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1951/03/19 第13回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第013回国会 外務委員会 第10号
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1951/03/19 第13回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第013回国会 外務委員会 第10号

#1
第013回国会 外務委員会 第10号
昭和二十七年三月十九日(水曜日)
    午前十時四十二分開議
 出席委員
   委員長 仲内 憲治君
   理事 小川原政信君 理事 近藤 鶴代君
   理事 並木 芳雄君 理事 戸叶 里子君
      大村 清一君    菊池 義郎君
      北澤 直吉君    栗山長次郎君
      中山 マサ君    小川 半次君
      林  百郎君    黒田 寿男君
 出席政府委員
        人事院事務総局
        法制局長    岡部 史郎君
        外務政務次官  石原幹市郎君
        外務事務官
        (大臣官房長) 大江  晃君
        外務事務官
        (大臣官房審議
        室勤務)    三宅喜一郎君
 委員外の出席者
        專  門  員 佐藤 敏人君
        專  門  員 村瀬 忠夫君
    ―――――――――――――
三月十八日
 委員林百郎君辞任につき、その補欠として柄澤
 登志子君が議長の指名で委員に選任された。
三月十九日
 委員柄澤登志子君辞任につき、その補欠として
 林百郎君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
三月十四日
 安全保障條約締結に伴う駐留地域の決定に関す
 る請願(永井要造君外三名紹介)(第一四四五
 号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 千九百四十六年十二月十一日にレーク・サクセ
 スで署名された議定書によつて改正された麻薬
 の製造制限及び分配取締に関する千九百三十一
 年七月十三日の條約の範囲外の薬品を国際統制
 の下におく議定書への加入について承認を求め
 るの件(條約第二号)
 外務公務員法案(内閣提出第四五号)
    ―――――――――――――
#2
○仲内委員長 ただいまより外務委員会を開会いたします。
 まず外務公務員法案を議題といたします。前会に引続きまして質疑を許します。小川半次君。
#3
○小川(半)委員 この外務公務員法案の内容を通覧しますと、私たちとして数箇点修正しなければならぬと思う條項があるわけですが、他の委員諸君からも、それぞれ御質問があることと思いますから、私は一、二点のみにとどめておきます。
 まず第一番に、第八條を見ますと、「大使及び公使の任免は、外務大臣の申出により内閣が行い、天皇がこれを認証する。」ということになつております。私は結論として申し上げますが、この大使及び公使の任免については、国会の承認を得るという、この点をこの第八條に加えてほしいと思うのです。大使及び公使は、場合によつては国を代表してそれぞれの国と交渉し、あるいは相談し、ときには相当重大な問題――條約にひとしいような問題なども相談する権能、権限を有するのでありまして、憲法第七十三條と関連する、外国とのそれぞれの重要な問題を取扱う立場にあるわけでありますから、大使、公使の任免にあたつては、ぜひとも国会の承認を得るという、こういう字句を加えた方が、私は非常に民主的でよいのではないかと思うのです。この点について、きようは石原政務次官から政府のお考えをお示し願いたいと思います。
#4
○石原(幹)政府委員 ただいまの御意見についてでありますが、大使、公使その他はやはり外務公務員といいますか、一種の行政官でございまして、これは申し上げるまでもないと思うのであります。国会の承認をただいま得ておりますのは、人事官であるとかあるいは会計検査官といいますか、そういうふうな種類の公平官、裁判官的色彩を持つておるような人を、主として国会の承認という形をとつておるようであります。大使、公使はやはり一種の行政官でございまして、行政の府の責任にある内閣がこれを任免する、これが普通の行き方であろう、こういう考え方から、原案のごとくになつておるわけであります。
#5
○小川(半)委員 單に外務大臣とかあるいは内閣が任免するという場合と、国会の承認を得るという場合と、どちらが民主的かということになると、国会の承認を得るということは、これはきわめて民主的だと私は思います。特に広く人材を見る場合、一部の内閣の片寄つた考え方、見方から見るよりも、広く国民代表の国会の人たちの見る見方というものは、より広いし、より有能な人材を見るであろうし、従つて、やはりいずれにしてもその方が民主的だと、こう私たちは見ます。もちろん大使、公使というものは、これは行政の任務を担当する人たちには違いないのですか、だからといつて、こういう国を代表して、各国との重要な任務を担当する職務の人を、やはり国民が納得の行く民主的な立場から、こういう人たちの任免には、国会の承認を得るという方が、私は憲法の精神からいつてもいいと思います。もしそれ内閣自体が、あるいは外務大臣が、極端なる反動的であり、極端なる非民主的であつて、その反動的、非民主的な考えの外務大臣なり内閣が任免したとすれば――現在の吉田内閣はそうでないでしよう。あるいは外務大臣はそうでないでしよう。しかし将来どういう反動的な、どういう非民主的な外務大臣あるいは内閣ができないとも限らない。ところがその反動的な内閣のもとに、一々その内閣の気に合うような大使、公使が選ばれるということになると、これは国家のために非常に禍根を残すものであるから、将来のためにも、大使、公使の任免は、どうしても国会の承認を得るということにした方が、いずれの場合においても、やはり国民が納得するし、非常に正しいし、民主的であると思うのです。現在のみを考えてはならぬと思うのです。現在は、率直に言えば、非常に反動的です。けれども、将来より反動的な、より非民主的な内閣ができないと、だれが保証できるでしようか。そういう内閣か、内閣のかつてに、自分たちの好む者を、自分たちの側近者を、自分たちにへつらつて乗る者のみを、大使、公使に選ぶということになれば、一体これで日本のためによいと石原次官はお考えなんでしようか。私はこれはどうしても、国会の承認を得るという点を加えた方が、最も民主的であり、正しいと思います。
#6
○石原(幹)政府委員 一応の御意見であるとは思うのですが、先ほど申し上げました以外に、なお一、二申し上げしみますと、大公使の任命につきましては、御案内のごとく、相手国のアグレマンを求めることが、やはり必要なりでありまして、これは極秘裡と申しますか、事前に、秘密裡にそういう折衝を行うということもあるのでございまして、その前に国会にかけて承認を得るというようなことをとることも、いかがかと考えられますし、それから諸外国の例を見ましても、大部分の国におきましては、こういうやり方でございまして、ただアメリカが上院の外交委員会の、何か承認を得るとかいうことになつておるようでありますが、この上院の外交委員会は、一種特別な組織といいますか、機構を持つておるようなものでございまして、普通の一般の外国の例にも従い、また先ほど申し上げましたアグレマンをとる必要等の関係から、こういう形をとつておるのであります。
#7
○小川(半)委員 どうも石原次官といくら議論しても、たよりなくてしかたがない。大使、公使は、いずれ後ほど他の委員からも御発言があると思いますが、大使、公使以外に、私はいろいろ職員を採用する場合について、政府のお考えを求めたい。私は昨年ずつと各国を歩いて来まして、特にアメリカなどで、アメリカの新聞記者諸君と会見したときに、どうも日本の外交官は、われわれと愉快に話し合うというような外交官のいないのを非常に遺憾に思う、非常に何だか暗い感じを與える。結局それは、一応外交官試験には通つていても、外国なれといいますか、外国ずれといいますか、そういう点に乏しいのです。ですから外国の新聞記者やら外国人がひとつ大いに遊ぼうじやないか、いろいろ語ろうじやないかといつても、すぐ何とか要件を言い出しては逃げちやつたり、一向つき合つてくれないというのですね。こういうことでは結局日本の立場においても、日本は不利であるから、どうしても積極的に外人と交わり、積極的に外人記者などと語り合い、ときには一緒に愉快に飲み食いのできる、そういう明るい外務職員などを日本が採用する必要があるということを言つておつたですが、そういう点などを考えてみるときに、結局日本の国籍を有しておる人で、アメリカなどに相当有能な人材がおるわけです。そういう人たちを私はたとえば副領事とか、あるいはある程度の地位に採用して、そういう人たちをまず向うの新聞記者あるいは向うの公務員でなくとも、一般民衆と接する場合でも、長くその土地にいて、その土地の事情のわかる、そういう人を採用する必要があると思う、アメリカにおる日本人で有能な人もかなり数多くおるのですから、そういう中から私は採用された方がいいじやないかと思いますが、政府のお考えいかがですか。
#8
○石原(幹)政府委員 ただいま小川さんから申されました点は、もちろんあるのでありまして、そういう意味からいたしましてこの公務員法第十條にも、「選考によつて外務職員を任命することができる。」というような規定もあるのであります。それからただいまの御意見等は十分考えまして、これは今後の再教育あるいは教育の問題にもなるのでありますが、外務公務員の研修等の場合におきましても、そういうことは十分考えて行かなければならぬことである、かように考える次第であります。
#9
○小川(半)委員 それから第十六條の査察の制度であります。これはまあないよりもあつた方がよいと私たちはもちろん考えますが、この査察を見ましても、これは外務大臣の任命する人が査察使として派遣されることになつておるようであります。こういう場合でも少くともせめて国会の外務委員会にだけでも諮つて、この査察使はこういう人物を出したいという、これは外務委員会などのやはり相当了承とか、あるいは承認を得るということにしてもらいたいと思うのですが、これについていかがですか。
#10
○石原(幹)政府委員 ただいまのお話も、これは事実問題といたしまして、いろいろ御意見承りましたり、あるいは御意見のあるところを拝承して考えて行くというようなことがもちろん適当であり、そうあらねばならぬと思うのでありますが、制度といたしまして査察使選任に外務委員会の承認を求めるとかどうとかいうことは、これはただいまのところではいかがかと、かように思つております。
#11
○小川(半)委員 どうも全般的に見て、外務公務員法案は、結局すべて国会の立場が全然無視されて、国家の立場を代表して諸外国との間の重要な任務を担当する、その役割の人々を選ぶのに、国会が何らのくちばしをいれる余地のないようにできてしまつておるのですが、これはやはり、全般的な点でありますが、特にこの中でも人事などをいろいろ選ぶところの議会においても、審議会は委員五人で組織するということになつております。そのうち人事院職員のうちから一名、あるいは外務公務員の中から一名、学識経験のある者の中から三人を外務大臣が任命するということになつておる。私はやはりこういう点でも、外務公務員の中から一名、これは外務大臣が任命することは当然だと思います。人事院職員の中から一名、これは内閣が任命することは必要だと思います。あとの学識経験の中の三人、これも外務大臣が任命するということになつておる。私はこの三人は、やはり少くともこれだけは、国会の承認を得なければならぬものだと、こういう解釈を持つておるのです。外務公務員の中の一名、これは外務大臣が任命するということはいいでしよう。また人事院職員の中の一名、これは内閣が任命することはいいでしよう。しかし、少くともあとの学識経験の三人だけは、これは国会の承認を得る、こういう制度にぜひしなければならぬと思いますが、政府のお考えを示してください。
#12
○石原(幹)政府委員 これは外務大臣という一つの行政機関のもとで手助けをする、調査とかあるいは事前審議をする一つの機関でございまして、従いまして、先ほどから申しておりますように、どうもこの委員を国会の承認を得てというところの考え方にまで至つていないのであります。
#13
○小川(半)委員 それではこの箇條をどうしてこうしなかつたのですか。要するに、委員は外務公務員のうちから、あるいは人事院と、一々そういうことをせずして、委員は五名として、五名は内閣において任命するということにすれば、それでよかつた。一々こういう何となくまわりくどいような、ちよつと見て非常に広範囲で民主的に選んだような、條文だけはそういうかつこうにしておいて、結局これは外務大臣が任命するということになつておりますが、これは先ほど私が申し上げたように、だれが見ても、だれが聞いても納得行くようにするには、やはり外務公務員のうちの一名は外務大臣が任命して、人事職員の一名は内閣で任命して、あとの三名は国会の承認を得るということが一番民主的じやないですか。でなければ、こういうまわりくどいことをせずして、委員五名は内閣が任命するという簡単な條文でいいと思うのです。内閣がすべて任命するというのであつたなら、かつてにやればいい。こういうぐあいに区切つているのだつたら、せつかく区切つているのだから、三名は国会の承認を得るということが、私は一番民主的だと思います。
