六万トンはアメリカ枠としてもう固定化しているわけですね。密約があったんじゃないかということも言われているわけです。
 TPP交渉のときは、TPPに入れてもらうためにアメリカの要求に応えて牛肉、自動車、保険、三つの入場料をまず払ったと。そして、アメリカがTPPから離脱すると、戻ってきてほしいと懇願して、日米経済対話では飽き足らないアメリカの要求に屈して、トランプ大統領の再選のお膳立てをするかのように農産品の市場開放を進め、さらにはその先の第二ラウンドまで受け入れているわけですよ。トランプ大統領が狙っているのは、日本の医療保険や薬価制度の見直しや金融や共済、食の安全の規制緩和などです。
 そこで、食の安全に関わって、グリホサートの残留穀物についてお聞きします。
 グリホサート、これは国際がん研究機関、IARCが恐らく人に発がん性があるというふうに区分している農薬、除草剤です。このグリホサートを掛けると枯れるので収穫が楽になって、乾燥も進むので収穫の前に散布されています。日本は年間五百から六百万トンの小麦をアメリカ、カナダから輸入しています。
 農水省は小麦に残留しているグリホサートを検査をしていると。で、二〇一八年の検査では、アメリカ産の検出率は九八%、カナダ産は一〇〇%と。で、小麦には国家貿易と民間貿易がありますけれども、民間貿易というのは検査をしているんでしょうか。これ、農水省か厚労省か。
#70
○政府参考人(浅沼一成君) お答えいたします。
 諸外国から輸入される国家貿易品以外の小麦につきましては、輸入時に、マラチオン、メタミドホスといった様々な農薬の残留量につきましては検査を実施しておりますが、グリホサートについては検査を実施していないところでございます。
#71
○紙智子君 それについては把握していないということですよ。
 輸入小麦は、パン、それから加工食品として流通をしています。検査は自治事務ということなので、検査するかしないかというのは自治体の判断だというふうに聞いています。これ、検査率はどうなっているんですか、公表しているんでしょうか。
#72
○政府参考人(浅沼一成君) お答えいたします。
 小麦及び小麦加工品の国内流通品に関する検査につきましては、自治体の事務といたしまして各地方自治体が監視、指導を実施しているため、その詳細については把握しておりません。
#73
○紙智子君 把握していないということなんですけど、それで本当にいいんですか。
 農民連という農業団体ありますけれども、食品分析センターがあるんですが、小麦の、小麦粉の製品の検査をしているんですよ。食パン、カップ麺、パスタなどを検査しています。国産の小麦を原料にした食パンからは検出されていないと。輸入小麦を使用した食パンからは検出されていると。驚いたのは、学校給食のパンからも検出されています。コッペパン、食パンからは〇・〇五ppmから〇・〇八ppmです。一方で、国産原料を使った食パンからは検出されていないと。感受性の強い子供が食べて大丈夫なのかという意見をよく聞くわけですよ。これ、対応すべきじゃないか。これがまず一つです、二つ聞きますけれども。
 もう一つは、更に問題だと思うのは、基準を緩和していることなんですね。
 先日、我が党の井上哲士議員が外交防衛委員会で取り上げましたけれども、農薬メーカーの要望に応えて、二〇一七年の十二月二十五日に、輸入穀物におけるグリホサートの残留基準を多いものでは百倍以上、小麦六倍、トウモロコシ五倍、ソバは百五十倍緩和しているわけですよ。食品の検査がまともに行われていないのに、これ緩和していいんでしょうか。
#74
○政府参考人(浅沼一成君) お答えいたします。
 我が国におきましては、食品中の農薬の残留基準は、食品を介した摂取の観点から、食品安全委員会による食品健康影響評価を踏まえまして、農薬を適正に使用した場合の残留試験の結果や、国際機関でありますコーデックス委員会で定める食品に関する国際基準等に基づき、薬事・食品衛生審議会の審議を経て設定しております。
 現在のグリホサートの残留基準値につきましても、食品安全委員会の食品健康影響評価等の科学的な根拠に基づき、人の健康を損なわないよう設定していることから、安全性に問題は生じていないと考えておるところでございます。
#75
○紙智子君 そういう答えなんですけどね。いや、平均的な形で数字を言っているわけなんだけれども、平均的な日本人が摂取している安全基準だと言うんだけれども、だけど、感受性が強い子供、小さなお子さんもそういうことで一般的にやっていいんですか。これ、私、本当に心配だと思いますよ。この問題についてどうなんですか。農水大臣、どうですか。
