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1947/11/28 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第68号
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1947/11/28 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第68号

#1
第001回国会 本会議 第68号
昭和二十二年十一月二十八日(金曜日)
    午後三時十六分開議
    ―――――――――――――
 議事日程 第六十七号
  昭和二十二年十一月二十八日(金曜日)
    午後一時開議
 第一 赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律案(内閣提出)
 第二 健康保險法及び厚生年金保險法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第三 國民医療法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第四 毒物劇物営業取締法案(内閣提出)
 第五 企業再建整備法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第六 船員法戰時特例を廃止する法律案(内閣提出)
 第七 造船事業法を廃止する法律案(内閣提出)
 第八 郵便貯金法案(内閣提出、参議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 会期延長の件
#3
○議長(松岡駒吉君) 会期延長の件についてお諮りいたします。今回の会期は明二十九日をもつて終了することとなつておりますが、各常任委員長の意見を聽き、議院運営委員会にも諮つた上、参議院議長と協議の結果、來る三十日より十二月九日まで十日間会期を延長したいと存じます。これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて会期は十二月九日まで十日間延長することに決しました。
     ――――◇―――――
 第一 赤十字標章及び名称等の使用の制限に関する法律案(内閣提出)
 第二 健康保險法及び厚生年金保險法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第三 國民医療法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第四 毒物劇物営業取締法案(内閣提出)
#5
○議長(松岡駒吉君) 日程第一、赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律案、日程第二、健康保險法及び厚生年金保險法の一部を改正する法律案、日程第三、國民医療法の一部を改正する法律案、日程第四、毒物劇物営業取締法案、右四案は同一の委員会に付託せられた議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。厚生委員長小野孝君。
   ―――――――――――――
 赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律案(内閣提出)に関する報告書
 [都合により最終号の附録に掲載]
   ―――――――――――――
 健康保險法及び厚生年金保險法の一部を改正する法律案(内閣提出)に関する報告書
 [都合により最終号の附録に掲載]
   ―――――――――――――
 國民医療法の一部を改正する法律案(内閣提出)に関する報告書
 [都合により最終号の附録に掲載]
   ―――――――――――――
 毒物劇物営業取締法案(内閣提出)に関する報告書
 [都合により最終号の附録に掲載]
   ―――――――――――――
    〔小野孝君登壇〕
#6
○小野孝君 ただいま議題となりました、赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律案、健康保險法及び厚生年金保險法の一部を改正する法律案、國民医療法の一部を改正する法律案並びに毒物劇物営業取締法案につき、厚生委員会の審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 御承知の通り旧憲法のもとにおきましては、勅令又は省令をもつて各種の取締りに関する規定を定め、その中に罰則規定を設けることが常であつたのでありますが、これは新憲法の施行後はもちろん許されないことであり、昭和二十二年法律第七十二号日本國憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律の規定によつて、これらの規定は本年十二月三十一日限りで効力を失うのであります。從つて、罰則を設けることを必要とするものについては、これらに代るべき法律を制定し、または法律に委任規定を設けなければなりません。ただいま議題となつた四法律案は、いずれもこのために提案せられたものであります。從つて、実質的には從來の規定の内容と大した違いはなく、ただ事務的に必要な一、ニの改正の点があるのみであります。
 かような趣旨の提案でありますところから、厚生委員会の審議も比較的簡單にすみました。赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律案と健康保險法及び厚生年金保險法の一部を改正する法律案につきましては去る二十日、毒物劇物営業取締法案及び國民医療法の一部を改正する法律案につきましては昨日、いずれも討論を省略して採決いたしましたが、四案とも原案通り可決いたした次第であります。右、御報告申し上げます。
#7
○議長(松岡駒吉君) 四案を一括して採決いたします。四案の委員長報告はいずれも可決であります。四案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて四案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
 第五 企業再建整備法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#9
○議長(松岡駒吉君) 日程第五、企業再建整備法等の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。財政及び金融委員長北村徳太郎君。
   ―――――――――――――
 企業再建整備法等の一部を改正する法律案(内閣提出)に関する報告書
 [都合により最終号の附録に掲載]
   ―――――――――――――
    〔北村徳太郎君登壇〕
#10
○北村徳太郎君 ただいま議題となりました企業再建整備法等の一部を改正する法律案について、財政及び金融委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、本案の内容について申し述べますと、昨年十月、いわゆる戰時補償の打切りに伴い、企業再建整備法が施行せられたのでありますが、その後種種のやむを得ない事情によつて、同法の規定に基く各企業体の最終的な損失の計算、再建計画の策定等は今日まで完了を見ないで推移してまいりました。しかしながら、先ごろ特別損失の概算も終りましたので、いよいよ再建整備の最終的処理の段階である整備計画提出の時期に相なつたのでありますが、その後経済界の実情に即して、企業再建整備法等の一部に若干の修正を加える必要を生じましたので、ここにこの法案が提出されたのであります。
 次に、おもなる改正の要点を申し述べますと、まず第一に、特別損失を処理して後、特別経理会社がその資本構成を整えるため増資をする場合において、特別損失を負担した株主及び債権者に万遍なく会社の資産の含み利益にあずからせる、すなわちその含み利益を享受させる途を與えるため、新株発行の際額面超過金の交付を認め、かつ新株の引受権を他に譲渡することを認めようとするものであります。
 その二は、特別経理会社の整備計画の法律的効力を強化いたしまして、当該会社の株主、債権者、第二会社の株主等を拘束することとしたことであります。
 第三は、特別経理会社がいわゆる第二会社を設立する場合において、從業員の承継を円滑にするため、旧会社においては第二会社に承継せられる從業員に対しては退職金を支拂わないこととし、これに代り第二会社は、旧会社に勤務した從業員の在職期間を引継いで、自分の会社における在職と同樣に取扱うとともに、旧会社の特別損失処理にあたつて、任意準備金の一部を退職金支拂の準備のため特に留保して、第二会社に対してもこの準備金を承継させることであります。
 第四に、特別経理会社の旧債の処理、第二会社の金融等を容易にするために、商法等に対し特例を認め、社債の発行限度の制限を緩和し、財團抵当の登記の場合の附属物件の一括登記の特別措置を論じようとするものであります。
 第五は、会社の整備計画の作成にあたり、なるべく廣汎な利害関係者の意見をこれに盛りこみ、その内容を公正ならしめるために、その提出に際し、利害関係人から反対意見の表明があつた場合には、これを附記し、提出せられてからは、利害関係人から主務大臣に異議の申立ができることとなつております。
 第六は、整備計画の適正なる実行を確保するため、定期的な実行状況の報告義務を課するとともに、特別管理人の監督の制度を設けようとする点であります。
 第七に、以上の企業再建整備法の改正に伴い、会社経理應急措置法の一部を改正いたし、特別経理会社の旧勘定に属する資産の上に存する担保の処理を円滑ならしめるための必要な改正規定を設けております。
 最後に、有價証券の処分の調整等に関する法律を改正して、特別経理会社の株主または債権者が新株の引受権を譲渡する場合に、これを証券処理調整協議会に委託することを認めるとともに、協議会に証券発行会社の経理その他の業務の内容を詳らかにする権限を與えることといたしております。
 本案は、去る十一月八日本委員会に付託されたもので、十一日政府より提案理由の説明を聽き、翌十二日細部にわたつて説明を求めましたが、これらは商業委員会とも関連がありますので、二十六日連合審査会をもつて審議いたしました。委員よりは、かように重要な法案を何ゆえもつと早く出さなかつたか、また未拂込株式の問題などについて質疑があり、それぞれ政府より、答弁がありましたが、本案は技術的な問題であるので、次いで討論に入りましたところ、社会党を代表して中崎委員、自由党より塚田委員、國民協同党の内藤委員より、それぞれ賛成意見を述べられ、採決の結果、全会一致をもつて可決いたしました。簡單でございますが、以上御報告申し上げます。(拍手)
#11
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長の報告の通りに決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#12
○議長(松岡駒吉君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
 第六 船員法戰時特例を廃止する法律案(内閣提出)
 第七 造船事業を廃止する法律案(内閣提出)