#14
○石原(幹)政府委員 外務公務員に関しまするいろいろなことを外務大臣のもとで調査審議するのでありまして、これはやはり相当事務的のことも含まれておりますので、一人は外務省の者から選び、また人事に関することが多いのでありますから、人事院から一人を選ぶ、これは必ずそうしなければならぬということをうたいまして、あとの三人は、外務大臣が最も適当と思う者を学識経験者の中から選ぶ、これは先般も申し上げたのでありますが、いわゆる外交的の経験者から選ぶのももちろんでありますが、人事公平官的の色彩の経験者等からも考えるように、そこはひとつ外務大臣が最も適当な人を選んで行かなければならぬと考えておるのであります。
#15
○仲内委員長 北澤直吉君。
#16
○北澤委員 私は前回の委員会におきまして、二、三質疑したのでありますが、それに継続しまして、お尋ねしたいと思います。
 まず第一に伺いたいのは、外務職員の官職の格付の問題であります。この法案の第五條によりますと、外務職員については、官職の格付は外務大臣が行う、ということになつておるわけでありますが、従来の外務省の例を見ておりますと、一つの大きな欠点があつたのであります。たとえばある人が上海の総領事あるいは香港の総領事として、そこに長いことおつて、非常に適任であつたにかかわらず、上海の総領事だと勅任官までしか行けない、香港の総領事だと勅任二等までしか行けないというので、せつかくその人が長くおつて適材であるにかかわらず、その人を上げるために、よその官職に移さなければならぬというようなことがあつた。そういうことを考えますと、同じ総領事でも、イギリスなどずつとりつぱな地位まで行ける。たとえばイギリスの上海総領事は最上のところまで行つている。そしてあそこに十何年もおりまして、階級は最上まで行ける、こういうことであつた。ところが日本の場合には、総領事はどこまで、領事はどこまでときまつていて、せつかく適任であるにかかわらず、その人を昇任させるためによその官職に転勤させるということがあつたのでありますが、今回の格付によりますと、そういう弊害は一掃されるのかどうか、この点をひとつ伺いたい。
#17
○大江政府委員 ただいまの御質問は、一箇所に非常に適任な総領事なり何なりが長くおつて、その人の在勤俸をどんどん上げられるかという御質問でございますが、近く国会で御審議を願います新しい海外における外務公務員の給與の法律によりますと、在勤俸というものは、特定のところの総領事俸に在勤俸を限定しておりませんので、年限がたてばたつほど上に上るという道が開かれております。
#18
○北澤委員 そうしますと、たとえばどこかの総領事あるいはどこかの書記官、あるいは外務省のある課長でもいいですが、その人がその職に長くおれば、そのままの地位で、たとえば最高の何級まで行けるというような措置になつておりますか。あるいはたとえば外務省のどこの課長はどこまでしかしれない、あるいはどこどこの総領事なら、本俸をここまで上げれば、その上には上げない、そういう制限はないのかどうか、この点を伺いたい。
#19
○大江政府委員 総領事あるいは領事、こういうものは公の名称でございますから、いわゆる階級とは関係がないのでございます。在勤俸は無制限に上げるというわけには参りませんが、相当幅を広くとつてありますので、在職年数等に応じまして、相当高いところまでは上げることができるということになつております。
#20
○北澤委員 ただいまの政府の御答弁によりますと、官職にかかわらず、在勤俸とかあるいは俸給というものは、相当高いところまで上げられるというお話でありますが、従来はそういう点について外務省に欠陥があつたのであります。その人の階級を上げるために、せつかく適任であるにもかかわらず、適任でないところへ動かさなければいかぬ、こういうために日本の外務省に非常に欠陷があつたのであります。アメリカあるいはイギリスのように、適任者は十年も二十年もおれる、そのためにまたどこまでも上げられるということにしておけば、その人は安心してそこに十年も二十年もおるということになると思います。
 もう一点伺いたいのは、どうも従来の日本の外務省を見ておりますと、専門家を養成することが少い。たとえばアメリカの国務省、イギリスの外務省におきましては、専門家を非常に養成する。たとえばアメリカの国務省などチャイナ・サービスと申しまして、中国関係のものはずつとやつておる。ところが日本の外務省を見ておりますと、多少専門家を養成しますけれども、中国あるいはロシヤ、あるいはイギリスというふうに、二年くらいずつばらばらにやる。従いまして世界各国の事情には通ずるかもしれないが、ある国に対する専門的な知識は欠けている。そういう点アメリカの国務省、イギリスの外務省などは、一つの場所に十何年も置くというふうになつておつて、ある国に対する専門的な外交官が非常にたくさんできる。日本の外務省にはそれが少いのであります。まれな例は、日本の外交官で非常に有名であつた齋藤大使、あの人はアメリカに十七年もおつた。ああいうふうに一つの国に十七年もおれば、その国の人情風俗がよくわかる。ところがそのほかの人は、こま切れのようにアメリカへ行つたり、イギリスへ行つたりしている。従つて間口は非常に広いが、奥行きは非常に狭い。こういう外交官がたくさんいたのでありますが、今度こういうふうな外務公務員法をつくりまして、今申しましたように、たとえば上海の総領事であつても相当上まで上れる、こういうことになりました以上は、従来のそういう弊害を一掃して、なるべく専門的な外交官をつくつていただきたい。チャイナ・サービスならチャイナ・サービス、ソ連サービスならソ連サービス、イギリス・サービスならイギリス・サービスというふうに、長くおつて、その国の風俗をよくわかる人を養成してもらいたいと思いますが、それに対する政府のお考えを伺いたいと思います。
#21
○大江政府委員 ただいまの北澤委員の御意見はもつともでございまして、外務省もただいま事務当局といたしまして、各国の外交官のそういう専門的の数字その他を一、二調べておるのでございます。これを現在の日本の外務省に適用すると、どういうふうになるかということも内々研究中でございます。戰前はいろいろな特殊の世界情勢その他によりまして、ただいまお話のように、専門家の養成ということに欠けるところがあつたと思いますけれども、今後は事務当局といたしましても、ただいま申しましたような研究を基礎といたしまして専門家の養成に努力したいと考えております。
#22
○北澤委員 では次に第三章任免の点で伺いたいのですが、この第七條によりますと、「国家公務員法第三十八條の規定に該当する場合の外、国籍を有しない者若しくは外国の国籍を有する者又はこれを配偶者とする者は、外務公務員となることができない。」こういうふうになつておるわけであります。国家公務員法第三十八條の規定というと、いろいろあるのでありますが、たとえば禁治産者もしくは準禁治産者はなれないというようなことがあるのでありますが、これに対して伺いたいのは、「外国の国籍を有する者又はこれを配偶者とする者は、外務公務員となることができない。」この規定であります。従来は外務省の内規によりまして、外国人の奥さんをもらう場合には、何か外務大臣の許可を要するというようになつておつたと思うのでありますが、今回の法律によると、外国の婦人を配偶者とする人は外務公務員となれないというような、非常な嚴格な規定になつておるのでございます。憲法の第十四條によると、国民はすべて法の前に平等である。政治的、経済的においても平等である。にもかかわらず、外国人の奥さんをもらうと外務公務員になれないというようなことでありますと、憲法第十四條から見ますと、非常に嚴格過ぎるように思うのです。こういうふうな外国人を奥さんに持つた者は、従来のように、許可があればなれるというのではなくて、今回は外務公務員となれないというような大分進んだ規定になつておるのでありますが、憲法第十四條とこの第七條との関係について政府の見解を伺います。
#23
○石原(幹)政府委員 これは日本の国籍を得ればなれるのでありまして、外国人のままであれば、あるいは外交官の特権を駐在国において得る場合とか、いろいろな場合に不都合等のあることも考えられますので、今回このような規定を設けておる次第であります。
#24
○北澤委員 日本の国籍を得ればということになるのでありますが、それは大体原則として日本人の奥さんになれば日本国の国籍に入ると思うのでありますが、そうでない場合もある。そういう外国人を配偶者とする場合には外務公務員となれないというのは、どうも従来と比べて少し進み過ぎているのではないか。従来のように、許可があればそういう場合にもなれるというふうにせず、こういう法律において当然失格することは少し行き過ぎているように私は思うのですが、憲法第十四條の関係、要するに、本人は日本人であつても、奥さんが外国人の場合には外務公務員になれないということは、どうも憲法にいう基本的人権にも多少関係があると思うのでありますが、その点についてもう一ぺん伺いたい。
#25
○石原(幹)政府委員 国籍を得ればという言葉の使い方がちよつとまずかつたと思うのでありますが、外国の国籍を離脱すればというふうに訂正しておきます。
 それからただいまの重ねてのお尋ねでありますが、先ほど申し上げましたように、全然禁じておるわけではないのでありまして、国籍を離脱すればこれは当然かまわぬことであります。外交官の特権、外交官としての活動を十二分にやりまするために必要な措置をとつておるわけであります。
#26
○北澤委員 国家公務員法第三十八條を見ますと、その五に「日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者」は、日本の公務員になれない、こうなつているのでありますが、外務公務員の場合には、一般公務員の場合以上に、その個人が国家に対して忠誠を誓う、一般の国家公務員以上に外務公務員については嚴重な規定がなければならぬと思うのであります。というのは、たとえば将来ソ連との間に平和関係が回復して、ソ連に日本の大使館ができるという場合に、ソ連に行つている日本の大使館の職員が、たとえば共産党には入らないにいたしましても、日本の政府に対する忠誠が欠けておる、こういうふうな場合には、やはりそこに何か外務公務員なる資格がなくなるというふうにしなければならぬと思うのであります。現にアメリカの国務省では、いわゆるセキユルテイ・テストですか、公務員が共産党以外の場合でも、国家に対して忠誠が十分でない場合にはやめさす、こういうようなことをしておるのでありますが、そういう場合におきましても、外務職員の場合にも、国家公務員と同じように、ただ日本の政府を暴力で破壊するようなものに入つたものはいかぬが、それ以外のものはよろしい、こういうふうに、外務職員と国家公務員の差別はつけてないのでありますが、それで十分でありましようか、私はその点を疑うのであります。特に私が申し上げたいのは、野党の諸君は外交には秘密はないというのでありますが、外交ほど秘密を伴うものはないのであります。ちようどワシントン会議のときに、日本の暗号電文が全部米人ヤードレイによつて盗まれた。暗号が盗まれたら外務省の仕事はできないのであります。そういうふうに、外交交渉におきましては普通の一般公務員の場合と違つて、特に国家に対する忠誠の義務と申しますか、そういうものは非常に重大だと思うのであります。今回のものを見ますと、そういう点について一般公務員と外務公務員の間に差がないように思うのでありますが、それで十分でありますか、もう一ぺん政府のお考えを伺いたいと思います。
#27
○大江政府委員 国家公務員法の第三十八條の五号の規定では十分でないかという御意見でありますが、御承知の通り、人事院規則におきまして、公務員は就任に際しまして忠誠を誓つております。外務公務員ももちろん同様の措置をとるのであります。外務公務員が特に忠誠を必要とするかどうか、これは御意見と存じますけれども、外務省といたしましては、当然採用の際、
 その他特にそういう点につきまして遺漏なきよう調査その他は進めておりま
 して、一応これで十分ではないか、こういうふうに考えております。
#28
○北澤委員 そうしますと、外務職員を採用する場合には、忠誠を誓わせる。もちろん、その誓つた忠誠をよく守らない場合には、政府はこれを懲戒処分に付して適当に処分する、こういうことになりますか。
#29
○大江政府委員 その通りでございます。
#30
○北澤委員 それでは次の問題に移りまして、特別職の外務公務員の任免の問題でございますが、大使及び公使の任免の場合は天皇がこれを認証する。ところが大使または公使よりもつと重要であると思われるような政府代表、全権委員という場合には、これは認証がないのであります。しかも全権委員の持つて行く全権委任状には天皇が認証する。政府代表及び全権委員というような非常に重大な職務を行う人は、大使及び公使と同じように、その任免については天皇が認証するというふうにした方が、国際的にもいいだろうし、また国内的にもいいと私は思うのでありますが、特に政府代表及び全権委員の場合には認証を必要としないというふうにしました政府のお考えを伺いたいと思います。
#31
○石原(幹)政府委員 これはお説ごもつともなところもあるのでございますが、政府代表及び全権委員、ごとに全権委員等には非常に重要な場合もあるのでありますが、政府代表としてただ会議に出るというような場合には、それほどでもない場合もあるのでございます。従いまして大公使の任免については天皇の認証ということになつておりますが、政府代表及び全権委員は内閣、こういう考え方で進んだわけであります。