#76
○国務大臣(江藤拓君) 余り知識がなくて申し訳ないんですが、しかし、子供については、非常に感受性の強い子、例えばそばを食べたら駄目だとか、そういうことについては十分な配慮をしているはずです。
 ですから、この場でこういたしますという答弁、私からはできませんが、関係省庁、連絡をもう一回取って、この二〇一七年の緩和の経緯、しかし、全ては科学的見地のエビデンスの積み重ねによって判断されるものだというふうには思っておりますけれども、事学校給食ということになるとちょっとステージが違うのかなと思いますので、少し考えさせていただきたいと思います。
#77
○紙智子君 やっぱり子供の成長に関わる大事な問題ですから、これは真剣に検討しなきゃいけないと思うんですよ。
 発がん性の可能性のあるグリホサートを主成分とする除草剤ラウンドアップ、この訴訟が今急増しているんですよね。今年七月には約一万八千件と言われていましたけれども、今や四万二千件だというふうに報道されています。これ、アメリカですけれどもね。
 アメリカ、AP通信は、今月十一月二十五日にメキシコのグリホサートの農薬の輸入禁止ということが報道しております。メキシコ環境省は農業用グリホサートの輸入許可を拒否した。グリホサートの深刻な環境への損害と不可逆的な健康への被害を引き起こす可能性があるという信頼できる推測を前提とすれば、同物質には高い環境リスクがあるというふうに言っているわけです。
 それで、訴訟の増加、メキシコの動きをどのように認識しているでしょうか。これ、厚労省かな。じゃ、農水大臣、外務大臣、一言ずつお願いします。
#78
○国務大臣(江藤拓君) グリホサートにつきましては、直近では平成二十八年に食品安全委員会における安全評価が行われたということでございますが、薬品としての使用方法を遵守すれば健康上の問題はないということになって登録をされているということでありますが、米国とかで大変訴訟が増えているということは私も承知はいたしております。しかし、米国やEUでも同様の評価がされているということもまた一方、訴訟がありながら事実だということも申し上げておきたいと思います。
 このために、直ちにグリホサートの規制を強化することはなかなか、私の所管ではありませんが、難しいのかなと。先ほど申し上げましたように、科学的エビデンスの蓄積によって判断されなければならない部分もありますので、少し考えさせていただきたいと思います。
#79
○紙智子君 日本でも不安があるから、この農民連の分析センターというところに検査依頼が次々来るわけですよ。不安に目を向けてしっかり対応するのが行政の役割ではないかと思います。
 そこで、今年六月、トランプ大統領は、バイオ農産物規制の枠組みの現代化という大統領命を公布しました。除草剤グリホサートに対する過剰な規制を洗い出して、アメリカ国内だけでなく海外でも規制を撤廃することを政府機関に期限を区切って命令していると。まさに世界の流れに逆行する動きが今こうなっているわけです。
 大統領令に沿って日本に圧力があったら、これきっぱりと拒否しますか、外務大臣。
#80
○国務大臣(茂木敏充君) 六月の十一日、農業バイオテクノロジーに関して米国政府としての戦略等を策定します内容の大統領令、トランプ大統領が署名したということを承知をいたしております。内容につきましては、時間もう過ぎておりますので割愛をさせていただきますが、本件について、その後の米国内の状況については公表されておりません。
 また、六月といいますと、まさにライトハイザー通商代表と交渉していた時期真っ盛りでありましたが、この大統領令の話は全く出ておりません。
#81
○紙智子君 答えないですね。出ていないという話じゃなくて、出たら拒否するんですかと聞いたんですよ。
 食の安全をないがしろにするようなこの日米交渉はやっぱり応じるべきでないということを申し上げまして、質問を終わります。
#82
○伊波洋一君 ハイサイ、沖縄の風の伊波洋一です。
 日米貿易協定についてお聞きします。
 今回の日米貿易協定は、本来の交渉はギブ・アンド・テークでなければなりませんが、結果として、農産品はTPP並みあるいはそれ以上に譲り、自動車は先延ばしされてしまいました。
 協定の米側の義務を定めた附属書である附属書Uには、「自動車及び自動車部品の関税については、関税の撤廃に関して更に交渉する。」と明記されております。この訳は外務省の説明書の文言ですが、どう好意的に解釈しても、将来の交渉で関税が撤廃されることまでを確約したとは理解できません。ましてや、いつ関税撤廃が実現するかといった期限が書かれていないことも明らかです。