#13
○議長(松岡駒吉君) 日程第六、船員法戰時特例を廃止する法律案、日程第七、造船事業法を廃止する法律案、右両案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。運輸及び交通委員長正木清君。
   ―――――――――――――
 船員法戰時特例を廃止する法律案(内閣提出)に関する報告書
 [都合により最終号の附録に掲載]
   ―――――――――――――
 造船事業法を廃止する法律案(内閣提出)に関する報告書
 [都合により最終号の附録に掲載]
   ―――――――――――――
    〔正木清君登壇〕
#14
○正木清君 ただいま議題となりました船員法戰時特例を廃止する法律案及び造船事業法を廃止する法律案に関する運輸及び交通委員会における審査の経過及び結果について、簡單に御報告申し上げます。
 船員法戰時特例を廃止する法律案は十一月十八日、造船事業法を廃止する法律案は十一月二十一日、それぞれ本委員会に付託せられたのでありまするが、十一月二十二日これを一括議題として、政府から提案理由の説明を聽取いたしました。
 船員法戰時特例を廃止する法律案の趣旨を簡單に申し上げますと、船員法戰時特例は、許可、認可等の臨時措置法に基く勅令でありまして、旧船員法のもとにおいて、船員の雇入れ契約の更新または変更の場合、管下官廳の公認をうけること及び公認をうける場合、船員の管下官廳に出頭することを免除して、官廳事務を簡易化し、船舶の速発をはかることを目的として、昭和十九年に制定されたのでありまするが、現在ではその存続の必要がないのみならず、船員の労働保護の完璧を期する上からも、またこれを廃止せんとするものであります。
 次に、造船事業法を廃止する法律案の趣旨でございますが、造船事業法は、戰時船腹の増強をはかるために、造船事業の統制と保護育成とを目的として、昭和十四年に制定せられたものでありまして、造船組合の規定その他いわゆる独占禁止法の精神に反する規定が少くないので、これを廃止しようとするものであります。なお本法施行の期日は、國際情勢と、わが國経済の現状に即應した造船に関する法律を新たに制定する準備等の関係から、明年三月三十一日といたしておるのであります。
 越えて、十一月二十六日質疑にはいつたのでありますが、船員法戰時特例を廃止する法律案について、この戰時特例は新船員法の施行を同時に廃止さるべきものではなかつたか、手間どつて今日に及んだ理由いかんとの質疑がありました。これに対して政府側から、この戰時特例は勅令ではあるが、これが廃止は、その内容より見て、新憲法の精神により法律をもつてしなければならないことになつたためであるとの答弁がありました。
 また、造船事業法を廃止する法律案については、準備中であるという新しい造船に関する法律の腹案があるなら、その内容を承りたいとの質疑に対しましては、わが國の國際的地位に鑑み、今後わが國に許されるであらう造船能力と資材は、これを最も有効に使用していかなければならないので、造船事業を許可すること、船舶用機関、艤装用品等については規格を定めること、造船技術の振興、船舶の改善を図るために造船に関する研究を命じ得ることとすること、船舶用機関の性能等の試驗を受けなければならないこととすること等を中心として、新時代に即應した造船法をつくりたいと考えておる旨の政府答弁がありました。その他詳細に関しては、会議録に讓りたいと思います。
 次いで、質疑を打切り、討論を省略して、ただちに両法案を一括議題として採決に入り、全会一致をもつて原案の通り可決いたしました。
 以上、簡單ではございますが、報告を終ります。(拍手)
#15
○議長(松岡駒吉君) 両案を一括して採決いたします。両案の委員長報告は可決であります。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
 第八 郵便貯金法案(内閣提出参議院送付)
#17
○議長(松岡駒吉君) 日程第八、郵便貯金法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。通信委員長岡田勢一君。
   ―――――――――――――
 郵便貯金法案(内閣提出、参議院送付)に関する報告書
 [都合により最終号の附録に掲載]
   ―――――――――――――
    〔岡田勢一君登壇〕
#18
○岡田勢一君 ただいま議題となりました郵便貯金法案に関し、委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず本法案の制定理由でありますが、現行郵便貯金法は、明治三十八年に制定されて以來、一部の改正を除いては、ほとんど旧態のまま今日に及んだのでありまして、新憲法が実施され、郵便貯金事業も顯著な発達を遂げた現情勢のもとにおきましては、これに根本修正を加えて、一面憲法の要請する國民の権利の尊重と官業の民主化をはかるとともに、他面、刻下の急務たる貯蓄増強の方途を講ずる必要がありますので、政府は、現行郵便貯金法を廃止して、新たに時代の要求に合致した郵便貯金事業の基礎法を制定するの必要を認めて、本法案を提出するに至つたのであります。
 本法案が現行郵便事業法と著しく違つている要点を申し上げますと、第一に、現行法はわずかに十八箇條からなり、制度の根幹を最少限度に規定するに過ぎず、制度の実体はほとんど省令に委ねられているのでありますが、本法案は、新憲法の要請に副い、冒頭に法律制度の精神及び事業の管理者たる逓信大臣の職責を掲げたほか、貯金の種類、利率、利子計算、各種請求権等、利用條件として重要なものはすべてこれをこの法律で規定していること、第二に、最近の経済事情に対應するとともに、インフレ防止策の一環として貯蓄の増強に資するため、郵便貯金の総額の制限額を現行の一万円から三万円に引上げたこと、第三に、新たに割増金附郵便貯金の制度を設けたこと、この制度は民間金融機関においてすでに実施して相当の効果をあげている割増金附預金制度にならい、定額郵便貯金の一態樣として、一年または二年の据置期間中を無利子とし、その代りくじ引によつて割増金をつける制度でありまして、これによつて大口貯蓄の吸收をはかろうとするものであります。第四に、現行法は、郵便振替貯金に関する規定を置いているのでありますが、この制度は貯蓄手段たる本來の郵便貯金の制度とは目的及び内容に著しい相違がありますので、右に関する規定は、別個に郵便振替貯金法を制定する予定のもとに、郵便貯金法案からはこれを除いたこと等であります。なお、本法律案の施行期日を本年十二月一日とする旨並びに振替貯金制度に関してはこの法律施行後でも旧法がその効力を有する旨、附則で規定しているのであります。
 以上、現行法と対照しつつ本法案の概要を御説明申し上げたのでありますが、本月十四日、予備審査のため本案の付託を受けまして以來、委員会は数次にわたつて会議を開催し、政府の提案理由並びに内容の説明を聽取した後、引続き質疑に入つたのであります。質疑應答の詳細は会議録に讓ることといたしまして、次にその二、三につき、要点をかいつまんで申し上げます。
 まず、本法律案の施行期日は本年十二月一日になつているが、國民に周知徹底させるための準備期間が必要ではないかという問に対しまして、政府は、特に割増金附貯金制度による年末浮動資金の吸收をはかるために本案の施行を急いだ旨の答弁がありました。
 次に、貯金総額の制限額を三万円とした理由いかんという質疑に対しましては、政府は、最近の経済情勢に鑑み、貯金総額の制限額は相当引上げの必要を認めたが、一面、一般金融機関に対する影響をも考慮し、所得税、印紙税免除の特権を有する郵便貯金としては、その制限額を國民貯蓄組合法による預金利子に関する所得税免除点たる三万円とすることが最も適当であると考えた旨答弁いたしております。
 次に、割増金附郵便貯金制度による本年度の貯蓄吸收見込額についての質疑に対しましては、政府は、明年三月までに二十五億円ないし三十億円程度をこの制度によつて獲得する予定である旨を答えております。
 最後に、郵便貯金は現在大藏省預金部においてこれを運用し、郵便貯金事業に要する経費は、預金部特別会計より通信事業特別会計に繰入れられているが、運用利回りを高めて通信事業会計收支の改善に資するため、郵便貯金の運用もこれを逓信省に移管してはどうかという問いに対しましては、政府は、郵便貯金は現在大部分國債に投資せられており、その運用を逓信省に移管しても、にわかに運用利率を高めることは困難である旨を答弁いたしました。
 なお附け加えて申し上げますが、本法律案の施行につき新たに必要とする経費は、割増金附郵便貯金の実施に要する経費約三千五百万円でありまして、本年度当初予算の予備費中より支弁することになつております。
 かくて委員会は、本月二十五日本法案に対する質疑を終了し、同二十六日本付託をまつて、翌二十七日討論を行つたのでありますが、討論の際、日本社会党を代表して成田知巳君、民主党を代表して長谷川政友君、日本自由党を代表して白井佐吉君、日本共産党及び日本農民等を代表して林百郎君より、それぞれ原案に賛成意見を述べられ、次いで採決の結果、全員一致をもつて原案の通り可決いたした次第であります。以上御報告申し上げます。(拍手)
#19
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案は委員長の報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
 内務省及び内務省の機構に関する勅令等を廃止する法律案(内閣提出)
 地方財政委員会法案(内閣提出)
 内務省官制等廃止に伴う法令の整理に関する法律案(内閣提出)
#21
○安平鹿一君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、内務省及び内務省の機構に関する勅令等を廃止する法律案、地方財政委員会法案及び内務省官制等廃止に伴う法令の整理に関する法律案の三案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#22
○議長(松岡駒吉君) 安平君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#23
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 内務省及び内務省の機構に関する勅令等を廃止する法律案、地方財政委員会法案、内務省官制等廃止に伴う法令の整理に関する法律案、右三案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。決算委員長竹山祐太郎君。
   ―――――――――――――
 内務省及び内務省の機構に関する勅令等を廃止する法律案(内閣提出)に関する報告書
 [都合により最終号の附録に掲載]
   ―――――――――――――
 地方財政委員会法案(内閣提出)に関する報告書
 [都合により最終号の附録に掲載]
   ―――――――――――――
 内務省官制等廃止に伴う法令の整理に関する法律案(内閣提出)に関する報告書
 [都合により最終号の附録に掲載]
   ―――――――――――――
    〔竹山祐太郎君登壇〕
#24
○竹山祐太郎君 明治維新以來七十五年の歴史を有する内務省が、新憲法並びに新自治法の精神に則りまして、ここに解体することとなり、ただいま議題となりました三法案の提案を見たのであります。ここに決算委員会における審議の経過並びに結果のご報告を申し上げる次第であります。