#32
○林(百)委員 ちよつと関連して。先ほどの北澤委員の質問に看過しがたい問題を見出したのであります。国家公務員法第三十八條の「日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者」これを、北沢委員はあたかも共産党がこれに該当し、また日本共産党とソ連とが特殊の関係にあつて、ソ連に行つている外交官がソ連の政府といろいろ関係する場合のことを考慮して、特に嚴重な忠誠の義務を負わせるべきだということを言われておりますが、一体この政党が共産党をさすのかどうかということ、それからそれがソ連とどういう関係があるというように政府はお考えになつておるわけですか。
#33
○石原(幹)政府委員 現在では直接さしておるわけではございません。
#34
○林(百)委員 そうすると外務公務員が共産党に入党することは自由だと思いますが、その点はどうです。
#35
○石原(幹)政府委員 法律的といいますか、ただ理論的にいえば、これは自由であろうと思います。
#36
○林(百)委員 理論的にいえば自由だが、何だと不自由だというのですか。たとえば自由党に入つておる人は幾らでもあるわけですからね。憲法で保障されているわけですから、これは自由だと思いますが、どうです。(「レツド・パージになるんだよ」と呼ぶ者あり)レッド・パージになるかどうかは、それは勤務状況によるわけです。共産党に入ること自体は法律的にも理論的にも決して制限されておらないと思うのです。
#37
○石原(幹)政府委員 入党しておるということだけならば、これはいいと思いますが、あといろいろの活動の模様によりまして、行政官庁としていろいろのあとの措置がとられると思います。
#38
○林(百)委員 活動の模様がどうなるといかぬのですか、よくそれを聞いておきたいと思います。
#39
○石原(幹)政府委員 これは国家公務員法あるいは人事院規則、その他の全体の法令によつて、公務員というのはいろいろ縛られておるのでありますから、それによつて御判断願います。
#40
○北澤委員 大使及び公使を任命する場合ですが、従来は大体原則として駐在国がきまつて、それに対して任命する。その任命の前にアグレマンをとるということもありますが、例外の場合におきましては、駐在国のない場合にも臨時大使、公使を設置するというような特例法があつたのであります。たとえば仏領インドシナに芳澤大使が行かれ、あるいはオムスクに加藤大使が行かれた。そういうふうな政府のないところにも臨時大使、公使を派遣してよろしいという特例があつたのでありますが、この第八條により大使及び公使の任命という場合は、必ず駐剳国がある場合ですが、そういうふうに臨時に派遣する、何と申しますか、アグリメントされる政府がない場合でも大使及び公使を臨時に任命できますか、その点をお伺いいたします。
#41
○石原(幹)政府委員 これはやはりできるのでありまして、特派大使といいますか、いろいろ外国元首の式典に参列するとか、そういうような場合もあるのでありまして、それはもちろん含んでおるつもりでございます。
#42
○北澤委員 あと二点ばかり質問しまして終りますが、一つは、第十條によりますと、「選考によつて外務職員を任命することができる。」というふうになつておりまして、財務、商務、農務、労働等については選考によつて外務職員を任命することができるとなつておるのであります。従来ともこういうふうな専門的な事務については、外交官、領事官試験によらずに、選考によつて外交官、領事官を任命した例が多いのでありますが、従来の外務省のやり方を見ておりますと、どうもこういう専門的な方面に対する人が少かつたのであります。従いまして従来とも選考の範囲を広げて、そうして専門家を外務省に包容して、そういう者を日本の外交に当らせたいというような希望があつたのでありますが、私は今後とも、こういう専門家を選考によつて外務職員に任命する道をなるべく広くしてもらいたいという希望を持つております。特にお願いしたいのは、ここには財務、商務、労働等とありますが、語学関係の専門家について選考するというあれはないのであります。もちろん労働等でありますから、あるいはその「等」に入るかと思いますが、従来外務省の例を見ておりますと、日本の外交官が、外国の外交官に比べて語学が十分でないために、日本の外交がうまく行かなかつた例も多いのであります。従いまして外務職員の全体について外国語の素養をますます深めるということ、特に語学の方の専門家を、この選考任用によつて外務省に入れるというふうにする必要があると思います。従来から通訳宮などについては、特別選考の道が開かれておつたのでありますが、こういう語学の専門家を選考によつて入れるという点について政府のお考えを伺いたいと思います。
#43
○大江政府委員 これは第十條の後段におきまして、「その他特に必要がある場合」という項目がございますので、ただいまお話にありましたような語学で非常に適任者かあれは、選考任用をいたすという考えでございます。また語学の研修その他は、外務省といたしましても研修所の制度、あるいは海外におきまする研修において、ますます語学の素養を高めるようにやらす方針でございます。
#44
○北澤委員 国家公務員法の第百條によりますと、国家公務員は秘密を守る義務がある。それでこれに違反した場合には罰の規定があるのでありますが、この外務公務員法案の第二十七條においては、「国家公務員法第百條第一項又は第二項の規定に違反して秘密を漏らした者及びこれらの項の規定に違反する行為を企て、命じ、故意にこれを容認し、」云々と書いてありますが、これは、結局一般公務員の場合と比べて、外務公務員は特に秘密を守る義務がある。その秘密を犯した場合には、一般公務員と違つて、何と申しますか、一般公務員の場合よりもひどく罰せられる、こういうふうな規定になつておると思うのであります。これは結局外務公務員が特に秘密を守らなければならぬ、こういうことを特に重視した結果であろうと思うのでありますが、この第二十七條を設けました理由につきまして伺いたいと思います。
#45
○大江政府委員 これは国家公務員法の百十一條の規定と同じ規定でございまして、これを外務公務員にも適用するということをはつきりさした規定でございます。
#46
○北澤委員 国家公務員法の第百九條の十二によりますと、「第百條第一項又は第二項の規定に違反して秘密を漏らした者」と書いてあります。すなわちこの場合には「第二項の規定に違反して秘密を漏らした者及び……」それから先が新しい規定だと思うのであります。これは一般公務員の場合と違つたものだと思うのであります。一般公務員の場合には「秘密を漏らした者」だけで切つてありますが、この外務公務員の場合には「秘密を漏らした者及びこれらの項の規定に違反する行為を企て、」云々、こういうように広く規定してありますが、この点について伺つてみたいと思います。
#47
○岡部政府委員 かわりましてちよつと私からお答えいたします。ただいま大江政府委員のお答えの通りなのでありますが、公務員法の第百九條におきましては、北澤さんのお説の通り、その十二号におきまして、「秘密を漏らした者」、それから公務員法の第百十一條をごらんいただきたいのでありますが、第百十一條では、第百九條の第十二号に「掲げる行為を企て、命じ、故意にこれを容認し、そそのかし又は院そのほう助をした者はそれぞれ各本條の刑に処する。」これをこの第二十七條で一緒に合せただけであります。
#48
○北澤委員 そうしますと、これは第二十七條でなくても、国家公務員法の規定から当然そういう結果が出る、ただ念のためにこう書いた、こういうふうに解決していいのでありますか。
#49
○大江政府委員 その通りであります。
#50
○北澤委員 第二十八條によると、「国家公務員法中外務職員に関して適用される罰則の規定及び前條の規定は、国外において当該各條に掲けるいずれかの罪を犯した者にも適用する。」こうなつておりますが、これは一般公務員の場合にはこういうふうな規定はないのでありますか。
#51
○岡部政府委員 これは御承知の通り、刑法は特に国外におきまして犯した一定の犯罪のものに適用することにいたしまして、その刑法の総則の規定が、犯罪及び罰則につきましては、他の法令につきましても、特別の規定のない限り、準用されることになつております。ただ第二十八條の規定がございませんと、特に定めました場合のほか、国外における犯罪につきましてはこの規定が適用がないということになるわけであります。ところが外務公務員につきましては、これは外国におきまして外務公務員の犯罪ということが予想されますから、特に刑法の特例を第二十八條で定めたもの、こういうふうに考えております。
#52
○北澤委員 そうしますと、外務公務員は大体外国において治外法権を持つておつて、その国の法権に従わないというようなことがおもな理由になつたわけですか、その点伺つてみたいと思います。
#53
○大江政府委員 これはやはり外務公務員が国外におきまして犯罪を犯したものを処罰するという趣旨でございまして、治外法権とかなんとかいう点とは何ら関連がないというふうに考えております。
#54
○仲内委員長 並木芳雄君。
#55
○並木委員 私はこの前韓国に大使を送る予定であるということを聞きましたので、それについて、どういう形において韓国との修好関係を復活するのであるか、それをお伺いしておきたいと思います。いろいろ條約の形で、たとえば日韓修好條約を結ぶことも考えられましようし、あるいは韓国を承認する文書を出すというようなことも考えられますけれども、どういうような方法によつて韓国との修好を回復して大使を送るようにするのであるか、お伺いしたい。
#56
○石原(幹)政府委員 御案内のように、ただいま韓国との間に基本的條約といいますか、修好條約の基本につきまして、日韓両代表の間に折衝が行われておるのであります。その結束によりまして條約が結ばれることと思うのでありますが、その中で、両国の外交関係確立等のことが規定されて参ると思うのであります。
#57
○並木委員 これはいつごろでき上る十定ですか。もちろん朝鮮の休戰交渉の成行きなどとも関係があると思うのであります。従つてこの際政府は、朝鮮休戰交渉の見通しについて、どういうふうに観測しておるか。それから連合軍が朝鮮から撤退するようなことも考えられるかどうか。こういうことも関連してお聞きして、いつごろその修好條約ができて、大使を送れるようになるか。
#58
○石原(幹)政府委員 日韓の交渉は、ただいま両代表の間で非常に努力されつつありますことは御承知の通りでありまして、できれば早く妥結を見たいという目標でありますが、この時期がいつごろであるかということは、これは相手のあることでありますので、ここではつきり申し上げることはできないと思います。それから朝鮮休戰の問題でありまするが、これはきわめて微妙な問題でもありますし、またわが国は第三者の立場でありますので、ここで意見を言うことは差控えたいと思うのであります。しかしわれわれといたしましては、やがてはこれはできるものだと考えております。それから連合軍が朝鮮から引揚げるかどうかということであります。これも何とも言えないことでありますが、今のところ、われわれはこういうことは考えられないことであると思つております。
#59
○並木委員 朝鮮の休戰交渉というものが成立しなくても、この日韓修好條約ができ上れば大使を送りますか。
#60
○石原(幹)政府委員 これは休戰交渉との関係なしに、両者の妥結といいますか、合意ができ上りましたならば行い得ると思います。
#61
○並木委員 大使を送ることについて、この前、国府に将来送る予定であるという答弁を得ております。そこで日華條約の経過でございますが、きのう倭島さんも帰つて来たようですが、今日その経過の報告を受けることができるか。私どもちよつと伝え聞くところによると、台湾には独立同盟というようなものがあつて、現在の蒋政権と八百万台湾住民との間がしつくり行つていないというのです。これは当然外務省として調査しておることと思いますが、台湾における独立同盟というようなものはどういうものであるか。そうしてそれが実際台湾の住民と結びついて、蒋政権と離れておるものであるかどうか。もしそういうことがあるとすると、われわれとしても日華條約というものも、なかなか放任できない重要問題を含んでおると思いますので、その点お伺いしたいと思います。
#62
○石原(幹)政府委員 アジア局長は昨夜おそく帰つて参りまして、実はまだ直接詳細なる話を聞いていないのでありますが、この前申し上げましたように、日華交渉の面ではやはり賠償條項であるとか、財産及び請求権に関する点であるとか、それから平和條約の第二十一條でありましたか、あれにありますような受益規定のような点がまだ最終的の結論に到達していない、こういうふうに承知をいたしております。
 それから後段の問題につきましては、いろいろの話もあつたのでありますが、最近は経済も政情もだんだん安定しておるようでございまして、ただいまのところ別段悪いという話は聞いていないのであります。
#63
○並木委員 独立同盟というものはどうであるかということを調査できてないのですか。向うに在外事務所もあることなんですし、そういう点については、私の質問に対するお答えになつておらないのです。
#64
○石原(幹)政府委員 これは先方の国内事情のことでもありますし、ただいままたいろいろ微妙な立場、関係にもありますので、ここでいろいろ申し上げるということは差控えたいのであります。
#65