 外務大臣、これをもって自動車の関税撤廃を勝ち取ったとするのはさすがに印象操作ではありませんか。これはどのような意味でしょうか。
#83
○国務大臣(茂木敏充君) まず、事実関係について申し上げますと、委員の方から、今回の日米貿易協定について、農産品でTPP以上に譲っていると、全くそんな事実はありません。米、調製品も含めて、全く譲許しておりません。水産品も林産品も全く譲許をしていない。そして、TPPワイドの三十三品目、これも全く譲許をしておりません。どこかはみ出している部分があるというのなら、具体的に御指摘ください。事実関係に基づいて議論をさせていただきたい、そんなふうに思っております。
 その上で、自動車、自動車部品の関税につきましては、日米貿易協定の協定の本文及び附属書Uによりまして、その扱い、明確に規定をいたしております。
 まず、協定本文第五条の一におきまして、各締約国、まあここでは日本とアメリカになるわけでありますが、これは、附属書のT又は附属書のUの規定に従って市場アクセスを改善すると両締約国の義務を規定した上で、それぞれの締約国の附属書において市場アクセスの具体的な改善の仕方を記載すると、こういう形式になっております。そして、自動車の方は当然、米側の附属書に出てくるわけでありますが、米側の附属書で、自動車、自動車部品につきましては、関税の撤廃に関して更に交渉する、このように書いてあるわけでありまして、これが、米国が本文の第五条一の規定に基づいて市場アクセスの改善を行う具体的なやり方となるわけであります。
 このように、自動車、自動車部品につきましては、日米貿易協定によりまして関税撤廃がなされることを前提にして、その市場アクセスの改善策としてその具体的な撤廃の時期等について今後交渉が行われることになるわけであります。
 御案内のとおり、TPP12の交渉のときも、自動車については二十五年、トラックについては三十年、こういう極めて長いステージングでありました。今後の交渉によりまして、撤廃時期につきましても、短縮も含めてできる限りの交渉をしてまいりたいと考えております。
#84
○伊波洋一君 今後交渉するということが、それが実現するということや、あるいは期限を確定することにつながることは必ずしも確信できないことであります。つまり、つながらないことが明白であります。
 では、具体的に、何を根拠にこの附属書の文言で自動車関税撤廃を勝ち取ったと言えるのでしょうか。
#85
○政府参考人(山上信吾君) お答えいたします。
 ただいま茂木大臣からるる御説明いたしましたとおり、協定本文の書きぶり、それから協定本文と不可分の一体を成すこの附属書の書きぶりをもって、日本として確保したいことは確保したと考えております。
#86
○伊波洋一君 文字どおり解釈すれば、日本車の関税撤廃については、今後の交渉次第としか書かれていません。
 日本側の義務を定めた附属書である附属書Tには、アメリカ合衆国は、将来の交渉のためにおいて、農産物に関する特恵的な待遇を追求すると明記されています。これについても、この間の委員会審議でも度々問題にされてきました。農業関係者は、この協定以上に、例えば米などの農産物に対し市場開放圧力が掛けられるのではないかと非常に心配しています。
 政府の皆さんは否定していますが、これは、日本側が農産物に関する特恵的な待遇を追求するという米国の立場を受け入れたこと、これに理解を示したことを示すのではありませんか。
#87
○国務大臣(茂木敏充君) まず、自動車、自動車部品についてでありますが、先ほど申し上げたような本文、そして附属書の二段で規定をされておりまして、そしてこれ交渉するのは日米双方において交渉すると。しかも、ウイズ・リスペクト・ツー・ジ・エリミネーションという言葉が入っているんです、関税撤廃という言葉が。一方で、附属書T第二、B節の第一款の五の「アメリカ合衆国は、将来の交渉において、農産品に関する特恵的な待遇を追求する。」と、ウイル・ビー・シーキングという言葉が使われておりますが、旨の規定については、将来の交渉において米国にそのような意図があるということを記載しておりまして、ここでは、日本について何らかの具体的な行動を取ることを義務付けた規定でありません。交渉することを義務付けた規定でもございません。
#88
○伊波洋一君 最終的に撤廃云々と書いてあっても、同時に、追加的な二五%関税という文言も暗に示されて、そういう交渉の場であったということも事実であります。