 本案は、さきに八月に一度、地方自治委員会、公安廳及び建設院設置法案として提案があり、審議を始めたのでありますが、政府はこれを途中撤回して、新構想に基いてあらためて提案を見た次第であります。
 内務省解体に関する法律案は全部で八つに上り、本三案のほか、警察法案、最高法務廳法案、消防組織法案、建設院設置法案、全國選挙管理委員会法案の八つでありまして、前二者はすでに提出せられてそれぞれ審議中、次の二案は目下立案中、最後の一つは國会において立案中であります。
 ただいま議題となつております三法案中の一つは、内務省解体の法案ともいうべきもので、内務省及び内務省の機構に関する勅令等を廃止する法律案であります。これは内務省を本年十二月三十一日もつて廃止するのでありますをもつて廃止するのであります。なおその附則において、残余事務処理のために内閣において内事局をおき、九十日をもつて廃止することとなつております。
 他の一つ、内務省管制廃止に伴う法令の整理に関する法律案は、從來内務大臣の所管をいたしておつた八法律、六勅令を各省にそれぞれ分属をせしめる等の法律であります。
 最後に、地方財政委員会法案は、他にただちに分属し得ない重要な地方財政の自主化に関する事項について、内閣総理大臣のもとに臨時に地方財政委員会を設け、國家公益と地方公共團体の自主権とが調和するよう地方財政の自主化をはかるために、租税、公債、予算、國家資金の配分等重要事項について計画を立案せしめんとするものであります。この委員会は、これらに関する法律案を、この法律公布の日より九十日以内に國会に提案しなければならないことになつております。この委員は、他の行政事務を分担しない國務大臣、國会議員代表者、都道府縣知事、市町村長の代表者各一名ずつ五名よりなり、國務大臣を委員長とし、國務大臣と一般官吏の最高額との間の手当を受くることとなり、これに事務局を置くこととなつております。
 以上三案は、内務省解体処理に関するものでありまして、委員会としては、付託せられた翌十一月二十五日より本日まで連日審議を継続いたし、なお本案が治安及び地方制度並びに財政金融の両委員会と審議を重ねる必要を認め、両委員長とも協議の結果、それぞれ委員会の審議予定の都合もあり、連合審査会を開くことを省略いたして、おのおの関係委員の参加審議をはかることといたして審議を続けた次第であります。委員諸君から、今や危局に瀕する地方財政の現状等よりして、きわめて愼重なる審議が続けられたのでありますが、その詳細は速記録に讓つて、ごらんを願いたいと存じます。
 質疑を打切つて討論に入りましたところ、竹谷委員より各派共同提案になる修正案が提出せられ、採決の結果、修正案及び修正案を除く残余の原案は可決せられたのであります。
 次に、修正案とその理由とを簡單に御説明申し上げます。修正案はただ一点でありまして、地方財政委員会法案第七條中「地方財政委員会の委員(國務大臣たる委員を除く)」は、一般官吏の俸給の額よりも高く、國務大臣の俸給よりも低い額の範囲内で、内閣総理大臣の定める額の手当を受けるものとする。」とあるうち、「一般官吏の俸給の額よりも高く、國務大臣の俸給の額よりも低い額の範囲内で」を削除せんとするものであります。このことは、さきに述べた五人の委員中國務大臣及び國会議員は、國費なるをもつて手当を重ねて支給しないことになつておるのに、他の委員は地方費なるがゆえに重ねて支給することに相なつておる原案の建前は、給與基準の公平観から適当でないと認めて削除をいたし、みな同樣の取扱いをなさしめんとする次第でありまして、これによつて委員の資格、待遇を低下せしめんとする意思ではないことを明確に附言いたしておきます。以上が修正案の報告であります。
 以上、簡單に申し述べましたが、各委員とも重ね重ね希望いたしましたことは、この画期的な内務省解体が円滑に進み、新憲法下、日本の地方自治が一日も早く成長完成するよう政府の処置よろしきを得、殊に地方財政については、今日の窮状、破局的な状態に鑑み、この委員会の委員の選定運用によりその目的達成に万全の処置を講じ、なお將來にわたつて確固たる処置に遺憾なからんことを切望した次第であります。
 以上、本案に対する審議の経過並びに結果でありまして、全員一致賛成をいたしました委員会の報告に対し、御賛成あらんことを望む次第であります。(拍手)
#25
○議長(松岡駒吉君) 三案を一括して採決いたします。地方財政委員会法案の委員長報告は修正でありまして、その他の両案の委員長報告はいずれも可決であります。三案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて三案は委員長報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
 全逓及び國鉄爭議に対する中労委の調停案に関する緊急質問(田中稔男君提出)
#27
○安平鹿一君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、田中稔男君提出、全逓及び國鉄爭議に対する中労委の調停案に関する緊急質問、多賀安郎君提出、人口問題に関する緊急質問、林百郎君提出、全逓問題につき中労委の調停案に対する政府の態度に関する緊急質問を逐次許可せられんことを望みます。
#28
○議長(松岡駒吉君) 安平君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#29
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 全逓及び國鉄爭議に対する中労委の調停案に関する緊急質問を許可いたします。提出者田中稔男君。
    〔田中稔男君登壇〕
#30
○田中稔男君 私は、去る十四日全逓爭議に関し政府及び組合の双方に対して提示されました中央労働委員会の調停案につきまして、関係大臣に若干質問をいたしたいと考えるものであります。
 調停案は二部にわかれておるのであります。第一に、物價安定を基礎とする最低賃金制の確立という組合の要求に対しましては、中央労働委員会は、その理念自体はこれを認めるが、軽労働二千四百カロリー、生計費のうちに占める飲食費の割合六〇%とするところの要求内容については、國家財政または企業経理能力の窮乏せる現状においては、とうてい首肯しがたいという態度をとつているのであります。しかるに、一方政府の施策を檢討いたしまするに、千八百円ベースを設定いたしました際に、生計費の推算において無理があり、その後、政府の約束いたしましたところの流通秩序の確立、やみの撲滅ということが少しも成功をしていない。それだけでなく、一般物價はますます高騰を続けておるという事情に鑑み、千八百円ベースは改訂する必要がある。そのためには、十一月中に臨時給與委員会を設置して、來年一月より新給與を実施するように政府に対して勧告をいたしておるのであります。私は、調停案が企業経理能力説に根拠いたしまして、組合側の労働力再生産説に対立している点におきまして、不満を抱くものでありますけれども、千八百円ベースの改訂その他の点におきまして、この調停案に賛意を表するものであります。
 千八百円ベースを改訂しなければならない第一の理由は、これをもつてしては、とうてい生計費を賄うことができないのであります。千八百円ベースの計算に從いますと、四、二人世帶の全國平均月收は二千九百二十円ということになつておるのであります。もちろん、東京その他大都市におきましては、その数字ははるかに三千円を上まわつておると考えられるのであります。また大藏当局の発表するところによりますれば、官公廳の職員につきましては、東京等の大都市におきましては、四・二人世帶の平均月收は四千円を上まわつておる数字が示されておるのであります。しかしながら、本年八月の実際の生計費を内閣統計局の消費者費價格調査によつて調べますと六千円に達しているのであります。しかも、大藏当局が発表しましたこれに該当する数字はさらに多く、六千五百七十六円であつたと思うのであります。その後、一般價格の引上げや、米の消費者價格の引上げや、タバコの値上げ等が行われましたために、生計費は高騰しておることは確実であります。かくして、家計の赤字は明瞭であります。
 千八百円ベースを改訂しなければならない第二の理由は、民間企業におきましては、賃金ははるかに千八百円ベースを上まわつておるのであります。官公廳の職員の賃金と民間企業に從事する労働者の賃金との開きは、本年七月以來漸次顯著になつておるのであります。どうしても官公廳の労働者に対しまして千八百円ベースを改訂しなければ、均衡がとれないのであります。さらにまた、千八百円ベースを設定しました場合、その裏づけとなるべきところの生活物資の円滑なる配給が、約束通り行われていない。政府は各種の公定價格を引上げ、タバコの値上げをやつて、やみ價格の高騰を促進しておる。インフレーションは依然として進行を続けておるのであります。
 こういうふうな事情からして、私は千八百円ベースの改訂の必要を痛感するものでありますが、一体、そのことは可能であるのかどうかということを考えますならば、千八百円ベースを設定しました際に、公定價格の引上げをやつたのでありますが、その際二・三倍ないし二・五倍に引上げました。その引上げ方は、賃金と比べまして不均衡に高かつたのであります。大体の数字を申しますならば、賃金をもう四割引上げましても公定價格との均衡はとれるのであります。新價格体系には何ら影響を及ぼさないのであります。しかしながら、新價格体系そのものを再檢討する時期がもう來ているのではないかと私は考えるのであります。もしそうでありますならば、賃金問題はさらに新たなる角度を與えられるのでありますけれども、それはともかくといたしまして、官公廳労働者のために千八百円ベースを改訂するために速やかに臨時給與委員会を設置すべしという中労委の勧告に対しましては、私はこれに賛成し、これについて米窪労働大臣の御意向を承りたいと考えるものであります。
 さらに、この六月までの生計費の赤字を補?するために、本人二千円、扶養家族一人につき一千円の生活補給金を、乙地の最低額として八月中に支給せよという組合の要求に対しまして、中央労働委員会は、一月から十二月までの生活補給金として千八百円ベースの二・八箇月分、金額にいたしまして五千四十円を平均額として支給すべしと勧告しているのであります。私は、この金額は、さつき千八百円ベースの改訂の必要を論じましたのと同じ理由をもつて、決して満足すべき金額とは考えないのであります。しかしながら、最小限度の金額として、この二・八箇月分はぜひ政府において出していただきたいと考えるのであります。(拍手)これにつきまして、米窪労働大臣の御意向を承りたいと考えるものであります。
 なおこの際、中央労働委員会の権威について一言いたしたいと思うのであります。昨年秋のあの歴史的な電産爭議にあたりまして、当時の自由党の吉田内閣は、みずから中央労働委員会に対して調停を依頼しておきながら、その調停案を拒否して、その権威を蹂躙したのであります。現内閣は、かねて早期の平和的解決を慫慂されており、そのために中央及び地方を通ずる労働委員会の権威を尊重する旨、たびたび言明されているのであります。今回の中労委の全逓調停案について、政府ははたして平素の言明通りに中央労働委員会の調停案の権威を認められる御意思があるかどうか。この点について米窪労働大臣の御答弁を得たいと思うのであります。