○並木委員 国内事情といつても、それは今度の條約を結ぶ上においては、私たちはやはり看過することができない重要な問題です。一方に中共関係があつて、これだけでも相当の重要問題だと思つておつたのですけれども、あにはからんや、足元に蒋政権と台湾八百万住民との遊離の問題があるということになれば、これはいよいよ事柄は重要かつ微妙になつて来ると思うのです。ですからお伺いしておるのです。いかがですか。
#66
○石原(幹)政府委員 これは先ほど私からお答え申し上げましたように、最近は経済事情も安定し、政情もこれまた安定しておるようでございまして、この点はひとつわれわれの話すことを御信頼願いまして、御安心を願いたいと思います。
#67
○並木委員 今度できる大使、公使の数と、それから戰前の大使、公使の数を比較してみていただきたいと思います。
#68
○大江政府委員 今度予定しております大使館の数は二十一でございます。戰前のと申しますと、終戰直前のことをおつしやると思いますが、これは今資料を持つておりませんので……。
#69
○並木委員 太平洋戰争直前大体幾つぐらいあつたか、それでもいいですから……。
#70
○大江政府委員 これも実は資料がございませんが、大使の数はおそらくそうたくさんなかつたと思います。二十前後じやないかというふうに思いますが、これは資料をさらに調べましてお答えいたします。
#71
○並木委員 公使館の方は……。
#72
○大江政府委員 公使館はもつと多かつたと考えております。
#73
○並木委員 今度の場合公使館は幾つになりますか。
#74
○大江政府委員 今度は公使館は十八になります。
#75
○並木委員 数からですと、ちよつと問題が出て来ないようですけれども、私は一応こんなふうに考えたわけです。今後の外交方針というものを数から見るときに、日本としては相当充実した数を予定しておる。それについては政府は大使、公使の選任方針というものをどの辺に置いてやるか。これはわれわれとしては重要関心を持つ点でございます。かつて吉田外務大臣に聞いたときには、もつぱら友好善隣、通商に重点を置いて外交の方針を進めて行きたいというような答弁があつたのであります。この方針には現在もかわりないのかどうか。このほかに文化の交流あるいはスポーツの振興あるいはオリンピックを日本に招致して来るとか、そういうような方面についての外交方針、従つて大使、公使の選任方針というものは、現われて来るのか来ないか、地域的にはどの点に重点を置いているか、大ざつぱに見ても西欧に重点を置くか、あるいはアジアに重点を置くか、それから追放解除者の中からも相当大使、公使などを選任する予定であるかどうか、こういうような大使、公使の選任方針について詳しくお伺いしておきたいと思います。これはさつき小川委員からも質問がありました通り、この條文に従つて行くと一方に偏した選任がなされる心配が多分にあるので、この際特に聞いておきたい、こう思うのです。
#76
○石原(幹)政府委員 ただいまお話になりました、かつて外務大臣が言われました友好善隣、通商に重点を置いてという考え方は、重点になると思います。なお俗な言葉でありますが、広く人材を求めて、きわめて幅広く今後の外交官については選任されて行くことと思つております。それから文化、スポーツというようなことも話があつたのでありますが、これは幸い日本の体育団体その他等も非常な力の入れ方でありまして、こういう問題も対日感情の好転とともに実際問題化して行くことと思うのであります。もちろんそういうことも、やはり今後の外交官選任の際には、あらゆる面を広く考慮に置いて、幅広く人材を選んで行かなければならないと思うのであります。それから地域的の問題があつたのでありますが、これはどこがどうということはやはり言えないと思うのでありまして、従来通り、欧米というものもきわめて重要であろうと思いますし、今後はまたアジアというものが非常に重要性を加えて来ると思うのでありまして、特にどこに重点を置くかというようなことをここで申し上げることはいかがかと思います。
 最後に追放解除者の問題は、これは人事の問題でありますから、われわれ何とも申し上げることはできないのでありますが、幅広く人材を求めるというわけでありますから、適材適所で、適当な人があればいかなる方面からでも求め得られる、かように考えております。
#77
○並木委員 オリンピック招致の話なんかも、ちらほら出ておりますけれども、その点外務省としてはどういうふうに考えておりますか。
#78
○石原(幹)政府委員 これは先ほどちよつと触れたつもりでありますけれども、諸外国の対日感情のいかんにもよると思うのでありまして、今回外交再開とともに、まず日本の事情をよく外国に理解をしてもらう、そういうことも非常な重要な職務の一つになるのではないかと思います。これは幸い体育団体等の非常な力の入れ方によりまして、ちらほら話が出ておるのでありまして、うまく参りますれば、もちろん協力をいたして行きたいと、かように考えております。
#79
○並木委員 先ほど北澤委員からもちよつと話が出ましたけれども、外国語をよく勉強するようにという要望でございました。ところで今国際慣習上の用語としては、どういうふうになつておりますか、かなり国際情勢というものはかわつて来ておりますから、必ずしも昔のようにフランス語万能でもないと思うのです。いわゆる公用語といいますか、通用語というものは、やはりフランス語であるのかどうか、それから日本政府としては、外国語といつても、どういう外国語に特に重点を置いて養成するつもりであるか、お伺いしてみたいと思います。
#80
○大江政府委員 国際慣習として、会議その他におきまして、どれが国際的の通用語であるかという御質問でございますが、これは国際会議の開催地域等によりまして多少傾向が異なると思いますが、大きな趨勢といたしましては、英語が非常に広く行われているということは申すまでもないのでございます。ただ欧州等におきまして会議が開かれますと、やはりフランス語というものが国際通用語として相当広く行われておる。また国際会議の一般の慣例といたしましては、そのほかスペイン語、あるいはロシヤ語というようなものが会議の用語に採用される場合がしばしばあるのでございます。外務省がどういう語学に重点を置くかという点につきましては、もちろんただいま申し上げたような、一般に使われます国際通用語に重点を置きますと同時に、特殊地域の語学、インドネシア語であるとか、あるいはアラビア語であるとか、また韓国語、こういう点につきましても、専門家を養成する意味におきまして、適当な研修その他を行う予定をいたしております。
 それから先ほど並木委員の御質問に対して、戰前の大使館の数と、今回設置いたします大使館との比較におきまして、私は戰前やはり大使館が二十前後あると申しましたが、これは思い違いでございまして、戰前は大使館の数が少くて、おそらく十二、三くらいじやなかつたか、公使館が二十前後だろうというふうに、一応の記憶といたしまして訂正いたしておきます。今度大使館がふえましたのは、世界全般の趨勢といたしまして、公使館より大使館を置くという一般趨勢に基きまして、戰前公使館であつたところを大使館に昇格してほしいという先方の要求がございますので、それに応じてこれを大使館にしたというわけで、その数がふえて参つたわけでございます。
#81
○並木委員 先ほど私がお聞きしたかつたのは、その点だつたのです。約倍ふえるわけですから、どうして日本として急にこんなにふやすのか、それを聞きたかつたのです。先方の要求が、公使館よりも大使館に移行しようという、その移行の理由はどこにありますか。なぜ公使館でなく、大使館にして行こうというのか、それをお聞きしておきたいと思います。
#82
○大江政府委員 御承知のように、その国に駐在いたします外交団その他におきまして、大使は公使より優位を與えられておるという国際慣習がございますので、いずれの国も、できるならば大使を送りたいという希望があるようです。そういうふうに、各国が大使をどんどん送るということが原因だろう、こういうふうに考えております。
#83
○並木委員 それでは第十七條の、「外務職員は、勤務條件に関し、外務大臣により適当な行政上の措置が行われることを要求しようとするときは、国家公務員法第八十六條の規定にかかわらず、外務人事審議会(以下「審議会」という。)に対して要求しなければならない。」これについてお伺いいたします。これと国家公務員法第八十九條との関連はどうなつておりますか。国家公務員法第八十九條の條文は、職員
 の意に反する降給等の処分に関する説明書の交付、こういうことになつております。前会当局の説明を聞いたときには、これは外務公務員法の第十七條が前審であつて、第八十九條が第二審的のように私お聞きしたのですけれども、その通りであるかどうか。もしそ
 の通りであるとすれば、この第八十九條の援用をはつきりした方が身分の保障になるのではないかと私は思うのです。さつき罰則の点について、国家公務員法にあるものをそのままここへ援用したのだという説明があつたのであ
 りますから、罰則だけでなく、こういう公務員の身分を保障する国家公務員法第八十九條の規定のごときものは、ここへやはり援用しておいた方がいいのじやないかというふうに考えます。
#84
○大江政府委員 第十七條の規定は前審的の規定でございますが、これは国家公務員法第八十六條に対する前審でございまして、ただいまお話のございました第八十九條は、外務職員にもそのまま適用されるというふうに解釈いたしております。
#85
○並木委員 それではもう一、二点。第十九條、これは先ほどからもいろいろ問題になつておりますけれども、この外交機密の漏洩ということに対しては、外務職員だけがこの第十九條に適用されておりますが、外務職員にあらざる者に対してはどうなつておりますか。
#86
○大江政府委員 これは附則の二で、外務省本省に勤務する一般職の国家公務員で外務公務員でないものに準用するという規定がございまして、これによつて適用を受けるわけであります。
#87
○並木委員 その場合にはどこに対して審査の請求をするのですか。人事院ですか。外務職員にあらざる者が懲戒処分を受けたときに、その処分に関する審査の請求はどこへやりますか。
#88
○大江政府委員 これも外務大臣に対してでございます。
#89
○並木委員 それはどの條文で出て来ますか。
#90
○大江政府委員 第十九條を準用するというふうに書いてございます。
#91
○並木委員 この第十九條の外交機密の漏洩の問題は、口頭審理を行う、口頭審理は非公開とする、こういうように、ここに第二十條の関連がいろいろ出て来るのですけれども、これを一読しただけで私の受けた感じは、この口頭審理のやり方をとつて行くと、せつかく秘密にしておこうと思うその機密が、いやでもおうでも暴露して来るじやないでしようか。処分を受けたことに対する審査の申請をやり、それに基いて、非公開で口頭審理をやつて行く。これを防ぐ方法が何かあるかどうか。これは持つて来いの非常におもしろい場面が出て来ると思うのですが、いかがですか。かえつて機密を公開するような審理ができ上るのではないかと思いますが、この点についてお答えを願います。
#92
○石原(幹)政府委員 この條項は先般の委員会においても問題になつたのでありますが、われわれはただいま並木委員が言われましたような心配もありますので、高度の外交機密の漏洩を極度に防ぎたいという意味で、きわめて狭い範囲でやりたい。こういう意味も一つの理由となりまして、こういう特例が設けられたわけでありまして、この程度の形はやはりとつて参らなければならぬかと思つております。
#93
○並木委員 それならばけつこうなんです。別に私は攻撃しているわけじやございません。これで見ると、外務職員は自分の身分に関することですから、口頭審理の成行きによつては、ここまでが機密で、ここから先は機密ではないのだ。何が機密であるということをめぐつて相当の論争が展開される。そうすれば、頭隠して、しり隠さずで、この口頭審理の経過において、政府が機密とするものがどんどん公開されて来るおそれがあると私は見ているのです。ですから、その心配がどうして防げますか、こう聞いておるのであります。
#94
○石原(幹)政府委員 口頭審理は非公開でありまして、ここへ出ます者は、いわゆる本人といいますか、被告の立場になつておる者と、それからいわゆる外務審議会でありますか、この関係者の間でのみ行われると思います。これはやはり本人の保護ということもあるのでありますから、この程度の段階は、これはやはりどうしてもとらなければならぬかと思います。
#95
○並木委員 この非公開とすることで十分防げればけつこうですけれども、なかなか実際問題として防ぎにくいのではないかということを心配しておるわけです。
 最後にもう一点だけ。第二十三條の「不健康地その他これに類する地域で外務大臣が指定するもの」というのがあります。不健康地というのは、何だかあまり感じのよくない言葉です。だれも行きたがらないだろうし、また相手国に対してもかなり失礼な感じがいたしますけれども、何かこれにかわるような言葉がありませんか。不健康地というのはあまり感心しないと思います。不健康地というのは、たとえばどんな所があるでしようか。また現在ありますか。
#96
○大江政府委員 名称に適当なものが今ちよつと考え得られないのでございますが、また今回どういう所を不健康地として指定いたしますか、今後定めて参るところでございますが、戰前の不健康地、すなわち辺陬の地あるいは不健康地というような所には、たとえば中国におきましては蒙疆地帯とか、あるいは南方の東南アジアの地区、あるいは南米の方面、あるいは近東方面、こういういわゆる辺陬で、また寒暖の非常にはげしい所、こういうような所が一般の不健康地という概念でございます。