 政府は、附属書の自動車関税について、主観的な願望を読み込んで、日本に都合よく解釈し、附属書Tの米国農産物の特恵的待遇については、文字どおり米国の意図を述べただけだと説明しています。このように、日本政府による両附属書の説明、解釈の仕方は、姿勢は全く矛盾しており、余りに恣意的であると言わざるを得ません。
 この附属書Uの日本車の関税、附属書Tの米国産農産物の特恵待遇、これらは、協定上、同じ附属書ですから同じ効力を持っています。そうだとすれば、第二弾の交渉で日本が拒んでも、米国産農産物の特恵待遇が実現しないなら、日本車の関税も撤廃されない可能性もある、あるいは、日本車の関税が撤廃されるとすれば、米国産農産物の特恵的待遇も実現するということにもなるのではないでしょうか。どうでしょうか。
#89
○国務大臣(茂木敏充君) それぞれ別の規定であります。
 それで、時間の関係もあるので余り長く繰り返しませんが、自動車、自動車部品については、関税撤廃、これを前提に両国が交渉するということであります。一方、農産品の方、お触れになった部分は、アメリカが意図を持っていると、そして日本については何らの行動を取る義務等も課されていない、記載をされていないんです。どこか記載をされている部分があったら、日本についても書いてあるじゃないかというようなのがありましたら、教えていただきましたらまた答弁をさせていただきたいと思います。
 そして、その上で、今後どの分野を交渉するかと、これはこの協定が発効後の協議によって決められることになっております。そして、どの分野を協議をするということで米国が、日米が合意した場合においても、国益に反するような合意をするつもりはございません。
#90
○伊波洋一君 自動車関税について、当事者の意向は書き込まれず客観的な表現になっている一方、農産物の特恵待遇については米国の意向が明確に表現されています。どちらの条文が強い意味を持っているかは、このことからも明らかではないでしょうか。
 両方とも同じ附属書に明記されているのに、どうして、日本が求める自動車関税撤廃は実現し、米国が求める、米国の求める農産物の特恵待遇は、特恵的待遇は実現しないと言い切れるのですか。
#91
○国務大臣(茂木敏充君) 何度も申し上げますが、自動車、自動車部品については両国がどうするということが書いてあるんです。ですから、その規定に従って関税撤廃への交渉が行われると、その時期が何年になるかと、こういったことも含め交渉が行われるわけでありますが、御指摘の農産品の方は、アメリカがこういった意図を持っているということは書いてありますが、そこで日本は何をしなさいとか、若しくは何をすることに合意するということは全く書いていないわけでありますから、そこは全く違った文脈である、そのように考えております。
 いずれにしても、今後どの分野を交渉するか、これは協定が発効後に行われます協議、コンサルテーションの中で行われると。それによって交渉の分野というのが、日米が合意した分野のみと、交渉されるということになってくると考えております。
#92
○伊波洋一君 時間になりましたが、一方、二五%の追加関税というような、もう交渉にもなっていないようなことがこの妥結を評価する大きなファクターとして議論されていることについては、やはりそういう交渉ではいけないんじゃないかということを申し上げて、終わりたいと思います。
#93
○ながえ孝子君 碧水会のながえ孝子です。
 今日は質問の時間を頂戴しまして、ありがとうございます。
 日米貿易協定についてお聞きする前に、私の地元であります愛媛県で不安の声が上がっているので、ちょっとお聞きしたいことがございます。
 十月下旬以降、愛媛県の山間部を中心に低空飛行が頻発しております。今月、夜間飛行が五回も確認されております。この地域はオレンジルートと呼ばれる米軍機の飛行訓練ルートに当たっておりまして、去年の暮れには、高知沖でアメリカの空中給油機と戦闘機が接触し、二機とも墜落する事故が起きておりまして、地域の皆さん、とても心配していらっしゃいます。もう轟音で飛んできて、墜落するのではないかと思って恐ろしかった、何とかしてほしい、怖い、危ない、何が飛んでいるのか心配などの声が多数上がっております。
 愛媛県では、外務省と防衛省とに、日米合意事項である飛行であるかどうかの確認と、住民が不安である状況を防衛省、外務省経由でアメリカ側に伝えて、住民が不安に感じないように配慮を促してほしいと要請をしているんですね。ところが、昨日現在、愛媛県には外務省、防衛省からの返答はないということなんですが。
 お聞きします。住民の皆さんが不安がっていることをアメリカ側にお伝えいただいたんでしょうか。
#94
○政府参考人(中村吉利君) お答え申し上げます。