 この際関連して御質問いたしたい事柄があるのであります。ただいま私、手にいたしたのでありますけれども、十一月二十四日附で國鉄北海道対政府要求貫徹委員会の声明書があります。北海道の國鉄の労働者諸君は、かねて待遇改善について札幌鉄道局長に向つて要求を提出されておつたのであります。それが数次にわたる交渉の結果、当局はその妥当性を認めながらも何ら実現の手段をとらないために、遂に十月二十七日、北海道地方労働委員会に提訴されたのであります。その結果、十一月十一日に調停案が提示されたのであります。調停案の内容はいろいろありますけれども、そのうちにおいて特に重要な一項目は、燃料手当として有扶養家族者に対しまして七千六百円、独立生計單身者に対しまして三千八百円、非独立單身者に対して二千円支給することを妥当とするという一項目があるのであります。札幌鉄道局長も、これを認めたのであります。しかるに政府当局におきまして、この地方労働委員会の調停案を不当としまして、有扶養家族者に対しましてわずか三千円、独立生計單身者に対しましてわずか千円支給するということにきめられたのであります。このことは、かねて中央及び地方を通ずる労働委員会の権威を尊重するという政府の言明を裏切つた行動であると思うのであります。私は、この点につきまして政府の御意向を承り、どうかひとつ今回の御決定を飜していただいて、北海道地方労働委員会の調停案通りの燃料手当を支給していただいて、今や冬將軍を迎えて寒さに凍えようとしておるところの北海道の國鉄の労働者のために御配慮願いたいと思うのであります。
 次に、臨時給與委員会が設置され、來年一月から新給與が実施され、また生活補給金として二・八箇月分の支給が行われると假定いたしました場合には、これは相当人件費の増大を來すことは必至であります。本年度の第一次追加予算の審議にあたりましても、これをもつて財政上の危機を説く声が多かつたのでありますからして、この人件費の増大は、その処理まことに困難な問題であろうと思うのであります。しかしながら私は、困難であるということは不可能であるということと同義ではないと考えるのであります。そのことは可能であり、その可能性を現実化するものは、一つにかかつて政治力にあるものと考えるのであります。
 政府は、この増大した人件費の処理にあたりまして、赤字公債や日銀借入金によつて賄い、その結果としてインフレーションを促進し、新給與水準を実質的に無効ならしめるような方途をとるべきではないのであります。たとい一時財政上のやりくりとして、そういう方途をとりましても、速やかにその引当てとして積極的歳入を確保するの方策を講じなければならないのであります。
 私は、あまりこまかいことは申し上げたくはないのでありますけれども、いま財政年度を問わないで、いろいろ財源を探してみますならば、次のようないろいろな財源を私は発見することができるのであります。
 まず第一に、今日民間の企業におきまして、賃金は一般に千八百円ベースを上まわつておることは、先ほど申した通りであります。從つて、千八百円ベースを課税標準としたところの本年度の勤労所得税は、自然増收を來すことは必至でありまして、その額はおそらく九十億に達するであろうと言われておるのであります。また現在におきまして、税金の滯納額は百億を突破しておるのであります。もし徴税機構を強化することができますならば、この滯納を解消することができるだけでなく、さらに百億の自然増收を來すこともできると思うのであります。さらに不徹底に終りましたところの財産税に追加いたしまして、明年度におきまして課するということも一つの方法であります。
#31
○議長(松岡駒吉君) 時間がまいりました。結論を急いでください。
#32
○田中稔男君(続) あるいは隠退藏物資のうち、正規の手続を経て拂下げられたところの物件の價格は、その当時の價格において千億を超えておるということでありましたが、これに対しまして、さかのぼつて二割ないし三割の課税を行う方法もあります。あるいはまた價格差益金を徹底的に取立てる、あるいは戰時公債の元利拂いの停止を行う、こういうふうないろいろの方法によりまして財源を発見することはできるのであります。
 要するに、新円階級に対するところの重点的な課税を行うことであり、これは強力なる政治力を必要とするのであります。こういうふうに、いろいろな財源があるにもかかわらず、財政難の理由をもつてこの調停案を拒否しようという御意思であるかどうか、栗栖大藏大臣の御答弁を伺いたいと思うのであります。
 最後に、今日はおられないと思いますが、私は片山内閣総理大臣に対しまして御質問をいたしたいと思います。
#33
○議長(松岡駒吉君) 結論を急いでください。
#34
○田中稔男君(続) 今日、日本の労働者が求めておりますところのものは、人間としての最低生活であります。二千四百カロリーは、その一つの指標であります。この生活も、片山首相がしばしば説かれたところの耐乏生活にほかならないのであります。しかしながら、私は日本の労働者の愛國心を信ずる。鉱工業の生産指数が戰前の三〇%に落ち、労働效率も三分の一に落ち、國土が全面的に荒廃しておりますときに、もし國際的事情その他によりまして、二千四百カロリーというものがどうしてもとれない、それを割つた窮乏生活を忍ばなければならないといたしますならば、日本の労働者が眞に奮起しますならば、その耐乏生活にも甘んじて、祖國の経済再建のために協力することを、私は確信して疑わないものであります。(拍手)
 しかしながら、かくのごとき耐乏生活を労働者に強いるためには、その耐乏生活のかなたに一道の光明がなければならないのであります。(拍手)政府は組閣に際しまして、経済緊急対策八箇條を発表して、國民の協力を求められたのであります。政府は、よろしく今日長期経済再建計画を立てて、國民の向うところを示すべきであります。そうして、これに社会主義政策を盛りこんで、労働者の耐乏生活が年次的にいかなる結果を生むかということを労働者の前に明示すべきであります。
 先日共産党の野坂君の質問に対して…
#35
○議長(松岡駒吉君) 結論を急いでください。
#36
○田中稔男君(続) 予算委員会の席上、共産党の野坂君の質問に対して、社会主義政策は捨てないと言明された。また労働委員会の席上におきましては、民主党の川崎君の質問に対しまして、今後、逐次社会主義政策を実行していくと明言されたのであります。私は、片山内閣が社会党單独内閣でなく、從つて、社会党党首として片山首相の御苦心のほどはよくわかるのであります。私は片山首相に対しまして百パーセントの社会主義政策の実行を要求するものではありません。しかしながら、少くとも與党三派の議席数の比率に應じて、五〇%弱の社会党主義政策の実現を希望するものであります。
 今日労働者は、片山内閣に対しまして、その社会主義政策の実現の遅きに焦慮と不満を感じておるのであります。しかも、労働者の支持なくしては、内閣は一日も確固たる基礎をもち得ないのであります。私は、全國の労働者諸君の片山内閣に対する関心を背景といたしまして、片山内閣総理大臣がもしおられなければ、西尾内閣官房長官の確固たる社会主義的信念を承りたいと考えるものであります。
    〔政府委員土井直作君登壇〕
#37
○土井直作君 田中君の御質問に対してお答えを申し上げます。
 國鉄並びに全逓の今回の爭議に対しまして、これらの調停案がすでに中労委によつて示されておるのでありますが、この調停案に対しましては、目下政府といたしましては、これに愼重なる檢討を加えまして、しかる後、最も近い期日に回答をいたす予定に相なつておるのであります。ただ、これらの官公の人たちが、その生活を維持することのために非常に困難であるということにつきましては、政府もつとに承知しております。殊に千八百円ベースによつてくぎづけされておりまするところのこれらの人たちの生活が、いかに困難なる事情にあるかということについても、十分承知しておるのであります。しかしながら、わが日本の現在の経済情勢、これらの点から鑑みますならば、インフレを抑制し、やみを撲滅いたしまして、國民生活の安定を期するということのためには、一定のところで物資の抑制をし、これによつて民生の安定を期していくということは、必然的な結果として行わなければならないのであります。千八百円ベースは、一定のセーフティ・バンドとしてこれを設定したのでありますが、その設定をいたしました後における幾多の時間的ずれなり、あるいは支障等によりまして、当初考えましたところの正常ルートによる生必物資の配給が完全に行われなかつた点につきましては、もとより政府としても十分その責任を感じておるのであります。かかる立場から、今回の調停に対しましても、でき得るだけこれにことうべく努力をいたしております。
 さらに給與の面につきましては、これを全面的に改訂する必要ありや否やという点につきましては、すでに中労委から提出されておりますところの、いわゆる臨時給與審議委員会を設置して、來年の一月からその実施をせよという調停でありますが、これに対しましても目下檢討を加えておりまして、十分御期待に副うべく誠意をもつて努力していきたいということを考えておる次第であります。
 さらに中労委の調停に対しまして、政府はどういう考えがあるかという点でありまするが、これは後段の御質問の中にありますように、労働委員会の権威を尊重するかどうか、言いかえれば、中労委の権威を尊重するならば、必然的にこれらの調停案に対してもこれを十分尊重するということは論をまたないところであります。從つて、中労委が相当の時日を経過し、愼重なる審議の結果裁定を下しましたものに対しましては、少くも中労委の権威を失墜することのないような処置を十分に講じていきたいと考えております。
 なお、これと関連いたした質問でありまするが、北海道における地労委の、燃料すなわち越冬資金に対する問題でありまするが、要求されましたものに対して、配当が三千円並びに千円という少額なものであつては、越冬することに困難であるということでありまするが、この調停の決定されました根拠につきましては、目下事情を十分に調査しております。また、当時札幌の鉄道局が受諾したかのごとき調停案の内容も承知しておりまするが、その間多少の食い違いがあるようにも思いまするので、もとより、これに対しては專管省が十分調査すべきでありましようけれども、さらに私の関係しておりまする省といたしましても、十分内容を調査檢討いたしまして、少くとも地労委なり中労委にいたしましても、すなわち北海道の地労委が決定されましたこれらの事項に対しても、その権威尊重の面から十分なる考慮を拂つていきたいということを考えておる次第であります。以上、御答弁申し上げます。
    〔國務大臣苫米地義三君登壇〕
#38