#97
○並木委員 これは気候が不順の土地とかなんとかいうふうに、うまい表現にしてもらいたいと思うのです。不健康地というと、ある意味では日本なんか結核の非常に多い国なんで、そういう意味では一番不健康地かもしれないのです。だからそんなことでせつかく外務省がねらつておる友好外交というものを阻害するのも惜しいと思うのです。何かいい言葉を使つていただきたい。それを要望して、私の質問を終ります。
#98
○仲内委員長 戸叶里子君。
#99
○戸叶委員 今回この外務公務員法が特別にできたわけですけれど、日本にはすでに国家公務員法が制定されていて、大体国家公務員法の規定に従つて公務員が配置してあり、また外務省の公務員といつても、大体外国と日本との調整をとる日本の公務員だと思うのであります。別に外務公務員法として制定しなくても、国家公務員法の特例で定めればいいと思うのですが、わざわざここに外務公務員法として制定しようとした理由がどこにあるかを伺いたいと思います。聞くところによりますと、多分アメリカの国務省では、人事院があまり評判がよくないので、フォーリン・サービス・アクトというものを国務省でつくつてあるということを聞いておりますが、わが国でもそのアメリカの行き方にならつたものであるかどうか。あるいはまた外務省が人事院の仕事にあきたらないで、人事院というところから離れたいという気持でおつくりになつたかどうか、その点を伺いたいと思います。
#100
○石原(幹)政府委員 これは先日もそういうお尋ねがありまして、お答え申し上げたのでありますが、勤務地が世界各地にまたがつておるとか、あるいはまた職務の責任がきわめて対外的、国際的であるとか、そういうことで相当の特例を設けなければならぬのであります。それからいま一つは、名誉領事の規定であるとか、あるいは外国人の採用の規定でありますとか、こういう特別のものも入つて参るのでありまして、あれこれ勘案してここに外務公務員法、こういう名前にいたしまして、新しく設けたわけでございます。
#101
○戸叶委員 それは国家公務員法の特例として置くだけでは十分ではないのですか。
#102
○石原(幹)政府委員 これは実質はお話のごとく国家公務員法のやはり一つの特例なのであります。先ほど申し上げましたように、特例以外にも名誉領事であるとか、外国人の採用であるとか、こういう規定等も入りますし、それからまた大公使その他の特別職関係の規定もきわめて多分に入りますので、ここで外務公務員法という名前を定めたものであります。
#103
○戸叶委員 この法案の全体から見てみますと、どうも非常に非民主的であるように思われるのであります。それは外務大臣の権限があまりに強過ぎると思うのであります。たださえ今日外務省は秘密独善外交だといわれておりますが、この法案によつてますますその感を私は深くせざるを得ないのでございます。たとえば大体のことが外務省令できめられる、その外務省令というのは非常に外務大臣の考え方が影響を與えておるわけであります。私どもから見ましては、どうしても霞ケ関官僚外交というような雰囲気に持つて行きたいように思われるのでありますが、そうした心配はないかどうかを伺いたい。
#104
○石原(幹)政府委員 これはとりようになりまして、これをきわめて悪く運用すれば、あるいはそういうふうにとれるかもしれませんが、しかしこれを設けられました趣旨は、やはり先ほどから繰返しておりますような点でありまして、普通の一般国家公務員法だけをもつてこれを律するということでは不十分と考えられまして、僻陬、遠い地で勤務しておる人たちの利益等を、さらに一段とこれによつて発揚できるような面も多々あるのでありまして、悪い面ばかりでなく、よい面もよく御検討を願いたいと思います。
#105
○戸叶委員 石原さんはそのお立場上はつきりおつしやれないかもしれませんから、まあその程度にいたしまして、この條文の中で伺いたいと思いますのは、第七條の、先ほど北澤委員からも御質問ありましたことですが、「国籍を有しない者若しくは外国の国籍を有する者又はこれを配偶者とする者は、外務公務員となることができない。」そこで外国の人を配偶者とした場合に、その人がその国の籍を拔いておらないときには、日本の国の籍を取得することができないのだと思うのですが、そういうような場合を考えてこの規定をおきめになつたと思いますけれども、その国の籍をなかなか拔くことができないというような、そういう国の人というものは非常に少いのじやないかと思うのですが、その点はどうなんでしようか。たとえばたいていの国は日本の人と結婚した場合に、籍を日本人の方に置かなければならないといつたときに、その籍を向うで拔かしてくれると思うのです。そうすると日本の国籍に入るわけですけれども、どこか特殊な国があつて、たとえばソビエトというような国があつた場合に、その国は特別籍を拔かない。従つて日本の国籍を取得することはできないという場合があるとは思いますが、それはごくまれな例じやないかと思います。普通の外国人と結婚した場合には、こういうことは大して問題にならないと思いますけれども、その点はいかがでしようか。
#106
○石原(幹)政府委員 戸叶委員からただいま御指摘になつたような籍の拔けない国があるかないか、ただいまちよつとわかりませんけれども、これは先ほど申し上げましたように、外交官としての十分の活動をして行く上においては、やはり日本の国籍を持つておるものでなければならぬと思うのでありまして、外国の国籍を持つておるということでありましたならば、その妻は外国に忠誠を誓つておる人ということになるのでありまして、これはやはり外務公務員として十二分の活躍をして行く上においては不適当であろうと思います。
#107
○戸叶委員 この二項に「政令で定める場合を除く外」とありますが、これはどういうようなことをさしているのでしようか。
#108
○石原(幹)政府委員 これは一例を申しましたならば、結婚いたしまして向うの国籍を離脱することになるのでありますが、結婚ということによつて向うの国籍を離脱する場合に、そこに向うの国籍を持つておる期間が若干あるかもしれない場合があるのであります。そういう場合などを予想しまして政令できめて行こう、こういう意味であります。
#109
○戸叶委員 第八條は、先ほども改進党の小川氏が言われましたように、私どもといたしましても、大使、公使の任命は、最も民主的な方法をとるという意味で、国会で承認の必要があると私は考えるわけですが、この点はもうすでに先ほど御質問になりましたので省きます。
 次に第十一條の外務職員の昇任の問題でございますが、ここに「試験又は選考によつて行う。」ということがございます。人事院でもたしか一度だけこの試験制度をおやりになりましたが、あまりきき目がなかつたのかどうか知りませんが、今日ではそのままになつているように私は考えております。そこで人事院があまり好もしくないと思つていらつしやるような試験制度は、外務公務員法では積極的に取上げられて行く必要がないのじやないかと思いますけれども、そういう点に関して、試験に重きをお置きになるか、そしてまたその内容が人事院でなされたような試験内容をおとりになるのかどうか、それともまた選考の方に重点をお置きになるかどうか、この点を伺いたい。
#110
○大江政府委員 試験と選考とどちらに重点を置くかという御質問でございますが、これは一般の国家公務員法の昇進が、人事院の方でどういう試験制度をやるかというところとにらみ合して外務省もやらなければならないと考えております。そのにらみ合せによつて、場合によつては試験をやるということもございますが、外務省といたしましては現在のところは、人事院の試験制度その他が十分行われておらない現況からかんがみまして、やはり選考という点に重点が置かれておる、こういうふうに考えております。
#111
○戸叶委員 岡部政府委員がお見えになつていらつしやるので、その後試験制度がとられておらないようですがそのときの結果といいますか、それから今後の試験制度のあり方についてちよつと伺わしていただきたいと思います。
#112
○岡部政府委員 戸叶委員にお答えいたします。実は国家公務員法が第一回国会において制定される場合におきましては、戸叶さんも決算委員会の委員で十分御審議いただいたように覚えておるのでございますが、実は国家公務員法の任用制度と申しますのは、結局職階制を基礎にしているわけでございます。職階制が実施されて、それによりまして初めて十分に国家公務員法が考えている採用やら昇任の制度が行われる。今までのところ職階制の作成に人事院としては努めて来まして、職階制が近い将来に実施される、それによつて初めて本格的な採用と昇任という制度が行われることになります。現在のところはまだ従来のままの形でございますから、いわばここで申しますと選考任用が主として行われているということになつております。戸叶さんの御指摘の試験は、例の各省の課長級以上のいわゆる高級幹部の試験のことだろうと思うのでありますが、これは特別の事情によりまして一回限り行われた試験でございまして、ああいう試験が今後繰返して行われるということは、今のところちよつと想像できないわけでございます。それで今後この昇任につきましてどういうことになるかと申しますと、これは国家公務員法におきましても、試験と撰考という二つの方法で行われることになつております。その試験と選考をどういうぐあいに行うかということは、それぞれの官職――試験によつて昇任させるのが適当な官職、あるいは選考によつて昇任させるのが適当な官職、ことに専門的な高級の官職につきましては、試験でやるということは無理であります。要するに一言で申すならば、試験によつて昇任させるのが適当な官職は試験による。選考によつて昇任させるのが適当な官職は選考による。しからばその試験と選考はだれが行うかということになりますと、これは一概に人事院が行うというわけには行きませんで、ある場合には人事院が行い、ある場合には各省が行う。それらのことはすべて近い将来に人事院規則ではつきりする予定でございます。原則はそうでございますが、この特例法といたしましての外務公務員法の昇任につきましては、これは原則といたしまして、この官職につきましては人事院がやる場合、あるいは外務省がやる場合があるわけでございますが、それを一括いたしまして外務省が外務省令の定めるところによつて、それぞれの官職につきましてあるいは選考、あるいは試験によつて行う。それは一般のその他のものにつきましてまだ人事院が本格的にやつていないので、その様子を見て、あるものは試験による、あるものは選考によるということを、これからそのつり合いをとつてやつて行こうというのが、今の大江政府委員の御答弁の趣旨だろうと思います。
#113
○戸叶委員 次に第十五條の「外務職員に、外務省研修所又は外国を含むその他の場所で研修を受ける機会を與えなければならない。」と書いてございます。これは戰前と同じように、外国を含むその他の場所で研修を受けるような機会が與えられればいいと思いますけれども、今日の状態では、外貨その他の関係でなかなか急にそれはできないと思います。しかしこういうようなことがごく近い将来に戰前と同じようにできる見通しがあるかどうか、お伺いいたします。
#114
○大江政府委員 これはただいま計画を立てておりますが、大体各大使館、公使館に配属いたしまして、その間一年なり、あるいは特別の研究生というような制度を設けますと三年くらいの間は官務を離れて研究させるというやり方をとりたいと思つております。その点は外交再開と同時にすぐ実施できるのじやないかと考えております。
#115
○戸叶委員 第十六條の査察の問題これは先ほども問題になりましたが、ここに言う査察使というのはどういうような人を送られようとしておるのですか。ここには「外務公務員のうち適当と認める者を」とありますけれども、その基準をどういうところに置かれるかということを伺いたいと思うのです。その意味は査察といつても、どの程度に重きを置くかということは問題だと思います。その一つはたとえば在外公館にいる人と同僚程度の人が行つて、そして事務連絡という名義で軽くまわつて来る程度で大して重要でないか、あるいはまた非常に重い任務で、在外公館の事務をすみからすみまで査察して、報告するというようなものであるかどうか、もしも後者の場合といたしましたならば、非常に嚴格な人選をして公平無私の人を選ばなければならないと思います。前者の場合でしたならば、ただ軽く事務の連絡というような形で行くんだつたならば、それほど必要じやないのおじやないかこで査察使という者をどういう考えでどの点に重点を置いて行かれようとするかという点を伺いたい。
#116
○石原(幹)政府委員 ただいま予想されておりますところでは、査察使には最上級の外務職員を充てる、こういうことになつておりします。それから補佐官等も同伴し、事務の補佐をやらせるということになると思います。それからこれは定期的に査察が行われるということと、またあるいは特に場所を限りまして、臨時に査察使を派遣するということもあると思うのであります。これは一般行政官庁においても、それだれの中で査察というような名前ではありませんけれども、それぞれ行われている。またただいまでは行政管理庁等の役割も大体そういう面を持つておる場面が多いと思うのであります。そういう意味合いからいたしまして、ただいまお話になりましたようなきわめて公平無私な、りつぱな人を査察使に選んで行くということはもちろん必要なことであろうと思つております。
#117