 委員御指摘の件につきましては、防衛省において、本件飛行が自衛隊機によるものではないということを確認をした上で、現在、米側に対し事実関係を確認しているところでございます。この飛行に関する情報を米側から得られた際には、速やかに関係自治体に情報提供する考えでございます。
 なお、自治体の方々が不安を抱いているということは我々も重々承知をしているところでございます。飛行に関しましては、安全面に最大限配慮をし、周辺地域に与える影響を最小限にとどめるよう、これまでも累次米側に求めてきたところでございます。その旨は今後とも米側に伝えてまいりたいというように考えているところでございます。
#95
○ながえ孝子君 では、何が飛んでいたんでしょうか。それをちょっと確認していただきたいですよね。自衛隊機でないことは分かったということですね。このままほっといていいんでしょうか。もう一か月ほったらかしなんですよ。今月だけでも五回、夜間飛行が行われている。とても不安ですよ。
 一か月以上、住民の皆さんの不安とか心配とか、それに応えていないということをどう考えているのかということを追及したいんですけれども、大体、日本の空の主権はどうなっているんだということはまた別の場で議論させていただくことにしまして、今日は日米貿易協定の話なんですけれども、根っこは一緒だと思っています。日本はアメリカに譲るばかりなのかと、そんな国民の皆さんの不安は募っているんですよね。いろいろ国民の皆さんがきちんとした判断をしようにも、ちゃんとした数字が出てこない。国会の議論を進めるにしても、要請した正しいデータとか数字が出てこないということですよね。
 改めて、私も疑問に思っている数字をお聞きしたいと思うんですが、この日米貿易協定で日本がアメリカに輸出する際の関税削減額、これ自動車関連というのはまだ確定しておりませんよね。ですから、確定しているという、未確定のところは除いて幾らになるんでしょうか。
#96
○政府参考人(澁谷和久君) お答えいたします。
 これまでも何回か同様の御質問をいただいたところでございますが、先ほど茂木大臣から答弁したとおりでございまして、日米貿易協定では、自動車、自動車部品について更なる関税、交渉による関税撤廃を明記したところでございまして、関税撤廃がなされることが前提となっているため、これを基に関税支払減少額等の計算を行っているところでございます。
 自動車及び同部品を除いて計算することは、あくまで関税撤廃がなされることが前提となっている今回の交渉結果に反するものであり、また具体的な撤廃時期などに係る今後の交渉に悪影響を与えかねないことから差し控えるということでこれまでも答弁させていただいているとおりでございます。
#97
○ながえ孝子君 これまでの衆議院での答弁と同じだなと思って聞かせていただいておりました。
 先ほどの伊波委員の質問、それからお答えなんかを通しても、明記されていないのではないかと私は思っています。普通は、確定しないものについてはいろんなパターンの試算を出すと普通だったら思うんですよね。
 ある新聞社とシンクタンクが、自動車関連の関税が撤廃できなかった場合、アメリカに納める関税削減額を独自に計算してみた、試算してみたら、およそ二百六十億円という数字が出ております。政府が説明している二千百二十八億円の一割ほどに減ってしまうんですよね。だから、国民の皆さん、とても不安だと思います。ウイン・ウインだと言うけれども、本当にそうなのかと。
 重ねて、九月下旬、協定の最終合意を終えたアメリカのライトハウザー代表が記者団に、我々は農業の圧倒的な大部分を手に入れた、アメリカが輸入する乗用車や自動車部品は含めなかった、我々が支払った分は日本よりずっと少ない、さらに、二国間で交渉した方が圧倒的にいいディールができるという大統領の手法が正しかった何よりの証拠だと言っていることが報道されました。ウイン・ウインと安倍総理は強弁されますけれども、圧倒的にやられたんではないかと。
 重ねて、今月二十日、アメリカの下院議会でこの貿易協定に関する公聴会開かれています。そこで、アメリカの自動車労働組合、日本の議論が見送られたことに大変不満の意、反発を示しております。言うには、貿易赤字削減のためには日本車の輸入制限が必要だと、かなり強硬な主張をしております。ということは、これからアメリカ側にまたかなりなプレッシャーが掛かってくるということですから、本当におっしゃるように、この後、自動車関連の関税、完全撤廃できるのか、また私たちは多くを譲って多くを失ってしまうのではないかと国民の皆さんは心配されています。
 失うといえばですね、先ほど来、農林水産分野の話も出ております。その試算の御指摘もいろいろありましたが、私も不思議だなと思って聞かせていただいておりました。