○國務大臣(苫米地義三君) 北海道の國鉄労働組合から提訴されましたことで、北海道地方労働委員会で調停案が成立いたしまして、これに対しては札幌鉄道局が取計らいのできる権限以上になつておりますので、局長はこの実現に向つて最善の努力をするということになつておるのでございます。その報告に接しまして、本省といたしましては、でき得る限りこの調停案を尊重し、実現の可能なる範囲において努力をいたしてまいつたのでありまするが、調停案の内容は、多く國鉄自体のみならず、一般の官公廳に共通する問題並びに國鉄本部から中労委に提訴いたしておりまする諸條項と重複しておりますので、これと相関連して、その解決に努めておつたのでございます。現在、中労委にある程度の折衝が続けられておりますから、これが解決いたしますれば、北海道の問題もおのずから解決ができると思うのであります。ただ、調停案に盛られました數字のようにまいりますかどうか、財政の点等をも考慮いたしまして、でき得る限り勤労者のために取計らいをいたしたいと思いまするが、今その方の進行中でございますので、確たることはまだ申し上げられないことを、はなはだ遺憾に存じておる次第であります。北海道はすでに雪が降つておりますし、非常に勤労者の困つておることは同情にたえません。何とかしたいと思いまするが、一方國の財力を考えまするときに、要求に対して十分な満足を與え得るかどうか、これまた懸念にたえないと思つておる次第であります。右のような事情でありますから、この点を御了承願いたいと存じます。
    〔國務大臣栗栖赳夫君登壇〕
#39
○國務大臣(栗栖赳夫君) 御質問に対してお答えいたしたいと思うのでありますが、私の主管しております財源問題であります。この千八百円のベースで追加予算その他が計算してあるということならば、もつとここに自然増收はないか、こういう点であります。これについて、まず第一にお答えしたいと思うのであります。
 御承知のように追加予算は、七月の十七日に一應政府案の内定をいたしたのでありますけれども、確定をするまでには非常な時間をとつたのでありまして、遂に十月の末に相なつたのであります。そこで、財政需要の非常な大きな金額というものと見合せをいたしまして、再三この再檢討をいたしたような次第でありまして、最後の檢討は十月の下旬に相なつておるのであります。そこで、十月の下旬における官公吏の收入及び民間の諸收入というものを見合いにいたしたのでありまして、官公吏については千八百円ベースを基礎にしておりますけれども、民間におきましては、すでに中労委の裁定にもありましたように、これが千八百円を上まわつておるのであります。そこで、大体二千二百円くらいの見当でもつて平均をいたしまして、自然増收をも見込んだような次第であります。そういたしまして、あの所得税の中には相当大幅な自然増收が見込んであるのでありまして、これはすでに委員会においても説明を申し上げ、委員よりも御指摘のあつた通りであります。そこで、今回お示しのような、すべて千八百円のベースで年間を通じ計上していないのでありますから、自然増收としては大きな数字は望まれないのであります。ただ、今回一定の金額を支拂うというようなことがある場合におきましては、その金額に対する税だけは十分見込まれるのでございます。この点は見込みたいと思うのでありますが、金額はそう大きくはならぬと思うのであります。
 それから新円階級における課税でありますが、これは御質問の通り徹底的に徴税をいたすのでありまして、これについても相当大きな自然増收を見込んでおるのであります。これからさらに相当大きな金額が見込み得るかどうかということには、多分に疑問があるのであります。しかしながら、官公吏の生活の現状につきましては、政府としましても十分同情をして、何とかしなければならぬという点も考えておりますので、財源につきましては、もちろん今御指摘になりましたような点も研究いたしますけれども、それ以外にも、廣く一般会計と特別会計というものについて檢討を進めておるような次第であります。特別会計は独立採算制ということで賄う建前になつておりますけれども、すでに先ほど御承認を得ました追加予算におけると同樣に、一般会計に余力があるならば、特別会計分をも、一部でも相当部分でも一時立替えよう、こういうような考えをもちまして、特別会計についてはもちろんのこと、一般会計についても十分財源を探し出し、これに應じたいと思う次第であります。しかし一面におきましては、六・三制であるとか、あるいは水害対策、旱害対策等の費用、それから法務廳その他の新しい機構の設立に伴う費用、そういうものもありますので、そういう点とも見合わして、ただいま十分考究し、善処しようといたしておるような次第であります。
 なお、ここで一言申し上げなければならぬことは官吏でありますが、官公吏及び半分を政府で負担しております公吏については別でありますけれども、一般公吏についても、やはり官吏、公吏と同じ並みにこれを扱わねばならぬのでありまして、これにつきましては、原則として地方廳において負担することに相なるわけでありますけれども、地方の財政も窮乏を告げておりますので、この辺についても十分考えをめぐらして、公吏官吏とも均衡を得たような解決をせぬといかぬと思うのでありまして、その点についても、地方関係と十分連絡を取つて善処をいたしたい、かように思う次第でございます。(拍手)
    〔國務大臣西尾末廣君登壇〕
#40
○國務大臣(西尾末廣君) 田中稔男君の総理大臣に対する御質問は、総理大臣に代つて私が答えてもよろしいということでありますが、御質問の内容は、政策の問題というよりも、むしろ総理の信念を聽くという性質のものでありますから、私がお答えすることは適当でないと思います。いずれ適当な機会を選びまして、総理自身からお答えしていただくようにいたしたいと思います。
     ――――◇―――――
 人口問題に関する緊急質問(多賀安郎君提出)
#41
○議長(松岡駒吉君) 人口問題に関する緊急質問を許可いたします。提出者多賀安郎君。
    〔多賀安郎君登壇〕
#42
○多賀安郎君 私は人口問題について所管大臣にお尋ねをいたしたいと思うのであります。
 まず、わが國の過剩人口と食糧問題について農林大臣にお尋ねいたします。総理廳統計局の発表によれば、本年十月一日現在のわが國人口は七千八百九万九百九十一人となつております。さらに外務当局は、日本に引揚げるべき海外残留同胞は、本年十一月七日現在で、なお八十二万一千五百九十六人あると発表しており、加うるに、講和條約締結後いろいろな形で海外から日本に流入すると予想されるおびただしき人数、自然増加による人口の増大等を考えまするとき、わが國の過剩人口によつて起る食糧問題の解決は、けだし未曽有の困難が予測されるのであります。もしかりに、わが國の人口が現在のまま、すなわち七千八百万人程度に止まるといたしましても、日本の領土は、ポツダム宣言によつて四つの島に局限せられているのでありますから、食糧問題に止まらず、日本國民すべての経済生活がきわめて深刻なる事態に落ちこむことは、予測に難くないのであります。
 ガスコイン駐日英國代表の説によれば、現在の日本の居住を許されている領土は、戰前の五六%にすぎず、この面積に人間生活を営み得る人口は、最大限七千万であると発表いたしております。しかも、同氏の研究によれば、日本の人口は昭和二十五年度に八千二百万に達するであろうとのことであります。すでに、今日の状態においてさえ食糧問題は容易ならざる困難を示しておりまするが、あと二年間に現在よりさらに四百万近い人口が殖えるといたしまするならば、とうてい生やさしい事態に止まらないことを心配いたすのであります。
 今日当面いたしておる食糧問題について緊急なる施策を講じることが政府の責任であることは申すまでもありませんが、今日現われている食糧需給の食い違いがいかなる原因に発しているかについて、政府は十分反省し、再びかかる國民的不安と混乱をもたらさざるよう善処しなければなりません。すなわち、海外から引揚げてくる人数を加えての本年度の人口につきましても、また昨米穀年度における收穫量等につきましても、政府としては当然前もつて正確なる予想が立つていたはずであります。にもかかわらず、本年六、七月ころは國民に絶望的不安を與え、もし連合軍の御同情による輸入食糧の放出が許可されなかつたならば、本年度の端境期にはゆゆしき混乱状態が発生しておつたと思うのであります。
 特に、昨二十七日の知事会議における総司令部経済科学局物價統制割当部長のアルバー氏の言明によれば、本年度のきわめて不良なる世界食糧事情から、日本國内の食糧生産についてあらゆる努力が必要である旨強調しております。こういう点から考えましても、輸入食糧に依存するという安易感は、絶対に愼まなければならないと思うのであります。政府は、足もとの火を消すに止まらず、精密なる調査研究に基きまして、常に將來起るべき事態に正確なる見透しをつけて、いかなる場合にも國民に不安を與えることなく、そのときの現象に対應できるだけの態勢を整えておく責任と義務があると信ずるのであります。かくしてこそ、内閣の政治力は強化され、政府は國民的信頼を吸收することができると思うのであります。すでにあと二年足らずで、わが國の人口が八千万を超えるという予測に対して、政府はいかなる対策と成案をもつておられるか、農林大臣の明瞭なる御答弁をいただきたいと思うのであります。
 次に、食糧問題に関連して商工大臣にお尋ねいたします。單に化学肥料の生産に止まらず、直接食糧生産の上に重大なる影響をもたらす電力事情の今日及び將來について、農民は大いなる関心をもつておるのであります。わが國農耕地と人口の比重におきましては、農業電化等によつて農業を高度化し、生産を高めることを考えなければならないのでありまするが、最近農村における電力事情は、都市と同樣きわめて憂慮すべき事態に立至つております。取入れ時期の昨今は、明けるに遅く暮れるに早く、電燈に依存する時間がきわめて多いのであります。停電による脱穀不能等の関係もあり、特に農繁期における停電は、主食生産の速度に非常な影響をもたらすのでありまするが、このことは農民の増産意欲にも著しく影響いたしますし、また國民全般の生活にも非常な不便と不安を與えておりまするので、農業用電力の対策、見透し等に止まらず、電力事情全般についても、國民が腹から了承し、自発的、良心的に協力できるような御説明を商工大臣から承りたいのであります。
 次に、経済安定本部長官にお尋ねいたします。狹隘なるわが國の國土面積と過剩人口の跛行的比重に基きまして、当然わが國産業経済の上に革命的再編成がなされなければならないと思うのであります。十一月十三日のU・P通信によれば、米國陸軍次官補のグレー氏は、日本が極東の繁栄と平和の重要なる役割を果し得る水準に達するためには、民間産業及び外國貿易を奬励しなければならない、また日本経済を再組織して、近隣諸國の大量の援助を與えるようにしなければならないと強調していたしております。さらに英國下院議員ゴードン・ラング氏は、去る十月十三日、東京における新聞会見で、日本は從來も高度工業國であつたが、今後もそうあるべきだと思う、もちろん安全保障の見地から、隣接諸國の回復を破壊するほどの水準は許さるべきでないが、日本が自力で傳統を維持するに満足な進歩的工業水準は当然許さるべきであると述べております。これに関し、今後の産業経済に関する安本長官の御所見を承りたいのであります。
 さらに、産業再編成と労働力との関連並びに過剰労働力のはけ口及び失業対策等に関する労働大臣のお考えを伺いたいのであります。
 次に、厚生大臣にお尋ねいたします。すなわち、人工増殖率のきわめて高いわが國の諸条件に鑑み、産兒制度等に関するいろいろの議論が現われております。産兒制限すべしという議論に対して、たとえば総司令部の公衆衞生部長サムス大佐の研究によれば、産兒制限の効果が人口の上に現われるには最低二十箇年を要すると言つておりまするし、また英國下院議員W・テイーリング氏は、日本の過剩人口と激増する人口とを産兒制限によつて調整することに自分は反対であると述べております。増殖率のきわめて高いわが國の人口事情と産兒制限について、厚生大臣の御見解を伺いたいと思うのであります。