○戸叶委員 次に第十九條の、これも先ほど問題になりましたけれども、私はこれは非常に問題だと思うのです。それはまず機密漏洩とありますけれども、一体何が外交上の機密かということになると、多分にそこに主観的なもので影響される可能性が出て来るのじやないかと思うのです。外交問題で機密を守るということは必要な場合も了承できますが、たとえばここに吉田外務大臣の例を引いてみまして、吉田さんが自分の感情を害されたような場合に、その場の様子で何か言つたことに対して、機密漏洩だというようなことで処分をするような場合も、私は起るのじやないかと思います。そうなつて来ると、外務公務員の人たちはなるべく話をしない方がいいんだ、口をつぐんでいた方が安全だと事なかれ主義をとり、非常に卑屈な公務員になりがちだと思うのです。そこでこの外交機密というものの基準といいますか、そういうものがありましたら、示していただきたいと思います。まずそれを伺いたいと思います。
#118
○石原(幹)政府委員 機密の基準というようなものは、そういうものはないといいますか、言えないと思うのでありまして、今日非常に機密であることも、一週間後には公知の事実になることもあるのであります。それと第十九條は、祕密の漏洩によつて国家の重大な利益を毀損したということを伴う場合に、これが問題になるのでありますから、單に気分を害したからとか、どうとかいうようなことによりまして、こういう措置が軽々に行われるということは、私は万々ないのではないかと思います。
#119
○戸叶委員 私は今一つの例を引いただけでございますが、そのときの感情でたまにはそういうこともあるのじやないかと思いますけれども、それはその程度にしますが、もしも機密事項というものが新聞などに漏れまして、だれが機密を漏らしたかというようなことがわからないような場合には、どういうふうな処分をなさるか、責任者にその処分が行くのかもしれませんが、そのときの処分はどういうふうになるかを伺つておきたいと思います。
#120
○大江政府委員 機密の漏洩者がわからない場合には、第十九條では、個人的な処罰はできないことになるのでございまして、あるいはその局の責任者が別の意味におきまして処罰を受けることはある、こういうふうに考えます。
#121
○戸叶委員 そのときの処罰の方法は、その機密の重要さによつて違うわけですか。
#122
○大江政府委員 その通りでございます。
#123
○戸叶委員 第二十三條の休暇帰国のことなのですが、その場合に、もしもその休暇で家族を連れて帰るときには、家族に対して何か手当は與えられるのでしようか。
#124
○大江政府委員 これは六十日間は在勤俸が與えられますから、これでもつて家族の生活ができると思います。
#125
○戸叶委員 ちよつとわからなかつたですが、たとえば家族が一緒に帰つて来る場合に、その手当は與えられるわけですか。
#126
○大江政府委員 家族に対する旅費も支給されますし、また二箇月間は、在外でもらつておつた在勤俸も支給されます。
#127
○戸叶委員 第二十五條に「外務省本省に勤務する外国人を採用することができる。」とありますが、外国人がこういう在外公館に勤められた場合に、どんな仕事をおもにしてもらうのかということと、それからこういう人たちに対する予算が、どんなふうになつておるかということをお伺いします。ちよつとつけ加えますが、こういう人たちは、大体好意的に申し出てくれる場合が多いのじやないかと思いますが、その人たちに対する手当等を払つたり、あるいはその人たちの費用を外務省の予算の中に組んでおありになるかどうかを伺いたいと思います。
#128
○大江政府委員 これは本省に勤務する外国人と在外の外国人と二つございまして、多少性質が違つておると考えるのでございます。在外におきまして外務公務員を十分に派遣できない場所におきまして、タイピストであるとか、あるいは運転手というようなものを採用いたしますのが第二十五條の第二項でございまして、これはきわめて通例行われておるところでございます。これの費用は外国人として特にとつてあるわけではないのでございますが、雇員その他の予算の中からまかなつております。本省に勤務いたします外国人の例は、現在ではきわめて少いのでございまして、従前法律的の雇問であるとか、特殊の技術を要するために外国人を採用するという場合がございましたが、これはやはり特に予算をとつてやつておるわけではございません。
#129
○戸叶委員 そうすると本省に勤務してもらう人たちに対しては、手当は出さないわけですか。
#130
○大江政府委員 手当はもちろん出すのでございますが、現在さしあたり外国人を採用するというような予定もございませんので、予算としてはとつてないのでございます。
#131
○戸叶委員 それから先ほど問題になつておりました外務人事審議会のことでございますが、人事院の職員から一人、外務公務員から一人、それからあとの三人を学識経験者の中から大臣が任命するという、そこに非民主的なやり方があると思うのです。これは一般の人の意見を開くという意味でも、やはり国会の承認を得る必要があると思うのです。その点は先ほども問題になりましたから私は申しませんが、ぜひこの国会の承認を得るということをきめてもらいたいということを希望條件として申し上げたいと思います。
 最後に一点伺いたいのは、外務人事審議会の任期といいますか、何年くらい続けられるかということを伺つてみたいと思います。
#132
○大江政府委員 これはいずれ政令でもつて任期をきめることになつておりますが、現在のところはまだ何年というはつきりした予定は立つておりません。三、四年が適当じやないかと考えます。
#133
○仲内委員長 黒田寿男君。
#134
○黒田委員 私はきようもまた憲法との関係において、本案に憲法違反ではないかと思われる点が一つありますので、これをお尋ねしてみたいと思います。
 それは、この外務公務員法第九條は、憲法第七條第五号に違反するものではないか、こういう問題であります。私はその理由をこれから申し上げてみたいと思います。
 外務公務員法第九條によりますれば、「領事官の委任状は、天皇がこれを認証する。」こうなつておりまして、私はこの点が憲法第七條第五号に違反すると思うのでありますが、どうでありますか。思うかどうかというよりは、私は思うと断定することができると思うのであります。領事官とはどういうものであるかと申しますと、外務公務員法第六條によりますれば、総領事、領事、副領事、領事官補、これであると思いますが、これは第六條によりますれば外務職員であります。外務職員である以上は、第二條には特命全権大使、特命全権公使、全権委員とは別個に外務職員というものが、外務公務員として列挙されているところを見ますと、この外務職員が大公使、全権委員と違うものであることは明らかであると考えます。ところで憲法第七條第五号によりますと、この号で天皇の認証を要する書類と定められてあるものは三通りあると思います。もとより天皇の認証を要する書類は第五号の場合だけではありません。たとえば第八号の場合でも天皇の認証を要する文書はあるのであります。しかし他の項のことをここで問題にする必要はないと思うのであります。私はこの第五号の場合における天皇の認証を要する文書の中には、領事官の委任状は含まれていない。そこで領事官の委任状問題について重大な疑問を持つものでありまして、この点に関する原案は私は憲法違反ではないかと思うのであります。憲法第七條第五号を見ますと、天皇の認証を要する書類は三通りあると思います。第一は国務大臣及び法律で定めるその他の官吏の任免状について天皇の認証を要する。第二は委任状でありますが、この委任状は全権に対して出す委任状であると私は解釈するのであります。それから第三が信任状でありまして、これは大使、公使に対し出されました信任状であります。第五号によりますとこの三つの書類に天皇は認証を要するということになつております。私はそう解釈しておるのであります。そのうちで官吏の任免状という部分につきましては「国務大臣及び法律の定めるその他の官吏」ということになつておりますので、法律をもつてその他の官吏を定めさえすれば、いわゆる認証官の範囲は拡大され得る道が開かれているのでありまして、従つて任免状の認証の範囲の拡大される余地がそこに設けられているのであります。ところが信任状及び委任状の認証につきましては、私は憲法第七條の第五号によりまして限定されておると思う。委任状ならば全権、信任状ならば大使及び公使こういうように限定せられてしまつておると思うのでありまして、この点では法律をもつて委任状及び信任状の認証の範囲を拡大することは、私は封ぜられておると思います。しかるに外務公務員法第九條によりますと、領事官の委任状までも天皇が認証するということになつている。これは外務公務員法という法律によりまして、委任状の認証の範囲を拡大することになるのでありまして、私はこれは憲法違反であると考えます。憲法第七條第五号には、領事の委任状に天皇が認証するなぞということは書いてありません。一体領事とは何であるか。先ほど申しますように総領事もあります。領事もある。副領事もある。領事官補というようなものまでも領事官に含まれるということは、外務公務員法によつてはつきりと示されておるのであります。他の重要な官吏に比較してみて、総領事の委任状まで天皇の認証を要することにすることは私はどうかと思うのでありますが、いわんや領事官補に対する委任状まで天皇の認証を要するというに至りましては、單に憲法上の点からだけでなく、事実問題といたしましても、はなはだ権衡を失する規定だ、はなはだ妥当を失する処置であると考えるのであります。
 そこで政府に御考慮をお願いしたいと思います。私はこの間も政府みずからが御訂正になつたらどうかと思う他の点を指摘いたしましたけれども、私の考えからすれば、第九條の領事官の委任状を天皇が認証するという点も、御訂正になつたらどうかと思います。私はこれは憲法違反になると思いますが、いかがでありましようか。
#135
○石原(幹)政府委員 ただいま黒田委員からいろいろお話があつたのでありますが、領事官の委任状というのは、その前の大公使の任免の問題とは違うのでありまして、領事館の長となる総領事または領事が相手国に参ります際に、相手国政府にその公認及び保護方を要請する外交文書であります。それで従来国際慣行上元首の名前をもつて発せられまして、相手国の元首に差出されるものであるのであります。そこで先ほどお話のありました憲法第七條第八号には「批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。」とあるのでありまして、やはりこういう一つの重要外交文書と考えまして、ここに天皇が認証するという規定を加えたのであります。いわゆる領事を認証官と考えて、ここに認証制度を設けたという考え方では全然ないのであります。
#136
○黒田委員 そうしますと、領事官補に対する委任状の場合も、やはり憲法第七條第八号の「その他の外交文書」という、そういう重大な文書になるのでありますか、そうなると思いますか……。
#137
○石原(幹)政府委員 先ほど申し上げましたように、領事館の長として行く者に委任状を持たすわけであります。従いまして、それは総領事、領事以外には考えられないものと思つております。
#138
○黒田委員 ちよつと議論が枝葉になりますけれども、しかし領事官と書いてあつて、総領事ないし領事とは書いてありません。領事官といえば、私どもはこの法律の第六條によりまして、総領事、領事、副領事及び領事官補、これを総称して領事官というものと考えます。明治三十何年でしたかの制定になつております「外交官及領事官官制」という法規を見ても、領事官といえば、ただいま私の申しました総領事、領事、副領事及び領事官補の四つのものが含まれるということになつておるのでありまして、第九條の領事官だけが特別に限定された内容のものであると解釈することは了承ができない。かりに外務政務次官のお説で憲法第七條第八号の外交文書であるから天皇の認証を要するといたしましても、法文上領事官という表示にしておきますことは、はなはだ誤解を生じやすいことになりはしないか。特にこの場合の領事官に限つて領事館の長であると解釈することはできません。常識上並びに法律上の解釈から行けば、領事官と書いてあれば、領事官補まで含まれるというように解釈しなければ、その他に解釈の仕方がないと思うのですが、いかがですか。
#139
○石原(幹)政府委員 領事官という言葉は、お話の通り領事官にはいろいろあるわけですが、領事官の委任状として委任状が向うの元首に差出される場合というのは、これは先ほど申しましたように領事館長たる場合でありまして、総領事、領事以外にないのであります。これは従来領事官の職務に関する法律というのがございまして、その中にそういうことが規定されておつたわけであります。今度は外務省設置法の中にやはりそういうことが明らかにされる予定でございまして、領事官の委任状の性格といいますか、性質からいたしまして、黒田委員の御心配されるような問題は生れて来ないのではないかと思つております。
#140
○黒田委員 私は外務に関する専門の知識を持つておりませんので、ちよつと外務当局にお教え願いたいと思いますが、憲法第七條第八号には「批准書及び法律の定めるその他の外交文書」とあります。「法律の定めるその他の外交文書」と書いてあるのですから、いろいろ法律に定められておる批准書以外の外交文書があるに違いないと思うのです。政府は今回の外務公務員法がそれに当るというように御解釈になつておられると思いますが、一体、他にどのような法律があるのでしようか。批准書以外の天皇の認証を要する第八号における外交文書の種類を、ちよつとお聞かせ願えればたいへん参考になると思います。
#141