 日米貿易協定での試算、農林水産物の生産減少額の試算ですが、およそ六百億円からおよそ千百億円と出ておりますが、この数字にはTPP11、日欧のEPAなどの到底、当然想定されるべき影響というのが加味されていないばかりでなくて、まだ予算確定していません。その予算で執行されるかもしれないという国内対策が執行されて、実現されて、それが更に効果を発揮して、国内の生産量は維持されるということでの試算なんですよね。余りに都合がいいんじゃないかなと思っております。
 国民の皆さんが仕事をしていらっしゃるビジネスの場、あるいは現場では、そんな試算や見込みは通らないです。リスクは最悪を想定する、そしてダメージは厳しく測っていくということなんですが、TPPのときでも、影響試算というのは、競合する国産品は原則として安価な輸入品に置き換わる、つまり生産量が減る可能性を含めて試算は出されていたように思うんですね。
 ですから、こういう甘い試算を出されると、かえって国民の皆さんの心配や不安は払拭できないのではないかと思うんですが、江藤大臣、試算、やり直しませんか。
#98
○国務大臣(江藤拓君) お答えから申し上げますと、やり直すつもりは正直ございません。
 というのはですね、これだけ、これまで出した算出方式は、直近の生産額に単価を当てはめて、まあ言い方は悪いですが、極めて機械的に出したものでございます。過去にも出してまいりましたけれども、これまで一兆二千九百三十四億円の体質強化策をずっとやってまいりました。そして、日本中でかなり明るい兆しは、この効果、確実に現れています。
 ですから、今回、委員がおっしゃるように、これから補正予算の段階で、TPP等関連対策大綱に基づいた予算の編成がまだ出されていないじゃないか、これについてイレギュラーであるという御指摘は、これまでのやり方とは違うということについては率直に認めたいと思います。認めたいと思いますが、しかし、内閣として必ずやるということを決めておりますし、省内でも、御党でもそうかもしれませんし、それぞれの党でどのような対策であるべきかという議論は積み重ねられておりますので、この内容が発表された暁には、ああ、しっかりしたものだという御評価をいただけるようにやることが私の責務だというふうに考えております。
#99
○ながえ孝子君 お気持ちはよく分かるんですけれども、まだ執行されていない、現実となっていないものの上に、これは自然相手の産業でありますので、それが効果を発揮するかどうかということもよく分からないところが多分にあります。そういったところを試算の中に含めてしまってそれしか出さないというのはやっぱりおかしいのではないかなと、誠実さに欠けるのではないかと思いますが、それが普通の、私たちが、普通に生活している国民の皆さんの中ではそういう試算は通らないと思うんですが、大臣、いかがですか。
#100
○国務大臣(江藤拓君) 先ほど申し上げましたように、これまでの出し方と違うということについては率直に認めさせていただきたいと思います。
 しかし、これまで積み重ねてまいりました関連対策の一兆三千億円余りのものは現場で受け入れられ、そしてそれを活用していただき、そして成果も現場で上げていただいております。そして、今回の影響試算におきましても、先ほど、影響試算よりも一部のメディアで放送されている対策の予算の額が大き過ぎるんじゃないかという御指摘もありましたけれども、将来のステージングの変化にも対応できるような国内対策をしっかりやるのが私の責務だと思っておりますので、御意見があったら是非お聞かせいただきたいと思います。
#101
○ながえ孝子君 現状把握と正しい将来予測があって初めてしっかりとした対策が立てられると思っています。是非、国民の皆さんの安心のためにもしっかりとした試算をやり直していただきたいなとやはり思っていますし、いろんなデータをしっかりと出して、しっかりとした判断、議論ができるようにしていただきたいということをお願いして、質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#102