 最後に、外務大臣にお尋ねいたします。まつたく宿命とも申すべきわが國の人口問題につきましては、從來もまじめな学者によつて熱心に研究されてまいつたのでありまするが、特に日本人の居住地域が極度に縮小された今日におきましては、皮肉にも増大一途をたどる人口問題が、当面する最も深刻な悩みとなつてまいつたのであります。また日本の人口問題に関心を寄せる連合國の人々の中にも、いろいろな角度から意見を発表しております。
    〔議長退席、副議長着席〕
 たとえば、シカゴ・トリビューン紙の社主ロバート・マッコーミック氏は、去る十一月四日、東京におきまして、私は日本の人口過剩問題に関心をもつておる、私は人口稀少の地域へ日本人が移民できることを望んでおる、もし日本人の過剩人口を移民によつて解決する途を國際連合が発見できなかつたら、講和條約に織りこめばよいと語つており、また反対に、去る十月に來朝した英國下院議員團のハーヴェイ・ローズ氏の一行は、日本人の海外移住は考慮の余地なしという意見を発表しておるのであります。また英國レディング大学教授のジョージ・キャンブル氏の著書「ワールド・オウプン・スペース」、すなわち「世界の空地」の中で、移民が許されない場合の措置として、シーズナブル・ワーカーという言葉が使われておりますが、これは季節的出かせぎ労働者の意味と私は考えております。
 このように、正義と人道を愛する世界の学者や識者が、過剩人口と移民についていろいろな研究をなされておりまするが、外務大臣は、これらの問題に関心をもたれ、もしくは研究をされたことがあるかどうか、お尋ねいたしたいと思うのであります。
 また、日本人だけで二十万の移民を送つておるブラジルの対日感情及び在伯同胞の近状については、これらの問題に関連をいたしまして、在伯同胞の縁故者とともに大きな関心をもつておるのであります。すなわち、日本の敗戰後、在伯同胞の間に臣道連盟とか日本人在郷軍人会と称する超國家主義的結社が組織され、在伯同胞の九〇%までがこれらの團体に加盟して、不穏な行動に出たという事件であります。これらの團体は、太平洋戰爭で日本が大勝利を博したとか、近くブラジルにも、日本の大船團が在伯同胞の帰国希望者を迎えに來るとかいう、まつたく荒唐無稽な大宣傳をなし、祖國日本が太平洋戰爭に大敗を喫したという眞実を口にする日本人は片つぱしから暗殺するという、まつたく血で血を洗うような事件を起し、在伯同胞を不安のどん底に突き落し、さらにはブラジル政府に対しても非常なる迷惑を及ぼしたことに対し、私は、去る九月二十二日の外務委員会において、政府のとり來つた対策並びに方針等についてお尋ねをしたのでありまするが、その後の在伯同胞の動向並びにブラジルの対日感情等について、資料があれば外務大臣の御説明を伺いたいと思うのであります。
 以上をもつて、私の質問を終ります。
    〔政府委員井上良次君登壇〕


#43
○政府委員(井上良次君) 多賀さんの御質問にお答えをいたします。多賀さんの御質問の要旨は、昭和二十五年度になりますと、日本の人口が八千二百万になる、現在でさえ食糧不足をしておる今日、この大きな人口になつた場合の食糧の見透しいかんということであると思いますが、現在わが國の食糧の不足は、皆樣御存じの通り、年間を通じまして大体小麦換算で百九十万トンほどの不足をいたしております。これが昭和二十五年になります場合には、どういう形に変るかと申しますと、食糧管理局で推定をいたしました需給計画によりますと、國内生産は大体千四百五十二万六千トン、これは玄米換算であります。これを内訳いたしますと、米で九百二十万六千トン、小麦で百三十四万八千トン、大麦で六十万一千トン、裸麦で七十九万五千トン、甘藷で百六十万八千トン、馬鈴薯で四十七万四千トン、雜穀で三十万トンと押えております。このうちから、種と飼料用とそれから農家自家保有を合計いたしますと、七百六十一万七千トンと大体見ております。そこで、一般配給用として集荷いたします量は、六百七十一万トンとなるのであります。これに対して一般需要の方は、工業用が七十万四千トン、一部保有農家に対する配給が八十五万八千トン、純消費者に対する配給七百四十六万七千トン、合計いたしまして九百二万九千トンとなります。そこで差引が、大体二百三十一万九千トンの不足となる見込みであります。この不足をどうするかという問題でございます。
 このような需給状況でございますので、政府としましては、この不足をできるだけ國内において補わなければならぬ。このためには、すでに実行いたしておりますところの開拓計画を、計画通り推進させていくということと、それからいま一つは、既耕地の用排水、土地改良事業、これを根本的に計画的に行いたい。同時に肥料の増産をはかります。特に窒素肥料の増産をはかる。さらに農業の技術的指導をいたしまして、農業生産を飛躍的に高める。そのほか生鮮食料品、特に水産業の増産に大きな力を加えまして、この面における食糧補給を相当多く見こむ必要があると考えまして、その方面に対する計画を進めております。
 かくのごとく、あらゆる方面に対する食糧増産の必要な手段と対策を推進しまして、できるだけ輸入食糧を最小限度に食い止めると同時に、いま一つ、われわれはかくのごとき大きな不足は來しますけれども、しかしながら、われわれの國内体制の整備いかんによつて講話会議が開かれますし、講和会議が開かれた後における世界の食糧事情とにらみ合わして、少くともわれわれは南方の米を内地に輸入するような対策を考えてみる。あるいはまた朝鮮、滿州方面の大豆及び米を内地へ入れてもらう方法を考えてみる。このためには、何としても國内の工業力が飛躍的に復興いたしませんと、これらの食糧を輸入するための輸入資金の問題にかかつてきますので、從つて問題は、これら輸入食糧を國内に入れるためには、國内における工業力を飛躍的に高めなければならぬ。そうして食糧輸入資金をつくりませんと、食糧問題の根本的解決はあり得ないのでありますから、これは國内における食糧増産のあらゆる手を打つとともに、同時に輸入に対する見返り物資の生産に政府は全力をあげて突破したいつもりでありますから、さよう御了承願いたいと思います。(拍手)
    〔國務大臣一松定吉君登壇〕
#44
○國務大臣(一松定吉君) 多賀君の私に対しまする人口問題に関する御質問について、私の考えておることを申し上げてみたいのであります。
 食糧問題は、一体人口問題と直接関係があることは言うまでもないのでありますが、何ゆえに人口問題が今日やかましくなつたかと言えば、わが國の人口は年々歳々増加する一方である。しかして食糧は、その割合に生産が殖えない。海外から輸入を仰がなければならぬ。海外からの輸入が十分に思わしからぬということになれば、やむを得ず、人口と食糧問題という問題が緊密に研究されなければならぬ。これがすなわち、人口問題に論及しなければならないゆえんであると思うのであります。
 わが國の食糧だけでは、わが國民を養うに足りない。しかして一面には、外国からの輸入というものがどうも十分に見込みがない。そこで、今日本に生産するところの食糧だけでは、大概どのくらいの人々を養うことができるかと言えば、まず四千万人を支えるに足りない。そのくらいである、少くとも四千万人もしくは六千五百万人以上のものは養えないのである。ここにおいて、いわゆる産兒制度問題が起ることは言うまでもありません。
 しからば、わが國における人口の増加の率はどういうことになつておるかということを大体考えてみますと、昨年の四月から今年の九月までの間におきまして、増加人口が四百数十万人ということになつております。このうち約三分の二が、海外から引揚げてきた人の数であります。しかしてその三分の一が、いわゆる自然に生れてきた人の数であります。すなわち四百数十万のうち、この海外から引揚げた者と、自然に生れてきた人との競合によつて、四百数十万というものが一年五箇月くらいの間に殖えたのであります。
 このことをよく考えてみますと、いわゆる海外から引揚げてきた人のことは、人口増加ではあるけれども、これは將來の人口問題にはあまり論及する必要はありません。これはただいまの現象でありますから。しからば、自然増加はどうであるかというと、すなわち四百数十万人の三分の一、これらの百余万人の者が生れたということになる。百余万人が生れたということは、学者の統計によりますと、わが國の一年の人口の増加は七十万人だと推定をいたしております。そうすると、三十万人も殖えたというのは一体どういうわけだ。これは海外から引揚げたところの、いわゆる若い人々が内地に帰つてきたことによつて、普段のときよりも人口の増加するということは、これはもう自然の勢いである。今私が、ここに事新しく説明する必要はありません。それと同時に、今まで戰さによつて人命を損傷しておつたことによつて人口が減少しつつあつたのが、戰さが止まつたために死亡率が少くなつたということが、一面また増加の率を殖やしたということになるということも、これまた言うまでもございません。
 かように殖えたのでありますが、しからば、どういう人が殖えたのであるか。その殖えた人の年齢等によつて、これがただちに食糧問題に関係のあることは言うまでもありません。四百数十万人の人が殖えたのであるが、わが國の人口を年齢別に統計をとつてみますと、十五才以上六十才までの者が、わが國全人口の八割を占めておる。そうして、十五才以下の者が二割を占めておるのであります。でありますから、今かりに産兒の制限をすると假定いたしましても、十五才以上六十才までの八割の人には影響はないのであります。今後産兒制限をするということになれば、これから生れるところの人々が制限せられることになるのでありますから、すなわち産兒の制限というものは、人口問題の解決という点につきましては、あまりたくさんな期待をかけられないことは現実の事実であります。
 しからば、一体食糧とわが國の人口問題はどうなるかということに関しまして、少しく私の考えを申し上げてみますと、戰前のわが國における米の生産の五箇年の平均をとつてみますと、日本の生産が六千七百万石、朝鮮から移入をいたしておりましたのが八百五十万石、台湾からのが四百九十万石、輸入を受けておりましたのが三十万石で、輸出は六十万石、そういたしますと、この戰前五箇年の平均をとつてみますと、わが國における消費量が八千十万石になるのであります。八千十万石というものを、その当時の人口の平均七千万人にこれを割り当ててみますと、一人が一石一斗四升ということになります。これを八千万國民に対して必要といたしますならば、今わが國においては九千万石がなければ、八千万人の人を養うことはできません。しかるに、日本の生産量は平均六千七百万石といたしますならば、二千三百余万石が不足するのであります。この点は、ただいま農林政務次官が詳細に話されましたように、いろいろな手を打つてこれらの欠損を補わなければならぬ。
 こういうことでありますと、二千三百万石の不足を補うために、今急速に産兒制限をいたしたからといつて、一箇年に七十万人が生れるとして、一人も生れない―七十万人が一人も生れないと仮定いたしましても、少くとも十四、五年経たなければ、これだけの米をわが國民が食わぬでもいいようになるということはできないのであります。そういたしますと、すでに今日において産兒制限をしても、その効果は十四、五年後でなければ現われないことになることは、これは計数上明らかであります。しからば、いわゆる緊急対策として産兒制限問題がただちに取上げられても、これは役に立たない。