○石原(幹)政府委員 現在はそういうものはないようでありまして、この外務公務員法の第九條の規定で、これが初めて出て来るわけであります。
#142
○黒田委員 今まではなかつた――私も従来はそう思つておりました。そういう点から見ても、やはりその他の外交文書というものは非常に重要な文書でなければならないと考えます。第五号の国務大臣以外の認証官は、国務大臣に匹敵すると思われるようなもの、あるいはその他特別な重要な性質を持つておる官吏についてそう定められておるのであります。それと同様に第八号の「法律に定めるその他の外交文書」というものになつて参りますと、これは批准書にも匹敵するほどの、相当重要な文書でなければならないことになると思いますが、どうも私の常識をもつていたしましては、第九條の解釈並びにその字句の表示の仕方といたしまして、適当でないように考えられます。しかしこの点は今回初めて、憲法第七條第八号の「法律の定めるその他の外交文書」というものに該当する法律がこれでできた、こうおつしやいますので、政府の御見解はそうだと承つておきます。しかし、これは私は非常に重大な問題だと考えますので、きようは一応政府の御意見を承つておくことにしまして、もう少し考えさせていただきたいと思います。この点はその程度にしておきます。
 なお先日お伺いいたしました第十九條の問題について、多少お尋ねしてみたいと思います。外務職員が外交機密の漏洩によつて処罰せられるということに、今回の外務公務員法でなるのでありますが、処罰されるということになつて参りますと、当然刑事裁判に付せられる問題になると思うのであります。罰則が第二十七條に出ております。「一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する」ということになつておりますが、この刑罰は裁判によつてきめられるのでありますか、それともこの公務員法によつてきめられるのでありますか。私どもはこれは裁判の問題になると思いますが、この点を念のためにお伺いしておきます。
#143
○岡部政府委員 お尋ねの点がちよつとはつきりいたしませんので、不十分のところはまたお答えいたすことにいたしますが、外務職員が機密を漏らしたかどによりまして、公務員法第百條の規定が準用せられまして、この第二十七條によつて検察権の発動によつて起訴されて刑事裁判に係属する、またそれと並行いたしまして、ある場合によりましては、單に普通の懲戒処分を受ける、ある場合におきましては、外務大臣が第十九條の規定に基く外交機密の漏洩によつて重大なる国家の利益を毀損したという理由――それは処分説明書に現われて来ると思いますが、そういう理由によつて、国家公務員法第八十二條にもどつて懲戒処分を行う。御承知の通り、現在は刑事処分と懲戒処分とは並行して行うことができるようになつておりますから、両々行われる場合があり得るわけでございます。
#144
○黒田委員 両々相行われるということで了承いたしました。私もそうだと思つたのですが、念のためにお伺いしてみたのであります。そうしますと、この前お尋ねいたしましたように、少し矛盾ができて来はしないかと思いますが、懲役に処せられるに値するような内容を持つた機密漏洩をいたします者につきまして、あわせて公務員法における処分が行われるということは当然のことであります。しかし、そうしますと、それほどでない者については、刑事事件としての処分をしないで、單なる公務員法による処分だけで済ます、こういうことになるのであります。そこでこれもあるいは議論になるかもしれませんが、この前申しましたように、事案の実質上同時に刑事裁判に付しなければならないような問題であるとすれば――それほど重要な案件であるとしますれば、懲戒処分に関する審理の場合には当然弁護人をつけることを許さなければならない、こう考える。国家公務員の秘密漏洩につきましては、公務員法によりまして、審理の際に弁護人を付することができる。しかるに外務公務員の秘密漏洩については、弁護人をつけることができない、こういう矛盾が出て来るように思います。私は秘密漏洩の場合は、一般公務員法において弁護人を付することを許されておると同じ権利を、外務公務員にも與えなければ、憲法違反になる、こう考えるわけであります。しかしこれは議論になると思いますが、これにつきましては今日はお聞きしようとは思いません。
 私はきようはこの程度にしておきまして、委員長に特に申し上げておきたいと思います。それは外務大臣にぜひひとつこの委員会に御出席を願いたいということおります。いろいろ外交問題につきまして、他の委員諸君からも重要な質問が出ることと思いますし、いやしくも外務大臣が出席しないで、外務次官にまかしておくというようなことは、政府の国会に対する態度として欠けるところがある。もう少し国会を吉田外務大臣は尊重されなければならない。ぜひ外務大臣に御出席を願いたい。もし委員長がはつきりしたお見通しを述べていただけませんければ、ここで外務大臣に出席すべしという動議を提出いたしまして、決をとつていただきたいと思います。外務委員会の採決せられたる意思として、吉田外務大臣に出て来ていただく。このことは、外務大臣といたしましては、はなはだ不名誉なことであると考えます。こういうことはやりたくないけれども、あまりにも外務大臣は外務委員会を、私どもの目から見れば、軽視されておる。これについては野党の諸君にも相談いたしますけれども、(「不意打ちはいけない」と呼ぶ者あり)私も不意打ちはいけないと思うから、各党の諸君と相談をしてと言つたのですが、かりに私がここで動議を出せば成立する。しかしそれもどうかと思います。そこでそれは別といたしまして、ぜひ一度、近日中、次回の機会にでも、吉田外務大臣の御出席を委員長を通じて要求いたしたい。きようはこれで私の質問を終りたいと思います。
#145
○仲内委員長 林百郎君。ひとつ簡單にお願いします。
#146
○林(百)委員 議事進行ですが、あすは継続しますか。
#147
○仲内委員長 継続して討論、採決を行います。
#148
○林(百)委員 質疑は継続しますか。
#149
○仲内委員長 質疑はきようで打切りです。
#150
○林(百)委員 それではとても簡単にできませんよ。私も黒田委員の希望の通り、ぜひひとつ外務大臣に当委員会に出席してもらつて、最近の国際情勢についていろいろただしたいと思いますから、委員長にさようおとりはからいを願いたいと思います。
 外務公務員法において各委員の質問で明らかなように、この外務公務員法が非常に官僚統制の色彩が強く、しかも外交の秘密の漏洩を守るという形で、外務公務員に対して嚴格な責任を求めておるという点について、われわれはいろいろ考えてみたのであります。これはやはり今後の行政協定の問題、あるいは米軍の駐留の問題等をもからめて、そういう背後の事情からもこういうものが出て来たのではないかとわれわれには考えられるのであります。そこでひとつお聞きしておきたいのは、日米合同委員会ですが、この事務局というのはどこへ設けられるのですか。
#151
○石原(幹)政府委員 ただいまは御案内のように予備作業班がいろいろの準備といいますか、活動をやつておるわけでありますが、予備作業班の連絡は、ただいま外務省でやつておるわけであります。日米合同委員会はまだ設置されてないのでありまして、いずれ事務局をどこへ置くかというようなことも、話合いによつてきめられることと思います。
#152
○林(百)委員 大体予備作業班の事務当局が外務省にあるということになりますと、合同委員会が発足した場合の事務当局も、外務省に設けられるというようにわれわれ了解していいでしようか。
#153
○石原(幹)政府委員 これは今後の話合いでありますから、はつきりしたことを申し上げることはできないと思います。
#154
○林(百)委員 その御答弁はだんだん吉田総理に似て来たようであります。さらにお尋ねしたいのは、日米合同委員会の日本側の委員ですが、これはやはり外務省と関係のある人がなるわけですか。たとえば外務大臣とか、そういう人がなるのですか、あるいはそういうこととは別個なのですか。大体日米合同委員会のアメリカ代表が駐日大使というようなことも聞いておるのですが、その辺のことも外務公務員法の問題とからめてこの際聞いておきたいと思います。
#155
○石原(幹)政府委員 これもまだきまつてないのでありますが、これは高い地位とか低い地位と言えば語弊があるのでありますが、あまり高い地位の人ではないのではないかということは、この前から国会でも言われておることであります。ただいまのところそれだけのことしか申し上げられません。
#156
○林(百)委員 私は地位のことを聞いているのじやない。低いか高いか知りませんが、この地位の人はやはり外務省と関連のある人がなるわけですか、それともそことは離れて一般的な対象から選ばれるのか、その辺をお聞きしておきたい。
#157
○石原(幹)政府委員 これもきまつてないことでありますから、私から何ともここで申し上げられませんが、いわゆる外交折衝といいますか、外事折衝の多い仕事でありますので、その道の関係者から選ばれるのではないかと思います。
#158
○林(百)委員 岡崎・ラスク交換文書によると、合衆国政府は、「それぞれの政府からの一人の代表者及び必要な職員団で組織される予備作業班を日本国政府と協力して設置する用意を有します。」とありますが、これは今どうなつておりますか。
#159
○石原(幹)政府委員 これもただいま
 のところ、まだいろいろやつてはおりますが、正式なところではございません。
#160
○林(百)委員 いろいろやつている人を聞かしてもらえばよいわけです。あなたの答弁だと、予備作業班は合同委員会に引継がせるというふうにやつておると言いますから、これを聞いておるわけです。これは別に第十九号の秘密漏洩には属さないと思いますが、どうでしようか。
#161
○石原(幹)政府委員 これはただいま外務省の国際協力局長がこちらでは中心となりまして、特調関係、あるいは問題によりましては関係各省の援助を得まして、やつておるわけであります。
#162
○林(百)委員 そうすると、国際協力局長ですか、それは岡崎・ラスク交換文書による政府からの一人の代表ということになるわけですか。
#163
○石原(幹)政府委員 これは先ほど申し上げましたように、ただいまのところ、まだ正式の代表ということに決定してないようであります。
#164
○林(百)委員 実は私がそれをお聞きすることは、きようここに来ました横須賀市の請願書を見ましても、接收の問題がいろいろ、問題になつております。この部分は接收から解除してもらいたい、この部分はもう今後接收してもらいたくないということが進んでおりますし、それから現に私が実地に調査いたしたところの神奈川県高座郡の相模原ですが、ここではすでに予備作業班が作業を開始しておるにもかかわらず、ドーソンという大佐が来まして、この人が農民と直接交渉をして土地の直接の接收をしておるのでありますが、こういう場合に、予備作業班が作業を始めておるのならば、予備作業班がこういうところに入つて接收の問題を処理すべきだと思いますが、今後の接收される土地についての交渉は、一体どことどことがどういうように行うのか、その点を聞いておきたいと思います。
#165
○石原(幹)政府委員 これは先ほども申しましたように、正式の決定は見ていないのでありますが、両者の間においてそれぞれの立場からいろいろの準備といいますか、調査等もやつておるのでありまして、そういう意味の活動はある程度行われておるのでありますが、今後両国からやはり正式のメンバーがつくられまして、いろいろの意思決定が行われる、こういうことになつております。
#166
○仲内委員長 林君に御注意申し上げますが、時間の関係もあり、あとの部屋の都合もありますので、一般の質疑は明日もやるようにしますから、法案に直接関係のあることについて御質疑を願います。法案だけはきよう質疑を終了したいのです。
#167
○林(百)委員 それでは法案に直接関係したところから伺います。これはいいかげんな問題でなくて、もう札は立たつておりますし、百姓がどこと交渉してよいのか町長もみな困つているのです。本来ならば予備作業班が来て向うの代表と日本の政府と交渉するものでありますが、非常に困つているので私は切実な問題としてきようやつたのですが、明日正式に発言の許可があるなら、きようはこれだけにして、私は直接法案と関係のある問題を質疑したいと思います。
 そこで外務公務員法の機密の漏洩の問題であります。これは非常に問題になると思うのですが、ことに第二十七條にからんで、外務公務員でない人と外務公務員との間に外交機密の漏洩の問題が起きた場合には、第二十七條の適用はどうなるのか。たとえば外務省の役人が新聞社なら新聞社の人に発表した、それが第二十七條の機密の漏洩に属したという場合には、これは新聞社の方の人はどうなるのでしようか、やはり刑法の共犯の理論によつて、身分を取得して外務公務員と同じ資格のもとに処罰されるのですか、これは別なんですか、ちよつと聞かしてもらいたい。
#168
○大江政府委員 これは外務公務員とは全然関係ないことでございます。
#169
○林(百)委員 そうするとこれは別に処罰されない。刑法の共犯の理論によつて身分のない者は身分を取得して共犯として処罰されることはない、こう解釈していいのですか、念のために……。
#170
○大江政府委員 外務公務員法の規定としては関係ないのでございますが、先ほども話に出ましたように、これは一般刑法の問題になりました場合には、それに照して適用を受ける。
#171
○林(百)委員 具体的に刑法のどこでしようか。
#172