○安達澄君 七月の参議院選で大分選挙区から初当選をさせていただきました安達澄と申します。無所属です。議員や政治の経験はありません。主にずっと民間企業でサラリーマンをやっておりました。本日は、そのサラリーマン時代の経験や視点から質問をさせていただきたいというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 私は、以前、鉄鋼メーカーに勤務をしておりまして、鉄鉱石とか石炭とか、そういう資源を買い付けて、そしてそれを輸入する、そういった部署に所属をしておりました。ですので、海外との交渉、これはもう大変にタフなものだというふうに重々承知をしております。どちらかが一方的に勝つ、そういった交渉はなくて、仮に一方的に勝ってしまうと、必ずまた後からやり返されたりしてしまいます。ですので、双方のウイン・ウインが大事であって、お互いにぎりぎりのところで、五十一対四十九、それぐらいのところでやっているんだろうというふうに思います。
 ですから、今回の交渉結果ですけれども、茂木大臣が言うところの日米双方にとってウイン・ウインな合意が本当ならば、それは大変お疲れさまでしたと労をねぎらって感謝をしなくてはいけないと思います。ただ、それはウイン・ウインというのが本当ならばということなんですけども。
 今回の結果が本当にウイン・ウインなのか。私はどうも怪しいなというふうに感じております。どこが。言うまでもなく、これまでずっと話も出てきていますけれども、自動車分野に関する関税撤廃のところであります。茂木大臣のお言葉をお借りすれば、関税の撤廃に関して更に交渉するという非常に曖昧な表現にとどまっていると思います。
 民間企業で交渉の仕事をするときに特に気を付けた、気を遣ったのは、契約書に盛り込む文言であります。政府が説明するように、関税撤廃が前提になっているというならば、もっと具体的な文言を入れるべきだったんではないかというふうに思っています。英語で言うところのウイズ・リスペクト・ツー・ジ・エリミネーション・オブ・カスタム・デューティーズですね。そのエリミネーションの前に例えばスケジュールやスキームという文言を入れるべきではなかったかと思います。関税の撤廃に関して更に交渉するではなく、関税の撤廃の時期やスキームに関して更に交渉するというふうにしておけば、関税撤廃は約束済みのものとして次からの交渉がスムーズに始められたというふうに思います。
 大事なところでこの曖昧な表現、絶対譲ってはいけないところでこの玉虫色の表現。先ほど、書きぶりで関税撤廃が確保されているというふうにおっしゃっていましたけれども、これ、私が以前勤めていた会社であれば、恐らく上司から駄目出しを食らってしまって、もう一回おまえ、交渉し直してこいというふうに言われたと思います。
 茂木大臣、新人議員の私に教えていただきたいんですけれども、おこがましいですけれども、民間の感覚からすると詰めが甘いなというふうに思うんですけれども、政府間の交渉というのはいつもこんな感じなんでしょうか。
#103
○国務大臣(茂木敏充君) 安達委員から詰めが甘い、交渉力が弱いとおっしゃるんだったら、甘んじて受けさせていただきます。ただ、国益を懸けて全力で交渉したつもりであります。そして、日米の貿易交渉、これは決してゼロサムゲームではありません。ポジティブにできると、お互いにとって。つまり、必ずしも両側の関心というのは一緒ではないわけですから、ポジティブサムなゲームができる、結果的にウイン・ウインの結果になっていると思っております。
 いただきました表現、これは最終的にライトハイザー代表と詰めた上で決めたものでありますが、ウイズ・リスペクト・ツーの後がカスタムズ・デューティーだったら明確でありません。ただ、ウイズ・リスペクト・ツーの後にきちんとジ・エリミネーションという言葉が入っているので、明確に関税撤廃が前提になっている、これは誰が見てもそういう文章だと思います。
 必ずしも民間の常識と違うとおっしゃるんでしたら、先生のお考えはお考えとして伺いたいと思いますが、私もかなり民間におきましては難しい交渉等々もやってまいりました。
#104
○安達澄君 でも、次の交渉のことを考えると、やはり具体的な芽、文言をきっちりと、スキームとかスケジュール、入れた方が次の交渉がやりやすかったんじゃないんですか。どうでしょうか。
#105
○国務大臣(茂木敏充君) あらゆることについて一方的に日本側の要求だけのませて、アメリカ側の要望については何も聞かないと、これでは恐らく交渉というのはまとまらなかったろうと思っております。
#106
○安達澄君 私も、先ほど申したとおり、交渉というのは五十一対四十九のぎりぎりのところだと思うんですが、どうもこの表現だとやはり弱い、曖昧だというふうに思ったから質問をさせていただきました。
 次は、これも非常に問題になっています附属書B第一款の五に規定されている文言です。先ほどもありましたけれども、「アメリカ合衆国は、将来の交渉において、農産品に関する特恵的な待遇を追求する。」とあります。これ、この規定の前後の文脈から、とても唐突感を感じました。何でここにぽんと書かれているんだろうという唐突感ですね。