 十数年後の恒久対策ということについては、これはもちろん考えなければなりません。それはどうすればよいかというと、それはその間において人口がどういうことになつていくのであるか、あるいはその際におけるわが國の食糧事情はどうなつていくのであるか、あるいは外國からの輸入の懇請がどういう形になつて現われるかということは、もちろん研究しなければなりませんが、十五箇年先のことを考えて、今ただちに産兒制限という問題は間に合わないことであると私は考えます。
 そこで、しからば産兒制限の必要があるかないかという点については、学者がいろいろ意見を異にしております。すなわち積極論と消極論のあることは、私が論ずるまでもありません。こういうことでありますから、これらの点につきましては、ただいま厚生省といたしまして十分に檢討を加えておりますから、これらのことについては、恒久的対策としては研究を怠らないということに御了承を賜わりたいのであります。
 かく考えてみまするならば、いわゆる産兒制限と食糧問題、すなわち人口問題とをただちに比較して、ただいま研究するということは、少しく考えなければならぬと思つておるのでありまするが、さればとて、これを等閑に付すべきものではありませんから、先刻申しましたように、厚生省としては十分研究調査を続けているということを御了承賜りたいのであります。
 さらに、ここに附け加えて申し上げておきまするが、よく産兒制限と受胎の調節ということと堕胎ということとを誤解しているようでありまするが、受胎の調節ということについては、これはもう各人自由になさつてよろしいのであります。法律は放任して、放任行爲といたしております。但し、受胎の調節をするにあたりまして、有害の器具を使うというようなことについては、厚生省としては相当の取締りをいたしておることは、これまた御承知の通りであります。堕胎につきましては、これは法律で禁じているから私は申し上げませんが、ただ断種の点につきましては、いわゆる優生法において、適当の方法によつて断種することは認められておりますけれども、それらの点につきましては、今事新しく申す必要はありませんが、これを要するに、今日人口問題と産兒制限問題とは、ただちにもつて緊急対策となすことは、ただいまのところ政府としては考えておりませんということを明かにお答え申し上げます。(拍手)
    〔國務大臣芦田均君登壇〕
#45
○國務大臣(芦田均君) ただいま多賀君より、過剩人口の解決方策として移民問題をどういうふうに考えておるかというお尋ねでありましたが、わが國のごとき過剩人口に悩んでおる國が、大量移民によつて人口問題の解決にどの程度まで有効な方策をとることができるかという点につきましては、よほど愼重に研究を要する問題でありまして、多賀君もおそらく御存じの通り、今日まで過剩人口を移民問題によつて解決したという例は、世界にきわめて少いのであります。從つて、移民問題に対する焦点を將來どこにおくかということは、新たなる観点よりこれを見る必要が起つておると思うのでありまして、今日のごとく世界経済の依存性がきわめて濃厚になつておる時代において、ある地域における余剩労働力を、労働力の不足したる地域に補充するということは、一貫したる世界経済の調和の上にきわめて有益なことであり、必要であることは申すまでもありません。そういう意味において、移民問題はおのずから新たなる視野より研究せらるべきものであると考えます。現在のわが國の環境において、將來の移民政策をどうするかということは、平和会議の成立によつて初めて実際政策に移し得る問題であることは、申すまでもないのであります。移民問題は、現在までのところ、國内問題として各國が取扱つておるのでありまして、ベルサイユ会議当時の論議に見ましても、これを講和会議の当面の問題として取扱うには適当したる問題でないと考えております。平和会議成立以後、わが國が日本の移民を受入れるべき十分の條件を備えている國と、將來討議を経た上で解決し得る問題でありまして、おそらく、日本が平和國家としての信頼を回復する以上、わが國の移民を喜んで受け入れるごとき國が出てくることは、私のひそかに信じているところであります。これらの問題は、すべて平和條約締結以後において実際問題として解決をなし得る問題でありますが、今日の実態においては、しばらく研究の程度に止めておくことが適当であると考えておる次第であります。(拍手)
    〔政府委員冨吉榮二君登壇〕
#46
○政府委員(冨吉榮二君) 多賀さんの御質問中、商工省に関係いたしまする問題につきましてお答えを申し上げます。
 多賀さんの御質問は、食糧増産のために農村電化の必要があるではないか、これに対する方針と、現在の電力事情による將來の見透しいかんという点にあつたかと思うのでございます。もちろん、狹小なるわが國の農耕地におきまして食糧増産をはかりまするためには、農村電化の必要があることは言うまでもございません。のみならず、文化國家建設のための農村文化のためにも必要であります。さらにまた、先ほど農林政務次官が申しましたごとく、外国食糧輸入のための見返り物資生産の原動力として電力は必要でございまして、あらゆる問題の基礎をなしますることは言うまでもございません。從いまして、農村の文化あるいは農村の生産増強のための農村電化の問題に対しましては、政府といたしましては非常な熱意をもつておるのでございます。すなわち、灌漑排水でありますとか、干拓あるいは開墾、あるいは育苗、あるいはまた温床、それらの問題から、現実の問題としての農耕作業の電化というような諸問題が必要でございまするので、それらの根本的な対策といたしましては、関係團体等に対しましても協力をいたしまして、これが推進をはかつておる次第でございます。さらに將來、わが國の豊富なる水力が電力に開発できまするならば、一層それらの問題も農村の明朗化をはかり得ることと期待いたしておるのでございます。
 しかし現実の問題は、すでに諸君御案内の通り、わが國の現状は、まことに憂慮すべき事態に電力事情がおかれております。すなわち、水力の発電におきまして、異常の渇水、かつて見ざる渇水をいたしておることは、御承知の通りでございます。これによりまして、出力に三割ないし四割の減退を來しておるのでございます。石炭の事情におきましても、昨年よりやや好轉いたしておりまするが、政府が期待しておるほどの出炭量はございません。それに、いわゆる電線その他の機具等のことを勘案いたしますると、まことに憂慮すべき事態でございまして、政府といたしましては、將來の問題に対する恒久対策を考えつつ、現在その現実的な問題に対処いたしておる次第でございます。さきに緊急対策要綱を発表いたしまして、皆樣の御協力を得つつある次第でございまするが、さらに十二月になりますると、割当制をも実施いたしまして、その規正の方面からするいわゆる電力の効率的な利用について、十分考慮いたしておるのでございます。
 しかしながら、以上申し上げました諸種の惡條件もございますが、さいわいにいたしまして、関係方面の理解もあり、火力発電の補修に対する積極的な労務者諸君の協力によりまして、來年の一月までには大体二十七万キロの出力を予定いたす見透しがついたのでございまして、現在以上に御不便をかけるようなことはないかと信ぜられるのでございます。農村等におきましても幾多の御不便がございまするが、わが國の現在の経済情勢と電力事情に思いをいたされまして、しばらくの御辛抱により、さらに一段の御協力によつて、將來に御期待をお願いいたしたいと思うのでございます。(拍手)
   〔政府委員永野重雄君登壇〕
#47
○政府委員(永野重雄君) ただいまの多賀議員の、過剩人口を産業的にどう処理するかということに対しまして、お答えをいたします。
 先ほど農林政務次官より、この過剩人口の処理方策の一つとしまして、農作物を極力あげるというお話がございました。まさにその通りでございます。ただ限りある地域で処理いたしますためには、おのずから限度がございまするので、一面経済をできるだけ工業化いたしまして、これによりまして、一面就職の機会を與えると同時に、工業人口の率の増加によりまして、人口増加率を緩和して、將來の過剰人口の緩和に役立たせるのが一つの方法と考えます。次に、輸出産業を極力振興いたしまして、またこれに伴いまして貿易に力を注いで、間接の労働力の輸出という面から、この過剩人口の処理を考えたいと思います。その輸出代金によりまして、海外より生活必需物資、食糧等を購入いたしまして、これによつて人口処理をいたすのも相当大きな役割と存ずる次第であります。
 次に、從來発見されない資源、あるいは從來活用されておらなかつた小資源等を発見し、また一面有効化いたしまして、これによりまして、今後過剩人口の緩和に役立たせたいと考えておる次第でございます。
    〔政府委員土井直作君登壇〕
#48
○政府委員(土井直作君) 多賀君の質問に対して御答弁申し上げます。
 過剩人口と失業問題でありますが、これはわが日本といたしましては、きわめて重大な問題でありまして、過剩人口を、しかもこれらの人々をすべて完全雇用するというようなことは、実際の面において非常に困難が伴うのでございまして、そういう関係からいたしまして、できるだけこれらの人々が失業の災害に遇わないように、最善の努力をいたしていかなければならないことは、言うまでもないのであります。從いまして、まず第一に配置轉等によりますところの適所適業、これは少くとも労働省といたしましては、公共職業安定局を督励いたしまして、万全の処置を講じていきたいと考えております。さらに政府が公共事業をできるだけ興しまして、これらの方面に失業者を吸收することも、当然なさなければならないところの大きな仕事であると考えておるのでありますが、さらに民間企業の振興をいたしまして、これらの方面にこれら失業過剩人口を吸收していくということのためにも、一段の配慮と努力がなされていかなければならないと思うのであります。しかしながら、いかなる方法をもちましても、わが日本の産業経済の状態では、完全雇用をいたすことが不可能な状態でありますので、万やむを得ずして失業いたします者がありますならば、現に過般本院におきましても御協賛を願いました失業保險法、あるいはまた生活保障法によりまして、さらに將來は、わが日本國民の全体の收入を、國民全体が均霑いたしまして生活するところの、大幅な社会保障制度というものを完成することによりまして、日本國民全体の生活を安定せしめていくことが、きわめて緊要だと思いますので、これら諸般の点につきましては、十分留意いたしまして御期待に副いたい、かように考えておる次第であります。
   ――――◇―――――
 全逓問題につき中労委の調停案に対する政府の態度に関する緊急質問(林百郎君提出)
#49
○副議長(田中萬逸君) 全逓問題につき中労委の調停案に対する政府の態度に関する緊急質問を許可いたします。提出者林百郎君。
    〔林百郎君登壇〕
#50