○大江政府委員 これは機密の漏洩のいろいろな状況によつて、刑法のいろいろの異なつた條項の適用があるだろうと思います。
#173
○林(百)委員 異なつたどの條項なんですか、たとえば機密の漏洩ということだけで、それだけでは別に刑法の第三章、第四章に該当しないと思うのです。
#174
○石原(幹)政府委員 これは機密漏洩自体が刑法のどれに当るということより、先ほどいろいろお話になりましたような共犯というか、通謀して窃盗をやつたとか、器物毀棄があつたとか、あるいは機密漏洩ということと関連して、何か内憂外患とか刑法にいろいろな規定があると思うのでありますが、そういう事態になればそういう條章で罰せられる、こういう意味を少し広めに政府委員が言つたのだろうと思つております。
#175
○林(百)委員 そうすると、外交機密の漏洩それだけでは一般の、外務公務員でないものには該当がないので、他の要件と加わつて刑法の外患に関する罪、あるいは国交に関する罪というようなものに触れるようになれば処罰される、そういうふうに解釈していいと思いますが、その通りですか。
#176
○石原(幹)政府委員 その通りと思います。
#177
○林(百)委員 そこで並木委員からも不規則発言として出ておるのですが、行政協定の第二十三條に軍機保護の問題があるのですが、軍機保護の問題とこの公務員法の第十九條との関係はどういう関係になつているか、お聞きしておきたいと思います。
#178
○石原(幹)政府委員 これは軍機保護といいますが、名前はどういうことになるかわかりませんが、これは行政協定の第二十三條で必要な立法をするということから出て来る結果で、別な法律ができて来るわけであります。
#179
○林(百)委員 あなたはあとを読まないからだめだ。「必要な立法を求め、及び必要なその他の措置」とありますから、先ほど申しました通りに、日米合同委員会の事務を外務省でやるというなことになりますと、これは軍機保護法で一般的な秘密の保持の責任が負わされる、それから外務公務員法で今度は機密の漏洩の責任を負わなければいかぬ。その上に日米合同委員会の事務を、外務省が担当するということになると、必要なその他の措置というようなことで、また特に何らかの措置が、行政協定に基いて外務省の合同委員会の事務をとつている人たち、あるいはその他の関係者に責任が求められて来るようにわれわれは考えられますが、その点はどう考えられますか。そういう意味で私は日米合同委員会の事務がどこで担当するのだろうか、それから日米合同委員会の代表がどこから出るのだろうということを、先ほどから聞いていたわけですが、「必要なその他の措置」、たとえば秘密を保持しなければならない書類の中には、記録だとかそれから公務上の十分な安全及び保護を確保するため、非常に広汎な責任が行政協定の第二十三條によつて負わされますから、合同委員会の事務を外務省が引受けるということになると、外務省というところはまるで秘密の殿堂みたいなことになつてしまいまして、えらいことになるのじやないかと思うわけですが、その点は石原政務次官はどういうようにお考えになるか。吉田内閣もあまり長くないから、あとのことは人にまかせるというなら別として、一般的に考えて、これは将来外務省に相当重い責任を負わされることになると私は考えておりますが、その点どうお考えになりますか。
#180
○石原(幹)政府委員 これは先ほどから申し上げておりますように、事務局がどこになるかということは、まだきまつたわけではないのであります。しかしどこにきまるにいたしましても、行政協定のとりきめによりまして、これだけの機密保護といいますか、軍機保護をやらなければならぬということになつておれば、それに基いてやらなければならぬのでありまして、つまり国家の重大な利益を守るのでありますから、国家の利益保持のためには、各人の協力を得なければならぬことは言うまでもないことであります。
#181
○林(百)委員 この問題はいろいろ問題があると思いますが、第一機密の漏洩というのは、これは何か基準を設けなくていいのですか。ただ機密の漏洩といいまして、時の外務大臣や首脳部が、これを機密だと言えば機密になつてしまつて、これこれに関するものだとか、こういう場合だとか、それがやはり基本的人権を守ることになると思うのですが、ただ抽象的に外交の機密の漏洩ということだけでは、これは基本的人権を侵害することになると思いますが、その点は何らの考慮を払う意思がないでしようか。こういうことだと、これはまつたく基本的人権を侵害すると思うのです。時の外務大臣の考えだけでどうにでもなるわけですから、その点何か基準を設けるお考えはないでしようか。
#182
○石原(幹)政府委員 これは先ほどもすでにお答えしたのでありまして、外交機密に基準を設けるとかどうとかいうことは、ちよつとできないことと思います。ただ單なる機密漏洩とかどうとかいうことだけではなしに、ここにありますように、それによつて国家の重大利益を毀損したという判定になるのでありますから、これは外交事務といいますか、外交折衝をやつております当局が当然良識をもつて判断して、結果を見出して行かなければならぬことと思います。
#183
○林(百)委員 それから公務員法の方では、職をしりぞいた後もというようなことがあるのですが、これは職をしりぞいた後はいいのですか。現職中だけですか。第十九條は問題ないのでありますが、第二十七條は職をしりぞいた後はいいのですね。
#184
○石原(幹)政府委員 原則であります公務員法もやはりそういうふうになつておるのでありますから、その精神解釈といいますか、当然そういうふうに1解釈して行かなければならぬものと思います。
#185
○林(百)委員 精神解釈というのはおかしいですね。これは「国家公務員法第九十條の規定にかかわらず、」ですから、精神解釈とかなんとかいうことでなく、第十九條に職をしりぞいた後という規定がない限り、これはいいと思うのです。
#186
○岡部政府委員 では私からお答えいたしますが、この公務員法第百條は、林さんがお述べになりました通り、国家公務員及び公家公務員であつた者につきましても罰則の規定の適用があるわけでございます。ところで第十九條と申しますのは、それは懲戒処分のことを言つておるのでございまして、懲戒処分というのは、最大の処分がその官職から排除するということでございまして、排除のことだけでございます。やめた後は問題ございません。
#187
○林(百)委員 そうすると外務公務員法第二十七條の規定は、職をしりぞいた者にも適用になるのですか。
#188
○岡部政府委員 第二十七條の規定は、これは要するにこの法律第四條におきまして、国家公務員法第百條の規定がかぶらないところの特別職その他の外務公務員に対して、第百條の第一項または第二項の規定に違反した罰則をかけるということでございますから、この限りにおきましては、退職した者は国家公務員法第百條の方に直接に参る、こう考えております。
#189
○林(百)委員 それから外国人に対しては、第二十七條はやはり適用になるわけですか。
#190
○大江政府委員 外国人に対しては適用ございません。
#191
○林(百)委員 そこが問題なのでして、外国人は、機密を漏洩して国家に重大な損害を與えても処罰されない。そんなばかなことはないと思うのですが、どうして外国人にも適用しないのですか。
#192
○大江政府委員 外務公務員でないわけでありますから、適用がないのです。
#193
○林(百)委員 外国人を採用することができる、とあるのです。だから外務公務員の身分を取得するのではないのですか。
#194
○岡部政府委員 ちよつと林さんに私から御説明申し上げておきますが、この外国人を採用することができるという第二十五條の規定は、これは先日大江政府委員からも御説明申し上げました通り、国家公務員法第二條第七項の個人的基礎に基く勤務の契約といたしまして、これは普通の公務員ではない、そういう個人的基礎に基く勤務の契約を認めている。それがこれだということになつておりますから、外務公務員の中にば入らないと御了承いただきたいと思います。
#195
○林(百)委員 私は法律上のりくつは別として、とにかく「外務大臣は、審議会の意見を聞いて、外務省本省に勤務する外国人を採用することができる。」「在外公館の長は、外務大臣の許可を得て、当該在外公館に勤務する外国人を採用することができる。」とあるわけでしよう。この外国人が、日本の国の機密を漏洩して国家に重大な損害を與えた場合、どうするのですか。
#196
○大江政府委員 外国人を採用いたします場合は、先ほども申し上げました通り在外公館におきまして、ごく下のいろいろな補助業務に当らせるわけでございまして、重大な国家機密というものは大体取扱わさないというのが原則でございます。
#197
○林(百)委員 それは詭弁であつて、下の者でも、たとえば自動車の運転手でも、外務大臣を乗せている運転手が、中でラスクさんと話をしていることを聞くこともあるのですから、機密をつかんでいないということはない。それはどうしてもおかしいので、そういう人たちにも取締る方法を設けるべきだと思う。外務省に勤めている人をそんなに戰々よようとさせて、査察使までも出して監督さしてぎゆうぎゆういじめるのに、外国人であつたならば手も足も出ないというのは、これは富士銀行のギャング事件の外国人とかわりはないではありませんか。
#198
○大江政府委員 先ほども岡部政府委員から申し上げました通り、雇用契約で外国人を採用いたしますので、その中にいろいろな契約條件とし規定をいたしております。これに違反したような場合は、さつそくこれを免職させるというような規定もあるわけでございます。
#199
○林(百)委員 免職だけでは、それでは日本人も免職だけにしたらどうです。懲役一年以下三万円の罰金ですか。日本人並に外務省でそういう仕事に携わる以上は、免職だけではだめです。やはり第二十七條を適用しなければ、そんな卑屈な外務省でどうなるのですか。
#200
○大江政府委員 先ほども申し上げました通り、そういう職員には機密事項は扱わせておりませんが、万一そういうような場合がありましたら、これはやめさせる。またなぜ処罰しないかと申されますが、これは外国におります外国人は、何とも処罰する方法はないのであります。
#201
○林(百)委員 あなたは刑法を御存じだと思いますが、たとえば刑法の内乱外患に対する罪は、たとえば総則のところに外国人についても適用するというのが刑法にもあるわけです。これで処罰することがいくらもできるじやないですか。
#202
○岡部政府委員 それではもう一度お答えいたします。実は林さん法律の專門家でいらつしやるから、法律の問題をお答えしたつもりなのですが、御承知の通り刑法に規定する犯罪が日本国内において行われました場合におきましては、刑法第一條が定めます通り、何人を問わずこの刑法の規定を適用できるわけでございますが、この外務公務員法が定めております、あるいは国家公務員法が定めております罰則の規定は、一種の身分犯でありまして、公務員という身分を持つておる点をつかまえている点で、もしも身分がなければ一般刑法の原則によつて行くわけであります。ところで外国人を外国の公館で運転手あるいはタイピストとして採用した場合におきましては、この法律の定めによりまして、それを外務公務員と定めない、これは公務員でないのだ、そういう公務員としての身分を與えないということでございます。従つて身分犯として定めますところの、この第二十七條あるいは公務員法百九條の規定が定める罰則は適用がない、こういうように解釈しております。
#203
○林(百)委員 結論を出しますが、私はあなたのはへりくつだと思うのです。実際外務公務員法によつて外国人を採用しておきながら、これは外務省で採用しているけれども、外務省の公務員でもない、従つてまた処罰もしないのだというようなことは、これはへりくつだと思う。たとえば刑法の第二條によれば、「本法ハ何人ヲ問ハス日本国外二於テ」云々とあつて、重要な、たとえば内乱の罪だとか外患の罪を犯した者は処罰できる。また第四條では、日本の公務員が国外においていろいろな罪を犯した者は処罰するという点があります。何も外国人だからといつて、外務省が雇つた以上は、外務公務員と同じ取扱いをして悪いことは絶対ない。非常に日本の国にとつて屈辱的な法律になると思うので、ぜひひとつ再考をお願いしたい。もう一つ最後に岡部さんにお聞きしたいことは、先ほど石原次官からもありました通り、かりに共産党員であつたとしても、これが公務員法の適用のない限りは、外務省の職員として身分上の措置があり得るのだという点を、岡部さんにもう一度確かめておきたい。これは政治的な信念だとか政党によつてそういう差別はないはずであると思います。
#204
○岡部政府委員 先ほど石原次官からお答えした通りに私は思つております。
#205
○仲内委員長 これにて本案に関する質疑を終了することにいたします。
    ―――――――――――――
#206
○仲内委員長 次に千九百四十六年十二月十一日にレーク・サクセスで署名された議定書によつて改正された麻薬の製造制限及び分配取締に関する千九百三十一年七月十三日の條約の範囲外の薬品を国際統制の下におく議定書への加入について承認を求めるの件を議題といたします。
 本件につきましては別に質疑もないようでありますので、質疑を終了することにいたします。
 本日はこれにて散会いたします。次会は明二十日午前十時より開会いたします。
    午後一時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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