 この第一款の五に規定されているその他の内容というのは注釈的なものが主体です。例えば、〇・一%未満の数字は切り捨てるとか、そういうものですね。そんな内容が主体なんですけれども、これも教えていただきたいんですけど、なぜ唐突にこの文章が入ってくるんですか。邪推すると、やはりアメリカ側から押し付けられたのではないですか。お願いします。
#107
○政府参考人(山上信吾君) お答えいたします。
 ただいま御指摘の附属書のT第B節第一款のパラグラフの五ですが、茂木大臣から度々御説明申し上げてまいりましたが、ここ、主語はアメリカ合衆国でございます。「アメリカ合衆国は、将来の交渉において、農産品に関する特恵的な待遇を追求する。」という規定でございまして、ここには自動車、自動車部品について記したような撤廃とか交渉という文言ございません。アメリカ側にそのような意図があるということを単に記載したものでございます。
 この記載は、日本について何らかの具体的な行動を取ることを義務付けた規定ではございません。そういう意味で、我が国の国益に反する内容にはなっていないと考えております。
#108
○安達澄君 今の答弁なんですけれども、やはり聞いていて非常に驚きなのが、これはアメリカの、合衆国の意図というものが書かれているだけであって、決して合意事項ではない。先ほど、日本への義務付けではないというふうにもおっしゃっていましたけれども、そういった合意していない前提の文章を公式の文書に記載する、こういうこともやっぱりよくあることなんでしょうか。民間の感覚からいうと、お互いに合意していないものを文書に残すというのは非常に違和感を感じるんですけれども、教えてください。
#109
○政府参考人(山上信吾君) 個々の交渉の経緯を明らかにすることは差し控えさせて、相手方との関係もございますので差し控えたいと思いますけれども、現在お示ししているこの協定の文言というものは日米両政府間の交渉の結果決まってきたものでございます。
#110
○国務大臣(茂木敏充君) 交渉の結果です、これは。ただ単にアメリカ側の意図が書いてある、そして日本側の義務は規定をされていないと、こういったことでありまして、日本の国益に何ら反するものではない、そういう判断を交渉責任者としてさせていただいたと。
 これまでの交渉、様々な交渉あります。じゃ、同じ文章かと、全部文章違いますよ、基本的に。同じ文章で、民間の契約にあるようなそのまんまの文章を使ってやっていくと、値段だけ変えるのとは違うのが貿易交渉です。
#111
○安達澄君 私がここまでしつこく言うのも、やはり非常に大事な肝の部分だからここまで言わせていただいております。
 非常にやっぱり危惧するのは、自動車分野、玉虫色、曖昧な約束ゆえに、言われていますけれども、これから我々側が自動車の分野で関税撤廃を強く主張したときに、必ず逆にこの農業のこの附属書の規定をもってアメリカ側が農業分野で強く要求迫ってくるんじゃないかと、バーター取引をしてくるんじゃないかというふうに思います。私がアメリカ側の立場だったらバーター取引をしますよ。そのことを農家や生産者の方は一番恐れているわけです。ですから、関税撤廃は約束済みだというならば、だからこそきちんと具体的な文言を残すべきだったと、日本の農業を守るためにも残すべきだったと私は思います。
 江藤大臣、先ほどの答弁でもありました。先日もおっしゃっていましたけれども、職責を懸けて国益に反するものは受け付けないという旨の答弁をされましたけれども、改めて、済みません、事前通告なしで恐縮ですけれども、今もその決意は変わりませんか。
#112
○委員長(北村経夫君) 時間が来ておりますので、答弁は簡潔に。
#113
○国務大臣(江藤拓君) その決意に何ら変わりはございません。
#114
○安達澄君 有言実行、今のお言葉を信じて、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#115
○委員長(北村経夫君) 他に発言もなければ、本連合審査会はこれにて終了することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#116
○委員長(北村経夫君) 御異議ないと認めます。よって、連合審査会は終了することに決定いたしました。
 これにて散会いたします。
   午後零時七分散会
ソース: 国立国会図書館
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