○林百郎君 私は全逓問題について、特に西尾官房長官に対してお尋ねしたいと思うのであります。何ゆえ西尾官房長に対し特にお尋ねしたいかと申しますと、大体新聞紙の傳えるところによりますれば、全逓の調停問題については、西尾案が最近は中心になつて檢討されておるということであります。なお傳え聞くところによりますと、それは大体給與一箇月分を十二月十五日ごろまでに支拂つて、それによつてこの全逓の調停問題を解決しようというような意図があるということを仄聞しておるのであります。從つて、この西尾案なるものがいかなる内容をもち、いかなる見解によつて行われるかということを確かめる必要のあることが一つ。もう一つは、この際特に中労委の裁定について、西尾官房長官に注意を喚起していただきたいことがあるのであります。それは、昨年のちようど本日、この壇上において西尾官房長官が、時の吉田内閣の吉田首相の施政演説に対し、社会等の代表として質問しておるのであります。その中の西尾官房長官の言質をここで一應申し上げて注意を喚起し、このたびの全逓調停問題をいかに解決すべきかという政治的な良心に基く御回答を願いたいと思うのであります。
 すなわち、その西尾官房長官の吉田首相に対する質問によりますれば、正確を期するために速記録を読んで見ますと、「私は吉田内閣に対して保守内閣であるとは言つて來たけれども、反動内閣という言葉を一つも使わなかつたのであります。しかしながら、この電産爭議の調停案に対する政府の反対声明は、これは明らかに反動的なものであります。これは明らかに全國の労働階級と、わが國におきましては最も民主的な機関であります所の中央労働委員会に対して、挑戰を行つたものであります。それでありますから、私はこの事実の後には、これは自分の認識が足らなかつた、この事実こそは、吉田内閣は反動内閣の正体を暴露したものであると私は認識をいたしたのであります。」と言つておるのであります。
 すなわち、吉田内閣が最も民主的な機関であるところの中央労働委員会の裁定を拒否したということは、日本の國の民主的な勢力に対する挑戰であり、私は今日より後は吉田内閣を反動内閣と呼ぶと、ここで見得を切つておるのであります。この西尾官房長官が、もし全逓問題について中央労働委員会の最案を拒否したということになれば、片山内閣こそ、すなわち反動内閣といわざるを得ないのであります。(拍手)
 しかも、讀賣新聞の十一月二十七日の紙上討論の結果によりますと、全逓問題に対する中労委の調停案を支持する者は、九七%であるのであります。そうして、中労委の調停案が少な過ぎるとしておる者が、実に五六%の多きに達しておるのであります。過大だと言つて反対している者は、わずかの三%に過ぎないのであります。從つて、もしこの全逓に関する中労委の裁定を拒否するということになれば、片山内閣は保守反動に加わることになり、反人民的な、日本の人民に対して挑戰しておるところの内閣と言わざるを得ないのであります。この点について、西尾官房長官の所信を質したいと思うのであります。
 なお、通信委員会における三木逓信大臣の答弁を聽きましても、すでに逓信從業員の生活費の上に赤字を生じておる事実は、明らかに認めておるのであります。しかも、民間企業の給與との間に差があるということも、はつきり認めておるのであります。すなわち千八百円ベースは、この裏に適正物價による流通秩序の確立が行われていることによつて初めて維持されるのであります。しかるにもかかわらず、この基本的な政策が全然行われておらない。またその後における物價の騰貴と間接税の徴收等によりまして、すでに千八百円ベースは実質的には九百円のベースになつておるのであります。政府の政策の不備と齟齬に対し政府の反省を求めざるを得ないということは、何も議会の中においての野党の声のみではないのであります。いわゆる西尾官房長官によれば日本の民主的機関と言つておるところの中労委の全逓調停案の冒頭に、このことが掲げられておることを深く銘記していただきたいと思うのであります。
 その次に、なおこの全逓の中労委の裁定の問題について、次の諸点を特に西尾官房長官にお聽きしたいと思うのであります。
 まず第一に、給與の金額の点でありますが、仄聞するところによれば、この給與は大体一箇月分程度の給與の支給をもつて打切りたいというようなことを言われておるが、大体組合案によりますれば、一月から六月までの赤字が五千九百四十六円、一年を通算しますれば一万五千円になるのであります。しかるに調停案は、一月から十二月の赤字を五千六十二円、すなわち、わずか三分の一の調停なのであります。これをしもなお認めない理由はどうかという点が第一。
 第二点としましては、この給與金の性質でありますが、これが越冬資金という性質の給與金か、あるいは千八百円と千六百円の差額金の支給という意味で給與されるのか、あるいは中労委の裁定と言われるところの、いわゆる赤字補給金という性格を持つ給與であるかどうかという点が第二。
 第三といたしましては、調停が遅れている理由。聞くところによりますれば、なお一、二週間ほども先に延びるというのであります。これは明らかに政治的なかけ引が背後に含まれておるのではないか。今から少くとも二週間後ということになりますれば、議会はすでに事実上の活動を停止しておるのであります。しかも労働者側にしますれば、暮になつて生活苦はますます迫つてくるし、いくらの金でも欲しいというときになつておる。しかも、この二週間のかけ引によつて、組合内部の切崩しを策するようなことが考えられるのでありますが、何ゆえに中労委の裁定に対しての政府側の回答がかく遅れておるかという事情を、お聽きしたいと思うのであります。
 その次に財源の点でありますが、これが一般会計から出るか、あるいは特別会計から捻出されるかということは、人民大衆の生活に大きな影響を及ぼすのであります。すなわち、もしこれを特別会計から捻出するということになりますれば、郵便料金の値上ということが、ただちに次の課題となつてくるのであります。從つて、これを一般会計から捻出するか、あるいはこれを特別会計から捻出するかという点についての、明確な御答弁を願いたいと思うのであります。しかも政府は、口を開けば財源がない、財源がないと言つておりますが、社会党が選挙の際に選挙民に公約したところの、戰時公債の利子の一年間の支拂停止、新円大口所得者に対する重税、第二次財産税の徴收というような、こうした社会的な公約を何ゆえ行わないかという点についても、その見解をお聽きしたいと思うのであります。
 なお、この中労委の裁定あるいは地方労働委員会の裁定につきましては、最近頻々として、この調停が無視されておるのであります。すなわち、本日の陳情によりますれば、國鉄北海道十支部の調停によりまする越冬資金約一万円近くのものが十一月二十日に支給されるということが、札幌鉄道局長によつて承認されておるのであります。しかるにもかかわらず、この札幌鉄道局長の承認した調停案を、政府は今もつて履行しておらない。そのために、國鉄の北海道におけるところの就業状態は、実に寒心すべき状態にあるのであります。ある支部においては、すでにストを宣言しておる。ある支部においては、自然欠勤の増加を訴えておる。かくして、國鉄の北海道における状態は実に憂うべき状態に達しておるのであります。
 そのほか、たとえば進駐軍に対する從業員の給與の問題、あるいは國鉄の問題、こうした現内閣が解決しなければならない問題は、実に山積しておるのであります。もしこの問題を、労働者の味方としての片山内閣、社会党首班の片山内閣が、労働者の利益になるように解決しなければ、明らかに片山内閣は保守反動、さらに反人民的な内閣といわざるを得ないのであります。この点について、われわれは重大なる責任を西尾官房長官に対して問いたいのであります。
 右諸点について、西尾官房長官の回答を得たいと思うのであります。これをもつて、私の質問を終りといたします。(拍手)
    〔國務大臣西尾末廣君登壇〕
#51
○國務大臣(西尾末廣君) 林君の御質問にお答えいたします。傳えられるところの西尾案、すなわち調停案に回答するその案の内容を聽きたい、こういうことでありますが、まだ政府におきましては案ができておりませんので、各方面との関係もありまして、なお内容にわたつて申し上げるような時期になつておりませんから、しばらくお待ちを願いたいと思うのであります。從つて、給與の金額はどうであるとか、給與金の性質はどうであるとか、あるいは財源は一般会計からとるか特別会計からとるかということにつきましては、この際お答えすることが、はなはだ遺憾ながらできないのであります。
 次に、吉田内閣のときに私が一般質問を試みた中におきまして、私が吉田内閣を、それによつて反動内閣だといつたということを引用せられましたが、それは少し事実が違うのであります。私は、單に吉田内閣が中労委の調停を拒否したというだけをもつて、これを反動内閣といつたのではないのであります。あのときのその拒否のしかた、そのことに重大な意味があつたのであります。すなはち、中労委が調停案をつくりまして発表するや、その瞬間を待たずに、むしろ正式な発表に先じるぐらいに、これに対して拒絶の声明をした。その声明の内容たるや、少しも労働者側のそういう要求なり、中労委の権威を尊重するという建前が含まれていなかつたという、そういう拒否のしかた、拒否しましたその内容の性質に鑑みまして、これを反動と私は言つたのであります。
 從つて、この片山内閣におきましては、元來この調停案ができた結果によりますれば、政府の期待しておるものから見まするならば、殊に今日のごとく財政上困難な状態のときにおきましては、非常に過大な調停案だと政府は認識したのであります。しかしながら、この労働爭議を平和的に解決するために最も必要な民主的機関である中央労働委員会の権威を尊重し、なるべくその調停案に接近するために、政府はあらゆる努力を今いたしておるのであります。(拍手)從つて、その努力のためには、いろいろ調停案の内容の檢討も必要でありまするし、また財源の捻出につきましても、いろいろくふうしなければならぬのでありまして、そういうことで苦心惨憺をいたしておりまするがために、時期をまだ延ばしていただくということになつておるのでありまして、決して政治的な考慮のために時期を延ばしておるのではないのであります。殊に、いかなる形におきましても、この十二月中にはできるだけ早くこの問題を解決して、全面的な解決でなくても、いくらかでも早く十二月中に渡すようにいたしたい、そのためには、この國会も終りに臨んでおるのでありまして、全体の解決が未解決でありましても、この臨時議会において一部分でも予算的な措置をとりまして、皆さんの御協賛を得てお渡しするようにしたいというふうに、くふうしておるくらいでありまして、決して時期を遅らせ、年末に追い込んで困らして問題を解決しようというような考えは毛頭もつていないということを、御了承願いたいと思うのであります。
 また最後に、片山内閣の政治といたしまして、労働者の利益になるような政治、労働者の利益になるような解決をしなければ、片山内閣は反動内閣だというように言われましたが、片山内閣は、労働者の利益のみをはかるのではなくして、國民全体の利益をはかりつつ、しかも、その國民全体の利益をはかるためには、優先的に労働者の生活を保障する、それによつて、日本の國全体の再建のために特に労働者の協力を要請するというのでありまして、ただ労働者のためのみをはかるのが片山内閣の性質でないということを、御了承願いたいと思うのであります。(拍手)
#52
○副議長(田中萬逸君) 次会の議事日程は公報をもつて通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
    午後五時三十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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